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75回国会衆議院1975/02/08

社会労働委員会 第1号

発言数
224
登壇者
20
会派数
5
開催日
1975/02/08

会議録

大野明自由民主党

○大野委員長 これより会議を開きます。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  このたび私が当委員会の委員長に就任いたしました。  皆様すでに御承知のとおり、現在の厳しい経済、社会情勢のもとで適切な社会保障政策が必要とされており、当委員会に対する国民各層の期待と関心は多大であると存じます。このとき委員長に就任し、その職責の重大さを痛感いたしておる次第であります。  幸い委員各位には本問題にきわめて御理解があり、しかも深い御造詣をお持ちの方々ばかりでございますので、皆様方の温かい御支援と御協力を賜り、円満なる委員会運営に努め、その職責を果たしたいと存じております。  ここに委員各位の特段の御支援と御鞭撻をお願いいたしまして、ごあいさつといたします。(拍手)      ————◇—————

大野明自由民主党

○大野委員長 この際、理事の補欠選任についてお諮りいたします。  現在、理事が二名欠員になっております。その補欠選任につきましては、委員長において指名いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。

大野明自由民主党

○大野委員長 御異議なしと認め、理事に       戸井田三郎君 村山 富市君を指名いたします。(拍手)      ————◇—————

大野明自由民主党

○大野委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  厚生関係の基本施策に関する事項  労働関係の基本施策に関する事項  社会保障制度、医療、公衆衛生、社会福祉及び人口問題に関する事項  労使関係、労働基準及び雇用・失業対策に関する事項以上の各事項について、その実情を調査し、対策を樹立するため、小委員会の設置、関係各方面からの説明聴取及び資料の要求等の方法により、本会期中調査を進めたいと存じます。  つきましては、衆議院規則第九十四条により議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。

大野明自由民主党

○大野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。      ————◇—————

大野明自由民主党

○大野委員長 厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、田中厚生大臣から発言の申し出があります。これを許します。厚生大臣田中正巳君。

田中覚自由民主党

○田中国務大臣 社会労働委員会の御審議に先立ち、厚生行政について所信の一端を申し述べたいと存じます。  現在わが国の経済社会は、インフレと不況の同時解決、資源の制約、環境の汚染等数々の問題に直面しておりますが、とりわけ、物価の安定と社会的公正の確保は政府の中心的政策課題として全力を傾注しているところであります。  国民の生活の安定と福祉の向上を図る上で物価の安定こそが最も肝要であり、政府としては、まず物価の抑制対策を強力に推進し、社会保障施策がインフレの後追いにならぬようこれが安定対策には積極的に取り組んでいく所存であります。  このような時期に当たり、物価の上昇に伴う所得の分配面でのひずみを是正するなど、社会的公正を確保する観点から、厚生省としても従来にも増して、社会保障の充実を初めとする国民福祉の向上に総力を挙げる所存であります。  明年度の予算編成に当たっては、このような考え方に立って、私としてもできるだけの努力を尽くしたところでありますが、福祉の向上を求める国民的な支援のもとに、国家予算全体としては昨年に引き続き抑制的な基調を堅持する中で、厚生省関係予算は、総額三兆九千六十七億円、対前年度比三六・二%増と、国家予算全体の伸び率をかなり上回る伸びを見たところであります。  以下当面の主要課題について申し上げます。  第一に社会福祉の充実であります。特に老人、心身障害者、母子世帯、生活保護世帯等社会的経済的に恵まれない人々の所得保障には最重点の配慮をいたしました。  まず、老後生活の柱となる年金制度については、老齢福祉年金を月額七千五百円から一万二千円に引き上げる等福祉年金の相当な改善を図るとともに、厚生年金及び拠出制国民年金の物価スライドの実施時期を繰り上げることにいたしております。  なお、年金制度につきましては、財政再計算期を昭和五十三年度から昭和五十一年度に繰り上げるとともに、その際に全般的な制度の根本的見直しを行うことにしております。  心身障害者の福祉については、在宅の障害者に対する福祉施策の拡充に視点を向け、重度障害者のための福祉手当の創設、特別児童扶養手当の大幅増額を図ることとしております。  また、児童の健全な育成を図るための児童手当を増額するほか、国民の最低生活を保障するための生活保護費について、生活扶助基準額を二三・五%引き上げるとともに、級地格差の是正を進めることにいたしております。  社会福祉施設については、明年度も引き続き計画的に整備を進めるとともに、施設入所者の処遇改善を図ることにいたしております。また、施設で働く職員については、増員や給与の改善等について配慮をいたしました。  第二に、国民医療の確保の基礎となる医療供給体制の整備であります。  明年度においては、特に僻地医療対策及び医療従事者の養成確保対策に重点を置くこととしております。  まず、僻地医療対策については、僻地中核病院の整備、無医地区への保健婦の配置、僻地診療所についての国庫補助率の引き上げ等を行うことにより、僻地における住民医療を確保することを目指しております。  医療従事者の養成確保対策については、看護婦について自治体立の看護婦養成所の運営費の助成、看護研修研究センターの設立を図る等多角的に施策を推進することにいたしております。  第三に、難病対策その他国民の健康の保持増進に関する施策の推進であります。  難病対策については、調査研究及び医療の対象となる疾患を拡大するなど総合的な施策の拡充に努めていくことにいたしております。  健康増進対策としては、健康増進センターの整備を推進するほか、妊産婦、乳幼児に対する健康診査を充実することにいたしております。  原爆被爆者対策についても、新たに保健手当を創設するとともに、各種手当の大幅な増額を行うことにいたしております。  第四に医療保険について申し上げます。  昨年末に実現した日雇労働者健康保険法の改正により、医療保険の給付水準は全制度にわたりほぼ均衡のとれたものになったところであります。  国民健康保険については、明年度予算におきまして、健全な国民健康保険財政を確保するため、保険者に対する助成措置を強化することにいたしております。  しかしながら、医療保険に関しましては、基本的に検討を加えるべき幾つかの課題が残されており、国民医療の確保のため、これらの問題の処理について今後なお一層の努力をする所存であります。  第五に生活環境の整備と消費者の安全確保対策であります。  近年における生活水準の向上、都市化の進展等に対応して水道及び廃棄物処理施設の整備については一層の力を注いでまいる考えであります。  また、消費者の安全確保対策については、食品、医薬品の安全性を確保するため、試験研究、監視体制を強化するとともに、食品添加物の安全性の再評価、医薬品副作用情報システムの整備、医薬品の再評価等所要の対策を講じていく所存であります。  最後に、戦傷病者、戦没者遺族等の援護については、遺族年金等を大幅に増額するとともに、終戦三十周年に際し、戦没者の遺族に新たに特別弔慰金を支給することといたしております。  以上が厚生行政の当面の主要課題でありますが、そのいずれをとりましても国民生活に密接な問題ばかりであります。  私は、皆様の御支援を得つつ、全力を挙げて取り組む覚悟でありますので、何とぞよろしく御支援、御鞭撻をお願い申し上げます。(拍手)     —————————————

大野明自由民主党

○大野委員長 次に、昭和五十年度厚生省所管の予算の概要について説明を聴取いたします。厚生省松田会計課長。

松田正厚生大臣官房会計課長

○松田政府委員 お手元の資料に基づきまして、昭和五十年度厚生省所管予算の概要を御説明申し上げます。  資料の表紙をごらんになっていただきたいと思いますが、昭和五十年度の厚生省関係予算額は、三兆九千六十七億二千九百万円でございます。対前年度増加額一兆三百八十四億三千五百万円でございまして、伸び率にいたしまして一三六・二%でございます。これは国家全体の予算に占める割合といたしましては一八・四%、五分の一弱程度になっておるわけでございます。以下、資料に基づきまして御説明を申し上げます。  目次を飛ばしていただきまして、その次の一ページ、老人、心身障害児・者、母子、低所得者等の福祉を高めるための施策。  まず福祉年金の改善でございますが、五千五百六億三千七百万円予算を計上いたしております。改善内容といたしまして、まず年金額の引き上げ約六〇%、老齢、障害、母子、準母子等の福祉年金について引き上げることにいたしております。老齢年金につきましては一万二千円、障害年金につきましては一万八千円、母子、準母子年金につきましては一万五千六百円、かように相なっております。  二ページ、次のページに参りまして、拠出制の国民年金あるいは厚生年金及び船員保険につきましては、それぞれ年金額のスライド改定を実施することにいたしております。消費者物価の上昇率に応じた引き上げ二二%を計上いたしました。実施時期はそれぞれ五十年の九月、五十年の八月でございます。  次に社会福祉施設の入所者の処遇の改善でございますが、施設の入所者につきましては飲食物費等生活費の引き上げ二二%を計上いたしました。  次のページへ参りまして、社会福祉施設の整備でございますが、特別養護老人ホーム、保育所及び重症心身障害児施設等を最重点の整備目標にいたしまして、三百五十億九千三百万円を計上いたしました。  次に、老人福祉対策の強化の問題でございます。老齢福祉年金等の改善のほか、寝たきり老人対策として二十六億四千九百万円、ひとり暮らし老人対策として三億七百万円、生きがいを高める施策といたしまして十八億八千五百万円を計上いたしておりますが、これらは家庭奉仕員の増員、老人福祉電話の増設、老人クラブに対する助成あるいは「老人のための明るいまち」推進事業等のための経費でございます。  六ページへ参りまして、身体障害者の対策でございますが、障害福祉年金の改善のほかに、身障者福祉モデル都市の設置、福祉電話の新設あるいは家庭奉仕員の派遣等の在宅対策の強化を図ることといたしまして、三十八億六千二百万円を計上いたしましたほか、リハビリテーション関係の施設の充実を図るため国立リハビリテーションセンターの設置費十三億一千二百万円を計上いたしました。  九ページでございますが、在宅重度障害者のための福祉手当の創設でございます。在宅の重度障害者につきましては、在宅重度障害者のための福祉手当を支給する制度を創設することにいたしまして、月額四千円、五十年十月から実施をいたす予定にいたしております。二十九億五千八百万円を計上いたしました。  十ページに参りまして、特別児童扶養手当の改善でございますが、現行一万一千三百円を一万八千円に引き上げると同時に、二級の障害にまでその範囲を拡大することといたしまして、九十二億八千七百万円を計上いたしました。  十二ページへ参りまして母子福祉対策の推進でございますが、母子福祉年金の充実のほか、母子家庭介護人の派遣事業を今回新たに実施をすることにいたしますなど、母子福祉貸付金等を合わせまして十六億七千四百万円を計上いたしました。  十三ページへ参りまして、難病対策の推進でございますが、難病対策のうち調査研究につきましては十四億四千七百万円を計上いたしました。またこれらの医療費に対しましては二百四億六千七百万円を計上いたしました。  十五ページへ参りまして、生活保護の改善でございますが、生活保護費につきましては五千三百四十七億四千七百万円を計上いたしました。生活扶助基準を二三・五%引き上げると同時に、地域差の改善を行うことといたしております。これによりまして東京都の標準四人世帯の生活扶助基準は、現行六万六百九十円から七万四千九百五十二円に引き上げることになっておるわけでございます。  十六ページへ参りまして、保母さんあるいは看護婦さんの確保の問題でございます。まず社会福祉施設におきます保母等の人員の確保の問題でございますが、職員の増員あるいは病弱者の介護加算、施設長の管理職手当の創設等を含めまして四十七億一千八百万円を計上いたしました。  また保母さんの給与の優遇措置といたしまして、基本的給与の六%を上積みすることにいたしまして、百一億四千六百万円を計上いたしております。  なお研修あるいは養成確保につきましては、八億二千七百万円を計上いたしました。  十八ページへ参りまして、看護婦の養成確保の問題でございますが、養成所の整備費、運営費等、新たに自治体立養成所につきましても助成をすることにいたしまして、九十三億二千百万円を計上いたしました。  二十ページへ参りまして、看護婦の処遇の改善でございますが、夜間看護手当現行千円を千四百円に引き上げる、あるいは夜間看護体制の強化を図るということで総額百四十億九千万円を計上いたしてございます。  それから二十二ページへ参りまして、保育対策の問題でございますが、保育対策の強化につきましては、措置費の充実改善のほか、乳児保育あるいは小規模保育所の増設、特別保育事業といたしまして、僻地保育所、障害児保育所等を設置するとともに、また同和、ウタリ対策の一環といたしましての充実を図ることにいたしまして、二十六億九千万円を計上いたしました。  二十四ページへ参りまして、母子保健対策の推進でございますが、母子保健対策につきましては、妊産婦等の健康診査の充実等を図るため、三十九億四千三百万円を計上いたしました。  二十五ページへ参りまして、児童手当の問題につきましては、現行四千円を五千円に引き上げることにいたしております。  二十六ページへ参りまして、僻地医療対策の強化でございますが、僻地医療対策のために三十五億三千万円を計上いたしました。僻地を含みます広域市町村圏を中心にいたしまして、その中に僻地中核病院の整備あるいは保健婦さんのサービスステーション等を設けまして、必要な巡回診療あるいは保健の確保ということに努めることにいたしております。なお、僻地診療所につきましては、現行補助率二分の一を三分の二に引き上げることにいたしました。  二十七ページへ参りまして、休日夜間診療の確保につきましては、新しく七十カ所分を増設することにいたしまして、必要な経費三億二千八百万円を計上いたしました。  二十八ページへ参りまして、一般のリハビリテーション対策の充実のために十億五千六百万円を計上いたしまして、OT、PT等の養成に努力をすることにいたしております。  三十一ページへ参りまして、老人保健対策につきましては、老人のための健康診査、医療の充実等をはかりますために、千四百二十四億三百万円を計上いたしました。  三十二ページの成人病対策につきましては、がん対策、特にがん研究の充実等を含めまして、循環器センター等の整備等、総額百四十七億八千七百万円を計上いたしてございます。  三十五ページへ参りまして、医療保険の充実の問題でございますが、国民健康保険の助成につきましては、一兆六百二十億七千六百万円を計上いたしまして、四割五分の法定の負担金のほかに、市町村につきましては六百五十億、国民健康保険組合につきましては百十億の特別の助成をすることにいたしております。  三十六ページへ参りまして、食品の安全対策につきましては四億四百万円、医薬品等の安全対策につきましては二億一千百万円を計上いたしまして、特に国立衛生試験所の中に食品医薬品等の安全性試験センターを設置をすることにいたしまして、その検査体制の合理化、強化を図ることにいたしました。これに要する経費が本年度は六億六千五百万円でございます。  それから三十九ページへ参りまして、生活環境施設の整備でございますが、大規模年金保養基地あるいは厚生年金の総合老人ホーム等の整備を前年度に引き続き実施をすることにいたしております。  水道水源の問題につきましては、水道水源の開発と水道の広域化の推進のために二百四十七億四千七百万円を計上いたしてございます。簡易水道につきましては百四億二千三百万円、内容の充実等を含めまして計上いたしました。  四十ページの廃棄物の処理対策でございますが、屎尿処理あるいはごみ処理等、それぞれ三十八億四千九百万円、百八十二億二千五百万円を計上いたしました。  四十一ページへ参りまして、原爆被爆者の対策でございますが、総額二百五十四億三千五百万円を計上いたしました。従来あります特別手当あるいは健康管理手当、医療手当等の増額を図りますほか、今回は新しく保健手当月額六千円を創設をいたしました。また家族介護手当等の創設もいたしまして、その充実を図ることにいたしております。  調査研究費の中で、特にABCCを改組いたしますために十三億三千五百万円の研究費を支出することにいたしております。  それから四十二ページの戦傷病者戦没者遺族等の援護でございますが、戦傷病者戦没者の遺族につきましては年金額の増額を行うことにいたしておりまして、五十年八月から二九・三%、五十一年一月からは六・八%年金額を増額改定をすることにいたしております。  それから戦没者の遺族に対する特別弔慰金を支給することにいたしまして、戦没者等の遺族に対する特別弔慰金を交付国債で額面二十万円、十年償還無利子で百十二万四千人を対象にして交付をすることにいたしております。  四十三ページへ参りまして、遺骨収集でございますが、四十九年度二億五千百万円を、五十年度におきましては四億七千三百万円計上いたしました。  それから同和対策でございますが、施設の整備につきましては前年度の約四三%増の百八十五億五千八百万円を計上いたしました。  四十四ページへ参りまして、麻薬、覚せい剤等につきましては九億八千百万円計上いたしてございます。  なお、資料の末尾の方に各特別会計の歳入歳出予算一覧表をつけ加えてございますが、説明は省略をさせていただきたいと思います。  以上でございます。     —————————————

大野明自由民主党

○大野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島本虎三君。

島本虎三日本社会党

○島本委員 ただいま田中厚生大臣から厚生行政についての所信、それと厚生省事務当局から所管に係る予算の概要を承ったわけであります。いろいろ困難な中でも、今後の健闘を心から望んでやまない次第であります。  それで、ただいま所信の表明が行われましたけれども、それについて、私も意見を交えながら若干質疑をさせてもらいたいと思う次第です。  社会保障の計画的拡充の必要性についてであります。確かに大臣は、インフレの後追いにならないように安定対策には積極的に取り組むと、この姿勢を示しておるのであります。多分これは四十八年の第七十一回国会で、われわれの先輩であります大原亨議員が、経済社会基本計画は社会保障の計画的拡充の点できわめて不十分であるとしてこれの指摘があったわけであります。大臣も御承知のとおりであります。これを受けて四十八年の五月でありますけれども、政府は厚生大臣の私的諮問機関として社会保障長期計画懇談会を発足させました。そして四十九年十一月までに四本の中間報告が出されたのであります。しかしこのインフレ、不況下において、社会保障計画を立案することがだんだん困難な実態になってくるのじゃないか、こう思うのであります。その後の作業の見通しさえこれは立たないのではないかということさえ心配するのであります。しかし敢然と大臣は、社会保障施策がインフレの後追いにならないように安定対策に積極的に取り組んでいく所存だという決意の表明があるわけであります。私どもとしては、これはインフレのために計画さえ実現できない状態のもとに、それを見通しての計画の樹立、これは大丈夫ですかどうか、確信ありますかどうか、まず大臣のこれに対しましての大山鳴動せざる所信を先に伺っておきたいと思います。

田中覚自由民主党

○田中国務大臣 いろいろと国会においても世間においても社会保障の計画的充実ということが叫ばれてきたわけでございますが、私も厚生行政の責任をとってみましたところが、やはりこれは計画的に推進をしていかなければ、その場当たりではいけないというふうに思っておるわけでございますので、幸いに厚生省、私の諮問機関に社会保障の長期懇というものも精力的に作業を進めておる今日でございますので、何とかひとつ五十一年から計画的にこれを進める長期計画をつくりたいというふうに思っているわけであります。しかし、このような長期計画を策定する場合、一番困るのはやはりいま島本先生おっしゃるように物価等が安定をしないということでございます。そういう場合には、これはもう計画が看板倒れに終わるということばかりではございません、名目的な財政支出が何にもならないということも考えられるわけでございますので、私としては、経済閣僚の皆さんとともに、物価の安定というものを心がけなければならないと思っておりますが、幸い皆さん御承知のとおり、最近ようやくこれについては従来のような狂乱状態というものを脱却しかけておるということでございますし、また昭和五十一年度についてはさらにその安定が見込めるという状態でございますので、私としてはそのようなことができるのではないかというふうに思っております。  片や政府では、いわゆる経済社会発展計画ないしは長期計画と言っておりますが、あの計画を五十年度中にこれを作業を進め、五十一年からこれを実施するということでございますので、これとの符節を合わせてそのような計画を樹立し、今後は計画的にこれを推進してまいりたいし、またそのことが最近の傾向でようやく可能になってきたものと思われますので、そういう方向に持っていきたいものというふうに思っております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 ただいま、大臣の計画的拡充、この意欲をまざまざと私は受けました。しかし、われわれが社会保障の全体的かつ計画的拡充、この必要を訴えておるということは、単にこれは情緒的に言っているのではないのであります。わが国の社会保障水準、これを国際的な比較において論じておるのであります。高度経済成長、それからGNP、自由主義国世界第二位だ、これを誇る日本にして、西欧諸国が国民所得の一五%から二〇%を社会保障給付に割いているのでありますけれども、日本では依然としてこれは六%程度でございましょう。そうすると、予算獲得の折には、大臣は、私の歩くところには草も生えないということで他の大臣からそねまれている、こういうような苦哀さえ述べられたほどであったわけでありますけれども、厚生省は逆に、通産省や建設省、こういうような各省の大蔵に対する姿勢、この強さというか傲岸というか、それに比べてスマートにして弱いのじゃないか、こう思われるのであります。  その一因としては、だれが見ても明らかなように、これはもう日本の社会保障の水準の低さ、ここを踏まえた計画がないということじゃないかと思うのであります。三木総理は、いま大臣がおっしゃったように、一月二十八日の参議院の本会議においても、阿具根登議員の質問に答えて、五十一年度から実施できるように社会保障長期計画を立案したいんだ、こういうように言っておったのは確かであります。議事録によってはっきり確かめました。しかし、厚生大臣はこれを受けてどのような方針をこれから立てていくのか。インフレの中でもやはり西欧諸国よりもまだまだパーセンテージにおいても低いのであります。徐々に上げていくんだ、こういうようなことは十分聞くのであります。しかし、依然としてまだ低いというこの実態の中で、どういうふうに考えてこの西欧諸国との差を縮めようとするのか、またどのようにしてこれを推進しようとするのか、もう一回決意を伺います。

田中覚自由民主党

○田中国務大臣 よく、わが国の社会保障水準が西欧諸国に対し遜色があるということについての御指摘がございます。私は事実だと思います。反面また、いろいろ検討いたしてみますると、制度の立て方による、たとえば社会保障費なりあるいは振替所得の違いというものもあることも看過できないと思うわけでございまして、これらについては一概な比較検討というのはなかなか簡単なものではございませんが、総じて申すならば、わが国の社会保障水準が先進欧州諸国に比較して低いものというふうな認識を持って今後この厚生行政に取り組まなければならぬということだけは間違いがないと思います。  そこで今後の問題でございますが、ただ計画的にこれをやるというだけではだめなんでありまして、やはりできるだけ社会保障の水準を向上せしめるという基本の姿勢と意欲がなければだめだということは、もう申すまでもございません。しかし、反面こうした問題の背景をなすいろいろな客観情勢というものもあろうと思います。今後、日本経済は、いわゆる従来のやみくもの高度成長経済から安定成長の経済時代に入るということも予測されますし、反面、このような経済情勢のいかんにかかわらず人口の老齢化は進むといったような経済社会、諸般に関する客観情勢の変異というものも、これを踏まえてかからなければならぬというふうに思っております。また、こういうことでございますので、今後ひとつ制度の見直しもやっていかなければなるまいというふうに思うわけであります。従来の制度、制度が小さければ問題にならなかったような制度の不整合性というものも、制度が大きくなりますれば、これが容認できないような不整合性として露呈される問題もあろうと思われるわけであります。また負担面につきましても、これをどういう人にどのように負担をしてもらうかということについても、幅の広い視野で検討をしていかなければなるまいというふうに思っているわけであります。  まあこうした問題を踏まえて、制度の今後の整合性あるいは改善、あるは社会経済の変化、あるいはまた負担の問題等々を含めて、幅の広い視野に立って、今後社会保障を究極においてはこれを推進していく、できるだけ欧州諸国に追いついていくというふうな基本の意欲的な方向でこの長期計画を策定し、取り組んでいかなければならないと思っておりますし、そういう所存でやるつもりであります。

島本虎三日本社会党

○島本委員 制度の見直しもこの際考えたいという、それで経済社会の基本計画、これによっても五十二年度には振替所得、いまおっしゃられましたように八・八%が社会保障に割かれている、実際割くと言っていたわけですが、これは実際には四十八年度には六%です。四十九年度は七・一%です。そして五十年度は七・八%、これが見込まれる。まあ五十二年度にはどうにか目標を達成できる見通しのようでございます。そう思います。そうだとすると、大臣、この五十一年度から実施する社会保障長期計画、これでは、わが党の先輩も、八木先輩も大原先輩もよく言っておりましたけれども、この五カ年計画で、おくればせながら西欧諸国の一五%から二〇%という、せめてこの一五%以上のレベルを目標にする必要があるのじゃないかと思うのであります。この点についての目標はどこに置いているのか、この際、大臣の御意見を伺います。

田中覚自由民主党

○田中国務大臣 今日これの策定の緒についたばかりでございまして、広い国民経済的な視野に立って結論を下さなければなりませんから、今日、一体どの程度まで進めるかということについて、この席で申し上げる段階までは来ておりません。ただできるだけ充実をする方向であるということだけを申し上げておく方が私は健全な答弁だというふうに思います。

島本虎三日本社会党

○島本委員 自分は健全な答弁だと、こういうふうに思いましても、それは総論があって各論がないという三木総理の言葉よりも一歩少しやわらかいではありませんか。三木総理はちゃんと、五十一年度から実施できるように社会保障長期計画を立案したいとそう言っている。それを受けてあなたは、こういう構想だ、制度の見直しも考えている、したがって、西欧諸国に追いつく、それは一五%から二〇%、それあたりまで日本との差があるということ、向こうの方がそうであって日本はまだ追いついていないということですから、せめておくればせながら一五%か二〇%の線まで考えて、これを目標にしているんだと、これくらい言っても何でもないですよ。言えないというのはそれほどまで考えていないという後向きのスタイルである、こういうふうに思いますが、私の発言が間違いであるように訂正してもらいたい。

田中覚自由民主党

○田中国務大臣 決して後退するとか後向きということではございません。今日長期計画を策定するということについては、総理は確かに答弁をいたしました。しかし、これをどのような方向に持っていくかとか、あるいは結論はどこへ落とすかということについては総理も申しておらないわけでございまして、私どもといたしまして、これを何%まで持っていくかということについては結論を得ていない今日でございます。ただこれについては何%といいましても制度の立て方の相違等もありますので、依然、諸般の広範な制度の立て方等との関連においてこの数字は出てくるものと思われますものですから、ただいまのところ何%ということを申し上げることはいささか軽率だと思われますが、意欲がある点だけはおくみ取りを願いたいというふうに思います。(島本委員「どの辺までの目標の意欲ですか」と呼ぶ)ですから、私の申し上げるのは、いま何%ということを申し上げるわけにはいかぬということを申し上げているわけでありまして、これについてはいま少しく時間をおかし願いたいというふうに申し上げるほかに方法がないと思います。

島本虎三日本社会党

○島本委員 もし私ならば方法があるのです。ちゃんと言った中から——先ほどあなたはっきり言ったじゃありませんか。国民所得の一五%から二〇%を社会保障給付に西欧諸国では割いているのに、日本では依然として六%程度、これに近づけたいと言ったじゃないですか。したがって、一五%を目標にしてやります、それくらい言ったって何でもないですよ、これは。きれいではありませんか。目標ですよ。それさえも言えないで後向きじゃないと、どうも私は賢明にして堪能なる大臣の言葉、答弁とは受け取れない。この点には少し疑義を感じながら次に進みます。  社会福祉施設の緊急整備五ヵ年計画についてでありますが、これは高度経済成長の発達の中で、反面日本の福祉サービス部門の立ちおくれ、これだけははっきりと著しいものがある、こうまで言ってもいいでしょうか、はっきり認めざるを得ないんじゃないかと思うのです。  厚生省は、昭和四十六年に社会福祉施設緊急整備五ヵ年計画でしたね、これをつくって実行に移しておるわけでありますが、五十年度はこれが完了する年でございますね。完全に遂行する必要があるほかに、長期展望を踏まえて現実に対処するためには、この施設充実の計画を立案し直した方がいいんじゃないかと考えられるのですが、その必要があるのかないのか、まず大体この点について意見を伺っておきたいと思うのであります。

翁久次郎厚生省社会局長

○翁政府委員 ただいま御質問になりました社会福祉施設整備緊急五ヵ年計画、四十六年に発足いたしまして五十年を目標にいたしているわけでございます。  ただいま御指摘がございましたように、この施設整備の中で、保育所それから特別養護老人ホーム、重症心身障害児施設、これの進捗状況等につきましては、保育所のごときは一〇〇%を超えつつあるわけでございますけれども、その後における社会情勢の変化、それからもう一つは、障害を持っておられる人々のニードというものを考えました場合に、特に重度の施設の強化、それから保育所を中心とした見直し、こういったものを考えました場合に、五十年度には幸い身体障害者等についての実態調査もいたしますので、計画の見直しをいたしたい、かように考えておるわけでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 確かにいまおっしゃったように量的には増強されていますね。その部分がありますことを認めます。しかし、このあり方なんかについての内容にまだまだ問題があるんじゃないか。この問題点を十分大胆に反省し、改善しなければならないし、そうすべきだと思っているのであります。  まずこの施設の主体です。これは施設の入所児ですか入所者ですか、入所する人です。こういうような人でなければならないということははっきりしているわけです。だれしもがこれを疑わない。ところが入所者の人格と人間に値するそれだけの処遇、これが果たして確立されているのかどうかというような点、これあたりは十分反省すべきじゃございませんか。これはもう考え方の基本に、要入所児、者を持つことに困難を感じているところの家族だとか、またこの家庭の救済、こういうようなものに重点が置かれている傾向がありはせぬか。また、それをやって悪いと言うのじゃないのです。傾向としてそっちばっかりいっては片一方になる。したがって、この入所者、児の人間としての処遇を中心としないような、こういうような水準、これが福祉の支えとなっている職員の配置だとかまた処遇の水準、こういうようなところにあらわれてくるわけじゃないかな。この職員の働きがいがないという考え方、こういうようなことに立たしてはならないのでありますが、最近われわれの調査したところによると、大分そういうような傾向がよけいになってきている。聖職というのは学校の先生じゃなくて、まさにこれらの従業員の人を指すんじゃないか、こう思われる、こういうような極端な例さえわれわれ目撃しているのであります。その結果が腰痛症それから頸腕症を起こしたり、また併発したり、こういうような職業病が多発しています。これは職員の定着性がないということもこれによって実証されているのであります。こういうような反省の上に立立って、もっと今後の主体、こういうようなものも考えるべきじゃないか、その方面にもっと重点を置いて考えるべきじゃないか、こういうように思うのであります。この点についてはどうですか。

翁久次郎厚生省社会局長

○翁政府委員 お答えいたします。  ただいまの御質問は二点に分かれるかと思います。第一点は、入所されるいわゆる障害を持つあるいは保育の必要がある、そういった人々の立場に立った施設の運営管理、それからその施設の形態いかんということ、第二点は、そこで生きがいを持って働く人々のためになお改善すべき点がありはしないか、こういうことであろうかと思います。  入所者のための処遇といたしましては、従来とも私どもといたしましては入所される人々のための運営費あるいは管理ということで配慮してまいったのでございますけれども、なお、最近のように入られる方がたとえば施設の場合には重度化しております。それから入っていろいろそこで生活する場合に、従来のようにただ入れるということでいいかどうか。具体的に申し上げるならば、施設の規模あるいは一人当たりに要する面積というようなことについてはやはり細かい配慮が必要であろう、こういった点については今後具体的な施設別になお検討を加えてまいりたい、またそれを実行してまいりたいと考えております。  それから入られる人と別に、職員の側に立った場合に、ただいま御指摘がございましたように、ただそこで働くというだけではなくて、やはり最近特に問題になっております職員の健康、それから生きがいある職場というために必要な給与、それから人員配置、こういったことについてもよりよく改善をしなければならないということで、先ほど大臣からも御説明がございましたように、来年度予算においてはこういった職員の勤務条件の改善と給与につきまして相当程度配慮したつもりでございますけれども、なお努力をしてまいりたい、かように思います。

島本虎三日本社会党

○島本委員 この問題について私自身も検討し、なおかつ四点に分けて案を提案してみますから、それについてひとつ考えを示してもらいたい。  主体は利用者であるという考え方から、具体的には主として利用者と施設職員による運営委員を設けてそして運営したらどうか、この点についていかがです。

翁久次郎厚生省社会局長

○翁政府委員 ただいまお示しのありました施設ごとの運営委員会形態、この点まで実は私ども考えておりませんので、ただいま御指摘あった点について各施設によって相当態様が違っているわけでございます。大規模の施設でございますと収容者も多うございますし、したがってそこで働かれる人々の職種それから数も多うございます。また保育所あるいは小規模の通園施設になりますと、働く人の数も少ない上に職種も少のうございます。そういった職種あるいは施設の態様によって、ただいまお示しのありました運営をよりよくするための管理者側と働く人の意思の交流をどのようにしていくか、こういった点については、十分お示しの点を踏まえた上で検討を進めてまいりたい、こういうように考えております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 第二。これはやはり利用者、これは人間として扱うべきで、当然そうなんですが、言う必要がないほどです。生物的生存さえ十分ではない、毎日が食事の詰め込みに終始するような、こういうようなやり方、そうして同時に、利用者が人間としての生活の保障のない、こういうような状態のままでは、職員が当然、それに対しての働きがいはどうなんだろうか、認められるだろうか、こういうようなことをいろいろ心配するのであります。したがって、いまの主体は利用者であるという点から、運用は今後それぞれの委員会において考える、その上に立って本当の処遇水準を保障できる職員の配置、それと処遇を保障する、この点についてはっきりすべきだと思います。いかがです。

翁久次郎厚生省社会局長

○翁政府委員 ただいま御指摘がございました施設は、思いますのに、相当重度の障害あるいは特別養護老人ホームのように、全く動きのとれない老人を収容しておられる施設を前提に置いてのことだと存じます。  御承知のとおり、重症心身障害児施設につきましては、昨年相当程度、人の配置を大幅に増員できるだけの配慮をいたしました。また特別養護老人ホームにつきましては、養護老人ホームとは違った職員の配置をいたしております。ただ、お示しがございましたように、こういった寮母あるいは指導員の配置だけで事足りるものであるかどうか。やはりもっとほかに、専門職種、お医者さんでありますとか、OT、PTというような配置もこれまた必要ではないかと存じております。そういった点につきまして、特に来年度におきましては、特別養護老人ホームあるいは重症心身障害児施設等についての人の配置について相当配慮したつもりでございますけれども、ただいまお示しがございました一般的な基準ということについては、さらに多くのケースを見詰めながら前向きで検討してまいりたい、かように考えておるわけでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 第三番目ですが、一つの傾向として、こういうような施設、いま言ったような重症心身障害者に対する施設であるとか、いろいろな施設に対しては大規模であって、それから隔離をして、そして分類収容する、いろんな傾向をとっているようでありますが、しかしいろいろな子供がまじっているわけです。したがって、収容する側に便利なやり方がとられているわけであります。そこで、本当にそこにいる子供の人間性、利用者の人間性というものが確立されるかどうか、この辺の考え方、したがって、大規模であって、隔離されておって、分類収容するというこの傾向をもう一回考える必要がないかどうか。地域社会に小規模で総合入所させる、そして障害児などの多様な人間関係を発展さしていく、こういうような必要がないかどうか。町の方に小さいものを幾つか建てて、そして特別だというのじゃなくて、他の子供とも十分に融和させる、こういうような方向が新しい傾向として考えられてしかるべきじゃないかと思いますが、これに対していかがです。

翁久次郎厚生省社会局長

○翁政府委員 ただいまお示しのあった点は、私全くそのとおりだと思います。具体的に申し上げますならば、最近の重度化しつつある障害者の傾向、それからもう一つは、障害者の立場に立って、ただ施設に入れるというのではなくて、やはりその家族との交流、地域社会との交流というものを踏まえた上での福祉というものに重点を志向すべきではないかということから考えまして、いまお示しがございました、いたずらに大規模の遠い施設に入れるのではなくて、できるならばその地域に付設したところで、その地域の人々がボランティアとしてのサービスができるというような形に持っていくことが非常に望ましいのではないか。現に、そういう試みが起きつつあるわけでございまして、私どもとしても、そういったニードにこたえた方向で進めてまいりたいというふうに考えております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 それでいいと思います。  ところが、それをやると逆に目をむく傾向がまた生じてくるわけです。御承知のことです。それも教育の問題として、全体の教育が低下するのじゃなかろうか、現在のような行き方では。したがって、最近特殊教育であるとか障害児教育であるとか、こういうようなものを重点にしてやっていると、教育自身が薄められてくるのじゃないか。そうすると、そのままにしておくと、依然として教育そのものは特定のそういうような人たちのために低まっていく。それに対し、健康な子供さんとともにいたわられながら、一緒に遊びかつ育つ、こういうようなところに社会の連帯性というものも生じるのではないか。そして教育が薄められるということに対しては、あえて一歩前へ出て、そういうようなものに余りこだわる必要はないのじゃないか、こうさえ思うわけであります。したがって、社会に差別をなくすのだ、人の上に人をつくらない、人の下に人をつくらない、こういうような関係からして、すべての障害児にできる限り普通学校であるとか普通学級での教育を保障するようにしてみてはどうか。冒険でしょうか。

上村一厚生省児童家庭局長

○上村政府委員 いまの精神薄弱児とかあるいは身体に障害のある子供の教育の問題、直接私どもの所管ではないわけでございますが、従来からそういった心身障害児につきましては就学の猶予とか免除というような措置が講ぜられていたのを、昭和五十四年度をめどに、文部省の方でできる限り就学をさせるというようなことから、養護学校とか養護学級、相当計画的に整備されておるわけでございます。  ただ、その場合に、一般と申しますか、いわゆる健常な子供が通う学校の同じクラスの中で教育をするのが妥当かどうかというのは非常にむずかしい問題だと思います。結局は教育を受ける子供の障害の程度を考えながら、理想としてはお話のとおりだと思うのですけれども、そこで一緒に教育できる者と、それからやはり分けて教育をせざるを得ない者と出てくるということは避けられないことではないか。目下文部省がとられております大きな方針というものは、いままで教育を受けることがなかった人たちに対して、できるだけ教育を受ける機会を広げていくという点にむしろ志向されておるというふうに聞いております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 依然としてその施設設備が少ないのであります。入りたい人でもまだ入れない。したがって、そういうような点については、厚生省は施設収容者に対しては政策の先取りをしてもいいのじゃないか。公害行政は先取りが普通なんでありますが、厚生行政も先取りでなければならないのじゃないか、これをやっていいのじゃないか、こう思うのであります。いまの点、十分検討の対象にして対処してもらいたい、こう思うのであります。これは大臣の意向を聞いておきたいのでありますが、いかがでありますか。大臣。

田中覚自由民主党

○田中国務大臣 こうした人たちにもできるだけ教育を施すというのは私はあってしかるべきだと思います。ただ、教育を施すあり方については、その人その人によっていろいろと態様が違ってしかるべきだろうということも私はわかるわけであります。したがいまして、今後こういう点についてはひとり文部省が養護学校、特殊教育という観点で進めるだけではなしに、わが方もそういったような人々の具体的な態様とあわせてひとつ検討してもらうように、両省でいま少しく意見のすり合わせをする必要があるのではないかというふうに私は思っておるわけでございます。  実は私、文教委員長をやっておったときにこの問題が出まして、私社会保障をずいぶん長い間やってきた関係上、どうも両方の考え方に不一致な点があるというふうに思っておったわけであります。いま島本先生の御指摘、私はごもっともだと思いますので、両省においてそれぞれのすり合わせをもう少しやってもらうようにいたしたらよろしいと思います。いい御指摘だと思います。

島本虎三日本社会党

○島本委員 それと、この福祉を支えている職員の配置と水準です。いま施設でまじめにやればやるほど職業病が多発しておるのです。腰痛症、頸腕症、また併発をしておる。そういうふうにして見ると、まじめにやると職業病が多発する、これはやはり職員に定着性を欠く一つの原因にももちろんなっております。そうすると福祉の支えにならないということになるわけであります。私はこれは重要だと思うのであります。まして、腰痛症、頸腕症、こういうようなものにおいては以前から問題になっているわけでありますけれども、頸肩腕症候群の認定基準の検討、これは以前から各所に起きている職業病の一つとして認定を急がしてきたはずであります。これに対して厚生省、認定は進んでいるのですか。検討状況はどうなっているのですか。

東村金之助労働省労働基準局長

○東村政府委員 頸肩腕症候群については、御指摘のように前々からいろいろ問題がございまして、業務上外の認定基準の問題、確かに御指摘のとおりでございます。  この問題につきましては、昭和四十八年三月以来、専門家会議を開催いたしましていろいろやってまいりました。この一月二十日に最終結論が実は出たわけでございます。労働省といたしましては、この結論をもとにいたしまして現行認定基準を改定することといたしまして、今月の五日付をもって、地方の基準局長あて通達をした次第であります。

島本虎三日本社会党

○島本委員 もうできたのですか。通達したのですか。(東村政府委員「はい」と呼ぶ)その内容をお知らせ願いたい。

東村金之助労働省労働基準局長

○東村政府委員 頸肩腕症候群の認定基準は従来からあったわけでございますので、それを前提にいたしまして、どういう点が変わったかということを申し上げた方がよろしいかと思うのですが、まず頸肩腕症候群の定義でございます。従来の通達にも定義がございましたが、それをもう少し明確にし、さらにその性格をはっきりさせたということが一つでございます。  それから認定基準の対象とする作業の態様、職種等を明確にしたということでございます。  それから、作業の態様、作業の従事期間、作業の量について、従来は抽象的でございましたが、できるだけ具体的にしたということでございます。  最後に、鑑別診断に用いられます神経及び血管圧迫テスト、こういうものの手技、評価の方法等を例示したというようなものが主な改正でございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 そうすると、認定が前よりしやすくなったのですか、厳しくなったのですか。範囲が広まったのですか、狭まったのですか、こういうような点に分けて……。

東村金之助労働省労働基準局長

○東村政府委員 ただいまの認定基準を新しく出しました結果、厳しくなったあるいは緩めたということではございません。新しい医学常識に即した業務上外の認定が適正迅速かつ斉一的に行われるように、つまり、いまおっしゃるお言葉をかりれば、なるべくしやすく第一線でやれるようということを基本に考えてやったわけでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 第一線の方を考えてやったとすると、この第一線の機関に周知させるための措置、こういうようなものはいつも中央と地方がばらばらになりますが、そういうようなものにトラブルが多いのです。それは徹底していますか。

東村金之助労働省労働基準局長

○東村政府委員 ただいま申しあげましたように最近出したわけですが、実は一昨日、きのうまで中央において局長会議とかあるいは労災補償課長の会議をやっておりまして、ちょうどそこでできましたのでその内容を逐一説明し、趣旨の徹底を図りました。  なお、この認定基準につきましては、早い機会に電電公社その他の関係機関に対しても周知を図って、その徹底を期してまいりたいと考えております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 わかりました。  ついでですけれども、同じ職業病の中で、これと直接関係ありません、本件と関係ありませんが、白ろうに対する、振動病に対する検討は進んでいますか。

東村金之助労働省労働基準局長

○東村政府委員 御指摘の林業労働者のチェーンソーの問題でございますが、従来明確な認定基準というものがございませんでした。そのためにいろいろ厄介な問題がございましたので、これを何とかしなければならぬということで、現在専門家会議を設けまして、専門家による具体的検討に入っておりますが、この専門家会議での検討もおおむね最終段階になったようでございますので、遠からず結論をいただけるものと思います。結論を得ましたら早速認定基準を作成したい、かように考えております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 この問題についてはなかなかむずかしい問題であります。厚生省もしっかりしてもらいたいと思います。この白ろうを認定するというのは、現在の状態ではこれは重症患者なんであります。これを予防するのが第一番で、振動病の段階でこれを捕捉しなければならないはずであります。現在、白ろうということになって認定されたら、これは重症患者になっているのであります。それがこの特徴でないかと思うのであります。したがって、いろいろな専門の学者の意向、こういうようなものも十分検討しなければならないのでありますけれども、こういうような点、手落ちなくやっておりますか。

東村金之助労働省労働基準局長

○東村政府委員 おっしゃるようにやっているつもりでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 おっしゃるようにやっているつもりである——。おっしゃるようにやっているということを私ははっきり確認しておきます。それで次に進めるのですが、そうですね。

東村金之助労働省労働基準局長

○東村政府委員 はい、そのとおりでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 ではその問題はこれでピリオドを打ちます。  次に、社会福祉施設の労働基準法違反、この件についてひとつ伺いたいと思うのです。  これは、保母の職業病等についての一掃も考えなければならない問題です。同時に増員等も考えなければならない問題であります。社会福祉施設の労働基準法違反、四十八年度は七九・四%、公立の社会福祉施設で七二・六%、私立で八四・六%の高率を示しております。また民間の重症児施設、ここでは腰痛症の多発、これが依然として続いているのであります。そうして運営に蹉跌を来すほど重大な支障を来しておるのであります。これらの一掃のためには、厚生省は多分予算措置をしたと聞いておったのであります。大臣、一万九千九百二十三名の保母、この増員要求を出したと聞いておったのでありますが、いまの予算の内容によりますと五千六百六十九名にとどまった、こういうようなことであります。しかもこの第二年度目の増をどうするのか、これに対して明らかでないというのであります。一体どうするのですか。それと同時に、その数はどういうように見込むのですか。これは重要なんですね。したがっていまのままでは、今度は労働基準法違反を認めますということになってしまうわけですね。そういうようなことになりかねないと思うのですが、今後の労働基準法違反の一掃の決意を伺いたいわけであります。

翁久次郎厚生省社会局長

○翁政府委員 ただいま最初に御指摘のございました労働基準法の違反の問題でございますが、お示しがございましたように、四十八年、約二万九千ある施設の中で千二百の施設を調査を受けまして、その結果の数字がいまお示しのあったような数字でございます。  それで内容につきましては、主として形式的な違反もございますけれども、三割近くがいわゆる時間外労働、それから一割近くが休憩時間がとれないというようなことでございます。そして私どもが施設の職員の側に立って考えまして、ぜひともこの労働基準法の実質的な違反にならない配慮をしなければならないということで考えておりますのが、いまお示しのあった職員の増でございます。これにつきましては、単年度でもし全部やるとすれば、すべて一切合財で幾らぐらいになるかという数が先ほどお示しのあった一万九千でございます。来年度総合的な勘案をいたしました結果、夜勤職員の夜勤体制の確保、それから保育所における休憩時間の確保、なお小規模施設等におきまして、調理員あるいは栄養士等を確保する、こういったことを重点にいたしまして、そして夜勤職員につきましては約二千四百名、保育所の職員につきましてはこれまた約二千四百名、それから調理員等につきまして千名近く、千名ちょっとオーバーいたしますが、この予算措置をいたしたわけでございます。  いまお示しがございました年次計画でございますが、来年度はこれに基づく残りの数を予算上確保するということが、私どもとしては二年計画の中身でございまして、現在の職員の確保の状態、それから定着の状態から申しますならば、来年度予算における約六千名ということに落ついた次第でございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 当初の一万九千九百二十三名に比べて六千名だとすると——今回五千六百六十九名ですか、依然として七千名ほど不足ではございませんか。それで労働基準法違反の一掃ができますか。その決意を伺っているのであります。

翁久次郎厚生省社会局長

○翁政府委員 一掃いたしたいとかたく決意をいたしております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 一万九千九百二十三名要求しなければできないというのは、これはうそですか。

翁久次郎厚生省社会局長

○翁政府委員 ただいま申し上げました単年度ですべての職種について、たとえばOT、PT等も含めて、施設別に必要な数と考えましたのが一万九千何がしでございます。実際に、夜勤体制それから休憩時間の確保等を考えました場合に、必ずしも一万九千名全部が必要ということではございません。しかしながら、なお今年度の実施状況を見まして、来年度二年計画に必要な数は確保いたしたい、かように考えておるわけでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 念を押します。来年度は労働基準法違反は一掃するものである、こういうように了解し、議事録にとどめておかなければならないのでありますけれども、それでよろしゅうございますね。

翁久次郎厚生省社会局長

○翁政府委員 来年度は六千名でございますので、二年計画といたしますと再来年度になることになります。したがって、われわれといたしましては、職員の確保それから定着性の確保ということを考えまして二年計画ということを申し上げましたので、先ほど、もし私の発言の中で、来年度確保という、労働基準法違反を絶滅するということを申し上げたといたしますならば、年度は一年繰り上がっておりますので、この点は訂正してお答え申し上げます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 繰り上がっているのですか、下がっているのですか。

翁久次郎厚生省社会局長

○翁政府委員 繰り下がっています。

島本虎三日本社会党

○島本委員 そうすると、来年度は依然として労働基準法違反は続くものである、こういうようなことになりますか。

翁久次郎厚生省社会局長

○翁政府委員 先ほど最初に申し上げましたように、労働基準法違反の中には形式的な違反、たとえば届け出義務の違反であるとかいうものはございます。ただ、私どもが一番注目いたしておりますのは、収容施設における、特に重度の収容施設における夜勤体制の確保、それから保育所等における休憩時間の確保、こういったものを重点的に志向しているわけでございまして、そういったものをなくしていくことが、職員の労働の立場に立って一番重要な点であるというように考えておるわけでございます。そういった点での労働基準法違反をなくしていきたいというのが、私どもの決意でございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 民間の重症児の施設、まことにこれは悲惨ですね。私ども行って、本当にそこに働いている女の人が、まさに妙齢の人でしょう、腰痛症と頸腕症と併発していますね。そういうような人が多いという実態を見てまいりましたが、そういうような場合は率先してこれをやらなければならないのは、対策を講じなければならないのはあたりまえであります。口で言っても実行が伴わないのであります、いままで。それで、今度新しい計画によって、これは労働基準法違反を一掃しなければならないし、保母の増員並びに職業病の一掃、この三つが一体になっていまや解決を迫られている問題なんです。こういうようなことが労働基準法違反になっているのであります。それで、本年はまだ続く、来年も労働基準法違反は続く、三年後にはこれを一掃できる、こういうふうなことだとすると、法の番人である労働省、こういうようなことを聞いてどうお考えですか。

東村金之助労働省労働基準局長

○東村政府委員 労働条件全般に世の中よくなっている中で、やはり社会福祉施設等に働く労働者の労働条件は御指摘のように遺憾な点がございます。ただ、違反の率を見ますと、たとえば三十六条協定の届け出がなかった等による違反がございますが、労働時間、それから健康診断の問題、さらには休憩、割り増し賃金の問題、違反はございますが、逐次よくなりつつはあります。しかし、ただいま申し上げましたように、ほかとの関係で見ればまだまだこれは問題があるというふうに考えております。  そこで、いまいろいろお話ございますように、これは増員の問題その他予算にからむ問題でございますので、私どもといたしましても厚生省その他にその善処方を要望し続けてまいったわけでございますが、ただいまお話ございましたように、さらに増員、予算の増額ということもございますので、もう一歩さらに前進してもらいたい。私どもは私どもの観点から監督指導を進めてまいりたい、かように考えております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 労働省の観点から違反の一掃を進めてまいりたい、あたりまえですよ、それは。しかし、これはやはり来年度、再来年度でないとできないという現実でありますが、それを、同じ政府の中であるならばお互いに友愛と信義によって認めるのですか。これはいけませんね。これはもう、賢明なる田中厚生大臣ですから、こういうことのないように、指摘されたならばすぐそれを伝家の宝刀にして大蔵省に迫っていって、そしてそれによって解決を図る、こういうふうにすべきじゃないかと思うのであります。この問題はやはり大臣の意向を聞いておきたいと思うのですが、それとともに腰痛対策、これを含めて病休代替制度、これは当然新設が要求されていたはずなんですが、これはどうなっているんですか。腰痛病の予防策の確立、これはどうなっているんですか、この点ひとつお聞かせ願いたいのであります。これは大臣の方がいいんじゃありませんか。

田中覚自由民主党

○田中国務大臣 この社会福祉施設に働く人々の労働過重の問題については、私は就任直後に、大変心配をいたして、実はこれについてはかなり意欲を燃やしてやったんですが、残念ながら五十年度ですべてを解決するわけにはいきませんでした。まことに申しわけないと思っております。しかし、これについては私は実はかなり強引な予算折衝をいたしました。最初の内示案には三年でなければできないということでありまして、ほぼ予算がセットしかけてあったのですが、私が絶対に承知をしないんだということでいろいろと再折衝をいたしまして、五十年度と五十一年度という二年というところで手を打たざるを得なかったわけでございます。また実際問題としてそれだけの人が完全に確保できるかなどという問題も若干あったようですが、そういうことで大変残念でございましたが、二年計画でこれを解消するという約束を財政当局との間に取りつけたものでございますから、したがって私はこの点で手を打ちました。非常に予算折衝としては異例なやり方を実はしたわけでありまして、事務的に一応セットしたものをひっくり返したというような経緯も実はあったわけであります。これについては、そういう経緯もあったぐらいでございますから、私としては五十年度にこれを全部解消できなかったことは残念ですが、五十一年度にはこれを完全に解消するというふうに私は決意をいたしておりますし、どんなことがあってもこの財政当局との約束というものは私はこれを実行いたすという所存であります。  腰痛症対策については事務当局から一応説明をさせます。

上村一厚生省児童家庭局長

○上村政府委員 まず、腰痛等を含めました病気で休んだ職員の補充をどうするかという問題で、現在お産で休んだ職員につきまして、産休代替制度があるわけでございます。それと同じような病休の代替制度を設ける必要があるのじゃないかということを、私ども五十年度予算案を編成する過程の中で検討したわけでございます。しかしながら、いろいろな点がございまして、五十年度は見送らざるを得なかった。そのいろいろな点と申しますのは、一つは、私ども準備も不十分だったというおしかりを受けるかもしれませんけれども、制度をつくります場合に、その前提になる施設の病気休暇の状況、たとえば期間でありますとか人数というのが十分に把握し切れなかったということと、それから、病気の場合には、言うまでもないことでございますけれどもお産で休む場合と違いまして、初めの時期、終わりの時期というのが必ずしも確定できない。したがって、あらかじめ計画的に代替要員を確保するというところに技術的にむずかしい点がある。それから、病気休暇の中では、特に労災が適用になる病気、けが等についての調整措置も必要ではないか。それから、病院とか学校とか他の制度との均衡というふうな点もございまして、残念ながら五十年度は見送らざるを得なかったわけでございますが、五十年度におきましては、まず来年度予算に計上いたしました社会福祉施設の運営の実態調査費、約三千万ばから計上してございますけれども、その中で施設の病気休暇の実態などを調べまして、改めてもう一度制度化に取り組むような構えをとりたいというふうに考えるわけでございます。  それから、腰痛の予防対策でございますが、腰痛につきましても、できる限り腰痛になる前に防ぐことが重要な点、御指摘のとおりでございますので、昨年の二月に、労働省と御一緒に腰痛等の予防に関する研究会を設けまして研究を進め、去年の夏、七月に研究会から中間報告をいただいたわけでございますが、この中間報告の段階では、腰痛の発生原因についてまだわからない点も多いので、今後さらに検討を続けていく必要があるという点、指摘されたわけでございますが、当面やれることとして、施設、設備の改善なり健康管理の徹底等指摘されましたので、厚生省としましては、この中間報告に基きまして、省力化機械——力を省くための機械、重症心身障害児施設につきまして、二百万円の事業費の補助、二分の一でございますから百万円になるわけでございますが、補助しましたり、この三月には重症心身障害児施設の健康管理者においでいただきまして、腰痛予防のための各種の講習会等もやってみたい、こういうふうに考えておるわけでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 腰痛対策、この病休代替制度、これはまあないというのはわかりましたが、そういうふうになると、腰痛病の予防対策はすぐでも確立しておかないとだめでしょう、人権の問題です。こういうような問題について答弁ありましたかな。

上村一厚生省児童家庭局長

○上村政府委員 いま後段の方で御答弁申し上げたつもりでございますが。

島本虎三日本社会党

○島本委員 それも予防対策の確立だけはきちっとしておいてもらいたい。しておくということですね。

上村一厚生省児童家庭局長

○上村政府委員 はい、講習会等もやり、すでに省力化機械等の整備も図りしてまいりつつあるということを申し上げたわけであります。

島本虎三日本社会党

○島本委員 それでなく、予防対策はきちっとするということですね。

上村一厚生省児童家庭局長

○上村政府委員 そのとおりでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 もう来年は大丈夫だということですね。

上村一厚生省児童家庭局長

○上村政府委員 これは発生原因が必ずしも明確でない点、研究会等の御指摘も受けておりまして、これは労働条件それから個人の条件、いろいろな要素が絡み合っておりますので、全然発生しないとまでは、病気のことでございますからお約束いたしかねますけれども、行政庁としてはできる限りの努力を払ってまいるつもりでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 こういう人権問題も、できる限りの努力で済むのですか。——幾ら怒ったってしようがないからやめておきます。  もうそろそろ時間になっているようであります。それで大事な点をひとつ聞いて、あと二点で終わるつもりです。少し長くなったのをおわびいたしますけれども、これ大事なことなのであります。  この病院労働者の勤務体制の改善についてなんですが、これは昭和四十年に人事院のいわゆる二・八勧告がございましたが、これから十年を経過しているのですが、それでも依然として、モデル病院でなければならないはずの国立病院であるとか療養所でさえも、二・八体制は確立していないようであります。それから全医労の調べによりますと、一人夜勤の割合はこの十年間で七一%から四三・七%に減ったということ。これはまあ減ったのですからいいはずですが、同時に夜勤回数のほうは十年前と全く同じ九・四回である。これは、二・八勧告との関係は一体どうなっているのか、この辺が少し不分明であります。歴代の厚生大臣は、二・八体制実施のためにはこれは少なくとも二・五ベッドに一人の看護婦が必要だ、こう答弁してきたのでありますけれども、国立病院や療養所でそれだけの人員をいつになったら確保できるのか、その見通しをはっきりしなければならないと思うのであります。これはもうすでに勧告から十年たっておるのです。そうして、もう模範病院でなければならない国立病院や療養所、これが確立していないのであります。怠慢以外の何ものでもないではございませんか。これは見通しと方針、この際明らかにしてもらいたい。

滝沢正厚生省医務局長

○滝沢政府委員 二・八の体制につきましては、人事院の勧告を受けまして、四十五年、四十六年、四十七年の三年間の年度計画で、二・八体制のための病院、療養所の増員計画を実施いたしました。その目標は、一応二人夜勤の看護単位を五〇%程度に高めたいということが当面の目標であったわけでございます。ところが県立その他公的病院等の二・八体制は、先生御存じのように七五、病院によっては八〇というように、二人夜勤の単位がふえておりまして、かなりの改善がされております。そういうことで、われわれ国立病院といたしましても当面第一次の五〇%では不十分であるということで、四十九年に要求いたしましたが、この点が実現いたしてない。一方難病対策等による病棟の整備、これに対する定員の増は二・八体制で認めてもらっております。こういうようなことで、どうしても制度として二・八体制というものを国立病院でも認めてもらうということで、行管、大蔵省等で折衝いたしました結果、五十年度予算では、この体制のための強化費といたしまして、看護婦の定員の増が認められたわけでございます。  それを適用いたします一つの見込みでございますが、一応複数夜勤の率は、四十九年四月一日現在の五五%、これは実行上五五%になってきておるわけでございますが、五十年ではこれが六〇%を見込んでおります。ただし、先生のおっしゃる夜勤回数の問題、これは二・八というのは二人で八回ということでございますが、二人の単位を一つの病院でふやそうとすると、結局夜勤の回数のほうを多くしなければならないというようなことで、これは看護単位の人員配置の組み方による問題でございまして、われわれとしては、九・三ないし四という先生御指摘のとおりの数学にいまなっておりますので、これは二人夜勤の単位を改善すると同時に、これを八に持っていくということで、おおむね、この年次計画的な明確なお答えは現段階ではできませんけれども、目標を八〇%程度に高めたいというのが当面の目標でございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 これは大臣もちゃんと聞いているのですから、あなた、きちっとしないといけませんぞ。この二・五ベッドに一人の看護婦が必要だ、そう言いながら、医療法施行規則では四ベッドに一人の看護基準を決めているじゃありませんかね。これ自体が二・八体制に違反する規定でないですか。そうして保険点数では、五ベッドに一人の二類看護も認めておる、六ベッドに一人の三類看護まで認めている。これが生きている限り、政府が二・八体制をしくと言ったって、もう規則においてそれよりもっと悪いものが生きている。こういうようなことになってしまったら何にもならないじゃありませんか。カエルの面に小便というのはこのことじゃありませんか。せっかく政府が模範的にこれをやらなければならないのに、もう規則によって違反している、こういうような状態であります。積極的に取り組んでいることにこれではなりません。何と考えてもなりません。いまの規定なんかを改廃する必要がございますね。医療法の施行規則、四ベッドに一人、こういうようなのを改廃しないでどこに二・八体制の確立がございますか。これを改廃するのはいつを見込んでありますか。それが一つ。  もう一つ、医療現場にいる人や福祉の現場にいる人の週休二日制度を実施することでありますが、このことについては労働省ではどう考えているのか。  労働省と厚生省と、この二つの問題についてそれぞれ簡単にわかりやすく答弁してもらいたい。

滝沢正厚生省医務局長

○滝沢政府委員 四人の問題は、医療法の定めによる病院を開設する際の最低守るべき基準としてお示ししておるわけでございます。二・八体制を一看護単位に引きますと、仮に五十床の病棟を仮定し、利用率八〇%としますと四十人でございます。そこに二・八を実施するためには、看護婦が婦長を含めて十六人要る、こういう計算になりますので、ほぼ二・五人に一人という実態が生まれますので、健康保険の支払いの際、昨年の十月の改正では二・五人という単位を新たに認めていただいたわけでございます。したがって、二・五人という実態というものは、医療機関の運営管理上そういう方向に向かっていくことは望ましいことでございますけれども、医療法の四人に一人という基準というものは、病院を開設する場合は看護婦は少なくとも四人に一人を確保した上で開設していただかないと病院としては認めがたいという最低守るべき基準でございますので、この点については若干性格の違いがございます。しかしながら、これはわが国の看護制度なり、いわゆる病人に対する看護の体制というものが望ましい方向を志向するならば、やがて実質的には四人に一人というのは低い基準であるという時期が来るということは当然考えられるわけでございます。これはわれわれとしては、看護婦の需給計画そのものが十分満たし得るということでございませんと、病院開設の最低基準の規則でございますので、ただいますぐこの四人を三人なり二・五人なりにという方向に改定することは、直ちには困難である、将来としては実態として当然最低基準を改正すべき時期が来るであろうというふうに思っております。

東村金之助労働省労働基準局長

○東村政府委員 週休二日制の問題でございますけれども、週休二日制は全般的にはかなり進んでまいりました。しかし、こういう社会福祉施設等においてはまだまだ一般の水準に行かないことも事実でございます。しかし、いまずっとお話しございますように、社会福祉施設で働く人たちがやはり健康管理の面から、それからやりがいの面から、こういう社会福祉施設についても週休二日制ということは導入していかなければならぬというふうに私ども考えるわけでございます。ただ、その際には、福祉施設を利用する方々の問題がございますので、この辺の調整が問題ではございますが、ただいま申し上げたような線で週休二日制等について取り組んでいきたい。民間等におきましては、中小企業の集団に対してしかるべく、援助をしているやり方をやっておりますが、やはり民間の社会福祉施設等で集団を形成して、労務改善指導というようなかっこうで、労務管理の改善というようなかっこうでこの問題に取り組んでいこうというようなことになれば、私どもも援助してまいりたい、かように考えております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 じゃ、全国の病院と社会福祉施設に週休二日制を実施すると、どれだけの職員増を図らなければならないのかという病院、社会福祉施設別にこれは当然試算がなければならないはずです。もうすでに週休二日制は労働省は進めている。それも大きい一つの柱になっておる。そうすると、厚生省関係の社会福祉施設や全国の病院、こういうような方面にはこれを施行しないということではないはずであり、またそれから免れることはできないはずであります。当然これはもう病院、社会福祉施設別に試算していなければならないはずでありますが、この試算をしていますか。

滝沢正厚生省医務局長

○滝沢政府委員 結論を申しますと、試算するに当たっての条件の設定がきわめて困難でございまして、結局試算は現在のところ、そういう条件を簡略にした条件、たとえば隔週実施で四十四時間労働が四十二時間になるということで、四十二分の四十四というような掛け算を仮にしながらということをしましても、たとえばボイラーマンの実態というものはどうなる、看護婦というものの実態ということで、試算というものは非常に困難でございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 試算を持たないでこれを実施することは当然できない、だからやる意思がない、こういうように認定せざるを得ないじゃありませんか。大臣これでいいんですか。——いや大臣だ。あなた大臣だったら答えなさい。大臣、大臣。

滝沢正厚生省医務局長

○滝沢政府委員 この週休二日制の実施の問題につきましては、医療機関は、ただいま労働省からもお答えがございましたように、施設の運営上、たとえば土曜日は外来を実施しないとか、休日夜間の体制の問題ともからみまして、福祉施設、医療機関の週休二日の実施体制をどうするかは非常に重要な問題でございます。われわれはやらないというわけではございませんで、現在医療機関の千カ所ぐらい調査した中で五十カ所、何らかの形で、四週一日というのも含めまして実施している実態もございます。このようなことでございますし、われわれは直接国立病院も持っております、こういう点で研究なり検討は進めていかなければならない、こういうふうに思っております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 したがって、これを二日制にするための全国的な試算くらい持っていないとだめでありませんか。いま福祉関係が一番要望されているでしょう。労働省と合体して週休二日制に向かって進むということ、中に入る人も、それを支えている職員も、ともにその問題を解決しないとだめなんですよ。少しこの問題ではとろいようだ。これは試算を早く示すべきだ。私は強く要請するが、あなたはもう試算する必要はない、こういうように私に答弁しますか、そこをはっきりしましょう。やるんですか、やらないんですか。

滝沢正厚生省医務局長

○滝沢政府委員 試算が困難であると申し上げたわけでございまして、試算の必要性あるいは物の考え方の整理が必要なこと、準備を整える必要がある、このことは決して否定いたしておりません。

島本虎三日本社会党

○島本委員 厚生行政で困難でないものありますか。やりたくないものは困難でしょう。だめです、そんな姿勢では。あなた声ばかりでかくて内容がない。笑い事じゃない。この次にはあなたの身分を考えないとだめです。  これは、大臣、どうします。

田中覚自由民主党

○田中国務大臣 医療機関、社会福祉施設の週休二日制の問題、これについては、率直なところ当省としては今日準備不足であることは否めないと思います。一つには、医療機関と社会福祉施設の社会において果たしている機能の特異性ということを考えてみまするときに、望ましいことではございますが、社会全体の中で比較的早い時期にこれを実施するということについては、実はなかなか困難性があろうと思われるわけであります。社会の実施状況とにらみ合わせまして、将来はこれに向かって進まねばなりませんが、真っ先駆けて行けるということについては、今日申し上げるわけにはなかなかいかないのが実情じゃなかろうかということは島本さんもわかっていただけるだろうと思います。のみならず、これにつきましては人の面と金の面の問題があるわけでございまして、かような点についていろいろと勘案考慮しなければならない問題が多々あろうと思いますが、社会の情勢が週休二日制に進むということを考え、私どもとしては、諸般の与件の解明のむずかしさはありまするけれども、これを実施した場合の試算等については、今後ひとつ作業を進めていかなければならないものというふうに考えております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 じゃ最後の一問で終わらしてもらいます。長い間本当に感謝にたえません。  最後の一つというのは、大腿四頭筋短縮症対策なんです。これは乳幼児に対する乱注射、注射の打ち過ぎ、こういうようなものに対しての一つの対策、こういうようなものでありますが、これが依然として進んでおらない。それと同時に、種痘においても種痘後に脳炎を起こしたりしていつもワクチンの問題が問題になっておった。しかし今度は安全で有効性の高い、厚生省は実用化を検討するようなワクチンが見つかったようである。それはいままでの発熱率二六・六のリスター株よりも七・七%くらいのものであるから、これは優秀だということのようであります。いつでもこういうような問題で厚生省がそれを進め、認可した後で起こるいろいろな障害、これが社会的な一つの大問題になっておるのであります。  それで、この際注射の打ち過ぎとともに、この対策を聞きたいのです。というのは、あくまでも種痘やその他義務的にやるもの、こういうようなものに対しては、毒性のないものまたは少ないもの、これは当然ですからそれは検討するでしょう。その打たれる人がアレルギー体質かどうか、この検査は十分されているのかどうか、これに対してどうなのか。それと、不幸にしてこういうような後から後遺症が起こった場合には、その補償に対してどういう措置をとられているのか、とるつもりなのか。新しい株ですから。それとともに、大臣にこの際明確にしておいてもらいたいというのは、こういうようにして国が義務接種をする、そして後遺症によって死ぬか、生まれもつかないような病状を呈することになる。公害の場合には、それをやった原因者に対しては公害罪処罰法がある。そしてそれをやむを得ず受けた者、受けなければならない被害者に対しては被害者補償法がある。この薬害については何もない。裁判によって争うしかない。こういうようなことであります。これは体制として立ちおくれじゃないかと思うんです。幸いにして新しい種類のワクチンが開発されたようでありますが、有効性が高いとすると、なおあわせてこの点も十分検討する必要があるんじゃないか、こう思うわけであります。それに対して高邁なる大臣の御所見と決意を伺いたいと思うのであります。

滝沢正厚生省医務局長

○滝沢政府委員 若干技術的な問題も入っておりますので、私から申し上げます。  内容的にアレルギーの体質の問題は、これはただいまのように集団を接種している場合に、個々に、たとえばペニシリンを打つ場合、少量を打って様子を見た上で変化がなければさらに必要量を打つ、こういうようなことが実施上非常に困難でございますので、問診その他によってその子供の体質にそのような危険がないかどうかを確かめる方法をもって実施いたしております。ただ予防接種、特に種痘の安全性の問題、けさもテレビ等で報道されましたが、あのような事実が出てまいって、脳障害が少なくて、かつ善感する、要するに皮膚にちゃんと痘菌がついて、そして免疫ができたということが確認できるような、あのような改善がなされるとするならば、この採用というものは、当然十分関係審議会等に諮った上で採用を急ぐ必要があろうというふうに一般的には考えられるわけでございます。全体の問題については、大臣からお答えがあると思います。

田中覚自由民主党

○田中国務大臣 予防接種事故をめぐりまして、いろいろと世間に問題があり不満もあるわけでありますが、これについては基本的には予防接種によって事故が起こらないよう、したがってワクチンのできるだけ無害なワクチンを開発するということについても努力しなければならないと思っております。しかし、なおかような開発を心がけましても、ワクチンにはある程度の毒性があるというのはこれは常識だそうでございまして、さようなことになりますれば、やはり事故が、非常にレアなケースでございますが、起こるということも考えておかにゃならぬわけでございます。この場合、いま医務局長がお答えをいたしましたとおり、アレルギーその他に対する調査というものもこれを綿密にやって、できるだけ事故は防がにゃならぬというふうに思っておりますが、しかし不幸にして起こった事故につきましては、これを救済するための措置というのは現在行政措置でとられているところでございますが、これについてはなお不十分な点がございますので、今後はこれを立法化していくという方向に持っていかにゃならぬと思っております。いま関係の調査会等でいろいろと検討をいたしているそうでございます。  まあしかし、こういったようなことを含めまして、一体今日の予防接種法そのものがあのままでいいかどうかということについても、今日の現況を踏まえて私はいろいろと考えているわけでございまして、一部のものはこれを強制接種にしておかにゃならぬものか、あるいは再考の余地がないか、そういったようないわゆる予防接種制度とのからみ合いにおいても考えられますが、結論的には、私は、やはり予防接種による事故については、これに対する救済措置というものは法制化をしていって、予防接種を受けられる方々、ないしはその親御さんに対してできるだけ心配がないように、万一事故が起こった場合には、まあ金で補償はできるものではございませんけれどもできるだけのやはり意のあるところを具現するような方途を講じていかなければならないという、ふうに思って、今後鋭意詰めていきたいというふうに思っております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 終わります。

菅波茂自由民主党

○菅波委員長代理 田口一男君。

田口一男日本社会党

○田口委員 いま島本さんが総体的に触れられておりますので、私は問題を二つにしぼって、やや具体的な事例も挙げながら、さらに意見を含めながら質問したいと思います。  まず初めに事務的なことですが——事務的というと変ですけれども、五十年度の厚生省予算三兆九千億のうちで、一体医療費、国が支出するたとえば生活保護の医療扶助であるとか老人医療費であるとか、それから各種社会保険に対する国庫負担、こういったものを含めて概算幾らになるのか、さらに本年度と比較をすると金額の面でどれだけの差があり、さらに伸び率においてどれだけの違いがあるのか、そこのところをまずお聞かせいただきたいと思います。

北川力夫厚生省保険局長

○北川政府委員 五十年度の一般会計予算の中で占めます医療費は一兆八千七百億でございます。前年度の医療費に対する伸び率は三〇・九%でございます。それから厚生省全体の予算が先ほどお話がありましたように二兆一千二百億でございますので、その中で大体全体に占める割合が四八%、このような数字でございます。

田口一男日本社会党

○田口委員 いまお答えがありましたように、確かに三兆九千億という厚生省全体の予算が、先ほど大臣の所信表明がございましたように、今日の情勢の中で三六%以上の伸びを示した、この限りにおいては、私は大変御苦労さんであったし、御同慶の至りだと言いたいわけであります。がしかし、いまお話があったように、三兆九千億のうちで約四八%、五〇%近い一兆八千七百億という数字が、いわゆる俗な言い方をすれば医者代、こういうことになるわけですね。医療費として国が支出をしなければならぬ。私は、それは多過ぎるというわけじゃないのですよ。文明が進めば医療に対する需要がふえると言われておるのですから、これはあたりまえでありましょうけれども、これだけ厚生省総予算の約半分を占めようとしておる医療費の支出を持っておりながら、なおかつ今日国民が医療に対する不満といいますか、いろんな批判というものはこれは大臣御承知だろうと思うのです。一体この不満、いろいろな意見が出ておりますけれども、私は、それについて二つ質問をし、大臣からお答えをいただきたいのです。  一つは、やや旧聞に属して、これは委員長の選挙区だと思うのですけれども、岐阜県の富加町というのですか、美濃加茂の近くで、昨年の十一月十九日の中日新聞に「歯医者の順番待ち中車の中で中毒死」という記事が出ておるのですね。これを見ておると、歯を早く治したいという一心で冷え込みの厳しい夜、歯科医へ通っていた人が、自分の自動車の中で中毒を起こして死んだ。それに対する解説が、結局予約制なんかがあるために、ひどいときには前夜から並んで順番をとらなければならぬ、こういう例。これは委員長が岐阜だからという意味じゃないのですよ、たまたま中日新聞に載っておったものですから。こういう不満やそのほかいろいろな医療事故というものに対する不満がある。こういう点について、一体基本的な考えとして大臣、どのような方向に持っていこうとしておるのか。四九%になんなんとする多額の医療費も出しながら、こういう事故がなお絶えないということについてどう考えておるのか、その辺のところをまず基本的に伺いたいと思います。

田中覚自由民主党

○田中国務大臣 いま田口先生の御指摘の点についてどういう点を志向しているか、私ちょっとのみ込めないわけなんですが、ただ一点明らかになったのは、歯科医の順番待ちのために自動車の中で事故を起こしてしまった、こういうことですが、これについては、私はやはり歯科の医療の供給体制が非常にまずいということだろうというふうに思うわけであります。一般的に歯科医が国民の歯科医療に対する需要体制に伴わない、絶対数が少ないということが一つあると思います。それから、地域的なアンバランスというのがどうも歯科の世界には特にはなはだしいようでございまして、こういったようなところからいまのような事故が起こったものと思われるわけであります。都会等におきましては、時間のアポイント制度等も導入しているようでありまして、その点についてはある程度時間待ちとかあるいは順番待ちということも解消されつつあるようでありますが、実際問題として、私も田舎を選挙区にしている国会議員の一人ですが、どうも歯科についてはおっしゃるとおりの供給体制の不十分というのがあって、それからのいろいろな摩擦問題が起こっていることは事実でありまして、これは歯科医師の養成体制あるいは配置の問題等々を踏まえて改善をすべきものが多々あるということは事実だというふうに思います。  残余の御疑問については、いま少しく具体的に御質問くださればお答えをいたします。

田口一男日本社会党

○田口委員 歯科医師の例を私はわざわざ持ち出したのは、さっきも言ったように医療費が毎年高くなってきて、国もそれに相応する金を医療費について出しているわけですね。そのように大々的に医療体制をよくするのだと言っておきながら、いまの一つの例のように、歯を治すためには夜通し順番を待たなければならない。そういう医療供給体制という面については、金を出しておる割りに十分でないじゃないかという不満、これは率直に言って国民の側からあると思う。  さらに、いまの歯科の問題は、これは歯科医師だけの問題ではなくて、今度新年度の具体的な事業として僻地中核病院の整備についての具体的な提案が出されております。これもいまの歯科の問題に関連をして申し上げるのですけれども、確かかに一般的に言って山間僻地、それから都会であっても休日夜間なんかは無医地区に等しいということは前々から言われておりまして、そういう状態を解消するために一つの具体案として無医地区に対する僻地中核病院を整備する、私はこれは大いに時宜に適したものだとして賛意を表します。  ただ問題は、いまの医療費一兆八千億になんなんとするというところに関連をして言うならば、この僻地中核病院をつくるという構想があったにしても、一体そこにお医者さんが来るかどうかという問題ですね、お医者さんが確保できるかどうかという問題がどうもここに抜けているんじゃないか。たとえば毎月出る医学雑誌なんかの広告欄を見ると、都会の例でしょうけれども、ある病院でお医者さんを募集するのに、うちでは初任給年俸一千万ぐらい出します、だから来てくださいという広告をしているわけです。それから月収二百万、三百万というのは個人開業医の方でざらだと聞いております。そうなると、僻地中核病院十五カ所で、うち国立病院が二カ所というふうに具体的な計画があるのですけれども、いま言ったような病院へ行けば年収一千万から一千五百万ある、ちょっと熟練すれば二百万の月収がある。ところが、僻地のそういった中核病院へ行った場合に、それだけの保証があるかどうかということですね。私の地元の三重県の一志病院というのは僻地にあるのですが、そこも、六人の定員が、いま三名しかおらない。みんなやめてしまっておる。そこで聞いてみると、医療職(一)表を適用して、今度の給与改定でも一番高いところで五十万はないでしょう。手当一切含めて四十万から五十万未満。それと二百万と比較をした場合に、お医者さんは銭によって動くとは私は言いませんけれども、いかに僻地の医療を充実しようと思っても、そういう面でこの構想——これはもとをただせば、昨年自民党の僻地医療対策要綱に沿っての具体案だと思うのですけれども、この辺の医師の確保がなければ、「仏つくって魂入れず」ということにまでなってしまう。その辺、一体どのように考えておるのか。そこがさっき大臣に言った問題にもなるわけであります。

滝沢正厚生省医務局長

○滝沢政府委員 確かに従来、僻地の診療所に医師を確保するという、点としてとらえた対策をやってまいりました。もはや、医師の確保の面から検討いたしましても、少なくとも広域点な僻地を持った市町村圏を中心にした中核病院にむしろ医師を確保するということをしませんと、先生のおっしゃる給与ばかりでなく、若い医師の場合は、やはりそこである程度自分の医師としての勉強ができる、経験が積めるということが重要でございまして、たとえば青森県の下北半島のむつ市に市民病院がございます。これが四十五、六年ごろは七、八名の医師で、非常に医師の不足を嘆いておったわけでございますが、一部事務組合を広域市町村圏でつくりまして、むつ市民病院の医療機械その他の体制を整えまして、積極的な医療確保を図りましたところ、現在十八名の医師が確保できている。これはそのような方式が常にどこでもうまくいく保証はないと私は思いますが、若い医師の場合は単なる給与だけじゃなくて、個人として孤立して診療所にいる姿では、もはや若い人あるいは中堅の先生でも確保することはむずかしい。しかし病院機能というものを僻地の中核に据えてそれを育成し、そこで活動してもらうことと僻地とを結びつけることを考えたならば、多少は従来以上の医師の確保が可能ではなかろうか。私は、先生の御質問のとおり医師確保が今回の措置でうまくいくかどうか、この点については本当に必ずしも確信は持っているわけではございませんが、従来の施策といろいろの社会における実態を見ますと、少なくとも病院機能というものを育成して、そこで医師をある程度プールして、その人件費を補助する、その病院の経営の定員以上のものを確保していただいて、その若干の余裕を僻地対策に向けていただくという今度の構想は従来以上の進展にはなるのじゃないかということでございまして、医療機関としての内容の充実が、やはり医師の確保に給与以外の分野としてきわめて大事であるというふうな観点からこの施策をいたしたわけでございます。

田中覚自由民主党

○田中国務大臣 おっしゃるとおり医療の供給の問題についてはいろいろあるわけですが、医療費が増額したということにつきましては、去年の二度の改定がこれに大きく影響しているわけでございますが、医療費が伸びたからといって供給体制にすぐにつながるということは考えられないわけです。私どもが一番心配しているのは、供給体制では要するに地域的な供給体制のアンバランスというのが一つあるだろうと思います。いま一つは時間帯の供給体制の不十分。つまり前者は僻地等においての問題でありますし、後者は休日夜間等の問題でありまして、これらは今後ひとつ厚生行政としては大いに力をいたして解消をしなければならない問題であろうと思っていますが、かくなるためにはやはりかくなるような理由が実はあってこうなったわけでございますので、言うべくしてなかなか簡単な問題でないということは私もよく知っておりますが、今後この方面にやはり力をいたすというのが私は厚生行政の大きな課題であろうというふうに思いますので、そこでいろいろと今後施策を積み重ねていくつもりでございますが、いま医務局長の申しました僻地医療対策は今年度がこれについてのはしりでございまして、こういったようなところを突破口にして政策の充実を図っていかなければならないというふうに思っているわけであります。

田口一男日本社会党

○田口委員 確かに、おっしゃるように医療費の総枠が伸びたから日本全国津々浦々医療供給体制が整備されるというそういう簡単なものでないことは私も知っています。ただしかし、国民の受ける感じとして、これは保険局長にもお尋ねしたいのですが、今年度に比べて三〇%以上の伸びを示した医療費、当然五十年度になってもこの一兆八千億という医療費がさらに伸びるものと予想しなければならぬと思うのです。もう年明け早々から、新聞その他の情報で知る限りでは、たとえば神奈川県の保険医協会というのですか、ここが要求しておるのは診療報酬の単価を一律に五〇%アップしろ、それから京都の医師会では再診料とかその他手術料なんかを二倍、三倍にしろ、それから日本医師会の一つの要求としては、例の税制の問題に絡んで、あれを取っ払った場合にはもっともっと医療費が高くなるだろう、こういったアドバルーンが上がっておるのですから、当然に五十年度は医療費がさらに伸びるものと予想しなければならぬ。すると国の支出はそれに応じてふえる、全部国で賄うならいざ知らず、いまの保険というたてまえから言うならば、当然に国民健康保険はもとより、健保組合、政管健保、あらゆる医療保険制度の事業主、それから被保険者の負担が当然いままでの例から言ってもふえていく。どんどんどんどん取られるじゃないか、平たい言葉で言えば。しかし、保険あって医療なしと言われておるようなことが依然として解消できぬということであれば、何だ医療費ばかり金を出して一向に改善されぬじゃないかという不満——端的に金の面とそれぞれ住んでおる地域の無医状態とを結びつけて、けしからぬじゃないかと言うのはこれは当然だと思うのですね。ところが、その一つとして僻地対策についてこういう施策をとったけれども、いま医務局長の言われるように、どうも医師の確保については胸をたたくところまでは行けない、こういったことでは、金を積んで解決のできる問題か、いま言った若い医師の場合には金だけではなくていろいろな問題もあるだろう。そういうところを整備をするというのは、やはり医療費が増高するという情勢必至の今日、手を打たなければ、医療に対する不信なりいま起こっているいろいろな問題というのはさらに拡大再生産される以外にない。これをいま防ぐのが一番大事なんじゃないか。こういう問題から、まず私は医療費の予算という問題から端を発して言っておるのであって、むずかしい問題とは思うのですが、むずかしいけれどもまあ何とか、いわく言いがたしでは国民は納得をしない。何かいい方法はないか、ここのところを言っておるのである。  さらにこの僻地の問題に関連をして、休日夜間診療の問題も同様のことが言えるのですね。これは私はある開業医のお医者さんにいろんな問題で話を聞きました。まあ多少皮肉も含めて話をしたのですが、聞けば聞くほどお医者さんの言い分ももっともだと思うのですね、休日夜間の診療なんかでも。方々の自治体で休日夜間の当番、当直医制度というのをやっておる市町村があるのですが、どうもそれに対する評判があまりよろしくない。よろしくないというのは、お医者さんの側からよろしくないのですね。なぜよろしくないかということを聞いてみると、これは一つは金の面で委託料が余りにも低過ぎる。さらにお医者さんは、最近はやりの言葉で言えば職住一体ですから、お医者さん個人だけではなくて、休日夜間に患者が飛び込んでくれば当然に家族ぐるみで対応しなければならぬ。その苦労というものが大変なものだ。そういったことに加えて、いまの基金に請求をするレセプトの中身というものが複雑きわまりないということから、結局やりたいけれども、やらなければならぬと思うけれども、いま言った委託料の問題や家族の苦労を考えたりさらに請求事務のことを考えると、もう当直医制度、当番制度というものはやめてもらいたい、だから自治体、やるべきじゃないか、こういう論理になるわけですね。じゃ、自治体でやるべきじゃないかということは私ども常々主張しておるのですが、自治体でやろうとする場合にまた医師の確保がむずかしい。堂々めぐりをするわけですね。これをどこかで断ち切る方法をいま考えなければならぬじゃないか。それについて、むずかしいと思うのですが、断ち切る方法をひとついま示してもらいたいと思うのです。むずかしいと知りながら示せというのはちょっと酷かもしれませんけれども。

滝沢正厚生省医務局長

○滝沢政府委員 全く具体的な御質問でございまして、確かに輪番制ということで、今晩そのお医者さんのうちへ順番が回ってくると家族ぐるみ対応しなければならぬ。われわれとしては、やはり輪番制を逐次、特定な個所に休日夜間診療所を建てて、そしてできるならそれを公立のものとして委託を医師会にする、そして医師会の方々で会員が交互に、輪番制でその休日夜間診療所に行って医療にこたえるという形を一つのモデル的な望ましい姿のものとして推進していきたい。現実の数字を申しますと、四十九年の十月一日現在で自治体のものが六十カ所、医師会等のものが七十四カ所、休日夜間診療所としてございます。どんどんふえたり変動いたしておりますが、とらえた個所数としてはそういうのでございます。医師会でやっているという形は、医師会が一定の建物に交互に行ってそこでやっておる。それからもう一つは、先生御質問の輪番制で、在宅のままで当番が回ってくる、これはできるだけ解消する方向で努力いたしたい。しかしながらこれは行政でそのような措置を、たとえば診療所をつくっておやりになった場合は、自治体に運営費の補助も、建物、設備、機械の予算も若干出しますという予算は準備してございます。必ずしも十分ではございませんけれども用意してございまして、行政の誘導の方法としてはその方法をねらっておるということでございますが、個々の地域ごとの話し合いによって形はいろいろあるということでございます。

田口一男日本社会党

○田口委員 いま、一つの方法として、お医者さんの個人の宅を離れて診療所を設置する、そこに順番で詰めてもらっている、こういう公設の夜間診療所、休日診療所、これはいまの数では六十カ所、医師会が七十四ですか、まだまだ少ないと思うのですが、実は私は一カ所その実例を見てきました。三重県の津市が去年から始めたのですが、お医者さんの側からもそれから住民の側からもたいへん好評で、このままいったらちょっとお手上げだといううれしい悲鳴を上げておるのですけれども、ただ自治体当局から言わせると、それを維持運営していく費用が相当かかる。いま局長おっしゃったように、こういった一つの試験的なものもあるし、そういった方法がいいんじゃないかと思われるのであれば、もっともっとこれを助成するようなことで、幾分なりとも医師と患者側のそういう苦痛、不満というものをやわらげる策をぜひとも推進をしてもらいたい。  ただ、ここでもう一つ、その中で、まあすべてがうまくいくわけじゃありませんけれども、いろいろ問いただしてみると、これは保険局の方の所管になると思うのですが、その公設の診療所の場合でもなおかつレセプトの請求事務について問題があるようですね。複雑だ、その分だけおれのところは余分にかぶらなくちゃならない。それは当然家に持って帰ってやるわけです。その辺、言えば切りがないと思うのですが、このレセプトの請求事務の内容はもっと簡単にならぬのですか。これは試験的にやってみる休日夜間診療の場合の、それに限りませんけれども、不満が多いのですね。この辺のお考え、ありませんか。

北川力夫厚生省保険局長

○北川政府委員 皆保険下でございますので適正なかつ公正な医療を確保するということが大前提だと思います。そういう範囲内で、現在の診療報酬の仕組みの中でどのような請求の仕方をして、どのような医療というものを医療費の面においても適正に確保していくかということは非常に大きな問題だと思います。現在の請求方式は、先生も御承知のとおり長年やってまいりました定着をした方式でございますけれども、やはり患者さんがふえてきて、それからまたいまのお話にありましたような休日夜間、救急というふうなものが加わってまいりますから、常に適正な医療サービスを提供していくという見地から申しますと、できるだけ請求事務を簡素化していくということも、これまた医療機関の側から見ますと当然のことだと思っております。そういう意味合いで、これは関係の団体の方々からも相当前から、どういうやり方が一番簡素化につながり、かつまた医療費の適正を確保できるかというような問題、いろいろと御要望もあるわけでございまして、われわれ役所の側も、あるいは支払い基金の側も、あるいはまた関係団体の側もいろいろ研究をしていただいておりまして、できるだけそういう方向で現在も検討を進めておるわけでございます。そういうわけでございますので、特に休日夜間ということに限ってだけ試験的にどうこうということは私は必ずしもどうかと思いますけれども、全般的な問題といたしまして、膨大な医療費というものを適正に執行する、その中で請求事務を簡素化していく、こういうことにつきましては十分今後も精力的に詰めてまいりたいと思っております。

田口一男日本社会党

○田口委員 じゃ、この問題はこの程度にしまして、先ほど島本委員から医療供給体制の一部としての病院労働者の勤務体制の改善について、二・八なり週休二日、お話があったのですが、それと重複を避ける意味で軽くもう一度確かめたいのですが、たしか数字を挙げられたように五〇%程度まで公立の病院、診療所の場合には近づいてきたことは認めます。しかし依然として夜間の勤務が九・四、九・七というふうに解消されない。そのことに関連をし、基準の数字をつくるべきじゃないかというお話があったのですけれども、労働省の方で中小企業に対する指導を強めておると同じように、病院、社会福祉施設を含めて二・八体制を完全に履行するということになるとすれば、ただ看護婦、保母、そういった職員だけではなくて、ボイラーマンの話も出ましたけれども、その他の用務員、これは当然響きますから、一つの病院で何人あれば二・八体制が実施でき、週休二日が実施できる、その職種ごとに一つのひな形というものが当然あってしかるべきじゃないか、これだけ言われておるのですから。この辺労働省なんかでそういう試算のモデルケースというのはないのですか、労働省。

東村金之助労働省労働基準局長

○東村政府委員 週休二日制の問題、先ほどお答えいたしましたように逐次広がっております。ただ週休二日制と申しましても、完全に週休を毎週毎週二日ずつ休む、あるいは隔週で休む、月一回休む、いろいろ型がございます。それは同時に労働時間の長さとも関係いたします。したがいまして、ずばりこういうモデルというのは、業種、職種いろいろございましてなかなか算定しにくいわけでございます。特にサービス業とか、ただいま問題になっております社会福祉施設等の問題になりますと、利用者に支障を来さないようにという問題も入ってまいりますので、なかなかむずかしい問題がございます。一般的に申し上げますることは、中小企業等において週休二日制を導入するに当たってはよく関係業界なり組合が話し合って、段階的、計画的にこれを推進していくように、こういう方針で対処している次第でございます。

滝沢正厚生省医務局長

○滝沢政府委員 二・八体制というものがどういう数になるかというお尋ねがちょっとございましたが、われわれが二・八体制と言うのは、一つの病院の一看護単位たとえば内科病棟なり外科病棟、そういうところの勤務のチームの勤務体制が、夜は二人いるようにし、そして一人一カ月八日以内の夜勤で済むようにしなさいというのが二・八体制ということでございます。これを三交代制でその病棟が動いていくことを割り振ってみますと、婦長一名を入れて少なくとも十六人の確保が必要でございます。十六人の者が仮に全く健康で休まずに回転したときに、ほぼ二・八になるという計算になるわけでございます。ところが、二人ということは確保したけれども、その病棟が仮に十三人しかいないとなると、夜勤日数は十日、十一日となってしまう。だから二と八の問題は非常に関連が深く動くわけでございます。したがって、われわれが二ということだけをとらえて、複数夜勤の看護単位が全国にどのくらい生まれたか、現状はどれくらいかということをつかみましても、八のほうの夜勤日数になりますと、またこれが国立は九・三ぐらいでございますが、十二、十三、極端に十二、十三ということは少ないのですけれども、まず十、十一程度はかなりある。完全に二と八というのは、わが国の病院の病棟単位で見ましても、われわれのいまつかんでいる実態では一五%程度じゃないかというふうに見ております。そういうことで今後看護婦の確保と労働条件の改善の方向として、十三人のところを十六人にすれば二・八に近づく、こういうような問題点であるわけでございます。

田口一男日本社会党

○田口委員 いま医務局長の言われたたとえば一病棟十六人、これはしかし前提として全部健康な者であるということですね。ところが、人間生身なんですから、しかも病人を扱っておる職場でとなると、結局本当は十六人プラスアルファということになるのでしょう、そういった生身の体を前提にすれば。それと同じように、私はこの試算を一両日のうちにつくれなんていう性急なことは言いませんけれども、同じ厚生省部内で保母を中心にした福祉施設の労働基準法違反を一掃するために一万九千何がしかの数字をはじき出したように、一応の試算ができるのじゃないか。そういった一病棟十六人、これはいろいろな病棟によって違うでしょうけれども、そういう基準をつくって、それを目標に看護婦の養成、保母の養成、その他の技術者の養成ということを計画的にやっていくことによって、さらに労使が話し合うということもできるでしょうし、ひとつ早くそういった数字を出していただくように、これは強く要望いたしておきます。  次に、これはもう時間がありませんから、それはそれとして、新年度予算査定に当たって港間伝えられている大蔵省が示した四要求、標準報酬の上限を三十万円に引き上げるとか、それから高額療養費を三万円を四万円にする、退職者医療制度を導入しろ、五人未満の未適用の完全適用、この四要求というのは、実現をするのに時間を切られておるのか、五十年度中にそれを実現しろとか五十一年に実現しろとかというふうに時間を切られた性格のものか、いつまでやれというふうにね。それに対して大臣としてはいま言った四要求をどうこなしていくつもりなのですか。これをまずお聞かせいただきたいと思います。

北川力夫厚生省保険局長

○北川政府委員 いまのお話は、五十年度の予算編成に際しまして、内示に当たって財政当局から示されましたテーマだと思います。それで、時間を切られたかどうかということにつきましては、そういうような問題ではございませんで、内示の段階におきましては、その中のある種の項目については予算関連事項としてはどうかとか、あるいはまたある種の項目につきましては何らかの意志表示をしてほしいとか、そういう形でやってまいったものであります。  私どもはその中で、たとえば標準報酬の上限改定の問題でございますとかあるいはまた高額療養費の問題、こういう問題はいずれも直接の予算関連事項でございますから、それぞれまた他の、標準報酬問題はたとえば厚生年金問題とも関連をいたしますし、高額療養費の問題はまだ制度が施行になってから一年有余であり、国保はまだやってないところもございますので、こういう問題は今後の検討事項としてやる、こういうことでございます。  それからまた退職者の医療制度あるいはまた適用拡大に関連いたしました事務組合の問題、こういう問題はかなり性格は違っておりますけれども、相当時間をかけて検討すべき問題である、こういうことで一応の決着をつけたようなわけでございます。  大臣からも申し上げると思いますけれども、時間を切られたかと申しますと、そういう明確なものはないというふうにわれわれは解しております。

田中覚自由民主党

○田中国務大臣 五十年度予算編成の際、大蔵省から医療保険をめぐる幾つかの御要請があったわけですが、どうもこれを直ちに実施するということについてはいろいろ問題があり、これを直ちに実施するあるいは法案改正に持っていくということについては、私どもとしてはまだ準備あるいは検討が不十分であるということで、実はそのままになってしまったわけであります。  これについていろいろ申し上げますと、いろいろな問題があるわけであります。第一に、高額療養費の患者負担を四万円に上げたらどうかということでございますが、これには私は二つの顔があるだろうと思うのであります。一つはあれは要するに自己負担分がたえ切れない限度を従来三万円に考えておったわけですが、しかし、診療行為がその後三九・何%上がったから単純に三万円が四万円だなどという計算をすることは私は正しくない、やはり本人、患者の可処分所得を見て考えるのが正しいのじゃないかというふうな問題もあります。しかしまた反面、国なり保険者なり地方公共団体の立場を考えますと、これについてはだんだんと高額医療というものがふえてまいるということを考えると、その辺もことも考えなければならぬということでございますし、いま保険局長がちょっと言いましたように、高額医療費制度、これについては制度発足早々でございまして、まだ全般的にやっておらないということもありますし、また国会等でいろいろと御意見がありますとおり、あの制度そのものに実はいろいろな問題点があるわけでありまして、こういったようなことを含めまして私は広範囲な立場から問題の究明をしなければなるまいというふうに思って、あれをただ機械的に三万円を四万円に上げるということについては、私としては直ちに実施するという気持ちになれなかったということであります。  それから標準報酬上限を二十万から三十万に引き上げるということについては、なるほど医療保険財政の面から見るとある程度の財政効果はございますが、しかしこれもさように簡単に考えるわけにはいくまい。年金における標準報酬との整合性を考えてみなければならぬ。しかも年金におきましては、標準報酬がありますと、これについて給付がリンクをしてくるというメリットがございますが、給付がフラットである医療保険については直接のメリットというものはないわけでございまして、所得再配分という見地から見ればこのことについて好ましい一面もありますが、政治的な面において一体いかがであろうか、政策の整合性ということから年金、保険を通じてのもっと綿密な考察が必要であろうというふうに思いまして、これについてもさらに検討を延ばすことにいたしました。また、折しも年金につきましては昭和五十一年度の財政再計算の問題もございますので、そういったようなこととあわせて考えていかなければなるまいというふうに思いました。  それから退職医療制度につきましては、いろいろ問題がありますが、私、かねがね実は老人医療制度というものをこの際実施をいたしたいというふうに考えておりましたから、これとの関連において問題を解決しなければ、退職者医療だけを先行させるということについては、その節にいろいろとまたむずかしい問題を醸成するだろうというような配慮もありまして、一切を挙げて今後の検討というふうにいたしたわけでございまして、決して全面的に否定はいたしておりませんが、直ちに実施するのには検討不十分、準備不十分ということで、これについては一応ペンディングにしたというのが実際の事情でございます。

田口一男日本社会党

○田口委員 よくわかりました。ただ、私は、これを大蔵省が要求をしておるのだから早く結論を出せという意味では毛頭ないのです。ただ、標準報酬なり家族高額療養費の問題については、いま大臣のおっしゃることに同感なのですが、退職者医療の問題と未適用の適用拡大の問題、これを新聞なんかの解説から察知するなら、どうも国民健康保険の財政に端を発したような問題提起だと私は見るのですね。国民健康保険が今度財政負担が一兆円をオーバーした、しかも、将来国民健康保険の財政基盤というものはいろいろな脆弱な面を持っておるから、それらを一つ一つよくしていくためには、いま国保の被保険者である未適用の労働者を適用拡大したらどうかとか、それから退職者の医療をすぐに国保でかぶるんではなくて、前に働いておった企業の健保組合で持つべきだ、こういう発想じゃないかと私は見るのですけれどもね。が、それはいけないという意味じゃないのですよ。国保の財政がえらいから、すぐこちらの方へ移したらどうか、こういう簡単なものでないとは私は思うのですが、とりわけこの退職者医療の問題については、ひとつ早急に方向をいま出すべきではないか。確かに国民的合意を限るということはむずかしいと思います。むずかしいと思うのですが、老人医療に見られるように、根っから老人医療は公費で見ろというふうな意見もあるように、退職者の方の状況を見ると、これは一例なのですが、ある会社をやめて国民健康保険にすぐ入ったら、そのときはもうどかっと保険料を取られるわけですね、前年度所得ですから。しかも給付は七割なのです。若いときに健保組合に相当金を払ったのだから、何とか継続をしてもらえぬかというような単純な希望、意見。こういうところから、人口の老齢化ということを抱えておるわが国にとって、退職者医療の問題、退職者に限らず老人医療の問題をいまのままのような仕組みで行くとすると、これはいつかは財政破綻を来すわけです。だれが負担をするかというところに問題があるのですが、これはひとつ大胆に提起をして、私どもも各論に入った場合にはいろいろと意見も出したいのですけれども、この際大胆に問題を提起する時期に来ておるのじゃないか、こう思うのですが、どうでしょう。

田中覚自由民主党

○田中国務大臣 この点については、田口委員と全く同意見でございます。老人医療の問題を単に国民健康保険の財政問題として発想をしたということではございません。それぞれの制度との関連において、一体どう公正を保つかというふうな点から発想をしなければならぬと思いますし、また、老人には老人独特な医療、予防等のニードもあると思われますので、そういう広い観点から考えていかねばならぬというふうに思われます。いずれにいたしましても、老人に対する医療給付というものを今日のままにしておくということは、これは単なる財政問題のみならず、国民的な公正という見地から見ましても、私はこれ以上このような制度を続けるべきものではないと思われまするから、したがって、総合的な見地で意欲的に見直しをいたしたいというふうに思っている次第であります。

田口一男日本社会党

○田口委員 医療費問題はそれで終わりますが、やはり一番大事なことは、仮に一兆八千億という金をまた問題にした場合に、病気にかかって一兆八千億の金を投じて、まだほかにも負担分がありますよ、治ってもともとですね。ですから、一番大事なことは、予防、健康管理という体制についてもっとこの際力を入れるべきじゃないか。この予防、健康管理は保健所がすべてやるとは思いませんけれども、保健所の例を一つとってみた場合に、どうも保健所に対しては期待が大きい割りに、それにこたえる能力というものをいまのところ持ち合わせていない。この保健所の中の保健婦さんを例にとりましても、今度四十八人増員をするそうですが、単純に割った場合に九百三十何カ所の保健所に一体何人行くのかということになるわけですからね。しかもいまの保健婦さんが、私の経歴から、行っていろいろ話をして聞いてみると、たとえば三歳児健診が始まってから保健婦の増員が全くないということですね。新生児の家庭訪問ということもやりたいと思っても全くやられない、今度地域センターとかなんとかいうことが項目に出ておりますけれども、一体この保健所の機能というものを、いま言った予防、健康管理を充実をするという見地からどうするのか。私は大ざっぱな言い方をしますけれども、保健所問題懇談会、ああいったところの議論もあるようですが、どうもあれは悪評さくさくたるものがある。といって、いまのままの保健所でもこれはどうにもならない。ですから、私が例に挙げた保健婦の充実なり、それから水質の検査、いろいろな予防、屎尿浄化槽の検査、そんなものに対応する人手がないわけですね、簡単に言えば。そこらのところを一体どういうふうに考えてみえるのか、これをひとつ簡単で結構ですから、お答えいただきたいと思います。

佐分利輝彦厚生省公衆衛生局長

○佐分利政府委員 現在保健所は八百三十九カ所ございますけれども、その能力はかなりまちまちでございます。先生がいま御指摘なさいましたような弱い保健所もございますけれども、一方においては、最近問題になってまいりました公害保健、環境保健等も担当いたしまして、住民の期待にこたえておる保健所も少なくないわけでございますが、特にただいま先生から提起されました保健所の問題でございますけれども、確かに都市型の保健所の保健婦はここ数年増員してまいりませんでした。来年は増員いたしていく予定でございますが、従来の傾向といたしましては、離島、山村、僻地、こういったところを担当する保健所の保健婦をふやしてきたわけでございます。しかし、今後はそういった郡部の保健婦を増員すると同時に、大都市等都会の保健婦の増員についてもできるだけの努力をいたしたいと考えております。また、公害担当の技術職員でございますが、これにつきましては、文部省ともいろいろ御相談をしておるのでございますが、現在大学の衛生工学の課程が少のうございますので、必要な人材が思うように得られないわけでございます。特に衛生工学につきましては、定員の一五%くらいしか充足していないということでございまして、まず出発点は養成、訓練の問題でございますので、今後も文部省と十分協力いたしまして、この問題の解決に全力を挙げてまいりたいと思っております。

田口一男日本社会党

○田口委員 時間がありませんのでそれ以上——あとでまた機会を改めてこの問題はやりたいと思います。  最後に、新年度予算では福祉施設の整備ということに相当ウエートを置かれておることは評価をしますけれども、問題になっております福祉施設の超過負担の問題についてお尋ねをします。  超過負担の問題については前々から言われておりますから私は細かい数字を挙げる必要はないと思うのですが、まず中身に入る前に、あれだけ騒がれた摂津訴訟というふうなこともあった今日、新年度予算においては超過負担はおおむね解消したと言い切れるかどうか、この辺のところをまずお答えいただきたい。

上村一厚生省児童家庭局長

○上村政府委員 いま御指摘のように、保育所というのは公立学校、公営住宅と並んで超過負担の最も大きいものの例に挙げられておるわけでございます。四十九年度におきましても、大蔵、自治、厚生三省で合同で調査いたしまして、それをもとにいたしまして四十九年度事業について年度途中で大幅な補正をしたわけでございます。  保育所について申し上げますと、当初に対してさらに二七・六%単価をアップいたしました。それで、五十年度におきましては、さらに四十九年度の補正後の単価に一応の見込みとしましては八・四%引き上げることになりますので、いま御指摘になりましたように、五十年度は保育所につきましては相当程度まで超過負担は解消すると考えておる次第でございます。

田口一男日本社会党

○田口委員 相当程度という言葉じりを拾うのじゃないのですけれども、完全に解消は無理だろう。  そこで、超過負担、超過負担と言うし、実際あるのですが、超過負担を生ずる原因ですね。原因を整理するとどういうところにあると思うのですか。

上村一厚生省児童家庭局長

○上村政府委員 普通超過負担と言われる場合に、三つの点が指摘される。一つは単価の差でございます。それからもう一つは、何と申しますか、対象差と申しますか、たとえば国の補助の対象にならない建物の部分があるとかなんとか、そういった対象差の問題。もう一つは、つくったけれども国庫負担がつかなかったという問題。まあ三つあるわけでございますが、一番超過負担の問題として指摘されておりますのは、最初の単価の差でございます。  その単価の差がどこで生じてくるかという問題でございますが、結局は当初予算に組んだ、たとえば一平米当たりの建築単価というのが年度途中の建築費の騰貴によってカバーし切れなくなるというのが普通生じてくる超過負担になるわけでございますが、さらに根っこには、ことに保育所の場合は従前から自治体の費用が非常に多うございまして、一定の予算の中でそういった需要に応ずるような方針をとってまいりますとどうしても一カ所当たりの補助額が少なくなってくる、そういう事情がなかったとは申せないと思います。

田口一男日本社会党

○田口委員 いま挙げられたこの超過負担を生ずる主な原因として三つ、たとえば単価の面は今日の物価上昇の中で後追い後追いというようなことになって、一概にすぐに埋めるということは技術的にむずかしいでしょう。しかし、それを実勢に合わすように努力をしてもらわなければならぬ。一番私どもがそれぞれの関係者からよく言われるのは、単価の超過負担ということもさることながら、対象差というのですか、最後、三つ目に挙げられましたね、認証とかなんとかいっておりましたけれども、認証差ということです。十要求をしたけれども、十のうちで六つしか認められなかった。ところが、自治体の長の言い分を聞けば、住民からどんどんどんどん要求がある、ポストの数ほどというところまでいかないにしても、そこで当然住民の要求にこたえるために、保育所を例にとれば十保育所をつくった、ところが、厚生省の方ではそのうち四つか五つしか補助の対象にしなかった、この辺の、認証差という言葉が当たるかどうか——認証差と言っておるのですが、この後の二つ、対象と認証が超過負担を生ずる大きな原因ではないか、単価はもちろんですが。ですから、特に最後の認証という問題について、いま言ったような実態から、そうべらぼうにポストの数ほどつくるという状態ではないのですから、いまの住民のニードにこたえて建てざるを得ないという実態を踏まえて、これはあかぬというふうにばっさり切るのはいかがなものか。これの解消ができて、ややこの超過負担についても問題の解決の糸口がつかめるのじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。

上村一厚生省児童家庭局長

○上村政府委員 非常にむずかしい問題でございますが、ただ私ども厳密な意味の超過負担といいます場合に、保育所をつくるのは一応それぞれの自治体の判断でおつくりになる。一方、国の保育所の施設を整備する補助金には私ども毎年相当額ふやしてまいっておりますけれども、限度がある。そうなってまいりますと、補助し得る施設と補助の対象にならない施設とが出てまいるわけでございまして、補助の対象にならなかった施設について国庫負担が行かなかったことはそのまま自治体の超過負担だというのは、その単価差の場合の超過負担の問題ほどと申しますか、国としての責任の程度は軽いのじゃないかというふうに考えるわけでございます。ただ、御指摘になりましたように、現在自治体からの保育所への需要というのは非常に高うございますので、私ども過去数年来保育所の整備については相当努力してまいりました。たとえば保育所についての国庫負担の額等について申し上げましても、四十五年度は約七億ぐらいでございましたけれども、その次の年には倍になり、それからその次の年にはさらに倍になり、四十九年度の見込みでは百三十億近くになる、そういうふうに努力をしてまいってきておるわけでございます。

田口一男日本社会党

○田口委員 これで終わりますけれども、いま言いました超過負担を生ずる原因について、確かに認証、最後に言った私が強調する認証差について見解の相違があるのですが、私はそれを満たせば単価の方はどうでもいいというのではなしに、単価の方もやってもらいたいわけです。それと二番目に言った数量差、対象差、この辺がなお問題になるのですね。それに入るといまの福祉施設の最低基準、こういったものからの洗い直しが必要になってまいりますから、きょうは時間がありませんからそれに触れることは一応やめますが、初めにお答えがあったように超過負担について一〇〇%だと腹をたたいて、これで解消できたという状態にないことは明らかですから、やはり鋭意検討を進めてもらいたい。このことを注文して、私の質問を終わります。

大野明自由民主党

○大野委員長 この際、午後一時三十分まで休憩いたします。     午後一時休憩      ————◇—————     午後一時三十二分開議

大野明自由民主党

○大野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続けます。寺前巖君。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 国民の福祉向上に向かって総力を挙げて努力をする、特に不公正の是正を目玉に掲げて新しい内閣が出発していると思うのですが、時間も余りないようですので、基本的に大臣に一、二の問題についてお伺いしたいと思います。  社会福祉の問題は、地方自治体にとっては中心的な、大きな仕事だというふうに言えると思います。積極的に地方自治体が老人や障害者に対して、交通機関の無料の運営を図ったり、あるいは医療の分野で言うならば、入院した場合にはいろいろな諸制度がありますが、医療の分野でいま大きな問題になるのは、いわゆる差額ベッド、付き添い料、こういう問題があるために、入院が非常に困難だという問題もあります。こういうことに対して、地方自治体として保険給付を上回るような部分の援助をやったり、あるいは老人ホームや保育所への入所に当たって、食費やおやつ代の国の基準を上積みするというようなことをやったり、あるいは生活保護世帯に対しても、低所得者に対して盆暮れに一時金を支給するというような問題なども、時には行われます。  自治体というのは、そういうふうに、みずから積極的に福祉についていろいろ心配をして施策を講ずるわけですが、私は、こういうような、自治体が福祉施策に対して積極的にやっている、こういう場合に、国として、それは注目に値するいい問題だという場合に、積極的にそれを取り上げて、それを奨励してやり、激励してやり、そして全国的な課題に広げてやるために助成制度をとっていくという立場をとらなければならないと思うのです。そういうふうな態度を私はとるべきだと思うのですが、基本的に大臣が、地方自治体で行われるこれらの福祉の活動に対して、どういう態度をとっていきたいとしておられるのか、まず姿勢をお伺いしたいと思います。

田中覚自由民主党

○田中国務大臣 地方公共団体で行う福祉事業、特に寺前さんのおっしゃるのは単独事業の問題じゃなかろうかと思われるわけですが、これについては、望ましい面もございますし、また反面、これについては、やはり地方行財政のバランスの問題あるいは施策のやり方等について、いろいろな問題があるものもあるだろうと思います。結構なものについては、国としてもこれを国の施策として取り上げることにはやぶさかでもございませんし、また従来もそのようなことをやってきたわけでございますが、地方公共団体がおやりになる福祉の単独事業すべてについて、これが一〇〇%結構であるというふうなことでこれを助成するということについては、若干の問題があるのではなかろうかというふうに思われます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 それでは私は具体的に聞いてみたいと思います。  地方自治体で、国が積極的に行わなかった前に、老人医療の無料という制度をかなり取り入れました。これは東北地方あたりで積極的にお年寄りの健康を守るという立場でやりたいというところから始まって、かなり全国的な問題になって、そして途中では東京都がその問題を取り上げたに当たって国との間にいろいろの問題もありました。それを乗り越えて、四十七年度の終わりになりましたか、四十八年の初めからでしたか、老人医療の無料というのが国の制度としても取り入れられるようになりました。私は、これは、そのことがいいことだから国の施策としてもやろうじゃないかというふうになったと思うのです。ところが、こういう施策が行われて、それではそういうことを国として四十七年度の途中から老人医療の実施をやるということになってくると、財政的にも援助をしなければならない課題に直面しました。それを臨時財政調整交付金として三十四億円の配分を行いました。これは四十八年の一月でしたか、行いました。その四十八年一月からこれを実施するに当たって、現実にこの臨時財政調整交付金を配分するということになったときに、現実的には実際上いろいろな措置が行われましたが、この臨時財政調整交付金は、早くからやっているところのそういう自治体に対しては財政援助を大幅に削減する、パー支給ではないという態度をとったということが当時大きな問題になりました。そういう通達が各地に出されました。この問題をめぐって、これは去年の四月の「国保実務」という雑誌ですか、その中にも、国保中央会の首尾木専務理事さんがこういうふうに述べておられます。「個々の自治体が一生懸命にやっているものに、結果的に水をさすというようなことは避けなければいけないのじゃないかと私は思います」という問題指摘をやっておられます。私もやはりそういうふうに思うのです。せっかく老人医療の無料化というのが国の施策として取り上げられたのに、そういうハンディを、早くからやってきているところに対して特別な扱いで削減をしていくということになったら、結果として水を差すことになるじゃないか。そういうようなやり方というのは、積極的に自治体がいいことをやっているのにもかかわらず、これをげっそりさせるという問題提起になっているのじゃないか。だから私は、現在行われている臨時財政調整交付金の配分のやり方というのは改める必要があると思うのですが、大臣、いかがなものでしょう。

北川力夫厚生省保険局長

○北川政府委員 ただいまの寺前委員のお話でございますが、具体的な問題といたしまして四十八年度の老人医療対策臨時調整補助金の三十四億円の問題が出たわけでございます。多少この辺は誤解をしていただいている点がないことはないような気がいたしますので、その辺の事情を申し上げておきます。  おっしゃるとおり、四十八年一月から全国一斉にこの制度を実施いたしまして、そのために、四十八年度の予算では、こういう新しい制度を全国一斉にやるということによる各市町村の財政上の一つの重圧というものはあるわけでございますので、そういう意味合いで、四十八年度のこの補助金は、いわば新制度実施に伴うショック緩和という意味の性格でございます。そういうことでございますので、特にこのショック緩和でございますけれども、国保のほうは老人も多くて財政の基盤も脆弱であるというふうなことでこういう措置が講ぜられたわけでございます。したがいまして、この補助金の配分にあたりましては、普通調整交付金の交付を受けております国保組合を対象といたしまして、財政調整の効果が出るように配分をしたわけでございます。  その内容はいろいろございますけれども、いまおっしゃいました事項との関連で申し上げますと、何分にもそういう性格のものでございますから、四十八年一月からは全国一斉の国の制度でございます。ただ、それよりも先発をいたしましたところがかなりあるわけでございますが、先発をいたしましたところは先発の期間に応じまして、その先発した分だけの財政的な余裕があったわけでございますから、その期間に応じて、そういう制度を先発したところによる一つの財政上の問題というのは、一定期間が過ぎれば吸収をされているであろう、こういう前提に立ちまして、早くからやっているところについては、何分にも限られた予算でございますから、最も効率的に配分することが望ましいわけで、そういう意味合いで、国の施策に先んじてやったところにつきまして、いま申し上げましたように、開始をいたしました期間に応じてその調整を行いまして、若干の減額をしたところ、そういうところもあるわけでございます。  こういったことは、いま申し上げましたような先発グループがやはり財政事情に弾力性があるということ、また、これは申し上げるまでもないことでございますけれども、定率の四〇%につきましては、その分についての、その先発による波及効果は、これは当然四〇%分として国庫補助に組み込まれているわけでございますから、そういったこともいろいろ考えまして、最も効率的な配分ということで、私どもは四十八年度のショック緩和という性格のこの臨時財政調整交付金につきましては、いま申し上げたような配分方式をとったわけでございます。ただし、四十九年度以降は、四十九年度、つまり本年度の臨時財政調整交付金というものはもはやそういう性格ではございません。でございますから、先生が後段におっしゃいましたような臨調の配分に当たっては今後もそういうことであるかとおっしゃいますとそうではありませんで、四十八年度の老人医療対策臨時調整補助金というものと四十九年度以降のいわゆる臨時財政調整交付金というものとは、その補助金の性格が全く違っております。そういう意味合いで、執行方法もおのずから違ってまいるわけでございます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 財政的な余裕云々というお話がございましたが、地方自治体が行政をやる場合にどこに重点を置くかというのはそれぞれの地方自治体の特徴だと思うのです。たとえば私はさっきも言ったように、東北地方からなぜ発生していくかというと、東北地方のやはり特殊性があった。それは老人に対するところのめんどうをどのように見ていくかということが非常に重要な位置づけがある。こういう問題は私は地方自治体の特徴だと思うのです。あるところでは子供さん方の問題を特別にめんどうを見ていくという施策がそこの自治体で特殊に発生するという問題も、私は地方自治体の特徴性としてあると思うのです。ですからそういうものを早くからやったからといって、そこには財政的に余裕があるのだというふうには単純に片づけられないのではないか。ですから私は、そういう意味でこまかい配分問題をここでいまさらとやかく言うわけではないのです。問題は、さっきも、首尾木さんがおっしゃったように、「結果的に水をさす」ようなことは避けるべきである、この態度をとってもらう必要があるのではないか。いまのお話を聞いておったら、四十九年度は臨調については配分は四十八年度のようにはしないとおっしゃるのだから、私はそれはそれでいいと思う。だけれども、基本姿勢として、結果として水を差すようなことになるようなことはやめなければいかぬ。そこで私は問題を次に移したいと思うのです、大臣。  四十九年度のいまの通達に対しては改めるということになりますが、五十年の一月二十日付でもって都道府県の民生部の主管課長に対して出された、今度は臨時調整交付金ではなくして普通の四〇%の方の調整交付金の指示文書があります。この指示文書を読むと、いろいろありますが、主に二つ上げてみたいと思うのです。「二歳児以上の乳幼児医療費無料化を行っている市町村を対象とすること。」二番目「老人医療費無料化の対象年齢を引き下げている場合の「一部負担金の全額を給付することとしていること」を「一部負担金に相当する額を給付することとしていること。」に改めること。」そして三番、四番といろいろ出てきますが、要するに、老人医療の無料化の年齢をせめて、国が六十五歳以上の人は検診するのだといっているのだから六十五歳まで下げるべきではないかというのは当然の意見として各自治体にあります。また、積極的にそれを取り上げているところもあります。それから乳幼児医療の無料化という問題も四十二県になりますか行われております。多くの自治体で積極的に取り上げられてきている。それは首尾木さんの言葉を使うならば、「乳幼児の給付率をよくしている保険者が全国にかなりある。小さな保険者でたとえば幼児死亡率が非常に高いということに着目して、とくに幼児に対する給付率を上げるということをかなり前からやっている所」もあります。自治体の特徴としてこれは考えねばならぬということで積極的にやっているわけです。ところが、そういう自治体に対するところの調整交付金の四十九年度の算定に関してのこの通達というのは、たとえば七十歳以下六十五歳以上めんどうを見ましょうという態度をとってきているところに対しては、やはり減額という調整交付金の基準をしているのではないか。あるいは幼児の積極的なそういう無料化という要求が出てきており、それを積極的にかなりの都道府県が取り上げてきている。この事態において、たとえば二歳以上に対してはそれは削減するのだというようなことになっていくと、臨時調整交付金の方のやり方は改めると言ったけれども、基本的なこの調整交付金の方においてやはり同じ姿勢があるじゃないか。私はこういう問題については、大臣もおっしゃったように、それは奨励してならないものにせよと言うのではない。具体的にここで老人医療の無料の問題、乳幼児医療の問題というのは国民的な願いになってかなりの自治体で積極的に取り上げている。これがけしからぬとおっしゃるのだったら、こうなるかもしらない。しかし私は少なくとも六十五歳以上は検診をやるということは、医療の無料というものが同時に検討されてこれはしかるべき課題じゃないか。あるいは乳幼児の医療の問題だって私は検討してしかるべき問題だと思う。ところが、それを積極的にやっていると、これは金に余裕があるのだから、そんなことはということで、普通調整交付金の方を打ち切るという態度に出てくるという問題については、あるいは削減するという態度をとるについては、これはどこから考えても理解に苦しむ。ほんとうに地方自治体を、よくやってくれているという立場に立つならば、厚生省の姿勢は私は改めなければならぬじゃないかと思うが、大臣、いかがでございましょう。

北川力夫厚生省保険局長

○北川政府委員 先ほどのお尋ねに関連いたしましていまのお尋ねもあったわけでございますけれども、一言だけつけ加えて申し上げておきます。  臨調につきましては、四十八年度と四十九年度とが根本的に性格が違うということでございます。したがいまして、四十九年度においては、改めたというのじゃなくて、これはまあ性格が違うのでございますから、当然その配分方式も改まってくるということでございます。  それから、ただいまおっしゃいました普通調整交付金の交付の方針でございまするけれども、基本的な考え方は、従来のとおり年間の医療費の中で保険料で負担をすべき額が保険料として徴収可能な額を上回る場合に、その差額を補てんする、そういう方式をとっているわけでございます。そういうことで、算定に当たりましては、四十八年度から、医療費の高い市町村に対しましては、交付すべき額を従来よりも手厚くする、そういう傾斜的な配分をとっているわけでございます。  いま言われましたこの年齢の引き下げの分でありますとか、あるいは乳幼児についての一定年齢までの上乗せの分でございますとか、こういう問題につきましては、先生の言われましたように、それなりの理屈もあろうかと思います。ただ、私どもは、この調整交付金というものを全国の市町村について最も公平に、全体のバランスを失しないように配分をしていく、こういうことを考えますと、やはり地方単独のそういう事業についてはどういう評価をすべきか、こういう問題が、先ほどの大臣が言われました問題にも関連をして、あると思うのであります。そういうことでございますので、そこのところの傾斜配分と申しますか調整配分と申しますか、こういうことは、私どもといたしましては、いま先生がおっしゃったような地方のそういう施策に水を差すというものではなくて、全体、全国の市町村について、限られた調整交付金というものをいかに公平を期して、いかにバランスを失しないように配分をするか、そういうことから考えるものでございまして、この問題を、総論としてこういう方針をごらんいただきますならば 決して地方自治の、いわゆる福祉に反するものではない、私どもはこのように考えております。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 大臣、私はもういま事務的に聞いているんじゃないのです。要するに地方自治体が積極的に——当初に大臣がおっしゃったように、悪いことだったら別に何も奨励することはないのです。いいことは積極的にやる。そこで私は具体的に聞いた。七十歳以上のお年寄りの医療を無料にしている。これを六十五歳にしたいということはいいことじゃないか、積極的な課題じゃないか。あるいは乳幼児の医療の問題について、それを積極的に取り上げたい、四十二にわたるところの県で取り上げてきている、この事態に対して積極的にこたえる。それをこういう形で来たならば、給果としてこれは水を差すことになるじゃないか。この姿勢は改めてみる必要があるのじゃないかという政治姿勢として、私は大臣にこの問題について最初の姿勢の問題を具体的に聞いてみたら、この問題について私はちょっと疑問に思います。だから、ここは改めてもらう必要があるのじゃないかと思うのだけれども、大臣の見解を聞きたいと思うのです。大臣にお聞きしたいこれが一つ。  それから第二番目に、国保の財政はどの自治体も非常に困難な事態にあります。ところで私は、零細な業者や農民などが主な対象になっている国保、この国保の給付の中で、労働者と比べてみて、これは検討を要するなという問題が幾つかあると思うのです。たとえば政管健保、政府が管掌しているところのあの健康保険においても、たとえば、働いている人が病気になって倒れた場合には、傷病手当金というのが出ます。これはそうだと思うのです。倒れたときにやはり六割の収入を保障してもらいながら健康を守っていくというのは、当然のこととして出てくると思う。ところが、零細な業者がもしも倒れたときには一体どうなるか。そこには、一定期間傷病手当をもらって、そうして生活を維持しながら健康の回復を図っていくという制度が、この最も零細な分野の諸君たちの中に、法律ではすることができるというふうになっていながら、何で積極的に国がそれは大事なことだと言ってめんどうを見ようとしないのか。一定の国庫の助成があってもしかるべきじゃないか。私は社会的な公正という問題から考えるならば、この零細な業者や、こういう農業に携わっている人たちに対して積極的に、労働者と同じように、いまの法律でもそのことを保障し得る体制があるんだから そのことをめんどうを見ましょうということを検討してもいいのじゃないか。あるいはまた、働いている人たちには出産の手当があります。あの出産の手当を見ても、日雇健康保険もあるいは政管の健康保険も全部あの手当を六万円にしてきている。何で国保に限って四万円にしているのか。赤ちゃんを産むのに、何で零細な人だったら四万円で済んで 労働者だったら六万円になるんだ。実際は十万円からかかってますよ。何で、本当に零細なこういう人たちの分野に対して、積極的にそういう分野は同じような水準に高めるという努力をされないのか。私は、社会的な公正ということを問題にされるならば、この傷病手当の問題といい、この出産手当という問題についても、検討し直していいのじゃないかというふうに思うのです。  これは私は事務的な話を聞こうというのじゃないんですから、政治姿勢の問題として大臣の所信をお伺いしたいと思うのです。

田中覚自由民主党

○田中国務大臣 二つの御質問がございました。一つの、医療の無料化について国の水準以上のものを単独事業で給付した場合の問題でございますが、これはもう私冒頭申し上げましたが、地方公共団体が単独で福祉政策を推進することについては、いろいろな問題があって、すべて結構であると言い切れないということを申し上げましたのは、実はこういったような点が多少問題があるからであります。この種のものは、国の制度以上のものをやっておるのですが、根っこからこれを地方公共団体が施策としてやっているわけではございませんで、保険の自己負担分について地方公共団体が見るという施策をとっているわけであります。したがいまして、これは国の経営しているあるいは市町村の経営している保険についてあおりがないとは言い切れないわけであります。極端に申せば、要するに受診率のアップということは、これはもう否むべくもないものでございますので、したがいまして、こういったような、国の施策に継ぎ足した施策というものについて、地方単独の施策について一体すべてこれを認め、これをまた助長していくということについては、いささかの問題があろうというふうに思われますし、各地方公共団体間におきましても、いろいろとこうしたことについてのアンバランスの問題等も起こりますものですから、私は、こういったような制度についてはできる限り国の施策の水準においてやっていただくほうが公平であるというふうに思われるわけであります。まあそういうわけで、地方公共団体のやられる単独事業についても、ケース・バイ・ケースだと申したのはまさしくこういうことであります。  国保における傷手あるいは出産手当につきましては、これはどうも率直に申しまして財政上の問題が大きな問題というか、判断の要素にあったものというふうに私は思いますが、これについてのいろいろなことにつきましては、詳細は保険局長から答弁をいたさせます。

北川力夫厚生省保険局長

○北川政府委員 傷病手当金制度については、いま先生おっしゃったとおり、これは任意の給付でございます。それで現在の状況を申し上げますと、直近の状況で昨年の四月一日現在で、これをやっておりますのは国保組合でございますから、大体国保組合の六〇%に相当する百十三の組合で実施をされております。それで、これを市町村を含めて全部の保険者に義務づけることはどうかということでございますけれども、やはり国保の保険者の中には財政基盤が非常に弱いものもございますし、仮に一挙にこういった制度を全部の保険者に義務づけるといたしますると、相当な保険料負担というふうなことも生じてまいりますし、また義務制度にいたしましても、そういう事情から申しまして全部の保険者がついていけるかどう非常に疑問に思っているような現状であります。また技術的な問題から検討いたしますと、いまお話に出ました現行健康保険法等の傷病手当金は標準報酬というものを基礎にして算定されておりますが、国保の場合には農業とかあるいは自営業者とかいうふうなものが非常に多くて、どういうような技術的な方法をとるかという問題もございまして、この傷病手当金の制度を全部の保険者について義務的な実施をさせるということについては、現段階においてはなお検討を要する問題ではないかとわれわれは思っております。  それから助産費の問題でございますけれども、これは四十八年の健保の改正と見合って国保の方も逐次上げていくというような形をとっておりまして、昨四十九年は従来の一万円から二万円というふうに上げたわけでございますけれども、五十年度、いま御審議をお願い申し上げております予算案におきましては、これを四万円まで上げるというようなことでやっておりまして、健保並みにするという、そういう気持ち、方針は持っているのでございますが、やはり財政的な問題があって、そういうことを仮に踏み切りましてもなかなかに全体がついてこれない。そういう事情を考えますと、やはり漸次段階を追ってこの制度は強化をしていく、この方が適当ではないか、そのための実施体制の整備をはかっていく、こういうことで、その辺には一般の健康保険とは若干の格差がついておる現状については御理解をお願い申し上げたいと思います。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 お約束の時間が参っておりますので質問が続けられないのが残念ですけれども、私は大臣に、せっかく社会的な公正という旗を掲げる以上は、現に起こっているそういう不公正についてメスを入れなかったら、言葉だけあって中身はないということになってしまうじゃないか。私が心配なのはそこです。それだったらちっとも変わらない。だからさっき言った問題だって、国の制度としてあそこまでやっているけれども、六十五歳からせめてやりたいというのは何も不当なことではない。特別にそのことをおやりになったところを、調整金から削除するという問題については、その施策が特別にむちゃくちゃなものだというならば話は別。何でそのようなことをされるのか。乳幼児の医療の問題だってそう。私は、これは何も不当な話だというふうには思わない。だからそういうことをやるところに対して、特別に調整金の削除をやるということは、削除するという方がむしろ不当だ。自治体の積極性というのは、それははみ出た積極性ではない。むしろ国の方がおくれておるということで、これはぼくは本当に検討し直してもらわなければならない性格だと思うのですよ。  それからもう一つのこの傷病手当の問題でも、ここに参加している人たちが零細な業者である、農民であるということを考えたら、働いている労働者以上にこの問題の分野というのはやはり特別な施策を必要とする分野だろう。だから特別な施策というのは国がよほどのめんどうを見て、そうして積極的にそのことを、国保財政が弱ければめんどう見てでも支えてやる。これもやはり私は特別に対策を打って、見なければならないという検討事項だと思うのですよ。そうでなければ、決して積極的に不公正の是正を取り上げようということにはならないと思うのですが、大臣、もう一度御検討いただく必要があるんじゃないでしょうか。最後にそのことをお聞きして私は終わりたいと思うのです。

田中覚自由民主党

○田中国務大臣 私は、医療の無料化制度というものについては、いま少しく国も地方公共団体も掘り下げた施策が必要であるというふうに思っているわけであります。あるグループに属するから、ある年齢層であるからすべて無料にしてよろしいか、あるいは本人負担がたえ切れない状況になることを救済するのがいいのか、どっちが一体施策として緊急度があるのかといったようなことを考える場合、私は、安易な医療の無料化よりも、いわゆる難病とか高額医療という方向でこの問題にとりあえず対処する方がよろしいだろう。なるほど施策としてはじみであり、大向こうをうならせるというような効果は少ないと思いますが、こうしたじみな態度でもってこの問題に臨む方が、私はとりあえずのところ賢明であろうというふうに思っているわけでありまして、いわんや国のやっている施策について、これをグルントにして、根っこにしてやる制度については、私は相当にお考えになっていただきたいものであるというふうに実は思っているわけであります。  第二の国保における傷手、出産手当等の問題につきましては、今日被保険者層が相当に実は脆弱な方々が多いのでございまして、従って、現在法定されているような医療給付でさえがなかなか思うようにいかず、相当の臨調等をこの際計上をしてやっとの思いでやっているわけでございまして、これ以上の保険料の負担もなかなかむずかしいということを考えるときに、この方面については、保険局長が申しましたとおり、給付の金額の策定等は技術的に多少めんどうだといたしましても、私はこれが制度化をし、そして一般的になっていくことについては決して否定的な態度をとりませんけれども、今日実際問題として、普通のいわゆる医療給付でさえがなかなか困難であるということを踏まえるときに、そしてこれについての保険料の増額がこれ以上なかなか容易なことではない、国庫補助についてもかなりいろいろ御批判がありますが、私どもとしては最大の努力を払ってやっとここまできて、ここまでの計上をしたということを踏まえるときに、今日これをすぐに取り上げることについては、何としても私としてはやりたいのですが、そう簡単なものでないということを率直に申し上げておきたいと思います。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 終わります。

竹内黎一自由民主党

○竹内(黎)委員長代理 石母田君。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 きわめて短い時間ですので、答弁も簡単にしていただきたいと思います。  所信表明に関連しながら、主として私はきよう保育所問題を中心にしながら、厚生省あるいは政府の社会福祉の姿勢について質問したいと思います。  先ほどの所信表明の中にも、特に社会福祉施設に働く職員については、増員や給与の改善等については格段の配慮をしたというふうに言っているわけであります。言うはやすくして行うはかたしということわざのとおり、やはりこれは一体厚生省の今度の予算にどのようにあらわれているかということから見る必要があると思います。  特に、この保育所の現状につきましては、つい先ごろこの国会にも請願、陳情が参りまして、そこでは単にそこに働く職員だけではなくて、その保育園を経営している人々が先頭になって何百、何千人とこの国会を訪れたわけです。そしてそのプラカードは、労働基準法を守れるような保育所にしてくれ、こういうスローガンであるわけであります。労働省が昨年の四月に発表した「社会福祉施設に対する監督指導結果の概要」によりますと、何らかの法違反、労働基準法、労働安全衛生法及び最低賃金法に関する法違反が認められた施設は、何と監督を実施した数の七九・四%、八〇%近い状況にあるわけでありますから、こうした要求スローガンが出てくるのは当然のことだと思っております。  こうした問題について、大臣は、一体これは労働基準法違反ということで徹底的に取り締まるというような方向で行くのか、こうした状況にあるものを、この所信表明にあるように改善するという方向に、実際にその方向で解決しようとしているのか、もう一度はっきりとお答え願いたいと思います。——大臣でいいです、これは細かいことじゃないから。

田中覚自由民主党

○田中国務大臣 社会福祉職員についての労働過重の問題でございますが、これにつきましては、このような状態を続けていくことは決していいことではないというふうに私は思っておりますので、これについては午前中に島本委員に御説明を申し上げましたとおり、私は非常な意欲を持って予算折衝に臨んだわけであります。  しかし、何分にも相当の人員増を図らなければならぬということでございまして、したがって、まあ人の問題もありますし、予算上の制約もございましたものですから、五十年度と五十一年度の二年間にこれの完全解消を図るという取り決めを財政当局といたしました。まあこれは委員会ですから、社労ですから、率直に私申し上げますが、これについては実は相当ごたごたがございました。率直に申しますと、一番最初に大蔵省から内示をしてきたものは、三年計画でどうだ、こういうことでございましたが、私は、自分としてどう考えても三年もこのような状態を続けていくことは絶対によくないと思いましたものですから、かなり強引な折衝をいたしまして、結局二年ということになりました。私自身としては、率直に申すと若干不本意でございましたが、人の確保の問題等もあるということでございましたから、これについてはそのような妥協をいたしました。これについていろいろと一つ一つの問題があろうと思いますが、こうしたふうな方向でこの問題を解消していこうという方が実際的だと思います。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 実情の一つを少し述べたいと思うのです。私の住む横浜に久良岐保育園という社会福祉法人の園がございます。この中で最近、次々と保母の病人が発生いたしまして、きわめて経営上も困難な状況になりまして、経営者も非常に困難な状況を来たすということで、経営者と保母が一体となり、また父兄も一緒になりまして市の方その他に陳情などを出しております。  この実態の一端を申し述べますと、百九十五人のところに十八名の保母がおりますけれども、この診断の結果、十八名の保母のうち頸肩腕障害が五名、要観察二名、異常なしとされたのが十一名です。そして一般検査では貧血症五名、消化器障害三名、肝機能障害四名、異常なしとされたのがわずか六名です。つまり健康体ということになれば全体の三分の一にすぎない、こういう状況であります。そしてこの頸肩腕障害の五名のうち昨年の十月三名が職業病として認定され、二名がいま申請中でありまして、最近一名がさらに認定されまして、あとの一名が通院するというような状況になっておりますけれども、一カ月の休業に入ったわけです。こういうところで、とても病気した場合の要員というものがないものですから、そのやりくりに非常に困って、そうしてとうとう経営者が再三市にも行ったりあっちに行ったりしましたけれども、できなくて、ついに自腹を切って一名置いておるという現状であります。  こういう中で、こうした問題というのは公立の保育所、民間を問わずありますけれども、特に民間の保育所についてこういうケースが非常に多いわけです。こうした問題で、先ほど大臣も触れましたこの予算の中で、この病欠の要員として一億七千万ですかと五千五百十人、日数七十日ということで、厚生省としては病気になったときは保母の代替要員を出した。ところが結果としては、大蔵省の査定はゼロということですね。こういう問題は一体どういうふうにして起きるのか。あなたたちの要求というのは、初めからもうだめだということで山をかけて、ましてうるさいから、ある程度こうした態度、ポーズを見せて出したものなのか、本当にこういうものは必要だという実態の上に立って出したものなのか、厚生省としての態度というものを簡単にお話し願いたいと思うのです。

上村一厚生省児童家庭局長

○上村政府委員 保育所に限らず、ことに心身障害児施設等で腰痛症の発生等がございますので、何とか病休代替の職員が確保できるような措置を講じたいということで要求したわけでございます。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 それがゼロになっておるのだよ。そういうことは同じ政府部内の中でそれほど真剣に出したものが、これはここに大蔵省がいないからどういうことになるか知らぬけれども、厚生省としては、これをどうしても通すということで、いま言ったような実態の中から出したのでしょう。これがゼロということはどういうことなのか、大臣。

上村一厚生省児童家庭局長

○上村政府委員 けさ方もお答えしましたけれども、いろいろ予算折衝の中で問題になりましたのは、産休代替の場合と違いまして、病気の始期なり終期というものがなかなか確定しにくいという問題もございましたり それから施設の病気休暇の状況が、こう申してはおしかりを受けるかもわかりませんけれども 十分把握し切れなかったという点もございましたし それから病気休暇の中で特に労災が適用になる傷病との関係をどう調整するかとか、他の病院、教職員等々との関係もあって見送らざるを得なかったわけでございますけれども、五十年度の予算では、社会福祉施設の運営の実態を調査する経費を組んでおりますので、その中で病気休暇の実態の調査を行い、この病気休暇の代替をどうするか、引き続いて真剣に取り組んでまいりたいと思います。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 これも大臣触れたけれども、過密労働を緩和するための休憩要員七千百七十九人も、これも要求に対して認められたのは約三分の一の二千三百九十三人ですね。こういう実態に基づいて出された要求が大蔵省の査定によってゼロあるいは大幅に削られる。これは厚生省としてはある程度実態の上に立って、これは必要だというふうに出して要求する。これは一体今後どうするのか、この方向の実現のために奮闘するのか、あきらめちゃってやめちゃうのか、この点について大臣の決意を——あなたはいいから、大臣の決意を聞いておるんだから。

田中覚自由民主党

○田中国務大臣 いまの問題は厚生省、厚生大臣としてはぜひ解決をする所存でございまして、今年度予算に実現をしなかったものについては、五十一年度予算をめぐって実現いたしたい。特に労働過重の問題については、二カ年間で解消をするという約束が財政当局とできておりますので、この実行は確実にこれをやるつもりであります。  なお、病気代替の問題ですが、いま児童家庭局長がいろいろ技術上の問題を申しましたが、もっと率直に申すならば、その措置費の中身の要求がかなり過大でございまして、必要があったから要求したのですが、さて、あの例の六%の給与アップ、これはかなりの金を食いまして、それと、いまの労働過重解消というのといろいろ出しておりましたものですから、財政当局とのいろいろなやりとりのうちに、大変気持ちがよくなかったのですけれども、この点については、まあ妥協しておりざるを得なかったということでございますが、初志は必ず貫徹するつもりで今後対処してまいる所存でございます。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 それから、労働省の方が見えていると思います。  この頸肩腕障害が、やはりこの保母さんの業務の中でどうしても出がちであるということで、この久良岐園でもこうした実態があるわけですけれども、これが、この業務上に起因するという認定がむずかしいというような状況もあって、かなり申請あるいはそうしたものの中に、認定ということになるとなかなかできない。そうして、特にその認定する期間が長いために、通院その他で多くの障害を、保母さん自身だけでなくて、また経営の方にも影響する、こういう実態にあるわけですが、この久良岐保育園の場合でも、現在、なった人を見ても大体三カ月間かかっているのですね。こういうことを促進させるという点での何かの処置はできないのかどうかですね、この点について質問したいと思います。

山口全労働省労働基準局補償課長

○山口説明員 頸肩腕の認定基準につきましては、先生のお話しのような点もございまして、一昨年の四月から、現行認定基準の改定について、専門家を通じて検討をお願いしてきたわけでございます。一月の末に専門家会議の報告をいただきまして、現行の基準については、相当な部分について改定を行ったわけで、そういう意味合いからいきますと、かなり認定はしやすくなった。したがって、認定の期間もかなり短縮されるものと思っております。  ただ、いまお話しの保母等につきましては、一般に手指作業ないし上肢作業と申しますか、手指、前腕、上腕、こういう作業を中心に認定基準ができておりますので、保母さんの場合に、必ずしも上肢作業と見られないという面もございまして、なお問題を残しております。現行の認定基準改定に際しまして、いろいろ検討をお願いしましたが、さらに医学的に検討を要する部分が多いということで、必ずしも解決されておりません。  そこで、具体的な認定に当たっては、保母さんの実務あるいは労働の負荷、こういうものの実態を判断してすみやかに決定をするように こういうことを認定基準の通達とあわせて今回指示してございます。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 この二月五日、労働省の労働基準局長の各都道府県の労働基準局長あての通達は、「キーパンチャー等上肢作業にもとづく疾病の業務上外の認定基準について」ということだけれども、これはいま言ったようなことで、保母さんの認定基準を緩和する方向に運用される内容のものですか。

山口全労働省労働基準局補償課長

○山口説明員 その認定基準は、ただいま申し上げましたように、上肢作業を中心につくられておりますので、それから直ちに保母の認定というわけにはまいりませんが、そういった医学的な問題があるということを、実は、昨日、一昨日と全国の労災課長を集めまして、その通達の運用について指示しております。その際に、保母さんについては、とかく問題があるので、その運用に当たっては、よく実務を見て、労働の負荷を見ながら、個別に判断していくようにという指示をしておりますので、その通達自体から出ませんが、通達の運用に絡んで、地方の課長に十分指示しているという意味のことを申し上げたわけでございます。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 私は、大臣にお願いしたいのだけれども、きょう労働省にいろいろ聞いてみると、業種別の、たとえば保母さんなら保母さんの頸肩腕障害が、一体、どのくらい申請があって、どのくらい認定があった、こういうような調査はないわけですね、これは全体として。  そこで、厚生省として、この社会福祉施設の問題で実態調査をやるという中で、この病欠やあるいは休憩要員なんかでもそうなんですけれども、これを実現する上で、やはりこの保母さんの、特に民間施設など重要ですけれども、そういうところにおける調査ですね、実態をしっかりつかんでみる必要があると思うのです。それで、まあ専門家といっても、お医者さんだけの判断では、これはやはりなかなかつかないものなんです。ですから、この業務上に起因するかどうかというようなものも含めて、一体、どのような作業をしているのか、あるいはどういう病名の病気が出ているのか、それから、その病気がどういう原因で発生しているのかというようなことも含めて、やはりきちんと実態の調査をしてもらいたいと思うのです。そうして、その上に立って、こういう認定の基準であるとか、あるいは病欠や休憩の要員がどのくらい必要なのかというような問題も出してもらいたい。こういう点で、全国的な実態調査の中に、この保母さんの問題の中ではそうした問題も含めてぜひ調査していただきたい、こういうふうに思います。

上村一厚生省児童家庭局長

○上村政府委員 先ほど申し上げましたように、五十年度に社会福祉施設の実態調査をするわけでございますが、当然、調査技術に限度がございますので、どの程度まで調べ得ますか、これから検討してみなければわからない問題でございますけれども、どういった病気があるかというふうなことまでは調べてみたい、原因まで調べるということは非常にむずかしいと思います。  それからなお、私どもで調べた限りでは、保育所の場合の頸肩腕障害というのは、昨年調べますと、全国で二十名ぐらい労災の認定があったというふうな数字がございます。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 そういうことを言うと、それがあたかも、そういうものはうんと少ないかに見える。冗談じゃない、していないのだよ。いま言ったように、専門家がその業務上に起因するかどうかわからぬという判断が、それは一概に重症障害者とは違うんだ、こういう専門家の問題で認定ができないんだよ。だから、腰痛症はうんと多いでしょう。あなたはそんなことを知っていて言っているのかどうかわからぬけれども、実態ではうんと申請している人は多いんだよ。ところが、実際にその認定をするとなると、いろいろないままでの見解のあれがあって、だから私は、実態調査をしてやりなさい、保母さんが一般的にこういう作業が多いとか少ないとかいうようなことは実態を見なければわからぬのだから、現実にこういう問題が起きてああやってたくさんの方々が国会に見えるわけだから、その声を本当に行政の中に生かす立場で見るのか、認定者はわずか二十人しかない——なぜ二十人しかないか調べてあるか。いまの病気の原因でもそうです。横浜市などはいま病気の基準で、どういう作業をやっているかというようなことも、実態調査をやろうとしているのですよ。こんなことを自治体でもやれるんだから、あるいは自治体を通じてやったっていいんだから、国として、病気になります、それはどのような原因でなるかというんで、それだったら何のために、病欠要員だとかそういうものだとか、いまの認定問題で起きている問題を解決するという立場でやらぬのか。そんなことは、どういう意味で二十名しかいないなんという言葉を言うのかわからぬけれども、とにかく大臣だな、あなたはもういい。常々交渉して知っているから、大臣、新しいところで、いま言ったような問題で、実態調査の中で、すぐできるとかできないとかいうようなことをここで言うんじゃなくて、ああいうことを言っているけれども、あなたの指導として、そういう保母さんの実態も含めて、全国的な社会福祉施設の労働者の実態調査をやるということを要望したいと思いますが、大臣の答弁をお願いしたいと思います。

田中覚自由民主党

○田中国務大臣 福祉施設職員の職業病については、世間でこのごろ相当問題になっております。したがいまして、ことしのこの実態調査でどこまでやることができるかは、私は具体的な問題としてよくわかりませんけれども、こういったような福祉施設職員の職業病については、もっと掘り下げた調査を厚生省としていたすべきものであるというふうに思っておりますし、その必要に迫られているというふうに思います。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 それから、この病欠や休憩というようなものは、そうした場合の要員ということでございますけれども、問題は、やはり定数問題なんですね。保母の定数問題が非常に無理があるんで、そうした余裕がないというようなことが、実際の根源であるわけです。こうした最低基準に示す定数の問題の改定を、これはもうかなり強い要求として出ていることは、あなたたちも承知のとおりだと思います。そういう点で、昨年は、あの三歳以上二十五対一か、何かで出したことはあるけれども、そういうことで、何か定数を改定しなければならぬというようなことには問題意識はあるらしいんだけれども、ことしは、これは全然出さなかったのは、一体、定数改定の必要がないというふうに見ているのかどうかですね、これも聞きたいと思います。

上村一厚生省児童家庭局長

○上村政府委員 五十年度予算の要求の場合に、福祉施設の職員増員の一番ポイントにいたしましたのは、先ほど来お話が出ておりますように、労働条件の改善、保育所の場合には保母さん方が休憩時間が確保できるようにしたい、それに一番ポイントを置きまして、そのための増員要求をしたわけでございます。それに、先ほどの大臣のお話じゃございませんけれども、そういった労働条件の改善のための保母の増員に一番重点を置き、またそれが相当数に上りますものですから、予算要求の額としても相当高い額になった、そういうことでございます。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 どうもあなたの答弁は……。大臣に聞きたい。私が言っているのは、定数の改定、これをしなくてもいいのかどうか、そういうことで、これは一九六一年の国際公教育会議、ユネスコ国際教育局の主催した会議の中で各国の文部省に勧告している文章があるのですが、この中で、「就学前教育では一教師当たり子供たちの数は小学校一学級の児童数より少なくしなければならない。現段階では標準的な数は教師一人当たり二十五人を超えないようにすることが望ましい」ということで、御承知のように四歳−五歳、いま三十対一であります。そういうようなことで、昨年二十五対一というようなことでやったのかどうか知りませんけれども、そういう国際的な水準から見て、これは十何年前の話ですから、当然定数の改定というような問題もしていかなくてはならないというふうに思うわけです。  そういうことで、私、いま時間がありませんので、定数の改善であるとかあるいは設備の改善であるとかそうした最低基準について、中央児童福祉審議会がいわゆる昨年の十一・二八答申において、現行の保育所の最低基準は必ずしも十分とは考えられない、そういうことで保母の定数、設備基準の改善など含めて「保育所の最低基準の内容、程度は、一般社会における経済、文化の発展に対応して当然改善されるべきものである。」というような答申が出ておりますので、この答申の方向に沿って最低基準の見直し、改善の意思があるかどうかということについて、最後に答弁していただきたいと思います。

田中覚自由民主党

○田中国務大臣 定数問題については、かねがね中央児童福祉審議会の答申を得まして——私、記憶がはっきりしませんが、過去においてはかなり具体的に何対何というかっこうで出たことがありまして、これ等につきましては、私、厚生大臣になる前でございますが、国会議員時代に、いま委員長席におられる竹内君などと一緒になってずいぶんといままでやってきたわけでございます。あのようにはっきりしたものについてはほぼ解決をしたわけでございますが、昨年の定数問題につきましては、抽象的なコメントであるようでございますので、これをひとつ具体的な計数におろしてまた解決をしていきたいと思いますが、率直なところ、ことし、来年は例の労働過重軽減というところに力点を置いて解決しなければならぬと思いますので、その方向とどう兼ね合わせていくかということにつきましては、若干私としては今日心配をしているところでございます。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 最低基準の見直しについては。定数だけじゃなくて設備のほうがまだ。

上村一厚生省児童家庭局長

○上村政府委員 保育所と限りませず、児童福祉施設の設備の最低基準につきましては、審議会の御意見もございますので、私どもも問題意識を持って検討してまいりたい、このように思います。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 これで質問を終わりますけれども、きょうの短い討議を通じまして、厚生省の予算の中でも保育所関係についてかなり大幅な削減あるいは査定ゼロという驚くべき事態が発生している。一方においては一兆三千億円の軍事費が四十九年度に比べて二千三百億円、約二一・四%という自衛隊発足以来の伸びであります。特に六〇式自走無反動砲など、いわゆる復活要求で一〇〇%ああいう兵器が認められていくというような事態の生ずる中で、いわゆる社会福祉厚生予算というものが大幅に削られていく、あるいはこっちにちょっとつけると片方を削らざるを得ない、こういうことは、私は、三木内閣、自民党内閣の福祉厚生予算に対する根本的な態度を示している、そういう枠内での復活要求であるというふうに考えております。そういう点でぜひ大臣に、今後こうした問題の中で国民の福祉の声を反映させるということで徹底的に闘ってもらうということを要望して、私の質問を終わります。

田中覚自由民主党

○田中国務大臣 社会福祉については、今後とも意欲的にこれを充実するように努力をいたしますが、ただいまの石母田さんの所説の中に、防衛庁予算の部分的なマクロについてのコメントがございましたが、防衛庁は実は当省と比較をいたしまして予算査定はかなりきびしかったようでございまして、マクロで見まする場合、厚生省予算があの庁の予算よりも落ちるというような傾向は、私は一概には言えないだろうと思います。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 発言があったから反論しておくけれども、論戦はこれでやめるけれども、あなた自身もやはり三木内閣の一人にしかすぎないということをはっきり示しているだけの話であって、大企業本位の軍事予算の中での厚生予算にしかすぎないわけです。三十何%と言ったって当然増がほとんど大部分であるという状況の中では、私はこれ以上の論戦はしないけれども、このことの決着はあとでまたつけたいと思います。  以上終わります。

竹内黎一自由民主党

○竹内(黎)委員長代理 岡本富夫君。

岡本富夫公明党

○岡本委員 きょうは本国会一番最初の社労委員会でありますので、大臣の所信表明に対する質問を若干行います。そのあとワクチンの問題を質問したいと思います。  そこで、大臣の所信表明の中に、「第一に、社会福祉の充実であります。特に老人、心身障害者、母子世帯、生活保護世帯等社会的経済的に恵まれない人々の所得保障には最重点の配慮をいたしております。」こういうようにおっしゃいまして、老齢福祉年金を月額七千五百円から一万二千円に引き上げた、これについて相当大幅な改善を図ったということでありますけれども、大臣、この一万二千円で老後、生活できるということをお考えなのですか、その点。

田中覚自由民主党

○田中国務大臣 もともと福祉年金というものについての性格がいろいろと国民の間に微妙に変わってきているということは、これは国会議員なら皆感ずることだろうと思います。  最初福祉年金というのは昭和三十六年に千円から始まったわけでありまして、あの節千円支給されたときでも、あれはあれなりに喜ばれたものですが、その後、おっしゃるような声が国民の間に出てきたわけで、微妙な変化が実はこれについてあるわけであります。したがいまして、私どもは、福祉年金が例の経過的、補完的年金としてこれで食べていかれる年金であるということについては、国の施策として定着をしていないわけでございますが、できるだけのことをいたそうというわけで実は一万二千円にしたわけでありまして、これで食べていけるものだというふうには思っておりません。

岡本富夫公明党

○岡本委員 そうしますと、社会保障の充実を十分にやったとおっしゃいますけれども、これで食べていけない。あなたは予算委員会で、たしかこれ以上は財政方式——いまこれは積み立て方式ですね。積み立て方式の中で一万二千円になった。この方式を若干修正賦課方式というように変えなければならぬというような発言があったように私横で聞いていて思ったのですけれども、財政方式につきましては、あなたは今後も積み立て方式でやっていくつもりなのか、賦課方式を加味するつもりなのか、この点をひとつお聞きしておきたいと思います。

田中覚自由民主党

○田中国務大臣 福祉年金は実は一般会計でやっているわけであります。言うなれば生の国民の税金で支給をしているわけであります。御案内のとおり、これを一万円支給するためには六千億かかるということでございますので、相当の金額が、予算が必要だということで、したがって、さっきあなたのおっしゃるような国民の要望もございますので、いろいろ考えてみるときに、福祉年金だからといって一般会計方式による場合にはもうこれ以上大したことはできないだろうということを感じましたものですから、この際財政方式を含めて改善をいたしたいということであります。  財政方式にもいろいろなものがあろうと思います。完全積み立て方式から完全賦課方式に至るまでの間にいろいろなものがございまして、そのどれをとるかということについては今日まだ確定はいたしておりませんが、少なくとも今日の修正積み立て方式は余りにも修正率が高く、今日あのままでやっておったんでは年金の財政そのものとしても不健全であり、また、こうしたすでにもう老齢化したところの福祉年金受給者にも御満足を与えることができないということを踏まえるときに、財政方式はこれを変更していくということについてはやらざるを得ないというふうに思っております。具体的な方式につきましては、まだはっきりしたことは出ておりません。

岡本富夫公明党

○岡本委員 まだはっきりした方式が出てないというわけでありますけれども、大臣の心構えとして、これは私どもが要求しているように積み立て方式から賦課方式に変えていこうと、こういう考えなのか、この点をひとつ……。

田中覚自由民主党

○田中国務大臣 いまの修正積み立て方式をこれ以上修正率を高くするということはもう困難だ、これは不健全だということにもなりますので、これを変えていくというと、おのずからあなたのおっしゃるいわゆる賦課方式に近いものにだんだんとなっていくことになるだろうと思います。  ただ、ここで賦課方式というものは一体何であるかということをお互いにこれは考えてみなければならぬと思うのであります。完全な賦課方式、あるいは言葉の意味は学者等がとっているあの修正賦課方式というものはちょっと違うのですが、われわれがいわゆる修正賦課方式というものを取り入れるのか、一体どの範囲にどういうプロセスでどういう時期に、そして積立金の扱いをどうして、いろんなむずかしい問題がありまして、しかもこれについてのコンビネーション方式というものがあろうと思われますものですから、したがってこれについて一概に賦課方式をとると、こういうふうに言いますると、いろいろと誤解を生ずるおそれがあると思いますので、私あえて細かく申し上げましたが、何がしかのかっこうで賦課方式にアプローチしていくということについては、私、今後のやり方としては間違いのないオリエンテーションだということだけは言えるんじゃないかと思います。

岡本富夫公明党

○岡本委員 たしか予算委員会であなたは一万二千円ではだめだと、まあ二万円は考えておるんだというようなお話がありましたから、そういう答弁がありましたから、だからそれをするにはいままでの積み立て方式ではもうどうもならない、したがって賦課方式をとらなければならない、こういうふうに私は判断したのですが、やはり大臣、あなたがそういうように二万円出さなければいかぬ、あるいはまたこの二万円だけじゃぐあい悪い、三万円ぐらい出さなければいかぬと、いろいろ議論がある。その中には、じゃそのお金の出どころ、いままでのように積み立て方式ですとこれは出てこないに決まっていますよね。ですから、賦課方式をやはり含めて検討しなければこれはできない。これははっきりしておるわけです。ですから、もう一つ、いま言うようにはっきりしない答弁なんですね。じゃ賦課方式も加味してやります、こういうふうにはっきり言いなさいよ、そうしたらはっきりするのだから。

田中覚自由民主党

○田中国務大臣 私、いろいろ世間に誤解を招くことを心配していろいろな表現をとっているわけでございまして、賦課方式というと、完全な賦課方式ということになりますとこれはどえらいことに実はなってしまうということを知っているものですから、私いろいろなことを申したわけですが、決して一般会計方式によってもこれ以上の福祉年金の支給が絶対困難だというわけではないが、まあ限度があるということから考えますと、やはりある意味での賦課方式というものにある程度踏み込んでいくことによって、この前予算委員会で御答弁申し上げましたとおりの給付が可能になるというふうに思われます。端的に申して、あなたの欲している答弁、つまり一部賦課方式を導入するであろうというふうに申せというならば、それで結構でございます。

岡本富夫公明党

○岡本委員 答えだけしてもらっても、後やってもらわなければ何にもならぬですけれどもね。だから、これは賦課方式を加味してやるというように答えたと議事録にとどめてもらいます。  次に、この所信演説で、老齢福祉年金を一万二千円にした、これは非常に大幅な改善を図ったというような文面でありますけれども、これはあなた、前の田中内閣のときに、四十八年二月に、五十年度には月一万円を公約しているわけです。ですから、そのころから考えますと、物価の上昇分を引きますと、決して大幅に改善されたのではないという認識をひとつしてもらわなければいかぬと思うのですよ。憲法に言うところの文化的生活を保障するということではなかなかないということをひとつ認識しておいていただきたい。  余りこればかりやっておると時間がありませんから、そこで厚生省が最初の御要求では一万円だったんですよ。これが二万二千円になったというのは、これはどういうわけでなったのですか、その点。

田中覚自由民主党

○田中国務大臣 私、福祉年金が七千五百円から一万二千円になったのは、余り誇らしげに申したことは実はないのでありまして、したがって福祉年金の相当な改善を図ったと、こういうことを申しているわけであります。  ただここで、一万円というかねがねの田中内閣時代の公約がございましたが、あなたがいまおっしゃるような問題もございますので、しかも考えてみますと五千円から七千五百円は五〇%でありますが、七千五百円から一万円になるとそれを下回るということもあり、最近の社会経済情勢を踏まえてみるときに、七千五百円から一万円という上げ方は私は不十分だと思いましたものですから、急遽これは追加要求をいたしたわけであります。私、皆さん御承知のとおり厚生大臣になったのは十二月九日でありまして、それから急遽このことをやったということについては、実ははた目に見ますと何でもないことのようでございますが、かなり実は乱暴なことでございまして、したがって予算折衝の節にはずいぶん私も苦労いたしました。ずいぶんとあちこちからおどかされもしましたし、他の部局の予算が入らぬなんということもありましたが、不退転の決意で臨んだ結果一万二千円に上がったということでありまして、その間の経緯を見ますと、私は、金額そのものはなにといたしましても、その姿勢と努力だけは買っていただきたいというふうに思っているわけであります。  なお一万二千円にしましたのは、この前が五〇%でございますから、したがって五〇%を上回った金額を獲得をいたしたいということで、彼此いろいろ財政上等も勘案をいたしまして、細かい計数についての裏づけはあるようでございますが、とりあえず一万二千円にいたしたということでございます。

岡本富夫公明党

○岡本委員 一万円から一万二千円にするのには相当おどかされたと言うが、だれがおどかしたのですかこれは。けしからぬやつだ、それは。田中厚生大臣をおどかすのはだれですか、それは、ちょっと聞いておきたい。

田中覚自由民主党

○田中国務大臣 おどかしたという主張は、まあ言葉はちょっとまずかったのですが、要するに大変な御心配をかけたということだろうと思います。他の部局の予算が入らない、あるいは政策がアンバランスになる、型どおりの要求方式をとらない、なんかかんかいろいろございましたよ、率直に言うて。しかし、まあこれについてはやっとの思いでいたしたということでございます。言葉がさっきちょっとまずければ訂正さしていただきます。

岡本富夫公明党

○岡本委員 いや、それはまずかったじゃなくして、つい本音が出たということですよ。ところが、児童手当の方は千円値切られておるわけですよ。これはおどかされずに済んだのですか。  なぜ私、児童手当のことを話をするかといいますと、ILO百二号の条約の批准、やっとことしやろうとしているわけでしょう。そうすると、わが党でもこれは早くから主張しておった児童手当ですが、これが値切られて知らぬ顔をするというのは、そういうことじゃないでしょうね。  これにつきまして、実は中小企業の事業主の中から、この方は従業員を五名、男三名、女二名ですね、この事業主が児童手当の拠出金を払っている。ところが、ここに勤めている人たちはだれ一人として児童手当もらっていないというのですね。     〔竹内(黎)委員長代理退席、委員長君着席〕 こういった零細業者の皆さんが一番不思議な、拠出はするけれども私の方ではだれももらっていないということで、厚生大臣、もう一遍おどかされついでに、これは第一子からやれるようにすれば、そうしたらここに勤めておる人たちもみんな、だれか当たるわけですよね。五人雇っていて五人とも一人も児童手当をもらっていない。こんなばかなことがあるかというのが、この人たちの非常に憤慨するあれになるのですがね。もう一つおどかされついでに、ひとつ第一子からやったらどうですか、いかがですか。

田中覚自由民主党

○田中国務大臣 基本的に児童手当制度というものは、これは国会で長い間問題になり、これの実施に踏み切りました。私もあの制度の策定に党におったときに深く関与をいたしました。しかし、前に臨時国会の予算委員会の節に御答弁申し上げましたが、わが国の社会情勢の間にあって、一体児童手当制度というものがヨーロッパの国々のようになじむものであるかどうかということについて、私は当時から疑問を持っておりました。というのは、岡本さんも御承知だと思いますが、児童手当制度がヨーロッパで発生をいたした節に、今世紀の始まりでございますが、当時日本と違いまして、日本のような年功序列型賃金ではない、言うなれば能力給を強く貫いておったヨーロッパで、多子家庭になって家庭のニードが高くなった節に給与がこれに伴わないというところから児童手当制度というものが発達し、発足をしたということを考えてみますに、そして日本では年功序列型賃金であり、いわゆる家族手当等という独特な制度がある日本において、一体ヨーロッパ型の児童手当制度というものが果たしてなじむのだろうか、これをどのように持っていくべきかということについては相当問題になるだろうというふうに当時から私は思っておったわけであります。しかし、これにつきまして、別にさればと申しまして、児童手当の拡充というものを私はそう否定するものではございませんが、もし限られた財源の中でもって社会保障制度を充実するとするならば、私は現実の問題として他の制度にいろいろと金を充当いたしたいというふうに、これは率直に言ってそう思っているわけてございます。ただ、去年の四千円から六千円にしようということでございましたが、そういったような財政上の制約もあり、大体、物価上昇率二二%を掛けますると五千円程度になるということでございますので、私としては五千円でこの問題は、昭和五十年度予算はセットをいたした次第であります。

岡本富夫公明党

○岡本委員 三木内閣はいままでの高度成長政策から、少なくとも社会的公平を守るために福祉に重点を置くというのが今度の内閣の特徴であろうと思うんですね。それにもかかわらず、あなたが前のことを、問題を引き出してきて、前と同じ、いままでの自民党内閣のそのままの姿勢で答弁しているということは、私はどうも、政策転換をしたといえども、そうではない、こういうように言わざるを得ないのであります。少なくともILO百二号条約の批准について、まあ五部門のうち三部門ですか(田中国務大臣「九部門です」と呼ぶ)九部門のうち三部門、三分の一、これだけが何とか満たされたからやろうというようなことでは、私はいままでの内閣から姿勢が非常にころっと変わったと、こういうように感じ取れないのです。三木総理は予算委員会でもたびたび、全部、何といいますか姿勢が変わって、対話と協調でいくのだ、それから社会的不公平をなくするのだ、要するに福祉にうんと力を入れるのだというような答弁をなさっているのだけれども、結局、個々に一つずつ当たってみると、そうではない、これが明らかになってくると思うのですがね。

田中覚自由民主党

○田中国務大臣 私は三木内閣における政治姿勢というものが従来と同じだとは思っておりません。やはり社会的公正、その主軸を担う厚生行政についてはかなり意欲的に取り組んでおるということは、今年度予算の編成過程を見てもおわかりになっていただけると思いますが、一遍にこの問題をすべて解決するというわけにはいきませんので、したがって、これはできるだけ早く徐々にやっていかなければならぬ。ことしの予算はその意味ではこうした姿勢のスプリングボードだというふうにお考えを願いたいと思うわけであります。  なお、ただいま児童手当制度についてのお答えが御不満であるようでございますが、これについては、まあいろいろ意見の違いがあるようでありますが、私は日本における児童手当制度のあり方というものについての疑問を投げかけたわけでありまして、まあミクロで見るとこういう問題もありますが、全体としてひとつ御観察を相願いたいというふうに思っております。  百二号条約については、九部門のうち四部門が合致をいたしましたものですから、近く批准の御承認をお願をいたしたいということでございます。

岡本富夫公明党

○岡本委員 私は、厚生大臣、もっと厚生省しっかりやってくれということなんですよ。どうもいままでいろいろな面から見ますと厚生省の姿勢というものは非常に弱かったわけですから……。  こればかりやっているとあれですから、次に最近話題になっております三種混合ワクチンの問題について若干いたしますけれども、この問題は御承知のように愛知県で事故があり、またその前にも事故があって、こういうようなジフテリア、百日ぜき、それから破傷風ですか、このワクチンの予防接種の問題について、いままでもたびたび事故が出ているわけですが、これに対して厚生省は手を打つというのですか、それとも行政措置といいますか、非常にぬるいのではないか、こういうふうに考えられるのですが、そのうちの一つは、この予防接種に対する補償制度あるいはまた予防接種法、こういうものについて審議会を設けたりまたつぶれたり、またつくったり設けたり、こういうようないろんなことの経過を見ますと行われているのですが、果たして真剣にこの大事な国民の、特に赤ちゃんの健康についての基本方針というものがほとんど立っていないように思うのですが、この点いかがですか。

佐分利輝彦厚生省公衆衛生局長

○佐分利政府委員 予防接種制度につきましては、昭和四十五年に天然痘の予防接種でかなりの問題が起こりましたので、その際は、九月でございますけれども局長通達等を発出いたしまして、予防接種の時期、つまり年齢、そういったものを改正いたしましたり、あるいは予防接種時の医師の予診、問診の仕方、こういった方法を詳細に定めて指示する、また事故が起こりました場合には各県の予防接種事故対策協議会、また必要に応じて中央の予防接種研究会の専門医が直ちに現場に参りまして、事故であるかどうか、また事故であればどういう治療をするか、またその際にVIGとかマルボランとか、そういった現在における天然痘の薬を提供するというような措置をとってまいりました。  また今回問題になっております三種混合ワクチンにつきましても、四十七年度に予防接種のワクチンの量を改正するというような手段を講じてきたところでございます。  また一方、不幸にして事故の起こりました場合の救済制度につきましては、先生よく御存じのように、四十五年七月三十一日の閣議了解に基づいて制度をつくったわけてございますが、この制度を四十八年度からは毎年、労働省の毎月勤労統計の賃金指数をもって補正をいたしましたり、また同じく四十八年度でございますが、新たに学齢期に達しましたお子さんには、たとえば障害等級一級の障害の場合には一万円の特別給付金を差し上げるという制度を新たにつくっておりまして、この給付金についても年々スライドをするというような措置をとってまいっております。  また一方、予防接種制度の基本問題あるいは予防接種事故救済制度の基本問題につきましては、その後も引き続き伝染病予病調査会の各担当部会等において慎重に検討をしていただいておる段階でございます。

岡本富夫公明党

○岡本委員 ぼくの方の調べを見ますと、予防接種法については、一九七〇年六月の十四日に問題が発生した、そして一九七〇年八月の一日に政府の臨時事故審査会が発足した。  そこでまず事故の方からいきますと、閣議了解がされているわけですね。閣議了解というのは、いままで見ていますと大体二年ぐらいで今度は法改正するような動きになっているんですよ。ところがこれはもう五年たっておりますね。そのままほうってあるということではどうも納得いかないんですがね、この点いかがですか。

佐分利輝彦厚生省公衆衛生局長

○佐分利政府委員 その後ほうってあるわけではございませんで、制度自体につきましても、発足当時は最高額が三百三十万円でありましたものを、今回御審議を願っております予算案が可決決定されれば、本年四月から七百二十万円に引き上げるとか、あるいは先ほども申しましたように、四十八年度からは後遺症特別給付金という制度を新たに設ける。その給付金の額も、たとえば予算案が通過すれば本年四月から一万二千円を一万五千円に引き上げる、また十月からは一万九千円に引き上げるという努力は絶えず続けてきたわけでございます。  一方法制化の問題があるわけでございますが、この法制化につきましては、まず基本的に理念のあり方あるいは法制化する場合の法理論その他の制度の具体的な内容、どんな給付をするか、どういう金額にするかというような点について非常にむずかしい問題がございます。また、この予防接種事故救済制度を法制化するに当たりましては、予防接種制度そのものも根本的に再検討する必要があるわけでございまして、現在の予防接種法と新しく法制化される救済制度とあわせて検討していかなければならないわけでございますが、予防接種制度あるいは予防接種法そのものにつきましては、現在の強制接種の制度を任意接種にするかどうか、あるいは臨時の予防接種を残すのか、やめてしまうのか、その他いろいろな問題があるわけでありまして、特に天然痘の予防接種等につきましては、近隣各国あるいは諸外国における伝染病の流行の状況その他をよく見きわめた上で決断を下さなければならないというような問題もございまして、まだ検討中という段階でございます。

岡本富夫公明党

○岡本委員 大臣、あなたもよく知っていらっしゃると思うのですよ。この予防接種の問題についての法改正の問題や、これは救済の方ですけれども、それから予防接種をすることについても、いま任意にするかあるいはまた強制にするか、その点もはっきりしてない。ということは、いままだ検討中だから、閣議了解から後、後の補償についても進まないのだということなんです。こういうことになりますれば——私何でこれを知ったかと言いますと、実はこれは私の選挙区のある市、西宮市なんですが、定期外第一期種痘に関する意見書というものなんですが、そこに「予防接種法に基づいて厚生省の通達が来ておるが、生後六カ月から十二カ月の間に実施するのが適当とされており、本市において「市政ニュース」等を通じてその期間に受けるようPRしているが、疾病その他の事情により生後二十四カ月を超える未接種者が増加している事情である。したがって生後二十四カ月以降の子供たちに」こういう人たちに「どういうふうにすればいいかということを厚生省に聞き合わしても何ら返事が来ない。」というわけなんですよ。こういうものを見ますと、結局予防接種についての確たる返事が地方自治体にできないということは、厚生省が——こんなたくさん事故がありますよ。これを一つずつ挙げても時間があれですから言いませんけれどもね。ですから、私は抜本的な予防接種に対するところの基本方針、それによって事故が起こったものに対しては必ず——いままでのホフマン方式では非常に少ないですよ。これもひとつここらではっきりしなければいかぬ。しかも五年たってまだこんな状態ですよ。これについて大臣はどういうようにお考えですか。

田中覚自由民主党

○田中国務大臣 予防接種問題、これは制度としては法定をされているわけでございます。どういう病気に対してどういう予防接種をするか、強制にいたすかどうかということについては、おおむね法に明定されているところでございます。しかし、予防接種そのものがなかなか実は医学的にも疫学的にもめんどうなもののようであります。私は素人で余り詳しくは存じませんが、たとえば最近問題になっている百日ぜきワクチンを強制接種にする節にも、予防接種法の改正をめぐりまして、われわれ素人の国会議員だけではいけないということで、ここへ斯界の泰斗である方々を参考人に呼んで、同じこの委員室でございましたが、審議をしたことを私は覚えているわけでございます。しかし、ああいう方々がああいうふうな参考人供述をいたしたにもかかわらず、こういう事故が起こっているということになりますると、ますます予防接種というもののむずかしさというものを私は感ずるわけでございますが、いずれにいたしましても、予防接種の接種に関する制度というものはかなりこれがはっきりしておりますが、問題は要するに事故に対する救済措置のほうがどうも閣議了解、行政措置でやられているということがいろいろと国民の間に不安もあり、問題があるようでございますが、いま公衆衛生局長が申したいろいろな問題点がありますが、こうした問題を一つ一つセットをいたしまして、できるだけ早くこれは法律化をしていくべきものであろうということを、最近の状況にかんがみて私はさように考えておるわけでありまして、綿密な検討のもとにできるだけ早くそういう方向に持っていかなければなるまいというふうに思っております。

佐分利輝彦厚生省公衆衛生局長

○佐分利政府委員 委員長、ちょっと技術的な問題で……。  先ほどの御意見の中に二、三技術的な問題がございましたので、誤解がないように私からお答えしておきます。  まず四十五年の事件以後、先ほども申しましたように同年九月局長通達を出しまして天然痘の予防接種、つまり種痘の接種の年齢は生後六カ月から二十四カ月ときめてございます。また、二十四カ月を過ぎた場合にどうするかという場合の行政指導でございますが、これは私どもが繰り返し申しておりますように、やはり高年齢になって初めて種痘を受けますと副反応が強くあらわれる傾向がございますので、できるだけ小さいときに、二歳とか三歳のときに第一回の種痘を受けていただくように、それでその場合には問診等の予診を十分にやって種痘をやってもらうように指導いたしております。  また、先ほど救済制度でホフマン方式が安いというお話がございましたが、これは必ずしもそうでございません。必ずしもサリドマイド児のときに裁判所が採用いたしましたライプニッツ方式が有利とは言えないのであります。ホフマン方式にも単式もあれば複式もある。その他いろいろな方法があるわけでありまして、そういう点も今後慎重に検討しなければならないと思うわけでございます。  また、現行予防接種法の改正の問題でございますが、先生もよく御案内のように、昨年はインド、パキスタン、バングラデシュ、エチオピアで天然痘の大流行が起こりました。戦後二回目の大流行でございます。おおむね十六年ぶりぐらいになるわけでございますけれども、そのような関係がございますし、またことしは七月二十日から沖縄で海洋博も開かれるというような時期でございますので、天然痘の予防接種の制度については非常に慎重に検討しなければならないわけでございます。確かにアメリカとイギリスは種痘を任意の接種にいたしましたけれども、まだ西ドイツその他ヨーロッパの国は強制接種のままで残しておるわけでございまして、日本におきましても昨年の初め、一昨年の初めと一名ずつ東南アから天然痘の患者が入ってまいりました。またドイツあるいはユーゴスラビアでは、やはりそのころかなりの患者が発生して、かなりの犠牲者を出しておるという状況でございます。そのような意味から現行予防接種法の改正については、きわめて慎重に検討しなければならないものと考えております。

岡本富夫公明党

○岡本委員 厚生大臣の諮問から——これは一九六八年五月三十一日、私どもの調べから見まして、このときに厚生大臣は今後の伝染病予防対策のあり方、これを伝染病予防調査会に諮問しているわけです。そうして七〇年六月十五日に中間答申があって、七二年の十月十六日に今度は急性伝染病対策部会に情報組織小委員会、こういうのを結成しておる。そして一九七三年の十二月七日に最終答申を部会に提出して、以後審議が休止になっているわけですよ。そうしますと、その後この審議がもう全然なされていない。あなたの答弁を聞くと、何かいままだ盛んにやっているのだというように聞こえるのですが、私は厚生省は何か事故があるとあわてて、政府のやり方を見ていると、きょうもテレビを見ておったら、あれですが、ガスのメーターが何かぐあいが悪い、ガスの漏れがある。答弁ではいやそういうことによっていま審議会をつくっている最中だ、審議会をつくったらもうそれで事が終わり、そんなことでは私——だからいままで答弁したように、二十四カ月たった子にはどうしたらいいか、それまで病気で受けられなかった方にはどうしたらいいのかということを厚生省に聞き合わしても返事が来ない。要するに確たるものを厚生省でつくっていないのではないか。ただ法的には種痘を受けるように、あるいは予防接種を受けるようにというこの法律はあっても、じゃどうしたらいいのですか、こういうことになると、それをもう任意にやってもらうか、あるいは責任逃れである。こういうことで、国民の大事な大事な健康を守るという唯一の機関が日本では厚生省なんですよ。こんなもの通産省に頼みに行ったって話にならない。だのに厚生省がこういうような姿勢では、国民としては非常に不安だというように言わざるを得ないわけです。  そこで、いままでこういう事故が起こったときの、ワクチンによる事故、一つの例をとりますと、ジフテリア、百日ぜき、破傷風、このメーカーが大体四つか五つあるらしいですがね。今度たまたま武田薬品のH96、同じロットから二人出たというので少し緊張したわけでありますが、いままで事故が相当あるわけですが、このときに、どのメーカーのを使って、どうなったという追跡調査も私はしていないのじゃないかということも考えられるのですが、その点いかがですか。

佐分利輝彦厚生省公衆衛生局長

○佐分利政府委員 過去の事故例につきましては、その都度県の方から報告が上がっておりまして、メーカーとかそのメーカーのロット番号とかいうものはつかまれております。

岡本富夫公明党

○岡本委員 じゃ、いままでこの事故が同じメーカーのもので二度あったということはないわけですか。

佐分利輝彦厚生省公衆衛生局長

○佐分利政府委員 過去におきまして四十五年ごろ、種痘のワクチンで同じメーカーのものが二度あったということがあったかと記憶しておりますが、きわめて珍しいことでございます。

岡本富夫公明党

○岡本委員 時間があれですから、もう一つ細かくやらなければいかぬのですが、大臣、この予防接種法の改正ですね、この問題が一点。これは特に大事な問題ですからこの予防接種について再検討して、そして予防接種法を改正する。  それから賠償制度、これをはっきりしませんと——私は予防接種する姿を見ておりますと、みんな保健所やあるいは学校なんかに来てばあっと一人で医師が百二、三十人一遍にやるわけですよ。それで問診するといったってそんな時間がないわけですよ。一番いいのはその赤ちゃんのかかりつけの医師がやれば、これは間違いないわけですね。ところが家庭医師といいますか、かかりつけの医師はなかなかやらないですよ。万一のことがあったら補償をだれもしてくれないわけですから。だからこの点をはっきりしなければならないと私は思うのです。それが一点。  それから、将来任意制にしていくという考えがあるらしいですが、任意制にするということは、逆に言えば厚生省の責任逃れ、こういうふうに言わざるを得ぬことになるわけですよ。一般の皆さんにはこういうことが、事故があって初めて普及されるものでありまして、若いお母さん方はなかなかわからないわけですから、その点について。  この三点についてひとつ最後に承っておきたいと思います。

佐分利輝彦厚生省公衆衛生局長

○佐分利政府委員 まず、予防接種はできるだけかかりつけのお医者さんから受けたほうがいいのではないかという御意見でございますが、これは全くそのとおりでございまして、四十五年以来厚生省としても基本的にはその方針を指導してきたところでございます。  次に、任意にいたしました場合に、国の責任逃れになってお母さん方が迷うのではないかというような御意見でございますけれども、これにつきましては、たとえばアメリカ、イギリスを見ましても、強制接種を任意接種にいたしましても、ときどき必要に応じて行政的に指導をいたします。国民の免疫が落ちてきたからことしはこういうふうな予防接種をやったほうがよろしいというキャンペーンとか指導をやるわけでございます。そのほかに、実際に外国から天然痘が入ってきたというような場合には、現在の法律にもございますが、臨時の予防接種というような方法があるわけでございます。そういう意味で、任意にすれば完全にお母さんまかせ、お医者さんまかせでほうりっ放しにするということではございません。そういう点についても今後いろいろと検討いたしまして、問題のないように努力してまいりたいと考えております。

岡本富夫公明党

○岡本委員 どうも私の問いに答えてないな。  法改正の問題と、それからもう一つ、国家賠償の制度をはっきり確立するのかどうか、この二点を最初に言うているわけですからね。この二点について、これは大臣からひとつ……。

田中覚自由民主党

○田中国務大臣 法改正の問題は、純医学的、疫学的見地からの結論を待って、しかもできるだけ速やかにそうした結論を出して、科学的見地の上に立ってこれの改正の要否を決定いたしたいというふうに思っております。  なお救済制度につきましては、現在行政措置でございまして、これについても立法論、法理論、あるいは技術論等々の問題がいろいろあるようでございますが、できるだけこうした問題を解決して、できれば私は法的根拠を持ちたいというふうに思っております。

大野明自由民主党

○大野委員長 小宮君。

小宮武喜民社党

○小宮委員 私もワクチン事故について質問します。  先月三十日、愛知県豊田市で、百日ぜき等の三種混合ワクチンの予防接種を受けた生後七カ月の幼児が死亡するという事故が発生しております。そのため厚生省では、原因がわかるまで三種混合ワクチンの使用を一時中止するようにとの指示を各都道府県にいたしましたけれども、その原因の追及はどのような方法でやっておられるのか、また、その原因の追及結果はいつごろ結論が出るのか、まずこれをお聞きします。

佐分利輝彦厚生省公衆衛生局長

○佐分利政府委員 まず、今回の事故の原因の追及方法でございますけれども、三十一日の朝、急遽伝染病予防調査会の予防接種部会の主な先生方にお集まりいただきまして、調査の方法等を検討していただいたわけでございます。  そこできめました方針でございますが、第一はワクチンでありまして、私どもはこのワクチンは欠陥ではないと思いますけれども、念のために至急このワクチンの再検査を国立予防衛生研究所で行います。それから次に、この予防接種をいたしましたお医者さんの問診等の予診の仕方、予防接種の仕方その他について問題はなかったかということを、県の衛生部、市の衛生当局に対して詳細に調査するように指示いたしました。三番目は、お亡くなりになった赤ちゃんの健康状態等でございます。まず、予防接種をやる前の健康状態がどうであったか。また、赤ちゃんの健康状態にあわせて、お母さんとか家族の健康状態がどうであったか。さらに、予防接種をした後、容体が悪くなりましてお亡くなりになるまでの状態はどういうふうであったか。また、その間に医療機関はどういうふうな医療をやったか。さらに、関ケ原の昨年十二月二十四日死亡の赤ちゃんについては残念ながら死体解剖ができませんでしたけれども、一月三十一日豊田市で亡くなられた生後七カ月の赤ちゃんについては、幸い愛知医科大学で死体解剖をするということになりましたので、その死体解剖所見を早急に手に入れる。  こういう基本方針で事故の解明に臨んでおるところでございます。

小宮武喜民社党

○小宮委員 先ほどの答弁の中にもありましたように、こういうような予防接種事故は昭和四十五年ごろも頻発しておるのです。そのころ医師の間でも、この百日ぜきワクチンの中に何か問題があるのではないかということが言われていたにもかかわらず、先ほどの答弁にありましたように、厚生省はこの原因を追及しようとはせずに、おざなりに、ただ年齢を引き上げるとか、先ほど言った接種間隔を離すこか、こういうようなことで対策を立ててきておるわけです。そういうような意味では、われわれから見れば、もしこの時点で本当に厚生省が真剣にその対策に取り組んでおったならば、たとえば昨年の岐阜県のこの事故の問題あるいは先月三十日のこの事故にしても防げたのではないかという感じすらするのです。これは結果論ですけれどもね。  そういうような意味から、四十八年にも岡山県医師会でも、ジフテリア、百日ぜき、破傷風の三種混合ワクチンの事故については、百日ぜきワクチンにその原因があるのではないかということで、医師会では予防接種を中止しております。さらに岐阜県でも、事故が発生してから医師会でワクチンの使用を中止しておるのです。  こういうような事実を知りながら、今日まで厚生省が、本当に真剣に国民の生命と健康を守るというなら、もっと早く取り組むべきではなかったのか。その当時でも今回とったような措置でもとっておれば、第二、第三のこういった接種事故というのが防げたのではないかとすら考えるわけでありますが、それはそれとして、その意味から見れば厚生省の責任は重大だ、また怠慢だと私は思うのです。  それでは、今日までそういうように取り組んでこなかったという理由についてひとつ説明を願いたい。

佐分利輝彦厚生省公衆衛生局長

○佐分利政府委員 いま具体的にお話のございました、四十八年の岡山県及び岡山県医師会の百日ぜき予防接種の中止でございますが、これは岡山県は、当時数年間毎年患者さんが一名出るか出ないかというような、非常に患者の少ない状態が続いておりました。そういう関係で、岡山県がそういう措置をおとりになったことは理解できるのでございますが、全国的に見ますと、患者の非常にたくさん出ておる県が北や南にあるわけでございますし、またそれを合計した数で見ますと、四十七年を底にして再び患者がふえるような傾向にあったわけでございます。そういった流行の状態、それから、一方におきましては、無為無策に過ごしたわけではございませんで、ワクチンの改良研究については薬務局が鋭意努力しておりましたし、また公衆衛生局は予防接種の仕方について調査研究を行って検討をしておったところでございます。

小宮武喜民社党

○小宮委員 数が多かろうと少なかろうと、そういうような医師会が予防接種を中止したという事実の上に立って、なぜ中止をしたのか、なぜ中止しなければならなかったのかという問題についてて、やはり厚生省は追及すべきであった。もちろん、岡山県よりもっと多い県があったというならなおさらのことじゃないですか。そういうようなことで、やはり今日まで放置してきた厚生省の責任は重大だと私は思うのです。  しかし、それはそれとして、では、厚生省が三種混合ワクチンのために死亡事故は何件起きたかを把握しておるなら、その数字を示してもらいたい。

佐分利輝彦厚生省公衆衛生局長

○佐分利政府委員 厚生省公衆衛生局にございます予防接種事故審査会が本年一月末までに審査決定なさいました三種混合ワクチンによります事故死亡は、八十三人でございます。したがいまして、この中には、昨年十二月の関ケ原また本年一月の豊田の事故例は入っておりません。

小宮武喜民社党

○小宮委員 これは三種混合ワクチンだけの問題じゃないのです。二種混合についてもやはり事故が発生しておるのです。これは、だからいま言われた数字は、事故審査会というのは昭和四十五年にできたわけですから、それ以前にもあったはずだし、もっともっと数字は多いはずだし、その数字はあくまで氷山の一角だと思うのです。  たとえば、最近東京都衛生局が発表した三種混合ワクチンによると思われる事故が七十三件、そのうち死亡事故十二件、後遺症の重いもの十八件、軽いもの四十三件となっております。この数字にしても内輪な数字だと思うのですよ。現に愛知県のこの死亡事故が新聞で報道されたのを見て、いろいろ毎日の新聞に投書が寄せられております。その中でも、私の娘、私の孫もというような、非常に国の無策に対して憤りを感じた投書が出ておるじゃありませんか。  だから、この予防接種事故というのは、やはりこの三種混合だけではなくて二種混合にも発生しておるということなんです。現に私の長崎市内でも、四十八年に百日ぜき、ジフテリアの混合ワクチンの予防接種をした二歳と六歳になる幼児が、その直後に高熱を発し、けいれんを起こして、病院であらゆる手当てをしましたけれども、いまでは心身障害児として横たわっておるのです。私も、現にそこの家に行ってみましたけれども、本当にお気の毒な姿を見て、むしろわれわれもいまの行政に対して憤りを感ずると同時に、その母親たちは、この子の将来はどうなるのですか、私たちがおる間は何とかなるにしても、両親が亡くなった後この子供がどうなるんでしょうか、この責任はだれにとってもらえばいいのですかと、この苦衷はだれに訴えたらいいのですかということを、泣きながら訴えておるんですよ。だから、そういうようなことが、厚生省あたりがいろいろ努力しておると言っておるけれども、ほんとうにそういった事故に遭った人から見れば、これは皆さん方を恨みたくなるのが当然ですよ。それで、この長崎の二人にしても、事故審査会に申請した。しかし取り合わず却下されておりますが、そういうようなことで、いまの予防接種事故に対して非常にそういうような悲惨な光景があちらこちら見られるのです。だから私は、こういった予防接種については、やはり積極的に真剣に取り組んでもらわなければ、本当にそういうような気の毒な人たちが全国至るところにおるということなんです。  そういったことで一つお聞きしますけれども、この事故審査会にこれまで申請された件数が何件あって、その中で接種事故として認定されたものは何件あるのか、その中で死亡事故と後遺症とに分けたらどうなるのか、ひとつ説明願いたい。

佐分利輝彦厚生省公衆衛生局長

○佐分利政府委員 本年一月末の数字でございますけれども、申請は二千四十五件、そのうち千四百八十九件が事故によるものと決定されております。なお内訳は、死亡なさった方、つまり弔慰金を差し上げた方が三百八十七人、それから後遺症、一時金二百九十人、医療費の公費負担八百十二人となっております。  なお、先ほどの私の発言で、八十三人の死亡事故を三種混合ワクチンというふうに申し上げましたが、これは昭和二十三年予防接種法制定以来の全数でございますので、訂正させていただきます。

小宮武喜民社党

○小宮委員 事故審査会に申請してもなかなか認定が受けにくいというのは、各申請した方々からも聞いておるんですが、ほとんどこの審査会で認定を受けられず却下された方々は、両親は結局予防接種事故であるという確信を持ちながらも、医学的な立証が得られないということで、特に各地方において、やはり診断書を書く場合も、本当に予防接種事故だということをなかなか書いてくれたがらない傾向があるのです。それで、特異体質だというレッテルのもとに泣いておる人が多いのです。だから、先ほどから言っておるように、私の娘も私の孫もという人たちも、全部やはりその特異体質という名のもとにこの認定を受けられずに泣いておる方々なのです。したがって、特異体質ということで片づけた方が、これは行政の側も医師の側も都合がいいわけです。しかしながら、そのためにそういった事故に遭った被害者というのは泣いておる、泣き寝入りを余儀なくされておるというのが、今日の実態なのです。だから、そういうような意味では、この審査会あたりで審査するにしても、これは各出先でも、たとえば医者も自分のミスであったということはなかなか書けません。それで病院では二人か三人か、複数の先生にかかりますと、ある先生は、これは確かに予防接種事故だ、そう思うと言ってくれても、それを盾にとって申請書を出そうとすると、医師同士の仲間意識か、まああるか知りませんが、その場合は決して正式には書いてくれないのです。そういうような実情があちらこちらに見受けられるのです。そのために、こちらの方に、審査会に認定を申請しても、却下されるという人たちが多いということです。  だから、私はこの際大臣にひとつ所見を求めたいと思いますけれども、公害認定患者の場合は、いまの三木総理大臣そのものが環境庁長官をしておる場合に、疑わしきは救済するということを水俣の関係でも言っておりますし、こういった予防接種事故に遭って泣いておる人たちに対しては、私は、基本的な姿勢を厚生省としてはやはりここで確立すべきだ、疑わしきは救済するという立場でこの人たちの救済をやっていただきたい、こう思いますけれども、厚生大臣の所見はいかがでしょうか。

佐分利輝彦厚生省公衆衛生局長

○佐分利政府委員 技術的な問題でございますから……。  事故審査のあり方の問題でございますが、現在この審査会におきましては、疑わしきは認定するという方針で臨んでおります。したがって、いわゆる特異体質というのは、いまの医学、医術では原因がわからないというものでございますが、たとえそういうものであっても、予防接種との関係があるように疑われる場合には、全部予防接種事故として認定することにいたしておりまして、その場合一番問題になりますのは、予防接種をした時期と症状があらわれてきた時期との間隔でございます。一月も二月も三月もたって症状があらわれてくるということになりますと、どうも予防接種と関係が全くないのじゃないかということになるわけでございまして、その他のものは、基本的には疑わしきは認定するという基本方針で臨んでおります。

小宮武喜民社党

○小宮委員 それは、中央の審査会ではそういうような姿勢であったとしても、地方から出てくる申請書の中に入っていない。だから厚生省の指導方針として、そういうような方針をやはり明確にしていただかぬと——だからいま言う今回の場合にしてもそうですよ。たとえば今回の愛知県のこの予防接種事故の問題にしましても、結局医師は予防接種の際の技術的ミスはなかったと言っておるのです。また、製薬メーカーの方でも、ワクチンを販売に出す前には必ず厚生省は厳しい検査をしているのでワクチンが原因とは考えられませんと言っておるのです。そうすれば、技術的ミスも医師側になかった、メーカー側にもワクチンに原因はなかったということになれば、そうすれば今回の愛知県のこの接種事故にしても、またまた特異体質かあるいは何とかかんとかという名前をつけて認定からはずされるという恐れがないでもない。私はそのことを懸念しておる。  だからそういうような意味で、やはり皆さん方が厚生省当局として本当にそういうような考え方があれば、出先の各都道府県の医師会なりあるいは保健所なりそういうようなところにその旨を徹底してもらわぬと、たとえ仮に徹底しても、これは自分がもしミスだったということは言いたくない、またメーカー側もワクチンが悪かったとは言われたくない、それは大損するから。だから結局特異体質というレッテルを張ることが一番容易であり、また都合がいいわけです。そういうようなところにいまのこの問題の根の深さ、大きな問題が私はあると思うのです。だからそういうような意味で、私は、もし厚生省当局がそういうような姿勢であるならば、各出先の医師会あるいは保健所にもその旨を十分徹底指導してもらいたいというように考えます。  それで今回の場合、現行の救済措置としては、死亡の場合は弔慰金が満十八歳未満で四百九十万、十八歳以上六百万になっております。今度の予算措置ではそれが七百二十万と五百九十万ですかになったようですからまあいいですけれども、いまも質問が出ましたけれども、この予防接種事故に対する救済措置として、確かにこれは四十五年の六月から暫定措置としての救済措置ですから、すでに五年間これが定着化してきておるわけですから、ここらでやはり立法化して制度として確立してもらいたい。当時もこれは閣議了解という言葉がありましたけれども、このときも将来立法化するということが前提になっておるわけですから、その意味ではその検討もしておるようですけれども、もう一つ突っ込んで聞けば、それではその検討の結論がいつごろ出るのか、それでまたその立法化はいつごろになるのか、もう少しその点を明確にしてもらいたい。

佐分利輝彦厚生省公衆衛生局長

○佐分利政府委員 この救済制度の法制化につきましては、制度の基本的な理論とかあるいは法的な理論とか、また具体的な内容とか、金額についての技術的な問題とか、いろいろむずかしい問題がございます。またそれに合わせて現行予防接種法、つまり現在の予防接種制度そのものについても検討を加えるべきではないかと考えられるわけでございまして、予防接種法の改正についてもいろいろとむずかしい問題がございます。そこで私どもとしては今後慎重かつできるだけ早く結論を得たいと思うわけでございますけれども、結論をいつ出していつ法律改正をするのか、あるいは法案を上程するのかということは、ただいままだ申し上げる段階にはございません。

小宮武喜民社党

○小宮委員 そうすれば、厚生省は、今回の愛知県の接種事故を契機に、救済制度について伝染病予防調査会の制度改正問題部会で再検討をしておる。再検討して、五十一年度から新制度を発足する方針だということが伝えられておりますけれども、これは間違いないのですか。救済制度については五十一年度から新制度で発足するということは、検討されておるのですか。

佐分利輝彦厚生省公衆衛生局長

○佐分利政府委員 その報道は、一部の方々の予測ではなかろうかと思っております。

小宮武喜民社党

○小宮委員 そうしたら、これは報道が誤りだということですか。

佐分利輝彦厚生省公衆衛生局長

○佐分利政府委員 うまくいけば物になることもあり得るわけでございますから、誤りとは言えないと思います。

小宮武喜民社党

○小宮委員 うまくいけばというような、何か本当に国民の健康を守る厚生省がうまくいけばということは何ですか。もっと一刻も早くこの救済制度を立法化するならするという前提で誠意を持って取り組みます、そのためには五十一年度から実施の方向で検討しますという——うまくいけばという言葉はあなた余り使ってもらいたくないね。  それはそれとして、しかしやはりこの新制度というのは立法化という意味ではないんですか。その点いかがですか。

佐分利輝彦厚生省公衆衛生局長

○佐分利政府委員 新制度という意味は、立法化ということであると思います。問題になりますのは、たとえば現在予算案を上程しておりますけれども、ああいうふうな内容のものをそのまま法律に移しかえるということは、あるいはそれほどむずかしいことではないかもしれませんが、果たしてあのような給付の種類、給付の内容、額でいいのかという大きな問題があるわけでございまして、先ほども御質問がございましたけれども、そういった金額一つにつきましても、ホフマン方式だとかライプニッツ方式だとかあらゆる角度から検討して、できるだけ被害者の方々に有利になるようにしたいという努力をするわけでございます。これにはかなりの時間がかかるものと考えております。

小宮武喜民社党

○小宮委員 かなりの時間といっても、四十五年の六月に暫定措置の救済措置としてこれをつくっておきながらいままで放置してきて、愛知県のこの問題が起きてからいまから検討を始める、そのために時間がないんだ、だから五十一年度実施はうまくいけばというような言葉を使っておられるけれども、もう少し厚生省は前向きに、こういった泣いておる人たちをいかに救済するか、もう少し広げて救済するという立場に立つならば、五十一年度からひとつ実施をする方針でありますというぐらいのことは、厚生省はやはりはっきりすべきだと思うのです。しかしあとの問題がありますから進みます。  先ほども、これも質問が出ましたけれども、現行予防接種法が施行されてから二十年を経過しているわけですが、二十年前と今日とではやはり伝染病の発生件数やその他の点でいろいろ大きく変化があっておると思うのですよ。そういうような意味から予防接種法を検討し、改正をすべきじゃないのかということを質問します。  その場合には、いま言ったような任意の問題とか強制的とかいう問題があります。特に考えていただかなければならぬことは、予防接種を法律によって義務づけられておるわけですから、その意味でのこういうような被害者救済だということを認識してもらわぬと、いままでの救済措置にしても単なるお見舞いだというようなことではなくて、法律でこれを規制し義務づけておる以上は、当然国の責任としてこれを補償するという基本的な考え方をやはり堅持してもらいたいと思うのですが、その点はひとついかがですか。

佐分利輝彦厚生省公衆衛生局長

○佐分利政府委員 まず予防接種法の問題につきましては、いずれにしても検討する時期には来ておると思います。  また救済制度のあり方でございますけれども、先生の御要望は、国の補償制度ということを御要望になっておるわけでございますけれども、そこにまたなかなかむずかしい問題があるわけでございまして、諸外国においても国の補償制度としてやっておりますのは、西ドイツ、フランスだけでございまして、その他の国はそれぞれ裁判で争われるという形になっておるわけでございますけれども、やはりなかなかむずかしい問題がございます。それが基本的な理念の問題、出発点の問題でございます。そういう意味で、いましばらく時間をかしていただきたいと考えております。

小宮武喜民社党

○小宮委員 いつも厚生省は、そういうふうにむずかしいむずかしいということで、時間をかしてくれ、かしてくれと言っておるのが、時間をかしましょうと言うと三年や五年すぐたってしまうということで、これはこの問題だけじゃないのですよ。いまから私が質問します例を見てもそのとおりなんですが、厚生省はやはりこの種の問題については本当に誠意をもって取り組んでいただかぬと非常に国民は迷惑しておるわけです。  そこで食品事故の問題ですが、この食品事故の問題についても、これはもう食品事故にしても、いま先ほどから質問をしてきました予防接種事故にしても、こういうような問題が大きな社会問題に発展すると、厚生省は、いや、それは何とかします、何とか検討しますといういろんな構想のアドバルーンを揚げるのです。ところが、これは人のうわさも七十五日で、下火になると厚生省のそのアドバルーンもいつかしぼんでしまって消えてなくなるというのがいままでの例ですから、だからその意味で食品事故についても被害者救済について、事故を起こすおそれのある企業に自動車損害賠償保障法と同じような法律をつくって、そこに企業を強制的に加入さして、事故が起きた場合はその保険金から救済資金を出すという構想を厚生省は発表しておるんですが、その構想もどうなっておるのか。検討されておるのかどうか。また蒸発してしまっておるのか、その点いかがですか。その検討経過、そしていつごろ具体的にその結論を出すのか、その点ひとつ質問します。

石丸隆治厚生省環境衛生局長

○石丸政府委員 食品事故に伴います健康被害者の救済制度につきましては、一昨年四月に専門の学者を集めまして制度化研究会を発足させたわけでございます。この発足以来鋭意検討を行ってまいりまして、先般その総論的な取りまとめといたしまして中間報告をいただいたわけでございますが、ただいま先生の御指摘のような制度というものは、その中間報告の中にも書いてあるわけでございまして、中間報告には四つの方法論を書いてございまして、そのうちの一つでございますが、こういったいろんな方法のどれがいいのか。またいろんな事故の発生の態様に伴ってもそういった適応の方法がまた違うんではなかろうかというような議論もございまして、さらに検討を進めるということになっておりまして、中間報告をいただきました後におきまして三つの小委員会をつくりまして、それぞれの小委員会におきまして現在検討中でございます。

小宮武喜民社党

○小宮委員 現在検討中ということはわかるけれども、いつごろ結論が出るのか、その点見通しについてはどうですか。

石丸隆治厚生省環境衛生局長

○石丸政府委員 見通しについてただいまいつまでということを申し上げるのは非常にむずかしいわけでございますが、われわれといたしましては、この委員会に対しましてできるだけ早く結論をお願いするようにしておるところでございます。

小宮武喜民社党

○小宮委員 ひとつ信用しておきましょう。  それから次は、サリドマイド、キノホルム等の薬品事故についても、厚生省は医薬品副作用被害者救済制度研究会を設けて救済制度を検討するようになっていたと記憶しておりますが、この点はどうなっていますか。

宮嶋剛厚生省薬務局長

○宮嶋政府委員 医薬品によります被害の救済制度につきましては、四十八年の七月から、実は私ども委嘱いたしました委員七名でございますけれども、研究会を構成いたしまして、そこで鋭意検討を進めております。残念ながら昨年一年間サリドマイドの和解問題その他いろんなことがございまして進捗を見ませんでしたけれども、昨年暮れからことしの初めとさらに審議を再開いたしまして、現在先生方にいろいろ御論議をいただいております。  薬害問題につきましてきわめて問題がございますのは、端的に先生もよく御理解をいただけると思いますが、先ほど来御指摘のございました医療事故との関連というふうな問題がきわめて問題でございます。  具体的に医薬につきましては、現在生産額の八割は医家向き、お医者さんがお使いになる。二割が大衆薬、一般薬といたしまして薬局から一般の方が購入なさるという状況にございますけれども、多くのものが医療機関を経由して使われるというふうな状況にございますがゆえに、たとえば医療事故と医薬品による被害事故の救済の関係をどう結びつけていくかというふうな問題であるとか、あるいはまた医薬品によります被害につきまして、特に能書きと申しますけれども、そこですでに医薬につきまして副作用は一般につきものでございますけれども、使用上の注意としてもうすでにわかっておった副作用が発現するというふうな場合もございますが、そういう場合も含めまして被害を受けられた場合にどの程度まで御本人に耐え忍んでいただくか。逆に言えばどの分野をわれわれが補償すればいいのかというふうな問題であるとか、あるいはまたその他拠出金の分担をめぐりまして、製薬メーカーはもちろんでございますけれども、あるいは薬局関係をどう見るか、特に医薬分業も昨年の暮れ以来だんだん進捗してまいりました。薬局もこれから絡んでまいりますが、そういう分野が多くなってまいりますけれども、そこら辺をどう見るか。あるいはまた、こういう補償の認定をやったりあるいはお金を払う組織をどうすればいいのか。保険でやるのか、基金でやるのか、いろんな論議がございまして、目下先生方に熱心に御論議をいただいております。私も毎回出ておりますけれども、なかなか一つ一つの問題はきわめて厄介でございまして、そう急に一カ月、二カ月で結論を出すというふうな見込みはございません。ただ私どもはいま研究会にお願いをしまして、こういう問題でございますから、できるだけ早急に御意見を賜りたいということを急いでもらっております。そういう状況でございます。

小宮武喜民社党

○小宮委員 それは事情はわかりますけれども、やはり私の知っておる人でキノホルムによって、これはあくまで医師の指示によって服用したわけですが、いま現在視力が〇・〇一なんです。だからほとんど盲人と同じような状態になって、これは会社に通勤するにも奥さんが必ず自宅から会社の場所まで送り迎えをしているという状況でございまして、しかもこの問題については厚生大臣にも二年くらい前に直接お会いして陳情したこともあるんですが、こういった問題をやはり早く救済制度を確立してもらわなければ、この人たちいま現在泣いておるんですよ。こういうような人が特に宮崎にも多いんですね。  だから、そういったことで私が言いたいのは、そういうふうに救済制度でいろいろ事情はあったにしても、やはりそういうような、その法律ができないために泣いておるという人たちが、あらゆるこういうような予防接種事故にしろあるいは食品事故にしろあるいは薬品事故にしろ非常に多いということを、よく厚生省は認識していただかぬと私は困ると思うんです。そういうような意味で、ひとつ一刻も早く制度化のためにさらに促進していただきたいということを要望しておきます。  最後に、医療事故という問題、先ほど話が出ましたけれども、これもちょうど二年半くらい前に国民生活審議会から医事賠償責任保険制度の設置が提言されて、それを受けて厚生省も医療基金制度の設置を検討されておったと私は記憶しておりますが、この点はどうなっておるのか、お聞きします。

滝沢正厚生省医務局長

○滝沢政府委員 国民生活審議会からの御答申がございまして、先生おっしゃる医療基金という構想は、何か先生どう受け取っておられるか、われわれとしては、医療基金という構想ではなくて、諸外国と同様の先生おっしゃった医事賠償責任保険制度、こういうものが最も適当であろうということで、四十八年の七月から日本医師会と——その前に日本医師会は、各件ごとの医事紛争の処理は百万円以下のものは処理しておった。それをそれではやはり対応できないということで、日本医師会として会員からそれぞれ保険料を取りまして、そして民間の保険会社と契約いたしましてこの賠償責任保険制度を開き、一件一億までを賠償できる、こういう体制をしいたわけでございます。  したがって、国民生活審議会のその他の相談窓口を開設しろというようなことは、ただいま私のところでこの医事紛争のための学識経験者による体制をどう整えていったらいいかということで、各方面の御意見を聞きながら研究班で検討をしていただいておりますので、これらの研究の結果を待ちまして、その他の窓口業務、これは実は私、いろいろ検討しても、たとえば保健所でやれというふうに考えましても、この医事紛争というようなことを最初に相談に乗って答えられる人というのは、どういう知識、素養、身分を持った人ならできるだろうかというようなことを、ある団体の方々と討論的に話し合ったことがございますけれども、これはたとえば保健婦さんというようなものを考えても、これは非常にむずかしい。医療事故の内容で相談に乗って、そこである程度の方向をあれすることは非常にむずかしい。したがって、何かこのような制度をしくとすれば、このような方々をどういうふうにして養成、場合によっては研修して確保するかというようなことも含めて、研究の結果を待って対応したいとは思いますけれども、非常に問題を含んでおると思っております。

小宮武喜民社党

○小宮委員 四十八年六月二十三日の本委員会で、健康保険法の改正を審議した際、私から、「この医療事故について、昨年の暮れ、国民生活審議会から医療訴訟を取り扱う医療紛争処理委員会と被害者救済のための医事賠償責任保険制度を設置するよう提案されております。これについては、厚生省も被害者救済制度の検討には乗り出してはおるようでございますけれども、それはいつごろその成案ができるのか。」という質問をやっておるわけです。  さらにいま医療基金の問題については、これは私も承知しておるのですが、医師会の方でもその医療基金制度を設けて、一億までは補償しようという問題もあります。しかしながら、それと別個にやはりこの紛争処理委員会を医師会が設けたとしても、医師会はその当事者ですから、第三者の公正な立場からこの紛争を処理し、被害者が泣き寝入りしないようにということで、厚生省としてもこの紛争処理委員会を設置したらどうかというのが、私は国民生活審議会からの提言の大きな理由だと思うんですよ。だからそれについては、これは滝沢政府委員がこの説明の中に、こういうふうに答弁しておるんですよ。「国民生活審議会の御指摘の中に、大きく三つございますが、委員会の問題につきましては——医師会が七月一日から医事の損害賠償の保険制度を始める。これは先ほども御答弁申し上げましたように、われわれとしては、外国なども、ほとんど医師が、民間の保険会社とそのような契約による損害賠償制度を行なっております。金額が非常に多くなってきて、今回は一件一億までを限度とする、このようなことに踏み切ったことにつきましては、私は、やはり正当に評価していい問題だと思うのでございますが、ただ、この中で審査制度は、医師会員が加わらない厳正な中立機関をもって審査をして実行していきたいということになっておりますので、これらの経緯を見守った上、われわれとしては、これらの問題にさらに並行して問題を処理するような、あるいは先ほど先生御指摘の、公的な委員会等の設置が必要かどうか、これは本年度から研究班をつくりまして、検討に入っております。」という答弁をやっておるものですから、だからその紛争処理委員会の問題とこの救済制度の問題について、この研究会が検討しておるのか、それとも紛争処理委員会の設置だけを研究会はやっておるのか、その点ちょっとこの研究会の検討内容について、ひとつ説明を願いたい。

滝沢正厚生省医務局長

○滝沢政府委員 実は、この国民生活審議会の中の医事紛争処理委員会、これは仮称となっておりますが、その内容によりますと、中央、地方に紛争の調停等を行う委員会の設置、まあ行政委員会のような形を考えておられるようでございまして、言うなれば医事審判所のような形のものというふうにわれわれ受け取っておりまして、これは今回の研究班の研究内容の中にも当然含まれております。研究班の研究内容は、医師の教育制度というような、医師が患者というものにどう対応していくかというようなことも含めたかなり広範な立場から、法律家や弁護士の方、医療関係者も加わってやっていただいておりますし、この紛争処理に対する行政機構に対しても御提言があるものと期待いたしておるわけでございます。

小宮武喜民社党

○小宮委員 最後にひとつ、意見だけ申し上げて私の質問を終わります。  先ほどからも申し上げますように、厚生省はいろいろな事故が発生すると、そのたびごとに何か、われわれに言わしめれば場当たり的というか、いろいろな構想を発表して世論の風当たりをかわしながら、世論の下火になるとその考えや構想もまた消えてしまうというのが、いままでの厚生省の行政姿勢ではないか。しかし、前齋藤厚生大臣も、特に今回の田中厚生大臣も、予算委員会等での答弁を見ておりますと、非常に前向きに積極的に取り組んでおられるようで、私、田中厚生大臣にも非常に敬意を表しておるわけです。したがって、こういうような今回の食品事故の問題、予防接種事故の問題、薬品事故、医療事故等についても、非常に泣いておる人たちを一日も早く救済するための立法措置にぜひひとつ真剣に取り組んでいただきたいということを強く要望して質問を終わりますが、大臣の所見があればお聞きしておきます。

田中覚自由民主党

○田中国務大臣 いろいろ事務当局の説明を承りますと 非常にむずかしい問題があるようですが、御趣旨の線に沿うて前進をさせたいというふうに思っております。

小宮武喜民社党

○小宮委員 質問を終わります。

大野明自由民主党

○大野委員長 次回は明後十日月曜日 午前十時理事会、十時十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十一分散会

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