公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第7号
- 発言数
- 164 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1975/05/30
会議録
○小澤委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、公職選挙法の一部を改正する法律案及び政治資金規正法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、審査を進めます。 なお、大柴委員の質疑に際し、日本放送協会理事堀四志男君及び日本民間放送連盟専務理事杉山一男君の両名に参考人として出席を願っております。 質疑の申し出がありますので、これを許します。大柴滋夫君。
○大柴委員 どうも参考人の皆さんには大変御苦労さまでございます。とりわけどういうわけか一時間半もお待たせしたのでありますが、私の方から陳謝を申し上げておきます。 私は本会議でも述べましたように、わが国のいまの選挙にとっては、政党に属する個人が政策を発表する、その場で有権者の皆さんはそれを比較することができる、このことが非常に大切だという不動の信念を持っている者であります。したがって、いまの日本の選挙においては、立会演説会を多数開催すること並びにテレビの政見放送をできるだけ多くやるということが必須な条件ではないか、こう思っている者でありますが、参考人はしばらくおきまして、大臣、私のような考えをやはりお持ちでありますか。
○福田(一)国務大臣 やはりできるだけ選挙運動をみんなに徹底をする、各政党の意思あるいはまた個人の意思というものを徹底できるように努力をいたすべきである、私はそのように考えております。
○大柴委員 意思を徹底すると同時に、しかもその場で比較できるということが私は非常に大切だろうと思います。 それで、いままで政見放送に携わってきたNHK並びに民放の責任者の方にお尋ねいたします。まず、NHKの方にお尋ねいたしますが、政見放送の視聴率というのはどのくらいであるか、これは回を重ねるたびにふえているのか減っているのか、そのことと同時に、投票に際してテレビの放送というものはどのくらいの役割りを演じているか、そういうようなことでお知りであればお答え願いたいのであります。
○堀参考人 お答え申し上げます。 視聴率調査につきましては、NHKといたしまして調査いたしましたものは率直に言ってまだないわけでございますが、一般的なNHK調査におきましては、トータルとして政見放送を調査いたしました結果、総合テレビで政見放送を見たという方が八九・一%に達し、ラジオでこれを聞いたという方が一八・三%に達しております。ほとんどの全国民がラジオないしテレビで政見放送に接したと言って間違いないかと思います。 そのほか、いまビデオリサーチという民間の調査がございまして、これはテレビに付属しておるもので、現在見ているテレビの台数その他がわかるものでございますが、それによりますと、この前の参議院選挙におきましては、夜間で約一〇%内外、朝になりますと三〇%を超える視聴率がございます。 それから参考でございますが、その見た方について役に立ったか役に立たないかという点をお聞きいたしましたところ、九〇%以上の人から役に立った、あるいは非常に役に立ったというお答えをいただいております。 なお、選挙の投票態度決定にテレビジョンの影響については、まあ個人のプライバシーの問題も考えて、いまだに調査をしていない段階でございます。 また、年々歳々傾向はいかがかというお尋ねに対しましては、これは年々歳々政見を発表する候補者の方の内容が充実するに伴いまして、聴視率及び聴視態度が非常によくなっているというふうに考えております。 以上でございます。
○大柴委員 選挙における政見放送というものは、これからの日本にとっては、ただいま説明がありましたように、これがやはり主軸をなしていくのではないか。そこで、今後のことはしばらく後におくといたしまして、民放の方にお尋ねいたしますけれども、いままで政見放送をするために都合の悪いことがあったとしたら、一体何でありますか。こういうことは、そこに電波監理局長にもおいでを願っているし、選挙の最高責任者もおられるわけでありますが、あなたの方から、こういうことで大変苦労しているとか、あるいはこういうことは直していったらいいとか、既存のことで何か、各選挙区一回民放にもごやっかいになっていることでありますが、何かこの際当委員会を通じて明確にしておきたいことがありましたら、どうぞこの席でひとつお申し述べを願いたい、こういうように思います。
○杉山参考人 この機会にちょっと、いままでの体験上の問題について説明したいと思います。 一つは、民間放送が政見放送をする場合問題になりますのは、主に衆議院選挙の場合でございます。 その衆議院選挙というのは、御承知のように、解散時期、いわゆる選挙の時期があらかじめ決定されていないために、政見放送をする場合、民放は番組のいろいろな移動をしなければなりません。そのときに、スポンサーがついているために、スポンサーとの交渉が要るわけであります。そういう時期的な問題が一つございます。参議院選挙のようにあらかじめ決まっている場合は、それはわりにスムーズにいくのですが、そういういわゆる民放独特の一つの困難な問題があります。 もう一つは、民放は御承知のように広告主から払われる電波料で経営が維持されているわけでありまして、これに要する費用というものが一つの問題になります。 まず、政見放送をする場合、政府の方からいただくお金は、制作費と電波料、この二つに分かれるわけですが、現在制作費はラジオで一万円、テレビで十一万円いただいておるわけです。しかし、こういう社会情勢、厳しい経済情勢の中で、非常な物価の値上がりその他がございまして、そういうことになりますと、少なくともテレビの場合は、実際スタジオで制作するということになりますと、一人三十万円以上かかるのではないかというふうに考えておるわけであります。これをもう少し合理的なやり方その他を考えれば、もう少し軽減ができると思いますけれども、少なくとも相当の経費が要るということになります。 それからもう一つは電波料でございます。電波料は現在、いわゆる政見放送をする時間帯の電波料の六五%という料金をいただいておるわけですが、これも何とか増額がしていただければ非常に結構だということがございます。 それと、各候補者の番組をつくる場合に、東京のような広域圏になりますと非常に人数が多いわけでありまして、その方々をどのような形で、短時間に皆さんに御不満のない状態で制作をするかということで、場所、時間取り、こういうことに非常に苦労するので、何かこういう点でいい方法が考えられるか、あるいは統一的なやり方ができれば、そういう面でも非常に合理化されるし、制作費も何とか合理化されていくのじゃないか、こういうようなことで、この点は先生方初め皆さんといろいろ検討していい方向を見出したい、こういうふうに考えております。
○大柴委員 杉山さんに御質問しますが、たとえば群馬県三区、中曽根さんと福田さんがおられる地区ですね、こういうところのテレビを撮るときには、このあれによりますと、群馬県三区は日本テレビ放送網が扱っているようでありますが、これは撮影というかあれは一体どこでするのでありますか、どういうようなぐあいになってやっておりますか。
○杉山参考人 民放は東京に五社ございます。五社ございますが、一社一社別々に番組をつくるのでなくて、五社が器材、人員を出し合って同じ条件で、同じ状態で制作するということを主眼として共同制作をやっておるわけであります。 いま群馬県のお話が出ましたが、群馬県ということになりますと、現地へ行って番組をつくるというのが一応の原則になっております。
○大柴委員 群馬県三区の場合は東京ではやらないわけでありますか。
○杉山参考人 現在は群馬県でやるということになっております。
○大柴委員 そうすると、東京の最寄りの千葉県、神奈川県、埼玉県、そういうところの政見放送の撮影はどこでやっているのでありますか。この最寄りの県ですね。
○杉山参考人 最寄りの県と申しますと、東京の場合はこの議員会館を御利用させていただいたり、われわれのスタジオを使ったりしておりますけれども、東京を離れて、たとえば茨城、群馬、栃木、そういうことになりますと、候補者が現地でございますので、それらの人たちに東京へ出てくるようにということも放送局としては言いかねる問題でございますので、それぞれの県に行きまして適当な場所を見つけて、そこで制作するということになっております。 ただ、県の中に、いわゆる広域圏の中に県域局がございます。現在ですと、神奈川、千葉、群馬にU局がございます。そういう場合はU局の地元の社で撮っていただきまして、それを東京の社が使うという形、したがいまして、局のないところはやはり現地へ行って同じ条件のもとに番組をつくるということになります。したがいまして立候補者の都合によっては、その時間ではだめだといいますと、また改めて出かけていって制作するというのが現状でございます。
○大柴委員 これは政府に聞きたいのでありますが、いま杉山参考人は、大体制作費をいままで十一万いただいていたとか取っていたとか、こういうことでありまして、今後諸物価がふえて三十万円になるだろう、こういうようなことで、一体いままで出した十一万円というのは何を根拠に出しているのか、そしてそれは民放の要求に対して、多いということはないでありましょうが、やや満足できるような価格として出していたのでありますか、その辺の金銭関係の適合性についてお尋ねをしておきたいと思います。
○土屋政府委員 私どもは技術的な中身はわかりませんので、この政見放送が始まりますころに民放の方とよく御相談をいたしまして、まあ大体これくらいかかるんだということで、それで全般的な相談をした上で、いまの価格が決まっておるわけでございます。 ただ、先ほどのお話もございましたように、これでいいのかということになりますと、最近のいろいろな諸物価の高騰の事情等もございますし、それについてはいろいろ関係方面から要望書も来ておるわけでございまして、それに基づいてどうしたらいいかということをいろいろ検討しておるところでございます。その結果また財政当局等とも相談をいたしまして、できるだけ両者の間で話のついたものにしていきたいというふうに考えておるところでございます。
○大柴委員 まことにどうも政治的な御返事をいただいて、もっともなようでもあるし、どうも不満足でもあるようでありますが、実は私は、先ほど申しましたように、なるべく放送をふやす、こういうような観点に立って質問を進めていこうと思うのでありますけれども、そういう場合に、先ほど何か参考人は制作費に三十万かかる——これも真偽のほどはわかりませんけれども、やはり政府の方で余りみみっちいことを言っておりますと、幾ら許可を主体の民放といえどもなかなか食いつかぬだろうと思うのですよ。 これは大臣に、今後民放をふやしていくということを仮定するならば、その価格についてはひとつ十分、せっかく民放にやってもらおうということでありますから、できるだけ要求に沿えるように努力する、こういうようなおつもりを大臣はお持ちになりますか。長年われわれも公職選挙法委員会にいるのですが、国会でテレビのことについて一遍も詰めたことはないような気がするのですが、大臣は一体どういうお考えでいるのですか。 いままで制作費に十一万円出していた。そうすると、それは今度は三十万円だというから三倍に上がっているわけですね。いままでもきっと十五万円かかったか二十万円かかっているかもしらぬけれども、それだけは政府が泣かせていたのだろうと思うのですよ。その辺のところを、余り泣かせては、これは幾ら民放といえども食いつかぬだろうと思うのですが、泣かさぬように、まあ怒らせる程度にしておくくらいに——あなたはどんなお考えなんですか。
○福田(一)国務大臣 お話しのように、いままでテレビとか、あるいは民放等の料金の問題について、ここでお話し合いをしたことはございませんと思いますが、いま御質問がありました点については、ただいま民放の方からも、テレビの方からも希望がある程度出ております。御案内のように、予算というのは、国でつくるときは、要望があればそのままというわけにもいきませんし、その内容がどういうわけでそういうようなことになっておるのか、その経費の集計の仕方ですね、それからいままではどれくらいでやっておったかというようなことを十分考慮した上で、いまあなたは渋い顔をするぐらいの程度でまとめろ、こういうようなお話でございましたが、われわれも余りそう無理なことをしようとは思っておりません。しかし、何といっても国の金を使うわけでございますから、皆に説明しても合理的に説明ができる範囲で、また、理由がつけられるようなことで問題の処理をいたしてまいりたい、かように考えております。
○大柴委員 土屋さん、細かいことで恐縮でありますが、NHKというのは、ほかに国民から料金を取っている放送であり、民放というのは電波を売っている放送でありますね。そうすると、その制作費について、NHKに払う制作費はこれだけ、民放に払う制作費はこれだけというような何か区別とか、そういうものはありますか。
○土屋政府委員 確かにNHKの場合は聴視料も取っておりますし、民放はそうではないという差がございます。そこで、電波料等についてはいろいろ差異はあろうかと思いますが、制作費というものは、まさにそのものをつくるわけでございますから、新たにそういうものをつくってもらうということでございますので、その点は差異を設けないで、制作費としてお払いをしておるということでございます。
○大柴委員 これ以上NHKをつっつくと、またNHKに横を向かれると困るのでやめますけれども、やはり常識上はちょっとおかしいと私は思うのですが、ひとつあなたの方で研究してみてください。 ただ、ここでぜひひとつ話を進めていただきたいのは、現在は四分半だかの政見放送が、東京あたりはNHK一回、民放一回ということであります。地方によってはNHK二回、民放一回ということでありますが、私は参考までに、そこに各委員のもとにもお配りしましたが、関東地方の選挙放送においてテレビを受け持つ各民放会社の表をつくってまいりました。これを見ますと、一遍放送したものを民放でもう一遍ぐらい、政府並びに関係者が決意をすれば可能ではないか。それから、特殊な時間帯を除いて、NHKの教育テレビに御協力が願えるならば、NHKもまたもう一遍ぐらいは可能ではないか、こういうようなことを概算的に判断をするわけであります。 だから、ひとつ大臣並びに関係部局も、先ほど申しましたような原則にのっとって、いままで二回やったところは三回やるとか三回やったところは四回やるというような不退転の決意を持って欲しいと同時に、民放の方からお聞きしますけれども、もう一遍ずつふやしていくというようなことに決断が願えるかどうか。 あわせて、電波監理局長の御出席を願ったわけでありますが、民放というのは、私の記憶によれば、三年に一遍ずつは許可を更新するのだろうと思うのであります。そのときに、許可の条件として、総選挙があった場合には選挙に協力をして、電波を売っていても、二週間なり三週間なり、売った電波の放映を延ばしてもらうというようなことを条件にできるかどうか、電波監理局長の見解を聞きたいと思います。
○石川(晃)政府委員 お答え申し上げます。 ただいま先生から御指摘の件でございますが、この政見放送は番組編成の問題でございますので、政見放送を義務づけるということにつきましては、法律的な根拠が必要かというふうに存じております。現在の公職選挙法では、回数につきましては自治省と放送事業者が協議して決めるということになっておりますので、電波法によります条件でその回数を決めるということは非常に困難ではなかろうか、かように考えております。
○大柴委員 法律によってだめなら、国家の選挙というのは枢要なことでありますから、協力をして欲しいぐらいの要件はつけられるのかどうか。
○石川(晃)政府委員 選挙と申しますのは、申すまでもございませんが、国民にとりまして非常に重要な問題でございます。したがいまして、選挙の政見放送につきまして各放送事業者が大いに協力していただきたいということは、われわれもかねがね感じていることでございますが、先ほど申し上げましたように、この回数等につきましては、自治省と放送事業者との間でいろいろ協議するということになっておりますので、お気持ちといたしましては大いに協力していただきたいというふうには考えておりますが、具体的な問題につきましては、ひとつそういうことで自治省と放送事業者の間でその意図をくんで努力していただきたい、かように存じております。
○大柴委員 それではもとへ戻りますが、民放の代表者の方に、もう一遍ぐらいふやすことができるかどうか、またふやすとすれば何か条件がおありか、さきの金のことはわかりましたから、民放の代表としてあなたはどういうようにそこをお考えになりますか。
○杉山参考人 大柴先生の御意見は私も趣旨は非常に賛成で、こういう選挙に電波を使うということは、これから十分考えていかなければならない基本的な問題だと私は思っております。 ただ、現状においてそれが可能かどうかという問題になりますと、問題は広域圏、東京の問題になると思います。御承知のように、東京の局は近県をカバーしておる関係で、近県の候補者についても政見放送をしなければならなくなるわけでございます。幸いにも神奈川、千葉、群馬はU局ができましたので、これが一本立ちできて、東京の局がこれをカバーしなくてもいいというような状態になり、あるいはその他の県でU局ができるというような状態になれば、これは客観情勢がまた変わってくるわけであります。 それともう一つは、先ほども申しましたように、民放の場合はほとんどがスポンサーがついておるわけであります。それを移動さすために、現在は一回ということで広告主の協力を得ておるわけですが、これを二回ということになりますと倍になるわけで、これはたとえば東京になりますと、系列に番組を送っておるようなネット番組については移動は不可能に近いわけでございます。したがいまして、ローカル番組について操作するわけでありまして、それもある程度の限定が出てくるわけです。そういう中でスポンサーの了解をどういうようにして取りつけていくかということがありますので、これはこれからスポンサーの意識に対する問題との関係で考えていきたい。 もう一つは、二回にする、三回にするという問題は、先ほど電波監理局長が申されましたように、これは編成上の問題であります。民放連の私が各社にとやかく言うことのできない問題でありますが、ただ趣旨というものが、われわれこういう社会的な事業をしておる者が当然考えていかなければならない問題でございますので、この点につきましては、そういう近県の問題の方向が出てくるということと、こういう非常に国家的な問題でございますから、先ほどちょっと触れましたが、国の方でも財政的な裏打ちを十分していただくということで、ひとつ前向きに関係の局と協議して努力してみたい、こういうふうに思っております。
○大柴委員 どうも答弁を聞いていると、スポンサーの関係でむずかしい面がある、しかし、国のことであるからお金さえある程度出してくれるならば前向きに検討する、こういうような御返事だろうと思うのです。杉山さん、私の言ったとおりでよろしいのですか。そういう見解ですか。つまり結論から言えば、むずかしい、しかしある程度のお金さえ出していただければ御要求に沿うように検討する、こういうことですか。
○杉山参考人 先ほどちょっと触れましたが、これはお金も絡んではまいりますが、スポンサーの方の下工作といいますか、スポンサーと局との関係の問題につきまして、放送局の現場の方になりますと一応了解工作が必要だろうと思います。その辺のコンセンサスを得られるかどうか、それを含めてひとつ考えていきたいということでございます。
○大柴委員 御事情はよくわかりましたけれども、選挙というのはわれわれ代議士個人のためにやっておるものではないわけですから、あなたの方も、これは国民の電波である、国民全体に関係があるときには小はひとつ大部のために譲っていただくというような考えに立ってもらわぬと、こんなことは幾ら交渉したって、同じ立場でやったのではできないですよ。その辺の感覚はどうお思いになるのですか。
○杉山参考人 もう一つの問題は、要するに放送局の番組は常に流れておりますし、民放はスポンサーとの三カ月ないし六カ月という一つの長期の契約をしております。それはこの時間帯で料金は幾らという形で契約をしておるわけであります。これを動かすことに対する抵抗ということは当然起きてくる問題だろうと思います。そこで私たちの方では、この問題をもっと前進さすためには、時間帯について放送局に一任するのだというようなことも絡んでくるのではないか、こう考えますので、その辺も含めて前向きに考えたいということでございます。
○大柴委員 時間帯というのは、たとえば東京二区の私の選挙区をやるときには、私も自民党も公明党も共産党も同じ時間帯にやるのですから、これは問題はないのです。そういうことは、夜の十一時からやろう、昼間の三時にやろう、時間帯は問題はないのです。だからそういう上に立って御検討を願いたいのであります。 さらにNHKの方にお尋ねいたしますが、現在の総合テレビではもう荷をしょい過ぎておる。だから教育テレビを使って、これも同じように時間帯は別です。テキストを設けて学生さんや篤学の士が勉強しておるところを除いて教育テレビを使えば、あと一回はできるというような御返事はできませんか。
○堀参考人 お答え申し上げます。 私たちが政見放送をいたしておりますたてまえといたしましては、候補者の方に公平であるだけでなく、有権者の方にできるだけ多く、しかも有権者の人が職業等に余り関係なく公平に見られるようにという立場で編成いたしております。したがいまして、ここに表がございますが、一番多くの人がテレビに接しられる朝の七時台を中心に、昼は十二時以降、夜は七時半台を中心に編成いたしております。 したがいまして、この精神をそのまま貫いて教育テレビに編成する場合には、おっしゃるようにテキストを発行して講座等をやっておりますので、非常に困難であるだけでなく不可能に近い状況でございます。しかし、何らかの形でということになりますれば、出せばいいというのは言い過ぎかもしれませんが、何とか二度というお気持ちに沿うとなると、この精神を変えて編成せざるを得ないということでございまして、これも非常に困難だというお答えにさせていただきたいというふうに存じます。
○大柴委員 大臣よく御存じのとおり、おこたえはしたいけれども、なかなか飛びついてくれぬわけですよ、民放もNHKも。私は、これは実際はわれわれ国会議員の決意だろうと思うのです。今日与野党を通じて、政見放送をテレビでもう二回ぐらいふやすということに反対をなさる党はないだろうと私は思うのです。だから、いまの御答弁なら、私は大臣が決意すれば、なるほどお金はかかりますけれども、できるのではないか。あなたはどういう感覚でありますか。
○福田(一)国務大臣 お気持ちはわれわれもよくわかるところでございますが、しかし、議員がこういうことだからぜひやれというように、ある意味で言うと抑えつけたような形でこの問題を処理をするのがいいかどうかということになると、いささかわれわれも考えさせられますね。しかし、何とかもう少しテレビなどをふやした方がいいということについては、私も賛成をいたしておる一人でございますから、その意味を体して今後もひとつテレビ関係の方と御相談をしてみたいと考えております。
○大柴委員 大臣、いままで逓信委員会あるいは五、六年前の政治資金規正法が問題になったときも、あれはだれですか、この問題は概略私は聞いたのですよ。あなたと全く同じ答弁なんだ。この七年ぐらいの間に何らの進歩がないということなんですよ。お気持ちはわかりました、関係者とよく相談をしていろいろ進めてみます、これは大臣、ここまで来ると、いい悪いは別にして、あなたがやられるのかどうか、あるいは四分五十秒だか四分三十秒のあれを、それではしようがないから六分五十秒に延ばそうとするのか、とにかく前進のあれを少し見せてくださいよ、通り一遍のあいさつでなくて。 それからもう一つは、御相談をする御相談をすると言っていつでも逃げていらっしゃるけれども、この衆議院で通るまでに、テレビのことについて結論をお出しになるかどうか、その辺のあなたの考えはいかがなんですか。
○福田(一)国務大臣 お気持ちはわかりますが、相手のあることでございますから、ここでお約束するところまでは無理かと思います。しかし、御趣旨を体して努力をいたしてみます。
○大柴委員 そう言われると私の方が畳み込むことになるのでありますが、せっかく戦後初めて——それじゃ二人で相談してください。それまで待っています。
○小澤委員長 政府は答弁を急いでください。
○福田(一)国務大臣 これはいまここへ出ておいでになる方ですべてが決まるというわけにはいきませんが、いまここでの話では、一回の放送時間を何としても少し延ばしてもらいたいということを私はいま要望しておる。実際問題として、関東とかあるいは関西では立候補者が多くなりますから、回数をふやすということはほとんど私は無理じゃないかという気がするのです。しかし放送の時間、いままでは四分半というのを五分にするか五分半にするか、何分にするかは別にして、一分ふえると何かパーセンテージで見ると七%ふえるのだそうですよ。放送の時間帯の、政見放送に使うのと一般のと比較した場合に、それぐらいのあれがあるといいますから、だから大柴さん、何も私は逃げ口上で何でも物を言っているわけじゃないのですから……(大柴委員「本当ですか」と呼ぶ)それはそうですよ。だから、いまもここで具体的に話したのだが、回数をふやすとなると東京とか大阪では大変ですから、せめて時間を少し延ばすというぐらいはこの際考慮したらどうかという提案をいまここでやったわけですよ。それならばひとつ考えさせていただきますというのがNHKさんのお話ですから、私はまあまあその程度にしていただかぬと、ここで大柴さんに言われたからといって、できもしないことをお約束することは私の良心が許しませんから、ここらでひとつ御勘弁を願いたいと思います。
○大柴委員 別に私はあなたに畳み込むつもりはないのですよ。ただ、公職選挙法の改正の絶好のチャンスですから、現段階において時間がどのくらいふやされるのか、倍が無理ならばあるいは一回がどうならばということの実を、この衆議院で通すまでにあなたの口からひとつ鮮明に願いたいのですよ。別にきょうでなくても結構です。四分五十秒を六分五十秒に延ばすとか、六分五十秒はまいった、五分五十秒だとか、そうすればこの公職選挙法に関するあなたの誠意というものを感じ取るのですが、あの返事では……(「逆の場合もある」と呼ぶ者あり)どういう場合だ。(「一回を三分にしておいて、そうしておいて二回やるとか」と呼ぶ者あり)それはまた銭がうんとかかるんだ。素人がいろいろ言ってはだめなんだな。まあそういうことでありますから……。 それから、各党首の演説会とか各党代表の座談会というようなものは、これはNHKもやってもらっておりますし民放もやっておりますが、今後ともひとつ民放は民放なりにスポンサーをつけて、NHKもひとつ特別な配慮を願いたいのであります。そしてまあなるべく選挙期間中テレビの上へ各党の政策を盛る、こういうように願いたいのでありますが、いかがですか。
○杉山参考人 いまのお話はまことに結構だと思いますので、そういう努力をしたいと思います。
○堀参考人 全く同様の趣旨で今後とも努力したいと思います。
○大柴委員 あなたたちに要請してはなはだ恐縮でありますが、これもまた御返事だけでなくて、今度いつ総選挙があるかわかりませんけれども、少なくとも前のときよりは放映時間が長かったとか回数が多かったという実を示すようにしてください。いずれまたわが党のだれかが約束と違うではないかという再質問をいたしますけれども。 それからちょっとこの際電波監理局長にお聞きしておきます。神奈川、千葉、群馬にはUの放送があります。いずれもカバレージが九一%以上しているのでありますが、茨城、栃木、埼玉というのはUの放送の許可はどうなっていますか。
○石川(晃)政府委員 お答えいたします。 いま御指摘の栃木、茨城、埼玉の地区でございますが、栃木におきましては申請が十三社ございます。それから茨城では八社、それから埼玉では十二社、このような申請状況になっております。われわれといたしましても、この県域の民放局用に周波数の割り当ては手当ては済ませております。しかし、これらの地域におきますテレビ局の経営の状況というものの見通しにつきましては必ずしも良好ではないということで、免許までにはしばらく時間がかかるのではなかろうか、かように存じております。
○大柴委員 Uの許可について云々するつもりはないのですが、そういうものができれば、実際はいま私が言ったような政見放送はできるわけなんです。だから、こっちの方の見地に立つならば、なるべく速やかに許可を進めてほしいということを、あなたを中心にお決めになるだろうと思いますが、公職選挙法委員会ではそういう要請があったということをお告げ願いたいのであります。 私の質問はこれまででありますけれども、いずれにしても衆議院の採決まで、あなたの方のこういうように進ませましたという御返事を得て社会党は採決をしたいと思いますので、そのことをよく御承知おきの上対処を願いたいと思います。 終わります。
○福田(一)国務大臣 お答えします。 いまもちょっと相談というか打ち合わせをしたわけでありますが、四日ないし五日までにはひとつはっきりしたお答えができるように努力をいたします。
○小澤委員長 両参考人には、本日はお忙しいところを出席していただきまして、まことにありがとうございました。 午後四時三十分再開することとし、暫時休憩いたします。 午後零時五十六分休憩 ————◇————— 午後四時四十三分開議
○小澤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 両案に対し、三木内閣総理大臣に対する質疑を行います。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。津金佑近君。
○津金委員 中央公論の昨年九月号におきまして、三木総理大臣は、当時まだ首相ではなかったかもしれませんが、「言論の自由、思想の自由、政治活動の自由、表現の自由、結社の自由などの基本的人権は、絶対に確保すべきものである。これらのものを失うと、社会も文化もみずみずしい濶達さを失うのである。」こういうことを述べておられるのでありますが、このお考えは今日も変わりございませんか。
○三木内閣総理大臣 今日も変わりはございません。
○津金委員 私どもは憲法第二十一条によって保障された言論の自由、表現の自由というものは日常不断に守らなければならない、それは選挙期間中と否とを問わず守らなければならないものである、このように考えておるわけであります。言論に対して暴力をもってこたえる、あるいは金力でこれに対抗するというのは民主主義の自殺行為でありまして、言論に対しては言論をもってこたえる、当然批判の自由、再批判の自由、反論の自由、こういうものが正当に保障されてこそ、言論、表現の自由の確保が全うされる、このように考えるのであります。 そういう意味において、私どもは、今度の改正案におけるいわゆる号外を含む機関紙規制の問題はきわめて重要な問題であるというふうに考えておるわけであります。四月十八日の本会議におけるわが党の林百郎議員の質問に対して、この選挙中の機関紙号外、ビラの配布というものは選挙の公正を欠くからこれを禁止する必要があるという意味の答えを総理はされております。 選挙というのは、日本国民が国民の自主的な意思に基づいてその意思を国の政治に反映させる議会制民主主義の根幹をなす問題であります。したがって、私どもは、選挙に際して主権者たる国民がその投票権を正しく行使するために言論の自由、これを保障し、政党の、あるいは候補者の主張、政策、これを広く国民に知らせる責任を持っておる。同時に、国民は、こういうものを正しく知って、そしてみずからの権利行使を一層正しいものにする、こういう意味から、国民の知る権利というものは最大限に保障されることが民主主義の根底になるというふうに考えるわけであります。 今日まで、この政党の機関紙あるいは号外などが、こういうものを保障する重要な一つの方法であったことは、過去の実績から見ても明らかでありますが、こういう方法をもって国民の知る権利に奉仕するということが、なぜ選挙の公正を欠くことになるのか、この点についてのお考えを承りたいと思います。
○三木内閣総理大臣 津金議員が憲法二十一条の規定を引かれて言論の自由とか、結社とか集会とか表現の自由、これはもう民主社会の根幹をなすものでありますから、これをやはり否定しては民主政治というものは成り立たないと思う。 ただ私は、選挙という、二十日間ですよ、二十日間という短い期間の場合におけるいろいろな規制というものが、この二十一条という、言論の自由、表現の自由、これを否定するものだというふうには考えないのです。二十日間ですからね。一年じゅうではないのですから。 その証拠には、選挙法の規定の中でいろんな規制を行っている。政党の活動にまで規制を行っている。個人においても、たとえば選挙用の文書というものは、はがきだって、おれは金があるのだから幾ら出してもいい、これは許されないでしょう。二万五千枚。ポスターでも何枚と限られておるし、また新聞に対する広告でも、おれは金があるから何回でもと言って、許されないでしょう。あるいはまた選挙公報も、これは公営でありますけれども、選挙公報も一回でしょう。 こういうふうに、二十日間という選挙の期間に対して、そういう政党あるいは候補者の活動に対して規制を行うということは、選挙を公正に行うということは、皆候補者が一様にイコールなチャンス、フェア、これがやはり行われないと、おれは金があるから幾らでもやるということが許されるなら、選挙の公正というものはやはり維持できないでしょう。やはり選挙の公正が維持されるということは、これは民主政治の基盤ですよ。憲法二十一条からいって何をやっても自由だと言ったならば、選挙法で選挙文書というものを、ビラの枚数まで、はがきの枚数まで細かく制限する必要がないじゃないですか。各国とも何をやっても自由だということは私は余り知らない。皆国情に応じて選挙期間中は規制を行っておる。それで憲法に抵触するという議論は起こったことはない。皆が合意して、その間でフェアにやろうじゃないか、候補者が皆イコールなチャンスでやろうじゃないか、こういうことであります。 私もビラというものを実際見るわけですよ。津金議員もごらんになるでしょう。共産党ばかりでなくて、ほかのものも見る。これは選挙文書ですよ。もし政党で活動をやりたければ、法定ビラがあるのですからね。法定ビラというものは三種類、枚数は無制限ですよ。政党の活動で政策を浸透しようということならば、枚数の制限をしない法定ビラがあるのですから、選管に届け出たらやれるのですよ。しかし、あれは個人と直結した一つの機関紙の号外ですから、これは個人用の選挙文書と実態はなっているのですよ。実際のものをごらんになったらいいですよ。そうなってくると、あれが許されるということならば、はがきを制限したりポスターを制限したりするのはおかしいですよ、選挙文書を。そういうことで、これは津金議員も共産党も反対のようでありますが、選挙を静かにフェアでイコールなチャンスでやろうという点から言えば、これは御納得いくのではないか。 私、新聞を調べてみますと、これは東京都議選の後ですが、ビラに対して各紙がビラ公害という言葉を使って、そして国民が後で非常に迷惑しておるというような記事がこう出ておりますよ。機関紙の号外は、昔は新聞でも鈴を鳴らして号外を運んできておったが、このごろありませんよ。政党だけが二十日の間に号外号外ということは、やはり選挙の公正を害するのじゃないでしょうか。自民党は手足がありますから、ああいうことが許されるならば全国的に配るだけの能力はあります。しかし、われわれは、皆が手足があるからとか金があるからというのじゃなしに、候補者がここでイコールなチャンスでフェアな選挙をやる、これはやはり民主政治の一番大事な点じゃないかと思う。 だから、言論を抑圧しようとしたり、あるいはまた表現の自由を制限したり、そういう憲法に制限を加える意図はさらさらない。御理解を願いたい。
○津金委員 何か選挙は自由だから金があるものは金を配ってもいいだろう、そういうばかなことはわれわれは言っていないわけです。国民が主権者としての権利を正しく行使する、投票の判断に役立つ、そういう国民の知る権利にこたえるこうした文書というものを出す自由、それを確保することはむしろ選挙の公正を保障する上に必要だというふうにわれわれは考えるわけであります。本来選挙というものは基本的には自由であるべきだ。しかし、それはもちろん何をやってもいい、買収をやってもいい、そういう意味ではありません。もちろんそれは当然のことです。 しかし、基本的に選挙というものは本来自由であるべきだし、文書図画その他の問題は自由化の方向に向かって進むべきだというのが選挙制度調査会の答申なり報告あるいは現実に選挙に携わっている全国の選挙管理委員会の非常に共通した意見に現在はなっておる。買収その他は厳格に、これは厳しくしなければいかぬ。しかし言論戦は可能な限り自由にしていく、これが私は今日の時代の要請だと思います。 そういう意味で、私どもは現行法自体もやはり検討すべき幾つかの問題を持っているというふうに考えておるわけでありますが、少なくとも田中内閣の当時にこの問題が本委員会でいろいろ論議され、私が当時の町村自治大臣にこの問題についてただしたことがあります。これは昨年の五月八日の本委員会でありますが、そのとき私どもが、言論、文書による選挙活動の自由を完全に保障する、そういう方向で正々堂々たる政策論争を通じて国民の判断を得る、これが政党政治の正しいあり方ではないか、こういう問題について政府の見解をただしましたところ、町村自治大臣はその点に関してはわれわれも全く同様の所見だ、こういうふうに述べているわけであります。田中内閣でも少なくともこのくらいの見識は当時持っておったわけでありますが、いまの三木総理の発言及び今度出された改正案の内容によってこの手段を全面的に禁止することは、私は田中内閣の認識よりもはるかに後退する考え方であり、時代の流れに逆行するものだ、これは結局国民の耳と目をふさぐという方向にやはり行かざるを得ない、こういうふうに言わざるを得ないわけでありますが、その点どうお考えになりますか。
○三木内閣総理大臣 国民の目と耳をふさぐという考えはありません。選挙はできるだけ自由ということが原則ですけれども、弊害が出てきたものはこれを是正するということは政治の大きな責任だと私は思っているわけです。ビラについては、津金議員ごらんくださればわかるけれども、こうやって公害という言葉を使っているのですからね、世間も少し度が過ぎているという批判を持っていることは事実ですから、だから、あなたが言われるように政党政治で政党が政策をもって争うというならば、法定ビラなんかは届け出さえすれば何枚でもいいのですから、また今度の改正でも三段で相当なスペースを新聞に、何回かにわたって政党の政策を、国の費用において政党が宣伝できる機会がある。政党の機関紙だって、政策の宣伝普及であるとか選挙に対するいろいろな報道、論評というものは選挙中といえども有償である限りは配布できるのですから、したがって、私は三木内閣になって選挙に対して言論の自由を抑圧しようとするという非難は少しオーバーに過ぎる、そう思いますね。そういう考えはないのです。 言論の自由とか表現の自由はそういう基本的人権の中核をなすものですから、私もまたこれを守るために闘ったのが私の政治の過去の歴史ですよ。私は決してそういう言論を圧迫しようということに味方をして議員生活を送ってきたのではないのです。そういうことから、私の意図が非常に反動的な選挙法の改正をやろうという意図ではない、この善意は津金議員といえども御理解願わなければならぬと思います。
○津金委員 総理が幾らそれを強調されましても、結果は私は逆になっておるというふうに申し上げざるを得ないわけであります。いまのビラ公害問題は、おととい福田さんと大分ここでやり合った問題で、きょうは余りそれを繰り返すつもりはなかったわけでありますが、同じように新聞の切り抜きなんかをまたお出しになってそれを強調されるので、あえて私も一言申さざるを得なくなるわけです。 私は、そういう意見もないとは言いません。同時に、いままで出されておった政党の機関紙号外なりビラを見て、そしてこれを判断の重要な一つの材料にして使ったという人も少なからずいるわけなんです。世論調査の中にも、皆さん方は好んで公明選挙連盟の世論調査をお出しになりますが、いま問題になったその選挙の後に行われた東京都の選挙管理委員会の調査では、ビラ、機関紙によって判断した人が、一番多いという結果が出ているのです。いろいろあるのですよ。それで、その点については、おととい福田さんも、議論の中で最初皆ビラ公害だと言っておったが、皆というのはオーバーだった、かなりの人だというふうに訂正されました。そういう意味では、このビラによって判断し投票の材料にしている、こういう人もかなりおるのです。こういう人たちも現におるし、役立っている人が現にいる。この事実をお認めになりますか。
○三木内閣総理大臣 あれは無差別に各戸に対して無償で配るのですから、非常に迷惑だと言う人もありますよ。しかし一方においては、これは興味をもって読まれる人もおるでしょう。 しかし、私が言いたいのは、選挙法というものが選挙の文書というものは制限しておるでしょう。それは津金さんお認めになるでしょう。文書に対して細かい規定ですよ。はがきまで何枚、ポスター何枚と細かい規定をしておって、このごろの日常の新聞には号外というのは余り見ませんが、政党の機関紙だけは号外、号外ということで出して、そういうことはやはり選挙の自由から言って当然のことだと言うならば、選挙文書の制限というのは意味をなさないのではないか。ある程度文書を制限しても、二十日間ですからね。これを一年じゅうするというのは問題ですよ。われわれも賛成しやしない。ただ選挙期間の二十日間だけは候補者が皆イコールなチャンス、しかも皆がフェアにやろうではないか。一つのルールですからね、そういうものを制定をするということで、実際はそれに対して興味を持つ人もおるけれども、やはり共産党は共産党として堂々と政策を通じて国民に訴えられる機会は幾らでもあるのです。テレビの回数まで、それが可能なら考えようというし、それから政党の法定ビラなんか自由なのです。 どこの党だったですか、大阪の知事選挙なんかで、法定ビラなんかで非常にまとまった革新府政の長期計画というものを出されておった。そういうふうなことは、立場が違っても、理解をする上に一つの参考になったような点があるのです。それは法定ビラですよ。ほかに何もないというのじゃないのですから、政党の活動にはまだその上に、今度の改正の中でいろいろ新聞とか、チャンスをいままでよりももっと政党に対しては与えなければならぬという配慮もしておるのですから、この点が言論に対する非常に制限だというふうには私は考えない。やはり皆がイコールなチャンスで、皆がフェアにやったらいいじゃないか。(「各党みんな力が違うのだから」と呼ぶ者あり)力が違うと言いましても……(津金委員「私に答えてください」と呼ぶ)そういうことでございます。(笑声)
○津金委員 三木さんは二十日間だからと言われますが、私はその二十日間が大事だということを強調したいわけです。選挙の期間というときこそ国民は政治のあり方について最も敏感な関心を表明するのです。政治に対する自分の、国民の、主権者としての責任ということについて最も自覚が高まるのです。そのときにこそこういう問題についてこたえる、国民の知る権利にこたえる、そして政党はそういうものに奉仕する責任がある、これが私は議会制民主主義の本来あるべき姿だというふうに考えるわけです。 ですから、三木さんの言われる二十日間だから少し制限してもいいではないか、そういう論理は私は逆だと思います。三木総理自身もお認めになったように、現にそれを見て役に立ったという人が国民にはいるわけですよ。そういうものに対してそれを奪うということは、明らかに国民の知る権利に対する規制であることは疑いない、私どもはそう思うわけです。 同時にこの際、もう一つお伺いしておきたいことは、総理は、参議院での内藤議員の質問に対して、配布できる力を持っている党、またそういうものができない党、いろいろの条件がある、だからそういうことを野放しに認めるとそれが不公平になるという意味のことを言っておりますが、これは私はまたおかしな議論だというふうに思うのです。 政党が機関紙を充実し、これを豊富にし、自己の政策を国民に知らせるということは、これは近代政党としての当然やるべき責任だと私は思うのです。だから、きのうも福田さんもお認めになりましたが、自民党も党大会で自由新報の強化ということを訴えておられる。私たちもそのために努力してきた。こういうものを徹底させることが、買収だとか供応だとか、そういう暗い選挙をなくしていく一つの大きな材料になる。総理も言っておる近代化というのは、当然のことながらそういうことが含まれておるでしょう。 ところが、現在今日の段階において、確かに各党にはいろいろ機関紙活動に関しての力量があります。金の力において差があるのと同じように、機関紙活動においても差があります。しかし、それは近代政党として機関紙活動を強化するための日常不断の努力をどれだけやってきたかということの結果が差として出ておるわけであって、その場合、そのことが片一方の党だけがそういうものをまく、ある党がそういうものをなかなかやれないから不公平だという論理は、むしろ政党として克服されなければならない。前近代的な要素が残っておるそういう水準に、そこを乗り越えて努力してきた党の水準を下げて合わせる、これが公正であるという議論であるならば、これは私は悪平等だというふうに考えるわけです。どうしてこれが公正になるのですか。 これは、私はたとえて言いますと、力士が平素けいこを怠けておって、足腰が弱くなる。それが土俵に上がって、足腰が自分は弱いから足わざを禁止するというルールをいきなり持ち込んで相撲をやれ、こういうのに等しい、これはたとえでありますが、そういう問題だというふうに私は思うのです。それがどうして公正か、その点について総理のお考えをお伺いしたいと思います。
○三木内閣総理大臣 津金議員は、政党の活動というものはなぜ——政党の機関紙というものは選挙中といえども自由ですから、機関紙というのは、大いに購読者をふやすということは必要でしょう。政党の政策の宣伝普及というのは、法定ビラがあるんですよ。枚数は制限してないのですから、三種類ということだけですけれども、届け出をすれば枚数は何枚でもいいのです。政党だったら、どうして選挙法の一つのルールの中で認められるものを活用されるということをしないで、個人ビラ、機関紙の号外ということだけに固執されるのですかね。政党にはそういうだけのちゃんと合法的なチャンスがあるのですから、それで、共産党は共産党で法定ビラは何枚でもいいのですから、これをお使いになれば、政党の政策というものは宣伝、浸透できるじゃありませんか。 個人ビラというものは、ある選挙区における個人のことに関しての文書活動というものは選挙法の上で規制されておるんですよ。いろいろな点で選挙文書というものは限られておるわけです。それは、政党によってもしそれが合法だと言ったら、はがきというようなものは二万五千枚と言ったって意味がないですね。こんなものをなぜ制限するのか意味がない。選挙法の文書活動の制限というものは、それがみんな自由にできるのだったら根底から崩れますよ。ある私が見たあれだけでも、投票の依頼まで書いてある。写真を出して、よろしくお願いしますと書いてあるのですから、こういうことが許されるならば、選挙のはがきを制限したりポスターを制限するというのは意味がない。みんなやります。共産党だけが手足を持っておるのじゃないんですよ。どの党も皆やりますよ、そのことが許されるならば。 そういうことで、そのことがいまでさえビラ公害といって世間でもこれはひんしゃくを買っているわけなんです。それは効果がどの程度あるか知れません。見るでしょう。私は、その影響を受ける人もないとは言えませんけれども、その影響というものはそんなに大きいものじゃないと思います。やはりもっと選挙民は政策を通じて選挙を争ってもらいたい、選挙民は選挙の結果世の中がどういうふうによくなっていくのだということを期待しておるでしょうからね。そういう意味で、政党の政策というものに対して私は皆本当は関心を持っているものだと思う。ああいう個人版のようなものが非常に決定的な影響を選挙に与えておるとは、そこまで私は思わないのでございます。 だから、ほかに方法がいろいろあるのですから、その地区のある特定の候補者に対する選挙用文書だけにどうして、皆がああいう制限の中であるのに、この問題だけ津金議員が固執されるのか、私は非常に了解に苦しむわけである。それは、これがいいということになればみんなやりますよ。自民党だって全国的に手足を持っていますからね。(「やれたらやりなさいよ。」と呼ぶ者あり)そうなれば選挙の文書の制限というものは意味がない、選挙法のルールは要らない、そういうことは私はよくない。やはり選挙は皆が同じようなチャンスや同じような公正な手段でやるということが、これが選挙の一つの大きな大原則、各国ともそういう制限は皆している。相撲の話なんかはこれは的がはずれておると思いますよ。
○津金委員 総理はいまのように主張される。各国でもみんな制限があるのだ、こう言っておりますが、だから先ほど申しましたように、率直に言って、いまの日本においても買収その他に対してはもっと厳しくしろ、選挙における文書による宣伝活動は自由化の方向を目指せというのが一つの大きな歴史の潮流になってきているのですよ。 それでさらに、この際、いま総理が言われましたのでお聞きしますが、一般的な文書の禁止ではなくて、政党の機関紙の号外を、あなたがいまおやりになっているような形で禁止しているような国が、少なくとも欧米の民主主義を標榜する国においてその事例がありますか。
○三木内閣総理大臣 私も各国の選挙制度だけを調べたわけではないのですが、日本のような政党の機関紙に号外号外と——一般新聞はこのころは余り号外出さぬですよ。号外というのは見たことがない。それが政党の機関紙が選挙中号外号外と、ああいう形はよその国に例がないのですよ。私はないと思うのです、号外号外というものは。そういう意味で、禁止しようにもすまいにも、もとから例がないということです。
○津金委員 まともに答えてください。この問題については参議院で同じ質問があって、土屋さんがはっきりそういう例はないと答えておるのです。あなた、はっきり答えてください。違うのならはっきりさしてください。
○三木内閣総理大臣 いま選挙部長から答弁のときの背景を聞きましたら、機関紙を禁止してあるようなことはないのですね。よその国は号外号外と言って、機関紙にあんなに号外を出しておるようなのは、皆各国とも選挙の態様も違っていて、余りそういう例を知らぬようです。政党の機関紙はそれは禁止したりしちゃいけませんよ。問題は号外なんですよ。一般紙にもないような号外を、頻繁に号外号外として出すことに対しては選挙の公正からどうであろうかということだけが問題で、機関紙をだれもこれは、われわれは制限したりこれを禁止したりしようという考えはないのです。いまの土屋部長の言うのは、各国の機関紙の号外は、そういうような例は各国で余り知らぬというので、機関紙が号外号外というものを頻繁に出すような例は余り知らぬというので、お答えしにくかったのだろうと思います。
○津金委員 私は、こういうふうに号外を選挙のときにまく例が世界にあるかないかということを聞いているのじゃないのです。そういう活動をやっている国はあるのですよ。ビラを飛行機からまいて選挙運動をやっているような国もあるのです。だから私が聞いているのは、そういう例があるかないかといえば、あるということをはっきりこの際申し上げておきますが、機関紙の号外、すなわちあなたが今度の改正案でおやりになろうとしているようなことをきちっと法律で決めている国はあるか、それはないと言って土屋さんはこの間はっきり答えているのですよ。そのことはお認めになりますか。これはわれわれも調べて言っているのです。各国の例をいろいろ研究して意思を出しているのです。
○三木内閣総理大臣 私も、選挙制度を調べに行ったことはないのですけれども、選挙に何遍もぶつかったことはありますが、日本のように、ああいう政党の機関紙の号外というものを戸ごとに大量に配っているような、そういう姿を私の目で見たことはないのですよ。だから政党の機関紙はありますよ、だけれども、あんなに号外というものを非常に頻繁に発行しているような例というものは私は余り知らぬですよ。だから、そういうことはないとかあるとかいうことをお答えできません。そんなことはどうも聞いたことがないというので、それが禁止したとかしないとか言っても、もとが、そういう事実がどうもないのじゃないかという感じがしますから。
○津金委員 はっきり答えてもらいたいですね。ないのでしょう。
○三木内閣総理大臣 そういうことは、号外というものを余り発行するような例がないというときには、禁止しようにも、もとがないという場合には、これはしようがないことで……。
○津金委員 お聞きしていることに答えていただきたい。私はそんなややっこしいことをお聞きしているわけじゃないのです。それはないのですよ。私は結論を申し上げますが、私の方もそういうことについて調べたところではないのです。ところが、総理大臣がそういう認識でいられては困るのです。世界で、どこの国でもおやりになってないようなことをあなたはおやりになろうとしている。そのことの重要性を正しく認識していただかなければ問題の正しい論議はできないのですよ。 その点において、少なくとも選挙部長の答えは、これは国会における政府の正式な答弁なんですよ。だからまたこの点ははっきりそういうふうにさしておいて、そればかりやっているわけにいきませんから、はっきりさしておいていただきたいと思います。ないのです、そのような号外を禁止するというのは。号外を配っている例は知らぬ、それは三木さんは御存じでないかも知れない、三木さんといえども世界じゅう全部調べたわけではないでしょう。あるのですよ、そういう例は。しかし、そういうものを法律で禁止した、すなわちあなたが今度お出しになった改正案のようなものを法律として決めている国はないのです。前回の答弁との関係もありますから、その点はひとつはっきりさしておいていただきたいと思います。
○三木内閣総理大臣 こういうことじゃないでしょうか。そういう例は、外国では飛行機でまいた例というのはあるのかもしれませんが、余り日本のように戸ごとに配っていくような、ああいう号外というものは外国に例がないのじゃないですか。ないとそれは言い切れませんけれども、私はないのじゃないか。だからそういう弊害もないから、禁止するといっても、もとがないから禁止をしてないというのが実情じゃないでしょうか。私はそういうふうに思うのですよ。
○津金委員 いずれにしても、どうもいまの総理の答弁は納得できません。これは調べればわかることなんです。現に選挙部長はちゃんと調べてそういう答弁をやっておるのです。 そこで、この点について結論的に進めたいと思いますが、先ほど総理は、少なくともビラを見てやはり役に立っている、それは迷惑になっている人もいるだろうが、同時に役に立っている人もいるという点はさっき事実の問題としてあなたはお認めになりました。 その点においてあなたはさっき新聞の例をたくさんお出しになりましたから、私も一つ最近の例を出したいと思いますが、最近の読売新聞の投書に主婦が投書をしております。その中で彼女はこういうふうに言っておるのですよ。「たしかにビラ公害といわれるようにしつこさが目に余るビラ配布は、私も決して好ましいとは思っていません。しかし、ビラを規制しなくても、受け取りたくない人は受け取らなければよいし、しつこいほど各戸配布されれば捨てればよいし、住民感情をさかなでする政党には投票しなければいいと思います。そういう見識と判断を私たち一人一人が持ち、政治に対する意思を形成していけばいいのです。それを政党のご都合主義やエゴで、憲法にうたわれた言論、表現の自由を一法律の改正によって、手前勝手に変えていく姿勢こそ、危険視しなければならないと思います。」こういう投書がごく最近の新聞にも載っておるわけであります。こういう場合がある。だから先ほど申しましたように、私はあなたのように、すべての人間が迷惑だと思っている、そういう一方的主観的断定はいたしませんよ。そういう人もいることは私も認めます。しかし、これで役立った、これで自分の判断を決める上の参考になったという人もいるのですよ。 ですから、その点について私どもは、こうした問題は主権者である国民が判断すべきものではないか。読んで要らないと思った人は捨てればいいのです。こんなのは迷惑だと思うようなことをやる政党だったら、あなたのおっしゃるように迷惑だったら、その政党は国民の信頼を失うはずでしょう。それは国民が判断すべきことではないですか。それを一方的にみんなが迷惑だと思っている、ビラ公害だ、こういう主観的断定を下して、そして自分の都合のいい新聞記事だけ全部並べて、国民はみんな反対している、こういうことを言って法律をもってこれを禁止する、この発想が間違いではないかということを言っているわけです。 この点については、いろいろわれわれ共産党とは立場を異にする多くの人たちも、国民の判断に任せるべきだという声が非常に多いと思うのです。(「少ないよ」と呼ぶ者あり)そんなことはありません。あなたがよく知らないだけの話なんですよ。朝日、毎日、読売、各社の社説にしても、いろいろな見解の違いがあっても、その判断は国民に任せるべきだ、法律をもって規制すべきものではない、こういうふうに強調しておるわけです。これが私は、国民主権を尊重する基本だというふうに考えるわけです。これはやはり国民の良識を信頼して国民の判断にゆだねるべきであって、政府が一方的判断によってそれを禁止するということは、私はとるべき態度ではない、このように確信し、世論もそういう声が非常に強いのですよ。そういうことについてどうお考えになるか、お伺いしておきたいと思います。
○三木内閣総理大臣 政府は一方的、こう言われますけれども、主権者を代表する国会において御審議を願うというわけでありますから、そして最後は国会の総意によって決められるわけでありますから、政府が独断ということは私は当たらない。現に国会の御審議を願って、私どもはもしこういうことが自由に認められるというならば、選挙期間中の選挙用の文書というものの制限というものは一体どういう意味を持つのだろうか。いままでやってきた選挙法によって、選挙用の文書というものは細かい制限をしておるでしょう。それをやはり津金議員も承諾のもとに選挙をやられてきたわけです。これが無制限にやっていいということになれば、細かいいままでの選挙文書の制限というものは根底から意味をなさないじゃないか。皆がいろいろな立場がありましょう。あるけれども、皆国会において審議をして、多数の方々が、こうすることが公正な選挙を確保するゆえんであると考えるならば、その意見に従って、これは共通のルールですから、満場一致が私は一番好ましいと思いますけれども、そうならぬ場合には、やはり多数の意見に従って共通のルールをつくるということで、これは政府の独断専行というような非難には当たらないと思うわけでございます。
○津金委員 いまの総理の答弁は納得できませんし、私の聞いている国民の判断にゆだねるべきだという問題に関して、きわめて明快さを欠いているように思いますが、時間の関係からいって次に進みます。 政治資金規正法の問題についてお伺いをいたします。 先ほど冒頭に引用した中央公論の同じ論文の中で、あなたは「企業は政治献金を行わず、個人献金として献金の額には限度を設ける」ようにすべきだ。「これは、きわめて簡単で、しかも現実的な提案である。観念的な理想論ではない。」こう論じられ、さらに引き続いて「国民はインフレで苦しんでいる。インフレで苦しむ国民をどうやって救うことができるのか。企業から多額の献金を受けた候補者は企業の代弁者となり易い。労働組合にかかえられた候補者もまた組合の代弁者となる。」「選挙制度の改革は青白い青年の観念論ではない。国民にとって最も差し迫ったインフレ抑止の問題にも重要な関連がある。」こういうことを言っておられるわけであります。 この限りにおいては、われわれもかなり共通、同感の面があるわけであります。この考え方は今日もお変わりありませんか。
○三木内閣総理大臣 中央公論に対しての私の論は、間違いなく私の原稿に基づくものですが、またその他の場合においてもそういう意見を言って、しかし三年間と言っておったのです。三年間の経過規定を置くということを言っておったのですが、しかしこれが自民党の場合、三年というものは短過ぎるということで、五年後には政党の経常費については党費及び個人の寄付で賄うという党議の決定をしたわけです。 三年と言っておったのが五年というように延びたことは延びましたけれども、そういう方向で将来党は運営をしていこうということで党議を決定したので、期間が少し延びたことは事実ですけれども、私の基本的な考え方を党も認めて、五年後には党の経常費は党費と個人の寄付によって賄っていこうという決定を行ったことは御承知のとおりでございます。
○津金委員 ところが、今度政府がお出しになった政治資金規正法の改正案は、企業献金を承認をし、しかも限度額というふうに称して最高一億円、派閥に対する献金を認めるならば一億五千万までの限度なるものを認めておるわけであります。これは今日の実態において、政治資金規制どころか、これではむしろ企業献金を結果的に奨励することになりかねない、この点を私どもは指摘をせざるを得ないわけであります。 細かいことは別として、いま私が読み上げたあなたの論文、時期の問題は別として、基本的観点が正しいとあなたがいまでも確信されるならば、こういう膨大な企業献金を受ける自民党、そしてその総裁である三木総理は、企業の代弁者になるというそのことをお認めになるわけですか。
○三木内閣総理大臣 絶対に認めません。企業の代弁者ではない。自民党は、いろいろ企業が顔をしかめるようなことも国民全体の立場に立ってやってもらわなければならぬ。企業の代弁者にあらず、これははっきりしておきます。しかし、それはいま言ったように、最高額を決めたというのは、いままでは何も限度なしですからね。私は政党に対しての寄付というものは、やはり限度を設けて、しかもそのいっぱいの寄付をしなければならないというのではなく、これが最高ですよというのですからね、それを奨励するような意図はありませんよ。 一定の限度を設けることがやはり政党自身としても、政党自身の経理の上から言って必要だからといって無制限に寄付を依頼するというのでなくして、限度内において寄付を募集できるようにすることが政党の態度としては節度のある態度である。それがいっぱいですからね。こういう時代になってくると、企業の事情によってそのいっぱいいっぱいの寄付が自民党になされるとは考えられません。これは限度でありますからね、それを奨励する意図なんかはないわけです。
○津金委員 法律というものは、これ以上納めてはいけないということは、そこまでなら納めることが認められるということなんですよ。これはそういう限度額なんです。しかも、この限度額というものは、自民党が国民協会を通じて得た企業献金の最大の年でありました昭和四十八年、百八十二億をはるかに結果としては上回る額であります。われわれの計算でも、日本の株式上場会社の限度額いっぱいは二百九十億という数字が出ておる。やはりそこまでは法律的に可能だというのがこの法律なんです。するかしないかは今後の問題です。可能だということ、そこが問題点なんです。 いずれにしても、こういう形で自民党に対する企業献金というのは毎年激増の一途をたどっておることは事実です。昭和四十九年度は上半期だけで百四十三億になっているでしょう。そういうことからいけば、あなたは断じてそうではないと言われるが、あなた自身が「企業から多額の献金を受けた候補者は企業の代弁者となり易い。」と言っている。全然矛盾していると思うのですね。そういう意味において、あなたが違うと言うのだったら、断じてそうでないと言うのだったら、三木さん自身言われておるように断固として個人献金に踏み切るべきなんですよ。できるのです、個人献金は。決してそんなむずかしいことではないのです。われわれはそういう方針を現に実行しておる。 結局これは総理、あなたの基本的政治姿勢の問題ですよ。この点で少なくともいま総理が言われている問題それから今度の改正案に出されている問題、これはあなたの基本信念に反するし、結局自民党の企業本位の体質というものをやはりみずから裏づけるものであると言わざるを得ないわけでありますが、その点どうですか。
○三木内閣総理大臣 自民党は長期に政権を担当してきて、やはり国民全体に対して責任を持っているわけです。自民党が常に考えるのは国民全体の立場ですからね。企業はまた自由経済体制を守ろうという意図で自民党というものが健全に発展してもらいたいと願っておることは事実でしょうからね。その企業から応分の寄付を受けるということ、これによって自民党の政治が曲げられるようなことは断じて私はいたさない考えでございます。 個人献金というものは、日本ではなかなかやはりまだ社会的慣習として育ってないですね。いままで選挙というものは、何か政治にはお金を皆が出して、そうして政党を盛り立てていくというような慣習というものが、欧米の社会よりもまだ未成熟だと私は思う。これからはやはりそういうふうに持っていったらいいと思う。 私もやはり理想主義者である。これは誇りとしている。しかし、私は空想家ではないわけですからね。現実を踏まえて一歩でも理想に近づけたいと考えておるわけですから、現実というものを全然無視して不可能なことをやはり私がここで、そういう個人献金という一つの大きな慣習がまだ社会的にも定着してないのにすぐに切りかえるということは、これはやはり理想論ではありませんから、現実を無視している。 そういう点で、こういう国民の慣習を育てて、その政党の主義、信条に対して燃えるような熱意を持っておるような人によって政党の経費は賄っていけるように政党はしなければならぬなと私は思っているのです。すぐにそこへいきませんから、やはりこれからそういうことを、税法上にも優遇措置を講ずることも必要でしょうし、育てていくべきだ、やはりある経過規定は必要である、こう思うわけでございます。
○津金委員 いま個人献金はなじまないと言われましたけれども、それは率直に言って自由民主党はなじんでいないかもしれません。余りなじんでいられないようであります。しかし、少なくともわが党はそれを実行しております。そして、それなりの財政的な基盤を確立してきているのですよ。やれないことはないのですよ。自民党がなじまない。それは企業献金に依存し、企業依存の体質を根深く持っているからなじめないのですよ。問題はそこにある。少なくともこの論文の中で、総理は、これらはきわめて簡単な問題で、現実的な提案だと言っておられる。その話とは大分違うということを率直に指摘しておかざるを得ないと思います。 時間がありませんから先へ進みます。 その具体的な一つの例として、今度の政治資金規正法の中では、届け出の提出に際して、政党、政治資金団体に対しては年間一万円までの届け出は不要である、ところが、その他の政治団体、たとえば派閥ですね、これは年間百万円までは届け出が不要だ、こういうことになっておるわけでありますが、どうしてこういう差が必要なんですか。これは結果として、私は、あなたが主張している派閥解消どころか派閥優遇の政策にならざるを得ないと思いますが、どうしてこういう処置をとられたか。時間もなくなってきましたから、簡潔にお答えをいただきたい。
○三木内閣総理大臣 私は個人献金——献金という言葉はいやな言葉ですが、個人寄付とまあいいましょう、個人の寄付の場合、やはりいろいろなプライバシーの問題があるのですね。何というんですかね、人によって相手というものに対していろいろな差をつけるような場合をちゅうちょしたりされて、何か個人の寄付というものを日本の社会で定着させていくのにはどうも……。やはり百万円以下というものは自由意思によってそれを公表しないようなことにしておくことが実情に合うのではないか。 しかし、これを税法上の優遇措置を求めようとすれば全部届け出なければならぬ。だから私は、相当な部分というものはこういう規定があるにかかわらず届け出になると思いますね。税法上の優遇措置は、届け出て公表しなければ受けられませんからね。実際問題としては相当な部分は届け出になってくる。どうしてもやはりそれは自分として困るというようなものは届け出しないような場合もあるでしょうけれども、大部分はそういう制度があっても届け出になる。そうでなければ税法上の優遇措置が受けられないからだと思っております。
○津金委員 まことに奇妙なお答えでありまして、それはいろいろプライバシー的な問題についても言われましたが、総理は派閥の解消ということを非常に主張されているわけでしょう。だから、派閥献金なんというものがだんだんなくなって、そして政党に対するちゃんとした献金が行われることがあなたの理想であるはずだと思うのです、お言葉どおりからすれば。ところが、実際問題としては、派閥に対する献金だけは非常な、これは事実上結果的には匿名寄付的役割りを果たすものですけれども、そういうことを百万円まで認めておる。そちらのプライバシーは尊重しなければならぬが、本来あるべき政党に対してちゃんと献金する人のプライバシーの問題については何ら配慮がない。これが結果としてむしろ派閥優遇の処置というふうにならざるを得ないということを私は指摘し、三木さんの理想とこれは大分違うじゃないかということを言っているわけです。それを私、時間の関係もありますので、もうちょっと具体的に申し上げたいと思うのです。 こういうことをいろいろおっしゃいますが、現実にこれが適用されるとどういうことになるか。政策懇談会というのがありますが、これはいわゆる三木派の派閥と言われる組織でございますね。そうですね。——その政策懇談会、これは派閥です。すなわち、あなたのおっしゃる百万円までは届け出なくていいと言われている方の対象になる組織です。この政策懇談会の昭和四十八年度の届け出というものを見てみますると、ここに書類があります。必要だったらあなた一つ差し上げますが、昭和四十八年度の寄付収入は、寄付団体数は二十九団体、政策懇談会に寄付されております。そのうち百万円以下の寄付というものを行っている団体が幾つあるか。二十九団体のうち、その八六・二%を占める二十五団体が百万円以下なんです。いま、この改正案でいけば、あなたのこれはもう一切届けないでいいということになるのですよ。いままではちゃんと出ていた。われわれ調べれば、こういうふうにわかるんだ。これからは調べようとしても全然出てこないという法律効果を結果としてはもたらすのです。そうでしょう。 ですから、これが結局、客観的には派閥優遇になる。そして同時に、総理、あなたはこの前のこの質問に対して、今度はすべてを画期的な公開主義をとったんだ、だからこの改正案は画期的なものだと自画自賛をなさいましたけれども、結果はどうですか。いままでは明らかになっていたものが、今度は届け出、報告書にちゃんと明示することすら免除されるということになるのです。これは事実上のやみ寄付を助長するということになるのじゃないですか。こういうことに対して総理はどう対処されるおつもりか、はっきりさせていただきたいと思います。
○三木内閣総理大臣 私は、この改正というものは、資金が政党中心に流れていくようにということを願うわけです。派閥優遇と言われますけれども、派閥というのは、政党以外のその他の政治団体ですね、これは百五十万円ですからね、最高の限度が。いまの、いろいろお調べになっておるようですから、過去の政党以外の政治団体として、俗に言われておる派閥というものが献金を受けておる……(津金委員「あなたに差し上げます」と呼ぶ)いやどうも御丁寧にありがとうございます。 こういうものに対しては金額はもっと大きいでしょう。百五十万円という限度があるわけですからね、こんなに厳しい。私は、党議としてこれを国会に提出することを承認したことに対して、自民党の勇気に敬意を表しているのです、実際は。これは最高限度は百五十万円ですからね。(津金委員「そんなことを聞いておるのじゃないですよ」と呼ぶ)いや、あなたは派閥が優遇だと言うので、派閥優遇ではない。これはいままでの惰性からするならば、派閥は大変な規制を受けるということでございます。また百万円以下の点は、これはいま言ったような税法上の優遇措置というのは受けられませんからね。私は少ないと思いますよ。これを受けるのは非常に少ないと思いますが、これはこれからの寄付からすれば、ごく少部分をなす。政党に対しては会員制度というのは認められないのですからね。これはもう一〇〇%公開主義になりますからね。政治資金規正法は、津金議員は余り大した改正でないと言うが、理想から言えばいろいろあるでしょう、しかし現状を踏まえたならば画期的な改正である、まずやはり相当な改正であると私は思っております。
○津金委員 もう最後にいたしますけれども、総理、私が聞いているのは、百五十万の派閥献金の枠を引いたことについての総理の見解を求めているのではないのですよ。派閥に対しては百万円まで届け出なくてもいいということになっている。政党及び政治献金団体に対しては一万円、その他の政治団体、すなわち派閥がこれに入るのですが、それは百万円まで出さなくていいということになっている。そのことをあなたに属しておられる派閥の実例とその実績から見ると、二十九団体のうち二十五件がその枠内に入りますから、今度は四団体だけ届ければいいという結果になるのです。あとは見えなくなるのです、国民に。これが結果的にはやみ寄付ということを助長することになりはせぬか、これはあなたの言うすべて公開主義とは大分違うのではないか、こういうことを指摘しているのでありますから、今度の法律で結果的にこういうことになるということは事実でしょう、評価は別として。法律上の処置としては、あなたの場合だったら四団体だけちゃんと報告書に載せればいい、こういうふうになることは間違いないでしょう。そこを言っているわけです。
○三木内閣総理大臣 その百万円というのは税法上の優遇措置も受けられないのですから、ちゃんと自分は税法上の税金を支払ったりしたような金の中から出すわけでございますから……(「やみになる」と呼ぶ者あり)そういうやみといっても、届け出はしないといっても、ちゃんと合法的に処分のできる金の中から出すわけですからね、やみの金が流れるというふうには考えないわけでございます。(「国民の目から見てやみになるじゃないか」と呼ぶ者あり)やみというても、ちゃんと税金を払って自分が当然に処分できる金の中から、しかもそれは限度は百万円ですからね。皆おそらく五万とか十万円とかいうようなことになるでしょうね。そういうふうなことでありますから、そんなにこれによって政治資金規正法が非常に公開主義というようなものが崩されるというふうには私は思っていないわけでございます。
○小澤委員長 津金君に申し上げます。 申し合わせの時間がすでに経過いたしておりますので、結論をお急ぎいただきます。
○津金委員 それで、いまの答弁には私は納得できません。要するに、いままでは見えていたものが今度は見えなくなるのですよ。あなたの場合だったら、この次のこの改正案からいけば、いままでは二十九件ちゃんと報告書に出ていてわれわれが見ればこういうことがわかるようになっていたけれども、今度はわずか四件だけ届ければいいということになるのですよ。そこのところをついておるわけです。こういう問題はやはり結果として、政治資金の、あなたが自画自賛、画期的であると言われるものの実態と遠い問題ではないかというふうに私は考えるわけであります。このことは根本的に言えば、先ほど一番冒頭申し上げた、この中央公論に書いてある総理の理想とは大分ほど遠い結果ではないだろうか。そういう意味において、こうした点はむしろ政治資金の正しいあり方というものを阻害する結果になる。 これは私どもがかねがね主張しておるように、企業献金及び労働組合などの団体献金を一切やめて、そうした個人献金に切りかえる、これはやろうと思えばできるということは先ほど申し上げた。こういう方向に進む以外に国民の期待にこたえる道はない、こういうふうに考えるわけであります。この点についての総理の所見をただして私の質問を終わりたい、こういうふうに思います。
○三木内閣総理大臣 この政治資金規正法についてもいろいろな御意見はあり得ると思います。私もこれが完全無欠な理想的な案だとは考えていないわけであります。私もまた現実を踏まえて、現在の現実を踏まえての改正案としてはこれが精いっぱいの改正案というわけである。第二の三木、第三の三木が出てさらにこういう政治資金規正法をやはりりっぱなものに仕上げてもらうことを期待をいたします。私としてはこれはもういまの現実に即して精いっぱいの改正案を出したつもりでございます。
○津金委員 ではこれで終わります。
○小澤委員長 浅井美幸君。
○浅井委員 本日は公選法と政治資金規正法の一部改正案が上程されております。私は与えられた時間の中でわが党の同僚議員林君と一緒にやりますが、主として政治資金規正法の一部改正案について総理にお伺いしたいと思っております。 今日政治資金規正法がざる法だということで国民から強い批判がありました。昨年の参議院選挙におきますところのあの金権選挙の実態が頂点となって、国民の中から政治資金規正法を改正しあるいは強化しよう、この強い要望が出てまいりました。そしてその国民の世論が今回の政治資金規正法の改正案になってきていると思います。 本来ならば、この法案に対して与野党を問わず国民の期待にこたえてこれに賛成しなければならないわけであります。ところが、この政府の提出案につきましての内容を見まして、わが党はこれに強く反対せざるを得ない。なぜか。これはいわゆる企業献金というものを個人献金に切りかえると言っておられた三木総理の過去の国民に対する公約が、この法案に全然生かされていない。 こういうことから、私どもは、この三木内閣の政治姿勢あるいは三木総理のこの政治資金規正法を改正するに当たっての決意あるいは考え方、これをまず総論的にお伺いしたいと思います。
○三木内閣総理大臣 私が政治資金規正法に対して言っておったことは、いま言ったような個人の献金、党費によって党の経費は賄うことが理想だと私は思っておるのです。それを私の案は三年と言っておりた。三年後に切りかえるということが三木の一つの改正案であったわけです。それをいま申したように、どうも三年というのは短か過ぎるということで、五年ということで党の経常費は党費と個人の寄付によって賄うということを党議で決定をしたわけですよ。そして企業の献金は辞退をするということでありまして、三年が五年になったということは私の理想どおりにはいかなかったことでございますが、いま申したように現実というものを踏まえないと、あんまり現実を無視したような提案というものはこれは混乱を起こしますから、そういうことで私はそういう五年ということの党議決定に対して了承を与えたものでございます。その点は浅井議員の御指摘のように期間が延びたことは事実でございます。 それから、私はこの機会に改正案というものに対しての大きな目標は、限度額を設けた方がいい。政党というものは、これは公明党の場合でも、やはり今日の政治活動には金がかかりますからね。金がかかる。こういう大衆民主主義の時代というものは政治活動に非常に金がかかる。しかし、金がかかるからといって無制限に政治資金を集めるということは弊害も起こりますから、限度を設けたらいいじゃないか。限度を設けてその枠内で政治活動の費用を賄っていくということにすべきではないか。 もう一つは、一番大事なことは、国民の目にやはりこれをさらして、国民の批判を受けるということが一番政治資金の場合必要だと私は思いますよ。そういう点で公開主義の原則というものはできるだけ貫いていきたい。政治資金の今度の改正の二つのねらいは、限度を設ける、そして公開主義という一つの原則を貫いていきたいということが改正案の一つのねらいであるわけでございます。
○浅井委員 いま総理が御答弁になりましたけれども、過去総理が発言をしてこられたことは理想であって、現実というものはそれを許さなかった。だから現実を踏まえて行う政治家としては、いま実施が三年が五年になったという。これは後で議論いたしますけれども、では従来から三木さんの発言なさっておったことはいわゆる理想主義者、できもしないことを発言しておったのかという国民の強い批判があります。いま改めてあなた自身が、自民党の党内のいろいろな事情があったにしても、そのあなたの理想が、総理というわが国の最高権力者の立場にありながら、あるいは党内のリーダーシップをとらざるを得ないそういう立場にありながら、従来のあなたの主張というものが貫けなかった。国民は三木さんに対しての非常な期待、田中内閣、いわゆる金脈問題でついえ去ったその内閣の後を継いだ三木さんがいわゆるクリーン三木ということで、この三木さんの行動に対して期待をしておった。従来からのあなたの信念でもあり、あるいはまた主張でもありましたそういうものが、総理になった途端に大幅に後退しあるいは変質している。この国民の批判に対して総理はどのようにおこたえになりますか。
○三木内閣総理大臣 私が変質しておるということは、私はそのようには考えない。私の信念は曲げてない。しかし具体的な方法論について私の思うとおりに——私は自民党の独裁者ではないわけです。したがって、自民党全体の党としての意向というものを私が無視して、ついてこいというようなリーダーシップを私は発揮する意思はないわけでございますから、そういうことになってきたら方法論について多少の妥協はやむを得ないと思う。 ただこちらの方向を指しておったのをまたあべこべの方向を私が歩んでおるというふうには考えない。私の信念、私の原則というものは曲げてないが、それに至るまでの過程の間に対して三年が五年になったりするような妥協、やはり信念を曲げたということではなくして、現実を踏まえての方法論の妥協であって、そういうこともないのが理想ですよ、浅井議員の言われるように。私が言ったことをそのまま実行するのが理想ですけれども、それは国民の皆さんも御理解を願えるのではないか。私は独裁者ではないですからね。そういう点で御理解を願いたいと思うわけでございます。
○浅井委員 あなたはこの企業献金というものが悪い、あるいはまたいろんな問題点がある、こういう考え方から、従来のあなたの主張は個人献金に切りかえるべきだとおっしゃったのじゃなかったかと思うのです。全然企業献金に問題はないでしょうか。いわゆる政界と財界の癒着、自民党と企業との癒着、これが批判されて、そして問題になったわけでしょう。それをあなた自身がお忘れになったのかと私聞きたいわけです。私は忘れておりません、だけど私は独裁者じゃないからこういうことはできないのですといったら、一体どなたがおやりになるのですか。国民の期待というものはあなたにかかっているのです。それをいままたあなた自身の信念を曲げて、あるいはまた現実の問題に立ちふさがったこのいわゆる重要な問題ということで、国民に公約したことを裏切っていらっしゃる、このように言われるわけですよ。その点でどうですかというわけです。
○三木内閣総理大臣 私は、企業というものが、自由経済体制を維持して自由経済の原則を貫いていきたい、そのためには企業の基本的な立場というか、そういう立場と自民党の主義主張と一致するわけですから、自民党が健全に発展してもらいたいと願っている人は多いと思います。そういう点から、ある程度の企業が自民党のために応援をしたい、自民党がもうそういう全然、党の経費を個人の寄付あるいはまた党費によって賄えるようになってきたら、企業が進んで寄付をしたいと思っておる人ばかりだと限りませんが、しかしいまのような現在においては、やはり企業が応援をしたいという人が相当にあると私は思いますね。そのことが非常に社会的に悪だというふうには私は断定できない。 しかし、自民党が一部の企業に莫大な政治資金というものを依存するということになってくれば、事実弊害が起こらぬという保証は私はない。世間から見てもやはり非常な誤解を受けるようなことはあり得るわけでありますから、そういう意味において、できるだけそういう誤解を避ける意味においても、自民党が個人の寄付あるいは党費によって賄えるようになっていくことが理想だという考えは変わらぬですよ。 しかしいますぐに、日本はそういうふうな社会的な慣習というものは育っていませんから、やはり不可能なことをするわけにはいかぬので、私は最初から、私の原案でも三年という期間を置いておったわけですからね、直ちにというわけで。三年を五年にしたというところが浅井議員から責められれば、それは五年にしたということは責められてもしかるべきだと思いますが、そういうことはやはり事実政党という大きな総意によって動いておる一つの団体の中においては、国民の皆さんも三木は全然もう言っておることとやることは違うというふうには考えないで理解を得られるのではないか。なるべく理想と現実とできるだけ近づけるための努力が政治家として必要だということは、私もよく考えておるわけでございます。
○浅井委員 まああなたは、国民からあなた自身のやっておることが批判されない、理想から現実に近づけたい、こういうふうに努力しているのだ、こうおっしゃる。しかし、私はそうではないと思いますよ。あなたが昨年七月に行われた三木派の総会、その席上で、企業による献金を禁止して個人の献金に切りかえていくことで企業と自民党が癒着しているという国民の疑惑を取り除く、このようにあなたはけなげにおっしゃっているわけです。三木私案では、企業献金を廃止し、個人献金に頼るが、廃止まで三年間の猶与期間を置く。それが後退して今日の政府案では五年後にさらに検討する。五年後はやめるということはここに一つもありませんよ。 総理、あなたは先ほどから五年後に延びたと言うだけであって、五年後に検討するという言葉であって、五年後にいわゆる企業献金をやめるということが、この法律案のどこにあるのですか。それをあなた何か五年後にあたかも企業献金をやめるような御答弁をなさる。それは私は国民に対する大きな欺瞞であると思いますよ。そんなことはないはずです。改めてそれを協議するというだけのことです。だから検討することとやめることと違うことを、あなたはやめるととっていらっしゃる。それはあなたの理想であり、あなたの願望であるだけであって、現実は五年後に少しもやめるのではなくて、永久に自民党が企業献金をやめないということじゃないですか。それが今回の政治資金規正法の改正案の最大のポイントじゃなかったですか。企業との癒着が問題になり、政治と財界との癒着が政治を腐敗させるということが問題で、これをきれいにしてもらいたい、政治の浄化というものを果たしてもらいたい、国民の願望は三木総理に頼るしかないと言っておるじゃないですか。それをあなた、国民の期待をみんな裏切っているじゃないですか。どうですか。
○三木内閣総理大臣 五年後に自民党はみずから辞退をする、法律によってこれを禁止するからどうというのじゃないのです。法律のいかんにかかわらずみずから辞退をするというのが党議であります。したがって、私はそれを申し上げておるわけで、五年後にはいわゆる企業献金ばかりでなしに、この選挙資金の規制を実施してみていろいろな弊害点、改革を要する点も出てきますから、全般の問題として改革問題をひとつ見直して再検討するという条項が法律の条文として入ることは私は適当じゃないか。いろいろこうやってみると、こういう点でもっと改正をした方がいいという意見も出てくると思いますから、法律としてはそういうことが適当である。 自民党はみずから党議の決定を行って、五年後には経常費に対しては、いま言った党費と一般の個人献金、個人の寄付によって賄って、企業の献金は辞退するという党議の決定をしたのですから、自民党がみずからやはりそういう決定をしたのですから、法律のいかんにかかわらず、法律がよろしいとなっても自民党はそういうことをやろうということを決議をしたわけでございます。
○浅井委員 三木総理は非常に答弁がすりかえが多いと思うのですよ。自民党の党議で決定した——あなたの本会議の答弁では「自民党は、その法案の検討に先立って、五年後には企業献金を辞退して、みずからの党費と個人的寄付によって党の経常費は賄うという党議の決定を行っておる」、これをいまあなたが確認しただけです。党議で決定できるものが、じゃなぜそれよりももっといわゆる国会の権威であるところの法律で載せられなかったのか、私は問題だと思います。自民党がやるというならば、今回政府の提出、あなたの責任において出された法案の中においてなぜ載せられなかったのですか。
○三木内閣総理大臣 私は法案の体裁としてはやはりそういうことばかりでなしに、全般の政治資金規正法というものを実際に実施して、改革を要する面も出てくると思いますよ。そういうものを全部再検討するということが法律の条文としては適当であろう。しかし、自民党は法律のいかんにかかわらず党議の決定をしているのですから、それは自民党というよりも各党が、企業の献金は悪だとか違法だとか言ったら議論があると私は思いますよ。やはり政党のモラルとしてそういうことを党議で決めるということが、そのことが私は重要だと思いますから、この点はこの改正案を実施してみていろいろな弊害が出ましたならば、そういうものもひっくるめて再検討をしていただきたい。そういうことの方が私は法律の条文としては好ましいと考えます。
○浅井委員 自民党がやれるものが法律でやれなかったというのは、非常に私はあなた答弁のすりかえがあると思いますよ。あなたも答弁が苦しいかもしれません。しかしながら、事実あなたの公約、あなたの考えてきたこと、これはいま裏切られようとしているわけです。あなたが政権担当に当たって、従来の自民党の政治を一新することを宣言なさいました。政治改革としては、自民党内に腐敗体質を促す病弊は総裁選挙にあるのだ、この総裁選挙の方式を開放的な方式へ改革したい、こうおっしゃった。それから金権選挙をなくす手段として、企業献金の廃止を目標とする政治資金の規制強化、そして選挙の公営拡大ということをあなたはおっしゃった。 ところがこれが少しも実施をされていない。あなたは、実施をしておる、こう言う。あなた自身の従来の主張であれば、企業献金に問題があるからこそ個人献金に切りかえる、こうおっしゃったはずです。ところが総理になって、ことしになってからは、企業献金必ずしも悪ではないという苦しい言いわけになってきた。ここに私は問題点があると思うのです。 これがいわゆる自民党の体質なんです。金権体質なんです。保守体質なんです。これを改革するためにあなたは総理になったはずなんですよ。ところがこの半年間見ておりまして、あなたは、総論内閣、評論内閣あるいは風鈴内閣、いろいろな言われ方をしております。それはあなた自身が右顧左べんをし、国民の側に立った毅然たる政治をしなかったということが問題なんです。 わが党が指摘をした、あなた自身が大企業優先の従来の自民党の政策をそのまま貫くのか、国民本位の政治に転換するのかということで四つの踏み絵を出しました。 一つは、政治資金規正法の改正強化でした。二つ目は、独占禁止法のこれまた改正強化でした。三つ目は、五十一年度の排気ガス規制の強化でした。四つ目は、社会的不公正を正すということで年金法の改善等、これを訴えましたが、この四ついずれもあなた自身が、私たちの期待し、私たちは本当にあなたを尊敬していく立場に立ちたかった、ところがその三木総理のやってきたこの四つの全部、いわゆる国民のサイドに立つ政治ではなくて、従来の政治をそのままやっているじゃありませんか。 ですから、政治資金規正法改正だと言っているけれども、どこにも改正はありません。改悪です。政治献金奨励じゃないですか。限度額を設けた。限度額というのは、自民党のいままでの国民協会のお金の集め方というのは財界に献金を割り当てているじゃないですか。その割り当て額を今度は決めたのです。決めた結果どうなるかと言えば、従来の自民党か集めてきたお金よりも——上場会社、そういうところから取れるだけでも千七百社で総額二百七十億に及ぶと言われているじゃないですか。四十九年の上半期が百四十七億の収入があって百五十五億支出しています。昭和四十年にはわずか三十三億でした。五倍じゃないですか。これだけ金のかかる選挙だ。あるいはまた政治には金がかかるとおっしゃったその台所は、これだけのお金を必要だと認めている。あるいは財界との癒着というものがこの自民党の体質の潤滑油になっている。いろいろなことを言われて批判がある問題じゃないですか。それをあなた自身は、国民の目をあるいは耳をごまかすために一応この法律はつくっても、中の基本的な、一番大事な企業献金というものば少しも歯どめがかかってない、むしろ奨励になってきているというのは、国民の意思に対しては逆行していませんか。 その点から、あなた自身は、今度は五年後にはいわゆる党の経常費はみずからの党費と個人的寄付によって賄うと言われる。党の経常費とは一体幾らですか。いま経常費は年二十一億六千万である。二百七十億というのは二十一億六千万の十二倍に当たるじゃないですか。あとのお金は全部選挙対策費じゃないですか。きれいな選挙、金のかからない選挙をやるのだというあなたのスローガン、あなたの理想、ユートピア、これはいまの自民党のいわゆる政治の現実に全部こっぱみじんに打ち砕かれているじゃないですか。これであなたは国民の期待をつなげると思いますか。あなたの答弁、全部矛盾がありますよ。どうですか。
○三木内閣総理大臣 浅井議員からいろいろ厳しい御批判を受けたわけですが、いま私に与えられた踏み絵というものに対して、私がそういうものに後ろに向いて歩いておるでしょうか。いま挙げたものを考えてごらんなさい。できるだけ、その自分の掲げた理想に対して、やはり非常な苦心を払って、これを実現させようとして努力しておることは事実じゃありませんか、どの問題をとらえても。私は言ったことと違った方向に歩んでないのですよ。これはやはり現実を踏まえながら、そうして一歩でも理想に近づけたいとして私が努力しておることには、正当な評価を私は受けたいと思うのであります。 いまいろいろ挙げられたもの全部そうじゃありませんか。私が違った方向にどこを歩いておるというのでしょうか。それは浅井議員から言えば、おまえの方向というものは自分の理想よりもずっと数歩おくれておると言われるかもしれません。しかし、私が目指しておる方向を、私が言った方向に向かって、一生懸命に苦心しながら歩んでおることは間違いない。それを全部、国民を裏切った、こう言われましては、これはやはり少し……。厳しい御批判を国会において受けることはわれわれとしても当然だと思いますが、そういうふうには私は思わない。できるだけの、言ったことに対して、理想に近づけたいと努力をしておる。 また、今度の公職選挙法の改正でも、私が一番気にかかるのは、法定選挙費用というものがあるでしょう。それが実際において守られない。これは選挙の規定というものは民主政治のもとにおけるきわめて重要な規定ですよね。それが、法定費用が守られない。また、現実に即さない法定費用でもあるかもしれませんね。これを現実に即したような法定費用にするため、できるだけ現実に即して、いろんな報酬や何かも今度上げたですわね。そして、やはり国会は立法府ですから、みずから決められた法律を守るということでないと、立法府の道義的迫力というものは生まれてこないですからね。そういうことで、まあ公職選挙法の改正なども、そのためにはできるだけ公営を拡大するということで、公営の拡大も、およそ考えられるようなものは大抵公営を拡大したのですよ。よその国でこんなに選挙の公営というものをやっておる国は私は珍しいと思いますね。そうして、できるだけ取り入れられるものは、公営をできるだけ拡大して、そして個人が金を持たなければ政治を志しできないのだという、こういうふうな不公正な事態をやはりなくさねばいかぬということで、公職選挙法の改正も行った。 政治資金規正法でも、浅井議員ごらんになっても、政治資金規正法というものは、これは公開の原則というものを貫きたいというわけですから。いままでは会費制度というものになっておったのです。だから、しばしば不透明であるという指摘を受けたのはやはり会費制度、これは全部寄付になったわけですからね。少なくともやはり政党という、これは民主政治における公の機関ですからね、この収支を明白にするということは、これはいままでとすれば大変な改革だと私は思います。また、限度を設けても奨励だと浅井議員は言われますけれども、これが限度ですよということで奨励の意味はないのですよ。やはり青天井というのはよくない。やはり一応の線を引いてやろうということで、この中に、奨励するためというのではない。 私は、今後党財政の上においても、この改正案が通ったら、やはり一番厳しい試練を受けるのは自民党だと思っていますね、これは。それくらいの厳しいものですよ。われわれとしては、だから、もうできるだけ資金カンパなんかも、自民党はやらなければいかぬ、これからは街頭に出て。そうして、やはりいろんな、各地において、自民党の支持を求めるような、資金の大衆化というものをいままでと違ってやはり努力をする必要が起こってくる。これは非常に厳しい改正案である。 だから、一概に奨励だといって、もういままでよりも政治資金が自民党に対して非常に豊富になる、私はそうは思わないのですよ。これはやはり大変に厳しいものである。しかし、浅井議員の理想から言えばほど遠いものがあるでしょう。私は、私自身でもこれは理想案だとは思わぬですよ。しかし、やはり現実に政党は動いているのですからね、私は総裁だからといって、私がこれはこうやってやるということで決まるものではありません。これだけの大きな、政権を取っておる政党が、総裁の主観的な意思だけでこんな重大なことは決められない。しかし私の理想は曲げられない。この理想と現実とをどうやって結びつけていくかというところに三年と言ったのを五年にしたりする苦心があるわけで、浅井議員、これはお互いに国会というものは、やっておることは正当な評価をして、私自身としても一生懸命に自分の理想に向かって——いまの状態おわかりでしょう。そういう中でやっていることに対しては正当な評価も受けたいと願うものでございます。
○浅井委員 総理の答弁がだんだん、何と言いますか情にすがるような、懇願調のような、哀願調のような……。(笑声) 自民党の体質を私は云々したくはございませんけれども、国民の中にこの問題をめぐって、政治資金規制ということで自民党そのものの基盤、これが近代的な党組織あるいはまた政策上の支持関係の上に築かれていない、そうした前近代的な体質が今回の政治資金改革を目ざすあなたの理想というものを妨げている、こう私は判断します。しかし、だからといって、それは国民は許すものではないと私は思いますよ。やはりあなたが総理総裁としていまその席にある以上は、国民のための政治、本当に国民が望んでいる政治というものを、勇気を持ち、決断を持って一日も早く実現することが、やはりしなければならない責任だと私は思いますよ。 いまあなたは、私が挙げた四つの踏み絵、全部逆の方向に行っているでしょうか、こういうふうにおっしゃいました。しかし、この政治資金規正法は、これは節度を求めたものであり、限度をつくったものであり、前よりはガラス張りになったのだとあなたはおっしゃいますけれども、しさいに検討をすれば、これはやはり政治献金の奨励法です。あるいはまた独占禁止法にしたって、あの公正取引委員会の権限をあなた自身が奪い、そして財界寄りの通産省試案というもので、いわゆる本来国民が求めておった大企業のエゴやあるいはまた大企業の独善というものを取り締まるための法案が骨抜きになったことも事実です。五十一年排気ガスの問題も、あなた自身が環境庁長官の時代に言っておった発言と総理になってからの発言は全然違う。老人のいわゆる福祉の問題についての年金の改正についても、あなたは来年検討する、こうおっしゃった。したがって、何一つ国民の期待する方向にいま向いていないという厳しい言い方、これはあなた、あえて受けなければならぬと思いますよ。 これは、私たちは野党で、反対のための反対をしているのではありません。私たちは国民の立場に立ち、国民の求めている政治実現のために努力をいたしております。したがって謙虚に耳を傾けて、これからこの政治資金規正法の中に、あなたのおっしゃるように自民党の党議で決まっているのなら、五年後にやめるということを明記すべきだ、こういうふうに私は強く要求して私の質問を終わり、わが党の林議員にかわりたいと思います。
○小澤委員長 林孝矩君。
○林(孝)委員 先ほどの浅井委員の質問の政治資金規正法の中で、総理が盛んに言われておったことの一つに、節度ということ、限度を設けるということが必要だ、したがって、これは規制であって奨励ではない、あくまでもこれは規制されているのだ、厳しい規制なのだ。一昨日の本委員会における総理の答弁の中でもそのことを盛んに言われておった。だけど、実際調べてみますと、これが果たして規制であるか奨励であるかということが数字の面で明らかになるわけなんです。 いま一例を挙げますと、四十九年度上半期の国民協会への寄付実績、そして本改正案に基づいての最高限度額、これを比較してみますと、この程度の限度額はこれは規制ではない、奨励であるということは明白になるわけです。これは自治省に報告された資料に基づいて算出したものでありますが、たとえば国民協会への四十九年度上期の寄付実績、それに基づいてあれしますと、企業名を挙げて寄付実績と資本金、限度額、こういうものを比較しますと、宇部興産という企業がある。四十九年度上半期の寄付実績は千四百三十五万円、資本金が三百六億円の企業でありますから限度額は五千五百万円になるわけです。東急電鉄、これは八百二十六万円が寄付実績、資本金が二百三十億円でありますから限度額が四千五百万。東武鉄道、寄付実績が八百二十六万円、資本金が百七十七億円でありますから限度額が四千万。あと住友化学工業であるとか三菱油化であるとか王子製紙、シャープ、東京電気化学工業、国民協会の全企業のデータを算出すると、いま申し上げました企業のこの考え方というものが、たとえば上期でありますが、宇部興産を例にとってみますと千四百三十五万円の寄付をしておって、同額の寄付を下期にもやったとしますと二千八百七十万ということになります。ところが限度額は五千五百万円。これは限度額の約五割五分ぐらいが寄付実績であって、限度額が五千五百万円でありますからうんと高いわけですね。 この実態、データというものをごらんになって、総理、あなたはこれを規制である、こういうふうに言っているわけですよ。そしてこの寄付というのは、自民党の総裁として総理が、いわゆる割り当てによって献金を集められるというシステムの中での実績なんです。今回のこの改正法案の中で、いまの実績を倍する額が限度額になっている。これは幾ら総理が口で節度を設けた、また、これは厳しい規制である、献金には限度額が必要だから大きな限度額を設けたことは前進であると言われてみても、実態がこうなんですから、これは総理の判断というものに大きな過失があると私は思う。この点を私は指摘したいのです。いかがですか。
○三木内閣総理大臣 林議員は、あたかもこれが税金を徴収するようにお考えになっている。それはそういうふうにお考えになればそうでございましょう。しかし、政治資金の寄付というものは大変に厳しいわけですから、したがって、そういうふうに限度がこうなっておるからもう全部それが税金のように自民党に寄付が集まるというものではないわけですよ。したがって、限度額は設けて一応の節度というものを敷いたけれども、実際問題としても、割り当てなんかも従来のようなやり方は経団連もやらぬというわけでありますから、現実は相当に厳しいものになります。政治資金というものはこれから非常に厳しいものになると私は思いますよ。 だから、それは限度いっぱいで税金を取るような形で言えば、いま言われたような数字というようなことには相なるかもしれませんが、実際は、全部の会社がその限度額で計算すればこうなるのじゃないかといっても、そんなものではないですね、政治の資金というものは。自民党がこれから努力をしなければならぬし、国民協会も努力をしなければならぬわけですから、この政治資金規正法が通った後の政治資金というものの実態を考えたならば、相当な規制になっておると私は思いますよ。いま言ったそのほかに公開主義ということもございますし、ガラス張りで国民の批判を受けるということもあって、この改正が後ろ向きの改正であると私は思わないのですよ。これは林議員が百歩進んでおるときに、この改正は六十歩か七十歩であるかもしれぬが、政治資金の規制を前進させようという意図の改正案だということに対しては、私はもう疑いを差しはさむ余地はないと考えております。
○林(孝)委員 現実は厳しいということを言われた。現実が厳しいということは、これはもう共通の認識だと思います。そうした現実が厳しい中において、なぜそれじゃこのような実績よりも高い限度額を定めるような法案にするのかということです。現実が厳しい状態にあるならば、規制ということは、この部分をこういうふうに規制するということでしょう。いままでこれだけであったものをこういうふうに下げる、ダウンさせるということが規制でしょう。そこに節度というものが存在するわけでしょう。さらに現実が厳しいということになったら、それよりさらにダウンさせて初めて厳しいということになるのじゃないですか。 だから総理の認識というものは、ここでおっしゃっていることは心にないことかもしれませんけれども、総理が盛んに節度あるいは規制、前進、こうした言葉を使われますけれども、今回の改正案というものは、はっきり申し上げまして、これはデータが示すように規制も節度もない。こういう限度額を決めるということは奨励だと言われても、数字が明らかなんですから、しようがないでしょう。これでも数字というのは信用できないと総理、あなたがおっしゃるなら、これはまた話は別です。その点、もう一度総理に。ごまかしたっていかぬですよ。
○三木内閣総理大臣 いま林議員が挙げられましたような例はそういうふうな数字になるでしょうが、寄付によりますと、非常に厳しい規制になる点もあるわけですね。いまお挙げになった会社は、そういうふうな規制というものが、限度額の方が実際にいままでの寄付よりも上回っておるけれども、いままでそれを上回っているような限度額を超えた寄付も、企業によったならばある。ここにおいてもしばしば委員会で問題になった寄付もあるわけですから。それはたまたま挙げられた例がそうでありますが、全部が全部そういうことではない。相当な厳しい規制にかかる企業もある。 もう一つは、会社が寄付をする場合に、いままでは会費という制度があったでしょう。それと寄付というもの、これが今度は全部寄付ですから、一緒にしてこれで規制を受けるわけですよ。会費というものはもう認めないですから、全部寄付ですから、寄付一本になるわけですから、相当な厳しい規制になる。
○林(孝)委員 私が挙げた企業のほかにもまだあるのですが、これは四十九年度上半期の国民協会全部の企業について言えることですよ。私は具体的な数字を挙げました。企業名もはっきり出してやったわけですから、総理がそれは挙げたものだけだ、国民協会に献金をしている全企業についてそうではないとおっしゃるならば、当委員会に提出してください。
○三木内閣総理大臣 国民協会は公表しておるから明らかですが、これはそういう例も多いと思います。全部が全部規制というものがいままでの寄付をずっと上回っておる例であるとは言い切れない。これはやはり国民協会は公表しておるわけですから、調べればわかることですが、全部が全部とは言い切れない。そういうことでございますから、私も調べたわけではないのですけれども、全部の規制が、最高限度というものが従来の規制を上回っているとも思わぬですが、その上に持ってきていま会費という制度がなくなった。全部寄付になるということも、これは厳しさを加えるわけですね。それから全部公開主義になるということも、これも非常な規制であるということでございます。
○林(孝)委員 これは委員長にお願いいたしますけれども、いま総理が国民協会すべてについての資料について、これは明白であるということで、私が挙げた国民協会、いわゆる自治省届け出の資料に基づくことに対する反論を提示された。したがって、私は委員長に諮っていただきたいわけでありますけれども、この国民協会の四十九年度上半期、あるいは下半期があれば下半期の献金の実態というものを当委員会に資料として提出していただきたい。
○小澤委員長 政府はその資料を提出できますか。答弁してください。
○土屋政府委員 御承知のように相当の企業でございますし、しかもまた現行の政治資金規正法というものは、御承知のように寄付のほか会費等がございまして、そういうものはみんなその他収入で一括になっておるわけでございます。したがって、そういうものは国民協会の中を見ても一括した金しか出てきておりませんから、私どもどういう形で全体として出しておるのかということはわからないわけでございますので、資料はなかなか整備しにくいということでございます。
○林(孝)委員 この資料提出については、委員長のお計らいによって、理事会で検討していただきたいと思います。
○小澤委員長 承知しました。
○林(孝)委員 それから次に、私は機関紙の規制という問題に入ります。 総理は、四月十八日の本会議場における私の代表質問に対して、この機関紙規制という問題あるいは号外規制という問題で次のような答弁をされておるわけであります。「選挙期間中は、選挙の文書というものはいろいろ規制を受けているのですから、自由に何でもできるのではないのですから、すでに規制を受けておるのに、選挙運動用の文書と変わらないような政党の機関紙の号外というものを、大量に、無償で、無差別に、戸ごとに配布するということが、選挙の公正を維持していく道であろうかどうかということについては、世間の批判がある」こういうことを答弁されておるわけです。 そこで私は、この総理の答弁に関して、質問をもう一歩深く続けていきたいと思うわけであります。 政党の機関紙及び号外の規制の理由として、総理はここでこうした答弁をされたわけですね。この答弁、特に私が指摘したいのは、選挙期間中は選挙の文書というものはいろいろ制限を受けている、自由に何でもできるわけではない、このくだりがあるわけですね。この総理の答弁、これは現行法の規定をどのような認識で、あるいは解釈をしてこのような答弁をされたのか、私はそのところに総理の現行公職選挙法の認識、理解の上における非常に重大な問題がある、そのように思うわけです。したがってまずこの点についてお答え願いたい。
○三木内閣総理大臣 林委員も御承知のように、選挙文書は現行法の上で規制を受けておりますね。第一、はがきもそうでしょう、ポスターもそうでしょう、それから新聞広告もそうですね。わしは金があるから何回でもやるということは許されないでしょう。それからまた選挙公報も公営であっても一回きりで、何でも自由だということになってない。選挙文書というものに対しては現行法でやはり規制をしている。これが規制をしてもだれもいままでこのことに対して疑いを差しはさんでこなかったのは、何でも自由にということでやればかえって選挙の公正を害するという理由から皆が容認してきたのだと思うのです。私は選挙文書が自由ではなくして、選挙期間中はある程度規制を受けているという認識が根本にあるからでございます。
○林(孝)委員 この選挙の期間中に——よく聞いてくださいね、機関紙誌及び号外の規制の理由として、総理は選挙の文書の規制というものを挙げられている。いまもそうです。先ほどの同僚委員の質問に対しても選挙の文書という言葉を使われておる。選挙の文書というのは、総理もおっしゃったようにはがきにしてもポスターにしてもいまいろいろ規制がありますね。この機関紙及び号外の規制というのは、現行法においてどのように定められておりますか。
○三木内閣総理大臣 機関紙は有償であることが必要でしょうね。(林(孝)委員「現行法です」と呼ぶ)現行法はやっぱり……(林(孝)委員「そこが間違いなんだ」と呼ぶ)機関紙は自由ですよ。しかし、やはりそれは普通の有償ですよね。機関紙は購読者に対して配る。しかし私が問題にしておるのは、そこで言いたかったのは機関紙の号外の問題です。機関紙の号外という形で発行される選挙用文書、林議員ごらんになったでしょう、あの号外というものの内容、あれは政党の政策の宣伝というよりかは、その地区における特定の候補者に焦点を合わせたやはり選挙用の文書ですね。政党の政策の宣伝普及なら、政党で幾らでも出していいのがあるのですよ。法定ビラ、あれは三種類の制限はあっても枚数制限はない。それがあるのですから、この個人のいわゆる機関紙のビラというのは、やはりその地区の候補者個人に関連をしたビラなんですね。そういうことになれば、個人を制限しておるでしょう、はがきでも何枚だ、ポスターは何枚だといって厳しい制限をしておいて、号外という形でそういうふうな個人用の選挙文書が配布されることが、果たしてフェアな選挙であると言えるかどうかというところに疑問があるわけですね。
○林(孝)委員 非常に答弁が長いのですが、質問時間が制約されていますので、要点を簡単にお願いしたいと思います。 私が申し上げたことを言いますと、総理はいま機関紙については有償でなければならないということを答弁されましたけれども、現行法にはそういうことは規定されておりません。現行法に規定されておるのは二百一条の五から二百一条の十四において確認団体の政治活動の可能性という問題について規定されておるわけです。さらに機関紙誌については別個に二百一条の十四、百四十八条の一項、二項に報道、評論の自由というものが保障されておるわけです。総理は機関紙と号外というものを別個に考えられておる。機関紙は、先ほども間違いの答弁、有償とされましたけれども、現行法ではそんなことは定められていないです。機関紙の号外というのは機関紙なんです。そしてこの機関紙の現行法における保障というのは、いわゆる報道、評論の自由という形で二百一条の十四、百四十八条の一、二項において定められておる。 したがって、総理は選挙の文書ということでくくっていままでずっと答弁されておりますけれども、いわゆる選挙の文書として現実に規制されておるものと、片一方で機関紙、号外というものをいわゆる表現の自由、言論の自由として認めておる現行法、この二つあるわけです。そしてこの号外というものは、政党機関紙あるいはいろいろな民主団体の機関紙も売っています、そうした機関紙に号外というものも含まれる。これをなぜ区別して号外だけはそうした形になるかというところに一つの大きな問題がある。 時間がないから私ずっと話をしますけれども、なぜそうした大きな問題が起こってくるかというと、選挙運動と政治活動というのはどういうふうに違うのかということだと思うのです。私は、号外も含めて機関紙の規制、これになぜ反対するかということは本委員会においても先日議論しましたけれども、近代政治というものは政党政治でしょう。政党は国民に知らせる義務がある。そして国民は知る権利を持っている。憲法のいろいろな自由権の規定にしても国民主権というものを前提として、そのためにあるものでしょう。それをこの法律によって規制するということの重大な問題を私は言っているわけです。そして現行法においてすでにこうした表現の自由、言論の自由というものがいわゆる機関紙、号外について認められている。そしてわれわれは号外も機関紙だという認識に立っている。号外は機関紙でなければ、一体発行主体は何なんだ。機関紙の発行所が発行しているわけです。機関紙なんです。それを規制するということ、そしてわれわれに通常配布されている機関紙というものは、これは選挙運動じゃないです、政治活動なんですよ。それを今回の法案で規制されるということは、これは政治活動を規制するということです。そこに重大な今回の法案の問題がある。 いいですか総理、総理は私の質問に対して選挙期間中のことであるとか、あるいは選挙の文書が規制されているのだからということを言われた。選挙の文書は当然規制されております。内容的にも中傷誹謗した文書が配られれば、これは罰則まであるわけです。そういうものとこの機関紙、号外というものは違う。そこのところの判断が間違っているから、そこのところの理解、認識が間違っているから、総理はこうした法案の中で一般紙、機関紙、こうしたものに規制を加え、そして機関紙である号外、政党が政治活動として規制されてはならないのに法律で規制しようという、こういう形をとられた。私は憲法上大きな問題だと思うのです。総理の責任ある答弁を伺いたいと思います。
○三木内閣総理大臣 政党の機関紙というのは、やはり選挙に対しても報道、評論の自由というものは持っています。私も、問題になって、いろいろ調べてみましたが、政党の機関紙は個人用の選挙の文書にはなっていないですよ。全体としての政治、選挙に対する報道、評論ということになっておるわけです。また、林議員の言われる政党政治の時代だから政策をもって争えといっても、許されている法定ビラがあるのですから、これは幾らでもまけるのです。 ところが、機関紙の号外というものは、実際に実物をごらんになればわかるように、その当該選挙区における個人の選挙活動と結びついた文書とみなされるべき性質のものになっているわけです。いや、そうじゃないんだ、政党だといったら、ほかにあるのですから、合法的にいろいろやれる方法があるのですから、それによったらいいんで、あえて号外ということは、それによらないで号外というものをこれはぜひやりたいということは、その地区の候補者と非常に結びついた面があるのです。個人の選挙用の文書というものは厳しい制限を受けているではないか、ポスターの枚数まで制限を受けて、政党の機関紙の号外という名前がついたら、そういう選挙用の文書というものが自由に配布できるとなったならば、いままで選挙用の文書というものをいろいろ細かく、はがきが何枚、ポスターが何枚なんていっておる制限というものが意味がないじゃないか、やはりここではひとつそういうものもみんながフェアにイコールなチャンスで争ったらどうか、政党の宣伝がしたければ法定ビラでやったらどうか、機関紙でやったらどうか、こういうふうに思うのでございます。
○林(孝)委員 私の持ち時間のほとんどを答弁でつぶされては困るのです。 私の質問に総理が答えていないところを私もう一回申し上げますけれども、一つは、選挙運動と政治活動の定義を責任ある立場として見解をはっきり明答してもらいたい。いわゆる機関紙活動、号外活動、そうしたものを私たちは政治活動として見ている。選挙中もそうなんです。この定義をはっきりしてもらいたい。この定義がはっきりすれば、選挙期間中であろうと期間中外であろうと政治活動は許されるべきであります。 そしてもう一つは、これは基本的な物の考え方でありますけれども、法律で規制するということは私は賛成できない。事実、東京都の世論調査なんかを見ましても、候補者の名前であるとか、あるいは政党の政策であるとかがどういうところで一番よくわかるかということについては、やはりそうした政党ビラ、パンフレット、これが一番多い。先ほど政府が反対のビラ公害という問題を声を出された。それに対して、ビラは非常に大事であるという意見もある。これは国民が判断すればいいということでしょう。こうした国民が判断すればいいということを、国民が自由に選択する、政治に対する意識の決定は国民自身にあるわけですから、それを法律で規制するということの問題。もう一つは、政党が時の為政者を批判するということは自由でありますし、それは何によって国民に知らされるかということは、機関紙であり、号外によって知らされる。 こうしたいわゆる政治活動の規制にまでも総理は今回の法案で網をかぶせようとされていること、ここに重大な問題がある。私は、これに対する総理の見解というものを明確にしていただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
○三木内閣総理大臣 選挙活動というものは政治活動のある一部分だと思います。ある部分をなす。それを全部を包括して政治活動と言うのでしょう。しかし、選挙活動というものは二十日間という限られた期間だけである。政治活動というものはもう三百六十五日政治活動があるわけで、その中の一環として選挙活動がある。 ただ、私がここで問題にしておるのは、選挙活動の期間、選挙文書というものは一定のいろいろなルールを決めてあるじゃないか、これがいわゆる号外という名前で、そして無制限に選挙文書がまかれることは、いままでの決めたルールというものが……(林(孝)委員「選挙文書と違うのですよ」と呼ぶ)いや、選挙文書でなければ、政党の機関紙もあるし、法定ビラもあるし、それはいろいろの政党の宣伝というものは幾らでもできる機会がほかにあるのですよ。(林(孝)委員「日常号外だってまいているじゃないですか」と呼ぶ)日常お出しになることは何でも結構です。しかし、選挙の期間中の号外というものは、選挙文書を規定して……(林(孝)委員「ずっと政治活動は流れているわけですよ、選挙の前も後も」と呼ぶ)だから、二十日間の選挙期間中は一定のルールに従って各党がフェアにやろうではないか、そのルールというものは、選挙文書に対しては厳しい制限を加えてある、そのルールでやろうではないかというのであって、それは選挙の二十日間というものが問題なんです、ここで議論しているのは。 日常こういうのをおやりになることに対して……(林(孝)委員「二十日間政治活動に規制をするということですか」と呼ぶ)政治活動でない、選挙の文書に対して一定のルールを……(林(孝)委員「号外も機関紙も、これは政治活動です」と呼ぶ)選挙文書というものは……(林(孝)委員「そうでないと言うなら、政治活動と選挙運動の定義を総理としてはっきりしてもらいたいというのが私の質問です」と呼ぶ)だから、選挙活動も大きな政治活動の一環ではございますが、しかし、選挙活動についてはやはり選挙法の規定で一つのルールを決められておる、ことに選挙期間中の選挙文書に対しては相当厳しくしてある。そうでしょう、ポスター一枚でもほかに張ろうとしたって、制限があれば張れないですよ。そんなに規制しておって、機関紙の号外という名前において選挙文書とみなされるべき文書というものが自由に配布できるということになってくると、選挙文書を規制してあるルールというものは根底からおかしくなるではないか。 だから、選挙が済んだら大いにおやりくだすっていい。期間中は各党が同じようなイコールチャンス、しかもやはりフェアな競争でやろうじゃないかというので、これは言論の抑圧でも表現の抑制でもないのですよ。(林(孝)委員「同じです」と呼ぶ)それはやはり林議員が号外というものの実態をごらんになれば……(林(孝)委員「出している本人が言っているのだから」と呼ぶ)それをごらんになれば、少しやはり——いま出しておる本人が言うているのだからということでございますが、実際……(林(孝)委員「そんなインチキなものじゃないですよ、そういうものばかり取り上げて総理はさっきからずいぶん」と呼ぶ)それはやはり選挙文書というものが——これはどうでしょうか、やはり一定の選挙期間という二十日間は皆がルールを守ってやるということがフェアでないでしょうかね。そういうふうに私は考えるわけでございます。
○林(孝)委員 私はいわゆる機関紙、号外を政治活動と認めます。そしてその政治活動を法律によって選挙期間中規制するということは、重大な憲法上の表現の自由にかかわる問題である、したがって、この改正案の中の機関紙規制という問題、ここは削除すべきであるという意見を総理に申し上げて、私の質問を終わります。
○三木内閣総理大臣 いま林さんは、選挙活動を法律で制限——選挙文書、選挙中の選挙文書に対してはある一定の……(林(孝)委員「規制があるのです、現行法でも」と呼ぶ)選挙活動を制限するものではない。
○小澤委員長 林君に申し上げます。 先ほど政府に対して要求されました資料提出の件につきましては、政府は事実上不可能だということでございます。いかがにされますか。
○林(孝)委員 理事会でまた……。
○小澤委員長 それでは、理事会に諮りまして処置をいたします。 小沢貞孝君。
○小沢(貞)委員 ほかから質問をしようと思ったのですが、きのうからビラの規制の問題が、どうも総理の答弁も違っているようですし、質問している方も勘違いしているようだ、最初から私はそう思っておるわけで、明確にお尋ねをいただきたいと思います。 機関紙の号外は選挙期間中自由に発行できるわけであります。この法律が通っても、まずそれを、もし間違っておるといけませんから、それだけは明確にしておきたいと思います。総理の答弁は、どうも選挙期間中のこの二十日間だけは機関紙の号外だけはやめさせたい、こういうことなんです。ところが、それは間違っておるわけです。号外は選挙期間中といえども自由ですから、答弁をする方も間違った答弁、質問する方も間違った質問、こういうことをやっていますから、総理からひとつ明確に後で答弁をしていただきたいと思います。 選挙期間中に機関紙の号外で規制をされるのは、選挙の報道、評論は禁止される、こういうわけですから、政策の機関紙の号外、何とかの機関紙の号外、あるいは極端に私が言うならば、選挙期間中に、私が立候補中に、私は長野県でありますが、民社党長野県連委員長小沢貞孝が長野県知事に保育園をつくれという要請をいたしました。それが新聞記事と同じような記事であるならば、そういうことはこの期間中やってよろしいというわけですから、規制されるのは全くの小さい部分であって、こんなにがつがつ騒ぐような——何でもない問題だ、こう考えますから、総理のいままでの間違った答弁をこの機会に取り消していただきたい、こう思います。
○三木内閣総理大臣 間違ってもない。ここではしかし皆が問題を提起しておるのは、そういう一般の一つの機関紙の号外というような形でなくして、選挙用の文書と見られる一つの号外のことを皆問題にしておる。それ以外だったら皆さんも一生懸命問題を提起なさらぬわけですから、問題の焦点がそこにあるとしてお答えしたわけですが、明快に小沢さんがいろいろ整理されたようなことが当然の、号外それ自体を禁止するわけではないのですが、選挙の報道、評論に関してはこれを制限をしようというもので、あなたの明快な解釈のとおりでございます。
○小沢(貞)委員 どうもこっちが総理大臣になって答弁した方がはっきりわかるようですね。それでは、私の認識どおり間違いがありませんので、この世の中がこんなにがつがつするほど、ビラが言論の自由だ何だと騒ぐほどの問題ではなくて、選挙期間中の機関紙の号外は選挙の報道、評論の号外だけはいけない、もう法律に明確ですから、それを確認して先に進みたいと思いますが……。
○土屋政府委員 現在は通常の方法で頒布をするということでございますから、通常の方法でやるというのがまず第一点。したがいまして、号外が無償で無制限に頒布できるかどうかということは、これは一つの問題がございます。しかし、一部通常の頒布の中で配られるものの中で禁止するということにされておりますのは選挙に関する報道、評論でございます。したがって、当該選挙に関していろいろと報道、評論するということはこれはできませんが、そうでなくて、単なる、わが党の、何々党の政策というものはこういうものでございますということで出すものは構わないと思います。 ただその場合に、いまの例としては非常に判定しにくい例でございますけれども、ある党が、この代表はこれである人が、全然選挙と無関係にこういった要望をだれたちにやったということがあります場合に、たまたまその地区におって候補者となっておった人が代表であったとした場合に、直ちにそれが選挙に関する報道であるかどうかということはわからないと思います。ただ、そういう場合にわざと名前を大きくしたり、その人が選挙に関連して動いているような感じが全体として出てくれば、これはやはり選挙に関する報道、評論ということで、そのものの実態によってそこの判定は考えなければならぬというふうに考えております。
○小沢(貞)委員 いまの土屋部長の答弁も、先ほどの三木総理の答弁を否定するものではない、私はそう理解をいたします。大変恐縮ですが、たとえば私の例だけを申し上げると、選挙期間中に長野県の党の緊急の執行委員会があった。そうすると一般の新聞は、括弧委員長小沢貞孝として、どういうことを決めた、こう書くわけです。その号外というものは通常頒布の方法をもってしておるならば、選挙期間中といえども今度の法改正によって禁止されるものではない、こう思います。 いま土屋部長の言うのは、私はこう理解するわけであります。たとえば私が長野県知事に保育園をつくれと選挙期間中に申し込んだ。だが、私の名前と写真と候補の名前が大きく出ておるようなことになれば、この法律とは無関係に選挙の報道、評論ではなくして、それは選挙用の違反文書、こういう形でそれは法に触れるであろう、こういうふうに私は理解するわけです。部長、いいでしょう。
○土屋政府委員 それもまことにそれぞれの形態によって違うと思うわけでございますが、選挙に関する報道、評論でございますから、あくまでも報道というのは事実の報道、評論というのは事実について論評を加えるということでございます。そういうことの中で取り上げられてきておる場合は、これは一つの報道、評論と見られるであろうし、その中にたまたま候補者があった場合に、代表として小さく入っておったからといって、直ちにそれが報道、評論になるかならぬかということになりますと、そう選挙に出た人の名があるからだけで選挙に関するものだというふうに一概に言えない。 ただ、おっしゃいましたように、今度はそういう報道、評論を逸脱して、写真を入れ、まさに自分の投票依頼になるようなそういう性格の文書でございますと、これはもはやそこで言う報道、評論を越えて、かつての裁判等で「愛労評」等でいろいろ争われた裁判がございますが、まさに選挙運動用文書となりますと、これは別な意味における、選挙運動用文書は限られたものでございますから、それを越えたものをまいたという、別な意味の今度は規制にかかるということになろうかと思います。
○小沢(貞)委員 私の理解も全くそのとおりであります。だから、先ほど来号外はみんないけないみたような答弁もあったし質問もあったが、それは間違いではないか、こういうことで私も理解したので、先に進ましていただきたいと思います。 実は総理が非常に熱心な内政三法案、独禁法、政治資金規正法、公職選挙法、これが衆参両院を通って実際に実施されるというのは、いまの段階においては定かにわかりませんが、ここで私は総理にお尋ねしたいことは、たとえば最近は新聞でちらほら出ておりますが、次期衆議院選の選挙に当たっては、この法律を適用して選挙をやりたいと考えるかどうか、こういう問題について、これは解散時期とも非常に重要な関係があるので、お尋ねをいたしたいと思います。
○三木内閣総理大臣 小沢さんも御承知のように、これは三月以内に政令で定めることになっていますから、それから実施するわけですから、解散ということはいま考えておりませんが、三月過ぎたならばこれは実施されるということでございます。
○小沢(貞)委員 端的に言うと、この法律によって次期の衆議院選をやりたい、こういうことですね。——そこで、私はお尋ねをしたいと思いますが、「この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。」こう書いてあるわけです。その後がある。ただし、衆議院議員の定数に関する改正規定は、次の総選挙から施行する、こうなっております。だから定数是正だけは次の選挙からやるぞと、こうなっているのだが、この法律の施行というのはなかなか大変だと思います。すべてのことは政令事項にゆだねられて、この法改正を具体的に施行するということになると、私は後で事務当局に聞きたいけれども、たとえば七月二日か三日の会期末のぎりぎりいっぱいに参議院でこの法律が上がったといたします。そうすると、事務当局は六カ月でこれが準備ができるのか、三カ月でできるのか、そういう時期とも関連があるので、これは先に総理に質問したわけです。事務当局、どのくらいかかるでしょう。
○土屋政府委員 三カ月以内に政令で定める日から施行するということでございますから、政令その他の準備はそれまでに全部完了して施行するということにいたしたいと思っております。
○小沢(貞)委員 どのくらいかかるのですか。
○土屋政府委員 三カ月以内ということは、ある程度それに近い日時を要するであろうという前提のもとに三カ月ぐらいを考えておるわけでございます。それが若干、二カ月で済むのか二カ月ちょっとかかるのか明確には申せませんけれども、いろいろ各省との相談等もございますので、三カ月は要るだろうということで、そういった期間のめどを立てておるわけでございます。
○小沢(貞)委員 総理、どうしてこんなことを聞いたかというと、これは自民党の内部のことで、定数是正だけは野党に有利じゃないか、与党にとっては大変不利なものを何でやるのだ、こういう声があるわけです。そこで、定数是正だけは次の選挙からやりますと、こう書いてあるが、まあ私は率直に言って、いまの部長の答弁のように、少なくとも三カ月はかかるとするならば、七月の初めに通れば十月でなければ準備ができない、もう具体的な日程がそうなるわけであります。 そうすると総理が言ったように、この法律によって次の選挙をやると、こう明言されたので、もう自然に日が決まっていってしまうわけであります。それ以降でなければ選挙はできない、こういうふうに理解できます。それでいいわけですな。
○三木内閣総理大臣 解散のことは、小沢さん、私はいま本当に考えていないのです。解散についての私の発言はできませんが、これはやはり、こういう改正ができれば、三月以内に準備をしてできるだけ早く実施をするということが、これはいいと思ってやるわけですから、できるだけ早く実施をしたい。解散についての発言は何にもできません、いま私は考えていないのですから。
○小沢(貞)委員 十月以降間違いありませんとか、そういうことを言うはずもないと思いますから、いまの質疑の中で私の方で理解をして、この選挙法が通れば間違いなくこれによって次の衆議院選挙は実施されるのだ、こういう理解のもとに進んでまいりたい、こう思います。 それでは、この間社会党の山本委員から質問のあったことについて若干触れてまいりたいと思います。 今度の選挙法の改正には、参議院の全国区、地方区の改正が載っていないわけであります。これは参議院の方へ行って、特に地方区の定数増のないことは大変な不満だということが、野党ばかりではなくて与党の中にもあろうかと思います。 そこでまず最初に、全国区のことをお尋ねしたいが、この間の問答等を聞いておりますと、社会党の方は拘束比例代表制、それから自民党の方は新聞その他で見ると非拘束比例代表制がよい、いや総理は拘束比例代表制の方がよい、こういうような記事を新聞等で拝見をいたしました。 そこで私のお尋ねしたいことは、拘束比例代表制にしようと非拘束比例代表制にしようと、参議院がだんだん政党化していく。これは選挙のやり方からやむを得ないわけでございます。比例代表制というものを使えば政党化していく方向になってしまうのではないか、こう思います。私は、参議院のあり方というものは、昔の緑風会のころを思い起こすわけですが、これは良識の府であって、政党化していってしまったならば二院制の価値がないのではないか、こういうように考えるわけです。だから、拘束比例代表制にしても非拘束比例代表制にしても、比例代表制というものは参議院を政党化して、私たちが考えれば好ましい方向になっていかないのではないか、こういうように考えるわけです。 そういうことから、ちょうどこの席にもいまいらっしゃる福永健司先生が選挙法改正の小委員長をやっていたときに、全く私見ではあるけれども、参議院のある部分は間接選挙でどうであろうか、間接選挙というのは衆議院で選出するとか、あるいは選挙人を選出するとかいろいろの方法があるが、こういうことをやってもこれは憲法違反にならないと、その当時大分調べたわけであります。そういうようなことを組み入れるとか、あるいはまたこういう方法もあるわけであります。 各政党とも、二十人でも五十人でも政党に属さない人、もし規定するとするなら半分属して半分属さないでもいいわけで、どういう形でもいいが、そういう名簿を出して、選挙運動をやらない選挙、これはなかなかめんどうくさいような話ですが、たとえばテレビだとかあるいは公報だけだとかそういうことで、あの金がかかるような選挙なしの、各党が名簿を出して投票をさせる、こういうような方法を講ずれば、私はある部分は間接選挙でもいいわけです。そういうことを講ずれば、参議院が政党化しないで、昔なつかしい緑風会のようなまあ良識の府になることができる、こういうように考えるわけです。 そういうように考えるならば、総理の方向としては、政党化の方が正しいと考えるか、あるいは政党化でなくて良識の府として参議院が運営される方が正しいか、これは参議院全国区の改正の方向を示唆する私は重要な問題ではなかろうか。総理のお考えをお尋ねしたいと思います。
○三木内閣総理大臣 私が山本委員にもお答えしたのは、次の参議院の選挙までには結論を出したいということをお答えをしたわけです。これは地方区にしても第七次選挙制度審議会ですか、地域もやはり参議院の地方区には加味するべきではないかという意見もあるのですね。衆議院のように人口比で次々にふやしていくということは、参議院のあり方としていかがであろうか、やはり地域というものも加味したらどうかという意見もあるわけですね。そういうことで、やはり定員増という問題もなかなかいろいろな意見があるのです。 全国区の問題についても、いまお話しのあったような、二院クラブの人などは私のところへ参りまして同じような意見を言うわけですよ。参議院が政党化されるのではもう衆議院と余り変わらないじゃないか、参議院のあり方というものをやはり考えてみるべきじゃないかというような意見を、二院クラブの人たちがそろって私のところに言ってこられました。またしかし一方において、政党化というこの方向というものは、これはよい悪いというよりも、否定できないではないか、そうしてくると、やはり現実に即して、できるだけ全国区の弊害というものを是正するような方法をもっと検討すべきでないかという意見もありましてね、小沢委員からおまえの意見はどうだということを言われても、私自身も実際これは結論を得ていないのですよ。 地方区、全国区、このあり方を、これは日本の議会制度の根幹にも触れる大問題ですから、実際は各党においても至急この問題は検討してもらいたい。自民党においてもこの問題は、山本委員にも次の参議院選挙までに結論を出すということを言ったわけですから、これは急がなければならぬわけで、何か理想的な、参議院の定数の問題全国区の問題もひっくるめて、日本の将来の議会制度、議会政治のあり方としていい案をここでつくり出さなければならぬと考えておりますが、いま私がこの案というものを、ここでこれはいかがでしょうかというような、そういうまだ固まったあり方について私自身も結論を持っていないというのが正直なお答えでございます。
○小沢(貞)委員 全国区の制度を改正をしようということは、これはまた一朝一夕ではないと思います。だから、政党化の方向がいいか、非政党化の方がいいかというような基本問題を含めての討議が行われなければならないので、これは一朝一夕ではありません。この一朝一夕ではないものを、おとといは山本委員に答えて、次の選挙には間に合わせるようにしたい、こういうことですが、私は全国区の改革はなかなか次の選挙には不可能ではないかと思います。 去年の選挙が終わってもう一年たちました。もうあと二年たてば次の選挙に入るわけであります。一年半か二年前からは全国区の次の候補になろうとする者は、全国方々に顔を出して事前運動に紛らわしいようなことを始めるという時期がもうあと三カ月か四カ月、半年のうちに来てしまうということになれば、そういう状態に入ってから全国区を根本的に改正をする、これは不可能なことを言っているわけです。おとといの答弁を聞いて、私は全国区を次の選挙に間に合わせるように改革するということは不可能、三年や四年はかかるに違いない、こういうように考えるならば、私は手っ取り早く、やりやすい地方区だけを切り離して、次の選挙には必ず実施いたします、もし両方ができないときには地方区だけ、次の選挙には間に合うように実施いたします、こういうように一歩前進すれば、私はこれは現実性があるのではないか、こう思います。どうしても間に合わなかった場合には、分離してもやろうとする意思があるかどうか。
○三木内閣総理大臣 山本議員にお答えしたのは、結論を出したいということでございますので、これは私のいまの考え方は、定数の問題も全国区の問題もひっくるめて参議院のあり方に関連をする問題ですから、これは至急に検討して、どうするかという結論は、やはり出さなければならぬわけでございますから、そういう期間に結論は出したいというのがいまの私の考え方でございます。
○小沢(貞)委員 時間がありませんので、くどくは言わないが、全国区を検討し始めても半年や一年では結論が出ない。出なければ参議院の全国区の次の候補が運動に入る。したがって、これは全国区、地方区セットにして改革ができれば好ましい形だが、私はいま現実としてそれが不可能だから、山本委員に答えた、次からはやりたいということは、もしセットにして不可能ならば、分離しても地方区だけはやるか、イエスかノーか端的にお答えをいただきたいと思います。
○三木内閣総理大臣 いま私の気持ちとしては、これを参議院の改革というものは関連がないようで、ありますね。全国区と地方区の問題というものは、関連が全然ないとも言えませんので、両方ひっくるめて参議院の選挙制度というものの改革を検討の課題にしてみたいと思っておるわけですが、それはいろいろな現実問題、これはぶつかっていったときにいろいろ考えなければならぬ問題も起こるでしょうけれども、現在のところはそういう考えでございます。
○小沢(貞)委員 これはいつまでも押し問答やっていても前進いたしませんから、ただこの問題が私の言った方向ぐらいな方向性を出さないと、参議院においてはこの選挙法改正というのは大変なことになるのではないか、こういうように考えますので、ひとつ十分な検討をいただいて、参議院においては明確に御答弁をいただくように、後に残して私は次に進みたい、こう思います。 大変今度の選挙法の改正で自動車の問題、ポスターの問題公営部分がたくさん出てまいりました。あるいははがきがふえるとか、テレビ回数がふえるとかいうようなことも修正で出されようとしておりますが、これだけの選挙を管理し、執行する体制、こういうものは大変弱体ではないか。中央選挙管理委員会、都道府県、市町村選挙管理委員会、それから自治省においては選挙部、こういう状態のままでこの民主政治の基本になる選挙の執行、管理体制を進めていくということは、これは大変危険なことではないか、こういうように考えるわけであります。 したがって、私は理想を申し上げるならば、教育制度も三権分立のほかに四権として分立した方がいいだろう。また選挙の管理、執行体制も本当に中立を守って公正な明朗な選挙を管理、執行するためには、そのくらいな独立機関にするほどやっぱり機構を改革し、大きくもし、予算をつけていかなければならないのではないか、こういうように考えるわけであります。そういうことについて今度の改正案には何も盛られていないわけであります。どうでしょう、総理。
○三木内閣総理大臣 小沢議員の御指摘のことは、私もよくわかります。選挙の管理機構については十分検討を加えることにいたします。今度の場合は、これは改正案だけでそういう問題には触れておりませんが、しかしそういう問題は考えなければならぬ問題点であるということは私も同感でございます。十分検討いたします。
○小沢(貞)委員 先ほど来政治資金規正法の問題がたくさん出されましたから、その点についても若干触れてまいりたいと思います。 私は率直に申し上げて昭和四十二年、あれは黒い霧事件のころだったと思います。第五次選挙制度審議会の答申以来、政府は二回だか三回にわたって提案をし、野党も社公民かなんかで提案をしというようなことを繰り返してまいりました。ちょっと十年の歳月がたったわけであります。その上去年の七夕選挙のあの金脈、金のかかる選挙があったり、金脈や何かの問題があって、国民世論を背景にしながらここに出された政治資金規正法を見れば、これは万全ではないわけです。が、しかし、幾多の不満や不備はあるけれども、従来の全くのざるの枠しかできておらなかったような法律から見れば、まだ大分ざる的な漏ってしまうところがあるが、網だけは底に張られたような、まあ簡単に言えば一歩前進の改正案ではなかろうか、こういうように考えます。また見ようによれば、従来の政治資金規正法というものを単に改正しただけではなくて、新しく政治資金規正法を抜本的な改革を加えて新規に制定した、こういうようにも見られない点がないわけではないのであります。そういう意味においては、私は一歩前進である、こういうように端的に評価するにやぶさかではないわけであります。 ただ、以上のような上に立ちながらも、先ほど来の質疑を通じて若干の問題があるわけであります。 まず第一に、具体的に私は質問いたしたいと思います。企業献金について上限を設け、あるいは労働組合その他に量的制限を設ける、こういうことも結構だと思います。それから政党への寄付金というものは一万円以上ことごとく公開しなければならない、それもまことに結構だと思います。ただこの派閥に対するものは百万円以下は、これは名前が表に出ないわけであります。 先ほどの総理の答弁を聞いておると、租税特別措置法の改正によって税の減免があるから表に出るであろう、こういう御答弁のようであったわけであります。ただしかし、これは重大な問題が残っておるわけであります。というのは、たとえば企業は百万円の寄付をするわけであります。そうすると、その派閥の団体から領収書をもらっていけば、その企業は資本金の何分の一とか営業だか利益の何分の一とか、そういうことになると、その領収書によってそれは損金勘定に入るわけであります。そうすると、百万円だけ出した企業は、名前は外に出ない。報告はされません。したくなければ、しないわけです。領収書はその派閥団体からもらうから、その領収書によって損金勘定の枠の中に入る会社は、それによって税の減免が受けられる、こういうことになるわけであります。したがって、百万円以下隠してあるというのは、個人だけは税の減免を受けたいために、だんだん表に出すことになっていくでありましょうが、企業というものは租税特別措置法の減免を受けるから、これは堂々と出してみんな税の減免を受ける、こういうことになると思います。したがって、先ほど来の総理の答弁というのは、みんな税金が減免されるから、それには報告しなければいけないから表に出るんだ、これは根本的に違うのではないか、私はこう思います。
○三木内閣総理大臣 小沢議員に申し上げますが、百万円以下は個人に限るのですよ。この中には企業はありません。百万円というのは個人の寄付の場合だけです。いま申したのは少し混乱がありましたが、税の優遇措置を受けるのは個人だけですから、それを企業が損金に落とすということはできないわけですね。これは優遇措置は受けないのです。個人だけが税の優遇措置を受けるということで、企業は……
○小沢(貞)委員 総理の言うのは違うから、早く事務当局は直さないと……。
○三木内閣総理大臣 それでは事務当局から補足いたします。
○土屋政府委員 いま御指摘のとおり、百万円以下というものは公開はしない、政党、政治資金団体以外のものについては公開しないということになっておりますので、したがいまして、百万円以下のものは出ないわけでございます。ただ、個人については税の優遇措置というのがございますので、これは出てまいる可能性が多いわけでございます。しかしながら、おっしゃるように、企業については、この政治資金規正法に言う優遇措置はございませんので、それは出ないということでございます。したがいまして、損金算入というかっこうでは要するに税の減免があるわけでございますが、ここでは出てこないという可能性が多いわけでございます。 その点については、先ほど総理がおっしゃいましたように、政党中心の制度になっていない現状においては、やはりそういった派閥とか後援会、そういったような存在というものも無視することはできない。それが現実の世界であるので、そういった意味では、プライバシーといったようなこと等もあろうということでお答えになったわけでありますが、そういうことで、政党と政治資金団体とそれ以外の団体との公開の方式を少し変えてあるということでございます。
○小沢(貞)委員 総理、そういうわけです。個人のは税の減免があるから、それはなるべく表に出すように努力するであろう。ところが、企業のは表に出さなくも、政治団体の派閥の領収書さえあれば、それは税の減免の方は損金勘定で受けられるが、どこへも表に出ない、こういうことであります。総理、わかりましたか。いままでの答弁は、みんな税が減免されるために表に出されるであろう、こういう答弁は間違っているわけです。 そこで、続いて私はお尋ねしたいと思いますが、今度の政治資金規正法の非常な前進の中には、政治資金の質的制限、献金の質的制限というのがあるわけであります。たとえば寄付の質的制限として第二十二条の三によれば、国から補助金、負担金、利子補給金その他の給付金の交付の決定を受けた会社は、当該給付金の交付の決定の通知を受けた日から同日後一年を経過する日までの間は、政治献金をやってはいけない、こうなっているわけです。ところが、いま私が申し上げたように、企業の献金は表へは出ませんから、そうして税だけは減免されるから、これをチェックのしようがないのではないか、私はこういうように考えるわけです。税だけは派閥の領収書で減免されます。それは税務署の方であります。ところが、報告はされませんから、チェックのしようがないということになると、二十二条の質的制限、こういうものは、国から補助金、負担金、利子補給金、そういうものを受けたものが献金をしても、それは全くやみからやみでわからなくなってしまう、こういうことになるわけであります。 だから、ここは私は非常に重要な問題だ、こういうように考えます。どうでしょう。これじゃガラス張りの質的制限、ガラス張りの報告ができる、あるいは税の減免によってなるべく公開されるであろうという総理の大きな柱は違ってしまうのではないか、私はこういうように考えるわけです。
○三木内閣総理大臣 細目にわたる点は土屋選挙部長からお答えをいたします。
○土屋政府委員 御承知のとおり、この政治資金規正法というのは、取り締まりというよりも政治資金のあり方ということを関係者全体が守っていこう、そういった意味で関係者から出されたものをわれわれが国民の前に公表するという仕組みでございますが、いまおっしゃいました点については出ないという場合があるわけでございます。もちろんその税については損金算入の限度があるわけでございますが、そういうことを受けながら、こちらでは出てこないということになりますと、たとえば国から補助金等をもらったものが出しても、それがはっきり公開されていないのではないかというような御指摘でございますけれども、いまも申し上げましたように、この制度そのものは法律として当然守らなければならない制度としてできているわけでございますから、関係者は自分のところがもらっておるということは十分わかっておるわけでございます。これは法の趣旨にのっとって行動していただくということで、そういった遵法の精神で守っていただくということを私どもは期待をいたしておるわけでございます。
○小沢(貞)委員 三木総理、実はそういうわけであります。大変ざる的なところがあるわけです。しかも、それは派閥の献金を奨励するがごとく、それについては損金勘定はちゃんとできる。ここで質的制限をやったのも、表には出てこないでわからない、こういう重大なことがあるわけです。 だから総理、この際、執行に当たっては、これも先ほどの選挙体制を強化するということとも関連がありますが、一体どこが補助を受け、どこが負担金を受け、どこが政府からのどういう援助を受けているかということが実はわからぬわけです。外からわからぬわけです。国民にわからぬ。当事者だけしかわからぬわけであります。ここが非常に危険なことであります。したがって、選挙管理委員会あるいは選挙部を局にする、そういう執行体制を強化して、国民の目の前にわかるようにしておく、こういうことが大事な一つの条件ではないか。先ほど総理は、そういう体制を整えよう、こう言いますから、それだけをひとつしっかりとお願いをして、先に進みたいと思います。 実は、この政治資金規正法の改正は、私は先ほど抜本的な改正だと申し上げたが、この第一条の目的から基本理念、政党、政治団体の定義から始まって、団体の届け出、会計帳簿の備えつけ、報告、機関紙の収支、監査意見書の添付、こういうように実はなっているわけであります。これを端的に申し上げると、もう政党法に準ずるほどに、この政治資金規正法というものはなかなか強化されておる、こういうように私は見るわけであります。 そういう意味から、政党法を将来つくろうとするようなお考えがあるか、まずこれが一つであります。あるいはこれを非常に悪く解釈するならば、国家権力による政党への介入、こういうように解釈できないこともないわけであります。しかし、いい面は政党の活動が国民の前にガラス張りにされる。もろ刃の剣のようなところがあるわけであります。これだけの抜本改正をして、政党法に準ずるような法律をつくったその本当の目的は一体どこにあるであろうか、この点についてお尋ねをしたいと思います。
○三木内閣総理大臣 これは、小沢議員から非常に高い評価を受けたことは、私はもう相当な改正だと思うのですよ。それを正当に評価されましたことは、われわれの努力も非常に多く評価されて、われわれとしても非常にありがたく思うのでございますが、しかし、政治資金で一番大事なことは、ガラス張りで国民の批判の目にさらすということが一番大きな問題だと思うのですね。政党に対する資金というものの収支は国民の目にさらされるわけですからね。この批判を受けるということは、政党の自粛にも通じて、政治の粛正の意味が私は出てくると思う。 そこで、ここまでくると、政党法というものは必要なのではないかという御意見でございましたが、政党法というものは、世界で見ましても西独と南米、ブラジルでしたか、アルゼンチンかどこか……(「アルゼンチン」と呼ぶ者あり)アルゼンチンであるわけですが、この政党というものの活動をなかなか法律的に規制するということのむずかしさがあって、ドイツなどはナチスの再現を許さないという背景があって、あれはわりあい早く政党法ができたわけですし、それからまた選挙の費用を国から負担していますからね、西独の場合は。選挙の費用というものはそういう意味で国庫で支出をしているわけですね。 そういう点で必要もあったわけでしょうが、日本などもこれは研究の課題だと思いますが、いま私は政党法の制定というものをそういう決意をして、研究というお答えにはこれはまいらぬわけです。これはひとつ研究をしてもらう課題ではあっても、政党法というものは容易ならぬ問題を含んでいると思います。政党は一つの自由な活動ですから、いま小沢議員も御指摘になったように、余り国家権力が政党に介入するということも避けなければなりませんから、将来の研究課題としては、これは小沢議員の言われるように研究の課題である。しかし、いまこれの制定を目途にして検討いたしますという答えは現在の段階でまだできない、こういうのが正直なお答えでございます。
○小沢(貞)委員 いま総理からも発言があったように、西ドイツの政党法ができるまでにはいろいろの経過があったわけであります。それから先ほどだれかの質問にあったように、金を企業から集めてくればこれは総理の論文か、企業寄りになる。労働組合から集めてくれば労働組合寄りになる。それからここに安信啓工学博士、その人が私に、これは大概の公選法の特別委員のところにきているのではないかと思いますが、「国会議員の政治資金に関する要望」、これがあるわけです。そのほかにまだあるわけです。企業寄り、労組寄り、教義寄り、信条寄り、それぞれ寄る。最初の選挙のときには住民寄り、選挙が済めば企業寄り、労組寄り、教義寄り、信条寄り、こういうようにいく弊害を避けることはできない。先ほどの質疑の中にもあり、総理の論文か何かにもそう書いてあったというわけですが、企業寄り、労組寄りまではあったが、教義寄り、信条寄りもあるであろう、この人はそういうように見抜いているわけであります。 それでは、この人の、政治資金というものはどうしたらいいか。これは長々となるほどりっぱな論文に出ておりますが、もう「混合経済の認識から始まり」というようなことで、混合経済的な認識から始まり、それで何を言うかと思うと、最後の落ちは、国でもって、国家に必要な政党の政治資金というものは半分ほど——ほどほどがよいが半分ほど持つべきである。後はいままでどおりのようなことを、政治資金規正法をためながらやっていくがよかろう。 なるほどこれは一歩前進、うまいこと書いてあるな、こう見てきたわけですが、西ドイツにおいては、たとえば政党に対する援助、それから選挙に対する援助、両方あるわけであります。この間も議会運営委員会で、政党や会派に対する援助というものを拡大していかなければならないではなかろうかということが、選挙の結果の反省として出たわけで、そのときに調べたのによると、大体各会派に対する補助金が一会派月に二千万円であります。そのほかに、会派に属する議員一人当たり月約三十一万円であります。そういう結果ドイツ社会民主党は毎月約九千五百万円、それからキリスト教民主・社会同盟は月に九千二百二十万円、自由民主党は約三千三百十万円、こういう補助が会派補助として出されているほかに、今度は選挙に対する援助として一票当たり二・五ドイツマルク、こういうように出ているわけであります。この総額が一体どれほどになるかはまだ私もつまびらかではありませんけれども、つまり政党に、片方においては補助をし、片方においては選挙は国の選挙であるから当然負担させよう、こういう思想のもとにドイツは政党法をつくってやってまいったわけであります。 私はいま、安信啓工学博士の要請書を見ながら、政党法をつくって、明朗な政治資金を、集めることはほどほどにして、後は国が必要とする政党、民主政治の基盤である政党、こういうものを国によってやはり援助をしていくということの方が、選挙のときには住民向け、当選してくれば金をくれた企業向け、労組向け、信条向け、教義向け、こういうゆがんだ政治になることを防ぐゆえんではなかろうか、こういうように考えるわけです。どうでしょう、総理。
○三木内閣総理大臣 選挙にしても、これは政府を決定するのですから、重要な国事ではありますね。そういうことで西独の場合に、選挙費用の全部でもないでしょうが、相当な部分を三回ぐらいに分けて、いまでは二マルク半というものを一マルクふやして三マルク半にしたようです。そういうことにして国が見ておる一つの理由はあり得ると私は思うのですが、しかし、そういうことのためには政党法というものも要るわけになるでしょうから、これはひっくるめて将来の研究の課題だと私は思います。 とにかく政治に金がかかり過ぎるというそのことがいろいろな政治の腐敗の原因もつくりますし、また選挙にしても、金をつくる能力がなければ選挙に出られないということは青年に対し希望を失わせることにもなるし、それからまた選挙法で決められておっても、皆選挙違反というものに対して罪悪感というものがわりあい少ないというようなことは、遵法精神にも影響を与えますし、やはりそういう点で、選挙を粛正するということを金の面から粛正をするということは、はかり知れない影響を与えると思いますね。ことに、国会議員の選挙の姿がもう地方選挙にそのまま映るのですよ。国会議員の選挙というものが粛正されたら一度に地方議員の選挙も改まると私は思われる。この影響力というものは大変なものですから、どうしてもやはり今日のように金がかかる政治、金がかかる選挙、ここを断ち切らないと日本の議会制民主政治というものの将来に非常に私は禍根を残していくという気がしてならないのであります。 そういう点で、小沢議員もこれは画期的なものだというわけで、これを自民党が党議で決定するということは、小沢議員が御想像になっても自民党は相当な決意をしたという評価を当然にお持ちくださるだろうと思うのですが、そういうことで一歩前進していこう。 それは何かと言ったら、金というものが、政治は金によって動かされているのだという一つの姿、そういう姿というか、国民にそういういろいろな疑惑を与えておる事態は、自民党ばかりでなしに各党が議会政治を守っていくという立場から、いろいろ自分の思うとおりでないから反対だということでなしに、お互いにやはり議会政治を守るという点でこの問題については皆さんの大局的見地からの御賛成を願って、一歩大きな前進であることは間違いないですからね、成立をしていただくことが三木個人とかなんとかというのじゃないですよ、議会政治全体のためにこれは相当な貢献をする、こう考えて、私も熱心なんですよ、小沢議員、これはぜひともやはり成立させたいということで、各党の御協力を切に願う次第でございます。
○小沢(貞)委員 どうも政治資金規正法にどうしても賛成してほしいという陳情答弁のようにしか受け取れないわけですが、その前にもう少し事務的に私はお尋ねしたいのだが、ドイツと比較するわけですが、たとえば昭和四十七年十二月の選挙のときに、日本の衆議院議員候補者一人当たり国で負担した額が約二百八十万。この間もお尋ねしたところが、今度の改正によって、公営の拡充強化で約六割国の負担が大きくなる、こういうことですから四百四十八万、約四百五十万くらいを国が負担することになるわけです。 ところが、昭和四十七年当時の法定費用を見ると、東京の三百五十七万、鹿児島の三百二十五万、この両極端を平均すると三百四十万くらいが法定選挙費用であります。この法定選挙費用も、この間自治大臣にお尋ねするところによると、今度三〇ないし五〇%上がるということになると、これが約五百万であります。 したがって、法定選挙費用と国で負担する費用とを比較すると、大体同じくらいではないか。これは大体半分半分というバランスがさっきの安信啓さんのお話に合うような形にはなっているのだが、ところが実際はこの法定選挙費用というのは実際にかかる費用の、ある人は三分の一と言い、ある人は二十分の一と言い、これはなかなかまちまちですから定かにはわかりませんが、実際に三倍ないし七、八倍かかっているのが実態ではないか、正直に言ってそうだと思います。法定選挙費用の、たとえば全国区十万枚のポスターを張るのに一枚三百円かければもう三千万円、それだけで法定選挙費用が終わりというような非現実的な法定選挙費用ですから、そういう実態だと思います。 そしていま一つ、国が政党会派に出している費用があるわけであります。これは選挙のときに今度の改正で一人当たり四百四十八万、四百五十万くらいかかるであろう。いま一つは、国が政党に出しているのが立法事務費、これを出しているわけであります。これはこの間の改正によって月二十万円、政党にストレートに行く、こういうのであります。だから、これを両方足したところでこれはきわめて微々たる額であります。 西欧の先進国においては、まさに三木総理の理想のとおりであります。たとえばオーストリアに行ってみたら、国民の一割が革新政党、一割が保守政党に加盟をしておる。ドイツその他へ行ってもそうであります。ああいう理想のところに到達するにはまだ、三年後だか五年後には個人献金でみんなやります、とてもじゃないが、民主主義の浅い日本においてはとうてい不可能であります。そういうとうてい不可能な時期を長く置いて、理想ばかり、五年後には個人に頼りましょう、党費と個人献金でやりましょう、これは理想はそう唱えても、現実は不可能だと思います。 西欧においては長い民主主義の歴史を経て、試行錯誤をして、党員が国民の一割、一割五分、保守政党へも革新政党へも入党をして、保守対革新の理想的な政権交代ができる状態ができたわけであります。ただ、そういうところまでいく期間、ある程度のことを国でもって、民主的な議会主義を守る政党を育成をしないと、さっきの話ではないが、これは私は大変な事態になっていくのではなかろうか、こういうような気がして仕方がないわけであります。 したがって、西ドイツのまねをしろとは私は申し上げません。公営のためにもう少しはがきをふやせと言えば、選挙部長のところへ行けば、大蔵省へ行って二万五千枚を四万枚にはがきをふやすといえば大蔵省は絶対に承知いたしません。もう頭を下げるような悲しい顔をしているわけであります。だからこれでは選挙の公営の拡大ができようはずがないわけであります。いま修正案か何かいろいろ出されているようだが、個人用のビラ等についても国で負担するとかいうような問題についてなかなかこれは財政的に容易ではない、こういうわけですから、私は西ドイツのように直ちに改めろ、こうは言いませんが、いまある制度、立法事務費あるいは選挙公営、そういうものに対する国の費用、こういうものは少なくとも蛮勇をふるって総理が見ていかなければいけないのではないか。どうでしょう。
○三木内閣総理大臣 確かに政党というものは憲法に規定はないけれども、議会制民主政治というものが日本の政治の根幹をなす政治形態であるとすると、政党は、これはまさに重要な国の機関と言っても言い過ぎではない。したがって、この健全な発展のために国がいろいろな犠牲を払うということは当然だと思います。したがって立法調査費のあり方などについても、これはやはりもっと検討の余地があると私は思いますね。それから選挙公営についても、これは個人の負担が軽くなるわけですし、そしてまた政党というものは国の重要な機関であるとして、しかも選挙などによっては政府が決まるわけですからね、国事でもあるわけです。 そういう点で、国としてこれに対していま選挙公営の形で出しておりますが、国が費用を出すということはこれは理由のあることだと思いますから、今後選挙公営というものの拡大、もうこれはよその国に比べても大抵気のつくものは公営になっておりますが、まだ余地があるとするならば、公営の拡大とか立法調査費というものをもっと充実していくというようなことも、小沢議員の言われるようにこれはやはり大きな検討の課題だと私は思います。
○小沢(貞)委員 時間が参りましたので、最後に一つだけお尋ねをいたしておきたいと思います。これは政治資金規正法というのは、あるいは公選法もその一つかもしれませんが、これは奇妙な現象で、与々党対立があったり野々党対立があったり、大変な複雑な経過を経ながら今日まで審議をしてまいりました。与々党対立、野々党対立、こういう中で公選法、政治資金規正法というのは審議が進んでおるわけであります。ところがこれは衆議院の方は自治大臣もいらっしゃるであろうが、だんだん見通しもつくであろう。そして公選法と政治資金規正法というものはいまワンセットで審議されて、ワンセットで向こうへいく可能性を持っておるわけです。 さてそこで、参議院へ行けば、私は事態は大変だと思います。大変な事態が一つ、二つ理由があるわけです。というのは、参議院の公選法特別委員会は御案内であろうと思いますが、与党十名、野党十名であります。与党が委員長であります。野党はこぞって地方区の定数を二十六名増、こういうことを掲げて手ぐすねを引いて待っているわけであります。そういう中で参議院に送られるとして、参議院の委員会の中で、このたとえば政治資金規正法というのはいまの様子を見ておると、野党は全部反対、そうすると十反対、賛成は九、委員長は本会議に報告するのに、反対という委員会の報告をしなければなりません。そのときに自民党は本会議においてこれを賛成にひっくり返すことができるだけの党内コンセンサスが得られておるかどうか。この政治資金規正法等はいつにかかって党内コンセンサスが果して得られておるかどうか、そういう点が一点。 また、大変むずかしい問題でありましょうけれども、この政治資金規正法、修正すべき点がたくさんあるわけでありますが、野党の言い分を聞いて修正する用意があるか、これによってこの政治資金規正法等の成否はかかっていくわけであります。 この二点について最後に総理にお尋ねをしたいと思います。
○三木内閣総理大臣 小沢議員が、世間に言われる保革伯仲という参議院の実情を基礎にしていろいろお話がございましたが、私は、一面から言うとこれはむずかしさはありますよ。ありますが、この保革伯仲の時代こそ与野党が責任を感じなければならぬときだと思うのですね。このときに自民党も無理押しはできないですが、野党もまた反対反対ということは通りませんね。責任をかつがされるわけだ、伯仲したんですから、そういう点でこれは国会運営、むずかしい点もありますけれども、これはまた議会政治というものが本当のよさを発揮できるような正常な姿に返っていく転機になるのではないかと思います。 いままでは伯仲でないですから、責任は自民党にある。おれは知らぬぞということでも、それはいままでそうだったというわけではないが、いけますよ。今度はもうそうはいかないわけですから、だから私は、参議院がその責任の重大さを野党の各委員も十分認識されておると思いますから、衆議院で通過をしたものが、参議院も良識の府としてのやはり結果が出てくるものと期待をするわけでございます。ことに衆議院の段階においても、津金議員に対しても浅井議員に対しても私は口を酸っぱくして、このいわゆる政党の機関紙というものの言論や表現の自由を侵すものではないんだということを、あんなに私は誠意を込めて答弁をしたわけですから、やはり共産党、公明党の各位もある程度御理解を得たものではないか。これはお互いに議会政治を守っていくというのは共通のやはり責任と、お互いの共通の運命に関係するものですからね、この議会が。 そういう点で違いは、おれたちの言うとおりにならぬということですよ。しかしそこまでいかなくても、これが前進であることを否定するものは何びともないのですからね。自分たちの考えているような方向までは前進でないけれども、まあやはりそこまでいかないにしても相当な前進であるという認識のもとに、余り各党がその立場にこだわらないで、いろいろと衆議院の段階においてもできるだけ多数の御支持を得まして、そして参議院に送り込んでいただくことを期待するわけでございます。参議院においては、修正につきましてはいろいろな問題について与野党で話し合いが行われておるようでございます。これは野党の言うとおりの修正というわけにはいかない、自民党もこう意見があるわけです。与野党の意見が一致をいたしますならば、どの問題についても修正を否定して議会政治は成り立たないわけであります。与野党が一致することですよ。しかし野党の言うことを聞かなければ承知しないということでは困ります。与野党の意見の一致をするということは、いずれの法案に対しても修正は当然に可能であるわけでございます。
○小沢(貞)委員 終わります。
○小澤委員長 次回は来たる六月三日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後八時六分散会