公害対策並びに環境保全特別委員会 第22号
- 発言数
- 256 件
- 登壇者
- 28 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1975/09/10
会議録
○渡辺委員長 これより会議を開きます。 この際、去る八月二十六日より四日間、公害対策並びに環境保全状況の実情調査のため、委員を派遣いたしましたので、派遣委員の報告を聴取いたします。田中覚君。
○田中(覚)委員 公害対策並びに環境保全状況の実情調査のため、議長の承認を得て、去る八月二十六日から二十九日まで四日間、兵庫県、徳島県、香川県及び岡山県に派遣されました派遣委員を代表して、その調査の概要を御報告申し上げます。 派遣委員は、渡辺惣蔵君、登坂重次郎君、林義郎君、島本虎三君、土井たか子君、木下元二君、岡本富夫君及び田中覚の八名でありまして、ほかに現地参加として理事の藤本孝雄君及び委員の橋本龍太郎君並びに地元選出議員多数の参加を得たのであります。 今回の調査は、特に瀬戸内海環境保全の問題、三菱石油、水島製油所重油流出事故対策とコンビナート防災対策等に関する問題及び日本電工徳島工場のクロムの問題などを中心に調査を行ったのであります。 調査団は、八月二十六日、まず兵庫県庁に赴き、兵庫県当局から瀬戸内海の現状と対策等について説明を聴取した後、芦屋地区の埋立地及び浜甲子園の干がたを視察し、翌二十七日は、淡路島門崎の鳴門ミサキ荘において、本州四国連絡橋公団より鳴門海峡にかかる本州四国連絡橋の大嶋門橋の建設計画の概要及び淡路県民局から三菱石油流出油による汚染の概要について説明を聴取するとともに、西淡町及び南淡町の六漁業協同組合代表者などから当地区の漁業の実情等の説明並びに陳情を受けた後、鳴門海峡の架橋地点、油汚染地区を調査したのであります。 次いで、鳴門海峡を渡り、徳島県側から大鳴門橋架橋地点を視察した後、徳島県における重油汚染地区の折野港に赴き、テトラポットに付着した油など、その名残をとどめている海岸を視察し、さらに徳島県庁において、徳島県当局から公害、環境行政の概況、三菱石油重油流出事故対策及び日本電工徳島工場におけるクロムの問題などについて説明を聴取、また徳島県漁業協同組合代表者から油汚染による漁業被害の問題、赤潮の問題等について事情を聴取したのであります。 二十八日には、日本電工徳島工場において六価クロムによる健康被害の状況及び産業廃棄物の処理処分状況について説明を聴取し、クロム鉱滓の埋立場所等、工場内を調査いたしました。 次いで、香川県庁に赴き、県当局から重油流出事故対策及び水質汚濁防止対策、三豊海域における県際の水質汚濁問題について説明を受け、さらに庵治町の油汚染地区を調査いたしました。 二十九日には、高松港から船で三菱石油重油流出事故の重油によって汚染された海域の跡を、女木島、王越沖、坂出市番の洲工業地帯沖、下津井瀬戸と経て、瀬戸内海の状況と水島臨海工業地帯の状況を海上から視察しつつ、水島港に上陸し、直ちに三菱石油水島製油所に赴き、同社から重油流出事故の概況について説明を聴取し、引き続き事故の起きた二七〇号タンク等、工場内を調査いたしました。 次いで、調査団は、倉敷市消防本部において、倉敷市及び市消防本部より三菱石油の重油流出事故について、その後の状況等の事情聴取を行い、引き続き岡山県庁において、県当局から同事故の対策経過及び水島地区保安防災対策、瀬戸内海環境保全対策の諸問題についての説明並びに漁業代表者より岡山県の漁業の実情について説明を聴取して、調査を終了した次第であります。 以上、調査の概要を簡単に御報告いたしましたが、調査結果の詳細につきましては、委員長のお手元に報告書を提出しておきましたので、本日の会議録に掲載されるようお取り計らいをお願いいたします。 以上をもって報告を終わります。
○渡辺委員長 以上で、派遣委員からの報告聴取は終わりました。 —————————————
○渡辺委員長 お諮りいたします。 ただいまの田中覚君の御提案のとおり、調査報告書は本日の会議録に参照掲載することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○渡辺委員長 御異議なしと認め、よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は本号末尾に掲載〕 ————◇—————
○渡辺委員長 公害対策並びに環境保全に関する件、特に六価クロム汚染問題について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中覚君。
○田中(覚)委員 今回、大変な騒ぎを起こしております。このクロムの問題は、一面におきましては、鉱滓の廃棄、埋め立て等に伴う環境汚染を起こすところの新しい公害問題を惹起すると同時に、他面におきましては、クロム関係工場における肺がん等の職業病に対する労働衛生管理あるいは労災の処理等が、はなはだしくおくれておるという問題を提起いたしたのであります。したがって昨日、多数の参考人各位から聴取いたしました意見や、私どもが現地で工場の実地調査をいたしましたときの所感なども含めまして、ただいま申し上げました公害環境面及び労働衛生管理、労災面、この両面から、私は関係大臣及び関係御当局の御所見を承りたいと思います。 まず、最初にお伺いをいたしたいと思いますことは、ただいま東京都の江東区で起きておりまする日本化工の小松川工場における鉱滓処理の後始末についての問題でございますが、クロムを含有する鉱滓の処理方法につきましては、技術的にまだ検討を要する点が多々、残されておりまして、現在、行われておるところの硫酸第一鉄等の使用による六価クロムの還元あるいは、それによりまして三価にしたクロム鉱滓の覆土、アスファルトコンクリート舗装といったような、いま考えられておるいろいろの方法につきましても、これは必ずしも十全の方法ではない。まだ今後、新しい公害が発生をし、あるいは第二次公害が出てくるというような問題もございまして、いま、やりつつある方法が必ずしも効果的ではない。また経済的な点になりますと、いろいろ問題が残されておるというようなことが明らかにせられたのであります。 なお、そのほかに、新聞紙上等で報道されておるところによりますと、この六価クロムを環元するための新しい処理剤といいますか、そういったものの開発等も、一部においてなされておるというようなことも仄聞をいたしておるのでございますが、今後、衆知を集めて早急に抜本対策を打ち出すことが、住民の不安を除去する上において、きわめて肝要であると考えます。 ところが、この東京都における当面の問題は、廃棄物処理法の施行以前に発生をいたしました問題でありますので、もちろん、その所管が関係官庁多数に及ぶことはよく承知をいたしておりますが、その主管官庁は一体どこになるのか、よく存じませんけれども、この際、われと思う主管官庁の大臣から、ひとつ、これについての的確な今後の処理方針というものを、まず承りたいと思います。 特に、きのう東京都から来られました参考人の意見によりましても、今後、学者の意見等を聴取した上で、抜本的、恒久的対策を講じたいというようなこともございますけれども、当面の応急対策についても、いわゆる負担区分の問題、PPPの原則をあくまでも堅持をしなければならぬというような御意見もございましたが、また他方におきましては、企業側としては、その対策のいかんによっては、会社の存立に及ぶ重大な問題であるというようなことで、必ずしも、これについてPPPの原則が守られるというような最終の的確な答弁はなかったのであります。したがって、こういう負担問題がうまく処理されないというようなこともございまして、一面においては技術的な問題もあり、他面においてはこの負担区分の問題もございまして、応急的な処理が大変におくれてしまうということになりますと、いま起きておるこの関係住民の不安を鎮静する上において、非常な問題を残すのではないかというような懸念を多分にいたしておりますので、こういう点につきまして、負担区分の点については当面どうする、そして技術的な問題については、こういう考えのもとに、このように早急な処理をするというようなお考えを、ひとつ伺いたいのであります。
○小沢国務大臣 まず第一点の、一体どの省が全般的に責任を持つかというお尋ねでございますが、産業廃棄物につきましては、これははっきりしているわけで、あくまでも厚生省がその法律を所管をいたしておるわけでございます。ただ、四十六年の法律制定でございましたので、それ以前の問題ということになりますと、これは当然それぞれの問題によりまして、主管の官庁が処理をしなければならぬわけでございまして、一つは工場内における労働者の健康被害、災害の問題、これは当然、労働大臣。それから、それが外部に影響するような場合には、環境汚染の問題としてこれは私どもが所管をする、こういうことになるわけでございます。しかし、産業廃棄物関係の法律が整備をされましてからは、厚生省が責任を持ってこれをやる。ただし、その処理基準の設定については環境庁の設定した基準に従って処理をする、こういうことになっているわけでございます。 おっしゃるように、実はこういう問題が起こってきますと、どうも行政あるいは法体系が、それぞれの所管に分かれておりますので、何とかまとまって一体的に処理をしたらどうだ、こういうようなお考えが出ることはもっともでございます。そこで、三木総理から閣議の席上で御指示がありまして、私どもの官庁が便宜、中心になりまして、関係各省を集めて連絡協議会をつくり、この問題の処理、検討に当たっておるというのが現状でございます。 第二点の負担の問題でございますが、私は今度の問題をいろいろ検討してみますと、非常に態様がまちまちでございます。工場から譲り受けをいたしまして、やったものもございますし、また、以前に捨てた場所を買い求めた。ところが、その官庁がどういうような事情でそういうような土地の入手をやったか、それについて御承知のとおり、ある地区におきましては昭和四十七年に買い求め、直ちに四十八年にいろいろな環境調査をやっておるという点も考え合わせてみますと、とにかく態様について区々である。あるいは区画整理組合ができまして、その区画整理組合が整地作業をやるために六価クロムを使ったという状況等もあるようでございますし、いろいろ多岐多様にわたっておりますために、一概にPPPの原則を適用するというわけには、なかなかいかないのじゃないか。しかも、法律以前の問題になりますと、民法上の問題になるわけでございますから、そういう点はお互い同士がまず話し合いをいたしまして、その線で民事上の問題を解決をするという、実はそういうような法律処理をしなければいけないような面も多々ございますので、一概にはこれを全般的にPPPの原則でやるべきだとか、そうでないとかというふうに割り切ってしまうような実情ではどうもない。非常に多岐にわたっておりますので、なお私どもでもよく検討をしているところでございます。
○田中(覚)委員 ただいま環境庁長官のお答えで、大体のお考えはわかったのでございますが、この対策の負担の問題については、これが解決できないために、対策の実施がおくれるというようなことのないように、東京都その他、関係方面に対する御指導をひとつ徹底をしていただきたい。 それからもう一つは、技術的な問題がまだいろいろ議論がございまして、これまでに会社あるいは東京都がとっておる対策が、果たして適切な対策であるかどうかという点につきまして議論があるようでございますので、この点については、ひとつ早急に関係学識経験者等の意見も徴した上で、衆知を集めて東京都に対する適切な指導を、時を失わないようにやっていただきたい。 きのうわれわれが伺ったところでは、東京都の田尻規制部長の御意見などは、非常に厳しい強い御意見でございましたけれども、しかし、このクロム問題に対する東京都全体の取り組み方というものを、客観的に外から見ておりますと、当初の取り組み方がどうも甘かったのじゃないのか、極端なことを言うと、いろいろのクロムの被害がわかっておったけれども、それの外部への公表等が差し控えられておったというようなことから、ついに住民パワーによる摘発になってしまったのではないかというような感じもございますので、こういう点については、確かに東京都も思いあぐねているところがあるようでありますから、やはり環境庁その他、政府の方でひとつ強力な御指導をぜひ賜りたいと思いますが、そういう技術的な諸点についての御所見が承れれば、聞かせていただきたいと思います。
○小沢国務大臣 責任がどこにあるかとか、あるいは費用負担が決まらないうちは、全く対策に手をつけないというわけにはいかぬと思います。やはり現在、考えられる技術で、公害の発生、第二次汚染というものを防止するための最善の措置はしていかなければいけませんので、これは当然、公共団体の責任において強力に実施をしてもらって、その後、その費用をどうするかは、それぞれ先ほど申し上げましたような態様がいろいろ違っておりますので、話し合いを十分進めて解決をしていくべき問題だろうと思います。 それからもう一つ、防止技術を確立するということにつきまして、私ども、すでに相当の学識経験者の方々によりまして、クロム含有廃棄物問題技術検討委員会というものを発足させました。できるだけ早く、ここで処理の方法等につきましての技術的な見解をまとめていただきまして、これを地方庁にお願いをして実施をしてもらう。かように考えております。
○田中(覚)委員 いずれにいたしましても、この点については、ひとつ強力な御指導をしていただき、中央、地方相まって、速やかに人心の不安を除去するように、適切な対策を打ち出していただきたい、このことを強くお願いをしておきたいと思います。 次に、この廃棄物処理法の施行以前のこういう問題については、とりあえず環境庁が中心になって関係庁の会議を構成して、処理に当たるという御方針を決められたということを、いま承ったわけでございますが、実は、この産業廃棄物の処理は、もちろん排出者の責任であることは当然でありますけれども、その責任を追及する余り、と言うと少し言い過ぎかもしれませんけれども、公共的な管理体制の整備が大変おくれておる、そういうことが、きのう参考人からも述べられております。そういったことのために産業廃棄物処理体制の前進が具体的に見られない。法制的には処理体制は一応できましたけれども、計画のできておる県は、いまだ十六府県にすぎないというような状況でもございまして、まあ悪く言えば絵にかいたもちにすぎないような現状にとどまっておるのではないかというふうな感じがするのであります。したがって、この際、産業廃棄物問題をひとつ徹底的に洗い直して、その原点に戻って、もう一度抜本的な対策を打ち出すことが必要ではないか。ことに、きのうの参考人の意見では、幹線道路などに、いわゆる重金属の微量汚染というようなものも相当進んでおるという御意見もございましたので、この際、全国的なベースで重金属による汚染調査の実施等によりまして、まずその実態を究明し、把握するというようなことから始めて、もっともっと、この問題に対する公共的な管理体制というものを整える必要があるように思いますが、この点についての御所見はいかがでございましょうか。
○小沢国務大臣 産業廃棄物の処理体制を、国、公共団体等を含めてもっと明確に、でき得れば一元化をして、きちっとした体制をとっていかなければいけないということは、もう御所見のとおりでございます。 それから、法の欠陥を法改正によって直していくという問題等も含めた各省連絡協議会の検討を、私ども始めているわけでございますが、私、いろいろ考えまして、総理から、とりあえず環境庁でひとつやったらどうだと言われ、御指示もありましたので、もうすでに始めたわけでございますが、やはりこれは厚生省が中心になって産業廃棄物の処理体制をきちっとまとめていく方が、産業廃棄物の中に一般のごみもあったり、いろいろしますから、そして環境庁が現業を持つというようなことは余り適当とも考えられませんので、近く総理に、従来の結果の報告と同時に、私の意見を申し上げて、やはりこの連絡協議会も厚生省の方で主宰をしてもらって、法改正まで含めた徹底的な検討を、やはり責任官庁をはっきりしてやった方がいいという、私は考えを持っておりまして、近く閣議で、その趣旨の発言をいたしまして、御了解を願って、これは明確に厚生大臣が責任を持って全般を取りまとめ、処理するという体制に持っていきたい、私個人はかように考えております。
○田中(覚)委員 これは計画を樹立しておる県におきましても、なるほど計画はできておりますけれども、実際の具体的な構想というようなものになりますと、技術的な裏づけもなければ、いわんや財政的な裏づけができておらぬというようなことで、実際上、単なるペーパープランにとどまっておるというのが実際だと思います。そういう意味におきまして、主管官庁である厚生省は一体どういうふうなお考えで、これを前進させられる考えか、御意見があれば承りたい。
○山下説明員 御指摘のとおり、産業廃棄物行政は比較的新しい行政でございますために、現在まだ不備な点が多々あると私ども理解をいたしておるわけでございます。今回、こういった六価クロム問題が起きまして、非常に私どもそういう意味で勉強させられる点が多くて、いろいろと考えておるわけでございますが、当面、厚生省といたしまして、やはり現在の産業廃棄物の状況、置かれている姿というものを的確につかむということが、まず第一であろう。特に急ぐのは有害な産業廃棄物、これが他に先んじて調査しなければならないだろうということで、まず六価クロムからスタートいたしまして、有害産業廃棄物全般についての実情把握をまずスタートさせたいということで、現在いたしております。 それから、いま長官から種々お話もございましたように、現行法制に問題がないかということにつきましても、至急検討いたさなければならないという考え方でございまして、大臣の御指示もございまして、近く関係審議会を招集いたしまして、その内容につきまして御検討を願い、できるだけ早く、これについての整備を図りたいということを考えております。 なお、いま御指摘がございましたように、基本はやはり産業廃棄物というものは、現行法にも明記されておりますように、事業者がその責任において処理をいたしていくということを基本に置かざるを得ないと思うわけでございますが、しかし、それだけで済むものであろうか、何らかの考え方のもとに、公共的な関与というようなことも考えていかなければならないのじゃないかという問題があることは意識をいたしておるわけでございまして、現在、産業廃棄物問題懇談会という大臣の私的諮問機関を設置いたしまして、今年中には、その結論を得たいというふうに考えているわけでございます。昨年、実は中間的な部会の御意見をちょうだいいたしておりますが、非常に抽象的でございまして、これの内容につきまして現在、詰めておるという段階でございます。単独処理、共同処理というもののあり方、地方公共団体のあっせん、その他の関与の仕方、場合によっては地方公共団体ごとに第三セクターというようなものを設置して、これを進めていくというようなこと等を検討いたしたい。現にもう十県ぐらい程度のところは、都道府県、市町村あるいは関係の事業団体、こういったものが共同いたしまして財団法人、社団法人というようなものを設置しまして廃棄物処理に当たるという事実も一部、先行いたしております。こういったものをよくにらみまして、私どもといたしまして当面、税制上、金融上あるいは起債上そういったものの応援をできる限り努力をいたしていきたい、こういうふうに考えております。 非常に抽象的でございますが、以上のような考え方でございます。
○田中(覚)委員 通産省、来ておられますか。いま厚生省の方から、共同的な処理施設あるいは第三セクターによる実施というようなお話がございましたが、特に金属メッキあるいは皮革なめし、顔料等々のこういった中小企業、零細企業形態によるクロムを扱う企業の排水処理、これにつきましては、きのうも参考人から、共同処理施設の体制をつくるために、国の特別の財政的な援助であるとか、あるいはこういう中小零細企業の親企業とのタイアップによる共同責任体制による処理というようなことを推進することの必要性が強く述べられておりましたが、これにつきまして通産省の方は何か具体的な対策をお持ちであれば、お答えをいただきたいと思います。
○宮本説明員 お答え申し上げます。 ただいま先生御指摘の、特に中小企業者に多い分野につきましては、排出物の処理につきまして、個々の事業者がやるということも、もちろん大事でございますけれども、共同化して、こういう方向について力を結集していくことが必要であろうかと思います。現在のところは共同事業につきましては、たとえば公害防止事業団で共同施設としての助成がかなり強力にはできておりますけれども、その前段階としての中小企業の取り組み方が必ずしも十分でございません。したがいまして、この点につきましては、さらに強い指導をしてまいりたい、かように存じておる次第でございます。
○田中(覚)委員 この指導と同時に、その具体的な財政、金融上の裏づけ、こういうものをどうしてもやってもらうことが必要だと思いますが、これは来年度の予算編成の時期に当たっておりますので、強く要望をいたしたいと思います。何か具体的に伺えれば……。
○宮本説明員 ただいまの点につきまして若干、補足さしていただきます。 御存じのように、通産省といたしましても、産業廃棄物の処理につきましては、いろいろ従来、施策をやっておるところでございますけれども、再資源化の問題につきまして個別の廃棄物業種ごとに、たとえば紙でございますとか、あるいは廃プラスチックの一部でございますとか、いろいろやっておるわけでございますけれども、同時に今後は、その個別の物資についての再資源化の基本計画、目標を立てて逐次、取り組んでいこう。それから特にこういう問題につきましての中核になるような機関といいますか存在がございませんでしたので、ここはひとつクリーン・ジャパン・センターという、仮称でございますけれども、財団法人でもつくりまして、一つ一つ具体的なプロジェクトとして取り上げてまいりたい。さらには再資源化をやります企業の努力というものを助成する意味におきまして金融上、税制上の措置を講じてまいっております。大ざっぱに申し上げますと、中小企業金融公庫における安全公害防止貸し付けとか、あるいは国民金融公庫におきますところの公害防止貸し付けとか、先ほどちょっと触れましたが、公害防止事業団におきますところの共同施設、個別施設に対する貸し付けとかというのがございます。さらに税制におきましては、廃棄物の再生処理設備の特別償却及び固定資産税の減免措置、こういうものもあわせてやっておる次第でございます。
○田中(覚)委員 次に、労働対策の面から若干お伺いをいたしたいと思いますが、私ども率直なことを申し上げますと、クロム問題の今回の発生を契機にいたしまして明確になってまいりました労働省のこれに対する従来からの対応の仕方というものが、はなはだおくれておる。ことに西独だとかアメリカ等におきましては、二十世紀初頭から、こういう問題が具体的な数字をもって取り上げられて、制度化が図られておるのに比べますと、まさに半世紀のおくれがあるのではないかというふうに言わざるを得ないのであります。労働省としてこういう点につきまして、クロムの職業病としての被害等については、一体いつから、どの程度に理解をし、これに対してどういう考えで対処をされてきたのか、私どものこの率直な感じに対して解明をしていただければ、ありがたいと思います。
○長谷川国務大臣 お答えいたします。 先日の日本化工の小松川工場を御視察いただきまして、いろいろ、いま御注意などをいただいておるわけでありますが、私も、おっしゃるとおり日本が工業国になって、こういう問題についておくれをとっているということは、よく存じているわけであります。いずれにいたしましても、労働省は労働者を守る立場でございましたから、三十二年ぐらいから、こういう問題についてやっていることを、事務当局からお答えさせたい、こう思います。
○梶谷説明員 労働省といたしましては、先ほど大臣から申し上げましたように、昭和三十一年ごろから、いろいろとそれなりの対策をとってまいっておるわけでございます。 まず昭和三十一年におきましては、クロムの障害に着目いたしまして、まず健康診断を一般の健康診断に加えてしっかりやるという意味で、いわゆる特殊健診という形におきまして、行政指導によりまして、監督指導によってこれを勧奨するという形で始めたわけでございますが、三十三年に至りまして、それだけでは足りないという認識によりまして、設備規制、法律によるものではございませんが、同じく行政指導によりまして設備の改善の指導を始めたわけでございます。それから同じその三十三年の年に、環境改善の基本はやはり職場の環境測定である、こういうことでございますので、環境測定のための指導を始めたわけでございますが、何分、環境測定と申しますのは、一般の大気汚染等の公害測定と違いまして、職場の中で労働者の労働衛生工学的な面、労働者の健康というものに着目をいたしながら測定をしなければならない、こういうような意味合いにおきまして、大変むずかしい技術がございます。そういう意味における、いかなる測定点で、どういう機械を使って測定をしたらよろしいか、こういうような意味における一つの基準をつくりまして、労働大臣の名前でこれを公表するというような措置をしたわけでございます。 その後、特に監督指導につきまして重点対象にしぼりましてやってきたわけでございますが、この間におきまして、たとえば昭和三十九年ごろから約二、三年の間になると思いますが、問題になっております東京の日化小松川工場に対しまして、労働省のいわゆる外郭団体でございますが、中央労働災害防止協会の衛生検査センターというところの久保田博士にお願いをいたしまして、小松川工場の衛生改善のための指導をやっていただいております。まあ昭和三十三年ころの対策技術というのは、いまから考えますと大変、幼稚でございまして、たとえば排気装置にいたしましても技術的にまだまだの感がございましたが、このころになりますと、かなり技術も進みまして、久保田博士によりまして、かなり環境は小松川工場につきましては改善をされた、こういうような経緯がございます。ちなみにこの小松川工場におきましては二億ないし三億円の設備投資を改善のために投じております。 それから、昭和四十年から大体四十五、六年ころまでの間におきまして、監督指導を一層強めるために、北海道の日電の栗山工場でありますとか、先ほど触れました小松川工場でありますとかというようなところを対象にいたしまして、衛生指導特別事業場という指定をいたしまして、監督指導に精を出したわけでございます。 それから、いろいろこういう経緯を踏まえ、経験を生かしまして、昭和四十六年に至りまして、私ども特化則と申しておりますが、労働省令で特定化学物質等障害予防規則というものを初めてここで制定いたしまして、従前から行政指導でやっておりました健康診断でありますとか、あるいは設備規制の関係を法定化いたしまして、そうこういたしますうちに例の肺がんの問題が北海道の栗山で起こりまして、多数、出ておるというようなことから、労働省から北海道労働基準局を通じまして北大に委託をいたしまして、疫学調査をやってもらったわけでございます。これが昭和四十八年でございますが、その結論が出、報告をいただいたのが四十九年の三月でございます。その後、これをもとにいたしまして、各種専門家の御意見を承る、あるいは審議会の御意見を承る、こういうようなことをいたしまして、先ほど申しました特化則の改正等に踏み切ったわけでございます。特化則の改正といたしましてはこの十月を予定しておりますが、そういうようなことで、いろいろ対策には意を用いたつもりでございます。 ただ、先ほど先生が御指摘ございましたように、何せ対策技術の点におきまして、まあ三十年代においては特に不足するものがございましたし、私どもの至らないというような点もございました。そういう点でおしかりをこうむることになったと思いますが、大体経緯を申し上げますと、以上のとおりでございます。
○田中(覚)委員 まあ、おくればせながら対応をしてこられた経緯については大体、承知をいたしたわけでございますが、そのような対策を講じておられるにもかかわらず、現実問題として栗山工場あるいは小松川工場等において肺がんの発生あるいはその死亡というような事態が起きており、ことに鼻中隔せん孔症患者などが、かなり多数、出ておったにもかかわらず、ようやく肺がん患者に対して労災の指定が四十九年になって行われたというのは、いかにも後追いであり、ことに本人が死亡してから労災の認定をするというような措置がとられておることを、私どもは調査をいたしました工場等で承知をいたしておりますが、こういうようにおくれた根本の原因というものは一体どこにあるのか。ただいま経過については伺いましたけれども、おくれた根本の原因が一体どこにあるか、これをひとつ大胆から簡単に所信を伺いたいと思います。
○藤繩説明員 お答えをいたします。 労災認定の措置が大変遅いではないかというおしかりでございますが、労災の中で、まず肺がんの問題でございますけれども、肺がんにつきましては、三十五年にすでに栗山で肺がん死が出ておるということは事実でございますが、当時といたしましては、なかなか一名の症例を掌握できないというのが実情でございまして、その後、四十三年に一例ございましたが、あと四十五年、六年と、そこで集中的に三名、四名というような症例が発見されたわけでございます。 そこで、クロムと肺がんとの因果関係、それが業務上の関係であるかどうかということについて、先ほど説明しましたような疫学調査というものを行いまして、その結論が出ましたのが、四十九年の三月でございました。結論が出てからは、昨年の夏以降どんどん労災認定を進めまして、去年の暮れごろまでに、かなりの認定をば進めておるという実情にあるわけでございまして、問題は、疫学調査あるいはそういうものが非常に遅いではないかという点に尽きると思います。 これは、たとえば同じがん原性のものでございましても、最近、認定をしようといたしております塩化ビニールモノマーというものがございますが、こういうものは、その物質以外では人間にそのような肉腫は発生しないというようなことから、一例、二例でも、これはもう間違いなく塩化ビニールモノマーが原因だということが突きとめられるわけでございますけれども、肺がんの場合には、なかなかそういう確認ができない。一般的にも肺がんというものが非常にふえております。それでやむなく、ある程度の症例というものをもとにした疫学調査で有意の差が出たということで、そこで判断をするということになった次第でございまして、その間に若干の時間が経過したということはまことに残念でございますが、やはり現代の医学の水準では、やむを得ないことではなかったかというふうに思うわけでございます。 なお、同じ労災で鼻中隔せん孔の問題につきましては、これは従来、必ずしも関係者の認識が、これが身体障害だというような点について徹底しておらなかったということは事実でございまして、私どもも強く反省をいたしておりますが、今度の問題を契機に、およそ鼻中隔せん孔がある者につきましては、何らかの障害補償にすべて該当させるということをはっきりいたしまして、あとは、どの等級にするかということについて、それぞれ診断をしていくというような態度を打ち出したようなわけでございます。
○田中(覚)委員 鼻中隔せん孔症についても、これを労災に認定をする道を開いたという、いまお話であったかと思いますが、これはいつから実施をされておるのですか。
○藤繩説明員 鼻中隔せん孔につきましては、従来からわれわれの令規の上では、何らかの嗅覚の減退あるいは脱失を伴う場合には、労災に認定をするということが明らかになっておったわけでございますけれども、現実問題として、先ほど申し上げましたような、必ずしも関係者の認識が十分でなかったというようなこともありまして、いままで認定申請が出てきた例も非常に乏しいわけでありまして、現実に認定が行われたこともほとんどないというわけでございますが、この際、八月二十三日の通達をもちまして、これから認定申請が出てまいります場合には、また私どもでも積極的に認定申請が出てくるように指導をいたしまして、その場合には、先ほど申し上げましたように、障害補償につきましてもこれを十四級には少なくともする、それから完全な嗅覚脱失や呼吸困難を伴うような場合には、十二級にするというような措置をいたしたいと思っておりまして、いま、これらの申請の指導について、極力、第一線で指導を始めたところでございます。
○田中(覚)委員 ただいまの措置はいつからですか。先月の八月二十三日からですか。
○藤繩説明員 通達を出しましたのは八月二十三日でございます。 そこで、お尋ねの措置というのは、恐らく鼻中隔せん孔については非常に古い時代からのせん孔患者がおる。そこで、そういった者の、たとえば時効あるいは算定基礎日額をどうするのかということに関連してのお尋ねではないかというふうに思いますが、私どもは、今回の鼻中隔せん孔の問題につきましては、改めまして希望者全員について、労災の診療費をもって診断を行いまして、そうして療養の必要があれば療養をする、それから療養をさらにする必要がなくて、一応、症状が固定して治癒と認定されると思われる者は、そこで認定をいたしまして、その時点で労災認定をしていく。したがって、時効の問題は生じないし、それから給付基礎日額につきましても、その時点の平均賃金をとらえていきたいというふうに思っております。 ただ、過去、退職されました占い方で、給付基礎日額が非常に算定しがたいという問題がございますけれども、これは労働基準法の十二条の規定を活用いたしまして、個別に労働基準局長が、一種のスライドの考え方で、適正な給付基礎日額を定めていきたいというふうに思っております。
○田中(覚)委員 労働大臣、私は今度のこのクロム問題を顧みまして、労働衛生管理あるいは発生いたしました職業病に対する労災上の措置、こういうものが非常におくれて、かつ不十分であったということが、関係工場における新しい工場の境界を越えた公害環境問題に発展をしてきておるというふうに見ておるわけであります。したがいまして、いま起きておるこの公害環境問題を処理する上におきましては、どうしても労災対策あるいは労働衛生対策、こういうものに完璧を期することがまず先決ではないか。つまり水際、工場際で、そういうような被害を食いとめる対策を徹底してもらうということが必要ではなかろうか、こう思っておるわけであります。もし、これができませんと、いまはクロムだけの問題でございますが、ほかに幾多の有毒な重金属物質が各地の工場で取り扱われておりますので、将来第二、第三、第四のクロム問題が、同じような経緯で発生をしてくることになるのではないか、こういうふうなことを大変に心配をいたしておるわけであります。そういう意味で、まあいろいろ、これまでの経緯については私どもよく理解をいたしましたが、どうも外部から第三者的に見ると、何かどうもスローモーション過ぎるじゃないかという感じを免れませんので、この点につきましては、今後、新しい第二、第三のクロム問題の起きないように、格段の対策をひとつ、ぜひお願いをいたしたいと思います。 それからなお、これに関連をいたしまして、きのうの参考人からも若干、意見が出ておりましたけれども、労働衛生管理とか、あるいは労災などの労働行政と、それから公害環境行政というものが、どうも連動しておらない。せっかく環境庁ができたにもかかわらず、依然として縦割り行政の弊害がなお残っておる。そのことが工場内におさまるべき問題が工場外に発展をして、一般住民に対する公害環境問題を起こしておる一つの原因ではなかろうか、こういうふうな意見も実はあるわけであります。そういう意味におきまして、せっかく環境庁もできたことでございますので、この連動体制といいますか、あるいは連絡体制というか、そういったものをもう少し緊密に進めていただくことを特に望みたいと思いますし、これについて何かこういう方法をやったらどうかというような御所見がございましたら、承りたいと思います。
○長谷川国務大臣 私も小松川工場を、早速、行って視察をしたわけであります。先ほど課長から御答弁申し上げましたとおり、働く諸君を守る立場ですから、時間的にはおくれたという御批判があるでしょうけれども、三十二年からずっとやってきまして、ことに学界の権威である久保田さんという所長さんが非常に御熱心に、しかも自分の弟子を派遣してやっておった姿、こういうものによって大分、防げたものもある。しかしながら、それが一般的に産業廃棄物の問題等々が解決しないために社会問題になってきている。私の方は勤労者の問題をやりますが、工場の中には環境庁なども立入検査ができるわけですから、やはりそういう総合施策をやる。もう一つは、いま鼻中隔せん孔の話が出ましたが、これは、私たちは現場に行ってまいりまして、それ以来、積極的にいまのような指令を出しているわけでありまして、こういう総合的なもの、それと同時に、いま産業地域の医者が、いままでの医者と全然、違いまして、工業社会になったものですから、産業医が非常に大事なわけです。これなどは昨年から医師会と連絡をとって、二回にわたって、全国のお医者さんを数百名ずつ産業医の養成などもやっておりまして、やはり地域地域にそういう産業医の拡大が必要でありますし、検査センター、さらにはまた予防のほかに健康診断、そしてリハビリテーション、その間に補償とか労災、こういうものなどは一貫性として、いまから先、強力に推進してまいりたい、こう思っております。
○田中(覚)委員 ただいま産業医等の養成のお話がございましたが、これからだんだんと、こういう重金属による汚染の問題が拡大をしてくるおそれのあることは、いろいろ、きのうの参考人の意見を聞いておりましても推察できるわけでありますが、これに対応する労働省の体制の整備ということはきわめて肝要であると思います。いまおっしゃったような産業医の養成と確保、これも必要でございますし、そのほか、いろいろこういう重要なたくさんの有害物質というものが出てまいりますと、やはりこれに対応できる専門家といいますか、そういう者を確保することが、ひとり産業医のみならず、たくさん出てくるだろうと思いますし、その他、これに関連いたしまして労働省がいつでも機動的に活動できる、そういう体制を予算的にも整えておく必要は、これからますます増大するのではないか。ある人の意見では、これからの公害問題は、こういった重金属による汚染の問題、こういうことが中心になってくるのではないかというふうな意見もあるくらいでございますので、ひとつ、これに対する労働省としての心構えというか、あるいは準備体制というものを、どのように整えていかれる御所存であるか、伺えればありがたいと思います。
○長谷川国務大臣 工業社会の進展によりまして、新物質が二十分に一品目生まれている、アメリカあたりでは、こういうふうに言われているわけでありまして、過去には私たちは肺病というものをいかにしてなくすかという時代もありましたが、いまや先生のおっしゃるようなことに重点を向けていかなければならぬと思っています。労働省といたしますと、いま九州に、世界で初めてでございますが、産業医科大学というものを新設しております。これは世界で初めてです。そういうものなどによって体制をとりつつ、一方は所管の官庁とも連絡をとりながら、私たちの持っているデータ、これをひとつ連絡をしながら十二分の体制を整えたい、こういうふうに考えております。
○田中(覚)委員 労働行政で、いろいろ改善強化をしていただかなければならない点が多々あるように思うわけでありますが、その問題で一つ伺いたいのは、きのう参考人からも出ておりましたけれども、労働省の対応の仕方がおくれる一つの大きな原因は、退職者の追跡ができない、リタイアした人の追跡がなかなかむずかしい。そのために単なる一例や二例だけでは結論が出せないというようなことで、対策がおくれるのだというような実はお話がございました。これは確かに、ごもっともな点があるわけでございますが、問題は健康管理手帳、これが交付されておりますけれども、これの交付範囲を拡大するとか、あるいはいつでもどこでも適確に健康診断の受けられるようなシステムをつくることが大切じゃないかというような御意見も出ておりました。これに対しては、どのようなお考えでございましょうか。
○藤繩説明員 健康管理手帳の重要性につきましては、いま先生お述べになりましたとおりでございまして、今度のクロムの肺がんにつきましても、御承知いただけると思いますが、災害による事故の場合と違いまして、職業病の場合は非常に長い。肺がんのごときは二十年、三十年という状態でございます。今度、労災認定をして、いま、つかまえております二十二名の従事歴を調べてみますと、平均二十三年余りでございまして、大変、長い期間かかっておるという状態でございます。 そこで御指摘のように、退職後の追跡が必要でありまして、そういう意味で、昭和四十七年に安全衛生法をつくりましたときに健康管理手帳制度というものをつくりまして、そして、ことしの一月には施行令を改正しまして、今度のクロム等の関係者も全部、健康管理手帳の交付対象にいたしまして、クロム関係でいま百四十八通すでに出しております。御主張のように、さらにできるだけ、そういったものをたくさん交付するように、関係者を探し出すという努力をいたしたいと思います。 それと同時に、そういう手帳を持っておる者は年二回、国費で診断を受けられるようになっておりますけれども、御指摘の、診断機関につきまして十分でないということでございます。これはまあできるだけ近いところで受けることができれば便宜でございます。ただ問題は、大変、特殊な職業病の場合などは、必ずしもどこのお医者さんでもというわけにもいきません。ある程度の技術水準を持ったところでなければならないということもありまして、大学病院とか、そういうものを一応、指定しておるわけでございますが、御趣旨に沿うようにできるだけ広い範囲で、しかもある程度の水準を維持したものを積極的に指定するという方向で、今後とも努力をしてまいりたいというふうに思います。
○田中(覚)委員 時間がなくなってまいりましたので、最後に重ねてお願いとお尋ねをしておきたいと思います。 要は、私の申し上げたいのは、今度のこのクロム問題というものは、そのほかの凡百の有害物質による公害環境問題の発生に対する一つの先駆的といいますか、象徴的な問題ではないか。したがって、このクロム問題をこれからの労働行政及び公害環境行政の上にいかに生かしていくかということが大切な課題ではなかろうか、かように考えるわけであります。 そういう意味におきまして、労働大臣に特にお願いしたいのは、先ほども申し上げましたけれども、とにかくこれを工場の水際で、その被害をとどめるということに、ひとつ最善の努力をしていただきたい。そこさえうまくいけば、一般住民に対する公害環境問題にまで発展せずに、問題はおさまるわけでありますから、これについての、これからの具体的な取り組みの仕方、そういうものをぜひお考えをいただきたいし、また御所見があれば伺いたい。 それから環境庁長官に対しましては、産業廃棄物の処理につきまして、先ほども申し上げましたけれども、とにかく幹線道路一つ調査をしても、たくさんの有毒な重金属による汚染が見られるというようなデータもきのうも出されておるぐらいであります。したがって、この際ひとつ原点に戻って、こういった重金属あるいはさらに産業廃棄物全般にわたりまして、ひとつ総点検をして、これを企業任せにしないで、国及び地方公共団体の責任で追跡調査をして、そうしてその結果を、これからの産業廃棄物処理の行政の上に生かしていただく、そういう原点に戻った対策を、この際ぜひ望みたいと思いますので、これについての御所見があれば伺いたい。 最後に、当面しておる東京都の具体的な問題につきまして、技術的にも、あるいは資金的というか負担問題、そういうような両面から、ひとつ国として十分な御指導をしていただいて、一日も早く、ここから起きておる混乱や人心の不安を除去できるように、万全の対策を講ぜられんことを切に望みたいと思います。
○長谷川国務大臣 先ほどからお答え申し上げましたとおり、たとえば六価クロムの問題にいたしましても、新しい工場の方は出ていないわけであります。四国の方においでになって、出ていなかったことを御理解いただいたと思うのです。そういうふうに私の方のいろいろな施策によって警戒をやってまいりますと、そういうふうな事態が生まれます。 また、おっしゃるとおり、このたびのものを一つの大きな私たちの反省の材料として、これをきっかけに一層前進したい、その場合には、やはり職業病疾病の研究が大事でございますし、また予防と健康管理、それから治療と補償という一貫した総合対策を推進するほかに、先ほど申し上げましたように、やはり産業医学総合研究所あるいは産業医科大学等の調査研究機関の育成充実、組織、人員の拡充、測定機関の整備等の労働衛生あるいは行政体制のあり方についても、環境庁その他と十分、接触を保ちながら、積極的にこれは推進するということが一番大事じゃなかろうか、こういう構えで対処してまいりたい、こう思っております。
○小沢国務大臣 有害物質による健康被害につきましては、どうしてもやはり働く人々、したがって労働環境の知見を基礎にしていかなければならないと思います。そこで、私どもは労働省とよく密接に連絡をとりまして、労働災害は労働災害だけだというような観念でなくて、それが他に影響を及ぼすかどうか、あるいはそういう体制のおくれをとらないような措置をどうしたらいいかということを常に密接に連絡をとりながら、一般の公害発生にならないように、末端においても保健所なり、あるいは公害行政の担当者と労働基準局側との連携を、今回のことを反省いたしまして、ひとつ一層、密にとらせて対策を進めていきたい、まず第一にそう思います。 それからもう一つ、産業廃棄物全般について調査をし、さらに追跡をしていきまして、それが一般に被害を及ぼさないような対策を強力に進めろという御意見、これは全くそのとおりでございます。これはしかし私どもの方の担当ではございません。しかし先ほど言いましたように、私の方が中心になって連絡協議会をいたしておりますから、当然、厚生省でも、この前、厚生大臣がどこかでおっしゃったようでありますが、今年中にはクロム問題の徹底的な調査をやり、他の有害物質につきましては何とかひとつ早急に、年度内にでも調査を総合的に、全国的にやっていきたいという御趣旨のようでございます。したがって、要はやはり産業廃棄物につきまして、私の意見が通るかどうかわかりませんが、とにかく厚生省なり私どもの方なりで、あくまでも中心になって、一元化をして、今回の問題を契機に、どこに法律上の欠陥があるのか、あるいはまた行政的にどうしたらいいのかという点を十分、検討しまして、抜本的な対策をとるように、しかもそれを、どこかの省があくまでも責任を持つという明確な行政上の機構の問題等も、内閣全体としてはっきりしまして、対策をとるようにいたしていきたい。これは私、御意見もございますので、ぜひ閣議で問題にして、できるだけ早く明確に決めていただくつもりでございます。 それから、厚生と環境が連絡をとりまして、両省からだと思います。というのは、この四十六年に法律改正ができたといいますけれども、それ以前でも廃棄物一般について法律の所管は厚生省がずっと指導し、監督してきたわけでございますから、厚生省の方とそれから私どもの方で、当面、起こりましたいろいろな各県の事例を調査をし、必要があれば健康影響調査をやらせておりますが、先ほどの御質問にありましたように、費用の負担をぐずぐずしておって対策がおくれてはいけませんので、対策は対策としてやらせる。あと、その始末をどういうふうにしていくかは、先ほど申し上げましたような観点から話し合いを進めさせていくということで、対策だけは早急に地方庁を指示、督励をいたしていきたい、かように考えます。
○田中(覚)委員 時間が参りましたので、これで私の質問を終わりたいと思います。与党の立場からしたのでございますが、失礼な点があったら、お許しをいただきたいと思います。
○渡辺委員長 岩垂寿喜男君。
○岩垂委員 「日本化学の六価クロム禍被害者の会」の調査によると、二十六人がクロムによる肺がん、肺結核、肺気腫などで死亡しているということが言われております。あるいはまた、現場で関係の労働者と話をしたときに、その被害の実相の深刻さ、とりわけ鼻に穴があいたら一人前のクロムの労働者だと言われて、こよりで、その穴を通してみたというような話を聞いてみて、人の命と言われるもののとうとさというものを改めて問い直された気持ちがいたすわけであります。 最初に、せっかく労働大臣がおられますので、労働大臣に承りたいと思うのですが、国立公衆衛生院が昭和三十二年十月に日本化学工業小松川工場で行った労働衛生報告書があるわけであります。言うまでもありませんが、労働者二百十七名中三七%に当たる八十一名が、あるいは勤続七年以上の従業員には二人のうち一人に鼻中隔せん孔が見られるということ、職場の環境中のクロム濃度は一立方メートル平均して十・九ミリグラム、労働安全基準の実に百九倍というクロムにさらされているということも明らかにされたわけであります。 その後、労働省が六価クロムの職業病の調査に乗り出したのは、言うまでもありませんが昭和四十六年であります。いまのお話にございましたように、肺がん死亡者が続出したことから、そのきっかけが得られたわけでありますが、先ほどから、労働省がきょうまで努力をしてきた道筋は伺いました。しかし、その努力は、被害の現実ということから考えるならば、率直に言って、間に合わなかったと言わなければならないと思うのであります。このように深刻で、しかも非人間的な労働環境を放置してきた企業の責任は言うまでもありませんけれども、このような事実というのがわかっていながら、なおかつ現実の進行に行政の指導が間に合い得なかった経過について、長谷川労働大臣の責任ということではなくて、労働行政の積年の責任と言われるものをこの際、反省をいただきたい、このように思うわけでありますが、最初に、その問題についての労働大臣の見解を承りたいと思います。
○長谷川国務大臣 おっしゃるように、かつては女工哀史などという本が出されたり、また、そういう中にいろいろな産業の育成などもありました。私はまさに、ここまでの産業発展の中に、いまのようなことが行われ、そしてそれに対して、おっしゃるように十二分のことが労働省としてできなかった、このことについては反省もいたしております。 話が出た途端に私は、労働行政というものはセオリーで追っかけるものにあらず、やはり体で追っかけるべきだ、こういう感じがありましたから、現場集り、また検査センターの若い諸君を全部、動員して、あそこの方に行って健康診断などもしてもらっているわけでありまして、一つのきっかけとして、おっしゃるようなことで前進してまいりたい、こう思っております。
○岩垂委員 重金属によるいわば埋もれた健康被害を解明するというために、この機会に職業病を新しい観点から見直す必要があると私は考えます。とりわけ、たとえば六価クロム、鉛、シアンというような大量に生産された有害物質だけではなくて、マンガン、ニッケル、モリブデン、アンチモン、セレンなど、いわば微量重金属の汚染を、健康被害と労働者の健康障害との関係で洗ってみる必要があるのではないだろうか、このように考えます。その意味で、有害元素、重金属はもちろんでありますが、それを含めた総点検をすべきではないか。労働省は三千の事業所を摘出をいたしまして、クロム関係事業所についてのみ、九月の一日から一斉監督を行うというふうに承っておりますが、それにとどまらないで、重ねて申し上げますけれども、有害元素全般を含めた総点検に乗り出す御決意はないかどうか、承っておきたいと思います。
○藤繩説明員 ただいま御指摘ございましたように、六価クロムのみならず、非常に有害な物質が多々ございまして、私どもも高度成長期を経まして、特にがんにつきましては、遅発性ということもありまして、深刻な問題があるのじゃないかということで心配をいたしております。先ほど塩化ビニールモノマーのことを申し上げましたのも、そういう意味でございまして、特にがん原性物質につきましては、私ども、いま特化則を改正いたしまして、二十四の物質について全部、規制下に置こうという考えを持っております。それ以外に、がん原性でなくても、いろいろな問題があることも、いま御指摘のとおりであります。 そこで毎年、労働衛生週間を機に、こういった有害物質の一斉点検をやっておるところでございますが、今回は特に六価クロム問題が焦点となりましたので、実は九月の一日から、目下ちょうど全国で、お話しのように三千ばかりの事業場のクロム関係、特にメッキ工場等、零細なものが多うございますけれども、これを徹底的に点検を加えているところでございます。ただ、これだけではなくて、月の後半に入りましたならば、電極でございますとか、あるいは放射線でありますとか、そういうものもやりたい。毎年少しずつ物質を変えて、何年かですべて当たるというようなことでやってまいっておりまして、御指摘の点は私ども全く同感でございます。せいぜい、がんばりたいというふうに思っております。
○岩垂委員 それらの点検をしていく過程の中で、当然のことながら、労働者の協力と言われるものを求めなければならないと思うのであります。しかし、これは大臣、御存じのとおりに、日本の労働組合が、労働組合自身の反省にもかかわらず、やはり企業内組合としての体質を持っております。そしていわゆる内部告発といわれるものについても、今度の反省を通して多くの批判されるべき点を、率直に言って、持っていると思うのであります。その意味で、いわば労働者の内部からの告発といいましょうか、言葉が正確でなければ、自分たちの健康を含めた、地域の環境に対する告発を労働者が行った場合に、差別をしない労働行政、そういう者を差別しない、そういうことをぜひともこの際、大臣の口から明らかにしていただきたいと思うのであります。 と申しますのは、当該労働者の職業病の問題だから、労使の問題だと言いながら、現実に起こっている事態というのは、周辺の住民に非常に大きな影響を及ぼしています。その影響というのは単純な環境汚染にとどまらないで、いわば子孫にまでかかわるような、あるいは潜伏期間を含めて言えば、長い間、市民の健康や生命を損なうおそれを伴うわけであります。その意味では、企業内組合と覆われる日本の労働運動の体質の中にもかかわらず、労働者が自分の危険と害われるものとあわせて、社会的な責任と言われるものを明らかにしていく努力は、私は今日の情勢の中では求められなければならないと思うのであります。にもかかわらず、歴史は、そうした労働者に対して、いわば不当労働行為とは言わないまでも、それに近いような差別と言われるものがあったことも事実であります。その意味で、労働行政がそうした労働者の内部の告発に対して差別をしない姿勢というものを、この際はっきりお示しいただきたい。このことをお願いをしたいと思います。
○長谷川国務大臣 公害の問題は、工場労働者が家に帰ると、時には被害者になるわけです。そういうことからしまして、おっしゃるとおり日本は企業内労働組合で、労使の関係は企業内においては経営協議会みたいなもので私は非常にいいと思っておるのです。時に自分が加害者であり、市民になれば被害者である、こういう立場を持ちますと、内部において十二分にお話しできるし、またそういうことに対して処罰されるというふうなことは、労働基準法にもたしか、なかった。なお法律的なことがありますれば、事務当局からお答えさせますけれども、そういうふうに被害者であり加害者であるということから、全般的に労使の間に、それぞれの工場において協議会が持たれて話し合いができるものだ、それが自分たちの命を守る、おっしゃるとおり後代にまで命が守られる、こういうことだと思っています。
○岩垂委員 今回の事件を——あえて事件と申しますが、振り返ってみると、本工労働者以外の臨時工や社外工といわれる人たちが非常に危険な職場に使われていることも、多くの諸先輩からも指摘が恐らくなされると思いますが、配置されていると言わなければなりません。私はこれは差別だと思うのであります。そうした職場がたくさん全国にある。それが現実です。しかも、そうした社外工や臨時工というのは、職業病やそういう困難な条件、健康被害に対して補償する手だてさえ不十分である。先ほど退職者の問題が出ましたけれども、これらの臨時工や社外工の存在と、こうした職業病と言われるものとの関係について、労働行政はこの機会に基本的な取り組み直しをいただきたいと思いますが、その点についての見解をただしておきたいと思います。
○藤繩説明員 御指摘のとおり、特に危険、有害な業務の現場におきまして、下請もしくは臨時工が、特にそういったものにさらされるという傾向は否みがたいところであります。そこで今回も、問題の工場につきましては、御承知のように、すべての労働者、退職者も含めて全部を掌握して、そして企業の責任において健康診断を行えということを命じて、いまやらしているわけでございますが、その場合に、もとより臨時工、下請も全部含むということを強く要請して、企業も、それに従っているわけであります。 そこで、安全衛生の問題は、特に下請なり臨時工という者を度外視しては、実際の効果は上がりませんので、御承知のように、安全衛生法では元方の事業主に対していろいろの責任を課しておりまして、衛生面でも元方事業主の指導責任というものを明らかにしておるわけでございます。そういう面で私どもも企業に強く迫ってまいりたいと思いますし、それから今後の治療面、補償面については、そういう差別があってはならない。特に御承知のように労災補償については、全く制度的にも差別をいたしておりません。あらゆる労働者に対して補償を行うという原則を貫いております。そういう精神でやってまいりたいと思います。
○岩垂委員 いま最初に大臣から、労働行政にかかわる、いわば反省のお言葉を述べられたわけでありますが、労働省の行政のシステムの中で、これらの問題にどうやって対応なさっていらっしゃるかということの中の一つとして、それぞれのセクションの問題が出てくると思うのであります。とりわけ作業環境改善を指導する体制、これは特別の課をつくるというお話もあるようですが、そういうことを含めた行政の取り組みについての対応を、この際お聞かせ願いたいと思います。
○藤繩説明員 過去を振り返るような話になりますけれども、先生御承知のように昭和四十二年に労働安全衛生局というものを労働省は設けました。しかし、遺憾ながら一局削減という政府の方針がございまして、一年でこれを廃止したいきさつがございます。それはそれといたしまして、私どもは当時から安全衛生行政には相当な行政のエネルギーを費やさなければいかぬという考え方を持っておったわけですが、経過はそういうことになっておる。 そこで今回、こういった問題も踏まえまして、一般的には、行政機構の拡充あるいは定員の増加というものは大変、厳しい制約の中に置かれている現状でございますけれども、来年度につきましては、少なくとも職業病担当の審議官をぜひ本省に置きたい。それは安全衛生と労災補償というものが車の両輪でありながら、ともすれば、その連携が十分にいかないというのが私どもの悩みでございまして、その点をひとつ埋め合わせたいということと、いま御指摘がございました環境改善課というものを設けまして、特に環境測定の行政を強力に進めたいというふうに思っております。それ以外に労働衛生専門官とか労働基準監督官の増員も、大変、厳しい条件の中ではありますが、精いっぱい努力をしたいというふうに思っているわけでございます。
○岩垂委員 一概に、局をふやせば、それで対応がすべてだというつもりはございませんが、いま藤繩さんからお話しになりましたような歴史があるわけであります。産業衛生という観点、特に職業病の観点を含めた労働省の体制を、もっときちんとしていくという努力を、大臣もぜひ、これからもしていただきたい、このことをお願いを申し上げながら、その問題について御見解がありますれば、承っておきたいと思います。
○長谷川国務大臣 労働者の安全は、私たちの方の役所の重点施策でございます。年々、約一万になんなんとする死亡者あるいは百万以上のけが人、こういうものをいかにして減らしていくか、こういうところに実は役所としての大変な仕事がございまして、これなどがようやく啓蒙なり、あるいは時代の趨勢、こんなことで約四千人台に死亡者が減ってきている。最近のうちに、また、そういう亡くなった方々の慰霊祭などもやりますが、そうしたときに改めてこの問題等々について啓蒙する一方、ただいま局長が御答弁申し上げましたように、こうしたときでございますから、一つのきっかけに、いまいるところの人々に対してもフルに御活動願いまして、社会の要請にこたえていく、こういう決意でございます。
○岩垂委員 労働省、ありがとうございました。 引き続いて通産省と厚生省にお願いをしたいと思うのですが、昨日の参考人の御意見、あるいは、これは八月十四日の毎日新聞でありますが、拝見をいたしますと、昭和四十六年の十一月、市川市の行徳南部区画整理組合の埋立地に対する東大農学部土壌研究室の浅見博士の調査が明らかにされております。これを契機として四十六年の二月に、日本分析化学研究所や通産省の東京通産局あるいは千葉工大が調査をし、その結果、日本化学工業が捨てたクロム残滓に異常な高濃度の猛毒六価クロムが含まれていることが明らかにされているわけであります。これはもう私が言うまでもないわけであります。これだけはっきりした事実を、通産省や厚生省も知っておられた。これは東京都も同罪でありますが、厚生省や通産省がこの資料を手に入れて、それについてどのような対応をなさったか。とりわけ、いわゆる企業指導を含めた対策をどのようにおとりになったか。特に市街地とも言われるべきところに長い間、放置されている、こうした猛毒の六価クロムと言われる物を、そのまま放置しておいていいとお考えになってきたのかどうか。それらの問題を含め、これは所管省である厚生省と同時に、直接、東京通産局がお調べいただいたという経過を含めた、通産省のこの問題に対する行政的な責任といいましょうか、手おくれになってしまった経過についての反省を承りたいと思いますが、通産省、厚生省の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
○宮本説明員 お答え申し上げます。 四十六年に、先ほどの千葉県の市川市行徳に六価クロムの廃滓が捨ててあるということで、各方面で分析の結果が出て、通産省におきましても、東京通産局その他を通じまして調査をいたしましたことは、先生、御案内のとおりでございます。私ども、こういう問題を非常に憂えておったわけでございますが、私どもの、その後とった措置といたしましては、まず市川市の、問題となりました儀兵衛新田の個所についてでございますけれども、早速、当該会社を招致いたしまして、これは四十六年の二月だったかと思いますが、千葉県と市川市の行政指導に従って問題を解決するように、内容といたしましては、一部の鉱滓の撤去、現地での無害化の作業の実施、これは、たとえばパイルを打ち込みまして遮断をするとか覆土をするとかいう内容を含んでおりますが、これを実施させ、さらにその後ここへは鉱滓を持ってきてはいかぬ、こういうことを指導させたわけでございます。さらに基本の問題といたしましては、鉱滓の無害化ということを考えておったわけでございますけれども、六価クロムの三価還元ということで、日本化工及び日本電工両社に対しまして、還元キルンの技術開発ということで、早急に技術開発を行うようにという指示をいたしまして、四十八年の九月に、ようやくその技術が完成をしたということになっておるわけでございます。 先生御指摘のとおりに、そういう事実を知りながら、そういう問題意識を持ちながら、なお対策が非常におくれておったではないかということにつきましても、確かにそういう面があった、当時の通産省の業界に対する指導の問題点につきましては、私ども十分、反省をしておる次第でございます。
○山下説明員 ただいま通産省の方から御回答がありましたとおりでございまして、大変、申しわけないのでございますが、厚生省の方で産業廃棄物の処理法を所管いたすようになりましたのが四十六年の十月からでございまして、当時の事情を、このたびの事件にかんがみまして調べてみたのでございますが、当時、内閣の方の公害対策本部並びに通産省が中心になられまして、企業等について所要の御指導をいただいたということでございまして、厚生省といたしまして当時、中心的な役割りで、この問題に対処をしておったということではないようでございまして、まことに申しわけなく存じております。
○岩垂委員 役所が、どうもそういうように、すぐわが方の担当ではないということで始末がつくと思うところに、問題の深刻さというものを、もっと正確にとらえる姿勢が欠けているというふうに私は言わざるを得ないのであります。起こった事実は続いているのであります。そのときだけじゃないのです。今日まで続いているのであります。しかも、そうした物が市街地に放置されているということは事実であります。その行政のかかわりというものを抜かして、あのときは、おれたちは関係なかったのだという議論では、どうにもならぬと思うのであります。しかも、通産省の企業指導と言われるものも、やはり十分になさっていらっしゃらない。この点もやはりお認めいただかなければならぬと思います。そういう点で、物事の対策は、私がこう言うのも大変、酷でありますが、さかのぼって反省から出発しなければならぬと思うのであります。それは人間でありますから、いろいろな弱点や欠点があると思う。問題は、その反省の姿勢と言われるところから対策が生まれるのであります。反省をいいかげんにしたり、反省が中途半端であったりすれば、対策も中途半端であります。私はそういう意味で、大変、言葉が強うございますけれども、通産省はこの問題がわかっていながら、今日までとった措置が十分であったかどうかということも含めて、もう一度、行政の責任を承りたい。厚生省にもその点の見解を承っておきたい。
○松浦説明員 お答え申し上げます。 ただいま部長がお答え申し上げましたように、法施行前の問題でございましたが、これは法の施行にかかわりまして、そのような経験を十分に生かしまして現在の法の基準というものを設定いたしたわけでございます。おっしゃいますように、そういった経験を今後とも十分に生かしたい、こう考えております。
○宮本説明員 先生、御指摘のように、当時の通産省の指導というものは、いろいろな状況はございましたけれども、確かに十分ではなかったということを率直に認めております。
○岩垂委員 時間がありませんから続けますが、環境庁に承りたいと思います。 環境庁はクロムの有害性について昭和四十八年度委託調査を実施した。その調査結果は、四十九年の四月には東大医学部から受け取っておられるわけであります。その報告の中には、クロム鉱滓は肺がんを発生させることを指摘して、環境を汚染し、問題があるというふうに、いまここに文書を持っておりますけれども、指摘をされております。この報告書に前後して、東京都における日本化学のクロム鉱滓投棄による江東区大島町の事件があった。これは昭和四十八年でございますが、すでに起こっているわけであります。江戸川区堀江町にもそれが及んでいることは、環境庁は知っておられたはずであります。したがって、今日から約一年半前に環境庁が、クロム鉱滓と肺がんの関係というものを、この調査報告を含めて、単にこれだけとは私は言いません、承知しながら、たとえば自治体に対して、どんな警告や対策を求められたか。あるいは環境庁として、その危険に対する公害対策をお進めになったかどうか、その点を最初に承っておきたいと思います。
○橋本説明員 いま先生の御指摘になりました調査につきましては、これは大気保全局におきまして、昭和四十六年以来、環境基準を設定するための諸種の物質を、優先順位を決めまして調査をしてきた、その一環でございまして、四十八年に大気汚染における環境基準を設定するための基礎資料として、東京大学の横橋教授のところに文献調査を委託をし、一部に実験研究があったということでございます。そしてその中に、労働衛生関係の文献としまして、先生の御指摘のクロムを含んだ鉄鋼の鉱津から抽出した物で動物実験を行い、それで悪性腫瘍を発生させたという問題の文献があるわけでございます。この調査につきまして、これは労働衛生の方の文献と、あとは大気汚染の方の文献も、この中に入っておりまして、私どもの、これは役所としまして大気局でございますが、大気の環境基準という観点から、それは参考にして諸種の判断を行ってまいったところでございます。 どういうことをしてきたかということでございますが、四十九年から非常に分析方法を変えてきまして、先ほど先生、御指摘のあったいろいろな重金属ということで、四十二種類の金属に全部さらに広げまして測定を細かくやり、また測定のデータをいろいろ照合し始めております。 四十八年の江東区の調査データと時間的にどういう関係になるかという御意見でございますが、私はその時点での事実関係はよく存じませんが、東京の江東のデータにつきましては、六価クロムとしては大気中には発見されておらない。総クロムとして〇・四何がしマイクログラム・パーキュービックメートルという数字があるということでございます。これは環境基準としてソ連等で行っているものは、六価クロムとして一・五マイクログラム・パーキュービックメートルという数字がございまして、それよりもはるかに下であるということもあり、各地のナショナル・サンプリング・ネットワークのデータも十分の一ないし百分の一、オーダーが下であるということで、そういう判断の基礎として、今日まで使われてきたということでございます。そういうことで、そこの江東の大気の数値ということと照合した事実関係につきましては、私は、残念ながら詳細な御説明は、内容をよく存じませんが、数値的には、それを照合した場合にこれは問題がないのではないかということでございます。 ただ、御指摘のありました例の鉱滓の問題も触れておるではないかという点につきまして、これは私どもは文献収集として影響調査の観点からいたしておりましたので、環境保健その他で使うようにはなっておりましたが、それそのものを地方自治体に出して、それによってクロムによる対策をこういうぐあいにせよというような形では使ってはおらないということでございます。当然これは私ども秘密にする気も何にもございません。やはり学術の資料としては将来、出していきたいというぐあいに考えておるわけでございます。
○岩垂委員 これだけのデータが、これはドイツだけでなしにアメリカのW・ヒューパー、W・ペインという二人の学者が、十七年も前の一九五八年から六〇年にかけて行ったいわばネズミの動物実験の結果でありますね。これは明らかに鉱滓が発がんの危険があるということを指摘しておりますね。それは橋本さん、お認めになりますね。それらのことを含めて対策が立てられていない。こういうデータを、せっかく研究の金を出して委託調査をなさったわけですから、それを生かす努力が不十分だということについて、私は指摘をしているのであります。その点について環境庁はどのようにお考えになっていらっしゃるか、この時点での見解を承りたいと思います。
○橋本説明員 いま御指摘のございました、鉱滓が直接に影響があるかという点でございますが、それから抽出されてきました物質で動物実験でやってみると、悪性腫瘍を起こす能力があるということは、私どもも認めております。これは労働衛生の方の知見として非常に使われている実験でございます。鉱滓そのものとしてどうかということにつきましての問題としましては、私どもは、すでにクロムにつきましての処理の基準が、廃棄物処理法に基づきまして、四十六年でございますか、すでに六価クロムにつきましては縛られておるということと私どもは理解をいたしておったわけでございます。 そういうことで、この調査からすぐさま、特にこういう対策をまたやるということが行われておらなかったということは事実でございますが、それ以前に、すでに対策は打たれておったというぐあいに承知をしておったわけでございます。
○岩垂委員 学術調査と言われるわけでありますけれども、環境庁がせっかく委託調査をして、いま橋本さん、お認めいただいたように、クロム残滓が発がん性が強いというこういう文献がある。国際的にもそれはたくさん出ている。だから、あなたは労働衛生、安全衛生とこういうふうに言うけれども、いま起こっている事態は、それに伴って環境汚染が起こっているわけでしょう。それらの問題について十分な対策がとられていなかったことを、私は大変、遺憾に思うわけであります。この問題は、もうすでにいろいろな角度で指摘をされておりますから、次に移りますけれども、せっかく委託調査をなさった、そしてその中にりっぱな報告がある。それをやはり行政の中に生かしていく仕組みというものについて、行政がもっと謙虚であってほしい、このことを私は求めたいと思うのであります。 さて、続いて伺いますが、環境庁がすでにクロム工場の所在地とクロム鉱滓の投棄場所の自治体に、環境調査と住民健康調査を実施されるよう指示しておられます。これは恐らく有害であるという前提で、お調べをいただいていることだと思いますし、にもかかわらず、その結果が明らかにならなければ結論は出ないと思いますが、しかし、すでに地域的な環境汚染が存在するということは明白であります。もう一つ、汚染物質と健康被害との関連に因果関係があることも、いままでの議論の中で客観的に資料ですでに明らかであります。そこで、公害病として指定する条件がかなり濃厚だと私は確信をいたしますけれども、六価クロム問題について、ぜひ、その点の見解を承りたいと思うのであります。 なぜならば、この恐ろしさというのは、潜伏期間がたとえば九年とか十年とかという問題であり、とりわけ幼児については、かなり深刻な状態でありますから、結論が出るまで、調査の結果が出るまでということはともかくとしても、いま私の承知している限りで、そして環境庁の答弁の範囲において、公害病に指定する条件がかなり濃厚であるという見解について、環境庁はどのようにお考えになっていらっしゃるか、この点の答弁を煩わしたいと思います。
○野津説明員 お答えいたします。 御指摘ございましたように、いわゆる六価クロムというものによる健康被害というのは、先ほど来、御議論ございましたように、産業衛生あるいは職業病としての問題は非常に大きいわけでございます。ただ、六価クロムの害があるということは、私どもも承知しておるわけでございますけれども、いわゆる環境汚染という形で非常に微量になってまいりました場合に、果たして健康被害とどのような関連が出てくるかという問題が、非常に大事な問題ではないかというふうに考えておる次第でございまして、この問題は御指摘のとおり、早く究明したいということで、私どもとしても進めているところでございまして、御指摘ございましたように、現在、各地におきましてのいわゆる健康調査というものが行われているわけでございまして、その結果というものを踏まえて、これを早く究明するという態度で処理をしてまいりたいと考えております。 ただ、いま仮定の問題として、これらの調査結果の上へ、いわゆる六価クロムによります健康被害というものが、環境汚染という形で住民の方々の中に出てくるというふうな問題が明らかになりましたということが出てまいりました場合には、当然、健康被害の救済というものは、汚染原因者の負担ということにはなってくるかというふうに考えておりますけれども、現在ございます公害健康被害補償法の適用というふうな問題につきましては、ただいま御指摘ございましたように、当然、六価クロムに毒性がある。しかし、これがいわゆる職業病としての問題がある、これも私ども十分承知しておりますけれども、いまのような環境の汚染、非常に微量な汚染の場合に、どういう形で健康被害と結びついてくるかということにつきましても、できるだけ早く私ども知りたいと思っておりますし、その結果を踏まえまして検討してまいりたいと考えております。
○岩垂委員 時間がありませんから次に移りますが、先ほどから指摘されているように、廃棄物処理の問題をめぐり、あるいは今度の六価クロム問題をめぐって、やはり縦割り行政の問題がここでは指摘されなければならぬと私は思うのであります。たとえば主務官庁は厚生省だ、有害廃棄物の判定基準は環境庁だ、化学工場の指導、監督は通産省だ、実際の取り締まりというのは都道府県ということでありますから、どっちがどっちだというふうなことに、さっきの田中先生じゃないけれども、わが方と思わん者は手を挙げろと言っても、なかなか挙げられない状態が、率直なところ、現実の姿だと思うのであります。しかし、それにもかかわらず、労働省の先ほどからの答弁にありましたように、環境改善課というようなものを用意しながら、この事件の中から反省を学ぼうとしていらっしゃる。私は東京都にも言っているわけですけれども、たとえば清掃局とか公害局とか下水道局などがそれぞればらばらになっているという状態を何とかしなければ、この事態の早期な解決はないじゃないか。こういうことは、やはりやらなければならぬと思うのですが、関連してやはり国の体制で反省すべき問題点はなかったかどうか。これはぜひ、質問がダブルのかもしれませんが、労働大臣と環境庁長官に、それからできれば厚生省にも、その見解を承っておきたいと思います。
○小沢国務大臣 田中先生に先ほどお答えをいたしましたように、おっしゃるように、いろいろ、それぞれの責任によって行政の機構というものができているわけでございますし、現状、私は必ずしも悪いとは思いませんけれども、こういうような問題が起こってみますと、やはりこれは一元的にどこかで強力に対策を講じていくという必要があるというふうに考えますので、先ほどもお答えしましたように、何らかの措置を、厚生か私の方かでございましょうが、私の方がやるにしては、どうも現業官庁を持つようなことになりますと、環境庁の性格がいろいろ、ゆがめられてくるおそれもありますから、やはりこれは厚生省の方がいいのじゃないか、いろいろ検討した結果、私はそういう心境になっておるわけでございます。厚生大臣とも内々、話をいたしておりますが、いずれ閣議で、この問題についてひとつ正式に決定をしていきたい、かように考えます。いずれにしても方向はおっしゃるとおりだと思います。
○長谷川国務大臣 ただいま環境庁長官がお答えしたとおりでございますが、環境庁長官なかなか内輪で物を言っておるようでございますが、これは大事なことですから、環境庁長官が発言したら徹底的に応援しまして、総合行政をやるように推進したい、こう思っております。
○松浦説明員 私ども事務当局といたしましては、現在の行政が、そういったばらばらの問題というのが一体、所管の問題なのか、あるいは実際の歯車がうまく動いていないのかという問題を、事務的にいろいろと検討いたしまして、ただいま両大臣のお話のとおり厚生省もいろいろ対処していきたい、こういうふうに思っております。
○岩垂委員 今回のクロム問題というのは、クロム対策だけではやはり解決しないと思うのです。先ほどから指摘をしてまいりましたように、有害な産業廃棄物全般の問題であると言わなければなりません。昭和四十五年の公害国会で法はつくったわけですが、政府は対策推進の指導が必ずしも十分でなかったというふうに、私は言わなければならぬと思うのであります。その中で特に指摘をしておきたいのは、この法は企業責任というものを明記してない、あるいは地方自治体の処理計画策定というものを強力に指導する仕組みになってない、あるいは地方自治体における監視、監督体制強化についての指導も、率直に申し上げて、不十分だと言わなければならぬと思うのであります。あるいは処理技術の開発というような問題も、真剣に取り組んでいないように私は思います。あるいは処分をする場所なども、あるいは公共的な確保についての適切な指導というようなものも、これはできてないと思うのであります。法はつくって公害対策を推進しようとしながらも、現実にはきれいごとになっているような感じがしてならないのであります。その点で、この法の改正について、企業責任の明記、産廃の処分量の記録義務の明記あるいは報告の義務化というふうなことを含め、いま私が申し上げた五点に三つ加えて、こういう立場で法を改正する用意があるかどうか、そしてそれを急ぐ必要があると思うのですが、それについての、これは厚生省になりますか、見解を承りたいと思います。
○山下説明員 ただいま先生から御指摘いただきましたような問題点、今回の事件を契機にいたしまして、私どもも強く意識をいたしております。先ほどもちょっと申し上げましたけれども、そういうことから見まして、現在の廃棄物の処理及び清掃に関する法律、これについて欠陥なきや否やということでございますと、どうしても検討しなければならぬ、かように考えております。大臣からも、そのような御指示をいただいておりまして、近く今月中には関係の審議会を発足させ、できるだけ早期に結論を得まして努力をいたしたい、かように思っております。
○岩垂委員 当然なことながら、いま私が申し上げた幾つかの点、つまり、この事件に関する反省点をこういう形で指摘ができると思いますが、これらのことを含めた法改正の準備であるかどうか、この点についての見解を一これは最初から、どういうふうにしていくかということを白紙で議論することよりも、この問題の中から教訓を学びつつ法改正についての準備をすることが必要だと思いますので、その点についての、言葉を濁さない御答弁をいただきたいと思います。
○山下説明員 先生が例示として挙げられました問題の中には、きわめて早期に結論を得ることができる問題と、非常に基本的でございますので、直ちに結論を得ることができないものと、いろいろあると思うのでございます。したがいまして、私どもの考え方といたしましては、できるだけ審議会にもお諮りいたしますけれども、当面緊急に措置すべきもの、これはできるだけ早く取りかかりたい。なお、非常に問題がむずかしくて急遽の措置は困難だというような問題は、一応、一遍にやれるかどうか。非常に間口を広げ過ぎますと時間がかかりますし、問題の緊急なものにしぼってまいりますれば、相当、早くやれるというふうなことでございますと思いますので、その辺の両面をにらみながら問題点を整理し、努力をいたしていきたい、かように考えております。
○岩垂委員 これは環境庁長官にお願いをしたいのですが、安全処理技術というのは事実上ないわけですね、完全な方法というのは。それらの開発の問題が、やはり非常に立ちおくれている。それにはマスキー法的な手法、それはつまり目標と期間と技術開発を含めて。そういう手法を生かしながらいかないと、総量規制、総量規制と言ったところで、それは絵にかいたもちになってしまうと思うのでありますが、それらの考え方は、環境庁としてどのようにお考えになっていらっしゃるか。これは環境庁じゃないですか。
○堀川説明員 環境庁といたしましては、廃棄物の処分の基準をつくっておるわけでございます。処分の基準がやや抽象的であるというような御批判もございまして、私どもとしては一定の技術水準、実行可能な方法というものを前提にいたしました具体的な指導をできるだけやりたいわけでございます。そのために必要ないろいろの、たとえば無害化にする、あるいはできるだけ無害化に近づける技術方法、これは昨日の当委員会にもいろいろと御議論ございましたけれども、そういうものにつきまして、それぞれこれは担当の省庁、一番適当な、得意なところもございますかと思います。あるいは民間の知識経験、そういうものも集成をいたしまして、できる限り私どもの方といたしましても関心を持って、いま言ったことが推進されるようにいたしたいというふうに考えております。
○岩垂委員 時間が来ましたから、最後に承りたいと思いますが、土壌汚染防止法、これは農用地の土壌の汚染防止等に関する法律という名前なのですが、これは法律はあるのですけれども、農用地だけに限っているし、対象物質はカドミと銅だけであることは、もう御存じのとおりであります。政府が本当に土壌汚染というものを、今回の経験を通して防止しようとするとすれば、有害物質全般にわたる土壌汚染防止法をつくる必要があると私は思います。大気、水質はあるわけでありますから。そういう意味で、今度の問題は非常に勉強になったわけですが、これはたとえば内容的に言うとPPPの原則の明示とか、あるいは罰則の明記とか、あるいは原状回復命令権の明記、あるいは被害者救済、こういうものを最低限やはり入れた有害物質全般にわたる土壌汚染防止法というようなものを制定なさるおつもりはないかどうか。そのようなことを検討なさる必要があると思いますが、これは環境庁長官に御答弁を煩わしたいと思います。
○堀川説明員 御案内のように、土壌汚染防止法は農用地の土壌汚染防止を目的とすることにいたしておりまして、現在、カドミウム、銅、砒素等について、その汚染防止地域の指定の基準を決める際の有害物質として、そういう特定の物質を想定をしてやっておるわけでございます。これはその農用地の農業的利用を通じまして、いろいろと悪影響が出てくるのを防止するという趣旨でやっておるものでございますが、今後これにつきましては、さらにその他の重金属につきましても入れてくるというような問題については真剣に取り組んでおるわけでございます。しかし先生の、さらにそれを抜本的に拡大いたしまして、一般土地についての重金属汚染というような問題を処理するための法律にすべきではないかというような、法律の性格を根底から転換をしてかかるということを含む御趣旨の御質問であったかと思うわけでございます。 これにつきましては、まずその土壌の組成の状況でございますとか形状でございますとか、それから利用の方法、こういったものは都市部とあるいは農村部で違うというようなこともございます。土壌というようなものはいろいろな複雑な性格を持っておるものでございますので、それを仮に人間の健康というものにかかわらしめて一定の基準をつくって、その基準を目標としていろいろの施策をやっていくということが、直ちに実現可能かどうかということになりますと、なかなかこれはむずかしい問題があるわけでございます。さしあたり、今回のクロム禍問題で起こっておる問題は、土壌に大量の有害な産業廃棄物が投棄をせられまして、そのことが環境汚染ということで問題になっておる、かようなことでございますので、そういうことになりますと、私どもは、やはり産業廃棄物の処理の規制をしております現行の法律、これの処分基準というものが一応、決められておるわけでございますが、これにつきましても、それをまず厳格に守っていただくという体制を一刻も早くとる必要があるし、またその基準自体についても反省をすべき点があれば、これは科学的な知見を解明をいたしまして、集積をいたしまして、直すべきものは直していく。そうして、その基準を守ってもらうということによって、さしあたりの緊急な問題は、まず、その辺から手をつけていくのが適当ではないか。ただし、先生のおっしゃるような問題も確かにございますので、私どもといたしましては、まず、その土壌についての環境基準というものの設定、こういったような問題についても、これは大変むずかしい問題ではございますが、取り組んでいく気持ちは持っております。
○小沢国務大臣 私は、先生のおっしゃるように、有害物質によって土壌が汚染される。農地ばかりではないじゃないか。根本的にはやはり産業廃棄物の問題だと思うのです。それが不当、不法に投棄をされる結果、起こってくるわけでございますから、まずその根本は、先ほど先生もおっしゃった産業廃棄物の法の不備を直し、あるいは行政の対策で、足りないところを補って、強力に進めていくということが根本的な解決でございますので、これを前提にして、しかし、それは幾らやっても、どうしてもあるだろう。あるだろうから、土壌汚染の防止の法律で原状回復命令や、その他いろいろなことも織り込んだ法律を、また別途、用意しろというお説だろうと思うのですけれども、やはりわれわれとしては、そういう土壌汚染をまず防止することが先なのでございますから、私は、最初やるべきことは、何といっても産業廃棄物の不当、不法な投棄が起こらないようにすることが、まず第一ではないか、かように考えております。 ただ現に、もうすでにあるものをどうするかという問題がありますから、これは厚生省にもお願いをして、全国的に徹底的な調査をやり、その追跡調査をやって、どこにどういうようなものが汚染のおそれのあるものとして存在するかということを的確に把握しまして、その結果、それが行政的に環境汚染につながらないように、また一般の人の健康被害につながらないような措置が、どうしても行政上はできないということであれば、これは法律を早急に何らか改正なり、あるいは新法をつくるなりいたしまして、やっていかなければいけませんけれども、そういう点の実態が明らかでない今日、まだ厚生省はこれから調査しようというわけで、都道府県でも防止計画ができているのは十三県ぐらいでございますから、そちらの方の産業廃棄物行政をまず法律上も、制度上も、予算上も、行政上も、うんと整備することがまず先じゃないか。私の見解としては、そういう点をまず先にやりたいということでございます。
○岩垂委員 最後に一つだけ。 法律がという議論に、いま環境庁長官から、その前にという言葉があるわけですが、本件を解決していく基本的な姿勢として、これは言うまでもないことなんですけれども、いま私が法律の中に、もし盛るとすればということで申し上げた、たとえばPPP原則を守っていくことや、あるいは原状回復命令というものを企業に対してきちんとさせていくことや、あるいはやはり公害罪というような問題さえ私は指摘をせざるを得ないのでありますが、昨今の状況を考えてみると、そんな感じがします。それらのことを含め、そして被害者救済ということを原則にする、そういうことを大前提にした本件に対する対応というものが政府の姿勢だというふうに承知してよろしいかどうか、これを最後に承っておきたいと思います。
○小沢国務大臣 先ほど厚生省の部長は非常に慎重な答弁をいたしております。確かに先生のおっしゃる、法律の内容に盛らなければいかぬというお考えの数点、その中には、検討して結論の出るまでに相当時間のかかる問題もあるわけでございます。しかし、いずれにしても、いまの法律に欠陥があることは事実だと思うのです。したがって、私はこの前も厚生大臣とも話し合いまして、厚生大臣もきょう午後お出になるそうですか、お尋ねいただきたいと思いますけれども、法律改正はやりたい、やる、こう言っておられます。その中身につきましては、先生の御意見も十分、私どもも頭に置きます。しかし、やはり行政当局にはそれぞれ専門家を擁した審議会等もありますから、それらの方々の意見を十分取り入れまして、要は国民の健康を守ることが第一でございますから、そういう観点から、必要であれば勇敢な法律改正をやる、こういう方針だと御運解いただきたいと思います。
○岩垂委員 どうもありがとうございました。時間が来ましたので、終わります。
○渡辺委員長 島本虎三君。
○島本委員 私は、きのうの午前十時から午後遅くまでかかって、十人の参考人と二名の説明員から六価クロムの鉱滓を含めてのいろいろな被害についての参考意見を承りました。それで強く感じたのは、行政が企業を甘やかしているのではないか、行政があることによって、企業がうそをついているのじゃないか、この姿勢は私は許されない、こう思いますので、一応そういうような前提に立って、せっかくきょうは長谷川労働大臣と小沢環境庁長官もいるわけでありますので、この意見を中心として、ひとつ皆さんのこれに対する考えを承りたいと思うのであります。 と申しますのは、きのうは、このクロムの鉱津に対しての被害、これに対しては社長は、言を左右にして、あるいはその場、その時点によって変わってきておる。鉱滓は四十六年以前は有害性を知らなかった。そして、それを指摘された時点において、無害だと言った。それが答弁あるたびごとに表現が変わってきておる。そして人体に鉱滓が被害を与えることについては、まことにこれはもう軽い、あるいは皆無であるという、こういうような印象さえ受けるような答弁であります。私どもは、きのう十名の参考人と二名の説明員から、六価クロムのたまり水、これが黄色い色がつくのは一〇ppm以上である、そうなっても〇・〇五ppmの環境基準の二百倍である、したがって、これでは皮膚に障害を起こすものだ、一〇〇ppmでは潰瘍をつくるのだ、そしてこの一〇〇ppmの水を犬が飲んだならば、けいれんを起こすのだ、そして瞳孔は拡大する。しかし、ほんの微量だといっても、これが大量に捨てられた場合には、大島地域では二万ppmが検出された。そして検出された黄色い水の中に金魚を入れたら二十分で死んだ。一〇〇ppmの有害な水を敷地内で処理したとしても、浸透上昇する。これが乾燥すると粉になって、粉じんになって飛ぶ場合には、工場と同じような被害を工場外の市民に与えることになるではないか。 〔委員長退席、林(義)委員長代理着席〕 現に大島町の屋根の裏にはクロムの粉じん一〇ppmが検出された。そしてこの鉱滓を埋めて作業をしておった銭高組の渡辺某という人は、口が酸っぱくなって、そして腕のはだが痛んで、夏でも長そでのワイシャツは離されない。その下にはいつでも軟こうを塗ってある。そして鉱滓の運搬人は鼻に穴があいた現状で作業をしている、失明さえしている。こういうような現状で果たして鉱滓の被害があるのかないのか。またないかのような考え方を持つということは、はなはだ不謹慎である、私はそう思ったのであります。したがって、午前中は六名の参考人でありますから、この日本化学工業の棚橋社長並びに日本電工の松田社長はそのときはおりませんが、午後の大学の教授並びにその他の参考人が来た場合に、これがはっきりし、出席した参考人は全部これを認めたのであります。したがいまして、いま厚生大臣おりませんので、まことに残念なのでありまするけれども、そういうような状態の中で、果たして企業の姿勢をきちっとできるのかできないのか。いま、ここにせっかく貴重な参考意見を賜って、そしてここに行政をどうするか、また法令をどうするか、これをやるのでありますが、その基本になる姿勢が、行政自身が企業を甘やかしておる、こういうようなことであっては困るのであります。したがって、環境庁長官並びに長谷川労働大臣、こういうような姿勢の中では——もうすでに両大臣とも調査された日本化学のこの小松川の工場、こういうようなところでは内外を問わず、中では公害、職業病、外の方では環境破壊と公害、こういうようなものが起きているのであります。こうなりますと、やはりこの姿勢をきちっとして、科学的なデータを認めながら対策をするのでなければならないと思います。両大臣のこれに対する所見を承ります。
○小沢国務大臣 私は六価クロムは有害だという認識を持っております。詳しいことについては技術者からお答えをいたします。
○長谷川国務大臣 お答えいたします。 おっしゃるように、いろいろ改善すべきものがありますので、私の方で労働者の災害についてそうしたデータによって、新しい工場などがつくられた場合の指導——たしか、いつか山口県の県知事が来まして、私の方は産業廃棄物はちゃんとコンクリートのピットの中に入れていますと言っていました。だからそういうところは生まれてない。これはやはり企業も助かるわけです。そういうふうに強力な指導というものの中に、こういうものを前進させていく、そういう例を見ながら、私は説明しているわけでありまして、その姿勢で、いまから先もやりたい、こう思っております。
○島本委員 環境庁はどうなんですか。結局は認めるのですか。いま私が言った行政は企業を甘やかすようなことがあっちゃならないのだ、したがって姿勢をきちっとしなければならない。専門家、技術者に答弁させるなんて言っているのですけれども、それは姿勢の問題ですから、大臣でいいのです。
○小沢国務大臣 私は、あなたの立論を聞いておりまして、企業は、そんな弊害はないと思うとか、あるいは影響を及ぼさないというようなことを言っているが、明らかに参考人は非常な健康障害を及ぼす物質だ、こう言っている。それについてどう思うかというお話でございましたから、私は六価クロムは確かに人体に大きな影響をもたらすものである、しかし詳しいことはやはり技術者でお聞き願わぬといかぬからと、そういうふうに答弁したわけであります。しかし、もしそうでありながら、昨日どこの社長か、私、出ておりませんでしたので知りませんが、弊害がないと言っているが、そういう態度をとるのは、おまえたち行政が甘やかすせいだ、こうおっしゃるならば、私はその当該会社について甘やかしたこともありませんし、弊害のあるものは弊害のあるように、私どもは排出基準、環境基準をちゃんとつくっているわけでございますから、それに違反したものは違反したものとして、当然その態様、態様に応じて、だれが責任があるのか、その点を明確にすることによって、当然、私は私の方で処置すべきものがあれば処置します。私は何も企業を甘やかしているつもりは毛頭ございません。
○島本委員 唖然としたものの一つには、これは通産大臣がおれば一番いいのでありますけれども、四十六年まで毒性は全然知らなかった、ないものだ、こう思っておったという、その会社が、日本化学工業株式会社小松川工場、その責任者が四十三年四月三日に毒のあることを認めて、それがきのう田尻宗昭参考人によって指摘されたのです。それでも社長は知らないと言う。この井戸水の場合には、「しん透により汚染されますので、飲料、洗濯等は出来ない。」ちゃんとここに載っているのです。そして今度は「黄色の水を飲んだり、その水で養魚することは害があります。」認めているのです。これは写しをお借りしました。同時に「埋立地に隣接する池等において魚が被害を受けた事例はある。」はっきりこれに載っているのです。そういうふうに三者調印しているのです。四十三年四月三日なんです。四十六年まで知らない、これが社長の姿勢ですよ。 通産省、一体これはどういう指導をしているのですか。これを聞いておってどう思いますか。こういう通産省の姿勢で一体、企業をきちっとさせることができるのですか。
○宮本説明員 お答え申し上げます。 六価クロムは劇毒物法に指定されておりまして、劇物であるということは当然、承知していたと思います。 問題は六価クロムの鉱滓の処理にあったと思うわけでございますが、通産省も企業の方も、その鉱滓の処理につきまして当時、十分の認識がなかったということは、率直に反省いたしております。しかしながら、その後、まず六価クロムの鉱滓の排出につきまして、無害化措置を十分、検討させるということで、技術の開発を急ぐようにという指示をいたしまして、それが、いろいろむずかしい問題がございましたが、四十八年でございましたか、ようやく完成したということでございます。過去の鉱滓の問題につきましては、確かに問題があったと思っております。
○島本委員 どうも、これもまた通産省、少しぼけていませんか。あなたが知らなくても、当事者は四十三年四月三日に、それをわかって、質問に答えて害がありますよということで、協定書に、それに対しての対策も入れて、害があるということを認めて調印しているのです。四十三年ですよ。それを四十六年までは知らなかったと言うのが、押した本人の社長なんです。通産省がそういうような指導をしているから、だめなんだ。もう少し企業のモラルを確立しなければ、こういうような社長のもとに、何でも知らないと言えば物が通るのです。こういうばかげたこと、ありますかね。あなたが知らないのは、これから勉強しないといけません、それでもいけないのだけれども。ちゃんと知っていながら知らないとごまかす、これは許せないというのです。四十三年四月三日に知って判を押しているのですよ。これをきのう指摘されたから、こういうような行政の態度ではだめだと言うのです。これでいいのですか。
○宮本説明員 過去の問題について、いろいろな事情があったかと思いますが、率直に申し上げまして、非常に指導が十分でなかったという感じはいたします。今後は、関係の省庁、自治体と相談をいたしまして、十分な措置をとるように指導いたします。
○島本委員 通産省は過去の指導不十分なことの例として、もう一つ指摘されている。 やはり、この六価クロムの鉱滓ですが、これに対して還元処理装置をして八百万円ほどかければやれる、もう十年か二十年前に、こういうようなことができておったならば、いまのような被害が生まれないのだ、こういうようなことも述懐しているわけです。こういうようなことに対して、どういうようにお考えですか。
○宮本説明員 還元処理装置が八百万円ぐらいでできたか、こういう問題につきまして、確かに十年前、二十年前にそういうふうな方法が実現しておれば、その後の鉱滓につきましては無害化ができておったはずでございます。したがいまして、なぜ、そうしなかったかという点につきましては、企業及び当省、関係省庁を含めまして、十分の認識を持っておらなかったにつきましては、十分の反省をいたしておる次第でございます。
○島本委員 労働基準法ができたのは昭和二十二年でございましょう。そのときに、これは重要なる物質として指定されておるでしょう。規則の三十八項目の十七番目ですか、間違っていたら勘弁してもらうが、そこにきちっと昭和二十二年に指定されておるのです。これは労働省も少しとろいけれども、通産省なんかなおさらとろい。こういうようなことで、一体これからどういうようなことで、この六価クロムに対する被害をなくすることができるのか。いまのようなその姿勢ではまことに心もとない。それはいいです。しかし、これは本当に幾ら聞いても、しょうがないからいいと言うのですよ、大臣じゃないですから。少なくともあなたは公害対策のための対策局長じゃないでしょう。こういうような公害を起こさないための指導機関でしょう。環境庁でやる公害対策、これに対する通産省の対策機関じゃないですよ、あなた。いわばそれをスムーズに企業に受け入れさせる機関でしょう。また別の観点から指導する機関でしょう。どうもその点がおかしいのだ。 労働省のとろいのも、これから言わしてもらいますけれども、まず小沢大臣、八月十九日の午後に六価クロムの汚染で問題の東京の江戸川、江東区内の埋立地を視察したと新聞で承りました。それを見て、どのような印象を受けましたか、それを聞かせてください。
○小沢国務大臣 私、三ヵ所拝見をいたしました。特に私も厚生省におりましたから、六価クロムが毒物、劇物の指定を受けていることも承知いたしております。したがって、あの三ヵ所を回りました印象、特に最後で何か下水溝に類する細い川がございました。私は、当然クロム汚染がその川にどうも相当あるのじゃないかと思いまして、一緒に行った人に、その水がどこに流れて、どういう下水に入り、あるいはまた、どういう川に入っているのかと聞いても、どうもはっきりわからない。最初のところの大島地区の地下鉄のターミナルですか交差点などをつくっておりましたところは、聞いてみますと、四十七年に都が買収した、そして四十八年に環境調査をやって、水質やその他いろいろ影響はないという結論になった。ところが今回の問題になったので、急遽いろいろ土の入れかえをやったりなんかしておるという話を聞きました。 そこで、産業廃棄物というものは四十六年に法律ができたのですけれども、それ以前の問題であるが、しかし要するに有害物質を埋め立てに使っているわけですから、これが他に悪影響を及ぼさないような措置は、私は法律があろうとなかろうと、行政としては当然しなければいけないのではないか、しかもそれを承知で購入をして環境影響調査までやって、それで大丈夫だと思ったからだろうと思いますけれども、そういうような事態。今日になっていろいろこの問題を問題として取り上げている。結局、法施行前の問題について役所が一体いかなる取り締まりと指導をやったのか、これらについて早急に検討してみなければいかぬなと思って、まず考えました。 それから、こういう事例が各地にあるに違いない。特に産業廃棄物の一番の問題点は、廃棄する場所の確保ということに非常に問題が多い。したがって、どうも処理業者に任せっ放しにしておる、あるいは海洋投棄をするというようなことになる。それが、しかも後の影響をほとんど考えない。行政そのものが、一体いまの法律体系でいいのかどうか。どうも相当いろいろな点で欠陥があるのじゃないか、これも早急に再検討をする必要があるなと思いました。 それからもう一つは、これが外部に影響を及ぼさないような防止措置は早急にやらなければいかぬ。そのとき、東京都のどなたかでしたが、一緒に行っておられる方が、費用がかかるから、その費用負担について会社に要求をしている、しかし、なかなかうんと言わない、らちが明かぬので、国からもひとつ応援をしてくれというお話がありました。この費用負担の問題はいろいろむずかしい問題もあろうけれども、それかといって防止対策を放置することはできない。これは急いでやってほしい。その後、その求償をどうするかという問題は、よく検討しなければいかぬけれども、防止対策は早急にやってもらわなければいかぬ。 ことに、最後に見たところは土地区画整理事業、お互い土地を出し合って一定のあれをやっているわけでありますが、これは当然、建設関係の方でいろいろな政府の援助をしている。計画をとって、その計画がいいかどうかの判断をしてやっている。そこで進められてきた問題なわけなのですが、結局それぞれ役所の、地方庁においても縦割りであるために、横の連絡は全然ないから、その埋め立てに使った物が他にいかなる影響を及ぼすかということについての配慮が、どうも十分ではない。そういうような点を中央、地方を通じて今後、直していかなければ、この産業廃棄物問題の安全の確保ということはなかなかできない。 労働災害ということをよく言われますが、先ほどもお答えしましたように、有害物質の健康被害というものは、やはりその事業所内における労働環境の科学的な知見というものをもとにして、それが外部に広まらないことを考えていかなければいけない。また、内部でも防止しなければいけない。基礎になるわけでございますから、この面についても労働省は労働省で事業内の労働者の健康を守る、われわれはほかの方の健康を守る。この末端における連携というものも相当、密接にしないと、中においていろいろ健康診断をやり、労災の適用をやって、救済をやっても、それが外部に影響するような場合のことをやはり懸念をして、事前に十分なる危険性を感じて対策をとっておくという必要があるな。まあいろいろ申し上げました印象を持って帰りまして、今後の行政の進め方あるいは立法の問題について、これを十分、参考にして、今後ひとつこういうような問題が起こらないようにしたいなという感じで、強く感銘を受けて帰ったわけでございます。
○島本委員 その強く感銘を受けて帰られました、それらの日本の化学工業関係の運搬業、千七百七十四ある運搬業、リストアップできるのでは、これは四千五百工場、登録されていない業者が七七%。汚泥の運搬処理業者で六四%がもぐり、廃油の処理業者で九〇%がもぐり、廃プラスチック処理業者で六八%がもぐり。会社から処理業者へ渡してしまえば、もう会社の方は責任がないのだと言っている。したがって、その処理業者がもぐりの下請業者にそれをやらせると、どこへ投げてくるか一切不明。したがって、神奈川へ行ったり、東京から千葉へ捨てに行ったり、登録のない者はこういうことをやっているということも参考意見の中にあるわけであります。同時にこれはもう報道機関によっても知らされました。一体こういうふうにしておいて、産業廃棄物、これの責任は企業でしょう。企業ができなければ都道府県。都道府県がやってこれを企業から金を取る。これが原則であったはずでありますが、こういうふうな下請業者で処理業者へやってしまえば、もう企業も責任なくなってしまう。これはもう行政も責任がなくなる。下請へやる。もぐりですから、どこへどうもぐっていって投げるかわからない。こういうような実態の中に環境破壊が浸透してきているわけです。日本列島、これはもう総公害です。一体だれが監督をしているのですか、これは。だれもいない、会社もしていないのですか。一体こういうような場合、もぐり業者はどこへ投げる。下請業者、これは登録されている人が下請業者へやってしまった、これを監督し取り締まっているのはどなたなんですか。同時に、産業廃棄物の最終責任者はだれなんですか。監督官庁はどこなんですか。この点を、不明にしてわかりませんので御教示願いたい。
○山下説明員 ただいま先生が御指摘になりました、排出事業者が処理業者なり、あるいは無許可の処理業者に処理を委託した場合に、それ以降、排出事業者の責任が及ばないような形になっておる点の不合理と申しますか問題点につきましては、確かに問題の一つであるというふうに私ども意識をいたしておるわけでございます。ただ、これを制度上どうしていくかということにつきましては、法理論的にも多々、詰めていかなければならぬ点があるだろうと思いますので、真剣にひとつ勉強をさせていただきたい、かように思っているわけでございます。 なお、そういった事態につきましての取り締まりの責任官庁はどこかということでございますが、中央におきましては、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の施行を主管いたしております厚生省でございます。その権限の実際の機関といたしましては、法律に明記されておりまして、都道府県知事もしくは保健所を設置する政令市の市長、これが直接の監督権者になるわけでございます。なお、違法行為等につきまして、もちろん司法当局からの、法違反ということでの権限がございますことは当然でございます。
○島本委員 こういうようなことが平気で行われているのに、主管官庁である厚生省が黙って新聞読んでいたのですか。あなたはこの記事見なかったのですか。これから出世する官僚はそれでいいのですか。そういう態度だからだめなんです。すぐ都道府県の方へやってしまう。もぐり業者がやっているというこの事実がわかったならば、すぐ手を打たせればいいじゃないですか、あなたの方で。何のために警察いるのですか。これは怠慢ですよ。ですから、大臣来いと言うと、忙しいから三時でないと来ないと言う。だめです。そういうような態度では。せっかく閣僚として二人おりますから、こういうような態度をきちっとしてもらいたい。もう違法行為をしている場合に、主管庁である厚生省が黙っているというのはおかしいです。同時に、閣僚の二人として、この点は十分に注意をして、こういうようなことのないようにしてもらいたい。特にこれを希望いたします。幾ら言わしても同じですから、なお厳重にこれは注意しておきます。 次に、これはきのうもあったのですけれども、北海道の夕張郡の栗山町長から血の出るようないろいろな訴えがありました。やはりクロム鉱滓です。クロム鉱滓の中で、昭和四十七年から対策に当たっておった、そうして環境庁の水質規制課から来てもらって、窓口はここだと言われた。そこで、鉱滓が川へ出ないために何か方法をとれと言われた。そして、指導はするけれども金は出さない。国としての助成方法はないけれども、水は川へ流すな、投げるな。そしてそれを規制しなさい。うちの方では金を出さない。一体どうすればいいのですかというのが、夕張郡栗山町長の叫びでありました。東京で一人か二人死んでから大事件になった。しかし、その前に栗山町では九名も死んでいるのだ。それでも取り上げてもらえない。ほかに、いまのような仕打ちを環境庁から受ける。田舎であれば九人も死んでも騒がない。都会であるならば一人か二人でも死んだら取り上げるのか、こういうようなことであります。一体こういうようなことを指導させたのですか。これは大臣でなくてもいい。水の方の責任者、はっきりこれを答弁してください。
○堀川説明員 栗山町のクロム鉱滓による環境汚染問題につきまして、昭和四十七年から問題が起きまして、栗山地区クロム汚染対策協議会に私どもの職員が加わりまして、対策について協議し、環境調査、対策事業の推進を図る一端といたしまして、この努力をしてきたわけでございますが、おっしゃるように私どもの方の予算は、事業費予算という形で対策事業に関する予算を持っておらないわけでございます。環境調査等の関係になりますと、環境庁全体の環境の問題になりますので、そういうことについての予算措置は、調整費等を使えばできる道はあるわけでございますが、とにかく、さしあたりの応急対策として、排水の中にそういった六価クロムというものが溶けて流れ込まないように、周囲の環境を汚染しないようにという対策を早急にとっていただきたいということで、寄り寄り御相談をしたわけでございます。結果におきまして、先生も御案内のように道庁でございますとか、地元の町あるいは企業等の負担で仕事が進められるということでございます。 今後のこういった問題の抜本的な解決の方向のために必要な財源の調達の方式といったような問題については、環境庁といたしましても、直接の事業官庁ではございませんけれども、私ども、産業廃棄物の問題の各省のコンセンサスを得るという意味での協議会も、局長クラスをもって組織をしたわけでございます。そういうところで十分、検討いたしまして、結論を得られるように努力をしてまいりたいというふうに思っております。
○島本委員 いま言ったのは、中央官庁として出向いて行って指導する場合は、まことにあたりまえのことなのです。ところが、あたりまえのことでも、いま言うようにとられるような表現、これは官僚的ですよ。これによって実際やっている地方の自治体の長はやはり悩んでいるのです。その場合はもっと教えてやったらいいじゃないですか。事業官庁でないからと言うが、これはいばり官庁じゃないですよ。長官、もう少し活を入れてやらぬと、これは全くだめですよ。これを見ても本当におかしいことばかりです。 これはそれだけじゃないですよ。私も現地へ行って調査してみたのです。調査してみた際に、これは現地の町長ですが、十六年前に国立公衆衛生院から被害があると発表されている。そのときに、昭和三十五年一月にこの栗山工場で一人肺がんで死亡している。時期はちょうど合う。したがって、この六価クロムの問題では、もう肺がんで死ぬようなことがはっきりしておるのに、国から何も言ってこない。これはおかしいじゃないですか。町では、この対策を全部やれといってもやれない貧困な状態なんです。これは直接私が受けたのです。ちょうど時期が合うのだけれども、その事態において行政は即応していないということなのです。これもはっきりしておかないといけない問題なんですが、環境庁なんかであったら、もっとよく指導してやってほしいですね。もう行政は実態におくれてはだめですよ。公害行政はいつでも先取りしないとだめなんですよ。それが環境庁発足以来のおきてじゃございませんか。公害行政は先取りせい、これは歴代の長官が言ってきている。それがいつも後追いになってしまっている。長官に奮起を要請いたします。 次に労働大臣、安全衛生の面でこの問題に対しては相当指摘されておるわけでありますけれども、三十五年に六価クロムで死んだりしているのですが、もうすでに四十二年八月一日に労働省の中に安全衛生局が設置されたはずであります。これは、局として一つの独立した権限で、強力に労働者に対して、企業に対して、工場、事業所等に対して、安全や衛生の見地から具体的に指導しようとする、こういうような高い見地から発足した官庁じゃなかったかと思うのです。四十二年の八月一日に安全衛生局が発足していますが、四十三年六月十五日に、この局がまた忽然としてなくなってしまった。もうそのころに、この六価クロムの問題は進展しつつあったのです。これは一体どういうわけですか。
○長谷川国務大臣 先ほども御指摘いただきましたが、安全衛生の大事なことで安全衛生局ができたわけでありますけれども、役所の一局削減、そういうことのあおりを食らいまして、一年間でその局はなくなった。しかし行政としては、いろいろな部やら、あるいはまた課をそのまま存置して、いままで続けてきたところであります。
○島本委員 そうすると、局がなくても部を通じて十分やっている、こういうようなことのようでありますが、大体、労働基準局内の一部署である、こういうようなことです。しかし、これはやはりできた以上、労働の安全衛生に徹底すべきだったと思うわけです。廃止させなければよかったし、廃止させるべきではなかったと思うのです。これもやはり実際の事件に対する行政の対応の立ちおくれだと思うのです。安全なくして労働なしというのが、いまの一つのテーゼではありませんか。 〔林(義)委員長代理退席、委員長着席〕 できて一年以内にこれを廃止する。これは労働安全衛生を峰視している、こう言っても差し支えないと思うのです。まして、準司法権を持っている基準監督局の監督官はだんだん少なくなってきている。少なくなれば工場や事業所は野放しになる、こういうふうなことになるわけです。恐らくこういうようなことではないでしょうけれども、警察が手を入れたいと思っても、準司法権のある監督官が来て、これをちゃんと調べていった、こういうようなことになると、そこに手も入れられない。過失があっても違反があっても、これはもう処罰に対しては遠慮するとするならば、企業に対してはこれは免罪符になっている。 昭和三十五年にもうすでに肺がんで人を殺している、この事業所は日本電工株式会社の栗山工場ですが、労働省では昭和三十七年に優秀工場であるという賞状まで出しているのですよ。これは御存じですか。工場側では、これは設備が悪いから栗山を別工場にして、そして六価クロムの製品をつくるのは全部、徳島の阿南市の工場の方へ移す。そのために百四名移した。そして、そのことは社長でさえも認めているのです。その工場に対して昭和三十七年に、優秀なる設備を持った工場だといって、何のために表彰状やる必要があるのですか。私はうそ言っているわけじゃありません。写真がありますよ。これを労働大臣、ちょっと見てください。そして、それを出したのは北海道労働基準局長倉田春水さんだ。その内容を読んでみてください。もうすでにそういう状態からして、安全衛生というのは労働省の中では軽く見られているのじゃないか。そうでなければ、この出先機関の局が企業と癒着しているのじゃないか、こう思われてもしようがないじゃありませんか、その例によると。こんなことがあってはいけません。私も徳島の工場へ行って見てきたのです。渡辺委員長も一緒に行ったのです。ましてこれは渡辺委員長の選挙区なんです。そこに麗々しくもそれが飾ってあるのです。そこからもうすでに十名を超える死者が出ているのです。まだ飾ってあるのです。基準行政はこれでいいのですか。安全衛生軽視じゃないですか。
○藤繩説明員 ただいまお挙げになりました栗山工場の表彰の問題につきまして、事情を御説明いたしたいと思います。 御指摘のように昭和三十七年に北海道労働基準局長から表彰を受けておりますが、これは、いま優良ということをおっしゃいましたけれども、努力賞ということでございます。賞状は優良と努力と二つありまして、努力賞でございます。 私、あえてここで弁明いたすつもりはございませんけれども、いまから見れば、ああいう結果になりました工場について、たとえ努力賞でも、当時、出したのがよかったかどうかという御批判はあろうかと思いますが、当時の事情を、その当時の者にいろいろ聞いてみますと、この工場は、三十五年ごろから例の岐阜大学の公衆衛生教室の指導を受けまして、いろいろな問題がありましたので、当時のお金で三億ぐらいかけて相当、思い切った改善をしたというようなことや、健康診断なんかもやるようになったというようなことで、その努力の跡は認めたいというようなことで、地方局限りで表彰したものだというふうに承知をいたしております。
○島本委員 努力賞、私は優秀賞と言ったかもしれませんが、努力賞であっても、それはよくやったということでしょう。人も死んでいるのですよ。悪く指導し、悪く操作したために肺がんになって死んでいるのです。三十五年に死んでいるのですよ。その前からそういうような操作がずっと続いているのですよ。そのときちょっとよくやったからといって、大いにそれを認めてやる。それで鼓舞激励されて、どういうふうにしたのですか。これは最悪の状態の工場だから、りっぱな施設を持った徳島の阿南工場に移すのだ、努力賞を受けている、その工場、設備は最悪だと言っているのです。何ですか、これは。こんなのが企業癒着、こんなのが一つの安全衛生の軽視、こういうようなことになるのです。 こんなことは官僚の答弁だけじゃだめなんです。したがって、安全衛生局だって四十二年八月一日にできて四十三年六月十五日、一年もたたないうちに廃止される。これは重点的にやっていると言いながら、こういうような始末なんだ。私はこれは了解できない。大臣、こんなようでは困りますね。大臣の方から局長の方なんかへ、大いにやった、でかしたと言ってあるのですか。私は、公害、環境破壊に対して、逆にそういうようなことを鼓舞激励する結果になるということは、まことに遺憾なんです。この問題ばかり言うわけにいきませんけれども、このころから一つの言葉ができているのです。定年になったら死ぬ。それまで悪い環境の中で働いている。定年になった、もうやめた。一、二年の間におまえはマンコロだぞ。満期になってやめたら、ころっと死ぬからマンコロと言う。こういうような言葉は、いまでも使われているのですよ。それが優秀なる工場です。努力賞をもらっている。大臣の御所見を承ります。
○長谷川国務大臣 いろいろないきさつの中に努力賞を出したことに対しても御批判がありますが、先ほど局長の答弁を私も聞いておりまして、癒着というものは労働省はしないことにしておりまして、三億円も金をかけた、その企業がそういうことをやったということに対して、設備改善を指導、奨励する意味だったと私は解釈しております。 四十三年に安全衛生局がつぶれたのはけしからぬというお話がありましたが、私がそのころおれば、そんなことをしなかった。それは全くいまの時代に、とにかく安全衛生局がつぶれたことが御批判いただきますように、その後、安全衛生部等々でいままで、いろいろな勤労者の対策を熱心に時代に沿うようにやってきたつもりであります。いまから先も、この問題については真剣に、いろいろな機構さらにはまた内容の充実、こういうもので御期待に沿うようにし、また皆さん方から御情用いただくようにしてまいりたい、こう思っております。
○島本委員 同時に、これまた六価クロムの労災に対する認定の問題に入りますが、これも貴重な意見を賜りました。と申しますのは、クロムと肺がんの関係を究明したのは歴史が古い、一九一一年から一九一二年、これはドイツから始まったということ。それと同時に、一九三〇年にドイツの労働者の肺がんの職業病認定がすでにあった。それはいまから四十五年前。アメリカが一九五二年、六つの重クロム酸塩の工場ですか、健康調査の実施をさせた、そして一九五三年にこれを公表した。そうすると二十三年前。この段階で、もうすでに日本は知っているはずです。やはり知っておったのであります。昭和四十年に労働省がきちっとこの問題に対して認識しておった。労働省の基準局から「業務上外認定の理論と実際」という本を出している。その中には「吸入によって呼吸道粘膜に腐食作用を及ぼす場合もある。クロムは職業性気管支がん、または肺がんの原因ともなると言われる。」労働省自身がこの本を出している。これは一節なんです。これはもうすでにわかっているじゃありませんか。そして、いろいろ努力して肺がんを発見したと言うけれども、これも四十三年の三月ごろに、じん肺診断の中から、これがわかったのであります。単独にこれをやったというのではないのです。他の国と例が違うのです。じん肺のおそれがあるというので、やっていったら肺がんだ、それを診たら、それだったというのです。したがって、いま健康管理手帳の問題なんか出ましたけれども、それをやっているのは結構なんです。これは六ヵ月に一回、年に二回、肺の検査をするのだそうですか、そうしないといけないし、いまの状態では、これでさえも遅きに過ぎる。もっと回数をふやさないとだめだ。いま働いている人に対して特定化学物質等障害予防規則ですか、これをやっているのでありますけれども、肺に対するエックス線の検査、これをきちっと入れていますか。
○藤繩説明員 特殊健康診断の場合の診断の内容でございますが、これは物質によって、それぞれ違うわけでございます。いま問題になっております六価クロムにつきましては、従来は、肺がんの関係というよりも皮膚炎あるいは鼻中隔せん孔を意識しまして、そういった関係の診療科圓になっておるわけでございます。しかしながら去年の三月に、疫学調査の結果が報告になりましたので、その後、労働基準審議会に三者構成で急遽、検討していただきまして、この一月には、いま御指摘の健康管理手帳の交付ということを、このクロム対象労働者にやりました。それから特化則を改正いたしまして、この十月一日から診断項目を追加する、そこでエックス線の直接撮影、あるいは問題がある場合には、さらに二次検診において喀痰細胞診だとか気管支鏡による検査だとかいうものをやるということに改めていきたいというところでございます。
○島本委員 大臣、十月一日からやるということで、いま働いている人は、この特化則によっても、クロムの職場で働いている労働者でも肺のエックス線検査しなくてもよかったのです。しかも年に一回。こういうのはでたらめきわまるのです。だから、もっと早くやればいいというのは、こういうような例があるのです。やはり栗山なんです。私はこの例を言うのは本当に残酷だと思うのでありますけれども、その病院まで行ってきましたから。昭和四十九年五月に検査をしたら異常なし。昭和四十九年八月、お盆ですから、その人は歌がうまくて声量豊かに音頭をとっておった。そして九月の終わりに健診したら、手術できないように肺がんが高進しておった。直ちに入院した。そして四十九年十一月に今度は日本赤十字の内科へ入院した。そして本年の五月八日には神経科の方に移された。これはけいれん発作が起こったりして意識障害が起こってきた。そして、脳圧が高くて脳に腫瘍が起きてきている。精神症状が起きる。脳波が普通の場合は九から十サイクルが、間延びして五から六サイクル。それから徐波が認められる。けいれん発作と軽い意識障害が主な状態であって、これは症状は精神病だ。肺がんが脳に転移した。しかし、どうして脳の中にその原因をつくったかわからない。肺がんが転移した。呼吸状態が悪い。脳に何か起こっている。普通の精神病とは異なる。五十四歳の人です。こういうふうにして寝ているのです。一年の間に、五月何でもない、八月にも元気、九月の末には重症、どうにもできない。これが六価クロムの肺がんの実態だとするならば、二回やったって、これでは追いつかないじゃありませんか、実際。やめている人ですよ。だから、行政の面ではもう少し的確に、大臣、押さえないといけません。 それだけではないのです。先ほども岩垂君がこの問題で質問しましたが、私も、あえてもう少し突き進んで言うと、今度、法を改正して健康手帳を交付する、これは五十年の一月以前に退職した人は、一年以内に申請しないと永久にもらえないのでしょう。期限一年間。これは酷ではないだろうか。来年一月までに申請しなくても交付してもらえるようにしなければ、一体、基準局自身探しますか。会社に任せるでしょう。会社がそういうようなのを自分で積極的に探しますか。申し出てくるのを待つでしょう。そういうふうになった場合は、一年なんてあっと思う間に過ぎてしまう。一年以内に申請しないと永久にもらえないというようなシステムでは残酷ではないか。この点ではもう少し余裕を持って、患者の立場に立って健康管理手帳を交付する、そういうようなことに対して、もう少し温かい指導をすべきである、こう思うのであります。これも指摘があった問題ですよ。御所見を承ります。
○藤繩説明員 健診の回数の問題は、昨日、助教授からもお話があったと承っております。私どももそういう御意見はときどき伺っておりますけれども、問題は、確かに肺がんの早期発見ということであれば、回数をできるだけふやした方がいいということは御主張のとおりであります。ただ、レントゲン検診というものを数多くやるということについては、また別な放射線被害の問題が、医師の間で取り上げられておりまして、果たして、どの程度の回数がいいのかということは、なかなか論議のあるところでございます。ただ、御指摘のような問題もございますので、実は御承知と思いますが、この九月三日にクロム障害関係の専門家会議を私どもつくりまして、斯界の権威者を集めて、いろいろクロム関係、肺がんを含めまして検討していただいております。そういう中で、いま御提案の問題も、もう一度、検討させていただきたいというふうに思います。 それから第二にお挙げになりました健康管理手帳の交付の期限の問題でございますが、これはこの一月にクロム関係を入れましたときに、一応、過去の非常に古い方も含めて交付をするということになりますので、こういった経過措置の場合に、ある期限を切って処理をするというのが通例でございますので、一年という規定を置きました。しかし、これは確かに御指摘のように、問題は非常に古い退職者の、しかも肺がんという重大な問題についての健康診断のための手帳でございますから、一年たって見つからないから交付をしないということでは主客転倒でございます。考えてみますと、こういう整理期限であります場合には、行政庁がその気になって交付すれば、別にそれは法律違反とかいう問題ではございませんので、私どもは申請がありました場合、あるいはさらに、できるだけ患者を探すということによって掌握いたしました場合、たとえ一年を経過しても積極的に、どしどし交付をしていくということでまいりたいと思います。
○島本委員 まあ一年を経過してもよろしい。それで安心しましたけれども、一年経過したならばいいが、二年までだ、そんなことないでしょう。発見するまででしょう、九十九年。では、これはそれで終わり。 それで、きのうもいろいろ問題になった問題のうちに、やはり重大だと思う問題があるのです。というのは、これほどまでに、もうすでにやめた人が陸続として、本当にころりといくというような状態で死んでいる。もうすでに、それによるということは会社がわかっている、それは会社は別な方に移している。もうすでにそういうようにわかっている、次から次へと死んでいる、これは刑事罰の適用さえしかるべきではないかというように言われているのであります。こういうような問題に対しては、私どもも今後の行政のためには、きちっとした方がいいと思うのでありますが、聞くところによると、これほどまでに人を殺しておきながら、刑事罰の適用は不適であるというようなことになっておるようでありますが、一体これはどうなんですか。法務省の意見を聞かしていただきたい。
○松永説明員 先生のお尋ねの案件については、検察庁の方に対しては、まだ告訴も告発もなされていないようでありますし、他の捜査機関からの送致もございませんので、法務省としては事実関係を詳細に承知しておりませんから、お答えをすることは差し控えますが、一般的に言いますと、法律に違反する犯罪行為が行われていたとするならば、厳正に対処することは当然であると考えております。
○島本委員 これはもう会社の責任を明らかにすれば明らかになるわけであります。しかし、労災は適用さしている、職業病も認定している。こういうような一つの情勢の中で、濛々たる毒ガスに似たような中で、企業に犠牲を強いられて、後からほうり出されて死ぬ、これは完全に管理ミスではないか。会社であるならば、こういうようなことで管理ミスということでも殺してもいいのか。個人の問題になったならば、やはりこれでは済まないのじゃないか。少なくともこの中に監督官が行って監督したのだから、いいと言うのだから、監督官には準司法権があるから、これによって警察はもう遠慮するのだ、こういうようなことは亳末もないと思うのであります。しかし、もしそうだとするなら、これは免罪符になりますから、これは困るのでありますけれども、やはりこういうふうな中で、せっかくあります刑法の中の業務上過失致死傷罪というのですか、その適用、または公害罪にしても、普通われわれが言っている公害罪処罰法、こういうようなものもあるはずです。毒物及び劇物取締法、これもあるはずであります。河川法や廃棄物の処理及び清掃に関する法律、これにも完全に違反しているはずであります。こういうふうなのは、全然こういうふうな問題に対して取り上げられないのですか。事務当局でもいいですよ。
○松永説明員 ただいまの先生の御質問、法適用の技術的な問題でございますので、事務当局に答えさせます。
○俵谷説明員 ただいまの問題でございまするが、まず、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、これに該当するかどうか、こういう問題でございまするが、新聞報道等によります事実に基づきますと、これがどこかに投棄され、あるいは埋め立てに使われた、こういうような事実だと仮定いたしますと、これは産業廃棄物の投棄に当たるであろう。その場合に、この法律の十六条によりますと、みだりに一定の区画に捨ててはいけない、こういう規定がございますので、これに当たる場合もあるのではないか、かように思われますが、ただ、この法律は四十六年の九月二十四日の施行でございますので、それ以前の行為につきましては問題にならない、かように考えられるわけでございます。 それから、いわゆる公害罪処罰法の問題でございまするが、これは「工場又は事業場における事業活動に伴って人の健康を害する物質を排出し、公衆の生命又は身体に危険を生じさせた者」につきましては、故意または過失に係る場合、罰則がかかるようになっております。しかしながら、いま言われておりますような新聞報道等による事実関係でございますれば、これはこの公害罪法が予定しておりますような排出行為に当たるかどうか、疑問があるわけでございまして、さような点で問題があろう。また同じように、この法律の施行は四十六年の七月一日でございまして、その点で、いわゆる報道されております事実関係からは問題があるのではないか、かように考えられます。 それから、さらに御指摘の毒物及び劇物取締法の関係でございまするが、これは、捨てたものが鉱滓ということでございまして、この法律の規制対象であります毒物あるいは劇物、これには該当しないのではないか、こういう構成要件的な解釈上の難点があるように思われるのでございます。 それから最後に、御指摘の刑法二百十一条に言うところの業務上過失致死傷罪が問題になるのではないか、こういうことでございまするが、この規定は業務上必要な注意義務を怠って、それによって人に死傷を及ぼした場合、五年以下の懲役または禁錮等の罰則が定められておるわけでございまするが、この場合に問題は、その行為がどのような行為であって、どのような注意義務を怠っておったかどうか、こういう点が一つの問題でございます。つまり捨てられたものの毒性、危険性等がどの程度のものであり、どの程度の認識を、その行為者がしておったかどうか、こういうような問題、それから、どの程度の注意をすべきであったかというようなことが問題になるわけでございます。また、その行為が、たとえば廃棄ということ、あるいは投棄、埋め立てということでございましても、どのような形で埋め立てなどの行為がされたか。つまり、その際に覆土をされたというような報道がございまするが、こういうような措置がどの程度されたか、あるいは無害化の措置がどのように行われたか、こういった事実関係によりまして、注意義務の存否が問題になってまいるわけでございます。 それからまた、被害を受けました人たちの障害というものが、果たして六価クロムとの関係、投棄した人たちの過失による行為との因果関係があったかなかったか、こういった問題が非常に重要でございまして、この因果関係が説明がつきませんと犯罪の成立がない、こういうことになります。 そのような観点で、いろいろ問題がございまするが、一応まあ、こういう業務上過失傷害罪の成否について問題があるということは言えると思います。 以上でございます。
○島本委員 そうだった場合には、これは全部、死んで後から労災に認定されている。労災に認定するならば、自分の管理ミスも、人を殺傷してもよろしいということにこれはなってしまう。労災に認定することは、結局はもう免罪符を与えるようなものだ。労災なら人を殺してもいいのか、当然こういうような疑問も残るわけであります。この問題に対しては、もういまの考え方は、まことに業者には、会社には都合のいいような解釈の仕方。人間の命の方をもう少し大事に考えた方がよろしい。何人死んでいるのですか。それと同時に、まだいまでも東京の小松川工場におった人たち、やめた人たちは全部、自分らで会をつくって、自分らで健康を見合っているのです。そういうようにして、やはりこういうようないろいろな文書も来ますけれども、行政不備です。専門家会議、これに対しても疑義を持つとさえ言っています。いろいろな意味で、そういうように人が虐げられる。しかし会社だけは依然として、ぬくぬくとしている。こういうようなことは、これからの世の中には許されてはならないことであります。 私は、こういうような点に対しても、これでやめるのは、時間がないからやめろと言ってきたから、やめるのであります。しかし、それにいたしましても、この問題だけは私は承服できません。時間を改めて、もう一回そこへ来てもらって、ひとつ十分に検討してもらいたい、こう思いますから、きょうはこれでやめさせてもらいます。 最後に、環境庁、これは調べてすぐ持ってきてもらいたい。と申しまするのは、私どもは、総水銀の排出、これも自然水銀を入れて川に排出する、これを〇・〇〇〇五ppm、アルキル水銀は検出されないこと、こういうようなことだと思っているのですが、きのうちょっと聞いたところによると、旭川の国策パルプで、二十五万トンの廃液を流したら二一ppmの水銀汚染が検出された、いま調査に入っているというのでありますが、数学がちょっと違い過ぎますので、こんなものも許されているのか、いま唖然としたわけであります。したがって、これを調査して、そしてすぐ持ってきてもらいたい、このことを要請いたしまして、私の質問を終わります。
○渡辺委員長 この際、午後二時五十分まで休憩いたします。 午後二時九分休憩 ————◇————— 午後二時五十七分開議
○渡辺委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。佐野進君。
○佐野(進)委員 私はいま問題になっておる六価クロムの問題を中心にいたしまして、公害の問題について質問をしたいと思います。 すでに昨日からきょうにわたりまして、いろいろな論議が展開されておるわけであります。私もこの二日間にわたって話を聞きながら、いろいろ感じたことがあるわけでありますけれども、特にいま問題になっておる日本化学の工場の近くに住んでおるという立場から、この問題発生以前あるいは発生した以後におきましても、その渦中に立たされて、問題の取り組みをしている議員の一人といたしまして、この二日間の論議について、非常に深い印象を得ておるわけであります。したがって、そういう見地から、与えられた時間の中で、関係大臣並びに各局の当局者に質問をしてみたいと思うわけであります。 まず第一に、この問題の連絡、いわゆる内閣の担当者として出席をされておる小沢環境庁長官に、原則的な面で質問をしてみたいと思うわけでありますが、要するに公害問題とは何なのか、いまさら改めて問う必要はないほど、あなたはよく知っておられると思うのであります。そしてこの問題が何によって発生されたか。いわゆる歴史的に言えば足尾銅山問題を初めとして、歴史的な流れの中で、今日、高度成長を続けてきている日本経済がもたらした害毒であろうと言って差し支えないと思うのであります。したがって、高度成長を続けるということ、その中において一定の役割りを果たしてこられた政府が、この公害問題に対して最大の責任を負わなければならない、こういうことは理の当然であり、したがって起きてきた事態に対して、政府がこの事態を解消するために、すべてに優先して積極的な取り組みをしなければならないことは、これまた理の当然であろうと思うのであります。したがって、私は昨日来この論議を通じ、あるいは本日の質疑を通じて、長官の示されておるその姿勢というものに対しては、大いなる不満を持ってお聞きをいたしておるわけであります。私は、今日のこの問題がこれほど大きな社会問題になり、地域住民いや日本国民全体に対して大きな不安を与えている現状について、環境庁長官として基本的にどのように考え、どのように対処されていかんとなされるのか、その点についての決意を、まず聞いておきたいと思うわけであります。
○小沢国務大臣 私がきょう午前中、質疑応答で申し上げました態度が、公害に取り組む姿勢として先生の非常な不満を買ったというお話でございます。私、ちょっと理解に苦しむわけでございまして、具体的にどこがどうなのか、後でひとつ、ぜひお尋ねをしていただきたいと思うわけでございますが、この問題について心配して、イの一番に現地を見に行きましたのは私でございます。しかもその際に、終わってから、ある言論報道機関の方々からは、おまえはきょう一体、何のために行ったのか、産業廃棄物の所管はおまえの方ではないじゃないか、労働災害、労働者の安全衛生の問題は労働省ではないか、いまこの時期に、この機会に現地をわざわざ視察するのはどういうことだというぐらいの、世論を代表する側からのお話等も実は、あったぐらいでございます。しかし私は、それについて、今度の六価クロム問題は、出初からいろいろなことがあったにしても、すべて国民は、公害の一つだということで非常に心配をし、不安を感じておるのではないか、だから公害関係の責任者として、とにかく現場を視察をして、それをはだに感じながら、行政上どこに一体、重点を置かなければいかぬのか、あるいはどこに欠陥があったのかということを心配する余り、私は公害の責任者として見に行ったので、所管がどうだとかこうだとかということで、手をこまねいているわけにはいかないという態度でございます。この態度をして、もしあなたの方で、はなはだ公害に取り組む姿勢が悪いと言われるなら、これは見解の相違だと私は思います。 この六価クロムの問題につきまして、とにかく産業廃棄物に関するいろいろな法的な整備が、昭和四十六年にようやく行われたとして、たとえ、それ以前の問題だとしても、この産業廃棄物によるいろいろな問題を起こしたことについては、先ほど来、申し上げておりますように、事業者ももちろんでございますが、社会的責任を感じて十分なる措置をすべきであったし、また私どもも行政上、政治の面から考えましても、どうもこの問題は前から、六価クロムそのものの健康に対する影響ということが、医学的にもはっきりしておったわけでございますから、その行方、措置について十分な関心を持って、中央、地方を通じて対策をとるべきだったということを、今度の問題を契機に非常に感じているものでございます。 ただ、それだけではいけませんから、これからどうするか、どういうような処置をすべきかということで、事が始まりましてから、いち早く私どもは各県の担当の課長を集めまして詳細な調査を命じ、調査の結果、また環境調査の必要を指示しまして、その環境調査によって、さらに必要がある場合には住民の健康調査をするようにという対策を、八月二十二日、三日に直ちにとっているわけでございます。その後も、先ほどお話ししましたように、法の不備の問題は、当然、主管省において十分検討して、できるだけ早い機会に法律改正をやって、その不備を直していかなければならない。必要な行政上の施策につきましても、関係各省相談をしまして、いろいろな必要な手は打っておこう、こういうことで連絡協議会を設けまして、この問題に対処している、こういうわけでございますから、ぜひ御了解をいただきたいと思うわけでございます。
○佐野(進)委員 私が不満だという点につきましては、後でまた、逐一その項目において質問をしてみたいと思います。長官のいまの答弁が誠意があるということについては、その誠意だけは認めてやぶさかでないと思います。 そこで、私がなぜ、このようなことを申し上げましたかといいますると、すでに昭和三十二年に、この六価クロムの問題が、公衆衛生院において、その害が指摘されているにもかかわらず、いわゆる公害的害に対して、何ら具体的な措置が講ぜられていない、こういう点について、いわゆる行政上、非常に怠慢であったのではないか。しかも、それが政府のいわゆる経済政策というか、そういう面から引き起こされてきた状況の中で、特にこの際、指摘できることは、この六価クロムの鉱滓が多量に投棄された時期が、ちょうどその昭和三十二年から四十八年までの十六年間、これは害がありますよと公衆衛生院によって指摘されたときから始まって、四十八年まで、大量な鉱滓が投棄されている。しかも、その工場の周辺に投棄されておる事態の中で、このことは害であるというにもかかわらず、その害に目をつぶって、それを許した行政上の欠陥、その欠陥を認識せずして、ただ誠意があります。誠意がありますという、当面する答弁で事足りるような姿勢が受けとめられたから、そのようなことを申し上げたわけであります。 以上、後に一つ一つ具体的な問題について質問をしてみたいと思うのでありますが、まず最初に労働行政の面におきまして、先ほど来、質問等もございまするが、今日までの状況の中で、労災認定という問題についても、このほどやっとそれを取り上げるというような、いわゆる工場内においてその事実が——私も、すぐそばに工場がありまするし、工場に何回も行って見ておって、その状況も知っておるわけでございまするが、あの地域全体、これは日本化学だけでなく、当時においては日産化学、日東化学あるいはその他の化学工場が、あの周辺には非常に密集をいたしておりまして、あの町へ足を踏み入れること自体によって、もう粉じんの中に巻き込まれる、こういうようなきわめて生活環境の悪い、そういう状況の中において、工場は、なおかつ内部はそれ以上、悲惨な状況にあったにもかかわらず、労働行政は、そういう面について当然、的確なる指導をなすべき立場にありながら、これをなさなかったということは、今日、問題が発生してから誠意をもって対処しますよというだけでは、単なる言い逃れではないのか。特に緊急的な課題に対して、早急なる対策をとらなければならなかった。そしていまもなお、とらなければならない問題があるにもかかわらず、なおかつ怠慢のそしりを免れないのではないか、こういう点を強く感ずるわけでありまするが、労働大臣の見解を、この際お伺いしておきたいと思います。
○長谷川国務大臣 私はあの近くを学生時代から、あるいはまた学校を卒業してからも知っているわけでありまして、非常に環境が悪くて、どぶ板の下は真っ黒い水、真っ青な水、そういうところに人が住んでおり、仕事に従事したわけであります。そんなことでありますから、このたびの一般的な問題になりましたときに、改めてその重要性を思い直しまして、従来、労働省が労災にかけたり、いろいろな仕事を監督しておった模様なども聞きながら、私もまた、小沢長官の後になりましたが、早速その現場に行ったわけであります。現場を見まして、御承知のように産業廃棄物でも、視察しますと、コンクリートの下に置いて舗装道路にしておるところはどうもない。ですから最近は、新しい工場の場合には、そういうふうに産業廃棄物をちゃんとベトンのような固めた中に入れておるところはどうもない、こういうようなところなどを見まして、従来やはりなおざりにされた面などは、私もよく認めるわけであります。 なお、先生の御質問の、どういう対策をいままでやってき、どういうふうに手順をやってきたかということを、改めて事務当局から御報告させます。
○藤繩説明員 午前中の質問に関連しまして説明をいたしたところでございますが、もう一度、申し上げますと、たとえば昭和三十一年にはクロム業務従事者に対して特殊健康診断の指導を始めておりますし、それから、特にいまお挙げになりました小松川工場でございますが、昭和三十二年の東京基準局の監督の結果がございますけれども、その当時すでにクロム製造工場の診療施設の新設とか、あるいは耳鼻科の専門医の週二回の健診であるとか、ハイポ液による鼻の洗浄装置の新設だとか、看護婦による患者の毎日の治療だとか、保護具の着用だとか、そういうようないろいろな指導が行われておるわけでございます。また三十三年には、環境測定基準というようなものの公表も行われたわけでございます。そういうことで指導が行われて、いまお話の出ました国立衛生院に委託をした調査も並行して行われたというようなことでございます。特に小松川工場について申し上げますと、三十九年には久保田先生の特別の指導というようなことで指導が行われましたし、それから四十二年には衛生管理特別指導事業場というようなことで監督も行われております。そのころから大分、状況がよくなってまいっておるわけでございます。なお四十六年には特化則をつくり、四十七年には安全衛生規則をつくったということで、その後さらに指導が強化されておるわけでございます。 労災認定との関係のお話がございますけれども、労働災害防止については、そういう手を打ってまいりましたけれども、労災認定がすっかりおくれているではないか、肺がんについては疫学調査を行って、ようやく去年認定したではないか、鼻中隔せん孔に至っては、ほとんど行われていないではないか、こういう御指摘があろうかと思いますけれども、これについては先ほど来、申し上げたような経過でございまして、鼻中隔せん孔については、今回、思い切って全員を対象にするということにしたわけでございますが、ただ労災認定の場合は、先生、御承知のように労働者がまず申請をするということであります。戦前の労働者災害扶助責任保険法におきましては、事業主申請主義でありましたのを、戦後の現行労災保険法のときに、労働者申請主義に直しております。労働者がみずから権利を主張し、訴えるという体制に変わっておりまして、そうして規則で、ただそれが困難な場合に事業主が援助しなければならぬ、こういうことになっておりますので、やはり私どもの行政指導も不十分でございますけれども、何といいましても当事者が労災認定の申請をどんどんするということでないと、やはり物事が進まないのではないかと思います。肺がんの場合も、実は疫学調査の結果、基準局で非常に指導をしまして、出していただいているというようなことでございまして、これは今後、鼻中隔せん孔についてもできるだけの指導をいたしますが、何といっても当事者が積極的に申請をするという態度が願わしいというふうに思うわけでございます。
○佐野(進)委員 後でまた、細かな点について質問いたします。 次に、通産行政でありまするけれども、いわゆる通産省が産業育成のために、それぞれ化学工業、重化学工業の育成、発展に力を尽くしてきたということは、今日、高度成長の基盤をつくり上げておるわけでございまするから、それはそれなりに意味があったと思うのでありまするが、ただ、この通産行政の中で、企業が利益を上げるために一定の公害が発生してもやむを得ない、こういうような考え方がもし、あるとするならば、いやあったと思うのでありまするが、これは重大な誤りであったと思うのであります。いまこの問題が発生して、社会的な指摘を一番、受けていることは、企業者が企業責任を放棄し、企業責任ということの持つ意味を、利益を追求するために、すべてを犠牲にしても構わないというような誤った考え方、そして自己に有利な判断であるならば、その判断だけをとり、不利な判断はそれを退け、自己の立場に立つ、自己の利益を中心にした企業経営を行う、そういう姿勢が今日の公害問題を発生させ、日本化学の社長の言明にあらわれているような一連の反社会的な言動にまで、そのことがエスカレートしているように私は感ずるわけであります。したがって、このようなことに対して、当然、通産行政が、この高度成長を続ける形の中において発生しつつある社会悪に対して、公害発生に対して、毅然たる態度をとって処置をすべきであったにもかかわらず、その点が不足していることは、いわゆる大企業べったりの通産行政であるという批判を招いている今日の情勢が、明らかにそのことを物語っていると思うのであります。 そこで、通産当局にお伺いいたしたいのでありまするが、企業責任を追及するという形の中で、日本化学が現に起こしつつある、この種公害に対して、公害に類するいろいろな問題に対して、通産当局はどのような指導をしているかということが第一点。そうして、その指導上におけるところの発生した問題に対して、どう対処されんとするのかということが第二点。さらに通産当局は、今日の問題について事態を深刻に考え、関係業界をお呼びになって、通産大臣から指導をなされておるやにお伺いをいたしておるわけでありまするが、これは私ども強くその点について指摘をし続けてきておるわけでありまするが、この点について、どのような指導をなさっておられるか、簡潔に答弁をいただきたいと思います。
○宮本説明員 お答えいたします。 先生の御指摘、御質問は三つあったかと存じます。第一点は通産行政が生産一辺倒と申しますか、企業べったりではないか、公害の問題をどういうふうに考えておるか、第一点。第二点は、今度の具体的な問題といたしましての日本化工の鉱津問題を、どのようにするつもりであるか。第三点は、通産大臣、通産省がどのように企業を指導しておるのか、こういう問題点であったかと存じます。 まず第一点の、通産行政の基本と申しますか、公害に対する考え方でございますが、もちろん通産省は従来、日本経済の発展のために最大限の努力をするということで、まいっておるわけでございますが、他面、産業経済と申しましても、それは生産だけで成り立つものではございません。企業におきましては当然、生産を通じまして貢献をすると同時に、当然、地元の、あるいは地域社会との間におきまして、融和を図ってまいらなければなりませんし、公害物の排出につきましては、厳にこれを禁ずるような方向で、活動しなければならないことはもっともでございます。したがいまして、この点につきましては従来、所管の各省庁、都道府県、協力いたしまして、この方向で指導をやっておるつもりでございます。 ただしかし、そういう点におきましては、第二点のお答えにも関係をいたすかと思いますけれども、日本化学の小松川工場で排出されました鉱滓が、あちらこちらに投棄されておる、それをどういうふうに後始末をするか。私どもはもちろん、四十六年、問題になりましてから無害化方針ということを打ち出しまして、新しい方法が開発され、新しい工場でもっては一切そういうことのないように完全な処理をし、かつまた、労災を発生させないようないわゆるクローズドシステムというものをとらせておるわけでございますけれども、それ以前の姿につきましては問題があったとは存じます。この点につきましては、労災問題はもちろん労働省、それから一般住民の健康問題につきましては厚生省、環境庁で、私ども協力いたしまして、自治体と一緒にいま鋭意、調査をいたしておりますので、その結論によりましては、当事者、関係者の責任ということになろうかと存じます。 第三点につきましては、昨日、通産大臣が関係業界をお集めになりまして、まず今回の当事者でございますところの日本化工及び日本電工両社長を呼ばれまして厳重に、こういうことのないように誠意をもって現場を処理すると同時に、今後こういうことのないようにという注意をしておられます。及び、あわせまして、時刻は別でございますけれども、この六価クロムあるいは三価クロムを使うユーザーの業界がございます。たとえばメッキの業界とか、あるいは顔料、有機薬品、あるいは染料、あるいはまたそれを使いますところの毛の染色の業界、多々ございますけれども、こういう方々の責任者にも厳重に注意をしていただいたところでございます。
○佐野(進)委員 行政上の欠陥は単にこの二つだけでなく、いわゆる政府全体あるいは責任ある地方自治体の中にも、そのような欠陥を量ることができるのでありまするが、ともかく一番大きな問題は企業責任の欠如だろうと思うのであります。私はこの点につきまして、関係各省の積極的な、企業責任明確化に対する毅然たる態度、刑事罰その他いろいろな問題を含めての対応をお願いいたしたいと思うのであります。 そこで私は、具体的な問題について質問を続けてみたいと思うのであります。 今回、問題になりましたのは、いわゆる有害な産業廃棄物の処理の方法と、それから企業内、工場内におけるところの労災問題の発生、いわゆる働く人たちが被害者になるということ、さらにまた、その結果、処理され、廃棄された鉱津によって、その地域に住む住民が被害者になる、こういうような形の中で社会的不安を大きくしている、こう思うのであります。したがって私どもは、この問題を処理し解決するためには、これらの課題に対して、どう政府当局が積極的に取り組まれるかどうかというところになろうかと思うのであります。 そこで私は、この三点について具体的に質問をしてみたいと思います。 まず第一に、無害化対策であります。住民の不安というものは、ここにも捨てた、あそこにも捨てた、あそこにもある、そのある物が有害なんだ、次から次へと暴露されるというか明らかにされる、そういうような状況の中で、おれの土地はどうなのか、おれの住んでいるところはどうなのか、こういうような不安が日増しに大きくなっていっているわけであります。したがいまして私は、この日増しに不安になっているその原因を、早急に突き詰めてやることが必要だと思うのであります。その調査を政府は責任を持って行うことが必要だと思うのであります。そしてその調査によって明らかになった地点に、速やかに無害化の対策をとるということが必要だと思うのであります。その無害化対策は単なるおざなりでなく、恒久的な対策を含めて行うことが必要だと思うのであります。そして、企業にその責任を負わせることは当然といたしまして、応急的に臨時的に政府が、地方公共団体が、その責任においてこれを行うべきであろうと考えるのでありますが、環境庁長官の御答弁をいただきたいと思います。
○小沢国務大臣 まず鉱滓を捨てた場所、廃棄の場所を的確に早くつかむ、これはおっしゃるとおり、まず第一段階としては、それが必要でございます。この点は八月二十二日の会議におきまして、その前に文書をもって通知をしまして、全部、把握をしてくるようにということで、所在地の関係府県、市の担当者を集めて会議をいたしまして、この点は把握の漏れがないように十分、指示をいたしたところでございます。 それから第二点は、公害の発生にならないような防止対策を急いでやることでございます。これは費用の負担の議論をしておりますと遅くなりますから、当然これはやってもらわなければいけません。この点については、しかし根本的に技術評価がいろいろ意見がございます。昨日もその辺について参考人からの供述があったようでございます。しかし、さしあたって考えられることについては、できるだけ早くやってもらって、なお技術検討委員会を私の方で設けまして、できるだけ早く学識経験者による防止対策についての技術的な結論を得たい。書次第それを指示をいたしまして、その技術検討委員会で得ました結論、方法によってやってもらう、こう考えております。
○佐野(進)委員 私がさっき大臣、熱心にやっておられるが若干、不足だ、不満だ、こう申し上げたのは、いまのような御答弁、いわゆる、もうはっきりわかっておる、捨てられたところは。いま調査されているところは早急にやってもらう。しかし、いま出たところはもうわかっておる。そのわかっておるところを具体的になくするために、都なり区なりあるいは国なりというぐあいに、いろいろな有機的な連関はあろうけれども、国が責任を持つから、それをやれというような強力な御指導をしていただく、捨てた場所がはっきりして、そこに公害の現象が出ているというならば、そういう決意でやってもらいたいということでございます。これは後で一緒に御答弁をいただきたいと思います。 第二番目の問題は、被害者救済の問題であります。今日、私も被害者の会に出まして、その悲惨なる声をじかに聞いておりますし、その人たちと話をいたしておりますけれども、それはまさに悲惨の一語に尽きるわけであります。親が、兄弟が、そして子が、そのような状況に置かれている家族の苦しみは、そしてそういう状況になるのではないかと心配している付近住民の人たち、あるいは工場に働いている人たちは、まさに人間として最悪の状況に置かれておると思うのであります。したがって、こういう問題に対して、すでに環境庁長官は、必要ならば公害病として第五番目の認定をしてもいい、こういうようなことのお話をしたということが新聞に出ておったわけでありますが、きょうの御答弁では、若干これが後退しているような御答弁でありますけれども、この点について環境庁長官、ないし厚生大臣がお見えになっておられますので厚生大臣から、その点についてのお考えをひとつ、お聞かせをいただきたいと思います。
○小沢国務大臣 先生のおっしゃるのは、そこに働いておられた元また現の従業員の問題とは別に、一般住民に対する被害だろうと思います。私どもは、先ほど申し上げましたように、八月二十三日に健康調査についての各都道府県との連絡会議をいたしまして、指示もいたしました。必要な場合には健康調査をやりまして、その結果、健康被害が出ておれば、当然いろいろな方法を考えて救済に当たらなければいけないわけでございます。公害健康被害補償法によりますと、一定の地域を指定しまして、その地域において発生した健康被害について補償するということになるわけでございますが、ただ特定物質による特定者の原因によって被害が出る水俣病とか、ああいうものは、その原因者が負担をするということになっておるわけでございます。 今回の場合は健康調査をやっておりまして、私が視察に行ったときも、江東区でございましたか区長さんが、できるだけ健康調査をやってみたいというお話でありました。私が視察に行きました学校の校庭に立ちましたときには、校長先生からは、児童の健康調査をやったが、いつの時期かはっきり申されませんでしたけれども、いまのところ、その被害はないようだというお話もありました。しかし一般住民の方の中には相当、不安もありますので、区長さんとしては健康調査をしたいというお話でありました。そこで、ぜひおやりください、健康調査をした上でないと、いま先生のおっしゃるような問題が、どの程度、どういう原因からきているかということを究明しなければいけませんので、それがまず先決でございます。健康調査をやる場合に、区あたりでは、一万人やるとなると大変でございますというお話もございました。私、帰りまして事務当局に相談をいたしましたところ、いまだかつて健康調査について特別その健康診断に要する費用の補助をしたことはない、こういうことでありましたが、もし私どもの調査で大々的に健康被害の調査をやらなければいかぬという場合には、何らかめんどうを見ていかなければいかぬのではないかということで、目下、関係方面とも検討をいたして、研究をいたさせておるわけでございますが、いずれにしましても、一般住民の方の、このクロム公害による健康影響というものは、まず第一に環境調査をやって、そしてその環境調査の結果、健康被害のおそれがあるかどうか、健康診断をやってみなければいかぬだろうということになって健康診断をやる、こういうことになります。その結果、被害があるということになりますと、何らかの意味で救済をしていかなければいけない。いまの公害健康被害補償法の範疇の中に入るもの、入らぬものもあるかと思いますが、その辺のところは被害者救済を第一義に考えまして、検討をいたしていきたい、かように考えます。
○佐野(進)委員 環境庁長官が、いま明確に答弁されましたので、厚生大臣は結構だと思います。 そこで、次の質問に入りたいと思うわけでありますが、この問題が発生いたしまして、地域全体の問題として、いま環境庁長官も江東区云々あるいは江戸川区云々というようなお話もございますように、地域全体として、この種問題に対して非常に迷惑を受けておると思うのであります。さっき労働大臣から、青い水が流れ、黄色い水が流れ、赤い水が流れると言われた。そういう地域であることを知りながら住んでおったとしても、それは自分たちが公害の地域の中に住んでいたというのではなくして、知らないで、自分としては最も住みやすい環境の一つという形の認識があったのでございましょう。そこに住むからには、その土地を愛しているわけであります。そういう形の中に住んでおった住民の人たちが、一朝にして、さらにそれ以上の、いわゆるいままでの認識を根本から変えるような、悪疫の地に住む住民であるというような形の中で、世の中からも指摘をされ、非常に苦労をしておられると思うのであります。昨日の、立入調査を拒否した地主さんの話等もございます。これは私は間違っておると思うのでございますが、しかし、この地域住民の受けている被害は、その土地に住む人でなければわからない被害者意識というものが相当、強く出ていると思うのであります。でありますから、この地域を良化する、環境をよくすることは、政治の当然、果たさなければならない最大の責任でなければならぬと思うのであります。 そこで私は質問をしてみたいと思うのでありますが、建設当局もおいでになっておられます。環境庁長官もおいでになっておられますので、お聞きいたしますが、あの小松川の工場のあった地域、そして鉱滓の多量に捨てられた地域が、いわゆる東京におけるところの防災街区として、下町が地震その他の災害を受ける際、これを救済するという形の中において、防災地域として指定されておる。そのために、長官もお話しになりましたけれども、もう何年にもわたって、昭和四十四年の十一月から今日まで、身動きできないような状況の中で、あの地域の人たちがお暮らしになっている。その上にこの公害問題が発生した。そしてそのために、この事業は延期せざるを得ないという形になりつつある。そういうことになったのでは、地域の住民だけでなく、江東地域全体の人たちの将来への夢も奪い去ってしまう、こういうような形の中で大変、心配をしておられるわけであります。この計画の推進を通じて、この地域の生活環境の改善、この地域に住む人たちに希望を与える、その防護措置と関連した形の中で、その対策を立てるということが、今日、最も重要な政府の行うべき対策ではないかと思うのでありますが、この点について環境庁長官と建設当局の見解を、簡単でよろしゅうございますから、お示しをいただきたいと思います。
○吉田説明員 御指摘のように、江東地区の防災拠点六ヵ所の予定地区のうち、亀戸、大島、小松川地区という百ヘクタールに及ぶ計画の区域がありまして、その中で問題の日本化学工業の土地で、クロム鉱滓が非常に大量に埋蔵され、汚染されている地区がございます。これまた先生がおっしゃいましたように、大分、前から、この地区全体の再開発計画を進め、地区住民の方とも東京都当局が累次にわたる協議を重ねまして、一応のマスタープランができたものですから、先般、再開発事業をすべき場所として都市計画決定を経ました。その際いろいろ議論も出、その都市計画決定に至る前段階でも、当然この場所が把握されておりましたので、都でも専門家から成る委員会等も設け、これが対策も十分、踏まえながら、ここまで進めてきたものでございます。防災拠点の整備は非常に急がれております。しかしながら一方では、地区住民の多数の方との意見の調整に手間取るという事業でございます。せっかく、ここまで話がきたものでありますから、何とか対策を講じつつ、安全な方法により、逐次できるだけ予定がおくれないような処理の仕方で、再開発事業の推進を図っていきたい。非常に大きな地区でありますし、詳細に全地区調べてみないと絶対とも申せませんが、この工場敷地等を考えますと、百ヘクタールのうちの大体、南の方に片寄ってあるようであります。一方、百ヘクタールもの地区を一挙に再開発できるわけでありません。当然、公園予定地等を中心に急ぐところがあります。そういうところをさらに調べまして、汚染がないということであれば、そういったところから進めるということになれば、全体のスケジュールとしては当初計画に比べ、さしておくれることもなく実施できるのではないか。なお、汚染地区そのものの対策についても一応、都において事前に検討されておりまして、今後の新しい技術、科学的な対策というようなものも踏まえまして、これの封じ込め及び、その跡地の公共的な利用が図れるということも考えられますので、要は急ぐ地区から、かつ汚染のない地区から逐次、進めることにより、全体のスケジュール、をおくらせることのないように対処できるのではないか、こういうことでございます。
○佐野(進)委員 時間もたってまいりましたので、厚生大臣に、それでは最後に質問してみたいと思います。 産業廃棄物の処理については、法律が四十六年に施行されてから、いわゆる厚生省の所管になっておるわけであります。今日、この問題の発生した原因は、四十六年以前にあった問題が大部分とはいいながら、四十八年まで小松川工場においては操業し、その処理が行われておったわけであります。そして、その処理を行う経過の中で、先ほど来、質問をしておるわけでありますが、この種、公害発生に対しては各省庁が、あるいは地方自治体が、その監視の体制を強化する中で、付近住民に対して悪い影響を与えない、当然こういうことをなすべきであった。そういう条件があって、この法律の制定となってきたのであります。しかるに、その後においても、この投棄が依然として行われ、今日、明るみに出され、しかもこの船堀地区と申しましょうか、あちらの地域の中においては、ほんのこの前まで投棄が続けられてきたという事実があるのであります。 そういう意味において、この内容をつぶさに検討いたしますと、結果的に、この法律を実施する厚生省当局の監視の体制がきわめて弱く、いわゆる企業の門を出てしまえば、その下請の会社の責任においてどこへでも放置しても、企業は何らの責任をとらなくてもいい、こういうような形の中に置かれており、下請の運搬業者も、捨ててくれば構わない、さらにその下請に任せる、こういうような形の中で、今日どこへ捨てたかもわからない。こういうことが、追跡調査をしながら、なお問題をこじらせている大きな条件になっていようと思うのであります。今後この問題はここだけでなくして、いまだ産業廃棄物は今後の日本経済の発展の上に必要な事業として存在するわけでございますから、当然、多くの同じような条件が予想されると思うのでありますが、この問題に対する反省と将来に対する取り組みに対する決意、そして厚生当局として、この種問題の現に起きつつある地域住民の被害に対して、どのように対処されんとするか、その決意をお聞かせいただきたいと思うのであります。
○田中国務大臣 産業廃棄物の処理の体制、それからこれに関連する法規の整備、私は率直に言うて不十分だったというふうに思わざるを得ません。したがいまして、そうした反省の上に立って、今後これについてはあるべき姿を取り戻すといいますか、把握するように努力をしなければならないというふうに思っております。したがいまして、産業廃棄物に関する法制の整備を急がなければならないと思いますし、また法制上の問題だけではございません、これの確実な施行という行政上の面と両面から、私は、もう少しこれについて適確に対処をいたさなければならないものということを、今日の事態にかんがみて、しみじみと感じているわけであります。過去において甘かったではないかとおっしゃられれば、それまでであります。かような心境において、午前中にも事務当局から答弁があったかと思いますが、産業廃棄物の処理法についての幾多の欠陥、その一部をいま先生が御指摘になりましたが、その他にもいろいろの欠陥があることがよくわかりました。したがいまして、こうした点については、ひとつ鋭意、検討をいたしまして、できるだけ早い機会に御審議を相願いたいというふうに思っております。これについてはいろいろ専門的知識も必要であろうと思いますので、生活環境審議会廃棄物部会において検討をいたすことにいたしておりますが、たしか、この二十二日に第一回の総会を開くということですが、よほど詰めて急がなければ間に合いません。かようなことで、鋭意これについては詰める所存でございます。
○佐野(進)委員 時間が参りましたので、質問を終わりたいと思うのでありますが、最後に、大変、短い時間でございまするから十分、三大臣に御質問をすることができ得ないのは大変、残念だったと思うのであります。しかし私は、冒頭申し上げましたとおり、この問題発生以来、地域住民の苦しみは、なかなか、その地域に住む人でなければわからない、いろいろな問題があろうと思うのであります。江東区に住んでおる、江戸川区に住んでおる、この公害の地域に住んでおるというだけで、どれだけ肩身の狭い思いをして暮らさなければならない人がいるかということを、よく御認識くださいまして、東京のど真ん中に、公害の問題のために毎日、連日、報道の前に身をさらされながら、しかし、より住みよい町にしたいという念願に燃えて生活をし続ける住民のために、そして働いている労働者のために、温かい配慮、積極的なる熱意を持った取り組みを最後にお願いして、私の質問を終わりたいと思います。
○渡辺委員長 中島武敏君。
○中島委員 六価クロムの問題、そしてまた産業廃棄物の問題は、非常に重要な、重大な社会問題になってまいっております。ところで、この廃棄物処理法が施行されましたのは昭和四十六年九月二十四日であります。そしてこのときに、有害鉱滓は海洋に投入することが禁止されたわけであります。ところが経過措置が設けられまして、施行令の附則におきまして、有害鉱滓中に六価クロム化合物を含むものについては、四十七年九月三十日まで約一年間、延期をされたわけであります。つまりその間は六価クロム化合物を含む有害鉱滓は海洋投入ができる、こういう措置がとられたわけであります。これは私は非常に重大な問題であったと思うのです。なぜ、こういうことが行われたのか、この点、所管であります厚生大臣にお伺いをいたしたいと思います。
○山下説明員 先生の申されますとおり、四十六年九月施行後、約一年間、海洋投棄についての施行の猶予がなされております。 当時の事情でございますが、いろいろ調べておるのでございますが、やはり新たに規制が発足するということであった、そのとき、まだ必ずしも事業者の実態が、それを完全にこなし得るという状態に立ち至っていなかったということに対する配慮が一つと、それから相当、沖の海洋にそれを投棄することについては、海洋の希釈力というものから見まして、次善の策として、やむを得ないのではないかという判断があったものと存じております。
○中島委員 いまの答弁、よくわからない。いまのお話では、事業者にこれをこなせないという事情が参酌された、それから海洋の希釈力がもっとたくさんある、そういう考え方でこういう措置をとったといまおっしゃられたと思うのです。しかし、私が思いますには、これはすべての有害鉱滓について、この措置がとられたのではありません。そうではなくて、六価クロムを含む有害鉱滓、これだけに対して、この措置がとられたのであります。そういう点からいいますと、いま御答弁のあった二つの点だけでは、とても納得できるものではありません。もっと明快に理由を言っていただきたいと思うのです。
○堀川説明員 この問題につきましては昭和四十六年九月二十四日に施行されました処理法それから施行令におきまして、六価クロム化合物を含む鉱滓につきまして、原則として海洋投入処分はできないというふうに規定をしたわけでございますが、しかし、その時点におきまして、すでに海洋投棄を行って続けておる者がございました。これを陸上処理に切りかえさす必要が実はございます。陸上処理に切りかえさすということになりますと、その関係の施設整備等、一定の準備が必要である、かようなことで、そういう準備期間を見るという趣旨から、約一年間、経過措置を設けるというようなことがあったわけでございます。さようなことが主たる理由でございまして、そのような特別の措置がとられたと理解をしております。
○中島委員 いまのお話も余りよくわからない。なぜなれば、なぜ六価クロムだけ、六価クロム化合物を含む有害鉱滓だけが、こういう経過措置をとられたのか。六価クロム以外の物であっても、陸上において処理をする施設の準備が必要であることは同じであります。そういう点からいって、先ほどの御答弁も、いまの御答弁も、どうもはっきりしない。もう少しはっきりさせていただきたいと思う。
○堀川説明員 実は法施行時において、原則的には停止をするということになり、かつ一定の期間、猶予をするとした理由は、さっきのとおりでございます。 そこで、しかし現状はどうなっておるかと申しますと、海洋投棄は一定の形のものであれば、よろしいのではないかという考え方が、実は根にございまして、現在の形では、一定の濃度以上を超えないような物につきましては、海域が指定をされておりまして、B海域という海域がございますけれども、そういうところで海洋投棄を認めておるわけでございます。ただ、その基準の策定については非常にまだ議論がございまして、結論を得るに至らない。その間、したがって準備をさせながら陸上で処理をさせないと、大量のものでございますから非常に困るというようなことがありまして、そうして一定の猶予期間を設けて、原則的には一応その他もだけれども、六価クロムは、それまでやっていた経緯もあって、よろしいということにした、こういうふうに理解をしております。
○中島委員 いまのお話でも一定の濃度の問題、これもそうですけれども、結局、六価クロムとそれ以外とを区別される理由は何だったのでしょうか。同じなのではないかと思うのです。陸上で処理をすると言われてもコンクリートプールにしなければならないということでございまして、これは何も六価クロム化合物を含む有害鉱滓だけではありません。ほかの物でも同様であります。また、一定の濃度の物は捨ててもよろしいという考え方が、当時からあったという、いまのお話のようですけれども、それは何も、これまた六価クロムだけではありません。それ以外の物も同様であります。そういうことを考えますと、六価クロムだけがここで猶予期間を得たということはどういうことなのか、ここのところが私はお尋ねしておるところなのです。
○西村説明員 お答えいたします。 廃棄物処理法が四十六年の九月に施行されまして、六価クロム鉱滓の海洋投棄も、その時点で禁止されたわけでございますけれども、経過措置として一年間の猶予が認められたことについては御指摘のとおりでございまして、この理由につきましては、先ほど来、水質保全局長が御説明申しておりますが、そのほかに法施行後、直ちに投棄を中止させて、処理施設が完備するまで工場内に保管させることなどにつきましても慎重に検討したわけでございますけれども、量的にも相当の量に達します。六価クロム以外の有害鉱滓につきましては、量はそれほど多くないという判断だったのでございますが、六価クロムにつきましては量的には相当なものになる、かえって工場周辺の環境に悪影響を与える、こういうようなこともあわせて考慮いたしまして、そのような特例措置を、六価クロムに限って講ずることになったものでございます。
○中島委員 これだけお尋ねして、だんだん何やらはっきりしてきたですね。結局、いまのお話では工場内の保管という問題を考えた場合に、六価クロム化合物を含む有害鉱滓、これは他の物に比較をすると圧倒的に量が多い、ほかの物はそれほどでもないのだ、こういうお話であります。 それでは私はお尋ねしたいのですけれども、当時、六価クロムは一体、幾ら出ていたのか。それからまた、六価クロム以外の有害鉱滓、それは一体、幾ら出ていたのか、その比較検討がなければ、この結論は出てこないと思うのです。この問題について、はっきりした数字をひとつお示しいただきたいと思うのです。含有有害物質別の鉱津量、これをお示しいただきたいと思うのです。
○堀川説明員 いまのような比較表をつくるべく努力をいたしまして、できるだけ早急につくって提出をいたしたいと思います。
○中島委員 後日、提出してくださるそうですから、これはぜひひとつ、そうしていただきたいと思うのです。 それで、いまの話からはっきりしますことは何かと言えば、六価クロムを含む有害鉱滓、これが圧倒的に多い。つまり一番、圧倒的に多いものが実は海洋投棄を許されたということです。つまり法律は施行したけれども、実はしり抜けになってしまったということを、はっきりこのことは証明しているという事実であります。きわめて重大なことを政府は決めておるわけであります。一体こういうことをだれが言い出したのですか。各省庁の中で、これは厚生省の方が所管の物ですが、厚生省の方からこういうことをおっしゃったのですか。
○山下説明員 所管のことを申し上げるのは大変、恐縮なのでございますが、実は廃棄物の処理及び清掃に関する法律のうち、基準に関する分につきましては環境庁の所管でございまして、ただいまの点は基準の施行を一年延ばすということでございますので、ただいま環境庁の方から御答弁をいただいたわけでございますが、当時の事情として、どこが言い出したかということについては、ちょっと私存じておりません。また、そういう記録も残っておらないという状態でございます。
○中島委員 いろいろ行政と企業の癒着ということも非常に問題にされる重大な問題であります。これは政府が決めたことだ、確かにそれは政府が決めたことであります。しかし私は率直に、こういう問題を通じて問題をもっともっと検討する必要があるのではないかと思っております。そういう点からいいますと、先ほど環境庁の方からお話がありましたけれども、環境庁が積極的にそういうふうに考えて、海洋投棄を許せば一番、海洋が汚れる、そのことがわかっていて、ほんとうは環境庁がこれを防止しなければならない責務を持っておられる、そのお役所が、こういうことの一年延期ということを言い出されたわけですか。これは私は率直にお尋ねしたいと思うのです。
○堀川説明員 これは六価クロムを含む鉱滓の処理につきまして、現在でも陸上の埋め立て処理をする場合と、海中投棄をする場合と二つございまして、その場合に六価クロム含有量の濃度それ自身について、これはどういう物であるのかということについて、処理の基準の中で明確にしておるわけでございます。海中投棄の場合には〇・五ppm以下の物を一定の条件で海中投棄する場合はよろしいということになっており、陸上で埋め立ての場合には、また、これとバランスをとりまして一・五ppmを超えない物を一定の条件でやる場合にはよろしい、こういうことにしてあるわけでございます。したがいまして、要するにこれは、周辺に対する産業廃棄物の処理の結果の悪影響が出ないという意味での基準として、この基準は設定されておるというふうに思っておるわけでございます。 そういうことで、こういう物の処理を、当時におきまして埋め立てないしは海中投棄に一定の条件、周辺に悪影響が大きく出てくるということがないという確信の持てるような条件を設定すればよろしいという考え方があり、現にそれが行われておるということでございますから、あとは、そういう仕組みを完全につくるまでの間の、要するにつなぎをどうするかということになるわけでありまして、そういたしますと、法施行時において、それまで大量に海中で処理しておったものを直ちにだめというのは、ちょっと酷に過ぎるということで、切りかえに必要な措置の間だけ海中投棄を認めた、こういう次第でございます。
○中島委員 いまのお話は通産省が積極的に言い出された、こういうお話でございますか。そういうことでございますか。
○堀川説明員 当時の事情につきまして、いまここにおります部下の者に聞きましても、つまびらかにいたしませんので、ややその背景等で先生のおっしゃるような事情かどうかわかりませんが、何か参考になるような事情があるとすれば、調べまして御報告を申し上げたいと存じます。
○中島委員 この問題、いま御報告ということがありましたので、どうぞひとつ調べて報告をいただきたいと思います。 私、これを非常に重視いたしておりますのはなぜかといいますと、この法の施行が約一年間、延期された。この期間にどんなことが実際に起きたのかという問題であります。約一年間の間にたとえばこういう問題があります。昭和四十七年九月十四日の未明です。これは猶予期間切れの半月前です。日本化工徳山工場からクロム鉱滓を、島田運輸株式会社のチャーター船第五正富士丸が積み出していきましたが、沈没をいたしました。この島田運輸は産業廃棄物処理業者の許可を受けていない無許可業者であります。沈没した場所は山口県角島西約三・三キロメートルの沖合いです。指定された投棄場所はどこかと言えば、足摺岬沖であるにもかかわらず、反対方向に向かっていたわけです。これは不法投棄を意図していた疑いがあります。また、こういうこともあります。日本化工小松川工場、ここで四十六年の三月から四十七年の八月まで、四十七年の八月と言えば、もう猶予期間が切れる一ヵ月前でありますけれども、四社の船会社にクロム鉱滓六万五千百三十トンを投棄させております。四社いずれも無許可業者であります。また、こういうこともあります。日本電工徳島工場がチャーターした鉱滓投棄船が、四十七年の六月、これは期限切れの三ヵ月前、不法投棄で検挙されております。こういうふうにして、また不法投棄というものがなかなか見つかりにくいものであるということは、海上保安部においては常識になっている問題であります。猶予期間の期限切れを目がけて鉱滓の不法投棄が非常に集中的にやられたということが、こういう、いま私が言いました三つの例の中でも端的にあらわれていると見なければならないのではないでしょうか。この一年間の延期を行ったということは、先ほどいろいろおっしゃいましたけれども、しかし、やはり非常に重大な政府の責任に係る問題であるというように私は思っているわけであります。 そこで重ねてお尋ねしたいのですけれども、総理府令、有害な産業廃棄物に係る判定基準を定める総理府令です。この総理府令が出されたことによって、有害鉱津のうち一定の物を法律的には無害とする、いわゆるすそ切りがやられたわけであります。六価クロムで言えば、海洋投棄〇・五ppm、埋め立て一・五ppmというこの基準が決められたわけであります。そしてこれとあわせて政令改正が行われた。改正と言いますけれども、これは実態は改悪であります。 四十八年の三月一日に、この政令は施行されておりますけれども、この時期は、ちょうど先ほど問題にしました経過措置、猶予期間、これが切れて五ヵ月、間もなくであります。間もなくこれが施行されているわけであります。何がここで問題か。コンクリートプールを必要としないという問題をここで決めたわけであります。つまり、本来でありましたならば海洋投棄はできず、コンクリートプールに埋めなければならなかったものを、有害物質を含む鉱滓のうち、このいま申しましたような判定基準以下の物については、コンクリートプールに埋めることは必要でなくなった。同時に一般埋め立てでよろしいという措置がとられたわけであります。海洋投棄もできるようになったわけであります。これは大変な改悪なんです。詳しいことを何も申し上げる必要はないと思う。これは重大な改悪が行われているわけであります。まず第一には猶予期間を設けて、その次には政令の改悪を行うということをやったわけであります。これは環境を守るという側面からいうならば、重大な環境汚染の拡大であります。また企業との関係ということを見るならば、これは政府の企業べったりの姿勢をはっきり示しているものだと言わなければなりません。しかも、こういう重大な問題を、環境を守らなければならないはずの環境庁がやられたことは、非常に重大な問題だと私は思うのです。なぜ一体こんなことをおやりになったのか、長官の御見解を聞きたいと思います。
○西村説明員 お答えいたします。 産業廃棄物の中で有害鉱滓等を含む物につきまして海洋投棄が禁じられた。それから陸上埋め立ての際は、先生おっしゃるコンクリートプールといいますか、完全に地下水とか公共水域などから遮断するという基準によらなければならないということになったのは、この廃棄物処理法が施行された四十六年の九月からでございます。それで、この有害な物質を含む産業廃棄物の限界でございますね。その有害と無害との限界ということにつきましては、この廃棄物処理法制定のころから、いろいろ問題があったわけでございますが、先生がおっしゃいましたように、法が施行されました時点におきましては、その有害物質を含む廃棄物に関しましては、単に括弧書きで(溶解性のものに限る。)ということで、その有害物質は、その水溶性に着目いたしまして、水溶性の有害物質に限って、厳しい陸上埋め立ての基準なり、あるいは海洋投棄の規制を受けるということになっておったわけでございます。 その後、いろいろ環境庁内部におきまして、学識経験者にも聞きまして、たとえば有害物質の検定等委員会など設定いたしまして、その点につきまして、なお掘り下げて検討を続けてまいったわけでございます。それで四十七年の時点で、その有害、無害の判断の基準につきまして答申をいただきまして、これに基づきまして政令改正等の手続を踏んで、四十八年の三月から、いまの規定になったわけでございまして、それによりますと、先生がおっしゃいましたように、陸上埋め立てする場合の有害判定は、六価クロム鉱滓で申しますと、溶出試験で一・五ppm以下と、それを超える物という基準、それから海洋投棄の際の基準といたしましては、〇・五を超える物、それ以下、そういう基準が設定されたわけでございます。 その根拠につきましては、いろいろその委員会におきまして、先生方に御議論いただいたわけでございますが、〇・〇五と申しますWHO、世界保健機構の水道飲料水の六価クロムの許容基準、これをもとにいたしまして、それと関連づけて定めたものでございまして、この程度の物であるならば、陸上埋め立てあるいは海洋投棄等いたしましても、人体等に対する悪影響がない、こういう諸先生方の御意見に基づきまして、このように定めたものでございます。
○中島委員 現在でも環境庁はそういうお考えをお持ちでしょうか。私はその考えがいかぬと思うのです。つまり濃度規制で、しかも、ばらまきでしょう。これで本当に環境が守れるでしょうか。私は、やはり一定の基一準以下の物であっても、たくさん集まれば、だんだんふえるわけであります。やはり濃度規制とか、あるいはあちこちばらまく、こういうやり方、こういう考え方、ここをいま改めなければならないところに来ているのじゃないかと思うのです。だから私は、環境庁はいまでもそういうお考えを持っておられるのだろうかということを非常に疑問に思うのです。 実はここに、これは厚生省の委託研究でありますけれども、「有害物質を含む産業廃棄物の発生過程に関する調査研究」大変、大きな研究書ですけれども、これがあります。これを読んでみますと、これは厚生省が委託研究をされておられるものですが、この中で、いまの問題に関して、どういうことを言っているか。いろいろな条件のもとでは、本来、不溶性であるはずの有害重金属が溶出することがある。性質分析の結果からは検出できないほどの微量であっても、生物濃縮その他の作用で、底質にはかなりの濃度で蓄積するものと思われる。こういう指摘をきわめて明快に行っているのであります。だれかが勝手に言っていることではありません。これは厚生省が委託されまして、膨大な費用と人員を費やしたでしょう、これだけの報告をつくっておられるのですから。その中で非常にはっきり明快に、こういうふうに指摘しているわけであります。私はやはりこの辺の考え方というものを改めなければならないところに来ているのではないかというように思うのですけれども、いかがですか。
○堀川説明員 海中投棄の基準でございますけれども、単に含まれている六価クロムの濃度ばかりではございませんで、その投棄の方法等につきましても基準を設けております。たとえて言えば、航行中は排出しないとか、これを集中型排出方法により、比重は一・二以上にする、粉末のままで排出しないというようなやり方を、あわせて投棄の基準としておりまして、要するに、その辺を広く浅くばらまいて歩きますと、沈んでいく間に溶け出す量が多いということに結局なるのだろうと思います。したがって、その集中排出方法というようなものを用いてやっておるということでございます。 それからこの〇・五ppmでございますが、これはもともとは飲料水基準あるいは水の人の健康に関する環境基準として決めております〇・〇五ppm、これに由来するわけでして、それのちょうど十倍くらいに当たる〇・五ppmが排出基準ということになっておるわけでございます。水質汚濁の場合の排出基準、こういうようなものは排水口から排出をされましたときに、それが他の水とまじり合いまして希釈という現象がございますから、したがって、その辺のことを考慮をいたしまして、水につきましての環境基準よりも緩やかな〇・五ppmというものをとっておるわけでございます。つまり、この点は排出基準と同じであるということで、これは海中に投棄されました物が、そういう集中排出方法で投棄をいたしますと、一ヵ所にずっと深く沈んでいくわけでございます。沈んでいく間に時間がかかりますから、その間に水溶性である六価クロムが流出する量が、排出口から排出された場合の排出基準としての〇・五ppmが希釈をされるというのと大体、同じである。したがって、これは結論的に言えば、水の環境基準ないしは飲料水基準と同じとも雷っていいわけですが、そういう基準と合うようなものに、希釈をされた結果、薄まるということで、安全性があるという考え方と、もう一つは投棄の仕方を浅く、広くばらまかないようにということを決めているわけでございます。
○中島委員 投棄の方法について決めていることは、そのとおりであります。それからいまの、この基準が妥当なものだという御見解ですが、しかし、これはよく御存じだと思うのですけれども、いまお話がありましたように海洋に投入するときの基準は、水質法でいう排出基準と同じであります。そして、それはいま、またお話がありましたように、確かに環境基準のそれは十倍であります。しかし、この環境基準がもとになって、いま言った基準が決められてきている。ところが、この環境基準は、その蓄積とか濃縮とか、あるいはまた底質にどんな変化を及ぼすかということについては、考慮の外に置いて決められているということは、あなた方が一番よく知っておられるはずなんです。これで安全だということは言えるものではありません。そういう性質のものだということは、あなたは知って答弁をされておられるのでしょう。安全だ、こういうふうに言い切っておられるのですけれども、もともとがこういうふうに決められているものなんです。 ですから、これも、同じことですけれども、これは厚生省の環境衛生局長と環境庁の水質保全局長の私的な諮問機関になりましょうか、有害物質の検定等委員会というのがございます。ここで「有害物質の含有に係る暫定判定基準の基本的方向」という報告を提出しておられます。これは労働衛生研究所の労働生理部長の坂部氏が委員長をなさっておられる委員会であります。ここの委員会で、いま申しました「判定基準の基本的方向」なる報告をされておりますけれども、これの結論は何かと言えば、この判定基準は実は暫定的なものであるということを非常にはっきりとしているわけであります。お読みになっていらっしゃると思うのです。 それで、どういうことをここで述べているか。海洋投入については有害物質の急性毒性に主眼が置かれて基準が設定されているということ、したがって投入海域における長期的観点からの汚染の拡大、局地的な汚染の進行、深海底における溶解現象、生物濃縮等については、今後の検討課題とされているというふうにはっきり言っているのです。つまり、暫定的なものである。これで完全なものだという考え方ではないわけであります。これはいまお話のあった環境基準の問題についてもそうでありますし、検定等委員会が報告を出しておられるものでも同じ考え方に立っているわけであります。ですから、さっき御答弁がありましたけれども、私はやはりこの辺ではっきり考え直すということがどうしても環境行政の上で必要になってきているのではないかということを痛感するのであります。重ねてこの問題についてお軒ねしたいと思う。
○西村説明員 お答えいたします。 先生いまおっしゃいましたように、現在の有害物質の判定基準は暫定的なものであるということは、その有害物質の検定等委員会のレポートにもはっきり書いてあるところでございます。それで、暫定であるゆえんといたしまして、この報告書で述べておりますのは、生物濃縮とか深海底における廃棄物からの有害物質の溶出、それから廃棄物の投入海域における汚染の問題等に関して、今後さらに調査研究を行う必要がある、そういう調査研究の進展を待って、必要があれば、この基準を改正すべきであろう、こういう意見でございます。 それで、まず六価クロムに関して申しますと、生物濃縮という点につきましては、ほとんど問題とするに足りないだろう、そういう御意見がございました。 それから、次の深海底における廃棄物からの有害物質の溶出とか投入海域における汚染の問題等に関しては、これは今後、調査を行うということで、実は四十九年には高圧水槽に廃棄物を投入する等の実験を重ねまして、その成果が出てまいりまして、いま取りまとめているところでございます。 それから、投入海域と申しますとB海域でございますが、大体百海里ないし二百海里沖合いの水深千メーターから千二、三百メーターぐらいの海域を六個所ほど、日本近海で指定いたしまして、そこの海域に限定して、その投棄を認めておるわけでございますけれども、その周辺の海域におきまして、日本近海における海洋汚染調査という名称の調査を四十九年度から開始いたしまして、八千万円ないし一億円ベースの調査でございますけれども、これをやっております。そのほか、海上保安庁等におきましても海洋汚染の調査をやっておりまして、こういうような調査結果を集積いたしまして、所要の検討を加えていただき、必要があれば基準を改正していくという考え方でおります。
○中島委員 これも環境庁の方ではお聞き及びかと思いますが、地方自治体の方では非常にこの問題を心配しておりまして、すでに溶出試験による判定基準に疑問を持っておられる地方自治体があります。そして、単に疑問を持つというだけではなくて、条例や行政指導で上乗せをやっているというところもあるわけであります。たとえば東京の場合には、溶出基準は環境基準と同じというようにしているわけであります。あるいはまた、神戸においても産業廃棄物の中の有害物質の含有率自体を問題にしておりまして、それが土壌の平均含有率の十倍ないし百倍という場合には、特別の指導をすることにして、そしてさらに百倍を超すものについては有害産業廃棄物の扱いをするということを決めているわけであります。いま、基準の検討というお話がありましたが、これは早急に検討をされなければならないものだと思いますし、そしてまた、このことがやられなければ、先ほど申しましたように、大変、有害な鉱滓が海の中に、あるいはまた埋め立てというかっこうでいろいろと拡散をさせられていくということになるわけでありますから、これについてはぜひ、ひとつ急いでいただきたい。 同時に、この問題に関してもう一つだけ、ちょっとついでにお尋ねしたいと思うのですが、これは厚生省の環境衛生局環境整備課長名で出されている「廃棄物の処理及び清掃に関する法律の疑義について」という通達です。ところが、これを読んでみますと、「産業廃棄物の処理基準より厳しい基準を地方公共団体の条例で定めることができるか。」という設問に対して、答えは、「廃棄物処理法には、かかる条例委任の規定がないので、そのような基準を地方公共団体において定めることはできない。」こういうふうにこの通達は答えているのであります。これは正しいでしょうか。いま国の方でも検討が必要だということで検討を開始しておられる。地方自治体においても非常に心配をして、そういう措置を独自にとっておられる。そういうのに対して、いや、上乗せはできないのだ、これが政府の姿勢、厚生省の姿勢ということでしょうか。私はこの通達で述べているこの部分を、はっきり取り消していただきたいと思うのです。厚生省の見解を聞きます。
○山下説明員 確かにそのような通知が出ておるようでございます。そのことの内容自体が正しいかどうかということよりも、現行法の解釈として、水質汚濁防止法でありますとか大気汚染防止法、これには明確に上乗せ基準の根拠規定があるわけでございますが、廃棄物の処理及び清掃に関する法律には、そのような規定がないということから、内容の政策判断と申しますよりも、現行法の条文解釈と申しますか、そういう解釈を示したものだろうと理解をいたしておるわけでございます。 実態的に地方公共団体における上乗せ基準というものの必要性があるかどうかという問題につきましては、御指摘のような御見解もあると存じますので、実は先ほど大臣からお話ございましたように、これから制度の改正等を検討いたします場合、私どもが意識いたしております問題点の一つといたしましては、この上乗せ基準の根拠の規定を置くということについても検討さるべき問題の一つであろう、かように意識をいたしております。
○中島委員 次の問題に移りたいと思うのですが、いま産業廃棄物を出している事業場の数は全国で幾つありますか。
○山下説明員 お答えいたします。 産業廃棄物を出す事業場全体ということになりますと、約五百万事業場ぐらいは存在するのではないかと考えております。
○中島委員 約でございますね。
○山下説明員 はい。
○中島委員 それでは重ねてお尋ねしますが、有害産業廃棄物を出している事業場数はおわかりでしょうか。
○山下説明員 有害産業廃棄物を出す可能性のある事業場ということになりますと、約一万七千程度ではないかと推定をいたしております。
○中島委員 約の推定でございますか。私はこういうところを非常に残念に思うのです。第一、これはもう政令の別表で決めていることでありませんか、この工場は。つまり水質法にリンクして、有害産廃を出す事業場はどういうものであるかということを政令別表ではっきり決めている。その政令別表で決めている事業場の数が約とか推定とかということになってくると、これは一体どういうことかということになるのであります。この辺、どうお考えでしょうか。
○山下説明員 お許しをいただけますならば、担当課長からちょっと御説明申し上げさせてよろしゅうございましょうか。
○山村説明員 お答えいたします。 水法の特定施設として出ておりますのは、各県の水質汚濁防止担当部局から、きちっとリストアップしたものは手に入っておりますが、公共下水道に入っている部分は、必ずしも全部、整理されていないという意味で、一つは推定でございます。また、水系から出てまいります廃棄物以外にも廃棄物が出ることがございますので、そういう意味で推定と申し上げているわけでございます。
○中島委員 これも、私は正確なことはわからないはずだと思うのです。これは厚生省の方の委託研究ですね、この本にこのことが、またはっきり載っておりますけれども、産業廃棄物に関する情報管理及び監視システムに関する調査研究、この中で、各県の有害産廃事業所のリストアップの状況が一覧表になって載っております。私、これを見ましたけれども、大変ずさんな内容であります。これでは、なるほどわからないものだろうというふうに思うのです。つまり、もっと言ってみますと、この廃棄物処理法というのが規制法じゃない、処理法だということでありますから、それはなるほど、わからないのもやむを得ぬのかもしれないと思うのです。しかし私は、行政の姿勢は、そうあってもらっては困る。やはりこれはきちんとつかまなければ、どうして対策や規制ができるのですか。有害産廃をどんどん出している工場が、一体どこにどういうふうにあるのかということがわからなくて、どうしてこれに対する規制が実行できますか。これに対する対策が実行できますか。私は、ここに非常に大きな問題があると思うのです。そういう点では、この現在の処理法、これをやはりもっと性格を変えなければいけない。少なくとも、法的に有害産廃を出している事業所をきちんとつかめるというふうにしなければいけないのじゃないかというように思うのです。そうやりませんと、大臣、廃棄物に対する本当の行政を正しく進めることはできないのじゃないかと思うのです。そういう点で、ちょっと大臣の所見を伺いたいと思います。
○田中国務大臣 いま先生の御指摘の点は私、全くそうだと思います。廃棄物処理法についての取り組み方並びに法制の組み方、いずれにいたしましても私は不十分だったと思います。 そこで、いま先生が御指摘の、実態の把握さえ十分でないということでありますので、私どもは今後、実態を確実に把握するということを一つの改正の、要点として考えておるわけでございます。
○中島委員 次の問題に移ります。 いま、六価クロム鉱滓などの問題が非常に重大な問題になっておりますが、昨日も日化工の社長にここへ来てもらって、いろいろな話を聞きましたが、法施行後はちゃんとやっているというようなことを言うのです。それから、そうかと思うと、鉱滓の有害性ということはわかっていることが明らかであるにもかかわらず、知らない、わからなかったということを言う。労働災害の問題はあるだろうけれども、住民に対する影響はないと思うというようなことを言い切ったりしているわけであります。非常に反省というものがありません。ところが私は、これは日化工だけの問題じゃないと思うのです。なぜならば、やはり先ほど申し上げました厚生省の委託研究の中に、このことについて大変、重要な報告を行っております。この委託研究の報告はこういうことを言っております。「当調査研究の過程で接した企業内の人々の有害物質に対する意識には、問題となる点が非常に多いので、それらを列挙して参考に供する。」こう述べております。たくさん並んでおりますけれども、二、三だけ読みますと、「有害物質の毒性や、環境汚染性に対する意識は低く、規制が厳しいので仕方なく従っているといったところが非常に多い。環境汚染防止の立場よりも、生産優先が貫かれており、生産に寄与しない廃水処理装置は降雨時に運転を休止させたり、立入調査のあった翌日は安心してタレ流すというところもある。」「大企業では企業の機密保持というものが、全てに優先している感がある。」「自社の衰退を恐れるあまり、人体に対する毒性や蓄積性の環境汚染が当然予測できる製品でも、明らかな被害が発生するまでは製造を続けるという体質や意識はまだ根強く残っている。」「「公害問題はごく一部の過激分子がある目的のために、騒動を起す手段に利用しているデマゴギーに過ぎない」という発言は大企業の公害部門を担当する部長クラスの人たちの常套句になっているようである。」「産業廃棄物処理のほとんどは業者委託というところが多かった。しかし、委託先の業者がどのような最終処分をしているか、それを確認している企業は全くないといってもよい状態であった。これにより産業廃棄物処理責任について再考する必要がある。」これはとく一部ですけれども、読み上げてみますと、こういう結果を報告いたしているのであります。こんな調子では、私は公害というのは防げないと思うのです。やはり企業の責任追及と企業に対する規制が必要だと思います。 こういう点から法律を見直してみますと、三条及び十条で事業者の責任について規定してありますけれども、これはあくまで訓示規定でありまして、具体的に事業者の責任がどうなっているかという点を見ますと、これは非常に不十分、不徹底、不備と言わなければならないと思うのです。実は、このことは、わが党が、この法律を審議しました、いわゆる公害国会において、はっきり当時、指摘したところであります。そうして修正案を提出したのでありますが、たとえばこういう点であります。 一つは十二条第一項、事業者は産廃をみずから処分するか許可業者に処分させなければならないというふうに規定されておりますけれども、これに違反して無許可業者に処分させても罰則はないのであります。また十九条の立入検査の規定、この問題でも廃棄物の保管場所、処分場所についての権限はありますけれども、生産工程に対する権限は明文化されておりません。さらに処理業者の処分の場所への立入権限は明記されておりません。また十八条で、自治体が事業者から報告を徴収する権利は規定してありますけれども、しかし、事業者あるいは処理業者の廃棄物処理について記録の義務づけが規定してありませんために、しり抜けになっております。 〔委員長退席、島本委員長代理着席〕 さらに、一たん処分が完了した産業廃棄物についての管理の義務も規定されておりません。十二条四項で、産業廃棄物の処理の方法についての違法の場合の変更命令について規定してありますが、原状回復については明記されておりません。いろいろ挙げれば、もう本当に切りがない状態であります。私はそういう点では、事業者の責任という点は、この法律では非常に不十分でありますし、不徹底でありますし、大変、不備だと思うのです。厚生省の方では、先ほど大臣、法律の改正問題ということについてもお話がありましたが、いま私が申しましたような企業の責任、この点をやはり明確にすることが必要だと思うのですが、そしてまた、これを明確にした法律改正を必要とすると思うのですが、どうでしょうか。ここはやはり一番の出発点になると思うのです。
○山下説明員 ただいま先生が御指摘になりましたような問題点、午前中からも申しておりますように私どもも意識をいたしておりまして、それらの点を検討いたしたい、そのためにこれから始めたいということでございます。ただ、いずれの問題一つとりましても、法理論的にも、また実態的にも、よくこれを詰めて検討してみなければ、いま早急に、軽々に一定の結論を申し上げるというわけにはまいらぬと思いますけれども、ぜひそういうことを検討いたしたい、かように思っておるわけでございます。
○中島委員 次に、環境保全上重要な、有害物質の規制の問題ですね。この問題についてお尋ねしたいと思うのですが、これまた非常にこの法律では不十分だと思うのです。有害物質の対象が限定されております。これは七物質の指定があるのですが、その施設も水質法でリストアップされているものに限られているわけであります。ですから、そのために、これ以外の、たとえば印刷製版業などからは、銅であるとか、あるいは鉛とかクロムが排出されておりますけれども、特定施設の指定を受けていないわけであります。もちろん中小の企業の共同処理というようなことについて、また別の面で行政の側からも援助をしなければならないということは明確な問題でありますが、しかし同時にまた、この法によって規制がきちんとできるというようにすることも大事な問題であります。そういう点が抜けているとか、あるいはマンガンなどという物質についても、これも指定されていないわけであります。マンガンだけに別に限ったことではありません、私は一つの例を申しておるにすぎません。また、この日本化工というような、そこに限るわけではもちろんありませんが、そういうところでの集じんダストの中には、たくさんの有害物質が含まれておりますけれども、この集じんダストは、これはまた有害産廃というふうにはなっていないわけであります。やはりこういう問題ですね。これはせっかくいま検討するというのでありますから、廃棄物法の有害物質として、この種の物は指定しなければいけないのじゃないかというように私は思うのですが、いかがでしょう。
○堀川説明員 ただいまのお尋ねの件でございますが、確かにダストの問題とか、その他すでに昨日の御論議の中にも出ておりましたけれども、われわれとしても検討しなければならぬ問題があると考えておりますので、今後の問題として、真剣に検討してまいりたいと思っております。
○中島委員 建設省の方にお伺いしたいのですが、下水道法の施行令の十三条の二で指定することになっております有害汚泥の問題であります。これについての指定は現在まだ行われていないと思うのですが、しかし、これは四十八年度の建設省の調査によりましても、下水道の汚泥の発生量というのは九千七百三十七万トンという非常に大きな量に上っているわけであります。いまだに指定をされておられないと思いますが、これはやはりはうきり早く指定する必要があるのじゃないかというように思うのですが、いかがですか。
○井前説明員 有害汚泥の指定につきましては、有害な産業廃棄物に係る判定基準が定められました昭和四十八年の三月でございますが、その判定基準に合わせまして、その指定の資料といたすべく、私どもの方でも同年に有害汚泥発生のおそれのある処理場につきまして対象といたしまして、実態調査を行ったわけでございます。その結果、若干の処理場では確かに、そういう処分方法を別といたしますと、その判定基準を若干、上回るものもあったわけでございますが、その後、工場廃水に対する指導、監督の充実あるいはまた工場側で設置する除害施設の整備の充実によりまして、有害物質が減少いたしまして、今後とも継続して、そういう判定基準を超える状態にあるものはなくなったという判断から、現在のところは、まだ有害汚泥を指定されたところはございません。 しかしながら私どもといたしましては、今回の六価クロムの問題から考えまして、もう少し基本的に十分、実態の調査をすべきではないかということを考えまして、これを機会に、もう少し定期的な汚泥等の試験を行う、あるいは除害施設の指導の徹底を図るというようなことで、努力していきたいと思うわけでございます。問題は、下水道の場合は、除害施設の普及に伴いまして、汚泥中に含まれます有害物質は漸次、減少していくものでございまして、基本的には基準以上の有害物質を含む汚泥は経過的なものであろうかと考えますが、そのためには、やはり第一次的には除害施設の指導を強力に推進したい。それでもなお継続いたしまして調査して、かつ有害物質を基準以上に含むおそれのあるものにつきましては、御指摘のように指定制度を今後、適用していきたいというふうに考えておるわけでございます。
○中島委員 いまのお話だと、また基準が問題になって出てくるわけなんですね。この基準以下だからいいのだ、これからも調査して、基準を超えるものがあれば云々と、先ほども申されたのですけれども、基準以下であっても蓄積をすれば、やはり絶対量は多くなっていくのです。そういう点からいって、もうすでに大気は総量規制に踏み切っておられるわけだし、それから水質も総量規制に踏み切ろうとしておられるわけですね。やはり厚生省で出しておられる廃棄物処理実務便覧ですか、これを見ましても、この中でやはり総量規制の必要ということをにおわしておられる。いまそこへ来ているわけですから、いまの下水道の汚泥の問題ということも、やはり、そういうことを十分、考慮に入れて指定を行うというふうに踏み切っていくべきではないかと私は思うのです。そういう点では、やはり再考していただきたいと思う。よろしゅうございますか。
○井前説明員 有害汚泥の指定につきましては、私どもだけではなくて環境庁あるいは厚生省といろいろ協議して決めることになっておりますので、その点は十分、配慮して今後進めてまいりたいと思っておる次第でございます。
○中島委員 大変、時間がなくなってしまいましたので、なお法律上の問題で、実はこの法律の性格を端的にあらわしているものは、やはり一番、根本的なものは、捨ててしまえばそれまでという考え方、こういう非常な根本問題があると思うのですね。先ほども申しましたが、やはり処理法になっていて規制法になっていないという問題であるとか、あるいはさらにこの法律が廃棄物の排出を前提としてつくられた法律であって、結局、排出されたものをどう処理するかということにきゅうきゅうとしている。そうじゃなくてこの排出そのものを抑えるという方向に進まなければならないという、これもまた非常に重大な問題だと思うのですが、これらの問題についてやりたいと思っておりましたが、非常に時間がなくなりましたので、これで終わりにさせていただきたいと思うのです。 最後に、これはちょっと別なんですけれども、労働大臣お帰りになりましたが、労働省に一言だけお尋ねしたいのですが、クロムに係る肺がんの労災認定の問題は、クロムの製錬所に限ってだけやられているわけですね。ところが実際はクロムを扱っているのは、メッキ関係とか、あるいは皮革関係とか、たくさんのところがあるわけであります。そういうところも疫学調査をやって、至急にそういうところにまで労災認定の拡大という方向を、政府みずからとるべきではないかというように思っているのですが、このことを最後にお尋ねして、私の質問を終わりにしたいと思うのです。
○藤繩説明員 お答えいたします。 お尋ねのとおり、現段階ではクロムとの関係では、製錬作業に従事している者につきまして疫学調査を行いまして、その結果に基づいて労災認定をしておるわけでございますが、クロムを使用している事業場というのはメッキ工場その他、多々あるわけでございます。ただ、クロムの暴露の状態というものはかなり差異があると思いますけれども、お尋ねのような問題、確かにございます。そこで私どもは、これを機会にクロム全体について、疾病との関係その他を洗い直すという意味で、クロム障害の専門家会議を九月の三日から発足をしたわけでございまして、そういう場におきまして、いまお出しになりましたような問題も十分、検討してみたいというふうに思います。
○島本委員長代理 米原昶君。
○米原委員 時間がほんのわずかですから、一問だけ私、質問するのです。 労働大臣に聞こうと思っていたのですが、もう時間でお帰りになったのですが、これは島本委員からも、さきに問題にされた問題です。 いまもお話しになった臨時工や社外工で入っておる労働者の中に非常に被害が多いということが、新聞でも報道されております。それから、いま質問に出ましたメッキ工場ですが、東京都内の六価クロムを直接使っておるメッキ工場は三ヵ所だけだそうですけれども、この三ヵ所を視察しても、その中から肺がんの死者がもう三人出ておるわけです。そういう点で臨時工、社外工あるいは、こういう下請工場は非常に重大だと思うのです。実は日本化学工業の徳山工場の視察に先月、参りました。これは本社に行ったときに、徳山工場の方は非常に近代的な設備でやっているので、大体、被害はないと思うのだと大変、自慢したので、では、それを見せてくれ。そこで約束をとったので行けたのですが、実は私たちが入るまで、この工場は一切、外部からの視察は許さない、新聞記者も一切、入れたことがないという工場だったということが、行ってみてわかりました。 ところが、工場に視察に入りますと、労働者の人が私のところに近寄ってきたのです。耳打ちをしに来た。何かというと、実はあなたたちがいらっしゃるというので、三日間、休んで工場内を大掃除をやった。これは方々でやることですが、恐らく大臣の皆さんが視察に行かれるときも大抵そうだろうと思う。三日間、大掃除をやった、だからきょうはきれいになっているけれども、これはうそですよ、見ただけで信用しないでくださいということが一つ。もう一つは、一番、危険な個所ですね、ここはいつでも臨時工や社外工を使っているという。職場の本工は絶対に使わない個所がある。きょうに限って、そこには本工を入れています。これを注意して聞いてみてください、そういうことを言われたのです。これは大変な問題ですよ。その後で下請業者にも会いました。事情を聞きますと、問題になっている危険な個所には本工は絶対に使わない、年じゅう、そういうところに使っているのです。しかも、その下請工の人に聞いてみますと、それが危険な個所だとか、どういう注意をしなくてはいかぬ、これは一切、教えない。こういうことをやっているわけですよ。 ですから、けさほどからの労働省の方のお答えでも、今度の問題については、いままで工場に何らかの形で入っていた臨時工や何かを全部、追跡して調査するという方針を労働省としては決められた。これは非常に結構です。これは大変むずかしいですよ。それは徹底的にやってもらわなければ困るということと同時に、大体、臨時工とか社外工を使う場合に、そこの労働条件は非常に危険だということすら教えないでやる、このやり方も違反でしょう。こういうことを一体、許していいかという問題がある。これは単に六価クロムだけの問題じゃなくて、全般的の問題として言えると思うのです。とかく、そういうことをやっているのじゃないか。今度の事件で非常にはっきりしましたけれども、いつでもこういう危険な仕事に対しては、そういうやり方をやるのが、いまの工場の一般的なやり方ですよ。この点、徹底的に調べていただいて、この点はやはりいまの労働基準法でも問題があると思うのです。このあたりは、やはりそういうところに使う以上は、はっきりした責任をとらせるように変えなくてはいかぬと思うのです。この点について見解を聞いておきたい。
○藤繩説明員 お答えを申し上げます。 労働災害の場合に、えてしてそういう傾向がありがちだということは、私どもも承知をいたしております。職業病だけじゃなくて、たとえば事故などの場合にも臨時工、下請工あるいは季節労働者というものがよく問題になりますが、そういう問題がございますので、労働安全衛生法では、特にたとえば二十九条その他の条文を設けまして、元請の責任ということを非常に強く規制をするという態度を打ち出しているわけでございます。なお、今回の問題におきましても、いまお話がございましたように、各企業につきましては臨時工といわず下請工といわず、あるいは退職した方、すべてについて徹底的な調査をやり、また健康診断その他について責任を持つようにということを指示したのも、私どもがそういう問題意識を持っているからでございます。 それから、労災補償につきましては、御承知のとおり、臨時だからとか下請だからとかいうことで差別はございません。私どもとしては、補償は全く同じように行われるというふうに考えております。 それから、メッキ工場その他につきましてお挙げになりましたような問題意識は、われわれも持っておりまして、先ほど来、お答えしておりますように、この九月の上旬におきましては、主としてそういうメッキその他、零細な事業場を含めまして約三千の事業場について、いま一斉監督をやっております。その中で、そういう問題点を私どもとしてもつかまえまして、これを解決するような努力をさらに積み重ねたいというふうに思うわけでございます。
○米原委員 時間が参りましたので、終わります。
○島本委員長代理 岡本富夫君。
○岡本委員 最初に、環境庁長官にお聞きいたします。 六価クロム公害につきましては、四十六年の三月十日、わが党の鳥居委員が決算委員会で取り上げておりますけれども、その前に、二月十二日にこの問題を取り上げましたところが、当時の公害対策本部、政府には、御存じだと思うのですが公害対策本部というのがあったのです。その公害対策本部の一切の事務を同じ年の四十六年七月過ぎでしたか、環境庁ができたときにこれを引き継いでおることになっておるのです。したがいまして、この当時、発言され、あるいはまたお答えになったことは、環境庁が当然、引き継いでいなければならないと思うのです。引き継いでいらっしゃるのかどうか、ひとつお聞きしたい。
○小沢国務大臣 岡本先生、一般論としては先生のおっしゃるとおりなのですが、どういう点をそのときに質問をされ、それに答えた、それが引き継いでおるかどうかという点を、具体的におっしゃっていただきませんと、私どうも新米なものですから、よく理解できませんので……。
○岡本委員 それでは申し上げます。 このとき出席された方は内閣官房の内閣審議官の方であります。その方の答弁では、四十五年の十月二十二日に千葉県の市川におきまして、行徳南部土地区画整理組合が問題の日化工の鉱滓を使って埋め立てする。県の認可が四十五年の十月二十二日なんですが、その一年前に、この埋め立てをされるところの農家の方が、すでに東京都内で、大体、主として江戸川区ですが、この付近の姿を見まして、黄色い粉がいっぱいに出ている、これは六価クロムの鉱滓だから、六価クロムが非常に浮いておって危険ではないか、こういうことで反対をしておるのです。 〔島本委員長代理退席、委員長着席〕 そのときに、この日本化学工業は無害を証明しようということで、先ほどもこの問題を取り上げたのですけれども、日本化学工業協会の判を押した無害証明、「当鉱滓は埋立使用に何ら問題になる成分と量を含んでいない。」あるいは「鉱滓を埋立に使用するときは、六十センチ位盛土すれば普通植物の生育等に支障を来すことはない。」「埋立場所が海岸近くの場所だから地下水塩分が多くて使用に堪えないであろう。従って地下水を使用することはないのであるから問題は何等ない。」こういう証明書を日化工が日本化学工業協会に依頼をしている。これは専務理事がつくったのだと言っておりましたけれども、こういうことをわが党の鳥居さんが質問しているわけです。こういうことは御存じでございましょうか。
○小沢国務大臣 その会議録がございますので、承知をいたしております。
○岡本委員 そうしますと、もう一つ、通産省。通産省はそのときに、森口という方ですが、これは公害保安局の公害部長さんですね、この方が、「日本化学工業協会は、日本の代表的な化学工業社をもって組織されております社団法人でございます。」こういうようにお答えになっておるのですが、そのとおりですか。
○宮本説明員 お答え申し上げます。 社団法人と答弁いたしておりますが、任意団体でございます。法人格は持っておりません。そこだけを訂正さしていただきます。しかしながら、通産省が生活産業局においてこの団体を所管しておることは事実でございます。
○岡本委員 これは、きのうもある方が社団法人ではないというように答弁しておりましたけれども、あなたの方では、はっきりこの議事録の中に社団法人だと答弁しているのですからね。だましていることになりますね。 まあこれはこれとして、そこで環境庁長官にこの問題、これは当時、公害対策本部を引き継がれた、すなわち、あなたの方の所管になるわけでありますけれども、この問題と、それから日本化学工業が、すでにあなたの方もお調べになったと思いますけれども、徳山に進出するために徳山市との間に公害防止協定を結んでいらっしゃるわけですが、その中にクロム汚染防止対策といたしまして「雨水によって残存クロムが流出するおそれがあるので、当社独自の方式により、浸出滓に還元剤を加えて再焙焼し、不溶性3価物に還元したうえで、埋立に使用する。」こういう約束をしているのです。 それから、きのう、おとといの新聞報道によりますと、東京都の公害局が突きとめておりますけれども、東洋火熱会社、この会社の埋め立てに際して、四十二年の七月五日に、この鉱津の中には相当、毒物が入っておるので、六十センチ前後の盛り土が必要だとか、あるいはまた井戸水を飲料水あるいは洗たくに使えないとか、こういうようなものを文書で回答をしておる。ということは、すでに四十六年以前に、日化工の社長は、日化工としては有毒性を知っておったのではないか、こういうふうに私の方で考えられるわけですが、所管の方の長官の考え方はいかがでございましょうか。
○小沢国務大臣 先生おっしゃるように、四十二年にそういう文書を出しておるわけでございますから、有害物質を含有しているぞ、そのために必要な対策も、こういうふうにとらなければ、おたくは工場敷地の埋め立てに使うと言っておるけれども、念のために申し上げますということが出ているとすれば、当然もう知っていると考えなければいかぬので、安全だと思ってそんなことを言うばかはないと思いますから、当然だと私は思います。
○岡本委員 確かにそうですね。きのう社長は盛んに四十六年までは知らなかったというようなことを、ずいぶん鉱滓の無害性をのらりくらりと答えておりましたけれども、いま長官もおっしゃったように、これだけの証拠があれば、これはやはり私は、知っていながらこうした投棄を行っておったのではないかということが考えられるわけであります。 そこで、こういう鉱滓が投棄された場所というものは、非常にその土地にそうしたきずがあるわけですから、これはやはり、このままでおくわけにいかない。すでに東京都では、これを三価クロムに還元するだとか、いろいろな予算を組んだりしておりますけれども、そうしますと、その責任というものはどういうふうになるのか。これは法務省にひとつお聞きしますけれども、民法の七百九条、この七百九条に規定されました不法行為、故意または過失によるところの、要するに販売して他人の権利を侵害しておるわけですから、この不法行為との関係、これをひとつ所見を述べてもらいたい。何だったら事務当局からでもいいですよ。
○松永説明員 具体的な法律問題でございますから、事務当局が参っておりますので、事務当局に答弁させます。
○吉野説明員 お答えいたします。 先ほど先生御指摘のございましたように、民法七百九条によりますと、故意または過失によって他人に損害を与えたという場合でなければならぬわけですが、問題は、その当該投棄をした行為について、どの程度、有害であったかということを知っていたかという故意、あるいは仮に当時、知らなかったとしても、通常人の標準からすれば当然、知らなければならないというようなことであれば、過失というようなことが認められるわけですが、同時に、その投棄行為が違法な行為というふうに評価されることができるかどうか。これはまだ私、具体的な事実関係を詳細に承知しておりませんので、簡単に、ここで即断することができないと思いますので、仮に一つの前提を置きまして、その投棄行為が違法であるという評価が可能であるならば、明らかに損害賠償責任を負担することになる、こういうふうに考えます。
○岡本委員 投棄行為が違反でなければ、その当時は産業廃棄物処理法はなかったけれども、違反でなければ、こういった不法なことが行われても仕方がない、こういうことですか。
○吉野説明員 一般に、つまり、ある物を捨てるということについて、その行為を、これを違法な行為だと評価するかどうかということは、そのときの行為の態様その他によって、いろいろ検討してみなければならぬわけであります。たとえばそれは一応、放任された行為として許されているのか、あるいはそれが危険物、だから、したがって、その投棄行為も違法性を帯びて違法な行為というふうに評価しなければならぬかという問題であろうかと思うのですが、それが私、どの程度、六価クロムが含有されている物を投棄したのか、それがどの程度、人体に被害を与える物かということを、具体的な事実関係に即して検討してみませんと、その行為が違法な行為かどうか、放任された行為というふうに見られるのではないかというようないろいろな問題がございますので、そこら辺のところが、事実関係を詳細、承知しておりませんので、いまこの席で明確に損害賠償責任があるというふうなことまではちょっと差し控えたいと思うのであります。
○岡本委員 たとえばですよ、新潟の水俣病事件あるいはまた熊本の水俣病事件、これもこういった不法行為ですね。当時これはやはり規制というものがなかった時代だったと思うのですが、そのころから、こうしてたれ流しがあって、そしていまこういうような被害が出ているわけですね。ところが、判決によりますと企業者責任というものがいま問われているわけですよ。したがって、一つはこれを考えますと、先ほど長官も明言されましたように、日化工としてはクロム鉱滓の中に毒性のあることを知っていながら埋め立てておる。そういうことを考えると、これは過失じゃなくして故意の方に入るのではないでしょうか。これはいかがですか。
○吉野説明員 十分、人体に危険を与える有害な物質である、それを投棄することによって当然、人体に被害を与えるものであるという認識があったとすれば、もちろん故意によってなされたというふうに認定が可能かと思います。
○岡本委員 この鉱滓あるいは鉱滓が浸透して井戸水が汚染される、そういうようなことになりますと、その地価はやはり下がるわけでしょう。人体影響の前に、まずそういう有毒の入っている土地、これはもう地価が下がるわけです。なぜかならば、使おうとすればもとへ戻さなければならない。そうしますと、その損害賠償というものは、やはり企業がとるべきじゃないか、こういうように考えられるのですが、もう一遍あなた答えてください。
○吉野説明員 地価が下がるかどうかという問題、抽象的で私、断定することはちょっと差し控えたいと思いますが、要するに、たとえばその土地をどのような目的で利用するか、たとえばそういう有害物質が含まれている土地についても、それに関係ない利用の仕方ということも、あるいは可能かと思いますので、一般的にそういう物が含まれているから常に地価が下がる、損害が生ずるというようなことは、ちょっと言えないのじゃなかろうかと思うのでございますが、仮にそういう物が含まれておれば、通常の取引価格よりも下がるものであるということになりますと、たとえば売買の場合ですと、売買の目的物に隠れたる瑕疵というものがあれば、当然それに基づく損害賠償責任その他が生ずることは間違いありませんですが、そういう問題として考察すれば足りるのじゃなかろうかというふうに思っております。
○岡本委員 よろしい。では損害賠償の対象になるという答弁と承っておきます。 こればかりやっておりますとあれですから、次に今後の問題で、先ほどから産業廃棄物の問題がありましたけれども、まず何と申しましても、いまこの江戸川区、後で有島議員からもお話があると思いますけれども、あるいはまた市川の行徳新田、こういったところで、すでに鉱滓を埋め立てして、そうしてその鉱滓のために付近の方々が非常に迷惑をしている。私もここへ調査に行きましたところが、周囲の方がたくさん見えまして、特に子供たちですね、こういった方々が鼻血を出しているとか、あるいはいろいろな鼻の病にかかっている、こういうことを口々に言っておりましたけれども、したがって、これは一日も早く何とかしなければならぬわけですね。法律ができてから、だから、これからの物はこうしますと言いますけれども、いま直ちに相当広範囲なこの状態を何とか解決をしなければならないわけでありますけれども、これについて環境庁長官はどういう御意見を持っていらっしゃるのか、ひとつ承っておきたい。
○小沢国務大臣 午前中も申し上げましたように、私どもは、まず環境に対する影響があるかないかの調査をやりまして、そのおそれがある場合には当然、住民の健康診断までいきます。そしてその診断の結果、いろいろ被害者があれば救済をするというのが私どもの立場でございます。まず一番大事なことは、環境に対する影響調査を、大気と水についてやらなければならないわけでございますので、それを都道府県の担当者に命じておりますから、その調査の結果を待って対策を講じてまいりたい、かように考えます。それと、鉱滓によって埋め立てをされました土地についてはそれぞれ防止対策を講じていかなければなりません。これを粉じんによって付近に影響を及ぼすようなことのないように、また地下水の浸透によって、それが水質に有害な物質の排出にならないように、そういう点を特に防止対策として、これは関係都道府県にひとつ至急やっていただきたいということで指示をいたしておるわけでございます。
○岡本委員 そうしますと、都道府県に指示するだけで、ほかはどうしようもないというわけですか。特に通産省、あなたの方は、四十六年三月十日の決算委員会の質問に対して、結局どういうように企業を指導し、どういうふうにやったのか。あるいはまた、こういう状態を東京都の方に——江戸川の方ですから、東京都の方やあるいは千葉県の方に、通達をどういうふうにしたのか、これを一つお聞きしておきたい。
○宮本説明員 まず四十六年の決算委員会の御指摘事項でございますが、市川市の儀兵衛新田の問題が取り上げられたわけでございます。当時、会社側を呼びまして、同時に、千葉県及び市川市の方でも調査をやっておられまして、その調査の結果、こういうふうにしろという考え方がまとまってきておりましたので、その指導に従うようにということを申し上げました。具体的には、一部鉱津の撤去をいたしましたし、現地での無害化、これはそのときの考え方に従いまして、パイルを打ち込みまして遮断をする、それから覆土をするということをやったわけでございます。さらに今後、鉱滓を埋め立てに使うなということを指示しておるわけでございます。さらに、通産省といたしましては、この廃棄物の処理について一番大事なのは、鉱滓を無害化することであるということで、六価クロムを三価クロムに還元することにつきまして、日本化工及び日本電工両社に対しまして、当時、開発しつつございました還元キルンの技術開発を急げという指示をいたしました。これはちょっといろいろ時間がかかったのでございますが、四十八年の九月に完成をいたしまして、以後、この方式により無害化処理をやるようになっておる次第でございます。 なお、そのほか御指摘の場所も実はあったわけでございますが、この点につきましては、私どももいろいろ頭を悩ましておったわけでございます。たまたま東京都の委員会の報告書が出されまして、それに従いますと、対策といたしまして、たとえば汚染土の無害化、封じ込め、流出水、湧水の排水処理の完全化、住民の健康調査あるいは河川水、粉じんについての監視、こういうふうなことにつきまして手当てをやるようにということが出ておりましたので、それに従って措置をするようにという指導をしておった次第でございます。
○岡本委員 結局、何も行われていないわけじゃないですか。それに従ってやるようにというだけであって、あなたの方は指導官庁でありながら、しかも通産省の、立地公害局になったけれども、その当時は公害保安局ですがね、これは公害を防止する局なんだよ。結局言っただけであって何もやっていない、こういうことでしょう。 そこで、ちょっと忘れておったのですが、法務省にもう一つだけ聞かなければならぬ。先ほど私、申しました日本化学工業協会が、有害でありながら無害の証明を出した、そして、この埋め立てが行われた、こういうことでありますから、行った行為が結局、結論としては不法行為。そうすると、この証明を出したということになりますと、共同謀議に値するのではないかと思うのですが、この点いかがですか。
○吉野説明員 不法行為というのは、言うまでもなく、それによってある一定の損害を生じなければならぬわけですが、いま虚偽の文書を出したということが、直ちに不法行為の損害賠償責任に結びつくか、そういう御質問でございますか。——それは必ずしも簡単に不法行為になるというわけにはいかぬだろうと思うのですが。
○岡本委員 その証明によって、その証明書を信用して、そして埋め立てを許可した。それで受けたところの損害というものがあるわけですね。その場合はどういうように解釈をしたらいいのですか。いかがですか。
○吉野説明員 ですから結局、一種の詐欺にかけて、そしてそういう行為をさせた、そういう問題になろうかと思うのですが、要するに虚偽の文書を出したこと自体は、これは内容虚偽の文書を渡したということで、その行為自体は不法行為というわけではないわけですね。結局、それに基づいて具体的な実害行為がどのようなものとして発生したのか、そこら辺の違法な行為という評価、それと因果関係と損害という三つの関係が明らかにならないと、損害賠償責任というものに直ちに結びつかないというふうに私は思っております。
○岡本委員 そこで次は、時間がありませんから、労働省。 昭和四十六年の三月の時点におきまして、労働省の労働基準局の安全衛生部長さんが出てきて、ここで答弁をいたしておりますが、「御指摘のように、有害物を取り扱っておる事業所におきます除塵とかあるいは排液の処理、残滓物の処理につきましては、先般の総点検の結果、非常に不備であるという結果を把握したわけでございます。」あとは、今後これらの点については指導してまいりますというように答えておるのですね。これは日本化学工業の小松川工場のことでありますけれども、これで、どういうような指導をされたのか、これをひとつお聞きしておきたいと思います。
○藤繩説明員 お答えを申し上げます。 昭和四十五年の九月に、二千七百二十八事業所につきまして、除じん装置を含みます排気、排液及び残滓物の処理状況につきまして一斉点検を行いました結果、未設置率はそれぞれ七四%、二二・五%及び二九・九%と非常に不備であることがわかったわけでございまして、四十六年の三月の決算委員会でも、そのような事実を踏まえて、いま御指摘のありましたような答弁がなされたものと思います。 これに対処するために、昭和四十六年に、けさほど来、出ております特化則、特定化学物質等障害予防規則でございますが、これを制定いたしまして、クロム酸及びその塩を規制対象物質に指定しまして、また発生源に対して、局所排気装置及び除じん装置の設置その他必要な措置で法的に規制したところでございます。 これらの結果につきまして、四十七年の九月に一斉監督をいたしました結果、局所排気装置の不適率が一八・〇%、除じん装置の不適率が二九・七%となっておりまして、四十五年における除じん装置の不適率に比べて、非常に改善が見られております。その後も、さらに監督指導を強化して、環境改善に努めておるところでございます。 また、日本化工小松川工場に対しましては、四十二年に特別衛生の指導を行いまして、その後、引き続き環境の改善を指導いたしまして、抑制濃度の引き下げに努力をいたしておるというような状態でございます。
○岡本委員 そんな抽象的なことを言ってもらっては困るのだ。あなたの方では、この日本化工の小松川工場におけるところの廃液あるいはまた残津物の処理につきまして不備があることをはっきり把握できた。この要注意事務所に関しての一応の把握ができた。これに対して今後、指導してまいりたい。ところが、あなたの方から、日本化学工業の小松川工場に対しての指導実施状況というものをとりますと、四十六年に、これは何月と書いてありませんけれども、それらしき残滓物の処理等に対するところの何の指導もなさってないじゃありませんか。項目もらったのですよ。「重クロム酸ソーダ乾燥器の掃除業務従事者の製品取扱に関する教育について」とか「下請事業場に対する安全管理指導、特殊健診の実施」云々とありますけれども、あと見ましても、残滓に対するところの処理についての何の指導もなさっておりませんよ。これはいかがですか。
○藤繩説明員 労働省の担当する範囲は、主として労使関係に基づく安全衛生面が重点になりますので、その結果としての残滓物処理というところまでが限界でございます。そこで、どうしても労働衛生に即しました点が指摘事項の中心になるわけでございまして、御指摘のように、当時の監督では特殊健康診断とか、あるいは特化則に規定のある、いろいろな点につきまして指示はいたしておりますけれども、残滓物処理について詳細な指示はいたしておりません。ただ、この中にも出ておりますように、局所排気装置あるいは除じん装置についての配慮という状態について、工場側の態度を点検いたしておりまして、監督官の意見もそこに出ておりますが、そういう意味でこの指摘をいたしておるわけであります。 なお、ことしに入りまして、最近そのような関係の通達も出しまして、御指摘のような点は、さらに私どもも、公害との関連もございますし、努力をいたしたいというふうに考えておるところでございます。
○岡本委員 そんないいかげんな答弁では困るよ。はっきり四十六年三月十日のこの時点において、残滓物の処理につきましても非常に不備だったと言っている。御承知のように、この残滓物すなわち鉱滓ですよ、そういうものが飛散して、そうしていかに工場内の作業環境だけよくしたって、それがいっぱい工場敷地にあるわけでしょう。当然そこは、こういうところに勤めていらっしゃる方々が通るじゃないですか。あなたの方で、このときにきちっと抑えておけば、これは今日こんな問題は起こってないのですよ。しかも、そういった指摘が全然なかったのか、私たち公明党で八月二十二日、総点検をやりましたときに、日化工の社長あるいは東京都の公害局長に会いましたところが、労働省からは何のそんな通達もなかったと言うのです。両方とも、そういうふうに明言しておりますよ。労働省から何のそんな通達もなかった、この点についていかがですか。それなら社長がうそを言っているのかな。
○藤繩説明員 御指摘の点は残滓物処理でありまして、安全衛生法の規制対象といたしましては通常、残滓物処理までには及ばないのでありまして、ただ、いまお挙げになりましたように残滓物といえども、それを扱う過程で労働者に影響する、そういう意味で取り扱いを十分、注意するようにという指導は必要でございますけれども、残滓物規制そのものは、安全衛生法の体系というよりも公害立法の範囲に入るというふうに思います。大変、限界的なところでございますので、私どもも注意はいたしておりますけれども、その物を特に焦点に置いて、それだけを重点に監督指導するということにはならないわけでございます。
○岡本委員 そんないいかげんなことを言いなさぬなよ。それは残滓の処理については、これはまだ処理法がないときですよ。しかし、あなたの方で調査をして、このときの答弁では、排液の処理あるいは残滓物の処理につきましても、点検の結果、非常に不備だったために、これを指導いたします。こういうような答弁があるわけですが、このときにあなたの方がもう少し注意して、この作業環境、作業する人だけというよりも、やはり残滓物、要するに鉱滓です。これにも目をつけて、あなたの方から行っているのですから、この方面にも注意をしておけば、私はこんな問題は起こらなかったと思うのです。 それから労働省は、こういう問題を東京都の方には全然、連絡はしなかったわけですか。それから環境庁も、これはこのときは公害対策本部でありますが、それから通産省も、東京都内で起こっていることを東京都には全然、連絡しなかったのですか、いかがですか。
○藤繩説明員 残滓物処理につきましては、やはり限界点でございまして、いまお挙げになりましたような各省との関係が交錯するところだと思いますが、一般的に先般来この問題が生じまして、労働省で事業内を承知しているのに、その情報を東京都その他に連絡をしないというのはよくないではないかという御指摘がございます。私どもも一般的にこういった連絡体制を密にすべきであるという点は、けさほども労働大臣からお答えをいたしましたとおり、そのとおりでございまして、今後とも、その点は戒めてまいりたいと思います。 ただ、私どもも申し上げたいことが一つございますのは、恐らく先生の御指摘もそうだと思いますけれども、工場の中は安全衛生でやっているのだから、労働省が受け持ったらいいじゃないか、工場から外へ出る公害の問題は、関係各省で持ったらいいじゃないか、こういうことがよく言われるわけでございます。安全衛生法を立法するときにも、あるいは公害立法の際にも、私どもと各省の間に、そういう点でいろいろやりとりがございました。しかし結果的には、公害規制というものはやはり発生源に迫らなければ意味がない。人の役所が労使関係に基づいて規制しているところに依拠いたしまして、そうして中は頼む、後はうちだということではだめだから、公害所管庁も直接に公害源に迫りたい、そのために立入権も認めたい。したがって、ある程度ダブるかもしれないけれども、労働省は従業員のことをやるべし、それからその他の点は、やはり企業の中に立ち入りまして、公害源の諸問題を監督、点検すべし、こういうことで政府部内としては、その辺が立法的にも措置されておりますし、思想統一もできておるわけでございます。そこで私どもも、もちろん承知したものは、できるだけ連絡もしなければいけませんし、また、公害絡みの問題でも可能な限り指導監督はしなければなりませんが、その辺の事情はひとつ御了察をいただきたいと思うわけでございます。
○宮本説明員 小松川工場の中の労働災害の問題につきましては、私ども実はそのころ通報を受けておりませんでした。他方、鉱滓の埋め立てによる問題点につきましては、先ほども申しましたように、東京都の方で調査をいたしました調査報告書が出ておりましたし、それから、それに対する対策につきましての打ち合わせの基本方針も承知をいたしておりまして、この点につきましては都それから関係会社、通産省、お互いに連絡をしておったわけでございます。
○堀川説明員 当時の議事録を読み返してみまして、やはり労働省から御説明に見えられた方が、残滓物の問題についても触れて御説明いただいておることは事実でございますけれども、あわせて、そのころ公害対策本部を代表して出ております政府の職員も、この問題には触れておるわけでございます。そのころはまだ環境庁が、どういう形で産業廃棄物の処理の問題について所掌をするかということは、まだはっきりしてない段階のことであったと思うわけでございます。したがいまして労働省の方が知り得たことを、その当時、国会にいろいろ御説明申し上げたということも十分あるわけでございます。しかし、これは政府全体として見れば、そのころの公害対策本部といいますのは、いわば、いまの環境庁の機能を一部、総合調整ということで代行しておったかというふうにも考えられますので、その当時、御議論のあった点は、わが方もそういう総合調整的な問題については受け継いでおるというふうに観念をしております。具体的に廃棄物の最終処理の権限は、その後、法が制定をされまして、確かに厚生省にいったというような事情はございますけれども、私どもとしても、その問題について環境庁は全くあずかり知らなかったというわけにはまいらぬかと思います。
○岡本委員 この時代の公害の所管庁は大体、厚生省だったのです。環境庁へいったというお話ですけれども、大体厚生省であった、厚生省は知らぬ瀕しているけれども、困りますよ。そのときに棚橋という社長さんにお会いしますと、これは大切な問題ですが、労働省の問題ですけれども、昭和三十九年に労働衛生検査センターの指導で予防対策、改善をやった。長い期間ひどいところで働いていた人の中に鼻中隔せん孔にかかった人が相当できているのは事実だ。できるだけ鼻の洗浄等の方策をとってきた。ところがやめる人には労働基準局に労災の認定を届けたけれども認められなかった。そのために会社としては労災補償の十四級に相当する支給をしてきた、こういうことなんですよ。これは江戸川労働基準局ですね。この鼻中隔せん孔、これは相当たくさんの方がかかっている。このときも指摘しておりますけれども、六十一人の患者の名前が出ておる。なぜ、このときにやめていく人たちの労災認定を届けたけれども認めなかった、これはどういうわけなんですか。これは基準局長。
○藤繩説明員 ただいま先生、棚橋社長の言葉を挙げられましたけれども、私どもはそういう会社側からの連絡ということについては報告を受けておらないのでございます。先ほどもお答えいたしましたように、労災保険制度におきましては労働者が申請するというたてまえになっておりまして、ただ、その労働者の申請が困難な場合に会社が援助するというのが施行規則の二十三条に定められておるという体系でございますので、申請者は労働者であるわけでございます。そういう意味で会社が何といいますか、事務上の疑事その他で御連絡になったのかもしれませんけれども、正規な申請が出てきて、それを労働基準局で受け付けなかったという事案ではないかと思います。ただし、前々から申し上げましたように、鼻中隔せん孔につきましては、従来から関係者の間に、これらの身体障害に対する認識というような点について、確かに十分なものがございませんでした。そこで私どもといたしましては、今回そういった問題も一掃するという意味におきまして、新たに通達を発しまして、すべて鼻中隔せん孔のある者については労災の対象にするという措置を打ち出したわけでございまして、今後申請のある者については、すべてそういう措置をとってまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
○岡本委員 これは、この当時は非常にあなたの方の認定がシビアだったと思うのですよ。私、徳山の工場に行ったときもそうでしたが、その一つの証拠は、北海道で日本電工の栗山工場におけるところの肺がんの人たちの認定をいたしておりますね。ところが同じような会社、工場であるところの、この同じような物を扱っているところの日本化工の小松川工場ですか、こういうところなんか、ほかは全国、全然あなたの方から通達していないじゃないですか。北海道にやっているだけじゃないですか。同じような状態だと思う。いままで全部あなたの方でしぼっていたのじゃないですか。そういう労働省の姿勢というものは、いままで労働者の健康を本当に維持していこう、また救済していこう、保持していこうという熱意が欠けていたと思うのですよ。この点いかがですか。
○藤繩説明員 御質問の点で、鼻中隔せん孔と肺がんと二つございますが、ただいまお挙げになりました肺がんの点につきましては、疫学調査の時期がおくれたというような御批判もありますけれども、調査結果が出ましたのが昨年の三月でございまして、それを受けまして直ちに必要な労災認定をすべきだということで、この場合も労働者側から認定の申請が出ていたわけではございませんけれども、すべて役所の方から行政指導をいたしまして、まず栗山の認定をした。それから小松川につきましても、同じような事情がありましたので、この指導をいたしまして、十二月までには認定を完了いたしております。その点では、私どもとしては申請がある者はすべて措置をいたしておりますし、今後もその態度には変わりはないわけでございます。 ただ、お挙げになりました鼻中隔せん孔につきましては、正直、申しまして、役所も含めまして関係者の間に、これについての労災というものの認識が不徹底であったということは、率直に私どもも認めざるを得ないと思います。そういう意味で、今回すべての者を対象にするという思い切った措置をとったわけでございまして、その点は事情を御了察いただきたいと思います。
○岡本委員 次の有島君にかわりますが、そこで、この四十八年に北海道の栗山工場の方だけに肺がんの認定をしているわけですよ。ほかの小松川工場はしてないわけですよ。これはあなたの方からもらった資料です。これは後でもう一遍、検討してください。 そこで、最後に厚生大臣に一言お聞きしますけれども、産業廃棄物の対策の法律、産業廃棄物の処理法、これは非常に不備だとあなたもお認めになった。どこ、どこということを私も指摘しようと思ったけれども、あなたもわかっていると思います。それで、これは早くしなければならないのですが、臨時国会は無理だから、通常国会に出しますか。これはいかがですか。
○田中国務大臣 お説のとおり、あの法律にはかなり不備な点が多々あるというふうに私どもは認識をいたしております。したがいまして、これについて改正をいたすべく、いま、それぞれ検討をいたしております。 しかし、その範囲につきましては、いろいろと実は問題があろうと思います。したがいまして、いろいろ考えておりますが、やはり当面、急ぐ点も先生、御指摘のとおりでございますので、急ぐ点については、ひとつ急いで次の通常国会を目途にいたしたい。しかし、いろいろと取り立てれば、いろいろ問題がございますから、それらについては、さらにひとつ検討を加えていくといったような考え方でただいま取り組んでおります。
○岡本委員 では、終わります。
○渡辺委員長 有島重武君。
○有島委員 もう私の持ち時間も大分、詰まってまいりましたので、簡単にいたします。 いまの厚生大臣の法改正の問題でございますが、御意向のあるのはわかりました。それで、いまのお答えをもう一遍、確認さしていただきたいのですけれども、臨時国会はどうなんですか。通常国会にお出しになるのか。そのことだけ。
○田中国務大臣 ただいま準備をいたして検討いたしております。通常国会に提出を目途といたしまして、ただいま検討をいたしております。 ただ、岡本委員にお答えをいたしましたのは、いろいろ調べてみますると、あの法律についてはいろいろと広範囲な問題がございますので、これを全部、洗い立てて改正いたすということになりますと、時間がかかりますので、やはり必要な面については通常国会を目途にいたす、しかし、その後の検討もいたしたい、こういう所存を申し上げたわけであります。
○有島委員 わかりました。そうすると二段階のようにやっていく、まず最小必要なものは早く決めていく、その後の長期的なことも、なおずっと考えていく、そういうお話ですね。 この六価クロムの被害につきましては、もう早くから知られていたにもかかわらず、行政措置が非常におくれた、手ぬるいというようないろいろな批判が先ほどからございました。それに対して厚生省の方では、二年前から産業廃棄物処理問題懇談会といういうのも発足させて、これの結論を近々、発表するというようなことを言っておられたようですけれども、このとおりでございましょうか。
○山下説明員 四十八年に当懇談会が発足をいたしまして、昨年、制度部会並びに技術部会、両部会の報告は出ておるわけでございます。それを受けまして本年初めから懇談会で現在、詰めております。夏ちょっとあいたわけでございますが、今月また開くことにいたしておりまして、目途といたしまして今年中に懇談会の御意見をいただくようにいたしたい、かように考えております。
○有島委員 この懇談会の会長はだれですか。
○山下説明員 堀越禎三先生でございます。
○有島委員 厚生大臣に承りたいのですが、堀越禎三さんといいますと経団連の顧問をいま、やっております。前副会長でいらっしゃる。こういう方にこの産業廃棄物処理問題懇談会の会長になってもらっているということは、ふさわしいであろうかどうか。このことについて、厚生大臣はお忙しいところを残っていてくだすったわけですからどうお考えになるか、私どもとしては、これは大変ふさわしくない人事であろう、そう思うわけです。
○田中国務大臣 堀越さんは経済界の人でございますが、しかし、公害問題、環境問題については非常に関心が深く、造詣が深いということで選任をいたしたというふうに聞いております。しかし、これは私、就任以前の措置でございますが、反面、先生がいま、おっしゃりたいようなことは、私わかるような気がいたしますので、この点については、いろいろと考慮いたすべきものはあろうと思います。
○有島委員 これは国民の感情的なものもあるかもしれないし、十分これは考慮していただきたいと思うわけであります。 それから予算の点でございますけれども、予算はどのくらいになっておりますか。
○山下説明員 私的諮問機関ということで、事務費だけをちょうだいいたしているわけでございます。したがいまして今年度限りの予算になるわけでございますが、今年度、約百八十万円の会議費等の事務費でございます。
○有島委員 厚生省の、きのう、きょうのお答えの中の一枚看板のように言われておりましたこの懇談会が、百八十億かと思ったら百八十万ということでございまして、これはこんなことでよろしいのかどうか、これもひとつ大臣、お考えいただいた方がよろしいのではないかと思います。これはお答えは要りません。 それで大臣、ちょっと私がここに持ってまいりましたのは、私は江東区に住んでおりますけれども、うちの近所に鉱滓がたくさんあるわけです。それで、小沢長官や、それから労働大臣は早速、見にいらっしゃったけれども、ちょっと、これを見ておいていただきたいわけです。黄色くなっておりますのが六価クロムでございまして、その赤茶けておりますのは、その大畑クロムの鉱津を中和しようというので、硫酸第一鉄をかけて、そして茶褐色になっておるということです。それで、その茶褐色になっているというのは、表面をもう本当にわずかに覆っているだけでありまして、それは処理後の土なんですね、だけれども、六価クロムの黄色いのが見えております。私はもっと大きいかたまりを持ってこようと思っていたわけです。ところが、現場にいらっしゃった方が、有島さん、持っていくのもいいけれども、それをどこに捨てますか、こう言われたわけですよ。それで、では、なるべく小さいのにしようと思ったのだけれども、これは先ほどからも議論はいろいろ積み重ねておりますけれども、それは厚生大臣に私は差し上げたいと思うのだけれども、差し上げたら、大臣その始末をどうなさいますか、どこに捨てますか。
○田中国務大臣 技術上の問題ですから、専門家からお答えをいたすのがよろしいかと思いますが、私どもが聞かされているところによりますると、やはり今日の状態では硫酸第一鉄をもって還元剤を加えて三価クロムにする。しかし、三価クロムについでもいろいろ議論がございます。したがいまして、地下水や土壌と遮断をして埋め立て、覆土もするといったようなことが、今日われわれが聞かされているところでございますが、基本的には、今後の問題として根本的な検討を、環境庁を中心にして私どもの厚生省もこれに参加をいたしておりますが、六価クロム鉱津問題技術検討委員会の検討の結果に従って、適正に処理をいたしたいというふうに考えておるわけでございますが、処理の仕方については、具体的にはやはり現場の実情等に応じてケース・バイ・ケースに対策を立てる必要もあろうというふうに思っているわけでございます。 素人でございますので、お答えが不十分かと思います。
○有島委員 こんなわずかでも、かなり気味が悪いわけでございますけれども、これが庭いっぱい広がって、その中にいまも人がいるわけです。ですから、これは非常に早く手を打っていただかなければならないし、それからもう一つ、私がお願いしたいのは、こういう物があるのにもかかわらず、こういうふうにしていれば大丈夫なのだという予防衛生のようなことが何か、いろいろな通達が出ますけれども、そうした通達が一発、出てもいいのじゃないか。 私は、きょうは学校の問題なんかもやりたいと思っておりましたけれども、時間がないから、やりません。 それからもう一つの問題は、捨てる場所ということ。業者は産業廃棄物をみずから処理しなければならないのですけれども、それでは、どこに処理するかという捨て場について、従来、何にも国としては相談に乗っていない。 それからもう一つは海洋投棄なんかの問題、先ほども出ておりました。詳しいことはもう全部やめますけれども、実際その業者の方に聞いてみますと、捨てるときに相当いいかげんな捨て方をしてしまっても、チェックしているところがどこにもないわけです。ですから私の聞いたのは、うちはこういうふうに良心的にこうやって捨てているのだ、だけれども、いいかげんに捨てているのがたくさんいるのだ、それをだれもチェックしてくれない、そうすると、われわれが一生懸命やっているのが、あほらしくなってくるというような現象が起こっておる。これも余り結論的なことも、時間がありませんので詰めませんけれども。 以上、本当に二、三のさわりでございますけれども、これでもって私、終わりますわけでございます。
○渡辺委員長 林義郎君。
○林(義)委員 大変、遅くなりまして申しわけないと思っておりますが、若干の時間いただきまして、質疑を行います。 まず、小沢大臣にお尋ねしますけれども、きのう来、いろいろと議論がありました。午前中には関係の参考人を呼んで話を聞きましたし、午後は学者の話を聞きましたし、きょうは朝から各省の方々に、長時間にわたり御質疑をして答弁をしてもらったので、だんだん問題がはっきりしてきたと思います。問題は私は、はっきり申しまして、一つには労働災害の問題である、一つにはやはり廃棄物処理の問題だろう、二つに分けて考えたらいいと思うのです。 クロムの問題でありますが、長官、クロムという物を御存じだと思うのです。クロムという物は長官の体の中にもあるのです。どのぐらいあるかというのは大体、御存じだと思いますが、お答えいただけませんか。
○小沢国務大臣 私の体の中にあるということは、私も聞いたことがございますが、どれぐらいあるかは、まだわかりません。
○林(義)委員 昨日の関東学院の武藤さんの資料によりますと、クロム塩、これは全クロムであります。全クロムは、動物の体内には数十から数百ppbある、こういうのが出ています。〇・Xppmまたは〇・〇Xppmということで勘定していいのだろうと私は思うのです。クロムという物は天然自然にあるときには、やはり有害なものでありますし、土壌中にありましても、これは植物その他動物の中には特に入っているわけですから、人体のみならず自然界としては当然なければならない物質だと思うのです。それが今回こういうふうに問題になりましたのは、私は、やはりクロムが六価クロムという形できわめて有害な影響を及ぼす、こういうところから出てきていると思うのです。そこで、クロムによってもたらされるところの影響というのは、鼻の問題、これが一つあります。それから最近になりまして——最近でもないかもしれない。日本では最近だと思いますが、外国の学者から指摘をされておった肺がんとの関係がある。 私は労働省にお尋ねをしたいのですけれども、いろいろと労働省、対策を講じてきているということでありますが、現実に肺がん等の疾病が発生しており、また鼻中隔せん孔の障害者がいるところを見ると、いままでの対策がやはり的を射ていなかったということは事実である。これは歴史的な流れからすれば、私は事実だと言った方がいいと思うのです。しかし、労働省のとってきた対策が、一体、効果がいままで上がってきているのかどうか。一つの事象があって、それに対して対策を打つ。対策がおくれた云々ということで、ずいぶん責められましたけれども、それは歴史的、社会的な産物でしかないと思うのです。この産物について一体、その効果があったということだったら具体的に言ってもらいたいのですが、どうでしょう。
○藤繩説明員 肺がんとの関連で、あるいは鼻中隔せん孔との関連で、非常に対策が遅いじゃないかということを言われておるのですが、問題がやや混乱していると思いますのは、肺がんそのものにつきましては、外国の文献等はございましたけれども、日本で発症いたしましたのは三十五年に一件で、一件ではなかなか把握ができない。それから四十三年でしたかに一件。あと四十五、四十六と三、四と出てきたものですから、これはおかしいということで疫学調査に踏み切った。疫学調査が昨年の三月に結果が出まして、その後、労災認定等もどんどんやっておるわけでございます。ただ、クロムその物の障害につきましては、基準法施行以来、職業病に挙げているほどでございまして、皮膚炎あるいは鼻中隔せん孔については古くから知られておったということでございます。したがいまして、それに対応して安全衛生規則あるいはけさほど来、申し上げておるようないろいろな対策をやってきたわけで、それがまた肺がん等の対策にも、ある程度なっておったと思いますけれども、先ほども御説明しましたように、肺がんの製錬作業に従事している従事歴は平均二十三年もでございまして、外国でも二十年、三十年でございます。大変、長い期間、潜伏といいますか、経て出てくるという点が、事故による災害などとは非常に違った要素でございます。そういう意味で手おくれ、すべて対策が早かったとは申し上げませんけれども、非常に遅いという印象を与えるというきらいもあることは否めないと思うのでございます。 そこで、けさほど来、申し上げておりましたいろいろな対策で、どういう効果が上がっているかという一、二の例を申し上げますと、たとえば全体につきましてクロムの健康診断の結果を見てみますと、三十一年のころには有所見者率といいまして、健康診断をやりましたうちで問題があると思われる者の割合というものは一八%もありました。それが四十年には一〇・六%に減っておりますが、特に四十八年には二・一%に減っておるということで、非常に有所見率が減少を見ております。それからまた、日化工の小松川工場で、この鼻中隔せん孔になった人たちを発症の年次別に分類をしてみたわけでございますが、そういたしますと、戦前から昭和三十年までに、全体で百十三人のうち実は八十人出ておりますから、発現率としては七〇・八%でございます。三十一年から四十年までに三十人で、発現率が二六・五%であります。四十一年以降はわずか三人でございまして、発現率が二・八%ということでございますので、一たん出ますと、これは治らないということで残っておりますが、久保田先生などが三十九年ごろからいろいろ指導をした、その結果は非常に改善された。栗山工場につきましても類似のデータがございますが、要するに特別指導をやれば、ずいぶん減少した。だから逆に申しますと、うらむらくは、そういう指導をもっと早くやるべきであったという点については、私どもとしても強く反省をしなければならないと思っております。
○林(義)委員 私は一つのタイムカプセルというのをながめるような気がするのですよ。歴史をさかのぼって、いまだったら非常におかしなことがある、いまからすれば、こういう点もあるだろう、こういう点での反省というものは常にしてもらわなければならない問題だと思うのです。そこでさかのぼってタイムカプセルを見るのと、将来に向かってということでありますが、きのう私はお医者の方に聞いてみたのですが、はっきりしない。たばこも実は肺がんの影響がある、六価クロムに限らず、きのうの話では三価クロムもどうかわからない、疑わしいというよりも、何かまだ研究してみなければわからないという話であります。最近では塩化ビニールにつきましても、外国の学者などが発がん性として危険である旨、警告をしておりますが、一体、労働省としてはその辺をどういうふうにお考えであるのか。昔の問題ではないのですよ。将来に向かってどう考えていくのか。発がん性というのは、なかなかそう簡単に決められない問題だと思うのですよ。がんというものが治療薬がないと言われておりますのは、原因がわからないからだと思うのです。発がん性物質という物、いろいろありますけれども、この問題につきまして、どういうふうに考えておられるのか、私はお尋ねしたいと思います。
○藤繩説明員 がんという問題は、大げさに言えば人類全体がいま取り組んでいる大問題だろうと思います。したがいまして、その原因なり治療法なりということにつきましては、まだいろいろな考え方があって定説がないというのが実情でございますけれども、問題は、私どもの担当いたしております職業病の範囲で、やはりがん原性の物があるのではないか。もし、あるならば、できるだけ速やかに予防措置をとるべきであるということは言うまでもないことでありまして、今度のクロム禍の問題を契機といたしまして、一段と私どもはその認識を深めなければならないと思っております。 いまお挙げになりました塩化ビニールモノマーの問題もその一つでございます。先ほども、ちょっと触れましたのでございますが、実は私ども、いま職業がんのがん原性の物質としては一応、二十四とらえておりまして、たとえばベンジジンでございますとかベータナフチルアミンとかいう物につきましては、すでに製造禁止の措置をとっておるわけでございます。それからさらに、その次にむずかしい物につきましては製造許可の措置をとる。それから、一般的には非常に強い規制のもとにこれを置くというようなことで、二段階、三段階のいわゆる特化則で規制をしておる。この十月に特化則を改正すると申しておりますが、その中で、この二十四のがん原性の物質については、それぞれの規制を深めていきたいと思っております。と同時に、職業病としての発がん物質の問題は非常に重要でございますので、昨年の暮れから職業がん対策専門家会議というものも省内に置きまして、寄り寄り研究をしております。 特に塩化ビニールモノマーにつきましては、四十四年に東京で開催されました国際労働衛生学会で指端骨溶解といって、指の先が溶解するというような障害発生が報告をされました。それ以来、私どもとしては早速にタンクの中の作業はできるだけやらない、重合槽の作業はできるだけ行わないように、それから労働衛生の保護具をできるだけ着用せよ、それから健康診断を励行するというような指導をやってまいりました。ところが四十九年の一月、昨年でございますが、アメリカで非常に珍しい肝血管肉腫というのが発見されまして、これは先ほどもお答えいたしましたが、クロムの肺がんなどと違いまして、こういう物質でなければ人間には発生しないがんであるということが突きとめられたわけでございます。そういう意味で、この塩化ビニールモノマーというものは非常に問題の物質だということでございます。私どもは直ちに昨年の三月に、きのう当委員会にも参りました労働衛生研究所の坂部部長をアメリカに派遣をいたしまして実情調査を行い、帰ってみえてから専門委員会を開催して、さらに六月にはそれを主体とするいろいろな通牒を発して指導を励行いたしております。 なお、最近一部、報道されておりますが、愛知県の三井東圧の下請の労働者の方で、この重合槽のタンクの掃除に十年間、従事しておった方が、これは肝血管肉腫というようなものではございませんが、門脈圧亢進という、やはり非常に珍しい職業病が出ております。これについては一例ではございますけれども、ほかにない例でございますので、私どもとしては今明日中にでも労災認定をしようと思っておるわけでございまして、お尋ねのがん原性の物質については、特にシビアに私どもとしてはいろいろな手を打ってまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
○林(義)委員 いろいろと研究しておられるようでありますが、私は、現実問題として、六価クロムの問題にいたしましても、今回、問題になりました六価クロムの製造工場だけではない。いみじくも合化労連の太田委員長が言っておられますように、これは前から知っておりましたよ、そんなところだけではない、メッキ工場や革なめし工場なんかたくさんあるのだ、こういうふうなことを言わんばかりの話が出ておる。塩ビにいたしましても、モノマーをつくるところはありますけれども、また、いろいろな小さな工場がたくさんあるわけであります。そういったところの対策ということですから、いろいろなことをやはり考えていかなければならない問題だと私は思うのです。大きなことだとおっしゃいましたが、現代文明に対する一つの大問題だろうと私は考えておるのでありますから、そういうおつもりでひとつ、やっていただきたい、こう思います。 今回の問題でずいぶん問題になりましたが、大島九丁目ですか、日本化学工業が捨てておったところのどろ、鉱滓、そこで東京都が地下鉄十号線を引こうとした、ところが下請の業者が掘ってみたところが、おかしな物が出てきた、ボーリングをしましょう、こういうことでありますが、どうもこの辺の議論が、私は議論として大分、混乱しているのじゃないか、こう思うのです。先ほども不法行為ではないかというふうな話がありましたが、もう売買されたのが四十六年、七年であるし、土地を買ったのはそのころでありますから、すらっと考えるならば、これは民法七百九条の不法行為の問題で取り上げるのではなくて、本来ならば、これは七百十七条に土地の工作物の無過失責任の規定がある、その規定を適用した方が一般常識としては筋だろうと私は思うのです。土地をだれかから買う、私がどこかを質って、掘ってみたら中に小判があったということになれば、その小判は当然に土地収納所有者に帰属するわけであります。それから、もしも何かかわらなどがあったならば大変だということで、いろいろのなにをする。もしも害毒を流す物があれば、その土地を持っている人がやはり責任をとらなければならない。こういうのが第一原則だろうと私は思うのです。もちろん七百十七条にありますけれども、もしも、そこで土地の所有者として損害賠償の責めに任じて、それに対して求償をすべき者があれば、求償権という規定が置いてありますから、その規定を発動すればよろしい。求償権ということになれば、民法でいいますと債権契約になりますから、債権上の問題という形で五百七十条または五百六十条を使うというのが考え方である。というのは、産業廃棄物の処理法ができた後の問題は違いますけれども、いまのは前の話である。前の話だと毒物劇物取締法も関係がない。それから公害法の規制もそこまで及んでないということになれば、よるべき法律はないのですから、法律がなければ、そこはやはり民法原則に返って議論をしなければしょうがないのだろう、こう思うのです。私は素人的に法律論はそう考えるのですけれども、いまの私の考え方について、法務省当局は一体どういうふうにお考えになりますか。御答弁ください。
○吉野説明員 六価クロムの廃棄された物が、直ちに先生、御指摘のような民法七百十七条の「土地の工作物」になるかどうかという点については、かなり疑問でありまして、実はそれは土地そのものではないだろうか。「土地の工作物」というためには、やはり土地の上に密着して何か工作せられた物がなければならぬ。ところが、いまのはまさしく地面の上にしつらえたあれでございますから、それは土地そのものである。したがって、七百十七条の規定に従って責任を追及できるということは、ちょっと民法上は困難ではなかろうかというふうに私は思います。
○林(義)委員 私も実は工作物というので、そうじゃないかなと思って調べてみたのです。工作物といいますと、橋をかけるとかあるいは灌漑用水をつくるとかなんとかという話がある。ところが有泉さんのコンメンタールを読みますと、いろいろなそういった形で覆土をしたり何かをするのも皆、入るのだというふうに書いてあるのですね。土地の工作物ということになりますと、上の建物はそうかもしれない。そうするとアスファルトはどうだ、コンクリートにしたらどうだ、こういうふうな形になるのだろうと思うのです。恐らく鉱滓を捨てたのも、その土地をかたく締めるために捨てたのだろうと私は思うのですね。大体あの辺ですから湿地帯である。少しかたくしようと思って、みんな捨てたのだというふうなことが一般に言われておるわけですから、解釈としては、「工作物」というふうに書いてありますから非常にむずかしいかもしれないけれども、そういうふうな類推をした方がいいのではないだろうか、私はこう思うのです。七百十七条にいたしますと無過失賠償責任になるし、七百九条を適用すると故意、過失責任を問わなければならないということである。土地の所有者は、その土地から発生するところのいろいろなものについて無過失の責任を負うというのが現代的な法制ではないか、また現代に適した考え方ではないかと私は思いますが、どうなんでしょう。
○吉野説明員 確かに民法の参考書の中には、そういった盛り土をしたような場合には、その盛り土については民法七百十七条に言ういわゆる「土地ノ工作物」と解すのが妥当であるというふうな見解もございますし、それからまた下級審の判例でございますけれども、これは私の記憶するところでは、横浜地方裁判所のたしか昭和三十八年の判例ではなかったかと思いますが、高台に土盛りをいたしまして、その土盛りしたものが台風のときに崩れ落ちまして隣家のへいを壊したというような事案で、かような場合には盛り土は民法七百十七条のいわゆる工作物に準じて、この規定を類推適用することによって損害賠償責任を構成するのがよろしいというような判例もあるわけでありますけれども、これは特異な考え方ではなかろうかと思います。 一般的に申しますと、やはり「土地ノ工作物」というところまでは通説はいっていないのではなかろうか。ただ、それがたとえば石がきによってきちんとされて、そして盛り土されたというようなことになりますと、これはやはり「土地ノ工作物」というふうに認定することになろうかと思います。要するに、その具体的な事実関係をそれぞれ検討していきませんと、一概にこれは「土地ノ工作物」になるとか、ならないとかというようなことは、ちょっと断定しにくいと思うのです。 参考までに申し上げますと、同種の規定がたとえばドイツの民法にもございますのですが、それをちょっと調べてみたところが、ドイツ民法には八百三十六条という規定がございますが、これは向こうの大審院の判例でございますけれども、残土を捨てたというような場合には、そういうものは、いわゆるこの土地の工作物的なものにはならないのだというような判例もございます。 そういうようなことを考えていきますと、日本民法の七百十七条の解釈として、六価クロムの物が直ちに「土地ノ工作物」になるかどうか、本件の場合に直ちにそういうふうに断定できるかどうかということは、具体的な事実関係に従って決定していかないと、そういうふうに言うことはできないのではなかろうかというふうに私は思います。
○林(義)委員 確かに「土地ノ工作物」という点については問題があると私は思いますが、学説的にはそういうふうなことでもあるし、むしろ解釈論としては、どうも七百九条の適用をしてどうだこうだという議論をするよりは、やはりこの七百十七条で読む方が何かすらっとしている。当時は、いまのような問題はなかったでしょうからということですが、土地所有権ということから考えれば、当然にそういったことを考えていかなければならないのではないかと思うのです。 特に今回の問題で私が思いますのは、その土地に六価クロムの鉱滓を捨てたり何かしたときの事実関係というのは、本当言ってなかなかつかめないだろうと思う。七百九条の適用などというのは、とにかくできないのだろうと思うのですね。そういったことと、それから当時の状況としては、買う方も金を出して買ったり何かしたので、鉱滓を捨てたら大変だなどという意識が余りなかった。そういうような状況でありますから、私はむしろそういった形で、土地の所有者あるいは占有者が責任を持ってやるというような考え方にしておいた方が、この問題としてはいいのではないだろうか、こう思うのです。 そこで私、大臣にお尋ねをするのですけれども、この問題に関してPPP原則というのがいろいろと言われておりますね。私はどうもいまのような議論からしますと、PPP原則というのはポリューターズ・ペィ・プリンシプルなんです。決してプロデューサーズ・ペィ・プリンシプルではないはずなんです。生産者がすべてを負うという責任ではない。要するに汚染者が責任を持たなければならないというのが原則だろう、こう思うのです。それで、途中にだれか一人、入ってしまった。そのときの責任というものは、それは大だんびらを掲げて企業をいじめるのは非常に簡単なことだろうし、かっこうのいい話でしょうけれども、実定法では必ずしもそうはいかないと私は思うのです。実定法では、廃棄物処理法ができる前と後とはやはり違うし、実定法ができたならば、廃棄物処理法ができたならば、その後は少なくとも企業者が廃棄物の処理について責任をとらなければならないという規定がありますけれども、その前は何もなかったのですから、そこまでさかのぼるということは、私はどうも合点がいかない、こう思うのです。野党の諸君は企業責任だというふうにおっしゃいますが、どうもその辺は実定法的にもう少し詰めて議論をしていただく必要があるだろうと私は思うのです。というのは、もう一つ言えば、それでは、いつまでさかのぼるかという問題になってくるだろうと思うのです。会社ができたのはもうずいぶん昔の話でありますから、昔からずうっと鉱滓を方々にばらまいているだろうと思うのです。それを全部、調べてどうだこうだということになりますと、また、これは大変なことになる、そういったことでやるのがいいのか、何か別のことを考えていかないと、単にこの原則だけでやっておったのでは、私は収拾がつかないようなことになるのではないかと思いますが、大臣、この辺につきましてはどういうふうにお考えになりますか。現地を視察されたときも、何かいろいろお話があったようでございますが、率直にこの際、大臣はどういうふうにお考えになっておられるのか、お尋ねしたいと思います。
○小沢国務大臣 企業はやはり社会的責任というものを考えなければいけませんから、そういう面でこれだけ問題になった六価クロムの鉱滓の廃棄、それから生ずるいろいろな問題ということについて、企業が民法上たとえばいろいろな理論をもって全く責任がないとかいうような議論は、社会通念上やるべきではない。やはり社会的な責任というものを企業は感じて、それに応ずるだけの姿勢は持っていなければいかぬだろう。しかし、本当に法律的な立場から考えてみて、たとえば私が視察に行きました三ヵ所の土地を見まして、その経過等を考えてみますと、どうもあのときに私には、たしか東京都の公害担当者から、企業の責任を追及しているが、なかなかうんと言わない、中央からも応援してくれという話がありました。そのときに私はまず地下鉄の何か工事をやっているところへ最初、行ったわけですが、最初に東京都の公害局長が説明しましたのは、四十七年に自分の方が入手をして、時間がないものですから詳しいことは説明しませんでしたが、四十八年にいろいろ環境影響調査をやったと言うのです。ということは、これを買ったときに、六価クロムの鉱滓の埋立地であるということは十分承知しておったはずであります。そうでなければ、水質を調査してみたり、あるいは他の環境の影響を調査をしてみたりするようなことは恐らくしなかっただろうと思うのです。しかも、先ほど岡本先生が昭和四十六年の三月の速記録を引用されて、いろいろ質問をされました。千葉の市川の問題なり、あるいはそのほかにも、あのときの質問者は東京都の堀江町の問題等も提起しておるわけであります。そういたしますと、その辺のところはいま法務省から来ておられる方々に、これは明確に法律的な解明をしていただかなければいかぬけれども、一概にやはり一それからその次に見たところは、相当前に入手して、そして学校をつくりまして、どうも危険が他に及んではいかぬというので、あのグラウンドあたりは相当、上に盛土をしたり、それからアスファルトか何かやったりしておられました。私が行ったときは現状はそうなっていました。それからその次に行ったところは、土地区画整理組合をつくって、新しい市街化造成をやるのだというので、当然、建設省を通じて東京都の建設局からいろいろ事業認可もとり、いろいろな計画についての指導ももらい、恐らく国の援助も相当入っているのだろうと思うのですね。 ですから、いろいろ土地によって鉱滓の産業廃棄物としての処理の問題は、戦前、戦後を通じて非常に長期間にわたって行われているわけです。しかも、そのときには産業廃棄物についての取り締まりの法律がない時代、当然、民法上の問題になる、したがって、この費用負担の問題は、やはり民事上の問題として、当事者間で話し合いをしなければいかぬだろう。私はそういうような余り正確な法律的見解は、法律も学びましたけれどももうずいぶん前でございますから、ありませんけれども、そんな頭がありまして、しかも、いろいろ全国的にも調べてみますと、埋立地の所有権が移転をしたり、あるいはまた埋立業者が会社から譲り受けをしてやったり、あるいは会社が他人の依頼によって鉱滓をそこへ埋め立てたりしているようなところもずいぶんある。したがって、いろいろ形態が区々でございますから、一概にPPPだというわけにはまいらぬではないか。したがって、やはり当事者同士がよく話し合って決めるべき問題ではないか。その際に、先ほど私が最初に申し上げましたように、企業は企業としての社会的責任という、その姿勢は、やはり根っこに置いて十分、話し合いに応じていくだけの誠意を示すべきではないか、私はかように考えております。
○渡辺委員長 林君、時間が来ましたので……。
○林(義)委員 時間がないようでありますから、私はまた別の機会に質問させていただきますが、その前に厚生省に調べてもらいたいことがあるのです。それだけ注文いたしまして質問を終わります。 これは九月三日の東京新聞に、クロム鉱滓を十五号埋立地に東京都交通局も投棄しておる、住民が非常に騒いでおった、こういうふうなことが出ている。恐らく十号線の地下鉄で出ている排土があります。地下鉄をつくるのですから、どうしてもここは穴があくわけですよ。そのどろをどこかへ持っていって捨てている。捨てるのは十五号地だということで、そのどろを一体、検査をされてやったのかどうか。検査しないでぱっと十五号に捨てますと、これはやっぱり廃棄物処理法の問題としては、ちょっとゆゆしき問題になるだろうと思うのです。廃棄物処理法の中に、そもそも排土が入るのかどうかという問題もあるでしょう。あるでしょうが、その辺は一体、検査をしてやったかどうかということが第一点です。 それからもう一つは、これは八月の二十九日に、朝日新聞ですが、「六価クロム入り焼却灰 六千トンも野積み」としてあって「都下水道局砂町処理場 たらい回しの末」こう書いてある。板橋の方で集中処理しますと、あの辺たくさん出てくるだろうと思うのです。メッキ工場がたくさんありますから。そうすると、そこで出てきたところのクロムが溶出試験で六価クロムが三・〇六ppm検出されておる。それを板橋区の方から二度にわたって、危険だから処理してほしいという要望があって、砂町処理場の方に持っていくとか持っていかないとか、何か持っていったという話がありまして、同じ新聞ですが九月二日の日では、今度はどうも捨てたらしい。ところが、四十七年の六月に都との話し合いで、中央防波堤埋め立ての際の投棄については、家庭ごみだけとして産業廃棄物は捨てないと、都と江東区の方で約束をしているから違反である、こんな話が出ておるわけであります。 廃棄物処理の問題として先ほど来、処理は何だ、こういうふうな話がありましたが、私はこれは一つの事例だと思うのです。そういった事例をやはりちょっと調べてみてもらいたい、こう思います。特にこれから産業廃棄物法を、厚生大臣もう帰られましたけれども、改正をしていくということになれば、廃棄物処理の問題は企業責任で企業が全部やれ、こう言ったところで、確かに企業責任をとってやらなければならない。小沢長官言われるように企業の社会的責任というのがありますから、やらなければならないが、やるならばやるで、捨てるような場所をつくってやらなければならないし、それからまた捨てるための処理をしなければならないし、単にもう出さないようにすればいいというわけになかなかいかない。人間だってそうだと思うのです。人間だって、大便、小便しなくてよろしいということになれば、汚くないですけれども、やっぱりこれはするわけですから、企業だって同じことである。そうすると、そこをどこにするのかということと、もう一つは再循環というものを考えていかなければならない。捨てたものの中にやはり再生可能なものがあるだろうと思いますから、再生可能の技術開発をやる。それからもう一つ、自然環境の中にどういうふうに返していったらよろしいかということは、真剣になって取り組んでいかなければならない問題だろうと私は思いますから、実はこれはそういったところの非常にいい事例として、いい事例と言っては申しわけないのですけれども、出てくると思うのです。それを、メッキであるとか、先ほど塩ビの話もありましたけれども、そんな業者になりましたら、小さな業者ですから、おまえたちやれと言ったところでなかなかできない。大きな日本化学工業ぐらいになったら、私は相当やれると思いますが、現実問題としてなかなかやれないと思うのですよ。それはやはり集まってやるか、あるいは集中して都か何かが責任持ってやるか、それで、その費用を負担してもらうとかいうようなことを、具体的な問題として考えていかなければ、何か法律をつくったから、ぱっときれいになるというものではないと思うのです。その辺を技術的な問題、実態問題として少し検討していく必要があるだろうと思いますから、東京都の方から詳細にひとつお調べいただいて、厚生省当局から御報告をいただきたいと思います。厚生省なり長官からお答えいただけますか。
○小沢国務大臣 最後ですから、私からお答え申し上げます。 先ほど来、法律にいろいろな不備がある、改正をしなければならない、あるいは行政上もっと強化しなければいかぬ点がある、これは前向きにやる、こういうことを厚生大臣も答弁されて、われわれもぜひそうしてもらいたいと思います。ただ、それまで、まだやれることは幾らでもある。いまの法律で各県は産業廃棄物の処理計画をつくってちゃんとやらなければいかぬようになっておる。東京都は何もやっていないのです。これははなはだ遺憾だと思うのですよ。大都市で、しかも非常な問題が多いときに、処理計画自体をつくらないで、しかも、いま聞きますと、それは調査しなければいけませんけれども、問題を起こしたような鉱滓を、さらにまた別のところへ捨てるようなことは、厳に注意してもらわなければいけません。それから防止計画等については相当、強く進めていかなければいけない。われわれ、各県の担当者を集めまして実態を把握し、それに基づいて影響調査もやり、それから進んでは健康調査もやろうということで、真剣に各都道府県の協力を得ておるわけでございますが、基本的には、いまの法律でできることはどんどんやってもらわなければいかぬわけでございますが、われわれの方は実施部隊を持たない、これは都道府県の方でやってもらわなければいかぬわけでございます。それで、もし費用その他の面でいろいろ隘路があるならば、これだけの問題を起こした点を考えますと、これはやはり一つの予備費で支出すべき性質ではないかというふうにも思いますので、もし本当にどうしても費用の点で行き詰まって、これだけの不安を醸している問題の解決がおくれるということではいけませんので、われわれもその点は努力します。努力しますが、まず、いまの法律で義務づけられているような措置は措置として、きちっととってもらって、そしてみんなが協力してこの問題の解決に当たるということをやっていかなければいかぬと思いますので、厚生省とも連絡をとりまして、公害の防除あるいは人の健康を守る環境改善の責任者として、できるだけ努力をいたしたいと思います。 なお、先ほどの点は厚生省の事務当局からお答えをさせていただきます。
○山下説明員 至急都の方に問い合わせまして調査いたしまして、御報告をいたします。
○林(義)委員 大臣から産業廃棄物の処理計画の話がありました。私は、これはきょうは時間がないから、ぜひこの次にやろうということで考えておりました。私は、そういった形で都道府県も相当、一生懸命やってもらわないと、この問題はなかなか解決できない問題だろうということを非常に痛感したのでございますから、いまのようなことを申し上げたわけです。 どうもありがとうございました。
○渡辺委員長 本日は、これにて散会いたします。 午後六時四十五分散会 ————◇—————