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75回国会衆議院1975/05/16

公害対策並びに環境保全特別委員会 第9号

発言数
171
登壇者
15
会派数
4
開催日
1975/05/16

会議録

渡辺惣蔵日本社会党

○渡辺委員長 これより会議を開きます。  公害対策並びに環境保全に関する件、特に新幹線騒音問題について調査を進めます。  まず、本件に関して、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本日、参考人として中央公害対策審議会騒音振動部会特殊騒音専門委員長楠本正康君、東北大学教授二村忠元君、成城大学教授岡田清君、名古屋大学助手中川武夫君、徳山市長高村坂彦君、伊丹市環境部長高谷彦三郎君、新幹線公害反対全国連絡協議会代表幹事中野雄介君及び日本弁護士連合会公害対策委員久保井一匡君、以上の方々の御出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺惣蔵日本社会党

○渡辺委員長 御異議なしと認め、よって、さよう決しました。

渡辺惣蔵日本社会党

○渡辺委員長 この際、委員会を代表いたしまして、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ、遠路にもかかわらず、本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。  本委員会といたしましては、公害に関する苦情の中で最も件数の多い騒音振動対策樹立のため、鋭意努力を重ねておるところでありますが、御存じのとおり、新幹線騒音問題は、路線の延長等に伴って、その被害も増大し、深刻な社会問題となっております。  一方、中央公害対策審議会特殊騒音専門委員会より、新幹線鉄道騒音に係る環境基準設定について報告が出され、現在、騒音振動部会で答申案づくりが行われておるところであります。  本委員会といたしましても、本問題解決のため、日夜努力をされております参考人の皆様方から貴重な意見を承り、もって、その対策樹立のため万全を期する所存であります。  何とぞ、参考人におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願いいたします。  なお、議事の整理上、御意見の開陳は、各十分程度に要約してお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただくようお願いいたします。  それでは、楠本参考人からお願いいたします。楠本参考人。

楠本正康中央公害対策審議会騒音振動部会特殊騒音専門委員長

○楠本参考人 ただいま御紹介いただきました楠本でございます。  私どもは、約二年近く、その間二十四回にわたりまして審議を重ね、また、各委員が手分けをいたしまして、実際の被害状況並びに現地の状況等を調査をいたしまして、先般、結論を得たのでございますが、しかしながら、私は、決してこの結論が万全なものであるとは、さらさら思っておりません。しかしながら、少なくともこの程度であれば、長い間苦労されました沿線住民の方々にも、まあまあ御納得をいただけるのじゃなかろうか、一方、国鉄側におきましても、努力によっては、この程度は達成されるということを確信いたしまして、案文をまとめたわけでございます。そういういきさつもございますので、いろいろ御批判もあろうかと存じますが、これは喜んで御批判はいただきたいと存じます。  さて、ここでは、先般公表をいたしました専門委員会の報告について、かいつまんで御説明を申し上げたいと存じます。  まず、一番問題となりますのは、環境基準指針設定の基本方針でございますが、これらは他の環境基準と同様に、この基準におきましても、騒音の特性並びに環境基準の基本的なあり方、その性格にかんがみまして、まず、人体に対する障害をもたらさないということを基本にいたしますことはもちろんでございますが、同時に生活環境も、たとえば睡眠の障害、会話の妨害等、日常生活に著しい支障を来さないことということを目標といたしました。  なお、深夜運行の問題につきましては、まだ決定を見ておりませんが、これは現在のようにほぼ深夜十二時までの運行ということを前提といたしましたので、将来、仮にも夜間運行がされるというようなことになると、この基準はまた別に見直していくということは当然でございます。  次に、さような基本方針に立ちまして、基準値を定めたわけでございますが、環境基準値といたしましては、現在世界各国で行われております。また、航空機その他においても行いましたように、沿線地域における住民の方々の反応調査、社会調査をいたしまして、この結果から、住民がいろいろ苦情を訴える割合、これを一応三〇%程度に線を引いたのでございまして、三〇%以下の方方は何らかの苦情を訴える、しかし、これはがまんをしていただくということで、この辺には御議論があろうかと存じます。  なお、現在、三〇%の訴え率をおおむねの標準にするということは、大体各国、国際的にも多く採用されておる数字でございますが、しかしながら、最近はWHOから意見が出ておりまして、三〇%は住民に対して非常に酷である、これは一〇%程度の訴え率で線を引くべきであるという意見も出されておりますが、しかし、われわれはこの際、一応諸般の状況を考えまして三〇%といたした次第でございます。  そうして、この訴え率を見てみますと、まず、主として住居の用に供せられます地域におきましては七十ホン以下という数字が出てまいります。そこで私どもは、住居の用に供せられる地域においては七十ホン以下という環境基準を設定いたしました。  一方、その他商工業の地域におきまする反応は、若干緩やかに出ておりますので、これを七十五ホーン以下と定めたのでございます。  なお、一部委員から、住居地域というものよりも、むしろ、都市計画上の住居専用地域をとることが望ましいのではないかという御意見もございました。しかしながら、現実の問題といたしましては、都市計画上住居専用地域として定められておりますところは、全沿線を通じて、わずか三%を下回るというような割合になっておりますので、住居専用地域をとることは、これは住民の立場を考えればちょっと問題があろう。そして商工業地域以外でいわゆる住居地域、これらのものが沿線全体を通じまして三〇%ないし四〇%に達しておるのが実情でございます。したがって、これらの方々は七十ホンでしんぼうをしていただく、かようなことでございます。  また、これが果たして他の環境基準、道路の環境基準値、あるいは航空機騒音の環境基準値と比べてどうか、これは大体において整合性が保たれておるということでございます。  ただ、一言申し上げますと十一時過ぎ、まあ十一時、十二時近辺になりますと、いささか問題はあろうかと存じますが、私どものアンケート調査は、大体が夜間と申しましても八時から九時、十時ごろまでの反応を見ておるわけでございます。しかし、これも十二時までは認めております。国鉄の実際の運行状況から見ますると、また、利用者の方の便宜をも考え、この程度にとどめたわけでございます。しかし、全体的に見ますれば整合性がとれておる、かように思われます。  なお、この指針値は従来の環境基準でございますから、従来のものと同様に、屋外で達成されることを基本といたしております。しかしながら、必ずしも屋外で達成されることは困難な場合もございますので、その場合には、家屋の中におきまして環境基準が達成されましたと同様な程度に至るまで、家屋に対する防音工事を認めておるわけでございます。と申しますのは、音源対策あるいは周辺対策において、屋外で達成することが理想ではございますが、これには相当な期間も要しましょうし、また、実際には困難な場合もありましょうから、あえて屋内防音工事というものにおいて、屋内で基準が保たれるということにいたした次第でございます。  次に、達成の期間でございますが、これは、環境基準は一つの行政目標を示すものでございますから、当然、達成期間が基準値と同時にうらはらの関係になって決定されなければならぬわけでございます。  そこで問題は、まず第一に、その行政目標としての達成期間につきましては、少なくとも沿線住民が長い間騒音に苦しめられ、また、その沿線住民の方々の環境保全を全うする必要があるという考え方から、行政目標といたしましては、八十ホン以上を超えているところにつきましては、三年以内でこれを達成すると定めたわけでございます。  なお、ここで八十ホン以上と申しましたのは、八十ホンというのは先生方もすでに御存じのように、三年前に緊急対策として決定した数字が八十ホンでございますから、この八十ホンは当然すでに現在達成されていていいはずでございますが、しかし、これは国鉄の方のいろいろな作業の御関係等もあり、なかなか達成されなかった。それで今日に至っておりますので、ここはやはり住民の方々には大変お気の毒とは思いますが、一方、国鉄の工事能力あるいはその実現方法等にやはり時間がかかりますので、三年ということで、住民の皆様にもしんぼうをしていただかなければならぬということに相なったわけでございます。  なお、その他につきましては、もちろん騒音の被害のはなはだしいところから、これを実施していくということで、住宅地域七十ホンを完全に達成するというまでには十年という目標を定めたわけでございます。十年というものは、環境基準設定上、他の例からもちょっと長いようにも思われますが、少なくとも住居地域におきまして、すべて七十ホン以下にするという目標は、やはり十年くらいはかかるのではなかろうかというふうに考えまして、した次第でございまして、この辺にはいろいろ御異論もあろうかと存じます。  次に、申し上げたい点は音源の対策でございますが、私どもは音源対策でこの問題を解決することが最も理想でございます。つまり、発生源で対策を講ずることが最も理想でございますが、しかしながら、現在の技術におきましては七十五はとても無理である。七十はさらに無理である。現在七十七、八まではいっておりますが、まだ、七十それ以下には至らぬ状況でございます。しかし、私どもは国鉄の技術は高く評価いたしますが、いままでは、どちらかと申しますとスピードをいかにして出すか、いかにして安全を保つかということに主力が置かれまして、騒音対策につきましては、最近数年間になってようやく研究が始まったというような段階でございますので、この技術開発につきましては、大いに改善の余地ありと私どもは判断をいたしておるのでございます。しかし、何ホンまでいくかということは、私は専門家ではございませんが、少なくとも七十五ホンくらいは日ならずして発生源において達成されるのではなかろうかと思っております。  なお、これに対しては、後で二村教授からもお話があろうかと存じますから、次に進めさせていただきます。  次に、どうしてもできない場合には、周辺対策ということになるわけでございますが、まず、理想から申しますれば、都市計画等の手法を大いに取り入れまして、そしてバッファーゾーンというようなものをある程度設ける。そこを緑地帯にする、あるいは子供の遊び場にするというようなことが、防災計画とも関連してきわめて重要であろうと存じますが、何分にも狭い国土の日本としては、必ずしもさようなことのみで期待することはできませんので、ここでは、先ほども申し上げましたように防音工事ということも、やむを得ず認めておるわけでございます。なお、実際に理想的なバッファーゾーンをとって、そしてそれを緑地にする、子供の遊び場にする、大変結構なことでございますが、これには移転補償その他膨大な経費がかかってまいりますので、防音工事というような現実的なことも、同時に行わざるを得ないと思っております。  なお、国鉄の試算によりますと、山陽新幹線を含めまして、これら移転補償その他を行うのは十三万二千戸に上ると言われておりまして、これらを考えましても、都市計画的に、あるいは地域開発的に再開発を進めるのみでは、ちょっと困難があるのではなかろうかと存じます。しかし、私どもはそれに関しましても、第一に申しましたような音源対策で解決する。そうすれば当然被害地域は極度に狭まりますからして、初めてそこに理想的な新幹線もでき、また、その程度のものであれば、周辺対策として子供の遊び場あるいはバッファーゾーン等をつくることも不可能ではなかろうと存じます。  以上の点から申しまして、私どもといたしましては諸般の状況を考えまして、いままで八十以上に苦しめられた方には三年以内、それから最大限は十年といたしたわけでございます。一部の委員からは、十年というふうに決めることは必ずしも適当でない、できるだけ早く、できるだけ速やかにというような意見も出されましたが、しかし、環境基準というものは、先ほども申し上げましたように、やはりある程度基準値と同時に達成期間がなければ行政目標が成り立ちませんので、ここに十年と規定したことは、先ほど申したとおりでございます。  次に、これをいかに実施するかということになりますと、これはいろいろな問題を解決しなければなりませんので、これを特に達成のための課題として、政府に強く要望をいたしております。これらは後で御質問なりにお答えしたいと思います。  なお、最後に申し上げたい点は、どうしても達成期間内に達成ができないとなれば、これはスピードダウンその他運行方法の改善によって、この基準の達成を図る以外に方法はないということを、私どもは提言いたしておる次第でございます。  以上、時間が参りましたので、大変はしょりまして申しわけございませんでした。

渡辺惣蔵日本社会党

○渡辺委員長 ありがとうございました。  次に、二村参考人にお願いいたします。

二村忠元東北大学教授

○二村参考人 東北大学の二村でございます。私は、技術的なことを中心にお話をさせていただきたいと思います。  先ほど、委員長の許可を得まして、資料をお配りしてあります。それをごらんいただきたいと思います。  私は過去三十年くらい、こういう騒音対策というようなことの研究と、それから技術開発ということに従事してきたのでございますけれども、その結果としまして、これは私ばかりではございませんで、騒音対策ということを考えます場合に、非常に原則的なことがございます。それはまず、たとえば新幹線騒音というような非常に複雑した構造体から騒音が発生されますときには、その各部からどのような音が出るのか。どのようなということは、大きさもございましょう。それから周波数特性、高い音か低い音かというようなこともございます。そういうものをまず、はっきりさせます。そして、どのくらいのエネルギーの音がそこから出ているかということを、まず、はっきりさせます。それから次に、それが目的とする場所といいますか、対象点に、どういうぐあいに空気中を伝搬していくか、その伝搬経路をはっきりさせる必要があるわけです。そうしますと、音源そのものの対策をするのが賢明であるか、あるいは通路を、たとえば防音壁というようなもので空気中の音の伝搬を断ち切るのが賢明であるかというようなこともはっきりいたします。  ごく常識的に言いますと、音のエネルギーというのは非常に小さいのです。一例を申しますと、727というでかい飛行機がありますけれども、あの出ている音のエネルギーというのが一キロワットでございます。わずかに一キロワットです。しかし、わずかに一キロワットといいましても、音としては非常に大きいのです。例を申しますと、いま私がお話ししています声の大きさの一億人分に相当いたします。ですから非常に音としては大きいのですけれども、エネルギーとしては小さい。非常に小さいエネルギーのものが空気中を伝搬していくわけでございますから、途中でそれを断ち切るということは非常に容易なことなのでございます。囲めばいいわけです。あるいは防音壁というようなもので、回折作用を使って遮断すればいいわけです。ですから、音響学といいますか、騒音対策ということでは、実はもう研究問題はないのだ、実行あるのみだというようなことを言っている方もおります。まだこれには材料とかなんかで、いろいろ問題はありますけれども、そういうのが現在の段階でございます。  そういう意味で、一ページをごらんいただきたいと思うのでございますけれども、これは高架の上を新幹線が走っている図でございます。ここに書いてありますすべてのところから音が出ております。もちろん一番大きいのは、御承知のとおりGと書いてあるところなのですが、車体の下、床下騒音と言っているのでございますけれども、床下騒音がめちゃくちゃに大きいわけです。その床下騒音が、スカートと言いますが、車体の側壁のスカート下から漏れてくるもの、これが非常に大きいわけでございます。そのほかに高架の下の部分からも、これは非常に低音でございますが、相当出ております。それからパンタグラフ、集電装置からも出ております。車体からも出ております。ここに全部書き上げてございます。そういう書き上げてあるものの簡単な解説をしてありますけれども、余り時間もございませんので、詳しいことは申し上げません。  二ページには、それのエネルギー計算、これはパワーでございますが、何ミリワット、どういう周波数のものが出ておるというようなことを、全部計算して出してございます。と言いますのは、実はこれは国鉄の方で――大変講義調で申しわけございませんけれども、大体、音が出るというのは、振動しないと音は出ないわけでございます。たとえば、こんな小さな金物をぶつけましてもそう大した音にはなりません。しかし、全く同じ力でこれを机に当てたら、かなりの音が出る。これは、こうたたくために机全体が振動して、そこから音が出てくる。振動しないと音が出ませんから、音をはかると同時に、各部分の振動をはかりますと、その振動から、計算によって音のエネルギーが全部わかるわけです。そういうことを、これは国鉄でかなり実験が進んでまいりまして、振動の測定が出てまいりましたので、その結果に基づいて計算したものでございます。二ページで言いますと、これはスカート下から漏れる音でございますが、たとえば下から二番目に書いてあります高架・スラブ軌道から相当のエネルギーの音が漏れております。詳しいことは省略させていただきます。  三ページは、その高架の下が振動いたしまして、それから出てくる音のエネルギーの計算でございます。これでも高架・スラブなどは相当の、そしてこの場合は、上に書いてある周波数帯からわかりますように、もっぱら低い周波数、低い音がそれから出ております。  次の四ページは、これは防音壁の場合ですが、防音壁も振動をいたします。防音壁はもともとその回折作用によって音をとめるべきものなのですから、振動してはいけないのです。レールから機械的振動が高架を伝わりまして、防音壁が振動いたしますと、防音壁はスピーカーになってしまうわけです。そういう意味で、防音壁の振動をとめてやらないといけないのです。振動をとめますと、回折作用の理論、実験は完全にできておりますので、どのくらい効くかというようなこともはっきりしてくるわけでございます。  次に、五ページでございます。最近いわゆる逆L型の防音壁というのができまして、これは大変よく効くわけです。ところが、やはり上と同じことでございまして、逆L防音壁の、これは上の部分の振動なのですが、この振動が大きいと、そこから低音の音が相当出ます。最近、新聞で、どこでございましたか、逆Lをやったけれども、ほとんど効かなかったというようなことがありましたが、これは当然なことでございまして、逆Lで、スカート下から漏れる音が相当に対策ができたとしましても、ほかの部分、たとえばパンタグラフだとか車体とか高架の下だとかの対策をやりませんと、当然効き目がない、あたりまえのことでございます。  次に、六ページでございます。集電系の騒音、これは大変残念なことなのでございますが、東京―大阪間はそれほど問題にならなかった。ところが、大阪以南が大変大きくなっております。これはパンタの改造というようなこともありまして、特にスパーク音が、スピードが相当大きくなりますとチャッタリングを起こしまして、スパーク音がかなり大きくなっております。摺動音、こする音の方は低速で問題でございます。これは国鉄の一実験例に基づいて計算して出した値でございます。  それから七ページでは車体騒音。車体も振動いたしますから、当然音を出します、その計算でございます。ただしこの場合は、車体は鉄板でございますので、実は冒頭に書いてございますが、いわゆる放射係数を全部一にしております。こういうことを本当は詳しくお話ししないといけないのでございますけれども、放射係数を一にしているということで、鉄板の場合には、低音の場合には少しオーバーエスチメーションになっているきらいはございます。しかし、いずれにいたしましても、車体も音を出す。実は車内の騒音などは全部これなのでございます。空気を通じて車内にいくのではなくて、車内の場合には、床下が振動して、そのつくった音が車内の騒音になるわけなんですが、それが大半を決めている、こういうことでございます。  そこで、では実際の場合どんなぐあいになっているかという、簡単な場合の一例を挙げてございます。  八ページが盛り土あるいは素地といいますか、地面の上に逆Lをつくりましたときの計算結果でございまして、その図にありますように、やはり大きなものはLG――Lというのは逆Lの意味で、Gはギャップという意味なんですが、車体と逆Lの壁の間から漏れる音、これが大変大きいのです。この図面の右の方から言いますと、LSと書いてあります逆Lのサイドの壁、これはほとんど問題になりません。地面の上ですから振動いたしません。それからLUと書いてあります逆Lの上の部分もほとんど振動いたしません。これも問題になりません。問題はLG、それからパンタが相当問題でございます。それから左の方のスカート下から漏れるG’というのがございますが、これは左の方に全部いってしまうから問題ないようですが、実はそうはまいりません。高音は問題ありませんけれども、低音は相当程度回折で回り込んでまいります。これも理論的にはっきりしております。その辺のことをまとめましたのが、次の九ページの図面でございます。  この九ページの図面を見ていただきますと、左の方からまいりますとLS、これは逆L防音壁のサイドで、大したことはございません。LU、これは逆Lの上の部分でございまして、これも大したことはございません。次にCと書いてありますのは、これは列車の車体それ自身から振動で出てくる音でございます。この低音部が少しオーバーエスチメーションでございますので、ここではそれほどではないと言えると思います。次にG’と書いてございますが、これは、さっき申しました反対側のスカート下から漏れまして、それが列車を回折して回り込んで右の方にくるという音で、これも理論がありまして、計算したのがこのG’でございます。それから大きいのがLG、さっき申しました逆りと車体の間から漏れる音のエネルギーの周波数特性、それが二十五メートル地点にどう伝搬していくかという計算結果でございます。それからもう一つ、パンタグラフがございます。これはPと書いてございます。それらを全部合計して足し算いたしますと、そこの上にあります二重丸の曲線になります。この二重丸の曲線と実際に測定しました実測値は、この程度に合っております。  こういうことからどういうことがわかるかと言いますと、図面の下に書いてありますように、低音部について問題になるのはLGですから、逆りと車体の間から漏れる音である。中音部については、同じくそこの漏れる音とパンタグラフの音である。それから高音部についてはパンタグラフの音である。こういうことがはっきりいたしますと、その対策はおのずから明らかになってまいります。  その対策的なことを図面の右に五つ挙げてあります。この一、二は車両のことでございますが、この際、ちょっとここで申し上げますと、ロングスカートにすべきだ。ロングスカートといいますのは、車体の側壁を長くすることなんですが、これはさっき申しました床下騒音というのが非常に大きくて、それが床下を漏れてくるわけですから、たとえばいままで八十センチありましたのを四十センチに狭めれば、漏れる音は半分に減るはずです。もっとも理屈としては、中を完全に吸音にしなくてはいけません。それも国鉄でずっと実験が済んでおりまして、大体二、三デシベル減る。エネルギーが半分になるという乙とは、三デシベル減るということなのですが、二、三デシベル効果がある。これは国鉄でも実験がもうできております。ただし、この場合に防音壁があると全然効かないという実験結果を出しておりますが、これはあたりまえのことでございまして、防音壁の振動がそれを邪魔しているわけです。  それから二番目に、車両床下遮音板と書いてございますけれども、実はこういうことはもっと詳しく申し上げなければいけないのですが、車両の床下騒音、これは御存じのように百二十ホンとか百三十ホンとかめちゃくちゃに大きい。それはレールと車輪がぶつかりまして、その辺のものが全部振動して出す音と、それと同時に、秒速七十メートルなり六十メートルで空気中を走っておるわけですから、空気擾乱が起りまして、車両床下の騒音というのは非常に複雑しております。そういう空気擾乱的なものを防ぎますのに、これは車輪がありますから全配覆うというわけにいきませんけれども、たとえば、台車と台車の間をされいに覆うというようなことで、かなりの音、ことに高音部につきまして、かなりの音が減らせるはずでございます。これはまだ国鉄も実験をやっておりませんので、私もどの位効くかはわかりかねるのですが、かなり減らせるはずであります。  そういうことで、この一のロングスカートと二の車両床下遮音板というものをまずやりまして、次に、先ほどの逆Lの効果ということで、逆Lと車体間のギャップに、その図に書いてありますような、いわゆるスラット構造の吸音物などを取りつけますと、これは高音も非常によく吸いますので、ずっと減らせる可能性がある。  それから集電装置につきましては、先ほども申しましたように大阪までは大したことはなかった。大阪以南が今度大きくなったというようなことから、もとに戻すとか、あるいは、どうしてもできない場合には、これもできるかどうか、国鉄に御研究いただきたいのでございますが、九ページの図に書いてありますようにパンタグラフの横に、これはもちろん金属ではいけませんで、不導体のいわゆる遮音板というようなものを考えなくてはいけないのではないか。それとも、もっと高い防音壁をつくらなくちゃいけないのではないかと思っております。  それからG’という反対側の音に対しても対策が必要である。そこにT形と書いてありますが、これは反対側を走る列車にも有効でございますので、こういうことも考えなくてはいけないのではないか。これが一例でございます。  次に十ページは、かなり複雑なケースの予測をやっております。エネルギーを全部計算しまして、その計算結果を全部足してみますと、先ほどと同じことで、十一ページの二重丸のようになります。実測値はそこにある黒丸のようであります。これも何の作為なしに理論的なものとほとんど合っておるという結果が出ております。こういうことから、低音部についての主な音源は、下に書いてあるようなこれこれのものである、そうするとこの対策はいかがあるべきかということは自然に出てまいります。この場合の結論を言いますと、パンタグラフの音の対策のために、相当高い大きな防音壁が必要ではないかというのが一応の結論でございます。  十二ページは、全覆フードと言いまして、これは、世界で初めてのケースでございますが、小田原のところで国鉄が大変大がかりな実験をやりました、そのときの結果でございます。左の図面を見ていただきますと、細い実線は、この全覆フードの振動によって出ているごく近傍の音でございます。それから三角の点線は、この覆いが大体百メートルでございまして、測定しているところが真ん中の五十メートルのところでございますから、列車長は全部で四百メートル、当然はみ出ます。そのはみ出るところの音が回り込んでまいりましたのがこの点線でございます。それで実線と点線を足しますと、そこにあります実測値とまずまず合ってくるということで、振動を防止した長いフードをつくれば幾らでも音が減らせる。これは常識的に考えても、その一番完全な場合がトンネルなのでございますから、幾らでも減らせる。  しかし、私はこういうことを、こんなお金をかけてやってほしくはない。これが私の前々からの持論でございますが、そういうようなことで、本当はもっと詳しく申し上げなければいけないのですが、一つの対策的なことを十三ページ以下に書いてございます。  十三ページの最初のIは車両の改造という問題。IIはレールの波状摩耗の問題で、この保守管理をしてほしい、しなくてはいけないということを言っているのでございますけれども、車両のことは、さきに申しましたロングスカートのこと、それから車両の床下に遮音板を取りつけて、空気擾乱的な音を防ぐとかなりいいだろう。それから集電系については、そこに書いてあるとおり、先ほど申し上げたとおりでございます。  それでごく簡単な一つの場合を申しますと、盛り土なり、あるいは素地というような普通の土の上の場合はどうしたらいいか。そこでここでは二つに分けてあるのですが、集電系は、さっき言ったようなことで、もし対策ができたとして、系、パンタグラフは問題ないといたしますと、そこにあります、b、cというような三つの方法で有効に対策できるはずでございます。aは普通型の防音壁、bは逆L型、cは近接型、これも大変有効でございます。その場合に漏れを少なくするために、スラット構造の完全吸収型のこういうものが必要。それから反対側の漏れることに対しては、やはりこういう防音壁が必要ということでございます。  なお、もしパンタグラフなどが問題になりますと、その次の右の方に書いてあるのでございますけれども、低い逆Lとか近接ではだめだ。普通の相当高い防音壁が必要になるのではなかろうかということでございます。  次、十四ページにまいります。これも既設線の場合で、実は東海道新幹線というものを対象にして考えたものでございますけれども、東海道新幹線は高架が大変きゃしゃにできております。あそこには直接たとえば高架の下を覆う板というものも、構造的にとても取りつけられない。防音壁も重い物は無理であろう。逆Lも無理でしょう。近接も無理でしょう。あるいは列車はとめたくないというようなことになりますと、そこのIV-1のaに書いてありますように、普通型の防音壁でございましたら、高架と離して、そんなものをつくらなければいけないということになります。つくればいいわけですけれども、どうもこういうやり方は芸がない方法だ。  そこで、これは提案でございますけれども、むしろ、こんなことをするのでしたら、そのbにありますように、下部にがっちりした鉄筋コンクリートの建物をつくってしまって、その両側に防音壁をつくれば、これは強度的にも十分だ。薄く書いてあるのが大変意味がありまして、コンクリートの壁、三十センチもの厚さの壁を上へ延ばす必要はない。遮音にたえる、そういう材料でいいという意味でございます。こういうようなことをすることによって、むしろ、高架の下を十分いろいろ利用したらどうだろう。そこに右に書いてございます。高架下の空間は倉庫もいいでしょう、工場、商店、マーケット、駐車場、いろいろなことに使えるだろう。場合によっては、構造体を重量化し、あるいは防振を完全にするというようなことで、人が住む住居に持っていくことも全く可能でございます。  そういうことで、これは付録として、そこに括弧の中に入れておいたのでございますけれども、私、かねてからいわゆる公害振動、地面振動というのは、対策が非常にむずかしいと思っております。地震のような地面の振動でございますね。ごく簡単に言いますと、地面振動を防ぐには距離が必要ではなかろうかというのが、いまの私の考えなのでございます。また、こういう上のようなものをつくりますと、日照というようなことがまた問題になります。それからまた、通風というようなことも問題になるでしょう。電波障害は、これは解決が簡単なのでございますが、それやこれらを考えますと、そこの二行目にあります、高架の両側二十五メートルないし三十メートルを、そこまでを含めてこれが新幹線の用地なんだ、新幹線鉄道というものはそういうものだという考えを、むしろ入れるべきではなかろうか。そうして、その沿線の付近におられる方々はここに住めるように、きちんと条件を整えて、そこに移ってもらう。そうして前の土地は、道路なり公園なり遊園地なり、幾らでも利用できる。かえって快適な条件ができる。こうなりますと、周辺の環境基準はこれは問題ございません。これは原理的に必ずできるはずでございます。ただし、いま言いましたようなことは、何といいますか、ちょっと下に書いておきましたのですけれども、技術的に、たとえば部屋の中の音を三十ホンに下げるということは、そんなむずかしいことではないし、それからなおかつ、たとえば窓をあけましても、この場合は問題ないはずでございます。そういうようなことをやりましたときに、しかし、いわゆるガード下というのは、どうも社会通念的にも心理的にも余りいい影響を持たないのじゃないかというようなこともございまして、なかなかむずかしい問題だとは思いますが、しかし、公害問題全般を通じてなんですが、やはりこの程度の技術ということを含めての発想の転換というのが必要ではなかろうかというのが、ここにつけ足しとしてつけ加えてあることでございます。  なお、あと、東北新幹線などのように、高架に防音壁だとか重量物がつけられる場合には、いろいろな対策が考えられますが、これは省略してあります。いままでのお話から、大体はおわかりいただけるだろうと思います。鉄橋の場合も省略してございます。  私、申し上げたいのは、実は十四ページの右の方に(競合点)と書いてありますことです。こういうことをすることによって、これは相当お金がかかるだろう。しかし、お金がかかると言いましても、最近一兆円だ何兆円だというのが盛んに出てまいりますので、その辺をお考えいただいて、私も計算しておりませんが、日本は土地も狭いことでございますので、有効にこんなことができれば大変結構なことではないか。もし、国鉄にぜひどこかでこのような実験をやっていただければありがたいと思っております。  最後に、十五ページにまいりまして、「建設中」と言いますのは、東北新幹線とか上越、成田の場合でございますが、この場合やはり高架の下からどんな音を出すかということが非常に気になりますので、いま仙台新幹線工事局と共同いたしまして実験をやっておるところでございます。その辺の結果が出ますと、どうしたらいいかということが得られるであろう。いずれにいたしましても、順序よくいまのようなことを考えてやっていけば、環境基準を満足するような値を達成することは、技術的には幾らでも可能なはずでございます。また、それだけの自信を持っております。  それから十五ページの最後に、新設線の場合に一言触れております。  まず第一に、高架はなるべくつくらない方がよいということであります。実は昨年の秋もイギリスの運輸省の方がお見えになりました。その方も、ドーバー海峡をよぎってやるのは、イギリスでは高架はつくらないぞ、全部切り取り方式でいくのだということをおっしゃっておりまして、一番賢明な方法かと思います。しかし、日本の土地利用、土地の狭さというようなことから、無理なことかもしれませんが、まず、このことが希望として出てまいります。もし、高架をつくるのだったら、ただ強度にたえるではなくて、十分に振動にたえる重いものにしてほしいということです。  それからまたバラストマット方式などは、これは国鉄でいろいろ実験しております。バラストマット方式を使いますと、高架下の騒音などはほとんど問題になってまいりません。  それから防音壁とか逆L、フードなどをつくりますときには、防振ということを十分考えれば、本来の機能を発揮することになりますので、これもいい方法かと思います。  そしてさらに、これも国鉄への希望でございますが、その五番目に書いてありますように防振道床型高架、実は昨年秋参りましたイギリスの方も、これをいま考えているのだと言っておりました。これは非常に結構だ。実はこれに近い方法で、路面電車で非常に有効に騒音を下げた例が、スウェーデン、ドイツなどにございます。  それからその(b)としまして、ロングスカート車両と書いてありますけれども、これは私、前々から提案しているのでございますが、右にちょっと小さく書いてあります、こういうような構造ともあわせて、むしろ、このようなものが鉄道路線と車両だというような考えにいきますと、騒音問題は非常に楽になります。これはできるかできないか、いろいろ御研究いただきたいと思っております。  それから防音壁というようなものは、内部粘性が大きい材料、これは振動を伝えないということなのですが、そういう材料の開発とか、できれば軽くて、低音までも効くというような防音壁があれば、なおいい、こういうようなことになります。  また、これはっけ足しでございますけれども、将来には浮上方式というようなことの研究も必要かと思っております。  最後に一言申し上げますと、実は飛行機騒音、これについては騒音証明制度というのがあるのを、皆さん御存じだと思いますが、あの証明制度をアメリカでは十年後には十デシベル下げよう、これはジェットエンジンの騒音対策にあるめどがつきまして、十デシベル下げるというのはどういう限界かと言いますと、飛しょう体が空気を切る音、飛しょう体が相当なスピードで飛びます、その空気を切る音のぎりぎりの限界まで下げようとしている。私、ジェットとかロケットの音というのは非常にむずかしいと思ったのですが、もうそのめども、アメリカではある程度ついておるようでございます。それに比べますと、これは問題なく新幹線騒音の方が技術的にはやさしいのです。だからそういう意味で、私、少し極端なことを端的に申し上げましたけれども、順序よく発生エネルギー、その伝搬というようなことを十分に扱いますと、環境基準値の達成は決して無理ではございませんということを申し上げまして、私のお話を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。(拍手)

渡辺惣蔵日本社会党

○渡辺委員長 ありがとうございました。  次に、岡田参考人にお願いいたします。

岡田清成城大学教授

○岡田参考人 成城大学の岡田でございます。新幹線騒音につきまして、幾つかの意見を申し上げてみたいと思います。  その前に、新幹線騒音と呼ばれます特殊騒音専門委員会の案の特色を、私なりに解釈しております点を、最初に指摘しておきたいと思います。  その第一点は、環境基準の目的を述べているという点であります。この内容は、答申案に書いてございますように、生活環境を保全し、健康の保護に資する、こういうふうな表現になっております。それから第二点は、原則的には屋外基準の原則、したがって、それに対する対策としては音源対策優先の原則、これが全体を貫いている精神でございます。それから第三番目の特色は、騒音特性を明確にしている、つまり普通に言われる騒音とは違った特性を、新幹線の場合には持っているという点を指摘していることであります。それから第四点は、地域補正の導入、その地域の土地利用の特性に応じて補正を加える、これが第四点であります。それから第五点は、達成期間を明示している、つまり達成期間明示の原則を掲げているということであります。  以上の五つの特色を持っているわけでありますが、これに対する意見として、三点ほど指摘をしておきたいと思います。  その第一点は、環境基準そのものが非常にあいまいである、こういう点であります。それはどういう意味であいまいであるかと申し上げますと、御承知のように環境基準は行政目標であるということが一般には指摘されておりますが、これが社会に与えます効果の上では、心理的には少なくとも規制値として一般に流布される傾向が非常に強いということであります。  この点につきまして若干の参考を申し上げますと、イギリスではすでに一九〇六年から、ベスト・プラクティカル・ミーンズ、つまり最善の実行可能な手段、こういうふうな表現を使って、手段と基準とをできるだけ明確にする、こういうふうな論点をはっきりさせていることが特色になっておりますが、それでは、そういうふうなイギリスで、一九〇六年から現在まで、一貫して基準として採用しておりますものは一体何であるか。その点について、日本の環境行政は全く無視しているというふうに言わざるを得ないわけであります。  その前に、プラクティカル・ミーンズという、そのミーンズという意味でありますが、これは環境防止の施設及び建物その他の、あらゆる技術を指摘しているわけでありますが、その内容は、原則的には防止施設とその他の技術的なものの一切を含む、こういうふうな内容になっております。  それから第二点でありますが、ベスト・プラクティカル・ミーンズという場合の、プラクティカルというのはどういう意味であるかと言いますと、これは英語で言いますとリーズナブリープラクティカルという意味でありまして、その内容は三点から成り立っております。  その第一点は、局所的な条件と環境を考慮するということになっているわけでありますが、つまり、地域の特性に応じて補正を加えることは構わない。この点では、今回の専門委員会の答申でも、地域補正の導入という形で適用されておりますから、何ら問題はないように思います。  しかしながら、第二番目の特色は、現行の技術水準を重視する、現在の技術におけるカレントステートを非常に重視するということになっております。つまり、将来、開発が非常に困難な、あるいはリスクの非常に多い将来技術水準を予定して環境基準に定めることは適切でない。これが第二点のプラクティカルという意味であります。  それから第三点でありますが、財政的な意味、ファイナンシャルインプリケーションというものを考えるべきだ、こういうふうに述べているわけです。  以上三点をもってプラクティカルというふうな表現を使っているわけでありますが、この第二点と第三点については、わが国の場合には何ら考慮が払われていない。しかも、イギリスの場合には、一九〇六年から現在に至るまで一貫して貫かれている、何十年にもわたって変わらない基準になっているわけであります。  そういうことを考えてみますと、現在の専門委員会の答申案の中には、行政目標として掲げられております環境基準の目的と、それから屋外基準の原則、つまり音源対策優先の原則の間に明らかに乖離がある、こういうふうに言わざるを得ないわけであります。そういうことを考えてまいりますと、音源対策が全くなくていいということでは決してございませんが、幾つかの点を指摘することができます。  なお、二つだけ指摘しておきますと、それは先ほど言いましたように、一つは現在の技術的なフィージビリティーに対する態度といいますか、あるいは見方が、かなりあいまいなままに指摘されているという点であります。もちろん音源自身が環境と等しいわけではない、この点は皆様もお認めになるかと思いますが、音源があるということが即環境ではない。しかしながら、生活環境を擁護するというふうに第一の目標に掲げながら、その後の表現は、すべて音源主義で全体を貫いている点が特色か、こういうふうに言うことができるかと思います。  そういたしますと、真の環境擁護を行うためには一体どうしたらいいのか。社会的なシステムというものをやはりわれわれは考えざるを得ないわけであります。こうして考えてまいりますと、環境保護のために実行可能な手段間の社会システム、そういうものに対する分析が何ら行われていない。したがって、全体が音源中心主義的な政策に傾き過ぎている。あるいは音源偏重主義と言うと、あるいは失礼かとも思いますが、そういうふうな観点が非常に強調され過ぎているというふうに言えるように思います。そういうふうに考えますと、どうもやはり環境問題を考えます場合には、三つの点を融合しながら考えていくことが適切ではないか。これが第三番目の私の意見でございます。  それは技術的なフィージビリティー、いまの二村先生のお話にございましたように、技術的にはコストの問題を無視すれば不可能ではない。そういう意味で技術的にフィージビリティーが全くないわけではないというふうな御指摘でございましたが、しかしながら、まだ将来の開発可能性に若干なりとも期待をかけるような文言になっていることは、この答申案をお読みになれば直ちにおわかりになるところであります。そういうことで、技術的なフィージビリティーにつきましても、若干のあいまいさがやはり残っている。したがって、先ほど言いましたように、イギリスのベスト・プラクティカル・ミーンズにうたっておりますような現行の技術水準というものを、どういう形で評価するか、この点についてさらに厳密な詰めが必要ではないか、こういうふうに感じているわけであります。  それから、先ほど言いましたように、また社会システムとしての国民経済的なフィージビリティー、若干表現が違ってまいりますが、どういう意味であるかと言いますと、社会的な便益とそれから費用とを、どこまで比較すべきであるか、あるいはその点をどういうふうに比較するのが望ましいか、こういうことについて何らうたっていないわけであります。  そういうことで、技術的なフィージビリティーと社会システム上のフィージビリティー、さらには財政的なフィージビリティーというものを考慮して環境対策を行いませんと、資源がかえってむだになる。環境開発あるいは音源対策の技術だけが世界に冠たる技術になるだけのことでありまして、これが国民経済的に与えるインパクトがいかに大きいかということに対して何ら配慮がないのは、全く今回の専門委員会報告の欠点だというふうに言わざるを得ないわけであります。あるいはそれを述べます場合に、専門委員会にそういうことを要求すること自身がもともと間違いである、こういうふうな御意見もあろうかと思いますが、それであれば、これを受けて社会システム委員会のようなものを設けて、別途総合的に検討することが必要ではないか。つまり、音源対策を一方でやれば、これだけの技術的な開発が必要である、あるいはコストはこれだけ必要であるということが指摘されますと、これを社会システムの中にどういうふうな形でのせていくか、こういうことに対する判断が、きわめてあいまいなままになっています。したがって、いわば音源対策だけが社会的に流布され、しかも、それだけがいかにも環境対策であるがごとくに言われる傾向が、つとに強く出がちであるというふうに感じているわけでございます。  そうして考えますと、最後の結論的になりますが、技術的なフィージビリティーという側面におきましては、不可能であることをある程度答申案は認めているわけであります。そういう意味で考えますと、その一方で、財政措置その他の条件は自分たちの範囲ではない、無限に可能であるという前提条件で話が進んでおります。つまり、音源対策の勉強を一生懸命にやっておきながら、それはかなり困難な面があるということを、はっきりと認めているわけであります。  第二点でありますが、社会的な便益と費用というものを考慮したフィージビリティーについては、何ら示されていない、これが第二点の指摘しておきたい点であります。  第三点は、財政的なフィージビリティーでありますが、これについては、実施体制の整備、財政措置は前提条件として云々、こういうふうな表現によって、すべての責任を回避しているわけであります。したがって、音源対策の答申案にはなっておりましても、環境対策すなわち一般住民を保護するという観点は、そこには何ら示されていないというふうに言わざるを得ないわけであります。  以上のように考えてまいりますと、実際的には恐らくプラクティカビリティー、つまり実行可能性において、イギリスが説明いたしましたようなベスト・プラクティカル・ミーンズという観点を十分に述べておりませんので、したがって、極度に内容が不完全なものになっている、こういうふうに指摘せざるを得ないわけであります。  こうして考えてまいりますと、本来は音源対策、音源即環境ではなくて、もっと社会的なコストの安い政策から次々に手を打っていく、つまり個々の政策の費用の逓増状態を加味した社会的な長期最低費用曲線を描く努力こそが、最も現在とるべき政策ではなかろうか、こういうふうに感じているわけであります。  以上、若干言い過ぎた面もございますけれども、私が今回の専門委員会報告を見まして、音源対策が即環境対策でないということを指摘して、私の意見を終わりにさせていただきたいと思います。

渡辺惣蔵日本社会党

○渡辺委員長 ありがとうございました。  次に、中川参考人にお願いいたします。

中川武夫名古屋大学助手

○中川参考人 名古屋大学の中川です。  今回の答申案を見まして、まず第一に、この答申案では沿線の住民が救われないということが最大の問題だろうかというふうに思います。  新幹線の公害の実態をつぶさに見ていただいた方は、よくおわかりになると思いますけれども、その騒音や振動の重大さは、きわめて深刻な事態となっております。この答申原案では、騒音について触れられておりますけれども、振動については全く欠落している。もちろん、振動については別個ということになっておるかと思いますけれども、そういうものが合わさって、現実には住民に被害を与えているのにもかかわらず、そういうものが全く触れられていないというのは、重大な問題だろうというふうに思います。  そうして、さまざまな調査によって、沿線住民の生活環境、日常生活の妨害を少なくするという観点から、この答申原案が作成されているというふうに述べられておりますけれども、現実には、その一般住民の生活環境という中には、さまざまな人たちが含まれているということ、そういう住民の特殊性というものが無視されているのではないかというふうに考えます。  というのは、そもそも環境基準というのは、一般の職場の環境の基準と違いまして、人間が安静に生活を営む、そういう場をどうやって保護するか、どうやってつくり出していくかということが目標でなければならないというふうに思います。そこには生まれたばかりの赤ん坊もいます。あすの命も知れない病人もいます。現にそういう人たちが日々新幹線の騒音、振動の下で暮らしているわけです。そうした実態を無視して、平均的に苦情率が何%であるから、この線で抑えるべきであるという考え方は、これは適切な環境基準設定の基礎としては、重大な誤りがあるのではないかと思います。先ほどの先生はいろいろ述べられましたけれども、すべての公害施策というもの、環境基準の達成というものは、人間がそこで健康に生活できるということが最低条件でなければならないはずです。そこから病気が発生し、あるいは病人が苦しむという環境を、お金がないからということで放置することはできないということは、すでに自明のことであると思います。そうした点から言いますれば、いま申しましたように、その地域集団の中で最も弱い層、病人、老人、子供といった人たちについて、正常な生活が営める、安静な生活が営めるということが、環境基準の最大の目標ではないかと思います。そういう点では、この答申案には重大な問題があるのではないかというふうに思います。しかも、達成基準が非常に長い。このことも現在の騒音、振動を長期にわたって、実際には容認することになるということも、あわせて指摘しておきたいというふうに思います。  われわれの調査によれば、その騒音、振動はきわめて深刻であることは、もうすでに自明のことであると思いますので、述べませんけれども、特に振動について、あの騒音、あの振動下で、病人が安静に生活できる、療養できる条件は全くないと言っていいと思います。ああいう状態の中で、病人がまくらを並べて寝ている姿は、一刻も早く解決されなければならない問題としてあるのではないかというふうに思います。どんな病気だって、あの騒音、振動下ではよくならないことは明らかであります。  ですから一つは、新幹線の騒音、振動によって、沿線の住民の方の健康が損なわれないというふうに環境基準を考えることが必要でありますし、第二には、現在の疾病、すでにかかっている病気について、その療養ができるかどうかということが、もう一つの環境基準設定の重大な問題として浮かび上がってこなければならないのではないかというふうに思います。  そういう点からいけば、基準を達成するのにある程度の年限がかかれば、そうした沿線の弱者を中心とした救済が、早急にいますぐにでも行われなければならないという結論になってくるかと思います。そういう点から見ますると、現在までの国鉄当局の取り組みというのは、きわめて遺憾であると言わざるを得ません。  現実に病人対策について、少し経過を述べますと、四十八年三月に、当時の国鉄の代表でありました松原さんが、沿線で病人がおれば、それは救済しなければならないということを住民の前で述べております。しかし、それが何ら対策を立てられぬまま進行し、四十八年の六月に、しびれを切らした住民が、国鉄の環境室の人と交渉を行いました。そのとき三つの原則を挙げました。第一に、新幹線によって病気になった人もしくは新幹線の騒音や振動によって療養ができない人については、転地療養も含めて医療費の本人負担分を負担する。第二、第三は、達成期間の問題ですから、ここではちょっと省きますけれども、ある程度さかのぼってそれを実施する、しかも、それを早急に実施するというのが、その三つの内容であります。一番重要な内容はいまの第一点であります。そうして、いますぐ申し込みを受け付けるということで、その場で竹内さんという方が申し込みをされました。そして一カ月後には、その細目を決めて住民の前に提示するという約束をされました。しかし、その後半年たってもなしのつぶてであります。  その後の経過は、四十九年の三月に、突然マスコミを通じて、医療委員会が国鉄の内部に設置されたという報道で知らされました。そして四十九年四月、このときは環境室長がかわりまして、鬼沢さんという方が名古屋に見えまして、いろいろな説明をされました。しかし、このときは大幅な後退がありまして、新幹線の医療委員会は、因果関係を判定するだけの委員会であるというふうに、大幅に後退しました。そして、住民の推薦する医師が入っていないということについて意見を申しました。住民の推薦する医師をメンバーに加えるか、それができなければ傍聴させなさい。それから委員のメンバーは、現地へも出向かずに、本人も診ずに、因果関係のあるなしを判定するというのは、これはおかしい、現地へ出てくるようにという要請をしました。そのことを医療委員会に伝えるというふうに約束されました。しかしその後、一切がなしのつぶてであります。  そうして五月に第一次の申請を受け付けました。二十人を超える病人が申請を出しました。その後数カ月たちまして、第一次申請の診断書では細目がわからないから、幾つかの検査を、指定された病院でしろという文書が回ってまいりました。そうして昨年の十二月八日、谷田部さんが名古屋にお見えになり、そのときに住民と交渉を持ちました。そうしましたら、新幹線の医療委員会で因果関係あるなしの判断が出て、それからどうするのかと聞いたところ、それは何も決まっていない。医療委員会は因果関係のあるなしを判断するだけで、あった場合、何をするのかは、まだ何も決まっていないというふうに答えました。  そういう状態で今日までくる中で、すでに申請をした病人の中から何人かが亡くなっております。ことしの三月にも、最初に申請をした八十歳の老人が亡くなりました。私は、亡くなる数日前に国鉄にかけ合いまして、すぐ病院に入院させるようにと要請しました。しかし、現実には病院へ収容することはできませんでした。その中で竹内さんが亡くなったという経過をたどってきているわけです。  こうした実態を見てみますと、結論部分に入りますけれども、先ほど述べましたように、健康、病気、こういう問題は時を待たないわけです。費用がかかる、かからないということも言っておられない、そういう問題であると思います。そういう点から言えば、即刻新幹線による騒音、振動を軽減する対策をとる、それ以外に沿線住民の救われる道はないというふうに思います。  以上で私の意見を終わります。

渡辺惣蔵日本社会党

○渡辺委員長 ありがとうございました。  次に、高村参考人にお願いいたします。

高村坂彦徳山市長

○高村参考人 私は、ただいま御紹介いただきました徳山市長の高村坂彦でございます。  若干自己紹介をさせていただきますが、昭和三十六年から今日まで、約十四年間市政を担当いたしましたから、いわゆる経済成長時代から、公害問題が重大化した時代を、一線行政を担当してきたわけであります。その体験を通じまして、新幹線騒音問題に関連しつつ、若干意見を開陳いたしたいと存じます。  まず第一に申し述べたいことは、御承知のように市長は、第一線で総合行政を担当いたしておりますから、大きく言えば、外交、防衛、治安を除いた内政全般について関係をいたしておるわけでございます。公害行政につきましても、環境庁ができまして、中央での総合調整が行われているはずでございますが、第一線で感じますことは、やはり、中央の縦割り行政等もございまして、それを進める場合には、いろいろな骨を折ることもあるわけでございます。第一線では、御承知のように住民の生活に関することは、事大小となく、権限があるとかないとかということにかかわらず、回避し得ないのが実情でございます。  徳山市における、新幹線公害を含めて公害対策の概況を述べますと、恐らく皆さんには、徳山市とお聞きになりますと、公害の都市のイメージをお持ちになっていらっしゃるのではないかと思いますが、昭和四十年には石油コンビナートが完成いたしました。まず、大気汚染が問題となりました。次に、海水汚濁と関係ありとされている赤潮の問題が起きました。さらに、昭和四十六年には水銀汚染問題が起こり、次いで、出光石油化学の火災による企業の安全の問題が大きく取り上げられましたことは御承知のことと存じます。それから山陽新幹線建設に関連しまして、新幹線の公害問題が起きたわけでございます。  しかし今日では、水銀の問題を残しまして、他の公害問題につきましては、おおむね良好な経過をたどっております。  大気汚染のバロメーターと言われております。ぜんそく、あるいは気管支炎による死亡率は、全国の死亡率の平均値を下回っておるような状況でございます。それから市民の関心も、公害に対しましてはやや薄らいだ感がございます。たとえば、市議会議員の選挙時における候補者の公約等を見ましても、このことがあらわれておると存じます。昭和四十六年、いまから四年前の市議会議員の選挙では、立候補者が五十名ございました。その中で、公害問題を取り上げたのは二十六名。今回の四月の選挙におきましては、四十六名の立候補がございましたが、公害問題を取り上げた方は八名にすぎなかったわけでございます。その中で新幹線の公害を取り上げた方が二名ほどいらっしゃいました。  そこで新幹線の騒音問題でございますが、徳山市では、実は新幹線駅を徳山駅に併置してもらいたいという市民全体の強い要望もございまして、市議会あるいは商工会議所等と連携をとりながら、その誘致運動をやったわけであります。しかし、たまたま国鉄の方針もその方針と合致いたしましたので、これが実現いたしました。そういうようなこともございまして、新幹線ができることには非常な期待を持っておりましたが、しかし、たまたま全国で新幹線公害等が問題になりまして、その決定をいたしました後におきまして、市内で新幹線に反対の運動が起こりました。それは騒音等の公害があるということが主たる原因であったように考えております。したがって、市議会等でもしばしばこの問題が論議されました。市議会の中に新幹線対策特別委員会というものをつくりまして、そこから私と国鉄に対して意見書が提出されました。その中に「騒音については六十ホン以下になるよう措置すること」という項目が入っておるわけでございます。  しかし、その後だんだん工事も進んでまいりましたが、いろいろ反対する方とも国鉄も相談され、われわれも中に入って調整をいたしまして、工事の進行することに対しては反対しない。そして公害が出た場合には、それに対して適切な措置をとるというふうなことで、一応話し合いがついておりました。  いよいよ開業となりまして、調べてみますと、八十ホン未満が大部分でございます。ごく一部に八十ホンを超えるところがございます。それからもう一つは、トンネルの出入り口に、いわゆる空気の圧迫音といいますか、そういうものがございまして、それに対する若干の問題が残っておりますけれども、八十ホンに足らない地域では、大体いまでは問題にいたしておりません。これはどういうわけかと思いますと、恐らく暫定基準として八十ホン以下ということが発表になっておりますし、そういうことが心理的な、感覚的な影響も与えたのではないかと察せられます。したがって、目下のところ、いま残っております圧迫音それから八十ホンを超えたところ、こういうところにわれわれも気を使いまして、いろいろ国鉄の対策等を要望いたしておるような次第でございます。したがって、開業後は新幹線の公害というものに対する市民の関心というよりも、むしろ、これができて社会的な効用性といいますか、そういうものに対して非常に満足している。乗降客のごときも、国鉄等が予想しておりました昭和六十年度の乗降客の数字に、すでに達している、こういったような状況でございます。  また、徳山には在来線の山陽本線がございます。それが新幹線とある地点までは並行して進んでおりますが、その騒音値は、高いところで大体八十八ホンございます。しかし、これも現在では、これはなれの関係もございましょうか、問題とはなっておりません。  市の一般公害対策として行ったことを若干申し上げますのは、第一線でやっておりますと、いろいろな政策というものの総合性といいますか、バランスといいますか、そういうことがございますので、一言申し上げますが、まず、私どもは発生源対策というものに重点を置いてやりました。次に、環境の積極的改善策としまして、緩衝緑地その他の公園の整備、市街地の緑地化政策というものを進めてまいったわけであります。  なお、公害対策は住民の健康を守るということでありますが、ただ、住民の健康や命を守るということは公害対策だけではないわけでございます。いろいろな対策があるわけで、それらのバランスもあるわけであります。私、率直に申し上げますと、やはりいま一番住民の安全と申しますかの上で問題は、交通事故でございます。全国では御承知のように百万近い死傷者が出るわけでございますから、毎年小さい県が一県くらいは全滅している、こういう状態でございます。これは大変なことであろうと思います。しかしながら、これはどういうことか、公害ほどセンセーショナルといいますか、神経質には取り扱われておらないというのが現状ではないでしょうか。しかし私どもは、住民の立場から言えばこれは大変な問題であるということで、市民の安全と健康を守るということが徳山市政の最重要施策の一つでありますが、交通安全という問題に力を注いだわけでございます。昭和四十五年から全力投球をやりました。いわゆる総ぐるみ運動をやりました。その後、昨年までの経過を見ますと、非常に減っております。死者だけ申しますと、昭和四十四年は三十名の死者が出ております。それが漸減いたしまして、昨年は九名になっております。負傷者あるいは事故数等も大体三〇%以上減っております。こういう状態でございますが、こういう問題と公害対策という問題、それを市としましてはやはりある程度両方とも重視していくということで、今日まで進んでおるわけでございます。  私は国の公害対策がここ数年大変進んできたことに対して敬意を表するわけでございますし、特に環境庁が設置せられましてから、著しい前進を見たことも、本当に喜びにたえないところでございます。しかし、新幹線騒音対策、特にその環境基準の設定は、取り扱いいかんによっては、言葉がちょっとあるいは妥当でないかもしれませんけれども、角をためて牛を殺すという愚をあえてする結果となるおそれはないでしょうか。この点に若干の疑問がございます。私は市長として、環境保全に対しては、国の勇気ある施策に賛成であります。しかし、それには住民の生命、健康を守るという点から、総合的な施策を期待するものでございます。自動車騒音、航空機騒音等との整合性等もいろいろ考えて研究しておられるようであります。これは当然のことと思います。しかし、自動車騒音あるいは航空機騒音というものと新幹線鉄道の騒音というものは、その発生源といいますか、そういうものに特殊性があるということも無視することのできないことではないか、かように考えます。  いまや新幹線の国民生活に与えている社会的効用性につきましては、全国民がこれを評価しております。否、国際的にも私は評価されておると思いますが、もしも今後工事中の新幹線が非常におくれてくる、あるいはこれから予定しておる新幹線の着工等もできない、こういうようなことになりますると、これは私は国民の期待に非常に反することになるのじゃないかということを思う者の一人でございます。もちろん、そうしたことがあるから、一部の人を犠牲にすることを放置してよいということにはならないことは当然でございます。あくまでも総合的な観点から、誤りのない方法を実現しなければならないかと存じます。一人一人の命が大事だということはもちろんでございます。しかし、今日日本人の寿命が非常に延びたというようなことも、一体何に原因したかということも考えなければならぬでしょうし、特にこの新幹線の騒音対策につきましては、先ほどもちょっと御意見があったようでございますが、国民経済全体との関係というものを無視するわけには私はいかないと思うのです。騒音対策だけに比重がかかって、財政の問題あるいはいろいろな問題を無視して、これを強行するということは一体可能であるかどうか。また、その結果はどうなるであろうというようなことも考えなければならない問題であろうと思います。  そういうことを考えますというと、この騒音の規制基準を達成するために、決まれば、責任をもってやらなければならないのは、私は国鉄であろうかと思います。しかし、国鉄ひとりではとうていできません。国全体、各省庁の応援がなければできないでしょうし、また、われわれ地方の行政を担当しておる者としまして、先ほど来お話がございましたように、あるいは児童公園であるとか、あるいは緩衝緑地であるとか、いろいろな問題をやるについては、やはり協力をせざるを得ないと思います。そういう立場にあって考えますというと、これを責任をもって実施する国鉄の考え、意見というものは、私は十分尊重してやりませんと、結局絵にかいたもちになるおそれがあるのではないかということを考えざるを得ないわけでございます。この点は特に注意しなければ、せっかくの非常に熱心な御努力というものが実を結ばないことになるのではないか。  市長としましては、環境改善が行われるということは、われわれ住民を代表する者として切望いたします。しかしながら、それにはおのずからいろいろな施策とのバランスというものがありましょう。国民経済全体ということも考えていかなければならぬでしょう。また、先ほど来いろいろ御意見がございましたが、もう音源対策は技術によって十分できるということであれば、何も申しません。しかしながら、それが果たして可能であるかどうか、こういう点も、責任を持っておる国鉄が、どう一体見きわめが立っておるか、こういうことは十分考えなければならぬことではないかと思います。  以上、まことに言い過ぎたことがあるかもしれませんが、御了承いただきまして、私の意見の開陳を終わらせていただきます。

渡辺惣蔵日本社会党

○渡辺委員長 ありがとうございました。  次に、高谷参考人にお願いいたします。

高谷彦三郎伊丹市環境部長

○高谷参考人 ただいま御紹介にあずかりました伊丹市環境部長の高谷でございます。  最初に、山陽新幹線が伊丹市、西宮市、尼崎市の三市を通過するに至った事情から説明いたしたいと思います。  四十一年五月十一日、山陽新幹線の通過地と駅の位置についての認可申請がなされたとき、三市はこぞって山陽新幹線の通過には大反対し、直ちに運輸省と国鉄に反対の申し入れ書を提出しております。すなわち、これら三市の通過地は人家が密集し、阪神のベッドタウンとしての閑静な環境を持った住宅地であるからであります。伊丹市内においても、通過距離二千八百五十メートルに対して、その九七%が住宅地域を占めており、一日の疲れをいやす安住の環境の破壊を恐れたからであります。したがって、山陽新幹線の通過によって引き起こされる公害を未然に防ぐには、山陽新幹線の通過それ自体に反対せざるを得なかったのであります。  その後、昭和四十三年三月十二日、山陽新幹線建設による公害対策についての申し入れに対して、三月三十日付幹工第六百五十六号によって、山陽新幹線建設による騒音、振動等の防止対策についての回答が寄せられましたが、その中で、騒音については在来鉄道と同程度の七十五ないし八十ホンAにとどめ、振動については、高架橋両側に残る住宅内で人体にほとんど感じず、また、建物等にも損傷を与えない程度の〇・三ミリにとどめることが記されております。  三市と三市議会は、当該回答について、十分満足できるものではありませんでしたが、県知事などのあっせんもあって、四十四年五月六日西宮市長、同じく六月五日伊丹市長、六月二十四日尼崎市長と日本国有鉄道新幹線工事局長との間に、新幹線建設に伴う覚書が交わされ、公害対策等については、将来にわたり特段の努力を払うことを約束して、新幹線建設の運びとなったのであります。そして、四十五年一月十九日起工し、四十七年三月十五日、山陽新幹線の岡山までの開業が実現したのであります。この間、建設に伴う諸問題等いろいろな交渉がありましたが、国鉄の騒音、振動等の各種防止対策や、沿線住民の要望に十分こたえてもらえることを期待して、山陽新幹線の建設を見守ったのであります。  このような経過のもとで山陽新幹線が開業されましたが、開業間もなく、騒音、振動、テレビ電波障害等の苦情が相次いで起こってきました。伊丹市内のその実態を調査しましたところ、騒音は側道端、これは軌道中心より十五メートルの地点ですが、ここで最高八十四ホンA、これは南野集会所の南側でございます。振動は〇・六ミリ、(場所としましては南野集会所の南側です。)を記録し、近接住宅の屋外(県職員住宅五階屋上)では、九十二ホンAという高い騒音を記録して、回答に示された数値をはるかに超し、騒音、振動の激しさを痛感したのであります。  すぐに国鉄に対しまして、覚書による約束の遵守とその対策について陳情、要請をいたしましたが、なかなか取り上げられず、切歯扼腕しているうちに、四十七年、この国会において地元選出の代議士により、その実情が明らかにされました。そうして、覚書による約束が守られるような措置をとり、沿線住民の公害に十分な配慮をすることと、新幹線の環境基準の設定に努力することなどが強く要望されましたが、当局はその要望に沿うような答弁がなされております。  さらに、その後三市は、環境基準の設定や覚書による約束の履行について陳情をしてきましたが、運輸大臣、環境庁長官、議員団などの現地視察があって、国鉄もやっと重い腰を上げて、一年後、四十八年三月、側壁に吸音板を取りつけ、さらに一年を経て、四十九年四月に五十センチの遮音板のかさ上げを行われました。このような継ぎ足し対策では、いずれも期待しておりました効果が得られず、沿線住民の苦情を解消する抜本的な対策を強く要請したのであります。  山陽新幹線の開業から三年間、沿線住民が、覚書の約束を守ろうとしない国鉄の態度に大きな不信をつのらせているさなか、五十年三月十日の博多開業を迎えました。博多開業によって起こる、これまで以上の環境の破壊を憂える沿線住民の不安と不信は、なお一層高まるばかりであります。  博多開業に先立って、今年初めに国鉄と市とで行った共同調査では、側道端で騒音は最高八十三ホンA(これは野間南側と御願塚南側)、振動は〇・六四ミリ(これは南野南側)を記録しております。また、最近伊丹市環境部で実施しました生活環境実態調査に関する中間報告から、山陽新幹線に対する反応を見ますと、騒音、振動、テレビ電波障害、安眠妨害等を多くの人たちが訴えております。  次に、回答者に対するそれぞれの反応を百分率で挙げてみますと、騒音についてうるさいという反応は、軌道中心から二十五メートル以内に居住している住民では八八%、二十五メートルから五十メートル以内に居住している住民では八〇%という高い数値を示し、その半数が非常にうるさいことを指摘しております。振動では、二十五メートル以内では八四%、五十メートル以内では六七%が人体に感ずるという反応を示しておりますが、人体にかなり感ずる、非常に感ずるという反応は、二十五メートル以内では七〇%、五十メートル以内では四〇%になっております。また、騒音、振動による安眠妨害の反応は、二十五メートル以内では八〇%、五十メートル以内では七三%を占め、安眠のできないことを訴えております。特にひどいのは、テレビ、ラジオ等の受信障害で、これに対する反応は、二十五メートル以内で九七%、五十メートル以内では九四%、百メートル以内でさえ八五%と、広い範囲にわたって電波障害が見受けられます。  このほか、老人、乳幼児に対する健康上の問題、幼児、児童の教育の問題、病人の静養上の問題、住居対策に関する問題など、多くの問題を訴えております。また、三年間にわたる残地、高架下の管理の放置など、見逃せないものがあります。  このように沿線住民の新幹線公害に対する反応は著しく高く、生活環境に大きな影響を与えていることは明らかであります。  さて、次に環境基準の設定については、開業当初から、三市はもとより他市の人々によっても要請したり、陳情したりしましたが、それが四十九年夏ごろになるだろうと言われながら、やっと、去る三月十五日に中央公害対策審議会特殊騒音専門委員会の答申原案が示されました。いまだ公示されておりませんが、満足すべき内容ではありません。すでに三年間も騒音、振動に悩まされ続けてきた沿線住民にとっては、これから先の対策にまつことはできません。達成期間を置くことなく、直ちに実行させていただくような基準の設定をお願いいたしたいと思います。  最後に、これまで数々事情を申し述べてきましたが、もとをただせば、山陽新幹線が四十七年三月十五日に開業するときには、すでに覚書どおりの対策がとられて、約束した騒音、振動内になければならないことを思い起こしていただきたいのであります。いまだに実現されず、沿線住民の不信と不安をつのらせていることはまことに残念であります。  当局の誠意と努力によって、一日も早く公害防止の目的を達成すること、騒音の環境基準の設定を早急に決定していただくこと、振動に対しても騒音と同様に環境基準の設定を急いでいただくこと、今後とも山陽新幹線には夜行列車を走らせないことの四点を強く要望しまして、私の説明を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

渡辺惣蔵日本社会党

○渡辺委員長 ありがとうございました。  次に、中野参考人にお願いいたします。

中野雄介新幹線公害反対全国連絡協議会代表幹事

○中野参考人 私は、新幹線公害反対全国連絡協議会の代表幹事を務めております中野雄介であります。本日は、この委員会で私どもの意見を述べさせていただくことに対して、厚くお礼を申し上げたいと思います。  私は被害者の一人として、被害の一端を述べて、当面の私ども被害住民の要求を少し述べさせていただきたいと思います。  東海道新幹線が鳴り物入りで登場して以来、十年以上たちます。その間、東海道新幹線の沿線住民はすさまじい騒音と激しい振動にさらされて、安静な、平穏な生活を破壊されております。私ども新幹線沿線の被害住民は、名古屋においては、すでに御承知のように昨年三月、横暴と怠慢をきわめる国鉄に対して大きな不満を持ちながら、裁判に訴えを出しました。すでに多くの参考人の方が述べられておりますように、被害は実に深刻になり、そうして広範になりつつあります。三月十日の博多開通によって、その被害はますます大きくなっています。たとえば、いままで岡山-東京間の事故でおくれた場合に、十一時四十分で終電車は終わるわけなのですけれども、それが十二時半くらいまで延びていたのが、現実には一時半まで走るような状況がすでに起きております。このことは、沿線住民の睡眠を完全に妨害しているということだと言えます。  そこで、私どもは国鉄に対して種々要望しながら、ついには裁判に立ち上がったわけなのでありますけれども、昨年七月二日には、第一回の口頭弁論を前にして、全国の被害住民によって、また、これから建設されつつある、また、されようとしている新幹線沿線の住民によって、全国組織である新幹線公害反対全国連絡協議会というものがつくられたわけなのであります。私どもの連絡協議会には、先ほど参考人の一人が述べられました徳山の住民も入っています。下松の住民は先ごろ私どもの方に加入申し入れをしております。  新幹線の走るところには必ず重大な被害が起きています。このことは国鉄といえども否定することはできません。加害者たる国鉄自身が調査した結果でも、騒音と振動のすさまじさを認めています。ところが国鉄は、その裁判の応訴態度の中で、被害はないと言い切っています。また、痛切な被害にたまりかねて裁判に訴えた原告たちに向かって、苦情常習者であるというふうに言っています。これはとんでもないことだと思います。  そこで私どもは、最近出された答申原案について、少し要求を出してみたいと思います。  先ほど、いろいろな参考人から述べられておりますように、この答申原案そのものも、やや住民要求に近づいたかのようなポーズを示しながら、たとえば、七十ホンというような線が出されていますけれども、実際には、十年間にわたって与えられ続けてきた被害を、そのまま野放しにするような達成期間が設けられています。私ども被害住民は、このような十年もの達成期間については認めるわけにいきません。被害は深刻であり、病人は安静にすることができず、新幹線の沿線では新幹線疎開という言葉さえはやっています。また、一家のうちで新しく結婚する息子夫婦たちが、激しい騒音や振動のもとで過ごすことをきらって、わざわざ別居するというような新幹線孤老さえ起きています。この実態は余りにも全国の人たちには知られてないような気がします。  私どもは、このような被害を一刻も早く救うために、まず、基準については早急に達成することを要求いたします。私どもは三月十日の国会請願の中でこのように言っています。膨大な金がかかるというならば、現在膨大な金をかけて建設している新幹線建設をストップして、被害救済のために使え、これは簡単なことであります。また日本の経済が混乱すると言われます。しかし、新幹線ができる前から、日本の経済は大きくなっています。また、スピード至上主義が、そんなに経済に与える影響があるのかどうか。沿線住民の被害を放置したままで、日本全国に七千キロにわたって新幹線を建設する必要があるのかどうか、この点をお考え願いたいと思います。  また、昨年三月十五日に当委員会において、私どもの会長並びに名古屋市公害対策局長が、同じような実態を述べていますけれども、これは単に加害者国鉄だけで解決できる問題ではないと思います。したがって、諸先生方の御尽力によって、関係諸官庁が被害を救済し、そしてどうしても必要である新幹線であるならば、被害者の出ない、国民に愛される新幹線をつくられるよう要望したいと思います。  私どもに与えられた時間はわずかでありますから、国鉄の対応策について少し述べますと、かつて国鉄は騒音については国の基準に従う。たとえば八十ホンないし八十五ホンという暫定基準については従うと言いました。しかし、その対策もいまだ遅々として進んでおりません。振動について言うならば、振動は国に基準がないから、私ども国鉄としてはどうすることもできないのだという一点張りです。ところが名古屋においては、名古屋の被害住民が結束して、名古屋地裁に新幹線公害差しとめの訴訟を起こす途端に、名古屋は非常に地盤軟弱地帯であるから、振動対策として、沿線二十メートルを買い上げるということを報道してきました。これは単に新聞報道でありまして、私どものところに直接来たのは昨年の十二月八日であります。新聞ではすでに早くから言われております。ところが、その実態を見ますと、同じ名古屋市でありながら、同じ地盤軟弱地帯でありながら、名古屋の原告団が居住しているわずか七キロの区間だけを買い上げると言ってきております。これは国鉄は何を目的としておるのでしょうか。明らかに裁判対策であり、住民対策であります。  はからずも国鉄の東京第三工事局長は、私どもが十二月八日に知り得る前に、東京の住民団体の代表を呼んで、名古屋においての裁判は汁がつけられます、公害もなくなります、こう発言しています。そうして、なぜ解決できるのかという住民の問いに対して、原告の居住している七キロを買い上げることによって、原告の九〇%はいなくなる。したがって裁判もなくなるし、うるさいことを言っている住民もなくなって、被害はなしになったと同然だと言っています。とんでもないことであります。  先ほど二村先生がおっしゃったように、振動の面で言うならば、最低三十メートルの線が必要であるというように言われています。私ども名古屋においては、実に三十メートル離れたところにおいても一ミリ以上の屋外振動があります。これは屋内に増幅して二ミリ、多いところでは六ミリというような大きな振動を与えています。先ごろあった伊豆沖の地震などにおいても、きょうの新幹線はえらい長く走るなと言っておったら、地震であったというような実例さえあります。したがって、本当に国鉄が振動対策として、公害をなくするという立場で買い上げをするのであれば、単に二十メートルというようなことを言わずに、振動対策に値するような幅での緩衝地帯の設置とか、そういうことを申し出てくるべきだというように思います。  したがって私どもは、国鉄の不信、そしてその国鉄を指導する立場にある、監督する立場にある運輸省の態度、また住民の環境保全を絶対の責務とする環境庁の態度について、少し反省をしていただきたい、このように思うわけであります。  たとえば昨年八月十四日と本年三月十日には、私ども全国連絡協議会の代表が環境庁に要望や陳情をしております。そのときに大気保全局長の春日さんはこのように言っておられます。なぜ新幹線ができる前に阻止しなかったか。私どもは新幹線にそんな公害があることを知りませんでしたという住民の答えに対して、では、いまから線路に寝転がって新幹線をとめなさいと言っています。これが国の大きな役所、中央官庁の局長の発言であっていいのでしょうか。私どもは本当に命を張ってでも新幹線はとめたいと思います。しかし、私どもも良識ある法治国の国民であります。そのようなことをしなくても、必ずや皆さん方のお力添えによって公害はなくなるであろう、また、一日も早く私どもの失われた環境を回復するために、皆さんに御尽力を願いたいと思っています。  以上、終わります。

渡辺惣蔵日本社会党

○渡辺委員長 ありがとうございました。  次に、久保井参考人にお願いいたします。

久保井一匡日本弁護士連合会公害対策委員

○久保井参考人 日本弁護士連合会公害対策委員の弁護士の久保井でございます。  日本弁護士連合会では、昭和四十七年に名古屋地区の被害の実態並びに国鉄の対策の実態、さらに名古屋市、愛知県の自治体の対応策がどうなっているかという実態、そういうものを調査いたしました。そして昭和四十八年には、これは大阪弁護士会で、大阪府下における同様の実態調査を行いました。そして昨昭和四十九年、東北、上越新幹線の建設中の諸問題についての実態調査を行いました。  私どもの行いましたこういう実態調査を基礎に、法的に新幹線公害のあり方、法的規制としていかにやっていくべきなのかということにつきまして、私の若干の意見を申し上げたいと思います。  法的規制のあり方を申し上げる前に、この三回の調査、特に前二回の調査は私が責任者をしておりましたので、これを中心に、現在の新幹線公害の実態がどうなっているかということを申し上げたい、若干調査の結論を申し上げたいと思っております。私は被害者の代理人とか、そういう弁護団としての立場を申し上げているわけではございませんで、第三者としての日本弁護士連合会の調査の結果でございますので、その点、十分にそれを前提にお聞きいただきたいと思います。  まず調査の結果、新幹線公害が予想以上にひどいということが明らかになりました。私どもは、調査に入りますまでは、新幹線公害というものは騒音だけだと思っておったわけでありますが、実は騒音だけではないということであります。騒音については先ほどから数値が示されておりまして、私がいまさら実測値を示す必要はないわけでありますが、実は振動がひどい。このことも先ほどから数名の参考人が詳しく説明されているとおりですが、その騒音、振動に加えて、日照とか通風とか採光とか眺望とか、そういう住環境を構成する環境要因全体が破壊されている。だから、その沿線の居住環境が全体としてスラム化している。東海道新幹線の場合には、側道として、これは国鉄の工事用の道路ですけれども、四メートルばかりの道路がとってあるところが大部分でありますけれども、そういうふうに密着してくっついて建設されている。名古屋の場合には、ひどいところでは、ある軒先の片すみ一坪だけ買収して、すぐ新幹線に密着しているというような部分が目立ちましたけれども、そういうような密着したところに新幹線が走っているために、居住環境全体が破壊されている。また自治体の都市計画が、上位計画としての新幹線によって押しつぶされている。そういうことが強く印象に残ったわけであります。  これは、そういう問題、そういう実態に着目して今後対策をとるならば、この新幹線公害を騒音だけの問題に矮小化してはならない。そういう全体としての公害を、新幹線公害と便宜上私は呼んでおりますけれども、騒音以外のものも含めた全体としての新幹線公害について、対策を考えていただきたいというふうに、弁護士会としては考えているわけであります。  そしてまた、この調査の中で特に強く感じましたのは、弱者に対する配慮が足りない。すなわち健全な通常人を基準として音圧レベルなり振動レベルを考えるということでは不十分だということであります。先ほどどなたか申しておられましたけれども、老人、病人、幼児の保護、これが住民の中に何十%かおるわけですから、これを基準として基準値を決めるということ。排出基準にせよ環境基準にせよ、そういうものを一つの観点の中にはっきりと入れて設定していただきたいというふうに感じたわけであります。  また、このような被害が、環境破壊ということ、あるいは日常生活妨害ということだけにとどまらず、いわゆる狭い意味での疾病というものにまでつながっていっている。だから、もし国が、この事態を徹底的に疫学調査なり住民健診なりをなされるならば、かなりの身体的な被害というものが、少なくとも集団的には明らかになってくるのではなかろうかと考えております。  そういう実態調査の結果を踏まえまして、被害の実態に対しまして、国鉄並びに国の施策がどういう点で不十分か、あるいはどういう点に問題があるかということについて、若干申し上げたいのですが、私どもはもうすでに報告書を文書で出しておりますけれども、環境庁としては少なくとも徹底的に被害調査を実施すべきである。国鉄の医療委員会というような、現在のそういう個別的な調査でなくて、地域的な疫学調査、住民健診を行って、被害の全貌を明らかにするということが必要だろうと思います。  騒音による身体的な被害というのは、難聴を除きまして、すべて騒音が一つのストレス源となってあらわれてくる間接的なものですので、個々の原告あるいは個々の住民ごとには、なかなかその健康被害が証明しにくいわけでありますけれども、集団として比較した場合には、他地区に比べて健康障害が明らかに多く出るということは容易に予想されることでありまして、これは国鉄がなさるというよりは、むしろ国、すなわち環境庁が徹底的にそういう疫学調査をなさる必要があるのではなかろうかと思います。  それから国鉄の対策につきましては、抜本的な対策としては可能な限り音源対策を進めていくということは、国鉄は繰り返し申しておられますが、私ども日本弁護士連合会は、基本的な考え方としては次のように考えております。すなわち、まず住民の必要とする環境が侵されない範囲内でしか、今後の開発は許されないのだ。従来はそうではなくて、開発をまず行って、技術的な意味であるいは財政的な意味での可能性がある範囲内で対策をとってきた。これが今日の爆発的な公害をもたらした。七〇年代は公共事業による公害が主役だと言われておりますが、その最大の原因は何かというと、まず開発を先行させて、そしてその開発に支障を来さない範囲内で、技術的な意味においてもあるいは財政的な意味においても支障を来たさない範囲内において、対策を講ずるという考え方をとってきたために、今日の爆発的な公害が発生したわけでありますが、この考え方は根本的に改める必要があるということは、今日ではすでに常識になっております。  まさに住民のシビルミニマムとしての環境が破壊されない限度においてのみ、開発が許されるのだということが基本でなければならぬ。そういうことを観点に対策というものを考えていただかなければいかぬわけでありまして、現行の国鉄のスピードをすべて容認し、現行の輸送量をすべて確保した上で、そして住民の健康も確保するという、両方調和させるということができない場合には、やはり環境優位の考え方に踏み切っていただく必要があるということが、これは騒音問題に限らず基本的な考え方であります。  具体的に申しましても、国鉄は新幹線で年間一千億以上の利益を上げておりますから、もっと研究費をふやして、二村先生の御研究の結果でも、技術的改善が相当可能であるということでございますので、もっともっと研究費をふやし、すぐれた研究者に研究を委託して音源対策を進めていくならば、現在想定されております。十ホンという環境基準あるいはもっと低い数値に下げる可能性があるわけですから、その点、徹底的にやっていただく必要があるということであります。  そういうような抜本的な音源対策が講ぜられるまでは、当面、住民の要求しております数値にはほど遠いにせよ、やはり一定のスピードダウンその他の連行方法による減音効果を考える、減音対策を考える必要がある。今度の環境基準の達成方法では、十年間で達成できない場合に初めてスピードダウンというものを考えるということになっておりますが、私に言わせれば、そうじゃなくて抜本的な対策が見つかるまでは、とりあえずスピードダウンをして、住民の要求にこたえるべきであるというふうに考えております。  さらに、周辺対策につきましても申し上げておきたいと思いますが、緩衝地帯が東海道新幹線の場合にはほとんどゼロに近い、あるところでも四メートルくらい。山陽新幹線の場合でも二十メートルくらい、今後も大体二十メートルくらいでやっていかれるということだとしたならば、この公害問題はやはり解決できない。だから少なくとも今後新幹線を建設する場合には、緩衝地帯についてはかなり思い切った、そういう騒音、振動問題がかなり確実に防げる距離をとっていただく必要がある。私に言わせますと、これは両側百メートルずつというのが理想でありますが、そこまではむずかしいにしても、少なくとも五十メートル程度の緩衝地帯をとらなければ、根本的な対策にはならないのじゃなかろうかというふうに考えます。  それから移転補償対策についても、まあ現在は公共用地の損失補償基準要綱というものが閣議で決められておりまして、公害で地価の値下がりがした場合には、値下がりをした地価がそのまま基準になるということがありますので、実際にもらった金では引っ越しができないという、そういう問題が各地で起きておりますが、そういう新幹線公害が存在しない場合には、このくらいな地価がしたであろうという、本来あるべき地価で補償していくというような形の対策が必要ではなかろうかと思います。  さらにまた、音源対策、周辺対策に比べて、補償対策については皆無であります。私どもの考えでは、少なくとも昭和四十七年十一月に発表された暫定基準、環境庁勧告でなされた八十ホンを超える地域について居住している住民に対しては、これはもはや個々人に対する補償を直ちに実施すべきであるというふうに考えております。私どもはもちろん八十ホンでいいという意味ではなくて、せめてそのくらい、その数値を超えているところに居住している人に対しては、直ちに実施すべきだ。では何ホンまで補償しなければいかぬかということについては、まだ具体的な数値は検討しておりませんが、そもそも自分の敷地、すなわち国鉄が軌道用地として持っている自分の敷地外に、すなわち他人の居住する地に、有害物質、本件の場合だったら騒音、振動ですが、そういう騒音、振動を放散する権利はないわけであります。そういう賃借権とか地上権とか地役権を設定して、そして放散するならともかくとして、何の了解もなくして隣地に騒音、振動を放散する権利はないわけでありますから、何か受忍義務が初めから住民側にあるということを前提として、すべて物事が法律的に処理されている、あるいは法的な規制についても、そのことが前提になっているような感がありますが、その点はやはり法律家としては非常に問題だと考えております。  そして今後建設される新幹線あるいは建設中の新幹線については、環境アセスメントということを徹底的に実施していただきたい。アメリカの国家環境政策法の百二条a項というのがありますが、それに基づきまして、アメリカでは当該開発がもたらす影響、特に自然環境に及ぼす影響、生態系に及ぼす影響、社会的、文化的な諸機能に対する影響、そういうものを開発の決定の前に徹底的に事前に調査をする、環境影響事前評価というふうに日本語に訳されておりますが、環境アセスメントというものが、すでに一九六一年に法律上に明記されており、そしてその環境アセスメントが十分に行われなかったことを理由に、次々と公共事業が差しとめられております。いわゆるニューサンス法理というものがございますが、その法理を補うものとして、国家環境政策法に基づく公共事業の差しとめというのが次々と行われた。だからわが国においても、当然この環境アセスメントというものを徹底すべきである。そして調査した資料を住民に公開すべきである。そして住民の同意を取りつけるべきであるというふうに考えております。昨年の六月二十四日、中公審から環境庁に対してアセスメントの指針あるいは方針についての答申がなされましたけれども、この中では鉄道については、これは除外されております。適用除外になっている、こういうことが非常に問題であります。私は、まさに公共事業は進んでそういうアセスメントをすることを示すべきであって、民間企業がそれに追随するというのが順序であって、民間企業よりまずやれ、公共事業は適用除外だというのは、これは生活環境と健康の保護義務を担っている国の姿勢としては間違いであろうかと思います。  以上申し上げました観点、すなわち音源対策の問題あるいは周辺対策の問題、補償対策の問題、環境アセスメントの問題を総合して、法令を整備する必要があるということを申し上げたいと思います。  昭和四十三年に騒音規制法という法律ができておりますが、この原案には鉄道騒音も対象になっておったわけでありますけれども、すでにそのときに、立法化の過程でそれば消えていきました。工場騒音と建設工率騒音が規制の対象になって、それから後日、自動車騒音も規制の対象に追加されましたけれども、鉄道騒音は除外されております。航空機騒音については、騒音規制法では適用除外になっておりますけれども、航空機騒音防止法という特別立法がありまして、きわめて不十分ではありますけれども法律がある。ところがこの鉄道騒音、新幹線騒音については何もございませんで、全く野放しというのであります。四十七年の十二月に環境庁の長官が勧告した八十ホンを超える地域は直ちに対策をせよという、あの勧告があるだけで、法令というのは全く皆無である。こういう状態が今日まで続いているということは、まさに他の騒音被害者との間の不平等あるいは整合性という点から言っても非常に問題だろうと考えております。  若干、今回の環境基準について申し上げておきたいと思いますが、すでに一般騒音の環境基準は数年前に告示で設定され、対策がおくれていると言われる航空機騒音ですら、昭和四十八年の十二月には環境基準が正式に閣議決定されている。それにもかかわらず、新幹線騒音だけが今日まで環境基準の答申すら出ていない。先日の新聞報道によりますと、現在の専門委員会の案ですら、行政目標値であることをはっきりうたうということ、達成方法とか期間については若干猶予するということを条件に、部会の方では通過させようという意向だということが新聞に載っておりましたけれども、とんでもない話であります。  私は、今回のこの環境基準は積極面と消極面を両方持っていると思いますが、もちろん、四十七年の暫定基準、環境庁勧告に比べれば大きく前進はしておりまして、その面で評価するにはやぶさかでありませんが、しかし、やはり不十分な面があると言わざるを得ないと思います。  まず、専門委員会の審議の方法にも問題があると思います。と言いますのは、この専門委員会の中には、国鉄の副技師長が委員として参加されている。すなわち加害者が参加しておりますが、被害者代表は参加してない。私は、加害者も参加させないなら被害者も参加させない、これは一つの公平の原則から言ってバランスがとれていると思います。しかし、一方国鉄の技術者を参加させながら、他方、被害者をその委員の中に加えない、これはバランスの上から言っても、中身以前の問題として問題だと考えております。専門委員会だけではなくて、騒音振動部会も同様の構成になっておりまして、国鉄の技師長が委員として加わっておられますが、被害者側は委員として加わってないし、被害者の意見を直接、間接といいますか、いわゆる調査の対象としてはお調べになったかもしれませんが、少なくとも委員としては加わってない、こういう点がまず第一に問題でなければいかぬ。  中身の面でも、やはり問題点があると言わざるを得ない。一つは、道路騒音、航空機騒音との間に不公平が生じないようにしたいということが書いてある。またそういうふうに配慮したということが説明資料の中にあるわけですが、航空機騒音については、すでに夜の十時から朝の七時まで、運輸省は全面的に飛行禁止の措置をとっているわけです。ところが新幹線は午前六時から夜の十二時まで走っている。だから深夜の規制ということで、もし航空機騒音との整合性を考えるならば、当然にその問題に触れていただかなければいかぬ。そしてまた、朝夕、特に夕刻は、一日の労働によって疲れた体をいやすために、どうしても、睡眠じゃなくて、家庭の団らん、安息それから憩いをすることによって、あすへの活力を回復する最も重要な時間。午後六時から七時に始まって九時ごろまでの時間というものは、人間の疲労回復といいますか、家族の団らんなんかを通じて、最も楽しかるべき時間であり、また最も静けさを求める、振動なんかがあってはならない時間、そういう朝夕というもの、その点に対する配慮が全くない。すでに騒音規制法では三段階規制をしておりまして、昼間規制と朝夕規制と深夜規制の三つに分かれてホン数が決められています。そういうふうに決められ、かつ、航空機騒音については、十時から七時まででは住民は不服だということで、現在、大阪地方裁判所で、少なくとも九時以降はとめよという裁判をやっておりますけれども、せめて現在運輸省が実施しております十時から七時までの航空機騒音並みの時間規制というものが必要だろう。そしてまた、朝夕、特に夕刻については、列車本数についての検討も必要だろう。そしてまたホン数について、すなわち基準値についても、昼間と全く同じ値ではやはりいかぬのではないか、そういうように問題点があろうと思います。  そしてまた、道路騒音との整合性ということもうたわれております。五十五ないし六十五ホンが道路騒音の環境基準だから、それとの整合性を考えたということでありますが、すでに道路が存在する場合における環境基準としては、それはそういう程度のもので、住民はある程度満足するかもしれませんが、新しい道路を建設する場合には、従来享受しておった住居地としての環境を破壊されない限度でしか、受忍を承知しない、がまんすることを承知しないということが実情でありまして、道路騒音の環境基準が、果たして一般騒音の環境基準と特別でいいのかどうか、新設道路については問題があると思いますが、そういうものとの整合性だけでいいのかどうか、私としては若干疑問に思うわけであります。  最後に、達成期間の問題につきましては、すでに出ておりますが、三十九年十月に新幹線の開通後、すでに十年間被害に苦しんできて、さらに十年間延長するということ、ほぼ現状のまま延長するということは、これは余りにも被害者に酷ではなかろうか。特に四十七年、三年前に、八十ホン以下のところはすぐ措置をせよというふうに言われておったのが、それから三年経過した今日でも達成されてないのに、さらに三年間猶予するということになれば、六年間の猶予を認めるということになるわけでありまして、達成期間についても、やはり国鉄の技術水準に追随した答申案になっていると言わざるを得ない。つまり、開発か環境かという大きな価値判断において、今日ではもう開発が後退して、住民の生活環境が優先するのだということが、国民的合意に達している今日、やはり一つの環境基準の設定においても、そういうことを十分に頭に置いて、この達成期間についても再検討を望みたい。  そして、環境基準が甘くなりますと、環境基準を達成するためにいろいろな法令がまた必要になってくると思いますし、排出基準なんかもどうしても設定しなければいかぬ時期がくると思いますが、どうしてもまた、それがなまぬるくなってくる。環境基準のところでぴしっと縛っておいていただきたい、そういうふうに考えております。  以上で終わります。

渡辺惣蔵日本社会党

○渡辺委員長 ありがとうございました。  以上で、参考人からの意見の聴取は終わりました。  なお、参考人に対する質疑は、午後から行うこととし、この際、午後一時十五分まで休憩いたします。     午後零時三十六分休憩      ――――◇―――――     午後一時十九分開議

渡辺惣蔵日本社会党

○渡辺委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  参考人に対する質疑を行います。  なお、本日の質疑時間につきましては、理事会での申し合わせに御協力をお願いいたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島本虎三君。

島本虎三日本社会党

○島本委員 まず私は、いま、いろいろ貴重な参考意見の御開陳がございましたが、そのうちで特殊騒音専門委員長であります楠本参考人と高村徳山市長さんと、それから久保井日弁連の公害対策委員、この御三人に、一つの基本的な考え方についてお伺いしたいと思います。  それは特殊騒音専門委員会では、今度専門委員会の結論として、科学的な技術的な見地からの結論である、こういうようなことで、騒音振動部会の方では、新たに社会的、経済的角度から吟味してみる必要がある、こういうようなことになり、そしてそれがいま審議中である。もし、私が聞いていることで間違いあるならば、訂正してもらいたいと思いますが、私はそういうような感触を受けているわけです。もし、そうだとすると、私は、公害対策上、考え方において重大なずれがあるのじゃないかと思うのです。新幹線の建設は、もうすでに経済的に不可避な事実だとして、それを前提にして、その建設に支障のない限りの公害対策を行うという考え方になるじゃないか。人間優先であり、環境保全の立場から、昭和四十五年に公害対策基本法が変わったのです。その変わった時点においては、もうすでに新幹線の建設は、住民の環境を破壊しない範囲でこれを実施するという、この前提を忘れてはならないのじゃないかと思うのです。いま御論議を聞いており、ただいままでの私の感触で間違いないとすると、この辺から踏み外した、もうすでにまた四十五年に逆戻りした論議をしていなさったのじゃないかと思うのです。この点の委員会の模様について、委員長並びに御三人の参考意見を、時間が決められておりますから簡単に、結論を先にしてお伺いしたいと思います。

楠本正康中央公害対策審議会騒音振動部会特殊騒音専門委員長

○楠本参考人 お答えを申し上げます。  ただいまの御指摘でございますが、私どもは無論、国民の健康並びに生活環境の保全ということに基本を置いて検討をいたしました。しかしその間、もちろん経済社会全般のこと、あるいは総合輸送体制のことも頭に入れて判断したことは当然でございます。しかしながら、ただいま御指摘のように、現在は経済社会活動あるいは国土総合開発というような観点に優先いたしまして、国民生活を保全しなければならぬ、かような観点で物を考えております。しかしながら、ただいま御指摘のように、今度、部会の中におきましては、さような点もかなり強調されておりますのは、私はむしろ非常に残念に思っておる、かように御理解いただきたいと存じます。

高村坂彦徳山市長

○高村参考人 簡単にお答えいたします。  公害対策基本法が改正になった精神はよく存じております。しかし私どもは、いろいろなバランスというものは、経済を優先するという意味でなしに、やはり考えなければいかぬだろうというふうに考えております。したがって、新幹線の騒音振動部会におきましても、いま申しましたような社会的、経済的というようなことが多少考慮されて、報告がなされております。純学問的、純ということではないように私ども聞きました。これは、それの実行ということを考えますと、やはりそういうことが入らざるを得なかったのじゃないか。専門委員会の報告が純科学的であり、純学問的であるならば、それに対してわれわれ素人がくちばしを入れる余地はないわけでございますけれども、しかし、いま申しましたような観点も入れて御報告がありましたから、そういうことを申し上げておったわけでございます。先ほど私が申しましたように、人間尊重という立場あるいは人間の生命、健康を守るという立場、そういう点から言えば、やはりバランスというものを考えないといかぬだろう、かように私は考えております。

久保井一匡日本弁護士連合会公害対策委員

○久保井参考人 先ほどの説明が短時間のために、誤解を受けたかと思いますけれども、環境の保全と生命、健康を守るということが、今日の国民的な最大の課題であるということを前提にして、政府の政策自体が方向転換をしているときでありますので、新幹線の建設を当然の前提とした上での対策ということでは足りないということは、私としては当然そう考えております。  少なくとも今後の計画中の新幹線については、環境に対してマイナスが起きないということの保証がなければ着手すべきでないし、現に建設中の東北、上越新幹線についても、いまからでも環境に対する影響調査を直ちに実施し、そしてそれを公開し、そして被害が発生するであろうと予想される地区住民の同意を得ない限りは中止すべきであるぐらいに考えております。もちろん既設の東海道、山陽の新幹線についても、理想から言えば、住民の環境の回復がなされない限りは、旧東海道線のところまでスピードがダウンしてもやむを得ないというふうには思いますけれども、少なくとも民家が密集している地域だけでも、大幅に減速をするという程度のことはやるべきであるというふうに考えておりまして、既存の開発プロジェクト、大型開発プロジェクトの場合に、そのプロジェクトの建設は当然の前提とした上で、可能な範囲内での、すなわち技術的、経済的に、あるいは財政的に可能な範囲内での対策で足りるというような考え方は、今日では間違っている。  もちろん、人類は交通機関の発展とともに進歩してまいりました。だから過去そういう意味で、交通の進歩によってもたらされた国民の利益というものを否定するものではありませんが、いま御質問が出ましたとおり、すでに数年前に公害対策基本法の中で、経済との調和ということは考えてはいかぬということが決まっている以上は、現時点では少なくともそういう調和論は、絶対にとってはならないと考えております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 次に、周辺対策について、沿線の住民、関係地方公共団体の積極的な協力がなければ、これは新幹線であろうと地域開発であろうと達成できないということば自明の理です。そうなりますと、地方公共団体の長なる者は、よく住民の動向をわきまえ、つかまえておらなければならぬのじゃないか。私自身いままで公害のいろいろな運動に参加して、それをもうはっきり思っておるわけです。ある点では住民のエゴが出るほどの住民運動、これが公害運動として大をなしてきているのが、いまの形態の一つの流れだと思う。  いま聞いてみましたら、高村徳山市長さんの参考意見の中には、市民は騒音に悩まされているという意見が少なくなったというのですか、なくなった、こういう御意見の開陳があったようであります。これは、新幹線が通るところは、最近はほとんどこういうような意見は私、聞かないのであります。ことにその後で、全国的な、国際的に評価されておる新幹線の着工ができないと、国民の期待に反することになり、総合的観点として、財政、経済との関係を無視してはならない、こういうふうなことを総合的に考えろということもおっしゃったわけです。これではいかに何でも、四十五年の公害対策基本法のあの経済との調和、これを廃止したという意義がなくなった状態で、いまだに生きている、こういうようなことがちょっと感じられるわけでありますが、それでは徳山には被害者が出ておらないのですか、それともそういうような声がないのですか。市長として、これをはっきりどういうふうな方法で把握したのでしょうか。それと同時に、いまの意見に対して、もう一回申しわけありませんが、久保井日弁連公害対策委員の意見もあわせて伺いたいと思います。お二人の御高見を賜りたいと思います。

高村坂彦徳山市長

○高村参考人 お答えいたします。  四十五年に公害対策基本法が改正になった、その精神は私はよく存じております。先ほど申し上げましたように、経済との調和という問題を取られたわけですから、それはよくわかっております。ただ、経済の関係が取られたということで、全体とのバランスというものを全然無視するのじゃいかぬのじゃないか。私は、やはり人間の健康、生命というものをあらゆる面で考えなければならない、それは公害だけが問題じゃないというふうに考えておる。したがって、施策を進める場合に、それは人の命も大事です。しかし、(島本委員「それ以上に大事なものがありますか」と呼ぶ)ええ、人の命も大事です。ところが、経済を、企業をどうというのではなしに、われわれの生活というものは物質だけではなくて、精神面とかいろいろな面で支えられておりますから、そういうものを総合的に考えなければならぬというふうに私はとっておる。したがって、市長としていままでも公害対策には、先ほど申しましたような姿勢をとってきた。私は、先ほど申しましたような経過で、ある程度実績が上がっておると思っております。  それからいまの第二点ですが、徳山市では新幹線に対して問題はないかとおっしゃった。これは先ほど私が意見を述べましたときにも、あるということをはっきり申し上げておるのです。ただ、八十ホン以下のところでは、騒音に対しては、建設前には相当反対しておられた方も満足しておられる。これは反対の会長をしておられた方から、私は直接聞いたのですから、間違いございません。いまの騒音は大したことはないと言っておられましたから、これは間違いございません。それから八十五ホンというものがありますけれども、それはなれであろうか、とにかく在来線については問題がございません。これは事実でございます。  したがって、私の方としては、今度七十ホン、七十五ホンという問題が出ました場合に、それがどういう影響があるだろうか。これは心理的な感覚的な影響もありますが、これもしかし、環境基準として正しいものであるならば、これに反対するものじゃありません。それを実現するについて、やはりそれを執行する機関というものが、いろいろ意見がありますから、そういうことを十分にしないと、結局やろうとしてもやれない結果になるのではないか。八十ホンの暫定基準というものを示しましたけれども、三カ年で達成するということになっておりますけれども、今日達成しておりません。そういうことになってはいかぬということを私は思っております。

久保井一匡日本弁護士連合会公害対策委員

○久保井参考人 徳山における新幹線公害が実態的にどうなっているかということにつきましては、私自身直接に徳山で調査した経験がございません。しかしながら、新幹線公害の被害者がつくっておられます全国新幹線公害反対期成同盟の中に、徳山の被害者組織の方が加入されて反対運動を展開されているということは聞いております。そういう点から見ると、決して被害がないということではないと思います。  それから私は、公共事業の建設に当たっては、被害住民、地域住民の同意が必要だということを、先ほどの意見陳述の際に申し上げましたけれども、その地域住民の同意というのは、自治体の同意では足りないということであります。たとえば新幹線が徳山市を通過する場合、徳山市全体の中で反対か賛成かということをとりますと、新幹線の被害を受けない住民が圧倒的に多いわけでありますから、その場合には、議会では多数決で誘致賛成ということになるかもしれないが、新幹線の被害が直接に及ぶ範囲の住民の中で同意を取りつけなければ、真の同意を取りつけたことにならない。民主的手続を履践した上で公共事業が建設されなければならないというのは、あくまでも自治体レベルの同意では足りないということです。  それから、新幹線の公害の環境基準の専門委員会の答申案の中に、山陽新幹線の方が苦情率が高かった。東海道新幹線の方が、苦情率、被害の訴え率が低いということが書かれてあります。それについて、先ほど徳山市長はなれだということをおっしゃいました。これにつきまして、なれというものは、もちろん公衆衛生学者が専門的に研究しておりますけれども、これは身体の一部を犠牲にすることによって、より重要な身体を守っているという、そういう人間破壊の進行過程の一つのあらわれである。だから、そういう公害になれることによって、たとえば耳が少し遠くなることによって生体を守るというような、そういうなれの現象というのは決して好ましいとは言えない。また、われわれは、社会生活を行っていく上において、職場の人間関係、家庭の人間関係、あるいは市民生活相互における人間関係から、さまざまなストレスに耐えていかなければいかぬ運命を背負っております。したがって、避けられないなれのため、そのストレスに対してはエネルギーを消耗せざるを得ないが、公害というようなものに対してなれるということは避けなければならない。人間生活上不可避のストレスに対してなれるためにも、そのエネルギーを保存しなければいかぬ。そういうことですから、騒音とか振動になれることによって問題を解決するということは好ましくない。なれということによって、ある程度、人間が環境に対応するという能力を持っておることは、アメリカの高名なフライター博士が「騒音の人体に与える影響」という大著の中で強調されておりますけれども、しかし、それが好ましいとはおっしゃっていないわけでありまして、なれが生ずるからいいというものではないということを強調しておきたいと思います。

島本虎三日本社会党

○島本委員 わかりましたが、今度は同じく、これは楠本参考人。  これは名古屋の新幹線公害訴訟の請求内容の件です。これは御存じだと思うのですが、午前七時から午後の九時までの間は、騒音六十五ホン、それから振動は毎秒〇・五ミリ、午前六時から七時、それから午後九時から十二時までの間は、騒音五十五ホン、振動毎秒〇・三ミリを超えてはならないようにしてもらいたいという要請だったと私は存じております。そうすると、今回の一つの結論としては、特殊騒音専門委員会の報告の、この環境基準指針値ですが、これは住居地域は七十ホンであり、商工業地域などは七十五ホン以下だ、こういうようなことの参考意見の開陳がおありになったように思っていましたが、それでは、これで沿線住民の納得を得られる数値だ、こういうふうに確信をもってお出しなされておるのでしょうか。これでもまだやれないという者もある、これで不満だという者ももちろんあるわけですが、これは一つの準拠するものがあったと思うのでありますが、この点ではいかがでございましたか。

楠本正康中央公害対策審議会騒音振動部会特殊騒音専門委員長

○楠本参考人 ただいま御指摘の点でございますが、私どもは、住居地域で七十、商工業地域七十五、特に夜間においても、十二時まではその数値をそのままとるということについては、これは最初に申し上げましたように、いろいろな御批判もあろうかと存じます。しかしながら、私どもといたしましては、この程度ならば、まあ沿線住民の方方にも御納得をいただけるのじゃなかろうかというふうに考えておりますが、実は名古屋の会長から私は手紙をいただきまして、不満ではあるが、よくやってくれた、ぜひこれを一歩も後退しないようにしてもらいたい、なお将来夜行運行になりましたら、これはもう絶対に阻止してください、かようなことでございましたので、私は、御不満はあろうと存じますが、この程度でまあまあ御納得はいただけるのじゃなかろうかと思っております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 再三追加して申しわけございませんが、同じく、それならば問題は、達成期間の問題に問題がおありになるのじゃないか。達成期間、これは結論を言うと、緩過ぎはせぬかということですけれども、既成新幹線では、沿線区域の区分ごとに、達成期間を三年以内から十年以内というふうな設定がございます。しかし、もうすでにその騒音で悩んでいる人から見れば、これは相当苦しい問題もあろうかと思うのですが、被害を受ける住民としては、さらに三年から十年は長く、耐えられないということが、先ほどの意見の開陳にも出ておったわけであります。  そうすると、直ちに実行せいということの方が、私としてはほしかった。せっかく基準を決め、それほどまでに待ちに待った、本当に慈雨のような思いで待っているこの被害者住民からしてみれば、達成期間がこれでは少し長過ぎはせぬか、こうなんですが、一体長過ぎるのですか、長過ぎないのですか。これに対しても何か異議があるのですか、ないのですか。私は即時達成すべきじゃないかという考えなのですが、この辺の事情をちょっとお聞かせ願いたいと思います。

楠本正康中央公害対策審議会騒音振動部会特殊騒音専門委員長

○楠本参考人 この達成期間、八十ホン以上にさらされておるところについては三年以内、その他緊急度に応じまして最長十年になっております。  確かに、これは私自身も長いと思います。ことに八十ホン以上のものにつきましては、長い閥、十年余りももう御苦労を願いまして、しかも、八十ホン音源対策というのは、三年前に緊急対策として、環境庁から国鉄の方にお示ししてある数字でございます。したがいまして、三年と今後の三年をやりますと六年ということになりますので、これは確かに私自身といたしましては長い年数だと思います。しかしながら、いままでいろいろ移転あるいは移転補償、それから住居の改善その他の進行状況を見ますと、やはりある程度の時間を見なければならないというところに問題がございます。したがいまして、これも大変住民の方々には申しわけないのでございますが、もう三年はごしんぼういただくということで、御不満だろうとは思いますけれども、御納得をいただこうとしておるわけでございます。  なお、直ちに達成してやるということも方法でございます。すなわち、それまではスピードダウンをして、対策が講じられたら直ちにスピードをもとに戻すという逆な方法もあろうかと存じます。しかしながら、これをやりますと、輸送能力に大きな蹉跌が生じるわけでございます。もちろん私は、もともと新幹線というものは、ある意味では、経済成長時代に計画されたものでございますから、この辺で見直してもいいのじゃなかろうかとは思いますけれども、しかし現に、すでに大阪だけで年間一億四千万人の方々を運んでおるような状況を考えますれば、これははかりで両てんびんというわけではございませんけれども、スピードダウンを直ちに行って、そして達成目標に達したら、速やかにまたスピードをもとに戻すということは、ちょっと現実から無理がかかるのじゃなかろうかということで、三年がまんをしていただくということにいたしたので、これは御批判のあるところだろうと存じます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 二村参考人、いまのこの基準値の新規制値ですが、国鉄当局の方では、この報告に対しては、音源対策と周辺対策ともに、技術的に非常にむずかしいと言っているように聞いておるわけです。また、ただいまの楠本参考人の意見も、具体的に言いませんが、その辺、加味された御意見もあったように拝聴しているわけです。この点については、音源対策、周辺対策ともに、技術的に非常にむずかしいのかどうか。先ほど貴重な御意見を賜りまして、私は心強く思っているわけですが、それとあわせて、もう一つ、道路交通騒音だとか航空機騒音に係る環境基準と比較しての整合性という点で、大分問題があるという意見がございました。この二つに対して御意見を賜りたいと思います。

二村忠元東北大学教授

○二村参考人 お答えいたします。最初に、後の方の質問からお答えさせていただきます。  この整合性という問題は、端的に言いまして、決して整合はできない問題でございます。と申しますのは、これは音の種類が違いますと、その評価というのは全部違ってまいります。たとえば、連続した騒音、飛行機の音、自動車の音、汽車の音、これは全部違います。残念ながら、これは日本ばかりでございません、世界を通じまして、間欠的にいろいろの音質の違った音がありますと、その評価というのは十分にまだし尽くされておりません、これは私たち研究者の責任であろうかと思いますけれども。それで、どういうことかと言いますと、結局、住民反応、人間がいかにそれを評価するかということが中心になって、それを仲立ちとして自動車騒音の評価ができ、それから列車騒音の評価ができというのが事実なのでございます。ちょっと、その表現、おわかりでございましょうか。音の種類の違ったものを評価いたしますのに、皆違いますものですから、そういう意味で、仲立ちは、いまのように住民反応量というようなものを仲立ちとして評価が可能ですが、これはある意味で、そういうことの評価というようなことを専門にやっています私たちの、まだ非常に至らないところだとは思うのですけれども、これは日本ばかりでございません、たとえばWECPNLというような飛行機の騒音、それから自動車の場合ですといろいろまた評価があります。ノイズ・ポリューション・レベルだとか、もう各国によりまして百に余るいろいろな評価値が出ているわけでございます。それらが全部整合するというようなことはまず不可能なことだと思うのでございます。そういう意味で、たとえばいまのわれわれの出しました七十、七十五というようなピーク値で、列車は百本なり二百本なりを評価しよう、そうしますと、これをたとえば自動車の場合の中央値というのを対応してみると、こんな対応になります、その程度のことしか言えないのでございます。それからWECPNLあるいはLEQというようなエネルギーで考えますと、こうでございますということの評価、そういうことについて、ちょっとくどいようでございますけれども、これは一つ一つが違った音質と違った状態、間欠的とか発生条件が違うわけです。そうすると一つ一つの評価を完全にしないといけないわけなのですが、いま世界各国を通じまして、われわれ専門家の間でも、そのことがまだなし遂げられていないというのが現実なのでございます。だからそういう意味で、仲立ちはやはり人間というものがその中にある、そういうものを通じて、それを仲立ちにして評価がなされるというのが現実なのでございます。  そういう意味で、専門委員会での報告の中には整合ということを言っているのですけれども、これは比べてみるとこんな対応ができております。その程度のことにしかすぎないのでございます。  ですから、二つのことをやっておるのですが、実はまだ整合といいますか、対応は、――これはアメリカの例を申しますと、いまアメリカでは、エネルギーということを中心にいたしまして、LDNという単位を、これはノイズ・コントロール・アクトという法律からの指示によって、米国の環境庁の方の委員会で提案して、これをアメリカではすべての音に使おうとしております。LDNというのはLEQというエネルギーの平均値でございますけれども、それを、ペナルティ一十デシベルという言い方なのですが、夜の十時から翌朝の七時までは十デシベル加えるという形で、LDNというのを出しまして、その値を住居地で五十五に抑えるということを提案しております。その辺と私たちが今度やりました七十、七十五というのを比べましても、そう大差がありません。しかし、それも整合があるとは言い切れないわけでございまして、住民反応量を仲立ちとして比べてみますと、大差がありません、こういうことにしかすぎないわけです。  大変自信のない言い方でございますけれども、事実は、一つ一つの違った音に対して、はっきりした評価をつくらないことには、この問題は解決ができない。それは世界各国を通じてまだできていない。その証拠には、世界で百に余るそういう評価値が提案されている、こういうような事実でございます。われわれ音響学者ばかりではございません、これは心理学者、いろいろな人が加わって、こういうことをはっきりさせるというのが、やはりこういう研究に従事している者の一つの責務かとは思いますけれども、現在の段階ではそういうわけでございます。いまのような大変回りくどい説明でございますが、御了解いただけたでございましょうか。  次に、技術という問題でございますが、これは先ほどどうもいろいろの計算を簡単にお話ししましたので、あるいは御了解いただけなかったかと思うのでございますけれども、要は、音のエネルギーが小さい。それを遮断するという技術は、技術的には必ずできることである。だからそういう意味で、たとえば東海道新幹線につきましても絶対にできないということはありません。その提案を先ほど申し上げたようなわけなのでございますが、必ずできることでございます。ただ、あと参考人の岡田さんからもありましたけれども、経済的な問題なども絡むわけでございますが、やはり私たちはまず音源対策、技術的な対策というのが、騒音問題解決の第一義的なものなのだ。これも先ほど申しましたように、研究問題なんかもうないのだ、実施ということなのだというのが、われわれそういう専門家の定説になっております。ただ私、ジェット機とかロケットというのはむずかしいなと思っておったのですが、それすらも、もう解決の方向にある。あとは工場騒音だとかなにかは、工場はりっぱな工場をつくればいいわけですし、その伝搬通路を、エネルギーの小さな音を遮断するということは可能なわけでございますので、新幹線騒音対策はもちろんできるわけでございます。そのようなお答えでよろしゅうございますでしょうか。

島本虎三日本社会党

○島本委員 はい、わかりました。  何か前からこういうようなものも、音源対策、周辺対策、なかなか技術的に非常に困難だということが前提条件になって、いろいろ論議されているように承ったので、いま貴重な意見を賜りまして、この点、本当にありがとうございます。

二村忠元東北大学教授

○二村参考人 ちょっとつけ加えさせていただいてよろしゅうございますか、いまのことですね。  これは国鉄の味方をするわけではございませんけれども、技術的という問題と、それから簡単に言いますと、たとえば東海道新幹線、あそこに防音壁をつけるとか、あるいはいろいろなことが考えられるわけですけれども、ただ、やはり列車が二百キロなら二百キロで動くという一つのことがありますので、その保守管理の問題とか、いろいろな競合点はあるかと思います。だからそういう意味で、むしろ問題は、技術的に可能なことと種種の競合点をいかに研究するかという、もう現在はそういう段階に入っている、そう考えていただきたいと思うのです。それで、先ほどちょっと退きまして、東海道新幹線については、列車の方には、高架そのものには全然手を触れないとすれば、外からこうするのが利口ではなかろうかという提案を、さっきさせていただいた。これをちょっとつけ加えさせていただきます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 それで楠本先生には申しわけありませんが、最後に、これはやはり専門家として皆さんは一生懸命やっておられますから、その立場で聞くわけですが、全国の新幹線網計画に対しての評価というものが当然あると思うのです。これからできるところ、いまもうすでにやっているところ、また問題が続出しているような個所、全然なしに、いま、これから新たにつくらなければならないところ、たくさんあるわけです。そういうようなところからして、全国の新幹線網計画に対して、どのような評価と考え方を持っていらっしゃるか、これ一点だけ、簡単に要領よくひとつ。

楠本正康中央公害対策審議会騒音振動部会特殊騒音専門委員長

○楠本参考人 新幹線を今後新しく計画する場合には、徹底的な事前調査を行って、いやしくも騒音被害を生じないようにしようということは、答申原案にもうたってございます。  なお、御質問の点につきましては、これはこの委員会では論議されませんでしたが、私の私見といたしましては、何も七千キロも今後新幹線をつくる必要はないのではないか。もし、仮にも五千キロ、七千キロの新幹線をつくったならば、これは国鉄財政が一層大赤字をしょい込んでしまうという結果になることは当然だというふうに考えております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 けりをつける関係で、申しわけございませんが、もう一回、二村参考人に。  やはり国鉄あたり、この報告に対しては、指針値達成のためには巨額の対策費を必要とするのだというようなことで、きわめて消極的である、こういうような印象を私、受けているわけです。いずれまた二十日に、これははっきり意見を聞くことになるのでありますが、その前に、いわゆる学者として、経験者として、皆さんの意見を参考に聞かしてもらいたいのでありますけれども、今後の技術開発の進展を考えれば、いま国鉄の見積もり、こういうようなものに対しては、どういうものでしょうか、適正でしょうか、過大過ぎるでしょうか。これは今後の技術開発の可能性とあわせて、ひとつ御高見を聞かしてもらいたいと思います。

二村忠元東北大学教授

○二村参考人 いまの御質問は私の専門外でございますが、ちょっと私、過去のことでございますが、実は、きょう申しました車両の改良のようなことは、三年ぐらい前に、国鉄の方にお話をしたことがございました。そうしましたら、国鉄の方から、先生、一車両一億円かかるのですよ、で、数百両ありますというようなお話がございまして、まあ私なんか貧乏根性なものですから、これは大変なことだ、考え直さぬといかぬと思っていたのですが、最近は一兆円、二兆円という言葉が出てまいりましたので、私のような提案も、多分それよりははるかに下回るだろうという予想のもとに申し上げているのです。これは大変妙な答えになりますけれども、どのぐらいかかるかというようなことは、私、何ともちょっとわからないのでございます。ただ、ああいう私の提案のようなことを、どこかで一遍実験してみていただいて、そしてもし、それが本当によかったとなれば、何らかの方法で実行をしていただきたい。そのためには、多分この問題は国鉄だけの責任でやるということはできないのじゃないか。それには建設省も、それから地方自治体も、全部がやはり協力して考えていかなくてはいけないのじゃないかということを考えております。  ちょっとお答えから外れますが、どうしても私、経済的な問題についてはちょっとわかりかねますので、そういうことでお許しいただきたいと思います。

島本虎三日本社会党

○島本委員 こうして専門的な貴重な意見を承っておりますと、時間の少ないことだけが本当に遺憾なのでございますが、皆さんの御了解を願って、今度は中野参考人にお伺いしたいのであります。  いまいろいろお聞きのとおりなのでございますけれども、特殊騒音専門委員会の報告、住居地域の七十ホン、それから商工業地域の七十五ホン、これ以下というこの指針値について、沿線の住民として、これはどうお考えでしょうか。まして十年間かかるような達成期間というような点に対しては、先ほどの不満は十分わかるわけでありますけれども、そういうようなことに対してのお考え。  それともう一つ、あわせて今度新幹線公害によるいろいろの健康被害の問題が参考意見として出されました。それだけじゃなしに財産被害や生活妨害等についての、のっぴきならないような押し迫られたような状態で生活しているということも、調査して知っているのでありますが、国鉄はどのような措置をいままでとっていたか、恐らくは報告でほぼわかったような気がします。あなたが国鉄に対してすぱっと言いたいことを言ってもらいたいのであります。先ほどからこう言ってもやっていないというようなことを、るる説明があったのでありますけれども、もう一回、そのうちの最も言いたい点、選んで言ってみてください。

中野雄介新幹線公害反対全国連絡協議会代表幹事

○中野参考人 環境基準の答申原案については、私ども住民は非常に不満を持っています。ただ、干草会長の方から楠本委員長の方に激励のお手紙があったというふうに聞きましたけれども、これは干草会長の舌足らずな文章でありまして、これは実は、われわれにとっては非常に不満であるけれども、しかし、いま報道によると、国鉄側や運輸省側の委員によって妨害を受けておる。このような答申原案ですら、われわれの不満な答申原案ですら妨害を受けている。しかし、その妨害に負けずに、やはり学者の良心として、それを通してほしいという激励の手紙でありまして、これは決して七十ないし七十五ホンの答申原案に即賛成するという手紙ではありません。それを前提としてお話をしたいと思います。  なお、いま御質問のありました七十ないし七十五ホン、これは私ども名古屋において言いますと、私どもの住居しておりますところは、おおむね商工業地帯とそれから住居地帯が入り乱れたような環境におります。したがって、七十ないし七十五を、同じ被害を受けながら、どうして住居地帯と商工業地帯とで分けなければいかぬのかという疑問が一つあります。それから、それをどうして分けるのだろうか、どういう形で分けるのだろうかというような率直な疑問もあります。  私どもは、新幹線ができるまで非常に静かな環境におりました。そして、新幹線をつくることについては、われわれ沿線住民については、ただ一度の説明会さえ開かれておりません。ただこれは、用地買収するために必要な地権者を集めて、こういうことで新幹線をつくるから協力してほしいという説明会があっただけで、われわれ沿線住民には何一つ説明がされてない。非常に民主的な手続を怠ったやり方で、新幹線が突如開通されたわけなのです。したがって、その開通と同時に私どもは十年にわたって激しい騒音と振動にさらされています。そして、これは決して私どもは八十ホン以上の音だから苦しいと言っているわけではありません。私どもは七十以上の音で非常に苦しんでいます。ですから、私どもが六十五ホン、〇・五ミリ、夜間、早朝においては五十五ホン、〇・三ミリという数値は、決して大げさに言っている数字ではないわけなのです。これは本来なら、われわれの了解もなしに通行しているこの新幹線を取っ払ってほしいけれども、しかし、そんなわけにもいかないだろう。ですから、少しでも私どもが静かな環境で生活できるようにしてほしいという願いを込めて、これは少なくとも道路環境基準の六十五ホンぐらいはやってほしい、特に夜間や早朝については、私どもはどうしても休まなければいけない、だから少し静かにしてほしいと、これはもうぎりぎり、値切ることのできない住民の要求でありまして、その要求からすると、この七十ないし七十五ホンについては非常に不満であります。それは八十ホンないし八十五ホンから見るならば、確かに一歩前進であり、住民の要求にやや近づいたようなポーズを見せています。しかし、われわれ被害住民から見ると、非常に不満であるということが言えるだろうと思います。  それから達成期間においてもそうでありますけれども、私ども正確に言うならば、建設段階から何の説明も受けずに被害に遭っています。そして、このことをもう開通当初からそれぞれ個々に、国鉄に対して、自治体に対して、苦情申し立てしたりなんかしています。あるいは地方自治体の議員を通じてやったりなんかしていますけれども、何一つ解決されないという問題で、このまま十年過ぎてきているわけです。その間には、何人かの方が新幹線を恨みながら亡くなっているわけなのです。そうして、ある人などは、もう死期の近づいた体で病院へ収容したところ、この世の中にこんな静かな環境があったのかと言いながら息を引き取っているわけであります。そういうことから考えますと、私どもは六十五ホンという数値は決してまけることや値切ることのできない住民要求であるし、そしてその達成期間は直ちでなければいけないと思っています。たとえば答申原案を見ますと、商工業地帯のすでに既設の新幹線の沿線においては、七年ないし十年という言葉がうたわれています。そういうことを考えますと、私どもはいままで受けた十年の苦しみと同じような苦しみを、なおかつ受けなければいけないということになると思います。したがって、そのような答申原案が通るならば、ただでさえ横暴な国鉄は、大手を振って公害をたれ流すであろうというふうに考えます。  それから、第二点の国鉄の対応策でありますけれども、私どもは開通当初から、いろいろな形で陳情や請願等を行っています。それは個々であり、あるときには集団でもありました。それが万博を境として「ひかり」の十六両増結であるとか、それから自由席の発売であるとかいうことで、非常にスピードが増し、いろいろな面が重なり、それから高架の老朽化等も重なって、被害がますます深刻になり、そして広がるようになりました。そこで私どもは、個々の力は弱い、どうしても団結しなければいけないということで、名古屋で新幹線の被害住民が同盟なるものをつくって国鉄と渡り合うようになりました。その中では、出てくる担当者はせいぜい課長補佐ぐらいだ。そして住民の前では、いかにも申しわけない、新幹線の騒音と振動によって皆さんに御迷惑をかけています。そのうち国からもいろいろな指示が出るでしょうから、それまで待ってくださいの一点張りでした。そして、私どもは何度かそういう交渉を繰り返す中で、たまたま台風とかあるいは事故とかで、新幹線がゆっくり走ったりする場合に、非常に騒音や振動が低いことに気がつきました。そこで私どもは、せめて名古屋の住居密集地帯はもう少しスピードを落として走ったらどうか、これは住民の方から提案をしました。そして、私どもが信頼する民主的な科学者などに計算してもらいますと、いわゆる名古屋市内といわれるところ、住居密集地帯は約十キロありますが、そこをスピードをダウンしても、わずか七分のおくれである。正確に人家密集地帯といわれているところをスピードを落として走るならば、これは三分ないし五分のおくれであるということが知らされて、わずか五分ぐらいのことであるならば、当初、東海道新幹線開通当時は四時間でありますから、その当時に立ち返るつもりで、名古屋市だけスピードダウンしたらどうかというような提案をしたわけですけれども、国鉄当局は、スピードと命のどちらが大切かという私どもの質問に対して、命が大切だと言いました。しかし、スピードダウンはできない、これは新幹線の生命であるという一点張りなわけであります。したがって彼らは、スピードより命が大切だと言いながらも、新幹線の生命はスピードであるから命より大切だと、裏返して言えばそういうことになるかと思います。そういうことで、一貫してスピードダウンを拒否しています。  それから、長年にわたる振動にさらされた沿線の家屋は非常に痛んでいます。そういうことで雨漏りがあったり壁が落ちたりというようなことで、国鉄に対しては早く被害調査をして、そして家屋の補修費ぐらい出したらどうだというような要求も出しています。最初のうちは、個々の余りうるさく言うようなところについてはやっていますけれども、国鉄の担当者に言わせると、守備範囲が、正確には覚えておりませんけれども豊橋から米原ぐらいまでの守備範囲を持つ工事局が、担当者として一組のパーティーしか被害補償のパーティーを持っていないということで、皆さんからたくさん要求があっても、いつになったら調査ができるかわからないということで、その被害調査についても余り前進をしていないというのが実情であります。ただ、私どもはそんな被害調査より、家屋の被害よりも、問題にしなければならないのは命だと思います。  で、私どもの名古屋の被害住民の中にいるたくさんの老人の中から、こんな国鉄の不誠意な横暴な態度のままでは、われわれの目の黒いうちに解決できないだろうということで、裁判が提起されたわけなのですけれども、その中でも特に問題にしているのは、私どもは老人の健康被害であるというふうに見ています。先ほど中川参考人の方からも多少ありましたけれども、そういう要求に対して、一度はわれわれの前に約束をしながら、半年もたつと完全に後退して、加害者である国鉄が一方的に決めた委員が行う医療委員会になるものがつくられて、そして、それは単に疾病と新幹線との因果関係を調べるだけであるというようなことを言って、のうのうとしている。その間に、もうすでに二名の方が亡くなられているわけなのです。したがって、一番重大であるという命の問題についても国鉄は何もしない。その反面、先ほどもありましたように住民対策、いわゆる裁判対策というような形では、いろいろな形を持ち出してきます。まず、新聞で大々的に報道します。そして、私どもが追及しますと、まだ処理方法が決まっていないとか、中には、私どもが理由を出して、こういうことだからこういうふうにやりなさいということについて、裁判の中で反対しているというような言い方をしながら、自分たちのやってないこと、実際にやらないことをたなに上げて、逆に被害住民を誹議するような立場にあります。  そういうことで、私どもは国鉄に対する不信とその怒りというものは、根強いものがあると言わざるを得ないと思います。終わります。

島本虎三日本社会党

○島本委員 ありがとうございました。

渡辺惣蔵日本社会党

○渡辺委員長 土井たか子君。

土井たか子日本社会党

○土井委員 本日、お忙しい中を、各参考人の皆様御出席をいただきまして、まず、質問に入る前に、御礼を心から申し上げたいと存じます。ありがとうございます。  楠本参考人にまずお尋ねをいたしたいのですが、この新幹線鉄道騒音に係る環境基準が、もし実施できないのならば、スピードダウンもやむを得ないであろうという御趣旨の御意見を、先ほど拝聴したわけですね。スピードダウンとおっしゃいますが、いまお考えの中に、どの程度のスピードダウンならば、何とか住民の方々の被害を最小限度に食いとめることができるのではあるまいかというお考えがおありになるならば、お聞かせいただきたいと思います。

楠本正康中央公害対策審議会騒音振動部会特殊騒音専門委員長

○楠本参考人 お答えを申し上げます。  たとえば三年経過してからも、なおかつ環境基準が達成されない場合には、スピードダウンによってこれに対処する、こういうことでございますが、その場合は、音源対策あるいは周辺対策等がどのくらい進んでおるかによって、どの程度スピードダウンをしたらいいかということが決まってくると思います。  しかし、現在仮に問題点のあるところで、現在のままで、もしもこの環境基準を達成するためにスピードダウンをするとすれば、東海道新幹線だけで一時間余りを要するのではなかろうかと試算をいたしております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 それは東海道新幹線でございますから、後に延長された部分についてではなくて、東京から新大阪に至るまでの在来線でございますね。

楠本正康中央公害対策審議会騒音振動部会特殊騒音専門委員長

○楠本参考人 一時間余りと申しますのは、大阪まででございます。東京都内はすでにスピードダウンされておりますから、これは問題の個所はございません。

土井たか子日本社会党

○土井委員 重ねて楠本参考人にお尋ねをいたしますが、先ほど御意見を参考人の皆様からお伺いしている中に、全国連絡協議会の代表幹事でいらっしゃる中野参考人の御意見であるとか、あるいは日弁連の公害対策委員でいらっしゃる久保井参考人の御意見の中にも出ておりますが、すでにいろいろ騒音問題で注目を浴びております特に航空機騒音。大阪国際空港においては、午後十時から朝の七時まで一切発着陸を禁止する、これはもう現に厳守をされております。ただ、住民の方々の中には、この午後十時というのを午後九時、当然午後九時。本来から言うなら、これは六時あるいは七時、まあ憩いの時間から始まって明け方の七時までは一切禁止というのが好ましい。これは当然考えられることなのですが、今回のこの基準についての報告を拝見いたしますと「将来、深夜運行が実施されることとなった場合には、本指針は見直す必要がある。」ということが書いてございますね。  そこで、深夜運行についても、これは認めてはならない、認めるべきではないという御趣旨ではないようにも受けとめられるわけであります。この点について、楠本参考人の御意見はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。  それとあわせて、現に「新幹線鉄道が午前0時から午前6時までの間においては運行されないことを前提として」こう書いてありますから、この点についても、連続運行するという頻度なども、騒音の問題には大変かかわり合いのある問題でございますので、私はあわせてお尋ねをしたい、どういうふうにお考えでいらっしゃいますか。

楠本正康中央公害対策審議会騒音振動部会特殊騒音専門委員長

○楠本参考人 現在博多まで運行されておりますが、しかしながら私どもは、いまのままで夜行運行は、これは絶対にお断りをしなければならないと思っております。  なお、御指摘の十時以降の問題でございまするが、これは航空機につきましては、御指摘のとおり十時以降はこれを禁止するということで、実行を現にいたしておりまして、郵政省の御理解も得まして、夜間郵便飛行も行っておらぬのが現状でございます。しかしながら新幹線は、まことに残念と申しましょうか、十二時までは認めておるというのが現状で、これは、先ほども申しましたように、沿線住民の方々から見れば大変御不満の点も多いかと存じますが、ただ飛行機の場合につきましては、十時と申しましても、東京を九時に立てば十時に着けるわけでございます。ところが、大阪に十時に着くためには、三時間余りかかりますから、六時何十分かに最終列車ということになりまして、これはちょっと利用者の方にも若干の御不便があるのではなかろうかという配慮をいたしたわけでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 楠本参考人、ただいま十二時とおっしゃいますが、ときに故障がございますと、十二時をはるかにオーバーして、午前一時、二時に至るまで走行をやる場合が現にございます。こういう問題については、どのようにチェックすべきであるとお考えでいらっしゃるか。  それから重ねて、航空機なんかの場合には、迷惑料ですね、騒音を与えて住民の方々に被害を及ぼしているということに対しての迷惑料を、それを利用する人たちが受け持つ、つまり受益者負担の原則といいますか、利用者負担の原則といいますか、そういうものに基づいて、そういうことが考えられてはどうかというふうな意見も、運輸省側でいろいろございますけれども、新幹線について騒音、振動その他等々の公害によって住民に与える迷惑を、この利用する人たちが負担をするという考えを持っている方もございます。このことについて、どのように楠本参考人はお考えでいらっしゃいますか。

楠本正康中央公害対策審議会騒音振動部会特殊騒音専門委員長

○楠本参考人 最初の深夜の、ダイヤが乱れまして、十二時に終わるべき列車が深夜に運行されたというようなことは、確かにこれはしばしばあることでございます。私どもはかようなことがないことを期待をいたしております。したがいまして、私どもは、もし仮に故障のために深夜運行となった場合には、これこそスピードダウンをお願いするということになろうかと存じます。  また一方、深夜に保守作業が行われますが、これはすでに国鉄の方に、保守作業につきましては、できるだけ騒音を発生しないような方法によって深夜の保守作業を行ってくれということを、強く申し入れております。  次に騒音料の問題でございますが、私どもは、この点についてはいろいろ論議もいたし、また研究もいたしております。現在一億四千万人年間運んでおる。博多へ延びましてから、恐らく二億人近い人間が乗るかと思いますので、したがいまして、比較的少額の騒音料で相当な対策ができるとは思います。しかしながら、一方振り返って考えてみますと、これが仮にも料金値上げの一つの導火線となりはしないだろうかというような配慮もしなければなりません。また一方、いままでなるほど国鉄は赤字に悩まされておりますが、これも国鉄だけの責任ではなく、終戦以来激しいインフレの中におきまして、国鉄が今日まで運営をされてきたところに、政府が余りにもこれに対する財政的な援助が少なかったのではないかということも、反省してみなければならぬ点だと思います。さようなことをかれこれ考えますと、私どもは騒音料を徹底的にこれを拒否するものではございませんが、騒音料と同時に、やはり政府がもう少しこれに対しまして、国鉄の運営に対して財政上の負担をすべきだと思います。現在政府が行っておりますのは、御案内のように利子に対する利子を補給する、いわゆる孫利子補給と言っておりますが、利子に対する利子補給の程度で、国鉄の財政再建整備が果たしてできるかどうかというようなことにも問題がございます。さようなことをかれこれ考えまして、私どもはこの騒音料につきましては慎重に検討をする必要があるのではないかと思います。

土井たか子日本社会党

○土井委員 楠本参考人にあと一問お尋ねをして、次に進みたいと存じますが、この今回お出しになりました環境基準についての中身を見ました場合に、「総合施策の必要性」ということを論じられて、そうして財源に対する措置に対しても「早急に実施しうる体制を整備することが必要」だという点をお述べになった。ところが、これに対しましての反応がさまざまでございまして、御承知のとおりに、この環境基準というものを問題にするためには、規制値そのものを具体的に、いろいろな総合的判断で出せばそれでいいのであって、この財政に対する措置にまでいくのは行き過ぎであるという声であるとか、あるいは、片や同じように、この問題がかつて自動車の排出ガス規制を問題にする際に、日本の技術水準はそこまでいっていない。だから、規制値を幾ら定めても、技術がそこまでいかないのだから、これは絵にかいたもちになる、あだになる。技術に重点を置いて、規制値いかにあるべきかを考えよという意見が出たわけですね。今度はこういうことから、財源がこれだけしかない、したがって、財源に基準を置いて、それに見合うような規制値というふうなものに何とか抑えていこうという後退の姿勢を呼び込むところの、これが一つの呼び水になりはしないかというふうな意見が、片やあるわけでありますが、この点について、ひとつ専門委員長とされての楠本参考人の御意見を承りたいのです。

楠本正康中央公害対策審議会騒音振動部会特殊騒音専門委員長

○楠本参考人 まず第一に、財源問題でございますが、これは先ほども御説明申し上げましたように、財源となれば、結局政府が大幅に財政援助をする、まあ足りない場合には騒音料ということも考えられましょう、しかしながら、これは金がないからやらないとか、ここまでやればいいのだというような問題ではなくて、たとえ経費がかさんでも、沿線住民の苦痛を除くためには、また、公的機関である国鉄としては、この辺は金がかかろうとも、これを実施していかなければならぬものだ、沿線住民のためにこれは実施しなければならぬものと考えております。ただ、国鉄は現在のところ一兆二千億というような試算をいたしておりますが、私どもは、これは現在の技術の段階で一兆二千億でありまして、したがいまして、今後、先ほど二村参考人からもお話がありましたように、まだまだ音源対策としての可能性は、ここ数年で十分ございますからして、それを加味いたしますれば、私どもは一兆二千億を大幅に下回るものだというふうに考えております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 それでは、続きまして二村参考人、岡田参考人それから中野参考人、久保井参考人、四人の皆様に、ひとつそれぞれ簡単で結構でございますから、お考えをお聞かせいただきたいのです。  それは、素人から見ますと、今回の「環境基準について」というところでの騒音の評価、この点を見ますと、「読み取ったピークレベルのうちレベルの高い半数をパワー平均して行うものとする。」とございます。最高値じゃないのですね。読み取ったピークレベルのうちレベルの高い半数をパワー平均して、これを評価として読んでいくわけなんですね。そうすると、被害者の立場からしたら、こんなのは、こういうことを評価にしてもらったら困る、最高値をどこまでも問題にしてもらうべきだという声が当然出てこようかと思うのであります。素人が読んだ場合、そういうことを感じます、いかがですか。この点について、こういう評価のあり方でいいとお考えでいらっしゃるかどうか、ひとつお聞かせください。

二村忠元東北大学教授

○二村参考人 いまの点は、実際に新幹線の騒音といいますのは、ほとんどスピードによって決まってまいります。そしてその差は、同じ二百キロなら二百キロで走りますと、たかだかプラスマイナス二、三デシベルという範囲に入ります。そこで、私たちこれをやりましたときに、二十本をおとりください、二十本をおとりくだすって、その半数の十本のパワー平均、こういうことなのでございますが、それはなぜ二十本もたくさんとるかといいますと、たとえば静岡のように、二百キロ近くで通過する場合と、そこの駅に停車する場合、これは駅の近くでは大変音の大きさが違ってまいります。そして、それを勘定しますと、やはり二十本ぐらいとり、そのうち大きな十本の平均をとりますと、ほとんどが大きな方の平均、たかだかプラスマイナス一、二デシベルあるいは二、三デシベルの範囲の大きな方の範囲に入ってしまうわけなのです。そして、あるいは三島なら三島の近く、数キロ離れたようなところ、ここのスピードが、たかだか百五十と百八十ぐらいの変化でございますと、その差というのは、やはりプラスマイナス二、三デシベルぐらいの範囲に入ってしまう。そういう場合には、何も二十本とる必要はなくて、四、五本とって、その平均をとりましても、実際問題としては全然差し支えない、こういうことなのでございます。ですから、とり方によりましては先生がおっしゃいましたような意味にとれますけれども、実際問題としてはそういう矛盾は起こらないということを確信しまして、ああいう測定法にしたわけなのでございます。

岡田清成城大学教授

○岡田参考人 私の方にも説明しろということでございますが、技術関係は全く存じ上げませんので、何らお答えになるようなことは御説明できない状態でございます。ただ、言えますことば、社会的な状況の中で、平均値ということと最適値ということが混同されてしまうと、問題が起こりやしないか。つまり、最適値と平均値がたまたま等しければ、それでも構わないのではないかというふうに感じております。その辺はよくわかりませんので、ただそれだけ。

中野雄介新幹線公害反対全国連絡協議会代表幹事

○中野参考人 御質問の評価の点ですけれども、私どもとしては、この答申原案を決して評価すべきものではないというふうに見ておるので、そこで、平均値ではかろうが最高値ではかろうが、それはナンセンスであるという形で見ております。したがって、そういう御返事しかできません。

久保井一匡日本弁護士連合会公害対策委員

○久保井参考人 私ももちろん技術の専門ではございませんが、御質問者のおっしゃる御心配はもっともだと思います。たとえば航空機騒音の場合でしたらWECPNLという単位、すなわち飛行機の回数と各飛行機の最大騒音量の重ね合わせでできておりますが、今度の新幹線の環境基準につきましては、そういう列車本数との対応関係というのは考えられていないわけでありますから、各列車の最高許容基準という、まあ排出基準ですね、各列車についての最高許容基準、排出基準と環境基準というものを区別する必要はない。だから、おっしゃるとおり二、三デシベルの差ということで、あえて固執するわけではございませんけれども、おっしゃる点はもっともな、御質問のとおりでありまして、各一本一本の列車の出す騒音の最高値、ピークレベルが七十ホン以下でなければいかぬ、そういう定め方をした方がよりベターだというふうに考えます。これは大気汚染などの場合でしたら、一時間の平均値とかそういう問題が出てきますから、どうしてもそういう平均値という観念を入れる必要がありますが、この新幹線の場合には、一本一本の列車の出す音の上限を決めるということですから、土井先生の御指摘はごもっともだろうと思います。  また、まあ二、三デシベルの差というのは、実際は人間は聞き分けることはむずかしいわけではありますけれども、エネルギー量から言いますと、三デシベル違いますと倍になるわけです。三ホン違うということは、エネルギー量が倍になるということですから、必ずしも無視できる数字とも言い切れないと思います。

土井たか子日本社会党

○土井委員 さらに二村参考人に、もうあと一問お尋ねを続けたいと思います。  いろいろな音にも、これは測定の方法が違いまして、たとえば、町中を走っている交通機関の騒音にしましても、軌道の上を走る電車と自動車とでは、また違いがございましょう。しかしながら、それを総合的に考えていくと、日常私たちの生活の中を取り巻く騒音というものはいろいろございまして、それが一体となって環境の中では、いわゆる騒音という状態を醸しているわけですね。複合騒音と申し上げてもいいかもしれません。こういう複合騒音という状態に対しては、やはり車であれ、それからあらゆる交通機関の騒音であれ、航空機であれ、工場の騒音であれ、工事現場の騒音であれ、はたまた、いまの新幹線の騒音であれ、みんなこれを全部取り上げて、ひとつ総量規制をやってみようということでなければならないと考えられるわけですが、こういうことに対して、どういうふうにお考えになりますか。

二村忠元東北大学教授

○二村参考人 いま先生のおっしゃいましたこと、実は、機会がありましたら、私もぜひそのことを提案したいと思ったことと全く一致することでございます。実は、亜硫酸ガスの規制、これは接地濃度というようなことではもう不十分である。各煙突から出る総量を規制しなくてはいけない、これはもう法律化しております。水の場合も全く同じでございます。音の場合も、わが国でもそのことにもう取り組まなければならない段階に来ていると思います。  一例を申しますと、ちょうど十年ぐらい前に、仙台じゅうの騒音を計算したことがございます。大体百ワットから二百ワットくらいでございました。つい最近、やはり少し試算をしてみますと、一キロを優に超えております。仙台じゅう、あれは二百平方キロくらいあるのでございますけれども、それの騒音全体が十年で十倍になっております。私、将来のことを考えますと、日本の十年先には、いまの騒音量というのは、エネルギーにして、あるいはパワーにしましても、多分十倍にはなるだろうと思います。十倍になるということは、十ホン上がるということでございます。これはもうすでにアメリカでは、そういうつかまえ方をしておりまして、とにかく何とかしなくてはいけないということで、実は一昨年の秋にニクソンさんが署名しましたノイズ・コントロール・アクトの中でもその問題を取り上げて、いまアメリカのEPAでは委員会で盛んにやっておりまして、ある種の提案もなされております。  そういう意味で、実はこれはきょうの国会の、国の政治を預かります先生方に、ぜひ、こういう問題をお考えいただきたい。そういう意味では、新幹線の騒音の問題というのは、ある意味では氷山の一角ではないかという感じすらもいたします。ことに、都会地におきまして、日本は御存じのようにアメリカに比べまして、人口密度にしましても、自動車密度にしましても、優に十倍以上でございます。私、先ほどの例で全部エネルギーをパワーで申しましたのは、実はそういう含みがあるから、ああいうことの計算をしたのでございますけれども、大体大ざっぱに言いまして、メカニカルエネルギー、汽車なら汽車を走らせるエネルギーのうちで騒音になっていますのは、大体十万分の一から百万分の一程度でございます。多くの機械が大体その程度なのでございます。ということは、日本のエネルギー消費量というのが、将来どういうぐあいにふえていくかということと、ほとんど比例して、騒音が間違いなく上がっていくだろうと思います。そういう問題を、やはり十年先二十年先を考えますと 真剣にわれわれは考えなくてはいけない、もうそういう段階に来ているのではないかと思います。  そういうことから、ちょっとこれは非常に残念なことでございますけれども、ことしのアメリカのEPAが持っている騒音関係だけの調査費は、三十六億円と聞いております。環境庁の方につい先日伺いましたら、二千万円だそうでございます。二千万円を何か三つに分けて、六百万円で在来線を調査するのだということで、余りにも大きな違いに驚く次第です。こういうことは、ぜひ先生方にいろいろ将来問題としてお考えいただきたい。  ちょっと話が外れましたのでございますけれども、しかし、本当に将来、これが十年先に音のエネルギー量が十倍になればどういうことになるか、ことに都会地では全くひどいことになると思います。昔、東京に出てきて不愉快なことは、ホテルなどに泊まりますと、夜中にごうっという音があって、非常にいやな感じでした。そのころは仙台はございませんでした。ところがいま仙台はもう、私の、ちょうど通りからかなり入っている家ですけれども、夜中にやはりごうっというような音が聞こえてまいります。あのごうが十倍になりますとどんなことになるかということを、もうそろそろ考えていかなくてはいけない時代じゃないか。そしてそれはエネルギーの伸び方に大いに関係いたします。自動車の問題、その他音を出しますのはそればかりではありません。それで公害という立場での騒音ということの定義は、公害対策基本法にあるような、ああいう定義でなく、私はむしろ音全体、すべての音、これはラジオの音も、テレビの音も、何の音も、全部が騒音だという認識のもとに、そういう問題を考えていかなくてはいけない時代に来ているのじゃないか、こんな感じすら持っております。ちょっと話が大きくなりましたのですが、ひとつ将来のためにいろいろお考えいただきたいと思います。

土井たか子日本社会党

○土井委員 さて徳山市長の高村参考人にお尋ねをしたいのです。  新幹線を誘致することのために一生懸命になっていらしたころ、新幹線対策特別委員会というのを市の中にも設けられて、そうして六十ホン以下になるように措置をすることという要望も出していらっしゃる、きょうはそういう御趣旨の御発言もございました。ところがその後、いざ新幹線が開通をしてみると、六十ホンどころじゃない。八十ホン未満が大部分とはおっしゃいますけれども、六十ホン以下になるようになっている個所は、一カ所も恐らくはないであろうと思います。以前にお出しになった六十ホン以下になるように措置することというのが、現に守られていないわけでありますが、あの声をお出しになったのには、何らかのそれに対する根拠がおありになるだろうと思います。学識経験者にいろいろな調査を委託なすったとか、あるいは現にもう被害に苦しんでいらっしゃるこの沿線の方々から、いろいろな意見を聴取なすったとか、実情に対して調査をされに、わざわざ現地に何度か足を運ばれたとか、いろいろあったと思うのですが、そういうふうな特に騒音の中身について国鉄と意見を交換する、あるいは要求をする場合に、徳山でどういう努力をなすってきたかということを、お聞かせくださいませんか。

高村坂彦徳山市長

○高村参考人 お答えをいたします。  ただいまのお尋ね、ちょっと誤解があるのですが、市議会の特別委員会というものは私がつくったわけじゃないので、市議会でつくったわけですね。市議会でそういう意見を私たちに出してきた、こういうことなのです。それはどういう根拠で出たか、私はその当時騒音については知識がございませんから、おのずから騒音については全国的な常識というものがあるだろう、そういうことでいくよりないだろうということを、議会でも答えております。そういうことでございます。  したがって、その後の新幹線開通後の問題は、お話のとおり六十ホンといったような低いところはないようですね。お答えいたします。

土井たか子日本社会党

○土井委員 ところが八十ホン未満が、現に調べてみると大部分であって、いまでは問題にしていないという趣旨の御発言がございましたが、問題にしていないとおっしゃる中身がちょっと不明でございます。市民すべてが問題にしていないのか、市民の過半数が問題にしていないのか、市民の大部分が問題にしていないのか、これは意味が全然違いますが、その点をひとつ明確にお教えくださいませんか。

高村坂彦徳山市長

○高村参考人 大部分の人はもちろん問題にしておりません。ただ、私が申し上げたのは、これまで反対しておられた方がどうかということを中心に、実は市の新幹線対策の担当の者がずっとやっておりますから、それからも聞きましたし、こちらに来るについては特にそれを聞きました。それから、その前でございますが、一番強く反対しておりました同盟会の会長に清水という人がおられますが、その人から、たまたま会いましたときに、新幹線の騒音は問題ありませんでしたなあということを私は聞いたものですから、それでさように申し上げたわけでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 私は大変失礼な物の言い方を、ただいまからいたします。  市長は科学者ではいらっしゃらないはずですね。あるいはまた、技術者ではいらっしゃらないわけですから、科学的な側面から、技術的な側面から、この問題に対して騒音の数値がいかにあるべきかということを問題になさる立場には、もちろんいらっしゃらない。市長ですから、徳山市については特に行政の最高責任者でいらっしゃる。行政担当者なのですね。そうしますと、そういう点からすると、私は大変失礼な物の言い方をいたしますけれども、こういう新幹線の騒音や振動について、それが住民に及ぼす平均値や被害者の数で、その中身の質を論ずべきではないと、私はいつも考えているのです。そういう問題ではないと思っているのです。ただの一人でも被害者があったら、これを問題にしなければならない、これは行政府としていつも常に当然あるべき態度ではなかろうかと私は思っているわけです。  いま、徳山ではそういうことはございませんでしたなあと、たまたまお会いになった方からの御意見をお聞きになって、いまもう問題にしていない、問題はないと言い切られるわけでございますけれども、現に新幹線に対しての騒音がこれだけ問題になっているから、今回のこの環境基準について、中身はどうか、これに対しての賛否両論いろいろあり、しかもなおかつ、悲惨な被害の真っただ中にいらっしゃる方は、これですらもナンセンスとおっしゃっているのですよ。こういうことを考えることすらナンセンスとおっしゃっているわけであります。にやにやお笑いにならないでください。そんな問題ではありませんよ。まじめにやってください、こういうことは。  一体、市長どうなんです。そういうことを考えていくと、徳山だけが別ではないと私は思います。新幹線というのは、東京から始まって、いまは九州に至るまで、これは一貫した線でありますから、そういう点からすると、徳山だけに何の問題がなくて、ほかにいろいろ問題があるというふうなことは、まさにそれ自身がナンセンスだと私は言わざるを得ない。そういう点からすると、こういう問題に対して、他の都市では、いろいろ学識経験者や、また、何よりも被害者に対して、いろいろな問題に対しての事情を確かめて、こういう問題、これでいいか、これでいいかという努力をずっとなさってきているわけです。まさか市長さんも、そういうことを全くいたしておりませんとはおっしゃらないと思うのです。どういう御努力をなさっているかをお聞かせください。

高村坂彦徳山市長

○高村参考人 私は、きょう参考人として出たのは、皆さんに何か参考になれば申し上げようと思って来たのです。そういうつもりでございます。  ただ、いまお話がございました、何も問題ないとは言っておりませんよ。私がけさ申し上げたことを聞かれていましたか。私はけさ、トンネルの出入り口における風圧の問題、それから八十ホン以上のところでも問題があっておりまして、私どもの方の担当の者がそういうところをずっと回りまして、いま国鉄ともいろいろな対策を講じております。その他のところでは、いま申しましたように現在のところ問題が起きておりませんということを申し上げたのです。しかし、私が積極的に、どうでございますか、何かありませんかと言って、先ほどお話がございました専門委員会でアンケートをとるというようなことはいたしておりません。私は、それで徳山の市民は満足をしていると思っております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 市長のお考えのほどは、お聞かせいただいた限りでわかる気がします。それ以上私は、いろいろとお聞かせいただく気持ちを持ちません。  さて最後に、これは伊丹からきょうお越しいただいた環境部長さんにお尋ねをいたしますが、西宮、それから尼崎、伊丹、三市が、路線について通過をすることに強く反対をされたいきさつを、私はよく存じております。その後、いろいろ国鉄側に要望を持っていかれる、それに対しての答えは、そうそう要望に対して誠意のある答えは出ない。しかも、一応お互い話し合いの上で決めたことについても、なかなか誠意ある態度でそれを実行なさらない、そういういきさつは私もよくお伺いをいたしておりますから、ことさら私は伊丹の環境部長さんに、その間の事情について、いまこの席でお尋ねはいたしません。  ただ一つ、今回新大阪から博多までの線の回数が、開通してから後ふえたはずであります。そういう線がふえるということについて、延長することによって回数がふえるということについて、この通過をする自治体に対して、国鉄の方から事前のいろいろな連絡があったかどうかという点などを確かめておきたい気がいたします。伊丹の環境部長さんは、そういう事情について国鉄の方から話があったというふうなことは御存じでいらっしゃいますか。あったかなかったか、また、あったならどういう話があったか。

高谷彦三郎伊丹市環境部長

○高谷参考人 お答えいたします。  伊丹市では担当が二つになっておりまして、審議室と環境との両方でやっておるわけなのですけれども、私の方には新幹線の回数についての協議はございません。私の方で調べたのは、一日百十回というようにしております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 さて、それではもう時間ですから、私はこのあたりで終えたいと思いますが、先ほど私が質問をさせていただいた中には、よその市で、現に高槻などがそうなのですけれども、新幹線周辺の住民の方々のいろんな生活の条件にも差がございますね。差があることについて問題にしながら、しかし、発生源対策をどうするかということが先であるという取り組み方をされ、そのうち京大の工学部等々にも依頼をされて、共同研究のような形で、この発生源対策というふうな問題に取り組んでこられたという努力の跡があるわけです。そういうときに、防音壁というのは、現在のままであるならば一切効果はないというふうな結論が出たり、それから発生源対策に対して、一体どれくらいをどの部分に対して投資をすることが、より効果をあらしめることになるかというふうな問題であるとか、いろいろそういう問題に大変取り組んでいらっしゃるわけですね。これは自治体自身がいまこういうふうにして取り組んでこられている姿、形でありますけれども、先ほど徳山市長さんが、午前中の私の発言を聞いたかというふうに、私にもお尋ねをなさいましたが、私は拝聴いたしておりました。その中で市長さんがおっしゃるのは、最終的には国鉄が責任担当者だから、国鉄がどういうふうなぐあいに考えて、どういうふうに実行するかということが問題だというふうなことをおっしゃいましたけれども、国鉄の誠意ある態度がいままでにずっとあるならば、これはやはり国鉄に最終責任というものがあるのだから、どこまでも国鉄の出方待ちだということになると思いますけれども、そうはいかない事情も現にございます。したがいまして、自治体それぞれの中で苦しんでいる被害の住民の方々をひっ抱えながら、自治体がそれぞれお出しになるこういう研究の中身というものは、非常に意味があるし、それから現にそういうことに基づいて、地域差というものがかなりあるのですから、この地域差に即応した問題の持ち出し方なり対策なりというものを考えていかなければならないのじゃないかとも思うわけです。  そういう点からすると、自治体がこういう問題に対して、現に防音壁は効果なしというふうな結論を出していらっしゃる地域もあったり、あるいはもっともっと発生源対策に対して建設的な意見を出されたり、それから環境についても、緩衝地帯をどういうふうにつくっていったらいいかというような工夫をなさったり、いろいろな問題がありますが、こういうことに対して、これをずっと組み上げていくルートというのは、いまのままであったら、やはりこれはちょっと心さびしい思いが私はするのです。こういうことをこれから生かしていくルートと申しますか、生かしていく一つのあり方として、こうあってほしいということを、ここに御出席の皆さんは必ずお考えになっていらっしゃるに違いないと思うわけでありますが、そのことに対して、もう時間がございませんから、簡単で結構です、お一人お一人、できる限りお答えをしていただくということで、私は終えたいと思います。

楠本正康中央公害対策審議会騒音振動部会特殊騒音専門委員長

○楠本参考人 いま御指摘のありました高槻市が、先般別な研究グループを依頼いたしまして、総合的な研究をいたしたこともよく存じております。この結果は、われわれの出しておる結果と、被害程度はほぼ同様でございます。ただ、これで、ただいま御指摘のありましたように強く指摘いたしておりますのは、やはり音源対策並びに周辺対策を強力に進めなければ効果がないという結論のようでございます。  そこで、私どもも課題のところにおきまして、これは地方自治体並びに国、関係各省も協力いたしまして、そして都市再開発あるいは地域開発の一環といたしまして、これを総合的に実施しなければ効果がないのだ。それは同時に、都市再開発にもつながることであるということをうたってあるわけでございます。したがいまして、かようなことを総合的に実施いたしますには、何と申しましても関係各省がお互いに協力し、お互いによく連絡し、そして地方自治体の意見を十分尊重し、また、住民参加の方式においてこの問題を解決していかなければならない、かように考えております。  ところが、ちょっと一言言い過ぎるかもしれませんが、日本の現在の行政機構の体系の中においては、なかなかこの総合対策、ことに関係各省の協力というようなものは、言うにやすく行うにむずかしいのが、現在の日本の行政実態でございます。したがいまして、これらの点は私は非常に心配をいたしております。しかし、幾ら私のごときがいかに心配してもどうもなりませんことでございます。ぜひ先生方のお力によりまして、行政のサイドにおきましても、いままでのような縦割り行政をおのおの勝手にやるというようなことでなく、少なくとも総合的な対策を強く推し進めるような御指導をお願いいたしたいと存じます。

渡辺惣蔵日本社会党

○渡辺委員長 質問者に申し上げますが、参考人全部ですか、あなたの質問されたのは。

土井たか子日本社会党

○土井委員 御意見のある方は全部、私はお伺いしたい。

二村忠元東北大学教授

○二村参考人 私は、非常に幅の広いことではなくて、技術の推進はいかにあるべきかということに限って、ちょっと意見を申し上げたいと思います。  実際に新幹線を動かし、それを実験できるのは、現在の段階では国鉄に限定されるように思います。私など文部省のなけなしの研究費では、とてもあれだけ大きな実験はできません。それで、国鉄がわれわれの知識というのをもっともっと近いものにして、利用していただきたい、これだけでございます。以上でございます。

岡田清成城大学教授

○岡田参考人 私の方から申し上げることができますことは、すべてに一般的に共通することですが、社会的なシステムあるいは社会科学的な方法がさらに適用される必要がある、これだけ申し上げておきたいと思います。

中川武夫名古屋大学助手

○中川参考人 私も一点だけ申し上げます。  私のところも名古屋市等の委託で幾つかの調査をしております。高槻の調査等も存じておりますけれども、そうしたものが、ただ調査で、現実には埋もれている段階ですね。しかも、そういうものが、各自治体に任されている、もしくは二村先生とかわれわれのところの大学の研究費だけでは、とても調査できないという事態があるわけですね。そういうものが環境庁なり環境省なりでまとめられて、一般的にもっと広く利用できるような、共同利用ができるようなシステムを考えていただきたいということと、そういう各地方自治体でやられているような研究を含めまして、まとめるような作業をぜひやっていただきたい。それに財政的な処置もぜひ加えていただく必要があるのじゃないかというふうに思います。

高村坂彦徳山市長

○高村参考人 けさの意見の具陳にもちょっと申しておきましたが、地方としましては、やはり縦割り行政の弊を感ずるわけであります。また、地方の実力もございますから、地方でそうした研究プロジェクトをつくるというのはなかなかむずかしい。そういう意味で、いま国でやっておられるようないろいろな委員会とかそういうものをつくって、権威のあるものを出してもらうというよりないだろうかというふうに思います。

高谷彦三郎伊丹市環境部長

○高谷参考人 私は、各地方自治体で現在はやっておりますが、これはやはり統一したものでやっていただきたい。それには国としてお願いしたいということを申し上げます。

中野雄介新幹線公害反対全国連絡協議会代表幹事

○中野参考人 公害発生源は国鉄であることは明らかであります。しかし、国鉄の対応策を待っていては住民は死んでしまいます。したがって、自治体は常に被害住民を把握するような形での、たとえば被害住民との定期的な交流であるとか、そういうものをお持ちになるといいと思います。それがあれば、被害はありませんというような発言を自治体の首長がするようなことにならないかと思いますので、そういう点をお願いしたいと思います。

久保井一匡日本弁護士連合会公害対策委員

○久保井参考人 先ほども申し上げましたけれども、新幹線というのは新全総に端を発しておりまして、日本列島を効率的に利用する一つの大きな柱になっておりますが、この上位計画が各都市の都市計画を破壊しておりまして、従来の住居地域がやむなく準工業地域もしくは工業地域に変更させられている。まさに都市破壊が起こっている。自治体と国とが調和をしない。国が一方的に決めた計画を押しつけているために、地方都市が破壊されている。駅前の商店街は一部の人がもうかっているかもしれないが、全体として見れば、そういうような破壊が起こっておる。そういう事態に対処するためには、自治体はまず被害者の代弁者でなくてはならない。それからまた、音源対策その他の対策は、加害者もしくは国がすべきだと思いますが、少なくとも自治体は、被害の実態調査を、これは市民の健康を擁護する義務があるわけですから、市の衛生研究所もしくは大学の研究者にお願いして、現在まで到達している科学的な水準の最高の知識を駆使して調査すべきだというふうに思います。  ただ、やはり基本的には、環境庁を初めとして国が先行的になさるのが義務でありまして、アメリカでは一九七二年に騒音規制法という法律ができまして、先ほど二村先生もおっしゃっていましたが、いわゆるクライテリアというものが発表されておりまして、全世界の騒音の人体に及ぼす影響のほとんどあらゆる文献が収集されて、さらに、ことしの三月にインフォメーションと言いまして、日本の環境基準より少しレベルの高い、理想値に近いものを発表しておりますけれども、国の姿勢としても、日本とアメリカでは格段の差がある。  そういうことでありますけれども、やはり国がそういう義務を果たしていない今日の実情を踏まえるならば、自治体が一時的に補完的な意味で、そういう国の義務懈怠の肩がわりをさせられることはやむを得ない、それはまた義務でもある。広い意味では、自治体も被害者であるわけですけれども、ある意味ではそういう住民に対する義務を果たさなければいかぬ、そういう二重の地位を背負っておるのが自治体ではなかろうか、そういうふうに考えております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 ありがとうございました。

渡辺惣蔵日本社会党

○渡辺委員長 岩垂寿喜男君。

岩垂寿喜男日本社会党

○岩垂委員 楠本先生に、恐縮ですが、やや集中していろいろお教えをいただきたいと思うのですが、四十七年の十二月十九日の専門委員会の報告、つまり八十ホンが達成されないで今日に至っているという現状について、今回の専門委員会の議論の中では、一体どんな評価や、どんな反省をなさった経過があるかどうか。たとえば、国鉄に対する努力の経過などを含めて、専門委員会の中の議論にいろいろな意見があったと思うのですけれども、その模様を、お聞かせいただける範囲でお教えをいただきたいと思うのです。

楠本正康中央公害対策審議会騒音振動部会特殊騒音専門委員長

○楠本参考人 おっしゃるように三年前に、緊急に講ずべき措置といたしまして、発生源で八十ホンというものを決定し、運輸省も国鉄もそれに同意をいたしておるわけでございます。ところが、その後これがなかなかはかどりませんで、現在なお、この緊急対策すらも完成していない状況でございます。この点は、私どもは大変残念に思いまして、かねて国鉄にその点を強く申し入れております。国鉄も一生懸命にやっておりますが、なかなかはかどらないというのが現状で、残念に思います。  ところが困ったことに、先ほどもお話がありましたように、緊急対策でさえも八十で、にもかかわらず、現在なお一部には、緊急対策の八十でいいではないかというような意見がかなりあることを、私は残念に思っております。それで、私どもが七十、七十五というのを決定いたしましたのも、緊急対策でさえも八十なのだから、環境基準としては、これを大きく下回るのが当然だという判断に立っております。ただ、その下回り方に対しましては、いろいろ御批判もあろうかと存じますが、さようないきさつでございます。  なお、ここでちょっと前回の発言を訂正さしていただきますが、先ほど七十、七十五で、しかも三年、七年、十年というようなことで、反対同盟の責任者から私に、十分満足であるというような手紙をいただいたということのように、あるいは発言があったかもしれませんが、これはそうではございませんで、不満ではあるがやむを得ない、そのかわり、ぜひこれだけは一歩も後退しないでくれ、こういう言い方でございましたので、誤解があってはなりませんので、改めて訂正させていただきます。

岩垂寿喜男日本社会党

○岩垂委員 専門委員会の構成を最初に承っておきたいと思うのですが、まあ全体の九人のメンバーはともかくとしても、その中に国鉄の代表が入っておりますね、副技師長ですか、この方は専門委員会の報告に対してどんな御意見を述べておられたか、その辺委員長として、あるいは細かくここでお話しになることはできないかもしれませんけれども、しかし、やはり自動車の五十一年規制に関連をいたしまして、この種の委員会の公開、そしてできるだけ審議の実態を国民の前に明らかにしながら、国民の参加を求めていく、こういうことが議論をされているわけであります。そのときに、実は排気ガスの問題に関連をして、業界の代表が入っている、そういう傾向はほかの委員会にはないのかというやりとりがありまして、そのときに環境庁長官は、この委員会の中に国鉄が入っている、それは国鉄に責任をもって答申を実施させるという意味を持つのだという、実は本委員会における環境庁長官の答弁があるわけであります。この専門委員会の報告については、国鉄当局はどういう態度をとっておられたか。

楠本正康中央公害対策審議会騒音振動部会特殊騒音専門委員長

○楠本参考人 確かにこの委員会の中に国鉄の責任者の一人が入っております。ただ、国鉄は企業体ではございますが、一般企業とは若干違ったところがございますので、私どもは、ただいまも御指摘がありましたように、これをよく理解してもらって、忠実に実行してもらうという意味から、これに同意をいたしておるわけでございます。  なお委員会の内容ですが、中公審は、余りだれがどう言った、こう言ったということを公表しないということがたてまえのようでございますが、これは私は若干の批判も持っておりますので、ここで大変申しわけないのですけれども、国鉄側が主張した、あるいは運輸省が主張したことを御披露をいたし、せっかくの御指摘でございますので、まあ例を破ってお話をいたしたいと存じますが、まず、七十五、七十につきましては、最終的には国鉄も運輸省も納得をいたしております。決して私が押し切ったものではございません。ただ、達成期間につきましては、運輸省は三年ではとてもできない、少なくとも五年はかかる、こういうことでございました。しかし私どもは、十年余りも苦労させ、しかも三年前には発生源で音源対策として八十が出ているにもかかわらず、いまさら五年だ、十年だはないと、まあ三年でようやく妥協したと申しましょうか、三年でこれはいやいやながら御納得をいただいた、こういうふうに理解をいたしております。もっとも、七十にすべてをするというのが七年、十年ということになっておりますが、これにつきましては国鉄も運輸省も最後まで納得いたしませんで、そして文章は「上記に準じて可及的速やかに」と、こういうふうに書いてくれぬかということでしたが、「上記に準じて可及的速やかに」ということは目標値になりませんので、これは残念ながら、国鉄さん、あるいは運輸省さんには申しわけなかったのですが、私はお断りをいたしました。そのほかは、委員会の席上におきましては、まあ全会一致と見ていただいてこれは差し支えございません。ただ、その後部会に入りましてからは、これはまた若干別な指摘がございますけれども、まあ以上でございます。

岩垂寿喜男日本社会党

○岩垂委員 恐縮ですが、部会の方のメンバーでもございますものですから、今度は改めて、部会で国鉄の技師長がいろいろな意見を述べていることも承っております。それはいま先生がおっしゃった、せっかくの専門委員会の、被害者の立場から見れば、それでも不満足だという気持ちが圧倒的に強い、そういう条件の中で出された数字についてさえ、国鉄当局は専門委員会の意見を批判をして、いろいろな意見を述べている。それは、たとえば国鉄単独で基準案を達成することは困難だから、財政的な裏づけというものの政府の統一見解が出るまでは待ってほしい、専門委員会の報告はちょっとお蔵じまいにしておいてほしい、そこまで言ったかどうかは別として、それと同じような意味の御発言をなさっておられるように聞いておりますし、それから、例の七十、七十五というのは、現状の技術ではできないというような意味のことをおっしゃっているやに承っておりますが、これは間接的でありますから、ぜひ先生にこの辺を正していただきたいと思うのです。三番目は、いま先生言われたように、達成期間がきわめて困難だというふうなことを述べられているように言われておりますけれども、この三つの問題について部会の中では、運輸省なり特に国鉄の委員はどんな意見を述べたか、これはぜひ承っておきたいと思うのであります。

楠本正康中央公害対策審議会騒音振動部会特殊騒音専門委員長

○楠本参考人 私は部会長でございませんので、ここで軽々にお答えをすることはどうかと思いますが、先ほどから申しますように、やはりこれはむしろ公開して、堂々と発言するからには、公開されても困らぬだけの発言をすることが正しいと私は思っております。その意味で、部会長ではございませんが、知っている限りにおいてお答えをいたしたいと存じます。  私が部会で一番奇異に感じますのは、私どものつくりました原案というのは、決して満足のものではないということは、最初に申し上げたとおりでございます。ところが、それに対しまして、住民側の意思が十分これでは達成されないじゃないかというような意見は全くございません。まことに不可思議な現象と私は感じ取っております。大体が、これはむしろ日本の経済の現状から見て無理だとか、あるいはまた、国鉄の公共性から見て無理だとか、いろいろな意見がございますが、しかし個々に、だれが何を言った、だれが何を言ったということは、私、部会長でございませんので、ちょっと遠慮さしていただきまして、そのかわり、いままで出ております意見の概要を申し上げたいと存じます。  実は、部会には徳山市長も専門委員として出ておられますので、徳山市長の意見は先ほどからお聞きのとおりでございますが、たとえば私どもが七十、七十五を決めないことには、一歩も前進しませんから、これを早く決めたいと思いますが、なかなかそこのところがもたついてしまいまして、どうもそれ以上前進がむずかしいというところが現状でございます。  それからなお、住居専用地域にするという意見――先ほど、ちょっと申し忘れまして大変失礼でございますが、専門委員会の席上でも、国鉄の代表者は住居専用地域と、それからその他の地域とに分けてくれ、こういうことが強く申されました。しかし、この点は先ほどもお答えをいたしましたように、住居専用地域はわずかに三%を割っておりまして、ないも同然でございます。大部分は主としていわゆる住居地域というところでございまして、これが三〇%から四〇%に至っております。したがいまして、これらの方々を七十五ホン、商工業地域並みに扱うことは、私としては忍びませんので、これは国鉄には委員会の席上でお断りをいたしましたが、しかしながら、この意見がまた部会において蒸し返されております。これが現状でございます。住居専用地域でいいじゃないか、こういうことが言われております。  それからまた一方、八十ホンを緊急対策として了承したことは、当時は経済成長がすばらしかったから、やったことで、現在は経済が非常にダウンしておるから、したがって、これをのむことはできない。そこで、われわれは国民生活の基本、健康の基本を定める数値が、一々経済の成長あるいは低成長によって支配されることは、これは全く納得できないと言って反発をしておるところでございます。  また一方、国鉄の公共性ということを強くうたう方もございます。これも私は公共性は十分認めます。しかしながら、公共性なるがゆえに住民に対して迷惑をかけていいという議論にはならぬ、私はかように思います。  また、できない、達成不可能、不可能なことを何でやるのか。これは先ほど先生からも御指摘がありましたが、現在の技術では不可能ではないか、かようなことでできない、できない。できないことをなぜ決めるのだという議論ですが、と申しましても、私は決して不可能とは思いません。もし何もかも現状どおりだとしたならば、世の中には何の進歩もないはずでございます。ことに音源対策につきましては、まだ研究を始めてきわめて日が新しいので、今後の努力次第によっては十分に可能性があるという、将来の可能性を展望しなくて、どこに一体世の中の進歩があるかというふうに言って、私は反発をしているところでございますが、それ以上いろいろ細かいことを申しますと、私、委員長でございませんから、差しさわりも出てまいります。この辺で御勘弁をいただきたいと存じます。

岩垂寿喜男日本社会党

○岩垂委員 先生のお立場もあると思いますけれども、しかし、にもかかわらず、率直なところ、専門委員会の皆さんが御努力なすったその経過が、やはり部会の中でも、もっとその努力を多とする、あるいは長い間の積み重ねの努力を多とするという立場がより必要だと思うのですけれども、漏れ承るところによると、かなり激しいブレーキがかかっているように、実は承っているわけであります。  特に私、非常におもしろいと思うのは、達成目標というか達成方法と手段について、国鉄がだめだと言っているから、したがって、これはそのとおりにやるわけにはいかぬというふうな方向で部会運営が議論されていて、そして環境庁の事務当局が改めてそれらの問題について議論をしていくというようなことを話し合ったという経過があるように承っておりますが、そういう事実はあるのかないのか。それらについては、これはちょっと重要なことでありますし、専門委員会の見解としても大変おかしな結論ではないかと私は思うので、ぜひその点についての御見解を承っておきたいと思います。

楠本正康中央公害対策審議会騒音振動部会特殊騒音専門委員長

○楠本参考人 おっしゃるように、漏れ承ったとおっしゃることはそのとおりでございまして、国鉄ができないということを一方的に決めても無理ではなかろうかとの意見もありました。しかし、私は国鉄の立場もわかります。国鉄ができると言ったら責任をしょい込みますからして、国鉄としてはきわめて慎重な態度をとるのがあたりまえだと思います。しかしながら、これは国鉄だけの力でやるということではなく、先ほども申しましたように地域開発あるいは沿線地域の環境計画等になりますれば、当然地方自治体の参画、住民の参加、またこれを指導する関係各省の一体的な協力が必要であるわけでございます。したがいまして、私どもは国鉄のひとり相撲にせずに、大いに国鉄ができるように、関係各省がみんな寄ってひとつこの仕事を解決しようじゃないかというふうに呼びかけております。したがいまして、国鉄ができない、できないと言うのは、国鉄の立場はよくわかりますけれども、それで済む問題では、私はなかろうと思います。  また、環境庁と申しましょうか、われわれの方でも、それならひとつ環境庁並びに国鉄、運輸省の間で、技術的にどの辺ができないということを、よく詰めてみたらどうかということを確かに申しました。で、三省庁が集まって、いろいろ詰めにかかりましたが、やはり根本がすれ違いまして、これに対しては何ら結論を得なかったというのが今日の現状でございます。これはもともと事務当局同士で話し合って解決するものではないので、むしろ、もっと高いところから、関係各省はそれぞれどうこれに対して対応しようか、それを受けて国鉄は何をしようか、また地方自治体はこれに対してどの程度、何を積極的に推進するかというような、全体の実施体制というものを整えることが、まず先決である。これさえ整えば、この三年はいろいろ御批判のあるところでしょうけれども、この年限で十分に達成されるものと私は確信をいたしております。

岩垂寿喜男日本社会党

○岩垂委員 いまのお話を承っておると、部会の答申というのはかなりまだおくれてしまう、そういう感じがするわけですけれども、その目標みたいなものは多少お考えになっていらっしゃるのか。そういうことについて先生、どんなお考えを持っていらっしゃるかということを、まず承りながら、これはちょっと二村先生にお伺いしたいのですけれども、この目標を決める過程の中で、「環境基準の達成期間を定めるに当たっては、騒音防止のための技術開発の可能性、対策のための強力な実施体制の整備及び必要な財政措置を前提とした今後の努力目標としての達成期間が設定されるべきものであること。」こうなっているわけですが、さっき二村先生は、順序を追ってやっていけば十分できるというふうに、確信を持っておっしゃられました。つまり、こういう技術的な見通し、可能性、条件、それらの問題が前提であるならば、できるという議論で、専門委員会の報告が出されたと思うのです。当然のことながら、国鉄の当事者もその時間だけそっぽを向いていたわけじゃないと思うのですが、これらについて先生の具体的な見解を、ぜひ専門的に承っておきたいと思います。

二村忠元東北大学教授

○二村参考人 それはいま先生がおっしゃいました最後のとおりだと御了解いただいて結構でございます。  ただ、私、非常に残念に思い、私もその一人であったことに対して、実は私、大変反省をしているのでございますけれども、この専門委員会からの報告の最後に、技術的な可能性ということが解説の中にございます。実は私、起草委員会には出ませんでして、最後の私たちの委員会のときに、ある程度私の意見をここに入れていただきました。ところが、ちょっと具体的なことで大変恐縮なのでございますが、あっちこっち当たって大変申しわけございません。これはむしろ環境庁事務当局の文章のつくり方が大変悪かったのでございます。こういうことが書いてございます。「以上の結果を総括的に」というところで、「25mの地点で80ホンをやゝ下回る程度が現在までの実験結果からは一応の限度であると考えられる。しかしながら、」と、この文章は当然続くべき文章なのに、「考えられる。」というのを節の終わりにしてしまっております。それで「しかしながら、」というぐあいにしますと、これは大変意味が違うのでございます。  私、先ほども言いましたように、これはたびたび委員会で、必ずできることなのだ、原理的にできることなのだということを強く主張しました。ですから、この文章は、こういうことを、私も委員会の一人でありながら、いま言うことは大変恐縮なのですけれども、本来ならば、こう直すべきだと思います。「80ホンを下回る程度が現在までの実験からは一応の限度であると国鉄では考えているのであるが、しかしながら、」と後の文章へ続く、これは委員の一人としての私の考えでありますが、ただ私、最後にそこまで言いまして、そして実は報告を大変急がれておったというようなこともありまして、最後の委員会のときに、このことは私、気づきましたのでございますけれども、     〔委員長退席、土井委員長代理着席〕 ただ「しかしながら、」というところを強調すれば、その後にレールの振動の高架への伝搬防止だとか、車体下部の改良だとか、ロングスカートだとか、防音壁の振動防止だとか、そういう種類のこと、これはみな私が先ほど申し上げましたことなのです。ただ、そのときにパンタの実験結果というのを、私知っておりませんでしたので、パンタグラフの改造ということは抜かしてしまいましたのですが、それなどを入れていただきますと、先ほど私の言いましたことの抽象的な文章には、そっくりになるわけでございます。  そういう点で、大変どうも、楠本委員長がいらっしゃるところで、そのときに当然言うべきことですが、これは当然「しかしながら」という文章が続くべきなのに、ここで完全に切れてしまいまして、これは大変与える印象が違ってしまうわけなものですから、これはむしろ環境庁がなぜこういう文章をつくったか。原文がこうなっておるか、私ちょっと記憶がないのでございますけれども、そういう意味で、いかにも委員会が技術的には無理だと考えているという印象を、この文章からは与えてしまったということを、非常に残念に思っております。また、私がその一人でありながら、そのことを気づかずにといいますが、ある程度は気づいておったのだけれども、訂正せずに委員の一人として承認したということを、これは私、大変残念ということと反省をしておる次第でございます。  いまのようなことでございますので、可能性ということは、先ほどからたびたび申し上げましたように、やはり何といいますか、部会においてのいまの楠本先生のお話などを伺いましても、何か私は長いことこういうことをやっておりまして、やはり技術的に対策をするということがまず根本にあって、それでその上の議論というのが、いろいろ経済問題にいき、社会問題にいきということが、私、騒音の解決だと思います。その根本の理由は、たとえば亜硫酸ガスとか水の問題、排ガスの問題というのは、非常に技術的にむずかしい問題があります。しかし、騒音問題の解決というのは、これは先ほども申しましたように、もうこれは研究問題じゃないのだ、もう実行あるのみだというのが、むしろ定説になっておるという事実、その辺を御認識いただきたいと思います。  これはえらそうなことを言うようですが、私もう何百件か、いろいろな問題をやっております。もういまのような思想で、音源そのものの対策、それから伝搬対策というようなことで、いままで失敗した経験はない。これは大変厚かましい言い方でございますけれども、それで環境基準というようなものも先ほど申しました。先ほどのことは、いろいろむずかしい計算がありながら、非常に短く言ってしまいましたもので、御了解いただけなかったと思いますけれども、必ずできることである。ただ、いろいろの意味での競合点がありますから、それをもう十分に研究する、いまはその段階に来ているのだということを改めて申し上げる次第です。

岩垂寿喜男日本社会党

○岩垂委員 環境庁ごりっぱなことをなさって困るのですけれども、いまの先生のおっしゃった文章の点、最初におっしゃった文章とこの文章とは全く違うのです。技術的に実験結果から一応の限度であると考えられるということと、そういうことを主張していたという経過では、かなりすれ違いがあるわけでありまして、これはまた機会を得て、私は問題を指摘をしていきたいと思いますが、大体、委員会のせっかくの努力を、起草段階でゆがめてはいけないです。そういうことになるから、一体どっちの環境を守っているのかということになってしまいまして、いろいろ疑惑が起こってくるわけでありまして、とりわけもう一遍自動車排ガス規制のことに考えを及ぼさざるを得ないのであります。  ただ、私も時間がなくなってしまいましたものですから、最後に楠本先生、恐縮ですが、これからの部会の中で、あるいはこれからの議論の中で、これでおしまいにするのじゃなくて、いま日弁連の方からも疫学調査の問題が出ています。これは非常に私は重要だと思うのですけれども、道路公害のときも、私どもそういうことを主張しまして、環境庁がその疫学調査を取り上げてきたことがあるわけです。それはどういう形でやるかは別として、それらのことについて、ぜひ先生の立場から御主張をいただけないかどうかということが一点と、それからもう一点は、国鉄がそういう形でもってこの専門委員会の中にも入り、部会運営の中にも入っているのですから、いま被害者の中野さんがいらしゃいますけれども、この全国連絡協議会の御意見を、部会運営の中でぜひひとつ生かしていくような段取りを御考慮いただきたい、このことをお願いを申し上げておきたいと思います。それだけ最後に承っておきたいと思います。

楠本正康中央公害対策審議会騒音振動部会特殊騒音専門委員長

○楠本参考人 私は医学出身でございます。したがいまして、騒音に対する疫学的な調査というものは、まだ十分でございませんので、今後十分にこれを進めなければならぬと思っております。  なお、今後の部会の運営でございますが、私は部会長でございませんので、責任を持ったお答えはできませんが、私としては、いまの見通しでは六月いっぱいぐらいでは、何とか原案どおり決定をするように努力してまいりたい、かように考えております。

岩垂寿喜男日本社会党

○岩垂委員 ありがとうございました。ほかの参考人の皆さんには、せっかくお越しいただきながら、質問を申し上げる機会がなかったことを、おわびいたしておきます。  もし、ございましたら、疫学調査のことについても一言。

久保井一匡日本弁護士連合会公害対策委員

○久保井参考人 楠本先生に、この環境基準の専門委員会の案の読み方について、確認だけさせていただきたいと思うのですが、実は私、この参考人として呼ばれまして、これを読み直したのですが、薄い方の本文ですね、こちらを見ますと、六ページに……。

土井たか子日本社会党

○土井委員長代理 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕

土井たか子日本社会党

○土井委員長代理 速記を始めて。

久保井一匡日本弁護士連合会公害対策委員

○久保井参考人 この文書の表現が、一般人をして誤解せしめる個所があるのではなかろうか。それは本文の「新幹線鉄道騒音に係る環境基準について(報告)」という薄い方のものの六ページでは、八十ホン以上の区域は三年以内に環境基準を達成するかのごとく読めるわけなのです。ところが、実はこれは、三年以内に八十ホンにすればいい、ということは、根拠資料の三十一ページを読んで初めてわかる。ということは、十年の間にやればいいのだということが、三十一ページの中にははっきり書いてあるのですね。この表-8の下の方に書いてありますが、「先般の緊急対策の指針とした80ホンを超える地域については3年以内に、また、今回の指針値は10年以内に達成されるよう努めるべきである」、そういうことですので、先生方、誤解はなさってないと思いますけれども、東海道、山陽新幹線は十年間七十ホンは達成されないのだ。六ページを見ると、三年以内に達成されるかのごとき誤解を与える書き方になっている。これは何といいますか、正確ではないということを申し上げておきたいと思います。

岩垂寿喜男日本社会党

○岩垂委員 どうもありがとうございました。

土井たか子日本社会党

○土井委員長代理 それでは、林義郎委員。

林義郎自由民主党

○林(義)委員 参考人の各位には、御遠方、大変ありがとうございました。  実は中野さんおくれられた。お話を聞きますと、新幹線でこうおくれた、こういうふうなお話であります。私はちょっと聞きたいのですけれども、恐らく名古屋なり大阪なり先生方おいでになる。平素はやはり皆新幹線をお使いになっておられるのだろう、こう思うのですけれども、それで新幹線を使わないで東京へ来るとかということになりますと、飛行機で来るか、あるいは鈍行か普通の汽車で来るか、どちらかだと思うのです。お互いやはり新幹線を使うというのは、もう日常のことになりましたし、一つの便益なんですね。その便益が一方ではダメージをもたらす、損害をもたらす、こういうことでありますから、極端な話をしますけれども、たとえば新幹線に乗って問題になるところを通るのは、たとえば千円ぐらい割り増し料金をつけるとか、二千円ぐらい割り増し料金をつけるというようなことを、もしやったとしたときに、それはもちろん被害者の方に還元するわけですよ、そういったような国民的な合意というのはとれるだろうかどうだろうか、中野さんどういうふうに思われますか。これは全く個人的な見解でいいのです。

中野雄介新幹線公害反対全国連絡協議会代表幹事

○中野参考人 おまえも新幹線に乗ってくるではないかという御質問かと思いますけれども、ダイヤを、交通公社が出しております時間表を見ていただけばわかると思いますけれども、名古屋から東京へ参るのに、直通の鈍行はございません。夜十時に大垣から出るものがあります。したがって、私どもは新幹線を使わざるを得ない状況にされています。したがって、新幹線に乗ります。このことを最初に申し上げます。  それから騒音料を取って国民から反発を買わないか、合意を得るかということの質問かと思います。私どもはそもそも新幹線はなぜつくられたのかというところまで発展しなければ話はできないのじゃないかと思うのです。これはオリンピックに間に合わすためである、国策に必要であるからということで、大方の人たちはこれに協力したわけです。そしてそのときに、先ほどからも言っておりますように、沿線住民には何ら公害のコの字の説明もなく、どのようなことで走るのかという説明もないままに、被害がまき散らされて十年になるわけです。私どもは声を大にして大きく叫んでいます。そのことが、北は今度は青森になりました。青森から、南は福岡を越えて、すでに予定されている九州の地域まで組織が伸びようとしている新幹線公害反対連絡協議会という形に結成されているわけなのです。ですから私ども沿線住民にとっては、これはどのような形で取られようが、われわれの被害が救済されるならば、これは国の責任で救済されるならば問題ないかと思います。しかし、そのことで合意を得られるかどうか、これはわれわれ被害住民の責任ではないと思うのです。なぜそこにそういう公害があるかということ、そしてこれをなぜ放置しているのかということがはっきりしない限り、私どもが合意を得られるかどうか、私どもはこの運動は大ぜいの方から共感を得、支援を得なければ、私どもの運動というものは成功しないというふうに見ていますけれども、そういうことで騒音料を取るかどうか、そしてそれが合意を得られるかということについては、私もいま、合意を得られますとか、合意を得られないとかいう返事は、ちょっとむずかしいというふうに思います。

林義郎自由民主党

○林(義)委員 私が申し上げたのは、合意を得られるかということではなくて、たとえて言うならば、そういうことをしたときには、千円ぐらいのものはどうだろうかという話を申し上げたのです。  徳山の高村市長さん、どうでしょう。たとえば山口県の方から出てくる。東海道新幹線、山陽新幹線いろいろありますが、その辺たとえば料金が相当上がるということになったときに、どういうふうなお感じを一般市民が持つだろうかというのを、個人的なお考えでも結構ですから、お話しいただけませんか。

高村坂彦徳山市長

○高村参考人 そういう問題を深く考えたこともないものですから、突然お尋ねがございまして、お答えできませんが、やはり犠牲者をほっておくということは、私はよくないと思うのです。何とかしてあげなければいかぬ。その手段としていろいろあるだろうと思うのですが、その一つの考え方に入れて検討すべき問題じゃないでしょうか。

林義郎自由民主党

○林(義)委員 あるいはとっぴな質問かもしれませんから、余り強くは言いませんが、新幹線が走るというときに、やはりいろいろな被害が出る。先ほど中川さんがおっしゃったように、その当初には、公害が出るなどということは恐らく宣伝はしてなかったのだろうと思うのです。これは国鉄の方も、公害が出るぞというような形で初めからいったわけではないのだろうと思うのです。そこで、このような問題を取り上げるときに、自動車公害の問題もありましたが、あのときでもお話があった。自動車の排気ガスの問題だけではなくて、やはり自動車の振動問題がある、こういうふのなお話があった。今回も騒音問題だけではなくて、やはり振動が相当に大きな影響だと思うのです。住民の生活環境をよくし、また、健康を守っていくことが、環境行政の一つの大きな目標ですから、これはやはり両方一緒に考えないといかぬのだろうと思うのです。そのときに、今度はたまたま特殊騒音専門委員会ということで、楠本先生お話を進めてこられたのだろうと思いますが、御議論の中で、そういった振動の問題を一緒に取り上げるべきではないかとか、あるいはそういったものについての疫学的な調査をもう少しやるべきではないかとかいうようなお話はあったのか、なかったのか、お答えいただきたいと思います。

楠本正康中央公害対策審議会騒音振動部会特殊騒音専門委員長

○楠本参考人 御指摘のように、新幹線騒音は、振動と相乗いたしまして、さらに被害を大きくする性向が強いことは、御指摘のとおりでございます。したがいまして、本来は同時にこれを調査、検討すべきものと思いますが、しかしながら、何と申しましても基礎は騒音でございまして、騒音も実際は物体の振動でございます。したがいまして、騒音を一層苦しいものにしておる補助的な作用が振動だと考えられます。しかも一方、騒音と振動とは、これを検討する技術あるいはその対策というものはかなり異なっておりますので、一応政府の御方針で委員会を分けております。目下、振動の方も進んでおりますが、したがいまして、振動が間もなく結論を得まして、これを実施することになる、そういたしますと、これはそれで初めて完成するということになるわけでございますが、しかしながら、私どもがいままで振動の範囲を見ました範囲におきましては、まず騒音を解決すれば、おおむね問題は解決するであろう。なおさらに、そこのところに振動が解決されていけば、これは全く完全の域に達する。やはり重点は騒音にあるというふうに考えなければならぬと考えております。この点にはいろいろ御意見もあろうかと存じますが、さような方針に基づきまして、現在まで作業を進めてきたというのが実情でございます。

林義郎自由民主党

○林(義)委員 わかりました。  それで、先ほど先生おっしゃいましたが、疫学的なその特殊騒音についての研究は余りないのだ、こういうふうなお話ですね。疫学的な方法がないと、今度は振動につきましても疫学的な手法というのは、私はまたよりむずかしいのだろうと思います。騒音についての疫学的な方法がむずかしければ、振動についての疫学的な方法というのはよけいむずかしいように思うのですけれども、先生は公衆衛生学の方の大家でございましょうから、その辺はどうなのでしょうか。私の考え方、間違いかどうか。

楠本正康中央公害対策審議会騒音振動部会特殊騒音専門委員長

○楠本参考人 騒音につきましては、まあ専門的になってはなはだ恐縮でございますが、四十ホンあるいは五十ホンぐらいの騒音でも、すでに血中変化、脳波の変化、内分泌変化等の生理的現象を生じます。その意味で、騒音というものは人体の健康にかなりの影響を及ぼすものと考えなければなりません。ところが、これに反しまして、振動の方は、家屋のひび割れ、その他は別といたしまして、生理的にはそれほど大きな変化、生理変化というものは証明されないというのが、現在までの状況でございます。

林義郎自由民主党

○林(義)委員 先ほどの先生のお話で、大体騒音問題の方が解決すれば、振動の方の問題というのは、まあどちらかというと付随的な問題である、よりマイナーな問題である、こんなふうなお話がありましたけれども、いまの先生のお話がバックグラウンドになって、そういうことになっておるのでございましょうか。

楠本正康中央公害対策審議会騒音振動部会特殊騒音専門委員長

○楠本参考人 この振動と騒音との兼ね合いは確かにございまして、騒音の被害を振動が増幅しておるということはもう間違いございません。しかし、騒音が仮に解決したとすれば、振動被害はそのままでも著しく減少するということは、これは事実でございます。  それからもう一つは、ただいま申しましたように、これはまだ将来やってみなければわかりませんけれども、現段階におきましては、振動は生理的には騒音ほどの影響はない、こういうふうにお考えいただいて結構だと存じます。

林義郎自由民主党

○林(義)委員 そこで、なかなか疫学的にむずかしいという話があって、脳波その他についての影響はあるけれども、その他一般的な苦情とそれの因果関係をどうするとかということは、なかなかこれはむずかしい、こういうことだと私は思うのです。そうしたときに、こういった基準をつくる場合に、どういうふうなことを考えていかなければならないかといえば、一つには被害者の方々の要求をどこまで満たしていくかという要請が私はあると思うのです。それから逆の方から言えば、国鉄なり新幹線の方での技術的な達成度の問題ということがあって、それをどううまく調整するかという社会システムをどうつくっていくかということになるのだろうと思うのです。  先ほど二村先生からお話がありましたけれども、技術的にはいろいろやれる、こういうことであります。音響、音源問題、これははっきり学問的には片づいておる、こういうふうな話でありますが、音響を防止する対策というのは、機械技術的なメカニズムの問題と、それから今度は、あるいは新幹線の両方を、いま二十メートルですけれども、これを二十五メートルまで広げた場合にはどうなるかとかいうことがありますし、それから二十メートルなり三十メートル広げまして、そこはもう工場地帯に全部してしまいますというような形にするとか、公園にいたしますとかいうような形にする。そうすると、そこでもやっぱり費用がかかります。その費用を計算してやらなければ、本当の対策にはならないのだろう、こう思うのですね。そういたしますと、そこでやっぱり、公園をつくったり工場にしたりするという話は、全部国が決めてしまえというわけにはいかないのだと思うのです。やっぱり当該市町村での合意というものがどうしても必要だと思います。その合意の求め方というのが、新しい方式でいかなくちゃならない。  その場合に、市民の同意とか市民の参加というような問題を、この際、どういうふうに考えたらいいかということだと思うのです。いまの立法体系あるいは行政体系で申しますと、国に行政機関があります。行政機関全部手足は持っていない。地方公共団体があります。地方公共団体と国は全然別です。地方公共団体には執行部があるし、議員があります。     〔土井委員長代理退席、委員長着席〕 いまの体系からしますと、地方公共団体の執行部あるいは議員というものが大体住民代表だ、こう考えざるを得ない。いまの体系ではそうだと思うのですね。そういったものではないような新しい参加の形式というものを、何か考えられないだろうかどうだろうか、こう思うのです。  岡田先生も大体そういうお話を、さっきコスト・ベネフィット・アナリシスの話でされましたね。二村先生も非常に技術的な話をされましたが、お二人で何かそういった形についてお考えがないか。お話よくわかるのですけれども、参加の形というものが、どういったものを考えたらあるのだろうか。ただ一人の人が言うからということでは、私はいけないと思う。一人の人でも反対したら橋をかけないなどというのでは、この問題、話は進まないだろうと思うのです。それをどういう形でやったらいいか。何かいい具体的なかつ建設的な御提案でもあれば、お二人の先生からお聞かせいただきたい、こう思います。

二村忠元東北大学教授

○二村参考人 私、たとえば住民運動ということで、これはどうしても少し批評家的な表現になるのでございますが、ちょっと一つの経験を申し上げます。  昨年、ワシントンで騒音関係の国際会議がありまして、私、環境騒音という部会のチェアマンをやったのでございますけれども、そのときの冒頭に出てまいりました招待講演で、EPAから委託研究をある研究機関に出してやった報告、三十分の報告ですが、それは何かといいますと、農村のカエルの声がどうだ、水のせせらぎの音がどうだというような論文が、前もって私のところに来ていました。何でこんなつまらない研究といいますか測定結果を、こういう招待講演でやるのだろうかと疑問に思っていたのですが、会議でよく話を聞いてみますと、これはアメリカでも、もう工場というものがどんどん農村に進出するのだ。その場合に、アメリカの環境庁が農村の騒音というようなことを十分に心得ておらないと、当然、工場が出ていきますと、地域住民の協力なしに工場をつくるというようなことはもう不可能である、そういうことでEPAが率先してそういうデータを持っているのだ、そのための委託研究だったというような説明があって、なるほどなと思いました。  これは一つの経験でございました。やはり私の言い方はちょっと批評家的な言い方になるのですが、それでは具体的に、一体、一夜にして民主主義になった日本で、そういうことがうまくいくだろうか、どうだろうかということにちょっと疑問を持たざるを得ない。これは表現が大変悪いのでございますが、具体的にいまの住民運動というものが本当に健全な正しい姿であるかどうかということについても、私ちょっと疑問を持っております。それで、これは私どうもこういう場合に、やはりいまの行政の制度といいますか、政治のあり方ですと、地方自治体がよほどしっかりして、そういうことの協力を地域住民に求めるという姿、それを自治省なり政府に反映するという形での、何かいい形の住民運動というものが成り立たないかというような感じを、私どうしても持つのでございます。  どうも私、そういうことの専門でもありませんし、大学紛争というようなことでさんざん社会の非難を浴びた、その能力のない私たちでございますので、大変これは恐縮なのでございますけれども、しかし理念的には、やはりもう地域住民の承認なしに道路をつくること、工場をつくることというのは不可能だ。日本はもちろんでございます。スウェーデンの様子を見ましても、ヨーロッパの様子を見ましても、アメリカなどもいま言ったようなことでやっております。そういう意味で、これはまた、むしろ先生たちにお願いすることなのですが、皆さん、先生方が一番いい方法をお考えいただいて、そうしてこのことをいい形で実施していただきたい。逆のような言い方で大変恐縮でございますけれども、お答えになっているかどうか、私、そんなぐあいに申し上げたいと思います。

岡田清成城大学教授

○岡田参考人 大変むずかしい問題を御指摘いただいたわけですが、新幹線騒音問題に限らず、開発行政その他について、一般的に住民参加問題をどう考えるか、こういうふうな問題提起であったかと思います。  そういうふうなものを考えます場合に、これはいろいろなところで考慮されてきたわけですが、ただ現在の政治システムの上からいきますと、住民参加はまだ認知されてはいないと私は了解しております。したがって、住民参加論が理念的にいいのだということと、行政システム上いいということとの間には、まだ明確な判断は、国の判断として提示されているようには思えないというところから考えますと、少なくとも新幹線騒音について、住民参加主義によってこれを解決しようとすることは、恐らく困難であろう、法的に困難であるというだけではなくて、技術的にもさらに多くの困難が伴うであろうということで、実効性に乏しいというふうに私は判断しております。

林義郎自由民主党

○林(義)委員 そこでひとつ、時間も余りありませんから、地元でいろいろな公害問題に取り組んでおられる高村市長にお尋ねしたいのですが、お話の中にありましたように、公害の問題も確かに問題であるが、やはり交通安全の問題の方が、人の健康云々ということからすれば大切な問題だ、こういうお話であります。確かにそういう意見があると私も思いますが、現場で見ておられまして、実際に市政を担当しておられまして、その辺の一方がマイナーな問題である。一方は非常に重大な問題である、その判断は人の健康を中心にしてやればいいのですが、人の健康というだけの判断基準ではないと思うのですね。お互いやはり単に生存しておるだけじゃない、やはり豊かな暮らしをしていかなければならない、こういうことでありまして、食うや食わずで生活するのではなくて、やはりいい生活もしたい。ところがいい生活をしようと思えば、やはり自動車にも乗りたい、新幹線にも乗りたい、こういうふうなことになってくるだろうと思うのです。そのときに出てくるところのダメージがありますから、そういったものを比較考量して、政策順位をつけていくということが必要になってくるだろうと私は思うのです。それと同時に、先ほどどなたかお話がありましたけれども、環境のアセスメントをやるという両方立ての問題も、これからの環境行政で考えていかなければならぬだろうと思うのです。そういったときに、高村さん、実際にこうやっておられまして、どういった要素というものを考えていったらいい、だろうか。  実は党内でも、自民党の中でいまちょっとやっておるのです、やっておるのですが、なかなかこれは試行錯誤みたいな話でありますから、いい知恵がない。せっかくの機会ですから、人の健康がミニマムであって、最大限は非常に豊かな暮らしだ、こういうところまでいろいろなことを考えていって、マイナスの方はどんなことを考えていったらいいか、何か御示唆でもありましたら、お教えいただきたいと思います。

高村坂彦徳山市長

○高村参考人 非常にむずかしい問題でして、われわれが市政を担当しておりまして、これは国でも同じだろうと思いますが、軽重、緩急というものをどうしてもはからざるを得ないわけですね。財源にもおのずから限界がございますし、それに対する需要といいますか、そういうものは無限でありますから、それをどう選択していくことが、一番住民のためになるかということにおいてやっているわけです。  そこで、地方によっていろいろな条件が違いますから、その条件に応じてやっていくほかない。たとえば私のところなんかで、先般出光石油化学の火災事件が起きまして、非常にマスコミ等が大きく扱いましたから、住民が感じておるよりも一般には非常に大きく与えたのです。そういうときに、地元で危険だからどこかに逃げたいという気持ちがある。そうすると対策の期成同盟というものができまして要望がある。ところが、一面においては、その企業が早く再開しないと、これは心臓部をやられたわけですから、全体の物資が足らなくなる。全国的に物資が値上がりをする。さらに、徳山市だけで申しますと、徳山市の各工場等の関連工場、コンビナート、全部ダウンです。労務者は時間外勤務がなくなりますから、月に三万円くらいの被害を受ける。下請はだめになる。全体が沈滞ムードになりますから、第三次産業も非常に沈滞する。こういう状態が起きておる。ところが一部では、再開さすべきではない、こういう意見が出てくるわけですね。私どもは、一番問題は、安全保障というものが確認されれば、やはり再開さすことが全市民のためになると判断して、早くそれをやってもらいたい。通産省、県ともそういうことをやりましたが、ところが県知事としても、地元で了解が得られなければ、再開を許すわけにいかないという考えがあるわけです。そこで私は現地へ乗り込んで、いろいろ話して納得さして、大体予定どおり再開したのですが、そういう場合のごく一部の出た空気を、ただ、やむを得ない、得られないということで待っていますとだめなのですね。だから、新幹線の騒音公害等でも、それはもう本当の害があれば困りますけれども、ある程度話せば、いわゆる感情論とかいろいろな問題がありますから、それはやれるのじゃないかという気がいたしますね。  先ほどお話がございました、たとえば住民参加の問題ですが、これは現在の憲法の制度のもとにおいては、議会制民主主義でございますから、制度はなじみませんけれども、しかし、これなども、制度があるとかないとかいうのでなしに、実際の必要が起きれば、いままでそういうことがなくても懇談なんかもずいぶんやっているわけですから、そのときの情勢に応じて、やはり市長なら市長が適切なことをやることによって解決できるのではないか。それはそのときの条件なりなにが全部違いますから、一律にいかぬと思いますね。そのときそのときの問題によっていくよりないのじゃないか。あるいはお答えにならなかったかもしれませんが、そんなことを考えます。

林義郎自由民主党

○林(義)委員 時間が来たようでございますから、私の質問はこれで終わります。どうもありがとうございました。

渡辺惣蔵日本社会党

○渡辺委員長 米原昶君。

米原昶日本共産党・革新共同

○米原委員 もう大分時間がたちまして、いままで参考人がお答えくださったことで、私が質問をしようと思ったことも、かなり別の委員からの質問で答えていただいているので、できるだけ時間を節約して、グブりを避けていきたいと思います。  最初に楠本参考人にお聞きいたします。  先ほど、この専門委員会の問題について、久保井参考人からでしたか、この専門委員会の中に国鉄の加害者の方の代表は出ているけれども、住民の方の代表は出てないとか、そういうような問題が出されました。その点については、私も同様に感じているわけですが、先ほど、この委員会で国鉄側がどういうような見解であったかということも、委員長から話していただきまして、自動車の排気ガスのときは、絶対にこの専門委員会の委員長は話さなかったから、はなはだけしからぬと思っていたのですが、非常にはっきりと話していただきまして、非常に参考になりました。  もう一つ、このことに関連して聞きたいのですが、騒音振動部会の方です。ここにも国鉄の代表がいて、こういうことを言ったという話は、大体の趣旨はさっきお話がありました。この部会に、国鉄の代表者が委員として出ているだけじゃなくて、政府側の各省庁の代表が出て発言しているようですね。そうして、ほとんどが専門委員会の報告に対して否定的な見解を述べているということを、私も漏れ承っておるわけです。そういうところでちょっとお聞きしたいのですが、そういう各省庁の代表は、この部会にどういう資格で出ているかということなのです。だれがそういうことを主張して、また、だれの権限で出席してしゃべっているのか、この点についてちょっとお聞きしたいのです。

楠本正康中央公害対策審議会騒音振動部会特殊騒音専門委員長

○楠本参考人 部会の席上に関係省庁が出ますのは、むしろ関係省庁の意見も聞かなければならぬ、もちろん私どもは、関係省庁の意見に振り回されるわけではございませんけれども、やはり物を判断する場合には、関係省庁の意見も聞く必要があるという判断のもとに、むしろ積極的に来ていただいておるというのが現状でございます。

米原昶日本共産党・革新共同

○米原委員 もちろん当然そういうことは必要だろうと思います。ですから、そのことはいいのですが、これはつまり部会で決定されて関係省庁に来ていただいた、こういう形になっているわけですね。

楠本正康中央公害対策審議会騒音振動部会特殊騒音専門委員長

○楠本参考人 そのとおりでございます。これは恐らく部会長の名前で呼んでいるのではなかろうかと思います。

米原昶日本共産党・革新共同

○米原委員 そういうことを聞きますと、よけいにもう一つ逆の側のことを考えるのです。まあ関係の省庁に出てもらって意見を聞く必要は確かにあります。これは委員とは違いますから、当然各方面の意見を聞くことは必要だと思いますが、そういうことになりますと、やはり住民の代表は、委員としても出ていないわけですが、住民の側の意見も聞かれているかどうか、この点どうでしょうか。

楠本正康中央公害対策審議会騒音振動部会特殊騒音専門委員長

○楠本参考人 専門委員会の方にも、また部会の方にも、住民の代表は出ていらっしゃいません。しかしながら、この委員会の場では、私どもは、住民代表の方々にもおいでをいただいて意見も聞いておりますし、また現に、私どもはたびたび問題のある地域に行って、その地域の方々の御意見も承り、さらにまた、私どもはそのお宅へも伺いまして、そうしてどのくらいの騒音があるかというようなことを、この目ではかってもみ、また、経験もいたしておる次第でありまして、その判断の基礎には、もちろん正式のメンバーとしては入っておりませんけれども、私どもは十分にその辺は考慮して進んでまいった、かように考えております。

米原昶日本共産党・革新共同

○米原委員 そこで、私の意見を言えば、これは委員会で決めることじゃありませんけれども、やはり住民の代表を委員として出すようにするのが本当だと私たちは考えておりますが、それは、委員会で決められる問題じゃありませんし、委員会の責任の問題ではありません。  この専門委員会の報告文書を見ますと、こういう言葉が書いてありますね。この国鉄の新幹線の騒音問題、これが「生活環境保全上深刻な社会問題」こういう表現が使ってある。これは、いまおっしゃいましたような住民の意見をいろいろ聞く、あるいは調査に参る、直接被害者の意見も聞くというような経過をたどって、そういう具体的な検討に基づいて出された言葉だ、こういうふうに理解していいわけですか。

楠本正康中央公害対策審議会騒音振動部会特殊騒音専門委員長

○楠本参考人 御指摘のとおりでございまして、私どもは、名古屋の問題の個所あるいは浜松の問題の個所、その他兵庫県の問題の個所等につきましても、現場に行きまして意見も聞くし、また実情を視察いたしております。ですから、その点はただいま御指摘のとおり御理解をいただきたいと存じます。

米原昶日本共産党・革新共同

○米原委員 次に、二村参考人にお伺いします。  二村先生から先ほどいろいろお話がありまして、これは非常にはっきりと、基準値を達成することは技術的にも可能であるということを述べられまして、私も非常に自信を得ているわけです。  そこで国鉄の方は、依然として無理だということをいろいろな面から言っているようですが、技術的には少なくとも可能だという見解に立っておられるので、非常に私も確信を得ましたが、いままで国鉄が、既設の新幹線の場合を見る場合に、全く環境を無視して、むちゃなやり方で環境を破壊してきたというのは事実じゃないかと私たちは思うのです。この点について、いままでのやり方全体を見て、先生の見地からしてどう評価されますか、いままでの新幹線のつくり方というものを。これは今後の参考にもなるわけでありますから。

二村忠元東北大学教授

○二村参考人 この問題は、多分、その新幹線というものを、どういう立場で、どう評価するかということにつながると思います。ただ、私は、そういう立場でなくて、技術という立場から、ことに騒音問題、振動問題という立場から、ちょっと過去のことを振り返ってみますと、これは先ほどの私の話の中にいろいろ出てきたと思います。ただ、あの新幹線ができました当時のことを考えますと、これはずいぶんいろいろ反対もあったようでございますけれども、結果としては、世界最初にああいうことをやった。それで、これはいろいろの立場から考えると、一つはこういうことが言えるのじゃないかと思います。  大きな革命的な技術革新というのは、過去のいろいろの歴史を見まして、一世紀に一つ、二つというようなケースが多いわけでございます。たとえば、電波の伝送でマイクロウエーブが使えるようになった。そうすると、一本の線に昔は一つきり電話が乗らなかったのが、いまは一本の線に一万本乗るようになりました。これは非常に大きな革新でございます。そういうことも考えてみまして、これは大変専門的なことになりますけれども、先世紀のいまごろマクスウェルという方が電波を発見しまして、それが証明され、今世紀はもう電波時代なのでございますが、電波時代になって、非常に大きな革命でございます。それから、たとえばトランジスタというものができたとか、あるいはIC、集積回路ができたというようなことで、非常に小型化するというようなこと。  それで、交通というようなことを考えますと、二百キロで人がレールの上を動けるようになった、物が動けるようになったというのは、これは非常に大きな革命だと思います。  そういう意味では、これは大きな一つの反省だと思いますけれども、これだけ大きな、一世紀に一回あるかないかというような、そういう問題を少し急ぎ過ぎたのではないかという反省を、いま私は持っておるわけでございます。これも大変評論家的な言い方なのでございますけれども、もう少し慎重であってもよかったのではないかというのが、一つの私の考えでございます。  そういう意味で、いまさらといいますか、いま環境アセスメント、それから技術アセスメントというようなことが盛んに言われている。これは公害問題全体に通ずることかとは思うのでございますが、そういう立場では、これは人間としての大きな反省があっていいかと思います。  しかし今度は、あの当時のことを考えますと、これは御承知のように、あの新幹線ができたときに、これはちょっと私の知っている範囲で、大変確とした調べをした上での発言ではないのですけれども、多分あのとき新幹線をつくりますのに日本政府はお金を出していないはずでございます。国鉄が全責任をもって世界銀行から借金をしている。そうしますと、いかに安くつくるかということを、やはりこれはそうせざるを得なかったと思うわけでございます。それでそのときに、これは私の予想でございますけれども、あれだけの汽車を安全に動かすということが本当にできるだろうか、あるいは、あんなに飛び飛びに駅があって、これで採算が合うだろうか、まず、そういうようなことに国鉄の方は多分頭が向いていたのじゃないかと思います。そういう意味で、騒音というような問題に全然関心がなかったとは言えないのでございますけれども、そこまで十分に頭が回らなかったのではないかという想像は持ちます。  ただ、事実として知っておりますことは、実は、あの新幹線が動き出すのは三十何年でございますか、その前年に、試験車につきまして、私たちの先輩の方が、実験を国鉄の技術研究所の方とやっている。その記録は残っております。それを実際にタッチした人からも聞きました。それは、いまのように十六両で実験をしたのではございませんで、たしか四両で実験をしているはずでございます。それで、四両で実験をした結果、私にどういう表現をしたかといいますと、さっと通ってしまう、こういうことなのです。それでおわかりだろうと思うのでございますけれども、それで、その大きさは、九十というような値をやはり提示しております。そのときは四両でございまして、いま十六両で全長四百メートル。そうしますと、大体二百キロで走りますと、全部で六・何秒かかるわけです。四両ですと、その四分の一でございますから、一・何秒というようなことです。だから、そういうある意味でのこれは専門家のミスといいますか、まあ私の先生方など、知っておる人が多いので、大変恐縮なのでございますけれども、はかっては確かに九十何デシベルというのが出ておる。しかしそれをさっと通ってしまうという表現で認識したということが、やはりこれは大きな間違いだったと思うのでございます。  ですからそういう意味で、よく国鉄の方が、これは私も記憶がありますが、仙台の市の審議会に国鉄の方がお見えになりまして、さっと通るので余り問題ございませんというような言い方もしておりました。私、それはおかしいぞというようなことを言った記憶があるのでございます。だから、これは国鉄が全然関心がなかったということではないのですけれども、当時の私たちの先輩も含めての一つの認識というのは、かなり甘かったということにはなるのではないかと思うのでございます。  それでその後、これは端的に申します。私ども音響学会でございますが、そこにはたびたび発表がございましたけれども、ずっとこれは調べておりますが、そのたびたびの発表というのは、ほとんどが乗り心地の問題、車内騒音の問題です。どうも車外騒音、外に出る騒音というようなことに対しては、ある程度の、こういう形で、こういう計算をすれば、このくらいになりますよというようなのはありましても、実際の値というようなものは、ほとんど音響学会に発表されておりません。これは国鉄に対して大変悪い言い方なのですけれども、そういう意味の一つの秘密性といいますか、閉鎖性といいますか、やはりそういうことは事実としてあったのではないか。しかし最近は、国鉄は技術委員会を持ち、堂々と世界にもいろいろの資料を発表しております。もう閉鎖は解いて、完全に公開して、われわれに提示してくれます。われわれに提示してくれましたので、先ほどのような計算もわれわれができたわけなのでございますけれども、もう国鉄はそういう態度です。やはり広く知識を集める。  これは外国の例を申しますと、さっきちょっとジェット機のことを申しましたけれども、ジェット機のエンジン対策、これはわれわれのところまで、アメリカの民間航空連盟からいろいろな意見を求めてきたり、広く世界に公開するという形で問題に取り組んでおります。  そういう意味で、先ほどちょっと私、私たちのというような言い方は悪かったのですけれども、日本のそういう騒音対策技術というのは、決して世界と比べて劣っておりません。  また一つの例を申しますと、日本音響学会ができましたのは昭和の初めなのですが、そのときにどうして音響学会ができたかといいますと、当時の東京市電の音が非常にうるさい。これはまだ御存命の八木秀次先生方なのですが、そういう方が、あの音を何とかしなければいけないのじゃないかというようなことの集まりが、そもそもの発端になって、日本の音響学会というのができております。  また、振動問題というようなことも、これはかなり日本特有の問題でございまして、余りアメリカとか外国にはない。これは鉄筋コンクリートと石づくりでございますと、その点非常に強い。日本は、木造家屋でございますと、たとえば一階に比べまして二階は数倍の振動になってしまいます。そういうようなことで、日本特有のかなり大きな問題があるのでございます。そういう点で、そういう発表も、日本ではもうかなり研究も進んでおります。  いろいろな意味で、もう少し早く国鉄が専門家に本当の意味の協力と、それから意見を聞くといいますか、広く知識を集めておれば、ここまではこなかったのじゃないかというような感じを持っておるわけでございます。これは決して国鉄を非難するという意味ではなくて、今後ぜひそうしてやってもらいたいということを含めまして、一つの願望として申し上げた次第でございます。  以上でございます。

米原昶日本共産党・革新共同

○米原委員 いまのお話、大変参考になりました。  中川参考人にお聞きしたいのです。  先ほどのお話の中で、新幹線の医療委員会ですか、国鉄がつくったという話を聞きましたが、これは何か病気との因果関係を決めるのだとかいうような話がありましたが、一体どういうことをやろうとするのか。あるいはどういう意図でそんなものをつくったのかということを、もう少しお聞かせ願いたい。

中川武夫名古屋大学助手

○中川参考人 お答えします。  どういう目的でつくったかということは、私がつくったわけではありませんので、どういう目的であろうかと推察しかできないわけでございますけれども、まず第一に、医療委員会ができたそもそものきっかけは、やはり名古屋を中心とする住民の方の強い要求があった。現実に新幹線の沿線で病気で苦しんでいる方が何人も見えた。そういう中で亡くなられる方が次々と発生した。そういう実態の中から、国鉄としてもつくらざるを得ないという方向に傾いていったのではなかろうかというふうに思います。それが、四十八年の三月に、住民が大ぜい集まりました前で、公式に国鉄が病人対策をやるということを言明した、直接のきっかけではなかったかというふうに思います。  しかし、それがその後、医療委員会という形に、形を変えて出てきましたのが四十九年の三月ですね。これはどういう時期かと申しますと、名古屋で新幹線の訴訟が提示された時点であります。そういう点から考えますと、明らかに、新幹線の名古屋の裁判に対して、何もやっていないという批判を避けるための処置というふうに考えざるを得ない。その結果は、現実に名古屋の訴訟において国鉄側が出しました答弁書の中に、まさしくこんなことをやっているという中に、医療委員会がそのまま出てきているということから見ても明らかではないか。しかも、それが発表されて以降、遅々として作業が進んでいないし、住民に約束しましたような、単に新幹線の騒音、振動によって病気になったということだけではなくて、そのことによって、すでに病気である人が非常に療養が困難だという状況を救う、そこまで範囲を考えていると言ったことを一切ほごにして、とにかく因果関係があるかないかということを判定する委員会なのであって、しかも、それは本人も見ないで、現場も見ないで、書面だけで行うというふうに説明しているところにもあらわれているのではないかというふうに思っております。

米原昶日本共産党・革新共同

○米原委員 そうしますと、いまのそういう態度から見られるところでは、国鉄側はそういう被害者の中で、特に病人ですね、何らそれに対しては救済措置をとるなんということは、いままで一つもやっていない、こう理解していいですか。

中川武夫名古屋大学助手

○中川参考人 現実には、具体的な救済というところまで進んだものは一件もありません。ただ、いままでの経過の中で医療委員会をつくりまして、医療委員会の申請の受け付けをやりました。それが四十九年の五月から六月にかけてであります。その申請を受け付けた後で、再度詳しい検査を要求してきたのが昨年の暮れですね。昨年の暮れにそういうものを要求してきたわけです。ただし、これは先ほど説明いたしましたように、因果関係が判定されても、その後どう救うかということが何も決まっていない、まだ決まっていないという説明であったために、住民の方々の強い反発を買って、現実にはほとんどの方がその検査を受けられなかったという実態になっております。  さらに、先ほど申しましたように、ことしの三月に、その申請の第一号であった竹内さんという方がお亡くなりになりましたけれども、実はこの方は、先ほどの中野参考人の言葉にもありましたように、新幹線孤老です。つまり老人夫婦だけが住んでみえて、息子たちは全部そこから独立してみえるわけです。そういう中で、八十歳になる老夫婦が寝てみえるところへ、国鉄当局は買収交渉に来ているわけです。二人が流感で熱を出してうなってみえるのを見て、すごすごと引き返して、それで何の対策もとっていない。われわれはそれを知りまして、すぐにこれを入院させるべく手を打ったわけです。名古屋の保線所の方も、われわれの強いけんまくに驚いて、いろいろ対策をしましたけれども、結果として、たとえば国鉄病院もベッドがあいていないという理由で拒否されまして、数日後にそこでお亡くなりになるという事態が発生したわけです。そういう点から考えますと、国鉄は緊急を要すべき、これはもう三年とか五年とか十年とかいう期限ではどうにもならない、全く緊急を要するこういう病人対策についても、具体的な措置としては何もしていないというふうに言っていいのじゃないかと思っています。

米原昶日本共産党・革新共同

○米原委員 いまの問題とも関連するのですが、中野参考人にお伺いしたいのです。  私もこの問題で、前にも国会で調査に名古屋へ行きましたが、そのときに初めて伺った。私たちも、初めは、新幹線公害といったら、主として騒音だというふうに思っておるし、大部分のところは騒音問題が一番問題なのです。ところが、名古屋の場合、深刻になっているのは、騒音と同時に振動の問題だ。ことに、さっきもこれに関連した質問がありましたが、振動の結果病気になるかどうかということは、私たちもわかりません。ただ、体の悪い人とか年とった人が、その振動する地域に住んでいれば、恐らく健康には最も悪いだろうということはわかる。果たしてこの因果関係があるかどうか、私もまだ検討しなければわからぬと思いますが、実際の問題としては、大変な振動する家屋の中に住んでいれば、それまで持っていた病気も悪化するのは当然だということを特に感じたのです。そういう点が、どうも実際の具体的な問題として一般にはよく知られていないし、つかまれていない。国鉄当局はこの問題、本当の意味で真剣に考えて対処しなくちゃならぬと思うのですが、こういう点に対しては、いままでの国鉄当局のやり方を見ていると、全く何もやっていないということを私も痛感するのです。この新幹線反対同盟の方、全国的な模様についても大分聞いておられるでしょうが、そういういろいろな問題で、国鉄に対する不信があるということを聞いておりますが、その理由の主なものはどんなものがあるかということを、ひとつお聞きしておきたいと思います。

中野雄介新幹線公害反対全国連絡協議会代表幹事

○中野参考人 先ほど楠本先生の方から、騒音が解決すれば振動の方はおのずから解決するというお話があったわけなのですが、これは私ども素人ですけれども、実際現場で被害に遭っている者から言わせるならば、全く逆であるというように思うわけなのです。  たとえば名古屋は、国鉄などに言わしても地盤軟弱地帯であるというようなことを言っていますけれども、激しい振動があります。たとえば新幹線疎開というような問題は、この振動で起きます。赤ちゃんが生まれます。お乳を飲んでいる赤ちゃんが、激しい振動のために頭、首をがたがたと揺すられて、そうして乳を吐くという状況の中から、この子を一定の体、体重になるまでは、どうしてもどこかで育てなければいけないという問題で、一つは、お母さんと子供だけが一定の期間、あるときは二年、三年というようなこともありますけれども、別のところにアパートを借りて生活をするというような状況が起きています。これはもうまさに振動であります。  それから、たとえば新幹線孤老の問題にしてもそうであります。お年寄りのところで若者たちが結婚します。そうしてその中で痛切に感じることは、二人の中に子供ができたときに、この状態の中で子供を育てて子供が育つだろうか、りっぱな子供が生まれるだろうか、丈夫な子供が生まれるだろうかという危惧から、皆、年寄りと離れてよそへ行くという状態があります。  それから騒音については、騒音が解決すれば振動はおのずから解決するということは、私は納得できないわけなのです。たとえば騒音については、住民たちは自衛の一つとして――沿線の住民というのは、大方の人が資力がない人たちです。逃げ出す力もない。要するに金がないということなのですけれども、ない住民が多いわけなのです。その人たちが無理をしてクーラーを買い込んで、少しでも音を防ぐ方法を考えています。しかし、振動だけは、地響きを立ててくる振動だけは防ぎようがないわけです。したがって、名古屋においては、少なくとも名古屋においては、その振動で耐え切れないという人がたくさんおられます。  それから他の地区においても、たとえば岐阜ですけれども、これは一時問題になりました岐阜の住民の方が新幹線の用地買収に遭って、すぐそばに旅館を建てました。ところが激しい振動のために、お客さんが来ても帰ってしまう。二度と来なくなるということで、開店休業の状況が続いて、この旅館業で飯を食っておるのだから何とかしてほしい、この一軒買い取ってほしいという要求に対して、振動については何も考えていません、国の基準がありませんということで、買われずじまいで、この方も昨年やはり岐阜で亡くなっておられます。また同じく、振動もさることですけれども、そういう形で買い上げを要求される方がたくさん、名古屋を除いて、あらゆるところでありますけれども、そういうことについては、国鉄は一切耳をかそうとしていません。  他方、名古屋の原告が居住している地域については、たとえば一番最初に行われたのは、いま新幹線と並行して南方貨物線という貨物新線が建設されつつありますけれども、その区間だけ南側を買い取ろうという、二十メートル買い上げの提案が出てきました。それから昨年提訴後から、ずっと一貫して二十メートル買い上げるというようなことが言われてきていますけれども、その中身を聞きますと、実際に国の基準がないからどうすることもできないのだと言っていた国鉄が、振動対策だと銘打って買いにきています。  そういうことを考えますと、本当に真剣になって振動を解決するつもりがあるならば、そのような原告団が居住しているところだけを買わなくても、少なくとも名古屋には十何キロにわたって住民は住んでいます。同じような被害を十何年受けているわけですから、皆さん同じようなそういう要求をされる方を公平に救う、そういう案を国鉄が真剣になって出すべきだろうというように思うわけです。したがって、そういうような形での、まさに住民対策というような形でしか、そういうものが出されてこない。そして住民たちはいたたまれずに、あるいは病人を抱えている人とか乳飲み子を抱えている人たちは、不十分な補償であるけれども出ていった方もお見えになります。六軒か七軒ありますけれども、その人たちが後で言っております。国鉄の買い上げてもらった補償では、どうしても次に新しい地所を買って、そしてうちを建てることはできないから、莫大な借金を抱えてうちを建てた。これは先日来の私どもの総会の中でも、そういう報告をある婦人の方が涙を浮かべて発表されております。そういうことで決して十分な補償も出ないし、そして真剣になって対策を立て、そして公害をなくしようという立場では、国鉄は話をしていないというふうに私どもはとっています。  これで終わります。

米原昶日本共産党・革新共同

○米原委員 いまちょっと振動の話が出ましたから、高村参考人にちょっとお聞きしたいのです。  実は私聞いているのですが、いま新幹線の振動のために、国鉄当局に対して土地を買ってほしいというのが、徳山から下松にかけて何かかなりあるという話を聞いているのですが、そういうことは聞いておられませんか。そして、そういうものがあるとしたら、市長としてどういう措置をとっておられるか聞きたい。

高村坂彦徳山市長

○高村参考人 お答えいたします。  下松では、いまちょっと違った反対運動が起きております。御承知の日照権の問題で、それが土地を買い上げてくれということになっておるかどうかは存じません。徳山ではまだ私それを聞いておりません。一応裁判にもなっておりまして、その裁判も取り下げられまして、それから何と申しますか、いろいろな問題がございましたが、一応話し合いがつきまして、私、来るときも担当の者を呼んでいろいろ聞きましたけれども、いまはそういう話を聞いておりません。あるいは十分知っていないのかもしれませんが、聞いておりません。

米原昶日本共産党・革新共同

○米原委員 もう一度中野参考人に、いまの問題ですが、つまり私の家自身が実は新幹線のそばにあるのです。東京都の大田区から品川区にかけて、そこでも前から、もう新幹線ができた当初から、線路のすぐそばの家というのは、壁が崩れる、屋根のかわらが落ちる、大変な損害を受けておる。そういうところで国鉄に交渉しまして、土地を買ってくれないか、全部断られているのです。そういう中で、いまお話のあった名古屋だけは、ああいう裁判を提起したためかと思いますけれども、幅二十メートル、南方貨物線ですか、これのところも二十メートル買い上げるということが急に決まって、しかも、それはむしろ実際の話が名古屋の皆さんのところへ届いたのは去年の十二月だそうですか、実は東京の方ではもう九月段階で、新幹線をつくるのに反対している北区の住民のところなんかに出かけていって、それで土地を買うことになって、もう名古屋の問題は解決したなどということを国鉄当局が宣伝している事実、私も知っております。言われるとおりだと思うのですが、それに対して住民の方たちの反応がどうであるか。中には十年も非常に苦しんでこられた方たちですから もういまとなったら どんな値段でも買ってくれれば、どっかに引っ越したいと思われる方もかなり出るのが当然じゃないかというような気もするんですが、どういう状態ですか、聞かしておいていただきたい。

中野雄介新幹線公害反対全国連絡協議会代表幹事

○中野参考人 そういう形での二十メートル買い上げ問題、これは四十九年四月の住民大会の中で、国鉄本社の宮本調査役にこういう約束を取りつけています。新聞で盛んに名古屋では沿線二十メートルを買い上げるという報道が出ているけれども、中身はどうなんだという質問をしました。その中で宮本調査役は、まだ決まっていません。まあ二十メートルぐらい買わなければいかぬだろうという程度なのです。ただ新聞に発表しただけですということで、新聞サービスだけは非常にいいなということで国鉄当局を責めて、その中で、こういうことが決まったらぜひ私どもに教えてください。私どもはあなた方とけんかするだけで住民運動を起こしているのじゃない。できるだけ前向きで解決したいために、そして話をややこしくしないために、窓口をつくって話し合うために同盟というものもつくっているのだから、ぜひ私どものところにお話を願いたい。これは約束を取りつけました。  ところが、先ほど言いましたように九月に――御存じのように北区では新幹線通過反対という大きな闘いが起きています。これは名古屋の新幹線の被害の実情を見、そして名古屋の公害を二度と北区で起こすな、名古屋の被害、すなわち東海道新幹線のあの悲惨な被害を解決しない限り、われわれのところには通過させないという住民運動でありますけれども、この住民たちをわざわざ呼んで、そして、名古屋では解決する、なぜ解決するのですかと言えば、いや、二十メートル買うと原告の九〇%は皆対象になりますから、九〇%いなくなった裁判なんてもうおしまいですよという言い方なんですね。少なくとも私どもに約束した、最初に名古屋の皆さんに相談しますということは踏みにじられて、そしていかにも名古屋の公害が解決するかのようなことを、北区の反対運動の住民たちに言っているというその国鉄の姿勢、これは明らかに後で聞く私どもにとっては、それは三カ月も後に、十二月になって私ども直接国鉄から聞くわけなのですけれども、そういうことを聞く限り、私どもは国鉄の誠意というものは本当でない、当然それ以前にわれわれのところに言ってくるべきであるし、相談すべきであるだろうということで、私どもは十年来にわたる公害で苦しんで、病人を持っている方あるいは幼児を持っている方、もうここは何ともしようがないから田舎に引っ込もうというような考えの方については引きとめない。人道上の問題がありますから、あくまで残れというようなことは言いませんということは一貫して言っておりますけれども、その中で二十メートル買い上げについて、ここから逃げ出せる、これでようやく逃げ出せるのだということで出られた方は、いまのところ八世帯ぐらいということなのであります。ただ、アパート等に住んでいる方は、便乗組で出られたというような方もありますけれども、これは直接私どもの同盟にも参加しておられませんし、そういうことでは数は完全に把握しておりません。そういうことであります。

米原昶日本共産党・革新共同

○米原委員 あと簡単に、久保井参考人に法律上の問題について若干聞いておきたいのです。  名古屋の裁判で国鉄側は、原告の請求は権利の乱用だということを言っておりますね。これについてどう考えられますか。

久保井一匡日本弁護士連合会公害対策委員

○久保井参考人 名古屋の裁判で国鉄の出しております準備書面は、原告たちも新幹線にみずから乗っている、だから、みずからこれを利用しながら、それに対して規制を要求するのは権利の乱用である、そういう主張をしているということは、私も伝え聞いております。  しかしながら、これは法律的にはもちろんのこと、一般の道理から言っても通らないと私は考えております。と申しますのは、一橋大学の都留重人教授、それからまたガルブレイスという経済学者も言っておりますけれども、庶民というものは手近にあるものを利用せざるを得ない。乗り物にせよ品物にせよ、手近にあるものを利用して生活せざるを得ない。まさに商品に依存するといいますか、手近に存在するものに依存させられるのだ。だから、新幹線があれば新幹線を利用する。新幹線がないとき、昭和三十九年の十月まではなかったわけですが、なければないで、ないことを前提に一日の行動日程を立てる。私も昨日の夕方、この席に出席するために新幹線に乗ってきましたけれども、新幹線があれば、あることを前提に行動日程を立てますが、なければないということを前提に行動日程を立てる。飛行機についても同じことが当てはまりますし、またさらに、普通の東海道線の急行なり特急というものはほとんどなくて、新幹線を利用して大阪から東京に行くということが、国鉄では当然のコースといいますか、普通の旅行の方法として予定しておる。そういうことで、乗らざるを得ないシステムに置かれている。だから、そういうことを捨象して、乗るのがいかぬという言い方はおかしいわけであります。  名古屋の裁判で、ちょうど原告らの請求、住民の請求は、自分で女をつくって婚姻を破綻させておきながら、別れてくれという、そういう請求と一緒なのだということまで言っているわけです。有責配偶者の離婚請求は認められないという最高裁の判例があるわけです。結婚は破綻すれば、破綻に応じて離婚を認めるべきだという考え方が広がってきているのですが、みずから破綻をもたらした者は離婚を請求する権利がない。すなわち権利の乱用であるという最高裁判所の判例があるのですけれども、その判例を引用して、みずから新幹線に乗りながら、新幹線を相手に差しとめ裁判なり損害賠償を請求するのは権利の乱用であるということを言っておるらしいのです。私も直接その書面を見たわけではないのですけれども、それはしかし、現実に国民の置かれている状況を全く無視した道理であって、一般の道理としても、これはもちろん通らないし、そして法律的に権利の乱用ということは、そういう場合に使うわけではありません。権利の乱用といいますのはどんな場合かといいますと、たとえば、ある敷地にビルが建った。建ってしまってから、わずか五センチとか三センチとか境界線をはみ出ているのを撤去せよというようなことは、社会経済的にマイナスだから、そういう場合には、ビルの取り壊しの請求をすることはできないわけで、地代の支払いによってがまんすべきだというような、そういうところから出てきた古い理論でありますけれども、こういう本来もともと公害を受忍する義務は住民にはないわけでありまして、逆に言えば、国鉄は、自分の敷地以外に公害を放散する、有害物質である騒音とか振動を放散する権利はもともと持ってない。住民の方も、もともとそれを受忍する義務を持ってないわけですから、それを権利の乱用という形で退けることは、これはおよそあらゆる民法学者に照会いただいても、その理論が通らないこと、あるいは裁判所がおよそそういう主張を認めないであろうということは、私だけでなくて、弁護士、裁判官、どなたに聞かれても同じ意見だろうと思っております。

米原昶日本共産党・革新共同

○米原委員 終わります。

渡辺惣蔵日本社会党

○渡辺委員長 岡本富夫君。

岡本富夫公明党

○岡本委員 参考人の皆さん、大変長らく御苦労さまでございます。もう私ともう一人の委員でしまいですから、もうしばらくごしんぼうをお願いします。  そこで、最初に二村先生にちょっとお聞きしたいのですが、先ほど先生の陳述の中で、騒音は振動によって大きく変化がある、振動が少ないということになると、騒音も非常に少なくなるのだというような御説明をいただいたわけでありますけれども、間違いございませんでしょうか。

二村忠元東北大学教授

○二村参考人 ちょっといまの御質問でございますけれども、振動ということが、実はただ振動と言いますと、少し誤解が出るのでございます。これはこういうことなのでございます。先ほどもちょっとここでやりました、机をたたきますと音が出る。これは机の全面がやはりバイブレーション、振動をしておるわけでございますね。ですから、ただ小さなものを同じ力でぶつけ合わせましても、これは振動は起こっているのですけれども、非常にわずかな音きり出ません。全く同じ力で机をたたきますと、大きい音が出る。これは机の全面がバイブレーション、振動をしているわけで、そして音を出しているわけでございますね。  それで今度は、先ほど出ております普通に振動、振動というのは、要するに地震波のような振動を言っているのでございます。それを同じ振動と言うので、ちょっと誤解があるのでございます。ですから先ほどのいわゆる振動、これは私はそういう点で公害振動というぐあいに全然別にしております。それは数サイクル、一秒間に数回繰り返すというような、あるいは十数サイクルというような、非常に数の少ない、ヘルツで言いますと十ヘルツとか五ヘルツとかという振動、これも振動なのでございます。そういうのが地面を伝わって家を振動させる、これは地震のような振動なんですね。これは耳でなんかもちろん聞こえません。その問題と、私が先ほど御説明した書き物の振動とは全然別で、これは耳に聞こえるようなそういう振動なのでございます。こういう机の板の振動とかなんかですね。そしてそれが音になっていく振動なのでございます。振動と全く同じ字を善くのですけれども、いわゆる公害振動という地面の振動、かわらがずれ落ちるとかなんかというのは、全部その非常に低い周波数の振動なのでございます。  それから私が先ほど振動と騒音で、振動がなければ騒音が起きませんという、その方のことは、金物と金物をぶつけまして、これはもう一万サイクルとかなんかという高い振動がここで起こっております。ですから、同じ振動と言いましても、その区別があるわけなのでございます。ですからちょっとこれ、大変失礼ですけれども、楠本さん少し誤解されていらっしゃるのでございますけれども、その非常に低い振動と、それから騒音の問題とは、これはある意味で全然別なことなのでございます。うんと低い公害振動が起こりますと、これは音になんかなりません。それから空気は振動させます、空気をふるえさせますけれども、耳にも聞こえませんし、全然別なことなのでございます。  それでここで非常に重要なことが一つ、いまのことであるのでございますけれども、騒音というようなものは必ずなくてはいけないものなのでございます。われわれ人間というものが生をうけまして、音のない世界というようなところにはまだ生活して育ってきていないのです。ある程度の音がなければ、むしろいけないのでございます。もちろん、ある程度でございます。これはどういうことかといいますと、多分、皆さんはそういう御経験ないと思いますが、私なんかはあるのですが、いわゆる無響室と言いまして本当に音のないところ、そういうところに実験のために入るときはいいのですけれども、何も目的なしにそういうところに入りますと、ちょっと体を動かしたりしますと、もうきぬずれの音なんかが非常に大きくなりまして、そのうちに自分の心臓の音といいますか、そんなものすらも気づいてしまう。非常に異様なのですね。そういう意味での限界、多分、私はそれは二、三十ホンのところじゃないかと思うのです。もう眠っておったって何したって、家の中で音はする。ちょうどいまちょっとここではかってみたのでございますけれども、私しゃべっていればもっと大きいのですが、この空調の音が大体四十五、六ホンあります。この騒音計でちょっとはかってみたのでございますけれども、これが四十ちょっとぐらいなのでございます。この雰囲気というのは決して悪い雰囲気じゃありません。この窓の遮音がいいと、もうちょっといいのでございますけれども、そういうのが現状なのであります。これはちっとも差し支えないのでございますね。  そういうところでわれわれは生活しているし、ある意味で、そういう意味での騒音というのは、部屋の中で睡眠をとります場合に三十ホンというのが一つの限界になります。三十ホンあるいは三十二、三ホンですと、睡眠には、脳波もいろいろはかりまして、何らの変化がありません。差し支えない。それに遮音ということで十を足して、日本の深夜の環境基準の基本値というのが四十になっているわけです。四十ですとまず問題にならない。国連のISOはそれを三十五ないし四十五と幅を持たせています。これは大変おもしろうございまして、ちょっと随筆的で大変恐縮ですけれども、南方の暖かい方の国の人は、遮音なんということを何で考えるのだ。そうかと思いますと、スエーデン、北欧の方の人は、遮音を十デシベルでは少な過ぎるのじゃないか。二十から二十五とっていいだろう。これはもう建物とかいろいろの関係で当然そういうようなことになる。そこで国連のISOの方では、三十五ないし四十五というのを基本にとって、それを各国のローカルの事情によって当てはめたらいいだろう。そこで日本ではそれを四十をとったというのが、日本の普通の連続騒音の環境基準の基本になっているわけです。  ところが今度は、さっきのいわゆる公害振動、かわらがずり落ちるとかなんかという非常に周波数の低い振動というのは、これはわれわれが生をうけて以来あってはならないものなのです。そういう中にわれわれは育っていないわけなのです。だからちょっと振動がありますと、すぐわれわれは地震だなというような感じを受けるわけです。ただそれが疫学的にどうのこうのということは、多分、私はまだ十分に研究されていないだろうと思うのです。騒音というものと、いわゆる公害振動というものの違いがそこにあります。  さて、それでは本当に体にちょっとでも感ずる振動があっていいのか、いけないのかという問題は、まだ、これはある意味で学問的に、われわれの方でも十分に結果は得ていないというのが実情ではないかと思います。ある程度大きくなりますと、それはこういう被害がありますというようなことはわかっております。ちょっとでも感じたらいけないかといいますと、それはわれわれの生活経験、人間というものが育った生活経験からはない。そういう中に育ったわけですから、それが通常なのですけれども、それでは少しでもあったらいけないかということは、これはまだわかっていないというのが現状ではないか、こんなぐあいに思います。  どうも振動というのが二つ出てまいりますので、それで私のさっき申しましたのは、いわゆる音を、騒音をつくる振動ですから、耳に聞こえる音というのは、まあ三、四十ヘルツから上の振動を言っているわけでございます。ですから、そういうことの振動、それからいわゆる公害振動、これは当然分けるべきものなのですけれども、たとえば高い方のそういうふるえること、振動でございますね、それと音とは全く関係する。先ほどの計算結果が皆そういう結果から出しておる。どうも講義的に長くなりまして恐縮なのですけれども、この点をかなりはっきりさせておきませんと、いまの問題がごちゃごちゃになるように思いましたので、御説明申し上げた次第でございます。

岡本富夫公明党

○岡本委員 そうしますと二村先生、新幹線の振動ですね。これは公害振動の部類に入るのでしょうね。  それからもう一点。先ほど振動がある程度高いとやはり影響があるのだということは、どこまで医学的にわかっておるか。この二点について、ひとつお聞きしたい。

二村忠元東北大学教授

○二村参考人 先ほどから出ております振動という話は、全部公害振動の範囲でございます。そうしてこれは地震波のように非常に周波数が低いものですから、これはもうわかっていることなのですが、振幅が非常に大きくなります。周波数が高くなるほど振動の振幅、これは小さくなります。ですからちょっと机をたたいたって、机の板が振動しているなんということは見えないわけでございます。しかし、こういう音は出ているわけなのです。振動が、低い周波数になればなるほど振幅が大きくなります。もう一つ、家がありましても、一サイクル、二サイクルというようなのでは家は簡単にふるえる。だから地震のときには家が鳴るわけでございますね。それはもう原理的にはっきりしております。私たち電気の方ではインピーダンスというのですが、周波数が低ければインピーダンスが低い、インピーダンスが低かったら非常にふるえやすい、こういうことになるわけでございます。  その点が第一点ですが、大変恐縮ですが、もう一つはどういう問題でございますか。

岡本富夫公明党

○岡本委員 もう一点は、健康に被害がある振動の問題。

二村忠元東北大学教授

○二村参考人 その点は、どのくらいのそういう公害振動がありますと、手で感じてわかるとか体でわかるとか、また、寝ているときは、もっと鋭敏になるのでわかるとかいう値はわかっております。もうそれははっきりした数値が出ております。そういう意味で多分、東京都、それから新潟県、大阪などは、振動の基準というのを何デシベルという形ではっきり出しておるのでございます。ただ私は、宮城県とか東北地方のいろいろ委員をして、そういう答申をする一つの義務があるのでございますけれども、まだ私、その点確信がないものですから、抽象的な言葉で、障害を与えるような振動はつくらないことというのを一応答申にしております。まだ私どうも、公害振動についての基準値を幾らかということについて、私自身はまだ自信を持っていない、正直に言いましてそんなような次第でございます。もちろん、かわらがずり落ちるなんて、これはもうべらぼうな話でございまして、これはもう問題にならないのですが、疫学的にどうというようなことになりますと、まだ私は自信がない、こういうようなことでございます。  どうもお答えがあいまいで大変申しわけございませんけれども、そんなようなことでございます。

岡本富夫公明党

○岡本委員 そうしますと楠本先生、あなた、ずっと各所を調査なさって今度の基準をお出しになったということでありますけれども、たとえば二階、下よりも二階の方が、新幹線の通過時期におきまして非常に振動が大きいわけですが、ここでお休みになったような調査はなさいましたでしょうか。  と申しますのは、一つは夜行列車に乗りますと、絶えず振動しておるわけですから、大体、疲労というものが、同じ八時間なら八時間寝ても回復しないわけですよ。俗に言えば三分の一ぐらいしか回復しない。夜行列車で行くと、明くる日は疲れてどうも仕事にならぬというようなことを言う人もいますけれども、そこから考えますと、どうも振動があるかないかということは、疲労回復、体力を回復させる相当大きなファクターの一つになるのではないか。したがって、この点について先ほどあなたの御意見では、騒音さえ解決すれば振動はそう心配ないのだ、ほとんど解決するのだというお話がありましたが、それと若干矛盾するのではないかと思うのですが、いかがでございましょうか。

楠本正康中央公害対策審議会騒音振動部会特殊騒音専門委員長

○楠本参考人 先ほども多少言葉が足りませんで、あるいは誤解を招いたことを大変申しわけなく思いますけれども、私が騒音が解決されればと、これはちょっと最初に申し上げましたのは、振動と騒音とは本来同時に検討をし、同時に解決されるべきものだ、こういうことを申し上げたわけです。しかしながら、学問的なものは離れまして、現実には発生源で大きな音が出るような場合に、その発生源を抑えれば振動はきわめて小さくなる。これはもちろん地盤の関係もございますが、そういうような意味で申し上げたわけでございます。ところが発生源をそのままにしておいて大きな音を出す。しかも、それは同時に発生源がそれですから、当然振動に伝わる、振動としても感じ取られる。そうなるとそれがお互いに増幅しまして被害が大きくなる、こういう意味のことを申し上げたわけでございます。しかし本来、いま二村先生がおっしゃったように、騒音と別に切り離せば、振動だけでもこれは人体に相当な影響を及ぼすものとは思いますが、しかしその範囲は、たとえばいま名古屋の方が言っておる〇・三ミリというようなことになりますと、これはほとんど地震としても感じ取れない程度でございますから、これは確かに振動には違いございませんけれども、その程度のものならば、私は健康障害というものはないだろうということを申し上げたわけでございます。したがいまして、いま一番深刻な問題になっておりますのは、それが一緒になるからだ。どっちを先に退治したらいいかというと、それは発生源を退治してこれを静かにすれば、当然振動もそれに沿うて少なくなってくる。また増幅もなくなるという意味のことを申し上げたわけでございまして、大変どうも言葉が足りず、失礼いたしましたが、そういう意味でございます。

岡本富夫公明党

○岡本委員 楠本先生は振動の方は全然御調査はなさらなかったわけですか。と申しますのは、〇・三というのは、これは国鉄が山陽新幹線をつくるときに、先ほど伊丹の環境部長さんからお話がありましたように、一番最初三市の市長さんにお約束をした数値でございまして、実際にはひどいところは〇・三じゃなしに三ミリというのですからね。また、一ミリとかそれを超えるわけですね。したがいまして、いまのお話では〇・三であれば、これは大体皆さん納得するわけです。したがいまして、この振動の被害というものが非常に起こっておるわけですから、騒音の被害、これはもちろんでありますけれども、振動被害について、もう少し専門部会といたしまして、そして先生の方で、何とかして住民の健康を守ろう、先ほど非常に強い御姿勢のように思われたわけですが、それについて私は振動についての御認識が、お話の中で非常に少ないと非常に懸念するわけですが、御意見ありましたらどうぞ。

楠本正康中央公害対策審議会騒音振動部会特殊騒音専門委員長

○楠本参考人 私は部会委員でございまして、その意味では振動にも関係をいたしておりますが、振動は目下別な専門委員会に付託をいたしまして、実際に調査をしていただいておる段階でございまして、まだそれが部会に報告として参っておりません。その意味では私、振動につきましてはつぶさに承知をいたしておらないというのが実情です。別な委員会でございます。  そこで、それならばなぜ振動とあれとを別にやったのだ、これは確かに議論のあるところだということは先ほど申しました。本来一緒にやればよかったのだ、こうは思います。しかし、これは全く別個に扱いまして、別な委員会で目下検討をいたしておりますので、まだ、その結果が出てまいりません。私はただ御質問がありましたので、部会委員として総括的な意味からお答えを申し上げただけでございまして、さらに、その委員会からどういう結果が出るかを見て、判断をいたしたいと思います。  なお、私は名古屋あるいは浜松等におきまして、実際の民家に夜遅くまでおりましたときには、振動の被害の大きいことを目の当たりに体験をいたしております。しかも、これは家屋にもかなりの被害のあることも、実際に私は承知をいたしております。ただ、私は残念ながら振動の専門委員会に何ら関係がないものでございますから、知識も乏しいわけでございまして、あるいはお聞き苦しかったと存じますけれども、しかし、振動から住民を守ろうという気持ちには、私は何ら変わりはないということを申し上げたいと存じます。

岡本富夫公明党

○岡本委員 そこで楠本先生、この特殊騒音専門委員長として結論を出されました七十あるいは七十五、この結論は絶対に曲げない、何といいますか、これより後退しない、こういう強い考え方、強い姿勢はございますか。この点についてひとつ。

楠本正康中央公害対策審議会騒音振動部会特殊騒音専門委員長

○楠本参考人 先ほどもお答えを申し上げましたように、私どもといたしましては慎重に審議をいたしまして、これならばというところで、いわば先ほども申しましたように、ぎりぎりこの程度ならば、沿線住民の方々も、まあ満点はいただかれないまでも、まあまあ納得をしていただける数字ではないかと思った数字でございます。したがいまして、私といたしましては、これは私だけの意見が通るわけではございませんけれども、私としては最後までがんばって、この線は崩したくない決心でおります。

岡本富夫公明党

○岡本委員 先ほどからお話もありましたように、部会で国鉄の技師長あるいはまた国鉄の当局あるいは運輸省の方から相当厳しい批判が出て、そして本当であれば、もう――私が当委員会で環境庁長官に質問したことがあるのです。三月の末には答申が出てきますから、一応基準は決めます、こういうように答弁をいただいたわけでありますけれども、その後聞きますと、部会の方で何遍会合をやってもまとまらないというような状態でありますから、ひとつこれは専門委員長として、やはりこれはまずしっかりがんばってもらわなければいかぬ。私たちもこの七十あるいは七十五という基準は非常に不本意なんです、本当のところを言いますとね。先ほどから二村先生からも話がありましたように、できれば騒音防止法に出ているような、ああいうぐらいの基準にしなければならぬ、これは私わかるわけですけれども、まずここで出たわけですから、これをひとつがんばってもらって、これを後退しないということをお約束をしていただきたい、こういうふうに思うのです。  次は岡田先生に。  こういう基準といいますか、環境基準あるいはまた排出基準、こういうのを中公審でよく検討いたしますけれども、これが三年後とかあるいは十年後とか、そういうことを配慮するのは行政の立場でありまして、基準値は、やはり住民の健康を守るという立場から基準を決める、それについて今度は行政の面から、これはいますぐできない、それにはどういう財政的な配慮をするとか、こういうことを考えるのは行政ベースの仕事であろうと私は思うのですね。これについての御意見はいかがでございましょうか。

岡田清成城大学教授

○岡田参考人 基準値と時期、時間といいますか、何年かかってやるのかという期間の決定について、専門委員会で行うことと行政システムの間に、ちゃんと分業体制があるのではないかというふうなお話でございますが、理論的には文字どおり確かにそうでございますけれども、どうもやはり行政システムの中に入る場合に、幾ら審議会の方でできない答申を出しましても、行政の中にこれが入り込まないと意味がないわけです。したがって、現実に騒音というものを考えていきます場合に、行政のどこにどういうふうに入れるかによって、これが一部よくできたり、あるいはできなかったりというふうな、そういうできぐあいまで違ってくるようになっておりますので、そういうふうな行政システムの中にどういうふうに取り込むかという点は、十分に配慮していただきたいわけですが、ただ、一方で審議会は出しっぱなしだ、行政の方ではそんなものはできないということで、その審議会のあり方というものに根本的にかかわってまいりますので、いままでの審議会では少なくともその辺を十分に配慮してきた、これがかえってやはり癒着だとかなんとかというふうな誤解を生んできたことは事実なので、その辺の分業体制をさらに明確化する必要があるということは、私は感じてはおります。しかし、今回の新幹線騒音については、やはり実行可能性を無視して出すことには、非常に混乱をさらに深めるものであって、必ずしも適切な対策とは言えない、つまり、基準先行型ではなくて、むしろ、じみちに毎日、毎日の仕事の中にこれが入り込んで、十分に取り込まれることの方がベターなことでありまするから、したがって、変な言い方になりまするけれども、こういう会に話が持ち込まれる前に、徐々に徐々に、一歩一歩前進する姿勢こそが問題だ、この点を指摘しておきたいのであります。

岡本富夫公明党

○岡本委員 どうも実行可能か不可能か、これについては、では、国鉄だけの力では無理だ、そのためには建設省あるいはまた各省の力を結集して、あるいは国から相当財政負担をしてそれでやるとか、こういうようなことは行政ベースで考えることであって、そこまで中公審の、要するにこの特殊騒音専門委員会でそこまでは必要ないのじゃないか。またそういうことをするから(「いい気になるんだ」と呼ぶ者あり)外野席からえらいことを言っておりますけれども、結局何といいますか、先ほどの参考人の先生方からお話があったように、縦割り行政でうまくいかないとか、これはもっとお互いに相談してやらなければいかぬとか、こういうような意見が出てくるわけですね。ですから、やはり排出基準あるいは環境基準、これはやはり何と申しましても国民の健康を守るということ自体から決める、あとの達成あるいはいろいろな対策については行政ベースでやる、こういうふうにしなければ、これは私はどうも行政ベースに立ち入った答申になっておるということを指摘せざるを得ないと思うのですが、もう一遍岡田先生、何か文句ありますか。

岡田清成城大学教授

○岡田参考人 先生の御意見に反対するつもりはさらさらございませんで、全く御指摘のとおりでございます。しかしながら、何事もやはり程度問題でございまして、私にいま一瞬にして百万円を用意しろと言われましても、私はできないというふうに答えるしかないというのと同じように、当事者の間のバーゲニングというのが、行政システムであり、しかも政治システムでもありまするから、そういうものが常識的な判断の範囲内におさまっているということが前提にならなければいけない。しかも、ましていわんや技術的な可能性、財政的な可能性、こんなことを無視して、あらゆることができるとは毛頭考えておりません。あくまでも程度問題で、その意味で先生に賛成だということを申し上げておきます。

岡本富夫公明党

○岡本委員 それで一応先生私の意見に賛成だ、こういうことですから。  それで、次に伊丹の環境部長さんにちょっとお聞きしたいのですが、この暫定基準の八十ホン、これについては国鉄側と三市がよく衝突するのが、その測定の方法であろうと思うのですね。スローとそれからファーストですか、この問題について、ひとつあなたの方からお聞きしたいと思うのですが、いかがですか。

高谷彦三郎伊丹市環境部長

○高谷参考人 暫定基準の八十ホンの測定の方法、スローとファーストの問題なのですが、三市としましてはファーストで全部はかっております。当初国鉄はファーストということで話し合いをしたように私は聞いております。その後スローのような形の話が出てきております。そういう点が現在変わっておるところでございます。

岡本富夫公明党

○岡本委員 二村先生ファーストとスローとの、動特性ですか、この相違、これをひとつわかるように御説明をお願いしたいと思うのです。

二村忠元東北大学教授

○二村参考人 ファーストとスローというのは、いわゆるペンスピードを言います。これは記録計にもそういうのが指定されておりまして、それで普通の騒音計でも、要するにダンピングがいいか悪いかで、針の振れの追随性の問題になるわけなのです。それでこういうことなのでございます。非常に衝撃的な、たとえばぽんとたたいて出るような音、こういうような音をはかりますときには、ファーストではかりますのとスローではかりますのと大きな差が出てまいります。これは要するにイナーシャといいますか、慣性の問題ですから、ぽんという音に対しては、ファーストではかりますと正確にこう追随するのですが、スローではかったら、ダンピングが大きいために追随性が遅いわけですね。だから針が振れかかったところで、もう音が終わってしまいますから、ある程度上がってぽんと落ちてしまう。だから本当のものがはかれないわけです。それで新幹線の場合は、これは六秒ぐらい続きます。そこでこういうことなのでございます。新幹線のレールの非常に近くとか、車両の車体のすぐ近くではかりますと、これはカーブを見てわかるのですが、音が一列車の通過時間、すなわち約六秒間に三十二回変化いたします。というのは、一つの車両に台車が二つあります。台車の近くのところでは当然音が大きい、台車と台車の中間のところは音が減ってまいります。そしてまた台車のところへ行くと音が大きくなります。だから同じ振幅の音の繰り返しが、十六両ですから三十二回こんな変化をする、それは非常に近いところでございます。  それからさっき私が、ソースがポイントソースであるかラインソースであるか面ソースであるかということを申しましたのですけれども、ポイントソースですと、原理的に倍距離六デシベルというのですが、倍の距離行きますと六デシベル減ります。ですから、距離的に近くでは変化の幅が大きいのですが、だんだん離れて行くに従って、この幅が狭くなっていく、小さくなっていく。ですから、近いところは六デシベルでずっと減りまして、遠いところに行きますと倍距離三デシベルで減るというようなことになります。非常に近いところではかりますと、いまのスローではかるかファーストではかるかによって、差がかなり出てくるわけです。ところが、三十メートルなり五十メートル離れたところでは、その差が大変小さくなりまして、ファーストではかりましてもスローではかりましても、その読みはたかだか一デシベルとかあるいは〇・何デシベルというような差しか出てまいりません。  ですから、繰り返しになりますけれども、近いところではかるときには、ファーストではかりませんと正確なものが出てまいりません。ある程度三十、五十というようなところではかるときは、スローではかりましてもファーストではかりましても差がございません。  それでこの専門委員会はファーストでなくスローとしましたのは、大体環境基準というのは、かなり遠いところの問題でございます。それですから、スローではかりましてもほとんど差がありませんし、今度は現場の地方自治体の方とか、いろいろな方がはかります場合に、メーターの振れを見ているのに、スローの方が安定して、非常に読みいいわけなのです。その証拠がどういうところに出ているかといいますと、飛行機の場合は全部スローではかる。エネルギー計算をするWECPNL、飛行機はかなり遠いところの音をはかっているわけですから、それで差し支えないというようなことでございます。ですからいまの場合、スローではかりましても、三十メートルのところでたかだか〇・何デシベルの差ぐらいしか出てこない。これはネグリジブルだろうというのが、この答申でスローということを規定した理由で、それは大変読みやすいし、六秒、七秒続きましたら問題はない、こういうような次第でございます。

岡本富夫公明党

○岡本委員 そうすると特殊専門委員長の楠本先生、この答申を出されましたのは、要するに、国鉄の通っている新幹線から大体三十メートルあるいは二十メートルを予想しての数値になるのでしょうか。その点についてひとつお聞きしたいと思います。最初国鉄は、ちょうど山陽新幹線をつくりましたときは、両側に十メートルの道路をとったのですね。その端、そこが約束の測定地になっているわけです。そこに家があるわけですからね。ですから、二十メートルですと、これは現実とは全然合わないわけですよ。ですから、スローではどうも納得いかないというのが、三市の市長さんのお話でしたが、この点について。

楠本正康中央公害対策審議会騒音振動部会特殊騒音専門委員長

○楠本参考人 はかる場所の標準地としては、これは二十五メートルではかる、これが一番音の高くなる可能性の多いところでございますから。しかし、建物周辺の事情等によりまして、当然それは変わってまいります。したがって、答申案文には、できるだけ問題のあるところを選んではかる、かようにいたしたわけでございます。しかし、大体が二十五メートルが標準になる。そこで問題がなければ、まあ問題がなかろうか。  それからさらに、第一点の御指摘の、どのぐらいまで帝が広がるかと申しますれば、これもまた地勢条件等によって違いますけれども、距離減衰を考えれば、いままで、ほっておけば百メートルぐらいまではどうしても達する、こういうことになるわけでございます。したがいまして私どもは、そこにも書いてありますように、たとえば、せっかく新幹線をつくるならば、両側に高速道路を持っていくというようなことにすれば、それだけ土地利用も経済的に済むし、また、距離減衰も、その音をだんだんそこで吸収していくのに役立つではないかということで、さような答申案文を書いてあるわけでございます。

岡本富夫公明党

○岡本委員 そうしますと、先生の答申案では、新幹線の横二十五メートルは高速道路をつける、そういう構想のもとの答申案になっておるわけですか。名古屋、大阪それから山陽新幹線にしましても、これはどうも現実に合わない、こういうように私は考えるのですが、いかがですか。

楠本正康中央公害対策審議会騒音振動部会特殊騒音専門委員長

○楠本参考人 どうも道路を並行して走らすということは、まことに言葉が適切でございませんでした。新幹線をつくりましても、どうせ二十五メートル地点あたりが問題になるのだから、それならば、そういうところは前もって総合対策といたしまして、たとえば私どもがいつも言っておることは、国鉄だけがやるのでない、国鉄と同時に建設省の方の道路計画も一緒にしてやっていったら、その辺がお互いにむだな投資もしなくて済むではなかろうかという例を申し上げたのでございまして、道路をつくるということではございませんので、さような最も効率的な行政施策としての例を一つ申し上げたわけでございまして、大変失礼いたしました。

岡本富夫公明党

○岡本委員 それが一つの例でありますれば、よくわかりましたが、現実とは合わない。現在の東海道新幹線あるいは山陽新幹線の既設の新幹線とは全然合わないものである。これからつくるものには、そういうふうに二十五メートルの道路をつくるとかできますけれども、いま立ち退きをして二十五メートル、両方で五十メートルになりますね、これはちょっとできない相談であろうと私は思うのですよ。ちょうど市街地に入っているわけですね。新大阪にしましても、それから名古屋にしましても、山陽新幹線もそうです。非常に理想ではあるけれども、現在の既設の新幹線のところには、どうもこの答申案が合いにくいのではないか、こういうように私は感ずるわけですが、ひとつ、その点についての御意見がございましたら。

楠本正康中央公害対策審議会騒音振動部会特殊騒音専門委員長

○楠本参考人 確かに都市がほぼ連檐いたしております大阪まで、あるいは岡山まで等につきましては、これは対策はきわめて困難でございます。特に周辺対策として二十五メートルなり、あるいは両側五十メートルを全部バッファーゾーンとしてとるというようなことは、ほとんど不可能に近いかとも存じます。  しかし、どうしてもこれができないということではないのでございまして、たとえば、現在都市計画でいろいろと都市再開発、いろいろな計画が進められておりますので、たとえば公園計画とか、あるいは児童遊園地とか、こういったようなものに逐次転換していくような方向にも努力をしなければいかぬのじゃなかろうか。しかし、これもなかなか困難であるという場合はもちろんあります。そういうときには、その家屋に防音工事をいたしまして、少なくとも家の中では環境基準が達成されたと同じような対策を講ずることもやむを得ないということでございまして、非常に膨大な経費がかかりますこともさような点だと思います。  そこで、一番大事なことは、先ほど来申し上げてあります音源対策で、さらにこれを技術開発によって音源対策によって物を解決の方向に導くということが、この日本の実情として最も適した方法だ、かように考えております。  ただし、今後新しくできるものにつきましては、これは最初から環境アセスメントを厳重に行いまして、問題のないようにするということは容易でございますけれども、いま東海道新幹線を例にとりまして、これを周辺対策だけで、立ち退き、あるいは緑地計画というようなことは困難であることは、私もよくわかっております。そこで、くどいようでございますが、そこには次善の処置として、防音工事というものが位置づけられるもの、かように思っております。  それがどうしてもできないというならば、これはやはりスピードを落としてかかる以外に方法はない、こういうように思うのです。

岡本富夫公明党

○岡本委員 最後に久保非さん、実はこの日弁連の「新幹線騒音の暫定基準に関する意見書」これは委員長は伊東さんでしたか、これがそのとき出されましたが、少なくとも「商工業の用に供される第三種区域でさえ昼間最高六五ホーン、夜間五五ホーンをこえてはならないとされている。」ので、ひとつこの「基準と同程度のものを設定すべきであると強く要望する。」こういう要望書が出たわけですが、先ほど聞いていると、そういうことをお話しでなくして、ただ公害のない静かなものをつくってくれ、それが理想的だと言われた。それは理想的に違いないけれども、前とちょっと御意見が違うように思いますのですが、この点についての御意見を承りたい。  それから岡田先生にもう一つ、公共性につきまして。実は一緒に欧州に参りましたときにも、その地域の住民の皆さんに被害を与えないのが公共性だというのが西欧諸国の考え方でありまして、日本の公共性というのは、そんなのを無視して言う公共性と、その公共性ということについてあなたの御意見、このお二人の御意見を承って終わりたいと思います。

久保井一匡日本弁護士連合会公害対策委員

○久保井参考人 お答えいたします。  私が先ほど、特に午前中の冒頭で申し上げました意見と、日弁連の昭和四十七年に出しました意見とは矛盾しておりませんので、私としましては、環境基準の七十ホンと七十五ホンという数値は、やはりその指針値としても問題がある。だから、この日弁連が四十七年に出しました六十五ホン、夜間五十五ホンという数値が少なくともとられるべきだという考えは、いまでも変わっておりません。ただ申し上げましたのは、具体的な数字で申し上げなかったために、抽象的な意見にすぎなかったので誤解を受けたかもしれませんが、現在の指針値で十分だというふうに考えておりません。特に連続騒音と間欠騒音とは、エネルギー総量では違いがあっても、人間に及ぼす影響を考えます場合には、等価エネルギー法則以外のファクターもいろいろ問題になりまして、いつ来るか、いつ来るかという期待とか不安、それからまた立ち上がりが急な、航空機とかあるいは新幹線騒音の場合に、エネルギー総量でははかり得ない被害というものが予想されるわけでありますから、これを連続音の場合よりも高い数値にする、エネルギー総量からいえば少ないわけだから、連続音の環境基準よりも高くしていいのだという考え方には、私は賛成できないわけでありまして、その意味では、四十七年十一月に発表しました日弁連の意見書にうたいました六十五ホンあるいは五十五ホンという数値はやはり正しいし、少なくともそれを環境基準にしてほしかったというふうに思っております。ただ現実が余りにもひどいので、七十ホンにしていただける、あるいは七十五ホンにしていただけるということであれば、これは被害者の救済に相当大きな前進になるので、この段階で消極面を強調することは避けたいというふうに思いまして、余り数値は示さなかった。  それからまた不十分な点としては、航空機の場合には常時九十ホンから百十ホンで、特に川西なんかは行政指導で、規制値が夜間とそれから朝夕と昼間で決まっておりますが、昼間は百七ホンまでいいというようなことになっておるわけでありまして、そういう現実の規制というものが非常に現状追随的だ。それを根本的に是正を迫るような意味で、今度の環境基準が一定の役割りを果たすだろうという面では、私としてはそういう積極面を評価している。しかし、少なくとも夜間、全面禁止の時間が十時から七時まであるという面では、航空機の方がすぐれているわけで、整合性を考えるなら、その点を考えてほしい。また夕刻のホン数は、せめてもう五ホンずつでも下げてほしいし、列車本数自身も検討してほしいというのでありまして、抽象的な言い方をしましたので、ちょっと誤解を招いたかもしれませんが、矛盾するつもりはございません。

岡田清成城大学教授

○岡田参考人 公共性ということにつきまして、二点ほど御説明をしておきたいと思います。  その第一点は、国鉄なり鉄道業というものの公共性の歴史的ないきさつはどこにあるかという点であります。御承知のようにこれは十九世紀の産物でありまするが、イギリスにおきましてもアメリカにおきましても、これは非常に巨大なる施設を持つ独占体として農業社会に入り込んできた、近代的な施設であったわけであります。そういうことで、鉄道が公共性に服するということは、一般大衆を守るという使命があって、国家が鉄道に対して介入をする、国家介入を行うことによって、一般大衆を、まあ表現は悪いかもしれませんが、鉄道の搾取あるいは横暴から守る、そのために運賃規制その他が非常に厳しく行われたわけであります。これが、ネーダーが指摘しておりますように、十九世紀的な規制が非常に厳しいものですから、現代の鉄道が危機に瀕しておる。したがって、一九五〇年代から現在までネーダーが一貫して指摘しておりますことは、鉄道に対する規制はできるだけやめるべきであるということを指摘しているわけであります。つまり、国家介入が余りにも鉄道に多いために、鉄道業の発展を阻害する、それが交通体系上、鉄道に望ましくない、こういうふうな判断を下しているわけであります。この点が、わが国の方では必ずしも論議が進んでいないという意味で、鉄道の公共性問題を一般大衆的な観点から見直すことは、非常に重要な問題であるということを申し上げておきたいわけであります。  その意味で、交通体系上どういうふうにこれを処理していくのかということが、一つの大きな課題になっているのです。企画庁の総合交通研究会で、将来でも鉄道というものをいかにわが国の経済活動の中に活用していくか、こういうことが非常に大きな課題になっております。そういうふうな状況の中で、現在は御承知のように三兆円の累積債務を抱え、しかもその上に何兆円かの公害負担をしなければいけない、こういうふうな、非常に十九世紀以来初めての試練に立たされているのが現在の鉄道ではないだろうか。そういたしますると、鉄道に対する温情ある態度こそが必要である。このことと個人を守ることを混同してはいけませんけれども、あくまでも一般大衆を守るという視点は捨ててはいけませんけれども、また一方、日本の交通体系上、鉄道を軽視するわけにいかない。このことをはっきり確認しておきたいわけであります。  第二点でありまするが、それに関連しましてイギリスにおける鉄道業あるいは公共企業体、これがどういう義務を持っているか、この点をちょっと指摘しておきたいわけでありまするが、第一点は、国有化産業は社会的な義務を持つ、これがいわゆる公害責任のようなものになります。それから第二点は、経済的な資源のむだにならないように、経済的な義務を持つ、これが第二点であります。それから第三点は、放漫経営をやらないように財政を明瞭にする、これが第三点であります。  そして一九六一年以来現在までどういうふうな政策がとられてきたかといいますると、この経済的な義務を重視して、国民経済全体の中でいかにして鉄道を活用していくか、こういうことが非常に重要な問題になる。論点がそっちの方向に重点が移っていったわけでありまするが、この点に対しては、日本では必ずしも国会を中心として論議が進んでいるようには思いません。したがって、社会的な義務を果たすという意味では、鉄道の義務は大きなものが残っておりまするけれども、その社会的な義務と経済的な義務、財政的な義務の調和について、全国民的に鉄道問題が論議されてしかるべきである。その一環として公害問題も処理される方向で、新しいシステムを組むべきである。そうしませんと、国民経済的なということを再三申し上げましたけれども、そういうふうな視点なくして紛争を繰り返しておりますると、非常に混乱が激しくなりまして、結果的には鉄道はできるだけ政治的に解決しよう、あるいはちょっと技術的にいじって解決しよう、こういうふうに、非常にピースミールといいますか、個別対応型の解決策に終わりやしないか、この点をむしろ心配しているわけであります。  その意味で、公共性が非常に強いことは認めまするけれども、公共性といいます場合に、必ずその内容に重点つまりウエートがあるわけで、そのウエートというものをどういうふうに置いていくのか、あるいは国民経済的に鉄道というものをどういうふうに位置づけていくのか、こういうふうな視点が重要であります。  参考までに、先ほど申し上げましたように総合交通研究会の方では、将来の鉄道というものにわれわれはかなり強い期待をかけていることを、最初に申し上げましたとおり、皆さんにもう一度御検討いただきたいというふうに思っているわけであります。

渡辺惣蔵日本社会党

○渡辺委員長 以上をもちまして、参考人に対する質疑は終了いたしました。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  参考人各位には御多用のところ、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。  次回は、来たる二十日火曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十一分散会

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