外務委員会 第26号
- 発言数
- 138 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1975/06/27
会議録
○栗原委員長 これより会議を開きます。 千九百七十四年七月五日にローザンヌで作成された万国郵便連合憲章の第二追加議定書、万国郵便連合一般規則、万国郵便条約及び関係諸約定の締結について承認を求めるの件を議題とし、政府から提案理由の説明を聴取いたします。外務大臣宮澤喜一君。 ————————————— 千九百七十四年七月五日にローザンヌで作成された万国郵便連合憲章の第二追加議定書、万国郵便連合一般規則、万国郵便条約及び関係諸約定の締結について承認を求めるの件 —————————————
○宮澤国務大臣 ただいま議題となりました千九百七十四年七月五日にローザンヌで作成された万国郵便連合憲章の第二追加議定書、万国郵便連合一般規則、万国郵便条約及び関係諸約定の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。 万国郵便連合は百年近い歴史を有する世界で最も古い国際機関の一つで、国際郵便業務の発展の中心的役割りを果たしておりますが、わが国も明治十年に加盟して以来積極的にその活動に参加しております。 万国郵便連合の文書には、連合の機構を定める万国郵便連合憲章、連合の運営手続を定める万国郵便連合一般規則、国際郵便業務に適用する共通の規則及び通常郵便物に関する規定から成る万国郵便条約並びに価格表記書状、小包郵便物、郵便為替、郵便小切手等の特殊郵便業務を規律する諸約定がありますが、連合の基本文書である憲章を除くこれらすべての文書は、通常五年ごとに開催される連合の最高機関である大会議において全面的に更新されることになっております。 現在実施されている連合の諸文書は、昭和四十四年に東京で作成されたものでありますが、これらに対しては昭和四十九年の五月二十二日よりローザンヌで開催された第十七同大会議において今日の事態に適応した改正と補足が行われた結果、憲章につきましては追加議定書の形でその一部が改正され、その他の文書につきましては現行の文書にかわる全く新たな文書が作成されました。 これらの追加議定書、一般規則、万国郵便条約及び関係諸約定は、いずれも来年一月一日から実施されることになっておりますが、その際には、東京で昭和四十四年に作成された現行の万国郵便連合の諸文書は、憲章を除き、失効することとなっております。したがって、本年中にこれらの諸文書を締結する必要があり、また、わが国と諸外国との郵便物の交換が日々増加している現在、これらの諸文書を締結し、万国郵便連合を通じて国際協力を維持増進することは、わが国にとってきわめて有意義であると考えられます。 よって、ここに、これらの諸文書の締結について御承認を求める次第であります。何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことを希望いたします。
○栗原委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。 本件に対する質疑は後日行うことといたします。 ————◇—————
○栗原委員長 次に、国際情勢に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河上民雄君。
○河上委員 きょうは外務大臣も大変お忙しいようでございますし、私も与えられた時間が非常に短くなっておりますので、一問だけ伺いたいと思います。 もうすでに御案内のとおり、インドシナ半島の政治情勢の急展開の中で、ベトナムの難民と考えられる方々がすでに二件日本に来ているわけでございます。新聞報道によりますと、さきにサイゴン陥落直後に八幡港に青年二人が着いたのに次ぎまして、今度はベトナム難民五十人がデンマーク船で名古屋に入港した、政府はこの日本への上陸を許可したということでございますが、そのとおりでございましょうか。
○宮澤国務大臣 そのとおりでございまして、デンマーク船が南ベトナム沖で救助いたしました難民の取り扱いに困りまして、国連の難民高等弁務官に援助を求めまして、国連難民高等弁務官からわが国に、一時入国を許可するように協力の要請がございまして、人道的見地並びに国連協力という精神から、わが国としては入国を認めることにいたしました。
○河上委員 その場合、国連の機関を通じて要請があったということですけれども、もし要請がなく、個人としてそういうものを求めてきた場合には、政府としてはどういうようにされるおつもりですか。
○竹村説明員 実は、先生は先ほど二つほど報道されていると申されましたけれども、この名古屋に入港しましたデンマーク船を含めまして、五回もうすでにございました。 この中で、そういうふうに国連を通じて要請があったのは、ただいまの一件だけでございます。それ以外は要請はございませんけれども、私どもといたしましては、やはり気持ちといたしましては、これらの難民を乗せた船は、フィリピン、香港、その他各地で上陸を拒否されて転々として日本へやってきた、これを日本で断りますとさらにまた転々としていくというような事態も考えられますので、そういった漂流を続けるような事態というのはなるべくやめることはできないだろうかということは前々から考えておりましたし、いま申し上げましたいろいろな事態も、ケース・バイ・ケースで、特にもうすでにベトナム難民の受け入れを決めておりますアメリカだとかあるいはフランスその他へのあっせん等も、外務省を通じて交渉するなどの措置をとって従来措置してきておりますので、これから先もそういった基本精神には変わりないと思います。
○河上委員 そういたしますと、国連の要請があっても、またなくて個人として救済を求めてきた場合でも、人道的立場から配慮したい、もちろんケース・バイ・ケース、こういうこともございますが、そういうことだというふうに理解してよろしいわけでございますね。
○竹村説明員 そのように理解していただいて結構でございます。
○河上委員 その場合、難民の永住は今後認められるおつもりですか。それとも、いわば半ば極限状態にあるから、たまたま日本の港に上陸を認めるということで、他の先をあっぜんするというにとどまるのか。将来日本に永住を希望するというような人が出てきた場合に、どうされるおつもりでしょうか。
○竹村説明員 現在のわが国の置かれております事情、特に移民を受け入れていないわが国、それから、周囲の情勢からいろいろな機会を求めて日本に定住したいという希求の非常に強い情勢のもとで、この問題については慎重に考えなければならないと思っております。 しかしながら、こういった難民で全然行き先もないという者に対して、これを強いて国外に退去を命ずるということができるかどうか、はなはだしく疑問に思います。そういった意味では、われわれとしてはあくまでケース・ハイ・ケースで、人道的な処遇を念頭に置いて対処せざるを得ない、このように思っております。
○河上委員 そういう場合に、ケース・バイ・ケースと言いますけれども、今度は日本政府が考えている、用意しているケース以外に、もう予想もしないようなのが次々出てくる、しかも量的にも非常に多くなるということも考えられるわけですね。そういう場合に、やはり明確なある種の国際的な原則というものにのっとって処理するということが必然的に迫られてくるんじゃないかと思いますが、先日の二十五日、衆議院の法務委員会での質疑応答によりますと、稻葉法務大臣は、いわゆる難民条約、亡命者の地位に関する条約、一九五一年でございますが、これに対して加入したいといいますか、批准の方向で検討したいというような答弁をされておりますけれども、これは政府全体の見解というふうにわれわれは承ってよろしいんでしょうか。
○松永(信)政府委員 難民に関する条約につきましては、政府といたしましてはその趣旨にきわめて賛成でございますし、人権関係諸条約の中でもなるべく高い優先度を与えて検討を進めるという方針のもとに、関係省庁間で協議いたしております。 ただ、この条約の内容がかなり広範囲にわたっているということがございますので、関係国内法との関係をどういうふうに処理していくかというような問題もございますので、若干時間はかかるかと存じておりますけれども、できるだけ早くその検討を進めたいというふうに考えているわけでございます。
○河上委員 一九六七年の五月、第五十五回国会におきまして、当時難民条約をめぐるいろいろな論議がかなり活発に行われておるわけでありますが、そのときは政府はかなり加入について否定的なといいますか、消極的な答弁をされておるわけであります。特に当時の中川条約局長は難民の定義を見きわめてからというようなことを言われて、難民条約に未加入の理由を挙げておられるのでありますけれども、かなり態度が変わってきたというふうにお考えなのでしょうか、それとも、最近の急に難民がふえてきているという新しい情勢に対応するために、積極的に取り組むというふうに変わられたのでしょうか。理論的に変わってきたのか、実際に対処したいということでそういうようにされておるのか伺いたいと思います。
○松永(信)政府委員 御承知のごとく、この難民に関する条約は、もともとは一九五一年に作成された条約でございまして、その当時は、これは第二次世界大戦後のヨーロッパの特殊な状況を主たる対象として、ヨーロッパで発生しておりました難民の地位を安定させるためにつくられたものでございます。 それが一九六〇年代になりまして、主としてアフリカでございますけれども、新興独立国がふえた、その独立に伴ってやはりアフリカにおいても難民問題が発生をいたしましたために、一九六七年に議定書が作成されまして、一九五一年の難民に関する条約の適用が、ヨーロッパのみならず広く適用されるという改正が加えられたわけでございます。 したがいまして、この当時は、このもともとの条約、それから議定書がつくられました経緯が、それぞれヨーロッパなりアフリカなりに発生いたしました大量の難民問題を処理するためにつくられたといういきさつがございましたので、アジアの諸国はほとんどこれに加入いたしませんでしたし、わが国も加入をいたさなかったといういきさつがあるわけでございます。 いま御指摘がありました当時の中川条約局長の答弁というのは、恐らくなぜ日本がまだ加入していないのかという質問に対してお答えをしたものだと思いますが、そのときと現在と基本的な考え方が変わっているわけではございません。その当時においても、政府としては難民条約の趣旨そのものには賛成であるということを申し上げていると存じます。 ただ、その後広く一般的に人権に関する条約をなるべく多く批准することが望ましいという雰囲気がだんだんと醸成されてまいっているということもあるとは思いますが、現在私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、なるべく前向きに検討してまいりたい。ただ先ほど申し上げましたように、実は国内法上の問題は著作権でありますとか、工業所有権でありますとか、教育問題であるとか社会保障でありますとか、いろいろそういった問題について国内法との調整の問題で若干むずかしい問題がございます。そういった問題について検討が全部終了いたしまして、批准するに至るにはなお若干時間がかかるのではないかというふうに考えているわけでございます。
○河上委員 国内法との関係はおっしゃるとおりだと思います。 そこで、二つほどお尋ねして私は、きょうは時間がございませんので質問を終わりますが、一つはかってこの論議のありましたときに、六七年でありますが、第五十五回の国会のときでありますけれども、そのときにケース・バイ・ケースという決めるときの一つの要素として、本人の人権の尊重と同時に、これを置く方の側の内政、それから外交上の国益、公安の維持というようなものとを勘案して決めるというようなことを当時の中川進政府委員がお答えになっております。現在もこれはベトナムで一つの大きな革命的な政治状況がございます中で、ベトナム難民というのがわが国に来ているわけでありますが、そういう場合に外交上の配慮というものと、個人の人権の尊重との兼ね合いというものは当然あるんではないかと思うのでありますが、そういうことを考えますときに、現に南ベトナム革命政権に対しては承認をいたしておりますけれども、じゃ国交が、外交関係が正常に発動しているかどうかということになりますと、大変疑問がございますけれども、そういうようなことと関係が起こりはしないかという憂慮も若干あると思うのでありますが、そういうことを考えれば考えるほど、単にケース・バイ・ケースということでなく、もう少し原則を明確化する必要があるんではないかということを私は一つ申し上げたいのであります。 もう一つこれと関連いたしますけれども、国内にすでに居住しておりました外国人が、政治情勢の変化に基づいて改めて亡命を希望した場合、これをどうするかという問題も第一の点と関連して伺いたい、以上二点をお伺いして私は質問を終わりたいと思います。
○高島政府委員 ベトナム情勢の変化に伴って、外国に亡命等を希望するいわゆる難民につきましては、もともと新しい政府に対して、新しい政府との関係でやはりとどまることを希望しない人たちであろうかと思いますので、そういう人たちに対しまして外交上の考慮が全然ないと言えばもちろんうそになりますけれども、先ほど法務省の方から御答弁がありましたとおり、そういう人たちに対してもやはり人道的な考慮からケース・バイ・ケースで検討していきたいというのがあの方針だそうでございますので、私ども法務省の方針がそのようなものである限りにおいて、特に異議を持っておりません。
○竹村説明員 御質問の第二点に、現在すでに日本における外国人が、政変に応じて日本にさらに引き続きおりたいという希望を表明した場合の点のことがございました。この点につきましては、具体的には、すでにベトナム人在日留学生につきまして、在留目的に従って安定した在留ができるような基本的な方針を私ども立ててやっております。これは逆の場合でもありますけれども、サイゴン政府がまだありました当時、あそこから留学生として日本に派遣されて来ておった学生が、われわれはサイゴン政権のもとにあるのを潔しとしない、革命政府を支持すると言って反旗を翻して、旅券の有効期間の延長を拒否したあれがございます。しかしこれらの者につきましても私どもは在留を認めてまいりました。そうしますと逆の立場にある者もやはり在留を認めなければ筋が一貫しないと思います。そういった意味では一貫してやっております。 なお、私ども難民の法律的な定義をどのように考えるかという点につきましては、いろいろ検討しなければいけない問題があろうかと思います。従来、毎年五名ないし十名前後の日本を経由地とする亡命の申し出のケースがございますけれども、これらの人々は、自国において政治的な信条その他のゆえに迫害を受けるというよりは、自国で何となく暮らしにくい、いやだ、それよりも自由の所に行きたいというような希望からいわゆる亡命申し出というものがありますけれども、これを難民条約というようなああいう法律的にきちっとした規定のもとで律しますと、難民という概念に当てはまらないじゃないかという問題があろうかと思います。そういった意味では、やはりわれわれとしては従来どおりケース・ハイ・ケースで特別在留許可とか、そういった法の運用によって幅広くいろんな情勢に対応していくということも非常にやる価値のあることだと存じます。
○河上委員 それじゃ最後に、一般原則の明確化を求めて質問をきょうは終わりたいと思います。
○栗原委員長 水野清君。
○水野委員 きょうは外務大臣余り時間がありませんから私も簡単にやりますが、最近の韓国の問題について二、三伺いたいと思います。 最初に、先般アメリカのシュレジンジャー国防長官が、韓国において北からの脅威があれば戦術核を使う可能性があるというような発言をしております。それからそれを追っかけてネッセン報道官というんですか、スポークスマンが、戦術だけじゃなくて戦略核も使うかもしれぬというような、ニュアンスは違うかもしれませんが、発言をしております。そして昨日フォード大統領が、これは核という言葉は使っておりませんが、韓国に強力な抑止力というものを考えている。新聞の報道によると、質問者が「あなたは核兵器の使用をはっきり否定しないわけですね」とただしたのに対して、「私は否定も肯定もしない」こう言っているのです。大統領ですから非常に微妙な言い方をしておられると思いますが、どうも最近、これはサイゴン政権の陥落後、アジアにアメリカのクレジビリティに対して若干の不安が出てきている。これを抑えるために発言したんだろうと私どもは思って見ておったのですが、どうも少ししつこ過ぎる。何かそれほど朝鮮半島に危険な空気でもあるのかというふうにもとれるわけでありますけれども、大臣はどういうふうに感じていらっしゃいますか。
○宮澤国務大臣 私も水野委員と同じように、北側が誤算をして、アメリカを見くびってもし戦争でも始めれば、これはもう大変なことでございますから、そうならないように、いわゆる抑止的な意味でああいうことを言っておるのだというふうに私は終始考えておるのでございますが、確かに少し声が高いようである。それがどういう事情に基づくものであろうか、私どもも実は省内ではそんな話をしておりますのですが、何ゆえかということをはっきり存じません。意図はもうそういう意図であろうと私は考えております。
○水野委員 ところで、アメリカのこういう発言というのは、これは国防的発言で、国務長官が発言をしておりませんが、日本と違って核使用ということも外交の手段の一つでありますから、アメリカにとっては一つのやり方でありますから、外交の一つのやり方として発言をしているんだと、こうとりましても、まあ私どもが常識的に考えて余りおどかしが過ぎる。この間、これもある新聞でしたが、北京はこの発言をどう見ているかといったら、アメリカは核を使うほど愚かではなかろうという、むしろ北京はそういう判断をしておる、そういうふうにも言っておりますが、それはそれとして、日本の外務省が——外務省といいますか日本の政府がこれと同じペースで外交をやるということは、これはきわめて愚かなことでありますし、日本の外交方針というのはそういうことでないことはよく存じております。結局、もう少し日本は平和的な、しかもお隣の朝鮮半島でのことでありますから、そう簡単にまた枠組みを外していくというわけにもいかない非常にむずかしい立場にありますが、もう少し平和的な何か外交のやり方がなかろうかと私は思っております。 よく言われることですけれども、北朝鮮も、金日成という主席は非常に強硬派のようにもとれますし、平和主義者のようにもとれる方ですが、この人もあるいは北朝鮮の政府も、何らか将来国際社会に引っ張り出して世の中というものをいろいろお見せしたならば、もう少し政策も変わってくるのではないかというふうに思えるわけです。そういう意味において、外務省は、アメリカと同じペースではないと思いますが、少し長期的な朝鮮半島全体の政策についてお考えをまとめておられるだろうか、ちょっと承りたいのでございます。
○宮澤国務大臣 これは非常に微妙な問題でございまして、朝鮮半島においてともかくいまのような一定のバランスがとれておるというときに、わが国は何といっても朝鮮半島から受ける影響も大きゅうございますけれども、こちらが与える影響もやはり非常に大きゅうございますので、余り身軽にいまの姿勢を変えられない、非常に動きにくいという問題がございます。もちろん北鮮とは人の行き来、スポーツ、経済等はこれは円滑になるべくやってまいりたいと思っておるのでございますけれども、承認ということを考えるに至っておりません。ただ、たとえば南北両方とも国連に同時加盟をしたらどうかというようなことは、結局は統一ということが両方の共通の目標でございましょうけれども、一つのそれについてのベストではないがベターな当面の処置として考えられるのではないかというようなことは私ども考えてみたりいたしますが、どうも北鮮の方がなかなかこれについてはうんと言わないというのが実情になっております。
○水野委員 話は少し角度が違いますが、この国会が終わって総理が訪米をされるわけでありますが、日韓の定期閣僚会議というものが、かねがねこの夏には開催されるだろう、こういうふうに報道されておりますが、総理の渡米前かあるいはその後か、定期閣僚協議をやる時期というものを定めておられるかどうかお伺いしたい。
○宮澤国務大臣 実は、しばしば当委員会で御議論のあります例の金大中事件と申しますか、金東雲氏の問題と申しますか、これについて昨年の八月以来、わが国が完全に納得をしているという状態でない状態が今日まで続いておりまして、この辺について、われわれが見て万全ではございませんでも、やはりわれわれの気持ちというものがある意味でわかるのはわかるというような、何か韓国側がそういう表示をしてくれまいかと、これもお互いに相談のできることでございませんので、どうということは申し上げられませんけれども、そんなことを実は思っております。まあそういうことで、両方の環境を改善いたしましてその後にというふうに思っているのでございますが、総理訪米までの間にはもう時間的に無理であろうと思っております。
○水野委員 次の問題を承りたいと思いますが、ジュネーブの第三次海洋法会議が五月九日に終了しております。実は日韓大陸棚協定が当委員会で審議には入っておりませんが、提案をされております。これに関してこれまで国会の中で、日韓大陸棚協定の批准の慎重論——積極論もありますし慎重論もありましたが、慎重論の中で、海洋法会議の帰趨を見た上で批准をすべきだという議論が強く出されてまいりましたし、私なんかもそういう考え方を持ってまいりました。五月九日に終わった第三次海洋法会議の結果をいまだに外務省から、大体こういう結論だというようなお話も聞いておりませんが、どういう結果になってきたのか、御指示をいただきたい。
○松永(信)政府委員 先般のジュネーブの第三次海洋法会議における大陸だなの問題につきましての論議の概要を申し上げますと、この問題は第二委員会の主として非公式な協議の場におきまして論議が行われたわけでございます。 結論を申し上げますと、大陸だなの境界につきまして自動的に適用されるような単一の基準というものの採択には至らなかったということでございますが、論議の過程を通じまして見られましたのは、かねがね申し上げておりますように、大陸だなの境界を設定するに当たって二つの立場がございます。一つは自然延長論の立場であり、もう一つが距離基準ないし中間線をもって基準とすべきであるという立場でございますけれども、この二つの立場のうち、先般のジュネーブの海洋法会議におきましては、実は圧倒的に自然延長の立場からする論議がたくさん行われたわけでございます。中間線を主張いたしましたのは、わずかにわが方ほか一カ国程度でございまして、中間線によって境界を確定すべきであるという議論は、先般のジュネーブ会議におきましては、大勢としては遺憾ながら非常にわが方に不利であったという状況であったわけでございます。 しかしながら、会議自体の結論といたしましては一つの単一の基準を採択するには至らなかったということでございまして、最終会議に、第二委員会の委員長が本会議に提出いたしました報告書の中でも、この自然延長の立場からする基準というものが前面に出されておりますけれども、私ども日本側が中間線による基準を主張いたしましたために、中間線の基準というものも中に取り入れられております。 したがいまして、結論としては、先ほど申しましたように、まとまった合意というのは策定されなかったわけでございますけれども、そこで来年の海洋法会議においてどういうふうな合意が得られるかということについては、現段階においてはまだ見通しを得るには至りません。至りませんけれども、恐らく私どもの想定いたしておりますところでは、単一の基準が設定されるということはなかなかむずかしいであろう。その結果、大陸だなの境界について紛争ないし対立的な立場がある場合には、関係国間の合意によってそれを決めていくということ以外には、恐らく現実的な方法はないであろうというふうに考えておるわけでございます。 ただ、その場合に、先ほど申しましたように、ジュネーブ海洋法会議における論議を通じて見ますところでは、自然延長の立場の主張が非常に強かった、有利であったということも相当程度考慮せざるを得ないだろうとは考えております。
○水野委員 そうすると、いままで二百海里の経済水域の議論というのが展開されておりまして、との面から大陸だなの自然延長論というものに対する対抗理論といいますか、対抗的な議論として展開して、まあまあ日本の主張、中間線論ですか、それを何とか補完できるだろうというような希望——希望というのは望みがあったわけですけれども、それは非常に薄くなった、こういうことですか。
○松永(信)政府委員 二百海里の距離基準と申しますのは、経済水域の観念から入ってきた問題でございますが、これは、大陸だなについては自然延長を認めるとしても、その限界を二百海里でとどめるべきである、その先は沿岸国の大陸だなに対する権利を認めるべきでないという主張でございます。これにつきましては、主として内陸国でございますけれども、そういう主張が行われたわけでございます。 この前のジュネーブ会議におきます結論と申しますか、最後に出されました報告書の中では、二百海里までは沿岸国がもっぱら専属的にその大陸だな資源を利用することができる、それから二百海里から先の資源については、権利は沿岸国にあるけれども、その大陸だな資源を開発した結果出てくる収益の一部分を国際社会の利益のために還元すべきであるという考え方が出ております。でありますから、二百海里という考え方が全く否定されてしまったわけではございませんけれども、基本的な権利の問題としては、沿岸国の権利は二百海里から先に及ぶという思想が出ているわけでございます。 なお、先ほど申し上げましたように、中間線によって基準を決めるべきであるという日本側の立場、主張が今後全くできなくなったという見通しではございませんで、そういう基準というものも考慮されるべきであるということがこの報告書の中には採用されておりますから、私どもとしては、従来からとっております中間線によって大陸だなの境界を決めるべきであるという立場を今後も維持してまいりたいと考えておるわけでございます。
○水野委員 私の伺いたいのは、その次のことなんですが、要するに、海洋法会議についていま条約局長非常に慎重な物の言い方をなさったわけですが、私はもう少し割り切って話をしてくださるといいのですが、あなたのお立場から言いにくいんだと思いますが、御承知のように、当委員会に日韓の大陸棚協定の問題が提案されております。この国会では審議する時間がありませんでしたけれども、いずれこの次の国会で審議をしなければいけない問題になると思いますが、私どももこれを継続審議にするか、あるいは廃案にするかという一つの境目に来ておりまして、いろいろ判断をしていきたい、こう思っておるわけです。外務省としては、まずどう考えておられるか。それから、外務省のお答えは私は想像はつくのですが、もし継続審議にしてもらいたいということならば、もう少し細かいデータをわかりやすく御説明いただく必要があろうと思うのです。私の時間はもうありませんから、これで結構ですけれども、もう少し細かく整理をしてお話をいただく必要があるのではないかと思います。
○宮澤国務大臣 それでは大まかに私から申し上げますと、来年の三月のニューヨークの会議でまとまりますかどうか、なるべくまとまってほしいとは思っておりますけれども、それが一つまず不確かだという点がございますが、いまお話しの点で申しますと、条約局長が申し上げましたことは、結局自然延長論というのが非常に強いので、大陸だなの場合にはやはり自然延長論というものがどうも主体になって、そしてそれを補完するものとして二百海里というような話に大勢がどうもなりそうだ、わが国はわが国の主張を一生懸命いたしますけれども、大勢はどうもそうなので、したがって、そういう意味では大勢はどうも余りわれわれによくはない。のみならず、日韓のような場合には、両国の間で何かの協議をして決めなければ結局この話は決まらない、こういう雰囲気でございますので、私どもとしては、国会に御提出をいたしましたあの案が、せっかく向こうもあそこで折れ合ってきておるわけでございますので、一番国益にかなう、会議が進むに従ってそういう判断を実は強めてきておるようなことでございます。
○栗原委員長 土井たか子君。
○土井委員 去る十人目に、ニューヨークの日米協会で、アメリカのキッシンジャー長官の演説があり、また次いで二十三日に、アトランタにおいてキッシンジャー長官が同盟国の防衛努力について演説をされているわけでありますが、これは外務大臣もよく御承知のところであります。この二つの演説に対してどのように現在評価をなすっていらっしゃるかをまずお聞かせいただきたいと思います。
○宮澤国務大臣 インドシナ撤退後の情勢について、アメリカとしては、一方において従来アメリカが各国にしておる約束というものは、決してほごになるはずのものではないということ、誠実に守るという意思のあること、しかし、相手方の事情があれば、何もそれをそのまま無理にでもアメリカは不変更ということに固執するものではない、お話し合いにはいろいろ応じますというような考え方、それから従来、ともすれば力のバランスということが表に出てきておったわけですが、それには違いないが、しかし、そういう枠組みの中ではできるだけ話し合いをしていこう、和解をしていこうというようなトーンが相当強く出ておりますこと等がやはり基本であろうと思います。そしてアジアにおきましては、御承知のように日本を中心にああいうことをいろいろ述べておりまして、日米の関係というものが米国とヨーロッパとの関係と同じ重要性を持つものであって、アメリカはもちろん体制の違う国ともいわゆるデタントをやり、話し合いをしていくけれども、それらの国との関係と、米欧あるいは米日の関係とは等距離というわけにはもちろんまいらないといったような、そういう認識がわが国との関連では目立つところであろうと思います。
○土井委員 いま概括的にお答えになったわけですが、十八日の日米協会の演説の中でキッシンジャー長官は、従来日本の外交筋との間で外相レベルの接触というのは何回か行われてきた。ところが、今回年二回定期協議というものをしてはどうかという提案がございます。これは政策検討を行うことを提案しておるというふうに十分読み取れるわけですが、日本政府とされては、このキッシンジャー提案について、こういう方針をお受けになるおつもりでいらっしゃるかどうか、その辺はいかがでございますか。
○宮澤国務大臣 従来、ここ最近の年の平均をとってみますと、二回以上の接触が事実上はあるわけでございますので、キッシンジャー氏がそういう状態を続けていこうではないかと言われたのか、あるいはもう少し何か具体的にそれを制度化しようと言われたのであるか、ただいまのところ実は私どもにはっきりいたしておりません。どうもあれを見ますと、そういったようなことを考えてみてはどうかというような表現になっておりますので、私はこうでなければならぬというなにを持っておりませんで、八月によくその辺も相談してみたいと思っておるわけでございます。
○土井委員 ただ、そういう打診があった節、その中身について具体的に検討を進めて、場合によったら定期的な年二回か三回かそれはわかりませんが、そういう政策検討を行うということに対して、受ける用意はあるということも含めてでございますか。
○宮澤国務大臣 そういう機会は実は多ければ多いほどいいのでございますけれども、またきちんと制度化してしまいますと、お互いにかえってそれが非常に煩瑣になる場合もございます。ですから、その辺はよく話し合ってみまして、なるほどそれがいいなと思いましたらそういうふうにいたしまして少しも差し支えないことでございますけれども、先方の真意はどの辺にあるのかなということをよく聞きましてから、こちらのこともいろいろ申しまして、どれでなければならぬというふうに私は余り拘泥をいたしておりません。
○土井委員 さらに、その同じキッシンジャー長官の発言の中に、ベトナム後のアジア問題に関して、日本に対してはアメリカと同一政策ということを期待はしていないというふうな向きの発言があったようにこれは見聞するわけですが、われわれといたしますと、朝鮮半島の緊張の緩和というのがいま最大の課題のように思われます。この朝鮮半島に対する外交政策という点において、これはアメリカ側がどう言おうと、日本側としては独自の立場があり、自主的にこの判断によって外交政策を行うのが基本的な問題でございますが、アメリカについて朝鮮半島における緊張緩和あるいは外交政策にいっても追随する必要は一切なしというふうなことを、もちろん外務大臣はお考えでいらっしゃいますね。
○宮澤国務大臣 アメリカも日本もいわゆる民主主義、自由主義、フリーマーケットというような基本的に相似た価値判断を持っておりますので、概して指向するところは似てくるということはこれは私あろうと思いますけれども、具体的な国益になりますと、これはもちろんすべてが一緒ではございません。わが国はわが国の国益に適した道を選ぶということは、これは当然のことだと思っております。
○土井委員 そこで、先ほど水野委員の方からの御質問にもございましたが、シュレジンジャー国防長官さらにフォード大統領、それぞれの発言によって、韓国に核が存在をしているということはまことに事実として明らかにされているわけであります。特にシュレジンジャー国防長官の言う内容から考えてまいりまして、韓国に核が存在をしていることは日本にとって核の抑止になるのかどうか、いかがでございますか。
○宮澤国務大臣 これは何とかと何とかは使いようということをよく申しますが、そういうことによって朝鮮半島に平和が維持されるということであれば、それはやはり朝鮮半島が平和であることはわが国にとって大切なことであると思います。
○土井委員 何とかと何とかは使いようということでありますが、使いようそれ自身が存在の効果を決定するということでありましょうけれども、現に核が存在しているということ、そのこと自身は日本にとってやはり核の抑止という意味を持つかどうかという点はいかがでございますか。
○宮澤国務大臣 他国のことでございますので余り批判がましいことを申したくございませんけれども、少なくともアメリカは、ことに最近の言明は、戦争抑止力としての核というものについて私は言及しているのだというふうに見ておりますので、したがいまして、これはいわゆる戦争を抑止する作用をしておるものであれば、それは朝鮮半島に紛争が起こらないという意味で、わが国にとってプラスの材料であろうというふうに思うわけでございます。
○土井委員 過去、日本の核抑止というのは、戦略核だというふうに言われてまいったわけです。戦術核もそれならば核抑止の中に入れて考えていくということになりますか、どうですか。
○宮澤国務大臣 朝鮮半島の場合についてのお尋ねだと思いますが、戦術核があるということは、これはまことに使いようという意味は使わないのも使い方の一つでございますので、そういうものがあるということが抑止力になるという意味においては、戦術核もそういう働きをなし得るものであると思います。
○土井委員 そうすると、従来は、日本の核抑止というのは戦略核だと言われてまいりましたが、韓国にある核を先ほど外務大臣がおっしゃったような位置づけで考えていった場合は、戦術核も核抑止の中に入れて考えて、その期待する効果を十分に発揮し得るであろうということになるわけですね。
○宮澤国務大臣 私が日本の場合を申し上げておりましたのは、わが国には核兵器というのは入らないわけでございますが、戦術核がわが国で実際有効であるか有用であるかといえば、そういうふうには考えられません、わが国についての抑止力は戦略核だというふうに考えますと申し上げておるわけで、なるほど土井委員の言われますように韓国には戦術核があって、いま私からいろいろお引き出しになりましたことは、結果としてそれがやはり日本の平和につながっている、戦争抑止力になるのであれば、韓国にある戦術核は、この場合にはやはり日本の抑止力に何がしかの関係があるであろう、こういう意味のお尋ねだと思います。わが国自身に攻撃が加えられる、わが国自身の安全が危うくされるということは、これは私はやはり戦略核という抑止力のゆえだと思いますが、わが国の安全との関連において、朝鮮半島に平和が保たれるというために戦術核が役立っておるかということであれば、それは私は使いようによっては役立っておる、そういう意味ではわが国と無関係ではないであろうとおっしゃれば、そのとおりだと思います。
○土井委員 そういたしますと、これは核抑止ということの概念についても今回の場合、従来戦略核だというふうに言われてきた中身が、韓国に配備をされている戦術核についてはやはり変わってきている、つまり、日本における核抑止というものの中身が変わってきているというふうに理解せざるを得ないと思うわけであります。 さてその次、この秋の国連総会で在韓国連軍の解体の問題というものが大変注目を集めております。解体を決議するという以外の何らかの方法を考えられているかどうか。それはいわば休戦協定にかわるものでありますが、日本としては、在韓国連軍の解体決議にかわる何らか朝鮮半島に対して緊張を緩和していくような決議をお考えになりつつあるのかどうか、この点はいかがでございますか。
○宮澤国務大臣 まだ具体化をしていないのでございますけれども、国連軍の司令官が署名の一当事者にあの五三年の協定ではなっておりますので、そこで、それを何かに置きかえるということをいたしませんと、一方的に協定が死滅してしまうということになりますから、そこのところを一つ工夫したらどうだろうか、こういうようなことを考えつつございます。
○土井委員 それは具体的に申しますとどういうことですか。やはりアメリカに対してその話し合いを進めて、何らか解体決議以外の方法で具体的に促進する方法はないものかというふうなことをいま御検討中ということでございますか。
○宮澤国務大臣 そういうことでございますが、アメリカとか韓国自身も関係がございますし、あちこちで相談をわが国も加わってぼつぼついたしておるわけで、しかしそれはちょっといまおっしゃったことではありませんで、解体そのものはわが国としては反対する理由がないではないか、しかし休戦協定そのものは、これは生かしておかないと困る、こういう立場でございます。両方を突きまぜたらどういうことになるかというあたりを考えておるわけでございます。
○土井委員 解体そのものに対して積極的に賛成はしない、それから休戦協定も生かしておかなければならないというふうな立場で朝鮮半島における平和、あるいはいろいろ統一の問題についても即応していけるような、何らかの方策というものを考えるということであるならば、これはまことに結構なんですが、考え方によりますと、日米韓でもって、何らか朝鮮半島に対する封じ込めの対策に、逆に言いますとなるのじゃないかというような意味もこれは巷間あるわけでありますから、そういうことに対しての疑義がぬぐい去れるような方法でなければならないと思うのですが、具体的に言いますと、外務大臣、それはどういうふうなことをいまお考えになっていらっしゃるのか、ひとつこの節、おっしゃっていただければ幸いだと思います。
○宮澤国務大臣 先ほど土井委員が、解体に対して積極的に賛成はしないというふうにちょっとおっしゃったのは、実は反対はしないでございます。そういう意味で、おっしゃったことはよくわかりましたのですが……。 それで、基本的に私どもは、やはりコンセンサス方式というものがいい。何となりますれば、しょせんこれは安保理事会の問題になっていくわけでございますから、そうして休戦協定に署名した当事者の中には、いわゆる南側国連軍、それから北側中華人民共和国義勇軍というようななんでございますから、つまりその国連軍司令官というものが抜けてしまうわけでございますから、その後をどうするかということになりますと、どうしてもやはりこれは相談をいたしませんと勝手にはできないことでありますので、みんな関係国がよく相談をして、いわゆるコンセンサス方式で法律的な枠組みだけはちゃんと残しておこうじゃないか、こういうことになりますと思います。そういう努力をすべきだというふうに私は考えているわけなんです。
○土井委員 現在の在韓国連軍については日本は何ら関係がないわけなんですね。現在、何にも関係を持っていないわけですね。ところが、新たにこの在韓国連軍の解体をめぐって、それに賛成するか賛成しないかは別として、これに何らかかわるものというものを考えていこうというふうなことになりますと、これは現に関係をしていないものに日本が積極的に関係をしていくどいうことにならざるを得ないと思いますが、この点はいかがでございますか。
○宮澤国務大臣 土井委員は、国連軍という軍隊があるわけでございますから、それにかわって何か軍隊をつくることを考えているのじゃないかとおっしゃる意味でしたら、そうではありませんで、国連軍解体そのものは、われわれは反対をする理由はないんだ、しかし休戦協定の当事者がそうするとなくなってしまうという状態で、休戦協定なし、無協約となってしまっては、これはわが国としては、朝鮮半島の平和と安定はわが国に緊要な関係があるわけでございますので、わが国はそのことに関心を持たざるを得ない、こういう立場でございます。
○土井委員 まあ大変微妙な問題なんですが、日本としては朝鮮半島の緊張が緩和する方法でやはり努力をしていくというふうなことが何としても基本的な問題だと思うんですね。そういうところからいたしますと、いま具体的には緊張緩和という方向でどういう方法が考えられているか、この点はいかがです。
○宮澤国務大臣 それはなんでございましょう。昨年の総会においても、国連軍の解体というのは一つの緊張緩和の具体策として討議をされたものと思っておりまして、しかもわが国は、そういうことをひとつみんな相談ずくでやろうではないか、けんかずくでなくて相談ずくでやろうではないかというのでございますから、これなどはやはり緊張緩和の具体的な一つの手段であるというふうに私は思うわけでございます。
○土井委員 それは関係国が相互間に相談をし合うということでなくて、もっと広い舞台、つまり日本の国連中心主義の外交姿勢からすると、何らか国連という場においてという方法もこれはやはり考えられなければならない問題だと思うのですね。より広い、より国際社会ということを考えた舞台の上でという意味で。そういう点からすると、水野委員の御質問の中にもすでにございましたけれども、かってタイム誌で三木首相も、今月初めに、国連に対して同時加盟をしていくということも考えられてよいのではないかという趣旨の発言をなすっているようであります。すでに東西ドイツのように国連に加盟している例もあるわけなんですね。そういうことからいたしますと、いま政府としてはどういう御努力を具体的になすっていらっしゃるか、その辺はいかがです。
○宮澤国務大臣 先ほど各国と相談をしております云々と申し上げましたのは、むろんそういうことが議論になります場は、これは国連という場でございます。それをもちろん大前提に置いて考えておるわけでございます。それで最終的には、これは平和的に統一をするのだというのが両国の七二年の共同声明以来の立場でございますから、最終的にはそこに到達するとして、少なくともそれへの一歩として、両方とも国連に加盟したらいいではないかということはわが国としてはサポートをしたい、支持をしたい種類の動きでございますが、これもしかし気をつげて申しませんと、ことに北側は、それは分割を恒久化することにつながるのだというふうに見る向きもございますので、何かわが国がいやがらせのように言ったということになってしまっては、これは真意でございませんので、それで注意深く実は申さなければならぬ問題だと思っているのであります。
○土井委員 この問題は、結局韓国と北朝鮮が自主的に決定すべき問題なんでしょうけれども、しかし日本政府としては、いま外務大臣の御答弁の中にもございましたように、直接北朝鮮に政府が接近することそのこと自身が、緊張緩和にはプラスしないという場合もある。そういうふうなことを考えていくと、これは一つの方法として、ずでに北朝鮮と国交を樹立している国々、その中にはいろいろあるわけですが、たとえばオーストラリアもそのうちの一国であります。そういう国を通じて、何らか北朝鮮に対して話し合いを進めていくという方法も考えられてよいのじゃないか、こういうことも思われるわけですが、この点はいかがなんですか。
○宮澤国務大臣 これは実は五月の初めに私がオーストラリアに参りましたときに、オーストラリアのウィルシー外務大臣から御相談があったわけでございます。それは、自分はやがて北京を訪問し、そして北鮮を訪問し、韓国を訪問するという一つのスケジュールを立てておるんだが、それについていろいろ話も聞きたいということでありました。まず、そういうことはどうだろうという話でしたから、それは結構なんじゃないだろうかと申しまして、そのときに、自分は北鮮に行ったら、ひとつよく韓国と話をしなさい、韓国に行けば、北鮮とよく話をしなさいということをひとつ言おう、それから、場合によったら、国連に両方加盟したらいいじゃないですかということも言おうかと思うのだがどうだろうという話でありましたから、実はわが国もそれは本当を言えば結構なことだと考えている。おのおのの国がどう受け取るかは別として、本当は結構なことだと思っていますということを私、申したのでございます。先般ウィルシー外相が見えまして、北鮮から帰ってわが国に見えたのです。そのときには、どうでしたと言ったら、やはり自分はそういうことを北鮮で言ってきた。これから韓国に行くので、韓国にも同じことを言うつもりだということでありまして、実はそういう話し合いが現実にございましたわけです。
○土井委員 これに対して日本が、国連に同時加盟を韓国も北朝鮮もしていくということに対して、やはりオーストラリアなんかとの話し合いで進んでいるというのが現実の問題で具体的にあるわけですが、片や中国であるとかソビエトであるとか、これは北朝鮮にとっては大変友好国であります。中国に対してそういう話を日本側からどうでしょうというふうに打診をされたことがいままでにございますかどうですか。
○宮澤国務大臣 実はこれもむずかしい問題でございまして、中国もソ連も、北鮮に対して余り差し出がましいことをしたくないという気持ちが相当強いように私はいろんなことから見ておりますものですから、下手にまた私どもがそういうことをしますと、これも一種のいやがらせということになってしまいます心配がありまして、正式にそういうことを私は、中国、ソ連に切り出したことはないのではないかと思いますが、それは実はいまのような観察からでございます。
○土井委員 先日、六月の二十一日安保運用協議会が行われておりますが、この協議会において、安保条約の五条を新しい角度から見直して優先度を再検討するということが問題になっている旨が報道されております。この中身をまずお聞かせいただきたいと思いますが、いかがですか。
○山崎(敏)政府委員 安保運用協議会におきまして、そこは非公式な安保条約の運用に関するいろいろな意見交換の場ではございますけれども、安保条約の五条に関して云々というふうな具体的な話をしたことはございません。ただ、たまたま在日米軍の参謀長であるスノーデン少将が今度帰国いたしますので、いままで安保運用協議会においてやってきたことを一遍振り返り、今後またどういう話をしていこうかというふうな一般的な話をいたしただけでございます。
○土井委員 この問題についてはさらにこれは具体的にお聞きをしなければならないわけですが、私実は三十六分までしか時間がありませんので、この質問を展開していますとまたまた私は時間を超過します。次回にこれは譲りたいと思いますから、きょうはこれで質問を終えたいと思います。
○栗原委員長 瀬長亀次郎君。
○瀬長委員 私最初にフォード、シュレジンジャーの核発言についてお伺いしたいと思いますが、シュレジンジャー国防長官はもし北朝鮮が南朝鮮を侵略したらアメリカは北に対し核兵器を使うことも辞さないと言い、六月二十五日のフォード大統領の核先制使用も否定しないという発言について、外務大臣の御見解を承りたいと思います。
○宮澤国務大臣 フォード大統領の方は多少表現があいまいでございますようですが、シュレジンジャー氏の言ったことを少なくともフォード大統領は否定をしたということはございません。 そこで、先ほども水野委員にも申し上げておったところですが、北側がアメリカのいわゆるコミットメントを軽く見てはならない、誤算をしてはならないぞ、もし誤算をすれば現実に戦争ということになりかねないということを心配をいたしまして、それが現実にならないために、アメリカとしては決心のほどを示したということであろう、すなわちこれは戦争を抑止する目的を持ってした発言であろうというふうに見ております。
○瀬長委員 日本政府としては、アメリカのこういった核攻撃あるいは核脅迫政策といわれておるものにつきましては別に反対ではない、いわゆる評価するということでいいのですか。
○宮澤国務大臣 これは基本的には米国と韓国との問題でございますから、われわれがとやかく言うべきことではないと思いますが、いつか、比較的最近ですが、キッシンジャー国務長官がどこかの演説の中で、決心はかたく持たなければならない。しかしなるべく声は大きな声を出さない方が好ましいことだということを何かで言ったように私読んだ記憶がありますが、そういう感じはいたします。感じはいたしますが、しかし本当に誤算をしそうな心配があるというときに、一度なり二度なり言うことについての意味合いは私には理解はできます。
○瀬長委員 それでは関連しますので、次に、三木総理の核のかさ発言についてお伺いしたいと思います。 三木総理は、御承知のように六月の二十六日の衆議院決算委員会で、「米国の核のかさに入れてもらうということではなく、核のかさに入れなければ承知しないということを大きな声でむしろ主張すべきものと考える」と答えておるのですね。そうすると、政府は、アメリカにどういうかさをよこせ、そしてどういうかさを要求されるのか、ひとつ大臣の御見解を承りたいと思います。
○宮澤国務大臣 別段現状を何か変えてほしいということを考えてはおりませんので、総理大臣のあの発言は、恐らく日本は非核三原則を厳守するのであるという心意気をちょっと言われたものだと私は思っているわけです。
○瀬長委員 核兵器というのは物騒な兵器ですよ。それをただ言葉のあやでこういったようなのを使うような——これは総理大臣ですからね。少なくとも核のかさに入れてもらうということではなく、入れろと積極的に主張する。そうなりますと、いままでこういうかさであるが、どんなかさが必要かということを総理はワシントンに行かれたら要求されるんじゃないかということは、普通だったら国民は考えますよ。たとえば、いま普通政府が言っているポラリス潜水艦とか、あるいはB52とかあるいは第七艦隊といったような核装備をしているものを核抑止力といったようなことを言っておりましたが、総理大臣がそう言うからには、何か核のかさを要求するといったような印象を国民に与えるということは間違いないと思いますが、いかがですか大臣。
○宮澤国務大臣 かさというようなことですとなかなか話が進みませんので、抑止力ということでよろしいのだと思いますが、日本はアメリカの核抑止力のもとに安全を保っておるということは事実でありますし、その状態を日本は自分が核を持つことによって脱却しようとは考えない。それは非核三原則を厳守するのであるから現状のような核抑止力のもとに日本を置くのである、あれはこういう意味合いであって、いまの状態を何か変更してほしいとか、特殊の、どういうものをどうしてほしいとかということではないと私は思います。
○瀬長委員 もちろん核のかさというのは核抑止力のことを言っておるのは当然でありますが、では具体的にお聞きいたしますが、アメリカが韓国に核を配備している。これはアメリカははっきり核を配備していると言っておりますので、この核は日本を守る核のかさであるのかどうか、大臣、答えてください。
○宮澤国務大臣 直接にはそうでございませんことは明らかと思います。ただ、さっき土井委員の言われましたことにお答えをしておりましたとおり、核が韓国に配置されることによって朝鮮半島の平和が保たれるということであるのならば、それは抑止力としての核でございますが、朝鮮半島に平和が保たれるということは、わが国の平和と安全に密接な関係がございますので、全く因果関係がゼロだとは申せない。しかしそれは、わが国に核を置くということとは無関係のことであるし、わが国が直接に急迫不正な攻撃を受けた場合のととともまた別のことであるというふうに思います。
○瀬長委員 では、アメリカの韓国に配備しているかさはいずれにしても朝鮮の安全のためということであるのならば、また安全を守るために核の抑止力あるいは核のかさというものはある、だから朝鮮におけるアメリカの核兵器、これは日本の核の抑止力になっているというふうに大臣お考えですか。
○宮澤国務大臣 それは、先ほどお答えいたしましたことの繰り返しになりますが、朝鮮半島の平和と安全はわが国の平和と安全に緊密な関係がございますので、もしその核が抑止力として働いているというのであれば、それはわが国の平和と安全に全く無関係なものとは言えないというふうに先ほども申し上げたわけです。
○瀬長委員 では、核兵器との関連で、政府は朝鮮の情勢について本当に緊張が高まっているというふうにお考えであるのかどうか、この点いかがですか。
○宮澤国務大臣 これはよその国のことでもありますので、政府が的確な軍事情勢を知っておるわけではございませんし、また緊張感というのはかなり主観的なものでございますので、第三者からはとやかく申しにくいことでありますが、しかし、いっときインドシナ半島から米国が去り、そして金日成主席が外国訪問をされたというような段階のあたりではかなり緊張感があったのではないだろうか。その状態は今日まだ完全に解消するには至っていない。一九七二年当時の南北の共同声明が行われたときから比べますと、それははたから見ておりましても、緊張感がかなりあるのではないかというふうに思っております。
○瀬長委員 それでは大臣は、六月十九日の参議院で、立木議員の質問に、若干緊張が高まっておる、それは北からの情報は政府はないので、主として南からの情報に基づいてそう判断すると言っておられましたが、さっきのシュレジンジャー国防長官の発言といい、さらにフォード発言といい、現実にむしろ緊張緩和というようなことをねらうんじゃなしに、緊張を激化させるという形でいま進められているというように私は考えまするが、大臣いかがですか。
○宮澤国務大臣 私は、先ほど申しましたように、北側に誤算をさせないためにアメリカの準備について、コミットメントが決してほごでないということを言って、そして現実に紛争が起こることを避けたいという意図であると思いますけれども、ただ余りああいうことを何度も何度も申しますと、今度は言われた方の相手も身構えるということも、これも人間社会にはありがちなことでございますので、そう何度もおっしゃらなくてもいいのではないかという程度の感じは持っております。
○瀬長委員 それでは、いまの核政策の問題で歴史的に事実を追ってみますと、例のいわゆるキューバ危機、このとき政府は一体どういう態度をとったかという問題をまず考えてみますと、あのときケネディ大統領の親書に対して、池田総理は一九六二年十月二十五日に次のように返事をしております。「南北アメリカの大部分に核弾頭を運搬できる攻撃的なミサイル発射基地をソ連政府が秘密裏にキューバに設置していることは、米州諸国の安全に対する重大な脅威であるばかりでなく、戦後今日まで世界の平和を支えてきた国際的均衡を著しくくずすものであります。」と言い、アメリカの立場を理解するなどと言って、核兵器の脅威と世界平和をうたい上げたわけです。これは事実なんです。この点につきましては、当時の大平外務大臣も、黒金官房長官も大体同じことを言い、大平大臣は十月二十七日衆議院外務委員会で、キューバに新しい攻撃用ミサイルの基地が建設されることは米国及び米州機構の平和に対する重大な脅威であるとして、今回の措置をとったことと理解するということだと言っておるんですね。 私がお聞きしたいのは、あの当時はそういったことを言いながら、ところで、韓国へのアメリカの核配備とその使用については、日本政府は動じないどころか、いま御答弁になったように、まさにしごく当然であるといったような姿勢、一体政府は、アメリカの韓国への核配備や核使用発言を緊張化の原因とは考えていないのか、それともあの当時と同じように、核配備をしておる、核使用も辞さないというようなことは、世界平和を支えてきた国際的均衡を保つものであるといったような考え方でも持っておられるのか、これを明らかにしてほしいと思うのです。
○宮澤国務大臣 一九六二年十月の事態というのは、ソ連の輸送船が、キューバにいわゆるミサイル基地の構築を行って、そしてミサイルを運んでいることを米国が偵察によって発見をしたということから起こりまして、そしてわが国に同意を求めてまいりましたのは、米国としてはこれと核兵器で対決するということはとらざるところであるから、キューバの海上を米国の艦船をもって取り巻く、当時クァランティンという言葉が使われたと思います。それによってもしソ連がなおミサイルの輸送を中止しないのであれば、これはソ連が真剣にキューバにミサイルを置くということを考えている証左になるし、もしその封鎖を突破しないでそれ以上の作業をやめるということであれば、ソ連は核のコンフロンテーションをする意図は真実はないということになる。それをテストするためにクァランティンを行う、これについて日本政府の支持を求めてきたのでありまして、日本政府としては、まさにこれが核の衝突にならないためにソ連側の意思をテストする、アメリカのそのような行動に対して支持を与えたわけであります。結果としては、ソ連はその後輸送をやめ、構築されましたミサイルを撤去することによってこの問題が解決したのでありますから、まさしく核兵器が抑止力として働いたケースであったというふうに私ども考えているわけです。それで、同様な意味でアメリカが世界あちこちに核兵器を配備している、これはソ連もそうでございましょうけれども、ということは残念なことでございます。そういう時代じゃなくなることを希望いたしますけれども、それが抑止力として考えられている限り、いまの世界の現状において私はやむを得ないものだというふうに思います。
○瀬長委員 私聞いているのは、いわゆる核ミサイルをキューバに構築する、これは米州諸国の安全に対する重大な脅威であるだけではなくて、世界の平和を支えてきた国際的均衡を著しく崩すものだということが日本政府の返事の骨子なんです。それであれば、アメリカが朝鮮に核を持ち込んでいる、さらに核だけではなくて、いざという場合には先制核使用も辞さないなどといったような政策を世界にもう宣言した、これに対しては少なくとも、これはいけません、キューバ事件に対してとられたような政策が当然とられるのじゃないか、一般国民は常識的にそう考えるのじゃないでしょうか。私はそのことを言っているわけなんです。いわゆる核の抑止力、これは核戦争を起こさないために抑止力が必要なんだといったような考え方をいつまでも持ち続けられると、世界から核兵器をなくすというふうなことはもう夢どころか、むしろ核兵器は核戦争を防止するために必要だというふうな理論の飛躍になるわけなんです。私はあのキューバ危機においてとられたような考え方がなぜいま 朝鮮には核がすでにあり、しかもこの核はいざという場合には先制的に使用されるということもあり得るというような状況の中で、なぜ日本政府はそういった方向で臨まれるのかということを聞いておるわけなんです。
○宮澤国務大臣 どうもお尋ねの意味が私にはよくわからぬところがございます。一九六二年に最初にキューバに核を揚げましたのはソ連でございます。アメリカが最初にしたのではない。これはその後のいろいろな事実からほとんど疑う余地のないほどはっきりしておると思います。世界でアメリカだけが核兵器を持っておりまして、それをあちこちへばらまくというのでしたら、これは、私はそういうことはやめてもらいたいと申すだろうと思いますけれども、現実にはそうではないわけであります。したがって、いま瀬長委員の言われる問題は、結局核軍縮というものを米ソを中心にどんどん進めてもらいたい、先般来、核拡散防止条約について何度も申し上げておりますそういうことになるべきなのであって、片方の国だけに核の配備をやめなさいと言うことだけでは物事は片づかないと思います。
○瀬長委員 論点がそらされておるのですが、現実に朝鮮に核兵器があり、それを先制使用するということまで言われておる段階では、むしろそういうものは平和を守る立場からない方がいいというふうな考え方をするのが当然だと私は思いますが、次に、それと関連しますので申し上げたいのは、いまのフォード大統領の発言などは、まさに身の毛のよだつような物騒な発言だ、私はそう考えております。 政府は朝鮮半島で核戦争というものについて、本当に真剣に考えられたことがあるかどうかという問題なんです。朝鮮という、もちろん九州からわずか、いわゆる目と鼻の間にある、ジェット機でソウルまで北九州から一時間内外で行く、そういうところ。アメリカの核兵器は、いわゆる戦略核兵器、戦術核兵器あわせて三万個あるといわれ、しかもこれが広島型爆弾の約六十万個以上持っておるといわれておりますが、例のラロック証言をしましたラロックさんの説によりますと、朝鮮に少なくとも百個核兵器を置かれている。これは平均、広島型の約二十倍といわれている。そうなると、広島型原爆の二千倍が朝鮮に現実に置かれているということになる。この二千発という驚くべき破壊力、私、核戦争が起こった場合実に凛然とします。 こういったようなフォード大統領の核兵器使用の発言に関連して、日本はいわゆる唯一の被爆国として、政府は、朝鮮に対するアメリカの核脅迫政策に追随するのではなく、いまこそ断固としてアメリカの核脅迫政策に反対をし、日本国民の生命と安全、世界の平和のためむしろ努力すべきじゃないかというふうに思うのですが、大臣いかがですか。
○宮澤国務大臣 それでソ連の方はどういうふうにいたせばよろしいかという問題が、答えが出てまいりませんと、片側だけでは私は話は進まないと思います。
○瀬長委員 私は大臣に聞いておるのであって、ソ連が来たらどうするかということを反問をして討論しているのじゃありません。私がいま申し上げましたように、アメリカ自身が少なくとも百個はある、これが広島型原爆と比べると約二千発、もしこのようなことで核戦争が起こればこれは大変なことになるのだ。だから、私が申し上げるのは、これは核戦争をむしろ想定する、だからこそ大統領がこう言う。私は、ソ連がこういうことをしたらアメリカがこうするとか、アメリカがこうしたらソ連がこうするとかというソ連の問題を言っているのではなくて、日米安保条約、われわれ軍事同盟と言うのですが、これが結ばれておる。その場合、いま申し上げましたように、むしろ核脅迫政策、これをやめてもらって、日本の安全と日本国民の生命を守るためには、むしろこういった政策はやめてほしいということを言うのがあたりまえじゃないかというふうに考えておる。それに対する大臣の見解を聞いているわけなんです。
○宮澤国務大臣 私の申し上げたいのは、アメリカだけが核兵器を持ち、これを配備しておるのではなく、核兵器を持っている国は数カ国あるわけでございますから、それらの国々が、われわれが提唱しております軍縮にひとつ協力をしてもらって、まず核実験をやめてもらう。最終的には核兵器の廃棄にまでいってもらいたい。やはりそういう姿で核の危険をなくすというのが私は本筋の考え方ではないかと思うのでございます。瀬長委員のおっしゃっていらっしゃることをずっと詰めていきますと、結局わが国は安保条約を結んでおって、核のかさの下にあるのであるから、それが戦争につながる、戦争に導かれる危険があるというお話しになるわけですが、そのことは、もう二十年間余りそういうお話があって、結果は一向にそうなっていないのでありますから、私はわが国が安保体制下にあるということは、わが国を戦争に導く道だとは思っていません。しかも過去二十何年の事実というのは、少なくとも私どもが当時から言ってきたことに間違いはなかったということを示しているように思います。
○瀬長委員 時間がありませんので締めますが、いま大臣が言われたことは国民にますます不安を与えるということだと思います。というのは、大統領自身が核の先制使用を宣言している、これは過去二十年間にあったことではありません、むしろ、使用しようと計画したことはあっても。アメリカの大統領が核の先制使用をやるという宣言をやった、これに対して一体日本の国民はどういう感じを持っておるか。これに対してそういう大臣の答えでは、国民はやはり納得しないと思うのです。アメリカが緊張緩和という名のもとで、平和という名のもとで、民主主義の名のもとで、インドシナ半島、ベトナム、カンボジア、ラオスなどに対するあの侵略政策、新植民地政策をやった。とうとうあの強大なアメリカは敗北をした。民族自決の、解放の戦いが勝利した。こういったことに学ぶのではなくて、むしろ力の政策をより一層進め、侵略的に強化するというアメリカの政策は、どのようになるかわかり切った話であると思います。 したがいまして、もう時間が来ましたので申し上げませんが、私はそのことを強く政府に申し上げ、政府が平和のために安全のために政策を変えてほしいということを要望して、質問を終わります。
○栗原委員長 渡部一郎君。
○渡部(一)委員 私は、大臣に、日中問題についてお伺いをいたしたいと存じます。 日中平和友好条約の早期締結につきましては、私も当委員会で何回か御要望いたしましたし、国民の挙げて期待するところであろうと思います。最近に至りましてこの交渉が暗礁に乗り上げ、中ソ両国の生々しい対立の影響を受けて、交渉の前途はさらに不明確になりつつあるように見えるわけであります。現在の交渉の状況はどういうことであるのか、またこれからどういうふうになさろうとしておられるのか、その辺の基本的な方向をまず明らかにしていただきたいと存じます。
○宮澤国務大臣 先般、三木総理大臣から中国の首脳に対して、従来の交渉の経緯が非常によく報道をされて、わが国ではそのことは当然のことなのでございますけれども、中国はまた体制も違いますので、必ずしもそれがノーマルな状態ではないということから、今後交渉はできるだけある段階に至るまでは内密に行いましょうということを提案いたしたわけでございます。そういうことでもあり、またもともとこのような交渉を中途で公に申し上げるということはなじまないことでございますけれども、そういうことを前提にこれは御了解願っておきまして、ただいまの状態は、いわゆる従来から懸案となっております問題をどういうふうに処理をしたらいいか、中国側の意見と私どもの意見とは合致をしておりませんから、その間をどう処理したらいいかということをお互いに考えておるということでございます。
○渡部(一)委員 非常にお話しのしにくいテーマであろうということはもう十分想像つくわけなんですが、一応表明されているところによりますと、五月の十九日、外務省の重光氏はソビエト政府に対して覇権問題に関する日本側の立場を表明したと報じられております。これはどういう意図でなされたのか、またこれでソビエト政府とのお話し合いは十分だとお考えであるのか、その辺のところを聞かせていただきたい。
○宮澤国務大臣 せんだっての六月のことであろうと思います。ソ連から、進行中の日中の交渉にいって、あたかも日本が中国の対ソ政策に同調して、それに巻き込まれていくというふうになってもらっては困るという種類の懸念の表明があったわけでございます。それに対してお返事として、重光大使からグロムイコ外務大臣に対して、どのような条約ができるにしても、それは第三国に対して何かを構える、何かを考えるといったような性格のものではございません、日本政府はそういう意図をもとより持っておりませんので御懸念には及びませんということを伝えまして、本件はそれで終局をしておるものと私どもは考えております。ソ連がどのような意図からそういう声明をしたのか私ども必ずしもはっきりいたしませんし、理解に苦しむ点もございますが、ともかく懸念を表明されたので、御懸念は御無用でございますということを答えたわけでございますから、これ自身は終結しておるというふうに思っております。
○渡部(一)委員 ソビエト政府側が覇権の文字を条約本文に入れることに関し強い意向を表明していることはすでに知れ渡っているところであります。しかし、その覇権の文字を前文に入れるとか本文に入れるとかは別といたしましても、そういう言葉を使うこと自体に対してソビエト政府は抗議をしておるのか、それとも、ソビエト政府はそういうような交渉をすること自体に抗議を申し出ているのかあるいは懸念を申し出ているのか、それとも別のようならいいとでも言うのか、その辺はどういうふうに把握されておられますか。
○宮澤国務大臣 私の記憶しております限りでは、ソ連はその声明の中で覇権云々ということは言っておりませんけれども、ここにございますのでちょっと読ませていただきますと、「中国指導者のかかる行為」、「かかる行為」というのは、「ソ連邦に対して向けられた条項をあらゆる手段をもつて無理やり挿入せんとする」その「かかる行為は、世界において益々支持を得つつある国際緊張緩和及び平和の強化という傾向に対して反対する自己の対外政策の軌道に、日本国を何らかの形で引き込もうとする彼等の意図を反映している。」という、これが先ほど私が普通の言葉で申し上げた意味でございますが、こういうことについてソ連が危倶を持っておる、日本が引き込まれるのではないかということを懸念をしているというふうに受け取っておりまして、その御懸念は無用でありますと言っておるわけですが、したがって、ソ連が特定の条項をどういうふうに処理されては困る、あるいはどういうふうに処理してもらえばいいというふうなことを別段言っておるわけではございません。一般的にただいま朗読いたしましたような懸念を持っておるということではなかろうかと存じます。
○渡部(一)委員 今後ソビエト政府は、日本国と中国との間の平和友好条約交渉に関し、日本政府の弁明で十分であるあるいはもうややこしいことを言うことはないというふうにお考えですか。
○宮澤国務大臣 私どもとしては、この間、重光大使からお答えをしたことで十分ソ連は理解をされるべきものだと思っております。従来からそのぐらいなことは理解をしておられたと思うのであります。ですからこの間の声明というのはちょっと理解に苦しみますが、ともかく今回のことはこれで完結をしておると思います。
○渡部(一)委員 ここでいま日中間の交渉がどういう形で行われたとしましても、ソビエト政府がある意味で内政干渉にも当たるようなことはするべきではないと私も思います。しかしながら、この程度の声明で、確かに理解するべきではありますけれども、理解するかどうかについては私は重大な疑惑を持っているわけでありまして、まあ外務大臣もその辺も十分お考えの上でそうおっしゃったんだろうと私も思います。その辺は余り詰めてもしようがないから先にまいります。 日中間の交渉は、いま一時中断したいと中国側は意向を表明したということが、今月の六日あたりにそういうニュアンスを持って伝わってきて、その後、藤山氏の持って帰られた中国の意向、特に周恩来氏の意向というのは、交渉は継続するのだということを表明しているように伺っているわけであります。交渉はいま中断と見ておられるのか、継続と見ておられるのか、継続しておるけれども非常にインターバルの長い継続なのであるか、何だかよくわかりませんけれども、そこのところは詰めていくために延ばしておられるのか、それとも、両方とも冷却期間に等しいものとして延ばしておられるのか、その辺お気持ちはいかがですか。
○宮澤国務大臣 中国側から中断を示唆したことは一遍もございません。私どももそういう考えを持ったことがございませんので、したがって交渉は継続をし、しかも両国首脳ともできるだけ早くいいものをつくり上げたいと考えておることまでは一緒なのでございますが、いいものというのが、どういうものがいいものかということで両方の意見が合いませんで、大分詰めて行いましてこの段階で合わないということですから、さあそれだったら、どういうことなら両方とも満足できるような案になるだろうかということをこちらも考えておりますし、恐らく先方も考えておるわけでございますから、そういう段階であって、中断というようなことではございません。
○渡部(一)委員 じゃどういう問題でいま両方が苦心をしていいものをつくろうとされているのか、どの辺のところに一番大きな対立点というか問題があるのか、余り詳しくは言えないとおっしゃいましたけれども、新聞には外務省はずいぶん詳しいことをおっしゃっているようでありますが、ここでも新聞並みにおっしゃってもよかろうと思いまして伺っているわけでありますが、いかがでございますか。
○宮澤国務大臣 私どもも見ておりますと、わが国の報道というものは概して申しまして非常に正確でございますので、この点につきましても、いろいろごらんになっていらっしゃいますところが大体問題の所在であるとお考えくださいまして結構であります。
○渡部(一)委員 日本の報道に基づいて考えてよろしいというお話ですから、私、じゃその報道に基づいて申し上げるわけでありますが、先日藤山氏の御報告を伺ったところによりますと、共同声明の六項、七項の部分をそのまま条約本文に入れる、そういうことを周恩来氏は強く主張された旨、直接私もお伺いをいたしました。日本政府はそういう立場はとり得ないという立場でございますか。
○宮澤国務大臣 従来までそれは適当でないというふうに考えてまいっております。
○渡部(一)委員 はっきりおっしゃってくださいましたから……。三木総理は先日共同声明の精神から後退することは許されないというような非常に強い言葉の四項目を述べられ、それをまた中国政府側に伝達するように指示をされたと承っておるわけであります。その御発言とただいまの御発言とにちょっと差があるような感じをいたしておるわけであります。つまり六項、七項、その辺をどういうふうに御説明になるのか、ちょっと伺いたい。
○宮澤国務大臣 三木総理の言っておられますことは、日中共同声明というものは最高の文書であって、今後のわが国と中国との関係を規定していくものでありますから、あそこに述べられていることはわれわれは決して後退をする意思はない、こういう趣旨のことを言っておられるわけでございますから、したがって、あの六項、七項に述べられておること自身、わが国はそのとおり考えております。そしてあの述べられておりますとおりのことをわが国は誠実にやってまいったつもりでありますし、今後もやってまいるべきものと思っております。しかし、それを今度は条約というような形で述べるということはいかにも——本来わが国の考えでは、条約というのは権利義務等を規定する性格のものでございますから、そこへ持ち込むということがいかにもわれわれの条約というものの観念にそぐわない。のみならず、一般的に条約というものは権利義務を定めるというふうに、これは多くの国において通念として考えられておりますから、ソ連のように、それをそのように曲解をするおそれが、これはやはりそういう場合のことも考えておく必要がある。もとよりそれはわれわれの意図ではないわけでございますけれども、そういったところが多少中国側の条約というものに対する考え方とわれわれが考えております考え方とが違っておるのではないか、その辺に問題があるのかもしれないと思うのでございます。中国側は、もう共同声明で言ったのであるから同じことはどういう形で言ってもいいではないかという考え方であろうと思いますけれども、われわれは条約ということになりますと、やはり権利とか義務とかいうことにかかってまいりますから、それは一体だれを目指して何を言っているのだというようなことにとられるおそれがある、そういうことも考えなければならぬというのがわが国の在来の考えであるわけでございます。
○渡部(一)委員 きわめて重大なことをいまずばずばおっしゃったわけですけれども、だれに向かって何を言っているかが問題の対象になり誤解される場合があり得るということは、明らかにそのままいくと、ソビエトに対して反ソ同盟というような強いニュアンスの政治効果を発揮する場合があり得るということを心配なさっておられる、こういう意味ですか。
○宮澤国務大臣 その辺のところは申し上げようが実は非常にむずかしいのですけれども、われわれがそういう意図がないことはもう全く明らかでございますけれども、条約というような形で書かれますと、そのように曲解というより誤解でございましょうか、誤解を持つ向きがあり得る、それはやはりわが国としては、どこの国とも友好的にやっていこうという立場から言えば避けたいことでございます。
○渡部(一)委員 非常にめんどうなことを、いま伺っていて私も恐縮に存じているわけですけれども、かなり明快におっしゃっていただきましたので、私も初めて大臣のお立場もだんだんわかってきたわけですが、この問題とちょっと外れますが、大臣は中国側の申しておる覇権という用語をどういうふうに理解しておられるのか伺いたいわけなんです。と言いますのは、必ずしも覇権という用語がわが国においては理解されてないばかりではない、複雑な、非常に大きな意味も持つのではないか、たとえば覇権というのが軍事的な意味合いのものから、貿易とか経済とか人事交流とか文化交流に至るまで広がっていくのじゃないかというような議論もいろいろ出ておるわけであります。その辺はどういうふうに整理されてお考えなのか、できたら伺いたい、こう思います。
○宮澤国務大臣 ある意味では覇権という言葉がはっきり定義されていないということに一つ問題があるのであろうと思うのでございます。中国においては最近覇権主義ということをしばしば使われるわけですが、わが国では、法律用語としては実は覇権というようなことは恐らく使ったことがないのでありまして、したがって法律的に定義されたことがございません。私は一遍、俗語としての覇権ということはこういうことでもあろうかというふうに国会で申し上げたことがございますけれども、それはごく常識的な意味で申し上げましたので、法律用語として何を意味するかということは、わが国では使われたことがございませんので、定義ができておらないように思います。そこから今度の交渉でのやはり誤解が少し生まれたのではないかと思いますので、それで実は三木総理大臣が、これは平和の一つの原則である、領土不可侵であるとか互恵であるとか相互不干渉であるとかいうことの一つに、やはり覇権というものは求めないのだということがあるのじゃないか、そう観念して進んだらどうだというふうにたびたび国会で最近答弁しておられまして、私は、確かにそれはなかなか深い一つの物の考え方だと思うのでございます。ですから、ここで私がまた俗語の覇権の定義を申し上げるということは余り適当でないのかもしれない。総理大臣がそう言っておられるそういう考え方を敷衍していくということの方が建設的なのかもしれないと思っております。
○渡部(一)委員 私この後で伺おうと思ったのですが、もう先に言われてしまいましたから……。総理の言われた平和の一つの原則ではないかというのが私はよくわからないので、もうちょっと、どうして平和の一つの原則なのか、私にわかるようにひとつ御説明いただけないかと思っているわけなんですが……。
○宮澤国務大臣 つまり国と国とが平和にやっていくというためには、お互いに領土を侵しませんとか、お互いの内政には干渉しませんとか、お互いの立場を尊重いたしますとかいうことの中に、お互いに自分の意思を相手に押しつけることはいたしません、こういったふうにとらえるべきだと総理は言っておられるのだと私は思います。
○渡部(一)委員 そうすると、これは内政不干渉というような言葉であらわされている、もう一つ背景となっている基本的な姿勢を論じている言葉である、こういう理解でよろしゅうございますか。
○宮澤国務大臣 私は、そういうふうに理解をいたします。
○渡部(一)委員 それは中国側の理解とさて一致するかどうかはちょっとまた問題になるだろうと思うのですが、その辺はどういうふうに詰めておられますか。
○宮澤国務大臣 私どもは少なくとも一遍この覇権ということを共同声明では使っておるわけでございますが、あそこに使われた意味は、そういう意味だというふうに考えていくべきなのではないかというのが総理の言っておられることでございまして、中国側が覇権、覇権主義というものをどういうふうに解釈しておるか、それは私ども実はまだつまびらかにしたことがございません。
○渡部(一)委員 そうすると、ここで一つの政治効果の問題ですけれども、覇権という言葉の意味はこういう意味じゃありませんかというふうに双方が言い始めれば、それはもうお話し合いは詰まる寸前にきているのだろうと私は思います。ところが、いままだ覇権という言葉について定義を明らかにしましようという以前の段階ではないかなという感じがしているわけなんです。それは交渉のしぶりから言ってもそういう感じがしますし、乏もかく覇権という言葉を使ったら最後、おれは非常に誤解するぞという意向を表明しているグループがある以上は——誤解しているというか、私はこういうふうに考えるぞと強い声で述べているグループがある以上は、両国でこういう意味なんだと叫んでもそれを打ち消されるという意味合いも持つだろう、そこは定義を両国が詰めないところにあるのじゃないかと私は想像しているわけであります。ですから、いま外務大臣がお話しになったように、中国側の覇権に対する考え方はつまびらかにしないというよりも、つまびらかにすることのできる状況がまだ生まれてないのではないかと私は見ているわけでありますが、その辺はどうお考えでしょうか。ますます微妙なことを伺って恐縮なんですが……。
○宮澤国務大臣 確かにその辺になりますと私も大変にお答えがしにくうございますので、しばらくお答え申し上げることを御猶予願いたいと思います。
○渡部(一)委員 私はそれが一つのお答えであろうと思いますし、その辺も私理解できないわけではないと思います。ただ、条約用語は一つの道徳理念をあらわす言葉の応酬ではなく、生な国際政治のやりとりの中の権利義務関係を表示するものでありますから、やはり両当局によってこの問題についての的確な合意ができるように、優秀なスタッフも用意しておられることでありますから、十分に御討議をいただきたい、私はそう思っておるわけでありまして、この辺なお一段の御努力をいただかなければいかぬのじゃないか。むしろ日中間両国だけでやりとりするだけでなくて、たとえばそれ以外の周辺の諸国に対しても、この議論はこういうところへきていてこういうふうになって、こういうふうな意図なんだということを十分説明するというような、わかってもらう、理解してもらう、そういう舞台装置ができ上がらないと、日中両国交渉当事者が舞台の上にいよいよ出てお芝居をするわけにいかないのじゃないか。いま舞台装置をまだ構築中なんじゃないか、一部は壊されてしまったのじゃないか、私はこう思っているわけでありますが、この点、一段の御努力を仰ぎたいと思っておりますが、いかがでしょうか。
○宮澤国務大臣 交渉の中途、しかもかなり微妙な段階で第三国にいろいろ説明するということは、お互いの友誼のために避けなければならぬと思いますけれども、でき上がりましたならば、誤解を与えないように十分各国にもその意味合いを説明する必要は確かにあると思います。
○渡部(一)委員 私は、露骨に言いまして、一つはソビエトとの関係であります。わが国とソビエト政府との関係は、ある意味でいよいよ緊迫するような口実をいままで持っていなかった。この問題が起こってから、日本政府はそういう意図だったのかという、ある意味の想像というか論理の組み立てを許す点があったのではないか。またそこへ持ってきて、不幸なことに、当委員会において核拡散防止条約の審議中、この核拡散防止条約の審議が、急激に自民党理事の諸君によりブレーキがかけられたという不幸な事情もありましたから、これは非常に疑われる可能性というのはできておる。したがってソビエト側は、日本が核武装してあわよくばかかってくるのではないかという口実を十分に持っているという——それはまた私たちの方から見れば笑うべきことかもしれないけれども、そういうのを説明する必要はあるのではないか。そういう意味の努力が最近少し足りてないのではないか。重光さんの御説明のしぶりがどんなだったか私存じませんし、その政治効果がどのくらい上がるかも今後見なければならぬと思いますが、ちょっとその辺もう一段踏み込まれたらいかがかと、こう私は提言しているわけなんですが、その点はいかがでしょうか。
○宮澤国務大臣 核拡散防止条約につきまして本委員会の御審議の進行の模様にかんがみまして、私といたしまして、政府が御提案を申し上げた時期が、保障措置協定の固まりますのを待って御提案をいたしましたために、衆参両院において審議を議了していただくためにはいかにも時間的に不十分であった。しかし政府としては、次の国会において御審議をお願いするつもりである、説明を求められればこういうふうに説明をいたしますように指示をいたしてございます。
○渡部(一)委員 私も時間が参りましたから、これでこの微妙な質問は終わりますけれども、確かにお答えのしにくい問題ばかり私は申し上げましたけれども、ここのところをもうひとつがんばっていただきたい。そうでないと、わが国外交はいま非常な窮地に陥りつつある。それはソビエトと中国との谷間に落ち、また東南アジア諸国との間の日本国の平和外交の姿勢に対する大きな不満というものを醸成する可能性がある。また、周辺の諸国の中で核武装の意思表示をする国が、冗談か何かは知らないけれどもふえつつある。決していい環境ではあり得ないと私は思います。その意味で、外務省当局の今後の御努力というのはきわめて重要なことでございますし、そのスタッフの全機能を挙げられましてひとつ十分の御配慮をいただきたい、こうお願いしまして、私の質問といたします。
○栗原委員長 土井たか子君。
○土井委員 お許しをいただいて、先ほどの私の質問に続けまして一問だけひとつ確認をしておきたいことがございます。 それは、きょう外務大臣の御答弁の中に、北朝鮮に対してオーストラリアの外相が訪問をされた節、国連への加盟についての打診をされている向きの御答弁をいただいたわけですが、その結果、いま外務大臣としてはどのようにその中身を評価をされているかということ、それからさらに、この秋、国連総会の場で、オーストラリアとともに、この朝鮮における北朝鮮と韓国の同時加盟の問題で、日本政府とされてはどのような努力を具体的に払おうとなすっているのか、その辺はいかがでございますか。
○宮澤国務大臣 オーストラリアの外相が北鮮から帰られてわが国に来られたわけでございますが、そのときに同時加盟の問題を北鮮で話をされて、それに対する北鮮側の反応というのは実は余り明確でなかったというふうに受け取られたという印象を私は受けております。それがどのように明確でなかったのかは、実は必ずしもそれこそはっきりいたさないのでありますけれども、わが国としては、やはりこれが実現すれぼ一つ問題が前進をするのではないかと考えておりますし、オーストラリア外相もそう考えておられますから、そういうことを南北に勧められたのだと思いますので、その点オーストラリア政府とわが国政府との考えは一致しておるものと私は思いますけれども、それが北側にとって何か非友好的な動きであるというふうに解釈されますと、これはかえって事態をこじらせることになりますので、もう少しそこは推移を見なければならないのではないかと思っております。
○土井委員 さてそこで、この秋の国連総会に臨むのについて、どのようにこの問題を日本としては取り上げて、具体的に国連の場で努力をするかということがやはり差し迫った問題になってくると思うのですが、いまの御答弁からさらに引き続いて、オーストラリアの外相を初めとして各方面に働きかけをして、北朝鮮へやはりこの問題に対しての問いかけをしていくという努力は相変わらず続けられることと思いますが、その点はいかがですか。それから、国連の総会の場でどのようにこの問題については日本としては臨まれる御用意でいらっしゃるか、この点はいかがなんですか。
○宮澤国務大臣 それは同じようなお答えを繰り返すことになって恐縮ですが、わが国としては、よかれかしと思っていたしますことが必ずしもそうとられないということになっては、われわれの本意でございませんから、その辺のことも北鮮側の考え方をわれわれがいろいろな方法でよく知る、あるいはわれわれの真意はこうであるということも誤解なきようにわかってもらうというような努力は、やはりいろいろしてまいらなければならないと思います。その上で、なるほどわかった、結構だということになれば、これはもう大変によろしいわけでございますけれども、これはやってみませんと何ともわかりませんことでありますから、この問題はやはりわれわれとして常に念頭に置いて国連総会に臨むべき一つの問題であるというふうに思っております。
○土井委員 それでは、国連総会の場に臨まれるのには、一つはオーストラリアを通じての話しかけというのに望みを託していらっしゃるということになるわけですね。そうして、さらにその国連総会の場に臨むに当たっては、それはこちらの善意が意に反して動くということもあり得るので、慎重に慎重を期して、ひとつ問題の推移にゆだねたい。ですから、そうそう早急に韓国と北朝鮮との同時加盟ということに対して、日本としては強い努力を国連の場で払うとはいまここではっきり言えないというふうなことなんですか。いかがなんです。
○宮澤国務大臣 われわれとしては、これは一つのベストの方法ではないかもしれないけれども、現状よりはベターだという感じは強く持っておるわけなんでございますが、表面化した努力がかえって相手側を硬化させるというようなことになってしまっては何にもなりませんので、よくその辺は北側の考え方、真意というふうなものも——幸いに、たとえばオーストラリアは南北両方に国交がある国でもございますから、ほかにそのような立場にある国もあろうと思いますので、少なくとも北側と接触のある国はたくさんあるわけでございますから、その辺誤解のないようにして、やはりこの問題はわが国としては念頭に置いておかなければならない問題だというふうに思っております。
○土井委員 わかりました。 それじゃ、もう約束の時間ですから終えたいと思います。
○栗原委員長 本日は、この程度にとどめ、次回は来たる七月二日水曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、これにて散会いたします。 午後四時二十八分散会 ————◇—————