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75回国会衆議院1975/06/11

外務委員会 第21号

発言数
158
登壇者
24
会派数
4
開催日
1975/06/11

会議録

栗原祐幸自由民主党

○栗原委員長 これより会議を開きます。  社会保障の最低基準に関する条約(第百二号)の締結について承認を求めるの件を議題とし、審査を進めます。  本件審査のため、本日参考人として社会保障研究所長馬場啓之助君、東海大学教授島田とみ子君、日本福祉大学名誉教授浅賀ふさ君、立正女子大学教授菊池幸子君及び全日本労働総同盟青年婦人対策部員塩本順子君が御出席になっております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席くださいましてまことにありがとうございました。ただいま本委員会におきましては、社会保障の最低基準に関する条約(第百二号)の締結について承認を求めるの件を審査しておりますが、本件につきまして、参考人の方々の忌憚のない御意見を伺いたいと存じます。  なお、御意見の御開陳はお一人十分程度にお願いすることとし、その後委員からの質疑の際、十分お答えくださいますようお願い申し上げます。  御意見の開陳は、馬場参考人、島田参考人、浅賀参考人、菊池参考人及び塩本参考人の順序で泊願いいたします。  それでは馬場参考人にお願いいたします。

馬場啓之助社会保障研究所長

○馬場参考人 それでは、参考人としての意見を申し上げたいと思います。  ILOの百二号条約と呼ばれております社会保障の最低基準に関する条約の批准につきまして、国会の承認を得るために御審議が進んでおりますことは、われわれ社会保障の研究者といたしまして、このことに対しまして敬意を表する次第でございます。  概括的な考え方といたしまして、社会保障の最低基準に関する条約につきましてわが国が批准をいたしますことは大きな意義があることではないかと考えます。その意義としましては二つの点を申し上げておきたいと思います。  各国の社会保障は、それぞれの国の社会的、歴史的な状況のもとで歴史的な形成物でございますので、それぞれの国々につきましての特殊な条件というものがこれに反映しておるかと思いますけれども、社会保障につきまして国際的な最低基準を受け入れますことは、わが国の社会保障がいわば国際的な視野におきまして承認をされる、是認をされるということになりますので、このことは大変に意義のあることだと考えます。この百二号条約が締結されましてからすでに三十年に近い年月がたっておりまして、九部門のうちの四部門の義務を受け入れるということでございまして、この点につきましてはあるいはまだ不十分ではなかろうかという御意見もあり得ることを十分承知しておるわけでございますけれども、とにかくこの条約を批准いたしますことは、国際的な舞台にわが国の社会保障が乗るという意味におきましては意義は少なくない。特に、二十六番目と申しますがアジアの諸国の中では第一番目になるわけでございますので、その点から考えましても意義がある、そう考えます。  第二といたしましては、ここでまだ義務を受け入れておりません五部門につきましては、諸条件の成熟を待って適当な時期にこれを受け入れるということでございますので、この諸条件の受け入れの成熟ということと関連いたしまして、わが国の社会保障のあり方につきまして国際的な目安をもちまして、この目安にかかわらせまして検討、反省を続けるということは、わが国の社会保障の整備にとりまして意義少なくないと考えます。  以上の二つの理由からいたしまして、私どもといたしましては本条約が批准に取りつけますことを期待申し上げたいと思うわけでございます。  なお、この受け入れておりませんもの五部門につきましての諸条件の成熟という点に関しましては、先ほど申し上げましたようにそれぞれの国々の特殊事情もございますし、またすでにでき上がっておりまする制度との関連におきまして、必ずしもこれに合致しないという点はあるようでございますけれども、ある要件につきましてはこの必要条件を十分満たしておりますけれども、ある要件につきましては満たしておらないということであろうかと思いますので、これらの点につきまして、国内の状況を勘案いたしまして御検討を進められることと存じますが、第一の医療の問題に関連いたしましては、分娩費に関連いたしまして一部負担を認めないという要件がございますけれども、この要件につきまして、わが国の場合は被保険者につきましては標準報酬額の半額、これに最低保障といたしまして六万円というものがついておりまして、被保険者の扶養者につきましてはこの六万円ということになっておりますが、この六万円という金額が、締結されました段階におきましては、これでほぼ要件を満たし、一部負担はなかったように聞いておりますけれども、その後の状況の変化の中で一部負担が生じてまいったことでございますが、申し上げるまでもなく、最低保障である金額を決めます。そしてこの分娩という医療行為につきましては全部が保険に乗っているわけではございませんので、これをてこにいたしまして分娩費を支持するかのような役割りを果たしておるということでございますので、恐らく、金額的な面におきましてはこの改定をいたしましてもまた新たな問題が生ずるのではなかろうか、そう勘案をいたしております。これにかわりまして、もしこれを保険の中に入れまして点数制に持っていくということになりますと、いままで制約を受けておりません自由にしておりました部門につきましての供給行動につきましてこれを保険の中に取り入れるということで、制度変更を伴いますし、また仮に保険の中に取り入れましても、点数体系の中でのほかとのバランスという問題がございまして、私はこれらの点につきましては、いろいろ御検討を重ねられることにつきましてはかなり慎重を要するのではなかろうか、そう考えるわけでございます。これは、母性給付の要件につきましても以上のことが同時に言えるかと思います。  それから家族給付につきましては、わが国でいわゆる児童手当という制度が発足しておりますけれども、これは御案内のように三百四十万という所得制限のもとにおきまして、義務教育終了以前の子弟を含みます三人以上の家庭につきまして支給されることになっており、義務教育終了以前の子弟の一人につきまして月四千円という規定になっております。これが条約の要求いたします要件を金額的に満たしておらないということでございますが、わが国におきまして、被用者に関しましては家族手当という、そういう制度がございますので、この家族手当との関係におきまして十分御検討を願うべき問題ではなかろうかと考える次第でございます。  それから廃疾給付の問題につきましては、障害手当金と障害年金との間に、障害年金につきまして医師の診療を受けましてから三年を経過した後というあれがついておりますので、この間にギャップがある。このギャップにつきましては、従来から問題があるということが指摘をされておりますが、こういう点につきまして御審議、御検討を進められることと期待いたします。  それから遺族給付の問題につきましては、現行で老齢年金の二分の一ということになっております。これが必ずしも要求いたしまする要件を満たしておらない。現行、たとえば六カ月間の拠出をいたしました者に対しまして、仮に標準報酬八万四千円程度でございました場合におきましては、調査に載っておりますように、二六%であって要件を満たしておらないということでございまして、この問題につきましては、従来とも婦人の年金権との関連におきまして非常に問題があるだろう。これの便宜的な措置と申すのは言葉が適当ではございませんけれども、とにかく国民年金には任意加入できる、被用者の妻も任意加入できるということでこれを受けとめておるような形になりますけれども、やはり原則的な形におきまして、果たして老齢年金の二分の一が適当であるかどうかということにつきましては、従来もいろいろ問題があったわけでございまして、これら年金に関連いたしまする問題につきましては、財政再計算の時期、五十一年に予定されておるようでございますが、その時期に、ほかの問題を含めまして、たとえば年金のいろいろな制度間にありますアンバランスの問題、これを含めまして御検討を希望する委員会、研究会等の意見が出ておりますので、この問題につきましては五十一年度の財政再計算の中で真剣に取り上げられることと期待しておる次第でございます。  以上のような問題点はございますけれども、諸条件の整備と申しますか、適当なときに後のものも含めまして受諾の方向に進みたいという政府のお考えが提案説明の中に出ておりますので、これにつきまして私どもといたしましては期待をいたしまして、本条約の批准取りつけに進みますよう御審議をお進め願いたいということを希望いたします。  以上でございます。(拍手)

栗原祐幸自由民主党

○栗原委員長 ありがとうございました。  次に、島田参考人にお願いをいたします。

島田とみ子東海大学教授

○島田参考人 私は、ILO百二号条約の批准と関連いたしまして、わが国の社会保障制度の中で婦人の問題が一体どのように扱われておりますか、それと、今回の百二号条約の批准との関係はどうなっているのかといった点を中心に、私の考えておりますことを申し上げたいと思うわけでございます。ただいまは時間が十分でございますので、主として遺族給付の問題について申し上げたいと思います。  御承知のように、ただいまの馬場先生が仰せられましたように、わが国の遺族年金は老齢年金の五〇%という非常に低い基準でございます。国民年金の場合の母子年金では、月額二万円ということにあとわずかな子供の加算がつくということになっております。それでは、一体いま遺族年金をもらっている未亡人の方々はどんな状態にあるのかということを厚生省が昨年の三月御調査なさいました。これは厚生年金の遺族年金受給者調査として発表されておりますので、それによって見ますと、まずもらっておる年金額は、九割までが最低保障の二万円しかもらっておりません。一六・一%の物価スライドが加わって二万三千円何がしになっておりますけれども、これは生活保護費以下ではないかと私は思うのでございます。また、この遺族年金をもらっている人の八割五分が妻、つまり夫が死んだために遺族年金をもらっておるということでございます。月二万円ではとても生活できませんから、夫が在世当時は働いていなかった婦人たちが皆働きに出ております。その職についておる割合が非常に高くて、三十代、四十代では八五%、二十代、五十代でも五五%もの人が働いております。特に二十代、三十代では幼い子供を抱えて働きに出るようになったという実態がこの調査で明らかにされているわけでございます。  では、こういう人たちの生活費は一体幾らかかっているのか。この調査によりますと、世帯の平均生活費が昨年三月で七万六千円というふうに出ております。この物価上昇のときに一体これでどの程度の生活ができるかということは、よく皆様おわかりいただけることだと思います。  最近交通遺児の問題が非常に社会問題となっておりまして、交通事故で夫を亡くした家庭の悲惨な生活が問題になっております。この場合も同様に遺族年金は非常に低いために、こういう交通遺児家庭の問題というのが出ているわけでございます。ですから、遺族年金はどうしても引き上げていただかなければならないというふうに考えます。引き上げ率は夫の年金の一〇〇%というふうに私は考えております。  それから、こういう未亡人たちの生活保障の問題では、年金だけでいいかというと、そうではなくて、労働の機会というものを保障しなければならないのでございます。日本の労働慣行では中高年婦人の就職というものは非常に困難でございます。あるのは、パートか臨時でしか働けない。ですから、パートで出てわずか五万円足らずの賃金をもらう。子供は新聞配達をする。さらに夜となると食堂のさら洗いに出る。それと遺族年金と合わせて暮らす。そういうふうな実態もあるわけでございます。  私は、昨年ある自治体のパートタイマーの調査に参加いたしまして非常に驚きましたことは、未亡人たちがパートタイマーでたくさん働いておる実態があるということでございます。それはなぜかと申しますと、職安に行きまして職を探しますと、中高年の婦人にはパートか臨時しかない。パートを紹介されるのだそうでございます。そこでやむを得ずそこで働いておる。こういう中高年の婦人に労働権が保障されていないということが未亡人たちの生活をますます苦しいものに追いやっておるわけでございます。ですから、遺族給付を引き上げることと並んでこの労働権の保障ということをぜひやっていただきたいというふうに考えるわけでございます。  遺族給付につきまして第二の問題は、これが他の年金と通算されないということでございます。たとえば、十年間公務員をした方が民間会社にお入りになって三年後に死亡なさったとします。その方の奥さんは、三年の民間会社分の遺族年金しかもらえないのでございます。これでは前の十年分の遺族年金はゼロ、そのために遺族年金が低いわけでございます。老齢年金と同様に遺族給付も通算されるべきであるというふうに考えております。  次に、私は、遺族年金をもらえる資格があったにもかかわらずもらえなかった、そういう婦人の話をここで申し上げたいわけでございます。  一昨年茨城県の小さな町の婦人の集まりに出まして、これは公民館の主催でございましたが、婦人と社会保障の問題をお話しいたしましたときに、ある婦人が、二十年掛けないと厚生年金の遺族年金はもらえないんでしょうかという質問をなさいました。そんなことはありません、六カ月でもらえますと私はすぐ答えたのですが、事情を聞きますと、この婦人は、夫が十六年間民間会社に勤めまして、七年前に死んだわけでございます。すぐに社会保険事務所へ行きまして年金の手続をしたいと申しましたところ、二十年掛けなければ遺族年金はもらえません、そういう返事をもらったというのです。二度行ったけれども二度ともそうだったからそのままにしてあるという話なんです。私はこれは非常に大変だと思いまして、帰ってすぐ厚生省の元審議官をしていた方に御相談しましたところ、それは非常に気の毒だ、時効の問題があるけれども、社会保険事務所が間違ったのだから何とかしましょう、被保険者番号その他必要なことを書いてぼくのところへ手紙を下さいとおっしゃってくださったわけです。私はその公民館長さんに早速連絡しまして、その婦人にそういうことをやるように二度ほど申したのですが、結局連絡がないのでございます。それで、その人は多分、少なくとも最低保障月二万円はもらえるはずの年金をもらっていないんじゃないかと、いまでも気になっているわけでございます。  これをよく考えてみますと、一つは、この人はまだ社会保険事務所の言うことを信用していたのかもしれない、それからもう一つは、この人は厚生省の元偉かった方のところへ手紙を書くということはこわかった、田舎の素朴な人ですから、そういうことができなかったのかもしれない、それからもう一つは、年金について知識が非常になかった、こういう問題があると思うのです。  私は、御婦人の方の年金の問題を、頼まれて私の乏しい知識でお話しをする機会が多いのでございますけれども、皆さん本当に知識を持っておられません。つまり自分の権利というものを知らないのでございます。これは婦人だけではなくて、国民一般がそうだと思うのです。というのは、わが国の年金制度は非常にわかりにくいのでございます。ですから、もっとわかりやすく解説したパンフレットとかそういうものを出していただきたい。それから、社会保険庁とか社会保険事務所で相談をやっておられますけれども、身近な相談機関というのも必要ではないか。保険料だけは毎月きちんきちんと払っていて、自分の権利を知らないということは問題だと思うのです。それはその人も悪い、しかし、それを国民に知らせる責任というものは、やはり政府や自治体にあるんじゃないかと思います。  今度国際婦人年に際しまして三木総理は、全国の三十五の新聞に国際婦人年のアピールというものをなさったということを最近伺いました。これは非常に結構なことだと思うのですが、その際総理府は三千万円の予算をお出しになった。それでしたら、三千万円よりもっと年金のPRのためにお金を使っていただきたい、私はそういうふうに考えるわけでございます。  次に、家庭の主婦の年金権の問題について申し上げたいのです、もう時間がございませんので。  日本では、御承知のように、妻の年金権が確立しておりません。これは非常に問題がございまして、これがまた遺族給付と絡んでくるわけでございますが、私は結論を申しますと、サラリーマンの妻は国民年金に強制加入として年金権を確立すべきである、いまの制度ではそうするのがいい道であるというふうに考えます。  これと遺族給付の関係につきましては、後ほどまた申し上げたいと思うわけでございます。  最後に、いま申しましたのは遺族給付だけでございますが、その年金権の問題あるいは医療給付が妻の場合は七割給付であるとかあるいは分娩給付が不十分であるとか、婦人を取り巻くわが国の社会保障の制度というものは非常に劣っているのでございます。男子に比べて女性差別がある。また婦人に必要な分娩とかそういった母性給付について非常に給付が低い。こういう状態をこのままにしておいて、いま批准いたしますと、一体制度の整備を本当にやっていただけるのかどうかという危惧を持つわけでございます。条約を批准する以上は、やはり日本の国内の制度を整備して、いいものにして、そして批准することがいいのではないか、私はそういうふうに考えておりまして、特に婦人に対する社会保障の整備ということをお願いしたいというふうに考えているわけでございます。(拍手)

栗原祐幸自由民主党

○栗原委員長 ありがとうございました。  次に、浅賀参考人にお願いをいたします。浅賀参考人。

浅賀ふさ日本福祉大学名誉教授

○浅賀参考人 二十三年もILOの批准をほったらかしておいて、やっと取り上げてくだすった、大変うれしいと思ったのです。ことしは国際婦人年でもございますので、これは政府も少し考えてくだすったのかなと思って大変喜んでおりましたら、母性給付の方は全然見送っていらっしゃるというので、ちょっと当てが外れたわけです。  三木総理は三千万のお金を使って——私どもは、ここでこの年におくればせながら、国際婦人年だからこれをやりましょうという、それが本当にいわゆる前向きの態度なんですけれども、それは見送っておいて、そして三千万も使って新聞に広告を出す。御自分の所信でしょうけれども、しかしこれはリップサービス、つまり口先だけのサービスだった。結局婦人は母性給付で潤うべき人は何一つ潤っていない。むしろ自民党の延命策に多少間に合ったか、役に立ったかというだけのことです。  これは私は国民的立場で言っておりますから、党派的立場でなく、一人の国民として申し上げているのですけれども、この問題について政治をなさる方には責任があるんですから、国民の生活、あらゆる安全ということには非常に責任ある方たちですから、与野党を問わず、そういうことをよく考えていただきたい。  このことについて私が申し上げたいことは、日本には社会保険はありますが、社会保障がないということ、それから基本的人権に立った考え方が根づいていない。そして女の人も人間である、だから基本的人権が守られなければならない。それが三つの柱ですが、それから申し上げて、ちょっと自分の考えを申し上げたいと思うのです。  女性軽視といいますか、母性軽視といいますか、母性というものが本当に大事にされているところとかあるいは家庭生活というものが非常に大事にされているところは、もっと人間がいい成長をし、いい社会ができる、そういう観点から私は申し上げているわけなんですけれども、その女性べっ視、これは私このILOの批准に関していろいろこの前の議事録やなんか拝見したり、いろいろして、私は、日本はこんなに野蛮国だということを再認識したわけなんです。かっこうだけは文明国ですけれども、本質的には非常におくれているということがはっきりわかりました。これは私も含めて怠慢であったということを思いますけれども……。人権思想から言いますと、それから女子も一人の人間だという立場から考えますと、母性給付がないということは、ただ一つの離れた孤立した問題ではなくて、それがあらゆるところに出ているわけです。たとえば日本の社会保障の問題でも、母性給付を初め、家庭とか遺児とか、そういう政治的に弱いところはずっと見送られていいかげんに、いわゆる国費はなるべく使わないようにして、そういうことがあらわれております。それは母子衛生関係は全然見送っていると同時に、遺族年金、母子年金とか児童手当というようなものは額が非常に少なくてほとんど問題にならない。それですから私は社会保障はないということを申し上げる。ないと言った方がいいくらいですね。  それの一つの典型で、特に女子に対して、女性べっ視の非常によくあらわれているのは遺族年金だと思うのです。遺族年金は、たとえば福祉国家というところでどんなふうにやっているかというのを日本と比較してみますと、たとえば夫の年金が六万円だといたしますね、改正されて日本もやっとそこまで届いたと言いますけれども、全部の老人がそうだというのと違うわけですから、そこのところはまだ問題があるのですが、とにかく一人でも六万円もらう人ができたらその基準に達したということになるとすれば、残念ながらそれでもいいとしまして、その場合に奥さんの加給金というのが余り、ふざけているほど少ないのですね。本当に二千四百円というのは一体どこから出てきている数字なのか、その根拠が私にはわかりませんけれども、まあいつもの——私も厚生省におりましたから厚生省の予算がいかに弱いかということはよく知っておりますけれども、いいかげんの、ないよりはましだというような考え方ですね、発想の転換をしていただかなければならない。女子も人間であったら暮らせる年金を、英国なんかでは、夫が六万円の年金を持っていれば奥さんは四万円までもらえるのですね。それからスウェーデンなんかでも算定の根拠はちょっと違いますけれども、実質的にはやはり一人半、一・五倍のものが夫婦でもらえるわけなんです。それで生活ができるわけなんです。それから年金をもらっている夫が亡くなった場合には、夫のもらっていた分だけはもらえるわけです。これは西欧ではすべてそういうふうになっております。日本は福祉国家なんてことを私は言ってほしくないです。ILOの母性給付を批准するという回答が出るまでは、日本は福祉国家だなんということはおこがましくて言えた義理じゃないと私は思います。  ですからこの点は、これは私は政治をやっていらっしゃる責任者の方たちにもお願いしますけれども、私ども国民も、特に女子ですね、女子がまず第一に考えて、やはり国民運動を起こすべきじゃないかというふうに、本当にこれ私も大変怠慢だったと思って反省しますけれども、そう思うくらい、女子の社会保障を受ける権利、これが全く虐待されている、これで国際婦人年をほおかぶりして乗り切るつもりですかということを私は三木さんに言いたいのですけれども、これはぜひ私総理に言っていただきたい。あれだけのことを三千万のお金を使って天下にはっきりと所信をお述べになったのですから、具体的にことしはぜひ進めていただきたい。母性給付に向かって歩いていただきたいということと、それから来年くらいには、五十一年度くらいには妻の年金権について厚生省では考えるというようなことを言っていらっしゃるそうですけれども、早く見通しをつけて、そして今度四つの給付について批准をなさると言うならば、もう一つ遺族年金もそこまでことしのうちにひとつ早く努力して、必要だったら民間のみんな総動員して女性が運動してもいいと思うのですけれども、ぜひ関係官庁の方で、せめて西欧並みの、もしそれができないでも妻が八〇%くらいは、最低そこまでいかれるくらいのことは本当にやっていただかなければ、文明国とは言われないのですね。私非常に恥ずかしい思いと、それから私どもも怠慢であったという反省を持っておりますが、ぜひ政治の方でも大いに女子の遺族年金にひとつことしはしぼって、そして近い将来に向かって母性給付の問題について歩いていただきたい。私は、国民の立場でそういうことを考えております。(拍手)

栗原祐幸自由民主党

○栗原委員長 ありがとうございました。  次に、菊池参考人にお願いいたします。

菊池幸子立正女子大学教授

○菊池参考人 このたび国際的社会保障の基準であるILOの百二号条約を批准するに至ったことにつきましては、もちろん賛成なのですけれども、ただ、一九五二年にILOの第三十五回の総会で採択され、その間すでに二十三年間を経過した、この時間の流れの中で、先進国を初めとして、後進性を帯びた国をも含めてすでに二十四カ国が批准している、この時点に立ちまして、経済大国である日本として非常に時間的におくれたということは残念なわけでございます。したがって、批准に当たっては、すべての部門にわたって国際水準に達していてもいいではないかというふうに考えるのは、国民の当然の願いであろうと思います。  ところが、今回の提案では、傷病と失業と老齢と業務災害の四部門に限られております。もちろん、この条約についての最低の基準は三部門の批准ということになっておりますから、四部門を満たすということは少し上回っているとお考えになるかもしれません。また特に失業とか老齢、業務災害、廃疾、遺族という最も重要な部門の中で失業、老齢、業務災害という三つの部門がこの批准に当たって国際水準に達しているというのだから、政府としては高い方ではないかとお考えになっていられるかもしれません。しかしここにおいて私どもは、この条約が成立いたしましたILOにおける社会保障に関する基本的な構想という面に返ってもう一度考え直してみる必要があるのではないかと思います。  社会保障は、社会構成員がさらされている若干の危険に対して、適当な組織によって社会が提供するところの保障であるというふうにまとめられておりますように、この中には人権を平等に行使するという基本的な概念が非常に重く含まれているわけでございます。人々を侵す生活の危険がもし個人的にカバーし得られるならば、社会保障は必要がないわけでございます。しかし、生活の危険は現実の社会におきましては至るところにございますし、現存する市民社会では、この危険を個人から彼が属している社会に移し、しかもできるだけ分散して、広い基盤のもとにおいて、社会連帯の責任において保障すべきであるというふうに述べているわけです。したがってILOの構想では、所得、医療、雇用という三つの観点におきまして主題を取り上げて長く続けてまいりましたが、特に所得保障を社会保障の本質というふうに考えているわけでございまして、それを中心に取り上げておる社会保障の最低基準を決めたこの百二号条約というのは高く評価されているわけでございます。  もちろん、こういうわけでこれを批准して国内で実施するに当たりましては、それぞれの国の経済的な、社会的な実情に応じて実施すればよろしいわけですから、現在の日本においても、経済大国と言われながら実情に合わせて四部門で批准をしてしまおうということはやむを得ない事情かもしれませんが、しかしいままでの審議の過程を伺っておりますと、どうもこの百二号条約の条文の解釈に大変手間取っているとか、施行の技術に時間をかけているとかということが多くて、この保障の精神が軽んじられていたのではないかと思うわけです。そこのところに、残された五部門の深刻な問題が現存しているのではないかと私は感じるわけでございます。  この人権の平等な行使と所得保障という面から、日本の国内の制度とそれからILOの保障水準を比較してみたいと思います。時間の制限がございますので、具体的な例を二つだけ申し上げてみます。  まず最初は批准の対象となりました老齢給付についてでございますが、これにつきましては、厚生年金法に基づいて厚生年金がILO条約の基準を満たしているし、しかも対象者が被用者の六七%になっているからということで批准の対象になったわけでございますが、御承知のように日本におきましては、このほかに国民年金制度を初めとし、共済組合の社会保険制度とそれから不拠出制の老齢福祉年金を合わせますと、都合九種類の年金がございます。非常に複雑な仕組みになっており、しかもそれぞれ仕組みが違いますので、国際水準と比較するには非常に困難を来すという状態ではないかと思うわけです。  私は、一九七二年になりますが、ヨーロッパの大学で、このILO条約の各条項をもとにしながら年金の給付水準、給付基準の算定法、それから財源、財政方式等を指標といたしまして国際比較の研究をいたしました。そのときには、厚生年金は確かに賃金の四〇%以上の給付水準を持っておりますし、すべての項目においてILOのこの条約の条項を満たしているわけでございます。ところが国民年金におきましては、スライド制をとらない積立方式になっており、給付水準も国際水準には達していないという現状でございます。しかも対象人数からいきましても、国民年金の対象は昭和四十七年の時点で二千三百万人以上を持っておりまして、厚生年金と同数ないしはそれ以上という数にも及んでいるわけでございます。今回、国際水準に達したとして義務を受諾することになったこの老齢年金を一つ例にとりましても、このような不平等な差別が多く残されているわけでございます。まして受諾しない五部門については、このまま放置できない不平等とか水準の低さが現存していることは事実でございます。残された医療、それから家族給付、母性給付、廃疾給付、遺族給付などにつきましては、どれも重要なものではございますが、この中で家族給付を例にとってちょっと申し上げてみたいと思います。  この家族給付につきましては、日本では児童手当の制度を対象として考えられておりますので、この条件とILOの第百二号条約の条件とをあわせて比較してみます。  これもやはり一九七二年の研究で恐縮でございますけれども、対象児童、それから財源、出生順位、年齢等を指標といたしまして比較いたしますと、七十二段階の組み合わせができて社会保障の段階ができるわけなんでございますが、スウェーデンはこの中で最高位におりますが、日本は印度以下という水準で、とても国際水準には達していないという状況でございました。児童手当は、もちろん家族給付の形で扶養義務のある両親に支給されるのは当然ではありますけれども、日本の場合は第三子からと出生順位に差別がついております。しかも両親の収入制限をするということになりますと、これは児童のための平等な人権保障というよりは、両親に対する生活援助の一部を行うということになりまして、社会保障の本質からは遠くかけ離れているのではないかと思うわけです。  そのほかに母性給付、遺族給付などにつきましても大変に深刻な問題が残されているわけでございます。国際婦人年だからといって、特に私は婦人の権利を強調しようとか、それから婦人は弱い立場にあるから保護をしてもらいたいという立場をとるものではございません。しかし、男性も女性も平等な人権を行使するという立場に立って考えますときに、この残されました第八部門の母性給付は、これは女性ばかりの問題ではなく、生まれ出る生命を守るということ、ひいては民族の将来の発展のためにもぜひ男女の協力において十分この保障水準を上げなければならない、これが一番急務ではないかと思うわけでございます。  ILOの条約が締結されまして十年以内にこれらを批准した各国の例を見てみますと、現在日本でこの取り残そうとしている五つの部門を含めて批准している国が数多くございます。たとえば、一九五二年に締結されたこの条約に対して世界で真っ先に批准をいたしましたスウェーデンは、一九五三年に三部門で締結いたしましたが、この中には家族給付が含まれております。翌年の一九五四年にイギリスは批准いたしましたが、五部門を対象とした中にもやはり家族給付が含まれております。それから比較的おくれて一九五八年に西ドイツが、一九五九年にはベルギーが批准いたしましたが、これらの国におきましては九部門のすべてに対して批准を行っております。また十五カ国の中で家族給付と母性給付を取り上げた国はそれぞれ九カ国ずつございます。それから遺族給付は六カ国、廃疾が七カ国で、医療に至っては十カ国ということになりまして、これは私、現在のことを申し上げているのではなく、十三年前までにこれだけの国が批准しているということを申し上げているわけでございます。したがって、日本で取り残されようとしているこの五つの部門がいかに重要な問題であるかということはおわかりいただけたろうと思います。  時間がございませんので、具体的な問題はまた御質問のときにお答えしたいと思いますけれども、この取り残されました部門については、速やかに国内法を強化して国際水準に到達するような努力をしていただく、しかも具体的な計画をこの国会でぜひ決めていただくということをお願い申し上げたいと思います。(拍手)

栗原祐幸自由民主党

○栗原委員長 ありがとうございました。  次に、塩本参考人にお願いをいたします。塩本参考人。

塩本順子全日本労働総同盟青年婦人対策部員

○塩本参考人 私は、同盟が昭和四十一年以来お産の費用は健康保険でというスローガンのもとに運動を一貫して続けている立場から、百二号条約における妊娠、分娩に関する医療と母性給付について意見を述べさせていただきたいと思います。  五月三十日の外務委員会における議事録を送っていただきましたので、それを拝見いたしますと、とりあえず四部門について批准し、残りの部門についてもできるだけ早く批准できるように努力したいというふうに政府は言っておられるわけですけれども、私たちが最も期待している母性給付についてはいつ実現できるのか全くわからないというふうな感じを受けました。そういうことは女性の立場にとってみれば実に喜べないものではないかというふうに思います。ことしは国際婦人年で、現在ジュネーブでILO総会が開かれているわけですけれども、ここでも婦人労働者の機会均等と待遇の平等について検討され、宣言が採択されることになっています。世界的な潮流を見ると、妊娠、分娩に対する保障というのはより一層充実させていこう、しかもその給付はすべて社会保険または社会保障の中に求めていこうというのが各国の状況です。六十回の総会においてもその方向で宣言が採択される見通しに思われます。このようなときに日本がせっかく百二号条約を批准しようとしながら、妊娠だとか分娩に関する給付は含まないでやろうというのはどうも納得できないし、世界的に男女の平等を求める運動が盛んになっている中で、日本の働く女性の立場から言えば、平等を求める前提となる母性の保護がまず確立されるべきではないかというふうに思います。  さきの外務委員会でも出されていましたけれども、日本の妊産婦死亡率はアメリカの二倍、スウェーデンの五倍にもなっています。選挙のときになるとポスターによく子供の写真が使われています。しかし、その子供を産む母親は、昭和四十七年の統計で見まして、出生一万人に対し四人が死亡しています。日本全国で見れば一年に約二百万人の子供が産まれていますから、妊娠をし出炭をするというために大体八百人のお母さんたちが死んでいるわけです。こういうことについて厚生白書を見ますと、欧米諸国に比較すると戦前はむしろ低かった日本の妊産婦死亡率が現在逆に約二倍の高率になっている。その死亡原因は妊娠中毒症だとか出血である、またせっかく産まれても生後七日以内の新生児の死亡率が非常に高い、これらの原因を取り除くためには保健活動と医療対策の充実が何よりも必要であるということが強調されています。こういうことを見ながら、母親の死亡率が欧米諸国より非常に高いのに比べて、それでは子供の死亡率はどうかというと、日本は非常に少ないわけです。ということは、日本の政府だとか国民の意識の中に、子供は大切だけれどもそれを産むお母さんの命はどうでもいいのだというふうな感じがしてならないのです。行政を見ても、子供に対する児童福祉法が昭和二十二年にできて、ここの中に妊産婦の届け出だとかこれらを含めたことが付属みたいな形で入っている。しかし母親を中心にした法律はこれから後十八年おくれて昭和四十年に母子保健法ができているわけです。  妊婦の死亡原因が医療対策の不備であるということは厚生白書でも認めているわけですし、産婦人科のお医者さんも認めています。しかし、日本は妊娠中の通院の費用も出産で入院したときの費用も全部本人払いです。私たちが職場で若い女性や男性に、これから結婚しようとする人たちにこのことを話してもすぐには納得しないわけです。どうして出産に対して保険がきかないのかよくわからないのが普通の国民感情ではないでしょうか。それは、私たちがかつてお産の費用は健保での運動を集中的にやりましたときに全国的に署名運動を行いました。百万人ほどの署名が、ほかの署名に比べて実に簡単に集まったということから見ても、厚生省の法評論と国民の意識というのは全く違うのではないかというふうに思います。ILO百二号条約でも、分娩あるいは妊娠は医療の対象に含まれているわけですから、日本政府だけが案ずるより産むがやすしということわざのとおりに、母性に対する配慮は必要なしとしているとしか思えないわけです。  ところで、私自身もこの一月に病院で出産をしました。その費用のことをちょっと紹介をしてみたいというふうに思います。検診のために約十回通院をし、昨年からことしにかけては一回千五百円でした。ここの中でいろいろな検査を二回ほどしまして、五千五百円くらい払っています。このほかに現在は都が三回分の費用を出していますので、二回分の費用がまだ実際はかかっているわけです。さらに八日間その後入院をしました。八日間の入院費は十六万八百八十五円支払っています。さらに分娩後一カ月の検査料親と子を含めると、合わせて十八万円の出費があったわけです。三年前、長男を出産したのが四十七年の暮れですけれども、このときは個人の病院で個室に入ったのですけれども、約九万円でした。こういうふうな費用がかかったのに対して、それでは実際どれだけの給付がもらえたかと言うと、三年前九万円のときはたしか三万二千円でしたし、今回の場合には私の給料が安いということで最低保障の六万円が戻ってきたというわけです。現在各保険の給付を見てみますと、国民健康保険の場合では市町村の条例で金額を決めることになっていて、大体二万円のようです。厚生省も二万円を標準としてその三分の一を補助するという立場をとっているようです。日雇い健保では二万円、政府管掌健康保険で本人の場合、標準報酬月額の二分の一または最低六万円、国家公務員共済組合等では、本人の場合標準報酬月額の一カ月分または最低六万円というふうに、とても開きがあるわけです。ですからこういう決め方だと実際にかかる費用以上にもらう人もいれば、実費の何分の一にもならないという人もいるわけです。また健康保険における一昨年の改正のときに、標準報酬月額の二分の一または最低六万円というふうなのが本人、配偶者については最低という言葉を使わないで六万円というふうな決め方をされたというのは、本人自身が保険金を払っているのに、どうして最低の六万円しか保障されないのかということは、働く、しかも実際に自分も保険料を払っている立場から言うと、非常に不満がある内容に思います。  さらに、こんなにたくさん費用が要る、それでは病気のときのもっとたくさん費用がかかったときはどうなのかというと、高額医療費という形で三万円を超える部分については健保から支払われる仕組みになっているわけです。ですから結局たくさんお金がかかって自分が賄わなければならないのは結局は出産だけではないか。もちろん難病だとかいろいろなことはあるかもしれませんけれども、私たちが身近にだれもが体験する中では、妊娠、出産だけではないかという感じがします。  分娩は医療であるかどうかについて、さきの外務委員会では医療の専門家に聞かなければならないというふうな答弁がされているわけです。私自身も病院にかかっているときに、ちょうどたまたま私の前にお医者さんに相談をしている人がいました。というのは、田舎へ帰ってお産をしたいのだ、そこには産婦人科の病院はないけれども、公営の助産所がある。そこで出産したいのだけれども、どうだろうと言う人に対して、お医者さんは、いや、助産所でするのは危ないですよ、医療ができないから医師のいるところで出産しなければいけませんよという指導をしている。こういうふうな指導が実際にもされているという中で、やはり厚生省の考えというのは、もちろん技術的な面でできないという理由はよくわかっていますけれども、私たちの普通の国民感情から言えば、やはり納得できないものではないかというふうに思います。  それから今度は、妊娠、出産による休業中の補償のことですけれども、公務員の場合は八〇%が補償される。しかし実際は労働協約というのですか、人事院規則等で特別休暇扱いをされて賃金として一〇〇%補償されて、休業中は働いていると同じ給料をもらっているのが実態です。しかし民間企業で働いている政府管掌健康保険の人たちは、六〇%の補償で産前産後四十二日ずつというふうに明確に書いてありますから、たとえば六週間前だと思って休んだのに、実際の分娩がおくれてしまえば、その長引いた分はどこからも補償がされないというのが現在の制度になっているということは、非常に不備だと思います。子供を産むという、人間にとって最も基本的なことに対して、国がもっと責任を持つべきだと思いますし、そのための費用とそれから医療の問題についてもっと積極的な対策が必要ではないでしょうか。  あわせて、最近、地方自治体の財政難のことがいろいろなところで議論をされています。最近、日経新聞の記事で見ますと、地方自治体で、たとえば乳児医療の無料化がどんどん進められてきています。こういうことに対して厚生省のコメントがついていました。そのコメントを見ますと、乳幼児を見るのは母親の責任だというコメントなんです。こういう考え方というのは、事実をとってみても、病気になった子供の医療をどうするかという問題を、母親が見なさいというのはどうもとんちんかんだし、やはり何となく、妊娠だとか出産というのは自然現象なんだから何とかなるのではないかという考え方がとても強いのではないかというふうに思います。  それからまた、これは別の記事ですけれども、栃木では、検診というのですか、妊娠中の検診の費用の無料化を実施した、そういう事実に対して、そういうのはどうも福祉行政の先取りだということで、余り適切ではないのではないかというニュアンスの新聞記事を見ながら、もっと母性を大切にする考え方というのを国の基本にしないと、何とはなしに行き当たりばったりで、個人が処理すればいいんだという零囲気をつくり出してしまっているのではないかという感じがします。  そういう観点から、私たちは今国会に民社党を通じて母性保障基本法を提案しているわけですけれども、百二号条約の前進的な検討とそれから母性保障基本法のようなものをぜひつくっていただきたいというふうに、国会議員の先生にも、行政当局に対しても強く要請を申し上げたいというふうに思います。(拍手)

栗原祐幸自由民主党

○栗原委員長 ありがとうございました。  以上で参考人の御意見の開陳は終わりました。     —————————————

栗原祐幸自由民主党

○栗原委員長 これより質疑に入ります。  なお、質疑の際には、参考人を御指名の上お願いをいたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中美智子君。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 浅賀先生に質問したいと思います。  先生の先ほどのお話しの中で、イギリスの例が出ました。妻の加給金は六万円の場合には約四万円出る、日本の場合は二千四百円であるという、そして遺族年金は夫の一〇〇%である、日本の場合は五〇%であるということで、非常に日本の年金が、遺族年金だけでなくて年金自体が非常に少ないということを具体的な事例をもってお伺いしたわけですけれども、先生御自身は年金生活者だというふうに伺いましたけれども、先生、失礼でなければ先生の年金、そしてそれでどれだけの生活ができるのであるか、先生がいままでどのような社会的なお仕事をしてこられたのか、そんなことを含めてお聞きしたいと思います。

浅賀ふさ日本福祉大学名誉教授

○浅賀参考人 田中さんは私のプライベートのあれを暴露するつもりじゃないだろうと思うのですけれども、日本の御老人のために。  私は私学共済の方に入っておりまして、去年で退職いたしまして、二十一年間働いて、そこにはいろいろなちょっと年をとり過ぎまして、一定のときから外されまして、嘱託なんかになりましたので非常に損をしているわけで、一種の谷間の老人なんですけれども、そういうような関係で、ただいま私と一緒にやめた方の三分の二くらいしかいただいていないのですけれども、しかし、私がもしも男であって、奥さんがあってという立場に、私のような条件でそういう方もあり得ると思うのです。そういう場合を想定いたしますと、いま私は年金として月四万五千円くらいしかいただいていないのです。それでは食べていかれないので、いま餓死しないでおりますのは、家族があるので、息子に食べさしてもらっているのが実情なんですけれども、そういうわけで、もし、私が男の場合もあり得るわけですから、奥さんが二千四百円ばかりもらっていっても二人の生活がこれはできないわけです。もしまだ七十歳代ならまだ私は働いておりましたし、働けるのですけれども、八十歳になりますと、ちょっとやめた方がいいと思いますので、これでは日本の老人——私はやはり老人のためにどうしても何かしなければいけないという気持ちを捨てられないのは、そういうところから、そういう実情なんでございます。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 ありがとうございました。  浅賀先生は、私も社会福祉を学んでおりましたので、先生の論文、いろいろ御講義なども伺ったことがありますけれども、先生は、一番初めに社会事業を日本にアメリカから持ってこられたという、福祉学界では最も重鎮であるわけです。そういう意味では非常にいま日本の生き字引というふうに言われまして、社会保障関係では非常に尊敬を受けている学者だというふうに私は承知しておりますが、その先生が大学で二十一年教鞭をおとりになって、そうして御自分自身の年金が四万五千円であるという、こういうことは政府の方たちも非常に驚きの方があるのではないかと思いますけれども、これが日本の学者に対する遇し方であろうかというふうに私は思います。  いま私は学者のことを言っているのではなくて、年をとれば学者であろうと何であろうと同じように生活ができなければならないわけですけれども、日本の文化レベルの低さと老人の軽視というものが、先生の、八十一年間の日本に大きな貢献を残した者に対する四万五千円ということは、何か私は憤りで涙ぐみたいような気持ちになるわけです。先生がいま息子さんに食べさしてもらっている、もし息子さんがなかったらどうなるのか。大学は男女の賃金が同じですので、先生がおっしゃったように、もし先生が男性ならば妻はその二万二千五百円で生活しなければならない。ですから、遺族年金だけでなくて、この批准、受諾される年金制度も非常におくれているというふうに思うわけです。  もう一つ先生にお伺いしたいのは、先ほど浅賀先生が、社会保険は日本にはあるけれども社会保障はないのだというふうにおっしゃられたわけです。日本の社会保障の基本的な考え方、特にその中の年金の基本的な考え方、あわせて社会保障というのはどうあるべきなのかという基本的な考え方をお聞かせいただきたいと思います。

浅賀ふさ日本福祉大学名誉教授

○浅賀参考人 簡単に申し上げますけれども、私は日本の社会保障の欠点を言った方が早いと思うのですけれども、非常に強い者勝ちだということですね。いわゆる弱者切り捨てという、これは日本の現在の政治の体質そのままをあらわしているわけなんですけれども、特にGNP第二位なんかにまで行ったとは言いますものの、あれは非常に怪しい繁栄の仕方で、実際は資源の乏しい日本では、やはり余り富んだ国と同じようなことはできませんから、最低のことを保障するという、やはり抜本対策をどうしてもやっていただかなければならない。もうすでにそういう時期が来ているのじゃないかと思いますけれども、それはまず一本にしていただくということ。つまり格差をなくすということですね。非常に格差があり過ぎます。国会議員のも含めて格差があり過ぎると思いますけれども、とにかく一本にすること。それからすべての人に平等になる。もらう人があったりもらわない人があったりというような、そういう格差をなくすことですね。それから、スライド制とかいろんなことがもちろんその中に入りますけれども、やはり財源を一本にすることと、その財源がいまのような積立方式で、零細な掛金の使い方というものがもっと改められていかなければならないということで、資本主義の経済の中でも、ただもうかること一本でいかないで、やはり人間が幸福に安全に守られていくということは、たとえば財源持ち出しでもそれはそれだけの値打ちがある。もう一つは、人間の政治というものに変えていただけば、社会保障という線にもちろんなると思うのです。そういう発想の転換が根本的に必要だと思っております。細かいことを申し上げると切りがございませんけれども、とにかくそういう格差をなくすために民主的な、そのかわり薄くなるかもしれませんけれども、しかし前にもそういう機運があったときに、やはり高いところから反対が出ているようですから、低い方へそろえないで、やはり適当なところに、目安は社会保障によって人間の暮らしが立つということです。その辺のところを目安にして、最低の生活が保障されるという線でやっていただきたいと思うのです。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 先生の社会保障の考え方というのは、最低生活が保障され、そしてそれの格差がうんと少ないということが基本的な考え方ということですね。

浅賀ふさ日本福祉大学名誉教授

○浅賀参考人 そのことと、やはりもう一つ、制度の中に支柱となるべきものは、エゴイズムでなく、お互いに助け合うという相互連帯性というもの、私はこの三本の線を非常に強調しているのですけれども、連帯性がないというのがいまの欠点の方の大きな特徴だと思うのです。やはり実際の具体的な制度も連帯的にやらなければいけないと思います。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 いま浅賀先生のお話しの中にも、日本の年金制度は格差があり過ぎるというふうなお話しがありました。その中に、ちょっと国会議員という言葉が出てきたわけですけれども、大体いま国会議員は、大ざっぱですけれども約二十万ぐらいの年金がいただけるというふうに思います。     〔毛利委員長代理退席、石井委員長代理     着席〕そうしますと、いま福祉年金の方は七千五百円です。これが一万二千円になったとしましても、約一万円から三十万円までのこういう大きな格差があるわけです。そして年金制度が八つもあり、それに加給金だとかまたスライドのない調整金だとかそういういろいろなものがくっついていて、実に複雑になっている。先ほど島田先生もおっしゃいましたように、非常に複雑になっている。これを手引きなどを出せというふうな貴重な御意見をいただきましたけれども、三木さんが社会的不公正をなくすのだと言っていられるので、私も何としてもこの社会的格差をなくすという中で、その中でも特に婦人の場合が格差がひどくなっているというふうに思うわけです。  次に馬場先生にちょっとお伺いしたいというふうに思います。先ほど先生のお話しの中に、分娩費を健康保険の点数に入れると制度変更になるので検討は慎重を要するというふうにお話しがありましたけれども、健康保険の点数にするとどういうふうに慎重にしなければならないのかということをちょっとお話し願いたいと思います。

馬場啓之助社会保障研究所長

○馬場参考人 私は、言葉が適当でなかったかと思いますけれども、その点数に入れるということにつきましては、供給の体制がいま自由になっている部門がございますので、それを保険の中に取り込んでくるというためには、供給者サイドの御意向というものがありますので、制度変更になるだろうということを申し上げました。制度変更が行われました後で、たとえば盲腸と分娩費と、いま分娩費の方はあれですから点数がえらく開いておりますけれども、その点数の開きが妥当かどうかという点についても御検討が要るであろうということを申し上げたわけでございます。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 ありがとうございました。確かに先ほどの塩本先生のお話しによりますと、十六万円ほどお産にかかったということになります。もしこれを点数にすれば一万六千点ということになります。そうしますと、たとえば肺の全摘の手術などですと、医者が二名、看護婦が四名も要るような高度の技術を要するものでさえ六千六百点ということですので、結局そういうことを点数にしようとすれば、日本の診療報酬の技術料がいかに低いかということが出てくるのではないかというふうに、先生のお話しを私は承りました。  時間がありませんので、もう一言塩本さんにお伺いしたいのですけれども、塩本さんは二回のお産をしていらっしゃるというふうなお話しを伺ったのですけれども、そのときには赤ちゃんは母乳だったのでしょうか、それとも人工乳だったのでしょうか。

塩本順子全日本労働総同盟青年婦人対策部員

○塩本参考人 育てるときのことをおっしゃっているのでしょうか。人工乳です。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 それでは浅賀先生ちょっと……。

浅賀ふさ日本福祉大学名誉教授

○浅賀参考人 格差の問題ですけれども、私は格差がなくなるということはできないと思うのです。それで、やはり西欧でやっていますように、基本年金を平等にやっていただく、それであと所得に応じた掛金で、そこに多少の違いができるということ、これは当然あっていいことだと思います。ですから、全く本当の平等だということはあれですけれども、最低の底が救われるということで、あとは多少のそういうでこぼこができてくるということは当然だと思いますし、やはり努力の結果だとかいろいろありますから、そういう柔軟な物の考え方をしていただきたいと思います。  ちょっとそのことを申し上げておきます。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 ありがとうございました。  いま塩本さんは、お二人とも人工乳で育てられたというふうにおっしゃったのですけれども、最近、人工乳の宣伝が行き過ぎたせいか、ほとんど母乳でなくなったということで、厚生省あたりが母乳タンクをつくるというふうに言っておりますけれども、やはり分娩費に非常に多額のお金がかかり、産前産後の休暇が非常に短いということで、結局働けば母乳が出なくなる、非常に敏感ですから、十分な休養をとらなければ母乳は出なくなる、そういう点で私はいま、お子さんを育てた方に会いますと、いつも人工乳か母乳かということを伺うわけです。塩本さんのようにお若い方がほとんど人工乳だということは、これは厚生省に大きな反省を求めたいというふうに思うわけです。これは母親の問題ではなくて、母乳が出なくなるし、事実上母乳で育てる条件がない。その条件をつくるということは、やはり分娩費を完全に自己負担にさせないで、ILOの最低基準を必ず守るところにいく、そして産前産後その他の母性保護というものを充実させなければ、幾ら厚生省が母乳を勧めても、実際には実効を得ないのではないかというふうに思います。  どうも参考人の先生方ありがとうございました。質問を終わります。

石井一自由民主党

○石井委員長代理 次に、金子みつ君。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 参考人の先生方にはありがとうございました。大ぜいお見えいただいておりますが、時間が制約されておりますので、みんなの先生方にお尋ねする機会が与えられないかもしれないと思っておりますが、いま少し聞かせていただきたいと思うことがございます。  まず、島田先生にお尋ねしたいのですが、遺族年金給付を実現している国というのが、一九七五年の外務省の資料によりますと、十六あるのでございますけれども、この十六の国、あるいは必ずしもこの国とは限りませんけれども、それ以外の国でも結構なんですが、妻であるための不利益の取り扱い、たとえば離婚した場合などが不利益の取り扱いになっているかどうかということがよその国の場合ございましたら、教えていただきたい。

島田とみ子東海大学教授

○島田参考人 私は、離婚の場合の不利益の取り扱いというのは詳しくは存じておりませんけれども、年金制度の立て方自体が、たとえばイギリス、スウェーデン等におきましては、個人単位の年金制度になっております。つまり、日本の被用者年金のように、妻の年金というものが夫の年金に含まれるというような形をとっておりません。ですから、スウェーデン及びイギリスでは、たとえ離婚いたしましても、本人の年金権というものは保障されまして、六十五歳ないし六十七歳になりましたときに規定の老齢年金というのは給付されるというふうになっております。そのほかの国につきましても、具体的には存じませんが、離婚した場合に老齢年金について、日本の場合は任意加入のためにサラリーマンの妻が無年金の状態が起こるおそれがあるわけでございますが、そういう例は余り聞いておりません。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 ありがとうございました。  年金の立て方が違う、基本的なつくり方が違っているから、おのずからそういう形になるということはあらゆる面に出てくるわけでございますね。遺族年金の場合でもそうなってくると思いますし、その他の年金の場合でもそうなる。先ほどほかの先生のお話しにもございました。浅賀先生でございましたでしょうか、妻の付加金が二千四百円という話なんかもそこへ出てくるのだと考えますが、したがって、基本的な問題が大きな原因になっているということをわからせていただきまして、ありがとうございました。  いま一つのお尋ねは、先ほどのお話しの中で、そういう立て方が違っているために、実際問題としては残された遺族は生活の保障ができないぐらいの給付しか受けていない。生活保護費よりも少ないではないかというような御説明がございました。あそこで遺族年金の引き上げをどうしても図るべきじゃないかというお話しでございましたが、その引き上げに関しましてのお考えを少し聞かせていただきたいわけでございます。諸外国の例もあるかと思いますが、先生はどのようにお考えになっていらっしゃいますか、伺いたいと思います。

島田とみ子東海大学教授

○島田参考人 申し上げます。  外国の遺族年金というのは、日本と比べて非常にいい給付をしております。それを参考にして私は考えたわけでございますので、先に外国ではどのような遺族年金の給付になっているかということを簡単に申し上げたいと思うのです。  まず、イギリスとかスウェーデンの場合は、遺族年金は老齢年金と同額、つまり一〇〇%でございます。次にアメリカも老齢年金の一〇〇%でございます。西ドイツはどうか、これは老齢年金の六〇%でございます。日本の五〇%よりいいわけでございます。ことに西ドイツは老齢年金そのものが高いですから、この六〇%というのは、パーセンテージは低くても非常に高い。ただし、西ドイツでは四十五歳以下でございますと四〇%でございます。この問題はまた後にちょっと申し上げます。こういうふうな高い遺族年金の給付をしております。  さらに、子供がいる場合にこれに加給がつくわけでございます。どのような加給がついておるかと申しますと、イギリスの場合は、第一子、第二子、第三子ということで金額が違っております。第一子が三・三十ポンド——一ポンドが大体八百円ぐらいですから、これで御計算いただきたいのでございます。第二子が二ポンド四十、第三子が二ポンド三十ペンスということでございます。アメリカでは、この子供の加給が非常に高くて、子供一人につき老齢年金額の七五%に上っております。それから西ドイツでは、子供の加給は子供一人につき老齢年金の一〇%、スウェーデンでは、子供一人につき基本年金額の二五%、フランスでは、家族手当が御承知のように非常に高いわけで、この家族手当で支給しております。日本で申します児童手当でございます。  ただし、この欧米の遺族年金につきましては支給制限がございます。それはどういう制限かと申しますと、妻の年齢が若い場合に遺族年金を減額する、あるいは支給しないという制限があるわけでございます。それは子供がない場合です。子供がある場合はそういうことはございません。子供がない、単身の寡婦である場合には支給制限がある。たとえばアメリカでは、六十歳未満では年金がない。六十歳から六十四歳までは減額です。それからイギリスの場合は、四十歳以下では年金がございません。四十歳から五十歳までは減額される。五十歳以上は子供がなくても出るわけでございます。西ドイツでは、さっき申しましたように、四十五歳未満では四〇%。スウェーデンでは三十五歳未満では子供がないと年金が出ません。三十六歳から五十歳までは減額年金というふうになっております。  これはなぜこういうふうになっておるかと申しますと、私考えますのに、いわゆる三十代、四十代というのは女でも十分働ける年齢だからでございます。そして先ほど私は、日本では未亡人の労働権が保障されていないじゃないかということを申しました。つまり職場が開かれていないのでございます。就職できないわけです。ところが、こういう国々は年功序列賃金ではございませんから、中途からの就職が、働く意欲と健康と能力と資格といったものがあれば十分働けるチャンスがあるわけでございます。ですから、たとえばスウェーデンなどでは、中高年の婦人に対する職業訓練制度というものが非常に発達しておりまして、そこで職業訓練を受けて資格をとる一年なり二年なり、その間は手当が出るそうでございます。そして働いて自分の生活は自分でやる。そして一定年齢が来ると寡婦年金がもらえる——一定年齢が来た場合にそれはもらえるかどうか、そこのところはちょっとはっきりいたしませんが、夫が死んだ当時に若い、三十代、四十代の場合はもらえない。しかし、自分で働く機会が十分に開かれているということがあると思います。  ですから、日本の場合にこの支給制限というふうなことを簡単にやられては困るわけでございます。まず、働く機会というものをちゃんとつくっていただき、大企業が中高年婦人を拒否するというふうなことがないような行政指導なりきちんとしたものをやっていただいて、それからやらないと支給制限というのは絶対いけないと思うのです。私が日本で老齢年金の一〇〇%の遺族年金を支給してほしいと申しましたのは、こういう資料に基づくわけでございます。特にわが国では、厚生年金の現在の給付の水準が、一六%の物価スライドを合わせましても平均四万六千円ぐらいだと思います。これの一〇〇%支給、四万六千円もらっても未亡人は絶対生活できない。やはり働かなければならないわけでございます。子供に対する加給というものもやはり当然遺族年金の給付引き上げに当たっては考慮されてしかるべきだと思います。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 ありがとうございました。  続けて、島田先生にもう一つ。  先生は一番おしまいに、今度のILO百二号条約をこのまま批准してしまうと、後日整備ができたところで批准を追加していくことができるということについては大変危惧があるというふうにおっしゃっていらしたのですけれども、先生が危惧をお持ちになるようになられたその原因ですか、理由は何かございますでしょうか。

島田とみ子東海大学教授

○島田参考人 申し上げます。  先ほど塩本さんがおっしゃいましたように、分娩の給付などは私の記憶ではもう十何年も前から婦人団体が健康保険で給付せよということを言っているわけでございます。それがいまだにできません。それから、昭和四十八年の健康保険法の改正の際に、健康保険の医療の家族給付というものがやっと五割から七割に引き上げられました。それに一体どのくらいかかっているかと申しますと、これは戦後、昭和二十六、七年のころだったと思うのですが、社会保障制度審議会が日本の社会保障制度について勧告をお出しになりまして、その中で家族給付は当面七割を目標とするということを言っておられたと私は記憶しております。そんな以前から七割にせよと言っておられたのに、実際にこれが実現いたしましたのは二十年近くたってからなんでございます。これほどわが国の社会保障の改善の歩みが非常に遅いわけでございます。ですから、批准しますと国際的にも面目が立つというふうなことになりまして、いいんじゃないかというふうな空気になるのじゃないかということが非常に心配でございます。いま参考人の皆様もおっしゃいましたように、婦人に対する社会保障給付は特に低い。それから浅賀先住がおっしゃいましたように、格差が——それは婦人を含め、男子、つまり制度全体の格差が非常に大きいわけでございます。そういうものの改善ということをとにかくしっかりやっていただかないと困るわけでございます。そういう意味で、まず国内制度の整備を考えていただきたい。それは、国会議員の先生方にも、また政府の方にもぜひそうしていただきたいというふうに考えるわけでございます。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 ありがとうございました。  それではその次に馬場先生にお願いいたしたいと思います。  先ほど馬場先生いろいろお話しいただきました中で、分娩費の問題の中で、分娩費の問題にしても、あるいは家族給付にしても、あるいはその他の遺族給付などにしても、金額の引き上げだけではそのほかの問題が起こるではないかというふうにおっしゃったのを記憶いたしておりますが、金額を引き上げただけではだめだという意味なんだと思うのですが、どんな問題が起こってくるからだめなんだという意味だったのでございましょうか。その辺は時間の関係かもしれませんが御説明いただけませんでしたので、いま御説明いただければと思います。

馬場啓之助社会保障研究所長

○馬場参考人 お答えいたします。  分娩費の算定のあり方が規制されておらなくて自由経済に任されているという面がございますので、したがって、最低という言葉をつけるつけないにかかわらず、これだけ保障するということになりますと、それが下支えの役割りをしてまた上がっていくではなかろうか、循環的なことが起こるおそれがあるではなかろうかということを申し上げたわけでございます。  以上でございます。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 そういたしますと、どういうふうにしたらばいいかとお思いになるわけですか、単なる金額の引き上げだけではなく。

馬場啓之助社会保障研究所長

○馬場参考人 お答え申します。  それに関連いたしましていわゆる現物給付ということが枠をはめて一定の点数の評点のあり方を決めてまいりますので、その中で一定の法則性と申しますかそれが入るということで望ましいわけでございますが、先ほど申し上げましたように外に出ておりますものを取り込むわけでございますから、それは制度変更という問題があって、関係者の間の合意を取りつけるという問題が反面出てくるではなかろうかということを申し上げたわけでございます。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 その件は理解できました。  続いてもう一つお尋ねさせていただきたい問題がございます。それは、先ほどのお話しの最後のところで遺族給付の点に触れられていたわけですけれども、現在の日本の遺族給付が夫の死亡後妻がその二分の一という給付になっておりますことにつきまして、二分の一が適当かどうかのことは従来から問題になっている、その点につきまして検討が必要なんだとお話しでございましたが、まさしくそのとおりだと私ども思うのでございますけれども、先生はどのようにすれば遺族給付は満足すべき形になるかとお考えでいらっしゃいますか。

馬場啓之助社会保障研究所長

○馬場参考人 お答え申し上げます。  先ほど申し上げたことは、遺族給付の適正な問題ということで、妻の年金権の問題と関連したものを正面から取り上げずに、国民年金に妻も個人として加入できるという形で問題を受けとめておるということが過渡的なやり方ではなかろうかということを申し上げたのでございますが、すでに——これからちょっと現実論になって恐縮でございますけれども、すでに国民年金に妻が加入しておりますものを、これを加入を引きとめてしまうというわけにはまいりません。すでにスタートしております制度でございますので、その制度を廃止するというわけにはまいりません、期待感がございますから。したがいまして、そういう問題を含めましていかにあるべきかということを検討する必要があるだろうということを申し上げたわけでございまして、プラスの面ばかりでなくマイナスの面が出てまいりますので、片方だけというわけにはいかぬだろうということを申し上げた次第でございます。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 先生はそうしましたら、いま国民年金には個人の資格で入っておりますからこれは全く同じ考え方になるわけでございますが、そういたしましたら、厚生年金を支給されることが条件になっておる夫の妻の場合、サラリーマンの妻の場合も国民年金に入るべきであるという考え方と理解してよろしゅうございますか。入った方がいい、あるいは入ればこの問題は解決するではないか、こういうふうな意味だと解釈してよろしゅうございますか。

馬場啓之助社会保障研究所長

○馬場参考人 これは本格的な解決ではないけれども、すでにそういう制度がスタートしている以上、任意加入の形で加入が認められている以上は、加入した方が現状としてはよろしいであろうということを申し上げましたが、それが本格的な問題の受けとめ方でないということは先生のお考えのとおりでございます。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 塩本先生に最後にちょっとお願いしたいのですが、先ほど分娩費を保険で見るという御主張をずっとしていらっしゃいました。この件についてなんですけれども、保険で仮に見るといたしました場合に、保険料が増額されるということは一緒にお考えいただきましたでしょうか。それが国民にはね返ってくるということについてはどういうふうにお考えでございましょう。

塩本順子全日本労働総同盟青年婦人対策部員

○塩本参考人 給付の仕方についてはいろいろな手続があると思いますけれども、もし分娩費を適用して、それによって支払い費用が上ったとしても、その方が日本の妊娠、出産、たとえば妊娠によって死ぬ人はなくなっていくでしょうし、それから母性に対する国の見地というものがずっと転換されると思いますので、その方が望ましいと思います。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 時間が参りましたので、あと一つだけ質問させていただきます。  浅賀先生にお願いしたいと思います。  先ほど来先生のお話しを伺っておりまして、日本には社会保険はあるけれども社会保障はないとおっしゃっていました。まさしくそのとおりだと私どもも大変に残念に考えているわけでございまして、二十年も立ちおくれている日本の社会保障を充実するために、みんなで力を合わせなければならないと考えるわけでございますが、その考え方から、先生がおっしゃった言葉の中で、要するに女性を含んだ人権を基本にした考え方がないからそういうことになっているんじゃないか。ことに女性が格差を生じさせられたり、あるいは差別されたりというかっこうになって、いままで本日出ておりましたような問題が起こっているんではないかというふうにお考えでいらっしゃるように承ったのですが、基本的な人権を基本に置かないで物が行われているということが、言葉をかえますと、憲法十四条の平等権に抵触するというふうに考えてよろしゅうございましょうか。平等な取り扱いをしてないからというふうに理解ができるように思うのですけれども、そういう意味であったと理解してよろしゅうございましょうか。

浅賀ふさ日本福祉大学名誉教授

○浅賀参考人 それはおっしゃるとおりだと思いますけれども、ただ、精神的な、原理的なもの、そういう方から言ったらそうなんですけれども、そこから生まれてくるメソドロジーというものが当然出てこなければならない。たとえば母性保灘の問題も、非常に科学とか、つまり人間学というようなものが伴っていかなければならない。科学がそれによって使われていかなければならない。たとえば日本の母子保健法には、この議事録を拝見しますと、歯科診療のことでこの前何かやりとりがおありになったのを読んでおりますけれども、そのときに、災害給付では歯科診療のことが書いてあるのに、母子の母性給付に当たる、つまり妊産婦の場合に歯科診療という言葉が一つもないって、あの辺で私は非常にメソドロジーといいますか、科学が精神的な主張に伴っていってないと思うのです。厚生省の担当の方の説明を聞いていますと、全然なってないのですね。科学がないのですね。妊娠には歯科診療が大事だということが担当の省のお役人が説明ができないのですね。これは結局、人間を大事にするという精神的な主張がないから、だからそういう科学が生まれてこないのです。ですからそれはよその国と比較してみますと、社会福祉に当たる職員が非常にお粗末だ、そういう結果になって出てきていると思うのです。ですから、それが具体化されなければいけないわけです。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 ありがとうございました。

栗原祐幸自由民主党

○栗原委員長 土井たか子君。

土井たか子日本社会党

○土井委員 まず参考人の諸先生方に、本日はお忙しい中を当委員会のために御出席をいただきましたことを、御礼申し上げたいと存じます。  さて、このILO百二号条約の中身は、社会保障ということを具体的に問題にしている条約なんですが、私たち日本では、御承知のとおりに日本国憲法の第二十五条という条文がございまして、すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活が保障されていなければならないわけでございます。きょうも参考人の先生からそういう趣旨の御発言がございましたが、すでにこのILO百二号条約が採択されて二十三年という長い月日がたってしまっている。その間、一体何をしていたのかという問題も一つございます。それから世界各国を見ますと、もうすでに二十五カ国もこの条約を批准をしている。日本は先進国だ先進国だと言いながら、一体何なんだという問題もございます。つまり、日本でいう最低限度の中身が国際基準でいう最低基準にもまだ至っていないというところが、具体的にこの条約審議をする場合に出てくるわけなんでございますね。  そこで、まず各先生方お一人お一人から簡単にお答えをいただきたいのは、憲法二十五条からいたしますと、国内法としては当然社会保障に関係のある法制度を整備しなければならないはずなんですね。国際的に見ますと、ILOで関係する他の条約がたくさんあると思うのです、百二号は言うまでもございませんが。いまこの百二号以外に、これはできる限り日本として早く考えなければなりませんよ、早く批准してしかるべきではありませんかとお考えになる他のILO条約が御念頭にございましたら、ひとつこの席でおっしゃっていただきたいと思います。  恐縮ですが、馬場先生から順番にどうぞ。

馬場啓之助社会保障研究所長

○馬場参考人 お答えいたします。  具体的にどういう条約を批准すべきであるかということをいまお答え申し上げるほど準備をいたしておりませんので、恐縮でございますが、ひとつお許し願いたいと思います。

島田とみ子東海大学教授

○島田参考人 私は、やはり同じように準備をしておりませんが、一つ念頭にございますのは、母性保護条約百三号、それから老齢給付と遺族給付について百二号よりもっと高い基準を定めた条約がございます、号数は忘れましたが。私は年金制度に非常に関心を持っておりますので、特に女性の老後問題という見地から年金をぜひ充実してほしいと考えておりますので、この遺族及び老齢給付の条約を批准してほしいと思います。

浅賀ふさ日本福祉大学名誉教授

○浅賀参考人 ことしは国際婦人年という立場で、婦人の問題が非常に陥没しておりますから、特に力を入れるべきじゃないかと思います。いまさらこの年になってなんて言われてもいいから、やはりやるべき——私さっきも申し上げましたように、やはり家族とか遺族の年金権の問題と、それからこれは女子だけではないですけれど、老人の問題ですね、老人の問題はもう少ししっかりやっていただかなければならないと思います。そう言っていきますと、じゃ、言わないのはやらなくてもいいかというふうにお思いになると思うのですけれども、これは人間の生活全部にわたるいろいろな問題が入っているのですから、やはり何年後を期してこれ全部を一応最低のところまで持っていくという、特に自民党政府は責任政府とおっしゃる限りは、やっていただかなければ困ると思うのです。

菊池幸子立正女子大学教授

○菊池参考人 きょうは先ほどから婦人の問題を取り上げておりますので、まず第一に女性に関するものといたしまして、ILOの三号というのが一九一九年につくられておりまして、それが改定されて百三号が一九五二年に、母性保護を専門に取り上げたものですね。それから女子労働を中心に取り上げましたものとしては、百二十三号が一九六五年締結されておりますが、残念ながら日本はどれも批准しておりませんので、この百二号に続きまして百三号の批准の推進をぜひ進めていただきたいと思うわけです。  それから関係法といたしましては、今度批准の中に入りましたものですけれども、疾病に関しては百三十号条約ができて給付水準が四五%から六〇%へ上げられております。同様にして老齢給付につきましては百二十八号が締結されて四〇%から四五%へと、それから業務災害につきましては、百二十一号が締結されて各条件に基づいて六〇%まで上げられておりますから、これらについても順次に批准していくのが至当ではないかと思っております。

塩本順子全日本労働総同盟青年婦人対策部員

○塩本参考人 どういう御趣旨で御質問されているのかよくわかりませんので、婦人に関係するものとしては、私たちは夜間労働に関する八十九号、それから母性保護に関する百三、それから同一待遇に関する百十一号条約が特に重要だと思っております。それからILOは五十周年を迎えたときにILOの重要基本条約としてたしか十幾つの条約を挙げていたと思います。そこの中でもたとえば社会保障の最低基準に関する条約も含まれていたし、百号条約だとか百十一号条約も含まれていたと思います。そういう基本的な条約をまず批准する必要があるというふうに思います。

土井たか子日本社会党

○土井委員 外務省から出されておりますことし一月現在の報告では、ILOの百二号条約の批准状況など見てみますと、西ドイツであるとかベルギーであるとかそれからオランダであるとかルクセンブルクであるとか、これを批准した年月は先も後もございますが、中身を見ますと大体九部門について全部基準を充足している国々になっております。いま申し上げた西ドイツ、ベルギー、オランダ、ルクセンブルク等々ですね。こういうありさまを見ておりますると、経済成長が華々しいから九つの部門それぞれについてILOの基準を満たすようになっているとは考えられないんです。日本がこの問題についてずいぶん立ちおくれているという原因は一体どの辺にあるとお考えでいらっしゃるか。それを各参考人から、また簡単で結構でございますから御意見を伺いたいと思います。

馬場啓之助社会保障研究所長

○馬場参考人 お答えをいたします。  先ほど申し上げましたように、各国のいろいろな事情が違いますけれども、私いろいろ比較してまいりまして考えますのは、労使関係に関連いたします法律と、社会保障に関連いたしまする法律とがダブっているような点、あるいは相当表示が違っておりますような点、それらがいま物差しに合わせまして果たして合格するかどうかというときの一つのネックになっているのではないかというふうに考える次第でございます。

島田とみ子東海大学教授

○島田参考人 御質問の趣旨は百二号条約の批准が日本でこんなにおくれたのはどういうわけかという御質問でございますか。

土井たか子日本社会党

○土井委員 そういう意味も含めてでございますけれども、百二号条約の充足をしていかなければならない国際基準からすると、九部門のうちでふうふう言いながら四部門ぐらいしか日本としては今回締結条件について満たしていないという問題があるわけですね。だからそういうふうな状況にあるというのは一体何が日本の場合に大きな原因になっているかというふうにお考えですかということです。

島田とみ子東海大学教授

○島田参考人 わかりました。それは、私はやはり政治の姿勢だと思います。つまり日本では福祉、福祉と言われるようになったのはごく最近でありまして、そして国民の目も真剣に福祉を考えるところにいまやっと来たのではないかと考えざるを得ないわけです。こういう厳しい生活環境が参りましたから、老人問題もふえてきましたから、社会保障の問題というのがこんなに論じられる時代というのはいままでかってなかった。社会保障専門の学者の方に伺いますと、昔社会保障の本は売れないというジンクスがあったそうでございます。それほど学者の方は研究しておられたけれども、政治家は関心がなかった、国会議員の先生の前で失礼でございますけれども。ですから厚生省の予算というものは尊重されていなかったと思います。それから国民一般も関心がなかったのです。ですからいまだに自分の社会保障の権利というものを知らない方がある。それから労働組合が社会保障の闘争をやるようになったのは新しいことでございます。年金ストというふうなことを言い出したのは二、三年前からでございます。組合は賃上げだけをやってきたのじゃないか。労働者の生活保障というものは労働権の保障とそれから社会保障と相またなければだめなんでございます。そういうことを非常に現実的にたとえば私が短い旅行でイギリスでそれを見聞いたしました。労働組合というものは社会保障の制度の推進に非常に力になっております。日本でもやっとそういう体制をとり始めていると思います。ですからそういういろいろな条件が重なって日本の社会保障制度は非常に立ちおくれてきた。ですから、これからやっていかなければならないというふうに考えるわけでございます。

浅賀ふさ日本福祉大学名誉教授

○浅賀参考人 伝統的に言いますと、日本は非常に貧乏であった。貧乏人はなるべく麦を食べる方がいい方でして、野たれ死にしてもすべて切り捨てだったという長い歴史を持っている。それを私は忘れちゃいけないと思うのですけれども、われわれは現代に生きるのですから、現代の社会構造をごらんになりますと、やはり労働側が弱いということなんですね。スウェーデンなんかがああいうかっこうになるまでには、やはり戦争しなかったということも一つの大きな契機ですけれども、それだけじゃなくて、やはり労働側が弱くなくて、労働側が政治に参加するのが早かった。日本の現在は政府、官僚、財界というようなものが癒着して、そして労働側が闘っている。この状態はやはり力の関係ですけれども、その労働側なるものがまたいろいろ分かれて、割れて、現在も共産党と社会党とがどうも手を結べないとかいろいろそういうむずかしい——さっきもちょっとある方と話したが、どうして日本は大きいところで手を握ることができないのか。すぐに割れてしまう。学者の書いた物を見ましても、日本では何か、何か、アンド、オアではなくて、オアだけなんですね。どうしても割れる。そういう習性が日本にあって、源平に分かれてしまう。すべて対立する。もう一つ大きいところで手を握れない労働関係の弱さというものから、労働が参加していない。議員が大分ふえてきたというのはそっちへ向かっているんでしょうけれどもね。そういう意味でもっと大きいところで物を見て、そしてみんなのことを考えていくような政治になるようなそういう政治にしていかない限りは、いつまでも同じことを繰り返すのじゃないかと私は思っております。

菊池幸子立正女子大学教授

○菊池参考人 私は先ほどの説明の中で、いまの御質問の趣旨に答えたいために長々と社会保障の本質論を申し上げたわけなんでございます。あれでおわかりいただいたと思いますけれども、なぜ社会保障がおくれたかということの大きな理由は、経済成長にかけてきたということなんですが、社会保障をやれば生産能率が下がる、これは生産意欲が失われる、停滞するという考え方がいまでも、国会議員とは申しません、為政者の中にはずいぶん深く残っているのじゃないか。私、スウェーデンに長く滞在しておりましたわけですけれども、国会議員を初め、いろいろな立場の方が見学にいらっしゃって、御案内した後で、大変制度はよくできておるけれども、これを日本でやったらみんな働かなくなって生産も下がるだろうというふうなことを薄笑いで見てお帰りになるわけなんです。これは考え方の相違と思いますけれども、社会保障は確かに平等の概念が中心になりますが、これは基本線をそろえるということであって、最低の生活の部類に入っている人を水準まで持ち上げるということで、水準以上にいる人を抑えるということではございませんので、その辺の言葉の誤解もありますね。その結果が、いつも恵まれた条件を持った人は常に優先的にかち取っていて、能力の低い人は幸せが薄いという現在に至っているのではないかと思うわけです。

塩本順子全日本労働総同盟青年婦人対策部員

○塩本参考人 いままでいろんな方が述べられていましたけれども、国の目的とするところが、一人一人の生活水準を向上させようというのが最大の目的ではなかったからではないかと思います。それと社会の発達状況、歴史的背景が重なって現在みたいなことでやっと問題にされ出したのだと思います。

土井たか子日本社会党

○土井委員 それでは特に島田参考人にあと一問だけお伺いをしたいと思います。きょうは島田参考人は特に年金の問題に大変時間を費やしていろいろ御意見を聞かせてくだすったわけですが、私も女性の一人として考えますのに、どうもやはり老後の生活というものをいまの年金制度の中では絶対保障し得ない。そういう点からしますと、いま遺族年金とそれから妻の年金の確立ということ、妻の年金権と言っていいのかもしれません。そもそも生活権でしょう。そういうことをやはり強く考えていかなければならないと思っているのですが、特に妻の老後の生活に対して、二重支給の点から年金制度のいろんな欠陥が女性の側にしわ寄せとして現在ございますから、したがって、それだけではとても生活ができないというのが実態だろうと思うのですが、ひとつその二重支給ということを含めて妻の年金のあり方ということについて御意見が、もし特にいままで御発言を賜ったこととは別にございましたらお聞かせいただきたいと思います。

島田とみ子東海大学教授

○島田参考人 御承知のように女の年金権というのは、被用者の場合は被用者保険に強制加入ですから、これはあるわけです。それから農民とか商業等の自営業者の妻の場合、これは夫が国民年金に強制加入で、妻も強制加入となっておりますから、これは年金はあるわけです。ないのが、さっき申しましたサラリーマンの妻の問題で、これが長い間懸案となっていて、国民年金が昭和三十六年に発足以来、いまだに解決されていない問題であるわけでございます。  なぜこういうことになったかというのは、被用者の妻の老後というものは夫の年金でカバーされるのが本筋である、つまり被用者年金は妻と二人分である、そういうたてまえにいまの制度ではなっておるわけでございます。しかしながら、国民年金創設当時に、サラリーマンの妻については国民年金に任意加入としようという暫定的な制度がつくられたわけでございます。だから、加入してもしなくてもよろしい。で、最初余り加入しなかったのです。ところが、このごろ年金への意識が非常に高まってまいりまして加入がどんどんふえております。推定によりますと、約一千万人のサラリーマンの妻のうち五百万人はすでに任意加入をしたということが言われております。そういたしますと、この任意加入をした妻たちは、自分の老後について自分の固有の年金が必要であるから入ったんだということになるわけでございます。そうしますと、加入しない五百万人の妻についても同様なことが言えるのじゃないかというふうに考えるわけでございます。第一、農業や商業等の自営業者の妻を強制加入とした理由について、厚生省の資料によりますと、これからは妻も個人として自分の年金を持つ必要があるということがはっきり書かれているわけでございます。それと同じことはサラリーマンの妻について当然言うことができるんじゃないかというふうに私は考えるわけでございます。それじゃ被用者年金で妻をカバーしている現在の制度の立て方等をどうするんだ、これが非常に難問になりましていままでほっておかれたということでございましょう。しかしながら、いまの被用者年金の年金額が果たして妻と夫の二人分の年金額に到達しているのかどうかということを見ますと、絶対そうではありません。たとえば厚生年金の平均支給額が現在約四万六千円です。これでは一人の老後も保障できない。ですから当然妻は入らざるを得ないわけです。ですからどんどん任意加入しているわけでございます。公務員の方の奥さんもどんどん任意加入していらっしゃる。厚生省の役人の方の奥さんも皆任意加入していらっしゃるというふうに聞いております。そういう事態になれば当然サラリーマンの妻は強制加入とすべきではないか、そして年金権を確立すべきではないかというふうに私は考えます。  ただそこで問題になるのは、いま土井先生がおっしゃった二重支給の問題が出てくるわけです。それは、厚生年金に加入している夫がいる、妻は国民年金である。この夫が死亡した場合にその妻に遺族年金が出ます。で、その妻が六十五歳になりますと国民年金をもらう。従来の遺族年金も同時に支給される、そのまま続けて支給される、こういう事態が起こってくるわけです。現在すでにそういうのがあるわけです。それはそのままにしてあるわけです。というのは、一つは年金額が低いですからそのままにしてあるんだろう、いまのままではどうにも制度を動かすことができませんからそのままになっているんだろうと思います。  それで、遺族年金を引き揚げた場合にどうするか。これは労働組合等でもこの問題を論じております。これはつまり、妻が国民年金に入って夫も国民年金の場合そういう事態は起こらないのです。老齢年金一本だけで二つもらえないのです。ですからもらう方はいいでしょうけれども、もらわない方は何だということになりまして不公平でございます。だからこれは何らかの手を打たなければならないということになります。その場合、やはりその併給の場合の天井を設ける、幾らにするかということはその時代時代によって決めるべきであり、天井を設けるのがいいんではないか、あるいは国民年金の老齢年金だけで妻の老後は十分に保障されるようになればそれは打ち切ってもいいんじゃないかというふうに私は考えております。  それで、その妻の老後の問題、いわゆる女の老後の問題というのは、女の経済力は御承知のように非常に弱いのです。しかも夫よりも長生きするのです。現在六十五歳以上の老人ではおばあさんの方が圧倒的に多いわけなんです。つまり夫と死別した女性がたしか四、五倍多いと思います。妻と死別した夫よりも多いわけです。ですからこれからますますそういうおばあさんがふえる。その経済力のない女の老後をどうするかということを、重大な問題としてぜひ考えていただきたい。  以上でございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 どうもありがとうございました。

栗原祐幸自由民主党

○栗原委員長 竹内黎一君。

竹内黎一自由民主党

○竹内(黎)委員 私もまず参考人の諸矢生方に対し、有益なお話しを聞かせていただくことを御礼を申し上げたいと思います。  すでに同僚議員から私が伺いたい点について触れた点もございますので、私はただ一点、御意見を伺いたいと思います。  それは家族給付あるいは児童手当に関連する問題でございますが、残念ながら今日の児童手当では、このILOが示している基準に達しないということで、今回この義務を受諾はできないわけでございまして、私どもは大変遺憾に思うわけでございますが、さらにこれからの拡充を図ってまいりますときにどうしても避けることのできない問題は、先ほど馬場先生からも御指摘のありました家族手当の問題でございます。したがいまして、家族給付あるいは児童手当というものを拡充していく際に、この家族手当というものをどう考えたらよろしいか、この点、馬場先生とそれから塩本さんからひとつ伺いたいと思います。

馬場啓之助社会保障研究所長

○馬場参考人 お答えいたします。  家族手当につきましては、御存じのとおり基準内の中に入っておりまして、これを児童手当に振りかえるということは恐らくむずかしいのではなかろうかと思います。私は、家族手当というものはすでに制度として確立しておりますし、これは存続すべきものであるというふうに考える次第でございます。

塩本順子全日本労働総同盟青年婦人対策部員

○塩本参考人 家族給付の点についてはよく勉強をしていませんので明確な答弁になりませんけれども、現在の日本の支給額をもっと三から四倍にしなければこの条約が批准できないわけですから、児童手当の支給の仕方、たとえば三子からというふうなやり方、それはほぼ満たされたということ、そういう支給の金額とそれから対象の問題ということについて、現行の制度をさらに拡充する方向がとられるべきであるというふうに思います。

竹内黎一自由民主党

○竹内(黎)委員 馬場先生のお話しでは、家族手当は基準内賃金にも入っているし、これをにわかに廃止するのはむずかしいだろう、したがって、当分家族手当と児童手当制度は併存していくべきだという御意見のように伺いましたけれども、それでよろしゅうございますか。

馬場啓之助社会保障研究所長

○馬場参考人 お答えいたします。  併存すべきである、べきということを申し上げたのではなくして、現状のもとにおきまして家族手当というのが労使関係におきまして非常に重要視されておりますし、また毎年の賃金決定の場合におきましても労使交渉の一つのポイントになっておりますので、これを変えるということはなかなかむずかしいことではなかろうか。現状の状態のもとで申し上げたわけでございまして、べきということを申し上げているわけではございません。

竹内黎一自由民主党

○竹内(黎)委員 わかりました。先生はまた中労委の方でこの方面の権威であり、実態を御存じでございますから、なかなかむずかしいという御指摘、私もわからぬわけではございません。しかし、いまの日本の賃金体系の中で家族手当が一体どの程度の地位を占めているものか、私も若干調べてまいりましたら、二%強、この程度だろうと思うのですね。ただ、私もやや意外に感じますのは、この家族手当を採用している企業のパーセンテージが、実にわずかなスピードでありますけれども、年々伸びておりますね。ごく最近の数字でいきますと、大企業、中小企業を含めて大体七十数%が家族手当制度を採用しておる、こういうことでございますので、なるほどこれをやめるということはなかなか抵抗があろうかと思うのです。しかし、先生、体系として考えてみたら、やはり将来は児童手当あるいは家族給付の方に吸収さるべきものだ、こう理解してよろしいですか。

馬場啓之助社会保障研究所長

○馬場参考人 お答えいたします。  家族手当がいまの労使関係の賃金交渉におきまして潤滑油的な役割りをしておりまして、賃金のベースアップに関連いたしまして、この点では不満が残るけれども、家族手当でもって補うというようなことでまとまっているというケースが経験上かなりございますので、これを動かすということははなはだむずかしい。それなら児童手当はどうだということになりますが、児童手当は御存じのとおり第三子から、しかもこれは義務教育終了以前の者でございまして、この考え方といたしましては、多子家族に対する児童養育の補給という意味を持っておりまして、性格的な意味が違っております。企業の労使関係の家族手当というのは、私、いま潤滑油ということを申し上げましたけれども、いわゆる企業の中での企業に対する帰属意思をある点においては助長しておるという意味で、目的なり性格が違いますので、私これを比較いたしまして、いずれが是であるとかいずれが非であるとかいうことを申し上げているわけではございませんので、お含みおき願いたいと思います。

竹内黎一自由民主党

○竹内(黎)委員 終わります。

栗原祐幸自由民主党

○栗原委員長 渡部一郎君。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 先ほどから参考人の諸先生方のお話しを承りまして、いろいろの点で教えられるところがまことに多いのでありますが、まず私は、外交問題を扱う者といたしまして、このILO百二号条約が昭和二十七年の第三十五回国際労働機関の総会で、社会保障の最低基準に関する条約として採択されたにもかかわりませず、今日に至るまで非常な長い時間を経ておる。この点諸矢生方の御意見を、まずこの条約の批准についての立場からちょっとお伺いをしたいと思うわけであります。  ただいま議題になっております百三号条約がなぜこんなに遅延したのか、そしてどういうふうにすべきであるか、また関連のものについてはどういうふうに扱うべきであるか。一部はお答えになっておられますが、各先生からお答えいただきたいと思います。

馬場啓之助社会保障研究所長

○馬場参考人 お答えいたします。  御存じのとおり、わが国の社会保障がスタートいたしましてから成熟いたしますのに非常な時間がかかっております。これは一つの条件といたしましては、人口の老齢化のスピードが、ちょうど一九四〇年ごろでアメリカとかイギリスとかスウェーデンというようなところで従属人口指数が最低になりまして、老人人口指数が一二、三%ということになりまして、その時期からいわゆる社会保障という考え方が、普遍主義の原則に基づきまして、労働者だけでなくて、国民全体についての社会保障という考え方が出てまいりまして、それがスタートいたしました。ちょうど一九四〇年に相当いたします従属人口指数が最低になったという時期が日本では昭和四十五年、一九七〇年で、その間人口構造から申しましても三十年ほどの開きがあり、それぞれの社会情勢も違っておりますので、そういう点で、御指摘いただきましたように、社会保障の整備という点について日本としては立ちおくれておったのだということが言えるかと思います。  以上でございます。

島田とみ子東海大学教授

○島田参考人 先ほど申し上げたこともお答えの中に入ると思うのですが、一九五二年というのはわが国の戦後七年目くらいですから、混乱をやっと脱して独立したときで、日本はまだ社会保障どころではなかったと思います。その後も社会保障に対するニードというものが国民の中でさほど強く叫ばれなかったという事情はあると思うのです。  それともう一つは、やはり政治が社会保障を大事にしてこなかった。それが立ちおくらせた。そういう政治を生んだ原因は、根本的には人間を大事にするという思想がわが国では定着しなかった。定着がおくれた。いまでもまだ定着していない面があると思います。だからこそ福祉、福祉と私たちは言わなければならないのでございます。社会保障というのは、人間が生きる権利を守るということが根本になっているわけです。私たちはだれでも生きる権利がある。よりよく生きる権利がある。そのための社会保障の充実それから働く権利の保障、それが政治の要諦であるというふうに私は考えております。それが立ちおくれた、そういうふうに考えております。

浅賀ふさ日本福祉大学名誉教授

○浅賀参考人 同じようなことを申しますかもしれませんけれども、私、日本人の文化と非常に結びついて考えられると思う。皆様方お若いですけれども、私、救護法が初めてできたときのことを知っているんですけれども、あのときに政治家もお役人さんも全部、貧乏ということは恣意的なものだ、勝手に貧乏しているんだ、それを国が、救護法が——それまでは明治の初めの恤救規則ですか、あれでずっとやっていて、初めて近代的な救護法というのができたのは昭和四年、五年ですね。それでしばらく置いておいて、やっと実施されるというような状態で、それもやっと米を買うぐらいの値段しか救護されない。それでも、国民は権利意識ないんです。というのは、長い間貧乏になれて、お殿様が通るときには、下におろうで、そういう生きる権利とか人権とか、人権なんというのは、第一、帝国憲法は人権なんて認めないんですからね。やはりこういうところに根本的な問題があると思うのです。人権というのが初めて首を出したのは戦後なんです。戦後直後はじゃ急に変わるかというと、それはちょっとなかなか変われない、体質というものは。それともう一つは、何もかもなくなって、敗戦でどうしても資本蓄積しなければやっていかれないというような非常にぎりぎりの状況から立ち上がるために、まず金もうけ、一軒の家庭ならまず金もうけ、ちょっと貧乏な人は、よく手記にありますけれども、あのときにお金があったら子供を死なせないで済んだがというようなことがありますが、それとちょうど同じような状況がずっと続いて、それで高度成長が始まる前に、政治家でちゃんともう少し目の見える方がいて、いまこうなったんだから今度はこういう方へ少し軌道修正しなければいけないというような、そういう目の見える——私がなっても同じようなことをしていたかもしれませんから、決して責めているわけではないのですけれども、それだけの目の見える政治家がいらっしゃらなかったと思うのです、結果から見て。それでいまここへきたわけです。  人権思想というものは、同時に責任感、自分が主張するだけの責任を果たすという市民性、私はこれは市民性と言うんです。国民性といいますか、つまり国民である権利と責任とをわきまえた、そういういわゆる大人の社会人ができていかなければならない。やはり本当にいい社会保障が進んでいくためには、それが根本になくちゃならないと思うのです。ただ欲しい、欲しいで楽になればいいという問題ではない。安全を守るという政治の責任と同時に、個人一人一人の責任というものがやはりなくちゃいけない。そういう、どう言ったらいいですか、教育の中に政治教育といいますか市民教育とか、そういうものがずっとないんじゃないかと思うのですけれども、非常に複雑に考えるといろいろな問題が出てくると思う。教育の問題からいろいろ出てくると思うのです。その辺皆さんにひとつ大いに指導していただきたいと思っております。

菊池幸子立正女子大学教授

○菊池参考人 社会保障がなぜおくれたかということにつきましては、先ほどから何度か申し上げているわけですけれども、やはり社会保障の原点を忘れた。本質的な考え方を忘れて、目先のことばかりにとらわれてきたということになるんだろうと思いますが、一九五二年、この百二号条約が締結されたころの日本は、ほかのすべての参考人がおっしゃっておられますように、非常に貧しかったということ、日本のすべてが貧しかったということ。したがって、国際的視点に立って物を見る余裕はなかったということですね。それにもう一つは、人権意識が芽生えていなかった。そういう悪条件が重なった中で、とにかくこの貧しさを乗り越えるためには働かなければならない。力ある限りを尽くして働けということで、国の中でだけ競争することを強調してしまっていつの間にか二十三年たった。ところが、そこで見回してみれば、諸外国ではすでにすべての九項目についてもう十三年前に批准した国がたくさんあるし、経済面だけ成長しても保障の面では非常にアンバランスになってきたという問題があるわけです。この点を解決するにはどうすればいいかということになりますけれども、これはいまとにかく批准を済ませてそれでいいということではなくて、これを契機にして社会保障というものに対する関心を高めて、次々と実行の計画を具体化していくということになるだろうと思います。

塩本順子全日本労働総同盟青年婦人対策部員

○塩本参考人 百二号条約がなぜこんなに批准がおくれたのかということは、やはり日本の社会保障制度の発達が非常におくれているということに尽きるわけで、しかし、それでも日本の社会保障制度そのものを見れば、制度的にはいろいろなものは一応全部あるわけですから、その内容面について、とにかく制度だけはつくったという状態で、これからその中身をどうしていくかという段階ではないかと思います。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 それでは菊池先生にちょっとお伺いするわけでありますが、先生はヨーロッパの方もごらんになって特に比較されておられる由、先ほどから承っているわけであります。わが国の残りの五部門、これはきわめて低水準である旨の御発言があったわけでありますが、この深刻な問題をどういうふうに考えておられるのか。現状に対する評価、あるいは今後に対してどういうふうにしていくか、その辺も含めて御返答を賜りたい。  並びに、この百二号条約が社会保障の最低水準を明記したということで、逆に言いますと、政治的には五部門の問題は取り残される危険性さえあるという批判があるわけであります。ですから、私どもは批准を進める立場にございますけれども、婦人団体のあるグループからは、むしろ条約の批准は待てというような御意見さえも出ておる。それほど批判がある、こういう状況になっているわけであります。この辺も含めまして、これら五部門の問題についてちょっと触れていただきたいと思います。

菊池幸子立正女子大学教授

○菊池参考人 このたびの政府から出されました提案理由の説明によりますと、当面義務を受諾しないその他の部については、諸条件の成熟を待って受諾することが適当であると認められる時期が来たら、随時、条約第四条1の規定に基づき政府において当該部の義務を受諾する通告をする、とございますわけですが、国民としてはこれをこのまま承服するわけにはいかないんでございます。と申しまして、昭和何年の何月何日までにこの部門の義務を受諾するということをこの国会で確約しろと申しましても、これは無理なことだとは思いますが、少なくとも具体的な実行の計画を示してもらわなければ困るということを申し上げたいわけでございます。先ほども申しましたが、この取り残された五部門は十三年前にすでに多数の国が批准している非常に重要な部門でございます。もう一度ちょっと繰り返さしていただきますならば、家族給付、それから母性給付については九カ国ずつ、遺族給付は六カ国、廃疾については七カ国、そして医療については十カ国、これは現在ではございませんで、十三年前の時点でこれだけの国が批准をしております。それに合わせて西ドイツとかベルギーなどは九部門そろえて批准を行っているわけでございます。この残された部門を具体的に実行計画を進めていくという場合に一応どれを優先的に取り上げるかということになってまいりますけれども、私これを考えてまいりますと、まずすべての児童の平等な人権を保障するという意味では、これは児童手当法の改正を当然要求しなければならないし、すべての人間の所得保障という意味では遺族給付ももちろん重要であるし、どれもこれも優劣はつけがたい重要なわけでございますけれども、やはりここは私は女性、婦人という立場に立ちまして、医療の中に含まれております妊娠と分娩の問題、それから母性給付と関連づくところを明らかにして十分の保障が行えるような水準にまで持ち上げていくことが最大の急務ではないかと考えるわけでございます。したがって残された九部門のうち、あえて順序をつけますならば、第八部の出産給付、母性給付ですね、その次は第二部の医療、そして第七部の家族給付、第十部の遺族給付となるわけでございます。こういったような、これは仮に私がつけた順序ではございますが、これに保障水準を高めるために、どんな計画で、どんな方法で、当然研究、調査もしなければならないでしょうし、国際的な比較も行わなければならないでしょうし、そしてその結果に基づいて国内法を強化することになるわけですけれども、そういったような基本計画をやはりこの国会が終わるまでに示していただければ、国民は、特に婦人は大変に安心をするのではないか、そしてもろ手を挙げて批准を喜ぶのではないかと思うわけでございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 ただいま非常に示唆に富むお話しでございますが、医療制度というものは、私どもが拝見しておりましても部分的に非常にばらつきがあるような気がいたしているわけでありまして、給付面においてはいろいろ問題があるように思っているわけであります。先ほどから御指摘がいろいろありましたけれども、医療給付の中では、特に分娩費であるとか差額ベッドの問題、付添看護料の問題、無医村の問題等いろいろあるわけでございますが、全部挙げますとお話しもとても広がりすぎますので、菊池先生がいま御指摘になりました分娩費の問題につきまして御意見をいただきたいと思っております。

菊池幸子立正女子大学教授

○菊池参考人 この分娩の問題を出産給付と考えるわけでございますが、これは私が最初に述べましたように、出産というのは、確かに産むのは婦人に限られておりますけれども、基本的には、産まれてくる子供の生命を保障するということと、民族の将来の発展に連なる問題としてやはり男女の協力の問題になるわけでございます。  ところで、この問題を日本では健康保険法の第五十条を適用して扱っておりますが、先ほどからいろいろ話題が出ておりますように、分娩費につきましては、被保険者は産前産後六週間、標準報酬の月額の五〇%で、最低保障が六万円である。それから被扶養者におきましては六万円の保障ということになっているわけでございますが、現金給付であるために一部負担が残される場合がある。最近のような高物価になってまいりますと、一部負担どころではなくて半額あるいはそれ以上負担になっている場合が多いかもしれません。それから育児手当金は一回だけ二千円となっておるわけでございますが、この百二号条約におきましては、現物給付であって、医療費の一部負担を認めない、これが最低の水準でございますから、ぜひここまで持ち上げていかなければならないと思うわけでございます。  ちなみにヨーロッパの国の状況をちょっと申し上げますと、たとえば西ドイツにおきましては、母性手当として収入の一〇〇%、これは産前六週間産後八週間が保障されております。医療はもちろん現物給付になっておりますし、児童手当や出産一時金としまして、第一子について大体五千円ぐらいだと思いますが、二子、三子と多子になるに従って手当金がふえていく、最高十万円ぐらいというふうに計算されているわけです。それから看護手当が六カ月間ついております。もう一つは、フランスにおきましては、出産手当としては、金銭給付として収入の五〇%が産前六週間産後八週間出されておりますし、医療給付は現物給付でございます。それから保育手当としましてはミルクのクーポン券が月に十から四十フランですから大体千円から三千円ぐらいついているわけですが、さらに母性補助金といたしまして産前九カ月間は現金支給ということになっております。  これらの先進国と言われるヨーロッパの国と比較いたしますと、経済大国である日本の水準がいかに低いかということがおわかりいただけるだろうと思います。少なくともここまでは持ち上げていきたいというのが私の考えでございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 どうもお話しを伺えば伺うほどひどい差があるように見えて仕方がないわけでありますが、いま当委員会においては決議案が上程されて今後の審議の促進が誓われているわけでありますが、お話しを伺うと、これはいままで何をしていたのかということを政府にもう一回問いたださなければならぬという責任を私、大いに痛感しているところでありまして、これほどまでに枠が外れているとはちょっと思わなかった。  最後にちょっとまとめでお伺いするわけでありますが、わが国がいま批准しようとしているILO百二号条約の基準を上回る百二十一号条約、百二十八号条約、百三十号条約、これをさらに上回る制度を有する国々が出現していることを考えてみまして、わが国の社会保障の充実強化というものは、ここは外務委員会ではありますけれども、きわめて早急に急がなければならぬという感じを深くしているわけであります。諸先生方皆さんからお話しを伺うのがよろしいのですが、時間が来てしまいましたので、菊池先生、最後にひとつまとめましてこの社会保障の充実強化につき御発言をいただきたいと思っております。

菊池幸子立正女子大学教授

○菊池参考人 一般論になりますけれども、社会保障の充実強化につきましては、いままでのすべての参考人がおっしゃられたことの総まとめかと思うわけでございます。私はこの条約は二十六番目の批准であるという、これは順序がおくれたというばかりではなくて、締結してからすでに二十三年を経ており、発効してから二十年間もたっているわけでございますので、変動の激しい現在の社会状態におきましては、当然生活の欲求も高まってきておりますし、また経済価値も変わっているために、保障水準も締結した当時よりも順次に上がってきているというのが当然でございます。それに見合わせてILOの方では、たとえば、先ほど申し上げましたように、疾病については百三十号条約、老齢給付については百二十八号条約、それから業務災害につきましては百二十一号条約が締結されて、これらを批准している国もあるわけでございます。しかし今回、日本がこの批准を行いますについて私の立場を申し上げますならば、時代おくれだから批准は無意味だとは申しません。おくればせながら四部門でも批准しないよりはした方がよい。基本線についてはもちろん賛成でございます。ただ、重要な五部門が残されるわけですから、この時期をもって国民全体が社会保障に関心を持つ一つの契機としていただきたいということを常に申し上げたいわけでございます。すべての人間の平等な権利の行使という目標に基づいて、現実生活に振りかかる危険に対して社会が提供する保障であるというこのILOの趣旨に基づいて、保障水準を高めるために努力していただきたい。当然これにつきましては国民も責任があることでございますから、人権意識を高めていって、国民の要求を常に国会に反映させるということも一つの方法でございますけれども、その場に立たれた方は、批准してしまったから、やれ安心、これでいいということで置き去りにされないようにということはくれぐれも申し上げたわけでございます。私、先ほどもちょっと申し上げましたが、どうもこういう法律問題になりますと、常に専門家の方は条文の解釈、それから施行上の技術ということが大変時間をかけて論議されるわけでございますけれども、本質的な趣旨は忘れ去られるということがございます。ここのところを十分考えていただきたいと思うわけです。  最近は何事につけましても原点に帰れということがしばしば行われております。社会保障こそこの原点に帰らなければならないわけで、この原点を忘れた社会保障は、どれだけ金額の給付をするかというふうな技術的な面の展開をさせてしまうわけで、これでは全く意味がないということを繰り返して申し上げたいわけでございます。

栗原祐幸自由民主党

○栗原委員長 どうもありがとうございました。  これにて、参考人に対する質疑は終わりました。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、本件審査のため大変参考になりました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。  速記をとめて。

栗原祐幸自由民主党

○栗原委員長 速記を始めて。  引き続き質疑を行います。金子みつ君。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 私は、きょうはILO百二号条約の中の幾つか、九つあります部門の中で、今回の批准から外される見通しになっております部門の中の遺族給付の部門について少し質問させていただきたいと思っております。  御案内のとおりだと思いますが、この遺族給付に関する国連の考え方は、家長または扶養者の死亡等による喪失に基づく扶養のニードを満たすための給付ということになっております。そこで、被扶養者であった者、要するに、日本の場合は遺族という言葉を使いますが、この人たちが自立できるということが条件でこの遺族給付というものは考えられなければならないというふうになっているわけでございます。先ほど来参考人の方々からいろいろこの件につきましても御意見や、あるいはいろいろなお考えを披瀝していただいたことをお聞きになっていらっしゃったのではないかと思いますが、日本の場合には、厚生年金の被保険者の方の妻が受けます遺族給付は、夫が受ける年金の二分の一、五〇%ということになっているわけでございますね。これは具体的に言えば、一番最近の数字では四万六千円の二分の一ですから二万三千円ということになります。最低保障は二十五万四千四百円ですから、月額に直せば二万一千二百円ということになるわけでございます。これだけは保障されているということなんですが、先ほど参考人の方のお話しにもありました、生活保障の給付よりも少ないではないかというお話しもございましたし、さらにそれにつけ加えて、総理府が昭和四十九年に出しております調査の中で、勤労家族の中の一人の生活費の最低が三万三千円と出ております。それから比べて見ましても、いずれも自立できる保証はないというふうに考えられるわけでございます。  ここでお尋ねしたい、あるいは確認させていただきたいと思いますことは、遺族給付が、妻は独立した人格として扱われていない、夫の付属物という考え方がありますがゆえに、扶養者の年金は二人分と考えて妻はその半分の二分の一、こういうふうに考えて二分の一という線が出たのかどうか、この点の確認をさせていただきたい。

曾根田郁夫厚生省年金局長

○曾根田政府委員 日本の被用者に関する公的年金制度の場合に、遺族給付のレベルがおおむね老齢給付の二分の一ということになっておりますが、これはおおむね恩給制度以来の考え方でございまして、確たる理論的根拠も必ずしもないようでございますけれども、厚生年金について申し上げますと、厚生年金は戦前の昭和十六年にできたわけでございますが、その際に遺族給付というものは現在の形とは違っておりまして、老齢年金の受給資格期間を満たした人、つまり二十年以上この制度に入った人が亡くなった場合に原則として出る、そういうような考え方でございましたために、社会保障的な考えというよりはむしろ財産権の移転というような考え方も多少あったような、そういうふうに聞いておるわけでございます。したがいまして、現在の時点でこの二分の一というものは、社会保障的な立場から見まして果たして妥当かどうかについては、確かに問題があるというふうに考えております。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 そういたしますと、先ほど参考人の方々の口からも出ておりましたし、説明もされておりましたが、西洋諸国の年金給付の場合と日本の場合とはものすごい格差があるということがよくわかるわけでございます。  そこで、いま局長が、この二分の一という数字がはっきりした根拠もないものであるというようなこともおっしゃいましたし、あるいは妥当であるかどうかということも疑問があるというようなお答えでありましたから、それならば、そんなに疑問があったり、あるいは妥当かどうかというようなことを考えるというような時点に立ち至っているのでありますならば、この際これをもっと妥当性のある、あるいは意味のある数字に置きかえるということ、制度を直すということを考えてごらんになってはいかがか。もうその時期が来ているのではないかというふうに考えるわけですが、先ほど来その二分の一に大変こだわるようでございますが、私は、むしろこれは遺族として、家族がといいますか世帯が、夫がいなくなった残った家族、世帯当たりこれを引き継いでいくという考え方にして、そして夫が受けるべきであった年金は、そのまま減額しないでその残された世帯に譲っていくべきだというふうに考えますが、そういうことをそういうふうに考えてごらんになっていただくことはできないでしょうか、どのようにお考えでいらっしゃいましよう。

曾根田郁夫厚生省年金局長

○曾根田政府委員 ただいまの質問にお答えいたします前に、先ほど私が申し上げましたのは、二分の一という算定基礎そのものに確たる十分な理論的根拠があったかどうかは疑問であるということを申し上げたわけでございます。  それからただいまのレベル引き上げの問題でございますが、この世帯単位という考えは、現在でも遺族のそれぞれ態様に応じまして、基本年金額のほかに加給年金額というものも付加されるという仕組みになっておりますので、要は全体としてのレベルをどう考えるかということだろうと思いますが、それにつきましては御案内のように、来年度が厚生年金あるいは国民年金の再計算期、繰り上げの制度見直しの時期でございまして、目下私どもの関係審議会で事前の検討をすでに開始いたしておりまして、その際における問題点の一つとして議論されておりますので、私どもも、まあその結論を待ってでございますけれども、できるだけ前向きの姿勢でこの問題に取り組んでいきたいというふうに考えております。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 そういういい機会が来ているのでございましたら、その機会に是非前向きでしていただきたいと思いますが、その際に、いままでずっと参考人の話し合いの中にも出てまいりましたけれども、日本における場合は妻あるいは婦人が一人の人格として認められていないという考え方に立って物が進められてきているというところに問題があるというお話しが大分出ておりました。お聞き及びのとおりだと思います。そこで、今度考えられるときにその考えは改めて、妻あるいは婦人というものを対象に考える場合には、これは特別な考え方でなく、差別した考え方でなく、平等に基本的な人権を認めるというその基盤に立った上で考え方を進めていっていただくということが必要だろうと思うわけですけれども、その点はそういうふうに確認してよろしゅうございましょうか。

曾根田郁夫厚生省年金局長

○曾根田政府委員 妻の年金権の取り扱いでございますが、厚生年金の方は一応妻は加算の対象あるいは遺族給付の対象ということで、厚生年金全体としては世帯単位的な考え方をとっておったところへ、昭和三十六年の国民年金の発足に当たりまして、国民年金は諸般の情勢から文字どおり一人一人が個人的に加入する、そういう仕組みをとったために、厚生年金の妻の取り扱いの問題が非常に重要な問題としてクローズアップされてきたのでございますけれども、ここでその妻の取り扱いが厚生年金の場合に従属的である、あるいはこれを独立の立場でとらえなければ保障が十分でないのではないかという考え方は、必ずしもこだわる必要はないのではないか。国民年金、厚生年金全体を通じまして、要するに一定の事故に遭遇した女性の保障が十分行われるような体制に持っていくということが大事なんであって、その点はまた非常にむずかしい問題でもございますけれども、私はどうも必ずしもこれを単純に右か左かに割り切ることはいかがなものであろうかというのが現在の考え方でございます。しかし、いずれにしましても要はそういう女性の実質的な保障水準を引き上げるということでございますので、その点につきましてはできるだけ努力をいたしたいというふうに考えております。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 一つお尋ねしたいことがあります。  老齢福祉年金の夫婦の場合のことですけれども、妻が老齢福祉年金を受ける要件が整ってきたときに、夫婦ともその対象になりますね。その場合に支給額が一部制限されるということはいまでもございますか。

曾根田郁夫厚生省年金局長

○曾根田政府委員 これは年次はちょっとはっきりいたしませんけれども、法律改正で支給制限の措置はすでに撤廃されております。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 いま局長は、婦人とか女性とかそういうことを一々意識するというよりもむしろその婦人の生活が守られるというようなことを前提に考えて準備がされればいいんではないかというような意味合いのことをおっしゃったと私は伺ったのですけれども、そうだといたしますと、ずいぶんいろんなことを思い切って改正していただかなければならないということになるだろうと思うわけです。いま扱い方が、私どもも理解に苦しみますが、たとえば厚生年金の場合ですと、妻という扱いになっておりますね。その同じ女性が国民年金の場合ですと一人の女性——女性も男性もありません、一人の人格として取り扱われている。同じ女性の場合に、片方は国年の本人であり、片方は厚年の妻であるというような、大変にとらえ方がまちまちになっているという点が非常に複雑になってくる。それでその問題が結局大変に不合理を生み出してくるんじゃないかというふうにも私たちは考えられるのですけれども、この次に、五十一年度の改正されるその時期に、こういった不合理な点を改正されるという御意思がおありになるかどうか伺いたい。

曾根田郁夫厚生省年金局長

○曾根田政府委員 妻の年金権に絡みましていろいろの問題がございますので、先ほど申し上げました関係審議会にも御審議願っておりますし、私どもできるだけ一つずつ解決いたしたいと思っておりますが、全体の問題、ここですべての問題点を解決するということは、その方法いかんによりましては、既存の厚生年金なりあるいはまた国民年金制度に非常に大きな影響を及ぼすことになりますので、現在被用者の妻にとって一番問題になっておる点はどこであるか、たとえば夫と死別した場合の遺族給付あるいは現在の加給金、そういったものが十分なのかどうか、それから離婚した場合の問題等々でございますけれども、優先度の高いものからできるだけ解決していきたいというふうに考えております。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 問題はいろいろあると思います。たとえば日本では離婚した場合には、まあ離婚した人を妻と言わないのかもしれませんけれども、妻であった女性は年金権を喪失してしまうとか、あるいは若い時代に働いていて、結婚退職をして一時金をもらって家庭に入って、そして事情があって再び仕事についた場合には、やめる前に払っていた厚生年金の掛金は全部掛け捨てになってしまったとか、そういった婦人にとっては非常に不利な点がこの年金制度の中には幾つもございます。そういうものを整理していただかなければならないと考えます。ことに、先ほど参考人の方もおっしゃっていらしたのですけれども、私もこの前の時間にほかの立場から申しましたけれども、日本の人口問題から考えれば、将来老齢人口が非常にふえていくということは明らかな事実でございますし、特にその中でも女性は男性よりも五年間長生きをするということになっておりますから、女性の老人が男性よりもふえるということがもうはっきりわかっております。そういうようなことが目の前に明らかにされておりますところへもってきて、最近現在の日本の女性の老人が生活が守られていないということ、年金権も認められていないし、それからそれに基づいて、言葉をかえれば生活権になりますが、これも十分に守られていないというような事実から非常にいろいろな問題が起こっているわけです。  御承知だと思いますけれども、これはせんだって朝日新聞に載っていた記事ですけれども、「コレホドタイセツニシテモライナガラ ジブンノミガイヤニナリ コンナシマツニナリ ユルシテヲクレ」、こういう書き置きを残して七十七歳になるおばあさんが自殺をしております。これはこういうおばあさんたち、新潟県の農家でございますけれども、働くことだけが楽しみだった人たちですね。それが体のぐあいが悪くなって、老齢になりましたので思うように働けない。そうすると、家族に迷惑をかけるということだけが頭の中にあって、非常に生活しているのがつらい。寒いからといって電気毛布を家族は心配して用意してくれても、電気がもったいないからといってそれを使わない。そういうような倹約をする生活になれている人たちなのですね。こういう人たちは、これは新聞に出ていたのは一例にすぎないのであって、いわゆる東北あるいはその他の僻地と言われる過疎地、そういうところの取り残された老人の典型的な生き方じゃないだろうかというふうに、この記事に対して大学の先生も意見を添えておられますが、こういうことがたまたま一つ新聞に載ったというだけであって、幾つもないことはないと私は思う。その証拠には、この記事の載った新潟県は、日本ではおばあさんの死亡率日本一でございます。それから日本の場合は、外国に比べれば、六十五歳以上の老人の死亡率、今日では日本は四位になっております。男女合わせた場合四番目になっておるようですけれども、女性だけの場合は七十歳以上は日本は世界一になっています。こういうことを考えますと、よその国は女性よりも男子の方が多いのです。これは自殺でございます。自殺率でございますけれども、日本の場合の女性のお年寄り、おばあさんの自殺率が高いというのは、やはり長いこと女の人が独立した生活を営んでくるという習慣がなかった。何事も夫に頼ってきたという依存的な生活様式が慣例になっていた。それが起因しているとは思います。とは思いますけれども、そうだからといって、その結果こういうことが起こることをそのままにしておくことはもちろんできない。そこでこういう問題がこれからも必ずきっと起こるだろうと思いますが、その場合に国としてはどうやってそれを防ぐか、これを防ぐためにはどうするのか、その政策についてお考えがあったら聞かせていただきたい。

曾根田郁夫厚生省年金局長

○曾根田政府委員 いろいろ問題があろうかと思いますけれども、私の立場では、やはり老後の福祉を支える一つの大きな制度である年金制度、これをできるだけ充実して、そういうようなことのないように努力するということと思います。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 先ほどもお話しに出ておりましたが、日本は憲法という非常によい制度を持っております。憲法二十五条の並存権の保障の問題あるいは十三条で言う快適生活権の保障の問題、こういうようなことが基盤になって、それが実現できるための社会保障制度がつくられていかなければならないことはいまさら私が申し上げるまでもありませんけれども、そういう例が基盤であるはずだと思うのですけれども、いろいろお話し合いが出ております間では、それが一つも実現されてないという実証ばかり出てきて、非常に先の見通しが暗いように思います。しかし先ほど来局長も言われるように、来年度審議会等が検討を加えていかれるというのでございますから、その場合にいままでのように拠出制と無拠出制の差がはなはだしく違っていたりということは、やはり経済的側面からだけ考えて政策がとられてきたんではないかというような感じがするわけです。婦人の生存権の問題にしてもあるいは平等の原則、これは憲法の十四条ですか、この平等の原則を踏み外しているおそれがないことはないのじゃないかというふうに思います。そこでぜひそれらのことはやはり反省してくだすって、憲法十四条の平等原理というものに基づいて検討を加え、改善されるべきではないかと思うわけです。憲法二十五条の生活権の問題などは社会保障の基本ですから、をかえれば先ほども出ておりました、要するに一口にして言うならば、人間を大切にするという考え方が基本において政治姿勢の中にないから、日本の社会保障は非常に貧しいのだ。先ほど参考人の方がおっしゃっていらっしゃいましたが、私は本当にそうだと思います。その点は政府としては認識していらっしゃるのでしょうか。そんなことはないとおっしゃるのでございましょうか。一言で結構ですが、お聞かせ願いたいと思います。

曾根田郁夫厚生省年金局長

○曾根田政府委員 年金制度だけについて見ましても、各制度間のいろいろなアンバランスといいますか整合性を欠く点もございますし、それからまたいま御指摘の拠出年金、福祉年金の格差の問題もございます。福祉年金の場合は全額一般会計負担の制度でございますので、なかなかこれの大幅改善ということにも財源的には困難があるわけでございますが、大きく年金制度全体の中における整合性をできるだけ保ってバランスのとれたものにするということは、やはり今後の年金制度を考える場合に非常に大きな問題だと思いますので、私どもとしてはそういう問題意識で今後の問題に取り組んでまいりたい。先ほど具体的に御質問のございました遺族給付の改善もそうでございますが、先ほど参考人の意見にもございましたように遺族給付だけを改善するということで片づく問題でもございませんで、やはりこのレベルが上がっていけば、国民年金の老齢年金を受けるような人の場合にこれとの調整をどうするとかそういう問題が出てまいりますので、やはり制度全体としてバランスのとれた、そしてできるだけ整合性を保った制度に今後持っていきたいという考えでございます。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 私は経済問題を無視してというふうなことを申し上げたつもりではなかったのです。それは当然大きな問題として基盤に流れると思いますけれども、そのことだけを優先させて事を決めないでもらいたい。むしろ優先させるならば、人間を大切にするというその考え方を、その精神を優先させた上で経済的基盤というものをあわせ考えながらやっていってもらいたいということを申し上げたつもりでしたから、ぜひそのことは意識の中に入れて、来年度の改正については最もよい方向に進めていただきますように強く要望しておきたいと思います。  引き続いて、外務省にお尋ねさせていただきたいと思います。  ILO百二号条約の関係で私どもは質問をさせていただいているわけでございますけれども、外務省は百二号条約に限らず、あらゆる条約を批准する窓口であるということは理解できます。ところが、その条約の内容につきましては必ずしも外務省の所管のものということは非常に少ない。むしろどちらかと申しますと、いろいろな各省にまたがった所管事項が内容になっているということが多うございます。そこで、関係各省が国内法その他その制度を水準まで達しない間は外務省としては手の出しようがないのだ、これを黙って見ていらっしゃるおつもりなのか、それとも、あるいは外務省の側からも日本の社会保障の水準あるいはその他の条約のそれぞれの内容について、日本が国際的水準に達することができるための側面的援助というものをなさっていらっしゃるのか、どうですか。その辺、私は外務委員は初めてでございますのでわかりませんが、外務省の態度、姿勢というものをまず聞かせていただきたい。

羽田野忠文自由民主党外務政務次官

○羽田野政府委員 社会保障の水準を上げるということにつきましては、厚生省初め関係省庁で真剣に検討しつつあるということを承知をいたしております。外務省といたしましても、これらの省庁と協力をして、できるだけ早くこの義務受諾ができるような状態に持っていくということに努力をいたしますとともに、関係省庁にもこの努力をお願いをしていきたいというふうに考えております。そして、国内体制が社会保障の最低基準に達し、義務受諾ができるという状態になりましたならば、遅滞なくこの義務受諾の通告をするというふうにいたしたいと思っております。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 それはわかっております。それは基本的なものだと思いますけれども、私がお尋ねしておりましたのは、具体的に関係各省に積極的に働きかけるような行動を何かおとりになっていらっしゃっているのかどうかということでございます。

村上和夫外務省国際連合局外務参事官

○村上説明員 お尋ねの件につきましては、外務省といたしまして、もちろん各国の条約批准の状況であるとか各国の政策等につきまして関係各省庁に情報をできるだけお伝えして、先ほど政務次官が申し上げましたような批准の促進なりあるいは義務受諾の通告の遅滞なくできるような状態というものを、できるだけ早くできるように各省庁と連絡をとっておる次第でございます。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 なぜ、そういうことをお尋ねするかと申しますと、前回のときにもそうだったのでございますが、一つの条約を批准するについていろいろな条件がございますが、それが各省にまたがっているわけですね。そうしますと、ここまではうちの省だけれども、ここから先はよその省です、ここは私たちの関係じゃありませんというようなことで御答弁があったわけなんです。それで、非常にばらばらという感じを受けまして、こんなことではいつになったらまとまるのだろうかという危惧を持ったわけでございます。そこで、どこの省が音頭をとるかといってもむずかしい問題だと思いますので、条約の窓口である外務省がそういうような問題については積極的にまとめ役になっていただいて、そしてぜひ日本が国際水準に達することのために、積極的にやっていただかなければならないじゃないかということを私はお願いしたいわけなんです。そのことが日本の行政機構の中で全く不可能なのかどうか、あるいはやろうと思えばできることなのかどうか、その辺を窓口役である外務省にお尋ねしたいわけなんです。

羽田野忠文自由民主党外務政務次官

○羽田野政府委員 今回の批准につきましても、また残っている五つの部門の受諾につきましても、その窓口は先生おっしゃられるように外務省でございます。そこで、各省庁に分かれておる、特にあと五つの残っておる部門につきまして、できるだけ早くこれを受諾できる状態に持っていくように、各省庁の進捗状態を窓口の外務省が調査をして、おくれている部門については督励し、早くその水準に達するように協力を願うということをいままでもやっておりますし、今後ともやっていくつもりでございます。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 今度、政府として批准の対象から外しておられる、そしてこの間うちからいろいろと論議されております母性給付の問題といい、あるいは家族給付の問題といい、また遺族給付の問題といい、これらはいずれも結局外務省だけじゃありません。政府の方々皆さん方の問題なんであって、国民のためにしてやろうとか、してあげないとかいうような第三者的な考え方でこの問題を取り扱っていただくのでなくて、あなた御自身の問題だということを認識していただきたいわけです。一人一人の国民の問題なんですから、そのことを認識されて、そして残されておる問題については、一つでも多く、少しでも早く批准ができるように取りかかっていただきたいわけです。  ことに、ことしは国際婦人年でございますのに、婦人に関する重要な問題を外したまま批准するということはいかにも皮肉であるし、私は世界に対して決して胸を張って批准いたしますと言えないんじゃないかしらというふうに思います。その辺の感覚が違っておるんじゃないかと思うわけです。まだ時間的には余裕があると思いますので、私の希望であり、そして外務省の御意見もいただきたいところでございますが、ここであわてて批准をしなくとも、二十三年間してこなかったのですから、いまここで、大急ぎであわてなくとも、これだけ皆が要望しておるわけでありますから、どれか一つだけでもいいですから、批准の部門の中に含めて、そして批准されるために討議を進めていただくというふうに持っていくことはできないものでしょうか。まだ時間的には余裕があると思います。いまこの国会で終わらせなくともいいんではないかというふうに私どもは考えるわけでございます。  なぜかと申しますと、さっき参考人の方もおっしゃっておりました。いまここで批准してしまえば、随時条件が整ったときにはこれを承認するということになっておりますけれども、これはいつになるかわからない、バスに乗りおくれたら、一生乗りおくれて乗れなくなるじゃないかという危惧があるということを発言なさった参考人がいらっしゃいました。その方は前例を引いて、私はなぜそうお思いになるかということをお尋ねして、こういう前例があるということもちゃんとおっしゃっていらっしゃいました。そのように危惧されておる方たちもあるのです。ですから、過去の政府のあり方に疑問を持ち、信用を持たない結果、そういうことが発言されたのだと思いまして、大変に残念だと思います。ですから、そのようなことが再び起こらないために、時間をもう少し使って、なぜせめて一つだけでも加えて承認するような形に持っていらっしゃれないのか。決定的な理由がおありでしたら、聞かしていただきたい。

伊達宗起外務省条約局外務参事官

○伊達政府委員 お答え申し上げます。  私ども政府といたしましては、今回、四部門を受諾することにより、この条約の批准をさせていただきたいということで、国会の御審議をお願いしている次第でございまして、今回受諾できませんその他の五つの部門につきましては、これは条約を一遍批准したからといって、もう忘れ去ってしまうというようなつもりは毛頭ないわけでございまして、当然のことながら、この受諾されていない五つの部門というのは、日本は未受諾であるということは、公然と火を見るよりも明らかな状態になるわけでございまして、日本といたしましても、国際協力ないしは国際的な日本の水準の評価と申しますか、という点から考えましても、これらの部門を受諾すべく政府として努力をするというのは当然のことでございまして、今回この四つの部門だけで、この条約を批准したからといって、現実には他の五つの部門のうちの一つがおくれるとか、その他の受諾できなかった部門の批准がおくれるという事実はございませんので、お願いいたしたいのは、今国会におきましてはこの四部門の受諾というところで御承認をいただいて、そのあとのことは、ひとつ今後の政府の勉強ぶりを御監視いただく、御督励いただくということで御了承をお願いしたい、このように考えている次第でございます。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 もちろん忘れられては大変なことだと思います。  ただ、いつの時点でそれができる方向に持っていくのかということについてのお見通しが全くなくて、そしていまそれを取り残していこうということは、経済問題だけでなくて——批准されている国をながめてみますと、先ほどもお話しに出ていましたが、必ずしも経済が発達した国だけが批准しているわけではございません。要するに、国の社会保障に対する姿勢の問題だと私は思うわけです。  ですから、今回はぜひ四つだけでいきたいという政府の気持ちはわからないわけではございませんけれども、私自身も、先ほどの参考人と同じように、大変に危惧をする者の一人でございます。でございますから、大体見通しとしては、いつごろ、この残された部門について、せめてそのうちのどれか一つだけでも進めて承認していきたいんだという、何かつかみどころのあるようなお見通しがおありになるのでしょうか。それも何もなくて、ただ今度はこれだけでいきたいというのは、私は非常に残念だと思いますし、満足できないのでございますが、その辺にお見通しがありましたらそれをお聞かせ願って、そしてできるだけ早い機会にということを私どもはさらにあわせて進めていきたいと思っておりますが、いかがでございましょう。

伊達宗起外務省条約局外務参事官

○伊達政府委員 先ほども先生の御質問に対して所管の厚生省の方から御答弁申し上げましたように、なかなか問題があるようでございまして、外務省といたしましては、特にこの社会保障の問題につきまして担当しておるわけではなく、詳しいことを承知しておりませんが、しかし、非常にむずかしい問題があるようでございますので、ただいま外務省から、この今回受諾できない五つの部門のいずれか、もしくは全部についてどのくらいの見通しがあるかというお尋ねでございますと、実は私どもはちょっと申し上げかねる立場にあるわけでございます。  と申しましても、先ほど外務政務次官からお話しがございましたように、ほっておこうというつもりは毛頭ございませんので、これはわが国の国際的評価、国際協力というものから、外務省としてそれぞれの関係官庁に対して、督励をすることはできませんけれども、要望をしまして、できる限り早く日本の社会保障水準というものを高めて、この条約の水準を受諾できるようにいたしたいということは心がけるつもりでございます。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 そういうことがありますから、私は先ほど申し上げて、外務次官から御答弁をいただいたわけです。窓口の役割りを果たしていらっしゃる外務省としては、国際水準に少しでも早く到達するための外務省としての役割りをぜひ果たしていただきたいということを申し上げたわけだったので、この点は重ねて強く要望を申し上げさせていただきまして質問を終わります。ありがとうございました。

水野清自由民主党

○水野委員長代理 正森成二君。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 いろいろ同僚議員が質問をいたしましたが、わが国の社会保障が非常におくれているということは各議員が指摘しましたし、参考人がお話しになったと思うのですね。  そこで私は、いろいろの各部門、九つのうち五つまで受諾できないということですが、一般的に、国民所得のうち社会保障に対して投ぜられる額が先進国としては非常に少ないんじゃないかというように思うのですが、統計上、主要な国の国民所得と社会保障に投ぜられた額との比率などがおわかりでしたらお聞かせ願いたい。

綱島衞厚生大臣官房国際課長

○綱島説明員 お答え申し上げます。  国民所得のうちで占めます社会保障給付費の割合でございますが、主要な諸国を申し上げますと、これは一九六六年の数字でございますが、フランスが一九・七%、それから西ドイツが二一・八%、イタリアが一八・七%、イギリスが一五%、これに対しましてアメリカは少し落ちておりまして八・一%、こういうことに相なっております。  これに対しまして、わが国の場合には、その同じ年におきまして六・一%でございます。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 いまお聞き願いましたように、碁でも何でも腕が違うときに段が違うとか、けたが違うとか言いますけれども、文字どおりけたが違っているわけですね。西ドイツは二一・八、フランスは一九・七、その同じ年にわが国は六・一%だ。一九七二年はどうかというと、あなたの省の企画室の調べでは、少し上がったけれども六・四%だということでしょう。  大体そういうぐあいに総額が少ないから、母性保護の問題にしても何にしてもできないんですね。これは何も厚生省だけの責任ではないかもしれませんけれども、こういうようにべらぼうに社会保障給付費の対国民所得比が少ないという根本的なあり方を変えなければ、これは話にならないと思うのですが、その点はどう思うのですか。

綱島衞厚生大臣官房国際課長

○綱島説明員 お答え申し上げます。  日本の場合に、他の、特に西欧の先進国に比較いたしまして比率が少ないというのは、御指摘のとおりでございます。  ただ基本的な精神と申しますか、先生がおっしゃいますような、そういう精神に立脚して、社会保障制度の内容を充実してまいるということは、当然わが国におきましても同様でございます。  日本の場合には、御承知のように、一つには制度自体は戦後比較的整ってまいったと存じております。  ただその場合に、たとえば年金制度のようなものにつきましては、やはり成熟度というものがございまして、制度自体は整っておりますが、相当年数を経て後に初めて実際の受給者がふえてくる、こういう実態がございます。  したがいまして、今後の制度の充実につきまして私どもが努力をいたすのは当然でございますが、いまのような事情があるということも御了解願いたいと思うわけでございます。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 つまり、制度はあるけれども内容が伴わない。あなたは厚生省の説明員ですから、私のいまの質問に答える立場にはないと思いますけれども、結局制度があるということを仮に認めるにしても、仏つくって魂入れずというか、そういうような状況だから、先ほどから婦人議員などもいろいろ言われるんだと思うのです。問題の指摘だけはしておきます。  そこで、基準に達しない部門の中には、第二部の医療部門があったと思うのですが、医療部門についてなぜ基準に達しないということになっているのか。これは婦人議員も問われましたから、一言だけ答えてください。

綱島衞厚生大臣官房国際課長

○綱島説明員 お答え申し上げます。  第二部の医療の部につきましては、これは病気あるいは負傷の場合に医者にかかること、それからそれに加えまして、妊娠、分娩、その結果、こういう二種類の保険事故と申しますか、そういうものが規定されております。  そこで、わが国の健康保険をとりますと、その医療の方の分につきましては、これは条約に定めます基準に十分合格しているわけでございます。ただ、妊娠、分娩、この関係のものにつきまして、条約の規定からまいりますと本人に負担させてはいけない、こういうことになっておりますが、この点におきまして本人負担に帰する場合がございますので、そこでアウトになる、こういうことでございます。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 いま医療部門については十分基準に達しておるのでございますというような答弁がありましたけれども、しかし私たちが現実に労働者に会っていろいろ聞くと、政府が相当胸を張って、十分基準に達しておるのでございますという部門がはなはだ心もとないですね。  たとえば日雇い健康保険法というのがあるでしょう。私はつい先日も大阪の港へ行って、現場で働いている日雇い労働者と座談会をやってまいりました。そこで話を聞きますと、あなたは専門ですからよく御承知のことと思いますけれども、日雇いの労働者の場合には、この場合は港湾労働者でありますが、一カ月に十四日、二カ月に二十八日働かなければ健康保険の適用を受けて医療を受けることができないのでしょう。ところが、私は労働省からも統計をもらいましたけれども、たとえば昭和四十九年ごろから非常に不況になって、大阪で見ますと一カ月の就労日数が四・二日とか四・三日とか、五日とかいうような状態が連続続いているのですね。特に大阪港湾は悪い。したがって、一生懸命毎朝七時までに行って、そして登録労働者が働こうとしても、労働の意思も能力もある者が十四日はおろか四日か五一しか働けない。したがって、私が座談会に参加したその労働者は、ここ二年間自分自身も女房も子供もお医者さんなどにがかったことはない、かかれない、こう言っているのですね。ただ、働きに行ってやむを得ずぶっ倒れたときだけはどこかへ連れていってくれる、こういう状況だ、議員さん、こう言うのです。あなた方はそういうことを知っていますか。  ですから、そういうように自己の怠慢によらずして十四労働日を働くことができないというような場合には、それを救済するための措置を当然とらなければならないと思うのですね。あなた方はそういう実情を知っていますか。そしてそれをどういうぐあいに改善しようと思っていますか。

吉江恵昭厚生省保険局保険課長

○吉江説明員 ただいま先生が一カ月に四・二日とおっしゃいましたが、私ただいま手元にはちょっとそういう数字は持ち合わせておりません。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 おたくのところからもらったのです。示しましょうか。そういう前提をまず疑ってかかるというのですか。これは「最近の就労日数及び不就労日数の状況」といって、きのうあなたのところの役所の人が持ってきたのです。

吉江恵昭厚生省保険局保険課長

○吉江説明員 失礼いたしました。  いずれにいたしましても、私どもは、最近非常に港湾労働者の就労日数が少ない、そして一カ月十四日の印紙貼付ができない実態が発注しておる、そういうことは承知いたしております。  それで、そういう実態について、たとえば任意的に印紙を張らせて日雇い健康保険の対象にしたらどうかという意見もあるわけでございますが、先生御承知のように、日雇労働者健康保険法では、常に日雇い労働者として就労しておるという実態をつかまえてこの保険の対象にしておるわけでございまして、逆に申しますと、ずっと継続してその一カ月十四日の受給要件を満たし得ないという場合には、制度としては適用除外を受けて国民健康保険の適用を受ける道がある、これは第一番にそういうことになっておるわけでございます。  それからそういうことも何であるから、任意に印紙を貼付するというような制度を認めたらどうかというような意見もあるわけでございますが、こうなりますと、いわゆる擬制適用というようなことになってまいりまして、その場合には受給要件ぎりぎりの印紙貼付しか期待できない、これは保険数理からいってどんなものであろうか。あるいは逆選択的に日雇い健保に入ってくる、それから事業主負担をどうするかというようないろいろの問題がございますので、現行の制度のもとではそのような方法はちょっと困難かと思います。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 あなたは課長クラスだから仕方がないかもしらぬけれども、血の通った人間なら、もう少し血の通った答弁をしたらどうだ。いいですか。私が言うたように、西ドイツが二一・幾らも社会保障費を出しておる。日本はわずか六・一や六・四だ。ぜいたくなことを言っているんじゃないのです。額に汗して働いている労働者が自分が働きたいと思っても就労日数がない。法律では一カ月十四日か二カ月二十八日働かなければ医者へもかかれない。だから一年も二年も家族じゅう医者にかかった者がない。それに対して、人間らしい心を持っておれば、どういうぐあいにしたらせめて医者にはかかれるか。一方では佐藤元総理のように一流の医者が何人とかかって看病するという人もおる。私は、それが悪いと言っているのじゃない。しかし、すべての国民がせめて病気になったときにお医者さんにかかれるというのはあたりまえじゃないか。自分がサボっているわけじゃない。いいですか。私は、かつて父親が、私が小学校のころに、一生懸命働くのは人間が病気になったときにお医者さんに診てもらえるように働くのだ、だからまじめに働けということを言ったことを覚えておる。実際に港湾の労働者の座談会へあなた一遍出てみなさい。  たとえば、法律のたてまえではなかなかできないみたいだけれども、しかし一方、いろいろの人の御意見を伺うと、任意継続方式というのがあるんでしょう。そして自分の責任でなしに就労日数を保障してもらえないような場合には、保険料だけを支払ってそして健康保険が使えるようにというようなことも考えて、いろいろ意見が出ているのでしょう。そういうことについて検討してやる気はないのですか。

吉江恵昭厚生省保険局保険課長

○吉江説明員 お答えいたします。  私の答え方が非常に冷たくお聞き取りになったということでございましたら……(正森委員「文字どおり冷たいよ、だれが聞いたって」と呼ぶ)不徳のいたすところで、おわびいたします。  私が申し上げましたのは、継続して一カ月に十四日、二カ月二十八日というような就労ができないということが明らかな場合には、国民健康保険の適用をお受けいただく道があるということが第一点。  それから先生おっしゃいました任意継続、これは現在日雇労働者健康保険法にはございませんで、一般の健保制度の場合にはつなぎの制度としてあるわけでございますが、こういう制度をつくるということは、これは法律の手当てを要する問題であるということでございまして、法律の改正を待ってそういう制度を導入するかどうかということは、これは検討に値する問題である、かように考えておるわけでございます。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 健康保険を受けていただいたらいいという意味のことを言いましたけれども、そんなにあっさりと健康保険を受けられるのですか。日雇い健保でやっていて、そして一カ月六日や七日しか働けないという人がいま病気になった。それをそんな健康保険にひょっと切りかえて、そしてあすかあさってに医者にかかれるのですか。

吉江恵昭厚生省保険局保険課長

○吉江説明員 お答え申し上げます。一カ月十四日、二カ月二十八日という状態がずっと期待できないという場合には、承認を受けて日雇いの方から外れる。承認を受けて、日雇健康保険の方から外れて、地域保険でございますところの、つまり、自営業者が入っております地域保険、被用者以外を対象としておりますところの地域保険にお入りいただく、これは当然お入りいただけることになるわけでございます。したがって、日雇いから外れるときに承認を受けて、それから当然国民健康保険にお入りいただく、かようなことになるわけでございます。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 いまあなたのおっしゃる意味がよくわからなかったけれども、日雇健康保険から外れるということは、日雇い労働者としての登録との関係はどうなるのですか。登録は取り消すのですか。それとも、登録を受けておるままそういうことができるのですか。

正木馨厚生省保険局企画課長

○正木説明員 ただいまの日雇健康保険と国民健康保険の関係でございますが、先生御案内のように、昭和三十六年に国民皆保険になりまして、国民はいずれかの保険に加入するという仕組みになっておるわけでございます。日雇い労働者につきましては、その就労する日々、日雇健康保険の被保険者になるということでございますので、先ほど保険課長から御説明しましたように、日雇健康保険の場合には、二カ月間に二十八日以上日雇い労働者として就労した場合に日雇健康保険から給付をしようということになっておるわけでございます。それで、日雇い労働者として就労いたしますと、まず日雇健康保険手帳というのをもらいまして、その手帳に、就労の日々印紙を張ってもらう。それが二カ月で二十八日分以上ありますと給付が受けられるということになっておるわけでございます。国民健康保険との関係におきましては、日雇いの手帳を持っておる方は国民健康保険の適用が除外されるということになっております。したがって、手帳を持っておる限りは国民健康保険に入れないということになるわけでございます。ところが、港湾労働者以外の方でも、一月に十日ぐらいしか日雇い労働をしないというような方は受給要件を満たすことができませんので、そういう方はいずれの保険でもカバーされないということになると大変でございますので、そういう方はあらかじめ、日雇いとして就労はするけれども、受給要件を満たさないのだということで、手帳を返していただく、そうして適用除外をしますと、これは当然に国民皆保険でございますから、国民健康保険の方に入るということになっておるわけでございます。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 わかったようでわからないようですけれども、それは、港湾労働法による登録労働者として仕事をもらう権利はあるのですか。その仕事をもらう権利を、手帳と一緒に返してしまわなければ健康保険を受けられないというのであれば、これは一方では、病気を治そうと思えば食う道はなくなるというエントベーダーオーダーになるから、こんな困ったことはないでしょう。仮に、いやいや、登録労働者でもいいのだということになると、しかし、少なくとも一カ月十四日以上は働かないということを自分で承認した場合にのみ、つまり、自分の首を半ば絞めるようなことを承認した場合にのみ、普通の健康保険で医者へかかれる、こういうことになるのでしょう。いずれにしたって非人間的な扱いじゃないですか。

平賀俊行労働省職業安定局特別雇用対策課長

○平賀説明員 労働省の特別雇用対策課長でございます。  私どもの方で日雇い港湾労働者の登録を取り扱っておりますが、登録及び登録の取り消しに関しては、港湾労働法に規定がございます。それで、取り消しの基準は港湾労働法の十条にございますが、日雇い登録をしている人々が、健康保険の取り扱いにつきまして、国民健康保険の扱いに変えたということが登録取り消しの要件にはなっておりません。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 そうすると、私が問題提起をした後の方の立場ですね。国民健康保険に登録をしたからといって登録の取り消しにはならないけれども、しかし、一カ月十四日以上おれは働かないのだ、したがって、日雇健康保険の適用を受けるだけ働けないのだということを自認した場合にのみ、健康保険の適用を受けてやっと人間らしく医者にかかれる、こういうことを国はたてまえとしていまやっておるのだ、しかもなおかつ、第二部門の医療については、婦人の問題を除けば、これはりっぱに基準を満たしておるのでございます、こう言って胸を張っておる、こういうことになるのですね。

綱島衞厚生大臣官房国際課長

○綱島説明員 お答え申し上げます。  私が先ほど御説明いたしましたように、医療の部門については合格をしておる、こう言うことは、百二号条約の最低基準の定め方の中で、国によっていろいろな制度があるだろう、それから、その制度によってカバーされる人間の数、こういうものも決めておるわけでございます。したがいまして、今回百二号条約を検討いたしました際、それでは日本の場合には健康保険制度で照らし合わせてみよう、こういうことでございました。それでいきますと——これは一般の被用者の健康保険制度でございます。これでいきますと、給付内容も、それからカバーされる人数についても十分いける、こういうことを申し上げたわけでございます。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 わかりました。結局、胸を張ったように見えたのは、適用を受諾するのに必要最低限度のことについてはできておるという意味でまずまず胸を張らしていただいたのである、結局、こういう説明ですな。そう伺いますけれども、しかし、港湾労働者などにとっては非常に情けない状態であるということは、これはもう議論の余地がないと思うのですね。  そこで、さらに伺いたいと思いますが、港湾労働者が働けないときは雇用調整手当というのを出すようになっておりますね。これは御承知のとおりだと思うのです。そういう港湾労働法の第八章雑則の第五十九条によると、「登録日雇港湾労働者は、雇用保険法の規定による雇用保険の被保険者としない。」こうなっているのですね。つまり、この人たちはやめても失業保険というようなものはもらえない。そのかわり、毎月一定の基準に達しない場合には雇用調整手当を支給することになっておるのだ、こういうことだろうと思うのですが、私の解釈が間違っていたら言うていただいていいのです。しかし、実際にその状況を見ますと、私が座談会で聞いてきたところによりますと、百九十二点以上、点数の細かい説明は省略いたしますけれども、百九十二点以上働いた、賃金で言いますと五千八百五十円以上ですか、日数にすると一定日数以上働いた者はその調整手当で、現在は上がって三千八百円ですか、もらえますけれども、大体基準から言えば十二日以上働かない者、大阪のように四日とか五日とか、せいぜい六日七日の者は、そういういわゆる一級の手当というようなものはもらえないのですね。ひどい場合には千四百円とか千二百円しかもらえない。つまり、六日か七日しか、自分に過失なくして、能力があるのに仕事が保障されない。つまり、一番金の欲しいときには、逆に雇用調整手当の手当金というのは低い、私が聞いたところではこういうことですね。だから、一生懸命働こうと思って、港湾労働二十年というようなベテランでも四、五万円から多くて七万円ぐらいだ。非常に苦しいということを言うているのですね。あなた方は、制度をいじることはできないというように、恐らくおっしゃると思いますから、きょうは時間がたつといけませんから、なるべく早くやめたいと思いますので、あなた方は、せめて制度をいじらないでどういうぐあいに就労保障を確保しようと、行政措置としてやろうとしておられますか。  私は、ここに「各港における就労保障について 五十年六月三日」という、多分労働省でおつくりになった資料を持っております。それによると、東京、横浜、大阪、神戸、門司というように、主な五大港、名古屋については検討中であるということですが、こういう港について保障日数十三日とか十二日とか、保障対象者はこれこれであるとか、保障方法はこれこれであるとかいうような青写真があるようですね。しかし、これは実際に資金的な手当てをして、これが保障されるようにしなければ絵にかいたもちであります。  時間の関係上、「各港における就労保障について」という労働省が多分御作成になった資料についての説明は要りませんから、具体的にこれをどういうぐあいに資金手当てをして実施しようとしておられるか。せめて人間として、人間らしい生活をするには最低限これぐらいの日数は要ると思いますけれども、それにはやはり金が要ると思うんですね。それはどうなさるおつもりです。

平賀俊行労働省職業安定局特別雇用対策課長

○平賀説明員 お答えいたします。  登録港湾日雇い労働者の就労状況が非常に悪いという実態はよく認識しております。そこで、昨年以来各港ごとに、先生ただいま御質問のように、就労保障の協定をすることを促進するよう取り計らってまいりました。ことしの春以来、まだその就労状況の悪化している状態が続いておりますので、その資金的な問題等についての要望が各港から出ております。その件につきまして港湾業界の団体とお話し合いをいたしまして、雇用調整手当の財源として納付するために荷役料金の一部をプールしてございますが、そのプールした荷役料金についてこの就労保障措置のために活用していただくようお話し合いを進め、実現の見通しを得るようになってまいりました。したがいまして、今後、この就労保障問題についてはかなり円滑に進むものと思われますし、それから先ほどの就労日数が低くて港湾の調整手当が下がるあるいは健康保険の印紙の問題等にもいい結果が得られるものと期待しております。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 時間の関係がありますので、いま非常に行政的にいろいろやっておるんだというお答えがありましたから、それが港湾労働者にとっては死活の問題だということをよく自覚されて、前向きに解決できるように、きょうは官房長もおられますし、御努力願いたい、行政指導をしていただきたいというように思います。  そこで、私は時間の関係でごく簡単に伺ったのですが、森山婦人少年局長にお伺いしたい。  あなたは恐らく十八日に出発されて国際婦人年の、伺いますと政府代表として行かれることになっておるというふうに伺っておりますが、いま私どもが伺ってまいりましたように、四部門がやっと受諾できるような状態である、そして五部門については受諾できない。そして、制度的には備わっておると思われているものでも、私がその一端を言ったように非常に憂慮すべき事態がある。そして、そのことによって、直接に働く労働者だけでなしに、その家族である婦人とそして子供が医者にもかかれない状況が続いているというようなことがあるというような実情を踏まえて、日本政府代表としてどういう心構えで、どういう主張あるいは訴えをする心構えで行かれるのですか。それを一言伺って、私の質問を終わります。

森山真弓労働省婦人少年局長

○森山(真)政府委員 国連の主催いたしますメキシコの会議におきましては、婦人の地位向上のため世界行動計画というものが実質的に審議の対象になるはずでございます。それの案を最近手に入れまして読んだところによりますと、社会保障につきましても婦人の問題について十分いろいろな措置をするようにという趣旨が書いてございまして、それを含めました世界行動計画全体につきまして、政府といたしましては支持をするという立場でおりますので、わが国につきましても、もちろん御指摘のような点、十分留意いたしまして実情を訴え、かつ、わが国としても前向きの姿勢を示したいというふうに考えております。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森委員 終わります。

栗原祐幸自由民主党

○栗原委員長 渡部一郎君。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 私、政務次官に、恐縮ですが、政治家としての決意をちょっとお伺いしたいと思うのです。  この社労関係の問題について、私はよく理解しているとは決して言えない。参考人の先ほどのお話しを聞いて、驚愕するような話が多過ぎる。また、先日の委員会におけるいろいろな質疑応答を伺いまして、ちょっとあきれ返っているわけであります。というのは、社会的不公平は、ある限度を越えれば私は正義不正義の問題になろうかと思いますが、かくのごとく本条約の九部門の規定からひどく離れた状況の中で、いまようやくにして百二号条約が批准されようとしつつあるというこの状況に対して、また、いま同僚議員から御質疑ありましたけれども、GNPに対する配分比率が非常に低過ぎるという御指摘がありました。私は、人口一人当たりの配分比率になるとさらに低いものになる、こう見ているわけでありますが、これらの状況を考えまして、これは国家の予算配分の基礎的な判断が狂っているという表現が当たるんではないか、こう思っているわけであります。  先ほどの参考人の御事情聴取の中で、そうしたおくれた原因についての評価を何人かの方が述べられましたが、その中の半数の方は、大体いままでの間、日本は貧しかった、一九五二年以来非常に貧しくて国際的な視点もなかったし、人権に対する意識もなかったし、ともかく働かなければならないという形で今日へ来てしまった、そして、いまになって振り返ってみて、十数年前にすでに九項目を承認したような国々があることに、いまようやくにして気がついた段階であるというような御指摘がございました。私は、非常にみっともない、かつ恥ずかしい様子であると思うわけであります。つまり、お互いにかばい合っていくという、人間を大裏にするという視点がかくも定着していなかったという点に対して、反省しなければならぬのはむしろこの国会であり、また政府であらねばならぬ、こういう考えにいまや立っているわけであります。したがって、これに対する施策は、当委員会において指摘されるにとどまらず、今後における政府の基本的施策として、予算配分比率の変更というまさに歴史的な変換をやらなければならない、私はそう思っているわけであります。  いまメンバーを拝見しますと、政府委員はほとんどいなくなって、説明員の万が少々散らばっているにすぎない。そこで仕方がないので、まず政務次官と、それからそこにいらっしゃる少数の政府委員に私は伺わざるを得ないのですけれども、あなたはいま与党内閣を代表してお答えにならねばならない。ひとつ御決意のあるところを聞かしてください。

羽田野忠文自由民主党外務政務次官

○羽田野政府委員 先生の御質問は、私が御答弁申し上げる範囲よりはるかに大きな問題でございまして、そのすべてについて私が申し上げることはできないと思いますが、少なくとも外務政務次官として御答弁申し上げられることは、社会保障の最低基準を定めたILO百二号条約、この九部門の中で今回四部門が受諾できるような状態になって、この条約の承認をお願いしているわけでございます。条約に署名をしてから相当長い歳月が経過しておるのに、やっと四部門しか受諾できないという点について、わが国の社会保障に振り向けられておる金額の総体についても、先生御指摘のように再検討せなきゃならない点があると思いますし、また、今度受諾する四部門はそれでは完璧かというと、先ほど正森先生の御指摘がありましたが、この中にもやはり個々の制度として改めなければならない点もあるようでありますが、それは別にしても、少なくとも受諾しない、できない五部門、この部門についてなるべく早くこれを受諾できるような状態に持っていかなければならない。これは政府の責任と考えておりますし、これの直接御担当は厚生省がほとんどで、そのほかの省庁の担当にもなるところもございますが、条約関係の窓口は外務省でございますので、先ほども御答弁申し上げましたように、外務省の方で、少なくともこのILOの定めた社会保障の最低基準に適合するような状況だけは早くつくってくださいということで横の連絡をとり、お互いにそういう努力をし合っていくということは外務省がやらなければならぬというふうに考えております。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 先ほどの参考人のお話しにもありましたが、政府の提案理由の中に、本案件の五部門の承認に関しては、事態が成熟したらこれを通告するというような言い方があったようでありまして、これは国民として承服できないという発言がございました。私もそうだと思います。したがって、この五部門について全部詳細に言うことは無理としても、その実行計画を、少なくとも骨格を明らかにしろという先ほどの御意見がありましたが、私はそれは正当な要求だろうと思います。  そこでその五部門の一つずつにつきまして、恐縮でありますがどういう形でこの五部門を——承認しないとおっしゃる意思はなかろうと思うわけでありますが、その承認できるような方向へ向かってどういう実行計画をお持ちか、現在どの段階まで行っておるか、そしてどこまで実行されるか、そういったことをここで明らかにしていただきたいと実は思っているわけであります。  実は、質問の前に簡単に材料を集めようと思いましたところがとんでもないことで、膨大な材料そして適切な資料がないということでありまして、これではもうどうしようもない。もう審議する以前の状況である。私はいささかこの問題は不穏当だと思うわけであります。そこでひとつその五部門に関する実行計画、充実計画、今日の状況等につき各担当の方から概説をしていただきたいと思います。

綱島衞厚生大臣官房国際課長

○綱島説明員 お答え申し上げます。  御指摘のとおりこの百二号条約では九つの部門についてそれぞれ最低の基準を決めまして、三部門以上あれば批准ができる、特定の部門を含めまして三部門あればよろしい、こうなっております。そして今回お願いいたしましたのはそのうち四部門についてでございます。したがいまして残りの五部門についてまだ批准できる、義務を受諾する段階にない、こういうことに相なるわけでございます。  さて一つ一つ大要を申し上げますと、まず第二部でございますが、これは医療給付を規定いたしております。先ほども申し上げたのでございますが、その中でなぜ義務の受諾ができないかと申しますと、妊娠、分娩にかかわる給付、そこでまだ費用の負担という点で基準に合致しないという点がございます。そして同じ理由でできませんのが第八部の母性給付でございます。この母性給付の方は同じように妊娠、分娩とそれからその期間における休業した場合の現金の補償、こういう二つが入っております。そこで第二部と第八部と合格しない理由は共通でございまして、まだ健康保険法におきます現金給付としての分娩費というものが本人の負担を残すということであります。したがいまして義務の受諾ができないわけでございます。  これに対してどういう取り組み方をするのかということは次にまいるのでございますが、これにつきましてはもちろん私ども問題意識を持っておりまして、目下の段階におきましては健康保険法関係の現金給付の部門、こういうものに関係しまして、どういうふうに改善するかというような会合を社会保険審議会の部内に持っておりまして、目下検討していただいておるところでございます。  次に第七部にまいりますと、そこは家族給付でございまして、日本の制度からまいりますと児童手当に当たる部分でございます。これも条約を定めます基準に合わない、こうなっております。これは条約の規定の仕方が国全体で給付する総額について決めているわけでございますが、日本の場合にはたとえば児童手当で今年度の予算の領でまいりますと、約千五百億円になっております。条約の基準に達しますまでには、あとその三倍の額が必要になるわけでございます。  それではどういう計画で考えておるのかという点についてでございますが、これは御承知のとおり条約で定めております児童手当の関係の考え方と、日本の場合には賃金体系の問題として一般の賃金の中に家族手当というものが入っております。この辺との関係がございますので、現在の児童手当の額を急にふやすということは無理ではないか、こういうふうに判断されておるわけでございます。  それからその次の部門にまいりまして、廃疾給付の部門でございます。これは年金制度の中の一環として病気、けが等のために労働能力が相当落ちた、こういうときに長期給付として年金を支給する制度でございます。これが条約に定めます基準に合致しないために義務の受諾ができない。その理由、ポイントは、条約では廃疾の状態で永続するものについて給付をしなさいということと、それから第三部で定めております傷病給付、つまり病気、けがのために収入がないときにその収入を補てんしてやるという給付でございます。これが終わった後なお存続するもの、単に永久的になるものだけではなくて、傷病手当金、傷病給付が済んだ後まだ残っているもの、こういうふうな規定の仕方をしてございます。そこでわが国の健康保険とそれから傷害廃疾年金を決めております厚生年金との間にすき間があるわけでございます。と申しますのは厚生年金におきましては病気、けが等のために、廃疾の状態になりますと、三年目に廃疾認定をして、そこでこれは障害年金の一級あるいは二級に該当するという廃疾認定という手続を経て初めて年金化するわけでございます。もちろん早く病気状態が治って永続する障害があればその時点で年金が出るのでございますが、一方健康保険の方は、一般の疾病につきましては六カ月間傷病手当金、傷病給付を支給する、結核性の場合には一年半支給する、こうなっております。したがいまして長く続いた病気で三年目に廃疾認定をするようなケースの場合には、一年半あるいは二年半のすき間がある。条約が定めております基準に比べまして、傷病給付を終わった後なお存続するもの、こういう点において基準に達しない、こうなるわけでございます。この点につきましても、それではその改善の方策はいかんということになるわけでございますが、これにつきましても先ほど申し上げました社会保険審議会等で、それから厚生年金の方でも検討をいたしておるところでございます。問題は三年目に長引いた病気の場合でございます。それが定められましたときには主として結核が頭にあったわけでございますけれども、なぜ三年まで待ってからやったかということでございますが、これは専門家の意見等々もございまして、まだ病状が揺れ動くような可能性のある期間に、余り早く決めてしまってはかえって不利であるというような考慮もあったと聞いております。したがいまして、この認定時期をどこで定めるかという点につきましては、専門家の意見も聞きまして検討をする、こういうふうなプログラムになっております。  最後にもう一つ、残りました遺族年金でございます。これは先ほど来話にも出ておりますし、年金局長がお答えを申し上げておりますのであるいはダブるかもしれませんが、昭和五十一年度、明年度は厚生年金、年金制度の再計算期になっております。したがいまして、明年度を目途として相当程度の改善をするという方向で具体的に目下検討が進んでおる、こういうことでございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 御丁寧に聞かせていただきまして恐縮だったのですが、一括してお伺いするのはちょっといま資料的に無理かもしれませんが、これだけのものの、五項目を直すとして、予算としてどれくらいの見積もりを必要とするのか。また、その予算の見積もりに対してどういうおおよその年次計画でこれを克服されようとしているのか、その辺のところがお決まりだったら聞かせていただきたい。

綱島衞厚生大臣官房国際課長

○綱島説明員 お答え申し上げます。  改善をしてその際に要する費用はどのくらいかというお尋ねでございますが、ごく大ざっぱな数字で大変恐縮でございますが申し上げますと、児童手当、この場合には現在昭和五十年度の予算で千五百億、これを三倍に上げますと、さらに四千五百億円、こういうものが必要になるというふうに考えられます。それから遺族年金でございますが、これは五十年度、本年の予算におきまして約二千三百億円というものが組まれております。それから障害年金の方は六百三十三億円というものが計上されております。これは改善することによってどのくらいの額になるかということは目下検討中のどのくらい引き上げるか、あるいはいつから引き上げるかということによって異なってまいると存じます。したがいまして、いまここで簡単に大体このくらいということもちょっと申し上げかねるのでございます。  なお分娩費の関係でございますが、これも今年度の予算では約三百六十億円というものが計上されております。もしこれを倍にいたしますとちょうど同額がかかってくる、こういうことになるわけでございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 そうしますと、この改善に要する費用はそれほど大きな見積もりはいま出てないわけですね。それは比較しての問題でありますけれども、むしろこうしたものについては小さく積み上げて累年ごとにやるというよりも、基本計画をここに立てる。社会福祉関係の給付状況に関して、この条約の最低基準を突破するというのを第一目標にしまして累年計画を立てる。一年で無理なら二年、二年でだめなら三年というふうにしてもやむを得ないかもしれないが、ともかく何かの計画を立てる。省庁を挙げて検討課題を煮詰める。計画をつくり上げる。少なくとも、がまんして耐えている多くの婦人や廃疾者に対して、また子供が多くて困難な中で生活している国民に対して、あと何年たてばこうなりますよと言えるものをつくるということが妥当じゃないかと思うのですけれども、その辺はいかがですか。

綱島衞厚生大臣官房国際課長

○綱島説明員 お答え申し上げます。  先生がいみじくも御指摘になりましたような意味におきましても、私どもといたしましてはこの条約批准の御承認がいただけましたならば、一つの強い目安として今後の改善に資していきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 悪いけれども、いまの方は課長さんですから、これはそちらの、ちょっと偉い方いないのですかな。社会保障関係の局長級の人はおらぬのですか。——そうすると政務次官、あなたは大臣を輔弼されているわけであります。大臣は総理を輔弼されているわけであります。日本国憲法の規定によって政府を代表しているわけでありますから、政府を代表してひとついまの考え方に御答弁いただきたい。

羽田野忠文自由民主党外務政務次官

○羽田野政府委員 先生の御指摘、非常に適切な御指摘でございます。いまの担当しております厚生省の政府委員も、そういう方向で前向きに検討し推し進めていきたいと申しております。私の方これに関連のございます外務省といたしましても、一緒に協力してそういう方向に前向きに検討いたしたいと思っております。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 それから私は、きょう参考人の御意見の中でちょっとショックなことがあったのです。それは私は外務委員としてやっておったのですから、知らないといえば知らないで済むかもしれない。そういう論理立てもできるかもしらないが、少なくとも婦人に対して不穏当、不公平であるという指摘が、御婦人の列席者から一様に語られたということに対して、もうちょっと深刻に考えるべきではないかと私は思う。先ほどの出産給付に関する考え方でありますけれども、六万円ではこれは勝負にならない。どんなに安上がりに片づけようとしても二十万なり三十万なりという費用がかかるのは当然のことであります。出産というのは特別の人がするというよりも日本の国民、特に婦人としては、当然みんながそういう出産という状態を迎えるわけなんですから、そのときに、これほど個人の経済状態の中にそれをかぶせておいていいという論理は成り立たなかろうと思うのです。ところがわが国の制度は、これほど差があったのでは制度になり得ない。西ドイツの例が語られていて、一〇〇%の給付が行われるとか、産前六週間、産後八週間の休養が与えられるとか、聞いているとだんだん恥ずかしくなるような話が出てくる。わが国において婦人たることはまことに難いという感じがする。婦人が生きるためにはヨーロッパに行けと言いたくなるような事態を招いておる。私は先年ニュージーランドへ参りましたけれども、ニュージーランドでも同じような考えを抱かざるを得なかった。また中国に先日参りましたときに、そういう給付状態について多少伺ってみたところが、意外と——意外とと言うのもなんですけれども、まだ国家樹立の後大して整備もできていないあの国で、そういった面についてははるかに充実した対策がとられておる。もう御承知のとおりであります。  そこで、これは緊急に直すべき課題ではないか。少なくとも現在、国民健康保険の中に出産手当をかぶすというだけのこそくな手段では、この問題は解決しないだろうという感じがするわけであります。これについてはひとつ抜本的な考え方を早急にした方がいいのではないか。いかにもちょっとひど過ぎたという感じがするわけであります。その辺はどうお考えですか。この六万円、六〇%というようなレベルをどう認識されているか。足らないという認識はあるだろうけれども、その御認識のほどからまず伺いたい。

綱島衞厚生大臣官房国際課長

○綱島説明員 お答え申し上げます。  先ほども申し上げたのでございますが、十分私どもはかねてから御指摘の点については問題意識を持っております。さらに制度自体の立て方からまいりますと、実は健保法ができましたのは一九二二年、大正年代でございましたのですが、当初から出産費というものは給付内容に入っておりました。したがって、一般的に申しますと、最近までは一応健康保険の現金給付としての分娩費というもので間に合っておったわけでございます。しかしながら、その後の社会情勢の変化というものがございましたので、それほど先生あるいは参考人の方々が御指摘になりましたような実際の価格とのずれができてしまった、こういうことでございます。もちろんそれは一つの原因にすぎないわけでございまして、私どもといたしましては、制度の改善という点について、先生の御指摘の点あるいは参考人の方々のお述べになった御意見というものも当然十分に考慮いたしまして、検討を進めたい、こういう気持ちを持っておるわけでございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 厚生省の官房長がお見えのようですから、もうこの辺で総括しなければならぬ時間だろうと思いますから、ちょっとお伺いしたいのですが、私が先ほどから伺ってき続けたのですけれども、いまはしなくも言われたけれども、社会情勢が変わったから健康保険制度が現実に適応しなくなった、それが一つの原因であるということは明らかだと思うのです。しかし、それは十分な指摘であり得ない。たとえばいまの社会で、月給が八万円の会社があったとする。その人は子供が三人生まれたとする。だけれども月給を上げないとする。そうして十年たったとする。それはもはや存立の基礎を失うべき会社であって八万円で家族何人かがそのまま飯を食え——もし食えるとでも考えているとしたら、その会社はもうつぶれた方がいい会社であると同時に、給与関係に対して全くナンセンスという言葉が当たる会社だと思うのですね。だから、現実社会構造が変動している。変動するに対応するのが特に行政の立場でなければならない。一般企業競争においては、それほど対応性を失えば、つぶれてしまって消滅するという現象が起こって処理されていく。だけれども、いまの場合、出産費用が三十万近くもかかっている真っ最中に、六万円の段階でいつまでもとどめておいて平然として見ている。これは非常識を通り越しているのではないか。私がいま議論しているのは、それほど非常識であっていいかという質問なのです。そして、年次計画もできていない。少なくともヨーロッパ諸国で当然と考えられるほど、条約にまで盛り込まれるほどの基準をかくも長きにわたって果たすことがない。そうしてGNPの第二位を誇ってきた。これは早急に直さなければいけないことではないか。年次計画をつくるとかあるいはこれに対する考え方を直すとか、そういうことが必要なのじゃないか。私は反省も込めて申し上げておる。その辺をどうお考えなのか、ちょっと聞いておきたいのです。そうしないと、やはり担当省たる厚生省の一番の大責任があろうと私は思うのですね。だから、大蔵省と毎年交渉して、うまくお金を出してくれないなどというような次元の返事ではどうしようもない問題である、わが国の予算の使い方の基礎枠を変えなければならなぬ問題である、そういう認識の上に立っておられるのかどうか、私はその辺をしかと承りたい。

石野清治厚生大臣官房長

○石野政府委員 ただいま先生が御指摘のとおり、出産手当の問題につきましてはいろいろ問題がございますが、実は四十八年のときに健保法を改正いたしましたときには、たしか当時の二万円のものを六万円というふうにしまして、当時としては非常に画期的な制度だったと思うわけでございます。ところが、物価の異常な高騰等もございまして、現在考えてみますと、六万円で実際上お産ができるかどうかとなりますと、これは田舎と都会は大分違いますので問題がございますけれども、確かに大きな問題だろうと思います。これは健保法の改正等の絡みもございますので、社会保険審議会というのがございまして、そこで実はいろいろ検討しております。現金給付の問題につきましては、私どもさらに今後とも前向きで検討していきたい、こういうふうに思っております。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 官房長、もう一つ私が伺っておるのは、四十三年で六万円で画期的だったので、あと七年間直さなかった、こういう神経ですね、私の問題にしているのは。そうすると、ぼくの方から言うと、あなたは七年間人が苦しんでも耐えられる神経を持っておるとしか見えない。そうすると、毎年毎年、ひどいときには三〇%も物価が上がっておるときに見ていることになる。だから、私が最初に申し上げたのは、社会的不公正はある限界を越えると、社会的な落差、制度的落差がある限界を越えると、それは正義にかかわる問題になると申し上げたい。しかも七年でしょう。——いいですか、もうちょっと待ちなさい。あなたの脳みそにしみるように私は言っておる。しかも私はやさしい言葉で言っておる。七年間でしょう、毎年二割から三割ぐぐっと行くのでしょう、音を立てて上がっていくわけですよ。着物で言うと、毎年二割ずつ中身がふえたとしなさい。小学校の一年生の子供に、毎年二割ずつくらいふえていく子供に一年生の服を着てろと言って、中学生一年生のときで六年目、中学の二年生で七年目だ。だから、あなたは小学校の一年生に中学の二年生まで同じ服を着ていろという神経とほぼ等しいわけ、それをじっと見ているわけよ、じっと見守っているわけよ、温かくではない、冷たく見ているわけよ。ここはちょっと大げさに言いますよ。というのは、こういう給付関係なんというものは、そういう意味では機敏に変えていかなければならぬ。こんな物価の異常な、ばかばかしい施策が続いているときには特に機敏に変えなければならない。それをしない。一番社会の弱い層に打撃を加えられるということについて肝に銘じていただいておるのかどうか、私はいま聞こうとしておる。一分娩費の問題だけでなくて、ILO百二号条約、少なくともある程度各国においては合意のできた水準に達していない、そしてその達するための年次計画も、いま伺ったところによるとできていない、そういう状況である。この二つの精神状態、思考構造を私はいま問題にしておる。  もう一つ私が問題にしたのは、婦人に対して非常なべっ視というか落差というか、婦人の状態を考えない状況に放置したという、ここも問題だと思うのだけれども、こういう考え方、本当に変える気があるのかどうか、私はお尋ねしたい。そうでないと、毎年毎年同じようなことを言わなければならない。だからそこを深く反省していただかなければならぬと思うのですけれども、どうですか。

石野清治厚生大臣官房長

○石野政府委員 ただいま私が御答弁申し上げました中身で、分娩費につきまして四十八年と申したのですが、四十八年のときに実は六万円にした、その後二年間の推移を見ますと、果たしてこれでいいのかどうかということについては確かに問題ございますので、これについては前向きで検討していきたい、こう申し上げたのでございまして、四十三年ではございませんので、その辺ちょっと申し上げさせていただきます。  それから、問題は社会保障の面で、いまのILO条約についていろいろ基準に達していない面がある、それをどうするかという基本的なお話しだろうと思いますけれども、いまの分娩費の問題もそうでございますけれども、たとえば遺族年金の問題につきましても二分の一という問題もございまして、これは年金制度の改正の際にもいろいろ検討してみなければならぬと思いますし、社会保障全体について、実は長期計画懇談会というのをいまつくっておりまして、これがことしの七月中旬ごろにはおよその中間的な報告をできるだろうと思いますが、それをもとにしまして、来年度予算あるいは再来年度予算につきましてもいろいろと検討していきたい、こういうふうに考えているわけでございます。

渡部一郎公明党

○渡部(一)委員 そうするとこれは、こういう考え方は厚生省に長く続いてきたと思わなきゃならない。分娩費で言うと、二年前にやっと六万円に上げたんだから、その前はずっと二万円で来たわけでしょう。そうすると、相当すごい考え方が厚生省の関係には存在しておったと言わなければならない。つまり十分の一か二十分の一しか、何にも、実態とはなはだしくそぐわないところで議論し、政策が立案されたと言うしかないと思うのですね。私は外務委員会におるし、科技特におったこともあるけれども、これほど乱暴な意見を承ったことはちょっとないのだな、数字的にけたっぱずれというか。これは何か異常な神経の持ち主が政策を立てているんじゃないかという感じがしてしょうがない。  いま同僚議員がメモを下さったので読み上げておきますけれども、社会保障制度審議会には女性の委員がいないとでかい字で書いてあります。こういうこと一つ一つの中に、どれくらい大きな反感と大きな不満を次々生み出しているかということを、わかっていただかなければならない。  私は、給付行政というのは昔からの徳川幕府時代以来の考え方があるとこの間から感じて仕方がない。それはお恵み政策なんだ。だから二階から目薬のように、ときどき二階あたりから目薬程度に年金とか何かをぽつぽつとやる。下でたまたま当たるやつはよろしい。当たらないやつは死ね。水戸光圀、水戸黄門の漫遊記と同じことで、大多数の民衆は苦悩にあえいでいるのに、時たま一人か二人を助けて大げさに宣伝する。それと感覚が非常に似ているんだな。だから、給付行政というのはお恵み行政ではなくて、人権の基礎に立った、人間としてお互いにかばい合っていくのは当然というところに政策の基礎を建て直さなければならないと私は思うのですよ。  官房長、あなたがいままでやられたことを防御なさる気持ちはわかりますよ。あなたは守らなければならない。こんな不当な予算を何十年にわたって厚生省がやってきたことを、あなたはいま防御する側に立たされているんだから、あなたが大いに弁解するのはあなたの役目でしょう。分娩費だって、四十八年六万円、画期的でありましたなんて言わなければならない。その気持ちはわかる。それがあなたの月給の内容なんだ。しかし、それは間違っておる。次の事態を見たら、間違っておると私は思う。それは十分お考えをいただきたい。この次はこんなことをしないでいただきたい。少なくとも、日本の給付行政というか、こういう社会保障行政というのがどれぐらいすさまじいものであったかということは、恐らくは担当者の方々は、苦悩の中でそういう少数予算を割りつけされておるのに決まっておる。だから私は、先ほどからの課長の御答弁も痛ましく思って聞いておった。官房長のいまの御答弁も、私はある意味で痛ましく思って聞いておる。しかし、これではならないじゃないですか、こんな金の使い方。何十兆も金を持っているわが国が、こんな金の使い方はあるものじゃないじゃないかというところから、次の御工夫をいただきたいし、われわれも努力しなければいかぬ、こう思っておるわけであります。

栗原祐幸自由民主党

○栗原委員長 これにて本件に対する質疑は終了いたしました。

栗原祐幸自由民主党

○栗原委員長 次回は公報をもってお知らせすることといたしまして、本日は、これにて散会いたします。     午後六時三十五分散会

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