外務委員会 第18号
- 発言数
- 220 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1975/05/30
会議録
○栗原委員長 これより会議を開きます。 船舶料理士の資格証明に関する条約(第六十九号)の締結について承認を求めるの件及び社会保障の最低基準に関する条約(第百二号)の締結について承認を求めるの件、以上両件を議題とし、審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。竹内黎一君。
○竹内(黎)委員 私は与えられた時間内におきまして、百二号について若干の質問を行いたいと思います。 最初に大変とっぴなことを伺いますが、私どもに御配付いただいておるこれは訳本の正本と理解してよろしいのですか。
○伊達政府委員 お答え申し上げます。 これは訳文でございますが、法制局と十分審議を尽くしました上でつくりました訳文でございまして、確定訳、公式の訳でございます。
○竹内(黎)委員 なぜそういうことをお尋ねいたしましたかと申しますと、私ここに持ってまいっておりますが、労働省が編さんしました「ILO条約・勧告集」第四版というものがございます。これが一番最近の版でございますが、この中にもすでに百二号を訳して収載しておりますが、今回のこの正式配付になったものと比べますと、かなりあちらこちらに訳文の相違あるいは訳語の相違があるわけでございます。ごく簡単に指摘いたしましても、まず第一条において定義として使われている言葉に、「条約・勧告集」の方では「住民」と訳してあるものが、こちらの文章では「居住者」という訳になっておる。こういうぐあいに訳語においてかなり変わったわけでございます。恐らくはこの委員会において配付したものが法制局とも御相談の上だということですから確定訳ということで、こちらがより正確なものだとは私も理解をいたしますが、しかし、たとえば第八条におきまして「給付事由」という言葉がございますが、この「条約・勧告集」の訳語に従いますと、それは「適用を受ける事故は」というこういう言葉になっておりまして、「適用を受ける事故は」という訳と「給付事由は」という訳ではそこにかなり微妙な違いもあるのじゃないか、こういう感じを私は持つわけでございます。いずれ条文に従いまして、その項に参りました際にその点についてもうちょっと見解をただしたいと思います。 政務次官せっかくお越しでございますから、まず政務次官の御見解を承りたいと思うのでございますが、社会保障の統一的な国際的な実定法として百二号は評価されていることは私も承知をしておりますが、御案内のように、この条約が採択されたのは一九五二年でございまして、本年まで相当な歳月が経過しておるわけでございます。そういう相当な歳月が経過しておるということを踏んまえまして、なおかつ今日この条約の批准をする今日的な意義は一体那辺にあるか、政務次官の御見解を承りたいと思います。
○羽田野政府委員 ILO百二号条約は、ILO各条約の中でも非常に高く評価され、重要な条約でございます。したがいまして、わが国といたしましても、なるべく早くこの百二号条約の批准というものをいたしたいという方向で進んでまいっております。国内のいろいろな法体制、これが百二号条約を直ちに批准をするような状態にございませんでした。逐年努力をいたしまして、今回やっとその批准ができるというところまでこぎつけたわけでございまして、これはわが国にとっても非常に喜ばしいことでございます。 ただ、この百二号のうち、すべてのものについて今回これを受け入れるという状態になっておりませんが、最小限批准ができる状況までこぎつけたということはきわめて喜ばしい状態でございますので、今後は、今回受け入れられない部門についても、早くこの適用ができるように努力していきたいというふうに考えております。
○竹内(黎)委員 ただいま政務次官は、やっと批准する段階までこぎつけた、このようにお話がございましたが、今日専門家の間では、今日果たして、いわば時代おくれといっては語弊がありますけれども、国際的なスタンダードを定めた条約であっても、今日の時勢から見れば非常に低い基準を定めたこの条約を、いまさら批准をして何の意義があるだろうか。極端なことを言えば、しないよりはした方がましだ、こういう評価も専門家の間に行われております。 またもう一つつけ加えて申し上げますと、いろいろな事情があって今日までおくれたわけでしょうが、批准にこの機会に踏み切るならば、そしてまた、ことしは国際婦人年でもあるということに着目をいたすならば、せめて母性給付の点だけは国内法の改正なり、制度を改正して、この部分も批准をするというぐらいの措置をとって、批准を求めてはどうだろうかという意見もあるわけでございますが、御見解があったら承りたいと思います。
○羽田野政府委員 先生の御指摘、まことに適切な御指摘でございます。いま先生がおっしゃられたように、百二号条約の現代社会における水準が高いか低いかということはいろいろな意見がございます。しかし、少なくとも百二号で一つの目標を掲げて、各国がその方向に進んでおる、この目標は非常に貴重なものであると私は思います。 そこで、ことしは国際婦人年でもあるし、婦人の地位、条件の向上に対する部門についてなぜこれを適用しないかということでございますが、この点の御指摘もまことに適切な御指摘だと私は思います。ただ、今回適用しない部門についても、それがゼロという状態ではございませんで、この間、日本の婦人がエベレスト登頂をみごとに実現しましたが、もう八合目あるいは九合目までいっておって、もう少しく条件をよくしさえすれば適用ができるというところまでいっておるわけでございます。婦人の問題について、今回頂上まで持っていきたかったという点は御指摘のとおりでございまして、そこに至らなかったことは非常に残念ですが、なるべく早い時期にそういう状況に到達したいと考えております。
○竹内(黎)委員 この母性給付をめぐる問題については、恐らくこれから各党の質疑者の方からもいろいろな御意見の開陳があろうかと思いますので、私は指摘だけにとどめておきまして、次に移りたいと思います。 御案内のように、一九五二年に採択されました百二号条約をさらに内容を充実し、条件を緩和して、より高度の基準を定めた条約がもうすでにほかにございます。たとえば百二十一号条約、百二十八号条約あるいは百三十号条約といったものがあるわけでございます。百二十一号につきましてはすでにわが国も批准の手続を済ませておりますが、百二十八号なり百三十号の条約については、政府はどういう態度でございますか。
○羽田野政府委員 ILOの百二十八号条約は、障害、老齢及び遺族給付の各部門について、社会保障の最低基準を定めたILO百二号条約を上回る新しい国際基準を示すものとして、一九六七年ILOの第五十一回総会で採択されたものでございますが、この条約を批准するに当たっては、三部門のうち一部門について基準を満たしていることが必要でございます。わが国におきましては、三部門のうち老齢給付部門について条約で定める給付水準等の基準を満たしておりまして、この条約の批准は一応可能と考えられますが、保護対象者の範囲等に関して条約と国内法制との適合性について、なお検討すべき点がございますので、関係機関と連絡をとりつつ、今後さらに検討してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○竹内(黎)委員 先ほど母性給付にちょっと触れましたが、今日ILOにおいて締結を見ておる婦人関係の条約にどういうものがあって、なおかつ、それらの条約について今後政府のとる方針を御説明願いたいと思います。
○青木(勇)政府委員 お答え申し上げます。 婦人関係に関しますILOの条約といたしましては、通常婦人関係六条約というふうに言われておる条約がございます。 一つは四十五号条約、女子の坑内作業禁止に関する条約でございます。これはすでに三十一年六月十一日に批准、登録いたしております。 それから八十九号条約、夜業条約でございますが、本条約におきましては、午後十時から午前七時までの間における継続七時間を含みます十一時間の継続する時間を夜間として規定いたしておりまして、その間、婦人については使用してはならないというふうに相なっておりますが、わが国の現行労働基準法におきましては、午後十時から午前五時までの七時間の女子の深夜業を禁止いたしております。原則的には条約の趣旨と合致しておると考えられますが、先ほど申し上げました深夜業禁止時間を含んだ継続十一時間、これを夜間として規定いたしております点で問題がありまして、まだ批准に至っておりません。 第三が百三号条約、母性保護条約でございますが、これは産前産後少なくとも十二週間、かつ産後につきましては六週間強制的に休暇を与えなくてはならない、こういう関係に相なっております。わが国の基準法におきましても産前産後六週間ずつの十二週間と相なっておりますが、産後の六週間につきましては、五週間を経過いたしました後は、医師の証明を添えて本人が請求すれば就業さしてもよい、こういう点で問題がありまして未批准になっております。 なお、そのほか、婦人関係の条約といたしましては、母性保護に関する第三号条約、婦人の夜業禁止に関する第四号条約、同じく婦人の夜業禁止に関する第四十一号条約等がございますが、これはいずれも先ほど申し上げました八十九号条約の方が高いレベルを規定いたしておりまして、批准の対象とはならない条約と相なっております。 以上が直接婦人を対象として規定した条約でございますが、そのほか、すでに批准いたしました百号条約、同一価値の労働に対して男女同一の報酬を支払うべきことを定めました条約がございますが、これは四十二年八月に批准いたしております。 さらに百十一号条約、雇用における差別待遇禁止に関する条約が一本ございますが、この条約におきましては「人種、皮膚の色、性、宗教、政治的見解、国民的出身又は社会的出身」を理由として差別待遇をしてはならないというふうに規定されております。その点、わが国の現行労働基準法は、人種、皮膚の色、性、国民的出身等に関する労働条件の差別的取り扱いについての規定を欠いております。そういう点が問題でございまして、現在未批准でございます。 いずれにいたしましてもこれらの関係条約につきましては、いずれも基準法と関連するわけでございますが、現在、労働基準法研究会において労働基準法の規定の問題点等を検討いたしておりまして、その結果を待って対処してまいりたいと考えております。
○竹内(黎)委員 いまの御説明で、百三号に関して説明がなかったように聞きましたけれども、私の聞き漏らしでしょうか。
○青木(勇)政府委員 冒頭に母性保護条約、百三号は御説明申し上げました。
○竹内(黎)委員 それではさらに、ILOにおきまして失業給付及び家族給付に関して、より高い基準を備えた条約を作成すべく目下準備中だと私は聞いておりますが、その状況について御説明願いたいと思います。
○森説明員 お答え申し上げます。 御説のとおりでございまして、七七年の議題として、失業給付に関するより高度の国際文書の採択について検討しようということで、七七年の議題の候補として挙がってまいっております。
○竹内(黎)委員 それではこの条約に入りまして、まず第五条についてお伺いしたいと思います。 この規定に従いますと、わが国が今回批准をいたすことになりますと、特定の百分率に達したことの確認をしなければならぬということになっておりますが、今回政府が批准を予定しておる各部門につきまして、その百分率はどういうぐあいになっておりますか。
○綱島説明員 お答え申し上げます。 御指摘の第二部から第十部までの間、それで最後の方に「特定の百分率に達している」ということが書いてございます。これにつきまして御説明申し上げますと、まず傷病給付につきましては従前所得の四五%でございます。それから老齢給付につきましては、資格期間その他はございますが、従前所得の四〇%。それから廃疾給付でございますが、これも四〇%でございます。それから遺族給付でございますが、これにつきましても四〇%というふうになっております。 なお、資格期間のいかんによりまして、いずれの給付につきましても、若干のパーセントの減額というものの規定もございます。
○竹内(黎)委員 それでは第七条に移ります。 この第七条におきましては、在来からもここに使われている「予防」という言葉をめぐって幾つかの意見があるわけでございますが、まず、この「予防」という言葉についてどういう解釈を持っておるか、これは外務省からになりますか、お聞かせ願いたいと思います。
○伊達政府委員 お答え申し上げます。 第七条では「予防又は治療の性質を有する医療を必要とする」というふうに書いてあるわけでございますが、第八条の給付事由におきましては「すべての負傷又は疾病」ということで、その関連において考えますと、この第八条において述べております給付事由と直接の関係を有しない健康診断でございますとか、健康増進のための措置というものをここでは指しているのではないかと考えられます。つまり、病状の悪化、併発等を未然に防止するべく医療が行われるべきであるというふうなことで「予防」という言葉を使っているものと考えられます。
○竹内(黎)委員 ただいまの御説明に従いますと、この「予防」というのは、少なくとも公衆衛生サービスであるとか、あるいは予防医学的な給付を意味しているものではない、こういうような御説明だと私は解しますが、実はこれに対して異論があることはまた恐らく御承知だと思います。 端的に申しますと、これは明らかに予防医学的な意味を持っておる。しかるにわが国の健康保険制度におきましては、そういういわゆる予防給付を強制するような規定になっていない。したがって、この部分についてはわが国は今日は少なくとも批准ができないという見解があるわけでございますが、いかがでしょうか。
○綱島説明員 お答え申し上げます。 先生御指摘になりました予防医学的な面、つまりいまの健康保険ではそういうものが給付の中に入っていない、したがって、その意味でこの部の批准ができないのではないか、こういうお話でございますが、ただいま外務省の方からも説明がありましたように、この「予防」ということの意味でございますが、ILOにおきます審議の経過等々から参酌いたしまして、その給付事由の中に入っていないというところからしますと、さらにまた先ほどお触れになりましたより高度の基準を決めております百三十号条約では、はっきり予防ということをうたっておりますので、それとの比較からいたしますと、百二号の場合におきましては、先ほどの説明にありましたように、いわば給付事由である疾病あるいは負傷が起こった、それに対して給付する際に、さらに広がったりほかに悪化したりするようなことを予防するその措置、そういうふうに読めるわけでございます。したがいまして、この予防という点ができないからこの部の批准がいまの時点でできないのだ、こういうふうには解せられないわけでございます。 なお、つけ加えますと、健康保険におきましても、たとえば保険施設としては健康診断その他もやっておりますし、なお仮に被保険者が体の違和を訴えまして医者にかかりまして、それで診断の結果は何でもなかったという場合におきましても、これはやはり保険給付の中に入るわけでございまして、そういう意味ではかなり幅広く実質上のそういう作用というものが健康保険でも行われておる、これも申し上げておきたいと思います。
○竹内(黎)委員 いま百三十号に触れましたから、先にそちらをお尋ねしますが、百三十号条約の第七条におきまして「所定の条件の下における予防的性質の医療の」云々とありますが、ではこの百三十号の述べている「予防的性質の医療」というのは、いま課長が御説明になったものだと解してよろしいのですか。
○綱島説明員 お答え申し上げます。 「所定の条件の下における」というのが実際上はっきりとどういう場合であるかということは、実はまだ私どもはっきり承知いたしておりません。しかしながら、先生がおっしゃいますように予想されるわけでございます。
○竹内(黎)委員 さて、第八条でございますが、冒頭触れましたように、この第八条の訳文は私はちょっと問題があるんじゃないかというような気がいたします。すなわち労働省編の「ILO条約・勧告集」、仮にこちらを旧訳といたしますと、この旧訳におきましてはここは「適用を受ける事故は、」という訳語になっておりますのを、今回は「給付事由は、」という訳に改定されておりますが、私は「適用を受ける事故は、」という訳と「給付事由は、」という訳ではある程度の性質の違いが出てくるような気がいたすのですが、「給付事由」と訳すべき理由は何でしょう。
○綱島説明員 お答え申し上げます。 先生御指摘の訳文の変更の点でございますが、多少ペダンチックなきらいがございますが、原文を見てみますと、英文でございますが、コンティンゲンシース カバードとなっておりまして、コンティンゲンシーというのはいわば給付事由でございます。そういう治療なり何なりを必要とする事態でございます。そうしますと、それをカバーするのでございますから、やはりわが国の健康保険で引き直して考えてみれば、適用される事故、こうならざるを得ない、また、それが正しいもの、こういうふうに考えるわけでございます。
○竹内(黎)委員 私が問題といたしますのは、ただいまのコンティンゲンシースにつきましての訳はそれなりに了承いたしましても、問題は、後段の「妊娠、分べん及びこれらの結果」ということについて私は関連をもって伺うわけでございますが、「妊娠、分べん及びこれらの結果」は、旧訳に従えばいわば「事故」という観念で扱われる。今回の新しい「給付事由は、」という訳でまいりますと、そこには少なくとも「事故」という概念は含まれない。「妊娠、分べん及びこれらの結果」についてどういう給付を提供すべきか、特に本人の費用負担を求めてはならないというのがこの条約の一つの大きな特徴点なのでございますが、「妊娠、分べん及びこれらの結果」を旧訳に従うならば「事故」として扱えるのであるけれども、今回の新しい改正訳によりますとそういう事態は消滅する。私はそこに性質として非常に差が出てくるような気がするのですが、もう一遍御説明願いたいと思います。
○綱島説明員 お答え申し上げます。 先生の御指摘になりました「給付事由」という言葉を使った場合に、妊娠、分娩並びにその結果と、その場合と少しニュアンスが違うのではなかろうか、こういう御指摘でございますが、確かにそれも一理はございます。しかしながら、この百二号条約で予想しておりますこの分け方というものは、歴史的な沿革と申しますか、傷病に対する給付というものと、それから「妊娠、分べん及びこれらの結果」というものと二つ分けて考えておりまして、「給付事由」というふうに訳しました意味は、その場合にこの条約の規定に基づいてカバーをしてやりなさい、こういうことでございますので、実態上は区別がない、こういうふうに考えられるわけでございます。
○竹内(黎)委員 母性給付のことですからまた後で触れたいと思います。 そこで、ちょっと条を先に飛ばしますが、第十条には、少なくとも給付には次のようなものを含みなさい、こういうぐあいに規定しているわけですが、一見して非常に奇異な感じを持ちますのは、ここには歯医者さん、歯科診療のことが全然取り上げられていない。これは立法者の意思として給付に歯科を含まなくてもいいという、そういう意図であったと推察してよろしいのか。 さらに関連してまいりますと、実は三十四条の業務災害給付にまいりますと、そこには今度は歯科診療が含まれてくるわけでございまして、一体その辺はどういうふうに解釈すべきか、ひとつ明快な説明をお願いしたいと思います。
○綱島説明員 お答え申し上げます。 先生御指摘の第十条に定めておりますところと、それから後の方の労災関係で定めているところと確かに違っておりまして、十条の方には歯科診療という言葉はございません。これはいろいろ調べてみましたのですが、いわば一口に申せば、当時の西欧的な、西欧を中心にしました社会保障というものの考え方、その中におきましては、歯科診療というものは一般の医師による診療とは多少区別されておったのではなかろうか、こういうふうに考えるわけでございます。したがいまして、この百二号のときにはそれが入っていなかった。ただし、労災、事業主責任の場合につきましては、これはあくまでも業務上の災害でございますので、より手厚くあらゆる事故を網羅しようという点から入ってきたもの、こういうふうに考えるわけであります。
○竹内(黎)委員 いまの御説明、私ちょっと納得いきかねるわけでございますが、それじゃ、前に、第八条に戻りまして、「すべての負傷又は疾病」、「エネー モービッド コンデション」の中には歯科診療は含まないという解釈なんでしょうか。
○綱島説明員 その点につきましては、第八条の方で「すべての負傷又は疾病」となっておりまして、たとえば歯科疾患につきましても、これが病的な状態になると、それによって、単に簡単な歯を埋めるとかなんとかいう程度ではなくて、当時の観念におきましてもう少し進んだより病的な状態になった、そういう場合には入ってくるもの、こういうふうに私どもは解しております。
○竹内(黎)委員 ちょっとわかりかねるのですが、私は専門家じゃないですけれども、この百二号の立て方、特に業務災害給付を特別の独立の部門にしたというのは、第二部第八条に、「エネーモービッド コンデション」で「すべての負傷又は疾病」をカバーするのだけれども、特に業務災害につきましては、その救済を手厚くする必要があるから特別にそれを抜き出して、なおかつより高い基準のものを定めたんだ、私はこのように理解をするわけでございまして、私は、第八条のカバーする範囲、少なくとも疾病、負傷のカバーする範囲とこの業務災害部門のカバーする範囲に、差があるとすればせいぜいリハビリテーション、補装具とかその程度のもので、他は共通なのではなかろうかと解しておりましたけれども、これは私の間違いですか。
○綱島説明員 その点は、結論的に申し上げますれば、先生の間違いということではないと思います。ただ、第八条の書き方それから労災部門の書き方が違っておりますのは、やはり医療というものに対する当時のそれまでの伝統的な物の考え方、その差が出てきて、第八条の方では歯科診療というものが入らなかった、こういうふうに解されるわけでございます。
○竹内(黎)委員 時間がありませんから、その点の論議はまた他の委員がお取り上げの際に譲りたいと思いまして、次に参ります。 第八条の「すべての負傷又は疾病」についていまお尋ねをいたしましたので、一点だけ確認をしておきますが、この「エネー モービッド コンデション」について、WHOにILOが定義を求めたはずですね、どういうぐあいに定義したらよろしいか。WHOの方はその定義を定めたのでしょうか。
○綱島説明員 当時ILOからWHOに対しましてその辺の照会をしておるようでございます。したがって、それに対する回答は行っておりますのですが、そのもの自体私ただいま持っておりませんが、WHOからコメントしたはずでございます。
○竹内(黎)委員 実はいま改めてこの「エネーモービッド コンデション」を取り上げましたのは、結局母性給付に関してまた論点を持っていこうというせいでございます。そこで、まず、これは細かいことですけれども、また外務省に伺いますが、訳語でございますが、使っている原文は「マタニティー ベネフィット」ですか、これを「母性給付」と訳すのは誤りであって、条文に沿って解釈する限りは「出産給付」と訳すべきだという学者の指摘がございますが、この点はいかがでしょうか。——時間がありませんから、じゃあ、いまのは訳語のことですから余りこだわりません。後で機会があったら私に説明をしていただきたいと思います。 そこで、どうしてもこの母性給付あるいは出産給付についてさらにお尋ねをせなければならぬと思うのでございますが、この百二号条約において、この母性給付においては他の疾病、負傷と違いまして一切の自己負担を認めていない、これが大きな特徴であり、と同時にわれわれの批准できない理由にもなっておるわけですが、なぜ百二号において母性給付については一切の自己負担を認めなかったんだろうか、その辺のいわば立法者の意思といいますか、その辺をまず御説明を願いたいのです。
○綱島説明員 お答え申し上げます。 ただいま御指摘の点につきましては、いろいろ当時の審議の過程その他参照してみたのでございますが、一言で申しますならば、やはり出産、分娩、そういうものに対する当時の西欧を中心とした物の考え方と申しますか、そういうものが中心になっておったというふうに考えられるわけでございます。
○竹内(黎)委員 いま課長の説明で、当時の西欧流の考え方がここに反映したんだ、こういう御説明だと思うのですが、私はもっと積極的に受けとめたいと思うのです。少なくとも出産給付あるいは母性給付に関しては一切の費用の本人負担を認めてはいけない、これが普遍的な原則である、私は、恐らくそういう認識に立ってILOがこういう立法をしたものであって、単に西欧流の当時の風潮を反映したというぐあいに消極的に受けとめるべきではない。すなわち、母性給付については、各国ともそれについては例外を認めませんという非常に強い意思の反映だというぐあいに私は解釈をいたしますが、もう一度御説明願いたいと思います。
○綱島説明員 お答え申し上げます。 私の御説明申し上げたところがあるいは誤解を生じたかもしれませんが、西欧流云々と申しましたのは、当時のこの条約の立案あるいはその審議に当たりまして、そういう西欧の国々が主として中心的な勢力であった、そういう雰囲気の中でできたんだという沿革的なことを申し上げたわけでございまして、理論としましては、先生おっしゃいますように、やはり出産というものは非常に積極的に費用負担すべきではない、こういう思想であったというふうに考えられるわけでございます。
○竹内(黎)委員 それじゃあと一問でやめたいと思いますが、この母性給付ですね、妊娠、分娩及びそれらの結果をいわゆる「エネー モービッドコンディション」の中に含めて解釈すべきではない、私はこのようには思います。しかしながら逆な面から注目いたしますと、妊娠であれあるいは分娩であれあるいはそれらの結果であれ、少なくともそれは医療を必要とする状態だということには、まず間違いないんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
○綱島説明員 お答え申し上げます。 やはり先生おっしゃいますように、そういう医療が必要であるというふうに考えるわけでございます。
○竹内(黎)委員 まず医療を必要とする状態だということは御確認をいただきたいと思いますが、ただし、その医療を必要とする状態というものは、私はいわゆる異常妊娠であるとかあるいは異常分娩であるとかそういう意味でなくて、正常なる妊娠、分娩と解しますが、その点も御異議ございませんか。
○綱島説明員 お答え申し上げます。 第十条を御参照いただきますと、「妊娠、分べん及びこれらの結果について」というところがありまして、その第一号といたしまして「医師又は資格のある助産婦による分べんの介助及び産前産後の手当」と、こうなっております。それから二番目が、「必要がある場合の病院への収容」でございますが、広い意味におきまして、きわめて正常なる分娩の場合におきましても、やはりいつ、いかなる事態が起こるかわかりませんので、広い意味での医療というものが必要になる。実際の介助あるいは産前産後の手当てというものが助産婦による場合におきましても、やはり広い意味では医師というものがバックにある、こういうことであろうと考えられます。
○竹内(黎)委員 私は、正常なる妊娠及び分娩ということについてのいわばイエスかノーかの回答を求めたのです。もう一ぺんイエスかノーかで回答してください。
○綱島説明員 お答え申し上げます。 その点につきましては、やはり医療の専門家の意見に聞かなければならぬと思うのでございまして、先ほど申し上げた以上にはちょっと私としては申し上げかねる次第でございます。
○竹内(黎)委員 いまお聞きのように、何かちょっと申し上げかねるということではっきりした回答はいただけませんので、私また他日の機会に質問をさせていただくことにして、この論議を深めてまいりたいと思います。きょうはこれで一応やめておきます。
○栗原委員長 河上民雄君。
○河上委員 私は、百二号条約と六十九号条約につきまして御質問いたしたいと思います。 特にこの百二号につきましては、労働する婦人の問題もかなり含まれておりますので、各党、少なくともわが党の場合、同僚婦人の方々あるいはその分野における専門的な立場から研究しておられる方から後ほど検討さしていただくことにいたしまして、きょうは私やや総論的に質問をいたしたいと思います。 先ほど御質問がありましたように、これは一九五二年に採択されたものでありまして、それ以来二十三年間、発効してからも二十年間たっておるので、いまお話がありましたように専門家といいますか、問題に関心を持っている方々の間では要するにもう時代おくれというのですか、この条約の批准はもう何の意味もないという声さえあるように思うのであります。特に今回の条約の条文上いわば差し支えないことかもしれませんけれども、その精神におきまして、特にわが国でおくれた部門、医療、母性給付、家族給付、廃疾給付、遺族給付などを全く放置したままこの批准を求めるということははなはだ遺憾なことだと私は思うのであります。こういう点につきまして私どもは非常に恐れておりますことは、ことしは国際婦人年だから、ともかくILO百二号条約批准をしましたという形にするためにいまこの批准を求めているのではないか、こういうことでございますが、政府は特におくれた部門を外している点についてどういうお考えなのか、その点を伺いたいと思うのであります。
○綱島説明員 お答え申し上げます。 先生御指摘になりましたように、この条約で決めております九つの部門のうち五つの部門につきましてはまだ基準を満たすことができないために、その部門は義務の受諾をいたしませんで、残りの四部門で批准をしよう、こういう考えでございます。ただ残りの部門につきましてそれぞれの問題がございますが、国会の御承認を得て批准手続を終わりました後は、いままでに引き続きましてそれぞれの部門につきましても、やはり国際的な視野に立ちますものですから、この条約を一つの大きな目安といたしまして引き続いて改善のために努力をいたす、こういう考えております。
○河上委員 政府としては今回の批准を求めるに当たって、いつごろまでに取り残された分野の国内法の改正を行うお気持ちでありますか。そういうめどというものは当然なければならないと思うのですが、非常に努力するというふうにおっしゃった以上は、大体いつごろまでにやるおつもりでいらっしゃいますか。
○綱島説明員 お答え申し上げます。 昭和何年までという点は、残念ながらただいまはっきりは申し上げられません。ただし、たとえば今回義務の受諾をいたしません部門で、遺族給付がございます。この点につきましてはつとに研究を進めておりまして、明年、昭和五十一年でございますが、そのときに、ちょうど厚生年金保険法の再計算期に当たりますので、いろいろな面での改善をする予定で作業を進めております。したがいまして、現在の線といたしましては遺族給付の部門は恐らくはその時点で基準に合致するように間に合うのではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
○河上委員 それでは医療部門につきましてはいつごろまでにやりたいというようなお気持ちでございますか。 その前に、百二号条約を批准しておりながら、医療部門について内容を満たしてない国が一体どのくらいあるのか。それはどういう国ですか。恐らくほとんどないのじゃないかと思うのでありますけれども、ちょっと教えていただきたい。
○伊達政府委員 お答え申し上げます。 この条約を批准いたしまして、この第二部、すなわち医療部門を受諾していない国は、例を申し上げますと、イスラエルでございますとか、イタリア、アイスランド、セネガル、ニジェール、アイルランド、モーリタニア、エクアドル等の国がございます。
○河上委員 政務次官もいまお聞きになってあれだと思いますけれども、そういうような国々が特におくれているというふうに言うわけにはいきませんけれども、批准している国のほとんどが医療部門についてはその内容を満たした上で批准を求めているわけですが、批准を求める以上は、特にこの時点で批准を求める以上は、こういう医療部門についてその内容が満たされてないということについては、国際的にも非常に恥ずかしいことじゃないかと思うのでありますけれども、政務次官、その点どういうふうにお考えになりますか。
○羽田野政府委員 先生御指摘のように、この百二号条約を批准する場合にはできれば全部門を受諾できる状態で批准することが一番望ましいわけでございます。特に先生御指摘の医療部門については、これは重要な柱でございますので、これの受諾が望ましいことは先生御指摘のとおりでございます。しかしこれ、全部の部門を条件を満たして受諾するということになるとまだ時間もかかるような関係でございますので、まず批准ができる状態になったものから順次やっていくという方針でございます。 御指摘の医療部門につきましても、一部の部門でその条件を満たしておりませんために今回受諾ができませんけれども、先ほどもちょっと例を引いて申し上げましたように、医療部門は日本は全くゼロだということではございませんで、八合目、九合目まで行っているけれども、少しのところで条件を満たさないという状況でございます。できれば今回その条件を満たして受諾することが望ましかったわけでありますが、間に合っておりませんので、できるだけ早い時期にこれを受諾できるようにいたしたいというふうに考えております。
○河上委員 次官は胸を張ってお答えでございますけれども、百二号条約の精神にのっとって批准をしているほとんどの国は、少なくとも医療部門だけは要件を満たした上で批准をしているわけです。したがって八合目か九合目か知りませんけれども、胸を張って言うべき事柄じゃなくて、やはり横井さんじゃないですけれども、恥ずかしながら批准を求める、こういう姿勢で臨むのがぼくは筋じゃないかと思うのです。先ほどは遺族給付につきましては昭和五十一年という一応のめどを示されましたけれども、医療につきましても、私はやはり何年ごろまでにはというめどを示すべきじゃないか、こう思うのであります。 それで、もし今回残された部分につきまして義務を受諾するということに将来なりますと、この条約によれば、義務受諾は通告をもってそれが行われた日から批准と同一の効果を発するというふうになっておるようでございますが、そういうことでよろしいわけですか。
○伊達政府委員 お答え申し上げます。 ただいま先生御指摘になりましたのは四条の一で、批准のときに受諾しなかった部について、新たにその義務を受諾する旨の通告をすることによって、その当該部の適用をその部について受けることになっております。 この通告と申しますのは、今回この条約を御承認いただきました場合に、各部について御審議をいただくわけでございますので、それにつきまして国内法の改善と申しますか、保障基準というものが国内法により改善されました暁に、今回予定しております部以外のものについて受諾できるということになりました場合には、政府としてその通告をいたしたい、そのように考えている次第でございます。
○河上委員 その通告に至るまでの手続でございますけれども、一体要件を満たしたという判断は政府でなさるわけですか。
○伊達政府委員 お答え申し上げます。その判断は政府において判断させていただきます。
○河上委員 その場合、国会の承認を必要としないのかどうかですね。
○伊達政府委員 今回御審議をいただいておりますのは、当面受諾する部門のみならず、ほかの部門についても御審議をいただいているわけでございまして、条約につきましては当面この四部門を受諾するということではございますが、条約全体についての締結について御承認をいただくというふうに考えられます。したがいまして、今回当面受諾をいたさないものについて、それを通告いたします際に法律的に国会の御承認を求めるとかいうことは、必要ないというふうに考えております。
○河上委員 それはもし仮にそれでいいということにいたしましても、果たしてその要件を本当に満たしたのかどうかというような認識について、基準をここではっきり決めていない以上は、やはり国会あるいは少なくとも外務委員会へ通告に当たって報告を行うべきではないかと思うのであります。法的にはそれは確かに承認はもう必要でないかもしれませんけれども、やはりそのぐらいのことをすべきではないかと私は思いますけれども、これは伊達さんでお答えいただけるのか、あるいは、きょうは外務大臣おられないのですけれども、そういう点はいかがでございますか。
○伊達政府委員 お答え申し上げます。 当然のことながら、今回当面受諾をしない部門につきまして、新たに通告をいたしましてその当該部の適用を受けるということは、御承認をいただいた条約の実施という面にかかわるものでございます。したがいまして、当然のことながら国会の御承認をいただいた条約の実施につきまして、しかも重要な点でございますので、委員会に御報告を申し上げるということが適当であろうと存じます。
○河上委員 そういたしますと、政府では今回要件を満たしていない部門につきましては、将来義務受諾の通告を行う場合には、国会に対して、少なくともこの外務委員会に対して報告をすると理解してよろしゅうございますね。
○伊達政府委員 そのように御了解いただいて結構でございます。
○河上委員 では、若干中の問題に入りたいと思います。 詳しくはまた後に同僚議員の方から専門的な立場で御質問いただくことにいたしておりますけれども、二、三私が気になりましたことを時間の許す限りで御質問したいと思います。 この前の提案理由の説明を伺いましたところ、「傷病給付、失業給付、老齢給付及び業務災害給付の四部門について」云々とある中に、「これらの部の規定の趣旨は、我が国におきましては、主として健康保険法、雇用保険法、厚生年金保険法、労働者災害補償保険法及びこれらに基づく政省令により充足されているところでありますが、」云々となっておりますが、今回受諾する部門につきまして、厚生年金保険法あるいは健康保険法等によって、被用者の五〇%以上という点については大体被用者の七割くらいをカバーするということで、これでいいというふうにお考えになった結果でございましょうか。
○綱島説明員 お答え申し上げます。 先生のおっしゃるとおりでございます。
○河上委員 そこでお尋ねいたしますけれども、そういたしますと、国民年金法とか国民健康保険法の給付条件、内容は、この条約の基準を満たすものであると考えておられるのか、それともこれは一応ちょっと除外して、前者だけで十分もう条件を満たしている、したがって、いま挙げました後者についてはこれを一応度外視して考えられたのかどうか。
○綱島説明員 お答え申し上げます。 この百二号条約におきましては対象者の範囲というもののとり方をいろいろ決めておりまして、そのうちどれをとってもよろしいことになっておるわけでございます。したがいまして、今回は厚生年金保険法、健康保険法その他労働省関係の二法、こういうもので、その被用者というジャンルでとらえたわけでございまして、したがいまして、先生御指摘の国民健康保険あるいは国民年金、こういうものは今回は考えないでそれでその基準を満たす、こういうふうに判断したわけでございます。
○河上委員 そういたしますと、ここで少し問題になるのでありますけれども、私が挙げました後者の方、いわば条件の悪い保険に入っている人たち、あるいは生活保護を受けているような人たちにつきまして、社会保障の最低基準という問題は一体どうなるのかということが出てくると思うのでありますけれども、この点につきましては政府はどのように考えておられますか。
○綱島説明員 お答え申し上げます。 社会保障制度全般という見地から申しますと、わが国の場合に御指摘のように健康保険のみならず国民健康保険、それから厚生年金のみならず国民年金というものがございます。その他各種共済もございます。さらに生活保護というのもございます。しかしながら、この国際条約に照らし合わせて考えてみました場合には、たとえばこの百二号を上回る基準を定めております百二十八号、年金関係でございますが、あるいは百三十号、医療保険の関係でございますが、こういう点と照らし合わせて考えてみましたときには、先生御指摘の後者の方、一般の国民健康保険あるいは国民年金、あるいは共済組合、こういうものもあるいは一緒に考えて対比せねばいかぬということになろうかと思いますが、さしあたりましては被用者の五〇%というその基準、そのラインで考えていったわけでございます。
○河上委員 ILO条約の場合、国内法の条件を満たした上で批准する、そういう精神から言いますと、私はやはり、今回の加入が違法であるということはこの条文を読む限り言えないかもしれませんけれども、しかしこの点は改めてわが国の社会保障の実態というものに一つの光を与えることになっているのではないかと思うのであります。そういう意味で、まあこれだからこれでいいのだということではなくて、数の上で被用者の五〇%以上あるいは七〇%をカバーしているからいいのだということではなしに、これを機会に、やはり社会保障制度全般をもっと積極的にわれわれの良心に照らして改善を図っていくべき一つのきっかけではないか。そういうことでないと、ILO条約批准の意味というもの、精神というものはただ形式的なものになってしまって、忘れられてしまうのではないかということを私はこれで強く指摘いたしたいと思うのであります。 同じようなことは、第十二部、六十八条を読みますると、外国人居住者に対する均等待遇が規定されているのであります。この条文につきましても同じようなことを少し感ずるのでありますけれども、わが国の場合、外国人居住者に対する均等待遇という点が制度上どうなっているか、この機会に伺いたいと思います。
○綱島説明員 お答え申し上げます。 今回の百二号条約の批准に関連しました部分からまず申し上げますと、厚生年金保険あるいは健康保険さらに雇用保険あるいは労災保険も同様と存じますが、国籍のいかんということを全然問題にいたしておりません。したがいまして、その意味で百二号関連からすれば問題がないわけでございます。 ただ、先生お聞きになりましたように、ほかの社会保障全般という点から御参考までに申し上げますと、たとえば国民健康保険でございますが、これにつきましても、国民健康保険を実際にやります各市町村の条例において定めることができますので、現在のところは外国人の方もほとんどは国保のカバーのもとにある、こういうことは申し上げられると思います。ただ、国民年金におきましてはやはり日本国民という限定がついておりますので、その点はまだ健康保険あるいは厚生年金のようにはいっておらない、こういう実情でございます。さらに生活保護につきましては、これは外国人でありましても日本国民に対してと同じようにやる、こういうふうになっております。
○河上委員 いま政府は、社会保障制度全般についていえば、外国人居住者に対する均等待遇は必ずしも十分でないということは認められますね。
○綱島説明員 一部の制度におきましてはそういう実態でございます。
○河上委員 国民健康保険の適用につきましては各地方自治体の条例に任されているわけですか。
○綱島説明員 そのとおりでございます。
○河上委員 もう少し詳しく伺いますと、永住権を持っている韓国の国籍を有する方々につきましては、これは無条件で国保の適用がされるようになっておるはずであります。実際にはそれぞれの地方自治体でいろいろ条例でやっておられるかもしれませんけれども、カテゴリーとして無条件に適用されるのは永住権のある韓国人の場合のみというふうに聞いておりますけれども、実態はどうでございますか。
○正木説明員 お答え申し上げます。 ただいま先生のおっしゃいましたとおりでございまして、国民健康保険につきましては、日本の国籍を有しない者は原則的には対象外にしておりますが、日本国との間に条約を結びまして、相手国に国民健康保険と同じような制度があって、いわば相互協定を結んでいる国、それから先生のおっしゃいました、大韓民国の国民でありましてあの特別法によりまして永住許可を受けている方につきましては、国民健康保険を適用する。それ以外に、先ほど国際課長が申しましたように、個々の市町村におきまして条例で特別に対象にすると決めた国の国民は、国保の適用を受けるという仕組みになっておるわけでございます。
○河上委員 それではちょっと外務省の伊達さんに伺いますけれども、外国人居住者に対する均等待遇というのは、均等というのは日本人と外国人居住者との間の均等ということと、もう一つ、外国人居住者間における国籍による差別がないという意味の均等と、二つ考えられると思うのでございますけれども、これは両方含んでおるのですか。それとも何かちょっと多少違う点があるのですか。
○伊達政府委員 先生の質問が私の考えていなかった点についての御質問なんでございますが、この六十八条の一項の書き方という点から見ますと、やはり自国民と外国人を区別しないということが主眼として均等待遇というふうな言葉が使われているように考えます。もとより外国人間で差別しないことは、そのコロラリーとして自国民と区別しなければ同じ待遇になるわけでございますから問題ないと思いますが、書き方といたしましては内外異人の無差別、均等ということを規定しているものと考えます。
○河上委員 実際には、在日朝鮮人の方あるいは在日華僑の方の場合も同様かと思いますけれども永住権という問題が一つある。したがって永住権を持たない外国人居住者の場合と永住権を持っている外国人居住者の場合と、もう一つはここにありますように、特別法によって永住権を認められた韓国国籍を持っておる外国人居住者の場合といろいろあるわけです。少なくとも日本の法律のたてまえは、国保につきましては永住権のある韓国人の場合はカテゴリカリーにこれは適用される、その他の外国人居住者、特に朝鮮籍を選んだ朝鮮人の場合にはカテゴリカリーには適用にならない。個々の地方自治体の条例に任されておる、こういう実情であることは認められますか。
○正木説明員 お答え申し上げます。 大韓民国の国民につきましては、永住許可を受けている場合には国民健康保険が適用されております。ちなみに申し上げますと、朝鮮人につきまして、これは四十九年四月でございますが、外国人登録をしている方は六十三万九千人ほどおられます。そのうち国民健康保険の適用を受けている方は三十四万五千人余りでございます。その三十四万五千人余りのうち、十七万七千人余りが永住許可を受けている大韓民国の国民でございます。残りの十六万八千人余りが条例の規定によって適用を受けておる方でございます。合わせて三十四万五千何がしということでございますが、最初に申しました六十三万人と三十四万人の差につきましては、これは先生御案内のように、被用者保険の健康保険につきましては、適用事業所に使用されておる限り、外国人、日本人を問わず適用されておりますので、この中の多くの方は被用者保険の適用を受けている方もあるというように思います。
○河上委員 これはかなり重要なことでございまして、六十三万人のうち三十四万五千人。私によれば区別があるというふうに考えられるのですけれども、一応永住権のある韓国国籍の所有者十七万と、条例によって十六万の方が適用になっておる。といいますと残り三十万ばかりは国保が適用されているか——されてないわけですね。その三十万人のうちどの程度雇用保険で被用者として、国籍のいかんにかかわらず適用になっているかどうかは確認されていないわけでございますね。ただ理論的にそういう人がいるはずだというだけでございますね。
○正木説明員 被用者保険の適用を受けておる方の国籍につきましては、御案内のように、被用者保険につきましては、外国人、日本人共通の扱いをしておりますので、私どもの方といたしましては特に外国人についての統計をとっておらないわけでございます。したがいまして、この残りの三十万人弱の方々につきまして、被用者保険の適用をどの程度受けておるかということは正確にはつかんでおりません。
○河上委員 在日朝鮮人の方々の生活の実態から見ますと、被用者保険を十分に保障できるようなところに勤めている方が大部分であるとは考えられないように思うのであります。これは理論上なかなか統計を出しにくいかもしれませんけれども、どのカテゴリーにも入らずに落ちこぼれてしまう方がかなりの数になるんではないかということを私は恐れるわけです。そういう意味で、第十二部六十八条の外国人居住者に対する均等待遇の規定について、日本政府はどう考えておるのかお尋ねをしたわけでございますが、これは理論上云々というようなことでございまして、実態は必ずしもはっきりわかっていないようでございますけれども、この批准を機会に、その点をもう少しはっきりさせていく必要があるんじゃないかと私は思うのでありますが、その努力をここで約束していただきたいと思います。
○綱島説明員 先生の御指摘の点でございますが、国際的な社会保障条約の批准を御承認を得ました上は、従来に引き続きまして内容を向上すると申しましたのですが、それに加えまして御指摘のような外国人の均等待遇の点につきましてもよく検討いたしたいと思います。これは、特に先生御指摘の韓国ないし朝鮮関係だけではございませんで、そのほかの外国人であって日本におられる方々に対する社会保障の適用の仕方につきましても検討を進めていきたいと思っております。
○河上委員 この問題はさらに次の機会にもう少し詰めさしていただきたいと私は思いますが、今度の百二号条約につきましては、取り残されている部分につきまして内容的にもう少し伺いたいのでありますけれども、冒頭申し上げましたようなことで、次の機会に同僚議員から詳しく質問させていただきたいと思います。 最後に、船舶料理人の問題でありますけれども、これは、ずっと読んでいきますと簡単な省令で資格を与えることができるようになっておるようでございますが、こんな簡単なことをどうして今日まで放置したのか。私どもとしては何かILO条約に対して後へ後へ延ばしていくような感じがしてならないのでありますけれども、一体どういうことでこういうようにおくれたのか、放置してきたのか、この点を伺いたいと思います。
○山上政府委員 ILOの第六十九号条約につきましては、従来からこの批准について検討を続けてまいりましたが、船内司厨部組織の充実あるいは船舶料理士となり得る必要な人員の確保等、国内の受け入れ体制がいままでは不十分でありましたが、最近に至りまして整ったと判断されましたので、船員法に基づきまして船員中央労働委員会の答申を得、それを船舶料理士に関する省令といたしまして本年の三月十九日に公布をいたした次第でございます。
○河上委員 われわれ海の国でございますけれども、船舶とか港湾の問題がどうしてもおくれがちでございます。いま議題にはなっておりませんけれども、百三十七号条約、港湾労働条約というのがございます。今日の日本の港湾の労働行政の実態から見まして、これは早期に批准に踏み切るべきである、またその国内的な体制を一日も早く整えるべきだと私は考えるものでありますけれども、港湾労働条約、百三十七号条約につきまして政府はいまどのように考えておられるかを伺いたいと思います。
○青木(勇)政府委員 お答え申し上げます。 先生いま御指摘の第百三十七号条約は、港湾における最近の輸送革新の進展というものが港湾労働者の雇用に非常に大きな影響を及ぼしておる、こういう実態に対処するために、実施可能な限り、港湾労働者が常時雇用されることを保障するようすべての関係者に奨励することを国の政策とする、さらに、港湾労働者はいかなる場合でも当該国及び当該港湾の経済情勢とか社会情勢に応じた方法で、かつその範囲内で最低の雇用期間または最低の所得が保障されるということ等を規定いたしておりまして、この条約の内容につきましては、わが国においてはすでに制定を見ております港湾労働法その他の法令によりおおむね実施されていると考えております。なお、本条約の批准につきましては、わが国の関係諸法令が条約で実施を求めております事項に完全に合致しているかどうか、こういう観点から現在慎重に検討中でございまして、なるべく早く結論を得て対処してまいりたいと考えております。
○河上委員 もう一度伺いますけれども、できるだけ早くと言うのですが、それはいつごろまでにという希望を持っておられるのか、その点を伺いたいと思います。 〔鯨岡委員長代理退席、水野委員長代理着 席〕
○青木(勇)政府委員 時期的に何年というふうには申し上げかねますけれども、関係省とも十分打ち合わせをいたしまして、できる限り速やかに批准の運びに持ってまいりたいと考えております。
○河上委員 それでは私、きょうのところはこの程度で質問を終わりまして、また後日さらに詳しく同僚議員から質問をさしていただくことにいたしたいと思います。
○水野委員長代理 田中美智子君。
○田中(美)委員 ILO百二号条約についての質問をいたしたいと思います。 ことしは御存じのように国際婦人年です。この国際婦人年の年に、二十三年間放置されておりました、国民が望んでいた百二号条約というものを批准するということになった。それが、この百二号条約の中から特に婦人に関することがほとんど全部というほど落ちている。国際婦人年の年に婦人に関する問題をほとんど全部落としてこれを批准するという、こういう皮肉な現象がことしあらわれているわけです。これは世界の国際会議にも報告されるでしょうし、メキシコの国際会議、ベルリンの国際大会で報告されることになるというふうに思うわけです。批准をするということが悪いというふうに私は思うわけではございませんけれども、日本の婦人は、いかに日本の婦人が自民党の政府によっていままで無視され軽んぜられ、そして差別されてきたかということをこの批准をきっかけにいましみじみと感じているんだというふうに思います。そのことをまず結論から申し上げまして、質問の中身の方に入っていきたいというふうに思います。 三木内閣になりまして、三木総理が「国際婦人年にあたって」というこういうメッセージをつくっております。このメッセージの中にはいろいろなことが書いてありますけれども、「国際社会の平和と発展も、国内社会の安定と繁栄も、両性の等しい貢献なくしてはなし遂げられません。」「両性の等しい貢献」という言葉をはっきりと使っていられるわけです。これは後でも申し上げたいと思いますけれども、一般紙を含め地方紙を含めて、全国の三十五の新聞にこれが大きく報道されているわけです。こういうことから、日本の婦人たちは三木内閣に大きな期待を持ちました。ことしは婦人年でもある、これだけのPRを、新聞に総理大臣みずからがアピールを出したということはいままでになかったことです。ですから婦人にとっては、恐らくことしは日本の、世界の歴史始まって以来というのはオーバーかもわかりませんけれども、国連レベルで世界的な見地から婦人の差別をなくし、婦人の地位の向上をということを願っている年に、こういう総理大臣の姿勢というものは一応歓迎され、また期待されてきたわけです。この百二号条約、これに期待しましたけれども、しかしこの中で何ら婦人の問題というものは取り上げられることなく、全くと言っていいほど落とされて百二号条約が批准という、こういう皮肉な現状になっているわけです。 それで第一にお聞きしたいのは、労働大臣のメッセージも出ております。これは時間がありませんので省略したいと思いますが、こういうメッセージを受けまして、各婦人に関係するところでは、具体的に三木総理や長谷川労働大臣からどのような指示を受けどのようなことをしてきたか、このことについてお答えいただきたいと思います。
○青木(勇)政府委員 本年国際婦人年の年に当たりまして目標といたしますところは、先生御指摘のとおり平等、発展、平和という非常に大きな重要な柱を掲げておりまして、労働省といたしましては、国内におきまして各分野における先生いま御指摘のような声明の発表、あるいは国際婦人年の目標に即しました研究、調査活動の実施とか各種の集会、研修、展示、コンテスト等の記念行事の開催、そういうことを行いますほか、ことしの六月二十三日から開かれますメキシコにおきます国際婦人年世界会議にも参加をいたして、それに協力していく、こういうことで各種の活動を実施するということで現在進んでおります。
○田中(美)委員 もう少し私の質問に対して具体的にびしっと答えていただきたいわけです。いまおっしゃったことは、単なる啓蒙活動をするということですね。メキシコの世界会議に出るということは、日本の婦人の状態を正しく反映されるようなことをするのかどうか。これは啓蒙ですけれども、聞くところによりますと、日本はこんなにりっぱにやっているということを言ってくるにすぎないというふうなうわさが市民の間に流れております。こうしたうわさについて私は論じようとは思っておりません。具体的に婦人にとって地位の向上になる具体的な問題ですね。こういう問題が、このILOの中に出ております婦人の問題に関するところで、どのような具体的な指示や具体的な努力やどのようなことをしようとしているのか、具体的にお答えいただきたい。具体的にないならばないというふうに答えていただきたい。時間がありませんので、ぐたぐたおっしゃらないで、きちっとおっしゃっていただきたいと思います。
○青木(勇)政府委員 ILOとの関係におきましては、先ほど申し上げましたように婦人の関係条約がございまして、すでに批准したものは批准しておりますけれども、なお百三号条約とか八十九号条約、こういう点まだ未批准でございまして、これは先ほど、なぜいま問題があるかということを一応御説明申し上げましたが、そういう点についても、できる限り早く批准できるように検討を進めております。
○田中(美)委員 あなた、私の聞いていることについてどうして曲げて答えるのですか。私が聞いておりますのは、百二号条約の婦人に関するところでどのような努力をしてきたか、具体的に言ってほしいと言っているわけです。日本語が通じないのでしょうか。私の言い方が悪いんでしょうか。もうちょっとはっきり、まじめに答えていただきたいと思います。
○綱島説明員 お答え申し上げます。 先生御指摘の点は、百二号条約の中で特に婦人に関連のある部分、これについてということだと存じます。 一つは母性給付の点でございます。それからもう一つは、医療給付の中にあります同じような母性給付、つまり妊娠、分娩、出産に係る給付、それからもう一つは、特に婦人の方に重要な意味がありますのは遺族給付でございます。この三点かと存じます。 そこで申し上げますと、まず遺族給付につきましては、先ほども申し上げたのでございますが、これは近い将来において基本的な、抜本的な改正という目途をもって作業を進めておるところでございます。 なお、母性給付、つまり妊娠、分娩、出産、それからもう一つの方の、百二号条約の中の母性給付の部門の中にあります出産中の現金給付でございますね。この点は実はもう基準に達しております。しかしながら、医療給付の中にありますと同様に、どうしても現在の状況といたしましては、出産の場合に本人に対して負担がかかる、こういう点があるかと存じます。この点につきましても、鋭意改善方について研究はいたしておりますが、いつまでに、あるいはいつには必ず、こういうことは残念ながらまだ申し上げられない実情でございます。
○田中(美)委員 いまのお答えで非常にはっきりいたしました。遺族年金については近い未来ということは、二十三年前に締結をしていながら二十三年間これを放置していた。近い未来という抽象的なことは一体いつのことになるのかわからない。ことし、三木総理や労働大臣のこのメッセージを受けては何もしていないということが明らかになったと思います。 それからまた医療の問題ですけれども、医療は達している。しかし出産のものが達していないからこれができていないんだということを言っておりますし、これもできるだけ早く解決したいというふうにおっしゃっていらっしゃるわけですね。ということは、やはり私がいま質問いたしました、この国際婦人年、三十五紙に大きく報道された、国民に約束をした三木総理のメッセージは、百二号条約の中では全く努力も何もなされていないということがいま明らかになったんだというふうに思います。 それで先ほど自民党の竹内議員から、この百二号条約は時代おくれというふうな言葉があったということは、二十三年間放置されていたということだと思うのですけれども、そのときの質問の中で、羽田野政務次官のお答えに、医療は時間はかかるが、いま八合目、九合目まで来ている、ほんのちょっとのところで早い時期にやりたい、こういうふうに言われたわけですけれども、政務次官のそのお答えに対して、先ほどの厚生省国際課長ですかのお答えの中にあったように、出産の部分が医療でできていないということ、これがないために九合目だということを政務次官は御存じだったのでしょうか。その点政務次官にお聞きいたしたいと思います。
○羽田野政府委員 この医療関係、結局第二部についての義務をどうして受諾せないかということになると思いますが、結局この部は負傷または疾病の場合の医療並びに妊娠、分娩及びこれらの結果の場合の医療についての規定でございまして、わが国の場合に健康保険による医療の給付及び分娩費がこれに相当いたしますが、健康保険における、これらの給付は給付理由、保護対象者の範囲、資格期間、支給期間等において条約の条件を満たしておるというふうに考えられます。 しかしながら妊娠、分娩及びこれらの結果の場合の医療につきまして、条約上費用の自己負担が認められていないというふうに解されておりますが、現在の健康保険の分娩費では必要な費用を完全に賄えない場合もあり得ると考えられます。 そこで条約の水準を満たしていないというふうに言わざるを得ない現段階では、この部分についての義務を受諾することはできない、こういう状況でございます。
○田中(美)委員 もう一度申し上げておきますけれども、私がいただきました一時間半の時間というのは田中美智子個人の時間ではなくて、国民の代表としてやっている時間です。ですから、私の質問に答える場合に、余分なことをおっしゃらないでいただきたい。これは国民の大事な時間を消耗していることになると思います。医療をこの批准の中に入れるのに、分娩費がないために入れられないんだということを知って発言しているのかということをお伺いしているわけですから、イエスかノーか答えればそれで済むわけです。ぐだぐだとおっしゃらないでいただきたいと思います。お互いにあなたも専門家、私も専門家として話していることですから、条文をぐだぐだ読み上げたりしないでいただきたい。これからの質問もそういう形で、皆さんも国民に責任を負っている政府であるし、私も国民の代表として来ていることです。まじめな態度で、そうして時間を大切にしながら、効率よくこの質問を進めていきたいというふうに思います。 それで、共通の認識の立場に立ったと思いますので、医療の問題をこの批准の中に入れていこうとすれば、正常分娩というものを健康保険に入れていくとか、いろいろな意見があると思います。これについて政府はどうやって入れていこうと思っていらっしゃるのか、この点をお聞きしたいわけです。 これについて聞きますけれども、一言申し添えておきますと、先ほど政務次官が、早い時期にやりたいというふうにおっしゃっていらっしゃいました。医療は時間はかかるが、九合目まで来ているから、もう少しのところだから、できるだけ早い時期にやりたいというふうにおっしゃっております。ですから、早い時期にどのようにしたらできるのかということをお聞きしたいと思います。その方法をお教えいただきたいと思います。
○綱島説明員 お答え申し上げます。 妊娠、分娩並びにこの結果、こういうものを百二号条約の基準に合致させようといたします場合に、方法は二つございます。 一つは、現物給付からいたしまして、いわゆる点数表でございますね、この中に入れて現物給付をするということ。それからもう一つは、実際にかかった費用というものを、後から実費を償還をする。この二つの方法がございます。 いずれの方法にしましても、この条約におきましてはどちらの方法でもよろしい、こうなっておるわけでございます。
○田中(美)委員 私は抽象的な方法を聞いているのではなくて、皆さん方がこれをするのには、じゃこれをするのかどうか、点数でやっていくか、現物給付でやるか、療養費払いでやるか、この二つのことを、どれをやるのかと聞いているのです。
○綱島説明員 お答え申し上げます。 その点につきましては、いずれの方法をとりましてもそれぞれの実は問題点がございます。 決してこれは簡単に解決のできる問題ではございませんので、こちらの一の方法をとるか、二の方法をとるかということを含めて検討中でございまして、必ず一にいきます、必ず二をやります、こういうふうにはまだ残念ながら申し上げかねる段階でございます。
○田中(美)委員 二十三年間英知をそるえて検討していても、いまだかってまだ検討できていない。この検討の結果がいつ出るのか、この見通しをお答え願いたいと思います。あるかないか、イエスかノーかでお答えください。
○綱島説明員 お答え申し上げます。 先生御承知のように、二十三年間放置したわけではございませんで、特に一昨年でございますか、国会の御審議を得まして、分娩費、これは現金給付でございますが、最低保障六万円という改善をいたしたわけでございます。 しかしながら、実際の費用というものは、つまりイタチごっこと申しますか、また先に行くわけでございまして、これに追いつくということはそう簡単にまいらぬということでございます。
○田中(美)委員 そうすると、政務次官のさっきおっしゃいました早い時期にやりたいということは、全くの欺瞞であったということが非常にはっきりいたしました。 それで次の質問に移りますが、この正常分娩を先ほどおっしゃったように点数にしていこうという検討のことでございますが、いまなお検討ができないということでございますので、少しその点で、皆さん方の検討を進めていく上で、私の考えやそちらのお考えをお聞きしながら、この正常分娩をILOの最低基準に達するようにどうしていくかという質問に移っていきたいと思います。 先ほど六万円というのは、これは出産分娩費ではなくて、分娩手当になっております。これは政府管掌だけであって、いつも一番いいところを皆さんおっしゃる。悪いところでは、国民年金ではまだ二万円にしかなっておりません。いずれ四万円になるということにはなっておりますが、現在は二万円ということを申し添えて次に移りたいと思いますが、もし点数にする場合としたら、一体どれくらいの点数にしたらよろしいのでしょうか。いま検討中で結構です。結論を出して、これを盾にとってとやかく言おうと思いません。お互いに研究していく上で、出産費を点数にしようというふうに考えますと、幾らにしたらいいだろうかというふうに思うわけです。その点をお聞きしたいのですが、いま現実にお産にかかっているお金は幾らか。自由料金で考えますと、非常に安く見まして病院で十万円。十二、三万、十五万かかるところがあります。これは差額ベッドとか、そういうものは一切のけてですね。出産の費用に約十万から十二、三万というのが庶民が取られているお金ですね。これで計算いたしますと、大体一万二、三千点にしなければならないということですけれども、おたくの方では二十三年間放置したのではなく検討してこられたわけですから、検討過程の結果で結構ですから、どれくらいにしたらいいだろうかという検討がいままでなされているでしょうか。
○正木説明員 お答え申し上げます。 先生御案内のように、健康保険につきましては本人について標準報酬の半額、六万円の最低保障、配偶者分娩費については六万円ということになっておりますが、これを現物給付化するにつきましては、現在の健康保険制度が疾病に対する現物給付をたてまえとしておるということで、制度的に相当な立て直しを必要とするということが一つと、それから一番問題は、先生も御案内のように、現在自由に行われております慣行料金をどう評価するかという問題でございます。そこが一番問題でございまして、現在の実態を見てみますと、母子健康センターにおきましては大体六万円程度で上がる実態でございます。それから国公立病院と私的病院によっても違いがございますが、国立病院を見ましても実際のところ六万円では賄えない実情でございます。したがって、私どもとしては当面分娩に必要な費用が賄えるようにということで、現金給付の改善に取り組まなければいかぬということを強く考えておるわけでございます。 それから第二点の、先生のおっしゃいました仮に現物給付化する場合にどの程度点数化するのかということでございますが、これも御案内のようき、慣行料金が、分娩の介助料だけをとりましても一万数千円のところから三万円、四万円というふうに差がございます。それをどの点をめどに保険に取り入れるかということは非常に大問題でございますし、他の手術料等とのバランスも考えなければならぬ。したがって、現段階におきまして仮に現物給付化した場合の点数化はどうなるということは、お答えする段階には至っておらぬわけでございます。
○田中(美)委員 そのとおりだと思います。皆さん方がとてもそれをおっしゃることはできないと思うのですね。たとえばお産というのは正常分娩の場合ですから、正常分娩にも多少重い、軽いはあるとしましても、簡単に生まれる場合、助産婦さん一人で生まれる場合、どうかすれば近所のおばさんが来てふっと生まれる場合、こういうのがあるわけですね。 私は昔若いときに——私にも若いときがありましたので、そのときにパール・バックの「大地」という小説を読みました。これは私、非常に印象に残っているわけですけれども、この中の主人公の妻が畑仕事をしながら、そこで子供を生むわけですね。葉っぱの上で子供を生んで、自分一人で処置をしまして、そしてそこに置いてすぐ畑の中で働くというふうな場面が私は強くいまでも印象に残っているわけです。ですから、正常分娩の場合のいわゆる手がかかるということだけで考えますと、いまおっしゃったように、これをもし点数で計算しますと、最低の六万円としましても六千点、いま六万円ではめったにやってもらっておりません、十万超しておりますけれども、十万としても一万点という点数計算をしなければならないわけです。これをいまほかの医療の診療報酬と比較してみますと、たとえば肺結核とか肺がんによる片肺の全摘の手術ですね、これが私の調べたところでは六千六百点というふうにかかっているわけです。大体肺摘は七、八時間の時間がかかり、医者は最低二名、看護婦は最低三名要るわけです。これは最低ですので、看護婦が五名または医者が三名ということもあります。これだけの時間と技術と人間を使いましても六千六百点、六万円ぐらいしかいまの診療報酬では認められておりません。乳がんの手術にいたしましても二、三時間かかります。これも医者がやはり二人、最低看護婦が三、四人というふうにいわれております。この手術がわずか三千百点になっているわけです。いまお答えのありました健康保険に入れて点数化するということに大問題があるというこの大問題というのは、ここにあるのだというふうに思います。日本の診療報酬がいかに安いかというところにこの分娩費を健康保険に入れられない理由があるのではないでしょうか。いかがでしょうか。
○正木説明員 診療報酬の問題につきましては、これまた御案内のように、私どもといたしましては中央社会保険医療協議会の意見を聞いて定めていくわけでございます。これにつきましてはいろいろな処置、手術等とのバランスを考えながら、しかも実態に即した改定を行うというたてまえになっておるわけでございます。 それで、現在の分娩費、出産費用でございますが、これにつきましては、先生御案内のように分娩介助料といいますか、取り上げ料そのもの、それから入院の費用、それから新生児に対する措置、いろいろなものが含まれておるわけでございます。そういうものを含めまして何万円というふうに言われておるわけでございます。したがって、仮にこれを現物給付化にするといった場合には、それぞれの処置を分けまして、他の技術等とも勘案しながら決めていくということになろうかと思います。
○田中(美)委員 なかなかはっきりとはお答えしにくいと思うのです。いまの診療報酬を基準にして考えますと、生命を生み出すという仕事から考えないで、手間がどれだけかかるかというふうなことから考えれば、結局一千点くらいになってしまうということで、これはいままで私はいろいろ学者からも伺いましたけれども、十数年来このところが何とも政府もどうしようもない。厚生省としても政府は火中のクリを拾うことはできないということで放置している。健康保険でこれを見ることはこういうところでできないのだ。しようと思っても診療報酬を抜本的に改革しなければできないのだ。大問題だからできないのだということが、いまの質問の中で非常に明らかになったというふうに思うわけです。それならば、正常分娩でできないならば、当分——これは当分どころか半永久にできないではないかというくらいに思います。 それでは、母子保健法の中でILOの基準に達するように何とかできる方法はないのか、これをお聞きしたいと思います。
○本田説明員 ただいまお答えがございましたように、分娩費の問題についてはいろいろな要因があると存じます。これを母子保健法の中でやるとか、あるいは保険でやるとかということじゃなしに、同じやるにいたしましても同様の議論があろうかと存じます。 母子保健サイドでは、むしろ異常分娩が起こらないような健康診査とか保健指導とか、その他栄養の強化、それから医療が必要な場合には妊婦さんに対する医療の援助、これが妊娠中毒症とか出血とか、そういった異常分娩を防ぎますので、そういったことを観点に母子保健法ができておるわけでございます。その中で分娩費だけ取り入れて、この中でこなしていくということは他の制度との関係で現状無理だろうと存じます。やはりいろいろの制度を勘案した上で考えていくべきことだ、母子保健法サイドではかように考えております。
○田中(美)委員 母子保健法の第二条に「母性の尊重」ということが書いてあります。「母性は、すべての児童がすこやかに生まれ、かつ、育てられる基盤であることにかんがみ、尊重され、かつ、保護されなければならない。」ということが書いてあるわけです。ですから、この中で何とか考えられないかということを、お知恵を伺いたい。健康保険ではだめだ、それじゃ母子保健法でどうかということを伺ったのですけれども、これについては、正常分娩になるたけなるような努力はできるけれども、出産費を見ることはできないのだというお答えだったと思います。 それではちょっとお聞きいたしますけれども、日本の妊産婦の死亡率というのは、いま世界各国と比べてどのようになっておりますでしょうか、お答え願いたい。
○本田説明員 四十八年の統計で、出産、出生十万当たり四十一だったと存じます。それから概数でございますが、四十九年では三十八だと存じます。これは諸外国に比べますと残念ながら高うございます。諸外国の中でも先進国と比較しますと高うございます。大体一番いいのがスウェーデンの十前後でございますので、二倍からあるいは三倍、四倍くらい高いのが残念ながら現状だと存じております。
○田中(美)委員 私はスウェーデンを聞いているのでなくて、日本の妊産婦の死亡率はWHOで計算の出ているところでは一体第何位なのか、高いということは一体どこら辺なのかということを聞いている。具体的におっしゃっていただきたいと思います。
○本田説明員 WHOの統計も、非常に参加している国がたくさんございますけれども、中には統計がとれないようなところもございます。主なところで私どもその中から比較的高いところ、統計のとり方とすれば非常に不利なとり方でございますが、日本の現状をつぶさに分析するには、どうしてもこの面での先進諸国との比較がしたいために、あえて高いところから取っていくわけでございますが、私どもの手元にそうやって集計いたしているものを見ますと大体十位くらいに当たると存じます。そういったところでございます。もっとも、申し上げましたようにもっといいところが抜けていたり、あるいは高いところが先進諸国の中でも抜けているかと存じますが、そういう見当だと存じております。
○田中(美)委員 いま十位とおっしゃったのですけれども、私たちは政府は一つのものというふうに思っておりますが、ついこの間の社会労働委員会でやりましたときには、WHO四十五カ国中、日本の妊産婦の死亡率はトップであるというふうに政府のお答えがあったわけです。同じ政府から答えるのに、トップであったり十位であったりということは非常に矛盾がある、どこかにごまかしがあるか、それとも御存じないのかということで、これ以上追及いたしませんが、ことしの社会労働委員会でトップであるという報告が政府からなされているわけです。いずれにしても世界の先進国の中で日本の妊産婦の死亡率が非常に高いということは、母子保健法の中でこのように母性を尊重すると言い、いまのお答えの中で異常産がないように、母性が傷つかないような努力をしていても、経済大国世界第二位と言われる日本の妊産婦の死亡率が、世界トップの部類に入っているということは何か嘆かわしいことであるかというだけでなくて、婦人がいかに保護されていないかということをこれは世界に知らしていることだというふうに思います。しかし、残念ながら母子保健法でもこれはどうしようもない、分娩費のことはどうしようもないというふうにお答えです。それでは、日本には児童手当がございます。しかしフランスでやっておりますように家族手当というふうなものをつくりまして、その中で出産を見ていくというふうなことはできないのでしょうか。この点についてのお知恵をお借りしたいと思います。
○高橋説明員 お答えいたします。 いま先生のおっしゃった点につきまして、まだ児童手当はわが国では発足間もないことでございますので、そのような点についてはまだ検討はいたしておりません。
○田中(美)委員 そうしますと健康保険もだめ、母子保健法でもだめ、家族手当も検討さえしていない、じゃあほかに一体何があるのでしょうか。何かお知恵ありませんでしょうか。それだけたくさんの頭脳がそろっていらっしゃいまして、何かいいお知恵はありませんか。いますぐ私はILOの最低基準にいけとは言っていません。それに近づく方法で何かないのかということを伺っています。
○綱島説明員 お答え申し上げます。 御指摘のように、残念ながら一挙に先生のおっしゃいますような理想を実現するという手だては目下考えられないわけでございますが、私ども、現在のところ一番可能性の強い方法といたしましてはやはり保険の体系の中であろう、こういうふうに考えるわけでございます。
○田中(美)委員 現在の保険の体系を変えていくということは、点数に入れていくか、療養費払いということに、結局これも点数化しなければならないわけですが、そういう道があるとするならば、これはいまどこかの審議会や諮問機関などにかけて研究しておりますでしょうか。これは、ことしになって国際婦人年に関しての三木総理のメッセージにかけまして、いかがでしょうか。どのようなことをいましていらっしゃいますか、お聞きしたいと思います。
○正木説明員 現在、社会保険審議会の中で、健康保険の問題を中心としまして健康保険問題等懇談会というものを設けていただきまして、そこで健康保険並びにそれの関連問題を含めましていろいろ論議をしていただいております。各委員さんからテーマを出していただきまして、大体十八項目ほど出ておりますが、その中に現金給付水準の問題、これも一つのテーマに挙がっておりまして、この次の懇談会で現金給付の問題に審議が入るという予定でございますが、当然そこでもいろいろ論議がなされるというふうに考えております。
○田中(美)委員 それは分娩のことですね。
○正木説明員 御案内のように、健康保険の現金給付としましては、分娩費それからお産で休んで賃金が出ない場合の出産手当金というのがあります。それから病気の場合の傷病手当金というのがあります。あるいは育児手当金、いろいろございますが、それらを含めて御論議がなされるだろうというふうに了解をしております。
○田中(美)委員 それはいつから始まって、いつからやられているわけですか。
○正木説明員 社会保険審議会の中で、特に健康保険の問題をいろいろ論議しようということで、これは一昨年の暮れにこの懇談会ができたわけでございますが、その間かなり長い間中断しておりまして、月に一、二回のペースで審議が進められましたのは昨年の秋以降でございます。
○田中(美)委員 そうしますと、三木総理が全国の新聞三十五紙にこうしたメッセージを挙げて婦人に対してやるということについては、これを受けてやったというものは全くなかった、分娩、出産に関しては何もなかったということが非常にはっきりしたわけです。 そうしますと、いまのことでいきますと、いままでのような、いままでやられたとおりのやり方でやっているのでは、二十三年検討してもまだめどさえつかないというわけですから、いまの質問の結果出ましたことは、当分というよりも半永久的にILOの出産、分娩の点というものは批准の段階の中には入らない、ILOの基準には入らないことが明らかになったというふうに思います。 それで羽田野政務次官に質問いたしますけれども、先ほど早い時期にやりたいというお言葉をお使いになったわけですけれども、いまの質問の中では早い時期にはできない、半永久的にできないということが明らかになりましたので、先ほど竹内議員にお答えになりました早い時期にやりたいというお言葉を取り消していただきたいと思います。もしこれをお取り消しにならないのでしたら、どのように早い時期にやるのかということを具体的に、後から私のところに書面でもって出していただきたいと思いますが、取り消していただけますでしょうか。
○羽田野政府委員 先生の御指摘で非常にむずかしい問題があるということが判明いたしましたが、この出産、分娩関係のILOの受諾ということはぜひやらなければならないし、しかも早くやることが望まれる問題でございます。非常に困難な問題ではございますが、先ほど厚生省の課長も言いましたように、保険体系の中でこのものの解決をしていくという方途をいまから早急に模索していきたいと思っております。受諾している諸外国の立法例、取り扱い、こういうものも参考にしてわが国の体系を早く確立し、これを早く受諾できるようにしたいという希望はいまも同じでございます。
○田中(美)委員 そうすると、早い時期にやりたいと言うのは、単なる遠い夢であって非常にむずかしいし、早急に模索をしていこうという段階であるのであって、そう早い時期にこれをやるというのではない、そういうことはお取り消しになったわけですね。 それでは早急に模索をするという段階であるということが明らかになりました。私はメキシコ会議に参りますしベルリンの大会にも行きたいと思いますので、日本の政府はいま分娩については、半永久にできないけれども非常にむずかしいし、早急にいま模索をし始めたところであるというふうに報告をしたいと思います。 それでは次の質問に移ります。 それは遺族年金の問題ですけれども、この日本の遺族年金が五〇%ということ、これは従前の所得の二六%というふうな計算を私は出しましたが、この計算でよろしいでしょうか。
○綱島説明員 先生のおっしゃいましたように約二六%、こういうことでございます。
○田中(美)委員 これを何とかILOの最低基準に達するようにするという検討はいまなされていないでしょうか。どのようになっていますでしょうか。
○持永説明員 年金制度につきましては、先生御承知と思いますけれども、来年度こういった経済情勢、社会情勢を踏まえまして、政府といたしましては厚生年金と国民年金につきまして、財政の再計算をいたしまして制度の基本的な見直しをする、こういうようなたてまえでいま検討を進めている段階でございます。 そういった検討を現在社会保険審議会あるいは国民年金審議会にお願いしてございますけれども、その審議会でそれぞれ検討される項目の一つの大きなテーマといたしまして遺族年金の問題がございます。御承知のとおり、日本の遺族年金は現在老齢年金の半分という水準でございますけれども、この問題につきまして現在国民年金に対する妻の任意加入の問題などがございます。そういった問題もございますし、妻の年金権自体のあり方とも関連いたしまして、遺族年金の水準をどうするかは検討いたしたい。あわせまして、政府といたしましても各省庁にまたがる公的年金制度全体を通ずる問題でございますので、そういった関係で関係の各省庁とも連絡いたしまして慎重に検討を進めている、こういう段階でございます。
○田中(美)委員 慎重に検討を進めていただいていることは大変ありがたいと思いますが、その結論はいつごろ出るでしょうか。
○持永説明員 先ほど申し上げましたように、昭和五十一年度の実現をめどとして、いま制度の手直しを検討している段階でございますから、その段階にいかがいたすかは結論が出る、こういうことになると思います。
○田中(美)委員 大体どれぐらいのパーセンテージにするか、五〇%をどれぐらいに上積みをするというようなことは結論でなくて結構ですので、このようなことで検討しているというようなことはお答えしていただきたいと思います。
○持永説明員 遺族年金の水準をどうするかについては、先ほど申し上げましたように現在関係審議会で御検討いただいている段階でございます。そういう段階でございますから、私どもといたしましては、この段階で具体的にどの水準にまでするかということについてはお答え申し上げる段階ではないと思いますけれども、ただ方向といたしましては、先ほど申し上げましたように、今日御審議をお願いしておりますILO条約との関連もこれございますし、それから妻の年金権それ自体との関連において水準の問題を検討していただいている、こういう段階でございます。
○田中(美)委員 五十一年度に必ずその五〇%を、数字は言えないけれども、上回るようにするというふうに受け取ってよろしゅうございますね。
○持永説明員 現在の遺族年金につきましていろいろな問題がございます。水準自体が五〇%ということにつきましては、これは低いというのが一般的なあれでございますけれども、ただ、現在の遺族年金の受給者の態様その他各種ございますから、ILOでは実は二子を有する妻についての規定をいたしておりますけれども、そういった面も踏まえて水準の問題を御審議いただいている、こういう段階でございます。
○田中(美)委員 妻の年金権、女性の年金権という私が一番最初に使い出した言葉を政府もお使いくださいまして、大変光栄に存じておりますが、年金権の論文を書いておりますので、その中を十分にお考えくださいまして——いまの年金権の中で、婦人は皆年金には入っておりません。一生を通して見ますと、皆年金の皆という中から落ちるところがたくさんあるということをすべて細かく論じておりますので、これは十分に私の論文を参考にいたしまして、妻の年金権が確立されるように、そして遺族年金が少しでも大きくなって、ILO条約の批准の最低基準に達するような検討を五十一年度にしていただきたいというふうに思うわけです。 そこでこれに関連することでございますが、いまの日本の年金制度というのは非常に掛金が高いというふうに言われているわけです。この中で、たとえば平均税込み大体十五万円ぐらいの給料取りの人たちを見てみますと、大体六千円近い保険料を毎月払っているわけです。その上に妻が任意加入として入っているわけです。国民年金にまた入っている。妻を入れているわけです。妻と夫と別々に年金の掛金を払っているようですけれども、一家の収入の中から出る保険金というのは非常に高くなるわけです。いま任意加入というのは何人くらいいるでしょうか。
○持永説明員 私ここに具体的な細かい数字を持ち合わせておりませんけれども、大体現在国民年金への妻の任意加入は五百万人というふうに言われております。
○田中(美)委員 私の調査でも大体五百万から五百五十万というふうに出ておりますが、これが最近あちこちのところで、サラリーマンの奥さんや公務員の奥さんに国民年金に入れ、入れという指導が非常になされていることは事実でございます。私の耳にたくさん入ってきているわけです。これがいいことか悪いことかということは別といたしまして、私の耳に入りました厚生省周辺、厚生省の内部の方たちから伺いましたことでは、厚生省の役人はほとんどが奥さんを国民年金に加入させているといううわさでありますが、これはほんとうでございましょうか。
○持永説明員 どの程度厚生省関係の職員の配偶者が国民年金に加入しているか、具体的に調査したことはございませんけれども、ただ何と申しましても、被用者の配偶者が国民年金に加入することによりまして自分の老後の年金権に結びつくわけでございますから、そういう老後保障という意味でせっかくの制度があるわけでございます。私ども厚生省といたしましては、国民年金を所管している役所でございますので、そういう意味で、将来の自分たちの配偶者の老後保障という観点から、確かにおっしゃるように加入率は高いかと思います。
○田中(美)委員 うわさのとおりだったようですけれども、持永さんは、奥さんは国民年金に加入していらっしゃいますでしょうか。
○持永説明員 私ごとを申し上げるようですけれども、私は三十六年当時、国民年金ができましたときに、第一線で年金の関係の仕事をやっておりましたので、私の妻も入れております。
○田中(美)委員 これに対して、厚生省の役人もほとんど全部入っているといううわさがもっぱらでございます。これは週刊誌の記者などでも言っておりますし、あちこちからこういうことが入ってきております。このうわさは大体ほぼ近いうわさだったということがわかりました。なぜこんなにサラリーマンの奥さんが国民年金に入るのか。いま持永さんがおっしゃいましたように、夫の遺族年金では食べていけないから入るわけです。せめて夫の生きている間に——厚生省の統計でいきましても、男性の方が五歳から五歳半先に死ぬわけですので、まして年下の妻である場合には七年、八年、十年というものを夫の死後生きていかなければならない。平均でいきましてもそうなるわけですね。そうすれば、その夫に死なれた後の生活というものは、いかに婦人が、社会的に労働条件も保障されていない、賃金も保障されていない中で、夫の遺族年金だけがただ一つの頼りであるわけです。この遺族年金が頼りになっていない、そういうことから持永さん自身も、あなたの遺族年金では妻が老後一人になってから生き生きと若々しく生きることができないから、そのために奥さんは国民年金に入らざるを得ないということになっているのだと思います。これ一つ見ましても、最近のサラリーマンの奥さんたちがどんどん国民年金に入っているわけです。 そこで一つお聞きしたいことは、いま政府がおっしゃっています政府管掌の年金というのは、五万円年金ということを一昨年から盛んにPRをし、夫婦込みで五万円年金というふうに言われたわけです。ですから、夫が年金に入っているということは、妻も入っているということになるわけですね。この点はどうなんでしょうか。
○持永説明員 おっしゃいましたように、国民年金につきましては、四十八年の改正で五万円水準の年金ということで私ども制度設計をいたしたわけでございますけれども、これは国民年金の被保険者、加入員の方たちが自営業者だとか農民の方だとかそういう方が多いわけでございますから、そういう意味で、そういった国民年金の典型的な加入者の人たちは夫婦ともで国民年金に加入する、こういうことが態様として原則的な態様でございますので、そういう意味で二人分の年金ということになります。
○田中(美)委員 ちょっと私の言い方が不十分だったかもしれません。厚生年金とか共済年金ですね、夫が入っている場合に、妻はそれに入っていることになるわけですか。任意加入ということは、皆年金なわけですから、国民年金に入らなくていいわけですね、夫が入っている場合には。ということは、妻が入っているということですね。それをお聞きしたい、イエスかノーか。
○持永説明員 厚生年金なり共済組合の加入員の妻については、国民年金への加入は任意加入でございます。
○田中(美)委員 そうではなくて、国民年金とは別に、任意加入ですから入らなくていいわけですね。入らない場合に、妻の年金権はないのかあるのかということです、任意ですから。そうすると、夫はあるわけですから、妻の年金権はあるということですね、年金に入っているということになりますね。
○持永説明員 これは基本的な考え方の問題だと思いますけれども、たとえば厚生年金につきましては、老齢年金について配偶者がいる場合には加給金をつけて年金額を算定する、こういう仕掛けをしております。
○田中(美)委員 どうも、私の言うことにきちっと答えていただきたいのです。国民皆年金と言っているわけですからね。任意加入ですから国民年金には入らなくてもいいわけでしょう。そうすると妻というのは、年金をもらうときの加給金は二千四百円ですね。妻の年金権は夫の年金の中に一緒に入っているんだと考えていいのですかと、こう聞いているのです。
○持永説明員 現在の被用者保険で配偶者が独立した年金権を確保するという場合は、これは遺族年金でございます。
○田中(美)委員 そうすると、妻の年金権というのは皆年金にないということですね、夫が年金に入っていれば。遺族年金しかないということですね。
○持永説明員 老齢年金については、妻の場合は被扶養者として考えられている、こういうことでございます。
○田中(美)委員 それでは非常にあいまいですけれども、一応、遺族年金がもらえるわけですから、年金にかかっていたというふうに考えてもいいですね。だから皆年金の中に入っているんだ、こういうふうに考えます。そうしますと、今度任意加入ということで国民年金に入りますと、これは二重加入ということになるわけですよ。こういう例が世界にあるでしょうか、お聞きしたい。どこかの国にありますでしょうか。
○持永説明員 世界じゅうの例を詳しく存じているわけでございませんけれども、実は最近、西ドイツで被用者保険につきまして妻の任意加入制度を認めた例がございます。
○田中(美)委員 私の調べたところでは、日本のように二重加入になりまして、こうした高い年金を取っている国というのはほとんどないというふうに思うわけです。これはいろいろ勘ぐった考え方をする方たちがたくさんあるわけですけれども、国民年金にできるだけ任意加入で入れて、そしてたくさんの積立金をつくって、これを財投に回すのではないかというふうな勘ぐった考え方が出てくるわけですね。これをいま私は追及しようと思いませんが、たとえば国年と厚年との積立金というのは、これは四十八年度ということで、まだ少ないというふうに思いますけれども、九兆六千四百十三億円という積立金がたまっているわけです。このお金を財投に貸して、この利子が結局五千三百九十四億円、これはけさもう一度確かに確めたわけです。支払っている年金の支払い額がこの利子よりも少ない。ということは、四千八十四億円ということで約一千億以上のお金が利子だけでも余る、積立金はそのままになっているわけですね。その上に一年間に一兆五千二百十六億円という年金の掛金が入ってくるわけです。これだけの膨大な金が入ってきているにもかかわらず、妻の遺族年金というものをわずか五〇%にしかしていない。それでILO条約の基準に非常に満たないという形で落ちているわけです。この国際婦人年に何とかこれを早急に、せめて先ほどのように分娩のものは半永久的にできない、現在もこれからも、模索する段階だということなので、私は早急に期待できませんが、この遺族年金は早急にやる気があればこれだけの膨大な金がある。これを早急にしてILO条約の最低基準に達するようにするというふうな努力をしていただきたいと思いますが、政務次官、いかがでございますか。
○羽田野政府委員 この問題についてもなるべく実現するように努力いたしたいと思います。
○田中(美)委員 政務次官というのは、世間から見たら大変偉いし、決断力もある方だと思いますけれども、何となまぬるいお答えなんでしょうか。寝ぼけたような声を出して、努力いたしたいと思いますということなら、だれだって政務次官はできると思います。どうやってやるのかと、夫を失った妻たちがいまどんな生活をしているのかという実情をごらんになれば、そんないいかげんな答えはできないと思うのです。そういう気持ちしかない方と話をしていることが、本当に私は日本の国を残念だと思いますよ。夫を亡くした妻たちの労働権も何にもない、こういうふうな状態の中で、ひとつ政務次官に、私はこれを話すつもりではありませんでしたけれども、そのようななまぬるいお言葉を聞きますので、婦人の労働条件というのがどんなになっているかということをちょっとお知らせしたいと思うのですね。 三十歳定年制というのがあります。三十歳になったら女には労働権がないということは憲法違反なんですね。これは皆さんだれだってお考えになりますでしょう。政務次官、これはそう思いますでしょう。女が三十になったら労働権がなくなるということは憲法違反だということは、政務次官、御存じですね。イエスかノーかでお答えください。
○羽田野政府委員 女性が三十歳になったら労働権がないという、そういう制度は私はまだ聞いたことはありません。
○田中(美)委員 認識不足もはなはだしいですよ。そんな政務次官で、一体自民党は何をやっているのですか。婦人は三十歳になったら労働権がないと言って首を切られてきたのですよ。これを長い間裁判をしまして、あちこちで裁判を起こしたわけですけれども、名古屋にあります名古屋放送という放送局で三十歳で首を切られた。三十になったら美しくなくなるから女の首は切るのだ、憲法が間違っているから裁判で負けたのだという暴言を副社長が吐いたというようなことですが、裁判になりました。裁判で約六年かかってやっと婦人には労働権があるのだ、三十歳で首を切ることは誤りだということでつい最近この一月に職場復帰したという、これは婦人の歴史に残る、人類の歴史に残る問題があったわけです。これを政務次官が御存じないということは本当に驚きまして、今後私の演説の材料にさせていただきたいというふうに思います。 これはいま私の奮闘、また労働者の団結の力によって、この三十歳定年制というものは日本から影をひそめようとしております。しかし今度は、初めから婦人を正職員として雇わないで、嘱託という形で、臨時採用のような形で一年更新、一年更新、気に入らないときにはいつでも首を切られるというふうな状態になっているということも、恐らく三十歳定年制を御存じない政務次官はおわかりにならないと思いますけれども、こういうことにいまなっているわけです。 つい最近の話ですけれども、群馬県にありますマックスというホッチキスをつくっている会社があります。ここでは七十二名の既婚労働者がいたわけです。独身もおります。この七十二名全員に希望退職ということで首を切ってきたわけです。希望退職ということは自分でやめなさいということですけれども、これは非常に強制をしたわけですね。どのようなことをしているのかということを、少し庶民の状態をお聞き願いたいと思います、現在の問題ですので。 これは結婚した婦人というのは、十九歳でも結婚していれば既婚者です。二十三歳でも結婚していれば既婚者です。この人にやめなさいと言うわけですね。そしてその人だけ一人、みんながこうして働いているところに窓の向こうが見えるように座らせまして、窓の外を見てはいけない、あなたはきょう一日やめることだけを考えなさい。こういう希望退職をやっているということは強制退職です。これはあらゆる努力をいたしまして、私も社会労働委員会で取り上げ、早速に食いとめましたけれども、時間といたしましては七十二名全員を食いとめることはできない。私が国会でやっと取り上げて、早急に基準局、法務局、そういうところの力で食いとめたときには、もはや五名しか残っていない。あと全員が首を切られてしまったという事件が起きているわけです。これはいま世界に大きく報道されています、日本でこういうことをやるということで。アメリカと提携した会社ですので。やっとこの五名というものは残されましたけれども、ちょっとでも目を離しますと、いままでの自分の仕事からあなたはこの仕事をしなくてもいい、便所掃除があいたからあなたは便所掃除をしなさい。二十二や二十三の娘たちが、これをやめたら結婚退職制を認めることになるのだということで、そのくやしさをがまんしながら便所掃除をしているというのです。私は、どういう顔をしているのだと言ったら、余りにくやしいけれども、私はいまりっぱな闘いをしているのだ、鼻うたを歌いながら毎日便所掃除をしているのだと私に訴えているわけです。何と痛々しい婦人の姿だろうと、私は涙なしにこれを見ることはできないし、涙だけではなく、私の終生をかけてこの婦人の差別と婦人労働条件というものの改善に全力を挙げたいというふうに考えているわけです。 こういう婦人の状態の中で、いまこの婦人たちが、もし首を切られた後、また夫が死んだ後、婦人の労働条件というものはどうしてあるでしょうか。既婚婦人が三十になり四十になり五十になって夫に死なれて、遺族年金でしか食べていかれなかった場合に、労働条件がない、採用条件がほとんどない。そういう中で遺族年金にすがって生きなければならないようないまの日本の状態、あなた方の奥さんもみんなそうじゃないですか。本当にあなた方が妻を愛するならば、国としてすべての婦人に遺族年金をせめていま早急に八〇%にするということが、これが人間としてすることであるし、思想信条を越えてすることじゃないでしょうか。共産党や社会党が言うだけでなくて、自民党だって人間じゃないですか。私は、自民党は鬼のようなことをしばしばするけれども鬼だとは思っていません。人間だと思っているんです。あなた方の妻だってみんな私たちの仲間の婦人ではありませんか。八〇%の遺族年金さえできない。これだけの金額があるというにもかかわらず、これがまだできないということ。これはやろうと思えばできるのです。分娩の場合と違ってやろうと思えばできるところに来ているのです。このILOの批准をするに当たって、婦人のできるものまでが落とされたままで、国際婦人年の年に批准されるというこの皮肉の状態に対して、いま日本の婦人たちは喜んでいいのか悲しんでいいのか、非常に矛盾した気持ちの中で抵抗を持ってこれを受けとめているということを皆さんにお伝えしておきたいというふうに思います。この後、遺族年金というのは、もう皆さんの方がよく御存じだと思いますけれども、ILO百二号条約だけでなくて百二十八号条約でも従前所得の四五%になっておりますし、また百三十一号勧告でも、これは六七年、八年前ですが、五五%にするようにということがILOの勧告にも出ているわけですから、ぜひこの線にできることはするということでやっていただきたいというふうに思います。もう一度次官の決意を伺いたいと思います。
○羽田野政府委員 田中先生のいまの御意見を私聞きまして、先ほどの三十になれば労働権がないというようなことも先生と私との認識の違いだということがわかりました。婦人に労働権があるということについては私もこれは否定しません。ところが、三十で労働権があるかないかということについては、三十でなくなるということについては、私はこれは日本でそういうふうな制度が確立しているのじゃないと思うのです。実際の個々の雇用関係においてもう三十になったらやめてくれというようなところが出てきたり、あるいは新しく雇用する場合に、婦人の場合は男性と差別があるような場合があったり、あるいは結婚したような場合に早く退職してくれ、事実行為として男性と婦人との間にいろいろな条件についてそういう差異があることは私も事実として認めます。そこでそういうものをなるべくなくして、婦人の地位の向上と労働条件をよくするということが先生の御主張であり、私もそうすべきだということを考えております。 それから先生の結論的に出てきました、主人が死んだ後の奥さんの老後というものを保障するのは年金制度をはっきり確立する以外にないじゃないか、その点も私も同感でございます。そこで私は、これは先生の御意見どおり早く、強力にこれを実現するように努力するという点については、先ほど申し上げたとおりでございます。
○田中(美)委員 早急に努力していただきたいと思います。掛金だけは夫の掛金が多い上に妻は国民年金にかかっている。その上にスライド制のないような付加年金までかけている。そうして結局、いま政府の計画しているのにすれば毎年毎年三百円、四百円ずつ上げていって、もう千七百円になろうとしている。こういう形で、もう十五万円の月給取りの家庭では、妻と夫と一万円近い年金の掛金をかけていながら、夫に死なれてみればこれはわずか三万円くらいの遺族年金しか出ないということでは、それで働く条件がたくさんあるならば妻は働くこともできます。先ほど言ったように既婚婦人の働く場というものは閉ざされているという中でいけば、女は死ねというのかということと同じということになりますので、重ねてもう一度お願いいたしたいというふうに思います。 出産給付の問題でさっきちょっと落としましたけれども、ギリシャとかイタリアとかメキシコとかペルーとかセネガルとか、こうした日本よりもはるかに経済的には貧しい国が出産給付の点ではILOの基準に達しているということは、世界会議の中で日本は非常に恥ずかしい思いをすると思いますけれども、外務省と労働省に申したいと思います。 森山婦人少年局長、いらっしゃいますか——どうして帰られるのですか。私まだ聞かなきゃならないんですよ。呼んでいるはずですけれども、どうしてお帰りになるのですか。こうした大事なときに婦人少年局長がいないなんというのはけしからぬじゃないですか。私は、初めからこの婦人の問題でやるということを言っているわけですよ。いないなんていうことは不謹慎ですよ。日本はこんなにりっぱにやっていますというふうなことをメキシコ会議で言ってくるのでは決してない。りっぱなところはりっぱなところ、憲法十四条、憲法二十四条というのはりっぱです。しかしこれは法律としてはりっぱでも実際にはりっぱではないのだ、こんなふうになっているのだということを森山さんに私ははっきり言いたいと思うのです。メキシコ会議でこれを世界の婦人に訴えていただきたいということを申し添えたいと思います。森山婦人少年局長を至急呼んでいただきたいと思います、まだ残っておりますので。森山さんは来られますか、どれくらいかかりますか、時間は。
○栗原委員長 ちょっと速記をとめて。
○栗原委員長 速記を始めて。
○田中(美)委員 このようなILOの批准を婦人の問題を全部落としてやるということに対して私が非公式に聞きましたところでは、これは参議院議員から直接に伺ったわけです。これは共産党ではありません。ほかの野党の議員から伺ったわけです。これによりますと、ILOはだれでもが賛成するものであるから、ほとんど審議をしないで通そうとしているのじゃないかというふうなことを自民党が言っているということを聞いたわけです。うわさについて私はとやかく言おうとは思いません。このようにちゃんと審議をしているわけですからよろしいと思いますけれども、こういうふうなうわさが流れるというようなことを考えますと、外務省の婦人に対する姿勢というものは一体何なんだろう。朝日の主張にも出ておりますように、婦人の問題が非常に落ちているということがこの主張のここに書いてあります。社会保障制度がおくれているが、女性の給付改善に積極的に取り組むべきだということが、だれが見たってこの百二号条約を見れば、男性女性を問わず、婦人のところが全部落らているということに気がつくのはあたりまえだと思うのですね。外務省がこれに何の抵抗もなくやっているということには、どうしてこういう現象が起きているのだろうかと私は考えてみたわけです。それで質問したいわけですけれども、外務省の中には婦人の課長は何人いらっしゃいますか。
○鈴木政府委員 お答えいたします。 現在、課長待遇という格で一名本省に勤務いたしております。
○田中(美)委員 わずか一名、これだけたくさんいて。外務省に勤めている男姓の課長は何名ですか。——結構です、お答えくださらなくても。余りにもたくさんあって数え切れないということに、時間がもったいないので理解いたしました。 婦人の外交官は何名いらっしゃいますか。
○鈴木政府委員 私仕事の関係でいまの御質問、必ずしも詳しくは承知いたしておりませんけれども、大体のところでお答えいたしますと、現在外務省の職員は総数三千人おりますけれども、そのうち大体四百人が婦人の職員でございます。
○田中(美)委員 外交官は何人いらっしゃいますかというのです。
○鈴木政府委員 外務省の上級試験を合格して現在職員になっております者は一名でございますが、それ以外中級職員……人数はつまびらかにいたしておりません。
○田中(美)委員 三千人のうち婦人の課長は一人、外交官の婦人は一人。大使、公使は何名でしょうか。
○鈴木政府委員 在外の大使、公使に婦人の方はおりません。
○田中(美)委員 こういう状態だから、長い間の歴史の過程の中で男性がいかに女性というものに対するべっ視を持っているか、女性の能力をどのように使っていないかということは非常に明らかだと思うのです。そういうことが世界に対して恥ずかしい。今度のメキシコ行きの代表団の中で団長をだれにするかと考えても、日本国じゅうに肩書きのある婦人がいない。能力のある婦人はいっぱいいるのに、閣僚級の婦人が一人もいないというので団長を選ぶのに非常に困ったということを聞いております。こういうことは、能力がある婦人があるのに、その地位につけていないという結果がこのようになっているわけですね。そういうことが、今度のような百二号条約を結ぶことは簡単にできるんだ、国民が望んでいるのだから、これは審議をしなくたってみんな賛成でいくのじゃないかというふうな考えの中で——私は批准に反対しているわけではありません。しかし、その中で日本の婦人たちがどんなに粗末に扱われてきたかということをしみじみとお感じになる方が外務省の中にはいないということは実に残念なことであるだけでなくて、世界の先進国の中で文化国家と自負していらっしゃる政府の皆様たちが、いかに文化的レベルが低いかということを証明しているのだと思います。メキシコの世界会議、またベルリンの世界大会で日本がどのような恥ずかしい思いをしてくるか、日本の婦人が経済大国の中でどのように低い地位に置かれているかということが今度は世界に明らかになる。こういうことさえも予測しないで外交が勤まるのでしょうか。人間の半分は男ですけれども半分は女性です。女性も人間なんです。日本国民というのは半分ずつ男性と女性がいるのです。それをしょって立つ外務省がこのような状態で、一体正しい外交ができるのでしょうか。結局戦争の外交しかできないということになってしまうのじゃないですか。何としても婦人をその中にふやしていくことが急務だというふうに思います。きょうは大臣がいらっしゃらなくて非常に残念ですが、大臣への質問をあと少し残したいと思いますけれども、一応政務次官から、この点はどうお考えになるかお聞かせ願いたいと思います。
○羽田野政府委員 外務省で婦人をべっ視し、あるいは軽視するというようなことは全くございません。総理がメッセージでおっしゃっておられるように、わが国は男性より婦人の方が数から言ってもむしろ多い実情でございますし、婦人の立場、能力あるいは社会に対する、国家に対する貢献というものについては私ども非常に高く考えておりますし、婦人と男性とを同じような状態に持っていくという努力もいたしているわけでございまして、先生御指摘のような女性べつ視という考え方は、政府も持っておりませんし、外務省の中にも全くございませんので、この点ははっきり申し上げておきます。
○田中(美)委員 口はただです。やはりそこには具体的な裏づけがなければ、しゃべることはただです。お金も何にも要りません。あなたの口が動けばそれで済むわけですので、全くございませんと言いましても、結果的にはILO条約は婦人のものを全部落として批准する、そして外務省の中には婦人の課長がたった一人、婦人の外交官もたった一人、こんなことで、差別はしておりませんとか、べっ視はしておりませんとか言っても、これは通用しないわけです。こういう恥ずかしい外交になっているということを外務省に御忠告申し上げたいと思います。 それで、次に森山局長が来られると言いますので、この質問をしたいと思いますけれども、まだでしょうか。これを最後の質問に取ってあるわけです。五分もかからずに済みますので……。
○水野委員長代理 ちょっと速記をとめてください。
○水野委員長代理 速記を始めてください。 田中美智子さん。
○田中(美)委員 森山さんにお聞きしたいわけですが、私はきょう外務委員会で国際婦人年の問題で、政府がILO百二号条約を批准するに当たって、婦人の問題が落ちているということで、二時間の質問をしたいという申し入れをして結局一時間半になったわけですけれども、それをするということで、労働省がいらっしゃるということを私は確認して来ているわけです。それに対して、あなたも国際婦人年に行かれるわけでしょう、私の質問を聞く必要はないというふうに思うのですか。どうしてお帰りになったのですか。森山さんの釈明を聞きたいと思います。
○森山(眞)政府委員 少し遠方に出ておりましたもので駆けつけてまいりますのがおくれまして大変申しわけございませんでした。
○田中(美)委員 遠方に出ていたからおくれました、一体何時間おくれているのですか。一時間半前から始まっているのですよ。婦人の問題だけについて私は必死になってやっているわけです。それについて、あなたは婦人少年局長で、ただ一人の婦人に関する問題の頼りの人だと私は思っているわけですけれども、これで婦人少年局長の森山さんという人は、本当に頼りにならない人だということはここで証明されたと思うのです。遠方で何していらしたのですか全く。ただ済みません、ごめんなさいで済むならお巡りさん要りませんよ。時間がもったいないので質問に移ります。 国際婦人年について労働省が三千百万円の概算予算を組んだのは森山さん御存じですね。これを大蔵省が六百万円に切ったのを、二千二百万円に復活させろという経過はよく御存じだと思います。これに対して、いま国会議員の中には、男性にはありませんけれども超党派の婦人懇談会というのがあるわけです。この自民党も共産党も含めた婦人の中で、森山さんがこの予算の発表をなさいまして、ぜひこれを支持してほしいということを私たちにお願いになったわけです。私はあなたに対しては特別の親近感も持っておりますし、婦人の共通の感情というものは理解していただけると思うし、そういう意味であなたのこうした申し出に対しては超党派で御協力するということで、市川房枝さんを先頭に立てまして、各党の婦人議員が忙しい中ほとんど全員に近い数を集めまして、三木総理のところに、官邸に行ったことも、あなたは御存じだと思います。そしてこの三千百万円というものを切らないでほしいということを言ったわけですね。これは多少切られておりますけれども、一応復活するというようなことで、超党派の婦人が、婦人問題ではやろうということでやっているわけです。あなたのそういう依頼、また私たちの希望というものも一致しておりますけれども、あなたの依頼を受けてやっているわけです。そうして協力しているにもかかわらず、きょうこうした大事なものを、これを大事でないという軽視するあなたの態度に対して、私は強い抗議をすると同時に、今後このようなことが絶対にないように注意していただきたいと思うのです。 それでお聞きいたしますけれども、あなたは最初の質問の流れを聞いておりませんけれども、三木総理が全国紙、地方紙を含めて三十五紙という新聞に「国際婦人年にあたって」というメッセージをばっと出したわけです。これは皆さん御存じだと思います。これについて広告費が幾らかかったかということを御存じですか。
○森山(眞)政府委員 細かいところまでは承知いたしておりませんが、数千万円というふうに聞いております。 〔水野委員長代理退席、石井委員長代理着席〕
○田中(美)委員 数千万円というのはちょっとわかりませんが、どなたかはっきりした数字を御存じの方ありませんでしょうか、森山さん以外で結構ですから。——時間がもったいないので、御存じないなら私の方から森山さんにお教えいたします。本当ならば婦人少年局長はこれぐらいのことは知っておいていただきたいと思います。私の方がよく存じておりますが……。これは二千八百万円とか三千二百四十九万円というふうに政府の答弁の中でも多少の食い違いがあります。しかし約三千万円というお金がかかっているわけです。国際婦人年の三千百万円とほぼ一致した数字ですけれども、三千百万円、国際婦人年で労働省がこんなわずかの予算を組んだのを切らないでくれということを森山局長の依頼を受けて、私たちは三木総理のところに押しかけたにもかかわらず、このメッセージを新聞に載せるのに、それよりも多い三千万円も金をかけたということは私は大変おかしいと思いますけれども、森山さんはどう思われますか。
○森山(眞)政府委員 先生方の御協力をいただきまして、今年度国際婦人年のいろいろな行事につきましての予算をある程度形をつけていただきましたことは、心から感謝申し上げております。 いま御指摘の広告、啓蒙宣伝費の分は、総理府の四十九年度の予算でございまして、その中から、婦人年を迎えましたので、なるべく早く、国民の皆さんに婦人年であるということを広く知っていただきたいということで、私どもの方からも総理府にも御協力をいただきたいということでお願いをしてやっていただきましたもので、結構なことであったというふうに思っております。
○田中(美)委員 だからあなたは、いまの私の質問を聞いていないから、そんなおかしな陳腐なお答えをなさるのですよ。このメッセージを出したことによって、いかに国民が期待し、何をしてくれるかというのに対して、具体的には何もしていない。それを森山さんは結構なことだとおっしゃることは、結局三木総理大臣という人は、口ではこういうふうにPRをするけれども、何にもやっていないのだということが証明されたということですよ。私たちはあなたに協力して、一生懸命にこの国際婦人年のお金を取りたい、こういうふうに協力したわけですけれども、こんなむだ遣いをしている。単なる三木内閣のPRじゃないですか。やったことのPRならいいですよ。何もやらないのに、やるような期待をさせるようなうそのPRに三千万円の金を使って、そして実際には国際婦人年には三千万円も出さない、これを切っていくというふうな、こういうものに対して非常に私は怒りを感じていますし、国民は非常に矛盾を感じているし、怒りを持っているわけです。森山さんはそれに対して、非常に結構なことだ、実際には何にもかち取れていない。いまの私の質問を聞いていないからそのような陳腐なお答えをなさるので、これ以上森山さんにお話ししても通じませんので、これで質問を終わりたいと思います。 外務大臣にあと十分の時間を残しておりますので、この次、その質問を大臣にいたしたいと思います。
○石井委員長代理 速記をとめて。
○石井委員長代理 それでは速記をつけて。 正森成二君。
○正森委員 お役目とはいいながら、政府委員や説明員の大部分の方はお食事もなさっていないようですし、私はできるだけ簡単に、要を得るかどうかはわかりませんけれども、船舶料理人についての条約について若干伺いたいというように思います。 船員にとって、ほかに余り楽しみがありませんから、食事の問題が非常に重大だということはよく御認識なさっていると思うのです。そしてその食事は、衛生的であって、しかも栄養に富んだものでなければならないというような趣旨からいろいろ考えられてきた、こう思うのですが、それに間違いありませんね。
○山上政府委員 先生のおっしゃるとおりでございます。
○正森委員 私は、多少文学的になりますが、ここに「ポチョムキンの水兵たち」——「戦艦ポチョムキン」という映画にもなりました有名な小説があります。 それの一部を読んでみますと、御承知のように食事が非常に悪かったということから反乱が起こっているわけですね。「十四日の朝、きのう送られてきた肉にうじがわいているのを水兵たちは知った。かれらは、腐敗し、悪臭を発し、うじのわいた肉の吊るされているのを見るために上甲板に行った。そこには大勢の人々が集まり、みな口々に憤慨の声をあげていた。」ところが「船医スミルノフは、肉を検査し、食用にしても絶対に無害であると受け合った。艦長はこの肉でボルシチを作るようコックに指令した。」こういうようなことからいろいろ憤慨が起こっていく。 これは単に小説の中に書かれているだけではなしに、日露戦争当時、ウラジオストックの要塞司令官の組織する委員会が、次のような報告を出しているのです。「艦隊では、パンはいい加減に焼かれていて、水気があまりにも多すぎ、湿気を帯びています。塩の漬けかたが悪いのと、冷蔵庫がないため、塩漬け肉も鮭も腐り、うじがわいています。どの艦隊にも、食糧の品質検査を強化する目的で医者が派遣されてはいるものの、幹部は医者の報告書などに注意をはらわないし、自己の権力で、大鍋のなかに腐った肉や鮭を入れるよう命じてもいるのです」というのがここに書かれている報告書の一節であります。 こういうようなことが起こりますと、これは船員にとっては重大な問題で、あの戦艦ポチョムキンの反乱というようなところへもつながっていったわけです。もちろん、今度の料理人についての条約というのは軍艦等に適用があるわけではありませんけれども、海上生活をする者にとって、いかに食事というのが大事であり、そしてそれについては一定の措置をとらなければならないかということは、こういう事実をもとにした文学作品でもわかると思うのです。 そこで、私は若干の問題を伺いたいと思いますが、今度の条約が批准されますと、運輸省の方では船舶料理士に関する省令というものをつくられるというように聞いております。私が、きょうですか、ちょっと伺ったところでは、すでに三月十九日にこの条約を批准するために必要な措置として省令が公布されたと伺っておりますが、そのとおりですか。
○山上政府委員 船舶料理士に関する省令、船員法に基づく省令でございますが、御指摘のとおり、三月十九日に公布されております。
○正森委員 それについて海員組合からいろいろ申し入れが運輸省の船員局長の方にいっているということも御承知のとおりだと思うのです。 それを幾つか申しますと、この省令の二項、「「運輸大臣の指定する船舶料理士の養成施設の課程を終了したもの」の養成施設の中に、海技大学校を入れられたい。また、それに伴う予算措置をとられたい。」というのが一つですが、これについてはどういうように考えておられますか。
○山上政府委員 いま先生御指摘の海員組合の申し出につきましては、私も承知しております。 いまの件につきましては、海技大学校というのは運輸省にありまして、芦屋にある船員の再教育機関でございます。 本件につきましては、現に日本船員福利協会というのが船舶料理関係の講習をやっております。しかしそれだけでは指定養成施設として十分ではありませんので、さらに他の適当な公益法人に指定講習をやらせるように計画しております。それでもなおかつ足りないというような場合に、この海技大学校を使うかどうかにつきましては、さらに検討いたしたいと思います。 なお、海技大学校の予算は、御承知のように国の予算でありますので、いまの申し出は二月でございますが、すでに五十年度の予算は成立しておりまして、本件についてはその計上がございません。今後検討いたしたいと思います。
○正森委員 次に、六項の「経過措置」の中に「または船舶料理士として必要な知識および技能を有していると運輸大臣が認めたものについては、二の規定にかかわらず、船舶料理士の資格を有するものとみなすこととすること。」こうあるわけですね。これは結局講習をせずに、試験なしで資格を与えるというように読み取れるわけですが、一定期間の講習を終了させる、こういう例外的に資格を与えられる者は、たとえば恐らく十年ぐらい経験がある者とかということだろうと思いますが、しかし経験の中に安住しておりますと、これは当然船舶料理人として必要な一般的な知識あるいは考え方というものは欠けておって、ある特定の分野だけはよく知っておるということになりがちなんですね。ですから、こういう包括的に運輸大臣が何でもできるというようなのでなしに、そういう場合でもやはり最小限の講習を受けるというような措置をとる考えはありませんか。
○山上政府委員 御指摘の経過措置につきましては、この制度全般についてそうでございますが、船員法に基づきましてこの制度のすべての内容について公益委員と労使、三者構成による船員中央労働委員会の答申を受けて措置しております。その答申の中におきましても、いま御指摘の点につきましては、できるだけ行政指導でそのような講習を受けさせるようにという趣旨のこともありましたので、私どもといたしましては、経験の長い者につきましてもできるだけこの指定講習を受けるように指導してまいりたいと存じます。
○正森委員 最後の要請事項は、「二項の大臣指定の養成施設および六項(ハ)の大臣指定の補充講習については、講師の中に海上実務経験者を入れることを配慮願いたい。」というものなんですね。これはある意味では理論倒れに終わらないためにも、もっともな要請だというように思うのですが、それについてはどういうようにお考えになっておりますか。
○山上政府委員 ただいま御指摘の海上実務経験者を講師の中に入れることにつきましては前向きに検討いたしたいと思います。
○正森委員 条約の条文について若干伺いますが、第一条の「この条約の適用上海上航行船舶とすべき船舶又は船舶の種類」、こういうようになっておりますが、この文言の解釈は、あなた方がお出しになりました省令の第一条に書いてあるところがわが国ではこの規定の具体化である、こういうように考えてよろしいですか。
○山上政府委員 そのとおりでございます。
○正森委員 そうしますと、具体的には「遠洋区域若しくは近海区域を航行区域とする船舶又は第三種の従業制限を有する漁船であって、総トン数千トン以上のものに乗り組む船員に支給する食料を船内で調理する場合には、」と、こうなっておりますから、私が読み上げたような種類の船だ、こうなるわけですね。
○山上政府委員 いま先生のお読み上げになったとおりでございます。
○正森委員 第三条を見ますと、二項に免除規定がありますが、わが国はこの免除規定を適用する考えですか、それとも適用しない考えですか。
○山上政府委員 三条の第二項の「資格証明書を有する船舶料理士が不足していると認める場合」の免除につきましては考えておりません。
○正森委員 ということは、そういうことを考えなくてもわが国では十分に賄える、こういう考えなんですか。
○山上政府委員 そのとおりでございます。
○正森委員 いま海員組合などから要望も出ておりまして、不十分な点はありますが、この条約を批准することはメリットがありますし、前向きでなければならないと思っておりますけれども、幾ら船舶料理人がいろいろ知識を持ちましても、乗っている船にしかるべき冷蔵庫があるとか、あるいは衛生的に食事を処理する能力が船舶所有者あるいは会社等との協力でなければ、これはまさに戦艦ポチョムキンと同じになってくるわけですね。ある意味では、資格があってもその資格のある者の正当な意見が採用されないような、そういう船舶所有者なり資本の圧力があるという場合があり得るわけですね。そこで、そういうことがなくて、いやしくも資格を持つ船舶料理人のカロリー上あるいは衛生上の意見が通り得るような物質的な保障、それについてあなた方は何かお考えになっておりますか。
○山上政府委員 ただいま御指摘の物的な設備の関係でありますが、これは船員法に基づきます船員労働安全衛生規則、これは省令ですが、この三十七条によりまして、船主は「食料の貯蔵については、食料の種類に応じた保存方法を講ずるとともに貯蔵設備を清潔に保たなければならない。」こととなっておりまして、いま御指摘の対象船舶につきましては、実態といたしましても、冷凍食品につきましては大体摂氏零下十五度以下で貯蔵できるような設備がすでに整備されております。
○正森委員 それでは少し観点を変えて申しますが、田中議員もいろいろ言われたわけですが、私はあっさりと言いますけれども、船員組合からの要望を見ましても、この条約は——そのほか海事関係の条約というのは全部で商船関係が二十九、漁船関係が五つですか、そのうちわずか八つを批准したのみだ。この料理人条約も、何かほかに二つほどの最優先案件との関係で、もう四十年くらいからいろいろ言われていたのがなかなかできなかったということの不満が出ておりますね。なぜそれほど長く国会に上程して批准をするというふうに至らなかったのか、それについて簡単に説明してください。
○山上政府委員 この六十九号条約を批准することにつきましては従来から検討を続けてまいりました。しかし実はこれを実現するためには、国内法の手当てといたしまして船員法あるいは船員法に基づく省令の制定が必要であるということでございまして、船員法の規定に基づいて船員中央労働委員会の答申がなければ措置できないということでございました。そこで実態問題といたしまして、船内の司厨部組織の充実とかあるいは船舶料理士となり得る必要な人員の確保等、こういった実態問題につきましての受け入れ体制が、残念ながらごく最近まで整っていなかったということでございまして、したがって、そのような背景を踏まえて、船員中央労働委員会でも適切な答申をいただくことができなかったということでございました。ところが、最近そのような実態も備わってき、機が熟しましたので、船員中央労働委員会からも三者構成によって満場一致の答申をいただきましたので、船員法に基づく省令で措置をし、国内法の手当てを終えたということでございます。
○正森委員 一応お答えになっておるわけですが、余り畳みかけて聞くわけではありませんけれども、そういう実態が整わなかったのは、三者といいますかどこに主に原因があったわけですか。
○山上政府委員 船員中央労働委員会、三者構成でございまして、労働側委員七名、船主側委員七名、公益委員七名という構成でございます。そのうち、やはり実態が整わないから無理であり、また負担増というような見地から、主として船主側で異論があったようでございます。
○正森委員 大体そうだろうと思うのですが、やっと批准にこぎつけたわけですから、いろいろこれ以上申しませんけれども、今後とも、やはり食事というのは船員の基本的な労働条件の基礎になりますから、ほかの労働者なら家へ帰って食事もできますけれども、船員の場合はそうもいかないわけですから、十分に船員の基本的労働条件を考えて担当省としてはやっていっていただきたい、こう思うのです。 そこで、私はなるべく簡単にしないと思いますが、今度の百二号条約では、七十七条で船員については社会保障の規定の適用は除かれているわけですね。たしかそう理解しておりますが、それにかわるものとしてはILOの七十号条約と七十一号条約というのがあると思うのです。これはたしかわが国が脱退をしておった期間のものですから、賛否の態度は明らかにしておらないかもしれませんが、百二号条約の批准ということがいま現実の日程に上ってきておるという点からすれば、その七十七条との関係で七十号条約、七十一号条約の批准というものがなされなければ、これは同じ労働者として公平を欠く、こう思うのです。それについてどういうぐあいにお考えになり、将来どうされようとしているのか、それは厚生省サイド、労働省あるいは外務省それぞれ御意見が多少は微妙に違うかもしれませんが、もしおよろしければ、それぞれの省から御意見を承りたいと思います。
○綱島説明員 お答え申し上げます。 先生御指摘のように、ILOの百二号条約では船員関係を除外いたしております。それにかわるものとして、昭和二十一年でございますか、大分古いのでございますが、海上労働者に関します第七十号条約、社会保障条約でございます。第七十一号、これは年金関係の条約でございます。これがございます。したがいまして、私ども関係の外務省あるいは運輸省とも相談を申し上げまして、時期が熟せばこれを批准の方向へ持っていきたい、こういうふうに考えております。
○青木(勇)政府委員 お答え申し上げます。 ILO条約を批准するということは、国内におきまする労働者の労働条件の向上に結びつくにとどまらず、条約の内容を国内的に確保していることを国際的にも認めてもらうということで、わが国の国際的地位あるいは国際的信用の問題とも関連する問題でございまして、いま先生御指摘の七十号、七十一号、非常に重要な条約でございまして、関係省と慎重に早急に話を進めて、できる限り早くできるような体制に持っていきたい、こういうように思っております。
○山上政府委員 いま御指摘の二つの条約の批准につきましては、いま厚生省なり労働省の方からお答えがあったとおりでございますが、なお直接運輸省の所管に属する事項といたしましては、負傷または疾病にまる船員の送還の権利の確保という問題がございます。これにつきましては、現在の船員法の規定によりまして条約の趣旨を十分に充足しておるということでございますので、この問題はございません。なお関係当局とよく相談をして、前向きに取り組んでまいりたいと思います。
○正森委員 私はこれで終わりたいと思いますけれども、時期が来ればとか早急にという漠としたお答えなんですね。これは私の同僚の田中議員なら、とてもこんなことでは済まさないと思うのです。またいろいろ伺うと思うのですけれども、私は、大分田中議員がいろいろ聞きましたので、これ以上申しませんけれども、願わくは、早急とか時期が来ればということが、結局そのために早急に模索しておるということにならないように、非常に皆さん方が努力していただきたい、こう思うのです。 私の質問は終わります。
○栗原委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は、来たる六月四日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、これにて散会いたします。 午後二時五分散会