科学技術振興対策特別委員会 第7号
- 発言数
- 123 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1975/06/04
会議録
○八木委員長 これより会議を開きます。 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。 まず、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 本日、原子力の安全性確保に関する問題調査のため、動力炉・核燃料開発事業団副理事長瀬川正男君、また、原子力船「むつ」に関する問題調査のため、日本原子力船開発事業団理事長島居辰次郎君及び同理事倉本昌昭君を、それぞれ参考人として意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○八木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。 なお、御意見の聴取は質疑応答の形で行いますので、さよう御了承願います。 —————————————
○八木委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。瀬崎博義君。
○瀬崎委員 私は、「むつ」の放射線漏れの問題調査報告書について、きょうは質問をしたいと思います。 いま、母港問題が非常に難航しているし、また青森県の方でも、約束が違うではないかと、地元の皆さん方の意向が高まっているというふうな報道にも接しております。そういうふうな母港問題を含めて、「むつ」についての正しい解決を図るという意味を含めて、私はこの報告書を重視して質問したいわけであります。 まず、この報告書を出しました「むつ」放射線漏れ問題調査委員会の庶務は、総理府の方でやっていらっしゃいますが、若干経過的なことを含めてお尋ねしたいわけであります。 従来、この種の報告書を成文化するに当たりましては、庶務を担当しております政府部門が、原案といいますか、あるいはたたき台といいますか、そういうものをつくって委員会でいろいろ検討をされる、こういうケースが多いと聞いておりますが、この「むつ」の報告書については、そういう普通の手順がとられてきておるのか、それとも、草案の段階から報告書の完成に至るまで、委員会の手だけでやられたのか、まずその点をお伺いしたいのであります。
○安仁屋説明員 ただいまの御質問にお答えします。 この「むつ」調査委員会の報告書につきましては、原案の段階から委員会の委員諸先生方が筆をとられまして、最終的に八月十三日の委員会で決定し、報告されたという性質のものでございます。 もちろん、私ども庶務を担当しておりますので、印刷に出す場合の細かい手続とか、あるいはミスめ訂正、そういったものはやっておりますが、中身につきましては、いま申し上げましたように、委員会の委員の方々によってまとめられた、こういうことでございます。
○瀬崎委員 成文段階の、つまり内容については、たとえ事務局といえども政府側は全くタッチしていない、この委員会が全く自主的に、草案から報告書完成まで独自にやられたんだ、このように理解していいわけですね。
○安仁屋説明員 もちろん、政府といいますか、関係省庁の立場がございますので、議論の過程におきまして主張すべき点は主張し、結果として取り入れられた点もございますけれども、大勢としては、先生のおっしゃったとおりでございます。
○瀬崎委員 もちろん、それは委員会の要望に応じて政府が説明に出席した、これは当然あると思うのですが、私が聞いているのは、要は、この報告書の作成にかかった段階以後、文書をまとめる上で政府側が関与をしているかしていないかという問題なんです。
○安仁屋説明員 実質的な関与はしておりません。
○瀬崎委員 そういう点では、委員会の自主性の非常に強い報告書のようにわれわれは受け取っているわけであります。 続いて、同じくこれを所管された総理府にお尋ねをしたいのでありますが、こういう種類の調査委員会というのは、余り前例がないと聞いているわけなんです。そこで、所管した総理府はどう考えているかという問題なんですが、委員会が今回出した報告書は、政府に対してどういう拘束力を持っているとわれわれは考えておけばいいのですか。
○安仁屋説明員 総理府といたしましては、委員会が、その委員会の機能を挙げて調査されました結果が報告書となっておるわけでございますので、その趣旨はできるだけ尊重し、これを実現に持っていくのが政府の務めである、このように考えております。
○瀬崎委員 その場合、尊重しと言われるのですが、やはり何らかの拘束力はあると見ておいていいわけですか。
○安仁屋説明員 法的な拘束力と言われますと、それはあるいはないかもしれませんけれども、慎重な手続、それから相当な時間をかけて調査された内容でございますので、実質的には相当の拘束力がある、このように理解しております。
○瀬崎委員 もちろん私たちは、この報告書が、欠陥原子力船「むつ」に関する調査のすべてを尽くしているとは見ていないわけなんでありますが、しかし、冒頭に言いましたように、「むつ」にかかわる諸問題の解決のための重要な手がかりは与えている、重要な素材の一つとは考えているわけなんです。 そこで、いまの答弁からもう少し具体的に、この報告書が指摘している事故の直接、間接の原因等について、対応する責任のとり方、とらせ方、提案されている改善、改革等の実行は、それではどういう手順でやっていくのが妥当と総理府の方は考えておりますか。
○安仁屋説明員 科学技術庁あるいは運輸省という主管省庁がございますので、そこにおいて責任を持って適切な措置がとられることが適当である、このように考えております。
○瀬崎委員 結局、それぞれの主管省庁が責任を持ってこの報告書を検討し、所要の責任をとっていくべきである、こういうことなんですか。
○安仁屋説明員 そのとおりでございます。
○瀬崎委員 それでは、そういうふうな立場で、それぞれ所管していると思われる省庁に、この報告書の内容についてただしたいと思うのであります。時間の関係でとうてい全部は尽くせませんが、主に技術的な問題のところ、それから政策的な問題のところについて質問したいのであります。 その第一は、遮蔽効果実験は果たして十分なものだったのかどうか、この点であります。 まず、これは運輸省の謝敷さん、見えていますね。——これは去年の九月十日の衆議院の科技特で、JRR4で「実物大に近い大きさで模擬実験を行なっております。その成果につきましては、これは本実験の目的にも書いてございますように、「むつ」第一船の設計に反映されるということが目的でございまして、」その目的に照らして、「計算コードの確認を含めて、一次、二次の遮蔽体の実験をやっております。したがって、これで技術的に遮蔽の効果については最終的に実験をした、こう考えております。」という答弁をしていらっしゃいますね。ところが、この報告書の方の指摘によりますと、いまのような目的に照らしてみれば、「十分な実験を行ったとはいい難い。」こういうふうな結論を出しておられるわけなんですが、果たして謝敷さんは、このみずからの答弁と報告書の結論と、どちらが正しいという立場をとっていらっしゃるわけですか。
○謝敷説明員 お答え申し上げます。 「むつ」の建造に当たりまして遮蔽実験をしておりますが、原子炉の遮蔽に関しましては、計算と実験と二つで攻めていくというやり方があるわけでございます。 そこで、計算につきましては、これは当時事業団及び三菱原子力工業が持っておりました計算コードで計算をしておりまして、それの確認という意味でJRR4、これは「むつ」の遮蔽の実験をするという目的でつくられた炉でございまして、これを使って実物大に近い形で実験をしております。 それで、一つは、計算コードにつきましての学問的な進歩がありまして、報告書にも指摘されておりますが、建造の当時と近年とにおきましては、計算コードが著しく進歩しておるという点で、「むつ」の設計の当時と現在の計算コードとの間では、かなり差があることは事実でございます。それから、遮蔽実験につきましては、実物大に近い形でやっておりますが、問題になっております速中性子の測定につきましては、水の中でやったという結果も出まして、速中性子でない熱中性子を測定して、それを勘案して遮蔽の結果を設計に取り入れました。 こういう点で、確かに建造にかかりました当時の計算方法、それから実験のやり方というものにつきましては、建造当時としてはあの方法でよかったのだ、こういうふうに思っております。 委員会が指摘しておりますのは、後で計算コードの進歩なりを、もう少し取り入れるべきでなかったか、こういう点で御指摘がありましたので、私どもとしましても、「むつ」の改修計画におきましては、十分計算コードの進歩、それから、場合によりましては遮蔽実験を行うということで、万全を期していきたいと思っております。
○瀬崎委員 聞いておりまして、私どもは非常に判断がしにくいのでありますけれども、この報告書の表現をもう少し丁寧に読んでみますと、計算コードが初期のもので不十分なものであることを前提にして、「計算に乗らない点については、むしろ、直接実験で補うという姿勢とみえるが、その目的としては十分な実験を行ったとはいい難い。」こう言っているわけですね。後になってそういうことがわかったのじゃなくて、まさにその不十分な点を補うための実験だったにかかわらず、これが十分だったとは言いがたい、そういう結論だと思うのです。ですから、ここの委員会で謝敷検査官の説明された内容とは、われわれが読んでいる範囲では、大変違って受け取れるのですね。 そこで、もちろんこの報告書に異議があると言われるなら、私はそれでも結構だと思うのです。というのは、先ほど安仁屋参事官の説明にありましたように、この報告書作成の過程ではほとんど政府側も手を入れていない。何か全く手を入れていないといってもよいような感じです。むしろ、政府は被告人の立場なんだから、この報告書作成に参画する資格なんかはないのだというような発言もあったやに聞いているわけなのです。ですから、当然出てきたこの報告書の結論に、政府側として異議があるとおっしゃっても、私は、それはまたそれなりに正直でいいと思うのです。さっきの話では、一体どっちなのかはっきりしないのです。もう少し素人にわかるように明瞭に答えていただきたい。
○謝敷説明員 確かに、先生いま御指摘のところが報告書に書いてあるわけでございますが、計算方法におきましても、それから実験の方法におきましても、現在の専門家の方が当時の計算、実験を検討すれば、こういう点に当然気づくべきではなかろうかということを言われておりまして、その点につきましては、そのとおりでございますということを私どもも考えております。 ただ、私どもとしまして、当時の計算方法、当時の実験方法でここまでどうして気がつかなかったのかと言われる点が御指摘の点であろうかと思いますが、実験を担当いたしました事業団なりあるいは原子力研究所、それから私どもの船舶技術研究所の遮蔽担当者、それぞれの当時の知識を最善に生かしまして実験計画を組んだと考えております。したがいまして、先生がおっしゃいますように、いまの時点でどうかと言われれば、こういうところに気がつかなかったのは十分でなかったではないかと言われれば、まさにそのとおりだと考えますが、当時の学問で計算コードそれから実験を計画いたしました段階では、私が前回にも答弁申し上げましたようなことでございまして、最善の努力をしながら関係者はやった、こういうことでございます。
○瀬崎委員 そうすると、おそらくこの報告書の評価も、評価している時点は現在であって、実験した時点というのははるか前だが、そのはるか前の実験ということを考慮に置いて不十分だという評価をしていると思うのです。それがいまの謝敷さんのお話では、それは酷である、その点では、当時の事情を背景にすれば、謝敷さんが委員会で説明した、一応あれで最終的な実験をしたものとみなせる、こういうふうな理解と私はいまの説明を受け取ったのですが、それでいいわけですね。
○謝敷説明員 酷であるというか、ここまで気がつくべきではなかったかという点では、私どもとしましては、何回も申し上げておりますが、最善の努力をして計算コードそれから実験を行った、こういうふうに考えております。
○瀬崎委員 いや、私は当時の実験のいいか悪いかをいまここで争っているのではなくて、謝敷さん自身もいまから半年ほど前に、あの実験の評価をされているわけです。この報告書も、半年のずれはあるにしても、現時点で過去の評価をしているわけです。この評価に違いがあるから、どっちの評価をとるのがわれわれとしては正しいのだろうか、こういうことを私は聞いているわけです。 だからこの場合、いまのお話からいけば、当時の事情を背景にすれば、謝敷さん自身がおっしゃった方が正しいのではないかという見解に私は聞こえたのですね。報告書の方の見解は少し厳しいのじゃないかというふうに受け取れるのですが、そういう理解でいいのですか、こういうことなんです。
○謝敷説明員 私が御答弁申し上げましたのは、検査官といたしまして船の検査を行っている段階では、私どもとしては、計算コードそれから実験が正しいと信じてこのチェックをやっておりました。それが、今回のような放射線漏れが出てきたということにつきましては、たびたび私どもが申しておりますが、船舶の検査におきましては、設計並びに工作の検査だけでは不十分で、やはり実験によって最終的な確認をしながら、そこで故障が出れば元に戻していくというやり方をやっておりますということで、私どもとしては、当時の計算コードなりそれから実験を基礎にして検査をやってきたことにつきましては、当時としては最善を尽くした、こういうふうに考えております。
○瀬崎委員 もう一つそれに関連して、いま話に出ておる計算コードの有効性の問題なんですが、この点についても大分見解が違って出ているわけですね。 謝敷さんは、これは九月十日の衆議院の科技特で、JRR4の原子炉を使いまして実物大の模擬実験を行っております。それによりまして計算のコードを確認いたしまして、その計算のコードの有効性を確認した上で遮蔽効果を確認した、こうおっしゃっているわけです。ところが、今度の報告書になりますと、コードの有効性について、「用いた計算コードは初期のものであり、当時はすでに、このコードでは計算に乗らない現象さえ認められたにもかかわらず、」設計段階で対処する方針を持たずに進めた、こういう指摘がありますし、また、計算コードの有効性が確認されていないこともこの中で指摘しているわけですね。 ですからここでも、われわれが議事録とこの報告書を読むと見解が違うように受け取れるのです。これは果たして見解が同じものを違う表現をされているのでしょうか。根底に見解の相違、つまり初期の計算コードの使い方に、片方は不注意な点があったと言い、片方は有効性を確認した上でやっているのだ、こう言っているが、これは見解の相違が出てきていると見るべきなんでしょうか。どうなんでしょうか。
○謝敷説明員 計算コードの有効性につきまして、非常に複雑な形状をしておりますから、計算に乗らないところがあることは事実であります。それを補うために実験をやるという筋道でやっていくわけですが、私どもが計算コードの有効性を確認したと申しましたのは、平板といいますか、複雑な形をしておらないドーナツ型の円筒形の横の部分でございますが、そこの遮蔽につきましては、いまから考えると初期ですが、当時の計算コードが有効であるということは確認されております。 それから、もう一つ問題になりますすき間とかあるいは計測孔からの中性子の漏れ、これにつきましては、実験で確認したストリーミングといいますか、そういう穴から漏れ出てくることも予想して、そういう形状のものを実験しております。 ただ、問題なのは、今度の委員会で指摘されておりますように、出てきました中性子が熱中性子の形をとってあらわれてきている。それが今度の報告書の指摘ですと、速い中性子が伴っていなければいかぬということに気がつかなかった、その点については、確かに御指摘のとおりでございますが、熱中性子がその間の空間を伝わって出るということにつきましては、これに対応した設計をした、こういうふうに考えております。
○瀬崎委員 どうも私どもの理解が十分でないからわからないのかもしれませんが、われわれは一体どっちに軍配を上げたらいいのか、いまのお話を聞いていると迷うわけなんです。 同じようなことは生田原子力局長も言っていらっしゃるのですね。これは参議院の方なんですが、遮蔽について、「遮蔽材あるいは遮蔽の方法等につきましてかなり慎重な試験を行なっております。」と言っている。これは自民党の中山さんの質問で、「陸上試験は遮蔽に関してはおやりになったというふうに理解してよろしゅうございますね。」という念押しに対しては、「遮蔽そのものについてはやっていると御理解いただいてけっこうでございます。」と答えている。つまり、実験としては一応当時としては完全なものであったと理解してよいというような答弁に見えるのですが、こちらの方は、先ほどからの議論のとおり、非常に不十分な実験である、あるいは計算コードの有効性についても十分確認されたとは言いがたいというふうな評価になってきているのですね。生田氏自身は、自分の発言とこの報告書との、われわれが違いと見ている点についてはどうお考えですか。
○生田政府委員 ただいま先生がお読みになりました当時の私の答弁でございますが、原研のJRR4によりまして遮蔽の実験をやった上でこの原子炉が設計されたということを申し上げたわけでございます。この大山委員会の報告におきましては、JRR4における遮蔽実験が、結果的には不十分であったということを指摘しているものだと理解しております。結果的にと申しますのは、ただいま謝敷検査官の説明にもありましたように、水中での遮蔽実験をやりましたために高速中性子が熱中性子に変ってしまうというところ、ですから、熱中性子と高速中性子との関連におきましての検討が不十分であったということが、大山委員会の指摘の中の一番中心部分であろうかと思います。 その点につきまして、私は原子力の研究者ではございませんので余り詳細な御説明はいたしかねますけれども、この大山委員会報告の四十八ページ、その中段におきます「JRR−4の実験は水中に試験体を組んで行われ、測定位置に水があったため、高速中性子があっても減速され、熱化されてしか検出されないという原則的な考察からすれば、熱中性子ストリーミングのある所には、高速中性子が付随しているはずということに、今一段の注意が足りなかったと言える。」というこの御指摘は、当っているというように思います。 したがいまして、結果的にこういう点においての問題が残っておりますので、JRR4におきます陸上の遮蔽実験は行われましたけれども、結果的には不十分だったということを言わざるを得ない、かように考えております。
○瀬崎委員 そうすると、事故後の国会における一連の運輸省並びに科技庁の答弁については、答弁自身にも不十分な点があった、むしろやはり報告書の結論に今日は従うべきである、こういうふうに私どもは理解しておいていいわけですか。
○生田政府委員 この報告書の細目につきましてただいま検討しておりますし、この辺の大山委員会の判断につきましても、実際にこのJRR4の実験をいたしました研究者の意見その他を聞いてみませんと、最終的にこれが正しいのかどうか、あるいはほかに技術的あるいは研究分野における異論があるのかどうか、断定できないわけでございます。 しかし、私どもは、この大山委員会のただいま私が読み上げましたこの点は、非常に重要な点であると考えますので、少なくともこの点について問題があったのではないかという観点から、十分この点を検討してみたい、かように考えております。
○瀬崎委員 もう一つ、実験の概念について、確かにJRR4で実験を行っていたときの事情を考慮すれば、謝敷さんの言われるように十分であったと考えるべきかもしれないけれども、この報告書の方では、そもそも実験というのは、その後新しい事情や進歩したコード等が生まれれば、改めてやり直す必要があるのだ、こういうふうなことも書いてありますね。「後日進歩したコードが開発された時には、実験の見直しということを考えておくべきであったし、実験体系と実際の体系との相違点についても、処置の方針を立てておくべきであった。」とあります。それで、「むつ」はいろいろな事情で相当出港がおくれましたから、やろうと思えばそういう期間があったわけです。 ですから、そういう点を考慮して、実験というものをこの報告書が言っているような意味にとれば、謝敷さん、どうでしょう、それでもなおやはり十分だったと言えるでしょうか。やはり配慮が足りなかったという答えの方が正しくなるんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
○謝敷説明員 確かに、船ができましたのが四十七年だと思いますが、その後出港しましたのが四十九年でございますから、二年ちょっとあったわけでございまして、これも私どもが後から聞いた話で申しわけないのですが、中性子に関します学問の進歩がちょうどそのころに行われた、こういうことでございまして、したがいまして、計算コードもそのころから急激に改善されて、かなり実際の複雑な形状に合うような計算コードができたということも、これは私ども少し遅かったといいますか、そういう意味で、これからの「むつ」の改修計画につきましては、現状の計算コード、それからそれを確認するための実験というものは、十分やる必要があるというふうに考えております。
○瀬崎委員 次は、そもそもこの遮蔽問題を、最初から本当に重視しておったのか、それとも軽視しておったのではないか、こういう問題に移ります。 外遊中でお見えになっていないのは大変残念なんですが、これは原子力委員会を代表して山田さんが、「原子力船事業団が遮蔽の問題を重視しまして、原子力研究所にJRR−4という原子炉、遮蔽用のための原子炉をつくって開発をいたしたわけであります。この問題は初めから非常に重要視しておったし、その関係の技術者は非常な努力をしてまいったと思うのであります。この問題が非常に重要視されて、しかも十分研究されながらこういうことになったことにつきましては、非常に遺憾であるというふうに考えております。」こういう発言なんですね。ところが、この点について報告書の方はこういう指摘をしております。「現実には、遮蔽実験など一層詳細な基礎研究が不可欠の実情であった。だが、事業団は、JRR−4による遮蔽効果確認実験に際しても、主体性をもちつつ必要な実験を進めるに十分な体制を作ることができなかった。」あるいは遮蔽の「実験結果を原子力第一船に反映させる責任は、本来事業団にあったにもかかわらず、十分機能することはできなかった。第一船の舶用炉の開発については、三菱原子力工業に大幅に依存する結果となった。」こういう指摘なんです。 ですから、この原子力船に対して、そもそもこの遮蔽ということを重視しておったのか重視していなかったのか、あるいはしようにもする体制がなかったのか、これが、またまことに百八十度違った答えが出ておるわけですね。きょうは山田さんがお留守なので、この点は、長官が委員長の立場でお答えいただくというふうに事前に聞いておるわけなんですが、こういう報告書の指摘に対して、原子力委員会はどういうふうな見解を持っているのでしょうか。当時の国会での発言には少し軽率な点があったという考えなのか、それとも、報告書で言っていることの方がむしろ無理なんだというお考えなんでしょうか。
○佐々木国務大臣 ただいまのような点は、原子力委員会といたしまして慎重にただいま検討中でございますので、その結論が出ましてから、委員会としての技術的な見解と申しますか、態度をはっきりいたしたいと思います。
○瀬崎委員 もう一つ、この報告書の方には、そもそも原子力委員会には、安全審査をやられた方々の中に遮蔽の専門家がいなかったのではないか、こういう指摘もあるのですね。こういう点については率直に認めているのですか。
○生田政府委員 遮蔽の専門家がいなかったということは事実でございますけれども、原子力委員会の安全専門審査会が行います安全審査の段階におきましては、いわゆる基本設計の審査でございまして、遮蔽についての詳細設計がその段階ではできていないわけでございます。少なくともこの「むつ」につきましてはできていなかったわけでございまして、遮蔽につきまして詳細な審査ができるような前提条件はそろっていなかったということでございますので、昨年の国会におきましても繰り返し御答弁申し上げましたように、遮蔽材の材質につきましてある程度の条件をつける、それからその遮蔽の結果としての表面線量につきまして、それを指示するということにとどめたわけでございます。
○瀬崎委員 そうすると、結局原子力委員会としては、本当に事業団が遮蔽問題を重視しておったか重視していなかったのか、しておってなおつまずいたのか、初めから軽視しておったために当然の報いとしてつまずかざるを得なかったのか、こういう点についてはなお結論が出ていない、こういうことですか。
○生田政府委員 ただいま大臣から御答弁がありましたように、この報告書につきまして、特に安全審査の担当であります山田原子力委員がただいま海外出張中でございますので、その帰国を待ちまして詳細に検討をし、意見をまとめるという方向でやっております。 したがいまして、現在の段階で、私からは的確な御答弁はいたしかねるわけでございますけれども、少なくともこの舶用炉の設計、製作を行う以上、遮蔽が重要な問題であるということはもう常識と申しますか、ごく普通の大前提であると私どもは考えております。
○瀬崎委員 大前提ではあろうけれども、その大前提を大前提らしく重視していたのか重視していなかったのか、あるいはしようにもできないような体制でそもそも出発していたのではないか、ここらが非常に重要な要素だと思うのですね。 これも国会で、当時の堀事業団理事がこの点に触れておられるわけであります。この照射の実験は事業団と原研と船舶技研の三者の共同研究という形で行った。それに参加したのは原研の方、船舶技研の方、こういうその分野の最高の権威者、プラスいたしまして事業団の現有勢力と、それから事業団の現有勢力で足りませんところは民間八社の応援も得た、そうして一次遮蔽の設計をした。そういうふうな次第だから、それらの共同研究の結果は全部事業団ももちろん検討いたしておりますし、さらにそれに基づきまして、三菱原子力の設計その他に全部反映さしておりますと言っている。つまり、事業団は共同研究の結果を検討したし、全部その結果は三菱の方に反映さした、こう言い切っているわけですね。ところが、この点についての報告書の指摘は、「遮蔽設計に限って言えば、分割発注の場合重要な一次遮蔽の外での線量、つまり二次遮蔽のための線源の質と強度を厳密に査定して設計したかどうか疑わしい点がある。」こうなっているのですね。ここでまた評価が違っているのです。 この点については、恐らく新しく事業団を引き継がれました現在の理事長以下が、最も重要な点ですから当然こういうことは継承されているし、十分調べてもいらっしゃると思うのですね。堀理事がかって国会で答弁された内容と、いま報告書が指摘している内容と、一体どちらが正しかったというふうに考えていらっしゃるのか、これはひとつ事業団の方からお伺いしたいのであります。理事長、お願いします。
○島居参考人 目下、具体的な問題につきまして技術的には検討中でございます。
○瀬崎委員 それは答弁になりませんよ。これもずいぶん前の国会での答弁なんですね。十月十四日なんですよ、堀さんのは。だから、それから今日まで半年以上たって、しかも引き受けるに当たって、少なくともここが一番大事な点だぐらいの見解をお持ちになってあたりまえで、それがこれからだというようなことで、母港問題が解決するのは不思議だと思うのです。ちょっとふまじめな感じを受けるのですが、もう少しまじめな答弁をお願いしたいと思いますね。
○島居参考人 そのときの実験の結果は、そのとおり反映しているというふうに聞いております。
○瀬崎委員 ところが、報告書の方は、「遮蔽設計に限って言えば」と断ってはおりますけれども、当然分割発注で問題になってくるこの一次遮蔽と二次遮蔽との関係について、十分な検討をして査定をして設計をしたかどうか疑わしいという結論になっているのですよね。こういうふうに言われていることについてどういう見解かということなんですよ。
○島居参考人 私が着任する前に遮蔽小委員会というものができておりまして、それでやっておるようなことを聞いております。
○瀬崎委員 その結論は……。
○島居参考人 結論はまだ出ておりません。八月ぐらいには出るかというふうに聞いております。
○瀬崎委員 これは長官にひとつお伺いしたいのですが、一つの事実認識について、せっかくこういう報告書が出たにかかわらず、なおこれが確認されていないということなんですね。この点については長官、どうお考えですか。こんな状態で推移していいものですか。
○佐々木国務大臣 先ほど原子力委員会で検討しておりますことは申し上げましたが、事業団の方も、肝心なところでございますので、また、ただいま人事の交代等もこれあり、新陣容をそろえて、なるべく早くその指摘した事態に対して、対処方法を講ずるなりあるいは真相をさらに究明するなり、そういうことになっておるのじゃなかろうかというふうに考えております。
○瀬崎委員 これではっきりしたことは、せっかく調査委員会が報告書を出したけれども、この結果に対する検討がこれから始まりつつある、こういうふうなことにこれはなるのですね。 では、次に三つ目として、ウエスチングハウスのチェック・アンド・レビューの検討の仕方が果たして正しかったのか間違っていたのか、この点にテーマを移したいと思うのですね。 事業団の方では、当時の内古閑理事が、最初から欠陥であるとの指摘は絶対に聞いていない、こういう答弁を本委員会でしておられるし、それから生田局長が、一応ウエスチングハウス社はオーケーの返事をよこしたと聞いていると答えている。この場合は、その点至急調査します、こういうふうな注釈はついておりますがね。ところが、今度の報告書では、「チェックアンドレビューの結果もストリーミングの可能性を指摘し、一つの対策を勧告している。」こうなっているんですね。 こうなってくると、事業団のかつての理事が国会で説明していたこと並びに生田局長の説明されたこととも違った結論ということになるのですが、これは、政府は一体どちらの見解をいまとっているわけですか。
○生田政府委員 当時私がお答え申し上げましたように、このウエスチングハウスのチェック・アンド・レビューについては、特に問題はなかったというように事業団から報告を受けたわけでございまして、そのようにお答えしたわけでございます。 ただ、その後私どもでも調査いたしましたし、この大山委員会の報告におきましても、チェック・アンド・レビューの結果出てまいりましたウエスチングハウス社の意見について、どうも十分慎重な検討をしなかったのではないか、あるいは当然実行すべきアドバイスにつきましても、それを実行しなかったのではないかという点が指摘されているわけでございまして、この点、私どもは非常に重要な問題だと考えております。したがいまして、今後、事業団の技術陣も強化できるめどが立ちましたので、それを中心にいたしましてこの点も究明いたしたい、かように考えております。
○瀬崎委員 これも何か、今後の究明というふうな答弁にいま聞こえたのですが、報告書の指摘をもう少し詳しく言いますと、リモナイトコンクリートを推奨したときにチェックの計算がやられていなかった。それからもう一つ、中性子が遮蔽材に吸収されて生ずる二次ガンマ線の重要さを示唆しているにもかかわらず、これに十分対応していないというふうな点の指摘があって、チェック・アンド・レビューの検討が不十分だ、こう報告書になっておりますね。 結局、科技庁としては、チェック・アンド・レビューの内容についての検討の仕方が正しかったと考えているのか、間違っていたと考えているのか。この結論そのものも、報告書が出てもなお今後検討しないとわからない、こういうことなんですか。
○生田政府委員 私どもといたしましては、この大山委員会の報告書に指摘されておりますように、ウエスチングハウス社のチェック・アンド・レビューに対する対応の仕方が十分でなかったのではなかろうかという疑いを持ちまして、この真相を究明したいと考えております。
○瀬崎委員 その真相の究明は、さっきの話では、まだ事業団がというような話でありましたけれども、一体その責任は事業団が持つのですか、科技庁が持つのですか、運輸省が持つのですか、あるいは原子力委員会か、どこが持つのですか。
○生田政府委員 第一次的、あるいは第一義的には事業団であろうかと考えます。
○瀬崎委員 第一次的にはと、非常にややこしい表現というか、形容詞をつけられましたが、じゃ、最終的な責任はどこで持とうというのですか。
○生田政府委員 私は、事業団であろうかと思います。私がただいま形容詞をつけましたのは、あるいはその監督責任その他のことも言及されたのかと思いまして、そう申し上げたわけでございます。
○瀬崎委員 そういう話になってきますと、当然チェック・アンド・レビューの契約の仕方の問題も出てくると思うのです。私はきょうは契約問題は入らないつもりだったのだけれども、この報告書の指摘は、チェック・アンド・レビューの契約も、三菱とウエスチングハウスとの間においてではなく、事業団が直接ウエスチングハウスとの間で行い、その結果をもとにして事業団が三菱を監督すべきであった、こういうふうに言っているわけなんですね。こういうふうな体制になっておれば、確かに事業団がチェックするということは非常に可能性が強いし、真相究明でも強い立場になると思うけれども、現在はそうなっていないわけなんですね。この点の報告書の指摘は正しいというお考えですか、それとも現在までやられてきたウエスチングハウス社と三菱との間の契約でよかったのだという考えなんですか。政府側の判断はどちらなんですか。
○生田政府委員 三菱とウエスチングハウス社とは、原子炉につきまして包括的な技術提携の関係にございます。したがいまして、三菱を経由したものでございますので、この契約の方式としては、これで構わないというふうに考えております。
○瀬崎委員 そうすると、報告書がここに指摘しているような形態はとれないのだ、こういうことなんですか。
○生田政府委員 この報告書は、ただいま先生御指摘のように、「むしろ、事業団が直接契約し、その結果を基にして三菱原子力工業(株)を監督・監視する方式を採るべきであり、そうすれば、」云々という指摘がございます。私どもは、先ほど申し上げましたように、従来の契約の方式でも差し支えないと考えているわけでございますが、この点、もう一度事業団を交えまして検討してみたい、かように考えております。
○瀬崎委員 結局、各省庁がこの報告書に基づいて責任のある検討をしなければならないという総理府の話だけれども、科技庁は、一つには、責任を事業団に押しつけ、一つには、なお十分この報告書自身を検討どころか、読んでいるのかというふうな心配、疑問を私は持ち出したのです。これは大変遺憾な事態だと思いますね。 時間の関係もありますから、次の問題に移りますが、第四点目は、「むつ」についての安全審査に問題があったのかなかったのか、この点であります。 この点は、非常に論議されたところなんでありますが、昨年の閉会中審査の主要な政府側答弁を引用してみますと、森山長官が、「もし基本設計に問題があったといたしまするならば、これは安全審査体制自身が問題になる、もし詳細設計の段階に問題があるといたしまするならば、これはまた別の見解が出てまいる」こういうふうな表現をとられておる。これはまあ大体政府側の一貫した流れであったと思うのです。 さらに、事故の責任の所在等についても、「詳細設計の図面作成に問題があったということはほぼ確実のようでございますが、一がいに三菱原子力のミスといえるか、あるいはこれをつくる委員会等に問題があったのか」これは原子力委員会を指しているのじゃないかと思うのですが、「さらにまた行政的にもまだまだやるべきことを尽くしていなかったという問題等いろいろあろうと思いますが、」こういうものを究明するために今回のこの調査委員会が本格的に取り組もうとしているのだと、こういうふうな答弁も出ていますね。 そういう点から考えて、果たしてこの報告書は、安全審査についてどういうふうな結論を出していると政府は受け取っているのか、まずそれを聞いておきたいと思うのです。
○生田政府委員 先ほど先生からおしかりをいただいたわけでございますが、私ども、この報告書は何回も繰り返して読んでおりまして、これは非常にいろいろ問題を多く含んでおります。私どもといたしまして、この報告書は報告書として一もうそのまま聞き流してしまうというような考え方は毛頭持っておりません。これは、原子力行政全般につきましても非常に深刻な問題を提起されておりますので、このあらゆる問題点につきまして全面的に対応いたしたいと考えておりますが、もう少し時間の猶予をいただきたいと思います。 それから、ただいま御質問の点でございますが、これを読みまして受けた感じでございますけれども、安全審査そのもののやり方あるいは組織につきまして、直接的にそれを批判していると申しますよりも、安全審査、それから船舶安全法によります認可、あるいはその両方にまたがりまして現実に行われました設計、製作、そういうものの相互間のコーディネーションが十分でなかった、あるいはそれに対応する技術的能力において若干欠けるところがあった、そういう指摘であろうか、かように考えております。
○瀬崎委員 確かにこの報告書は、非常に苦心はされているようだけれども、われわれが不十分ではないかと思う点も、特にこの安全審査問題についてはあるわけなんですね。しかし、よく読めば一定のサゼスチョンはしていると思う。特に、かねがね委員会等で政府側が答弁してきたこととの違いを挙げてみますと、たとえば井上五郎さんは、「当時安全審査会が決定をされました結論というものは、今日考えてみましても正しいものであった、」こう言い切っているし、それから内田さんも、「安全審査の基本をきめました、格納容器の外側のハッチの前面におきます放射線量率をここまでに押えるという基本計画と直接関係することではなくて、その設計なり工事施行の結果が、基本計画と必ずしも一致しなかった」つまり、基本計画の安全審査に間違いなかったが後が悪かったのだ、これもこういうふうに言い切っているわけですね。こういうことと、それからこの報告書がにおわしている、たとえば「遮蔽設計の専門家と評価された人はいなかった点を指摘しなければならない。」とか、あるいはこの専門審査会のメンバーは非常勤と定められている、しかも多忙な著名人ばかりがやっておられて実質的な審議ができないような状態ではなかったか、「審議内容は往々にして、結果に対する責任と役割の限界をあいまいにしたまま、無難な結論が採用される恐れがある。」そういうふうな安全専門審査会なり委員会になっている、こういうような指摘ですね。これとの間にはやはり相当大きな差があると私は思うのです。もっとはっきり言いたいのだけれども、言いにくい事情があったのかもしれないし、だとするならば、それはやはりくみ取らなければいかぬと思う。 こういう点で、果たして安全審査に全く問題がなかった、むしろ後の方が悪かったのだと言い切っている当時の原子力委員会の態度あるいは安全審査に携わった人の態度が正しかったと、いまでも政府側は考えているのかどうか、その点はどうですか。
○生田政府委員 実は、この大山委員会の報告書全般の中で安全審査に関します問題点でございますが、この点につきまして、私ども原子力局あるいは原子力委員会といたしまして一番問題点を強く認識しておりますと同時に、実は、この点につきましていろいろ異論があるところもございます。したがいまして、この点を先ほど大臣もお答えになりましたように、原子力委員会としましては特に重点を置きまして詰めまして、あるいはこの大山委員会の報告書を起草されました先生とも十分意見を交換しまして、問題点を詰めてまいりたい、かように考えているわけでございます。 ただ、ただいま先生御指摘のように、昨年の国会におきます各種の答弁におきまして、原子力委員会の安全専門審査会での安全審査については全く問題がない、問題は一にかかってそれ以降の段階であるというようには私どもは考えておりません。安全審査というものは、前段は原子力委員会あるいは科学技術庁が担当し、後段は運輸省が担当するといいましても、これは政府機関でございますので、当然一体となってやるべき義務がある、かように考えておりますので、われわれは知らない、悪いのは運輸省であるということは毛頭考えておりません。これは両省庁一体となりましてこの問題点の解明に当たるべきだ、かように考えております。
○瀬崎委員 そうしますと、これは原子力委員長としてお尋ねしたいのですけれども、やはり原子力委員会自身も一応国会で正式に答弁しているわけですから、この問題についても何らかの見解をきちっと表明しないと、この報告書を本当に検討したことにならない、国民に対する責任を果たしたということにならないと思うのです。この点は、今後やっていかれますか。
○佐々木国務大臣 原子力委員会といたしましても、先ほど申しましたように、全般について反省と申しますか、再検討と申しますか、しておる最中でございますし、また、内閣では有沢さんを首班にした原子力行政懇談会でございますか、ございまして、大山機関の報告も踏んまえて今後のあり方を検討中でございますので、その結論を待ちたいと思っております。
○瀬崎委員 そうなると、これも非常に重要なポイントになった問題です。ここにいらっしゃる石野先生が質問されて、生田局長がまず答え、後で森山長官が訂正された答弁があったと思うのですね。つまり、安全審査のやり直しをするのかしないのかという問題で、生田局長はやり直しをするような答弁をまずされた。これについて森山長官が、基本設計にもし問題があれば、安全審査につきましても、お説のとおり、つまりやり直すことになるのだ、そうでなかったらやり直す必要はないのだ、こういうふうな見解に変わったわけですね。また生田氏も舌足らずであった、こういうふうに補われた。 そうしますと、結局、せっかくこの報告書が出たけれども、問題の安全審査をやり直すのかどうかということについては、これまたここで結論が出ていないということに私はなっているように思うのですね。一体その点はどう決着をつけるのですか。つまり安全審査をやり直すのかやり直さないのか、そこはどうですか。
○生田政府委員 その点でございますが、私どもはこのように考えております。 まずやらなければいけないのは、「むつ」の原子炉の総点検でございます。総点検と申しますのは、原子炉の現物につきまして点検するということだけではございませんで、設計段階の一番初期にさかのぼりまして全部見直すということ、これがまず非常に重要であるということで、これをなるべく早くやりたいというように私どもは考えております。 安全審査は、むしろそれに対しまして付随的に起きてくる現象でございまして、その結果、当初の設計の変更その他が出てまいりました場合には、当然安全審査のやり直しになるということでございますので、安全審査という言葉の解釈でございますけれども、常識的に原子炉を総点検することも安全審査と言うということでございましたら、そういうことで結構でございますが、法律によります安全審査という用語に関します限りは、むしろ原子炉の総点検に付随して、必要があれば起きてくる現象、やらなければならない仕事であろうというように考えている次第でございます。
○瀬崎委員 そもそも原子炉の総点検をやるというのは、われわれが常識的に考えたら、つまり一から出発すること、つまり基本設計の見直しからまず出発すべきだというように考えるのですがね。この考え方の方が常識から外れているのですか。
○生田政府委員 基本設計の見直しから総点検を始めるという考え方は、私ども同様でございます。
○瀬崎委員 ということは、安全審査もやり直すということなんですか、結局は。
○生田政府委員 その基本設計からもう一度見直すわけでございますけれども、この見直しは、事業団が主体として見直すわけでございます。その結果、基本設計を変更するということになりますと、これは当然安全審査のやり直しになってまいります。 ただ、基本設計そのものについては全く変える必要はないということでございますと、この前の安全審査がそのまま生きるということになろうかと考えております。
○瀬崎委員 問題をごっちゃにしちゃいけないと思うのですよ。さっきから問題になっているのは、原子力委員会の安全審査に全く問題がなかったと言い切ってよいかということになれば、これはそうではないというふうな、いま大臣の答弁もあったわけですね。その点の検討をしているのだ、こういうことなんでしょう。本当だったら、私はこの報告書でその結論が出て、これに基づいて安全審査をやるかやらないかということが決まってこなければいかぬと思うのですよ、話の筋からいけば。これがまた延ばされることになったと思うのだけれども、そういうことと、それから事業団がやる総点検とはまた別問題、つまり安全審査のやり方がまずかったのだから、当然やり直すべきだというふうな論理でさっきは話が進んでいたと思うのです。その延長からいけば、当然、かねがね井上さんなどが言い切っておった、基本設計の安全性に問題がなかったのだと言い切れないとするならば、やはりここをやり直すというのは、これは当然の論理の発展になると思うのですが、そうではないのですか。
○生田政府委員 私の答弁がどうも不十分でございまして、大変、何と言いますか、話の筋道が混乱いたしまして申しわけないと思っておりますが、安全審査が不十分であったかどうかということでございますけれども、たとえばこの遮蔽問題に関して申しますと、先ほどもお答えいたしましたように、安全審査の段階で遮蔽につきましては、遮蔽材の種類、つまり鉛とポリエチレンを使う、それからその遮蔽の結果として、表面線量がこれだけになるような遮蔽を施さなければいけないというのが安全審査の結論でございます。いわゆる原子炉規制法に基づきます安全審査というものを狭く解釈いたしますと、それで十分であるということでございますけれども、私どもがいま考えておりますのは、仮にその法的な解釈あるいは法律に定められましたその領域につきましては、それで十分であるといたしましても、運輸省の認可、検査との関連におきまして、仮にそれが法的には多少重複するというようなことがありましても、安全審査そのものといたしまして、もう少し幅の広い検討をしておくべきではなかったのかという問題点があろうかと思います。 たとえば、遮蔽の詳細設計というような問題がその一つであろうかと考えます。そういうことにおきまして、私どもの安全審査と運輸省が現在行っております認可あるいは検査との間のつながりが、あるいは不十分でなかったかという点を考えておりますので、その点を先ほど申し上げたわけでございまして、基本設計からの総点検をやりたいというように考えておりますので、その結果問題が出てまいりました場合には、これは当然安全審査のやり直しになるわけでございますけれども、その安全審査を当初行いました条件と変わりない条件が今回も与えられるということでございましたら、特に新しい安全審査は必要はない、かように考えております。
○瀬崎委員 基本設計から始める総点検を、つまりだれが行司役になってするかという点で、われわれは当然、基本設計に対する最も権威ある行司役は安全専門審査会がやったのだから、ここがやりかえるのが一番これが常識的だし、一番国民の納得の行く道だと思うのですね。それを、肝心の原子力委員会安全審査会がしなくて、事業団がやって問題が起こったら安全審査を差し戻すのだということでは、何だか一番権威ある行司役をよそへ置いておいて、わき筋のものが点検するようで、そんなことをするからまた問題が起こるのじゃないかというふうに不信が起こってくるのじゃないかと思うのですがね。初めからの話はそうじゃなかったと思いますね。 たとえば、これは佐々木長官も予算委員会でこういう答弁をしていますよ。「御承知のようにただいま内閣で特別な懇談会をつくりまして、」この懇談会というのはいまの調査委員会のことですね。「鋭意去年の十一月の暮れから何回か重ねてだんだん勉強中でございまして、それができますと非常にはっきりすると思います。たとえば業者側にあるのか、事業団にあるのか、あるいは原子力委員会の審査にあるのか、そういったような問題がはっきりします。」つまり「むつ」の原因についてですがね。だから、本当だったら、この答弁からいけば、この結論が出れば、さて原子力委員会の審査に問題があったのか、事業団に問題があったのか、はっきりしていなければいかぬわけなんですね。ところが、なおはっきりしないような答弁が出てくるというのは、大臣自身の国会答弁からいっても問題だと思うのですね。こんなことを重ね重ねするから、非常に不信が累積する。こういう答弁をされた大臣、さて一体どこにこの事故原因の責任があったとお答えになるのですか。
○佐々木国務大臣 その報告書にもありますように、原因は非常に錯綜しておりますので、というふうに私は報告に出ていると思います。したがいまして、ただいま局長から御答弁ありましたように、肝心なことは補修をどうするか、補修だけでは足らぬので、この際は総点検もあわせてやったらいいじゃないかという大山機関の報告でございますから補修のためにはどうしたらよろしいか、相次いで総点検もやっていろいろ問題が出てきますれば、それに相応して、要すれば委員会で安全審査を必要とすれば、これは当然法の定めるところによりまして安全審査の再検討が必要でありましょうし、その要はありません、総点検した結果そういうことまではさかのぼらぬでもよろしいということであれば、再点検せぬで済むという結果になるのだろうと思います。 ですから、せっかくいまその報告の指示に従いまして、修理をするのにはどうしたらよろしいか、その作業が済み、そしてまた総点検に入れば、おのずから安全性に対する今後の扱い方、したがってまた、基本設計までさかのぼるべきかどうかという問題が、はっきり出てくると思います。
○瀬崎委員 結局、また新しい論理のすりかえをやり出したわけですよ。従来は故障を起こした原因が那辺にありやという真相をつかんだ上でありますと、大変的確にお話ができるのだ、こういう前提で、先ほど読み上げましたように、その真相をつかむために、十一月の暮れからこの調査委員会をつくって検討を重ねてもらっているんだ、こういうお話だったのです。そのときには、総点検をやった結果で云々というようなことは全然出ていない。この報告書が出てくれば、事業団に責任があるのか、業者側に責任があるのか、あるいは原子力委員会の審査に問題があったのか、これははっきりする、こうおっしゃっているわけです。出たのですよ。出たら今度は総点検だ、こういうふうなまた引き延ばし策になってきたわけでしょう。 ですから、こういう点では、大体もう少し国会、とりわけ国会における答弁なんかに責任を持たないと、本当にその場逃れを積み重ねたのではないかというふうにしかとられなくなる。確かにいま報告書で見れば、「むつ」の安全審査について直接どうのこうのという表現はとっていませんけれども、しかし間接的に、現在の安全審査体制がきわめて不十分ですよという形で、だから「むつ」についても十分なことができたとは言いがたいと読み取れるような内容にはなっていると私は思う。 だから、素直にこの報告書の結論を受けるとするならば、安全審査をやり直しますということになるんじゃないかとわれわれは思うのですが、どうも政府はそうじゃないらしいですね。
○佐々木国務大臣 ちょっと誤解があるんじゃないかと思いますけれども、放射線漏れそのものに関すること、その放射線の漏れたところをどう補修するかという問題だけであれば、それは大した問題ではないけれども、しかし。その報告書にも書いてあるとおり、それだけでは済まされない、よって来る大きいいろいろな原因があるだろうから、それも検討いたしました、こういうふうになっているわけです。 ですから、その経過は具体的にどうかということになりますと、行政機構の整備の問題もありましょうし、いろいろあるわけだけれども、しかし、さしあたって一放射線漏れの修理だけじゃなくて、もう一ぺん総点検をしなさいということです。その総点検の結果いろいろ再審査の必要が生ずれば、当然それは再審査をすべきでありましょうし、その再審査をするに際しては、その報告書に御指摘ありましたように、専門審査会等のやり方も、御指摘のようにもっと整備するという必要性も起きてくるかもしれません。そういうことは、これから指摘した点に基づいてやっていこうというのですから、別に矛盾はないと思いますけれども、どういうのでございましょうか。
○瀬崎委員 時間の関係がありますから、もう少し詳しく去年の国会論議なんか御紹介すれば、これはまた一杯食わされたと国民が思うであろうことはわかっていただけると思うのですよ。とにかく、一応安全審査をやり直すべきかやり直さざるべきかの結論は、問題はこの報告待ちなんだ、単純に言えばこういうことなんです。いま出たわけなんです。だからどっちにするんだということを、本来政府は答えられなければならないわけなんです。そこへまたワンクッション総点検という問題が入り込んできたわけなんです。また先へ延びたわけです。こんなことをするから、母港問題だって解決しなくなりますよというのが私の主張なんですよ。もうここでの答弁は、時間の関係もありますから結構ですから、去年の閉会中審査、一連の政府側答弁をずっとよくよく一遍読み返してください。そのことを一つ申し上げておきたいと思うのです。 最後に、五つ目の問題は、こういうことになってくると、一体そもそもこの調査委員会なるものはどういう目的で設置したものなのか、出てくる報告書は一体どういう拘束力を政府に課しているのかどうかということが、つまり、最初の問題設定がまたここで問題になってくるのですね。一体政府は責任をはっきりさせるつもりなのか、ごまかすつもりなのか、この問題なんですよ。 この委員会を設置することを発表した去年の十月二十二日の委員会で、森山長官がこういうように言っていますね。「いろんな角度からいろんな意見が出ておりますので、これらの意見を検討し、また検討した結果というものを実行に移すような、総理の直属の、まあ臨時的ではございますが、相談する機関、その名前が審議会とつくか委員会とつくか、あるいはまた懇談会とつくかは存じませんが、いずれにしても、これによって御相談をした結果を、今後実行に移していくという体制でまいりたいと思います。」つまり、出された報告書に基づいて何らかの改革をしていく、これを実行していく、そのためにこういう機関をつくるんだというふうにはっきり言っていらっしゃる。だから、出たけれどもまた何らかの検討を重ねて実行を先に引き延ばすというふうな、そんなはずではなかったと私は思うのですね。ここの点での政府の責任というものをはっきりさせておいてほしいと思う。やるのですか、やらないのですか。
○佐々木国務大臣 私には、ちょっと飛躍があるように聞こえます。 この報告書にありますように、事業団としてはこういう点に注意をして、技術的な陣容を固めるとか、あるいは総体的にシステムとして問題を進めるような責任者を決めなさいとかいう御指示がありますから、そのとおりただいまやっております。政府の方に関しましては、政府の方といたしまして、その報告書も踏まえて、有沢機関としては近く結論が出るはずでございますから、それに従いまして、安全審査あるいは安全検査等どうすべきか、あるいは原子力委員会そのものまでどうすべきかという点が出てきますから、それに基づいてやっていこう、こういうことでございますから、責任逃れでも何でもなしに、その報告書のとおり忠実に進めているというふうに私は考えているのですけれども、おかしいのでございましょうか。
○瀬崎委員 じゃ、どうするかということは、懇談会の結論を待つという、これは前々からの佐々木長官の持論ですから、多分そういう回答になるだろうと私は予期した。しかし、責任の所在だけは、この報告書に基づいてはっきりしてしかるべきだと私は思うのです。 さらに、他の政府側の答弁を引用しますと、これは中村政務次官であります。「ただいま最終的な調査をやっておるわけでございますが、」つまりこの調査委員会ですよ、「その結論が出た上で責任の所在をはっきりいたしまして、それぞれの責任を明らかにいたさなければならぬ、」こう言っているわけです。だから、少なくともこういうふうな問題について、ここにたくさん指摘されていますような問題については、これは運輸省に責任がある、これは科技庁なんだ、これは事業団なんだ、これは原子力委員会なんだ、これはやはり三菱原子力工業なんだ、ダブるものもあるでしょうが、そういうことは政府が明確にできなければいかぬはずなんです。これがされていないこと自身が不信の原因だと私は言っているわけです。だから、それをいつどのような形で明確にするんですか、これが長官に対する質問であります。 それからもう一つは、ここで述べていること、人事の刷新などは実行しているとおっしゃるけれども、そのもう一つもとになるものとして、事業団についても相当重要な指摘をしているでしょう。たとえば、技術的にも一貫した責任をとる形に体質を改めなければいかぬとか、あるいは時限立法では国家的な事業はできないとかいうふうな指摘がちゃんとあるわけです。 私は、大体この事業団方式自体が、このような国家的事業にはふさわしくないと思うのですよ。一時的な存在ではなしに、長期的な体制でなくちゃならないし、国がもっと責任を持つような、そういう仕組みのもとでなければ、この原子力船の開発などということはとてもできる相談ではないと考えるのですが、新しく就任された理事長さんは、当然困難覚悟の上と思うのですね。この点については当然国に注文があってしかるべきだと思うのです。それもお聞きしておきたいと思います。この二点で終わりたいと思います。まず長官から伺いたい。
○佐々木国務大臣 責任の所在という意味を、個人の責任の所在というふうな解釈でなくて、機関として、この際こういうふうな方向で整備すべきだとか充実すべきだという御指摘がございますから、先ほど来申し上げましたように、事業団としてはこういう取り組み方をしております。原子力委員会あるいは政府の機関といたしましては、今後の審査、検査等安全の面を特に踏まえて、過渡的な整備はもちろん整えておりますけれども、根本的には有沢機関の結論を待っていたします。このこと自体は、責任を感ずればこそそうしたのでありまして、もし責任を感じなければ、放置してそのまま来たと私は思います。(瀬崎委員「どこにどのような責任があったか、そこまでごまかしてやっちゃだめだ」と呼ぶ)そうじゃなくて、ごまかしじゃなくて、ごまかさぬと思えばこそ、内閣にわざわざ総理のみずから主宰する最高機関をつくりまして、機構の整備の問題を諮っているわけです。この点は、いわば「むつ」の問題を契機にいたしまして、いままでの原子力行政そのもののあり方を再検討するのでございますから、大変責任を感じればこそそうしているのだと思っておるのでございます。
○島居参考人 ただいまのような御質問ですと、私も自信をもって答えられると思うのです。 そこで、先生のおっしゃることはなかなかもっともなことが多いのであります。私も、つい先月引き受けたばかりでございますが、その後にこの報告書が出まして、私も何遍もこれを熟読いたしました。そうして、実はこの当時は私がいないものでありますから、私が言うと批判的になるのでありますが、この報告書もなかなかもっともなこともいろいろ書いてございます。それで、事業団だけでやれることもあるし、また法律のようになかなかきちっとはできないこともございますので、さしあたりやれるものからやることにいたしまして、まず人事の刷新を、きのう佐々木大臣から発表がございましたように、いろいろこの報告書が指摘しております線に沿って、人事の刷新をやっておるわけであります。 それから、時限立法その他のことにつきましては、これは私といたしましては、おっしゃるとおりに短期間のものではなかなかむずかしいのでございまして、そうして原子力船というものの今後、あるいはどういうことを今後この事業団でやるべきかということにつきましても、篤と考えております。ただ船をつくるのではなくて、将来原子力船というものが世界的に運航するというようなことになりまして、いろいろ根本的な問題、また安全性その他のことについても、事業団がやることがいいかどうかについても研究しておりますが、そのことについて政府ともよく打ちあわせ、また私ども思っていることを政府にも申し上げて、その方向に持っていきたいと思っておるわけであります。
○瀬崎委員 最後に一つだけ。大体いまの議論でもわかるように、政府みずからが原因の究明を行うのだと称して、総理直属のこういう調査委員会をつくっておきながら、本来出された報告に従うべきなんだけれども、まず第一、報告書の見解とそれから政府側の過去の見解とに食い違いのある問題について、必ずしも認識を一致させているとは考えられない問題があるし、また、この報告書に基づいて改めてもう一遍これから検討するんだという話もずいぶん随所に出ているわけなんですね。ですから、あれやこれやを考えますと、こういう報告書が出たから、「むつ」をめぐる原子力行政に何らかの前進が生まれるとは考えにくいような印象も私は感じたわけなんです。 ですから、こういう点で、理事会でも検討されておりますが、国会でのこの報告書をめぐっての集中審議などがますます必要になったのではないかと思いますので、重ねて、ひとつ委員長に善処をお願いして終わりたいと思います。
○八木委員長 次に、石野久男君。
○石野委員 いま、「むつ」の問題について大山委員会の提起した問題が論議されております。私は、そのことはまたあとで論議するにいたしましても、「むつ」問題が日本の原子力行政に与えておる影響というのはきわめて大きいし、その後、そのことを契機としまして政府もいろいろな対策をとっておりますが、この原子力行政の中で、安全性を確立するということは従来にも増して重要になってきておりますし、そういう立場から、原子力委員会の機構並びに機能の問題も再三論議されてきたところでございます。 いま、お話を聞いておりますと、大山報告によって「むつ」問題については総点検の場に入るということでございますが、再審査とかその総点検というのは、事業団が総点検をするような聞き取りを私はしたのですが、これはそういうことなのか、それとも、総点検というのは原子力委員会が主体となってやるということなのでしょうか。そこのところはどういうふうになっているのですか、はっきりしてもらいたいと思います。
○生田政府委員 先ほど瀬崎先生にお答え申し上げたとおりでございまして、事業団が総点検を行うわけでございます。原子力委員会、原子力局、あるいは運輸省も同様かと思いますが、事業団に対しまして、出力試験の実施に耐えるような安全を確認するために原子炉の総点検を、設計段階からやりなさいということを指示する方針になろうかと考えております。
○石野委員 この論議は、また後でしなくちゃならないのだろうと思いますけれども、「むつ」をつくるという作業の主体は、確かに事業団にあると思いますけれども、その仕事をするに当たって、審査をし、認許可を与えているのは、私は原子力委員会であったと思いますし、また、詳細設計の問題では運輸省の船舶局、こういう形がありまして、その認許可というものが出なければ、事業主体である事業団というものは仕事ができなかったと思うのですよ。だから、点検をする主体は原子力委員会の審査の中にあるのではなかろうか。基本設計の審査に間違いがあったのではなかったのかという問題の審査は、事業団ではできないのではないでしょうか。むしろやはり原子力委員会がそういう問題を審査すべきであり、船舶局が総点検をすべきじゃないのでしょうか。私は、きょうはここの問題を主体に聞くつもりじゃなかったのですけれども、瀬崎君の質問に対する局長の答弁が私にはちょっと理解ができないものだから、もう一遍そこのところをお聞きしたい。
○生田政府委員 ただいま御質問の点でございますが、実は瀬崎先生にもお答えしたかったわけでございますが、答弁が許されませんでしたので、石野先生にお答えする形で御説明さしていただきます。 先ほど申しましたように、出力試験に耐えるような安全性を確認すべきであるということで総点検を命じたい、かように考えております。その結果、たとえば基本設計を変更しなければ安全性が確認できないという問題があるいは発生するかもしれません。私どもはさようなことはないだろうとは思っておりますが、これは総点検の結果でございますので、あるいはそういう結果になるかもしれません。極端に申しますと、原子炉の形状でございますとか、大きさでございますとか、基本的な機能でございますとか、そういうところに問題があるので、そこを改善あるいは修理しなければ、出力試験に耐えられぬ一これは遮蔽の問題ではございません。むしろ原子炉全般の問題でございます。そういうことになりました場合は、当然基本設計にさかのぼりまして安全審査のやり直しということになってまいります。 ただ、幸いに、原子炉全体としては、遮蔽以外の部分につきましては問題がない。問題は、遮蔽小委員会の報告に示されましたように、横あるいは下の一次遮蔽に問題がある。したがいまして、その横あるいは下の底の部分の一次遮蔽を数倍の厚さにする、あるいは材質をさらに改善するということによって、その一次遮蔽の強化によりまして、高速中性子をとめることができるというほかには何ら問題がないということが確認されました場合は、これは原子力委員会の安全審査については問題がないということになるわけでございまして、むしろ運輸省の、現在その過程にございます検査の段階でそういう欠陥が発見されたので、それでさらに検査を続行する、かような形に相なろうかと思いますので、先ほども申し上げましたように、安全審査というのはあくまで受け身でございます。 ただ、問題意識としましては、私どもは、この安全性の再確認ということのために総点検を命じたいと思っておりますので、先生がただいま御指摘のものと変わらないと思います。ただ、手続的にぎりぎりの法律的な議論をいたしますと、ただいまのように、安全審査というものは受け身の形になる、そういうことでございます。
○石野委員 私は、原子力の問題について、安全審査というのは受け身のものだという理解の仕方、これは一つの原子力行政の姿勢の問題にかかわってきますので、非常に大きな問題だろうと思っているのですよ。簡単に受け身のものだという理解の仕方は、私は受けとめにくい。むしろ、やはり安全審査というものはもっと能動的なものでなければいけない。形が出てきておっても、場合によってはそれはだめですよということを言うんですからね。受け身というのは、ここがいけません、あそこがいけませんという指摘にとどめるだけでありまして、安全審査というのは、それはだめだからやめなさいということまで言うのですから、これはむしろ能動的なものでなければいけない。受け身であるか、あるいはこちらから能動的にいくかというこの姿勢の問題が、むしろ原子力委員会の運営に当たっても出てくる問題なんです。これは非常に大きな問題だと思っているのです。私は、いま局長の言われる受け身という形については、受けとめることができません。これはひとつ後で検討したいと思います。 そこで、ここで総点検をするのは何を総点検するんだということなんですね。設計問題では、もう皆さんは基本設計では大丈夫だという烙印を押して許可を与えたのですよ。そしてそのようにつくられたわけですよ。だから、ここで点検するのは、設計どおりできているかどうかということの点検が一つあるわけですね。それから、できたものを運営するに当たって、操作上に何か問題があるかどうかということの点検だけなんでしょう。設計問題であなた方は自信をもってやったんだし、先ほども言ったように、何遍もそのことについて間違いありませんということを言っているわけですから。 そうすると、あなた方が言う総点検というのは、結局は設計問題じゃなくて、製作上の誤りがあるのかどうかという点検なのか、あるいは運営上、操作上の問題としての点検だけを意味しているのか、それならば私はよく理解できます。設計の点検の問題は事業団じゃないと思うのですよ。これは原子力委員会の問題だと思いますよ。私は、そこのところはもうちょっと明確にしておいてもらいたいと思います。いかがですか。
○生田政府委員 この総点検を、設計段階までさかのぼってしたいということをお答え申し上げたわけでございます。この大山委員会の報告書にもありますように、念のため原子炉の全般にわたって見直すことが望ましいということがアドバイスの一つとして掲げてあるわけでございます。それを受けまして、設計段階からもう一度見直して、安全性の確認をしろということを事業団に指示したいというように考えているわけでございまして、私どもは、基本設計に間違いはないというように考えておりますので、恐らく先生ただいまおっしゃったようなことになろうかと思います。 ただ、これだけの問題を起こしましたことでございますので、設計段階はそのまま通り越してしまって、工作段階から見直すということよりも、この際、やはり徹底的に設計段階から見直した方がよろしいのではなかろうかということで、一応念には念を入れまして、一番もとからやり直しした方がよかろうかというように考えておるわけでございます。
○石野委員 事業主体は確かに事業団ですから、そういう理屈も成り立つかもしれません。しかし、設計については原子力委員会は自信を持って大丈夫だということを言っているのですよ。だから、大山委員会がいわゆる総点検というか、設計段階まで、もとからもう一遍見直ししなさいと言われたときに、なぜあなた方は大山委員会に行って、そんなばかなことを言うな、おれは自信を持っているのだから、そんなことを言うのは聞いちゃおれないという態度をとらなければいけないんじゃないですか。設計段階まで入るというなら、これはまさに原子力委員会の責任になるんじゃないですか。事業団の責任じゃないでしょう。事業団は一定のものを出して、あなた方はそれはよろしいという認可を与えたのですよ。責任はむしろ委員会にあるのじゃないですか。そういう点で、もしそれが不十分であったら、あなた方が許可しなければよかったのでしょう。許可をした以上は、あなた方が責任をとらなければならぬ。そういうことだから、原子力委員会は十分な機能を発揮することができないのだと私は思うのですよ。この問題は基本的に考え直すべきではないか。 井上委員長代行がおられますが、具体的に実務をあずかる立場におられます。こういう問題については、どういうふうにお考えになりますか。
○井上説明員 私、中途から参りましたので、瀬崎先生との一連のお話を伺っておりませんが、ただいまの御質問は、原子力委員会の責任ではないかという点が一つの問題であると思います。 私ども、責任がないということを言うのではございませんけれども、これは昨年のたしか十月ぐらいのこの委員会でも、いろいろ御議論のあった点のように記憶をいたしておりますが、私ども原子力委員会が内閣総理大臣の諮問を受けまして、果たしてこういう形において原子力船の建造が十分安全であるかどうかという審査段階におきましては、ある基準的な設計に対しましてかくかくの要件を満たすべきであり、その限りにおいては安全であるはずである、こういう答申をしておるわけでございます。しかし、現実に物がその時点ではできておらないのでありまして、これは原子力船事業団と製作所である三菱等との関係におきまして詳細設計ができておるわけでございまして、この関係は、一般の原子炉と申しますか、陸上機におきましても、私どもは基本的に安全の審査をいたします。具体的には、陸上機でございますれば、電気事業法によりまして通産省が最終決定をするようになっておるわけでございまして、そういうこと自体が問題ではないかという問題は、これは先刻大臣からもお話がございましたが、別個に検討が加えられておるわけでございますが、原子力委員会そのものは、御承知のように、実行団体でもございませんし行政団体でもございません。 したがいまして、これの総点検といったようなものをやるとすれば、これは当然原子力船事業団がやりまして、その結果を私どもは検討することに相なるとは存じます。存じますけれども、原子力委員会が直接みずから手を下して総点検をするとか、あるいはその結果についての責任を負う、こういうふうな行政組織にはなっておらないと思います。ただ、行政組織になっておらないから、私どもはこの結果についてはあずかり知らないといったようなことを申し上げる意味ではございません。いまから十数年前に自主開発をもってこれをやるといったことが、遺憾ながら所期の目的を第一回において達成しなかったということについては、私どもも非常に遺憾に存じておる次第でございます。
○石野委員 いま原子力委員会は、行政組織として仕事をするのには手もないし、実際には仕事はできないから、その仕事を事業団に委託作業をさせるとかなんとかいうことは、私は理解するのですよ。だけれども、基本設計というものについて原子力委員会はいろいろな審査をなさって、それはそれでよろしかろうということになった。ただ井上さんの言葉をかりれば、一定の条件をつけてその限りにおいてはよろしい、こう言ったのだ、だからその条件以外のものが出てきた場合は、私は知らぬよということではなかろうと思いますけれども、今度の場合、その一定の条件のもとでいいと思ったものに対してたまたまこのような事故が出たわけです。そうした場合に、この事故の出た原因に対して、原子力委員会の専門審査会が安全性の審査をするに当って、そこをよう突きとめなかったという結果が一つ出てきていると私は思うのです。これは原子力委員会は逃げることができないだろうと思うのです。そんなことを逃げておったら、原子力委員会に信頼をおくことはできませんから。 だから私は、今回総点検という問題をもしやるとするならば、本来ならば、原子力委員会に手があれば原子力委員会みずからがやるべきなんだ。だけれども、手がないからたまたま事業団に総点検の仕事をさせるということなら私は理解できます。だけれども、やはりその総点検の責任はすべて事業団にあるのだ、その結果を見て私たちはやるんだというような形であると、これは委員会としては非常に消極的な立場になっていくのではないか。それで、むしろその姿勢の問題として、私たちとしても原子力委員会に対してなかなか信頼をおきにくくなってくるというように思います。 だから私は、いろいろな実務的な仕事を事業団にやらす、このことはいいと思うのです。だけれども、あくまでもこの段階では原子力委員会が総点検をやるべきである。そういう姿勢になかったならば、私どもはこの問題についての信頼を原子力委員会におくことはできないのではないか、こういうように私は思うのですがね。
○井上説明員 大変ごもっともな御指摘をちょうだいしておりまして、私、原則的にいま先生のおっしゃることに反対をするわけではございません。ございませんけれども、仮に陸上機におきましてある事故が起こった、それは必ずしも原子力委員会が予期した形ではないといったようなことに対しましても、やはり行政官庁である、この場合におきましてはエネルギー庁がそれぞれの措置をとる。しかし、原子力委員会といたしましては、ただいま御指摘のように、施設を設置することが安全であるということがすべての判断の前提でございまして、先ほど御指摘がありましたように、安全というものを原子力委員会は受け身の立場で考えておるのではございません。生田局長が受け身とおっしゃった意味は、私が推測をいたしますれば、今度の大山委員会の報告書に対して、これを受けて立つという意味で受け身ということを言われたのだと思います。私どもは、いやしくも原子力施設を許認可してよろしいということを内閣総理大臣に具申する以上は、安全であるということが前提である、それがもう第一義的であるということにおいて、先生の御指摘、私は全くさように考えております。 ただ、この場合、人手がないとかいうことを別といたしまして、やはり実際の実施あるいは運転をつかさどるものは、それがゆえにこそ原子力船事業団というものを法定していただいたのでありますから、その直接の責任者はあくまでも原子力船事業団である。ただ、原子力委員会は、大山委員会の指摘に従ってまず総点検すべきである、あるいはかくかくすべきであるという方針は指示すべきものと考えておりますし、実はいまいろいろな調査をいたしております。できるだけ早く結論を出したいと思いまするけれども、それを実施するものは原子力船事業団だ、こういうふうに了解をしている次第でございます。
○石野委員 これははっきりしておきたいと思うのです。原子力船をつくる事業主体は原子力船事業団です。この点はぼくは反対は何もありません。ただ問題は、原子力船をつくるには、やはり法に従って一応許可が必要になっているわけですよ。安全性の問題等を通じて許可が必要になっている。または船舶そのものについても許可が必要になるでしょう。そういう許認可が与えられない限りにおいては、現状のもとでは船はつくれませんね。そうなれば、その許可を与えるところにすべての責任が集中する。このことは積極的にやはりお認めにならないと……。総点検をするに当りましても、君たちが総点検したらそれでいいよ、君たちがいいように答えが出てくれば、おれはそれに判を押してやるよ、こういうことじゃなかろうと思うのですよ。仮に、いま皆さんがおっしゃるように、事業団が総点検をなさって一つの結果が出たら、それをまた皆さんが点検するのだろうと思うのですよ。そうでしょう。総点検という意味は、事業団の言うのが総点検じゃなくて、あなた方が点検することが総点検の意味なんじゃないですか。だから、そこのところを明確にしておきませんと、うっかりすると事業団がやればそれでいいのだ、私たちは受け身だ、こういう理解の仕方はまずいですから、もっと積極的に原子力委員会なり、あるいは詳細設計においては船舶局でありますか、そういうそれぞれの立場において積極的な意味において総点検をやる、そして仕事をするについては事業団にいろいろなものを委託する、こういう形にならなければいけない。ここは明確にしておいてもらいたいと思うのです。
○生田政府委員 私の答弁が下手でございますので、大変申しわけないと思っておりますが、先生の御指摘になったのと同じ考え方でございます。 先ほど私が受け身と申しましたのは、少しよけいなことを考えすぎたのかもしれませんけれども、たとえば、一たん出しました原子炉の設置許可を取り消しまして、それで白紙からまた申請を出し直させて、同じ手続を繰り返すということをすぐやるつもりはないわけでございます。事業団が総点検をいたしまして、その結果を原子力委員会あるいは科学技術庁といたしまして点検するということは、勝手にやらせておいて、こちらで後から見るということではなくて、事実上は一体となってやるということには違いはないわけでございまして、先生の御意見と私どもの考えておりますことと、余り違いはないのではないかと考えております。
○石野委員 この問題は、後でまた「むつ」の問題を論議するときに当然出てくると思いますが、しかし、いまの局長の答弁に含まれている重大な問題は、原子力行政に対する政府の姿勢の問題がそこにある、こう私は感じます。どうも姿勢の問題としては、常に受け身の立場に立っているのでは困っちゃうので、そうでなく、原子力行政についてはもっと積極的な立場で、能動的な立場で処理されるべきであろう、こういうことを考えております。 そういう点を含めて、たとえば原子力委員会のあり方の問題について、きょうは一、二長官並びに井上先生においでいただいたのでお尋ねしたいと思うのです。 原子力委員会のあり方については、「むつ」の問題以来いろいろ議会の方でも論議をしてきましたし、政府でもいろいろ論議をしており、あるいは法案の提出なんということも現にあるようでございますから、それはそれなりにまた論議するといたしまして、私は、原子力委員会の中で、稲葉委員の辞任のお話をかねてから耳にしておったのですが、最近、具体的に辞表が出てきたということを新聞でお聞きしているわけなんでございます。稲葉委員はどういう理由で辞表を出されてきたのか、それで現にこの問題はどういうふうに委員会において取り扱われておるのかということについて、ひとつ御説明をいただきたいと思います。
○佐々木国務大臣 火曜日ですからきのうでございますか、三十一日付で稲葉委員から正式に辞表は受けましたが、ただ私といたしましては、この任免者は総理でございますから、私から総理にお取り次ぎする前にもう一遍御配慮、御考慮いただけないかということできのうは別れましたが、まだその後考慮の結果は聞いておりません。 稲葉さんは、私の承知するところでは、去年私が科学技術庁長官を拝命いたしました当時から辞意を漏らしておりまして、それにはいろいろ理由もあるようです。しかし、稲葉さん自体としては、フリーな立場で活動いたしたいけれども、原子力の進め方に対しても協力したいという立場を堅持しておりましたので、私はずいぶん長い間親友でございますので、私に免じてしばらくひとつ手伝ってくれぬか、御支持、御援助をいただけないかということで、いままで実はごしんぼういただいたわけでございますけれども、いま申しましたように、正式に辞表が出てまいりましたので、さっきのような措置をとった次第でございます。
○石野委員 大臣が、私に免じてひとつもっと協力してもらいたいと言ったにもかかわらず、稲葉さんがそれを固辞されて辞表を出されているということですが、稲葉さんの言われる理由は、フリーな立場でという、ただ簡単なそれだけのことなんでございますか。
○佐々木国務大臣 私の承知しておるのではそういうことでございまして、稲葉さんは稲葉さん自体としてのいろいろな、あの方は非常に独創的な、卓越した考えを持っている方でございますから、枠の中へ入っていろいろ活動するよりは、かえってフリーな立場でこの問題に取っ組んだ方が自分のためでもあり、また国家のためでもあるのじゃなかろうかというような考えを漏らしておりました。
○石野委員 稲葉さんが委員に就任なさったとき、あるいはなさって以後のなには、ずいぶんと原子力に対して積極的に作業し、協力してきたように私は見受けております。そして、一応原子力に対する積極的な長期開発についての意見の開陳も公表されたこともございますが それにもかかわらず、いまフリーになった方がやりやすいんだということは、ちょっと一般には理解しにくいのですよ。 何か井上先生、委員としてやはりフリーでやらないとやりにくいような問題が稲葉委員の中にあったのでしょうか。
○井上説明員 私も、大臣のもとに辞表が出ましたので、御一緒に慰留と申しますか、御翻意を願った一人でございますが、もとを申しますと、私は、ああいったエネルギーに関する幅広い見識を持った方の参加が望まれると考えまして、実は稲葉委員の就任を要請と申しますか、私的にお願いをした私は当事者なんでございます。それで、そのときに、あなたひとつ専属の委員になってもらいたいということを強く要請したのでありますが、御案内と思いますが、あの方は評論家あるいは経済家としての非常に幅広い、たくさんの委員会等々を引き受けておられまして、とうてい自分は常勤委員には就任できないということで、それではまあやむを得ませんから非常勤でもいいからということでお願いをして、御審議をちょうだいしました。非常勤であるにもかかわらず、ただいま御指摘のように大変御活躍を願ったのでありますが、いま非常に大きな原子力委員会の問題に当面しておるときに、非常勤で自分が原子力委員としてとどまるよりも、在来のより広い立場において原子力を推進した方が、どうも自分としてはお役にも立つし、自分の柄にも合うのではないかといったような御発言がございました。いま大臣からお答えがありましたと同じような印象を私は受けておるのであります。
○石野委員 稲葉委員の委員会内におけるところの活動については、私たちは私案などを見せていただくようなことがありまして、非常に積極的に原子力行政について参加なさっておられたというふうに見受けておりました。 今度辞任を申し出るに当たりまして、仄聞するところでは、安全性の問題について稲葉先生は非常に積極的な発言があるようなふうに仄聞しておりますが、委員会の中で、稲葉先生の安全性の問題についての所見というものは、どういうふうに述べられておられたのでしょうか。
○井上説明員 言うなれば、安全は技術的問題がかなり多いわけでございますが、稲葉委員は技術者でもございませんので、具体的な安全研究について、特に御発言があったというよりは、安全というものの取り組み方に、システム的と申しますか、総合的と申しますか、ひとり技術だけにとどまらず、政治的、社会的に、もっと広い観点において安全というものに取り組まなければならないというのが、稲葉委員の基本的なお考えであったように思います。 それに対しまして委員会におきましては、安全審査会というものをつくりまして、安全に関しての最高と言っていいかどうか知りませんが、非常に学識経験のあられる方々を集めまして、安全審査体制のあり方につきまして、ひとり技術だけにとどまらない基本的な方式について、目下研究を進めつつある次第でございます。それにつきまして本質的に、稲葉委員と私どもが意見が相違したというようには私は考えておりません。
○石野委員 私ども、稲葉先生の従来の原子力委員として、あるいはまた経済評論家というような立場からの所見を聞いておりまして、井上委員からいまお話のありましたようなことであれば、稲葉先生はむしろもっと積極的に取り組むのが筋道じゃなかろうかというふうな考え方を持つわけです。にもかかわらず、特にこの委員会としてはきわめて重要なときに、いまお話しのように、技術的な側面よりもより多く組織的に、総合的にという観点から委員会に求められておるとすれば、稲葉先生のような方を一層多く必要とするだろうと思うのに、御本人も辞任したいと言うし、また皆さんも一応は慰留はしましたけれども、どうにも慰留ができなかったということになれば、何かがなければならぬじゃないだろうかというような疑問を一般に持ちます。そういう点について、井上委員は何も心当たりのようなものはございませんか。
○佐々木国務大臣 先般、一月くらい前でございましたか、中山伊知郎先生が主宰しております社会経済国民会議というのがございまして、稲葉さんがその中で主になりましてまとめたものがございます。主として原子力行政あるいは安全等の問題に関してでございますが、いろいろ抱負を述べておりました。要は、先ほども申し上げましたように、これからの自分のやりたいことは、むしろ国民運動としての問題を処理していきたいという気分が非常に強いようでございまして、そのためには、原子力委員という肩書きよりは、もう少し重要な立場で申したいというのが、稲葉さんの本旨のように私は見受けております。
○石野委員 いま長官からそういうお話を聞きますと、稲葉委員が、むしろ原子力問題について国民運動的な立場でやりたいということは、裏返して言えば、原子力委員会のやり方ではちょっとこれはまずいんじゃないか、やはりもっと国民運動をどんどん広げないというと、原子力行政はうまくいかないよということになろうかと思うのですよ。 したがって、稲葉さんという、原子力委員というきわめて重要な、みずからの発意によって日本の原子力行政を左右できるような立場におる人が、国民運動の中でやりたいということを稲葉さん自身が言われるということになれば、これは原子力委員会の中に問題があることを裏で語っていると同じだと思うのですよ。恐らく稲葉さんには問題があったんじゃないか、こう思いますが、大臣はその言葉をお聞きになってどういうふうにお考えになりますか。なぜ国民運動を要求しているのですか。
○佐々木国務大臣 去年私が委員長になる前から、深く稲葉さんとしては考えておったようでございます。いま申しましたように、原子力委員ももちろん重要な職務であることは申すまでもございません。しかし、私がそんたくし、また本人も申したことを正確にお伝えいたしますと、あるいは社会経済国民会議の一月ほど前の結論をお聞かせいただいても、あの人は、さっきから申すように、余り拘束されてその問題と取り組む、つまり原子力委員として国家に尽くすよりも、自分としてはさらに広い分野で尽くし得るんじゃなかろうかという考えのようでございまして、石野さんは、国民運動の方は原子力委員としてよりはウエートが軽いようなお話でございますけれども、私は、必ずしもそういうふうに考えません。あの人は、そういう面ではもう非常に卓越した判断に立つ方でございますから、やはりそこは本人の意思も尊重していったらいいんじゃないかと思います。 私も、先ほど来申しましたように、もう終戦前、戦時中からの親友でございますから、むしろ兄貴分でございますので、腹を割っていろいろ話もし、一番よく稲葉君の気持ちはわかっているつもりでございます。考えるところはそういうところのようでございますので、再考慮をさらにお願いして、実はきのうは別れた次第でございます。
○石野委員 今度の稲葉委員の辞任の問題について、いみじくも稲葉さんが、原子力委員という拘束を受けた立場よりも、もっとフリーな立場で、国民運動の立場で原子力の問題に協力したいということの意味は、原子力行政の中に不満があり、原子力委員会の中に自分の意図するところがなかなかできない、だから国民運動をかりてそれをやりたい、そういう発意に基づいていると思います。 したがって、原子力委員会の中に、稲葉さんの考え方というものが、どこかで拘束される問題があるからなんだろうと思うのですよ。その拘束されるものは何であるかということを、委員長は見抜かなければいけないと思うのです。それを見抜けないようだったら、委員長の資格はないだろうと私は思いますよ。だから委員長は、その稲葉さんを拘束したものは何だというふうにお考えになっているか、ここをちょっと聞いておきたいのです。
○佐々木国務大臣 稲葉さん自体として、いろいろ安全行政に対する考え方、あるいは全般的なエネルギー政策において、原子力はいかなる地位を占めるかといったような問題等々ありますけれども、しかし、いまの原子力行政のみならず、国の原子力全体の進め方に対して、果たしてこういうことでいいのかという点について、深く憂えを持っております。 したがいまして、石野さんの言われるような考え方でなく、自分は原子力委員だけで尽くすよりは、もっと広い意味でこの問題を推進するのが国民のためだ、こういう考え方で、もっと大きい考え方のように私は承知しておりますが、どうぞ何でしたら稲葉さんにお会いになって……。これは私のそんたくでございますから。
○石野委員 いや、これは非常に重要なところなんですよ。稲葉先生が、日本の国の原子力政策はこれでいいのだろうかということで、そのことを考えて、原子力委員会を飛び出してと言っては悪いけれども、おやめになられて、そして国民の中へ入っていくということは、原子力委員会の中ではどうにもやっていけないから、やはり国民運動の中へ入るんだと思います。 ところが、国民運動の立場から言いますと、実を言うと私も国民運動の中へずいぶん入っておるつもりでおるのですが、われわれは、日本におけるところの原子力行政をすべてゼロにせよとは言っていないんですよ。安全性が確立されればどんどん進めてくださいということを常に言っている。それを阻害しているものが行政の中にあるということで、国民運動はどんどん盛り上がっているんだというふうに私は理解しているのですよ。そういう理解が正しいとすれば、稲葉さんが原子力委員会をおやめになって下がるということは、むしろ本末転倒なんですよ。原子力委員会の中で稲葉さんが主張されることがどんどん入れられていかれれば、それだけ国民運動はむしろ低くなっていく、われわれはこういう理解ができると思っております。 長官が、稲葉さんの辞任の問題については、言いわけめいた言葉だと私は聞いておるのでございます。広い立場に立って自由なというようなことを言いますけれども、権力という言葉を使ってはいけませんけれども、とにかく原子力委員会というのは、率直に言えば、原子力についてはオールマイティーの力を持っているのですよ。そういう場におってやりにくいということは、何かそこで抑えつけられるものがあってやりにくいから、わしはやはり大衆動員をかけてやるんだということになるんだから、原子力委員会の中に問題がなければ、こんなことにならないと思いますよ。私は、そういう点について、長官はやはり理解の点でどこかちょっと狂っておりはせぬかなと思うのですが、どうですか。
○佐々木国務大臣 稲葉さんの心境をあなたと私で、違うだろう、こうだろうと言ってみても、どうも少しおかしな議論になるので、私が聞いたところはそうなんでありまして、稲葉さんは、原子力委員として方々で発言する場合には、やはりそれぞれ委員としては限界があるはずでございますから、そういう点に自分としても大変問題があるし、また委員会に出ますと、さっき井上先生からお話をされましたように、非常勤でございまして、これもまた親身にそればかり調べ込んで、朝から晩まで科学技術庁に来ておるというわけにもいかない。そういうのに反して、原子力行政あるいは原子力の今後というものは、大変エネルギーの問題としてバイタルな問題でございますから、自分としては、この際自分の思う方向でこの問題を進めていきたい、こういうように申しておるのでございまして、どうもそれ以上は、これはお互いにそんたくになりますので……。
○石野委員 私は、率直に申しまして、これをそんたくの問題としては看過できないと思っております。いま長官のお言葉で言えば、稲葉委員が委員としてやれば発言に制限があるから、こういう言葉ですね。最も親密なお友達が、しかも原子力問題で最も熱心な方が、委員としては発言に制限があるから外へ出てものを申す、こういうことを長官が認めるということになりますと、これは運動の方向でもずいぶん問題が出てくるのですよ。だから、そういうことをお認めになって、この委員の辞任をなさるということになるならば、私はまず一つはそういうように理解します。 それから、私はそんたくの問題を言うのではない。NHKで稲葉さんが数日前対談をなさっていました。私はたまたま中途から聞いたのです。最初からはずっと聞いておりませんでしたが、最後のころでやはり稲葉さんが、どういう理由があるんでしょうかというような質問をなさったときに、なかなか説明をしにくかった。しかし、対談なさった方がいろいろ尋ねたら、結局、まあ原子力委員会の中に、やめられた田島先生のような方をもう一ぺん入れるべきたというような——安全性の問題でですよ。安全性の問題で、あなたの意見はなかなか入れられなかったんじゃないでしょうかというような話をしたときに、それには直接答えませんでしたけれども、まあ委員会としては、安全性の問題に、今度は御園生さんのような方も入ったけれども、やはり田島先生のような方をもう一遍呼び戻すべきではなかろうかというような、こういう発言をなさっておりました。それで、安全性の問題についてみずからも、たとえば先ほどの長官の言葉で言えば、これはいわゆる組織的、総合的な立場で委員会についてのいろいろな配慮があったのだと思いますけれども、そういうことを彼は言わず語らずで、田島さんに託して安全性の問題のことを原子力委員会に要求なさっていたわけですよ。 だから、やはり稲葉先生が今度おやめになるについて、定全性の問題についても委員会での対処の仕方に不満があったから国民運動に入っていくのだ、私はこういう理解をするのですよ、長官の言葉をなにすれば。私は、それではまずかろう、そういうようなことに委員会がなっておるのでは困るのではないかということで、安全性の問題について、稲葉さんとの間でやはり何か論議があったかどうかということについて、これは井上さんにちょっとお聞きしておきたいのです。
○井上説明員 委員会はいまさら御説明するまでもなく、各委員が対等の立場におきましてそれぞれの意見を述べ合って、その結果一つの結論を得て、必要なるものは総理大臣に答申をするということでございますから、いつでも各委員の意見が全部一致をするというものでないことは当然でございます。 さような意味におきまして、稲葉委員のもっと安全に重点を置くべきであるといったような御発言はしばしば伺いましたし、たとえば、いま原子力行政体制が内閣におきまして審議をされておりまして、先般も短時間ではございましたが、石野先生からも私の意見を御聴取になられたことがあるように記憶いたしておりまするが、そういった問題につきましても、先般、私、通称有沢委員会という内閣の委員会で、原子力委員会のいわば最大公約数的な意見を述べております。と申しますることは、委員の中にも若干意見の相違はあるということで、稲葉委員のもっと安全問題について強力な推進をすべきであるといったような御発言があったことも事実でございます。しかし、それがただいま先生が御結論なさったような意味であるかどうか、そこまでは私、申し上げかねます。
○石野委員 そこで、原子力委員会の安全性の問題、特に炉の規制の問題等につきましては、「むつ」の問題と関連して、先ほどもやはり報告書に対処する態度の問題からも論議が若干そこに入ったのでございますが、私は井上委員にお尋ねしたいのですけれども、原子力委員会が炉の規制の問題、安全性を中心として規制の問題について、より積極的にするための機能を組織的に充実させるということについての所見でございますが、この際先生の所見がありましたら、ちょっとそのことを、簡単でいいですから聞かしておいてもらいたいと思います。
○井上説明員 この問題は、原子力委員会そのものを含めましてただいま内閣におきまして御審議中でございまするから、私がそれについてとかくのことを申し上げることはいかがかと思いますけれども、私が先般申しましたことは、ただいま申しましたように、原子力委員会としていかにあるべきか、私は、私個人といたしましても若干これにつきましても意見はございますが、しかし、大きく申しまして、原子力委員会の安全審査体制の中で、原子力委員会の安全審査に一貫性がないんではないか、頭の部分は原子力委員会は所管するけれども、しっぽの問題は各省庁にそれぞれ分かれておるんではないかといったような御批判、それから原子力基本法並びに原子力委員会設置法におきまして、もちろん安全の問題はうたわれてはおりまするけれども、どちらかというと開発推進といったようなことに重点が置かれるために、開発推進をする機関と安全を規制する機関とは別の方がいいのではないかといったような御批判があると思います。その他、時間がございませんから省略いたしまするが、やはり原子力基本法ができましてから今日まで二十年の間には、若干改正をした方がいいと考えられる問題もございます。 そういうようなことにつきまして、私自身も、あるいは原子力委員会としての意見も先般申し述べた次第でございまするが、私は、安全問題をもっともっと国が重点を置いて、予算的にも、また行政措置あるいは体制の上においても強化をするということには、ぜひさよう考えていただきたいと思うものでございまするが、しからば安全のためにただいまの原子力委員会を、原子力の推進行政と申しまするか、それをつかさどる委員会と安全だけをつかさどる委員会に二分するということにつきましては、私は一長一短と申しまするよりは、むしろそれには少しネガティブな点が出るのではないかという個人的意見を持っております。
○石野委員 井上さんの御意見はよくわかりました。 そこで、原子力委員会で安全性の問題の規制をそのような御所見のもとで強化するにつきまして、稲葉委員が今度おやめになるという——結論としてやめられるか、また慰留されるかどうかわかりませんが、特に稲葉さんは、もうおそらくやめるだろうと思います。やめた場合の後の安全性の問題を重要視した委員構成の問題で、何か構想が、所見というようなものがありましたら、これは長官にひとつお聞きしておきたいのです。 それからまた、実務上その運営といいますか、具体的に代行として運営なさる井上さんからも、稲葉さんを引き入れるときにも努力なさっておりますから、御意見がありましたら、人員構成で、特に安全性の問題についてどういうようにお考えになっておられるか、ひとつ所見を聞かしていただきたい。
○佐々木国務大臣 稲葉さんを慰留しているところでございますから、その最中にかわりを決めるなんて不見識なことをいたしません。 ただ、いよいよおやめになるということでありますれば、後任は一体どういう人を選んだらよろしいか、稲葉さんの御意見もよく聞かしていただきまして、総合的に判断して決めていきたいと思います。
○井上説明員 ただいま大臣がお話しになりましたとおりでありますが、まあ私、欲を言えば、原子力委員会は大臣を除きまして六名でございまするが、そのうち相当数が非常勤になっておる。第一、原子力委員がこれだけ、まあ忙しいということははなはだ言葉はおかしいのでありまするが、重要な役目を負うておるとすれば、安全につきましても専門家を置くべきである。しかし、原子力委員会がやはり一方におきまして原子力の推進、日本のエネルギーの中においての原子力の役割りを果たすという意味におきましては、そういう方も当然委員として参加せらるべきであるというふうに私は考えております。根本的にはただいま申しましたように内閣で審議がされておりまするが、決して言葉じりで申し上げるわけではございませんが、現行の原子力委員会というものはいわゆる八条機関でございまして、御指摘のようなオールマイティーではございません。権力はないのでございます。ただ、原子力委員会がもっと権威ある、国民の信頼をかち得べきものでなければいけないじゃないかという御指摘としてならば、私はまことにごもっともだと、さよう伺います。
○石野委員 この問題は、後で法案の審議の過程にも出てくる問題でございますし、また「むつ」の報告書を後で私どももう少しいろいろと討議しなくちゃならない、そういう過程でも出てくると思います。 きょうは、これだけで私の質問を終わらせていただきます。
○八木委員長 次回は、明五日午前十時理事会、十時十五分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後三時三十二分散会