運輸委員会 第14号
- 発言数
- 137 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1975/05/06
会議録
○木部委員長 これより会議を開きます。 鉄道敷設法の一部を改正する法律案を議題といたします。 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 ただいま本委員会において審査中の本案について、本日、日本鉄道建設公団総裁篠原武司君を参考人として出頭を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○木部委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ―――――――――――――
○木部委員長 質疑の通告がありますので、順次これを許します。河村勝君。
○河村委員 鉄道建設公団ができてからちょうど十年になるわけでありますが、この十年間に公団でつくったいわゆるAB線の建設キロ数並びにそれに投資した予算の総額は幾らですか。
○後藤(茂)政府委員 鉄道建設公団が発足以来十年の間に、鉄道建設公団が建設をいたしましてすでに開業いたしております路線はAB線で二十三線、四百四十五キロメートルでございます。CD線では二百三十四キロメートルでございます。 この十年間にこの路線に投資をいたしました金額につきましては、AB線について申し上げますと千六百二十四億円でございます。
○河村委員 この四百四十五キロのAB線をつくったことによる国鉄の年間の赤字は幾らですか。
○後藤(茂)政府委員 ただいまその詳細なる各年次の赤字というものについては資料を持ち合わせておりませんが、四十八年度について申し上げますと、約二十数億円の赤字であると記憶しております。
○河村委員 この予定線、鉄道敷設法別表の予定線の中でAB線に該当するものは幾らありますか。キロ数。
○後藤(茂)政府委員 鉄道建設公団に建設を指示いたしました国鉄新線は五十三線、三千四百七十八キロメートルでございます。このうちAB線について申し上げますと三十八線、千六百七十八キロメートルでございます。
○河村委員 いや私が言っているのは、そのすでに基本計画に入っているものだけではなくて、敷設法別表にある予定線全部で幾らになるのだということを聞いているのです。
○杉浦政府委員 数字をお答えいたします。 敷設法に書かれております予定線の総体のキロ程は三百三線一万七千キロメートルでございますが、この中ですでに営業を行っておりますものがございますので、現在未整備のものにつきましては七千九百八十六キロメートルというキロ程になっております。このうちでさらに運輸大臣が基本計画を指示いたしましたものが二千五十三キロメートルということになっております。
○河村委員 もしこの予定線を全部建設をしたとした場合、一体国鉄に生ずる赤字はどのくらいになります。これは非常に計算はむずかしいが、現在の時点で推計をしたらどのくらいになります。
○杉浦政府委員 実はいままで建設をしたものにつきまして実績的に数字は把握しておりますが、今後予定線の中で建設するであろうものを含めまして全体で収支計算を実は行っておりませんので、現在のところわかりかねる次第でございます。
○河村委員 それは計算してないかもしれぬけれども、推計くらいはできるはずで、あらかじめ推計をしたら幾らくらいになるかというのを準備しておけと言ったはずだけれども、それをやっておらぬというのはどういうわけだ。
○木村国務大臣 敷設法の別表に掲げられておりますのは、御承知のように明治の時代から一応予定された、当初予定された予定線でございますので、現状ではその中で、もうすでにとてもこういうものはいまの現状には合わないというものも私あろうかと思うわけであります。したがいまして、それらを含めまして一体いま建設したらどのくらいになろうかということについて、われわれとしても、どうもそういう計算をしてみること自体もどうかという感じがいたしておったわけでございますが、一応現在キロ当たりどのくらいの建設費が平均してかかるかということを出しまして、敷設法の中で、いまだ開通しておりません残ったキロ数全部掛けると大体概数は出ると思いますが、いまそれを事務当局の方から申し上げます。
○杉浦政府委員 現在のこれまでの開業したものにつきまして総延長AB線、CD線合わせまして約六百五十キロメートルくらいございますが、それの平均的な収支係数が約四〇〇というふうに計算できております。これをさらに全体に及ぼした場合に、いま大臣が申し上げましたような若干の計算をいたしたいと思いますが、後ほど数字を申し上げたいと思います。
○河村委員 それは計算がむずかしいことはわかっているけれども、だからこそ、あらかじめ推計したら一体どのくらいになるかということを検討しておけと、わざわざ親切に事前に連絡してあるにもかかわらず出さないというのは、はなはだけしからぬのであって、恐らく大変膨大なものになるので、そういうものを出したんじゃこれはとてもとんでもないということで出さないんだろう、そう思いますが、一体いま毎年百五十億くらいを投下してAB線を建設しているわけですね。これを毎年これからもずっと継続していくつもりですか、大臣。
○木村国務大臣 現在建設中のAB線につきましては、引き続き建設を継続いたすつもりでございます。ただ、経済情勢が変わってきておりますので、その竣工まで要する期間の予定につきましては、あるいは多少の見直しをしなければいけないとは思いますけれども、もうすでに着工いたしておるものは継続してやるつもりでございます。
○河村委員 着工しているものをやるのはあたりまえの話で、着工しているのを途中で切ったらそれこそこれほどむだなことはないんですから、そんなことはわかり切った話です。 今回もこの宮守線以外に新たに二線調査線に格上げをしていますね、しようとしている。これはやるのですか、調査線に格上げするのですか。
○後藤(茂)政府委員 御指摘の二線は、一昨年の十月に鉄道建設審議会の建議をいただいたものでございますが、従来の慣例に従いまして、いずれ開かれます将来の鉄道建設審議会に改めて御諮問申し上げまして、その建議のとおりの昇格がよいか悪いかについての御意見を承ることを考えております。
○河村委員 結局鉄道建設審議会から答申があれば順繰りに調査線にして、それで逐次どんどんどんどんとこれをふやしていく、そういうことになるのはいままでの慣例ですね。一体、大臣、そういうことでよろしいのかどうか、あなたの考えを聞きたい。
○木村国務大臣 いま局長が申し上げましたようなことで問題になっております二線については処理をいたしますけれども、鉄道建設審議会において結論を出される場合にもやはり運輸省の見解というものも十分考慮していただきたいと思っておるわけでございます。 そこで運輸省の考え方でございますが、これはAB線のみならず、鉄道の新線建設あるいは新幹線の今後の建設問題、これらを含めまして、私はこの際、こういう予定あるいは調査線に編入するかどうかというふうな問題につきましても、再建計画とも非常に大きな関係を持っておりますので、改めて見直した上で運輸省の見解を鉄道建設審議会に表明をし、考慮をしてもらおう、こういうふうに考えております。
○河村委員 大臣もさっき、これからつくる赤字線の推計を出せと言ったときに、もうこれから実情に合わないからやらないものもあるはずだという意味の返事をしたわけですね。黙ってほうっておけば、だんだんだんだんとまた調査線になり、工事線に格上げをしていく。この辺でもう一遍見直しをやるために、この別表全体について、予定線全体について再検討して法律を改正をする、そういう意思があるかないか、それを伺いたい。
○木村国務大臣 この問題につきましては以前にもそういう御意見が出ておることも承知をいたしておるわけでございます。われわれといたしましては、実際にあの別表に掲げておりますところの予定線を現実の問題として全部を採用してこれを建設に持ち込むということは、あの別表ができました背景の時代というものと今日と非常な隔たりがあるわけでございますので、そのようなことはとうていできないと思っておるわけでございます。しからば、そのように合うように別表を改正したらいいではないかという御意見でございまして、その点は私も全く同感ではございます。しかし、実はあの別表というものは、日本に鉄道を建設します当初の一つの歴史的な産物的な意味も多分に私はあるんではないかという感じがいたしておりますので、これをどういうふうに全く現実に合うように全部改正をこの機会にすべきであるかどうかというふうなこと、そういうこともございますので、御意見もごもっともだと思いますし、あわせて検討をいたしたいと思っておるような次第でございます。
○河村委員 何かあなたの答弁聞いていると、無形文化財みたいなものだから保存しておくようなそういう言い方に聞こえるけれども、これはそういう性質のものではないはずですね。ぜひともこの辺でもって一遍見直し、整理をすることを要望をしておきます。 そこで話は全然別になりますけれども、いま外国から日本に対して鉄道の建設について経済協力あるいは技術協力、そういうものについての要請ないしは話の進行中のものがどのぐらいありますか、どういうものがありますか、それを伺いたい。
○鹿取政府委員 外国から要請がたくさんあるわけでございますけれども、それぞれいろいろな段階がございまして、一番進んでおりますのはザイールとの間の話でございまして、これは円借款も成立いたしましたし、それから日本の融資機関でございまする海外協力基金からの融資契約も終わっておりまして、実行段階に移りつつあるわけでございます。それが資金協力を政府ベースで約束した唯一の例でございます。(河村委員「どこですって、いまの」と呼ぶ)ザイールでございます。ザイールというのは前のコンゴでございます。 それから、これは資金協力を政府ベースで約束した例でございますけれども、そのほか、技術協力と申しますか、特に日本の国鉄の有する技術の高い声望にかんがみまして、各国から非常な要請が来ております。その中でもやや具体的に話が進んでおるのは、イランとの話でございます。そのほか、専門家を個々に送ってくれという要請は方方からまいっておりまして、その都度その相手側の要請の成熟度と申しますか、どの程度の段階の要請をしているかに応じまして、それに対する協力をするよう、外務省といたしましては、運輸省にその都度お願いしているということでございます。
○河村委員 イランに対する技術協力はどの程度に進んでいますか。
○鹿取政府委員 イランにつきましては、かねてからいろいろ大きい案件がございまして、大別いたしますと、三つの案件が過去、現在、将来を含めてございます。 過去にございましたのがテヘランからバンダルシャープールというペルシャ湾の港に行きます鉄道でございまして、この協力につきましては、技術協力ということで、国鉄の技師の方を政府のその当時のOTCAベースで出したことがございます。 それから、いま話が進んでおりますのは、これは非常に将来の話でございますけれども、同じくイランの首都のテヘランからメシェッドというアフガンの国境、東の方に観光都市がございます。そこへ行く客線の調査をしてくれという要請がございます。それに対しましては、いま運輸省とお話をいたしまして、できればことしの早いうちに調査団を出すということで、運輸省と相談中でございます。
○河村委員 外務省に伺いたいのですが、イランの隣のアフガニスタンから、昨年の八月以来――アフガニスタンには鉄道が全然ないわけですね。これに対する建設の協力の要請があった。それを外務省あるいは運輸省が乗り気でない、ほったらかしておいたために、結局それはインドが手をつけるというふうになったという新聞報道がありますが、それは事実ですか。
○鹿取政府委員 アフガンにつきましては、昨年の八月の末にわが方のカブールの大使を通じまして、専門家を派遣してくれという要請がございました。ただ、その段階で、アフガン側の要請がやや明確を欠きまして、技術者を派遣するという要請であるのか、あるいは日本のコンサルタントに対する要請であるのか、やや明確を欠いておりまして、その後、東京とカブールでいろいろ相手と話し合いました結果、先方がまず専門家を政府ベースもしくは先方の費用で派遣してもらいたいという内容が漸次明らかになったわけでございます。しかし、私どもといたしましては、昨年度の会計年度のことでございますけれども、運輸省とも相談いたしましたけれども、昨年度の計画は一応計画がすでに立っておりまして、アフガニスタンの要請どおりの専門家を出すという計算がちょっとつきませんで、いろいろ検討をしておりましたところ、先方は、インドでございませんで、結局フランスにプレフィージビリティー調査を依頼いたしまして、結局フランスがその調査をやったという事実がございます。ただ、フランスがやりましたプレフィージビリティー調査が非常に高額であったために、アフガンとしては非常にその結果に不満でございまして、最近、これは民間ベースでございますけれども、先方からフィージビリティー調査を国際入札でやりたいという要請がございまして、現に日本の二つのコンサルタントもこの入札に参加中でございます。四月三十日に行われたはずでございまして、その結果はまだわかっておりません。
○河村委員 当時、運輸省あるいは国鉄で、国鉄にはそれをやるだけの要員がないという理由で、外務省に対して断るように要請したというのは事実ですか。
○中村(四)政府委員 アフガニスタンの鉄道建設に関する技術協力要請につきまして、ただいま外務省からお答え申し上げたとおりでございますが、運輸省といたしましては、昨年八月の技術協力要請につきまして、その鉄道新線建設というものが非常に大きなプロジェクトになるにかかわりませず、計画の内容について情報がはっきりしておりません状況がありましたので、さらに具体的な内容の詳細を要望いたしておったわけでございます。それで私どもの方としまして、国鉄を含めまして、海外の鉄道技術協力につきましては、前前からその業務に支障のない限りこれに応じてまいってきておるわけでありまして、したがいまして、本件につきましてその内容の詳細につきましての進展に応じてそういった状況を判断して対応してまいりたい、こういう考えでおったわけでございます。
○河村委員 外務省はこの事実を知っていますか、知っているのでしょうね。結局八月の現地ベースの話し合いがうまくいかないものですから、昨年の十二月になって、アフガニスタンのダウド大統領の弟になるナイムというのが、大統領の特使というかっこうで来た。それでこれは外務大臣等にも会って要請をした。向こうとしては日本に対する非常な期待と同時に非常に好意を持ってやってきた。それにもかかわらず、それにもさっぱり積極的な返事をしないので、がっかりして帰った、こういう事実があるが、それを知っていますか。
○鹿取政府委員 大統領の弟のナイム大統領特使が十二月に来られましたのは、そのとおりでございます。中国へ行った帰りでございまして、経済協力以外に宮澤大臣と政治的な話もされたわけでございますけれども、経済協力の話に際しまして私も大臣をお助けしてお話をしたわけでございますが、いろいろな話が経済協力について出まして、特にアフガンはイランから非常に大きな借款を得ているのであって、資金的には従来と違って相当ゆとりができてきたので、開発計画を進めたい、その場合に日本の技術を仰ぎたいということで全般の話をいたしました。わが方といたしましては、特に先方が強く要望しましたテレビ技術に関しますプロジェクトについては、前向きに検討したい。それから農業開発についても、非常に大きな計画でございますけれどもいろいろ検討してみたい。それからこの鉄道の話ももちろん出たわけでございますけれども、その段階では、先方はすでに先ほど申しましたフランスにプレフィージビリティー調査を依頼していたというような経緯もあったかと思われまして、それは先方は明らかにいたしませんでしたけれども、鉄道の要請については、日本側が、来年度ということであるならばやや時期的には合わない、しかし、日本の鉄道は優秀なのであるからいずれ今後またお願いすることがあるかも知れぬということで、お帰りいただいたわけでございます。
○河村委員 これは私は、直接ではないけれども、かなり確度の高い話として、非常にがっかりして帰っているのですよね。この問題、私は非常に重大だと思うのは、イランからアフガンに借款を供与してそれを土台として日本に技術協力を求めている。日本としては技術協力、だから予算的に見れば小さいものです。それでアフガニスタンに技術を供与し、そして非常に結びつきを高めることができるわけですね。だから話としては非常にいい話です。だからこういうものをそういう場合にあっさりと事務的な話で、ことしはだめだとか来年の話とかにしないで、当然それに積極的に応ずるという体制くらいは少なくともつくるべきものだと私は思う。それが非常に私は残念であって、これから日本が対外的に開発途上国との協調をしていくための鉄道の建設などが、大きな日本からの借款も出さずに、しかも技術協力で鉄道のないところに鉄道を敷ける、こういう話をもっと積極的に取り組むべきであって、人がいないとかなんとかいうことは私は瑣末なことだと思うのです。その点非常に残念なことだと私は思うのでありますが、どうお考えですか。
○鹿取政府委員 確かに先生の御指摘になる点はわれわれとして新しい問題でございまして、従来技術協力は政府の一般予算をもとにいたしまして、わが国が技術協力の全部の費用を払うという体制で進められていたわけでございますが、最近石油の産出国あたりからはその国で費用を負担するという話がございますし、それからまた石油の産出国がたとえばアフガニスタンのような国に借款を出しまして、技術協力の費用の負担はたとえばこの場合ですとイランが受け持つというような話で、アフガニスタンからは有償でよいから技術協力をしてくれという要請が来始めたわけでございます。それに対します体制といたしまして、実は民間のコンサルタントがそれに応ずる場合は制度的には何ら問題ないわけでございますけれども、相手が有償ではあるけれども政府ベースの協力がほしいという場合には、やや体制的にわれわれの方が整っておりませんで、いろいろそれについては制度的な研究をすべきだと考えております。特に問題になりますのは、場合によって一部費用を先方が負担するというような政府ベースの協力も順次進めておりますから、問題は費用の点というよりは実は政府ベースで出す専門家が農林省の場合でも、この場合ですと国鉄の場合でも、政府の職員が外国に出るというところに問題があるのではないかと思われますので、その辺も含めて検討いたしたいと考えております。
○河村委員 そこで、私は考えるのですが、鉄道建設公団のできた当初の目的は、国鉄にやらせておくとAB線をいつまでたってもつくらないから、ひとつ公団でもつくってやらせようかというような思想でできたことは間違いない。だから、いまになって行政管理庁から、もういいかげんにやめたらどうだというような話にもなってくるわけです。AB線なんというものはつくらなければならぬものももちろんあるでしょう。だから、そういうものは国鉄に任せたらよろしいので、国鉄の片手間でできる仕事だ。だから鉄道建設公団はそういう国内で、青函トンネルなどをやるのは別として、そういうものはやめてしまって海外技術協力をやったらよろしい。いま外務省からもそれに対応する体制がなかなかできにくいという話であったが、この際思い切って鉄道建設公団でやればいろんなコンサルティング、いま鉄道の技術協力の場合にはいろんな種類の団体が出かけていくわけですね。それが四つか五つの団体が出かけていって、向こうでチームはつくるかもしらぬけれども、いろいろ向こうと相談するのにも手間がかかる。鉄道建設公団でやれば簡単ですよ。建設公団でいまやろうと思ったら、まとめて公団自身でスタッフを使ってこういうものに応ずることができるだろうと思うのですが、総裁いかがです。
○篠原参考人 ただいま河村先生からお話のありましたことにつきましては、公団としては御要請のあった場合に国鉄として協力いたしまして、業務に支障のない範囲でできるだけ技術協力をしてきたところでございます。今後においても、同じような方針で公団としては参りたいというふうに考えております。 いままで海外の建設に関しましていろいろ要請がございまして、十六件、二十三人出張させております。そういうようなことで大いに努力して、できる範囲でやっております。ちょっとお考え違いがあるといけないと思いまして申し上げますが、ただいまAB線とかCD線という言葉がございましたが、厳格ではございませんが、AB線区は大体無償線区でございます。つまり国鉄から料金を取らない、一般会計の金を入れまして料金を取らないということでございまして、CD線は料金を取りますので有償線区と言っておりますが、現在まで開業したうちで四十八年度で国鉄の監査報告にございます中から拾った数字だと思います。その数字を申し上げますと、百七十七億の赤字を出しておりますが、そのうちの七%が無償線区、いわゆるAB線の金でございまして、それから譲渡した一線がございまして、それが一%、能登線でございますが、そのほかに有償線区としては九二%で、ほとんどはCD線でございます。これはもちろん利子のつかない金をAB線には入れているから、こういう形になったのでございますが、案外十二億ばかりの赤字で済んでおるのでございまして、私どもとしては非常にお役に立って地元の足を確保できているんだというふうに考えております。
○河村委員 内容は知っておりますけれども、それはつくれば地元が喜ぶのはあたりまえで、それは当然なことですけれども、国民経済的にこれからAB線をどんどんつくっていくことがいいのか悪いのかという基本問題を私は言っているわけであります。それでいま総裁が技術協力をやっておると言ったけれども、それはただ職員を技術協力のメンバーとして提供したというだけであって、公団自身がやっているわけではない。これは大臣に私は伺いたいんだが、もう過去の歴史は歴史として、こういう細かい線を公団でわざわざスタッフを使い、地方まで人をそろえておいてやらせるということはむだなことですよ。これは国鉄にやらせれば片手間でできる。だからそういうものはやめて、これから海外の技術協力というものはだんだん広げていかなければならぬし多くなる。これはいま法律的にできない、そういうものをむしろやるようにしたらどうだということを私は考えておるのでありますが、大臣どうです。
○木村国務大臣 河村委員のお説は一つの見識のあるお説だと思って、私も拝聴いたしておるわけでございます。ただ建設公団は、設立の趣旨というものがございまして、その趣旨が私は今日なお消滅しておるとは考えておりませんので、その趣旨に従って建設公団は今後も仕事を進めていくべきである、かように考えております。ただしその仕事の内容につきましては、それぞれのそのときのいろいろな情勢を勘案して、その仕事はおのずから決まっていくわけでございますが、使命は依然としてその使命をもって今後仕事を進めていくべきであると思います。 それから海外協力の点でございますが、日本は国際的に鉄道技術初め、放送等も優秀な技術を持っておりますので、特に発展途上国に対して日本の持っております優秀な技術を提供して協力していくということは、当然政府としてもやるべき事柄であると思います。事、鉄道技術に関します限りは、国鉄もその技術を持っておりますし、鉄建公団におきましてもその技術を持っておるわけでございまして、鉄道技術を通じての海外協力につきましては両者ともにそれぞれ適当な、適切な組み合わせによって協力を進めていくように指導をいたしたいと思っておるわけでございます。 なお、先ほどアフガニスタンの問題について御質問がございましたが、運輸省といたしましては人がいないからとかなんとかいうことで断わったわけではございませんので、海外の技術協力ということになりますとかなり詳細な内容等を一応了知した上でないと話を進めるということは困難でございますので、最初情報が非常に不足しておりましたので、もっと詳しい情報を欲しいということを外務省を通じて申し入れたのでございますが、その後外務省側からこれらに関して運輸省側に何の連絡もなかったわけでございまして、運輸省側としてはどうにも手の出しようがなかったというわけでございます。したがって、今後同じような遺憾なことが繰り返されてはいけないと思っておりますので、運輸省の方も積極的に外務省と十分連絡をし合って、海外の経済協力には大いに努力をいたしたい、かように考えておるわけでございます。
○河村委員 外務省、どうです、いまの運輸大臣は外務省からさっぱり連絡がないというお話だったが。
○鹿取政府委員 いまの件でございますけれども、運輸大臣の御答弁のとおり、先方の要請自体がはっきりいたしませんでしたものですから、外務省の段階でいろいろ先方と、その内容はどうなんだ、さらにデータはないのかということをやりとりをやっておりました段階で、先ほど申しましたように、先方からこの件については、フランスに頼んだということは言いませんでしたけれども、今年度についてはもういいんだという話があったわけでございます。そういう経緯でございまして、どちらの省ということでなく、われわれとしてはアフガンに対して誠意を持って当たったつもりでございますけれども、今後はさらにアフガンのような非常におくれたと言うと失礼かもしれませんけれども、われわれの範疇では後発後進国に属すような場合にはある程度先方の計画づくりなどにも参加するということでないとこういう技術協力もなかなか進まないという反省に基づきまして、今後こういう案件につきまして支障のないように努力したいと思います。
○河村委員 さっき経済協力局長も言いましたが、とにかくこの場合などは産油国の余っているドルを使って、日本としては予算は大して要らなくて日本の技術を持っていってやれるという仕事ですよね。だから特別にこういうものなどは多少はっきりしようがしまいがまず応諾するという体制をとって持っていくのが当然だと私は思うので、その辺がどうも外務省、運輸省ともに連絡が悪いのか、両方とも余り重要視していないのか、どうも非常に手おくれで、そうでなければこれは国際入札なんかにならないはずですよ。特使が来たときに日本が応諾をしておれば、あるいはその前の段階で日本が乗り気になっておれば、国際入札ではなくてむしろ日本から直接単独で参加できる。そうなればこういう不況の時期に日本の産業だって潤う。とにかくすべて条件はいいことばかりなんですね。だから外務省ばかりでなくて運輸省も、これからの技術協力等の要請というのはまだたくさんあると思う。たとえばラオスでいま鉄道建設について話があるのを知っていますか、外務省、運輸省。
○鹿取政府委員 鉄道の話それ自体としては私ども聞いておりませんけれども、ラオスにつきましては、先般、四月の二十八日、二十九日でございますかマニラで援助国の会議がございまして、その結果国連のUNDPとアジア開発銀行とが協力いたしましてラオスに調査団を送りました。その結果ラオスのプライオリティープロジェクトを調査し、それに基づいて各援助国が援助するということになっておりますので、あるいはそのプロジェクトリストの中に出てくるんじゃないかと考えます。
○河村委員 いまベトナム、カンボジアの日本の大使館は機能を発揮しなくなって――ラオスというのはパテト・ラオとの間の連立政権ですね。周辺は中国、ビルマ、タイ、ベトナム全部に囲まれた外交、戦略的に非常な要地ですよね。そういうところにそういう話が現にあるのです。去年私、自分自身で行ったときに、あそこのプーミという副総理からそういう話がありました。もちろん私どもが行ったときはそう細かい話をしたわけではない。だからこういう問題はもう少し積極的に、ただ受け身でやるのではなくて経済協力、技術協力を通じて、今後の日本のためになるわけですから、もっと積極的にやっていただくことを最後にお願いをして、質問を終わります。
○木部委員長 梅田勝君。
○梅田委員 今回、鉄道敷設法の改正によりまして、河守より福知山までの延長が決定され、そして鉄道が実際に建設をされるならば、これは中丹及び丹後地方における経済の発達や文化の向上にとって重要な貢献をすることは明らかであろうし、またこれからの新しい日本海時代と言われるものをつくっていく上において積極的な貢献を果たすことは明らかであろうと思います。われわれもそういう点では賛意を表するものでありますが、しかしこれを実際進めます場合に相当の問題もございます。これらを一つ一つ解決していくことが重要であろうかと思います。 そこで、まず質問を申し上げたいのでありますが、本改正案が通過、成立をいたしますと、福知山までの延長がいつごろ完成するのか、その見通しについてお伺いしたいと思います。
○後藤(茂)政府委員 お答えいたします。 ただいま御提案申し上げております敷設法の改正が成立、施行されました後、これはいろいろの手続を要するわけでございまして、改めて鉄道建設審議会にお諮りしてこれを工事線としてお認めいただくことにつきましての手続がございます。またそれに関連して基本計画あるいは施工計画、工事施行等の認可の手続が要ります。これらのすべての手続が今後どのようにして進むかにつきましては、ただいまの段階で明確にお答えするだけの用意がございません。ただ、技術的に申し上げますならば、この区間は約十二キロでございまして、すでに十八キロの宮守線というものを昭和四十一年以来鋭意工事を進めてきておりまして、来年度、再来年度の予算の状況にもよりますけれども、あとわずかな年数で宮津から河守までの線路は通ずる見込みでございます。そのまま続ければ、何年ということを数字をもって申し上げるほどの自信はございませんにいたしましても、そのテンポで申しますならば遠からず福知山と宮津の間とは、この法律が成立いたしますことを前提にいたしまして開通できる見込みでございます。
○梅田委員 三月二十八日の当委員会における鉄監局長のお話によりますと、仮に昭和五十六年度ということを念頭に置いて御答弁なさっておりますが、昭和五十六年というのは仮にということがありますが、大体そこそこということで答弁されておるのかどうか。いかがですか。
○後藤(茂)政府委員 いろいろな計算をいたしますのに年を置かないと計算ができぬものですから、まさに文字どおり仮に五十六年度を時期として計算をいたしました結果を、試算いたしました結果を御説明申し上げましたのがただいま先生御指摘のかつての答弁でございます。もちろんさきに申し上げましたいろいろな手続、その間の財政事情、いろいろな要因があると思いますけれども、技術的に見まして五十六年というのは不可能ではない時期であると思っております。
○梅田委員 五十六年よりか早くなるという可能性がございますか。
○後藤(茂)政府委員 なかなかむずかしい問題でございまして、可能性がいやありませんと大きな声を出して言う自信もございませんが、また、いや確かにありますという自信もございません。なかなかこれはむずかしい御質問だと思います。
○梅田委員 大臣はいまのやりとりをお聞きになりまして、早々に五十三年ごろにできるというような見込みはないと思うのでございますが、大臣の御見解はいかがですか。
○木村国務大臣 一応五十六年という時点を頭に入れていろいろな準備計画をいたしておることは局長が申し上げておるわけでございますが、気持ちとしてはこういうものは私は一日でも早く完成したい、かように考えております。ただ、毎年毎年、ことしから以後経済情勢というものを踏まえて予算も編成しなければなりませんので、何とも言えません。確かに何とも言えません。しかし、私は予定よりも早く完成するということを心がけていきたいと思います。
○梅田委員 そこで私は福知山の市の広報をただいま持ってまいったのでありますが、昭和四十九年の五月号でございます。これによりますと、大見出しがついておりまして、「宮守線福知山まで延長」「五十三年度中に完成へ 運輸大臣が確約」かように書かれております。これは昨年福知山の塩見市長が運輸省を訪れたときに、当時の運輸大臣は徳永運輸大臣でございますが、増岡政務次官らとともに会いまして早期着工を要望した。「これに対し、運輸大臣は「運輸省は宮守線の福知山まで延長について、参議院選後の特別国会か通常国会で鉄道敷設法の別表改正を行い、総工費約六十億円で五十年度に着工、五十三年度中には完成させる方針だ」と確約し、延長実現が明らかになったものです。」というように、これは福知山市の広報というのは全戸に配布されている。しかもこれは参議院選挙の直前にやっているのですね。非常に不明朗な感じがするのでありますが、まずこういう事実があったのかどうか、大臣はかわっておりますが、運輸省として御存じのはずでございますので、御答弁願いたいと思います。
○木村国務大臣 当時それぞれ鉄監局長、私鉄部長の席におった者がいまおりませんので、そのときの模様はわかりませんが、おそらく当時の運輸大臣としては当時の時点でぜひそういうふうにしたいということでお話を申し上げたことであろうと私は思っております。ただ、その後鉄道建設審議会の建議をその後ですかその前ですか受けまして、以後だんだんだんだん国会提出の時期も一国会ずれたというようなことがございまして、今日御審議をいただいておるようなことでございますので、当時の運輸大臣としては確かに五十三年ぐらいを目標にしてやります、こう答えたのが大臣の真意であったろうと思うわけでございます。
○梅田委員 いや、去年のことですからね。さほど今日と情勢は変わっておりませんし、総需要抑制も言われたころでございます。まして鉄道敷設法の改正案が現実に上程されてくるというような情勢でもない。そのときに運輸省が入って、そういうような確約めいたといいますか、実際それは「確約」と書いてございますのでね、それをやっているということは、私は不謹慎だと思います。そういう点で、一日も早く鉄道を敷設したい、そして地元発展のために力を添えたいというお気持ちはわかるのでありますが、しかし現実に可能性のないことを約束するというのはこれはうそをつくのと同じでありますから、先ほどいろいろな手続を要する、もちろん予算がついて突貫工事でもやれば、わずか十二キロだから技術的には五十三年度完成というのは不可能でないかもしれない。しかし手続的にはかなり問題を要するということでありますから、それを安易にそのような確約を与えるということは、私は不謹慎だと思うのであります。まして宮守線がまだ完成を見てないということでもありますから、そして参議院選挙の直前だ、こういう政治的なからみも加わってまいりますと、ますますこの路線が特定の代議士による政治路線化というように問題視される、そういうところにも通じていく重要な問題だと思うのです。そういう点で、私は、少なくともその約束は事実とすれば不謹慎だと思うので、その点で運輸大臣の釈明を願いたいと思うのです。
○木村国務大臣 私は、昨年の参議院選挙前ですから五、六月ごろのことではないかと思いますが、当時としてはおそらく運輸大臣はそのつもりでおったと思うのでございます。いままでも、過去のいろいろな例を見ますと、大臣が約束をしておいてもどうしてもそれができなかったというような例も一、二にとどまらぬわけでございますので、これも私は、大臣としては、相当熱心な陳情もあっただろうと思いますので、ぜひやってあげたいな、こう思って答えたものであろうかと思いますが、当時の事情はよく知りませんので、私の推察でございます。
○梅田委員 現実に五十六年以降でないと、それよりか早く努力するといいましても、現実的な可能性というものはないというのがはっきりしたのですからね。少なくとも現時点では五十三年にはできないのですから、福知山市民に対してはうそをついたことになるのだから、そういう点のはっきりした釈明をすべきだと私は思います。どうですか、もう一度。
○木村国務大臣 そこで私といたしましても、五十六年を一応頭に描いておりますが、梅田委員のお話のこともよくわかりますので、できる限りひとつ早く完成するように努力いたすつもりでございます。
○梅田委員 ところで、この福知山線というのは北丹鉄道が従来営業しておったのでありますが、この路線を地図で見ますと、従来の路線は河守から由良川沿いに走りまして、あるところでは河川敷のようなところを走って、そして急角度で福知山駅に入ってきております。これは現在すでに軌道は撤去されまして、一部はもう舗装されて道路になっております。新たにあそこに鉄道を敷設しようと思えば別ルートでやらねばならないというのが地元の共通した意見でございます。そうなりますと、市内の交通煩瑣なところへ新たな踏切をつくるというのはどうかという点で、専門家の意見等聞きますと、一番望ましいのは福知山駅の高架化だ。大体由良川の堤防が高い。福知山駅は低い。そしてさらに山陰線の下りの荒河方面に来ますと高くなっている。直線で結びますと、ちょうど一直線で結ばれるということで、高架にするのが望ましいというのが意見でございますが、その点で運輸省としてはどのように考えられておるのか、御見解を伺いたいと思います。
○内田説明員 福知山駅の高架の問題につきましては、これは先生も御承知のように、建設省の事業でございまして、具体的には、この場合ですと、京都府が駅の高架化につきまして、するかしないかということを決定するということでございます。国鉄といたしましては、これに対しまして、調査等につきまして協議、下調べをいたすという立場にございます。したがいまして、今後この新線建設が決定いたしました後に、そのルートその他につきまして地元と設計協議があると思いますが、その段階におきまして、現在の福知山駅を高架にいたすかどうかということについても協議をいたしてまいりたいと思います。
○梅田委員 十分に検討して――あそこは南北が駅で阻まれているというような状態ですね。非常にたくさんの踏切がございます。一日のうちに踏切がふさがっている方が多いというような状態のところもございますし、これらの解消のために、今後の設計段階におきまして十分に御検討いただくように要望しておきたいと思うのであります。 さて、工事が現在宮津から河守に向けて進行しておりまして、これは四十一年から開始しておりますから相当進捗をいたしております。最大の三千二百メートルの普甲トンネルも完成をし、ほぼ河守に近づいてきたというような状況になっております。今後さらに延長ということになりますと、用地の確保等、いろいろ地域住民の方々の御協力を得なければこれらの仕事はできないと思います。 ところで、この被害を最小限に食いとめるということと、被害が起こった場合、これに対しては正当な補償を行うということが原則であろうかと思いますが、これらの新線建設における補償についての基本的な態度につきまして、鉄建公団の姿勢をまずお伺いしたいと思います。
○篠原参考人 工事に伴いましていろいろな被害が出た場合には、それが直接工事に起因することが明らかな場合には、地元側と十分話し合いまして処理しております。現在でもそういう問題が起きております。特に軟弱地盤のところで地盤が沈下したとかなんとかという問題が起きておりますので、その問題、最近いろいろ地元と折衝しておる次第でございます。
○梅田委員 そういう被害が起こった場合には、地元と十分に話し合いをして処理するというのが鉄建公団の基本的姿勢でございますね。そうしたら、現実に今回の宮守線の工事の中で万事うまくいっているというようにお考えですか。いかがですか。
○篠原参考人 ただいま御指摘の問題につきまして、ごく最近にこのニュースがわれわれのところへ入ってきたわけでございます。これはたとえば軟弱地盤のところで工事したのが、四十五年の十一月ごろから四十七年の十月ごろまでやりましたのが、その後沈下が多少あらわれてまいりまして、最近になりまして田畑が六十センチも下がったというような問題をごく最近聞いたのでございます。実は昨年の十二月に市長からそういう問題が出てまいりまして、それを四月に支社と地元の間で折衝しておりまして、鋭意これを解決したいというふうに考えておりまして、今後この問題をなるべく早く解決してまいりたいというふうに思っております。
○梅田委員 私は、地元から陳情がございまして、先日も現地へ入りまして調査をしてまいりました。一番ひどいのは渇水、水がれでございます。寺屋敷それから辛皮という地区がございます。ここの渇水は昭和四十四年に発生いたしております。この渇水の範囲は、普甲トンネルというのを掘っておりますが、その掘っている地点から半径三百メートルないし一キロ、この範囲にわたりまして飲料水にも事欠く状態が発生いたしました。宮津市は、この渇水はトンネル工事によるものだということで、緊急対策といたしまして、ずっと隣の方の営林署の谷から延長線六百メートルの導水工事を行って水を引いてまいりました。しかし、これでも飲料水がぎりぎりでございます。洗たくも交互にやらねばできない。ふろの水もなかなか確保できないというような状況でありまして、まして灌漑用水に回すだけのものは全然ない。全くひどい水がれの状態が出ております。トンネル工事というのは地下水を掘り返しますので、水が出なくなることはしばしばある。しかしそれは何年かすればもとに返る、復水するんだということで鉄建公団側は説明いたしますけれども、昭和四十四年に発生して今日なお水がれの状態は続いている。これは全くひどいのですね。宮津側に向けてトンネルは下り坂になっておって、出口のところへ私は見に行きましたけれども、全くきれいなそのまま飲める水でございますが、滝のように流れております。これだけ抜けたら底が抜けたのと一緒だなと思いました。トンネルの上にある部落ですからね、この寺屋敷と辛皮というのは。だから水がかれちゃうのは当然だ。何とかこれを食いとめる方法を考えないと、その辺は純農家でございまして、農業以外にはすべがない人たちでございますから、大変な問題でございます。この住民の苦しみに対して公団側はどのように積極的にこたえてきたのか。いままでどのような補償をしたのか、まずそれをお伺いしたいと思う。 〔委員長退席、増岡委員長代理着席〕
○篠原参考人 ただいまの水の問題でございますが、灌漑用水とか、それからいろいろなあれがございますが、飲料水につきましては、これは生命に関するものでございますから、すぐ処置するのをたてまえとしております。われわれの方でも、これ以外に各所でそういう問題が起きておりますので、そういう問題はすぐ処理いたします。ただ、農業用のいろいろな用水につきましては、やはり工事に起因することがはっきりしないといけないということで、いろいろ手続的にも慎重にやる面もございます。しかし、それでもなるべく早く御迷惑に対しては処置するというのが、われわれの考えでございます。 この用水の問題その他につきましては、地元の市長さんその他を通じましていろいろ折衝しておりますが、この灌漑用水につきましても各所にいろいろな問題がございまして、さしあたりの問題はいろいろ手当てをするようにいたしておりますけれども、現実の支払いの問題、応急の問題についてはとりあえずのことはやりますが、恒久対策その他につきましては、やはりはっきりした根拠を持ってやりませんと、後でいろいろ会計の問題がございますので、至急こういう問題も詰めてまいりたいというふうに考えております。
○梅田委員 詰めてまいりたいと思いますと言うけれども、ちっとも詰まっていないのですよ。この渇水の原因はトンネルの掘削工事にあったということは公団もはっきり認めて、導水工事については費用を出しているのだ。だから、原因については議論の余地がないわけです。水不足による農作物の被害について、これを補償するのはあたりまえなんですね。地元住民は昭和四十五年の六月一日に宮守線上宮津地区対策委員会というところが、宮津市長を経由して公団側に要求書を出しております。これを要約いたしますと、「普甲トンネル工事に伴う寺屋敷・辛皮地区の水田渇水公害補償要求について」という文書でございます。一つは水稲作付不能地の補償、二つは昭和四十四年度の水不足による減収補償、三つ目は水不足による施設要求、この三点でありますが、さらに残りの工事進行に伴い新たな被害を生じた場合はそのつど要求に応じて補償をされたい、こういう四点の要求が出されております。 ところがこれに対して鉄建公団がこたえたのは、第二項目目の昭和四十四年度の稲作の減収補償についてだけであります。しかもこれは要求を満額こたえるというのではなくて、きわめて不十分なものです。他の項目についてはいまなお誠意ある回答を示していない。これが実態ですよ。水が全然出ないのだ。この間、雨が降った後に行ったのですよ。普通雨が降ったら、沢には相当水が来るのですよ。ところがちょろちょろです。相当大きな幅があって、従来あそこは水量が豊かなところだったと聞いておりますが、全く水がちょろちょろしか出ていない。そこはネコの額ぐらいの小さなところの段々畑ですよ。そこを営々として農家の方々は築いてきた。どうしても雨が降らぬかな、雨が降ったらずっと道にみぞを掘って、そして水を掃き寄せるようにしてたんぼに持っていってやった。それでもできぬところはしかたなしに耕作放棄が起こりますね、作付不能だから。それに対してびた一文補償してない。どうなんですか。
○篠原参考人 四十六年の五月に四十四年度分の減収補償としまして三十九万六千百六十五円というものをお支払いしております。それから四十五年度以降は、用水施設をつくったりビニールパイプで自然流下をさせたりいろいろな処置を講じておりまして、四十五年度以降にはそういう施設が使用される関係上、減収はないという見込みでございます。
○梅田委員 いま言われましたのは、昭和四十六年四月三十日の決着分だと思うのですね。それはこの四つ要求を出した第二項目、つまり作付はしたが水が不足ですから非常に不良だ、だから平年作どおりにはいかないということで、減収の補償なんですね。作付をしなかったところについては全然補償してないのだ。とにかく一番最初、昭和四十五年六月一日に要求を出して鉄建公団との話し合いをしたときには、地元の方々は補償要求額として〔平成収穫量×米価×(1-03)×10〕、この十というのは十カ年分という補償だったそうですね。ところがこのときに公団側がどう言ったかというと、十年もすれば水路が変わって水が出るようになるのだ、だからそんな先の話は応じられぬということでそのときは拒否しております。しかし目の前に渇水というのは現にあるのだから、昭和四十五年の要求というものは出した。これらについては後日協議するから、いまは減収の分だけで計算を出してくれと公団側は言っているわけですよ。このときは、昭和四十六年一月二十日に辛皮地区の用地買収の席上、公団側として森田所長というのが出席している。そして渇水問題の解決を約束した、作付不能田の補償は後日協議すると。ところが何も後日協議してないわけだ。非常に純朴な農家の方々だから、いま返事があるか、いま返事があるかと待っていたが、いつまでたったって回答がない。こんなことでいいのですか、どうなんですか。
○篠原参考人 どうもいつまでもほったらかしているように聞こえるのでございますが、私の聞いたところでは、いろいろ折衝がございまして、ことしの四月二十二日に支社から地元にいろいろ話がいったというふうに聞いておりまして、ごく最近のことだと私は思っておりますが、もしお説のようにいつまでもほったらかしておくようなことがありましたならば、早急に調べまして処置したいと思っております。
○梅田委員 昭和四十四年度の要求として、作付不能田については六十六万百円の補償要求が出ているのですよ。これについては一文も出していない。減収の問題につきましては、地元は四十一万一千百二十四円の要求を出して、先ほどあなたが言われたように三十九万六千百六十五円の支給をしているわけですよ。これさえ削っているわけです。しかも三割までは農業共済金を当てにしているのですね。農業共済の金をもらったらその分を差し引く。大体不作になったのは渇水が原因なんだ。渇水はだれが起こしたかといったら、トンネルの掘削ですよ。だから、農業共済に頼るのではなくて、考え方としては本来はまるまる補償しなければいかぬのですね。どうですか。
○篠原参考人 私も、これが非常に最近の話だったものですから、詳しく具体的にどうなっているか聞いておりませんが、早速よく調べまして処置したいと思います。
○梅田委員 直接の当事者じゃないからよく知らぬと言われるけれども、あなたは総裁でしょう。ここの地域の問題については、質問するとあらかじめ通告してあるわけですよ。だから、実際の補償はどうなっているか、その後はどうなっているかということは当然聞いておくべきですよ。あなた、にやっと笑って何ですか。地元住民は物すごく怒っているのですよ。けしからぬじゃないですか。笑うとは何ですか。地元の方々は大変な怒りようですよ。しかも、減収については補償いたしますと言っておきながら、昭和四十四年度の要求は先ほど言ったように削って出してある。昭和四十五年度の要求も出ているのですよ。その点についてはどうしたのですか。
○篠原参考人 いろいろ施設をつくりまして、その手当てをしている関係で、四十五年度はやってないそうです。
○梅田委員 何の施設の手当てをしたのですか。水がちっとも出るようになっていないじゃないですか。昭和四十六年の六月三十日に宮守線上宮津地区対策委員会の委員長堀糺さんの、宮津市長を経由してあなた方に提出した文書「昭和四十五年度の水田渇水による減収補償要求十八万一千五百一円、これは前年より減っていますが、これに対してはただの一円も出していない。
○篠原参考人 灌漑用水の設備といたしまして、谷川から千三百メートルぐらいの用水パイプを引きまして、これは応急ですからビニールパイプでやっておるのでございますが、それになお、田ごと用水というのが二カ所ありまして、それにビニールパイプで自然流下させるというような施設をやりまして、そういう手当てをやっておるわけでございます。
○梅田委員 政治というものは、現場でどうなっているかということを見なければだめなんですよ。あなた方は導水施設をつくったとおっしゃるが、現地へ行ってみなさいよ。こんな小さい囲いをつくって、そこへ細いパイプが来てちょろちょろと水が来ておるのですよ。 〔増岡委員長代理退席、委員長着席〕 あふれたら農水用池へ出るようになっているのです。あふれますかね。一トンもないぐらいの大きさです。高さはこんなものですからね。普通の一軒の家につくぐらいのタンクですよ。そこへ水がちょろちょろと出てきている。しかも、この水はふもとにある寺屋敷や辛皮地区に、わずか十五戸ですけれども、その十五戸に供給するだけではなしに、その真上に大江山のロッジがあるのです。これは宮津市がつくっているレクリエーションセンターです。山小屋といったって相当大きなものです。八十人の定員の宿泊するところです。そこが水をくみ上げるわけですね。同じところを使ってやるのです。これは下が使えば上は水が出ぬようになる、上が使えば下が水がなくなる、絶えずバルブ調整をしなければいかぬという大変なものですよ。あなた一遍行ってごらんなさい。大江山の山奥です。生活用水でさえ事欠くのですよ。おふろなんかなかなか入れぬのですよ、ためておかなかったら。実態はそうなんです。それを、水道をつくったからもういいんだということで済まされる問題じゃないですよ。どうなんですか。ましてや昭和四十五年度というのは、その御利益を得ないときのあれですよ。
○篠原参考人 先生からいろいろ御指摘を受けましてまことに恐縮ですが、実態を至急調べまして、早速処置したいと思っております。
○梅田委員 昭和四十八年の三月の三十日に、日本鉄道建設公団大阪支社長藤田雅弘、この人が宮津市長に対して、その水道工事の二百九十一万円のお金を払っているのですね。払ったときに一札をとっているのです。「宮守線普甲ずい道掘削に伴う寺屋敷地区渇水対策施設等について」という表題の一札をとっている。「一、完成施設の以後の保守管理は、すべて当市で行う。二、今後一切の異議の申し立ては、当市の責任で処理する。」ということで、宮津市に責任を負わしているのですよ。地元の人はこれは全然知らぬのです。この間私が行って、市当局も現地に呼んで、実態を調べさせて、四十五年度の補償をせぬのはけしからぬじゃないか、四十五年以降の補償についてもどうなっているのだといろいろやったら、公団側はもうこれで済んでいるように言っているわけですよ。こんなばかなことがありますか。現地は本当に農業だけで食べている人ですよ。ちょっと出かせぎといってすっと出られるところと違うのです。山奥です。この間の選挙で自由民主党はどんなポスターを張ったか。「クリーンな政治 ふれあう心」何が「ふれあう心」ですか。一遍農家の人々と話してみなさいよ。自民党政府が指揮してやっているじゃないですか。地元住民を抜きにしてこんな誓約をとらして、どうなんですか、答弁しなさい。
○篠原参考人 ただいま大変おしかりを受けましたが、お話を至急調べまして、早急に処置いたします。
○梅田委員 とにかく至急に善処していただきたいと思います。 さらに別な補償要求も出ております。それは「宮守線建設による工事被害要求書」というのが宮守線第三期工事被買収委員会というところからさまざまな作物被害でありますとか工事に田を使用した関係、そのほか牛の生育不良による被害等等の問題が出ております。 それから「辛皮地区鉄道工事騒音その他による畜産経費損害請求書」というのが同じように出ております。これらの要求によりますと、牛を飼っておられるんですね。藤田長右さんが二十九頭、滝豊さんが三十六頭、そのほか四軒も牛を飼っておりますが、生育不良だということで補償要求が出ております。総額にいたしまして百七十七万八千六百四十円の要求が出ているのでありますが、公団に要求したら、証明をつけろ。そこで、農協の専門家に頼んで農協の正式の判こをつけた証明書もつけて出したが、これは全然ナシのつぶて。トンネル工事でありますから、発破を使ってどかんどかんやる。牛がびっくりして暴れる。角が抜けてしまった牛もあるそうですね。大変ですよ、あなた。実際、その畜舎も私見に行ってきた。従来盛んにやっておったのが、いまはもう牛も減らしてしまって細っておるのですよ。そういう被害に対しても何ら補償してない。これについてもすぐに調査して善処できますか。
○篠原参考人 牛が爆破その他の影響で非常に生育が落ちてしまったということでございます。これは非常にむずかしい問題でございまして、実際落ちたのかどうかということが何らかの形で保証されなければ困るというようなことも地元の担当者としては申しております。しかし、これはそういってもなかなかむずかしい問題じゃないかと思いまして、現実にどうやって支払ったらいいか非常にむずかしいので、いま担当のところで研究しておる次第でございます。こういう問題もなるべく早く解決しないと、地元の方々の不満をますます起こしていくということになりますので、早急にこの問題もあわせて処理してまいりたいというふうに考えます。
○梅田委員 ちゃんと証明書もつけて、理想の肥育の状態、それから実際に被害地域の牛の成長の度合いというものは全部比較表も出ておりますよ。そういう科学的な証明もついているんですから、やはり被害住民の方々に対して誠意ある話し合いをして、補償すべきものは補償する、そういうことで誠意ある態度を示さないと今後の延長といったってなかなか協力得られませんよ。大臣いかがですか。鉄建公団の総裁は十分事情を御存じないようで的確な答弁がありませんけれども、ただ誠意をもって調査するというお約束がありますが、監督省としてかかる問題について善処するという点についての大臣の御決意を聞きたいと思います。
○木村国務大臣 鉄道を建設いたします場合に、沿線の住民の方にいろいろな意味でいろいろ影響を与えることは従来ともあることでございまして、その都度建設側と地元と十分に話をし合って、そして適切な解決を図っていくという方法でやってきておるわけでございます。鉄道建設をいたしますと、地元の発展にも非常に寄与することでございますので、ある程度は地元としてもその地域の発展のために忍んでいただかなければならない点もあろうかと思います。ことに地元を所轄しております市なり町村、この当局はやはりその間に立って、地元の利益の代表者でもありますし、建設側と十分相談をするという行き方で進めていっておるわけでございますが、本件の場合、いまいろいろお話を聞いておりますと、そのとおりで、宮津市も間に入っておるようでございます。ことに重要な問題の中では鉄道建設公団と宮津市と協定もできておるというふうになっておりますので、その協定で市の責任で処理することを明らかにされている問題は、これはやはり市の責任で処理してもらわなければなりません。また、それらの協定の中で処理が予想されていない新しい問題あるいは処理が残されている問題につきましては、これはあくまでも鉄道建設公団と地元と十分話し合って円満に解決をしていくように努力していかなければならないと思っておるわけでございます。 いま梅田委員の御指摘のようないろいろな問題がまだ残っておりまして、しかも処理されていない。しかもそれは、先ほどお話の中にありました公団対市の関係において市の責任において処理すべき範囲内の問題であるか、その範囲外の問題であるか、そういうことも明らかにしまして、やはり公団といたしましては市並びに沿線の住民の方と十分話し合って、要するにその被害、お互いに忍ぶべきことは忍んでもらわなければなりませんが、地元の発展のために、最後には相協調し合ってりっぱな地方交通路線が完成するということを期待しておるわけでございまして、その過程におきましては、運輸省といたしましても十分その方向で公団を指導していきたいと思っております。
○梅田委員 指導監督を強化していただいて、こういう地元の住民の方々の不安が解消できますようにお願いを申し上げたいと思います。 最後に、もう時間もありませんので、一つだけ質問して、私の質問を終わりますが、昨年十一月の五日に、国鉄奈良線複線電化促進協議会より陳情書が出ております。これによりますと、京都と奈良を結ぶ国鉄奈良線ですね、これは、沿線は人口急増地帯でありまして、しかも最近は二つも高校が建ちまして通学する生徒の数も激増しております。大都市の京都市へ入ってくる路線がいまだに電化されてないというのは、重大な立ちおくれだと私は思うのですがね。 せめて、地元としては、自動信号化を第一段階としてやってほしいという要望が強く出ております。これについて、どのように処理されているのか、お伺いしたいと思います。
○内田説明員 奈良線の自動信号化につきましては、本年の春に工事に着工いたしまして、鋭意工事中でございます。したがいまして、目下のところは、来年の春くらいまでには自動信号化が完成いたすと考えております。
○梅田委員 複線、電化の方はどうなんですか。
○内田説明員 この沿線につきましては、先生御承知のように、大変開発が進んでおります。ただし、国鉄を利用する乗降客と申しますか利用者の数は、横ばいでございまして、ふえておりません。したがいまして、まあ開発の状況並びに国鉄の利用状況等を勘案いたしまして、今後逐次、電化、複線化をやってまいりたいというふうに考えております。
○梅田委員 大体近鉄の方がサービスがいいからそっちへ行くのだよ。私もこの間、奈良まで試験的に乗ってみた。そうしたら一時間に一本しか走らぬわけだ。そんなことでお客はふやせない。やはり人口急増地帯にきちっとマッチした輸送計画というものを立てる必要がある。ところがそれが立たぬわけだ。まだ電化、自動信号機化もできてないということですから。そういう点であそこはもうかる路線になるだろうと思うから、もっとしっかりと促進をしていただきたいと要望して私の質問を終わります。
○木部委員長 太田一夫君。
○太田委員 本案に対しましてお尋ねをいたしたい点が二、三あるのでありますが、最初に、本法改正の趣旨は、これはすでに御説明ありましたように、現在の宮守線は、初めは河守と福知山との間を結ぶ民営鉄道の北丹鉄道を介して京阪神地域と日本海沿岸丹後地域とを短絡する計画で昭和四十一年以来工事を進めてきた。ところが昨年の二月に北丹鉄道が廃止されたので事情が変わったから、終点を河守から福知山まで延長したいのだ、こういう御提案でございます。 その間十二キロ何がし、短い区間でございますけれども、廃止された北丹鉄道というのは、四年前にすでに休止をいたしております。そういう点から言いまして、北丹鉄道というのは一体いかなる使命をもって存続していたのか、また、いかなる打算のもとに廃止をしたのか、われわれは不思議に思うのであります。 北丹鉄道そのものというのも、年間二十万人に上る旅客の輸送を行っておりましたし、貨物も八千トン輸送いたしておりました。確かに営業係数は悪くて、常に赤字を続けていたことは事実でございますけれども、四十五年度のころになりますと、役員十三人に職員四人というような形で営業をやっていたわけでございますから、これが本当にやる気があるならば、またやらせるべきであるならば、運輸省としても存続をさせて、当初の計画どおりにさせるべきではなかったのか。そうすればこの敷設法の改正ということも必要ないし、鉄建公団さんによるさらに追加投資ということも必要なかった、こう思うのでありますが、この北丹鉄道というものの存在を前提にした宮守線、これは仮定の事実であったのか、現実に北丹鉄道を生かして宮守線を存続させるつもりであったのか、当初の気持ちをちょっと伺っておきたい。
○後藤(茂)政府委員 御説明をいたします。 昭和二十八年に現在の形で宮守線の別表追加が行われましたときの考え方は、すでに御説明申し上げておりますように、またただいま先生御指摘のように、河守と福知山の間には北丹鉄道が走っておるということを前提にいたしまして宮津と河守の間の別表が追加指定された、このように考えられます。 問題の、いまとうとう廃止してしまいました北丹鉄道そのものでございますが、いろいろと御説明申し上げましたように、この鉄道は大正十二年以来この区間についてずっと営業を続けてきております。ただ、福知山から河守までで、河守で終点という形で長い間営業を続けてきておりまして、私どもの手元には二十八年以降のいろいろな資料がございますけれども、地方鉄道の中でも非常に経営の苦しい鉄道であったというのは事実でございます。過疎地の中を走っておって、そして施設をさらに、まあその当時の時点でその鉄道なりに新しい資金を投入してお客さんの要望にこたえるということがなかなか十分にはいかないような苦しい経営を続けておった。また二十八年以降いわゆる過疎化が進む、あるいは道路ができて自動車が昔よりはよく走るようになる。ここにございます累年のこの鉄道のお客さんの数なり貨物の数なりの統計で見ましても、でこぼこはございますが、大勢として昭和四十五年ついに休止になりますまでの間に少しずつ減ってきておるというのが実情でございます。地方鉄道、古い制度のもとで政府が補助金を出しております数少ない鉄道のうちの一つであったわけでございます。で、何とか経営を続けようという企業者の気持ちもそのような状態のもとではもち切らぬということであったと思いますが、ただいま御指摘のように昭和四十六年にとりあえず休止ということになったわけでございまして、休止以後は鉄道の施設もいわば荒れるに任せたまま四十九年を迎えたわけでございます。 先ほどからちょっとお話が出ておりますが、この鉄道の路線、新しく今度仮に国鉄線を敷くといたしました場合の河守-福知山間の路線は、いずれ今後調査などで確定をいたすべき性格のものでございまして、直ちにいまから何とも申せませんが、この廃止をいたしました北丹鉄道の路線は河川敷を走っておる部分があったりいろいろいたしまして、これを直ちに国鉄の路線として利用することはなかなかむずかしいぞということは、その時点でも専門家の間ではそのように考えられていたものだと存じます。 結局、昭和二十八年の時点では、この北丹鉄道が河守から福知山まで走っており、今後もこれが走り続けるであろうという観念、前提のもとに現在の別表はお定めになった。現在の状態というものは、その後の事情の変化によりまして、ついに昭和四十六年には休止、いまから思えばごく最近でございますが、昭和四十九年二月には廃止というふうに事が至ったわけでございまして、この四十九年の廃止ということにつきましては、地元の公共団体の同意も取りつけました上でそのような経営というものを過去三年間休止をしていたという事実も踏まえまして廃止の許可がなされたものでございます。
○太田委員 民鉄部長にお尋ねをいたしますが、その北丹鉄道というのは廃止当時、資本金は幾らでありましたか。
○高橋説明員 北丹鉄道廃止のときの資本金は百五十万円でございます。
○太田委員 民鉄部長さんにもう一回重ねてお尋ねをいたしますが、たとえ十二・四キロの短区間の鉄道といいながら、百五十万円の資本金というのは腑に落ちない数字でございますね。監督官庁として、こういう資本構成を見ながら、そして借入金の増大さに首が回らなくなった当該鉄道の最後の姿を見ると、あなたの方ももう少し勧告すべきところは勧告し、指導すべきところは指導すべきではなかったか。これは何とかしてやめさせるようにしむけた鉄道のような気がしますが、そういうことはありませんか。
○高橋説明員 おっしゃるように鉄道事業者として百五十万というのは大変少ない資本金であるかと思いますが、私の方でやめさせるようにしむけたというふうな事実は全くございません。当方といたしましても地域の住民の足を確保するということで、必要であろうということで、相当長年月にわたりまして欠損補助金を交付してまいったような次第でございますが、ついに余りにも経営状態がむずかしくなったということで休止をいたし、最後には廃止をいたしたということに相なっておるわけでございます。
○太田委員 これは局長にお尋ねいたしますが、企業補助がなされていた古い鉄道の一つだとしてみれば、これを存続させようとすれば存続できたのじゃないですか。赤字だけ補助すればいいんだ。それを、休止を認め、廃止を認め、さらに新線建設というふうに持っていったというのは、意識的に、意図的にそう持っていったのではないか、こういう疑いが残るわけですが、いかがですか。
○後藤(茂)政府委員 先生が御指摘のいわば疑いというものをお晴らしするだけの十分な資料を備えての御説明というものの用意はございませんけれども、この路線が大正十二年以来四十何年間かにわたってこの大江山の山奥をずっと走ってまいりまして、そして先ほども申し上げましたお客さんの乗りぐあい、これはあるいは新たに金を入れて近代的ないろいろな施設をするだけの施策をこの会社が長年にわたってできなかったという事情も反映していると思いますけれども、お客さんが乗らずむしろだんだん減っておる、貨物の方も減っておる、こういう事態の中で政府が補助金を出しまして、これを何とか維持するという努力をしたにいたしましても、やはり企業自身がそれに耐えられなかったという事態ではないかと、私はいまここに残っておりますいろいろな資料を見ましてそう考えるわけでございまして、もちろん先生御指摘のように、やめさせるようにしむけたということにつきましては、全くそのような考え方も、事実もなかったと存じます。
○太田委員 年間二十万人という輸送量を持ちながら立ち行かなくなった鉄道の基本的な欠陥というのはその資本構成にあると私は思うのです。中小交通機関の資本金という問題は大問題でございますから、この点は今後も別の角度からひとつ検討してほしいと思います。ただ、最近このようなケースに見舞われようとしておる中小私鉄、バスというのが続出してまいりまして、最近労働省あたりでも、弱小民営交通機関の労働者の賃金の不遅払い対策ということについては独自の調査をして、現在九企業で不遅払いの事実が発生しており、その額は三億七千百二十一万円だ、昨年、四十九年度一年間では二十一企業で発生しておるけれども、これは労使間の話し合いやら融資措置等の諸対策によって解消したが、しかしこのうち十五企業が今後もまた不遅払い企業となろうとする危険性があるので、これに対していろんな対策を考えておるという話が労働省の方からなされておるわけであります。私ども、これは労務対策という点から言うならば労働省でありますが、運輸省の政策が、足手まといの弱小交通機関というものは――このごろ弱小というのはどこまでが弱小であるか存じません。何億の資本金であってもそういうものが出ておりますから……。ですから、ある程度経営が成り立たないところはめんどうだから倒したがいいのだろうというような空気がどこかにあるのではないかと疑われる節がありますが、昨年一年間を通じていろんな不払い、遅払い等の会社、企業がたくさんありましたが、それを教訓として、現在運輸省としては、経営の危機に立っているところのそういう弱小企業、鉄道、バスを含めて、これをどうして監督していくか、指導していくか、維持していくか、国民の足を守っていくかという課題にこたえようとなさっておるか、これは大臣か局長からお答えをいただきたい。
○木村国務大臣 いわゆる地方の弱小私鉄、これが軒並みに経営が非常に悪くなっておることは御指摘のとおりでございまして、原因はいろいろあろうかと思いますが、やはりどうしても、地方でございますから、利用者の激減、それから貨物を扱っておりますところは貨物が道路輸送の方に転化して貨物の輸送量の激減、要するに収入減が非常に大きな要因になっておる。また反面経費の面で言いますと、人件費がウナギ登りにふえてまいっております。これは中央の大私鉄あるいは地方の弱小私鉄等、ある意味においては経営の成績いかんにかかわらず一律に賃金アップという傾向が最近とみに目につくわけでございますが、これももっともな点もございまして、やはり賃金が安いといい人も集まらぬというふうなことで、泣き泣き賃金の高い方になびかざるを得ないというふうな傾向も手伝っておるかと思うわけでございます。そういうふうな収支の最近の現状から、特に経営基盤の弱い弱小私鉄、これは鉄道事業以外に多角経営のできる力もないところでございますので、他に経営改善の道を求めることもなかなか困難であるというふうないろんな事情が競合いたしまして、弱小私鉄が非常に苦しい状況になっておるということでございます。 さて、しからば運輸省といたしまして、いま太田委員の御指摘のように、そういう私鉄は廃止の方向に無理やりに持っていくような政策をとっておるのではないかという疑念さえあると、こうおっしゃるわけでございますが、われわれといたしましては、これらの地方の交通使命を持っております弱小私鉄、これはやはり公共使命達成のためにできるだけがんばってもらいたいということで、すでに十年以上もたちますが、いろんな意味の補助金をふやしてまいってきております。ことに最近こういった私鉄の経営状態の悪化にかんがみまして、四十九年から今年度五十年度に対しましても、補助金額も大体倍の金額も予算で計上しておるということで、決して廃止に追い込むような政策ではありませんで、何とかやってもらいたい、経営改善をやりながらやってもらいたいという方向で指導をいたしておるのでございますが、これも私鉄によりましたら焼け石に水というような状況でございます。かと言ってこれにかわるべきもっと合理的な運営のできる交通機関あるいはバス事業等に転化し得るものは転化してもらうというふうなことでやりませんというと、いまのような赤字が出てまいります原因をずっと考えてみますと、それらの私鉄は今後さらに経営がよくなるということは考えられない私鉄もあるわけでございます。それらの赤字を全部国費を投じてこれを賄っていくということも、これは国家財政の立場上、問題がございます。まあ、そういうところからわれわれ現在の民鉄行政をやっておるわけでございますが、どうしても企業としても経営がいかぬというふうなことで廃止を決意いたします場合にも、直ちに廃止というふうなことはとりませんで、まずしばらく休業ということで情勢の推移を見ようではないかというふうな指導もやっておるのでございますが、それらを究極的に企業も判断をし、もう廃止だということになりますと、われわれといたしましては、それを利用しておられる旅客、特に通学等につきましてはかなりの割引制度もとっておりますので、その鉄道の廃止によってそれらの学生が非常な影響を受けないように、過渡的な緩和策も講じましたり、そういうふうなことも考えながら廃止がやむを得ない場合には被害を最小限度にとどめるべく措置もいたしておるような状況でございまして、われわれといたしましては、この苦しい弱小の私鉄が何とか工夫に工夫を重ね、合理化もさらに検討をされて、地方の輸送使命を果たしてもらいたいというわれわれの考えに変わりはございませんが、何せ現状は非常に厳しい状況でございます。われわれといたしましても、補助等につきましては五十年度、さらに五十一年度の予算編成におきましても、五十年度以上の補助の態勢はとりたいと思っておるのが現状であるわけでございます。
○太田委員 一挙に廃止に持っていかないで、段階的に休止という方法をとるとおっしゃったことには賛意を表しかねるのであって、休止も廃止もサービスの提供をとめることに変わりはありませんから、私はそれは反対。意見が一致しませんが、いまのお説のように極力使命を達成させるように、ひとつ叱咤勉励をされる当局の態度は私も賛成でありますけれども、できるだけその趣旨を通していただきたいと思うのです。 さて、そこで具体的な方策についての重ねてのお尋ねですが、資本構成がとにかく弱小だということは、平均的にあると思うのです。だから、公的資本の導入という手もありますから、とにかく増資の決議、それは赤字会社に増資なんて一般的にむずかしいのでありますが、増資の決議をして責任のある者、あるいはまた当該地方の自治体等に出資をさせるというようなことも考えて、資本の構成、この厚みをふやす、このこともひとつ考えてもらわなければならぬと思いますが、当面私は非常に各方面に運転資金の逼迫がある。この運転資金の逼迫の状態が続出しておる。賃金の遅配、欠配だけではなくして、場合によっては会社更生法なんということも言い出すのですから、この資金の逼迫に対していま運輸省が打とうとしている具体的な対策は何か、これをお答えいただきたい。
○高橋(寿)政府委員 お答えいたします。 中小私鉄もバスも似たようなことでありますが、バスにつきまして、いま先生お示しのような点がかなり多くあらわれておりますので、私からお答えをいたします。 御承知のように、昨年一年中小バス各社は短期的な資金のショートでずいぶん苦労いたしました。究極には昨年一年通じまして平均四割五分ないし五割程度の運賃改定をいたしました。この増収効果が相当及びましたので、究極的にはかなりのところまで行きましたけれども、しかしその途中におきまして、いわゆる運転資金の不足ということが各所に起きまして、そのことのために先ほども先生御指摘くださいましたような労働省調べの賃金不払いあるいは遅配状況というものも起こったわけでございます。そこで今後もそのような年度途中におきます過渡的な資金ショートということは起こり得ると考えなければならないと思います。特に地域によりましては会社更生法の適用申請をしているというふうな会社もございますので、こういったところにつきましては非常に深刻な事態になるということも考えられます。 昨年はそういった事態に対しまして約千六百億円ほどの資金を各種金融機関から融資をいたしました。昨年と申しましても四月から後でありますが、約九カ月の間でありますけれども、千六百億円の資金を運転資金として融資いたしました。この大部分はやはりそれぞれのバス会社が常に取引をしている地方の民間銀行が主でございまして、これが約八割くらいでございました。 そこで、ことしはどうしようかということでございますけれども、ことしにつきましては、おかげをもちましてバスの補助金が去年の二倍半以上もふえたこともございまして、こちらの面で相当援助の手が厚くなると思います。 ところが、この補助金が支出されます時期は三月末でございます。そこで本年度につきましては年度途中におきましても大体そこの会社が幾らくらいの補助金が得られるかということの推定がつきますので、そういった推定をできるだけ早くつけまして、それを先行きの支払い担保といいますか、そういったものの見合いでそれぞれの金融機関から短期的な運転資金を融資するというふうなことを制度化することの詰めをいたしております。これによって年度途中の資金ショートは相当防げるというふうに考えております。
○太田委員 千六百億に対しまして七十何億では大分数字が離れておりますから、それで、言うなら年度途中の補助金繰り上げによって火が消せるとは思いませんが、何とかしようというお気持ちがあらわれておると思いました。さらにそれを拡大発展されて当面の火を消していただいて、労働不安やら経営危機というものを克服してくださることを求めておきます。 時間がありませんから、私の最後のお尋ねに入りますが、これは本改正案が成立いたしました後のことでありますが、これはやっぱり最初おっしゃったように、北丹鉄道を無理につぶして、そうして国鉄に一本経営するということは、私は別に悪いと言っておるわけじゃないのですよ。表門から正々常々とおやりになるならりっぱなことだと思うのですよ。買収という方法もあったでしょう。そうして経営の一元化を図りつつ裏日本と表日本との短絡線とするという、そういう使命を果たされるならば、足も守られるでありましょうし、開発もされるでありましょうし、地域の住民も喜ぶでありましょうから、それはそれとして堂堂とやってほしいと思います。ただ途中までせっかくつくった鉄道だから、まあ十二キロ余り延ばして、福知山まで連絡をさせて形だけとろう、その後はサービスの方は別問題だということじゃ困るのでありまして、サービスの点に十分考慮されるであろうと思うのでありますが、そのサービスとは列車の運転回数並びに通過高速電車だけでは困りますから、そういう点につきましては十分地域住民の足を確保するということは御配慮でございましょうねということと、それからこの法案は別表の改正でございますが、いままで二、三回改正されたことはありますが、大分社会の進展とともに実情が変わっておる点もあると思うのですね。ですから、ある場合によっては別表の見直しをされることも必要だと思うが、その点はいかがか、これのお答えをいただきたいと思います。
○後藤(茂)政府委員 御提案申し上げておりますこの河守線のこの区間につきましての改正法律が成立さしていただきました暁には、この委員会でもいろいろと御説明申し上げておりましたように、この線路が日本海地方と近畿圏とを結ぶ短絡線であるという意味を最も効果的に発揮できますように国鉄を指導いたしまして、地元あるいは関連の乗客あるいは貨物のために、よりよいサービスを行うように指導いたしたいと存じます。 別表全体の問題につきましては、かねがね申し上げておりますように、私どもは、国鉄そのものの再建につきまして、今年いっぱいかけましていろいろと考え方を勉強さしていただきたいと思います。地方交通線の問題につきましては、新たに建設すべき線路も、現在動いております線路も含めまして、慎重に国鉄全体の今後のあるべき姿との関連において検討さしていただきたいと存じます。
○太田委員 終わります。
○木部委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。 ―――――――――――――
○木部委員長 これより本案を討論に付するのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。 鉄道敷設法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○木部委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました本案の委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○木部委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ――――――――――――― 〔報告書は附録に掲載〕 ―――――――――――――
○木部委員長 この際、木村運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。木村運輸大臣。
○木村国務大臣 ただいま鉄道敷設法の一部を改正する法律案について、慎重な御審議の結果御可決いただきまして、まことにありがとうございます。厚く御礼を申し上げます。(拍手) ――――◇―――――
○木部委員長 油濁損害賠償保障法案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。木村運輸大臣。 ――――――――――――― 油濁損害賠償保障法案 〔本号末尾に掲載〕 ―――――――――――――
○木村国務大臣 ただいま議題となりました油濁損害賠償保障法案の提案理由につきまして御説明申し上げます。 わが国は、年間二億六千万トンに及ぶ石油を輸入している世界でも有数の石油輸入国であり、多数のタンカーがわが国の沿岸を航行しております。 これらのタンカーの安全確保につきましては、構造及び設備の改善、交通ルールの確立、航行環境の整備など各般にわたり努力しておりますが、万一タンカー事故が発生した場合には、早期に適切な防除措置を講じて油濁損害の拡大を防止しなければならないとともに、油濁損害の被害者が適切な救済を受けることができるような制度を確立することが必要であります。 わが国の現行の法制度では、民法及び商法の不法行為に関する規定が適用されるとともに、これによる船舶所有者の損害賠償責任につき、船体等の権利を被害者側に移転することにより責任を免れるいわゆる免責委付制度が認められております。 しかし、国際的には、一九六七年に英仏海峡で発生したトリー・キャニオン号事件を契機として、油濁損害の賠償責任について行為者の故意または過失の存在を前提とする不法行為責任の一般原則によることは適切でないとの反省のもとに、その賠償の万全を期するため、一九六九年に油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約、また、一九七一年には、この条約を補足するために油による汚染損害の補償のための国際基金の設立に関する国際条約がそれぞれ成立しております。 わが国といたしましても、万一油濁事故が発生した場合にはできる限り被害者の救済を図る必要がありますので、現行の法制度を改め、他の先進海運諸国と同じく両条約の内容に沿った国内法を整備するため、油濁損害賠償保障法を制定しようとするものであります。 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。 本法案は、両条約の内容を国内法化するため、第一に、タンカーによる油濁損害について、戦争、異常な天災地変等の例外的な免責事由に該当する場合を除き、船舶所有者が無過失賠償責任を負うこととしております。 第二に、油濁損害の賠償責任について、船舶所有者は、自己に故意または過失がある場合を除き、船舶のトン数に約四万八千円を乗じた金額、最高限度額は約五十億円でございますが、これに責任を制限をすることができることとしております。 第三に、責任制限を認められておる金額まで船舶所有者の賠償能力が確保されるように、二千トンを超える油を輸送するタンカーにつきまして、責任保険契約等の締結を義務づけております。 第四に、国際基金に対して、被害者は、損害額のうち、船舶所有者等から十分な賠償を受けられなかった部分の補償を請求できることといたし、また、タンカーによる油濁損害が生じた場合船舶所有者等は、一般の船舶所有者の責任に比して責任限度額が倍加されることとなるので、その加重された責任額の一部の補てんを請求できることとしております。 第五に、国際基金がこれらの補償及び補てんの事業を行う財源として、石油事業者など年間十五万トン以上の海上輸送された油を受け取った者は、国際基金に拠出金を納付しなければならないこととしております。 以上のほか、船舶所有者が責任を制限する場合の手続、罰則等所要の規定を整備することとしております。 以上がこの法律案を提案する理由であります。 何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
○木部委員長 以上で提案理由の説明は終わりました。 ―――――――――――――
○木部委員長 これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、これを許します。佐藤守良君。
○佐藤(守)委員 ただいま提案されました油濁損害賠償保障法案につきまして、質問をいたしたいと思います。 実は私、ゆっくり時間をかけて、非常に大切な条約でございますから御質問いたしたいと思ったのでございますけれども、時間が四十分ぐらいしかないというふうなことでございますゆえ、私は、本案の条約の内容とかあるいは両条約の批准発効の見通し、それから国内法との関係、それから具体的なメリット、それから原因者不明の油濁被害の救済について、それからまた第十三条に基づきまする問題、そうして最後に大臣に油濁被害の救済のためにとられております油濁防止対策とかあるいはわが国沿岸における油濁事故の現状、またタンカーの安全対策等につきまして質問いたしまして、質問を終わりたいと思っておるわけでございます。時間が十分でございませんゆえ、答弁を簡単にひとつお願いしたいと思うわけでございます。 提案理由によりますと、本案は、一九六九年に採択されました責任条約、一九七一年に採択されました国際基金条約、これは一九六九年に採択されました責任条約の補足決議も入っておるわけですが、この二つの国際条約を国内法化するための法律だとのことでございますが、一九五七年に採択されました船主責任制限条約、これは日本は加盟しておらないわけでございますが、これにつきまして簡単に説明願いまして、両条約の必要性、成立経緯、内容等について説明をお願いいたしたいと思うわけでございます。
○薗村政府委員 まず一九五七年条約をちょっと簡単に御説明をさせていただきます。 一九五七年条約はブラッセルで採択されました海上航行船舶の所有者の責任の制限に関する国際条約というものでございます。この国際条約は、世界各国で船が他人に損害を与えましたときにいろいろな原則に基づいてその損害を賠償するというようないろいろなかっこうがございますけれども、日本では実は明治以来商法の六百九十条にございますように委付主義と申しまして、船舶の所有者等が他人に損害を与えたときにその航海の終わりにおいて船舶その他の海産を相手方に委付をしてその責任を免れることができる、こういうふうになっておるのでございますが、この委付主義につきましてはいろいろ欠陥が多いということで、これによっている国がもう世界でほとんどなくなってきた。わが国でもこの制度が援用される例がほとんどないというような実情がございますこと、それからそれにかわるべき金額責任主義というものは損害賠償責任の体系として合理的であって、近代的な海運企業に最もよく適合しているということ、それからわが国としても戦後長きにわたって弱体でありました海運企業もその経営基盤が強化されて、企業の危険に対して保険制度を利用することによって担保しようという考え方に変わってまいりました。一方、わが国における責任保険の体制も大幅に整備、強化されたという事情がございます。それから、わが国の海運の世界海運に占める地位も非常に向上してまいりましたということから、わが国海運といたしましてもこの一九五七年条約を批准いたしまして、これを国内法化をして委付主義から金額主義に移行する必要が出てまいりました。現にこの一九五七年の条約は一九六八年、昭和四十三年に発効して現在世界の二十六カ国が加盟しているという現状でございます。 そこで、法務省において法制審議会の御審議を得まして、この答申を基礎に関係省庁で所要の調整を行いながら法案の作成の作業を進めて、今国会に一九五七年条約を国内法化するために船舶所有者等の責任の制限に関する法律案というものを提出する運びとなって、法務委員会で近く御審議を仰ぐという経緯になっておるのでございます。 〔委員長退席、増岡委員長代理着席〕 それから次の一九六九年の油濁責任条約のことでございますが、これは事の発端は一九六七年の三月に御承知のとおり英仏海峡でトリー・キャニオン号事件という大きな油濁事件が発生をいたしました。そこで、油濁問題をめぐっていろいろな問題がその当時提起されたのでございます。 一つは、不法行為責任の成立には通常世界各国ともに故意または過失の存在を必要としておるというのが通例でございますけれども、タンカーによる油濁事故について船主が無過失であっても、責任はないんだと言い切っていいであろうかということでございます。 それから二番目には、多額の損害を生ずることのおそれのあるタンカーの事故について、一九五七年条約に定めてありますところの船主の責任制限の条約による責任制限というものを認めていいだろうかということが第二点でございます。 それから第三番目には、沿岸国の政府が支出しました油濁防止の費用は当然その不法行為に基づく損害の一部として賠償請求の対象にしていいと思われるけれどもどうであろうか。 それから四番目には、油の輸送に対して発生するこの種の事故については、責任はタンカーの船主だけでなくて、それによって受益をしているところの荷主も一部負担をしていいのではないか。 こういった四点ほどの問題がその当時問題として提起されまして、そのために、IMCOといいます国際機関で法律委員会を設けまして、この問題について検討するということになりました。 一方、万国海法会という学会でも同じ問題を取り上げるということでございまして、両方協力して油濁責任の賠償についての条約案を作成することになった。 この結果、一九六九年の十一月にブラッセルでIMCO主宰のもとに開催された国際会議でつくられたのが油濁民事責任条約でございまして、これを今回国内法化したいということで、運輸委員会に御審議をこれからお願いしようとしているところでございます。 それからさらに一九七一年条約というのがございます。これは条約の副題に一九六九年の油濁損害についての民事責任に関する国際条約の補足という題がございます点でも明らかでございますように、一九六九年の条約を補足して、両々相まって油濁責任の損害の賠償制度を十分なものにするというために採択された条約でございます。で、一九六九年の油濁民事責任条約が採択されるときに二つの点が提起されたわけでございます。 一つは、一九七一年条約によりまして船主に対して無過失責任という厳格な責任を課することにいたしますとともに、その責任の限度額を一九五七年条約によるところの船主の責任の場合にトン当たり二万四千円、これは日本の価額で申し上げたのですが、これを倍増してトン当たり四万八千円にしようということが一つでございます。 次には、しかしながらそれでもなおその被害者に十分な補償を与えるものではないではないかという点が心配されますので、その賠償のために国際基金を設立をして被害者にもっと十分な補償をしようという点とともに、二万四千円から四万八千円に倍増しました船舶所有者の責任が全部船舶所有者にかかることはやや過酷な点があるということで、そのうちの一部を船舶責任者の責任を軽減するということがなされたのでございます。この一九六九年の条約を採択するときに決議された内容に基づきまして、先ほど申しました国際機関であるIMCOで一九七一年の十一月から十二月にかけてブラッセルで国際会議が行われまして、国際基金条約が採択をされるに至った。そこで、この基本条約を国内法化するという意味で、これから当委員会で御審議をいただこうということでございます。
○佐藤(守)委員 つい最近公害に対する規制が非常に厳しくなって一般の関心も高まってきたわけでございますが、御存じの石油の消費量の増大とかあるいはタンカーのサイズの大型化とか、したがって油濁損害の被害が大きくなってくるというふうなことでございまして、先ほど局長の説明のように、一九五七年の条約では責任の発生の原因は決めてなかったわけですけれども、今度それを決めた、無過失だということに非常に特徴がある、こう思っておるわけでございます。船舶からの油の排出による海洋汚染について見ると、その規制の動きは戦前から国際連盟を中心にあったように聞いておりますが、戦後のそのような状況を反映して、国際的な規制は十数年急速に進んできた。たとえばイギリスを中心とした一九五〇年の国際条約とかあるいは一九六〇年の改正条約、これは未発効でございますが……。その場合に一番油をたくさん使うような日本とか欧州諸国とかあるいはアメリカ等、石油精製会社を多数持っている国は買油の関係から、事故があった場合に非常な被害を受ける可能性があるというのは、これはもう当然のことで、なお一層関心が高まってきておりまして、国際的な動きも活発になっておるというのがいまの状態だと思っております。また、これとともに、沿岸国の権利は領海にしか及ばないため、たとえば自国船に対して一方的な規制を行うことは不利な立場に置かれるということもありまして、私はこういうような国際的な規制はぜひ必要じゃないか、その意味におきましてこの二条約は非常に時宜に適した法案ではないか、こう思っておるわけでございます。 その場合に、実は問題は、仮にこれがいい条約でありましても、二つの要件がございます。一つは両条約の批准、発効の見通しがあるかどうかということと、それに伴いまして国内法の整備、たとえば外務委員会あるいは法務委員会、商法六百九十条の改正等の問題、たくさんあるわけでございますが、この二つの要件が相整わないとこれは実効しない、こう思うのでございますが、この二つにつきましての見解をお伺いしたいと思います。
○薗村政府委員 まず両条約の批准と発効の見通しが国際的にどうなっているかという点を御説明申し上げたいと思います。 一九六九年のいわゆる責任条約につきましては、現在すでに批准を行っている国が十四カ国ございます。で、この条約はタンカーの保有量が百万総トン以上である国五カ国を含めまして全部で八カ国が批准した日の九十日目に発効するということになっておりますが、先ほど申し上げましたように、すでに十四カ国が批准を行っております。そのうちに百万総トン以上のタンカーの保有量を持っております国がリベリア、フランス、スウェーデン、イギリス、ノルウェー、デンマークとございまして、すでに五カ国以上にもなっておりますので、こういう状況になりました本年三月二十一日にこの条約の発効の要件が満たされました。したがって、それから九十日後の本年の六月十九日に発効するという見込みになっております。なお、日本を初め西ドイツ、アメリカ等の十カ国程度がすでに批准の手続を進めたり、批准の方針を決めているという国がございます。 それから次に、一九七一年のいわゆる基金条約の批准状況と発効の見通しでございますが、これは現在までに批准を行っているのはリベリア、シリア、スウェーデン、ノルウェー、デンマークの五カ国でございます。その他、批准の手続を進めている国や批准をしようという方針を決めている国が、日本、アメリカ、イギリス、西ドイツ等十一カ国ございます。この条約は、八カ国が批准をいたしまして、それらの国の年間の油の受け取り量の合計が七億五千万トンを超えたことが判明した日の九十日後に発効するという手続になっておりますが、この十一カ国が現に準備をしている段階にございますので、この国らが全部入りますと、一九七二年の油の輸入量を見ましても、その合計は九億四千万トンということで所定の七億五千万トンを超えますので、当然発効することになるのでございます。ただ現状は、冒頭に申し上げましたように、まだ五カ国でございまして、これらの五カ国の油の受け取り量を集計しましても大した額にはなっておりません。したがって、特に油の受け取り量が多い日本の動向が、この基金条約の発効を将来どういうふうにするかという大きな影響を与えるものと思っております。そこで私どもは、この際、一九六九年条約と一九七一年条約と合わせてお願いしております法律案に一本にいたしまして御審議を現在いただきたいということでございます。 なお、一九五七年条約の国内法化は、先ほど申しましたように法務委員会にお願いしておるのでございますが、私ども漏れ聞いたところによりますと、近く御審議に入っていただくという予定になっているようでございます。なお、三条約を含めましてこれを批准する案件としては、外務委員会に近くお願いをするという手続になっておるのでございます。
○佐藤(守)委員 各論に入らせていただきたいと思いますが、本法案による損害賠償制度と現行制度との違い、特に被害者救済という立場から、本案の制定の具体的メリットについて、責任規定、責任主体、責任制限、責任保険等について詳細に説明をお願いしたいと思います。
○薗村政府委員 本法案によります損害賠償制度と現行制度の違いにつきまして、まず第一に責任規定でございますが、現行の制度は、行為者の故意、過失の存在を必要としておりまして、なおその立証は被害者側に挙証責任がございますいわゆる過失責任主義ということになっておるのに対しまして、本法案では、戦争等例外的な免責事由を除きまして船舶所有者が厳格な責任、無過失責任を負うということになっておりまして、むしろ免責事由に該当することを船舶所有者がみずから挙証しなければ無過失の責任を当然負うという仕組みになっておるのでございます。 第二に、責任の主体でございますが、現行法では用船されましたタンカーが油濁事故を起こしましたときに、責任の主体が船舶所有者、用船者のいずれであるか必ずしも明確でない場合がございますけれども、本法ではすべて船舶所有者が責任主体であることを明確にし、賠償交渉を容易にするということになっております。 それから三番目に、責任制限でございますが、先ほども一九五七年条約の説明で触れさせていただきましたが、わが国の現行制度は、商法の六百九十条によりまして委付主義という責任体制をとっております。ところが、この委付主義が制度的に十分でないということから、本法では、責任制限の制度の中では最も合理的であると思われるところの金額責任主義を採用しております。本法ではさらに、損害が船舶所有者の責任限度を越えるという場合には、一九七一年条約の国内法化によって認められるところの国際基金によって所定の五十億円を超えて百八億円まで補償することができるということを定めてございます。また、国際基金の総会の決議によっては、さらにその倍額の二百十六億円まで国際基金の負担を増額することができるという用意がしてございます。 それから第四番目に、責任保険の点でございます。現在タンカーの船主は、賠償能力を担保するために通常責任保険に任意に加入している現状でございますが、本法では、日本船であると外国船であるとを問わずに、二千重量トンを超えるタンカーについては、責任制限額を下回らない責任保険を維持することを強制するということにしてございます。また、この強制保険については、被害者が船舶所有者に対するだけではなくて、直接保険者に賠償額の請求をすることが認められておりまして、被害者救済に十分寄与する規定になっております。 それから五番目には、保険金額を超す損害の補償の点でございます。現在タンカーの船主は、油濁損害だけの場合には最高三千五百万ドルまで補償が可能であるような責任保険に加入しております。この内訳は、PI保険で二千五百万ドル、TOVALOPで一千万ドルということになりますが、そういった船舶責任保険に加入してございますが、さらにこれでカバーできない場合の損害のために、各国では石油業者が自発的に組織したCRISTALという制度がございます。しかし、これらはいずれも任意加入の保険でありましたり、また世界のタンカー業者が、あるいは石油業者が自主的に協定を結んで、そういった賠償の制度をつくっておるのでございますが、これに対して本法では、先ほど申しましたように、まず保険は強制保険ということにする。それからさらに国際基金という国際条約によって設立された正式な国際機関によって、船舶所有者に賠償の能力がないときに、あるいは責任の制限限度を上回るというような被害が出たときに、先ほども申し述べましたように百八億円まで補償するという制度を基金として責任を持つわけでございますし、また船舶所有者に対して責任が一九五七年条約に比べて重くなっている一九六九年条約の内容に応じまして、船舶所有者の支払いの一部分、四分の一ないし五分の二という金額になるのでございますが、その金額を基金から船舶所有者に補てんをするということになっておるのでございます。
○佐藤(守)委員 いま局長の説明で十分わかったわけですが、今度のこの一九六九年、それから一九七一年の油濁賠償責任条約あるいは国際基金制度が非常に被害者救済の立場に重きを置かれているということで、金額責任主義に徹してありまして、一九六九年の採択された賠償責任条約では無過失責任、そうして総額は二億一千万フラン、約五十億円。それで不十分な場合は、国際基金という制度で四億五千万フラン、あるいは総会の特別決議によれば九億フランまで補償できるというようなことをもちまして、これだけあれば私も十分ではないかという気もいたすわけでございます。ただ問題は、原因者がはっきりしない場合でございますが、本法案は民事責任法であるため、原因者不明の油濁被害の救済について対象にしておらないわけでございます。この点につきましては、かつて水産庁とか海上保安庁とか海運局の皆さんが中心になりましていろいろ保障対策を練られたわけですが、この保障対策はどうなっているか、御説明お願いしたいと思うわけでございます。
○薗村政府委員 先生いまお話しをいただきましたように、この法案は民事責任法でございますので、原因者不明の被害の救済につきましては対象としておりません。そこで、原因者不明の油濁被害の救済対策を打ち立てなければいかぬということで、水産庁が中心となりまして関係官庁がいろいろ審議をしてきたことは、先生いまお話をいただいたとおりでございます。 原因者不明の漁場の油濁の被害は、水産庁の資料によりますと、四十三年度から最近に至ります六カ年の間に年平均二十三件、年額の被害の平均額が三億六千五百万円という程度に発生をしております。 そこで、これらにつきましては、原因者が判明していないために不法行為として損害賠償の請求をすることができない、本法でも救済措置も適用されないということでございますので、何らか救済措置を講ずる必要があるということで、当面、救済対策としましては、国と都道府県、水産団体と関連業界が応分の負担をいたしまして、救済金、防除費、漁場清掃費等に充てるという制度をつくりまして、この機構を財団法人漁場油濁被害救済基金ということで本年三月三日に設立されたところでございます。 この財団は、五十年の予算で見ますと、国の負担額が一億九千四百万円、それから都道府県、水産団体、関連業界負担分二億七千七百万円、合計四億七千百万円、内一億円は基金でございますが、その金をもって事業を行うことにしておる。当面二年程度この制度によって原因者不明の漁場の油濁対策に充てたいということになっております。
○佐藤(守)委員 いまの点で、局長が最後におっしゃいましたこの対策は暫定的な対策として二年間に限って行うということになっておりますが、また実は私はこの基金の出し方等につきましてもいろいろ問題があるかと思うのです。二年間といいますと、実は五十年、五十一年でございまして、すぐ五十一年が来るわけですが、将来の方向としてはどういうのをお考えになっているわけですか、御意見あれば聞かしていただきたいと思います。
○薗村政府委員 本格的な制度にするのには、関係官庁でいままで審議をしてきた経緯にかんがみましても、かなり問題が多いわけでございますので、水産庁が中心となって環境庁とよく相談をし合って新しい制度をどうしていくかということを確立することになっております。
○佐藤(守)委員 では、実は本法案にはいろんな特徴があるのですが、その一つとして、第十三条「日本国籍を有する船舶は、これについてこの法律で定める油濁損害賠償保障契約(以下「保障契約」という。)が締結されているものでなければ、二千トンを超えるばら積みの油の輸送の用に供してはならない。」二項で「前項に規定する船舶以外の船舶は、これについて保障契約が締結されているものでなければ、二千トンを超えるばら積みの油を積載して、本邦内の港に入港し、本邦内の港を出港し、又は本邦内の係留施設を使用してはならない。」とあるわけでございますが、これは私は本案の特徴の一つではないかと思っておるわけでございます。タンカーに責任保険への加入を義務づけているということが特徴の一つだと思っておりますが、そうすると現在のタンカーの賠償能力、担保手段はどうなっているのか、もう少し詳しく説明していただきたいと思うわけです。
○薗村政府委員 まずこの十三条によりまして、二千トン以上のタンカーに強制保険を義務づけるということになっております。現在は保険制度は任意保険で、二千トン以下の船舶もそれから二千トン以上の船舶も、わが国のタンカーについては一〇〇%保険に掛けておるという実態でございます。したがいまして、ひとまず二千トン以下は強制保険の対象から外すということに、これは国際条約の関係からなりますけれども、わが方は今後ともこういう一〇〇%の保険に加入するという状態を続けさせるように十分行政指導をしていきたいと思います。 現行制度はこの強制保険のほかに、タンカーの業界の自主協定であるところのTOVALOPとそれから石油業界の自主的な協定であるところのCRISTALという制度によっておりますけれども、先ほどもちょっと触れさせていただいたように、保険は任意保険から強制保険に変えるということ、それからそういった業界の自主的な協定に基づく制度ではなくて、国際基金という条約によって確立された世界的に各国が認め合う正式な機関によって、保障制度を確立していくということが今回のねらいでございます。
○佐藤(守)委員 本案は、第十三条はいま局長も言われたように二千トンを超える油を輸送するタンカーについて責任保険への加入を義務づけておるわけでございますが、実はこの資料を見ておりますとタンカーによる油濁件数というのがございます。重量トン区分で申しますと、昭和四十八年度には件数が二千トン未満で百六十九件、そのうちの日本船が百六十八件で外国船が一件、二千トン以上が日本船が三十五件、外国船が五十四件ということになっておるわけです。昭和四十九年度の場合は事故件数が全部で二百十七件でございますが、そのうち二千トン未満が百十件、それから二千トン以上五十件ということになりますと、実は圧倒的に二千トン未満が多いわけですね。そうした場合に、二千トン以下の油を輸送するタンカーの賠償能力の確保はどうなっているかというのが非常に大きな問題になると思うのですが、その点につきまして、どう確保されているかということにつきまして御説明願いたいと思います。
○薗村政府委員 内航タンカーの例で申しますと、実は保険制度には一〇〇%加入しているということをちょっと申し上げましたのですが、いま一例に四百九十九総トン型の、重量トンでいたしますと七百トンから千二百トンくらいの重量トンになる船舶の例で申しますと、私ども調べたこの船舶につきましては、保険契約が十八億円の保険契約がなされておる。それに必要な年間の保険料というのは八十三万八千円掛けておる。この船の年間の経費は船費、船舶経費でございますが、年間で八千二百万程度かかるということでございますので、八十三万八千円の保険料負担というのは船費に対して約一%でございまして、大した負担にならないようなかっこうですでに十八億円までの保険を掛けて、油濁事故その他第三者に与える損害を補償できるように保険に掛けておるのが実例でございます。 大体平均の保険契約金額を申し上げますと、二百トンから二百九十九トンまで、これはグロトンでございますが、その船型の平均に掛けております保険の契約金額が十億四千六百万円、それから三百トンから四百九十九総トンまでの船型は十二億八千八百万円の平均保険契約額がある。五百トンから九百九十九総トンまでは二十五億円の保険契約がなされておる。一千トンから一千九百九十九トンまでの船型につきましては、六十五億九千五百万円の平均をして保険契約がなされておるということで、内航タンカーにつきましても油濁事故その他に備えての付保は十分なされておるという実情でございます。
○佐藤(守)委員 本法案の第三条では、油濁損害の賠償責任主体を船舶所有者としておるのですが、これで最近問題になっています便宜置籍船の場合、実はこの便宜置籍船につきましては、その資産についてもまたペーパーカンパニーと称せられる実体を持たない企業体であるため、被害者の保護に欠ける点があるのではないかと思うのですが、この点は十分保護できるようになっておるのでしょうか。 〔増岡委員長代理退席、委員長着席〕
○薗村政府委員 先生いま御指摘がございましたような懸念は、まず第一に便宜置籍船の所有者の多くが一船一社主義をとっておって、当該船舶以外の一般財産を持たないので賠償能力に欠けるのではないかという点が一つと、それから次に船舶所有者は多くの場合にペーパーカンパニーと称せられている実体を持たない企業体であるという指摘が多うございますが、そういったことのために、損害賠償請求の相手方が不明確であって円滑な解決を期待できないのではないかという御疑問であろうと思います。しかしながら便宜置籍船と申しましても、一般の船舶と同じに世界各国に共通して損害賠償責任保険いわゆるPI保険というものを付しておるのが実情でございまして、こういった保険を掛けないでは世界の用船マーケットの引き合いの対象にならないという実態でございます。仮に船主が十分な資力を持たなくても、こういったPI保険を掛けているということによって賠償能力に問題がないとわれわれは考えておるのでございます。 また船舶所有者がペーパーカンパニーであるという懸念がございまして、そういった御指摘がございますけれども、必ず当該船舶の船主業務を代行している者が別にございます。これを賠償交渉の相手方とすることで、何ら支障がないというのが実情である。便宜置籍船であるがゆえに船舶所有者に責任を集中するということによって、被害者対策上問題があるということは心配がないというふうに考えております。またこの法案が実施されますと、便宜置籍船を含めまして二千重量トンを超えるタンカーについては、責任限度額以上の責任保険を維持することが国際的に強制されるわけでございますから、万一の場合、当該船舶に賠償能力がない場合、あるいは損害額が責任限度額を超えるという場合がありましても、国際基金がこれを補償するということになるので、御指摘のような問題は起こる余地がほとんどなくなるということでございます。
○佐藤(守)委員 実は時間の関係上、最後の質問をいたします。 これは大臣にも御答弁をお願いしたいと思うわけでございますが、本法案は油濁被害の救済のために非常に大きな役割りを果たすものと私は大変期待しているわけですが、その前に油濁事故の防止に努めなければならぬと思うわけでございます。わが国の海洋油濁防止の対策、それから特にタンカーの安全対策の確立につきまして大臣の御所見をお聞きしたいと思うわけでございます。
○木村国務大臣 今回御審議をいただいております法案は、二つの条約を前提といたしまして御審議をいただいておるわけでございますが、この法案が成立いたし、条約も批准になりまして発効いたしますと、御指摘のように相当海上の油濁防止に役立つ法案である、かように考えてわれわれも一生懸命にこの実施に努力をいたす覚悟でございます。 同時に、いま御指摘のように最近すでに各地で、特にわが海運企業によるタンカー事故が起こっておりまして非常に頭を痛めておるところでございます。私も大臣就任以来交通関係の事故防止には一番に取り組んでおるわけでございますが、この事故の中で人身関係の事故と同じように重要視しなければならないのは、量的にも質的にも非常に被害の大きいタンカーの事故であるわけでございます。そういう観点から、就任以来このタンカーの安全航行ということには特段に力を入れておるわけでございます。特に東京湾、伊勢湾、瀬戸内海、船舶が最もふくそうする海域でございますが、この地域等につきましては特別な通航の方法を定めるとともに、危険防止のための規制も行っておるわけでございます。 今後さらにこれらの交通ルールの一層の強化を図りますとともに、実は現在海上安全船員教育審議会の部会において答申をもらって、日ならずして審議会の御承認を得ることになっておりますが、強制水先区域を拡大いたしたい。これは従来とも、強制ではございませんが航行上非常に危険の多い湾内等におきましては自発的に水先人を置くようにという指導をいたしてございますけれども、それでは不十分でございますので、今回さらに強制水先区域を拡大いたす、この準備も進めております。 同時に、進路警戒船等の機能の充実、さらには原油の受け入れ施設を港湾外に整備しようということも検討をいたしておるようなわけでございます。 同時に、日本の沿岸あるいは日本の領海内のみならず、わが国のタンカーが海外でも事故を起こしておりますので、それらの海外における安全の確保、特に最近引き続いていろいろと事故が起きておりますマラッカ・シンガポール海峡等の安全通航につきましては、各海運業者に対しまして一度二度ならず、いろいろと安全航行について指示をいたしておるところでございますが、さらに今後国際的な動向に十分配慮しながら適切な対策を講じてまいりたい、かように考えております。 万一、不幸にして事故が起きました場合には迅速、的確に対応いたしまして、大量の流出油による海洋汚染の被害を最小限度に食いとめるつもりでございます。 さらに、これらの事故の処理に必要な、流出防除に必要ないろいろな施設あるいは船等につきましても逐次整備をいたしまして、被害を最小限度に食いとめるように、今後予算面におきましても十分配慮をいたしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○佐藤(守)委員 いま大臣からお話がございましたように、実は私もきょうはいろいろ質問したいことがたくさんあったわけでございますが、時間の関係上大分省いたわけでございますが、事故対策には船員の教育とかいろいろな施設その他たくさんございますし、これはまた予算の問題も伴うわけでございます。先般の、大臣の選挙区でもありますし私の近くであります水島の三菱石油の事故につきましても、いろいろな問題点を投げかけたわけでございますが、その後たとえば油回収船一つとりましても、あるいは防除剤の技術開発等につきましても、不十分ではないかと思うわけでございます。私はそういう点を特に生かされまして、昭和五十一年度の予算におきまして、私たちも極力応援させていただくつもりでございますが、ひとつ十分なる事故防止対策とともに、事故が起きた場合の対策を講じられる必要があると思うわけでございます。私は本案につきましては、実はもっと早くこの法案は審議さるべきではなかったか、こう思うわけでございまして、早く被害者救済の立場からこの法案が成立されますことを心から祈って、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○木部委員長 次回は、来る九日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。 午後一時三十七分散会