予算委員会 第2号
- 発言数
- 369 件
- 登壇者
- 41 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1974/12/21
会議録
○委員長(大谷藤之助君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 補正予算三案の審議につきまして理事会におきまして協議決定いたしましたことを御報告いたします。 三案に対する審査期間は二十一日及び二十三日の二日間とし、質疑時間各会派割り当ては、自由民主党及び日本社会党はそれぞれ百分、公明党及び日本共産党はそれぞれ四十分、民社党二十分、第二院クラブ十分とし、質疑順位につきましては、とりあえずお手元に配付いたしました質疑通告表の順位とすることに協議決定いたしました。 そのように取り運ぶことに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大谷藤之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(大谷藤之助君) 参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。 補正予算三案審査のため、本日、日本銀行総裁森永貞一郎君及び日本住宅公団総裁南部哲也君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大谷藤之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(大谷藤之助君) 昭和四十九年度一般会計補正予算 昭和四十九年度特別会計補正予算 昭和四十九年度政府関係機関補正予算 以上三案を一括して議題といたします。 これより質疑を行ないます。小柳勇君。(拍手)
○小柳勇君 私は、三木内閣の政治姿勢をただして、その後、国内経済、特にインフレ、物価、不況対策など、国民生活に直接関係のあるものについて具体的に問題をただしていきたいと思います。 その前に、十八日の夜、岡山県倉敷市で水島コンビナートの油タンクが破壊いたしました。この事故及び十九日の夜、北海道上砂川町の三井砂川鉱業所でガス爆発が起こっております。この二つの事故に対して通産大臣から状況の報告と今後の対策の説明を求めます。
○国務大臣(河本敏夫君) まず、三井砂川炭鉱の事故について御報告申し上げます。 一昨日午後九時五十分ごろに三井砂川炭鉱で爆発事故がございまして、現在まで十一名が死亡、十二名が負傷、四名が行くえ不明になっております。行くえ不明者は、ガスの爆発をいたしましたその奥におるものと思われますが、この付近一帯には有毒ガスが充満しておりまして、なお崩落が続いておりますので、たいへん危険になっております。本省の局長及び札幌から合計十名の者が現場に急行いたしまして、行くえ不明者の救出及び事故の原因の究明につとめておるわけでございますが、なお危険な状態が現場に続いておりますので、救出作業は難航をきわめておるのが現状でございます。対策といたしましては、至急にこの原因を正確に究明いたしまして、今後の保安対策を十分立てる予定でおります。 なお、十八日の夜、三菱石油の水島製油所におきまして、脱硫済みのC重油のタンク、約三万八千キロリットルの能力のタンクでございますが、そのタンクの底に亀裂を生じまして、約一万キロリットルの重油が流出をいたしました。これも係官を派遣いたしまして事故の原因の究明につとめておるわけでございますが、そのうち約一割の、約千トンの重油が海上に流出をいたしまして、運輸省のほうにいろいろの対策をいまお願いをしておるところでございます。
○小柳勇君 両事件に対する通産省が今日までとりました対策——水島などに類似する貯蔵タンクなどたくさんございます。そういうものに対する予防措置など、とられた対策を聞きます。
○国務大臣(河本敏夫君) タンクの事故の原因がまだはっきりいたしません。そこで、今回のタンクの事故の原因を究明いたしますと同時に、国内全部のタンクにつきましても、こういうことが起こらないように、もう一回再点検をする、そういう指示をいたしております。
○小柳勇君 この事故の問題は、きょう商工委員会を開くことにいたしてありますので、それで詳しくまた専門家から質問いたします。 次に入ります。 三木内閣の基本的な政治姿勢について質問いたしますが、まず、三木内閣の清潔政治というのは一体具体的にはどういう政治であるか、御説明を求めます。
○国務大臣(三木武夫君) 私が言う清潔政治と申しますのは、政治が金にまつわる不信を政界からなくしようということでございます。どうも金にまつわる不信というものが多いわけでありますから、これを一掃しようということでありますが、具体的には私は三つのことをあげておるわけです。一つは自民党の総裁公選の制度、一つは政治資金の集め方、使い方、第三には選挙のあり方。 第一点は、これは自民党の党内のことでございますから、私はこれを改革をしたいという考えでございます。 第二点の政治資金の問題でありますが、これは、政治には金がかかることは明らかでございます。その金は、やはり政党は営利団体でありませんから、外部の寄付によらなければならない。したがって、その集め方、使い方というものが公明正大であるということが必要である。もう一つは、幾らでも金があれば多々ますます弁ずということで無制限ということではいけない、節度が要る、こういう見地から、政治資金規正法の改正も通常国会を目途にいま検討を加えておる次第でございます。 もう一つは、選挙のあり方、こんなに金のかかるような選挙をいつまでも続けておれば、民主政治はこの面からも私は崩壊をすると思います。そのことがどんなに世道人心に悪い影響を与えているか、政治に対する信頼は生まれてくるはずはないわけです。市川房枝議員がおいでになりますが、市川議員の当選がどんなにすがすがしい感じを国民に与えたかを考えてみたときに、選挙の影響というもの、選挙のあり方の影響ということは、これは非常にわれわれとして重視せなければならぬということでございます。また、そういうふうに金がかかることが、利権政治というような、こういう傾向を生む温床になることは明らかである。こういう三点について、私は、清潔政治というものは、具体的にはそういうふうに改革を加えたいというのが具体的な内容でございます。
○小柳勇君 私も、今日までの自民党の政治のあり方が、大企業、大手商社を擁護して、そこから政治資金をばく大にとって、議員の頭数をそろえて、また大企業擁護の政治をやる、そういう政治をこの際転換する、そして国民福祉優先の政治をやる、そう三木内閣が腹をきめた、そう理解してよろしいか。
○国務大臣(三木武夫君) 私は、政治資金のあり方として、将来は党費と個人の献金を中心にしたほうがいいという論者です、これはね。そのためにいろいろな租税上の特典を与えていいではないか、個人の献金に。しかし、まだ日本は個人献金というものに、西欧の社会のようにまだ慣れてない面がございますから、過渡的な処置としては、やはり企業献金というものを認めるということが現実的だと思うんです。企業から献金があるということを私は悪だとは思わないわけです。そのことから政治に対して、献金ということによって政治の方向を曲げられるようなことがあるということがいけないので、ある一つの限度を設けて企業が献金をすることが、それが悪だという考え方は私はとらないのでございます。したがって、いま小柳さんの御指摘のように、自民党が大企業から献金を受けるから大企業中心の政治をするということは断じて許されない、そういうことがあってはいけないわけです。それはもう、政治は国民のためのものでありますから、献金があったから大企業、大商社を中心とした政治をやるということでは、これは自民党は国民から見離されてくるわけです。過渡的には企業の献金はあるにしても、そのことによって自民党の政治の方向を曲げてはいけない、それだけやはり自民党はきちんとした、みずからきびしく律していかなければならぬことは当然でございます。
○小柳勇君 政治資金規正法の提出を次の国会に出すということを総理が言明されまして、期待しています。そのときに、独禁法の改正案のように、あとで質問いたしまするが、途中で総理が変節をしないように、ちゃんともう有権者の意見を聞いて、完全な政治資金規正法を出す、そう言明していただきたいと思いますが、よろしいですか。
○国務大臣(三木武夫君) 独禁法のことはあとでお触れになるようで、私もけさの新聞を見ていささか驚いたわけでございましたので、その独禁法の御質問の場合に私の真意をお答えいたしますが、私は変節するようなことはございません。ただしかし、内容については、私だけの独善は許されませんから、やはり自民党が法案を提出する場合には自民党のコンセンサスを得なければならぬことは当然でございますが、私が申しておることを変節することは絶対にないということを申し上げておきます。
○小柳勇君 それから、衆議院及び参議院の本会議並びに衆議院の予算委員会で、いわゆる田中金脈事件、三木総理自身の事務所の問題及び大平蔵相の財産の問題並びに三光汽船の株操作などが問題になりましたが、これらが政治不信を招いてはたいへんでありますから、十分の資料を出して早急に国会で解明する、これを言明していただけますか。
○国務大臣(三木武夫君) 私も、私自身は存じていないのですけれども、私の後援団体がどうも多少手落ちもあったようであります。しかし、これを金脈なりと称されることに私は不服なんです。金脈と言って、そういうことを金脈という、世間一般の金脈という問題ではないと思いますが、まあ小柳さん、金脈と称されるならばそれは御自由でございますが、これは国民の前に明らかにいたす所存でございます。
○小柳勇君 金脈の問題はあとで小谷議員が質問しますから、次に進みますが、私は、いまのこの予算編成時期における各地方自治体の陳情合戦、あるいは米価決定のときの農民団体の大会の姿など見まして、この際、三木内閣にかわりましたのですから、陳情政治というものを打ち切りたい、やめたい、たいへんなこれは国庫の負担であります、国家的には乱費でありますから、一切もう陳情政治をやめる、そういうことをひとつ総理大臣、言明していただきたいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(三木武夫君) 私も、予算編成のときに、大蔵省にあんなに廊下一ぱいに予算の編成に関する陳情団がやってくる国はあまり先進国では見ないわけでございますので、先般の閣議にも、役所が陳情団を東京に動員するようなことの絶対にないようにということを各省大臣にきびしく言ったわけでございます。そういうことはないと思いますが、もしそういうことがあって、役所みずからが陳情団を動員するようなことは厳に慎んでもらいたい。ただしかし、私がみな国民の陳情をとめてしまうということは、これは私としてもそういう権限はないわけですが、このテレビも国民の皆さんがお聞きになっておるわけでございますから、陳情という形で予算の編成が、陳情団の多い少ないということで予算を曲げるようなことはいたさぬ所存でございますので、どうかできるだけ陳情団というようなものが大挙して東京に押し寄せないで、静かな環境で予算の編成ができるような政治環境が日本にも生まれることを私も願っておるものでございます。これはいろいろ陳情政治を生んだ原因には、政党の体質にも関係が私はあると思うのです。やはりもう少し地方のいろいろな声を政党自身が吸収して、それを政治に反映できるような仕組みになれば、わざわざ地方から好きこのんで来ておるわけではないと思う。政党が地方のいろいろな民意をくみ上げるような仕組みにも欠けている、こういう点にも陳情団が生まれてくる原因というものがあることを知らなければいかぬ。これはやはり政党の体質の改善につながる問題の一つだと受けとめておるわけでございます。
○小柳勇君 大蔵大臣の見解をお聞きいたします。
○国務大臣(大平正芳君) 予算は国の一年間のいわば事業の計画でございまして、一般の国民が非常な関心を持っておりまするし、地方公共団体においてもこの問題に無関心でおられない事情はよくわかります。したがいまして、意図するところが十分政府で理解されて、予算でどのように消化されるかについて関心を持たれ、そういう陳情の行動に出られることは理解できるところでございます。しかし、いま総理も仰せられましたとおり、役所のほうから動員をかけるというようなことがありますとすれば、それはたいへん遺憾なことでございまして、そういうことはあってはならないと思いまするし、また各省庁におかれましても、そういうことは自粛されるものと期待いたしております。
○小柳勇君 自治大臣はどういうふうに各地方自治体を行政指導されますか。
○国務大臣(福田一君) 自治省としても、お説の趣旨に従って措置をしてまいりたいと存じております。
○小柳勇君 農林大臣は農業団体にどういうふうに指導されますか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) ただいまのお話のように、農林省といたしましても、農林水産関係団体にお願いをして、自粛を求めたいと思っております。
○小柳勇君 この際ですから、政治の姿を変えて、各政党も自粛をいたしまして、自戒いたしますけれども、政府みずからがちゃんと各団体を行政指導して、国家的な浪費を省くように努力してもらいたいと思います。 次に経済問題、日本の経済見通しについて質問いたします。 高度経済成長政策を安定成長に切りかえるということを、しばしば総理も経済企画庁長官も言明されました。それは外的要因によるのか、あるいは国民をしあわせにするためには安定成長政策でなければならぬと考えておられるのか、まず総理から、次に経済企画庁長官からお聞きいたします。
○国務大臣(三木武夫君) 国民の生活というものが量的な拡大の時代があったと思う。これはそれなりに役割りを果たしてきた。所得を増大し雇用の機会を与えて、量的な拡大の時代というものはどうしても経過せざるを得ない。ここまできますと、国民が望んでおるものは量的な拡大ではなくして、やはり生活の質的な充実というものがすべての国民の願望である。政治はその国民の願望に沿って転換をすることが当然であります。これが一番大きな原因です。 また国際環境も、限られた資源というものが、もう金さえ持っていけばいつでも安く資源が手に入ったという時代は終わったということでございます。やはり資源というものが売り手市場に変わってきた。したがって今後は、安く資源が手に入る時代は過ぎた、永久にこない。そういう一つの資源上の、価格の点と、数量の点でも資源保有国ができるだけ資源を細く長く大切にしようという気持ちが起こってまいりましたから、数量の点でも価格の点においても昔とは違ってきた。 もう一つは環境の点でございます。日本のような国土の狭い国がGNPをソ連やアメリカと争うということになってきたら、人間の一つの生存の条件を脅かすことになりますから、工場の立地というものも非常にむずかしくなってきた。環境の保全ということはもうこれは大前提ですから、そういうことから考えてみて、高度経済成長をささえる条件は失われてきつつある。また、労働力の面からいってもそうであります。こういう点で、いままで高度経済成長をささえてきたすべての条件は失ったのだ、こういうことにも安定成長の時代に移るべき必然性が私はあると思う。これは私の判断でございます。
○国務大臣(福田赳夫君) 総理のお答えで尽きるわけでございますが、平たく言いますと、高度成長というのは成長の成果を次の成長のほうに重点を振り向ける、つまり工場をまた建てる、そういうほうに力を使うということでございますが、それをこれからは住宅だとか上水道、下水道だとかあるいは福祉諸施設とか、そういう生活関連のほうに向けよう、こういうことになると思います。したがって工場をつくらないのですから、それだけ成長は鈍る、こういうことになる。総理が申し上げたように、成長を高くすることには外的要因も制約があります。しかし同時に、公害の問題を考えても、あるいは成長を早くしますと物価の問題でも問題が起こりますし、また福祉政策の立ちおくれ、そういう方向でも問題が起こりますし、これからは低目の成長を考えていきたい、かように考えます。
○小柳勇君 経済企画庁長官に質問いたしますが、今日までの経済とこれからの経済と、どう変わっていくか。福田経済企画庁長官は、安定成長ということで田中内閣でも主張してこられました。その点についていまの意見と同じでありますから責任追及いたしませんが、それでは一体これから国民生活は、あの二年ぐらい前の高度経済成長政策、特にあの列島改造論にあおられました土地を投機にしてもうかったような時代と、これからの国民生活とは一体どう変わってまいるか、その大事な点を一、二御説明を求めます。
○国務大臣(福田赳夫君) まず一番大事な問題は物価だと思います。この物価政策が非常にやりやすくなる。それから第二に大事な問題は国際収支、これが去年はたいへんなことだったのですが、そのような事態がなくなる。それから公害列島というようなことがいわれますが、そういう事態も非常に緩和される。それから国民生活全体といたしましては、乏しきを憂えず、ひとしからざるを憂えるという方向への施策が進められる、かように御理解を願います。
○小柳勇君 まだ納得しないのですが、インフレの犠牲者などの救済問題はあとで質問いたしますが、経済企画庁長官は先般来、経済社会基本計画を白紙に返してやり直す、新全総もそうだということを言明しておられますが、そうですか。
○国務大臣(福田赳夫君) そのとおりに考えております。それで、五十一年度を起点といたします五カ年計画、そういうものを新たなる観点でつくり直す、こういうふうに考えております。
○小柳勇君 経済社会基本計画は四十八年二月十三日に閣議決定されていまして、四十八年から五十二年までの日本の経済の方向を示しています。各省庁ともこれを一つの羅針盤としていろいろ施策を考えてこられたと思う。もちろん当然増もあります。この経済社会基本計画をこれから白紙にして、来年度、昭和五十年度の予算というのは一体何を羅針盤として予算を編成しようとされておるのか、大蔵大臣と経済企画庁長官にお聞きいたします。
○国務大臣(福田赳夫君) 五十年度は五十一年度へのかけ橋のような、そういう時期になるのです。その五十年度は、いままでの計画を横目では見ます。見ますが、全体といたしましてとにかく物価を安定させなければならぬ、そういう重大課題を控えておる年でありますので、そういう点に主軸を置き、また在来の計画もある。また五十一年度からの新しい展望もつくられるわけでありまするが、その辺を頭に置きながら予算の編成に当たる。ちょうど踊り場というか、かけ橋といいますか、そういう時期の予算編成に相なろう、かように考えます。
○国務大臣(大平正芳君) いま需要の抑制を民間にもお願いいたしておりまするわけでございますので、政府といたしましても隗より始めよで、政府自体が自重した節度ある財政をやってまいらなければなりません。したがって、明年度の予算は野心的なプログラムを盛り込むような余地はないわけでございまして、つましい予算にならざるを得ないと考えております。いま企画庁長官言われましたように、そういう意味で次の段階への踊り場と申しますか、ひとつ体調をここで整えるという年になろうかと考えます。
○小柳勇君 この経済社会基本計画に付表がありまして、現在の国の生産状況なりあるいは労働人口なり消費実態なり詳しく数字にあがっております。これを白紙にするということは、それでは一体どういうことでしょうか。現在の国政を見直すといったって、現在はこの数字が出てくるでしょうが、これを白紙にして、何か寄せ集めて予算を編成するような話でありまするが、確認しておきますけれども、この閣議決定の経済社会基本計画はもうわれわれが論争する材料にならぬのだと、こういうことですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 経済社会基本計画は、これは御承知のように非常に高い成長率を前提としているんです。成長率で言いますと九・四%です。これから先の経済を考えますと、そんなことはとうてい考えられない。そこで全体の計画の見直しを必要とする、そういうことを申し上げておるわけでございますが、しかし、国政は継続性というものがあるわけでありますから、いままでの社会経済基本計画、これが全然断絶になるんだと、こういうような意味合いのものじゃありません。いままでの国政の流れというものはある。それはにらんでおかなければなりませんけれども、しかし、これから国政の全体のかじをほんとうに百八十度転換だという時期にありますので、そういうことも考えながら、五十年度という年は、これは在来の計画はあります。その線もにらまなければなりませんけれども、また新しい時代への移行ということも頭に置きながら、来年は何といっても一番大事なことは何だ、これはインフレの抑圧です。大蔵大臣が申し上げましたとおり、これは非常につつましやかな予算にならざるを得ない。そういう中でも、ただいま申し上げましたような考え方、これが生きていくようにいたしたい、かように考えております。
○小柳勇君 総理に質問いたしますが、いま大蔵、経企両大臣は大体似たようなことをおっしゃいましたが、まずそれでよろしいかどうかということが一つ。 それから五十年度予算と五十一年度予算は、これは白紙になったのですから、これから新しい経済計画をつくらなければなりません。そのときに、いわゆる目玉商品的に三木内閣は国民のしあわせのためにこれこれをやりますと、そういうものがあればここで明らかにしてもらいたい。
○国務大臣(三木武夫君) 先ほど経済企画庁長官、大蔵大臣の言ったとおりに考えております。 また、来年度の予算はいま編成途上でありますが、とにかく中心は物価の安定、またインフレのもとにおける社会的な不公正をできるだけ是正したいということが中心になることは明らかでございます。
○小柳勇君 私は冒頭に、いままでの自民党の内閣が大手商社、大企業中心に政策を考えてきたということを言いました。これからの新しい経済計画をやるには国民福祉優先の政治であるということも聞きました。したがって、予算を編成しあるいは経済計画をつくるには、そういう方向に経済計画をやるんだ、そういうことに確認していいですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 五十一年度からの長期計画は、もちろんそういう福祉優先という方向に中心が置かれる、かように御理解を願っていいと思います。五十年度はそれまでの間のかけ橋的な意味の予算になりますが、もちろん新内閣の目玉商品である社会的公正、こういうことには重点を置く、かように御理解を願います。
○羽生三七君 関連。 新しい計画を立てる場合に、従来は、社会的不公正是正、社会的公正を期するという立場でいろいろ論ぜられる場合に、これは主としてどちらかと言えば道義的なモラルの立場から、大企業優先、弱者虐待のようなそういう社会は公正ではないのじゃないか、そういう立場から論ぜられてきたと思う。ところが、高度成長下でもなおかつ達成し得なかった社会福祉を低成長の中で実現するということは、もうきわめて困難なことだと思うのです。しかし、それはやらなければならない。その場合には、単に社会的公正、モラルというような観点だけでなしに、歳入をどうして確保するか。つまり、財政のあり方、歳入確保のあり方そのものも根本的に新しいスタイルにしていかなければ低成長下の高福祉は実現できないという、非常なむずかしい課題をこれからの社会は負わされると思うんですね。そのこともやはり頭の中に入れて、歳出のほうが際限なしに要求が出てくると思うんです。しかし、歳入には限度があるから、その場合にはどういう形でこれが確保できるのか、そこはどこが重点になるのか、そういうことを考える必要があると思いますが、その点は企画庁長官から答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 一番大きな社会的公正確保の手段は、これは歳出だと思います。財政の配分の問題である。それから第二は私は財源の調達の問題だと、こういうふうに思います。第三には金融政策の運営、そういうものであろうと思います。それからなお、もうあらゆる角度からこの問題は考えなければならぬけれども、たとえばいま問題になっておる公共料金政策、これをどうするか、こういう問題なんかも一つの考え方の中に取り入れらるべきものである。あらゆる角度からそういう問題を取り上げなければならぬ、かように考えます。
○羽生三七君 ちょっともう一度関連して。 率直に言って、私自身も考えが固まっておるわけじゃないのです。たとえば歳入の場合に、法人税をどうするのか、あるいは富裕税というのはどうなるのかという、そういう問題もあるわけですね。そういうこともあわせて考えなければ、社会的公正を期して年金問題、社会福祉を国民の期待どおりに実現していく場合の、そのもとである財源の確保が非常にむずかしいのではないか。そういうことを私は言っておるので、その点にもっと十分な配慮をしなければ、つまり新計画ができる場合でも十分ではないのではないか、こういうことを申し上げておるわけです。
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま申し上げたのは、全くそのとおりのことを申し上げているのです。一番大事なことは財政の配分の問題だ。次いで財源の調達の問題だ。しかし、それだけじゃなくてあらゆる角度から、社会的公正の角度というものは金のかからない面までも含めて考えなければならぬ、かように考えております。
○小柳勇君 大蔵大臣に質問いたしますが、いま経済企画庁長官は、五十一年からは新しい経済計画で社会福祉優先の予算を組むとおっしゃったが、五十年度の予算編成も一月の十日ごろには原案ができるとおっしゃるが、大蔵省のいまの方針はどうですか。
○国務大臣(大平正芳君) 国会はじめあらゆる機会に財政当局として申し上げておりますことは、小柳さんも御承知のことと思いますけれども、財政金融全体を通じて抑制型の基調を堅持してまいりたい。したがいまして、五十年度予算もそういう性格のものにいたしたいということはかねがね申し上げているとおりでございます。歳出の中身におきましても、投資的なものはできるだけ抑制してまいりたい。しかしながら、インフレの犠牲になりました恵まれない方々に対するきめのこまかい配慮は忘れてはならない。また、投資的な経費にいたしましても、産業基盤の強化というものより、むしろ生活関連施設の充実というような点にアクセントを置いて考えなければなるまい。そういう方向で、いま政府部内並びに与党各部会と御相談をいたしておるところでございます。
○小柳勇君 建設大臣に質問いたしますが、いまの大蔵大臣の答弁にありました来年度予算は生活基盤強化の方向に予算を使うのだと。一番いま望まれているものだと思うのです。したがって、建設大臣の見解を聞いておきたいのです。
○国務大臣(仮谷忠男君) 建設省所管事業は、生活基盤整備を重点に転換させるとともに、地場産業としての中小建設業の救済には十分に役立つように努力したいと思っていますが、公共事業の伸び率が押えられておる中で、特に住宅、下水道、公園などの国民生活に密着した諸事業の伸びについては総体的に比重は増しておるつもりでありますし、また交通基盤である道路事業の中でも、市町村道、交通安全施設などの日常生活に関連した諸事業の比重も増大しておると思っておりまして、今後ともこういうふうな生活に密着した問題につきましてはさらに努力をいたしてまいりたい、かように存じております。
○小柳勇君 通産大臣に質問いたしますが、ここに産業構造審議会の報告なるものがあります。ことしの九月十三日に通産大臣に土光会長から報告されていますが、この報告を通産省としてばどういうように位置づけておりますか、日本の経済発展について。
○国務大臣(河本敏夫君) 御案内のように国の基本的な計画といたしましては、経済社会発展五カ年計画とか、こういうものがあるわけでございますが、これは閣議できまっておるわけです。産業構造審議会の答申は毎年ございまして、その基本的な国の発展計画を基礎といたしまして、その答申を毎年参考にいたしまして運営をしていきたい、かように考えております。
○小柳勇君 経済企画庁長官あるいは総理大臣も言われましたように、日本の政治の姿が変わってまいる、政治といいますよりも国民生活の姿が変わってまいる。今日までは重化学工業を中心にして高度経済成長政策をとった。これからは国民生活を重点にして、国民生活のしあわせのために政策をやるんだとおっしゃっている。したがって、産業構造もそれに準じて変わっていかなきゃならないと思うが、それは確認してよろしいですか。
○国務大臣(河本敏夫君) お説のとおりでございまして、最近は石油の問題、資源の問題、公害の問題あるいは労働力の問題、そういうたくさんの問題が出ておりますので、そういうことを考慮に入れながら産業政策を進めていく所存でございます。
○小柳勇君 経済企画庁長官は、この産構審の報告をどのように位置づけておりますか。
○国務大臣(福田赳夫君) その報告はごく最近出たものですから、最近の傾向はかなり取り入れておると思うのです。しかし、御承知のように国際情勢というものが非常に波乱含みでありまして、さあ中東情勢がどうなるかわからぬ、そういう危惧もあるわけであります。そういうようなことで、とにかく五十一年度以降は新しいレールを敷いてみよう、こういうふうに考えておりますが、ちょうどいま変動期なんです。そういう変動期を経過いたしてみないと、新しい展望を新しくどういうふうに把握するかということもはっきりしてこない。そういうことでありますので、新しい経済社会発展計画という方向が打ち出される、そういう際には、当然そのときの時点において産業構造、このあり方というものにつきましても見直しの必要があろうと思いますが、とにかくいま出ております九月の報告書、これは最近のものですから、かなり最近の情勢を取り入れておるという評価をいたしておる、かように御承知願います。
○小柳勇君 出ましたのは九月ですから、最近のものです。したがって聞いているのは、経済社会基本計画は白紙にして見直すというのだから、いま新しく経済的に依拠できるものはこういうものではないかと考えるわけです。したがって経済企画庁としてあるいは大蔵省として、これから予算編成する場合に何も羅針盤がなければ予算編成ができないでしょう。そういうときに、この産構審の報告というものをどういうように位置づけて日本の産業あるいは日本の国民生活を考えますかということを質問しているわけです。これを全部お読みになりましたか、経済企画庁長官。
○国務大臣(福田赳夫君) 中身は読んでおりませんですけれども、大体、読まぬでも方向はわかっておるつもりであります。
○小柳勇君 さっき長官がおっしゃった、いま混乱期でございますから、ここ二、三年は調整が必要です、そう書いてあるわけです、ここに。三年間調整期をつくってあります。そうしてあと経済成長を考えてあります。そこで、こういうものを官僚諸君は中心にしておそらく経済企画をなされると思って質問しているわけです。 そこでもう一つ厚生大臣に質問いたしますけれども、社会保障計画懇談会が最近答申を出しました。これをどのように位置づけておられるか、質問いたします。
○国務大臣(田中正巳君) 非常に意欲的な作業でございまして、これを踏まえて今後この趣旨に沿って仕事を進めていきたい、かように思っております。
○小柳勇君 厚生大臣と労働大臣に質問したいのですけれども、この高度経済成長政策から安定長への転換は、企業優先ではなくて国民生活優先である、言うならば、厚生大臣や労働大臣がこれから内閣の前面に出て経済に主導権を持つべきである。その決意でこれから五十年度予算、五十一年度予算編成には厚生や労働がちゃんと前面に出て主導権をとってもらいたいが、その決意があるのかないのか、厚生大臣と労働大臣に質問いたします。
○国務大臣(田中正巳君) 今日の国民的主張並びにわが内閣の基本方針から考えましても、この際、厚生行政、社会保障等は従来のパターンと変えて、これを意欲的に一つずつ進めるかたい決意であることを御披露申し上げます。
○国務大臣(長谷川峻君) お答えします。 いまから先の勤労者対策は、従来のような高度経済成長のときと違いましてたいへんむずかしいことですから、労働省だけじゃなく、内閣全体の問題としてお考えをいただいておるところであります。
○小柳勇君 経済企画庁長官に質問いたしますすが、来年三月、五十一年三月、五十二年三月、言うならば満二カ年ですけれど、二カ年間の経済指標、経済成長率、卸売り・消費者物価指数、国際収支、エネルギーの供給見通しについて見解を聞きます。
○国務大臣(福田赳夫君) 消費者物価につきましては、来年三月の時点の消費者物価、この上昇率、年間で、つまりことしの三月に比べての上昇率を何としても一五%程度にいたしたい、この線を生命線というくらいなつもりで最大の努力を傾けてみたい、かように考えております。それから五十年度、つまり五十一年三月と来年の三月を比べての消費者物価、これは何とかして一けたにいたしたい。そういうことで、予算の編成その他を通じまして、これを達成するための最大の努力をいたしてみたいと、こういうふうに考えております。その先は、そういう努力を続けまして、なるべく早く、できれば五十二年度ぐらいにおきましては、預金金利よりは消費者物価の上昇率が低いんだという状態を実現をいたしたい。とにかく物価政策には最大の努力をいたす。 それから国際収支につきましては、昨年度、つまり四十八年度は百三十億ドルの大赤字を出したわけであります。四十九年度はたいへん改善されてまいりまして、五十億程度の赤字で済みそうであります。五十年度、来年度といたしましては、それをさらに若干改善をするということを旨として経済計画を進めてまいりたいと、かように考えております。 エネルギーにつきましては、昭和四十九年度というこの年は、実質成長率がマイナス一−二%程度になりそうでございます。したがって、エネルギーの消費が少なかった。五十年度は一体どうするかということになりますと、四十八年度の実績ぐらいを大体確保する。その辺を目途として五十年度の経済運営を考えてみたいと、かように考えております。
○小柳勇君 経済成長は、五十一年……。
○国務大臣(福田赳夫君) 経済成長につきましてはまだ結論は出ておりませんけれど、私はこの長期計画といたしましては、やっぱり国際水準、これを目標にしなけりゃならぬ、こういうふうに考えておるのです。いまちょうど国際社会が激動期でありますので、その水準がどの辺に落ちつくであろうか見当がつきませんから、長い目のことは申し上げられませんけれども、いずれにしても国際水準をわが国は目標にしてやっていかなきゃならぬ。 さしあたり踊り場の五十年度は一体どうするか、こういう問題でありますが、エネルギーをとにかく四十八年度水準でやっていこうということになりますと、エネルギーの上からも若干の制約が出てきます。しかしエネルギーの効率使用、つまり節約しようという運動も進めておりますので、エネルギーが同じだから成長率が同じだというふうには考えておりません。やっぱりことし四十九年度はずいぶん落ち込んでおります。落ち込んでおりますことしに比べると、まあ四%あるいはその前後の成長というものが考えられるのじゃないか、さように考えております。
○小柳勇君 来年三月の消費者物価一五%、なかなかたいへんだと思うが、それに持っていくための具体策は一体あるのかないのか。ただ、いまの総需要抑制政策の問題はあとでまた論議しますけれども、どういうような具体策を持っておられるのか。総需要抑制政策のほかにどういう具体策があるのか。
○国務大臣(福田赳夫君) とにかく物価抑制の主軸はいま総需要抑制政策、その中において個別物資の需給について配意していく、これが非常に大事だ、こういうふうに見ております。特に農作物、これにつきましての需給に特段の配意をする。その中でも年末年初の物資需給ですね、いつも年末年始に農作物の物価が上がる、あるいは生鮮魚介類の物価が上がる、こういうことがありますので、これには需給はもとより輸送、そういうものにつきましても、これは農林省がいま格段の配意をしておるわけです。それから公共料金という問題があるわけですが、これは年度内は一切上げないという決意をいたしておるわけでありまして、これもまた響いていくだろう。 その他いろいろ配意はしますが、そういう三つの対策、これが主軸をなすであろう、こういうふうに考えておりますが、卸売りのほうは非常に落ちついてきました。これは国際社会でも、西ドイツと並んでわが国は優等生だと言っても差しつかえないぐらいになってきたのです。 問題は消費者物価でありますが、しかし、消費者物価も十一月は〇・五%ということになった。いままでの四月からの動きをずっと見てみますと、平均して一・四%の上昇になっているのです。これでいきますと一八%、来年の三月末は一八%ということになりますが、ただいま申し上げましたような努力をいたしまして、そして一五%目標を実現する。そのためには、十二月、一月、二月、三月、これが〇・七五%ぐらいの上昇でいけば一五%ということになるのですが、何とかしてそれを実現してみたい。最大の努力をいたします。
○小柳勇君 通産大臣に質問しますが、いまのエネルギーの見通しなんですけれども、三年ぐらいの見通し、通産大臣と外務大臣から答弁を求めます。
○国務大臣(河本敏夫君) ことしの夏に総合エネルギー調査会から答申を受けましたが、この答申では、昭和五十五年度には石油に換算をいたしまして五億五千万ないし六億二千万、きわめて流動的な答申が出ております。これを参考といたしまして、いまいろいろ作業をしておるわけでございますが、五十年度の分につきましては、先ほど経済企画庁の長官が答弁をいたしました大体あの線でございますが、五十一年、五十二年につきましては、まだきわめて流動的でございまして、はっきりした数字は出ておりません。
○国務大臣(宮澤喜一君) 昨年の石油消費がほぼ二億九千万キロリットルでありますが、ことしは二億八千万の低いところと思いますので、マイナスが立つと思います。来年もこの経済情勢ですと、そんな大きなことは考えられないと思いますし、先ほど副総理の御答弁で、まあここのところ四%ぐらいの成長かなと言われましたのは、おそらく弾性値を考えますと五%前後の原油輸入を考えておられるのではないかと思いますが、そういたしますと、国際的にも大体やっていける数字ではないかと思います。
○小柳勇君 エネルギーの問題はまたあとで上田議員が質問しますから、少し飛ばしていきますが、労働大臣に、来年三月あるいは再来年三月、その次の三月における労働者賃金、雇用状態などについての一応の、これはほんとうの見通しなんですけれども、大臣の見通しをお聞きいたします。
○国務大臣(長谷川峻君) いままで副総理からお答えしたように、来年五十一年というのは調整期間で、そして五十二年度からかけ足ということでやっていくわけですが、実質賃金はそれぞれやっぱり下げないようにやっていこうと、こういうふうに思っています。見通しそのものは、いまのところそういう計画ができておりませんからはっきり申し上げるわけにはいきません。
○小柳勇君 賃金の問題はそうにいたしましても、雇用状態などについては無責任ですよ、そんな突っ放しは。雇用状態についてはどうですか。
○国務大臣(長谷川峻君) 経済成長があまりに低いと国民全体が希望を失います。ただいまやっておりますように、五十年度後半が景気が上向くのじゃなかろうか、そういうことを期待しながら、そうすると、そのときにまたいまのような失業状況が緩和してくる、こういうふうな考え方を一応持っております。
○小柳勇君 労働大臣、記者会見などには失業者の概数などもおっしゃっておるようですけれども、ここは国会ですから、もう少し数字などはあると思うが、まじめに答えてくださいよ。でないと時間の浪費です。なぜそういうことを言うかというと、この産構審の報告の中に労働者の賃上げ率などもちゃんと想定してあるわけです。それからコンピューターでこの五カ年ぐらいの産業の動き、日本の経済の動向をはじいてあるわけですよ。そこで問題にしているわけですから。 これは総理は疲れておられるから大蔵に聞きましょうか。大蔵の事務次官が九月ごろ、来年の三月の消費者物価指数を一五%にして労働者賃金は一六%で押えなければならぬというようなことを講演会などで盛んにぶって歩かれる。労働大臣もどこかで、賃上げは消費者物価一五%であればあまりもうそれよりも出ないだろうということを言われたような気もするが、そういうことを事務次官が講演をやっておられる。いわゆるガイドポストですね、労働者の賃金はもう来年三月は一六よと、それで経営者にPRしておられる。そういうものは大蔵省全体の考えじゃないかと思うが、どうですか。
○国務大臣(大平正芳君) とんでもない話でございまして、賃金は労使の間で話し合いできめられることになっておるわけでございまして、われわれがうかつに介入すべき問題ではございません。事務次官がそういうことを申したと伝えられて、いまあなたが御指摘になりましたけれども、私はそんなことを申すはずがないと考えておるわけでございます。ただ、政府といたしまして国際競争力が、このように生産性の向上を期待することがむずかしい段階におきまして、賃金と物価との間のスパイラルが続くというようなことになると、ゆゆしい事態になるという憂いは持っておるわけでございます。これは国民全体が節度ある家計、経営、財政運営を通じて対処していかなければならぬ問題だと思っております。 労使の間にも、そういう話し合いによりまして節度ある結果が生まれることをわれわれ期待いたしております。ただ期待するだけではいけないので、先ほど企画庁長官からもお話がありましたように、政府としてもあらゆる努力を重ねまして、明年三月を目標にいたしまして、一五%程度のところにどうしても押え込まなきゃならぬということをいたしておるわけでございます。そういうわれわれの努力は、労使双方でそれなりに評価していただけるのではないかと考えております。
○国務大臣(長谷川峻君) ただいま大蔵大臣からも話がありましたように、賃金は労使でおきめになるわけです。私がそちこちで講演しておりますゆえんのものは、いままでのような一一%台の高度経済成長を続けているときと違って、ゼロ成長どころじゃない、マイナス成長になったときにお互いがどういう立場をとるべきかというデータを出して、そしてまた、そういうきびしい情勢の中において、労使ともどもにひとつ国民経済的視野に立って連帯感でうまくやろうじゃないか、円満にやろうじゃないかと、こういうことを申し上げているわけであります。
○国務大臣(福田赳夫君) 非常に大事な問題でありますので私からも申し上げますが、政府といたしましては、賃金問題に数字をあげて介入する、こういうことはいたしません。ですから、春闘のあるべき賃金水準が幾らだというようなことをパーセンテージをあげて誘導するというようなことはいたしたこともありませんし、また、いたす考えもないのです。 ただ、強調いたしておる点は、いま労働大臣からも仰せられましたように、高度成長時代の賃金と物価の関係と、それから低成長時代、あるいはことしなんかマイナス成長ですが、そういう時期の賃金と物価の関係というものは、これは高成長時代と全く異質のものになってきておる、こういうことを力説しておるんです。そういう点は国民全体に理解してもらいたい。特に、話し合いの当事者である労使両方において透徹した理解を持ってもらいたいと、こういうことを言っておるんです。 私は、いままではとにかく高成長でありますから、企業の規模も拡大する。ですから賃金が上がりましても、その賃金の上がりは物価にははね返らない。生産性の向上でそれを吸収し得たのです。ところが、低成長あるいはゼロ成長、こういうことになりますと、賃金が上がりますと、そのはね返りは非常に直撃的に物価のほうへいくわけです。そういうことを考えなけりゃならぬ。ところが、いま物価政策というものが国民最大の課題になっておる。その過程において、春闘という問題がまず出てくるわけです。その春闘において、賃金問題がそういう情勢の変化の中で、従来の惰性で去年も幾ら上がったから、ことしは幾らだというようなそういう形できめられたら、これはほんとうに賃金は物価にはね返る。物価が上がるからまた賃金も上がってくる。また物価が上昇になる。賃金と物価の悪循環が定着するような傾向になる。こうなったら、ほんとうにこれは日本国のおしまいになっちゃう、それを心配しておるんです。そういうことを力説をしておる。そういう政府の見方をみんなに知っていただきたいという努力をしておる、こういうことであることを御理解願います。
○小柳勇君 次官だけじゃない。いまの大臣、総理もそのようにどこでも言っておられる、テレビの対談でも何でも。それがガイドポストになるわけです。労働者の賃金というのはとにかく食えなければならぬ。労働の再生産、それから文化的な生活もしなければならぬ。したがって、たとえば名目賃金が上がらぬとするなら実質的に生活できるようにしなきゃならぬ。そういう発想がないと、ただ物価を押えるために労働者の賃金を押えるということでは、それは主客転倒なんです。そういうものを大臣の頭から変えてもらわなければならぬから、いまとりあえず問題にもしているわけですが、特にこの産構審の報告の中に、五十年春は一六%、五十一年春は一四%、五十二年春は一二%、五十三年春以降は一〇ないし一一%と書いてある。労働者賃金ですよ。こういうものがデータになってこの計画がはじき出されている。こういうものがもう経営者並びに官僚、政府、三者一体となって頭にこびりついておるから、よそに行って出るわけです。いま春闘を前にして労働組合が、ことさらに感情的になってもこの所得政策的な、ガイドポスト的な数字は打破しなきゃならぬと言われているゆえんであろうと思う。私もよくわかる。したがって、これ一つとってもこの報告というのはたいへん問題である。通産大臣、どうお考えになります。あとは労働大臣から聞きましょう。
○国務大臣(河本敏夫君) いろんな経済見通しを立てます場合に、やはり一応の仮定の数字を置きまして作業しませんと、できないわけです。そういう意味で、その数字が出たのだと思いますが、当初に申し上げましたように、この産構審の答申というのは毎年ございまして、また来年あるわけでございますので、必ずしもそれが決定的なものであると、さようには考えておりません。
○小柳勇君 そういうのが言いのがれですよ。国会でそういう言いのがれして、毎年毎年予算が原案のとおり通ってまいる。もっと野党の議員の言うこともちゃんと聞いて、それではどうするかということを検討しなきゃならぬでしょう。でないと、こんな予算委員会なんか無意味です。労働大臣から見解を聞きます。
○国務大臣(長谷川峻君) いろいろの方面でいろいろ研究したデータを出すことは承知しておりますが、私たちといたしますというと、やっぱり労使あるいはこういう場所にいまの日本の経済なり、いまから先の見通しというもののいろいろの御意見をお伺いする中に、そしてまた私たちは労働者の立場というものを守っていきたい、こういうことで、ただいまのところ三月末とにかく消費者物価を一五%程度に押えてもらうことが労働者のためになる、こういうことで懸命に努力をしておるところであります。
○小柳勇君 春闘の問題については非常に問題が大きいが、また別の機会にやりましょう。 あと振替所得の問題を厚生大臣に聞きます。この経済社会基本計画の中で、振替所得、昭和五十二年における振替所得は対国民所得比八・八%と書いてある。また社会保険負担を七・三%にしてある。この目標値を達成する決意があるのかどうか、あとの新しい経済計画で。経済企画庁長官がおっしゃった五十一年から新しい経済計画をやるとおっしゃるから、この経済社会基本計画にある数字はちゃんと達成しますと、ここで言明してもらいたい。
○国務大臣(田中正巳君) できるだけ努力をいたしますが、正確に直ちにその数字に到達するということをいま申し上げることはやや早計かと存じます。
○小柳勇君 この目標が達成されても、現在の西欧諸国の水準の二分の一です。追いつくまで手順を示してもらいたいと言ったけれども、初めの数字すら、あなた何か自信がなさそうだから。どうなんですか、いま総理もおっしゃった、あるいは経済企画庁長官もおっしゃったが、わが国の社会保障は制度的には一応整備されておるが、内容的にはまだ未熟である。したがって、社会保障給付が現在は医療保障だけに偏重しておって、年金や児童手当、社会福祉の面がおくれている。こういう面で五十一年度うんとつけますとおっしゃったでしょう。だったら、いまの振替所得の数字ぐらいはちゃんと考えて、それでも先進諸国の半分ですよ。所得に対して社会保障が六・六%、イギリスが二二、フランスでも一二。半分でしょう。もう一回答弁を求めます。
○国務大臣(田中正巳君) 先生御案内のとおり、日本の振替所得の比率というのは、従来遺憾ながら先進諸外国に比較をいたしまして多くないのであります。もちろん、これについては計数のとり方についてもいろいろと問題があることについては先生御案内のとおりだと思いますが、とにかくそういう方向に向かって意欲的にこれを進めていこうということについては、私どももそういうつもりでございますが、やはりそのような目標に到達するためには若干の時間が必要であろうということを申し上げるほうが私は正直だろうと思いますので、慎重な態度で申し上げているわけであります。
○田中寿美子君 関連。 経済見通しやら、それからいろいろ経済計画を変更されるとしましても、振替所得を相当大きくしなければならないことは事実だと思います。 それで、総理に私お尋ねしたいわけなんです。三木内閣は低成長に切りかえたわけですから、ですから財源を見つけなければならないわけです。先ほど経済企画庁長官が、福祉優先のための経済にしていくためには予算の配分の問題、それから財源の調達、金融政策の運営、公共料金政策などいろいろあるとおっしゃいました。一昨日、私本会議で御質問しましたときに、総理大臣はほとんどお答えにならなかった。そして予算委員会で聞いてくれと言われたそうでございますので私お尋ねするわけなんですけれども、まず財源の配分を変えていかない限り、低成長のもとで福祉がはかられるはずはないわけなんです。 それで配分の場合に、まず私は列島改造計画に関連するような予算は一部中止すべきではないかということを言ったわけです。三木総理も大蔵大臣も四国の御出身で、ですから本四架橋のようなああいう予算、それから新幹線網、高速道路、そういったものの一部を中止または延期して、それを福祉のほうに財源として使うべきではないかということを申し上げたけど、お答えがありませんでした。 それから財源の調達では、たとえばことしの七十二国会では会社臨時利得税を設けまして、そして大企業がやたらにもうけたその超過利潤を吸い取るための税法を設けたわけです。それで千九百八十億がこの四十九年度補正予算には歳入として入っているわけです。そういうようなやり方を今後お続けになるかと言いましたら、これについてもお答えがない。それから七百十億の租税特別措置、たとえば利子配当分離課税のような、ああいうものの優遇をやめれば七百十億の減収がかえって収入になるではないか、こういうものを使わなければ低成長下での福祉経済はできない、振替所得を増していこうといったって、それはできないことではないかということを申し上げたわけなんです。これらを総理大臣にお伺いしたいし、一部大蔵大臣にも伺いたい。 それから公共料金政策では、経済企画庁長官は白紙で考えるということですが、これも私どもはストップして、その間に福祉型料金体系を考えてはどうか、公共料金は間接税と同じように逆進性を持っているから、だから低所得層には安くするというようなスライド制、たとえば東京瓦斯が一部ほんのちょっとやりましたね。ああいった料金体系を考えてはどうかということを申し上げたんですが、それもお答えがなかったので、総理並びに経企庁長官のお考えを伺いたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 財政の配分を変えていこうという以上は、たとえば御指摘になった四国・本土連絡架橋にしても、新幹線にしても、従来の計画に対して、これは計画が従来の計画どおりにはいかない。これに対して総需要抑制の見地から、こういう工事に対しては抑制的な態度をとることは当然でございます。 また税、このほうはいま税制調査会などでいろいろ検討をしておるようでございますので、大蔵大臣からお答えをいたすことにいたします。
○国務大臣(大平正芳君) 先ほど羽生委員からも関連質問でお話がございましたように、低成長下におきまして社会福祉財源をどのようにして発掘してまいるかということは、われわれの歳入政策の上から非常に重要な問題になってきておると思うのであります。したがって、歳出面の配慮等に劣らないエネルギーを私ども歳入面に払わなけりゃならぬということで、今回の通常国会に備えての用意にいたしましても、そういう角度からいろいろ検討をいたしておるわけでございまして、税制調査会にいま御相談をいたしておりますので、通常国会にまとまった姿で御報告をいたしたいと考えておるわけでございます。 それから、振替所得の問題でございますけれども、確かに御指摘のように、わが国は欧米先進諸国に比べまして、ただいまの段階で振替所得が総体的に少ないことは御指摘のとおりでございますが、しかし、最近の振替所得の増加率をごらんいただきますと、これまた先進諸国に比べて倍以上の速度でいま振替所得がどんどんふえておるわけでございまして、財政当局としては、このカーブについては非常な関心を持ち、また注意も払っておるところでございます。しかし、これをふやしてまいる上におきまして、それは田中さん御指摘のように、税の問題、あるいは社会保険負担の問題、同時に考えてまいらなければなりませんけれども、いまの段階、先進諸国に比べまして、三分の二あるいは二分の一程度の負担でいまわが国があるわけでございまして、そういった点も総合的に判断いたしまして、ベストな方法を案出してまいらなければならぬと考えておるわけでございます。申すまでもなく、仰せのとおり、歳入面に対する配慮というものについては一段の緊張を持って臨まなければならぬと考えております。
○国務大臣(福田赳夫君) 公共料金をきめるにあたりましては、お話しのように、低所得者階層への配慮、これはもう政府でその気になればきめられることでありますから、それはそういう配慮をいたします。いたしますが、これはもう技術的に限度がある問題で、そう、これであざやかに低所得者層が非常に優遇されましたというような、まあ実質的な結果というのは、そうたくさんは出てこないと思います。思いますが、公共料金は政府できめ得ることである、そういうことでありますので、技術的にできる範囲内において配慮してまいる、そういうことにいたしたいと存じます。
○田中寿美子君 本四架橋三本ですね、五十年度予算でもそれをお続けになるのでしょうか、それとも、それは中止あるいは延期なさるのでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) このプロジェクトにつきましては、今年度の予算の執行においてすでに契約を抑制いたしておりますことは御案内のとおりでございます。五十年度のいつごろになってこれを解除するかというようなことをいまきめておるわけじゃございません。来年度の予算の編成の過程でいま御相談中でございますけれども、こういう経済状況が続く中におきまして、本格的な着工ということは考えておりません。
○小柳勇君 防衛庁長官に質問いたしますが、高度経済成長の中で防衛費が組まれてまいりましたが、これから低成長に入ります。で、防衛費は変わらないのか、いままでの計画をそのまま延ばしていくのかどうか、大体GNPの何%ぐらいを考えておられるか。
○国務大臣(坂田道太君) 御案内のとおりに、経済事情がこうなりまして、艦船等の船価が非常に高くなって、今度の補正予算におきましても、護衛艦一隻それから潜水艦一隻四十九年に組まれておりましたものを中止せざるを得なかった、そういう事情にあることは御案内のとおりだと思います。しかしながら、四次防計画というものはまだ五十年、五十一年度ございますので、このままでまいりたいというふうに思っております。
○小柳勇君 ちょっとよくわからない。はっきり答えてください。
○国務大臣(坂田道太君) 第四次防の遂行につきましては非常に困難な面もございますけれども、しかし、まだ五十年、五十一年度の予算もございますので、四次防そのものを計画変更するという考えはございません。
○小柳勇君 大蔵省、どうですか。大蔵大臣、いま防衛庁長官の答弁では、このような低成長政策であるけれども四次防については修正の考えはないとおっしゃっているが、どうですか。
○国務大臣(大平正芳君) 一国の防衛計画でございますので、これを手軽に改廃するということは慎まなければならぬと考えております。しかし、防衛費もいまわれわれがとっておりまする財政抑制政策の例外ではないわけでございますので、四次防の実行にあたりまして相当御不自由をおかけいたしておることも事実でございますが、この根幹にいま手をつけるというようなことは考えていないわけでございます。
○小柳勇君 あと防衛問題は上田議員が質問しますから、私は、私どもが主張している、この補正予算でも予算を組みかえて社会福祉のほうに回すべきだという立場をとっておるので、いま質問したわけですから、具体的な問題は上田議員からあとで質問してもらいます。 そこで、いまの物価を押え、インフレを押えるために総需要抑制政策をとっておられるが、きのうの新聞にもありましたように、日商などは、たいへんではないか、きびし過ぎるから少し緩和したらどうかという意見すら出ておるようでありますが、この総需要抑制政策は今後どのように続けていかれるのか、お聞きいたします。総理から聞きましょう。
○国務大臣(三木武夫君) 物価が鎮静の方向にはあるといっても、まだ物価を突き上げていく要素というものはいろいろございますから、したがって、総需要抑制の政策は、このワク組みははずさない。しかし、その間において中小企業とか下請とか、こういう弱い立場にある人たちに対しては、きめこまかく実情に即した政策をとっていこうというのが基本的な考え方でございます。
○小柳勇君 経済企画庁長官、どうですか。
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま総理がお答えしたとおりでございます。
○小柳勇君 日銀総裁にも御足労願っておりますから……。 いまの総需要抑制政策を緩和せよという意見もございます。金融の責任者として日銀総裁はどのようにお考えでございますか。
○参考人(森永貞一郎君) 総需要抑制策の一翼として、昨年来金融引き締めを引き続き実施いたしてまいりましたのでございまして、昨今、その影響と申しましょうか、業種、地域等によりまして程度の差はございますが、不況感も相当浸透をしてまいっておることは事実でございます。しかしながら、一面、物価の状況を考えますと、ただいま政府から御答弁がございましたように、卸売り物価につきましてはやや鎮静化いたしましたものの、まだコストプッシュの要因がございまして、必ずしも楽観は許さないと思いますし、特に消費者物価につきましては、先進諸国中、対前年比において特にとっぴに高いという現状が続いておるわけでございまして、もうしばらく現在の総需要抑制、その一翼としての金融引き締めを継続して、一日も早く、もうこれで安心だというような物価の情勢を実現するのに努力をしなければならぬ段階であるというふうに考えております。
○小柳勇君 昨年の同期に比べて、都市銀行などは貸し出しも少し多いのではないか、言うなら窓口規制が少し緩和されていないかという懸念があるのでありますが、いかがですか。
○参考人(森永貞一郎君) 十−十二月に関する限り、年末資金等の要請もございまして、若干前期よりも増加したというようなことはございましたが、金融引き締めの基調としては、ずっと同じようなきびしさを継続をするという感じで実施いたしております。一−三月の問題が、目下検討中でございますが、その辺の勘どころも、やはり同じようなきびしさを継続するというような感じでおります。もちろん、数字といたしましては、いろいろ季節的な要因、あるいはその期中における特殊な需給関係等もございますので、それらの点は十分勘案いたさなければならないと存じますが、基調としては変えないということでまいりたいと存じております。
○小柳勇君 もう一問、日銀総裁に。 通貨価値の維持が日銀総裁の一番大きな使命ではないかと思うんです。かつて、一万田総裁のときは法王といわれておられたように記憶いたしています。で、政府の財政政策に対して何か懸念があれば、ずばずば言ってもらって、ちゃんと金融の面で国民生活を守ってもらわなければならぬと思う。前総裁がおかわりになるときに、四十八年のあの過剰流動性、その後あのドルショックの処理など誤りもあったというような発言があった。まことに私は心外ですが。で、今後もいろいろありましょう。政府が財政政策で、特に選挙前になりますと、おおばんぶるまいをやるようなことも、あるいはなきにしもあらず、そういうときには、日銀総裁はちゃんと通貨価値を維持するということで断固と自分の方針を貫いてもらわなければならぬが、御見解を聞いておきたいんです。
○参考人(森永貞一郎君) お話のごとく、通貨価値の維持、通貨価値に対する国民の信認の維持、これは日本銀行の最大の使命でございまして、私まだ就任早々で勉強が足りませんが、その辺を十分心得まして、通貨価値の維持に日銀に与えられましたあらゆる政策手段をタイミングよく活用して、職責を達成することに努力をいたしてまいりたい決心でございます。
○小柳勇君 次は、経済企画庁長官。 総需要抑制政策のほかに、さっき三点ばかり物価抑制策をおっしゃいました、これは小さい問題だったが。私どもは流通機構を調査したことがございます。青森のリンゴが現地生産されて、出荷組合を通って、トラックで遠く東京の中央卸売り市場から小売り現場に行くまで、さっき生鮮食料品のことをおっしゃいましたが、そういうものを詳しく調べて、たとえば一次卸、二次卸など、むだな金を捨てることはありませんから、そういうものを一応洗い直してみて流通機構を改善しなければ、いまの物価はおさまらぬと思うが、こういうことで詳しい調査をやられる決意があるかどうか、お聞きいたします。
○国務大臣(福田赳夫君) 流通機構問題は物価問題の、長い目から見まして非常に重要というか、これが一番大きい問題じゃないか、そういうふうに考えておるわけでありまして、これを急にいま、当面の三月までのとかあるいは来年の夏までのという、そういう即効的な着眼でなくて、少し長目の問題とする、この流通機構という問題が物価問題で最大の問題である、こういうふうに考えまして、私は特にこれは農林省関係の物資にそういう問題があるのじゃないか、そういうふうに存じまして、着任早々農林大臣にもその点お願いをいたしておるのですが、この上とも、これは物価問題の目玉である、長い目の物価問題の目玉である、そういう考えを持ちまして取り組んでまいりたい、かように考えます。
○小柳勇君 農林大臣に。 いまの同じ問題なんですが、たとえばリンゴとか、あるいはミカンとか、あるいは魚とか、生産地から消費地までのルートを調べて、どこかにむだな金を使うところはありはせぬか、お調べになったことがあるのかどうか。なかったら、早急にそういう調査態勢をとって詳しく調べてもらって、早急に物価安定のために対策を立ててもらいたいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) ただいま御指摘がありましたような流通対策、流通問題というのが物価対策上たいへん大きな問題であると思いますし、流通機構の改善というものは今後思い切ってやらなきゃならぬ、こういうふうに考えております。特に流通経費につきましては、人件費が非常に増大をした、あるいは輸送、包装資材等がたいへん高騰したという中で、非常に流通経費なんかが高くなってきておることも、これまた事実でございます。農林省としても、物資別には調査もしておりますし、その他市場の整備であるとか、あるいは産地との直結態勢を促進していくとか、コールドチェーンの促進だとか、いろいろと改善にはつとめておりますが、今後とも全力をあげまして流通対策を進めていきたいと思っております。
○小柳勇君 次は、独禁法の改正の問題でございます。 私どもは、常日ごろから、いまの物価を安定し、寡占体制をなくして、物が多かったら品物が安くなるのが当然なのに安くならない、こういう体制を変えるにはいまの独禁法を改正しなきゃならぬと主張してきました。総理は、何かきのう中曾根幹事長と会って、初めの発言からずいぶん後退したようなお考えになったようだが、その点、ひとつこの改正に対する総理の見解を聞きたいです。
○国務大臣(三木武夫君) 私もけさの新聞を見て驚いたわけですが、ああいうことが総理と幹事長とできめられるような段階ではむろんないわけです。なぜかといえば、独禁法改正に関する懇談会もやがて開かれようとしておるときに、結論が出てしまって懇談会を開くということはずいぶん失礼な話で、そういうことがきめられる環境でないということは小柳さんお考えになってもわかると思うんです。私の考え方というものは、やはり自由経済体制を守りたい。やはり民間の活力というもの——経済というものには民間の活力が要る。こういうものに対して統制経済のような形に日本を持っていきたくない。そうなってくると、どうしてもやはり公正なルールというものがなければ、自由経済体制が弱肉強食の体制になれば、これは何人といえども、そういう体制を国民は支持するものではない。だから、相当きびしいルールをしくことによって自由経済体制は維持できるんだ。したがって、公正な自由競争のできるような公正な企業の秩序というものが確立されなければいかぬ。そのことがひいては物価問題とか、中小企業、下請等に対しても保護するゆえんでありますから、したがって、独禁法の改正に対しては、相当幅広く、しかもきびしく考えておるということを申し上げておきたいのでございます。 きのうのあの新聞は、中曾根幹事長は幹事長として意見をいろいろ持っておるわけです。それはけっこうでございますが、総理としての見解は、いま申したのが私の見解でございます。
○小柳勇君 私どもは、いまの公取試案でもまだ不満なんです。社会党は独自の案を出しておるのでありますが、この新聞面からだけ見ますと、たいへんなことだと思います。したがって、公取委員長に御足労いただいておりますが、公取委員長の見解を聞きたいんです。
○政府委員(高橋俊英君) 私は、昨日各新聞記者の方から臨時に記者会見を求められましたので、もしそういうことが事実だとすれば残念なことであるという趣旨のことを申し述べましたが、いま総理の御発言によりまして——まあ私のほうの案に何もこだわる必要はないと思います。その点は私同感でございますが、これからせっかく内閣に相当な人たちを招いて御意見を聴取する、こういうことでありますので、その結果がどう出るか。私どもとしてはなるべくきびしいといいますか、ただ、きびしいという意味は、私どものほうから言いますと、実行ができないような、あるいは自由主義体制を脅かすようなというふうに誤解されているのですが、そうは思いません。私どもは、むしろ自由主義のもとで競争条件を整備するための必要な施策をやりたいということで出したのでありますから、決して自由競争自体をこわそうとか、あるいはそういうことに非常にきびしいたがをはめてしまうとかということじゃない。当然に必要だと思われる、たとえば総合商社の問題を含む持ち株制限、これは何か持ち株を持つのは自由だという考え方でやるのなら別です。しかし、もともとそうではないんです。そういう、資本金をはるかにこえるような持ち株をそのままほおっておいていいというものではない。また、非常に過大に大きくなり過ぎた企業、そういうものに対しての、ビヘービアというのは変わってくるわけでございますから、そういうものが、国民経済の均衡ある発展、民主的な発展に対して場合によっては公正な競争の阻害要因になる。そういう考えからこれを是正したいというのが本心でございますので、決して自由競争を、むしろこちらが否定するなどとはもう全然考えておりませんので、そういう点を十分御理解いただくことができていないということは、われわれの不徳のいたすところでございますが、これからせっかく政府がお取り上げになるということでございますので、これに私は十分期待をかけてよいのではないかと思っておりますが、しかし、すでに政府の側におまかせした形になっておりますので、その結果をお待ちするほかありません。
○小柳勇君 政府にも自民党にも独禁法改正の委員会ができたようでありますから、総理、いつごろ、次の国会にはお出しになるつもりですか。
○国務大臣(三木武夫君) この問題は重大な問題でございますので、懇談会なども各方面の見識、御意見を持っておられるような方々を御委嘱をして、国民の前でオープンにひとつディスカッションをしてもらいたい、そういうことで、そういう手続も経ますから、まあ二月中に成案を得て、三月に国会に提出したいというのが今日の予定でございます。
○小柳勇君 前々からの総理の見解と、けさの新聞の見解が違いますので驚いた。それは二、三日前に中曾根幹事長が、国民協会改組などいわゆる選挙資金の問題で財界と会っておられる。したがって、解散近しということで、おそらくこれは財界から圧力があったのじゃないかと思って心配したわけです。ところが、いま総理の話を聞きまして、その点は少し薄らぎましたが、総理は正直な政治を標榜しておられますから、ちゃんといま公取委員長も安心してこれから帰られますから、ひとつ改正案については、国民がほんとうに三木内閣、安心だと、政治に信頼を持ちますような改正案が出されますことを期待いたします。 次は、公共料金の値上げの問題です。経企庁長官、さっき田中委員に御答弁になりましたから蛇足でありましょうが、具体的にけさ新聞に出ていました。郵便料金、電話料金、酒、たばこ、塩、麦、その中で郵便料金は、これは政治的な判断だということを言われました。この政治的判断というのは一体どういうことであるのか、経企庁の長官の答弁と、それから郵政大臣の答弁を求めます。
○国務大臣(福田赳夫君) 私もことしの七月まで大蔵大臣をしておりまして、公共料金問題、これが財政の非常な圧力になっておるということは十分承知しておるんです。そういう状態の中で、昭和五十年度の予算の一環といたしまして、関係各省から料金の値上げ要求が出ておる状態でございますが、そういうことから、各新聞社でその問題を取り上げまして、あれもこれも軒並み値上げだというような風潮が世の中に流れておる。流れておりますが、そういうことになりますと、これは来年度の物価対策上かなり重大な問題じゃないか、そういうふうに考えておるんです。来年度は、何といたしましても消費者物価を年間一けた台まで持っていきたい。これは容易ならざることなんです。その容易ならざることを実現するために、いままで各省から出ておるその値上げ要求、これをそのまま取り上げるというようなことになったら、これは物価対策上重大なる支障がある。そこで私は着任当初から、この公共料金問題は白紙で検討する、こういうふうに申し上げてきておるわけでありますが、その問題を具体的にどういうふうな結論をつけるかということにつきましては、まあ新聞紙上ではいろいろ推測的な記事が出ておりまするけれども、まだ私どもといたしましては推測されるような材料は与えていないのです。ぼつぼつこれから予算委員会でも終わりましたならば具体化のための相談を始めたい、こういうふうに考えております。私の白紙であるという気持ちは、やっぱり公共料金が軒並み上がるというようなことになると物価政策が非常にむずかしくなる。そこで、できる限りこれをひとつ繰り延べるとか、あるいはあと回しにするとか、そういうような結論にいたしたいと、そういう気持ちで目下相談をし始めようとしておるということでございます。
○国務大臣(村上勇君) 数字的にはもう御承知のとおりでありまして、なかなかいまのままではやっていけないということは御承知のとおりでございます。郵政審議会の答申もいただいておりますので、これからどういうふうにやるかということについては、ただいま経企長官のお話しのように、来年度予算の編成に際しまして十分検討してまいりたいと、かように思っております。
○小柳勇君 次は運輸大臣に質問いたします。 物価対策では、人件費や、それから利潤の問題は再々論議されますけれども、貨物運賃の問題が十分論議されていない。私は過去二回予算委員会で論議いたしましたが、十分の時間がないものですから論議できませんでした。現在貨物輸送コスト約十兆円、鉄道運賃は約三千億でありますが、これは国会で論議いたします。ところが、その十兆円近くのトラック運賃その他はほとんど野放し、特に自家用トラックの場合は野放しです。これだけで大体七兆五千億くらいのものが野放しにされています。特に、いまトラック運賃があの二割引き、五割増しがなくなりまして、そして三〇%引き上げましたものですから、高級品が二割ぐらい安くなりまして、生活必需品が上がりました。そういうものがありまして、いまトラック業者も赤字ですね。この貨物運賃について野放しでなくて、たとえば西ドイツやアメリカのようにもう少し規制すべきであろう。そのためには十分の調査が必要である、そう思うわけです。この点について運輸大臣の見解を聞きたいんです。
○国務大臣(木村睦男君) 貨物の運送でございますけれども、小柳委員御承知のように、国鉄あるいは海上輸送、陸上トラック、このシェアから見ましても圧倒的にトラック輸送にかかるものが多い。大体五〇%近くはトラックで輸送しておる。したがって、物の値段が、生産、流通、販売という段階に分けてみまして、流通段階における物の値段に最も大きく影響を持っておるものがトラック輸送であるということは、御指摘のとおりでございます。 そこで、御指摘のように現在のトラック輸送の運賃、必ずしも野放しになっておるわけではございませんで、トラック輸送の形態からいいますというと、いわゆる運送業者として、貨物運送事業者として運送しておるものにつきましては、これは道路運送法で認可制、運輸大臣の認可になっております。しかし、そのほかに、いわゆる自家用トラックでございます、白ナンバートラックでございます。これは全く自家用ということでございますので運送事業として捕捉をいたしておりませんので、この自家用で物を運ぶ場合には、これが、生産者が持っておるトラックで自家用で運ぶ、あるいは販売者が持っておるものが運ぶというのはいいのですけれども、事業の免許を受けないで、いわば白トラックというかっこうでもっぱら輸送しておるもののトラックについては、これは運賃の認可はもちろんないわけでございます、違反行為でございますから。この点は、もう長年にわたって取り締まりということで強化をいたしておりますが、なかなかこれを押えていくということは困難でございます。ただ、営業トラックの運賃につきましては、実はことしの五月から九月の間にわたって、御指摘のように大体三〇%前後のアップをしたわけでございます。これは三年ぶりでございますが、しからば、この影響が物価にどうこたえるかという問題でございますが、いろいろ調査をいたしてみましておりますけれども、三〇%ぐらいのトラック輸送の運賃の高騰というものが、数字的には物価に対する影響という数値としてはあまり出ないのです。ただ、心理的に必ず影響があるということは私たちもはっきり認識はしておりますが、数字的にはなかなか出てこない、こういうふうな状況であるわけでございます。ただ、その認可をした運賃につきましても、そのときどきの需給の関係で、その幅を上回ったりあるいは下回ったりするようなことがございますので、こういうことはないように常に監査をいたして励行を担保しておる、こういう行き方で行っておるわけでございます。
○小柳勇君 労働大臣、午後に委員会があるようですから一問。 これは失業対策事業の賃金が、これもあとで総理に質問しなけりゃなりませんが、国民生活の一つの最低の基準になっているわけです。このようなインフレのところで、インフレの犠牲になっていますから、失対賃金の引き上げ並びにインフレ手当、あるいはいま一番心配なのは、もう年とった者は全部、失対事業すら追われるのではないかという心配があるわけですが、これらの点についての労働大臣の見解を聞きたいんです。
○国務大臣(長谷川峻君) 御案内のように、失対就労の問題については先生が非常に御熱心であるのに敬意を払っておりますが、この最近の物価高を反映しまして、私のほうでも負けないように逐次手当てをしておることも御承知のとおりでございます。なおさら、いまから先の問題については、この経済状況を反映しまして慎重に考えながら、前向きの姿勢で万々の措置を講じていきたい、こういう気持ちであります。
○委員長(大谷藤之助君) 午後一時まで休憩いたします。 午前十一時五十六分休憩 —————・————— 午後一時七分開会
○委員長(大谷藤之助君) ただいまから予算委員会を再開いたします。 午前に引き続き、補正予算三案に対し質疑を行ないます。小柳君。
○小柳勇君 総理に質問いたしますが、このインフレ、高物価ですべての国民が犠牲になったと思うのですけれども、総理はこの実態、いわゆるインフレの犠牲者はだれだと考えておられますか。
○国務大臣(三木武夫君) インフレの犠牲者というものは非常に広い範囲内にあるでしょうけれども、やはり弱い人、一番弱い立場にある人たち、あるいは生活保護世帯であるとか、心身障害者であるとか、あるいは母子家庭とか、年金の所得者であるとか、そういう人たちは一番インフレの影響を受ける。それから一般の賃金生活をされておる人も、ベースアップはやっておっても実質的な賃金は少なくなるわけですから、それはやっぱりインフレで利得する人というよりも、インフレの犠牲者というものは非常に広範に広いと、こう考えております。
○小柳勇君 先般の書記長、幹事長などのテレビ対談で自民党の幹事長が、低所得の人も苦しいけれども、大企業もお手あげ寸前ですよと言われたということばを聞いた国民の中から、自民党の幹事長というのはそういう感覚であろうかという電話がたくさんかかってまいりました。大企業もたいへんです。もちろんそう思います。しかし、その大企業の犠牲以上に低所得階層は、なまで、もろに被害を受けておるわけです。したがって、これからインフレの犠牲者をどう救済するか、政府は緊急措置としてどうするか。 恒久な措置は午前中に質問いたしました。これからの日本の経済計画の中で福祉優先の政治をやっていただかなきゃなりません。このインフレの緊急対策として一体どうするか、このことを質問するわけですが、先般、国民生活審議会の総合部会が中間報告を出しました。これは十一月二十七日でございます。物価上昇下の分配などのひずみ是正策について中間報告をしておられますが、政府はこれをどう受けとめ、どう措置されていくのか、まず経済企画庁長官からお聞きいたします。
○国務大臣(福田赳夫君) ただいまの中間報告は私もつぶさに拝見をいたしました。考え方としてはまことにごもっともな考え方で、この際こそ、小さい立場の人、弱い立場の人、そういう人の立場を考えなきゃならぬ、そういうふうに思います。一番問題は、やはり財政の配分の問題だろうと思うんです。さしあたって昭和五十年度予算の編成という問題と取り組もうとしておる、こういう際でありますので、これではとにかくそういう方面に強く傾斜をかけた予算編成にすべきだと、こういうふうに考えております。 なお、同中間報告におきましては、預金の目減り問題、これを提起しておるわけでございます。これはしかし技術的に非常にむずかしい問題がある。私も大蔵大臣といたしましてずいぶん考えてみたんですが、考え方のきまらない段階で職を辞すると、こういうことになりましたが、一番大事なことは、やっぱりもうなるべく一刻も早くインフレの状態をなくすということに尽きるわけですが、その間、どういう目減り対策というものが考えられますか、いま、まだ私も全体の金融財政政策の中でどういうふうにするかということにつきましては具体的な結論を得ておりませんけれども、なお名案があったならばなあという気持ちで考えてみたいと、かように考えます。
○小柳勇君 大蔵大臣に質問いたしますが、例年、各省庁から出る予算、当然増など平均二五%増でひとつ各省は出しなさいというような編成のしかたですけれども、ことし、こういうような緊急事態では、当然増でも、ある省は削って、そしていま総理がおっしゃいました犠牲者へ回すぞという、そういう編成のしかたをしなければならぬと思うが、いかがでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのように、各省庁から概算要求される場合に、原則として当年度の予算の二五%以内の範囲内において御要求をいただきたいということにいたしておりますけれども、しかし、これはまず人件費を含んでおりません。それから、福祉予算につきましては二五%のシーリングに関係なく御要求あってしかるべしということでお願いをいたしたわけでございます。いま鋭意査定中でございますけれども、いまの事態にかんがみまして、予算のつけ方につきましては十分配慮していかなければならぬと思っております。
○小柳勇君 厚生大臣に質問いたしますが、この中間報告を大体考えますということで予算を組んだとすれば、当然増のほかにどのぐらい予算があればいいんですか。
○国務大臣(田中正巳君) 計数については、いま正確に存じておりません。必要があれば政府委員から説明をいたさせます。
○政府委員(翁久次郎君) お答えいたします。 ただいま正確な数字は手元にございませんけれども、おおむね三〇%程度と存じております。
○小柳勇君 答弁にならない。委員長、答弁にならない。私の質問を聞いていなかったのかな。
○委員長(大谷藤之助君) もう一度おっしゃってください、時間外にしますから。もう一ぺん小柳君から、時間外にしますから……。局長、よく聞いてください。
○小柳勇君 ことしの十一月の二十七日に、国民生活審議会総合部会が政府に対して中間報告を出しています。物価上昇下の分配などのひずみ是正策について、この中には、たとえば社会保障制度の物価上昇への機動的対応、必需物資への補助制度の検討、物価調整減税の必要、逆所得税減税制度の検討、金融資産におけるひずみ是正、これは大綱ですけれども、中に詳しくいろいろあります。これはあとでまた質問していきますが、こういうものを中間報告として政府に報告をしています。 私はいま緊急的なインフレ対策を論じておりますが、このように、政府に対して委員会が貴重な時間をさいて権威ある人が答申なり勧告なり出したら、政府はこれを直ちに検討して、これを施策に入れるぐらいの配慮がなければ審議会は無意味ではないかと思う。私は毎回それを思います。たとえば社会保障制度審議会が七年前に佐藤総理に勧告を出した。それすらまだ今日ほとんど実現していない。これだけのりっぱな中間報告が出たら、厚生省としては、大部分厚生省関係ですから、担当大臣や局長がこの概算を計算して、このくらいの予算が必要だということを計算すべきだと思っているわけです。したがって、それを概算、当然増のほかにどのくらい要るのでしょうかと聞いているわけです。
○政府委員(翁久次郎君) お答え申し上げます。 内容によって積算をいたすわけでございまして、ただいま私が三〇%程度と申し上げましたのは、厚生省の社会局関係のことでございましたので、全体の積算につきましては後刻数字をもって御説明申し上げたいと思います。
○小柳勇君 社会局だけではこれは解決しない問題でして、ただ、当然増でも三〇%ぐらい要りますから、そのほかにもっと要るわけですから、社会局分は概算しておいてください。 そこで具体的に質問いたします。 いま経済企画庁長官が預金の目減りをおっしゃいました。いま四十八年度で一世帯大体二十一万ぐらい目減りをしておると国民生活白書は言っています。国民全部にいたしますと、二〇%物価上昇として八兆四千億の減価、逆に今度は法人のほうは、利子を八%として六兆四千億円の債務者利益、こういうものがありましたら、何らかの方法で、たとえば富裕税を設置するとか、何らかの方法で調整すべきではないかと考えるわけです。経済企画庁長官と大蔵大臣、もう一度お聞きしておきたい。
○国務大臣(福田赳夫君) お話の趣旨はもうよくわかるし、私もずいぶんこの問題では頭を悩ましてきたわけでございますが、何せこのインフレ下におきましては、貨幣資産を持っている人が損をする。その貨幣資産の中で預金者だけをというわけにもいかないです。じゃ貨幣資産を持っている人全部にどういう措置ができるか、こういうことになると、これはなかなかむずかしい問題なんです。ですから、そういう種類の問題を考える場合におきましては、考え方といたしましては低所得階層の貨幣資産だと、こういうようなとらえ方をしなければならぬだろう、こういうふうに思うわけであります。 さて、そういうようなことを考えた場合に、金融政策としての整合性というか、その中で特定の低所得階層のたとえば預金につきまして、その預金だけをピックアップするという技術的な非常に困難な問題があるわけであります。それから、一体そのための負担財源をどうするか、こういうことになりますと、これをまた一般の税でまかなうというのもいかがだろうか。そこで今度は貸し出しの金利という問題にもなってくるわけで、貸し出しの金利をそれだけ上げるか、こういう問題にもなってくる。その貸し出しの金利を、これは全般的に上げるわけですから、その全般的な金融——今度は債務者ですね、全体の負担でやるということが一体いかがであろうか、こういう理論的な問題もありまして、なかなかこれはむずかしい問題なんです。しかし、非常に少額な零細な貯蓄者の目減りということを考えますと、これまた深刻な問題でありますので、あきらめないで、なおいろいろ考えてみたいとは思っておりますが、非常にこれはやっかいな理論的にも技術的にもむずかしい問題があるんだということだけは御承知おき願いたいと思います。
○小柳勇君 次は、いま低所得者をおっしゃいましたから、国民生活の最低生活基準というものは一体どうかと、この前の予算委員会でも質問いたしました。そこから発想をして、インフレの犠牲というものをちゃんと底上げをするという発想を持っていきませんと、全般的な、大企業だっていま困っているよということになるわけです。総理に質問いたしますが、国民の中で最低生活というものは一体どういうところであろうか、お聞きいたします。
○国務大臣(三木武夫君) 非常にむずかしい御質問だと思うんですが、というのは、憲法二十五条でしたか、健康にして文化的な最低生活ができる権利を国民が持っている。また引き続いて、そのために社会福祉、社会保障、公衆衛生の向上につとめなければならぬというわけでございまして、結局どこがどういうところかということを数字的に、数量的に言うことは困難でございます。一般に考えられる人間らしい生活ということで、絶えずいま言ったような社会福祉とか、社会保障とか、公衆衛生の面でわれわれは向上して、人間らしいと考える生活の水準を高めていくために努力をするよりほかない。ここで計量的に言うことは非常に困難なことだと思うのでございます。
○小柳勇君 この前の予算委員会では、田中前総理が、生活保護家庭及び失対労働賃金というものを一応最低のレベルと考えますとおっしゃいました。しかし、それよりもっと、生保すら受けていない人もいるわけです。あるいは年金給付も受けていない人もいるわけですね。そういう人もあります。したがって、一応そこに基準を置きまして、生活保護基準というものはいま低過ぎる。たとえば国民一般世帯の第一十分位、一番最下の生活階層に比べまして、統計をとりますと、いま六五%ですね、生保は。したがって、この生活保護基準を引き上げるということをきのう御答弁があつたようでありますが、もう一度厚生大臣からお聞きいたします。
○国務大臣(田中正巳君) 生活保護世帯については、現下の社会情勢並びに政府の方針を体しまして、できる限りこれを引き上げるようにいたしたいと思っておりまして、近く明年度経済見通しが出ますので、これを勘案いたしまして意欲的な予算要求をいたしたいというふうに思っております。
○小柳勇君 経済企画庁長官に。公共料金の引き上げ云々を論ずるときに、これが消費者物価に何%影響するかということを一応論じるのですけども、低所得階層、生保などは、公共料金だけで生活費の約四割五分ぐらい出しているわけです。そうしますと、公共料金がたとえば千円上がりますと、千円だけ電気代を減らすとかガス代を減らすという生活ですね。だから、公共料金の値上げというものをCPIに対する影響だけで論じてはならぬ。その最下層の人たちのことを考えたら、ほんとうに百円上げることでもたいへんだと、まずそれが一つ。 それから、いまの生保の引き上げは、少なくとも第一十分位の最低層といわれる人たちのところまで早急に引き上げるべきである、そう考えますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) 最低の生活水準につきましては、いま総理がお答え申し上げましたように、これはそのときどきの社会の経済水準、文化水準、そういうもので変わってくると思うんです。ですから、これは数字的に一がいに言えませんけれども、いまわが国が制度的にとにかく最低生活は保障しようという考え方でとっておる制度は、生活保護、これが最低生活を保障するという意味合いを持ちましてとられておる制度である。しかし、その最低生活を、経済の発展とともにその水準をだんだん上げていくということにつきましては、文化国家日本として、なおさらにさらに努力しなければならぬだろうと、こういうふうに思います。 それからインフレといいますか、物価上昇が国民に及ぼす影響、これを考えてみますと、やっぱり小さい弱い立場の人に非常に大きくこれはのしかかるわけであります。ですから、私はインフレは社会の敵であると、こういうふうにも言っておるわけでありますが、そういう中におきまして、とにかく公共料金をどう見るか、これも上げるという問題ですから、上げる影響がやっぱり弱い人、小さい立場の人によけいのしかかっておる、これは私は否定できないと思うのです。ですから、公共料金を引き上げる——私はいまでき得るだけ、この物価情勢のむずかしいときでありますので、引き上げないようにしたいなあという考えを持っておるんですが、まあかりに引き上げるという考え方をとった場合におきましても、技術的にでき得る範囲内において、低い所得階層の人、これらの人々への影響、これに対しましては配慮しなければならぬと、そういうふうに考えております。
○小柳勇君 私のほうでは、この低所得階層の人たちの世帯で、実質の中で公共料金がこれだけ上がったらどれだけ影響するかを調べた資料がございますから、経済企画庁もそういうかちっとしたものを調べてもらいたいと思います。 それからあと総務長官に質問いたしますが、まあ再々、六回私ここで取り扱いますが、公的年金の総合調整についてはその後どのように前進しておるか。
○国務大臣(植木光教君) 小柳議員からいろいろ御指摘をいただいております各種の公的年金制度でございますけれども、これはその目的あるいは沿革等につきましてそれぞれ相違がございますし、また、財源の調達方式、あるいは給付のしかた、これも区々にわたっております。したがいまして、これを総合的に総合調整をするということはたいへん困難なのでございますけれども、不均衡、不合理があるということは、これはもうはっきりいたしております。したがいまして、整合性のとれた体系をつくり上げますために、ただいま努力をしているわけでございます。具体的には、御承知の調整連絡会議におきまして、非常に重要な問題でございます遺族年金及び障害年金に関しまして、資格期間の通算の問題についていま具体的に取り組んでおります。その他の問題についても、できるだけ具体的に整合的な体系を整えますように努力をする次第でございます。
○小柳勇君 衆議院でも相当論議されておるようでありますから、先に進みますが、総理に申し上げたいのは、先進諸国がそうでありますように、とにかくもう晩年は年金で食える体制、そういうものが一番望まれると思います。そういうことで、厚生大臣も意欲的でありますから十分配慮してもらいたいと思います。 もう一つ老人問題でございますが、厚生大臣、老人問題に対して基本的にどうお考えか、お聞きいたします。
○国務大臣(田中正巳君) 老人問題については、老人福祉法の第一条にありまするように、老人というのは過去においてわが国社会を形成した功労者であるという敬愛の念をもって臨むのはもちろんでございますが、さらに現在の社会情勢が、核家族化等に見られるように、いわゆる老人あるいは親を保護するというか、めんどうを見るという気風が薄れてきているという現実の事実を踏まえ、今後ますますこれについては施策を厚くしていかなければならないものというふうに思っておる次第であります。
○小柳勇君 これは総理に質問いたしましょう。 いま寝たきり老人が三十六万人ばかりいらっしゃいますが、その中で約一割ぐらいは特別養護老人ホームに入られています。入りますと、国が大体平均五万円ぐらい、これに費用がかかります。いま残りました三十四、五万ぐらいの方は御家族がめんどうを見ているわけです。その御家族に、この寝たきり老人に対して介護手当が出せないものであろうか、検討する価値がないかどうか、お聞きいたします。
○国務大臣(三木武夫君) 寝たきり老人の立場というものはたいへんにお気の毒だと思います。そういうことがやはり将来検討すべき課題だと思いますが、厚生大臣からこの点はお答えしたほうがもっと具体的だと思います。
○国務大臣(田中正巳君) 寝たきり老人に対する介護手当の問題については、私どもも真剣になって検討をいたしております。しかし、これは率直に申しまして、寝たきり老人というのはわれわれの推計で大体三十二万人ほどおられるということでございますので、これに月一万円介護手当を支給するということになりますると、直ちに新しい歳出増が三百六十億出てくるというような事実もございます。そこで、率直に言うてなかなか踏み切れないでおるというのが私どもの悩みでございますが、今日までは先生御案内のとおり、特養——特別養護老人ホームを増設したり、あるいは老人家庭奉仕員、介護人の派遣等いろいろやったり、あるいは寝たきり老人についての老人医療の年齢を引き下げたり、そういったようなことでやっておりますが、お尋ねの件については、今日そういう財政負担等々の面を踏まえましてにわかに踏み切れないでおるというのが現実の姿でございます。
○小柳勇君 いまの問題、前向きに御検討願いたいと存じます。特別養護老人ホームをつくるのはなかなかたいへんです、いま物価が上がりまして。したがって、介護手当のほうを実現できますように希望いたします。 次は中小企業対策でございます。中小企業の皆さんは、大企業の減産、操短でたいへん困っていますが、金よりも仕事だという声がいま出てきている。通産大臣、その中小企業がいまこういうような情勢であります。金よりも仕事だという声もありますが、何か方法はございましょうか。
○国務大臣(河本敏夫君) お話のように、中小企業の対策としてはいろいろありますけれども、当面の問題といたしましては、資金を十分確保するということ、あわせて、いま御指摘のように仕事を確保していくということ、これが何よりも大切だと思います。そこでいろいろ考えておるわけでございますが、一つには、官公需の仕事をできるだけふやしていこう、こういうことで指導をしております。それから第二は、親会社が不況になりますと仕事が減るわけですが、下請のほうへ回す仕事を急激に減さないようにいろいろ指導をしております。その他いろいろ考えておるわけでございますが、何ぶんにもこういう不況が激しいものですから、中小企業関係で仕事の面で非常に苦慮しておられる。いろいろ対策を考えておるところでございます。
○小柳勇君 いまおっしゃったような通達は中小企業庁から出ておりますが、大企業が操短いたしますと、なまでそのままいくわけです。通達が完全実施されますようにひとつ御指導願います。 それから、政府関係の三金融機関で金を出しますと、今度は大企業のほうが手形延伸をいたします。したがって、回り回って、あの政府三金庫の金は大企業のほうに恩恵を与えています。これを、下請代金支払遅延等防止法の活用など、もっと十分に適用してもらわなければなりませんが、公取委員長からこの点に対する見解を聞きます。
○政府委員(高橋俊英君) 私どものほうでこの下請代金の支払い状況を調査しております。それによりますと、大企業が自分で操業短縮した、その結果が下請にいろんな倒産などの現象を生じる、これはどうしようもないんです、下請代金支払遅延等防止法というものは限定された範囲でございますから。それの関係で見ると、支払い遅延の傾向は若干ふえている。それは確かでございますが、あまり予想されたほどふえていないんです。ですから、大体私のほうで書面でまず調べるのが年間一万件で、四月から十一月までで七千八百件調べておりまして、下請のほうも一千件以上調べております。それらのうちで、措置を要すると、つまりこちらの基準を守っておらないものというものが昨年の同期に四百六十七件であったのが、ことしの同期、つまり十一月までの段階においては四百九十二件でございますから、若干ふえております。ふえておりますが、少なくとも何とか操業をしている限りにおいて、下請代金そのものを非常に引っ張って、金融のしわを下請に寄せているという傾向はあまり著しく認められない。その点は、協力団体を私のほうで約五十指定しておりますが、それらのものとの会合によって最近聴取した結果においてもあまり大きな悪化の傾向は見られない、こういうことでございますので、今後とも十分監視を続けてまいりたいと思います。
○小柳勇君 通産大臣、質問いたしますが、いまの問題と、それから中小企業振興法がありますが、振興協会など人間もいませんし、やっぱり十分活動できませんね。いまのこの緊急事態における中小企業に対してはどういう施策をやられるか、お聞きいたします。
○国務大臣(河本敏夫君) まず、基本を申し上げますと、やはり近代化と経営改善のために思い切って資金を投入していく、これが基本だと思います。しかし、当面急を要する仕事等もたいへんだくさんございますので、いま御指摘のように、各地に振興協会というのがございますが、ここにいろいろ下請関係の仕事がスムーズにいくようにいろいろ行政指導しておるところでございます。
○小柳勇君 また商工委員会で論議いたしますが、近代化、合理化のほうも少し考えを変えなきゃならぬのではないか。いまの個人個人、個別個別を。一番問題は金ですね、運転資金とか。もう諸外国も法律もあんまりありませんし、とにかく金で中小企業を守ってますから、あんまり近代化など、合理化とか言わぬで、やっぱり金をスムーズに動けるように、そのことをもう少し検討してみたいという、これは商工委員会でやります。 次は、鹿児島県の特産であります大島つむぎが、最近韓国から逆輸入して、そうして、たとえば一反三十万ぐらいするのが十万ぐらいの値で売っている。しかも、原産地表示しないまま税関を通ってくるわけですが、この問題に対する通産大臣と大蔵大臣、それから、まあ通産大臣から聞きましょうか。
○国務大臣(河本敏夫君) 大島つむぎの問題は非常に深刻な問題になっております。御案内のように、大島における非常に大きなウエートを占めておる産業でございますが、韓国からずいぶん輸入品として入っておりまして、そのために大きな打撃を受けておるわけでございます。いまとっております対策といたしましては、金融面でいろいろとりあえずめんどうを見ていくということのほかに、韓国政府といろいろ話し合いをして、あまり大量の輸入というものを少し自粛してもらうとか、あるいは現実にこの窓口になっております商社等ございますが、ここを指導いたしまして自粛を促すとか、情報をそのつど交換をして正確な輸入の状況を知るとか、いろいろ対策をやっておるんですが、何ぶんにも値段が相当安くて、しかもこれまでは韓国製という表示がきわめてあいまいであったと、こういう点で非常に悪い影響があったと思うんです。ですから、この表示の面をいろいろ指導をいたしまして、まぎらわしき表示をしないように、いまやかましく言っているところでございます。
○小柳勇君 外務大臣、いまの問題、輸入規制ができませんかね。
○国務大臣(宮澤喜一君) 先般繊維の国際取りきめをいたしましたときには、御承知のように、絹織物を対象にいたしませんでした。これは、当時わが国としては実は絹織物を含めるということが、正直申して国益に合わなかった関係でもあったわけでございます。したがって、あの取りきめの対象にはなりません。そういたしますと、一般のガットの規定ということになるわけでございますけれども、御承知のように、ガットそのものが発展途上国からの輸入については特別な、むしろ先方に有利になるような運用をしろというような精神でできておりますので、ガットの規定そのものから申しますと、そういうことは本来ではない。また、それを離れまして、わが国自身の発展途上国との関係等々から申しますと、そのような取りきめを結びますことがいかがなものであろうか。ただいま通産大臣の言われましたように、虚偽表示あるいは原産地の表示を国内へ入りましてからとってしまうというようなことが実際にあるようでありまして、そうなりますと、そういうほうの処置、あるいは先般国会で成立をお認め願いました伝統産業の育成というような法律もございます。そのような国内措置でやっていただければそれが望ましいというのが外務当局としての考えでございます。
○宮之原貞光君 関連をして通産大臣にお尋ねしますけれども、さっき表示の面で厳重にしたいというお話があったのですが、最近向こうから来るのはいわゆる表示をされてない、無表示のものが来るんですよ。そうすると、公取委のほうでは無表示の問題はどうもできない、こういう形で、国内に無表示で来てから、そこにいろいろなものを織って出すというような形で出ておるために、非常なしわ寄せを受けている。したがって、この無表示のものをどうするかということをきちんとしない限りは、あなたがいま答弁されたように表示の面で厳重にということは、これは空文になるんです。したがって、その点をどうお考えですか。
○国務大臣(河本敏夫君) お説のように、確かにそういうことがあるんです。部分的に織らないで、それを国内に入ってから織る、そうすると表示が出てくると、こういうふうなことがございまして、実はその問題に対しましてはどうすべきかということにつきまして目下検討しておるところでございます。
○宮之原貞光君 検討もけっこうですが、それは早急に結論を出していただくということをお約束できますか、どうですか。
○国務大臣(河本敏夫君) 早急に結論を出します。
○小柳勇君 これは商工委員会の問題でもありますから、大手商社が陸揚げしなければそういうことはできないんですから、今後そういう実態があれば、国会にひとつ大手商社の代表に来てもらっていろいろ聞くことにいたしましょう。そういうことでひとつこの問題は政府と一体となってやることにいたします。 次は、公務員給与と地方財政の問題に入ります。 公務員給与の問題はもう衆議院でも相当論議されておるようでありますが、人事院勧告が早く出たのにかかわらず今日までこれが実施できない、そのために相当公務員の人は生活がマイナスになっている。この問題に対しては将来もありますから、総理から見解を聞いておきたいのであります。
○国務大臣(植木光教君) ただいまお話しのとおり、七月二十六日に人事院の勧告がございました。当時国会が七月二十四日から三十一日まで開かれていたわけでございますが、三十日の給与関係閣僚会議におきましていろいろ論議がされましたが、何ぶん高額、高率な勧告でございまして、財源の問題、あるいは行政事務の簡素合理化の問題、あるいは既定経費の節減の問題等いろいろな問題がございましたために、何回か関係閣僚会議が開かれまして、十月二十二日、完全実施ということになって今国会に提案をされたわけでございます。お説のとおり、勧告の時期と改定の時期が非常にあいておりますので、その間の問題につきましては、私どもといたしましても非常に長い時間がかかったということについて、残念であり、遺憾に存じております。私どもといたしましては、できるだけ早期に人事院勧告が、法定主義でございますので、国会にかけられなければならないわけでございますが、国会において処理できますように今後努力をしていかなければならないと存じます。 なお、目減りの問題についてもいまお話がございました。これは公務員の皆さんの心情を私ども十分理解をいたしておりますが、全国民的な問題でもございます。ただいま政府は総理を中心といたしまして物価作戦を展開中でございます。全国民的な立場でこの問題を処理していかなければならないと存じます。いずれにいたしましても、勧告が行なわれました際に、それを早期に処理していくというための努力を今後続けてまいりたいと存ずるのでございます。
○小柳勇君 自治大臣に質問いたしますが、インフレによりまして地方財政がたいへんもう逼迫しています。この対策をお聞かせください。
○国務大臣(福田一君) 御案内のように、地方財政はその財源として、地方税、それから交付税、それからまた公債、地方債、こういうものを中心にして財源措置をとってまいっておるのでありますが、まあインフレその他の状況がございましたので、今度の補正予算におきまして御案内のような特別の措置をとりまして、そうしてそれが地方財政の運営に支障のないように努力をいたしたつもりでございます。
○和田静夫君 関連。 自治大臣、いまちょっと具体的に一、二聞きたいんですが、「昭和四十九年度地方財政措置について」、これは自治省が出されたものです。この中で「不交付団体分の二千百七十億円については」云々という形で若干の算式があるんです。この中で、結果的には九百十億円について所要の措置を講ずるというふうに書いてあるわけです。そこで、この道府県の不交付団体というのは、いま四団体あるんですが、再算定によって一体道府県の不交付団体というのは減るんですか。このことが一つなんです。 それから、財源の超過額が著しく減ると予想される団体と、こうあるわけです。これは一体具体的には何県がこれに該当をするというふうにいまお考えになっているわけですか。 さらには、「当該団体の財政状況を勘案のうえ、所要の措置を講ずるものとする。」、これは例年の書き方とずいぶん違うんです。例年ならば、ここでたとえば地方債で、あるいは臨時特交などでという形で、やや具体的な記述があるんですが、今度の場合はそれがないわけです。そうすると、「所要の措置を講ずる」といわれますが、具体的にどういう方法を考えられているのか。私は地方債をもって措置するというふうにこれを解釈をいたしますが、そう理解をしておいてよいのですか。
○国務大臣(福田一君) ただいまちょっと質問の先のほうがあれだったんですが、不交付団体の問題でございますね。不交付団体につきましては、当初において財源が十分にありますところには交付税は与えないという方針をとっておることは御承知のとおりでございますが、まあ東京とか大阪とか、その他ございますけれども、ただいま御質問のうちで、まあそれで非常に影響を受けたところはどの県であるかという御質問でありますが、これはまあ神奈川などがその一つではなかろうかと考えておるような次第でおります。 で、適当な措置ということにつきましては、私は、財源はそういう、いま申し上げましたようなことでございますから、場合によっては公債ということも考えられないわけではございませんけれども、これもいろいろの制約もございますからして、その点も十分勘案して具体的な問題として処置をさしていただきたいと思います。
○和田静夫君 もう一言だけ、よろしいですか。 たとえば昭和四十六年の例を見ますと、財源不足を補う場合の地方債の拡充というのは、地方債の充当率を引き上げる、こういう形なんですね。この起債の増額に対応する一般財源を税をもってまかなうべき使途に振り向けるというやり方、これは自治省のことばなんですが、こういうやり方をしていたわけです。したがって、今回もそれと同様だと私は理解をしているんですね。ここのところはたいへん不明確なんですよ。したがって、大臣からここ一言、そのとおりだと、こう答えておいていただきたいのですがね。
○国務大臣(福田一君) その点は政府委員から答弁をいたさせます。
○政府委員(山下稔君) 財源超過団体につきましての財源対策につきましては、財源超過団体の給与算定後におきます財源超過額が前年度の財源超過額に比べて著しく減少するというような状態の場合には、地方債をもって財源措置をいたしたいというふうに考えておりますが、地方債で適債事業を充当することによりまして間接的に給与財源対策になるというふうに考えておるわけでございます。
○小柳勇君 次は農林大臣に質問いたします。米作のつもりで干拓をやりまして、最近米作を全部やめまして、稲作をやめて、イグサや野菜をつくらしておる。これは熊本県の横島干拓四百七十九ヘクタール、三百二十戸ぐらいがもう手をあげている。米作農民だから生産意欲がなくなってしまっている。八郎潟も半分は稲作にしたようでありますが、この際全部稲作にすべきであると思うが、いかがですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) お答えいたします。 米の生産が需要をはるかに上回っておるという、過剰生産の基調がくずれておらない今日の段階でございますので、干拓につきましていま直ちにこれを変更して稲作に転換するということは、現在は考えておりません。
○小柳勇君 いまの問題は農村のたいへんな、もう生きるか死ぬかの命がけの要請ですから、またあとで話します。考えておいてください。 次の問題は交通問題、最後の問題ですが、一つは排気ガスの規制の問題。中公審の答申がいかがなるかわかりませんが、国民世論としては、この際排気ガス規制をやってくれと、こういうことですが、政府の考えをお聞きしたいです。環境庁長官。
○国務大臣(小沢辰男君) 自動車排出ガスの五十一年規制につきましては、非常に重要な問題でございますので、私どもは中央公害対策審議会がいままで以上に慎重に検討をしていただくことを期待をいたしたところでございますが、御承知のとおり、通例でございますと大気部会だけで会長の答申にかえる慣例になっておりましたものを、会長も、これだけ国民的な重大な関心事の問題であるから、特に総会を開かれまして各方面の意見を聞かれまして、さらにその結果を総合部会という部会におかけになりまして、なお慎重に審議しようと、こういう態度をとっておられるわけでございます。したがって政府としては、中公審の答申が出ました上は、この意見を十分尊重いたしまして、今後の態度、方針をきめてまいりたいと、かように考えております。
○小柳勇君 これは前の運輸大臣が閣議に報告された要旨ですけれども、非能率的な車を全般的に押えて、もっと効率的な輸送体制をつくる、その中でガス規制なども考えるということでありますが、私も賛成でありまして、たとえばマイカーですね、マイカーなどで不要不急の車もあります。だから、一つの案ですけれども、たとえば営業車以外のマイカーは、奇数日は奇数番号とか、偶数日は偶数番号とか、もう文句なしに規制できるように総量規制をこの際やるべきではないか、そう思うわけでありますが、運輸大臣いかがでしょう。
○国務大臣(木村睦男君) たいへん着想としては私も前々から興味を持っておる着想でございます。総量規制の問題につきましては、交通混雑緩和という面と排気ガスの規制の効果をあげるという面と両方あるわけでございまして、実は総量交通規制のほうの必要性が先にありまして、すでに東京とかそういう大都市におきましては、たとえば線区別に、あるいは車種別に、時間別に部分的な規制はやっておるわけでございますが、結局マイカー等の規制は、他にかわる大量の高速の交通機関、たとえば地下鉄であるとか、モノレールであるとか、あるいはバス運行であるとか、こういうものの輸送力の増強、これを片方において保障しながら規制をしていかなければなりません。しかし、それはすぐの間には合いませんので、とにかく総量規制のためにマイカーをどうやって規制したらいいかということ、いろいろな方法を検討しておりますが、いま御指摘の点も非常に興味ある問題として検討を続けていきたいと思っております。
○小柳勇君 現在、日本で二千六百万台車が動いておりますが、その中で九六%が白ナンバーで、自家用車なんです。四%が青ナンバーということで、特にトラックの場合も、青ナンバーの十五倍白ナンバーが走っているという状況です。運輸省としては、総合交通体系を確立する段階で、この車についてももう少し先進国並みに配置できるように考えてもらいたいが、いかがでしょうか。
○国務大臣(木村睦男君) この問題につきましては、われわれも同じような外国の都市の交通規制問題も参考にしながら検討してまいっておりますので、小柳委員の御意見も大いに参考にいたしまして、善処いたしたいと思います。
○小柳勇君 あと二分いただきましたが、先般、十一月九日の十三時に東京湾で第十雄洋丸がパシフィック・アリス号と衝突いたしました。その状態について御報告を求め、運輸省の考えをお聞きいたします。
○国務大臣(木村睦男君) 事の起こりは、十一月の九日に東京湾で発生したLPGタンカーの第十雄洋丸と貨物船のパシフィック・アリス号の衝突した事件でございます。 事故の概要を簡単に申し上、げますというと、LPGタンカーの第十雄洋丸が、液化プロパン等を満載いたしまして、ペルシャ湾のほうから川崎へ向け、浦賀水道の中ノ瀬航路というところを警戒船おりおん一号にリードされながら北上中、十一月九日の午後一時三十八分、同航路の北端付近におきまして、君津方面からロサンゼルスに向かって出航中の貨物船パシフィック・アリス号と衝突し、両船とも火災が発生したのでございます。その結果、現場に急行いたしました巡視船等によりまして、第十雄洋丸の乗り組み員三十三名、パシフィック・アリス号の乗り組み員一名を救助いたしました。行くえ不明の方等については、同日の午後九時までに遺体を全部収容をいたしました。ちなみに死亡者は第十雄洋丸が五名、パシフィック・アリス号が二十八名。パシフィック・アリス号の乗り組み員は台湾人でございましたので、全部台湾に空輸をいたしました。 消火活動について申し上げますと、第十雄洋丸が炎上しながら横須賀方面に流されてまいりました。巡視船あるいは民間の船によりまして、九日の午後十一時三十七分、木更津沖の浅瀬に曳航、座礁させた形で消火を実施したわけでございます。一方、パシフィック・アリス号のほうは、衝突と同時に火災を発生いたしまして漂流を始めたわけでございますが、消火を続けながら、九日の午後十時四十五分、川崎沖に曳航、そこでいかりをおろしまして、十日の午後一時五十五分に鎮火をさせました。現在横須賀港に置いてあるわけでございます。 一方、第十雄洋丸の処置につきましては、いろいろ学識経験者等の意見を聞きまして検討いたしました結果、現状のままでは火災が非常に長期間に及ぶ、また、その間、大爆発及び燃料油の流出等によりまして災害の発生がさらに拡大することが予想されますので、早く湾外に引き出す方法をとろうということにいたしまして、二十日の午前八時二十分に雄洋丸が座礁の形でとめてありましたのを、そこから引きずり海中に出しまして、湾外へ引き出しを開始いたしたのでございます。二十日の午後七時四十二分、洲埼南方でナフサタンクが爆発をいたしました。その後次々と火災が全タンクに拡大し、きわめて危険となりましたので、二十一日の午前二時二十七分、野島崎南方でついに曳航を断念したのでございます。 その後、二十二日に防衛庁に対しまして、できるだけ早くこの船の沈没処理をやっていただきたいという要請をいたしました。二十七日から二十八日にかけまして護衛艦、航空機及び潜水艦によりまして、砲撃、爆撃及び雷撃を行ないました結果、二十八日の午後六時四十七分、北緯三十三度四十分、東経百四十五度五十五分、つまり犬吠埼から約二百七十六海里の地点、水深六千メートルのところで沈没いたしたのでございます。 今回のこの事故の原因につきましては、現在海難審判庁で調査中でございますが、それと並行して、この種事故の再発を防ぐための対策について、運輸省といたしましても検討を進めております。この結果につきましては、できるだけ早く実施いたしたい考えでございますが、当面関係者に対しましては、次のような事項を強力に指導をいたしております。航路の出入り口付近において、船舶は相互間で危険な見合い関係が生じないように航行させること、航路事情にふなれな外国船に対しましては、水先人を乗船させること、それから進路警戒船の警戒実施を十分行なわせること、こういう点、指導いたしておるのでございますが、原因等につきましては目下調査中でございますので、その結果を待ちまして善処いたしたいと思います。
○小柳勇君 損害はどのくらい見積もっておりますか。
○国務大臣(木村睦男君) この船、両方の損害でございますが、海上保安庁長官のほうから答えさせます。
○政府委員(寺井久美君) 損害の詳細についてはまだつまびらかでございませんけれども、約八十億というふうに推測されております。
○小柳勇君 雄洋丸と同じ船をつくるとすれば、いまどのくらいかかりますか。
○政府委員(寺井久美君) 現在つくるといたしますれば、やはり約八十億近くかかるというふうに聞いております。
○小柳勇君 私の調べでいま百三十五億ぐらいかかるようです。したがって、損害は大体二百億ですね。しかも、人命をあれだけなくしました。 海員組合その他識者は、航路の指定が悪いと言っています。ここに地図がございます。航路が衝突するようになっている。法律も悪いのですから。この航路指定先の千メーターしかアローアンスがないから、全速でバックしても二千メーター行く、十二ノットで行っていたら。しかも航路を出ますと、右舷に見た船が避けなければならぬ、法律上。だから、どうしてもこういうような航路が悪いということです。したがって、この東京湾を迂回するような方向の航路指定と、それから管制塔をつくってもらいたいという要求です。いかがでしょうか。
○国務大臣(木村睦男君) 今回の事故につきましてのいろいろな検討事項は調査の結果を待たなければなりませんが、委員のいま御指摘の点も確かにあると思います。それから外国船について、湾内の航行等について十分いろんな注意を与えるというふうなこともあるいは欠けている点があろうかと思いますし、いま二枚目の地図で御指摘になったような、ああいうふうな湾内の航行についての指導のしかた等につきましても十分検討してみたいと思っております。
○小柳勇君 パシフィック・アリス号は、三光汽船がリベリアに売りまして、これをまたチャーターした船です。この便宜置籍船について運輸省はどういう見解ですか。
○国務大臣(木村睦男君) 便宜置籍船の問題は、船を安くつくるときの方法といたしまして、リベリアとか、そういう国に籍を置くことでございますが、これは世界各国ともやっておることでございますし、そのことが別段法に触れるとかいうふうな問題もございませんし、また船の航行につきましては、外国船も日本船も同じように扱っておるという国際慣習上、なかなかこの問題を取り締まるとかいうふうなことも国際間でできにくいわけでございます、条約でもあれば別でございますが。そこで、ただこういう船が事情のわからない日本の湾内あるいは港に入りまして、そのために事故が起こるというふうなことがあってはいけないと思いますので、そういう点は現実に海上保安庁その他海上警備当局をして十分に指導をいたしたいと、かように思っておる次第でございます。
○小柳勇君 指導ではなくて、海員組合などもこの便宜置籍船の廃止の方向を要求いたしておりますし、しかも低賃金の外国船員を乗せてやっている危険性もあると思いますから、十分にひとつ今後とも検討してもらいたい。また関係委員会で十分に検討したいと思います。 質問を終わります。(拍手) —————————————
○委員長(大谷藤之助君) 高田浩運君。
○高田浩運君 私は、自由民主党を代表して当面の政策運営の基本的問題について総理以下各大臣に質疑を行ないます。 わが国がきわめてむずかしい局面に当面をいたしているときに、三木内閣は発足をいたしました。三木総理が発足にあたって、政治に対する国民の信頼を回復し、インフレ、物価高を克服する強い決意を披瀝されましたことは、国民の大きな共感を呼び、期待をもって迎えられております。総理の基本的な姿勢を受けとめ、私も深い敬意を表するものであります。しかるに、きのう二十日の毎日新聞の報ずる世論調査の項目の中で各政党に対する国民の支持を見ますと、本年九月の同社の調査時と比べまして、われわれの自民党及び野党の各党に対する支持率が一様に低下をいたしております。いわゆる無党派層の増加が顕著であるとも考えられます。このことはまことに残念なことであり、与党といわず、野党といわず、私たち政治家すべての責任と受けとめてきびしく反省をしなければならぬと思います。議会の子といわれる総理の民主政治、議会政治を守り抜く決意のほどをまず承りたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 私も、世論調査等に政治に対する無関心層というのが三五%から四〇%近く生まれつつある、非常にやっぱり注目をいたしておるわけでございます。これはあいそをつかしたというところまではいかないでしょうけれども、非常に政治に対する国民の不信といいますか、そういうものがやっぱりその底流にはあると見なければなりません、やはりそれを取り戻して政治にみなが関心を持つようにするためには、政治は国民とともにある、政治がそういう身近なものであると、そのことが政治の信頼を取り戻すということで一番重要な点だと思う。自分たちと関係のないものだということでなくして、国民とともに行く政治ということが、これからわれわれ議会政治家が心がけなければならぬ点であると、こういうふうに世論調査の結果を受けとめておる次第でございます。
○高田浩運君 次に、経済問題について質疑を行ないたいと思いますが、いま総理がおっしゃった、国民とともに政治を行なうということが非常に大事だという点についてひとつ質疑を申し上げたいと思います。 それは、いわゆる高度成長から安定成長へ行こうと、ことばはきわめて簡単でございますが、きわめてこれは重要な問題でございます。そこで、この問題については、やはりはっきりした区切りと用意を持って進むことが肝心だと思います。そこで、われわれ国民は過去十数年の間、年率一〇%以上の成長率の中に、いわば身も心も浸ってきたのがこれは現実でございます。そのわれわれ国民が、四十九年度はマイナス一ないし二%、それ以後は四−五%と、こういう低成長の中で行かなければならない。そうなればわれわれの生活、われわれの事業活動は一体どういう影響を受けるのか、どういう変化を受けるのか、どういうふうな対応をすればよろしいか。こういうことについて政府としてはやはり国民の理解を深め、国民の理解を求めていく、協力を求めていくことがこの問題の円滑なる進行にきわめて大事なことだと思います。こういった問題について経企庁長官、いかにお考えであるか。さらにまた、この問題についてはいま申し上げました趣旨からいって、経済社会基本計画はじめ政府には各種の計画がございます。おおむねこれは高度成長時代を背景としてつくられたものが多いと思います。したがって、この問題について、やはりはっきりとここで見直し、改定し直し、その作業を促進をして政府の姿勢を明確にし、国民の指針とすることが私は大事なことだと思います。これらの点について経企庁長官の御見解を承りたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま高田議員の御指摘の点は、たいへん私は重要な点だと思うのです。私は、まあ大げさというか、非常に大きく言いますると、いま人類が始まって以来の大転換時代に来ておる。つまり、今日までの人間は資源が有限であるということを考えないで、金さえ出せば物は入ってくるんだという前提で生きてきた。ところが端的に昨年の十一月の石油ショックが示すように、金を積んでも資源はそう自由には入ってこない、こういう時代を迎えておるのであります。ローマクラブが数年前から力説しておる資源有限時代だ、二十一世紀になったら多くの資源がなくなろうとしておるということでありますが、これは私は少しオーバーな言い方かもしらぬと、こういうふうに見ておる。つまり、人類はまた変わってくる環境に応じましていろいろな英知を働かす。そしてエネルギーについて言いますれば、新しいエネルギーを開発するというような努力をしますから、非常に長い目で見ますといろんな順応態勢というものも出てきましょうが、ここ当分を見渡しますると、資源は非常に窮屈な状態で資源保有国の売り手市場時代だ。しかも、その資源保有国が、これがまた資源戦略的な行動に出ないとも限らない。そういうことを考えますと、私は資源消費国の立場というものが非常に変わってくると思うのです。そういうふうに資源保有国側が変化に対応する姿勢をとらなければならぬ。そうしますと、当分の間は世界が低成長時代に入ってくると見なければならないでしょう。そこへ持ってきて、わが国はどうだというと資源小国である。また食糧につきましても弱い立場にある。そこで、いままで世界が、金を出せば物は自由に入ってくるという環境のもとで続けられてきておつた高度成長政策というか、またその背景として国民の中に流れておった高度成長思想、これを完全に清算してかからぬと、とんだことになるんです。しかし経済界の一部あたりには、いまの不況は、あるいは今日の資源の状態というものは、これは臨時的なものだ、一時的なものだ、夢よもう一度という時代がくるんだというような考え方を持っておる人がかなりあるんです。これは私はとんだ考え方だと思うのです。ですから国民全体に、世界が変わってきたからわが日本の立場も変えなければならぬという認識を、これははっきり打ち出していかなければならぬ、こういうふうに思います。 それはやっぱり政府がその点を国民に率直に知ってもらう、こういう責任があると思うんです。その努力をする責めを尽くさなければならぬ。その努力にはいろんな方法もありましょうが、いま高田議員が御指摘のように、高度成長思想、高度成長政策の中で打ち立てられました国の基本となる長期諸計画があります。新全国総合開発あり、また経済社会発展計画がある。ああいうようなものをまずもうはっきりと、ここで全面的に見直さなければならぬ。新しいそういう世界環境に応じたわが国の長期展望を持たなければならぬ。そういう姿勢を示すためにも、これらの長期計画につきましては白紙の立場に立って——まあしかし、白紙といっても政治の継続性というものは尊重しなければなりませんから、既存の計画との調整は十分考えなければなりませんけれども、とにかく白紙の立場に立って諸計画を見直さなければならぬ、そういう時期に来ておる、こういう認識です。ですから、経済社会発展計画にいたしましても、あるいは新全国総合開発計画にいたしましても、五十一年度を起点といたします新しい計画として再出発をいたしたいと、かように考えております。
○高田浩運君 国民が現政権に望む第一のものは物価の抑制でございます。これは所信表明において三木総理が述べられたとおりだと思います。そこで、四十九年度三月末、対前年同月比一五%に物価を抑制するという政府の考えがあるわけでございますが、その見通しと決意のほどをひとつ聞かしていただきたい。さらに、四十九年度は石油パニックや、それによります狂乱物価の余波を受けてこれは特別な年でございますが、来年度はぜひ一けた台に抑制すべきだと思っておりますけれども、政府の見解と覚悟を承りたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) とにかく日本経済始まって以来の大混乱、その混乱のあとを受けてのこれの地ならしでありますので、まあ心ははやるけれども、そう急速に解決する、そういうなまやさしいインフレ状態ではないんです。ですから、私は、これは二年ぐらいどうしても御猶予を、ごしんぼうをいただかなければならぬのじゃないか、そういうふうに考えております。 そこで、さしあたり本年度四十九年度、来年の三月で終わるわけでありますが、この三月時点の消費者物価、これは何としても一五%、一年間の上昇を一五%以内にとどめる、その程度にとどめるということを悲願というか、もう生命線だというくらいな考え方でできる限りの努力をしていきたい。 見通しということでございますが、十一月の消費者物価上昇率が〇・五なんです。それで、十二月、一月、二月、三月、〇・七%の上昇でとどめ得ればちょうど一五%、そういうことになるので、いま、これから年末だ年始だというので、例年でいいますと物の値段の上がる時期でありますが、これはもう食糧はじめ個別物資の需給、輸送、そういうものに万全の対策をとっているんです。それから、大事な時期でありますので、とにかく五十年度の問題はともかくといたしまして、四十九年度、来年の三月までは公共料金は一切これを引き上げない。それから総需要抑制政策、これは一方において景気対策のことも部分的には考えなければなりませんけれども、これはとにかく厳としてこれを堅持すると、こういう態度をもってぜひこの一五%という、その物価安定の第一目標、これを貫徹してまいりたいと、こういう考えです。 そこで五十年度、来年の四月から再来年の三月までの消費者物価上昇をどう考えるか、こういう問題でありまするが、これから三月までのその物価抑制作戦というか、インフレ退治作戦に引き続きましてまた強力に進めていきたい。それには、やっぱりこれは需要管理というか、総需要抑制政策、これは引き続いてとっていきます。その緩急の度合いにつきましては、十分景気情勢ともにらみ合わせて考えなければなりませんけれども、あらゆる努力をいたしまして、五十年度一年間の上昇率は一けた台にこれをとどめたいと、こういうふうにいま考えておるのであります。そういう間におきまして、二つ重要な問題があると思うんです。一つは公共料金政策の問題です。これはいま一生懸命政府部内で意見調整を始めておるわけでありますが、もう一つの問題は、これは賃金と物価の問題なんです。これは世の中が非常に変わってきてしまう。そういうようなことで、賃金問題というのがなだらかに解決されないと、また一〇%、一けた以内、こういう一けた台という消費者物価問題もなだらかな解決にはならぬ、こういうふうにおそれております。
○高田浩運君 物価問題に避けて通れない二つの問題があります。いま福田長官からお話がありました公共料金の問題と賃金の問題でございます。 まず、公共料金の取り扱いの問題でございますが、四十九年の場合に、一月の二十九日の六大都市タクシーの暫定運賃を皮切りにして、十一月までに十七の料金の改定が行なわれました。これはインフレのあと追いのためにやむを得ず上げたと思います。しかし、今後は格別慎重な配慮が必要ではないかと思いますが、その意味で、今後に予定されております郵便、電信電話、塩、たばこあるいは酒、こういったいろいろな問題についてどのように対処されるか。もっとも、公共料金をいつまでも絶対に上げるなということではございません。しかし、現在の特別な時期であれば、公共料金の普通の値上げあるいは認可は、政府の物価抑制に対する熱意を国民は疑いを持ち、物価安定への協力を困難にすると思われます。したがって、五十年度公共料金の改定は、政府が蛮勇をふるって、こらえられるだけこらえるべきであると思いますけれども、経企庁長官、大蔵大臣の御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 公共料金問題は、ただいま申し上げましたような意味合いにおきまして非常に重要だと思うんです。いま物価情勢は、いわゆる狂乱状態は終わった、そして新しい段階、コスト・プッシュ・インフレという段階に入っておる。そのコストの中で一番大きな問題が賃金問題、公共料金問題と、こういうふうになってくるわけですが、この公共料金につきましては、本会議でも申し上げたのでありますが、これは財政的な立場からいたしまして、これだけの人件費の上昇がある、また諸物価の値上がりがありますと、それに応じて公共料金を引き上げなけりゃならぬというまた財政上の理由があるんです。この財政上の理由も、私はこれはもうほんとうに切実な大きな理由であると、こういうふうに考えます。しかし、いま物価問題をどうするかということが、もう国家的、国民的の課題である。そういう際でありますので、財政上の理由もありまするけれども、そこは乗り切って、政治的判断というか、そういう態度をとるということもまた一つ考えてみなければならぬ問題じゃあるまいか、そういうふうに思うわけでありまして、この問題は予算の編成と現実には非常にからみ合いが深い問題でありますので、もう予算編成も目の前に迫っておりますので、鋭意、物価を鎮圧するにはどうするかという角度に重きを置いて、この料金問題は結論を出したいと、かように考えております。
○国務大臣(大平正芳君) ことしの夏から財政をお預かりいたしまして痛切に感じますことは、ことしの春、三二・九%にのぼる春闘による賃上げが行なわれたということが、政府の財政全体にどのように広く深く影響を来たしておるかということでございました。ことしの米価の改定、葉たばこ収納価格の改定をはじめといたしまして、一連の物価、公共料金の改定の根底には、この三二・九%という賃上げが重くのしかかってきておりますことは高田さんも御案内のとおりでございます。もしこの重圧というものを簡単に手軽に回避できるのであれば、春闘の問題というのがそんなに大きな問題にならぬはずでございます。この問題を来年の春闘、再来年の春闘ということを考えてみますと、手軽にこの問題が処理できる性質のものでないということについて、私は国民各層によく御理解をいただくのが今度の公共料金問題の一つの問題点であろうと思っておるわけでございます。 第二の問題点は、かりに一定期間据え置くにいたしましても、あるいは事業当局が考えておるより低目に押えるにいたしましても、その事業のサービスを低下させない、事業は従来どおり運営しなければならぬといたしますると、それだけの財源の用意が要るわけでございまして、その財源の用意は新たな公債の発行であるとかいうような姿において調達されたのでは、いまのインフレ対策に私はならぬと思うのでございまして、そういった問題をどういうところでどの程度、どういう方法で埋めてかかるかということは、いま福田さんがおっしゃったように非常に切実な課題になってくるわけでございます。したがって、この問題は予算編成の過程におきましてじっくりと御相談申し上げて、そうして将来に悔いを残さないように、そしてよく国民各層に十分そのことについての覚悟をお願いした上でやらないといけないのではないか。事業経営自体がイージーに流れ、もう経営するまじめな意欲を失うというようなことになりますと、これはインフレ対策どころじゃなくて、もっと深刻な問題に転化しないと言えないと思うのでございまして、いろいろな観点から、これは十分政府としても御相談申し上げて、誤りなき道を発見したいものと思っております。
○高田浩運君 避けて通れない第二の問題に賃金問題がございます。高度成長の中で所得が増長したことは御承知のとおりでございます。三十五年度の一人当たりの国民所得十四万二千円、四十九年度、推計で九十八万九千円と、ほぼ六倍以上になっております。この間の成長率は、三十年ないし三十五年は平均八・九%、三十五年ないし四十年は一〇・一%、四十年−四十五年は一二・一%でありまして、これに対して賃金の上昇率は六・五%、一三%、一三・六%と、若干の異同はありますけれども、大体均衡がとれております。しかし、四十五年から賃金上昇率が成長率を大きく上回る傾向を見せ始めております。四十八年、四十九年に至ってはその差がますます開くと思われます。 そこで、五十年度の経済の実質成長率が何パーセントであるかという問題になりますが、午前の福田長官の答弁で大体四%と、こういうことでございます。それを前提として考えてみますと、実質成長率が低いということは、簡単に言えば物があまりふえない、こういうことだと思います。その場合、実質成長率を大幅に上回る賃金の引き上げは物価にはね返ること、これ必然と見るべきでしょう。新聞の報道によりますというと、総評などの春闘共闘委員会は三〇%、同盟は二七%の要求を示しておるといわれております。生活防衛の観点から要求する立場はこれは理解できます。しかし、実質成長率がきわめて低いときに、前年の引き上げ率を基礎にして賃金を要求する姿勢は、結果として高度成長期の延長の考え方ではないだろうかと思います。 私は、組合幹部の諸君が組合員の生活を守る役割りをになっておられると同時に、世界の各国で見られる物価と賃金の悪循環を避けることによって生活を守り得るという良識を持っておられると信じます。また企業の責任者も、職員の生活の安定を確保することによって企業活動の維持発展を期し得るとの考え方を持っておられると信じます。そこで、この時局にあたっては、力で取る、力で押えるというような、力と力のぶつかり合いということではなしに、良識ある交渉によって適切なる帰結をもたらされることを信じたいと思いますし、同時に政府は、そのための環境づくりに最大の努力を払うべきだと思います。 その場合、もちろんインフレで生活水準が下がってはいけないでしょう。同時に、大幅な賃上げで物価にはね返っては、これは自分で自分の首を締める結果になるおそれがございます。その意味で、来年度の名目成長率を参考にした引き上げが一つのめどとして考えられるのではないかと思いますが、以上の事柄について経企庁長官の御見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) さしあたり来年の春闘における賃金ということが非常に重大な問題になりますが、賃金問題は、これは来年の春の春闘と離れまして一般的に言いますと、生産性の向上に見合って向上していくという限りにおきましては、これは物価に影響はないというのが通説であろうと、こういうふうに考えております。過去、高度成長時代におきましては、成長があります。非常に高い成長だ。そこで、それに対しまして賃金も高くなる。賃金は高くなるが、成長が高く、かつそれに従いまして生産性が向上するものですから、したがって、物価の上昇という現象は起こらない。少なくとも一昨年までの十三年間というのは、これは卸売り物価がずっと横ばい、安定しておったわけです。 ただ消費者物価、つまり中小企業物価とも言うべき消費者物価につきましては、その消費者物価を扱う中小企業におきまして、賃金が高くなった場合に、その賃金の上昇を生産性の向上が少ない中小企業であるがゆえに吸収しきれない。そこで毎年五%ないし六%の消費者物価の上昇現象というものがあったわけですが、しかし、ともかく卸売り物価はずっと横ばいで来たわけです。 しかし、これから低成長時代になりますと、これは生産性がそれだけしか上がらないわけでありますから、したがって、理論的に言いますると、これは賃金が生産性の向上を上回って上がるということは、物価に対して非常に大きな上昇要因というふうになるんです。ただ、来年の現実の問題としますと、物価がもうずっと上がっておる。この一年間でもほぼ一五%上がりましたと、こういう現実の物価上昇への対応という問題がありますので、事は理論的には複雑になってくるわけでありますから、その辺は非常に機微な問題になりますので、私といたしましてはどういう水準が来年の春闘で妥当であるかということは申し上げないんです。 しかしながら、もう高度成長時代の賃金問題、賃金と物価との相関関係、もうほんとうに様相が変わってきたんだ。これをとらえて、労使というものが合理的な賃金問題の解決をしないと、妥当な水準以上の賃金上昇というものは、これは大方物価にはね返ってくる。物価にはね返っていけばまた賃金を上げなければならぬ。そうすると賃金と物価の悪循環が始まる。これはインフレがとめどもなく進行する。インフレがとめどもなく進行するということは、もう社会秩序を紊乱するわけですね。社会的不公正というのが特に拡大していく。それにとどまりません。わが国の対外経済競争力というものを全く弱体化する。もう物を、資源を買って加工して、それを世界に売りさばいて生活を立てるというわが日本国とすると、全くこれはたいへんなことになっちゃうんです。 そういう認識を労使双方というものが持つということになれば、同じ船に乗っている労使ですから、私はもう理解は届き、妥当な解決になるだろうと、こういうふうに思いますが、その前提としてはやっぱり妥当な水準がほんとうに打ち出されるという、そういうためには、政府もその環境づくりのためには万難を排するあらゆる努力をした、これだけの努力をして物価は一五%におさまつたんだ、だから、再び物価と賃金という悪循環をもたらさないために、同じ船に乗っておる労使双方も考え直そうじゃないかと、こういうことになって、初めてこの賃金問題というものも解決し、日本の国の先々にも明るい日ざしが見えてくると、こういう状態になろうかと思うのです。まあせっかく、その環境づくりには努力をいたしたいと存じます。
○高田浩運君 次に、補正予算に関連をして、自治大臣に地方財政についてお尋ねをいたしたいと思います。 今次の給与改定は、その引き上げの幅がきわめて大きいし、地方自治体は財源の調達に非常に苦慮しておられるようでございます。政府は、今回の補正予算においてどのような財源措置を行なったか、また今回の措置で十分といえるか、こういう問題が一つと、それから、給与水準の上昇と公務員の数の増加のために、明年度以降の地方財政は、人件費の重圧によって十分な住民福祉の政策を遂行することがだんだんできにくくなってきたのではないかと憂慮されておるわけでございますが、これに対してどのように対処されるつもりであるか、自治大臣の御見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(福田一君) 今回の補正予算におきまして、大体七千数百億の財源を地方に与えるような措置をとったわけでございます。そのやり方といたしましては、今年のいわゆる所得、地方財政の税金の増収額というものを、一応二千六百億前後を認めまして、それを繰り入れるという措置をとりました。また交付税その他も五千億円入れるということにいたしまして、それで大体そういう財源を捻出をいたしまして地方に交付することにいたしたわけでございます。これによって大体地方の財政は十分に運営ができるという見通しのもとにこういう措置をとった次第でございまして、御了承を願いたいと思うわけでございます。
○高田浩運君 これは来年度の予算編成にも関係するかと思いますので、大蔵大臣にお尋ねをいたしたいと思いますが、総需要の抑制方針、これは堅持しなければならないと思います。したがって、公共事業の伸び率を押えることもこれもやむを得ぬと思います。しかし、ただ一律に押えるということではなく、私はやはり住宅でありますとか、上下水道でありますとか、こういったいわば生活関連の事業については、国民福祉の向上という点からも、あるいはまた不況対策という点からも、特別にやはり考慮を払うべきではないだろうかと考えますけれども、いかがでございましょうか。
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのようなラインで極力努力いたしたいと思っております。
○高田浩運君 次に、中小企業の問題について通産大臣にお伺いをいたしたいと思いますが、総需要抑制の政策が行なわれている過程において、いわば一年以上もこの総需要の抑制が続けられてきた結果、中小企業に大きな影響を与えておることは言うまでもございません。事実、最近の倒産の状況は、十月、十一月とも一千件をこえて失業者の数もまた七十五万人を突破しておるように、例年にない不況状況にあるわけでございます。そこで、今後も金融の引き締めが堅持されますと、さらに中小企業は打撃を受けることだと思います。その意味で、中小企業に特に配慮した金融措置や、あるいは債務の返済猶予等が必要だと思いますが、いままでどのような対策をとってこられたか。また、来年の三月期を間もなく控える現段階において、今後いかなる対策を考えておられるか。さらに、不況が長期化しますと、親企業による下請中小企業に取引の一時打ち切り、手形などの支払い条件の悪化が起こりやすいし、現に起きていると思いますが、政府は下請代金支払遅延等防止法による取り締まりの強化をはかるべきだと思いますけれども、この辺についての通産大臣の御見解を承りたいと思います。
○国務大臣(河本敏夫君) いまお話しのように、総需要の抑制が続きましてからもう一年を経過いたしました。そのために中小企業に非常に大きな影響が出ております。まず第一番に金融の面でございますが、現在はむしろ金融の面よりも、仕事がない、こういうことになっておるのではないかと思います。しかし、何と申しましても金融の面も対策を立てなければなりませんので、政府関係の中小企業金融機関、三機関ございますが、ここで年末の対策といたしまして七千億を確保いたしております。なお、民間の金融機関にも相当多額の中小企業向けの資金を確保いたしております。でありますから、金融の面では、私は若干の問題は残りましてもまずまず大局的に言っていいのではないか、こう思っております。ただしかし、先ほどもちょっと申し上げましたように、金よりも仕事である、こういう悲痛な叫びが各地で起こっておりまして、実はその対策にたいへん苦慮しておるわけでございますが、たとえば、親企業そのものが仕事が非常に減ってきた、したがって、これまでたくさん育成した中小企業に回す仕事がなくなった、そこに大きなトラブルが起こる、こういうこともございます。しかし、それに対しましてはいろいろ、いま全国三十一都道府県に下請関係の振興協会がございますから、それを通じまして、できるだけそういうトラブルがないように指導をさせております。それから、さらにまた官公需でございますが、これは昨年は二七%ばかり仕事を回しましたが、ことしは少しふやしまして約二九%を回すようにいま指導をいたしておるところでございます。 なお、先ほどちょっと申し忘れましたが、信用保険法に基づきます倒産関連業種の指定を受けますと、金融も二倍受けられることになっておりますので、その方面の業種指定も約二十九業種しております。 いろいろな対策を並行して行なっておるわけでございますけれども、何ぶんにもいま非常に仕事がないという面で、中小企業、各地から悲痛な叫びが上がっておりまして、その点でたいへん苦慮をいたしておるわけでございます。
○高田浩運君 次に、失業、雇用対策ないし失業防止の問題がございますが、これらの対策のために重要な雇用保険法案の審議に労働大臣が出かけておられますので、この点は省略をいたしたいと思います。 次に、現在大きく取り上げられなければならない問題として、社会的不公正の問題があると思います。この点は三木総理が所信表明、本会議等でたびたび決意を表明されておりますので、質問は避けます。ただ、インフレに伴って国民の各層に所得のアンバランスが生じておること、特に首都圏を中心に住宅の取得が地価上昇等で困難になっている反面、多くの土地成金が生じておる現実、あるいはインフレによる預貯金の目減りで困る庶民がおる一方、それを活用して投機行為でもうけておる者などがおるし、これらの不公平に国民が多くの不満を持っておるわけでございます。また、いわゆる社会的弱者と呼ばれる低所得者の人たち、老人、母子、身障者あるいは恩給、年金の受給者、こういった方々がインフレの直撃を受け、最も深刻な被害をこうむっておる事実だけを総理に申し上げたいと存じます。 次に、農業問題について農林大臣にお伺いをいたしたいと思います。 農業の問題について大きく二つのことがあろうかと思います。一つは、激しく変動する国際環境の中にあって、少なくとも主要農産物については、できるだけ食糧自給率を引き上げて国民の食生活に備えるということでございます。いま一つは、ほかの工業、商業等の産業部門と農業者との間の所得格差が現実にございます。これを解消して農家経営を安定させ、農家生活を向上させるということでございます。 そこでまず、自給率引き上げについて農林大臣にお伺いをいたします。主要農産物の自給率の目標について、四十七年に出された「農産物需給の展望と生産目標の試案」というのがございますが、これを目下改定作業中と聞いておりますが、これを一日も早く成案として国民に示し、そして強力な政策の遂行、指導を行なうべきだと思いますが、この点についての所見を承りたいと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 現在世界の食糧の情勢というものは、御存じのように、世界的な人口の増加、あるいは畜産物の消費の増大、あるいはまた穀倉地帯の不作ということが相まって世界的に食糧事情は逼迫をしておりまして、私は今後とも恒常的にこういう情勢は続いていくのではないかと思うわけであります。そういう中にあって、やはり御指摘になりましたような自給力を高めていくということが今日のわが国農政の最大な課題ではないかと思いますが、したがって、この自給力を高めるために生産基盤を充実するとか、あるいは裏作を利用していくとか、さらに金融あるいは税制の面を改善していくとか、あらゆる処置を講じていかなきゃならぬわけでありますが、そういうことをやるにつきましても、いまお話がございましたように、長期的な需給の見通しと生産目標を立てていかなきゃならぬと思います。いわゆる総合食糧政策というものを打ち立てていく必要があると思うわけでありますが、現在農政審議会におきまして、この点につきましては目下審議を続けていただいておるわけでありまして、来年早早には需給部会の報告を経て農政審議会で検討いただき、この計画に基づいてこれからの政策を進めていきたいと考えております。
○高田浩運君 現在における農業経営混乱の一番顕著な例として、畜産、酪農対策がございます。ミカンもあるいはそうかもしれません。畜産、酪農家は、現在異常な飼料高、えさが高いということと、価格が安いこと、このダブルパンチによってまさに瀕死の状態にあるわけでございます。これに対処して、緊急にどういう対策を講じておられるか。また、基本的には飼料の安定供給と価格安定対策あるいは流通改善を含めてとられるべきだと思いますが、これらの点について御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) お話しのように、最近の畜産、酪農は非常に低迷をしておるといいますか、畜産農家の方々はたいへん苦しい立場にあるわけでありまして、畜産を振興していくということは、わが国の農政におきましても自給力を高めていくという意味におきましても大切なことでありまして、現在まで政府といたしましても、飼料がだんだん値上げしておりますので、配合飼料価格の値上げに対しまして畜産農家に対する低利資金の融通とか、あるいは配合飼料価格安定基金に対する助成等の措置も講じてきたわけでありますし、さらに問題となっておる牛肉価格の低落に対しましては、牛肉輸入の調整、これは現在輸入をストップをいたしておることは御存じのとおりであります。あるいは調整保管事業、生産者団体がやっておりますが、調整保管事業に対する助成を行ない、さらにまた肉牛肥育農家に対する低利資金の融通等もやっておるわけで、努力もいたしておるわけでございますが、今後ともさらに、現在補正予算において審議していただいております、いわゆる親基金制度を設けて、配合飼料の安定的な供給をはかっていきたいと思いますし、また草地の開発、あるいは飼料作物の増産等によるところの自給飼料基盤の整備を行なっていくとともに、さらに牛肉につきましては、法律の改正等も行なってひとつ指定食肉として何とかこれを安定をはかっていきたいと、こういうふうに努力をしておりまして、長期的にはひとつ安定的な畜産経営ができるような方向で、全面的にひとつがんばってみたいと思っております。
○高田浩運君 さらに、農業問題の中で林業につきましても、造林の停滞や林業労働力の希少化、あるいは国内景気の沈滞によります木材業界の深刻な不況など、種々の問題がございます。また、国民の動物性たん白質の重要な供給源としてその振興を期さなければならない水産業につきましても、漁場、漁獲に対する国際規制の強化、あるいは水銀、PCB汚染等によります沿岸漁場の圧迫など、重要な問題がございます。農林、水産の各問題は、そのいずれをとってみても国民生活にきわめて直接関係の深い事柄ばかりであり、同時に、それら各部門に携わる方々の生活安定と向上とは内政上の一番重点項目の一つであると思います。新進気鋭の新大臣に大きな期待が寄せられておりますので、ひとつがんばっていただきたいと思います。 なお、この機会にいま一つ申し上げておきたいと思いますことは、農村は生産の場であると同時に、生活の場であるということだと思います。農民、漁民の生活と都市生活者との間に格差があっていいということではありません。これをなくするために、生産基盤を確立をし収益性を高めるべきことは、これはもちろんでございますが、同時に、上下水道、医療機関、教養、文化施設等のおくれている部門に積極的に取り組んで、意欲のある農業、魅力のある農村のために、計画性のある積極農政を期待しておるわけでございます。これらの点について農林大臣の御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) ただいまも森林の問題が出ましたが、森林資源は木材生産等の経済的機能のみでなく、国土の保存、水資源の涵養、自然環境の保全といった意味で非常に重大であると思っておるわけでありますが、そういう中で、昭和四十八年二月閣議決定されました森林資源に関する基本計画において森林資源の整備の方向を明らかにいたしまして、計画的に造林、林道等の生産基盤の整備をはかることといたしております。 また、最近における木材業界がたいへん不況になっておりまして、その対策といたしましては、本年五月以降、政府関係中小企業金融三機関等における融資を行ないますとともに、十月からは民間金融機関を通じて緊急救済融資を行なっておるわけでありますが、さらに九月二十一日付で、一般製材業と単板または合板の製造業を中小企業信用保険法に基づく倒産関連業種に指定をいたしまして、また、年末の金融対策としても万全を期していきたいと思っておるわけでございます。 また、お話しの漁業でございますが、国際的に漁業の環境というものは非常にきびしくなっておるわけでありますし、また沿岸におきましても、汚染も進む、環境も悪化するというふうなことできびしい面がいろいろと出ておるわけでありますが、そういう中にあって、やはり動物性たん白質食糧を確保するという意味から、漁業対策を、これは国際的な面におきましても、沿岸漁業の振興といった面においても精力的にやっていかなければならない。とる漁業からつくる漁業といったことで各地で全国的に栽培漁業も進めておるわけでありますし、漁港等の計画的な整備も進めておるわけでございまして、この漁業は全体的にひとつこれから推進をしたいと思いまして予算も要求をいたしておるわけであります。 また、お話しのように、やはり農村を総合的に整備するということが、健康で文化的な農村の環境をつくるという意味から非常に大切なわけでありまして、農林省としても、御案内のように農村総合整備モデル事業というのを四十八年から進めておりまして、四十九年度は全国六十五地区にわたって推進をいたしておりますし、また、農村基盤総合整備パイロット事業、これもやはり農村の総合的な開発と環境整備でありますが、四十九年度から十五カ所というふうに全体的な環境をよくしていくということで事業を進めておるわけでありますが、これらの事業等も来年度予算にも大幅に要求をいたしておりまして、ひとつ前向きで取り組んでいきたい、こういうふうに思っております。
○高田浩運君 次に、環境保全の問題について質問をいたしたいと思います。 私は、環境問題は何よりもまず人の生命、健康にかかわる問題であり、その解決は三木新内閣の内政上の重要課題の一つであらなければならないと考えます。しかも、大気や水、自然などの環境資源は、エネルギー資源と同様に有限のものでありますし、一たびこれを破壊すればもとに戻すのはきわめて困難なことであり、その対策は緊急を要する問題でございます。三木総理は、かつて環境庁長官として重要なこの問題に直接携わってこられたところでございますが、ここにその経験を踏まえ、総理としていかなる姿勢で環境問題に取り組まれるか。個々の問題については次にまた別個に伺いますが、基本的なお考えを承りたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 高田さんの御指摘のように、環境問題というのはこの内閣の重要なやはり政治課題でございます。いま物価問題等が表面に出ておりますが、この問題はやはり遠からず解決しなければならない。そのあとに残るものはやはり環境の保全の問題であります。と申しますのは、人間に限らずすべての生物が、環境との間の微妙なバランスの上に生きておる。このバランスを失えば生物は死滅してしまうという運命にあるわけで、したがって、一つの生物の生存の基礎条件である、環境の保全は。あるいは、いま御指摘のような、生命の母胎であるかもしれない。したがって、私どもはよき環境を保全するということは、政治のこれは相当長期にわたる目標である。この問題については、特にこの内閣として重点を置いていきたいという考えでございます。
○高田浩運君 環境問題のうち、幾つかの具体的な問題についてお尋ねをいたしたいと思います。 まず第一に、自動車排出ガスの五十一年度規制問題について環境庁長官にお伺いをいたしたいと思います。今日、自動車は都市公害の一大原因となっております。とりわけ大気汚染の発生源として、都市住民の健康を保護する観点から、社会の大きな関心が向けられております。現在注目を浴びております五十一年度規制問題については、中央公害対策審議会においてまだ最終結論が得られていないようでございますが、この問題についての政府の基本的な考え方について伺いたいと思います。
○国務大臣(小沢辰男君) 先ほども小柳委員の質問についてお答えを申し上げたのでございますが、ただいま中公審におきまして非常に慎重な御配慮のもとに審議を続けておられるわけでございます。特に三木総理から私にも、この問題は非常に重要な問題だから国民的立場に立った慎重な審議をぜひお願いをするようにということでございました。会長の和達先生も全く御同様な御意見でございまして、自主的に総会をお開きになったり、あるいは目下準備をいたしておる総合部会にも慎重におかけになりまして、おそらく近く答申をされるものと思うわけでございます。私どもは、この答申がありました場合は、中央公害審議会の御意向を十分尊重して私どもの方針を決定してまいりたいと思います。 なお、先ほどの総量規制の問題等につきましては、もしお尋ねがあれば具体的にお答えを申し上げたいと思います。
○高田浩運君 総理にお伺いいたしたいと思いますが、総理は環境庁長官に御在任中に水俣の現地視察をなさいましたおりに、水俣病の治療研究や患者の社会復帰の総合センターをつくりたい、こういうお話でございましたし、地元では非常な期待を寄せておるわけでございますけれども、いまだ残念ながら実現を見ておりません。五十年度にはぜひこれはひとつ実現をすべきだと考えますが、総理のお考えを承りたいのと、さらに水俣湾内のヘドロの処理についても、すみやかにひとつ着手できますように促進をしていただきたいと思います。総理の御見解を承ります。
○国務大臣(三木武夫君) 高田さんが御指摘のように、私現地に参りまして、そして気の毒な水俣病患者に接して、これは世界にも類例のない公害を受けられたわけですから、何とかしてこの人たちの医療あるいは社会復帰というようなことに対して、われわれとしてもできるだけの力をかしてあげなければいけぬということで、医療センターのようなものをつくるということを言ったわけですが、ただ、それをつくるにしても、できるだけそのセンターが患者の人たちに喜ばれるようなものにしなけりゃならぬということで、環境庁内に、これは研究室のようなものを設けて検討を加えておったわけですから、昭和五十年度の予算においてこれを具体化したいと考えております。 それからヘドロの処理については、これもまた大問題でございまして、ヘドロを処理しなければいつまでも有機水銀の汚染が続くわけでございますから、そういう点でヘドロを処理するということも約束したわけであります。これは熊本県においていま計画がようやくでき上がったということで、これから運輸省の港湾局の協力を得てこれは実施をいたしたい。すでに予算もある程度あるんですけれども、何ぶんにも大問題でありますから、そのヘドロ処理の計画がいままで立ちにくかったのでおくれたわけでございますが、これも実施するわけでございます。お約束をした重要な点は必ず履行をしたいと考えております。
○高田浩運君 これも水俣病関係でございますが、患者が発見されましてから二十年近くになりますが、現在水俣では、熊本県の公害健康被害者認定審査会に申請をして、まだ審査を受けられずに待機している者が二千六百人余りもあるわけでございます。現地では社会問題になっておるわけでございます。認定審査のための検診能力にも限りがあることも、これも言うをまちませんが、今後認定審査の促進をはかるとともに、長期にわたり待っておる患者の医療のための何らかの措置をとることはきわめて重要なことだと思いますけれども、環境庁長官の御見解を承りたいと思います。
○国務大臣(小沢辰男君) おっしゃるように、公害健康被害者のすみやかな救済は私どもの仕事のほんとうに大事な面でございまして、熊本県におきましては、先生おっしゃるように水俣病の認定申請者が非常に多数にまだのぼっておりまして、これが認定審査会等にまだかけることができない、行政庁のいろいろ能力の制約もありましょうけれども、私も着任以来非常に必を痛めている問題でございます。したがいまして、いろいろ事務当局なり、あるいは県の知事以下その業務に携わる者に、督励をいたしまして、何とか早期にこの認定審査会が開催されるようにいたしたいと、せっかく努力中でございます。また、その検診につきましても改善策を検討してまいりたいと考えております。しかし、おっしゃるように、一方、長期間にわたって認定処分を待っておられる申請者の医療に対する何らかの措置をしなければならないんじゃないか、あるいは、それを要望する方々が非常に多いわけでございますし、先生も地元で非常に苦労されておられることを十分承知いたしております。そこで、これは五十年度の予算で、どうしても医療に対する何らかの措置を、予算上大蔵大臣の御理解を得てひとつ実現をしたい。そうして、それができましたときに——なお御承知のとおり行政庁の不服審査請求というものが一方において秋以来出まして、この裁決で熊本県の不作為を容認した人々が若干ございますので、これらの人々を含めまして、何とか先生の御趣旨に沿うように今年度内においてすみやかに医療にかかる何らかの措置を私としてはとってやりたいものだというので、いませっかく来年度予算編成過程において努力をいたしております。最善の努力をいたしたいと考えます。
○高田浩運君 いま環境庁長官がお話しになったとおりでございますので、大蔵大臣もよくひとつ御理解をいただきたいと思います。 次に、国家公安委員長にお伺いをいたしたいと思いますが、三菱重工あるいは三井物産など、このところ凶悪な爆破事件が連続をして発生をし、警察官のみならず通行人など一般市民に多数の死傷者が出ております。また、物的な損害もきわめて多額にのぼっております。このため、国民はたいへん不安を感じておるわけでございまして、憂慮にたえない次第でございます。また、これに関連をして爆破予告のにせ電話があちこちにかけられ、聞くところによりますと、その件数はことしに入ってから二千数百件にも達しておるということでございます。そのつど会社側も社員を退避させたりして業務に支障が出てまいりますし、また警察は警察で爆弾の捜索ということで東奔西走これ疲れると、こういうように感ぜられます。警察はこのような事態に対処するために総力をあげて取り組んでおられると思いますが、まことに御苦労でございますけれども、国民の不安を一掃するために、一日も早く犯人を検挙するためになお一そうの努力をされんことを強く要望するのでございます。以下二、三の点について御質問を申し上げたいと思います。 第一は、警察はこのような事態にどのように対処しておられるか。爆発物を捜査しているうちに爆発して、警察官や一般市民が負傷しておるようだけれども、爆発物処理の体制やそのための装備、資材、そういったものは一体どうなっているのか。第二に、この連続爆発事件の犯人を逮捕することが今後の事件再発防止の最良策と考えられますけれども、捜査の状況はどうなっておるか。第三に、現場の警察官は、これ命がけで爆発物の処理に当たっておられるわけでございますが、その警察官の士気を高め、安全を守るために、どのような方策を考えておられるか、これらの点について御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(福田一君) お答えを申し上げます。 ただいま御指摘になりました問題は、これは社会に非常な不安をもたらしておるものでございまして、何としても解決をはからなければならない点でございます。これについて二、三、御質問が内容を説明せよということでございますから、ひとつ、いささか詳しくなりますが御説明させていただきたいと思います。 本年中における極左暴力集団等による爆発物使用事件は、本年二月栃木県下において集中的に発生いたしました事件及び本年八月三十日三菱重工本社で発生した爆破事件など五十一件を数えております。これら一連の爆発物使用事件で、死者八人、重軽傷者四百三十人という多数の犠牲者を見ております。 爆破事件は昭和四十四年ころに始まり、昭和四十六年に最高潮に達したのでありますが、昭和四十六年までの事件は主として警察施設や警察官を攻撃目標として行なわれておったのでありますが、本年度はさらに一そう悪化して、民間の大企業等をねらって敢行され、警察官のみならず一般市民にも多数の犠牲者を出しております。かかる事態を放置すれば、犠牲者の数もふえ、爆破予告電話等による著しい業務の妨害が至るところで起こっており、ひいては社会不安を引き起こすおそれもあるので、警察といたしましては事態を重視して、総合的緊急対策を講ずるため、このほど警察庁に警察庁次長を長とする爆発物対策委員会を設置したほか、警視庁をはじめ全国の第一線警察においては、事件再発防止のため、警察の総力をあげて警戒体制をしくとともに、爆弾犯人の早期検挙のための強力な捜査を推進しておるのでございますが、爆発物処理体制につきましては、かねてから関係当局の御協力を得て、逐年、装備、資器材の整備、爆発物処理班の編成並びに訓練等を行なってきたところでございますけれども、爆発物処理のための装備、資器材の現状は必ずしも十分とは言えません。このため、最近における情勢の悪化に対応すべく、関係当局と協議して目下緊急に体制、装備の強化をはかるべく鋭意努力いたしておる次第であります。 爆破予告電話につきましては、御指摘のありましたように、最近とみに増発、増高いたしまして、その件数はことしに入ってから十月十七日現在で全国二千五百五十五件に達し、国民の平和な社会生活に多大の迷惑をかけていることはまことに遺憾なことであり、治安責任者といたしましては、この機会に国民の公徳心と良識に訴えて、かかる傾向抑止のために警察に協力していただくように切にお願いをいたしておる次第でございます。 一連の爆破事件の捜査状況でございますが、警視庁を中心といたしまして全国警察がこれに協力をして捜査を行なっており、現在までのところ、丸の内三菱重工ビル事件につきましては犯人の足取りの一部が確認されておりますし、また一連の事件の爆薬、起爆装置などにつきましても相当程度の解明ができておりますので、さらにこれらの掘り下げ捜査を進めているところでございます。この種事件は、その性質から見て何としてもこれを検挙しなければならないものでありますので、警察の総力をあげて捜査に取り組んでおる次第でございます。 次に、この安全確保方策でございますが、最近の爆破事件は、全く罪のない通行人や一般市民を死傷させることを承知で敢行されている、きわめて卑劣にして非人道的な性格なもので、法秩序維持と国民の身体、生命、財産を守る責任を負う警察としてはまことに許しがたい凶悪犯罪であり、警察官は旺盛な士気をもってこれと取り組んでおります。しかし、何と申しても爆発物処理は、一歩誤れば直接この処理に当たる警察官はもとより、付近の一般市民の人命の危険を伴うものであるので、現場における一般市民の避難誘導措置に遺憾なきよう指導につとめますと同時に、警察官の受傷、負傷をするような事故防止や安全確保につきましては、目下個人防護装備及び爆発物処理のための装備、資器材の整備充実をはかるために緊急措置を講じつつあり、また処理技術の向上をはかりますために、教養訓練を強力に推進をいたしておる次第であります。爆発物事件多発の傾向は比較的最近の現象であるので、爆発物処理班員の危険手当等、第一線警察官の士気高揚をはかるためには給与面でも十分な改善策を講じなければならないと思って処置をいたしておるところでございます。
○高田浩運君 次に、社会保障の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。 まず基本的に、まじめに働いてきた人たちが損をしない社会、生活設計の基盤が突如ひっくり返ることがないという確信を持って各自がその将来を望み得る社会の実現、こういったことがやはり政治の大切な目標の一つだと思いますが、今後わが国が、急速な人口の老齢化過程を目前に控え、片や、先ほど来論議いたしましたように特殊の経済情勢のもとでやっていかなければならない苦難の時期に際会をして、私は、国民生活の安定を一つは守り、それから、所得の再分配を通じて社会的公正の実現に寄与する社会保障の役割りは、今後一そう重要なものになると考えておりますが、この辺の基本的な考え方について総理の所見を承りたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 私も高田さんの言われることと全く同様に考えております。
○高田浩運君 社会保障の個々の問題については広範にわたりますので、二、三の点について厚生大臣に伺いたいと思います。 まず第一は年金の問題でございます。わが国の年金制度は、共済制度を含めまして八つの制度に分かれていることは御承知のとおりでございます。そして、制度間において年金の開始の時期も違っておるし、それから給付の基準も違っておるし、もちろん掛金も違っておる、こういうふうに非常にまちまちになっております。そこで、これらの問題をやはり再検討して、負担の公平、給付の公平、こういった点を考慮して、年金制度の再編成にやはり取り組むべき時期にきているのじゃないだろうかと、かように考えます。 同時に、国民年金制度は昭和三十五年に発足をしたわけでございますけれども、当時の社会経済構造と今日とでは非常に変わっております。端的に申し上げれば、だんだん少なくなる被保険者で、だんだん多くなる年金を給付しなければならない人間をささえなければならない、こういうような、年金集団としては縮小化の傾向にある悩みを持っているのが私は国民年金の現実の姿だと思います。したがって、これらの問題を含めて、年金制度全般について造詣の深い厚生大臣においては種々お考えのことだと思いますけれども、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。 しかし、こういう基本問題のほかに、緊急な問題として今日の物価情勢に照らしてスライドの問題があるわけでございます。本年度は臨時の特例措置としてスライドの実施時期を三カ月ないし四カ月繰り上げられましたけれども、四十九年度の物価上昇率は四十八年度を大幅に上回ることが見込まれておりますので、このスライドの実施時期を本年度以上に繰り上げてしかるべきだと考えますが、どのように考えておられますか。さらにまた、福祉年金の増額についてどのようにお考えであるか、御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(植木光教君) 公的年金制度の総合調整は私どものところでやっておりますので、先にお答えを申し上げます。 公的年金制度は所得保障制度の主柱でございます。高田議員がおっしゃいましたとおりでございまして、老齢あるいは障害あるいは死亡というようなものに備えまして、個人の力だけでは十分でないというものを社会連帯意識をもって公的に負担をしていくということでなければならないのでございます。御説のとおり、各種年金がそれぞれ統一をいたしておりません。この総合調整につきましては、先ほどもお答えを申し上げたのでございますけれども、不均衡、不合理な点がそれぞれございますが、なかなかこれを統合いたしましたり総合調整するのはむずかしいことでございます。しかし、具体的に一つ一つやっていこうということで、各省庁の関係局長でつくられております調整連絡会議におきまして、さしあたり遺族年金及び障害年金の通算期間の問題にただいま取り組んでいるのでございまして、そういう、でき得るところから精力的に具体的に取り組んでいこうということで努力をいたしております。
○国務大臣(田中正巳君) 先生仰せのとおり、国民年金は、制度発足の当時と今日では、その制度の背景となっている社会経済情勢が非常に著しく変わっているわけであります。その象徴的に見られるのが国民年金の被保険者に多く見られるところの農民、漁民等の一次産業の人々が、非常に総体的に減少しているというふうなことは言えるわけでございまして、この国民年金を今後どのように運営していくかということについては、仰せのとおり相当の問題があろうと思われるわけであります。 そこで第一に、国民年金は厚生年金と違いまして保険料が一律でございまして、そうなりますると、一番経済力の弱い方々を基準として保険料をきめなければならないという弱点を持っているわけであります。したがいまして、給付の面でもなかなか思うようにいかないという弱点を持っているわけであります。先般の、昨年の年金法の改正におきましてはいろいろと腐心をいたしまして、厚生年金も国民年金も、両方とも五万円水準を確保いたすべくいろいろ努力をいたしまして一応の数字合わせはいたしました。しかし、今後、さっき申したような背景を持っている国民年金を厚生年金と同じ水準に維持していくことについては、私はそう簡単なものではないだろうというふうに思っているわけであります。 そこで、国民年金の今後のあり方というものをどうするかということについて、私は国民年金だけで問題を解決することは困難であろうというふうに思っております。厚生年金と国民年金の間をどのようにこれを形成するかという問題が一つの解決の手がかりになるものというふうに思っているわけであります。いずれにいたしましても、昭和五十一年度の財政再計算時における抜本改正において解決する所存でございまするけれども、一案といたしまして、国民年金を、被用者についてもあのような仕組みというものを基盤に置きまして、厚生年金は被用者のためにそれに上積みをするなどという制度というものも考えられるのかというふうに思って、せっかくいまいろいろと検討をいたしているところでございます。 また、物価スライドにつきましては、昨年、世論の動向もあり、また、いろいろと経済情勢もございましたので、国会でもって、厚生年金は十一月を八月に、国民年金を明年一月を本年九月に、それぞれ繰り上げたわけでございますが、ただいまの予算要求はまた通常の例に戻っているわけでございますが、私就任以来この予算を見直して、何とかひとつもっと早い時期にこれを実施するようにいたしたいと思って、関係方面と目下折衝中であります。 福祉年金についてはその増額の御要望が非常に強いわけでございますが、これについては先ごろ本会議で申し上げましたとおり、福祉年金というものの考え方が私は制度発足と今日ではだいぶ変わってきたものというふうに認識をいたしております。制度発足当時には、当時拠出制年金に加入をすることのできない年齢層に達した人に対し全然何も差し上げないのはいかがかということで、経過的、補完的年金という意味で月千円を支給することにいたしたわけであります。当時でも月千円で生活ができるとはどなたも考えておらなかったわけですが、あれはあれなりに当時といたしましては喜ばれた制度でございますが、今日では国民の中に、かなり多くの方々が、福祉年金でほぼ生活に足るような金額を支給しろというお声が相当強く、このような声というものがある程度社会に定着しかけておるということを考えるときに、福祉年金というものの年金の中における位置づけというものをこの際見直さなければならない時期が来たものというふうに思っているわけでございますが、何さまこれにつきましては、先般も申しましたように、一万円上げれば六千億というふうな多額の財政負担を必要とするものでございまするから、したがいまして、いまのような一般会計によってこれを支弁している限りにおいては、あまり多くを期待することは事実問題として困難かと思いますが、これにつきましても年金の財政方式の問題とからみ合わせまして彼此勘案をいたしまして、何とかいま申したような世間の声にこたえるよう努力をいたしたいというふうに思っている次第でございます。
○高田浩運君 次に、国民健康保険の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。 国民健康保険財政の中に占める老人医療のウエートはきわめて大きいものがございます。七十歳以上の加入者の占める割合について見ますというと、政府管掌健保あるいは組合健保等の、要するに被用者保険では二・九六%であるのに対して、国保のほうは六・九六%と、二倍以上になっております。また一人当たりの診療費について見ますというと、全体の平均は三千百三円であるのに対して、七十歳以上は一万八百五十一円ということになっております。このような老人を多くかかえておる国民健康保険の財政が苦しいことは言うまでもございません。各市町村とも今後深刻な赤字問題を生ずることが危惧されておる実情でございます。老人医療の無料化は確かに画期的な施策でありましたが、今後、これが実施の影響、実績を踏まえて、政府は老人医療の仕組みにつきいろいろ厚生大臣、お考えのようでございますが、どういうようにお考えでありますか。また、根本的な対策を講ずる前に、当面明年度の財政措置をどうするか、四十九年度においては既定の国庫補助に加えて臨時財政調整交付金として三百五十億円を計上いたしましたが、この問題についてはさらに一そう拡充すべきだと思いますけれども、厚生大臣のお考えを伺いたいと思います。
○国務大臣(田中正巳君) お答えいたします。 老人医療の問題について、先生と私の認識は全く一致をいたしておるわけであります。そこで、現在一番この老人医療、受診率が高く罹病率も高い老人が、今日の姿ではほとんどが国民年金の中に多く占められているということが、国民健康保険の財政を非常に圧迫していることはもうまぎれもない事実であります。しかし、このような、国民健康保険が各保険者においていろいろと苦心をいたし、保険料をかなり無理をして増徴をいたし、また一般会計から補てんをいたしておるにもかかわりませず、財政が危機状態になっていることは御案内のとおりであります。ちまたには、特に地方に参りますると、これ以上国民健康保険の保険税、保険料はもう増徴ができない、払えないというような声が相当にかまびすしく、片や保険者のほうでは、保険財政は赤字で苦しんでいるというのが事実であります。 そこで、これをいろいろ分析してみましたところが、先生おっしゃるとおり、この種の保険におきましては、他の保険と違いまして老人が非常に多く被保険者の中に含まれておりまして、この保険の給付費が一般の方々の給付費よりもはるかに高いということを考えるときに、老人の占むる割合の高い国民健康保険が財政難であるということは、この老人が多く占めているということに一つの原因があるだろうと思いますので、国民健康保険の財政再建のためには幾つかの手法があろうと思いますが、とりあえずこの老人について何らかの施策を講じない限り、私は国保の財政の危機は脱却できないと考えておるものでございまするから、先般も新聞にいささか出ておったようでございますが、老人の医療については、これを何とか普通の国民健康保険のワク内から別建てにいたしまして、特別な制度をもって実施をいたしたいというふうに考えているわけであります。 ただし、どうも一部の新聞に書いているように、老人医療保険制度をつくるということは誤りでありまして、このように給付率の高いものだけが集まって保険が成り立つはずはないのでございますので、したがって別建ての、一種の公費医療負担のようなものをやったらどうかと考えているわけであります。それには保険の平均的な給付額だけは拠出をしていただき、普通以上に高い給付率にわたっていまするからその差額等については公費でもってこれを負担するなどということを考えておりますが、その上に各種の保険に包含されている老人、たとえば健康保険あるいは各種共済に働いている老人あるいは家族として医療給付を受けている老人について、それぞれの保険から財源をどう支出するかなどという技術的に相当むずかしい問題がございます。 これ等は今後の検討に待ちたいと思いますが、いずれにいたしましても、老人が他のものとアンバランスに多く占められておることによって起こるところの国保の財政難は、これをそのような形でとりあえずひとつ救済をいたしたらどうかと思っておりますが、さらにそのような場合には、老人独特の給付面についてさらに他の医療保険と違ったような給付の態様が必要でもあろうかと思いますので、財政面だけではなしに、給付の面からもそのようなことについて検討を加える必要があろうかと存じておりますが、詳細については今後の検討の結果に待っていただきたいというふうに思います。
○高田浩運君 次に、社会保障関係の施設に働く人々の問題について御質問を申し上げたいと思います。 医療施設や社会福祉施設はかなり整備を見てまいりました。社会福祉施設整備の五カ年計画も進んでおります。しかし、一番大切なのはそういう施設に働く人々の問題でございます。看護婦の不足によって病棟を閉鎖をしているところもあるような状況でございます。また、戦後わが国の社会福祉施設は奉仕の精神をもって献身的に努力をしてきた職員にささえられて今日に至っておるわけでございます。重症、程度の重い心身障害児の施設の職員の腰痛、腰の痛みの発生状況を見てみますというと、介護職員二千五百十九人のうち労災認定及び申請中の者を合わせて九十九人、三・九%にのぼっております。また、保育所や収容施設等において夜勤の回数も多く、あるいは休憩時間、休日も十分とり得ないでいる者が少なくない実情でございます。医療や社会福祉のこういった施設に働く人々の待遇及び定員、この問題をいまにして解決をしなければ、将来、施設は物理的につくり得ても人が得られないという深刻な事態を憂えなければならぬと思います。厚生大臣、これらの実情を踏まえ、お考えをお聞かせいただきたいと思います。同時に、以上申し上げました三点につきましては大蔵大臣も御理解をいただいたことだと思いますので、あわせて御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(田中正巳君) 医療並びに社会福祉に働く人々の確保、もっと基本的に申しますれば、この人たちをいかに処遇し、いかにこれが安心して働くことができるかということが当面厚生行政の最大の眼目だというふうに私どもも心得ておるわけであります。基本的に私は申し上げたいのは、こうした仕事についておられる方々の聖なる使命感に政府は安坐をいたしてはいけないということをわれわれは考えなければいけないというふうに思うわけでございますが、率直に申して、過去においてはいろいろとこの点について欠けるところがあったことについて反省をいたさなければならないと思っております。 看護婦さんにつきましては、医療需要が増大をいたしている今日、勤務時間あるいは処遇の問題についていろいろと今日までやってまいりましたけれども、まだ不十分でございますので、したがって、看護婦さんの養成あるいは処遇の改善について今後とも意欲的にこれをやると同時に、いわゆるリタイアをいたしました看護婦さんを、いかにしてまた就業していただくかなどという、広範多岐にわたる施策をもってこれに対処いたしたいというふうに思っております。 また、社会福祉施設に働く保母さん等につきましては、特に問題は複雑であるようであります。勤務条件あるいは給与等々について、これは措置費の中に含まれているわけでありますが、措置費が何ぶんにも先生御案内のとおり広範多岐にわたるものでございますので、予算折衝のたびごとに、入所者に対する措置費を厚くするか、あるいは勤務者に対するものについて重点を入れるかなどということをめぐりましていろいろと論争がございまして、ずいぶんと実は改善をいたしました。先生のお手伝い等をいただきまして、ずいぶんと改善をいたしましたが、なおかなりの多くの問題が残されているわけでございまして、これについては、明年度予算で措置費の内容をめぐってひとつ大いに努力をし、改善をいたさなければならないというふうに考えているわけであります。 たいへん今日の問題として、私どもは非常な当面した重要な問題と考えまして、これについてはせっかく努力をする決意でございますので、どうぞ皆さま方の格段の御協力と御支援をひとえにお願い申し上げる次第であります。
○国務大臣(大平正芳君) いま問題になっておりまする施設の維持、サービスの向上につきましては、仰せのようにそこに働く人たちに対する措置が誤りがあってはならないと思います。厚生省のほうでとくとお考えのことと思いますので、御相談してできるだけ御協力をいたしたいと思います。
○高田浩運君 わが国の社会保障は、国民の期待あるいは政府の努力によってだいぶ急速に進んでまいりました。しかし、いま申し上げましたように、なお問題は多く、かつまた、おくれている分野もたくさんございます。そこで、今後これらの問題を解決し、さらに前進せしめなければなりませんが、そのためには、やはり負担あるいは財源の問題を抜きにしてはこれは考えられません。給付と負担とはパラレルな問題として考えなければなりません。そこで、今後社会保障の充実整備を考える場合に、国民に対してよく理解をしてもらって、国民合意の上で進めていかなければならないと思います。今日まで顧みてみますと、従来ややもすればこの点についての努力が足らなかったのではないだろうかという感じがいたします。 西欧と日本とを比べてみました場合に、社会保障の給付費の国民所得に対する比率を見ますと、日本のほうは格段に低いわけでございます。同時に、逆に社会保険の負担あるいは租税プラス社会保険負担の国民所得に対する比率を見ますというと、これまた西欧諸国は格段に高くて日本の場合は格段に低いわけでございます。数字は一々申し上げません。この現実からも、今後における社会保障の拡大強化のためには、国民の理解を深めることがいかに大事であるかということが理解できると思うわけでございます。 さらにまた、社会保障を健全に発展をさせ、しあわせの果実を個々人の上に結実させるためには、お互いに助け合おうじゃないか、こういう気持ち、感謝をして受ける気持ち、このように連帯感に結ばれた社会のベースがあってこそ可能なことだと思います。その意味で、社会保障マインドを醸成することがきわめて肝要だと思うのでございますが、今後の進め方について総理大臣及び厚生大臣の御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) この点に対する高田さんの考え、全く私も同様に考えております。
○国務大臣(田中正巳君) この種の問題についていろいろと腐心、努力をしているものについては、いま高田先生のお考えになっていることと同じような感懐を私どもも抱くものであります。 そこで、いろいろと国民のニードは高く、財政需要は上がる一方でございますが、しかし今日、すべてのこれらの問題を一ぺんに処理はできないということになりますると、なお先生のおっしゃるようなことが強調されなければならないというふうに思います。また、率直に申して、これだけの社会保障給付を、これを積み上げていくということになりますると、今日の国民の負担で一体できるものであろうかどうかということについても、これはやはり深刻に考えてみなければならないと思いますが、さような意味で、高福祉、高負担とは申しませんけれども、この点について深い施策というものがさらに必要であろうということを私もしみじみと感じているわけであります。
○高田浩運君 政府側に対する質問は以上で終わりたいと思いますが、終わります前にちょっと朗読をさせてもらいたいものがございます。 「「健康で幸せな生活」の実現は、私達万人の願いであり、福祉社会の建設は政治の方向でなければなりません。経済社会の困難の中で取り残される人があってはなりません。正直者がバカを見る世の中であってはなりません。道義に立脚し筋の通った大道をゆくことこそ困難と変動の危局に処する政治の道であり、国家と民族に対する献身、国民に対する奉仕こそ政治家当然の務めであります。」たいへん恐縮でございますけれども、これはこの夏の参議院選挙で私が公報、政見等で訴え続けたものでございます。 確かにわが国はきわめて困難な局面に当たっておりますが、政治が国民の信頼を得、国民の理解と協力が得られるならば、いかなる難局も、またいかなる問題も必ずや解決できると確信するものでございます。世論調査でも明らかなように、三木内閣に対する国民の期待はきわめて大きいものがございます。この国民の期待を裏切ることのないように、この期待にこたえていただくことを切に願って私の質問を終わります。(拍手)
○委員長(大谷藤之助君) 以上をもちまして高田浩運君の質疑は終了いたしました。 この際、十分間休憩いたします。 午後四時四分休憩 —————・————— 午後四時二十八分開会
○委員長(大谷藤之助君) ただいまから予算委員会を再開いたします。 この際、質疑の順位についておはかりいたします。 去る十七日から五日間、連日理事会を開きまして、本問題について熱心に御協議いただきました。その間、各理事から、従来方式、一巡方式等等について真剣な論議を重ねてきたのでありますが、委員長としましては、さらに今後本格的に検討のこととし、さしあたり今回は、社、自、社、自、公、共、社、民、第二の順位といたしたいと思います。 さよう取り運ぶことに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大谷藤之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 小谷君。(拍手)
○小谷守君 三木総理は御就任以来、国民の政治に対する信頼を回復することが最も緊要なことであると、このように力説をされてまいりました。私どももしごく同感でございます。 そこで、そのために避けて通れない問題が、前総理田中さんにまつわるいわゆる金脈問題の処理、究明の点であろうと思います。総理も、この問題は臨時国会において徹底的に解明すべきであるということをしばしば言明されてまいりました。今日その御心境に変化はないと思いますが、いかがでございますか。
○国務大臣(三木武夫君) 私は、臨時国会で論議さるべきだという発言をしたわけですが、そのときは率直に申して、田中総理が辞任をされるとは思ってなかったわけです。やはり総理大臣として国会に臨まれるということだと思っていました。したがって、これはもう当然に国会の場においてこの問題はいろいろと真相が究明されるし、また、総理大臣ですから、あるべきだと思っておりましたが、辞職されましたところに、いま総理という地位におありにならぬというところに、情勢の非常な変化が起こったことは事実であります。私の発言したときは、田中内閣総辞職などと考えていなかったわけで、やはり総理として出られると思った。いまは一議員になられたわけでございますから、本人はいま、非常に長年月にわたっておるから、それを詳細に調査をして、国民の疑惑にこたえて、国民の理解を求めたいということで、いま非常に調査を進められているようで、どういう形で発表されますか、それは当然に公表されることになると考えております。私の考えておったのとは、非常に田中さん自身の地位に変化が起こったということでございます。
○小谷守君 私どもは、この問題が起こりましてから、本院におきましても、決算委員会あるいは大蔵委員会、法務委員会等におきまして、この問題の究明につとめてまいったわけでありますが、その過程で、国政調査権と守秘義務の関係が浮き彫りにされてまいりました。この問題が先般来の両院の本会議、衆議院の予算委員会を通じましても一向にあいまいにされたままでありますので、きょうはぜひ総理にこの問題の解明をお願いしたい。長い論議を重ねてまいりましたが、きょうはぜひ短時間にひとつこの問題については決着をいたしたいと、このように考えます。 国政調査権というものの根拠は、申し上げるまでもなく憲法六十二条でありますが、私はいま三木総理に対して、この国政調査権に対する基本認識についてまずお尋ねをいたしたいと思います。総理であられると同時に、戦前、戦後三十七年の議員歴を持たれる国会の大先輩であります。尊敬すべき先輩であられるあなたに、国政調査権の本質に対するところの基本見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 国政調査権は、国会が持っておる立法、行政監督権、これを有効にその機能を発揮するための重要な国会に与えられたる権限である、憲法において保障された権限である、こういうふうに考えております。
○小谷守君 私は法律論の「いろは」からきょうやろうとは思いません。国政調査権の本質について、今日学界の定説ともいわれるものを整理してまいりました。読み上げてみますので、総理に御異存がないかどうか、お尋ねをしたいと思います。 主権者たる国民の信託に基づき、国権の最高機関として国政の運営全般にわたり民主的統制を行なう権限と責任とを有する国会が、その任務を有効適切に遂行していくためには、国政事項のすべてについて正確豊富な知識や情報を獲得することが必要不可欠のため、憲法六十二条が明文をもって定めた重要な権能である。すなわち、これなくしては議会政治は全うできないという意味で、民主政治の根幹にかかわる重大な国会の権限である、これが今日の学界の定説ではなかろうかと思いますが、総理の御見解いかがですか。
○国務大臣(三木武夫君) そのとおりだと思います。
○小谷守君 ところが、この国政調査権、民主政治の根幹であるといわれるこの国政調査権の前に、税法上の守秘義務というものが大手を広げて立ちはだかってきた。これは、国会の過去のいろんな歴史を調べてみましても、この守秘義務がこんなにのさばった時期はないのではなかろうかと思われますが、国政調査権と守秘義務との関係について総理はどのようにお考えになりますか。
○国務大臣(三木武夫君) 私は、ちょっと次元が違う問題だと思っているんですよ、これは。それは何かといえば、政府は行政の責任を持っております。したがって、この行政の責任を持っておる政府として行政上守るべき公益というものもある。また、国政調査権の持っておる大きな権限もある。こういうことで、これを同じような次元でどちらが優劣かというふうに私は考えない。一つのやっぱり国会の機能、権限、一方は行政の責任として行なうところのやはり機能ということで、次元は違うのではないかと私は思うわけです。私は法律学者でありませんから小谷さんのほうが詳しいのかもしらぬが、政治家としてはこう考えておるわけであります。
○小谷守君 総理は先般の衆議院の本会議におきまして、わが党の石橋書記長の質問にお答えになりまして、国政調査権といえども万能ではない、絶対ではない、そこでこの守秘義務との関係で、大蔵大臣が資料等についてはケース・バイ・ケースで処理するということであるので大蔵大臣のこれは判断にゆだねると、こういう御趣旨の答弁がございました。一体、ケース・バイ・ケースということでございますが、先ほど総理が御確認になりましたような議会の根幹に触れるような国政調査権というものに対して、行政大臣が胸三寸でケース・バイ・ケースというふうなことで裁量していいものかどうか。これは議会の権能に対する不遜な干犯ではないかと、このように思われてなりませんが、いかがでございますか。
○国務大臣(三木武夫君) 私も長期に、長い年月議席を持った者として国会の権威を高めたいということを、そこの点では小谷さんと変わらないでしょう。ただしかし、私は政府もまた行政責任があると申しましたのは、税務に関しては租税ということが、これはもう国家の財政の大宗をなすものです。だから税金の円滑なる徴収ということは重大なことであります。だから税務上の資料というものが全部一般に公開されていいかどうかという場合に、その守ることによって得る公益と、国会が持っておる調査権を行使しようとする公益と、これはやはりどちらが重いか軽いかということを、ケース・バイ・ケースで判断する責任は私は政府にあると思う。そういうことで、大蔵大臣がその場合には判断を、税務に対しては大蔵大臣が第一次的な責任を持っておるわけですから、ケース・バイ・ケースで大蔵大臣の判断にまかせると言ったわけですが、しかしその前提には、大蔵大臣は国政調査一権というものの重さを知らなければいけない。だから最大限度、国政調査権の機能を行使しようということに協力するという立場に立たなけりゃならぬことは言うまでもない。その立場に立っても、しかし、この公益というものは国のために必要だという一つの判断をする権限は、政府の大蔵大臣が私は持っておると、こういうふうに考えるわけでございます。
○小谷守君 国政調査権があるからといって、議会側も謙抑できなきゃならぬと思います。どういう資料を要求するかということについては、したがいまして、これは議会の良識におけるところのセルフコントロール、自律、自制の範疇の問題でなくてはならぬ。これは出してやる、これは出してやらぬというふうなことを行政府の胸三寸で裁量されることは、これは先ほど申し上げましたように国政調査権に対する干犯であると思いますが、もう一度ひとつ御見解をお願いしたい。
○国務大臣(三木武夫君) 私は、国政調査権というものは、これは重大な国会の持っておる権能でありますから、政府は最大限度尊重して協力をしなきゃならぬと思うんですよ。その前提の上に立って、だからむやみに守秘義務というものを乱用していくことは許されない。しかし、考えてみれば税務の資料を全部公開していいと私は思わない。それはやっぱり徴税に対して差しつかえますよ。そういうことで、これはどうしてもこの公益というものは守ることが国家のために必要であるというやむを得ない場合に、それはやはり国政調査権といえども、あるいは政府のほうとして大蔵大臣の判断で出さないという場合もあり得ると、こういうふうに言うんです。しかし、それは乱用してはいけないんだと。もうやむを得ない、このことによって守る公益というもののほうが大きいと判断をした場合には、それだけのやっぱり提出のできない場合があり得る。これだけの政府の行政の責任は政府が持たなければならぬ、こういうふうに私は考えておるわけです。だからいま言ったように、国会の権限を干犯する、そういうふうなものではないと思うのでございます。
○小谷守君 いま総理はケース・バイ・ケースということをお使いになっておる。それからまた守るべき、守らるべき法益との比較ということを仰せになりました。ケースは私ども具体的に申し上げておるわけです。田中さんのケースです。田中前総理のケースです。税金全般のことを、納税者全般のことを言っているわけじゃないんです。田中角榮さんという納税者にまつわる問題をケースとして要求をしておる。そうして法益ということを仰せになりましたが、これはですね。
○国務大臣(三木武夫君) 公益、公です。
○小谷守君 ええ公益、公の利益。これを法律用語では法益とも言いますが、これによって守らるるもののバランスを考えなきゃなりません。しかし、税務当局がしばしば言っておりますように、これを国会に出すと納税者に対して非常な悪影響を及ぼす。そういうことを言われます。したがって、それを守らなきゃならない。しかし、事態は逆ですよ。田中問題を解明しなければ納税する意欲がないというのが今日納税者の率直な気持ちではありませんか。ですから法益の権衡ということも、これは総理のおことばでありますけれども、もう一度お考え直しを願わなきゃならぬと思います。そうして総理が仰せになった国政調査権と税法上の守秘義務とのこの調整の接点というものは、これはどこに求めるか。それをしも行政府の胸三寸だというふうなことは、これは国政調査権の権威の上からも許されることではないと思います。いかがでしょう。
○国務大臣(三木武夫君) いま申したように、これはやっぱり政府は国政調査権に対して最大限尊重し、これに対して協力をするという前提の上に立って、なおかつ、これは守らなければならぬという行政府の判断があったときには、それはもうその判断というものは国会の御批判も受けるであろうし、世論の前にさらされるわけでありまして、これは簡単に政府がそういうことができるわけでございませんので、それだけの私は行政の責任は政府が持つことは許されていると。きょうは具体的ないろいろ問題が起こってここで言っておるのではなくして、原則を総理としてお答えをしておかなければならぬというので言うのでございまして、いろんなケースができてきた場合に、このケースはどうだこうだと言うのではない。しかし、国政調査権と守秘義務に対してどういう考えを持っておるかということは総理として申し上げなければならぬので、原則論として言っておるわけで、具体的なケースの場合にはむろんいろいろと判断をしなければならぬでありましょう。
○小谷守君 総理は、いま国税当局がどういうことを言って、どういうことをもって守秘義務としてかまえておるかということについて御存じないと思います。二、三の例を申し上げてみましょう。 本人が公表しても守秘義務は残るんだと言っております。あるいは秘密会においても応ぜられないと言っております。あるいはまた、一つのことを調査したかどうかということを聞いても、調査したかどうかも守秘義務だから言えないのだと言っておる。特にはなはだしいのは、議院証言法第五条の証言拒否できる国の重大な利益に悪影響というこの解釈につきましても、この徴税問題がこれに該当するというふうな暴論を言っておるんです。あきれ返っておるんです。こういう態度でいいと思われますかどうか。
○国務大臣(三木武夫君) 小谷さん、私は聞いてないんですよ、どういうことの問答があったか。税務当局とあなたとの問答を聞いてないので、詳細にあなたのやりとり等を私は聞かなければ、私は簡単に、具体的なケースの場合ですから、お答えしにくいことを御了承願いたい。
○国務大臣(大平正芳君) いま小谷委員が仰せになったように、非常にかたくなな見解を国税当局が持っておることは事実でございます。
○小谷守君 総理、かたくなな態度を持っておるのが事実だということじゃ済まぬのです。それをきょうは決着をつけようというんですから、総理と。総理は先ほど来の御答弁の中で、国政調査権の優位性というものをお認めになった。その前に対して行政の守秘義務というものは恭順でなければならぬという趣旨の御発言がありました。しかしまた、国会のほうもこれを乱用してはいかぬということは、十分われわれも考えなければならぬことであります。しかし、いまあげたようなこのかたくな過ぎる頑迷な態度に対して、それでいいのかどうか。事実だというふうにおっしゃっておるわけであります、大蔵大臣は。いかがですか。
○国務大臣(大平正芳君) 私が先に答弁させていただきます。 いま私がお答え申し上げましたのは、国税当局といたしましては、国会で定められた税法を適正に厳正に施行してまいる責任があるわけでございまして、これに対しましてきわめてかたくなな態度をとってきておるわけでございますし、それはそれなりに評価していただきたいと思うのであります。ただ、私はその税法上の守秘義務から自由なんでございます。そこで問題は、国政調査権と守秘義務との関連の問題になってまいるわけでございますが、私が税の調査決定上知り得た秘密を国会その他に出すべきかどうかという問題があるわけでございますが、私は決算委員会でもあなたとのやりとりを通じていろいろ申し上げたとおり、国会の国政調査権というのは行政府としてはあくまで尊重せにゃならぬということを申し上げたわけでございます。同時に、国会におかれましても、行政府が徴税という非常に重い責任を秩序正しく保障せにゃならぬ責任を持っておることに対しても御理解をいただきたいということを申し上げたわけでございまして、それで、両方がお互いに尊敬と理解をもって行政府と立法府がお話し合いが願えるならばこの問題は解決されないはずはないと、今日まで解決してまいりましたし、今後も解決されないはずはないと、私はそういう確信を申し上げておったわけでございます。 そこで問題は、まさに小谷さんのおっしゃるとおり、田中角榮という非常に具体的なケースが出てきたわけでございます。私は、この知り得た秘密を開示することによって失う法益と、これによって救われる法益との比較権衡をはかって判断せにゃならぬ、それは具体的なケース・バイ・ケースで立法府と行政府との間で胸襟を開いて御協議申し上げにゃならぬということでございまして、私が認定権を持つなんと言うたことは私は一回もございません。ケース・バイ・ケースで判定さるべきものであると。三木総理が本会議で言われたのは、そういう場合に、どう行政府が判断して国会に当たるかという場合は、大蔵大臣がやることに対して信頼を置いておるという意味のことと私は了承をしておるわけでございまして、私が一方的にこういう判定をして、てこでも動かぬのだなんということは言うたことは一つもないわけでございます。 それで、いまの田中角榮という具体的なケースでございますが、いまの税法では、守秘義務に関しまして何らの例外がないわけなんでございまして、総理大臣であろうとだれであろうと、納税者は完全に平等に取り扱っておるわけでございまして、したがって、田中さんの場合であるからそれではこれはひとつこの材料は開示いたしますなんということをやるような国税庁であれば、これは信頼に値しないと思います。私はいまかたくなな態度をとっておる国税庁は、ほめてやっていただきたいと思うのであります。 そこで問題は、私がそれではどうするかという問題になってまいるわけでございます。したがって、国会から御要求がございまして、こういったものは出せないかということについていろんなケースを考えて、たとえば税務署、国税当局といえども裁判の場合には出しておるわけでございますから、司法府の場合にどういうものを出しているのか、その他いろいろいままでこの守秘義務が実定法上、こういう実定法的制約の中でどのように取り扱われてきたかというイグザンプルをいろいろ検討いたしまして、それで実はこういうところまでやってきておりますが、この中で国会にもひとつ御判断いただいて、どういうところまでわれわれは出すべきであるかというようなところをやはり御判断を仰がなければならぬと私は考えてきたわけでございまして、現在なおそういうことをやっておるわけでございます。 ただ、私が一番簡単な解決の方法といたしまして、まず最初にお願いいたしたいのは、われわれは田中さんのケースが雑誌ジャーナリズム、新聞ジャーナリズム等を経て世間に持ち出されたときに、われわれは税務当局といたしまして、こういう間接資料が出た以上はやはり再調査すべきであると、早速再調査をいたしておるわけでございます。田中さんばかりでなく、田中さんの関連の会社、法人につきましてもやっておるわけでございまして、これは田中さんであろうと、どなたであろうと、そういう間接的な資料が出た場合は神経をとがらしておりまして、われわれはいままで調定したことに誤りがあるかないか調べなければならぬわけでございまして、それをやっておるわけでございまして、多くのケースをわれわれはそういうことをやっておるわけでございますので、国会におかれて、いまの税務当局はちゃんとやってきたと、田中さんのケースも遺漏なくやるであろうという御信頼をいただくことが私は一番ありがたいことと思っております。しかし、それだけではいけないと、もう少しこういう点について資料を求められるという場合は、さよういま申しましたような立場で、お互いに尊敬と理解をもちまして御相談申し上げて、具体的なケース・バイ・ケース解決していくよりほかに道はないし、また、解決できないはずはないじゃないかというのが私のいままでとってきた態度でございます。
○野々山一三君 関連。 先ほど総理が、国政調査権というものの本質について小谷委員から指摘をされた、そのとおりであると、こういうふうに見解を表明されたのは、私は国民の代表権者たる国会というものの存在の価値を認められた意味で心から敬意を表したいと思います。 さて、具体的なケース・バイ・ケースだというお話にからみますが、副総理お見えでございますけれども、二年半弱前に秘密とは何かという問題で、あなたも外務大臣当時たいへんな議論をいたしました。そして、たとえば外務省の文書管理規則そのものが秘密であったものを、あなたは国会の意思を通してオープンにされました。これまた国会の意思を尊重されたし、全面的に各省庁直されたわけで、これは完全であるとは私は思いませんけれども、一歩の前進であると思います。 さて、具体的な問題でございます。公務員の守秘義務、秘密の義務、これは公務員法で規定されております。その上さらに税法上の秘密というものがございます。そこで河本通産大臣、あなたの所得及び脱税問題について私が大蔵委員会で指摘をした際に、具体的に違法な行為ありとして査察をする内容に及んでまで、理事会及び委員会の意思としてこれは明示されたわけでございます。査察行為でございます。これはあなたの問題でございます。河本さんの問題でございます。これは税法上の守秘義務と客観的な正当、合法的な徴税行為が行なわれたかどうかという観点からする国政調査権の発動によってあなたの所得、財産にまで及んだことは、あなたも御存じのとおりでございます。これは具体的なケースでございます。その意味で、先ほど大平大蔵大臣が言われるケース・バイ・ケースだとされる、田中総理大臣であるといなとにかかわらず、知り得たもの、あるいは調査をされたものの内容が、客観的に疑惑のない、疑いのない正当な国益に合致するものであるかどうかを審査する国政調査権が存在することは、河本さん御自身の問題としても具体的に委員会で審査をされたわけでございます。つまり、要求されたものが提出されて審査の対象に具体的になったわけでございます。間違いはございませんですね。ちょっと長くなって申しわけありません。 もう一言、外務大臣当時に、副総理、機密、極秘、秘密の実物を国会が正か否かを判断するために提出しなさいという私の要求に対して、現実に存在する機密、極秘、秘密を委員会に提出して審査を受けたことを御存じでしょう。これはやはり重大な、国益に合致するかどうかの立場からする国政調査権の立場から審査を受けた具体的な事実でございます。そういう意味で、そういう行為が行なわれたことが、ただいま総理から御指摘の国政調査権の存在というものと守秘義務とのかね合いにおいて事実はかつて行なわれているのにかかわらず、徴税行為に対して大蔵大臣の判断で出すか出さないかを考えるのは行政権上当然だというような趣旨に言われるわけでございますけれども、その場合の国政調査権と守秘義務、秘密、行政権の接点は一体どこでしょうか。現行法上から言うならば、議院証言法の五条によって内閣が声明を発する以外にこれを拒否することがないとされておるから、小谷委員の指摘のとおりの国政調査権の存在というものがあるのでございます。その意味で、少し長くなりましたが、事実を申し上げました。小谷委員の指摘のような具体的な問題について、これはどうされるべきかについて、私は総理の原則というものを認めるがゆえに、あらためて見解を求めたいのでございます。
○国務大臣(大平正芳君) ええ……。
○野々山一三君 あなたに聞いているんじゃないのです。あえて私は申しわけないですけれども、ちょっと申し上げますが、あなたに聞いているんじゃないのでございます。あなたは総理の言われることと全然違った角度で言われるわけです。それから同時に政府側も、いろんな委員会で答弁されるのはそれぞれまちまちでございます。そこで、行政権を代表される総理に伺うことが今日の問題点を解明するポイントである、こういうわけでございますから、大蔵大臣、相すみませんけれども、あなたに聞いているんじゃないのです。
○国務大臣(三木武夫君) いま行政権と国政調査権の接点についてですが、これは法律的な解釈も必要でありますので、法制局長官から答弁をいたさせます。
○政府委員(吉國一郎君) お答え申し上げます。 この点につきましては、本院の決算委員会等における閉会中審査においても、私のみならず、私のほうの次長、部長からもいろいろお話を申し上げましたが、要は、先ほど総理からお答えございましたように、片方、国政調査権と申しますものは、憲法第六十二条に淵源を有しまする国政の全般にわたってその適正な行使が確保されなければならない重大な権限でございます。他方、憲法六十五条によりまして、内閣には行政権が属しておりまして、その行政権に属する公務は民主的かつ能率的な運営が確保されなければならないことは当然でございまして、その公務の民主的かつ能率的な運営のために公務員に秘密保持義務が課されているということでございます。 そこで、国政調査権と国家公務員の秘密保持義務との間に、場合によっては調整を必要とする場合が生まれるわけでございますが、先ほど総理からお答え申し上げましたように、両者の関係は常に一方が他方に優先するというようなものではなくて、国政調査権の要請にこたえて職務上の秘密を開披するかどうかということは、秘密保持義務によって守られておりまする公共の利益と国政調査権の行使、国会に与えられました重大な権限でございます国政調査権の行使によって取得せらるべき公の利益と、まさに個々の事案ごとに、この個々の事案と申しますものは、ただいま問題になっております特定の人物の事案ということばかりじゃございませんで、その人に関するどういう資料であるか、どういう部分の秘密であるかという個別の事案ごとに比較考量いたしまして決しなければならない。 ただいま申し上げましたのは国政調査権が国会法第百四条によりまして、いわゆる議院証言法の法的手段によらないで、一般的に行なわれた場合について申し上げたわけでございますが、国政調査権の行使のためのきわめて有力な手段として、また、この手段が認められたことが新憲法のもとにおける国会の国政調査権の有効な行使をいわば可能ならしめたものだということに学説が一定しておりますいわゆる証言法、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律の先ほど御指摘の第五条でございますが、その第五条の規定が、いま申し上げましたような法理を基本にして、そこに法律的なきわめて詳細な手続を定めておるということであろうと思います。 単に国会法百四条に基づきまして国政調査が行なわれる場合は、そのようなことで個々の事案ごとに大蔵省なら大蔵省が判定をいたしまして、こういう秘密については開示をいたします、こういう秘密はこういうことで開披できませんとか申し上げます。それに対して議院のほうの側で、あるいは議院においてあるいは委員会においてその理由が納得できないと仰せられます場合には、それに対して質疑等によって十分な御議論をなさる。それに対してまた政府側がその理由を解明するということで、その調整は十分につけられると思います。そのようなことは、ただいま申し上げましたいわゆる証言法の第五条の手続でも詳細に定められておりますが、百四条の場合においても、そういうことで両方が十分に議論することによってその理由を解明していただいて、そこで提出される、開示されるべき秘密はどういうものであるかということが漸次確定してまいるということに相なると思います。
○国務大臣(河本敏夫君) 先ほど私の名前を指名せられまして税金のお話が出ましたから、一言申し上げておきたいと思います。 私に対して税金上の疑問を投げかけられたのは、あなただけではございませんで、ほかに二、三ございます。先般も衆議院でも若干質問がございましたが、その一番の疑問を投げかけられました根拠といいますのは、私が相当数の有価証券を持っておる、そこからやはり相当額の配当がある、しかるにかかわらず、その配当所得が申告されていないのではないかと、こういうことがこれまでの私は疑問の趣旨であったと思うのでございます。 ところが、御案内のように日本にはこういう制度があります。株式を取得するに際しまして、借り入れ金でこれを取得したときには配当金と借り入れ金の利息というものは相殺される、こういう制度があるわけでございます。株式の配当金といいますものは、つい先般までは、この春までだったと思いますが、五万円以上の配当金というものは、それぞれの会社から税務署のほうに全部自動的に通達されることになっておるわけです。最近は制度が改まりまして、十万円以上の配当金が通達されるように金額が若干ふえたようでありますが、自動的にそれぞれの会社から……。
○野々山一三君 そういう講義を聞いているのではないです。
○国務大臣(河本敏夫君) これは私の一身上のことについて疑問が投げかけられましたから、私の名誉にも関することでありますから、しばらくの間弁明の機会を与えていただきたいと思うのでございます。
○野々山一三君 そういう機会は別に与えますよ。
○国務大臣(河本敏夫君) そこで結局、そういう制度になっておりますから、だから配当金で不正確な数字が出てくることは絶対にないのです。数年間私も借り入れ金をしておりましたけれども、しかし、二年ばかり前に一切の借り入れ金を返済をいたしました。したがいまして、返済をいたしましたあとは、配当金は全部収入として計上されておる。そういうことでございまして、疑問が投げかけられました際に、何回か調査を受けましたけれども、おっしゃるような疑問点は一切なかったということだけを申し上げておきたいと思います。
○野々山一三君 いま河本通産大臣は、何か私の聞かないことを言っていらっしゃるんで、そのことは別の機会にまた伺います。問題は、あなたに言っておきたいのは、あなたのその所得問題について、委員会が資料を求め、査察行為をするということになり、そして具体的な査察の内容に及んでまで審査をすることができた。これは国政調査権にかかわる問題であるということを指摘しておるので、あなたの問題を釈明を求めるような意味のことは別の機会に伺います。答えないでもらいたい。 次に、いま法制局長官、あなたのおっしゃられることはこういうことですね、一般的国政調査権が国会法百四条のルールに基づいて行なわれるものであり、その考え方はいまあなたが述べられたものである、こういうふうに解していいかと思います。そういうことでしょう。 そこで先般、これは内閣がかわられたからあれですけれども、竹下前官房長官は、秘密会であるとどのような内容であるとを問わず、審査の対象として資料を提出することもできないし、これを審査してもらうつもりもない、こう言われたわけでございます。これは先ほどの総理大臣のお答えによって事実上取り消されなければいけないものと解するが、どうかということが第二の問題でございます。そして、第三の問題は、議院証言法というものが発動されなければ最終的に行政権と国政調査権の接点というものは生まれてこないんだということであるとするならば、議院証言法に基づく審査ということがなされることになるならば、国政調査権はその具体的な内容にまで及ぶものですねということを第三に伺いたい。 第四に、これは先ほど申し上げました機密、極秘、秘密、部外秘、取扱注意、人事秘に及んでまで具体的な有効中の秘密事項、機密事項、極秘事項について、現実的に秘密会でこれを提出されて審査をしたことがございます。これは間違いない事実でございます。それは議院証言法によらずとも、これはかつて実例として大蔵委員会で審査されておるわけでございます。そのことが確認されるならば、おそらく小谷委員の指摘される国政調査権の価値、意味、地位というものが納得されるのではないかと思います。私もそういう立場で関連して伺っておる。事実を述べて伺っておるわけで、これは総理大臣、法制局長官に伺われるということはわかりますが、あなたも三十何年国会にいらっしゃって、そして国会議員としての国政調査権に関与していらっしゃった方なのなら、私はわずかな期間しか経験のない人間ですけれども、これが国民一人一人の意思を代表する国会というものの地位ではないでしょうか。 いま指摘した四点について、あらためて伺いたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) これは法律的な問題が多いわけですから、法制局長官のお答えをいたすことで御了承願いたい。
○政府委員(吉國一郎君) お答えを申し上げます。 閉会中審査に際して竹下官房長官がお答え申し上げました点、私具体的に速記録を見たわけではございませんので、あまり的確かどうかわかりませんが、たしかその趣旨は、秘密会であればすべての秘密文書を提出できるかということになりますと、事柄によっては要求に応じられないような場合があり得るということを本旨としては述べたものでございまして、それは私どももかつて申し上げたことございますが、現在の秘密会の制度は、通常は会議録にも議事が記載されることになっております。特にその委員会等で御決定があった場合にのみ、その個所を議事録に掲載しないことがあり得る。これは例外的な措置としてそうされることになっておると存じております。また秘密会で開披せられた事項について、それが外部に流布されないという保証もないということから、秘密会であればすべての秘密が開披できるということには相ならないと存じますが、ただ秘密会という方法によれば相当程度、一般の公開の委員会あるいは本会議はもちろんそうでございますが、公開の会議における審議とはだいぶ違ったものであるということはあり得ると思いますので、秘密会でございまするならば、その秘密に関する事項の審議も一般の公開の委員会等における審議とはおのずから違ったものになるのではないか、そこで秘密会という方法によっても相当程度の調整ができるのではないかと思います。 秘密会の問題についてはそのようなことで一応お答え申し上げますが、先ほど私が申し上げました段取り、これはもう国会法の百四条で一般の国政調査権として行なわれる場合のことでございまして、先ほど申し上げましたいわゆる議院証言法によりますと、これが第五条によりまして、まず職務上の秘密に属するものであるということを申し上げますと、職務上の秘密について開披する、いわば許可する権能を有するものの官庁が許可するかしないかということによって、許可をしなければ証言等をする義務がない。それで、その場合にはその官庁から、主務大臣から許可をしない理由を議院なり委員会に対して疎明をいたします。その疎明をいたしました場合に、議院なり委員会がその疎明を納得される場合には、それでよろしいということになって証言等はしないで済むことになります。疎明を納得されないというふうに御決定になりますと、今度は内閣に対して、これが国家の、何といいますか国家の重大な利益に悪影響を及ぼす旨の声明を請求なさるということになります。その声明の請求があって、内閣がその声明をいたしますと、それでその事案は終わりになりますが、御請求があってから十日以内に声明をしない場合には、証言をしなければならないということで決着がつくことになっております。 以上お答え申し上げます。
○小谷守君 きょうはこの問題、ぜひ総理の政治的な大きな、次元の高い御判断をちょうだいしたいと思っておりましたが、総理の前段のいろんな御答弁で私はやや前進したようにも思いますけれども、次元が違う、国政調査権というものは高次元のものだと。大平大蔵大臣の御答弁を伺いますと、同じ平面でこの二つが抵触しておる、こういう御趣旨のようでもあるし、また十月下旬以来各委員会での大蔵大臣の御答弁、当時の官房長官の御答弁、いろいろ屈折しておりますので、私は委員長にお願いいたします。この問題、たいへん重要でありますから、ぜひひとつ統一見解を求めてもらいたい。理事会において御協議を願いたいと思うのであります。本委員会中に統一見解を、ぜひ納得のいく見解をお願いしたいと思うのであります。
○委員長(大谷藤之助君) どうですか。重ねて御質問されて、ここで統一見解を待たずとも明らかになるという……(「ばらばらだよ、一つもまとまっていない」と呼ぶ者あり)。 じゃ、その問題については後刻理事会において検討することといたしたいと思います。一応後刻の理事会で検討することにして質問を続けていただきたいと思います。(「持ち時間がない」「それは政府がやってもらわなきゃ困る」と呼ぶ者あり)——今国会中にお出しいただくそうでございますから、後刻理事会においても重ねて検討をいたします。あらためての場でひとつ、その問題はおいて次の問題へお移り願って、時間は保留していただいてもけっこうでございます。 ただいまの小谷守君の統一見解の御要請に対しましては、本委員会中に統一見解を政府側から提示をしていただきますから、続いて質問をお願いします。
○小谷守君 総理に伺いますが、田中金脈問題の処理というものは、これは総理がおっしゃっているように、一に田中前総理自身がおやりにならなきゃならぬことだ。それから政府自身がおやりにならなきゃならぬことがあります。議会もやります。そこで私は政府御自身が、総理御自身がいますぐやっていただかなきゃならぬことを以下申し上げたいと思うのであります。たとえばこの田中金脈の中で典型的な手口は、信濃川河川敷、鳥屋野潟の湖底の問題、あるいは光明池の公団用用地の問題、こういう点でありますが、この信濃川の鳥屋野潟、これは犯罪にたとえますならば、まだ未遂の状況であります。これを既遂にさせてはいかぬ。そのために政府のとるべき措置があると思うのであります。 建設大臣に伺います。信濃川河川敷、長岡の河川敷です、あるいは新潟市の鳥屋野潟の問題、これの今日までの経緯、問題の焦点はどこにあるかということについて、大臣御就任早々でありますから関係局長からでもけっこうでありますから、御説明を願いたいと思います。
○国務大臣(仮谷忠男君) 小谷先生、現在調査をされてたいへんお詳しいようでありますから、私のお答えで足らないところは関係局長から補足させますので、御了承いただきたいと存じます。 信濃川河川敷の問題でありますが、一般論としては、堤防が完成をすれば河川区域として存置する必要のない土地については廃川処分を行なうのがたてまえであります。ただ当該堤防については、完成後四年を経過をいたしておりますので、処分は可能な時期にきていると考えておりまして、現在処分に必要な調査を行なっております。このことについては、前の大臣が十一月の八日の決算委員会においてお答えをしておったようでありますが、これは廃川処分については慎重に行ないたいと、こういうふうな趣旨でお答えをしたものと私どもは解釈いたしておりまして、その程度の私は事務当局からの報告をいただいておるわけであります。 それから鳥屋野潟の問題でありますが、これは景観を保全し及び水面を公園として利用するためにも、また河川管理上からも水面下の私有権を公有地とすることが望ましいので、従来新潟県においては換地方法によって大部分の私有地を公有化することを検討したようでありますが、換地率が問題となって方針の決定には至らずに、現在ではこの問題は白紙になっておるようであります。それから第二の、公園事業実施のためには、河川区域内の土地を取得することについては当面は必要がないというふうに思っておるのでありますが、将来、河川区域内の水面または水底の一部を公園として完全に利用するためには所有権の取得が必要でありますが、ただ単に修景のための公園計画を立てるなら、必ずしも公有化しなければならぬとは考えていないのであります。このような水面自体の利用のあり方については、今後の検討いかんによらなければならぬと考えておるのであります。 十分なお答えにならぬかもしれませんが、詳細局長から補足説明をさすことで御理解願いたいと思います。
○政府委員(増岡康治君) 信濃川の河川敷問題につきまして、もう少し補足させていただきます。 ただいま大臣が申し上げましたとおり、廃川処分の考え方でございますけれども、一般の場合を申し上げますと、堤防の安定ということを考慮いたしまして、大体いままではおおむね三年を経過して行なうようなことが全国的に行なわれておるわけでございますけれども、この御指摘の蓮潟堤防は現在ちょうど四年ぐらいになっておりますので、処分可能な時期にまいっておるわけでございますので、私どもは現在は廃川処分に必要な調査をやっておるわけでございます。 それで、調査の内容を申し上げますと、まず第一番には公図といいますか、公の図、登記簿、閉鎖土地台帳の謄写をやっております。これは年内に完了いたします。それから二番目の官民境界の画定調査がございますが、これは御承知の長岡は非常に雪の多いところでございますので、これはおそらく来年の四月以降になろうと思います。それから三番目には河川区域として存置する必要のある土地の調査、これも同じような理由で来年四月以降になると思います。それから四番目に、九条地におきます相続関係の確認調査でございますけれども、これが一番むずかしいことでございまして、これには時間がまだはっきり申し上げられないということでございまして、いずれにいたしましても、廃川処分の事務手続は来年の四月以降になると思います。 それから今後、その後どうするりかということでございますけれども、先生御承知のように、廃川処分予定地の土地につきましては、すでに売買が行なわれているやに仄聞しておりますが、このことが、民法上の契約でございますので、河川管理者としては関与できないことでございますけれども、なお、時間がございます。大臣が申し上げましたように、廃川処分にあたりましては、なお慎重な配慮をいたした上で実施させていただきたいと、そう考えております。
○政府委員(吉田泰夫君) 鳥屋野潟のことでございますが、実は、鳥屋野潟の河川区域は約百八十ヘクタールあるわけでございますが、このうちの百四十ヘクタール程度が民有地になっております。そこで景観の保全とか公園計画、あるいは河川管理上もこれを公有化することが望ましいということで、従来、新潟県当局におきましては、換地方式でこの大部分を公有化するということを検討してまいりました。しかしながら、県内の審議会等におきましてもこの換地率というものが問題になり、結局、方針の決定には至らないで、現在ではさらに白紙に戻ったという状況でございます。 この問題は、河川区域内の民有地の相当部分が大口の所有者に売られておって、鳥屋野潟の整備のために湖面の一部を埋め立て、これに換地するということになりますと、相当大幅にいわゆる減歩をいたしましても、なお、この民地所有者に過大な利得を与えるのではないかという観点から問題になっているものでありまして、この問題につきましては、先ほど建設大臣からお答え申し上げましたとおり、現在公園の事業化が決定しております部分は、河川敷の部分を除きました南側の陸地の部分だけでございまして、これを十年程度の計画で用地買収の上、公園として施設を整備するという計画でありますから、当面は、河川区域内の整備というところまではいかないわけでありまして、そういう意味では、河川区域内の土地を取得するという必要はないわけであります。そこで、陸地部分につきましての公園を逐次整備していくかたわら、県当局におきまして、この水面部分をどのような形で公園として利用させるか、こういうことを十分治水対策等とも調整をはかりつつ検討していくということになっております。
○小谷守君 建設大臣、この信濃川河川敷にしましても、鳥屋野潟の湖底地の問題にいたしましても、いま国民の疑惑の焦点になっておるところです。先ほども申し上げましたように、たとえが悪いですけれども、犯罪にたとえますと、まだ未遂の段階です。総理大臣はやめたけれども、金もうけの思惑は思惑どおりいったということでは困るんです。それがかかっておるのがこの信濃川の河川敷、二十五万坪に及ぶところのこの廃川処分をいつやるかということ、これについては、前大臣は疑惑の解明ができるまでこれをやらぬという言明をされておる。これ、はっきりしてください。 それから同時に、鳥屋野潟については、これも同様でありますが、湖面埋め立ての事業の認可はしないと。せずに済むのです。これだけはっきりしてください。
○国務大臣(仮谷忠男君) 政府が田中金脈問題に加担しているのではないかという国民の疑惑があるとすれば、まことに遺憾であります。したがいまして、疑惑を解くために最善の努力をすることは当然であります。しかし、直接の河川管理者としては、ただいまお話にありました信濃川、蓮潟問題あるいは鳥屋野潟問題に関しましては、これに加担したことはない、そういう考え方はない、こういうことでありますので、これはぜひひとつ御理解をいただきたいと思います。 なお、亀岡大臣が、廃川処分問題は決着がつくまではしないと、こういうことを決算委員会で申されたようでありますが、先ほどもちょっと申し上げましたように、完成後もうすでに四年を経過しておりまして、すでに処分は可能な時期にきておりますので、現在その必要な調査をしておるという段階でありまして、必ずしも亀岡大臣の言っていることと私どもが現在行なっていることとは食い違っておるとは考えておりません。 なお、いま一点の問題は、ちょっと私事情をよく承知しておりませんから、局長から説明をさすようにいたします。
○政府委員(吉田泰夫君) 鳥屋野潟の計画は、先ほど申し上げましたように、水面部分はその美しい景観を楽しむということが主であります。いわゆる水辺公園として考えているものでありまして、したがいまして、その湖岸の部分の陸地部分を、約十七ヘクタール整備するということだけを現在事業化決定しているわけであります。したがいまして、現在決定している事業を進める分には、湖面下の民有地を公的に取得するという必要はないわけであります。ただ、もっとも今後の県当局の公園整備計画の検討のぐあいによりましては、湖面についてもなお、単に景観を楽しむというだけではなくて、たとえばボートの発着場をつくるとか、その他のより積極的な全面的な利用もはかりたいということになりますと、おそらく所有権を取得するなり何らかの権限を取得する必要が出てくる。その場合には、その用地取得の方法として、最も適当な方法を、これまた十分検討の上処理しなければなりませんが、いずれにしても、それは先の話でありますし、また県の計画によりまして、単に修景の場としてのみ水面を考えるということであれば、最後まで取得の必要はなくなる、こういうことでございます。
○小谷守君 建設大臣に申し上げます。 先ほどの御答弁、何か歯切れ悪いんです。あなたは田中金脈には御関係ないと思うけれども、田中人脈のほうにかなり御関係があるように仄聞をいたしますだけに、こういう点ははっきりしてください。信濃川の河川敷にしましても、坪五百円で買ったものが、あなたの処分で二十万円になるのですよ。二十万円になる。そういう重大なもくろみが待ちかまえておる問題でありますから、国会で疑惑の解明ができるまではその処分はしない、湖面埋め立ての許可もしない、これだけははっきりしてくださいよ。
○国務大臣(仮谷忠男君) 田中人脈かどうか、いろいろあれされておりますけれども、私は三木内閣の方針に沿って、清潔で誠実な政治をやりたいというつもりで努力をいたしておるつもりであります。いま先生のおっしゃった問題については、私も就任してまだ十日ぐらいしかたっておりません。だから、詳しいことは聞いておりませんけれども、行政上誤りのない処置をとりたいということだけははっきり申し上げておきたいと思います。
○小谷守君 この問題について、総理の御決意をひとつ承りたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 私も十分注意をいたします。この問題の処理には注意をいたします。
○小谷守君 住宅公団総裁、御苦労さんです。光明池の公団用地の問題は、これは先ほどのと違って既遂であります。犯罪にたとえるならば既遂であります。もう九年間もほったらかして、いまやっと造成に入られたようでありますから、これはそれなりに認めるとして、この公団用地の取得の経過、これはもう時間がありませんから、一々こまかいことは申し上げませんが、まことに不明朗きわまる経過であります。今後、公団用地の取得については、このようなことが絶対ないように御留意願いたいと思うのであります。詳しいことは申し上げる時間がありませんから、その辺の御反省のほどをきょうは伺いたいと思います。
○参考人(南部哲也君) 光明池につきましては、三十八年に取得いたしまして、都市計画決定のあったのが四十五年でございます。昨日、私現地を全部調べてまいりましたが、進捗率はただいま五〇%、明年度から住宅を発注できるという状態にまでようやくこぎつけました。御指摘のように、この事件を契機にいたしまして、用地取得につきましては、慎重を期するということで、価格の面からいいましても、その後の用地取得につきましては十分の配慮をいたしまして部下を指導しておりますので、先生の御趣旨を体しまして、今後なお一そう慎重に進めていきたいと思います。
○小谷守君 大蔵大臣に伺いますが、国有地の払い下げ、これにまつわって虎の門公園、大手町公園、金脈の中に浮かび上がってくるケースが多々ありますが、その一々についておさらいをする時間もありませんので、端的に申し上げたいと思うのでありますけれども、これからはもう土地公有化の時代だ、これを志向して、払い下げというふうなことはできるだけ抑制をしてもらわなければならぬということが一つ。 さらにまた、今日の国有財産法のもとにおきましてはきわめてずさんである。私は、これを強化して、内容を申し上げたいのでありますが、時間がありませんから、もっと強化をして明朗なものにしてもらわなければならぬ。そのためには、第三者機関、ガラス張りで第三者機関にかけて、そうしてその状況も国会を通じて国民が十分理解することができ得るような手だてを講じていただかなければならぬ。国有財産法の改正も含む問題でありますが、大蔵大臣の御所見をこの際ちょうだいしておきたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 都市と都市周辺の土地問題がたいへん緊張を呼ぶ課題になってまいりまして以来、国有地の処分という問題が世人の注目を引いた問題になってまいりまして、これの管理、処分という問題は非常に重大な行政上の課題になってきたと思います。 そこで、昭和四十七年の三月十日、第十九回国有財産中央審議会で、「都市及び都市周辺における国有地の有効利用に当たっては、できるだけ都市の再開発に寄与するような形で処理することを基本的な考え方とし、次のような方向で処理すること」。その第一に「国有地は従来よりも一層公用、公共用の用途に優先的に充てることとし、都市の再開発に関連なく民間へ処分することは、原則として行なわない。」云々という答申がもたらされておるわけでございます。したがいまして、この問題につきましては、この趣旨に沿いまして、実情に沿って厳正な処置をしてまいらなければならぬと思います。 それから第二の問題、民主的に充実した審議を通じてやるようにというお話でございました。現に中央、地方を通じて審議会がございまして、広く民間有識者、地方公共団体関係者、関係行政機関の職員の皆さんの御意見を伺いまして処理をいたしておるわけでございまして、その人たちもよくこの任務にたえていただいておると思うのでございまするが、なお足らないものがあるかどうか、これは十分検討いたしまして、足らないところがございますならば、御指摘の趣旨に沿いまして改善をしてまいらなければならぬと思います。
○小谷守君 法務大臣にお伺いをいたします。 いわゆる田中ファミリー、これに関連する、俗に称せられておるところの幽霊企業、従業員もおらぬ、責任者もおらぬ、事務所もはっきりしない会社、いわく室町産業、新星企業、東京ニューハウス、パール産業等は、国会の審査でも明らかになっておりますように、機能を何か喪失しておるのではないか。会社のていをなしておりません。しかも、新潟県に見られるような土地ころがし、不法な目的をもって設立された会社ではないかというふうに疑いたくなります、何回電話をしても応答がないというふうな。 そこで、これは所在不明企業、幽霊会社と断定せざるを得ないと思うのでありますが、商法五十八条を御存じと思いますが、これは「会社ノ設立ガ不法ノ目的ヲ以テ為サレタルトキ」、「会社ガ正当ノ事由ナクシテ其ノ成立後一年内ニ開業ヲ為サズ又ハ一年以上営業ヲ休止シタルトキ」等には、裁判所は、法務大臣または利害関係人の請求により会社の解散を命ずることができる、こうなっております。法務大臣は、裁判所に対してその請求をなさる必要が今日あるのではないか、こう思いますが、御見解いかがですか。
○国務大臣(稻葉修君) 小谷先生御指摘の点は、きわめて具体的事案に対する法務大臣の具体的処置について見解を求められているわけでございますが、法秩序を確保し、国民の権利保全という職責にあります私といたしましては、厳正公正に実定法の運用によって法務当局に課せられている職責を十分果たしてまいりたい。したがって、御指摘のような商法五十八条、非訟事件手続法百三十四条ノ四というような実定法の運用に誤りのないよう心しておる次第でございます。
○小谷守君 具体的にお尋ねしておるわけであります。商法五十八条によってこの解散を裁判所に請求される権限が法務大臣にあるわけであります。その権限を行使されるかどうかという点であります。
○国務大臣(稻葉修君) 小谷先生も御指摘のように、五十八条関連の非訟事件手続法の手続をとりますためには、要件が整いませんといけませんから、まだ要件が整っておりませんから、要件が整いましたときには法の適用について誤りなからんことを期しておる、こういう御返事を申し上げた次第です。
○小谷守君 私は要件を申し上げたはずですが、これはあとでまた伺いましょう。 最後に、総理にお伺いいたします。 衆議院の予算委員会におきましても、三木内閣の閣僚の中からは地位利用、利権というふうなことについては断じてそういうことは行なわぬという御決意でありましたから、私はここで総理に重ねてだめを押すような失礼なことは避けたいと思います。 そこで、一つの具体例を申し上げます。砂防協会がやっております砂防会館、ここは今日金脈の根拠地になっておるのではありませんか。越山会、財政調査会、政治経済調査会、近代政治研究会、新政同志会、七日会、鉄心会、江崎真澄事務所。公益法人たる砂防協会の会館に派閥事務所を置くことはどういうことでしょうか。しかも、これは事業量に応じて各府県や自治体に会費を割り当てて徴収をして、それでまかなっておる会館です。そこに坪五千円の家賃でこういうものが蟠踞しておるということは、まさに地位利用であると、こう思いますが、これをすみやかに撤去させるべきであると思います。これは総理、自民党総裁としてどうお考えになりますか。
○国務大臣(三木武夫君) 砂防会館は非営利団体に貸すということが原則になっております。どうもいまおあげになりました——私はあそこへ行ったことはあまりございませんので、そういう事務所があるということは私自身は知っていないわけですが、しかし、どうも政治団体に貸すことが悪いという結論は、非営利団体に貸すということで、政治団体が非営利団体であることは明らかでございますから、それに貸すことが違法だというふうには断定しにくいのではないかと、かようにいまお聞きして考えるわけでございますが、いろいろこう——(「政治姿勢の問題」と呼ぶ者あり)まあ政治姿勢ということになれば、各人がお考えになるよりほかないので、いまのような、砂防会館を使ってはいかぬでないかと。違法だとは言えない、これは各人の一つの政治家としてのいろいろな判断にまかすよりしかたがない。総理たる私が砂防会館を政治団体が使うことはけしからぬとここで言うことはいかがかと思いますので、さようお答えいたします。
○小谷守君 私はこれは違法だとかなんとかということではないのです。そういうことは今日の国民常識からいって、公益法人の、自治体が会費を納めて運営しておる会館に、大きな顔をして会館の全坪数の約半分を使っておるんですよ。いけません。時間が参りましたからこれで終わりますが、どうですか、道義的な問題、政治道義です。
○国務大臣(三木武夫君) こういうことが国会で論議されたということは、やはりいろいろ政治家として考える一つの問題点でもございましょうから、各人の判断にゆだねたいと思います。——(拍手) —————————————
○委員長(大谷藤之助君) 中山太郎君。
○中山太郎君 私は自由民主党を代表して、総理並びに関係閣僚にお尋ねをいたしたいと思います。 最近の日本の国情、政情というもの、こういうものを考えてまいりますときに、いまも野党の方方の御質問の中にあった政治家の金脈の問題、あるいは政治不信の問題、こういう問題は最近の雑誌によって一挙に噴出した。しかし、その前にも、ここ一両年、日本の国民感情というものを見てまいりますと、私はやはりいろいろな問題が潜在をしていたと思います。たとえば、物価高騰の問題、あるいはまた精神病者の激増の問題、あるいは核家族化の問題、あるいは自分の生んだ赤ん坊を捨てる事件が激増している、あるいはまたいわゆるエロ雑誌というものがどんどんと市販をされておる、あるいは爆弾事件、あるいはハイジャック、あるいは学生の内ゲバの殺人事件、あるいは養老院が繁盛する問題、自治体の財政の混乱の問題、こういうふうないわゆる日本の社会環境というものは、単に文勢春秋事件で今日政治不信を起こしているのに全然関係がないとは言い切れませんけれども、やはりそれとは異質の大きな政治不信の基本的な問題が潜在をしておったと思います。 特に、昭和三十六年ごろの高度成長が進んできて、日本がいわゆる大衆消費社会に入ってまいった。その大衆消費社会に入って、ローンというものが日本の国民生活の中に浸透してきた。そうして月賦社会、とにかく生活の、給料というものは安いけれども、来年の春闘ではおそらくベースアップは二〇%は上がるだろうから、いまのうちに月賦を申し込んで、金を借りておいても掛け金のほうは来年の上がった分で払っていける、土地は早く買っておいたほうが得だと、こういうふうな国民感情というものが流れていったと思います。しかし、今日の国民の姿を見ており、あるいは大学を卒業して大会社につとめておられる社員、しかもその経営者の社長連中に、私は大阪の出身でありますからいろいろな大会社の社長をよく存じ上げています。そこでお話を聞いて、あなたの経営される会社は二年後一体どういうふうになるとお考えかと尋ねてみても、一生涯働いてきた、しかもその専業者が、自分の会社の二年先の経営状態がどうなっておるか全然わからないということを、口をそろえて言っておるのが今日の社会の現状ではなかろうかと思います。経営者、しかも一生涯をかけてその会社のために奉仕をし、最高の責任者になった人すら、二年後のその会社の経営状態に対して一つの自信を持っていない。こういうことであれば、そこにつとめている職員、社員というものが、いわゆる経済に対する自信も持たない、期待も持たない、こういうふうな社会環境というものが今日の日本の姿じゃなかろうか。 けさも御質問がありましたが、ありとあらゆる団体が国会に予算の編成のときに陳情にやってくる。それぞれの団体が全部権利を主張する社会環境というものが、今日醸成をされておる。こういう社会環境の背景にあって、いま国民に冷静な判断と、日本人としてどうして生きていくかという大きなプログラムを示してやることこそが、私は日本の政治を安定させる一番大きな基本の問題ではなかろうかと思います。 いままで経済社会発展計画とかあるいはいろんな経済政策の見通しというものが、資源は無制限だという観点のもとに立てられてきた。しかし今日では、経済社会発展計画の根本的見直しというものが要求されておる。こういう中に立って、私はやはりこの日本の国のこれから十年、二十年、三十年、五十年先の経済状態というものは、今日いかなる学者も見通すことはできないと思います。しかし一つだけ、政治の基本であり主権者である国民の数がどうなるかということは、これははっきりといたしておるのであります。戦後の日本の保守党の政治がいろいろ批判を受けていますけれども、現実に社会福祉あるいは健康管理という問題が行き届いて、乳幼児の死亡率というものはいまおそらく国連統計では、世界ではうんと水準の低いところにいる。千人に対して十三人ぐらいの死亡率しかありません。あるいは老人の寿命というものが二十年延びた。そういう中で人口が爆発的に増大をしていく。こういう中で、昭和百年の日本の人口というものは、ある程度の予測が厚生省の人口問題研究所では出ておるのでありますけれども、いまのままでいくと一億四千万になる。いま一億一千万です。この資源がなくなるという国際環境の中で、しかも三十六万平方キロしかないこの小さな国土で人間が無制限にふえていっていいのか。今日、将来の日本の国民のために政策を立てるならば、まず人口をどうセットするかということを政治の責任者は判断をせなければならないと思う。 その点についてひとつ政府側の御意見を伺いたいと思いますが、まず私は厚生大臣から、このままいけば一体日本の人口はどうなるのか、こういうふうなひとつ御答弁を願いたいと思います。
○国務大臣(田中正巳君) 日本の人口増加問題については、先生おっしゃるとおり、現在当省の人口問題研究所の推定によりますると、昭和百年には一億四千万人に相なるだろうということを言っておるわけであります。きわめて技術的な推計でございますので、必要がございますれば、説明員として人口問題研究所長が来ておりますので、そちらから御説明させてもけっこうでございます。
○中山太郎君 どうぞ、厚生省の人口問題研究所から……。
○説明員(黒田俊夫君) 黒田でございます。 いま中山先生から昭和百年の日本人口が一億四千万になるというお話がございましたが、私どももそのとおりに思っております。これにはいろいろ計算方法がございますけれども、最近の日本の人口の動きというような観点から私ども再び新しい推計の計算をやっておりますが、大体五年おきに人口推計をやっております。一番最近のは昭和四十四年でございますが、四十四年の数字によりまして、いま先生のおっしゃいましたように、昭和百年の日本人口が一億四千百六十万ぐらいになると思いますが、私どもまた最近の新しい人口事情、特に出生、死亡の動きというものを新たに入れまして新しい作業を実行中でございます。まだ結果は完全に出ておりませんが、現在過渡期の推計によりますと、一億四千三百三十万ぐらいになるであろう、こういうように考えております。 その場合に、最近の日本の人口の将来を考えます場合に、私どもがたよりにいたします一つの重要な指標というのは、純再生産率という、たいへんめんどうなことばでございますが、そういうものを使っておるわけでございますが、昨年の一番新しい動態統計をもとにいたしまして計算いたしますと、純再生産率が一・〇一、こういう水準でございまして、大体昭和三十年以降ほぼこういったような水準にございます。と申しますのは、一人の女子から将来自分に入れかわる女の赤ちゃんがどのぐらい生まれるか、その生まれる女の赤ちゃんから、さらに死亡しておとなになるまでに減っていくもの、こういうものを考慮いたしたものが純再生産率でございますが、どうも日本人の最近のそういったような子供の生み方という態度は、大体一と考えてよろしいかと思うのですが、もしこれがそのまま続けばほぼ一億四千万という、先生がおっしゃるようなオーダーで安定するのじゃなかろうかと、こういうように考えております。
○中山太郎君 いま厚生省の人口問題研究所長からの御報告がありましたが、大体私どもの推測と同じであります。このままでさらに三千万人の人間をこの列島に上積みしていくと、しかも、いま三木内閣が国民の期待にこたえて社会的公正、富の分配、豊かな福祉、そういうものを国民に公約していくと、この増大する日本人に対する公正な分配とは一体どうなっていくのか、ここいらの問題は、今日石油の問題とかあるいは農産物の問題とかとは関係なく、一応数学的に計算をし、そうしていまの政府としては、将来の確実な予測ができるわけでありますから、この日本列島の人口をどの程度で制限するんだ、そういうふうなことをしないでこれからの行政もあらゆる配慮も机上の空論に終わるだろうというのが私の考え方であります。その点について、日本の統治の最高責任者である三木総理に、一体日本列島はこれからどの程度の人口で押えていくことがみんなのしあわせを招くんだというお考えを、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) いま人口問題研究所長もお話しになったように、日本の人口増加率といいますか、一%——一%という数字は非常に安定した私は数字だと思うんですよ。三%のようなところもございますね、東南アジアには。一%という人口の増加率というものはやはり好ましい形ではないかと考えておるわけでございます。 したがって、日本は昭和百年に、お説のように人口がそのような人口の増加になってまいりましたときに、一億四千万になってきた場合に、それを基礎として、日本の一億四千万の人口がやはり人間らしい生活のやっていけるような計画を立てる。だから、その人口のほうから押えるというのじゃなくして、大体一%程度の人口の増加率というものはそう好ましくない形ではない。だから、それだけの人口の増加を考えて、それに対してその人たちが人間らしい生活のできる計画を立てていくというのが、これからの政治を担当しておる者の責任ではないか。中山さんは人口のほうから押えていく。私は、それくらいの増加率というものは世界各国の例をとっても好ましい形で、安定した形ではないか、それに適応できるような計画を立てることが政治を担当しておる者の責任ではないかと、かように考えておるわけでございます。
○中山太郎君 わが党の総裁に対してこういうことを申し上げるとはなはだ失礼かもわかりませんが、いま私どもの計算でやっていくと、夫婦二人が子供を一人にもし制限をしたとすると、昭和百年には六千六百二十九万人の日本の人口になるわけであります。二人にした場合に一億一千二百八十万人、三人にした場合には一億三千百十一万人、こういう数字が計算上はっきり厚生省、しかも日本の行政機関で出ておるわけであります。いまのままで野放しにすると一億四千万人になる。 私は自分の考え方から言うと、資源がだんだんと枯渇してきている、エネルギーの問題もたいへんな問題になってくる、農産物もたいへんだ、そういうこれからの未来の日本人のためには、ある程度現在の政府の責任者がやはりその人々のために適切な数値を設定することが私はきわめて大切であると思う。いままでのように資源が無制限に入ってくる、金さえあれば幾らでも材料は買えるんだ、だからどんどん労働力がふえりゃよろしい、その人たちによって製品を出してどんどん外国に売るんだ、そういう考えの時代はすでに過ぎ去った。もうそれは過去の考え方であります。これからの地球は一家だという考え方に立てば、今年は世界の人口年に当たっている。ブカレストでも会議があったわけでありますが、いかにしてこの地球国家というものに人間がしあわせに暮らすかということを考えていくべき時代ではないかと私は考えています。 しかも、これからは社会福祉を充実していくということになってくると、税負担というものがばく大にのぼってくるわけであります。ことにゼロ歳児の診療の無料化、老人医療の無料化、さらに年齢の低減、こういうことになってくると、生産年齢人口が負担をする非生産人口に対する税の負担というものは、はかりしれない問題が起こってくると思います。そういう問題について、私は責任のある立場の政府としては、当然国民に納得のいくことを理解させることが政治の安定する第一歩であると思う。しかも、日本の長期計画の中で最も簡単に決定のできるこの問題をそのまま見逃していく手はないのじゃなかろうか。私は特に食糧の問題、この問題についてひとつ農林大臣からもお考えを伺ってみたいと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) わが国の農業は、過去長期にわたりまして食糧の確保、食生活の向上といった面につきまして大きな貢献をいたしてまいったわけですが、例を申し上げますと、明治初期における人口は約三千五百万人であったのに対し、現在は一億人、さらに五十年後は一億四千万人という御指摘でございますが、日本人の主食である米の生産について言えば、約四百五十万トン明治初期には生産があったわけですが、今日においては千三百万トンをこえるという向上を見ておるわけでありますが、これも面積がふえたというよりは反当たりの収量が伸びておる、こういうことで、まあ米について言えば現在むしろ過剰といいますか、まだまだ相当人口が伸びても潜在的生産力は持っておるということは言えると思うわけでございます。しかし、まだ食生活の向上によりましてだんだんと外国の食糧を輸入しなきゃならぬという事態でございます。 そういう中にあって、やはり主食の将来にわたる生産力を高めていく、潜在生産力を持つと同時に、これからの日本の人口増加というものを考えて、国際的な協力を増進して食糧の供給安定をはかっていかなきゃならぬと思うわけですが、五十年後の人口に対して食糧がどうなるか、これは悲観的な見方、楽観的な見方、いろいろとあるわけでございますが、今日の段階では相当世界的な食糧事情というものは逼迫をしているわけでございまして、そういう中で世界食糧会議等も持たれて世界的な危機感が出ておるわけでございまして、私たちもやはりそういう世界的な食糧の逼迫というふうな状態の中にあって、日本農業の自給力を向上するとともに、先ほど申し上げましたような、やはり国際協調の中にあって世界食糧の増産あるいは備蓄といったものに対しても積極的に貢献をしていかなきゃならぬ、こういうふうに考えております。
○中山太郎君 農林大臣のお話で、食糧問題についてもまだ五十年先の見通しは全くつかない。ただはっきりしておることは、開発途上国、ことに南半球の国家における人口が爆発的に増大をしてくることは間違いない。これは世界的に認められている事実であります。その人たちが、いまですら一千万の人間が飢えているわけです。これがさらにふえてくるということになってきたときに、私どもだんだんと食生活が向上をして動物性たん白の摂取量がふえてくる。そういう中にあって食糧の確保、飼料の確保ということは容易なことでは果たされない時代がくる。こういう点について、きょうは総理から野放しで一億四千万までいってもそれはいいんだというお考えをお示しいただいたのですが、私はこの中で世界共通の課題となっておる問題は、やはり家族計画の推進の問題であろうと思います。つまり人口抑制政策であります。 この人口抑制政策の中で、いまいろいろと日本でも厚生省が中心になっておやりですけれども、世界の先進国の中で日本だけが許可をしていない問題があります。日本、北朝鮮、トルコ、世界百四十カ国のうちでこれぐらいの国が許可していない。つまり、許可していないものは経口避妊薬であります。こういう問題と家族計画、これは無関係ではないわけであります。しかも、そのあとにくるのは大きな、国民各人に均等していく社会福祉の問題がひっついてくるわけでありますから、この点について厚生省はいままで禁止をされてきましたけれども、いま日本の産婦人科医会の考え方でも、前向きで検討するという考え方です。これについて厚生大臣のひとつ明快なお答えを願いたいと思います。
○国務大臣(田中正巳君) 人口問題に関連をいたしまして、今日まで政府では、特に当省では家族計画政策を実施していることは先生御案内のとおりでありますが、これはあくまでも本人との相対ずくのコンセンサスのもとにやっているわけでありまして、国家権力をもって人口を抑圧する、あるいは生産の制限をするということはわが国ではやっておらないわけであります。いろいろと保健婦さんを使いまして器具等を用いることを勧奨して、人口のふえることをある程度抑止をするというようなことはやっており、また講習会等もやっているようですが、あくまでも国民的なコンセンサスの上に立ってこの問題の処理をはかってきているわけであります。先生あたりではまたこの問題に対して政府の態度が消極的であるという御意見もあろうかと思いますが、世論の動向を見て、この点については極端に積極的なことをとることは今日どうもいかがかと思われるような風潮もあるのでありまするので、こういう点に今日とどまっているわけであります。 さて、ピルの問題でございますが、世界じゅうでこれを禁止している国は、いま先生がおっしゃったとおり日本を含めて三カ国であります。したがいまして、十四、五年間この問題についていろいろと、これをいかがわが国で扱うかということについていろいろと検討をいたしました。ところが、どうも最近このピルについては、世界各国で副作用の問題についていろいろと議論がかまびすしくなってまいりました。たとえば血栓性静脈炎、肺動脈塞栓症等々の副作用が論ぜられるようになり、米国では最近、目に副作用が出てくるという話も出てまいりました。いろいろわが国においても検討をいたしておりまして、時と場合によってはこれを解除しようかなどという気運も盛り上がったこの節に、いろいろとこういう問題が出てWHO等でもいろいろと新しいコメントが出てきたわけでありまして、言うなれば今日では世界の状況、この薬品の使用を許可している国においても、これについての扱いはやや逆風の状態でございまして、こういう節にわが国があらためてこれを許可することについていまだ慎重にならざるを得ないというのが今日の現況でございまして、なお、さらに慎重な検討を続けてまいりたいというふうに思っております。
○中山太郎君 それでは経済企画庁長官にお尋ねをしたいと思うのですが、こういうふうな人口の増加というものが、政府のほうからはっきりと昭和百年には一億四千三百万だと、もう三千三百万上のせするんだということがここではっきりと国民に向かって明示された以上は、これからのいわゆる社会公平を期するとか、あるいはいろんな住宅の問題、教育の問題等については、大きなやはりそれなりの考え方に立ってものを考えていかなくちゃならないだろうと思います。いままでの考え方は全部これが変わるのじゃなかろうか。そこらでひとつ、新しい考え方はまだ計算がされていないかもわかりませんけれども、物価の上昇を押えるような数値というようなこまかいことではなしに、マスな話でけっこうでありますから、これからの経済運営の基本というものはどうなっていくのだろうか、ひとつお答えを願いたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 人口一億四千万というと気の遠くなるような数でございますが、それは私が承知しておるところでは、人口増加率がだんだん低下してくる。五十年間平均しますと〇・五といいますか、今日は昨年でいうと一・三ぐらいですか、それがだんだん増加率が低下しまして、平均すると〇・五ぐらいだと。そういう前提に立っての一億四千万人と、そういうふうに思いますが、私は当面はこの増加率というのはかなり高いのじゃないか。昨年がとにかく一・三%もふえておる、ことしもそのくらいふえるだろうと、こういうふうに見通されている。その傾向というものはここ当分の間は続いていくのじゃあるまいか、そういうふうに考えるわけです。 これからいろいろ長期計画を立てるわけでございますが、そういう前提で、まず第一に食糧の問題があります。また、環境をその人口増加に対していかに保全してくかという問題もあります。またエネルギー、これをどういうふうに人口増加に対応させるか、こういう問題もある。あるいは水が一体どうなるかというような問題も切実な問題になってくるだろう。そういうように、人口が当分はかなり高い程度でふえる、五十年間の〇・五というようなそういうような低い率ではないということを前提といたしまして、わが国民の生活をいかに安定させるか、また生活周辺をいかに整備するか、こういう問題を考えなけりゃならぬだろう。長期計画を五十一年度から新しく設定するわけでございまするけれども、その際には人口の伸びということをこれは十分前提といたしまして考えてみなけりゃならぬ、かように考えます。
○中山太郎君 そこで、第二項の質問に入らしていただきたいと思いますが、私はこの十年ぐらいの日本を見ておって、日本の家族というものが大きな変化を遂げてきている。その基本になったものはやっぱり都市化の問題であろうと思います。大都市、つまり高賃金を求めて、農村の機械化による人手の余り、あるいは塩田の機械化、こういうものでたくさんの労働者が都市に集まってきた。こういう中で一番都市に顕著な問題は何か。それはやはり世帯の増加率の問題であろうと思います。いま厚生省の人口問題研究所の方が来られておりますが、最近人口増加率よりも世帯増加率のほうが高まっている、こういうふうにいわれておりますが、ひとつその数値をお示し願いたいと思います。
○説明員(黒田俊夫君) いま中山先生の、世帯数の増加の問題を出していただきましたけれども、大体昭和三十年ごろから世帯数の増加と人口の増加が非常に変わってまいりました。先生のおっしゃるとおり、人口増加率の大体三倍あるいはそれ以上の増加でございます。特に大都市圏、いまおっしゃいました大都市圏でございますが、そういうところでは特に増加率が激しゅうございます。人口の減少している農村圏でも世帯は増加しております。そういった増加の模様でございます。
○中山太郎君 この問題で自治大臣にもお尋ねをいたしたい、厚生大臣にもお尋ねいたしたいのですが、いわゆる俗称核家族化です。いわゆる女房をもらえば新しい世帯を持って独立して家を求める。マンションへ行きたい、あるいは市営住宅、府営住宅に入りたい、こういう傾向が蔓延してきた。これは戦後の日本の高度成長期における大きな現象であろうと思う。 そういう中で問題になってきたのは一体何か。いわゆる人口急増都市における保育所の建設要求がそこで登場してきたわけであります。つまり核家族化して、そして新しい職場につとめて、新しい世帯を持った夫婦が結婚生活をすると、一年たつと子供を生んでくる。ところが子育ての名人の、自分のおやじもおふくろもよそにいる。これは親と別れて暮らしておる。そうなってくると、生まれた子供をだれが育てるかということが、大きないまの日本の全国的な問題になっていると思います。 こういう中で具体的に見ていくと、この世帯増加率が一番高いのはどこか。南関東、二六・八%、人口増加率が一四・七ですから、倍近くあるわけです。住宅が足らないのは当然のことなんです。東海地区、人口増加率が八・六で、世帯増加率が一九・三です。倍以上あるわけです。近畿地方でも人口増加率が一〇%、世帯増加率が二〇、つまりこのままでいくと永久に住宅不足は解決できない。 そこで問題になってくるのは、第二のラウンドに入ってくるわけでありますが、生んだ子供をどうするかという問題が社会の風潮の中に出てきたわけであります。つまり生まれた子供を預かってくれるか、こういってわざわざ市役所に問い合わせに行く勤労婦人が現実に出てきていることを、政府は率直に認めていただかなければならないと思います。生む前から、子供を生んだら預かってくれるかというのがいまの都市の姿であります。各衛星都市では若い世帯の人たちが非常に多い。そこで、従来の行政機構とそれから財源だけでは保育所の建設が思うようにいかない。大阪府下のある衛星都市、名前を言えば枚方市というところであります。ここなどは保育所をつくるのに敷地二億、建て賃、上屋九千万、二億九千万で収容人員が九十人、そういう保育所がどんどんと、財政が困難であるにもかかわらず建設を続けておられるわけであります。 その次に出てくるのは何かというと、保母の問題であります。保母不足が起こってきた。その建屋ができても、子供を預ける人はたくさんいますが、保母さんがいない。ここに保母の問題が出てくるわけです。もちろんこれは地方公務員になるわけです。そこでこの保母の確保という問題が出てきますが、なぜ幼稚園には保母が行って、保育所に保母が行かないのか。この問題についてひとつ厚生省と文部省、文部省は幼稚園の管轄であります。厚生省は託児所、保育所の所管をしておる。ところが、保育所を調べてみたら、保育所には行きたがりませんね、幼稚園のほうに行きたがる。この原因は何ですか。ひとつ文部大臣と厚生大臣、両方からお答え願いたい。
○国務大臣(田中正巳君) 先生御指摘のとおり、保育所も需要増は大都市等においては特にはなはだしいものがあります。大阪等においてはかなり需給が逼迫しているということを聞いております。そこで、保育所の増設問題もなかなか緊要な問題であり、いろいろと今日までやってまいりましたが、そのほかに、この中で働く保母さんの充足というのがまた一つの問題であります。これについても、しかし全国的にかなりの実は需給のバランスが違うようでございまして、大都市、特に大阪府等におきましては保母さんの不足が顕著であるというふうに聞いておるわけであります。 しからば一体、一般的に申しまして保母の充足が困難であるということについては、やはり労働が過重である、勤務の態様がきびしい、そしてまたこれについては措置費等に占められるところの給与の面について不十分であるといったようなことがいろいろいわれるものというふうに思いますが、ただ、この種職員の給与というのは公立の場合と私立の場合と非常に実は違うわけでございまして、公立の場合には地方公務員の給与でやっておりますので問題はやや少ないのでございますが、私立の場合には人間の、つまり働いている人のパターンというものがそれぞれの施設で違っているということなどがありまして、実際問題として非常にむずかしい問題をかもしておりまして、つまり措置費の配分のしかた等ともからみ合って、今後改善を必要とすることが多々あるものというふうに思っております。
○国務大臣(永井道雄君) 幼稚園教育の問題について御答弁申し上げます。 三つ子の魂百までということを申しますから、これは古今東西と言ってよろしいと思いますけれども、この幼児の教育というのは人間の性格形成上きわめて重要であるということは、これは全く御指摘のとおりであると思います。 そこで問題は、それが特に現在それ以上に特殊な状況になってきているということにあると思いますが、それはやっぱり核家族化の進行に伴って、さらに共働きの家族も多いというようなこと、あるいは人口急増都市などでは子供の遊び場が足りないというような問題、また家庭にテレビが入ってきておりますから、そういう意味における刺激が非常に強くなっているから、いままで以上に幼児教育を行なわなければいけないというような点がありまして、非常にこの幼児教育というものは私は強化していかなければならないものだと思います。この点は中教審の答申も非常に強調しているところであります。ただ、強化していかなければならないのですが、それに追いついていけないというのが現状であろうかと思います。 御指摘のように、保育所と幼稚園というふうに比較いたしますというと、幼稚園に来ることを望むものが多いということでありますが、それは施設の点、あるいはまた待遇の点、幼稚園のほうが先生方に対して有利な場合がございますから、そこでやはり幼稚園に集まりやすいということもあるかと思いますけれども、しかし、それでもなおかつ不十分である。現在幼稚園の就園児は六〇%程度と思いますが、そのうち私立が、七〇%程度の子供がそうでありますから、このまた私立と公立との間に財政的な条件からくる格差が生じてきております。これについても答申に基づいて四十七年度以来助成を行なってきているわけですけれども、それによって相当の変化が、あるいは進歩と申したほうがよろしいと思いますが、起こってはきておりますけれども、御指摘のように急速な人口急増がございます。それから条件がむずかしくなってきているということがありますから、これまで以上にでき得る限りやはり私立の幼稚園というようなものに対する助成を行なう、あるいはまた公立のものについても条件を整えるというふうにしなければならないものだと考えております。
○中山太郎君 これは文部大臣、よくお聞きをいただきたいのですが、この幼稚園の保母と保育所の保母とはいわゆる任用の資格が違うのですね。だから、保母はみんな幼稚園に殺到するのです。あなたはそこをひとつよく踏まえて、厚生大臣とよく相談をされて、任免の規定を統一しなければこの問題は解決しないということをよく御理解いただきたいと思います。 私は保育所の問題について質問を続けさせてもらいたいと思いますが、保育所は昭和三十八年には定員が八十万人でしたね。これがいま百四十七万人になっているわけです。世界の保育所の数を調べてみても、ソビエトが世界一、第二は日本であります。しかも日本の婦人たちは、ポストの数ほど保育所をつくってくれと、こう言っているわけです。ところが、いろいろとこれが問題になってくる。わが自由民主党以外の政党の中には、一小学校単位に一保育所をつくることを公約に掲げている政党がおられます。そういういわゆる公約をされた場合には、若い婦人たちは一小学校単位に保育所をつくってくれる政治が一番働く婦人には好ましいんだと、こういう感覚を持って選挙に関与していることをよく御理解をしておいていただかなければならない。ただここで、いまの各衛星都市の問題を見てみますと、これだけの増が広がっていく。さらに、労働省にしたって厚生省にしたって保育所予算を要求する。そういうことをしていく場合に、一体それじゃ子供一人について一年間に市の負担はどれぐらいになっているかということを政府は明確にするべきではなかろうかと思うのであります。 いま私どもの調査で見てみても、児童一人当たりの保育所の一年間の所要額が二十八万円かかるのです。一歳二歳の子供を保育するのに一年間に二十八万円の金がかかる。それはなぜかと言うと、保母一人がめんどうを見る赤ちゃんの数が大体七人ぐらいなんですね。月給が八万円、これが地方公務員ですから、どんどんベースアップしていけば赤ん坊の預かり賃はふえていくのはあたりまえのことなんです。そうなっていく風潮というものが日本全国に広がって小学校一校区に一単位の保育所ができたとき、日本のこの問題はどうなっていくのか。こういう問題はやはり厚生省も労働省も真剣に考えておかなければ重大な影響を及ぼしてくる。 いま文部大臣もおっしゃいましたけれども、この小児の人格形成のときに、自分の子供を生んだことのない、そこら辺の短期大学を出た保母さんが預かるというこの風潮というものについて、やはり将来の日本民族の形成というものに責任を持つ政府は何かの指導方針を出すべきではないか。これについてひとつ責任のある御答弁を願いたいと思います。まず文部大臣と厚生大臣からお願いしたい。
○国務大臣(永井道雄君) 私は、幼児教育が重要である、そしてそれは中教審の答申に基づいて考えていかなければならないということは先ほど申し上げたとおりでございますが、さらにこの教育を進めていく上で一そうそういう根本的な方針が必要だというお話だと思います。そういうふうに承ってよろしゅうございますか。
○中山太郎君 けっこうです。
○国務大臣(永井道雄君) そういたしますと、たとえば幼保一元というふうな問題も前から論じられていることでございまして、私の理解するところでは、非常に長い期間この問題は論じられてきているわけでございますが、いままでのところは、これは厚生省それから文部省が連絡をとりながら協力してきているという姿でございまして、そして私は、とにかく現状においてはその連絡というものを一そう緊密にすることによって、そして幼児教育というものを強化していくという方針で望むべきである、そういうふうに考えております。
○国務大臣(田中正巳君) いわゆる子供を保育所に預けるということについて、今日児童福祉法では保育に欠ける児童を預かるのが保育所でありますが、どうもこれについて必ずしも法の志向するところどおりに実施されていない一面のあることは、私は否定をいたしません。 そこで、いまソ連のお話がございましたが、どうも生産体制が違うようでございまして、先方では夫婦ともに働かなければならないという社会体制でございますのに対して、わがほうでは必ずしもさような形にはなっておりません。そこで、厚生大臣がこのようなことを申す場合には、ややもすると保育所の充足が足りないからそれの弁解に受け取られるかと思いますが、そういう意味ではなしに、私よくヨーロッパの社会保障の会議に出ますると、ヨーロッパでは最近レジデンシャリズムということを言うのであります。つまりレジデンス、子供はできるだけ家庭でこれを見るようにというような運動がヨーロッパの国々でも強くなっておるわけでございますが、しかし、これをやるためにはやはり一般勤労家庭の生計が十分に維持されるという客観条件が成熟をいたしておらなければならないということもありますので、このような観点から見るときに、物価の安定、そして勤労者の生計の安定、こうしたことを希求しなければならないと思いますが、それができるならば、やはり私はある程度子供は家庭でもって保育をするということが望ましいというのは、ヨーロッパの国々で叫ばれているだけではなしに、わが国にもある程度妥当するものというものというふうに判断をいたしております。
○中山太郎君 いま、別の観点からこの保育所の問題を取り上げてみたいと思います。それはどういう問題かというと、子供を預けない一般市民の負担がどれぐらいになるのだろうか。つまり、私の住んでおる大阪府の吹田市、これは人口二十七万です。そして、そこの保育する子供一人当たりの市費の負担が一年間に四十万円かかるわけです。そこで非課税の対象者を除いて、一人の納税者の負担額は、子供を預けない納税者に一万五千円の市民税がかかっておるのであります。これが全国的に蔓延していったときに一体どうなるのか。 私はそういうことを考えると、日本の保育行政あるいは子育ての考え方の基本にもう一回立ち返って、これからの日本の家庭のあり方、そういうものに思いをはせる時代がやってきたのではないか。私どものこの日本というのは、やはり家族制度の日本であったと思います。だから、子育ての名人はやっぱり自分のせがれ、娘を育てたじいさん、ばあさんです。同居家族なら、じいさん、ばあさんが夫婦共働きに行ったって孫のめんどうは喜んで見てくれる。それを子供を産んだことのない大学出た保母さんに預けて、しかも子供はこんなに重たいものかと、三日も抱いて職業病の認定をもらって温泉地へ行っている保母さんが、大阪府下の市役所にたくさんいますよ。 こういう現実を見ながら、日本の新しい国家形成というか、思想の確立というものをやっていかなければ、私は日本の国家体制というものはやがておのおののエゴの国家に落ちついていくだろう。この最近の子供を預ける、預かるのは人の子供を産んだことのない人が育てていく、この風潮は、何としてでもある時点には家庭政策として政府は考えなければならない。そういう点についてひとつ三木総理からも——いままで日本の政治の中に家庭政策というものは全然なかった。だからここいらで、いわゆる子捨て、子殺し、あるいは親子離脱、そういう問題も含めて、いまの政府は一体家庭政策というものをこれからどう考えていくのか、そういうものについて真剣に考えなければ、幾ら税金問題を論議してみたって、家庭は人間の住むところではなくなっていく。ここいらにやはり新しい時代の出発点というものを求めなければ政治はよくならない、こういうふうに私は理解をしておるのですが、一国の指導者として総理からの御答弁を願いたい。
○国務大臣(三木武夫君) 戦後今日まで、お互いに生活にも困ったような荒廃した日本から今日へ来たわけです。その間に経済を発展させようということで今日まで歩んで来た道は、それなりの意義があった思います。しかし、ここに来てお互いに、物質的には豊かになったけれども精神的な荒廃があったと、みなが気がつき始めておるのが今日であります。 いま中山議員の御指摘になる家庭の問題でも、日本というものはやっぱり家族制度というのは非常に伝統の中に生まれてきた制度だ。これが親子がばらばらになってしまう。だから、言われるように新しい出発だと思いますね。それはどういうことかと言えば、あまりにも物質的、何でも金で計算して、金で買えないような大切なものがたくさんあることを忘れた日本、これがやはりお互いにもう少し、失われた、何というか精神面の荒廃から立ち上がって、そうして精神、物質、バランスのとれた新しい日本の出発点である、われわれはそういう見地から、あるいは教育の問題もありましょうし、その他国民のモラルの問題もあろうし、いろんな問題をそういう再出発だという点からこれをとらえることが必要だと私は思っております。
○中山太郎君 私はいまの三木総理の御答弁、まことにけっこうだと思います。やはりいまの子供だけの問題じゃなしに、これのうらはらになってきているのが老人の医療の問題であります。大都市の地方自治体の病院は全部赤字に転落をしておる。しかも、そこのベッドの占有率は三〇%から二五%が全部六十五歳以上の老人であります。しかも外来の診察場を見ておると、毎朝老人のクラブになっておる。これが実態であります。そういうところで、生産に携わっている人たちが盲腸炎になったって入院するベッドがない。これが大都市の地方自治体の姿です。ですから赤字になる。本来ならば倒産する姿にあるべきものが、このいわゆる市民病院というものは、市の職員のベースアップ、いろんな問題で赤字になれば一般財源から補てんをして維持する。そうして給与はどんどん一般の地方公務員並みに上げていく。そういうふうなきわめて不健全な経営をしておるのが地方自治体の病院であります。 そういう実態を踏まえていく中で、病院に入院をした老人たちはどうしておるかというと、妻に先立たれた老人は仏壇を持って入院している姿があるのであります。あるいはまた、二十五日から三十日の平均の入院の後に退院をするときには、主治医が引き取る子供がいるかどうかということを確めることが最近の傾向になってきております。これは現実に大阪の病院であるわけであります。つまり、子供は産んだら人に預けて育てさせる。親はかってに政府の保障で年をとったら病院に行く。これがいまの日本の姿じゃないでしょうか。こういうことをやっておって幾らいいことを言ってみたって、私は日本の国というのはよくならない。そこで私は先ほども申し上げておったわけでありますけれども、一体それじゃどうしたらいいのか。これは親子の関係、親と孫の関係というものをいかに調整するか、政治的に。ここいらにも大きな問題が起こってくる。 そこで私は、最近のいろんな事件が起こっています。その中でひとつどんな事件があるか、国家公安委員長から御答弁を願いたいと思います。
○国務大臣(福田一君) たいへんユニークな政策論を展開していただいて、非常に私は参考になったというか、ありがたいことであると思っております。 いまあなたのおっしゃった問題でございますが、最近の犯罪などの傾向を見ますと、ずいぶん捨て子だとか、親が子を殺す、いままでに考えられなかったような犯罪が急激に起こっておる。そして親を殺す、赤ちゃんを殺すなどということが全く日常茶飯事のように出てきておりますが、これはまことに残念なことだと思っております。これはもうあなたが御指摘になったとおり、家庭内でのモラルが崩壊しておるとか、自己中心的な考え方、それからまた他人の犯行を簡単に模倣するというような傾向がいま非常に行なわれておるということだと私は思っております。このようなことについてはわれわれとしてもいろいろ考えておりますけれども、根本はいまあなたがおっしゃったようなことから起きておるのだから、これは警察が何かしたからとか、あるいは自治体が少し何か考えたからといって、こういうことは簡単におさまるものではないと私は思っております。 それからまた、これはいささかあれでありますが、最近いろいろいたずらが多くなって、爆発物の問題などでいたずらを起こしたりするような変なことが起きておる。それと、一面においては今度は内ゲバが最近特にふえてきておるというようなこともあります。こういうような傾向というものが、いまあなたがおっしゃったような社会情勢というか、家庭生活の崩壊から出ておる面もかなりあるということは、私は認識さぜるを得ないと思っておるわけであります。
○中山太郎君 この捨て子を見ても、どれぐらい捨てておるかというと、四十三年に二百七十七人、それから四十六年には五百七人も自分の赤ちゃんを捨てているわけです。中には、自分の子供をトラックでひき殺して保険金を取ろうとする親も出てくる。 こういう中で、この四月二日の「日本経済」で何と言っていますか。「東京・大田区で幼児三人を次々に捨てた母親がいる。「またか」という感じをぬぐえない。最後に置き去りにした一歳の赤ん坊は、はだしでおむつもしないで泣いていた。どんな事情があったのかは知らぬ。が、それにしても薄情なことだ。親が子どもにとってかけがえのない存在であることは、強調するまでもない。ところが、妻と離別したか妻に家出をされた父親が子どもをデパートなどに遺棄する事件、母親による赤ん坊殺しやコインロッカーを利用した生み捨てなどが、最近は目立つ。」、こういうことが書いてあります。最後にどういうことが書いてあるか。「以前は、親に捨てられた子どもは母親を求めて泣いた。このごろは「パパ、パパ」と泣き叫ぶという。今度の事件で一歳の赤ん坊を引き取った養護施設の園長さんは「それほど母親の愛が薄くなった」」と言っていたという。「一体どうしてこんなことになったのか。家庭のしつけ、学校教育、社会の風潮のどこにその原因があるのか。その辺を詰めて吟味すること」が、これからの日本の政治の大きな課題であろうと書いてあります。これは四月に載っている新聞の記事です。 総理、ひとつこういうことを私は申し上げたのですが、大きなやっぱり日本の社会の転換が来ている。しかも悪いほうへ転換している。いま自治大臣からも御報告がありましたが、その中で最もおそるべき問題がさらに私はあると思う。それは精神病者の問題であります。厚生大臣に、精神病者が一体どれくらいいま増加しておるか、これをひとつお尋ねをいたしたい。
○国務大臣(田中正巳君) 数値については政府委員から答弁をいたさせます。
○政府委員(佐分利輝彦君) 約十年前の昭和三十八年に実施いたしました精神衛生実態調査の結果によりますと、当時は全国に百二十四万の精神障害者がいらっしゃったのじゃないかという結果になっております。四十八年にもう一度実態調査をしたのでございますけれども、これにつきましては、学界その他一部の反対がございまして、十分な実施率を得ることができませんでございました。しかしながら、諸外国の状況等も勘案いたしますと、最近は精神分裂病のような古い精神病は若干減っているような感じがいたしますが、逆にノイローゼだとか、あるいは躁鬱病といった新しい形の精神病がふえているような印象を受けております。
○中山太郎君 いま三十八年の実態調査の報告をされましたが、これはある専門の団体の調査によると、四十八年の調査では二百万人に増加しているわけです。しかも、この調査に反対した、国からの委託業務を預かって拒否した人たちはだれだったかというと、革新自治体の首長であります。その理由は何かというと、もっともなことを言っておられる。それは患者の家族と、その患者の人権を尊重するために反対をする。こういうことがいま日本で起こっておるわけでありますが、いまこの精神障害者は国民五十人に一人ぐらいおるわけで、この中にもおられるかもわからない。こういうことを考えていくと、いまいろいろな疾病調査によると、不慮の事故が一番多い。その次が高血圧、その次が精神障害であります。こういうふうな中で、一体それじゃどれぐらい単科の精神病院に年間来ているかというと、昭和三十年には一年間に五十二万人の患者がたずねている。それが四十六年には五百十六万人。実に十倍、精神病者が日本ではふえているわけであります。 それを裏づけするかのように、精神安定関係の医薬品の生産額がきわめて顕著に伸びています。昭和四十年には百八十四億であったものが、四十七年には三百四十億、精神神経用剤であります。催眠鎮静剤が二十六億から六十八億に生産額は伸びています。いかに世の中が騒然としておるか、この数値が如実に政府の刊行物の手で証明されているじゃありませんか。 こういうことを見ていくときに、私どもが考えなければならないことは、やはり日本の心をどうするかという問題ではないか、それに対応する政治をどうやってやっていくか。ただ私は、いろんな資料を調べておってはなはだ残念に思っていることがあるわけであります。それは何か。私は、最近一通の手紙を手に入れました。これも読んでみましょう。その手紙の中には、四十九年三月一日に卒業をした福岡県の稲築高校の第二十四回卒業生総代の答辞があります。 校庭の白梅も一入高く香ってくるこの佳き日に県官始め来賓多数御臨席の下、このように盛大な卒業の式典を挙げて頂き、又、ただいまは校長先生の温情あふれる御訓示をはじめ数々の御丁重なる言葉を賜わりまして、卒業生一同身に余る光栄と存じ深く感銘致しております。 しかし、私はこの場をかりて、在校生並びに多数の御父兄の皆様に訴えたいことがあります。それは、私たち生徒にとって非常に関係の深い先生方についてです。 進学や就職を目前にひかえた私たちの人生にとって最も大切な時期に一週間近くも学校を休み、教科書は半分ぐらいしか進んでいない教科があります。こんなことってあるでしょうか。 その頃ちょうど日教組の全国大会が開催されていましたね大塚先生、先生方のストの日にストに参加していない先生の授業などは受ける必要はないなど言われましたね。私達はこの事実をどのように受け止めればよいのでしょうか。 また、授業中に中華人民共和国や毛語録のプリントを配ったり、天皇は悪い奴だ日の丸はきらいだとよく言っておられた香月先生、授業内容にしても、資本主義については一時間しか授業をせず、社会共産主義については四時間も念入りに授業されました。 それから津野先生、授業中に「先生という職業は聖職ではないんだ。自分たちは労働者である」と言われましたが、それではなぜ生徒をなぐろうとなさるのですか。 その時の先生は単なる教える側と教えられる側、生産者と造られる製品というそんなお気持ちだったのですか。労働者がただ働らけばいいのなら、生徒をなぐるというような事はなさらないでしょう。そこには生産者と製品以上の何かがあるのではないでしょうか。それが聖職意識というものではないでしょうか。 松山先生、あなたはストの前日の国語の授業の時、国語とは全く関係のないストに対する自己弁護をなさいましたね。それでそのことを生徒が指摘すると、クラス担任にあいつは態度の悪い奴だと言われたと聞いております。先生がそんな視野の狭いことでよいのでしょうか。 貢田先生、あなたも同じだと思います。文化際の前日に物理部員がステレオコンサートの実験のためにまちがって君が代を流した時に、血相を変え、息づかいも荒く部室に来られ何のためにこんな曲を流すのかと言われましたね。君が代や日の丸がなぜいけないのですか。私たちは、ただそれらを国歌や国旗として見ているだけなのです。なぜそれがいけないのですか。それは先生方の偏見ではないでしょうか。 高松先生・毛利先生、先生方の授業のあり方を考えてみると、どうしても私たちの目には無気力な教師にしか見えません。いいえ、これらの先生方だけでなく、稲築高校には本当に教育というものを考えていらっしゃる先生方が何人いるのでしょうか。 生徒の受ける大学選択にしても筑波大学など受けるのなら内申書を書いてやらないとか、防衛大学はどうのこうのとこれが先生の生徒に対する助言なのでしょうか。 先生がどんな思想をもとうと、どんなことをおっしゃろうとそれは自由だとは思います。でも、自分の思想を生徒に押しつけるように、さも自分の主義が正しいかのようにお話になるのはどうかと思います。私達は真の教育を望んでいます。みにくい利害関係を除いて教育ということについて考えを新たにしてはいただけないのでしょうか。 こういうことが書いてあります。これについて、私は選挙で国民に公約もされておられない文部大臣、永井文部大臣に、こういうようなことが現実の日本で起こっているわけでありますが、これについてあなたの御見解をただしたい。
○国務大臣(永井道雄君) まず、教育の現場に政治的な教育というものが行なわれる問題でございますが、これは教育基本法にきめられているとおりでありまして、教育の中立性というものを守っていかなければいけない。ただし、そのことは政治に関する教育を一切行なわないというのではなくて、むしろ民主国家にふさわしい政治的教養を持たせるような教育を行なえと、これも教育基本法が述べているとおりであります。したがいまして、教育基本法がいっている意味合いというのは、党派的な政治性というものを教育の中に持ち込んではいけない。これは非常に重要なことであって、私はこの点は明確に申し上げるだけでなく、強調し過ぎることはないというものであると考えております。 もう一つお話しになりました点は、日の丸あるいは君が代などの問題でございますが、これは非常に重要な問題でありまして、わが国のこれまでの古くからの伝統というものをどういうふうに今日並びに将来に生かしていくかということだろうと思います。これについて私が申し上げたいことは数点あるわけです。 一つは、わが国は第二次戦争で敗れました。そこで教育基本法というものができましたけれども、その教育基本法というものがわが国の文化にどのように結びついているのかという点がきわめて不明である、そういう状況で出発してきた。その状況が今日まで続いてきたというむずかしい問題があるのだと思います。そこで、わが国の伝統というものをもう一回本格的に考えなければいけない、そういう時期にいまわれわれは直面している。 ところが、伝統ということを言います場合には、過去からの一種選択でございまして、どういう伝統をどういうふうに生かすべきかということを考えなければいけない。それは将来において民主的で、そして世界において平和を実現するのに協力するような国家の国民をつくらなければいけないわけでありますが、そこで私が一つ考えておりますことは、私がこの任に当たっております間ぜひやっていかなければならないことの一つは、わが国の過去の伝統というものをどのように将来に生かすかということについて国民が議論をしていく、それを熱心にやるということ。 これはひとつ参考に申し上げますと、たとえば教育勅語ができました場合には元田永孚の活動というものがあったわけでございますが、あれは実は四百字に満たない文章でございます。ところが、その文章を練るのに十年以上かかりました。それを考えましても、あの場合には儒教と国家神道というものが歴史から選ばれるわけでございますが、さて今日において、あるいは将来を考えてどうしていくか。一人の方が、ほかの御協力も得たでしょうが、主たる責任者が十余年を経てそれだけの努力をしておる。そこで、今日はもちろん一人がやるというような社会ではないと思います。大ぜいの人がどういうふうな姿でこれを考えていくかということを真剣に私考えたいと思います。 第三に申し上げておきたいことは、それは愛国心というものは非常に大事なんですが、愛国心の議論をめぐって、これはだれでも感情の上で大事なことですから、議論をめぐって衝突、対立が起こるということがしばしばあるわけです。これは諸外国にもその例があります。なぜかなれば、一つの立場でこういう愛国心がある、Aなる愛国心、これこれのものを選ばなきゃいけない。そうすると反対の人は、それは絶対いけない、Bなるものがある。これは愛国心のために愛国というものが分裂してしまうということでありますから、そういうことがあったのではせっかくの愛国ができません。そこで私が考えますことは、これはよく勉強いたしまして、そして国民の中でみんな考えていること、議論というものを戦わせながら、次第にコンセンサスを得るように醸成していく。愛国心をめぐって人々が争うというような事態を避けるということでなければならないと考えております。
○中山太郎君 いま、文部大臣から、これからのいわゆる愛国心の問題、そういう問題については高邁な御意見を賜わったわけでありますが、私はいまの自由民主党内閣の中の閣僚で、自由民主党の党員でない閣僚は永井さんだけだと思うのです。しかも、選挙での公約を国民にされていない。ここでひとつ国民に向かって、文部大臣として日の丸を国旗としてあなたはお考えか、あるいは君が代を国歌としてあなたはそう考えておられるのか、それを明快にお答えを願いたいと思うのです。
○国務大臣(永井道雄君) 私が文部省に参りましてから調べて聞いたところでは、日の丸の普及というものは相当いま広く用いられている。君が代の場合には、歌詞よりもむしろ音楽というものが広く用いられているということであります。文部省がこれに対してどういうふうな立場をとっておるかというと、儀式の日に君が代あるいは日の丸というものを用いることは望ましいけれども、義務づけていない、そういう立場をとっているというふうに理解しておりますが、これは私、現在これまでとってこられた立場、この立場というものが先ほど申し上げた私の見解というものとも一致するものではないか、かように考えております。
○中山太郎君 文部省の考え方というふうにお答えになりましたが、私は、永井文部大臣個人として君が代を国歌としてお考えになっておられるのか、日の丸を国旗として考えておられるのか、そこをはっきりしていただきたい。
○国務大臣(永井道雄君) 私は、この問題についての意見というのは、いま個人としてとおっしゃいましたけれども、私は現在文教の担当の立場にあるわけです。そして文教でいままでやってこられたものを尊重いたしまして、そして行政の継続性というものを持つべきものであって、個人として私はこういう非常に重要な問題にこういう考えをとりますということを言うのでなくて、文部大臣として、そして文教の立場にあるものとしてかようにお答えすべきものだと考えて先ほどの意見を申し上げたわけでございます。
○中山太郎君 文部大臣は総理が特に懇望されて入閣を求められたお方だと聞いております。総理大臣として文部大臣の御発言をそのまま御承認になりますか。
○国務大臣(三木武夫君) 私が永井文部大臣に多くの期待を寄せておるのは、やはり日本の教育が、政治というものが教育の場に入ってきて、そして教育をそっちのけにして政治の争いが学園を中心として繰り広げられている。こんなことでは幾らいろんなことを言われても私はだめだと思う。やはり教育を政治の争いの場からはずさなければいけない。そういう雰囲気を一掃しなければ日本の教育というものは、これは一つの軌道に乗ってこない。そういう点で、過去にとらわれない立場を持っておる永井文部大臣を起用して、日本の教育界の雰囲気を一新するということに期待を寄せたわけでございまして、いまここでいろいろ御質問がありましたけれども、現在文部大臣という地位にあるわけですから、この発言は文部大臣でございまして、この発言は個人でございますということは私は適当でない。文部大臣としてあのような答弁をすることは適当であろう。大臣と個人というものを、いま現に大臣ですからね、区別することはできない。
○中山太郎君 これ以上私は質問をいたそうとは思いませんけれども、私の感じ、考え方としては、国家があって国民がある、国家があって教育ができるんだということを明確に頭に入れて文部行政をやっていただきたい。そうしなければ、りっぱな民族の形成というものはできない。それこそ私は政治の大きな課題だと思います。三十年うやむやにしてきたから日本に混乱がやってきたわけであります。何かはっきりしないことをはっきりさせないから問題が継続していくわけです。私どもはここに要望を申し上げて、この問題については私の質問を終わりますけれども、続いて私は問題点を一つ政府に尋ねたい。 それはどういうことか。つまり日本に家庭政策はなかった。しかし、やはり日本の思想、民族の思想というものは儒教から出ていると思います。いま永井文部大臣もおっしゃった。儒教の考え方というものは、やっぱり親を大切にする、子供を大切にするということじゃなかろうかと思うのです。それを裏づけるようにして、日本には褒章制度というものがあったわけであります。緑綬褒章というものがある。そういうものが一体どうなっておるのか、ひとつ賞勲局長か総務長官からお答えを願いたい。
○国務大臣(植木光教君) ただいま御指摘のとおり、孝子、順孫、節婦、義僕等、徳行卓絶した者に対しまして、緑綬褒章を賜与するという制度がございます。 しかし、これは実は戦前は、昭和二十年まででございますけれども、百五十七名に対して授与せられております。戦後になりまして百四十四名に対して授与せられているのでありますけれども、そのうちの百四十一名というものは、昭和三十年に褒章制度が改定になりまして黄綬褒章というのができまして、黄綬褒章該当者が百四十一名でございます。したがって、戦後は二十五年に二名と二十七年に一名の三名が、この徳行卓絶せる者ということで緑綬褒章を受けておられるのでございます。二十八年以降は、したがいまして、ないわけでございますけれども、これは御承知のとおり、褒章と申しますのは、各地方自治体の長が各省庁に推薦をいたしまして、そして手続をとるということになっているのでございますが、各省庁から実は候補者の推薦がないのでございます。私どもといたしましては、推薦がございましたならば、今後受章候補者に対しまして積極的に賜与のための手続をとってまいりたい、このように考えております。
○中山太郎君 これは私もいま御答弁を伺って実は驚いているわけでありますけれども、いわゆる日本の心、つまり親を大切にした子供、あるいはじいさん、ばあさんを大切にした孫、交通事故の多いときに、親が死ぬ、あるいはおかあさんは寝ておる、新聞配達をする子供たちはいまたくさん町を走っておりますよ。しかし、そういう子供たちをたたえる制度があるのに、政府が昭和二十八年以降そういう制度を使っていない。こういうことで、自分の子供を殺したり、親をほったらかして養老院にほうり込む社会風潮が生まれたって、私は決してその人たちだけの責任ではないと思います。 民族の思想というものをつくるのは、あくまでも政治の責任であります。そういうことで私はこういう褒章制度を、いま総務長官はこれからは推薦者があればやるとおっしゃいましたが、私は日本には親孝行者が二十年間一人もいなかったとは考えたくない。また、主人が死んで、子供を大学に出すのに、お手伝いをやって夜なべをやっているおかあさんも私はたくさんいると思う。そういうものを表彰してこそ新しい日本の心は帰ってくるのじゃないですか。私は、そういうことで、これはひとつ総理にもはっきりと、政治の基本でありますから、こういうことを忘れていかに演説がよくても私はだめだと思う。ひとつお答えを願いたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) いま中山議員の御指摘になったようなことが日本のよき伝統じゃないでしょうか。だから、これを強制しなくてもそういうよき伝統が生まれてくるような、私はやはりあなたの御指摘になるように、政治だと思います。政治が、やはり国民のいわゆる信頼を得るような政治を打ち立てて、国民に求める前に政治家が姿勢を正して、そういうところからいま言われたような日本のよい伝統が生まれてくる一つのきっかけになっていくということを強く感ずるのでございます。
○中山太郎君 次に、通産大臣と外務大臣にお伺いをしたい。それは繊維の問題であります。 今日の繊維不況という問題が、わが国でも特に綿製品を中心に起こっておる。これの原因が何かというと、国内よりも国外からの影響をたいへん受けておる。そこで、綿に限って、どの程度の東南アジア近隣諸国からの日本に対する輸出があるか、われわれが輸入しておるかということをひとつ御答弁願いたい。
○国務大臣(河本敏夫君) 繊維の輸入は昨年は非常に激増いたしました。いろんな理由があったわけでございますが、そのために尾を引きまして、いまの繊維不況の一つの原因になっておるわけでございますが、ことしはだんだん減っております。特に最近はだいぶ減りまして、平常化の状態でございますが、詳しい数字が必要でございましたら、いま事務当局が来ておりますから答えさせます。
○政府委員(野口一郎君) お答え申し上げます。 昨年の綿製品の関係の数字を申し上げますが、綿製品と申しますのは、綿糸と綿織物中心でございますので、綿糸及び綿織物につきまして、昨年及びことしのわかっている限りの数字を御参考までに申し上げたいというふうに存ずる次第であります。 まず、綿糸でございますが、昨年の日本の綿糸の輸入は合計で八千五百万ドルでございました。そのうち東南アジアに属する韓国、台湾及び香港からの輸入額は千七百万ドルでございます。この八千五百万ドルの伸び率でございますけれども、九五%の増、約二倍ぐらいでございます。ただ、いま申し上げました韓国、台湾及び香港の三カ国の伸び率は、これは若干下回っておりまして約五〇%増と、こういう状況でございます。 それからもう一つの綿織物のほうでございますけれども、これは合計金額で申しまして三億ちょっとでございます。それから韓国、台湾、香港、この三カ国から入った額は約八千万ドルということでございまして、全世界から入りました綿織物の伸び率は三倍と、これは先生御指摘のように非常に大きな伸び率でございますし、それからいまの三カ国の増加で申しますと、これは二・六倍、やや下回っている次第でございます。 こういうような膨大な輸入があったわけでございますけれども、その理由につきましては、先ほど大臣から御説明がありましたように、わが国の異常な、いわば実需と申すより、むしろ流通過程すなわち仮需要の増大傾向がこういう数字をもたらしたものというふうに考えておるわけでございますけれども、ことしに入りましてからはそのような勢いは漸次鎮静化してまいっております。 これは以上のような非常な需給のアンバランスとか、あるいは市況というものが反映しておるかと思いますけれども、非常に減ってまいりました。たとえばことしの十月だけの一カ月の数字をとってみますると、綿糸、綿織物、いずれも激減はしておるわけでございますけれども、綿糸につきましては前年同月比七三%の減でございます。それから綿織物につきましては八八%の減という数字になっておるわけでございます。こういう状況は今後とも継続すると思いますので、今年の輸入の額はだいぶ減る、事態は鎮静しつつあるというふうに考えております。
○中山太郎君 いまの御答弁では私はちょっと納得ができない。それは綿糸だけでなしに、二次製品、縫製加工品を入れると、あなたのような御答弁にはならないのです。たいへんな量なんですよ。今年だけで綿糸に計算して四十五万六千九百コリになっているのです。日本の国内の綿糸の全生産高の二割が入ってきているわけです。しかも安い労働賃金の東南アジアの各国でつくられたものが入ってくる。それが今日のいわゆる繊維不況の基本になっているわけです。 いま、この業界の人たちの数がどれくらいあるかというと、百八十五万人、家族を含めて一千万人です。その人たちがこの年の瀬を越せないと言っているわけです。しかも、国民金融公庫に金を借りに行っても、ワクは与えても原資がこないんだと、こう言っているわけです。こういう状況をもう少し通産省はしっかり踏まえて、一体現在のこの織物の問題というのはどうなっているのか、もう少し明快な処置を私はしてもらいたい。そうしないと、この一千万の家族は救われませんよ。 もう一つ、私はここで通産大臣にお尋ねをしたいわけですけれども、十一年前ですか、日本の綿製品の輸入が多くなって、そしてアメリカの特使がやってきて日米間の繊維の二国間協定というものがある。こういうのをやられた。それから今日までこれは延長されているわけです。こういうふうな、われわれはかつてアメリカ合衆国と日本との間に二国間協定を結んでいるわけです。この一千万の国民のために、東南アジアの香港、韓国、台湾、こういう国々と綿製品の輸入をめぐる二国間の協定に踏み込む御意思があるかどうか、ここでひとつはっきりお答えを願います。
○国務大臣(河本敏夫君) 繊維の問題は非常に不況でございまして、私も心痛しているところでございます。 先般も、繊維産業の労使の会議がございまして出席もいたしましたけれども、非常に悲痛な状態になっているということを承知しております。ただしかし、九月、十月が一番底でなかったかと思うのですが、最近は幾らか価格等も上向いてまいっております。ただしかし、若干上向いておりますけれども、これは本格的な回復かどうか、まあ疑問な点がございますけれども、やや小康状態を得ているというのが現状だと思います。 そこで、お話の二国間貿易協定のことでございますが、御指摘のようにアメリカとの間には二国間協定がございます。だから近隣諸国と、特に台湾、韓国、香港、ここと二国間協定を結ぶべきである、こういう御議論であろうと思いますが、アメリカとの間は、御案内のように三、四年前にたいへんな出超になりまして、日本から向こうへ出す品物が約八十億ドル、向こうから買う品物が四十億ドル、そういうふうなこと等も背景になりまして、繊維の輸出問題がアメリカの国内問題になってきた。日米関係を根底からゆるがす、こういうふうになったわけでございまして、そういう背景のもとに協定ができたわけでございます。 ただ、繊維全体をいまながめて見ますと、やはり輸出のほうが多いのですね。この一月から十月までの例をとって見ますると、大体外国へ売っております繊維の金額が二十五億ドルになっております。買っておりますのが十七億ドルになっているわけです。それで、いま御指摘がございました近隣諸国も、貿易全体としては非常に出超になっているわけです。日本からは品物をたくさん売っている。そこへ、品物を買わないというふうな、いわば貿易の制限を内容とするような協定を結ぶということは、両国間全体の貿易にも悪影響を及ぼすのではないだろうか。アメリカとは若干事情が違う、こういうことを考えまして、これはちょっと無理でなかろうか、かように考えている次第でございます。
○中山太郎君 二国間協定の締結が事実上無理であるといういまの通産大臣のお答えで、もしこれが結ばれないとすれば、この一千万の関連企業に働いている国民たちですね、家族も含めて。この人たちを救済するための処置を通産大臣としてはお考えでしょうか。
○国務大臣(河本敏夫君) ごもっともな話でございまして、まず第一番には、とりあえず金融の措置でございますが、中小企業金融関係から七千億円のワクを年末、別途に設けましたが、その大部分はこの繊維を対象にしているわけでございます。あるいは在庫の凍結をするためのいわゆる凍結資金であるとか、そういう面もめんどうを見ております。 それから、二国間協定のようなことはできませんけれども、台湾、韓国、香港等と個々に話し合いをいたしまして、話し合いによってある程度調整をしていく、そういうこともやっておりますし、それから、商社が窓口になっておりますので、商社等も指導いたしまして、あまり無理なことをしないようにと、こういうことで指導をいたしておるわけでございます。 しかし、何ぶんにもこの背景には、昨年のむちゃくちゃな仮需要に基づく輸入の荷もたれというものがございまして、それが非常に大きく尾を引いておるわけです。それと全般的な不況、そのために買い控えといいますか、需要が減っておる、こういう基本的な要素が二つございますので、やはり根本的には景気の回復というこの全体的な問題と歩調を合わせないと、私は根本的には解決しない。それまでは考えられるあらゆる手を打っていきたいと、かように考えております。
○国務大臣(長谷川峻君) 繊維産業のことを御心配いただきましたので、私のほうで気のついたことをお話し申し上げます。 通産大臣が申されたように、私も先日、繊維産業会議に出席しました。これは労使ともども数百人が出まして、悲痛な叫びでした。私も現場などを歩いておりましたが、ちょうどただいま、この予算委員会と並行して、昨晩衆議院で通過しました雇用保険法案、これが非常に期待されているわけです。それは一時帰休する場合に、そういう人人に三分の二の月給の補償をしてやる、こういうことが期待されておりますので、これと並行して参議院でいま御審議をお願いしている。こういうことも助けになるんじゃないだろうか、こう思っております。
○中山太郎君 最後の質問に入らせていただきたいと思いますが、これは日本の国家行政全般にわたる問題で最後の質問を終わらせていただきたいと思います。 まず第一に、人事院総裁に対して御質問したいのですが、公務員の採用の、いわゆる各省局長以上の法文系と自然科学系の出身別はどうなっているか、お答えを願いたい。
○政府委員(島田巽君) お答え申し上げます。 人事院で調べまして、本省の局長級以上の官職が二百十七名おります。そのうち、いわゆる技術系の官職の数が三十二ございまして、約一四%を占めております。そのほかに、技術系の官職ではございませんが、普通の官職に技術系の学部の出身の人がついているのが、これが若干ございます。そういうことでございます。
○中山太郎君 総裁代行ね、ちょっと引き続き質問申し上げます。 いまの御答弁で、このバランスが非常にアンバランスになっているというふうにはお気づきになりませんか。
○政府委員(島田巽君) これは法律で定められた官職の数でございまして、私どもといたしましては、アンバランスであるとかどうとか、この官職の数自体を申し上げる立場にはないわけでございますが、ただ、私どもといたしましては、この局長以上の官職に限らず、技術系の方々にできるだけ重要なポストについていただくというふうなことに関しましては、常々意を用いてやっているような状態でございます。
○中山太郎君 最高裁判所の方、来られていますか。 じゃ、お尋ねをしますが、いわゆる全国の裁判官の中で、どれだけの方が自然科学の教育を受けた方がおられるか、それと、どれだけのいわゆる公害問題、医療事故あるいは自然科学に関する係争事件が審理されておるか、それをちょっと御答弁を願いたい。
○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) お尋ねの前段でございますが、全国裁判官の数が約二千六百ばかりございますが、もうほとんど大半、ほとんど全部が法学出身だといっていいかと思います。ただ、経歴的には、理科系の学部を出まして、それからさらに法学系の学部に学士入学をして、その上で裁判官になったという方もございますが、最終的には法学部がほとんどであるといってよろしいかと思います。 それから後段の御質問でございますが、現在第一審に係属しております事件で、本年の六月三十日現在でございますが、いわゆる公害訴訟のほかに医療関係、薬品、食品関係、それからまた航空機、船舶等の事故によるところの事件、それから欠陥自動車に基づくところの事件、それから労働災害といったようなもの、これを私どもいわゆる特殊損害賠償事件と申しておりますが、これらの事件が訴訟事件で二千二百六十六件現在係属している、こういう状況でございます。
○中山太郎君 これは総理に最後に御答弁を願いたいと思います。 日本のいまの三権分立しておる中で、いわゆる自然科学の知識を持った国家公務員がどれだけいるかということの数値が出てきたと思うんです。二千何百件のいわゆる科学技術に関する係争事件が裁判所で審理をされておる。しかも裁判官は、私の調査では、あとは法学部だと言われますけれども、ほんの数名が自然科学の教育を受けた人で、あとは全部法文系の人であります。当然のことであるかもしれません、いままでの時代であれば。 そこで、かつて岐阜県下に起こったいわゆる未熟児の裁判がございます。それを見ておると、未熟児に酸素が十分行かなかったから、それは医師は有罪だという判決が出た。専門家から見れば、未熟児の赤ん坊の目玉を見て、それによって酸素の供給をすべきだと、こう書いてある。これはわれわれ医師関係の人たちから見れば実にナンセンスな考え方であります。 私どもは、これだけ自然科学の発達してきた社会、しかも人間のための科学の利用ということがやかましく言われている時代に備えて、これから先の日本のために、さばく者もさばかれる者も納得した判決のもらえるような裁判所の構成というものが必要なんじゃなかろうか。水俣の問題、イタイイタイ病の問題、当然早くしてやれば政治に対する信頼というものは国民から起こってくるでしょう。 私はいつもこういう考えを持っているわけです、数字は科学のことばである。それはイデオロギーをこえているものであります。これからの司法行政の中で、自然科学を学んだ人たちを裁判官として登用して、この科学技術全般が国民の生活に関連を非常に深めているこれからの社会の中で、裁判行政の中に不信と不安がないようなことを考えるお気持ちがあるかどうか、日本の最高の統治責任者としてのお考えをお示し願いたい。
○国務大臣(三木武夫君) 私も日本という国が、ことに行政の面では法科中心であり過ぎる。実業界においては技術出身の社長というものが非常に多くなってきている。ひとり日本の行政の中において法科中心であり過ぎる。いま中山さんの御指摘になったように、これだけ科学というものが人間の生活の中に入り込んできておるときに、法科だけというのはやっぱり非常に行政の上においても片寄り過ぎている。まあ法科出身の人は総合的に判断をすることにたけておるし、技術系統は専門的ですから、そういう部下を掌握するという点において欠ける点があるという欠点も確かにあるでしょうけれども、これはどういうふうにすればこの極端なアンバランスというものを是正できるか、一つの研究の課題として私もこの問題を真剣に検討してみましょう。あまりにも法科中心であり過ぎて、そのことが今日の時代にはもう即さなくなっている。御指摘の点は非常に貴重な御指摘であるといたしまして、私も検討をいたします。
○中山太郎君 たいへん熱心な御答弁をいただいて、最後に謝意を申し上げますが、国会の中を見ても、これは国会議員の出身を全部分析してみると、各党大体一割が自然科学の教育を受けた人が議席を持っています。ただひとり公明党だけが三割、三〇%のパーセンテージを持っています。つまり、国会の中で一番公害問題に対する発言が多かったケースを調べてみると、やっぱり公明党の諸君であります。 やはり世の中というものは、総合的にバランスのとれた社会というものが人間のために必要である。そういうことをお考えいただいて、ひとつこれからの日本の新しい行政機構の確立のためにも、自然科学と人文科学とが融合した形の日本というものの形成に御尽力いただくことをお願い申し上げまして、私の質問を終わらしていただきます。(拍手)
○委員長(大谷藤之助君) 以上をもちまして中山君の質疑は終了いたしました。 明後日は午前十時開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後七時三十六分散会 —————・—————