物価等対策特別委員会 第3号
- 発言数
- 10 件
- 登壇者
- 3 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1974/12/25
会議録
○委員長(岡本悟君) ただいまから物価等対策特別委員会を開会いたします。 理事の補欠選任についておはかりいたします。 委員の異動に伴い、現在理事が二名欠員となっておりますので、この際理事の補欠選任を行ないたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(岡本悟君) 御異議ないと認めます。 それでは理事に安田隆明君及び山田徹一君を指名いたします。 —————————————
○委員長(岡本悟君) この際、福田経済企画庁長官及び安田経済企画政務次官から発言を求められておりますので、順次これを許します。福田経済企画庁長官。
○国務大臣(福田赳夫君) 私、このたび副総理、経済企画庁長官に任命になりましたので、皆さんによろしく御指導賜わりたいとお願いを申し上げます。 ちょうどいい機会でありますので、私の考えておる諸点につきまして申し上げさしていただきますが、詳細にはこの書面で皆さんにお読み取り願いたいと、かように存じますが、その中で重要な諸点につきまして申し上げさしていただきたいと思います。 いまわが国経済が当面しておる問題は、大きく分けますと二つだと思うんです。で、一つはわが国の経済政策の基調を明確にこの際転換しなきゃならぬと、こういう問題であります、それからもう一つは当面のこのインフレとデフレの混在するこの事態をどういうふうに打開してまいるかという問題だと思います。 第一のこの経済姿勢、経済基調の転換の点につきましては、これはまず第一に考えて見なけりゃならぬ問題はわが国を取り巻く国際環境の問題だと、いま世界が非常に大きな曲がりかどにきておる。私はいまのこの曲がりかどという状態は、これは非常に大げさに言いますと、これは人類始まって以来の変化だと、つまりいままで人間が地球上の資源はこれは無限であるという前提のもとに生きてきた、金さえ積みますれば幾らでも資源は入るという世の中で生きてきたわけでありますが、これが資源は有限であるという意識のもとで暮らさなければならない、そういうことだと思います。そういう中におきまして世界経済は非常ないま混乱期でございますが、この混乱は私は今世紀になりましてからは最大の混乱だ。その例を過去に求めまするならば、一九三〇年代にただ一つこれにたぐいするものがあったと、こういうくらいな今日は大混乱であると、こういうふうな認識でございますが、一九三〇年代のあの大混乱は、一九二九年のアメリカのフーバー不況から端を発しまして、五年間で実に世界の総生産が四割縮減した、総貿易は三割減ったということだからたいへんな騒ぎです。私は、今日の事態はああいう深刻な落ち込みにはなりますまいと、こういうふうに見ております。それは、世界の経済協力機構、協力体制が非常に整備された、この活動があの当時のような落ち込みは抑止するであろうと、こういうふうに見ておりますが、しかし、あのときよりも深刻な問題をかかえておるというのが、最初に申し上げました資源有限という時代に入ってきたということであります。その象徴的な事件が、昨年十一月のアラビアの石油問題に例を見るごときことだろうと、こういうふうに思っておる。そういう転換した有限意識の世界情勢の中では、資源保有国というものが、これがまあ経済社会においては売り手市場の立場になる。また同時に、この資源を、経済的目的を離れまして、政治的あるいは戦略的にこれを用いるという動きをとる傾向が出てくるであろう。そういうことになりますと、資源消費国側は、そういう資源保有国側の動きに対しまして身がまえの姿勢をとらなきやならぬ、つまりそれは省資源、省エネルギーという姿勢であると、こういうふうに思うんです。そういうことを考えますと、私は、この世界経済のこれからは、一九六〇年代に実現したようなはなばなしい繁栄、とにかく六〇年代は五・七%成長、非常に高い水準の成長を達成したわけでありますが、そういう成長はこれからは世界経済として考えられない。まあ、見通し得る将来、当面かなり長きにわたって低成長時代、しかもその低成長というのが安定した低成長でなくて、その低成長時代の中で石油戦略手段というようなことをとる国があり得るという波乱含みの低成長時代、そういう時期になってくるんじゃあるまいか。 そういう展望を持ちますと、わが国がこれからどういう経済政策の基調でいくべきかということになりますと、結論は私はもうおのずから明らかだと思うんです。まあ、一昨年までのあの高度成長というような、ああいう夢は再びもう実現すべくもない。資源の厳重な制約がある。また、私は資源ばかりじゃないと思うんです。物価をこのようにしたのは何だというと、やっぱり拡大政策といいますか、あの超高度成長、こういうものがこれをもたらした大きな原因でもある。あるいは日本列島が公害列島化されようとしておる、その問題も考えなきゃならぬ。いろいろな要素を考えてみるときに、わが国はもう高度成長政策、またその背景にあるところの高度成長思想、これから完全に抜け出て新しい道を探らなきゃならぬ。新しい道とは何だといえば、これはおのずから明らかだと思うんです。やはり静かな、控え目な成長ということを考えるほかはない。その中におきまして、高度成長という量的な拡大の中では、やっぱり産業優先の考え方、これが進められたわけですが、静かな控え目の成長、そういう中におきましては、産業、これも考えなきゃなりませんけれども、これが優先せず、やっぱりわれわれの生活が優先するという内容のものでなけりゃならぬ、こういうふうに考えるのであります。 そういうような考え方に立ちますと、いままで高度成長政策推進の主軸となってきておりました経済社会発展計画、新全国総合開発計画等の国の基本計画はこれを根本的に改定する、そしてまあ出直し、ほんとに白紙というくらいな立場に立ちまして、根本的な洗い直しをしてつくり直すということにしなければならない、こういうふうに考え、この成長の量、また成長の中身、両面にわたりましての検討を始めまして、そして昭和五十一年度からこの両計画とも新しい計画のもとに発足することにいたしたい、かように考えておるのであります。 で、当面の問題は第二の、われわれの今日の課題であるインフレ問題をいかに解決していくかと、こういう問題だと思います。いまこの当面の問題につきましては、インフレ抑制かあるいは景気かというような論争もありますが、私はもう非常に割り切った考え方でいこうと。これは、インフレの抑制が最も優先する、よって、まあ摩擦も生じましょう、その摩擦に対しましては、それぞれ機動的、弾力的な手当てをする、そういう姿勢でなければならぬと、こういうふうに考えます。いま今日、物価インフレの問題は、いわゆる狂乱物価、これは需給インフレでありますが、その段階を脱しまして、静かではあるが、根強く物価を押し上げる、そういう力の働いておる時期、コストインフレの時期に来ておると、こういうふうに理解するわけであります。狂乱状態はことしの二月で大体まあおさまりまして、その後は卸売り物価もまあ毎月平均〇・六五ぐらいなところで上昇を続けておる。消費者物価は、十月までをとってみますと、本年度に入りましてから一・四%の速度で上昇いたしておる。そういう状態で静まりは見せておるものの、なお根強い上昇圧力というものがある。それは何かと言いますれば、コストでございます。コストのうち、ことしをとって見ますと、一番大きかったのは何と言っても一月一日から原油の輸入価格が四倍になったと、これが大きく響いた。次いで四月の春闘、これによる賃金、これが三二・九%の上昇であった、これが響いておると、こういうふうに思います。しかし、それらのコスト要因というものに対しまして、何とかしてこのコスト要因を乗り越えて、そして消費者物価の安定を実現しなきゃならぬ、そういう考え方のもとに、本年の物価につきましては、来年三月の時点における消費者物価の上昇率が本年の三月に比べまして一五%の上昇にとどまるようにということを期しまして、諸般の対策を講じておるわけであります。幸いにして十一月の消費者物価上昇が〇・五%というふうになったわけであります。ですから、十二月、一月、二月、三月の上昇が、これが〇・七五%、これでまいりますと、まだこれ一五%ということになるのでありますが、まあこれがためには、総需要抑制政策、これはもちろん続けてまいります。同時に、個別物資の需給と、それから輸送、そういうものにつきましても万全の努力をしていきたい。なお、公共料金につきましては、三月までは全面的にこれを凍結するということにいたしたい。まあこれは、また第二次の石油ショックがありましたなんというような異常な事態がありますれば格別でございますが、何とかしてこの一五%上昇目標というものは、ぜひその程度以内にとどめたいというふうに考えております。で、さらに来年度、つまり来年四月以降一年間の物価上昇をどういうふうに見ておるかという問題でありますが、これにつきましては私は、この年度間の上昇率を一けた台に何とかしてみたいということを念願しておるのであります。私は、これは総需要抑制政策を進め、そして万般の配慮をするということになりますれば、これは実現は不可能ではない、こういうふうに考えておりますが、その途上におきましてコストインフレ過程でありますので、そのコストとして大きな問題が二つある。一つは、公共料金の問題です。一つは、賃金の問題でございます。しこうして、両者はからみ合っておる。 私は公共料金の問題につきましては、これはいま関係各省から五つの品目につきまして、料金、価格の引き上げが提案をされておるのであります。小麦、塩、たばこ、電信電話及び郵便料、この五つでございます。それらにつきまして、何とか、大事な時期でありますので、これが料率の引き上げの見送りをいたしたい、こういうふうに考えておりますが、他面、これを、その企業体などの立場からその企業運営の健全な運営のためにというので、強い上昇、引き上げの要請もあるわけであります。また、財政当局から財政の健全性を保持するというたてまえからまた強い引き上げの要請も受けているのであります。しかしながら、とにかく来年の物価というもの、これはやはりことしに比べて格段の落ち着きを見せたという状態を実現しなきゃならないという非常に大事な時期であるということを考えますと、財政上の理由もありましょう、あるいは企業上の理由もありましょう、ありましょうが、それを乗り越えてやはりここで公共料金引き上げ抑制という方向へのふん切りをつけるべきであるというふうに考えます。いま企業当局やあるいは財政当局とそういう方向を何とか実現したいというので、最後的な努力をしておる、こういう段階でございます。 もう一つの問題は賃金の問題であります。賃金問題、これはもとより労使の間で決定さるべきものであって、政府といたしましては、その決定には介入をいたしません。しかし、この賃金がいかに決定されるかということは、これは日本経済の今後に非常に大きな関連があるんだという認識でございます。一昨年までの経済は、十三年間にわたりまして高賃金、高成長というパターンである。また、そのもとにおきまして物価は比較的安定状態であった。卸売り物価のごときは、ずっと十三年間続けて横ばいでございます。消費者物価は五%ないし六%の上昇にとどまるというような状態でありましたが、それは何かといえば、高度成長でございまするから、企業の規模も拡大される、それにつれまして企業の生産性も向上される、したがって、賃金が上がりましても、そのしわ寄せが製品価格の上昇というところにはいかなかった。ただ、生産性の向上のしにくい小売り業者等においては製品価格にこれをしわ寄せをするという傾向もありまして、卸売り物価は安定したが、消費者物価は若干の上昇をするという現象を生みましたけれども、ともかく高度成長下においては、生産性の向上が顕著に見られたわけであります。しかし、五十年度という年はこれは安定成長軌道が敷かれるまでの踊り場である、経過期間であるということを考えると、かなり低目の成長ということを前提としなきゃならぬと思います。大体四%程度の成長かと、こういうふうに思っておるわけでありますが、そのくらいの成長下においては生産性の向上というものは非常に低いわけです。そういうことになりますと、賃金が上がる、いままでの惰性で去年は三二・九%だったからことしは幾らというような惰性できめられますると、そのきまった賃金というものが消費者物価に大きくはね返ってくる、消費者物価がまた上昇するということになればまた賃金を上げなきゃならぬということになる、賃金と物価の悪循環が始まります。そしてまあ社会的不公正はますます拡大をする、非常な不安定な日本社会になる、その上さらに対外輸出競争力、これは大きく減殺をされるということになって、これはもう日本経済の大問題になってくるんだろう、こういうふうに思うときに、この春闘というもの、来年の春闘というもの、これからの賃金というもの、これが物価には、またわが国の経済にいかに大きな関係を持つかということをあらためて全国民が理解すべきであるし、特にこの賃金問題の決定の当事者であるところの労使双方においてあらためてそういう性格の違いのある賃金問題の決定であるということの認識を深めていただきたいということを念願しておるわけであります。しかしこの賃金が労使の間におきましてなだらかに、合理的に決定される前提といたしまして、政府はその持っておる力の全力をかかげて環境づくりをしなければならない、こういうふうに考えるのでありまして、その環境づくりの中でひとつ大きな政府のなし得る問題、これはやっぱり公共料金の問題、こういうふうにとらえておるわけでありまして、公共料金を据え置くということになると、いま各省から要求されておる料率の引き上げ等によって生ずる増収は一兆二千億円ぐらいになる、全部それを押えるということになると一兆二千億円の各省の要求を削減をすると、こういうことになりまするけれども、私はもうこの物価問題というものは金では買えない大きな問題だろうと、こういうふうな認識でございますので、多少金の面で将来に後遺症を残すという問題がありましても、それにふん切りをつけて、この際は公共料金、コストインフレ下のコストの重大な要因であるところの公共料金につきましては凍結する、これを物価の鎮静するまでは凍結するというような、そういう考え方をとるべきじゃないかと、こういうふうに考えましてせっかく努力しており、一両日中にその結論を出したいと、かように考えておる次第でございます。内外とにかく非常な転換期でございまして、微力その任にたえ得るかどうかわかりませんけれども、とにかく全力を尽くしてこのむずかしい二つの問題に取り組むという決意でございますので、何とぞ皆さんから格別の御教示と御鞭撻にあずかりたいということをお願いを申し上げまして、ごあいさつといたします。(拍手)
○委員長(岡本悟君) 次に安田経済企画政務次官にお願いいたします。安田経済企画政務次官。
○政府委員(安田貴六君) 私はこのたびの三木内閣の発足にあたりまして経済企画政務次官を命ぜられました安田貴六でございます。 もとより至って不敏なものでございますが、福田大臣の政策、方針を体しまして、現下きわめて国民から期待されておりまする物価問題をはじめとする国民生活安定の諸施策の推進につきまして誠心誠意努力をいたしてまいりたいと、かように存じておる次第であります。したがいまして、何とぞ今後とも各委員の諸先生の格別の御鞭撻と御指導を賜わりまするように心からお願いを申し上げまして、はなはだ簡単でありますが、私のごあいさつといたします。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手) —————————————
○委員長(岡本悟君) これより請願の審査を行ないます。 第四八号、インフレ抑止、物価の引下げ、独占禁止法の強化改正等に関する請願外百六十六件を議題といたします。 ちょっと速記とめてください。 〔速記中止〕
○委員長(岡本悟君) 速記を起こして。 請願第四八号外百三十一件、第五八六号、第二〇二二号外六件は、議院の会議に付するを要するものにして、内閣に送付するを要するものとし、第八八五号外二十六件は保留と決定することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(岡本悟君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(岡本悟君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午前十一時四十三分散会 —————・—————