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74回国会参議院1974/12/25

社会労働委員会 第4号

発言数
94
登壇者
12
会派数
5
開催日
1974/12/25

会議録

山崎昇日本社会党

○委員長(山崎昇君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。  この際、田中厚生大臣及び山下厚生政務次官から発言を求められておりますので、これを順次許します。田中厚生大臣。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○国務大臣(田中正巳君) 社会労働委員会の御審議に先立ち、一言就任のごあいさつを申し述べます。  厚生行政は国民の健康と福祉を守る重要な行政であり、本来、政治の中心となるべきものでありますが、特に三木内閣は社会的不公正の是正を重要な課題としているだけに、その主要な柱となる福祉政策は格別、充実、強化されなければならないと信じております。  まず、昨今のきびしい経済情勢の中では、特に生活保護世帯、老人、心身障害者、母子世帯等、経済的に弱い立場にある人々の生活の安定をはかることは緊要な問題であり、これらの人々の生活の安定には最善を期する考えであります。さらに国民医療の確保について、医師、看護婦等の確保はもちろん、僻地医療対策、救急医療センターの整備等を促進するとともに、国民の健康保持、増進のための施策についても積極的に推進してまいる所存であります。このほか厚生行政の課題は山積しておりますが、そのいずれをとりましても国民一人一人の日常生活に密着した重要な問題でありますので、私は冒頭に申し上げたとおり、厚生行政が今日の政治の中心となるべきものであるという信念のもとに、これらの問題に取り組む覚悟であります。何とぞ、皆さまにおかれても私の率直な気持ちをおくみ取りの上、ふなれな者でございますが、絶大なる御協力を賜わりまするよう、切にお願いを申し上げます。

山崎昇日本社会党

○委員長(山崎昇君) 山下政務次官。

山下徳夫自由民主党厚生政務次官

○政府委員(山下徳夫君) このたび厚生政務次官を拝命いたしました山下徳夫でございます。厚生行政につきましては経験年数もきわめて浅く、未熟者でございますけれども、ただいま大臣のおことばにもございましたように、幸い三木総理は社会福祉の充実、国民生活の底辺のかさ上げにつきまして非常な御熱意を示しておられますので、その趣旨を体して微力を尽くしたいと存じております。何とぞ、今後ともよろしく御叱正のほどをお願い申し上げます。     —————————————

山崎昇日本社会党

○委員長(山崎昇君) 日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案を議題とし、政府から趣旨説明を聴取いたします。厚生大臣。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○国務大臣(田中正巳君) ただいま議題となりました日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。  日雇労働者健康保険につきましては、昨年、給付期間の延長、現金給付の引き上げ等の制度の改善をはかったところでありますが、一方、健康保険についても、昨年の法改正により家族療養費の給付割合の引き上げ、高額療養費の支給等大幅な給付改善が実現したところであり、今日においては、日雇労働者健康保険の給付を健康保険の給付に準ずる内容のものとすることが、緊急の課題となっております。  このため、政府といたしましては、日雇労働者健康保険制度の現在の仕組みを維持しつつ、その内容を健康保険の水準に引き上げる方針のもとに、家族療養費の給付割合の引き上げ、高額療養費の支給、傷病手当金の支給期間の延長等大幅な給付改善を行なうとともに、保険料についても健康保険と均衡のとれたものに改定する等の制度の改善をはかることとした次第であります。  次に、改正案の内容について申し上げます。  まず、医療給付の改善につきましては、第一に、昨年の健康保険の改正と同様、家族療養費等の給付割合を五割から七割に引き上げるとともに、高額な医療につきましては、家族療養費等にあわせて高額療養費を支給することといたしております。  第二に、療養の給付期間及び家族療養費の支給期間を現行三年六カ月から五年に延長することとしております。  また、この医療給付の改善にあわせて、初診時一部負担金についても健康保険と均衡のとれたものに改定することといたしております。  次に、現金給付の改善につきましては、傷病手当金の支給期間を現行三十日から六ヵ月に延長する等、傷病手当金、出産手当金、埋葬料、分べん費等について、健康保険の給付に準じたものに改善することといたしております。  また、保険料につきましては、今回の大幅な給付の改善に見合って健康保険と均衡のとれたものとするために、現在賃金日額に応じて第一級五十円から第四級二百円までの四段階とされているものを賃金日額の等級に応じて第一級六十円から第八級六百六十円までの八段階とすることといたしております。なお、この改定は、保険料の急激な負担増を避けるため、昭和五十一年度までの間に段階的に行なうこととするとともに、賃金日額の低い第一級及び第二級の被保険者負担分について軽減措置を講じております。  最後に、この法律の実施の時期につきましては、昭和五十年一月一日といたしております。  以上が、この法律案を提出する理由であります。何とぞ、慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。

山崎昇日本社会党

○委員長(山崎昇君) 原子爆弾被爆者等援護法案を議題とし、発議者浜本万三君から趣旨説明を聴取いたします。浜本君。

浜本万三日本社会党

○浜本万三君 私は、ただいま議題になりました原子爆弾被爆者等援護法案につきまして、日本社会党、公明党、日本共産党、民社党を代表いたしまして、その提案の理由を御説明申し上げます。  昭和二十年八月六日、続いて九日、広島・長崎に投下された人類史上最初の原爆投下は、一瞬にして三十万人余の生命を奪い、両市を焦土と化したのであります。  この原爆による被害は、普通の爆弾と異なり、放射能と熱線と爆風の複合的な効果により、大量無差別に破壊、殺傷するものであるだけにその威力ははかり知れないものであります。たとえ一命を取りとめた人たちも、この世のできごととは思われない焦熱地獄を身をもって体験し、生涯消えることのない傷痕と、原爆後遺症に苦しみ、病苦・貧困・孤独の三重苦にさいなまれながら、今日まで生き続けてきたのであります。  ところが、わが国の戦争犠牲者に対する援護は、軍人、公務員のほか、軍属・準軍属など国との雇用関係または一部特別権力関係にあるものに限定されてきたのであります。  しかし原爆の投下された昭和二十年八月のいわゆる本土決戦の非戦闘員と戦闘員を区別して処遇し、原爆による被害について国家責任を放棄する根拠があるでありましょうか。  被爆後三十九年間、生き続けてこられた三十余万人の被爆者と死没者の遺族のもうこれ以上待ち切れないという心情を思うにつけ、現行の医療法と特別措置法を乗り越え、国家補償の精神による被爆者等援護法をつくることは、われわれの当然の責務といわねばなりません。  国家補償の原則に立つ、援護法立法が必要な第一の理由は、アメリカの原爆投下は国際法で禁止された毒ガス、生物化学兵器以上の非人道的兵器による無差別爆撃であって、国際法違反の犯罪行為であり、たとえサンフランシスコ条約で日本が対米請求権を放棄したものであっても、被爆者の立場からすれば、請求権を放棄した日本国政府に対して国家補償を要求する当然の権利があるからであります。  まして、われわれがこの史上最初の核爆発の熱線と放射能によるはかり知れない人命と健康被害に目をつぶることは、世界唯一の被爆国としての日本が恒久平和を口にする資格なしといわなければなりません。  第二の理由は、この人類史上未曽有の惨禍をもたらした太平洋戦争を開始し、また終結することの権限と責任が、日本国政府にあったことは明白であるからであります。特にサイパン、沖繩陥落後の本土空襲、本土決戦の段階では、旧国家総動員法は言うまでもなく、旧防空法や国民義勇隊による動員体制の強化に見られるように、六十五歳以下の男子、四十五歳以下の女子、すなわち、全国民は国家権力によってその任務につくことを強制されていたことはまぎれもない事実であります。  今日の世界平和が三十万人余の人柱の上にあることからしても再びこの悲劇を繰り返さないとの決意を国の責任による援護法によって明らかにすることは当然のことと言わなければなりません。  私どもは以上のような理由から、全被爆者とその遺族に対し、放射能被害の特殊性を考慮しつつ、現行の軍属・準軍属に対する援護法に準じて、原爆被爆者等援護法を提案することといたしたのであります。  次に、この法律の内容の概要を御説明申し上げます。  第一は、健康管理及び医療の給付であります。健康管理のため定期年二回、随時二回以上の健康診断や成人病検査、精密検査等を行なうことは、被爆者の負傷または疾病について医療の給付を行ない、その医療費は全額国庫負担とすることにいたしたのであります。  なお、治療並びに施術に際しては、放射能後遺症の特殊性を考え、はり、きゅう、マッサージをもあわせ行ない得るよう別途指針をつくることにいたしました。  第二は、医療手当及び介護手当の支給であります。被爆者の入院、通院、在宅療養を対象として、月額三万円の範囲内で医療手当を支給する。また、被爆者が、安んじて医療を受けることができるよう月額六万円の範囲内で介護手当を支給し、家族介護についても給付するよう措置したのであります。  第三は、被爆二世または三世に対する措置であります。被爆者の子または孫で希望者には健康診断の機会を与え、さらに放射能の影響により生ずる疑いがある疾病にかかった者に対して、被爆者とみなし、健康診断、医療の給付及び医療手当、介護手当の支給を行なうことにしたのであります。  第四は、被爆者年金の支給であります。全被爆者に対して、政令で定める障害の程度に応じて、年額最低三十六万円から最高三百万円までの範囲内で年金を支給することにいたしました。障害の程度を定めるにあたっては、被爆者が原爆の放射能を受けたことによる疾病の特殊性を特に考慮すべきものとしたのであります。  第五は、遺族年金の支給であります。被爆者の遺族に対して、年額五十万円の遺族年金を支給することにしたのであります。  第六は、被爆者年金等の年金額の自動的改定措置、すなわち賃金自動スライド制を採用いたしました。  第七は、弔慰金の支給であります。被爆者の遺族に対して弔慰のため、昭和二十年八月六日にさかのぼって、五十万円の弔慰金を支給することにいたしたのであります。  第八は、被爆者が死亡した場合は、五万円の葬祭料を、その葬祭を行なう者に対して支給することにしたのであります。  第九は、被爆者が健康診断や治療のため国鉄を利用する場合には、本人及びその介護者の国鉄運賃は無料とすることにいたしました。  第十は、原爆孤老、病弱者、小頭症等、その他保護、治療を必要とする者のために、国の責任で、収容・保護施設を設置すること。被爆者のための相談所を都道府県が設置し、国は施設の設置・運営の補助をすることにいたしました。  第十一は、厚生大臣の諮問機関として原爆被爆者等援護審議会を設け、その審議会に、被爆者の代表を委員に加えることにしたのであります。  第十二は、沖繩における被爆者に対して、昭和三十二年四月から昭和四十一年六月三十日までの間に、原爆に関連する負傷、疾病につき医療を受けた沖繩居住者に対して、十万円を限度とする見舞金を支給することにしたのであります。  第十三は、日本に居住する外国人被爆者に対しては本法を適用することにしたのであります。  第十四は、厚生大臣はすみやかにこの法律に基づく援護を受けることのできる者の状況について調査しなければならないことにいたしました。  なお、この法律の施行は、昭和五十年四月一日であります。  以上が、この法律の提案の理由及び内容であります。来年は被爆三十周年に当たります。再び原爆による犠牲者を出すなという原水爆禁止の全国民の願いにこたえて、何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに可決されるようお願い申し上げます。

山崎昇日本社会党

○委員長(山崎昇君) 以上で両案の趣旨説明は終わりました。     —————————————

山崎昇日本社会党

○委員長(山崎昇君) 次に、継続審査要求に関する件についておはかりいたします。  原子爆弾被爆者等援護法案につきましては、閉会中もなお審査を継続することとし、本案の継続審査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山崎昇日本社会党

○委員長(山崎昇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山崎昇日本社会党

○委員長(山崎昇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————

山崎昇日本社会党

○委員長(山崎昇君) 日雇労働看健康保険法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言願います。

浜本万三日本社会党

○浜本万三君 時間がございませんので、簡単に質問を申し上げますので、簡単に要点をひとつ御答弁いただきたいと思います。  まず、この日雇い健保が一部改正されることになりましたが、その内容が相当前進しておることを私は評価いたしたいと思うわけです。しかしなお、数点にわたりまして御質問を申し上げまして、より法案の内容を明らかにしていきたいというふうに思います。  まず最初は、基本問題について一、二点質問をいたしたいと思います。  昭和四十九年一月三十一日に本改正案を諮問いたしました社会保険審議会の答申によりますと「日雇労働者健康保険制度については、制度のあり方、適用範囲、受給要件、財政問題等の懸案が残っているので、政府は引き続き本制度の改善につき検討を重ねるべきである。」というふうに指摘をされております。これに対しまして大臣は、今後どのように善処されようとしておるのか、まずお尋ねをいたしたいと思います。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○国務大臣(田中正巳君) 最初に申し上げておきますが、きょうは時間がないそうでございますんで、簡潔、的確、誠実にお話を申し上げますが、ややどうもそっけないように聞こえるかもしれませんが、これは客観情勢のしからしむるところでございますんで、今後は懇切丁寧にやりますが、きょうはきわめてあじけないかとも思いますが、的確にやります。  今回の法改正は、根本的に健康保険並みの給付をいたしたいという趣旨でずいぶんと苦心をいたし、関係審議会でも一応の評価がされておるのでございますが、しかし、いまおっしゃるように、いろいろと、受給要件の緩和とかあるいは累積収支不足額の処理等の財政問題等々いろんな問題がまだ残されているわけでございまして、これについては今後ひとつ積極的にこれらの解決、前進のために取り組む所存でございます。

浜本万三日本社会党

○浜本万三君 それでは私のほうも少しテンポを速めまして御質問申し上げます。  先ほど大臣から御答弁をいただきましたように、重要な問題がまだ検討を重ねられることになっておりますので、より積極的にひとつ前進させる方法で御検討いただきたいと思うわけです。  次の問題は、五人未満の事業所の適用についてお尋ねをいたしたいと思うわけです。この問題は、しばしば問題になっておるわけなんでありますが、政府の資料などを拝見いたしますと、日雇い労働者は多種多様な職場で働いておりまして、その実態が、昭和四十六年の総理府の統計で拝見をしますと、約百七十万人というふうに言われておるわけでございます。その日雇い労働者の皆さんは、就労形態によって、日雇い健保であるとかあるいは国保及び健康保険、まあ、いずれかに加入をしておることになっておるわけであります。そして日雇い健保加入者が、その資料によりますと約五十二万人というふうに報告をされております。したがって、いろんな就労状況から考えますと、一年間に約七十万人が適用除外にならざるを得ない事情になると思うわけでございます。しかし、何といいましても、五人未満の事業所に対しましては、労働省所管の場合は相当適用範囲が拡大をされておるというふうに考えられますが、厚生省の場合には、確かに健保の適用事業所でないと日雇い健保が適用されないという問題はあるにいたしましても、労働省の場合と若干差があるように思うわけでございます。この点について今後どのように努力をされるのか、大臣のひとつ御答弁をいただきたいと思います。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○国務大臣(田中正巳君) 五人未満事業所の社会保険の適用、これについては、日雇い健康保険の前に健康保険制度そのものにも問題がございまして、実は、私若いころに社会労働委員会にずうっとおったころからこの問題が持ち上がっておったんですが、今回大臣に就任をいたしましてさらに責任を持った立場で、その後どうしたんだといっていろいろ事務当局に尋ねてみましたら、まあ、やっぱりそれはそれなりになかなかむずかしい問題がありましておくれているようでございますが、何とかいたしたいものというふうに考えているわけであります。  そこで、日雇い健康保険につきましては、何しろ零細な事業所につとめている方が非常に多いのでありまして、その事業所数は健保の場合の二倍だというふうにいわれております。いろいろ事務的にもめんどうなことがあり、被保険者の把握等等についてもなかなか簡単ではないようでございますが、できるだけのことをいたしたいというふうに思っております。しかし今日では、厚生省は任意包括制度を使ってやっているようですが、これにも限度があろうと思われます。なお、労働省のほうは収入をその総報酬制で扱っているというふうに、わがほうより幾らか簡単な面もあるもんですからおくれたのではなかろうかと思われますが、なお、この点については今後ひとつ検討の課題といたしたいと思っております。

浜本万三日本社会党

○浜本万三君 いずれにいたしましても、就任された大臣はその道の専門家だというふうに聞いておりますから、ぜひひとつ適用範囲を拡大するように今後御努力をいただきたいというふうに思います。  次は、日雇い労働者の実態につきまして一、二お伺いしたいというふうに思います。私がお聞きいたしましたところによりますと、日雇い労働者が就労をしながら生活保護を受けておる者が相当あるというふうに聞いておるわけでございます。したがって、日雇い労働者の生活扶助並びに医療扶助の適用状況がどのようになっておるかということをお尋ねいたしたいと思います。

翁久次郎厚生省社会局長

○政府委員(翁久次郎君) 生活保護の面で速報をとっておりまして、概数はわかるわけでございますが、ただいま御質問のございました日雇いの方方の生活保護の受給状況でございます。四十八年度一カ月間に、世帯にいたしまして六十八万四千世帯でございます。そのうち日雇いの労働者の世帯は四・七%の約三万二千世帯となっております。ただ、ただいま御指摘がございました医療扶助あるいは生業扶助その他生活保護上の分類につきましては遺憾ながら統計的な数値をとっておりませんので、ただいま申し上げましたように、全体としての数で把握していると、こういうことでお答えいたしたいと思います。

浜本万三日本社会党

○浜本万三君 また資料がある程度出しましたらお知らせをいただきたいというふうに思います。  続きまして、最近特に問題になっておる職場であります港湾労働者の場合についてお尋ねをいたしたいと思うんですが、これも最近の新聞報道などによりますと、就労日数が、規定のいわゆる二ヵ月二十八日未満の日にちが確保できない、こういう状況になっておるというふうに聞いておるわけであります。そういうふうな状態にあるのかどうなのか、特に港湾労働者の場合の状況について実情を伺いたいと思うわけです。

北川力夫厚生省保険局長

○政府委員(北川力夫君) 実情でございますが、最近の私どもの調査によりましても、おも立った港湾関係のいわゆる港湾登録日雇い労働者の方々の就労日数は、いま御指摘になりましたように、差はございますが、あるいは十一日とか、あるいは九日とか、十二日とか、いわゆる日雇い健保の受給要件を多少満たし得ないというふうな状況のところがあるようにわれわれも承知をいたしております。で、これは東京、横浜、名古屋、大阪、神戸あるいは関門、こういったところについて調べております四十八年じゅうの実績でございますが、以上のような状況でございます。

浜本万三日本社会党

○浜本万三君 これは一般的な話になるんですけれども、国民皆保険という今日の情勢の中にありまして、被保険者でありながら、保険料を納入しておっても就労日数が足りないので、いわゆる受給要件が満たされないという理由で、保険給付が受けられないという事情があるんじゃないかと思うわけです。私が調査をした資料によりましても、昭和四十六年から四十七年の一カ年間の実態調査によりますと、その率が七・九四%というふうに約八%に近い人がそういう状況にあるというふうに聞いておるわけであります。もともと医療保険制度というものが、平素元気なときに保険料を掛けて、疾病や負傷などの保険事故のときに安んじて給付が受けられるという制度であろうというふうに思うわけなんでりあますが、そういう状態にもかかわらず七・九四%という給付を受けられない方々があるというのは、たいへん問題があるというふうに思うわけであります。その実情と、その救済措置を何か考えられないかということをお尋ねいたしたいと思います。

北川力夫厚生省保険局長

○政府委員(北川力夫君) ただいまおっしゃいました七・九四%という数字につきましては、社会保険庁のほうにおきまして四十七年四月に行ないました実態調査の結果、そのような数字が出ておるわけでございます。  で、一般的にいまの御質問を要約いたしますと、現在の受給のための要件というふうなものについて何らかの配慮が加えられないかと、こういうことだと思います。ただ、この制度は、もともとが日々雇用の方々につきまして保険料納付を条件にして制度を仕組んでおりまするので、制度全体の公正な運用と申しますか、適正な運用と申しますか、そういう意味合いから、どうしてもこの受給要件設定ということはやらざるを得ないわけでございます。そういう意味合いで、最初からこの受給要件を満たし得ないような方々につきましては、あらかじめ適用除外という制度があることも御承知のとおりでございます。ただ、いま御指摘の問題は、いわば何と申しますか、摩擦的に多少の日数が足りない、そういうものについて何らか補てんする方法がないかということだと思います。ただ、この問題につきましては、この保険の根本といたしまして、たとえば十日間あって、あと四日間だけ一カ月のうちで何かの方法で補てんをする、補てんの方法も問題でございますけれども、こういうことをやっていきますというと、保険の原理・原則からいって、いわば逆選択的な運用になるおそれが多分にあるという点もございますので、私どもはこういう問題はなかなかむずかしい問題だと思っております。で、任意継続的な制度を取り入れてやったらどうかという意見もあるんですが、これもいま申し上げましたような意見にかかわる問題でございますので、いずれも制度の基本的な仕組みである点から考えますと、制度の根幹にかかわる問題でございますから、いろいろ問題はございましょうけれども、今後の検討課題として慎重に検討を重ねてまいりたいと考えております。

浜本万三日本社会党

○浜本万三君 いまあなたがお答えになったとおり、日雇い健保はなじめないものは初めから適用除外することができるということになっておりますから、むしろ、逆に保険者である以上はこの保険給付を受けるということが必要ではないかというふうに思うわけなんであります。そういう意味で、私は、特別療養費という制度があるわけなんでありますが、この特別療養費の特別措置を考える必要がないであろうかというふうに思うわけです。たとえば、一つの考え方なんでございますが、十枚印紙を張ればたとえば半分の医療給付を受けることができるというように、何か特別の措置を講じて救済をすることができないかというふうに思うんですが、この点いかがでしょうか。

北川力夫厚生省保険局長

○政府委員(北川力夫君) 特別療養制度は、日雇い健保にたとえば国保から移って加入をされるというときに、受給要件が充足されない間において生ずるブランクを埋めるためにできた制度でございます。いまの御提案も、今後の問題の処理のしかたとして一つの御提案だと思いますけれども、特別療養制度というものにはたしてなじむかどうか、この点はいまおっしゃった内容的な問題も含めて検討課題ではございますけれども、どういうふうにやっていくか、制度全般の見直しの際にひとつ考えさせていただきたい、このように思います。

浜本万三日本社会党

○浜本万三君 お答えのように、保険者である以上は保険給付が受けられるように受給要件を緩和することをなお一そうひとつ御検討いただくことにお願いを申し上げたいと思うわけです。  次は、給付の内容につきまして、二、三お尋ねをいたしたいというふうに思います。  まず、今回の改正案によりまして、なお健康保険と同じようになっていない点があるのではないかというふうに思われるんですが、それはどういう点でございましょうか。

北川力夫厚生省保険局長

○政府委員(北川力夫君) まず、療養の給付期間でございますが、健康保険の場合には、一般的には転帰まで給付いたします。今回は三年半を改めまして五年ということにいたしております。こういう点が一番大きな点でございまして、あとこまかい点もあるかもしれませんが、大体そういうところがおもな点で、あとはもう健保に準じたような形で仕組んでおりまするので、ほぼ健保並みになっているように承知をいたしております。

浜本万三日本社会党

○浜本万三君 育児手当、これが設けてないんですが、その理由を簡単にひとつお答え願いたいと思うわけです。私は、健康保険のほうの育児手当、ミルク代二千円というのは、これは非常に低いという気がしておるわけでございますが、しかし、低いけれどもやっぱり制度としてはあったほうがよろしいのではないかというふうに思っているわけでありますが、これが特に日雇いの場合に落ちておる理由について、お尋ねいたしたいと思うわけであります。

北川力夫厚生省保険局長

○政府委員(北川力夫君) 育児手当金は、実は、健康保険のほうにおきましても三十六年から現在まで二千円のまま据え置いておるわけでございます。で、この問題は、手を触れるといたしますと、実は、昨年の健康保険の改正の際に当然手を触れるべき問題であったわけでございますが、ただ、いろいろ関係者の間でと申しますか、いろいろな形でこの問題の取り扱いを将来どうすべきか、今後、保険給付としてこういう育児手当金というふうなかっこうで取り扱っていくことが適当であるかどうかということの問題がいろいろな角度から検討されておりまするので、健康保険法の改正の際にも見送ったわけでございます。そういう意味合いで、今後は、健康保険も、むしろベーシックには健康保険の問題といたしましてこの問題を考えまして、その結論を待って日雇い健保のほうにつきましても手当てをいたしたい、こういうふうに考えておるわけであります。

浜本万三日本社会党

○浜本万三君 時間がないので急ぎますが、次は、高額医療費払いの支給要件、あるいは支払い方式について検討してもらいたいという意味で質問したいと思うわけですが、今回の改定で自己負担が三万円以上で、しかも同一人が同一月内で、さらに同一医療機関にかかった場合にのみ適用するということになっておるんですが、これは、ちょっと実情に合わない点があるのではないか。むしろ、同一人が二カ月にわたっても、また、二つ以上の医療機関で治療をしても、また、同一家族が二人以上の高額医療費の対象になっても救済できるように検討していただきたいというふうに思いますが、大臣いかがでしょうか。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○国務大臣(田中正巳君) 高額療養費制度、これは発足をしたばかりでございまして、実は制度的にもなかなか未成熟なところがあるわけでございまして、まあ、ずいぶん考えてやったのですが、やってみましたらこういう問題が率直に言うと出てきたわけであります。おっしゃるとおりレセプト一件に限るとかあるいは月をまたがったら、今月の末と来月の初めというともうだめということになりますし、あるいは一世帯合計の問題がどうかといういろんな問題が出てきたのですが、何しろこれはやっとこ始めたばかりのものですから、そういう問題が出てきたのでなるほどなあと、こう思っておるところでございますが、これについては事務的になかなかめんどうな点も実はあるわけでありまして、お医者さまなんかに言わせると、なかなかそういうことを簡単にやると処理ができないよという御意見もありますけれども、まあ、ごもっともなものもたくさんございますので、これは今後のこの制度の充実発展のための重要な課題として検討いたしたいと、こういうふうに思います。

浜本万三日本社会党

○浜本万三君 前向きの答弁いただいたのですが、これは実行していたがかなければなりませんので、早急に実施できるようにひとつ検討をお願いいたしたいと思います。  次は、保険財政の問題についてお尋ねをします。まず、日雇い保険の累積赤字というのはどれぐらいになっておるのでしょうか。

山高章夫社会保険庁医療保険部長

○政府委員(山高章夫君) 日雇い健保の累積赤字は昭和四十八年度で千九百五億になります。

浜本万三日本社会党

○浜本万三君 約二千億ということなんでしょう。約五十二万人で二千億というのはたいへんな赤字になっておるというふうに思うのです。ところが、健康保険のほうは、昨年の資料によりますと、被保険者の数が千三百三十万人で赤字総額は約三千億円。そういたしますと、健康保険と日雇い保険との赤字の状況を考えてみますと、累積赤字の内容というのは日雇い保険のほうがさらに深刻な状態になっておるというふうに私は思うわけなんであります。そうであるならば、当然健保の財政対策を政府は考えられる以前に日雇い健保のほうの赤字対策について十分な検討をされて対処されなければならなかったと思うのですが、いまだに放置されたままになっておるわけなんです。これは一体どういうわけなんでしょうか。

北川力夫厚生省保険局長

○政府委員(北川力夫君) 日雇い健保は二十八年にできたわけでございますが、何ぶんにも低所得者の方々の集団でございまして、しかも疾病は非常に多いと、なかなかに保険料を引き上げることがむずかしいということで三十六年の法改正以来保険料が二段階制に据え置かれておりました。これを昨年の四十八年健保改正の際に日雇い健保的正も行ないまして、とりあえず現行の健保改正前の健保並みの状況に持っていきました際に、若干の保険料の改定をお願いをいたしまして法改正を行なったところでございます。そういう状況でございますので、今回の改正につきましては、そういう非常に日雇い健保というものが体質的に持っておりますむずかしい状況を越えて一挙に給付内容を健保並みにまで改善をする、こういうことでやるわけでございまして、今後の、いま御指摘になりました財政問題からのサイドでこの問題をどういうふうに処理をするかということにつきましては今後の改正案を御承認願いますならば、その御承認願いました後において日雇い健保の財政状況等の推移を見きわめながら検討を続けてまいりたい、かように思っております。

浜本万三日本社会党

○浜本万三君 いま御指摘のように日雇い労働者の実態から見まして保険料の値上げをいたしましても赤字財政を埋めるのにはおのずからこれは限界があるというふうに思うわけなんです。そこで、どうしても国庫負担を増額する以外に方法がないというふうに思います。したがって、健保のように赤字をたな上げして、そして日雇い健保の財政を確立すべきではないかというふうに思いますが、大臣の御答弁をいただきたいと思います。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○国務大臣(田中正巳君) 趣旨においては先生御主張のとおりでございます。  ただ、これについては過去の経緯もこれありまして、また、今後そういったような赤字たな上げをするためには制度的に周辺整備をしなければならぬことがあるということは先生御案内のとおりでございますので、そういうこと等含めて、ひとつそういうふうな方向に持っていくべきものというふうに思っていますが、若干の時間をかしていただきたいというふうに思います。

浜本万三日本社会党

○浜本万三君 次に、保険料の問題について簡単に質問を申し上げたいと思うんですが、今度のこの改正では、五十一年までに段階的に急増をいたしまして、そして、できるだけ保険財政を埋めるような趣旨が考えられるわけなんでありますが、それにいたしましても、上限の第八級というのは、つまり九千五百円以上でございますが、この保険料の日額を六百六十円にされておるわけなんでありますが、そういたしますと旧法でいう百三十円と比較いたしますと約五倍一挙に値上げされておるわけなんです。で、困っていらっしゃる方々が多いと思うのでございますが、さらに五倍も保険料を引き上げるというのはあまりにも急増ではないかというふうに思いますが、いかがなものでしょうか。

北川力夫厚生省保険局長

○政府委員(北川力夫君) 確かに御指摘のとおり、保険料がかなり今後上がっていくことは事実でございます。ただ、今回の改正は、先ほど大臣からも申し上げましたように、日雇い健保の給付内容を一挙に政管健保の改正された水準まで引き上げるということでございますので、やはり医療保険としてこれをやっていきます限りは、負担の面においても健保と均衡のとれた負担というものをお願いしなければならない、こういうふうに基本的には考えております。  ただ、実施の過程におきまして、いま仰せのとおり、五十一年という話が出ましたけれども、そういった段階的実施の配慮を行ないますと同時に、低位のところにつきましては被保険者負担分を据え置く等の措置を講じまして、できるだけの配慮はしたつもりでございます。そういう意味合いで、確かにふえることはふえますけれども、段階的な実施というふうなことで、反面においては給付が一挙に健保並みになるわけでございますから、その辺のかね合いを考えますと、今回お願いいたします改正措置はまずやむを得ないものではなかろうか、このように考えている次第でございます。

浜本万三日本社会党

○浜本万三君 いずれにいたしましても、賃金日額が二千五百円の人は今回の改正で二百円にも上がるわけなんでございまして、これを健康保険のような料率換算してみますと千分の八十ということになります。そういたしますと、十一月から健保が改正されましてその料率が千分の七十六ということなんでありますが、それよりもさらに高率であるというふうに思われますので、やっぱり弱い立場の人を守っていくという三木内閣の性格があるとするならば、今後の改正にあたりましては十分そういう点を配慮して改正をすべきではないかというふうに思いますので、今後の問題として、特に大臣にお願いをしておきたいと思うわけです。  最後に、健康管理体制の問題につきまして二つほど要望申し上げまして、大臣の御答弁があればぜひ前向きの答弁をしてもらいたいと思うわけです。  一つは、日雇い労働者の就労の実態から見まして健康管理の必要を痛感いたします。そこで、健康診断などを充実させることができないかということであります。  それから第二は、他の社会保険と同様、保険施設について充足整備をする必要があるのではないか。この点は特に保険制度ができまして二十年たった今日に至るも、全然そういう施設がないというのはきわめて遺憾だというふうに思うんですが、この二つの点について、特に健康管理体制を強化するという立場から大臣の前向きな御答弁をいただきたいと思います。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○国務大臣(田中正巳君) おっしゃるとおりのこと、よくわかるわけでございますが、率直に申しまして、日雇い健康保険財政の今日までの状況というのは、そんなことを言うとしかられるかもしれませんが、それどころじゃなかったというのがほんとうのところじゃなかろうかと思われるわけでございますが、ようやく軌道に乗ってまいりましたから、今後財政の状況等勘案いたしまして、そういう方向に進むようにいたしたいというふうに思います。

浜本万三日本社会党

○浜本万三君 今後の一そうのこの制度の充実を期待いたしまして、時間が参りましたので、私の質問を終わらせていただきます。   〔委員長退席、理事須原昭二君着席〕

小平芳平公明党

○小平芳平君 日雇い健保の問題点についていま質問があり、御答弁がありましたが、基本的にこの厚生省の考えは日雇い健保を充実発展させていこうという考えなのか、それとも赤字の荷物をかかえて、もうどうにもこうにもならないというような考えなのか。どうも大臣が一番最初、三木内閣云々という御発言と、それからいまの日雇い健保に対する個々の問題点に対する御答弁と、あまりにも食い違っているように感じますが、いかがですか。   〔理事須原昭二君退席、委員長着席〕

田中正巳自由民主党厚生大臣

○国務大臣(田中正巳君) 食い違ってはおらないのでございまして、日雇い健康保険制度は制度的に財政的になかなかむずかしい、苦しい状況にあるということは、先生御案内のとおりでございますが、なおかつ雄渾な構想でせめても健康保険並みの給付を確保しようということで、実はこういう改正をいたしたわけでございまして、今後これを機軸として、なおこの日雇い健康保険制度のストラクチュアーをそのままにしておいて、何とかこれをひとつもう少し軌道に乗ったものにしようという意欲を持っているわけでございます。

小平芳平公明党

○小平芳平君 それでは、先ほど来の御答弁について一々取り上げるわけではありませんが、たった一点だけ受給要件について局長は保険の原理・原則などと言って、それで、足りない人はやむを得ないんだ、要するに受給要件がきまっているのだから就労日数の低い人は、病気になった、医者にかかれない、それは保険の原理・原則の上からいって当然だというような趣旨の答弁のように伺っておりましたが、この場合など、せっかくふだん働いているときには保険料を払っております。ところが、突発的に病気になって、突発的に入院するとか、病院へかけ込めばそれはいいでしょうけれども、そうばかり限らないわけでしょう。どうもからだのぐあいがよくないといって、しばらく自宅で休養したり、あるいはとにかく一日働きに行くだけの体力がない。そうこうしているうちに、どうも状態がますます悪いからといって医療機関へ行こうというときには、もうすでに資格がないというようなことになるわけでしょう。そのままで、それは保険の原理・原則だからあたりまえだというのですか。

北川力夫厚生省保険局長

○政府委員(北川力夫君) 確かにいま先生のおっしゃいましたとおり、日雇い労働者の方々の就労の形態はまことにバラエティーがあると思うのでございまして、いまのように、受給要件を設定いたしております限り、そういったケースも出てくると思います。ただ、私が申し上げておりますのは、この制度を仕組みます際に、非常に苦労いたしましたのは、何と申しましても事業所を転々として日々雇用の実態が変わっていく、それをどうつかまえていくかということになりますると、やはり印紙貼付というような形で、しかも事業所存限定してやっていかなければならない。他面、給付の面において今回お願いしておりますような建保並みの給付ということをやっていこうとしますと、どうしてもそこに受給要件というものを設定していかざるを得ないと、でございますから、受給要件の緩和という問題もあるわけでございますが、これだけの給付改善の際に、それじゃ受給事件を緩和するかということも、なかなかこれはむずかしい問題でございまして、この制度の仕組みそのものについて関係審議会等からもいろいろ御提言をちょうだいいたしておりますが、根本的にこの問題を洗い直すというふうな際には、私どももそういう問題についてどういう仕組みが一番いいかどうか、これは考えてみなければならないと思っております。ただ現在の仕組みを維持しながら、とりあえず現行の健康保険制度並みに給付改善をするということになりますると、やはり現在の仕組みの中で受給要件というものも運用していかざるを得ないと、こういうことで申し上げたわけでございまして、いろんなケースについての、いろんなケースが生まれてくることについての問題意識は私も十分に持っているつもりでございます。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○国務大臣(田中正巳君) いま保険局長から事務的に説明すると、そういうことになるわけでございますが、これはどうも日雇い健康保険制度にまつわる宿命的な実は問題の一つでもあるようでございますが、まあ、さっき保険局長が言いましたが、これをうっかりいたしますと変な意味の逆選択も起こらないという保証もございませんが、しかし何とかインボランタリーに働けないというような人、自分で働きたいのだが健康上の理由、あるいは雇用状況等で、たとえばさっき申した港湾労働者等々でどうも自分の意にまかせず印紙が貼付できないというお気の毒な状況にあるというようなものをじょうずにこれを抜いて、そして受給要件をひとつ何とか満たしてやりたいという気持ちですが、技術的になかなかめんどうな点もありますので、今後ひとつこれは前向きで検討いたしたいと、こういうふうに思います。

小平芳平公明党

○小平芳平君 それでは、前向きに検討ということはどういうことかよくわかりませんが、結局制度そのものは拡充をしていく、充実させていくということに了解いたします。  それから次に、日雇い健保関係もそうですが、医療制度の抜本改正ということで、厚生省はかねがねいろんな検討もされ、また社会保障長期計画懇談会でも提言をしておられるようですし、あるいは第六十八国会には医療基本法案というような形で提案されたこともありますが、こうした全体的な見通しについてはいまどういうお考えでおられますか。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○国務大臣(田中正巳君) 医療制度の抜本改正、実はこれが包括する概念が非常に広いわけでございまして、ある人は医療保険制度まで含めてお考えになっているようですが、そうでなしに狭い意味の医療制度そのものについてもいろいろと御議論があり、また種々の審議会、懇談会等からも御意見を承っているわけでございます。しかし何分にもどうもいろいろと複雑かつ利害の対決するような問題等も含んでおりますものですから、したがってなかなかこれが完全な域に達するということができないで、実はまことに遺憾に思っているわけであります。  先般も政府は昭和四十七年ですか、法律を出したわけでございますが、これは御意見が多くて廃案になってしまったことは先生御案内のとおりでであります。今後、これについて一体どういうことをやっていこうかということでございますが、私自身就任早々で、まだ率直に申して構想が固まっておりません。ただ、齋藤厚生大臣、長い間おやりになっていた私の前任者でございますが、この方はこの問題についてはややどうもギブアップぎみのような傾向があるように承っております。そこで、部分的に各般の問題を積み上げていく積み上げ方式でやっていこうということを国会で御答弁なさったと聞いております。申すならば、たとえば僻地医療等々についてまずセットし、その次にこういう問題というふうに積み上げていって、全般を何とかよくしていこうということであるようでございますが、この問題、齋藤さんはそういうことでございましたが、私自身どう取り扱うかについてはまだ私としては成案を得ておりませんし、胸の中に固まったものがございませんから、いま少しく時間をかしていただきたいというふうに思っております。  なお、共産党を除く野党各党からの共同提案のこの問題についての法律案の出ていることもよく存じておりますので、これらも勘案し、ひとつ構想を固めていきたいというふうに思っております。

小平芳平公明党

○小平芳平君 まあ、就任新しいのでというふうに言われますと、それ以上ちょっと言いにくいわけですが、そうしてまた、非常に範囲の広い問題であることも、あるいはむずかしい対立する問題点のあることも承知しておりますが、現状のままでいいと、現状がきわめてうまくいっているというふうにもおとりになってないと思いますから、その点ひとつ御検討いただきたいと思います。  次に、今回の改正は政管健保に合わせるということになっておるようですが、現金給付面の最低保障額がもう政管そのものの現金給付の最低保障額を再検討しなくちゃならないじゃないか。まあ、よくいわれる狂乱物価、あるいは診療報酬の二回にわたる引き上げ、そういう点を考えた場合、現状の最低保障額は成立当初も私たちはいろんな論議をしたわけですが、成立以来、また、経済情勢、社会情勢の大きな変化がきたいまの段階で、政管に合わせるということでいいのかどうか、いかがですか。

北川力夫厚生省保険局長

○政府委員(北川力夫君) 健康保険、日雇い健保を通じまして、現金給付につきまして、非常に、当委員会としても非常な御関心をお持ちであられますこともよく私は存じ上げておりまして、先般の健保改正におきましても、現金給付が当委員会の御意見によってさらに改善されたということも承知をいたしております。ただ、今回の改正によって、日雇い健保全体の財政ということを考えてみますと、先ほどからるる申し上げましたような状況でございまして、こういう際に現在の健保も含めて、さらに一段と現金給付を、最低保障をかさ上げするということはなかなかむずかしい状況でございますので、今回はそこまで実は手が及ばなかったわけでございます。ただ、今後の実態というものは、いろいろまた考えなきゃならぬ点もございますから、財政状況等も勘案をしながら、できるだけ改善をいたしますように努力をいたしてまいりたいと考えておるわけでございます。

小平芳平公明党

○小平芳平君 今回の改正に、やるべきだと言っているわけではありませんでして、この健保改正のときから情勢が変わってきている。したがって、あの健保改正の水準が現在のままでいつまで据え置かれるのか、これはもういつかはですね、いつかはというか、あまり長くほおっておくと、また二倍、三倍というような引き上げをしなくてはならなくなりますし、したがって、現金給付面については、早晩検討する必要があるのは常識だと思いますが、それはいかがですか。

北川力夫厚生省保険局長

○政府委員(北川力夫君) おっしゃるとおり、早かれおそかれこの問題は検討しなければならぬ問題と思っております。そのような方向で今後検討を続けてまいりたいと思っております。

小平芳平公明党

○小平芳平君 いや、局長、早かれおそかれと言うが、おそくちゃだめだと言っているわけなんです。(笑声)早くやれば一挙に二倍、三倍というような引き上げをしなくてもいいように、早くやったほうが実際に合うじゃないかと言っているわけです。それをずるずると早かれおそかれと言って、おそいほうへ流されていきますと、その期間の不公平といいますか、ちょうど値上がりしたとたんの人はいいけれども、それが一年、二年、三年と据え置かれるということは、非常に実情に合わない分娩費、葬祭料ということになるじゃありませんか。したがって、これは早く改定の引き上げの準備をすべきじゃないですか。

北川力夫厚生省保険局長

○政府委員(北川力夫君) おっしゃるとおりでございまして、こういう問題について非常に大きなタイムラグを生ずるということは好ましいことじゃございせん。御提言の趣旨を体しまして十分にひとつ検討を続けてまいりたいと思います。

小平芳平公明党

○小平芳平君 大臣いかがですか。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○国務大臣(田中正巳君) 先生おっしゃるとおりだというふうに思います。もっとあけすけに申しますと、これは法律事項でございまして、実はこの点だけの法律を出すということになると、なかなかたいへんだろうということは、国会議員であるお互いがよくわかっていただけるだろうと思いますけれども、とにかく御趣旨の線に沿うて、できるだけ早い機会にやりたいというふうに思っております。

小平芳平公明党

○小平芳平君 それから、先ほどこの点についても御答弁があったようですが、日雇い労働者の実態ですね。これはもう総体的に、全体的に日雇い労働者の実態、それは労働省なり他の省でやるべきことだと思いますが、先ほどの御答弁では、厚生省として日雇い健保の被保険者の実態すらあまり把握していないように伺ったのですが、いかがですか。

山高章夫社会保険庁医療保険部長

○政府委員(山高章夫君) 日雇労働者健康保険法の被保険者の把握は、実は技術的に非常にむずかしいものですから、毎年というわけにもまいりませんが、昭和四十六年から四十七年にかけて一度大がかりな調査をいたしてございます。

小平芳平公明党

○小平芳平君 そうしますと、先ほどの七・九%ですか、それもそのときの把握なんですね。それで、これで終わりますが私が申し上げたいことは、制度そのものを、財政問題、先ほど、これはもう私は触れませんが、財政問題も含め、あるいは保険料が非常に上がり過ぎるくらい上がるというふうに私は受け取りますけれども、今回そういう改正をなさる、そうして、そういう、赤字財政になるのが当然なんですね、いまの制度そのものは。したがいまして、日雇い労働者の実態と、それからこの制度を充実していく上に必要なことを早く手がけていただきたいということを申し上げたいわけです。したがいまして、中身がよくわからないで、大まかなことで、このくらい給付改善されるのだから、このくらいの保険料を払うのは当然だろうというような、大まかな見解でなくて、もっと実態の上でこう、したがって、結果、こういう改正をしていけば、こういうふうに制度そのものが充実していくということが必要だということを申し上げたいのです。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○国務大臣(田中正巳君) お説のとおりだろうと思います。むずかしいことではございますが、事務当局をして鋭意調査、実態の把握をするように督励をいたします。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 それでは日雇労働者健康保険法の一部改正でございますが、これは七十二国会で廃案になりまして、全国の日雇い労働者の皆さん方が、何とかして政管健保、健康保険に早く、せめて追いついてもらいたいという強い念願があったわけでございます。ただいま上程されております本法案につきましては、これはまあ、そこへ追いつくという非常な努力がなされているという内容が見えますので、基本的にはもちろん賛成ではありますけれども、すでに各委員から指摘をされておりますように、適用の拡大の問題、あるいは受給資格要件の緩和の問題、それから給付内容の改善の問題、保険料がちっと高過ぎるじゃないかということで、もっと引き下げられないかというふうな、いわゆる保険料の問題、そういった問題等がなお多く残されているというふうに思うわけでございます。そういうことなので、そういう点で限られた時間でございますから、全面的になかなか触れるわけにはいきませんけれども、そういった点で残されている、早急にやはり改善を要する点についてしぼってお伺いをしていきたいというふうに思っているわけでございます。特に日雇い健康保険法の目的というのがいわゆる保険給付を行なうことによって生活の安定に寄与するというふうに法律でも目的が明記をされておるという点が他の保険とはやはり趣を異にするという点でほんとうに生活の安定に寄与できる内容にどうしていくかということがきわめて重大だというふうに考えているわけです。そこで、まず生活実態の上でなおかつ生活の安定に寄与することが必要だという立場から言いますと、たとえば現在の非常に激しい物価高インフレの中で失対賃金がいま一日が千八百四十五円ですね。そうしますと二十二日就労して四万円そこそこというふうなことで、これは生活実態から言いましても世帯構成が平均二・二——二人余りだということになるわけですから、これはまあ、いまの物価高の中で四万円そこそこの給料で、収入で生活をするというのはもう至難のことだというふうに思うわけです。そういう点で三木内閣、新しく登場された三木内閣は社会的不公正をなくするという点が非常に力説をされておるわけでございます。そこでですね、まず、そういった点で一ヵ月働いてまあ四万円そこそこというふうな、こういう賃金をまず改善するということが前提でなければ、保険給付が少々よくなったからそれでいいというわけにもいかぬのじゃないかというふうに思うんです。そこで労働省に、これは簡単に聞いておきたいんですけれども、来年度ですね、少なくとも失対賃金をまず大幅に引き上げるということは私は当然だと思うんですけれども、そういった点について労働省としてはまずどう考えているか、その点をお伺いしたい。

守屋孝一労働省職業安定局失業対策部企画課長

○説明員(守屋孝一君) いま先生御指摘がございましたように、確かに失対賃金、まあ日額が千八百四十五円七十銭でございます。われわれといたしましては来年度に向けましてこの失対賃金の引き上げに関し、これは先生御承知のとおりでございますが、失対賃金に関しましては、緊急失対法の規定に基づきまして、一定の賃金決定原則がございます。しかし、私どもといたしましては、この決定原則の中におきましても極力失対就労者の方々の就労なり、生活の実態をも十分念頭に置きまして適正な賃金水準を確保することができるように努力いたしたい、このように考えております。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 ぜひそういう前提がなければならないというふうに思うわけです。来年度は大幅な引き上げを、私は日雇い労働者の皆さん方何十万円もよこせと言ってないと思うんですよ。全国的にせめて一カ月働いて六万円や七万円ぐらいの給料は保障してほしいという要求なんですから、そういう点はできるだけ期待に沿えるように、その前提に立って、これはやはり病気になったときの保険給付という問題が非常に大事だというふうに考えるわけです。非常に限られた時間ですから、私は給付内容の改善についてお伺いをしておきたいと思うんですけれども、この保険、日雇い健康保険が一般の健康保険にやっと追いつくんだと、給付内容がそこへそろえられるんだというふうに言われているんですけれども、給付期間の延長、たとえば五年になったと。これは転帰までというものとは差があるというだけではなしに、たとえばこういう場合どうなんだろうかという問題ですよ。資格要件ができて、そうして、たとえばある疾病で入院をする。二、三カ月たって別の病気が出た。たとえば最近だったら、高血圧症で入院をしている、二、三カ月たって胃かいようが発見された、こういう場合になりますと、高血圧症については受給資格要件があるから治療ができる。ところが、新たに疾病が発見をされた胃かいようについては日雇い健保では適用されないということになりますよね。これは一体どうするんだろうか。その限りでは、胃かいよう、あとで併発症として出てきたあとの疾病については保険が適用されないということになるわけですね。これはどうですか。国民皆保険という限りでは、その点がちょっとぐあいが悪いんじゃないかというふうに思うんですよ。それじゃあ、高血圧症、先の疾病である高血圧病は日雇い健康保険、で、あとの胃かいようについては、それじゃあ新たに国民健康保険に入れるかといったら、そうもいかぬわけですね。その辺の問題についてはどういうふうにお考えになっておられるか。

北川力夫厚生省保険局長

○政府委員(北川力夫君) ただいま御指摘になりました問題点は、実はこの制度ができまして以来の問題点でございます。この制度の基本的な仕組みは、先生も御承知のとおり、健康保険と比較をいたしますと、結論から申し上げますと、健康保険のいわゆる継続給付的な性格を多分に持っているわけでございます。と申しますのは、日々雇用の方々でございますので、毎日毎日資格の得喪が繰り返される、その間にはギャップもできるということで、受給というものは資格喪失後に行なわれております。したがいまして、私どもは制度を仕組むときに、やはりこの制度はいま申し上げました健保の継続給付というものを頭に置いてやっていかなければならないと、そうでないとまたこの制度が医療保険として立ち行くのはなかなか困難な面もあるわけでございます。そういった意味合いで、いまおっしゃいましたように、健康保険で申しますと資格喪失の際に受けております疾病について給付をするということでございますから、この制度もそういう意味合いでは健保の継続給付にならった仕組み、つまり当該疾病についての受給要件の充足を前提にして仕組んでいるわけでございます。  でございますから、これをどうするかという問題は、いま御指摘になった問題も含めまして、また家族の方々の場合の問題も含めまして、いろいろあるわけでございますが、当初大臣からも申し上げましたように、今回の改正がとにかく現行の仕組みを維持しながらとりあえずこの健康保険のレベルまで追いつくということでございますので、そういう意味合いで、私どもはこの今回のような措置をとったわけでございますが、いまの問題はまあ今後の問題と福して慎重に検討をしてまいらなければならぬと思っております。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 これね、保険給付と同じようにというふうに言われておるけれども、一番同じでないところというのはここだと思うんですよね、日雇い健保の場合にはね。その点では、これは考えなければならないのは、特に日雇いの皆さん方というのはお年寄りが多いわけですね。そうして非常にどちらかというと、貧しい暮らしの中では疾病にかかりやすいという状況があるわけです。現に、日雇い健保の受診率というのは非常に高いわけですね。そういう点では、当然併発症、続発症というふうなものが出てくるのがこれは当然の皆さん方の置かれている健康状態なんですよ。それが一つしかかかれないということになりますと、これはたいへんなんで、それじゃあ、たとえば今度のようにいわゆる傷病手当が六カ月に延長されたと、二ヵ月もらったけれども次の新たな疾病が発見をされたので、それじゃあ、実態はどうなっておるかということです。次の疾病を治療するために実態を一体どうしているかということです。まずそれを聞きたいんです。

山高章夫社会保険庁医療保険部長

○政府委員(山高章夫君) ただいまの継続疾病で治療を受けていて、途中で他の疾病を併発した場合の実態でございますか。——その場合につきましては、先般私ども調査した中では、その点調査してございませんので、十分に把握してございません。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 いや、時間がないから詳しく言えないけど、一疾病で日雇い健康保険で入院をし、傷病手当を受けておるという人が新たな併発症が出たという場合に、これは自分で自費診療を受けなきゃならぬということになるわけでしょう。自費診療が受けられないということですよ、当然ね。さっきも言うたように、一カ月四万円そこそこの給料で生活さえたいへんなのに、自費診療を受けられるはずがないわけです。そうなりますと、日雇い健保を打ち切って、たとえば生活保護に切りかえるというふうなことになると思うんですが、そうなると、せっかく掛け金をしておって傷病手当金が六カ月もらえるという資格があるのに、その資格さえも放棄しなきゃならないというふうな結果になるわけです。そういった点で、他の疾病が続発をするという健康状態の上に、他の疾病の支給を受けられないという問題さらに他の疾病の治療をやるために、打ち切って生活保護なら生活保護に変えなきゃならぬということになると、高い掛け金を掛けてできておる資格まで放棄しなきゃならぬというのは非常に不合理だと思うんですよ。そういった点で、救済する方法を具体的に考えるべきではないかというふうに思うんですが、どうですか。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○国務大臣(田中正巳君) いま、沓脱先生おっしゃる点については、非常にごもっともな点だろうと思います。ただ、いま事務当局が説明をしておりますが、日雇い健康保険制度というのは基本的に継続給付の理論から出発をいたしておるものでございまするから、健康保険の継続給付でも他の併発症みたいなものについては給付をいたしておらないという、これをそのまま持ってくるからこういう問題が出ているだろうと思います。健康保険の場合にも問題だろうと思いますが、特にニードのきびしいこの種の方々についてこのような制度をこのままにいつまでもしておくことは私は適当でないというふうに思いますので、これについてはひとつ鋭意積極的に検討をいたしたいというふうに思っております。いろんな問題、まだ家族の問題等もございますが、この中で一番私は考えられる問題はこれだというふうに実は思っているわけでございます。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 家族の問題も、私が申し上げなくてもよくおわかりだと思うので、そういうことになると、家族の方が皆保険から取り残されるという状況に置かれるわけです、実際には。その点は、国民皆保険の旗じるしを掲げ、施策を進めておられる厚生省としては、これは何とかしなきゃならない盲点だと思うんですよ。それはひとつ検討して、できるだけ早い機会に前向きに施策を進めてもらえるように、ひとつこれは強く要請をしておきたい。  それから、先ほど資格要件の緩和の御質疑の中で、検討していきたいとおっしゃったんですけれども、私は特に、たとえば港湾労働者の方あるいは競輪とか競馬に働いている方々というふうな方方は、日数が足りなくて掛け捨てになるという問題がずいぶんあるわけですね。同時に、現在のような不況と失業の深刻化する中では、働きたいと思うけれども、労働者の意思とは別に働けないという状況も生まれてくるというふうな中では、何としても二カ月、二十八日という資格要件をもっと切り下げるということは考えられないか。せめて二十二日でも切り下げるというふうな形の緩和の方向というのを考えることはできないかどうか、その点について。

北川力夫厚生省保険局長

○政府委員(北川力夫君) 現在の事態を踏まえてのお尋ねでございますが、先ほどもお答えを申し上げましたとおり、何ぶんにも受給要件と申しますものはこの制度のきわめて根幹にかかわる問題でございます。また、今回の改正は、給付を一挙に健保並みに上げるという、給付の面では思い切った改正でございます。そういう意味合いでございますので、受給要件問題はひとつ慎重に検討さしていただきたい、このように思います。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 それから保険料の問題の中で、これもすでに御見解を承りましたけれども、九千五百円という一番上のランクで日額六百六十円の掛け金というのはやはり相当高いと思うんですよ。これは高い率については先ほどももうすでに述べられましたから、私繰り返しませんが、そこでそういった点で一つ考えなければならないのは、そういう賃金日額についての考え方の問題ですね。たとえば九千五百円というふうな水準の場合には工具とかあるいはその他仕事の道具というものが持ち込まれていっているわけですね。そういう場合に、これは課税の対象からはすでにはずされておるというふうな税制上の税措置の面でもすでにやられている問題なので、そういった点も含めて保険料について、これはまあ直ちに実施じゃないですから、御検討を進めていかれる、漸進的なというんですか、段階的な実施の問題なので、実際に実施の段階までにそういった点の御検討を進められる御意思があるかないか、その点について。

山高章夫社会保険庁医療保険部長

○政府委員(山高章夫君) 労働の対価でない部分につきましては、十分検討を進めたいと思います。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 それじゃ、労働の対価でない部分は賃金日額としては算定しないというふうにきちんとおやりになるわけですね。

山高章夫社会保険庁医療保険部長

○政府委員(山高章夫君) その点、先生のお話のように検討をいたしたいと思っております。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 時間がもうありませんので、私は最後にちょっとお願いをしておきたいと思いますが、この資格要件の緩和の問題、あるいは受給内容の改善の問題ですね、先ほど私申し上げましたが、そういった点で一度に法律的に法律改正をやって、全面的に改正が直ちにできないという場合には、これは運用上すでにある制度を運用して、少しでも法の精神に合致するような対策、施策を進めるというふうなことを考えられないかどうか。その点、たとえばですよ、たとえば先ほど申し上げたように、新たな疾病が発生してどうにもならない、せっかく資格があって傷病手当の受給資格がある、それを打ち切って生活保護へ行くというふうなことじゃなくて、たとえば特別療養給付費の制度ですね、支給の制度、そういうふうな十七条の四項の精神をそれに適用してでも運用上の弾力性を持たしていくというふうなことを検討されるかどうか、その点どうですか。これはもうそういうことは全然無関係に、全面的にそういった点を新たに制度化の方向を検討されるのか、あるいは当面そういった点の運用上の問題についてでも検討するかどうか、そういう点どうですか。

北川力夫厚生省保険局長

○政府委員(北川力夫君) 先ほどから申し上げておりますとおり、受給要件問題は何ぶんにもこの制度の最も根幹にかかわる問題でございます。したがって制度の公正な運用ということをどうやるかということが一つ。それから、いまおっしゃいましたように、さりながら、弾力的な運用はいかがかということでございますが、弾力的な運用も一歩誤りますと、逆選択を引き起こす、制度を崩壊に導くということもございますので、それは彼此勘案をしながら、先生の御趣旨を十分ひとつ私もかみしめながら、どの運用が一番公正な運用であるか、それから、どういうことをやれば弾力性の限度があるのか、そういうことで十分ひとつその辺は適正な検討を加えてまいりたいと思います。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 私に与えられました時間きわめて短うございますので、要点的に御質問を申し上げたいと思います。  私、相当長い間社会保険審議会の委員としてこの審議に参画してきたわけでございますけれども、要約して日雇労働者健康保険法の問題点は四つあると私は思うのであります。  一つは、五人未満事業所従業員に対する政管健保との関連もございますが、この日雇い健保の適用問題の中でなお国民皆保険の実がはかられていない。この適用範囲を受給要件とも関連づけてどのように拡大していくかというのが一つの大きな課題であろうかと思います。この点につきましては、本日、ただいままでの質問も行なわれ、かつ今後、制度の基本に関する問題ではあるが、この問題について積極的、具体的な検討を進めたいという御答弁がございましたので、この点に対する質問は省略をしたいと思います。ぜひその答弁の趣旨に沿って検討を促進されたいと要望いたします。  第二の問題点は、給付内容及び水準が他の保険に対比して著しく劣っているというのが第二の大きな問題点でございました。この点に対しましては、本改正案をもって相当程度の是正が行なわれておりますし、この点は評価いたしますとともに、私としましては、今後この種の給付内容、水準の改善は政管健保と時期を合わして同じ歩調でこれを行なっていくと、政管健保の改正が行なわれてから相当の期日を経過してやっと追いつくと、こういう今回の現象については今後繰り返さないような配慮を求めまして、これまた質問内容から省略したいと思います。  そこで、三つ目の現行制度の問題点でございますが、保険料の負担が政管健保に対比して適正なものであるかどうか。また、この日雇い健保には失対事業に従事する方々から特殊技能を持っておられる方々、非常に多くの要素を持つ方々がこの日雇い健保に一括加入されているわけでございます。それらの収入に応じて日雇い健保内の適正負担とバランスがとれているかどうかというところに一つの問題があると思うのであります。そこで、三段階に分かれて実施されるわけでございますが、五十年一月一日実施時における第三級のたまりが一体どれぐらいあるのか。五十年四月一日実施時における五級のたまりが一体どれぐらいあるのか。五十一年四月一日実施時における八級の占めるウエートがどのくらいあるのか。これについてお伺いします。

山高章夫社会保険庁医療保険部長

○政府委員(山高章夫君) ただいまの御質問でございますが、五十年一月実施時期の三級のたまりが六九・四%、五十年で五級のたまりが三〇・一%、五十一年で八級のたまりが七・三%でございます。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 このたまりの状態から相当程度の是正が行なわれているということは認識をいたしますが、四条の二に訓示規定として、今後「賃金の水準に著しい変動があった場合においては、健康保険法第三条ノ二の規定による標準報酬の区別の改定の措置その他の事情を勘案して、速やかに改定の措置が講ぜられるべきものとする。」と、こう記載されているわけでございますが、この実際運用に対して現段階における厚生省の所見を伺いたいと思います。

北川力夫厚生省保険局長

○政府委員(北川力夫君) 先生御承知のとおり、昨年の健康保険法の改正でいま御指摘になりました改正をお願いいたしております日雇労働者健保法の四条の二の第二項の規定に相当する規定を健康保険法上は三条ノ二として入れたわけでございます。したがいまして、この改正法案の条項にもございますとおり、今後の運用といたしましては、この規定の趣旨を踏まえまして、健康保険の標準報酬の改定措置ともこの関連を考慮しながら適切な対応をしてまいりたいと思っております。  なお、一言付言をしておきますが、先ほど、この問題も同様でございますけれども、日雇い健保の改正が健康保険におくれているということは御指摘のとおりでございます。今後はなるべくおくれないように歩調を合わしてやりたいと思うのでございますが、何ぶんにもこの問題については関係者の方々のほんとうの意味での合意が必要でございますんで、そういう意味合いで、私どもは関係者の合意を常に求めながらいまおっしゃいましたことも含めまして今後の改正に取り組んでまいりたい、このように考えております。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 私はこの賃金日額、等級の区分につきましてはその保険料負担の問題も含めまして日雇い労働者の就労の実態というものを十分に尊重すべきことはこれは当然でございますけれども、一面総合した他の保険との関連、そして日雇い保険の適用外部における適正な負担のあり方というものを忘れてはならないと思うのであります。こういう意味におきまして、今後の検討の中で十分慎重な配慮が行なわれますことを要望いたしますとともに、この改定がおくれまして一挙に五倍も上がるということになりますと、これは現実問題として相当のこれは影響を及ぼすものでございますから、給付の改善を政管に合わせて小きざみにおくれないようにやると同時に、この賃金日額保険料の改定についてもあまり多く長い間ためておいて一挙に改定していくという問題につきましては、これは今後大いに検討を要するのではないかと、こう思います。  時間の関係で、累積赤字でございますが、浜本委員の質問に答えられまして、四十八年度末千九百五億円と発表されましたが、厚生白書によりますと、この千九百五億円というのは保険料収入の約二十七年分に該当することが白書に明記されているわけでございます。しかも、いただきました資料によりますと、四十九年度末ではさらに三百億赤字がふえまして二千二百一億の累積赤字になるであろう、こう発表されております。これはもちろん医療保険の前提条件の整備の問題、財政健全化の問題と大いに関連する問題でございますけれども、私はいつまでもこのような膨大な累積赤字をかかえつつ日雇い健康保険を運営するということはきわめて不健全であろうと思います。その点につきまして累積赤字のたな上げ及び国庫負担の増額につきまして質問をいたしたいと考えておったところでございますが、すでに答弁の中にこれはなされましたので、その点に対する特段の配慮を強く求めまして私の質問を終わります。

山崎昇日本社会党

○委員長(山崎昇君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山崎昇日本社会党

○委員長(山崎昇君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕

山崎昇日本社会党

○委員長(山崎昇君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。

須原昭二日本社会党

○須原昭二君 私は、ただいま可決されました日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党、日本共産党及び民社党共同提案の附帯決議案を提出をいたします。  案文を朗読をいたします。    日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案   政府は、次の事項について実現に努めること。  一、医療保険の前提要件である医療制度の抜本的対策について、早急に具体的な実施計画を樹立すること。  一、五人未満事業所の従業員に対する政府管掌健康保険及び日雇労働者健康保険の適用の問題について具体的方策の樹立に努めること。  一、日雇労働者健康保険の保険給付の受給要件について日雇労働者の就労の実態を勘案し、その緩和措置を検討すること。  一、日雇労働者健康保険の財政状況の推移をみきわめつつ、累積赤字の処理、国庫負担のあり方及び労使負担区分のあり方等財政対策について検討すること。  一、高額療養費の支給要件及び支払方式について、なお検討すること。  一、日雇労働者健康保険の賃金日額の区分のあり方等については、今後十分に検討すること。   右決議する。  以上であります。

山崎昇日本社会党

○委員長(山崎昇君) ただいま須原君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行ないます。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕

山崎昇日本社会党

○委員長(山崎昇君) 全会一致と認めます。よって、須原君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、田中厚生大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。田中厚生大臣。

田中正巳自由民主党厚生大臣

○国務大臣(田中正巳君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重いたしまして、今後とも一そう努力をいたしたいと存じます。

山崎昇日本社会党

○委員長(山崎昇君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山崎昇日本社会党

○委員長(山崎昇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————

山崎昇日本社会党

○委員長(山崎昇君) これより請願の審査を行ないます。  第一号 国民健康保険の改善強化に関する請願外五百七十七件を議題といたします。  本委員会に付託されております五百七十八件の請願につきましては、委員長及び理事が協議の結果、第一号国民健康保険の改善強化に関する請願外四百八十三件は、議院の会議に付するを要するものにして内閣に送付することを要するものとし、第一五号雇用保険法の早期成立に関する請願外九十三件は保留することに意見が一致いたしました。  以上のとおり決定することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山崎昇日本社会党

○委員長(山崎昇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山崎昇日本社会党

○委員長(山崎昇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十三分散会      —————・—————

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