法務委員会 第1号
- 発言数
- 71 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1974/12/18
会議録
○小平委員長 これより会議を開きます。 国政調査承認要求に関する件についておはかりいたします。 すなわち、裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政の適正を期するため、本会期中、裁判所の司法行政に関する事項、法務行政及び検察行政に関する事項並びに国内治安及び人権擁護に関する事項につき、小委員会の設置、関係各方面からの説明聴取及び資料の要求の方法により国政調査を行なうため、議長に対し承認を求めることにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小平委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○小平委員長 この際、稻葉法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。稻葉法務大臣。
○稻葉国務大臣 一言ごあいさつを申し上げます。 このたび、はからずも法務大臣に就任し、法務行政を担当いたすことになりました。 委員長はじめ委員各位におかれましては、平素、法務行政の推進のため多大の御尽力をくだされ、感謝にたえないところであります。ここにあらためて深甚の敬意と謝意を表するものであります。 私は、法務行政の使命とするところは法秩序の維持と国民の権利の保全にあると考えております。ことに、内外諸情勢が激動し、困難な問題が山積しているこの時期に際し、国民生活の安定を確保し、国家社会の平和と繁栄をはかるためには、その基盤ともいうべき法秩序が厳然と維持され、国民の権利がよく保全されていることが最も肝要と存ずるのであります。したがいまして、私は、より適正な検察権の運用について努力を尽くし、いやしくも法秩序を破壊し、国民の権利を不法に侵害する行為に対しましては、厳正な態度で臨み、この使命達成に邁進する所存であります。また、法務行政のサービス部門である登記、出入国管理事務等の行政事務につきましても、これが一そう適正かつ能率的に行なわれるよう事務処理態勢の充実を期し、この種行政の向上につとめてまいりたいと考えております。 さらに、その他所管する行政の各分野にわたり、適時適切な施策を講じ、真に、国民の期待する法務行政を推進してまいりたいと存じております。 以上、はなはだ簡単ではありますが、就任に際しまして私の考えの一端を申し述べた次第であります。もとより、これらのことは、委員各位の御支援、御協力なくしてはとうてい果たし得ないのでありまして、どうか旧に倍する御援助、御鞭撻をくださるようお願い申し上げましてごあいさつといたします。ありがとうございます。(拍手)
○小平委員長 次に、松永法務政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。松永法務政務次官。
○松永(光)政府委員 一言ごあいさつ申し上げます。 先般、法務政務次官を拝命いたしました松永光でございます。法務行政につきましては経験に乏しい身でございますが、稻葉法務大臣のもと、全力をもって、国民に期待される法務行政の推進に努力してまいりたいと存じます。どうかよろしく御指導、御鞭撻のほどお願い申し上げます。(拍手) ————◇—————
○小平委員長 おはかりいたします。 本日、最高裁判所田宮総務局長、矢口人事局長、千葉刑事局長及び大内経理局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小平委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○小平委員長 内閣提出、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
○小平委員長 まず、両案について趣旨説明を聴取いたします。稻葉法務大臣。
○稻葉国務大臣 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨を便宜一括して説明いたします。 政府は、人事院勧告の趣旨にかんがみ、一般の政府職員の給与を改善する必要を認め、今国会に一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律及び沖繩国際海洋博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案を提出いたしました。そこで、裁判官及び検察官につきましても、一般の政府職員の例に準じてその給与を改善する措置を講ずるため、この両法律案を提出した次第でありまして、改正の内容は次のとおりであります。 第一に、最高裁判所長官、最高裁判所判事及び高等裁判所長官の報酬並びに検事総長、次長検事及び検事長の俸給は、従来、特別職の職員の給与に関する法律の適用を受ける内閣総理大臣その他の特別職の職員の俸給に準じて定められておりますところ、今回、内閣総理大臣その他の特別職の職員について、その俸給を増額することといたしておりますので、おおむねこれに準じて、最高裁判所長官、最高裁判所判事及び高等裁判所長官の報酬並びに検事総長、次長検事及び検事長の俸給を増額することといたしております。 第二に、判事、判事補及び簡易裁判所判事の報酬並びに検事及び副検事の俸給につきましては、おおむねその額においてこれに対応する一般職の職員の給与に関する法律の適用を受ける職員の俸給の増額に準じて、いずれもこれを増額することといたしております。 第三に、裁判官が死亡した場合における報酬については、現在、裁判官がその地位を失った場合と同様、その死亡の日までの日割り計算によって支給するものとされておりますが、今回、一般の政府職員について、その死亡の日の属する月の報酬の全額を支給することができるように改めることとされておりますので、裁判官についても同様の改正をすることといたしております。検察官については、検察官の俸給等に関する法律第一条において、一般の政府職員の例によることとされておりますので、この点に関する特段の措置の必要はありません。 これらの改正は、一般の政府職員の場合と同様、昭和四十九年四月一日にさかのぼって適用することといたしております。 なお、今回の改正により、昭和四十九年度限り、暫定的に、特別の措置として裁判官及び検察官の報酬月額及び俸給月額の一〇%を増額する旨の規定がその必要性を失うこととなりますので、同規定を削ることといたしております。 以上が、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨であります。 何とぞ、慎重に御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。
○小平委員長 これにて両案の趣旨説明は終わりました。 —————————————
○小平委員長 引き続き、両案に対する質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大竹太郎君。
○大竹委員 それでは簡単に二、三の点について御質問をいたしたいと思います。 認証官を除く裁判官、検察官の報酬、俸給の引き上げは、一般政府職員の引き上げに準じてこれを引き上げるのがこの法律の趣旨でございますが、「準じて」と言いながらも、平均引き上げ率は必ずしもこまかい数字において同一ではないようでありまして、この一般職の平均引き上げ率と裁判官、検察官の報酬、俸給の引き上げ率を比較して御説明をいただきたいと思いますが、それに見合いまして、平均給与の額並びにこれに見合う年齢、その他もあわせて御説明をいただきたいと思います。
○勝見説明員 今回の改正は、ただいま大臣から御説明申し上げましたように、一般の政府職員の例に準じてその給与を改善する措置を講じようとするものでございます。 その方法といたしましては、いわゆる対応金額スライド方式をとっておりますので、裁判官及び検察官と対応関係にあります範囲の一般の政府職員と比較いたしますと、全く同じ増加率かあるいはほぼ同一の増加率と相なっておるわけでございます。 お手元にお配り申し上げております関係資料の四六ページ、四七ページ以下をごらんいただきますとおわかりいただけるかと存じますが、裁判官、検察官のうちの認証官を除くというお尋ねでございましたけれども、裁判官、検察官のうち、認証官につきましては、内閣総理大臣以下の政府職員の方々と全く同一の額となっております。なお、認証官のうち、東京高裁長官以外の高裁長官及び東京高検の検事長につきましては、これに対応するランクがございませんが、この増率は前後のランクと全く同じ二五%に相なっております。 次に、判事特号以下判検事一号ないし六号までは、右の欄でございます官房副長官、それから指定職十一号から指定職三号と全く同一の増加率になっておるわけでございます。次の四八ページの表でございますけれども、判検事七、八号、簡易裁判所判事四号、副検事一号につきましては、増加率が指定職一号と二号の増加率と比べますとやや上回っております。それ以外の裁判官及び検察官につきましては、これに対応いたします上下の号俸の増加率とほぼ同一でございます。 なお、認証官を除きます裁判官、検察官の改善率は、平均いたしますと、裁判官におきまして二七・一%、検察官におきまして二七・六%でございます。 先ほどから申し上げております増加率のパーセントは、一〇%アップをいたしました五月からの改定前に対する増加率でございます。 ただいま、裁判官は二七・一、検察官は二七・六というふうに申し上げたわけでございますが、一般職の行政職俸給表e、いわゆる行eの職員でございますが、行eの職員につきまして同じような計算方法をとりますと、行政職俸給表eの職員の平均増加率は二九・五%でございます。先ほど申し上げました裁判官、検察官の平均改善率よりやや上回っておりますが、これは、今回の給与改定が下位の等級のほうが厚く、上位の等級のほうが薄い、いわゆる上薄下厚の形になっておりますので、そのような数字と相なっているわけでございます。 なお、この数字の計算の結果でございますが、裁判官と検察官との間に少しの差がございますが、これはこの表の五〇ページをごらんいただきますと、副検事の十五号、十六号というランクがございまして、これが裁判官の判事補十二号、簡易裁判所判事十七号の下にランクしております。この増加率は、先ほど申し上げましたように上荷下厚の形で三〇・一ないし三というパーセントの増率になっておりますので、平均いたしますと検察官のほうがやや上回っているという数字に相なっている次第でございます。 なお、年齢につきましては、最近の司法修習生から任官いたします年齢につきましては、検察官はちょっと手持ちの資料がございませんのでたいへん恐縮でございますが、大学を出ました一般の行政職に採用される職員につきましては、大学を出まして上級職甲という、一番上の採用試験でございますが、これに合格いたしまして任官いたしますと七等級の一号にランクされるはずでございます。それで一年たちますと六等級に上がりまして、二年たちますと六等級の二号になるのが通例であるように聞き及んでおりますので、裁判官、検察官の初任給であります判事補十二号、検事二十号は一般職の五等級三号と四号の間に位いたしておりますので、一般の行政職と比較いたしますと相当優位にあるというふうに考えられる次第でございます。
○大竹委員 いまの平均年齢、具体的におっしゃらなかったようですが、幾つになっていますか。
○勝見説明員 たいへん失礼いたしました。 新任の検事につきましては、ちょっと古い平均でございますが二十八・二歳でございます。
○大竹委員 判事は。
○矢口最高裁判所長官代理者 裁判官の採用時の平均年齢は二十六・二七歳ということでございます。
○勝見説明員 ただいまの平均年齢につきましてあらためて申し上げます。 二十八・二と申し上げましたのは、過去を算術平均いたしました数字でございます。四十九年の採用分につきましては二十六・二歳でございます。
○大竹委員 ただいまの御説明で、下のほうを厚くしてあるというお話、一応わかったような気がするのでありますが、この表を見ますと、判検事の七、八号、これはほかと比べますと非常に厚いようになっているのですが、その点、もう一度ひとつ御説明をいただきたいと思います。
○勝見説明員 判検事七号、八号のところの増率が比較的高くなっておりますのは御指摘のとおりでございます。従来、判検事一号から八号までにつきましては、その職責にかんがみまして指定職俸給表の適用を受ける職員に準じた給与体系がとられているわけでございますが、判検事一号ないし六号までの報酬、俸給月額はそれぞれ指定職の十号、七号、五号を除きますところの十一号から三号までの俸給月額と全く同額とされております。その改定も対応する指定職の俸給月額の増額に一致して行なわれてきたのでございます。ところが、資料の四八ページをごらんいただきますとおわかりいただけますように、判検事七、八号は、現在いずれの号の指定職の俸給月額と全く対応しておりませんで、判検事七号の報酬、俸給は指定職二号と指定職一号の中間にございます。それから判検事八号の報酬、俸給月額は指定職一号の俸給月額を下回っております。このたびの改正によりましてこれを、判検事七号を指定職二号と同額、それから判検事八号は指定職一号と同額というふうに改正しようとするものでございます。ただいま申し上げました改正は、いわば上のランクに格づけをいたしましたものでございますので、その増率は一般職の指定職一号、二号の増率より上回ったという結果に相なったわけでございます。(横山委員「何でそうしたのかと聞いている。これは答えがない」と呼ぶ)先ほど冒頭に申し上げましたように、判検事一号から八号までにつきましては指定職相当の号俸というたてまえをとっておきながら、判検事七、八号がいままでそこに立ち至っていなかったということで改正をしようとするものでございます。
○大竹委員 次に、この提案理由の説明の中にもございますが、裁判官、検察官が死亡した場合の報酬、俸給の支給方法が、これもまあ一般職に準じて改正されたようでありますが、これは一般職のほうの内閣委員会でも説明されるのでありましょうが、ここでも改正された趣旨をひとつ御説明をいただきたいと思います。
○勝見説明員 先ほど大臣からも御説明申し上げましたように、現行の裁判官報酬法、資料の三五ページに掲げてございますが、五条は「裁判官が死亡し、又はその地位を失ったときは、その日まで、報酬を支給する。」ということになっておりますが、政府は今回、人事院勧告の趣旨にのっとりまして、一般職の職員、それから特別職の職員につきまして、死亡の場合につきまして、その死亡の日の属する月まで報酬を支給するというように改正する法律案を提出しております。そこで裁判官につきましても、それらに準じまして裁判官報酬法の五条を改正しようとするものであります。この改正は人事院の勧告の本文にはございませんが、人事院の説明というところにございまして、死亡の場合における公務員の優遇策の一環として取り上げられたものというふうに理解しております。 なお、検察官のこの種の手当につきましては、「一般官吏の例による。」という検察官俸給法の一条によりますので、特に検察官俸給法の改正は必要がないものでございますのでその措置を講じていない次第でございます。
○大竹委員 次に、たしか去年もこれが問題になり、そして私が質問をしたと思うのでありますが、ことしも一般職の政府職員のうち、医師、歯科医師の初任給の調整手当が引き上げられているのでありますが、裁判官、検察官の初任給の調整手当は昨年に引き続いて、ことしもどうも引き上げておらないようであります。いまの死亡の場合その他、俸給の引き上げ全体についても一般職に見合っているわけでありますが、この点だけが見合っていないということであります。もともと、この調整手当というのは、その当時も非常に問題になりましたけれども、いわゆる判検事というものは特別な任務を持っているんだという意味において、また司法修習生から判事とか検事になり手がないんだというような趣旨もあわせてこれがつけられたわけでありますが、一般の俸給が非常に上がってきておる中にあって調整手当だけが上げられないということになりますと、いわゆる調整手当をつけた趣旨というものが非常に希薄になり、もらう人にとってもありがたみが少なくなるということになると思うのでありますが、ことしもつけられなかったというこの理由を御説明いただきたいと思います。
○勝見説明員 仰せのとおり、医師、歯科医師につきましては初任給調整手当の改善がはかられておるようでございます。 ところで、すでに御承知のことと存じますけれども、裁判官、検察官の初任給調整手当は、司法修習生から弁護士になりました者の収入等と比較いたしまして、その格差をなくすために昭和四十六年から支給することとしている制度でございます。ところが現行法のもとで裁判官、検察官の初任給は、かりに配偶者、それから子供一人と仮定いたしまして、扶養手当、調整手当を加えますと月額がほぼ十一万四千円となっております。今回の改定の結果によりますと、同じ扶養手当、調整手当の計算をいたしますとほぼ十四万二千円となる見込みでございます。一方、本年度、司法修習生から弁護士になった者の報酬を調べてみますと、非常にばらつきがございますけれども、十万円から十五万円のようでございます。それから弁護士の場合は宿舎の関係、あるいは仕事の上での必要経費をどういうふうに負担するかというようないろいろな問題がございますけれども、一応十万ないし十五万円程度のようでございますので、先ほど申し上げましたように、改正に相なりますと十四万二千円ということになりますので、本年度は初任給調整手当の増額は行なう必要はないというふうに考えた次第でございます。
○大竹委員 それでは最後にお聞きしたいのでありますが、いつも問題になりますのが裁判官、検察官の欠員の問題でありまして、現在の欠員はどうなっておるか、また例年に比べてどういう状態になっているのか、並びに、もちろん補充されるのは司法修習生から補充されるわけでありますが、まだ最終的な決定は見ないと思いますけれども、一体来年度の司法修習生のうちから判検事志望はどういうようになっているか、これを御説明いただきたいと思います。
○勝見説明員 私のほうから検事の欠員だけを申し上げます。 本年の十二月一日現在で検事の欠員が八十九、副検事の欠員が八でございます。これをちなみに前年度の昭和四十八年の十二月三十一日現在の検事の欠員と比べてみますと、四十八年度が十上月三十一日で検事欠員が百七、副検事が二十四でございますので、検事に関する限りは前年より欠員の数が少ないようでございます。
○大竹委員 判事のほうは。
○矢口最高裁判所長官代理者 裁判官でございますが、現在一番最新の欠員調べでございますが、判事が約五、六十名、判事補が約十名、簡易裁判所判事が三十名余り、大体百名ほどの欠員状態でございます。
○大竹委員 それから修習生のあれはわかりませんか。
○矢口最高裁判所長官代理者 御指摘のように、補充源は修習生からの任官ということでございますが、明年度、二年間の修習を終わりましていわゆる二回試験を受けます者は現在のところ五百四十四名というものが予定されております。その中から何名任官するかということでございますが、当初、これらの人たちが入りましたときの一般的な調査でございますが、その調査では約百五十名ぐらいの方が裁判官を希望するということでございました。しかしこれは例年、二年間の修習を終わりますとある程度減ってまいるわけでございます。最近、研修所で予備的な調査を後期修習が始まる際になさったというふうに聞いております。正確な数字は承知いたしておりませんが、大体七、八十名ぐらいは裁判官希望を表明されておるというふうに承知いたしております。そういうことでございますので、大体この欠員はほぼ充足できるのではないかというふうに考えております。
○大竹委員 検察官のほうはわかりませんか。
○勝見説明員 私、所管でございませんので正確な数字を存じておりませんが、約三十五ぐらいだそうでございます。
○大竹委員 終わります。
○小平委員長 横山利秋君。
○横山委員 本来ならば大臣にあらためてお伺いしようと思っておったところでありますが、先ほどごあいさつをされましたので、ほんの一言二言ではございますけれども、大臣のお考えを承っておいたほうがいいような気がいたします。おそらく、まだ御就任早々で、来年度の予算要求なりあるいは来年度の法律案をどういうものをお出しになるか、お考えがまとまっていないとは思います。思いますが、いまごあいさつなさいました中で一、二その萌芽のようなものが見えますので、そういうおつもりかどうか伺いたいのであります。 たとえば、「出入国管理事務等の行政事務につきましても、これが一そう適正かつ能率的に行なわれるよう事務処理態勢の充実を期したい」こういうお話でございますが、これは、出入国管理法の改正はしない、行政事務の改善充実をもっていたしたい、こういう意味に解釈をすべきでございますか。
○稻葉国務大臣 さように解釈していただいてけっこうだと思います。
○横山委員 それから、「法秩序の維持と国民の権利の保全」というのが大臣のごあいさつの中心になっておるわけであります。大臣は自由民主党の憲法調査会会長をやっておみえになります。この大臣の憲法に関しますお考えにつきましてはいずれあらためてお考えを承るにいたしましても、「法秩序の維持と国民の権利の保全」というものは、現憲法を中心にしておっしゃっておることは当然だと私どもは考えておるわけでありますが、現憲法についての、法務大臣でなくて稻葉修代議士個人のお考えと、いま法務大臣として憲法における「法秩序の維持と国民の権利の保全」とについてはどうお考えでございましょうか。 私の言わんとすることは、大臣が憲法調査会会長として、また憲法に関する学識のあるお方として、憲法の不備なり憲法の改正なりをお考えになっておる点があるだろうと思うのであります。しかし、いま法務大臣として「法秩序の維持と国民の権利の保全」というのは、この現憲法に座してものをおっしゃっておるだろうと思うのです。現憲法に対する疑問、疑い、改正のお考えが実に根強いとするならば、いまのごあいさつがやや空なものに映るという感じを持つのでありますが、その点はどう考えたらよろしいかという質問であります。
○稻葉国務大臣 大臣のみならず、公務員は憲法、条約、法令を順守する義務が憲法上に明記されておりますことはよく承知いたしております。したがって、現行憲法が厳然として存するわけでありますから、この憲法の規定を順守して法務行政を執行してまいりますことは申すまでもありませんが、立法論として、学問上、憲法を研究して、憲法にできればこういう改正を加えたいという意見を持ちますことも、大臣であるといなとにかかわらず、研究の自由で許されることと私は思うのでございます。ただ、将来そういう改正がなされた場合のことを先取りして憲法を破るような行動が許されないことは、大臣であるといなとにかかわらず当然のことだと思います。したがって、法務行政を担当し、法秩序を維持し、国民の権利を保全するという大臣の職責といたしましては、現行憲法の規定に従って厳然とこれを守っていくことは申すまでもございません。
○横山委員 その辺につきましてはあらためてお伺いすることにいたしますが、きょうのこの法律案に関連をいたしまして、最高裁並びに法務大臣に伺いたいと思うのであります。 私、この間、徳島地裁の家裁所長の岩村さんが、朝、死んでおることが発見されたという痛ましい新聞記事を見まして、自分のこの面に関する認識がたいへん少なかったということに一驚をいたしたものであります。十二月三日の朝日新聞によりますと、「岩村弘雄さんが、一人住まいの官舎で心臓マヒを起こして死んでいるのが二日朝、発見された。家族のいる東京を離れ、一年五カ月に及んだ単身赴任の果て。新聞受けには一日付の朝刊がそっくり残っており、日曜日のまるまる一昼夜だれにも気づかれず放置された「孤独な死」だった。享年五十五歳。働き盛りの“単身族”にはなんともショッキングな死である。」まあ、こう見出しが出ております。矢口さんはこれにコメントして、「現在全国の裁判官では百人ぐらいの単身赴任者がいるが、健康管理にいっそう留意するよりない、と痛感している。」これはどうも何と手のないことかというふうに考えさせられる問題なのであります。百人の裁判官が家庭を離れて単身赴任をしておるということは一驚を喫する問題だと私は思うのであります。 きょうは、裁判官の生活と意見なり、あるいは裁判官なり検察官の労働条件なりについて少し御意見を交換したいと思うのでありますが、それにしても、裁判官が社会的に高い地位にあり、そして人格的にもすぐれた人であり、そして公平中正な判決をするというためには、やはりそれに必要な雰囲気、周囲、環境というものにされなければいかぬのではないかということが思われるわけであります。この岩村さんは、おそらく今度は、きょうのこの法案、一カ月分の、この法案に関連するわけですね。「その死亡の日の属する月の報酬の全額を支給することができるように改める」、ほんのスズメの涙ではございますけれども、そういうことになるのはけっこうなことでありますが、一体、単身赴任が百人もあるという事態はなぜ起こるのか、どうしたらそれが避けられて、あたたかい家庭環境のもとで十分裁判事務に精進できるのか、どうお考えでありますか。矢口さんのような、「健康管理にいっそう留意するよりない、と痛感している。」というのでは何の解決にもならぬのでありますが、いかがでありますか。
○矢口最高裁判所長官代理者 徳島の岩村所長が御指摘のような不慮の死を遂げましたことは、非常に痛ましいことでございます。 私ども、実は単身赴任の問題につきましては、そういった傾向が近時非常に多くなってきておるということを考えて、その対策にかねてから苦慮しておったわけでございます。御指摘がございましたが、現在約百名の裁判官が単身赴任ということで、少なくとも配偶者と別居をしておるという状況にございます。そういった状況は、あらゆる観点からも好ましくないということはもう一致したところでございまして、どうしてそういう状況が起こるのかということで、実はこの問題が起こります以前からこれについて調査をし、その対策をどのようにすべきかということで検討をいたしてきておったわけでございます。 ちなみに、百名の方の別居の理由というものを簡単に申し上げてみますと、まず配偶者が他に職業を持っておられるためにどうしても同伴できない、それぞれ別個の生活を営まざるを得ないとされる者が約二十名でございます。それから子女の教育のためにどうしても、まだ子弟、子女が若いために、子供だけを残して配偶者と一緒に赴任することができなくて、奥さまが子供のところに残っておられるという方が四十五名でございます。それから自宅が任地外にありますために、その自宅の管理等をしなければいけないということで奥さんが残っておられる方が三十名でございます。その他十数名の方が個別のいろんな事情によって別居しておられるというような状況が出てまいっております。 いま申し上げましたような事情をごらんいただきますと、実は一番問題になりますのが、子弟の教育ということで夫婦が別居せざるを得ないという状況が最大の理由であるように考えられるわけでございます。御承知のように、裁判官の勤務は、大学を出まして、大体平均二十五、六歳から六十五歳までに及ぶわけでございますが、四十歳前後の一番働き盛りのところ、そういうところがちょうど子供の教育ということと一番関連してくるわけでございます。御承知のように、最近は中学までは何とか転校ということが簡単でございますが、高等学校になりますとなかなか転校がむずかしゅうございます。まあ中学等におきましても、教科書の問題でございますとか教え方の問題でございますとか、いろんなことがございまして、なかなか転校がしにくくなってきておるというようなことがございます。 一方、裁判所は全国に千余り、各地に散在するわけでございまして、この裁判所に、できるだけ現地に裁判官を配属したい、これは国民のためにどうしてもそういうふうにやりたいというふうな強い要望がございます。これと、子女の教育でございますとか配偶者の職業でございますとか、いま申し上げましたような事情で全国各地になかなか赴任していただけない、そういった方のお気持ちもまたこれを察知して、できるだけ御希望に沿うような任地に長くとどまっておっていただきたい、その二つの接点というところが、現在行なっております全国的な人事配置ということになるわけでございます。 やはりこの問題で一番考えなければいけないと思いますのは、行政官の方々も単身赴任の方は相当おありのように聞いております。会社でも同じように聞いております。ただ、裁判所の場合は、やはり若い間は年齢的には、健康状態等から申しますとまたそれはそれで最悪の事態を招くということも避けられるようでございますが、五十過ぎの単身赴任というようなことになりますと、ある意味で一番危険な年齢で、配偶者がそばにおりまして健康状態に対する細心の配慮を払っていかなければいけない、そういう際に単身赴任をされるということが危険につながることのような感じがいたします。裁判所が全国にできるだけりっぱな方をまんべんなく配置していかなければいけないという大きな使命をになっております以上は、転勤をやめるということは実際問題としてはできないわけでございます。いかにして、そのような状況のもとで優秀な、ふさわしい裁判官に各地に御赴任いただくかというところが一番の問題であるわけでございます。ごく最近開かれました高等裁判所長官の事務打ち合わせの際におきましても、この問題をどのようにして解決するかということで真剣にいろいろと議論がされたわけでございますが、現在のところ、先ほど横山委員御指摘でございましたが、健康管理ということにいやが上にも配慮していくということをまずやるよりほかしようがないということを考えておるわけでございます。 岩村所長の場合におきましても、実は十月に定期健康診断を行ないまして、十一月の下旬、なくなる数日前にも血圧の測定等をいたしたわけでございますが、これは全く正常であったということでございまして、もし何らかの異常がありますれば心電図の測定といったようなことも当然予定しておったわけでございますが、実は年齢に似合わず正常な若々しい血圧である、コレステロール等のたまっておるということも一切見受けられないということでございましたので、心電図の測定ということまで至らずに、数日後なくなられたというような、まことに何とも申し上げようのないことがあったわけでございます。 以上のような状況でございまして、場合によりましては裁判官の全国的な適正な配置ということにやや支障がございましても、できるだけ裁判官が配偶者を伴って赴任し、安んじてその職務が行なえるようにというような観点からの、裁判官の異動等につきましてもある程度の修正を加えていかざるを得ないのではないかということを現在考え、真剣に検討中でございます。
○横山委員 とにかく、社会的に非常に高い地位にあって仕事をしておる人が、日曜日まる一昼夜だれにも気づかれずに死んでおったということはどういうふうに考えたらいいのか。何かそこに根本的に足らぬものがあるという感じがいたすわけであります。いまのお答えの中で、まだこういう問題の根本的解決には至らぬですが、萌芽的な一つのお考えが出ておると思うのでありますが、私は、現状においてどうにもならなければ、もういまのお話のように転勤を抑制するよりしようがないと思うのですよ。百名も単身赴任者、しかもついこの間、十月には盛岡の家裁所長がやはり単身赴任で死んでおるくらいでありますから、こういう問題をすなおに、素朴に受けとめなくては、これは人道上の問題でもあろうと思うのです。 それから、いまおっしゃるように、一般の行政職でも民間でも、転勤をするときには子供の教育の問題があることは言うまでもありません。しかし、これだけ重要な裁判所なり何なりの問題があるならば、少なくとも高校なり何なりについては、裁判所として転校についてお役所が少しお世話をなさったらどうであろうか。お役所がお世話されて、裁判所の問題であるから各学校に御協力を要請するように文部大臣にでもお話しなすったらどうであろうか。また、そういうものがきかない場合において、奥さんが任地へ行っても、子供は法務省のあるいは最高裁の何か寮で預かるようなことが考えられないのかということを私は思うのであります。同時に、しかしこれらのことをおもんばかるに、一番問題になりますのは、そういう無理な転勤をさせなくてはならないような裁判官の欠員の状況である、現員の状況である。もう少し余裕を持った人事配置であるならばかかることは行なわれ得ないんであろう、そう思うのでありますが、その欠員とか増員の問題はあとにいたしまして、私がいま二、三あげました問題についてどうお考えになりますか。
○稲葉国務大臣 横山利秋議員のきわめて裁判所に対する思いやりのある御親切な御発言を聞いておりまして、まことに感銘にたえません。法務大臣といたしましては、裁判官が安んじてその任務に専念できますよう、ことに子弟の教育等については支障のないよう、法務大臣として責任を感じますので、文部大臣にさっそく伝えまして、転校等につきましては横山議員のおっしゃるようなことができますよう、早急に措置してくれるように文部大臣にかけ合うことにいたします。ありがとうございました。
○横山委員 たまたま、いま岩村さんの死のことでございますから裁判官の問題を提起をいたしておりますが、これは検察官につきましても同様でございますから、その点はひとつお含みおきを願いたいと存じます。 それから、先ほど大竹委員との質疑応答の中で初任給調整手当の問題が出ておりましたが、もう少し補足して私から質問をいたします。 先ほどのお答えを私なりに伺ってみますと、二年前は弁護士と裁判官、検察官の間に差があった、しかしいまでは差がないから、したがって初任給調整手当を増額する必要がない、こういうお考えのようでございますね。そうすると、それはどういうことなんでしょうか。二年前は弁護士と裁判官、検察官との間に差があった、つまり弁護士のほうが収入が多かった、いまは一緒である、そういうお話なんであります。ちょっと私は奇異に感ずるわけであります。つまり、そのことはどういうことなんでしょうか。この二年間に検察官、裁判官はベースアップがずっとあったから順調に上がっているけれども、弁護士は仕事が少なくなって収入が減っていった、イソ弁さんは収入が減っていった、そういう傾向が見られるということより解釈のしょうがございませんが、そういうことなんでしょうかね。
○勝見説明員 結論としてはいま横山先生おっしゃったようなことに相なろうかと存じます。反面、私ども、ことし四十九年度で修習生から弁護士になられた方々の収入の調査において、十万ないし十五万というふうに先ほど申し上げたわけでございますが、確かに公務員の、しかも判検事の初任給のような上がり方をしていないということは、私どもの調査の範囲内では事実のようでございます。
○横山委員 これはものの視点が違うと思うのです。私はそういう解釈、つまり、二年前は弁護士のほうがよかった、いまは一緒になったという統計のとり方、どこか間違っていると思いますよ。 しかし、その論争は一応別にいたしまして、いまこそ一番いい時期ではないかと思いますのは、これから触れてまいります裁判官、検察官の欠員状況ですね、欠員状況といいましても、私が提起したいのは定員が足らないということなんでありますが、その定員をふやしてもらわなければならぬ、いわんや欠員においておやと思っているのですよ。その状況の中からいいますと、むしろ弁護士になるよりも裁判官、検察官になったほうが有利であるという状況をつくり出す絶好の時期ではなかろうかと思うのですよ。もう私どもが毎年毎年いやというほど、青年司法書士の問題やら修習生の問題を言っているわけでありますが、そういうイデオロギー的なこともさはさりながら、弁護士になったほうが有利であり、裁判官、検察官になったらどうも生活が十分確保されない、そういう状況からいいますと、ほかのことは全部何かかにか上がっていくのに、この二年間初任給調整手当を上げることをしない、ないしは初任給調整手当を制定した根本趣旨というものをだんだん薄れさせてしまっているというその政治的感覚、たいへん私はお粗末だと思います。せっかく初任給調整手当をつくったというその趣旨からいいますならば、毎年毎年それを上げていって、そしてもう弁護士よりも裁判官、検察官のほうが若干給料がいいですよといえるようになぜしないのだろうか。なぜ有効適切に初任給調整手当を援用しないのか、私はむしろふしぎに思うのです。こういう考え、私のような考えはごうもないのですか。
○勝見説明員 給与、待遇面に関する限り、確かにおっしゃる点があろうかと存じます。しかし、修習生から判検事の志望者が必ずしもふえていないという原因につきましては、単純に給与の面だけではないというふうに考えられるところもございますし、執務環境の改善その他についても十分考えた上で、判検事の任官者の増員を私どもとしては考えているわけでございます。御指摘の初任給調整手当につきましては、先ほど申し上げたような根拠で今年度は見送った次第でございますけれども、判検事の欠員の補充につきましては、その他の面も十分勘案いたしまして努力いたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○横山委員 その他の面も考えてなんて口先だけのことを言わずに、この際、こういう初任給調整手当という一つのポイントがあるのですから、そのポイントをなぜ意味を減殺さしてしまうのか。こういう絶好の要素があるのを、なぜその意味をなくしてしまうのか。あとその他の要素、家もつくらなければならぬ、病院もつくらなければならぬ、環境もよくせんならぬといったら、問題がぼけてしまってだめじゃないかと私は言いたいのです。 この間うち、日弁連の出しております「自由と正義」の第二回司法シンポジウムの討議資料を非常に興味深く私は読みました。先ほどもちょっと検察官に触れましたけれども、検察官の状況につきましては、私ども何も資料として読ましてもらうものがないものですからたいへん残念だと思うのですが、司法シンポジウムの「裁判官不足の実態」「裁判官不足の原因」「裁判官不足の解消策」、実にたんねんに整理がされておるわけです。参考のために、少しあなた方も耳が痛いかもしれませんけれども、大臣就任早々でございますから、一ぺんちょっと所要のところだけ読ませていただきます。 定員数確保についての最高裁の態度。「最高裁は昭和四八年度予算につき裁判官六一名の増員要求をなしたが、政府により大幅削減され、判事補三名、簡裁判事四名の増員にとどまった。」「更に見逃すことのできないことは、右の削減にあいながら、昭和四九年度の予算概算要求では判事補二〇名、簡裁判事二八名の増員しか要求していないということである。」 それから、定員の充足状況。「昭和二八年以降三七年までの間全裁判官の実員は最も少ない年(昭和三一年)で三四名の、最も多い年で(昭和二八年)一二〇名の、平均して七六名の欠員となっている(平均三・二パーセントの欠員率)。昭和四七年九月一日現在においては一四八名の欠員である。」 裁判をしない裁判官の配置。「昭和四八年九月一日現在裁判を全く行わない裁判官の数は、最高裁判所関係一〇〇名、高等裁判所事務局長八名であり、そのほか裁判を全く行わないかまたは殆んど行わないと考えられる裁判官の数は、高等裁判所長官八名、地方裁判所所長五〇名、家庭裁判所専任所長二六名である。」 裁判官不在の裁判所の存在。「昭和四九年六月三〇日現在、裁判官が常置されていない(無配置及び兼務としての配置)地方・家庭裁判所支部及び簡裁は全国で合計三〇七庁に達している。」 まあ、省略をいたしますが、ことほどさように裁判官の欠員というものが、きわめて科学的に整理をされておるわけであります。 そして、なぜ裁判官が不足するかという問題を第二章で取り上げておるわけでありますが、その中の、任官者数および修習修了者全体の中で任官者の占める割合として、「昭和二四年(五二%)から昭和四七年(一一%)までほば下降線を辿り、昭和四八年(一三%)と同四九年(一五%)にはやや上向きとなっている。」まあしかしいずれにしても一五%ですね。先ほどのお答えを見ましても、七、八十名ですか、欠員を満たすであろうという程度のお話でございます。 それから、いまのお話の修習中における裁判官志望者の減少。 それから、現行司法修習自体の問題点。 弁護士からの任官者が少ない理由として、日弁連のアンケートによりますと、「「条件または事情が許せば裁判官になる意思がある」と答えた者のうち具体的条件を摘示した五七五名が示した条件または事情は次のとおりである。「待遇に関する条件の整備」では、「給与の増額、退職後の生活保障」を望む者が三一五名で最も多く、裁判官の給与の低さが障害になっていることは従来から指摘されてきた。」 それから、裁判官が中途退官をする理由。「裁判官の中途退官者は、最近は毎年二〇名を超え、昭和四〇年、四八年の中途退官者のうち在官年数一〇年以下の者は約半数、二〇年以下の者を加えると八七・五%に達する。宮本裁判官が再任を拒否された昭和四六年にはこれに抗議して退任した裁判官もあり、中途退官者は三五名(定年退官者は二七名)という異例の数に達した。」 司法行政に対する不満や、給与、転勤に対する希望等もあります。 そこで第三の裁判官不足の解消策について、これもいろいろ読んでみました。この中で、特筆すべき情緒的な問題でありますが、私の胸を打ったのにこういうことばがあります。 「試みに、去る昭和四九年二月一〇日に行なわれた全国裁判官懇談会の報告(判例時報七三五号)の中から拾ってみよう。 裁判官が多忙のため「時間の余裕がないというような場合には、本来の訴訟指揮のあり方をこえて、職権的、糾問的な態度をとる。被告人に納得のできない審理の仕方をして、ひいては重要な事実を逃がしているのではないかというようなおそれを感じる。」とか、また「確かに、仕事が忙しすぎるということが、裁判官の良心を事実上、麻痺させ、その責任感を稀薄にさせていることについて、これは、かなり重要な問題ではなかろうか。」と反省している。また、ある裁判官は、「迅速に処理した覚えがあるが、必ずしも適確に処理できたかどうかわからない。」と述懐し、「裁判官の数がふえるという見通しもなく、その反面、審理促進を要求する声も非常に大きくなっているので……裁判官は悪魔に魂を奪われないで、良心を守って裁判するにはどうしたらいいのかという問題は、私にとって依然として深刻な問題である。」」 このくだりにつきまして、私も少し胸を打たれたような気がするわけであります。以下、たいへん興味のあるシンポジウムでありましたので御紹介をしたいと思うのでありますけれども、時間の関係で省略をいたします。 そこで、まず何はともあれ、このシンポジウムは弁護士さんが中心になってつくられたものでありますが、これを最高裁としても十分御検討なさったと思うのであります。この裁判官の不足をどう解決をするか、裁判官の定員をもっとふやして、岩村さんを含めるこの種の問題が、裁判が迅速に行なわれるためにはどうあればいいかという根本的な問題をこの際考えるべき時期に来ておるのではないか、私はそう思うのであります。おととしは、ここにもございますように予算で要求をした。去年は、やったってもうだめだからやめちゃったというようななおざりな態度、あいまいな態度、基本的な、裁判のあるべき骨格となる裁判官の充実という問題についての量高裁の姿勢、あるいはまた法務大臣の所管大臣としての認識、努力という点について、いつも毎年毎年のことであるからマンネリ化してしまって、そうではあるけれども、やるだけやって、いかなければもうそれでしようがないというお気持ちが両者の中にあるのではないか、こういうふうに考えるわけであります。 私はかつて、いまから十年ぐらい前でございましたが、言ったのですが、最高裁が持っております予算の二重請求権ですか、政府がやったことについても最高裁は直接国会へ問題を提起する権限が憲法、法律によって確保されておるのであるから、何もそれを行使しろと言っているわけではありませんが、基本的な立場というものを、時期、条件その他を踏まえて一回はっきりしなければいかぬのではないか。この単身赴任者の問題は気の毒だだけでは済まない、もっと深刻な問題に最高裁なり法務大臣が問題の所在をはっきり受けとめてやるべきではないか、こういうことを痛感をいたしておるのでありますが、それぞれ御意見を伺いたいと思います。
○稲葉国務大臣 御指摘のとおり、私も、先ほどの事件にもかんがみ、裁判官の扱う事件の件数が百件とか、若い裁判官にも五十件とか、そういうことではあまりにも激職で、心臓麻痺というような原因にもなろうかと痛感をいたします。せめて、若いところで二、三十件、練達の裁判官で五十件ぐらいというところが妥当ではないかという裁判所側の御意見も承っておりますものですから、マンネリズムにおちいらないように、この際御趣旨に沿って努力したいという考えで、いま省内の意見、裁判所の御意見も承って努力したいと思っておるところでございます。
○矢口最高裁判所長官代理者 裁判所といたしましては、優秀な裁判官をできるだけ多数確保したいということについてのきわめて強い希望を持っておるということは、委員会等でもしばしば申し上げておるところでございます。ただ現実の問題といたしまして、なかなか裁判官たるにふさわしい方を多数得るということは困難な状況がございますが、その点につきましては不断の努力をいたしておるわけでございます。まあ、絶対数として決して多いとは思いませんが、本年の春等はかなり多数の判事補の確保ができたというふうに考えておるわけでございます。そういう観点からは、決して変えておるわけではございませんので、今後もあらゆる努力を重ねていきたいと考えております。 そういった場合に、もし裁判官の定員等が支障があるというようなことでございますれば、定員等の関係でせっかく希望された優秀な方が採れないような状況が起こるというようなことでありますれば、これは万難を排して、そういうことが起こらないように増員等の努力をいたす覚悟でございます。現在のところ、裁判官の御希望というものと裁判所の欠員状況と申しますか、充員していくワクと申しますか、そういったものの抵触がございませんので、横山委員御指摘の裁判所の伝家の宝刀といったようなものをまだ問題にする段階に至らないわけでございますが、覚悟といたしましては常にそういったものを踏まえまして、裁判官の具体的な充員及びその充員ができるための定員のワクの設定といったことについては努力をいたしておるわけでございます。
○横山委員 私は、裁判官の欠員がある、定員が不十分であるということをてこにして責めておるわけでありますが、しかしそれば、裁判官さえ増員されればいいという意味で言っているわけではないことば、おわかりだとは思いますけれども念のために言うておきます。裁判官が増員をされただけで、それに伴う調査官やいろいろな人たち、裁判所の部屋に至りますまで、それが伴わないではそれは意味がないのであります。ただ、一番わかりやすいもの、一番中心におる人が裁判官でありますからそう言っておるにすぎないのです。 しかも、いまの裁判のあり方というものが、決して国民が満足する状況ではないのであります。これは全然問題の所在が違うのでありますが、この間私は糸山派の百日裁判無理だという記事を見ました。東京地裁で、林の長期入院で二月まで公判停止になったということを見まして、私は一人の国民としてじだんだ踏んだ人間なんであります。ほんとうにそうかいなと言うたら、佐々木裁判長が癌研まで出ていって、お医者さんによう聞いて、それは間違いないということになったんだ、それならしようがないなという気持ちなんです。しかし、この佐々木裁判長は一生懸命、百日裁判だといって張り切ってやっている人なんでありますが、一般的にはそうなってないで、裁判はおくれるのがあたりまえ、いつ判決があるのかわからない、月に一回、同じ事件であればいいこと、それが国民の常識になっているわけです。 こういうようないまの裁判所のあり方が、いまあなたがはしなくも言ったように、定員とそれから現員との関係が大体うまくきておるからまあまあと思っておりますというような感覚でおられたんでは、国民はたまったものじゃないという気がいたします。一体最高裁として今日の日本の裁判の現状に満足しておるのでしょうか、逆に私は聞きたいのであります。日本の裁判のあり方、国民の権利を守り、公正な、正義が社会に行なわれるような裁判が行なわれるためのビジョンというものは一体あるのだろうか。それは単に精神的な問題じゃないですよ。あなた方がお仕事をされる上において、少なくとも今日のこの状況では裁判官がこのくらいはほしい、調査費はこのくらいほしい、予算はこのくらいほしい、建物はこのくらい改築しなければいかぬというようなビジョンというものがほんとうにあなた方にあるのだろうか。まあやっても無理だから、むだだから、ことしは要求しようまいか、ことしはやめようまいかというようないいかげんな姿勢では困るのですよ。 きょう事務総長がおかわりになるという話ですから、あなたにあまり言ってもしようがないという感じがするし、私は最高裁長官に、方法、機会があるならば一ぺん言うてみたいと思いますし、そういう意見を聞いたら今度は法務大臣に言いたいことがございます。まあ、同僚諸君は弁護士が非常に多いのですけれども、私のようなしろうとの人間でもしばらく法務委員をやっておれば、何だ、いまの裁判の状況は、まずいこと一ぱいあるじゃないか、これを根本的なほうへ一歩でも二歩でも半歩でもいいから前進していくという気概、そういう方向がどうしてないのだろうかと感じますよ。ですから私は、きょうの法案そのものについては、これは悪いことじゃないのですからいいと思いますけれども、しかしこういう法案を出されるにあたっても、提出態度といいますか、いまの裁判の状況についての基本的なものの考え方というものが甘過ぎるのじゃないか、マンネリズム化してしまっているのじゃないか。三木さんの内閣にかわった、またことしもひとつ顔色を見い見い最高裁としても一応予算を出して、いかなんだらいかぬで、少しでも予算が取れればそれでいいのだというようなマンネリ化しておるところがある。一ぺんきちんとした姿勢で、裁判の現状、日本における裁判のあり方という目標を定めてわれわれにものを言ってもらう。最高裁としてもこうしてほしいと思うと、基本的態度をひとつわれわれに示してもらいたいと思いますが、いかがでございましょう。
○矢口最高裁判所長官代理者 裁判の根本的なあり方、司法というものの日本国におけるあり方ということにつきましてただいま貴重な御示唆をいただきましたが、その精神におきましては私ども劣るものではないわけでございます。ただ具体的な問題、予算の要求という問題あるいは人員の要求あるいはその他の施設等の要求といったような問題になってまいりますと、それはやはりそういったビジョンを内に秘めながらも、歩一歩と前進していかなければいけない、そういう問題ではなかろうかというふうに考えております。一切の点を無視いたしまして、司法だけのあるべき姿といったようなこと、そういったもので持っております私どものビジョンというものはもちろんあるわけでございますし、それを内に秘めながらも、一歩一歩現実をそういったビジョンに近づけていくという努力をいたしておるわけでございます。 やはり裁判所でございます。裁判をするところでございますので、その中心になりますのはやはり裁判官あるいはこれと密接な関連をいたしております裁判所調査官、書記官といったような職種の人々でございますが、これらの人々の完全なる充足ということにつきましては日夜腐心をしておる状況でございます。しかし、先ほども申し上げましたように、これを全国に配置するといったような問題になってまいりますと、いろんな家庭の事情等のこともございまして、一部にはどうしてもほしいところに人が得られないといったような状況も出てまいります。非常に残念なことでございますが、現在全国のあらゆるところに、私どもが好ましいと思われるだけの質の人間が配置されておるかどうかということになりますと、十分とは言い切れない面があろうかと思います。しかしそこに充足をしていくということは、家庭の事情でございますとか、いろんな問題も職員の側にございますし、一方、ただ人を埋めればいいということでないことも横山委員御指摘のとおりでございまして、ただ人を埋めるということで満足はできない仕事であろうかと考えております。やはり、国民に対しまして基本的人権を守り、国民の権利義務を確保していくということのためには、一定のレベル、一定の水準というものをどうしても下げられないという面がございます。そういった面をにらみ合わせながらも、具体的に充足をしていくということを日夜考えておるわけでございます。そういった点につきましては今後も十分の配慮をいたしていきたいと考えております。
○横山委員 私はどうもこういう仕組みがあまり気に入らないのですけれども、いまの御答弁はそれなりに一つの的を射ておるとは思いますよ。だけれども、最高裁判所の最高責任者ではないわけですね。事務総長も結局最高責任者ではないわけですね。裁判制度の根本は一体どうあるべきかということについて、最高責任者からの答弁を聞くことができない仕組みというものについて、私はこれではほんとうは困ると思うのであります。法務大臣、最高裁のことについて法務大臣はお取り次ぎ役ですからね。最高裁については十分誠意をもって協力いたしますというたてまえで、誠意があったかなかったか、協力度合いがよかったか悪かったかということだけなんでありますから、あなたにいろいろなことを聞いても実際のことはしようがないのであります。事務総長に今度は出てきていただくのでしょうけれども、よく言っておいてください、そういうことを私は聞きますよと。事務総長が自分で答えられないという場合には、やはり最高裁長官に出てきてもらわなければいかぬということにもなるわけです、それは国会の仕組みからいっておかしいとかまずいとかという議論がありましても、あなた方が、裁判はこういうふうなんです、こういうふうにしたいと思います、と。あなたがいま言われたことを慎重に聞いておりましたら、心に秘めながらも当面のことをやらなければなりません。心に秘めておったのでは私ども何もわかりゃしませんよ。何を考えておるのかわけがわからないということになるのですから、心に秘めずに言ってもらわなければ当面する問題の方向がわかりません。 でありますから、もう一ぺん次の機会に、今日の日本の裁判の現況について私が申し上げた点につきましてお答えを願うことにいたしまして、私の質問をきょうは終わります。
○小平委員長 次に、青柳盛雄君。
○青柳委員 まず最初に最高裁判所にお尋ねをしたいと思います。 この法律、つまり裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案についての法務大臣の趣旨の御説明を拝聴いたしますと、裁判官及び検察官とありますが、検察官のことはあとにいたします。「裁判官につきましても、一般の政府職員の例に準じてその給与を改善する措置を講ずるために、この法律案を提出した次第である。」内容については第一、第二とありますが、第一を見ますと、 「最高裁判所長官、最高裁判所判事及び高等裁判所長官の報酬は、従来、特別職の職員の給与に関する法律の適用を受ける内閣総理大臣その他の特別職の職員の俸給に準じて定められておりますところ、今回、内閣総理大臣その他の特別職の職員について、その俸給を増額することとしておるので、おおむねこれに準じて」いま言った判事などの報酬を上げるのだ。それから第二に、「判事、判事補及び簡易裁判所判事の報酬については、」これも「おおむねその額においてこれに対応する一般職の職員の給与に関する法律の適用を受ける職員の俸給の増額に準じて、これを増額することといたしております」と。 この「準ずる」法的根拠ですね、これが私にはよくわからない。常識でいうと、同じ国家公務員なんだから、片方が上がれば、それは行政職であろうと、とにかく同じような国の仕事をやっているのだから、裁判官についても準じてもおかしくない、こういうわけでございましょうけれども、それならば何で裁判官について特別の報酬に関する法律をつくるのかということになりますと、これは憲法の七十九条の六項あるいは八十条の二項に裁判官の報酬については特別の規定がある。だからこれは特別の規定をつくっておかないとまずいのだ。それに対応するような形で特別の法律をつくったので、中身は準ずることにしておけばよろしいんだ。しかし、それではたしておかしくないのかどうか。わざわざ裁判官の報酬について憲法で規定をしているということは、まさか、裁判官の俸給を引き下げたりわざと少なくしたりして裁判の公正を侵害するようなことがあってはいけない、国家権力によって、良心と法律にのみ従ってやるべきものがそうならない、金の面で押えられてはいかぬから法律でもってきめておくんだ、憲法はそういう趣旨のものだ、そこはわからないわけではありませんが、さりとて、一般の行政職の職員であるところの国家公務員などの給料が、むやみと政府の施策によって差別的に扱われるということはないんだから、特別にこの法律をつくるからには特別な配慮というものがあっていいんじゃないか。中身について、準ずるという原則を何か既定のもののように考えることには、私は多大の疑問があるわけなんです。憲法の趣旨を十分に生かすゆえんではないんじゃないかと思うのですが、従来そういうことに、準ずることになっております、と。 それで、法律を読んでいきますと、いまの裁判官の報酬等に関する法律の第九条、報酬以外の給与はやはり一般の官吏に準じてやる。それから第十条を読みますと、生計費及び一般賃金事情の著しい変動によって、一般官吏に特別の給与を払うというようなときにはこれに準ずるようにして、これは最高裁が増加することができるらしい。このほうは憲法でいう報酬以外の給与だから、準ずるといっても別におかしくはないとも思いますけれども、もっと考え方を変えていく必要はないのか。 つまり、一般の政府職員の場合には人事院というものがあって、人事院が給与についていろいろと積極的な活動をやる。これはけっこうな制度だと思いますけれども、しかし、この人事院がやるのが必ずしも国家公務員の人たちの満足するようなものでない。むしろ労使関係のような形で、自主的に力関係できまるというのも悪くないんじゃないか。だから、人事院が一方的にきめて、それを政府がのむとかのまないとかいうんじゃほんとうにうまくないという議論もあるわけですが、裁判官になってくるとそれさえもない。人事院が上げたから、あるいは政府がそれに従ったから、だからこれも上げるというような、全く従属的なものであって、これでいいのかというふうに思うのですが、これをまず最初にお尋ねしたいと思います。
○勝見説明員 このたびの法案は一応内閣の提案でございますので、最初に私からお答え申し上げさせていただきたいと思います。 ただいまのお尋ねの、準ずる根拠は何かということでございますが、先ほどお読みいただきました裁判官報酬法の第十条であろうかと存じます。このたびの一般の政府職員についての給与の改定は、生計費、賃金事情の変動等に基づくものでございまして、これは裁判官報酬法十条にいうところの「生計費及び一般賃金事情の著しい変動により、一般の官吏について、政府がその俸給その他の給与を増加」する場合に該当するものであろうと存じます。このような場合には条文どおりでございますが、最高裁判所は裁判官について、これこれを増加して、支給するということを定めているわけでございます。と申しますのは、このたびの給与改定はあくまでも生計費及び一般賃金事情の著しい変動によるものでございますので、十条に根拠があるというように申し上げたわけでございます。 一方、裁判官報酬法はただいま御指摘のように、憲法の裁判官の報酬に関する規定を受けまして、裁判所法の五十一条に「裁判官の受ける報酬については、別に法律でこれを定める。」ということでございまして、別個の給与体系を法律で定めるべきことを要請しているわけでございます。その意味におきまして、現行の裁判官報酬法はやはり一般の行政職の職員とは別個の給与体系である。しかしながら、このたびの改正は生計費及び一般賃金事情の著しい変動によるところの改定でございますので、基本的な報酬法の改正ではない。そういう意味で「準ずる」ということばを使わさせていただいた次第でございます。
○青柳委員 どうも十条の規定を無反省に引っぱり出しておられるのですが、これは報酬ではなくて、特別の給与というようなものについて、何か最高裁判所が一般の官吏の例に準じて給与の額を増加するとか、特別の給与を支給する、最高裁判所がきめるというのですが、これは法律できまらなければならない。結局もとへ戻ってくるような感じなんですが、この十条の規定を私はもう少しよく研究しないと、これがそのまま当てはまるんだということにはちょっと疑問に考えるわけです。やはり九条の報酬以外の給与と同じようなもので、基準として何か最高裁判所がきめられるんだ。この裁判官の報酬というのは量高裁がきめるんじゃなくて、国会が法律できめるというたてまえなんです。したがって、最高裁が国会を飛び越えて、そしてかってにきめて支給するなんということはできないのは常識だと思うのですよ。だから九条、十条は一体どういうものをさすのか私にもよくわかりませんが、少なくとも何かそういう指導理念といいますか、そういうふうに法律というのはこれからも改正していかなければならないのだという、何か法律のたてまえみたいなものをここにきめてあるんだと解釈すれば、これが基準だから今度も改正したほうがよかろう、こういう理屈になるかもしれませんけれども、どうもよくわからない。 いずれにしても、私が質問したのは中身のことなんですね。自動的にふえるというようなことで一体いいのか。裁判官というのは特別職なんという、わざわざ一般の行政官と違った地位を持っているもののように扱っておきながら、給与のほうは右へならえだ。これでは少し機械的過ぎはせぬか。裁判官については特別な配慮があっていいのじゃないかということを私どもはやはり考えるのですよ。同じ国家公務員だからというだけのことではなしに、その職務上の性格からくる、俸給にはね返る差異というものがあってもいいのじゃないか。 ことに、俸給表などを見ていますと、定期昇給というようなのもはたして同じような足並みでいっているのかどうか、そういうふうにできているのかどうかということになりますと、私も詳しいことはわかりませんけれども、判事補が一号から十二号まである。それから判事は一号から八号まである。こういうふうになっておりますけれども、これが行政官の場合と比率をとってみた場合に少しくおそく、定期昇給がおくれるようなことはないのかどうか、あるいは据え置きになっておるような場合がないのかどうか。そうすると、準ずる、準ずるといってみたところで、どだい俸給の号俸の違いがありますから、そこで差別待遇が出てくるのじゃないか。ことに物価が値上げになって賃金状況も変わってきた。だから、スライドするみたいな形で準じたとしても、基本が据え置きになんかなっていたら、準じてもらったところでやはりちっとも公平でないのだという議論だって出てくると思うのです。この点はむしろ、個々の裁判官をどこへ配置するか、個々の裁判官をどのような給与に当てはめるかというようなことが最高裁の人事局あたりのおもな仕事になっているようで、それも重要な仕事だけれども、もっと給与体系そのものを洗い直していく、こういうことについて人事局長はどうお考えですか。
○矢口最高裁判所員官代理者 裁判官の報酬体系のあり方ということは、裁判官の仕事の本質と関連いたしますきわめて重要な問題であろうかと思います。現行の報酬法はそういったことを踏まえまして、憲法が要請いたしております相当な報酬というものを金額にあらわしたものというふうに一応考えられます。結局のところ、どのような考えをとりましても、出てまいりますのは給与でございます以上、一定の金額というものが明示されなければいけないわけでございまして、そういった金額の明示のしかたとして現行の報酬法というものが規定されておると考えております。 しかし、ちょうど十年前になりますが、臨時司法制度調査会等におきましても、裁判官の報酬のあり方といったものについてはいろいろの観点から問題を提起いたしておりまして、たとえば号俸の足、と申しますか、の数を簡素化するとか、あるいはもっと全然別個の観点から新たな報酬体系というものを組み立てるとか、いろいろなことを検討すべきであるということを申し述べておるわけでございまして、私どももそういった意味におきまして、裁判官の報酬の本来的なあり方ということにつきましてはやはり日夜検討を怠っていないわけでございます。 しかし一面、裁判官というものも、宙の裁判官というものがあるわけではございませんで、現在法曹一元の体系をとっておりますものの、現実の裁判官の姿は、やはり修習生から判事補になり、判事補を十年いたしまして判事になり、そして定年までつとめるという、いわば実態はキャリア的な運用というものがなされておるわけでございます。またキャリア的な運用がなされるということの実態を踏まえますれば、そこに一定の昇給といったような問題があったほうがいいという面も給与体系理論としては出てまいるわけでございます。 そういった給与の体系を持ち、ある程度の期間に定期の昇給を行なうというような方法をとるということも、これは給与というものから一つの要請として出てくる問題でございますし、一方職務の特殊性という観点からは、先ほど申しましたようにできるだけ固定した一つの、あまり幅のない裁判官の俸給というものがあっていいという考え方も出てくるわけでございます。現在の体系というものはそういった接点において実施されており、それはそれなりに一つの理由があるというふうに考えております。 先ほど御指摘の、毎年改定するのは、という点でございますが、法務省からの御答弁もございましたように、最近の人事院勧告は大体毎年なされておりますが、それはいわば一般の賃金事情あるいは生計費の増額といったようなことによるものでございますので、その根本において裁判官の職務の特殊性というものがその報酬に盛られておりますれば、その金額に見合う一般の政府職員に対してとられると同様のアップ率をかけていく、いわゆる対応金額スライド方式というものを採用していけば一応のバランスは保たれ、しかもその根本において裁判官の報酬の特殊性というものを打ち出しておる限りは、それでその特殊性が破られることはないというふうな考えに立っておるわけでございます。 しかし、御指摘のように、根本的にどのようにするかという問題は常にあるわけでございまして、その点につきまして、なかなかむずかしい問題でございますので成案を得ておりませんけれども、臨時司法制度調査会の意見書に盛られておる意見といったようなものも十分に踏まえまして、現在常に検討は怠っていない、そういったことの一つのあらわれと私どもは理解するわけでございますけれども、あらゆる場合に、こまかい点でございましょうともそれぞれの手直しをして、一歩一歩、より好ましい形の報酬体系をつくっていくということを念願しておるわけでございます。
○青柳委員 経済状況が絶えず激変をしていく、生計費が上がる、一般賃金事情も変動がはなはだしいというようなときに、それを是正するための措置として臨時的な給与の増額をはかるということ自体は当然のことでありますが、その場合に、基礎になる給与体系というものがあまりにも不合理であるというようなことがあるとするならば、その差が増幅されるという結果にもなりかねないというので、つまり給与体系が行政の一般職と違って当然考えられなければならぬような合理性が欠けているというような場合を想定した場合に、こういう経済情勢の激変によって手直しをするというときにただ準じてだけいったらよろしいんだというようなことにはならないんじゃないか。だから、パーセンテージを上のほうに多くしたり下のほうに多くしたりというようなことも手直しとしてやっているようでありますけれども、その辺のところは、ただ準じ、準じというようなことでないようにすべきではないかというのが私の考えなんです。 もう一点お尋ねしたいのは、最高裁判所長官と最高裁判所判事、それから高等裁判所長官という、こういう三種類の裁判官について、これは特別職の職員の給与、つまり内閣総理大臣、国務大臣などと同じようなものに準じなければならぬという法的根拠が何かあるのかどうか、これをお尋ねしたい。
○勝見説明員 最高裁長官の報酬がどうあるべきかという問題につきまして直接、内閣総理大臣と同額でなければならないという根拠は、明文の規定はないと存じます。しかしながら、三権の一つの長であります内閣総理大臣と司法の長である最高裁長官の報酬を同額にいたしますことは、やはり一つの考え方として三権の長は同額であるというような、いわば政策的な考え方からこのようにセットされているというふうに考える次第でございます。最高裁判事がさらに国務大臣と同額であるということにつきましては、最高裁長官と内閣総理大臣が同額であることに伴いまして、やはり次の下のランクということになりますと、最高裁判事は国務大臣と同額ということで、沿革的にこのような改正を行なってきたというふうに考える次第でございます。
○青柳委員 私どもはこの三権の立場から言えば、内閣総理大臣と最高裁長官が同列である。そして法的に言えば、内閣総理大臣は国会の指名に基づいて天皇が任命する。今度は最高裁長官は内閣の指名だか承認だか何だかで天皇が任命するという、そういう規定があり、そして国務大臣や最高裁の裁判官は、その任免は天皇が認証するというのを見ると、報酬のほうも同じに扱ってもいいのじゃないかというような感じはしてくるのですけれども、どうもこの点、必ずしも私どもは同じようにしなければならないという根拠を発見するのに苦しむばかりでなく、どうも政府の関係職員の中の特別職というのは政治活動の自由があったり、いろいろ一般の職とは違った地位を持っている。ことに政党の幹部であるような人が内閣総理大臣になったりあるいは国務大臣になったりするわけでありますから、そういう政治を責任をもって行なう人が給料をもう先取りする、お手盛りで多くするというようなことは慎むべきではないか。むしろまず一般の国民の給与がよくなることに重点を置いて、自分たちはあとからついていくというぐらいな態度でなければいい政治というのは考えられない。だからこういう人たちはそんなに給与を上げる必要がないというのが国民の常識になっているわけです。 ところが最高裁の裁判官や裁判所長官あるいは高等裁判所の長官は役人だ。これは政治家じゃない。特別職だ。この人たちの給与というのは、やはりその司法部の——司法部ということばをあえて使いますけれども、司法関係の職員の中の最高の地位にあるわけだから、この給与が下級の裁判官よりも低いというのはちょっとおかしいのじゃないかという議論もあって、そのほうを上げていくと自動的に総理大臣も国務大臣も上がってくる。さっき言ったことの逆になるわけです。こっちがそれに連動するような形でいくものだから、こっちが上がれば向こうが上がる、上げないとおかしなことになるのだ、こういう議論になってしまうので、私はむしろ、法律の規定も何もないのに、何だって趣旨説明の中へ「内閣総理大臣その他の特別職の職員の俸給に準じ」といわなければならないのか。これとは別個に考えるべきだというなら話はわかるのですけれども、この点はいかがですか。
○勝見説明員 司法部の最高級の地位にあります最高裁判所長官ないし最高裁判所裁判官、判事につきまして、内閣総理大臣ないし国務大臣と同額にする根拠につきましては、先ほど申し上げましたとおり法律上の根拠はございません。 それから、提案理由で大臣から申し上げました、「準ずる」必要はないではないかという御趣旨でございますが、この点につきましては先ほど申し上げておりますように、報酬法の根拠でそのようなふうに考えておるわけでございます。先ほど、裁判官報酬法の十条の読み方につきまして御指摘がございましたけれども、「最高裁判所は、裁判官について」云々というところでございますが、やはり最高裁裁判官、最高裁の長官ないし最高裁判事につきましても十条の適用はあると考えております。繰り返して申し上げますけれども、このたびの改正は生活費及び一般賃金の変動による改定でございますので、各一般の官吏の例に準じて増額したというふうに御理解いただければと存じます。 それからなおつけ加えさしていただきますと、この十条の、裁判官について最高裁判所が、増加して、支給するという条文の脈絡の点でございますけれども、確かに御指摘のとおり、最高裁判所は、増加して、支給する。何か最高裁判所に増加する権限を与えているようにも読めますけれども、決してそうではないと思います。先ほど申し上げましたように、裁判所法で特に、裁判官の報酬については別に法律で定めるというふうな条文がございますのは、むしろ行政の介入を排して、国会で裁判官の報酬についてきめるという体制をとったものと思いますので、この十条の、最高裁判所が、増加して、支給するという点につきましては、御指摘のとおり、最高裁判所が増加する権限を有しているというふうには考えておりません。
○青柳委員 もう一点だけ最高裁のほうにお尋ねして、次に法務省のほうに移りますが、時間の関係でなるべく短くやりますけれども、四十九年度の予算要求の中で、裁判官三十六名、それからその他の職員四百七十八名、合計五百十四名をこの予算要求でやったわけですが、実績は裁判官三十五名、それからその他の職員が二十五名ですか、結局トータルは五百十四名に対してたったの六十名でとまってしまう。これはあまりにも水増し要求をして査定で削られたといった印象を免れないのでありますけれども、決してこれは、私どもから見て裁判官三十六名の請求が多過ぎたということではないと思うし、書記官の八十六名、調査官の四十三名、事務官の二百八十八名、高裁調査官の四名、行(二)が六十一名というのはむしろ控え目な数字ではないのか。全司法その他の関係職員のほうから要求した数字は、私いまここに資料をちょっと持ち合わしておりませんからわかりませんけれども、これよりもずっと多かったはずだと思います。 ところでことしは、いわゆる五十年度概算要求として私どもが知り得たところによりますと、裁判官は二十六名、書記官は六十一名、調査官は二十一名、事務官は二百七十七名、行(二)は六十一名というようなことで、合計が四百四十六名となっておるようであります。これが昨年と同じような形で、昨年というか今年度というか、四十九年度予算と同じような形で削られてしまうといたしまするならば、これはまさにまた致命的な打撃を受けざるを得ないと思うのであります。先ほど裁判官の境遇について、悲しむべき事柄について具体的な指摘もありましたが、不祥事とはいいながら、ここでもちょっと問題になりました刑事犯罪に類するようなことをやってしまった裁判官もある。どうもうわさによれば、ノイローゼになってとても裁判事務はとれない、静養せざるを得ないという裁判官も相当数にのぼっているというような話も聞きます。 それから、裁判所書記官や調査官、事務官等の欠員も非常に多くて、全司法労働組合が要求しておるところによりますと、裁判官以外の職員の増員要求というものも、たとえば公判部の職員については千二百六十名、それから事務官については千百八十六名、たいへんな欠員があるからこれだけふやしてくれという趣旨のようであります。 それから裁判官については、はたして今度の要求の二十六名というのがいいのかどうなのかということになりますと、四十九年度で三十六名というのをさらに十名減らしておるわけであります。またこれが減らされるという危険性をはらんでおる。ところが日本弁護士連合会発行の四十九年版「司法白書」一八一ページによりますと、これは四十七年九月一日現在というのでだいぶ古いケースになりますが、判事の欠員は百四十名、簡易裁判所の裁判官の欠員が百三十七名、欠員合計が二百七十七名で、判事補がわずかに二十名過員になっておるから差し引き二百五十七名の欠員である、こういうのが二年ほど前の実情であるわけであります。だから私は、現在でも欠員というのは、いわゆる二十六名の要求と比較したらもっともっと多いんじゃないかというふうに思うわけです。この点どうお考えになって、どんな見通しでもって五十年度の人員要求をしておられるのか、お尋ねをいたしたい。
○田宮最高裁判所長官代理者 裁判官の増員要求の問題でございますが、先ほど横山委員の質問に対しまして人事局長から答弁がありましたように、やはり現在相当数の欠員がございますから、そうした欠員をまず埋めるということが先決問題でございます。しかし一方、優秀な方があれば幾らでもほしいということばわれわれの念願するところでございます。もし希望者がおりまして、定員のワクに縛られてその希望者が採れないということでははなはだこれは申しわけないわけでございます。そのような観点から、常に、要求を幾らぐらいにするかということを考えておるのであります。 来年度の予算要求におきましても、欠員を充員する見込み、さらには、その充員をしてなおかつはみ出すものがどの程度になるであろうかというような見込みのもとにそうした予算要求を現在しておる、こういうことでございます。
○青柳委員 裁判官の給源が必ずしも豊富ではない、定員をふやしたからといってそれは必ず充足されるというものでもないし、また、もうすでに議論もありましたが、給与をよくしさえすればいいというものでもないことはわかりますが、それはそれとしても、裁判官の不足というのが目について非常に弊害が出ておる。これは単に個々の裁判官の生活あるいは活動に障害があるというだけでなしに、人権を守ってもらわなければならぬ国民の側にそのしわ寄せがきているというような事実もあるわけですから、これは考えなければならぬと思いますし、また職員のほうでいえば、これは必ずしも裁判官ほど給源が枯渇しているという状況ではないというふうに思いますので、もちろんその待遇をよくしないと逃げていってしまうということはありましょうけれども、わりに安定した職場でもあるし、また仕事の性格からいっても、人道主義的な見地あるいは正義感の強い人たちなどが非常に生きがいを感じながら働く場所でもあるということを考えれば、これは定員をもっともっとふやさなければならない。つまり、欠員を充足するということについて特段の努力と配慮が必要であるということを申し上げて、裁判所関係はおしまいにいたしまして、今度は法務省関係に移ります。 きょうの法務大臣の就任のごあいさつを読みますと、「法務行政のサービス部門である登記の行政事務につきましても、これが一そう適正かつ能率的に行われるよう事務処理の態勢の充実を期し、」というように言っておられます。まさに登記の問題はもうすでに古くから問題になっているところでありまして、最近キャンペーンが非常に盛んになった。といいますのは、法務関係の労働組合である全法務労働組合がこの問題の解決に乗り出して統一行動をとる、そしてPRもするというようなことから、この十一月から現在に至る全国の新聞が一斉に重大な関心を払って記事を報道いたしております。 それを一々ここで私、読み上げる必要はないと思いますが、いずれにしても、この十年間に甲号、乙号、いずれも非常に事務がふえている。甲号の登録関係では二倍、乙号の謄抄本証明などの件数は四倍というようなぐあいで、大体新聞記事などでは五倍くらいになっているという。少しオー、バーかもしれませんが。そとで、これに対して一体登記関係の職員の十年間に伸びたのはどうかといえば、三十九年には七千七百三十八名であったものが四十九年には八千八百八十一名と、わずか一五%弱の伸びにすぎない。これではとても、これだけ増加している事務というのは、能率的にやるどころの騒ぎではなくて、いろいろの弊害が出てきている。 まあこれじゃ仕事になりませんので、いわゆる登記所を利用しなければ経済活動その他ができない国民にとってみればこれでは仕事にならないので、それをカバーするために、司法書士とか土地家屋調査士自身あるいはその補助者というようなものに協力をしてもらわなければならぬ。さらには地方公共団体あるいは公団、公社の職員なども協力をする。これはその地方公共団体の仕事、公団、公社の仕事に関連する部分を、そういう人たちがやってきて協力してくれるから間に合う。一般のほうにしわ寄せがいかないで、どうやら何とかということのようでもあります。それから、もうずいぶん前から登記協会という制度があって、下請のような仕事をやっている。 それで間に合わしているのだけれども、これで弊害がなければちっとも問題はありませんが、実際問題として法律違反がそこにはらんでいる。つまり、コピーや謄本などの写しをつくるというだけでなしに、それをよく見て証明の押印をするというようなことまで行なわれるとか、あるいは書庫の中に入っていってかってに持ち出すことも大目に見ざるを得ない、そういう中で非常なミスが起こってきて、そのしわ寄せが一般国民に及ぶ。極端なのは、これが悪質な犯罪人に利用された。たとえば浦和の地検では、ことしの十二月三日に越谷の司法書士事務所の事務員の高橋何がしという者を、公正証書原本不実記載と公文書偽造の疑いで逮捕して調べているというのですが、要するにこういうのは、さっき申しましたように自由に出入りができるもんだから、すきを見て抵当権の抹消登記をやってしまった。これは極端な例でございましょうけれども、しかし決してほんとうに希有な例外ではないんじゃないかというふうに考えられます。 だから、どんなことがあってもこれは充足をしなければならないというわけで、法務省のほうでも大体これは例年解決のために努力しているようでありますが、それにしても、四十九年度に要求されたのが結果的にはどうなっているのかといいますと、登記関係の職員で増員要求は千七百六十一人であった。ところが現実には百二十名であったというのですね。よそのほうから六十人回してきてもらったからこの分にはわずかに百八十人、つまり千七百六十一人の一〇%強程度の増員で終わってしまっている。これではほんとうに焼け石に水ではないか。これは決して水増し要求ではなかったのにこういう結果におちいっている。全法務のほうで調べたところでは、当時だってとてもこんな数ではなかったわけであります。 ことし、それでは一体どのくらい要求しているのかといいますと、これは千八百七人、もちろんこの中には登記関係だけでない人も入っておるから、実質は千七百七十二名、まあ昨年と大体同じようなものになっております。しかし、全法務のほうで調べたところでは、これはとてもそんなもんでは間に合わない。登記関係だけでも七千四百九十三名なければだめだという。これはもうほんとうに気の遠くなるほど多い人が来ないと仕事にならない。弊害も除去できない。決して労働組合の利己的な要求、つまり労働者の地位さえ向上すればいいんだというような、そういう考え方から出発するんではなくて、当然のことながら、登記という重要な国のサービスに寄与するという点からいって、いま言ったような司法書士や土地家屋調査士あるいはその補助者、あるいは下請機関などというものにまかせてはおけないという、そういうところからきているようであります。 これについて、いま法務省としては、大蔵省に対して概算要求をしておられる最中でありますので、もっとこの分を強めてやるお気持ちはないのかどうか。たまたま給与の改定に関する法律の審議の最中でありますけれども、時が時だけに、タイミングを失して、あとからもう残念でございましたでは済まないと思うので、お尋ねしておくわけであります。
○勝見説明員 担当の部局長が見えておりませんが、私、たまたま手元に資料がございますので申し上げたいと存じます。 四十九年度の要求人員は千七百十一でございます。法務局の登記事件の適正処理に要する人員でございますが、査定は三百二十五。百五十七の削減がございましたので、純増は百六十八となっております。御指摘のとおり一割以下の増員にとどまったわけでございます。昭和五十年度の要求といたしましては、法務局関係で千八百三十二を要求しておりますが、そのうち登記事件の適正処理のために千七百七十二名を仰せのとおり要求しております。法務省の増員要求も、ほかの部局もございますけれども、特に法務局関係の、この御指摘の登記事件の適正処理については最重点的に増員を要求するというふうに考えておる次第でございます。
○青柳委員 大臣御就任早々でございますので、この登記の問題、どの程度の御関心を持っていらっしゃるか知りませんが、私ども法務委員会で各地に視察に参ります。そして必ず登記関係の法務省の出先の方々にお会いして聞くことは、これは何としてでもこれに力を入れてもらわなければ困る、こういうことでございまして、決して私ども、野党のほうだから労働組合の言い分だけをどうこうしているというのではなくて、与党の先生方ももっともだということで非常にその緊急性をお認めになっていらっしゃる。にもかかわらずなかなか実現しないという、これについてひとつ所感をいただきたいと思うのでございます。
○稻葉国務大臣 ただいま御指摘の点につきましては、就任早々ではございますけれども、過日、民事局長から事情をつぶさに聴取いたしました。ただいま政府委員からお答え申し上げたとおりの数字も聞いております。与野党を問わず、サービス部門の能率化につきまして所信を申し上げたわけでございますから、偽りのある結果にならないように、ただいまこれは非常に熱心にやらにゃいかぬなという決意をしておるところでございます。
○青柳委員 終わります。
○小平委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は、明十九日正午理事会、午後零時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時二十三分散会