物価問題等に関する特別委員会 第2号
- 発言数
- 74 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1974/12/24
会議録
○平林委員長 これより会議を開きます。 物価問題等に関する件について調査を進めます。 この際、経済企画庁長官より発言を求められておりますので、これを許します。福田経済企画庁長官。
○福田(赳)国務大臣 このたび、三木内閣の発足にあたりまして、私、副総理、経済企画庁長官を仰せつかりました。何とぞ御教示、御鞭撻のほどお願い申し上げます。 私、この際、私の考えておる諸問題につきまして、文書で皆さんのところへ配付してありますが、その中で特に重要な諸点につきまして申し上げさせていただきたいと思うのであります。 私がいま当面しておる問題は、大きく分けますと二つあるのです。 一つは、世界経済情勢が非常な変わり方である。その変わってきた世界情勢に対しまして、わが国の経済をこれから中期、長期にわたりましてどういうふうに運営していくかという問題が一つ。 それからもう一つは、当面の問題であります。いま当面は、あの物価狂乱のあとを受けまして、まだその余じんが非常に強く残っておるわけです。つまり、インフレとデフレの混在、こういうような状態でございます。このむずかしい状態をいかに打開するかという差し迫った問題であります。この二つが、当面私が考えている非常に大きな問題点でございます。 まず第一の、世界情勢の推移に応ずるわが国の経済姿勢をどういうふうに持っていくか、こういう問題であります。この世界情勢は、私は、戦後こんなむずかしい状態はないというくらいに見ておるわけです。しいて戦前に例をとれば、一九三〇年代である。一九二九年にアメリカのフーバー不況、これに端を発しまして世界が総不況におちいった。あのときは非常な深刻な状態でありまして、そのときから五年間に実に世界の総生産が四割減る、総貿易が三割減る、こういうような状態。当然わが国にもその影響は波及してきたわけでございますが、あの昭和初期の大不況であります。 私は、今日の状態を見まして、ああいうふうなひどい落ち込みになるというふうな感じはいたしておらない。つまり、当時と違いまして国際経済協力機構というものが非常な整備状態である、そういう状態でありますので、国際間の協議、協調、それがそんな深刻な落ち込みになるというような状態を阻止するであろう、こういうふうには見ておりますが、しかし、反面、当時と違って、もっと深刻な根本的な問題が今日は世界経済の根底に横たわっておる、こういうふうに思いますのは、つまり、世界の人々の意識というものが、世界資源有限という意識に変わりつつある。 いままでわれわれは資源というものについてあまり考えたことがなかった世の中であります。金を積めば必ず資源というものは手に入ってきた、そういう世の中である。ところが、二十一世紀を展望すれば、もう多くの資源がこのままで世界が動いていったらなくなろうというような状態である、そういう意識が世界人の頭の中に定着しようとしておる。 そういう中において、世界の国々の動き、政策のかじのとり方、そういうものに非常に大きな変化が出てきておるのではないか。資源保有国の立場というものが強くなる、つまり売り手市場という立場に立つわけです。それから同時に、この資源保有国は、その資源を経済的目的ばかりじゃない、これを外交的、戦略的目的に使用するという動きもまた出てきておるわけであります。そういう動きに対して資源消費国がどういう態度をとるかというと、そういう資源保有国の動きに対する対応のかまえをとるという傾向になる。つまり、省資源、省エネルギーという政策がどこの国でも政策の基幹になっている。 そういうことを総合して考えますと、一九六〇年代という年代は、たいへん世界経済は繁栄、発展いたしまして、先進諸国の平均成長率が五・七%であるというような繁栄状態であり、その中でわが国はその先進諸国の倍の成長率の発展をなし遂げたわけでございますが、さて、これからの世界を展望してみますと、そういうわけにはいかない。 私はこれからの世界情勢というものを中期、長期にわたって展望してみますと、やはりこれは低成長時代だ、しかもその低成長というものが安定した低成長でないのです。やはり低成長のその動きの中で、資源保有国あたりから戦略的な動きあるいは売り手市場的な動き、そういうものがいつ何どき出てこないとも限らない、そういう波乱含みの低成長時代だ、こういうふうに見るわけでありますが、そういう展望の中でわが国の立場はどうかといえば、資源小国である。 その資源小国であり、しかも食糧に弱いわが日本がどういう立場をとるかというと、これはおのずから結論は出てくると思うのですが、今日までとにかく高度成長という政策がずっととられてきた。しかも、その根底には高度成長思想というものがあるわけなんです。私は、もうこの高度成長思想、高度成長政策というものから完全に絶縁をしなければならぬ、こういうふうに考えております。そして、静かで控え目な成長という方向へわが国の長期、中期の政策基調というものを転換していかなければならない、こういうふうに考えるわけですが、そういう立場に置かれておるわが日本の立場というもの、これは国民全体にわかってもらわなければいかぬ。夢よもう一度というような考え方を持っている人が私はかなり多いんじゃないかと思うのです。いまは苦しい、そのうちに石油の問題も片づくだろう、そうするとまた高度成長時代のあの繁栄が享受できるんじゃないかというような考え方を持っている方がかなり多いと思うのです。しかし、そういうことはもうこれからあり得ないのだ、われわれはこれから静かな控え目な成長時代に入っていくんだという認識を全国民に持ってもらいたい。 それには、私は政府がまず態度で示していかなければならぬと思うのですが、その態度で示すという一つの問題は、いままでの高度成長思想、高度成長政策のもとで立案された経済社会基本計画あるいは新全国総合開発計画、こういうものは全部これを取りやめて、そして新しい計画を、新しい事態に即応したそういう前提に立って根本的な見直し、やり直しをしなければならぬ、私はこういうふうに考えておるわけであります。 同時に、中長期に見た静かな控え目な成長体制下で、政策の質的転換をはかる必要があると思うのです。いままでの高度成長政策のもとでは、何といっても経済が成長発展する、その成果を次の成長、つまり、工場をつくる、またその工場が動くための環境をつくるというために投入されてきておりますが、これからの経済政策の主力というものは、次の成長も多少のことは考えなければなりません、なりませんけれども、その主力は、われわれの生活環境、われわれの生活をいかに安らかにするかというために重点を置いて考えなければならぬ。新長期計画、中期計画というものもそういう内容のものでなければならぬし、また、これからの政府の一つ一つの施策というものもそういう線にのっとったものでなければならぬ、こういうふうに思います。 そうは申し上げますが、当面、われわれはインフレとデフレの混在するという非常な困難な問題に当面しておるのですが、この困難な問題は、国際関係で非常な事態がまた起きてきたというようなことになれば、問題は新しく発展するわけでありますが、そういう前提がなければ、これは一、二年の間にどうしても解決しなければならぬ、こういうふうに私は考えております。 そして、いま総需要抑制政策がとられておる。これは物価を安定させるためであります。そのためのひずみ、摩擦現象というものも起きておる。そこで、インフレ退治か景気かという論争がありますが、私は、これはちゅうちょするところなくインフレ退治が先だ、これに全力を尽くさなければならぬ、こういうふうに考えております。そのためには、やはりひずみ現象というものが起こる、そのひずみ現象に対しましては、その場その場の妥当な対策はとる、こういう姿勢で臨むべきかというふうに考えておるのであります。 物価は、昨年の十月ごろから非常な混乱におちいっておる。それまでもだんだんと積み上がりがあったのです。一昨年までの十三カ年間は、とにかく卸売り物価はずっと横ばいを続けてきたわけでございます。消費者物価も五%ないし六%の上昇にとどまるというような状態でありましたが、 一昨年の秋ごろから急に上昇基調に転じまして、そしてそれが十月の時点ごろから加速をされる。この十月からの状態はまさに狂乱状態であったわけでございますが、これに対して総需要抑制政策をとり、これが急速に効果を発揮いたしまして、卸売り物価はもう二月で狂乱状態を大体脱したというふうな認識でございます。自後ずっと低目な上昇になってきておりまして、狂乱の十月、十一月、十二月、一月、二月をとってみますと、これは毎月五%ぐらい上がったのです。それが三月になりますと、〇・六五ぐらいになりますか、今日まで〇・六五ぐらい、非常に落ちついた状態になってきておるわけです。 消費者物価も大体同じような傾向でございますが、こっちのほうはなかなかまだ、そう卸売り物価のような状態にいかない。本年度に入りましてからの上昇率は、平均いたしますと毎月一・四%ぐらいになっておるのです、十一月までの状態は。これはどうしてももっと安定させなければならぬ。 そこで、私どもは、来年の三月の時点における 一年間の消費者物価の上昇率を、何とかして一五%程度に押えたい、こういうふうに考えております。そのために、総需要抑制政策、これは引き続いて推進してまいる。同時に、個別物資の需給につきましても、物資ごとに格段の配意をいたしたい、こういうふうに考え、特に年末、年初につきましては、輸送等も含めまして万全の対策をとっておる状態でございます。また、来年の三月、つまり昭和四十九年度における公共料金、これは凍結をする。三月までは公共料金の引き上げは行なわない、こういう政策、これもそのとおりに実践をいたしたい。十二月、一月、二月、三月、この四カ月が今年度として残っておるわけでございますが、この四カ月の物価の上昇率が毎月〇・七五%にとどまりますれば一五%になるわけですが、何とかして一五%という目標は全力を尽くして実現をいたしたい、さように考えておるわけです。 しかし、物価作戦はそれで終わったわけじゃありません。今度はその先の問題があるのです。先の問題、これはどういうふうに考えるか。今日すでにもう需要インフレ、つまり狂乱状態は終わりを告げまして、コストインフレの段階に入っておりまするが、今日もうすでにそうでございまするけれども、昭和五十年度におきましても、やはりコストインフレという様相、これはだんだん薄まりながらも続いていくだろう。そのコスト要因の眼目は何であるかというと、私は、賃金、もう一つは公共料金、こういうふうに見ておるわけであります。 賃金につきましては、賃金決定、これは労使の問題であります。政府としてこれに介入する考えは持っておりません。しかしながら、労使、さらには一般国民において深く御理解を願いたい点があるのは、高度成長期におきましては、賃金が上がりましても、企業の事業量が拡大する、生産性は向上する、したがって、賃金の上がりというものが製品価格の上昇につながらない、生産性の向上が物価上昇を阻止する、こういうような状態にあり、卸売り物価はずっと十三年間安定したわけでございましたが、さて、いよいよこれから低成長時代になるということになりますると、この生産性の向上というものが非常に低くなるのです。したがって、賃金の上がりというものが大かた物価の上昇に影響してくるという、この賃金と物価の関係の質的変化という問題、これは全国民が、特にその中で労使の間において深く認識さるべき問題である、こういうふうに思います。 しかし、賃金問題がなだらかな解決を得るためには、これはまた、物価のほうがなだらかな状態になっていかなければならぬ、そういうふうな関係にあるわけです。その物価問題は、コスト・プッシュ・インフレの段階だ。そのコストを引き上げる要素として公共料金という問題がある。この公共料金問題につきましては、何とかして五十年度の物価問題をさらに改善の方向に大きく前進させていきたいという考え方のもとに、極力この引き上げを抑制したい、そういうふうに考えておるわけでありまして、いま、昭和五十年度予算の編成ともからみ合わせながら、私といたしまして最善の努力をいたしておるという最中でございます。いろいろ努力をいたします。そして、昭和五十年度一年間、つまり五十一年三月の時点における年間の物価上昇率、これを何とかして一〇%以内に押えたい、かように考えておる次第でございます。 何せ、世界が経験したこともないような資源有限時代となってきた。その中で日本の国の立場というものは非常に弱い。しかも、この狂乱物価というものの後遺症が残っておるという今日の状態でございますので、非常にかじとりは困難でございます。困難でございまするが、皆さんの御教示のもとに、全力を尽くして、何とか国民に一日も早く安心していただきたい、こういうふうに考えておりますので、格段の御教示、御鞭撻にあずかりたいとお願いを申し上げまして、ごあいさつにいたします。(拍手) —————————————
○平林委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。片岡清一君。
○片岡委員 ただいま副総理から、こういう重大な時局に処する経済政策の根幹についてのお話を承りましたのでございますが、なお一、二の問題について副総理の御見解をさらに確かめておきたい、こう思う次第でございます。 第一の問題は、お話のようにいままで総需要抑制、金融引き締め、こういうことによってきびしい物価対策をおとりになってきて、今後もなおこのワク組みははずさないでいく、こういうことでございます。しかし、この方針によりましてたいへん問題になりますのは、総需要抑制によって仕事がだんだんなくなり、金融の引き締めによってつなぎ資金が非常に不足してきておる、そのために倒産や操短が非常に多くなってきております。 富山県におきます状態を見ましても、たいへん深刻な状態が出ておるのでございます。金融の引き締めによりまして、つなぎ資金を借りに来る数が最近非常にふえております。ことに、借り入れ金の返還を延期してもらいたいという要望が非常に多くなってまいりました。国民金融公庫の発表によりますと、富山支店の発表でございますが、それによりますと、十一月の前年同月比は六・五倍にものぼっておるということでございます。これがさらに十二月になるともっときびしい状態が出てくるだろうということでございます。それから製造業を見ましても、売り上げ高が非常に減っておるという関係が、前年同月比で十一月においては二・四倍にもなっておるということでございます。それから金属、富山県高岡ではアルミサッシ等の製造があるわけですが、これも三〇%から四〇%の操短をせざるを得ないという状況でございます。 そういうふうに見てきますと、いままで物価高、インフレでいわば日本の経済は糖尿病を病んでおったという状態だと思うのです。これはあまり過度の栄養を取り過ぎた。ところが、いまや、その糖尿病をなおしておる最中に、いままで潜在的にあったところの結核がだんだん悪くなって、そうして栄養不足のために結核がだんだん重くなってきた、こういう状態になりつつあるのではないかと存ずるのでございます。そういたしますと、先ほど副総理がおっしゃいましたように、インフレ、デフレが混在しておるという状況は、いわば糖尿病と結核の合併症がある、そうして両方でいま瀕死の重症になっておるということが言えると思うのでございます。 経済の唯一の権威者であり名医であられるところの副総理、これはもう国民も期待をしておるわけでございます。その名医が、この糖尿病と結核の二律背反の重い病気をどういうふうに手術をされ、これに手当てをされようとするのか、その基本的な考え方、名医の処方せんをひとつお伺いいたしたいと存ずるのでございます。
○福田(赳)国務大臣 いま非常な混乱期でありますので、ことしで言いますと経済成長率がとにかくマイナス一・六、七%だ、こういうような状態ですから、企業家全体として、金の問題もありまするけれども、仕事が少なくなってきた、こういう状態をかこっておるのではないか、そういうふうに思います。しかし、マイナス成長というようなことは私は実はしたくないのです。 ことしマイナス成長になったのは何なのかというと、石油ショックがある。石油の使用量、また輸入量というものがかなり減ってきておるわけです。そういうような状態もありますが、国際石油事情がどういうふうになってくるか、これは予測しがたい要素もありますけれども、異常なことがなければこれからは昨年程度の輸入はできるんじゃないか。また、わが国の国際収支の状態を見ましても、その程度のことはできるんじゃないか。そうしますと、わが国の経済のかじとりは、来年度におきましてはもう四%ちょっとこえるくらいな成長を考えていいんじゃないか、そういうふうに思っております。もっとも、四%成長というのは、今年度がかなり沈みましたから、沈んだものから上がってくるわけですから、たとえば四十八年度に比べますと二・六の高さの成長になるわけです。それから今年度沈んだ、いわゆるげたというものを差し引いて考えますと三%成長というようなことになりますが、とにかくこれからの経済情勢は、来年三月時点の物価が一体どんなふうになってくるか、それから四月以降の物価の見通しが一体どうなるか、それから三月前後、四月ごろにきめられる賃金問題がどうなるか、その辺がなだらかな解決ということになれば、来年の夏ごろ、それから先の経済情勢というのは、薄日がだんだんさしていくような状態にもっていけるんじゃないか、そういうふうに思っております。 その間のつなぎをどうするかという問題、これは企業家にも、世の中はそういうふうになってきておるのだ、そうせざるを得ないのだということについての認識を、私は十分持ってもらいたいのです。そして、経営の合理化というか、そういう問題はきめこまかくやってもらいたい、企業家の諸君にも切にそのことをお願いする努力をいたしたい、私はこういうふうに考えておりますが、まじめにそういう努力をした健全な企業というものがこの政策の犠牲になるというようなことにならないためには、金融政策というものが非常に大事だと思うのです。 この金融政策につきましては、機動的、弾力的にそういう摩擦現象、ひずみ現象に対しましては対処していく、こういう方針で臨んでいったらいかがでしょうか、こういうふうに思っております。
○片岡委員 名医の御診断、そしてまた処方せん、なかなかむずかしいところがあるだろうと思います。いまお話しのように、まじめにやっておる企業家に対しては緩急よろしきを得る方策をとっていきたい、そして結核が悪くならぬようにしていこうというお考えであるかと存じます。それで、そのためにも、同時に物価が再び狂乱にならないように、何といってもこれが基本だという副総理のお話、私もまことに同感でございます。 そこで、先ほどちょっと言及をされたのでございますが、コスト・プッシュ・インフレの一番大きな問題の一つである公共料金の問題でございます。最近の新聞で、副総理は二カ年ぐらいこれは凍結したいという基本的なお考えをお持ちのようでございます。しかし、これは国の財政の操作からいってたいへんむずかしいことであろうと思います。これは先ほどちょっとお話がございましたが、公共料金を上げないということが何といっても一番大事なことで、政府が自分の御都合によって安易な道をとるということは許されぬことであって、それはやはりほかの物価を押し上げる原因になると思います。 そういう意味で、公共料金に対するさらに確固たる御決意を、副総理として、また経済対策閣僚会議の議長としてのお立場から、ひとつはっきり承りたいと思うのでございます。
○福田(赳)国務大臣 公共料金問題は、これは非常にむずかしい問題でございまして、公共企業体など公共料金を扱っておる機関、これもまた賃上げの問題があるわけですね。賃上げの影響をもろにかぶっておる。それから諸物価が上がってくる。そうするとたいへんな赤字になってくるわけなんです。国鉄なんか非常に惨たんたる状態でございますが、その他におきましても非常に憂うべき状態にいまなってくるわけです。それに対処いたしまして、公共企業体などの公共料金を扱う側が、その職場の運営を円滑にするというために、公共料金というものの引き上げを考えるという傾向になってくるわけです。それから同時に、財政当局といたしますと、公共料金を上げないでおくということになると、それはどうしたって借金ということになってくるのです。それが一体、これまたインフレ対策の見地から見て、それだけの借金を許すということがいいのか悪いのかという問題もあるわけなんです。財政論とすると、たいへんこれはむずかしい問題なんです。 しかし、私はいま、とにかく物価を安定させる——これは物価を安定させませんと、社会的な不公正というものがどんどん広がっていく。それから、御家庭も企業も先が見えないという状態で、国民が総不安になってくる。この状態は一刻も早く断ち切らなければならぬ。これはそういう意味からいうと非常な事態である。非常な事態に対しましては非常な考えをとってもいいんじゃないか、こういうふうに考えまして、とにかく何とかして、政府のできること、やろうと決意すればできることでありますから、公共料金は抑制をしたいな、こういうふうに考えまして、財政当局並びに企業体当局、それらの方々といま鋭意努力をしておる、そういう最中なんです。一両日、おそくとも二、三日のうちには結論を出したい。何とかして、この公共料金を政府がきめた、そのことによって物価に不安の心理を及ぼすということのないようにいたしたい、さように考えております。
○片岡委員 ぜひひとつその決意を何とか通していただいて、少しでもあとに回すようにお考えをいただきたい、こういうふうに思う次第でございます。 時間がありませんので、次の問題に移りたいと思います。 次の問題は、先ほど副総理がおっしゃいましたように、これからは資源有限の時代で、いわゆる資源ナショナリズムの結果、思うように資源が入ってこないという状況、そういうことでいまこの問題が世界的に大きな問題であると存ずるのでございます。そこで、この状態において今後副総理が日本経済のかじとりをどういう方針でやっていこうとされるか、そのことを、先ほどお話を承りましたので大体の状況はわかっておるのでございますが、さらにひとつ決意をお述べいただきたいと存じます。 それは、先ほど副総理のお話にもございましたように、いまの状態は一時的な状態だ、だからしばらくがまんをしておれば、ほら穴に入ってあらしの過ぎ去るのを待っておればいいという考えを持っておる人が相当あると私は思うのです。ことに総需要抑制、金融引き締めで非常に困っておる人たちは、何とかしばらくがまんをしていこうということだと存じます。しかし、この間の経済関係閣僚協議会の結果として御発表になりました十月の経済成長率は、実質マイナスになっておる、マイナス一%ないしマイナス二%だ、こういうふうにおっしゃっておられるのでございます。その状況が、いまのように総需要抑制、金融引き締めを続けていけば、経済成長はやはりマイナスのほうにだんだん傾くようなことになるのではないかと存ずるのでございます。 ところが、先ほど副総理は、経済社会基本計画その他新全総を改めて、基本的に洗い直して、新しいめどのもとに、しかもそれは大体成長率四%というものを保っていきたいというふうにおっしゃっておられるのでございますが、前に、マイナス成長率になっておる、そういうものをなお堅持しなければならぬのだというふうに聞こえるようなおっしゃり方をし、今度は四%の年率の成長率を目ざすんだとおっしゃると、そのほら穴に隠れておった、そうしてしばらくあらしの過ぎるのを待っておる人たちに非常によい希望を与えることにはなるのですが、何かそこに安易な気持ちを起こさせるのではないか。すなわち、四%といっても、これは日本のかつての成長率から見ると低いものですが、しかし、それでもやはり欧米各国の平均並みの成長率だと思うのでございます。そうなると、それくらいでいくのならたいしたことはないぞということで、非常に安易な気持ちが流れるのではないかと思うのでございます。 ところが、先ほど副総理がおっしゃったように、時代は非常に大きく変わっておる、そして認識を変えた経済の運営をしなければならぬということをおっしゃっておられるわけであります。すなわち、世界的な波乱含みの低成長の時代に入るんだというふうにおっしゃっておられるわけでございますが、そうすると、やはり国民にもっときつい立場から——アメリカその他においては、消費節約、節約ムードというものの盛り上げに相当国家としても大きな努力を払っておるということを聞くのでございます。ところが、日本においては、どうもいま賃金の問題その他いろいろ出ておりますが、何となくしばらくがまんすれば夢よもう一度ということになりそうだというようなムードがあってはたいへんだ。 だから、これからの日本の経済のかじをとっていかれる方向としては、しばらく穴に隠れておればいいというものか、それとも、トンネルに入っておるこの状態が相当長く、トンネルは長いトンネルだということか、それとも、なかなか甘い考えはだめなんで、これはトンネルどころか地下鉄だ、ずっと相当暗い思いで一生懸命にやっていかなければ、世界経済の上からもうまくいかないんだというふうな認識でいくべきか、そういうことをひとつ国民にわかりいいようにはっきりお示しいただきたいと私は思うのですが、いかがでございましょうか。
○福田(赳)国務大臣 その辺が非常にむずかしいところだと思いますが、もうずっとこの先トンネルに入っていると言ったら国民はがっかりしてしまいます。ですから、そういう感触を与えてはいかぬと思います。トンネルはいずれは抜け切るが、そのトンネルもなるべく短い期間にしたいというふうに考えておるわけでございますが、しかし、トンネルを出たそのあとですね、これはもう一昨年までの十三年間享受したようなああいうはなばなしい道じゃない。そうではなくて、もっともっと控え目な、静かな経済路線であるという点なんですね。それに企業がどういうふうに対処していくか、あるいは働く人たちがどうやってかまえてまいりますか。そういうことになりますと、高度成長時代とそういう静かな成長時代というものは根本的に姿勢が変わってこなければならぬと思うのです。企業においてはほんとうに近代化、合理化の努力をしなければならぬ。それから勤労者側におきましても、企業を守るという立場から申し上げましても、賃金問題と物価の問題がどういう関係になるかというような点、あるいは賃金問題と企業経営がどういうふうになっていくんだというような点についての理解、それから国民全体がやはりその日その日の生活についての姿勢といいますか、生活態度というものについてまた思い直すところがなければならぬ。 そういうものが自然に出てくれば、もう総需要抑制政策だとかむずかしいことを言う必要はなくなってしまうのです。そういう態勢が自然発生的に出てくるという時期までは、やはり需要管理政策、総需要抑制政策——これはときに緩急があります。機動的に、弾力的に運営しなければなりませんけれども、そういう考え方をとっていかなければならぬだろう。その辺、国民に十分理解してもらわなければならぬ。その理解が行き届くような努力を私もベストを尽くしてみたい、こういうふうに考えておるわけです。
○片岡委員 私は、もっと積極的に、あまり暗い感じを起こさせてはいけないけれども、消費の非常に自由な時代と違うんだ、だから、消費の節約というムードについては、社会教育的にもいろいろやはり政府は手を打っていかなければならぬものではないかというふうに思っておるのでございます。 それで、時間があまりありませんので、もう一つお伺いいたしたいのですが、たいへん妙な言い方でございますけれども、この非常な不況ムードというものは、これはひとり日本国だけではなしに、世界の自由主義経済国全部が同様に苦悶をしておる状態でございます。そういう状態からいいまして、どうかすると、この不況の苦悶は、やはりいまの自由主義経済体制というものがよくないんだ、だからここにもっと体制を変える必要があるのじゃないかということが、ともすれば国民の中に一つの流行といいますか、一つのムードとして出がちであると存ずるのでございます。それがいろいろな姿で選挙の中にもあらわれております。私はそれをたいへん心配するわけでございますが、そういう一つの流れをちょうど利用したと言うと悪いでしょうけれども、そういう流れに向かって野党の皆さん方は、ここでひとつ民主連合政府をつくればこれは非常に明るい将来が出てくるんだというような一つの宣伝がある。そうしてそれがいかにも無責任に、税金をまけてやる、月給は上げてやる、福祉政策は大いにどんどんやる、年金も上げます、そういうことを言うて、一体それがどこからどうなってそういうことができるのかということについては、はなはだ無責任な回答が出ておる、こう思うのであります。だから私は、この民主連合政府というものに対する一つの麻薬的なまやかしが国民の間に非常に浸透するおそれがあると思うのでございます。 そこで、私はこの間中南米へ国会から派遣をされて行ってまいりまして、チリの状況を見てまいりました。アジェンデ政権というものがどうして崩壊したのかということをいろいろ研究、調査してまいったのでございますが、そこにおいて、アシェンデ政権は革命によらないで、とにかく議会制民主主義のもとで政権を打ち立てた。ところが、だんだんそれが左側の強硬な、MIRというんですか、そういう政党の突き上げを食って一そうして基幹産業から重要産業へと国有を移し、さらに中小企業に対してもいろいろ干渉して、管理官を派遣するとかなんとかということで、だんだん国有化するような状態に移していった。それから土地の問題についても、四十ヘクタールまでは自留地を認めていたのが、今度は二十ヘクタールにまで下げた。最初国民が考えておった以上に強力な過激な政策をどんどんとっていった。 〔委員長退席、橋口委員長代理着席〕 そのために経済がたいへん混乱をしてかえって生産力が低下し、インフレが高じてストライキが激発する、こういう状態になったということでございますので、私はそういう点が非常に大事な点だと思うのです。 そこで、副総理は、自由主義経済のもとにおいてもいまにちゃんと明るい未来がくるんだということを自信を持ってひとつおっしゃっていただきたい。それによってやはり国民が十分な安心感を持ち、そして誤らざる考え方を持ち得る、私はかように思うのでございます。たいへんむずかしい問題でございますが、副総理のそれについての御見解を承りまして、私の質問を終わりたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 民主連合政府のことまではお答え申し上げませんが、私は、自由経済メカニズム、これは非常に貴重なものだと思うのです。まあ、賃金も統制します、そういうことになれば、物価も統制しなければならぬ。統制、統制じゃとてもこの世の中は動かない。自由経済メカニズムというものは非常に貴重な経済原則である。やはりこれを貫き通すべきであるというふうに考えます。 ただ、いままでの高度成長下におきましては、この自由経済メカニズムというものが私は国民の中に誤って浸透しておると思うのです。つまり、社会エゴというか、もうけるためには何をしてもいいんだというか、自由放任というふうにはき違えられておる。これは非常に重大な問題だと思うのです。そうじゃないのです。これは社会連帯の中の自由経済メカニズムでなければならない。自由放任でなくて、ほんとうに他人の立場も考えての自由経済メカニズムでなければならぬ、こういうふうに思うのです。その辺は、思想的にも、経済の仕組みの上から見ても、たいへん問題があると思う。私は自由放任社会じゃいかぬと思うのです。やはり社会公正という太い一線がこの社会に押し通されなければならないと思いますが、そういう筋を通しながら自由経済メカニズムというものは断固として守り抜いていくべきだ、こういうふうに考えます。
○片岡委員 それでは終わります。
○橋口委員長代理 金子みつ君。
○金子(み)委員 先ほど経済企画庁長官のごあいさつの中で、このむずかしい時期に対処するお考えやら姿勢やら、非常に高道なお立場で、副総理のお立場も含めて御説明があったように承りました。それはそれでよくわかったわけでございますけれども、それは総論的な考え方でありまして、国民の一人一人は、それはそれでわかった、だけれども、毎日の生活をどうしていったらいいかということで苦しんでいるわけでございますから、一つ一つの、もっと具体的なこまかい問題についてのお考えを聞かせていただかないと安心できないわけでございます。私は、そういう意味合いにおきまして少し具体的に副総理のお考えを伺わせていただきたい、そんなふうに思っているわけでございます。 そこで、まず最初に聞かせていただきたいと思いますことは、政策としてもお取り上げになっていらっしゃいますし、お考えとしても聞かせていただいたわけでございますが、何せこのものすごい物価高をいやが上にも押し上げてきている大きな元凶が公共料金の値上がりであるということは、もうみんなが十分承知をしております。国民もそのことをよく承知していると思います。 そこで、この公共料金の取り扱いの問題でございますけれども、先ほどの御説明の中で、消費者物価上昇率を来年の三月には一五%以内に押えたいというふうに考えていらっしゃることもわかりましたし、五十年度になればさらにそれを引き下げて一〇%以内にもしたいというふうに考えていらっしゃることもわかりました。そうすると、そのためにはどういう方策をお立てになるのか、その具体的な方法論を聞かせていただきたいわけでございますが、先ほどごあいさつの中で、その方法論の考え方というものは聞かせていただけたと思っております。 そこで、さしあたってどうなるんだということが非常に心配でございますので、その問題を聞かせていただきたいのでございますが、いま問題の中心になっておりますのは、目の前にぶら下がっています問題は電信、電話、郵便、お塩、たばこ、麦というようなものですね。この六品目が値上がりになるであろうというふうに考えられていたのを、政府の御方針で年度末まではこれを凍結するということがわかったわけです。三月一ぱいは凍結されるということはわかったのですが、では四月からどうなるんだろう、そこにもう不安がくるわけでございますね。その先をどういうふうに考えていてくださるんだろうという国民の不安な気持ちにこたえていただきたいと思うのです。 私、先般、新聞報道で拝見いたしますと、この六品目については同じような取り扱いをするんじゃないんだ、六品目について、そのうちで二つのグループに分けて考えるんだ、一つは当面凍結するものと、いま一つは時期と幅の調整によって値上げをするものとに分けて考えていく、こういうふうに考えておられるということがわかったのでございますが、どれをどのグループに入れようと考えていらっしゃるのか、あるいは当面の凍結というのはいつごろまでのことなんでしょうか。 日本というのはとても便利なことばがあって、当分の間だとか当面だとかといって、非常にあいまいなことばがございますが、それが使われておるのではっきりいたしません。国民が知りたいと思っているのは、当面というのは一体五、六月ごろのことなんだろうか、夏のことなんだろうか、あるいは秋まで延ばしてもらえるんだろうか、こういうようなことを非常に危惧しておりますし、心配しておりますので、この辺のところを聞かせていただきたいと考えるわけでございます。
○福田(赳)国務大臣 当面と申しますが、これは私の気持ちといたしましては、公共料金を上げても物価に悪影響がない、そういう時期というふうにお考え願いたいのです。 いまお話しの問題は昭和五十年度の問題なんです。昭和五十年度の予算に、もしその予定があればこれを組み入れなければならぬ、公共料金を上げますれば収入がふえるわけですから、ふえた収入を予算に見積もるということになるのですが、私はそれをしたくないのです。予算の編成としてこの問題を考えていかなければならぬ、そういうふうに考えておりますので、私の考え方とすると、来年は非常に大事な年だ。ですから、いま、凍結というような考え方、これは十月まで凍結だとか、あるいは六月まで凍結だとか、そういうような考え方ではなくて、昭和五十年度全体にわたってこの引き上げはしないように、またそういう考え方に基づいた予算編成にならないように、そういう配慮をしておるわけであります。
○金子(み)委員 わかったような気がするのですけれども、結局わからないのです。公共料金を上げてもほかのものに影響がないような時期になったらばというふうに私は理解したのですけれども、そういうことが五十年度内に起こり得るというふうに理解してよろしゅうございますか。
○福田(赳)国務大臣 これは五十年度を経過してみなければわからぬ、こういうふうに思います。たとえば来年の暮れごろになって非常に安定してきたという場合に、塩の値上げをひとつどうだろう、こういうような問題がないというふうには私は考えませんけれども、とにかく予算というものは五十年度全体を見通すわけです。予算の段階としてはそういうことは予定をしない、こういう御理解でけっこうでございます。
○金子(み)委員 たいへんくどいようで申しわけありません。予算としてはそういうことは組み込まない、入れたくないというふうに考えておいでになるということは、五十年度にはそういうことば起こり得ないというふうに理解してよろしいわけでございますね。
○福田(赳)国務大臣 いまおあげになりました六品目ですね、この中で、政府ができることと、それから国会に議案として、法律案としてお願いしなければできないことと、こういう二つの種類があるのです。政府のできることは、国会がなくとも政府の判断でできる問題ではありますが、とにかく昭和五十年度におきましては、予算編成という過程のこの時点におきましては値上げは予想しない、こういうたてまえの予算編成をいたしたい、そういうことになるわけなんです。 まあ公共料金六品目をどういうふうに扱うか、これはこれからきめる問題でありますが、もし値上げをいたしません、こういうことになれば、塩とそれから小麦につきましては法律事項ではございませんけれども、予算事項ではあるわけです。その予算事項としては年度内に上げることは予定しておりません、こういう予算を編成するということでございます。
○金子(み)委員 それでは一応そういう安心したような気持ちを国民の皆さん方が理解してもいいということになるわけで、そのつもりでひとつなさっていただきたいと思います。 きょうは二十四日でございますが、経済対策閣僚会議がおありになるように伺っておりますが、その会議でこの問題を討議なさって、そうして長官の御意見としてそのことをお出しになって決定をなさる、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○福田(赳)国務大臣 今晩開かれる経済対策閣僚会議に公共料金問題を付議するわけです。これで私の気持ちとしてはなるべくもう決着といたしたいのでございますが、これはあの一八品目全部につきまして昭和四十九年度中の赤字総額は一兆二千億ぐらいになるのです。それを五十年度において消そう、こういうような仕組みのものであります。もしかりに公共料金の引き上げを停止しましたというと、その一兆二千億円をどうするか、こういう問題がありまして、財政当局としてもこれは非常に大きな問題なのでございます。 そういうようなことを考えますと、この公共料金をどうするかということは、これはなかなか容易ならざる問題でございますが、私の気持ちは、できる限りこれを抑制——これは非常にむずかしいおりだ、非常のときだ、非常の際には非常の手段を考えていいんじゃないか、こういうふうな気持ちで経済対策閣僚会議の取りまとめに当たりたい、こういうふうに考えております。
○金子(み)委員 経済対策閣僚会議の統括をなさる長官として、いまのことばを私たちは信じたいと思いますので、どうぞ、できるだけその御決意をお通しいただけるように期待をしたいと思っております。 次に、やはり物価問題に関連がございますが、昨年の十二月に石油ショックもありまして、昨年の秋からことしの春にかけてものすごい狂乱物価になりました。そのときに国民生活を安定させるということを目的にした法律ができましたのを御存じでいらっしゃると思います。国民生活安定緊急措置法という法律ができました。その法律ができたことによって国民生活を安定できるというふうに説明されていたわけでございますけれども、一向に安定しないで、ものすごいインフレがこの一年間出てしまったわけですが、この法律は一体どんな効果をあらわしたのかというのは非常に疑問があるわけでございますね。 その法律の附則の二条に「政府は、この法律の施行後一年以内に、この法律の規定及びその実施状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」というふうになっておりまして、必要な措置を講じなければならなかったはずだと思うのでございますが、この法律が骨子にいたしておりますように、物価が高騰しまたは高騰するおそれがある場合には、たとえば標準価格の設定をして、それ以上高く売っていた者にそれの引き下げの指示をするなり、それでも言うことを聞かなかったら公表するというようなことも規定されておりますし、あるいはまた、特定物資の指定や標準価格の設定をしていないものはそれをして、そしてそれを実現して国民生活を安定させるということになっておりますのに、実際問題としてはそういうことは一つも行なわれておりませんでしたように思いますし、逆に灯油などは標準価格をはずしてしまいましたから、はずされたとたんに灯油は倍の値上がりになったのを御存じだと思うのです。 一向にこの法律が効果を発していないと思うのですが、政府としてはこれを一年間どのようにお取り扱いになっていらしたのでしょうか、その御報告を聞かせていただければありがたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 国民生活安定緊急措置法は、あのいわゆる狂乱の時代に対処するために設けられた法律でございますが、これはもうかなり効果を発揮した。狂乱というのは需要インフレですね。その時代におきましては、各個別物資ごとに需給がアンバランスであるという状態が多く見られたわけです。個別物資につきまして需給がアンバランスでありますと、そこで品切れになる、品薄になるというので買い手が殺到する、こういうような状態でありまして、そこで異常な価格形成、こういうことになるわけであります。それに対しましてとにかくこの法律は大きなにらみをきかした。 そして、狂乱状態というものはとにかく二月で大体終息をするという状態になり、今日の状態になりますると、これはもう需給の面から心配するというような面はほとんどなくなっておる状態でございます。したがって、この法律の働き場所というものから見ますと、大体そうきわ立った働き場所というものはない、こういうような状態でありますが、あの当時においてはかなりの効果を発揮した、こういうふうに考えておるわけであります。 近くこの法律の運用並びにその効果はどうであったかということを総合的に御報告申し上げたい、こういうふうに考えております。
○金子(み)委員 おっしゃるとおりに、品不足というのは一応解消したと私どもも考えておりますが、しかし、値上げされた物価の鎮静はできなかったわけでございます。ですから、この法律の運用についてはさらに一そう検討していただかなければならないと思いますけれども、もしこの法律が、あの狂乱物価の時代に需要供給の関係でつくったものであった、それで緊急事態に処するための緊急措置法であったのだということで、いまの時期にはもうそれほど必要がないというふうにお考えになっていらっしゃるのでありますならば、この法律は廃止するということをお考えになりますでしょうか。この法律の取り扱いはどのようにお考えでしょうか。
○福田(赳)国務大臣 きょうの閣議におきまして、この法律の制定以後の実施状況等が報告され、かつ、結論といたしまして、この法律は、なお物価情勢は予断を許さないという要素もありますので、これを何らの修正なくそのまま継続していきたい、こういうことを決定したわけであります。 その具体的な状態につきましては、近く、二、三日の間に、国民生活安定緊急措置法施行状況報告書という書類をもちまして配付いたしたい、かように考えております。
○金子(み)委員 それでは、いまの問題につきましては、私はもう少し状態を見ることにいたしまして、時間もございませんので、最後に一つだけ長官の御所見を承りたい点がございます。 独禁法の改正の問題なんでございますが、これは直接経済企画庁長官の御所管ではないのかと思います。しかし、経企庁長官は同時に経済対策閣僚会議の統括もしていらっしゃいます。そして日本の経済問題に対する総括責任担当者でいらっしゃるというふうにも私どもは理解いたしておりますので、直接の御所管でなくても、経済問題に非常に大きな影響のある独禁法というようなものにつきましては、長官自身のお考えもおありになるものだというふうに考えるわけでございます。 先般来、公正取引委員会から出ました試案につきまして、前の田中内閣当時の中曽根通産大臣がこれに反対する御意見も出されておられましたし、それからまた、今度新しい三木内閣にかわりましてから、この問題について、自民党の中で政府に対していろいろと御意見も出していらっしゃるようにも私どもは漏れ聞いております。 非常に不安定と申しますか、不統一と申しますか、この独禁法の改正をめぐりまして、状態としては私どもは非常に残念な状態になっていると思うのでございますが、三木総理が、大幅にしかも厳正にやるというような御発言もしていらっしゃる。たいへんにいろいろのことが言われておりまして、きちんとした考え方というものをまだ私どもは聞いておりません。時間的に無理なのかもしれませんけれども、私はきょうはいい機会だと思いますので、特に経企庁長官としてだけでなくて、経済問題の総括担当官としての御意見を承ることができますれば幸いだと思いますので、それを承りまして質問を終わりたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 独禁法改正問題は、前の内閣まではこれに対して非常に消極的な態度であった、こういうふうに思うのです。新内閣が発足して、そういう情勢は一変をいたしておる。内閣は、とにかく来年の二月中までに成案を得て、三月にこれを改正案として国会に御提案を申し上げるという基本方針をきめておるわけですが、そういう基本方針をきめたものですから、これは各方面に大きな影響を与えておるのです。つまり、政府がそういう態度をきめた以上、独禁法の改正というものについて政府の考え方に順応しなければならぬかなあ、こういう空気が相当強く出ておるわけです。自由民主党のほうでもそうですが、また、独禁法問題にたいへん関心を持っており、かつ、反対的な立場をとっておった財界のほうでもそういう空気になってきておる。そういうことを全局的に見てみますと、まあ今度は、改正の機運が熟したなというような感じでございます。そういう背景の中で、既定方針どおり、二月中成案、三月国会へ提案という運びをぜひ実現したい、こういうふうに考えております。 その内容につきましては、いま具体的な提案としては、公正取引委員会のほうから改正項目が提示されておるわけです。あれも重要な資料になると思います。その他からもいろいろな御提案があります。そういうものが、たたき台というか、大きな参考資料になると思いますが、とにかく懇談会をつくりまして、その方々の意見も聞いた上、内容の詰めをしよう、こういう段階でありますので、私は、いまこの懇談会が年内に、もう数日中に開かれようという段階で、こうすべきだということを申し上げるのは、いささかどうも不謹慎か、こういうふうに思いますので申し上げませんが、とにかく国民生活を守り、また自由競争が公正に行なわれるというためにこの独禁法というものは非常に大事な任務を持っておるわけですが、その大事な任務を遺憾なく遂行するということができますように、私も最善を尽くしたいと思います。
○金子(み)委員 時期的にはまだお返事いただくあれじゃないと思いますけれども、どうかその問題につきましては、従来からのような企業優先、国民を泣かせるような姿勢でお進めになりませんように、きびしくお願いをいたしまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○橋口委員長代理 小林政子君。
○小林(政)委員 福田経済企画庁長官のごあいさつをただいまお伺いいたしたわけでございますけれども、今日の異常な物価高、そしてまた経済危機、こういうものに直面をした原因について、いま、海外の石油その他の資源問題なども含めて、海外要因に一つの主要な原因がある、そしてまた、物価問題を真に解決をしていくという点でも、低成長下においては賃金の抑制というものを極力はかりていくことが非常に大切である、こういう意味のごあいさつを伺いましたけれども、私は、今日の異常な経済危機を招いた主要な原因というものは、やはり何といっても、いわゆる大企業本位の経済政策、これを長い間一貫してとり続けてきたところに今日の経済の破綻に直面しておる一つの主要な原因がある、このように考えております。これらの反省の上に立った具体策という点を私はぜひ具体的にお示しを願いたいと思うのですけれども、お伺いをいたしたいと思います。 〔橋口委員長代理退席、竹内(黎)委員長代理着 席〕
○福田(赳)国務大臣 今日のこの混乱が生じた原因論につきましては、私、いまさきのごあいさつでは触れていないのです。原因はということになりますれば、私は、海外要因もあるが、それ以上に国内政策のかじのとり方の問題がある、こういうふうに考えておるわけであります。 物価問題がたいへんむずかしいですが、物価は一体どういう状態であったかといえば、一昨年までの十三年間、実に卸売り物価は、あの高賃金であるにかかわらず、横ばいで来たのです。それが一昨年の八月から上がり出してきておる。で、昨年の十月、まだ石油ショックが起こらない時点でどうだったかというと、一年間で前年比二〇%上がりました。こういう状態で、これはまさに国内政策上の問題だった。一昨年の秋の補正予算だとか、四十八年度予算であるとか、ああいうものの取り組み方というものがかなり影響している。さあ土地が高くなる、物が不足になりそうだ、いまのうちに土地でも品物でも買っておけ、そのほうが得になるというような考え方に国民全体の気持ちがなっちゃったという点ですね、これが私は大きく響いておると思うのです。 そこへさらに十一月になって石油問題というのがおっかぶさってきた、そこでまた混乱が加重されたというような見方をしておるのですが、それはそれといたしまして、私は先ほども申し上げましたのですが、高度成長思想というものからほんとうに抜け切る必要がある。これは国際的な要因もあります。ありますけれども、あの物価上昇、このインフレを再びおかしてはいけない。 それから、昨年度の国際収支、一年間で百三十億ドルの赤字が出た。いまの外貨保有高は幾らかというと、百三十七、八億ドルですから、一年間でなくなるというぐらいな大赤字を出してしまったのですよ。それは何かというと、これも政策上の問題がある。非常に大きく高度成長が響いておるわけです。超高度成長です。それから、いまわが国が公害列島化しようとしておる。これも、あまり急速に工場を建てる、この高度成長というものが国土をそういうふうにきたなくしてしまった、そういう問題がある。そういう問題全部をとらえてみまして、この経済思潮というものを転換しなければならぬ、こういうふうに考えているわけであります。 それは経済面ばかりの問題ですが、もう一つ精神面があると思うのです。やはり人間の心も高度成長になってしまったわけだ。物さえあれば、金さえあれば、自分さえよければ、こういう風潮が出てきた、これは高度成長と裏はらの問題であろうと私は思うのです。そういう問題、これもやはり転換をしなければならぬ、こういうふうに思います。 そういうことを踏まえて、これからは静かな成長、いわゆる控え目な成長政策をとる。控え目な成長政策をとるとどういうふうになるかといいますれば、いままでの高度成長下では、高度成長でありますから、各企業もどんどん発展をします。それから、一般国民の生活も、大企業というほどまでいかぬ、いかぬけれども、やはり高度成長の余慶というものがあるわけです。そこで、去年よりもことしはよくなったなという満足感をみんなが持ったと思うのです。しかし、低成長時代、これからの状態におきましては、そういう状態が一変してくると思うのです。 そういうことを考えまするときに、私は、高度成長政策下においてとられた政策、その量的な側面の問題がもちろんあるわけですが、そうじゃなくて質的内容の問題、成長よりも社会的公正だ、こういう方面に大きく重点を振り向けていかなければならぬだろう。予算の編成にいたしましても、それから五十一年度から始まる長期計画にいたしましても、そういう考え方を持って一貫をしなければならぬだろう、こういうふうに考えております。
○小林(政)委員 高度成長政策をとり続けてきた原因の中で、その破綻といいますか、公害問題が起こり、さまざまなひずみが出てきている、やはりこれを転換をしなければならないという立場からの、いま中身に触れての御答弁だったというふうに思いますけれども、私は狂乱物価を招いたあの当時のことを思い出しますと、ともかく当時の過剰流動性というものを利用して土地を買い、あるいはまた大きな企業が手持ち流動性を活用してさらに投機的な投資をする、こういったような中からあの狂乱物価というものが出てき、そしてその上に石油危機というような事態が起こってきている。こういうことを考えますと、いまほんとうに物価を押えていく上でも、私はやはり大企業に対する規制というものが必要ではないか、このように考えるわけです。 たとえば巨大な企業の場合には、もうほとんど独占企業集団といわれるような産業が、相当数わが国には集中化が強まってきています。そしてまた、不当なカルテルの操作などによって実際には反社会的な行為を行なったり、価格のつり上げを行なう、こういうところに一つは物価をつり上げている大きな要素がある、こういうふうに私は思うわけでございますし、四十八年度に公取が発表いたしました、独占禁止法違反で摘発をされ、審決を受けた事業者の中でも、あるいは事業者集団などでも、調べてみますと六十八件にものぼっているのですね。六十八件というのは全部が価格カルテルではありませんが、そのほとんどが価格カルテルである、こういう点から見ても、価格の上昇を真に押えていく、こういう点を考えますときに、いま問題になっている独禁法の改正問題についても、ほんとうに国民の生活の安定という立場からも、ここにこそやはりメスを加えるべきではないだろうか、私はこういうふうに思うわけです。 特に大企業の巨大な支配力、こういうものがますます強まっている中で、ここにメスを加えてほしいということが国民の強い要求でもあり、またこの問題についての解決をほんとうにはかろうとするならば、独禁法の改正の中でこの点について重視をしていくということが非常に大事ではないかという認識を私は持っておりますけれども、経済企画庁長官はこの点についてどのような認識にお立ちになっていらっしゃるのか、その点をひとつお伺いをいたしたいと思います。 〔竹内(黎)委員長代理退席、委員長着席〕
○福田(赳)国務大臣 独禁法改正は、公正な競争が行なわれるように、また、消費者の立場はしたがって守れるようにということを旨として改正されなければならぬというふうに考えておるわけです。 ただ、小林さんが大企業、大企業と言って、大企業性悪説みたいなお話ですが、これは大企業というものが存在することそれ自体、私はそう非難さるべきことではない。むしろわが国の今日の繁栄をささえておる、わが国がよって生きるゆえんのものは何だといえば、やはり国際経済競争にうちかつ、この小さい日本がどうしてアメリカに次ぐ経済工業力を持ち得ることになったかというと、やはりわが国の経済体制というものの規模が、個々の企業の規模が拡大して、そして能率的な活動がなし得るようになってきた、その企業の規模自体に私はそう非難さるべき点はない、これをまたこわしてしまったら、わが国の経済全体として惨たんたるものになるだろう、こういうふうに思うのです。 それはそれとして、企業が巨大なるがゆえにこれが国民生活を圧迫する、優勝劣敗というような事態を起こしては相ならぬわけです。この点はどうしても独禁法の改正を通じて是正する必要があろう、こういうふうに思うのであります。 どうも小林さんの話を伺っていると、大企業性悪説というようなお感じですが、私はそれとは考えが違うのです。この大企業というものがなければ、これはもう日本は世界競争にうちかち生き抜いていくというわけにはいかぬ。大企業の立場というものはそれなりに評価しなければならぬ。しかしそれが、行動が行き過ぎになりまして、そして社会的公正を害するということになれば、これはどうしても取り押えなければならぬ、こういうふうに考えております。
○小林(政)委員 私は、巨大企業の場合は市場の占有率、シェアなども相当大きいし、資本力も大きいという中で、昨年の物価狂乱のときに端的にあらわれたようなああいう事態というものを考えますと、やはり価格カルテルを結んで、そしてその価格そのものをつり上げていくとか、千載一遇の好機だとかいってぼろもうけをやるとか、そしてまた土地投機に走るとか、こういうことを実際にはやってきて、そして実際に物価そのものをつり上げていくというような、いわゆる巨大な資本力にものをいわせて価格操作も実際には市場でもって行なう、こういうような力を持っているわけですから、このことが民主的な経済の発展というものを阻害していく。こういう点を考えますと、今度の独禁法の改正の中でも、持ち株の制限だとか、あるいはまた大きな企業に対しては原価の不当な値上げをした場合の公開だとか、こういう問題についても、自由の経済が発展していく上からも、民主的な規制というものは非常に必要なものであろうというふうに私は考えているわけです。こういう点から、この点は独禁法の改正の中では主要な問題点であろう。ただいま長官も、その点にはメスも入れたいというお話もございましたので、この点についてはここできょう中身に触れて質問をするということではございませんけれども、ただ、低成長のもとで物価をつり上げている物価引き上げの要因が賃金であるということを長官おっしゃっているわけですけれども、私はむしろ、巨大な企業のもうけを何か規制して、もっと吐き出させていくということこそが、物価を押えていく上でたいへん重要じゃないか。 このことは、経済企画庁の物価局が発表いたしました「工業製品の価格形成に関する調査報告」という報告がございます。具体的に企業に対していろいろと質問をされたのをまとめたものなんですけれども、その中を一つ二つ見てみましても、たとえばこういうことが書いてあるわけです。「主要製品の価格を決めるときに、何を目標にしますか」という問いに対しての答弁なんですけれども、その中で、価格決定に際しては利益率の達成というものを目標にしている、こういうふうに答えた企業は、シェアとしても六〇%からの市場シェアを持っている企業、こういうところが六二・一%という数字が出ておりますし、それからもう一つ特徴的なことは、価格決定の方法についてという問いかけに対して、シェアが大きくなればなるほどの企業が、自由な需要と供給との関係で価格をきめるというのがパーセントの上で少なくなりまして、逆にプライスリーダー、つまり他の企業を顧みることなく自主的に価格を決定する立場に立つ、こういう回答を寄せているわけです。 まだいろいろと書かれているわけですけれども、この一、二の例を見ても、実際にこの巨大企業というものがどれほど市場の中で独立した大きな力を持ち、そしてほんとうに需要と供給との関係とか、そういうことよりも、実際にプライスリーダーとして価格を打ち出していく、そして市場価格そのものが大体平均してほかの企業にもついてこれるような、そういう状況を物価の中でつくり出しているという点は、重要な問題ではないだろうか、私はこういうふうに考えております。 それからまた、先ほど長官は、確かに最近の卸売り物価はここのところに来て少し下がってきているということをおっしゃいましたけれども、従来は卸売り物価というのは、先ほど長官も言われたとおり安定をしていたんですね。ところが、ここに来て卸売り物価が異常な急上昇をした。しかも従来いわれていたことは、中小企業の場合には生産性が低いので、したがって、コストアップなども価格に転嫁せざるを得ないということで、どうしても中小企業製品のほうが卸売りの中で見ても高いものになる、こういうことがいままでずっと長年にわたっていわれていたわけですけれども、最近の傾向を見ますと、四十九年の一月、二月は、卸売り物価の中でも確かに大企業製品に比べて中小企業製品のほうが上昇率が高いのです。 数字をあげますと、四十九年の二月の例ですと、大企業製品の場合は三四・五%、中小企業製品の場合は三六・二%と対前年比伸び率が高いのですけれども、三月からはこれは逆転いたしまして、逆に中小企業製品が卸売り物価の中でもずっと三月、四月、五月、六月、七月、八月、九月と大企業製品に比べて上昇率が低くなっておる。大企業製品のほうが高くなっておるのです。たとえば十一月を例にとりますと、大企業製品の場合には二四・二%ですけれども、中小企業製品の場合には一一・五%の対前年比の伸び率ですね。 こういう点から見て、私はやはり中小企業のほうが生産性も低くて、実際にはいま困難の中で、卸売り物価の指標の中にあらわれてくる数字が本来であればもっと大企業よりも上がるべきものだというふうに想像していたわけですけれども、逆に需要が減って、そうして品物がダブついているといわれておる大企業の卸売り物価が中小企業製品よりも実は上回っている、こういう数字が出ているわけです。 こういう点から考えても、やはり規制を行なっていくという点についても、巨大な企業といいますか、企業集団といいますか、こういうところにほんとうの意味での規制を加えていかなければ、卸売り物価のいまの趨勢を見ても、あるいはまた経済企画庁が集められた工業製品の価格形成に関する調査報告の内容から見ても、私は物価というものは下がらないのではないか、このように考えますけれども、長官、いかがでしょうか。
○福田(赳)国務大臣 卸売り物価を分析してみますと、確かに小林さんの御指摘のような傾向があるのです。それで、これは卸売り物価に関係する中小企業がかなり苦しい経営をしておるということが一応想像されるわけです。しかし、今度卸売り物価と消費者物価を比べてみる、こういうことになると、卸売り物価というのは、その中に中小企業もありますよ、ありますけれども、大かたこれは大企業物価です。それから消費者物価というのは、この中にもいろいろ大企業もありますけれども、大かたこれは中小企業物価、こういうふうに大ざっぱに言っていいと思うのですが、中小企業物価である消費者物価、これはとにかく卸売り物価が〇・六五だという最近の毎月の上昇率に対して一・四%の上昇を示しておる。これは一体どうなんだというと、やっぱり中小企業というもの、これは私は春闘の影響がかなり響いている、こういうふうに見ておるわけでございますが、やはり経営が非常に苦しい。たとえば床屋さんでいえば、ほとんどこれは人件費です。大企業のほうで人件費が上がる。やっぱり床屋さんのほうの働く人の賃金も上げなければならぬ、こういうことになりまして、それがもろに消費者物価のほうにかぶさってきておる、こういうふうな関係かと見ておるわけですが、いずれにいたしましても、そういう問題は別といたしましても、中小企業の方々は経済の変動期はどうしたって苦しい立場ですから、それは苦しい立場にあるであろうということに思いをいたしまして、機動的、弾力的な対策をとる、こういうふうに考えたいと思います。
○小林(政)委員 いま、消費者物価というのは大体中小企業であって、まじっているのもあるけれども、卸売り物価は主として大企業というお話でしたけれども、私は、大企業製品と中小企業製品の消費者物価についても上昇率を調べてみたのです。そうしますと、四十九年の八月までは確かに消費者物価の中に占める比率を見てみますと、中小企業製品のほうが対前年伸び率は高いのですね。ところが、これもことしの九月に入りまして、消費者物価の中に占める大企業の伸び率が実は中小企業製品を上回るという結果が出てきております。たとえば、九月は大企業製品の場合は二九・二%の伸びです。中小企業は二七・四%です。十月はこれも大企業製品は二九%、それから中小企業製品は二五・五%なんですね。ですから、ことしの九月から全く逆転をしておる。卸売り物価の場合にもことしの二月から逆転をしておる。 こういうことを考えますと、私はこの問題については、確かにいろいろな問題があるにしても、いろいろな企業がこの中には含まれているわけですから一がいには言えないにしても、やはり大企業というものが価格つり上げの上で大きいプライスリーダーとして、市場の価格というものはごく少数の同業の企業によってきめられるとすらいまではいわれているのですね。こういう点を私はもっと重視をしていくことこそ、物価をほんとうに引き下げていく上で重要なんではないか、こういうことを申し上げたかったわけですし、この点についてどのような認識をされているのかということをひとつお伺いをしたい。 と同時に、時間がありませんので、では片や物価を上げているのは労働者の賃金なんだろうか、こういう点もまた調べてみますと、ことしの十月は逆に、名目賃金は確かにこの十月だけで見ますと二二・五%対前年比で上がっております。しかし物価が二六・二%ですから、したがって実質賃金はマイナス二・九になっているわけです。前の年の十月に比べて逆に実質賃金は下がっている、マイナスになっている、これがいまの実態なんです。たとえば四十九年の一月、二月、三月、四月を前の年に比べますと、実質賃金の場合には一月が四・一%、二月五・九%、五・五%、〇・三%と、引き続いて四月まで対前年に比べてマイナスになっているのですね。こういう状態のもとで、ボーナスその他の影響があって五月からは実質賃金は若干ずつ上昇をしておりますけれども、この十月にきてまたがくっとマイナスになっている。こういうことを考えますと、物価に実際には追いつかない賃金、物価に賃金が追い越されているというのが実態ではないか、このようなことがこの数字から示されると思います。 私は、したがって、物価をつり上げている要因が労働者の賃金ではなくして、むしろ先ほど申し上げた規制をどこに加えるべきかという点について明確な御答弁をいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 第一の中小企業、大企業の問題ですが、先ほど小林さんが御指摘の、卸売り物価の中で中小企業の製品の上昇が大企業に比べて非常に小さい、こういうお話ですが、そのとおりの数字が出ております。ただ、卸売り物価というものの中で中小企業のシェアというのは二〇%ですから、そこで私は大観して、卸売り物価というものは大企業物価だ、こういうふうに大ざっぱに見ていいんじゃないか。それに反して消費者物価、これは主として中小企業物価です。これのほうは非常に上がっておる。これは六・五という卸の水準の対し一・四という水準の上がり方を示しておる。こういうこともまた頭に置いてお考え願いたい。 それから第二の問題、賃金と物価。まあ生産性をこえた賃金の上昇があればその分は物価にはね返る、これはもう大体常識的なこととして定着しておる考え方だろう、こういうふうに思いますが、ただ、当面の賃金問題というのはちょっと混乱期の異質な点があると思うのです。そういう経済常識ではあるが、過去の物価上昇に対する見合いをとらなければならぬという、こういう要素がある。その点が非常に異常な状態である、こういうふうに思います。 ですから、小林さんのおっしゃるのは、この異常な物価上昇、これに対して賃金が追いつかないじゃないかというお話でありますが、それはよく私もわかります。もうこの春ごろまでは、あの狂乱時代はあれだけ物価が上がるのですから、賃金は物価の上昇にとても追いつかない、実質賃金はマイナスになる、こういうような状態だったのです。しかし、春闘であれだけ上がったというので、またずっと賃金が消費者物価上昇をこえる状態、つまり実質賃金がふえるという状態になり、まあ十月にちょっと落ち込みがあるのですが、またこの暮れのボーナスだ、そういうようなことでまたその状態は変わってくるんじゃないか、これは数字を見ないとわかりませんけれども、そういうふうに思います。そういうあと追いの賃金問題、そういう角度の問題があることはよく承知しています。しかし、前向きの問題もまた頭に置くべき問題である。 この賃金と物価というものは、生産性の向上の見られない状態の低成長下におきましては、これは非常に重大な関係がある。それで妥当な一線を越えて賃金がきまるということになれば、これは物価を押し上げますよ。物価が押し上げられる。押し上げればこれはインフレです。インフレになればまた賃金を上げなければならぬ。賃金を上げればまた物価が押し上がる。これはもうほんとうに物価と賃金の悪循環ということになる。対外経済競争力がだんだん減ってくる。これは国としての命取りの問題になってくるわけです。そういうことを考えまして、私は、賃金問題に介入する考えはありません、ありませんが、もう賃金と物価の関係というものが、高度成長下と低成長下では本質的に変わってきたのだ、こういう認識につきましては、ぜひ全国民、また特に賃金決定の当事者である労使双方がとくと認識しなければならぬ、こういうふうに考えております。 それから、特に企業家側に私は要請したいのですが、そういう状態を踏まえて企業の合理化、合理的運営、これにはほんとうにもう全知全能をしぼってもらいたいというくらいな気持ちでございます。私は、経済界に対しましてはそれを強く要請をする。そうしてこの物価を不当に押し上げないということに協力をしていただきたい、さように考えております。
○小林(政)委員 最後に一言だけ、公共料金……
○平林委員長 いや、申し合わせの時間でありますので、どうぞひとつ……。 次に、石田幸四郎君。
○石田(幸)委員 私は、四点ばかり時間の範囲内で御質問をしたいと思いますが、私に許された時間は大体十五分程度でございますので、その点御配慮の上、よろしくお願いしたいと思います。 まず一つは経済構造の二重性の問題でございますけれども、長官も御存じのとおり、ここ十数年間にわたるところの高度経済成長政策というものがいろいろな意味で副産物的の、たとえば環境破壊とかあるいはいろいろな社会的跛行を生んでいると思うのでございますけれども、そういう中にございましてそういう政策がとり続けられ、さらにまた前回のいわゆる石油ショックの問題がございまして一挙に物価狂乱という形になってきたわけでございますけれども、そういう中におきましていまの日本は物価安定を第一命題として進まざるを得ない、そういう状況にあると思うのです。そういうところから総需要抑制というようなことも出てきているわけでございますけれども、この総需要抑制によりまして金融引き締め等の問題が非常に大きな効果を生んでいると思うのでございますけれども、やはり金融引き締め政策そのものが、経済の二重構造という問題については非常に大きな欠陥として出てきたのではないか、こういうふうに私は考えるわけでございます。 一例をあげますならば、最近特に中小企業の倒産が目立っておりますけれども、繊維業界等の実態を私も現場に行っていろいろ聞いてみました。そうしますと、たとえばそういった繊維会社と商社との取引関係をずっと研究をいたしてみますと、政府の金融引き締めというのはどういう形になってあらわれているかというと、商社は全体のいわゆる何兆円という大きな一年間の売り上げを示しているわけでございますけれども、こういう不況時代になりますと、いままで繊維部門がこれだけの範囲の金融操作をやっていたとすると、それをぎゅうっと部門を圧縮して、そしていわゆるもうからないところには金をつぎ込まないというようなことが、繊維業界に非常に大きなしわ寄せとなってあらわれておるわけです。さらにまた、いわゆる手形期間の延長とか、そういった手形操作によって、大きな商社や大企業は金融引き締めの影境は受けているでしょうけれども、中小企業ほど大きくはなっていない。また、中小企業のほうはそういうような操作が行なわれておりますので、いろいろな形で政府三機関等の融資を受けてやっておるわけでございますけれども、最近ではもう担保能力すらないというような状況の中に、いま倒産の危険に瀕しておると思うのでございます。 そういった意味におきまして、そういう不況問題が起きると、たちまちにして経済構造の二重性というのは極端に中小企業にしわ寄せになってあらわれてしまう。したがって、今後の中小企業育成という問題、これは長官も御存じのとおり、中小企業が日本経済に果たす役割りというのは、非常に大きなものがあるわけですね。輸出にいたしましても五〇%前後のものがあるといわれておるわけでございますから、そういうような日本経済に対する中小企業の役割りというものを考えますと、どうしても経済構造の二重性というものを是正していかなければならないのじゃないか、こういうふうに私どもは考えておるわけでございますけれども、この問題についてどういうふうに長官がお考えになるか、あるいはまた是正をするとすれば具体的にどういう方向が望ましいと考えておられるのか、そこら辺をまず御明示いただきたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 わが国は、経済構造を見てみますと、特異体質というか、中小企業の分野が非常に多い。中小の方々は、経済がデフレになろうがインフレになろうが、経済変動がありますれば弱い立場であります関係上、その受ける度合いというものがよけいにきびしい状態かと思うのです。でありまするから、こういう経済変動の際には中小企業対策には特に配慮をしなければならぬ、こういうふうに考えております。ただ、先ほどから申し上げておりまするとおり、日本経済のこれからの動き方というものが、いままでのような調子で動いてまいらない、そこへ中小企業といえども調子を合わせなければならぬだろう、こういうふうに思うのです。 いま、さしあたって金融問題ということがいわれておりますが、金融問題ももとより対策を講じなければならぬけれども、やはり中小企業の構造改善というか、近代化というか、こういう方面への配慮、これは大事な問題になってきておるのじゃないか。いま金融でつなぎはつける。つけるが、そのつける間に、やはり中小企業の方々におきましてもこれから、世の中は変わってきたのだという、その変わり方に対する対応という問題も努力していかなければならぬじゃないか。私は、そういう方向での中小企業に対する対応、これを通産省に強くお願いしたいと思います。 同時に、とにかくつなぎをつけなければならぬ、そういう問題がございますが、これは大蔵省に対しましても最善の努力をするようお願いしたいと思っております。
○石田(幸)委員 私はもう少し突っ込んだ議論をお願いしたがったわけでありますが、これはまたあらためてお願いをすることにいたしまして、先ほど長官のいろいろなお話の中に、資源問題のことが出てきておるわけでございますが、この資源問題については、当委員会においても若干話題になったことがございます。 いわゆるエネルギーの大半を外国に依存している状態でございますし、いろいろな商品をつくる上においても、その資源というのは海外から求めている状態があるわけであります。前回の通常国会におきまして、中曽根通産大臣から、省資源対策というものを具体的な方向で明示をしなければならぬということは、当委員会でもお話があったわけなんでございますけれども、それ以来もう約半年を経過いたしておりますけれども、一向に省資源の具体的な対策というのが出てこない。前回、石油の三%制限というような問題が出てはおりますけれども、そういう問題がぽつんと出てきただけでございまして、それじゃ他の資源問題は一体どうなるのか、あるいは銅だとかニッケルだとかいろいろな問題が含まれていると思うのでございます。ただ石油問題をやればそれで事は片づくという問題ではない。石油の規制さえすればいいという問題ではなかろうと思うのです。そういった省資源政策の一環として石油制限は盛られなければならぬ、そういうような形で出てこなければ私はおかしいと思うのです。前回の予算委員会におきましても、この三%削減についてはアメリカに追随したのではないかというような意見すら出てきておるわけです。私は、これは長官が言うところの低成長という問題の中には欠かせない具体的な政策ではないか、こういうふうに思っておるわけです。 そういった意味におきまして、一体そこら辺をどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、あるいは省資源政策全体のそういう政策というものが、次の通常国会あたりに明確に出てくるものなのかどうなのか、そこら辺のことについてお伺いをしたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 省資源という問題は、私は一番大事なことは国民全体の気持ちがそういう気持ちになることだと思います。とにかくわれわれは毎日毎日生活し、資源を使っておる。そこに資源問題の出発点、原点があるわけですから、その辺から省資源思想というものを国民に理解してもらわなければならぬじゃないか、そういうふうに思うわけです。 物をもったいないというような思想、こういうものが高度成長の中では逆で、つくりましょう、使いましょう、使い捨ていたしましょうというような形になってしまう。その辺の考え方、国民全体の考え方の転換ということが必要である。同時に企業家も、資源が非常に少ないというようなことにつきましてもくふうをこらして、省資源運営というものに徹底しなければならぬ。やはり私は、一番大事なことはそういう風潮だろうと思うのです。法で規制しますなんということ、とてもこれは万全の対策というふうにはなり得ない。やはり対策中の柱は、そういうふうな国民全体の思想転換、そういうふうに思います。私は、この考え方というか、その方向は強く進めていきたいと思うのです。立法でどうのこうのということはない、国民全体の御理解を得る、こういう方向の施策でございますから。 けさも政府のほうでは、資源、エネルギーを節約する運動本部の会合をやっておりますが、これは形ばかりのものであってはいかぬ。ほんとうに国民に対しましてそういう御理解を得る、国民がほんとうにその気になって協力してくれるという形になれば、それは何も総需要抑制政策なんというものはとる必要がないのです。早くそういう状態になり得るように努力をしたいと思います。
○石田(幸)委員 時間がありませんから、これらの問題についてはさらにまた詰めたいと思いますけれども、いま長官が言われました、いわゆる国民全体の発想の転換が必要だということでございますけれども、私もそれについて異論はございません。しかし、やはりネコの首にだれが鈴をつけるのかという問題があろうかと思います。そうしてみますと、国民全体の、いままで高度経済成長をとり続けてきた、そういう中である程度の恩恵を受けてきた、そういうものの発想の転換をしなければならぬと言いましても、だれが先べんをつけていくのかということになりますと、これは政治が先べんをつけざるを得ないのではないか、こういうふうに私は思うのでお伺いをいたしておるわけでございます。決して私は反対ではございませんけれども、しかし今後のそういった日本の経済の方向を定めるとすれば、むしろこれは政治が先行していかなければならない問題ではないかと思うのです。 それで、私は、さらにもう一点だけ最後にお伺いをするわけでございますけれども、今日のこういったインフレ、物価高の時代にありましては、いろいろな意味で社会の不公正というものが目立ってきているわけですね。いわゆる所得の分配にいたしましても、今度の暮れのボーナス一つを取り上げてみましても、いま中小企業のほんとうに倒産するかしないかといわれるようなところの賞与なんというのは、払わぬというようなところもざらに出てきているわけです。このままいきますと倒産でございますから、せめて一カ月分の退職金ぐらいは用意しなければならぬ、ボーナスは払えない、あるいは払うと約束していても半年先であるというような状況でございます。ところが、大手の会社あるいは官公庁、そういったものにおきましては的確にボーナスが払われる。そういうものに対する苦情というのも、われわれの議員の控え室等にも手紙がかなり殺到いたしておるわけです。 こういう所得の分配の問題を考えてもそうでございますし、非常に現在の社会にはいろいろな意味の跛行性というものがあって、国民の中には不満がうっせきしておるわけです。物価高の問題もそうだろうと思うのですね。そういうような現在の国民生活の中にありまして、これを一挙にすべてにわたって解決するということは実際問題むずかしい、できないということは私もよくわかります。それだけにやはり政府としては、五十年度、あるいは五十一年度にわたって、あるいは三カ年にわたって、これだけは断じてやるんだというような、そういう目玉政策というものがはっきりしなければ、国民は希望をつなげないと思うのですね。 今度の公共料金の問題だってそうです。やはり採算性を重視すれば、これは値上げせざるを得ない。それを無視して物価抑制策を中心にいたしますれば、将来にわたって公営事業が成り立たぬというような問題がございまして、そういうところから考えてみると、結局情勢を見ながら値上げをしていくんだろうというようなところから、国民の政治不信というものはなかなか解消されない。そういった意味で、国民のそういうような希望を取りつけたい、協力を得ようという姿勢はなかなかできないのじゃないかと私は思うのでございます。 そういった意味で、現在の経済政策を進める上においても、私は大きな積極的な目玉商品というものが必要ではないか、こう思っているわけですけれども、いかがでございましょう。時間がありませんから、簡単にお願いいたします。
○福田(赳)国務大臣 目玉商品は、インフレの鎮圧と、それから社会的公正の確保、この二つでございます。
○石田(幸)委員 終わります。
○平林委員長 次に、和田耕作君。
○和田(耕)委員 福田企画庁長官が出現をいたしまして、久しぶりで経済企画庁長官は重量級の大臣が就任されたということだと思いまして、三木内閣として物価問題に大きな力を入れているなということがわかるような気がいたします。また、長官がいまおっしゃいました基本的な姿勢についても、私は大体そういうことでいいのだろうという感じを持っておるわけですけれども、ひとつ大事な点で二、三ただしたいことがあるわけです。 いまの日本の物価、賃金等の問題は、アメリカやドイツなんかの直面している問題と少し性質が違いはしないかという感じがあり、この違いというものを正確につかまえるということが非常に大事な問題じゃないかという感じがするわけです。つまり、アメリカとかドイツの場合は、景気の停滞というものがある、にもかかわらず物価が継続して上昇する、インフレがあるという形ですね。そういう形が出てきたのが、いわゆるスタグフレーションといわれるものが出てきた一つの背景だと思うのですね。 ところが、日本の場合は、福田さん自身が名をつけた狂乱的な物価上昇というものに対処する方法として、総需要の抑制をはじめとしてのきびしい政策をとり始めた、これによって不況が展開してきているということですね。つまり、インフレの中の不況、前のほうは不況の中のインフレというふうに名をつけてもいいような違いがありはしないかと私は思うのですね。 私はこういうことをなぜ申し上げるかというと、つまり、不況の中のインフレという状態は、確かにコスト、その中心である賃金というものが非常に重要な要素になっている。したがって、アメリカとか西欧諸国でやった所得政策的なものが当然正面に出てこざるを得ないということになるわけですね。この所得政策はどこの国でやってもうまくいかない。しかしながら、所得政策的なものが当然正面に出てこざるを得ないような状況が、アメリカにもイギリスにもドイツにもあるわけです。これはつまり、不況の中の継続的な物価上昇の根本の原因は賃金の上昇だということになるわけですから。 しかし、日本の場合はまだ、そういうふうな状態であるというよりは、インフレーションというものが先行してきている、しかもそれが非常に狂乱的な形で先行してきている、これに対して総需要抑制を中心として強力な手を政府が打ってくる、このもとで不況が出てきている、こういうときですから、つまり、賃金等の問題を論ずる前に、政府としてはこのインフレに対して、絶対にインフレは押えつけなければならないのだという、この政策が先行してこなければならない。この政策は、アメリカとかドイツとかイギリスの場合は、これが強く先行するよりは、むしろ賃金を何とか抑制しなければならぬということが先行してくるのはあたりまえだと思う。しかし、日本の場合はそうじゃない。日本の場合は、現在の状態というのは狂乱的な物価が先行している。これは確かに、田中内閣のあの時期違いの、切っ先の入れ方が間違ったということが一番大きな原因だと私は思う。昭和四十七年の七月に、先ほどの福田さんの御説明にあったように、一月からそれまでずっと安定しておった卸売り物価がずっと漸騰を始めて、七月になって田中内閣が日本列島改造論をぶち上げてからずっと奔騰を始めたというあの歴史を見ても、確かに政府の責任は大きい。そのインフレをとにかく押えるということに対して政府が一生懸命にならなければすべてのものは始まってこない。 今度、来年の春闘の問題でも、福田さんはこれは天王山だということを言われたのですが、確かに私はそうだと思う。ただ春闘の場合にも、政府が三月期までに一生懸命一五%を必ずやるのだということが、これが先行するわけですね。春闘がどういう相場になるかならぬかということを言う前に、とにかく一五%以下にとどめるのだという姿勢が先行しないと、私はこの問題は解決していかないと思う。たとえばいま財界でも、政府の中でも、来年の春闘を二〇%以下におさめてもらわなければたいへんだ、こういう発想がある。これはいわば転倒した発想であって、政府が一五%以下に押えていけば賃金も新しい局面が出てくる、こういうふうに考えるべきものだと私は思うのです。 というのは、一番初めに申し上げたとおり、日本の状態というのは狂乱的なインフレが先行しているのですから、これに対する対策を打つ過程で不景気になっているのです。だから、福田さんがおっしゃったとおりの方向でとにかく全力をあげて、この年度しまいの三月期において前年同期で一五%以内には絶対にとどめるのだ、この姿勢をとにかく強調し、実行していくということによって、四月、五月の春闘相場もおのずからきまってくる。それがおのずからきめられないような日本の労働組合であれば、もうイタリアと同じになります。日本の労働者はたいへんそういう点では私はドイツ並みに良識を持っていると思う。何よりも政府が一生懸命になって、いまのインフレを起こした一番大きな原因は田中内閣ですから、はっきり申し上げて一番大きな責任をとらなければならない。このもとで狂乱ができた。この狂乱をとにかく政府が押えなければ大きなことは言えない。そういうふうな意味で、福田さんが先ほど強調された姿勢は私は正しいと思う。 ただ、私は一月半ほど前にヨーロッパに行ってまいったのですけれども、いま日本でも問題になっておる総需要の抑制という問題をどのようにするか、あるいは手直しをするか、あるいはきめこまかくアフターケアをしていくかというふうな議論がある。これはイタリアの政府の中にも非常にその議論があって、とうとうイタリアの内閣は一致しないで瓦解をしたのが、この前の十月に出てきたあれだと思うのですね。こういう問題についてもいま私が申し上げておるような議論がはっきりしないと、いつでもこの問題は出てくる。やはり物価は少々上がったって企業がつぶれたらたいへんだ、所得が減ったらたいへんだ、物価が上がったって所得が少し上がればいいんだ、賃金が上がればいいのだろうというこの考え方が非常に強いのですから、そういうふうな問題がまだ日本の政府の中にも財界の中にも労働組合の中にも再燃してくるという問題があるわけですね。そういう場合に、とにかく日本の問題はいまの狂乱的なインフレを押えるということが大事なことなんだ、これをやった政府が初めて賃金に対して、国民生活に対してものが言えるのだというふうな姿勢をぜひとも強く持ってもらいたいと私は思うのですね。 そういうふうな点について、不景気の中のインフレというのをスタグフレーションといえば、日本の状態なんかはインフラグネーションぐらいに言ったほうがいいと私は思うのです。つまり、そういう認識がないといつまでもそういう混乱があるいは論争が出てくる、こういうように思うのですけれども、いかがでしょう。
○福田(赳)国務大臣 わが国の経済状態を見ると、いま和田さん御指摘のように、まさにインフレの中の不況、こういうふうな表現のほうがいいんじゃないか、考え方としてもそうじゃないか、こういうふうに思うのです。ですから、賃金問題を考えるにあたりましても、これは先ほど小林さんにもお答えしたのですが、物価上昇に対するあと追いの問題と、これから先の合理的賃金をどうするかという問題が混在しておる、性格的にはそういうふうに思うのです。しかし、御指摘のように、これはインフレの中の不況であり、インフレの中の賃金問題ですから、やはりこのインフレを退治するということが何よりもまずきめられなければならぬ問題だ、こういうふうに思います。ですから、私は、来年の春闘というものは非常に重要な性格を持っておると思うのですが、この春闘が労使の間で良識ある解決になることを切に期待をいたしておるわけであります。それにはやはり良識ある解決というもの、その環境づくりに政府は全力を尽くさなければならぬ、こういう立場に置かれておる、こういうふうに思うのです。 そこで、三月末の消費者物価水準を前年の同期に比べまして一五%上昇にとどめるというこの目標をきめましたが、これはほんとうにただ単なる在来の経済企画庁の経済見通しと違う認識でやっているのです。これは何としても実現をする、こういうふうに考え、そしてその環境の中で労使の間で合理的な解決をしてもらいたい、かようなことを念願しております。
○和田(耕)委員 もう一つの問題なんですけれども、そういうことですから、いま福田さんと大平大蔵大臣との間の意見の調整をしなければならぬという問題が出ているのですけれども、これはひとつ真剣に議論をしていただいて、そして了解した上で実行していただきたいと思うのですけれども、二年間はともかくとして、五十年度は公共料金はほんとうに例外的なもの以外はストップするのだというふうな姿勢が、私が先ほど申し上げたような見方から見て必要だと思う。これはぜひともひとつ実行していただきたい。これは万事、とにかくそういう政府の姿勢というものが国民に感応して、労働組合を含め良識的な態度をとるようになってくると私は思うものですから、これだけは行き過ぎると思うぐらいに政府の態度を宣明していただかなければならないと私は思うのです。 そこで、大体二年間ぐらいのタイミングをおとりになってこの物価作戦をおやりになるということですけれども、しかし福田さん、この前、自民党の同僚委員からちょっとそういう発言があったのですが、来年、五十年度の下期になれば薄日がさしてくるというあの見方、これは薄日がさしてくれば二年も必要ではないのじゃないか、もう来年一年でいいんじゃないかということになるのですけれども、その考え方の二年というタイミングの中には、ときには総需要抑制とかそういう政策を緩和していかざるを得ないのじゃないか、そういう気持ちがあっての二年間のタイミングではないだろうかということをふと思うことがあるのですけれども、その点いかがでしょう。
○福田(赳)国務大臣 物価問題、これをまずまず安定だという、その目標に到達するにはまだ一、二年はかかるだろう、こういうふうに思うのです。それで、来年三月は一五%だ、それから再来年の三月時点の一年間の上昇率は一〇%以内にと、そういうふうに申し上げておるわけですが、その先の一年間ぐらいの間には何とかしてこれは預金金利水準、それ以下に持っていきたいな、こういうふうに考えているのですが、とにかくこの物価を安定させるという期間は総需要抑制という姿勢はゆるめるわけにはいかぬだろうと思う。ただ、ときに中小企業の問題が出てくるとか、そういう緊切な問題がある。そういう面に対する対策、これは当然とらなければなりませんけれども、私は、総需要抑制という需要管理政策、これは物価が安定するまでは取りはずすわけにはいかぬだろう、こういうふうに考えております。 それで、来年度の問題になりますが、何とかして年間上昇率を一〇%以内におさめたい、こういうふうに思うのですが、その前提といたしましては春闘問題の帰趨という問題があるわけです。これを好ましからざる方向で解決されたというようなことになりますと、なかなかこれは一〇%というわけにはいくまい。これが良識ある妥当な解決になったというところで一〇%を割るという目標も到達される、こういうふうに見ておりますので、何としてもこの春闘の良識ある解決ということを念願しておるのです。それには、お話のように政府も自分のでき得る最大限の環境づくりをしなければならぬ、そういう立場から、公共料金の政策につきましては、お説のとおりひとつ真剣に討議をしたい、かように考えております。
○和田(耕)委員 インフレのもとで一番困っておるいわゆる弱者といわれる人たちの救済の問題ですが、この前、公務員共闘の人たちから、年末に一カ月のインフレ手当という要求がありました。これはどうもできないという返事になったようですけれども一ああいう問題を考えるにつけても、組合の諸君はまだベースアップという強い武器がありますからいいとして、あれを遠慮してくれという場合にも、生活保護世帯もあり、交通遺児の問題もあり、あるいは一般の弱者といわれる社会保障の対象になっている方々、こういう方々に対してこういうふうな援助をするからあなた方はちょっと待ってくれ、こういうふうなことが言えるわけですね。つまり、そういうような意味で来年度予算は強い総需要抑制をやりながらも、また、ほんとうに困っている人たちに対する援助ということも鮮明に出るようにぜひともお考えいただきたい。とにかくそのことが逆に総需要抑制というものを力づけることでもあるわけですし、また、労働組合としてもこれはしようがないわというふうに考えるところでもありますから、この二つの問題は政策の対象として鮮明に出してやっていただきたい、こういうふうにお願いしたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 来年度の予算の編成、これをいよいよ総がかりできめなきゃならぬ。きょうは、三木総裁が各党の委員長にお目にかかりまして御所見も承る、こういうことになっておるわけです。まあ対話というか、話し合いといいますか、そういう姿勢でまいりたい、こう考えておりますが、予算編成の基本的な心がまえといたしましては、とにかくこの予算は二つの目玉だ。一つは物価の安定である。それから一つは、弱者対策と申しますか、社会的公正と申しますか、その方面への施策である。この二つの問題は、これはもう色彩あざやかに打ち出してまいりたい、それが数字として現実化するようにいたしたい、かように考えております。
○和田(耕)委員 これで終わります。
○平林委員長 これにて本日の質疑は終了いたしました。 ————◇—————
○平林委員長 この際、物価安定対策の推進等に関する件について、橋口隆君より発言を求められておりますので、これを許します。橋口隆君。
○橋口委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党を代表いたしまして、四党共同提案にかかる物価安定対策の推進等に関する件について決議をすべしとの動議を提出いたします。 趣旨の説明にかえて、案文を朗読いたします。 物価安定対策の推進等に関する件 昨年来の物価の急激な上昇は、国民生活を圧迫し生活不安の深刻化を増している。 政府は、国民生活の安定のため、物価最優先の政策を進め、当分の間、総需要抑制策の基調を堅持するとともに、特に次の諸施策について積極的にその充実強化を図るべきである。 一、異常な物価高騰に拍車をかける公共料金の引き上げはこれを抑制するとともに、その基本的なあり方について検討を進めること。 一、国民生活を擁護するため、競争秩序の維持の原則を有効に機能させ、寡占化の進行による弊害を除去する等「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」について速やかに強化整備を図ること。 一、物価の異常な騰貴によって実質的被害をこうむっている老人、母子家庭、身体障害者等に対しては、ひずみの是正等について早急に検討を進めるとともに、社会保障の拡充、社会福祉の充実を図ること。 一、零細な預貯金等の急激な減価について、預貯金金利の引き上げ等目減り防止対策を早急に検討すること。 一、年末、年始における生鮮食料品、調味料、加工食品等生活必需品の確保について、需給動向等の監視を厳重に行い、物価値上げを抑制すること。 一、地方公共団体が実施している個別の物価対策は、物価安定に寄与するところが極めて大きいので、地方公共団体の物価行政に対し、積極的な指導を行うほか、大幅な財政措置を早急に講ずること。 右決議する。 以上であります。
○平林委員長 おはかりいたします。 ただいま橋口隆君から提案のありました物価安定対策の推進等に関する件を本委員会の決議とすることに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○平林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ただいまの決議に対しまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。福田経済企画庁長官。
○福田(赳)国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして、物価の安定をはかり、国民生活の向上を実現するようさらに一そうの努力をいたす決意でございます。
○平林委員長 なお、本決議の関係方面への参考送付等につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○平林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○平林委員長 この際、御報告いたします。 自家用倉庫及び消費生活協同組合に関する問題につきましては、かねてから生活関連物資等流通問題小委員会等において種々検討を加えてまいったところでありますが、先ほどの理事会におきまして、その取り扱いについて次のように協議がととのいました。 一、近年大都市周辺地域に激増しているいわゆ る自家用倉庫の機能等の実態を明らかにし、 特に生活関連物資等の適正な流通を促進する ため、自家用倉庫等の規制について検討を進 めること。 一、消費者の健全かつ自主的な組織活動育成の 立場から消費生活協同組合発展のため、政府 関係機関の融資等の拡充を図るとともに、生 活圏の拡大や流通経済の広域化の実情にかん がみ、地域住民の生活圏に即応した生協活動 を推進すること。 以上であります。 この問題につきましては、今後さらに検討をいたしたいと存じます。 ————◇—————
○平林委員長 次に、本日の請願日程全部を一括して議題とし、審査に入ります。 各請願の内容については、文書表で御承知のことでありますし、また、理事会において御検討願いましたので、この際、各請願について、紹介議員よりの説明聴取等は省略し、直ちに採決に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○平林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 おはかりいたします。 本日の請願日程中、第一ないし第三、第二九ないし第三五、第五二ないし第五四、第五六ないし第五八及び第六一ないし第六五の各請願は、いずれも採択の上内閣に送付すべきものと決するに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○平林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、ただいま議決いたしました各請願に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○平林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○平林委員長 なお、本委員会に参考送付されました陳情書は、公共料金の値上げ反対に関する陳情書でありますので、この際、御報告いたしておきます。 ————◇—————
○平林委員長 閉会中審査申し出の件についておはかりいたします。 本委員会といたしましては、閉会中もなお審査を行なうため、第七十二回国会松浦利尚君外四名提出、総合商社の事業活動の規制に関する法律案及び物価問題等に関する件につきまして、議長に対し閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○平林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、議長への申し出に関する手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○平林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○平林委員長 この際、安田経済企画政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。安田経済企画政務次官。
○安田政府委員 今回の三木内閣の発足にあたりまして、私、前内閣に引き続きまして経済企画政務次官を命ぜられた次第でございます。 生来不敏な者でございますけれども、福田長官の御方針を体しまして、現下最も重大な政治課題であり、また国民の強く期待をいたしておりまする物価問題を中心とする国民生活安定のための諸方策の推進に誠意をもって対処いたしてまいりたい、かように存ずる次第でございます。 どうか、各委員の諸先生並びに関係者の方々の御協力と御鞭撻を心からお願いを申し上げまして、簡単でありますが、私からのごあいさつにかえます。(拍手)
○平林委員長 本日は、これにて散会いたします。 午後一時四十三分散会