社会労働委員会 第1号
- 発言数
- 201 件
- 登壇者
- 25 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1974/12/19
会議録
○野原委員長 これより会議を開きます。 この際、理事辞任の件及び理事の補欠選任についておはかりいたします。 まず、橋本龍太郎君より理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○野原委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。 次に、理事の補欠選任についておはかりいたします。現在理事が三名欠員となっております。その補欠選任については、委員長において指名いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○野原委員長 御異議なしと認め、理事に 大野 明君 菅波 茂君 竹内黎一君 を指名いたします。 ————◇—————
○野原委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についておはかりいたします。 厚生関係の基本施策に関する事項 労働関係の基本施策に関する事項 社会保障制度、医療、公衆衛生、社会福祉及び人口問題に関する事項 労使関係、労働基準及び雇用・失業対策に関する事項 以上の各事項について、その実情を調査し、対策を樹立するため、小委員会の設置、関係各方面からの説明聴取及び資料の要求等の方法により、本会期中調査を進めたいと存じます。 つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○野原委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。 ————◇—————
○野原委員長 この際、厚生大臣及び労働大臣より発言を求められておりますので、これを許します。厚生大臣田中正巳君。
○田中国務大臣 社会労働委員会の御審議に先立ち、一言就任のごあいさつを申し上げます。 厚生行政は、国民の健康と福祉を守る重要な行政であり、本来政治の中心となるべきものでありますが、特に三木内閣におきましては、社会的不公正の是正を重要な課題としておるだけに、その主要な柱となる福祉政策は、格別充実強化されなければならないと信じております。 まず、昨今のきびしい経済情勢の中では、特に生活保護世帯、老人、心身障害者、母子世帯等、経済的に弱い立場にある人々の生活の安定をはかることは緊要な問題であり、これらの人々の生活の安定には最善を尽くす考えであります。 さらに、国民医療の確保については、医師、看護婦の確保はもちろん、僻地医療対策、救急医療センターの整備等を促進するとともに、国民の健康保持増進のための施策についても積極的に推進してまいる所存であります。 このほか、厚生行政の課題は山積しておりますが、そのいずれをとりましても国民一人一人の日常生活に密着した重要な問題でありますので、私は、冒頭に申し上げたとおり厚生行政が今日の政治の中心となるべきものであるという信念のもとに、これらの問題に取り組む覚悟であります。 何とぞ皆さまにおかれても、私の率直な気持ちをおくみとりの上、ふなれなものでございまするが、絶大なる御協力を賜わりますよう、特にお願いを申し上げる次第であります。(拍手)
○野原委員長 次に、労働大臣長谷川峻君。
○長谷川国務大臣 また社会労働委員会に戻ってまいりました。短い臨時国会の間でありますが、ただいまの社会情勢に対して、非常にきびしい問題と思っておりますので、重要法案等についても御審議、御迷惑をおかけすることと思いますが、何ぶんよろしくお願いいたします。(拍手)
○野原委員長 次に、厚生、労働両政務次官より発言を求められておりますので、これを許します。厚生政務次官山下徳夫君。
○山下政府委員 このたび厚生政務次官を拝命いたしました山下でございます。 厚生行政全くのしろうとでございますので、何とぞよろしく御指導、御鞭撻のほどお願い申し上げます。(拍手)
○野原委員長 次に、労働政務次官中山正暉君。
○中山政府委員 労働政務次官を拝命いたしました中山正暉でございます。 私の場合はほんとうにしろうとでございます。どうぞひとつ御指導をお願いいたしたいと思います。ありがとうございました。(拍手) ————◇—————
○野原委員長 雇用保険法案、雇用保険法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案、労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案及び日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案の各案を議題とし、順次その提案理由の説明を聴取いたします。労働大臣長谷川峻君。
○長谷川国務大臣 ただいま議題となりました雇用保険法案及び雇用保険法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 現行失業保険法は、施行以来、我が国の雇用失業対策の柱として重要な役割りを果たしてまいりましたが、この間に、我が国の雇用失業情勢は、基本的変化を遂げるとともに、いわゆる高齢者社会への移行や最近の雇用失業情勢に見られるような国際的あるいは国内的要因による失業問題等の新たな事態に対処していく必要性が生じてきております。 政府といたしましては、このような経済社会の動向に適切に対処することができるよう、雇用に関する総合的機能を持った雇用保険制度を創設することとし、雇用保険法案及び雇用保険法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案を提案した次第であります。 まず、雇用保険法案の内容の概要を御説明申し上げます。 第一に、この法律案は、失業者の生活の安定をはかるとともに求職活動を容易にする等その就職を促進するために失業給付を行ない、あわせて、労働者の職業の安定に資するため、雇用構造の改善、労働者の能力の開発及び向上その他労働者の福祉の増進をはかるための事業を行なうことを目的といたしております。 第二に、この法律案は、零細企業の労働者はもちろん、従来から課題とされていた農林水産業の労働者をも含めて、すべての労働者に適用することといたしております。 第三に、高齢者社会への移行等に即応して、給付日数等の面で中高年齢者等就職の困難な者に手厚く措置するとともに、給付率の改善、全国的に失業状況が悪化した場合の給付延長制度の新設など失業補償機能の強化をはかることといたしております。また、日雇い労働被保険者に対する給付についても、改善をはかっております。 第四に、農林水産業の適用に伴い、季節、短期雇用労働者に対する失業給付を、その実態に即して、五十日分の一時金にするとともに、これらの者の資格要件は、最低四カ月二十二日で足りるようにいたしております。 第五に、以上のほか、高年齢者の雇用の促進や不況の際の一時休業に対する援助によって失業を防止することなど積極的に雇用の改善をはかるための事業を行うとともに、労働者の能力開発及び労働者の福祉のための事業を行うことといたしております。 第六に、保険料については、現行の千分の十三の保険料率を据え置きとしつつ、千分の十の部分は労使が折半して負担して失業給付に充てるものとし、千分の三の部分は使用者の負担として雇用改善事業等の三事業に充てることといたしております。また、高年齢者の就職の促進と福祉の増進のために、高年齢者に関し、労使の保険料負担を免除することといたしております。 次に、雇用保険法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の概要について御説明申し上げます。 この法律案は、ただいま御説明申し上げました雇用保険法案の施行に伴って必要とされる関係法律の規定の整備及び経過措置を定めるものであります。 以上、二法律案の提案理由及びその概要につきまして御説明申し上げました。 何とぞ御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。 次に、ただいま議題となりました労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 現在の我が国の労災保険の給付は、これまでの数次の改正により、ILO条約の水準に達しているところでありますが、最近における経済社会の諸情勢にかんがみ、業務災害または通勤災害をこうむった労働者及びその遺族に対する給付の一そうの改善をはかるため、労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案を提案した次第であります。 次に、この法律案の内容の概要を御説明申し上げます。 まず、労災保険の給付の改善についてであります。 第一に、障害補償年金及び障害補償一時金の額を、それぞれ約一二%引き上げることといたしております。 第二に、遺族補償年金の額を、約一三%引き上げることといたしております。 第三に、障害補償一時金、遺族補償一時金及び遺族補償年金の前払い一時金についても、年金給付と同様に、賃金水準の変動に応じてその額を改定することといたしております。 また、これらの改善措置は、通勤災害に関する給付についても同様に行なうことといたしております。 次に、船員保険の給付の改善につきましては、職務上の事由による給付について、労災保険の給付の改善に準じた改善措置を講ずることといたしております。 以上のほか、労災保険の遺族補償年金の前払い一時金制度の拡充、中央労働災害防止協会の業務に化学物質等の有害性の検査の業務を加えること等の改正を行なうことといたしております。 なお、この法律案は、公布の日から施行することといたしておりますが、労災保険及び船員保険の給付の改善等にかかる部分は、国家公務員災害補償法等の改正にあわせて、昭和四十九年十一月一日から適用することといたしております。 以上、この法律案の提案理由及びその概要につきまして御説明申し上げました。 何とぞ御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○野原委員長 厚生大臣田中正巳君。
○田中国務大臣 ただいま議題となりました日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。 日雇労働者健康保険につきましては、昨年、給付期間の延長、現金給付の引き上げ等の制度の改善をはかったところでありますが、一方健康保険についても昨年の法改正により家族療養費の給付割合の引き上げ、高額療養費の支給等大幅な給付の改善が実現したところであり、今日においては、日雇い労働者健康保険の給付を健康保険の給付に準ずる内容のものとすることが、緊急の課題となっております。 このため、政府といたしましては、日雇い労働者健康保険制度の現在の仕組みを維持しつつ、その内容を健康保険の水準に引き上げる方針のもとに、家族療養費の給付割合の引き上げ、高額療養費の支給、傷病手当金の支給期間の延長等大幅な給付改善を行なうとともに、保険料についても健康保険と均衡のとれたものに改定する等の制度の改善をはかることとした次第であります。 次に、改正案の内容について申し上げます。 まず、医療給付の改善につきましては、第一に、昨年の健康保険の改正と同様、家族療養費等の給付割合を五割から七割に引き上げるとともに、高額な医療につきましては、家族療養費等にあわせて高額療養費を支給することとしております。 第二に、療養の給付期間及び家族療養費の支給期間を現行三年六カ月から五年に延長することとしております。 また、この医療給付の改善にあわせて、初診時一部負担金についても健康保険と均衡のとれたものに改定することといたしております。 次に、現金給付の改善につきましては、傷病手当金の支給期間を現行三十日から六カ月に延長する等、傷病手当金、出産手当金、埋葬料、分べん費等について、健康保険の給付に準じたものに改善することといたしております。 また、保険料につきましては、今回の大幅な給付の改善に見合って健康保険と均衡のとれたものにするため、現在賃金日額に応じて第一級五十円から第四級二百円までの四段階にされているものを、賃金日額の等級に応じて第一級六十円から第八級六百六十円までの八段階とすることとしております。なお、この改定は、保険料の急激な負担増を避けるため、昭和五十一年度までの間に段階的に行なうこととするとともに、賃金日額の低い第一級及び第二級の被保険者負担分について軽減措置を講じております。 最後に、この法律の実施の時期につきましては、昭和五十年一月一日としております。 以上が、この法律案を提出する理由でありますが、何とぞ、慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことを切にお願い申し上げます。
○野原委員長 これにて各案の提案理由の説明は終わりました。 この際、午前十時三十分まで休憩いたします。 午前九時四十八分休憩 ————◇————— 午前十時三十五分開議
○野原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 雇用保険法案、雇用保険法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案、労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案及び日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案の各案を議題とし、質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。枝村要作君。
○枝村委員 私は雇用保険法の問題について質問をかわしたいと思います。 ここに提案されました雇用保険法案は、さきの第七十二回国会で十分に本委員会では審議を尽くしたのでありますけれども、結局は廃案になったのであります。その廃案になったそのものが、内容を変えずにそのまま提出されております。したがって、本来ならば、このままの状態で審査をしたり、あるいは成立させられるはずがないというのが一般的な常識であろうと思うのです。しかも今回のきわめて短期間な臨時国会でありますだけに、なおさらそのことはいえるのではないかと思います。それにもかかわらず、政府はこの法案を成立させることに、われわれから見ますと異常な力を尽くしているように見受けるわけです。そこを考えますと、それにはそれだけの重大ないわゆる決意と条件が具備されていなければならないと思います。また国民を納得させるだけの内容が示されることが成立の条件となるわけであると私は思います。しかし、出されたそのものは廃案になったときと同じような内容、もちろん修正は含まれておりますけれども、そうなっている。 そこで、この際、大臣の率直な気持ちを聞きたいのでありますが、あなたは、法案成立を期するために、いま申しましたような経緯のあるこの雇用保険法案でありますだけに、どのような決意でもってこれを成立させるというお考えであるか、それをお伺いいたしたいと思います。
○長谷川国務大臣 枝村議員ただいま御指摘のように、前の国会で雇用保険法案を提案いたしまして、長い御審議の上に、そしてまた御熱心な御検討の上に、おっしゃられたようないろいろな修正、御意見が与野党の間に生まれて、この委員会は通過し、衆議院は通過したわけであります。 このたび私がぜひこれをまたお願い申し上げたいといいますことは、最近失業情勢、雇用情勢が非常に深刻になっていることは毎日の新聞で御承知おきのとおりであります。こういう情勢にこたえていくことが政府の重大な責任である。しかもこの法案には、皆さんが御審議いただきましたように、失業補償機能の強化と失業の予防のための積極的な施策を盛り込んでおられたということは万万理解しているところでありまして、しかも今日各方面からありとあらゆる、知事会、議長会、マスコミあるいは最近の雇用情勢の非常に悪化している組合、業界、こういう方々から毎日のように私たちは陳情も聞き、またその実態を知れば知るほど、何としてでもこの国会において諸先生方の御審議をいただいてこれを通過させまして、そして各方面のこういう社会経済の不安な状態のときにおこたえしたい、こういうことでございますので、何ぶんひとつ御審議の上、すみやかに御可決あらんことを心から期待するものであります。
○枝村委員 大臣の決意は、いまの発言だけではなみなみならぬものだというようには受け取れませんけれども、しかし前回のあの経験もあなたはなめられておるのでありますから、今度はという、そういうお気持ちのあることはよくわかっております。今日の雇用・失業情勢の中で、この法案が通ることによってどれだけの影響を与えるか、そしてどういうふうに役立つかというようなことは、この法案の持つ実行力にかかっておると私は思うのです。それで、労働者や関係者の不安をなくすためには、明確な、しかも具体的な、できれば数字を示して措置する以外に私はないと思うのですね。いままでの大臣の御発言によりますと、これはちょっと精神的訓話に類するもののような気がいたします。しかし、いまから質疑をかわす中で明らかにされるかされないかはわかりませんけれども、また与野党との間でいろいろ折衝をする中でそういう具体的なものが出てくるか来ぬかわかりませんけれども、そういういわゆる具体的なものを示さなくては、先ほど言いましたように、国民が納得するということにはなかなかならぬ。しかも、この雇用保険法案が施行されて、そしてそれで受ける人々というものは、これは早い話が、そのために犠牲になるあるいは弱い人たちのためのものでなければならぬということになりますと、ますますそういうことがいえるのではないかと思うのです。わずかな審議時間しかありませんけれども、この衆参を通じて、雇用・失業不安を解消するためのあらゆる対策を、ひとつそういう先ほど言いましたようないろいろな審議、折衝なども通じて打ち出していただきたいと思いますし、また労働省も、そのために大蔵省との関係その他の関係各省庁との折衝もありましょうが、そのために従来からもいろいろな壁になっておることも私もよく承知しております。ひとつそれを決意をもって乗り越えて、万全の措置をされるべきだろう、このように私は考えております。 現在、労使の関係あるいは諸団体や各階層の人人から多くの対策の要求事項が出されておると思います。わが党も雇用保障法案なるものの要綱をすでに定めておりまして、近く国民の前に明らかにする手はずになっております。今日の情勢の中の雇用安定のための緊急措置についての諸要求も政府に出す運びになっておりますだけに、こういうものをひとつ十分しんしゃくして、取り入れられるものはどんどん取り入れて、直ちに実行するように強く望んでおくわけであります。 長谷川労働大臣は、先ほども言いましたように、雇用保険法案を手がけられた最初の方であります、運がいいか悪いかわかりませんけれどもね。また再提出にあたって担当されることになったのでありますから、そして、しかも関係者からのいろいろなうわさを聞きますと、あなたはたいへん理解のある方だというように評価されております。それだけに期待が大きいと思います。今回の法案の中にあなたのその情熱を十分結晶になるように組み込んでもらいたいということを強く要望しておきたいと思います。 そこで、具体的な質問をしていきたいと思いますが、その前に最近の雇用・失業情勢の状況と今後の見通しなどを伺いたいと思います。以下数点にわたってやりますが、私の持ち時間がわずかしかありませんので、私も簡潔に質問いたしますから、簡潔に答えていただく、そういうように運んでいただきたいと思います。
○遠藤政府委員 お尋ねの最近の雇用情勢でございますが、御承知のとおり、昨年暮れの石油危機以来、日本経済が戦後始まって以来の非常な不況に見舞われておりまして、その影響を受けまして、時間外労働、労働時間、残業時間の短縮でございますとかあるいは中途採用の手控え、こういった企業内部の調整策が進行してまいりました。同時に、さらに進んで操業短縮、一時帰休というような情勢がさらに深刻になってまいりました。で、この夏から秋にかけまして、最終段階でいよいよ人員整理あるいは工場閉鎖といったような事態が相次いで起こってまいっております。そういう情勢がこの九月、十月きわめて深刻になってまいりまして、こういう不況の影響を一番受けております繊維、電機、こういった業界だけをとってみましても、すでに十月の時点でこういった人員整理、一時帰休を行ないました企業が百件をこしております。対象労働者数で五万人、こういう状態になってまいっております。 こういうことから、全体といたしましては、いままで非常に求人難、こういう労働力不足が強く叫ばれておりましたにもかかわらず、十月になりまして、求人倍率が初めて一を割って〇・九六にまで落ち込む、こういう状態でございます。また失業保険の受給者にいたしましても、前年同月に比較いたしますと、二五%を上回る増加を示しております。また完全失業者も、昨年の十月に比較いたしますと、四〇%増の七十五万人を数える、こういう状態になってきております。今後私どもは、こういう深刻な不況に対しまして何とか雇用政策を引き締めてまいらなければなりませんけれども、しかしながら、当面行政の最大の課題は、やはり何と申しましてもインフレの克服、経済の安定、雇用を安定させていくということでございますが、そのためには何としても現在行なわれております総需要抑制策は今後引き続き堅持されなければならないということになりますと、当面いましばらくはやはりそういった引き締め策が雇用の面に相当強い影響を及ぼしてくるであろうということは、私どもは覚悟せざるを得ないと考えておるわけでございます。したがいまして、この年明けから来年の一−三月にかけまして、こういうきわめて緊迫した雇用・失業情勢がなお強まっていく、こういう状態が続くであろう、こういうことを考えておりまして、これに対する私どもの雇用政策につきましては万全を期してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○枝村委員 失業情勢の悪化に対処するために政府はどのような考え方で臨むかということですが、いままでの私どもの受ける政府の宣伝による印象は、この雇用保険法案が通れば大きな役割りを果たす、こういうふうに受け取られるようなやり方をされておるし、少しことばをきつく言えば、雇用保険法案が通る、万能、これによってすべてどうかなるというような、こういう印象を国民は受けておるようであります。それで、もちろんいい面もありますが、そうでもないところがあります。特に女子労働者や若年の労働者など、あるいはその他の最も弱い層には、むしろこの法案は現行の救済措置よりも大きく後退している部面もあるわけなのでありますけれども、対処する上できわめて不十分な点が多いと思います。これらについて、最初にそれをお認めになるかどうか、こういう点の基本についてまずお答え願いたいと思います。
○遠藤政府委員 現在置かれておりますきわめてきびしい雇用・失業情勢の中で、現行の法制あるいは現行の行政措置、こういったものではこれに対応していくためにはきわめて不十分であるということを私ども考えておりまして、先般の通常国会で雇用保険法案の御審議をお願いしたわけでございます。もし先般の通常国会でこの雇用保険法案が成立いたしておりましたならば、ただいま申し上げましたような、この秋以来の深刻な情勢は相当部分事前に予防し、緩和することができたであろうと私どもは確信を持っておるわけでございます。しかしながら、ただいま御審議をお願いしておりますこの雇用保険法案が施行されますまでの間は、現行の諸制度をフルに活用することによってこれに対応していくほかはないと私どもはかように考えておる次第でございます。 この雇用保険法が万能であるか、こういうお尋ねでございますが、私どもも決してこの雇用保険法そのものだけが万能で、これをもって事足れりと考えておるわけではございません。しかしながら、現行の諸制度がきわめて不十分であるとするならば、私どもは何としても、これからのこういったきわめて重大な雇用・失業情勢に対応していくためには、まずその第一弾としてこの雇用保険法案を成立さす、その持っておる機能をフルに活用することによって対応していく、さらに積極的な雇用安定のための政策を進めていくということが私どもに課せられた使命である、かように考えておる次第でございます。
○枝村委員 万能でないということをお認めになりましたのですが、将来この法案が成立した暁には、これを出発点、基盤として、行政面でもすばらしい諸施策をとって失業の不安のないようにするという決意と受け取ってよろしゅうございますね。——そのためには、先ほど言いましたようないろいろな当面の諸要求の問題についても本気で取り組んでいく、できればこの法案成立と同時にそれらの問題も、付随するという意味で、ことばがいいか悪いかわかりませんけれども、同時に解決して国民に明らかにしていく、こういう姿勢を示されるべきである、こういうふうにまた理解したいと思います。 そこで、具体的にいきますが、雇用・失業情勢の今日のもとで、幾ら若年者の就職が前よりも容易になったとはいえ、しかしわずか九十日の給付日数では再就職のための十分な活動はできませんね。そればかりでなく、私は基本的に、三十歳未満の者は何年つとめても九十日というのは、現行の既得権の大幅の侵害である、こういうことはどうも基本的な差別に類する問題であるような気がするのです。たとえば、十七、十八歳で就職した人が三十歳までつとめて、まあ大体十二、三年の勤務ということになるのですが、この人でも九十日という制度になってくるわけなのですね。これはあまりにひどいと思うのです。これは前七十二国会ではこのことが中心になってたいへんな論議を呼び、若干の給付日数のあれがありましたけれども、どうもこれはたいへんだ、やはりこれがいま一番問題になっておると思うのですね。ですから、この所定の給付日数について再検討する考えはありませんか、こういうのが第一の質問です。
○遠藤政府委員 現行の失業保険法の中でのいわゆる失業補償と申しますか、失業期間中の補償のあり方につきましては、これは昭和二十二年に制定されました失業保険法が、その後幾たびかの改正によりまして今日の姿になっております。その失業補償のしかた、あり方につきまして、いろいろと各界、各方面から御意見をいただいてまいっております。こういうきわめて深刻な失業情勢を迎えてまいりますと、現行の失業保険法による制度では十分な対応はできない。これは先般来この委員会におきましても、各先生方から御指摘があったとおりでございます。 それではどうすればいいかということになりますと、就職のむずかしい人についてはできるだけその再就職までの期間を補償する、こういうことがどうしてもまず必要なことではなかろうかと思います。この数年来労働力不足が深刻になってまいりまして、求人難ということで、ここ数カ月求人条件がきびしくなってまいってはおりますけれども、そういう長期的な労働力不足の中で、なおかつきわめて就職の容易でない方々、これがやはり中高年であり身体障害者であり、あるいは社会的にいろいろ問題をかかえた方々である。それに比較いたしまして、こういう失業情勢が深刻になりましても、なおかついわゆる若い人たちにつきましては、新規学校卒業者と並んでやはり金の卵といわれるような状態でございまして、先般来人員整理が行なわれ、あるいは工場閉鎖が行なわれた、そこから失業を余儀なくされた方々の中でも、三十歳以下の若い人につきましては求人が十数倍に及ぶ、こういうことで、二週間、三週間、一月なんという期間を経ずしていままで以上の条件で就職が確保される、こういう状態でございます。しかも現行制度によります失業保険金の給付日数を実績を調べてみますと、三十歳の若い人につきましては平均六十日前後という実績が残されております。こういうことから考えますと、やはり就職のむずかしい人により手厚くする、若い人は、いままでの実態から見て、これからの雇用情勢の推移を見た上で、それに必要な十分な補償を確保する、こういうことで考えてまいりますと、私どもは今回の雇用保険法に盛られた、就職の比較的容易な三十歳未満につきましては、これは年齢によって差別するということでなくて、実態に最もふさわしい形の補償制度をつくるということであれば、九十日で十分ではなかろうか、こういうふうに考えた次第でございます。 ただ、この点につきましては、確かに情勢がいろいろと変化をいたします。今回のように失業情勢が深刻になりますと、新しい雇用保険法に盛られております個人別延長あるいは地域別の延長、あるいは広域延長、全国一律の延長、こういった、失業事態の度合いに応じて、九十日が六十日なり九十日なり延長される制度がつくられております。私どもは、若年者といえども、失業という事態に追い込まれた場合には、再就職をいかにお手伝いするか、その間の生活の安定のための補償を充実させるかということにつきましては、十全の対策を講ずべきである、かように考えております。したがいまして、この雇用保険に盛られた給付延長の制度を実態に即応して十分活用できるような体制を確立していきたい、こういうことによってその補償措置に欠けることのないよう万全を期してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○枝村委員 基本的な考え方と、当面の問題にどう措置するかという点について若干お触れになったわけでありますが、私はこの段階ではあまり深く追及することは差し控えたいと思います。しかし、個人別延長、全国延長で対処するということなんですけれども、その具体的な運用の基準ですね。基準の設定を新たにすると言われたのですけれども、そこはどこに求めてどういうふうにするかという点について、いま少し明らかにしてもらいたい。
○遠藤政府委員 給付日数の個人別延長につきましては、これは情勢が深刻になりました場合に、就職困難な状態ということを対象にしてこの延長を実施する考えでおりまして、この場合には、年齢とかそういったことだけできめるわけではございません。したがいまして、失業した人が九十日なりあるいは百八十日なり三百日なり、それぞれの所定給付日数をこえてなお就職できないような状態に客観的に置かれる、たとえば、一つの例をあげますと、不況産業から離職をして非常に困難な状態に置かれる、こういう事態もあり得ると思います。そういったものを、この給付延長の基準を設定いたします場合に、関係の審議会——雇用保険法について申し上げますならば中央職業安定審議会で十分その基準の御検討をいただいた上で、その答申に基づいて基準が設定されるわけでございます。その基準に基づいて、この給付延長の制度を実態に即して運用してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○田邊委員 関連。いま御答弁がありましたが、私はやはり、この春の情勢とここ数カ月の情勢は非常に変わってきていると思うのですね。ですから、さっき局長から答弁がありましたように、確かに年齢によって格差を設けるという方法は、中高年の雇用が非常に不安定な状況の中では一つの考え方ではあるわけですが、それはあくまでも前提があると思うのです。それはやっぱり若年労働者は再就職が容易である、こういう大前提があると思うのですね。ところが、つい最近を見ますと、若年労働者でもかなり再就職が困難な部面が出てきている、こういう判断をしないわけにはいかぬところにきていると思うのですよ。確かに現在の失業率一・四%ぐらいの状態は、アメリカの六%に近づこうというふうな状態とはまだ比較にならぬけれども、日本の土壌からいえば、きわめて人間が多いわけですから、しかも経済基盤が弱いわけですから、そういった点から見て、単純計算では比較にならない不安定要素が非常にふえてきていると思うのです。 そこで、婦人少年局長に、婦人の立場から見て、現在のこの状態に対応してみて、三十歳未満六十日を修正して九十日の今度の原案ですが、これで一体対応できるのか。いま枝村委員が言ったように、十五歳で中学卒業した者は三十歳までというと十五年勤めるのですね。それから高校卒業十八歳、それでも三十歳未満というと十二年勤める。いわば十年以上といういままでの二百七十日の既得権益が大幅に縮小されるという状態なんですね。しかしいま局長が言ったように、これは中高年に比べれば再就職が容易だという比較論からいえばそのとおりですけれども、私この間通産省へ私のほうの繊維業界の人たちを連れていった。現在繊維業界はまだ全体の産業のうちで三%ぐらいの生産高だけれども、これを二%ぐらいに減らさなければならない。いわゆる三分の一スクラップされなければ繊維産業は共存共栄ならぬのだ、こういうふうに言い放っているわけですね。そういう状態の中で、特に繊維産業に多い女子労働者などはきわめて困難な条件に置かれているのじゃないか、こういうふうに私は思うのでありまして、いわば若年労働者であり、婦人の労働者の再就職は現実に困難であり、この困難な状態というのはしばらく続くと見なければならない、いまの産業構造の状態から見て。こういう中で、これにいま枝村委員が質問されたような個別な面あるいは全国的な不況という、こういう条件だけで一体救済できるものかどうかという点に大きな心配を持っているだろうと思いますので、その点に対して、ひとつ婦人少年局長から御答弁をいただきたい。
○森山政府委員 雇用保険法案におきましては、ただいま職業安定局長から御説明申し上げましたように、給付の日数についての考え方は、相対的に再就職の容易な者と困難な者というものを、年齢によりまして区分しているわけでございます。この考え方は、特に婦人について女子だからという理由できびしい取り扱いをしようというものではないというふうに理解しているわけでございます。
○田邊委員 だめだ、そんな……。ぼくは別に婦人だから優遇してくれとかあるいは特別の措置をしろと言っているのじゃない。現在の状態を見れば、若年労働者の中で特に再就職困難な者は婦人ではないか。そうじゃないと言うのですか。婦人は再就職が容易だと言うのですか。そんなら別ですけれども……。したがって、そういう者に対してやはりいろいろな措置がとられようとしているけれども、それだけでは十分ではないじゃないか、そう思いませんかということを言っているのでありまして、十分だというならばそれでもけっこうですけれども、いまのように何か私の質問を取り違えて答弁されるのでは納得いきませんので、その点に対してもう一度念を入れて御答弁をいただきたいと思うのです。
○森山政府委員 確かに先生のおっしゃいますように、婦人につきましてはいろいろな男性と違った条件があることも事実でございますが、特に婦人の中で考えましたときに、若い婦人と中高年の婦人のことを考えますと、年齢的に若年の女子のほうが再就職が容易であるというふうに理解しているわけでございます。
○遠藤政府委員 ただいま田邊先生から御指摘ございましたように、たとえば非常に女子の就業者の多い繊維産業等につきましては、今回の不況のみならず、ただ単にそれだけでなくて、今後、繊維産業それ自体の体質の問題もございます。構造改善とかそういったような問題が出てまいりますと、当然繊維産業に従事している比較的多い女子労働者が他に転身をしなければならない、こういう事態が起こり得ることは私ども予想されると考えております。そういう際に、女子労働者だからどうかということでなくて、こういう一つの例が過去におきましてありましたような衰退産業あるいは転換を余儀なくされる産業、そういったところから失業を余儀なくされる若年の労働者、こういうものにつきましては、若年であると中高年であるとを問わず、先ほど申し上げましたような個人別延長あるいは地域的な延長、こういう措置を十全に活用することによりまして、御懸念のような点は十分カバーしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○枝村委員 いまの局長の答弁だけでは、これは納得できるという話の前の話であります。しかし、まあこれ以上言いませんが、少なくとも具体的に運用する場合の基準とかなんとかいうものをきめていくにしても、これはまた審議会なんかにかければ、たいへん時間がかかるわけです。問題は、いま起きておる不況、それから、いろいろ倒産その他の企業がたくさん出ておるところとか——少ないところもあるでしょうけれども、そういう地域に対して直ちに手を打たなければならぬという問題から、いまの九十日ではいかぬ、特に年齢の問題として今度の雇用法案は出ておるのですから。ですから、どうしても私どもの主張は、従来から唱えておりますように、やはりこのもとの——もとというよりはむしろ、百八十日ですか、いま九十日を百八十日に一律に上げていくべきだという主張は今日も撤回しておりませんので、そういう意見もきわめて、わが党それからその他自民党の中の方にもあると思いますが、多くの人々が要求しておる問題として十分検討の余地を残しながら、何かそれに近い、問題がいろいろあれば、やはり直ちにでき得る措置をするように強く私は要望しておきたいと思います。 その次に、今日の雇用・失業情勢のもとでは、最も被害を受けるのは中小零細企業の労働者であろうと思います。昭和四十四年の失業保険法の改正によって、五人未満の企業については全面的に強制適用することになっておりますが、現在まで製造業等の四業種についてしか適用拡大されていないことは、これはどう見ても政府の怠慢である、こういうふうに思うのです。この雇用保険法案では全業種に適用を拡大することになってはおりますけれども、その施行が五十年四月一日に予定されておりまして、失業給付を受けられるのは五十年の十月以降であるということになりますね。そうすると、現在の未適用の零細企業から離職してくる労働者には何らの救済措置がないということになる。この雇用不安のもとで、これらの最も弱い層の労働者の対策が放置されておるということは、これはきわめて重大な問題だと考えるのでありますが、これらに対してどのような対処をするか、これについてお伺いいたしたい。
○遠藤政府委員 ただいまの、いわゆる小零細企業で働く人たちの失業問題に対する対策が不十分だ、確かに御指摘のとおりでございます。従来、各社会保険を通じまして、五人未満の零細企業については適用されてないというのが実態でございまして、私ども今回の雇用保険法におきましては、一人でも雇えばすべて適用する、こういうたてまえを貫くことにいたしております。従来五人以上の企業につきましても、法的には適用になっても、現実に適用の手続がとられておりませんと、具体的に給付なり補償措置が講ぜられない、こういう、実際問題としてきわめて不備な問題がございました。私ども今回の雇用保険法におきましては、法的に適用対象ということになれば、具体的な実際の適用手続が行なわれてなくても、そこから離職をした人については失業補償が行なわれる、こういう制度的な立て方を完全に変えたわけでございます。したがいまして、四月一日以降は、どういう事態であろうとも、そこから離職した人は完全にカバーされる、こういうことになるわけでございます。 しかしながら、それまでの間、いま御指摘のような、四月一日に施行になりますそれ以前の未適用事業所、あるいは四月一日から適用になりましても、いわゆる失業給付の資格がつくまでの間の離職者、こういった点につきましては確かに御指摘のとおりでございます。私どもは、この点につきましては、法的な雇用保険法によります給付の対象とすることは、これは法律制度上きわめてむずかしい問題でございますが、現在雇用対策法の規定によりまして転換給付による手当制度がございます。ちょうど昭和二十二年に失業保険法が制定されました当時、失業保険法による新しい保険給付の資格がつくまでの間失業手当制度を別につくりまして、新しい失業手当法という法律によってそれまでの間をカバーする制度がつくられました。ちょうどそれと同じような関係になりますので、私どもは、こういった小零細企業で働く人たちの経過的な失業給付をどうするかということにつきましては、この転換給付制度によります手当を最大限に活用することによりまして、できるだけ新しい雇用保険法による失業給付に近いものが補償できるように対策を講じてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○枝村委員 次の質問をします。 総需要抑制政策がどんどん浸透していくに従って、出かせぎ労働者の求人も次第に減少しておると伝えられるし、採用の取り消しとか早期解雇などが相次いでおります。時間がありませんから、その状況、どうなっておるかということは答えてもらわぬでもいいですが、このような短期雇用労働者に対する五十日分の一時金制度を実施することは、このような出かせぎ労働者をきわめて大きな不安におとしいれるということになります。これについてひとつ再検討を行ない、少なくともその施行を延期すべきじゃないかというわが党の考え方を持っておるのですが、この問題についていかがでしょう。
○遠藤政府委員 こういう不況のしわ寄せを一番受けやすい季節出かせぎ労働者の問題につきましては、確かに御指摘のとおりでございます。私もたいへんこの問題に対して関心を持っておったわけでございます。 先般、長谷川労働大臣の御指示によりまして、北海道、東北それから九州の一部につきまして、私現地を見てまいりました。確かに御指摘のように求人がかなり減っております。昨年に比較いたしますと四〇%ぐらい求人減になっております。しかしながら、出かせぎにつきましては、求人が求職を過去数年非常に上回っております関係上、四〇%減りましても、なおかつ出かせぎに出たいという求職者に対しまして求人が十分これをカバーできるだけの状態がまだ持続いたしております。 〔委員長退席、大野(明)委員長代理着席〕 したがいまして、その点は私は当初懸念したほどではないということで、まずまずほっとしておったわけでございますが、だからといって私は、この出かせぎの人たちの出かせぎから帰ったあとの給付の問題につきましてないがしろにするわけにはまいりません。先般来御説明申し上げましたように、出かせぎから帰って現行の失業保険法による給付を受けておる人たちの実態を十分わきまえながら、こういう人たちが過去において受けておったものに大体匹敵する程度のものを一時金として給付する、こういう考え方で今日まで来ておるわけでございます。 過去の実績を見ますと、大体地域によって若干の差がございますけれども、平均的には四十七、八日から五十日前後というのが今年までの実績になっております。私どもはその実績を踏まえてこれを一時金という制度にいたしたわけでございます。むしろ私どもの耳には確かに現行の制度を続けろという御要望も入っておりますけれども、いままでのような安定所に月に二回出ていって、ほんとうは働いているけれども働いてないんだ、失業しておりますと言いながら、何とか、いやな気持ちを持ちながら保険金をもらわなければならぬというよりは、一時金をもらって、そしてさっと働きに出られる、こういう新しい制度をぜひ早くやってほしいという御要望も承っております。 私どもは、先般、通常国会におきまして、この委員会におきまして御修正いただいた線が最も妥当であろうか、かように考えておりまして、この点を再検討することはいまのところ考えておりません。
○枝村委員 おってもおらぬでも、この国会を通じて与野党でいろいろ話をしていきます。その結果は労働大臣は尊重するんでしょう。
○長谷川国務大臣 私は、人生で一番不幸なものは失業だと思っております。ことに私のように、先ほど予算委員会で岡田春夫君の話を聞いておりまして、昭和初年の不況の話が出て、失業者の話が出ておりました。社会が非常に暗いときの話が出ておりましたが、そういうことからしますと、皆さんに御審議いただいておるこの雇用保険法案でまず一ページをめくって、お互いの力でひとつお手伝いをする、そうしておいてその次にまた持っておる私たちの考え方なり御推進されておる問題などにおいてやれるものがあるならば一つ一つ片づけていく、こういうふうな考えでおります。ぜひそういう意味において、いままで御審議いただきましたこの内容については、先生方のほうがお詳しいことでございますから、十分に御審議いただきながら御協力をいただきたい、こう思っている次第であります。
○枝村委員 あまり回答になりませんが……。 それと、給付日数の五十日、これは一時金であっても、九十日が五十日になったのですから、これを何ぼか増加させろという意見も当事者の中にはあるのです。あなた、聞いちゃおらぬというような顔をしておるけれども、あるのです。これも当然検討の問題としてほしいということだけひとつ要望しておきます。 それから一時帰休や操短が、先ほど説明がありましたようにどんどん進んでおりますが、これに対する対策を今度の雇用保険法案の目玉商品として政府自身は自称していらっしゃるわけです。確かにそういうことも見えるのでありますが、この施行が五十年四月からでは、現在の雇用と失業の不安解消にはあまり役に立たぬ。緊急に来年早々から休業時における賃金を補償するための対策を実施すべきではないかというのが圧倒的な声だと思うのですが、どうですか。
○遠藤政府委員 確かにこの雇用保険法の早期成立を要望されております関係労使団体あるいは地方自治体、こういったところでは、その中の一つの大きな目玉になっておりますこういう不況の際における雇用調整対策を早急に実施しろというたいへん強い御要請を承っております。私も、この六月の通常国会で成立させておいていただけたら、こういう問題には十全に対応できたであろうと残念に思っておりますが、しかしながらこの国会が十二月二十五日まででございます。十二月二十五日に成立をさせていただきましても、それから一月まで一週間しかございません。物理的にもきわめてむずかしい問題でございますし、また制度的にもいろいろ問題がございます。これを一月から即刻実施しろという枝村先生たいへん御理解のある御質問でございますけれども、私どもはたいへんむずかしいことではないかと考えております。しかしながら、だからといって四月一日まで漫然と放置していいと考えているわけではございませんので、現行の諸制度をこの雇用保険法の趣旨に沿って十分活用することによって、できるだけそれに近い対応策を講じてまいりたい、かように考えておる次第でございます。 しかしながら、先ほど来この委員会で、与野党で話し合いをするのだというお話もございますが、そういう与野党でお話し合いをいただいたこの委員会の御意見につきましては、私ども十分尊重してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○枝村委員 これは一月から直ちに施行するように強く要望しておきます。 その次に、最近どんどん進んでおりますインフレの中で労働者が失業の不安と生活苦の二つの苦労に悩まされておるのですけれども、失業した場合のただ一つの救いであった失業保険金の給付が、政府の提案の雇用保険法では最低日額が千二百円、月額に直して三万六千円です。これではとうてい生活ができぬわけでありまして、最低日額の大幅引き上げをはかるべきではないか、こういうふうに思っておるのですが、どういうお考えかお伺いします。
○遠藤政府委員 この点は確かに先生御指摘のとおりでございまして、特に賃金額の低い層につきましては、私どもは十分配慮していく必要があると考えております。実は現行の失業保険法におきましても自動スライドの規定がございまして、ことしの春の賃金引き上げによりましてかなりな賃金の上昇が行なわれております。その結果を受けまして、ことしの十月一日から三三%失業保険金の日額の引き上げを行なったわけでございます。さらにこの雇用保険法におきましては、これに三八%上げて最低額を千二百円とする、こういうことで御審議をお願いしているわけでございまして、この最低日額につきましては、私ども、賃金の低い階層に属する人たちにつきましては今後とも十分配慮をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○枝村委員 次に、最近の経済情勢が悪くなっておりますので、企業の賃金不払いが相次いでおるというようにいろいろ聞いております。賃金不払いというものは、これは私どもから言えば罪悪だと思うのですね。言いかえれば重要な犯罪行為だ、こういうように思っておるのです。しかも賃金不払いが多いのは、社会的弱者である中小企業、零細企業につとめておる労働者でありますから、その対策が今日まで一つも講ぜられておりませんのは、これはむしろ政府の怠慢であると同時に、政府も同罪であるといわれてもしかたがないと思うのですね。ですから、公的な制度として未払い労働債権を、賃金債権ですか、これを救済するための制度を確立する必要があると思うのですが、これはどこが答えるのですか、基準局長ですか。
○東村政府委員 ただいま御指摘のように、不況が深刻化する中で不払い賃金の状況が変わってきております。本年の九月末における未払い賃金の不払いの累計は千五百件、対象労働者数で一万四千人、金額で二十九億円となっておりまして、増加する傾向にあると思います。 問題は、いま先生御指摘のとおり、賃金不払いといいますのは、労働者の生活の唯一のかてでございます。たいへんな問題でございますので、私どもは総力をあげましてこの問題についてとにかく早期発見して早期措置するという態度でやっております。現にそういうかっこうでかなりのものを解決はしておりますが、さらに今後のことを考えまして、今月十三日に賃金不払いの未然防止をはかるため、関係業界等に警告を発したところでございます。いま先生御指摘の賃金債権を救済するための制度という問題がございますが、私どもも賃金債権を確保するため、賃金債権について強力な先取り特権を設けてはどうか、ないしは何らかの救済制度を設けてはどうかというような御意見があることも存じております。ただ、この問題は公租公課その他私法上の債権との関係等、検討を要する問題が多くございますので、今後十分に研究していきたい、こういうふうに考えております。
○枝村委員 職安局長にお伺いしますが、あなたの所管の関係であるかないかわかりませんが、雇用安定、そういう意味の立場から、このいわゆる未払い労働債権救済制度の確立、こういうことに対して、あなた方の立場からどうするかという点について何かお考えがあれば明らかにしてもらいたいと思います。
○遠藤政府委員 この未払い賃金の救済制度の問題につきましては、過去十年来いろいろと議論をされてきたところでございます。私どもは、こういう人たちが、たとえば中小企業等で倒産によって賃金が払われない、こういう人たちは実は失業補償——現行の失業保険法なり今後雇用保険法によって、失業期間中の生活はある程度保障されるということでございますけれども、過去において労働を提供してその対価が支払われないまま放置されるということにつきましては、これはたいへん大きな問題だと思います。 今回の雇用保険法におきまして、いわゆる不況による一時休業に対して、労務を提供しない、労働を提供しない期間中のいわゆる休業手当、賃金について何らかの国の援助制度をつくっていこう、こういう考え方が今回新しくできたわけでございます。となると、現に働いた者に対する賃金の補償が、いまなおただ単に基準法によって使用者に義務づけられている、あるいは罰則が設けられているだけでは足りないんじゃないか、当然あってしかるべきじゃないかという御意見も非常に強く私ども承っております。ただいま基準局長がお答えいたしましたように、非常にむずかしい問題がたくさんございますけれども、そういった基本的な考え方に立って、私ども、この雇用保険法ができましたならば、いろいろな現行の諸法律、諸制度の中で、こういうものを検討いたしました上で、できるだけ早い機会に制度的にこれを救済できるような方途を講じてまいりたい、検討してみたい、かように考えております。
○枝村委員 もう時間が来ましたので、あとまだ二、三ありますが、これは私のほうから言います。 三事業の労使運営委員会制度の確立とか、中高年の常用就職支度金の適用五十五歳を四十五歳とするなどのいろいろな要求がまだあるんですけれども、これらはひとつ審議会やその他の中で十分論議するなり、あるいは運用の面でこのわれわれの要求が十分生かされてくるように御努力をお願いいたしたいと思います。 以上で大体質問を終わるわけですが、先ほども申し述べましたように、この法案の成否は一にかかって国民の期待に、またはいま雇用と不安にあえいでいる労働者、農民に対して具体的にこたえることができるかどうかにあると私は思うのです。三木内閣は不公正是正という、そうして弱い層への手厚い施策を政治の中心に据えなければならないと言ってはっきりその姿勢を打ち出されております。長谷川労働大臣は三木内閣の閣僚であるし、担当の労働大臣でありますから、この三木内閣の方針をひとつあなたが率先して実行するように大努力をしていただくようにお願いいたしまして終わります。
○長谷川国務大臣 だんだんの枝村さんの御議論、よく拝聴しました。私は、日本は加工国日本でして、額に汗をする勤労者が一番の財産だと思っております。そういう意味からしまして、そういう方々が困らないようにすることが私たちのつとめである、またそういうことをわが内閣全体の問題として推進することが大切なことだ、こう思っておりますので、せっかく御激励のほどをお願いいたします。
○大野(明)委員長代理 次に、田口一男君。
○田口委員 私は、労災保険法の一部改正案について、時間がございませんから三つほどに問題をしぼって端的なお答えをいただきたいと思います。 今回のこの改正案の中身につきましては、給付水準その他を見てなお問題があると思うのですが、それらはさておくといたしまして、かりにこの法案が通る——現に法律があるわけでありますけれども、労災保険の給付を受けるためには、たとえいかないい内容を持っておっても、それが業務上であるという認定がなされなければ給付を受けることはできない、これはあたりまえのことなんですね。その業務上であるかいなかについて、ごく最近までに俗にいわれる労災裁判というものが頻発をしております。その労災裁判というものの中身についてここで、時間がありませんからこれはこうだ、あれはこういうふうになっているということを私は求めるんじゃありませんけれども、今日まで行なわれておる労災裁判の特徴的な傾向ですね、こういったものについて、大まかに言えばどういうことになるのか、それをまずお伺いをしたいと思います。
○東村政府委員 先生ただいま御指摘のように、労災補償保険と申しますのは、労働者が業務に基因して負傷、疾病をこうむったというような場合に給付するわけでございます。それに対しまして監督署のほうで認定するわけでございますが、これにもし不服があるとするならば、労災補償等を扱っております保険審査会でその認定をいたします。 〔大野(明)委員長代理退席、葉梨委員長代理着席〕 さらにそれで問題があれば裁判所に行くということになると思うわけですが、先生いま御指摘の中にあることは、やはり監督署が業務上外を認定する際のやり方といいますか、そういうものにかかわると思うわけでございますが、私どもといたしましては、裁判所のことは別といたしまして、ただいま申し上げましたように、業務上外の認定をいたしまして、業務上であれば保険給付をするわけでございますが、その最初は何と申しましても被災者が請求手続をしていただかなければいかぬ。その際には、災害の原因となるべき所要の事実関係を一応明らかにしていただくということから出発いたしまして、それに基づきまして、一定の認定基準というものを持ちまして、監督署長がそれに照らし、判断をいたしまして、やはりこれは業務に基因する負傷、疾病であると認定すれば、それを業務上として保険給付をいたします。こういう仕組みになっているわけでございます。
○田口委員 いまのお答えいただいたことは大体わかるのですが、そういった監督署の判定、認定、それが不服であるから審査会に持ち込む、さらにその審査会の判定が不服であるから裁判に持ち込む。これは当然の権利ですから、私はそのこと自体は悪いと言うのじゃないのです。往々にして認定をめぐってそういう争いが起こるということは、たとえば工場の敷地の中で、だれが見てもこれは業務上だということについては、金額の高い低いは問題にしますけれども、これは裁判で争うというようなことはまずないわけですね。ところが、私が言いたいのは、この業務上に基因をするのか、まあおたくのほうの専門用語でいえば非災害性というそうでありますけれども、疾病、本委員会でも相当問題になっております頸肩腕症候群の問題であるとか、そういったいわゆる職業病というものの認定について争われておる内容が多いのじゃないかと思うのです。もちろん私は、争われておるからといって行政当局の認定が狭きに失するということを責めるわけではございません。従来に比べれば相当行政解釈というものが今日拡大をされてきておるということは私は否定をいたしませんが、拡大をしてきておることは認めますけれども、なおかつ、今日そういった俗にいう労災裁判が頻発をしておる。 そこで、私は私なりに思うのですが、業務上であるかいなかをなぜ重要視をするかといえば、大体四つくらいのメリットといいますか、実益があると労働者の側から思われるわけですね。一つは、労災の給付を受けるということにきまれば、給付の内容が今日の制度のもとでは、他の社会保険、たとえば健康保険であるとか厚生年金であるとか、そういった社会保険上の給付に比べて比較的労働者にとって有利である。これは現行制度のもとでは否定できない事実ですね。それが一つあるのです。 それから二つ目には、あまり大きな声では耳に入ってこないのですが、ちょいちょい聞くと、ある一定企業に、労災の保険ではメリット制というのがあります。そのメリット制ということがあるために、その企業においてそういった業務上の災害が続発をする、または認定されることによって、その企業にとっての財政負担というものがふえてくるという懸念、それを企業のほうがあまり大きな声では言っておりませんけれども、ひそひそ言っておるわけですね。それから財政負担を軽くするために、なるべく、まあだれが見てもはっきり業務上であるものはともかくとして、判定のむずかしいものは証明をしない、これは私病扱いにする、業務外にする、こういったことが出てくる傾向が一つあるのです。これが二つ目。 それから三つ目には、これは社会的な機能になると思うのですが、そういった業務上の判定をされた場合に、そういういま私が申し上げた頸肩腕症候群とかいろいろな職業病、そういったものを起こしてくる作業態様、作業方法、こういったものを当然に直さなければならぬわけですね。直すことによる企業の負担というものもあるし、また社会的に非難をこうむる。このことによって改善をしていかなければならぬ。こういったメリットというものが三つ目には考えられる。 さらに四つ目には、そういったことを総称して、総まとめにして、今度は行政当局の皆さんのほうでいろいろな予防上の方法を策定をしなければならぬ、実行させなければならぬ。こういった、何といいますか社会的機能というものが、この労災の業務上であるかなしかを争うことによって、業務上にさせることによって、そういう機能というものが充実をしていくということが、今日までの経験で大体明らかになっておると思うのです。そういうことから、いいことではないにいたしましても、労災裁判というものが随所で行なわれている。 そういう前提のもとに、ここでひとつ検討を特にはっきりとしていただきたいのですが、頸肩腕症候群の問題であるとかそれから腰痛症、これは私の地元で一つ起こっておるのですけれども、コンクリートのヒューム管なんかをつくる工場があるのですが、その仕事の内容から腰痛症がふえておるのですね。他の産業でもそういうのが多いと思うのです。腰痛症の認定にあたって、仕事をしておるときに腰痛症らしいものが起きればまあ問題はないのですけれども、仕事が終わって、うちへ帰ってテレビでも見ておる、そういったときに往々にして発生をする。この場合の業務上の認定がたいへんに時間がかかるといわれておるのですね。したがいまして、ここで当局のほうではっきりひとつ検討を約束をしていただきたいのは、今日まで労災裁判も数多く行なわれておる、さらに行政実例でいろいろな拡大解釈をされてきておるのですから、もう技術の進歩だ、何だかんだと言って将来のことを予測するよりも、今日の時点で頸肩腕症候群、腰痛症といったような、その他新しい職業病については、これは業務上であるということをはっきり——大体もうはっきりされておるケースが多いのじゃないか。ですから、昭和四十三年二月二十一日の、おたくのほうから出た基発第七十三号ですか、「腰痛の業務上外等の取り扱いについて」、これなんかもう古い時代のものですから、この際新しい見地に立って、あまり争いを起こさないために、これはこういうものは業務上にしますという新しい基準通達というものをつくり上げていく必要があるのじゃないか。そういう点について当局のほうではどう考えておられるか。
○東村政府委員 ただいま業務上外の認定の手続といいますか、そういうことは申し上げたわけでございますが、御指摘の中にございましたように、頸肩腕であるとか腰痛であるとか、こういういわば非災害性と申しますか、職業性疾病といわれる問題につきましては、その発症の機序といいますかメカニズムといいますか、そういうものでもまだ非常に未解明の分野がございます。しかしそう言ってはおられませんので、私どもは一応の認定基準というものをつくりまして、その認定基準に合致すれば職業病ないしは業務上の疾病であるという判断をするわけでございますが、ただいま申し上げましたようになかなかむずかしい問題でございまして、問題が新しく出てまいりますとなかなかその基準では対応できないという問題もございました。しかしいま御指摘のございましたように、それではなかなか労災の業務の処理が円滑にまいりませんので、たとえば頸肩腕症候群についても認定基準を改める、さらには御指摘の腰痛についても、専門家会議を持ちまして腰痛の業務上の認定についてもっと円滑にいくようにその認定の基準を改めるという態度で現在検討しているところでございます。
○田口委員 検討をしていただいておることはたいへんけっこうなんですが、今日までの私がちょいちょい聞く話の内容によれば、どうしてもお医者さんの診断書ということが一番のきめ手なんですね。ところがお医者さんのほうも——医者の技術どうこうということをいうんじゃありませんよ、たとえば腰痛症の場合には、何とか性ヘルニアというんですか、そういうものとまぎらわしい。それになるとこれはもう業務上にはならぬわけでしょう。ですからいま検討をされるという中身の中に、さっきから私が何回も言っておりますように労災裁判や行政実例をずっと積み重ねてきておるのですから、一つの経験則として、こういう仕事を長く続けておったら、そこで起こる腰痛なりまたは頸肩腕症候群なりその他の職業病といわれるようなものは、これはもうよほどの事情がな限り業務上と認定をする、こう言い切っても差しつかえない時代に来ておるんじゃないか。ただお医者さんの診断書が唯一のきめ手というんじゃなくて、いままでずっと積み重ねてきた行政実例なり作業態様というものを見て、これは申請があれば文句なしに職業病にする、こういうふうにしてしまえば、さっき言った審査会への不服申し立て、さらにそれに対する不服で裁判に申し立てる、こういった時日をかけてその間労働者は何もかも自費でやらなきやならぬわけですから、そういう面が大いに緩和をされるんじゃないか、その点もひとつ検討の材料にならないかどうか、その点だけ。
○東村政府委員 ただいま申し上げましたことの繰り返しも若干入るかもしれませんが、要するに、いま先生おっしゃったようなこういう業務についていたらは、これくらい長くやっていたらこういうふうな腰痛が起こるであろうというのがいろいろの症例なり積み上げで明らかになってくるならば、そういうことをきちっとしたらどうかというお話でございますが、それは私ども一般論としてはそのとおりだと思いますが、どういう業務にどういう長さ従事したらどうなるかというところに、いざ具体的な業務上の認定基準をつくるという際の苦労があると専門家が言っておるわけでございます。特に腰痛などは、たまたま先生お話しございましたように、自宅におっても起こるんじゃないかとか職場外でも起こるんじゃないかというような問題も実はございます。しかし、いずれにいたしましても腰痛の問題はずいぶん出てまいりますので、一歩前進しながらいま私申し上げたようなことが明らかになるような、そういう業務上の認定基準をつくりたいというふうに考えております。
○田口委員 じゃ、ひとつその検討を早く進めていただくことを要望しまして、次に進みたいと思います。 これもまあ理屈を言えばなるほどということなんですが、私はむずかしいことはわかります。それは前もって言っておきたいのですが、この別表の労災の障害等級表ですね。一級からずうっと級がありますが、その等級表の内容を見ますと、たとえば第一級が「両上肢を肘関節以上で失ったもの」であるとか、さらに二級の場合には「両下肢を足関節以上で失ったもの」であるとか、いろいろと障害の程度が書いてあるのですが、ある人に言わすと、この労災の障害等級表はまるで肉屋みたいだというんですね。腕一本切ったから幾ら、足一本切ったから何級だ、まるでこれは園屋みたいじゃないか。だからむずかしいと思うのですけれども、労災の補償の原則というのは、災害を発生した時点の労働能力の喪失ということをてん補するのが労災補償保険の原則でありますから、その人が腕一本切ってもその腕による度合いというものは、これは軽重というと語弊があるのですが、熟練度とかそれから年齢とか、さらにまた技術とかいろいろ差があると思うのですね、同じけがをしても、腕をなくしても。そういったことをこの障害等級表の中に、画一的にいまのようにやるのじゃなくて、盛り込ませることが必要なんじゃないかという声が最近強くなってきておりますね。これはむずかしいと思いますよ。主観も入るでしょうし、これは客観的になかなか判定しがたいと思うのですが、そういうことが今後の検討材料にならぬかどうか、ひとつお伺いしたいのです。
○東村政府委員 労働基準法施行規則別表第二一で、おっしゃいましたように障害等級が一級から十四級までございますが、そのおのおのに具体的な明示がございますが、そのしかたは先生おっしゃるような形になっております。 ところで問題は、いまお話しございましたように、失われた労働能力、稼得能力といいますか、それを補償するというたてまえならば、たとえば年齢であるとか職業であるとか性別であるとかいうものも加味しなければならぬじゃないかというような御指摘かとも思いますが、そういう問題も含めまして、それから障害等級の区割りがこういう十四でいいのかどうか、また障害そのものがダブった場合にはどうするのだとか、それからいまのようなお話とか、これはいろいろ従来から問題にされ研究されております。現在障害等級専門家会議というものを設けまして、なかなかむずかしい問題ではございますが、いま申し上げたようなことも含めまして結論を求めるべく努力をしておる、こういう段階でございます。非常にむずかしい問題でございますが、意識はしておる、こういうわけでございます。
○田口委員 おっしゃるようにむずかしいことはわかるのですが、事不慮の災害によって労働能力を失い、それが原因になって生活に大きく響くわけですから、万人が万人とも納得のいく基準というものはむずかしいと思うのですけれども、それに対応するような障害等級表、そういったものについて、より検討を深めていただきたいと思います。 時間がありませんから最後に一つ、一部改正法に関連をしてでありますが、先般十五日に脊損患者の方が車いすに乗っていわゆるデモ行進をやられたことは御存じだと思うのです。その内容について、時間がありませんから多くを申し上げませんが、私はただ一つ、脊損患者の方はほとんどはうちで、施設じゃなくて在宅のまま療養をしてみえる方が多い。その在宅脊損患者の介護料につきましては、逐次お互いの努力によりまして増額をされてきておることは認めますけれども、今日たしか一カ月一万八千円。一万八千の介護料ということでは低きに失するという以外に言いようはないのですね。この前の十五日にデモをされた方の声が新聞なんかに載っておるのですが、一カ月最低三万一千九十二円かかると言っておるのです、この脊損患者の連合会の調査によると。ですから、こういった生活実態からいって、ほとんどの方が自分で用をなせない、こういう脊損患者の在宅介護料については、一万八千円では低いのじゃないか。少なくともいま言った三万一千九十二円という実態があるのならば、それに近づける意味で、この際三万円程度に引き上げるということはどうなのか、こういう点について私はずばりお伺いをし、それに対するお答えを聞いて終わりたいと思います。
○東村政府委員 御指摘のように、脊損の患者の方で自宅療養をしていて、常時介護を要する方に対しましては、本年におきましても介護料を月一万円から一万八千円に引き上げました。しかし、まだまだというお話でございますし、われわれもそういうふうにも考えますので、まあ類似の制度等もございますが、それらとも見合いましてさらにこれを増額する、改善するという努力を続けてまいりたいと思います。
○田口委員 では、終わります。
○葉梨委員長代理 次に、島本虎三君。
○島本委員 大臣がまだお見えになりませんので、その間一問だけちょっと皆さんに大略の問題として、保険行政全体の問題について一つお聞きしたいことがございますので、その点賢明なる政務次官をはじめとして皆さんから御答弁願いたいのでありますが、四十八年のたぶん通常国会のときだと思いますが、政管健保で定率一〇%の国庫補助を新たにつけた際に、弾力条項を発動すればそれに従って国庫補助も増加させることができる、こういうような一項があったように存じております。本年は二月と十月に医療費の引き上げを行ないましたし、二回も一年に上げるのは、これはまさに異例なことでございまして、弾力条項は百分の八まで、これは社会保険審議会の議を経て国会に報告する、そういうようなことになっているのでありますけれども、これはもう弾力条項が通ると五年以上は保険財政が安定するという含みがあったはずでございます。それに対して、一〇%から二八%の国庫補助をつけるように記憶しておるが、これはもうどうなっているのか。また同時に、千分の四をこれももうすでに上げてしまったという、大幅でありますけれども、これに対して国庫負担はどうなっておるのか。大体日雇い健康保険の財政の問題は総体の問題として政管健保と同じような歩調をとっておりますので、この点についての財政的含みをまず先にひとつ解明しておいてもらたい、こう思うのでございます。
○山高政府委員 ただいまの先生のお話でございますが、国会に御報告申し上げておりますように、保険料率の引き上げは弾力調整規定を適用させていただいたわけでございまして、千分の四をこの十一月から適用させていただいたわけでございますが、その結果といたしまして、国庫補助でございますが、千分の四に連動いたしまして千分の三十二、すなわち国庫補助額にいたしまして百四十一億というものを新たに一般会計から導入するということになったわけでございます。
○島本委員 これもやはりそういうような点からして、国庫補助の点並びに最も恵まれない階層に対しましての弾力条項に伴う国庫補助の段階、こういうようなものをきちっと整備しておいて、今後答申その他がございますけれども、これに沿うて万遺憾なきを期するんではないか、こう思われますが、私はそういうふうに理解しておるのでありますが、私の理解は当然だと思うのですが、そうでないと困るのでありますが、一応お伺いしておきます。
○山高政府委員 おっしゃるとおりだと思います。
○島本委員 私のほうでまず聞いておきたい点があるんですが、姿勢の問題から始まるのです。ことに日雇い健康保険のこの改正の問題になりますと、このことばは使いたくないのですが、いわゆる社会的弱者救済、いまの内閣の目玉的な一つの行き方でありますその姿勢の問題にもからまるわけであります。そういうような問題からして、三木総理がこの社会的不公正、不公平を解消することを重点にする、こういうふうに記者会見等においてもはっきり発表しているわけであります。弱者対策といわれるこういうような事態からして当然これは必要なことであり、その意味におきましても日雇い健康保険法の改正法案、これに対する一つの考え方というようなものははっきりしていないといけないと思うのであります。同じ国の制度の中で、生活に困る人が入っている保険、これを先に解決してやる、それが日雇い健康保険である。これまでおくれているのは問題であるけれども、今後は改善、改正のこの提案の時期、こういうようなものを十分に考えるべきだ。いつも政管健保のあと追い、これがいままでの日雇い健康保険の実態であります。政管健保のあと追い、こういうような行き方ではだめじゃないか。改善の要求、これをまずまっ先に考える、これが三木新政権の、総理大臣の言明の線にも沿うのじゃないか、こう思うわけであります。いつも政管健保のあと追いだけで改善をしていく、こういうようなやり方はもうすでにだめであります。 したがって、田中正巳新厚生大臣は同じ北海道でありまして、私もかねてその厚生行政に対する熱意の点においては敬意を表しておる一人であります。しかし、やはり三木総理がともすれば口舌の徒である、こういうようにいわれておりますことと同じような行き方は決してとる人じゃない、私はそれを信じて疑わないのであります。したがいまして、むしろいわゆる社会的弱者対策、弱者救済、社会的な不公平の解消、この実現ということならば、むしろこの日雇い健康保険なんかのほうを先に考えるのが正しいので、最低でも同時にこの改正、改善をするという姿勢をとることが大事だと思うのであります。この点等について、その姿勢をはっきりさせることにつながりますが、新大臣の本法改正に対しての姿勢をお伺いしたいと思うのであります。
○田中国務大臣 日雇い健康保険につきましては、かなり実は従来財政上の無理がございました。いろいろと苦心をいたしてきたことは事実でありまして、先生御案内のとおりでございます。そこで、何とか日雇い健康保険法の給付内容等について健康保険法等の内容と同じにしたいものだというのがせめてものいままでの念願でございましたが、何ぶんにも保険料負担能力等につきましても、実は率直に申してかなり弱いものでございますから、したがってそこへ追いつけなかったわけでございますが、日雇い健康保険の被保険者といえども健康保険並みの給付を受けさせたいというせいぜいの努力がやっとこの法律案に成熟をしたものというふうに思っておりますが、この法案は率直に申して私の就任以前にすでに先生方の御審議を経たものでありまして、これをそのまま実は提出をいたしたわけでありまして、私就任後まだ十日ぐらいしかたっておりませんので、この法案の内容をさらに前進せしめることについてはそのいとまもなかったわけでありますが、この内容が三木内閣の、弱い不遇な人々に対する施策としてもっと前進せしめるべきであるということについてはわかりますが、反面、実はかなり保険料負担等については低いものでこのような給付内容を実現をするということについては、相当な政治的な、また行政的な努力をしたあとが見受けていただける、評価していただけるものというふうに思いますし、保険料負担についても急にこれが増額しないように、現実の問題とあわせ考えまして徐徐に上げていくということでありまして、かような点を考えますれば私は、この日雇労働者健康保険法が他の一般の健康保険の被保険者に対してと同じ政策手法をとったものではなしに、やはり不遇な人々、恵まれない人々に対し手厚い施策を考えた結果によるものであるというふうに思いますので、今後の問題はまたいろいろと私自身の手で検討いたしますが、とりあえずのところある程度の成果であるというふうに御評価くだされば幸甚これに過ぐるものはないというふうに存ずる次第であります。
○島本委員 そのおっしゃる内容、よくわかりました。本法で組まれておる、いわゆる恵まれないという日雇い労働者の健康保険法の改善——日雇い労働者という身分は、大臣十分おわかりでございますか、恵まれない日雇い労働者。日雇い労働者というからこれはその辺にごろごろしている人か、こう思われる人もあるかもしれない。これだって身分もあるのです。はっきりと制度化しなければならないような人たちなのです。わりあいに日の当たらないところにいるのは事実です。この身分もはっきりしてあるのですよ。事務当局もこれは知っていますか。
○北川政府委員 日雇労働者健康保険法上におきましては、日雇い労働者という概念に当たりますものは健康保険の適用事業所に使用される方々でございます。先生の御質問は身分ということでございますけれども、それ以外に、この法律の仕組みは、いわゆる失対労務者の方々、こういう方々もやはり健保の事業所に使用されれば適用を受ける。この法律のたてまえから申しますとそういうことになろうかと思います。
○島本委員 やはり官僚はいいことを考えるわけであります。いま言ったことを全部やってもそつはないのです。しかし大もとが欠けているのです。日雇い労働者というこの基本になっているものはやはり一番恵まれない人です。だけれども身分ははっきりしているのです。非常勤の特別職の地方公務員ということになっているのです。そのほかの人はそれに類する人たちなんです。したがって、やはりこれははっきり制度化してやらなければならない立場の人、しかしながらそういうようなことであるから一般と同様にできない人、やはり何とか手当てをしてやらなければならないという階層の人なんです。その点はっきりしておいて、この日雇労働者健康保険の一部改正法案が、これはもう本国会で当然成立すべきであります、するでしょう。しかし、根本的な改善をしなければ、劣悪な労働条件で働く日雇い労働者が真に活用することがまだまだできない、こういうようなことになっております。したがって、これは大臣の手元には——もうすでに前大臣のほうに行っておりますが、社会保険審議会の会長から四十九年一月三十一日にちゃんと答申が行っているはずです。それに基づいてなされたのであります。その中に、この制度については制度のあり方、適用範囲、受給要件、財政問題等の懸案が残っているから引き続いて改善について検討せいと、これが付帯的にきわめてはっきりといわれているわけですね。やはりこれをやっていかないとまだまだこれは十分なものとはいえない。身分ははっきりしているのです。恵まれないのだ。こういうような人たちにほんとうは最高でもやってやらなければならないのに、やってやれないから、せめてこれで救済しているのでしょう。せめて残された条件だけはきちっとさせてやるというのがこれからの大臣の姿勢でなければならないと思うのでありますが、大臣、この点よろしゅうございますか。
○田中国務大臣 ただいま仰せの趣旨で今後とも最善の努力をいたしたい、かように思います。
○島本委員 具体的な内容の問題に属します一、二点について触れさしてもらいます。 日雇い健康保険の制度の上で、掛け捨ての問題が依然としてこういうような恵まれない階層の者にあるわけであります。これは受給要件として、二カ月二十八日、六カ月七十八日でしょうか、印紙を貼付した者が資格がある、こういうことになっておるのでございましょう。どちらも欠けた場合、給付の資格が得られない、掛けただけ掛け捨てになる、こういうようなことになっております。したがって、制度的に掛け捨てということはこれはたいへんであります。全国の調査では七.八%が掛け捨てになっているようであります。最近の不況、操短、それから全港湾のようにもう出ていっても仕事そのものがない、こういうような状態にあるのでありまして、これは受給資格要件を緩和する、こういうようなこともまず必要なんじゃないかというのが、一つの考え方として最近の事象の中にあるわけです。これは委員長もよく聞いておいてください。ここは大事なところです。したがって、今後は一例として受給資格を満たされない場合の要件、これは政府が総需要抑制政策をとっておりますから、これに始まって惹起する事態、したがって政府並びに使用者の責任に基づくものに対しては、やはりきちっとして印紙を使用者に貼付することで受給資格を得させるべきじゃないかと思うのであります。特別措置を講ずる必要があるのじゃないか、こう思います。最近のあらわれた新しい事象として、そういうようなことが方々に起こっているのであります。これに対してやはりあたたかい手当てが必要じゃないかと思いますが、具体的に内容の基本的な問題の一端としてお伺いいたします。
○北川政府委員 ただいまの保険料掛け捨て問題ということに関連をいたしまして、受給要件の緩和についてのお尋ねでございます。受給要件の問題は、実は先生も十二分にこれは御承知のとおり、日雇い労働者というものを対象にいたしております限りこの制度の基本にわたる問題でございます。いま御例示がありましたようなケースについて確かに掛け捨てということはあり得るわけでございます。一番基本的なことを申し上げますと、初めから二カ月間に二十八日間の受給要件が満たし得ないというふうな方々については、実は適用除外というふうな例もあるわけでございます。ただ、そうではなくて、摩擦的に受給要件を満たしたりあるいは受給要件からはずれたり、こういう方々があるということも事実でございます。私どもは、先ほど申し上げましたようにこの受給要件緩和という問題は制度の根本にわたる問題でもございますし、特に今回の改正にあたりましては、給付内容を制度始まって以来健保の水準並みに画期的な改善にするわけでございますので、こういう際にそれに見合うような受給要件について、制度として手を触れることはなかなかむずかしい問題ではないか、このように考えておるわけでございます。したがいまして、今回は、いま大臣からもお答えを申し上げましたとおり、とりあえず改正後の現在のレベルアップをした健保の水準並みに給付を上げていく、それに見合った負担の漸増を考えていく、そういうことでとりあえずの措置として考えたわけでございますので、いま言われましたような現在の事態下におけるいろんな事情、そういうことは私どももわからないではございませんけれども、この制度をどう立てるか、また運用上どうするかということにつきましては、いろいろ保険の面から見まして逆選択的なことが起こらないように適正な運用をはからなければなりませんので、そういう意味合いでこの問題は今後の問題として慎重に検討を重ねてまいりたい、かように考えておるような次第でございます。
○島本委員 具体的な内容の大きい問題の一つとして私は考えられますからこれを触れました。現在やはりそれは考えられておらない。今後通常国会等において、今後の一つの重点的な、あるいは改正する場合の参考、あるいは改善する場合の参考としてこの点は当然考えるべきじゃないか、こう思うのであります。今後はやはりそれを考えろということは、すでにこれはもうこの社会保険審議会の会長からの答申にあるのです。いま大臣もそれは今後考えなければならないと言っているのであります。したがいまして、もう官僚であるあなたたちのほうがその大臣のことばにさからうような、少しでもそれを糊塗するような、曲げるようなことがあってはだめです。ですからその点は、厚生官僚はわりあいことばがきりっとして、どっちかというとあなたの場合なんかミスがないのだよ。ミスがないというのは、ほんとうにきちっとしていますからそれはいいんだ。しかしながら、その点はもう一歩、二歩先のことを考えて答弁しても間違いない。大臣はせっかくあそこまで言った。やる意思があるというのに、あなたのほうはまたまた完全に自分のからの中に閉じこもっている。それが厚生官僚の悪いところだ。今後もう一歩、二歩先のほうへ踏み出しても間違いないですから、遠慮しないでやりなさい。 そうすると、この受給資格の要件を緩和する、このためにはとりあえず健康保険法の任意継続方式、こういうものを取り入れることなんかも考えてもいいのじゃないか。使用者自身がこれをやる。政府自身の責任においても、使用者自身の責任でやって、こういうような印紙が不足して、適格要件を備えなければならない、こういうような場合は大事でありますから、やはりそれはもう国または使用者の責任で考える。とりあえず、それを考えるまでの間、使用者の都合によって日数が不足して受給資格が取得できない者については、不足日数の保険料を支払うことによって資格を取得するようにこれを認めてやるというのがそれまでの間のつなぎ方法としても当然じゃありませんか。そうでなければ社会的ないわゆる弱者という人に対する対策にならない。三木総理の高邁なるあの発言に沿うゆえんにはならないのであります。大臣、これはどうですか。
○北川政府委員 いま任意継続というお話がございましたが、この制度の仕組みはもともと健保のベースで考えますと、基本的には任意継続的な考え方なのでございます。 それから使用者が保険料を負担して補充的な措置をしたらどうかということでございますけれども、この問題は実はもうこれは先生も御承知のとおり、この制度が発足いたしましてから長年の間いわゆる擬制適用といわれているものでやってきたような制度に似たような運用がその辺に見られるわけでございます。でありますから、私どもは一つ申し上げておきたいことは、この制度はやはり制度でございますから、どこまでも公正な運用をしたい、法律のもとで公正な適用をしていきたいということを考えております。 〔葉梨委員長代理退席、竹内(黎)委員長代理着席〕 したがって、かつて行なわれました擬制適用というふうなものがこの制度にもたらしました非常に大きな問題点、こういうものは幸いにして現在なくなっておりまするので、再びそういうことがないように運用していく。そういうことになりますとやはり、いま先生の御提言でございますけれども、何か便宜的な措置で補っていくというふうなことはなかなかこれは慎重に考えていかないと運用上の公正を期することができないと思いまするので、最初に申されました基本的な制度に対するわれわれのスタンス、こういうものは大臣の御指示のもとにわれわれは十分検討いたしますが、当面の措置としての御提言についてはなかなかむずかしい問題ではなかろうかというのが私の率直な感じでございます。
○島本委員 むずかしい問題でなかろうかというようなことは、だれが考えてもそうなんです。だけれども、それによってやらなければ困る。それが恵まれない人であるから、そういうような人のためにいわゆる弱者救済ということが必要であり、そのためには一番恵まれない人の多い保険がこの日雇い健康保険であるから、そこをまず考えなければならない。むずかしいのはだれがやったってむずかしいのであります。だけれども、むずかしいからこそそこを考えろというのであります。考えることです。これから考えて、いますぐでなくても、やるように勉強したらいいじゃありませんか。永久にやらないのですか。だからだめなんです。大臣……。
○田中国務大臣 この法案はさきの提案理由で説明申し上げましたとおり、とりあえず現行のワク組み、制度の中でやったものでございますから、この点については従前の例で、そんなものはできるだけのことはこの中にもいろいろ規定しているわけでありますが、いま御設例のような事例については気持ちとしては私よくわかりますし、制度全般について、いまの点だけではなしに今後ひとつまた前進をしたいという気持ちについては私さいぜん申したとおりであります。 日雇い健保について任意継続をそのまま実施するということについては、日雇い健康保険というものが日々雇用のものを原則として取り入れているという関係上、これの被保険者の範囲の把握ということについて技術的にめんどうな問題がいろいろあるだろうということは私も承知をいたしておりますが、任意継続をどういう場合にどういうふうにやるかということについては、一様にこれがすべてけっこうであるというわけには実際は私も事実上の問題としてできないかと思いますが、ケース・バイ・ケースで、ほんとうにそれにふさわしいような場合については考えられる場面が全くないかといえば、そうではないだろうというふうに思いますので、なお検討をいたしたいというふうに思います。
○島本委員 それで、せっかく日雇い健康保険法の改正案が出た。これはこれでいまの大臣はじめ皆さんの説明で了解できます。それはいいのですが、今後やはり通常国会なんかでやる場合には、率先してこの改善を考え、改正を考えなければならないのだ、これにつながるわけなんです。したがいまして、私の言うのは、現在そういうような考えの上に立ってこれが出たのはあえて修正せいとは言わない。考え方に対して大きく幅を持っておいて、そうしてそれに対して今後改正を考えなさいということなんです。これはだれが見てもあたたかい温情ある質問ですよ。それに対して警戒するから悪いのだ。 それで、これは療養の給付期間の問題ですけれども、大臣、これは原則としてなおるまでとしてやるのが当然じゃありませんかね。これをやはり制限するというところに無理がくるんじゃないか。若干今後は緩和しておるのです。これは前よりは前進ですよ。三年半なんかより五年のほうが前進なんです。しかし、療養の給付期間はなおるまでとするのがやはり原則じゃないかと思うのでありますが、今後やはりその線に沿うても十分考えるべきだと思います。この点いかがですか。
○北川政府委員 それはまあ先生も御承知なんで、あえて申し上げるまでもないことでございますけれども、先ほども申し上げましたとおり、日雇い労働者はその就労形態も特殊でございますし、保険の仕組みに入れます場合に、制度発足当時からいわゆる受給要件を設定して受給要件に見合った給付をやっておる、こういう状況でございます。現在お願いいたしておりますこの給付期間の改善の内容は、現行の三年半から五年に延長するということでございます。これは先ほどもちょっと申し上げましたが、もともとが日雇い健保における給付は、健保並みに申しますと一種の継続給付でございます。そういう意味合いで、健保の継続給付は五年であるということとのかね合いも考慮いたしまして五年間というふうに設定をしたようなわけでございます。 なお先般四十八年の改正の際に、当時は三年六カ月の給付期間でございますが、その給付期間を満了いたしましても、いわば働きながら保険料を納付しておるという方々、そういう方々については受給要件を満たしておる限りそのあとに継続をしていく、受給要件はいわばころがってずっと続いていく、こういう仕組みも取り入れておりますので、そういう点を加味いたしますと、かなり結果的には健保とひとしいような状態になろうかと思います。また実態から申しましても、現在までわれわれがいろいろ調査いたしましたところによりますと、大体診療開始から五年間でほとんど九九%以上の方々が転帰の状態でございますので、三年半の場合に比べまして、この改正をお認めいただきますならば、非常な改善がもたらされる、このように考えておりまして、実態上ほとんど健保と変わらないような状況を招来するのじゃないかと思っております。基本的に転帰がいいんじゃないかという御意見があるかもしれませんが、仕組みから申しましてやはりそこに一つのけじめというものはつけておくべきではないか、けじめをつけても結果は健保とあまり変わらないのじゃないか、実態上もほとんどの方々が転帰までやれるのではないか、こう思っておりますので、その点をお答え申し上げます。
○島本委員 十分それはわかって質問しているのであります。だから、もう一歩も二歩も出てもいいということを初めから言っているのです。この次改正する場合にはそのくらい考えてもいいということも含んで言っているんです、もう出ている原案に賛成だと言っているんですから。それを知らないわけじゃない。ただし、いまのような要件でいったらまたひずみができる、拠出制国民年金の当たらない人があったように。 同一の疾病で入院中または在宅加療中の者に別名の疾病が発生した場合、特別療養給付の趣旨を準用して、受給資格がなくとも療養できるようにこれは当然考えてやるべきじゃないかと思いますが、この点等はどうでございますか。
○北川政府委員 いま御指摘のように、この日雇い健保の場合の給付のあり方は、当該疾病についての受給要件が充足されておる場合に給付をするということでございます。したがいまして、いまのお話も一つの問題点ではございますけれども、この仕組みそのものもやはり制度発足以来の基本的なたてまえでございまして、これを、いま先生が言われたような一つの御例示でございますが、そのようなかっこうで改善をしていくということになりますと、制度の全体の財政的な問題でございますとかそういう問題についてどんなふうなことになるか非常に問題がございますので、十分検討はいたしますけれども、いまのところとりあえずの措置としてはなかなかむずかしいのではないかと思っております。
○島本委員 むずかしいのは、そんなことはわかっているんだ。わからないと思って言っているんですか、あなた。だけど、年をとっているんです、みんなこの受給資格を持って入院したりなんかしている人は。あなただって肋膜で入院して、ほかの病気、またはそれによって出てくる——弱っているから当然他の病気も出るんですよ。その場合、一つの病気だけはやるけれども、そのほかのものは全部だめなんだ、こういうようなことになったら、一番恵まれない階層の人が一番残酷な仕打ちを受けることになるじゃありませんか。その辺の救済をもっと考えるべきじゃないかということなんですよ。現行のことに対してもっと幅を広げて考えて、何か上から与えてやるんだ、上のほうからおまえらを救護してやるんだ、少なくてもこれで満足せい、こういうような考え方があるようでありますが、天は人の上に人をつくらずですよ、人の下に人をつくらずですよ。同じ人間で苦しんでいる人に、なぜ、保険がこうだから救済できないたてまえだ、こういうようなことを言うんですか。だから私は官僚はきらいだと言うんだ、だから大臣でないと話ができないと言うんです。大臣、やはりその辺なんです。やはり入院加療中の者で、別なものがまた出るんです。往々にして現実にあるんですから、こういうような場合は特別療養給付の趣旨を準用してもいいんです。受給資格がなくても療養できるようにしてやるのがこれが人道上の問題じゃありませんか。これはやはり今後考えるべきですよ。これも考えないで、そして前に三木さんが言ったように、社会的な不公平の解消につとめることを重点とするなんてことはいえませんよ。これは大臣の御高見を賜わります。
○田中国務大臣 日雇い健康保険法、これはやはり保険の仕組みになっていることは間違いがございません。しかし、これが非常に立場の弱い方を対象にしているということでありまして、保険と社会保障、社会福祉の範疇とをどういうふうに結節させるかというのがこの日雇い健康保険の実は最大の課題であるというふうに心得ているわけでありますが、何さま保険の形式をとっている限りにおいて、いろいろとやはり財政上の制約あるいは考慮というものも全くこれを捨てるわけにはいかないというところに、おっしゃるようないろいろな問題が出てくるものというふうに思いますが、私どもとしては、こういう方々を対象にしてやっている保険であるだけに、今後できるだけ社会保障的な観点からのアプローチをいたさなければならないと思っておるわけでありまして、いまお話しのような点も、まさにその点についての一つの課題であろうと思いますが、他にもいろいろあろうと思います。したがいまして、そういう点を取りまとめて今後検討をしていきたいと思いますが、これには保険でやっておる限りは財政上のいろいろな手当て等も必要だと思いますので、綿密な配慮のもとにそういう趣旨で今後いろいろと検討をしていきたいものだというふうに思っていることであります。
○島本委員 もうそろそろ時間になったようであります。しかし大臣が来るのがちょっとおそかったから少し問題に入れなかったということで、これ一問だけ許してもらうのであります。いまのは続きなんですから……。 こういうような恵まれない階層にある人たちに適用する日雇い健康保険の受給本人が日雇い労働者として稼働中に、その家族の疾病が給付期間法定満期に達した場合、あとは自費ということになってしまうわけなんでございましょうが、この場合申請によって、先ほどいろいろ適用除外もあり得る、こういうふうな局長のお話でしたが、申請によって適用除外を適用するか、扶養家族であったものを世帯分離を認めて国民健保に加入できるようにするか。やはり病気をなおす、いわゆる弱者を救済するというふうな立場なら——いまがんじがらめになって、本人も一緒にやめるのでなければ、国民保険にいくのでなければだめだ、別々になりませんので、こういうふうな点を前提にしての保険でありますが、本人が日雇い労働者として稼働中に、被保険者であるその人の家族の疾病が、給付期間法定満期に達した場合、申請による適用除外を適用する、または扶養家族であったものでも、世帯分離を認めて国民健康保険の加入ができるようにしてやる、こういうふうなことも当然今後考えてもいいのじゃないかと思うのです。そうでないと、収入がないまま全部自費になってしまう。せっかく、こういうふうな人を救済するといいながら、まだ手が入っていない、日の当たらない個所なんです。この個所だけはきちっとしないとだめなんじゃないかと思うのですね。これはやるべきだと私は思うのです。せっかく、いま局長のほうでいままでかつてないようないいことば、これはもう適用除外もあり得るというのですから、こういうふうなものは適用除外にしてやったらいいのです。国民健康保険に入れてやるとそのまま継続できる。そうでなければあとは全部自費でやらなければならない。金のない人にこれほど残酷なことはありませんよ。ここをやはり考えるべきだ、こう思うのであります。そのまま本人負担にならないで加療できるような方法がございましたならば、教えてもらいたい。でなければ今後これを十分考えてやってもらいたい。適用除外もあり得る、または国民健康保険のほうにも、奥さんであっても入ってもいいようにしてやる、こういうようなことも考えてもいいんじゃないかと思うのであります。この点について、大臣、今後十分考えてほしいと思うのでありますが、いかがでございますか。
○北川政府委員 ただいまのお尋ねの前段でございますが、本人が稼働中でございますれば、受給要件を満たしておる限り、家族につきましても、先ほど申し上げましたように、前回改正で家族の給付も法律上は本人に対する給付でございますから、本人が稼働しておって、受給要件を満たしておる限りは家族の給付は継続して行なわれます。 ただ、家族だけを分離いたしまして、これをこういった被用者保険から地域保険の国保に入れるかどうかという問題、これはまた被用者保険全体の仕組みにわたる問題でございますから、今後の被用者保険と地域保険との関連の問題として、一般論としていろいろ検討しなければならぬと思います。十分検討いたしますが、現在の保険システム全体にわたる問題でございますから、十分慎重を期したいと思います。
○島本委員 これで終わります。なお最後に一言ですが、この保険審議会の答申、これを十分尊重して今後の改正、改善のために努力することが、本法案に画竜点睛を欠くことのないようにする第一歩である、このことを申し添えさせてもらって私の質問を終わります。時間がないのでほんとうに残念であります。
○竹内(黎)委員長代理 次に、田中美智子君。
○田中(美)委員 雇用保険法について質問いたします。 まず、三十歳未満の保険金が大幅に日数が切られてしまうという問題ですけれども、婦人の場合は、先ほども森山さんの回答にありましたように、婦人としてねらったんではないというふうな言い方は非常に詭弁だというふうに私は思うんです。そんなことは初めからわかり切ったことであって、ただ現状が三十歳以下の婦人というのは婦人全体の中で非常に多い率を占めているということです。結果的に、婦人が非常に大幅に日数を切り捨てられる、三十歳以下の婦人が切り捨てられるということは、結果的に事実だと思うわけです。これは「婦人に関する諸問題の総合調査報告書」、これは森山さん、よく御存じですけれども、これの一七九ページに「年齢階層別女子雇用者の構成の推移」というのがありますけれども、これで見ましても、大体二十四歳あたりから二十九歳までの間にがくっとやめているわけなんですね。そしてもう三十歳−三十五歳になりますと、やめ方が減っていく、人数が非常に減るわけなんですね、ここで。そして四十歳からまた五十五歳までの間に大幅にふえていく。この数字だけを見ましても、三十歳未満で婦人がやめざるを得ないという状態が非常に出てきているわけです。これは中身にはいろいろあると思いますけれども、そうした状態になるということについて、森山さんと大臣とどうお考えになるか、簡単にちょっとお答え願いたい。
○長谷川国務大臣 先生のお話、私先日アメリカのいろんなものを読んでおりましたら、アメリカでもV字型なんですね。やはりその年代に一ぺんやめて家庭を持って、多少子供が大きくなってからまた就職するというふうなことで、自分の国ではV字型であるという報告書を見まして、なるほどそういうことなのかなと、そこで一つ勉強したわけです。それと今度の問題との関連については関係の者から答弁させます。
○森山政府委員 先ほど申し上げましたように、婦人が特に特別な扱いを受けているわけではないということはもう一度申し上げたいと思うんですが、いま先生がおっしゃいましたように、結果としまして女子がその年齢で退職する人が多いということはそのとおりでございますし、またこのたびの特に経済事情の影響を受けている者の中で婦人が非常に多いということも事実でございます。その辺は十分認識しているわけでございます。
○田中(美)委員 森山さん、婦人ですから、一応何か先ほどの回答では非常に婦人に対する理解が少ないのではないかというふうな感じを受けたわけですので、もう一度お伺いしたいというので、感じはどうかわかりませんけれども、一応そういう現状だということは認識していらっしゃるということははっきりしたわけです。 しかし大臣のほうは、アメリカがV字になっているから日本もV字になってるんだ——来年は国際婦人年といいまして、御存じだと思いますけれども、いま全世界的に婦人の差別をなくしていこうという大きな戦いがあるのであって、V字になっていることが間違っているのであって、これをどうして直そうかというときに、ほかの国が悪いから日本もそれでいいんだということは、人がどろぼうやったら私もどろぼうをやってもいいんだという理屈と同じになるのであって、これを直していかなければならないわけです。特にいま現状というものは、まずパートから首を切られています。既婚婦人から切られています。そういう状態の中で、切られなくても、いままでは多分に婦人は働く意思があれば、非常に低賃金しかありませんけれども、パートなり何なりと低賃金でもかせぐ道は多少あったわけですね。しかしいまこれが非常になくなってきているわけです。その中で首切りが出てきているわけですね。そして婦人の三十歳未満の労働者の数が非常に多い。そこでやめなければならない。特に繊維などでは、非常にたくさんの首切りが出ているわけですね。ですから、そこで当然婦人に大きく保険金の日数が減らされるということは、十年つとめて二百七十日が九十日になるということは、一日、二日減らされるのではなくて、大幅に削減されるということは、婦人労働者にとってはたいへんな問題だというふうに思うわけです。 それで話を進めたいわけですけれども、大臣のレベルがそのような婦人に対する考え方では、来年の婦人年一年間かけまして、十分に御勉強していただきたいというふうに思います。 次に移りますが、現在パートで切られている、既婚者が次々と切られていく。その次には既婚者でない婦人も切られていくんだという形が出ている現状というのは御存じでしょうか。それと同時に、それに対してどういう歯どめをしようとしていらっしゃるかということを簡単にお答え願いたい。
○長谷川国務大臣 きのうも参議院で、あなたと同じ姓の田中さんからそういう本会議での御質問がありました。私は、パートタイマーの皆さん方が一番先にそういうふうなことになるということはよくわかってもおりますし、そうした方々に対しての再就職のあっせんあるいは求人の開拓をやりつつ、一方ではそういういろんな手当てをしている話などをいたしたことです。 それからちょっと誤解を招くといけませんが、アメリカのV字型というのは構造として申し上げたので、それが婦人に対する理解が私はないというふうなことで、曲がって——顔のきれいな人は心もきれいというふうなかっこうでずっと御理解していただきたいと思うんですよ。そうでしょう。構造はどうなっているかという話が出たから、アメリカではそういう話でいま問題になっているんです、アメリカで切られているとか切られてないという問題じゃなくて、そういう構造になっておるので、そのV字型をどうするかということは、いまからの婦人の問題であるということを提起しているのを私は読んだ、そういうことですから、御婦人に対しては、ここに、労働省に局長さんが一人おられるくらいに、ことに来年の国際婦人年の問題については、先日来も私はいろんな会合へ出て、労働組合の若い女の書記の皆さん方にも、来年は世界の婦人の方々がいらっしゃるから、りっぱなお勉強をしっかりしていただきますというふうにお願いをしていることでして、ますます勉強して、あなたのようなりっぱな御婦人と対等に話ができるようにしたい、こう思っておりますから……。
○田中(美)委員 私いま聞きましたのは、そのV字型の問題は、これはそういうところにそう出されたということが、いまのような気持ちであるというならいいですけれども、それは論議の問題であって、いまこういう状態になっているんだからどうしようかというときに、アメリカもなっているんだ——。アメリカではこう改善しているんだというならいいですけれども、なっているんだというふうにすれば誤解を招くというふうに思うのです。 しかし、時間がありませんので、いま私が質問しているのは、既婚婦人が、パートが切られているのは知っている、既婚婦人がねらい撃ちにどんどんやられているということは御存じでしょうか。
○森山政府委員 一般的に申しまして、既婚婦人あるいは中高年の婦人が非常に不利であるということはよくわかっておりますが、具体的な例につきましては、いまのところ承知いたしておりません。
○田中(美)委員 いま私は高年者というのではなくて、既婚者というのはもう二十代でたくさんいるわけなんです。この若い既婦者が、三十歳未満の既婚者、三十歳前後の既婚者がねらい撃ちにいまやられているという実情が出ているわけですね。それで、私はそれに対する怒りと同時に、そういう状態が出始めているときに、その人が失業した場合に失業保険金が大幅に切り下げられるということは関連がないことではないわけなんですね。それで出すわけですけれども、御存じないのでちょっとお話ししたいと思うのです。 群馬県にマックス株式会社というのがあります。これは群馬県に全体では千人以上の労働者ですけれども、高崎、藤岡の二つの工場、ここで約七百五十人の従業員がいるわけですけれども、その中に七十一人の既婚者がいるわけです。これは二十代の既婚者が圧倒的に多いのですね。高年層もいます。この人たちに対して、ことしの十一月の一日に十一月三十日までに全員やめてほしい、それも希望退職という形で出してきたわけですね。それは社員全体に出したのではなくて、既婚婦人だけに向かって七十人全員に希望退職を募ったわけですね。既婚婦人だけをねらったというところに問題がありますけれども、それでも一応募ったという形でいったわけです。そうしてその日から、まさに人権侵害にいくようなひどい希望退職の強制、強要がなされているわけです。現在もそれが続いているわけですね。そして彼女たちは労働基準局にも訴え、人権擁護局にも訴えという形でいまやっているわけですけれども、これは一刻を争う問題だと思うのです。これで彼女たちが判こを押してしまえば、脅迫されるような形で判こを押してしまえば、みんな失業していくわけです。この一カ月ちょっとの間に、もう七十人のうちほとんどが強制的に判こを押されているという事実で、あとわずか残った人が必死で抵抗しているというふうな状態に来ているわけです。もうノイローゼなどになってきているという状態があるわけです。この状態に対して、大臣はどういうふうに御指導していただけるだろうかというふうに思います。
○東村政府委員 ただいま先生御指摘の工場について、私ども御指摘がございましたのでさっそく調査してみたわけです。詳しいことはわかりませんけれども、いまお話しございますように、高崎と藤岡の労働基準署長あてに監督指導するように要望が参っておることは事実のようでございます。監督署といたしましては、ずばり法違反とかなんとかということは別といたしまして、さっそく調査するということになっております。
○田中(美)委員 それは、私がお願いしてもまだ調査の報告が来ないわけですけれども、ほんの十日間ぐらいの間にどんどん強要されて判こを押させていくわけですから、労働省がゆっくり調査いたします、御報告いたします、まだ調査したけれどもわかりません、こういう状態の間に、みんな判こを脅迫的に押されてしまったらあと一体どうなるのか。そして、こんなおかしな法案が通ったら、そうしたら失業保険金というのはすぱっと切られてしまう。これは踏んだりけったりだというふうに思うのです。そういう点で、こういうことが次々起こらないように、こういう法案を出すからにはそういうことがないような、踏んだりけったりでないようなやり方をしていただきたいわけです。調査をしてもおわかりにならない、こういうふうに言っていらっしゃるわけですけれども、私どもが調査したのでは、この中にこまかく記録があるわけです。ここではこういうことを言っているのですね。人事課長だとか係長だとか、そういう人たちがこういうことを言っているわけです。母親が家にいないと子供が非行に走る、赤軍派のようになって人殺しをするようになるぞとか、だんなの給料で生活できないはずがない、だんなが働いているならば奥さんが働かないでもいいじゃないか、こういうことを言っているわけですね。そして実際には、北向きの窓ぎわの机のところに移して、仕事を何もさせないで、窓の外を見るな、会社のことだけ考えてすわっていろ、そしてやめることだけを考えろ、それがあなたの仕事だ、電話をとるな、しゃべるな、机から離れるな、トイレだけはいい、こういうことを言っているわけなんですね。こういう事実が私たちの調査では判明しているわけです。ですから、労働省としてさっそくこれを調査していただきたいわけです。 森山さんに伺いたいわけですけれども、いまこういうふうなことを会社の人事課長や工場長なども言っているわけですけれども、この言っている、夫がかせいでそれで食べていけるならば女は働くものじゃないんだということは正しいと思いますか。あなたの夫は働いている、そして高給取りです。十分あなたは食べていかれるはずです。それでもあなたは働いていらっしゃるのですよね。それはどういうふうにお考えになりますか。
○森山政府委員 既婚婦人の問題で、特に夫が収入のある場合に妻の働くことについてどう考えるかという御質問だと思いますが、それぞれの労働者がそれぞれの仕事をするということにつきましては、既婚であろうと未婚であろうと関係ないことであると私は考えております。 〔竹内(黎)委員長代理退席、委員長着席〕
○田中(美)委員 それでは、そういうことは希望退職を普通に募ったということにはなりませんね。これが事実であれば、そういう間違ったことを強制しているわけですね。そういう点で、早急にこれを調べていただきたい。この間電話でお願いをしてあったわけです。それでさっそく私のほうも調べたわけです。私のほうでは、いろいろ調べた結果、いま時間がありませんので簡単に言ったわけですけれども、これを大臣早急にやっていただきたい。 その中で、株主に対して「株主の皆様へ」という蛭田社長の営業報告が出ているわけです。これはことしの十月の日付で出してあるパンフです。この中に「経常利益は十一億六千四百万円で前年同期比三八%の増益をあげることができました。」ということを株主に報告しているわけですね。しかし実際には、労働者に、もう赤字だから会社を救うために既婚婦人が犠牲になってくれ、こういうことを言っているわけです。ですから、こういうことを許していたのでは、私たちはこの雇用保険に対して、申しわけないけれども、こんなけしからぬ法律はないというふうにどうしても言いたくなるわけなんですよね。ですから、首を切るのは放置しておいて、そうして保険金の日数を切ってしまうということは、来年婦人年であるということで、こういうことをやっていくということは、これがちゃんとなされないならば、私は来年一年かかって全世界にこういうことを訴えていきたいと思う。日本の政府はこんなことをやっているのだ——。婦人年は婦人にとって一つのチャンスですので、来年三百六十五日、このために全力をあげたいというふうに私は思っているのです。ですから、絶対に高崎工場と藤岡工場に、至急に、政府は大臣みずから乗り込んでいくぐらいにして、事実であるかどうかを調査していただきたい。これは私も大至急でいま調査しましたので、もう一度私は行きます。そして、向こうへ行ってこれが事実かどうかをこまかく調べたいというふうに思いますので、大臣、全力をあげてやっていただきたい。そして、森山さんも十分な理解を持って大臣と協力して全力をあげてやっていただきたいというふうに思います。大臣から決意だけ一言言っていただきたい。
○長谷川国務大臣 非常に御熱心な御質問、また御調査もやられていること、敬意を払います。私のほうもさっそく調査させます。
○田中(美)委員 その次に、労災の問題について質問いたします。 労災保険の原則というのは、やはり働く中でけがをしたり病気をしたりしたわけですから、資本家が完全補償するのが原則だというふうに私は思うのですけれども、その中の給付の基礎日額、このやり方が前三カ月の平均賃金ということになっているわけですね。この賃金計算にボーナスが含まれていないわけなんです。そうしますと、たとえば十万円の月給取りだとしますと、これは三カ月でやりますと、基礎日額というのは約三千三百三十三円ということになるわけですね。そうすると、三カ月、これにもしボーナスを入れることができればこれは大幅に変わってくるわけです。こういうところで、どうして生涯こんな不安な、不利益なことがついてまわるのであろうかというふうに思います。 それで、ふしぎだと思いますのは、労働保険の会計の中に労災勘定とそれから失業勘定が一緒にあるわけですね。これが労災勘定と失業勘定のほうの日にちの計算が違う。失業保険のほうでは、第四条に賃金というのにはボーナスが含まれるということで、十七条の二には六カ月でボーナスを含むというふうになっているわけです。それなのにどうして労災のほうだけが三カ月になっているのか、これを六カ月でボーナスを入れるというふうにはできないものなのかというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
○東村政府委員 御指摘のように、労災保険の給付基礎日額というものの算定にあたりましては、労働基準法十二条という規定がございまして、過去三カ月の賃金を基礎にして生活日当たりの賃金を計算するというふうになっております。その中には臨時に支払われる賃金を除くというようなかっこうでボーナスが除かれているわけでございます。 ただ、その問題については、いまお話しございましたように、長期給付である年金と短期給付である休業補償給付等についてはその性格が違うから、その給付基礎日額についての考え方を変えたらどうか、さらにはボーナスの支払い時期とか支払い方法、それが業種業態によって違うじゃないかという問題点、それからおっしゃるように保険財政への影響、つまり保険数理でございますから保険財政への影響も考えなければいけない等々いろいろ問題がございますが、何はともあれその検討を進めなければいかぬということでございまして、現在労災保険審議会、公労使三者構成でできておりますが、そこでこの問題を、基本的な問題でございますので、さらに詰めて検討していこうということをやっております。
○田中(美)委員 ほんとうの理念問題からいけば、失業というのはむしろ短期なのですね。労災というのは生涯なのです。ですから生涯にこの矛盾というものはずっとしょっていくわけですので、これは答申にもあるわけです。答申の中にも、給付基礎日額の算定方法にはいろいろ問題があるとかこういうふうに書いてあるのは御存じだと思います。それから労働省の婦人少年局で出している「労働災害家族の生活実態に関する調査」こういう中にも、これは四〇ページにあるのですけれども「要望事項」というところで「国や地方自治体に望むこと」という中で「最も多いのは労災の障害補償年金の増額を望む声」であるということが書いてあるわけですね。これは今度はこの率を上げるという形でやっているわけですね。これでは非常に金額が少ないわけですよ。やはり基礎の計算方法のところの日にちというものを変えていかなければならないのだというふうに思います。ぜひこの点を改善し、検討していただきたいというふうに思いますけれども、大臣、どうお考えになりますか。
○東村政府委員 ただいま申し上げましたようにいろいろの問題がございます。したがいまして、これをどうするかということを考えなければいけませんですが、基本的な問題にかかわりますので、ほかの制度等の関係もございますし、いままでの保険財政の問題もございます。保険数理の問題がございます。いろいろ実態を加味しながら、ひとついま先生のおっしゃったような問題意識をもちろん持ちながら検討を進めていこう、こうやっているわけでございます。
○田中(美)委員 それでは大臣、十分お勉強なさって、検討すると言っておりますので、検討していただきたいと思います。 それからもう一つは、スライド制のところですね。スライド制のところが二〇%というふうになっているわけですけれども、これが厚生年金なんかだと五%になっていますね。これは賃金スライドとそれから物価スライドの違いはあります。しかしいまの、ことしのように三〇%というふうな場合は、一年おくれになりますけれども一応スライドで三〇%上がってきますね。ですからいいわけです。それでも一年おくれというところに問題がありますけれども、しかしこれが賃金が押えられていくという、この中で私はいま非常に心配しているわけです。賃金の上がり方というものがもし押えられていった場合に、一五%しか上がらなかったということになりますと、これは全然その翌年には上がらないわけです。そしてその次の翌年にまた一〇%上がったというと、やっと二五%になりますね。そうしてその次に上がりますね、そうすると最初の一五%というのはスライドが二年おくれるわけです。そうして一〇%というのが一年おくれるわけですね。こういう傾向というのは労働者にとっては私は非常に不親切だというふうに思うのです。そこら辺のところはどうでしょうか。
○東村政府委員 スライド制の問題でございますが、おっしゃるように賃金が二〇%変動した場合には変動する、こういう原則でやっておるわけでございます。しかしそうなりますと、いまのお話しのような問題がいろいろ出てくる、これも御指摘のとおりでございます。ただその際に技術的な問題がいろいろございまして、年功的な要素をどうするのだとか、賃金のとり方はどうするのだとかございます。これまた制度の基本にかかわる問題でございますので、先ほど申し上げました給付基礎日額の問題とともに公労使三者構成でできております労災保険審議会で、特にその中に基本問題懇談会というものまで設けましてこの問題を検討しているわけでございます。
○田中(美)委員 十分この点検討しまして、スライド制になったからいいというふうに思うけれども、事実上、実際には二年おくれになるというようなことがないように改善していただきたいと思います。 それでもう一つ最後に、ちょっと前後しましたが、十八日の新聞に、爆弾だ、五百万円よこせといって、銀行ですぐつかまった強盗の話が出ているわけですね。これは私は強盗がいいなどとはもちろん思いませんけれども、この人は何でこういう追い詰められた気持ちになったのかというのを読んでみますと、年内に支払わなければならない工事材料などの返済額が二百五十万円もあった、こう言っているのです。さっきの雇用保険にちょっと戻るわけですけれども、この人はわずか二百五十万円が払えないために、二百五十万円だけじゃなくて、ついでに五百万円強盗しようとしたわけですね。これは四人の従業員の小さな零細企業なんです。それで、雇用保険の雇用改善事業の中で交付金というのが出るというふうになっておりますね。これは零細企業の場合には三分の二出るというふうになっているわけです。しかしいまの倒産というのは、一千万の負債でいま月に大体千百件くらいずつ倒れていっているわけですね。一千万という金額です。これは大きい日本の経済から見たら小さいかもしれませんけれども、いま言ったこういう四人とか五人とかを持っているいわゆる中に入らない小零細のおやじさんたち、こういう人たちは、三分の二の交付金がおりても、三分の一というのを支払わなければもらえないわけでしょう。全部支払わなければもらえないわけでしょう。そうしてそれも、支払うときには一応全部立てかえて払って、あとから三分の二が国から来るというわけでしょう。そうするとその金がないわけですよ。ですから、結局はこういう人たちのところは雇用改善事業というのは全く恩恵に浴さないのですよ。だから、大企業のほうではそれは二分の一とか、それから中でも大きいところは三分の二もらって何とか労働者を首切らずに置いておくということができるかもしれませんけれども、この小零細企業にとってはこの法律は何の恩典もないというところが私は非常に気になるわけです。その上に保険料が労働者が五になって、そうして一応そういうところの人も一資本家側になるわけですから、このおやじさんというのは保険料が八になるわけですね。そうしますと、何の恩典もなくて、そうしてそういう零細企業のおやじさんというのは、保険料だけは少し多目に負担しなければならない。やはりそこには特別の歯どめをつけていくか何かをしていくというふうでなければ、やはりこの法案というものが弱者にされている人たちに対して私は非常に冷たい法律だというふうに思うわけです。その点遠藤さんどう思われますか。
○遠藤政府委員 最近の不況で倒産が相次いでおりますし、これは大企業よりもむしろ中小企業のほうが多いかもわかりません。先ほど申し上げましたように、私は雇用保険法による雇用調整交付金制度がもしありせば、いままで一時休業で何とかしのいできたけれども、とうとう解雇せざるを得ぬ、あるいは工場閉鎖をしなければならぬという事態が救済できたんじゃないか、こういうふうに申し上げたわけです。 確かに、この雇用調整交付金制度ができましても、それだけじゃやっていけない。どうしてもやはり工場閉鎖をしなければならぬという事態があると思います。だからこそ私は、雇用保険が万能じゃありませんと申し上げておるのです。しかし、少なくとも工場閉鎖したり人員整理をする前の段階で、この三分の二の国からの援助があれば首を切らないでつないでいけるんじゃないか。中小企業のほうがむしろいままで、この夏以来いろいろ一時帰休だとかあるいは人員整理が行なわれておる段階で、大企業は自分で一〇〇%の賃金を曲がりなりにも持ちこたえていける。しかし中小企業はとってもそれができない。だから一日も早くこの雇用保険を成立させてくれ、こういう中小企業関係の団体から非常に強い要望を受けています。そんなもの役に立たぬとおっしゃるのなら、何もしないということになります。 と同時に、もう一つ、いままでは社会保険の保険料というのは労使折半負担というのが原則です。今回労働者の負担分を一・五下げて、使用者の負担分を一・五上げた。むしろそれは革新団体からはそうしろということを強く要請されておる。いま先生は逆におっしゃっているのです。私はまことに奇妙な感じがいたします。
○田中(美)委員 私は逆を言っておりません。共産党・革新共同の政策は、必ずそこには中小零細に対する特別な手当をちゃんと出す、それは国が負担するというふうに政策としてはつけているわけですね。ですから決して逆ではありませんし、またいま私が遠藤さんにお伺いしたのは、非常に短期間の中でここの点どう思うかということに対しての答えは、ただ万能ではありませんという答えしがなかったのです。ということは、やはりそこは切り捨てられるのだということを確認せざるを得なかったと思います。 ちょうど時間になったのでこれでやめますけれども、最後に一言、さっきの大臣のほかの議員のお答えの中に、人生で一番不幸なことは失業だと言われたのです。労働者にとってほんとうにそうだと思います。そういう意味で、いま目の前で強要されながら、窓のそばで何も仕事をさせられないでやめることだけを考えろと強制されている婦人労働者がいるということを、これはたとえ一人であったとしても、労働省の責任で絶対に救っていただきたい。この人生の最も不幸なことを救っていただきたい。これを強く要請して質問を終わります。
○野原委員長 石母田達君。
○石母田委員 まず最初に、私は再び、前国会で、この委員会で私どもや社会党、公明党の反対で参議院に送られました議案がそのままの形で今臨時国会に提出されたということについて、国会の審議の状況からいってきわめて遺憾だ。その一つは、この法律は四月一日に実施されるということになっているわけです。私どもこの間雇用保険の促進に来られた労働組合の何人かの代表者と懇談したときに、この雇用保険法案が通って、そうしてそのままいまのいろいろな休業補償だとかすぐもらえるものだというふうに考えておったから、これは通っても四月一日からですよと言ったら、ぽかんとしているんですね。これは確かに、こういう法律というものは施行期日によって初めて適用される、そういうことでの理解が非常に不十分だとしても、いますぐこれが施行になるというふうに考えておられる方が多いということがわかりました。同時に、この間の国会で、十月二十九日の社会労働委員会におきまして私が失業・雇用の問題について質問したときに、長谷川労働大臣が、もしこの雇用保険法案が通過していたならば、だいぶ模様が変わったということで、その当時失業者がたくさん出ているというこの失業防止にだいぶ模様が変わったのではないかというようなこと、あるいはその後の大臣のテレビや新聞などでの報道を読みますと、この四月一日実施ということを前提にしているのではなく、何か、通ったらすぐ適用されるのじゃないかというような印象の発言が非常に多いので、あらためて、この法律は四月一日の実施ではないのかというふうなことをお尋ねしたいと思います。
○長谷川国務大臣 石母田さん、十月二十九日に私が、この雇用保険法案が通っておればだいぶ助かったのじゃないかというお話、私はそのときのことばそのものは覚えておりませんけれども、そういう感じはいまでも持っています。与野党でいろいろ御審議をいただきまして、だんだんの御議論の中から、ときにはよき修正なども行なわれたと思っております。そして衆議院においては通過いたしました。あのとき通過しておりますと、この法案が参議院も通過しておりましたら、実施は六月一日でした。いや、十月一日——私はあのとき通過していたらことしの秋のいろいろな雇用不安に対しては、雇用調整交付金などが作用して、一時休業の方の助成などが行なわれて、とたんに失業ということがなくて済んだのではなかろうか、こういう私は期待感を持っていたのです。いまでもその気持ちは変わりません。ですから、いまから先も、これを通すことによっていろいろまた手が打てるのではなかろうかということで、短い臨時国会の間ですけれども、こういうふうにして皆さん方に御心配をおかけして御審議をいただいておる、こういうことです。 なお、足りないところは、局長から……。
○石母田委員 これは四月一日でしょう、臨時国会通っても。そういうものを何でいま臨時国会であわてて通さなきゃならぬのか。そして四月一日から——この間の雇用保険法も、あれは四月一日でしょう、前国会でも。そうでしょう。何か十月一日とかいろいろ言っているけれども、四月一日の実施のものですよ。それで何でいままで通っていればだいぶ変わった……。法の実施は四月一日からじゃないのですか、この間だって今度だって。その点どうなんですか。
○遠藤政府委員 ただいま大臣からお答え申し上げたとおりでございますが、大体五十年の四月一日から施行を予定する法律については、その前の通常国会で御審議をお願いする、これが通例でございますし、また、そうでないと四月一日施行に間に合わない、これはもう先生御承知のとおりでございます。したがって、来年の四月一日からこの法律を実施しようとすれば、先般の通常国会で通していただいて成立して、それから準備をして来年の四月一日施行、こうなるのが常道でございます。残念ながら成立しなかった。四月一日施行を目途にすれば、どうしてもいま成立しなければ四月一日施行はできない、これはもう自明の理だと思います。と同時に、先般大臣から、この委員会で、もし通っておったならばずいぶんこの情勢に対して対応できたであろう、これはそのとおりでございまして、それは法律そのものは四月一日でございますけれども、先般通常国会で、たしか和田先生だったかと思いますが、四月一日以前に深刻な状態になった場合どうなるのだ、こういう御質問がございまして、この法律が成立すれば、その法律の趣旨を生かして、現行制度なり予算措置を十分活用して、それに対応するような万全の策をとっていくことによって、失業を未然に防止できるということを大臣からお答え申し上げたはずでございます。そのことを大臣はいまお繰り返しになっただけでございまして、四月一日施行がさかのぼって繰り上げられるということではございません。何か先生誤解しておられるように思います。
○石母田委員 そうすると、いまでも四月一日の実施には変わりはないということですね。それで、そういう労働者の中にいまにでもすぐこれが適用される、あるいは中小業者や企業の中にもそういう休業補償がすぐ適用されるのじゃないかというのは間違った見解であって、これはあくまでも四月一日からの実施である、そのことを前提にしてすでに予算委員会でも質問があったそうでありますが、十二月十三日の読売新聞で「新閣僚インタビュー 長谷川労相」という中でいわゆる「成立すれば、施行を四月からといわず、一月からにするなど弾力的に手を打てるはずだ。」という発言がありましたが、いまの局長の内容と同じように、四月一日の実施について何かこれを修正するなり、あるいはいま言ったような予算的な処置というようなことを考えての発言なのか、これは事実かどうかわかりませんけれども、この点について大臣にお伺いしたいと思います。
○遠藤政府委員 当時の労働大臣談話を発表なさいましたときに、私はそばにおって伺っておりました。この法律がこの臨時国会で成立をいたしましても、施行は四月一日でございます。これは変わりません。これから三カ月の間に施行準備をいたしまして、政省令を制定するなり、あるいは審議会にはかって基準をきめる、こういう措置によって四月一日から万全の施行を期したいと思っております。 ただ、この雇用保険法が先通常国会で流産いたしまして、この半年の間に関係労働組合、使用者団体、あるいは地方自治体からきわめて熾烈な早期成立の要望がございました。いまもございます。と同時に、いま石母田先生がおっしゃるように、この法律が成立したらその日から施行されるという誤解をしている人はおそらくほとんどないと思います。四月一日から施行になるんで、それでは間に合わないから施行を繰り上げろという要望もついております。私どもはいま申し上げましたように、この法律がかりに成立いたしましても、それから実施になるまではある程度の一定の期間が必要でございますので、四月一日の施行を繰り上げることはこれはもうきわめてむずかしい問題でございますということを申し上げております。 ただ、最近のような深刻な不況の事態に対して雇用調整措置なり、その他のもろもろの積極的な雇用政策の措置が四月一日以降まで何にもされないということではなくて、大臣からたびたびお答えになりましたように、あるいはいろいろなインタビューで御発言になりましたように、この法律が成立すればその法律の趣旨を生かして、現行の制度なり予算措置の中で十分それに対応できるような万全の措置をとっていきたいという発言をされたわけでございまして、そのことがそういうふうにもし受け取られたとすれば先生の誤解だと思います。
○石母田委員 きわめて重要な発言をしておる。私が誤解しておると言っているのじゃないのです。いいですか。私が言っていますのは、私のところに雇用保険法案を促進してほしい、早く成立さしてほしいという方が見えたから、その方たちの意見も聞きたいと思いまして、聞いたところが知らなかったから——一人もいないというのは何のこと言っているのだ、あなたは。どこでどういうことを言っているのですか。私が知っておるとか、知っておりもしないでとか、何だ、おれのことを言っているのか、それとも日本国民の中に知らない人は一人もいない、そういうことを言っているのか。私はこういうことを言っているんだよ。そういう人がまだいるということだからあらためて聞きたいと言っているんでしょう。そんなものは私も国会へ来てこういうことを知るようになった、法律の施行期日だとかいうのは。ところが知らないのが多いんです。だから私は、国会の審議はまだまだ足りないなと思ったことはあったんだ。そのことに対して、何だ、異論があるのか、あなたは。
○長谷川国務大臣 四月一日が施行期日でございますが、非常の場合ですから、こういう雇用情勢が非常に悪化しているときに雇用保険法案が通過して、四月一日が施行であるけれども、非常なときには非常な手を打たなければいかぬから、通過した、四月一日に実施される、その実績を踏まえていまある法律を、そういうものを含みながらいろいろな手当てをしょう、こういうのが私が事務当局にお話をし、また、事務当局もそういう形になっておりますから、ぜひともこの臨時国会において御通過をお願いしたい、こういうことでございます。
○石母田委員 そうしますと、この談話は当たらずとも遠からずということで、法律を繰り上げるという法改正はしないけれども、通るならば一月からにするなど、この間考えられたような予算措置とかいろいろなことをするというようなことの含みで言われたことで、これは全然事実無根とかそういうものじゃないですね。大臣に伺います。
○長谷川国務大臣 失業状態が悪化するにあたりまして、こういうふうな法律が通った場合には、その趣旨に従って、前にでもいろいろなことで同じ趣旨でさかのぼれるものがあるかどうか、そういうことで対処したいという気持ちでございます。
○石母田委員 この雇用保険法案の問題が、いままでの失業保険法案を廃止して、そして新しい雇用のための保険法案にするということで制度上の変更の問題になる重大な問題であるから、十分に審議を尽くすということでこの間も審議をいたしました。そして私どもの態度は明確に反対という立場を表明しておったわけでありますが、こういうことについて政府並びに与党が、この法案をぜひともこの臨時国会というきわめて限られた期間の中に再び提出してこれを成立させたい。しかもその希望によれば、あしたまでにあげて参議院に送りたい、こういう日程からいうと、今度の臨時国会で通すということになれば、そういう強い希望を出しておるわけですが、そういう中で私どもはこの臨時国会で、社労にしましてもこのほかに日雇い健保あるいはまた労災法の改正ということで、すでに与野党が一致している問題がありまして、こういうものと一緒に今度出されたので、私どもからすればこうした制度上の変更、改悪を伴う問題で、しかも四月一日の実施の法案について、いま反対の立場からいろいろ私どもが今度の臨時国会で討議しなければならないという根拠はどうしてもわからない。そういうものを、あえてそうした法案ときょうはこうして一括審議しているわけですけれども、雇用保険法案が通らなければ日雇いも労災も通らないという状況のもとでいま審議をしているわけですけれども、きのう申し上げましたように、私どもは与野党で一致できるものは先に通して、そしてこの雇用保険法案の問題については、、先ほど申しましたように、かなりまだやってみると、私ども接触した範囲の中でも、雇用保険法案の内容についてまだまだ知らないことが多いということで、やはり審議も尽くしてやるべきだ、こういう主張をしたわけでありますが、こういう中でこの雇用保険法案というものについて、一体どれほど国民の中に知らされていないかということについて、私、地方に行ってびっくりしたのです。企業主から雇用保険法案を通さなければ会社がつぶれるのだ、解雇になるのだというようなことで言われたというのです。それで雇用保険法案を早く通してほしいということなので、実は雇用保険法案について、青年や女子労働者、あるいはまた季節労務者も含めて大幅の給付の切り下げがあるんですよという話をして、具体的に法案の内容の話をしたら、そんなの初耳だといってがやがやなんです。確かに一方でいう体業補償というものもあります。あるけれども、一方にはそういう労働者が失業者になった場合の生活の保障から見ればきわめて重大な影響があるというその法案の内容の、私たちから見れば一番重大な問題が知らされていない。知っていない。それが一カ所や二カ所じゃないのです。先ほど申しました雇用保険法案を通してほしいという人々だったら、まあ幹部の方はちょっと知っているようですけれども、あとのほうの、七、八人のうしろにいた若い女性の方なんかそんなこと聞いていぬといってがやがやしているのです。ですから私は雇用保険法案をいま通してほしいという中で、特に三十歳以下の青年や女子労働者など、あるいは出かせぎ労働者、そうした人たちが雇用保険法案の促進をやっているということについては、おそらく中身を知ってないのじゃないかということさえ私は感じ取ったのです。そういう意味で私は、この雇用保険法案というものについてやはり審議すべきだという立場からきょう審議に参加しているわけであります。 したがいまして、いま言いましたような点で私は、はたしてあなたたちがこの雇用保険法案を通してほんとうに失業者の生活が保障されると思っているのか、失業防止ができると思っているのか、具体的にそういう若い人たちの給付が切り下げられるという、こういうことについては一体どう考えているのか、もう一度はっきり聞きたいと思います。
○長谷川国務大臣 石母田さん、あなたの前の質問者は失業者が出ることを非常に嘆き、私たちも嘆いているわけですよ。私は自分がこれを提案したから申し上げるのじゃありませんけれども、この法案が通過したあとどういうメリットがあるかということを常時持っているのです。 第一、失業を出さないことです。ですから、今度の法律案によれば、御審議いただいて通過してもらえば、休業中に中小企業に三分の二とか二分の一とかという一時帰休の補償をする、そうすればしばらくこれは失業にはなりません。さらに、失業保険という名前を雇用保険に変えてけしからぬとおっしゃるけれども、失業者には従来どおり失業保険金はいくんです。ほかのメリットもたくさんあります。そういうことからしまして、私はたくさんいろんな団体から陳情をいただいておりますが、ようやくにして、これはおくれたことが残念だと思いながらもおわかりいただいて、皆さん方からいま御要求されている。しかし、一人一人については、私たちも陳情書をたくさんもらい、自分で選挙をやっておりますが、一人一人が法律案の内容を知っているかということになると疑問があります。それはお互いここでやってみて、役所の話を聞いてみて、なるほどああいうものがあるかなということが私たちにもわかるわけです。ことしの春には出かせぎの問題が非常に出ました。今度は雇用調整ということで皆さんの議論も集中しています。しかしながら、いまこれだけ苦しいときであるから、この雇用保険法案によってそういう一枚をめくって次の二枚目に入っていく、これが段階じゃなかろうかということで私は実は御説明申し上げているわけでありまして、こんなに私たちが一生懸命になり、あるいはまた皆さん方がこういう短い臨時国会の間に、しかも予算委員会を開いている間にこうした設営までしてくれて御審議いただくということは、やっぱり雇用情勢について御心配をいただいているゆえんだ、こう思って私はお答えしているわけです。
○石母田委員 時間が非常に少ないので簡潔に答えていただきたいと思うのですが、私どもが雇用保険法案に反対するのは、再三ここできよう主張しましたから繰り返しませんけれども、私が聞いているのは物価値上げ、インフレの中で失業者がどんどんふえる。そうしてこの間の新聞では、解雇されて思い余って自分のおかあさんを殺して心中しようとした。そういう人たちが新聞をにぎわしているわけでしょう。こういう中で三十歳以下の人が、たとえば十年間つとめていれば保険金を九カ月間もらえるのですよ。五年以上つとめていれば百八十日でしょう。その人が今度の雇用保険法案では一年未満、一律最低の九十日しかもらえないのですよ。二分の一か三分の一になるでしょう。就職支度金はいままで、半分以上残していれば一時金でもらえたんです。今度もらえるのは身体障害者か五十五歳以上かという話だけれども、ごく限られた人たちで、一般はもらえなくなるのですよ。現実にもらえたものが少なくなったりもらえなくなるということ、掛かりはどんどん掛かっていかなければならないときに逆に下がるということは、生活問題から見れば二重の打撃でしょう。その分でいえば、どうして生活保障が確保できるんだ、よくなるんだ。何がメリットだ。青年、女子労働者、出かせぎだってそうでしょう。 そういうことについて、あなたのことばだけ聞いていれば確かに誤解する人が多いと思うけれども、現実の雇用保険法案を誇張して私は言っているのじゃなくて、そのままここに書いてある法律案のとおりに言ったって、もらうのは少なくなるのですよ。あたりまえじゃないですか。この法律案はそうじゃないのですか。いまの九十日分というのは、間違っていれば間違っていたでやってくださいよ。事実でないことを言っているなら、そうだと言ってくださいよ。現実にそれは下がるでしょう。簡単に言ってくださいよ。
○遠藤政府委員 雇用保険の中で、先ほど来お話が出ております雇用改善事業で失業を積極的に予防していこう、できるだけ失業を出さないようにしようということで、そのためのいろいろな援助の制度が設けられております。どうしても失業が出た場合には、その実態に応じて十分に失業期間中の補償をし、一日も早く就職をしてもらう、これがこの法律の目的である。 そこで、三十歳未満の人はいままで百八十日あるいは二百十日あったものが一律九十日になるとおっしゃいますけれども、これは先般来再々申し上げておりますが、実態は、これからの深刻な失業情勢の中でもなおかつ三十歳未満の人たちは、四十五歳、五十五歳あるいは身体障害者、そういったきわめて就職の困難な人に比べますと就職が容易である。しかもいままでの実績を見ますと五十数日、六十日程度で就職をしております。実はこの九月、十月に工場閉鎖をしたり、あるいは人員整理によって解雇された三十歳未満の若い人たちにつきましては、現実に求人が十数倍になっております。一月たたないうちに、大体十日から二週間でいままでの労働条件を上回った就職が確保されております。今後失業情勢が深刻になります場合に、そういう状態が必ずしも一〇〇%補償できるとは私は申しません。したがいまして、この不況によって、不況産業であるいは衰退産業で離職をした、あるいは一つの地域に大量に発生した、こういう場合に個人別延長とか広域延長あるいは全国的な一律延長ということによって九十日がさらに九十日加算をされる、六十日ふやされる、こういう措置がこの雇用保険法の中に現に盛り込まれているわけです。ですから、そういうことによって三十歳未満の若年の人たちといえども、そういう事態になれば必ず給付期間というものを補償される、こういうことになっております。 と同時に、インフレで弱いものいじめじゃないかといわれるのですけれども、実は現行の失業保険法では、給付の最低額補償は千円に満たないのでございます。それを、いままでの六割を八割に上げよう、賃金の低い層の人たちについては給付率を八割に上げよう、そうすることによってできるだけ失業中の補償を高くしよう、あるいは中高年や身体障害者や社会的弱者といわれている人については、年齢のいかんにかかわらず就職がむずかしいのだから、それだけ給付を手厚くしよう、こういうことがこの失業補償の内容になっておるわけでして、失業した人たちに対して現行の失業保険法の各制度よりははるかに、数段と手厚い対策になっている、こういうふうに私は思っています。
○石母田委員 そういう詭弁を弄しておるけれども、実際にあなたたちが発表した「「雇用保険法案」及び「雇用保険法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案」の考え方について」の中にだってきちんと——私の言っていることは間違っていないのですよ。三十歳未満については九十日、何年掛け金をかけたって、五年、十年かけたって九十日しかもらえない。これは二分の一、三分の一になることは明らかじゃないですか。就職支度金だって、もらえたものがもらえなくなるんじゃないですか。そのことが前よりよくなったなんて、一体どういうことを根拠にして言っているのか。こういうことはきちんと、事実は事実として認めた上で、だけれどもこうだと言うのならいいが、いまの話を聞くと、結局また間違って理解する人が多くなるのですよ。そうじゃないんだ。これは確かに若年労働者、女子労働者、出かせぎ労働者を含む季節労務者にとっては給付の削減になる。問題は、そういうことで削って何をやろうとしておるか。これもここで主張しまして、大体明らかになったように、たとえば休業補償にしたって、いま一時帰休制は、電機労連だけで十月現在で五万九千人だ。これはほとんど大企業ですよ。こういう人たちは賃金を平均九〇%もらっています。その半分を補償するわけでしょう。中小企業に三分の二だとかなんとかといったって、金額的にいけば私は大企業のほうに流れていくと思います。今後きちんと、休業をやるなんということで中小企業が少々金をもらったって、半分くらい補償したってどんどん倒れていく。中小業者の実態がいまどういうものであるか。史上最高の倒産を示している。あるいは雇用改善のところで、雇用機会喪失交付金について一番金を出しているけれども、これは一人十万円で一企業二千万円でやった。そういうものについても対象者は何かといったら、工業再配置促進法、農村地域工業導入促進法という、いわゆる日本列島改造計画に伴う工業再配置などに使うものに使うんだということを答弁されているでしょう。こういうことを見ますと、四千数百億円もある、この失保の財政を、失業者の生活安定を目的にした、それに払うという金よりも、こういう国と資本家が本来責任を負うべき雇用対策、しかもそれが大企業のほうに多く流れるような仕組みのところに投入しよう、こういう根本的な改悪になる雇用保険法に対してはわれわれは反対だ。この点については、今回社会党さんや公明党さんは一定の修正があればというようなお話も伺っておりますけれども、そういう点で私はこの雇用保険法案に対して、現実に失業者になった人たちの生活保障について一体どういう影響を与えるか、そのことによってほんとうに失業防止ができるのかどうか、こういう点から見ると、きわめて重大な内容を持っている。しかも長い間積み上げてきた一定の失業保険制度というものを根本からくつがえすような制度変更を伴っている、こういう点からわれわれは前回反対を表明してきたわけです。しかしながら、これに対して、ではわれわれはどうするのかということを真剣に考えたんです。そしてきょう失業防止、失業者の生活保障についての緊急臨時措置について、私ども大綱案を発表いたしました。政府は雇用保険法案というものをそのまま出しましたけれども、私どもは皆さん方の雇用保険法案等のいろいろな審議も通じてわれわれなりに、まず失業者の生活保障をインフレ物価の中でも減らすんじゃなくて、ふやす方向でどうやって保障していったらいいか。もう一つは、失業中の就労、仕事の保障をどうやってやっていくか。それから失業防止についてどうしてやっていくか。この三つの大きな柱について、臨時国会でありますので、特に補正予算の範囲内でありますから、われわれの言うのを補正予算の中に組んで、現実的に実現できるような方向でということで、きょうこの大綱案を新聞発表しておるわけであります。 この法的な内容については時間がございませんから、あとで法案となった場合に検討していただくということにして、私どもは、まず一つの問題として、失業中の労働者の生活保障として現行法の失業保険法の改善で給付改善と適用の拡大ということを考えているわけです。 その一つは、一律に百八十日間の給付を延長して、この部分については緊急的な処置ですから、失保財政じゃなくて、国の負担ということに考えております。さらに、これは皆さんも検討されている百分の六十から百分の八十にする、そういうことと、適用の拡大については、全面適用の問題は五十一年三月ですか、ということになりますかね。これを即時行なって、特にパートタイマー、一日労働時間が四時間以上も含むすべての労働者が適用されるという問題についての適用の拡大を行なって、いま現に失業者になっている人たちの問題を救済していきたい、こういうふうに考えているわけですけれども、この生活の保障という問題について、政府は、給付の切り下げではなくて、共産党のこの方向での解決ということを再検討できないかどうか。この点についてお答えを聞きたいと思います。 〔委員長退席、山口(敏)委員長代理着席〕
○遠藤政府委員 先ほどからお話しになりました中で、今回の雇用保険法が雇用調整交付金制度とか雇用改善のための積極的な政策に四千数百億とおっしゃいましたけれども、現在の積み立て金のことだと思いますが、それを振り向けようとしておる、だから反対だとおっしゃったのですが、実は事実は全く違っておりまして、現在失業保険法によります積み立て金は前年度末で五千四百億ほどございますが、これは今後雇用保険法になりましても失業給付以外に使うことは全くできないことになっております。それで雇用調整交付金とかあるいはその他の三事業に使われます原資はすべて千分の三の使用者の全額負担をもって充てることにいたしております。したがって、いわゆる労使負担の保険料は失業給付だけにしか充当されない。この点は前回来明確に申し上げているところでございまして、どうも石母田先生、その点は誤解をなさっているように思います。それは明らかにそうなっております。 それから、いま緊急措置のお話がございましたが、私どもの雇用保険法は、五十一年ではなくて五十年の四月から全面適用を実施することにいたしております。したがいまして、来年の四月一日以降は、一人でも雇えば全部適用になる、失業給付の対象になる、こういうことでございます。
○石母田委員 それを早めろということですよ、この内容は。それと、いまの問題だから、一月、二月、三月なんというのは、一番失業のあれでしょう。それから、あなたはまたよけいなことで、前のほうで言った事実と違うということ。それはここで論戦したとおり、その歯どめがないんだよ。これがどんどんなった場合に、それじゃ全然別にしたらいいじゃないか。別にしないで千分の三だけでやるかというようなことについて、会計は同じじゃないかということは、何べんもここで論戦して、それがオーバーしたらどうするんだというような問題では、ここで論議しているからこれ以上の論議はしないけれども、私の聞いているのは、そういう点で給付日数を減らすのではなくて、むしろふやすように、あるいは全面適用を、来年の四月を繰り上げて、先ほどから言っているように、いまの問題をどうするかという労働者が多いのだから、いまの問題にそれができないか、こういうことを言っているわけです。 第二の問題は、失業者の仕事の保障でございますけれども、私どもは、いまの緊急失対法が、昭和四十六年の中高年法の附則第二条によって、四十六年、その当時の失業者、失対にかかっている人だというだけになっているわけですね。この凍結を解除して、そうして失業者をこの緊急失対法に吸収できるように、そういう門戸を開放するというか、それをやれば、現在の失業者の就労という面について大きく役立つのではないか。さらにここの中で労働大臣が失業者の多発地域ごとにこうした失業対策事業などを実施して、可能な限り多数の失業者を何か緊急に吸収する計画を自治体などと相談して作成して、そうして門戸を閉ざすのじゃなくて広げて、国や自治体が起こしている事業に多数の失業者を吸収していく、それを拡大していくという方向での対策が私はいま急がれていると思う。そういう点で、こうした法的な内容を考えたわけですけれども、こういう点などについての政府の御見解を聞きたいと思うのであります。
○遠藤政府委員 不幸にして失業された場合に、その失業期間中の補償をどうするか、一日も早く再就職するためにどういうふうな行政措置を講ずるか、こういうことで雇用保険法を私どもは考えたわけでございます。 そこで、全面適用ということになりますと、一人でも労働者を雇っている場合、雇われている人はすべて適用対象になるわけでございます。こういう人が失業すれば、当然新しい雇用保険法による失業給付の対象になる。就職するまで失業給付が受けられる。それによって生活の安定を得させる、こういうことでございますから、私どもはそれにさらに何か事業を起こして、土木事業なりそういった仕事につかせるということとは矛盾する問題だと思っております。 それ以外に自営業者とか、いわゆる雇われて働く以外の人で失業状態になった、その間の、就職するまでの補償をどうするかということにつきましては、現行の雇用対策法なり中高年の雇用に関する特別措置法なり、そういったものによりまして手当制度なりあるいは特定の地域における開発事業、こういった制度がございますので、私どもはこれで十分だ、かように考えております。
○石母田委員 ガンだね、まさに。この間の社会労働委員会の五月十三日の記録を見てごらんなさい、あなた。労働大臣は、そういう私の意見に対して、そのときには法的な処置まで、われわれは解決の方法まで出さなかったけれども、こういう拡充するということについて御意見を拝聴してよく検討してみたい、こう言っておるんですよ。まあ前向きなんだ。あなたみたいにうしろ向きに、これで十分なんだ、もう失業者を吸収する事業なんかやらぬでいいんだ、こういうことを国会で堂堂と答弁する——大臣のほうは、あなたに比べればまだ少しは前向いている。あなたは立ちはだかっておる。あなたの遠藤局長という名前は、悪名なんと言うと悪いけれども、いいうわさは聞いていなかったが、なるほど国会でそういうことを堂堂と言われる。いまの失対事業の人たち、失業者の人たちにそういうことを堂々と外へ行って言えるかどうか。そういうことはとんでもない間違いだ。こういうことについて検討していくというなら、その解決の方向は、いろいろ立場があるから、違うでしょう。われわれが真剣に、どうやったら失業者の就労を拡大していくかということについて、こういう法律もひね回してみんなで何カ月間もかかって出したものなんですよ。それを、そんなことをする必要はないんだと。大臣、私はいまの答弁に対して非常に不満だ。この間の大臣答弁から、いまここで議事録を読んでみてもいいけれども、後退しているのかどうか、もう一回大臣からお答え願いたい。
○長谷川国務大臣 政党がそれぞれ案を書くことは、私はいいことだと思います。しかしそれが、絶対に自分たちの言うことが通らなければ政府の原案は全部けしからぬ、こういう態度は……(石母田委員「そんなことは言っていない」と呼ぶ)だから、私は一ページをめくって二ページ目にこの際は行ってもらって、そしてまた変化があった場合にはいろいろなことを考えながら進むのが順当じゃなかろうか。そしてただいま私たちが考えておりますことは、従来、この前の国会において政府原案を出したのを、皆さん方がこういう知恵があるといって御審議いただいて修正された。そしてそれを今度は、こういう時期でもあるから、修正案そのままで出して御審議いただく。これは私は、こういうメリットもひとつお認めいただきたい。その間に皆さん方が大綱ですか、そういうことをおつくりいただいたということもありますが、その大綱をお出しいただきながらも、一歩でも二歩でも私たちが前進したと思うやつには、絶対反対だ、おれの言うことを聞かなければというような……(石母田委員「そんなことは言っていない」と呼ぶ)いやいや、そういうにおいだ。それは私は非常に残念だという気がするわけであります。
○石母田委員 質問を曲げているんだよ。この間、失業対策事業について、拡大と拡充について検討すべきじゃないかと言ったら、あなたは、その御意見も拝聴しましたと言っているわけでしょう。それで、そういうことの検討で、全然必要ない、こんなことを言っているから、あなたは大臣の答弁よりおくれているのかと言った。それは当然この間の答弁でいいんでしょう。この間のは間違っていたのですか。
○長谷川国務大臣 いま申し上げた気分と同じです。
○石母田委員 この前の議事録の答弁でいいんでしょう。じゃそれはあとできちんと確認しておいてください。 それでは私は時間がないのですが、失業防止のための緊急措置についてなんです。これは政府統計でも解雇者がかなり出ておるのですけれども、失業防止という点で、この雇用保険法案ではとてもいまの深刻な雇用不安、失業を押えることができない、こういう立場から、じゃどうしたらいいかということを党では懸命に考えまして、そして一つはいわゆる従業員の大体一五%以上というような目安にしていますけれども、特に大企業などで地域的な経済に非常に重大な影響のある大企業が、ほかに方法があるにもかかわらず、経済変動を理由にして大量にいわゆる便乗的な解雇をするということとか、あるいは中小企業なども含めまして、個別に解雇する場合でも、交通遺児をかかえている母子家庭であるとか、あるいはまた身体障害者あるいはまた原爆被爆者などの世話をしている、扶養しているといいますか、そういう労働者であるとか、そういう、首を切られること、解雇されることによって生活上に極度の圧迫を受ける人、寝たきり老人を扶養している人だとか、そういうことで幾つかの例示をつくりまして、こういうものについては社会的な不当な解雇とみなして、都道府県知事が間に入って、そうして勧告する。もし勧告を聞いて、じゃ解雇をやめようじゃないか、こういう企業主に対して、中小企業に限ってですけれども、効力を停止している期間、二十人以下に対しては基金から賃金を補償してやるとか、あるいはまた融資制度によってそういう休業の補償をしてやるとかというような形で、できるだけ解雇によらない方法による企業の再建なり継続ということをやっていけないかということで、あとで読んでいただけばわかりますけれども、これは法制局にも、非常におもしろい案で、勉強させてもらいましたというかなりおほめのことばをいただいている部分でありますけれども、この点についてぜひ、解雇のいわゆる一定の規制というか、あるいはそういう大企業の恣意的な、経済的に影響を与える大量の解雇についての規制、こういうものについて私どもは検討してありますから、この点も十分検討していただきたい。 さらに、時間がありませんので、休業補償等の緊急融資制度につきましては、いわゆる労働保険の特別会計、先ほどの話の積み立て金の一部を財源としまして、解雇の効力停止期間の賃金及び解雇を休業に切りかえた場合の、または休業補償の支払い目的とする特別の融資制度を設けております。 さらに労働債権の問題でありますけれども、これは労働省の調べでも六十六億円ですかというような形でかなり激増しているという状況にあるわけです。実際に建設業の労働者であるとか、民間の労働者を問わず、最近こうした事例が非常に多くなって、あのデータも労働基準局で扱った部分だけでありますから、実際にはもっともっと多いわけであります。こういうことで、中小企業が倒産し、賃金、退職金に不払い、遅払いが生じた場合にどうするかということについては、やはり国の負担で支払い基金制度をつくりまして、そしてこれによる代位といいますか、立てかえ払いをやっていく。あるいはまた小規模の二十人以下というような形の事業主に対しては、先ほど言ったように解雇の効力停止期間中は国で負担してやるとかというような形で、いま一番しわ寄せになっている中小企業あるいは未組織の労働者というようなところで起きている事例について、何とかこの労働債権の支払いによって、労働者がそうやって賃金をもらわないで非常に困っているという悲惨な状況を緊急的に救う措置がないかということでこういう問題を考えたわけですから、この労働債権の問題について若干、長谷川労働大臣よそで発言している例もありますけれども、この点について、この案について、いいか悪いかなんということじゃなくて、そういうことについて考えていることがあったら、検討していることがあったら、ひとつ答弁してください。
○東村政府委員 ただいま御指摘ございましたように、不況といいますか、それによりまして賃金不払いが逐次増加しているということは事実でございます。これに対しましては、労働基準監督署を動員いたしまして、できるだけ早期に問題を解決するという体制で当たっております。 ただいま御指摘のございました賃金債権の法律的な問題でございますが、これはたとえば債権についての先取り特権を強化するとか、あるいは何らかの救済措置を講ずるとかいう、いろいろ御意見ございます。存じ上げておりますし、ここにも拝見したわけでございますが、それらにつきましては、公租公課の問題であるとか、また私法上の他の債権との関係等々ございまして、さらに法律的には研究していかなければならぬ、こういうふうに考えております。
○石母田委員 以上、私ども、そういう雇用保険法案の問題について、われわれの基本的な態度は、御承知のとおり、雇用保険法案によって現在の失業者の生活の保障、あるいはまた失業防止という点について、これは反対の結果をもたらすということから、われわれはこういう積極的な提案を行なって、この実現を期したいと思いますので、十分この点についても検討していただくということにして、またこの中でも採用できるものはどんどんいまの段階で採用していただきたい、こういうことをお願いして、私の質問を終ります。
○山口(敏)委員長代理 次に寺前委員。
○寺前委員 前回も審議をやりましたから、時間もあれですから、ちょっと気になる点だけを緊急に、失業が多発してきているという実情下ですから、大臣がいろいろ見解はわれわれと違うにしても、気になる点についてはやはりともに解決していかなければならぬ問題があると思いますので、その点について二、三聞いてみたいと思います。 さっきも出ておったのですが、女性の問題というのがやはりひっかかる失業多発時代における一つの問題になるであろう。四時間以上のパートタイマーというのは、いま家庭婦人の中にかなりたくさんおりますから、全体としてこういう人たちの中に影響が広がるというのが一つの特徴点としてあると思うのですね。それから東京でいっても、例の家内労働法を制定したときの労働者、ヘップサンダルとか、それから私のほうでいいますと、丹後のちりめんの、家でやっておる家内労働者、あるいは京都の西陣の労働者もそうですが、ああいう家内労働者の場合にどういうふうに処置をするのかという問題は、やはり一つの、いまの失業問題が多発している中においては犠牲を受ける層になってくると思うのです。 そこで、これらの四時間以上のパートタイマーなりあるいは家内労働者にせめて失業保険の制度を適用するということは考えられないのか。絶対に考えられないのかどうか。それは一体どこにあるのかということをお尋ねしたいと思います。それでは、それに取ってかわるのは緊急にどういう手を打つのか、これはやはり気になっている問題点だと思うのです。この点についてひとつ御見解を聞きたいと思います。
○遠藤政府委員 失業情勢が不況に伴って深刻になってまいりますと、まっ先にしわ寄せを受けやすいのは、臨時工あるいはパートタイムと総称されるいろいろなたぐいの方がおられます。あるいは出かせぎ労働者、日雇いとか、こういうタイプの人たちが一番先にしわ寄せを受けやすい。これはもう御承知のとおりでございます。そこで、その中の問題になりますパートタイム、いわゆるパートタイマーと総称されておりますいろいろな形があります。たとえばいろいろな事情があって、一日フルタイムで働けないから、毎日定期的に七時間なり六時間働く、あるいは午後から少しオーバータイムになるような時間までというような形で働く人もあるし、あるいは全くいわゆる常態として働くのでなくて、アルバイト的に働いてこられておるという人たち、いろいろなタイプの人がパートタイマーと総称されておりますけれども、実は先般参議院の社労委員会におきまして、ダイキン工業のパートタイマーの例が出ておりました。これは話は実は私そのときまで存じませんでしたけれども、お話によりますと、ダイキン工業という会社は大阪の会社だそうですが、そこで百数十人の人が今度の不況で解雇されたパートタイマーであるけれども、毎日実働六時間だ。七年から十年間にわたって、月給七万から十万ぐらいで働いていた。この人たちが失業保険の適用がなかったのでけしからぬじゃないか、こういうお話がありました。パートタイマーに失業保険を適用するのかしないのか、こういう問題は実は七、八年前からたいへん大きな問題になっていたのです。当時私も安定局の課長をやっておりまして、パートタイマーといえども失業保険を適用すべきだということを主張したただ一人でございます。ところが、当時はパートタイマーというといわゆるアルバイト的に一日三時間とか四時間、主婦のいわゆるプラスアルファ的な、家計補助的な収入を得るために働くというのであって、いわゆる常用労働者的な、常態として働くというタイプの人は含まれてないという、そういう観念のしかたでございます。したがって、たとえそうであっても、そこで働く以上は当然失業保険の対象にすべきだということを私は主張しましたけれども、理論的には必ずしもそうではない。確かにおかしな面がある。と同時に、いわゆるパートタイマーを代表する人たちが、自分たちが失業保険に入っても保険の対象にならないんだから、保険の掛け捨てになるからいやなんだ、こういう御意見が当時大勢を占めておりました。そこで私は、実は詳しい内容を知りませんでしたが、四十二年か四十三年かに、失業保険課長通達で、パートタイマーと称する人たちの典型的な例を五、六項目あげまして、これに該当する人たちは失業保険の対象にしないという取り扱いが今日まで行なわれております。 ところが、いま申し上げましたように、パートタイマーといってもいろいろな形がありまして、確かにそういうふうに保険の対象というか、常用労働者を対象にしたこういう制度になじまない人たちもありますけれども、最近におきましてはパートタイマーという名称のもとに、いわゆる常用労働者として全く実態は違わない。いまのダイキン工業の例のように、もう七年から十年つとめておる、月給も大体七万から十万ということでございますと、普通の労働者だと思います。こういう人たちがパートタイマーという名称のもとに失業保険の適用をはずされている。解雇になって失業保険の給付が受けられない。これは私は非常に異例なことであり、もってのほかだといってもいいと思うのです。こういうことがいままでどうして放置されておったのかということを実は私伺いたかったわけでございます。 そこで、いま先生の御指摘になりましたパートタイマーを保険に適用する方法がないのか。これは私どもは、いままではそういう扱いで対象になった人とならない人と二通りあったと思いますけれども、今回雇用保険法が成立いたしましたならば、こういった純然たるいわゆる学生アルバイト、学校に行っている合い間にちょっと働きに行って、二日か三日いく、あるいは夏のお中元とかお歳暮の機会に配達員をやるというのなら別としまして、常態として短時間一定の時間働いていくというような人たちは、当然適用対象にすべきである、私はこういうふうに考えております。そういうふうにこれから制度を明確にしていきたいと思っております。
○寺前委員 家内労働者は……。
○東村政府委員 家内労働と失業保険の御指摘でございますけれども、家内労働者ないしは家内労働という問題は、事実上の労働者とみなすような形で家内労働法をいま適用しておるわけでございますが、実際上はなかなかこれはむずかしい問題がございます。どういうかっこうで失業なりそういうものを押えていくか、あるいは複数の親企業から仕事をもらっている場合に、一つのところで仕事が切れた場合にはこれをどう見るのか、いろいろむずかしい問題がございまして、私ども問題のある、ないしはいろいろ御希望があるということは存じておりますけれども、いま直ちに家内労働に対して失業保険云々というのはちょっと問題として申し上げられない。さらに検討しなければいかぬというふうに考えております。
○遠藤政府委員 家内労働者につきましては、これは確かに御指摘のように、これもまた不況のしわ寄せを一番端的に受けやすい人たちだと思います。そこで、こういう人たちが家内労働という形態から脱して、通常の雇用の場につこうということになりますと、確かに失業保険あるいは雇用保険の対象になるかならぬかという問題がございますが、雇われればもちろん対象になります。そうでなくて、やはり自営という形であれば対象になりませんけれども、こういう自営的な家内労働の形態から脱して雇用の場に行こうとする場合に、それまでの間の補償はどうなるか、むしろ問題はそこだと思います。そういう場合には、先ほどちょっと触れました現在の雇用対策法によります転換給付制度がございます。これに手当の制度がございますので、雇用の場につくまでの間は、そういった方法によってこれは雇用保険の失業給付に準ずるような形で対策を講じていく、こういうことでございます。
○寺前委員 これはもう少し研究をしてもらうということですね。これは積極的に研究をやってもらわないと時期が時期だけに、先ほど基準局長は労災問題でどこどこの審議会にかけていますとかいろいろおっしゃっていましたが、どこどこにかけているというだけでは今日の事態に間に合わないものであると思うのです。ですからもっと時期を設定して急いで対応策を、いま遠藤局長はああいう形で言われましたけれども、もう少し積極性を、この分野については研究を早めてもらう必要がある、私はそう思います。これは意見を申しておきます。 それから気になる問題は、小さいときにはまるごとつぶれてしまいますから、そうすると労働者の賃金の未払いなんか残ったままになっていますし、それから退職金もとれないというようなことが続々と起こってくる。いわゆる労働債権というものが発生してくるわけですね。かなり御指導をいただいて積極的な役割りもしておられるようですけれども、しかしやはりこれは労働者にとって、解決するのに一年も一年半もというようなことになって残っていくというのはかなりあります。これは大きな問題なんですね。私のところに幾つか手紙も来ていますけれども、その間労金からお金を借りて労働団体としての団体交渉をやったりあるいは債権の分配についていろいろ交渉したりしておられるようではありますが、大企業の問題は別として、中小零細の場合には積極的にそういう制度で保障するやり方というものは考えられないものだろうか。ちょっとこれ私は今日の緊急対策として重要な位置を占めると思うのですが、その点についてどういうものでしょうか。
○東村政府委員 ただいまお話ございましたように、賃金不払いはふえつつある状況でございます。その中で私どもといたしましては、賃金不払いというのは、労働者が生活していく唯一のかてでございますので、重大視いたしまして地方の労働基準監督署を動員いたしまして、ただいま御指摘ございますようにできるだけ早くできるだけ事前にこういう問題を防止しなければいけない、事態が発生したらすぐ回復しなければならないという立場でやっておりまして、たとえばことしの四月から九月の間にわたる半期をとってみましても、この半期に発生した金額にほぼ見合うくらいのものは、全部とは申しませんが、片づけているような体制をとっておりますし、今後もやらなければいかぬと思います。 ただ、いまの制度的な問題でございますが、先ほどもちょっとお答えしたわけでございますが、賃金債権等についての優先弁済権といいますか先取り特権といいますかそういうものを強化したらどうか、ないしは何らかの形で賃金の補償ができるような制度を設けたらどうかというような御意見、私どもよく拝聴しております。ただ、せっかく先生御指摘でございますが、これはやはり公租公課の問題とか、それから司法上の債権の問題とかいろいろからんでくる問題ございますので、こういうものもにらみながらさらに制度をどうするのかということを研究していきたい、こういうように考えております。
○寺前委員 あなたのところの話はいつでも研究が多過ぎて間尺に合わない。いま現に発生してしまっているんだから。だからちょっと大臣、これやはりあなたの記者会見か何かで生きた人を相手にするのが労働省だ、まさにそのとおりで、生きたものを相手にするのに間尺に合わぬようなことでは仕事にならない。その点は立場として明確にしておいていただきたいと思うのです。 そこでまだ気にかかる問題一ぱいあるのですが、ともかく障害者とかこういう人たちになると、ともかく企業を守っていくということになると必要最低限にしぼられていきますから、そういう企業の守る側からいうと、権利を侵されやすいところの人というのは出てくるわけですね。障害者なんかもその部類だと思うのです。だから障害者に対しては逆に身体障害者雇用促進法だったか、雇用の義務づけというのが雇用の側からいってもあるわね。こういう事態が生まれてきたために、逆に犠牲、しわ寄せを受けてくる。ますますもってこの人たちを保護するという問題は非常に重要な位置を占めてくると思うのですよ。 〔山口(敏)委員長代理退席、竹内(黎)委員長代理着席〕 私、さきの労働債権の問題でも、大企業の場合は横着なことを許さないということで中小をやはり基本的に考えなければいかぬと思う。この障害者の問題でも、ぼくは大企業の問題というのはやはり非常に問題だと思うのですよ。私がここで説明しなくても、大臣も局長さんも先刻御存じのとおりだし、審議会からも大企業の雇用率は悪いと一年前に指摘があるわけでしょう。名前を発表せいとまで審議会は言うたわけでしょう。計画を立てて命令を出してやっていくという体制をとりなさいと審議会からばんと出ておるわけだ。もう一年たったのだよ。これも生きた人を扱っておるのに間尺に合わぬということでは仕事にならぬじゃないか。今日のこの時代に、一体この問題についてはどう解決されるのかちょっと聞きたいと思います。
○遠藤政府委員 いま寺前先生の御指摘のとおりでございます。私どももそのつもりで準備を進めてまいりました。大企業は特に身体障害者の雇用率の達成状況が悪い。この点をどうすれば根本的に解決できるか。これはいろいろ問題がありまして、私どもは積極的に前向きに制度的に取り組みたいと思っておりますけれども、さしあたり審議会なりこの委員会で御指摘になりました大企業に対する雇用率達成状況の公表なりあるいは具体的に企業名を指摘する、こういう方法を今年度中に実現したいと思っていま準備を進めております。
○寺前委員 今年度というと来年の三月までですね。これもまた私はほんとうにゆうちょうな話だと思うのですよ、さっきも言ったように。
○遠藤政府委員 一月でも今年度中です。
○寺前委員 年度中というから三月までやったらという……。私はほんとうに年内に……。
○遠藤政府委員 あと十日しかないのです。
○寺前委員 年度内というと、あなたの言うのは三月までのことでしょう。
○遠藤政府委員 一月も年度内です。
○寺前委員 そうだけれども、ぼくはへ理屈を言うわけじゃないけれども、生きた人を扱っておる話なんだから、生きた人を扱う労働省だと大臣言ったのだから、この問題というものはいまの時期こそ明らかにしなければならない問題だと思うのです。大臣、その点どうです、あなたの気持ちとして。
○長谷川国務大臣 私は身障者の諸君が抜き打ちでやられておるかどうか実は注目しておる一人です。しかもそういう諸君は、そこに就職する場合には使用者のほうも覚悟をきめて、あるいはまた使われるほうも、働くほうもそこの職場を得たということで一生懸命になっておるわけです。そしてまた最近の労働省がモデル工場をいろんなもので手当てしておることなどもわかっておりますから、そういうところの諸君が抜き打ち的にやられるというふうなことは注目しております。 一方、御承知おきのとおり、私は組合の諸君にさえも身体障害者の雇用の問題についてお話ししているかっこうですから、これはいま公表する話もありましたが、前向きでしっかりと、こういうとき一番弱いと思われる人、一番心配してもらう人、そういうところに眼を注いでやっていこう、こう思っております。
○寺前委員 いや私は時間の問題をいま指摘したので、私の気持ちを御理解いただいたら私はもうこれはやめますけれども、御理解いただきたいと思うのです。 それで気になる問題、もう時間もあれなので、私はあと二つだけやって終わりたいと思います。 一つは、失業の多発地域といえば何といっても一番ひどいことになってきているのは、炭鉱地帯だと思うのです。いままでに新しい法律で中高年の例の法律があります。ここで従来の緊急失対法が打ち切りになって暫定のところだけ残して、そして中高年齢のほうができてきて、そして一番手を打って特開事業を起こした。一番多いのが北九州の田川地域だ、そこでは全体として五千人の予算のワク内で仕事をして、もう予算のワク内一ぱいになっているけれども、その特開事業を起こしている大部分というのは、圧倒的部分があの田川地域に、北九州というんですか、あすこへ来ている。しかもそこには千名近くの人が指導手当をもらっておるという姿があります。そうすると、予算のワクから見たら一体これはどんなようになるのだろうか、しかもその指導手当というのがべらぼうに安いじゃないか、最高で千円に満たないようなものです。こんなことの姿に置いておくのだろうか、そのままでどうするんだろうかという問題が一つ。これは簡単でいいです。私は予算の問題とこれらの人の指導手当はあれでいいのかと思うのです。 それからもう一つは、これは全体の失対の労働者に関係する問題ですが、たとえば東京の二人世帯の生計費というのは月七万八千六百円と人事院の標準生計でことしの四月出しているけれども、失対の賃金は一日わずか千八百四十五円で、月四万五百九十円で二十二日就労だ、大体世帯は二人余りだ、あまりにも低いじゃないか。賃金のきめ方というのはいまさらもうきょうは論じません。この地域の似たようなあれと合わせるというのだけれども、それにしても生計を保てないような状況に置いておくというのは気になるじゃないか、この問題についてどういうふうに社会的に公正を期していくんだという立場から見たときに、大臣はどうしようと思っておられますか。この二点だけ提起して私はもうあとは聞きません。
○守屋説明員 まず第一点の福岡県の田川地区の問題でございますが、これは先生御指摘のとおり現在中高年齢失業者といたしまして措置を受けてある方が約千名おります。先生の御指摘のとおりでございます。私どもといたしましては、これら求職者の方に対しまして、今後全力をあげて職業紹介なりまたその他の就職促進対策を期してまいる考えでございます。また特開事業への就労問題につきましても、先生御指摘のようにこの就労が必ずしも簡単であるとは私も申しません。しかしいずれにいたしましても、今後の雇用・失業情勢、この推移の中で当該地域の開発の可能性等も十分考慮いたしまして関係市町村の事業計画の推進につきまして県当局とも十分検討、協議してまいりたい、かように考えております。 また、先ほど指導措置等の各種給付金の単価の問題が出ましたが、これにつきましては、私どもも来年度予算に向けましてその実態に合うような増額について全力をあげたいというように考えております。 また、同じく失対賃金につきましても、これはもう私が先生に申し上げるまでもなく現在の失対賃金の決定原則がございます。われわれはその原則の中におきまして、今後とも失対就労者の生活実態の改善のために賃金引き上げについて大いに努力してまいりたい、かように考えております。
○竹内(黎)委員長代理 次に、大橋敏雄君。
○大橋(敏)委員 私もまず最初に雇用保険法案に関連しまして質問いたしますが、総需要抑制政策がとられまして、それがだんだん浸透するにつれまして、特に最近の雇用・失業情勢というものは想像以上に深刻であり、きびしいものがあるようでございます。この現況と今後の見通しについてどのような考えをお持ちであるか、まずお尋ねをいたします。
○遠藤政府委員 この秋以来の雇用・失業情勢は、ただいま先生御指摘のように、きわめて深刻な事態を現出してきております。ただ、私どもは、この春以来インフレを抑制し、経済を安定させるために総需要抑制を堅持してまいっております。今後引き続き抑制を続けてまいるわけでございますが、当然これが雇用面に波及してまいることは私どもこの春以来覚悟いたしておりまして、八月を過ぎて九月、十月には相当深刻な事態に至るであろう、こういうふうに考えておりました。九月から十月に入りまして、十月の求人求職のバランスを見てまいりますと、〇・九六ということで、四十六年の十二月、四十七年一−二月の不況期とほぼ匹敵するような事態になっております。失業保険の受給者にしましても、昨年の十月に比較いたしますと、ことしの十月は二五・五%増、完全失業者が七十五万で、同じく昨年に比べますと四〇%増、こういう事態になってきております。この三、四カ月の間をとってみますと、求人倍率が〇・〇七から〇・〇八、各月落ちてきておるのです。これから十一月、十二月の数字はまだ出ておりませんが、来年の一−三月にかけまして求人倍率も——いわゆる労働力需給が逼迫して求人倍率が一をこえたのが四十二年以来でございますけれども、それ以降における最悪の事態といいますか、一番大きな数字が出てくるんじゃないか、こういうふうに感じております。新聞紙上等で、来年の一−三月では失業者が百万をこえるだろう。これは季節的な要因もありまして、過去数年間に九十万という数字が出たこともございます。したがって、それからしますと、当然百万という数字は出得るであろうということを考えております。私どもは、こういう事態に対処しまして、なお一そう雇用保険を出発点にして今後の雇用対策を強化してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○大橋(敏)委員 いま局長が認識しておるとおりに非常に深刻なきびしい情勢下にあるわけでございますが、労働者の雇用と生活を守っていくというのがいわゆる労働省の緊急かつ最重要な問題だと私は考えるわけでありますが、これは大臣から、一体どのような考えで手を打とうとなさっているか、お尋ねしたいと思います。
○長谷川国務大臣 総需要抑制というものはいま世界、日本の悩みが物価高騰ですから、物価高騰と不況、その間に雇用不安が出ておるわけであります。何といたしましても、物価を抑制するために総需要抑制ということでありまして、その間に失業者が出るということは非常に憂慮すべきことですから、労働省といたしましては、私自身が、十月の三十一日に全国の職安の課長会議を東京で招集しまして、こんな時代にこそ、労働省の出先機関の方々が困っておる人に親切な指導あるいはお手伝いをすれば一番喜ばれることであるから、しっかりとやってもらいたいというお願いをいたしました。さらにはまた、十月に御承知のとおり失業保険三三%アップをして、出てきた人に対する手当てをしたという形であります。そしてまた、前国会において御審議をいただきました雇用保険法案、これをこの際にぜひともひとつ御可決いただきまして、一時休業の助成などをしながら失業を延ばしつつ、一方においては、その間に将来出た場合の問題等々に対処していきたいということで、このとおり臨時国会の開会中でございますけれども、皆さん方に御心配をお願いしておる。私は、内閣全体といたしましても、あるいは皆さん方もお考えでございましょうけれども、まさに第二の国難の時期、これをうまくじょうずに切り抜けていかなければ日本はたいへんなことになるのじゃないか、こういう気持ちでいっぱいでいるわけであります。
○大橋(敏)委員 私はまず大きな問題点としまして二つあるだろうと思うのです。その一つは、この雇用情勢の悪化に対してそれに対応する早急なる手を打たねばならぬということが一つ。もう一つは、この不況の深刻化に伴いまして雇用不安が長期化するであろうというおそれ。ですから、この二つの点に立ってのいわゆる適切な手の施し方、これが大きな問題点だろうと思います。いまも大臣が話された中に、雇用改善事業における雇用調整措置、この問題も早急に云々という話があったんですけれども、現在のこうした状況下にこそこのような措置が生かされることが必要である、こう思うわけです。先ほどから何人かの委員の方の質問にも同じような趣旨の質問がありましたけれども、この法案は四月一日実施の法案ではないか。間に合わぬではないか、私もそれは同感であります。確かに法律が成立をして実施に移るまでには、いろいろと準備期間が必要でありましょうが、実際にこのような不況下にあってあえいでいる労働者、企業に救済の手を差し伸べることこそ生きた政治だと私は思うのでありますが、とにかく実態的に実質的に一月、二月、三月、それこそどんな状態になるかもう予想されているわけでございますから、これに対応するだけの具体的な手は打たれるかどうか、お尋ねいたします。
○長谷川国務大臣 非常に御熱心な御意見、感謝いたします。 私は、やはり政治家といたしますれば、政府がこの通り金も用意し、そしてありとあらゆる皆さん方の御理解をいただいて、一方は、外のほうは失業者が、いまの職安局長の話じゃありませんけれども、七十五万戦後最大、そしてこれがまたふえるかもわからないというふうな危険があるわけですね。このときに、私はこの法案を政府のただメンツということじゃなくして、政治家全体の責任において、おぼれる者はわら一本でもほしい、木切れ一片でもつかまって向こうに渡りたい、こういう気持ちだろうと私は思うのです。そういう者に手を差し伸べるという姿がお互いにあるとするならば、私は御通過していただいた暁には、非常な場合には非常な手を使います。何月何日というお約束はできませんけれども、四月一日に実施されるでありましょうけれども、その前にさかのぼるということだって、これは政治家の判断であり得る、そのために役所の諸君は準備、かれこれ事務的にたいへんでありましょうけれども、一人の者を救うために、大ぜいの者を救うために仕事を一生懸命やるということは、心の中に私は喜びを感ずるというふうなことで、ときには役所の諸君に無理をお願いするかもわからぬ。それもやはり議会の皆さん方の御協力、激しいところの熱意、それにこたえるゆえんじゃなかろうか、こう思っております。
○大橋委員 いまの決意は決して口先だけではないと思います。三木総理は、言うことと行なうことが非常に離れ過ぎているというもっぱらの評判でございましたが、三木内閣の閣僚の一員であるあなたですから、まさかその点も見習われるようなこともないだろうと思いますけれども、再度この点は、四月一日ではなくてもっと早い時期にいまのような実質的な措置を打っていくというこのことは、私は生涯忘れられないくらいの思いで受けとめておきますから、ひとついまの、特に民間労働組合、関係団体のほうからの必死の願いであります。一日も早くということは、もう一月早々にということでございますから、この点をしっかり胸に入れられて、また労働省の役人の皆さんもたいへんでございましょうけれども、この事態に対応した働きをしていただきたい、強く要望しておきます。 また雇用調整措置というものは確かに失業の予防をはかるために効果的なものであることは明らかでありますけれども、その具体的な実施基準といいますか、一体どのようなものを考えておられるのか、お尋ねをしたいと思います。
○遠藤政府委員 この内容につきましては、私どもは具体的な案を職業安定審議会におはかりしまして、その答申に基づいて基準を作成して実施に移すわけでございますが、ごく大まかに申し上げますと、この不況によって一時休業、操業短縮をせざるを得ない、そういう場合には、その休業中の支払われた賃金の二分の一、中小企業については三分の二を補てんすることによって、失業をできるだけ防ぐようにする、これがおおよその骨子でございます。確かに、そういう場合に、中小企業の場合はこれを適用がむずかしいのじゃないか、実際に恩典を受けにくいのじゃないかという御指摘は多々ございますけれども、私どもはそういうことにならないように、特に繊維、電機関係で八月、九月以来操業短縮が頻発しております向きにつきましても、中小企業筋からぜひ早くしてほしいという要望もございますので、そういう実態に適切に対応できるような基準の設定なり運用をはかっていきたい、かように考えております。
○大橋(敏)委員 私の理解が誤まっていれば正していただきたいのですが、いまの雇用調整措置について、国の補てんが大企業の場合は二分の一、中小企業の場合は三分の一ということでございますが、たとえば一人の労働者が一時帰休になる。そういう場合、企業側から最低その人の賃金の六割以上を支給しなければならぬという義務づけがありますね。その六割以上の賃金にプラスするところの、中小企業であればそれが三分の二の補てん、プラスされるわけですから、どうでしょうか。
○遠藤政府委員 実質的にはそういうことになりますが、たとえば中小企業は、この間の夏以来の繊維、電機の一時休業に対する補償は大体九〇%ないし一〇〇%の賃金を補償されております。かりに九割休業中の賃金が補償された、基準法ではこういう場合に六割以上を補償することが義務づけられております。しかし、実際には労使間の話し合いで八割、九割という補償が行なわれておりますが、かりに九割払われたとしますと、中小企業の場合はそのうちの六〇%が国から補てんされて、三〇%が使用者の負担になる。一〇〇%賃金を払ったとしますと、中小企業の場合は中小企業者が三三%持てば、あとの六六%は国がこの制度によって補てんする、こういうことになります。したがって、基準法で六割の賃金補償の義務がありますけれども、中小企業の場合は三三%負担すれば一〇〇%補償できる、こういうことになるわけでございます。大企業の場合は一〇〇%の賃金をもし補償したとすれば、その二分の一の五〇%が使用者の負担になって、残りの五〇%は企業が負担する、こういうことでございますから、基準法のいわゆる休業手当の補償義務より軽い負担でこの一時休業期間が切り抜けられる、こういうことになるわけでございます。
○大橋(敏)委員 要するに、この国の補てんの措置を受ければ大体一〇〇%の賃金が補償される、このように理解してよろしいですか。特に中小企に対していまのような配慮がなされたということは、私は非常にうれしいと思いますが、とにかく中小企業の実態は、先ほどからも何人もの方がお話しなさっているとおりに、想像以上の不況におちいっております。これにも手厚い手を打っていただきたいこと。それから、さきの国会でこの法案が提出されましたときと、雇用・失業情勢は大幅に異なってきたわけでございます。そこで、若年者でも必ずしも再就職は容易ではない。ですから、そのような情勢に立脚して、さらに給付日数の決定方法等、再検討する必要があると考えるのでありますけれども、この点はいかがですか。
○遠藤政府委員 実はこの雇用保険法案を策定いたしました昨年の八月以来、この内容についていろいろな各専門家、各関係団体、労働組合等の御意見ございましたが、私どもはこの法案を作成いたしますにあたりまして、まずその前提として考えましたことは、日本経済がただいまのようにマイナス成長となっておりますけれども、昨年の八月当時はまだ高度成長のさなかでございました。しかし、こういう高度成長経済がいつまでも続くものでない、国際的ないろいろな経済的な要因、あるいは国内的な経済の摩擦によって、不況、それによる雇用情勢の悪化ということは、当然考えておかなければならない問題でございまして、そういう雇用・失業の危機に際して、なおかつ十分な失業補償の機能が発揮できるような制度にする必要がある。と同時に、先ほど来御指摘にありましたような、そういう際に際しましてのいわゆる積極的な雇用政策と申しますか、失業を未然に防止し、さらに中高年とか身体障害者とか、そういう人たちにとっての雇用の場の確保のための具体的な措置、こういったものを盛り込んで新しい法体系をつくろう、こういうふうに考えたわけでございます。したがいまして、御指摘のようにことしの春、この法案を御審議いただきました当時と現在ではかなり失業情勢も深刻になっております。しかしながら、それはもう法案の作成当時から私どもの予定をしておりましたことでございますし、また、現在の時点におきます失業のもろもろの指数もこの春の時点である程度私どもは予想をし、覚悟をし、それに対する対応策を考えておったわけでございます。したがいまして、給付日数の点につきましては、確かに三十歳未満の若年については九十日ということで、足りないのじゃないかという御指摘もございます。しかしながら、いままでの過去の実績なり、今後の見通しとしまして、現在の時点で三十歳未満の人が失業した場合どうなっているか、この点も私どもが予定をいたしておりました実態とほとんど変わっておりません。三十歳未満の人につきましては、工場閉鎖、人員整理によってこの九月、十月大量に失業をした人たちが、十数倍の求人によっていままでよりも劣らないような労働条件で一カ月以内に全員再就職をしております。そういう実態からいたしますと、私はこの雇用保険に盛られた失業給付の内容で十分であると考えておりますと同時に、ただそれだけではなくて、今後これ以上にさらに失業が深刻になり、あるいは不況産業等の問題が出てまいりました場合には、雇用保険法の中に盛られております給付延長の措置に個人別延長、それから地域延長、あるいはさらに全国的な不況の場合は全国一律延長、こういう延長制度がございます。この延長制度の——どういう場合に延長をするのかという基準のきめ方によってこれは確かに大きな差が出てまいりますが、その基準をきめます際に、こういった若年労働者の実態、あるいは中高年齢者の再就職の難易度、こういったものも十分見きわめて、具体的な個々のケースに十分対応できるような基準を設定することによって先生の御懸念を十分解消できるような措置を講じてまいりたい、こういうふうに考えております。
○大橋(敏)委員 いまの答弁では、雇用・失業情勢は大幅に変わった、しかし現実に九月、十月と大幅な失業者が出たけれども、若い人はもう一カ月以内にほとんど再就職していっている、しかし、まだ深刻な状態になった場合は延長制度を適用して救済の道を開く、こういうことですね。要するに、三十歳未満の再就職者の問題についてはいろいろと議論がなされてきておりますが、いまの答弁のとおりだったら、確かに私は問題はないと思いますが、もしいままでの答弁のような内容ではなくて、ほんとに深刻な事態が起こった場合は即座にその延長問題を発動する、こういうことで考えているんですか。
○長谷川国務大臣 私はやはり労働問題というのは追っかけて、ぶつかってみなければわからぬと思うのです。ですから先日も私、名古屋地方を歩きました。そうしますと、いまレイオフがかかっております。月給をもらっているわけです。しかしながら、ほんとうに失業したということになると、一人に対して七人の求職がある。私は現場を踏んできた。でありますから、いま局長が全国的な例を引いたことも私はそのとおりだと思うのです。外国の場合はレイオフをかけるときは若い者からです。事業場に経験の薄い者からかけていくのです。アメリカの六・五%のいま失業者の中に一〇%以上は若い職人、こういうことです。しかし、おっしゃるような御懸念があった場合には機動的に、これはあなたのおっしゃるようにやってみたい、こう思っております。
○大橋(敏)委員 それではお尋ねしますが、季節出稼ぎの関係になりますと、求人の条件悪化で取り消しあるいは不採用等の報道が次々になされているわけでございますけれども、この実態はどうなのかということが一つ。 このような時期に一時金制度をとるということは問題ではないか、私はこう思うのでありますが、この点についてお尋ねします。
○遠藤政府委員 こういう不況のときだけに、一番しわ寄せを受けやすいのは、先ほども質問が出ましたパートタイマーのような臨時労働者とか、あるいはこの季節出稼ぎの人たちが一番影響を受けやすいわけでございます。そこで私も、大臣のお供をいたしまして上野の駅前の出稼ぎ相談室にも行ってみました。北海道、東北の二カ所にも行ってみたわけでございますが、確かに御懸念ございますように、出稼ぎに対する求人が激減しております。昨年に比較いたしますと四〇%ぐらい求人が減っている。しかしながら、出稼ぎの求人は非常に大幅に求職を上回っております関係上、いまの十月の現状、十一月の現状では、東京地区も、それから北海道、東北地区も出稼ぎに出ようという求職者の数を上回って求人が出ております。それからその求人の賃金内容も、昨年よりは二割ないし三〇%高くなっております。したがって、出稼ぎに出たいという人たちが行き先がないということにはまだなっておりません。 ただ問題は、ことしの春以来、時間外労働を削減したりというようなことで、その影響で月額の賃金総収入は去年の横ばい、あるいは若干下回るというような実態も出てきておりますけれども、出稼ぎの職場が見つからないというような事態は出ておりません。 そこで、こういう事態で一番影響を受けている出稼ぎについて、いまの時点で一時金制度に切りかえることについてはどうかという御懸念でございますけれども、逆に、いままでは出稼ぎに行った人たちは、帰ると失業しております。したがって、どこかに就職したいというたてまえで保険金をもらっておる。今度は出稼ぎから帰りますと一時金一回で五十日分もらえる。しかも、そうしておきながら、今度は地元で、地場でいろいろな臨時的な職につくこともできる、あるいは農業に従事することもできる、大っぴらにやれる、むしろ出稼ぎ奨励策じゃないかと一部でいわれるほど、この制度のほうが日本のいまの出稼ぎの実態に適合している、こういう御意見を私は多々承っております。一部にはいままでのほうがいいのだという御意見もございますけれども、全体としてはこの一時金制度をすみやかに踏み切るべきだという御意見を最近たくさんちょうだいしている実情でございます。
○大橋(敏)委員 一時金制度のメリットは確かに私もわからぬではないけれども、問題は、いままで四カ月と二十二日働けば失業保険の受給資格ができて、そして長い人では九十日もらえていたわけですね。それがこの前の原案では三十日、ようやく修正して五十日までにはなりましたけれども、まだこれでは実は不満です。ここは検討の余地があろうと思いますから、もう時間がございませんので次に移りますけれども、労働者の実質賃金がこの一年間で二・九%の落ち込みである、昭和四十五年度の水準に達していないということを労働省の勤労統計調査速報で私は見たわけでございますが、こういう実態からまいりますと、失業給付の最低額、いま千五百円から三千円までは八割を支給することになったわけでございますが、私は、この最低額は大幅に引き上げるべきではないか、こう考えているのでありますが、どんなお気持ちであるか、お尋ねします。
○遠藤政府委員 今回の雇用保険法におきます失業給付について、実態に即して十分な手厚い対策を講じたいということが給付日数の面でも出ておりますが、同時に、給付の率なり額の面でも私どもはその方向で取り組んできたつもりでおります。と申しますのは、いままでの現行の失業保険法におきます給付率は賃金の高い人も低い人も一律六割でございます。今回の雇用保険におきましては、全体は一律六割でございますけれども、比較的賃金の低い層、日額三千円以下については八割まで逓増した率ということになっておりますので、一番下の率は八割ということになります。そういうことによって比較的低所得層の方々についてはいままでよりもはるかに手厚い給付を補償しようということになっております。と同時に、最低日額を政府提案では千五百円にしております。したがって、千五百円以下の賃金の人については千五百円が補償される、こういうことになりますので、私どもとしましては、現行法制に比べますとはるかに賃金の低い人にとっては手厚くなっておる、こういうふうに考えております。 さらに、これに対しまして雇用保険法の中にも自動スライドの規定がございまして、一般の賃金が上昇した場合には、その上昇の度合いに応じて自動的にスライドするという規定が設けられておりますので、今後ともこういった賃金の低い階層の人たちにつきましては、極力手厚い措置が講じられるように措置をしてまいりたい、かように考えております。
○大橋(敏)委員 大臣先ほども申し上げましたように、労働省の勤労者統計調査速報でも明らかになっているとおり実質賃金が下がったわけですね。そういう実態を踏まえて、やはりこの額の改定は当然だと思っております。これは政治的な判断の上に立って措置すべき問題だと思いますので、大臣にお尋ねをいたします。
○長谷川国務大臣 何月の統計かちょっとわかりませんけれども、月によって下がったり上がったりするわけです。一年間を通じてどれだけ上がっているかというところに、私たちは非常に関心を持つわけです。労働省とすれば、実質賃金はほんとうに下げないようにがんばらなければいかぬ。いまの局長の説明をお聞きのとおり、私たちとしますと、こういう物価のときですから最大限の努力を払ってやっていきたい、こう思っております。
○大橋(敏)委員 私はもうぎりぎり二〇%は引き上げるべきであることを強く要望しておきます。 それから中小企業の倒産が続出しているわけでございますが、先ほども話がありましたように月に千件ぐらい倒れておりますね。そして完全失業者も、いま七十五万だけれども百万に届こうかといわれるような見通しになっている今日でありますけれども、問題は、その労働者が倒産のために賃金不払いを受けているわけですね。このことは先ほども議論されておりましたけれども、私もこの際もう何らかの姿でこういう労働者に対する救済措置をとるべきである、こう考えているわけですが、一段の熱意ある御答弁を要求いたします。
○長谷川国務大臣 私のところにも中小企業の経営者からたくさん手紙が来ます。その中には、親子代々中小企業をやっておって、私たち事業主は逃げ出すわけにいかぬ、大企業と違います、大企業の役員ならば景気が悪くなれば逃げ出す、そういうことがありますけれども、私たちはそうはいきません、こういう悲痛な叫びを受けている。その中で働いている諸君のことでございますから、積極的な前向きの形で、こういう方々を守る対策についてはさらに検討してまいりたい、こう思っております。
○大橋(敏)委員 これも緊急措置の一環として是が非でも実現してもらいたいことであります。いわゆるそうした未払いに対する政府の立てかえ払いといいますか、そういう内容で早期に実現していただきたい、このことを要求しておきます。 では次に労災保険法のことについて質問したいのですが、よろしいですか。 先般九州から脊損患者の代表の方が、不自由な身をいとわずはるばる上京して請願陳情をなさったわけでありますが、請願内容はもう大臣も御承知のとおりであります。労災法の不備あるいは実態に即した改善の必要がおわかりになったことと思うわけでございますが、今国会の法案ではどうしようもないと思いますが、次の通常国会に再改善をして提出なさる意思があるかどうかということが一つです。 それからもう一つは、高度経済政策の結果から農村労働者が大きく減少してきていることは御承知のとおりでございますが、そのために農作業が機械化されて、人手不足を補ってきているわけでありますけれども、この農業労働において人命に及ぶような災害が多発しております。トラクターの横転あるいは転落等々、死亡事故年間二百件、重傷事故が千件を上回っているというように報告されているわけでございますが、これは通勤災害、一般労災の陰に隠れた大きな労災であろうと思っております。農業従事者は雇用労働者ではないという理由から、労災の対象外とされているわけでございますが、いまの雇用保険法等は農業、水産業等にも適用を拡大していこうという方向をとっておりますときですから、この農業労働者を救うべく労災保険法の改正を行なうべきである、こう思うのですけれども、いかがですか。
○東村政府委員 まず、労災保険の問題でございますけれども……。(大橋(敏)委員「もう時間がないから要点だけ……」と呼ぶ)従来しばしば改正を行なってまいりまして、現在ILO百二十一号条約の線には達したわけでございますが、経済的、社会的情勢がございまして、さらに引き上げなければいかぬという観点から、今回給付内容の改善を内容とする改正案を御提出しているわけでございます。 それはそれといたしまして、やはり基本的な問題をどうするかというのがございます。先ほどもお答えしたわけでございますが、給付基礎日額の問題、スライド制の問題、リハビリテーションの問題等々ございます。これにつきましては労災補償の審議会がございますので、そこで懇談会を設けまして、鋭意現在検討作業を進めているところでございます。 それからもう一つ御指摘がございました農業の自営業者と呼んでよろしいでしょうか、自営業者の問題でございますが、労災に特別加入制度というものがございまして、現在一定の自走式機械を使用している自営業者については労災保険を適用する、こうなっております。さらにそれをこの三月でございますか、範囲を拡大してまいりまして、その拡大する標準といいますか基準といいますのは、その業務の実態なり災害の実情に応じて拡大したわけでございますが、今後も農業労働といいますか、自営業の業務の実態、危険度の観点からこれを拡大するかどうか、実情に応じて検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
○大橋(敏)委員 いま農業者に対しては特別加入制度がある——確かにトラクターなどの自走式、こういう農業機械に限定されてあるわけでございますが、その拡大が一応はかられたということでありますけれども、これはもっと大きく広げて加入者の増加をはかるとともに、やはり根本的な改善をしていただきたい。先ほど大臣に申し上げましたように、脊損患者等の要望、請願内容を見られると、こまかい内容まで示してあります。そういうものもひっくるめて改善をお願いし、早急に法律の提出をお願いしたいということです。一言でいいですから……。
○長谷川国務大臣 役所としましては、前向きにそういうものを一つ一つ検討してまいりたいと思います。
○大橋(敏)委員 じゃ、厚生省の方に日雇い健保の問題があるわけですが、最後に一言。 趣旨説明の内容で、大体今回の法案は現状に比べると確かに改善の内容でありまして、反対するものではございませんけれども、日雇い労働者の方々というのは大体低賃金で働いている方々であります。したがいましてこれは質問と要望と重なりますけれども、すべての日雇い労働者に適用を広げること、あるいは受給資格要件の緩和のため健康保険法の任意継続方式の導入をはかること、あるいは療養の給付期間を全治までとすること、国庫負担を大幅に増額して、労使負担割合の改善をはかることなど、早期に改善要求事項の積極的な検討に入るべきであると私は思うのであります。また先般社会保障制度審議会あるいは社会保険審議会の指摘もありましたように、四人未満事業所の日雇い健保を適用させる、いわゆる適用範囲の問題とか、あるいは受給要件、そして累積赤字の処理、国庫負担の割合で財政問題等抜本改善をはかるべきである、こういう指摘もなされておりますので、次の国会までに再度この日雇い健保の改善をなされまして、再提出なさることを強く要求いたします。 それから、ちょっと日雇い健保とは離れますけれども、昨日参議院のわが党の代表質問、小平芳平さんの質問ですけれども、それに三木総理が答えて言いました中に、生活保護基準の引き上げなど積極的に進めます、こういう言明がなされたわけでございますけれども、この改定の基本的な考え方を示していただきたいこと、それから年末支給金についてわずかな金額が示されておりますけれども、これでは話になりませんが、さらに上積みする考えはないか、以上でございます。
○山下(徳)政府委員 生活保護基準の問題につきましては、この生活保護世帯の実態を把握しながら五十年度の予算について十分ひとつ盛り込んでまいりたいということでございます。 お尋ねのこの基準につきましては、御承知のとおり、生活保護というものは最低生活を維持するという意味における国家の補助であります。しからば最低生活というのは一体どの程度かということはいろいろ論があると思いますが、これは時代によって変わる。十年や二十年前、たとえば生活保護世帯においてラジオ一台持っておったけれども、いまはそういう世帯においてもテレビの一台も持っていてもおかしくないのでありますし、あるいはまた合理的な食生活を維持するためには小さな電気冷蔵庫ぐらいはやはり生活の必需品でございますから、そういう観点から妥当なあるいは適切な水準を維持するための努力をわれわれは傾けてまいりたい、こういうことでございます。 それから、この一時金でございますが、御承知のとおり、生活扶助基準は年度当初に二〇%、それから六月に改定しましてさらに六%、それから十月に三・一%ですからすでに今年度にも二九・二%ですか、一%ですか上がっているわけでございますけれども、これとは全く別個の一時金でございます。 御承知のとおり、これは最近の激動する物価等の動向にかんがみて昨年から初めて支給したものでございますから、これはやはり基準についてはいろいろものさしのはかり方があると思うのですけれども、一応、とにかく昨年は年末一時扶助の二分の一ということできめてまいりました。そうしますと、今年度の年末の一時扶助は四千九百十円ですから、これを二で割ったものと比較しますと、今年度二千六百五十円というのは三百円ぐらい高いわけでございます、昨年の例に比べて。ですからささやかな額でございますけれどもそういう努力をしてきたということだけはひとつお認めいただきたい、こういうことでございます。
○北川政府委員 ただいまいろいろ御要望等のございました点につきましては、すでに、先国会で、いまお願いいたしております改正案と同様の内容の改正案を当委員会で可決していただきました際に賜わりましたたくさんの附帯決議の中にもあるわけでございます。私どもはいまの御要望の趣旨を体しまして、今後引き続いてこの制度の改善に十分検討を加えてまいりたいと思っております。
○大橋(敏)委員 残念ながら時間が参りましたのでこれでやめますが、厚生行政に造詣の深い田中大臣が就任され、そしてまた山下政務次官、非常に熱意ある方でありますので、われわれの希望、要望がどしどしと実現できることを期待して質問を終わります。
○竹内(黎)委員長代理 次に、和田耕作君。
○和田(耕)委員 雇用保険法の問題についてお伺いいたします。 この前の国会で、ほんとうに原因不明の理由でこの法案が流れたことを私どもたいへん遺憾に存じておる一人でございます。私は民社党を代表しまして、この雇用保険法については必要な修正を行なった上で賛成をいたしたわけでございます。またこの国会の代表質問の中で塚本書記長がわざわざこの問題を重要な問題として取り上げて、至急にこの問題の策定をはかるようにという質問をしたことも御承知のとおりでございます。私どもは、いままでの失業保険制度というものの中に、よさそうな題名のもとで著しく不公正な面があるということを感じておったわけでございまして、その一番中心点は出かせぎ労働者の問題、もう一つは失業という現象に対して、単に失業が出たからお金をあげるというような平面的な対策であったのに対して、かなり立体的な対策を組んだという面で画期的な法案だと実は考えておるわけでございます。その意味で大臣並びに厚生省の関係機関、そして私の尊敬している有沢広巳教授等の学識経験者の御努力に対して敬意を表する次第でございます。ただ前国会で修正しましたように、方向として正しいものであっても、いままで給付を受けている人に著しく大きな変化が起こるようなことはいけないという趣旨でこの前の修正を行なったというふうないきさつでございます。 〔竹内(黎)委員長代理退席、葉梨委員長代理着席〕 したがって、今回のこの臨時国会の忙しい国会で急遽新しい事態に即応できるように出してきた政府の御努力に対して、これを評価するにやぶさかではないわけでございますけれども、しかし問題の性質上、二、三点のお考えをいただきたい点についてきょうは御質問をしたいと思っておるわけでございます。 と申しますのは、先ほど遠藤局長もお話しになりましたとおり、この前の国会でこの法案が通過しておれば、かなりの社会的な問題になっている事態に対する対処ができたのじゃないかというお話もございました。そのとおりだと思います。そういうことでありますればありますほど、つまりこの法案の実施については四月一日というのはおそ過ぎる、いまのこの法案の性格上からいっても、やはりこの法案が通過した直後からこの実施をするということが正しい考え方だと思うわけでございまして、これは前の関係の委員からの質疑を通じておやりになるのだなとは思っておりますけれども、この問題は政府、労働大臣あるいは局長のおっしゃる趣旨からいっても、ここできめて四月までというのでは筋が通らない。一月一日というのが一つのいい境にもなりますので、ぜひともこの問題についてはお考えをいただきたい、簡単でけっこうですから大臣から重ねて御決意をお伺いしたい。
○長谷川国務大臣 前国会におきまして、和田さんがここで賛成討論をされたことを思い出すのであります。それ以来日にちがたって非常に雇用情勢が悪くなった、そうしたことを背景にしてこのたびの臨時国会に私たちも憂慮して法案を出し、それをまた御審議いただきますところの各党、委員会の皆さん方のそういう御協力といいますか、憂えている姿に対して敬意を払うわけであります。 そこで、五十年の四月一日実施というのが法律の公布の日にちになっておりますけれども、私は労働省に一カ月ぶりに戻りまして、こうした苦しいときの労働行政を私たちがまともにしょうのですから、ひとつぼくと一緒に心中する気持ちになってやってもらおうじゃないかということを実は申し上げておるわけでありまして、事務的にはむずかしいことでも、国会の面目とかなんとかじゃなくて、通過した暁においては、皆さん方の御意見のように、日にちはいざ知らず、全面的にひとつ御協力申し上げて皆さんのお手伝いをしたい、こう思っております。
○和田(耕)委員 ぜひともひとつその点は御考慮を賜わりたいと思います。 そこで、私ちょっと気になる点が一つあるのですけれども、この法案を策定された当時と最近では非常に状況が違っている。つまり、不況の風が深刻になっている。月々千数百件という倒産があるという状況になって、これが一−三月になればもっとひどくなるだろうというのが政府御自身の見通しでもある。こういう事態にいまの保険料の千分の十三の千分の十は直接の失業給付に使われる。あとの雇用調整交付金だとか、その他訓練のお金だとか、あるいは福祉関係のお金、この三つの仕事に対しては千分の三の保険料金、これは企業者の負担になるであろうというわけですけれども、はたしてこれでうまく対処できるかどうか、その問題についての当局の見通しをお伺いしたい。
○遠藤政府委員 深刻な不況のあらしが吹きまくっておりまして、失業もこれ以上また深刻になってまいると私ども覚悟をきめて対策に没頭しておるわけでございます。現行の失業保険の受給者もふえてきておりまして、現在の千分の十三の中で十分処理できますが、同時に新しい雇用保険の体系に移りましても、失業給付につきましては千分の十で十分まかない得る、こういう目算を立てております。 また、雇用調整措置を含みます雇用改善事業、それから職業訓練を中心といたします能力開発事業、働く人たちの福祉のための福祉事業、この三事業に千分の三の原資を充てることにいたしておりますが、おおよそ五十年度で推算をいたしますと、これは賃金額にもよりますけれども、千五百億から千八百億ぐらいの収入が見込まれるわけでございます。したがいまして、これは千分の三の範囲内で一応私どもはこの三事業を遂行していこうというわけでありますが、雇用調整措置等につきましても、私どもはこの中で十分まかない得る、こういうふうに予定を立てておるわけでございます。
○和田(耕)委員 そういう確信に立っての見通しであれば安心をするんですけれども、そこでひとつ関連してお伺いしたいのは、いま非常に左前になる企業、これは大小を問わずいろいろな原因があるわけですね。まずい経営をやったというようなこともありましょうし、あるいは不正なことをやったということも出てくるでしょう。いろいろな形の倒産があっても、それは直接労働者には関係のないことなわけですね。したがって、一時帰休の必要が出てきた原因はいろいろあるとしても、それは一応別にして、一時帰休の現象が出てくればどういう原因であろうとこの法の趣旨は適用される、このように理解していいですか。
○遠藤政府委員 御説ごもっともでございまして、経営不振によって休業をした、その間の責めはあげて使用者にあるので、そういう場合にはすべて適用されるのかというお尋ねでございますが、実は、この雇用調整制度を私ども制度化いたしますにつきましては、一応、不況による休業ということを対象にいたしております。したがって、経営が乱脈をきわめて、それによって経営不振になった、したがって、倒産前に一時休業、操短をやる、こういうものは今回の雇用調整措置の対象にはならないわけでございます。ただ、その場合も、労働基準法による休業手当の支払い義務はこれは基準法によって使用者に責任が課される。その場合の国の補てんと申しますか、援助の制度は適用されない、こういうことでございます。
○和田(耕)委員 そういう問題について、こういう際ですから、不況によるつまり一時帰休という考え方はかなり広範に適用されなければ法の趣旨も適用されないということにもなると思いますので、ぜひともひとつこの適用については御高配を賜わりたいと思います。 それでもう一つの問題は、これも何人かの方が質問なさったと思いますけれども、私どもの仲間の同盟の諸君からの注文もございましてぜひともただしておきたいことの一つですけれども、賃金日額の例の千五百円から三千円というあの低い層、これは去年のベースアップでもって実際直されておる。その額が算入されてないじゃないかという心配を持っておられるのですけれども、したがってそうであれば当然三〇%、三〇%とすれば三千九百円とか千八百円とかいうことに直されなければならないと思うのですけれども、これはいかがでしょう。 〔葉梨委員長代理退席、委員長着席〕
○遠藤政府委員 確かに和田先生御指摘のように、ことしの春の賃金上昇に伴いまして、ことしの十月一日付で三三%失業保険金の日額表の改定が行なわれております。したがいまして最低につきましては現在千四百七十円ということになっております。そこでこの点につきましては先ほど大臣からお話がございましたように、賃金の低い階層に属する人たちの失業期間中の補償ということでもございますので、大臣がお答えになりましたように、きめこまかく積極的に取り組んでいくという考えでございます。
○和田(耕)委員 それからこれもいま公明党の委員からのお尋ねがありましたが、例の三十歳以内の若年の問題、これもひとつぜひとも御検討できる範囲で最高限に御検討をいただきたいと思います。 最後に、これも前の国会で私も質問をした問題の一つですけれども、例の婦人労働者に対する特別の措置という問題ですね。これは特に婦人労働者の非常に多い全繊同盟、繊維関係の労働組合の諸君からのたっての要望がある問題なんですけれども、この問題について、前の国会でもって附帯決議がついて、「婦人労働者の援護に関する」というふうな一般的なことばになっているわけですけれども、これをもう少し具体化した附帯条項を付するか、法律改正ということはこの短い期間では非常にむずかしいかもわかりませんが、何かこれを具体化して、あるいは別途にやるという、法律改正をしなくても何とか前進さすという方向についてお考えいただけないかしらという感じがするわけです。これは職業について結婚をして、そして子供が生まれるというケースの労働者に対しての配慮のわけですけれども、これは大臣当然やはり考えてみなければならない問題だと思うのです。たとえば子供を育てる間一年間休職の形にして、六割なら六割の金を出すようにしてほしいというようなことをお願いしたいと思っておりますけれども、それが非常にむずかしければ、それに類するような問題を当然考えなければならない。何らかの形で考えていかなければならないと思うのですけれども、どういうお考えを持っておられるのか承っておきたい。
○長谷川国務大臣 この問題は婦人労働問題を考えるときには非常にいつでも頭にかかってくる問題でございます。しかし一方またなかなかほかの関係やらむずかしい問題でもありますけれども、私の腹の中に入っておりますから、専門家会議などにかけましてひとつ推進してみたい、こういうふうに考えておりますので御理解いただきたいと思います。
○和田(耕)委員 この問題についてはあまりこまかくは申し上げません。また今後いろいろな審議会を通じて直接あるいは局長さん等にいろいろお願いをして、実際上婦人労働者がお産をして子供さんを持った場合の国としての配慮のしかたというものは、やはりこれは具体的に進めていかなければならない問題だと思いますので、ぜひともお願い申し上げたいと思います。 以上でもって私の質問を終わります。
○野原委員長 次回は、明二十日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。午後三時十分散会 —————————————