決算委員会 第1号
- 発言数
- 118 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1974/12/24
会議録
○臼井委員長 これより会議を開きます。 この際おはかりいたします。 理事松岡松平君が委員を辞任されましたので、理事が一名欠員になっております。 これよりその補欠選任を行ないたいと存じますが、これは先例によりまして、委員長において指名することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○臼井委員長 御異議なしと認め、よって、吉永治市君を理事に指名いたします。 ————◇—————
○臼井委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についておはかりいたします。 すなわち、決算の適正を期するため、本会期中において、 一、歳入歳出の実況に関する事項 二、国有財産の増減及び現況に関する事項 三、政府関係機関の経理に関する事項 四、国が資本金を出資している法人の会計に関する事項 五、国または公社が直接または間接に補助金、奨励金、助成金等を交付しまたは貸付金、損失補償等の財政援助を与えているものの会計に関する事項 以上各項につきまして、関係各方面からの説明聴取、小委員会の設置及び資料の要求等の方法によりまして国政調査を実施するため、規則の定めるところにより、議長の承認を求めることにいたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○臼井委員長 御異議なしと認め、よって、さよう決しました。 ————◇—————
○臼井委員長 昭和四十六年度決算外二件を一括して議題といたします。 御承知のごとく、これら各件は第七十一回国会に提出され、本委員会に付託されました。自来、第七十四回国会の今日まで長時間にわたり、予算が効率的に使用されたかどうか等を中心として審査を行ない、一応各省別所管の審査を終了いたしました。 本日は、今日までの審査の経過に基づき、各件についての締めくくり総括質疑を行ないます。 なお、質疑時間は理事会での申し合わせの範囲内でお願いいたします。政府におかれましても、答弁はなるべく簡潔にお願いいたします。 この際、おはかりいたします。 本件審査のため、参考人として日本銀行理事渡邊孝友君の御出席を願い、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○臼井委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。 なお、参考人からの意見の聴取は、委員の質疑により行ないたいと存じますので、さよう御承知願います。 —————————————
○臼井委員長 質疑の申し出がございますので、順次これを許します。原茂君。
○原(茂)委員 最初に、総理に苦言を呈しておきたいのですが、総括締めくくりをきょう行なうわけですが、時間を一時間半に限定され、大蔵大臣ほか各大臣の出席もままならぬという、前例にしないという条件で、きょう、四十六年度の締めくくりをやるわけでございますが、これはまさに前例にしたらたいへんでございますので、自今、総理においても十分、時間等配慮をしていただくようにお願いをしておきたいと思います。 きょうは時間があまりありませんが、三、四の問題についてお伺いをしておきたいと思います。 最初に、まだまだ熟語、用語として統一されておりませんが、外交問題で第三世界ということばが、マスコミ等にもしばしば載ってくるようになりました。われわれはわれわれなりの解釈をいたしておりますが、政府の責任者として、第三世界とは一体何か、この点を最初にお聞かせをいただきたい。
○三木内閣総理大臣 まあ原さんの御指摘のように、まだ外交用語としては使っていないのですけれども、一般に第三世界といわれておる。そのカテゴリーは、発展途上国というものが第三世界というものの中心になっていると思う、国連加盟でも圧倒的に発展途上国が多いわけですから。工業先進国といっても二十数カ国。したがって私は、やはりこれからは、用語は熟していないけれども、第三世界というものは世界を動かしていく大きな原動力になる、だから、国連の場などにおいても、この第三世界との関係というものを先進工業国との間にどうして調整していくかということが国連の最大使命になってくると考えておるわけです。われわれとしては、日本の外交というのは、これからは第三世界というものに対して注目しなければ——先進工業国との間にはちゃんとしたいままでのルートがあるわけですけれども、第三世界との関連はどうも手薄ですからね。第三世界、資源を持っている国々も非常にその中に含まれておるわけです。日本といえども、世にいわれておる第三世界との外交関係はきわめて重要だと考えております。
○原(茂)委員 いま大体のお考えはわかりましたが、特にこの第三世界に対する外交上の基本的な施策というものを一度洗い直しておかないといけない問題が、たくさんあるのじゃないか。たとえば経済協力の名のもとに、各省があちらの国々の青年に勉強をさせようという協力もしているわけです。多くの人が日本に来ていますが、これが効果があがっているかどうかということを、やはり第三勢力、第三世界というものを考えたときに、一番最初の仕事としてこの見直しを一度やりまして、真剣に効果のある協力をやっていきませんと、上のほうで幾ら頭でそうお考えになりましても、実際には成果があがらないどころか、逆に反日感情をあおって、田中総理の訪問などにおけるいろいろなトラブルの起きる原因にもなっているわけですから、特にこの面における施策についてはもう一度基本的に洗い直して、こまかい問題ですが、総理自身が十分な指示を与えるということにしないと、口頭禅を幾ら並べても第三世界とわが国との協調はむずかしい、こう考えますが、いかがですか。
○三木内閣総理大臣 私も、政権を担当して以来まだ日が浅くして、いろいろやりたいことで手が全部つけられるというわけではないのですが、やはり原さんの御指摘になった発展途上国と日本との関係というものは、もう一ぺん考え直してみる時期に来ておる。日本が相当援助して、それが必ずしも現地で喜ばれておるかどうかということを考えてみると、非常に問題がある。いま留学生の問題をお取り上げになりましたけれども、この留学生が本国に帰って、そうして日本というもののよき理解者としてその国と日本との関係の改善のために尽くしてくれなければ、日本へ留学したということの意味が、われわれとしてもいろいろそれに援助する意味はないわけですから。必ずしもそうではないのではないか。また、援助にしても、どうもその援助というものが現地の国民的ベースで感謝されているとはいえない。ある、日本との間で深い関係の人たち、企業の人たちを呼ぶにしても、やはり援助というものが国民のベースで感謝されるような援助でないと、その国と日本との関係はうまくいかない。 そういうことを考えてみると、どうもGNPの何%でございますというだけではなくして、もう少しその国の立場に立って日本の海外援助というものはなさるべきではないか。こちらの日本の経済発展のためにこうやって援助しておるのだというような感じを先方に与える援助は、援助してもその金は生きてきませんからね。やはりその国の経済自立のために、あるいはまた社会的な向上のために、日本も苦しい中でやってくれておるのだというわれわれの善意が通じていなければ、幾ら援助してパーセンテージはこう高くなりましたといっても、効果はない。したがって、これは一ぺん見直しをしてみなければならぬ時期に来ている。海外の協力援助、このあり方というものは、一ぺん洗い直してみる必要の時期に来ておる、こう私も、あなたと同じように、そういう感を深くするものでございます。
○原(茂)委員 ぜひそうお願いをしたいと思いますが、いまパーセンテージの問題、総理お触れになりましたけれども、国際的にもOECDその他、大体GNPの一%という目標を設定して、大体それに近くやっているわけですね。わが国の場合には近年、それにだんだん近づけようという努力がここ二、三年急速に進んではきている。これも、もう少しその援助の内容を高めていく必要があろうと思いますが、同じGNPの一%なり、日本はいま〇・七%を目標にしていますが、その額の中のまた七〇%以上のものを条件の有利な二国間援助協定、政府援助、こういうものに引き上げていこうというのが国際的な方向であり、これは援助される側からいうなら条件のゆるいものでほしいのは当然でございますから、日本もその意味では、まだ半分もいっていない政府援助の分野を思い切って七〇%程度にまで引き上げるということも同時に考えておかなければいけないと思いますので、こういう点も方針としては同時に、洗い直すときに御検討をいただき、急速にこの種の援助の率、その内容、質を再検討をしていただくようにお願いをしたいと思う。 その点をお願いをしておきまして、あとで経済協力の問題に関して、それにつれて対韓援助あるいは金大中氏事件等にも触れてまいりたいと思いますが、外交問題でもう一つ先にお伺いをしたいと思いますのは、新聞で見ますと、来月ですか、宮澤外務大臣が訪ソをされるということが出ております。これはもうあちらとも了解済みで確定的のようでございますが、一体どういう目的でソ連へ宮澤外務大臣が派遣されるのか、その点お伺いをしたい。
○三木内閣総理大臣 先般、田中・ブレジネフ会談で、平和条約締結の交渉をするということになって、今年中に先方から来るか日本が行くか、その話し合いを進めることの申し合わせになっておるわけですが、来年で、少し今年からおくれたわけですけれども、やはりこれはつないでおきたい。そういう申し合わせを中断しないで、やはり交渉は継続していきたい。平和条約といえば領土問題がくるわけで、ソ連がきびしい態度は少しも変えていないわけですから、したがって、これは容易ならぬものがありますけれども、しかし、それを、なかなかむずかしいからといってほっておけば、これは何も促進されないわけですから、その申し合わせに従って平和条約の締結の話し合いをする、それをずっと継続する意味においても訪ソをしたほうがいい。最初の訪問国がソ連ということになるわけですけれども、まあいいじゃないか、これは継続しておく必要があるということで、まだ確定はしていませんけれども、実現すると思います。向こうと日程等詳細打ち合わせ中でございます。
○原(茂)委員 いまお話のあったように、平和条約を考えるときに領土問題が一番大きな問題になるわけです。私は、三木さんが総理になられたいま、平和条約を考えたとき、対ソ交渉の最適任者に総理になっていただいたように考えるわけであります。宮澤さんの訪ソ、これはつなぎの役目だ。確かにそれも大事ですけれども、もう一歩突っ込んで意欲的に、三木総理としては対ソ交渉の仕上げをやろうという決意をお持ちになって、その前段として宮澤外相の訪ソということでなければ意味がないと思う。私どもが見ても、三木総理の就任というのは対ソ交渉に非常に寄与するもの、こういう大きな外交的な期待を実は持っているわけでありますが、単につなぎだけというのでなくて、その先、三木総理自身が出かけていって仕上げをするというくらいな決意があって初めて宮澤訪ソが有意義になってくると思うのですが、そういうお考え、ありませんか。
○三木内閣総理大臣 私は当分は外遊をしない。内政問題、これだけのインフレ、物価等重大な問題をかかえておりますから、その国内をほうっておいて外遊ということは順序が違うと思いますので、まあ日本のこのインフレ問題と取り組んで、時期を見てそういう計画を持ちたい。むろん、そういうときにソ連なども、やはり首脳部と話し合わなければならぬ日本の隣国でもありますことは言うまでもありませんけれども、いまのところは内政中心で、外遊というようなことは計画すべき時期ではない、こう考えております。 ソ連も私しばしば参りまして、コスイギン首相も、三木総理はよく知っておって非常に歓迎だということを語っておられますし、これはそういう話し合う機会もあろうと思いますけれども、どうもなかなか領土問題というものは、そうあまり、簡単に解決できるという幻想を抱くわけにはいかない、相当忍耐強い交渉を必要とする問題だと考えております。
○原(茂)委員 では、次の国内問題として、きょうの問題を先に一つお伺いしておきたいのですが、首相はきょう、いわゆる対話シリーズの一環として、午後二時から野党の党首にお会いになるそうであります。従来この種の会談が持たれましても、何かこう結果的には、野党の党首とも話し合ったというゼスチュアを国民に見せるだけで、ほとんど成果らしいものがあがったことがないように思うのです。私はこれではいけないと思う。ショーをやるわけではないわけですから、やはり総理が提案して野党の党首と会おうということになる限り、その結実されたものが一つでも半分でも国民の目の前に見えるということでなければ、党首会談をおやりになっても意味がないとすら私ども思うのであります。しかし、ある意味では新しい期待をわれわれも心ひそかに持ちたいと思いますし、持っております三木総理が、従来とは違った形で野党との党首会談をたぶんおやりになるんだろう、決意がおありになるんだろう、こういうふうに考えているわけですが、野党のみならず農業団体、労働団体、中小企業の五団体ともお会いになるというように聞いておりますが、この私の懸念しており、私の希望しているということを含めて、総理の、なぜ党首会談あるいは各種団体との会談を二十八日までにおやりになろうとしているのかをお伺いしたいと思います。
○三木内閣総理大臣 私は、自分の内閣の使命として、自民党の内閣の首班として、これは全力をあげて内外の困難な諸問題と取り組んでいかなければならぬ政権担当者としての責任があるのと、もう一つは、やはり政権交代の基盤というものが日本の政党政治の中にできることに何らかのお役に立てないであろうかという使命も感ずるわけであります。これは野党の方々の問題でもありますが、考えてみると、どういう責任をとらなければならぬような問題が起こっても、政権が同じ政党内の政権の交代ということ、こういうことがいつまでも繰り返されるであろうか。せめて私が党内野党であったということだけがまあ多少の説明にもなるんでしょうけれども、しかし、自民党の内部における政権のたらい回しといわれてもしかたがないこと。やはりそういう点から見て、それなら国民の側から見るとどうかといっても、政権を社会党に渡せという声がかかってこないですね。どこの国でも、政権の交代というものがない国は日本以外にはないですよ、先進国で。しかし、その国を考えてみると、やはり基本政策に対する継続性というものがあるのですね。少なくとも外交とか国防とかそういうものに対して根本的に考え方が違っておる政権の交代のそういうルールが確立しておる政党政治は、私は知らないのです。これは自民党も考えなきゃならぬけれども、野党の方々も考えてもらわなければならぬ点がある。政権の交代というものができるようなルールを日本の政党政治に確立しなければ、私は、こういう政治というものが長く国民の支持を受けるとは思わない。これは、だから、政党のいろいろな立場はあるでしょう、あるけれども、それ以上に重要なことでないか。日本のこの議会政治を守っていく上において、政権の交代が円滑にできるというルールか確立するということは——いろいろ社会党あるいは野党各派の政策上の注文もあるでしょう。しかし、これが、その注文よりももっと根本的な問題をこの日本の政党政治の上に投げかけるのではないか。そういう意味で野党とも、ただ国会対策として会おうとは私は思わないのです。日本の議会政治を守っていくということにはやはり共同の責任を持っておるわけですから、それを守っていくためには、政権交代ができるようなルールが確立せないとだめだと思うのです。これはいますぐに議会政治がだめだとは言いませんけれども、しかし、いまのような形、こういう変則な政党政治が今後何十年も続いていくというようなことは、私は考えていない。そういうことから、何か儀式ばらないで、そういうことも頭に入れながら、ざっくばらんに野党の党首とも話をしたい。予算編成前ですから、いろいろ注文も聞きますよ。そして、取り入れるものは大いに取り入れたらいいわけですから……。 きのうも参議院で、予算委員会で可否同数ですからね。だから、委員長の一票で予算案が通るということ、保革伯仲ということをことばでは言っておりますけれども、現実にあの姿を見て、こんなものは対決でいけるわけじゃない、日本の政界の姿そのものが。委員長の一票でなければ予算委員会の予算が通らないのですからね。 こういうことで、大きく日本の政界の地図も変わってきておりますし、最初私が言ったようなこともあるし、何かこう、最初はうまくいかぬでしょうね、いままでの悪い習慣があって、儀式ばって、いろんなテレビなんかいっぱい来て。ああいうものでなしに、もう少しざっくばらんに話し合えるようなものに党首会談というものを将来持っていけないものであろうか、こう考えておるわけです。
○原(茂)委員 いま総理のおっしゃるように、予算委員会の委員長の一票どころか、地方行政では逆に否決され、修正案が通るという事態が起きたわけですね。保革逆転が現実の問題となっておる。まあ本会議で無理をして通しましたけれども、確かにそういう問題もあり、また予算の編成期でもある。しかし、基本政策に関してはそうすぐに野党との間に、三木総理が対話、協調を強調されましても、むずかしい問題があるかもしれません。しかし、私の念願しておりますのは、いまちょっとおっしゃったように、予算編成期ですから取り入れられるものは取り入れますよとおっしゃいました。一体、野党との党首会談を通じて自民党内閣あるいは三木総理が何を取り入れたんだということが明瞭に、どんなささいな問題でもいいですから、弱者対策の問題でよし、広い意味の福祉問題でよし、それが現実に党首会談を通じてこれだけの成果がありました、自民党としてはこう考えていたんだが、内閣としてはこの方針だったんだが、この点だけはこういうふうにいたしました、野党の党首との話し合いによってこれだけ成果がありましたと、どんな小さなものでもいいですから、その成果を今度は、三木総理の二時からにおける野党との党首会談ではぜひ出していただきたい。ぜひ出すようにしていただきたい。そうじゃないと、これはいつもの総理がやっている、内閣がかわれば一度はやるショーなんだ。国民の政治に対する不信感を、総理もおっしゃっておられるとおりに、どうして取り除くかが非常に重要な問題で、したがって、一つ一つの大事な場所において、総理自体がおっしゃった、国民の信頼を政治に向け直すというための大事な関門が、きょうの党首会談をも利用できるんではないかというふうに考えますが、何とかぜひ、党首会談による成果がこれだけはあったんだということをお示しいただくように、これは総理の側から強い決意で会談にも臨んでいただき、そのあと、そのかわり、いいことを言ったからやってやろうと思うと、こういう締めくくりもやっていただくようにお願いをしたいと思いますが、いかがですか。
○三木内閣総理大臣 それは、野党を支持しておる国民のその数からいえば自民党よりも多いくらいですから、野党の声というものは率直に耳を傾けなければいかぬと思います。したがって、われわれは、いろいろ社会福祉の問題など野党各派も非常に関心がおありになるわけですが、まあ、いろんなたいていの問題は、それはわれわれ自身としても問題意識としては持っておるわけですが、その優先順位などもありましょうし、それが世間に対して、これは社会党なら社会党との党首会談によって生まれたというようにはっきりしたものになりますかどうか、これはやってみなければわからないけれども、私の態度としては、野党各派がいろいろ予算編成上に対して持っていられる、問題として提起される点については、もう形式的なものでなしに真剣に検討をしてみたい。そうしてそれが、ただおざなりの党首会談でないような実りあるものにしたいと考えておる次第でございます。
○原(茂)委員 ぜひお願いをしたいと思います。くどいようですが、ひとつ国民の前に、党首会談をやって、これだけのわずかなことだが成果がありましたよということを現実に見せるということを、ぜひおやりをいただきたい。 その次に、これも国内問題に類するのですが、いわゆる金脈問題に関連をしてですが、虎ノ門ですとか市ケ谷の問題など国有地、国有財産の処分の問題、あるいは国や政府機関等の土地の取得の問題、光明地や新潟大学の問題等があります。いま、いろいろこまかく、これが追及をされておるところであります。私はその問題に入ろうとは考えておりませんが、一体、この種の問題が今後は絶対起きないという保証をできるかというと、私はにわかに、絶対その種の問題が起きないという保証を、総理といえどもいまするわけにはいかないだろうと思うのであります。逆に、あるかというと、ありますということではないのでありますが、そういう措置を講じなければいけないと思いますし、現在の問題がいろいろ論議されて、金脈問題として国民の関心を集め、その決着がどうなったか、田中前総理に関してどうだ、あるいはそのほかの処分された問題の法律的に処置がどうなったかとかいうことも大事だと思うのですが、今後この種のことが行なわれない保証ですね、そういう保証をどうするかが一番大事だと思う。この種の問題が起きないということに対する、いろいろな意味におけるきめこまかな適正化措置を講じて、まずまず間違ってもこの種の問題を起こさないようにこういたしますというような善後措置、むしろ前向きの措置を今後講ずることが必要だと思うのですが、この点に関して何か所信がおありでございましょうか。ぜひひとつ何らかの措置を講じて、この種の問題が起きない、きめこまかな適正化措置を行なうという方向づけをこの際しておきたいものだと念願して、お伺いをするわけであります。
○三木内閣総理大臣 各国ともこの種の問題アメリカにおいてもウォーターゲート事件など、やはり政治家という公人としての生活態度というものに非常に大きな教訓を与えたわけであります。それがいろいろな制度の上においても、政治資金とかそういう問題で、改革案がアメリカの国会でも出てきておるようであります。日本でも、公人の生活態度に対しての世間の批判の目というものは、きびしくなる一方だと思うのです。また、それは当然だと思うのです。こういう情報化時代ですから、たいていのことは大衆は知るわけですから、ガラス張りの中で国民の審判にたえるものでなければならなくなってくるでしょう。だから、私にも財産公開の要求があって、制度としてもないのだし、慣習としてもないのですけれども、私は年内に財産を公開しようと思っているわけです。そういうふうなことが、やはり公人というものに対しての社会的監視の目というものは、非常にきびしくなってくる。やはりその監視にたえるものでなければ、なかなかこれから公人としてやっていけなくなる。これはやはり、そういう一つの世論のきびしさというものが、公人としての自覚というものを非常に強くしていくでしょうね。 もう一つ考えられるのは、政治に金がかかり過ぎるのですよ。これは選挙だって、国会議員の選挙から始まって地方の議員の選挙まで、こんなに金のかかる選挙をやっていますと、この面から日本の民主政治はくずれてくるのではないかという心配がありますので、私自身の、選挙粛正に関する特別立法を、自民党でこれは検討してもらいたい。これは野党各派の方々も、政治と金の関係というものに対して姿勢を正そうではないか、こういうことも、やはりいろいろな金脈問題の反省として起こってしかるべきではないか。まあ、直接にこれはどうするということでもございませんが、ああいう事件が起こると、それは田中さん個人の問題だと受け取らないで、やはり政界における一つの大きな教訓であると受け取って、そして改革するものは改革して、再びああいうふうな問題は一やはり田中さん自身か解明をすると言っているのですから、解明をされる日が早いことを私は期待をしておるわけですが、少なくとも国民から疑惑を受けるようなことのないようにしていくことが、ああいう事件に対するわれわれの受けとめ方でなくてはならぬと考えておる次第でございます。
○原(茂)委員 総理の持論のように、何回もそれをお伺いしておりますが、私はいま前向きでと申し上げたのは、やはり自民党は自民党なり、内閣は内閣の中に、この種の問題を振り返ってみて、具体的に改善策として今後に何が必要かを、プロジェクトを組んで本格的に調査研究を大至急におやりになる必要があると思うのです。その中の一つとして、たとえば商法なども、現在のように監査役を役員会が任命する、社長が任命するというようなことをやっていたのでは、実際には公認会計士が別途にいても、監査役の権限を強化しない限り、ちょうどドイツと同じように幹事会方式その他で取締役会の上部に監査役の権限を非常に強化して、中立的な力をもって監視ができるというような商法上の問題これは一例ですが、そういったことも検討しなければいけないでしょう。 それから、国有財産なり政府関係機関財産等の処分問題についても、その処分の決定に至るまでのいままでの、審査、調査、その決定に至るまでのやり方で一体いいのかどうか、これをもう少しきびしく将来のために検討をして、大至急にその種の機関ができるということでなければ、うしろ向きの論議ばかりやっていて、前向きのことを総理自体がお考えにならなければ、いわゆるクリーン三木といわれた国民の期待に沿うものではない、こう思うのですが、いかがでしょう。調査機関をおつくりになるべきだと思う。
○三木内閣総理大臣 まあ、いろいろ制度上の問題もあると思いますよ。たとえば自民党でも、お金は総裁と切り離してしまおう、経理局長とか財務委員長とかいうのは、現に派閥があるわけですから、同じ派閥から出さない、いまそういうことを実行しておるわけです。監査役というのですか、そういう金銭なんかを政党で取り扱うような人たちの間に何かちゃんとしたけじめがあることは必要だということで、改革もしたわけです。 原さんの前半の御指摘のような、商法全般にわたってこういう改革はということについては、にわかにここでお答えはいたしかねますが、私は、やはり一つの政治道義のようなものに関連しておることが多いと思うのです。だから、政党自身の体質の改善とか、あるいはまた制度的には政治に金がかからぬようにするとか、そういうことが、私自身は、ああいう事件からくる反省なんです。だけれども、一般の商法その他の法律までああいう事件を教訓として改正しよう、そういうことも考えられる事実があるのかもしれませんが、これはやはりいろいろ検討する必要があると思うのです。
○原(茂)委員 三木さんの総論だけで終わるのを、各論にできるだけ持っていってやろうと思って、いま一生懸命にものを言っているのですがね、各論へなかなかお入りにならない。しかし、私は、この金脈問題は絶好の機会でございますから、やはり前向きの、今後に処する、いわゆる調査機関を至急におつくりになって、そしてこの種の問題が二度と起きないという措置を講ずるために、こうした、こうなるのだ、具体的にこういう策をつくった、こういうことが早く出てこないと、うしろを向いて足踏みして、論議だけ幾ら総論でおやりになっても、これは国民の期待にこたえるものではない、こう思いますので、やはりもう少し具体的な前向きな、今後に処する改善策をおつくりいただくように、ぜひプロジェクトチームを組むなり何なりして検討していただきたいと思うのですが、もう一度お答えをいただきたい。
○三木内閣総理大臣 原さんに対するお答え、総論ばかりとも私は思わないのです。第一番は、金が政治にかからぬように、やはり選挙法に対して、選挙粛正に関する特別の立法を用意して、そうして各党の御賛成を得れば、通常国会でそういうものが成立へ持っていけないかと考えておるわけです。近く私の案を自民党に提示することになっております。まあそれなども、金にまつわる不信をなくするための一つの要素をなすものだと思うのです。ただ総論というばかりとも思ってないわけでございます。
○原(茂)委員 総理のおっしゃったのは、予算委員会で御答弁になって何回も繰り返して、私よく知っていますから。そうでなくて、いま言ったような具体的な前向きな姿勢というものをとっていただくように、これは、では、お願いをしておきます。やがて必要になります。 それからもう一点、国内問題で、インフレ、不況の問題に関連いたしまして、二十日に、朝日新聞かどこか、何新聞か知りませんが、一万円札が現在使われているお金の約八〇%を占めるに至った、こういう発表がございました。 きょうは日銀から渡邊さんにおいでいただいたようですが、先に渡邊さんにお伺いしたいのですが、巷間そろそろうわさをされているように、いまから十年前、千円札が八七%ぐらい占めてきたときに一万円札の新券の発行があったということから、どうも一万円が八〇%以上も今月の初めに使われるようになった現状からいうと、それ以上の高額上級券の発行ということが考えられるのではないか、こううわさをされ始めているのですが、そういうことがありますかどうか。全然気もないことで、過去の例があろうとなかろうと、そんなことはいま全然考えていませんというのか、やがて考えなければいけないというのかを、まず参考人から先にお伺いしたい。
○渡邊参考人 ただいまお話のございましたとおり、十一月末で、一万円券の全体に占めます比率が七九・一%でございましたが、十二月に入りまして、ここのところ八〇%ちょっとというような状況でございます。確かに、だんだんに一万円券の占める割合は高くなったのでございますけれども、銀行券の種類、券面額というものは、実際の取引の必要に応じて考えなければならないものだと存じますけれども、単にこの比率だけでどうということでもございません。現時点におきましては、いま取引上不円滑を来たしているとか不都合を来たしているとかということはございませんで、ただいまそういう高額券を発行する必要があるとは全然考えておらない状況でございます。
○原(茂)委員 総理にお伺いするのですが、間違ってもいまの段階で現在より上級券、二万円だ五万円だという札を出すことは、インフレという空気を助長するだけで、非常にこれは控えなければいけない問題だと思う。世間ではそういう心配があるんじゃないかというふうに考えていますが、ぜひインフレ対策としても、これ以上、一万円札以上の上級券の発行はしないという決意を総理からもお伺いしておきたい。
○三木内閣総理大臣 いま御説明いたしましたように、比率としても、千円札や五千円札を発行したとき八六、七%までいったわけでございます。まだ一万円札は八〇・五%ぐらいのものですから、率もそんなに、非常な不便を来たす率とは思われないし、ましてや、いま御指摘のような、こういうインフレの抑圧ということが政府の最大課題になっておるときに、十万円札とか五万円札が出ますことはインフレ心理を助長いたしますから、いまのこういう時期に絶対に、高額紙幣を発行するようなことはいたしません。
○原(茂)委員 それに関連いたしまして、いままでもときたま論議をされてきたデノミの問題なんですが、逆に、現在のように必死にインフレというものを押え込もうという苦心をする政治状態の中では、ある意味ではいまこそデノミによってもう一発大衆に、大きなショックにはなりますが、ショック療法を与えながら、しかも、やがて不況対策は考えざるを得ないわけですから、したがって、まあインフレは多少しようがない、いまはもう不況対策に移るんだ、いやそうではないという両論があって、おそらく総理もその点では、その調和に非常に苦心をされていると思う。当然だと思います、日本の場合は。しかし、現在のような、インフレを押え込もうとしてまだなかなか成果があがっていないというようなときに、同じデノミをおやりになるならそろそろ考えていいんじゃないかという気持ちがするわけですが、デノミネーションというものをここらでお考えになる、インフレ抑圧の手段としてでも考えてみたいというようなお気持ちがありませんかどうか、お伺いしたい。
○三木内閣総理大臣 私は、まあ高額紙幣にしてもあるいはデノミの場合でも、物価が今日のような不安定な時期に、それはちょっと考えれば、貨幣の価値が上がって非常に金の値打ちというものを感じますが、その切りかえのときにいろいろな混乱が起こってきて、そのことがやはり、物価安定にプラスになる要素ばかりでないですね。そういうことで、物価が不安定な状態のもとに、デノミも、あるいはまた、いま言ったような、格別不便のないときに高額紙幣を発行するべきではない、そういう問題を取り上げるのは、やはりもう少し安定した経済情勢のもとでなければ、ねらっておることと実際の方向とが違ってくる場合が私は多いと思います。だから、デノミもする意思はございません。
○原(茂)委員 ついでにもう一点お伺いしておきたいのですが、確かに物価安定という前提がありますから、このときにいたずらな混乱を起こしたくない、デノミはやりたくないという心境はわかります。イタリアと日本だけがこのばかげた、ドルに対する、たいへん大きな金額を一々計算をしたりやらなければいけないわけですから。したがって、物価の安定というのは三木内閣の使命ですから、安定したあとではデノミを考慮するということになるのか、していいんじゃないかと思うのですが、どうですか。
○三木内閣総理大臣 まあそういう時期もあると思いますが、いまのこういう時期にそれを予告することもあまり好ましいことではないということで、御意見を承っておくということであります。
○原(茂)委員 けっこうです。デノミに関しては国民的なコンセンサスが必要ですから、いつの時期、どうお考えか知りませんが、やはり相当に準備段階あるいは了解を得る段階というものを期間的にも置いて論議をなさるように、この際特に注文をしておきたいと思います。 最後に、海外経済協力の問題で少しお伺いをしたい。 特に対韓援助を中心にお伺いをしたいと思いますが、これに関連して、私は、金大中氏事件というものを真剣に考えれば考えるほど、対韓経済援助というものが関連されて日本の外交の基本姿勢になってこなければいけないと思う。 時間がありませんから、端的に結論めいたことを先に申し上げますなら、たとえばアメリカなどにおいては、対外援助法第三十二条「政治犯を不当に拘禁して」云々したような国に対する援助はすべきではないといったようなことがあってみたり、中国では海外援助八原則というものがあって、やはり原則に従って、ルールに従って海外経済協力というものは進められている。日本の場合に、海外経済協力ということをもう歴史的に長くやってまいりましたし、事業団ができて本格的になってはきたわけですけれども、一体アメリカにおける、あるいは中国におけると同じような海外経済協力に対するルール、規制、規範、法律的なものがない現状で放置されているわけであります。 ここで、アメリカの何々委員会、何々委員会がいま非常に、百花繚乱のように韓国朴政権に対する批判が起きて、独裁政権にひとしい暗黒政治を行なう朴政権に対して援助は打ち切るべきだ、いや半額にすべきだというようなことが、現に議会の意思として堂々と論議をされ、それがいま方向づけられようとしているのであります。日本の場合には根拠がない。海外経済協力というものに対するいろいろな条件的な、規範的な、法律的な規制が第三者的に行ない得る状況になっていない。こういうところに金大中氏事件に見られるような——金大中氏が遺憾ながら不当に拉致されて以来、原状回復を前提にして、ちょうど一年ちょっと前に、去年の十一月の二日ですか、日韓の間に決着がついたと発表されていながら、いまだに、原状回復どころか、金大中氏自身の自由が束縛をされているという事実があるわけであります。木村外相がすでに何回か発言をしておりますように、とにかく、いまだにフォローアップされていない、解決すべき問題がある、日韓貿易なり日韓経済援助の話をしようというにはそれなりの雰囲気をつくらなければ困るというような木村外相の発言もあった。総理は一体、金大中氏事件は一年ちょっと前に決着をしたというその決着が、ほんとうの意味の決着になっているとお考えですか。現在まだ決着をしていない。日本が出した原状回復という条件が現に行なわれていないわけでありますが、どういうふうに金大中氏事件をごらんになっているかをまずお伺いをしたい。
○三木内閣総理大臣 金大中氏は日本の首都から拉致された。私はやはり、人権上の問題としてこの問題を重視するわけです。韓国の政府は、韓国人並みにする、本人が希望するならば海外に出ることも自由である、こういうことでございますが、いま選挙法の違反などの事件もあるようですが、しかし海外に、いまはどうか知りませんが、以前はハーバード大学へ入学したいという希望を持っておった、ハーバード大学もこれを受け入れたいということでありました。金大中氏のそういうふうな、ほんとうに自由なる希望が達成をできるように、再々韓国政府にも申し入れをしておるわけです。それは何かといえば、日本が金大中さんの滞在を許しておったわけですから、その人権を守り得ない点もあったわけですから、そういうことで韓国政府にも申し入れをしておるので、われわれとしては、金大中氏の希望が、自分がいま考えておる希望が早く達成できるようにということに対して、非常に注目しながら見守っておるということでございます。
○原(茂)委員 私は、非常にリベラリストと尊敬をしている三木さんが総理に就任されたら、日韓間の第一の懸案である金大中氏事件に関しては、明瞭な解決の出るような強固な外交交渉が展開されるものと期待をしていたわけであります。先ほどの、国内問題が非常にたいへんだからということが、外交問題全般に対して手を抜くという意味ではないと思いますが、少なくとも前内閣以来の非常に大きな国際的な懸案である金大中氏事件に関しては、三木内閣になったら、国民の納得するような決着らしい決着がついたという結論をお出しになることが私は急務だと思う。その出そうとするためにも必要なことは、金大中氏の自由がいま保障されているとお思いになるのか、決着の前提である原状回復というものができているとお考えになっているのか、この認識がなければ問題の解決は進まないわけであります。 もう一度お伺いしますが、一体、金大中氏の自由は完全に回復されているのか、決着の条件である原状回復ができているとお考えか、この二つに関してずばりお答えをいただきたい。
○三木内閣総理大臣 韓国政府がそういうふうに、韓国人並み、一般人と同じような自由を金大中氏に与える、こう言っておるのですが、日本の政府は、再三韓国政府にもそのことを申し入れているわけです。現状で金大中氏がいまどういうふうな心境であるかということは直接には存じていないわけですが、彼の考え方が変わりがないならば、海外へ出たいということですから、それを実現をすることになれば、それは自由というものは回復したということになるのです。現在どういう心境に彼か——彼の考えておる考え方か実現するということが必要でしょうからね。その点について、われわれも彼のいまの心境というものをよく承知していないのですが、この問題がもう解決をしたということではなくして、やはり今後、金大中氏事件は、日本で起こった事件でもありますから、非常な関心を日本の政府は持ち続けていくということでございます。
○原(茂)委員 普通ですと、私はあまりしつこく聞くのは大きらいなんですが、どうも総理の抽象的な——予算委員会その他の様子を見ていて、私は、歴代の総理と違ってまともに答弁をなさるというので、実は、これはいいなと感じていたのであります。決算委員会へ来たらがらりと変わって、まともに答弁をなさっていない。 非常に重要な問題だと思う。私は、日本で金大中氏が拉致されたということが大事である。総理のおことば、それだけじゃないのでしょうけれども、事は基本的な人権の問題であります。自由の問題なんです。政治家にとって一番大事なものであります。これがあの白昼理不尽に犯されているものを、現にそれがわかっていて、わが国の警察当局が十分に調査をして、指紋などを中心に金東雲一等書記官に対する疑惑まで投げかけているのに、一方的に韓国政府のほうだけが、この事件は落着した、捜査は打ち切りだと言った。しかも、日韓間における条件は全然触れない。どうしたかは言わない。そうして、決着したと言ってから半年たって初めて、過去二つの選挙違反事件があるから、これが完全に無罪証明ができるまでは自由を与えない。だれが考えたって言いがかりじゃないですか。われわれお互い政治家として、こんなことを日本でやられるはずがないけれども、やられたらまわりが承知しやしませんよ。こんなばかなことが白昼行なわれている。韓国が一体日本を何と考えているのか知りませんが、この点に関しては、軟弱とか弱腰とか、そういうことばを使ってもまだ足らないほどに私は不愉快なんです。こんなことが許されちゃいけないと思う。金大中氏自身がもうたまりかねて、この間「毎日」や「共同」に出ていますように、こう言っている。一年前に両国政府は何を決着したのか、何も決着をつけていないということになってしまったではないか——そのとおりなんです。こういう虚構か韓国内や日本で強弁されていることに耐えがたいものを感じているんだ——金大中氏のこの心境、よくわかりますよ。お互い政治家ですもの。しかもその自由が完全に束縛されていることを、だれでもみんな御存じなんです。にもかかわらず、いま国内の捜査はもう——外務省による韓国との折衝によっていろいろ証拠書類をもらうとか、あるいは同じく外務省を通じて、疑いのある金東雲一等書記官その他金大中氏とも日本の警察当局が会いたいということも、外務省は何をしているか知りませんが、まだ会わない、会えないというままでずっときている。総理自身がお出かけになってこの問題の解明を行なうくらいに、最悪の場合はしなければいけない問題だと思うのです。これは国境を越えた人権の問題なんです。こんなことが許されて、しかも国境が侵されっぱなしになって、しかも金大中氏が自身どうお考えになっているかということを考えながら様子を見てこれからいくんだなんという総理の答弁が、許されますか、そんなことが。 私はもう一度総理から、金大中氏がいま自由の身であるとお考えなのか、原状回復ができた、日韓間における決着をつけたという一年前の決着の条件である原状回復ができているとお思いになるのかどうか、二つに関してストレートにお答えをいただきたい。
○三木内閣総理大臣 金大中氏の自由というものがいま保障されておるかどうかということは、私がここでお答えをすることは適当ではない。これが一つ。 もう一つは、この事件は、たとえば金東雲氏の事件でも、拉致事件に加担した証拠はなかったというわけですが、それは日本政府は納得できない。したがって、説明を求めるということを韓国政府に再々言っておるわけですから、そういう意味で、すべてこの事件が決着したとは私は思っていないわけでございます。決着というのは両国が納得できるような解決でないと——外交上いろいろなことはあるにしても、一番隣国ですから、これから長く友好関係を維持していかなければならぬ。どうしても国民が相手国の処置に対して納得をするということでなければ親善の基礎というものは固まっていかないわけですから、そういう意味で、国民の気持ちの中からもすべて解決だとは思っていないわけです。今後、いま言ったような金大中氏の自由、それから国際事件である金大中氏の拉致事件に対する国民の納得のいく解決ということは、将来の課題だと思っております。
○原(茂)委員 そこで最後に、この問題で二つお伺いしておきたい。 先ほど申し上げたように、日本の海外経済協力に関して、やはりアメリカその他にあると同じような規範、ルール、法律的な、これを第三者が冷静に検討もし、制肘も加えることのできるようなルールをつくるべきだ、こう思いますが、この点、いかがお思いになりますか。これが一つ。 それから二つ目は、この金大中氏事件というものを平たくわれわれの家庭でいえば、私の女房が隣の闖入者から拉致された、その前から隣のおやじと私の間には、長期にわたって経済協力してやろう、金は貸してやろう、援助をしましょうという約束があった、この女房を拉致された問題が解決しないんだ、不当だ、一方的にかってなことをやっていると思いながら、亭主である私が隣のおやじと前に約束した、金は貸しますよということだけは、経済援助はやっていきますということでいいでしょうか、どうですか。私は、この際、金大中氏事件とのからみにおいて、原状回復が完全にできるまでは、現に行なっているような、うっかりすると年内に日韓経済閣僚会議を開くような雰囲気にあるこの状況、韓国の新年度予算編成に合わせて新たな援助を行なおうとするこのことを、一年目にようやく復活していま急速にやっていますけれども、こまかいことを申し上げる時間はありませんが、こういうこともやはりある程度総理としてブレーキをかけて、金大中氏事件の解決のからみにおいてこの援助の問題も考えていくくらいなき然たる態度が、当然日本国民の代表としてあってしかるべきだと思うのですが、この点いかがでしょう。抽象的でなくて二つについてお答えをいただいて終わりたいと思う。
○三木内閣総理大臣 一つは、それを法律的に、海外進出企業に対する立法的な措置でルールづくりは考えておりません。けれども、まあどこでも一つの、海外に進出する企業の態度というものに対して——周恩来首相なんかも、アフリカへ行ったときに八原則ということを言った。その中国の態度というのは法律ではないのですね。日本もしばしばそういう態度は出ておりますが、そういうふうなことなら考えられる。しかし、法律でということは考えておりません。 それから、金大中氏事件と対韓援助の問題でありますが、対韓援助は韓国の民生の安定ということでわれわれは国民ベースでものを考えたときに、やはり一番の隣の国でありますから、日本の安全という点についても一番影響を持つものは朝鮮半島であります。だから、韓国人全体の民生の安定ということは、まあ金大中氏事件などに対してまだ納得のいかぬところがあるけれども、しかし、これで全部、韓国人の民生安定に関するような問題はこれが納得いく解決ができるまではストップということも、そういう政策は私はとりたくないと思っておるのです。いずれにしても、しかし、いろいろこれから日韓会談などを開くにしても、閣僚会議を開くといっても、やはりそれだけの雰囲気というものが必要ですから、そういう会議などに対しては慎重であるべきでしょう。援助というものは継続的にもなっていますから、全部ここで、金大中氏事件というものを理由にして対韓の援助を打ち切るという考え方は持ってない。しかし、日韓の閣僚会議などの開催は、そのときの政治情勢なども考えることは当然のことでございます。
○原(茂)委員 納得しませんが、終わります。
○臼井委員長 庄司幸助君。
○庄司委員 三木総理に質問する前に、私は総理に注文があるのです。 一つは、総理、たいへん御答弁が丁寧なようですが、時間がございませんので、ぜひ簡潔に、哲学抜きでやっていただきたい。 それからもう一つ、この決算委員会に対する内閣の態度なんですが、きょうもこのとおり、四十六年度決算の総括質問なんですが、肝心の大蔵大臣が出られないという状況なんですね。これでは私は、内閣の決算委員会に対する軽視があるのじゃないか、こう思うのです。しかも、閣僚も若干いらしておりますが、あとは次官の方だ。まるで三木さんは裸の王さまじゃないかというようなことをいわれかねない問題なんですね。そういう点で、ぜひこの決算委員会についての軽視はやめていただきたい。この点、御注文だけしておきます。 最初、三木総理に対して、私は金脈問題と政治姿勢について質問申し上げたいと思うのです。 それで、前任者の田中前首相にまつわるこの疑惑の数々、これは三木総理が就任前に、臨時国会で明らかにすべきだとの発言がございましたが、いまだに実現しておらないわけです。その点で総理の政治姿勢がくずれてきたんじゃないかといわれているわけですね。田中前総理の問題については、国政上の地位を利用して国有財産の取得や、あるいは払い下げによって巨大な利益を獲得した、この疑惑が濃厚なわけです。ところが、いわゆるクリーンだといわれている三木内閣の中にもこういう疑惑が投げかけられている閣僚がいらっしゃることは現実なんですね。その辺が、三木総理のいわゆる就任前の御発言からくずれてきた問題というのはどうもその辺にあるのじゃないか、こういうふうに思われる点です。 そこで、きょうは通産大臣いらしておりますので、冒頭に通産大臣からお伺いしたいのですが、あなたが社長をなすっておられた三光汽船ですね、これがいわゆる農協関係の資金を運転資金としてどれだけ借りておられたのか、四十九年三月末でけっこうですから、それをひとつ教えていただきたいと思うのです。
○河本国務大臣 農協関係の資金の借り入れ額につきましてはただいま数字を持っておりませんけれども、借り入れがあったことは事実でありまして、借り入れの背景だけをちょっと簡単に御説明をいたしますと、第一に、三光汽船は現在二百五十隻ばかりの船を運航しておりますが、その相当部分を穀物、それから飼料、材木、この輸送に投入しておりまして、いま日本ではその輸送量におきましては最右翼であろう、ある分野におきましては三割、四割の物資を輸送しておる、こういう状態でございます。 それからもう一つは、全農関係の穀物ばかりを専門に輸送する船でございますが、穀物専用船といっておりますが、五万トンばかりの穀物専用船をつくりまして、これを連続航海をさせておりますが、これは専属の船でございまして、これの建造資金が必要であった、そういう背景のもとに相当額を借り入れしておりますが、金額についてはただいま記憶しておりません。
○庄司委員 通産大臣、いま御答弁あったわけですが、二百五十隻の持ち船のうちの相当部分を農林関係に使っていらっしゃるという御答弁ですが、私があなたの出されたこの有価証券報告書ですね、これを見ると、相当部分じゃないんですね。数字を申し上げますか。穀物、飼料関係、これはその他ともなっていますが、三百五十三万トンです。これは全体の輸送量が三千八百九十七万トンなんですね。九%です。これは相当部分などとおっしゃっていますけれども、そんなことないということなんですね。それから、あと第六全購連丸という船があるということもこれに書いてあります、五万トンぐらいの。これは農協でやっているAコーポライン株式会社ですね、ここでチャーターか何かなすっている船だろうと思うのです。そういう点で私は、農業に対する寄与率というのは大臣がおっしゃるほどのものではない。それがこの有価証券報告書によりますと、四十九年の三月末現在でどれだけ借りているのかというと、農林中金から十三億円、それから兵庫県信用農協連、これが三十億二千万円、期末残、それから全国共済農協連、これが十八億円、そのほか静岡県共済農協連をはじめとする三十一共済農協連から、合計で二百八十二億円、全部でこれだけ借りているわけです。 こう見てまいりますと、農林に対する寄与率が、おたくの船は九%です。おたくの運転資金四百七十二億円、総額で借りておられますが、そのうちの六〇%に当たる二百八十二億円。借り入れ金全額のパーセントでいきますと、借り入れ金全体が千三百九十億円ですから、その二〇・三%を農協から、農協系統から借りておられる。その点で私は、三木総理がきのう、わが党の上田議員に参議院でお答えになった、河本さんを信任なすった理由として、きわめて独創的だと、こうおっしゃったわけですが、このお金の借り方でもきわめて独創的だ、こう思うんですね。その点で、いま私が申し上げた農協系統からの借り入れの額ですね、これ御確認願えますか。
○河本国務大臣 納得していただきますためには、もう一つこの背景を申し上げたいと思うのですが、現在の日本の海運政策は、一言でいいますと、補助政策なんです。過去十年間に日本開発銀行から約一兆円以上の資金が海運関係にいま出ておりますし、その利子補給金として千三百億以上の金が出ております。それが主として海運のおもだった六社に対して出ておるわけなんです。でありますから、一社で開発銀行の金を二千億以上借りておるところもあるわけですね。あるいはまた一社で二百五十億、三百億というふうな補助金をもらっておるところもあるわけなんです。しかし、終戦直後ならばいざ知らず、戦後三十年もたっておる現在において、いつまでも船をつくる資金もあるいは補助金も全面的に国家におんぶして、そういう経営をいつまでもやるのはよくない、海運というものは自主独立でやるべきだ、もう三十年もたっておるのだから自主独立でやるべきである、こういう趣旨に立って私は、経営をやめるまで続けておったわけでございます。したがいまして、国家資金が二千億、三千億というふうにまとめて借りられますと何の心配もないわけでありますが、国家資金を一銭も借りてない、補助金を一銭ももらってないということのために、資金調達におきましてもいろいろとくふうをし、独創的な配慮を加えたわけでございます。先ほどおっしゃったのは運転資金だけだと思いますが、運転資金のほかに設備資金あるいはまた信託その他のいろいろな形での借り入れ金は、約二千億に達すると思うのです。(庄司委員「千三百九十億円」と呼ぶ)いや、そのほかに信託とかいろいろな形の全部の借り入れ金を入れますと、ほぼそのくらいに達すると思うのです。でありますから、その全体の借り入れ金の比率からいきますと、私は正確な金額は覚えておりませんけれども、そう大きな金額ではない。しかも、先ほど申し上げましたように農林関係物資の輸送では、そういう統計が出ておるかもわかりませんけれども、一部の分野におきましては相当なパーセンテージを占めておる。私は、日本では最右翼の輸送量を示しておる、かように考えておるわけでございまして、そういうふうな独自の経営という立場に立って、したがいまして現在借り入れております銀行もほぼ百近い、金融機関も百近い、そういう趣旨でございますので、その点はひとつ御理解を賜わりたいと思います。
○庄司委員 それではもう一つ伺いますが、あなたの子会社はいろいろありますね、三光汽船の。たとえば新光海運というのがあります。こういった子会社もみな農協系統の資金をお借りになっておりますか。お借りになっているとすればどれくらいお借りになっているのか明らかにしてもらいたい。
○河本国務大臣 ただいまの御質問の会社でございますが、この会社に対しましては、三光汽船は一株も所有をしていないわけです。でありますから、株を持っておりませんから、子会社というそういう範疇には入らぬのではないかと思います。 ただ、業務関係におきましては、用船関係もたくさんございますししますから、業務関係からは非常に密接な関係にある、こういう状態でございまして、非公開の会社でもございますので、借り入れ金の内容その他につきましては、関知をしておりません。
○庄司委員 私がこういうことをお聞きしているのは、まああなたは、政府補助金をもらわないために、独創的におやりになったと、こうおっしゃっていますが、しかし問題は、農民の金を借りている、こういう問題点があるので御質問しているわけです。 それで、農林省にお伺いしますが、この三光汽船が兵庫県信連から三十億二千万円借りておりますが、その兵庫県信連の定款があると思うのですね。これは農林省の省令でいろいろ指導している定款ですが、その定款の何条の何項に基づいて貸しているのか、これ、ひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
○岡安政府委員 兵庫の県信連の定款によりますと、その第二条によりまして、会員の組合員の事業に必要な資金の貸し付けを行ない得るということになっておりますので、その条項に基づきまして貸しているものと考えております。
○庄司委員 それは、二条はどこにもあるのですね。組合員に貸すことができる。問題は、これは員外利用だろうと思うのですけれども、その員外利用についてのどういう条項で貸しているのか。あるいはまた、準会員におなりになっているとすれば、どういう条項で、どういう根拠で準会員なのか。その辺、ひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
○岡安政府委員 三光汽船に対します貸し付けは、これは員外貸し付けではございません。と申しますのは、兵庫県信連の準会員に兵庫県商工信用組合というのがなっておりまして、三光汽船はこの信用組合の組合員であるということで、貸し付けを行なっているわけでございます。
○庄司委員 そうしますと、兵庫県の準会員の規定は、第八条にございますけれども、「他の法律により設立された協同組織体で、この会の地区内に主たる事務所もしくは従たる事務所を有し、農業協同組合または農業協同組合連合会の行なう事業と同種の事業を行ない、かつ、この会の地区の全部または一部をその地区の全部または一部とする者で、この会の施設を利用することが適当であると認められるもの」、この項目に当たるのですか。
○岡安政府委員 そのとおりでございます。
○庄司委員 そうしますと、今度は通産大臣にお伺いしますが、おたくの会社、三光汽船、これは有価証券報告書を見ますと、兵庫県尼崎市北難波町四百五十九番地、これが本店の所在の場所と明記されております。これは現在はない地名なんですね。現在の地名は、三十一年七月三十日に町名変更になっちゃって、尼崎市蓬川荘園四百五十九になっているのです。これは不実記載とまでは言えるかどうかわかりませんけれども、そういう問題もあるのです。ところが、実際の業務は、これはたびたび質問もされておりますが、大阪であるとか東京でおやりになっている。だから、この本店所在の場所を兵庫県尼崎市に置くというのは、まさにこういった、いま私が申し上げた、同一地区内に主たる事務所を置くとか、こういう観点で尼崎市に、あの民家——きのうも写真をごらんに入れたと思いますが、ああいうところに看板だけ出しておられる。幽霊本店だということになるのですね、これですから……。私はそういう疑惑を一つ持つわけです。 あるいはまた、過去においては地方税が、大阪と尼崎市と比べると、船舶関係の地方税が尼崎市は半分ぐらいだった、これはおたくの関係の方から伺っています。税金のがれか、あるいは農協系統の資金を借りるため、この尼崎市に世間の人がいう幽霊的な本店が置かれた理由はそこにあるのだ、こういう疑惑が出てくるわけです。 これに対してあなたはいろいろおっしゃるだろうと思うのです。創立当初は尼崎市が中心でやっていて、後、大阪に進出したとか、これはどこかの委員会でおやりになっているようですが、しかし、これは事実とやっぱり違うのですね。あなたのほうの三光汽船の社史という雑誌がありますが、これでも、最初から大阪で営業していたという記載になっているのですね。尼崎での営業の話は、あなたのほうの社の歴史の本には全然ないのです。それから、この看板をかけている民家、住んでいる木暮さんですね、この人のお話を聞いても、看板を置かせてくれと頼まれただけだとおとうさんがおっしゃっていたというのです。 だから、そういう点で、私は、まさに尼崎市に本店を置かれたというのは、こういう農協系統の金を借りられる、ここに一つの目約があったのじゃないか、こういう結論になると思うのですが、その点どうですか。
○河本国務大臣 三光汽船が創立されましたのはいまから四十年前でございまして、昭和九年でございます。その当時非常に小さな規模で、ほんのわずかな人数でスタートしたわけでございますが、そのときに尼崎市に本店を置いたわけでございます。自来、大阪に進出し、現在は東京が本拠になっておる、こういうことになっておりますが、私は、いわば人でいえば、本籍がどこかにありまして現住所は別にある、本籍はとっくの昔に出てしまった、そしていまの現住所に住んでから何十年かたっておる、こういうふうに軽く理解しておったのでございますが、別に、農業団体から金を借りるためにそこに置いたというのではございませんで、その当時にはいまのような制度はなかったのじゃないかと思います、四十年前のことでございますから。決して他意があったわけじゃございませんで、たまたま、そのいきさつからいいましてそういうことになっておる、こういうことでございます。
○庄司委員 通産大臣、この一問で、あとお帰りになってもいいですから。 他意はなかったとおっしゃいますが、結果的にはそういう結果になっておるのですね。ですから、あの本店の所在ですね、看板だけですから、いまの大三光汽船ですからそんな疑いの目で見られるわけですから、もう当然看板をはずして堂々と、いわゆる実務を行なっている本社的機構を持っている場所へお移しになっていいのだと思うのですよ、私は。なぜそういうことができないのか、これはひとつ御説明願いたいと思うのです。
○河本国務大臣 先ほど申し上げましたように、いま本拠は東京になっていまして、実は私自身も、御指摘があるまで、尻崎の本社というようなことも忘れてしまっておったような状態でございます。でありますから、そのことにつきましては、現在の新しい社長以下に連絡をいたしまして、こういう御質問があったということだけは通告をしておきたいと思います。検討するように通告しておきたいと思います。
○庄司委員 それでは通産大臣、もうお帰りになってもいいです。 それで、ひとつ総理と、農林大臣もいらしたからお伺いしますが、この三光汽船の、これも有価証券報告書に基づく利益が、この三年間で、株式関係で千二百億円あげておるわけです。それから船舶の売却益で二百三十三億円です。それから海運業の利益で約五百七十八億円。合計で二千二十億円の巨大な利益をあげているわけですよ。これは有価証券報告書ですから。こういう巨大な利益をあげている企業に対して、農民の零細な預貯金やあるいは掛け金の集積、これが三百億円近く貸されておる。なぜなんだろう。これは農民もふしぎに思っているのです。 そのほかにも、去年の五月八日にわが党の津川議員が農林水産委員会で質問していますが、三井物産や丸紅あるいは三菱商事、住友商事、こういうところに、四十七年後半期だけで千五百九億円も農民の金が貸し出されて、そうして買い占めや投機に一役買っている。 一方、農民は、これに比べてどうなのかというと、たいへんな状況です。しかも、こういう金を集める農協の職員が、これも去年の農林水産委員会で明らかにされたわけですが、労働基準法違反を犯してまでも共済のノルマ達成のために、共済の掛け金を集めるのに夜間の仕事もさせられている。そして現在、農民の現状は、畜産農家の自殺が相次いでいますね、総理。これは牛を一頭売れば、牛のおしりに十万円札を張りつけてやらないと売れないんだ、こういう状況の中で赤字に転落して自殺に追い込まれている。長期、低利の資金がぜひほしい、こう言っているわけです。 それから、出かせぎがどんどんふえてきたと思うと、今度は不況の波をかぶって失業する。村に帰ってみれば誘致工場が倒産してくる。非常に不安になってくる。 それから、農外収入に対する依存度が、いまの日本の農業ではどんどん高まっているわけでしょう。その中で自給率が低下してくる。農民はさらに農地拡大の要求を持っておりますが、農地を売ることはできても取得はできない。金がないのです。 こういった農協の資金が、本来なら農協法の第一条の目的に合致するように、やはり農家の社会的、経済的地位の向上、農業生産の拡大、こういうために使われるのが私は本筋じゃないかと思うのです。それがこういう大企業に貸されて、しかも巨額の利益をあげるために役立っている、食いものにされていると言っても過言じゃないだろうと思うのですよ。こういう現実を総理はどう見ていらっしゃるのか。これはやはり指導を強めて、農民の預貯金、掛け金ですから、これは農民の要望にこたえて十分活用できるような指導をなさるべきだと私は思うのです。ですから、兵庫県信連が違法行為かどうか、私はわかりませんよ。しかし、こういう事態について総理はどうお考えになるのか、これは明確に簡潔にお答え願いたいと思うのです。
○安倍国務大臣 いま御指摘のような大企業に対する貸し出しにつきましでは、比較的資金余力のある大規模な信連とかあるいは共済連の財政運営という見地から貸し出しを行なっておるわけでありまして、いま御指摘の当連合会において、これにより組合員、農家に対する資金手当てがおろそかになっておるということは聞いておりません。 しかし、大企業に対する貸し出しは、農協系統の資金運用として必ずしも望ましいものとは私たちは考えられない面もあるわけでございますし、また他方、農村地域においては資金不足の事態が起こっておるというところもあるわけでございますので、いま農林省としては、農協系統全体として農協本来の趣旨にのっとった資金運用がはかり得るように、これは検討を加えておるわけでありますし、指導等も行なっておるところでございます。
○庄司委員 たとえば宮城県の信連の場合、私はこれはまた聞きですから数字は正確でないと思いますが、今度、米がいもちでやられ低温でやられて、米の不作が起こって、それで信連の預金が百億円ぐらい減ったそうです。七十億円ぐらいの需要があるのに対して二十億円ぐらい不足している、こういわれておるのです。それから畜産の関係では、二十億円必要だというのに対して十億円ぐらいしか手当てできないという話も聞いているわけです。ですから、私はこの問題で、ぜひこういうお金を適切に農家の繁栄につながる方向にひとつ回してもらいたい。 その点でひとつ委員長、資料を要求しておきますが、この農協の系統資金、これは信連関係と共済連、この全国の資金運用の状況、大企業に対して——大企業というのは資本金十億円以上ですが、これに一体どれぐらい貸し付け残があるのか、これが第一点。 第二点は、これはお調べになっていただいて、いわゆる三光汽船の系列の会社ですね、三光汽船を含めた、それにどれぐらい貸されているのか、会社別に。これをひとつ調べて当委員会に資料として出していただきたい。これをひとつよろしくお取り計らい願いたいと思うのです。
○臼井委員長 ただいま御要求の資料につきましては、いずれ後刻理事会において御協議をして善処いたしたいと思います。
○庄司委員 それで私は、安倍農林大臣、この共済連の上部団体に全共連という団体がございますね、全国共済連、その副会長をなさっている滝口さんという方がいらっしゃいますが、この方が農林大臣の後援会の会長である、それから山口県の自民党県連の会長さんである、こう聞いておりますが、それに間違いございませんか。
○安倍国務大臣 そのとおりでございます。
○庄司委員 それから、これは官房長官来ておりませんが、井出官房長官、この方が、この全共連の会長さんである滝沢さん、この方と長野県で同郷で、たいへんごじっこんであると伺っておりますが、それ、副官房長官でもいいのですが、間違いございませんですか。
○海部政府委員 官房長官のことでございますので、私、正確に存じませんから、長官にお伝えをして、後刻御返事いたしたいと思います。
○庄司委員 三光汽船は、総理、三木内閣の金脈だとよく世間でいわれております。私もそんな感じがしております。人脈もあるわけですが。こういう全共連のおえら方と農林大臣や官房長官がごじっこんで、しかも後援会長までなすっている方があるわけですから、こういう農協資金を三光に使わせる、そして三光のほうからいわゆる政治資金なり金脈なりが流れてくる、こういうルートが当然に考えられるだろうと思うのです。そうすると、これは三木内閣の金脈、人脈の問題を、さっきからのやりとりを通じて、やはりにおわせるものが出てくるわけですね。通産大臣というのは、造船、海運は所管外でありますが、これらを除く二次産業、三次産業の生産、販売、貿易、投資、開発、こういった一切の企業活動の情報が集中する地位にあります。この情報を三光汽船の活動に有利に活用できる。社長をおやめになったって株主はおやめになっていませんから。そういう点で世人が、やはり河本通産大臣は三木内閣の黒一点である、こうおっしゃっているわけですね。それを、総理大臣の御答弁を聞いていますと、いろいろ独創的な方であるとか、自分でのし上がってきた人で、行政手腕を買うなどとおっしゃっていますが、この点、私は総理に、やはり河本通産大臣の、平たくいえば金脈といいますか、あるいは人脈といいますか、こういったものをみずから進んで明確にされて、この疑惑を晴らしていくというのが非常に大事ではないかと思うのです。総理の資産公開はお約束になりましたが、しかしやはり、いま黒一点などと世間から騒がれている方がいらっしゃるわけですから、これはひとつ、河本通産大臣についても明らかにしていただきたいと思うのですが、いかがでございますか。
○三木内閣総理大臣 私は、河本氏はりっぱな人間だと思っておるわけです。経済活動で三光汽船が発展したことは事実でしょうが、私は、そういう彼の事業関係については一ぺんも話を聞いたこともないのです。政治家としてのつき合いだけなんです。しかも彼自身はいままで、国の補助ももらわずにあそこまでやってきたわけです。海運業という、国際経済の中で非常に競争してうちかってきておるわけです。そして金もうけは、今日、もう河本氏自身は考えていないですからね。そういうふうな点で、企業なんかの関係というもの、そういう面からの関係はないわけです。いまのような日本の大きな転換期に、彼の持っておる能力というものを通産行政の中に生かすことは、国のお役に立つのではないか。普通の役人の人と違うわけですから、通産行政というものはそういう体験が非常に生かされるのではないか。 ただしかし、いま言われたような疑惑を国民に与えることは、これは一番いけないことですから、私が彼の就任を要請したときに言ったのは、株主権は全部凍結する、一切の会社から手を引くということ、君は大臣をやめたらまた実業界に帰るというのでなくして、これが政治家としての新たなる出発点である、そういう決意で君はやってくれる考えはあるかと言ったら、そうやろう、こう言って、そういうことで私はいよいよ彼を選任をしたわけであります。 まあ、つき合ってみて、私の金脈でもないんですよ。そういうことで、私は人格的に非常に信頼のできる人間で、ただ、事業が発展したという点は、これはいろいろな点で非常に発展しておって、そういう点が何か、発展が急速だからという、そういう点でいろいろ無理をしたのではないかという御批判もあるのだと思いますが、人間としての河本君は信頼できる人間であると私は思っておるのです。しかし、いまお話しになるような疑惑を持たしてはいけませんから、一切事業からは手を引いて、株主権も行使しない、これで政治家としての新しい出発であるということでございますから、今後彼の行動を通じて、どうか皆さんもよく監視していただいてけっこうでございます。彼はなかなか、そういう点ではきちっとしておる男だと私は思っております。
○庄司委員 これは公開してもらいたいというのが私の質問の趣旨なんですが、それがイエスかノーか、そこのところをお聞きしたいのです。
○三木内閣総理大臣 財産の公開というものは——外国でも、政治のモラルというものは日本よりもきびしい国があるのですね。イギリスなんかは日本よりもずっときびしいと私は思う。アメリカも、ウォーターゲート事件以来非常にきびしくなる。そういう国でも、みな政治家、大臣——大臣といったら、これは大臣だけにとどまらないですよね、政治家ということになるが。財産をすべて公開するということは、まだどこの国でも制度としてやっておる国はない。一つの慣習としても、そういうのもほとんどないですが、これはいろいろな点でプラスの面もあるけれども、弊害の面もあるでしょうね、そういうことまでもみな公開してやるということは。そういうことで、こういう政治のモラルが日本よりもきびしい国で、これは制度としてなじんでいない。これを日本だけが先んじてというお考えもありましょうけれども、これはやらぬというのではないですよ。これはもう少し検討しないと、制度としては、これを取り入れることになかなかやはり、いろいろな点でプラスの面もあり、マイナスの面もある。 そこで、私が今度は代表いたしまして、今度私の財産を年内に公開をしようと思っております。公開といっても、実際困るのですよ。どこへその書類を出すのか。議長のところで受け取ってもらおうと思っても、そういうものは困るという。実際、発表するのにも、私の家の前へ張っておくわけにもいきませんしね。ですから、実際、簡単にいわれますけれども、公開ということに対してどういう形かいいんだということから一なじんでないですからね、なじんでないだけに、非常にやはり——そういうことから、いろいろな点で検討せんならぬようなそういうむずかしさもあるわけでございますが、これはもう、年内にやるというお約束をしておりますから、公開という精神に一番ふさわしいような方式でやろうと思っていますか、これはなかなか——慣習としてあればそれに従ってやるのですけれども、初めてのことでむずかしい点もある。これを各大臣に私がいまの段階で強要する考えはないということを明らかにします。
○庄司委員 いまの公開の問題ですね、私は各閣僚までは言ったのじゃないのです。具体的に言ったのは河本通産大臣の問題なんです。だから、その点で、もう押し問答はしませんから、ぜひ総理並みに、河本通産大臣のいろいろな疑惑の問題について公開させていただきたい、これを要望しておきます。 最後に私お伺いしたいのは、きょうの新聞を見ると、「自民の金庫はスッカラカン」で、「参院選の乱費に金脈批判——百二十億円の借金」こういうのが出ております。私も、百億円まではつかんでおるのです。この間の委員会の質問で大蔵省の銀行局長に聞いたら、なかなか発表してもらえませんでしたが、その後新聞に発表になりました。百二十億円。「恒例の“モチ代”どころか——」このもち代がまた、百万円だそうですね、これ見ると。たいへんなもちもあるものだと思うのですが、幹事長らは「百二十億円余の借金の“相続”は覚悟していたものの、野中経理局次長に金庫を調べさせたらスッカラカン」だ。そうすると、銀行から借りた九十九億三千五百万円、これは明確につかんでいますが、これを含めて百二十億円、自民党は返さなくちゃならぬ。まさか出世払いというわけじゃないでしょう。返すとなればどこからこういう金を持ってくるか。別段、自民党さん、事業活動をなすっていることもありませんから、当然に私は、企業にまた政治献金を要求するしかけになっちゃうと思うのです。そうじゃないと自民党は破産しちゃうのです。破産して、押えるといったって、あそこの建物ぐらいのものでしょう。 私は、今度は総裁として聞いているのですが、そういう金脈批判がある、企業献金に対する批判がある、この結果を見ると、やはり企業献金にたよらざるを得ないしかけになってくる。そうすると、政治資金規正法の問題でも、総理がるる国会で答弁されておりますが、やはりだんだん後退せざるを得なくなるんじゃないかと思うのです。経過が必要だなどという御答弁もあるわけですね。この経過というのは百二十億円返すまでという意味ととっていいのかどうか、その辺での御方針をお伺いしたい。 そしてもう一つは、さっき資料要求いたしましたが、これに対しての当局の御答弁も伺って、私の質問を終わりたいと思うのです。
○三木内閣総理大臣 いろいろお恥ずかしい自民党の台所を——実際は、これは政党自身が処理すべき問題であります。自民党がいま財政的に非常に困っておることは事実であります。借金の金額は必ずしも正確でもないと思うのですが、これに対しては、自民党としては、多少の年限はかかるけれども、償還計画を立ててこの借金は払わなければならぬわけでございます。 いずれにしても、実際に政治に金がかかるんですね。政治活動はこういう時代には金がかかるので、諸外国では財政支出をするように——アメリカもそうですし、西独もそうですね。そうして、たとえば選挙の費用などは国費で出すという。西独はそうなんです。総選挙のときの得票数に、一票に対して三マルク半かけているわけです。それを政党に返す。こういうことも日本も研究していいんだと私は思うのですね。 だから、私はもう少し個人献金というものを中心にしたほうがいいと思うので、税法上の特典というものもやはり課税からはずすような方法を考えて、しかし頭だけは限度をつくりましてね、無制限というわけにもいかぬから。そういう慣習が日本に育っていけば、弊害は非常に少ない。広く浅くなるわけです。しかし、個人献金というのは、政党からいえば何かものをもらうものだというような感じもありますから、政治のために広く献金するというような慣習が日本の社会の中に根づいていくのには、多少の時間がかかる。 私は初めから後退したのじゃないんですよ。初めから経過期間が要るということを言っているわけなんです。そして、その間にこれは各党で研究してみる課題だと思うのですよ。選挙の費用なんか国が出したらどうだという一つの考え方というものはやはり研究して——実際に金がかかるのですからね。その金を一体どこから調達してくるかというところに問題があるわけですから、政治資金の問題は、野党の各位だってお金の点で御不自由がないとは私は思ってないのです。自民党ばかりでもない。これは野党の方々もやはり選挙のときに——相当一般につり上げますからね。自民党の選挙だけがつり上げて、金がかかって、野党が金がかからぬというのではないと私は思いますよ。だから、各政党の課題として、政治資金というものをもう少し明朗な形で調達できる方法というものは考えてみる課題の一つだ。党首会談にもこういう問題なんかも、私はきょう、選挙のあり方、政治資金のあり方というものは問題として提起したいと思っておるのですよ。 そういう点で、自民党というものも、いまお話のあった借金は、皆さんの歳費からもだいぶんみな払いまして、そしていろいろ積み立てるし、ほかの援助、ほかの献金も仰がなければならぬですけれども、これは自民党で処理したいと思います。ただ、出世払いみたいなことは、政党といえどもいたすべきでないと考えております。
○岡安政府委員 いま御要望の資料でございますけれども、早急に提出することは物理的に不可能なものもございますので、ひとつ検討させていただきたいと思っております。
○庄司委員 これはひとつ理事会で、その資料要求の件御検討をお願いします。
○臼井委員長 承知いたしました。
○庄司委員 終わります。
○臼井委員長 坂井弘一君。
○坂井委員 国政調査権と守秘義務との関係につきましては、昨日政府が統一見解を示されました。私は、法律上公式論あるいは形式論として、きのう出された見解はまあまあ妥当であろう、したがって、ことさらここで異議を申し上げるつもりはございません。ただ、一番大事なことは、この実際上の運用をどうするかということだと思うわけであります。 そこで、総理にお伺いする前に法制局長官に見解を承っておきたいと思うわけでありますが、確かに公益というものを基準として判断をする、そうであろうと思う。その場合、われわれが国政調査権に基づいて開披を求める。当然公益というものを基準に置いて判断をする。ただ、問題によってはこれは開披をしなければならないという問題もあろうかと思う。その場合の開披のしかたが問題でありまして、開披のしかたとしては、たとえば秘密理事会において開披をする、あるいはまた、問題を抽象化した形で答える、いろんな方法があろうかと思うわけです。したがって、そのような適当な方法によって開披すべきものであると判断した場合には開披すべきである、こういう考え方に私は立つわけでありますけれども、法制局長官はいかがでございましょうか。
○吉國政府委員 先般、参議院の予算委員会でもその問題について御質問がございまして、お答え申し上げたところでございますが、ただいま坂井委員から秘密理事会というお話でございましたが、秘密理事会のほかに委員会の秘密会という形態もあろうかと思います。 委員会の秘密会の場合について申し上げますと、秘密会につきましても会議録は作成をされて、会議録は印刷をされて公刊をされるということに原則としてはなっておりますので、秘密会においても開披することはなかなかむずかしい場合が多うございますということは、前々から、前内閣時代も竹下官房長官からもお答え申し上げた次第でございます。ただ、秘密会におきましては、会議録に記載しないことを委員から要求をされて議決をされますと、会議録に記載されないという方法もございます。そういうことになりますと、ただいま御指摘のような一つの開披の方法として有力な調整の方法になるのではないか。ただ、またその場合でも、会議録には記載をしないときまった秘密会において政府側から発表しました事実が外部に流布されないという保証はないというような問題もまた、次に出てまいりまして、そこでも開披について、開披するかどうかの一つの判定点になる。 さらに、今度は委員会そのものではなくて理事会で、まあ理事会は原則として秘密だと存じますが、秘密理事会という形で開披することはどうか。これはもうまさに会議録も出ませんし、傍聴も一切許されておりませんので、非常に秘密性は保持される。ただ、その場合におきましても、そこで政府側が発言した事実が外部に流布されないという保証がないという問題がまた出てまいります。 そういうようなことをいろいろ考えまして調整することは十分に可能であろうと思います。したがって、開披されるべき秘密の重さと申しますか、秘密の度合いの強さと、それから国政調査によって得られなければならない重要な利益というもの、それと開披の方法というものをミックスをしたようなものでいろいろ調整をなすっていただいて、そこで開披する場合もあるし、場合によっては開披しない場合もある。その調整をやってまいることは一つの方法であろうと思います。
○坂井委員 了解いたしました。 総理に申し上げたいのですが、確かにいま、金権によるところの政治の腐敗と申しますか、このことは、いわゆる民主主義体制の根幹にかかわるきわめて憂慮すべき問題である。ましてや、国民の大きな疑惑というものが政治に対する不信という、そういう不信感、それを増長せしめておる。したがって、今日まで提起されてきました一連の問題については、この事実を究明して国民の疑惑にこたえなければならぬ、これは私は言をまたぬことだと思う。 ところで、実際、政府がこの税法上の守秘義務、これをたてにとりまして、実際上はいやでもおうでも応じないという、そういう非常にかたくなな態度が強い。この際、この税法に規定されている公務員の守秘義務なるものが、はたして国権の最高機関である国会の国政調査権の発動に対してまでも対抗し得べきものであるのかどうなのか。これは政治的にはもちろんのこと、あるいは法的にも明確な解明というものがなされなければ、一連の問題の本質、事実というものの究明、解明には至らない。 私は、そもそも、この税法上の公務員の守秘義務なるものは、これは徴税当局が権力的手段によりまして入手した個人の所得に関する情報が理由なく税務当局の側から暴露される、そうしますと納税者の人権を不当に傷つける、そういうおそれがあるということから法定化されたものであろう、こう理解しているわけであります。 ずいぶん矛盾がございまして、これは私、前にも指摘いたしました。実は地方におきましては、地方税の滞納者リストというものを公表しておる。でもって庶民の人権というものが不当に踏みにじられておるという事実もございます。一方、国税に関しては、税法上の運用において徴税当局が守秘義務を絶対化して、国会に対してすらも一切がっさい黙秘する、こういう態度をとる。これはもう明らかな矛盾であります。ことばをかえて言いますならば、庶民の人権はむざんにも軽視されて、権力者の人権は最高に擁護される。このこと自体は、私はやはり政治家として、これは十分に反省もし考えなければならぬことであろう。 したがって、結論して申し上げますならば、国会の国政調査権といえども節度を守るべきであって、ことに一私人の人権を不当に傷つけるようなことがあってはならない、これは当然であります。しかし、現在の問題というものは、最高の権力者の問題、公人中の公人、総理あるいは閣僚の問題であります。一国の首相あるいは国務大臣、そういう公人については、その資産あるいは生活がこれはもう清潔でなければならぬ、それが政治の信頼を保持する絶対的必要条件である。したがって、これらの人々の所得や納税額を国民の前に公開することは、民主主義政治の上で不文律のルールであろうと私は思う。ことに、金権による政治の腐敗というものが国民あげての疑惑となっている現状においては、なおさらのことであろう。したがって、政府はいままでのような態度をあらためられまして、いま法制局長官からお答えになりました問題、開披すべきかあるいは開披せざるべきか、ケース・バイ・ケースであろうと思う。思うけれども、基本的には、いまのような考え方に立って国会の場においてその真相を究明するというのが、私は三木総理、まして三木さんが、そうした今日までの金権の政治あるいは一連の疑惑、そういうものは解明しなければならぬということをおっしゃっておるわけでありますから、そうした姿勢で臨まれるべきであろうと思うわけでございますけれども、総理の基本的な根本的な態度につきまして、御見解を承っておきたいと思います。
○三木内閣総理大臣 公人が疑惑を受けたということに対して国民の前に、その疑惑に対してこたえる義務が公人自身にもあるし、また国会は国会の機能としてそういう権限があることは当然であります。だから、私が言うのは、こういうところに接点があるのじゃないでしょうか。しかし、国政調査権が絶対のものであるとは言い得ないですね。それはあの防衛庁にしたって法務省にしたところで、あるいは大蔵省は税務関係ですが税務の資料、いろいろあると思いますよ。だけれども、しかし、公人という地位にかんがみてその疑惑にこたえるという大きな責任を持っているんだ、公人ですからね。したがって、それに対して乱用してはいけない、この守秘義務というものを乱用することはいけない。そのことが実際もしそういう決定を行なえば、国会においても論議を呼ぶでしょうし、国民の批判も受けるわけで、実際に話し合いというものが行なわれるとも思いますね。それはもうそんなこと、こういうことは要るではないか、どうして出せないんだという、そういう一つの、国会との間に調整というものもあると思いますが、要は、坂井さんにお答えしたいのは、それを乱用してはいけない、それはもう非常に国のために、まあ税のほうからいえば、それを発表することによって徴税という、徴税の事務を円滑に行なうというようなことに対して全国民に重大な影響を与える、こういうような場合ということだと思うんですね、考えると。それを時の政府を擁護する立場で、非常に守秘義務というものの範囲を拡大して、それを乱用してはいけない、それだけのモラルというものは要求されると思いますが、しかし、それは非常に政治的ですから、国政調査権は。行政責任のほうは政治的ではないのですからね。そこにどうもやはり食い違いがあって、結局は、守秘義務をたてにするものも、それは最小限度のものでなくてはいけないということだと思うのですね。だから、それは全く、ケース・バイ・ケースというのは、田中さんのケース、だれのケースで私は言っているんじゃないです。田中さんだろうがだれだろうが、これは同じこと。一納税者ですからね。しかし、やはり事案ごとに判断をするという自由は行政に許されておるのではないか、それを行政府は拡大にそれをたてにとって、そして特別な意図を持って政府を擁護しようとか、そういうことはあってはいけない、乱用してはいけない、そういうことでこの問題の接点というものを考えていくよりほかにないのではないかというのが、私の考え方でございます。
○坂井委員 まさに総理おっしゃるとおりですね。事案によっては、国政調査権の発動といいますか、要請に応じて政府がこれを開披するという判断をすべきであろうと私は思う。ですから、いま一連の問題につきまして、あくまでも守秘義務をたてにとって、何もかも一切黙秘だ、言えないというようなかたくなな態度であってはいけない。問題は、むしろ——何もないときに国政調査権を発動して、そして個人の資産であるとか、あるいは日常の生活なりあるいはプライバシーに及ぶようなことにまで根掘り葉掘り何もかもつつき出して、ここにあからさまにしなさいというような議論をしているわけではない。また、そういう立場をとっているわけではない。少なくとも、お互い人間でありますから、それはたたけばほこりも出るでしょう。ほこりの出ない、一点くもりない、傷一つないというような人間があれば、これはもはや人間ではないと私は思う。そんな円満無傷の人間などあるはずはない。化けものでしょう。しかし、やはり総理は総理らしい人格がなければいけない。閣僚には閣僚らしい人格がなければいけない。公人はやはり公人として、それなりに清潔度が要請される。これは私は、必要条件であろうと思う、十分条件ではないとしても。その清潔ということ、これが金にまつわって、かくかくしかじか、具体的にこのような問題がありますよというようなことを、前総理の田中さんをはじめ閣僚の中にも、いろいろな疑惑が提示されておる。国民も非常にそのことについて疑いを持っておる。政治不信をますます助長する。こういう場合においては、国政調査権の発動というものを受けて政府が判断をして、そしてこの税に関する資料等をむしろ積極的にお出しになるというのが当然の立場ではなかろうか、こういうわけで申し上げているわけであります。議論をいたしておりましても時間もございませんですから、いずれ場所もあらためたいと思いますが、どうかひとつ、総理がこの問題についてはほんとうに真摯に、前向きにお取り組みになっていただきたいということを要請申し上げておきたいと思います。 実は、公共料金の問題でございますが、二十一日の夜に経済対策閣僚会議が開かれて、公共料金値上げ問題が議論されたようでございます。閣僚会議といたしましては、単に財政的な考慮だけではなくて、公営企業経営の健全化、そういう見地からしましても、公共料金の改定、つまり値上げやむなし、こういう意向が伝えられているようでございますが、総理は、いかがでございましょうか、どういう認識をお持ちになっていらっしゃるか、つまり、凍結すべきかあるいは改定、値上げすべきか、これは基本的な考え方をひとつお示しをいただきたいと思います。
○三木内閣総理大臣 公共料金というものが安ければ安いほどいいとは私は思ってないのであります。もしそういうことであれば——安ければ安いほどいいと思ってないと言うと誤解を生ずるかもしれませんが、いろいろ人件費も上がってきても公共料金というものはそのままに据え置かれたら、それは結局は財政で見るよりほかないですから、国民の負担になるわけです。やはり受益者がある程度負担をすべきものだと思いますが、いま私が非常に考えているのは、この事態というものはいつもの事態ではない、やはり物価の安定ということを第一の命題としておるこの時期に公共料金が次々に上がっていくということからくるそのことが、こういう一つの非常な事態に対して適当かどうかということで、財政当局からいえばこれはつじつまが合わなくなりますからね、また、公共企業体でもそれはつじつまが合わなくなってくるんです。人件費の値上がりを中心として非常に収支のバランスが合わないというのを無理しておけば、それはあとで一体どうなることかということを考えれば、責任を持っておる公共企業体の人たちは、これはたいへんなことだ、上げてもらわなければならぬと。また、財政当局もそういうふうに思うのです。それを越えてひとつこの事態は考えてみたいというのが私の心境です。これはなかなか、内閣の中においてもそれぞれの立場によって意見が違うことはあるわけですが、最後にこれを調整することは私の責任であると、こう考えておるわけで、できるだけ、物価が鎮静化するまではこれを押えていきたい、こういうことで最後の努力をしたいというのが現在の心境でございます。
○坂井委員 総理、もう少し具体的にお伺いしますが、福田副総理は、やはり物価抑制というものか今日の最大の政治課題である——これは三木総理も、その考え方については全く同じであろう。ですから、凍結すべしと、こういう考え方を強く出されている。その中で、国鉄料金、郵便料金、酒、小麦、電信電話、塩、たばこ、この七項目についてはいろいろ検討がある。どうやら、伝え聞くところによりますと、塩と麦は値上げを凍結する、たばこは圧縮して値上げを認める、そういうような考え方に落ちついてきたのではないか、こういわれておるわけでありますが、なおまた、酒の凍結は対象からはずして、これは自民党の税制調査会を開きまして、きのうですか、酒税を一律二二%引き上げることを決定した。これは実質的にいうならば政府案みたいなものでして、政府の税制調査会にそのまま織り込まれるであろう、こう私は理解をいたしております。そうなりますと、少なくとも酒は一律二二%の値上げということにならざるを得ない。等々、見てまいりますと、塩と、麦の値上げを凍結して、そのあと、ほかの五項目等については、それぞれやはり値上げやむなしということで踏み切ってしまうのではないか。 これは実にいま国民が、これだけ物価高の中で戦々恐々、もう生活がまさに危機、破壊に直面するという非常に大きな不安な問題でありますから、この際やはり、凍結するなら凍結する、基本的にはそうなんだと、そういう方向で、かくかくしかじかの問題については非常に問題があるのでなお慎重な検討を要するが、これこれの項目については値上げをしません、四月以降の値上げはしませんということを、総理が一言おっしゃれば、それはそれなりに物価対策として私は前進であろうと思う。したがって、きょうも経済対策閣僚会議が開かれるようでございますけれども、おそらく総理の腹組みとしては、総理御自身がやはり御決定されなければ、なかなか閣僚会議の中においてもこれは意見まちまちであろうと思いますので、総理のひとつ勇気ある御決断、物価抑制に向かうそれをお聞かせいただきたい。
○三木内閣総理大臣 いま私の腹の中には、こういうふうにしたらどうだろうかという腹づもりはあるわけですが、坂井さんにこの場で申し上げることは適当でないと思うのです。それはもう一ぺんやるわけですから。今晩やるのですよ。それでなかなか話がつかなければ、私、最後の調整をしなければならぬわけですから。そういうことで、ここで申し上げることは御遠慮申し上げたいのです。しかし、これはもうおそらく、ほんの一日か二日くらいのうちに政府の態度というものは明らかになりますから——一日というのは二、三日といいましょうか、二、三日のうちには政府の態度は明らかになりますから、ここで申し上げなくても、少しお待ちを願いたいということでございます。
○坂井委員 二、三日うちに明らかになるということですから、二、三日待たないとわからない。では、私は要請をいたしておきます。 おそらく総理の心中まことに微妙なゆれがあろうと思います。わからぬではありません。しかし、私は先般も、予算委員会におきまして総理に申し上げました。やはりいま国民は、何かをやってもらいたいし、三木内閣は国民のためにせめて何か一ついいことをやってくれるであろうという期待を持っております。この期待は、私は政治の信頼をつなぎとめる、回復するその糸口として非常に大きなものがあろうと思う。 たいへん失礼ではございますが、少なくとも今日まで三木内閣を見てまいりますと、確かになかなかいいこともおっしゃるようだが、いいことはおっしゃっても、それを実行に移されようという気配も見えない。あるいは前々はかなり、なかなかりっぱなことをおっしゃっておったけれども、それがいつとはなく後退をしておるというような感じの中で、国民が、相も変わらずかというそういうやるせない思い、あるいはもう政治そのものが信用できないんだというようなことがなお重なってまいりますと、そのことをこそむしろ私は重大視しなければいかぬと思いますので、したがって、物価の問題はたいへん大きな政治課題として前向きに取り組むということでございますので、どうか物価抑制という見地に立たれまして、公共料金につきましても凍結という方向をひとつ強く打ち出していただきたい、そういう方向に御決定をいただきたいとお願いをしておきたいと思います。 時間がございません、最後に一点だけお伺いして質問を終わりたいと思いますが、御承知のとおり水島三菱石油の重油の流出事故、これはたいへんな惨状でありまして、瀬戸内海から播磨灘を通って紀伊水道まで流れ込む。この被害がずいぶん甚大でありまして、各県におきましてはこの対策を何とか講じようというわけで、このことにつきまして、いまそれこそ四苦八苦、てんやわんやの状態でございますが、とりわけ漁業関係の被害というものが、これまたきわめて深刻でございます。 一点だけお聞きし、要請いたしたいと思いますが、いわゆる漁業被害、これに対して、やはり政府が万全の対策をとって補償等も考慮すべきであると私は思うわけでありますが、一言お伺いしておきたいと思います。
○三木内閣総理大臣 坂井さん、少し気が早過ぎるんじゃないですか。私が組閣したのは十二月九日、まだ二週間ですからね。いろいろ言うけれども実行しないというのは、少し日本人せっかちなんじゃないか、二週間ですからね。私に問われるべき評価は、私が言ったことを実行するかどうかでしょう。いまの段階はまだ二週間ですからね。だから、大いにやろうとしておることは事実ですから、しばらくはお待ち願わないと——おまえは評論家だといわれても、それは私、どうも心外である、二週間という短期間で。 その点はそういうことでございますが、いまの漁業の問題については、農林大臣も来ておりますが、私も環境庁の長官のときにしばしばそういう問題に出っくわして、漁業補償なんかの制度を何か公害補償みたいなもので、そういうものを——公害を、ただああいう工場のものでなくして、漁民なんかの受けた被害、これはやはり損害を与えた者が払うことになっていますから、原因者がわかると、原因者負担の原則によって今度の場合でも——今度は補償の問題というものは県があっせんしておると思いますが、原因を起こした者が補償しなければならぬことになっています。原因者のわからぬ場合もありましてね、そういう場合も何か制度を設けたいと思って、水産庁に対してこれを研究してもらいたい、できればやはり立法化したいというような考え方で研究してもらっているわけですが、いまの問題は原因者があるんですから、農林大臣のほうからお答えをいたすことにいたします。
○安倍国務大臣 水島の油流出に関しましては、きょうも実は水産庁の次長を派遣いたしまして、実態を一日も早く把握させることに指示したわけでございますが、まだ現在どんどん被害が広がっておるようでございます。漁業関係の被害だけでも現在のところ五十億を突破するんではないかという状態でございますが、いま総理からお答えになりましたように、原因者がきわめてはっきりしておるわけでございますから、加害者負担といいますか原因者負担の原則で、これはもう三菱石油が全部の漁業の補償をするのは当然であるというふうに考えております。
○坂井委員 終わります。
○臼井委員長 お約束でございますから、内閣総理大臣には退席を願うことにいたします。 これにて昭和四十六年度決算外二件についての質疑は終了いたしました。 —————————————
○臼井委員長 昭和四十六年度決算についての議決案は、理事会の協議に基づき、委員長において作成し、各位のお手元に配付いたしております。 これより議決案を朗読いたします。 議決案 昭和四十六年度一般会計歳入歳出決算、同年度特別会計歳入歳出決算、同年度国税収納金整理資金受払計算書及び同年度政府関係機関決算書につき、左のごとく議決すべきものと議決する。 本院は、毎年度決算の審議に際し、予算の効率的執行並びに不当事項の根絶について、繰り返し政府に注意を喚起してきたにもかかわらず、依然として改善の実があがっていない点があるのはまことに遺憾である。 (一) 昭和四十六年度決算審査の結果、予算の効率的使用等、所期の成果が十分達成されていないと思われる事項がみうけられる。 左の事項は、そのおもな事例であるが、政府はこれらについて、特に留意して適切な措置をとり、次の常会中に、本院にその結果を報告すべきである。 (1) 放射線利用の普及に伴って放射性同位元素の紛失、異常被曝等の事故が増加してきているが、放射線障害の防止に関する国の指導監督は必ずしも十分ではなく、最近の事故例ではとくに実情把握の不足が目立っている。 政府は、放射線検査官の増強を含めて、その監督体制の強化を急ぐべきである。 (2) わが国の韓国に対する経済協力は、総じて重化学工業の育成に偏し、民生の向上に寄与するところが比較的薄いとみられるほか、輸出信用を供与した韓国企業のなかからいわゆる不実企業が出ている等の問題があり、また、近年における直接投資の激増は経済支配の不安を高め、韓国国民の反日感情をかきたてる要因の一つになっている。 また、インドネシアの場合も、進出企業の企業活動等をめぐって反日感情が生じているほか、わが国からの経済協力にかかる開発プロジェクトのなかに当初の計画がずさんであった等のため、所期の効果が収められないものや融資の返済が滞っているものがある等問題がある。 政府は、相手国政府の意向を尊重するだけではなく、国民感情等をも十分に参酌して、経済協力が真に相手国の利益となるよう配慮するとともに、その実施にあたっては、事前、事後に効果を確かめ、貴重な資金が最も有効に使われるよう努めるべきである。 (3) 国、政府関係機関等の財産の処分や取得については最近とみに注目が集り、その公明な処理が望まれている。 政府は、財産の処分等について、今後一層厳正を期し、かりそめにも疑惑をまねくことのないようにすべきである。 (4) 人口の急増地域においては、小、中学校新設の必要に迫られているところが多いが、用地の取得がますます困難になっているうえ、建設資材の高騰等もあって、最近では学校の開設が開校予定に間に合わない事例も出てきている。 政府は、小、中学校新設の緊急性にかんがみ、格別の配慮をもって、所要の財政措置を講ずべきである。 (5) 国営農用地開発事業のなかには、急激な社会情勢の変化等によって受益農地の面積が縮小し、計画通りの成果を収め得なくなっているとみられるものがある。 政府は、実情の総点検を行ない、事業の適正な実施をはかるべきである。 (6) 農林省所管の国庫補助事業において、事業主体の補助事業に対する認識が十分でなかった等のため、補助の対象とは認められない事業を実施したり、また実際の事業費より高額な事業費を要したことにして過大に精算している事例が相当数みうけられる。 このような事例にかんがみ、政府は補助金の交付の決定および額の確定にあたっては、なお一層慎重を期すべきである。 (7) 昭和四十六年度決算検査報告において、会計検査院が指摘した不当事項については、本院もこれを不当と認める。 政府は、これらの指摘事項について、それぞれ是正の措置を講ずるとともに、行政管理庁の勧告等を尊重して制度、機構の改正整備をはかり、綱紀を粛正して、今後再びこのような不当事項が発生することのないよう万全を期すべきである。 (三) 決算のうち、前記以外の事項については異議がない。 政府は、今後予算の作成並びに執行に当っては、本院の決算審議の経過と結果を十分に考慮して、財政運営の健全化をはかり、もって国民の信託にこたえるべきである。 —————————————
○臼井委員長 これより討論に入ります。 討論の申し出がありますので、順次これを許します。吉永治市君。
○吉永委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、昭和四十六年度決算につき、ただいま委員長より御提案の議決案のとおり議決するに賛成の意を表するものであります。 昭和四十六年度決算は、昨年二月委員会に付託され、同年七月以来、各省庁及び政府関係機関等につき、当年度の予算がいかに執行されたかを中心として順次審査を続け、その間、是正改善を要する事項については、質疑を通じてそのつど関係当局に注意を喚起してまいりましたが、ただいま御提案の議決案に示されたとおり、予算が効率的に使用されず、所期の効果が十分に達成されていないと認められる事項が指摘されたことは、はなはだ遺憾であります。政府は、これらの指摘事項につき、誠意をもって改善に努力されたいのであります。 わが党は、その改善を期待しつつ本議決案に賛成いたすものでありますが、最後に一言、公務員の綱紀粛正について申し添えておきたいと存じます。 このことに関しましては、わが党は、これまで再三にわたって政府に注意を促してまいりましたが、残念ながら公務員をめぐる不祥事はあとを断たず、犯罪白書の統計についてこれを見ましても、収賄事犯の受理人員は、昭和四十五年度以来、年々多くなり、昭和四十八年度においては八百六十三名と、四十五年度に比し六割強の増加となっております。 また、ここ一両年来のおもな事件をたどってみても、通産省資源エネルギー庁、大蔵省証券局、建設省河川局、郵政省近畿郵政局、東京消防庁等の汚職事件のほか、厳正をもって誇りとすべき検察官の不正土地分譲事件まで起こるに至っております。 申すまでもなく、公務員の姿勢の乱れは、政治、行政に対する国民の不信を招くばかりでなく、ひいては国の損失にもつながるおそれがあります。政府においては、最近の事態を深刻に受けとめ、公務員の綱紀粛正についてさらに格段の努力を払われるよう強く要望いたしまして、私の賛成討論を終わります。(拍手)
○臼井委員長 次に、原茂君。
○原(茂)委員 私は、日本社会党を代表して、ただいま委員長から提案されました昭和四十六年度決算議決案に対し、反対の意見を表明するものであります。 すなわち、議決案の内容につきましては、第一項に掲げる昭和四十六年度決算の審査の結果といたしまして、政府において予算の効率的使用など、所期の成果を十分達成していないという点につきましては、おもな実例として指摘を行なっておるわけでありますが、政府が委員会の指摘に対して、次の常会中に本院にその結果を報告すべきことは当然のことであります。ただ、この指摘事項については、六項目の事例をあげただけであり、これをもって指摘すべき事項は他にないということにはならないわけであります。 その内容といたしましては、第一に、近年放射線利用の普及に伴って放射性同位元素の紛失や、被曝事故が発生を見ております。最近では、原子力船「むつ」号の問題や、各地における原子力発電所の放射能漏れなどのゆゆしい実態があります。今後、これらの安全性について監督体制を強化していかなければならないことは当然であります。 第二に、わが国の経済協力はGNPの一%をこえ世界第二位の地位を占めたというものの、その内容において多くの問題を残しております。たとえば韓国に対する経済協力は、真に韓国国民の民生の向上に寄与するところが薄いこと、不実企業の発生を見ていること、また、直接投資の増大により経済支配の不安を高め、反日感情をかき立てている。インドネシアにおいては、融資の返済が著しく悪いこと、企業活動に対する反日感情が生じているなどであります。今後、経済協力にあたっては、これらの実態をよく踏まえて、経済協力の基本ともなる指針を確立して、真に援助国国民のためとなるようつとめるのは当然であります。 第三に、前首相田中角榮氏にまつわるいわゆる金脈問題については、国有財産の処分、取得について特に慎重を期すとともに、国税の徴収についても厳正、公平、遺漏のないようにすべきで、疑惑など招くことのないよう対処しなければならないことは、むろん当然であります。 以上は、委員会において十分審査を尽くした指摘事項の中で特に社会党として強調した点であり、異議はありません。 第二項の、昭和四十六年度決算検査報告につきましては、憲法九十条の規定に基づきまして会計検査院が決算の結果を検査して、この内容の適正を確認するということになっておるわけでありますけれども、昭和四十六年度の会計検査院の検査の結果を見ましても、不当事項として指摘されました事項は、百九十九件、金額にして十五億四千七百二十四万円に及んでおり、これらは政府の予算執行上、毎年不当指摘をされておるにもかかわらず、予算執行上改善の実があがらないことはまことに遺憾にたえないところであります。政府としては、これら指摘事項については、その原因を十分明らかにして、今後制度の刷新、行政機構の整備等をはかり、特に行政担当の立場にある政府の職員に対しても、綱紀を粛正して、再びかかる不当事項の発生がないように万全を期すべきであります。 議決案の第三項でありますが、「決算のうち、前記以外の事項については異議がない。」と述べられておりますけれども、この点は、当委員会の各省別決算の審査の経過においても明らかなとおり、指摘事項としての六項目に限定して、それ以外は異議がない、不当の支出がないというふうには決しかねるわけであります。したがって、日本社会党といたしましては、この議決案のうち第三項の「前記以外の事項については異議がない。」という点については決して同意を表明するわけにはまいらないわけであります。 最後に、昭和四十六年度の予算の成立の経過を見ましても、私ども日本社会党といたしましては、昭和四十六年度予算案の審議の経過の中で政府提案の予算案に対しましては基本的に理由をあげて反対した立場におきましても、昭和四十六年度決算については、これを是認することに反対するものであります。 以上、私は、昭和四十六年度決算の議決案に対しまして反対の主たる理由を明らかにして、討論を終わるものであります。
○臼井委員長 次は、庄司幸助君。
○庄司委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、昭和四十六年度決算議決案に反対の態度を表明いたします。 昭和四十六年度決算は、前年度に比べて一般会計で一兆三千七百億円余の増となって、過去最大の増加を示しております。そのおもな原因は、軍事費や対外進出費、独占資本のための公共投資、円対策、不況対策費などの大幅な膨張であります。その結果、アメリカのアジア侵略により深く組み込まれた一方、経済の破綻をおし進め、物価高騰やドルショックなど多大な苦しみを国民に押しつけたのであります。 たとえば、公共事業費は、安定成長を唱えながら依然として新全国総合開発計画に基づく高度成長政策を推進し、特に、道路、輸送関係を中心にばく大な財政資金を支出しているのであります。反面、その結果引き起こされた人口急増地では、生活関連施設は立ちおくれ、住宅建設に至っては予算の八〇%しか執行されていないという状態であります。 こうした財政運営がもたらした結果は、今日、全く明白であります。物価高騰は国民生活を破壊し、地方財政の危機的状況にまで至っておりますが、何ら有効な対策がとられなかったばかりか、各種公共料金の引き上げ、米の統制撤廃など政府みずからがそれに拍車をかけたのであります。円の変動相場制移行、円切り上げという深刻な事態を招き、国内の中小零細企業に大打撃を与えたのも、こういったアメリカ一辺倒、高度成長政策の重大な結果であります。 他方、軍事費は、専守防衛の名のもとに、三次防完遂、四次防を目ざして、額、率ともに自衛隊創設以来最高の増加となり、日米共同声明に即して自衛隊の侵略的性格を一そう強めたのであります。また、南ベトナム政権への援助費を一挙に倍増するなど、経済協力の美名でアメリカのインドシナ侵略に積極的に加担するとともに、大資本の高度成長のための原料資源確保、海外進出のためにばく大な財政投融資を行なっているのであります。 以上のような反国民的な財政運営が、同時にきわめて非民主的に執行されていることも、見のがすことのできない問題であります。 四兆円をこえる財政投融資計画が、何ら国会の議を経ることなく実施されているのをはじめ、予備費の大幅な拡大、乱用、国庫債務負担行為の倍増など、事実上国会の議を経ない財政執行が一そう拡大されているのであります。これは、憲法の精神を踏みにじるものといわなければなりません。 議決案には、わが党も同意できる指摘事項が含まれてはおりますが、いま述べた理由によって、わが党はこの決算に強く反対するものであります。 なお、国有財産の増減及び現在額総計算書についてでありますが、在日米軍基地の土地と建物、自衛隊の艦船や航空機、海外援助関係や大企業への融資などが大きな部分を占めておるのでありまして、是認できないものであります。 また、国有財産無償貸付計算書については、この条項の積極的な活用には賛成するものでありますが、その実施において不明瞭な点かありますので、棄権の態度を表明いたします。 最後に私は、この四十六年度決算審議中、田中総理にまつわる金脈、人脈、黒い霧の問題が発生したわけでありますが、この点で国政の運用上、その地位利用あるいは国有財産の払い下げにかかわる疑惑、こういう点は本決算委員会で当然に明らかにすべきでありましたが、それができなかったのはきわめて遺憾であります。 以上で、日本共産党・革新共同を代表しての私の反対討論を終わります。(拍手)
○臼井委員長 次は、坂井弘一君。
○坂井委員 私は、公明党を代表して、昭和四十六年度一般会計歳入歳出決算外三件の議決案に対して反対の意を表し、討論するものであります。 議決案第一項におきましては、当委員会での決算審査の際、各委員より指摘され、政府のすみやかにして厳正な措置を強く望まれたものばかりであり、毎年のことながら、政府の不明確な行政に強く憤りを禁じ得ません。政府は、当委員会の意図するところを十分にくみ取られ、国民の負託にこたえるべきであります。 第二項においては、会計検査院が指摘した不当事項については「本院もこれを不当と認める。」との個所は、私も同意するにやぶさかではありませんが、会計検査院の検査は抽出検査であり、これら不当事項は氷山の一角にすぎません。したがって私は、会計検査院の検査範囲の拡大と強化のため、さらに会計検査院の充実を本議決案に盛り込まなければならないと思います。また、政府はこうした現状を直視して、未検査の分に心を配り、隠れたる不当事項を国民の前に明らかにし、政府みずからのえりを正すことをも本議決案に明記すべきであります。 第三項の「決算のうち、前記以外の事項については異議がない。」については、承服できないものであります。 その一例をあげますと、海外経済協力基金の投融資の実態でありますが、カリマンタン森林開発協力株式会社に対する融資は二十六億九千五百万円、回収が七千八百万円であり、残高二十六億一千七百万円もの多額の焦げつきを出しております。これはPS方式で失敗をしたとのことですが、他のPS方式を用いた南カリマンタン森林開発事業、またインドネシアのプル島開発事業、これらはいずれも民間資本の融資であり、実効をおさめております。基金は、全く見通しのつかない事業に多額の融資をし、失敗するなどは、その財源が、国民の税金すなわち一般会計からの出資あるいは国民の預貯金、積み立て金等を財源とする財政投融資からの借り入れであるだけに、許せないものであります。 また、本決算の審査の過程において田中前総理の金脈問題が提起され、自民党政府の権力行使の実態は、真に民衆のためのものではなく、権力者や財界への奉仕に偏向しており、国、政府関係機関等の財産管理は疑惑に満ちていることが明らかになりました。特に、新潟大学の校用地を文部省が購入するにあたり当局がとった措置について申し上げねばなりません。血税をもって国民の資産を購入するにあたり、不正、不当な実態に目をつぶり、法律上手続の適否のみの形式論でその責を免れようとするものでありました。公明正大でなければならない行政当局の姿勢としてきわめて遺憾であり、御警告申し上げるものであります。 以上をもって反対討論といたします。
○臼井委員長 これにて討論は終局いたしました。 これより採決に入ります。 昭和四十六年度一般会計歳入歳出決算、昭和四十六年度特別会計歳入歳出決算、昭和四十六年度国税収納金整理資金受払計算書、昭和四十六年度政府関係機関決算書を議決案のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○臼井委員長 起立多数。よって、議決案のとおり決しました。 次に、昭和四十六年度国有財産増減及び現在額総計算書、昭和四十六年度国有財産無償貸付状況総計算書の両件について討論に入るのでございますが、別に討論の申し出もございませんので、これより順次採決いたします。 まず、昭和四十六年度国有財産増減及び現在額総計算書は、是認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○臼井委員長 起立多数。よって、本件は是認すべきものと決しました。 次に、昭和四十六年度国有財産無償貸付状況総計算書は、是認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○臼井委員長 起立多数。よって、本件は是認すべきものと決しました。 なお、ただいま議決いたしました各件の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○臼井委員長 御異議なしと認め、よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○臼井委員長 この際、各国務大臣等から順次発言を求めます。まず、梶木大蔵政務次官。
○梶木政府委員 ただいまの御決議につきましては、政府といたしまして十分これを尊重し、関係各省とも連絡を密にして遺憾なきを期してまいりたいと存じます。 また、国有財産の処分等につきましては、政府といたしまして従来から適正な処理につとめてきたところでありますが、なお十分その御趣旨を尊重し、今後とも一そう努力してまいる所存でございます。
○臼井委員長 次に、佐々木科学技術庁長官。
○佐々木国務大臣 ただいま御決議のありました放射線障害の防止に関する国の指導監督体制の強化につきましては、放射線障害防止対策要綱を策定して諸対策を進めているところでありますが、さらに御決議の御趣旨を尊重し善処してまいりたいと存じます。
○臼井委員長 次に、宮澤外務大臣
○宮澤国務大臣 ただいまの御決議に関しましては、政府が行なっております経済協力につきましては、従来からも相手国の国民福祉の向上、経済社会の発展を目的として推進してまいっており、所期の目的を果たしているものと考えておりますが、御決議の御趣意も体しまして、今後とも一そう経済協力の効果的な推進に遺憾なきを期す所存でございます。
○臼井委員長 次に、永井文部大臣。
○永井国務大臣 ただいま御決議のありました文部省所管の事項につきましては、御趣旨に沿うよう努力してまいりたいと存じております。
○臼井委員長 次に、安倍農林大臣。
○安倍国務大臣 ただいま御決議のありました農林省関係の事項につきましては、決議の趣旨に沿って指導監督の強化、徹底をはかり、遺憾なきを期してまいる所存であります。
○臼井委員長 以上をもちまして各国務大臣等からの発言は終りました。 ————◇—————
○臼井委員長 この際、閉会中審査申し出の件についておはかりいたします。 すなわち、決算の適正を期するため、 一、昭和四十七年度一般会計歳入歳出決算 昭和四十七年度特別会計歳入歳出決算 昭和四十七年度国税収納金整理資金受払計算書 昭和四十七年度政府関係機関決算書 二、昭和四十七年度国有財産増減及び現在額総 計算書 三、昭和四十七年度国有財産無償貸付状況総計算書 以上三件について、議長に対し閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○臼井委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。 本日はこれにて散会いたします。 午後一時三十四分散会