外務委員会 第1号
- 発言数
- 152 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1974/12/19
会議録
○有田委員長 これより会議を開きます。 理事補欠選任についておはかりいたします。 委員辞任に伴いまして、現在理事が一名欠員となっております。 これより、その補欠選任を行ないたいと存じますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○有田委員長 御異議なしと認めます。それでは山田久就君を理事に指名いたします。 ————◇—————
○有田委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についておはかりいたします。 本委員会といたしましては、国際情勢に関する事項について調査を行ないたいと存じますので、この旨議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○有田委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。 ————◇—————
○有田委員長 この際、宮澤外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。外務大臣宮澤喜一君。
○宮澤国務大臣 一言ごあいさつを申し上げます。 私は、従来からこの委員会の委員の一人といたしまして皆さまから御交誼をいただいておりましたが、このたび、はからずも外務大臣を拝命いたしました。 国際情勢が複雑多岐で、きわめてきびしい中でわが国の前途はまことに多難なものがございますが、国民各位の御協力と御理解を得て、微力ながら全力を尽くして外交の衝に当たる所存でございます。特に本委員会の皆さま方には、従来からわが外交につきまして格段の御指導と御鞭撻をいただいてまいりましたが、今後とも何とぞよろしく御指導、お力添えを賜わりますようにお願いを申し上げる次第でございます。 ————◇—————
○有田委員長 第七十二回国会から継続になっております千九百六十七年七月十四日にストックホルムで署名された世界知的所有権機関を設立する条約の締結について承認を求めるの件、千九百年十二月十四日にブラッセルで、千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にへーグで、千九百三十四年六月二日にロンドンで、千九百五十八年十月三十一日にリスボンで及び千九百六十七年七月十四日にストックホルムで改正された工業所有権の保護に関する千八百八十三年三月二十日のパリ条約の締結について承認を求めるの件、千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にへーグで、千九百三十四年六月二日にロンドンで及び千九百五十八年十月三十一日にリスボンで改正された虚偽の又は誤認を生じさせる原産地表示の防止に関する千八百九十一年四月十四日のマドリッド協定の千九百六十七年七月十四日のストックホルム追加協定の締結について承認を求めるの件及び千八百九十六年五月四日にパリで補足され、千九百八年十一月十三日にベルリンで改正され、千九百十四年三月二十日にベルヌで補足され並びに千九百二十八年六月二日にローマで、千九百四十八年六月二十六日にブラッセルで、千九百六十七年七月十四日にストックホルムで及び千九百七十一年七月二十四日にパリで改正された千八百八十六年九月九日の文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約の締結について承認を求めるの件、以上、各件を議題といたします。 おはかりいたします。 各件の提案理由説明につきましては、すでに第七十二回国会において聴取いたしておりますので、これを省略することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○有田委員長 御異議なしと認めます。よって、省略することに決しました。 ————————————— 千九百六十七年七月十四日にストックホルムで署名された世界知的所有権機関を設立する条約千九百年十二月十四日にブラッセルで、千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にへーグで、千九百三十四年六月二日にロンドンで、千九百五十八年十月三十一日にリスボンで及び千九百六十七年七月十四日にストックホルムで改正された工業所有権の保護に関する千八百八十三年三月二十日のパリ条約 千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にへーグで、千九百三十四年六月二日にロンドンで及び千九百五十八年十月三十一日にリスボンで改正された虚偽の又は誤認を生じさせる原産地表示の防止に関する千八百九十一年四月十四日のマドリッド協定の千九百六十七年七月十四日のストックホルム追加協定 千八百九十六年五月四日にパリで補足され、千九百八年十一月十三日にベルリンで改正され、千九百十四年三月二十日にベルヌで補足され並びに千九百二十八年六月二日にローマで、千九百四十八年六月二十六日にブラッセルで、千九百六十七年七月十四日にストックホルムで及び千九百七十一年七月二十四日にパリで改正された千八百八十六年九月九日の文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約 〔本号(その二)に掲載〕 —————————————
○有田委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松本善明君。
○松本(善)委員 著作権の保護に関するベルヌ条約について質問いたしますが、条約によりますと、著作権の保護期間については制作のときから二十五年よりも短くてはならないというふうになっているわけですが、わが国の著作権法では、公表後五十年とされているわけです。条約の保護期間は十分ではないというふうに思いますが、政府は写真の著作物の保護期間についてどういう態度で臨んでいくのか、この点についての政府の考え方をお聞きしたいと思います。
○安達政府委員 写真の保護期間につきましては、ただいまお話ございましたように、ただいま御審議いただいておりますところのベルヌ条約のパリ改正条約におきましては、その保護期間は同盟国の立法に留保されるということで、各国内法で適当に定めることができることになっており、ただしその期間は制作後二十五年より短くてはならないというようになっておるわけでございます。 現行の新しい著作権法におきましては、この写真の保護期間につきまして、その著作物の公表後五十年を経過するまでの間存続するということで、公表後五十年というふうに定めておるわけでございまして、したがいまして、この現行法は、ベルヌ条約のパリ改正条約よりも長い期間を定めておるということでございます。 ただ、この写真の著作物保護期間におきましては、従前におきまして旧著作権法におきましては、発行後十年というようなことを原則にしておったわけでございますが、それを新しい著作権法によりまして、公表後五十年というように大幅に期間を長くいたしたわけでございます。 ただ、この保護期間につきましては、写真家等の方々は、その写真の著作物の公表後でなしに、写真の著作物の著作者の死後五十年、つまり一般の著作物と同様にしてもらいたいという強い御意見があったわけでございます。 そこで、この問題につきましては、この著作権制度審議会におきまして五年以上にかけまして、この問題を長い期間かけまして審議したのでございますけれども、写真の著作物の特殊性あるいは従来の保護期間あるいは国際的な保護期間の定め等を勘案いたしまして、ただいま申し上げましたように、公表後五十年ということにいたしたわけでございます。しかし、そういう写真家の御要望等もあり、今後なお検討すべき課題であるというように私ども考えているところでございます。
○松本(善)委員 そうすると、国際的にそれを長くしていくという方向に働きかけていくという考えはありませんか。
○安達政府委員 写真の著作物の保護期間におきましては、各国におきまして現在非常にまちまちの状態になっておるわけでございます。 起算点から申し上げますと、制作時、写真がつくられたときというものを起算点とする国が、たとえばカナダ、スウェーデン、オーストリア、イタリアというような国がございますが、それから発行時起算あるいは公表時起算というものが一番多うございまして、イギリス、アメリカ、ドイツというようなところが公表時起算でございまして、それから著作者の死亡時を起算とする、すなわち一般の著作物と同様とするところがスペイン、フランス、スイスというような国々があるわけでございます。こういう状況でございますので、この問題につきましては、なかなか世界的に帰一した方向がないということでございます。 したがいまして、この問題はなお検討すべき課題であり、写真の著作者の権利を保護する面からは長くすべきであるということがいえるわけでございますが、写真は御案内のとおり、報道的性質の強いものも相当ございまして、そういうものはできるだけ早く一般の利用に供するようにする、まあ自由に使えるようにすべきではないかという意見も相当強うございます。 その場合に、たとえば一般の写真から報道のものだけを抜き出すということも、これもなかなか問題のあるところでございまして、したがいまして、この点につきましてはなお今後の慎重なる研究の課題である、かように考えておるところでございます。
○松本(善)委員 映画の著作物の著作権の帰属の問題でございますけれども、わが国の著作権法では映画の製作者、映画会社に帰属をさせられている。これは私は財産権、この権利を製作者だけに、映画会社だけに帰属させるというのではなくて、映画をつくった関係者についても十分考慮されなければならないと思いますが、この映画監督をはじめとする関係者の財産権保護について改善をするというお考えはないかどうか、伺いたいと思います。
○安達政府委員 映画という著作物は、一般の著作物に比べまして相当な特殊性がございます。一つの特殊性は、映画には多数の者が関与して製作されるということでございまして、写真につきましては御案内のとおり、原作者というものもあるわけでございますし、さらに実際にとることになりますと、監督それからカメラマン、あるいは舞台監督、舞台美術、あるいはさらにパフォーマーといいますか俳優さんたち、そういうような多数の者が関与して製作されるという一つの特殊性があるということが第一点。 第二点といたしましては、一種の企業ということで、企業の一つの企業生産という面が非常にあるわけでございます。そういう面で非常な特殊性がございますので、この著作権の取り扱いにつきましては非常に大きな問題があり、国際的にもいろいろと問題のあるところでございます。 そういう観点で、ただいま御審議をいただいておりますところのベルヌ条約のパリ改正条約では、映画の著作権の帰属につきましては各国の国内法で適宜定めてよろしいという規定と、それから、そうでなくて映画の製作につきまして参加している人々を著作者としておる場合におきましては、映画の著作権は、特段の定め等がない限りは、映画の製作者に帰属することについて反対できないというような、一種の推定譲渡と申しますか、そういうような制度もあるところでございまして、映画の著作物の経済的利用からいいますると、権利関係を簡明なものにいたしまして利用を円滑にするという面からいたしますると、やはり映画の製作者が著作権を持ってこれを行使することということが、一般的に世界的に見て一応方向づけられているところでございます。 また、映画の企業といたしまする面からいたしますると、映画の製作会社がその経済的な権利を行使して、そしてやることのほうが、いい映画をつくるところの一面にもなろうかというような考え方があるわけでございます。したがいまして、現在の新著作権法におきましては、映画の著作者というのは、それらの映画の全体的形成に創作的に寄与した者というような、一種の共同著作物という考え方をとっておるわけでございますが、映画の著作権、すなわち著作物の経済的利用に関する面におきましては、これは映画の製作者に帰属させるというようにいたしておるところでございます。それならば映画の著作物の著作者たる監督等の権利につきましてはどうするかということにつきましては、実際の映画をつくるに当たりまして映画製作者との間におきまして契約がありまして、その上で映画がつくられるということになるわけでございます。したがいまして、その映画を製作するところの製作契約の過程におきまして、映画の監督その他の著作者の権利が確保できるようにというようなことで、そういうような形において確保させるというのが適切ではないかということで、これが従来からの契約慣行でもあるわけでございます。そういうことで、現行法はそういう形になっておりまして、これが大体におきまして世界的な制度に近いと申しますか、そういうように考えておるわけでございます。 ただ、この問題につきましては、第六十三回国会におきますところの衆参両院の御審議いただきましたときの附帯決議におきましても、著作権法施行後における実体的な利用関係等を考慮いたしまして、今後なおひとつ検討を続けてまいりたいというようなふうに考えているところでございます。
○松本(善)委員 この条約の十四条の二の(b)によりますと、映画の製作に関与した人たちの著作権を前提とした規定になっているかと思いますが、国際的にそういう製作に関与した人たちの著作権を認めている実情、そういうことについてお話をいただきたい。
○安達政府委員 映画の著作権の帰属につきまして、法律上映画の製作者に帰属するという構成をとっている国は、イタリアとかオーストリアでございます。それからイギリスなどにおきましては、フィルム自体の著作権という考え方で映画製作者が持っておるというようになっておるわけでございます。 それからアメリカなどでは、雇用人のつくったものにつきましては雇用主が著作権を持つというような思想で、実態的には映画の著作権は映画製作会社が持つ、こういうようなものが一面でございます。 それに対しまして、映画の著作者が権利を持つけれども、反対の特約がない限り、契約によって著作権は映画製作者に譲渡されたものとする国、すなわち推定譲渡でございますが、そういうのがフランス、あるいは同様に疑いがあるときは著作権は映画製作者に譲渡されたものとする国、こういうような国が西ドイツなどでございます。 こういうような制度は、ただいま申し上げましたような資本主義国のみならずポーランド、チェコスロバキアなどの社会主義国においても採用されているところでございます。ただ、こういう社会主義国におきましては、監督等についてはこれは適用しないというような規定があるところもございます。 そういうようなことで、全体的に見ますと、映画の著作権ができるだけ利用されやすいようにということで、映画の製作者が行使できるようにしておるというのが実態であろうと思うわけでございます。
○松本(善)委員 やはり監督の著作権を認めている国もあるということでございますが、方向としてはもちろん大衆の利用に十分供さなければならないけれども、映画の製作に関与した監督やその人たちの権利というものが拡大していくという方向にいかなければならないのではないかというふうに私は考えるわけです。またそういうふうにやるべきだと思うのですが、その場合に、もしわが国の国内法もそういう方向に変わっていくということになった場合に、この十四条の二の(2)の(b)項というのは障害になるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○安達政府委員 映画のそういう監督等につきまして、経済的利用権についての権利まで与えるべきではないか、こういうような御見解でございますが、これもまた一つの尊重すべき見解であるということは、私どもも十分認識するところでございますけれども、先ほど御説明いたしましたように、世界の大勢として、要するに十四条の二の(2)の(b)項のように、反対の約束をしない限りは、著作権は映画製作会社に与えられるというようなこと、あるいはそうでなくて、監督だけはこの三項でもって除外できるというような規定があるわけでございますので、そういう十四条の二全体を見れば、世界的な方向にも合いつつ、かりにいまお考えのような監督のものをつくりました場合におきましても、三項によりましての運用が可能でございます。したがいまして、その辺についての御心配はないのではないかと思います。
○松本(善)委員 推定譲渡でありますとかあるいは疑わしい場合の規定、そういうことが国際的にもあるということは、そういうような監督その他の人たちの著作権を保留した製作契約というものが十分あり得るわけなんで、この保護についてもやはり留意をしなければならないと私は考えるわけであります。その点について今後もさらに政府が配慮をされるようにということを要望して、この点についての質問は終わります。 いまのもう一カ所ちょっと聞いておきます。 美術の著作物に関してですが、ストックホルム改正条約は、開発途上国に対して保護期間、翻訳権、複製権及び放送権についての特例を認めている。ところがこのパリの改正条約では、これらの国に認められた特権を翻訳権と複製権に縮めたわけでありますが、これはやはり開発途上国についてもっと配慮するといいますか、開発途上国のこれらの権利の発展のためにわが国は努力すべきではないかと私は思いますが、この点について、日本政府はどういう態度をとったか。また、この開発途上国の文化、芸術の発展について貢献をするということについて、どう考えているかということについてお答えをいただきたい。
○安達政府委員 開発途上国に対しまして、文化的な援助と申しますか協力というものをどういう形にするべきかということにつきましてはいろいろ考えのあるところでございまして、先進国の著作権を制限することにより、後進国の文化的利益を促進するという考え方につきましては、著作者の犠牲において後進国といいますか、開発途上国を援助をするというのは問題ではないか、こういう見解もあるところでございます。しかしながら、ストックホルム改正会議あるいはパリ改正会議におきましての大勢といたしましては、できる範囲内において、著作者の犠牲を強いるにつきましてこれが極端にならない限度において後進国援助といいますか、開発途上国に対する文化的援助をすべきである、こういう見解に立ちまして、ストックホルム改正会議、パリ改正会議があったわけでございます。 ただいま御指摘ございましたように、ストックホルム改正会議におきましては、保護期間を五十年を二十五年あるいは二十五年を十年に短縮するというような案、あるいは翻訳権につきまして十年留保制度及び三年の強制許諾制度を採用するようにするというようなものがあり、また複製権につきましても、一般的に教育、文化の目的のために三年の強制許諾制度を採用するということあるいは放送の公の伝達について、非営利的なものについて著作権を及ぼさないというような考え方も示されたのでございます。 そのようなストックホルム改正会議の条項につきましては、実は先進国側から非常に大きな反対があったわけでございます。私もストックホルム改正会議に列席いたしましたけれども、最終段階になりまして、たとえばイギリスはこれを棄権すると申しますか、会議から棄権をするというような声明を出すなどのこともございました。しかしまた、その後ストックホルム改正条約ができました後に、各国におきましてはこの著作権の制限は強きに過ぎるということで、これを批准しないというような動きが非常に高まってまいったわけでございます。そこで、やはり著作権を制限する形において開発途上国に対する文化的援助ないしは協力をするためには、やはり先進国の著作者等も納得し得る限度までゆるめるべきである、そうしなければ、結局実体的にだれも批准をしないということになれば意味がないということで、そこでパリ改正会議は、そこの後進国に関する条項を、いかに後進国と先進国とがいずれも満足できるようにするかということに腐心をするということであったわけでございます。そこで、苦心の結果がパリ改正条約になりまして、いろいろと従来のものよりゆるめまして、特に目的の限定が強くなりまして、一般的に、たとえばストックホルムにおきましては教育のあらゆる分野における教授、研究、調査のために、著作権はどういうようにも制限ができるというようなものとか、放送権についての特例規定とか、そういうものは一切廃止をいたしまして、保護期間についての特例を認めない。翻訳権と複製権につきまして、教育、研究あるいは文化というような点に限局いたしまして制限をするということになったわけでございます。 ところで、ストックホルム改正条約につきましては、ただいま申し上げましたような開発途上国に対するところの規定があまりにも先進国の著作者の権利を制限し過ぎるということで反対が多くて、とうとうこのストックホルム改正条約は成立、発効しないということになりました。と申しますのは、パリ改正条約が発効されますると、古い条約は閉鎖されるということになるわけでございます。したがいまして、ストックホルム条約は閉鎖されておりますので、いまさら入りようはないというような状況になっておるわけでございます。わが国は、終始開発途上国に対する文化的援助に協力すべきであるという立場から、条約の改正会議におきましては、このストックホルム改正条約の方向には賛成をいたしたところでございます。しかし、世界の大勢が、ややストックホルム改正条約は行き過ぎであるということで、パリの線に世界各国がまとまりましたので、この線でわが国も協力していくのが適切ではないか、かように考えているところでございます。
○松本(善)委員 虚偽の又は誤認を生じさせる原産地表示の防止条約についての質問はあとで大臣に伺いたいと思います。一応これでこの関係の質問は終わります。
○有田委員長 渡部一郎君。
○渡部(一)委員 私は、まず、工業所有権の保護に関する条約に関してお伺いをしたいと存じます。 ストックホルムで改正された条約は、一九六七年七月に採択され、七〇年に効力を生じておるわけでありますが、この間に批准手続を踏まなかったのはどういうわけでありますか。それからお答え願います。
○齋藤(英)政府委員 お答えいたします。 私どものほうといたしましては、ちょうどその当時、特許法等特許の運用に関しまして未処理案件が非常に多く、かつ処理期間が非常に長いということもございまして、そういうことにつきまして、それを早急に改めて、その当時の特許制度のいわゆる危機を救うということを一番念頭におきまして考えました。したがいまして、それを専一に考えましたので、現在のところまでそのほうにつきまして、まことに申しわけございませんが、おくれておった次第でございます。
○渡部(一)委員 その辺が大体問題なんじゃないかと思うんですね。調印はしてくる、批准はしないという形で、実際的な、実態的な仕事が先行している。先行したままで、それを追認することをしない。日本国憲法の規定によっても、そういうやり方でやっていくということを認めているところはないと思うんですね。この辺はどう思っておられるのか。しつこいようなんですけれども、ちょっと日本国憲法の条項に照らして、そういう処理をなすったということは行政府として的確であったかどうか、お答え願いたい。
○伊達説明員 お答え申し上げます。 御質問の趣旨は、このストックホルムで改正されました工業所有権の保護に関するパリ条約について、まだ正式に国会の承認を得ることなく、したがって加盟国になっていない間にその条約で規定されておりますところの管理関係の規定によるところの権利を実際上行使しておる。より具体的に申し上げますと、パリ同盟の一国といたしまして日本はパリ同盟の執行委員会に入っております。その結果、執行委員会のメンバーとして行動し、かつまた、同時に御審議を願っております世界知的所有権機関の調整委員会というものにも、パリ同盟の執行委員会のメンバーたる資格においてその運営、審議に参加する、そういうことを行なっておるわけでございますが、その点がどうかという御質問であると思います。 これにつきましては、私どもは日本国の憲法に照らしましても、何ら差しつかえないものであるという考え方を持っております。 と申しますのは、このような経過の措置というものは、協定の第三十条によってすでにきめられているところでございます。これは同条の第二項におきまして「第十三条から第十七条までの規定に拘束されていない同盟国は、」すなわち、第十三条から第十七条までは管理規定でございますが、管理規定に拘束されていない同盟国は「希望するときは、機関を設立する条約の」、これは世界知的所有権機関を設立する条約の「効力発生の日から五年間」は、この管理規定に拘束される場合と同様に、それらの管理規定に定めているところの権利を行使できるということを定めているわけでございます。したがいまして、これは、条約上日本は加盟国ではございませんし、かつまた、したがって、そのゆえに条約上の義務を負うということは何らないわけでございますが、この三十条に定められました規定によって、この条約の加盟国が加盟国でない国に与えてくれるところの利益というものを反射的に受けて、権利のみを行使しているという関係に法律的にはなるものでございまして、憲法上も問題はないというふうに考えております。
○渡部(一)委員 いま言われた議論は、行政取りきめに関してこの委員会でしばしば議論された問題とまた同じ議論になってきているわけでありますが、新たなる権利を行使することができるのだから何も国会に報告をしなくてよい、批准もされる必要はないというふうに短絡して言ってみれば、非常におかしな議論になる。憲法の七十三条三項に、政府の仕事として「條約を締結すること。但し、事前に、時宜によっては事後に、國會の承認を經ることを必要とする。」とあるわけですね。ところが、事前にも事後にも承認が得られていない、そういうものが平然として途中経過だと称して通り過ぎてくる、ときどき条約を出す。特許庁のやり方というのは、そういうやり方の新しい特許でもとられたのか、私ははなはだ不本意である。そういう新型の国会審議のやり方を発明するのがまさか特許庁ではあるまいと私は思うし、そういうところを外交当局が漫然としてその法案を通すための道具と成り下がっているというのも、これまたどうしたものであるか。私はこの辺、重大な反省をしてもらわなきゃいけない。 条約の取り扱いについてさきに十分の検討を経た際、こうしたことが起こらないようにするということは、少なくともそうした条約を結んでおって、その批准を急がなきゃならぬものについては急いでいって、国政、国会の機能というものを十分に生かすような法案の提出方をするということはある意味の精神的な合意であったはずです。それを打ち破って、そういうやり方でいかれるなら、われわれとしてもこんなたぐいの法案はこれから全部通すことはできない。どう考えておられるのか。こういうごまかし的なやり方をなさるんだったら私はおかしいと思うのですけれども、どうなんですか。
○伊達説明員 お答え申し上げます。 従来から問題となっておりましたし、ただいま先生が申されました条約を締結する際の事前、事後の承認という点でございますが、まことに先生のおっしゃるとおりであると思います。ただこの場合には、憲法の規定に定められております条約の締結をまだいたしておらないし、かつ、通例よく問題となります、通称されるところの事前適用ないしは暫定適用というものとも、この場合には異なるものである。その理由は先ほど御説明申し上げたとおりでございます。
○渡部(一)委員 それはまずいですよ。暫定適用でもなければ通常の条約でもない。そして先ほどのあなたの御説明は、第三十条というこの条約の規定によって自分たちの行動を弁解されようとした。いま私が申し上げているのは、日本の国内法の立場から議論をしているのであって、これによって日本の国会が規定されているわけではない。国会のわれわれの議論は国内法によって規定され、憲法によって規定されているのに、あなたは承認もされていない、いまここに提出された条約で議論されようとしている。それは本末転倒ではないですか。 私がこんなことを申し上げるのは、最近日韓大陸だな条約について政府はどうやらサインをされたようである。われわれは何らこの委員会で伺っていない。それほどの大問題も全部調印その他について当委員会に報告がない。理事会にも報告がない。そして放棄している。そして知らぬ顔して既成事実ができるのをじっと待っている。そして忘れたころ、既成事実が完全にでき上がったころ、おもむろに憲法の規定によって当委員会に出してくる。外務省はまだしつけが悪くて、そういう点については当委員会というものを軽視し、軽べつし、無視し、そして当委員会の権威を地に落とすことをもってみずからの喜びとされているのか、私は伺いたい。
○伊達説明員 お答え申し上げます。 ただいま先生がおっしゃいましたようなことは、外務省といたしましてこんりんざい考えておりませんので、その点は御納得いただきたいと思うのでございます。
○渡部(一)委員 全然納得できない。 前に当委員会においては、そのような重要な問題を調印したりサインしたりした場合には、当委員会に報告するということが理事会合意で行なわれたことがあるのです。委員長、あなたに申し上げているのです。ところが当委員会に対して最近は報告は何にもない。一時は大使が着任あるいは出発するときもごあいさつが行なわれた。ところが最近の当委員会に対しては何にも報告がない。日韓大陸だな条約だって調印したのは別のルートから知るしかなかった。そして批准するまでの間ずっと引き延ばしていく。これも実はそうなんです。改正条約が途中にあったのですけれども、改正条約の間ごあいさつなしで、いま突如として形の変わったものが持ち出されてきて審議、こうなってきたわけですね。委員長からひとつその辺、外務省当局におしかりをいただきたいと思うのですが、どうですか。
○有田委員長 外務省、御注意願います。
○伊達説明員 ただいま渡部先生からも御指摘がございましたように、そのような点はないように今後とも気をつけていく所存でございます。
○渡部(一)委員 政務次官にお伺いしたほうがよさそうです。 これほどのごまかした法律解釈が当委員会において行なわれているということについて、おそらくがく然とせられたであろうと私は思うわけであります。これではもうまともに審議することが不可能であります。何にも出さない。ともかく法案という法案で問題を呼びそうなのは全部出さない。サインだけしておく。そしてもっぱら条約によらず行政取りきめに移行する。行政取りきめに対しても先々国会、もう一つ前の国会だったと思いますが、当委員会で扱いを協議した際、厳重な扱いをする旨のお約束ができたが、きょうは行政取りきめでもない、暫定適用でもない、条約でもないという言い方で、この条約についての扱いはこうされるのがいいのであるという御説明がいま行なわれた。それならそれで私は覚悟がある。この問題でじっくり議論しようではないですか。こういう詭弁とごまかしを当委員会へ持ち出されるのは私はとんでもないことだと思うのですが、政務次官どうお考えですか。
○羽田野政府委員 先生の御意見ごもっともだと思います。私も、条約に署名をするということは、一応その署名した内容について国会の御承認をいただき、そして批准をするということを前提とした行為でございますので、署名をした以上はなるべく早い時期に国会の御承認をいただき批准をするということが望ましいと思います。 先生御指摘のように、いままで署名をしてから御承認をいただくまでの期間が長くなっているものがあるようでございます。これは国内的な内部処理その他のいろいろな事情があったと思いますが、事務的に許せる範囲でなるべく早く国会の御承認をいただくように、今後努力してまいります。
○渡部(一)委員 政務次官、たいへんいいことをおっしゃってくださいまして、さすが政務次官はりっぱなお方である。いまの御答弁で大いに意を強うしたわけでありますが、政務次官、いまどれくらいの条約が調印されたままで外務省及び関連されるところの倉庫に眠っているか、ひとつ総点検をいただいて当委員会に御報告いただきたい。長いものでは十数年というものがあることをついでに申し上げておきたい。ぞろぞろしておるのです。そして当委員会に出されていない。調印されたものについてすぐお調べをいただいて、当委員会に御報告いただいて、それをどういうふうに処理されるかについても御報告をいただきたいと思うのです。
○羽田野政府委員 署名後、いまだ未処理のものの件数については、いま参事官のほうでわかるそうでございますが、報告をいたさせます。この全部について今後どういう処理をするかということにつきましては、省内でまた検討いたしまして早急に善処いたしたいと思います。
○渡部(一)委員 その件数だけでなく、ひとつ内容についても一覧表にされ、その処理のしかたをあわせ付記された上、当委員会に委員会資料として御提出をお願いしたいと思います。
○伊達説明員 ただいま正確な資料を持ち合わせておりませんが、至急に整理をいたしまして御提出できると思います。
○渡部(一)委員 それではその次に移りたいと思います。 この条約の批准にあたりまして——これは長い名前でございますので、工業所有権に関する条約と略称させていただきますが、この工業所有権につきまして国内法との関連はいかがでございますか。国内法のほうを改正しなくてよいかという疑問が残っているわけであります。私が伺いましたところでは、この条約の批准に伴い、それほど大幅ではありませんが、国内法を改正しなければならないと承っております。ところがこの条約の批准に対して、準備が相当期間あったにもかかわらず、今日に至るまで国内法の整備というものをそのままにされておいた理由というものはどういうものであるか、その辺あわせてお伺いしたいと思います。
○齋藤(英)政府委員 先ほど申し上げましたように、いわゆる特許制度そのものの危機ということで、いろいろ未処理案件の整備のための法律案を準備いたしまして、昭和四十四年に一応国会に提出をいたしまして、成立を見ておるわけでございます。そのときにあたりまして、先ほどいろいろ参事官のほうから申し上げましたようないわゆるノーティフィケーションの問題等もありまして、私どものほうはいわゆる物質特許多項制という特許制度の基本的な問題がございましたので、それの整備のための法案をいろいろ準備し、かつわれわれのほうの工業所有権審議会というものに提出をいたしまして、審議会のほうで御審議をずっといただいておりましたところが、その御審議がやや延びましたために、その御審議で改正いたしますものとともに、今回、いま御審議いただいておりますパリ条約の改正に伴います法案の改正をいたすつもりでございましたが、そういうことでほぼ一年間それが延びてしまいました。したがいまして、いま先生からお話ございましたように、特許法の十七条等、ごく軽微なものではございますけれども、いろいろ議論をいたしました末、やはりこれは特許法等を改正したほうがよろしいという結論に達しまして、条文の改正は必要であるというふうに考えております。
○渡部(一)委員 ちょっともう一回伺うのですが、その改正しなければならない場所は、特許法第十七条のみでありますか、そのほかも含んでおるわけでありますか。改正されたいと思われる部分について述べていただきたい。
○齋藤(英)政府委員 特許法で引いておりますのは、やや技術的になりますが、特許法の十七条のところのいわゆる補正関係の規定でございまして、その出願日の特例に関するところに改正を更するということでございます。特許法ではそれ以外のところは、それをそのまま引いておりますので改正は要しないと思います。 それから、それ以外の実用新案その他につきましては、やはり特許法を準用しております。その関係で、あと三カ所ばかり改正をしなければいけないところがあるかと思いますが、趣旨は同様でございます。
○渡部(一)委員 この第二十五条に「この条約の締約国は、自国の憲法に従い、この条約の適用を確保するために必要な措置をとることを約束する。」とありますね。ですからそれについて準備を進められ、約束したのですからしなければならない。また「いずれの国も、その批准書又は加入書を寄託する時には、自国の国内法令に従いこの条約を実施することができる状態になっていなければならないと了解される。」という了解条項がついておる。そうすると、わが国は最高法規であるのは憲法であり、そして三権においては議会であります。議会が承認していない国内法の改正について約束するということは、いかがなものかと思うのですね。そういう国内法の整備の見通しがついてない、それを出すことができない、そうした条約を平気でここへ持ってきて、はい通してください、四月二十六日が期限です、それまでにしなかったら、委員会とか調整委員会から追い出されます、悲しいんです、たいへんですといって叫び立てる。そして当委員会を強引に開催してざあっと出してこられようとされる。これは明らかに本末転倒、逆転の作業である。だから私は、これができるまで待つのがほんとうだと思いますが、どうですか。
○齋藤(英)政府委員 お答え申し上げます。 パリ条約の今度の改正規定には、御案内のようにいわゆる実体的な規定と管理的な規定と、大別して二つございます。実体規定のほうにつきましては、これは国内法の改正を必要としないわけでございまして、管理規定のほうが改正を要するわけでございます。したがいまして私どものほうといたしましては、国会で御承認をいただきますなれば、いわゆる管理規定を適用をするということでございまして、実体規定のほうは、これはいずれか離して適用ができるようなことになっておりますので、特許法の改正を待ちまして適用をするということにいたしたいというふうに考えております。
○渡部(一)委員 しかし、私はあなたのいまの御意見にだいぶ異論を差しはさまなければならないのです。実体規定をうしろへ置いておいて管理規定に入るということは、もなかでいえば、あんこのところは置いてきて、皮だけ食べるというのと同じじゃないですか。だから、皮だけの条約にどうしてそんなにこだわるのかという非常に原始的な質問ですけれども、こだわらざるを得ないですね。何でそんなあんこ抜きもなかみたいなものにこだわるのか。それはいささか拙速を通り越しておるのではないか。逆に言えば、管理規定という段階でそこに返ることによって各国とのおつき合いをする。実体規定は全部抜きにして当委員会に対して議論しろとおっしゃるなら、これは明らかにこの条約をやる意味がなくなってしまうのですね。だからこれちょっとおかしいのではないか。私は非常にしろうと的にいま質問しているのですけれども、私を説得しにくかろうと思うのですよね。だからひとつうまくしゃべってください。
○齋藤(英)政府委員 パリ条約におきましては、管理規定のほうは御案内のようにWIPOというもの、世界知的所有権機関にこれはパリ条約の管理機構が移って正式に管理体制を整備する、こういうふうな内容でございます。これはWIPOの設置条約とともに、私どもとしては非常に重要視しております。 それから実体規定のほうは、いわゆる優先権主張というものに対します発明者証を特許と同じように扱うかどうかという問題でございます。それ以外の実体規定はその前の改正でございますリスボンの実体規定がございますが、当然それに拘束をされております。したがいまして、実体規定を俗に申しますあと回しにするということは、その前のリスボンの実体規定に当然拘束をされるということになりまして、改正部分は、発明者証の部分について特許と同じように扱うかどうか、その点が改正でございます。したがいまして、パリ条約の実体規定の大部分のものにつきましては、従来のリスボンでもってわれわれは拘束されておるというふうに考えております。
○伊達説明員 ただいまの特許庁長官の御説明に若干補足させていただきますが、この条約の第二十条の(1)の(b)項でございますが、六六ページでございます。実体規定と管理規定と分けまして、「第一条から第十二条までの規定」、これは実体規定、または「第十三条から第十七条までの規定」、この管理規定、そのいずれかについて加入する際の批准書の効果が一時的に及ばないことを宣言することができるということになっております。発明者証の出願についての優先権の関係もございまして、日本の国内法はまだ整備されておらず、近く整備されて国会に御審議をお願いする予定やに聞いておりますが、それまでの間はこの第二十条(1)の(b)の(i)の規定に基づきまして、実体規定の効力を一時暫定期間中とめておく。国内法が整備されました暁に、その留保と申しますか、留保を撤回する、こういうふうに考えている次第でございます。 なお、特許庁長官からも御説明申しましたように、この条約ではございませんが、日本がパリ同盟というものに入っております実体関係につきましては、この一条から十二条までの規定を留保しておきましても、実際上ストックホルム規定がそれ以前のリスボンと違っておりますのは、第四条のI項というのがございますが、それだけの点が日本が現在加入しておりますリスボン規定と異なっているだけでございまして、外見上非常に内容的な留保が大きいようにも思えるのでございますが、その実体においてはそれほど大きいものではないということが申し上げられるのではないかと思います。 以上でございます。
○渡部(一)委員 せっかくの御説明なんですけれども、そうすると私たちいま何を審議しているのかということからやらなければならないですね。要するに管理規定の部分だけきょうは審議して、非常に異例ですけれども、この条約の十三条から十七条を審議するのか、それとも一条から十二条も含んで、将来国内法ができた暁にうんと言うことを予見して審議するのかということで、これはいまの御説明では条約の範囲があいまいになってくる。だからこれは半分でちぎって、前のほうは後にやりますから、きょうは十三条からうしろを審議してくださいとおっしゃるなら、私はそれはする。しかし前のほうについては、これに入れる条件というのが他委員会においてできていない。そうするとわれわれとしては、これを出してくるにあたって、ちょっとこれは条件がそろってないということがいえるのじゃないか。そして国内法規の改正については、通産関係の商工委員会等においてこれが通る見通しがあるかどうかについては、ここで明らかに述べるわけにいかない。となれば、これは前のほうを審議する条件ができてないのじゃないかと思うのですね。だから私は、その辺の問題については留保さしていただきたい。質疑するにも何も、質疑の基礎条件ができていない、こう言わなければいけないと思うのですね。 それで、私はちょっと先に申し上げておきたいと思うけれども、意地悪を申し上げているのじゃなくて、この工業所有権については幾つかの問題があるけれども、おそらく国内法を整備された段階で出てくるだろうと思うのですが、第六条の六「同盟国は、サービス・マークを保護することを約束する。」と規定されている。サービス・マークという規定はわがほうの国内法にはない。そうすると、サービス・マークを保護することを約束しても、サービス・マークが何かがわからなくて約束するわけにはいかない。したがって、サービス・マークとはどんなものであるかについて政府は確定した解釈を示さなければならない。確定した解釈はこの文書に付属して提出される必要があった。しかしそれについては当委員会に付属しては説明がない。 第七条のごときは「いかなる場合にも、商品の性質は、その商品について使用される商標が登録されることについて妨げとはならない。」とある。私がこれを見たとたんにぴんときたのはコーヒー牛乳です。日本ではコーヒー牛乳という名称は、牛乳分何%以上でなければコーヒー牛乳と言ってはいけないというふうに規定されている。前に薄いコーヒー牛乳があって、牛乳のないコーヒー牛乳があったからです。ところがこの場合「妨げとはならない。」ということは、このコーヒー牛乳に関する日本の国内法の規定と全く相反しておる。そうすると、こういうことを認めるように国内法を変えたとしたら、これはかえってコーヒー牛乳に関しては大きな後退にならざるを得ない。これはちょっと疑問ですね。私の解釈が違っているのかもしれないが、このとおり解釈すると、まさにコーヒー牛乳に関する日本の食品衛生法その他の前進的な見解というものはくつがえってしまう。 それから、第八条に「商号は、商標の一部であるかどうかを問わず、すべての同盟国において保護されるものとし、ぞのためにば、登記の申請又は登記が行われていることを必要としない。」とある。これも日本の規定とは違う。こんなに包括的にいわれたのでは、日本の商号及び商標の登記に関する部分の法律は大幅に変えなければならない。 私のような、特許法についてほとんど知識のない、大学で工学部を出たというにすぎないような男がちょっと見たって、これだけ問題がある。しかも、これはきのうばらばらとあわてて見ただけの話です。これは非常にわからない。そうすると、一体これを進めていいかどうかについて疑問が絶えないわけであります。この辺はいかがですか。
○齋藤(英)政府委員 お答え申し上げます。 先ほどお話がございました六条の六の「同盟国は、サービス・マークを保護することを約束する。同盟国は、サービス・マークの登録について規定を設けることを要しない。」という規定がございます。これはお話がございましたように、サービス・マークにつきましては日本国内で登録の規定はございません。かつ条約にも必要としないとございます。その辺は問題ないかと存じますが、したがって「サービス・・マークを保護することを約束する。」という「保護」は何であるかということでございますが、私どものほうは、これは不正競争防止法の第一条の第二号に、「本法施行ノ地域内二於テ広ク認識セラルル他人ノ氏名、商号、標章其ノ他他人ノ営業タルコトヲ示ス表示ト同一又ハ類似ノモノヲ使用シテ他人ノ営業上ノ施設又ハ活動ト混同ヲ生ゼシムル行為」は、これは差しとめ請求ができるという規定がございます。したがいまして、これでもってサービス・マークを私のほうは一応保護をしておるというふうに認識をいたしております。 それから七条の「いかなる場合にも、商品の性質は、その商品について使用される商標が登録されることについて妨げとはならない。」ということでございますけれども、これは商品の性質の解釈でございまして、「その商品について使用される商標が登録されることについて妨げとはならない。」と書いてございますが、商品の性質というものが、たとえばいろいろ製造が禁止されておるとかそういうふうな場合がございますが、そういうふうなことを事由としてはその商標が登録されることを妨げられないという趣旨のように私どもは考えております。 それから第八条の商号の問題でございますけれども、「商号は、商標の一部であるかどうかを問わず、すべての同盟国において保護されるものとし、そのためには、登記の申請又は登記が行われていることを必要としない。」これは私どものほうの解釈によりますと、商号の問題、これは、一応商号の場合には商号登記が行なわれております。しかしながら、商号というものは当該地域において一応保護されることでございまして、全国的にいいますとこれは必ずしもそうではないというふうに考えられます。したがいまして、商号につきましては商標と全く別の取り扱いになっておるのでございます。
○渡部(一)委員 いまの御説明は、もう少し詰めて御回答いただかなければ、具体的な説明において私ははなはだ納得できがたいものをたくさん感じております。 たとえて申しますと交通信号、日本において行なわれておるたくさんの交通信号とその標識類がございます、一時停止であるとか駐車禁止であるとか。これはヨーロッパにおいて行なわれているものを日本に導入したものであります。これらのものはサービス・マーク、あるいはある意味の商標、ある意味のこうした標識等に当たるのではないかという疑問があります。私は、その辺が一つ一つ明確にされていない、それである以上は、この規定はあまりにも包括的に過ぎ、あまりにも日本国内法の状況というものについていいかげんで’あるのではないかという疑いをまだ押え切れないわけです。 先ほど御説明を賜わりましたけれども、第八条の長官の御説明は全く誤解であると私は思います。なぜかといえば、そういう不当な商標名を名のることが許可されてしまうということをこれは約束しているからでありますから、私はその意味で商標がよい場合と悪い場合と分けて悪い意味に、コーヒー牛乳の場合を述べましたけれども、そういう例でいわれた場合にはマイナスになるということを指摘したわけです。そうすると御回答にはなっていない。一体なぜこんなにあわてなければならないのかということにもう一回戻らなければならない。この条約だけは当委員会だけでなく、少し商工委員会の主要メンバーも当委員会に来ていただいた上、もう少しこれはがっちりとした議論をする必要があるのではなかろうかと感じております。いまの御回答を伺えば伺うほどそういう感じがしてきた。したがって、私はこの問題については留保をつけさせていただきたい、こう思っております。 それでは私の所要時間が経過し過ぎておりますので、あとの質問は留保いたしまして次の方に譲りたいと存じます。
○有田委員長 石野久男君。
○石野委員 この提案説明によりますと、一九七〇年以降この条約の締約国となった場合と同一の権利を行使してきた、こういう説明がありますが、どういう形でいままではWIPOの管理、運営にわが国は参加してきたか、それを一応説明してください。
○伊達説明員 お答え申し上げます。 一九七〇年の四月二十六日以来、WIPO、世界知的所有権条約及びストックホルム改正のパリ条約、それからストックホルム改正のベルヌ条約の三つが相まちまして、その経過規定につきまして効力を生じ、それについて各国がこのWIPO及びそれぞれの二つの同盟の管理に関与することになったわけでございます。ところが日本はこのWIPOにも入っておらないし、ストックホルムのバリ条約にも、またストックホルム・ベルヌ条約にも入っておらないということで、日本はパリ条約に関して申しますれば、その前回のリスボン条約の締約国であり、ベルヌ条約に関していえば、当時はローマ改正条約の当事国であったわけでございます。そのリスボン条約といいローマ条約といい、いずれも管理関係の規定はきわめて簡単でございまして、何ら管理的な面で整備されたものはなく、したがって、新しくストックホルムの改正によりました両条約の定めている執行委員会でございますとか、それからそれぞれの同盟の総会でございますとかいうものがなかった。世界知的所有権機関に関して申しますれば、世界知的所有権機関の機構というものは、ベルヌ同盟及びパリ同盟のそれぞれの執行委員会のメンバーが世界知的所有権機関の調整委員会を構成するという形になっておりますし、かつまた、ベルヌ同盟の全構成員、それからパリ同盟の全構成員がWIPO、世界知的所有権機関に入っておりますれば、それらのものは当然のことながら世界知的所有権機関の一般総会というもののメンバーとなる。そのようにきわめて密接な三者の関係が設立されたわけでございます。ところが、日本はいずれにも入っておりませんが、先ほど若干触れましたように、ストックホルムの両方の改正条約の経過的な規定 によりまして、それぞれのベルヌの同盟に入って いるものは、ストックホルム改正規定の締約国とならなくても、当分の間、すなわち五年間は執行委員会ないしは総会へのメンバーとして当然参加 できるということになっているわけでございます。パリ同盟について申しましても同じことでございます。 このそれぞれの執行委員会の任務と申しますのは、それぞれの予算をきめたりないしは総会の議事日程案を作成いたしましたり、それからそれぞれの同盟にございます事務局の指揮、監督に当たるというような任務を持って機能しているわけでございまして、パリ同盟について申しますれば、そのパリ同盟の円滑な運行というものについて、パリ同盟の同盟国として発言権を持つという形で運営に参加してきたということでございます。 たいへん入り組んでおりますので、なかなか説明が複雑になりまして恐縮でございますが、世界知的所有権について申しますと、日本はメンバーではございませんが、パリ同盟ないしはベルヌ同盟のメンバー国であるということでもって、その世界知的所有権機関の一般総会やそれから調整委員会へも顔を出しまして、世界知的所有権機関の運営にも参加している、管理にも参加している、そういうような形で実際上の権利の行使が行なわれているわけでございます。
○石野委員 メンバーではないけれども、リスボンあるいはローマの改正条約等に構成員として入っておったということを理由としてずっと入っているわけですね。その前に、先ほど渡部委員からも質問があったように、新しいパリ条約あるいはベルヌ条約というようなものについての批准も行なわれないままに今日にきちゃった、そういう体制の中で、WIPOの中の執行委員会の構成メンバーとして入ってきているのですが、これについてはやはり入るための、実質的には入ってきているけれども、この条約に加盟し、実際にメンバーとなっていくための準備的な諸工作というようなものが、当然やはり国の場合でも必要だろうと思うのですね。それは条約上の問題もあるし、機構上の問題もあると思いますが、そういう締結準備のためにどういうようなことをやってきたかということ、それからまた、そのためにどういうような調査、研究をしてきたのかということを、この際、ひとつ聞かしていただきたいのです。
○伊達説明員 お答え申し上げます。 日本は、ベルヌ同盟に関して申しますれば、ローマ条約の当事国として、また前国会において承認いただきましたブラッセル改正条約の当事国としてベルヌ同盟のメンバー国でございまして、特に機構が変わったからといいましても、非常にスムーズな経過でございまして、新たな機構は設けたものの、委員会のメンバーに選ばれるような選挙というものが総会等において行なわれることによってメンバーになってきたということでございまして、特別に研究をするというようなことはございませんでした。 世界知的所有権機関の運営等に関しましても、発足以来、従来のベルヌ同盟ないしはパリ同盟の参加国として分担金を払っておりますし、従来と別に変わった義務を特別に負うようなこともございませんでしたので、準備期間も特になく、また、そのための調査の必要性もそれほどなかったということが申し上げられるだろうと思います。
○石野委員 特別に研究することはないということですが、たとえばパリ条約に入ろうとすれば、当然のこととして、第二十五条の「国内法令に従いこの条例を実施することができる状態になっていなければならない」というような、こういう準備体制が必要なわけですね。それからまた、この知的所有権機関を設立する条約でいけば、当然加盟するためにいろいろな第十四条の手続的なものについての準備が必要になってくると思います。それらのことと関連して、先ほど工業所有権の問題で出てきた第七条のような問題が、国内法と抵触するだろうと思うような問題について、政府として全然研究もしていないということなんですか。そういう点はどういうふうに政府は扱ってこられましたか。
○伊達説明員 お答え申し上げます。 たとえばストックホルムで署名されました世界知的所有権機関を設立する条約には、その二十一条の(2)の(a)項におきまして経過規定というのがございます。これはつまりこの条約に入っておらなくても、五年間はこの条約の締約国となった場合と同一の権利を行使することができるというふうに定めてありまして、それを希望する国は事務局に通告を出せというふうに規定してございます。日本はこれによりまして一九七〇年九月十七日に事務局長にこの権利を行使することを希望するという旨の通告をいたしております。先ほどは御質問の意味が正確にとれませんで失礼いたしましたが、そういうことでございます。 なお、ベルヌ条約につきましてはストックホルムの改正規定に基づきまして同じ通告をいたしておりますし、またパリ条約につきましても同じ規定がございまして、それに基づいた権利を行使することを希望する旨の通告を事務局に出してございます。
○石野委員 通告していることはもうわかっているんだよ。通告をしておることはわかっておるが、この条約に加盟することにおいて、国内法などに当然抵触する部分が出てくるだろうと思われるような問題はないのかあるのか、そういう検討は加えておられるのかどうかということを聞いているのだ。
○伊達説明員 お答え申し上げます。 条約に加盟いたします際に、私どもが当然いたさなければならないことは、国内法との乖離ないしは矛盾の点を究明いたしまして、条約に入る際には国内法との乖離、矛盾がないような状態において初めて条約に入るというふうに心がけておりますので、その点は研究いたしました。いたしました結果、現在御審議をお願いするような形でこれらの条約に入ることができるという結論に達した次第でございます。
○石野委員 そうすると、国内法との関係等については、政府の見解では抵触する部分はないというふうな見解である、こういうふうに理解していいわけですね。
○伊達説明員 条約が三つございますので、知的所有権機関に関しましては、これは全く管理だけの機構づくりでございますので、これは国内法との乖離というものがございません。 それからベルヌのパリ改正条約につきましても、これもわが国の国内法と乖離はないというように考えております。ただ、工業所有権の条約につきましては、先ほど特許庁長官からも御指摘がございましたように、発明者証の出願の優先権につきまして、日本の国内法制はまだ準備中であって整備されておらない、その点につきましては、条約と国内法との間で乖離があるということでございます。 ただ、これも先ほど御説明申し上げたところでございますが、この工業所有権の条約につきましては、世界知的所有権機関に入り、かつまた、工業所有権条約の管理機構にも正式に参加をするために、条約の実体規定は留保いたしまして、管理規定のみに日本側の批准の効力を及ぼさせることを宣言することができるという規定が条約自体の中に含まれておりますので、その条項に基づきまして、実体規定を留保することによって、当分の間、工業所有権のパリ改正条約に入るというふうに考えている次第でございます。
○石野委員 そうしますと、やはり依然としてその実体条約の問題については疑義が残されておるという観点で、まあ管理規定の部分だけ、こういう意味ですね。それはまた意見がありますからあとでいたすといたしまして、WIPOはいまのようなので特許だとか意匠、商標等のいわゆる工業所有権に関するパリ条約、それと著作権に関するベルヌ条約、これがWIPO設立による国際事務局の中へ結合していく、こういう知的所有権に関する汎世界的な国際機関に指向しているというふうに説明されておるわけですが、この機関は国庫の中の専門機関となっていく見通しというものを持っておるのですか。どうなんですか、そこのところは。
○伊達説明員 世界知的所有権機関が国連の専門機関たる地位を獲得するに至るかどうかという御質問でございますが、私どもといたしましてはまだその見通しは立てておりません。と申しますのは、ベルヌ同盟といいパリ同盟といい、かなり伝統的な同盟でございまして、非常に伝統をたっとんでおるという気風が同盟の中にございます。その両同盟の構成国が開発途上の同盟外の国々と一緒になって世界知的所有権ができ上がっているわけでございますが、もちろん同盟国の中にも国連の専門機関たるべしということでその方面へ向かって努力している国もございます。しかしながら半面、伝統的な旧同盟の国々の多くは、それよりもむしろパリ同盟ないしはベルヌ同盟の伝統を守って、国連の専門機関にならないほうがいいという議論がございまして、知的所有権機関の内部におきましても問題が論じられているところでございまして、まだそれが将来国連の専門機関になる方向に動き出したというふうには申し上げられない状況にあるというふうに私は了解しております。
○石野委員 そうしますと、このWIPOというのが国連の中に一つの位置を占めるということについては日本の政府としては、現在としてはあまり希望してない、こういうふうに理解していいのですか。
○伊達説明員 お答え申し上げます。 申し忘れましたが、日本政府といたしましては、この世界知的所有権機関が国連の専門機関になる方向に動いていくのは好ましいことであるという判断におきまして、これをむしろ前向きに推進している次第でございます。
○石野委員 もし、政府はそういうふうに前向きの姿勢でいっておるということになりますれば、当然のこととして日本の代表部、政府の代表部ですね、その代表部の中におけるところの実質的に動ける体制、そういうようなものへの充実といいますか、やはり代表部の内容の充実というような問題が当然考えられなくちゃなりませんが、そういう点については、外務省自身はそれだけの準備なり何なりしておられますか。
○伊達説明員 お答え申し上げます。 御承知のように、これらの機関の国際事務局というものはジュネーブにございまして、種々の会議もほとんどすべてがジュネーブで開かれているという状況でございます。政府といたしましては、ジュネーブに国連の国際機関代表部、日本政府代表部というものを置いてございますが、外務省といたしましては、世界知的所有権の面におけるこれらの機関の活躍に応じまして人員を増強したいという方向で検討中でございます。
○石野委員 現状からいいますと、たとえばそういう代表部に出ておられる、日本のどういう方が出ているか知りませんけれども、それは国連のそうした各専門機関の管理運営にどのような形で現在参加しているかどうか。その点はどういうふうになっておるのですか。
○伊達説明員 お答え申し上げます。 ジュネーブには御承知のようにいろいろの国際専門機関、WMOですとかWHOですとかその他IPU等の機関の本部がございます。そこで、多くの会議もそれらの本部の所在地であるジュネーブで開かれるわけでございますが、総会等の会議におきましては、在ジュネーブの日本政府代表部の首席大使が政府代表として出席しておりますし、またその場合には当然のことながら、東京から特許庁、文化庁それから外務省の担当の事務官が参加いたしまして、会議の運営に当たっておるという状況でございます。
○石野委員 結局WIPOの問題で政府がやはり人員の増強をはかってという、そういうことをいま準備なりしておるということになれば、そういう他の機関と同じような形でそれの担当の書記官なら書記官というものを代表部の中に置く、そういう構想でこの条約の締結というか批准を進めたい、そういう段取りはちゃんとできているのかどうか、その点はどうなんですか。
○伊達説明員 先ほども申し上げましたように、世界知的所有権機関その他ベルヌ同盟、パリ同盟のいろいろの機関の会議が多く開かれることと相まちまして、外務省といたしましては人員をふやして、スタッフを多くして、その知的所有権機関のみならず、ほかの専門機関等の国際会議にも充実した参加ができるように考えているわけでございます。
○石野委員 もう一ぺんくどいことを聞きますけれども、これは批准する。片方で批准はしてしまう、体制はとれないということになると、具体的に政府が国際的な関係の中で仕事をする上では不備を来たすわけですね。だからそういうものを伴わないままで批准をしてしまったのでは、これはただ名前だけになってしまうのですが、この批准の段階でそういうようなことが具体的にできる外務省なら外務省における予算的措置というものは、それと同時並行的に進めるという自信があるのかどうか、その点……。
○伊達説明員 これらの三条約に批准することによって、同時並行的にそれの直接の効果と申しますか、それに備える体制として人員を一人ないし二人ふやす計画があるかという御質問であるとすれば、それとの直接の関連においてそのような人員をふやす計画はないわけでございます。ただ、先ほども申し上げましたように、一般的に国際機関の活動というのは活発になっておりますし、それらとの総合的な観点におきまして、特にまた新しい機関ができるわけでございますから、そういうことも考慮いたしまして、人員の増強方を検討中であるというふうに御了解いただきたいと思います。
○有田委員長 午後七時三十分より再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午後一時四十三分休憩 ————◇————— 午後七時三十三分開議
○有田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。河上民雄君。
○河上委員 きょうの提案されております条約につきまして、その提出のしかたについて私は少し要望をさせていただきたいと思うのでございます。 今回提出されております四本の条約は、かなり専門家でなければわかりにくいような問題がかなりあるわけでございまして、前国会において審議のときにも、私どもといたしましては、当然そういうそれぞれの専門の方々の御意見なり関係者の御意見を十分に聴取しながら、その上に立って私どもがこの条約の審議に当たったわけでございますが、今回、臨時国会開会にあたりまして、あらかじめこういうものを出したいというようなお話が全然なく、突如として先般、今臨時国会において緊急に審議しないと、つまり来年の一月の二十日までに批准書を寄託しなければ、国際機関における日本の管理運営に参加してきた権利を失う、こういう理由で突如審議を求められたわけでございます。 すでに継続審議になっていたとはいいましても、そのような経緯では、われわれとしてもはなはだ当惑するわけでございますし、関係者との十分な相談ということもなかなかできにくいというような問題もございまして、今回の提出のしかたにたいへん私どもとしては不満を持っているわけでございますが、政府におかれましては、一体その点につきましてどういうふうにお考えになっているか。 今後こういうようなことのないように、もしほんとに、いままでわが国が国際機関における管理運営に参加してきた権利を持続するという非常に切実な必要があるとするならば、もっと、当然、あらかじめ遺漏のないようにすべきであったのではないか、このようなことを二度と繰り返さないように私は希望をいたすわけでございますが、その点政府のお考えなり、今後このようなことのないようにしたいという、今後どのようにされるか、ひとつお考えを承りたいと思います。
○伊達説明員 ただいま河上先生から御指摘がございましたように、継続審議案件であるとはいいながら、急にこの臨時国会において本件の御審議をお願いするようになりましたことは、私、外務省の、担当する者として、まことに申しわけなく思っております。 先生もすでに御承知の事情のゆえに、ぜひともこの臨時国会において御審議をお願いする羽目になったわけでございまして、今後はこのようなことがないように十分注意をして、前広に御審議をお願いする所存でございます。
○河上委員 今後そういうことのないようにひとつしていただきたいと思います。私どもとしても、いろんな事情をいわば克服してきょうの審議に応じているわけでございますので、ひとつその点はよろしくお願いしたいと思います。 なお、今回こういうように批准書を一月の二十日までに寄託しなければならない、そうしないと管理運営に参加できなくなるというお話でございますが、実際にそれほど大事なことであるといたしますならば、現在WIPOにおきましてどのような活動をしておるのか、私どもに必ずしもつまびらかにわかっていないのでございますが、あるいはもうそういうことは他の方が御質問なさっておるかもしれませんけれども、この機会にあらためて明らかにしていただきたいと思うのであります。
○齋藤(英)政府委員 お答えいたします。 現在WIPOに一応通告によって、かりの権利を得ているわけでございますが、総会は三年に一ぺん開かれるわけでございます。それから調整委員会、これは定例は毎年一回でございますけれども、昨年などは臨時に二回なり三回開かれておりますが、そういう会議に外務省並びに文化庁、特許庁、それぞれ関係者が出席をいたしまして、そこでいろいろ発言をしておるわけでございます。 たとえば先般ございました調整委員会におきましては、パリ条約の改正問題が起こりました。そこで、私ども、会議の席上あるいは会議の席上の外におきましていろいろ意見を述べ、あるいは発言をいたしまして、わが国の国益をなるべく損しないような方向で私どもは議論をしてまいったつもりでございます。 それから、なお来年の二月にパリ同盟の改正委員会が開かれます。引き続きまして、四月、五月と、それぞれ小グループでございますけれども、たとえばコンピューターの問題、ソフトウエアの問題でございますが、そういう問題等につきまして累次会議が開かれておりまして、特許庁といたしましては、そういう委員会にそれぞれ担当者あるいは常駐者が出席をしていろいろ発言しておるという次第でございます。
○河上委員 重ねてちょっと伺いますが、これについては常駐的なスタッフを派遣しておられるのかどうか伺いたいと思うのです。
○齋藤(英)政府委員 お答えいたします。 私どもの特許庁のほうの関係でございますけれども、WIPOに一人常駐をさしておりまして、そこでWIPOの職員の一員として仕事をやっておりますと同時に、これは外務省のほうでございますが、代表部には専門の方がおられまして、それぞれ事務をやっておられます。
○河上委員 何人おられますか。
○伊達説明員 外務省におきましては何人と正確な人数はいま申し上げられません。と申しますのは、書記官を数名派遣しておりまして、大体それが手分けをしてそれぞれの専門機関に参加しておるということでございます。したがいまして、その人数を申しますと大体三人ぐらいというふうに御承知おきくださってけっこうだと思います。
○河上委員 それでは、WIPOそれ自体に専属のスタッフが行っているとも必ずしもいえずに、外務省の書記官がこのWIPOの仕事を分担してやっているということでございますか。
○鈴木政府委員 ジュネーブの日本の代表部の館員の中で一人、通産省から出向している館員でございますが、その方がWIPOでございますか、これを担当いたしております。もちろん代表部全体として各専門機関をカバーしているわけでございますが、その通産省出向の方が特にWIPOを専属して担当しているということでございます。
○河上委員 それで、もしこれが批准されない場合、一月二十日に間に合わない場合には、そういう会議において日本が発言権を失うというのは具体的にはどういうことでございますか。
○伊達説明員 ただいまのところ、五年の猶予期間がございますので、その三つの、ベルヌ同盟、パリ同盟、それからWIPOの機構の会合に出席し、審議にも参加しているわけでございますが、それが、この条約が発効しませんで、三条約に入れず新機構に参加できないということになりますと、そのような会議に出られなくなるということになります。
○河上委員 そういうたいへん重要なことであるとするならば、今回の措置ははなはだ手抜かりのような感じもいたしますけれども、これは、一般的な審議を求める態度として、今後このようなことを二度と繰り返さないように特にお願いをいたしたいと思います。 なお、今回提出されました四つの条約につきまして、私は先般も質問をいたしましたが、翻訳が必ずしも適正でないという印象を非常に強く持っておるわけでございます。それについてはこの前いろいろ申し上げましたので、ここで繰り返しませんけれども、政府の定訳というものについてはもう少し慎重にしてほしいという布望を持っておるわけでございます。 なお、特に幾つかの点について、私は外務大臣に御答弁をいただきたいと思うのでございますが、いままだ外務大臣はおいでになっておりませんので、その点につきましてはちょっと留保させていただきたいと思うのでございますが、よろしゅうございましょうか。
○有田委員長 どうぞ。
○河上委員 それでは、大臣がお見えになりましてから、もう一度発言の機会を与えていただきたいと思います。 とりあえず私の質問はこれで終わらせていただきます。
○有田委員 永末英一君。
○永末委員 ベルヌ条約に関して若干の質疑をいたします。 前通常国会で、図案家の創作する図案は現行法上どういう法律によって保護せられるかということについて質疑を申し上げました。それにつきましては、政府委員から将来の大きな検討課題にしようという答弁をいただいておるのであります。さて、どういう検討をされたかということに着目しながら質問いたしますので、お答えを願いたいと思います。 その質問をいたしましたあとで、具体的には次のような事件が起こりました。それは、ことしの三月十二日「週刊平凡」におきまして、都はるみという歌手が舞台衣装をつけた写真が載りました。ところがその衣装のデザイン、すなわち図案は、すでに昨年、四十八年十二月に発行されました「図案ライフ」といわれる雑誌の表紙——この雑誌は日本図案家協会の機関誌でございますが、それに掲載されたものでありました。さらにそれは、昨年の六月に日本図案家協会が第二十九回創作展として募集をいたし、それに応じて出品、展示をされたしのでありました。したがって、この図案の製作者山本さんは、都はるみさんに舞台衣装をデザインした人をさがして、これとの間に著作権の確認に関する交渉をいたしたのでありますが、結局のところ、この図案家の図案というものは現行著作権法上保護されていないということ等のためにうやむやになっておるのが現状であります。したがって、原図案の創作者でございます山本さんはことしの六月、一件落着いたしませんので、東京地方検察庁並びに練馬署——というのは、都はるみさんの図案を書いた人のおるところのようでございますが、そこへ告訴をいたしておるというようなことでございました。わが国は法治国家であって、法律によってそれぞれの国民の権利を保護するということになりますと、はなはだもってこれはよくわからぬ事件でございますので、この事件を念頭に置きつつひとつ御答弁を願いたい。 質問の第一、図案家の創作する図案は何によって現在保護されておりますか。
○安達政府委員 新著作権法によりますると、保護すべき「(著作物の例示)」といたしまして「絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物」を掲げておるわけでございます。そして、「(定義)」の規定の中で「「美術の著作物」には、美術工芸品を含むものとする。」こういうように規定をされておるわけでございます。したがいまして、現在の新法下におきましては、いわゆる図案等につきましては現在は著作権法の対象にはならないものと理解をしておるところでございます。
○永末委員 初め言われたこととあとがつながらぬので問題があるのでございます。図案家の創作いたしましたものは著作権法にいわれる「思想又は感情を創作的に表現したもの」ですか、そうではございませんか。
○安達政府委員 図案等がいわゆる純粋美術の領域に属しないということが一つ言い得るわけでございます。そこで、いまおっしゃいましたところの図案そのものが思想、感情の表現であるかどうかにつきましては、具体的には個々の著作物等につきましてさらに判断が加えられるべきかと思うのでございますけれども、少なくとも著作権法の制定当時の考え方、あるいは現在の考え方といたしましては、美術の範囲に属するものとは一応されていないということでございます。 ただ、この応用美術につきましての保護につきましては、ただいま御審議いただいておりますところのベルヌ条約のパリ改正規定におきましても、その応用美術の著作物は保護の対象であるけれども、応用美術及び意匠に関するところの法の適用範囲並びに保護の条件は、同盟国において適宜定めることができるというようになっておりまして、そういう図案のようなものは、現在は工業所有権に属するところの意匠法によって保護をするというたてまえになっておるわけでございます。
○永末委員 いまは現在の実定法上の解釈を言われたのですが、われわれはその解釈について、あるいはまたそうしなかった、実定法上保護されなくしておることについて問題にしておるわけでございます。意匠法についてはあとでまた質問いたしますが、その告訴に先立って、この事件について当該著作者は文化庁に対してこのことに対する見解を求めたはずでありまして、文化庁はそのときどういう見解を発表しましたか。
○安達政府委員 当時の課長がほかの課長にかわっておりますので、当時どのように答えたかはっきりいたしませんけれども、大体、私が申し上げましたようなことを御説明申し上げたのではないかと思います。
○永末委員 そうしますと、文化庁というのは、図案家のかいた創作物についてはもう意匠法があるので意匠法でやってくれ、著作権法では書かなかったからおれは知らぬ、こういう態度ですか。
○安達政府委員 私どもも図案家の方々が苦心して作成されたものが、意匠法の保護を受けないままに、実質的にその創作のものが模倣されるというようなことはたいへん遺憾だと思っておるわけでございまして、現在の新著作権法をつくる過程におきまして、著作権法と意匠法等との関係につきまして審議会でもさんざん議論し、また通産省、特許庁当局とも交渉に交渉を重ねたわけでございますけれども、非常に事柄が複雑でございまするし、また、意匠法の秩序のもとで保護されてまいっておるところの図案等につきまして、新しい秩序で行なうことにつきましては、現に意匠を、図案等を使用される業界の方々におきましても非常な大きな不安がございまして、そういう面につきましての調整措置ができないままに終わったというところは、私どもも非常に残念に思っておるわけでございまして、これは世界的にも非常にむずかしい問題でございますが、なおこういう問題につきましては、やはり図案家の創作が保護されるような形を、さらに一そう適切な方法を検討すべき課題であると考えているところでございます。
○永末委員 この両者の会談におきまして、都はるみの舞台衣装をデザインした側は、山本さんという原図案創作者は、これは図案をかいて展覧会に展示をした。それがりっぱなものでございますからその雑誌の表紙絵になった、これだけであります。その限りにおいては、いわゆる絵画を制作する人の絵画が展覧会に展示をされ、公衆の面前に見せられた。それが美術雑誌の巻頭、表紙の絵になったのと一つもかわらぬわけです。ところが都はるみさん側は、自分は着物のデザインにしたのであるから、あなたが言うた意匠法の問題である。ところが相手方は、意匠法における登録をしていないんだから法によって保護される限りではない、こういうかけ合いがあったのであります。 あなた自身は非常にむずかしい問題だといわれましたけれども、純粋美術ではないのだ、そういう判定を図案に対して下されましたが、この山本さんという方はもともと洋服の図案家でございまして、初めから着物の図案に用いようという意図は全然ないのであって、みずからの美術的な思想ないしは感情を創作的に表現したいというので図案をかいてそれを展示したにすぎない。だといたしますと、これはその限りにおいては、先ほど申し上げましたように絵画家が絵をかいたものと一つもかわらぬ創作態度である。であるならば、当然これは著作権法の対象になる美術著作物だ、こう私はみなし得ると思うのです。あなたは、いまの私が申し上げました限りにおいてそうではないと思われますか。
○安達政府委員 最近のように純粋美術と応用美術等の区別が必ずしも明快に区分できないというのはお説のとおりでございます。ただこの場合は、実はお話がございましたように、図案家協会の月刊誌「図案ライフ」に載って、そしてこの奥付に、本誌掲載の図案は意匠保護のためそのままの使用は御遠慮願いますというように書いてあったところを見ますと、やはりかいた人も意匠というようにお考えになったのではないだろうかという、私は何となくそういう気がするわけでございます。したがいまして、やはりそういう図案というような形でおやりになっているということからいたしまして、そういうように考えるわけでございまして、しかしこれは著作権法のような私法につきまして役所がどう言ったということではございませんので、最終的には裁判所の判定にゆだねるべきものと思いますけれども、見解をということになれば、そういう諸般の情勢から見ると、そう解するのが常識的ではないかと思う次第でございます。
○永末委員 あげ足をとるのは好きではございませんが、あなたのほうがあげ足みたいなことを言われますから……。「図案ライフ」全体について奥付でそう書いてあるのは、もし意匠登録をするならば、意匠法によってこれは保護せられるべきものであるということは頭にある。しかし、もし奥付に著作権法にもとるなんて書いたらうそですから、現在あなたのほうも保護しようとしていないんだから、そう書いたことはあたりまえであって、しかしもともと何もしなくても意匠法によって保護せられるということを期待したわけでもなんでもない。これはやはりある一定の法律行為をしなければ保護されないものでありますから、それは私が言わなかったからということであなたが言われたのだけれども、それはそういう見方でごらんになるものではございません。 それならば一体図案家というものはある流行をつくっていく、そういう図案をつくるのだという観点から、非常に速い流行の展開が行なわれている時期に、はたして現在の意匠法がこれを保護し得る法律であるのかどうかという実態を明らかにしなければならぬのでありまして、著作権法による著作物の保護は、そのもの自体が著作されて保護せられる、そういうことが保障されている。ところが意匠法のほうは、その本人がある法律行為をやり、行政官庁のある行政行為があって初めて保護の対象になるのでございましょう。その辺非常に違いがある。それならば一体、生まれてすぐに保護せられる対象物となり得る著作権法の著作物と、いまのような意匠法によるものとの間の違いは、この場合ははっきりしておく必要があると私は思いますので、その点について伺いたいのであります。 意匠法では着物という項目があります。一体着物というのでどれだけの点数が過去一年、意匠の出願の対象になりましたか。
○齋藤(英)政府委員 お答え申し上げます。 いまお話ございましたのは私どものほうでいわゆる衣装といいますか着物と申しますか、そういうものの出願件数であると思いますが、年間おおむね四十件前後というふうに承知をいたしております。
○永末委員 その四十件前後年間出た場合には、どれくらいの期間でこれが最終的な登録査定に立ち至るのでしょう。
○齋藤(英)政府委員 着物につきましては、現在私ども審査をしておるものでございますが、四十八年中の出願につきましては、大体来年の七月ごろに審査を終了するというふうな予定で現在進めております。
○永末委員 いまお聞きしますと、大体一年半ないし二年かかって審査が完了するという話でございました。着物の出願も、私は内容を見ておりませんが、それは織り方にも問題があろうしあるいはまた染め方にも問題があろうし、その内容に至る図柄にも問題があるし、いろいろな意匠の登録申請が出ておるものだと私は思います。しかし、それが一年ないし二年たてば、もしそれが意匠法によって保護されるべきものと査定をされ、登録設定が行なわれたときには、もう人々はあまりこれを必要としないということが起こり得ますね。いかがですか。
○齋藤(英)政府委員 現在の意匠法におきましては、お話のとおり出願がございまして、それで審査をして登録をして公告をする、こういうことでございます。最近、意匠の出願件数が増加をいたしまして、審査資料もまたふえております。そういうために私どもいろいろ審査官の増員等努力をいたしておりますが、なお審査期間が思うように縮まらないのでまことに遺憾に思っております。したがいまして、今後とも処理期間の短縮、処理の促進ということに努力をいたしたいと思っております。
○永末委員 いま、年々このころ出願がふえておると言われましたが、年間四十件だと先ほど言った。一体日本でいま出ておる着物というのはどれくらいございますかね。数万点あるのじゃないでしょうかね。あるいは数十万点あるかどうか知りませんが、つまり意匠というプロパーな意味でこれをとらえますと、その千差万別のいろいろなものの中から、なぜわずか四十件しか出願がないのかというところをもっと社会学的に考えるならば、どうも国民の側は、あるいはこれをつくっている出頭者の側は意匠登録をする意味合いというものを高く評価してないと私は思いますが、いかがですか。
○齋藤(英)政府委員 お答え申し上げます。 現在意匠の出願は年間でおおむね五万件ないしその前後ございます。たとえば四十八年につきましては四万五千件でございますが、四十七年はおおむね五万四千件ございまして、四十六年はおおむね五万三千件ぐらいございました。そういうことでございますので、これは全体として意匠の審査官がそれぞれ手分けをしてやっております関係上、それぞれの部類におきまして平均的に一応人員を配置しておる関係もございまして、したがいまして、審査期間をある部類にだけ早くするというわけになかなかいかない事情がございますものですから、したがって全般的にはおおむね二年前後ぐらいかかる、こういう事情になっておるわけでございます。
○永末委員 私は意匠出願全体のことを申したのではなくて、そのうちの着物というものを取り上げて、年間四十件ぐらいの着物に関する意匠法の保護を求めようというのは、あまりもう国民の関心を引いていなくなっておる。もし関心を引いておるならばもっともっとこれは出てきていい。しかしなぜ関心を引かなくなったかといえば意味がないのだ、どんどんいろいろな意匠が変わってくるのに二年もかかっておっては保護にならぬ、こういうことが国民の側のこの法律によってつくられているかまえに対する評価ではないかと思いますが、いかがですか。
○齋藤(英)政府委員 お答え申し上げます。 意匠のいろいろ性格によりまして非常にライフサイクルの短い意匠もございますし、あるいはライフサイクルの非常に長い意匠もございます。したがいまして、いまお話がございましたように、意匠の性格によりましてライフサイクルが短いようなものにつきましては、意匠法のいまの審査の期間はまことに遺憾ながら不十分だと思います。
○永末委員 文化庁長官、いま特許庁長官のほうが、意匠法によって保護せられる対象物というのはいまのような狭い範囲のものなんですね。そして非常に流行に関係のあるようなそういうデザインというものは、意匠法によって保護を求めても、実は保護し得ないような現在のわが日本国政府の行政機構になっておる。 といたしますと、話を最初に戻しまして、一体図案家の作成した図案というものを文化庁のサイドから見た場合には保護すべきものとお考えなのか、それともほっといていい、いろいろなトラブルが起こったってそれはかまっちゃいない、こういう態度なのかということを私としては聞かざるを得ない。御答弁願います。
○安達政府委員 一般的に申しまして、染色の図案等の問題につきまして、その創作が十分保護されていないのではないかということにつきましては、私もその点ははなはだ遺憾ながらそういう状況にあるといわざるを得ないように私自身は考えております。したがいまして、方向といたしましては、やはりそういうものにつきましての保護を厚くする意味で、著作権法による保護をも加えるというのが一つの行き方ではないか。いわゆる重畳的保護ということで現在イギリスとかドイツ等で行なわれておるものもございますので、やはりそういうものもある程度考えに入れながら、日本の実情に即した保護の体制を考えていくべきものだと思うのでございまして、これにつきましては、やはり関係当局の間あるいは関係の権利者、使用者間での十分な話し合いを経なければならないわけでございますけれども、やはり方向なり考え方としては、そういう方々の創作を保護する方向で考えなければならないと私自身考えておるわけでございます。
○永末委員 けっこうな方向づけの御答弁をいただきましたが、実施はいつごろからかかられますか。
○安達政府委員 この前の新しい著作権法の制定にあたりまして衆参両院で附帯決議をいただきまして、残されたと申しますか、懸案になっておる事項につきまして検討を進めるようにということでございまして、一つの問題は複製手段が非常に複雑になってまいりました。先ほど特許庁長官がおっしゃいましたところのコンピューターの問題あるいはビデオカセットの問題あるいは写真複製の問題そういうようないわゆる複雑化に伴う、複製手段が多様化してまいりますことに対するところの著作権法上の問題というのを、現在著作権審議会で取り上げてやっていただいておるわけでございまして、そのほかに、けさほど問題になっておりました写真の著作権保護期間の問題あるいは映画の著作権の帰属の問題、そういうような問題が相当たくさんございますので、これらにつきましてはやはり漸次検討をしていかなければならないと思うわけでございますけれども、著作権のような問題は非常に個人の権利義務に関係する問題でございますので、行政の問題と違いましてこれは相当慎重に考え、相当慎重な相互の調整、検討を経た上で解決されるべき問題でございますので、具体的にいつからというようなことを申し上げるわけにはまいらない、またそれだけ大事な問題であると考えておるわけでございます。
○永末委員 新しい著作権法が解決し得なかっもろもろの問題は私も承知をいたしております。ただここで問題にいたしておりますのは、そのときに解決されなかった一つの問題の中で、図案というものがなぜ一体、よその国では重畳的にしろ著作権の対象になっているにもかかわらず、わが国ではされなかったか。そのことのために、都はるみさんの衣装に関する事件のような問題が起こるし、こういう問題があからさまになったのはまだ一つでございますけれども、たくさんそれぞれ起こり得る可能性をこれは示しているのである。その場合に、少なくとも芸術家と考えている図案家同士の権利争いを行政官庁が放任して、知らぬ顔をしていてそれでいいのかどうか。やはり政府としては、それぞれの権利に対する保護の基準をちゃんと設定をして、そうして権利としては保護せらるべき体制をつくるというのが政府、ガバメントの役割りではないか。したがって、なるほど著作権法にはいろいろな問題がございましょうが、この点については一体どうされるのか、あらためてお答えを願いたい。
○安達政府委員 先ほど申し上げましたように、現在著作権審議会におきまして残された問題につきまして逐次検討をいたしておるわけでございますので、そういう逐次の中でだんだんとこういう問題につきましても慎重に検討をしてまいる必要があろうかと思う次第でございます。
○永末委員 逐次といわないで優先的に考えてくださいよ。もしこれからこの種の問題ががたがた何べんも起こってくれば、私はある意味では、図案家からいえばそれは行政機関当局である文化庁の怠慢だと、こうなりますね。その法律をつくり得なければ、わが国会の怠慢でもあるし、その事情を知りながら、あなた方が審議会をのろのろと運営しておるのをわれわれが黙って見ておるわけにいかぬ、こうなる種類の問題である。近代国家というのは、やはりそれぞれの人間の創作的行為に対して、それを権利として認める方向で整理をすべきものだと私は思います。もう一ぺんゆっくり答えてください。
○安達政府委員 先生のお話、非常に身にしみましてよく頭に入れまして、しかるべく措置をいたしたいと思う次第でございます。
○永末委員 外務大臣、外務省というものがやっている行為にはいろいろなものがございますが、たまたまいま審議をいたしておりますベルヌ条約並びにパリ同盟というような、その仕事の内容は外務省プロパーの仕事ではない。いま外務委員会にこの批准条約案がかかっておりますけれども、その内容は外務省プロパーではなくて、他の官庁、通産省であるとかあるいは文部省であるとか、そういうものの主として国内法による実施をやっている、そういう種類のものなんですね。これはあとで河上先生がお聞きになりますけれども。しかしながら国際条約である限りにおいては外務省所管だから、これらの問題も条約案の批准ですから外務委員会にかかる。そういう中身が国内法上他省に関係するものであって、国際的な関係があるから外務省がその限りにおいて所管しているというものに対して、外務省は日本政府全体の行政運営という面から、もっと慎重にいろいろなことに眼を配って処置をしなければならぬはずだ。これに限りませんけれども、どうもその辺に、おれのところのプロパーのものでないからほうっておいたらいいのだ、こういう感覚があるのではないか。あなたはきわめて経済に通暁しておられますから、これから外務省のやる外交問題の処理について、たとえば通貨の問題あるいは国際通商の問題等も大いに外務省が考えなければならぬ。いままでのように通貨は大蔵省だ、それから通商は通産省だということではいかぬということをあなたもどこかで言明しておられましたが、似たように、それは文部省であっても同じことである。そういう他省に関係のある、イントラミニストリー・アフェアーズとでもいいますかね、しかもそれがインターナショナルな問題になり得るもの、こういうものについて外務省はきちっと掌握をして処置をする、こういう姿勢が望ましいと思いますが、いかがですか。
○宮澤国務大臣 永末委員の御指摘のとおり、国際的な案件につきましては最終的には外務省が責任を負わなければならないわけでございますが、ただいま御指摘のようなことが従来ややもするとありがちでございまして、実は今晩もたいへんにおそい時間に委員各位に現在条約を御審議願うようなことになりまして、これにつきましては私どもいろいろ実は手落ちがございまして、後ほどお尋ねがあれば申し上げますが、まことに申しわけないことであります。 ただいまのような御指摘の点は、過去にもそういうことがございましたので、今後よく注意してまいらなければならないと思っております。
○永末委員 せっかく御研さんをいただきますように。 終わります。
○有田委員長 河上民雄君。
○河上委員 先ほど外務大臣にお尋ねしたいということで留保させていただきました問題について、大臣お見えになりましたのでお尋ねをしたいと思います。 いま批准を求められております四本の、知的所有権関係の条約の中で、ベルヌ条約、パリ改正条約について特にお尋ねをしたいのでありますが、これは前の通常国会でもるる私がいろいろな点にわたって御質問もし、また指摘したのでありますが、今回の政府の訳文は必ずしも適切でなく、また訳語の定義も非常に明確でないという点が見られるのでございます。一応正文は条約の効力上フランス語及び英語であるということでございますけれども、日本国民は日本の政府訳に影響されるところが非常に大きいわけでございますので、この際、疑問点を明確にし、このようなあいまいな訳を繰り返さないでいただきたい、こういう気持ちで御質問いたしたいのでございます。 もう時間もございませんので、私ただ一点だけ特に大臣にお尋ねいたします。 大臣は日本の政治家の中で英語のたんのうな点においては現代有数の方でございますので特に御答弁をいただきたいのでありますけれども、たとえていいますと、本条約第十四条の二の(3)項に「映画の著作権の主たる制作者」とありますが、この「制作者」というのは「ころも」を下につけない制作者でありますけれども、このことばは英語の正文ではプリンシパルディレクターとなっております。これは常識的に見れば「制作者」と訳すよりもむしろ監督と訳すのが妥当である、こう思うのでございます。なぜここで「制作者」と訳したか、背後の意図をいろいろ憶測いたしますといろいろあり得るんでございますけれども、ともかく何らかの理由でこうされたと思うのでございますが、これを国内法たる著作権法第十六条にある映画の著作者の規定に照らしてみますると、これによりますと映画の著作者というのは「制作、監督、演出、撮影、美術等を担当して」とあるわけでございますが、そのうちこの制作を担当する者はいわゆるプロデューサーのことだと国内法ではされておるわけです。そして英語のディレクターに当たるものは国内法の第十六条によりますと監督、演出を担当するものである、このようにはっきりとなっておるわけですね。そういたしますると、国内法の規定から見ましても今回の条約の訳文というものの訳語の混乱というものは非常に大きい、これは軽々に見のがすことはできないと思います。 特にこの著作権に関する規定というのは、たとえば一本の映画をつくるにあたりまして、一体著作権は会社にあるのかあるいはそのプロデューサーにあるのか、あるいはディレクターである監督あるいは演出を担当する者にあるのかということをきめるのが大体主たる目的であります。そういう点から考えましても、本条約第十四条の二の(3)項にあります「主たる制作者」が英語にいうところのディレクターであるということ、つまり監督または演出を担当する者であるということを、この際政府を代表する外務大臣の責任において明言され、将来条約の解釈上混乱が起きないようにしていただきたいと特に切望いたす次第でございます。
○宮澤国務大臣 御指摘のように、われわれ日本人は日本語で読み日本語で解釈をするのでございますから、条約の法文の作成につきましてはきわめて慎重でなければならないことば、仰せのとおりであります。 ただいまの件につきましては、実は事務当局から説明を受けまして、河上委員の仰せられますような問題がございます。そこで、今後解釈にまぎれを生じませんように、あらためまして政府の立場を申し上げます。 ただいま御指摘のありました本条約第十四条の二(3)にいう「制作者」につきましては、これは英語のディレクターの訳語であり、事務当局からも御説明申し上げたと思いますが、通常の場合、監督または演出を担当する者をさすものでございます。
○河上委員 外務大臣から非常に明快な御答弁をいただきましたので、これはひとつ今後混乱の起きないように、権威ある注解として記録していただきたいと思うのでございますが、なお、文化庁でこの著作権に関するいろいろな条約あるいは国内法などの法令集のようなものを作成する場合に、このような点を本条約の訳文に一つの解釈として付記せられることができるならば最も望ましいと私は思います。文化庁、いかがでございますか。
○安達政府委員 映画の場合はいろいろ複雑な事情も想定されますので、特別な場合は別といたしまして、ただいま宮澤外務大臣の御発言にありましたように、通常の場合、劇場用映画にあっては監督を担当し、またテレビ用映画にありましては演出を担当して、それぞれ映画の著作物の創作の中心的存在というような点でございますので、この点につきましては、文化庁で発行するような法令集等につきましてはこういう注記をいたしまして、誤りのないようにしたいと思う次第でございます。
○河上委員 以上で終わります。
○有田委員長 松本善明君。
○松本(善)委員 本日はこの条約の審議について急速、しかも異例で晩九時近くまでも審議をしなければならないということになったことは、外務省きわめて責任が重いと思いますが、この点について一言大臣から御釈明をいただきたい。
○宮澤国務大臣 先ほど河上委員にも申し上げたところでございますが、私どもの内部に連絡不行き届きの手落ちがございまして深夜御審議をいただくようなことになりました。まことに恐縮なことでございます。今後こういうことがございませんように、十分政府部内の連絡に注意をいたします。
○松本(善)委員 虚偽の又は誤認を生じさせる原産地表示の防止条約に関して若干の御質問をしたいと思います。 南アフリカ共和国からのクロム鉱の輸入の問題については、報道によりますと日本側統計では七二年実績七十万トン、それから南アフリカ統計で五十万トンといわれておりますが、その差が二十万トンありますが、これはどういうことでこうきているのだろうか。それから、国連で経済制裁を受けておりますローデシアから来るものがあるという疑惑も生んでいることは、いろいろ報道されているので御存じのとおりと思いますが、七二年と七三年の実績、ローデシアからのクロム鉱が入ったかどうか、こういう点について御報告をいただきたい。
○宮澤国務大臣 私が報告を受けておりますところによりますと、統計上の差額はやはりただいま松本委員のおっしゃいましたような数字に近うございますが、七二年のわが国の通関統計実績では、南アからの輸入は四十四万五千トンでありまして、南ア側の輸出統計上は対日輸出は二十五万三千トンとなっておるよしでございます。その差額は十九万二千トンでございますので、差額につきましては、松本委員が言われました数字と類似をいたしております。 どうしてこういうことがあったのかということ、私もさだかにはっきりいたしませんけれども、ロレンソマルケスで積み出すということのようでありまして、南アからロレンソマルケスへ仕向けますときの仕向けと、ロレンソマルケスから仕向けますときの仕向け、つまりそれ以上のものがロレンソマルケスで仕向けられるときに日本に仕向けられるということになりますと、こういう統計上の差は出てくるわけでございますが、御指摘のようなローデシアの問題もございまして、私ども南アからの輸入については、商業会議所の原産地証明をつけるというようなことをやってはおります。国連決議の趣旨にたがいませんように十分注意をしておると聞いておりますけれども、それでもこういう統計上の差額が出て、実情がどういうことであろうか、問題が問題でございますので、よく調べてみる必要があると存じます。 なお、過去の統計の不突合、つき合いません分につきましては、ただいま政府委員から御説明申し上げます。政府委員がおりませんので私から申し上げます。 一九六八年ごろから申し上げますが、わが国の通関統計による受けは十七万九千トン、南アの対日輸出の数字が十三万五千トンでございます。六九年、わが国側が二十四万六千トン、南ア側が十五万四千トン。七〇年、わが国側が七十一万トン、南ア側が二十七万四千トン。七一年、南ア側が七十二万トン、わが国側が三十五万五千トン。七二年につきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。
○松本(善)委員 いま審議をしておりますような条約ができましても、ローデシアからのものが南アフリカ名義で入ってくるというようなことが起これは、やはり実際と名目とがたいへん違うということになって、きわめて遺憾だと思うわけでありますが、十月二十九日に木村前外務大臣は、ローデシア産のクロム鉱が南アフリカ産に混入された形で輸入されている事実はいまや認めざるを得ないというふうに言われておるわけです。そういたしますと、国連の経済制裁措置に違反をしていることになるわけですが、この問題についていま調査をするということを宮澤外務大臣は言われたのですが、もはやこれは動かしがたい事実になっているのではないか。外務省がこれから調査をするというのでは、きわめて怠慢ではないかと思うのでありますが、あるいは外務大臣が聞かれてなかったのかもしれませんが、実際にはローデシアのものが入ってきているのではありませんか。
○宮澤国務大臣 私、よくつまびらかにいたしませんけれども、いかにも数字の差が大きいので、仕向け港で云々という説明だけで説明しきれるものであるかどうか問題があるように思います。調査云々と申し上げましたのは、過去のこともさることながら、ああいう国連の決議があって、わが国はそれを誠実に順守をしておるつもりでありますのに、こういうことが起こっておるということは、将来に向かって放置することができないと考えますので、何かのことをしなければならないのではないか、こう思っておるわけでございます。
○松本(善)委員 十月二十九日にアフリカ統一機構が、日本政府と企業が国連決議を無視をして南アフリカなどと深い経済関係を結んでいるということを非難した文書を国連で発表していることは御存じかと思いますが、また十一月四日には、木村前外務大臣が訪問中に、ザイールのウンバ外相が、日本はなぜ人種差別に協力するのだ、なぜすぐ改めないのか残念に思うという発言をしていることも報道をされているわけです。いま私は、アフリカ諸国あるいは中近東からアフリカの開発途上国との外交というものはきわめて重要だというふうに思いますが、南アフリカに対しては、スポーツや文化交流の禁止はすでに発表しておりますけれども、経済交流も断ち切って、人種差別政策というものをやめさせるということについて、非常に強い決意を持ってやるべきではないかというふうに私は思います。そういうような態度を日本政府がとるということが全体の外交政策上も非常に重要なことだというふうに考えますが、外務大臣、いかがお考えでしょうか。
○宮澤国務大臣 全く御指摘のとおりと思います。本来、わが国は、われわれ民族の置かれております事情からも、いわゆる人種差別については昔からきわめて強い反対の態度をとっておりますし、アパルトヘイトについても同様でございます。したがって、ローデシアに対する国連の決議等も順守をしなければならないというふうに考えてきておりますし、また南アに対しましても正式の外交関係を持たず、またスポーツなどの入国についても最近は入国の査証を出さないこともいたしておりまして、政府の基本的な心がまえは、さようにはっきりしておると思いますし、また先般、木村前外務大臣がアフリカ諸国を訪問されましたときにも、その辺は誤解のないようによく説明をされて理解をしてもらっておるようでございますけれども、どうも先ほど御指摘のような統計上の大きな違いが出てまいったりしておりまして、われわれがこいねがっておるところと現実とが絶対に一致しておるのかどうかということに疑問を抱かなければならないような点もあるようでございます。 これらの点は、そのようなことが今後ございませんように注意をしてまいらなければならないと思いますが、最近、南ローデシアにいたしましても、南アにいたしましても、従来の態度についてかなり考え直すというような具体的な動きが見えておるころでもございますので、ことさらわれわれが道義的な、圧力ということばは多少語弊がございますかもしれませんけれども、そういうことによってアパルトヘイトというようなものがなくなっていく、そういうことにわが国としても最大の努力をいたすべきであろうと考えております。
○松本(善)委員 十月三十日に国連の安保理事会では、南アフリカの追放決議案がアメリカとイギリスとフランスの三常任理事国の拒否権ではばまれたわけであります。政府はこの南アフリカ追放決議については妥当だというふうには考えておりませんか。
○宮澤国務大臣 もともと人種差別、アパルトヘイトに対する政府の態度は先ほど申し上げたようなことでございますので、決議案の趣旨としておる意味はよく了解はできるわけでございます。しかし、それをあのような形で国連に、事実上会議に参加を許さないというような形で問題を投げかけることがよろしいのか、あるいは国連の内外における説得、道義的ないわゆる圧力によって態度の改変を迫ることのほうが賢明であるか、その辺の判断の問題があったと考えるのでございます。したがって、決議の趣旨とするところはよく理解をし、了解をしておりながら、あのような方法によることが適当であったかどうかということについて一つの判断をいたしたものと考えております。
○松本(善)委員 まあ決議を出すということになってくるというのはよほどのことで、いま外務大臣も言われたような方法がなかなか成功しないからそうなってきているのだと思いますが、この次また出てくるというようなことになると、ますますそういう事態だろうと思います。そういうことが起こった場合には、私は経済交流の中止も含め、追放決議を支持するという態度を日本政府は当然出すべきだというふうに考えますが、いかがでしょう。
○宮澤国務大臣 本来から申しますれば、現在、南ローデシアあるいは南アに起こっておりますような最近の動き、これはかなり従来とは違った、いわば事態に目ざめた動きのように考えておりますので、そういう推移の中でもう一度追い打ちの決議を出しますことがそれを促進することになるのか、あるいは逆に逆効果を及ぼすのかという判断は、これはよほど慎重にいたしませんと、かえって目的をそこなうことになることがあるかもしれないと考えております。しかし、かりにやはり決議が事態を促進するという多数の判断があって、決議案が出されるというようなことが将来ございましたときには、ただいま申し上げましたような建設的な効果があるか、あるいは破壊的な効果になるかというようなことを判断しつつ、そのときにわが国としての態度をあらためて考える必要があろうと思います。
○松本(善)委員 終わります。
○有田委員長 これにて各件に対する質疑は終了いたしました。 —————————————
○有田委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、順次採決いたします。 まず、千九百六十七年七月十四日にストックホルムで署名された世界知的所有権機関を設立する条約の締結について承認を求めるの件について採決いたします。 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○有田委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。 次に、千九百年十二月十四日にブラッセルで、千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にへーグで、千九百三十四年六月二日にロンドンで、千九百五十八年十月三十一日にリスボンで及び千九百六十七年七月十四日にストックホルムで改正された工業所有権の保護に関する千八百八十三年三月二十日のパリ条約の締結について承認を求めるの件について採決いたします。 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○有田委員 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。 次に、千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にへーグで、千九百三十四年六月二日にロンドンで及び千九百五十八年十月三十一日にリスボンで改正された虚偽の又は誤認を生じさせる原産地表示の防止に関する千八百九十一年四月十四日のマドリッド協定の千九百六十七年七月十四日のストックホルム追加協定の締結について承認を求める件について採決いたします。 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○有田委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。 次に、千八百九十六年五月四日にパリで補足され、千九百八年十一月十三日にベルリンで改正され、千九百十四年三月二十日にベルヌで補足され並びに千九百二十八年六月二日にローマで、千九百四十八年六月二十六日にブラッセルで、千九百六十七年七月十四日にストックホルムで及び千九百七十一年七月二十四日にパリで改正された千八百八十六年九月九日の文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約の締結について承認を求めるの件について採決いたします。 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○有田委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。 おはかりいたします。 ただいま議決いたしました各件に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任類いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○有田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○有田委員長 次回は、来たる二十四日火曜日、午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後八時四十三分散会