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73回国会参議院1974/11/14

法務委員会 閉会後第3号

発言数
329
登壇者
22
会派数
5
開催日
1974/11/14

会議録

多田省吾公明党

○委員長(多田省吾君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。  去る十二日、棚辺四郎君及び植木光教君が委員を辞任され、その補欠として町村金五君及び鹿島俊雄君が選任されました。  また昨日、鹿島俊雄君が委員を辞任され、その補欠として棚辺四郎君が選任されました。     —————————————

多田省吾公明党

○委員長(多田省吾君) 次に、理事の補欠選任についておはかりいたします。  委員異動に伴い、現在理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事の補欠選任を行ないたいと存じます。  理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

多田省吾公明党

○委員長(多田省吾君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に棚辺四郎君を指名いたします。     —————————————

多田省吾公明党

○委員長(多田省吾君) 検察及び裁判の運営等に関する調査を議題といたします。  先般、本委員会が行ないました司法行政及び検察行政に関する事項等の実情調査のための委員派遣について、派遣委員から報告を聴取いたします。  まず第一班の御報告を願います。棚辺君。

棚辺四郎自由民主党

○棚辺四郎君 派遣委員を代表して、第一班の調査の結果を報告します。  去る十月十四日から同十七日までの四日間、多田委員長、下村委員と私、棚辺の三名が、福島県、山形県、秋田県において、最近における司法行政及び法務行政並びに裁判所及び法務省関係の庁舎施設の営繕に関する事項について実情を調査いたしてまいりました。  まず、十月十四日、十五日、十七日にそれぞれ福島、山形、秋田の各地方裁判所に関係当局の参集を願い、現地の実情聴取を行ない、質疑の後、営繕状況等の視察を行ないました。また十六日には、山形刑務所最上農場の開放処遇の実情を視察いたしました。  以下、調査の結果の要約を申し上げます。  第一に、福島、山形、秋田の各地方裁判所管内における事件の概況を見ますと、民事第一審訴訟事件の新受件数は、地裁及び簡裁ともにこのところ横ばいないし減少の傾向にあります。また、民事調停事件も同様であります。しかし、社会状況のめまぐるしい変化により、事件は複雑化、多様化しております。  次に、地裁における刑事第一審通常事件の新受人員は、ここ数年やや減少の傾向にありますが、簡裁における略式及び交通即決事件数は、年ごとに急上昇しております。  第二に、各家庭裁判所管内における事件の概況を見ますと、まず家事審判事件は、福島ではやや増加、山形、秋田ではやや減少の傾向にあります。三家裁に共通した特色は、相続放棄申述事件数の甲類審判事件のうちに占める割合が、山形の七〇・三%(昭和四十八年)を筆頭に大変高いことであります。  次に、家事調停事件は横ばいないしやや増加の傾向にあります。  次に、少年保護事件を見ますと、一般保護事件は横ばいの傾向にありますが、交通保護事件は再び増加の傾向にあります。昭和四十五年の道路交通法改正により、少年にも反則金制度が採用されたことにより、少年の道交法違反事件は大幅に減少したが、最近の再増加の傾向には注意する必至があります。  第三に、各地方検察庁管内における昭和四十六年以降の犯罪の概況を見ますと、刑法犯・準刑法犯は漸減の傾向にあり、特別法犯は逐年増加しております。受理人員のうち、大きな比率を占めている交通関係事件について見ますと、業務上過失致死傷事件はやや減少、道交法違反事件は年々増加の一途をたどっております。自動車の増加と道路整備が進む中で、東北地方における各県警のきびしい取り締まりが以上のような傾向を生んでいると思われますが、悪質事犯に対してはなおきびしい措置が必要かと思われます。  次に、刑法犯等のうち、三県下とも暴力団関係事件が多く、広域暴力団進出による各種抗争事件が発生し、組織再編成の動きがあるなど、なお厳重な警戒と監視が続けられております。  次に、公害関係事件を見ますと、いわゆる公害犯罪は発生しておりませんが、県及び市町村に対する公害に関する苦情申し立て件数は年々増加しており、また、公害防止関係法令違反事件も年々増加しております。  次に、最近の社会情勢を反映したおもな事件を拾ってみますと、米価の逆ざや現象を利用した食管法違反事件、米生産調整奨励補助金などの不正受給事件、ゴルフ場建設をめぐる農地法違反事件のほか、東北三県及び北海道にまたがるいわゆるネズミ講事件などがあります。  第四に、各地方法務局管内における概況を申し上げますと、登記事件数の著しい増加とこれに対応する職員不足の問題がここでも深刻であります。これは従来から強く指摘されてきたことでありますが、「いまや職員の事務負担は限界を越え、このまま経過するときは各種需要にこたえることができず、経済の面にも公共事業推進の面にも大きな支障を来たすばかりでなく、職員の健康管理上からも憂慮すべき状態」(山形)とか、「複雑かつ大量の事件処理に日夜苦慮しているが、抜本的解決としては増員以外にない」(福島・秋田)との報告は、現場からの切実な要望であります。東北開発に伴い、さらに登記事件の増加と複雑化が予想されるほか、現在の社会情勢を反映し、ますます重要となる訟務及び人権擁護関係の充実のためにも法務局職員の大幅な増員が早急に必要であります。  第五に、福島、山形、秋田の各刑務所及び少年鑑別所の概況を見ますと、まず各刑務所の収容状況は、秋田が未決を含めて若干オーバーしているほかは各施設とも定員内にあります。また処遇困難者は、B級施設である福島が十一名で約二%、同じくB級施設でありかつ収容者の一二・五%が暴力団関係者である秋田が二十七名で約五%、A級施設である山形は四名で〇・八%となっております。  次に、少年鑑別所の収容人員は近年横ばいないし減少の傾向にありますが、地域の鑑別センターとしての重要性が高まっております。  第六に、福島、山形、秋田の各保護観察所の関係でありますが、最近事件数こそ減少の傾向にありますが、なお観察官一人当たりの保護観察事件数は、少ないところでも百件をこえており、対象者の処遇の多様化と直接処遇の強化が叫ばれている現在、保護観察官の増員は今後も継続して行なう必要があり、かつ地方への配置と駐在官事務所の整備があわせて必要であります。  次に、保護司に対する実費弁償金支給の基準が低過ぎるとの指摘がなされ、現地からは、保護司の日ごろの社会浄化活動に対する実費弁償として年額六千円程度の支給が考えられないか等の意見が出されました。  以上で司法行政及び法務行政に関する報告を終わり、次に営繕状況を見ますと、まず裁判所関係では、本所・支部についてはほとんど整備を終えつつありますが、福島、山形、秋田の三地裁管下の独立簡裁二十四庁のうち、十庁が昭和二十四年から二十六年の戦後間もない資材の乏しい時期に建てられており、経過年数及び老朽度から見て改築の必要があると考えられます。  次に、検察庁関係では、福島地検いわき支部、山形地検酒田支部、秋田地検の横手、能代、湯沢、大曲の各支部などに老朽化が目立ち、改築の必要があります。また、区検についても整備の促進が必要であります。  次に、各地方法務局関係の実情を見ますと、建築後三十年以上経過したものが、福島管内に九庁、山形管内に六庁、秋田管内に九庁あり、整備のおくれが目立っております。また木造庁舎が多く、たとえば秋田管内では十六庁と全体の四六%を占めており、国民の財産・権利に直接関係する登記簿を保管する法務局・出張所の状態としては問題があると考えられます。なお一そうの整備促進が必要であります。  次に、矯正施設の状況を見ますと、大正ないし昭和初期に建てられた福島刑務所郡山拘置支所、山形刑務所米沢拘置支所、同酒田拘置支所は、現代の未決拘禁者処遇にふさわしい施設に改築する必要があります。また、明治四十五年建築の秋田刑務所はもとより、戦後間もない時期の建物である山形刑務所最上農場も老朽化が進んでいるので、ぜひ改築して処遇の効果を一そうあげ得る施設にすることが必要です。また、福島少年鑑別所については改築、山形少年鑑別所については工事の促進が望まれます。  次に、今回の営繕状況の調査、視察を通じて共通して言える点を以下述べます。  申すまでもなく、今回対象となった関係施設・庁舎は、豪雪地帯に存在し、気候も寒暑の差が激しい地にあります。したがって、その維持管理にはたいへんな苦労があり、関係者の日ごろの努力に敬意を表するわけでありますが、今後なお庁舎・施設の整備充実と、なかんずく職員宿舎の充実に関係当局の一そうの努力を期待し、また、大蔵当局のこの地方に対する特段の理解と配慮が必要であると考えます。  昨今の異常な資材の高騰と不足並びに政府の総需要抑制の措置により、山形地検米沢支部、鶴岡法務合同庁舎など数庁に新営工事のおくれや予算の不足による当初の建築計画の変更という事態を来たしたものがあります。庁舎は今後長期間使用の目的をもって計画されたものであり、したがって、このような事態を招かないように予算の不足分の手当てをするのはもちろんのこと、関係住民の不便と職員の執務上の支障を考え、工事の促進が必要であります。  以上で調査の報告を終わりますが、最後に、今回の調査にあたり、現地の関係各機関並びに最高裁判所及び法務省から終始懇切なる御協力をいただきましたことに対し、厚く御礼を申し上げます。  以上であります。

多田省吾公明党

○委員長(多田省吾君) 次に第二班の御報告を願います。佐々木君。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 委員派遣第二班の調査の結果を報告いたします。  委員派遣の第二班は、白木義一郎理事、岩本政委員と私、佐々木の三名が十月十四日から十九日までの六日間、北海道内の札幌、旭川、釧路の各地において裁判所及び法務省関係各庁の管内概況並びに庁舎施設の営繕状況について調査してまいりました。  調査の対象は、札幌高裁、同地裁、同家裁、札幌高検、同地検、札幌法務局、札幌矯正管区、北海道地方更生保護委員会、札幌入国管理事務所、旭川地・家裁、旭川地検、旭川地方法務局、旭川刑務所、旭川少年鑑別所、旭川保護観察所、釧路地・家裁網走支部、釧路地検網走支部、網走刑務所、釧路地・家裁、釧路地検、釧路地方法務局、釧路刑務所、釧路少年鑑別所、釧路保護観察所、札幌入国管理事務所釧路港出張所であります。  以下、調査項目に従って調査の概要を申し上げます。  調査項目第一、司法行政、検察行政及び法務行政について、調査の対象となった道内裁判所及び法務省関係の各庁の管内概況を概括的に申し上げます。  札幌高等裁判所の管内には、札幌、函館、旭川、釧路の四地方裁判所、家庭裁判所のほか、それらの甲号支部五、乙号支部十一、家庭裁判所出張所十七、簡易裁判所四十四が設置され、職員は裁判官約百六十名、裁判官以外の職員約一千名が配置されております。  事件処理状況を事件の新受件数について見ますと、近時北海道全域の開発に伴い逐年増加の一途をたどっておりましたが、ここ数年間の傾向は全国的傾向と同様、民事事件、調停事件は横ばいないし漸減の傾向にあり、家事審判、家事調停事件、刑事事件は漸増の傾向にあります。  事件の内容について見ますと、札幌を中心とする道央では、室蘭、苫小牧の近年の産業都市としての発展を中心に、社会経済情勢の著しい進展と変動、生活環境の都市化などに伴い、民事訴訟には医療関係訴訟、公害関係訴訟など実質審理に長期間を要する事件、宅地造成、マンション建築に伴う不動産取引上の紛争にからむ複雑な事件が増加し、札幌家裁苫小牧出張所では家事審判事件、家事調停事件はともに乙号支部取り扱い件数の上位に並ぶ事件受理状況となっております。道東釧路地裁管内では、最近の北見市の発展を受けて乙号支部北見の処理事件数が甲号の網走支部を全般的に上回ってきているところから、一時、網走から北見へ甲号支部移転問題が起こりましたが、それも現状維持に落着したとのことであります。刑事事件については、略式命令事件がいずれも増加の傾向にあります。  札幌高等検察庁管内の各地検、地検各支部、各区検は、裁判所に対応して設置されております。職員定員は検察官約百二十名、検察事務官など約五百八十名、計約七百名でありますが、その配置についても二人庁十七、三人庁六と少人数庁が多く、また本来の職務のほか月の半ばを越す当直勤務、除雪作業等が加わり、その勤務体制にはかなりきびしいものがあります。  事件処理状況は、受理人員は道路交通法違反事件の増加により総体的に増加の傾向にありますが、刑法犯の受理は業務上過失致死傷事件を含めても逐年減少しております。最近の犯罪の特徴は、社会諸情勢の変動を反映して内容も複雑多様化し、手口の悪質巧妙化がうかがわれ、また、覚せい剤事犯、暴力団関係事犯の増加が注目されております。  札幌法務局管内には、管区局としての札幌法務局のほか函館、旭川、釧路の三地方法務局と十四支局及び八十四出張所(うち一人庁四十二)があり、その職員数は五百七十六名であります。  法務局所管の登記、戸籍、国籍、供託、訟務、人権擁護の各種業務は、全般的な地域開発の進展に伴い逐年増加の傾向にあります。中でも登記事件は毎年十数パーセントの伸び率を示しておりましたが、本年度に入り政府の総需要抑制、金融引き締めの影響によりやや横ばいの状態を示しましたものの、各種地域計画の推進されている地方、あるいは北海道新幹線ルート近接周辺地域の登記所等では、その増加は著しく、蘭越、倶知安、留寿都に特にはなはだしいものがあります。一人庁の蘭越では、本年八月までに三千八百件を越え、昨年の同時期の四割以上の増加を示しており、その負担は事務応援により処理されています。このように全般的な業務量の増加に対し適正迅速な処理をはかるため、管理体制の強化、各種事務能率機器の導入等、事務合理化が進められていますが、職員の勤務過重はすでに限界に達しており、大幅な増員以外解決の方途なしとしてその実現方が強く望まれております。その他、職員の待遇の適正化を求め、行(一)四等級の予算定数の大幅増、あるいは釧路地方法務局帯広支局では機構充実強化のための課制の新設が望まれています。  札幌矯正管区内の収容施設として刑務所五、刑務支所七、少年刑務所一、少年院五、少年鑑別所四が置かれていますが、視察した網走刑務所について述べることといたします。  北海道の矯正施設は、明治三年札幌徒刑場の開設以来、北海道開拓の先がけをなしています。網走刑務所はその典型であり、北海道開発に貢献しつつ幾多の変遷を経て、明治三十六年網走監獄として独立し現在に至っています。  同所は、一千七百ヘクタールに及ぶ広大な管理地域を持ち、常時収容人員の半数に近い者を構外作業に出業させており、創設以来構外作業を主体とする農園刑務所として運営されてきたところに特色があります。処遇方針も、受刑者本人の発奮努力の度合いに応じて構外作業等開放的処遇へ移し得る道を開き、自然との接触、秩序ある生活への馴致を通じ、社会生活に対する順応性を助長するよう個別的なきめのこまかい指導をし、もってその更生復帰をはかることとしています。  他面、農園刑務所としての面では、最近は寒冷地農業の近代化を目ざし、酪農経営への転換拡充、不良耕地の土地改良、機械力の導入等を実施して効果をおさめてきたといわれ、この成果の上に札幌管区では、矯正施設の食糧自給対策の一環として、管区内にとどまらず全国的規模の配分実施の可能性について輸送対象、方法、経済性などを検討中といわれています。  北海道地方更生保護委員会は、管内に札幌、函館、旭川、釧路の四保護観察所のほか四駐在官事務所を置き、その職員定員八十八名のうち保護観察官は三十七名であります。保護観察官一人当たりの事件処理件数は、釧路について見れば、昭和四十八年度には常時平均保護観察事件百二十件、環境調査調整事件を含めると百五十件以上にも及ぶ網走、帯広の駐在官に至っては二百五十件の担当件数を擁しています。さらに本庁から遠距離にあって、しかも広大な保護区の中に配置されている保護司の指導、適切な処置の実施には困難が多く、また広大な地域内において初度面接、問題発生の場合の観察官の出張にも多大の時間を要することを考慮しますと、有効適切な保護観察の実施のためには、保護観察官の大幅な増員が緊要の課題となっているとのことであります。  したがって、現状ではBBS会、更生保護婦人会をはじめ民間諸団体の協力にまつところが大きく、その協力体制の中心となる保護司は、定員千三百七十人に対し、両三年の充足率は八八ないし八九%であり、また本年四月一日現在六〇歳以上の者は六百二十五人で約五〇・六%を占め、ここでも年齢の老齢化傾向は避けられず、保護観察官主流の体制確立のための増員の必要に拍車をかけております。  札幌入国管理事務所は、管下に六港出張所を置き、出入国の手続、外国人の在留管理などの業務を四十名の職員で処理しており、釧路をはじめ四港出張所の配置職員はそれぞれ二名ずつであり、日曜休日を問わず迅速な処理を要求される臨船業務は、出張所のない出入国港への出張をも含まねばならず、また、出張の際には港出張所の窓口業務の円滑な実施にも困難を生じており、増員による解決が求められております。  調査項目第二、裁判所及び法務省関係の庁舎施設の営繕状況について申し上げます。  関係庁舎施設は、逐次新営整備されてきておりますが、近々十年前後に建築されたものについても、その後の事件量の増加から増築を迫られるものが出てきております。  裁判所関係では、函館地裁管内木古内簡裁、札幌地裁管内夕張簡裁、旭川地裁管内深川簡裁、釧路地裁管内広尾簡裁、同斜里簡裁は、いずれも昭和二十四、五年ごろの木造建てのため老朽狭隘で改築が要求され、同様の事態にある札幌地裁岩見沢支部は五十年度着工予定であります。  検察庁関係で新営が望まれるところとしては、札幌地検浦河、小樽、岩内の各支部、同地検管内静内、倶知安の各区検、旭川地検留萌、紋別の各支部、同地検管内深川、羽幌、天塩、中頓別の各区検、釧路地検管内斜里、本別、十勝池田の各区検で、このうち留萌、斜里区検は四十九年度新営が決定、深川、紋別、本別は建てかえ要求中、十勝池田は検討中であります。  札幌法務合同庁舎は昭和三十八年竣工され、札幌高検、地検、法務局、公安局、更生保護委員会、保護観察所、入管事務所の七庁が入り、入居後の組織、機構の改正に伴う職員増、事務機器導入などにより、事務室、書庫、倉庫とも狭隘となり増築の必要が生じているが、屋上への増築が構造上無理とされ、第二庁舎の増築に迫られており、また現庁舎の換気・暖房等内部設備についてもすでに耐用年数を越え改善が望まれております。  函館地検本庁の法務合同庁舎についても同様の狭隘化が生じております。  札幌法務局、旭川地方法務局、釧路地方法務局管内三庁十二支局六十八出張所、合計八十三庁のうち木造建築が三十庁を占めるが、これは登記簿保管上問題であると思われます。なお、大正三年建築の札幌法務局小樽支局をはじめ多くの木造庁舎は、積雪凍上などから老朽著しく、また、ごく最近の新営庁舎を除くほか、旭川地方法務局稚内支局、同管内興部出張所、同羽幌出張所をはじめ大多数が逐年の事務取り扱い量の増加により狭隘化をきわめております。これらについては庁舎の拡張または増築が望まれております。また釧路地方法務局網走支局、同管内足寄出張所、同斜里出張所、同美幌出張所などは、他の出張所の統合受け入れを予想し、早急な増築が求められております。大かたの登記所では、登記簿収納の書庫に暖房設備を欠き、あるいは設備したため狭隘化をもたらすなど、いずれも改善を要する点であります。  矯正関係施設のうち、札幌刑務所、札幌拘置支所、室蘭拘置支所、旭川刑務所、名寄拘置支所、月形少年院、帯広少年院、札幌少年鑑別所、釧路少年鑑別所などは最近十年間に整備された施設であります。  釧路刑務所は、支所から出発したので狭隘であり、また集治監時代の古材を使用している上、同地の悪気象条件下老朽腐蝕が著しく、必要最小限の補修補強を加えている状態にあり、早急の改築を要しますが、移転候補地について整備計画中であります。網走刑務所の全面改築についても、昭和四十八年度から半直営方式で現在地内で着工し、その完成が待たれております。帯広刑務所は移転改築が決定し、昭和五十一年度竣工の予定でありますが、移転に伴う業務の円滑な遂行が問題になっております。札幌刑務所角山農場泊まり込み作業場の建物は老朽化し、建てかえが必要と思われます。函館少年刑務所は移転整備計画中であり、北海少年院、千歳少年院ともに整備補修を要するところであります。  保護観察所は、庁舎についてはおおむね整備されておりますが、釧路保護観察所では庁舎周辺の整備に予算的裏づけも欠き、種々不便を生じているので配慮を願うとのことであります。  宿舎の整備状況について。  裁判所関係では、裁判官宿舎の充足率はほぼ一〇〇%を示しておりますが、一般の職員については四割程度であり、道内裁判所間の職員配置転換を円滑ならしめる程度に必要度をとると、あと職員数の二割方宿舎の配分が必要と考えられております。  法務省関係で、まず検察庁関係の宿舎は、全職員を通じて六割から七割の充足率でありますが、各地検所管の既設宿舎の三割から四割は木造建物でだいぶ老朽化が著しく、中には居住困難な宿舎もあり、毎年多額の補修費を投入しても冬季凍上、すき間風、結露を防げず、職員の生活環境を害しておりますので、鉄筋コンクリートづくりの共同宿舎への建てかえを求めております。  法務局関係も同様の事情にあります。札幌法務局は管内職員数二百六十五名で職員宿舎は出張所に付置された居住室をも含めて百二十一戸あり、充足率は五割にも達せず、毎年の人事異動にも制約を受けており、この悪い宿舎事情改善のため五十一戸の宿舎の設置を要求しております。釧路地方法務局は、職員数百二十五名に対し宿舎六十五で約五割の入居率となり、二十三名の家族持ち職員が宿舎入居ができぬ事態であります。旭川地方法務局では、市内所在の大正昭和初期の建築の木造宿舎四戸について老朽化著しく、寒地不適として早急の建てかえを要求しております。  そのほか、札幌刑務所の宿舎は全部木造建てであって、本年中にその半数を、二、三年内に残り全部の改築を終える予定でありますが、早急な改築を求めております。網走刑務所の職員の宿舎二百十一戸は、明治大正年間の建物で大規模な補修を加えつつも、なお年月の経過は土台の腐蝕、冬季の凍上作用から全般に著しい老朽化をもたらしており、すみやかな全面改築を必要としております。函館少年刑務所、千歳少年院、紫明女子学院、帯広少年院、札幌少年鑑別所、釧路少年鑑別所、釧路保護観察所、札幌入国管理事務所から職員宿舎の整備が求められております。  以上で報告を終わります。  なお、今回の調査にあたり、現地の各関係当局、最高裁判所、法務省から懇切な御協力をいただきましたことに厚く御礼を申し上げます。

多田省吾公明党

○委員長(多田省吾君) 以上で派遣委員の報告は終了いたしました。  これより本調査に対する質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言願います。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 これは視察をした佐々木さんたちには恐縮なんですが、網走刑務所の移転の問題について、地元の町村から多数視察の前に陳情があり、そしてわれわれにも相当な強い要望もあった。私も実は調査に行く予定でありましたが、都合で取りやめたのですけれども、いまの報告を聞いてみると、関係の地元からそういう陳情がなされたようなお話もないし、それからまた一面網走刑務所の一部は改築をされているというお話も出ているので、一体これはどういうことになっているのか。  私は来られたときに、網走市が、網走刑務所というものが網走市の発展の上にも非常な関連性を持っているということで、非常にある意味では重要視をしている。しかし、設置された当時とは事情が非常に違ってきて、いまの網走刑務所の所在地は非常に都市に近いし、しかもいまの網走刑務所は、お話のように農業を相当重要視されているので地域も非常に広い。広大だ。そういうことから場所について、新しい学園都市の建設等もあって地元でもそういう要望も強い。したがって広大な刑務所の一部を開放してほしいというお話があったので、私は、開放といってもそう簡単にはいかぬのじゃないか、たとえば私の静岡市の刑務所も城内の非常にいいところにあって、これをやはり開放したいという要望があって、郊外に非常な広大な土地をもって移転をしたわけです。そして、あと地は駿府城内の非常にいいところで、地域のいろいろな点にいい影響を与えているわけです。網走についても、私はもしそういうような地理的条件のところなら、どこか適当な場所に土地を見つけて、移転をしてもらうというような話で土地の開放ということをやったらどうかという意見を申し上げたのです。  何か私、相当なたくさんの人が地元から陳情に来られているのに、いまの報告の趣旨には少しも盛り込まれていないし、逆な方向に進んでいるような話も一部聞かれるので、視察をされた方々にそういう地元の陳情はなかったのかということと、あわせて法務省の関係のほうで、そういう要望があるのに一部網走の刑務所の改修を進めているというようなことについては、そういうことを承知をされていないのか、そういう意図は全然考えていないのか、そういう点を両者からひとつお聞かせをしてください。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 いま松永委員から御発言のございました件でございますが、私の報告書の中に、網走刑務所の移転あるいは縮小というようなことにつきまして現地の方々から陳情があったということについて、その事項について報告を申し上げなかったのは次のような事情によるものでございます。  いま松永委員からもお話ございましたように、これは委員派遣の以前におきましても、おそらくわが党だけではなくて各党の法務委員に陳情があったと思うのでございますけれども、それで私どもも大いにその陳情を参考にさせていただきまして今度の派遣におもむいたわけでございますが、これはほかのところに参りましても、一人庁の廃止の陳情とか、その他民間からのいろいろな陳情がございますので、これはこの法務委員会の派遣の委員会としての陳情というかっこうをとらずに、個別的に各陳情を承るというかっこうで処理したものでございますので、ですから網走に参りましたときにも、この網走刑務所の縮小についての陳情を受けたことは事実でございますけれども、これはほかのところにおいてもいろいろと司法書士会その他の方々からの御陳情もあったわけで、それはいずれもこの報告事項からは個別的な陳情を受けたものとして削除したようなわけです。  陳情があったということは事実ですが、委員会としては陳情として受けなかったものですから、この報告事項からは除いたようなわけなんでございます。

香川保一法務大臣官房長

○説明員(香川保一君) ただいま御指摘の、網走刑務所の付近に学園都市を誘致するということから、網走刑務所の現在の農耕地、山林の一部を開放してほしいという陳情は、実は本年の九月ごろ市当局から私どものほうに参りました。  実は網走刑務所は、御承知のとおり相当建物が老朽化してまいっておりますので、年々部分的な改築を実施しておりまして、あと来年、再来年の約二カ年ぐらいかかって老朽のはなはだしい部分を改築しようということで、数年前から逐次やってまいっておるわけであります。もちろん、網走市当局の学園誘致は、それ自体網走市地域の発展のためにはきわめて有意義なものであることは十分了解するわけでございますけれども、現在まだ網走市に大学をつくるという正式な決定には至っていない。したがいまして、どの程度の学園都市、どのような規模のものがつくられるのか、さだかでないわけでございます。  したがいまして、私どもといたしましては、市当局に学園都市建設の上で網走刑務所の所有地の一部でも開放するというふうな必要があれば、できるだけの御協力は申し上げる基本方針でございますけれども、何ぶん具体的な計画がまだ私どもは十分承知いたしていない。したがいまして市当局には、具体化されればどの地域がどれくらい要るということをできるだけ早く明確にしていただきたいと。  御承知のとおり、ただいまの報告にもございましたように、網走刑務所は長年かかりまして農耕刑務所としてやっと最近十分な体制がとれるようになりまして、さらにこの上、処遇の最も効果的な方法としまして開放処遇に踏み切っておるわけでございます。したがって、この処遇体制、施策が根本的にくつがえるような形での網走刑務所の開放ということになりますと、これはちょっと大きな問題になりまして、協力申し上げるにも、その基本的な施策をくつがえさない限りにおいての御協力しかできないのじゃないかというふうに考えておりますが、何ぶん具体的な計画がまだ固まっておりませんので、それを承った上で御協議申し上げようと、かような態度でおるわけであります。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 お話はわかりました。学園都市のお話を聞いたときにも、明確にそれじゃどこへつくるかということが北海道としてきちっとしているとか、あるいは国としてきちっとしている状況ではないというお話も聞きましたが、その準備体制にもう全部入っているというお話はあるわけであります。  それから、私はやはり刑務所の中の矯正事業として、刑を終えた人たちが更生するために、刑務所に入ったときに職業を習う。そういうもののために、ある場所では農業、ある場所ではあるいは製糸とかそういうようなことをやるとか、あるいはその他の適当な仕事がなくて実は非常にそういう面で困っているという点は事実だと思うのです。そういう面で、そういうふうな中心になる施設をきちっと確保しながら刑務所の仕事をやっていかなければならぬということは、私はそのとおりだと思うのです。ただしかし、地元のお話など聞いてみると、必ずしもいま農業を中心としたそういうことが網走の刑務所として適当であるのかどうかということについては、何か問題があるように私たちもお話を聞いたわけです。それは職業事情から考えてみても、はたしてそういうことを受刑者に指導して、それが更生につながるだろうかどうかということになると、必ずしもそう簡単には言えぬと思うのです。だから、そういう面についても私はやはり根本的に検討する必要がある。  また、それがもし他の仕事を中心にしてやるというなら、その施設を地元なり協力する者が協力していくというのは当然だ。私の静岡の刑務所あたりでも古い製糸の設備を持っていたけれども、それが一つの大きな施設であったが、今度移るにあたっては新しくそういう施設をつくってやったことは事実なんです。必ずしもいつまでも同じ仕事が中心というわけにもいかぬので、こういう点についても私は、われわれもまだ詳しくそういうことを調べているわけではないけれども、検討してみる必要があるのじゃないかと思う。  そうして、一部縮小なら協力するけれど、根本的なことだからだめだというお話だけれども、根本的なことがはたしてできるのか、できないのか。それに対して地元の協力体制はあるのか、どうなのか。そういう点が問題だと私は思う。ただ広いから地所を一部開放してくれ、もう必要ないからどこかへ行ってくれというのじゃ困る。必要があってやっていることであるので、そういう施設などを確保する条件を出して根本的な話し合いをする必要があるのじゃないかということを申し述べたわけで、いまの法務省の考え方はわかりましたけども、なお地元に具体的にそういう要望があれば、十分にひとつ弾力性を持って協議をしていただくということを、私も地図を広げ現地を見たわけじゃありませんけれども、比較的長い時間説明を聞いてみて、地元の要望もまた一つの強い要望だということを感じたわけです。  なお調査報告については、特に私は地元市町村等が要請したような問題についてやはり触れておいていただくことは、せっかく調査に行かれた方々に大ぜいの地元市町村の人たちが要望されたら、そのことについてはわかるようにしていただくことのほうがこれからの調査の効果の面に非常に必要だと考えて、やや意外に感じましたのでその点質問いたしましたが、事情はわかりました。ぜひひとつ調査の結果をまた生かして、法務行政の充実をはかると同時に、地元地域の要望にも沿っていくようなぐあいにはかっていただきたい。要望しておきます。

多田省吾公明党

○委員長(多田省吾君) いま松永委員よりお話のありました点につきましては、すなわち、地元市町村等からの委員派遣における陳情等があった場合は派遣報告書等にも明記するようにというお話につきましては、理事会等においても検討いたしまして、お話の趣に沿うようにいたしたいと思います。     —————————————

多田省吾公明党

○委員長(多田省吾君) 濱野法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。濱野法務大臣。

濱野清吾自由民主党法務大臣

○国務大臣(濱野清吾君) 私は、このたび法務大臣に就任し、法務行政を担当することになりました。内外の諸情勢が変動を続け困難な問題が山積しているこの時期に当たり、その職責の特に重大であることを痛感いたしている次第でございます。委員の皆さま方の御理解と御協力を賜わりまして、法務行政の運用に遺憾なきを期したいと存じておりますので、どうかよろしくお願いいたします。  つきましては、この機会に法務行政に対する私の基本的な心がまえを申し上げたいと存じます。  法務行政に課せられた使命は、何にもまして、法秩序の維持と国民権利の保全にあると考えております。国家社会の平和と繁栄を確保し、国民の幸福を守るためには、その基盤ともいうべき法秩序がゆるぎなく維持され、国民の権利がよく保全されることがとりわけ肝要と存ずるのでございます。この観点から、より厳正公平な検察権の運用に努力を傾注することはもちろん、人権擁護の面において遺憾なきを期し、登記事務その他の民事行政事務についても、その充実に尽力するとともに、裁判が適正迅速に行なわれ、国民の司法に対する一そうの信頼を確立するよう十二分に配意する所存でございます。そして、絶えず社会情勢の動向に注目し、法務行政の各分野において時代の要請に応じた適切なる制度の運営をはかる等、法秩序の維持と国民の権利保全のために万全を期してまいりたいと考えております。  以上、はなはだ簡単でございますが、私の心持ちの一端を申し上げて、委員の先生方の御支援を切にお願いいたしたいと存ずる次第でございます。     —————————————

多田省吾公明党

○委員長(多田省吾君) 本調査に対する質疑を続行いたします。質疑のある方は順次御発言願います。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 私は法務大臣に、まず、いま当面問題になっております田中首相の金脈の問題、文春問題について、国会でいろいろ議論をされている点がありますが、およそ政府の考え方、あるいは答弁等を通じて考え方が明らかになっている点がありますが、この点について法務大臣がどうお考えになっているのか、お聞かせをいただきたいと思います。  国政調査権と守秘義務の問題の論議の中で、まず大蔵大臣が、国政調査権の尊重は当然である、答弁とか資料の提出はケース・バイ・ケースで判断をしたいというようなことを言われております。また、かつていわゆる造船疑獄が問題になった当時に、小原法務大臣が疎明をいたしました。その中に「貴委員会が国政調査権に基いて、公益上必要ありとして調査される場合、職務上の秘密であってもできる限り証言等の承認をするのが望ましいことであるが」というふうに言われているのも、いわゆる国政調査権を尊重しようという趣旨にほかならないというふうに思うわけであります。また同時に、これは磯辺国税庁次長が、国政調査権と公務員の守秘義務とどちらが優先するかはケース・バイ・ケースで考えなければならないということも言われているのであります。  また、今度の参議院の大蔵委員会等で、法制局長官は個別の問題について、守秘義務を解除するには公共の利益がどの程度増進されるか、それとも不利益を生ずるかを考え、ケース・バイ・ケースで処理したいというようなことを言われている。同時にまた、昭和四十一年二月に参議院法制局の出した見解を法制局長官も認めて、「国税徴収事務が純然たる行政権の範囲に属し、従って国政調査権の対象となり得ることは疑いを容れない。」「その要求が適法な国政調査権の行使としてなされるものである以上は、単に公務員が職務上知り得た秘密事項であるという理由だけでは直ちに拒否することはできないものと解される」、そうして職務の秘密に該当するものについて手続が議院証言法に移行した場合には、また証言等が国家の重大な利益に悪影響を及ぼす旨の内閣声明要求をする場合には、そういう展開のしかたも一つある。こんな点が明らかになったわけであります。  つまり、国政調査権は尊重されなければならない、そうしてその要求が適法な国政調査権の行使としてなされる場合には、単に公務員が職務上知り得た秘密であるからといって拒否することはできない、それはケース・バイ・ケースで考えていこう、こういうことに大体いまの政府側のほうの答弁が統一をされているというか、そういう重点の答弁がされてきつつあるということについて、何か法務大臣は、いやそれとは全然違っている、それとは別の考え方がある、こういうお考えであるなら法務大臣の考え方をひとつお聞かせをいただくし、大体私のいま言ったようなことの趣旨である、賛成であるというならばその趣旨を言っていただくし、そうした点で御答弁いただきたい。

濱野清吾自由民主党法務大臣

○国務大臣(濱野清吾君) 第一の、いま世間を騒がせている事案でございますが、法務省といたしましては、私どもの守備範囲、法秩序の維持、この問題は貫くつもりで考えております。まだ事実の解明ができておりませんので、その後私どもの終局的な意見を申し述べさせていただきたい。いずれにしても、たとえどんな人であっても法秩序は守らなきゃならぬ、それが法治国家として当然だ、こう考えておるわけでございます。  第二点の国会の調査権と守秘義務の問題でありますが、大蔵委員会あるいはその他たくさんの先生方からいろんな意見が出ておりますし、あるいは各議会の法制局長の御意見、お考え方、あるいは政府側の法制に関する専門家の意見、まだ一致していないようでございます。さらにまた大蔵省当局の考え方、これもまた、だんだん調査権の優先というような方向に向かっているようでございますが、まだ省としても大蔵省とも上下一致していないように考えられます。  私は、そういう現状においていろんな意見、いろんな議論がある中で、法務大臣が法秩序を守る上から、やはりこの問題は法解釈や現実の問題を対象としての意見でございますから、もう少し議会で審議していただいてそれに従いたい、こう考えているわけでございます。もとより私は法律の専門家ではございませんから、そうした微妙な、そうして大事な事件について法務大臣が積極的な意見を述べるべきでありましょうけれども、実は残念ながら、正直に申し上げましてそういう法律上のむずかしい問題は知識がございません。ただ少なくとも、これは私自体が議員でありますから、私自体議員としてはただいま考えを持っておりますけれども、もう少しひとつ私どもにも研究させてもらいたい。事がまことに重大であるし、代議政治の基本に触れる問題でありますし、国会は最高の権威だといわれているのに、それがどうも行政の守秘義務というようなことでやられたのでは困るじゃないかという気持ちも、個人としては持っているのです。しかし、それぞれの当局がそれぞれの行政部内におきましても意見のあるところでございますから、私どもにも十分勉強させてくれる機会をお与えくださるようお願いいたします。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 法秩序を維持するということを一つ大きな念願としていきたいというお話はわかりました。  第二点としては、いま法務大臣が、新聞やいろんなものを通じて聞いたりしているところからいうと、政府とかいろんな答弁も統一が十分されているように思われないので、今後統一もされてくるだろうから時間的な経過を待ちたい、そしてまた、それにしたがって自分としての考え方もしっかりまとめたいということだと思うわけであります。  そこで、ただこの点だけはあれでしょうか、そういう中でも、たとえばお話のように大蔵大臣は国政調査権の尊重は当然だ、また問題になった議院証言法に基づく例の造船疑獄の際の疎明にも、法務大臣が「貴委員会が国政調査権に基いて、公益上必要ありとして調査される場合、職務上の秘密であってもできる限り証言等の承認をするのが望ましいことである」というふうに国会に疎明が出されているが、この趣旨については全く御異議はないと私は思うのですが、いかがですか。

濱野清吾自由民主党法務大臣

○国務大臣(濱野清吾君) 私の考えにことば足らずの点があったかもしれませんけれども、私は政府部内において、異なる意見あるいは批判されるかもしれませんが、こうした大きな問題はやはり政府の統一見解というものを出して、そして国会の審議でそれの是非を論議されることが一番近道であって、解決の方法であろうと実は考えているわけであります。その統一見解をする場合に、幸いに閣僚でありますから私も参加できる。当然、法秩序を守る私どもの守備体制としては、これについては十分意見を述べたい、実はそう考えているわけであります。ですから予算委員会でも開かれ、あるいは各委員会がだんだんと議論が進んでまいりますればそういうことになろうかと、こういうふうに考えているわけでありますが、いずれにしても私も議員ですから、ですから国会の調査権というのは、個人的にいえば、ただいまのところそれ以上は申し上げられませんが、どうも行政権あるいはまた税制について云々ということについてはもう少しお互いが検討しなきゃならぬのじゃないかと考えております。そういう事情です。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 法律のことについてしろうとだとおっしゃるなら、私と法務大臣とどっちがしろうとだろうかといえば、私のほうがしろうとかもしれませんよ。そういう意味から考えてみても、私はこういうことが問題になったときに、小原法務大臣自身が公式な文書として書面に出された疎明の中に「貴委員会が国政調査権に基いて、公益上必要ありとして調査される場合、職務上の秘密であってもできる限り証言等の承認をするのが望ましいことである」というこの程度のこと、現の大蔵大臣が国政調査権の尊重は当然だと、あといろいろとくっつくものがあるとしても、そういうことをまず言っている。その趣旨はいまのお話でも個人的にも賛成であるように聞けたが、そこの辺だけは、同じしろうとなんで、同じ議員なんで、委員会でそこの点程度のことはあなたがいま申されたからといって何もどうこう支障はないように思うのですが、再度その点はっきり聞かせてください。

濱野清吾自由民主党法務大臣

○国務大臣(濱野清吾君) 証言等ができる限りしなきゃならぬということは議会の常識でもあるし、また、かりに調査権の発動が国会でありましても、これはもうできる限り私はやはりそれぞれの調査の内容というものを報告すべきものだと考えております。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 そういう考え方を持っておられることはわれわれと全く同一であり、また政府として統一見解をこれから出さなきゃいかぬとお考えになり、その点について法務大臣として、法の秩序を維持するとかいろいろな立場から発言をされていく、役割りを果たしたい、そういう御趣旨でありますので、そういう趣旨を含めて、今後の問題でそれをきめる場合にやはり参考になるし、私たちの考え方をそういう意味から私はこれから申し述べたいと思うのです。  まず、所得税法の第二百三十三条に、申告の公示というものが行なわれることになっているわけです。一千万円以上の所得について所得合計額を公示することになっている。この公示をするというのは、一体どういう趣旨に基づいて公示というものが行なわれるのでありましょうか。これをひとつ国税庁長官に聞かしてほしいと思います。

安川七郎国税庁長官

○説明員(安川七郎君) 所得税法第二百三十三条によりまして、申告書の公示制度というのが明記されておるわけでございます。これは一定額以上の所得を申告いたしました納税者につきまして、その氏名と所得金額を公示いたします。それによりまして、納税者がみずから正確な申告をする慣習を身につけていただく、これを間接的に促進しよう、こういう一つのねらいがございます。そういたしまして、申告納税制度の円滑な実施をはかっていこう、これが目的である、かように考えております。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 公正な申告をすることを身につけてもらう。特に一千万以上と区切ったのは、大きな収入を持っている者が公正な申告をしているだろうかということについても回りの人に知らせることによって、その公正さを保持するということもあると思う。また、そういう目に触れるから自身が公正にしなきゃならぬという、あなたのおっしゃった二つの面が私はあると思う。  特にこれは第三者通報制度というのが、かつて昭和二十二年から二十八年にあって、これは密告というものを奨励をしたということ、で、もしそれがはっきりした場合には税額の一割以下で最高十万円の報奨金を出す。法務大臣、ちょっとその辺ひとつ関心を持って聞いておいていただきたいですが、二十二年から二十八年は第三者通報制度ということまでしておる。したがって一千万円以上の所得のある者についてはそういうことまでやっていたということは、よほどこの収入について一般の監視の目にさらすことが公正を期することにもなるし、また申告する者が公正にするということにもなる。そういう精神からいえば、一千万円以上の所得を持った者については、大幅に国政調査の場で資料が出されていかなきゃならないし、また必要な証言がなされていかなきゃならないと私たちは思うのです。この趣旨には間違いはないでしょう。どうです。

安川七郎国税庁長官

○説明員(安川七郎君) ただいま、現在の公示制度の以前に通報制度というものがある、こういう御指摘でございます。そのとおりでございます。  通報制度につきましては、これは戦後の日本の税法の基本的な改革の際に、例のシャウプ博士の勧告というものが出まして、その中にうたわれておりましたのを制度化したわけでございます。その当時におきましては、一定の金額以上の者の所得金額を公示する。そのあれを待ちまして、一般の方のそれに対する通報制度を認める。もしその通報が正確であって、それによって国が税金を、不足します部分を追徴できたといった場合には、その部分、その一定額を報奨金として差し上げる、こういう制度であったわけです。  ただいま申し上げましたように、これは制度といたしましては、米国の社会に生まれました特殊の制度でございます。そういうことがございまして、それはややいろいろな弊害が出てまいりまして、日本の風土に合わないというので、その通報制度の部分がなくなりまして、現在の公示制度だけが残っているわけでございます。  そこで、現在の公示制度が、それではなぜ所得金額と氏名だけに限っておるかという点でございますが、これは私どもの税務行政、税におきましては、所得のいろいろ内訳が更正されまして、そうして総所得金額にまとまる。その総所得金額につきまして諸控除を行ない、また一定の累進税率を適用して税額をかける。したがいまして、基本となります所得は各種ございますけれども、その総所得金額ということにまとまって、それによって課税所得金額がきまり税額が確定する、こういうシステムをとっております。したがいまして私どもは、やはり総所得金額というものが一番基本的に共通いたしました一つの指標であるという意味で、この公示制度が総所得金額だけに限っておる、かように考えているわけでございます。  一方、先ほど守秘義務の点がございましたけれども、税務行政の円滑な執行を確保するために、私どもは……

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 そんな聞かないことまで答えぬでもいいです。

安川七郎国税庁長官

○説明員(安川七郎君) 総所得金額について公示制度をとっておりますけれども、その内訳と申しますか、さようなものは守秘義務のほうに該当する、かように考えております。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 そんなこと聞いちゃいないですよ。ちょっと答弁を気をつけてくださいね。その趣旨を聞いているのでしょう。内容を聞いているのじゃないですよ。公正を期するためにこういうことがやられているでしょうと言っているんです。それはそうでしょう、さっきから言われるように。だから、公正を期するということを収入の大きい者から求めるというならば、公正を期することができるような、できるだけ国政調査に協力しなければならぬという性格のものだ、金額の上の者についてはね。そうだと思うのです。  それからその次に所得税の申告の書類。国税通則法の第七十二条で「国税の徴収権の消滅時効」というのがある。五カ年間は要するに請求権が、もし違っていたら請求する権利がある。五年以上になると時効にかかってしまうということになるわけです。時効にかかったものと時効にかからないものの書類には、その価値において差があるということを私は思うのです。  時効というのは、要するにその間その書類に基づいていわゆる税をもう一度取られるかもしれぬ、そういう意味で本人の不利益にもなるわけだから、そこで五カ年間というのはその書類は非常に重要な意味を持っているのかもしれぬ。またしかし、もうすでにそれが幾ら明らかになったからといっていまさら税を取り立てるという必要はないということになれば、これはある意味では秘密を保持する必要はないじゃないかということにもなるわけです。だから、秘密と言うとあなたは頭をかしげるかもしらぬけれども、とにかく五年間時効があるということは同じいわゆる所得税なり法人税の申告についてもその価値に差が出てきているということについては、あなたは賛成できますか。私はそう思うのですが。その聞くところを、悪いけれども時間もありませんので、御答弁願いたい。

安川七郎国税庁長官

○説明員(安川七郎君) ただいま御指摘のとおり時効がございますから、時効以前の部分と以後の部分との、その資料の価値と申しますか、私どもの税務行政の価値も変わってまいります。御指摘のとおりでございます。  ちょっとお願いがございますが、その以前の部分の価値につきましては守秘義務に関係することがございますので、もし御時間があれば、後ほどお許しが得られれば御説明申し上げたいと思います。これは希望でございます。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 いいです。時間をひとつお願いいたします。  それから、そういう点はそういうものがある。したがって、これは答弁していただかぬでもいいけれども、たとえばその時効にかかった場合のやつを先に出してみてもらいたいというようなことになると、これまたいろいろ考え方ができてくるということをひとつ大臣、こういうこともあるということ、あなたはこまかいことだから御存じないかもしれぬけれども、同じ秘密秘密というお話があっても、その出した書類そのものに価値の変化が出てきているということも考えていただかなきゃいかぬ。同じ所得についても、金額の大きいものについては公示までさせるという意味において、これは相当明らかにしてもいい筋合いのものがあるという性格を私は言っているわけなんです。それはそれでよろしゅうございます。  そこで、いわゆる伝えられる田中さんの所得については数字が出ていますが、これはいまのように一千万円以上で公示をされたものだから、数字には私は間違いないと思う。これはまず間違いありませんな。

安川七郎国税庁長官

○説明員(安川七郎君) 公示金額でございまして、間違いございません。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 そこで、よく言う理研ビニルの百六十五万株、昭和高分子の三十五万株、越後交通の百十三万株、理研プラスチックの十五万株、この株は、その株の会社の発行済み総額ですね、発行済総株式の何%に当たるか計算をしてみますと、五%以上に当たるものは理研ビニル、越後交通、理研プラスチックで、一〇・六%、一〇%、九・四%。租税特別措置法の八条の四によって、発行済み株式の百分の五以上あるいは年間一銘柄五十万以上の配当は分離課税を認められていませんね。したがって、たとえば昭和四十七年の八千五百七十九万円というこの所得の中には、当然いま言ったような所得は入っているわけですな、分離課税になっているわけはないのだから。そういうものについてはこの所得の中に入っているわけですね。

安川七郎国税庁長官

○説明員(安川七郎君) いま株式の銘柄並びに詳細な数字がございましたけれども、数字はよく検討しないとわかりませんけれども、さような性格の所得は当然公示所得金額の中に入っておりまして、反映されておるということでございます。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 そこで一番私が問題にするのは、その八千五百七十九万の中には大きな株の配当所得というものが入っておるわけです。それからまたこれ以外に分離課税として認められる別の所得、これは申告に出てこないからわかりませんけれども、それは非常に少ないという点、つまりここで上場されているのは理研ビニルですけれども、したがって、この八千五百七十九万という四十七年度の田中さんの所得の中には、大体持っている株の配当所得も入ってこれだけになったわけです。これ以外にどこかの株から配当をもらっている分離課税の、わからない金というのは非常に少ないという認識を私は持つわけですがね。これは間違いは私はないと思うのです。  そこでなお話を少し進めて、昭和四十七年に八千五百七十九万の所得があって、軽井沢に二つの地所を買収しましたね。これも誤りはないと私は思うのですが、この買収した土地について、国税庁は土地を買収したり家屋を新築したときには市役所や登記所で調べて本人を呼び出して、資金の出所を明らかにするのが例ですね。これは必ずやってるわけです。新しく家を建てたり地所を買ったりしたら、どこから一体その金を持ってきたのか、どこにその金があったのかということを必ず調べる。さっきからいろいろ答弁の中で、田中さんは一個人で全く納税者としては同格だという言い方をして守秘義務や何かいろんなことを言われているけれども、当然これはそういうことをやったのでしょうな。何月の何日に、どこで、だれからこの話を聞いたのですか、調べたのですか。それは秘密でも何でもない。ぜひここでひとつ、この四十七年の軽井沢の土地の買収にあたって、だれを、いつ、どこで呼び出してこの資金について調査をされたのか、それを言ってください。

安川七郎国税庁長官

○説明員(安川七郎君) 土地の譲渡等がございますと、登記所等でその移転の事実がわかるわけでございます。私どもはそれに基づきまして、そういう移転の事実あるいはいまお尋ねのその資金の出所と申しますか、あるいは価格、そういうものを税務行政上把握いたすことが当然のことであります。広く行なっております。本件の場合につきましても、私どもいろいろな方法でそれをやっております。  そこで、何月何日どういう方法でというお尋ねでございますが、実は昨日大蔵委員会で私も御答弁申し上げたのでございますが、私どもが税務上いろいろ調査いたしますときに、調査したかどうかということを守秘義務上言えるかどうかというお尋ねがございまして、私は、調査についてはいろんな種類の調査がある、たとえて申しますと査察の内偵調査だとかいろいろございまして、その調査の中にも、最後まで調査したかどうかということを秘匿しなきゃならないような調査もございます、しかしそうでない、御本人のプライバシーとかそういうことに関係のない調査もございますので、調査内容の種類によっては、いついかなる場所でということも申し上げられることもあるわけでございますが、そういうふうに区分は一応いたしております、こういうことを申し上げたわけでございますが、ただいまの何月何日に本件につきましてどういう相手とやったということは、私どもこれは一般の例といたしまして申し上げられないということで考えておりますので、どうぞその点は御了承願いたいと思います。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 そんなばかなことはないと思うのです。私は、どういうことを調べましたとか調べた内容を言いなさいと言っているのじゃないですよ。だれを呼んで、いつどこで調べたかということを言いなさいと言っているのです。そんなことはもう一般では全部やっているんですよ。なにも秘密でも何でもない。あなたのおっしゃるように、どういうことを調べたとか、どういうことを言ったというなら、これはそのところへいくかもしれぬ。しかし疑義をただすなら、こういうふうにしてだれもにやっている事柄について明らかにしていくことは必要だ。私は内容のことまで言っちゃいない。いつ、どういう人を呼んで、どこで聞きましたかと、その事実を聞いているのです。それは秘密でも何でもないでしょう。それが言えないですか。言ってください。言えるはずです。

安川七郎国税庁長官

○説明員(安川七郎君) 御趣旨はよくわかりました。この時期は、年分の所得の申告がございました数ヵ月後でございます。それから相手は、田中さんのこういったような経理的なことをやっていらっしゃる秘書の方でございます。その程度でごかんべん願いたいと思います。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 これはあときちっとひとつ要求して、出してください。そんなばかなことはないですよ。法務大臣、聞いておられるんでしょうがね。一般の人を呼んで、何月何日にどこの場所でだれを調べましたと、内容のことを私は聞いているのじゃない。その事実が言えないわけはない。そんなことをあなたが明確にしないから、ますます疑われてしまうじゃないですか。これはもう当然ひとつあとで出してもらいます。  その次に、二千万円以上の所得の申告書には財産債務明細書というのを第二百三十二条に基づいて添付されるわけですね。それからまた申告書の中には所得内訳書というのがあるわけですね。これを見ると疑わしい疑念というのはほとんど晴れてしまいますね。つまり、財産債務明細書というのには、「財産の種類、数量及び価額並びに債務の金額その他必要な事項を記載した明細書」、どこの銀行に幾ら貯金をしてあるとか、そんなことは全部これに書いてあるんです。  だから、要するにいま皆がどうもおかしいと考えるのは、八千万の所得があれば大体七割くらいは税金で持っていかれるわけだ。だから二千万円かそこらしか残らぬわけですよ。毎年二千万円ずつ残ったにしても、さっきから話したとおり、いまのところこの所得には別個のまた大きい所得がその中にあるという筋合いのものはない。ほとんど分離課税が認められないものだから、この中に入っちゃっているのだから、ほかに分離所得でたくさん金をもらってくるということはないはずだ。そうなってくると、この八千万円を、普通の常識で考えると、これを申告していけば七〇%くらい税金を取られると大体二千万円残るくらいなものだ。それで毎年ためたとしても、よくまあこんなたくさんな地所が買えたものだというのが常識的な一つの疑問ですね。だから貯蓄した金がどういうふうにはっきりなっているだろうかということがありますわね。  あるいは、東京ニューハウスというのは田中さんの家の一部を持っている。それから一部を事務所に使ってやっている。そうすると、これは当然田中さんのところへ一部を貸してあるのだから、田中さんのところから土地借用代というのを取っているはずだ。事務所だから、借りているんだから、事務所の費用を払っているわけでしょうね。そういうことも明細書を見ればわかってくるわけですね。だからこの財産債務明細書というのを見れば、いまいろいろ言われている疑念というものは晴らされる。わかる。疑念ということばを使えばまたどうかもしれぬが、非常によくはっきりその辺がわかるということについてはあなたも同意見でしょう。どうですか。

安川七郎国税庁長官

○説明員(安川七郎君) 財産債務明細書というのは、現在いろいろな納税者の方の協力を得ましていただいておるわけでございますが、明細度については非常に精粗たくさんございまして、いまお尋ねのように一目りょう然とはまいりません。しかし、大まかにどういうふうに動いていったかということはある程度見当がつく、そういうていさいのものでございます。  それからこれに関係いたしまして、いろいろな場合で関係会社等で不動産が取得されますので、何といいますか、蓄積資金というだけでは解明できませんで、やはり借り入れ金でございますとか、以前からの蓄積資金の持ち越しでございますとか、あるいは保有有価証券でございますとか、それからいろいろな賃貸借の場合にはその契約の内容でございますね、賃貸契約であるか、使用貸借であるか、そういう内容ごとによりましていろいろバラエティーがございますから、単純に先ほど申し上げました財産債務の明細書ですべて全部が明らかになるということには必ずしも限りませんが、そういうようなものをずうっと捕捉いたしまして、まあ大体大づかみにこういうような動きになっているということはわかり得ようと思います。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 したがって、その所得内訳書がわかり財産債務明細書がわかれば、いま言っている借金のことだってもわかりますね。一体、土地を買ったときに借金を借りてやったのか、貯蓄があってやったのかとか、いまどこへ金をどれだけ預けているのかとか、その所得、たとえば給与所得の中にどこかの会社の役員をやって役員の給与所得が入っているなら、そういう所得がちゃんと給与所得の内訳の中に出てくる。だから大体どこの会社から役員をやって金を幾らもらっているのかというようなことなんかもわかる。大体疑わしいようなものは相当これで明確になってくることはもうはっきりしている。そこでこれを出したらどうかという話がいろいろ出てきているが、それは出せませんと、こう言っていますがね、これ、いま出せないのですか。これは私はいまの段階のお話を国税庁長官がされるなら、何かきのう新聞あたりに載っているああいう言い方が一つの言い方だとは思いますけれども、いいとは私考えませんよ、積極的なことは何もないからだめだと思うけれども、しかしそれは現段階の話であって、議院証言法に基づいて書類提出の要求があれば、これは条件がまた違ってくると私は思うのですが、この点はどうなんですか。

安川七郎国税庁長官

○説明員(安川七郎君) ただいまの財産債務明細書等の内訳書でございますが、ただいまのところ私どもは、これは納税者の秘密に属しますので公開ができない、かように考えております。  それから議院証言法と国会の調査権との関係につきましては、実は昨日もたびたび内閣法制局長官の御答弁がございましたけれども、それぞれの段階によって、政府のほうがこれは出せない、いや出したらどうかと、こういういろいろなプロセスがございましてだんだんこの議院証言法の五条のほうに上がってまいる、こういうプロセスになっているように伺いました。そこで、そういうプロセスを通じまして、それぞれの段階におきまして、私どもの主張いたしますところの税に関係いたします守秘義務の公共の利益と申しますか国益の関係する度合いと、調査権のきわめて尊重すべき国益の度合いというものが比較考量されて、そこで一つの方向が出てくるものだと、かように考えております。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 現段階においてそうである。議院証言法に基づいて書類提出要求をされるその段階においては別のまた一つ条件がいろいろある。それからまた同じ書類にしても、さっき言ったとおり価値の上において違いがあるということも明らかになっているわけです。また同時に、こういうものは出しているということですよ。第十回国会の決算委員会で、よく個人の秘密個人の秘密というようなことを言うけれども、二重煙突事件に関して預金口座元帳の写しを銀行が出している。納税証明書を税務署長が出している。二重煙突事件に関し関係書類つづりを特別調達庁長官が出している。こういう例があるということは承知しているのでしょう。

安川七郎国税庁長官

○説明員(安川七郎君) 他省のことはただいま承知しておりませんが、大蔵省が預金につきまして……。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 いや、二重煙突事件だよ。

安川七郎国税庁長官

○説明員(安川七郎君) これはただいま私それを承知しておりません。  銀行の預金につきまして、たしか資料を提出した例がございますが、これは大蔵省ではなくて当該銀行が提出したと聞いております。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 これはちゃんとした先例集に基づいて聞いているわけだから、あなたのほうで出さないとか出せるとかいうようなこと言うなら、このくらいのことは調べてあってそういう話をしてもらわにゃ困るじゃないですか、かつて国会へどういうものが出ているとかいうことを。よく個人のどうのこうのと言うけれど、預金口座の元帳の写しが出たり、納税証明書を出したり、あるいはまた「二重煙突事件に関し関係書類」というのは、これは徴税事務の書類でしょう。そういう書類が特別調達庁の長官から出されているんですよ。だから、そういうことを知ってないで、ただ何だか頭の中で考えて守秘義務だ守秘義務だなんて言ったのじゃ困るじゃないですか。国政調査権なんというのは慣例も重要視されてやっている事柄ですよ。  それからまたこういうことがあるでしょう。税務署はお尋ねというやつをやるでしょう。それで一切がっさいみんな書いてもらうようにしてもらっていますね。強制じゃないけれども、これは必ずやっている。これを見れば、いま言うとおり収入は全部わかってしまうということもあるでしょう。これだって文書でやっているわけですからね、これ一つ出したっていろいろな面がわかってくるわけで、これはどこにも秘密の基準や何か官庁のあれにも何にもないわけですよね。  だから、いま常識的に皆考えて、この程度の税金を納めていてこれだけのものが買えるはずはない、どこから金が入ってきたんだろうか、どういうふうなことになっているんだろうかという疑念を持っているわけですね、率直に。これはあなた方御存じかどうか、実際税務で現に各会社を集めていろいろ盛んにやっているわけですよ、そのやっている税務の吏員の人たちが、これじゃとてもじゃないが税金は取れない、そんな話がきょうの新聞に出ていましたね。とてもじゃないが、これじゃわしら言いわけはできないということを現に言っていますね。きょうの新聞にはそういうことが出ていましたよ。  だから、疑念を明らかにしていこうと思えば方法はある。国政調査に協力するしかたもある。また、自分自身がやろうとすればやり方もあるということであって、何もわからないことにはならぬ。それをいつまでも守秘義務ということばかり言っていては、ものの解決はできない。だから、きのうの段階でそういうことを言ったのかもしれぬが、順次どんどん前進をしていってもらわなきゃしようがないじゃないかということが一つ当然考えられる。  それから今度は幽霊会社のことですね。これは実はわかることが幾らでもあるのじゃないかという、これまた何もそんなに秘密秘密と言うことはないじゃないかということなんです。  これは法務省の関係で商法の関係も出てくるし、当然よくわかる。会社を設立するときには商法で設立の登記がなされる。定款の作成と公告の方法というのがなされる。それから「会社の計算」というのがあって、二百八十一条で財産目録、貸借対照表、営業報告書、損益計算書、付属明細書が株主総会に提出をされ承認される。それから計算書類は公示をされ、株主の帳簿閲覧権というのを認めている。それからまた株主名簿の記載事項というのがあって、所有の株高というものがはっきりしているし、公示もされている。したがって、たとえば室町産業だとかあるいは東京ニューハウスだとか新星企業とか、幽霊だ幽霊だとこう言っているが、これらだってみんな商法の手続をちゃんととっていなければならないですよね。  それから同時に、商業登記法に基づいて「株式会社の登記」、「取締役等の変更の登記」というのがある。これはもう法律できめられている。  それから同時に、上場会社あるいは四千万円以上の増資の場合には公認会計士の監査証明、これはいままでは総会後書類監査をして大蔵大臣に提出されていた。ところが商法が改正され、証券取引法が改正されて、ことしの十月から法人税法上の計算と同様な貸借対照表と損益計算書と付属明細書が、総会の前に監査証明を受けて、そして大蔵大臣に出されていく。だから、いままで十月前までは商法に基づく財産目録、貸借対照表、営業報告書、損益計算書という、そういう計算のしかたのものを公認会計士が監査して出していくということをやっていたが、十月からは、要するに法人税法で申告する同じものを今度は公認会計士が監査して出していくということに変わってきたわけですね。それで法人税法に基づくと、七十四条で確定申告があり、確定申告に添付される書類として、いま話があった貸借対照表、損益計算書、付属明細書を添付して出すことになっている。そうして百五十二条で申告書の公示ということが行なわれているわけですね。  したがって、会社がもしこれを完全に行なってないということになったら商法の罰則が適用されるし、法人税法でも国税通則法に基づいて重加算税といういわゆる罰則規定もあるわけです。これを完全に実行してなければ罰則規定もあるんだから、いま言ったような商法できめられたものとか、商業登記法とか証券取引法できめたものについては一件書類というものは提出されて当然だ。明らかにされて当然だ。これを要求すれば、関係各省は当然出せると私は思うのです。出せない理由はない。  こういうことについて法務省は、たとえばこのいま問題になったようなものについて調査しているのですか。そうしてそれはすぐ手元へ出してよこせるのですか。私がいま申しました商法、商業登記法、証券取引法、それからまた片方でいえば法人税法というようなものがあるけれども、それに基づいて、いま言った幽霊会社というものをはっきりさせ得る手段方法が国としてある。それはまた公に出して、もうこの段階で慣例に基づいて要求があれば当然調べて出してきてもいいはずだし、それは調べてもいるし、出しましょう、こういうのでしょうかね。これはひとつ法務省のほうから聞かせてください。

川島一郎法務省民事局長

○説明員(川島一郎君) お尋ねのようにいろいろな制度が商法できまっておるわけでございますが、このうち法務省といたしまして直接関係いたしますのは、商業登記の関係でございます。これは御承知のように、会社が設立いたしましたり、あるいは役員が変更したり資本金が変わったというような場合に登記所に申請をして登記をすることになっております。この関係の記録は登記所にございますので、一般にも公開されておりますし、私のほうで御必要があればいつでも提出することができるわけでございます。  ただ計算書類のことをおっしゃいましたが、貸借対照表とか損益計算書、営業報告書といったようなものは、商法上必ずつくらなければならない書類になっておりますけれども、これはその会社が自分でつくって、そうして株主などには見せますけれども、登記所その他の役所に対して提出するというような制度になっておりませんので、私のほうといたしましては、そういう書類については内容を承知していないわけでございます。それからそういう書類をつくっているかどうかということ自体もわからないわけでございますので、これをつくらない場合には、なるほど過料といったような制裁の規定がございますけれども、現実には株式会社というのは百万以上ございまして、その会社がはたしてこういう書類をつくっているかどうかということは把握していないわけでございます。したがって、過料の規定がございますけれども、これが適用されますのは、特にそういうことが問題になった場合、それが何らかの形でわかった場合にはじめて過料の規定が適用されるというのが実情でございます。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 商業登記法に基づくものは出せます、こう言うから出してもらう。  それからいまお話がありましたが、あなた、そんなたくさんのことを言っているのじゃないですよ。出ているのは、新星企業だとか室町産業だとか東京ニューハウスとかいう問題が出ているんです。これは株主総会へ出してそれをやることであって、別に届け出を持ってきているわけじゃないのだから、それは何も出さないからけしからぬと言っているのじゃないんです。ただ法務省としては、商法のそれが完全に行なわれているのかどうか調べるくらいのことはできるのじゃないですか、いま問題になっているのだから。それは別に届け出の書類でもございませんしというのではなしに、また、国会でそういうものを出してくれという話になれば当然調べる方法はあるし、調べられる。しかも商法の関係でそういうことであれば、あなたのところで調べたって何も悪いことはないのです。また、そんなことがされているのに、いや、おれのところじゃないし、別に何も届け出をしろと言っているわけじゃないんだから、これは会社のことなんだから、会社がやっているんだから私たちは関係ありませんとは言っちゃいけぬじゃないですか。これだけ問題になっているのだから、法律に基づいて出すことになっていろそういうものについては、これとこれはどういうふうになっているのかぐらいのことは調べるのはあたりまえでしょう。  また、ぼくはあれだと思うんですよ、法務大臣、政府のそれぞれの省に関係しているんです。法務省だけに関係しているのじゃないんですよ。それぞれの省に関係していて、しかもこれは別に届け出をしてどうのこうのじゃないけれども、調べようと思えばそれは調べることはできる。公表もされているわけだ。だからそういうことについては、一体法律がどれだけそれらの企業において確実に守られているかどうか調べていく。これだけ問題になってくれば調べるというそのぐらいのあなた、行政的な配慮がなければいけないじゃないですか。いや、わしの関係じゃないからということになると、秘密だからだめですというのと似たようなものじゃないですか。  私は、こういう商法に基づくいろいろなものを出して調べてくれば、相当そういう会社についても、いわゆる実際出したものと実際の行動と全然違って何もやっちゃいない。たとえば法人税の申告なんかも全然やっちゃいないとか何とかいうようなことがだんだん出てきて、これはただ名前だけで、よく書いてあるように電話かけても違ったところにいっちゃうということになる。しかもこれは違っていれば法律で処罰できるだけのものを持っているのじゃないですか。こういうことをやるのはあたりまえのことであって、私は法務大臣にも国務大臣として要望しておきます。こういうふうに法律に基づいて正しくやらなければ処罰をされるものであり、しかもそれは、届け出を役所にはしてこないけれども、一般の株主や何かには公開をし、株主の帳簿閲覧権まで認めているような書類について、これを早急に政府として国会に提出をしていくというのは当然のことだと思う。それだけの熱意も何もないということになれば、ただ所管に立てこもった官僚主義だということになると思うのです。この点はひとつ大臣によく聞いておいていただいて努力をしてもらう。善処してもらう。私の言っている理屈は間違っちゃいないと思う。法務省は法務省に関係してでき得る限度の調査をしてこの委員会に出してほしい。大臣、その点について。

濱野清吾自由民主党法務大臣

○国務大臣(濱野清吾君) 十分検討しまして御返事を申し上げる、と。私は、幽霊会社の存在は公益上非常に好ましくない、また幽霊会社にもいろいろございまして、株式がすでに払い込まれているにもかかわらず実際は払い込んだかっこうにして、そうして登記などをするような場合もありますし、会社の設立登記をしておいて、先生のおっしゃるように何ら貸借対照表もつくらず、損益計算書もしたがってできていないというような会社を多分幽霊会社だと思うのでありますが、いままでの法規の適用あるいは行政上の実例、こういうこともありましょうから、そういうものも研究をし、かたがた先生の御意見の調査等もこれからよく庁内で協議しまして、そうして努力するよう計らいたいと思います。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 そういう資料がないから私たちの欠点ですとか失点ですということを私は言っておるのじゃないですよ。何もそれがいまはっきりしないからといって、法律的な手続からいえばそんなことは自分らが調べる必要があるわけじゃない、知らないといったってあたりまえのことだ。ただしかし、問題が出てきたということになれば、法律に基づいて届け出もしているし処罰もあることだから、自分たちも調べていこう、そうしてまた国政の調査をしようとしている国会に協力をしていかなければいかぬというのが行政のあたりまえの態度じゃないですか。いまさらそんなことを協議したり何かする必要はない。  だから私は、わからない、わからない、これは法人税のほうから秘密だ秘密だと言っているけれども、ほかの方法でわかる方法もあるし、公開もされているし、これから特定なものについて同じようなものが実は出されて公開をされていくということを考えてみると、いつまでもいつまでも守秘義務というところにこだわっているということは全くおかしいということと、それからそういう疑念があるなら、そういう明らかにできることは関係の各省でも明らかにしていくというだけのいわゆる国会の国政調査に協力する姿勢がないから、こんな議論が国会で行なわれるんだということを特に指摘をしておきたい。  最後に、これは法務大臣にお聞きをするわけですが、私はこの前の造船疑獄の関係のものも一通り目を通してみました。そうして何で一体証人を拒否するか、理由の疎明をいろいろ読んでみると、造船疑獄のときには、公判係属中の具体的訴訟の事件だ、それでこれを出すことによって、いろいろまた国会で議論することによって裁判に予測的なものを与えて、公正な裁判をしていくことに非常にじゃまになるのじゃないかとか、それから検察権というのは司法権と特殊緊密な関係にある準司法的な性格を持っているものだから、それで今後の運営とかいろいろな面においてこれは出せないというようなことを言っておる。そういうことがおもな理由です。司法権を守るということが根幹であるし、現に公判係属中の具体的訴訟事件の内容について調査するということは、「公判開廷前である現在、右の事項を外部に表示するならば、証拠法上多大の制約を有する現行刑事訴訟法の下において、その公訴の維持はきわめて困難」、「裁判しようとする裁判に対し、事実上予断を与え、裁判の公平を保つ上に重大なる障碍」があるとか、それからいま言うとおり検察権は司法権に準ずるものだという言い方をしているわけですね。  しかし、当時国会で参考人を呼んだりいろいろ呼んでいる中に、これはおかしいという参考人の意見が出ている。特にこの問題については、司法権の発動をもたらすべき、はっきりさすべき検察権というものが指揮権の発動によって封じられてしまった。むしろ検察権という立場から言うならば、もっと証言の範囲を広く認めて、検察権を守るという考え方でいくべきじゃなかったのかという批判をしている。検察権を守るためにいろいろ証言ができないとかなんとか言ったけれども、検察権を発動できないような指揮権発動をされている。その段階で証人を呼ぶというなら、それは検察権の確保のためにもどんどん証言をしていくというほうがいいじゃないかという意見も出ている。どこがいわゆる検察運営に重大があるのか、ちっとも具体的に指摘をされていないという点を指摘をしている。が、しかし、とにかく現在係争中のものであるということに相当大きなウエートもあるわけです。  ところが、今度の事件はそうじゃないですよね。たとえば、いわゆる法人税だとか本人の所得内容というものを明らかにするための書類を出してこい、また本人自身が弁明をするという、それに間違いないという証言をしてほしいという、そういうようなことが言われているわけでしょう。全然性格が違っているというふうに私たちは思うのだが、これを国家の重大な利益に悪影響を及ぼすというようなところまでもっていくなんていう考え方は、全然私たちは理解できないのですけれども、かつてこういう議院証言法に基づいて疎明し内閣が声明した事件とこの事件を比較してみて、これは専門家という立場より、むしろしろうとの立場から考えてみても、相当性格的に違っているという私の意見には反対でございますか。相当性格に相違があるという点について法務大臣は認められますか。全く同様なものだというふうに考えますか。

濱野清吾自由民主党法務大臣

○国務大臣(濱野清吾君) 造船事件のあの問題と今回、先生の御意見等につきましては、全く本質的に違っている。これは法務大臣でなくても、だれでもそう考えられると思うのです。今後その事案がいろいろ解明されるでありましょうから、だんだんと私のほうも法秩序を維持するために腹をきめてかかっていかなきゃなるまいと、こういう気持ちですから、閣僚だという立場でお願いするわけじゃありませんけれども、いろんな意味で役所内部も政府内部も意見があり、あるいは法制局内部でも意見があるそうでございますから、そういう意見に対してはいずれ積極的な政府見解等のもとに先生方の御審議を願い、あるいはこの先生のいま質問されている重大にしてしかも微妙な問題が解決されるものと私は期待しているわけでございます。いま先生の御質問について常識的に考え、あるいは世間的に考えても、これは当然区別されるべきものだと、こう考えております。

松永忠二日本社会党

○松永忠二君 ではもう最後です。法務省のほうで出し得るものはいま話があったので、それを出してください。それからまた調査すべきものは調査をして、調査ができたら出してください。それを要求して終わります。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 時間が制限されておりますので、端的にお答えをいただきたいと思いますが、衆参両院の各委員会で大蔵大臣は、田中総理の金脈問題に関連をして、その所得や税金について再調査をしているという旨の答弁がなされております。  問題はこの再調査でありますが、調査にはいろんなやり方があります。大別をして、一つは査察調査、これはおそらく国税犯則取締法に基づいて、いわば強制捜査を含みとする調査であります。もう一つは、不正の疑いがある場合に、大量に人員を使い大規模な調査をやる、いわば国税局の調査ですね。それから三番目には、主として省レベルでやる一般調査、この三つぐらいの調査のやり方があろうかと思いますけれども、田中総理及び関連企業に対する調査はそのいずれの方法でやっておられるのか、まず国税庁長官からお答えをいただきたい。

安川七郎国税庁長官

○説明員(安川七郎君) ただいま調査の態様についておおむね三種類をあげられましたが、私どもの税務行政では、もっともっとその種類がたくさんございます。  それから総理の今回のいろいろの案件に関しまして国税当局が再調査いたしておる、こういうようないろいろの記事が出ておりますが、その再調査という記事は必ずしも正確ではないことを申し上げておきたいと思います。  そこで、申告書等がいろいろ出ておりますが、私どもはそれぞれの年の申告等につきまして、それぞれの段階においてすでに調査を了しております。そして修正を要するものは修正をすでにその当時において終えておりますし、またいろいろ資料等で不足しているものがあれば、それを調査によって補って終わって、一応の終了をしておるわけでございます。しかし、今回いろいろ文春等で新しい情報とかそういう問題が提起されましたので、私どもはすでにいま申し上げた終了しておるところの調査も、さらに念を入れるためにいま見直しをやっております。見直しは、単に机上の調査だけではございません。いろいろ登記書等もさらに調べるということもございますし、そういうようなことをやっております。  そこで、報道で再調査ということばが使われたようでございますが、実はわれわれの内部的なしきたりからいたしますと、再調査というのは、ある種の相当程度疑いの濃い脱漏がありまして、すでに過去行なわれた調査を全部根本からやり直すというものをいわゆる再調査と言っておるわけであります。したがいまして、現在やっております調査はただいま申し上げたとおりの態様でありますから、それとは若干違うわけでございます。したがいまして、いま御指摘のございました査察による調査、あるいは局あるいは省における段階の特別調査と申しますか、相当の人員を投入してやるそういう調査とは性格が異なっております。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 今度の調査は再調査であることは間違いないでしょう。と申しますのは、通常税金等の申告をした場合には、それ自身をそのまま認めて特別に調査をしない場合が多いと思うのですね。しかしながら総理の場合には、にもかかわらず疑い等もあって従前一度調査をしたことがある。そこでたとえば追徴金などを取った。しかしながら、今度また国会等でこういう問題が出てきたので、再びという意味で再調査、見直しをやっておる、こういうふうに伺ってよろしゅうございますか。

安川七郎国税庁長官

○説明員(安川七郎君) 私は再調査ということばの定義、それをこまかく申し上げてこの問題の焦点をぼかすというようなつもりは毛頭ございません。しかし、われわれが通常、現場でもっていろいろな調査の態様を区分してやっているものの中には、先ほど申しましたいろいろのニュアンスの差、程度の差、それから担当人員の差というものが現実にあるわけでございます。そういう感覚からいたしますと、これを再調査といって定義づけてしまうというのはそうではないということを申し上げておるわけでございまして、すでにわれわれとしては適正な課税処理を終えておると思っております。しかし、いろいろ世間にこういう問題が提起されてみますと、私どもとしてはもう一ぺん念を入れて、間違いがないか念査いたしたい。それから、こまかい資料等につきましてはやっぱり欠けておる面等もあるかと思いますが、そういうものがないかどうかを念には念を入れるという趣旨でやっております。  それから申し上げたいことは、先ほど松永委員の御質問にございましたが、私どもには時効というものがございまして、時効が完結するまではいつでも私どもは調査態勢というものを持っております。必要があれば何回でもいたします。そういうような態勢にあるということだけは申し上げておきます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 そうすると、もう少しこまかく聞きますけれども、従前、調査をされたことはあるわけですね。その調査をした結果、納税漏れあるいは場合によっては脱税などがあって、総理及び関連企業から追徴金を取った事実はあるでしょうか。

安川七郎国税庁長官

○説明員(安川七郎君) 調査はいたしたことはございます。  それから脱税とおっしゃいましたが、さような大きなものはございません。しかし、私どものほうで非常に念査しました結果、いろいろ会社等のこまかい配当とかそういうものにつきまして若干の漏れ、そういうものもございましたので、そういうものは適正な処理をいたしました。そういうことでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 そうしますと、総理等の申告の中で不十分なものあるいは漏れ等があったので、調査の結果追徴金を取ったということは従前あるわけですね。

安川七郎国税庁長官

○説明員(安川七郎君) 私どもは漏れを、つまり総所得金額が変わってまいりますと、それに対応しまして納めていただく税金が変わってまいります。そういう意味ならば、税額を追加して納付していただいたことがございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 そこで、そういう調査をし、追徴金なども取ったことがある。しかしながら、いまこういう問題が出ているので、さらに全体的な見直し、洗い直しをしているというのが今日の状況である、こういうことですね。  この調査というのはどのぐらいの人員、スタッフを動員し、どういう観点で、いつごろまでにその調査の結果はわかるのか。この辺の見通し、内容等についてお伺いしたい。

安川七郎国税庁長官

○説明員(安川七郎君) 担当と申しますか、従事しております人員は、それぞれの署とか局とか、段階に分かれますので、相当の人員になるかと思います。しかし、事柄が非常に個人の場合といろいろ会社の場合とたくさん分かれますから、それぞれ手分けをしてやっておる。それはほかの仕事もやらしておりますので、人数に換算して何人ということは正確に申し上げられませんけれども、相当な人数になるということを申し上げておきます。  それから、どのぐらいかかるかということでございますけれども、これはかなり多岐にわたっておりますので、できるだけ私どもは早く終えてしまいたいと思っております、こういうことでございますから。しかし、正確に何日まで終わるということは、いま私がこの段階でデータを持っておりませんものですから、できるだけ早く終了したいと思っております。当然早くすべきだと思っております。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 簡単でけっこうなんですが、およその人数、たとえば十という単位なのか、百という単位なのか。それから調査をする以上、およそのめど、これを端的にお伺いしたい。

安川七郎国税庁長官

○説明員(安川七郎君) 人数換算で正確に申し上げるのは非常に——そうですね、十人単位をもって数える人数と、こう申し上げられるかと思います。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 時期的なめど。

安川七郎国税庁長官

○説明員(安川七郎君) できるだけ早くと思っておりますが、ただいまのところ鋭意督促をいたしておりますのですが、どのくらいの時期にできるか、決して延ばしているわけではございませんで、それを十分またさらに国税局とか庁で念査をいたさなければなりませんので、正確に時期がいつまでにでき上がるかということは、ただいまの段階で申し上げにくいことでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 正確に答えろと言っているのじゃなくて、たとえば今月末くらいをめどにしている、来月初旬をめどにしているという程度の答えでけっこうです。

安川七郎国税庁長官

○説明員(安川七郎君) 私の腹づもりといたしましては、今月末ぐらいに何とかあれしたいと思っているのです。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 同じ質問を繰り返させないようにしてほしいと思うのです。  それでこれは秘密の問題ですけれども、いま国税庁の考え方としては、現段階では公表した土地と金額以外は明らかにできないけれども、たとえば調査の段階に応じ、あるいは先ほど問題になっておった議院証言法等の発動との関係でケース・バイ・ケースで秘密の問題を考えていく、こういう立場に立っておられるのでしょうか。

安川七郎国税庁長官

○説明員(安川七郎君) そのとおりでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 そこで秘密の定義なんですが、所得税法や法人税法に秘密を漏らしてはならないという規定がありますが、私がお伺いをしたいのは、税金に関する調査に関する事務、その事務に関して秘密を漏らしたときという規定になっておりますね。ここで言う秘密というのは、調査事務に関して知ることのできた事項のうち、秘密でないもの、それから秘密のもの、二通りあることが考えられるのですが、その点いかがですか。

安川七郎国税庁長官

○説明員(安川七郎君) 観念的に考えますと、調査に関しまして知り得ました事項のうち、秘密のものとそうでないものと、さように分かれると思います。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 観念的にも理論的にも分かれると思うのですが、調査に関して知ることのできた事項のうち、秘密のものとそうでないものとを区分けする基準はどういうふうに考えますか。

安川七郎国税庁長官

○説明員(安川七郎君) 調査事務に関しまして知り得た事項のうち、どれが秘密に該当するか、しないかということは、その相手方の置かれました経済状況とか、その他いろんな要素によって変わってまいります。それは、一定の基準でこれがすべての場合に秘密である、こういうふうに一つの基準を設けておりません。これもその場合において判断する以外にないと考えております。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 これはもう衆知の事実でありますが、秘密の判定基準をめぐっていわゆる形式主義、それから実質主義という二通りの考え方があるわけですね。まず、そのいずれの立場に立って秘密の問題を考えておられるのか。その点、いかがですか。

安川七郎国税庁長官

○説明員(安川七郎君) 税務は実質主義で考えております。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 そこでその実質主義の立場に立った場合に、過般の沖繩密約漏洩事件、西山記者の事件等でも非常にこれは問題になってきたわけでありますけれども、秘密というためには、一つには秘密であることの必要性、もう一つは秘密についての非公知性、これが客観的に肯定されるものでなければならないというのが裁判所の判断でして、実質主義の立場に立っておられるとするならば、こういう立場で秘密とそうでないものを区別するということを基本としては貫かれるのかどうか、その点いかがでしょうか。

安川七郎国税庁長官

○説明員(安川七郎君) ただいま受けました御質問によりまして私、気がついたのでございますが、実質主義と申し上げました。しかし、大蔵省には別途文書取り扱い規程、国税庁にもございます。これによりまして秘扱い文書という制度を設けております。こういう場合には紙にぽんと印を押します。そういう場合には、その印を押されたものが秘扱いになる、こういう制度がございますので、そういう扱いについては補足させていただきます。それはある意味で形式的に判断することになります。しかし、調査上知り得ました事項についてのことは、実質的に私ども判断しております。  そこで、それが客観的に立証されるかどうかということでございますが、それはただいま裁判の例をお引きになりましたけれども、税務職員がかりに秘密を漏らしたという場合に、相手方との間に訴訟関係がありまして、そこでどういうふうに判定されるか。その場合にさような客観的な判断でしなければならない、こういうように裁判所が判定される、かようなことと考えます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 秘密問題はかねてから論議があって、しかも重要な裁判所の判断が下っているわけです。少なくともそういう裁判所の判断を基礎にして問題を処理していかなければならない。税務に関して知り得た事項は全部秘密なんだ、あるいは公表すべきものと規定をされているもの以外は全部秘密なんだという前提で事を進めるから、いろいろ回りくどい論議をしなければならぬのじゃないかと思うので、その点は十分にこれからの行政を扱うにあたって考えてほしいと思うのでありますけれども、いずれにいたしましても、そういう立場に立って問題を考えると、いま大蔵省なり国税のほうで秘密だと言っているものの中にも相当数、いわば実質主義の立場に立てば秘密でないものがあり得るのじゃないかというふうに思うのですが、その点、検討したことがありますか。

安川七郎国税庁長官

○説明員(安川七郎君) これは非常に多く、また多岐の事項にわたりますし、その案件次第によって変わるということは先ほど申し上げたとおりでございます。まだ私どもはそういう意味で、いま御指摘になったような考え方でそういう光に照らしまして本件を検討したということはまだございません。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 言ってみれば、国会の各委員会でたいへん重要な問題として論議されている事項について、裁判所の傾向がどうなっているのか、最近の判断の基準はどこにあるのかというようなことも検討しないで、秘密だ秘密だということで公表をしないということは私は許せないと思う。その点、緊急に検討をして明らかにしてほしいということを要望しておきたいと思います。  それから自治省にお伺いをしたいのですけれども、御承知のように自治省は、かつて地方税法第二十二条関係行政実例として、滞納者の状況等について地方議会から手続に従って要求があった場合にはそれを明らかにすることは秘密漏洩に該当しない、こういう回答を各都道府県等に出しておりますが、しかもその点はすでに他の委員会等でも論議になっておるわけでありますけれども、どうも最近になってから、大蔵省等との関係もあって、こういう従前の行政実例回答等について後退するような通達を流すという話も一部に聞いておるのですが、その辺、自治省の見解はどういう立場にあるのか、お伺いをしたいと思います。

石見隆三自治大臣官房審議官

○説明員(石見隆三君) 御答弁申し上げます。  いまお示しの実例につきましては、御案内のとおり、個人別の滞納金額一覧表を公開いたしますことは秘密に該当するかどうかという地方団体の質疑に対しまして、自治省といたしましては、いわゆる地方税法二十二条にいう秘密には該当はしない、すなわち調査の事務に関して知り得た秘密ではないわけでございますけれども、地方公務員法三十四条にいいます職務上知り得た秘密になる場合があるということの実例を出したわけでございます。  この点につきましては、いま先生からも御指摘のように、この解釈と申しますか、文章の表現が必ずしも十分ではなかったのではないか。ある意味では舌足らずの向きもございました。地方団体におきましては、若干その辺、扱いについての統一的な見解と申しますかをもう少しこまかい指導というものを期待いたしておった向きもございます。と同時に、あわせまして前国会でこの点につきましての御指摘もあったわけでありまして、原則としてこの滞納者リストというものは公開はできないのだということを明らかにすべきであるというふうに私ども考えました。この際、従来の通達の不十分であった点、あるいはまた舌足らずの点がございました点につきまして、あらためて通達指導いたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 ちょっと念のために伺っておきますけれども、舌足らずとか不十分とかいう問題ではないでしょう。たとえばこの岐阜県に出した回答を見れば、県議会等から要求があった場合には滞納者及び滞納状況について明らかにするのは秘密漏洩には該当しない、こう言っているでしょう。ただ、それを県議会等々の要求もないのに積極的に第三者や外部に公表した場合にのみ地公法三十四条の規定に関係することがある、こういう説明ですから、その区分けはきわめて整然としているし明確になっているのですよ。その点、不十分とか舌足らずとかいうものではないという点では、これはお認めになるでしょう。

石見隆三自治大臣官房審議官

○説明員(石見隆三君) この質疑につきましては、県の税務当局から私のほうの、内部の話になりますが、税務局のほうに照会があった文書でございますので、税務局といたしましては、地方税法二十二条の観点からすれば、こういう個人別滞納金額一覧表を議会に出しますことはいわゆる二十二条の秘密には該当はしない。しかし、これは地公法三十四条の規定にかかわる場合があるということを申しておるのでございまして、この点、御指摘のように頭から秘密漏洩には該当しないのだと、こういうふうにぽんと書いておりますことは、すべて滞納金額を出すことが秘密ではない、滞納金額は秘密ではないというような表現と申しますか、印象を与えるような文書になってしまっておりますことは、まことに不十分でございます。あるいはまた先ほど申し上げましたように、舌足らずであったというふうに私ども理解いたしておるわけでございまして、この点につきまして、今回考え方につきまして整理をして、あらためて指導いたしたいというふうに考えておる次第でございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 一般的に滞納者一覧表を出すことが秘密漏洩に該当しないといっているのではなくて、県議会から要求があった場合ということが前提になっているわけですからね。その点は何もあなたが弁解する必要はないと思うのですが、いずれにしても、県議会等から要求があった場合に滞納金額一覧表を出すことは地方税法第二十二条に違反をしないという立場に現在も立っておることは、間違いないですね。結論だけ。

石見隆三自治大臣官房審議官

○説明員(石見隆三君) 個人別の滞納金額一覧表というのは、地方税法の二十二条で言っております秘密には該当はしないというふうに考えております。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 そこで国税庁に伺いたいのですが、この地方税法第二十二条と、先ほどから問題になっておりますたとえば所得税法二百四十三条、法人税法等にもその規定がありますが、この秘密を守る義務の規定は全く同文同様の内容になっているのですが、国税庁としては、滞納者一覧表を所得税等に関して明らかにすることは所得法等に違反をしないというふうに考えておられますか。

安川七郎国税庁長官

○説明員(安川七郎君) 地方税法の守秘義務の規定と私どもの守秘義務の規定、同趣旨、同様のものであると考えております。  そこで私どもの税務職員の守秘義務の規定でございますけれども、御指摘になりました所得税法、法人税法、相続税法の守秘義務の規定と公務員法の百条の守秘義務の規定がダブってかかっております。そのことだけを申し上げておきます。  そこで、かりに私どもがその滞納者リストを公表いたそうといたします場合を想定して考えてみますと、これは所得税法、法人税法等のそれぞれの税法の守秘義務の規定には該当いたさないと考えております。しかし、公務員法の百条の規定はかぶります。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 そうしますと、自治省も大蔵省も、滞納者リストあるいはその一覧表等を出すことについては税法上は差しつかえないということでは一致をされておるわけですね。そういうことですね。

安川七郎国税庁長官

○説明員(安川七郎君) 非常に突き詰めた法律の解釈の問題になりますので、これは法制局の第一部長からお答え願いたいと思いますが、いかがでございましょうか。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 長官が来ておられるのですから、まず長官の結論的な話だけでいいんです。これはあまり長いこと議論することじゃありません。

安川七郎国税庁長官

○説明員(安川七郎君) 私どもは国家公務員でございますので、まず基本的には公務員法の規定が適用になります。そこで、一般法である公務員法のほかに、特別法の所得税法等の守秘義務がかかる、こういうような状態にあろうかと考えております。これ以上のこまかい法律論はひとつ法制局にお願いしたいと思います。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 きわめて今度の秘密をめぐる論議の中では重要な問題でしょう。自治省は明確にこの行政実例等で回答しているわけでしょう。いまあなたの答弁は、少なくとも私が理解をしたのは、自治省と同じ見解に立つような答弁をされたので、そのことを確認しているだけのことですから、そのとおりでございますといえば済むことなんであって、そうこまかい法律論や何かを聞いているわけじゃありません。そのことだけを答えてください。

安川七郎国税庁長官

○説明員(安川七郎君) 先ほどの自治省からの御答弁によりまして、滞納者の一覧表は地方税に関する調査に関する事務に関して知り得たものでないということで、地方税法第二十二条の秘密には該当しない、こういう御答弁があったと思います。その限りにおいては私どもと同様でございます。しかし、そのほかにわれわれとしては国家公務員法百条の規定があるということだけを付け加えて言いまして、地方にもその国家公務員法と同様な地方公務員法の規定があるということが出てまいりませんと十全なお答えに私としてはならないわけでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 そうすると自治省も大蔵省も、税法でいう秘密と公務員法でいう秘密は違う、税法でいう秘密のほうが狭くて、公務員法でいう秘密はより広がる、こういう考え方なんでしょうか。

安川七郎国税庁長官

○説明員(安川七郎君) 私はそう解しております、広いとかいろいろございますけれども。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 したがってまた税法上でいうところの秘密というのは、たとえばさっきから問題にしておりますように、調査事務に関して知ることのできた事項の中でも、またそれより事項の中で狭い。したがってまた調査に関して知ることのできた事項で秘密でないものについては、少なくとも公表しなければならない、公表できる。資料も出せる。こういうことになるわけですか。

安川七郎国税庁長官

○説明員(安川七郎君) 調査に関しまして知り得た事項の中で秘密でないことにつきまして、公表しなければならないとは私ども考えておりません。もし公表を求められた場合には、それは秘密でございませんから、税法の規定に従いましては差しつかえない。ただ公務員法がどうかという問題が残ります。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 いままでどちらかというと、税務調査に関して知り得た事項は全部秘密であるかのような印象があったわけですが、それはさっき言った実質主義等の基準に立って、そうなものとそうでないものとがある。そうでないものについては要求があれば公表できる。それからもう一つは、そういう基準の上に立って今後いろいろな、たとえばさっきの田中総理の調査が進んだ、あるいは国政調査権の発動があったというような段階に応じてケース・バイ・ケースでまた考えていく、全体的に。こういうことになりますか。

安川七郎国税庁長官

○説明員(安川七郎君) そのとおりでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 そこでまた自治省にお伺いをしたいのですが、地方税法の中に不動産取得税の条項がございますね。その七十三条の十八というところを見ますと「不動産を取得した者は、当該都道府県の条例の定めるところによって」「条例で定める事項を申告し、又は報告しなければならない」、こういう規定があるわけです。各県の条例等を調べてみますと、不動産を取得してから三十日以内に取得者の氏名、不動産の所在、地目、面積等について報告義務が規定をされておるし、その報告を三十日以内にしなかった場合には過料の制裁というふうになっているわけなんです。それは御存じですね。

石見隆三自治大臣官房審議官

○説明員(石見隆三君) 存じております。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 そこで伺いたいのでありますけれども、田中総理は次々に不動産を取得し、関連企業もだいぶ不動産を動かしているようでありますけれども、取得した日から三十日以内に、それぞれの当該市町村を通じてそれぞれの都道府県に報告をしているでしょうか。それについて自治省として調べたことがありますか。

石見隆三自治大臣官房審議官

○説明員(石見隆三君) 御案内のとおり、不動産取得税は都道府県税となっておるわけでございまして、もちろん私のほうとして直接課税いたしておるのではないわけでございます。したがいまして、各種の課税資料等につきましてはそれぞれの都道府県で保管されておるものでございますので、私のほうですべてについてその申告がどうであったかということは確認はいたしておりません。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 いま田中さんの不動産の取引、取得等について非常に重要な問題が提起をされているわけですね。なるほど都道府県が条例をつくり、それに基づいてやっておるわけではありますけれども、それぞれの不動産について田中さんは、あるいは全体の財産等についても、少なくとも法律違反はないと言っているのです。ところが、どうも私どもが調べた限りでいえば、次々に不動産を取得しておきながら、それを市町村長を通じて都道府県等に申告ないしは報告をしてないのじゃないか、こういう疑惑が強いのですが、その辺、自治省として全く調べておらないのですか。

石見隆三自治大臣官房審議官

○説明員(石見隆三君) 現時点では確認をいたしておりません。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 とすれば、緊急にこの点を調査をし、それぞれの不動産についての取得年月日と、それからいつ申告ないしは報告をしたのか、あるいはしてないものがあるとすれば、していないという一覧表を作成して提出を求めたいと思っているわけです。その点よろしくお願いします。

石見隆三自治大臣官房審議官

○説明員(石見隆三君) 御指摘の点につきましては、もちろん田中総理の財産、不動産取得の問題でございますので、あるいは東京都の課税当局なりあるいは東京都自身と十分話し合わなければ、私どもとしては資料の入手あるいは確認をいたすことができないわけでございますが、と同時に、なおその内容につきましては、先ほど来お話に出ておりますように、地方税法あるいは地方公務員法におきます秘密事項とのかかわり合いがある事項が多々あろうかと思っております。したがいまして、それの確認あるいは開示につきましては、今後国税当局とのお取り扱いともあわせまして検討させていただきたいというふうに思います。

多田省吾公明党

○委員長(多田省吾君) 松永委員並びに矢田部委員の資料要求に関しましては、後ほど理事会においても協議したいと思います。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 その前に、私はいまお願いをしたのは、税金の問題について言っているのじゃないんですよ。不動産を取得したことについて、申告義務があるのに期日以内に申告しているかどうか、しかも取得した事実は、これは表に出ない場合もありますけれども、少なくとも登記簿などでは不動産については明確になっているわけでしょう。それを秘密云々であらためて大蔵省と相談をしなければならぬという態度は何ですか。全く事柄が違う問題じゃありませんか。

石見隆三自治大臣官房審議官

○説明員(石見隆三君) 直接地方税に関する調査に関する事務に関して知り得た秘密でないものでございましても、内容によりますれば、地方公務員法によりまして職務上知り得た個人の秘密に該当すべきものもあろうかと存じておりますので、さよう御答弁申し上げた次第でございますので御了承願いたいと思います。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 私は一般論を言っているのじゃないですよ。不動産取得に関する申告書を出したかどうか、期日以内にやっているかどうか、これがどうして秘密なんです。その具体的な問題をお願いしているわけなんです。あまり一般論でかわさないでほしい。

石見隆三自治大臣官房審議官

○説明員(石見隆三君) 御指摘の点につきましても、繰り返し御答弁申し上げておりますように、申告書を出したかどうかということが地方税法なりあるいは地方公務員法に申します秘密に該当するかどうかということにつきましても十分検討し、あるいは国税御当局とも内容的には御協議申し上げてお答えをさせていただきたいというふうに存ずる次第でございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 どうして検討する必要があるのですか。不動産を取得すれば、通常は登記簿上記載をされるわけでしょう。この登記簿は、これはまさに公にするための制度なんですから、明らかにされているのでしょう。登記をするのとあわせて——登記をしない場合もあり得ると思いますけれども、いずれにしても、取得をした場合にはその取得状況について都道府県に明らかにしなさい、それを明らかに期日までにしなければ、行政罰でありますけれども、過料の制裁を科しますよと、単なる法律違反だけではなくて制裁規定まであるわけでしょう。それをどうして検討しなければならぬのですか。この場でいまの要求の趣旨に沿ってできるだけ早急に資料を集めて提出しますと約束できませんか。

石見隆三自治大臣官房審議官

○説明員(石見隆三君) 御指摘の点につきましては、不動産の場合、特に不動産取得税の場合には土地あるいは家屋がその対象になるわけでございますが、必ずしも、まあ未登記という場合もあり得るわけでございまして、取得されたことの申告の事実あるいは内容というのは、すべて現時点で地方公務員法なりあるいは地方税法にいう秘密には該当しないということを、私どもといたしまして断定いたすわけにはまいらないのではないかというふうに考えておる次第でございまして、この点につきましてもあわせて、含めて御検討させていただきたいというふうに存ずる次第でございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 もう一回伺いますけれども、どうなんですか、自治省の指導なり基準として、不動産取得をした場合の申告書というのは秘密文書なんですか。秘密扱いにしているのですか。そこをまず伺いたい。

石見隆三自治大臣官房審議官

○説明員(石見隆三君) 申告書の申告されました内容につきましては、私どもといたしましては、一応本人の財産の所在でございますとか、あるいはその価額でございますとか、取得の時期でございますとかというものを内容といたしておりますので、地方公務員法あるいは地方税法に申しまする秘密に該当するものであるというふうに考えておる次第でございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 ちょっと待ってください。不動産取得の申告書は秘密だと言うのですか。

石見隆三自治大臣官房審議官

○説明員(石見隆三君) 申告書の内容に記載されております事項につきましては、一般的には秘密に該当すべき事項であろうというふうに存じております。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 とんでもない話ですよ。不動産の所在でしょう、地目、面積、これは登記簿上まず明らかですね、一般的には。それからさらには私どもが町村役場に行けば、固定資産の評価証明がとれるわけでしょう。この評価証明をとればこれも明確になる。どうして不動産取得の申告書だけが秘密なんですか。全くおかしいじゃありませんか。

石見隆三自治大臣官房審議官

○説明員(石見隆三君) 登記簿に登記をされております事項で一般に公開されておりますものは、これは私どもは秘密には該当しないであろうというふうには存じますけれども、いま申しましたように、不動産取得税の申告書の内容といたしましては、そのほかに各種の要素をそれぞれ地方団体が独自の条例で要請をしております。たとえば取得価額でございますとか、あるいは相手方とかいうようなものを内容としております団体もあるわけでありまして、不動産取得税の申告書につきましては、内容はすべてこれは秘密ではないというふうには私ども理解いたしておらない次第でございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 どうも議論がおかしいですね。登記簿で不動産所有権移転登記をする場合には、登記を申請するに際してももちろん相手方はわかりますよ。それから取引価額も書くことになっているんですよ。そんなものは登記所に行けば幾らでも閲覧できるわけでしょう。全く理由にならないじゃありませんか。

石見隆三自治大臣官房審議官

○説明員(石見隆三君) 御指摘のように、内容的にはあるいは不動産取得の申告書が地公法なりあるいは税法に申しまする秘密に該当しない事項もあろうかと存じます。あるいは中には、その中身によりましては、先ほど申しましたように取得価額でございますとか、その他秘密に該当するであろうという事項も含まれておるわけでございますので、一般的にその内容すべて地方団体としてこれを開示するというわけにはまいらないものではないかというふうに考える次第でございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 あまり同じようなこまかい議論をしたくないですけれども、取引価額は登記の申請のときにも出すのです。その登記の申請書はわれわれが登記所に行けば閲覧できるのですよ。公にされているのですよ。どこが秘密なんだ。どこが秘密にする必要があるのか。一般論じゃなくて明確に言ってください。

石見隆三自治大臣官房審議官

○説明員(石見隆三君) 御案内のように、不動産取得の申告書はそれぞれ各地方団体が、先生御指摘ございましたように、いろんな形で条例で定めておりますので、申告書はすべて秘密ではないということを、私先ほどから申し上げておりますように断定するわけにはまいらないのではないか。ただしかし、御指摘もございましたように内容的には、あるいはまた登記簿に記載されました事項等につきまして、一般に公開されておりますようなものをあらためて申告書の中に記載をさせておるというふうな部分につきましては、これはものによりますれば秘密に該当しないものもあろうかと思っておりますけれども、それぞれ地方団体が様式を定めております。と同時に、いろんな形での報告、申告を求めておりますので、一般的に不動産取得の申告書の内容が地方税法で申しまする秘密ではないというふうには、いまの時点では申し上げかねる次第でございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 同じことを何回も聞かなければなりませんけれども、この地方団体がきめている条例というのは、自治省が流した文書に基づいて、私が調べた県だけでも何県かありますけれども、全く同じ文体でつくられているんですよ。そんな、地方自治体によって独自の基準を立てたり申告事項をふやしたりなんということはないんですよ。具体的にこの事項が秘密なんだということが明確にできるならば言ってごらんなさい。

石見隆三自治大臣官房審議官

○説明員(石見隆三君) 地方団体といたしましては、別段私のほうで様式を具体に現時点で示しておるわけではございませんので、それぞれの地方団体同士で連絡をし合って、あるいは場合によりますれば同じような様式を特定のブロックの県で使っておるというふうな事実もあろうかと存じております。しかし、地方税法上では申告義務を課しておるわけでございますけれども、なかなかこの申告が一般的には励行されておらないということは事実でございます。したがいまして地方団体といたしましては、申告以外のその他の方法で課税事実あるいは課税客体の把握につとめておるわけでございますけれども、それらとの関連等も起きまして、必ずしも各地方団体、この申告書が一律であるというわけではないわけでありまして、個々の内容等につきまして精査しあるいは検討しなければならない問題がやはりあるのではないかというふうに存ずる次第でございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 あなたは全国の条例を調べているのですか。具体的に知っているのですか。調べており、知っておるということならば、この県の条例のこの部分はこういうので秘密なんだと、具体的に指摘してください。聞かないことを答えて、聞いていることをまともに答えないというのはよくないのじゃないですか。

石見隆三自治大臣官房審議官

○説明員(石見隆三君) 私どもといたしましては、一応各県の条例というものを参考までにいただいております。したがいまして、全部をいま持っておるわけではございませんが、内容的には承知できるわけでございます。ただ、内容といたしましては、取得の時期あるいは先ほどから申しておりますように評価額というようなものも求めておるような団体も中にはあるわけでございます。で、取得の時期等につきましては必ずしも不動産登記の時期とも合わないと申しますか、登記は必ずしもしなければならないわけではないわけでございますから、取得の時期等につきまして、あるいは不動産登記の時期ともずれがあることもあり得るわけであります。その辺、内容によりまして精査しなければならないであろうというふうに存ずる次第でございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 ますますわからないことを言いますね。不動産登記の取得時期と申告の取得時期が合わないこともあるから秘密だと言うのですか。全くつじつまが合わないじゃないですか。全く説得力がないじゃないですか。

石見隆三自治大臣官房審議官

○説明員(石見隆三君) 直ちにいま申しましたものが秘密かどうかということにつきましては、先ほどから御答弁申し上げておりますように検討させていただきたいと存ずるわけでございますけれども、一例として、そのように必ずしも公表されておりますものとあるいはまた個々の申告書とが内容が一致しなくてもいいものについて、それはどうかという問題もあろうかというふうに存じておりますので、その点を御説明申し上げた次第でございますので、御了承賜りたいと思います。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 了承できないから何度も聞いているのですがね。取得年月日なんていうのは食い違いがあることもあるかも知れません。それは本人の問題なんで、登記簿だって明確にしなけりゃならぬことになっているわけでしょう。どうしてそれが秘密なんですか。どうして秘密かどうかを検討する必要があるのですか。秘密でないことは自明の理じゃありませんか、そんなこと。国会なんですからね、あまり子供だましみたいな答弁はしてもらいたくないです。

石見隆三自治大臣官房審議官

○説明員(石見隆三君) 申告書の内容につきましては、先ほど来繰り返し御答弁を申し上げておりますように、私どもといたしまして、すべてこれが各県それぞれ様式も内容も異なる、すべての四十七県が全部違うというわけではございませんが、若干内容的に異なるものを採用しております県もあるわけでございますので、その内容によりまして、先ほど申しておりますように地公法なりあるいは税法に申しまする秘密に該当すべき事項も含まれておる場合もあるわけでございますので、その点精査をいたしまして、すでに開示されておりますものはお答え申し上げることができようかと思うのでございますけれども、内容的に秘密とされるべき事項につきましては検討させていただきたいというふうに存ずる次第でございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 私はいまの答弁は全く納得しません。同じ議論の繰り返しをしてもしようがありませんけれども、少なくとも出す方向で努力をする、検討する、そのぐらいの約束はしてください。

石見隆三自治大臣官房審議官

○説明員(石見隆三君) 十分検討はさせていただきたいと存じます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 出す方向で検討するということですから、出してもらわなければ納得はしませんけれども、もう一点最後に質問します。  法務省の民事局長に伺いたいと思うのですが、土地の登記で錯誤による抹消をするという例がありますね。これは通常、たまたまAからBに土地を移転したけれども、地番を間違えてしまったとか、いわば取り違えてしまったというときに、一たん変えた名義をもとに戻すこととしてやられるのが常識だと思うのですけれども、ここ数年来の土地ブームに乗って不動産業者などが、Aから不動産業者が買った土地をBに売るとそれぞれの段階で税金をとられてしまう。譲渡所得とかあるいは不動産取得税とかいう税金をとられることを免れるために、本来はAから不動産業者、不動産業者からBに行ったにもかかわらず、不動産業者はAから買ったあとで買い手のBを探し、Bに移すときには不動産業者とAとの間の登記を錯誤によって抹消をして、直接AからBに行ったようにして、言ってみれば脱税の手段として錯誤による抹消をやる、こういう実体があるのを御存じでしょうか。  もっとも登記というのはもともと形式的な審査でありますから、登記の際にはそのことに立ち入って調べることはないと思いますけれども、民事局長として、いわば登記がいろいろなものに利用されておる。あるときには担保の手段に、あるときには脱税の手段に利用されているという最近の状況について御存じかどうか、その点伺いたいと思う。

川島一郎法務省民事局長

○説明員(川島一郎君) いろいろな登記がなされることは事実でございますが、ただいまお話にございましたような錯誤による抹消登記がひんぱんに利用されているという、そういう事実があるかどうかという点につきまして、私直接知りませんので関係の者にただしましたところが、そういうことはない、これは錯誤による抹消登記というのはきわめて異例な場合に行なわれるものであって、現実にそういう登記が登記所に申請されることはきわめてまれである、こういうことでございました。私もそのように理解しております。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 本来は、そんなに重要な土地を動かすわけですから、それが間違ったなんということはまれであるのがたてまえであるし、事実でなければならぬと思うのですけれども、不動産業者等がとりわけ脱税の手段として間々使うという実体を御存じありませんかと、こう言っておる。その全体的な数がどんなに多いかどうかということじゃなくて。

川島一郎法務省民事局長

○説明員(川島一郎君) いまお答えいたしましたような次第で、そういう実体を承知いたしておりません。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 そういう実体がないということじゃなくて、知らないということですか。そういうことですね。  そこでちょっと国税庁にお伺いをしたいのですが、例の柏崎の原発用地について、最初北越製紙が持っておった。それを木村博保というのですか、元村長、その後県会議員、田中総理の地元の後援会の副会長、その人が買って、それを室町産業に売った。売ったのが、御承知のように四十一年の九月一日です。ところが四十二年の一月十三日、何カ月もたたないうちに再び木村博保の手に戻すわけですね。その戻し方が、いま私が問題にしておる錯誤による抹消なんです。そして木村博保は、一たん室町産業に売った土地を錯誤による抹消で戻してもらって、その後東京電力に売りつける。そうして原発用地になる。こういう経過を歩んでいるわけです。また、これについてはいろいろな角度から疑惑の問題が出ているわけなんですが、私は税金の関係だけで伺いたいと思うのです。  まず、その木村博保が室町産業に売ったときには、木村は譲渡所得税、それから室町は不動産取得税、これを支払ったでしょうか。

安川七郎国税庁長官

○説明員(安川七郎君) 私どものほうの所得税につきましては、その段階で課税されております。払いました。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 それから室町産業からさらに木村に、錯誤によって抹消されているわけですね。このときの抹消についての税金の処理はどうなっているでしょうか。

安川七郎国税庁長官

○説明員(安川七郎君) それも当該法人の申告の中に申告されております、譲渡分が。課税されております。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 室町産業の譲渡所得になっている。したがって、木村博保のほうも不動産取得税を払ったということですか。

安川七郎国税庁長官

○説明員(安川七郎君) 不動産取得税は私どもの所管ではないので確認できませんけれども、国税、法人税とか所得税につきましては、それぞれの段階で課税されております。つまり抜けはないということでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 これはあれですか、自主的な申告で払ったのですか。それとも、その後の調査の結果払ったということになるのでしょうか。

安川七郎国税庁長官

○説明員(安川七郎君) 自主的な申告でございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 そうしますと、税金の関係はそのとおりだとすれば、金額は明らかになっておりますか。木村から室町にいった場合、室町から再び木村に錯誤によって戻った場合に、取引価格が幾らで、どのぐらいの税金が払われたか。譲渡所得税、不動産取得税、これはわからないとすれば譲渡所得税だけでもけっこうですが、およその金額。

安川七郎国税庁長官

○説明員(安川七郎君) 申告の上で譲渡差額につきまして所得税あるいは法人税が課税されておりますから、それぞれの取得価額、買却金額が正確に申告されておるわけでございます。その内容については、先ほど申し上げておりますように守秘義務の関係からごかんべん願いたいと思います。ただ、私どものほうの税の観点からしますと、その分については適正に処理されているというふうに考えております。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 そうしますと、私が疑問に思いますのは、金額は明らかにできないということが一つですね、まずいまの段階で。  それからもう一つ疑問に思うのは、その木村さんから室町にいき、さらに木村に戻すのになぜ錯誤による抹消などという法務省に言わせると珍しい方法をとったのか。これについて国税庁は知っているか、調査をされているようなことがありますか。

安川七郎国税庁長官

○説明員(安川七郎君) どうしてそういうふうな登記をされたかということはわかりません。ただ、その錯誤による登記の抹消と私どものほうの申告による課税関係、これは申告がなくてもそういうような調査をして課税いたしたと思いますけれども、課税関係とは若干食い違うわけですね。それにつきましては、私どもは土地等の移転がございましたときに登記面というのは一応調査いたします。しかし、その背後にある実体によって課税いたしますので、錯誤的に戻っておっても実体がこういっておればそれに応じて課税する、こういうことでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 普通は売買でいいわけですね。ところが、ほんとうに錯誤だったという場合には、これは国税局としては税金は取らないのでしょう。たまたま間違ってしまって、変えるべきでない土地の名義を変えてしまった。あるいは地番を間違えてしまった。本来、登記法が予定をしているような錯誤の場合には、これは実質的にお金の動き等もないわけですから、税金は取らないのでしょう。

安川七郎国税庁長官

○説明員(安川七郎君) そういうのは二つ例があると思います。御本人がそういうふうに錯誤登記でやられましても、前段階と後段階に分けてそれぞれ申告でもって自分で申告される場合ですね、これは御本人がそういうふうに出されてきたのでございますから、私どものほうとしてあえてそれを修正いたしません、ほんとかうそかということは。それで調査しまして、それがほんとであればそのままでよろしいわけです。そこで、もし申告がないと仮定いたします。その場合は私どもは調査に参ります。それで、これは前段と後段と実体が分かれておるからというのでそれぞれ分けて課税いたしたといたします。そこで御本人から、いやそうじゃない、これはどうも全くの錯誤であるから、実体は一個であるから、そういう二分割の課税はやめろと、こういうような異議の申し立てがありまして、それを審査いたしまして、実体がほんとうの錯誤ならば、それは私どもは課税を差し控えます。そういうことになります。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 そうすると、本件は室町産業等から申告があった。その申告の実体は錯誤による取り消しというようなことではなくて、実質上の取引だ、こういう前提で申告があったわけですね。

安川七郎国税庁長官

○説明員(安川七郎君) 申告書ではさようになります。AからBへ、それからBからCへと、こういうような申告であります。これは税に関する限りはそのとおりであります。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 登記簿の錯誤による取り消しと実際の取引関係は違っている。錯誤ではなくて、いわば譲渡なり売買なりと同じようなものとして申告をされている、そういうことですね。

安川七郎国税庁長官

○説明員(安川七郎君) 税上の取り扱いは、まさにそのとおりでございます。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 しかしながら、あなたとしては、そういう取引関係の実体があったにもかかわらず、なぜ錯誤による抹消などをしたかについては調べてもいないし、わからない。これは疑惑だということに私はなるのですけれども、そういうことですね。

安川七郎国税庁長官

○説明員(安川七郎君) これがAからB、BからCへという課税の方法と、Aから一挙にCへまいります方法と、これは時間的な問題が若干ございますけれども、その譲渡差額の課税についてはあまり大きな問題になりません、合計した総額が合ってしまいますから。したがいまして、なぜそういうふうになったかということは、私どもは税金を徴収するたてまえから言いますと、あまり深く追及いたしません。特に本人の申告でございます。さような扱いになっております。

多田省吾公明党

○委員長(多田省吾君) 矢田部君に申し上げますが、時間が超過しておりますので、切りのいいところで……。

矢田部理日本社会党

○矢田部理君 もう一つ刑法問題について実は質問をする予定だったのですが、そういうことですので、きょうはこれで終わりたいと思います。

多田省吾公明党

○委員長(多田省吾君) 午前の質疑はこの程度にとどめます。  午後二時十分再開することとし、休憩いたします。    午後一時三十六分休憩      —————・—————    午後二時二十二分開会

多田省吾公明党

○委員長(多田省吾君) ただいまから法務委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き検察及び裁判の運営等に関する調査を進めます。  質疑のある方は順次御発言願います。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 それでは私が午前中の質問に引き続きまして、いわゆる田中総理をめぐる金脈の問題について質問を続けさせていただきたいと思います。  午前中からの質問を伺っておりますと、ともかく各省とも地方税法あるいは所得税法をたてにとって秘密を守らなければならないということで、国会の国政調査権というものはどこにあるのかと思われるような、問題にならないような答弁しか伺えなかったわけでございますが、この地方税法あるいは国家公務員法について法務省のほうにちょっと伺いたいのでございますけれども、こうした法律の適用を受けるのは国家公務員のうちの一般職であるというふうに、これは前に安原刑事局長が御答弁になったけれども、そのとおりでございますね。

安原美穂法務省刑事局長

○説明員(安原美穂君) 御指摘のとおりでございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 これは刑法の改正問題に関連いたしまして私、刑事局長に伺いましたところ、刑法の改正案の中に国家機密漏示罪というものをなぜ設ける必要があるのかということに対する御答弁で、いまの法律では国家公務員のうちの一般職が秘密を漏らした場合にそれに対する取り締まり法律はあるけれども、特別職に対しては全くそういう規制は行なっておらないので、そういう意味があるから、そればかりではないでしょうが、国家機密漏示罪を設けるのだという御答弁をなさいましたね。また法務省のこの刑法改正についての書面にも、これはいまの国家公務員法その他それに準ずる法律は一般職のみが対象となっているので、特別職にも適用するような立法が望ましいのだというような解説がございます。そのとおり間違いございませんか。

安原美穂法務省刑事局長

○説明員(安原美穂君) 佐々木先生御指摘のとおり、国家の機密に関する漏示罪を今度の法制審議会の答申の刑法改正草案の中で設けておりますおもな理由は、いま御指摘のような特別職の公務員も処罰の対象にするということが主たる目的ではなくて、国家の機密、秘密のうちでも高度の機密を漏らすという行為はいわゆる刑法典に盛り込むべき自然犯的な性格のものだから、機密に関してはこれは刑法典に設けようというのが主たる動機でございまして、そうなれば、そのように国家の機密に当たるようなものを漏らすということになれば、一般職、特別職を問わず規制の対象にするのが妥当ではないかというのが法制審議会の答申の御趣旨であったというふうに私は理解しております。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 いま伺っているのは、そのとおり将来の立法についての展望の問題だと思います。現在の法律においては一般職しかこの対象になっておらない、そのように私ども承ってきているわけでございます。そうすると、これは私どもは一般職の国家公務員であっても、国会の国政調査権の前には守秘義務よりも国政調査が優先するのではないかという前提にもちろん立っているわけですけれども、ここを百歩譲っていま御当局が言われるように、これは法務省が言っておられるわけじゃないわけですが、先ほど来自治省なり大蔵省なりが言っていらっしゃるように、公務員の守秘義務というものがあるから云々という理論は、刑事局長の従来からの御答弁によると、これは一般職に適用されると思うわけです。特別職に国家公務員法あるいは地方税法、所得税法などの守秘義務を規定した個所がございますでしょうか、ないでしょうか。

安原美穂法務省刑事局長

○説明員(安原美穂君) そういう規定はございません。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 それでは実はお伺いしたいのですが、これは法務省と申しますか検察庁が、従来の考え方からとりますと、裁判所における証言を拒否した場合、法律上の根拠がなしに拒否した者は証言拒否罪として起訴したりしていられるのですけれども、法律上の根拠なくして司法機関に対する証言は拒否できない、拒否した場合は処罰の対象になる、そういう御見解を法務省はとってこられたわけですね。

安原美穂法務省刑事局長

○説明員(安原美穂君) 先ほどの特別職については守秘義務の規定は全然ないかという点でございますが、一つ失念しておりました。外務公務員法におきましては、外務公務員法の規制の対象には特別職になる大使、公使等がお入りになるという意味において唯一例外がございますが、一般的には特別職については守秘義務について罰則を設ける規定はございません。  それから後段の、法令による根拠なくして証言をしなかった場合には、処罰の対象になります。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 ですから、たとえば特別職の人が、外務上のことはともかくとして、ほかのことについてはそれを規制している法律はない。  これは司法機関に対する証言拒否の問題でございますが、新聞記者にその取材源について刑訴法上証言拒否権が認められないとして、「刑訴法上証言義務は、実体的真実の発見によって法の適正な実現を期することを使命としている司法裁判の適正な行使に協力すべき重大な義務として一般国民に課せられたものであるから、証言拒否権は法律の規定で列挙されている場合のみ例外的制限的に認められるものである」とした最高裁の昭和二十七年八月六日の判例があり、またこれと同じ考えに基づいて法務省は従来、事件を起訴したり立件したりしてこられたことは間違いありませんね。いまでもそのようなお考えでございましょう。

安原美穂法務省刑事局長

○説明員(安原美穂君) 御指摘のとおりでございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 それではこれは法務大臣に伺いますけれども、法務省は、司法機関に対してはそこまで厳正に国家の法律の適正な適用ということを求めるために、法律上の根拠なしに証言を拒否した人を刑事事件として立件して、処罰を求めてきているわけなんです。いま問題になっております国会での国政調査権に基づく証言ですね、まだ証言を求めるところまではきておりませんけれども、公務員の特別職においてはこれを規制する法律がないということは法務省の刑事局長が言ってらっしゃることですから、これは間違いないわけでございますが、法務大臣は司法権と立法権と同じような高さにおいてお考えになっていらっしゃいますか。あるいは立法権はきわめて小さい権限でいいんだ、司法権はそのように大きく保障しなければならないけれども、立法権はもっと制約すべきだとお考えになっているのですか。立法権についてどのようなお考えを持っておられるか。また、司法権との均衡上このことをどのようにお考えか、お述べいただきたいと思います。

濱野清吾自由民主党法務大臣

○国務大臣(濱野清吾君) お答えいたします。  適当であるかどうかわかりませんけれども、三権分立というようなもの、この問題については今回の世の中の騒がしさを考えて、この調査権というようなものが非常に大きなウエートを持ってくるであろう。しかし司法権と立法権と、これを同じように見るかどうかというような問題は、事案によっては異なってくるのじゃないだろうか。また一方に、国会は国権の最高機関でありますから、そういう意味から見てもこれは重大な問題であり、私いま独断で先生に申し上げることは遠慮したい、こう考えております。むしろ、それは今後私どもも研究しなきゃならぬ大きな課題ではないか、こういうふうに考えております。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 いま大臣のお話にもございましたように、司法機関を重く見て立法機関、立法権というものを小さく見るというようなことは、いまの憲法のたてまえ上許されない。少なくとも平等に、国会は国の最高機関であると憲法上からも規定されているし、もちろん少なくとも司法権とは同じだけの権限を持たさなければならない、このように大臣も国会議員の一人として当然お考えになるというふうに思うわけでございまして、もちろん私どもは一般職の国家公務員に対する守秘義務というものも、国政調査権の前には守秘義務というものは後退すべきであると考えるわけでございますが、特に特別職については何ら現在規制する法律がないという現状において、法を守らなければならないところの法務大臣が、それを法をゆがめて国民の前に真実を明らかにさせないというようなことに多少でも加担されるというようなことになれば、これは由々しき問題であると思いますので、今後ともこの国政調査権の保障ということについて、法務大臣のほうでできるだけの御努力をいただきたいと思うわけです。  この問題について私ずっと論じたいと思うのでございますが、時間がございませんので、先ほど来松永あるいは矢田部両委員から資料要求のありました分について、これは実にいろんな部分についての資料をもっともっと出していただかなければならないのでございますけれども、とりあえずいま田中総理に関係があるというふうに言われております会社の登記簿謄本、これは名前をあげますが、これを要求いたしたいと思います。  これは新星企業株式会社、それから国際興業株式会社、パール産業株式会社、ニューエンパイヤ・モーター株式会社、関新観光開発株式会社、日本電建株式会社、理研ビニル工業株式会社、田中土建工業株式会社、三建企業株式会社、室町産業株式会社、田盛不動産株式会社、越後交通株式会社、その後の調査でまだだいぶ関連会社が出てきているわけでございますが、とりあえずいま申し上げました会社の登記簿謄本、それからこれに関連する閉鎖登記簿の謄本、そしてその会社の設立登記の書類、設立登記に要した書類、これらはまず法務省はお出しいただけるわけでございますね。

川島一郎法務省民事局長

○説明員(川島一郎君) ただいまおあげになりました会社、大体わかっていると思うのですが、たくさんおあげになりましたので、名前とそれから所在地でございますね、それが詳しくお教えいただけるのでございますれば、私のほうで登記簿を提出することは可能でございます。それから申請書類につきましては、設立登記の際の付属書類、申請書類ということでよろしゅうございますか。——それならばそろえます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 何でございましたら、私も一応は閉鎖登記簿を取り寄せたのですけれども、よければいま申し上げましょうか、所在地。あとで書面で出しましょうか。どちらでもよろしいですが。いま申しました十二、おわかりになりませんですか。

川島一郎法務省民事局長

○説明員(川島一郎君) 後ほどお伺いさせていただきます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 じゃ後ほど書面にしてこれは申請いたしますが、いま申し上げましたように設立登記の書類と、それに関連する付属書類も一緒にお願いしたいと思います。  それからこれはもう秘密でないことははっきりしておりますが、不動産の登記簿ですね、これはちょっと私も一部は持ってきているわけですが、関連するものが何百筆にも及びますので、とてもいま全部の表題をあげるわけにいきかねるわけでございますが、不動産登記簿謄本は、具体的に表示をはっきりすればむろん委員会に提出していただけますね。この登記申請書及びそれの付属書類も一緒に提出していただきたいのですが、その点はよろしゅうございますか。

川島一郎法務省民事局長

○説明員(川島一郎君) 登記簿につきましては土地の表示をお教えいただければ提出いたします。それから申請書類につきましても、その問題となる登記の申請事件を御指摘いただけたらそろえます。  それから先ほどとあわせまして、ちょっと申しおくれたのでございますが、登記の申請書類につきましては保存期間がございまして、もし保存期間を経過したものがございますと、すでに廃棄しているわけでございますので、それはもう提出することができないわけでございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 これは保存期間が経過すればすぐに廃棄しているわけですか。残っているものもあるのじゃないですか。どういうふうに取り扱っていられますか。それと、権利変動からどれだけの間保存期間になっているのか、あるいは保存期間がくると全部廃棄にしているのか、あるいは廃棄にしてなくて残っている部分があるとすればぜひとも出していただきたいと思うわけですが、その点明快にしていただきたいわけです。

川島一郎法務省民事局長

○説明員(川島一郎君) 保存期間は十年でございます。  それから保存期間を経過いたしますと、原則として直ちに廃棄をいたしております。これは登記所がいま事件が非常に多うございまして、書庫が狭隘でございますので、保存期間を経過したものは直ちに廃棄するという取り扱いにいたしております。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 そうすると、十年以内に権利変動のあったものについては、事件名を表示すればその権利変動に要した書類、付属書類一切出していただけるということを約束していただけるわけですね。  それからこれは刑事局のほうに伺いますが、刑事の確定記録の保存期間はいまどのくらいになっておりますか。

安原美穂法務省刑事局長

○説明員(安原美穂君) 私の記憶にして誤りなければ、五年と記憶しております。  先ほど佐々木先生の御指摘、私の誤解であればあやまらなければなりませんけれども、佐々木先生のおっしゃったことの中に、証言拒絶の罪を規定しておる場合、司法権の裁判については罰則をもって証言を強制しながら、立法府の国政調査等についてはそういう証言を罰則をもって強制していない、そういう意味においては弱く見るというのはいかがかというお話でございましたけれども、法律のたてまえでは、もう御案内と思いますけれども、議院における証言法におきまして、証人につきましての証言拒絶は、正当の事由がなければかえって刑事訴訟法におけるよりも証人に対する処罰は重いわけでございますので、そういう意味において、法律的に司法には厚く立法府については証人に対する強制力が弱いということではないということは、もう釈迦に説法ではございますけれども、念のために申し上げておきます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 これは私お尋ねした趣旨が全く違うことでお尋ねしたわけで、処罰規定にないのに証言を拒否した場合、検察庁では起訴までしていられる。刑事事件として立件していられる。そうすると、法務省の考えとすると、処罰規定のないものが証言を拒否するということはいわば違法なことであるというふうにお考えになっていらっしゃると思われるが、違法なことであるというよりも、刑事処罰を求めるというふうに、司法権に対してはそのような態度で臨んでいらっしゃる。これは立法と司法というものが全く三権それぞれの平等の立場をとっているとすれば、そういうふうな規定が何にもないにもかかわらず特別職の公務員が証言を拒否するということは、法務省の見解とするとおかしいのではないかとお思いになるのではないかと大臣にお尋ねしただけのことでございまして、いまのところはちょっと御答弁は私のお尋ねしたことと違うことになっていると思いますので、その点についてはよろしゅうございます。もうわかっているからけっこうでございます。  私は刑事記録についてもぜひとも取り寄せをお願いしたいと思ったわけでございますが、それではやむを得ませんが、いま私が申し述べました十二の会社についての財務諸表ですね、先ほど矢田部委員あるいは松永委員から資料要求のありました。それは法務省のほうからこれらの会社についての財務諸表を取り寄せて、こちらへ提出していただけますでしょうか。

川島一郎法務省民事局長

○説明員(川島一郎君) 財務諸表につきましては、これはわれわれ提出を受けておりませんし、また提出を求める権限もございませんので、ちょっとその点はお引き受けいたしかねるのではないかと、このように考えております。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 しかし、一応商法上の監査については法務省が監督官庁になっているのですから、提出せよということは幾らでもおっしゃられる立場にあるのじゃないですか。

川島一郎法務省民事局長

○説明員(川島一郎君) 法務省としては一般的な監督権限も特に持っておりません。そういう関係で、提出を求める根拠も別にないように思われます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 これは権限がどうこうということよりも、ともかく商法改正によって、いままで大蔵省だけの管轄であったところの商法上の会社というものが法務省の民事局の管轄下に入っているわけですから、これはやはり出させるようにひとつ努力をしていただかないといけない。直接間接そういう努力をしていただくというお約束はできないのですか。できないとすればどういうわけでできないのかということをお示しいただきたいと思います。

川島一郎法務省民事局長

○説明員(川島一郎君) 先ほど申し上げましたように権限もございませんし、それから一般的な監督権もございません。いままでそういうことをいたしました事例もございません。したがいまして、行政庁という立場から提出せよと言うことはできないわけでございますが、ただ、私人というとおかしいですが、そういった公の関係でなく、そういうものを見せていただけるかという形でならばこれはできないことはないと思いますが、しかし、それが役所としてそこまでやっていいのかどうか。あるいは国会から御要求があったから使い走り的な意味でその会社に伺ってみるかというような問題ではなかろうかと、私一応現在ではそのように考えておるわけでございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 これらの会社に何もやましいところがない、不正がないというのであれば、喜んででも出てきて釈明しなくちゃならないところだと思うのです。そういう意味では、法務省からそういう話があれば、財務諸表に不正なところがなければ喜んで出してくるのが当然じゃないかと思うのです。最初から出さないとか何とかごちゃごちゃもし言うとすれば、これは不正があるから出すわけにいかぬということになってくるのじゃないかと思いますね。私どものほうも、どうしても出せないということであればこれらの関係の、いまもっとたくさんふえておりますが、とりあえずこの十二の会社の代表取締役を証人としてこの委員会に、これは委員長ともおはかりした上で喚問する。そしてその財務経理の内容、会社の実態あるいは経理の内容を証言していただくよりほかないわけですけれども、そこまでしたくないということであれば、進んで財務諸表を法務省のほうに提出される、あるいは国会に提出されればいいんじゃないか。もしそれがどうしてもできないというのであれば、これは国会のほうで証人に喚問する。私どもはそのようなつもりでおりますけれども、ひとつそれだけの、まあ次善の方法として法務省としてもっと骨を折って提出できるように、やってできないことはないというお話だったわけですから、やってできないことはないことだったらひとつやられたらどうですか。

川島一郎法務省民事局長

○説明員(川島一郎君) ただいま私がお答え申し上げましたのは、あくまでも私の現在の私見でございます。したがって、なお相談はいたしてみますけれども、最初に申し上げましたように提出を求める権限というものはございませんので、あとは完全にそれをお引き受けするというわけにはまいらないという点だけは御了解いただきたいというふうに思います。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 じゃその点はあとで、いま名前をあげずに十二の代表取締役を喚問するという申請を社会党としてするということを申しましたが、いずれ委員長とも御相談して証人喚問の手続も余儀ないと思います。しかし、法務省としてできるだけ資料提出ということに御努力いただきたいと思うわけです。努力をされるという点は約束されますね。大臣、いかがでございますか。

濱野清吾自由民主党法務大臣

○国務大臣(濱野清吾君) ただいま局長がお答え申し上げましたとおり権限がないというのですから、まあ別の方途でやればできるようなニュアンスのある答えもございましたが、権限のないものが無理やりに出せというのもちょっと無理かと思いますから、十分省内で相談をして、そして先生の希望に沿うようにつとめることはつとめるけれども、しかしその結果が生まれるかどうか、この点はひとつお考え置きを願いたいと思います。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 それでは大臣も前向きに御努力いただくということで、私の金脈に対する質問は、時間の都合で終わりたいと思います。あとでいずれ理事会で相談いたしまして、証人喚問の手続をとりたいというふうに考えているわけでございます。  それでは次に別の問題に移りますが、裁判所のほうはお越しでございますか。  この間の十月三十一日に、いわゆる狭山差別裁判といわれているものの判決、東京高等裁判所におけるところの判決の言い渡しがございました。それに関連して若干司法行政の問題について質問をいたしたいと思います。  まず、この日の東京高等裁判所の一般の狭山事件以外の公判が、民事、刑事全部職権によって期日変更をされた。そのことに対して、それらの事件の当事者の方々から非常に多くの不満の声が出ておるわけでございますが、裁判所はその点どういう根拠で変更したのか。また、そのことについて司法行政の一番の責任者としての事務総長はどのようにお考えになっているのか、まず伺いたいと思います。

安村和雄最高裁判所事務総長

○最高裁判所長官代理者(安村和雄君) 当日の前前日でございますか、東京高等裁判所長官の部屋に三人の者が乱入するという事故がございました。それからまた狭山事件につきましては、支援団体の活動等たいへん盛んでございまして、いろいろな情報が入っております。裁判所の法廷が静かに行なわれることについて多大の心配があったわけでございます。そこで高等裁判所の裁判長方が御相談なすって、狭山事件一本にひとつしぼって、ほかの事件でおいでになる傍聴人や関係者に不測の事態が起こっては相ならないということで変更をしたわけでございます。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 東京高裁で再々そのようなことをなさるのですか。

田宮重男最高裁判所事務総局総務局長

○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 今回の措置は全く異例の措置でございまして、従来そのようなことをやったことは全くありません。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 これはどういう異例の措置をこの事件に限っておとりになったのか、その点私ども全くわからないのですが、どういう理由に基づくものですか。

田宮重男最高裁判所事務総局総務局長

○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 先ほど事務総長から説明いたしましたように、この狭山事件につきましては、審理の経過中におきましてもいろいろなことがございました。御承知かと思いますけれども、第一審の浦和の地方裁判所におきましても、これは過激派だろうと思いますけれども、屋根の上にのぼって屋根がわらをはがす、そして騒いだというようなこともありますし、東京高裁に係属してからも、東京地裁の屋上からたれ幕をおろしたというようなこと、さらには寺尾裁判長の住んでおりますところの官舎、現在犯人はわかっておりませんが、たぶんその官舎をねらってと思いますが、空気銃が誤ってその近くの部屋に撃ち込まれたというふうなこともございます。また寺尾裁判長が高裁の建物付近の道路上で取り囲まれて、こづき回されたというようなこともございます。そのほかいろいろなことがございますし、またこの言い渡しを目ざしまして、たとえば火炎びんを投げ込むとか、それから法廷とか裁判官室に突入するというふうな情報等ございました。  そのような関係で裁判官方が集まりまして、もし万一のことがあれば単に当該事件の関係者のみでなく、他の事件の関係者並びに一般傍聴人等に不測の危害が生ずるかもしれないというようなことを考えまして、皆さんお話し合いの上、各裁判官がそれぞれ期日変更をしたわけでございます。その期日変更しました日時は、大体十七、八日ごろでございましたので、したがいまして当事者に若干迷惑をかけた面もあろうかとは思いますが、約二週間の期日をおきましてそれぞれ通知してございますので、迷惑をかけた面もあろうかとは思いますが、そういうふうな措置をとったわけでございます。  そのような措置をとったあとで、御承知のように十月の二十九日、あのように長官の部屋に突入した。場合によっては長官がそこで人質になるかもしれなかったというふうな状況もございました。あれやこれやいろいろ考えますと、また今回の措置というのは、まことにやむを得なかったのではないかというふうに考えております。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 非常に裁判所が過度に神経を使っていられるということは、いまの話でよくわかったわけでございますけれども、たとえば長官室へ乱入した、そのようなことが狭山事件の訴訟関係者と一体どういう関係があるのか、私どもは全く理解に苦しむわけですね。またそういう事柄について、これは大ぜいの中にはいわゆる過激派という方もおられる。そういった方々が、これは狭山事件に限らず、たとえばいろいろな事件に関して、イタイイタイ病においてもそうでしょう、水俣病においてもそうでしょう、いろいろなところで、あるいは全体の統制からはずれたことをなさる。それはその運動自身がそのような極端な行動というものとは全く関係がない。そこら辺のところで非常に裁判所等がこの事件についてだけ特別に神経をびりびりさせているように私どもは受けとめるわけなんです。いまのお話を伺ってみても、これは全く特別の事件としてお考えになって司法行政をなさった、そういうふうにお伺いしてよろしゅうございますね。そうお伺いせざるを得ないというふうに私ども思うのです。

田宮重男最高裁判所事務総局総務局長

○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 特にこの事件に限ってということではございませんで、ほかの事件におきましても、このような一般情勢、諸般の情勢というものがあれば、将来そのような措置をとらなければならないというような事件もあろうかと思います。そのような意味で、特にこの事件についてだけ当初から非常に神経を使ってやったと、そういうことは全くございません。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 特にこの事件だけに限ってとおっしゃるけれども、この事件だけこういうことをやったといまおっしゃったじゃないですか。だからやはりこの事件を特殊事件、全く特別な事件と見ていられた。少なくとも裁判所のように公正を旨としなければならない官庁において、一般人のだれもが見ても、これは特殊なのだ、特別なのだというふうに司法機関が見ている、こういう外形をおとりになったことについて、私は国民の一人としてはなはだ遺憾にたえないわけです。その点、事務総長はどのようにお考えになるのですか。

安村和雄最高裁判所事務総長

○最高裁判所長官代理者(安村和雄君) 狭山事件についてお尋ねがございましたものですから、特に狭山事件に限ってのお答えになりましたので、あるいはそういうふうな印象をお持ちになったかもしれませんので、この点はだんだんと御質問に従ってお話し申し上げたいと思います。決してこの事件を特別な、特別扱いにする事件だということでやっているわけではなくて、たまたま狭山事件についていろいろ裁判所の静ひつを害すると申しますか、そういうふうな心配があったものですからそういう措置をとりましたので、事件そのものの内容についてどうこうということではございません。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 それではお伺いいたしますけれども、きょう刑事局長がお越しになっていらっしゃらないので事務総長にお伺いしたいのですが、東京高裁では保釈についての決定を、いつ事務官の方がされるように変えられたのですか。そんな規則でもおつくりになったことがあるのですか。

田宮重男最高裁判所事務総局総務局長

○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 刑事の関係でございませんのでお答えになるかわかりませんが、そういう規則をつくったということは聞いておりません。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 これは、私もまさか最高裁がどのような規則をおつくりになるかは知りませんけれども、保釈というのはあくまで裁判官がなさるものだと思い込んで疑っておらぬわけですけれども、現実にこの判決言い渡し直後には、事務官が保釈は却下だというふうなことになったわけなんです。そのようなことを裁判所が放置なさるということは、一体どういうことからそういうふうな司法行政を是認しておられるのか。幾らなんでも、恐怖のあまりとかということがあっても極端なのではないか。その点をお伺いしたいと思ってお尋ねしているわけです。

田宮重男最高裁判所事務総局総務局長

○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 保釈に関する裁判決定でございますが、これはあくまで裁判でございますので、佐々木委員の御指摘のとおり、これはあくまで裁判官が自己の責任において、裁判官の名前においてやるのが当然でございます。どういうふうな書面であるかということは私見ておりませんが、おそらく書記官が謄本をつくりますので、あるいはその保釈却下決定の謄本に裁判官でない者の名前が書いてあった、すなわち書記官、書記官は謄本をつくる権限がありますので、書記官がつくったところの謄本ではなかろうかと思いますが、その点またあらためて調べてみたいと思います。事務官が自分の名前において決定をするというようなことは絶対あり得ないことでありますし、そういうことは従来全く聞いたことはございません。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 いや、私はそのような手続的なことを言っているのじゃなくて、現実にあの判決言い渡しの段取りを申し上げますと、裁判長と弁護団との間の打ち合わせでは、十時に判決の言い渡しを始めて十一時半に主文の朗読、そしてその後十二時に記者会見、その間に弁護人が判事室で、無罪であればむろんそういう話をする必要はないが、有罪であればその後の手続をするという話し合いになっておったところ、判決があっという間に主文だけで、あと十分足らずで終わった。弁護人のほうには判決理由も示されず、また判決文そのものも届いておらない。そういう状態の中で弁護人が、法廷が終わったから、それじゃすぐ保釈の請求に裁判所のほうへ行くと書記官を通じて連絡をして、事実判事室のほうに行きかけると大ぜいの人間が飛びかかってきて、両腕をつかまえたり、人によるとずいぶんなぐられたり、私もたまたまおったのですけれども、私も三回ほどなぐられて、そしてあとで気がつくと、くつ下がずたずたに破られておった。  そういうふうな状態で、保釈を請求に行くのだと弁護人がそれぞれ口々に言ったところ、保釈はもう却下だ、もう却下にきまっておるんだと。だれがそういうことを言うているかと言うと、これは高裁長官の命令で庁舎管理権に基づくものだ、そういうふうな話であって、形式的にどうなったというのじゃなくて、事実上暴力的に弁護活動を非常に制限した。事実上動けなかった。あるいはもし動いたならば、これはあとで個々の弁護人が個々の行動について自分はこうであった、だれはこうであったという話をしたのですが、だれもかれもが、これを無理やりに振りほどけば片手ぐらいは離してもらえたかもわからないけれども、公務執行妨害罪の現行犯で逮捕するぐらいの勢いであったから、もうなぐられるにまかさないとしかたがない、そういう状態の中で、事務官の人たちが保釈は却下だ却下だというようなことで追っ払う。そういうふうなことが理性の府であるところの裁判所で許しておけるものなのか、どうなのか。  私自身は全くそんな、法廷が終わったら廊下に出るのはきまっている。これは私自分の私憤を言っているわけじゃありませんが、そんなところでなぐられたり両腕つかまえられて振り回されるなんて、ゆめゆめ考えても全く予想もしておらなかったことですけれども、これはおのおのの弁護人が皆そういう目にあって、どうすることもできない。結局、そんなにこづき回さないだって裁判所の外へ出よというなら自分で出るということで出たわけですが、これは司法行政の問題として取り上げなければならないと思ったから、そこにいる七人ほどの人に私は、どういう権限に基づいてこういう暴力的な行為をするのか、そしてそれはだれの命令に基づくものかということを尋ねたところ、ちょうど七人が七人とも、庁舎管理権に基づくものである、そして命令は東京高裁長官から出ておるので——その中には非常に恐縮しておられた方もあって、佐々木先生、私はこんなことはほんとうにやりたくないのです、やりたくないから、あとで法務委員会で問題にしていただいてもけっこうです、ただ自分は高裁長官からきつく言われているので、ともかくここから出ていってもらわないことには困るんですということで、私も気の毒になって、初めのうちはかなり向こうも強く突き飛ばしたりしていたけれども、結局私は出た。ほかの人も大なり小なり似たようなかっこうで裁判所の外へ出たわけなんですが、弁護人のほうはそれで大けがをせずに全員が出られたからいいけれども、現実の問題として弁護活動というものは完全に封圧されてしまったわけです。  その点について、私はすぐに最高裁へ電話を入れて、ちょっとこれはおかしいんじゃないか、警備というけれども、警備というについては弁護人に対するこういう行動というものはあまりにも行き過ぎじゃないかということを言っておったのですけれども、それに対してもわれわれの納得いくだけの回答というものは全く最高裁から返ってきてない。それについて事務総長はこのことをどのように御判断なさっているのですか。実は今度のことは、その場に居合わせた弁護団あるいは部落解放同盟、総評、それから社会党のほうでもかなり大きく取り上げて、そして当委員会に東京高等裁判所長官を召喚するようにという強い要請もあったわけなんですが、まあ私いろんな事情から、特に来月に六十五歳の定年を迎えられるという方にここへ来ていただいてもあまり意味がないんじゃないかということで事務総長にお越しいただいたわけなんでございますが、その点、事務総長はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。

安村和雄最高裁判所事務総長

○最高裁判所長官代理者(安村和雄君) ただいま佐々木委員からたいへん詳細に、被害を受けたようなお話がございましたが、佐々木委員がお話しになりましたような事実はございません。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 事実はないと言ったって、弁護人も大ぜいいるし、傍聴人もずいぶんいるんですよ、まだその段階で。

安村和雄最高裁判所事務総長

○最高裁判所長官代理者(安村和雄君) ことばが足りなかったかもしれませんが、私ども東京高等裁判所について報告を求めましたところ、当日、判決の言い渡しが終わったあとは裁判長がどなたにも面会しないで退庁したいということで、そういう連絡が警備の者にあったということでございます。そこで庁内の通行の規制がございましたので、裁判官室へおいでになろうという御希望の弁護士さん方に対して、裁判長はもうお帰りになったからお引き取りをいただきたいというふうに申し上げた。そこでトラブルと申しますか、押し合いと申しますか、そういうものが若干あったように聞いております。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 それはあなたに部下の方があとでしかられるような報告をしないだけの話です。裁判長がきょうは会わないということは弁護団に一言もないんですよ。会うという話だったんです。裁判長は会いたくないから帰ったという連絡が書記官のほうからあったのは、法廷を出てから十分ほど後ですよ。会わないというものに会うわけにはいかぬなあということで、われわれはそれじゃ離してくれということでいったわけです。そこら辺に非常に大きな裁判所のミスがあると思います。  われわれはどういう判決が出るかわからない。無罪だったら保釈の話も必要だ。ところが、有罪の判決をするのは裁判官は少なくとも早くから知っている。有罪の判決をすれば当然保釈の話に弁護人が来ることも知っている。また事実いままでの公判のあと、いつでも次の打ち合わせのために弁護人は判事室に行っていたのですからね。だから、判決の言い渡しがあれば当然弁護人は判事室に行くのがあたりまえです。これはあたりまえのことじゃないですか、特にきょうは会いたくないんだという話がない限り。しかも書記官を通じても言ってある。書記官はそのとき、判事はきょうはもう会いませんという話など一言もないんです。だから初めは暴力ガードマンか何かがあらわれたのかと、みんなびっくりしたわけですね。ところが、いろいろ聞いてみると裁判所職員だと言う。裁判所職員がそういうことをやるとは何だ、一体どういうことなんだ、そこの廊下を通っちゃいかぬというならこっち側から行くし、どこからでも行くじゃないかと言うと、弁護人だって爆弾持っているやもわからぬとか、そういうふうな発言が非常にたくさんあったのです。  そういうふうなことをもちろん全司法にもすぐに連絡して、そのときに警備に当たった全司法の職員にもこまかい事情を私のほうは聞いております。ですけれど、それは管理職の人と、それから全司法に所属しているのは、法廷警備員以外は全司法の人はその場におらなかったようですけれども。これはあなたはいらっしゃらないのですよ。私どもはそこにおったのですよ。おって、しかも極端に言えば被害も受けている。被害という、そういうことはささいなことだからどうでもいいけれども、現実にこれは司法行政の上でこんなことをほっておくことはいけないということをすぐ思ったから、私はその場でいろいろ調査したのです。ですから、あなたが部下の言うことを聞いたらこうだというのと全然違うわけです。それもちゃんと総務局のほうにお話ししているにもかかわらず、あなたのいまの答弁はそういうことです。  少なくとも裁判官が弁護人に会わないなら会わないという意思表示を先にしなければ、弁護人も裁判官を待たしているから早いこと判事室に行かにゃいかぬ、あなたらじゃませんといてくれ、何をじゃまするんだということになって、そこにトラブルが起こることは何よりもはっきりしているじゃないですか。そこら辺、裁判所のミスならミスと、どうしてそれがおっしゃれないのですか。私はそのときに両方の腕をつかんで弁護人を行かさないようにした人たちに対して、その職員に対して非難しようとは思わないけれども、そういう命令を出すということ自身に私は非常に問題があると思うのですが、事務総長はどのようにお考えですか。

安村和雄最高裁判所事務総長

○最高裁判所長官代理者(安村和雄君) 実見になっておられる佐々木委員がそうおっしゃられるわけでありますし、私は報告に基づいてお答えをしているわけでありますが、先ほど来申し上げておりますように、たいへん心配の多い状況のもとで判決の言い渡し日がまいり、法廷や庁舎の警備がなされたわけであります。そういうわけで、言い渡しの前々日に高等裁判所の長官室に入ってきた三人の人たちは、あとではにせのバッジであるというふうな報道もなされておりますけれども、弁護士のバッジをつけたような方もおった。そういうことで、あるいは警備に当たっておった者がいま佐々木委員がおっしゃったような、弁護人でも爆弾持っていないともわからぬぞというようなことばがあるいは出たかもしれません。それは私想像でございますけれども。こういう庁舎の警備のことになりますとどうしてもエキサイトいたしますので、私どもは平生の一般職員に対する心がけとしては、冷静を失わないで対処するように申しているわけでありますが、今後とも十分気をつけて、そういうトラブルがないようにいたしたいと思っております。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 これはぜひそうしてもらわなければ、裁判の本来の仕事というものは裁判そのものであって、その仕事が円滑に行くようにある程度の警備というものが必要である。ところが、あの日の様子を見ると裁判は全部ほったらかしだ。オール警備だ。保釈もできない。保釈というのは言うまでもなく裁判です。その裁判が円滑にいくために警備をつけるというならわかるけれども、オール警備であって、警備だけに裁判所、裁判官が心を奪われて、有罪判決をすれば当然あとでそれについてきめなければならない保釈のことも、もうすっかり頭の中になかった。  そういう極端な被害者意識、弁護人はみんな爆弾を持っているかわからぬというふうな、はしなくも裁判所の職員たちの発言でわかるような、そのような被害者意識ですね。しかも弁護人といったって、私らが法廷に入るときに五十人ぐらいの人が調べたのですよ、本物かにせものかということで。もう実に一人一人調べて、持ち物でも全部見せましたよ。羽田空港どころの検閲じゃないです。それでいてなお弁護人は爆弾を持っているかわからぬとか、そういう感覚で裁判をするということですね、これは職員のことですけれども。それは裁判官の表情などから見ると、それ以上の恐怖感というものが、恐怖感というか、ろうばいというものがわれわれの目にありありと映ったわけです。  司法権というものは全く普通の精神状態において行使されてこそ、価値があり独立しているわけですけれども、あの日そのような状態の中で裁判が行なわれた。そして裁判に直接関係のない管理職の職員までが、弁護人も爆弾持っておるぞとかいうようなこと、あるいは保釈なんかもう却下だ却下だというようなこと、そういうふうなことを是認している。奨励はしておらぬと思いますけれども。そして、その事柄について御注意申し上げた私に対しても何ら誠意のある回答がない。そのような司法行政のあり方ということに対して、私は非常に公正さを疑わざるを得ない。そのような公正さを疑うような事態をつくり出した裁判所の司法行政の責任者に対して、私は非常に遺憾に感じているわけですが、その点もう少しお考えになってしかるべきじゃありませんか、どうですか。

安村和雄最高裁判所事務総長

○最高裁判所長官代理者(安村和雄君) たびたびのおことばでございますが、私ども十分平生から注意をして法廷警備、庁舎の管理等いたしておるわけでございます。しかし、ときとしてそういうときにエキサイトすることもありますので、あるいは御心配のようなことが起こることがないとは言えない。そういうことがないように十分気をつけていきたいと思っております。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 その前日の三十日の日に、最高裁の職員が最高裁に出入りするについても、一々許可を得なければ出入りできなくなったという話も私聞いておるわけなんです。また、私ほかのところまでまだ調査が及ばないわけですが、日弁連で調べましたところ、あの三十日以後最高裁へ用事があって行く弁護人は、入口で非常に待たされて、本物かにせものかをたいへんに調べられて、しかもどこへ行くかと聞きとがめられ、しかもどういう用件で行くかということを聞きとがめられて、それでオーケーが出ないと裁判所へ入っていけない。これは私は非常に憂うべき状態だと思いますよ。  裁判所が警備ということをお考えにならなければいかぬということもわからぬじゃありませんけれども、ほかの役所じゃないのですから、ほかの役所でもいまそんなことやっておりませんですよ。裁判所というのは訴訟関係人が、国民がいつでも自由に入れるところに裁判所の意味があるわけですよ。そこら辺に、いま最高裁が全く裁判所の精神というものをなしくずして、これは私の経験、国会議員になってからはもとよりですけれども、国会議員じゃなくても、いままでどこの行政官庁、治安のかたまりだと言われる警察やら検察庁へ行っても、そんな、どうぞお入りくださいといって話が済むか済まぬかのうちに皆が引きつかまえて、二十人ほどの男が寄って廊下で突き飛ばすというような、そんな扱いを受けたこと私はいままでありませんです。ですから、それが異常でないと裁判所は言えないと思いますね。  その日の法廷だって、だれもあばれたりしている人はないんですよ。全く荒れる法廷じゃないんですよ。法廷指揮に従っておらない弁護士も被告人も傍聴人も一人もおらぬわけですよ。そういう非常に平穏裡に行なわれている裁判のあとで、裁判所の職員がエキサイトして何でもない人間にぶつかってくる。私そのときも、こう両側つかまえながら言いましたよ。だって私は婦人でしょう、婦人に、一人の人間が立ち向かったって腕力では負けるのに何でこんな大勢の人間で取り囲むのか、行ったらいかぬと言えば私は行くはずがないじゃないかと言ってだんだん話しをすると、まことにすみません、自分たちはこういうことはしたくないけれども、弁護士さんにこういうことはだれもしたくないのだけれども、上のほうから言われているのでお許しくださいという話なんです。そういうふうな、裁判所の職員自身が非常にいやな思いをしなければならないというような命令をお出しになるということ自身もおかしいのじゃないか。  まず、その最高裁への出入りを最高裁の職員についてもチェックするというのはどういうことなんですか。それから弁護人がなぜ自由に出入りできないような状態を最高裁はつくっているのか。それをお伺いしたいと思います。

大内恒夫最高裁判所事務総局経理局長

○最高裁判所長官代理者(大内恒夫君) お答えを申し上げます。  佐々木委員の仰せのように、裁判所は非常に自由にあるべきだと私も常にそう思っております。  ただいまお尋ねの十月三十日に出入りをチェックしたという問題でございますが、先ほど総務局長あるいは事務総長からお話し申し上げましたように、たまたま前日に東京高等裁判所で、非常に異例なできごとだと思いますけれども、ああいう突発的な事態が起こった。そういうことでございますので、庁舎の出入りにつきまして、やはり不審な人の出入りあるいは不審物の所在というものをチェックするということは、これは非常に必要なことであると考えまして、バッジあるいは身分証明書によって職員であることを確認する。あるいは外来者でございます場合には、一般の方でございますとどういう用件でおいでになったかということを一々お尋ねする。  弁護人につきまして、ただいま佐々木委員からいろいろ御指摘がありましたような過度の規制と申しますか、そういうことがあればたいへん申しわけないことでございまして、私どもといたしましては、不審なる人物でありますとか不審なる物の持ち込みということを規制すれば、それで必要にして十分なわけでございます。それ以上に行き過ぎたことをするのは、いずれにしても適当でないわけであります。個々具体的な場合におきましてもしそういうことが起こりますと、私どもとしてもたいへん遺憾なことでございますので十分注意いたしますが、きょうさらに御注意ございましたので、一段と気持ちを新たにして注意をしてまいりたいと、かように考えております。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 きょうは時間がありませんので十分なことが申し上げられませんが、ぜひ十分にこういう点についてもう一度振り出しに戻って考えていただきたい。  それから警察庁のほう、お越しでございますか。——これは解放同盟の代表者の方が日比谷公園の集会について、これはいつでも御許可いただいてきておった。そしてあの十月の三十一日の日にも代表者の方が交渉に行ったところ、九時に集まって九時半にはデモに移ってくれ、そしてその後は日比谷公園にはおらないようにしてほしいというふうな強い御勧告があった。そういうことで、裁判所の非常な過剰警備と相まって、たいへんに解放同盟の方あるいは総評の方あるいは社会党の方々の一部の中にも、この判決というものが事前に警察庁のほうにも流れておったのではないかという声が強くなってきておるわけです。そういうようなわけで、そのときの雰囲気から、私はそういうふうに思いたくないわけですけれども、そういうふうな批判がたいへんに強く起こってきておるわけですが、その点について、警察庁とするとどういうわけでそういうふうな異例のことをおっしゃったのか、なぜこういうふうに特別な扱いをされたのか、その点をお述べいただきたいと思います。

半田博警察庁警備局参事官

○説明員(半田博君) 警視庁におきましては、デモの申請を受けます際に、デモコースがダブったりすることもございますので、事前の段階でお話し合いをするということを大体慣例といたしておるわけでございます。  十月三十一日のデモにつきましては、二十四日の日に主催者の解放同盟の方のほうから御相談がございまして、その際には、八時半に集まって昼過ぎごろデモに出発をいたしたい、こういうような御希望であったようでございますけれども、先ほど来裁判所のほうからもお話が出ておりまするように、たいへん極左暴力集団が裁判所に突入するとか占拠するとか、ゲリラをやるとか、あるいは被告人を奪還するとかいうふうな情報が多数ございましたのと、それから午後はここにおいて中核派あるいは反帝学評等と鋭い対立関係にあります革マル派のデモが、今度は日比谷の野外音楽堂で開催されるというような状況でございまして、へたをしますとまた最近エスカレートしつつある内ゲバになりかねないというふうなこともございまして、なるべく早目に日比谷公園を出ていただくほうが好ましい、こういうことでお話し合いをいたしまして、十月の二十六日にそういうふうな一応八時三十分に集合開始して、妥協案のようなことになりましたが、デモ出発十時三十分とする、こういうことで話し合いがついて申請を受け、東京都公安委員会がこれに許可をした、こういうふうに承知いたしております。

佐々木静子日本社会党

○佐々木静子君 その点についてもっとお伺いしたいのですが、時間がありませんので最後に一つ。  これは私から言いたいことではございませんが、この差別の問題を考えるときに言わざるを得ないわけですが、この間、福島地裁の関口裁判官が窃盗事件を起こされた。そのときには、福島の全市の市民の住民票を調べて、関口亨という人がほかになかったので非常に捜査機関が困って、さらに慎重を期するために福島県全部の住民票を調べて関口亨という人がほかになかったので、やむなく本人を被疑者としたという話を聞いておるわけでございます。  私は、それの捜査機関のとった態度がいけないというのでは毛頭なくて、捜査というものは慎重でなければならないというので、その点はそれで非常にけっこうだと思うわけですけれども、ほかの国民がもし窃盗事件を起こしたならば、そこに自分の遺留品を置いたならば、そういう寛大な取り扱いは裁判官でなければしてもらえないんだ、逆にいえば国民はそれだけ裁判官には寛大なのだと、そういうことをやはり裁判官は考えておいていただかないと困ると思うのです。それだけ自分たちは、裁判官は国民に対して寛大に扱われている、保護されているんだ、そういう自覚に立って現在の社会で差別されている人たちのことを考えていただかないと、これは裁判所が一部の権力と結びついているということを言われて糾弾されても、その点全くいたし方ないと思うのです。  今度の暴行を受けた弁護人なども、いろいろ話をしたのですが、だれもいままでそのような罵倒をされたり、ましてや暴力をふるわれた経験のある人はおらぬわけです。たまたま被差別部落の石川一雄君の弁護人になったのでこのように暴行を受けたり、やはり侮べつ的なことばを吐かれたのだと私ども思わざるを得ないわけです。これは裁判所は、権力におられる方はひがみとおっしゃるかもわからないけれども、現実に国民はそのように受け取っておるわけなんです。司法行政をなさる方は、自分が非常に恵まれた、非常に国民から寛大に扱われている立場にある人間だということを百も三百も承知の上で、これからの司法行政というものをやっていただかないと、とんでもない大きなものごとの見間違いをするということを、たいへんに口幅ったい言い方ですが、肝に銘じてこれをお考えになっていただきたい。  その点について事務総長の最後の御答弁をお願いいたします。

安村和雄最高裁判所事務総長

○最高裁判所長官代理者(安村和雄君) 関口前判事のできごとは、全く私どもの夢にも思わないようなできごとでございました。その後の捜査のことについてのお話でございますが、これは私どもの存じ上げないところでありますが、ああいう異例のことが、起こるはずもないと思ったようなことが起こったわけでありまして、私ども今後十分気をつけて、裁判所で仕事をしております者が国民の皆さまから疑惑を受けたり不信の念を抱かれたりすることがないように、十分気を慎んで仕事をしていきたいと思っております。

白木義一郎公明党

○白木義一郎君 最初に、当委員会の開催にあたって、本日は法務大臣も初めてのことであり、たいへん御高齢でもあるからということも含めまして、おおむね五時をめどとして委員会を運営しようじゃないかということでまいったわけでございます。たいへん差し迫ってまいりましたので、きめたことは守らなければなりませんので、そのことを含んでひとつ御協力を願いたいと思います。  言うまでもなく、ただいま国会というか日本じゅう、あげて金脈問題が注視の的になっておりますが、最終的には、いま国会におきましては守秘義務と国政調査権の問題に突き当たっている、このように思います。そこで最初に、守秘義務の範囲といいますか、一般論として守秘義務をどういうふうにとらえていけばいいかということを法制局のほうからお尋ねをしたいと思います。  大臣は最初、松永委員の質問に際しまして、何ぶんしろうとでございますからというようなお話がありましたけれども、そうかなと私は思いました。しかし考えてみますと、大臣はもう九回も十回も選挙の洗礼を経て、しかも選挙区はこの東京です。ですからわれわれ地方在住の代表と違って、選挙民のサービスとそれから中央政界にしょっちゅう身を置いて、われわれはしょっちゅう選挙民のサービスにねじりはち巻きになっているわけですが、そこへいきますと大臣は相当のキャリアがあるわけですから、そのキャリアを持ってこの難局に、しかも田中内閣の最も中枢である法務大臣の責任を引き受けられたということから考えますと、とてもとてもすなおに、しろうとでございますから、その問題については各委員会あるいは閣議で統一見解が出るであろうから、私は何も申しませんというような大臣のお話はすなおに聞けないわけです。  へそを曲げて考えますと、そのうちに田中内閣は投げ出すだろう、大臣のあれもそんなに長くはないだろうからということも含んで就任なすったのじゃないかなんということをいろいろ先ほどから考えていたわけでございますが、いずれにしても、この守秘義務と国政調査権の問題につきましては非常に重大な問題だと私どもはとらえております。もう巷間では田中秘密内閣なんというような、どこへ行っても秘密だらけだというような話題がちらほら出てきておりますので、専門的にこの問題をお尋ねして、しろうととおっしゃった大臣にもお聞きいただいて、後ほど責任者としてはっきりとした御所見を伺いたいと思います。  それで、一般的な守秘義務についてひとつ法律的な見解をお尋ねしたいと思います。

角田礼次郎内閣法制局第一部長

○説明員(角田礼次郎君) 守秘義務についての御質問でございますが、守秘義務というのは文字どおり秘密を守る義務でございますが、そこで前提として、秘密ということばが問題になると思います。  秘密につきましては、一般に知られていない事実であって、他に知られないことについて相当の利益を有すると認められるものをいう。すなわち、非公知性と秘匿の必要性の二つの要素を備えているものをいう、これがごく一般的な定義として申し上げられると思います。  なお、いま申し上げました秘密の定義に関連をいたしまして、秘密の種類といたしまして、いわゆる指定秘と実質秘といわれる二種類のものがあるというようにもいわれます。また国家公務員法百条一項ないし地方公務員法三十四条一項という基本規定におきまして、いわゆる公務員の守秘義務を規定しておるわけでございますが、これらの規定で言っております「職務上知ることのできた秘密」の中には、いわゆる官の秘密と職務上知り得た私人の秘密と、そういう二種類のものが入っているというふうにいわれております。

白木義一郎公明党

○白木義一郎君 先ほど協力をお願いしたところが、たいへん積極的に協力していただいて、これから一つ一つ伺おうと思っていたのですが……。  そうしますと国家公務員、それから地方公務員にも守秘義務が法律上きちっと定められている、こういうことですね。それでは特別職の守秘義務はあるのですか、ないのですか、その点ひとつ。

角田礼次郎内閣法制局第一部長

○説明員(角田礼次郎君) 特別職といま言われましたけれども、国家公務員たる特別職についてのお尋ねだと思いますので……

白木義一郎公明党

○白木義一郎君 両方です。

角田礼次郎内閣法制局第一部長

○説明員(角田礼次郎君) では、まず国家公務員たる特別職について申し上げますが、国家公務員たる特別職につきましてもいろいろな特別職があるわけでございます。おそらくお尋ねの御趣旨は、大臣とか政務次官というようなものの特別職についての守秘義務についてのお尋ねだと思いますので、それを中心にして申し上げます。大臣とか政務次官につきましては、結論として申し上げますと、官吏服務紀律の適用がございます。官吏服務紀律の四条に守秘義務の規定がございますので、大臣や政務次官は官吏服務紀律の守秘義務の規定の適用を受けるということになっております。官吏服務紀律の適用をなぜ受けるかということにつきましては、これはもしさらにお尋ねがあればお答えいたしたいと思いますが、非常に複雑な法律の仕組みがございます。  次に地方公務員たる特別職でございますが、これは知事、市町村長につきましては、現在法制の上では守秘義務を直接定めた規定はございません。副知事、助役等の特別職につきましては、地方自治法の施行規程というものの中で、都道府県職員服務紀律あるいは市町村職員服務紀律の例によるというふうに定めてありまして、都道府県職員服務紀律なり市町村職員服務紀律の中には、ちょうど官吏服務紀律の四条と同じような守秘義務の規定がございますので、その規定の適用を受ける、こういう仕組みになっております。

白木義一郎公明党

○白木義一郎君 総理大臣はどうですか。

角田礼次郎内閣法制局第一部長

○説明員(角田礼次郎君) 総理大臣も官吏でございますから、官吏服務紀律の適用を受けておるわけでございます。

白木義一郎公明党

○白木義一郎君 守秘義務があるわけですね。

角田礼次郎内閣法制局第一部長

○説明員(角田礼次郎君) そのとおりでございます。

白木義一郎公明党

○白木義一郎君 それでは、地方公務員あるいは国家公務員ともにいろいろな法律によって守秘義務が課せられているということから伺いたいのは、問題になっております地方税の滞納の一覧表を公表している府県が、地方自治体があるわけです。こういう問題について守秘義務の法的根拠を伺っておきたいと思います。  その前に自治省に伺っておきたいのですが、現在まで地方自治体で、このような地方税の滞納一覧表を公表した自治体がどことどこにあるか、あるいはその公表のしかた、そういうように分類してひとつお知らせ願いたいと思います。

福島深自治省税務局府県税課長

○説明員(福島深君) 地方団体の数が御承知のように三千以上ございまして、全部について調査することはなかなか困難でございますけれども、私のほうで都道府県の報告を求めまして、一応取りまとめましたところで御報告を申し上げたいと思うわけでございますが、現在、いわゆる滞納者リストでございますが、その滞納者リストを何らかの形で公表したというものが、四十七県の中で五県ほど報告がきております。その報告によりますと、これはかなり前からそういう問題があるわけでございますが、調査の時点では、大体四十二、三年ごろか、以降にしぼっての報告でございますが……

白木義一郎公明党

○白木義一郎君 どことどこですか。

福島深自治省税務局府県税課長

○説明員(福島深君) いま県を申し上げますが、氏名を公表しておりますものが五県ございまして、その五県は滋賀県、佐賀県、京都府、広島県、徳島県ということになっておるわけでございます。  それから公表のしかたでございますが、これは実は議会との関係でいろんな形があるわけでございますが、いずれも県議会の決算委員会での開示ということになっておりまして、その開示のしかたがまたいろいろあるわけでございます。そのうち二県ほどは決算委員会の席上で出しておる。それから残りの三県は決算委員長さんにお渡しをしておるということでございます。したがって、一般の決算委員の皆さま方にはお見せをしていないというような形のようでございます。また開示をする場合におきましても、たとえば開示をした県が二県あるわけでございますが、そのうちの一県は滞納額が一定額以上のものにつきまして、それを氏名と額とを発表しておるというのが一県ございます。それからもう一県は滞納者の中で「何々外」ということで一名だけ名前があがっておりまして、何々外何名で滞納税額は幾らであるというような形で、ちょっと特殊な形になりますけれども、開示をしておるというようなことが報告に出ておるわけでございます。

白木義一郎公明党

○白木義一郎君 そうしますと、決算委員会で、地方議会で滞納者のリストを発表した自治体は滋賀県、徳島県、佐賀県、それから決算委員会での秘密会で発表したのが広島県、それから決算委員長にだけかくかくしかじかでございますと報告したのが京都府、さらにAさん、Bさん、Cさんというような匿名式な発表のしかたで北海道、それから東京、それから神奈川、大阪、熊本、宮崎、この地方自治体がこういうように個人別の滞納者の一覧表を発表している、こういうように伺っておりますが、一方は、今度は世間でいうところのいわゆる長者番付ですね、長者番付が軒並みに新聞あるいは週刊誌等に発表になっておりますが、これは先ほど長官のお話を伺って了解したわけですが、この公表の経過ですね、ちょっと御説明願いたい。たとえば国税庁で積極的に発表するとかいろいろあると思うのですけれども。

安川七郎国税庁長官

○説明員(安川七郎君) いわゆる世間で長者番付といっておりますのは、個人の申告がございますと、所得税法の規定によりまして氏名、所得金額を公示いたします。それを多い順からずっと並べました表が新聞等に報道されるわけでございます。私どものほうは所得税法の規定によりまして、各それぞれ所轄の税務署で所得一千万円以上の者を公表いたすわけでございますけれども、それを報道機関におきましていろいろ取材をされまして、それを全国的な順序にお並べになる、あるいはたとえば業種的と申しますか、作家の方でございますとか、そういうふうにずっと集められまして、ある順序におそろえになる、こういうことでございまして、私どものほうが私どものほうの手でまとめる、そしてそういうふうにするというかっこうにはなっておりません。

白木義一郎公明党

○白木義一郎君 そうしますと、当局としてはそういう発表を、たとえば記者会見とかそういうことじゃなくて、窓口を通じて発表する、それを資料にして新聞あるいは一般に発表する、こういうわけですね。

安川七郎国税庁長官

○説明員(安川七郎君) よく話題になりまして、いろいろ各社の方が取材されました結果ああいうふうになります。したがいまして、私もよく記者会見をいたしますが、そういう会見の席上非常によく話題になりまして、本年の順序はどうであるか、どういう方が入っておるということはよく話題になります。しかし、発表の姿はただいま申し上げたとおりでございます。

白木義一郎公明党

○白木義一郎君 そうしますと、今度は地方自治体、県議会ですね、これは当然県政調査権によってその発表、提示を求めるわけですけれども、この経過をちょっと御説明願いたい。

福島深自治省税務局府県税課長

○説明員(福島深君) これはいろいろなケースがあると思いますが、一般的に決算委員会等で税収の状況等の審査をいたします場合に、滞納額がどのぐらいあるかというようなことが問題になろうかと思うわけでございますが、その過程におきまして、たとえば徴収率がある程度落ちておるような場合には、その中には大口の滞納者があるのではないかといったような問題が出るのではないかと思います。そういうような問題が出た場合に、委員会の委員さん方の中から資料を求めるというようなことがあろうかと思います。一般的には、先ほど申しましたように滞納税額といえども公表をしないという原則はあるわけでございまして、私どもの承知をいたしておるところでは、ひとつその点はごかんべんを願いたいということでいっているわけでございますが、いろいろ決算委員会の審査権等の関係もございますので、その調整の上に立って、どうしてもこの程度のものは必要であるというような場合に、その趣旨に合う最小限度のものを提出をするというようなことになっておるのではないかと思っております。  なお、現在の段階では、つまり四十八年度以降につきましては、決算委員会といえども滞納税額については出しておるというようなケースは聞いていないわけでございます。

白木義一郎公明党

○白木義一郎君 そうしますと、ずばり言って、地方議会では県政調査権に基づいて、だれか責任者が、それを発表してよろしいという責任者がいるはずだと思います。守秘義務からいうとやってはいけないということになっているわけでしょう。だけど、それがちゃんといままで発表されているということは、当然法的根拠があってやっていられるわけですから、その責任者はやっぱり知事ですか。先ほどのあれでは、知事には守秘義務がないというような御答弁があったので伺うわけですけれども。

角田礼次郎内閣法制局第一部長

○説明員(角田礼次郎君) ただいまの御質問に先ほどの私の答弁を御引用になりましたので、ちょっと私から申し上げますが、知事自体に守秘義務がない、法律的な規定がないということは申し上げたわけですが、知事が許可をするかどうか、そういう権限を持っているかどうかは、これは別の問題だと思います。で、地方公務員法の規定の上から類推いたしますと、そういう守秘義務について特別に県政調査の場でそれを開披するというような許可を与えるのは、任命権者だろうと思います。したがって、通常の場合は知事ということになります。  それからなお、先ほど私注意深く申し上げたつもりでございますが、知事には現在法律上の守秘義務の規定はないわけでございますが、知事が一般の地方公務員がしゃべっちゃいけないようなことをべらべらしゃべっていいというようなことは、法律の論理の上からはむろん出てこないと思います。ただ、そういう意味の規定がないということを申し上げたわけです。これは法律の規定があるなしにかかわらず、そういう守秘義務一般というものの存在というものは当然あると思います。裁判官につきましても、一般的な守秘義務の規定はございませんけれども、裁判官がいろんなことを、秘密と思われることをしゃべっていいという論理はおそらく出てこないと思いますが、その点はちょっと先ほどの答弁に補足させていただきます。

白木義一郎公明党

○白木義一郎君 そこでまた長者番付のほうですけれども、長者番付の公表については、公正な申告を促すために公示制度に基づいて公表するという御説明があったわけですけれども、その中に歴代の総理大臣も含まれていると思うのです。そこで国民は、その高額所得者の番付表を見るたびにみんな深いため息をつくわけです。その中で特に総理大臣の所得あるいは所得税なんというところを見ると、ほんとかいなというような疑問をみな国民は持つわけです。そういう公示制度があって発表された正規の発表について、国民がみんな疑惑を持っているわけです。それが大きくいま出てきているのがこの金脈問題です。  地方では、地方税の滞納一覧表を発表されて非常に迷惑されて、もう信用は失うし、取引も円滑にいかなくなってしまうという、非常に発表された人は被害をこうむっているわけです。そういうことからいいますと、地方公務員にも国家公務員にも守秘義務がある。各委員会でもそれぞれ資料要求がいろいろな面から、当委員会でも先ほどからお聞きのとおりですが、それについて全部これは守秘義務がありましてお出しできませんと、毎日のように国会の中でやっているわけです。  そこでお尋ねするわけですが、局長さんが、もしわれわれの国政調査権に基づいて要求した資料を出したいと思って出したならば、守秘義務の罰則にかかるわけですね。そうすると、国税庁の局長さんがそれを発表したいというときには、長官の許可を得るわけですね。今度は長官が、おれはもう長年長官をやってきた、いまでこそ田中内閣、田中政府の国税庁の長官であるけれども、支持率も下がったことだし、長官までつとめたのだし、子供もみんな大きくなって一人前になった、ここらで人間の良心に立ち返って、いままで総理大臣にはずいぶんつらい思いをして毎日あっちでこづかれこっちでこづかれ、もう義理は果たしたと、そろそろ人間らしく生きようというような純粋な気持ちになって、人間安川さんに立ち戻って、よし、じゃ私の最後の仕事として、皆さん国民の代表がそれほどおっしゃるならば全部そっくり出しましょう、こういうことになると、当然あなたはどういう罰則を受けるかというと、一年以下三万円以下の罰金ですか、それで人間としての良心があがなえるとすると、これはよくよくお考えあったほうがいいのじゃないかと思います。  で、当然そういう気になっても、法律的にいうと、あなたは罰則を受けないで発表しようとすればだれの許可を得なくちゃならないか、これは大蔵大臣ですわね。今度は大蔵大臣が、まあそんな気にはならないと思うのですけれどもね、いま申し上げたような、なったとして、もうおれは人間に戻ろう、おれは大蔵大臣だからこの際全部金脈問題に対する資料は積極的に出そうと思っても、許可が要るわけでしょう。総理大臣ですね。そうじゃないですか。

角田礼次郎内閣法制局第一部長

○説明員(角田礼次郎君) 先ほど申し上げましたように、大蔵大臣は官吏服務紀律の適用を受けております。官吏服務紀律は古い勅令でございますので、一応そのままの規定はございませんけれども、職務上の秘密に属すると思われる事項を発表するには、内閣の承認が要るというふうに解すべきだと思います。理屈はいろいろございますけれども、結論だけ申し上げておきます。

白木義一郎公明党

○白木義一郎君 この内閣の承認というのは、議院証言法なんかの関係ですか。

角田礼次郎内閣法制局第一部長

○説明員(角田礼次郎君) 先ほどから申し上げておりますように、大蔵大臣につきましては官吏服務紀律の第四条の規定の適用があるわけでございます。第四条の二項に「法令二依ル証人鑑定人等ト為り職務上ノ秘密二属スル事項ヲ発表スルニハ本属長官ノ許可ヲ要ス」というふうにきめられているわけであります。大蔵大臣が普通国会の場におきまして御質問に応じてお答えをする、あるいは資料を提出するというのが、直ちにこの四条二項の「法令二依ル証人鑑定人等ト為リ」という場合に当たるとは思えませんけれども、またそれから「本属長官」がこれが何をさすかということにつきましても、官吏服務紀律は先ほども申し上げたように古い法令でございますので、直ちにそれが内閣だとはちょっと言いがたいのでございますけど、しかし刑事訴訟法や民事訴訟法では、大臣が職務上の秘密を証人として発表する場合には、内閣の承認が要るということが明文の規定がございますので、私はそれの類推解釈として、おそらく内閣の承認が要るだろうということを申し上げたわけであります。  それから御指摘の議院証言法にも、やはり国務大臣が証人として呼ばれた場合において職務上の秘密に属する事項を発表する場合には、たしか監督庁の承認がなければいけないと書いてございますが、その監督庁はおそらく内閣であろうという意味でございます。

白木義一郎公明党

○白木義一郎君 そうしますと、大蔵大臣は人間的良心に立ち戻って発表するには内閣の許可が要る、オーケーが要る、こういうわけですね。  そうすると、どうしてもこれはこの問題については国税庁長官がひとつその気になって、どうですか。そうすると当然法律に基づいて一年以下ないしは二年以下、三万円か、罰金か、あるいは執行猶予かというようになりますけれども、あなたがもしほんとうに日本を思い国民を思ってその決意をされたら、あなたの余生はすばらしいものになる。いま非常にこういう政治不信を国民は抱き、よりどころのない大衆は非常に不安な毎日を送っているわけです。したがって、強力なヒロイズムあるいは強力な指導者を求めているときに、あなたがその気になって発表なされば、もう国民の支持率は大体一四%ですか、ですから、あとの八六%は全部あなたのファンになる。そうすれば、まさか最高の罰則の一年とか二年なんという判決は下しにくくなると思うのです。そうしますと英雄ですね。もし何でしたら野党のほうへおいでになれば、喜んでお迎えするだろうと思う。そして間近かに行なわれるであろう衆議院選とか、もう全国区にお出になれば最高点で、そしてやがて革新政権の先兵として、エキスパートとして、ほんとうに税金で苦しんでいる国民のために、あなたが日ごろから内心研さんを重ねてかくあるべきだと言いたくても言えなかった問題が、あなたの将来において実を結び花を咲かせる、こういうことを私は非常に期待している。  そういうことを法務大臣に望むのは、これは非常に失礼なことになりますから、まだまだ活躍の機会の長い長官が一度深刻にお考えにならないと、日本の将来というのは、いまがたがたがたがたやっておりますけれども、皆さんはもう強力なガードになって、突けども押せどもという状態です。そして将来、われわれがもしどうにもならないものを見せたときには、それは関係者はいいですよ、だけれど、国民全体はどれほど情けない思いをするかというようなことを寝ながら考えるわけです。どうですかね、長官。

安川七郎国税庁長官

○説明員(安川七郎君) たいへんむずかしい問題が投げかけられましたようで、まず私の純粋な個人としてはいろいろ意見を持っております。こういうような問題、またはそれに対します調査権、守秘義務の相関関係、あるいは国会におきます各委員会のいろいろな御審議、これら全部を含めまして私は相当の意見は持っておりますが、それは全く私人の立場でございます。  そこで、やはり私は心境を申し上げますと、ただいまのところは国家公務員でございます。しかも、五万二千人の税務職員を指揮監督いたします国税庁長官というような、たいへん大切な役についております。ただいまのようなお話、そのまますなおにいただきまして、もし私が勇断をもってこれを発表したらどうか。それに対します守秘義務違反、所得税法あるいは国家公務員法違反の罰則というものは当然かかってまいります。これはどうであろうか。これはある意味で、先ほど申しました私の個人の主観的な判断あるいは人生観によってあるいは判断がつくかと思います。しかし、やはりただいま申し上げましたように、私は五万二千人の職員を率いております。私の行動というものは、当然五万二千人の税務職員に影響いたします。あるいはさように、ある判断をとりましたときに、当然私を見習う職員が出てまいります。これは相当の大きな影響を考えなければいけない。  そういたしますと、私は軽々に私個人の人生というようなことで判断ができないのでありまして、やはり私は国家公務員で、常日ごろから職員には法令を順守しろと、しかも税法というものは強大な権限を国会から与えられているので、その権限の行使については決してオーバーしてはならないということを常日ごろ言っている。いえば法令を順守しろということを言っております。私がある意味で国家公務員法というワクを越えるということは、私は私自身としてできない、こういうふうに考えるわけでございます。いろいろ個人とか公人というようなことで矛盾はございますけれども、現在の私の心境といたしましては、法令を守っていく、こういうふうに考えるわけでございます。  さらにつけ加えさせていただきますと、なぜ私どもは税法上いろいろ秘密を守らなければいけないかと考えますときには、いわゆる私どもが職務上知り得た秘密にはいろいろな種類がございますけれども、まず当該御本人のプライバシーのような秘密、それから第二には御本人と関係のある方、あるいは御本人が法人であるといたしますと、その取引のある会社等、本人のことをあらわすことによりまして、その取引があった関係人の方が自動的に秘密が出てまいります。そのいわば第三者の秘密というものが伴う。これが第二でございます。三番目は、先ほど来法制局のほうから御答弁になりましたように、それに関係しまして、私どもの業務上のいろいろな仕事のやり方等、たとえば調査の方法というような、こういう職務上のいろいろ秘密というものが伴ってまいります。  さらに大きく考えますと、以上の三つの秘密でございまして、これを公開することによりまして、現在の多くの申告されております納税者の方が、税務署にいろいろ秘密を漏らしたけれども、将来ともそれが簡単に漏らされているととてもたいへんだと、なかなかすなおに言っていらっしゃらないということがある。  たとえば例を申し上げますと、私ども、個人の所得税を調査に参ります。医療費の控除が相当大きいというような問題がございます。どうしてこんなに大きいかということをお聞きしなければいけない。すなおに率直に言っていただきますとありがたいのでございますが、だんだんだんだん伺っていかないと困る。じゃ、病気の種類は何になるかというような問題がございます。そこで、ガンであるとか、実はこれこれの家族は精神病であるというようなことまで実は私どもはさかのぼらざるを得ないことがあるわけです。それはやりたくないのですが、そういうふうになります。それはお医者さんの守秘義務のような問題でございまして、そういうことがいろいろな守秘義務の解除によりまして出る可能性もあるということになってまいりますと、これが非常に影響力を生ずるのではないかと、かように考えます。  現在、税務職員は国税関係で五万二千でございます。しかし、課税対象は非常にふえております。ですから、すべての納税者について私ども全部厳密な調査をする、あるいはいろいろな捜索令状等を持って全部に当たるということはできないのでございます。大部分は誠実な御本人の申告を待たなければいけない。それは何かといいますと、やっぱり自発的にいろいろなそういう秘密というものを税務署に自主的に開示していただく、税務署に言っても外部にはわからないのだ、しかし税金は納めるのだ、こういうようなことでそれが担保されているわけでございます。そういたしまして、わずか五万二千人の人員でもって十三兆余の国税をあげておりまして、これがいろいろな意味で国家活動の基礎になる。その基礎が、いま申し上げましたようなことで少しずつ甘くなってくる。私は一挙にがたがたとくるということはないと思うのです。しかし、じわじわとくる。そうしますと、税務官吏の数を幾らふやしましても、これは追っつかない。相当な期間経過いたしますと、そうなることが非常に心配されます。  現在の申告所得税、昭和二十四年に採用されましたが、ようやく二十五年たってどうやら今日までなってまいりました。時間をかけてこれは成長してまいりました。これが一ぺんゆるんでまいりますと、また相当な時間がかかっていく。それを私ども心配をいたします。第四の、税務行政に対しますいろいろな間接的な影響というものは、実はこれが国の基礎でございます財政収入、またその基礎であります国税の税務行政機構というもののたががゆるむかどうか、こういうことを私たいへん心配いたすわけでございます。  そういう意味で、私どもは、ぜひ守秘義務というものを十分考えていただきたい。これをたてにとってどうこうというようなことは毛頭考えておりませんし、もちろん何べんも大臣、私どもで御答弁申し上げておりますように、総理といえども一納税者でございます。そういうような、全くそういう純粋な感覚でいたしております。ただ、私ども非常に心配いたしておりますので、十分その税務上の守秘義務と国政調査権を御審議に相なりますときに、そういった五万二千の職員を率いております私どもの、何と申しますか、はだ身に感ずるような一つの仕事上の困難、そういうものを十分お聞きいただきたいと思います。ありがとうございました。

白木義一郎公明党

○白木義一郎君 私が申し上げたいのは、その守秘義務と国政調査権の関係において申し上げているわけでございます。長官という立場でいま言ったようなことをお考えになるのはわかるのですが、そこでけさの新聞を見ますと、衆議院の法制局長が国政調査権が優先するんだということを、どこかの勉強会ですかで発表されている。これについてどういうふうに思われますか、法制局。

角田礼次郎内閣法制局第一部長

○説明員(角田礼次郎君) 私もその新聞を読みましたけれども、新聞の記事ではなはだ不正確と申し上げてはあれですが、十分真意をつかみがたい点がございますので、その点はお許しを願って私の見解を申し上げたいと思いますが、あの中でたしか非常に重要な点として、やはり参議院の法制局の見解というものと同じことばが使われているように思いました。つまり「その要求が適法な国政調査権の行使としてなされたものである以上は、単に公務員が職務上知り得た秘密事項であるという理由だけでは直ちに拒否することはできない」と、こういう考え方を前提として、そして国政調査権が一般的に優先をするんだというような御議論であったように思います。  そこで、この点について申し上げたいと思いますが、実は参議院の大蔵委員会で私どもの長官なりから申し上げているところでありますが、私どもも単に公務員が職務上知り得た秘密事項であるという理由だけで直ちに拒否するということは、これは許されないという考え方をとっているわけであります。  なお、ちょっとここで私の過去の答弁を引用させていただきますが、本年の五月の十五日に衆議院の決算委員会で、公明党の坂井委員の御質問に対してまさに同じ問題について答えております。これはむろん今日のような問題が起こるずっと前の話でございますが、その中に、非常に長いものでございますが、ごく一部だけ申し上げますが、「一般的に、守秘義務があるからお答えできませんという言い方、国政調査権に対して常に優先するというような言い方は、今日では法解釈上むずかしいと私は思います。それから、同時にまた、逆に国政調査権が常に優先をするという考え方も、これは従来から政府はとっておりませんし、また今日でもそういうことを言えると思います。」そういうことを述べたあとで、「国政調査権の適正な行使を確保」しようという公益と「同時にまた、私人の基本的人権とか」「あるいは行政運営にどのような支障を生ずるかというような考慮」、そういう公益上の要請、この「二つの要請というものをどのように比較勘案してそこで調整をしていくかという問題として結局は決しなければならない問題だと思います。」  この趣旨を参議院の大蔵委員会で私のほうの長官から、個別的なケースによって、国政調査権というのはあくまで尊重しなきゃいけないんだ、しかし、それを基本に置いた上で二つの公益の調整という形を個々の、何と申しますか、具体的ケースに応じて考えていくべきである、こういう意味で申し上げたわけです。そういう意味で、おそらく私は衆議院の法制局長の見解も参議院の法制局の見解も、そういう見解であろうと私は理解しております。したがいまして、基本的に私どもの見解と変わっていない、そういうふうに信じております。

白木義一郎公明党

○白木義一郎君 そういうように、今回は金脈問題については、政府はあらゆる法律解釈等を通して守秘義務を強くあらわしているわけです。これは取り方によっては当然だと、こう皆さんお思いになるでしょうけれども、国民の立場にすると、片方は、県政調査権で税金を滞納しているおれの名前をどんどん片っ端から発表されて迷惑しているのに、何で国政調査権によって、公人中の公人の総理大臣といえども同じじゃないか、人間という立場ではという見方を国民、庶民はどうしてもせざるを得ないわけです。そこで議論とすれば、国政調査権、守秘義務とああだこうだと言って、結局は何だかわからなくなっちゃうわけです。そこでいまの政府あるいは内閣の政治のあり方が、あまりにも権力者のために法律を駆使しているというようなふうにとらざるを得ないわけです。  その点について、もうベテラン中のベテランの政治家であり当局の責任者である法務大臣に、いま私が申し上げた、一方では庶民が非常に迷惑をしている。発表されて、それに基づいて被害が非常に起きた。今度は訴訟する。訴訟する相手は自治大臣でしょう。ずっと裁判を繰り返していくと、この間の最高裁みたいにそこでパーになってしまう。片っ方は強力な法的ガードによって守られる。こういう非人間的なあり方を国民は非常に敏感に感じて起きたのが今回の金脈問題、このように私はとらえているわけです。  そこで、この問題の最後に法務大臣として、いまお聞きいただいたようなやりとりから、この守秘義務と国政調査権のあり方について御所見を伺っておきたいと思います。

濱野清吾自由民主党法務大臣

○国務大臣(濱野清吾君) ただいま公務員の守秘義務とかいろいろこまかい議論がございましたが、大体先ほど松永先生に私の考え方を申し上げた方向で私は考えているわけであります。  わが国も先進諸国と同じように自由主義社会を持っておりますから、三権分立の立場を基礎としていることは言うまでもございません。そしてその三権が、それぞれの義務は秘密を守ることが国益に合致する、あるいはまた国民のあらゆる権利を保全することである、こういうことで、ただいま論議されましたような意見の相違とか、あるいは国会の調査権と行政庁の守秘義務とが具体的にどこで線をすることが、ただいま申し上げましたとおりの国益を、さらにまた国民のあらゆる権益を保全するかという、そういう大きな問題にこの時期にこの時点でぶつかってきたものと思います。もちろん私どもは何回か委員長の席を汚して、この文書を出せとか出さぬとか、もうさんざ苦労しておったわけであります。しかし、この時点は格別な時期でありますから、この論争の起きることはもう当然だと私は考えておるわけであります。  そこで先生方にも御理解を願いたいのでありますが、この事件はこの時点だけで解決するものではありません。行政庁の守秘義務によって資料の提出することに対する拒否、こういうことは再三ございます。また国会は国の最高機関として、出さぬのはけしからぬという議論はしばしば繰り返されているのであります。そういうような事情でありますから、私は先ほど松永先生にお答え申し上げましたとおり、この秘密保持の問題は、これは国会の証言、そういうような義務にだんだん近づけていかなきゃなるまい、できるだけこの守秘義務というものを狭めてクリアにやっていかなければいくまい、私はこういうことを先ほど松永先生にお答えしたのでありますが、同様ひとつ私どもの考え方は、法務行政を扱っているものとして最も公平に、最も公正にやっていかなければならぬものではなかろうかと、こう考えているわけですから、私、別に田中内閣を守ろうとして法務大臣になったのじゃございませんから、その点はひとつ先生にも御理解を願って、ひやかさないようにお願いしたいと思います。以上のとおりでございます。

白木義一郎公明党

○白木義一郎君 いま大臣、お答えいただいたのですが、最初のごあいさついただいた中に、ちゃんとわれわれあいさつしていただいたわけです。「絶えず社会情勢の動向に注目し、法務行政の各分野において時代の要請に応じた適切な制度の運営をはかる等、法秩序の維持と国民の権利保全のために万全を期してまいりたいと考えております。」、これをおっしゃっていただけばたいへんありがたかったわけです。  それでは、急いで刑務所のことでちょっとお願いしておきたいのですが、もう御存じだろうと思いますが、先般、堺の刑務所で組の幹部が出所して、そのときにものすごい出迎えがあったためにラッシュアワーで非常に住民が迷惑した、こういうことがございますし、そのために私どものところへ現地からやいのやいの、おしかりの電話が入ったわけです。  それで、これはちょっとしたくふうでこういう混乱、迷惑をかけるということは避けられると思うのです、もうわかっているわけですから。前にもあったそうです。前はやはり警察が取り締まりの連絡か何かがおくれたためにみんなが迷惑した。そしたら刑務所の職員の人が、言うことを聞いてくれなければ出所の時間をおくらすぞとかなんとか言って、一生懸命心配していた。こういうことで、自動車は走らなくなる、女子供はこう黒いのを着たのがオスオスなんてやるものですから出勤もできないというようなことが、大阪だけじゃなくてあっちこっちにある。私実際に都島の拘置所でそういう風景にも接したことがありますけれども、時局柄、特にちょっとした連絡と配慮によってこれは防げることだ、簡単なことだと思いますので、ぜひとも今後こういうことで、内容が内容ですから、せっかく暴力団をあれしても、出所したとたんに善良な市民が迷惑するというようなことがあってははなはだ申しわけないと思いますので、ひとつ局長のほうから、大いに知恵をしぼって全国的にこういったようなことが将来起きないようにぜひともしていただきたい。その決意をお伺いして、私の質問は終わりたいと思います。

長島敦法務省矯正局長

○説明員(長島敦君) ただいま先生の御指摘になりましたような事態が大阪で起きまして、まことに遺憾と思います。  従来この問題につきまして、御指摘のように各地で問題がございますので、それぞれの土地で警察と密接な連絡をとって、できるだけの方策を講じておるわけでございます。特に一番大事なことは、出所いたします場合にどの程度の出迎えが来るかということを事前にキャッチすることでございまして、この点は刑務所の側としましては、受刑者に面会に来る者、あるいは手紙が参りますが、そういう内容からある程度はキャッチいたしております。その情報を警察に流しまして、警察のほうではまた独自に情報を集めるということで、両方から情報を集めております。  次に刑務所でやっておりますのは、そういうことで出迎えが相当になりそうだという情報が入りますと、当該受刑者本人に対しまして、そういう大、ぜい出迎えに来ると非常に迷惑をみんながするんだということで、出迎えを少なくするように君自身が手紙を出すとか、面会の際にそういうふうに訴えるとか、そういうことをやれ、もしそういうことをやらないということになれば釈放について考える。考えると申しましても、朝非常に早く出すとか、あるいは普通の時間でない時間に出すというような不利益をこうむるというようなことで指導いたします。同時に警察にもお願いいたしまして、暴力団の幹部とかその他のほうに対して警告を発していただく。刑務所によりましては、刑務所長自身がそういう暴力団のほうに手紙を出しまして協力を訴えております。  そういうようなこと、出所時間をずらすとか、いろんな方策を講じておるわけでございまして、私どものほうのいろんな会議がございますが、そういう際にお互いにそういった情報を交換して順次態勢を整えておりますが、今回のような事件が起きましたことはまことに遺憾でございまして、なお今後一そうあらゆる方策について指導し努力をしまして、かような事態を避けたいというふうに決意をいたしております。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 まず最初に大臣にお伺いしたいと思うのですが、大臣は新しくきょう所信を表明されました。法務大臣としては国民の基本的権利を守ると同時に、法秩序の維持に十分の力を注ぐ、こういう観点から厳正公平な検察権の運用に努力を傾注する、こういう所信を表明されましたが、この点はそのとおりお伺いしてよろしゅうございますね。

濱野清吾自由民主党法務大臣

○国務大臣(濱野清吾君) どなたが私の立場に立っても、かく申す以外には言い方がないと思います。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 それでは次にお伺いをいたします。  いま田中総理のいわゆる金脈問題、黒い霧問題をめぐって重大な疑惑を国民が持っている。そのことを全面的に解明することを国民は要求をしています。もしこの金脈問題の中に明らかに違法な行為があると見られる、そういう状況が出てきた場合は、法務大臣は検察の威信をかけて決然とこれに対処をして捜査をし、事実を明らかにする、こういう決意をも含めてきょうの所信表明を伺ってよろしいですか。

濱野清吾自由民主党法務大臣

○国務大臣(濱野清吾君) お説のとおりです。ただ現時点におきましては、総理は記者会見でも申されましたように、不法あるいは不当なことはやっておらぬ、こう申しております。また、いろんな機関で事実がきわめて鮮明に理解されれば、私どももお説のとおりのようなはだでこの処理をしたいと考えております。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 それでは一つの事実から入りましょう。  大臣はすでに文藝春秋の記事はお読みだろうと思いますが、これ全体を読んでみても黒い疑惑があれこれ感じられるわけです。とりわけその中で、次のことをこの記事は指摘している。百十四ページに、いわゆる越山会に対する政治献金の問題に触れて、少なくとも以上の事実は「政治資金規正法に定める、虚偽報告の罪にあたるだろう。」こういって指摘している事実がある。それは、たとえば越山会が自治大臣に報告をした報告書の中に、港区の古川産業、あるいは絶対に外人会社であるために寄付をするはずのない港区の会社、こういったものが報告をされている事実を取り上げて、そうしてそれを調べてみると、絶対に寄付はしていない、こういう事実がここに書いてあります。この書いてある事実が事実だとすれば、この記載のとおりまさに政治資金規正法の二十四条あるいは二十五条に違反し、そして具体的には懲役刑に処せられる重要な刑事犯罪の一つであると言わねばなりませんが、これが事実だとすればやはり捜査の必要があると思いますが、いかがですか。

濱野清吾自由民主党法務大臣

○国務大臣(濱野清吾君) 文春などにつきましてはそうした記事があることは承知しておりますが、しかし、その個々の事実について明確な事情がはっきりすれば、これは法治国家ですから、お説のとおり、それよりはかなかろうと思います。先生の御質問のうちに、これがもし事実とすればという仮定が立っておりますから、先生自体が事実をはっきりと証明できるのかどうか、この辺もまた参考に聞いておきたい。検察庁といたしましては当然、それぞれの機関、機能、そういうものもございますけれども、まずもって事実の明確でない事柄について軽々には申し上げられない、こういうふうに考えております。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 私に事実かどうかを聞きたいというお話もございました。私はこの事実に基づいて、けさ港区の古川産業に電話をいたしました。この文春には古川産業のだれがそう答えたかは記載されておりませんが、私が電話をした限りにおいて、あの文春に記載されてあるとおり、政治献金をしていないのに越山会の報告には政治献金をしたと書かれてあることは文春のとおりふしぎなことである、こうはっきりと私は電話で聞いた。それは古川産業の経理担当の「ババ」という人に私は直接聞いた。これは私直接現に調査をした事実です。私の調査の事実もこの文春の記事も合致している。  そうなると、御存じのとおり政治資金規正法は、まさにその第一条において民主政治の健全な発展をはかる根幹的な問題として選挙の公正、政治活動の公明をはかるという観点から、自治大臣に対する報告義務を会計責任者に義務づけて、虚偽報告、帳簿の虚偽記載を行なうならば二十四条、二十五条によって懲役刑を含む刑事制裁に科することをきめている。政治家にとっては重要なこれは問題であります。  いま私が申し上げましたように、私が直接調査をしたこの古川産業一つの事実、これは明白に文春記載のとおりの事実であります。これがはっきりしております。この件について私の事実調査を聞きたいとおっしゃるから私は申し上げたのです。このとおり私の調査に間違いがないと私は確信をしておるので、いまでも電話をしていただいてけっこうですが、この問題について調査をされますか。私がお答えいたしました事実、いかがですか。

濱野清吾自由民主党法務大臣

○国務大臣(濱野清吾君) 法務省の機関がそれが事実であるというようなはっきりしたそういうことでないと、にわかに検察庁の捜査に取りかかることはできないと思います。私はあなたを信用しないわけではない。しかし、雑誌のああした記事で、あなたがほんとうに本人に聞いて、その事実が適正だというような立場からあなたが主張していらっしゃるのでありましょうが、もし事実だとすればという、前の発言の中にございましたが、あなたを信用しないわけじゃありませんけれども、しかし政府の機関が、国家の機関ができるだけ明確に事情を明らかにしなければすぐに発動するというわけにはまいらない、こう考えております。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 私がいま申し上げたとおりですから、事実を明確にする必要があるということは大臣もおわかりでございましょうね。

濱野清吾自由民主党法務大臣

○国務大臣(濱野清吾君) 私のほうの機関がそういうようなことを認識すれば、そうしてそれが間違いないという事実があれば、当然に検察庁の発動があるだろうと私は考えております。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 安原刑事局長、いまの答弁をお聞きになって、国民の疑惑にこたえるために、いま私が指摘をした事実、私が現に電話で調査をしたのですから、これが事実であるとすれば政治資金規正法の二十四条、二十五条違反の疑いがある事実を私は指摘しているわけです。この事実は私がこの法務委員会で申し上げて、私の調査が真実かどうか、そうしてこれがはたして文春記載のとおりであるかどうか、これを調査する必要をお感じになりませんでしょうか。

安原美穂法務省刑事局長

○説明員(安原美穂君) 御指摘のとおり、検察庁といたしましては厳正公平な立場から事件の捜査を行なうのが伝統でございます。ただ私、法務大臣を補佐いたします刑事局長といたしまして、きわめて具体的な事件についてのお尋ねでございますので、私は、そういう事実があるとすれば検察庁の活動に信頼をしていただきたい、そういう点だけを申し上げたいと思います。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 検察庁がこの事実を明確にするということをやらねばならぬということが私は使命だと思います。そういう意味で私は、やるというなら信頼をしますよ。しかし、いま私が事実を指摘をしても、なおこの事実を調べるということさえやろうとしない姿勢ならば、国民の信頼にこたえることができないですよ。私は、刑事局長が言われたように検察を信頼し、この事実を明らかにすることを期待します。  さらに、この会計責任者は、すでに御存じのように文春で田中総理の後援会、政治団体越山会の会計責任者、これが佐藤昭氏であることはもうすでに知られているとおりです。直接この会計責任者である佐藤昭氏を呼んでお聞きになれば、検察としては直ちに事実が解明する。いとも簡単な事実だ。この事実を解明するのかしないのか。私は国民にかわって厳重に検察のあり方を今後見ていきたい、こう思っております。  ところで、時間がありませんので次の問題に移りますが、室町産業が信濃川の河川敷を大量に買い占めて、推定三百億円をこえる価値のある土地を手に入れているという事実が建設委員会でも指摘をされました。これは大臣もその他の関係者もすでに御存じのとおりであろうと思います。この河川敷の取得の問題について、たとえば多くの週刊誌も書いておりますが、サンデー毎日の記事によれば、農民たちはわしらはだまされたんだ、こう言っています。土地を返してほしいと。また、わが党が現地へ行って調査をして農民に会ってまいりました。そのテープをきょうは持ってきておりますけれども、時間がありませんのでこのテープを戻しませんけれども、これは「オオイマサムネ」という農民から聞いた事実です。この中でもはっきり、将来この土地が、あのかすみ堤が本堤になりバイパスがつき、そうして都市計画上ばく大な価値を生ずるような土地になるであろうなどということは一切知らされてもいないし、また事実を知らなかった、それにつけ込んで買われた、だまされたと言う以外にないと供述をしています。  この問題について、実際室町産業がこれの買収に当たったのが、御存じと思いますが、昭和三十五年から四十一年にかけての時期、この時期に現在科学技術庁長官に就任をされた足立篤郎氏も取締役になっている。この問題が黒い霧の問題として国民の疑惑を受けているときに、この買い占めの時期に取締役をやっていた足立篤郎氏を大臣に就任させるという田中総理の任命も、国民の目から見れば非常識と言う以外にはないということになると思うのです。  それはともかく、この時期にこの室町産業がいわゆる宅建業法による業者の認可権を持っていなかった事実、これは明白ですが、この事実は刑事局長は御存じですか。

安原美穂法務省刑事局長

○説明員(安原美穂君) たしか文藝春秋の誌上で読んだ記憶はございますが、公人としての刑事局長として報告は受けておりません。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 私の調査によれば、営業免許を取得した期間は買収後の四十三年。四十五年にはこの認可権は抹消されておる。これはぜひ調べてください。調べればすぐわかることですから。  ところで、この現地の事情を大臣はよく御存じないと思いますので、ちょっと航空写真を見て、どのように変わったかをまず御理解願いたいと思います。これが昭和四十年の航空写真です。安原刑事局長も一緒にごらんいただきたい。これが現在、これは七二年の航空写真ですから二年前ですが、このように堤防が完全にでき上がって、長岡大橋ができてバイパスが貫通して、そしてこの堤防の外側の室町産業が買い占めた土地は、みごとに堤防とバイパスにはさまれた土地に仕上がっていますね。これが昭和四十年。ここに年号が入っております。六五年ですから。この写真で見た限り、将来このような計画に土地が造成されるであろうということは想像もつかない農地、河川敷であった。これは昭和四十二年の写真ですが、買収直後堤防工事が行なわれましてかすみ堤がつくられて、このかすみ堤は本堤にならずに遊水地のためにあけられてございますね。これがこのように本堤工事にされている。  当時、室町産業がこれを買収したときは、田中総理は大蔵大臣の地位におられたことは客観的に明白であります。将来このような土地の値上がりが予想されないのに、いやしくも羽田空港の三分の一にものぼろうかという広大な土地を農民から買い占めるということを、だれがやるであろうか。農民たちはこのような計画を知らされていないと言っている。  しかも、もう一つ重要な事実は、安原刑事局長に調べていただきたいのですが、この長岡バイパスの建設調査がいつ始められたかといえば、これはすでにこの間の建設委員会において答弁されたところからも明らかですが、井上建設省道路局長の答弁では、三十八年から三十九年にかけて計画線調査をやりましたと、こういうことです。まさに買収が行なわれる時期と一致しております。このことを農民は知らないのです。しかも、これだけの広大な土地を買うについては、将来この土地がどうなるかという予測がつかないで買うはずはないと思いますが、河川敷であるということから、国の所有に帰している部分も含めて、買い取るにはそれだけの展望がなければならない。  そこで私は二つの問題を質問します。  まず安原刑事局長に、これは純粋な法律問題として聞きたいのです。たとえば宅地建物業法でも、その四十七条の中で、土地に関する重要な事実を告知しもしくは告知しないということをしてはならぬということがきめられています。これは当然でしょう。重要な事実を告知せず、相手の知らない無知もしくは錯誤につけ込んで不法な財産上の利得が行なわれた場合に、積極的欺罔行為がなくても刑法二百四十六条二項の詐欺罪は成立すると一般に考えられていることは間違いないと思いますが、この点はいかがですか。

安原美穂法務省刑事局長

○説明員(安原美穂君) 宅地建物業法の告知義務の内容がどういう趣旨であるかは、実は特別法でございますので、むしろ建設省の担当官の方にお聞きいただくのが妥当かと思いますが、いま御指摘の一般的抽象的な法律論といたしまして、いまのような場合に、いわゆるまさに橋本先生御指摘のように不作為を作為と評価する、つまり告知しなかったという不作為を「欺罔シテ」という積極的な行為と評価するにあたりましては、そういう告知すること自体が法令上の義務としてあるということであれば、一般論としては、告知しなかったということが積極的な欺罔行為というふうに判断される場合が多いであろうと、かように思います。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 そういたしますと、かりにこの河川敷が将来堤防工事が行なわれバイパスがつき、長岡大橋が通る、そういう計画がなされるということを田中総理もしくは室町産業あるいは関与した越後交通の関係者が知っていて告げなかったとすれば、刑事局長、聞いてくださいますか、知っていてあるいは知り得る状況にあって告げなかったとすれば、不作為の欺罔行為に該当するおそれがあると言わねばならぬと思いますが、いかがですか。

安原美穂法務省刑事局長

○説明員(安原美穂君) 先ほど申し上げましたように、宅地建物業法の告知義務の立法趣旨というものを明確にしておりませんので、一般論といたしましても、これが作為に相当すべき告知義務の不告知という不作為かということを、私一般論としてもちょっといま判断いたしかねる状況でございますが、さらに一般論として、そういうような告知義務があるということになれば、先ほど申し上げたように、積極的な欺罔行為として詐欺罪の成立の可能性というものはあるのではないかというふうに思います。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 そうですね。そこで、まさに知っておりながら告知しなかったか、これは土地の売買契約に関する重要な要件、要素、内容ですね。その問題が重要な疑義のある問題になってくる。これは私ども国民の立場では、当時大蔵大臣であった田中総理関係者は、予測し得る地位にあったと私は考えざるを得ないと思うのですけれども、それは事実は聞いてみないとわからない。だがしかし、私どもが調査によって、この河川敷の国有地を室町産業に売り渡した人の契約書の写しを見てきました。その写しには、当然将来この河川敷が廃河川敷として国によって処分され、所有権が私的所有権に変わるということを予想して書かれている契約書がある。  その契約書の第五条では「河川法第四四条の規定による処分がなかったときは」この契約は「効力を失う」と、こういう規定があるわけですね。つまりかすみ堤が本堤になり、いま写真でお示ししたような、まさに信濃川はこの部分は河川敷で置いておく必要性がなくなって、これを廃河川敷にするということが将来起こり得る。だから買うんだ。しかし万一その河川敷が廃河川敷にならなければ契約は解消しますという契約がなされている。これは室町産業が将来河川敷が廃河川敷になることを予想したから、この契約をこのようにつくったことは間違いない。  これは写しですから証拠として刑事局長にお渡しできませんが、このことからも推定できる疑惑が一つ出てくる。これは調べてみなければならない問題である。ということで、室町産業がこの河川敷を取得したこの行為自体が刑法上の詐欺罪に該当するおそれがあるということは、少なくとも調査をした事実を総合して言えると私は思うのです。これについて、この疑惑を将来どういうふうにするか、刑事局長のお考えはいかがでしょう、私が指摘をした事実に基づいて。

安原美穂法務省刑事局長

○説明員(安原美穂君) 先ほど政治資金規正法の関係でも申し上げましたように、きわめて事柄が具体的な検察権あるいは捜査権の発動に関することのお尋ねでございますので、私はかような国会の論議が捜査当局、検察庁あるいは警察を含めての捜査当局に当然伝わるであろうと思いますので、それらの何と申しますか、活動に信頼をしていただきたい、このように思うわけでございます。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 大臣は、ほんとうに具体的に違法行為で捜査しなきゃならない事実がはっきりしたら、これは検察の威信にかけてもやります、はっきりすれば、こういう所信をいただいて私は事実を指摘した。刑事局長も、きょう私の指摘をした問題はおそらく検察庁にも伝わるからそれを信頼していただきたいということであります。これは責任を持って伝えてもらわなければ困りますよ。伝わるどころじゃなくて、私は議事録を検察庁に提供します。

濱野清吾自由民主党法務大臣

○国務大臣(濱野清吾君) ただいまの発言について申し上げておきたいことがあります。およそ国家機関の検察庁は、あなたがおっしゃることについては大きな関心を持つであろう。そして正当な調査権を発動するか、あるいはまた発動しないか。しかし、ただあなたのおっしゃったことが全く間違いない事実であるかというようなことをまず検察庁としてはお考えにならなければならぬと思うのですが、この点はひとつ誤解のないように御了承願いたい。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 もちろん私も法律家出身ですから、その点はよく理解した上で議論を進めます。  ところで、室町産業がいま言ったようなこういうような方法でばく大な土地を取り上げ、橋本建設大臣が当時かすみ堤を本堤にしないとまで言明されたのが本堤になっていく。こういうことは、私は刑事上の問題であると同時に、国民から見て重大な政治不信を起こす問題であるということは間違いないと思う。これに室町産業が関与している。この室町産業はどういう会社かといえば、すでに文春でもあるいは関係各委員会でも指摘されておるように、佐々木委員も登記簿その他を資料要求されたように、いわゆる幽霊会社だといわれている。幽霊会社というけれども、土地を取得するときには必ず動き出してくる。  たとえば、法務大臣、私は宅建業法違反という簡単な事実だけでも明白な問題を指摘させていただきたいと思います。室町産業は宅建業法に違反して河川敷を多数の農民から買い集める行為をやっている。そうして新星企業という会社は、これは宅建業法の認可が四十四年十二月に権利抹消されて消除されているにかかわらず、その後田中総理の目白邸の一部、あるいはいま問題になろうとしている料亭松ケ枝の買い入れをやっている。東京ニューハウスという会社は、これは宅建業法の登録免許は全然ないのです。全然一回もとっていない。それにかかわらず軽井沢の別荘を手に入れ、あるいは田中邸の一部の土地を買い入れているという事実がある。そうして会社の目的は土地の売買、賃貸、いわゆる不動産業、これをやるための目的が登記簿上にも明白に記載されている会社なんです。だからこれも調べなければならない。幽霊会社だといわれるけれども、土地を手に入れるときは突然、事実この会社のものになっている。しかも、宅建業法に違反すると見られる状況のもとでやっていくという事実が出る。これは厳重に追及しなければならぬ問題だと思うのです。  ところで、このいわゆる幽霊会社といわれる問題ですが、私はこれについて民事局長の御見解を承りたいのです。それはすなわちどういうことかといいますと、たとえばこの文春に出ておりますように、室町産業は当初、佐藤昭さんの自宅を本店として設立されたのです。どんどん資本金が増加をいたしまして、いまや十億円という大会社です。ところが、この事務所へ電話をしてみると高梨設計事務所が出てくる。新星企業に電話しようとすると、また同じ直通電話で高梨設計事務所である。こういう状況になっている。これが本店の様子です。ばく大な資本金を持っている大きな会社、広大な土地を買い入れる会社、これが本店がこういう状況です。  ところで、民事局長も私が言うまでもなく御存じだと思いますが、会社に対する法のたてまえの重大な監督権の行使と公益の保持のために、商法は明白に会社の本店もしくは支店に株主名簿、貸借対照表、損益計算書、財務諸表、そういった重要な会社の関係書類を置くことを義務づけていますね。これに違反をすればどういう制裁がありますか、民事局長。

川島一郎法務省民事局長

○説明員(川島一郎君) たしか商法の何条でございましたか、過料の制裁の規定がございます。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 つまり法律上の制裁まで科される。私は疑うのです。電話をかけても他人が出てくる。同じ幽霊会社が同じところへ入っていて、その部屋は会社らしい様子は見られない。高梨設計事務所だと文春はいっている。これは調べねばならぬ。もしもここに会計帳簿、財務諸表その他、商法が規定する会社帳簿一切が存置をされていないならば、これまた違法ですよ。商法違反であり、同時に過料といえども刑事上の犯罪にひとしい行為ですよ。調べる必要がありますよ、これは。文春が出て、今日これだけ黒い霧問題が出されているときに、これも調べてもらいたい。安原刑事局長に伺うならば、これも検察の威信にまかせてほしいとおっしゃるだろうと私は思う。これも耳に入れておいてほしい。調べねばならぬ問題ですよ。  さらに同時に、一体会社というものはこのような会社であり得ることを法は予定しているか、この問題を民事局長に私はお伺いしたいのです。会社というものはどういうものでなければならないか。田中総理はこう言いました。この間の記者会見で、幽霊会社幽霊会社というが、日本のように車があって本社があって、人が一ぱいいないと会社でないというのは日本的考え方である、総理はこう記者会見でおっしゃっている。つまり総理の言い方によれば、わいわい言う国民がおかしいのだ、外国へ行ったらこんな会社は一ぱいあるのだといわぬばかりのことです。わが国の商法の規定でいやしくも法人格を認める会社とは一体どういうものなのか、一言ちょっと言っていただけませんでしょうか。

川島一郎法務省民事局長

○説明員(川島一郎君) 会社のあるべき姿と申しますか、そういうものを考えますと、やはり事務所というものがあり、そこに本拠を置きまして、そして会社の目的に従った業務を行なうというのが会社のあるべき姿であるというふうに思います。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 私の手元に法務省民事局が四十四年三月にお出しになった「民事月報」というのがありますが、これはいわゆるいま商法改正で進められている休眠会社、つまり設立だけして日常は何の具体的活動も行なわない、休んで眠っている会社を、今度は商法の改正によって、五年以上仕事をしないような会社はもう解散登記をやって整理をしていくということになりましたね。いわゆるこれも幽霊会社の排除の一つです。これに関連をして当時民事局四課の課長田辺さん、課長補佐黒木さんがお書きになった論文でこう言っておられます。「現行商法の立場から考えると、会社制度は日本経済の発展のため極めて重要なものであり、特に株式会社にあっては、多数の者の利害に関係し、公益的存在の一面を有するものである。したがって、商法は、公益保護の立場から会社の自由な成立、活動を認める反面、国家権力による監督的作用についても規定している。」  まさに国の法が法人格を拒否する会社とは、このようにまさに公益的性格の側面も持つんだということですよ。田中金脈の一環として田中総理の蓄財のマシンのような行為をすることは、まさにこれにふさわしくない行為である。こういうような幽霊会社もしくは社会的通念として存在を否定さるべきような会社については、民事局長も御存じのように、その会社の法人格を否認するという考え方が判例でも法理でも発展してきていることは明らかです。  その一つの例である最高裁判所の四十四年二月二十七日、第一小法廷の判決では会社についてこう言っています。「およそ法人格の付与は社会的に存在する団体についてその価値を評価してなされる立法政策によるものであって、これを権利主体として表現せしめるに値すると認めるときに、法的技術に基づいて行なわれるものなのである。」次が重要です。最高裁はこう言っています。「従って、法人格が全くの形骸にすぎない場合、またはそれが法律の適用を回避するために濫用されるが如き場合においては、法人格を認めることは、法人格なるものの本来の目的に照らして許すべからざるものというべきであり、法人格を否認すべきことが要請される場合を生じるのである。」これは最高裁の判決です。  この問題がいま大事ではありませんか。まさに田中金脈関係の幽霊会社といわれる会社が、このような最高裁のき然とした今日の法人格を法によって認めるに値する会社なのか。農民から欺罔的手段で土地を買い入れ、宅建業法に違反をして、そして堂々と土地その他の物件を買い入れ、そしてさらに、さらにですよ、それだけじゃありません。東京ニューハウス見てください。あるいは新星企業見てください。あるいは浦浜開発といわれる会社を見てください。これらの会社がやっていることについてもう一つ重大な疑念を持たざるを得ない問題がある。増資をするたびに必ず物件を買っています。これは一体何を意味するのであろうか。  これは私は国税庁長官にも伺いたいのですが、たとえば一つの例を言いましょう。関新観光は四十七年の五月に二億円の増資をした。そのときに鳥屋野潟を取得しています。東京ニューハウスは四十七年の四月に、田中総理自身が七千五百万円の株式を引き受けて、田中真紀子さん、これらもそれぞれ引き受けていますが、このときに東京ニューハウスは、それまで三千七百五十万円であった資本金が一躍一億五千万になりました。このときに軽井沢の別荘を買っています。  そこで国税庁長官に伺いたいのですが、実際平常は事務員もいなければ何の会計事務もやっていない。会社は登記上はある。その会社が突如増資がされる。そして物件が買われる。これは増資を引き受けて金を払い込んだ人が、直接その土地の売買代金として金を払うのではなく会社をトンネルにして土地を買ったという疑いがあるといえばありますよ。こういった場合に国税庁は、これは法人の物件取得の行為だと見たままで放置するのか、あるいはその場合の物件取得は、名義は法人で取得したけれども、事実を調べるならばそれに関与した数人の者が実質的利益を得たから、実質課税主義の原則からいって、法人による取得という表面上の登記にかかわらず、具体的課税は、売買代金に現にそれが使われたというルートをつかむならば課税問題はまた別に違ってくるという考え方にならざるを得ない。その点、一言簡単に答えてください。

安川七郎国税庁長官

○説明員(安川七郎君) 御指摘のようないろいろな類型がございますので、私どもはただいま御指摘のような可能性と申しますか、そういうものをいろいろ頭に思い浮かべて真実を追求いたしてまいりたい、こういうのが私どもの現在の仕事のやり方でございます。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 わかりました。それならば私がいま申し上げた可能性も追求しなければならない。  それは現に判例でも認められていますよ。長官は御存じと思いますが、四十六年十月十六日の名古屋高裁の所得税法違反の判決では、被告人は石川証券金融株式会社という会社をつくって営業した。ところが、その会社の実際の経理内容、やっている行為、それから被告人の取締役の一人としての行為、これを具体的事実で判断して裁判所はこう結論しています。「右事業については、石川証券は単なる名義人に過ぎず」、会社といえども名義人にすぎず、「実質的にこれを経営していた者は被告人であることを認めるに十分であるから、実質所得者に対する課税の原則に照し」「納税義務者は被告人である」、こう言って所得税法違反、有罪にしています。  幽霊会社はこの心配がありますよ。幽霊会社自体がどういう税務申告をいろいろやっているかの資料は、全部皆さん各議員が委員会で追及されているわけだが、この観点からも調べなければ今度の疑惑は晴れませんよ。いま長官は、私が指摘した角度からも調査をしているとおっしゃいました。次回の法務委員会でその調査の結果について私は伺います。  ところで民事局長にもう一つ伺いたいのですが、このように幽霊会社といわれる会社が、単に幽霊だけじゃなくて、田中総理の個人財産を隠すための目的でかりにつくられるとか——文春はそういうふうに指摘しているのですよ、私が言うのじゃないのです、「文藝春秋」はそう言っているのです——というようなことでやられるとすれば、私がいま言ったような法人格の否認というこの法理は適用されるべきであるというような考え方は、日本の商法の立場としてできますか、できませんか。

川島一郎法務省民事局長

○説明員(川島一郎君) 先ほど最高裁判所の判例を引用されて法人格否認の問題を話されたわけでございますが、いわゆる法人格否認の法理と申しますのは、個々の事件を解決するにあたっての一つの基準としてそういう考え方がとられているということでございまして、この実体のない会社、あるいはその乱用に使われている会社、そういうものを、その会社の存在そのものを否定するということではなくして、特定の事件を解決するに必要な範囲内において、その会社がないものと同様に扱う、その会社の背後にある実際の支配者の責任を追及する、こういう形でございますので、やはりこれは問題ごとに考えるべき事柄であろうというふうに思うわけでございます。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 ですから問題ごとに、たとえば課税の問題についても、この法人格否認の法理と実質課税主義という所得税法の大原則から、いま長官が言われたような観点で調査をしなければならぬという問題は私は指摘をした。これは長官もその角度を含めて検討すると言われた。  それからさらに会社の設立が不法な目的でなされた場合に、これは民事局長、いかがですか。

川島一郎法務省民事局長

○説明員(川島一郎君) 会社の設立が明らかに不法な目的でなされたという場合には、その設立の行為自体がまず問題となるわけでございまして、場合によってはそれが設立行為の重大な瑕疵となって、設立行為自身が無効とされる場合があり得ようかと思います。しかしながら会社の場合でございますと、一般に登記をして会社としての形態を備えるに至りますと、これは社会一般の会社でございますので、その無効を争うためには無効確認の訴えによらなければならない、こういう制約があるわけでございます。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 基本的な考え方として伺います。手続じゃなくて、無効確認の訴えその他私はよくわかっていますよ。基本的な考え方として、たとえば次のようなことばがあります。これは有名なアメリカにおいて法人格を否認する判例と法理の系譜の一つとなった、アメリカの政府対リフリゲレィター・トランジット事件と呼ばれる事件ですが、サンボーン裁判官は次のように言っています。「法人の観念が公共の便益を害し、違法行為を正当化し、詐欺を擁護し、犯罪を防禦するために用いられるときには、法は会社を複数人の集団とみなすであろう」。つまり法人格を否認して、実際の行為をやった数人の者にその実際の法律効果を帰せしめて責任を問うという理論です。これは日本の商法からいっても、かりにこういう会社があればこういう考え方は当然とれる、とるべきだ、私はそう思いますが、いかがですか、個々の法関係ごとに。

川島一郎法務省民事局長

○説明員(川島一郎君) 私、浅学でございまして、あまりそこまで調べたことはございませんけれども、あるいはそういう考え方もあり得るかと思います。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 この間まで最高裁の裁判官をおつとめになった大隅健一郎教授が「会社法の諸問題」という本をお書きになっています。その中にこういうように書かれています。「土地売買業者が多数の傀儡的土地会社を設立した事例が問題となった。それらの会社はすべて同じ部屋に事務所をもち、役員も取締役もすべて同じであり、またその設立の主たる目的も土地売買業者の各個の財産を訴訟に対してまもることにあって、それらの会社は実際上は異る被衣をまとう当該土地売買業者そのものにすぎないというのが真相であった。」そこで裁判所は、こういう会社に対しては直接会社ではなくて、その業者自身、自然人としての業者の責任を問い得る旨を認めたという論述がありますが、これはアメリカの判例でドノバン対パーテルという事件の判例です。  そこで私は言うのです。これは田中金脈会社のことをまるで言っているようです。同じような土地会社を同じような目的でつくり、本店は目白邸に置かれるかと思えば、田中ビルにまた一緒に集まる。直系の佐藤さんのところに設立のとき本店があるかと思えば、また一緒に集まる。こういう会社を運用している。これは重大な疑惑ですよ。そこで私は、こういう会社の存在を許していいのかどうかという問題をきびしく追及しなければならぬと考えるのです。法人格を否認するという場合に該当し得る条件がある。それは個々の手続でやらねばならぬということなら、個々の手続を断固としてとらねばならぬ。  さらに、もう一つの問題として私は法務大臣の御所見をお伺いしたいと思うのですが、大臣も御存じのように商法五十八条なんです。商法五十八条では、会社の設立が不法の目的をもってなされたとき、あるいは会社が正当の事由なく一年以上営業しないとき、第三は会社の業務を執行する役員などが法務大臣により書面による警告を受けたにかかわらず、違法行為、刑罰法令に違反する行為を継続反復するとき、このときは法人格を個々の法律行為で否認するどころか、会社の解散命令を裁判所に対して法務大臣は請求できる。これは重要な監督規定ですよ。  私がいま指摘をしました、あと質問時間が一時間、二時間あればもっとこまかくやりますが、もうありませんから大まかに指摘をしたのですが、宅建業法の違反をやっている。会社帳簿をほんとうに置いているかどうか、重要な疑いがある。そして土地の取引について、資本金をふやしたらすぐ土地を買う、いわゆる会社がトンネルになっている。脱税の疑いがある。そしてさらに、それだけではありませんよ。この河川敷の問題で指摘したように、詐欺ではないかと見られる疑いさえある行為、これをやった要素だって調べなければならぬ問題がある。こういう田中金脈の幽霊会社。法務大臣は解散命令請求権を持つ権限と監督の責任を持っていらっしゃる。国民が重要なこういう幽霊企業問題についてこれだけの疑惑を持って、いま私がお話をしたような要素があるときに、この商法五十八条によってこういった幽霊会社を、まさに公益目的に反する黒い霧を全部晴らすというその観点からも、解散を命ずることを考えて厳重に調査をしかるべき機関にお命じになるということが必要かと思いますが、いかがでしょうか。

濱野清吾自由民主党法務大臣

○国務大臣(濱野清吾君) 商法の規定にもあるようでございますから、検察当局そのものが当該具体的な状況に応じて公正妥当な処置をするであろうと考えております。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 その答弁は、私の質問にはるかに遠くからお答えになっていらっしゃる感じがして納得できないです。私は法務大臣がこのような幽霊会社、個々の具体的ケースによっては法人格を否認し得るような会社、総合すれば商法五十八条に規定されている、田中総理の財産隠しの目的のために設立されたか、あるいは違法行為を繰り返すかといったような行為があるときに、あなたは大臣として監督と、そして言うことを聞かなければ解散請求をする、それだけの権限と監督責任をお持ちなんですよ。だから検察庁、刑事局長、民事局長、いろいろおっしゃいました。またいろいろ調査をするということも話の中に出ましたが、それらを積極的に進めてこの監督責任を果たす必要があると大臣自身はお考えになりませんか、どうですかという質問なんです。

川島一郎法務省民事局長

○説明員(川島一郎君) 私から一言、先に御説明を申し上げておきたいと思います。  この商法の五十八条の解散命令は、法務大臣または利害関係人からするということになっております。利害関係人というのは、その会社に関係のある者でございますから会社の様子がわかるわけでございますが、法務大臣は、これは公益の代表者という立場で加わっておりまして、当然にその会社の実情を知っているとは限らないわけであります。したがいまして、法務大臣がこういうことを知るためには何らかの手段が必要でございまして、そのために非訟事件手続法の第百二十四条ノ四という規定がございまして、裁判所その他の官庁、それから検察官及び公吏がこの解散命令を出すに値するような事実を職務上知った場合には、これを法務大臣に通知すべしということになっております。この通知がありますれば、法務大臣としては当然解散命令の申し立てをすることを検討しなければならないというふうに考えるわけでございますが。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 そういう手続があることは私は知っていますよ。だから、検察庁その他から法務大臣に通知があったときに、初めて法務大臣がこの監督権を行使し、裁判所に解散請求を要求するという手続をとるかどうかを考慮するとあなたはおっしゃったけれども、いまこの金脈問題については、それがくるのを待っていてやるというような姿勢ではだめだと言うのです。いいですか。解散命令を請求する要件に値する事実があるかどうか、これは指示をして調べたっていいんですよ。違いますか。調べて悪いこと、どこにありますか。(「当然の公務だよ」と呼ぶ者あり)当然のことじゃないですか。それだけのことをやるという姿勢に政府当局も法務省当局も立たなかったら、検察の威信はどこにありますか。ニクソンがアメリカ議会を追われたのは議会と司法の威信ですよ。国民世論の威信ですよ。それをやりなさいというのが私の要求、私の請求です。  私は大臣に伺います。民事局長のお答えはわかりました。大臣、私のいま言っている意味を御理解願った上で、最後に、私が要求しているこの問題について事実を調査し、そして場合によっては五十八条、これを発動するということもあり得るという方向で事実を調査なさるということをお約束いただけませんか。

濱野清吾自由民主党法務大臣

○国務大臣(濱野清吾君) 当初から先生の数々の御発言、御指示、あなたの立場から見ればすべてが真実である、これは十分の疑いありと、こういう考え方も聞けないことはありません。しかし、田中総理が過般の新聞記者会見におきましては、自分は違法や不法な行為は一つもない、もしあったとすれば責任をとる、こういう言明をしていらっしゃいます。ですから私の考えとしましては、とりあえずお尋ねのような場合、検察当局においては当該具体的な状況に応じて公正妥当な処置をとるよりほかはない。あなたの言うことも信じられませんし、いまの世間のムードから見て……

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 田中総理の言うことは信じられますか。

濱野清吾自由民主党法務大臣

○国務大臣(濱野清吾君) 田中総理の言うことも信じられません。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 田中総理の言うことも信じられない。

濱野清吾自由民主党法務大臣

○国務大臣(濱野清吾君) 田中総理の言うことも必ずしも信ずることはできないと思うのであります。そうでないと、法務行政を扱う公正な立場というのはとれません。したがいまして、これらはあげて、先ほど刑事局長から申し上げましたとおり検察当局を信頼くださいまして、正当しかも妥当な立場を検察当局にとらせてもらいたい、こう考えております。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 最後に一言。私は国会議員ですし、法律家出身でもありますが、私のこの国会における発言を信じられないというのは大臣、大事な問題です。いいですか。ただし、私はいま、その大臣の発言は大臣の立場を理解するために聞きます。田中総理が私は一切違法行為はやっていないと、こう言っている。私はある疑いがあると、こう言っている。田中総理の言うことも私の言うことも信じないで、法務省は公正な検察の立場に立って進む、こういうことを言おうとされたために言われたことばだと了解をしますが……

濱野清吾自由民主党法務大臣

○国務大臣(濱野清吾君) そうです。そのとおりです。

橋本敦日本共産党

○橋本敦君 それでよろしいですね。  質問時間がもうありませんので、そういう行動をとることを強く要求して、質問を終わります。

下村泰各派に属しない議員

○下村泰君 質問をさせていただきます前に、当委員会が二十五分もおくれたのは私が原因でございますので、まず理事並びに委員長、皆さんにおわびしておきます。  私は初めてこういうところで質問させていただきますので、ことばにそごがあったり、あるいは表現に誤りがあるかもわかりませんが、どうぞひとつこれは御容赦願いたいと思います。  特別養子制度、一口に実子特例法といわれておりますけれども、これに関することで質問させていただきたいと思います。  優生保護法というのがございますが、この優生保護法によって妊娠の中絶される時期というのはどういうふうになっておりますか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。

山本二郎厚生省公衆衛生局精神衛生課長

○説明員(山本二郎君) ただいま御質問がございましたことは、優生保護法の第二条の2に書いてございまして、「人工妊娠中絶とは、胎児が、母体外において、生命を保続することのできない時期に、人工的に」「母体外に排出することをいう」ということになっておりまして、この法律は、この第一条にも書いてございますように、母性の生命健康を保護することを目的としておりまして、この法律の十四条に書きました要件に該当すると指定医師が認めた場合であって、しかも、いま先生から御質問がございました胎児が母体外において生命を保続することができない時期に実施できる。これだけの条件が重なっておるわけでございます。  そこで、胎児が母体外において生命を保続することができない時期というのは、これも医学的に明白なことでございますが、しかし重要なことでございますので、昭和二十八年六月に厚生省の事務次官通知をもちまして、この中で、法第二条第二項の胎児が母体外において生命を保続することのできない時期とは、通常、妊娠八月未満をいうものであるということになっております。

下村泰各派に属しない議員

○下村泰君 妊娠八カ月というと、八カ月は手をつけられない状態ということで、七ヵ月までですね。

山本二郎厚生省公衆衛生局精神衛生課長

○説明員(山本二郎君) さようでございます。

下村泰各派に属しない議員

○下村泰君 そうしますと、法に許された妊娠中絶は七カ月へ入った妊婦が許されるということ。その優生保護法の第二条第二項に従って、その次にそれぞれ五つの該当の項目がございます。その項目に従って七カ月の妊婦がお医者のところへ行ったとします。私の調べたところによりますると、大病院は七カ月は絶対に扱っておりません。ほとんどこれは開業医のほうが扱う。あるいは福祉事務所から許可の証明書が出ますと大病院ではこれは扱っている。ところが、実際に開業医という方々がこれをほとんど扱っているのが実情なんですけれども、開業医の数は全国でどのくらいございますか、把握していらっしゃいましょうか。

山本二郎厚生省公衆衛生局精神衛生課長

○説明員(山本二郎君) 優生保護法の十四条のところに書いてございますが、人工妊娠中絶を実施することのできる医師は都道府県の医師会が指定した医師、以下指定医師と私ども通称申しておりますが、一定の条件のもとにある医師に限られておりまして、この医師は全国で約一万三千名でございます。

下村泰各派に属しない議員

○下村泰君 一万三千名ですね。私は八千五百だと思いましたけれども。  ところが、七カ月の妊婦が出かけていきまして開業医に手術を受けますと、七カ月の場合にはたいていオギャーと言うそうです。もしこのオギャーと赤ちゃんが、もちろん赤ちゃんです、外へ出た場合嬰児でございます、オギャーと泣き声を立てた場合には、どういうふうに指導なさっていらっしゃいますか、厚生省として。

山本二郎厚生省公衆衛生局精神衛生課長

○説明員(山本二郎君) これは人工妊娠中絶の実施に当たります指定医師が、ただいま申し上げましたように全国で約一万三千でございますが、この方たちによりまして日本母性保護医協会というのをつくっておりまして、この方たちがこの法律に基づく人工妊娠中絶の実施に当たる医師の団体であり、また受胎調節等の指導にも当たる医師の団体でございますが、この母性保護医協会と私どもとは業務の実施上きわめて綿密な連絡を持っておりますが、私どもと母性保護医協会と十分話しまして、すでに昭和四十一年に母性保護医協会が出しました指導書の中で、人工妊娠中絶を実施して胎児が体外に出てきまして生存していることを確認した場合においては、その生命を保続するためにありとあらゆる措置をとる、こういう指導をしております。

下村泰各派に属しない議員

○下村泰君 ところが、御指導なさっていらっしゃるのと事実とは全然相反しておりまして、私が開業医各自を、調査というよりは茶飲み話のような形でおたずねをして回ったのですが、実際はいま厚生省の御指摘になったような事実とは相反しておりまして、オギャーと言った場合には、バケツに水をためておいてその中へつけてしまう、あるいは呼吸器系統を脱脂綿によって封鎖してしまう、あるいは寒いときには外に出してこれを凍死させるような状態にするというようなのが現状なんですが、それは御存じでしょうか。

山本二郎厚生省公衆衛生局精神衛生課長

○説明員(山本二郎君) ただいま御指摘になりましたようなことが起こらないように、実は私どもいま申しました昭和四十一年以来の指導書によります指導のほかに、毎年全国を九つのブロックに分けまして指定医師の研修会を実施しておりまして、この研修会におきましては、この十四条に書いてございます五つの人工妊娠中絶の要件がございますが、単にその要件を的確にひとつ守って実施をするということのほかに、いま先生が御指摘されましたような、いやしくもその生命の尊重という配慮に欠けることのないように、実はこれは私みずから毎年この九カ所を回ってやっておるわけでございますが、いま御指摘になりましたようなことは、私どもの指導のあれからしましてもないものと信じております。

下村泰各派に属しない議員

○下村泰君 それは当然こういう席上で、その事実をお認めなっても、そんなことがありますとは言えないだろうと思います。これは私らのようなしろうとから解釈させますと、法務大臣もいらっしゃるのでこういうことは言いたくないのですけれども、何か法務省も厚生省もへたすると法の解釈を間違えて、間引きしているんじゃないかという印象も受けるんです、われわれにしてみれば。たまたま私こういうことに従事しましてから、ありとあらゆる場所を利用して一般の方に伺いますと、一般の主婦の方でまず七カ月まで妊娠中絶ができるなどと思っている人はほとんどおりません。ほとんどが四ヵ月から五ヵ月までが妥当じゃないかと言っておりますね。これはもう一般常識だと私は思うのです。お腹の中で動く子供を殺すばかはそうはいるわけありません。しかし、中には万やむを得ない事情のある方もいらっしゃいましょう。  そこで、いま当局のほうの御指摘がございましたし、いまお答えくださっていらっしゃる方も医学博士だと聞いておりますので、その道には詳しいと思いますけれども、先ほど昭和四十一年の日母のあれによって御指導なさっているとおっしゃいました。そうですね。

山本二郎厚生省公衆衛生局精神衛生課長

○説明員(山本二郎君) 指導書によって指導している。四十一年でございます。その前は、法律ができました以後は各担当者に対するブロックごとの研修でやっておりましたが、四十一年にそういう指導書の形にして指導をしておるわけでございます。

下村泰各派に属しない議員

○下村泰君 何しろ時間がございません。もう先ほどからどんどん針はぐるぐる遠慮なく回っておりますので、端的に私はいきたいと思います。  私のいま手元のこの資料なんですが、これは実は日本赤十字社産院の小委員長中嶋唯夫さん、もちろん御存じだろうと思いますけれども、この先生に伺っていろいろ資料をいただいてきたのですが、その前に、日本赤十字社医院長の小林医院長、この小林医院長に伺いましたところが、やはり小林医院長も七カ月はもう妥当ではない。それから愛育病院の内藤寿七郎医院長も、妊娠二十八週までは中絶できると法律できめられているが、妊娠三、四カ月で羊水診断で蒙古症あるいは男女別がわかる。してみると、これはもう四カ月以後は中絶してはいけない、こういうふうにおっしゃっています。それから日大産婦人科の馬島先生もやはり同じ意見でございます。それから慶応大学医学部の飯塚先生も同じ意見です。東京厚生年金病院産婦人科部長の松山先生も同じ意見です。それから賛育会病院の産婦人科部長、ただいまの中嶋唯夫さん、日赤のほうからこちらへ移っております。この先生も同じ意見です。  そうして、もう一つちょっと伺いたいのでございますけれども、こういう先生方が異口同音にして、なぜピルを許可しないのか、こういうことを言っておりますが、これはどうなんでしょうか。

山本二郎厚生省公衆衛生局精神衛生課長

○説明員(山本二郎君) お答えをいたします。  実は厚生省の中でもピルの問題は薬務局の所管でございますが、きょう私がまいっておりますので、知っているだけのことをひとつお答えをしておきます。  ピルにつきましては、いままで副作用の点がやはり問題がございまして、御存じだと思いますが、血栓性静脈炎、それから肺動脈塞栓症とかいったものが、すでに使用をしております国におきまして現実に出ておることが確認されております。なお発ガン性の問題も一つございますが、それはまだはっきりいたしません。したがいまして、このような安全性についてのまだ疑問がございますので、現在の段階では避妊薬として認可をして使用をしてはいないという現状でございます。

下村泰各派に属しない議員

○下村泰君 巷間伝うるところによりますると、薬剤師と医師の関係でピルはなかなか認可にならないのだという話も承っておりますが、これは巷間伝うるところの話でございます。  それから日赤にまだ在籍していらっしゃったころの中嶋先生がお書きになりました「産科定義の諸問題」、これは「産科と婦人科」というタイトルで出ておりますが、「生産の定義」という、これはお持ちでございますか。

山本二郎厚生省公衆衛生局精神衛生課長

○説明員(山本二郎君) 手元には持っておりませ  ん。

下村泰各派に属しない議員

○下村泰君 まことにお気の毒なことだと思います。厚生省が七カ月で指導していらっしゃるにもかかわらず、いま山本さんのおっしゃったいわゆる日母という答えが出てまいりましたが、この日母からのいろいろ研究発表というのは、たいへん厚生省がこういう指導を行なう上において大きな力を持っていると思います。その日母のこれは小委員会の小冊子です。これを見ますると、体重の少ないもので三百六十グラムでも生育している子供がおります。  そういう記録はたくさんございまして、ここに報知新聞がございます。これは十月二十四日、木曜日の報知新聞です。「カネやん満願胴上げ」というものすごいタイトルで書いてあります。報知新聞、スポーツ新聞です。ところが、このスポーツ新聞の一番下のほうの欄を見ますと、この優勝したロッテのサードを守っている有藤選手の子供が千百グラム、これがいま一年四カ月たっているのですが、りっぱに育っている。そうしますと、七カ月というと山本さんのお考えでは体重どのくらいと御認識なさっていらっしゃいますか。

山本二郎厚生省公衆衛生局精神衛生課長

○説明員(山本二郎君) 大体二十八週程度、七月を週に数えましてでございますが、千グラムちょっとくらいのことと理解しております。

下村泰各派に属しない議員

○下村泰君 それはもう通常の常識でございますね。この小冊子によりますと、二十八週で千四百二十四グラム、一キロ以上ですね。おおむね七カ月というと一キロ以上なんですよ。いろいろと体重の少ない胎児がけっこう生育されているという事実がございます。そして昭和三十年にわが国はわずか二台しか保育器がなかったそうですね。それが昭和三十四、五年ころから普及されまして、いまやそういった未熟児、いわゆる未熟児というよりは体重の少ない赤ちゃん方が医学の進歩によって生育されるような状態になっているわけです。そうしますと、いまの厚生省の見解によって指導しているというのは、まことに時代おくれということになる。  このいま一番厚生省が重く見ている日母の皆さま方の集まりの小委員会、お名前を申し上げておきましょう。生産の定義小委員会の構成は、中嶋唯夫、山口龍二、松田正二、街風喜雄、鈴木武徳、宮信一、こういう方々が小委員会としてこの小冊子を発表しておるのですけれども、この結論を読ませていただきます。「諸検討から出生児の生育可能限界は、妊娠第二十五週以降の症例という結論が得られたので、日産婦学会産科諸定義委員会、生産の定義小委員会としては、将来産科統計あるいは人口動態統計上の出産数の算出基盤は、生育可能下限が在胎、妊娠第二十五週にあり、妊娠第二十五週以降の在胎期間の分娩を対象とすることが望ましいと考える。」と、こういうふうにある。  そうしますと、いままでの厚生省の指導のしかたは誤りじゃなかったかということになるわけです。七ヵ月というともう二十五週をこえるわけです。ですから、何とかしてこれを七カ月はもういけないんだ。先生によっては四、五、六の中期の中絶も母体を非常に傷つける。できるならば一、二、三まではフリーにして、それ以後は絶対に取り締まらなければいけないと、先ほど伺った病院の医院長あるいは産婦人科の部長さん方はおっしゃっておるわけです。そうしますと、厚生省のほうとしては一日も早く七カ月はいかぬという次官通達を出してほしいと思うのです。  昭和二十何年にこれが出ておるのでございますから、昭和二十八年六月の十二日に、八カ月未満と書いてあります。七カ月までいいとしている。もうこの時代から二十年たっている。二十年の間に医学はものすごい進歩をしてきたわけです。そうしまして、ある医師の御意見を伺いますと、一年間に七カ月以上のお腹をかかえてくる方々が大体十二、三人おるそうです。そうしますと、いま一万三千軒も開業医がいるとすれば、そういう方方は一体どのくらいの数になるんでしょう。私がいまこうして話をしている最中にも殺されている赤ちゃんがいるということになる。これは完全な子殺しです。  したがいまして何とかして、法務大臣にもお願いいたすのでございますけれども、これは明らかな子殺しでございます。確かに人口はふえつつあるかもわかりませんけれども、日本には三百万世帯、赤ちゃんの産めない人たちもございます。いずれ実子特例法についてはこまかくまた質問させていただきたいのでございますけれども、時間がございませんし、御迷惑をかけてもいけませんのでこの辺でやめさせていただきますけれども、ひとつ七カ月はもうとにかくいけないんだということにして、最大限度六カ月というような指導、あるいは指定ができないものですか、お伺いしたいと思います。

山本二郎厚生省公衆衛生局精神衛生課長

○説明員(山本二郎君) ただいま先生から御指摘がございましたことでございますが、私どもの統計でまいりますと、人工妊娠中絶を実施したその母性の妊娠月別の統計がございますが、九九%程度まで四月未満でございまして、それをこえる者は数としては非常に少ない、きわめて例外的な数になっておるわけでございます。  それからいま一つ、御指摘のございました七月、つまり二十四週から二十八週に至る間でございますが、これは先生御存じだと思いますが、ジュネーブにございます世界保健機関、WHOでもいろいろな検討の材料が出ておりますが、この期間におきまして生まれてくる子供の生きる率は非常に少ない。それからもう一つは、生きて生まれてきた子供さんの中で、いろいろ障害を持たれる方もまたこの中にかなりの頻度があるというふうなことで、私どもは理想としましては、母親の胎内で十分やはり栄養を受けて子供が育って出てくるのが、子供の発育のためにも最も望ましいことである。先生御指摘ございましたことでございますけれども、別におことばを返すわけではございませんが、WHOでもこの二十八週以後を早産と呼びまして、それ以前は流産ということで、世界各国こういう定義のもとに各国から実は統計資料を集め、いろいろな世界的な母子衛生対策の前進の基礎資料にしているというふうな状況でございまして、ただ先生御指摘になりましたように、その低体重で生まれた子供さん方に対するいろいろな福祉対策の前進ということは、これは最も必要なことだと思うのでございます。  それからもう一つは、ただこの国際的な基準という現在ありますもの、これはいずれ学問の進展とともにまた検討が加えられる時期があろうかと思うのでございますが、その辺も十分に考えまして、この辺の問題は先生の御指摘でございますが、いろいろひとつ慎重に検討させていただきたいと、このように考えております。

下村泰各派に属しない議員

○下村泰君 いまのお答えの内容なんですけれども、実はもうそれも全部私わかっていることなんです。それを全部私はいま省いたのです。それをやっていると長くなるのですよ。で、何か言うとすぐに、世界のそういった機構もりっぱでしょう。しかし、日本という国の進んだ医学があるならば、日本の国独自のものをつくってもいいんじゃないですか。そのくらいのぼくは勇気が必要だと思うのですが、いかがですか。  そういう意味で、とにかく開業医の方々にお話を伺えば、どちらにしたって七カ月というお腹をかかえてきた方々をこの法に従ってやるとなれば、オギャーと言うことは事実なんですよ。そうして水につけていることも事実なんですよ。こういうことをやらせておいていいのかということなんです。それをやるのに法というものが七ヵ月を許可するならば、当然来るんじゃないですか。ですから、それを何とかしてもうちょっと繰り上げて、もう絶対できないんだと。そのあとの方法はまたいろいろとあると思います。未婚の母の家をつくるとか、あるいはそういった方々を収容する施設をつくるとか、あるいは今度は実子特例法を実施してそういう方々を救うとか、方法は幾らもあります。しかし、現在の段階において一日でも早く七カ月はやめてほしい、こういうのが私の願いです。何とかなりますか。

山本二郎厚生省公衆衛生局精神衛生課長

○説明員(山本二郎君) ただいまお答えを申し上げましたように、このことのみならず、やはり低体重で生まれてくる子供さんに対する、たとえて申しますといろいろ未熟児の網膜の問題等もございますが、その辺のやはり総合的な問題も総合的に十分検討しなければならぬと思っておる次第でございます。

下村泰各派に属しない議員

○下村泰君 とにかく一日も早くそれを実施してください。お願いします。もうおたくさまのいろいろお答えになりたいことはわかるのです。内容も全部わかっておるのです。しかし、いまこうして殺されておる事実のあるということはどうにもならないことなんです。事実には目をつぶらないでお願いしたいと思います。法務大臣もいらっしゃいますので、こういう法律はひとつ何とぞよろしくお願いしたいと思います。  どうもありがとうございました。

多田省吾公明党

○委員長(多田省吾君) 各委員の質疑中にありました資料要求につきましては、理事会において協議いたします。  本日の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十八分散会

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