外務委員会 閉会後第3号
- 発言数
- 172 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1974/10/18
会議録
○委員長(伊藤五郎君) ただいまから外務委員会を開会いたします。 まず委員の異動について御報告いたします。 去る九月二日玉置和郎君が委員を辞任され、その補欠として大鷹淑子君が選任されました。 また、昨十七日田渕哲也君が委員を辞任され、その補欠として本島則夫君が選任されました。 —————————————
○委員長(伊藤五郎君) この際、法務省小林入国審査課長から発言を求められておりますのでこれを許します。
○説明員(小林俊二君) さきに本年八月二十九日開催されました本委員会の前回会議におきまして、玉置先生から、大阪港に停泊中の万景峰号の五月三日の訪船者につき御質問がございました。この御質問に対する答弁の中で、私から、手持ちの記録によれば、同日の訪船者名簿には「金栄次二十五才」という記載が存する旨御説明いたしました。しかしながら、その後調査によりますと、当日の訪船者名簿に「金栄次」とあるのは「全栄次」の誤りであり、この誤りは、個々の訪船整理券の記載事項を転写してリストを作成する際に生じたものであるということが判明いたしました。 この点につきましては、さきにとりあえず文書をもって御報告申し上げましたが、ここにあらためておわびかたがた訂正申し上げる次第でございます。
○委員長(伊藤五郎君) 次に、国際情勢等に関する調査を議題といたします。 これより質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
○原文兵衛君 時間の制約かありますので、私は三、四の問題について簡単に、簡潔にお尋ねしたいと思います。 まず、外務大臣にお尋ね申します。私は、いままで外務大臣はじめ政府関係者のたびたびの言明によって、米国はマクマホン法によって核兵器の存否は明らかにできないものと了解してまいりました。ところが、昨十七日の朝日新聞の報によりますと、外務省はマクマホン法のどこにも核兵器の存否を明らかにすることを禁止する条文はないと判断し、外務省条約局は「二百九十一条からなるマクマホン法は日本の原子力基本法に相当し、主として技術的な内容を規定する法律」で、「原子力の開発、利用、管理を定め、核兵器についての技術情報の管理は規定しているが、核兵器の存否を明らかにできないという根拠にはならない」、こういう解釈をとっていると朝日新聞は報道しているのでございます。 一体、これはどうしたことなのかと、私はこの報道を読みまして実にがく然としたのでございます。もしこの報道が事実とすれば、政府がこれまでマクマホン法をたてに、これ以上核の存否を明らかにする手だてを米国政府に要求するのは無理だ、こういうふうにしてきたその前提が、すっかりくずれたことになると思うのであります。あるいはそれとも、マクマホン法以外に核の存否を明らかにすることを禁止する法律が米国にあるとでも言うのでございましょうか。これらのことは、非常に重要な問題だと思うのでございます。マクマホン法の解釈に関する政府としての明快なる答弁を要求したいと思います。
○国務大臣(木村俊夫君) 核の問題は米国の最高の国防機密であり、核の配置や存否について明らかにすることができないというのが、米国政府の基本的政策でございます。そのような立場のもとで、核に関する機密を厳重に管理するために、米国にはマクマホン法はじめ一連の国内法令があることは一般に知られているとおりであります。 実は、私は当初の記者会見で、このことに触れたことはございますが、いずれにせよ、これらの米国の国内法令について、その解釈にわたることについて断定的なことを申し述べることは適当ではないと考えます。したがって、その後、私は国会その他の機会におきまして、この問題について申し述べる場合には、私はもっぱら核に関する米政府の政策や立場について述べております。 以上御理解を賜わりたいと思います。
○原文兵衛君 ただいまの御答弁でございますが、昨日の朝日新聞の報道は、外務省がこのように判断しているとか、あるいは条約局はこう解釈していると、こういうふうに報道をされているのでございます。大臣がいままで言ってこられたことは、私も十分了解しているわけでございますけれども、しかし、この報道は外務省が、あるいは条約局がこう解釈をしている、あるいは判断している、こういうことなんですが、この点について外務省としてどういうふうにお考えになるのですか。
○説明員(松永信雄君) 昨日の朝日新聞の記事につきましての御質問でございますので、私から御説明申し上げたいと存じます。 朝日新聞の記事の内容につきましては、それがすべてそのまま正確に外務省の条約局の見解を表明しているというものではございません。しかし、この際御質問でございますので、アメリカの国防秘密の管理に関する法律について、私のほうの考え方を御説明申し上げたいと思います。 ただいま大臣から申されましたように、これはアメリカの法律でございます。アメリカの国内の問題でございますので、政府といたしましてこれを断定的にこうだああだと申す立場にないことは御了承いただきたいと存じますが、その前提の上に立って申し上げますと、一般的にアメリカの国防の秘密の保護についての情報の管理、これは軍の最高司令官でありますところの並びに行政府の長としての大統領の憲法上の権限に基づく権限、あるいはその委任による関係行政府、各省庁の長が持っておりますところの権限に基づいてその規制の手続が定められているということであろうと存じます。その規制を実施いたします国内のアメリカの法規といたしましては、大統領命令でありますとか、それに基づく規則、それからさらに原子力関係につきましては御指摘のございました原子力法がございますし、また防諜法あるいは破壊活動防止法といったようないろいろな法令があるわけでございます。こういう諸法令、アメリカのその法体系のもとにおいて、国防の秘密が保護されているというふうに私どもは承知して了解しているわけでございます。ただ、ただいま大臣からお話がございましたように、問題は、日米安保条約に基づく事前協議において、アメリカ政府が日本に通報してくることが、アメリカの国内法上不可能であるならば、事前協議の制度を設けたことの意味が全くないではないかという点でございます。この点につきましては、一般論といたしまして、アメリカと日本との間に、日米安保条約及び関連取りきめという国際約束が締結されております。事前協議によって、アメリカは、核兵器を日本に持ち込む場合には、事前に協議をするという約束を与えているわけでございます。したがいまして、万が一アメリカの国内法がこの国際約束と抵触することがあっても、その場合には条約、すなわち、国際約束であります安保条約が優先するということは、これは一般国際法上の原則に照らしましても当然のことでございます。しかしながら、そういう問題がございますので、これにつきましてはアメリカ政府の正式の見解を求めるべきであると考えまして、昭和三十九年でございますけれども、アメリカ政府にその見解を問い合わせをしたことがございます。その際にアメリカ政府から、日米安保条約の事前協議に基づくアメリカの義務を履行することを妨げる、あるいは禁止するアメリカの国内法は存在しないという明確な確認を得ている次第でございます。したがいまして、この点は私どもといたしましては十分な保証と申しますか、事前協議が行なわれるについての確保が得られている、こういうふうに考えているわけでございます。
○原文兵衛君 いまアメリカの、米国政府が核の存否を明らかにする手だてを要求することは無理だといままでしてきた。それについて、事前協議については国内法よりも条約のほうが優先するんだから、アメリカ側は事前協議は必ず履行するといっているからそれは心配ないんだと、こういう趣旨のことをたいへん詳しく説明されたと思うんですが、ただしかし、そうは言いましても、国民の間ではやはりマクマホン法との関連において非常にその点について納得できないような空気があると思うんですよ。ことにきのうの、マクマホン法については何ら核の存否を明らかにすることを禁止するような条項はないんだというような報道がされますと、ますますその点について国民は疑惑を持つわけですね。ことに、事前協議制ということがあっても、現実に基地に核があるんじゃないかとか、あるいは艦船に積載して中に入っているんじゃないかという点については、いろんな疑いが持たれているわけなんで、私は先ほど、マクマホン法以外にも、大統領の最高の命令なり、あるいは防諜法なり、いろいろな関係の法律があって、核の存否をアメリカでは明らかにできてないんだと。それについて日本側が解釈するわけにはいかないんだというような趣旨のお話があったのですがね、日本側が解釈できないならば、アメリカ側に対して、どういう法律があって、どういうふうに解釈しているのかというようなことをやはり詳しく問い合わせて、それでやっぱりもう少し国民に対してこの点をはっきりさして納得してもらう、その努力が必要じゃないかと思うんです。そういうことについて十分手だてを尽くしていらっしゃるかどうか、外務省は。もう一回御答弁いただきたいと思います。
○説明員(松永信雄君) 基本的には、先ほど申しましたように、アメリカの法律でございますので、私どものほうでどうこうという筋合いのものではないわけでございますけれども、いろいろな疑問等はございますので、アメリカ政府との間では十分に連絡をして、アメリカ政府の意見を聞いているわけでございます。
○原文兵衛君 時間がないからこの点についてはもうこれ以上私は申しません。 次に、ラロックの発言によってわが国の非核三原則がまたたいへん大きくクローズアップされてきたわけでございます。私は、むしろこの際に政府としてもこの問題について真剣に検討して、はっきりさせるべき点ははっきりさして、そうして国民の理解を求めるべきだと、こういうふうに思うんです。いままで佐世保とかあるいは横須賀に米国の原潜あるいは空母などが入ってきた際、これに反対する人たち、たくさんのデモや何かあったのでございますが、よく市民の安全のためにということで反対をしているのでございますね。ほかにもいろいろなこともいいますが、市民の安全のためにということを大きく掲げている。私は、この日本の防衛はこれは何にあるのだと、これはやはり市民の安全のため、国民の安全のためにあると、こういうふうに理解しているのです。そうしますと、日米安全保障条約というものは、これは日本の防衛のために必要なのであって、とりもなおさず、日本の国民の安全のために必要なのであるということになる、私はそう理解しております。したがって、そういうことを踏まえて、わが国が日米安全保障条約のもとで、一方において米国の核のかさに入り、一方において非核三原則を順守するという、これはまあ非常にむずかしい問題だと思うのですが、この非常にむずかしい両者の関係、一方において米国の核のかさに入り、一方において非核三原則を順守するという、こういう非常にむずかしいこの両者の関係について、私は安保条約というものの性格というようなものも踏まえながら、もっと国民に明確に説明して理解を求めなければならない、こういうふうに思っておるのでございますが、この点についての外務大臣の御見解、いかがでしょう。
○国務大臣(木村俊夫君) 国の安全ということは、もう何をおいても国の存立そのものの基盤でございますから、日本の安全保障、これは至上の命題だと思います。そのために何が必要か、もちろん自衛力の整備も必要でございますが、少なくともわれわれ現在の政府は、そのために、それを補完するものとして日米安保体制というものを国の安全の大きな柱の一つとしております。しかしながら、その日米安保体制を現実に運営する場合に、また、アメリカの核の抑止力にたよるということもこれは必然の結果でございます。したがいまして、そういうアメリカの核抑止力のもとにある上において、このもう一つの、わが国の国会でも御決議を願った非核三原則との間にいろいろ問題が生じていることは事実でございます。しかしながら、わが国の安全を守るために、日米安保体制、ひいては核の抑止力にたよる、そのためにアメリカのとっております軍事の最高機密として、また核の抑止力を完全にするために核兵器の存否を明らかにしないというアメリカの国防上の最高機密、これは当然わが国としても理解しなければなりません。そういう意味において、私どもは、少なくともこの防衛について日米安保体制をとるわれわれ政府におきましては、そういう意味において、この核の存否を明らかにしないというアメリカの国防上の機密について十分な理解を示しつつも、かつまた、わが国のとる非核三原則というものについての国民的立場というものも守らなければならない、そこにいろいろ原先生の御指摘なすったような問題が生じておることは事実でございます。したがって、核の抑止力にたよりながら非核三原則、特にその第三である核兵器を持ち込ませないという原則の間にいろいろ国民的な問題が生じておるということは、われわれもよく認識しております。まあしかしながら、大前提はあくまで日本の存立は、また日米安保体制が最も大きな柱の一つであり、核抑止力にたよらなければならぬ、またそのために非核三原則というものの国民的な、また日本の基本的な原則との間の調和というものをはからなければならないいろいろ問題が生じてくる。私どもはその限界のもとにおいて、できるだけ国民の疑惑を取り除くために今後も最大の努力を注いでいかなければならぬ、こう考えております。
○原文兵衛君 この三原則の問題は、非常に私はむずかしい問題だと思うんですが、外務大臣は十五日でございましたか、日本国際問題研究所で御講演をされた。その御講演の中で、来年の国際海洋会議における領海十二海里決定に伴う国際海峡の通航問題の帰結いかんでは、非核三原則が重大な岐路に立たされかねないというような趣旨の発言をされたというふうに伺っておりますが、この発言は、国際海峡については非核三原則を修正せざるを得ない事態があり得るというふうにもとれるように思うのでございますが、大臣のこの発言の真意がどこにあるか。かりに、国際海峡に米ソが主張するような自由通航が認められた場合には、非核三原則は一体どうなるのか、その場合でも非核三原則というものが貫けるのかどうか、これらの点につきまして非常にわれわれとしても大きな問題だと思っておりますので、大臣のお考えを承りたいと思います。
○国務大臣(木村俊夫君) この海洋法会議の見通しでございますが、一応カラカス会議では結論らしきものは何ら得られず終わりました。したがって、それを受け継いで来年の三月のジュネーブにおける第四次会議とか、またそこで結論が得られれば、また再び五月にカラカスで会議が行なわれまして、そこでその結論が国際法化するわけでございます。したがいまして、そういうまだこれからどうなるかわからない海洋法会議の見通しのもとに、私がその場合における非核三原則についての適用を予断することは、これは私は差し控えたいと思います。したがいまして、そういう場合に問題が生ずることだけを私は提起したわけでございまして、いまこの段階でそれについての一外務大臣としての予断は控えさしていただきます。
○原文兵衛君 自由民主党の委員の質問時間は五十分でございますので、あとで秦野委員からも御質問がございますから、私は最後の御質問を申し上げて、これで終わりたいと思います。 ラロック氏が十五日にワシントンに帰った。帰ってから日本人記者といろんなインタビューをしておるのでございますが、それが各紙にいろいろな角度から報ぜられております。その一、二をとりましても、なかなか重要な発言をしていると思うんですね。 まず、ラロック氏がこういうふうに言っていると、これは報道でございます。現在、横須賀に入港中の、ミッドウェーも核装備可能艦であり、核兵器を積んでいると思うと、核持ち込みについては日米政府でもっとはっきりさせるべきであるというふうにラロック氏が言っているという報道もございました。それからまた、日本が米国の核のかさに入っているということについて、ラロック氏は、「核のカサは十年前にはいい考え方だった。その当時は米国は完全に核優位をもっていたからだ。しかし今日米国は日本に核のカサを提供できない。というのは、われわれは日本を救うためにソ連を破壊することはできないからだ。それは同時に米国を破滅させることを意味する。」、こういうようなことを言っていると、日本の新聞記者のインタビューに答えているということが、昨日の夕刊にも二、三の新聞にやはり報道されているのでございます。私は、ラロック氏という人はどういう人であるかよく存じません。現在は一私人にすぎないと思いますけれども、しかし、かつてはアメリカの海軍少将、そして相当重要な任務を歴任した、そういう人だと聞いておるわけでございます。したがって、現在一私人といえども、ラロック氏の発言というものはやはり相当、特に核の問題については特別な感情を持つ日本の国民にとって相当な影響力があると思います。多くの日本の国民は、このラロック発言によって核の問題についてたいへんに疑惑をいま持っているのじゃないか、もっと明らかにしてもらいたいという気持ちを持っているのじゃないかというふうに私思うのでございます。そういう意味合いから、私は、たまたま来月フォード大統領が来日されるわけでございますので、その機会をとらえて、日米の首脳の間でもって、この問題について率直に、しかも真剣に話し合うべきではないか、そうして国民にもっとほんとうの日本の安全に何が必要なのか、どういうところまでやはりお互いに協力しなくちゃいけないのかというような点について、国民に納得してもらわなくちゃいけないのじゃないか、こういうふうに思うのでございます。この点につきまして、外務大臣はどういうお考えを持っていらっしゃるか、これをお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(木村俊夫君) ラロック氏の発言は、もう数次にわたっていろいろございます。それを一々私どもは論評する考えはございませんが、しかしながら、結論的に申し上げまして、ラロック氏の発言に関して米国政府から公式見解がインガソル国務副長官を通じて出されておりますことは御承知のとおりでございます。したがって、そういう前歴の人でございますから、われわれはいままでと違って重みのあるものとして受け取ったことは事実でございます。しかしながら、われわれが相手としますのは米国の政府でございます。米国政府の公式見解が出ました以上、しかもその公式見解の中で、米国政府としては、一私人の発言が米国政府の立場をあらわすものでない、代表し得るものではないという米政府の見解にわれわれは信頼を置かざるを得ません。 そこで、米国のフォード大統領が十一月の十八日に来日いたしまして、田中総理と会談が行なわれますが、そういう機会に、私どもは当然、田中総理とフォード大統領との間には日米間の友好信頼をいかに深めていくかという大局的な話し合いは当然行なわれると思います。したがって、その中でどういう話し合いが行なわれるか、これは田中総理の判断でございます。少なくとも、核兵器の存否について個々にわたる話し合いはないと私は確信をしております。
○羽生三七君 アメリカの議会の公聴会でのラロック証言に端を発して、その後、アメリカの有力新聞がたび重ねてこの核問題について報道をいたしております。日本の国民の多くが、この問題について、その真相究明を強く要求しておることは言うまでもございません。ところが政府は、ラロック証言については一私人の発言としてこれを退け、有力新聞の報道についても、これは根拠のないものとして問題にしておりません。しかし、日本国民の大多数がこのような説明で納得するものでないことは言うまでもないことであります。 ところで、いまの質疑応答の中にもありましたが、政府は核の存在を明らかにできない理由として、先日外務大臣は記者会見でマクマホン法をとりあげました。たとえば、核の存否を直接否定していないのは、核兵器の存否には触れないとのマクマホン法に基づくものである、これは記者会見の外務大臣の見解であります。それともう一つは、いまこの席でお話がありましたように、それはアメリカの最高政策に基づくものだと、この二つで核の存否を明らかにできないものとされております。また、松永条約局長が先日の衆議院の外務委員会でこの問題について、米国の法律なので日本側は有権的な解釈ができる立場にないと、こう答えたようでありますが、いまもほぼそれに近い御答弁でしたが、これはおかしいと思います。この問題については、昭和三十九年十月の衆議院予算委員会、それから四十六年三月の衆議院の沖縄及び北方問題に関する特別委員会、ここで政府委員が明確にそういう法律ではないと答えているのです。さらに、この問題を明確にするために、この問題について最も代表的な政府見解を紹介しておきたいと思いますが、それは昭和四十四年十一月二十九日、参議院の春日正一議員によるものであります。これは「日米共同声明と安保・沖縄問題に関する質問主意書」というものを、時の佐藤総理大臣に提出をいたしております。その中でアメリカの原子力法の条項に触れて次のように言っております。一部分でありますが。「従ってニクソン大統領が核の所在を明らかにしない限り、日本は核の有無について知ることはできないのではないか。」これはマクマホン法を考えて発言されたことであります。こういう趣旨のものでありました。この質問書に対して佐藤総理大臣は昭和四十四年十二月二十九日、次のように回答しております。すなわち、「核兵器の不存在を確認することを禁ずるような法律上の制約が存在するとは承知していない。」——これはマクマホン法についてであります。「なお、米原子力法についていえば、同法に定める秘密資料の外国政府への通報の禁止又は制限の規定は、技術情報(核兵器に関しては、その設計、製造、利用方法)に適用されるものと解され、本件のごとく、特定の地域における核兵器の配備の有無に関する情報にまで適用があるとは解しえない。」、こう言って、マクマホン法が核の配備の有無に関する情報にまで適用されるものでないことを、佐藤総理大臣の名において疑う余地のないほど、しごく明確に回答しておるのであります。いま申しましたとおり、いわゆるマクマホン法は核の配備に関する情報にまで適用されるものでないということを佐藤総理大臣の名において明らかにしておるのでありますから、この際、外務大臣は、マクマホン法が核の存否を明らかにすることを禁じた法律ではないことをこの機会に明確にして、この問題に決着をつけるべきであると思いますが、大臣の御答弁を伺います。
○国務大臣(木村俊夫君) 先ほど原委員の御質問に対してお答えいたしましたが、確かにそのマクマホン法をどう解釈するか、なかなか外国の法律を私どもが有権者に解釈することは、これは非常に危険ではございますが、その当時の政府がその範囲内においていろいろ国会にそれなりの解釈論を展開しておることは私も承知しております。しかしながら、総じてこういう外国の法律について断定的なことは申し述べるべきではないと、こう思いますが、先ほどお触れになりました、私が記者会見等で当初マクマホン法等を一つのアメリカの国内法規の根拠として述べたことは事実でございます。しかしながら、私は、国会その他において、その後における、そういうアメリカの基本的政策、すなわち、核の存在を明らかにしないアメリカの国防上の最高機密というものはアメリカの政策ないし基本的立場である、そういうような御説明のしかたをいたしております。したがいまして、私の、マクマホン法のみをさして述べた項がありとすれば、それは私の誤りでございますが、確かにそのとおり、当時は、その核の機密に関する米国における国内法の一連の、一環として原子力法があるというような意識が私にあったためであろうと思います。
○羽生三七君 よくわかりましたが、したがって、マクマホン法というものは核の存否を明らかにすることを禁じた法律ではないとということを認めてよろしゅうございますね。これはもう明確に、これ、はっきり佐藤総理大臣の名で明らかにしておるのですから間違いないと思います。
○国務大臣(木村俊夫君) それは先ほど申しましたとおり、米国の国内法、そうであるとかないとか断定することだけは差し控えたいと思いますが、いま私どもの申し上げられる範囲内においては、そういう法律ではない。ただし、アメリカの核に関する機密を保護するための法令の一つであるという考え方をとっております。
○羽生三七君 これは同法の十一条と百四十二条にある資料の問題でありまして、核兵器の存否に触れていかぬということは絶対ない。これは大臣もお認めになると思うんです。 それから佐藤総理がこういうように明確に、春日議員に総理大臣の名において明確にそういうものではないと答えておるのですから、これは動かすべからざることだと思います。したがって、核兵器の存在の有無をアメリカの最高政策として発表することを禁じておるという、これはかまいません。それはそれでまた議論の余地がありますが、この法律はそういうものでないということだけは、この機会に明らかにしておいていただきたい。内容に触れてやっておるのですよ、みんな歴代の条約局長や政府委員が。
○説明員(松永信雄君) 私どもが調べました限り、アメリカのいろいろな法律、その中には当然このマクマホン法——原子力法を含みますけれども、アメリカの法律の中に核の存否に触れてはならないという明文の規定は見当たりません。
○羽生三七君 わかりました。私はそういうものとしてこれを理解をいたします。 そこで、このマクマホン法はそういうものを規定したものではない。すると、次に残るのは、先ほど来大臣がおっしゃっておられるように、政策上の問題になると思いますね。アメリカの国家としての最高政策ということになると、今度は日本は非核三原則が国是である、そうなれば、核問題についていわゆる政治的な交渉の余地が残されるのではないでしょうか。法律的なそういう規定がないとするならば、政治折衝で話し合いができる私は可能性があると思いますが、これはいかがでしょう。
○国務大臣(木村俊夫君) 確かにそういうことは論理的には可能だと思います。しかしながら、非核三原則はわが国のもちろん国是でございますけれども、またわが国の安全を確保するためにアメリカの核抑止力に依存する、また核の抑止力を完全ならしめるためには核の存否を明らかにしないというアメリカの国防上の最高政策、これとのからみ合いになると思います。私どもは、この非核三原則は当然守らなきゃなりませんが、その範囲内において、私どもはアメリカのこの核抑止力についてのわが国の安全を維持するという面においての理解を示しておるわけでございます。
○羽生三七君 これ、核に関する限りは、アメリカの世界戦略の中で日本だけは特別のケースである、つまり、核の持ち込みを絶対に認めないというこの日本の基本的な政策が、これはアメリカもこれに合意をして、それが国際的にも熟知、周知されておるならば、日本には核の持ち込みのないということは、これは明々白々たる公然の政策ということになるわけであります。そうであるならば、核の有無をあいまいにしておくことが核抑止力につながるという理論は成り立たないのではないかと思う。日本に関する限り、核のないのは天下周知の事実だとするならば、日本に核の持ち込みのないことをアメリカが声明したところで何の差しつかえもないし、また核抑止効果に何の影響も私はないと思いますが、いかがでありますか。
○国務大臣(木村俊夫君) したがいまして、日本の本土また沖縄に核兵器が存在しないということは、これはもう御承知のようないろんな日米共同声明、あるいは沖縄返還協定の規定、またロジャーズ国務長官の米議会における証言等でこれは明らかになっております。ただ問題は、わが国に出入いたします艦艇についての問題があります。これはアメリカの海軍の最高政策から申しまして、その配置あるいは移動について、これは各艦艇についての核兵器の存否については明らかにしないというのが、アメリカの海軍戦略上の重大な方針であるということからお受け取り願いたいと思います。
○羽生三七君 いま私の述べたことを裏返しに言いますと、核に関しては日本だけが特別のケースではない。日本に核持ち込みもあり得るということで核抑止理論というものは成り立つと思うのです。日本には核を持ち込まないということが、絶対にないという、オールノーだというのですね。事前協議でも日本はノーというのでしょう。アメリカもそれに合意をしておるというのです。それならば、そういう国に核抑止理論を持ち込んでくるということは、私は理論的にナンセンスだと思います。核を持ち込むこともあり得ると、イエスもあればノーもある、核についてはイエスもあればノーもあるというところで初めて核抑止理論というのは成り立つのですね。オールノーで、絶対に日本には核を持ち込ませない。アメリカもそれを合意しておる。全世界もみなそれを知っておる。だからアメリカが日本には核の持ち込みはないと大統領なりアメリカ当局が声明したところで、抑止理論に何の私は影響ないと思う。これほど私はしごく簡単明瞭なことはないと思いますが、いかがでありますか。
○国務大臣(木村俊夫君) 論理的にはきわめて私は明快だと思いますが、しかし、いま申し上げましたとおり、世界の海洋を遊よくしております各艦艇につきまして、その核兵器の存否を明らかにできないということは、これはわが国だけでなしに、私もよく知りませんけれども、これはおそらくほかの外国の港に入りますときも、あるいはそういう場合もあり得ると。特に日本についてはその面についてははっきりお断わり申し上げておるわけでございます。
○羽生三七君 結局事前協議の申し入れがアメリカからない限り核の持ち込みはないというのが日本の政府の政策のようですが、一昨日、田中総理は知事会の席上で、核持ち込みについてアメリカが事前協議を求めてきてもこれを断わる、こう述べておりますが、それは当然であると思います。しかし、日本信頼関係以外に問題の核心に触れることができないとするならば、事前協議は日本の安全のための歯どめであるよりも、むしろ隠れみのという有害な役割さえ果たすことになりかねない、こう思います。だから、事前協議というものを、アメリカから何の申し込みもないからないのだというような安易な態度は私は許されないと思いますが、いかがでありますか。
○国務大臣(木村俊夫君) いまの御質問ちょっと私は理解をしかねましたのですが、要するに、事前協議という制度がある以上、これは制度そのものとしては存在いたしますが、それが核兵器の持ち込みであればノーと答えるということははっきり政策的にきめておるわけですから、したがって、事前協議がはたして行なわれるかどうかという可能性につきましては、それが、わが国のあるいは危急存亡のときにそれがあり得るかという問題にまで発展すると思います。しかしながら、その場合においてもわがほうはノーと言うのが歴代政府の立場でございますので、その点については明確でございます。
○羽生三七君 私は、事前協議そのものの運用のしかたも重大な疑問を持っておりますが、それはそれとして、次に、核の存否を明らかにすることのできないのはアメリカの最高政策ということになると思いますが、そのアメリカの政策で日本が制約を受けるのは、結局アメリカの極東戦略であると思います。日本がアメリカの核のかさのもとにとどまる限り、たとえ日本が国是として非核三原則を持っておりましょうとも、アメリカの核を積んだ艦船が日本に寄港したり通過するということが事実であるかもしれないという疑問が今後とも残ると思います。軍事戦略というものは最高の効果をねらうものであるし、私はまたきわめて非情なものであると思います。それを十分認識して、事前協議があるから問題がないという安易な取りきめ方ではなく、不断に問題を追及するというきびしい態度や姿勢が要求されると思います。そこで政府は、今後とも疑問が起これば、あくまでも問題の徹底的な究明をやるという姿勢をとられるのか、この種の問題は、今回のアメリカの公式見解で疑問は解明されたとお考えになるのか。その辺はどういうお考えなのか、承りたいと思います。
○国務大臣(木村俊夫君) 日米安保条約と申しますが、つまるところは日米間の信頼に基づくものでございます。したがいまして、日米間の信頼を傷つけるようなことをあえていたしますならばこの基盤がくずれるわけでございます。そういう意味において、日米間の信頼を傷つけない限界においてただすべきものはただす、こういう態度をとっていきたいと思います。
○羽生三七君 日米間の信頼問題はあとから触れたいと思います。 次にお伺いをしたいことは、今後かりに日本か——いまのような日米間の信頼に触れない限りということでは問題になりませんが、何らかの機会に、日本がもし徹底的に問題を追及していった場合に、アメリカが日本に対して、核のかさのもとにとどまるかどうか。もしそれを欲するならば核積載可能艦船の寄港を認めるかどうかという二者択一を迫るようなことがあった場合には、日本はどの道を選びますか。
○国務大臣(木村俊夫君) 私は、問題はきわめて大きい問題だと思います。したがって、それよりも、むしろ核の存否という問題よりも、日本がその安全を守るためにアメリカの核抑止力に入るべきかどうかという、この問題にまで発展すると思います。すなわち、日米安保体制の存立いかんに問題が発展いたしますと、これは一政府の判断すべきことではない、国民が判断すべきことだと思います。
○羽生三七君 今後何らかの形で日本における核の存在が立証されるような事態が起こった場合、たとえば日本の政党、平和団体、市民団体、その他いろいろな組織、機関等によって、何らかの形で核の存在が立証されたような場合、たとえば船艦の寄港でもかまいません、そういうことが起こった場合には、日本の政府はどういう責任をとられるのか。これは本来田中総理に聞くべきことでありますが、この機会に外相の見解も承っておきたいと思います。
○国務大臣(木村俊夫君) 私は、そういう仮定的なことは考えておりません。したがいまして、政府がそのときにどういう措置をとるかということについては、お答えを差し控えたいと思います。
○羽生三七君 七〇年代の初めごろから、アメリカは全世界に広がり過ぎた核兵器に対して反省期に入っていると言うことができると思います。これに関連するのがラロック証言の舞台となった上下両院原子力合同委員会や、下院の歳出委員会といわれております。政府の核についての秘密主義にもかかわらず、原子力合同委員会のサイミントン軍事利用分科委員長は、核の秘密解除推進で政府に大きな圧力をかけていると見られております。そういう議会の動き、そういう背景の中で、ラロック証言というものが生まれたという観測が非常に有力であります。このような動きにも見られるように、今後核の存在については、この秘密のベールがアメリカ側からはがれることがないとは言えない。今後の世界情勢やアメリカの戦略の変化があった場合、こういう問題は起こり得ると思う。大臣はそういうことは想定しないというお話でありましたが、私は日本の国内からも、あるいはアメリカ自身からも、将来そういうベールがはがれるようなことが絶無とは言えない。その場合に、日本の政府の責任はきわめて私は重要であると思う。ちょっと先に飛躍し過ぎますか。
○国務大臣(木村俊夫君) まあ先ほどの私の答で尽きていると思いますが、しかしながら、ラロック証言、いわゆる発言そのものの是非は別といたしまして、米議会で行なわれた小委員会、それの目的は、私は非常に賛成でございます。したがって、核兵器のみならず、核というものがこの世界から絶滅するという、またそれに至るまでの安全管理ということをねらいといたしましたこのサイミントン上院委員会の目的には、われわれは賛成をいたしております。
○羽生三七君 私は、将来そういうことも国際情勢の変化、アメリカの極東戦略の変化等によって、そういうこともあり得ると私は考えております。 そこで、先ほどのところへちょっと戻るんですが、いわゆる日米の信頼関係であります。いわゆる非核三原則か日本の国是であり、——もっとも政府としては非核四原則と言いたいところでしょうが、われわれから言えば非核三原則、これが日本の国是であって、しかも核拒否については、日本国民のコンセンサスがほぼ成立をしておると、こう思われますが、このときにラロック証言が提起した問題について、最大の努力を傾けてこれを解明して国民の疑惑を解くのが、私は政府の重要な責務であると思います。出先大使やあるいは事務当局まかせでなしに、大臣自身なり、あるいは総理大臣なりがしかるべき方法で米国のトップレベルと直接解明を迫って話し合いをするということがあっていいはずであります。先ほどもちょっと質疑応答の中にありましたが、日米の信頼関係からそういうことはできないというのは私はおかしいと思うんです。そういうことができる状態にあるのが、それが真の信頼関係ではないでしょうか。それを一般に公表するかしないかは別ですよ。外務大臣とアメリカの国務長官、日本の総理大臣とアメリカの大統領、これが会って話し合いするときに、それはアメリカの最高政策であるから触れられないと、そんなばかなことはありません。それなら非核三原則も日本の最高政策であります。だから、それを一般の新聞紙等に公表するかしないかは別として、日米間でそういう問題についても徹底的に話し合えてこそ、真の日米の信頼関係じゃないでしょうか。それができないようなものは、これは信頼関係とは言えません。それはアメリカ追随外交と言われても私しかたないと思います。一般的に公にするかしないかは、これは別であります。当然私はそういう問題に触れて、アメリカが国家最高の政策と言うならば、日本も国家最高の政策を掲げて、そして、その真否を確かめるということはあり得ることだし、またやらなけりゃいけないことだと思う。いかがでありましょうか。
○国務大臣(木村俊夫君) 私は、決して事務当局にまかせておりません。したがいまして、先般のインガソル副長官が出しましたアメリカの公式見解は、私の訓令に基づいて米政府と正式に折衝した結果でございます。その結果が、ラロック氏のいろんな表明はアメリカ政府を代表し得るものではないという答えがきたわけでございます。今後、米大統領と田中総理との会談、また私と米国務長官との会談も行なわれる予定でございます。したがいまして、そういう機会に、先ほど申しましたとおり、日米間の、これは国民を含めて友好信頼というものに立たなきゃならぬという見地から、いろいろ私は話し合いをするつもりではございますが、各艦艇についての核兵器の存否を一々これを尋ねるがごときことはいたさないつもりでございます。
○羽生三七君 私の言いたいことは、何月何日入った船艦に核が積んであったかなかったかという、そんなこまかいことを言っておるんではないんです。日本の最高の政策として、アメリカがこういう問題について十分な理解を持っておるかどうか、日本の国民の疑惑を招くようなことは絶対にやらないのかどうか、そういう点についても話ができないなんということは私はおかしいと思うんです。それは当然こまかい一々のケースについて触れなくても、国家最高の政策とアメリカが言うならば、日本も国家最高の政策という見地から十分話し合いをしてしかるべきだし、それをやらなけりゃいかぬと思うんですよ。それがやれるような条件があるところに初めて日米信頼関係というものが生まれると思うんです。それがなかったら私は日米信頼関係とは言えないと思う。重ねてお伺いをいたします。
○国務大臣(木村俊夫君) 当然日米信頼関係に立った話し合いはいたしたいと思っております。その中で、先ほども申し上げましたとおりのような非核三原則とアメリカの核抑止力との関係、これはきわめて高度な話し合いにはなると思いますけれども、そういう問題については、もうすでに、新たなる会談の必要なく、日米両国政府間で完全な了解が保たれておるということであります。
○羽生三七君 先ほどのところへもう一度戻ることになるんですが、大臣、そうするとこの種の問題、今度ラロック証言に端を発して起こった一連の動きですね、この種の問題はすべて解明されたと、アメリカの先日の公式見解で、そうしてもはやこの種の問題は、この解決が一つの見本となって、あとはもうこういう問題に触れてアメリカに問いただすことはないということなんですか。これはちょっと私はおかしいと思いますね。そんなことだったら、これは日本国民は私納得しないと思いますね。不断に疑問を追及していくというのは、私は当然のことだと思うんです。
○国務大臣(木村俊夫君) まあいろいろこういう委員会で指摘されます、特定の場所における核の存否についての疑念、これはそのたびごとにできる限りのことをいたしまして、米側に問い合わせる等の措置をとっております。そういうことは今後も努力をしたいと考えます。
○羽生三七君 非常に私いまの御答弁では不満足でありますが、先へ進みます。 この核問題について、いま申し上げましたように、日米の信頼関係だけを唯一のよりどころとする精神主義の時代はもう去ったのではないかと思う。また、ことばの上だけでつじつまを合わせて虚構を維持する今日までのやり方は、私はもう限界にきたと思うんです。政府はどうお考えになるか知りませんが、おそらく国民の大多数は、もうこういうやり方というものは限界ではないか。真の信頼関係、たとえば、そうであるならば、真の信頼関係とは何かということになる。それは、事実に基づいて真実を語って、その正確な事実関係の基礎の上に立って理性的に問題を処理することが、これこそが私は真の日米信頼関係であると思います。ですから、そういう事実関係を明らかにして、その事実関係の基礎の上に立って理性的な判断をして、そのときどきの問題を処理していくという、そうでなしに、一般的な信頼関係ということで重要な問題が不問に付されるというようなことでは、これは私は、単に——政府はこれで日米の信頼関係が維持できるとお考えになるかもしれませんが、私は将来これは重要な問題としてわれわれが今後取り上げなければならぬし、国民もまた、これに重要な関心を持つと思います。だから、単なることばの上でつじつまを合わせたり、先ほど申し上げたように、古い日米共同声明の文言を引用してもらって、それで満足しておるようなことはやめて、やはり具体的な事実を一つ一つ確かめる、そういう現実的な態度をとっていただきたいと思う。重ねてお伺いをいたします。
○国務大臣(木村俊夫君) たびたび申し上げますとおり、この国際間の取りきめというものは、お互いの信頼関係以外にそれを持続させる条件はございません。したがいまして、いろいろ国民的な疑惑のあることは承知しておりますし、それがまたわれわれの努力によって完全に払拭し得ないこともあるいはあるかもしれません。しかしながら、しょせんこれはアメリカの最高機密である核の存否に関する問題であり、またそれをわれわれが理解することが、また国民にとって最大の課題である国の存立、国の安全ということにつながる上においては、私はそこに理解を示すべきであると、こういう考えでございます。
○羽生三七君 いわゆるラロック証言が提起した問題は、核に関して日本国民に深刻な疑惑をもたらしただけではなく、日米安保、核抑止力への依存と非核三原則の関係、それから日米信頼関係、要すれば日本の安全保障のあり方という国の基本政策の根幹についてあらためて問い直す契機ともなっておると思います。その意味で、ラロック証言は、政府には困った問題であるかもしれませんが、しかし、これが提起した問題についてさらに検討を深める契機となったことは、これは歓迎すべきことかと思います。アメリカは、日本が一方でアメリカの核抑止力に依存をしながら、他方では核持ち込みを拒否するという、この矛盾に満ちた政策を苦々しく思いながらも、安保のたてまえもあるので、日本政府の立場を考慮して何とかかっこうをつけたというのが今回の公式見解ではないかと思います。私は、率直に申し上げて、政府はかっこうがついたと思うかもしれませんけれども、あまりいいかっこうではない、こう思います。しかし、一応政府はこれでかっこうがついたとお考えになる。しかし、日米共同声明の文言を引用してかろうじてことばの上だけでつじつまを合わせるような、この政策は先ほど申し上げましたように、今日完全に私はその限界にきたと思います。政府がもし真実に非核三原則を堅持をして、それに忠実であろうとするならば、アメリカの核抑止力に依存する政策から脱却して、核のかさを捨て去ることであると思います。そうしない限り、たてまえと事実とを使い分けて、国民をいつまでも欺瞞ということばは、これは語弊があるかもしれませんが、いつまでも国民の目をおおうという、こういうことはもう許されないんではないか、そういうことになると思いまするし、この核抑止理論というものですね、これは私、木村外相が御就任になる前の大平外務大臣にこの問題を私述べたことがある問題でありますけれども、核抑止論というものは私はいまや神話になろうとしているんではないかと思う。そうではないと思う方もあるでしょうが、私は客観的に見て世界の方向はいまや神話になろうとしているのではないかと思う。核兵器を現実に使えばどういうことになるかは、ここであらためて言うまでもないと思います。現実には使えないということが今日の常識となろうとしておると思うんです。先ほどもちょっとお話がありましたが、昨日の毎日新聞の夕刊でしたか、ラロック氏がインタビューに答えて、そして核のかさはいまや時代おくれと言っておる。私はそのとおりだと思う。先を考えるならば、まさにそういうことが言えると思うんですね。しかも、この古い冷戦時代のアメリカの核戦略のもとから日本が脱却したところで、それで日本の安全保障がそこなわれるとは思いません。そこなわれると思う方もあるかもしれませんが、少なくとも私はいまアメリカの古い冷戦構造から日本が脱却しても、それで日本が直ちに危険な状態になるとは私は考えられない。それにラロック証言は、ますます拡散をしていく核の事故による危険性、これはラロック証言の一番の中心的な問題だと思いますが、事故による危険性や核ジャック等についてあらためて注意を喚起して警告しているのではないかと思います。この際、日本は文字どおり非核三原則を堅持して、この立場に立って世界の進むべき新しい方向、人類が今後進むべき理想の構図を示しながら、その先頭に立って国際的に寄与すべきであろうと思います。これがこれから日本のとるべき真の道であり、あるいはより安全な道でもあると思いますが、外相はどうお考えでしょうか。私はそういう道を選ぶことを、少なくともそういう方向を志向することを実は木村外務大臣に期待しておったのです。御所見を伺わしていただきたいと思います。
○国務大臣(木村俊夫君) 核兵器の絶滅をはかるということが、またわが国の最高方針の一つでございますが、私は、去る国連総会でもその意味のことを演説で申しました。しかしながら、それと現在の悲しむべき現実との差がございます。したがいまして、羽生先生のそういう御意見に対しては、私は現在の外務大臣としてでなしに、政治家の一人としては大いに賛成でございます。
○羽生三七君 そうすると、いまの質問の要旨は、核のかさから離脱するかどうかということなんです、一口に言えば。そういう気持ちはないかということ、それが離脱しない限り非核三原則と核のかさにとどまる日本の矛盾は解消することはないという、いまラロック証言が提起したような問題、今後ともいつまででも続くという、この種の問題から抜け出そうとするならば、核のかさから抜け出す以外にはないという、それを言っておるのです。だから核のかさに依然としてとどまるのかどうか、そういう問題であります。
○国務大臣(木村俊夫君) その神話なるものが現実になるような世界の情勢が変化すれば、私はそれももちろん考え得ることであると思いますが、しかしながら、いま現実に核の脅威に対して核抑止力の存在が必要であるという意味においては、政府といたしましてはその御意見にはまだくみし得ません。
○羽生三七君 新聞報道ですが、これ、日本に精通したアメリカの元外交官のことばだそうですが、日米安保体制下に入ることで日本はアメリカの核のかさに入っている、核持ち込みを好まないなら、その根本のところから日本自身が考え直さねばならないだろう、こういうものだそうであります。私はそのとおりだと思う。虚構に満ちたことばのやりとりは、私率直に申し上げてこういうやりとりをしておっても非常にむなしい感じがする。しかし、核のかさにある限りこういうことはいつまででも続くと思う。もう一度その根本からアメリカの日本通の元外交官のことばではないが、そういうことがいやならば、もう一度日本はその根本のところから考え直すべきであろうという、私はこれはけだしそのとおりだと思うんです。いますぐ核のかさから抜け出せといってもそれは無理かもしれませんが、この矛盾を明らかにする、矛盾を克服するためにこの問題について何か根本的にお考え直す、もう一度検討してみようと、もとのところからもう一度考え直してみようと、そういうお考えありませんか。
○国務大臣(木村俊夫君) 政治家としての立場ならいざ知らず、政府の一員といたしましては、そういう問題について再検討を云々することは、一外務大臣としては申し上げられません。
○羽生三七君 外務大臣が、木村外相が国連総会で核軍縮を訴えられたことに対しては私は敬意を表します。しかし、日本がこのアメリカの核に依存しながら核軍縮を訴えても、私はこれは率直に申し上げて迫力もなければ説得力もないと思います。そうではなく、核のかさから抜け出して、自分の姿勢を整えながら完全核軍縮の実現のために国際的に寄与する働きをするという、そういう場合の発言がはじめて説得力もあるし、私は迫力も出てくると思う。だからこの完全核軍縮の方向を志向するということについては、これは木村外務大臣も同感のようでありますけれども、しかし、現実にそういう働きをしなければだめだと思います。たとえばことばの上だけでなしに、アジア非核式装地帯の設定などにあらゆる努力を傾ける、それも一つの方法だろうと思います。要するに、核抑止力依存と非核三原則との矛盾の克服は、いかにして非核三原則を形骸化するか、抜け道を見出すかということではなしに、非核三原則が国是になっている日本では、いかにして核を遠ざけるかということがこの矛盾を解決する最大のポイントだと思うのです。つまり非核三原則というものを形骸化していくというその道ではなしに、日本から核を遠ざけていくという、それが核のかさのもとにある日本の非核三原則という問題の矛盾ですね、それを解決する私は道であると思う。いま直ちにできなくても、徐々にその方向に進むべきであると思いますが、いかがでありますか。
○国務大臣(木村俊夫君) 国の安全を担当する責任のある政府といたしましては、長期展望はもちろん考えつつも、現実の安全というものをはかるためには最大の努力をしなければならぬと思っております。
○羽生三七君 ラロック証言及びニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストのたび重なる核問題についての重要な報道が続いて、この問題について国会で論議されているそのおりもおりに、一昨日沖縄では核弾頭装てん可能な原子砲なるものを多くの人々の反対を押し切って実弾射撃訓練を行なった、強行したようであります。昨日は中止したようですが、最近のこれら一連の動きを見ていると、アメリカは日本の核アレルギーを除去するためにさまざまな手段を使ってショック療法をやっておるんじゃないか。どうも日本もその辺のところをよく承知しておって、適当に対処しておるんじゃないかという感じがするんですね。意地の悪い人は、先日の領海問題の十二海里問題が提起した問題についての外相の発言もそれとからめて考えている一つであります。私は、必ずしもそうは思いませんが、そういうことすらある。したがって、最近のこの一連の動きを見ておると、アメリカが日本の矛盾に満ちたやり方にある程度あきあきして、そうして日本の国民の核アレルギーを除去するために、ショック療法を試みておる。日本の政府もある程度それは承知しながら適当に対処しておる。この見方はこれは皮肉過ぎますか、どうですか。
○国務大臣(木村俊夫君) いささか皮肉に過ぎると思います。それで、それはアレルギーという病的症状はこれはなおさなければいけない。しかしながら、わが国の核兵器に対する国民感情というのは、そういうアレルギー的なものではない。唯一の被爆国である国民が生理的に、また本能的にそれを感じておるという、病的な現象ではないと、こう考えております。
○羽生三七君 その点は全く同感であります。アメリカが日本の核アレルギーというと、日本でいうならば国民のコンセンサスのできた問題でもあるし、さらに至高の国の政策であるという、そういうことだと思います。したがって、今後アメリカのそういう動きに対しても十分日本政府として基本的な立場を守って対処されることを要求いたしておきます。 それから、防衛庁の事務当局は核兵器はいつでも使える状態にないと抑止力としての機能を果たせない、こう言っておるようですが、これは先日の新聞にも出ておりましたが、これはラロック証言があったあとのことです。これは当然だと思います。つまり核兵器はいつでも使える状態にないと抑止力としての機能を果たせないと、こういうことであります。日本を防衛するというのに、核弾頭を一々取りはずして、いざという急場の役に立つはずがないと思います。核が真に安全を保障するものかどうかという核兵器に対する根本的な理論は、これは別として、常識としていつでも使える状態にない核兵器が、わずかな時間を争う、分秒を争うボタン戦争にどうして役に立つのか、私は疑問なきを得ないと思うんです。でありますから、この点は実際問題としてラロック少将の言っておるように、これだけ核が拡散をして、そうして事故の危険性が非常に増大した、核ジャックもあると、アメリカ国内に核を引き揚げたほうがいいという、そういう問題もありますけれども、それはそれとして、まだ現にアメリカが核積載可能の艦船に核を積んでおる可能性というものは、危険性というものは十分あるわけですね。そういう場合に、一々日本に寄港する場合に取りはずして、それからまたどっかへ出かけて、途中へ出ていったときに、どこかでまたこれを装てん、取りつけるという、そんなことがあり得るかどうか、これは常識の問題だと思うんです。アメリカを信用するとかしないとか、そんな問題じゃないんです。決定的なこれは常識の問題です。だから、おそらく日本国民の大多数の人は、あの新聞報道でラロック証言を見て、こんな証言というものは、こんなばかげたことがあるかと考えた人はおそらくないんじゃないでしょうか。大多数の人が、これはラロック証言というものは常識であろうと、ほんとうであろうと、みんな考えたに違いないと思う。私も近ごろこの種の記事では最も信憑性のある報道として受け取りました。でありますから、防衛庁当局が言うように、一々核を取りはずしておって急場の間に合うはずがないと防衛庁は言っておるのです。これは当然だと思う。そんなことがあり得るとお考えになるのか、たとえ退役少将といえども、アメリカの海軍の中の核問題のこれは専門家であるといわれております。そういう人の証言を、一私人としてこれを退けるような態度を続けておって、ほんとうに日本の国民に安心感を与えることができるのかどうか、最後にこの点をお伺いして質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(木村俊夫君) いまの御質問に対しては、いままで私がお答えしてきた内容で御理解を賜わりたいと思うのです。
○羽生三七君 外務大臣、私はいままでの御答弁に理解をしません。またあらためて……。
○秦野章君 私は、今度のラロック発言ですね、あるいはまたサイミントン委員会の報道だとか、それに関連して新聞記事が一ぱい出てきた、そんなようなことから核問題についての常識の資料みたいなものが出たと思います。資料でございます。核の問題幾ら真相をきわめるといっても、壁があることは事実です。しかたがないことだと思います。だけども、いろいろな常識というものがわれわれは形成されるから、そういう常識の見地に立って、きょうは二、三お尋ねしたいのだけれども、私はまあ神奈川県の地方区の選出ですから、横須賀はじめ基地は沖縄に次いで多いんでございますけれども、たとえばミッドウェーが横須賀に入港した、かりにこれが戦術核を持っているという場合に非常に危険であって、三海里から外側にある場合には危険でない、一体戦術核にもまあ種類はあるでしょうけれども、一体核というものがそのようなものであるのかどうか、まあ海洋法の問題があって、十二海里説等々いろいろこの間論議が出ていましたけれども、入港したらあぶなくて、五海里のところを走っていればあぶなくないのだというような議論は、いわゆる三原則の中の持ち込みに関連した議論なんだけれども、まことに何だか珍妙な議論のように思うんですけれども、これは戦術核のいうならば破壊力というものに関連するわけですけれども、大体これは防衛庁にちょっと最初に聞きたいのだけれども、戦術核の破壊力ね、これは核兵器もだんだん発達をしてきました。非常に残念なことだけれども、米ソ中心に核兵器の開発が非常な努力によって進んでいるという、戦略核のみならず戦術核もそうだろうと思うのですけれども、そういう状況、これは初めのころと違って、戦術核の威力というものをいま一ぺんちょっと知りたい。われわれ常識として、たとえばサブロックが日本海で爆発すれば日本海の魚は全部だめになっちゃうというぐらいに思うのですよ。そして戦術核の中には一発で広島の原爆に匹敵するものもあるというような話も聞いていますが、どうですか、防衛庁。
○説明員(伊藤圭一君) 核爆発の威力というのは、もちろんこれは秘密になっておりますから、公表されたというようなものはございません。しかしながら、広島に落ちました原子爆弾程度の破壊力は戦術核も持っているというふうにいろいろな資料から私どもは判断いたしております。
○秦野章君 これもまあ常識しか言えないと思うのですけれども、しかし、常識というのは非常に大事なことで、政治は常識から出発しなきゃいかぬと思うが、七艦隊も核武装を一般的にしている、ソ連の極東艦隊もしている、片っ方がすれば片っ方もするという状況だと思うのですが、これはどうですか。
○説明員(伊藤圭一君) ソ連の極東艦隊は、すでに御承知だと思いますが、五百六十隻、九十七万トンの艦艇が極東に配備されているようでございます。その中には巡洋艦、駆逐艦、潜水艦等があるわけでございますが、ソ連の核兵器の実情というものはもちろんはっきりはわかりません。しかし、艦対艦のミサイル、それからその他戦術核兵器を装備しているというのがジェーン年鑑その他の資料によってはいわれておるわけでございます。
○秦野章君 そういうことだと、今度の横須賀入港、ミッドウェーの入港に端を発する今度の論議の問題なんですけれども、結局問題は、日本列島の周辺に米ソの両艦隊が戦術核を持ってパトロールをしているということが日本にとって危険なのであって、入港した分が危険なんだということではない。はたしてしからば、このうしろ側に米ソ両艦隊が戦術核を持って遊よくしているという事実に対して、われわれは三原則を持って対応しておってもあまり意味がない。そのこと自体に非常に危険を感ずるし、そのこと自体にもうこれは米ソ両大国の戦略核体系の中でどうにもならぬことなのかどうか、どうにもならぬことだとあきらめていいのか、どうにもならぬことではないんではないかという疑いを持つこと自体は、外務大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(木村俊夫君) 私、ただいま防衛庁長官の代理はしておりますが、ちょっと専門的なことでわかりませんので、事務当局から。
○説明員(伊藤圭一君) いまの御質問で、疑いを持つというのはどういう意味なんでございましょうか。
○秦野章君 疑いを持つというのは、要するに、まずたぶん米ソ両艦隊は核武装しているんだということであるならば、それは非常な危険なものである、われわれの身近な危険なものであるということになるんだけれども、しかし、それは安保体制の問題、核抑止力の問題、世界の現状のワク組みの中でわれわれとしてはどうにもならぬ、発言ができない問題なのか。しかし、最近の核の発展というか、時間の流れの中で今日に到達した時点で一戦術核も相当のものになってきておる。戦術核はやっぱりなかなか撃てないんだ、使えないんだと、使えば戦略核になっちゃうんじゃないかというような議論もありますよ。そういうことで曲線に、さっきのラロックの発言の中にもあるんだけれども、そういう状況の中で戦術核が前線にばらまかれてパトロールしているというような状況はたいへん危険であることは明らかなんだが、そういう戦略体制だからそれはわれわれが何も言えないんだということじゃなくて、そういうことはやめても核抑止力に影響ないんじゃないかという一つの常識というものについて、われわれは米ソ両国に、あるいは国際世論の中にものを言いたいのだけれども、外務大臣にしても、防衛庁にしてもそうなんだけれども、そういう疑惑というのは、そういうことに疑いがあると、そういうことをしなきゃ核抑止力が成り立たないんだということに疑問があるんだと、疑問を起こしていけないのか、疑問を起こすべきじゃないかと、こう思うんですが、その点どうでしょうか。
○国務大臣(木村俊夫君) 私の乏しいそういう知識から申しまして、アメリカといい、ソ連といい、またその他の核兵器保有国は、いろいろそのときに応じて核戦略というものを変えております。したがいまして、アメリカの核戦略にいたしましても、大量報復主義から、あるいは柔軟戦略というように変わっておることも事実でございます。いまどうも核拡散の傾向がだんだん広がりますと、いま秦野さんが御指摘になったように、戦術核まで広がってきております。私はそうなりますと、核は絶対にこれは使えない兵器として、ある意味ではポリティカル・ウエポンとしての存在価値すらないのではないかというような考えは持っております。これは私の乏しい知識からお答えいたします。
○秦野章君 もちろん核についてわれわれはだれでも乏しい知識しかないんですけれども、やっぱりわれわれにとって形成されていく常識という立場で考えたときに、おそらくラロック発言というのはペンタゴン中枢部の少数説だと思うんですよ。しかし、少数説の中にもやっぱりわれわれが教訓として読み取るものもあるかもしれない、あるんじゃないかという問題は、いつぞやヨーロッパで小型な戦術核を引き揚げた例もあるんですけれども、やっぱり戦術核は一生懸命つくっているようだけれども、戦術核は問題は配置とか、そういう配備の問題で、危険だから、もうそして戦術核も戦略核もあんまり開きがないような状況になってきた、アメリカもベトナム戦争でとうとう戦術核は使えなかったということを考えても、やっぱり使えないんじゃないか、使っちゃ困るんだけれども、使えないんじゃないかというようなことになってくると、前線にばらまくなどということはもうやめて、ここまで戦略核が充実した体制の中で、もうよけいなものだというような考え方が私は常識だと思うんですよ。だから今度の問題に関連して、われわれが基本的な解決の方向というものをかりに見るならば、三原則を幾ら論議しても、持ち込みなんかを幾ら論議しても、さっき申し上げるように、横須賀の港に入ったものはあぶなくて十海里先走っているものはあぶなくないみたいな話はおかしいので、やっぱり日本の周辺を取り巻く戦術核といったようなものについて、どうしてもそれががまんできないものなのか、私はそれはもう戦略体系からいってそういうものはだんだん後退さすべきなんだ、そういうことを一ぺん問いただしてみる。しろうとが専門にものを言えないということはおかしいので、しばしばエキスパートに常識が勝つという歴史があるわけでございます。特に戦争とかそういう問題についてはあるわけでございます。そしてまた、少数説の中にも、ラロックはあるいは少数説だと思うのだけれども、やっぱり真理があるかもわからないという立場に立って、しかもわれわれは身近な危険なんだから、そういう米ソに対する要求でございますけれども、そういうものを発言をする、談判をする、要求をする、それは絶対に日米安保体制に矛盾しないのだ、日米安保体制に矛盾することはあり得ないという私は気持ちを持つのですけれども、そういう発言とかそういう意見とかというものをもっとダイナミックに国際世論の中に持ち上げていくというようなことはできないものであろうかというのが私は今度の問題の解決解決はできないけれども、一つの芽を育てる方向ではないかということが一つあるわけです。 それには、たまたま核防条約の批准の問題が一つの課題に日本としてなっているわけでございますけれども、核防条約の批准の問題というのは、なかなか外務大臣もいろいろお骨折りになって、国連の演説あるいはいろいろ努力をされておることは私どももたいへんけっこうなことだと思うのでございますけれども、あの核防条約署名のときに政府の声明文を発表されました。この中で、核防条約の署名にあたって、米ソ両国の核軍縮についでの努力を一応評価された。しかも軍縮についていろいろ米ソが約束しているということも評価している、努力を評価していることがあるのでございますけれども、その後の、確かに第一次SALTはできたけれども、第二次SALTはあのような状況でございます。さあ、はたして核軍縮などという人類が直面した大問題に対して、あの程度の努力で一体いいのかどうかという疑問を私ども持つわけでございます。そこで、そのこともさることながら、そういう条約とか交渉の中で努力がまだまだ足らぬという、核廃止なんて一気に言ったってそれはだめですけれども、着実な努力をしていくという、そういうことをもっとやってもらわなければならぬということと同時に、そのこととはまた別として、いま一つは私どもの身近な危険ですね、いま申し上げたような戦術核の日本周辺の艦隊の遊よくみたいなことが現実なら、これはたいへんなことなんです。またそれはたぶん現実だと思うんですよ。そういうことに対して、米ソは一体どう考えているのか。私は、アメリカは日本との同盟国だからアメリカにとにかく骨折ってもらいたい、ソ連も骨折ってもらわなければならない、そういうことを核防条約にあたって真剣にやっぱりぶつけていく、そういうようなことが、言うならば核防条約の批准の条件だと。核防条約はしょせんはやっぱり批准しなければ、日本は核の平和利用やらなければ生きていけない、これはここで論議するいとまあまりありませんけれども、そう思うんですよ。だから、ひとつ外務大臣にお尋ねしたい点は、これはもうきょう私は要点だけを申し上げたのはそこのところなんですよ。日米安保条約体制とは全く矛盾することなく、私は、アメリカの核戦略というものに対して常識の立場でどうなんだという迫力のある交渉、米ソに対して、ソ連にはやりにくいでしょうけれども、場がないことはないでしょうから、あらゆる機会を使ってそれを訴えていく努力をすることが、今度の問題の解決に向かっての芽を育てることでもあるし、また核防条約という問題、批准の問題に関連してたいへん大切なことと思うんですけれども、その点についてひとつ外務大臣の、それこそひとつ勇気ある御発言をいただきたいと思うんです。
○国務大臣(木村俊夫君) 私も長期的視点に立っての御意見は全く同感でございます。したがいまして、日米安保体制といま申し述べられました世界的な規模における核軍縮、まあひいてはそれが核兵器の絶滅につながる、そういうことを国際的世論の中でわが国があくまで今後も強調していくということは何ら矛盾しないと思うんです。したがいまして、ただ惜しむらくは、まだ国際的な現実はそこまで至っておりません。核防条約の締結もさることながら、それに加盟しない有力な核兵器保有国もございます。そういうような中で漸次国際世論、また私はこれは個人的な意見でございますが、核の拡散傾向も一つの人類のそういうものに、知恵に対する一つの大きな警鐘である。これがきわまれば、むしろ私は核兵器絶滅に対する国際世論が盛り上がることも考えられます。そういう意味において、私はそういう世界的な世論というものを絶えずわが国が国連の舞台その他において強調し続ける、それがたとえ五年、十年後であろうとも、私は世界の人類が核兵器の絶滅について立ち上がる時期が必ずあると、そういう確信を持っております。
○秦野章君 ちょっと前後して申しわけないのですけれども、参考のために、戦略核の問題で、今日の状況というものは米ソともたいへんな充実をしている、競争もしている。試みに、いわゆる軍事衛星といったようなものが、昔はなかったけれども、いまはどのくらい一体飛んでいるのか、ちょっと防衛庁。
○説明員(伊藤圭一君) 人工衛星につきましては、御承知のように、一九五七年の十月四日にソ連がスプートニクを上げましてから今日までの時点で打ち上げられたのが、米ソをはじめといたしましてイギリス、カナダ、もちろん日本も入っているわけですが、千六百九十三個といわれております。で、この打ち上げられました人工衛星の中で、消滅したものもありますし、また機能を失ったものもあるわけでございますが、具体的に幾つ軍事的なものがあるかということは、なかなかわからないわけでございますけれども、ある資料によりますと、そのうち軍用につきましては千ぐらいというような数字もございます。ただ、この千ぐらいの軍用の人工衛星が全部生きているわけでございませんで、その中で作動しているものというものはもうかなり少なくなっているというように承知いたしております。 〔委員長退席、理事原文兵衛君着席〕
○秦野章君 軍事衛星一つ例をとっても、戦略核の体制というものはたいへんなものだと思う。この軍縮の問題、核兵器の軍縮の問題、いま外務大臣おっしゃったように、やはり非常に大事なことだと思うんだけれども、もっと手近なこと、さっき私が外務大臣にお尋ねするのはそういう背景、いまの軍事衛星をはじめとしてポラリス潜水艦、ICBM、そういった戦略体制というものはぱっちりできている。しかもまだ競争している、非常に残念なことだ。しかし、かっちりできているということだから、これはこれとして核軍縮を大いにやってもらわにゃいかぬけれども、もっと日本の身近な、さっきのような、周辺の危険というものを取り除くという具体的な努力を持ち出すということが、核防条約の批准にあたって国会も条件をつけるべきだと思うけれども、政府としてもその身近な努力というものが、私はもっとリアルな問題として大事だと、こう思うんですよ。さっきのお話にもありましたけれども、日本の非核地帯というような願望もありますよ。できるならば、戦略というものを考えて、それがはたしてできないのかどうか、私はできるかもしれぬと思うんですよ、できるかもしれぬと思うですよ。そして、そういう常識があると思うんですよ。だからそういう常識を、身近な危険を除去するという常識を、核防条約批准にあたって、一つのチャンスでございますから、ひとつ政府として努力をなさっていただくということが、アメリカに力強く呼びかけ、ソ連にもチャンスを得て呼びかけるということがぜひ必要なんだ。そういうことをやらないで、ただ日米安保、三原則、政府信頼ということだけでは、結局日本の安全も極東の平和も、そして言うならば世論の説得力という問題についてもいささかもの足らぬ。私はそういう別の努力を、別次元の努力をばんばんやっていく。そして安保体制というものは日本とアメリカの安全というけれども、これは世界の平和、世界の軍縮と全く不可分のものなんだと、無関係じゃないんだということになりゃ、私は一体のものだと思うんですよ。そう思うのです。その身近な危険についての、さっきのお話もあったわけでございますけれども、そういうことをやっていただくのが一番リアリスティックな方向であるし、基本的な持ち込み議論の解決への方向じゃなかろうかと、こう思うんでございますが、その点いかがでしょう。
○国務大臣(木村俊夫君) 先ほど戦術核のお話がございましたが、私は戦術核の使用というものは直ちにこれはもう戦略核の使用につながる、こういう関係からいって一番危険なものだと思います。そういう意味において、戦術核をまず廃止するということが核軍縮への近道だとは思いますけれども、これは悲しいかな相対的な問題でございまして、やはり核兵器保有国が、お互いに核軍縮の目的達成のために戦術核をやめようじゃないかという話し合いがなければなりません。そこで、その関係において、もしかりに関係方面の御同意が得られて、私ども政府がこの次の通常国会に核防条約の批准をお願いするような場合になれば、この問題について私はむしろ政府だけでなしに、国民の代表である国会も大いにひとつ真剣に御審議を願いたいと、こう考えております。
○秦野章君 国会も当然、その核防条約批准にあたってはきびしい条件を考えるということは当然でございますけれども、やっぱり外交あるいは米ソ、国連総会という、そういう次元の問題として持ち上げていかないと実はあんまり効果がないんだろうと、こう思うのでございます。これは重ねての要望になりますから、それでいいんでございますけれども、私は、核防条約の問題は、はしなくも今度の問題と関連をせしめて考えることのほうが大事なんだと、やっぱり本質的につながるんだと、こういう考えでございます。御答弁はけっこうでございます。 以上終わります。
○塩出啓典君 それでは私の時間は二十分でございますので、できるだけ重複を避けて質問したいと思いますので、答弁のほうも簡潔にお願いしたいと思います。 まず、先ほどからのマクマホン法との関係でございますが、条約局長は、アメリカの国内法のどこにも核の存否を言えないという法律はないと、そういう答弁でありますが、したがって、マクマホン法もそういうものを規定した法律ではない、こういう羽生委員の質問に対して、外務大臣は確答を避けたわけでございますが、私どもは、マクマホン法をずっと調べてみましたが、これは第二章定義第十一条に、機密資料というのは、「原子兵器の設計、製造または利用」、「特殊核物質の生産」、「エネルギーを生産するための特殊核物質の利用」と、このように機密資料というものははっきり明示しており、さらに第十二章の情報管理百四十二条、百四十四条、こういうところに、機密資料に対する大統領の権限、機密資料を解除することができる、こういうことが書いてございます。さらに第十八章の罰則の二百二十四条には、「合衆国に害を及ぼし、または外国に利益を与える意図をもって、他の者にこれを通報し、伝達しもしくは漏洩しまたはこれをなそうとしもしくはこれに共謀した場合は」、死刑または終身禁錮云々と、こういうことが書いてあるわけでありまして、これはもうだれが考えても羽生委員の説のように、マクマホン法はアメリカの核の存否を明らかにしてはいけないという法律とは関係がない。これはやはりはっきりすべきじゃないかと思います。それで、まあ先ほど外務大臣は、これはアメリカの法律だから日本政府が有権的に解釈することはできない。もしそうであるならば、やはりこれはアメリカ政府にちゃんと確認をして、こういう問題については明らかにすることが国民の理解を求めるゆえんであると思うわけでありますが、そういう姿勢があるのかどうかですね。
○説明員(松永信雄君) 先ほども御説明申しましたごとく、私どもは、アメリカの法律についてあれこれ断定する立場にはないわけでございますが、いま御指摘になられました諸規定については、私どもも承知しております。その諸規定の規定ぶりと申しますか、書き方から見まして、大体においては機密資料というものにつきましては、原子力に関する技術的な情報の管理、保存に関する規定を中心としたものであるというふうに考えられるわけでございます。他方、先ほど御質問にお答えいたしましたように、核の存否については触れてはならないということを直截的に規定した条文というものは、この原子力法にも、ほかのアメリカのいろんな法律等にも、そういう規定は見当たらないということを申し上げたわけでございます。
○塩出啓典君 だから外務大臣が、マクマホン法はそういうものとは関係がないと、こういうことをはっきり国民に明らかにすべきであって、もしそれが言えないならば、アメリカ政府に問い合わせでもして、やはりはっきりした法の見解を伝えるべきである。外務大臣に聞いておるわけであります。
○説明員(松永信雄君) 先ほど私が申し上げましたごとく、核の存否に直接的に触れまして、これを禁止する、あるいはそれを制限するという条文の規定はないということを申し上げたわけでございますが、一般的に言いまして、原子力に関する機密資料、その中には、先ほど先生がお読み上げになられました第十一条W項で、機密資料の中に原子兵器の設計、製造もしくは利用というものに関する情報を含むというのがございます。したがいまして、これが核兵器の使用に関する機密資料の管理を定めていることは間違いないと思います。その意味におきまして、これは全く関係がないということは申せないと思います。
○塩出啓典君 その点どうなんですか。外務大臣は、マクマホン法そのものは、いわゆる核の存否を言ってはいけないというような内容ではないという点については、まあ先ほどの質問で答弁をはっきりしなかったわけですけどね。それはやっぱりアメリカの国内法だからということじゃないかと思うのですよ。そういう点で、はっきりこれをさしてもらいたいということを言っているわけなんです。その点どうなんですか。わからなければアメリカに聞いてでもはっきりしなさいよ。 〔理事原文兵衛君退席、委員長着席〕
○国務大臣(木村俊夫君) 私が申し上げたのは、アメリカには当然核の機密を保護する一連の国内法令があることは、これはもう事実でございます。その中の一環としてマクマホン法がある。したがって、そういうような立場に立ってアメリカが、米国においてはその最高軍事機密として核の存否を明らかにしないという政策的立場がある、こういうことを申し上げたのでございまして、したがいまして、マクマホン法それ自体の有権的な解釈は政府として控えたい。しかしながら、いま御質問のあった点については、これはわれわれといたしましても米側に問い合わせるつもりはございます。
○塩出啓典君 それから、アメリカには核の存在を言えないというアメリカの国防上のそういう基本的政策があると、まあこういうお話でございますが、私たちもラロックの発言、あるいはサイミントン委員会の会議録が公開をされた。そういう点から見て、非常に、政府がいかなることを根拠にこういう最高政策があるのか。これはまたここで答弁を求めても時間がかかりますので、これは外務省として、いわゆるこういうアメリカの最高政策があると。いかなることを根拠に外務大臣がここでこういう発言をされたのか、これを資料として提出してもらいたいと思いますが、その点どうでしょうか。
○説明員(山崎敏夫君) 御質問の趣旨は十分承知していないかと思いますが、その核の所在については言わないというのは、いま仰せのとおりのアメリカの政策でございまして、その政策については、何回かアメリカの政府の責任ある人々及びスポークスマンがしゃべっておるわけでございます。ただ資料と申しましても、それを具体的な形で書いたものはちょっとございません。もしスポークスマンその他の声明でございましたら、御提出できます。
○塩出啓典君 それでもようございますので、ひとつ提出してください。 それから、米の公式見解が先般発表されたわけでございますが、私はその内容を見ますと、事前協議は守るという、こういう内容ではないかと思います。そして、そこには一九六〇年岸・アイゼンハワー共同コミュニケ第二項の誓約、あるいは一九六九年の佐藤・ニクソン共同声明の第八項で与えている確約、あるいは一九七二年五月十五日付福田外務大臣あてロジャーズ国務長官書簡中の声明、まあこういうものを守るということを書いておるわけでございますが、私が聞きたいのは、確かに事前協議は守る。じゃあ事前協議は、一体どういう場合事前協議になるか。こういう点につきましては、安保条約第六条の実施に関する交換公文の中に、いわゆる配置における重要な変更、あるいは装備における重要な変更、こういうものが事前協議の対象になると書かれております。そういう点で、それでは、この核を日本へ持ち込むことが事前協議の対象になる、あるいは日本の港、あるいは日本の三海里内を核を搭載した船が通ることが事前協議の対象になるという根拠は、そういうものはあるのかどうかですね。単なる口頭にすぎないのかどうか、そのあたりどうなんですか。まあ口頭か、あるいはちゃんとしたそういう両国の責任ある者がかわした文書があるかどうか、イエスかノーかで答えてください。
○国務大臣(木村俊夫君) これは、かつての藤山・マッカーサーによる口頭了解の内容でございます。
○塩出啓典君 こういうものが、私はやはり国際間の重要な問題であれば、これは口頭でやられると。これも確かに昭和四十三年四月二十五日に外務省が、日米安保条約上の事前協議について、いわゆるいまの藤山外相との話し合いの結果を述べておりますが、これも日本政府はこのように了解をしていると、こういうことであって、やはり核の問題が明記されていないわけでありますが、私は、こういう問題は両国間の問題ですから、やはり責任ある政府の代表が文書をちゃんと交換すべきではないか。そういう点が非常にあいまいである。アメリカと日本の考えに、日本がそう思っているがアメリカはそう思っていない、こういうやはり食い違いが非常に心配なわけで、その点はどうなんですか。
○説明員(山崎敏夫君) 事前協議の対象となるものの一つに、装備における重要な変更というものがございまして、これは御承知のとおり、安保条約のときにかわされました六条の実施に関する交換公文に明記されているわけでございます。ただ、装備における重要な変更と申しても明らかでない点があるといけないということで、当時の最高責任者であります藤山外務大臣とマッカーサー大使との間で、核弾頭及び中長距離ミサイル及びそれらの基地の建設ということで、はっきりした口頭了解がございまして、それを政府は国会において一貫して申し上げておるわけでございますから、この点に関する日米間の了解に関しては、何ら食い違いもございませんし、疑義もございません。
○塩出啓典君 私は、政権はかわる、あるいは国務省、外務省の担当者もかわる、こういう場合において、こういう重要な問題が単なる口頭において済まされるというところにそもそも大きな誤りがあるわけでありまして、これは明らかに外務省の非常にインチキをカバーするためにそうなったのか、いずれにしても、これは現在の外務大臣は直接責任はないかもしれませんけれども、そのことを申し上げておきます。 それと、きょう昼のNHKのニュースによりますと、上院外交委員会の筋では、いわゆる核を搭載して日本へ入港しても、これは事前協議の対象にはならない、こういう見解を発表したというニュースが出ているわけでありますが、これはもちろん、私もいまこの委員会におりますので、その真偽は確かめておりませんけれども、私は、そういうように事前協議の対象となる内容について口頭で行なわれているわけですから、はっきり文書もないわけですから、やはりそういう食い違いが出てくることを前々から心配をしておったわけでありますけれども、だからこの点、核を搭載した船が日本の港へ入る、あるいは三海里の中に入ってもこれは事前協議の対象になるということははっきりしているのかどうか、その点どうなんですか。
○説明員(山崎敏夫君) ただいま御指摘のありました米国上院の外交委員会の方面の見解でございますが、私も先ほどそのニュースを聞きましたが、これは米国上院外交委員会筋というソースを明らかにしない一つの報道でございまして、またそれも単なるその外交委員会筋の一つの見方を示したものにすぎないと思います。また、報道によりますと、その中で引いておりますのは、ジョンソン外務次官がかつて申した、要するに安保条約に基づいて米艦船が横須賀とか佐世保の両港への入港ないし離港は自由にできる、これは通常推進力、原子力推進、双方の艦船に適用されるということでありまして、いわゆる原子力推進の艦船が自由に日本の施設・区域である港には入れるということだけを根拠にしているのでありまして、私はこの報道は必ずしも正確にこの問題の事態を把握しておらない人の発言にすぎないと考える次第でございます。
○塩出啓典君 それでは外務大臣も、こういうニュースがあっても、アメリカの軍艦が核を積んで港に入港する、あるいは領海を航行すると、それもやはり事前協議の対象になると、こういう外務大臣の考えは変わりありませんか。
○国務大臣(木村俊夫君) 変わりございません。
○塩出啓典君 まあいずれにしても、事前協議の内容等について、これは機会を設けてはっきりとした両国間の約束とすることを私は申し上げておきます。 それで外務大臣は、先般の衆議院の委員会で、両国政府の疑惑は一掃されたと、残されたのは、日本国民の不信を解消するのは政府の責任である、政府は最大限の努力をすると、私新聞で見たわけでございますが、間違いございませんか。
○国務大臣(木村俊夫君) いや、その両国政府の疑惑ということは申していないはずであります。政府の間には疑惑はございません。政府の間には疑惑はございません。ただ、国民的疑惑というものは、これは報道その他においてもはっきりあらわれておりますので、そういうものを解消するためには、こういう国会審議の場を通じて、それを解くために最大限の努力をするということを申し上げたわけです。
○塩出啓典君 私は、日米関係を友好に保つためには、核問題に対する疑惑を一掃することが非常に大事だと思います。しかし、日本政府が幾らやっぱり努力をしてもこれは疑惑は解けないわけで、アメリカがやはり核がないということを公表するなり見せるなり、まあそういうことが必要ではないかと思うわけであります。そういう点で、これは私は外務大臣として国民の疑惑を解くために、今回のフォード来日等の機会をとらえて、やはり日本の立場をはっきり言うべきじゃないか。こういう問題については外務大臣は言う考えはない、こういうようなお話のようでありますが、日本国民の疑惑を解くために、やはりアメリカとも話し合うべきである。私は先般の委員会では、ミッドウェーの問題について、近く国連総会に行かれたときにフォード大統領あるいはキッシンジャーともそのことをよく話してきてもらいたいと、こういうことを要望してきたわけですけれども、おそらく話してこなかったのじゃないかと思うわけでありますが、ひとつ今度の機会をとらえてそういう問題を話し合うべきであると思うんですが、この点どうですか。外務大臣の責任ですよ、これは。
○国務大臣(木村俊夫君) 日米の友好信頼を深めるためにあらゆる努力をいたしたいと思います。
○塩出啓典君 それから、もう時間ございませんで、ラロック証言の内容はいろいろございますが、やはり偶発事故の危険性、あるいは世界にばらまかれている核兵器の管理のずさんさ、まあいわゆるゲリラ対策、あるいはまたそういう点から核兵器——あるいは船の核兵器、あるいは飛行機の核兵器、あるいは世界各地にばらまかれているアメリカの核兵器を本土に返還すべきである、こういうやはり主張ではないかと思うわけであります。私は、核兵器の絶滅が理想ではございますけれども、まず第一段階として船舶や飛行機はもちろん、世界の各地に分散している核兵器を撤去することを、これをやはり米ソをはじめとする核兵器保有国に働きかけるべきではないか、これはやはり唯一の被爆国である日本の責任であると思うわけでございますが、外務大臣の見解を聞きたい。
○国務大臣(木村俊夫君) 全く同感でございます。したがいまして、まあ日米安保条約という現実のわが国の安全保障を守りつつ、世界世論の中でそういう長期的な目的を果たしたいと、こう考えています。
○塩出啓典君 最後に、山口県の山石国基地におきましても、飛行機が核を持ち込んでおるのではないか、こういうことが非常に問題になっております。それて岩国の基地に入っております——これは防衛庁にお聞きしますか——対潜哨戒機P3オライオンあるいは艦載全天候攻撃機グラマンEA6Aイントルーダー、F4ファントム、こういうような飛行機がこれは核を搭載可能であるのかどうか、その点が一つ。 それともう一つは、米軍の岩国基地にある弾薬庫は、先般、国会においても赤い標識がついておりまして、これが、核があるんではないかと、そういうことで社会党の楢崎さん等も、いろいろ国会で問題にし、現地も行ったわけでございますが、そのあと、この赤は黄色に書きかえられておったわけでございますが、最近、またこの弾薬庫に赤がふえております。これは遠方から望遠レンズで見れば見えるわけでございますが、そういうわけで、岩国の基地にも核があるんではないかと、岩国市民が非常に心配をしております。私は、こういうような点については、外務省あるいは防衛庁当局におきまして明らかにし、国民の疑惑を解くべきであると思いますが、その点についての見解を聞きたい。
○説明員(伊藤圭一君) ただいまおあげになりましたような岩国におります飛行機につきましては、核兵器、非核兵器両用のものを積めるというふうにいろいろな資料から承知いたしております。 なお、弾薬庫で赤いのがあるから核弾頭があるんではないかということでございますけれども、赤いのが核弾頭を標示するものかどうかは、私どもはわかりません。と同時に、先ほど来、外務省のほうで御答弁になっているように私どもも了解いたしておるわけでございます。
○塩出啓典君 だからその点、いままでなかって、この前赤だったのを、国会で追及になって、色をかえて、また知らぬ問に赤ができたわけですから、どういうわけで、前の赤を国会で問題になって消したのか、何も赤が問題なけりゃ消す必要ないと思うんですよね。それで、また知らぬ間に赤ができていると、これは、まあそこは日本人立ち入り禁止区域ですけれども、たまたま遠方から望遠レンズで見ると見えるわけなんですよ。アメリカ軍も、まさか望遠レンズで見るやつもいないと思ってつけたのかもしれませんけれども、その点に疑惑を持っているわけですから、いま岩国では大きな問題になっております。それで、これは政府としても調査をして国民に納得のできるように、いま言ったように、岩国には核を搭載できる飛行機もどんどん入ってきているわけですから、そういう心配があるわけです。その疑惑を解くのは、私は政府の責任じゃないかと、この点外務大臣どうですか、努力してくれますか。
○説明員(山崎敏夫君) いろいろな色に塗られているということは事実でございますが、黄色というふうな場合には、これは火災が起これば爆発する危険性があるというふうなことでやっているようであります。 それから、建物の色が最近白から赤に塗りかえられたというふうなこともあったようでありますが、この点についてもわれわれは関係の方面に聞きましたところ、これはそこに貯蔵されるものがスモール・アームズ、小火器の弾薬からフィックスト・アミュニション、少し大きい弾薬になったということを理由として塗りかえたというだけのことでありまして、もちろん、核兵器があるというような問題ではございません。
○立木洋君 アメリカの上院外交委員会の権威筋は、十七日、アメリカ政府は、核を積んだ軍艦が日本に寄港する場合に、日本政府との事前協議の必要はないと了解しておる。続いて、このアメリカ政府の立場については、議会でも、政府側証人の声明や発言でも明確にされているというように、きょうの昼のニュースで述べられておりますが、この点について、外務大臣の明確な見解をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(木村俊夫君) まだ、私はその発言の内容を詳しく見ておりませんが、米上院議員外交筋ということで、いかなる人が発言したか、確かめておりません。この際、それについての論評は避けたいと思います。
○立木洋君 いままで政府は、日本の領域を通過す核船艦については事前協議の対象になると繰り返し述べてこられた。それならば、これがいま出された今日、そういう事実はないと明確に否定できるんですか。明確にお答えいただきたい。
○国務大臣(木村俊夫君) 事前協議に関する基本的な立場は、何ら変化はございません。
○立木洋君 いま、あなたはどこから出されたかわからないからと言われたけれども、それがもしか明確な政府の責任者が証言されたということが明らかになった場合には確認できるが、その他の一私人であるような状態であれば確認できないという意味に解していいわけですか。
○国務大臣(木村俊夫君) ラロック発言に関連して、米国政府からの公式見解に尽きておると思います。
○立木洋君 それでは日本とアジアにおける核兵器の持ち込み、配備に関連した若干のことについて質問したいと思う。 いわゆる韓国にアメリカの核兵器があるというようにお考えになっているかどうか、お答えいただきたいと思う。
○説明員(山崎敏夫君) われわれは、韓国に核兵器があるかどうかをお答えする立場にはございません。
○立木洋君 そう言うだろうと思うました。だけど、ラロック証言も、明確に韓国に核があるということが証言された。これを証拠に出せば、あなたは一私人だと言われる。ところがここにある、ことしの四月の一日、ヤクルカス空軍長官が明確に国会の証言の中で、韓国に核がある——あなたはお読みになっているだろうと思いますけれども、こういう証拠も明確にあります。また、ことしの八月二十九日発表された一九七五年度米下院歳出委員会の報告でもはっきりあるということが認められた。アメリカ側がこの事実を認めておるのであるから、これについてあなたはそれでもそういう事実を知らないと言うわけですか。
○説明員(山崎敏夫君) 他国にございますアメリカのあり得る核兵器について、われわれとしては何ら申し上げる立場にはないわけであります。また、私の承知をしております限りでは、米国政府が公式の発表として、韓国に核兵器を置いておるということを発表したことはないと承知しております。
○立木洋君 そういうことはないですよ。これは読まれましたですか、マクルカス空軍長官の証言を。
○説明員(山崎敏夫君) 私は、そのマクルカスの発言については正確には承知しておりません。
○立木洋君 いままで政府の答弁の中では、韓国に核があるということはアメリカ側が公表していないから、われわれとしては何とも述べることができないというふうに言ってきた。いままで日本政府がいわゆる信頼できるというアメリカの政府筋が明確に韓国にあると述べている。このアメリカ側の発表をあなたは信頼できないというのか、その点はっきりさしてください。外務大臣にお答え願いたい。
○国務大臣(木村俊夫君) 私はもう信頼する、しないということでなしに、そういう問題について政府としては発言をする自由はないと思います。
○立木洋君 それはおかしな発言ですよね。明確に、ここにアメリカ政府が核があると述べてある。これが一つではなくて、何回にもわたって確認されておる。このような韓国にアメリカの核兵器が持ち込まれておるということは、いまや世界の一般常識です。こういう観点に立って、この韓国における核がどこを経由して持ち込まれているか、日本の領域を経由して持ち込まれておるというふうに考えられるわけですが、その点についてはいかがですか。
○説明員(山崎敏夫君) われわれは、そういうことは承知しておりませんし、そういう仮定の問題についてちょっとお答えいたしかねます。
○立木洋君 委員長に。私の質問に関連して資料を配っていただきたいと思いますが、よろしいですか。
○委員長(伊藤五郎君) はい。
○立木洋君 では、お願いします。 ここにありますのは、「米軍事空輸軍団「第二十二空軍空輸作戦方針書」」、これが原本でありますが、これがことしの一月から三月に発表されたものです。皆さん御承知のこのMAC第二十二空軍というのは、いままで明確に核兵器を輸送する、そういう空団であります。この中に出されておる点を指摘しますと、すべての爆発物に関して、日本と韓国の項のところで、「ハワイ、フィリピンあるいは東南アジアから韓国への輸送は、中継貯蔵が必要な場合には嘉手納を経由する。」と、明確に書かれてあります。これでも嘉手納基地を中継したという事実はないと、あなたは否定されるのですか。お答えいただきたいと思います。
○説明員(山崎敏夫君) まず、この資料がいかなる性格のものであるかどうか、私たちは承知しておりませんので、残念ながらこの内容についても、ただいま拝見したばかりでありますので、お答えいたしかねます。
○立木洋君 原文がここにありますから、これ、よく見てください。いつも資料が何かわからない、何かわからないと言ったら困るのですよ。もう韓国への核の持ち込みに関しては、日本の領域を通過するということは一般的な常識に考えられております。私が懸念するのはこの問題ですよ。日本の領域を通過するときは必ず事前協議を行なうという件に関して、アメリカ側とかたい約束が取りかわされているのかどうか、このことを明確にしていただきたいと思います。
○説明員(山崎敏夫君) 前々から申し上げておりますとおり、核兵器の日本への持ち込みは事前協議の対象となるわけでございまして、この問題に関してわれわれとしてはアメリカ政府から事前協議を受けたことはない次第でございます。
○立木洋君 この事前協議の内容に関して、日本の政府が了解事項として発表したものがありますが、これは四十三年四月二十五日、外務省というふうに書かれてありますが、その第二項の、「装備における重要な変更の場合」ということが、あなた方は該当すると言われておる。しかし、日本の領域を核兵器が通過する場合、事前協議の対象になるとどこに書かれてありますか。明確にしていただきたい。
○説明員(松永信雄君) いまお読み上げになられました文章はそのとおりでございまして、「装備における重要な変更」とは、「核弾頭及び中・長距離ミサイルの持込み並びにそれらの基地の建設」とあるわけでございます。したがいまして、核兵器、この核弾頭及び中長距離ミサイルの持ち込みに該当する場合は、それが日本に配置される場合であると、あるいは一時立ち寄りをするような場合であるとを問わず、事前協議の対象になるということは明白であると考えております。
○立木洋君 じゃ、いまあなたが言われたのは、この事前協議についての第二項の中では、通過、つまり核兵器の日本の領域の通過に関しては事前協議の対象になるということが明確に書かれていない、そのことは確認されるわけですね。
○説明員(松永信雄君) 文字として書かれていないということでありますれば、そのとおりでございます。
○立木洋君 それじゃ、いままでアメリカとの間で、この核兵器の日本領域の通過に関して、政府レベル、事務レベル、あるいは安保協議会などで話し合われた事実があるのですか。
○説明員(山崎敏夫君) この件につきましては、条約局長からも答弁いたしておりますように、当時から核弾頭及び中長距離ミサイルの持ち込み及びそれらの基地の建設ということで、一九六〇年の藤山大臣とマッカーサー大使との間で明快な口頭了解ができておるわけでございまして、われわれとしてはその考え方に立ってこの問題を処理してきたわけでありまして、特にアメリカとそういうことをする必要があったわけであります。
○立木洋君 私は、そんなことを聞いているんじゃないんですよ。核兵器の日本への持ち込みですね、それらの基地建設、これは明確に書いてある。あなたに言われなくてもわかります。私が聞いているのは、核兵器が日本の領域を通過する場合、事前協議の対象になるという問題について明確に話し合ったことがあるかどうかということを聞いている。この文書で逃げたらいけない。私の聞いていることに答えてください。
○説明員(山崎敏夫君) 従来から政府としましてはそういう了解のもとに立ちまして、一貫して国会でも答弁してまいったわけでありまして、そのことについては、アメリカも知っております。
○立木洋君 いや、それは違うですよ。話し合ったことがあるかないかということを聞いている。いまの時点で明確に聞いているんですよ。通過の問題に関して話し合ったことがあるのかないのか、政府レベルでも。なければないと言えばいいじゃないですか。あるならある。一言で答えてください。
○説明員(山崎敏夫君) この問題はわれわれとしてはきわめて明らかな問題でありましたので、アメリカと話し合う必要は認めておりません。
○立木洋君 そうしたら、この件に関しては話し合ったことがないということですね。いわゆる核兵器の日本領域の通過問題を事前協議の対象にするということを明確に話し合ったことがない、そういうふうに判断していいわけですね。
○説明員(山崎敏夫君) たびたび申し上げるようでありますが、話し合う必要は認めなかったということでございます。
○立木洋君 なかったということだ。明確になりました。話し合ったことがない。話し合う必要がなかったというふうに認めたことは、話し合ったことがなかったと、これはたいへんなことですよ。いいですか。アメリカ側は核の通過、核兵器の日本領域の通過に関して、日本での装備における重要な変更ではないというふうに考えておったらどうしますか。
○説明員(山崎敏夫君) われわれはそういうことは承知しておりません。(「答弁にならぬじゃないか」と呼ぶ者あり)
○立木洋君 それは答弁になっていないですよ、ほんとうに。いわゆるここに書かれてあることとは明確にこれを関連づけていままであなた方は説明されてきた、核兵器の日本の領域通過の問題に関して。持ち込みというもの。アメリカ側がそう考えていなかったらこれはたいへんなことになるわけですよ。きょうのニュースでもはっきりされてきている。ですから、問題は、これはきわめて重要な問題ですから、いままで話し合う必要を認めなかったと、核兵器の日本領域の通過についてはむそのことが明らかになったわけですから、今日の時点できわめて重要な問題として、アメリカの政府側に、日本の領域を核兵器が通過する場合、事前協議の対象になると日本政府は確信をしておるが、アメリカ側もそのように了解しておられるかどうかということを、明確に私は照会していただきたいと思うのですが、どうですか。
○国務大臣(木村俊夫君) こういう国会審議の場で日本政府の考え方は明言しているのです。したがいまして、わがほうの考え方は米側も十分承知しておりますので、それについてあらためて確認する考えはございません。
○立木洋君 先ほど来、この問題は問題にする必要なかった、話し合いがなかったということが明確になった。いま今日、いわゆる領海にしても領空にしても、いわゆる核兵器が通過しておるという事実があらゆる形で出されてきておる。今日のそういう重要な時点に立って、明確に国民の疑惑を取り除くということを繰り返し主張されるならば、明確にアメリカに問いただすべきじゃないですか。どうしてそれを問いただすことができないのか。
○国務大臣(木村俊夫君) 先ほどお答えした中で尽きておると思います。
○立木洋君 まあ、いままで言われた中では、こういう質問をする、相手側に問いただすということは、日米信頼関係云々というふうなことを言われるわけですが、ラロック証言のときも、日本の政府はアメリカ側にその事実を照会し、公式見解までもらったわけです。そして最大限のこれは見解であると言って大臣もそれを賛美された。また私たちが、核模擬爆弾が沖縄の伊江島で投下されておる、これは重大な事実であるから、これをアメリカ側に照会して確かめろということについても確かめられ、八月の二十九日、その回答を得て外務委員会の席上で明確に述べられた。今日、この核兵器が日本の領海、領域を通過するという問題に関して、どうしてこの問題だけは聞けないと言うんですか。もう一ぺんはっきりさしていただきたい。
○国務大臣(木村俊夫君) 繰り返して申し上げますが、それを確認する必要がないということであります。
○立木洋君 そうしたら、核模擬爆弾の場合には確認する必要があって、この領域の通過に関しては確認する必要がないと言われる事情はどういうことですか。
○国務大臣(木村俊夫君) 模擬爆弾のときは、核兵器の存否に関する問題じゃございません。単なる模擬爆弾でございますから、そういう沖縄の方々の不安を取り除くために問い合わせをしたということでございます。
○立木洋君 いろいろ逃げ道を考えられるので、こちらもたいへんなわけですがね。 ラロック証言の場合には、これはどうして相手側に照会して確かめたわけですか。どうして核通過の場合には確かめられないんですか。この核兵器が日本の領域を通過するという問題はそれほど重要な問題ではないと、聞くまでもないというふうにお考えなのかどうか、はっきりさしていただきたい。
○国務大臣(木村俊夫君) 本来言えば、一私人であるラロック証言に対して、米政府にこれを照会することは差し控えたいと思ったんでございますが、しかしながら、その前歴等から申しまして、あえてその公式見解を求めたわけでございます。しかしながら、その中の内容となっております事前協議の内容等については、もういまさらこれを確認する必要はないと、こういう考えでございます。
○立木洋君 ラロック証言の問題については、一私人だと言いながら、一方では重視した。矛盾ですがね。しかし、ここではアメリカのちゃんとMACが出しておる文書の中に、中継貯蔵する場合には、韓国に輸送の場合、嘉手納を経由すると明確にアメリカの文書で書かれてある。公式の文書です。そしていま通過の問題がたいへんな問題になっている。事前協議の有無まで問題にされてきている。こういう今日重大な時点の中で、ほんとうに核の通過が行なわれていないということをあくまで言い切るならば、国民の疑惑を取り除くためにも明確にさせるべきではないか。どうしてそれが聞けないというのか、重ねてお聞きします。いままでの答弁では不満ですから、いままでの答弁ではない内容を答えていただきたい。
○国務大臣(木村俊夫君) いままでの答弁で御了解願いたいと思います。
○立木洋君 皆さん方聞かれておってもたいへんだろうと思うんですがね。 この先ほど来出されておる事前協議について外務省が発表した内容につきましても、ここには一言もアメリカがこの事前協議について確認したとは書いてないんですよ。主語は「日本政府は、」になっている。そして「日本政府は、」を主語にして、次のような場合に「事前協議が行なわれるものと了解している。」日本政府は了解しているんですよ、これは。一言も事前協議が行なわれるという確認をしてないじゃないですか。話し合いもしていない、話し合いする必要もなかった。そして日本政府がかってにこういうふうに了解したと一方的に書いている文書にすぎないじゃないですか。これはまさに国民をこまかす——核か日本を公然と通過しておる、こういう事態に立っても、あくまでこれでもってしらを切ろうというふうなことは、これは絶対に許せないと思うんです。ですから、今日明確にこの点に関して、アメリカ側にもう一度、核兵器が日本の領域を通過する場合には事前協議の対象になっておるということをわれわれは確認するが、いかがであるかということをもう一度アメリカ政府に聞くように私は要求しますがどうですか。
○国務大臣(木村俊夫君) 繰り返して恐縮ですが、確認する考えはございません。
○立木洋君 では、結局、いままであれで明らかになったように、話し合いをしたこともなかった、そしてする必要も認めなかった、文書にはどこにも書かれてない、そういう内容も一切明らかにされてない、こういう状態が明確になったわけです。 そうすると、この通過に関する事前協議ということは、日本側がかってに考えておることである、アメリカ側が確認したというものは一つもないわけですから、かってに考えておるということになる。そうでなければ、いわゆる通過に関しては秘密協定があったということになる。そのいずれかだと思うのですが、どうですか。
○国務大臣(木村俊夫君) 日米間で口頭にせよ、文書にせよ、そういう秘密文書はございません、秘密協定はございません。
○立木洋君 それじゃ、最初の問題に返りまして、先ほど出されましたあの報道、外交委員会の権威筋が述べたという、核を積んだ軍艦が日本に寄港する場合に、事前協議は必要ではない。この問題に関しては、アメリカ側に問いただす、アメリカ側にこの事実を照会してどうなのかということを聞いてほしいと思うのですが、その点はいかがですか。
○国務大臣(木村俊夫君) まあ、ラロックさんのようにはっきりした場合は別ですが、米議会外交筋では問い合わせのしようがないと思います。
○立木洋君 だけれども、天下にこれは公表されたのですよ。そしていま日本の国の中で、ラロック証言以来たいへんな問題になっているのです。日本の国民に責任を負うという立場であるならば、当然聞いて明らかにすべきではないですか。ラロックさんの場合だって、あれは一私人だと言いながら重大性を感じて照会したと言っているのです。そうしたら、この問題だって重大じゃないですか。いま国会の一つの重大な焦点になっている。これは当然聞くべきだ。私が言わなくても、先んじて外務大臣がそういう態度をとるべきだと私は思うのですが、いかがですか。
○国務大臣(木村俊夫君) 外務省としてもいろいろな情報をとることは当然でございますから、非公式に問い合わせてみたいと思います。
○立木洋君 非公式には問い合わせてくれるわけてすね。——その問題に関しては、この外務委員会でその結果について報告していただきたいと思うのですが、どうですか。
○国務大臣(木村俊夫君) どういう返答があるかわかりませんが、これは非公式でございますので……。
○立木洋君 結局、通過に関しては秘密協定があるから、だからこの問題についても公式には聞けない、公式には聞けなくて、公式にこの場では述べられない、そういうふうに解釈していいですか。
○国務大臣(木村俊夫君) そういう解釈にはならぬと思います。したがって、米議会外交筋ということで私は非公式に情報として聞く以外にないと、こういう意味でございます。
○立木洋君 それならば、この問題に関しては、あなた方がいままで核兵器の通過に関しては事前協議があると繰り返し述べてきたわけですから、ですから、こういうふうに述べていることは、これは真実ではないということを明確に否定されますか。もう一度答えていただきたい。
○国務大臣(木村俊夫君) これは一般的な問題として先ほどから申し上げているとおりでございます。御理解願いたいと思います。
○立木洋君 権威筋だからたいしたことないと思われているから公式に聞かないというわけでしょう。そうしたらば、権威筋ならばたいしたことなければ、こんなものたいしたことありません、いままでの立場どおり明確です、こんなことは否定しますといって何ら差しつかえないじゃないですか。一方では権威筋だから聞けませんと言っている。そして一方では権威筋であっても否定できないと言う。日本の政府がいままで繰り返し主張してきたにもかかわらず、それに反する報道が出たにもかかわらず否定できない。この矛盾は一体どういうことなんですか。
○国務大臣(木村俊夫君) もうすでにラロック発言について公式見解を求めて、それをアメリカ政府からもらっておりますので、そう事あるごとに一々問い合わせることは、ちょっと私ども考えられない。
○立木洋君 重要な問題に関して政府が聞くことができないと、きょうの政府の答弁の中ではっきりしたと思うんですよ。この核兵器の通過の問題に関しては、いままで話し合いをしたことがない、また聞く必要も認めなかった、そうして現実にアメリカ側としては事前協議の対象になっていないと、これがもうしばらくすると明確になるかもしれぬですよ、アメリカの政府筋から。そのときはあなたの政治責任というのはたいへんなことになりますよ。日本の国民をいままで欺瞞し続けたという結果になるわけですから。その責任の重大さをいまお感じになって答弁されておるのかどうか、はっきりさしていただきたい。
○国務大臣(木村俊夫君) 私は常に政治的責任をとりたいと思います。
○立木洋君 それじゃ最後に、いままでの多くの事実、質疑の中で明らかにされましたように、いよいよ核持ち込みの疑惑というのがますます重大な状態になってきた。今日までの質疑の中では国民の疑惑は一つも取り除かれていない。それよりも、いわゆる核通過に関しては秘密協定があるのではないか。アメリカ側がこうする、否定する状態まで、公式に権威筋が述べるということにまでなってきておる。こういう結果になってきておるわけですから、これはいわゆる日米安保条約違反、あるいは日本政府がそれをかばってきて、核の通過の問題に関してはアメリカの立場をかばってきた、隠し続けてきたのかどうか。日本のいわゆる自民党の内閣の政治責任にかかわる問題だと私は思うんです。ですからこの日米安保条約の問題とこの核の問題に関しては、今後とも徹底して政府の立場を私たちは追及していく、事態を明確にして、国民にどちらの見解が正しいのかということをはっきりさせる、こういうことを最後に述べて、私の質問を終わります。
○田英夫君 時間がありませんので一つだけ簡単に聞いておきたいと思います。 相次いで重要な問題が出ている中で、この委員会の時間がたいへん短いことを残念に思いますが、九月十二日にハーバード大学のコーエン教授が講演の中で、田中総理、岸元総理、佐藤前総理の名前をあげて韓国との関連で財をなしているという表現で述べているわけですが、これに対して外務省が抗議をされたというふうに報道されておりますが、それはどういう方法で、どういう内容のことをやられたのか、お答えいただきたい。
○説明員(山崎敏夫君) コーエン教授が行ないました発言の中で、田中総理及びその実業界の仲間並びに岸元総理、佐藤前総理等の指導者は韓国で財をなすことに深く関与しているというふうな発言がございまして、これは田中総理はじめ日本の歴代総理の名誉、ひいてはわが国のイメージにもかかわる問題でありまして、また、ほっておけばこういう発言を黙認したと思われかねないので、日本政府としましては、在米大使館の広報担当参事官を通じて日本側の考えを伝える九月三十日付の書簡を発出した次第でございます。その内容はもう新聞等で御存じだと思います。
○田英夫君 外務省が、つまり日本政府が公式にそうした抗議の文書を送られたということになれば、コーエン教授の言っていることはうそである、つまり田中、岸、佐藤という三人の方々について一点の疑惑もない、こういう自信をもってやられたというふうに解釈せざるを得ないのですが、時間がありませんから本日は問題だけを提起して、外務省でお調べをいただきたいということをお願いをして、一つの内容を申し上げたいと思います。 それは岸元総理の名前が浮かんでくる事実があります。あたかもきょう十八日、日本にいる韓国系の人たち、いわゆる民団の中央委員会が開かれておりますけれども、その席上で取り上げられるはずになっている問題であり、すでに昨年の十一月の民団の中央委員会でこの問題が論議をされて、その際に岸元総理の名前が浮かんできている事件があります。これは一部報道されておりますので、すでに御存じかと思いますし、その内容を詳しく申し上げる時間がありませんけれども、簡単に言うと、東京タワーの近辺に民団が土地を所有をしていたのを二十億円で東京タワーに売っております。昨年のことです。そしてかえ地として麻布の二ノ橋の近くに土地を取得して、そこに民団会館をいま建設中でありますけれども、この際に、二十億円の土地ともう一つのほうの新しい土地はせいぜい七億円にしかならない土地にかえている、たいへんふつり合いなかえ地を行なっていることから疑惑が出て、この民団の中央委員会で論議をされた、昨年十一月です。その際に、民団の責任者が、これは岸元総理から駐日韓国大使館に依頼があって、その結果こういうかえ地が行なわれたんだという説明がなされています。この点についてさらに民団の内部でたいへん論議が沸騰いたしまして、本日の民団中央委員会でこの点について報告がなされる、こういうことであります。コーエン教授が言ったことに対して政府が抗議をした。そして一方で日本にいる外国人の組織であるとは言いながら、公式の席で岸元総理の名前が出て、疑惑の一点にされているということになると、政府が公式に抗議をしたことがたいへんおかしな結果になりかねません。私は日本人として田中さん、岸さん、佐藤さんにそういう疑惑がないことを望んでいるわけですけれども、そういうことになれば、こういう事態が起こっている以上、外務省として、あるいは政府として、法務省なりあるいは警察なりというところも含めまして、ぜひこの問題については疑惑を解いていただきたい。そうでなければ、外務省が抗議したことがたいへんおかしくなります。この点をお願いをして、答弁は要りません、それだけ外務省にお願いをしておきます。
○委員長(伊藤五郎君) 本日はこれにて散会いたします。 午後一時三十八分散会