外務委員会 閉会後第2号
- 発言数
- 236 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1974/08/29
会議録
○理事(木内四郎君) ただいまから外務委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 去る十九日増原恵吉君が委員を辞任され、その補欠として玉置和郎君が選任されました。 また、去る二十六日大鷹淑子君が委員を辞任されまして、その補欠として増原恵吉君が選任されました。 —————————————
○理事(木内四郎君) それでは、これから国際情勢等に関する調査を議題といたします。 これより質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
○玉置和郎君 私は外務委員会に出るのは初めてですが、それだけに、専門的知識というのはあまりありません。しかし、現在の日韓関係を見ておりますと、どうしても与党の議員として黙っておるわけにいかないという立場から発言をさしていただきます。 まず、質問に入ります前に、このたびテロの凶弾によって倒れました陸英修夫人に対して心から哀悼の意を表するものであります。 これは、私の友人が韓国人におりますが、その方が私にこう言いました。立場を変えて考えてみたらどうかということなんです、外務大臣。大韓民国の大統領の夫人ということになれば、日本で一体だれなのかということなんです。そういう方がもし在韓の日本人によって、まあピストルで撃たれた、そういうことになったら、一体これは日本の国民としてどういうふうな感じを持つんだろうかということであります。その辺を私の友人もぜひ外務大臣に聞いてもらいたいということでありますので、まず、お伺いいたします。
○国務大臣(木村俊夫君) 玉置さんのおっしゃるように、先般のテロ事件によって陸英修大統領夫人がその犠牲になられたことに対しまして、私どもも深い哀悼の意を表するものでございます。したがいまして、そういう面で、これをわが国にたとえてみればどういう感じを持つか、これはもう私がことさら申し上げるまでもなしに、ただ哀悼の意を表するものでございます。
○玉置和郎君 大臣ね、ぼくは、総理がいわゆる国民葬のときに急遽ソウルに飛ばれました。さすが行動するわが総理だなというふうに感じました。りっぱなことだったと思います。そうして田中・朴会談が行なわれました。われわれは新聞の報ずるところほか知りません。この田中・朴会談というものをどういうふうに受けとめておられるか、その辺からまずお伺いいたします。
○国務大臣(木村俊夫君) これは田中総理の決断でございまして、国際慣例から申しますと、特にある外国の元首の夫人のお葬式に、内閣総理大臣がこれに列席するという先例はございません。しかしながら、田中総理のお考えによりましてこれが実現したわけでございますけれども、これが日韓のいままでのいろんな関係、あるいは最近起こっておりますいろんな事件、そういう事件にどういう一体影響を与えるかということは、これは韓国国民の判断するところでございます。したがいまして、そういう考え方も一部にはございましょうけれども、田中総理としては、御自分の判断に基づいて、とにかく隣国の大統領夫人がそういう奇禍にあわれたことを、みずから出向いて葬儀に参列して弔意を表したいという気持ちから出た訪韓でございます。
○玉置和郎君 いまあなたのお話の中に、韓国民がどういうふうに理解するかというふうな、そういう御発言がありましたですね、それはどういう意味ですか。
○国務大臣(木村俊夫君) 私は、田中総理がその葬儀に参列いたしましたことは、これによって日韓のいろんな関係が改善されるというような気持ちはあまりなかったのではないか、むしろ、もっと純粋な気持ちで、友好国の大統領夫人がああいう奇禍にあわれて、たいへん痛ましい事件が起きたのでございますから、田中総理みずからが、いま申し上げましたように参列いたしまして、親しく弔意を表したいということでございます。しかしながら、それを韓国の国民がどう一体受けとめたかということについては、われわれは、そういう先入観を持たずになされた訪韓でございますので、それについてはわがほうとしては特に触れたくはないという意味で申し上げたのでございますす。
○玉置和郎君 ぼくはおかしいと思いますね、大臣。一国の総理がそういう気持ちで行かれる、純粋な気持ちで行かれるということは、これは当然です。しかし、そのときに、日韓友好というものが日本の国益にどういうふうにあるのか、こういうことを踏んまえて行かない総理大臣なら、これは失格ですよ。当然私は、総理の気持ちの中に、まだ直接は聞いておりませんが、心から純粋な気持ちで弔意を表する、そのことが日韓関係の友好増進になるという、その踏んまえ方があったらばこそ私は行ったと思うのでありまして、いまの外務大臣の答弁は私はふに落ちない。もう一回お答え願います。
○国務大臣(木村俊夫君) 私は玉置さんのいまのおことばとあまり変わりないことを申し上げたつもりでございます。すなわち、田中総理のきわめて純粋な気持ちから大統領夫人の葬儀に参列をされたということを韓国の国民がどう受け取るかということは、これは韓国国民の判断であるということを申し上げたわけでございます。しかしながら、それによって日韓友好に大きな効果があるであろうということは、あまり私はこれを政治的に考えないで、もっぱら田中総理の考えられた純粋な哀悼の意を表する行為であったというふうに考えたいと思います。したがって、それが間接に日韓の友好関係に非常に効果があったということは、これは日本国民も判断するところであろうと思いますけれども、政府自体としてそこまでこの際触れることは私は差し控えたいと、こういうことを申し上げたわけでございます。
○玉置和郎君 大臣、それなら、あなたの言のしりを取って言うようですが、田中総理のソウル行き、いわゆる弔意を表しに行ったそのこと自体は、最近の韓国情勢を考えたときに決して有効でなかったということになるんですか。
○国務大臣(木村俊夫君) 私は有効であったという判断をいたしております。しかしながら、これは政府側の判断でございまして、日韓両国民がこれをどう受け取るか、もちろん日本国民の判断は別といたしまして、韓国国民がこれをどう受け取ったかということは、韓国のマスコミ等にもいろいろそれに反する記事も出ておりますので、これを日本側から、われわれのほうから、韓国国民もこれについて、これを評価すべきであるということを押しつけたくないという気持ちから先ほど申し上げたわけでございます。
○玉置和郎君 それならよくわかります。総理が行かれたということについては、私たちの韓国の友人もやっぱり高く評価しております。私はそれなりに、総理はいいことをしてくれた、こう思っておりますが、それだけのことをやった日本国に対し、韓国民はいまああいうふうな反日デモをなぜ繰り返し繰り返しやっておるのか。その辺の理解は外務大臣としてどのように受けとめておられるのか、お聞かせを願いたいと思います。
○国務大臣(木村俊夫君) まあ、先般の狙撃事件が非常に韓国国民に与えましたインパクトと申しますか、影響はたいへんなものがあったと思います。とにかく元首の夫人がああいう狙撃事件の犠牲になられたという感情的な韓国民の中に起きましたところのものはよく理解できます。まあしかしながら、こういう事件の問題と、また日韓間の友好関係を阻害してはならないという理性的な判断も一方にはございます。そういう意味で、私は、この狙撃事件はきわめて不幸な事件として考えなければなりませんが、ある意味におきましては、これによって日韓関係が今後長期的にいろいろ障害が起きないように、今後、日韓両国政府におきましても、また日韓の両国民におきましても、理性的な態度でもって臨まなければならない、こう考えております。
○玉置和郎君 私は、最近の日本のいろんな報道、それから外務省の当初の見解、こういったものが韓国民を刺激をしておるんじゃないか、いわゆる韓国という問題、南北朝鮮という問題に理解の足りないこの日本の姿というものが今日の反日デモの背景にある、私はこう思っておるんです。 で、その一例として、こういうことについては外務大臣はどう考えますか。私は韓国問題にはいままであまり熱心でなかった。で、韓国には、日韓条約が批准をされたその翌年の四十一年の二月に、われわれの同僚議員である園田清充君を団長として九人行ってまいりました。それ以来行ったことはない。しかし私は、台湾問題、インドネシア問題、これはいささか勉強いたしております。その台湾問題インドネシア問題をやりながら韓国という問題を見てきたのです。そういうときに、韓国の大方の人たちが言われることばの中に、日本は自由主義体制をとっておる国だ、その自由主義体制をとって自由経済のもとに繁栄をした日本というものが、韓国の立場をどのように理解をすべきかということについて、韓国人は私たちにこう言うのです。われわれは国家予算の中の二八%まで軍事費にさいている、そして三十八度線に沿って引かれた軍事分界線に展開をしているわが韓国同胞のこの軍人たちの奮闘ぶり、また韓国内においていろいろなうわさをされ、また指弾もされておりまするが、とにかく韓国というのは反共民主主義の国家なんだ、反共民主主義の国家なんだと、共産主義の脅威というものをひしひし身に感じながらわれわれは建国に向かって前進をしておるのだ、そういう韓国の影響が日本の自由体制を守っていく、こういう立場に大きな影響を落としておる、と韓国人の私の友人が言うのです。それはどうですか。
○国務大臣(木村俊夫君) まあ韓国の側ではそういう考え方一また理解もございましょう。ただ、わが国としては、わが国のまた政治体制、社会的な仕組みもございますので、お互いに対等国としてお互いの立場を理解し合うことは、これはきわめて必要でございますので、何ら感情問題をあまり増幅させることなく両国が理性的につき合っていく、公正な関係を保っていくということが何よりも肝心だろうと思います。
○玉置和郎君 ところが、大臣、この前あなたが佐藤・ニクソン共同声明に対していろいろなことを言われました。ぼくなんか、その辺ちょっと理解が足らぬのじゃないかという気がするのですよ。あれは四十四年だったですね、佐藤・ニクソン共同声明は。韓国の緊張というものは直ちに日本に影響があるということ、これはいまそんなに変わってないのじゃないですか。変わってますか、どうですか。
○国務大臣(木村俊夫君) まあ、韓国の安全は日本にとっても重大な関心事であるということは依然として変わらないと思います。ただ、その当時の現状認識というものは、その当時の環境、またその当時の国際的な現状に基づいた認識の表明でございますので、その後いろいろ国際情勢が変わり、緊張緩和がもたらされた今日における認識とは、またいささか変わるところもあると、こう考えます。
○玉置和郎君 大臣、どこに緊張緩和があるのですか。
○国務大臣(木村俊夫君) まあ、最近南北間でいろいろ対立関係が生じてはおりますけれども、少なくとも基本的には、一昨年の七月四日の南北共同声明、あの声明によって朝鮮半島には対話が行なわれつつあったということの情勢の変化は少なくともあろうかと思います。
○玉置和郎君 大臣、これきょうの毎日新聞ですが、「南北朝鮮赤十字会談」、これの最後のところにこう書いてある。「南北いずれかが自ら対話の門を完全に閉じることはないといえよう。しかし二年前の華やかな対話ムードがよみがえることは、とても予想できない、」と書いてある。われわれの理解しておる限りでは、あなたの言うておるようなムード論じゃない、現実論だ。 そこで、あなたに聞きますが、いま日本における北朝鮮の攻勢、これを韓国の人たちはたいへんにがにがしく思っておる。現実に——あとで出しますよ、いろいろ。それに対して、ああいう声明を出したからといって、現実はあのときよりも大きく前進したでしょうか。今日こういう事態になって、まだ緊張が緩和をされておるというような認識のもとにやられるならば、私たちは責任を負えない、日韓問題に責任が負えない、与党の議員として責任が負えない。あなたの認識の甘さというか、私は大平さんにも申し上げた。大平さんが外務大臣のときに私は予算委員会で、あなたは認識が甘い、そう言ったら、大平さんが、その認識の甘さというのをあんた教えてくれと、こう言う。そういうやりとりがあった。私はそのときちゃんと大平さんに教えました。高島さんも知っておる。その認識の甘さが、日台間の航空路が断絶をした。外務大臣、新聞によったらいかぬですよ、報道によったらいかぬです。少なくとも一国の外務大臣というのは、自分が信ずるところに向かって断固として踏み切るという——あなたがそういうふうにして緊張が緩和をされておると言うならば、われわれは緊張が緩和されていないという事実をあなたに申し上げる。もう一回聞きます。
○国務大臣(木村俊夫君) 先ほど申し上げましたとおり、南北間では一昨年の共同声明以来いろいろトラブルが続いております。そういう意味では確かに緊張が、一時的にもせよ、これが生じておるということは私否定いたしません。まあ、しかしながら、いずれにいたしましても、そういう南北間の現在のトラブルいかんにかかわらず、南北両国両政府が、この南北間の平和的、自主的統一のために今後もひとつ対話を継続していこうという意思は否定しておりません。そういう意味において、一昨年の七月四日以前とは、朝鮮半島における情勢はやや緩和しておる。しかしながら、基本的には私はこの流れというものはずっと続くことだと思いますが、何にせよ南北間のことでございますので、ときにはそういう緊張が生じておることも、これは否定できないところでございます。
○玉置和郎君 ぼくは、緊張緩和ムードというものが世界にあるという、そのことについては、これは対話が進んでおるということは認めます。しかし、われわれは政治家ですよ、現実にどうなっておるかということが大事なんです。現実にどうなっておるか。現実に、これはNHKの解説でも言っておりましたが、そういうふうになっておらないですよ。 そこで、あなたにもう一回お聞きするんですが、中華民国——台湾、韓国、インドネシア、この三国のいわゆる軍人の交流というものは、あなたは認識していますか。
○国務大臣(木村俊夫君) ちょっと、いまの御質問の中の軍人の交流という、ちょっと理解いたしかねます。
○玉置和郎君 これは、日本が北京と国交を開いた。私ら、開くことは何も反対ではないんです、大いに賛成だ。しかし、その後台湾を切り捨てた、その直後に。それ以来、韓国とインドネシア——たとえばインドネシアの某軍人、これは名前を言っていいですが、そういう人たちが来る。そうして現役を退いた退役ではあっても、これはたいへんな力のある人たち、その人たちが日本に来て、韓国に行って、そして必ずといっていいほど、これは台北に寄る。また、韓国の軍人が——これは調べてごらんなさい。しょっちゅう台北に来ていろんな会議をやっておる。台北のほうからもソウルに出向く。国交のないインドネシアとやっぱり軍人の交流をしておる。こういった事態の認識は、当然安全保障を考えて、安全保障戦略のもとに外交戦略があるという基本の立場からするならば、私は、外務大臣としていささか認識不足じゃないか、こういうふうに思うのです。どうですか。
○国務大臣(木村俊夫君) 私が先ほどまでいろいろお話しいたしました点は、一つの国際情勢の中に大きな流れを把握して申し上げておるわけでございます。したがいまして、少なくとも外交をあずかります私どもといたしましては、それに基づいて、もちろんいろいろ長期的な政策を考えておりますが、いま現在の、いわゆる現実についての甘い認識は持っておるつもりではございません。
○玉置和郎君 大臣、これは大事なことなんです。われわれは、共産主義国家が、野党の諸君の言われるように、仮想敵国だなんていってやったじゃないかといって、防衛庁がおしかりを受けておる、そんなことを言っておるのじゃないですよ。これはえてして、一番仲のいい国、いままで力を入れておった国、そういう国と国交断絶になって、そうしてたいへんな事態になるという歴史の事実、これを私たちが憂えておるのです。その引き金を引くものは一体だれか。もちろん政治家である。しかし、韓国も、台湾も、インドネシアも、軍人出身の人がいまそこの元首であり、また、その国を治めておる政治家なんです。その影響下にある軍人が、韓国と台湾、台湾と韓国、台湾とインドネシア、インドネシアと台湾、さらにインドネシアと韓国、こういうふうに動いておる事実というものをなぜ把握できないですか。そこから安全保障があるのじゃないですか。安全保障戦略がなくて何で外交戦略を立てられますか。その辺の認識をもう一回聞かしてください。
○国務大臣(木村俊夫君) もうわが国の外交政策の一番基本的なものは平和外交でございます。したがいまして、わが国の独立と平和を確立いたしまとともに、アジア、極東における、また世界における平和というものを、あらゆる手段をもってこれを実現していくというのがわが国の外交の基本でございます。そういう意味におきまして、私どもは、やはりそういう高い理想のもとに、しかも現実を忘れないという考え方で外交を進めていかなければならぬと思います。 そういう意味におきまして、いま玉置委員が御指摘になりましたような、そういう東南アジアにおける軍人の交流ということについては、もちろんわれわれは把握はしておりますけれども、それとわが国のいま申し上げた外交政策の基本というものとの結びつきは、私どもは別に考える必要はない、こう思います。
○玉置和郎君 それはたいへんな私は答弁だと思うのですよ。日本は、それは現在の憲法でそういう海外に派兵をするとか、そういうことについては禁止をされておる。また、われわれもそれを望むものじゃない。しかし、自分たちの回りにある、しかもいまだんだん、日台間にしても、あるいは日韓間にしても、インドネシアとの問題にしても、状態は決してよくなっていない。そういうときに、この三国がそういうふうな軍事的な交流をしておるという事実について、あなたはそういう認識でやっておられるとしたら、私らはこれはもう驚くばかりですよ。何のためにアタッシェを出しておるのですか。アタッシェは何のために防衛庁から行って一等書記官になっておるのですか、参事官になっておるのですか。高島君、どうなんだ、それは、はっきり聞かしてくれよ。
○説明員(高島益郎君) 日本から海外の在外公館に派遣されております防衛庁の諸君が、先方のそういう関係の人といろいろ意見交換その他をやっていることは当然であります。しかし、それ以外に、いま先生のおっしゃったような、各国の人が相互に往来をしているということと、日本自体の安全の問題という点につきましては、それぞれ大臣が答えたとおりだと考えております。
○玉置和郎君 おかしいですよ、高島さん。あんたらそんな認識で外交やっておられるんだったら、われわれはもう安心して寝ておられやせぬじゃないか。何のためにアタッシェがおるんだ、防衛庁から派遣した。こんなこと、外務大臣、何にも秘密じゃないんですよ、これは。韓国の新聞をとってみて、台湾の新聞をとってみて、インドネシアの新聞をとってみて、この一年間、その三国の高級軍人がどういうふうな形で入ってきて、どういうふうな会議をやって、どういうふうな声明を出しているということ、調べればすぐわかるんです。それすらやってないということはどういうことなんですか。私のところの手元に資料があります。もう一回外務委員会に出てきて、その問題について私はあなたに一こういう日本の周囲にあるたいへんな影響力を持っておるこういう国々が、軍事的にこう動いておるという、その資料すらないという日本の外交というものは、これは一体安全保障というものをどう考えておるのかという疑いを持たざるを得ない。与党の議員として、はなはだ残念です。だから、もう一回この問題については、委員長、申し上げておきますが、私は別の資料を持って外務委員会に出てきて、あなたとまたいろいろ話をして、教えていただくところは教えていただく、私たちの知っておる範囲のことは国民の前に明らかにする、こういうふうにしていきたいと思いますが、だから、この問題はこれでひとつ終わります。 そこで、この外務省の態度と報道機関の姿勢ですが、これについてちょっとお伺いします。 いま一審判決があって、いろいろやっておられますあとのこの早川、太刀川被告、これについて外務大臣、どう考えますか。
○国務大臣(木村俊夫君) 両被告について、二審がいま行なわれております。この判決ができるだけすみやかに出まして、わが国の政府がいままでいろいろ考えておりますように、韓国政府において適切な配慮が行なわれて、この両被告、二人の学生がすみやかに帰国できるような状態になってほしいということを考えております。
○玉置和郎君 私は当然だと思います。わが国の外務大臣として、自国民保護という立場からそういうふうな御答弁があったということは、私たちは非常に喜ぶものであります。 そこで、いま大臣は「両被告」と言われました。ところが——中江君きょう来ておるかな、中江君の答弁の中で、早川氏、太刀川氏と、こう言っておる。日本は韓国に対して主権を尊重せよと、こう言う。大韓民国というのは独立国家なんです。そこに主権が確然として存在しておること、これはもうお互い認めるところです。その韓国が、自国の法律に基づいて太刀川、早川、この二人を被告としたわけです。すでに一審判決が下って、重大犯人です。サンケイ新聞だけが被告という報道のしかたをしておる。他の報道機関、ほとんどさんづけですよ刀外務省の中江君の答弁でも氏だとか、さんだとかつけておる。どうなんですか、これは。主権尊重、互恵平等というのはお互いの主権を尊重するというところから始まるのじゃないですか。それについて大臣の見解をお伺いしたい。
○国務大臣(木村俊夫君) 韓国の国内法によって裁判にかかっている人々でございますが、韓国における法律によって被告の地位にあるということは、これはもう当然だと思います。しかしながら、わが国民の側から申し上げれば、やはり日本国民でございますから、できるだけ被告というような名前をつけたくないという、そういう心情も私は十分察することができるわけであります。
○玉置和郎君 そうしたらね、大臣、聞きますがね。アメリカで犯罪を起こした人、おるのですよ。これは四十九年二月六日朝日の夕刊です。「海外雄飛……果ては短銃強盗 川崎の青年、ハワイから追放」という、これです。これにはやっぱり朝日は、「この工員は、もと川崎市に住んでいた菅野」——これは何というのかな、「薫」、ちょっと印刷がはっきりしない。それからあとの報道も、「菅野の車は」だとか、「菅野は車の窓から」だとか、「帰国した菅野に」と、いわゆる被告人扱いしておるのです。このときの外務省のこういう問題についての答弁があったかないか、私はまだ調べておりませんが、これから調べます。アメリカだったら、こういうふうな「菅野」という呼び捨てにした、いわゆる日本の慣習に従って被告人、被告扱い、そうして韓国だったら、いま日本人がどうのこうのという外務大臣のこの扱い、これはどうですか。どう違いますか、これ。局長でいいですよ。
○説明員(高島益郎君) ただいまのアメリカのケースは、私存じませんけれども、国によって差別をするということじゃなくて、一般的に申しますと、日本の法律によっても犯罪となるような、そういう破廉恥罪を犯した日本人につきましては、通常の常識としてやはりそういう考え方をするのではないかという感じがいたします。したがって、韓国だからどう、あるいはアメリカだからどうということではないように思います。
○玉置和郎君 あなた、おかしなことを言うなあ。韓国に主権があるのでしょう、これは認めるでしょう、高島さん、韓国に主権のあることは。いろはのいの字だ。その主権に基づいて、韓国が韓国の独自の立場で裁判をした、そうして二十年というたいへんな極刑であります。この判決を受けた。被告ですよ。それを日本人の何だかんだとかいうふうなことは、そのことが韓国人に要らざる疑惑を招くのです、要らざる配慮をさすんです。大臣、その辺はすっきりしたほうがいいぜ、お互いこれは。あなたはまあそういうばかげたことを言っておらぬですが、被告ということをきちっと言っておられるが、日本の新聞社のその扱いにしてもおかしい。アメリカなら被告扱い、韓国なら、さん扱い。さん扱いどころじゃない、英雄扱いですよ。素朴な国民はこれに対して非常な疑問を持っておる。頭のいい人たちはいろいろなことを言うでしょうが、素朴な考え方を持っておる日本人、多くの日本人、要らざることをしてくれた、そうして、要らざることをしたために日韓関係が冷えてきた、こう理解をしておるのですが、その理解は間違っていますか、大臣。
○国務大臣(木村俊夫君) どうも政府としてそこまでいろいろ論及することは、これは差し控えたいと思います。
○玉置和郎君 大臣、私が言うこと、間違っていますか、それとも間違ってないですか。それを聞かしてください。間違っておったら教えてください。
○国務大臣(木村俊夫君) 私はもう玉置さんの言われることが間違いであるとかないとかというような判断はいたしたくないと思います。
○玉置和郎君 いや、大臣ね、あなた私の先輩ですよ、与党の大先輩。私も尊敬しておる一人です。だから、いま私の言った、韓国で犯罪を起こして韓国の法律に触れた人を、さん扱いしたりすることは、そしていまのアメリカの例を引いて、アメリカで犯罪を起こした、それは単純犯罪かもわからない。しかし、いずれにしたって法のもとにおいては、これは単純犯罪だとか複雑犯罪だとか、そんな仕分けのしかたがない。これは私は間違ってないと思います。だから、こういう扱いについて外務省が少なくとも——私の見た範囲では、中江君がここで——いつだったかな、衆議院のほうですね、やってますよ。だから、その辺について、間違っておったら間違っておったぐらい言ってください。間違いがないというなら間違いがない、おまえの言うことがあたりまえだと教えてください。これは私、質問というより、この際にあなたに教えていただきたい。
○国務大臣(木村俊夫君) どうもこれはむずかしい御質問なんですが、先ほど私が申し上げましたとおり、外国の法律によっています裁判中、これは当然被告でございましょう。しかしながら、わが国民の一人でございますので心情的にそういう扱いをするのは、これはそういう場合もあり得るかと思いますが、いまそういう御指摘のありましたような、報道その他の面でそういう区別がなされておるということについては、これは私は、報道の自由でございますので、政府側からかれこれ申し上げる問題ではないと思います。
○玉置和郎君 中江君の発言はどうなんですか。あなたの部下ですよ。
○国務大臣(木村俊夫君) おそらくその段階ではまだ審理の途中の問題でございまして、一審判決がない以前の中江君の発言だったと思います。そういう意味において、まだ容疑が明らかでない、判決も下されてない段階で、中江君としましてはそういう考え方で言ったのだろうと思います。
○玉置和郎君 大臣、それならもう一つ突っ込んで聞きますけれども、一審判決がおりた、そういういまの段階です。だから、これからは、それなら外務省としては、政府としては、早川、太刀川両被告に対しては被告という形でもって答弁なりいろいろの話を進めていくことになるんでしょうね。それでないとサンケイの報道と他の報道とは一体どちらが正しいかという国民の判断、迷いますよ、これは。どうなんですか。
○国務大臣(木村俊夫君) 両人は韓国において被告ではございますが、日本においては、日本の国内法には触れておりません。日本的に、日本の側から言えば被告ではない、こう言わざるを得ないと思います。したがいまして、そのあらわし方が非常にむずかしいので、韓国法廷における被告、これが日本の法律に触れていない、日本の法律による違反をしたための被告と、これはなかなか区別がむずかしい問題でございます。したがいまして、そういう場合に、これを被告と言うか、あるいはさんづけをするかということは、そのおのおのそれを使われる向きによって違ってくると思いますが、私ども外務省としましては、その際にはきわめて慎重な言いあらわし方をこれからしたいと思います。たとえば韓国における被告と、韓国法廷における被告というようなことは、これは当然でございます。
○玉置和郎君 もう一つつけ加えますけれどもね、この問題。KCIAの問題は、私たちの韓国の友人で非常に苦々しく思っている人もたくさんあります。しかし、このKCIAというものが日本人をひっくくってくれたと、法律に触れた日本人をひっくくってくれたという、これを高く評価しておるんですよ。その辺の韓国民のこの心情というものを理解しない限り、いまのような答弁では私はまた問題を引き起こすと思いますよ、これは。あなたは政治家ですよ。法律家じゃないんです。政治家としての判断というもの、これを私はあなたに求めたい。これ以上言いません。しかし、韓国民の心情の中に、自分たちがいまわしいなと思っているKCIAが日本の若い二人をひっくくった、それで極刑に処した、快なりかなということで叫んでおるのがたくさんおるんです。日本の国内では、それはけしからぬとか、けしかるとか言う人もたくさん韓国民におります。しかし、さっき私が言いましたように、この日韓問題というのは何でこんなに複雑になるんだろう、何で要らざることまでしてというふうな、こういう気持ちを持つ素朴な日本人があるように、韓国にもそういう多くの人がある。そのことの理解がない限りは、私は日韓関係というものはますます悪くなっていくというふうに思うんです。だから、いまあなたが最後に言いにくいような口ぶりで言われましたが、政治家としてのこの木村俊夫外務大臣、そういう問題についてあなたの下僚に対して、また報道される諸機関に対して、日本の立場というもの、韓国民の心情というもの、そういうものについていささか説明が欠けておる、私はこういうふうに理解して間違いがないと思います。これは答弁を求めません。 そこで、もう一つ聞きます。ライシャワーさんがこう言っています。ロサンゼルス・タイムズ紙の特約を、これまた転載したものだと思いますが、「韓国では政府を批判することは死刑で罰せられる罪となり、十分の理由なく試験や授業をすっぽかした学生にさえ死刑宣告が下される。多くの人々が、このような圧政に抗議しただけで死刑、長期の懲役刑を宣告されている。」——これはどうですか、この事実、どういうふうに認識しておられますか。
○国務大臣(木村俊夫君) いまお読みになった点は、ライシャワー博士がみずからの個人的意見を述べられたものだと思います。したがいまして、それについて政府といたしましてはかれこれ論評することは控えたいと思いますが、ただ、韓国政府を批判しただけで死刑になった、死刑宣告を受けたというような事実は承知しておりません。
○玉置和郎君 そのとおりです。われわれもこの問題について韓国に問い合わせました。死刑に処した者は一人もない。そういう回答でありました。私は、日本がいかに言論の自由だと言ったって、間違ったことを報道されたときには、あなたのところには情報局というのがあるんでしょう。情報局長、きょう来ていますか。来てませんか。誤った認識というものに対して——韓国ではこういう事実がないというあなたの答弁ならば、これを報道したその機関に対して、あなたの報道は間違っていますよ、韓国ではそういう事実はございませんよと、ライシャワーさんにも——あなた友人かどうか知りませんが、そういうことはないんですよというふうな、これをここまでやらなくてもいいが、少なくとも活字になった場所だけには情報局長名をもってして、そういう誤った認識を日本国民に持たさない、そのことが情報局の責任じゃないですか。そのために情報局があるんじゃないですか。どうなんですか。一体何をやっているんだ、情報局というのは。
○国務大臣(木村俊夫君) 何らかの機会に質問がございますれば、それに対する応答もいたしますが、新聞紙上で、しかも転載された記事について政府がこれについて情文局の立場としてかれこれ言うことは、いままで先例もございませんし、これは正確な報道でなされ得るべきだということは、これはもう当然でございますけれども、そういう意味で、政府はこれに対して特に発言することは控えたい、こういう考えでおります。
○玉置和郎君 極端なことを言いますと、いま韓国でこれに反対したと、朴大統領に反対したと、かりに活字に一万人も殺された、まっかなうそだということがわかっている。そういったときにも黙っていますか。どうなんですか。これは極端な例ですよ。
○国務大臣(木村俊夫君) これはまず第一義的には、韓国における報道機関がそれを訂正することと思います。しかしながら、それがある意味で誤って日本の報道面にあらわれた際には、これは日本の報道機関がみずからの責任において訂正される、修正されるということは、私は当然のことだと。それに政府は関知いたしません。
○玉置和郎君 ぼくは木村大臣ね、こういう問題をあなたの言われるような立場でほうっておく、そうすると前段私が言ったように、韓国民というのは、三十八度線に沿って敷かれた軍事分界線でおれたちはこれだけのことをやっておるじゃないか——その評価は私はこれは今日この場所でしません、しませんが、そういう気持ちを大半の人が持っておる。そういうときに、また日本の新聞にこういうことを言ったじゃないかと。それに対して外務省には情報局というちゃんとした機関がありながら、そういう間違った報道に対しても訂正をしない、抗議の示唆さえ与えないという、そういうふうなことについては、われわれはある程度理解できますよ、言論の自由という立場から、これはもう日本のいまの国内情勢から理解できますが、韓国民はなかなか理解がしにくいですよ、これは。そこへまた拍車をかけていく、日本の国内にいろんな組織がある。そういうことが今日の文世光の問題に発展をしたと見るんですよ、私は。だから日本政府、外務省の態度というのは非常に大事です。外務省は一番先に政治的に道義的に責任がないと、こう言われた。そうして、しばらくたったら韓国の情勢を見て、東郷次官が政治的にまた道義的に責任があるというふうなことを言われた。その辺がやっぱりすっきりしない。——それはまあいい。 今度は文世光の問題に入ります。いきなりこう入りますが、文世光と朝総連は関係がないということを、いろんなことを言われておりますが、これについてどの辺まで理解をしておりますですか。これは警察庁でもいい。公安調査庁でもいい。
○説明員(渡邊次郎君) 文世光は従来私どもの調査の対象になっておりませんでしたので、どの程度の関係があるか、私どもではよくわかりません。
○玉置和郎君 警察庁、だれか来ておりますか、警察庁来てないの。大臣、これはどうですか、あなたに聞くのはおかしいですけれどもね。 公安調査庁、それなら万景峰号のことは、あなたはよく知っているの。
○説明員(渡邊次郎君) 概略なら存じております。
○玉置和郎君 これは公安調査庁に聞きますけれども、吉井美喜子さんが万景峰号、あれに行った日と、そのときの状況をちょっと教えてください。
○説明員(渡邊次郎君) その点については、私のほうでは直接調べておりません。目下警察で取り調べ中なので、その結果に待ちたいと思っております。
○説明員(小林俊二君) お答え申し上げます。 万景峰号にこの吉井夫妻が乗船した、訪船したといわれております五月五日の状況でございますが、この日には一般団体七団体、二百三十一名、学生団体九団体、三百六十三名、個人百六十七名が訪船いたしております。以上は業務関係者を除いた数でございます。
○玉置和郎君 吉井美喜子さんと吉井行雄さんが一緒に行っておるんですか、この日は。
○説明員(小林俊二君) 吉井行雄、小林美喜子と二つの名前が記録されておりますので、これは両人が同時に訪船したものと考えるわけでございます。
○玉置和郎君 あなたの、小林美喜子という、吉井美喜子が旧姓を使われたということ、これは私たちの調査でも合っております。 で、われわれのこの調査に間違いがなかったら、ひとつそのとおりだと、あるいは間違っておったら教えていただきたい。万景峰号は四月三十日から五月の五日まで大阪港に停泊しておった。この事実は間違いないですね。
○説明員(小林俊二君) 私どもの記録によりますと、万景峰号は貿易船として四月二十五日に大阪港に入港いたし、五月五日まで停泊いたしております。
○玉置和郎君 この吉井行雄と旧姓の小林美喜子という名前で、御夫妻というか、この二人が乗っていった。そのときに、乗船をした時間ですけれども、乗船名簿に記録された乗船の時間というのはどういうふうになっていますか。
○説明員(小林俊二君) 先ほどの答弁に間違いがございましたので訂正申し上げます。 四月三十日に入港いたしまして、五月五日に出港いたしております。四月二十五日には青森に入港して、以後五月十二日に横浜を出港するまでわが国の領海内にあったということでございます。 ただいまの御質問でございますが、吉井夫妻と見られる人物が訪船いたしております団体、泉大津日朝研究会と記録に残っておりますが、この団体が訪船いたしておりましたのは、記録によれば十五時六分から十八時五十六分まででございます。
○玉置和郎君 そのときに引率していった、この九名の引率者はだれですか。
○説明員(小林俊二君) 記録によれば、団長の記載が不詳でございます。
○玉置和郎君 あなたの言うように五月三日の十五時〇六分、泉大津の日朝研究会会員と称する人たちが九名、その中に吉井行雄さんと吉井美喜子がおった。その引率した人は朝総連の生野西支部の支部長の金栄次さんです。どうですか。
○説明員(小林俊二君) 先ほど触れました九名の中には、金栄次、二十五歳という記録がございます。ただし、団長という指定が記録に残っておりませんので、先ほど申し上げたような答弁になったわけでございます。
○玉置和郎君 万景峰号は、大体そういうふうな朝総連系の引率者というか、そういう指導者というか、リーダー格というか、それがやはり連絡をとっておるのですよ。だからこの場合には、それはもうちゃんと割れておる事実です。だから、われわれが調査した範囲では、この吉井行雄、吉井美喜子の二人を連れていった、それは朝総連の生野西支部の支部長の金栄次さんであるという事実、これはよく調べてごらんなさい。だれもかれも、さっささっさと上がれるものじゃないですよ、あそこには。そういう事実認識はどうなんですか。もう一回聞きます。
○説明員(小林俊二君) 先ほど申し上げました九名の中には、韓国名の人物が二人、残りは日本名となっております。記録によりまして、いずれが団長だったか、また九名のうち、だれが団長だったかという点が残っておりませんので、そのようなお答えを申し上げたわけでございます。なお、さらに調査の必要もあれば、その点について私どもとしては調査をいとうことはございませんが、この点はおそらく警察側において必要に基づいて調査を進めておることと存じます。私どもとしては、その結果についていまだ連絡に接しておりません。
○玉置和郎君 公安調査庁でも警備局長でもいいですけれども、金栄次さんというのは、いま朝総連のどういう立場にあるか、教えていただきたいと思います。
○説明員(渡邊次郎君) 現在のところ聞いておりませんので、わかりかねます。
○玉置和郎君 何を言うとるんだ、おまえさんは。破防法適用団体じゃないか、これは、朝総連というのは。しかも、大阪の一番激しい生野の西支部の支部長なんですよ。それすら知らないということだったら、一体われわれ、だれを信用したらいいのですか。これは、いま問題になっている政治部長のあの人よりも、この金栄次さんが上なんですよ。リーダー格なんですよ。公安調査庁というのはそういうことも知らないのか。いま問題になっておる朝総連の生野西支部の人事、組織、そういう問題に手を触れていないということだったら驚くばかりです、これは。一体何をやっておるんだ、おまえたちは。国会で問題になることはわかっておるじゃないか。いつ返事をくれるの。
○説明員(渡邊次郎君) 現在準備してきておりませんでしたので、即答できかねたのでございますけれども、直ちに問い合わせてみます。
○玉置和郎君 いや、私はあなたを責めるわけじゃないけれどもね、いまこれがポイントですよ。政治部長とこの支部長がポイントですよ。それなのに、これは驚くべきことだな。これじゃ韓国が驚くのはあたりまえだ。日本がたよりないと言うのはあたりまえだ、これは。よきかな自由国家日本だよ。 しかし、これはぼくはあとで聞きますが、警備局長にちょっと聞きますけれども、あの文世光の射撃姿勢というのは、あれはあなた、どういうふうに理解しますか。
○説明員(山本鎮彦君) テレビで写っているものの写真、それは見ました。最後に撃ったときの体勢はくずれておるようですけれども、下を向いて撃っているような姿勢、それからもう一つは遠くからねらって撃っておる姿勢、二つ見ておりますけれども、画面があんまりはっきりしないし、具体的にどうこうということは、私、拳銃のほうの指導の専門家ではありませんので、ちょっとその点判断つきかねます。
○玉置和郎君 きょう、だれか専門家来ていないの。それなら、ぼくの拳銃の知識をもって言いますよ、これはかっての軍隊でぼくは将校やったから言うのですが、拳銃の扱いというのは非常にむずかしいのです。それは普通の小銃だとか軽機関銃だとかというよりも、拳銃の撃ち方はむずかしい。私の理解する範囲では、最初のなにを出すとき、迫っていくときの腕の伸ばし方、これはもう相当やっている証拠です。それからスロービデオで見ましたが、この卓にこれをこう置いて撃つ。四十五度の姿勢でやる。これはきょう専門家の秦野先生おられるから。おかしいのですけれどもね、私の知っている範囲、私たちが訓練を受けてきた範囲では、あれだけの距離で、あれだけの至近弾を撃てるということは、かなりの訓練を要するのです。 これは、ぼくはなぜこれを言うかというのです。これは単に文世光が練習をして、そうしてあれだけのことをやったからどうのこうのと言うのじゃないのです。文世光は初めて韓国へ行ったのです。海外に行ったのは、吉井美喜子と香港に行った。私はおそらく香港では、また韓国では、射撃訓練をするほどの時間的余裕もないし場所もない。にもかかわらず、日本の国内において、実弾を撃ったかどうかわかりませんが、あれだけの拳銃射撃の姿勢をとれるということ、それを教えるものがあるということ、そこに問題がある。私はむしろその国内的な問題を大きく取り上げているのです、これは。そういうことを許す警備当局というもの、ここに私は問題をもっと置きたいと思うのです。どうですか。
○説明員(山本鎮彦君) 文世光が日本で拳銃の訓練をしておったということになれば、これは重大問題でありまして、この事実の解明につとめなければならないところでございますが、いまのところ、文世光がいつどこでそういう訓練をしたかということについては、現在まで何らかの事実関係というものはまだ把握していない状況でございます。
○玉置和郎君 自供があるわね、韓国から送ってきた。それはその信感性をどうするこうするということよりも、少なくともそういうふうな公電で入ってきたか、公文書で入ってきたか、どっちでもいいですが、いわゆる公的な報告書、その自供の中に拳銃の扱いというものがあったやに私は記憶しておりますが、そういうことであれば、当然私は国内治安という問題からこの問題をやはり真剣に取り上げてもらって、そうして再びこういうことのないように、ことに国内においてこういう不測の事態が起こらぬように万全の処置を講じてもらいたい。特にそれをお願いしておきます。 それから大臣にちょっとお伺いします。外務省は、二十二日に東郷次官の記者会見でこういうことを言われております。これまで発表されている事実関係からすれば、狙撃事件の準備が日本で行なわれたことは事実のようであり、これは遺憾であると言明している。これは間違いございませんか。
○国務大臣(木村俊夫君) 間違いございません。
○玉置和郎君 これが間違いがないということであったら、殺人の準備が日本の国内で行なわれたということになりますね。それはどうなんですか。
○国務大臣(木村俊夫君) 結果としては殺人の準備行為になりますが、私どもは、国内法に違反した限りにおいては、やはりそこに旅券法の不正取得あるいは出入国管理令違反という問題がございます。
○玉置和郎君 しかし、私はそのあなたの言われる旅券法違反、出入国管理令違反、拳銃盗難事件に関する窃盗、建造物不法侵入の各容疑、こういうことに国内法をしぼって捜査をやるべきであるという見解、これは警察庁も出しております。あなた方もそういう見解だと聞いております、いままでの答弁で。しかし、事態はそういう問題で私は解決しないと思いますよ。いま東郷次官が、日本で準備をされたということをはっきり言われて、あなたもいまそれを裏づけされた。そういうことであるならば、刑法第二百一条の殺人の予備に関する法律、特に準備されたことがいまの言明で明らかになった限りは、独立的な処罰の対象として解釈すべきじゃないですか。
○国務大臣(木村俊夫君) いまの御質問の内容は、刑法上の問題でございまして、どうも外務省としてお答えするのは適当でないと思います。
○玉置和郎君 これは大臣、きょうは時間があと七分しかないらしいので、私はまたあと結論を言いたいから、これはもう一回、私のほうも、いまだいぶ、これは勉強してきました、国会図書館へ入って、さっきまで一生懸命やっておった。私はこの殺人の準備という刑法第二百一条の適用、それからこれに対するいわゆる従犯の問題、共同正犯の問題、それを殺人の準備の中でどういうふうに取り扱っていくか、法律家の解釈もいろいろ違っております。法律見解というものは分かれております。しかし、われわれは法律的な解釈というものはやっぱり法律家にまかすべきだと思いますが、政治家としてのもう少し高い次元の判断というものが私は当然あってしかるべきだ、こう思います。それは何も犯罪人をこしらえるというのじゃないんですよ。法律は法律でちゃんと処理をして、その処理をされたものに対して政治家としての一つの見解、見識、それがやっぱりあってしかるべきだという私は見解をとるものです。 それだけに、わが国がこうした問題に対して権限の限界という、これは法律用語でありますが、権限の限界を設定して処罰を加えるようであったならば、私はこれはわが国の法秩序を混乱におとしいれはせぬかというふうな危惧を持っております。それほどむずかしい問題です。むずかしい問題ですが、さっき言いましたように、国際慣例に基づいて日本政府の公電が入っておる。捜査の重要資料として十分採用してよいのではないかというふうに私は考えます。それすら権限の限界ということでもって抹殺するようなことがあったならば、私は両国間において不測の事態を起こしかねないという憂慮をしておる一人です。 それは、きのうの報道でありますが、韓国の外務委員会がああいう決定をした。国交断絶を辞さないという、これはたいへんな決意ですよ。政府を拘束するものでない、国家を拘束するものでないといっても、この外務委員会でわれわれがもしああいうことをやったならば、相手の国は一体どう出てくるか。そのことを考えた場合に、私はそう簡単なものじゃない。もし、いまのような権限の限界というようなものをこしらえて、法的解釈だけにたよってそれを処理するということのみに終始をした場合に、これから日本と韓国の間にあって、韓国の政治体制を撹乱をさして、自分たちの政治目的を達成しようという集団に対して、あまりにも日本は優位性を与えるのじゃないかという韓国の心配、これを助長することになる。 そこで、最後にちょっと一節だけ読みます。これは聞いてください。「朝鮮人民の偉大な首領であり六十万在日同胞の慈父である金日成元帥に全在日同胞」何とかかんとか書いてある。それからまた「敬愛する首領の教示を高く掲げ」、またここで「敬愛する首領金日成元帥の卓越した領導の下に」−たくさんあるんですよ。それから「敬愛する首領が打出した祖国統一の」——一ぱいある。それから「敬愛する首領は全朝鮮人民の真の」云々。それから「父なる首領がいる祖国を訪問した」云々。「それだけでなく敬愛する首領は人類最高峰の主体芸術」云々。最後はやっぱり金日成さんで結んでいるんです。これは「在日同胞に送る新年の辞」です。韓議長が「親愛なる同胞のみなさん」で始まった、大体三千九百十六語あるんです。その中で金日成元帥をたたえたことばが二千三百四語ある。そして金日成元帥というのが出てきておるのが三十六カ所にあるんです。こういうのを読んで、朝鮮民主主義人民共和国というのは、これは率直に言って韓国の反共民主主義国家とどのように違いますか。 それはもう答弁するのはいいですよ。むずかしいからね、あなたの立場はむずかしいから。しかし、ぼくは驚いたよ、これ。ヒットラーよりすごいよ、これは。ヒットラーどころじゃないです。そして北朝鮮に行ってきた人は、天国、極楽、万花開いて春の風そよそよとそよぐような言い方をする。まあ田さんを見て言っているわけじゃないんだから……。しかし、ぼくは、おかしいんだ、お互いにね、これは。この辺から一回テーブルをはさんでお互いが話をせにゃいかぬ。 そして、きのうのサンケイ新聞に載っておったですが、気賀さんのあの論文、六千人のこの万景峰号に乗せられていった日本人妻の問題、あなたもずいぶん心配してくれておると言いますが。それから、あれほど日本赤十字社がお願いをしておるのに、日本人妻というものを一人も帰さない。この北朝鮮の姿というもの、こういうことを考えたら、いまの日本というものは、私は結論を急ぎますが、昭和六年に満州事変が始まった。昭和十二年に日支事変が始まった、昭和十六年に日米大戦が始まった、ちょうど——きょうは私、記録は持ってきておりませんが、この次に持ってきます。佐藤内閣の一番最後のときに私は予算委員会でやった。四十日間国会図書館にこもって、昭和六年から昭和十六年、それから敗戦までの日本の言論界の姿、それに迎合していく政治家の姿、私は私なりに真剣に四十日間国会図書館にこもって、小さなマイクロフィルムのあれを拡大してもろうて、そこでストップかけて、それで資料をとってきた。一緒ですよ、いま、大臣。 あのときは右だった。いまは左です。新聞に引っぱられて、迎合して、あのときに新聞社の、後に戦後大新聞の社長になった人がこう言っている。日独伊三国同盟は世界の歴史的必然性であると、こう言っている。歴史的必然性であったでしょうか。それからまた、新聞社の名前は言いませんが、ローマ特電で「本日ム首相獅子吼す」、そのサブタイトルのところに、「対英戦争完勝近し」と書いてある。対英戦争で完勝したですか。イタリーはもろくも破れたじゃないですか。それをあおるがごとく論説で、また、そのときのおそらく右のほうの指導者でありましょうか、文化人その他が一生懸命に太鼓をたたいておる。そして日本がだんだん、だんだんと奈落の底に落ち込んでいく。この歴史的事実というものを私はやっぱり峻厳な態度でいま受けとめたい。そして日本の国が再びあやまちをおかさぬように、そのためにぼくは台湾を中心にした韓国の問題、インドネシアの問題を言ったのです。アメリカとの関係がだんだん、だんだん冷えていくと、色あせていくと、日本がふしぎに大陸の権力主義国家、全体主義国家に傾斜していくんですよ。この歴史の事実を忘れてはいかぬですよ。 そしてアメリカという国は、これはたいへんな国です。自国の利益のためにはいろんなことをやる。日本の最近の、いわゆる大陸の権力主義、全体主義国家に傾斜していく姿というものに対して、決して快くは思っていない。これは私の友人の石原慎太郎君だとか、中尾君だとか、いわゆる青嵐会だといわれまするが、英語のうまい近藤君だとか、こういう連中の席上に私は連れていってもらって、アメリカの政治家が一体何を考えているかということを聞きましたときに、私たちの見解は間違ってないということをしみじみと知ったんです。 あらゆる国と仲よくする、それはけっこうなことですよ。しかし、日本の国があらゆる国と一ぺんに仲よくできるはずがないんです、これは。第一義的に仲よくする国はどこか。その第一義の中で最も仲よくするのはどこか。そうして、ここでものを言わなかったらいかぬといったときには断固としてものを言うという、マスコミにたたかれようが、どうしようが、断固としてものを言うという、それがあなたのお師匠さんであった佐藤榮作先生でもあった。大平さんからあなたにかわった。私たちは大いに期待をしている。大平外交のことについてはとやかく言いませんが、新進気鋭の、しかも非常に幅広い考え方を持っておる、佐藤総理のもとで勉強されたあなたに対して、非常な期待を持っておる。どうか大臣、日韓関係というものは日本の安全保障にとってたいへんなものであるということ、韓国条項というものはいまも生きておる。特にこういう問題が起きて、日本国内においてもろもろの反省が起きてきたときには、私はやっぱりその原点に立って、もう一回世界の情勢というものをしっかり考え直してみる必要がある。こう思いますので、私のいままでの言い足らなかったことは、次の外務委員会に出していただきましてまた申し上げますが、ちょうど時間が来ましたので終わります。 ありがとうございます。
○理事(木内四郎君) 公安調査庁の渡邊次長から、先ほど言い足りなかったこと、答え足らなかったことを補足されるそうです。
○説明員(渡邊次郎君) 先ほど御質問の金栄次は、お話しのとおり総連生野西支部委員長でございます。
○玉置和郎君 そうでしょう。だから、これではっきりしたんですよ。吉井行雄さんと吉井美喜子さんとの関係がないということはなんいです。あったんです。
○理事(木内四郎君) 終わりましたか。
○玉置和郎君 はい、いいです。
○戸叶武君 私は、木村外務大臣に、日韓関係の外交上における現在の不明朗さを打開することについて質問をいたします。 木村外相は、清潔なお方で、フリーハンドで、むずかしい日韓関係打開のためにこれから取り組むのですから、その態度は非常に慎重だと思いますが、率直な回答を期待いたします。 私は、質問に入る前に、まず朴大統領狙撃事件の犠牲として陸英修大統領夫人がなくなられたことに対しては、つつしんで哀悼の意を表します。 木村外相は、大臣に就任した直後、雑誌エコノミストの記者との対談で、韓国の日本に対しての甘さに問題がある点を指摘しておりますが、その甘さの内容というものは、具体的に何を意味するものか承りたいのであります。
○国務大臣(木村俊夫君) 私がエコノミストという雑誌でインタビューしました記事についてのお尋ねでございますが、私は、文脈上、もう少し詳しく申し上げないと私の真意は通らないと思います。まあ日本と韓国の間柄、これを私どもの日常の生活体験に比べますと、やはり仲よくしなければならぬお隣同士の間柄のようなものである、したがって、かきね一つを隔ててお互いに内情もよくわかるし、日常の関係もいろいろかかわり合いがある、そういうお隣同士では一番おつき合いがかえってむずかしい点があるということは、お互いに内情を知り合って、無理も言いたい、あるいは甘えもあるであろうと、こういうような中でいまお触れになった点が出たのでございます。したがいまして、率直に申し上げれば、たとえば金大中事件のごときは、これはわが国の主権侵犯の疑いありとしていろいろ日韓関係で問題になった事件でございます。こういう事件も、ある意味においては、韓国側のその行為をなした人間が、これはいま金東雲元書記官ということになっております。それについての、また韓国側の証拠を得られないために、それについての捜査の中止ということも出てまいりましたけれども、少なくとも、わが警察当局が、捜査当局がなし得ました段階においては、金東雲元書記官のこれは行為であるということにわれわれは確信を持っております。 そういう一例をもちましても、いまは元書記官でございますが、そういうようなポストにおります人々がこういうような主権侵犯の疑いをかけられるような事件を引き起こすこと自体が、私どもは一つの甘えの結果であるというようなことで、実はエコノミストで私がインタビューのときにしゃべったのでございます。
○戸叶武君 次に、木村外相は、八月一日の当委員会において、韓国には韓国的民主主義というものがございますという形で、韓国の現在の政治体制を説明しております。韓国政府の要人は、韓国的民主主義という表現で自国の政治体制を説明しているのが事実でありますが、韓国の現実に置かれている国際的な立場、あるいは国家体制というものをわれわれは客観的に見る必要はあるのでありますが、しかしながら、一般的な常識として、全体主義的な軍事国家であります。ファッショ的全体主義国家であります。これが北からの脅威をささえるためにはやむなき体制であると韓国の指導者はおそらくは力説しておるでありましょう。しかし、この韓国的民主主義というものは、はたしてアジアの安全のために、また韓国の将来のために、また隣合わせの日本のために、はたしてこれでよいかどうか。この問題に対しては、われわれもやっぱり無関心たり得ないと思うのでありますが、外務大臣はどのように韓国的民主主義を受けとめておりますか、それを承りたいと思います。
○国務大臣(木村俊夫君) 一般的に申し上げまして、私ども政府の立場から他国の政治体制についての論評は差し控えたいと思います。ただ、私が韓国なりの民主主義と申し上げましたのは、これは論評ではございません。客観的に申しまして、韓国は一つの大統領制に基づく共和国でございますし、また議会は依然として機能しております。また、いろいろ韓国における幾つかの統制措置がございましたが、すでに八月二十三日には大統領緊急措置第一号と第四号が解除されております等、韓国は韓国なりの事情をかかえておりまして、それに基づく韓国に適応した政治体制をとっておるということから申しますと、それについて、われわれ政府側でこれについての論評は慎まなければならないと思います。
○戸叶武君 他国の政治体制に対して差し出がましいことは控えなければならない、その見解は正しいと思います。しかしながら、日本と韓国とが隣り合わせにあって、ざっくばらんにものをも話し合って、将来に繁栄をともにしようという熱意があるならば、やはり間違っている点は忠告するぐらいの見識がなければ、一国の主体性というものは確立しないのであります。 第三の質問として、木村外務大臣が八月十九日の参議院決算委員会で、朝鮮半島全体の平和と安定がわが国の安全にとって緊要だということを述べておりますが、その意味するものを承りたいのであります。木村外相は、現在日本が南北朝鮮の抗争の舞台となっている事実を知っていると思います。今度の事件もその一つでありますが、朝鮮半島全体の平和と安定なしにはわが国の安全はあり得ないという見解を現在堅持しておるのですか、その点をあらためて承りたいと思います。 〔理事木内四郎君退席、理事田英夫君着席〕
○国務大臣(木村俊夫君) 韓国の安全、これは同時にアジア、極東の平和と安定にも非常に大きなかかわり合いを持つことは、いまの非常に複雑化いたしましたかかわり合いの多い国際環境では、これは当然でございます。そういう意味において、韓国の安全もわが国にとっては非常に大きな関心事であるということは依然として当然でございますが、しかしながら、一昨年の南北朝鮮の対話開始以来、いろいろじぐざぐのコースはとっております。先ほど玉置委員が触れられましたように、いま南北間には、対話どころか、非常に大きな対立的な感情も出ておることも、これは現実でございます。しかしながら、そういう現実にもかかわらず、私どもといたしましては、わが国の安全上からも、またアジア、極東の平和と安全のためにも、朝鮮半島において、南北朝鮮が依然として対話を継続いたしまして、近い将来——なかなか現実はたいへん困難だと思いますが——南北朝鮮が、平和裏に自主的な統一を実現するということが、わが国のみならず、アジア、極東の平和のためにきわめて緊要であるというような認識を述べたわけでございます。 〔理事田英夫君退席、理事原文兵衛君着席〕
○戸叶武君 外交には長期的な見通しと、当面の対処というものが必要だと思います。やはり長期的な見通しの上に立つならば、南北朝鮮の統一と朝鮮のイデオロギーを乗り越えて、朝鮮民族全体の平和共存体制が確立することがだれでも望ましいと思うのです。ところが、現実においてはなかなかそうなっていないというのが、先ほどの玉置君の見解、しかし、それを乗り越えて、なおかつ、この長期的な見通しに対して、どういうふうに過程を過程づけていくかというのが現実の政治のプロセスだと思います。朝鮮事変以後における朝鮮の置かれている立場というものは、これを助けたアメリカ、あるいはそれに協力した日本の政府指導者の期待というものは、共産主義の北からの脅威を防ぐための防波堤たらしめようという考え方だったと思います。その考え方がいつの間にか韓国には定着してしまったのであります。共産主義に反対するところの軍事的な防波堤、また、アメリカなり日本なりが、安保条約その他の中においても隠顕するような、極東の平和のために台湾なり朝鮮なりを、自分たちに都合のいいような形において位置づけようという考え方が潜在しておったのが事実で、それが韓国なり、台湾問題を取り扱う人にも、過去の幻想から脱却できないで、一つの新しい時代の幻影も生んでいると思います。しかし、ここで私は、その問題に入る前に、やはり具体的な問題として次の質問に入るのでありますが、とりあえず、そこで、朝鮮半島全体の平和と安定なしにはわが国の安全はあり得ないという木村外相の御見解は、どこまでの信念に基づいているか、承りたいと思います。
○国務大臣(木村俊夫君) これは私自身の信念ではなく、わが国の政府の考え方でございます。どこまでかという限界は別にございません。
○戸叶武君 それでは、具体的事例をあげて、外のほうから質問を展開します。 〔理事原文兵衛君退席、理事木内四郎君着席〕 警視庁は、金大中氏拉致事件にかかわり合いがあると認められる金東雲駐日韓国大使館一等書記官に関する捜査の結果について、クロとの確認を堅持しております。これに対して韓国政府は、金大中特殊逮捕監禁事件の容疑者である書記官金東雲氏をシロと判定して、一方的独断の捜査打ち切りの通告をいたしました。外務大臣は、わが国の主権は侵されない、日本側における警察当局の見解は正しいと確信すると先ほども発言いたしましたが、国民一般からは、国の主権侵犯に対して警視庁、警察庁が断固たる決意を示しているのに対して、外務省は、韓国に甘えるのかどうかわからないが、田中首相も含めて、けじめをつけずに媚態を示しているのではないかという不信感が国民の間に流れているのであります。韓国ロビーの人たちの見解と、国民全体の受け取り方とはだいぶ違うと思いますが、その点を警察庁当局並びに外務大臣から承りたいと思います。
○説明員(山本鎮彦君) 金大中事件の関係者としての金東雲一等書記官のその事件に関与した疑いがきわめて濃いという捜査結果、これについてはわれわれとしては自信を持っております。したがいまして、今回これについて韓国政府が金東雲元一等書記官はシロであるというような通報があったということについては、われわれとしてはきわめて不満であり、この結果に納得できない。しかし、われわれとしては、困難の条件ではありますが、さらにこの件の捜査は引き続いてやっていきますし、これまで韓国政府に外交ルートを通じて依頼したいろいろな点についても、引き続きこれを要求していくと、こういう姿勢でございます。
○国務大臣(木村俊夫君) いまお答えしました捜査当局の見解に基づきまして、外務省といたしましても、この金東雲元書記官の捜査結果の通告に対しまして不満でございます。したがいまして、私どもは、今後さらにもつと詳しい説明を求めるよう、最近の機会に申し出たいと思っております。
○戸叶武君 このクロシロ論の経緯でありますが、昨年九月五日、日本側では金東雲氏に出頭を要請したが、韓国側はアリバイを主張して否定しました。その後、十一月二日に田中・金鍾泌首相の会談では、日本側の報告を聞いて金鍾泌首相はその容疑を認め、本人を解任し、なお捜査をすると約束したのであります。それが急転してクロをシロというような通告を韓国側から出さざるを得なかったのには、立ち入ることはできませんが、韓国の不明朗な私は政情がそれを決定したと思うであります。他国のことに干渉はできないけれども、このような両国の首相が話し合ったことですらもほごにされ、クロをシロとし、日本の主権をじゅうりんしても何ら反省することのない態度に対しては、日本の政府が甘くなめられたとしか私は見られないのです。韓国側が甘えるという前に、日本政府の甘ったれたこのゆるふんの体制を打破しなければ、他国との外交展開におけるみずからの主体性の確立はないと思いますが、木村さんはどうお考えですか。
○国務大臣(木村俊夫君) 昨年の十一月の田中総理と金鍾泌国務総理との了解事項、これに基づいてフォローアップすべき事項がございます。その一つが、いま御指摘の金東雲元書記官の捜査の継続の問題でございます。これが最近におきまして、韓国側から、捜査を中止するという通告があったのに対しまして、先ほど警察当局から申し上げましたような、これについては納得できないから、もっと詳しい捜査データがほしいという申し出をいたしております。そういう意味で、私どもは、まだこの主権侵犯の問題もさることながら、疑いのあることはさることながら、まずこのフォローアップすべき事項の一つである金東雲元書記官の捜査について、もっとわれわれが納得できる説明がほしいということを要求するという立場で現在おるわけでございます。
○戸叶武君 これと対照的な問題がけさの各新聞で報道されております。朴大統領狙撃事件に関連して、大阪地検と大阪地裁の見解の対立であります。大阪地検では、吉井美喜子が射殺犯人文世光の渡韓目的を知っているかどうか、これが重要なポイントだと主張し、二十八日にさらに十日間の拘置延長を大阪地裁に請求した。これに対して大阪地裁は、現段階で美喜子の身柄拘置を続行しても成果は期待できないと、検察側の主張を退け、準抗告も棄却した。この事件でありますが、大阪地検は、拘置期限の切れる直前に、急遽異例の深夜起訴に踏み切ったということでありますが、地検と地裁でこのような見解の相違がすでに露呈しております。これは国民全体がやはり非常に考えさせられる問題の提示だと思います。私は、先ほどからの木村さんと玉置さんの質問応答を聞いていながら深く考えさせられた点があります。日本と朝鮮とは、記録された歴史の中においても千三百年以上の交流があります。民族の血も文化も流れ込んでおります。しかしながら、われわれが明治以降における日韓関係の悲劇的な事件として回想できるのは、日本の明治維新に学んで韓国の腐敗政治を立て直さなければならないと立ち上がった金玉均が、日本に亡命して、たしか明治二十七年ですか、上海におびき出されて、金大中氏のような形において、より悲惨に、閔妃一派の暗殺者によって殺されておるのであります。日本の志士は、韓国の近代国家への歩みを促進させようと思って金玉均をかばったのでありますが、金玉均は、祖国に対する熱情から、命がけでやはりその誘惑と半分知りながらも、上海におびき出されて殺されたのであります。金大中氏は、殺されかかったときに、どこかの飛行機が暗号でも送ったのかどうかわかりませんが、殺すと国際世論を刺激するというような形かどうか、世界の世論にささえられて今日命を全うしておるのであります。金玉均の八十年前の回想と今日の金大中氏の置かれている位置というものは、決して私は別なものではないと思うのであります。また、韓国に対しては、日露戦争以後、日本はあの国を賭しての戦争において、韓国の志士が、日本軍隊に協力することによって独立を完徹できるという悲願を抱いて犠牲を払いました。それが時の官僚、軍閥の指導者、伊藤博文や山県有朋にゆがめられて、結局は日韓合併への道を歩んだのであります。このときの安重根氏の置かれている立場は、私の父の友人でもありましたが、まじめなクリスチャンの教育者でありました。しかし、民族の悲願を踏みにじって朝鮮民族の独立を保障するのでなく、日韓合併への、帝国主義政策によって朝鮮民族の真心が踏みにじられたことに対して、かれはテロリストの鬼と化したのであります。彼は、朝鮮から脱出してウラジオストックに行く前に、血書の文を、当時大韓日報の社長をしておった私の父戸叶薫雄にも送っております。二年以内に日本の日韓合併の巨頭を倒すことができなければ自分は自殺して死ぬ、まさに鬼となったのであります。ウラジオストックからハルピンに出て、ついに一年でその目的は達したのであります。この安重根の悲願というものを見るならば、朝鮮民族の中には、あるいは右、あるいは左といいながらも、祖国のために命を捨てた人として、平壌と京城に安重根の銅像が建てられております。女の文士曽野綾子さんが、テロリアトの銅像を京城に建ててあるのは不愉快だったという印象記を書いておりますが、日本民族としてはそうであるかもしれませんが、長い間圧政を受けたところの韓国におけるまじめなクリスチャンが、教育者が、鬼となって伊藤博文を射殺して倒れていかなければならない心情というものをくみ取るだけのゆとりがなければ、今後の日韓関係の調整は困難です。私は、六年間、国会図書館にたてこもって日本の近代史を研究しているときに、佐藤内閣の末期でしょうか、前の参議院議長、両方とも長州か防州の出です。伊藤博文の銅像を道の向こうから国会の中へ運んできたんですが、戦争に破れて、天皇も国民も声をあげて泣きながら、再び戦争はしまい、平和共存の世界のモデルになるんだという決意をした日本国民が、なぜ自民党が憲法改正を党議できめたからと言って、現行憲法を変えるために、明治憲法へ復帰しようという手段のために、ドイツのカイザーにだまされて、ビスマルクにそそのかされて、欽定憲法の名のもとに統帥権を侵犯することができないような軍部官僚に都合のよい帝国主義憲法をつくり上げたその本尊の伊藤博文を、なぜ国会に引っぱり込んでもぐり込ませたか。そのたたりが佐藤内閣のみじめな敗退であり、前の参議院議長のみじめな敗退であります。象徴です。(「たいしたことじゃない」と呼ぶ者あり)いや、重大なことです。これは重大なことだ。君と立場が違う。(「河野議長のときですよ」と呼ぶ者あり)河野議長じゃない、前の議長。君は知らないのだ、ものを。ここでああのこうのと言う必要はない、私は質問中だから。 私は、玉置君の出身は御坊だということを知っている。御坊には、私の哲学の先生で田渕豊吉という偉い人がある。あなたはそれをせんじて飲みなさいよ。田渕豊吉は奇人だ、気違いだと言われながらも、若き日に田中正造に会って、そうしてあの晩年の風貌もそうですが、何が正しいか、真実を求めて彼は孤立無縁でも国会で戦った。いまの青嵐会の人もりっぱな人が、玉置君のようにあるようですが、あるいは台湾に、あるいは朝鮮に、いろんなよその国を憂えていることはけっこうですが、その前に、みずからの主体性を確立することによってやはり他国との融和というものを求めないと相手にばかにされます。私はそう思う。あのロシアの皇太子が、大津事件を起こしたときの裁判官の態度を見てごらんなさい。帝政ロシアの全盛期においてすら、一裁判官が敢然として日本の国の主権を守って私は善処したと思うのであります。私は、警察庁というのはあまり好きじゃなかったんですが、このごろの警察庁はやはりその点のけじめはき然として、だいぶどうかつされても微動だにしないところは見上げたものでありますが、外務大臣の置かれている地位はきわめて重要です。田中さんが朝鮮に飛び込んでいったときにも、個人の、あの人は思いつきが多いからですが、決意で行ったんでしょうが、あなたは先ほどたいへん表現のじょうずな弁解をやっておりましたが、事外交に関しては、慣例というものがきわめて重視されるのであります。慣例によって動きがとれないようなことは慎むべきでありますが、先ほど玉置君が言ったように、あの行為によって逆に韓国のファシストを増長させ、一切を日本の罪に転嫁するような今日の暴発が起きているのは——玉置君より私は年は上だ、七十年の生涯、日本の歴史を見詰めてきた。あの昭和五年に軍縮の方向づけをした濱口首相が東京駅頭でピストルでやられ、昭和七年に井上準之助は二月九日に射殺され、続いて團琢磨が射殺され、次に犬養毅が首相官邸で射殺された、一連のファシズムの台頭期における不気味な形相が、いま日本にないと思えるかどうか。全体主義における、いわゆる共産主義国家に対する脅威を説く人もある。右と左からの危機が今日議会政治の、民主政治の根底をゆさぶろうとしている。このときに、右せず左せず、まっすぐな道を歩むのが日本外交の進路だと思うので、私は、それで田中さんも反省して木村さんを起用したんだと思うが、よごれた外務大臣ではだめだ、年じゅう回りからおどかされてびくびくするから、少し白いのをというんで、あなたをしたんだと思いますから、木村外務大臣、これはきわめて重要なことです。日本はいま十字路の中に立っておるのです。韓国問題に対してき然たる態度を示さなければ、今後における日本外交というのは信用されないと思いますが、あなたはどう思いますか。
○国務大臣(木村俊夫君) いろいろ御見解を承りましたが、日韓関係の友好ということは、これはやはり日本外交の基本でございます。したがいまして、国益を踏まえながら日韓関係を改善してまいるということは、私どもも外交の担当者としては心がけなければならぬと思いますが、私どもは、こういう非常に国際化された、また複雑化された国際環境でございますので、ただそういう二国間の問題だけにとどまらず、もっと広い国際的な情勢の中で、国際的な調整の中で、お互いの国の安全を守っていくという立場がこれからわれわれがとるべき態度ではなかろうかと思います。そういう意味におきまして、私どもは、もっと広く世界を見まして、そういうスケールの中で国際的な判断を行ないながらわが国の国益を守っていきたいと、こういう考えでございます。
○戸叶武君 時間がきましたようですから、簡単に結論を急ぎます。 いまの外務大臣の答弁で、抽象的でありますが、満足します。いま韓国問題に対して、韓国だけに責任を持たせるのでなく、私は日本とアメリカが重大な責任を持たなくちゃいけないと思います。それと同時に、北からの脅威を説く人たちのために、ソ連とも中国とも平和共存体制確立のためには、積極的な調整が必要だと思います。あの反共のガリガリ亡者と言われたニクソンですらも、東西貿易の拡大なしにはアメリカの進路はないという見解で、中国とソ連との調整もやりました。これが一個の世界的スケールだと思います。グローバルな時代に、井の中のカワズがギャーギャー騒ぐようなことをやっておっては、日本の進路は決定づけられないと思います。米国ではあれほど権力の鬼であったニクソンが、家族のものだけが支持して、ニクソンさんと奥さんとは声をあげて泣きながら大統領の地位を去っていきました。世紀の悲劇です。米国のフォード新大統領は右のほうの人と言われていますが、単純な単細胞的な右ではアメリカの政治は世界に対処できないという見解のもとに、キッシンジャー国務長官の進言をいれて、ハビブ駐韓大使を国務次官補に昇進させると同時に、国務省のベテラン、スナイダー国務次官補代理を駐韓大使に任命しました。これはアメリカの新しい外交政策の転換を韓国から試みようとする布石と見てもよいのではないかと思うのであります。 九月の二十一日には田中さんがアメリカに行って、二十二日には大統領とお会いするそうです。十月には国連総会において南北の朝鮮の国連同時加盟の問題も論議されるでしょう。十月にはまたここで列国議会同盟会議の会合も持たれるのです。もう韓国問題を韓国問題としてだけ取り扱えなくなってしまったんです。世間周知の事実であります。韓国だけの情報で議論をやっていてはだめだし、日本だけの情報で議論をやっていてはだめだ。世界的な視野のもとに高い見識でこの問題を処理しなければならないところへきていると思います。そういう意味において、日韓貿易会議の無期延期というようなことがありましたが、韓国政府からいまの空気ではできないというので通告ありましたが、日韓閣僚会議も年内開催は困難と思いますが、それに対する外務大臣の御見解はどういう御見解ですか。
○国務大臣(木村俊夫君) まあ、政府といたしましては、こういう金大中事件、あるいは二人の学生事件と、この日韓の定期閣僚会議とは関連させない方針でございます。が、しかしながら、定期閣僚会議といえども、やはり国民の友好的な雰囲気の中で行なわれなければならぬということから申しまして、現在のところ定期閣僚会議を年内に行なうような具体的なスケジュールの検討をやっておりません。むしろ、そういう定期閣僚会議の日程等を考えますよりも、そういう定期閣僚会議を可能ならしめるような日韓間の友好的雰囲気——雰囲気の改善のほうが先決であるというような考え方で現在おるわけでございます。
○戸叶武君 最後に、木村外務大臣は明三十日の午後、外務省において中国の陳楚駐日大使と会談する予定とのことですが、日中航空協定に基づく航空技術取りきめが調印された直後のことなんで、姫鵬飛外相の訪日問題や、日中間での最大の懸案であるところの日中平和条約の締結交渉の進め方等についても話し合いをすると思いますが、いかがなものですか。
○国務大臣(木村俊夫君) 明日、中国の陳楚大使とお目にかかることになっておりますが、これは、過般私が就任と同時に各国大使を接見いたしました際に、たまたま陳楚大使が本国へ帰国中でございまして、その機会がなかったのでぜひ会いたいと、こういうような申し入れがありました。それに基づきまして、明日約三十分の時間でお目にかかることになっております。したがいまして、あまりそう、いま御指摘のような内容にわたる会談にはなるまいと思いますが、やはりお目にかかれば当然そういう問題に触れることは私どもも予想しております。
○田英夫君 私も引き続き韓国問題、朝鮮問題についてお伺いしたいと思います。 最初に、昨日の韓国の国会の外務委員会でたいへん激しい決議が行なわれていることは、私も報道で知ったのでありますが、大臣も御存じのとおりだと思います。すでに伝えられている内容によると、日本政府に対して政治的、道義的責任を迫るということ、さらに在日——いわゆる朝鮮総連の金浩竜政治部長、大阪の政治部長、吉井夫妻、こうした人に対する捜査を積極的にやるように、まあそうした内容、さらには日本の報道機関の姿勢にまで触れております。この決議に対する大臣の御見解を承っておきたいと思います。
○国務大臣(木村俊夫君) まあこれは私も報道で承知はしておりますけれども、韓国の議会内で行なわれたことでもございますので、これについての政府としての論評は差し控えたいと思います。
○田英夫君 大臣のお立場から、そういう御答弁を予想したんですけれども、日本の一般の国民の皆さんは、この報道をそのままソウル電として読んだ場合に、先ほどの玉置さんの御心配とは私は別の角度からたいへん心配をせざるを得ないと思います。 私は、いま朝鮮半島には実は政治的に三つの勢力があるというふうに感じています。それは私自身の体験の中から感じます。一つは、言うまでもなく朝鮮民主主義人民共和国であり、もう一つは朴政権であります。もう一つ南朝鮮、韓国の中に、この朴政権に反対をする大きな政治勢力がある。これは、日本の在日韓国人の皆さんの中にもある。このことをしばしば忘れて、韓国問題、韓国の国内問題を見てしまっているきらいがあるのではないか。今度新民党総裁になりました金泳三氏にも会ったことがありますけれども、今度就任早々金泳三氏は、金大中氏の再来日を含めて韓国の民主化について非常に積極的な姿勢を示しております。そうして、これを支持している韓国の人たちの数は、日本で考えられているよりもはるかに多いということを冷静に知る必要があると思います。そういうことを踏んまえた上で対韓外交というものを進めないと、たいへんなことになる。いま政権を握っているのが朴政権であるからといって、それだけに目を向けているわけにいかないということを、いまさら私が大臣に申し上げる必要もないかと思いますが、非常に重要なことだと思っています。 そういうことを踏んまえた上で伺いますが、八月一日のこの外務委員会で、私の質問に対して大臣は、「私ども政府といたしましては、基本的に申し上げますと、南北の平和的、自主的統一、これが一番望ましい朝鮮問題の解決であると、こう考えます。」と答えておられますが、もちろんこのお考えに現在も変わりはないと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(木村俊夫君) そういう考えに変わりはございません。
○田英夫君 さらに、先ほど戸叶委員も触れられましたが、その後の参議院決算委員会で、一九六九年の佐藤・ニクソン共同声明を現状に発展をさせて、「韓国の安全は」というのを「朝鮮半島の安全は」というふうに拡大をして考えたいという答弁をされておりますけれども、これもあらためて確認をする必要がありませんから、私もそのとおり受け取った上で御質問をいたしますが、自主的な平和統一が望ましいと、こういうことになりますと、自主的ということは、言うまでもなく、南北朝鮮の独自の、その民族の立場からということになると思いますが、その場合に、現在南朝鮮、韓国に駐留をしているアメリカ軍、国連軍の旗を立てたアメリカ軍の存在は、自主的ということにそむくことになると思いますが、いかがですか。
○国務大臣(木村俊夫君) 南北朝鮮の自主的統一かつ平和的統一ということは、これはもう朝鮮民族の悲願であると思います。これを南北共同声明の第一項にありますように、外勢によって、外からの力によって実現するのでなしに、自主的にそれを実現したい、これもまた当然朝鮮民族の悲願であろうと思います。したがいまして、私どもといたしましては、単に日本のみならず、アジア、極東に関係のあるもろもろの国がそれについてそれの立場、内政干渉にわたらざるように配慮をしながら国際的調整の場でそういうことをお助けするということが一番私は肝心な面ではなかろうかと思います。そういう意味におきまして、私は、いまいろいろ南北間には、その一昨年の共同声明の逆戻りというような現象もないではございませんが、大きな流れといたしましては、将来そういう機運が再び醸成されて、朝鮮民族の願望が達成されるということを確信をいたしたいのでございます。その際に、韓国における国連軍の存在、これはもとより国連の安保理事会の問題でございます。その安保理事会自体でこれは判断していかなければならぬ。その場合に、おそらく南北朝鮮の対話が実現、相当進行いたしまして、南北朝鮮の自主的、平和的統一が実現するというようなことも踏まえて、国連の安保理事会が、それについてのみずからの判断を下すのではないかとは推察はいたしますが、この時点におきまして、われわれ日本国の政府といたしまして、国連軍の存在についてかれこれ申し上げる段階ではなかろうかと思います。
○田英夫君 大臣のいまの最後の部分が非常に私はおかしいと思うんです。自主的な統一を望むとおっしゃっていながら、国連軍の存在について、いまとやかく言うべきではないと言われるのはたいへんおかしいので、現にこの九月に開かれます国連総会に大臣も行かれまして、演説をされると聞いております。私も、先日国連に行って、斉藤大使にもお目にかかり、その他、朝鮮問題の関係者に何人か会いました。今度の国連総会でも、朝鮮問題が大きな一つの焦点になるということはみんな考えています。もう一つは、大臣も非常に熱心に主張しておられるアフリカ問題であります。となりますと、ことしの秋の国連総会での朝鮮問題というのは、国連軍撤退という問題が焦点になる。それぞれの加盟という問題は御存じのとおりの事情にありますので、同時加盟か、二つのそれぞれの加盟かという問題が、意見が分かれておりますので、おそらく焦点にはならない。国連軍撤退が焦点になると思います。で、この国連軍撤退の問題については、いわゆる第三世界、アフリカを中心として第三世界が賛成をすることは間違いない。舞台は確かに安保理事会になるかもしれません、なるでしょう。しかし、日本は安保理事会の非常任理事国に立候補をされるということも聞いております。その場合には、日本はその安保理事会で一つの態度を打ち出す必要に迫られる。さらに、現在の国連の空気からすれば、安保理事会とは別に総会の舞台ということも考えなければならないと思います。もう一カ月後に——一カ月どころか、始まるのはもっと差し迫っている、朝鮮問題の討議自体、十月でしょう。そういう状況で、まだこれに対する対策ができていないということはあり得ないはずでありますが、この国連軍撤退についての具体的なお考えをお聞かせいただきたい。
○国務大臣(木村俊夫君) 当然、われわれの立場を国連において明らかにしなければならぬ時期はあろうかと思います。 いま、御指摘のように、国連軍の存在と南北朝鮮の自主的、平和的統一が、絶対に、これが相いれないものであるということについては、まだ検討する余地があると思います。そういう意味におきまして、いろいろものごとにはタイミングというものも当然ございましょうし、そういうことから、もう少し慎重に私どもは国連における朝鮮問題の討議に際しまして、政府としての結論を検討してまいりたいと考えております。
○田英夫君 この問題は、休会中かもしれませんけれども、ぜひとも大臣がアメリカに行かれ、国連総会に出席をされるまでに、あるいはこの問題が国連で取り上げられ、日本政府が国連の舞台でお考えを示される前に、ぜひ国会でその態度を国民に対して示して出発をされたいということを、まずその点をお願いをしておきたいと思います。 時間がありませんので、次に進みますが、自主的、平和的統一を望むと言われた以上は、平和という問題でありますけれども、実は、一昨年七月四日の共同声明の中で、実に明快にうたっていて、しかも、これは当然韓国側李厚洛氏が調印をしているその文章の中に、共同声明の中に、第二項目に「武力行使によらず、平和的」という表現が使われています。現在、先ほど玉置委員から別の観点の質問がありましたけれども、北朝鮮からの武力的な、軍事的な脅威があるというふうに日本政府はお考えになっているのかどうか、この点を伺いたい。
○国務大臣(木村俊夫君) 北からの脅威があるかないかにつきましては、これは南のほうが判断すべき問題でございまして、日本政府としては、現在客観的にそういう事実はないと、こういう判断をしております。
○田英夫君 この点は非常に重要であります。大臣言われたとおり、私どもも現在軍事的に脅威があるとは思えない。また、北朝鮮が打ち出しています南北朝鮮の統一についての態度、朝鮮全体についての政策、あるいは経済建設の現状、その他もろもろの面から見て、いまここで北朝鮮が緊張状態をつくり出す必要は全くない、こう判断せざるを得ないのであります。ことしに入ってから、東側と西側でそれぞれ海上での緊張状態がつくり出されましたけれども、これは私どもの調査で明らかに韓国政府が挑発をしたものであることは、韓国側の民主的な人たちも認めています。こういう状態の中で、今度起こりました大統領狙撃事件、これは明らかに朴政権が反共と反日をねらって、その空気を国民の中にかき立てて、みずからのがたついてきた、屋台骨がもう揺らいでしまっている政権を何とか維持しようとあせっているとしか思えない。そういう観点からこの事件を見ると、実に明快に裏の裏まで見通せる気がいたします。そういう私は観点を持っているんですけれども、今度の狙撃事件に関連をして御質問をいたしますが、たいへん具体的なことにいきなり触れますけれども、先ほどもちょっと出ましたが、在日朝鮮総連は破防法適用団体ですか、どうですか。
○国務大臣(木村俊夫君) これはどうも外務省からお答えする事項ではないと思います。公安調査庁からお答えがあると思います。
○田英夫君 私は公安調査庁の方の出席を要求しておりませんので、お答えがないのは残念でありますけれども、山本警備局長は御存じありませんか。
○説明員(山本鎮彦君) 私、調査庁の方が答えられた答弁として記憶しているところでは、調査団体としての対象であるというふうに聞いております。
○田英夫君 これは、私も従来理解していたのは、先ほど玉置委員が言われたような適用団体というのではなくて、破防法に触れるおそれがあるということで調査をしている団体というふうに聞いておりました。したがって、もし適用したらこれはたいへんなことになるはずであります。 そこで、伺いたいのは、韓国の李鳳成法務大臣が、二十七日の韓国議会で、これは司法委員会だったと思いますが、日本政府に対して、朝鮮総連を破防法を適用して解散させよ、こう要求するというふうに答弁をしておりますが、そういう要求があったかどうか、そしてこの問題についてどうお考えになるか、大臣の御見解を承りたいと思います。
○国務大臣(木村俊夫君) そういう要求はございません。
○田英夫君 韓国の国会は、そういってはたいへん失礼ですけれども、しばしば責任ある大臣の御答弁がそのままになって、日本に要求するとか、日本にこういうふうに追及するといわれたことが、昨年の金大中氏事件以来、一向に政府に届いていないようであります。そういう問題があるので、たいへん私どもも質問をしにくいといいますか、事件を解明することに非常にやりにくい点をたくさん感ずるんですけれども、もう一つは、先ほど出ました大阪の朝鮮総連の金浩竜氏と吉井夫妻の引き渡しを要求するということも韓国政府は国会で言っておられるようでありますけれども、そういう要求があったかどうか、この点はいかがですか。
○国務大臣(木村俊夫君) そういう要求はございません。
○田英夫君 もし要求があったら、これは警察のほうの分野と思いますけれども、引き渡しということがあり得るのかどうか、現在の日本の捜査状況に関連をしていかがですか。
○説明員(山本鎮彦君) 現在の日本の捜査状況からしては、吉井美喜子が、これが起訴になったということだけははっきりしておりますが、あとの点は、現在全くわれわれとしては具体的にはっきりした点までつかんでおらない状態でございますので、現在の段階でいえば、そういうことはちょっと考えられないと答えざるを得ません。
○田英夫君 金浩竜氏もそうですか。
○説明員(山本鎮彦君) 金浩竜氏についても同様でございます。
○田英夫君 日本と韓国の間には犯人引き渡しの条約がないというふうに理解しておりますが、それは間違いありませんか。
○説明員(松永信雄君) ございません。
○田英夫君 そうなると、国際的に自国民不引き渡しという慣例があると思いますので、自分のほうから吉井夫妻を引き渡すということはあり得ないというふうに考えますが、事件との関連であり得るのかどうか、その辺の御見解はいかがですか。
○説明員(山本鎮彦君) 自国民不引き渡しという原則からいえば、そのとおりであるというふうに考えます。
○田英夫君 韓国の政府当局の方も、特に大臣が言っているようですから、そういう人たちもこういう条約の現状、国際慣例ということを御存じないはずはない。にもかかわらず、そういうことを国会の公の席で責任ある立場で答弁をされたということになると、その答弁自体が無責任であるか、あるいは全くそういう問題に無知であったか、どちらかと言わざるを得ないんですけれども、そういう観点で見ていくと、韓国における国会の大臣の答弁というのは、すべて韓国国民に対して向けた発言であるとしか思えない。すでに、二十七日に答弁されたことがいまだに政府に要求も来ていないということになると、一体どういうふうに考えたらいいのか、まことに私は了解に苦しむわけです。ですから、私が先ほど申し上げたように、反共反日ということをあおり立てることを目的として、二十七日には十五万人ものデモをつくり上げた、こういう危険をわれわれの隣国で放置しておいていいかどうかということが、まさに外交ではないかという気がいたします。外交というのは、仲よくすることだけが必ずしも外交でない場合が残念ながらあり得るわけでありますが、現在の状況から見て、日韓閣僚会議は年内に開く予定で検討はしていないという御答弁が先ほどありましたが、日韓貿易会議、すでに本来ならば開かれるところであったのが延期になりました。この延期の真相はどういうことですか、承りたい。
○説明員(高島益郎君) 延期につきましては、韓国政府のほうから、現在の情勢のもとで貿易会談を開催することは不適当と思われるので、この際延期してもらいたいという要請がございまして、わがほうといたしましても、韓国の政府の判断を尊重しまして、延期をしたというのが実情でございまして、これは二十七日——一昨日、実際にはきょうとあした行なわれる予定であったわけでございますが、一昨日、急遽そういう申し入れがございまして、それを当日直ちにわがほうとして受諾したというのが経緯でございます。
○田英夫君 この日韓貿易会議は、近く情勢が変われば開かれるのかどうか、その点はいかがですか。
○説明員(高島益郎君) これは毎年大体六、七月ごろ開かれる定例の事務レベルの会議でございまして、現実に私がその団長として行くことになっておった会議でございます。したがいまして、特に政治的にどうこうというような影響を受けて開かれる、あるいは開かれないというような性質の会議ではございません。
○田英夫君 にもかかわらず、開けないということは、ソウルの状態がよほど悪いというふうに考えなくてはいけないという気もいたしますが、韓国に対する経済援助の問題、八月一日のこの委員会でも若干伺いましたが、この貿易会議が開かれればそれができるのか、日韓閣僚会議が開かれなければ対韓援助というものは決定できないのか、この点はいかがですか。
○国務大臣(木村俊夫君) 韓国との経済援助問題は、昨年以来、定期閣僚会議とは別個に、実務者同士の話し合いによってこれを行なうということに変化しております。したがいまして、かりに定期閣僚会議が行なわれなくとも、実務者同士の話し合いでこれは理論的には可能でございます。
○田英夫君 そこに非常に私は危険を感ずるので御質問したんです。対韓援助はいうまでもなく国民の貴重な税金の中から日本の政府の予算として使われる。その使途を、そこまで大まかに行政府にまかせてきた日本の行政府と立法府の関係というものに、実は私は非常に疑問を持ち始めております。先日アメリカに行きまして、いわゆるフレイザー委員会という対韓援助についての公聴会を傍聴してまいりましたけれども、その中の意見は、ほぼ二対一の割で対韓軍事援助を削減すべきであるという空気が強かった、そのとおり、先日の報道によりますと、下院外交委員会は対韓軍事援助削減をきめ、近く本会議で決定をされるというふうに聞いております。アメリカの空気というものは、大体アメリカ議会の中で非常に韓国の民主主義に反する、朴政権の民主主義に反するやり方に対して強い批判がある。私ども、むしろ教えられる点が多いくらい、強い民主主義というものさしにはかって、対朴政権批判がわき起こっておりましたが、アメリカの場合には、議会がこの援助を決定をする。プロジェクトごとといいますか、対象国ごとに一つ一つ決定をして、国民の意思に基づいて援助をするという形になっております。日本の場合には、国会は全く行政府に予算が通ってしまえばあとはまかせつばなし、外務省におまかせしたままであります。そういうことでいいのかどうか。そういうことで、いまこれほど日本国民が注視をしている、注目をしている韓国に対して、事務レベルの会議で対韓援助がきまっていくことでいいのかどうか。閣僚会議ならまだしもですよ、さらにもっと行政の、高島さんに悪いけれども、行政の実務の段階できめられてしまうということに私は非常に疑問を感じますが、行政府の責任者である大臣の御見解を承りたい。
○国務大臣(木村俊夫君) 国会のことについては私は触れませんが、いま実務者同士の話し合いと申しましたが、当然定期閣僚会議以外の場においてということでもございます。当然、これは閣議において決定されることでございますが、単に実務者だけで最終的結果が出るという問題ではございません。
○田英夫君 この点については、私、非常に国会の中にいる者として、正しい民主主義のあり方ということからみても、疑問を感じています。そこで、場合によっては、この委員会が野党が多数だからということで申し上げるのではありませんけれども、外務委員会の多くの皆さんの、特に民主主義を愛する皆さんの御賛同が得られれば、議員立法によって、対韓援助を削減ないし停止するという法律案を提出をする用意がある。そういうことをやることが、私は、三権分立の立場、国民の税金を使うということを扱っている立場から正しいのではないかと思いますが、この点については、政府側の御見解を承るべきものでもありませんので、見解を述べるにとどめます。 最後に、時間がありませんので伺いますが、玉置委員とは逆の立場から、韓国政府が日本の報道機関に対して不当な干渉をしている事実がありますけれども、たとえば、在日韓国大使館の人が日本の報道機関の責任者に直接電話をかけてきて、その報道の内容に対して不満を言い、干渉するという事実がありますが、そのことを御存じですか。
○説明員(高島益郎君) 具体的に承知しておりません。
○田英夫君 この点は、いうまでもなく民主主義の原理である言論の自由ということからも、また、国際的な慣例から言っても、内政干渉という問題からしても、非常に重要でありますので、私もさらに調べますけれども、この点は注目をしていただきたいと思います。
○説明員(高島益郎君) 田先生の御質問でございますが、私ども在外公館におりまして、日本に関する報道等について間違った報道その他ございました場合に、もちろんその新聞社に直接接触し、場合によっては訂正の記事を掲げてもらうというようなことはしばしばやっておりまして、国際慣例に違反するというふうに——私ども事件がどういう事件か存じませんので申し上げられませんけれども、一般的にそういう記事の訂正を求める、あるいは何か意見を申し上げるということは、在外公館の一つの任務だと心得ております。
○田英夫君 私ももちろん在外公館の責任において、自分たちの国のことについて正しい報道がなされない場合に抗議することは、当然のむしろ義務だと思っていますけれども、ここで私はあえて実例をあげることを控えたいと思います。それは報道機関に対しても直接より一そう調べる必要がありますし、報道機関の名前あるいはそれに関係した人の名前まであげなければいけないことになりますので、私はこの公の席で述べることを控えますけれども、その内容は明らかに干渉であります。自分たちのその事実の報道に対して、自分たちにとって意に沿わないから別にこういう報道をやれといって、別の企画をやらされた事実があります。そういうやり方は、私も報道人であった経験からしても正しくない、日本の報道機関の側にも私は問題があるというふうに言わざるを得ないと思いますが、この点について、私、先ほど申し上げたように、外務省も注目をしていていただきたいというふうに要望しておきたいと思います。 最後に、時間がありませんので、具体的な点で一つ警察庁に伺うのを落としましたので追加いたしますが、文世光が交番から盗んだピストル二丁、それが文世光の向こうでの自供によると、川に捨てたということで、図面までつけて向こうから送ってきたという報道がありましたけれども、これは事実ですか。
○説明員(山本鎮彦君) そうではなくて、拳銃二丁はすでにもう発見されておるわけですが、拳銃と同時に付属品の帯革とか、それから手錠とか、そういうものを一緒に盗んだので、そういうものは要らないというので奈良県のほうの川に捨てたという図面を書いたということで、いまそれを探しているということです。
○田英夫君 はい、わかりました。終わります。
○塩出啓典君 私も、引き続きまして質問をさしていただきますが、まず第一に、韓国におけるいわゆる日本駐在員、在韓の日本人の身辺というものが、たとえばいやがらせの電話とか、そういうのが非常に多くて、そういう点、反日ムードの中にそういう危険な状態にある、こういうことが言われておるわけでございますが、現実はどういう状態なのか、外務省はどういうようにつかんでおるか、ちょっとそれを。
○説明員(高島益郎君) いま先生の御指摘のようないやがらせの電話等のことはございまするけれども、実際にその電話の内容に相当するような被害がないように、韓国政府に対しまして再三再四申し入れをしておりました。これまでのところ、幸いにそういう事故は起こっておりません。
○塩出啓典君 実は、きょうの午後の報道で、これは私も直接はテレビを見ておりませんけれども、帝人と韓国の合弁会社である鮮京合繊というのですか、そういう会社の駐在員の奥さんが、本日、ソウル市の外人アパートにおいて七カ所切断をされてそうして殺害をされた、こういうようなニュースがあったと聞いておるわけでありますが、それは外務省どういうようにつかんでいるのか、その背景等について。
○説明員(高島益郎君) そういう事件がきょうあったことは聞いておりまして、その背後の事情その他を調査中でございますが、現在までのところ、とりあえずわかっておる範囲で申しますと、物とりの結果の殺人だというように伺っておりますが、まだ詳しくは今後の調査の結果を待たなければわかりません。
○塩出啓典君 私たちは、こういうような事件があるということは、両国の国民にとっていろいろな点に誤解をされやすい、また、そういう両国の友好の上に大きな亀裂を生ずる危険性が多分にあることは、過去の事例においても当然でございますし、外務大臣といたしましても、このようなことのないように、韓国政府に対しても万全の措置をやはり申し入れをすべきではないか、このことを要望したいのですが……。
○国務大臣(木村俊夫君) 外務省としての当然の任務でございます。
○塩出啓典君 それから次に、先ほど田委員からもお話がありましたように、アメリカの下院外交委員会におきまして、いわゆる人権抑圧政権への援助は行なわない、こういう大幅削減を下院の委員会が議決をした、このように新聞で聞いておるわけでございますが、これはどういう内容のものか、そしてまた、これは成立する見通しなのかどうか、そのあたりは外務省としてはどのようにつかんでいますか。
○説明員(鹿取泰衛君) いま先生の御指摘になりました問題は、二つあるかと思います。 米国の対外援助法の第三十二条に、大統領は政治的目的のためその市民を抑留し、または投獄している外国政府に対する経済的、軍事的援助を拒否すべきである、ということが議会の考え方であるという条項があるわけでございますけれども、この条項自体は、まだ実際に適用してことはございません。 で、第二の問題でございますけれども、今会計年度の韓国に対する米国の援助につきましては、軍事援助につきましては、いろいろな検討を加えられているということでございますけれども、経済援助につきましては、アメリカがことしの初めに世銀の主催で行なわれました対韓協議グループで言っておりましたラインに大体近いというふうに承知しております。
○塩出啓典君 それで、いま見通しですね、どうなんですか。やはりこれは本会議で成立する可能性強いわけですかね。
○説明員(鹿取泰衛君) いまの第二の点でございます今年度の韓国に対する援助に対する委員会の考え方、すなわち、軍事援助については検討を加えるけれども、大体経済援助は世銀の協議グループで米国が表明したライン、それを維持するという案は、これは見通しでございますからわかりませんけれども、私どもとしては、そういうようなところでまとまるという可能性があるのではないかというふうに考えております。
○塩出啓典君 そうすると、いまのお話では、軍事援助はかなり大幅に削減されるのではないか。経済援助は大体計画どおりいくのではないか、そういう予想でございますが、これは、もしそういう軍事援助というものが大幅に削減された場合、客観的に見てどの程度の影響があるのか。
○説明員(鹿取泰衛君) 私、大幅に削減されるという見通しを申し上げたつもりではございませんでして、軍事援助については、委員会で相当論議があったので、ある程度の、場合によっては修正があり得る可能性もあるという、これは私だけの見通しでございますので、その程度のことはあり得るということを、私の見通しとして申し上げたわけでございます。
○塩出啓典君 それで、外務大臣にお聞きしたいわけでございますが、私、田さんと一緒に先般アメリカにも行って来たわけでございますが、アメリカ人の中には、やはり日本も一番近い密接な国なんだから、そういう点で対韓援助等についても、いろいろもっと日本もはっきりした姿勢をとるべきではないか、こういうような意見の人もやっぱりいたわけでございますけれども、日本の韓国に対する援助のあり方について、外務大臣として検討をすべきではないか、そう思うわけですが、その点はどうですか。
○国務大臣(木村俊夫君) 韓国に対する経済援助、これは韓国の国民生活の安定と申しますか、経済的な繁栄のために行なっておるわけでございまして、特定の政府に対するてこ入れという考えは毛頭ございません。そういう意味におきまして、われわれは、この韓国に起こっております一連の事件とは関連せしめないで経済援助を行なうという基本的姿勢は依然として持っておりますが、ただ、現在の時点におきましては、韓国の側から新しい援助の申し出は出ておりません。
○塩出啓典君 外務大臣は、エコノミストの対談におきましても、現在の日本の対韓援助というものが、本来ならば韓国の国民の皆さんから、心からやはり喜んで、感謝してもらえるような、そういう状態であればいいわけですけれども、現実においては、それが、援助することが逆に反日感情をあおっている。そういう意味のたしか発言をされておったように、私も詳しくは覚えておりませんが、そういうような内容の発言をされたと思うのですけれども、で、この問題につきましては、私たちもまだ具体的にこまかい調査はやっておりませんけれども、巷間そういう話も伝えられておるわけでございますが、そういう問題について、外務省として、そういう対韓援助のあり方について、これは削減をしろということだけではなしに、そういう援助のあり方というものがはたしていいのかどうか、こういう問題についても検討するつもりなのか。エコノミストではそうおっしゃっておられますけれども、その点はどうですか。
○国務大臣(木村俊夫君) わが国の経済協力のあり方が、いろいろ東南アジアその他から批判を受けておりますことは事実でございます。そういう意味で、一般的にわが国の経済協力のあり方の改善の必要があるということは考えております。ただ、いま御指摘の韓国への経済援助について、韓国国民の間にいろいろ批判がある。むしろそれについて反日運動、反日感情をあおっているということは、私は必ずしも政府の行なっております経済援助という意味で申したわけではございません。総じて民間企業の韓国への進出ぶり、特にこの二、三年来の韓国への資本進出と申しますか、それが非常に急激であったために、一部、韓国国民の間で反日感情が非常に生じたということは事実でございます。しかし、幸いにして、そういう日本の韓国への経済進出に対する、それに伴う排日的な傾向というものは、いまやや鎮静しておるようなことを承知しております。
○塩出啓典君 それから、大統領緊急措置の第一号とそれから第四号ですね、これを先般解除したわけでありますが、これは韓国の政治情勢に対する諸外国のいろいろなそういう批判、反省を求める声、そういうものを反省をして行なわれたものなのか、そのあたりの背景はどういうように政府は考えておりますか。
○国務大臣(木村俊夫君) 韓国政府も内外の諸情勢を考慮した結果とは考えますが、これはまあ本質的に他国の国内問題でございますので、政府としては論評を慎みたいと考えております。
○塩出啓典君 それから、きょうの新聞でございますが、韓国のいわゆる外務委員会が、いろいろ五項目にわたる決議をしておるわけでありますが、私たちこの決議を見ますと、最後には国交断絶も辞さないと、こういう強硬な態度であります。私も、なかなか理解に苦しむわけでありますが、国交断絶ということになりますれば、当然日本の韓国に対する経済援助等も全部ストップするわけでございます。そうなりますと、日本もやっぱりこれは好ましくありませんけれども、どちらがやはり打撃を受けるかといったら、やっぱり韓国のほうが日本以上に打撃を受けるんじゃないか、そういうことを、あえてこういう決議が行なわれるということを外務省としてはどう考えているのか、どういう背景のもとで行なわれたのか、われわれは非常に理解に苦しむわけでございますが。
○国務大臣(木村俊夫君) 私どもも、はなはだ理解に苦しむところでございます。しかしながら、大統領狙撃事件のあとでもございますし、そういう雰囲気の中で行なわれた韓国の議会内の言動でございますので、これについても論評は差し控えたいと考えます。
○塩出啓典君 それで、非常に私は韓国と日本の関係というのは複雑なものがありまして、はたしてどういう姿勢をとっていくべきか、これは非常にむずかしい問題だと思うんでありますが、私はその一つに、やはり外交というものは筋を通して、そうしていやしくも国民の皆さんに納得のいく、そういうものでなければならない、そのように私は思うんですけれども、その点はどうですか。
○国務大臣(木村俊夫君) まさにそのとおりでございます。
○塩出啓典君 そういう点から言いますと、たとえば金東雲元一等書記官のそういう問題につきましては、先ほど外務大臣から、しかるべき機会に向こうの政府にもいろいろ申し入れると、そういうようなお話でございますが、こういう問題をやっぱり放置しておくということは、日本国民の韓国に対する不信感というものをやはり増大させてまいりますし、またしたがって、日本政府の姿勢があまりにも弱腰じゃないかと、何か都合の悪いところをつかまれているんじゃないか、なめられているんじゃないかと、こういうことにもなってくるんじゃないかと思うんですね。そういう点から、われわれは決して韓国とけんかをして、何から何まで強い姿勢をとることが日本の平和のためだとは思いませんけれども、こういう問題については、やっぱりとにかく話し合いをして、こちらも言うべきことは言って、とにかく国民が納得のいくところまではやっぱり追及していくことが、またそういうことがやはり韓国のためにも私はなるんじゃないかと思うんですけれどもね。そういう点で、これは国民がほんとうに納得できるような、筋を通してもらいたい。この点はどうでしょうか。
○国務大臣(木村俊夫君) 全く御意見のとおりでございまして、かつまた、こういう問題の処理は、きわめて感情に走らず、理性的に処理をする必要があると考えます。
○塩出啓典君 先ほど外務大臣は、やはり韓国と日本との問題については、日韓両国、二国間だけの問題ではなしに、もっとやはり国際的な立場から検討を加えていかなきゃならない、こういう意見のことを言われたわけで、私たちもやはりそういう考えには非常に賛成だと思うわけでありますが、外務大臣は、近くまたアメリカへも行って、そしてキッシンジャー、あるいはまたフォード大統領 〔理事木内四郎君退席、理事原文兵衛君着席〕 にも会われる、田中総理と一緒にですね。あるいは、国連総会にも出られるわけでありますけれども、そういう国際的な場において、どういう姿勢でこの問題に対処するのか、キッシンジャー長官ともそういう問題について当然話が出るんじゃないかと思うんですけれども、そのあたりの考えを聞かしておいていただきたいと思います。
○国務大臣(木村俊夫君) 日米間における話し合いの中では、朝鮮半島における平和と安定という問題は当然テーマにのぼってくると思いますが、あくまで慎まなければならぬのは、日米が話し合いの上で韓国に対する何らかのプレッシャーをかけるようなことは、これはもう厳に慎まなきゃならぬと、そういう考え方のもとに、もっと広い意味における国際的協力、国際的調整の場でわれわれが朝鮮半島の平和と安定にいかにして寄与できるかということについて話し合いをしていきたい、こう考えております。
○塩出啓典君 それで、あと二、三問お聞きしておきたいわけでございますが、一つは、核防条約につきまして政府は今日まで核軍縮の実現、それからわが国の安全保障の確保、平和利用のための査察の平等性、こういう三点を批准の条件としてきたわけでございますが、これについては、国際原子力機関の予備交渉で査察のめどがついていると、このように聞いておるわけでございますが、外相は、今月初めに次の通常国会において批准承認案を提出したいと、こういう答弁をしているわけでありますが、最近インドなどの核実験等によってこういう批准は慎重にすべきだと、こういうような意見もあるわけでありますが、外務大臣としては、次の国会に提出するのかどうか、その点どうですか。
○国務大臣(木村俊夫君) 提出に至るまでのいろんな諸準備はございます。また、こういうわが国の将来にわたる重大な問題でございますから、できる限り国内の理解と認識を得ましてこれを国会に提出するのが政府として当然のつとめでございます。しかしながら、私どもの考えといたしましては、基本的に次の通常国会に、いま申し上げました諸準備と諸段階を経まして、すみやかに国会で御承認を仰ぎたいと考えます。
○塩出啓典君 米国の航空母艦であるミッドウェーに核兵器が搭載されておると、こういうことを米兵が裁判において証言をしていると、これに対して外務省はどう考えておるのか、こういう発言の内容、またそれに対する外務省の見解、これをちょっとお聞きしたいと思います。
○国務大臣(木村俊夫君) 御承知のとおり、政府としては非核三原則を厳守しておりますし、また、国会においても非核三原則についての決議がもうすでに行なわれております。そういうわが国の基本的な立場から申しましても、いやしくも米軍がわが国内に核兵器を持ち込むということは、絶対にこれはないという確信をいたしておりますし、また、核の持ち込みは事前協議の対象になっておりますし、アメリカから事前協議を受けたこともございませんし、また、日米間の信頼関係に基づく日米安保条約が厳存する限り、わが国のそういう非核三原則の基本原則にたがい、また、事前協議に違反したような形で米国が、米軍が核兵器を日本に持ち込むことは絶対ないという確信を持っております。
○塩出啓典君 まあ、外務大臣はそういう米国の姿勢を一〇〇%信頼をして、確信をされているわけでございますが、先ほど申しましたように、やはり国民に納得をさせるようなものでなければならないんじゃないかと思うんですね。まあそういう点で、核を持ち込むはずがないと、持ち込むならばこれは事前協議の対象になるし、そういう話がないんだから核はないんだと、こういうことでは私は国民も納得はしないと思うんですね。そういうことが、また日米間のいろいろ気持ちが離れていく、そういうことにもなっていくわけでありまして、私は、やっぱり外務省としてこのような問題にはもっと慎重に、国民の側に立った気持ちで処理をしていかなければいけないんじゃないかと思うんです。そういう点で、たとえばこのミッドウェーに日本の政府の立ち入り調査でもやらして、そしていろいろ船内を見て回ったら、やっぱりなかったと、こういうことであればそれは問題ないわけですから。私はこういう問題についても、今度キッシンジャー国務長官等にも会われるんですから、こういう問題も出して、日本の立場というものを、やっぱり言うべきことは言わなくちゃ向こうはわからないと思うんですね。ライシャワーさんも、日本人はもっと言うべきことを言えと、こういうようなことを最近何か書いておりましたけれども、そういう点で、私はこれは当然米国政府にも申し入れをして、査察——査察というか、立ち入り検査ですね、こういう疑惑があるわけですから、向こうも、なければ見たって別に差しつかえないわけですから、そういうことを申し入れるべきだと思うんですけれども、その点どうですか。
○国務大臣(木村俊夫君) 日米間において信頼が欠けるということは、これは非常に日米安保条約の基礎をくずすことでございますから、われわれはそういうような疑惑を一切持っておりませんが、まあしかしながら、それに限らず、日米間における信頼は、やはり言うべきことを言うということでなければならぬと思います。私はキッシンジャー国務長官と会談いたします際にも、一般的な問題として言うべきことは言うということで考えておるところでございます。
○塩出啓典君 ぜひひとつ、この問題も議題の一つに加えて、やはり日本は一番そういう核問題についてもみな敏感なわけですから、その点をお願いしたいと思います。 それから、これはもう一つだけ。 南ベトナムのサイゴンの国立チョーライ病院がこのほど完成をしたと聞いておるわけでありますが、これはどなたでもいいんですけれども、どのような経過になっているのか。また、かなりの数の医師や看護婦、技術者等が日本で教育訓練を受けている、その実情はどうなのか。また、技術面ではさらに日本からの援助を非常に要請をしている。このように私も新聞報道で聞いたわけですけれども、こういうような問題は、東南アジアの反日感情等もあるわけで、やっぱり人道的立場からこういう問題はどんどん推進をしていくべきだと、こう考えておるわけでありますが、外務省としての見解を聞いておきたい。 〔理事原文兵衛君退席、理事木内四郎君着席〕
○説明員(鹿取泰衛君) 南ベトナムのサイゴンにございますチョーライ病院に対する援助でございますが、この件は、昭和四十六年に先方の政府から要請がございまして、もともとこのチョーライ病院というのは総合病院でございますが、これを全面的に改築をしてくれないかという要請がございました。この要請に基づきまして、日本側といたしまして、病院の本館及び附属棟その他についても建設工事をやっておりましたところ、本館と附属棟の建設工事が今般終了いたしましたので、つい最近のことでございますけれども、八月十九日、サイゴンにおいて建物をベトナム共和国政府に譲与したわけでございます。それで、まだ工事はすべて済んでおるわけでございませんで、さらに講堂とか、そのほかの建物を建築をする件と、それから病院の本屋につきまして、内部にいろいろな施設を据えつける工事が残っております。その工事が全部終了するのはおそらく来年の一月ごろになるのではないか。そのときに、全部について正式にまた向こうに引き渡すという手続をとりたいと考えているわけでございます。 今後それではどういう援助がさらに必要かと申しますと、大体運営はなるべく先方の自助努力ということで、先方に引き継いでいきたいわけでございますけれども、何せ相当近代的な病院で、近代的な治療をやるわけでございますので、医薬品とか、それから医療用の消耗品なども日本から若干送らなければならない。これについて、さらにある程度の無償供与を考えておるわけでございます。 それから先生が御指摘になりましたように、お医者さんとか、あるいは看護婦、あるいは医療関係の専門医、その教育の問題がございまして、いま先方と話をしておりますのは、看護婦長一人、それから病院の医師を一人、それからもう一人チョーライ病院の医師。結局医師二人になるわけでございますが、看護婦一人、計三名を日本で引き受けまして、日本の国際協力事業団で宿泊を提供したり、あるいは教育を引き受けるということで、近くその三名が日本に来る運びになると考えております。
○塩出啓典君 もう一問。 最後に、バングラデシュが二十年ぶりの大洪水で、非常に食糧生産に打撃を受け、非常に食糧がピンチである。これについては、世界各国がバングラデシュに応援をしておるようでありますが、日本への援助の要望も出ているようでありますが、こういう問題はやはり外務省として検討しているのかどうか、ほうったらかしなのかどうか。簡単にひとつ。
○説明員(高島益郎君) ただいま先生御指摘のような、たいへんな災害がございまして、バングラデシュ政府のほうからも日本政府に対しまして援助の要請がございました。これに基づきまして、政府は、バングラデシュ洪水罹災者の救援のために、日本赤十字社を通じまして、粉ミルク等の食糧、繊維品、医薬品等二億円相当の救援物資を送ることを八月十六日に決定いたしました。その救援物資の一部につきましては、日航のチャーター機を利用いたしまして八月三十一日、九月二日にそれぞれ計二便を出しまして輸送する予定にいたしております。 そのほか、KR食糧援助の一環といたしまして、食糧の供与を行なうことにいたしております。
○立木洋君 私は、沖繩の伊江島で行なわれましたBDU8Bの投下訓練についてですが、この件についてお尋ねしたいと思いますが、この件については、すでにわが党の衆議院議員の瀬長亀次郎議員が七月三十一日に政府に質問主意書を提出しました。さらに、八月二日には衆議院の外務委員会でその質問がなされました。八月の六日に政府のほうから回答書がありました。しかし、その回答書は、われわれが判断するところではきわめて不満足なものであるというふうに考えざるを得ませんし、また、今日この問題というのは、沖繩復帰後には投下訓練をしない方向で努力するということが当時の佐藤首相並びに福田外相によって述べられたわけでありますけれども、現にこのことが破棄されて、現実に投下訓練が行なわれておる。同時に、これはBDU8Bの投下訓練というのは、事実上核の投下訓練でありまして、これはきわめて重大な問題であると、こういうふうに考えざるを得ないわけであります。重ねて質問をするわけであります。 前回の八月六日の政府の回答書の中には、「米側に照会中であるが、未だその回答に接していない。」というふうに述べられてありましたが、質問書が出されてすでに一カ月近くたった今日、回答があったのかどうなのか、あったとしたらその回答の内容はどういうものであったか、お答えいただきたいと思います。
○説明員(山崎敏夫君) この問題につきましては、アメリカ側に何回にもわたりまして照会をいたしております。最近向こう側から回答がございまして、七月二日及び二十三日に各種の模擬爆弾訓練をやったと、その一環として核模擬爆弾の投下訓練もやった旨の回答がございました。
○立木洋君 じゃあ、アメリカ側としてはその事実を認められたというわけで、それではちょっと核の問題についてお尋ねしたいわけですが、この問題については、防衛庁の調査二課長が詳しいとかというお話を聞いたので、ちょっとお尋ねしますけれども、ここに国会図書館から借りた文書がありますが、七三年の四月にアメリカの下院の原子力委員会で行なわれた核技術と軍事訓練に関する小委員会の聴聞会での記録なわけですが、戦術戦闘機に積載する原爆としてB28、B43、B57、B61というものをあげておりますが、この種のものが戦術戦闘機積載のものであるということを承知されておられるのかどうか、そのことについてお尋ねしたいと思います。
○説明員(三好富美雄君) 原子力委員会の議事録は実は拝見しておりません。しかし、七一年度のアメリカの国防報告、これに出ておるところから拝見しますと、シアターということばを用いてありますが、戦域核戦力として、その中にMKの5ないし39といった一連のもの、それからその後、MKの43、MKの57、それからMKの61、こういうものが一応核弾頭であるように表現されてございました。これが先生のおっしゃるBと一緒であるかどうかは、ちょっと確信がございません。
○立木洋君 これは爆弾としての呼称であるわけですが、それでアメリカ側としては核模擬爆弾が投下されたという事実を認められた旨回答がありましたが、このBDU8Bの投下が、現に伊江島で行なわれたということについて、政府としては調査をされたと思いますけれども、政府側としてはどのように確認されておられるわけですか、お答えいただきたいと思います。
○説明員(山崎敏夫君) その投下訓練が行なわれました当日に、政府の担当官が現場にいたというわけではございませんので、その点はわかりませんが、そういう事情もありまして、われわれとしては米側に事実の確認を求めたわけであります。この点について、アメリカ側から、そういう投下訓練、各種の模擬爆弾の投下訓練はやったという返事があったわけでございますから、まあそういう意味で行なわれたのであろうというふうにわれわれは考えております。
○立木洋君 防衛施設庁のほうはいかがですか。
○説明員(奈良義説君) 私どもは、実はあそこに那覇という局がございまして、よく基地の周辺に行くわけでございますけれども、先ほどアメリカ局長がお答えになりましたその日に、特に職員が行ってその現場を見たという事実はございませんので、施設庁として確認はいたしておりません。
○立木洋君 だから、政府としてはこのBDU8Bが投下されたという現場を見ていないけれども、現実にその後に十個近くにわたるBDU8Bの爆弾が現地に置かれてあるわけですね。これが投下されたあとの爆弾がそこに置かれておるということについては、確認されたのかどうか、お尋ねしたいと思います。
○説明員(奈良義説君) それも確認いたしておりません。
○立木洋君 それはきわめて怠慢だと思うんですよ。七月の三十一日にわが党はすでに質問主意書を出しております。これが核模擬爆弾だということが指摘されておるにもかかわらず、これを現地に行って調査しようとしない。これはきわめて遺憾だと思うんです。現に国民の中で、核問題については重大な持ち込みの疑惑が持たれておる状態の中で、この問題に対してどうしてそれを調査しようとしないのか、このことについて明確な答弁をいただきたいと思います。
○説明員(山崎敏夫君) われわれといたしましては、当時新聞にも報道されておりましたので、直ちにアメリカ側に対して事実の照会をいたしたわけであります。それをもってわれわれとしては調査はしておるわけでございまして、国会にも回答をしたわけでございますから、決して怠慢であったとは思いません。
○立木洋君 じゃここで、わが党が調査をした現物の写真がありますし、それから現に投下されたこの爆弾についておるパラシュートのデータカードもありますから、よくごらんになっていただいて、現実に落ちているということを確認していただきたいと思います。 同時に、こういう問題については、今後とも事態が発生したならば、直ちにこれを現地において確認するという処置をとって、国民の疑惑を除くような態度をまっ先にやはり政府自身がとるべきであるということを申し述べておきたいと思います。 さらに、このBDU8Bが投下されたということは、きわめて重要な問題であるということを私はここで指摘したいわけですが、委員長、いまからの質問に関連して文書を配りたいと思いますが、よろしいでしょうか。—— ここにあります米軍の文書、これはきわめて重要な文書でありますけれども、これは「米空軍技術指令書」というもので、「TO一F−四C−一六−一」、そういう記号によってなされておりますが、ここに書かれてあるのは、「F4ファントム機用核兵器積載手順」という見出しによるものであります。この序文には、「この技術指令書は、F4C・F4D・F4E機が積載する核爆弾と関連の訓練用資材の積み降ろし、およびそれらと関係する地上の装置について、説明する。」そういう米軍の文書であります。この文書の中に明らかに書かれてあるのは、「BDU8B訓練用爆弾」という項目のところに、「BDU8B訓練用爆弾は、「B四三」爆弾にシミュレートしている消耗可能資材である。」、このように明確に述べられております。つまりこれは「B四三核爆弾」と全く同型のものであるということが述べられておるわけであります。ここで明らかなように、このBDU8Bの投下訓練というのは、核爆弾の投下訓練である。つまり核爆弾の投下訓練が日本の領土内において公然と行なわれておるということであります。このような核爆弾の投下訓練が公然と行なわれておるということについて、政府としてはやむを得ないというふうに考えるのか、あるいはそういうような投下訓練が行なわれてもよしとするのか、その点についての政府の見解をお聞きしたいと思います。
○説明員(山崎敏夫君) この前の国会におきまして、この問題に関して種々御質問がございまして、われわれとしてはその事実を照会するということを申し述べましたわけでございますが、その後、アメリカ側はその事実を一応確認してまいりますとともに、アメリカ側といたしましては、この訓練は海外に配置されておりますアメリカの軍隊が通常実施している訓練計画の一環である、それでアメリカがあらゆる事態に直ちに対応できる体制を確保するための重要な要素であるという旨を説明してまいったわけであります。しかしながら、日本側の国民感情も十分考慮に入れて、訓練にあたりましては安全対策上十分な留意をして行なうとともに、また、米軍の任務遂行上必要最小限度にとどめるということをいってきておるわけでございます。
○立木洋君 これは、核模擬爆弾がアメリカ側で投下訓練されるということを認めたというふうに述べられたことについて、もう一度政府の見解をはっきりさしたいわけですが、政府としては、そのアメリカの言い分と全く同じなわけですか、それとも違うわけですか、その点を明確にしていただきたいと思います。
○説明員(山崎敏夫君) これはあくまで模擬爆弾の訓練でありまして、また、アメリカ軍は全世界にわたって展開されておる、ことに空軍はしかりであります。したがいまして、あらゆる事態に対応するために訓練を行なうということは、米軍としては当然のことであろうと思います。そして、これはあくまで模擬爆弾の問題でありまして、核兵器の問題ではないわけであります。したがいまして、われわれはこれは安保条約及びその関連取りきめに反するものではないと考えております。しかもその上、先ほど申し上げましたように、アメリカ側としては、日本政府に、日本国民の核の問題に対する特殊な感情を十分考慮に入れて、安全上十分な考慮を払う、さらにその任務の遂行上、最小限度にとどめるということをいってきておるわけでございまして、われわれとしましては、この訓練そのものは安保条約及びその関連取りきめに反していないと考えます。
○立木洋君 局長は、特に模擬爆弾だという点に力点を置いて答弁されるので、私はたいへん不満であるわけですが、大臣に直接お答えいただきたいわけですが、つまり核模擬爆弾の投下訓練が行なわれるということは、これは核の攻撃の訓練なわけですよね。そういうことを想定しないで核模擬爆弾の投下訓練なんて行なわれるはずがない、このことをやはり明確に認識しないといけないと思う。模擬だからかまわぬのだ、こういう考え方で対処しておるから、先ほどのような、直ちに行って調べようとしないという状態が生まれてくる。その点で大臣に明確な回答をいただきたいわけですが、安保条約というのは、日本における在日米軍の核攻撃訓練、核模擬爆弾投下訓練を許容している、こういう見解に立っているのかどうか、もしそうだとしたならば、安保条約というのは日本が核攻撃基地化を保障している重大な国際取りきめを行なったものになるということになるけれども、その点についての大臣自身の御答弁をいただきたい。
○国務大臣(木村俊夫君) まあこれは模擬爆弾という点を局長も強調したわけでございますが、米軍が世界的に各地に展開しております、また、そのための訓練をわが領土内で行なうということは、これは日米安保条約に基づく地位協定には違反はしておらないという立場をとっております。ただ、わが国民の核に対する特殊の感情から申しまして、われわれは日本の領土内で、たとえそれが模擬爆弾の投下訓練であろうとも、私どもは望ましいことではないという考えでございます。したがいまして、先ほど局長からお答えいたしたと思いますが、できるだけそういうことがないように、再考慮を申し入れたわけでございます。それに対して米軍のほうからは、安全対策上万全を期するとともに、行なう場合においても、これを必要最小限度にとどめたいという答えがきたわけでございます。いずれにいたしましても、米軍がこういう投下訓練を行ないますこと自体は、特に安保条約に違反はしておらないと同時に、米軍としても、ある程度それについての訓練は必要であろう、あらゆる態様の訓練をすることは、これはまあ軍のたてまえ上必要でもあろうかと思いますが、いま申し上げたような、わが国における核に対する特殊感情から申しまして、できるだけひとつこれはやめてもらいたいということを、再考慮を促したわけでございます。
○立木洋君 それでは政府の、大臣の公式見解としては、安保条約に関しては、この核模擬爆弾、つまり核投下訓練、核攻撃基地化になるという状態が容認されておるというように判断をします。今後、この問題はきわめて重要な問題であるので、今後ともこの点に関しては追及していきたいと思うわけですが、特に今回こういう問題について、政府は今後一切こういう在日米軍の核攻撃訓練、核模擬爆弾の投下訓練を禁止するように、アメリカ側に厳重に申し入れる用意があるのかないのか、この点についての答弁をいただきたいと思う。
○国務大臣(木村俊夫君) いま立木さんのお話で、わが国が核攻撃の基地になるというおことばがございましたが、私は、教育訓練の場には供しておりますけれども、核基地の、核攻撃の基地になるという考え方はとっておりません。 また、第二点でございますが、必要最小限度にとどめたいという米軍の回答もございますので、これについて、絶対禁止してくれというところまで私どもは米軍に対して要求をするつもりはございません。
○立木洋君 つもりはございません……。 それでは、この問題について、もう一つの問題を提起したいと思うわけですが、この沖繩の伊江島でBDU8Bの投下訓練を行なっておるのは、第一八戦術戦闘航空団であるということが明らかにされておるわけであります。この第一八戦術戦闘航空団というのが使うすべての弾薬は、あの沖繩にあります第四〇〇弾薬整備部隊の弾薬を使うものであるということも明らかにされております。先ほども言いましたように、このような核投下訓練、事実上核模擬爆弾を使っているわけですけれども、投下訓練を行なっておるこの一八戦術戦闘航空団というのが沖繩に所属しておる、配属されておる、これは核攻撃を行なう部隊が、すでにその訓練を沖繩において行なっておるということ、ここにもう一つの資料を提供したいわけです。資料をあげて質問をしたいわけですが、この二つの、つまり、ここには日本文に訳したものがありますが、「第四〇〇弾薬整備部隊整備作業指示書〇−二」というのがあります。これは一九七三年七月十五日に発行されたものですが、ここの整備作業指示書、この中には、ここに述べられてありますように、「第四〇〇弾薬整備部隊整備作業指示書一三六−二七「練習用爆弾BDU8プロフィール」」の存在がこの中には明らかにされております。 もう一つ、同じ弾薬整備部隊が出した「作業指示書三五五−一」、この中に述べられている災害対策作業の中では、ここでも次のような内容が記載されております。「「第五付属文書二第四〇〇弾薬整備部隊内の機密文書の緊急防備、待避、破壊について」機密文書の管理者は、機密文書を二つの優先順位にわけて、目録に記載するものとする。優先順位Iと、優先順位IIである。第四〇〇弾薬整備部隊内の機密文書の優先順位を決めるため、つぎの指標が適用される。計画書、作業命令書、米空軍技術指令書「一一N」シリーズ、重要核兵器構造情報、暗号、爆発物処理関係機密文書のすべては、優先順位Iである。」というふうに述べられているわけです。同時に、特に、「重要核兵器構造情報を他の場所へ移送するさい、米軍用地から離れる場合には、最低二人の隊員は武装しなければならない。」ということも明らかにされておるわけです。つまり、第四〇〇弾薬整備部隊の中には、核に関する文書が明らかに保存されておる。こういう文書がありながら、現実の核爆弾がないという保証が実際にあるのかどうなのか。また、先ほど言いましたように、事実上核模擬爆弾の投下訓練を行なっておる第一八戦術戦闘航空団が現実に沖繩で訓練を行なっておる。これは、先ほど大臣が否定されましたけれども、現実に、この核攻撃基地化にされておるということが、この事実によっても私は明らかだと思う。模擬爆弾だということを特に誇張して、これによって、世界すべて、どこでも行なわれておるんだからというような言い方は、私は詭弁にすぎない。現にそういう訓練を行なっておるのが、事があった場合には、その核攻撃に対処する部隊であるということも、これは明白であります。このような事実に立って考えた場合に、この第一八戦術戦闘航空団並びにこの第四〇〇弾薬整備部隊、核にきわめて関係が深いこれらの部隊について、撤去を要求するというような考え方を政府としては持つのかどうか、明らかにしていただきたいと思います。
○説明員(三好富美雄君) 米空軍の第四〇〇弾薬整備部隊、これは核爆弾あるいは核弾頭専用の整備部隊ではございませんで、通常の弾薬も整備しているものと存じます。したがいまして、現にこの部隊が核兵器を持っているということは言い切れないのではないかと思います。
○立木洋君 あなたのほうでは核を持っていると言い切れない。核を持っていないという明確な根拠を政府としてはお持ちですか。どういう根拠で言われるのか。
○説明員(山崎敏夫君) 先ほどから御指摘のありました文書も、BDU8Bの問題についてでありますが、BDU8でございますが、これは、御指摘のありましたように、核爆弾にシミュレートしておる模擬爆弾でありまして、そういうものの扱い方に関する文書があるのは当然であろうと思います。また、核爆弾をそういうシミュレートしているものでございますから、そういう情報文書があることも当然であろうと思います。しかし、それは核兵器の存在ということとは全く別個のことでありまして、この点は大臣からもたびたび御答弁されておりますとおり、核兵器の持ち込みは事前協議の対象となるものであり、アメリカ側から何らそういう事前協議を受けてもおりませんので、こういう核兵器が日本国内に持ち込まれていることは絶対にないと確信いたします。
○立木洋君 核があるかないかということは、現実に目で確かめてみる、そうして明確に言えることです。アメリカの言いなりになって、アメリカがないと言っているし、事前協議でそういうことが問題になったこともないからありませんということでは、これは日本の政府の立場としては私はきわめて遺憾な態度だと思います。 一九六九年の三月、当時のアメリカ国防長官であったレアードはこう言って明確に出しておる。過去十年間にアメリカは一万五千個の核弾頭を海外の米軍基地に貯蔵してきた、と明確に述べている。日本にも入っていないという保証ないのです。また、これは一九七〇年十二月に、米上院外交委員会のサイミントン小委員会で行なわれた諸外国との軍事同盟関係についての調査審議の最終報告書、これによりますと、こう書いてある。外国の政府自身がその国民に秘密にしておきたいがため秘密にしておくというようなことも少なくない、現にこのような、先ほど挙げられたミッドウェーの問題、あるいはOTHの問題、そうして今回のBDU8Bの投下訓練の問題、いままで現に復帰以前には沖繩に現実に核が持ち込まれておった。返るときには何らそれに対して核がなくなったという確認も行なわれていない。そういう状態がありながらも、明確に核がないと言い切るような政府の態度というのは、私はきわめて遺憾だと思うわけです。この問題について今後とも——時間が少なくなりましたので、今後ともこの問題については追及していきたいわけですが、最後にもう一度、核の有無を政府はアメリカの言うことだけを聞いて確認するのか、その他何らかの方法において確認をするという処置を今後ともとる考えがあるのかないのか、その点についてお答えをいただきたい。
○国務大臣(木村俊夫君) 日米安保条約をわれわれは堅持するという方針でございます。日米安保条約の最も重要な基礎は、日米間の信頼関係でございます。したがいまして、この信頼関係がくずれれば日米安保条約というものはもう維持できないということでございますので、私どもは、この日米関係の信頼に立った日米安保体制を堅持する以上、米軍に対してさようなことを、たとえば軍艦その他米軍の基地内に立ち入ってこれを検査するような要求はいたさないつもりでおります。
○立木洋君 最後に。 沖繩返還の直前に、あれは一昨年の三月の七日でした。わが党の不破議員が質問をしました。そのときに当時の首相であった佐藤総理がこう述べているのですね。「核の模擬爆弾でもこれは投下訓練はしない、そういう方向でアメリカに問い、十分話し合う。」と、さらに、もしかそれに対して答えないということがあったらどうするのかという再度の質問に対しても、相互に信頼し合うということだから、日本の率直なこの要望は必ずこたえてくれる、かように思いますので、もしそれを聞かなかったらどうするか、こういうところまで考える必要はないと思いますと、明確に佐藤総理がこう言い切っている。信頼関係にあるから日本の要望については聞いてもらえる、聞いてもらえなかったらどうするか。そんなことまで考える必要ないと、明確にこう言っている。信頼しておるアメリカ側が現実にいま投下訓練を行なっている、こういう状態になっておりながら、今後ともさらに信頼し合うからだといって、現実に米軍の核攻撃基地化されるという状態をこのまま放置しておくということはきわめて重大なことだと思うんです。この問題に対して、今後どのような責任ある態度を政府としてはとっていくのか。核問題に対して国民がこれほど疑惑を持ち、何とかしなければならないという状態にまでなっているときに、これに対してどういう態度を今後とるのか、国民の疑惑を取り除いていくのか、最後にお答えいただきたい。
○国務大臣(木村俊夫君) 佐藤総理がその当時そういうお答えをしたことは、私も記憶しております。したがいまして、先ほど申し上げましたとおり、米軍に対して再考慮を申し入れたことも再三ございます。それに対する米軍の回答が、先ほど御披露したような内容でございますけれども、われわれとしては、その回答について、決してこれが最終のものであるとは考えておりません。できれば米軍の側で、必要最小限度という回答はもたらしておりますけれども、その面におきまして、さらに再考慮を自主的にやってもらいたいという、そういう希望は捨てておりません。
○立木洋君 きょうは時間が不十分で、今後この問題について引き続いて質問をしていくということを述べて終わらせていただきたいと思います。
○田渕哲也君 あまり時間がありませんので、簡単に日ソ問題について質問をしたいと思います。 昭和四十八年十月十日の日ソ共同声明の中で、「双方は一九七四年の適当な時期に両国間で平和条約の締結交渉を継続することに合意した。」、こういう文書があるわけでありますけれども、一九七四年というのはことしでありまして、もうすでに三分の二が終わろうとしております。あと四カ月しかないわけですけれども、はたしてこの平和条約の交渉が年内実施の可能性があるのかどうか、そのめどについてどう考えておられるか、まずお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(木村俊夫君) いま御指摘の共同声明に基づきまして平和条約締結交渉を今年中に継続するということについて、あらためてソ連との間に確認をしております。しかしながら、現在、その時期、場所等についてはまだきまっておりません。
○田渕哲也君 さらに、共同声明の中では、ソ連の首脳の訪日、これもこちらから招請したことに対して受諾するという文面もあるわけですけれども、これの進展状況、あるいは可能性はどうですか。
○国務大臣(木村俊夫君) 先般ソ連のトロヤノフスキー駐日大使が本国へ休暇のために帰りますときに、私と会談いたしました。その際に、あらためて共同声明に盛られましたソ連の三首脳の来日について何らかの見通しをつけてもらいたいということを申し入れをいたしました。まだそれについての回答はきておりません。
○田渕哲也君 もし平和条約の交渉が継続されるとするならば、やはりソ連の首脳の訪日の時期と合わせて行なわれると考えるのがまあ常識だと思うんです。ところが、いまのところこの点についてソ連から何らの確答がないのが現状ではないかと思います。もし、ソ連の首脳が来て平和条約の締結交渉をするとするならば、それなりの事前準備も要るでしょうし、はたして今年中にそれが進展できるのかどうか、私は非常に危惧するわけですけれども、その見通しはいかがですか。
○国務大臣(木村俊夫君) この平和条約の締結交渉、早晩、ソ連の首脳のいずれかの方が来日することが一つのきっかけになると思いますが、しかし、必ずしもソ連の首脳が来日しなければこれを開始できないというものではないと思います。したがいまして、ある時期にソ連の外務大臣が来日され、あるいは私がソ連に参りましてこの平和条約の交渉を継続するということは、これはあり得ることでございます。必ずしも、いまだ時期が、共同声明の中でもきまっておりません。ソ連の三首脳のいずれかの来日を待たなければ平和条約の交渉が継続されないということではございません。
○田渕哲也君 きのうの新聞に、ソ連から木村外務大臣に対して訪ソの招請がきているという記事がありましたけれども、これに対してはどうされるつもりですか。
○国務大臣(木村俊夫君) この平和条約の交渉についていろいろソ連側と話し合いをしております段階で、私が訪ソされてはどうかという招請はございました。しかしながら、それは一つの提案でございまして、いま申し上げたような段階では、いま申し上げたような進行でこの平和条約の交渉を継続したいと、こう考えております。
○田渕哲也君 外相の定期会議というものが行なわれているわけですが、ことしはこの日本でやるというのがその予定だったと思いますが、これの見通しはどうですか。
○国務大臣(木村俊夫君) 慣例上、昨年は、御承知のとおりモスクワで、田中総理と一緒に大平前外務大臣が参りまして、定期閣僚会議をやったわけですが、そういう慣例から申しましても、本年は定期閣僚会議をわが国で、ソ連の外務大臣が来日して行なうという考えに、まだ変わりはございません。
○田渕哲也君 五月の十六日にモスクワで重光大使がコスイギン首相に田中総理の覚え書きを渡されたということも聞いておりますけれども、これに対する回答も、経済問題を除いてはほとんどソ連から回答がきていないということも聞いております。この点はどうですか。
○説明員(大和田渉君) 田中総理の親書に対しまして、先方から返事が参っておりまするけれども、その内容は、田中総理の親書御自身が、やはり経済問題及び平和条約問題、双方に触れた親書でございます。ただ、先方からの回答は、具体的に平和条約交渉をいつどこで、どのレベルでやるということまでは触れていない回答でございました。
○田渕哲也君 私が心配するのは、ことしも三分の二過ぎた段階になって、この平和条約の交渉について具体的なめどが何にも立っていないというのが現状ではないかと思うのです。今後これに対してどういう手段で打開されるか、まあどういう方策、対策を考えておられるのか、お伺いをしたいと思います。
○国務大臣(木村俊夫君) まず、先ほど触れましたように、トロヤノフスキー駐日大使に私が申し入れをしております。おそらくトロヤノフスキー大使は、九月中旬には帰任すると思います。その回答を待って次の準備を進めたい、こう考えております。
○田渕哲也君 私の推測では、やはりこの領土問題というものが大きなネックになっておるのではないかと思います。八月十八日のプラウダには、領土返還要求を日本が続ける限りにおいては、平和条約の締結は困難である、こういう記事も載っておりましたけれども、ソ連としては、この領土問題について触れるのをできるだけ避けたい、そういう意図から、平和条約の交渉に入るのを故意におくらしておる、こういう意図があるのではないかと思いますが、その辺はどう思われますか。
○国務大臣(木村俊夫君) 確かに、平和条約交渉において領土問題は最も重要なテーマになると思います。しかしながら、ソ連側において、領土問題の解決を避けるために、故意に平和条約の締結交渉をおくらしておるというふうには考えておりません。
○田渕哲也君 私はここで、去年田中総理が訪ソされて日ソ共同声明を出されたわけでありますけれども、その際のわれわれが政府から聞いた説明というものと、現在の、現実の日ソの間における領土問題に対する解釈というものは、やはりかなりズレがあるような気がするわけです。確かに、この共同声明の中ではきわめて抽象的な表現がされたわけです。だから、それに対してソ連の受け取り方と、日本の解釈、政府がされた解釈との間にかなりズレがある。そういうものがやはりここにきて大きなネックとなっておるのではなかろうか。去年の田中総理の訪ソの中で、やはり一番大きな成果としてうたったのが、経済の問題もありますけれども、やはり領土問題についてソ連をテーブルの上に乗せるというきっかけができたということだったと思います。しかし、現在のこの進展状況を見ますと、必ずしもそうではない。だから、去年の田中総理の訪ソというものは、私は、領土問題についてそれほど大きな成果というものはつかめなかったのではなかろうか、こういう感じを持ちますけれども、この辺はどうですか。
○国務大臣(木村俊夫君) もうすでに、日ソ共同声明以来十八年目でございます。こういう中で、この領土問題が平和条約交渉の一つのネックになっておったということは、これは一つの考え方でございます。 私どもは、昨年の田中総理の訪ソについての共同声明の中で、領土問題も含めて未解決の問題を議題にしようということについて、日ソ間で一つの合意があったということを考えれば、私どもはそれが一つの大きな前進である。ただ、平和条約交渉のことでもございますので、そう性急に事が進捗するとも必ずしも考えられません。したがって、この問題については、依然として私どもは、ソ連政府の共同声明に基づく善意を信頼いたしまして、今後粘り強く平和条約の締結交渉を続けていきたい、こういう考えでございます。
○田渕哲也君 以上です。
○理事(木内四郎君) 本日は、これにて散会いたします。 午後四時五十三分散会 —————・—————