商工委員会 第2号
- 発言数
- 241 件
- 登壇者
- 27 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1974/09/10
会議録
○濱野委員長 これより会議を開きます。 通商産業の基本施策に関する件、中小企業に関する件、資源エネルギーに関する件、経済の計画及び総合調整に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がございますので、順次これを許します。中村重光君。
○中村(重)委員 矢野基礎産業局長にお尋ねいたしますが、通産省の指導で三菱製鋼長崎工場の合理化が進められてきたわけです。第一次合理化、第二次合理化、また第三次合理化が計画されておるというふうに伺っているわけですが、通産省に対して調査方を要請をいたしておきましたが、その経過についてお聞かせをいただきたいと思います。
○矢野説明員 お答え申し上げます。 いわゆる第三次計画ということだろうと思いますが、会社側から報告を徴しましたところ、この十一月に、従来すでに一次、二次で終わっておりますが、鋳鍛鋼の素形材部門、これは昭和四十五年に第一次で日本鋳鍛鋼、これは戸畑にございますが、ここにいわゆる素形材、基礎部門を移しておるわけでございますが、その後いわゆるあと処理と申しますか、あと工程につきまして、いわば工程の一貫化ということを目標にこれを戸畑のほうに移したいという計画があるようでございます。これにつきまして、いま申し上げましたように、今年十一月からその計画を実施に移したい、こういうふうな希望を持っているように聞いております。
○中村(重)委員 その第三次計画によると、長崎工場のほうに残る従業員の数はどの程度になりますか。
○矢野説明員 会社側の計画によりますと、三百六十名、これを戸畑のほうに移転をしていただきたい、こういうことで、昨年の十一月にこの数字は組合側に提示した、こう言っております。
○中村(重)委員 第一次計画の際に、長崎工場に従業員は千三百名を確保する将来展望を与えて、労働者の納得を会社側は得たわけです。ところが、その後、第二次計画等によって、第一次計画の際、労使の間に協定をしたことは守られなかった。一方的に経営者側はみずからの計画を強引に推し進めるというような形であった。今回の第三次計画によりましても、いま矢野局長お答えになりましたように、十一月からこれを実施をしたい、こういうことですが、もうすでに県当局との間に、長崎工場にある二つの——第一工場、第二工場というのがあるのでありますけれども、その第二工場の用地の売却交渉が進められている。九月中旬ごろには売買契約を締結するであろうといわれているわけであります。そのことに対して、労働組合側には会社側から何らの意思表示が行なわれていないという事実であります。労働者は生きていく権利があるわけであります。しかも、私が申し上げましたように、第一次計画の際に千三百名を確保するということを労使の間に協定をしながら、第一次合理化計画が強引に推し進められて、現在の従業員はわずかに八百八十名にすぎないということであります。それが三百六十名、戸畑の日本鋳鍛鋼のほうに移るということになってまいりますと、五百数十名の従業員があとに残るにすぎないということになるわけであります。このような一方的なことが、しかも労働者に将来展望を与えることなく強引に推し進められていいのかどうか、その点に対しては、矢野局長並びに労働省の細野審議官からそれぞれお答えをいただきたいと思います。
○矢野説明員 いま中村先生御指摘のとおり、いわゆる第二工場の売却問題というものにつきまして、会社側の報告を受けますところによりますと、現在話を進めておるということは遺憾ながら事実でございます。そういう点におきまして、私どもとしては、現に働いている方々の工場のいわば基盤をくずすことが先行しているということについては非常に遺憾に思っておりまして、私どもとしてはこの問題を含めて、いわば戸畑への移転計画、転配計画というものが、十分労使間で話し合いが行なわれ、十分の了解を得た上で進行して、計画が実施に移されるということを期待いたしますとともに、私どもそのような指導をしたい、こう考えております。
○細野説明員 戸畑への職員の配転問題につきましては、労使両当事者で懸命に話し合いをしておられるというふうに伺っているわけでございますが、なお話し合いがつかないということで、先生御指摘のように、問題が生じておるということでたいへん憂慮をいたしておる次第でございます。 いま先生おっしゃいました第二工場の売却計画問題は、私どもとしては実はこの席で初めてお伺いしまして、そういう意味でちょっと驚いているわけでございますけれども、何ぶん多くの従業員の方の生活にかかわる問題でございますので、労使が十分に話し合って円満な解決がはかられることを期待したいというふうに考えておる次第でございます。
○中村(重)委員 労働省のほうでも、第二工場の売却問題はいま初めて知ったんだということで、先ほど私が申し上げましたように、労働組合側に対しては会社から何らの提案もなされていない。しかし、労働者が現に働いているところの職場を奪う計画というものは着々として進められている。長崎県の棧副知事と三菱製鋼との間の話し合いがなされて、桟副知事の非公式な話によりますれば、九月の半ばごろには売買契約が結ばれるであろうということであります。このような無謀なことが許されていいかどうか。これは政府としても行政指導でもって今日まで進めてまいりました経過があるわけですから、十分その点は調査をされ、きびしくこれに対処していかれる必要があるということを申し上げたいのであります。 それから、第一次計画、第二次計画によって希望者を実は募集をいたしました、行ける人を。ところが、現在残っておる八百八十名のそのほとんどは土着の人たちであり、年齢の関係その他いろいろな事情から戸畑には配転できないという事情の中にあると私は伺っているのであります。そうすると、労働者は配転ができない。会社の言うことを聞かないのだからといって一方的に首切られていいのかどうか。これは私はたいへんな問題であろうと思うのであります。ましてや、先ほど来私が申し上げますように、十一月からすでに戸畑に移るのだ、その前に用地の売買をやるのだ、こういうことで、九月半ばに契約を締結しようということでありますから、こんなことがなされていけないことはこれは常識以前の問題ではないかというような感じがいたします。労働者の生活権というもの、当然経営者はこれを尊重していかなければならない、守っていかなければならない。であるならば、事前に労働者に対して将来展望を与えて、そして具体的な提案をやって、労使の間で話し合いをしていくということでなければいけないのではなかろうか、私はそのように思います。いま一度それぞれお答えをいただきます。
○矢野説明員 今回の計画につきまして、いまのように、いわば転配の計画というものの実施の前に、早く言えば働いている職場の売却というふうな問題が出ておるということは、たいへん私どもも遺憾に思っております。そういう点で、いま御指摘のとおり、今後転配の問題につきましても、強制転配ということが行なわれないように、またいわば土着の方と申しますか、その地元の残る方についての十分な就職あっせんと申しますか、こういう計画につきましても、それからさらにこの職場のいわば基礎になります工場の売却問題も十分に労働組合とよく話し合いができ、労使相了解できた上で実施に移すという体制に私どもは十分努力を尽くしたい、こう考えております。
○細野説明員 先ほどもお答え申し上げましたように、従業員の多数の方々の生活に関係のある問題でございますから、関係労使が誠意ある話し合いで問題を自主的に解決される、これが基本ではございますが、同時に現地の労政機関等を通じてさらに円満な解決の促進に努力をしてまいりたいというふうに考えております。
○中村(重)委員 それでは、矢野局長、いまのお答えで大体わかりましたけれども、これは明確にもう一度お答えしていただきたい。 県当局との間にいま進めておる売買契約を中止する、そして労使の間で話し合いをして、話し合いがまとまった段階において、その売却について労働者がこれを了承するという形になりましたならば売却の話し合いを進める、そういう行政指導をされるべきであると私は考えるわけでありますが、明確にひとつ御方針をお聞かせいただきたい、
○矢野説明員 県当局との売却問題がいまどの程度の進行か、実はこの辺いま調査をしてございます。その調査の事情にもよりますが、いずれにしましても私どもとしては、これが実行になる、いわば調印と申すのかしれませんが、そういう体制になる前に十分に労使間の話し合いが行なわれて、そうしてその上で円満にこの問題が処理できるように最善の努力を尽くそう、こう考えております、
○中村(重)委員 中小企業庁長官にお尋ねをいやしますが、新聞の報道によりますと、五十年計画として、のれん分けの独立開業資金を融資する制度を導入したいというお考え方のようでありますが、この点について具体的な考え方をお聞かせいただきたいと思います。
○齊藤説明員 中小企業庁といたしましては、中小企業に働いておられます従業員の方々に働きがいを与えると申しますか、そういうことで、その仕事に生きがいを感じる、こういうことにいたしますために、従業員に対するいろいろの施策を明年度充実をいたしたいと考えて、幾つかの施策を検討いたしておりますが、その中の一つといたしまして、いま先生のお話しのございましたのれん分け融資制度というものを現在検討中でございます。 この構想は、中小企業に一定期間以上働きまして、同じ事業に一定期間以上働いた従業員が独立しようといたします場合に、その独立資金を政府系金融機関から通常の条件よりもより有利にいたしまして貸し出しを行なおう、こういう考え方のものでございます。国民金融公庫の場合には、現在、御承知のように、一件当たりの融資限度は八百万円ということになっておりますけれども、これを相当大きく引き上げまして、のれん分け融資の場合にはこの限度よりも相当高い限度まで貸し付ける、そのうちの一定部分を無担保の融資にする、金利は通常金利で考えておりますけれども、そういうことによりまして、中小企業に働く方々に将来独立への希望を持たせる、こういう効果を考えておるわけでございます。
○中村(重)委員 長官、これは雇用対策ということですか、あるいは労働対策ということになりますか。
○齊藤説明員 一つは、一定期間以上同一企業で働いた方ということにいたしまして、いわゆる定着性を高めると申しますか、そういうことの効果も考えておるわけでございます。
○中村(重)委員 おそらく定着性を臨めるということがねらいであるというように私は受けとめているわけですが、環衛業種の中にすでにこの制度は実施されているわけです。ところが、環衛業種の独立開業資金の場合においてもいえることでございますけれども、また中小企業庁の御計画の中にはあるようですが、雇い主の推薦を必要とするようなお考え方になっているようであります。そうなってまいりますと、そのことが全くだめなんだとは私は申し上げません。しかし、それに限るということには問題があるわけである。できるだけ定着をさせようということですから、八年間同一店舗に勤務をして、年齢二十八歳、それで最高必要としないということがみそであると思います。環衛業種の場合もそうですから、私は中小企業庁の場合にもこれを実施すべきだということを主張してまいりましたものといたしまして、この制度は歓迎をいたします。歓迎をいたしますが、環衛業種の中に実施されておるその悪い点を除去していって、そうして労働者がほんとうに喜ぶような融資制度を導入してもらうということでなければいけないと私は思うのであります。 そうすると、同一店舗に八年間、かりに二十八歳、それから前に幾つかの店舗があってもよろしいけれども、現に働いている店舗に五年以上勤務する、それで通算十年以上、これは三十歳以上というのが環衛業種でありますから、大体そこらあたりで中小企業庁の場合も一般プロパーの中小企業の独立開業資金というものをお考えになっていらっしゃるのだろうと思うのであります。 ところが、経営者は、定着性を高める、できるだけ長くおってもらいたい。ところが、労働者は独立開業資金を措りたいと思いまして、そうして八年の月日を待つ、あるいは通算十年に達するように、いま働いているところで五年間の月日を数えているわけです。その日が来たから独立をしたいという考え方を持ちますけれども、経営者側はもっと長くおってくれということから意見が合わない。労使の関係でおもしろくないような状態がかもし出される可能性があるのであります。その際にすなおに推薦をしてくれればよろしいのですけれども、やらないということになってまいりますと、推薦をしてくれる人がいません。独立開業資金の借り入れの申し込みができないという結果が生まれてまいりますから、経営者の推薦もしくは本人の誓約という、誓約書を本人が入れる、それによって国民金融公庫が調査をするというような方法をおとりになりませんと、この制度というものは、単なる雇用政策という形になりかねないと私は思うのであります。それらの点をどのようにお考えになるか、お聞かせをいただきたい。は、雇用主と円満に話がつきまして、両方非常に円満な形で、従業員の独立をむしろ事業主も援助をする、こういう形が通常のれん分けのケースでございまして、そういう形で独立されることを実は期待をいたしておるわけでございますけれども、この制度がかえって紛争を招くというふうなことでございますれば問題でございますので、内容はまだ現在検討中でございまして、すっかり固まっておるわけではございませんが、ただいま御指摘の点は今後十分検討してまいりたいと存じます。
○中村(重)委員 のれん分けということになりますと、経営者のお得意さんか何かを一部さいてやって円満にやるんだ、そう感じられますが、必ずしも伝統産業のような形ではございませんから、そういうものではない。現に働いているところの同一の業種でなければ、融資をしないんでございましょうから、そういう場合は、同じような業種をやるというだけのことなんだ。そういう同じような業種に従事して、経営している業者もたいへん多いわけです。ですから、必ずしも現に働いている店舗ののれんを分けてもらって、それによって経営を安定さしていくのだという形のものではない。経験を生かして同じような商売をやるんだ、そういうことにすぎないわけでありますから、これに推薦という制度一本ということになってまいりますと、新たに労使の紛争というものをかもし出す可能性が多分にあります。現に環衛業種の場合、それが起こっているわけです。私どもは相談を受けるわけであります。その雇い主が証明をしてくれないのです、何か方法はないものでしょうかという言い方をするのであります。これは現実の問題ですから、そういう悪い点は十分除去していくということでなければなりません。 それから最近、労働者が不足をいたしますから、小零細企業等になりますれば、家族従業員を強引に、子供がいやだと言いましても、親が自分の従業員がいないんだからここで働きなさいと働かせる。そういう例が多くなってまいります。その独立をすることができる。ところが、家族従業員なるがゆえにこの融資の恩恵を受けられないということになってまいりますと、これはやはり問題があります。かりに長男、次男ということになってまいりますと、長男は父親がやっているところの店舗を引き継ぐということもありましょう。しかし、次男の場合はそうはまいらない。他の従業員は独立開業資金を借りて有利な経営に乗り出すこともできるけれども、家族従業員なるがゆえにこれができないということになってまいりますと、今日の労働事情という点から考えまして、もう少しこの点は配慮していく必要があるのではないかというように考えます。これは環衛業種の中で、現にやっている問題で先ほど来申し上げますようにいろいろな問題点が出ているわけでありますから、御研究の結果であろうと思うのでありますが、それらの点に対してはどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
○齊藤説明員 家族従業員と申しますか、家族の事業の従事者につきましては、よそからのいわゆる雇用者と事情が違いますし、この制度は特別に恩典的に行なう制度でございまして、一般の金融制度もあるわけでございますので、家族従業者の方が独立される場合には、ただいまのところでは通常の制度に乗っかって、必要であれば融資をお受けいただく、こういうふうなことで実は考えておりますが、先生の御指摘のような問題もあろうかと存じますので、なお、さらに検討を加えたいと存じます。
○中村(重)委員 新聞報道の中にもあるんですけれども、担保条件等弾力的な方法がないものであろうか、これから検討をしていかれるんだろうと思うのであります。五百万までは担保が要らない、それ以上になってくると担保が要るということになりますと、これは独立開業しなきゃならないような人は、なかなか担保というものを持っていないですよ。ですから、せっかくのいい制度というものも喜ばれない、歓迎されないという結果なとは申しませんけれども、もっと弾力的にお考えになりませんと、五百万円までは担保は要らないけれども、それ以上は担保が必ず要るんだというようなしゃくし定木なやり方は改められる必要がある、運営のよろしきを得ていく必要があると考えます。 締めくくりとして、政務次官からひとつお答えをいただきます。
○森下説明員 先生御指摘のように、のれん分けの場合の制度でございまして、それが家族の従事者には適用できないというのも、新憲法下では旧憲法と違いまして、個人個人の権利が非常に強いのでございますから、長官がお答えになりましたように前向きで検討していきたい、そのように思っております。
○濱野委員長 板川君。
○板川委員 私は、いま国民が非常に注目をしつつあります独禁法改正問題について、公取委員長、通産大臣、総理府総務長官に質問をいたしたいと思います。 まず、公取委員長に伺います。公取委員長は、しばしば所見を発表しまして、諮問機関である独占禁止法研究会での論議の中間報告的な発言をしてまいりました。最近、報道によりますと、基本的な骨子がまとまったといわれております。もちろんこれは最終決定ではないことは承知いたしておりますが、独占禁止法研究会での最近まとまったという改正案の骨子について、ひとつ御説明願いたいと思います。 なお、時間が実はあまりございませんので、きょうは問題点の指摘ということにいたしますが、ひとつ簡単にどういう点を改正しようという方向にあるのか、明らかにしていただきたいと思います。
○高橋説明員 おくれて参って申しわけございませんでした。 ただいま板川さんから骨子が固まったという新聞報道のお話がございましたけれども、実情を申しますれば、まだ固まってはおりません。この点は、新聞報道についてとやかく申す気持ちはございませんが、私のほうの内部として骨子が固まっているという状態ではまだない。何日あとかということははっきり申し上げかねますけれども、近いうちに骨格を固めたいという考えはございます。ただし、これは御承知のとおり、法案の提出権は私のほうにはございませんので、結局、政府・自民党の十分な御理解がなければ非常にむずかしい問題になります。そういう点では、私のこれからの発言についてはそれらのことも十分考えて——自民党の中には、私があまり先走ったことを申し上げることについて批判的な御意見もございますので、きょうは、いまお求めにございましたように、主としていま考えております要点は何かということをかいつまんで申し上げ、御了承いただきたい。 第一点は、いわゆる独占並びに寡占、これは程度の差異でございますが、その対策といたしましては、一つには企業分割というものを取り上げておる。できる、できないの問題は別でございますが、私どもとしては、企業分割という制度はつくっておきたいという考え方でありまして、これは言うまでもなく典型的なものはガリバー型の一社独占というような形でございますけれども、一社とは限らずに一または二ぐらいの企業で、市場に対する生産、供給力が大部分集中しておるという場合にお春ましては、独占の弊害が一般的に出てまいりますので、これを是正するのに——他に方法があれば別でございます。また、いろいろな状況を勘案した上でなければやれませんが、競争状態を百現させるためにどうしても企業分割が必要であるというような場合には、そういうことを考えなければならぬだろうというのが一つでございます。 次は、原価の公表でありまして、原価公表ということについてもとかくの批判はございますが、私ども外国の例などを調べまして、これは寡占状態にあるものに対してはこれを分割するというわけにはいかない。その前の段階におきまして、原価の公表を求めるということによって——それらの寡占業種はかなり高度の寡占業種でありますので、以心伝心で、カルテルという積極的な行動を伴わなくても、価格のほぼ同時的な同調的な引き上げが見られる場合に限ってこれを求めるわけでございまして、この業種の範囲はそれほど大きく広がるものではございません。一般的なものではございません。 次は、カルテルの対策としまして、かねがね私申してきましたが、いわゆる値下げ命令と申しますとちょっと誤解を生みますので、価格の原状回復命令というふうに名前を変えておりますが、要旨は、要するに違法行為によってカルテル価格が形成された、適正な価格とはいいがたい、ほんとうの競争によって生じた市場価格ではないと認められる場合に、現在の破棄命令ではそれを変えることが事実上できません。ですから、すでにつくり上げられたカルテル価格は独占価格の一種であると私どもは考えておりますが、そういう人為的につくられた価格がそのままに放置されるということは、国民経済上また国民、消費者のサイド等から考えまして穏当でないと考えまして、目的はあくまで価格の面における競争状態を再現させることにあるのでありますが、一時的にはこちらが、不当な価格引き上げに対して引き下げを、もとに戻すということを原則にいたしまして、原状回復命令を出す。ただし、機械的にもとへ戻すとは限りませんが、その辺はしんしゃくの余地を残したいと思います。 次には、課徴金の問題でございまして、カルテルによって価格が引き上げられた場合に、それによって当為不当な利得が生ずる。これは観念的ではございますが事実上計算してどうなるかというむずかしい問題はございます。しかし、外国の事例等を見まして、限度額としてはある程度割り切った限度額を設けるということができるのではないか、許されるのではないかと思いますが、主としてこれは法務省が、裁判所によってこういうことをやるべきではないかという問題と若干触れ合いますので、それらとの調整が今後とも必要になってくると思いますが、私どもはぜひとも行政処分として課徴金を課するということを考えたい、こういうふうに思っております。 その次には、株式保有の制限でございますが、わかりやすいほうから申しまして、金融機関の、ただいま制限されております一社の株を百分の十以上持ってはならないというのは今日の段階では少し甘過ぎる。実情を調査いたしましても、金融機関が上位の株主を占めるケースが非常に多いという感じがいたします。これは一方で金融機関に対する依存度が非常に高い日本の産業の体質からいいまして、借入金によって金融機関に頭が上がらぬということがある。金融機関に対して強いものはまれにあるだけでございまして、それに対して、さらに株主としての立場からも発言権が強い。これは強くならざるを得ないわけですが、いかに機関投資家でありましても、上位株主、筆頭株主ということになりますと、その点は行き過ぎになる場合もあると思います。そういう金融が産業界を支配するという程度をもっと軽くする必要があるんじゃないかと思いまして、この十を引き下げたい。幾らに引き下げるというのはまだ決定はいたしておりません。 なお、それ以外の一般事業会社につきましては、比較的大規模なものに限りまして、そう小さな企業には要求いたしません。大規模なものについては株式の保有について何らかの制限を設けたい。しかし、何らかの制限と申しましても、一つ一つの株式について制限を設けるということはたいへん煩瑣な面もあるし、実情に沿わないので、総額規制を行なってはどうか。その総額規制の範囲については、ただいままだ申し上げるような段階に至っておりません。その点、御了承願いたいと思います。 なお、このほかに、一般事業会社に対しまして、その競争会社の大規模な会社ですね、それが自分と競争関係にあるとはっきりわかる会社の株式を持つことについては相当きびしくする必要があるのじゃないかという考えがあります。これはもともとは、原始独禁法では全面的に事業会社は他の株式を持ってはいかぬという規定がございましたが、それは極端でございまして、ある程度持つことは、それを大目に見たって差しつかえないと思いますが、競争関係にある会社についてはこの際若干規制を強めるほうがいいのではないかという考え方がありますが、この点はまだきまったものとして申し上げる段階ではございません。検討中でございます。 なお、刑事罰の強化につきましては、罰金が実情に反して軽過ぎるという点を是正する。 なお、事業者団体にすでにありますところの事情は、カルテル等の不当な制限行為、そのほか私的独占を含みますが、すべて独禁法違反事件を十分知りながらそれを放任した場合にやはり責任罰を問われる。これを過失責任罰と呼ぶべきかどうか知りませんが、通常、過失責任罰ということばがございますが、私どもは責任罰として罰金刑だけを考えるということを検討しております。 そのほかにつきましては、不公正な取引方法の規制を強化するということ、それから既往の違反行為についても排除措置がとれるというようにする。これはわれわれの体験からしましてどうもそうする必要がある、こう考えられます。 以上で簡単な説明を終わらしていただきます。
○板川委員 いま論議をしておる公取のポイントについての所見を、あとで通産大臣と総理府から伺いたいと思いますが、公取委員長に重ねて質問いたします。 いまの改正要点の中で、実は私どもそのほかにも問題があるんじゃないかという点を指摘をして、あわせてひとつ検討を願いたいということで申し上げたいと思うのであります。 独禁法は、御承知のように、競争状態を確保して、そして一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進することを目的とする、こういう第一条の目的がございます。この第一条の独禁法の目的を確保するため特に二つの柱があると思うのです。一つは、独禁法二十五条、二十六条によって過去における損害賠償請求ができるということと、また将来に向かっては、独禁法六十七条で、裁判所に要請をして、緊急停止命令で将来に対しての違法行為を差しとめるという、消費者の利益を守るために二つの大きな柱があると思います。 ところで、この独禁法二十五条は、企業に無過失賠償の義務を課しております。これは時間がありませんから読み上げませんが、二十五条は企業に無過失賠償の義務を課しておるのでありますが、実際に一般消費者が独禁法違反行為によって損害を受けた場合に、それを請求する手続として、二十六条には、御承知のように審決確定のあとに裁判所に請求できるということになっておるのであります。二十六条には「前条の規定による損害賠償の請求権は、審決が確定した後でなければ、裁判上これを主張することができない。」こういう規定がございます。そうしますと、まず審決を公正取引委員会でする、そしてそれが確定する場合には、審決に不足ならば裁判所に行政裁判を持ち込む、東京高裁に持ち込むわけであります。さらに、争いがなお残るならば最高裁に行きますから、審決が確定するまでには非常に長期な時間がかかります。三年ないし五年、八年とかかるんじゃないかと思います。しかも、その三年、五年、八年たって裁判所において審決が確定をして、それから損害賠償の請求をする、裁判になる、それがきまるには非常に長期的に時間がかかるという実態でありまして、せっかく二十五条で無過失賠償責任を企業に課しておきながら、実質的には審決確定後でなければ請求権が発生しない、こういうことになりますから、二十五条の救済の効果は全くない、期待できない、こういつていいと思います。また、公取が取り上げて問題となったものでも、審決に至らないものがあるわけであります。たとえば起訴猶予的なものであって、審決するまでには至らないということで不問に付する場合が者はそれぞれ損害を受けるわけでありますが、審決が行なわれない場合には請求権が発生をいたしません。いわばせっかく二十五条で独禁法の目的に沿う一般消費者の利益を守るという規定がありながら、実はこの法律が動かない。審決をしなくても民法七百九条による損害賠償請求ができるという最高裁小法廷の見解もあると聞きますが、しかし民法七百九条による損害賠償請求ということになりますと、無過失賠償責任をきめた二十五条の趣旨に反しまして、故意または過失の挙証責任を消費者側が持つということになって、これは公害裁判の例と同じように、実質的に消費者の救済の手段にならない、こういう欠陥があると思います。したがって、審決確定後でないと裁判上の請求権が生じないという二十六条の一項の規定は削除するか、あるいはこの際実効あるように法制の整備をする必要があるのじゃないだろうかという感じがいたします。 さらに、独禁法で、消費者が被害を受けた場合に、裁判を提起する場合には、東京高裁というのが専属管轄となっているわけであります。東京高裁でなければ独禁法違反に対する損害賠償の請求はできません。ところが、沖繩や北海道という遠隔の地に住む一般消費者、その個人個人では独禁法違反というのはごくわずかな損害であります。しかし、それを社会全般で合わせると非常に大きい損害を生じるわけであります。これはたとえば石油の値上げ等に見てもわかりますように、個人個人ではそんなに何万、何十万、何百万という損害じゃないけれども、消費者全体からいうと何百億ということになるわけですから、その被害を受けた遠隔の地の人が東京高裁に来てわずかな独禁法違反の損害賠償請求をするということはなかなかむずかしい。また、一定の人がやっても裁判をした人でなければ救済されないという欠陥があります。 そこで、最近消費者団体が、昨日の報道によりますと、いわば集団訴訟というのを起こしておるめにクラスアクションという制度を導入すべきではないかという感じがいたします。しかし、この集団訴訟については、公取としては、それは民事訴訟法の問題であって法務省なりが考えるべき問題だという見解があるかと思いますが、それならば、独禁法四十四条の二項によって、公取が独占禁止法の目的達成のために必要な事項を国会に意見を提出する権限があるわけでありますから、四十四条の二項によって、クラスアクション制度を導入するべきであるということを内閣を通じ国会に意見を提出する意思があるかどうか。この点に ついてひとつ御見解を承りたいと思います。
○高橋説明員 ただいまのお尋ねにつきましては、二、三点ございますが、無過失損害賠償責任制度の規定は現在ある、ただしそれは活用されておらないではないか、こういう点でございます。確かに、事実上そういう訴訟の提起された例はきわめて少のうございます。これについては、御指摘のようないろいろな不便さが伴っておるという点がございますが、まず審決が確定する前に訴訟を起こせないのかという点につきましては、これは御指摘ございましたが、東京高裁に審決の取り消しを求める訴えというものは、つまり審判が長引くとかいう問題はございますが、これはいまの訴訟すべてについていえることでございますが、審判となれば勧告の段階を経て通常、審判に付される。これは少し長過ぎるじゃないかという御批判もございますが、裁判と同様な程度に、相当慎重に証拠調べ等あらためてやり直しまして、なお両方の言い分を聞いてやるということでございます。それでまだ確定しなければ東京高裁へ行くわけでございます。東京高裁では審決取り消しの訴えになるわけですが、その取り消しの訴えにつきましては、事実の認定につきましては公正取引委員会の見解を十分尊重するという規定が、御承知かと思いますが八十条にございます。ですから、事実の点についてあらためて裁判所が並行的に公正取引委員会とはまた別個に裁判をするというこはないかと思います。確かに、非常に何年もたってしまえば、損害賠償を起こすといっても実情に沿わないじゃないかという御指摘がございました。ごもっともだと思いますが、いまのところ私どもは、大体法八十条というものはたいへん貴重な規定でございまして、それだけ公正取引委員会の事実調べというものについては東京高裁が尊重するというたてまえをとっています以上、これを無視して別個に民事裁判を進めるという点は問題があろうかと思います。そういう点で、ちょっと御期待に沿うような答弁ができないのは残念でございます。 なお、そのほかに、場所が東京だけにあるということで、遠隔地にある者は訴えようとしてもたいへん不便である、これはまことにそのとおりでございますけれども、私はこれだけはしかたがない。逆に申しますと、私どもは非常に遠くの、遠隔地にある裁判所に出頭しなければならぬとしますと、これは相手方は必ず裁判の場合には相当な弁護人を立てます。独禁法に詳しい方も相当おります。そういう方と渡り合う結果になりますから、遠隔地にまで人をもし派遣するということであるならば、これはまた別個に体制を考えなければならぬ、その体制は現実には無理である、こういうことでございます。 それから、クラスアクションの点について、集団訴訟でございますが、確かに私どものほうだけできめるような問題ではございません。もっともっと私は大問題だろうと思います。 それで、アメリカでは近年までクラスアクションのようなものは認められておったわけです。そう聞いております。しかし、先般私が参りましたときに司法省で聞きましたところ、最高裁で違憲の判決があったということで、クラスアクションについてどう思うかという点を尋ねたのに対して、非常に簡単でありますがそういう返事が返ってまいりました。私は、その後重ねてくどく調査しておりませんが、最近になってそれは違憲であるということで以後使えないというようなことになった。ただし、実態的に申しますと、クラスアクションというのは、訴える側にとっては一見便利でありますが、負けた場合の訴訟負担はどうするのかという問題もございます。現在のところアメリカでも、一般的なクラスアクションというのではなくて、名あて人ははっきりきめて、その訴訟に参加する意思を表明した者だけに限って裁判の効果が及ぶということになっているのが現実のようでございます。だれでも、同じ被害を受けた者はあとからでも名乗り出て、集団的な訴訟の効果を受けるというわけにはまいらないというふうに聞いておりますが、こういう点私どもがとやかく言うよりも、これは法務省全体としての法体系の上からいって重大な問題でありますので、私の答弁はこの程度にさせていただきたいと思います。
○板川委員 前段の二十五条と二十六条の関係ですが、二十六条の規定に審決の確定後というのがありますが、せめて公取の審決後請求権が発生するというならまあまあですけれども、審決確定ということになりますと、それが高裁で争われ、行政裁判になり、さらにそれが最高裁にいくかもしれません。とにかく金のある、やみカルテルをやった大企業からいったら、裁判の費用なんかたいしたことはないですから、それで何年も引き延ばされたら、実際は二十五条の救済規定があっても何にもならない。私はこの二十五条の精神が、あるいは独禁法の目的の精神が実効あるように、二十六条の規定の改変もひとつ考えてほしい、こういうことを要望いたしておきます。 時間の関係がありますから先へいきますが、クラスアクションの問題についてもなおひとつ御検討願いたいと思います。 第二は、カルテルの原状回復命令というただいまの説明で、これは現在の法律では原状回復命令というのができないという解釈をとっておる。価格についてはそういうことができないというお話だろうと思います。しかし、独禁法六十七条の、裁判所に申請をして、緊急停止命令を出してもらって違法行為を差しとめる、こういう条項は、独禁法違反の全般にかかっておると思うのです。ですから、この六十七条の手続によってカルテル原状回復命令を出すのかどうか。出せると私どもは思うわけでありますが、先ほどの説明ですと出せないという解釈のようです、これは従来もそう言っておりましたが。その点でカルテルの原状回復命令というのは、六十七条の規定を使ってやるのかどうかということをひとつ伺います。 私がさらに聞きたいのは、六十七条で、そういう緊急停止命令を公取が要請をして、裁判所から緊急停止命令を出された、しかし、緊急停止命令を出されても、企業がそれを拒否した場合には、現行の法律ではわずか三万円の過料にすぎません。九十八条で三万円の過料。命令を履行、確保するためには刑法九十六条ノ二と同様に懲役刑を法定すべきじゃないかと思います。いわば法廷侮辱罪にも当たる命令拒否の罪を、現行法規のようにわずか三万円程度の、しかも罰金でなくて過料、こういうことでは、せっかく原状回復命令が出ても守らないという傾向になる可能性があると思いますが、カルテルの原状回復命令と、六十七条の現行法規と、それを担保するための罰則の関係をどういうふうに理解をされるか、その点をお伺いをいたしたいと思います。
○高橋説明員 最初の緊急停止命令でございますが、これは確かに条文をすなおに読んでまいりますと、何らかの形で、審決を行なう以前に、その効果を先に裁判所に出してもらうという意味でございます。でありますので、今回もしも原状回復命令というものを規定上認めていただいたと仮定いたしますと、その効果は、たとえばいま御指摘になった六十七条という条文に当てはまることがあるというふうに思います。ですけれども、これはあくまで一時停止でございまして、相当期間にわたってそういう効果を持つのには、審決によるほかない。審決が長引くおそれがあるような場合に、これは完全な証拠を添えなくてもいいわけですから、一時的に停止命令によって、たとえば不当な価格引き上げを停止してもらうということが解釈上可能になるか、あるいは別個にこれを六十七条に付加すべきかどうか、若干手入れが要ると思いますが、新しい条文を起こした場合にはその手当ては要ります。その程度にお答えいたしますが、一時停止命令といいますか、そういう審決を待たずして価格の原状回復を命ずるということも目下考慮中であります。ただし、これも私どものほうだけの独断でもいけませんので、慎重に検討しているということでございます。 なおもう一つ、六十七条違反に対して刑があまりに軽い。刑といいますか、過料三万円以下というのはいかに何でも軽いという御指摘でございまして、私ども委員と相談いたしまして——私個人といたしまして、これはそうだと思いますが、一般に日本では裁判所の命令に従わないという場合の処罰規定が軽いように聞いております。たとえば、ほかの事例でも、裁判所の中で非常な騒ぎを起こして裁判の進行をはっきり妨害したという場合でも監置二十日間というふうなものがあるだけでございます。これはもう外国ではずいぶんきびしいようでございますが、日本の場合には少し軽いということでございますので、私ども非常に奇異に感じておりますが、これらについては法務省の問題と思いますので、法務省の処置すべき問題でございますから、主としてそちらの意見を十分尊重して、現在のわがほうに入っておりますところの規定の軽過ぎる点は実は改正したいと思っております。ですから、これはいまの段階ではその成否についてはまだ何ともお答えできない。一般に法廷侮辱罪的なものが軽過ぎるということは申し上げます。
○板川委員 時間があと十五分しかありませんので先に進みますが、やみカルテルによる不当利得に対して、当初伝えられるところによりますと、課徴金は不当利得のまあ三倍ぐらい、こういう説がありました。ところが、今度の論議の落ちつく先は、不当利得相当額だというふうに落ちつくらしいのでありますが、これはいわば盗んだものを返せばいいじゃないかという程度のものに感じます。やみカルテルがいかに経済的犯罪行為であるかということについての認識が軽過ぎるという感じがいたします。 西独の法規では、御承知のように、秩序違反として、故意の場合には十万ドイツマルク以下の罰金のほかにもうけた額の三倍以下の過料にし、過失の場合でも三万ドイツマルク以下にさらにもうけた額の二倍以下、こういうふうになっておるし、アメリカでも罰金が三倍程度というふうになっておる。この不当利得に対する課徴金というのは、課徴金を取るのが実は目的じゃないはずであります。やみカルテルなりの違法行為を未然に防止するという規定であるはずであります。そういう面から見ますと、不当にもうけたやつは返せばいいだろうという程度の規定というのは、どうも違法行為を防止するに十分な考え方に立脚してない、こう思いますが、この点はどうお考えですか。
○高橋説明員 私ども御趣旨には同感でございますが、ただし日本の場合——これは各国、法体系がそれぞれ違います。日本の場合で申しますと、課徴金といういま仮の名前を用いておりますが、それについてもし制裁的な色彩つまり罰則的な色彩が非常に強い場合には、当然裁判所がそれを科するのだという考えが非常に強うございます。これはわがほうではありませんが、当然所轄官庁としてそういう論は強く主張されますので、二倍、三倍というふうな、つまり制裁的な色彩が歴然と出るような形では、この課徴金の制度の創設はたいへんむずかしいという実情を承っております。それで、できればせいぜい二倍ぐらいにはしたいという気持ちはありますけれども、実際問題としてはたいへんむずかしいのではないか、かように考えております。
○板川委員 公取の改正案についてもまだ完全に固まったわけではないようでありますから、私どもの意見もひとつ追加されて御検討願いたいと思います。 時間の関係がありますから、総理府総務福長官に伺いますが、この独禁法改正案がまとまれば、総理府総務長官が提案者ということになります。公取がまとめつつあります独禁法改正の方向について、国民は非常に期待をしておるのでありますが、総理府としてはこの改正の方向についてどういう見解をお持ちですか。
○小渕説明員 お答えいたします。 独禁法の改正につきまして、公正取引委員会でかねて検討いたしておりますことにつきましては承知をいたしております。その内容につきましては、ただいま委員長からその骨子なるものについて御説明をいただいた時点でございますので、今後、公正取引委員会において内容がまとまりました上で、政府全体の問題として検討し、判断いたしてまいりたいと思います。 ただし、その方向といたしましては、総理もことしの春の国会におきまして、公取の検討結果を待って実情に沿うように配慮したい、こう答弁いたしておりますので、この基本姿勢をもって処していきたいと存じております。
○板川委員 総理も、たとえば金融機関の持ち株は一〇%は多過ぎる、五%ぐらいにするのが妥当と思う、こういう発言も参議院でしておるようであります。前向きに取り組むという意味のことも強調されておるようでありますから、この公取がまとめるであろう独禁法改正案については、ぜひひとつ前向きに取り組んでもらいたいと思います。 これは来たる通常国会に提案の運びになるだろうといわれておりますが、明年度の予算について、いままでの公取の予算を見ますと、人員がたとえば四十七年度は三百五十八名、四十八年度は三百六十三名、五名しかふえていませんし、四十九年度は三百六十九名で六名しかふえていない。国民の側からいえばほんとうに必要な公取という機能が、全然人員的に予算的にふえていない。四十九年度の予算が十一億何がし、予算の額としたら国家予算の中でほんとうに微々たる額でありながら、やみカルテル征伐やいろいろ国民生活の経済の民主的な発展のために非常に努力しておるわけでありまして、この公取の機能強化というのをぜひ考えてもらいたいと思います。特に来年度の予算についてはぜひ抜本的な考え方を持ってもらいたいと思うのであります。 アメリカの例を見てみますと、アメリカでは連邦取引委員会では千三百六十九名の人員を擁しておる。そして、司法省反トラスト局では六百二十九名の職員を擁しておる。そのうちの三百何名というのが、司法省では検事だそうであります。さらに、FBIの職員も使用できますし、州政府の機関の職員も利用できる、使うそうでありますから、こういうアメリカの独禁法施行状況から見ましても、日本ではわずか一三群六十名程度で、ほんとうにこの人員というのも少ない。もっと機構を拡大をして、そしてほんとうに公取の機能というのを強化することが国民のため必要だと思います。ぜひそういう点で取り組んでもらいたいと思いますが、総理府の見解いかがですか。
○小渕説明員 お答えいたします。 公正取引委員会の業務の重要性につきましては、十分認識をいたしておりまして、総理府部内の予算要求を取りまとめる立場からも、公取とも緊密な連絡を保ちながら対処いたしてまいったつもりでございますし、今後もそういたしてまいりたいと思います。ちなみに、五十年度予算要求額は、十四億三千三百四十二万一千円を要求いたしておりまして、定員要求も五十五名増の要求をいたしておるところでございます。冒頭申し上げましたように、公取の重要性を十分認識いたしまして、総理府といたしましては、この予算の成立のために努力をいたしてまいりたいと存じております。
○板川委員 昨年も五十四名の定員を要求して実質的には六名になった。ことしも五十五名、実質的に何名ということでないように、予算の金額からいえばごくわずかでありますから、ぜひ機能強化、機構強化のために予算措置も講じていただきたいということを期待をし、要望いたします。禁法改正案という骨子、まあこれは最終的にまとまったわけじゃないといわれていますが、いま報告されたような骨子の方向に対して、通産省としてどういうような見解を持っておられますか。
○小松説明員 御案内のように、経済活動の中に競争原理の働く分野と働かない分野がございまして、いわゆる市場財ともいわれております競争原理の働く分野につきましては、従来日本は非常な競争を実現してまいりましたし、今後もその競争を失わないということが最も大事であるというふうに私ども認識いたしております。そういう意味で独占禁止法につきましても、法の改正によって競争が強化される、また運用の強化によって競争が強化、維持されるということにつきましては、前向きに取り組むつもりでおります。具体的にいかなる改正がいいのかということにつきましては、ただいま公取の委員長からも御説明ございましたが、私どもも産業政策全体あるいは産業組織政策の見地から勉強もいたしておる最中でございます。特に日本の産業がどういう状態にあるのか、独占、寡占がどの辺まで進んでおるのか、その結果どういう弊害が生じておるのかという実態認識が最も大事だと思いますので、現在各原局を動員いたしまして、通産省全体といたしまして実態の調査をやっておる最中であります。いずれ公正取引委員会の正式の御見解がまとまりましたら、それをもよく研究させていだだきまして、私どものやっております実態調査とにらみ合わせまして、正式の見解をまとめたいというふうにいま考えておる最中でございます。
○板川委員 通産省としては、公取が検討して成案を得たらばその方向について研究をして見解を出そうということであろうと思います。アメリカなんかでは大企業が独占をして競争を排除する、新規の参入を不可能にしておる、こういう状態は、大企業が、実際はアメリカの企業を支配しておっても結局国際的に競争に負けてしまう。たとえばソ連なり中国なりの技術に負けてしまう、こういうことがあって、競争を確保することが国益に沿うのだというたてまえをとっておる。どうも日本の通産省は大企業擁護になりがちな傾向にあるのでありますが、独禁法の精神というのを十分に研究をされ、ひとつ独占禁止法というものについてのもっと理解ある行動をとられんことを要望いたします。 最後に、私ども社会党では私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案を昨年四月二十五日に提出をいたしております。この改正案は、内容的に見ますと、いま公取でまとめつつあるものよりもはるかに進歩的な案であります。一そうの理解をいただきたいということを申し上げて質問を終わります。
○濱野委員長 加藤清二君。
○加藤(清二)委員 ただいま零時二十八分でございます。私に与えられた時間は正味一時間でございます。一時間でございまするが、事重大なる案件を質問いたしまするので、腹を据えて答えていただきたいと存じます。なぜかならば、それは日本の貿易、特に繊維産業に及ぼす影響が非常に大きいからでございます。 そこで、申し上げまするまでもなく、今日の日本の経済はどれをとってみてもみんな値上がり値上がりでございまするが、たった一つ異例がございます。それは繊維であり、繊維の工賃であり、繊維の工場に働く労働者の賃金でございます。これは下がっております。ひどいのは三分の一以下になっております。したがって、十先から年内には倒産が続出するであろうと言われている。さればこそ先日、全国の五工連の関係の方々が共立講堂に二千五百人も集まられました。事重大というので自民党の方々も、そこにいらっしゃいまする稻村さんをはじめ、五十名余の議員さんがいらっしゃいまして、その切々たる陳情を腹の底からお聞きになったはずでございます。もうこれは経済問題を通り越えております。社会問題です。なぜかならば、仕事がないから機業家の主人が日傭取りに出かけてみえる。天龍社のごときは、三割以上日傭取りに出かけてみえる。八月の炎天で日傭取りをする、土方の仕事をするものですから、なれぬ仕事だから、ぶつ倒れて日射病で死んでしまった、首つり自殺した人がある。機業家がそうならば、そこに働かれる労働者はどうなっているか。これも首切り、帰休、レイオフが幾らでも行なわれておる。おかげで夜学の学校ができなくなったということである。それだけじゃない。首を切られずに残った人は賃金カットなんです。きょう総評から北陸路へ走ります。なぜか、膨大な賃金カットが出たからです。 〔委員長退席、稻村(佐)委員長代理着席〕 賃金を上げるどころの騒ぎじゃないのです。月給カットなんです。こういう事態はもはや経済問題ではない。社会問題です。経済において特に問題になりますのは——金詰まりを逃げるためにいま何が行なわれているか。自分の家屋敷を売るだけじゃ足りないのです。上場株でない持ち株を店頭売りしている。したがって、その証券市場の金がそちらへ流れるからどうなるか。株価がぐんと下がっておる。それだけならいいんです。現物の換金光りをする。したがってどうなったか。三品市場、商品市場はガラ安なんです。いまウールが一キロ何ぼしていると思っていらっしゃるか。千円を割っているのですよ。ストップ安が続いているのです。千円を割ったということはどういうことなんだ。三千三百円が大体生産コストをペイする値段なんてす。三分の一以下——普通経済的に乗る相場からいったら三分の一以下なんです。なぜそうなるか。現物を浴びせておるからです。そうなどしなければ市場で売れないから、三品市場で売る以外に手はない。それをしなければ、資金がショートしちゃっているから。そこでどうなる。それのできる人はまだいいけれども、できない機業家はどうしているか。融手の書き合いがいま行なわれておる。通産の局長も知っているでしょう。融手の書き合いなんです。これがいま銀行で割られているうちはまだいいのです。それがもし町金融へ流れたら一体どういうことになるか。もはや経済問題ではないのです。パニック前夜なんです。それを承知の上で、実態をよく把握した上で事を運んでいただきたい。だから、私ども社会党はきのう全国の業者にふれを出しました。何とあんなに業界が社会党の呼びかけに応じたのは、党始まって以来初めてです。一日じゅう詰めをやりました。きょうまた労働組合が集まって詰めをやっております。首切り、レイオフ、帰休、お盆休み、それだけじゃ足りない。賃金カットが行なわれているからです。幸い大臣が見えましたので、もう大臣は、こういう状況はよく御存じでございましょうから、本論に入ります。 なぜそうなったか、なぜ繊維がこんなに不況になったか。物みなすべてが上がるときに繊維だけがなぜダウンしなければならないのか。責任は一にかかって政府にありとこの間の共立講堂では代表がこもごも立って述べた。それに対して——五十有余名も自民党の方も行ってみえた。いま委員長席に着いておられる稲村さんが孤軍奮闘で大演説をぶたれたけれども、なお聴衆の中には、話はわかっても、苦しさはのがれることはできないという空気が残っていた。 さて、なぜそうなったか。簡単に言えば、経済的に言えば、日本の繊維が輸出が減って輸入がふえた、これだけのことなんです。繊維は、いままで過去においては、ずっと明治以来輸出国であったのが、おととしから始まって去年、ことしの上半期は完全に逆転して輸入国となってしまった。 大臣に聞きたい。総需要抑制というおりに、なぜ内にある繊維をそんなに買わせなければならぬのですか。せめて輸出がふえていると、いうならば、まだ納得ができる。製品はすべて加工して輸出しちゃったのだから、いいものを輸出したから内需が足りないので輸入したというのなら、これは話がわかる。在庫、在庫でもう倉庫業だけでは足りぬから、野積みにしなければならぬほど在庫が多いのに、なぜ買わなければならぬのか。なぜ輸出振興を阻害するような協定を結ばなければならないのか。最初に協定にしぼってお尋ねいたします。 現在ワシントンで日米繊維二国間協定の成文の詰めが行なわれておると聞いておりますが、それはもう終わりましたか。
○橋本説明員 先月の八月二十九日からワシントンにおきまして、七月十五日に仮調印を行ないました日米交渉案件につきまして成文化の作業が行なわれております。まだ最終的に作業が終わっておるという段階に至っておりませんが、近々のうちに成文化作業は終わるものと考えております。
○加藤(清二)委員 すでにハワイ会談においてこれはほとんど詰めが行なわれ、仮調印が行なわれておるはずなんです。にもかかわりませず、先月の二十九日から始まっておる、それがどうしてそんなに長い時間かかりますか。ここらに、その道の通ならだれでも疑いを持つことができるはずなんです。 さて、それがもし発効されますると、これは向こう三年三カ月有効と聞いておりますが、それは事実ですか。
○橋本説明員 事実でございます。
○加藤(清二)委員 その取極は何法の何条によって行なわれたのですか。
○橋本説明員 本年一月一日から発効いたしております繊維製品の国際貿易に関する取極の第四条に基づいての交渉でございます。
○加藤(清二)委員 第四条のどの条項に当てはまっておりますか。
○橋本説明員 第四条の第二項の「相互に受諾可能な条件で二国間取極を締結することができる。」という規定に基づいております。
○加藤(清二)委員 しからば、その双方合意に達する以前の条件があるはずです。それはいわゆる市場攪乱がなければ、それを結ぶことはできないはずなんです。発動することはできないはずなんです。日本の繊維、わけてもTQ二〇〇、TQ二〇一、TQ二〇二、この合繊のなま糸は、アメリカ国内において過去において市場攪乱をした例があるのかないのか、あるいはまた市場攪乱の予見がされたのか、されないのか、いまあなたの言う双方合憲の前提条件を聞く。それはあるのかないのか。
○橋本説明員 日本からアメリカへの合繊長糸の輸出状況について申し上げますと、TQ……
○加藤(清二)委員 与えられた時間が少ないから、市場攪乱があるのかないのか、あるならある、ないならない、あるならどこにある、こういうふうに答えてもらいたい。
○橋本説明員 一九七一年時点におきまして、合繊長糸につきまして前年の四倍近い量が出ておるという事実がございますが、七二年以降は急速に輸出量は減少いたしております。
○加藤(清二)委員 ガットの繊維取極の前のLTA二国間協定、ここで合意に達し、許されている量をこえたものが一つでもありますか。コットンにしてもウールにしても、すべてが日米の取りきめのワク以内、しかもワクの半分も消化していない。どこに攪乱がありますか。いわんやなま糸の関係のごときは、もとよりパテントはアメリカから買ったんだ、デュポンの会社と市場シェアまでが、ちゃんと約束ができておる。どこに日本の合繊のなま糸がアメリカ市場を攪乱したという例がありますか。欧州市場のどこを攪乱したんですか。はっきりしてもらいたい。
○橋本説明員 今回の交渉におきましては、御指摘の化合繊糸あるいはなま糸につきまして、対象から除外すべく強く主張した重要項目の一つでございます。当方の提案理由といたしましては、輸出が非常に減っておる、あるいは日米間におけるコスト格差がはっきり出てきておる、さような観点から、これを市場攪乱のおそれが少なくなっておるということで強く主張したところであります。アメリカ側としても、そういった実態は認識しながらも、必ずしも完全に市場攪乱の危険性がなくなったというところまでまだ自信が持てない、いましばらく時間をかしてくれといったようなことがございまして、今回対象として取り上げておるわけでございますが、これにつきまして、は、今後さらに第二年度の始まる前と申しますか、第一年度の終わりにハイレベルで見直しを行なう、その場合には自由化も含めて検討しようといったような話し合いになっております。かたがた、その間大幅に当方からの輸出ができるように各種の弾力化条項をあわせまして、一応計算上少なくとも七億平方ヤードまで輸出できる、あるいはそれに対してセーフガードを原則として発動しない、かような言質をとったこととあわせて、その他の項目におきまして実質的にもかなりの自由化を回復し、あるいは改善の実をあげたといったような判断から、今回対象といたしたわけでございます。
○加藤(清二)委員 大胆よく聞いてください。これは二国間協定の前提となるガット繊維協定、これの違反の疑いが濃厚に出てきております。それのみではございません。国内の外国為替管理法違反の疑いがあります。それのみではありません。このガットの協定は、本委員会、衆議院の本会議においてこれは条約としてすでに審議をし通過をしたものでございます。その精神にもとることが非常に大きい。それを行政ベースでかってに行なわれるということは、国会軽視、国会愚弄、この疑いが濃いのでございます。 順序を追って申し上げます。 この当事者はジューリックさん、アメリカの大統領の補佐官ジューリックさんと聞いておりますが、そうですか。
○橋本説明員 御指摘のとおりでございます。
○加藤(清二)委員 私は、このジューリックさんに会いました。一時間半というのが三時間半になりました。最初に聞きました。インジュリーがありますか、市場攪乱の例がありますかと言ったら、ありませんと答えられた。なければ法律違反になる、条約違反になるのです。それをなぜ含めなければならないのか。日本に不利になることを、条約を踏みにじってまでもなぜしなければならないのか。 せっかく通産大臣が見えてますから、通産大臣にアメリカの通産大臣のことを申し上げます。タンズという商務長官がおられましたね。このお方は、市場攪乱はないので、それを規制の対象にする必要はないと下院の歳入委員会で述べておられる。しかも、合成繊維は農産物ではない、季節的に変動のあるものではない、ゆえにこれを二国間の協定で貿易の制限をする必要はないと、はっきりアメリカの国会で述べておられる。なぜそういうことをせなければならぬか。アメリカの下院の歳入委員長ミルズさん、私はこのお方にも会いました。そうしてこの件について尋ねたことがあります。必要ないとはっきり答えておられる。野党だけではいけないと思って、与党の上院の総務であるスコットさんに会いました。インジュリーはないと答えてみえる。なぜそういうやさきに、ガット繊維取極四条違反をおかしてまでもしなければならないのか、真の理由が那辺にあるか承りたい。
○橋本説明員 スタンズ長官の発言も事実であるかと思います。これを合繊長繊維糸に限定して申し上げましても現行の日米の協定の中にも入っておるわけでございます。そういったところから、新しい多国間協定に基づきまして、われわれとしては極力、化合繊糸、特になま糸の除外ということについてマーケットディストラクションの問題も含めまして、先ほどもお答えしましたような方向で対象から除外すべく努力をいたしたわけでございますが、結果的には、彼らとしては危険性が減少していることは認めつつも、全く解消したというところまでの認識に立ち至っていないというところから、化合繊糸についての取り扱いを極力弾力化、自由化するということを前提として四条取りきめに踏み切ったわけでございます。
○加藤(清二)委員 過去の亡霊にとらわれておってはいけませんね。ワン・ダラー・ブラウス事件があった、このときには確かにラッシュした。しかし、それはラッシュはしたけれども、前年の輸出に対して、その年の輸出比率が伸びただけであって、アメリカの総需要に対して日本の輸出品が占めるパーセンテージは、あの時代においてもなお二%をこえていなかったのであります。ウールのごときは一%をこえたことがないのであります。それでもラッシュといわれた。なぜいわれたか。前年度の輸出数量とその年の輸出数量の伸びを見て、その亡霊に脅かされている。だから、私はその当時言った。タケノコ経済である。タケノコは伸びるときにはざあっと伸びていくけれども、ある一定度までいったらもうそこから先へは伸びないんだ。永久に伸びが続くなんということは繊維業界にはあり得ない。なぜか、天から降ってくるものじゃないから。日本においては材料を外国から輸入しなければならぬ加工品だからです。去年に比べてことしの伸び率が多いから、それでインジュリーになる、そんなへ理屈は世界のどこにも通用しませんよと言った。これは納得していただけました。今日交渉していらっしゃる方々が、過去の亡霊を言われると、そうだそうだ。どうしてなま糸がラッシュしますか。するはずないじゃございませんか。するというならば、そのするという証拠を見せてもらいたい。 次に、証拠も出ないでしょうから、これは明らかにガット繊維取極の十二条違反の疑いがある。それは局長御存じですか。
○橋本説明員 繊維のガット取極の十二条の一項ではこの取極の対象として、糸、原文では「ヤーンズ」ということばを使っておりますが、糸を対象にいたしております。通常、糸といった場合に、短繊維の紡績糸はもちろんのこと、化合繊の長繊維糸もやはり含むものだと解釈いたしております。ただ、同じく十二条の二項で、第四条のいわゆる二国間取極の対象にはしないが、要件を充足する場合は第三条のセーフガード条項の発動を対象とするという項目の中に、日本語に翻訳したことばで申し上げますと単繊維、複繊維ということばを使っておりますが、原語では「シンプル・モノ・アンド・マルチフィラメンツ」ということばを使いまして、これを除く対象として規定いたしております。 ただ問題は、この単繊維あるいは複繊維、特に「シンプル」ということばを使った用語例は今回初めて出てまいったわけでございまして、さようなところから、何が具体的に複繊維であるかということにつきましては、同じく十二条の四項の規定によりまして両当事国で検討する、それで話がつかない場合は、TSBと申しますか、繊維の監視機構に提起して問題の決着をつける、かような規定になっておるわけでございます。さようなところから、なま糸なるものが当然に複繊維の中に含まれ、したがって、自動的に十二条二項の規定によって対象から除かれるということにはならないのではなかろうか。むしろ具体的になま糸とは、あるいは複繊維とはといったことについて、両国間で討議すべき問題かと思います。 さようなところから、私たちとしてはガット規定には違反していないと考えますし、また現にそのなま糸の範囲等についてホノルルでもアメリカ側と交渉いたしたわけでございますが、結果的にはいわゆる回転数といったような技術的な問題、あるいはかりに一インチにつき〇・五以下といったようなことを規定いたしたといたしましても、通関技術上の管理的な問題、こういった問題もかかえておりますので、今回はとりあえずお聞き及びのような線でまとめることによって、その後の検討にゆだねるという形にいたしたわけでございます。
○加藤(清二)委員 答弁を慎重にしていただかないと、通産省は天に向かってつばを吐くことになる。条文をそのように解釈するのは、アメリカでも一般通説ではない。ほんの一部の人がそういう解釈をしておる。すなおに日本流に読めば、明らかに取極の十二条には、二国間取極の対象に含めることが許されない繊維の範囲として、「化合繊綿、トウ、くず、単繊維及び複繊維」と、規制することができない除外例にきちっと銘柄をあげて明記しておるのです。この文字がまさか読めないはずはないでしょう。 同時に、もう一つ言えることは、昭和四十七年一月十一日付「通産省公報」記載輸出注意事項四七第二号、四七繊維局発十五号、これにもはっきり書いてある。天に向かってつばを吐くようなことを言っちゃいかぬ。ジューリックにのまされたならのまされたでやむを得ない。そんなスコラ哲学方式の解釈をつけるとあとでよけい問題になりますよ。 あなたはいま、通関の場合に、よりの問題で制限をすると通関する人がわからなくなるから、それはできぬと言ったと言う。それはジューリックが言っていることなんです。冗談言っちゃいけません。アメリカの通関にしたって、日本の通関にしたって、通関のお役人が品質をかみ分ける能力を持っておりますか。いわんや繊維のよりが何回転あるなどということをかみ分ける、そういう能吏が、工大の紡織色染の教授ならばいざ知らず、一目見てそれがわかるなんという通関の役人が世界じゅうどこにおりますか。だからそれは除外しましたと言ったら、全部除外しなければならぬ。通関の官吏の能力が足りないから、それでこうしましたといったら、能力が足らぬ者ばかりじゃないか。私はわかるのですよ。ここへ持ってきて見せて、あなたたちわかりますか。これは専門家でないとわからないのです。そういうことを非専門家の通関の役人がわからないからといって、冗談言っちゃいけませんよ。ジューリックに完全にのまされた。これは完全に十二条違反の疑いがある。通産省繊維局発の通達の違反にもなっておる。これをどうしますか。——よろしい。外務省にお尋ねする。 本件について外務省はどう思われますか。おわかりにならなかったら申し上げます。繊維製品の国際貿易に関する取極、ガット繊維協定です。これは御存じですね。これが昭和四十九年五月二十三日付官報に載っていますね。外務省告示八十五号にも載っていますね。その載っている内容と今回の取りきめとが食い違っていることにお気づきでございましょう。いかがです。
○宮崎説明員 食い違いはないと存じております。
○加藤(清二)委員 はっても黒豆というんだ、そういうことを。これ国際裁判になるおそれがありますよ。 じゃもう一つ、これもあなたは知らぬとおっしゃるでしょう。ガット、これは日本国が加入したその議定書を条約として国会は承認しました。昭和三十年九月十日、条約第十三号、この存在は御存じですか。その存在も否定なさいますか。
○宮崎説明員 国会の議を経まして、ガットに正式に加盟していることは御指摘のとおりでございます。
○加藤(清二)委員 それに違反しますね。あなたでは、政治的答弁は差し控えなければならぬという護身術があるから、ここであなたに詰めを行なおうとはしておりませんが、いずれ黒白は別の場ではっきりすることになるでしょう。ですから、外務省としてもこの解釈を間違えないように、世界に通用する解釈をしておかないと、返す刀でEC諸国からやられますよ。それはあとで申し上げます。 したがって、こういう状況下にあればこそ、アメリカ側も無理であるということを承知している。だから二年後には見直すということなんだ。私が調べたところによれば、一年以内、一年が過ぎたところで見直して、なるべく除外する方向に持っていきたい、こういう意思表示がありました。 これについて通産大臣にお尋ねいたします。向こうからその呼びかけがなくても、法律違反の疑いのあるようなものは、かりに一度のまされたとしても、それはなるべく早く取り除くべく努力すべきではないか、アクチブをこちらから起こすべきではないかと思いますが、大臣、いかがですか。
○中曽根国務大臣 糸問題につきましていろいろ御心労をわずらわしまして、まことに遺憾に存ずる次第であります。 本件につきましては、ホノルルの交渉等におきましてわがほうも強硬な主張をやらせまして、除外することについてかなりわれわれも全力をふるったつもりでございます。ただ、アメリカ側はその点についてまた非常な強硬な態度を持しておりまして、最後の段階にどっちをとるか、決裂するかあるいはある程度妥協するかという場に臨みました。私は、決裂もやむを得ぬ、しかしもう一押し押してみろということで押させました。そして、その後いろいろな経緯がありまして、大局的に見てこれは解釈の問題について確定はしていない、わがほうは留保しておる。それで、原文は加藤委員御存じのように「シンプル・マルチフィラメンツ」ということばになっておるようでございます。その問題についてわがほうは貴方の見解には承服しないが、とりあえずセーフガード条項かけないようにするとか、そのほかの留保をして、一年やって、一年の終わりに見直しをする、そしてこれをはずすように私たちは努力する、そういうことで、まあ表現はちょっと大きくなりますが、まことにやむを得ず涙をのんで全般的な見地からその点については妥協したというのが真相であり、私もきわめて遺憾なことであり、これは必ずはずさなければならぬ、そういうように考えておるところでございます。
○加藤(清二)委員 いまのことばを私はしかと肝に銘じておきます。日本国の通産大臣であるとするならば当然のお答えだと思います。 なお、日米間の協定は、過去の歴史が示すように常にのまされてきた。しかし、事がそれで終わればよろしゅうございますが、今度他国に及ぼす影響が非常に大きく出てくる。ここが問題なんです。煮え湯を飲まされた。しかし、これは一年以内に除外する、取りはずすところの努力を日本政府はするのだと大臣みずからが陣頭指揮なさることが、悪影響を他国に及ぼすことを未然に防ぐ道だと思います。したがって、いまの言たるやまことによしです。前提はやむを得ぬとしても、その後努力するとおっしゃる大臣の言たるやまことによしです。ぜひそのように努力していただきたいと存じます。 そこで、及ぼす影響を申し上げます。それは日米の間で協定を結びますと直ちに影響が出ます。そのことは、私がお目にかかりました、先ほど述べたアメリカの大政治家さんたちも認めて見えることです。すなわち、カナダがすぐまねるのです。EC諸国は同じようにやらされたらかなわぬというので、日本に向かってペナルティーをつける。それがガット三十五条第二項の援用です。ガットの自由貿易のワクを日本だけは削る、こういうのです。なぜか。アメリカへ向けていたものが欧州に向けられたらたまったものじゃない、だから未然防止のためにガット三十五条第二項の援用をする、こういうのです。それがコットンの二国間協定、STAからLTA、あれから二十年近くなりますが、いまだにガット三十五条第二項の援用が行なわれておる。もし一このなま糸が同じような轍を踏むということになったら、日本の貿易は八方ふさがりになってしまう、その責任は一にかかって条約を結んだものが負わなければならぬ、こういうことになる。事重大でございますから申し上げます。 そこで、ほんとうにこの条約が法律違反でない——外務省もよく聞いておってくださいよ、ガット違反でない、正しいとおっしゃるならば、やってもらいたいことがある。返す刀で韓国、台湾、はっきり名前を言いますが、それに対して二国間協定を結ぶことができますか。外務省、お答え願いたい。
○宮崎説明員 ガットの繊維取極によりますと、双方が合意すれば第四条に基づいて協定を結ぶことができることになっております。したがいまして、韓国との間にもしそういう必要が生じました場合には、韓国との話し合いに入ることは法律的にはできるわけでございます。 他方、台湾につきましては、台湾はこの繊維取極の当事国でもございませんし、ガットの加盟国でもございません。また、国交がないことは御承知のとおりでございまして、台湾につきましては問題がございます。
○加藤(清二)委員 じゃ、韓国に対して二国間協定を結ぶと言うことが外務省は言えますね。
○宮崎説明員 この問題は、結ぶことを提案したほうがいいか悪いかということに関連いたしまして、いろいろな角度から検討を要することでございます。したがいまして、法律的に道が開かれているということと、それから実際上そういうことを行なうかどうかということは、また別の問題かと存じます。
○加藤(清二)委員 外務省の方々は、別問題として安閑としておれば月給がもらえるからいいのですが、たいへんな市場攪乱が行なわれている。たいへんな被害をこうむっている。なぜ日本の繊維がこれほど混乱し、倒産が続出しているかといえば、その一つの原因は、あまりにも発展途上国からの逆輸入が多過ぎるということなんだ。去年の輸入実績三十八億ドルのうち十八億ドルは製品ですよ。原料じゃありませんよ。第二次布帛加工から、生地になったものから、みんな加工品が入ってきている。十八億ドルといえば、これはまさに日本金に直したら六千億近い金なんです。総需要抑制のおりにそんなものが売れるはずがないじゃございませんか。それが小売り市場に殺到しているものだから、日本の機屋や紡績が操短、操短をしなければならぬことになる、売れないから。だから、前提に言った状態が発生してくるわけなんだ。 外務省、去年の韓国からの輸入は御存じですか。どれだけ入っておると思いなさる。韓国からだけで何と五億三千三百万ドル。たいへんですよ。五億ドルですよ。台湾からは二億何がし、アメリカからはこれまた製品が三億四千三百九十八万ドル、こういう調子に輸入されておる。これはほとんど製品です。もちろん豪州やあるいは中国からも入ってはおりますが、それはほとんど材料なんです。材料はやむを得ぬとして、製品がこれだけ入ってきておる。もはや市場攪乱は通り越えておるのです。さすれば、二国間合意の前提である国内の市場攪乱ははっきりしている。しかもなおどうなったか。ことしの上半期、一−六はどうなっているか。私は、すでにこれを去年の秋の国会でここに指摘しておいた。いまに発展途上国からの輸入が日本の市場を攪乱し、日本の産業に大打撃を与えるようになるであろう、したがって外国投資、外国へのプラント輸出、これなどもほどほどにすべきであるということを声をからして申し上げた。ことしの一−六はどうなっているか。上半期だけで三億三千七百八十七万ドル入っている。この調子で下半期に行ったらどうなるのか。七億ドルの余になりますよ。前年度比で比べてみたって、これは二二六%なんです。市場攪乱ははっきりしている。前提が整いました。アメリカはどうしたと思いなさる。わずか一%か二%で市場攪乱といって制限ときたんですよ。韓国、台湾から輸入されるものは一体パーセンテージにして何ぼだと思いなさる。しぼりだったら八〇%の余、大島だったら五〇%の余、西陣は三〇%の余です。いま正直者といわれておる天龍社、コールテン、別珍、先ほども申し上げましたが、ここは千六百工場のうち、いま六百工場の余の主人が日傭取りに行っておるのですよ、土方に。なぜそうなったか。それは日本の輸出市場が食われただけじゃない。何が食われたか。国内総需要の三割は、台湾、韓国へ行って日本が——しかもはっきり言いましょう。通産省が行って指導をした。そうして生産を上げさせた。それが敵前上陸してきている。去年総需要の三割、これはもはや食われた。したがってどうなる。機は三割、千六百工場のうちの約六百工場、これは休まざるを得ぬ。しかも、これは商社十七社が輸入センターをつくって、大阪にビルを借りてここで堂々と売っておる。 もう一ついいニュースを申し上げます。繊維の仕事は減ったけれどもたった一つふえた仕事がある。どういうことか。マークのかけかえなんです。 ここで公取委員長にお尋ねする。マークのかけかえ——私は公取委員長に感謝しております。なぜかならば、関税をアップするか、せめて産国表示をしてもらいたいと言ったところ、公取委員長は快くこれを引き受けて、ことしの春以来デパートで並ぶものは産国表示をしなければならぬことになった。韓国から輸入されます。台湾から輸入されます。ちゃんと通関のときにはマークがついております。このマークを小売り市場へ出る前に取りはずして、日本製のマークをつけて、そうして小売り市場へ出ている。機屋で仕事のなくなった女子工員の方々がそのつけかえのミシン踏みに行っていらっしゃる。うそだとおっしゃるなら、生きた証拠を見せます。何ぼでも私は証人になりますからぜひこれを訴えてください、こういうことであります。こういう事実があったら、公取委員長、どうなさいますか。明らかにこれは原産地表示を故意にごまかしているということですね。
○後藤説明員 不当表示防止法の原産国表示につきましての告示がことしの五月一日から発効いたしておりますので、そういう場合、その事態があれば、これは明らかに告示違反ということで取り締まれるということになっております。
○加藤(清二)委員 じゃ、調査されますか。
○後藤説明員 そういう事実がございますれば直ちに調査いたしまして、告示違反として取り締まりをいたしたいと思っております。
○加藤(清二)委員 これは消費者をごまかすのもはなはだしいといわざるを得ない。その結果、困る者があれば必ず笑う者がある。笑う者はだれかと言ったら、輸入商なんです。ないしはそれを日本ものとして売って利ざやをもうける小売り商ですね。デパートあたりですね。困るのは消費者ですね。それをほっておくわけにいきませんね。私のほうで資料を提供いたしますから、その資料があったら直ちに調査に踏み切られますね。もう一度……。
○高橋説明員 いまおっしゃられたようなことがございまして、資料の提供がいただければ、私のほうとしては厳重に処分いたします。
○加藤(清二)委員 そのことばを私は期待いたします。そのことは実行されることが、やがて国内の攪乱を防ぐ一つの道でございます。これほど攪乱が行われておる。文字通り攪乱なんです。通産大臣、もっていかんとなされます。
○中曽根国務大臣 近隣諸国からの繊維の輸入は、円が強かったというような事情もありまして昨年はとみに増大をいたしました。そのために本年に至って滞貨が激増して非常な困難を加えていることはまことに遺憾千万でございます。本年に入りまして輸入の統計を整備しあるいは秩序ある輸入ということでいろいろ行政指導をしておりまして、輸入数量は減ってきておると確信しております。ともかく繊維市況を回復することは非常に焦眉の急でございますから、あらゆる手段を使いましてわれわれとしてはできるだけの努力をいたしたいと思います。
○加藤(清二)委員 あらゆる手段の一つとして私は提案いたします。ガットの取極にかかわる第三条、セーフガードを発動することは通産大臣としてはできる、可能な行為でございます。おやりになりますか。
○中曽根国務大臣 日本としては自由貿易をたてまえとして進むことが国益に合致するゆえんでございますから、できるだけ外国との間のそういう阻害になるような要因を撤去していくという方向で進んでいきたいと思うのであります。先生御指摘になったなま糸の問題も、そういうわけであの中からはずしていく、できるだけ撤去していく、そういう積極的な形で臨みたいと思います。日本がセーフガードを発動するということになりますとかなり影響もあることでございますから、そういう自由貿易の旗に対して、いままでのいろんな情勢等も勘案しまして慎重たらざるを得ないのであります。
○加藤(清二)委員 セーフガードは二国間協定よりはたやすくできるはずです。なぜ私はそれをこんなに強く要求するかといえば、台湾と韓国におけるなま糸の生産は、五十年度においては御承知のとおり八十五万トンになります。日本の年間の生産は百二十八万トンでございます。日本と結んだ二国間協定に対して、あなたは台湾や韓国にこれと同じルールで協定を結びますかと尋ねたら、そのとおりやると言われた。そうなるとどういう結果になります。台湾や韓国は日本の六六%に相当する八十五万トンのなま糸をどこへ輸出するんですか。アメリカがバーリントンその他の関係で業界から圧迫を受けて、ついに結ばざるを得ぬことになった。やった。生産停止しますか。もし売ろうとすれば、この糸はこれから後の加工のよりのところの技術が非常にむずかしい。だから、先進国でなければこれは加工できない。この糸をEC諸国が買いますか、共産圏が買いますか。中国もソ連もそこからは糸一本も買いませんよ。EC諸国が買わぬと言ったら売り先は日本以外にないじゃないですか。日本へなだれをうって八十五万トンが敵前上陸してきたら日本の繊維業界はどうなります。アメリカはシャットアウトされておる。持っていき先はない。内地のものでさえも持っていき先がない。その上なお低賃金、低コストで優秀な機械でつくったものを持ち込んできたら日本はどういうことになります。明らかに今度はそれと代替品のコットンが徹底的にたたきのめされるということになる。だから、私はせめてセーフガードぐらいは結ぶべきであると提案する。去年の秋に制限、原産地表示をしなさいと提案した。ことしは、もはやそれではどうにもならぬから、セーフガードを発動しなさいと言う。しかし、ほんとうに外務省がおっしゃるとおり二国間協定を結ぶという用意があるなら、そんなにけっこうなことはありませんよ。 もう与えられた時間が来ましたから、次の問題に移りますが、EC諸国がコットンのときと同じような態度に出てきたらどうなるのです。どうされますか。 〔稻村(佐)委員長代理退席、板川委員長代理着席〕 すでにこの十月にはガットの繊維世界会議は行なわれなければならぬ。同時に、御存じのとおり、五十一年三月三十一日までにはEC諸国との繊維協定も決着をつけなければならぬ段取りになっておる。もし、その五十一年三月三十一日、段取りをつける前に日米のこの誤った協定を是正せぬ限りにおいては、EC諸国がペナルティーをわがほうへ要求したって、これは何とも返事ができないでしょう。またのまされる。コットンがそのとおりです。そういう事態になったら一体どうなるのです。だから、重大な質問をするから腹を据えて聞いていただきたいと言っておったのはここなんです。EC諸国と決着をつけなければならぬのがもう二年先に迫っているのです。それ以前にアメリカとの妙な協定を結べばどうなるか。EC諸国とアメリカとはこの協定は結びませんよ、結びませんと言われたから。韓国、台湾とは日本と同じように結ぶけれども、EC諸国とは、結びませんと言われた。今日問題になるのは、EC諸国もこのなま糸については日本の糸を制限しておりません。しかし、ペナルティーとして、アメリカ向けがだめだ、台湾、韓国から敵前上陸は来るわ、それじゃというので欧州へ来るではないかという予見のもとに、コットンはやられたが、それと同じことが今度やられるおそれが出てくる。アメリカはEC諸国とは結びません。しかし、これがガットの世界会議に包括されますと、必然的にEC諸国も犠牲をしょわなければならぬ。それがコットンの例なんです。したがって、ペナルティーとして日本シャットアウト、こう出てきたのが過去のECの常套手段でございます。そうなったらどうしますか。 時間が来たようでございますので、まとめて申し上げて答弁を要求いたします。したがって、すでに読売新聞も書いております。朝日新聞も書いておりますが、なぜこんなことまでしなければならないかという裏に、密約説が流れていると過去に新聞ははっきりと書いております。初めからもうなま糸は入れるという前提のもとに会議が始まっているように朝日さんも読売さんも書いておる。これはどうなんですか。EC諸国に対する対策と、事ここに及んだほんとうの原因は、正式な会合ではなくして密約があったのだ、この新聞の記事に対して何とお答えになりますか。
○橋本説明員 まずECとの関係でございますが、これにつきましては、ガットの繊維取極に基づきまして近く交渉を開始したいということで考えておりますが、まだ具体的な日程等は詰めておりません。御承知のように、ECにおきましては、戦後、日本に対しまして長く輸入制限を残しておる。かつ、ECとして統一交渉を定めてから一そうそれが是正されずにおるということでございますので、私たちの立場としましては、ECに対しては極力自由化を求めていく。本来ガットの繊維取極にわれわれが参加いたしましたのも、現状の輸入制限をだんだん解除していく経過的な措置としてこの協定に参加したわけでございますので、そういった趣旨から、ECに対しては強く第二条によるところの自由化計画を求めていくという態度で対処したいと思っております。 なお、先ほど来指摘されております化合繊の長繊維糸につきましては、現在ももちろんECとの間には協定がないわけでございますので、先ほど申し上げましたように、自由化への一歩として今回の交渉を私たちとしても意識している以上、これについては相手方がどのように出てこようとも応ずる気持ちはございません。自由化に対処するという方向でEC交渉を考えたいと思っております。 それから二つ目の密約云々の問題でございますが、私たちとしてはさような事実はございません。したがいまして、せんだってのホノルルの交渉におきましても、御説明申し上げましたように、化合繊糸全体をはずすように、それがならずともなま糸をはずすようにということで強い態度で交渉した。結果といたしましては、二年度の始まる前にハイレベルで見直しをしようというところで落ちついたわけでございますが、さような実態からいたしましても、言われるところの密約といったようなものは存在いたしておりません。
○加藤(清二)委員 時間ですから終わります。 ありがとうございました。
○板川委員長代理 佐野進君。
○佐野(進)委員 私は、いま加藤さんから質問のありました繊維問題等当面する経済情勢の中で、中小企業関係がたいへん困難な状況に置かれておりますので、この問題と、いま一つ、この商工委員会が開催されていない期間の中で値上げが行なわれた東京瓦斯を中心とするガス料金の値上げ問題について質問をいたしたいと思います。 まず最初に、大臣に御質問をいたしますが、現下の情勢はきわめてきびしい情勢である、こういうことはもうだれしも否定することのできない状況であろうと思うのであります。その原因が、結果的にいうならば政府の経済政策の失敗、その失敗に基づくところの対策、これが総需要抑制策をはじめとする一連の対策となっていま行なわれつつあるわけでありまするが、結果的にその政策の中で起きた犠牲が、最も弱い部面にしわ寄せされてきている。いわゆる経済界においては中小企業を中心としてそのしわ寄せが行なわれ消費者段階においては物価値上がりという形の中でたいへん苦しい生活を余儀なくされておるわけであります。その相矛盾した二つの状況、いわゆる物価の値上がり、それからもう一つは経済の圧縮、こういうような形の中において起きつつある現下の情勢に対して、いまや政策の転換をしなければどうにもならないのではないかという情勢が一部にいわれておるわけでありますが、政府はかたくなにそれらの見解に対して自説を固持する。田中総理の状態をもってすれば、あれほど饒舌な総理が、石の地蔵さまになっても、言わず語らずという形の中で当面を乗り切ろうとしておるわけであります。しかし、当面を乗り切ろうとする田中総理はいいでありましょうけれども、その状況の中で苦しめられている国民あるいは小規模経営者の方々は、塗炭の苦しみにあっていなければならない状況であります。 したがって、私はここで大臣にまず質問するについて、冒頭お聞きいたしたいことは、いま行なわれつつある総需要抑制策は、もはや一定の段階においてその効果をあげると同時に、その役割りえるわけでありますが、大臣の見解をまずお伺いしておきたいと思います。
○中曽根国務大臣 まだ総需要抑制のワクを手直しする段階ではないと思います。やはり現在の経済の市況を見ますと、ややもすればまた物価騰貴への圧力というものはかなり底にあると見なければなりません。それはたとえば機械の受注等の様相を見ておりますと、企業サイドにおきましては、そういうような設備拡張に対する意欲に消えているわけではない、かなり強気のものが底にはまだある、そう私たちは見ております。したがいまして、当面政府が一番大事に取り上げておる問題は物価抑制ということでございますから、それに対する強固な意思をもってわれわれとしては立ち向かっていかざるを得ないのであります。 しかし最近、御指摘のように総需要抑制の結果、かなり滞貨も激増してまいりました。昨年の同期に比べてみますと約三割の滞貨増になってきております。特に建設関係あるいは不動産関係、繊維関係あるいは弱電関係、自動車関係、木材、合板、こういうところにかなりの大きな圧力がきております。 そういう面からいたしまして、これらはケース・バイ・ケースとして、それらの業態に応じまして、われわれは金融的措置やそのほかの措置をもちまして対症療法をしてまいります。そして、それらの倒産を極力防ぎ、失業を防ぐということに全力を傾倒してまいります。しかし、全般のワクとしての総需要引き締め政策を緩和するという段階ではない、そう考えております。
○佐野(進)委員 ぼくは、通産大臣という立場に立っての中曽根さんの立場、その立場において質問しておるわけです。いわゆる総理大臣としての田中さんの立場、それはいまの中曽根さんの言われるようなことであるいは答弁が出ると思うのであります。しかし、現に経済界に対して責任を負い、中小企業問題について責任を負う立場にある関連製品等々、物価値上がりに拍車をかけるようなそれらの一連の行政に対しては、すべて認可を与えてきているわけであります。その反面、当然育成し、一定の条件の中でこれらのいま言われましたような業種に対しては力をつけなければならないそれらの面につきましては、形式的な金融、しかもしり抜けの金融の形の中において当面を糊塗するということは、通産大臣としてはきわめて不適切な措置ではなかったか、私はこういうように感ずるわけであります。あなたのいま言われるようなことをもってするならば、いま言われたような業種、繊維だとか建設だとかそれぞれの業種、特にあなたの直接関連のある繊維等の関係の業種等においては、他の政策のしわ寄せとなって、この業種が日本の経済の中で一定の役割りを喪失して、なくなってもやむを得ない、この総需要抑制策、物価を下げるという条件の中においては、このような業種が存在しなくなること、あるいは縮小していくこと、これは当然であるしそうしなければならないというように、裏返した意味において受け取れる答弁になろうと思うのであります。 私はこの際、通産大臣という立場にあるならば、総需要抑制策を堅持するということは、それとして一定の役割りがあるでございましょう。しかし、いわゆる通産行政に関連する企業については適当な手直し、ないし、これら業種に対して一定の励みを持つ、仕事としてはずみのつく対策を立てる。単に金融という形だけでなくして、経済情勢全般の中においてはずみをつける政策を採用するということは、いま開かれておるこの委員会においてはもはや適切な時期に来ているのではないか、こういうぐあいに考えるのですが、いま一度御答弁をいただきたいと思うのです。
○中曽根国務大臣 そういう御趣旨のお話でありますれば、私も同感の面がございます。個別的にいま苦境にある産業、あるいは近い将来そういうの責任でございますから、その点につきましては弾力性をもって処置してまいりたいと思います。
○佐野(進)委員 そこで、大臣の答弁で、私もぜひそのような形の中で積極的に通産当局は取り組んでいただきたいという要望をいたすわけでありますが、いま日本の産業の置かれている状況の中で、最も困難な課題は、いわゆる対外的な関係であると思うわけなんです。加藤さんからも先ほど来るるその点についての専門的な質疑が行なわれておったわけでありまするけれども、繊維産業その他関連する今日不況といわれておるそれぞれの産業の中におきまして、対外貿易によって引き起こされたいわゆる人為的な不況というものも相当あると思うのであります。繊維のごときに至っては、日本の産業が海外に進出し、その進出した企業によって生産されたものが逆輸入され、その逆輸入されたものがその国のマークをつけるのではなくして、わが国の製品として市場に売られる。結果的に国内産業に対して甚大な影響を与えているわけであります。しかし、これについては大臣は、この前の繊維の構造改善法案審議の際もわれわれは強く主張いたしたのでありまするが、それら対外的な問題については自由貿易という形、自由経済という形だけにおいて問題を処理しようとして、国益を守る、国内産業を守るという形の中においてはきわめて消極的な態度を示されておるわけであります。私は、形式的にそのようなことを言われることはあるいはやむを得ないかと思うのでありますが、今日はまさに形式的にそういうようなことを言うのではなしに、日本における国内産業をどうやって守るか、守るために何をなすべきか、その際において多少諸外国との摩擦が起きてもやむを得ない、このような立場に立って通産行政を進めるべき必要があるのではないか。たとえば、韓国からわが国に逆輸入されてくるところの繊維製品あるいは台湾から送られてくる繊維製品等々あるわけでございまするが、これらにつまさにその存立の基盤さえ失われようとする産業に対しては適切に対処していく、こういうことについて、先ほどの国内の問題についての御答弁と同時に対外的な問題についてもその決意をお伺いしたいと思うのでありまするが、いかがですか一
○中曽根国務大臣 自由無差別の貿易というガットの精神をわれわれはやはり貴重なものであると考えて今後も推進してまいるつもりでございます。しかし、繊維等の国内産業の苦況等を見ておりますと、これらに対する可能な範囲内の行政的措置も講ぜなければなりません。一面において、金融そのほかの措置を講じておりますと同時に、やはり輸入数量の統計の整備であるとか、その情報を関係業者によく念達して、そして市況を適切に把握させるとかあるいはいわゆる秩序ある輸入ということに協力してもらうとか、そういうような自発的協力をもとにして行政ベースによってこの時期を打開していくことが適当であると考え、また実行しておるところであります。
○佐野(進)委員 まあ田中内閣の通産大臣ですから、中曽根内閣ができたときはどうなるか私もわかりませんけれども、しかし、いまわれわれが主張していることは、単にわれわれだけでなく、自民党のこの前の大会に出られた方々を含めて、ほとんどの人たちが何とかしなければならぬだろうという気持ちになっておられると思うのです。したがって、きょうの答弁も相変わらずの答弁ですが、大臣、もう少し率直に現下の情勢を踏まえた形の中において——物価を下げるために総需要を抑制するのだ、総需要を抑制するためには一部の業種が沈没してもやむを得ない、そのやむを得ない中においていろいろ意見が出たときは、ここしばらく国会も開かれない、何もしないでまあがまんしていけば何とかそのうちに道が開けてくる、これでは困ると思うのであります。したがって、いま当面する最大の問題は、国内に起きつつある現在の情勢が国際的な影響下から発生しているものであるならば、その国際的な影響を最小限度に、悪化しないような形の中において勇気を持って取り組む姿勢をとることが通産大臣として当然果たさなければならぬ、田中内閣の中にあったとしても果たさなければならぬ義務ではないか、責任ではないか、こういうぐあいに考えておるわけでありますので、その点についてこの際答弁をいただきましょう。
○中曽根国務大臣 総需要抑制の結果、ある業種が沈没することはかまわないとは思いません。やはりわれわれはいかなる業種といえども日本国民でございますから、最善の努力をして沈没や倒産を防ぐということは私たちの責任であると思っております。したがいまして、いろいろ業態によっては違いますけれども、最悪の場合といえども、金融措置その他、一生懸命まじめにやっているものが倒れるということはわれわれとしてはやらせたくない。しかし、なまけているものや投機をやってその結果はずれたというようなものについてまでわれわれは責任を負う力はないと思います。そういう面において、一生懸命まじめにやる人たちが変な結果にならぬように、私たちとしては全責任をしょってやっていくつもりであります。
○佐野(進)委員 そこで、中小企業庁長官に質問をしてみたいと思います。 いま大臣の答弁は、結果的に金融その他の措置ということですべてを処理しようという見解でありましたけれども、私の質問に対して、適切な措置を講ずる、こういうように幾ぶんか広がりのある答弁が展開されておるわけであります。いま大臣がおっしゃったように、繊維、合板、製材、自動車部品、機械部品、家電部品、中小建設業等々の業種がいまやまさに深刻な不況状況におちいろうとしている。特にこれらの業界の中において中小企業、なかんずく零細規模企業はもはや仕事がない。金を借りてもその借りた金をどうして一ただ返すという形の中においては効果があるけれども、それをどうして生かして、利子を払い返済していくかということについては方法がない。いわゆる仕事がないというところに問題の深刻さがあらわれてきつつあるわけでありますが、これらの問題について、単に金融ということだけでなくしてどう把握しておるか。時間がありませんから、簡単でけっこうですから、どう解決するかという決意を込めて答弁をひとつ願いたいと思います。
○齊藤説明員 総需要抑制策の浸透に伴いまして、中小企業の困難が漸次広がりつつあることは御指摘のとおりでございます。健全なる経営をいたしております中小企業が、金融引き締め等によりまして不当なしわ寄せを受けることのないように、所要の金融措置については万全を期す所存でございまして、先般一千億円の政府系中小三金融機関に対する融資ワクの追加を決定いたした次第でございます。なお、このほかにも、いわゆる民間金融機関によります不況業種に対する救済融資につきましてさらに追加して行ないますように現在検討を重ねておるところでございます。また、償還が困難な企業等につきましては、既往の債務の償還の猶予につきまして、政府系金融機関におきまして弾力的に取り扱うように指導をいたしております。 先生の御指摘の、中小企業が仕事がほしいということにつきましては、基本的には今後の需要の回復と申しますか、それを待つことが必要でございますけれども、さらに私どもといたしましては、先月官公需の中小企業における受注の確保という面につきましても閣議決定をいただきまして、極力官公需を中小企業のほうに確保する措置をとっております。また、下請企業振興協会というものが各府県にございますけれども、ここを動員いたしまして、仕事を求めます下請企業につきまして新しい仕事を開拓してこれをあっせん、お世話をする、こういうことを現在努力いたしております。 また、こういう情勢になりますと、下請に対する支払い条件等が悪化の傾向がございますので、下請代金支払遅延等防止法に基づきます取り締まりにつきましても、さらに調査企業等を増加いたしまして、取り締まり面にも遺憾がないように努力をいたしておるところでございます。
○佐野(進)委員 長官、あなたがいま言われたことは、私どもは中小企業庁が努力をしているということを認めていない上で質問しているんじゃないのです。だから、努力はしているけれども、その努力のポイントがいまの状況の中においては若干ずれているんじゃないか。金を借りても使い道がない業種が存在しているんだ。金を借りて返すめどのない業種が存在しているんだ。これに対して金を貸してやるといっても、その貸してやった金がトンネルになって大企業のほうへ吸収されていってしまう状況がいまあらわれつつあるんだ、これらについていつも同じようなことを繰り返すような中小企業対策であってはならないのではないか、この深刻な事態に見合う中小企業対策を展開したらどうかということの意味を含めて質問しているのです。だから、そういう点について長官は、もう少し現下の中小企業問題全体に存在する真の意味を把握しながらきめこまかな対策をひとつ立ててもらいたい。これは要望です。 そこで、私は、いま言われたことに対して、時間がございませんからまとめて質問をしてみたいと思うのであります。 七月期−九月期はいわゆる中小企業三公庫の融資ワクについて一千億の増ワクをした。一千億の増ワクをする、あるいはいろいろな対策をとる、だがしかし、この中小企業三公庫の金が、真にいま仕事がない、あるいは金が運用できなくて困っているというところまでなかなかきめこまかな対策として届かない、一定の段階にとまってしまう、こういうようなことを私どもはよく聞くわけであります。したがって、これらの金の運用について、ただ三公庫に渡してやればいいんだという形でなくして、中小企業庁は三公庫に対してきびしい指導の中で、この金が真にいま生かされて活用される方向に、活用して使われるように指導すべきであると考えますが、この点が一点。 次に、預金金利引き上げが現在大きな問題になっております。この預金金利引き上げに伴い中小企業三公庫の金利も引き上げられるといわれておりまするが、いまでさえ返済不可能な方々に対して、これらの金利を引き上げるということは時期的に全く適さない措置ではないかと思うのでありまするが、この点についての見解をお伺いしておきたいと思うのです。
○齊藤説明員 四−六月期に千五百億の中小企業三機関の融資ワクの追加をいたしましたが、このときには主たる不況業種は繊維と建設業でございましたので、この二業種を中心といたしましてその他の業種にも配慮しながら追加分が融資先に渡るように指導をいたしたわけでございます。今回、その後不況業種がだんだんと広がってまいりまして、特に自動車の生産の減少に伴います部品あるいは下請業種、また家庭電器関係の売れ行きの不振に伴います下請の広がり、それから建設関係が着工が減っておりますので、その関係で合板あるいは製材業あるいは家具あるいは陶磁器、タイルといったような建設に関連した業種の資金繰りの困難が目立ってまいっております。したがいまして、今回の千億の追加の向け先につきましては、特にただいま申し上げましたような不況の度合いが深刻化しつつある業種を中心に融資を行なうように指導をいたしております。 現下のような状況でございますので、前向きのいわゆる設備拡張の資金でございますとかあるいは事業を拡張するための運転資金といったものの資金需要は沈滞いたしておりまして、主としてやはり操業短縮あるいは在庫調整に伴います滞貨金融的なうしろ向きの資金需要が増大をいたしております。したがって、融資の希望も運転資金がほとんどでございまして、そういった需要の要請に応ずるような出し方で融資をいたすように現在指導いたしておるところでございます。 それから御質問の金利の引き上げ問題でございますが、この長期金利が近く引き上げられるべく大蔵省で検討中でございますけれども、資金運用部の資金の金利、つまり財投の金利につきましては、まだ引き上げ幅が明確でございません。したがって、この中小企業三金融機関の金利の改定問題につきましても、私どもといたしましてはまだ正式に検討する段階に至っておりません。ただ、原資のコストが上がるといたしますと、それが三機関の貸し出しの金利にどの程度に影響を与えるものか、また質的な金利の問題と、非常に資金需要が強うございますので量的な資金を確保するという問題、その両面をどういうふうに考えるべきか、ここらを総合的に勘案しながら今後検討してまいりたい、かように考えております。
○佐野(進)委員 大蔵省の方見えておるようですから、大蔵省の方に質問をいたします。 いままでお聞きのように、いわゆる中小企業はきわめて深刻な経済情勢の中で苦しみを続けてきているわけでありまして、これに対する対策としては、中小企業庁としての対策あるいは通産省としての対策等々があろうと思うのでありまするが、問題はこれらの対策に対する裏づけとしての資金面が非常に重要な問題になってこようと思うのであります。したがって、私は、きょうは大蔵省の中小企業金融関係の方でございますから、全体的な政策についてはお伺いするのは無理かと思うのでありますが、中小企業対策についてこの際抜本的に予算措置を講ずることをひとつ大蔵省の関係者に強く要請をするということを冒頭申し上げながら、次の点について質問してみたいと思うのであります。 まず第一に、年末はきわめてきびしい経済情勢、いわゆる田中内閣は、あるいは通産大臣は、不況でないと言い抜けるかもしれませんけれども、不況に近いあるいは不況業種といわれるのが相当程度発生してくると思うのであります。したがって、これらに対する年末金融に対して、どのようなお答えを持っておられるかということが一点であります。 二点といたしましては、いま中小企業特別融資制度がありまして、都市銀行、地方銀行、信託銀行くとして融資ワク三千二百億円が用意されておるわけであります。しかるに、このワクがネオン業十八億円、中小都市ガス四十億円、中小建設二百億円、繊維三百億円というワクを設けたにすぎず、今回さらに五百億円を業種をきめずに融資をする方針であると聞くわけでありまするが、この制度の性格、従来の実績からいたしまして、今回のこの五百億円の運用あるいは残された二千億円の金額というものを、いついかなる状況においてこれを融資するという形の中において活用するのか、簡単でけっこうでございまするからひとつ答弁を願いたいと思うのであります。
○窪田説明員 お答え申し上げます。 年末金融の点につきましては、先ほども中小企業庁長官からお話のありましたとおり、先般、当面の資金需要に対応いたしまして千億の貸し出しワクの増加をいたしたばかりでございます。当面はこの使用状況、資金需要の状況を見守りながら、今後いかなる事態になるか慎重に対処していきたいと思います。年末におきましては、従来、財投の追加等を行ないまして貸し出しワクの増加を行なっております。今後も健全な中小企業が資金的に行き詰まることのないように、その辺は弾力的、機動的な配慮をしてまいる、、そういう所存でございます。 第二の特別融資の問題でございますが、これは御承知のように都市銀行、地方銀行、信託銀行が自主的にことしの一月に設けた制度でございます。この趣旨が、当初は石油危機に原因する異常事態によって中小企業の経営に重大な困難が生ずるおそれがある、これに対処しようということでございましたが、その後やや制度を拡張いたしまして、総、需要抑制策によってしわ寄せを受ける中小企業を救済しよう、こういう趣旨に拡張してきております。先生御指摘のように、すでに融資目標として定まったものが五百四十八億でございますが、現在さらに数百億円をめどにいたしまして検討をしているところでございます。何しろ中小企業金融の九割は民間金融機関が担当しておりますので、やはりその辺が中小企業金融に力を入れるべきところは当然でございまして、今後とも、私どももこの制度を含めまして、中小企業金融に民間金融機関が大いに力を入れるように指導をしてまいりたいと存じております。
○佐野(進)委員 中小企業問題については、いままで質問申し上げましたように、きわめて深刻な事態でありますので、大臣以下ひとつ積極的に取り組んでいただくことを要望いたしまして、この質問は終わり、第二の問題に移りたいと思います。 東京瓦斯を中心とするガス料金の値上げの問題でありまするが、大臣にまず御質問を申し上げたいと思うのであります。 電気料金のときは、国会開会中ということでもございましたけれども、非常に熱心な質疑、討論が行なわれた上で認可ということになりましたが、ガス料金の場合には、国会閉会中ということもありまして、委員会で論議をすることが一度もないままにこの認可が行なわれておるということに対して、私どもたいへん残念に思うわけでありまするが、少なくともきょう開かれるといわれておったこの委員会において審議する、質問を受けるというような形の中で認可すべきではなかったか、こう思うのでありまするが、それらの経過について、冒頭、質問をしておきたいと思います。
○中曽根国務大臣 東京瓦斯の料金改定につきましては、六月十日に申請受理後、詳細な事情聴取を行なうとともに、経理内容等全般にわたり特別監査を実施いたしました。さらに、七月九日、十日の両日にわたって公聴会を開催して広く一般の御意見を聴取をするとともに、八月十日、十六日の物価安定政策会議に付議して意見を聞いた次第でございます。これらの結果に基づいて経済企画庁とも協議した上、八月二十三日物価対策閣僚協議会の了承を得て認可した次第であります。 なお、今回の料金改定に際しては、上記のような手続をとるためにも、各党、地方自治体等各方面からの東京瓦斯料金改定に関する申し入れにつきましても、十分これを配慮し、慎重かつ厳正な査定を行い、最小限の値上げ幅に抑制したものであります。
○佐野(進)委員 大臣の答弁は原稿を読んでいるのだから、質問とちょっとかみ合わないのです。なぜ委員会の審議にはからなかったかということを聞きたかったわけであります。 そこで、エネルギー庁長官に質問をしてみたいと思うのでありまするが、ガス料金については、四十七年の六月に改定されておるわけです。二年たったかたたないうちにまたこの料金の改定が申請され、これに対して認可をいたしておるわけであります。そして、その認可の内容が、申請に対して二八%のカットという低い査定をいたしておるわけであります。一六%のカットということになりますれば、値上げを要求したほうは、値上げをするだけの見通しをもって、値上げをしなければならないという詳細な資料をもって出してきたということでございますから、このことによって、将来の価格についてきわめて不安定な要素が残されている心配があるというぐあいに思うわけでありまするが、その二八%のカットをしたことによって将来の不安がないのかどうなのか。 特にそれに関連いたしまして、原料費等については将来値上がりを見るのではないかというようなこと等を含めて、百億に近い多額の先取りが行なわれていると伝えられているのでございまするけれども、これらに対してどのような措置をしたのか、エネルギー庁長官に質問をいたしたいと思います。
○増田説明員 お答え申し上げます。 東京瓦斯の料金の査定にあたりましては、ただいま佐野先生の御指摘ありましたように、申請に対しまして一六%落とす査定をいたしたわけでございます。 これにつきまして、一つの御質問は、原料価格その他についてどういう方針でやったか、こういうことが中心だと思いますが、東京瓦斯の申請におきましては、一応ことしの八月から来年の七月末までの原料価格の値上がり見込みというものを想定して申請をいたしておるわけでありますが、私ども査定におきましては、原則として現行価格というもので、二年前に査定をいたしましてからその後の値上がり幅というものを計算いたしまして、これを査定の基準といたしたわけでございます。ただ、その中には、今後上がることが契約その他ではっきりしておる分につきましては、これを織り込んだわけでございますが、ただ漫然とこういう値上がりが予想されるという分については、これは全部カットいたしたという相当厳正な査定をいたしたつもりでございます。 それからお尋ねの、この査定価格というもので、今後東京瓦斯がたえ得るかということでございますが、これにつきましては、東京瓦斯のほうに、今後の経営の合理化その他経費の節減の努力というものを強く要請いたしまして、今回査定いたしました料金で相当長期にそれがそのまま維持できるようにということを見込んで査定をいたした次第でございます。
○佐野(進)委員 今回の改正に際して、私もいろいろ勉強しているのでございますが、福祉問題に対する配慮というものを相当程度しているといわれながら、われわれの認識からいたしますならば、まだまだ不足している。特に電力料金の改定に際しては福祉型省エネルギー制を導入したという形の中において、ある程度進歩的に見られることがあるのでありますが、東京瓦斯の料金改定では、ナショナルミニマムあるいはシビルミニマム制や逓増料金が取り入れられなかったということで、若干これらの考え方において後退しておるのではないか。いわゆる福祉問題に対する配慮が不足しておるのではないか、こういうように考えるわけでございますが、その点についてどう処置したのか。 さらに、生活保護世帯や社会福祉について福祉的配慮から軽減措置を講じたというが、それらは暫定措置にすぎず、いわば世論の批判を避けるという逃げ口上的に受け取られる面もあるようでありまするが、経済的弱者の立場を考慮すれば、長期的に割り引くとか、段階的に値上げ等の配慮をすべきであった、こう考えるわけでございますが、それらについてどういうような考えをもって処置されたか。 大臣に、この際、これに関連して一つお伺いしておきたいのでありまするが、それは今回の料金値上げということに関連いたしましていわゆるガス税、電気税等の問題が出てきているわけであります。料金が上がりますれば、必然的に税金も上がっていくというような形になり、これらの点については、自治省方面においては抵抗があるやに聞いておるわけでありますけれども、そういう点についての配慮、そういう点についての税軽減という一般弱者に対する対策は当然考えられなければならなかったと思うのでありますが、それらについて大臣は、この料金を認可する際において、閣僚会議等においてどのような態度をとられたのか、この際、その態度について御質問をしておきたいと思うのであります。
○中曽根国務大臣 電気料金とガス料金には若干性格の違うところがございまして、ガスの場合は家庭用の消費が多い。電気の場合は工業用がまだずいぶんあります。そういう面で、いわゆる料金逓増方式ということは、全部家庭にひっかぶってくる、そういうような面もございまして、若干性格の違うところがございます。しかもガスを使う家庭が非常に多い。多量に消費する。そういうような面から、やはりガス料金というものはほとんど全額もろに家庭生活に響いていくということも考えまして、ガス料金についていろいろ段階制を設けるということは、家庭生活を考えて、電気と違って適当でない、そういうような配慮が実はありました。 それからもう一つは、やはり弱者救済ということを考えまして、年度内においてはこれは特別の措置を講ずるという点も行なったはずであります。 それからもう一つは、いま御指摘のガス税の問題がございまして、これにつきましては自治大臣に対しまして私のほうから強い要望を出しまして、ガス代が高くなれば当然税金の額も多くなる。その部面について特別の考慮をしてもらいたいということで申し入れをいたしまして、自治大臣も、電気の場合と同様に、国会が開かれる機会にそれらについては是正措置を講ずる用意がある、検討を加えますと、そういうことになっておりまして、ぜひこれは実行したいと考えておるところでございます。
○佐野(進)委員 そこで、いまの問題について、結果的に今回のガス料金が値上がりになったその最大の原因は、ガス事業用の原料が値上がりした、したがって、この原料の値上がりに見合うガス料金の値上げである、まあそれだけではございませんが、端的にいうならばそのようにいわれておるわけでございますけれども、この原料別の安定供給の確保と今後の価格動向が将来の問題に非常に大きな影響を与えてくるわけでございますので、この点についての見通しを簡単に御説明願いたいと思います。 さらに、時間がございませんので一括して質問を申し上げたいと思うのでありますが、私は、このガス料金の値上げ申請の内容の中で幾つかの矛盾点を感じておるわけであります。したがって、それらの点をことこまかに質問すれば時間が長くなりますので、できないのをたいへん残念に思うわけでありますけれども、その中で一点、いわゆる新規加入の家庭と既設の家庭、いままで入っている家庭とこれから入る家庭、それがあるわけであります。新規加入の家庭は布設費が多額になるわけでございますけれども、それ以上にそれらの負担が既設の加入者に負担分としてはね返っていくわけであります。結果的に、それらの関連からいたしますならば、新旧加入者の布設費に対する負担の差、そういうものがどうしても矛盾点として料金にあらわれてくるわけでありますが、これらの問題について、負担の公平を期するという観点の中において今後どのような措置を講じていくのか。ただ単に原料費が高くなったから値上げをしなければならぬということだけでは済まされない問題ではないかと思うので、この際ひとつお聞きをしておきたいと思います。 もう一つは、公益事業として、現在料金原価に織り込まれている事業報酬はどう考えても多過ぎるのではないか、こういうような気がするわけであります。もちろん内容をしさいに分析いたしますればそれぞれの理由があることは間違いないわけでございますけれども、配当をもっと引き下げるとか役員報酬その他いろいろな形の中において、今度の査定の中でもいま少しく配慮し、負担の軽減をはかる措置が当然考えられてもしかるべきではなかったか、こういうような点があるわけでありますけれども、この点についての見解。 最後に、今回の料金改定について世の中に最も大きな話題を提供いたしましたのは、政治献金の問題があるわけであります。この政治献金の問題を取り巻きましていろいろな波紋が描き出されたことは、もう私が申すまでもないわけであります。これが今回の料金改定の際においてどのような措置として処理されたのか、この点についてお伺いをしておきたいと思います。時間がありますればこの点についていろいろとわれわれの見解を申し述べたいと思うのでありますが、もう時間も参りましたので、以上の点を長官に質問いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○増田説明員 ただいま佐野先生から御質問がありました四点についてお答え申し上げます。 まず第一に、ガス事業用の原料の見通しの問題でございますが、現在ガスの原料といたしましてはLNG、ナフサ、LPG、石炭が主でございます。それ以外に国産天然ガス、オフガスなどを使用しておりまして、いろいろ原料が多様化いたしておるわけでございます。この中でも特に無公害のエネルギーであり、また比較的安定いたしておりますLNGの使用を増加いたしたいというのが私どもの考えております原料対策でございまして、現在まだ三〇%になっておりませんが、これを昭和五十年の半ばには四〇%に持っていきたい需要者との間の公平、費用の負担の問題について御指摘がございました。現在東京ガスにつきましては年間約三十万戸ずつ新規需要者がふえております。これに関しまして新しい設備を増設いたします費用というものが、物価の値上がりその他に伴いまして相当大きな負担になっております。現在ではこれらにつきましては新規需要者に対しまして工事負担金という形で徴収をいたしておるわけでございますが、工事負担金の中には需要家負担とそれからガス会社自身が負担する額、こういうふうに分けておりまして、会社負担額も今回増額いたしたわけでございますが、新規需要者に対しましては工事負担額ということで調整いたすということで処理いたしておるわけでございます。 それから、その次に御指摘がございました事業報酬の率でございますが、従来はガス料金の算定要領というものに基づきまして、事業報酬率は八・二二%ということになっておったわけでございますが、今回の査定にあたりましては従来のルールをさらに低めまして八%を査定いたしたわけでございます。 もう一つ、これに関連しまして先生から御指摘がありました一割の配当というものが適当かどうかという問題がございますが、ガス事業というものが安定した供給を行なうという責任を果たすためには、やはり配当が安定し、また今後の設備投資その他の資金を取得いたしますために増資あるいは社債の発行を順調に行なうためには一割の配当というものが必要であるというふうに思っております。ただ、これにつきましても、今度の決算におきましては二分減配で八分に減配せざるを得なかったということでございます。 それから最後に、政治献金についての御指摘がございましたが、査定にあたりましては、別に政治献金の項目はございませんが、その支出源でございますいわゆる寄付金の項目につきましては、税法限度額の二分の一を査定いたしまして、この
○佐野(進)委員 終わります。
○板川委員長代理 加藤清政君。
○加藤(清政)委員 私は、いまスタグフレーションとして不況下の物価高の中にあえぐ中小企業者の雇用不安の問題あるいは金融逼迫、倒産、企業不安と企業焦燥という最悪な事態について、これに対応するいろいろの角度から質問したいと思いましたが、いままでの各議員の方々からの質問によってほとんど重複されますので、まず企業の問題について、特に政治献金の問題とさらに対韓援助の問題と中小企業省の設置につきまして通産大臣のお考えを伺いたい、そのように思います。 大企業がばく大な交際費を使い、なお企業として特定政党に政治献金をしていることが何ともいえない不快な、非常に割り切れない気持ちに国民を追いやっておるということは言うまでもないわけであります。特に狂乱物価、売り惜しみ、買い占め、悪徳商法が国民生活に大きな犠牲を払わせる一方、大企業はばく大なもうけをしたということがたいへん大衆から指弾されておりました。さきの国会においても、このもうけ過ぎた大企業に対して、その実態を浮き彫りにさせるために、大商社を集めて、いわゆる証人として良心に省みてその利潤の追及をすべきであるということ、そのことから野党全部がこぞって証人としての喚問を要求したにもかかわらず、自民党は単に参考人という域にとどめておって、たいへん自民党と企業との癒着が浮き彫りにされたわけであります。そして、そのような大企業、大商社の人たちがすべて政治献金リストに入っておったということが明らかになったわけでありまして、国民大衆から見ると、反社会的行為であり、ばく大な利潤をあげて、その一部を自民党、特定政党に対して献金されるというようなことが非常な不信をかもし出しておったということは事実であろうと思うわけであります。そこで、鉄鋼だとか電力だとか石油だとかガス、私鉄など、わが国の基幹産業であっ的な性格の強いものであることなどを考えますと、これらの料金決定に政治的配慮が含まれているのではないかと国民がたいへん疑惑を持ったことも理の当然であろうと思うわけであります。 そこで、政治献金につきまして、これは自治省の所管であるにいたしましても、企業の最高監督責任者である通産大臣においは、企業の問題について国民の疑惑を晴らさなければならない立場にあるわけでありますので、東電や東京瓦斯が企業献金の廃止をきめたことに対する大臣の見解を明らかにしていただくと同時に、企業献金について大臣はどのような考えを持っておるか、この際その所感をお聞きしたいと思います。
○中曽根国務大臣 民主主義、自由主義社会におきましては、国民の政治参加ということは非常に大事な基礎的な条件でございまして、その人の中には個人も入れば法人も入ると私は思います。法人も一つの社会単位でありまして、祭礼や大学や国際会議に寄付をすると同じように、やはり公共の大事な機能である政治に対して寄金を通じて参加するということもあながち否定すべきものではないと思います。 そういう意味において、私は、政治献金そのものは否定すべきものではない。ただ、それは自発的に自由意思によって行なわれる必要があるし、節度を守るということが必要であると思いますし、また使うほうにいたしましても、使い方は、一種の公金と考えなければならぬものでありますから、そういう意味において公正に使われなければならない。そういう点はわれわれとしては特に戒心しなければならぬポイントであると思います。 東京瓦斯あるいは東京電力の皆さま方がそういう自由意思をもっておきめになることについて、われわれは自由意思を尊重するという立場にありますから、とかく言う考えはございません。いずれにせよ、出すほうもあるいはその寄金を受けるほうも、民主主義精神をよく理解して、節度をもって、しかも公明に行われるということが望ましいいものであると考えております。
○加藤(清政)委員 献金につきましては中曽根大臣は、いわゆる政治の場面において社会単位としての献金に対しては、これはやむを得ないんだという見解を明らかにされたわけでありますけれども、いままで献金の問題につきましてはたいへん国民大衆から誤解を招き、そして企業のあり方につきましても大きな指弾を受けてまいりましたことはすでに御案内のとおりでありまして、何といってもやはり特定の政党に対する政治献金ということに対しましては、これは一種の利益誘導と申しますか、そういった観点からいいましても好ましい姿ではないと思われるわけでありまして、この際やはり政治献金のあり方につきましては、抜本的な考え方をもって対応すべきではなかろうか、そのように思います。そういうことが国民大衆の大きな疑惑から放たれる一つのことでもあり、またそういうことがいま大事ではなかろうか、そのように思いますので、政治献金につきましては、何といってもいま政府部内の実力者の中曽根大臣は、ひとつじっくりと取り組んでいただいて、政治献金の抜本的なあり方について、しかも国民から疑惑を持たれるようなことのないように十分お考えを願いたい、そのように思います。 次に、中小企業省設置についてでありますけれども、不況の長期化だとか深刻化の中で中小企業に対する政府の施策の弱さ、いわゆる中小企業政策の弱さがあらためて今度クローズアップされたわけでありますけれども、一時期、田中総理も中小企業省を設置することについての意欲を燃やしたわけであります。したがって、中曽根通産相に対しまして過般私が中小企業省設置についての質問をいたしましたときに、中曽根通産相もたしか非常に意欲的に、中小企業省設置についての意欲を見せたわけでありますけれども、いまこういう時期に至りましては、特に、何といいますか、新幹線の「ひかり」で高度経済成長政策がずっと参りまして、ぴたっとその高度経済成長政策がとまった。その過程においては、中に乗っておった人たちが大きな経済的な動揺にゆれ動き、特に中小企業者の倒産というものは目をおおうものがあるわけでありまして、日本の産業構造を八五%になう中小企業、そして三分の一に近い中小企業に働く従業員の人たち、こういう範疇を考えるときに、中小企業省を設置して積極的に中小企業政策に当たるべきではなかろうか、そのように思いますが、この点について中曽根通産相のお考えをお伺いしたいと思います。
○中曽根国務大臣 中小企業省設置というのは一つの考え方であり、つくりようによっては私たちもそれは適当な方法である、そう考えております。しかし、現実問題としてそれを考えてみますと、理想的な状態でつくるということは非常な困難があるように私ら思うわけです。たとえば別の官庁という形になりますと、いま下請問題というのが大きな問題でありますけれども、親会社というものは大体大企業で下請は中小企業で、そうして違う官庁がおのおのやる、そういうことになると親会社に対するにらみというような点で問題が出てまいります。それは一つの例であります。手形の問題にいたしましても、あるいは下請に対する仕事の問題にいたしましても、全部有機的に連関しておるものでございますから、そういう点がはたしてうまくいくかどうかということもございます。それから、金融その他の面にいたしましても、いろいろな投資関係その他を見ましても、大企業と中小企業と零細企業と一連のものになっておって、ある業態に対する一つの施策、インセンティブ政策とか、いろいろな問題が出てくる場合に分けられるという問題がやはり一つ出てまいります。それから、日本の例といたしまして、これは通弊でございますけれども、官庁間のなわ張りというものがあって、中小企業省となるとこれは農林関係もあるいは薬屋さんもあるいはほかの各省関係のものもやはり入ってこないと、それは有名無実のものになってまいります。そういう点で、各省の権限争いというようなものをどう裁定してまとめ上げていくかというような問題もございます。うっかりそれをやりますと、やぶの中に入ってしまってヘビが出てくる、騒ぎばかりでかくなってしまって実質はあがらぬ、そういう危険性も実は現実問題としてはあり得るわけであります。 〔板川委員長代理退席、中村(重)委員長代理着席〕 したがって、そういうような諸般の問題についてある程度のめどができないうちは、ちょっと軽率に手をつけるということは、騒ぎばかり大きくて実をとれない。そういう観点から、私らは中小企業庁を充実拡大させよう。そして、中小企業の当面の問題は、やはり毛細管に当たるような末端血管に血液がよく行って、そしてスキンシップと申しますか、直接さわって中小企業、零細企業の苦しみを知り、手当てをし、血液の循環をよくし、そして一緒に泣いてやり、一緒に楽しむという官庁の態度であるだろうと思うのです。そういう意味においては、足腰を強くしなければならぬ、前線を強くしなければならぬ、そっちがむしろ大事であって、中央の官庁の力を強くするということよりも、当面はそっちのほうが重点であるというように考えまして、中小企業庁の足腰を強くするということをいま一生懸命やっておる次第でございます。
○加藤(清政)委員 いま、中小企業省設置については官庁の各なわ張りがあるし、かきにせめてかえって混乱を起こすおそれもなきにしもあらずというお話がありましたが、しかし中小企業省を設置するということについては、さきに中曽根通産大臣もたいへん意欲的な立場をもって答弁されたことでもありますし、むしろそういう官庁のなわ張りを解いて有機的な一体性を持った中小企業政策を入れてこそ初めてあたたかい中小企業政策が遂行できるのではなかろうか、そのことが日本の産業構造をになう中小企業者に対する活路でもなかろうかと考えるわけでありますので、ひとつ思い切って中小企業省設置についての意欲を施策面に——中曽根通産大臣から前向きの答弁があったわけでありますので、後退することなく、ひとつ中小企業省設置について大臣の大勇断をもって踏み出して、むしろ政府を引っぱっていくような、そういう立場でお願いしたいと考えるわけであります。したがって、中小企業省設置について大臣の一そうの御努力をお願いしたい、そのように要望いたしておきます。 次に、対韓援助の問題でありますけれども、四十八年の八月二十四日の商工委員会のこの席上で私は金大中問題を取り上げまして、特に日本の主権が侵害された場合には対韓援助を打ち切るということについての中曽根通産大臣の考えをお聞きいたしましたところ、中曽根通産大臣はこういう答弁をされました。金大中事件は「これによって国家主権が侵害された事実ありゃなしゃということであります。国家主権が外国の官憲によって侵害されるというようなことがあるとするならば、これはわが国の独立体制の面から見ましても重大な事件でございまして、それに対してはそれ相応の対応を考えなければならぬと思っております。」したがって、大臣から日本の主権が侵害されるおそれがあるとすれば対韓援助についても慎重に考えなければならないという答弁があったわけでありまして、御案内のとおり、韓国大統領狙撃事件を契機にいたしまして、韓国側の対日強硬姿勢が浮き彫りにされてまいりました。朝鮮総連を解体させろとかあるいは破防法を適用すべきだとか、わが国の国内法にまで触れたいわゆる内政干渉発言が繰り返されております。一方では、韓国政府は金大中事件の韓国内での捜査は終わったといたしまして、一方的に打ち切りを勧告してまいりました。しかも、金大中氏は依然として出国を認められていないわけであります。この点について、私は先ほど申し上げましたように中曽根通産大臣の見解をただしましたところ、いま述べましたような見解が明らかにされたわけでありますので、この際通産大臣の所信をお伺いしたいと思うのですが、対韓援助を再検討するという意思があるかどうか、この点が第一。 第二としては、対韓政策に対する基本的な通産大臣としての考え方。 第三には、韓国側の一連の対日強硬姿勢が今後の日韓関係にどのような影響を及ぼすかということを考えるときに、やはりこのまま対韓援助を継続するというようなことがはたして妥当であるかどうかという点が考えられるわけであります。木村外相は五日の衆議院外務委員会で答弁して、韓国並びに韓国政府が朝鮮半島における唯一の合法政府であるとの認識に立っていないという立場を明らかにいたしましたが、この外交方針に基づいて折り目正しい外交を展開していくためには、対韓援助は当然再検討されなければならないわけであります。従来どおりの対韓援助を続けていくことは、いわゆる北朝鮮側の自主的な、そして平和的統一への機運にむしろマイナス要因となるということをはなはだ憂慮するわけでありますので、日本政府は、き然とした態度をとっていかなればならないと考えられるわけであります。 こういう情勢を踏まえて、通産大臣は韓国側からの対日強硬姿勢について、わが国の内政干渉に及ぶものがあると考えておられるかどうか。この点あわせて、四点お伺いしたいと思います。
○中曽根国務大臣 韓国の朴大統領令夫人があのような不幸な事件によっておなくなりになりましたことにつきましては、心から哀悼の意を表する次第であります。 日本と韓国の関係が友好親善の関係を結んでいくというわれわれの考え方は、今時点において、経済も含めまして変わってはおりません。今日の事件につきましては、外交当局間におきましていろいろ努力が重ねられつつあるようでございますけれども、一日もすみやかにこの事態がスムーズな関係に移行するように希望してやまないところであります。
○加藤(清政)委員 この際、外務省に対してお伺いしたいと思うのですが、韓国には年間大体五十万人に近い旅行者があると聞いておりますけれども、現在韓国の国内情勢は激変きわまりない情勢に置かされており、かつまた反日感情は非常に高まって、過般の日本大使館への乱入、反日デモの波状的な行動、こんな現状にかんがみまして、運輸省では、旅行業者に対してこの際韓国への旅行は極力避けてもらいたいという行政通達を出したと聞いておりますけれども、外務省としては旅券の発給について一時見合わせるかあるいは停止するか、何らかの措置を考えておるかどうかお伺いしたいと思うのです。
○伊藤説明員 お答え申し上げます。 ただいま韓国におきます反日デモが激化しており、不測の事態も予想されますので、韓国への渡航者につきましては、その渡航を自粛されるよう協力方を要請しております。旅券の発給の窓口でございます都道府県に対しましても同様の趣旨でその協力方を要請してございますが、問題は旅券法上何らかの処置をとり得ないかという御質問でございますが、現在の旅券法のたてまえから申しますと、旅券の発給を拒否できますのは、旅券法の第十三条に書いてございますように、裁判係属中の者であるとかあるいは刊執行中の者であるとか、そういうきわめて限られたケースについて旅券の発給を拒否し得るというふうなかっこうになっておりますので、法律的な処置をとるということは不可能かと存じております。
○加藤(清政)委員 時間がございませんので、あと重複する点は避けまして、中小企業庁に対しまして金融の問題についてお伺いしたいと思います。 通産省は、七月から九月期に政府系中小企業金融三機関の融資ワクを一千億円追加することをきめましたが、この融資の重点は一体どこに置かれるのか、その点まず第一にお伺いしたいと思います。
○齊藤説明員 今回の千億の中小三機関の追加分の融資の重点でございますけれども、第一は先般の風水害に伴いまして中小企業の被害が相当出ておりますので、この災害融資というものを考えてわゆる機械関係の下請、部品業の不況度が強まっておりますので、そういった機械製造業の関係を考えております。 第三には、建設業に関連いたしまして、いわゆる住宅建築あるいは建設事業の着工の規模が減っておりますので、これに関連いたします不況業種といたしまして、製材業、合板あるいは木製家具といったような木材、木製品製造業の関係を考えております。 そのほかには、第一・四半期に引き続きまして繊維業、建設業、それから金属洋食器でございますとかあるいは陶磁器、タイルといったような内外需ともに不振でございます業種、そういった雑貨製造業等を考えておりまして、こういった大まかに言いますと四つの分野で、特に需要が減り、決済条件の悪化等の事情がございます業種に重点を置いて融資をしてまいりたいと考えております。
○加藤(清政)委員 これまでも何度か緊急融資が行なわれ、特定業種へのてこ入れなどにも振り向けられてまいりましたが、これまでの融資が、ともすると担保能力のある企業に片寄ってしまいまして、小零細企業など担保能力の劣る企業は、無担保、無保証の小口融資しか受けられないことが多いと聞いておりますが、政府はこれまでの融資の全体的な傾向についてどのように把握しているか、その点お伺いしたいと思います。
○齊藤説明員 担保能力のない分野への融資をどう考えるかという御質問でございますけれども、第一・四半期の場合もそうでございましたが、今度の千億の追加の場合にも、千億のうち三百億を国民金融公庫につけることにいたしておるわけでございます。 御承知のように、国民金融公庫の場合には、一件当たり三百万円までは無担保の融資を行なっております。また信用補完制度がございまして、五百万円までは無担保で信用保証協会が保証を行なっておりますし、百五十万円までのいわゆる特別小で、零細な企業者につきましては、信用保証の面及び国民金融公庫の融資の面におきまして無担保融資を行なっておりますので、そういう国民金融公庫の融資に重点的に資金ソースをつけておるわけでございます。
○加藤(清政)委員 総需要抑制策の長期化に伴って、不況色が産業界全般に広がってきております。したがって、資金需要が急速にいま高まっているわけでありますけれども、こうした状況の中で、すでに担保能力の限度一ぱい借り入れてしまった企業などは、この時期を乗り切るために、もう一押しの融資を受けなくては倒産のうき目を見る、その一歩手前ということが非常にいまあるわけでありますけれども、こういった事態を見る際に、この際企業の担保能力の見直しを通じて緊急融資の実をあげていくことが必要ではなかろうかと思うのですが、この点についての考え方と、さらに倒産関連業種について、需要が非常に低迷している業種で、通産大臣から倒産関連の指定があった場合には、倍額融資というようなことで、繊維だとか建設だとか中小ガス、こういうものを指定しておるわけでありますけれども、さらにいまのような深刻なる不況下にあって、こういう業種を拡大して、たとえば自動車の部品だとか家電業界だとか、いろいろいま大きな経済界の波を食らって気息えんえんたる中小企業があるわけでありますけれども、このいわゆる関連業種の拡大ということについての考え方、その二点をお伺いしたいと思います。
○齊藤説明員 融資が必要な企業でございまして、担保能力が非常に不足しておる、こういう企業につきましては、私どもの指導といたしましては、極力その辺は弾力的に考えて、必要な資金の融資を行なうように、政府系の金融機関を指導いたしております。 それから、倒産関連保証の問題でございますけれども、倒産関連業種という指定をいたしますことになるわけでございます。現在はそういった業種といたしまして繊維と建設業と中小ガス業が指定済みでございますが、ただいま先生からお話しのございましたような、最近不況色が濃厚になってまいりました機械関係あるいは製材、合板、こういう業種を倒産関連業種として追加して指定をするということにつきましてただいま検討中でございまして、なるべく早く実現いたすようにいたしたいと考えております。
○加藤(清政)委員 時間が経過いたしましたので、私の質問はこれをもって終わります。
○中村(重)委員長代理 野間友一君。
○野間委員 同僚諸君から中小企業の問題についていろいろと質問があったわけですが、私も中小企業問題について少し質問を進めてみたいと思います。 〔中村(重)委員長代理退席、板川委員長代理着席〕 御承知のとおり大商社、大企業の買い占め、売り惜しみ、それから石油危機、それに関連する先取りあるいは便乗値上げ、こういう中で、原材料の不足やあるいは高騰、さらにこれを理由といたしまして総需要の抑制、金融引き締め、こういう中で大企業のツケが全部中小企業に回ってきた、こう言っても過言ではないと私は思うわけです。いまの中小零細企業の危機というものは、今日までの危機より質的に高い段階にある。実は共産党では、国会議員団の中に中小企業危機打開対策委員会というものを設けまして、それぞれの訴えあるいは要求、これらをつぶさに聞き、一つ一つ危機を打開する仕事に専念してきましたし、またとりわけ繊維問題について現地へ調査に行ってもまいりましたし、また現に行なっております。率直に申し上げて、重病人を目の前にいたしまして、その場で即座に私たちが救済することができないもどかしさと申しますか、非常に重っ苦しい気持ちをかかえながら帰ってきたわけであります。業者の最も強い要求は何か、やはり仕事がほしいということであります。仕事を確保してくれ、どうすれば仕事が出てくるか、もう生きるか死ぬかのぎりぎりの境目におる、これが痛切な業者の訴えでありました。 中小公庫がきのう発表された七−八の景況調査、これによりましても窮迫感が強まる見通し、しかもこの不況の業種別のものが繊維とかあるいは建設だけではなしに、すべての中小企業に波及しておるというのがこの景況調査の中にも出ておるわけであります。どうして生きていくべきか、どうすれば生き延びるか、こういう切実な中小企業の現状を前にして、通産省ではどのような実態の把握ないしは認識を持っておられるのか、あるいはこれらの中小企業の不況の原因についてどのように考えておられるのかお聞きしたいと思うのです。特に私はこの間、石川県の鹿島という町に繊維の調査に出かけてまいりました。過般、通産大臣が行かれたそうで、ポスターが散見されたわけでありますけれども、通産大臣もこの実態については御承知のとおりだと思うのです。 最初に、それらの問題について通産大臣から所見を承りたいと思います。
○中曽根国務大臣 総需要抑制の結果、最近とみに市況が悪化してまいりまして、特に御指摘のとおり繊維関係が重圧を受けておることは、われわれもよく認識しております。このような苦境にある繊維業界あるいは特定の中小企業等につきましては、とりあえずは金融措置をもちまして倒産を極力防ぐ、そういう態度をもって三機関からかなりの融資をしております。四月危機といわれあるいは六月危機といわれあるいは八月危機等といわれましたが、倒産件数はわれわれが当時予期したほど出ておらない。千件こしたのは三月でありまして、それ以後は九百件ないし八百件という程度で推移しておりましたのは、いわゆる三機関によるてこ入れが非常にさいてきでおるものであると思っております。しかし、最近に至りまして、この九月に入ってからはいままでと形相を異にしてまいりまして、事態はかなり深刻になりつつあるように思います。そういう点からいたしましても、これらの苦況にあるところに対して金融その他によるてこ入れをさらに強化して、ともかくこの危機を乗り切れるようにわれわれとしても全力をそそいでやっていくつもりでございます。
○野間委員 いまの景況調査の結果によりましても、さらに窮迫感が高まるであろう、こういう判断がなされておりますけれども、景気が多少とも回復する、上向きになるという時期、経済見通しを通産大臣はどのように立てておられるのか、そのあたりも少しお伺いしたいと思います。
○中曽根国務大臣 大まかに申し上げますれば、総需要引き締めという形で出ておりますから、急速に回復することはなかなかむずかしいと思います。また、外国の経済情勢等も見ておりますと、同じような病気に悩んで、高物価それから外国では失業がずいぶん出てきておるようであります。日本の場合は失業というところまではまだ強くは出ておりません。有効求人倍率を見ましても一・一八程度、だいぶ下がってまいりましたが、一・一八程度までになってきております。そういうような情勢ではございますが、しかし景気をささえている力は大体輸出、それからもう一つはいままでありました消費需要、こういうものが多いようであります。この輸出や消費需要というものは、この秋にかけてどういうふうに出てくるかということがやはり一つの牽引力になってくるだろうと思いますが、私らの感じでは、年末にかけてはいまよりは若干明るさが出るのではないか。輸出及び消費需要の面を考えてみますと、そういうように私個人は考えております。
○野間委員 それでは、繊維の問題について少し入りたいと思います。 この繊維産業の実態あるいは現状の認識についてのお尋ねですけれども、特徴的にいいますと、生産量がずっと落ちておる。これは操業率の低下であるわけでありますが、それから在庫はふえておる、輸入がほぼ横ばいというのがいまの特徴だと思うのです。 さらに、繊維産業の加工形態、これを見てみますと、この特徴は大部分が賃加工である。これらの工賃等を見ますと、これがすでにコスト割れをしておる。また、具体的な数字についてはあとであげますけれども、このようにして、メリヤスから始まった不況が現在では繊維のすべての業種に及んでおる、こういう状況だと思うのです。 さらに、将来の展望をいろいろと業界から聞いてまいったわけでありますけれども、少なくともことし一ぱいは成約の見通しがない。生産の特徴からして注文生産でありながらこれがないので、機械を見込み生産で多少動かしておる。しかしながら、ことし一ぱいはまさに成約がない、そういう非常に深刻な状況も聞いてまいったわけでありますけれども、このような特徴、現状認識、私は少なくとも実態を調べた上でそういうふうに思うわけでありますが、とりわけこの繊維について一般的な中小企業の不況の原因に加えてどういうものが考えられるのか、ひとつこれらについてお答え願いたいと思います。
○橋本説明員 ただいま先生おっしゃいましたように、生産が低下しても在庫はむしろ横ばいあるいはふえておる。ただ一つ、私のほうでは、輸入につきましては横ばいというよりもむしろ四月以降ははっきり鎮静化の数字が出てまいっております。 それから、先行きの見通しにつきましては、これは国内需要の問題と輸出の問題と両方あると思いますが、まず輸出につきましては、最近の輸出成約状況等を見ますと、昨年同期に比べまして大体三割四分から三割五分くらいふえておるということで、そちらの方向での輸出の増加という点での期待を寄せております。ただ反面、これにつきましては、ダンピングといったようなことで輸出先から問題にならないような注意を必要とするかと思いますが、ある程度輸出ドライブがかかってきておるのじゃなかろうかと見ております。また、国内需要につきましては、これは総需要抑制下、特に商社金融が逼迫いたしておりますので、そういったところから先行きの需要見通しについては必ずしも明るい空気が出てきておらないというのが実感かと思います。 それから、さような天然繊維、化合繊を問わず非常に不況が深刻化いたしておりますが、繊維の場合の不況の原因といたしましては、一つはやはり総需要抑制下におきまして消費者の買い控えと申しますか、最終需要が減っておるということと、二つ目には商社、問屋等の金融逼迫によるところの中間流通需要が停滞しておるということ、これに加えまして昨年国内需要が非常に堅調であったといったようなことも背景といたしまして輸入がかなりふえておる、こういった原因が入りまじって現在の繊維の不況を濃くしておるものと考えておるわけでございます。
○野間委員 この繊維のいまの不況についての対策ですが、先ほど来答弁がありましたけれども、金融関係についてのこの問題のほかにはどのような施策をとり、またとろうとしておるのか明らかにしていただきたいと思います。
○橋本説明員 先ほど先生からも、むしろ現地では生産の増加といいますか、受注の増加を期待しておるというもっともな感触であるわけでございますが、先ほど申し上げましたようなことから、国内需要につきましてはやはり商社金融がとまっておる、窮屈になっておるというところから、なかなか需要を喚起していくという対策が打ちずろうございます。そういったところから、中小三機関を中心といたしましての緊急融資あるいは市中銀行からするとろの特別融資によります融資を重点として対策を考えておる、こういう状況でございます。特に小さな零細あるいは下請企業に対しましては、国民金融公庫に重点的にお願いして資金融通をはかっていく必要があるかと思っておりす。 資金融通の内容といたしましては、減産資金あるいは在庫手当て資金ということになるかと思いますが、過剰な在庫につきましてはやはり商工組合等を通じましてその共同経済事業の範囲内で一定期間在庫を凍結するといったようなことも必要かということで、そういった方向で対策を考え、あるいは業界を指導していくということでございまして、これにつきましては政府の三機関あるいは状況によっては市中からの協調融資ということもお願いする心要があるかと考えておるわけでございます。
○野間委員 聞いておりましても、結局緊急の施策としては金融関係以外には何も出すことができない、さらに出ていないというのが実態だと思うのです。そのような施策だけでほんとうに中小企業、とりわけこの繊維産業が生きることができるかどうか、私はたいへん疑問に思うわけです。 そこで、石川県での調査の実態を若干ここで申し上げたいと思います。これはあちこち参りましたが、小松という機業地が金沢のすぐそばにありますけれども、ここでいろいろ統計資料等を取り寄せてヒヤリングもしたわけですが、ここでの繊維産業の現状、これは六月時点での前年対比ですが、織物全体で生産量が六四%、販売額が六〇%、撚糸が生産が六四%、販売が五五%、ネーム織り、これが生産が六六、販売が五二、ニットが生産が七五、販売が五二、このようにいたしまして、六月時点で見てみますと大体前年度同月対比で六四から、ニットの場合には七五というのが生産量の比較でありますけれども、販売額で見ますと五二から六〇、これは六月時点なんですね。ところがさらに、これが七、八、九と、この六月以降において深刻になっておる。残念ながらこれらについての官庁の統計がまだできておりませんので数字的には明らかにすることはできませんけれども、この中でいまの現状について聞いたのが撚糸なんですね。これは操業率が六〇%、ですからこれはさらに六月から落ち込んでおる。それから、工賃が五〇%これは半分なんですね。その上にコスト高の原因としての電力料金、これは聞いてみますと七〇%ばかり去年に比べてアップした。そのほか油材それから包装材料です、これは二倍以上になっている。石川県の撚糸工業組合というものが絹の撚糸工場の原価計算、これは四十八年の二月末のブレークダウンをつくっておるわけですけれども、これを見ますと、機械台数が六台、それから専従者男一人、女四人、合計五人で一キログラム当たりの原価が八百四十円、これは詳細に内訳が記載されております。これは組合がつくった資料であります。ですから、去年の二月で八百四十円の原価です。これは賃加工でありますが、その工賃は去年の六月が最も大きなピーク、これは九百円ですね。ですから、一キログラム当たり九百円の工賃のときにはキログラム当たり六十円の利益があったわけですが、現在これがどうかといいますとキログラム当たり四百五十円。当然去年に比べてコストが高くなっております。そこで、いろいろと業界からあるいは業者から聞いたわけでありますけれども、現在の採算ベース、これはキログラム当たり千二百円かかるというわけですね。いま申し上げたいろいろな原材料のアップによって千二百円なければ採算ベースに乗らない。それがピークの九百円から逆に工賃が四百五十円にダウンしている、これが撚糸の現状であります。 それから、ネーム織りですね。ある業者の例でありますが、機械が八台、これは大体ネーム織りの平均の台数のようです。ここでは現在三台が稼働しておるだけだ。しかも、これもことし一ぱいで、あとは受注が全くない。ネームの場合にはこれは注文生産ですね。これは見込みはできない。ところが、機械を遊ばしておくとこれはもうどうしようもないので、将来回復するであろうという淡い期待を描きながら従来の織っておったネームを見込みで稼働する。それとてわずかであります。十月には全くもう受注がない。たまたま私がその業者のところに行ったときに、そのおやじさんがおりました。たったいま職安から帰ってきたところだ、職業安定所にいま出かけて帰ってきたところだ。そこでは六十ぐらいの近所の一人のばあさんを雇っております。このばあさんにわずかでありますけれども稼働しておる機械はまかせて、そして機業主が職安で仕事を求めて外で仕事をせざるを得ない。さらに、この業者に聞きますと、タクシーの運転手あるいは日雇い労働者、このようにして機業を離れて各地でいろいろな仕事で何とかぎりぎりのめしの種をかせいでおるというのが実態であります。ちなみに、このネーム織りの業者の原価計算、これもブレークダウンをもらってきたわけでありますが、四十九年の八月、先月でありますけれども、一台当たりの売り上げが七万七千二百二十六円。それに一体幾らの経費がかかったのかというと七万九千二百八十二円。これを計算しますと、一台当たり月二千五十六円のマイナスになります。したがって、八台では一万六千円の赤字、これは八台持っておりますから。その上ここでは百五十万ばかり償金をしておる。これは設備投資あるいは運転資金を入れてでありますけれども、これの返済が月五万円かかる。そうしますと、月当たりの赤字が六万六千円、非常に深刻なんですね。ですからわずかばかり操業しておるけれども、赤字赤字で赤字の連続である。しかも、いま申し上げたように十月からはこの仕事が全くない、注文がない、成約の見詠みも立たない、こういう実態であります。 さらに、やはり同じ小松綸子の業者でありますけれども、ここでは織機が百台、従業員が三十八名、操業率が六〇から七〇%、ここは比較的大羊であります。工賃は一体どうかと聞きますと、度当たり百円なんですね。採算ベースはと聞きますと、これは反当たり千円だというのです。千円々ければ採算が合わない。いま百円というのです。毎月これで赤字が百五十万から二百万出ておる。どうしてこれをしのいでおるのか、これはすべて借り入れ金であります。昨年の何がしかのたくわえ、預貯金は取りくずしてしまった。毎月百五十万から二百万の赤字をかかえてやっておる。この綸子もやはり丹後地方からの注文生産でありました。ところが、いまではこれもほんとうにわずかになってほとんどが見込みでやっておる。いつかは売れるであろう。糸を遊ばしておくわけにいかぬ、労働者を遊ばせておくわけにいかぬ。しかし、もうこれはいま限度だという痛切な訴えを聞いてきたわけです。 このようにして一つは仕事がないということ、どんなにさがしても注文がない。わずかばかり見込み生産で稼働しなければならない。動かすと必ず赤字がふえてくる。将来の見込みがない。借金はかさむばかりである。こういう実態を踏まえて考えた場合に、先ほど通生大臣は将来の見通しについては明るくはない——私は当然だと思いますね。そうだとすればこれらの業者の方も言っておられましたけれども、単に融資のワクを若干ふやしてもらっただけで済むような問題ではないのだ、せめて年末には景気が回復する、仕事が入る、それでもわかれば何とか、こういう訴えでありました。先ほどお伺いしたような繊維に対する現在の政府がとっておる施策、これではいま申し上げた具体的な機業の実態、これらのいまの窮状を打開することにはならないのじゃないか、こういう実態を聞かれて大臣はどのように考えられるのか、お聞かせを願います。
○中曽根国務大臣 私も石川県に参りまして若干そういうデータ等もお聞きしてまいりました。非常に深刻な事態であると思っております。ただしかし、現在の事態等を見ますと、総需要引き締めというこのワクをくずすという段階ではございません。やはり経済政策自体は総合性を持って、物価がまた騰貴するということを防ぐというのがいま第一目標でありますから、その面についてわれわれはいま懸命の努力をしておりますが、だといって、そのために繊維業者が犠牲になっていいということではありません。そういう物価鎮静の目的に沿いつつ、また一面において繊維業者の生活や生業も見なければならない、そういう考えに立ってやっておるわけでありますが、単に金融だけで済む事態はそう長くないと私も心得ております。やはりある程度需要喚起ということも考えないといかぬ事態が時間的にも来つつある、そういう気もいたしております。それらの点につきましては、いろいろ部内においても検討させておりますけれども、もう少しいろいろな関係方面との了解やら、そういうような面の必要時間も与えてほしい、そういうように考えておるわけであります。
○野間委員 そういう状態の中で現在の融資問題について、これは先ほど申し上げたように、従来の融資ではもうどうしようもないというわけですね。特にきょうの新聞にも出ておりましたが、また先ほど同僚の委員からも質問がありましたけれども、政府系の中小企業の三金融機関の貸し出しの金利についても、さらに〇・五%、あるいは場合によれば〇・二五%上げるというようなことで当局が動いておるというような報道もありましたが、さらにこの上金利を上げる、特に中小金融機関についての貸し出し金利、これをさらにいまの八・九から〇・五%上げるということになれば、なおさら私はこの業者の怒りが政府に結集すると思うのです。毎日毎日仕事がない、赤字が続く、この中でいままでのような金利で、いままでのような条件で金を借りるということだけなら、これは仕事の見通しもないからほしくない。安くてもいいから仕事をくれ、こういうことになってくわけです。ですから、このような実態を踏まえた場合、やはり新たな観点から端的なことばでいいますと、生活保護的な性格とまではいいませんけれども、そのような観点からいま当面この緊急な事態を中小企業とりわけ繊維業者のこれを救済するためには新たな観点から無利息ないしは超低利の長期の融資を考える必要があるのじゃないか、こういうふうに私は業者といろいろと話をする中で痛切に感じたわけです。こういう用意があるのかないのか、これといまの金利の引き上げですね。先ほどからお聞きしておりますと、原資の問題から、バランスの問題で上げざるを得ないような話が大蔵省からあったように思うのですけれども、これも含めて中小企業庁は一体どう考えておるのか、大蔵省は現在どのようにそれについて対応しようとしておるのか中小企業庁は中小企業者を救うという立場からお答え願い、また大蔵省もそれにこたえてひとつ積極的にこれらについてのお答えを願いたいと思います。
○齊藤説明員 非常に窮迫しております繊維業界に対する融資等につきまして、無利子金融ないし非常に安い金利の融資制度を考えられないかとい融話でございました。確かにいまの繊維業界の窮状からしますと御同情申し上げるわけでございますけれども、やはり事業として独立して機業経営をされておるといたしますと、無利子で金利を払わないという形で融資を行なうということは適当ではないのじゃないかというふうに考えるわけでございます。ただ、金利以外の面につきまして、担保あるいは保証人といったような面につきましては、極力弾力的に配慮するように指導してまいりたいというふうに考えております。 それから、長期金利の改定に伴います郵便貯金等の貯金金利の引き上げから財政投融資関係の金、利の引き上げがいま問題になっておりますが、実は私どものほうに、どの程度に財政投融資の金利が引き上げられることになるのか、大蔵当局からまだ話がまいっておりません。したがいまして、まだ具体的な検討をいたしておらない段階でございますが、かりに運用部の財投の金利が上がるといたしました場合に、それが三機関の経理に及ぼします影響等も勘案し、また量的な確保の問題も勘案いたしまして検討いたしたいと考えております。
○窪田説明員 長期金利の改定の問題につきましては、御承知のように、預金金利の引き上げ問題が一つのきっかけになっているわけでございます。この背景には、御承知のように物価等を背景といたしまして債務者、お金を借りている人と資金の提供者との所得の分け合いの問題、それから世界的にも今後当分高金利が続くであろうというふうな見通しのもとに、現在いろいろなバランスを考慮いたしまして最小限度の手直しはせざるを得ないのではないか、こういう考え方でございまして、これは去る六日に大蔵大臣から発議がございまて、今月の中旬金利調整審議会、それから郵政審議会におきましてそれぞれ御検討いただくことになっております。このようにして長期金利全般が上昇いたしました場合にやはり運用部の預託金利も上がるということになりますので、方向といたしましては政府関係機関の貸し出し金利は上がる方向で検討せざるを得ない、こう考えております。その考え方についてはただいま中小企業庁長官が申し上げたとおりかと思います。 それから、無利子の長期の資金を設けたらどうかというお話もございましたが、これもやはり余融というメカニズムで行なう以上、金利負担というものは避けがたいものであろうかと思います。金利以外の面で、たとえば資金量、担保等の面では極力努力をいたしたいと存じております。
○野間委員 ただ、私がここで訴えたいのは、いまの中小企業の冠機、特に繊維の危機ですね、これは私は業者の責任ではないと思うのですね。紡績大手とかあるいは商社は、景気のいいときにはどんどん業者をふやして、そして仕事を与えていく。その結果不景気になれば一気にこれらにしわ寄せをしていくという、まさに安全弁なんですね。そして、いま現にこの不況の中でたいへんな苦しみをやっている。しかも、この機業者がいま申し上げたような、たとえば一機業八台とか、あるいは十台、二十台というようなところもありますけれども、それぞれの織機を持ち、設備投資をしておる、運転資金を借りておる、取引先も持っておる。いかに不況でいかに赤字が続くからといってもこれを一気にやめて転業や転職することは、これはできないのです。しかも、私は長期にわたってこのような特別の融資をせよということを言っておるのじゃない。いまのこの緊急の事態に、中小企業の繊維産業の皆さんの窮状を緊急に打開するために、当面景気が多少とも上向きになるまでこのような措置をとってしかるべきじゃないか、これは当然じゃないかと思うのですね。 私の要求は、これは間違いなのかどうか。これはほんとうに業者の痛切な要求なんですよ。それは中にはまだ大手とか、あるいは優良機業がないとは申しません。それはそれです。しかしながら、ほんとうにいま申し上げたように仕事が全く先行きの見通しがない、毎月赤字であるというようなこの危機を目の前にして、高い金利で金を借りて何とかこの急場をしのげということを言えますか。私はその業者と懇談をしてほんとうに苦しかったのです。この程度の措置がどうしてとれないのか、私はわかりません。通産大臣、この要求は無理でしょうか、緊急の事態の救済の策として。
○中曽根国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、繊維業界、特に第一線における苦境というものはわれれれもよく認識しておる次第であります。しかし、当面の方策としては金融等いままで申し上げましたような措置に最善を尽くす、そういうことで切り抜けてまいりたいと思っております。
○野間委員 私は不満です。それでは私は業者の窮状を救えない。さらにもっとこのような救済策、いま申し上げたことをぜひ考慮していただきたい。強く要望しておきます。 次に、この返済猶予の点について、これは六日の閣議決定、この中にも既往債務の償還猶予についていままで配慮してきたが、なお一そう弾力的に対処する、こういうふうになっておるわけでありますけれども、従来ともこの要件は経営状態が著しく悪化している中小企業者ということになっておるようでありますけれども、従来政府系の三金融機関に対してどのような行政指導をしてきたのか。これは通達がたしか六月時点で前に出たわけでありますけれども、どのような手当てですね、返還猶予の配慮をするというような行政指導をしてきたのか、あるいは今後どうするのか、一そうこれはふえることは当然であります。それらの点についての行政指導のいままでの実態と今後の指導の中身、関連してこの返還猶予と新たな貸し出しとの関連は一体どうなのかということをまずお伺いします。
○齊藤説明員 返済が非常に困難な中小企業者につきまして、既往の貸し付けました債務の償還猶予の件につきましては、先般第一・四半期に千五百億の追加を行なったときに、あわせて特に経営状態が著しく悪化している中小企業に対しては実情に応じ、既往債務の償還猶予等についても引き続き弾力的に配慮されたい、こういう趣旨の通牒を中小企業庁長官名と大蔵省の銀行局長名をもちまして三つの政府系金融機関に通達をいたしまして、その金融機関から各支店並びに代理貸しのところにも徹底をはかるように指示をしたわけでございます。 今般当面の追加としてさらに千億を追加することに決定をいたしましたが、これは先週の金曜日の九月六日に閣議決定をいたしたわけでございますけれども、同時に、個々の窓口において個々の中小企業者の実情を十分踏まえて弾力的に償還猶予の措置をとるよう口頭で指示をいたしました。 なお、近く文書で再度この旨を指示いたしまして、それを三機関の下部にも徹底をはかりたい、かように考えております。
○野間委員 次に、政府系の金融機関、これは三機関に限って聞くわけですけれども、代行機関ですね、民間の金融機関がやっておりますが、ここに対してはどのような指導をされておるのかということと、この返還猶予について、これはいわゆる民間の金融機関の場合にはどのような指導をしておるのか。これは中小企業庁あるいは大蔵省、どちらでもけっこうです。
○齊藤説明員 三機関の代理貸しにつきましても、これは事務を民間金融機関が代行しているだけでございまして、融資そのものは三機関の融資ということになります。したがいまして、本店で直接貸しを行ないます分、あるいは支店で直接貸しを行ないました分についてと同様に、実情に応じて償還猶予を行なうように、代理店にも徹底するように指示をいたしておりますが、実情は、たとえば国民金融公庫の場合には、支店から文書をもちまして各代理店にそういう通知が本店から参ったことを知らせております。それから、中小企業金融公庫の場合には、本店から支店に対する指示で、支店から各代理店に適宜の方法で徹底をはかるように、こういう通知が出ておりまして、各支店におきましては代理店長会議を開きましてその趣旨を御説明したり、あるいは書きものを配りましたり、いずれにいたしましても、支店のほうから代理店に対して償還猶予の趣旨の徹底をはかる、こういうふうなやり方で各代理店にも趣旨の徹底をはかったのでございます。
○野間委員 民間の場合は……。
○窪田説明員 民間の金融機関が政府機関の代理貸しをやっている場合には、いま長官からお話があったとおりの指導をしております。それ以外の民間機関の貸し出しについては特に通達のようなものは出しておりませんけれども、たとえば緊急融資の運営その他不況業種の指定があった場合は、それらの業種への貸し付けにつきましては、条件等の緩和について十分考慮するように機会をとらえて指導しているところでございます。
○野間委員 それを厳重にひとつ守っていただきたい。 そこで、具体的な例について少しお聞きしますが、これは同じく石川の鹿島町での業者からの訴えでありますけれども、ここではある金融機関が政府系の融資の代行をやっておるわけであります。ある業者が、返済の猶予、これは新聞等の報道で知ったわけですが、この代行機関に対して返済猶予方の申し入れをしたわけでありますが、これを代行機関が拒否したわけですよ。さらに、これはその代行機関が、自分のところから金を貸してやるからそれで政府系の返済をしなさい、政府系のお金であるからこれらをいま返さなければもう今後は貸すことができないんだ、こういうことまで言われたわけです。これは例のドル・ショックのときに受けた融資の返済でありますけれども、はたしてそうかどうかということを私たちに訴えがありました。その業者だけかと思ってそれぞれ聞きますと、代行の機関では、ここだけではなしにほかにもたくさんこういうことをやっておる。つまり何のことはない、安い一まあ安いとは思いませんけれども、比較的安い金利の政府系の金ですね、これを返済さすのに、民間が高い金利の金を貸し付けて、それで返済をさしている。ハゲタカみたいなものです、ほんとうの話。こういうことが許されるのかどうか。先ほど周知徹底方の話がありましたけれども、代行機関によってこういうことがいまなされておる。これは、業者が訴えた場合には直ちに是正をするのと同時に、きびしくやはり注意をする必要がある。同時に、いまの通達なり何なり、これらをせめて店頭に張るとか——実際その業者から見れば、お金を借りておって、銀行のきげんをそこねたら今度は貸してもらえないかもわからぬ。強者と弱者の立場が非常に明らかなんですね。だから、ものを言えずにすごすごと帰ってくる、こういう実態なんです。ですから、店頭にこれらの中身について掲示をするとかいうところまで徹底させなければ、これは実際業者が窓口に行きますと、こういうようなチェックを今後もされかねないと思うのです。どうですか、この点。
○齊藤説明員 民間金融機関に代理貸しの形で代行してもらっております分につきまして、まず政府系分は返して、その分は民間金融で肩がわりするようにというような指導はもちろんいたしておりません。代理貸しの分につきましても、返済がきわめて困難であるというような事情が窓口で審査の結果わかりました場合には、償還猶予等の措置をとるように指導をいたしておったつもりでございますが、各代理貸しのそれぞれの末端の店まであるいは若干徹底していなかったうらみがあったかもしれませんので、これから各代理店のそれぞれの店舗にもただいまのような趣旨を十分徹底をするように再度通達をいたしたいと思います。
○野間委員 そうすると、具体的なこれらの事実を御報告しますから、これについて善処を約束してくれますか。
○齊藤説明員 具体的な事実がわかりましたら、善処いたしたいと思います。
○野間委員 それでは、またあとで連絡いたします。 次に進みますが、労働省来ておりますか。——工賃の切り下げの問題についてですが、先ほど工賃の切り下げについては撚糸あるいはネーム業者等々の具体的な事例をあげましたけれども、鹿島の織布業、これは賃加工業者ですが、この実態についてもまさに同じなわけです。 一例をあげますと、私が聞いたある業者、これはアセテートの自生地を織っておった業者ですけれども、織機の台数が十八台、これは大体鹿島の平均のようです。工賃を聞きますと、去年の九月が反当たり二千円、これがことしの九月になりますと五百五十円です。約四分の一なんですね。これは十月からさらに反当たり三百五十円に切り下げ方の通告がなされた、こういう実態です。これはある大手の商社です。採算ベースを聞きますと反当たり一千円、しかもこれが十九時間操業で、一反当たり千円のものがなければ採算がとれない。いま五百五十円、十月から三百五十円。しかも、この方は設備投資あるいはドル・ショックの資金ですね、さらに若干の家屋の手入れ、これらの返済金、これに充てるととんでもないことになるわけです。これは充てることができないわけですね。こういう実態があるわけです。反当たり五百五十円が三百五十円。この鹿島の特徴は、いま申し上げたのはある大手の商社ですけれども、これは聞きますと、取引先が違ってもおしなべて大体同じような実態であります。仕事はここではまだある。ところが、十月ごろからいよいよ怪しくなるかもわからない。と同時に工賃のこんなに大幅な切り下げ、これはどうしようもないんです。五百五十円でも赤字なんです。当然です。 こういう点について私たち共産党では、国と地方自治体、それから親企業、これらがそれぞれ出資をして安定基金の制度を設けるべき必要がある、これは税制上、金融上の優遇措置をやはりとるべきだ。私は、特に繊維について言いますと、戦後七回も不況が押し寄せたという業種ですから、こういう安定基金の制度——これは賃加工ですから、同じ業者といっても賃金労働者とそうたいして変わらない。ですから、この業者らに対しては団体交渉権を認めて、そしてその団体交渉によって工賃をきめていくという形に下請代金支払遅延等防止法等々の改正をするべきではないかというふうに私は主張するわけですけれども、それはそれとして、このようなむちゃくちゃな工賃の切り下げ、これについて労働省の所管でこれらを是正する道があるのかないのか、あるとしたら何があるのか、まずお聞かせを願いたい。
○川口説明員 お答えします。 労働省の所管ですと家内労働法がございます。家内労働法の定義はちょっとややこしゅうございますが、要するに物品の製造、加工等について、その業の目的になっている物品の製品、加工等を行なう——家内労働法の二条ですけれども、その場合に、それが主として労働の対象となっているものということになります。それから、もう一つの条件は、常態として同居の親族のみを使っているもの、したがいまして、いまおっしゃったような業者が家内労働法の保護の対象になるかどうかは、この家内労働法の定義に当たるかどうかでございます。したがいまして、賃加工、賃機の中でも、その受けている工賃と申しますか、賃加工賃の部分がほとんど賃金に近いという人たちであって、他人を使っていないものが家内労働法の保護にすることができるということでございます。
○野間委員 私たちは、いまの最賃法と同じようにこの法律についての評価はしておりません。しかしながら、少なくともこれを使えば、いま申し上げたように反当たり三百五十円、こういうことは許されないと思うのです。私がお聞きしたのは、一応要件として家内労働者に当たるということを前提にいま申し上げているわけですが、この家内労働法の発動条件、これは八条を中心にいろいろ条文がございますけれども、これは別に申し立てによって発動するのではなくて、この要件としては「工賃の低廉な家内労働者の労働条件の改善を図るため必要があると認めるとき」、認定権者は労働大臣あるいは都道府県の労働基準局長ということになります。いま私が申し上げたのは石川県の鹿島なんですが、これについて、少なくともいまある家内労働法は先ほど申し上げたように私たちの主張ではありませんけれども、少なくともこれがある以上これを発動して、これに基づいて具体的な実態調査をする、そして最賃をきめる、工賃をきめるということだって私はできない相談ではないと思うのです。ですから、これは所管の石川県の労働基準局でこれらの実態調査をぜひするべきではないかというように思うのですけれども、どうですか、してくれますか。
○川口説明員 現地の局に調査をさせたいと思います。
○野間委員 次に、輸入問題についてお伺いしたいと思います。労働省、もうけっこうです。 繊維の不況を深刻にした一つの大きな原因として輸入問題があるということは先ほどから話があったとおりであります。特に私ががまんならないのは絹織物です。それも和装用、これについてであります。加藤委員からの指摘もありましたけれども、通産省が音頭をとって、そして商社あるいは紡績メーカー、これらが開発途上国にどんどん資本輸出あるいは技術の提携をやって、そして逆輸入してくる。これがいまの不況に一そう拍車をかけておるということは明らかであります。これは政府も認めておるところですね。特に和装物です。日本人しか使わないもの、これが韓国や台湾やあるいは香港で織られて、そして輸入されておる。この輸入の実績、これは通関統計ですが、もらっておりますけれども、韓国からの輸入が非常に特徴的である。これは私、たしか伝産法とかあるいは特繊法の改正のときにも、韓国からの輸入の問題についてこれを規制しろという要求をしてまいったわけでありますけれども、これはたいへんな事態だと思うのです。絹織物の国内の生産、これらの推移を調べてみますと、産構審の繊維部会の答申の中にありますけれども、国内の生産、これは昭和元年から四十七年までの統計がありますけれども、大体二億前後、多少の波はありますけれども、ほぼ一定しておる。これは特徴的には需要がそう著しく伸びるというものでなくて、輸出の問題もありますけれども、日本の国内の生産についていいますと、ほぼコンスタントに今日まで生産が行なわれてきた。そこへ、先ほどから話がありましたように、絹織物の和装物の輸入がむちゃくちゃな力で入ってくる。国内の絹織物の約一、三%から去年あたりは一五%くらい入ってきたのじゃないかというふうに数字的に私は思うわけです。しかもこれらは、たとえば南韓興産というのが現地にありますけれども、これは三菱商事と南韓製糸、それから世韓絹織、これは蝶理と羅州製糸ですね、これは一例ですけれども、このように絹織物についての大手の商社、これが現地の企業と結びついて合弁をつくっておる。これらがどんどん逆輸入されておるというのが実態であります。 通産大臣のお話をいろいろ聞いておりますと、これは法律の適用じゃなくて、個別的な行政指導でこれらを規制していくのだ。先ほど局長の話では、四月以降は若干減っておるのだ、こういう話もありました。統計からいたしますと、七四年の一−六、これは七三年の一年間の半分、二分の一で見ますと減っていない。おそらく最初は先付の成約があって、これが四月以降減ったというふうに言われるかもしれませんけれども、少なくともいまの見通しからいけば、この数字から見る限り七三年に匹敵するだけのものが入ってくるんじゃないか。しかも、この七三年の輸入は前年対比でものすごいわけです。著しいわけでしょう。これは紋織りなんか特に特徴的ですね。こういうものがどんどん入ってくる。何のことはない、日本の商社を中心とする大企業が現地へ行って、そして日本でしか使わないものを向こうで生産して逆輸入してくる。国内の絹織物の生産はほぼ横ばいである。そこで、こんなに大幅に入ってくると、特に和装物が打撃を受けるのは明らかなんですね。こういうことをいままでずっと野放しでやってきたということについての政府の責任は重大である。これらの輸入の規制について、特に和装物に限ってお聞きしますけれども、単なる行政指導、個別の指導だけではたして効果があがると考えるのかどうか、通産大臣いかがですか。 〔板川委員長代理退席、委員長着席〕
○中曽根国務大臣 輸入の法的規制ということは、自由無差別の貿易を旗ざおにしてきておるわれわれとしては非常に慎重たらざるを得ないのでありまして、われわれとしては当面行政指導によってこの時期を切り抜けていく考え方でおります。もっとも生糸につきましては、蚕糸事業団による一元的購入に踏み切りましたし、また生糸の買い上げ数量も五万俵まで上げましたが、さらに上げるべくいま閣内等々において折衝中であります。
○野間委員 そうしますと、大臣は現在のような行政指導で輸入の調整がうまくいく、そういうふうにお考えですか。
○中曽根国務大臣 ことしの上半期の輸入の趨勢を見ますと、昨年に比べて一億ドル以上も落ち込んできております。それから、商社の輸入成約等を見ましても非常にダウンをしております。そういう状況で若干模様が変わってくれば、あたりの景況も非常に変わってくる。繊維の場合は非常にそうであります。非常に鋭敏であります。そういう意味において、われわれとしては行政指導を全力を尽くしてやるつもりであります。
○野間委員 ただ問題は、韓国の絹織物の輸出五カ年計画、七一年から七六年に向けたものがある、これは御承知だと思うんですね。これで見ますと、大体いままでの輸入の割合と輸出の五カ年計画、この割合、これは計画よりも数量は大体下がっておりますけれども、テンポは大体合ってきておるわけですね。しかも、これがドル単位で一九七三年九千三百万ドル、七四年が一億四千五百万ドル、七五年が三億二千万ドル、七六年が二億九千五百万ドル、まさに倍々ゲームですね。しかも、これは自生地あるいは染め呉服、しぼり、つむぎですから、まさに日本人しか使わないものですね。だから、輸出五カ年計画といいますと、これはみんな日本向けの輸出なんです。こんなに倍々でこんなものがどんどん入ってきたら、たいへんなことになると思うのですね。先ほど大臣は行政指導でこれらがうまくいくのじゃないかという話でありました。また、景気の話もありました。しかしながら、私がいま数字を示しましたように、国内の絹織物の生産が昭和になってからでもほぼ横ばいである。多少の変動はあります。また、輸出の問題もあります。しかしながら、私たちの見当ではいままでほぼ横ばいで推移してきておる。ここへいま申し上げたように、韓国の五カ年計画、これはまさに和装物専門ですから、日本に輸出する以外にない。これが大臣の言われるように、韓国からの輸入の規制、行政指導で効果があがるかどうか私は疑問ですけれども、かりにあがった場合、この韓国の和装物の五カ年計画、これらに対しては日本の政府は全くこれには関知しない、関係がないんだ、そういうことは通産大臣確認できますか。
○中曽根国務大臣 韓国は自分で自国の国内計画をつくり、五カ年計画をおつくりになっているので、それについてわれわれがとやかく言うべき筋のものではないと思います。
○野間委員 そうしますと、韓国ではいま申し上げたように、日本の企業がどんどん出かけていって合弁会社をつくって、このような計画をつくって、テンポは落ちておりますけれども、いままではほぼ計画に見合う形で大体入っておった。しかしながら、七六年までいま数字をあげましたけれども、たいへんな輸出が計画されている。これらが行政指導で規制できた場合に、韓国ではどうなってもこれは関知しない。日本の政府としては関知する筋合いのものではないのだということを、これはもう一度すみませんが、御確認を。
○中曽根国務大臣 日本の繊維産業をどういうふうに守っていくかということは、われわれは重大関心を持って政策をやらなければなりませんが、韓国が主権の名において自国内におやりになることについては、われわれがとやかく言うべき筋のものではありません。
○野間委員 大事な発言ですから、そういうふうに私はいまお聞きしておきます。 そこで、繊維についての最後にお聞きしたいのは、冒頭に通産大臣は、今度出された中小企業の緊急対策、九月六日付、特に繊維について融資等あるいは返済猶予、これらのほかにもいろいろ考えている、こういうお話がありましたけれども、これはいつごろどういうような方向でいま検討されておるのか、ひとつお聞かせ願えませんか。
○中曽根国務大臣 やはりいまの停滞状態を脱するという場合に、もちろんいま当面は金融関係でやっておるわけでありますけれども、いつまでも金融関係で市況がはかばかしくいかない場合に続けられるものであるか。やはり需要喚起という問題も当然考えなければならぬ段階がくるかもしらぬ、そういうことも考慮において政策をいろいろ準備し、検討しておるということであります。
○野間委員 ちょっと時間がありませんから、また別の問題についてお聞きするわけですけれども、ふすまの問題についてお伺いします。 これは私の地元和歌山のふすま業者の問題で、中小企業のいまの窮状あるいは危機、これの例に漏れないもので、大体全国の約六割が和歌山市にありますが、企業数で言いますと三百五十、この和ぶすま、これがそれだけのシェアを持っている。ところが、総需要抑制とかあるいは金融引き締めの中で、いま住宅建設が進んでいない。こういう状況の中で、いま生産が四〇から五〇%の減少、落ち込んでおる。ひどいところになりますと六〇%も落ち込んでおるというのが実態です。そういう中で、先ほどの繊維もそうでありますけれども、具体的な住宅についての明るい見通しが全くないというのが現状であります。 そこで、建設省に対していろいろと資料の取り寄せを要求して入手したわけでありますけれども、現在の住宅の建設計画、実績を見ますと、たとえば公営あるいは公庫、公団、民間等とありますが、四十九年度までの進捗率、この五カ年計画について見ますと、これは五分の四ですから進捗率は八〇%なければならない。ところが、この進捗状況を表で見る限り、ほぼ五分の四を達成しておるのは公庫の住宅——これはお金を貸すだけで民間が建てるわけですね。それから、一番最後の民間自力建設住宅、これも民間の住宅ですね。だから、民間が建てる分についてはほぼ計画に見合うものが進んでおる。ところが、この公営住宅、これは自治省の関係だと思いますけれども、これは六八・七%、公団住宅に至っては五六・七%、これは特徴的です。 和歌山のふすまの状況を聞きますと、公団、公営、これらに大体生産の七割が使われる。三割が一般の民間だというふうにいわれておりますけれども、こういう中で日雇い労働者やあるいはタクシー運転手、こういうことでほかに仕事を求めていかざるを得ないというのがたくさんいまふえております。しかも、いま申し上げた統計、これは四十九年度はまだ計画の段階なんです。四十八年度、これはまだ実績にならない、いままだかかっておる、こういう状況でしょう。ですから、いまの土地の買い占めあるいは原資材の高騰の中で、四十九毎度の計画がどの程度達成できるか、これまた疑問であります。しかも、この計画どおりいったところで、いま申し上げたような五分の四の割合からすれば、これをはるかに下回るというのが実態であります。しかも、ふすまの場合には、これは建物の建築とかなりのズレがある、タイムラグがあるわけですね。ですから、業者の要求の一つとしては、四十八年度さらに四十九年度、これらを早期にしかも計画どおりとにかく建ててくれ、このことはやはりいまの住宅不足で悩む多くの国民の要求であり声でもあるわけです。私たちは、総需要抑制という形で全般的に抑制するのではなしに、生活基盤あるいは福祉基盤、これらについては当然これはするべきである、こういう立場でありますけれども、いずれにしてもこのような進捗率、しかも四十九年度はどうなるかわからぬという状況では、これはふすま業者の皆さんにさらにもっと深刻な事態が到来することは当然だと思うのですけれども、これら住宅建設の具体的な当面の見通しについてどのように見ておるのか、これは建設省から聞きたいと思います。
○京須説明員 第二期住宅建設五カ年計画でございますが、御承知のとおり五十年が最終でございます。したがいまして、ただいま四十九年度もまだその実施はどうかというお話ございましたが、われわれは従来のいろいろな公的住宅の落ち込み等を踏まえまして、五十年度はさらにまた抜本的な手を打とうと考えております。 簡単に申し上げますと、三つばかりございます。まず、公的住宅が落ち込んでいるのは大都市でございまして、これは端的に言いますと、地元の公共団体あるいは住民の方々の団地はもうお断わりだといったような声が強いために建たないといったことが一番の大きな原因と思っております。 それに対しまして、まず第一には、公的住宅をつくりました場合にその付近の方々を優先的にお入れする、お入れした上でそのあと地を買い取りましてそこに公園をつくる、そういうことを考えまして、いきなり住宅をつくると公園がつぶれるから反対、住宅をつくるよりは公園にしろといったような声には、まず住宅をつくりまして近所の方々を優先的にお入れして、あと地にちびっ子広場等をつくる、そういったことを考えております。これが一点でございます。 それから二番目には、団地等をつくりますと学校の建設費用とかあるいは道路、公園の費用とか、そういうものに非常にお金がかかります。それに対しまして、関連公共広域施設の整備につきまして公営住宅あるいは公団住宅等の事業施行者が立てかえをいたしまして、たとえば十年間無利子にする、そういったようなほとんどお金がかからないようなことにいたしまして公共団体のほうの協力を仰ぐ、これが二点でございます。 三点目には土地でございますが、やはり何と申しましても農家等を中心にしまして将来の値上がり等を期待いたしましてなかなか土地を売りません。貸してもくれない。これはつまり将来の値上がり期待を見越しましてお貸しにならぬと思うのでございますが、そこで土地のレンタルと申しまして新しい制度を考えておるのでございます。つまり、適正に借地料はお払いします。それからまた一定の期間経過後には建物を建てておりましてもさら地として買い取りしよう、こういったレンタル制度といったような新しい制度を三つばかり考えております。 その他、さらにいろいろな努力も加えまして、公的住宅について、特に大都市圏を中心に大いに建設努力をしようと思っております。したがいまして、そういう努力をやりまして、五十年度でございますが、私どものほうの予算要求の資料で恐縮でございますが、一応九七%程度までは何とか推進したい、こう思っております。これは公共団体の施行能力等を十二分に見ましてもこの程度でございまして残念でございますが、一〇〇%近く何とか努力したいと考えております。
○野間委員 確かに数字の上では五十年度までの進捗率は合計で九六・八%ということに相なるようですね。ところが、これを見ましてもこのとおりうまくいくかどうか、私は非常に危惧を感じるわけです。改良住宅のごときは五八・二%、公団のごときは七二%ですね。そうでしょう。だから、ここで達成できるのはいわゆる民間の自力の建設住宅ですね。それから、公庫の住宅は一一六・九%。個人が公庫で金を借りて建てるとかあるいは民間の人が民間の住宅を建てる、これは達成率は一〇〇をこしております、計画からいうと。ところが、政府やあるいは地方自治体がやる計画についてはそのパーセントが非常に落ちている、計画どおり全部達成できたとしても。おそらくいまの見込みからいえばそういうことになるわけでしょう。まして四十九年あるいは五十年度は、いまの経済情勢の中から見れば私はたいへん悲観的にしか見ることができない。これは建設省、ほんとうに本腰を入れてこういうものをやるかどうかということを一つ。 それから、時間がありませんのでついでにもう一つお聞きしますけれども、和ぶすまとそれからいわゆる段ボールぶすまあるいは発泡スチロールのふすまあるいはガラスぶすま等々ありますけれども、これを分けますと、和ぶすまとそれから量産ぶすま、こういうふうに分けられると思うのです。これについて建設省なり公団住宅は一体どう考えているのかということでいろいろ聞いたわけでありますけれども、統計からしますと、いまもうだんだん和ぶすまが量産ぶすまに押されておる。大体全部で平均しますと四十何%でしたか、四九%ぐらい量産ぶすまになっておるわけです。 そこで、お聞きしたいのは、建設省ではこの段ボールぶすま、量産ぶすまそれから和ぶすま、これらをどのような基準で使用することを指導しておるのか、まずお聞きしたいと思います。
○金子説明員 お答えいたします。 住宅に使われる各種の資材の中でも、特にふすまのような仕上げに近い資材については、使用についての特段の指導を建設省としてはいたしておりません。公営住宅につきましては、各都道府県あるいは市町村等の事業主体がその地域の住佳酒の実態あるいは経済性その他の点を考慮して適宜判断して使っているということでございます。住宅公団においても、本社において特段の指定をするということではなくて、むしろ支社の発注に際しての自主的な判断にゆだねている。一応、量産ぶすまにつきましては品質上の基準を設けてございまして、その基準以下のものを採用することのないような指導はしておるようでございますが、特に量産ぶすまにしろとかあるいは和ぶすまでなければいけないとかというようなことはしておりません。地域の実情に応じて経済性、住生活上の要求等から判断して適宜採用しておるという、そういうことでございます。
○野間委員 いまのお話では、とりたてて建設省としては量産ぶすまを使えとも和ぶすまを使えともそういう指導はしていない。それは個々の業者が自分の裁量というか、判断によってこれを使っておるのだということです。 そこで、量産ぶすまを使う量は、東京では四十七年が八四・〇六%、関東支社が三七・八二、関西が二〇、中部が六一、九州が三四、平均しますと四九二四ですけれども、これを見ますと、東京と中部が量産ぶすまが非常に多い、こういうのが特徴だと思うのです。いろいろ聞きますと、段ボールの場合にはコストが安いとかあるいは強いとかという意見も私は聞くわけです。和ぶすまの場合には日本人の好みに合う、それから湿気の多いところに適しておる。これは日本はまさにそうだと思うのです。それから張りかえがきくとかあるいは軽快であるとか。だから、価格の点について和歌山の業者のふすま材の事業連合会の会長さん、西中という人ですが、この人から聞きますと、決して建設省から聞くような値段の開きがないらしいです。四十九年の五月時点で和ぶすまが二千五百円から二千八百円、量産ぶすまが二千七百円、こうなりますとほぼ変わらない。もっともこれは一般的な和ぶすまの価格であって、あるいは輸送コストとかあるいは公団用には特別のものを使うかもわかりませんし、それはよくわかりませんけれども、和歌山の業者の方はそういうふうに言われるわけです。しかしながら、いずれにしても価格は和ぶすまのほうが多少高くついたとしても、やはりいま申し上げたようないろいろの特徴からしたら、はるかに和ぶすまのほうがいいのではないか。特に公団の場合、分譲住宅については和ぶすまを使えというのが指導としてはせられておるというふうに聞いておるわけです。なぜかと言いますと、賃貸に比べて分譲の場合には見てくれもやはり影響してくる。だから、質的にもいいのは和ぶすまだということがこれからもうかがわれると思うのです。 そこで、私は、地場産業、これは和歌山だけではなしに日本の木材の地場産業を救済するという点から和ぶすまの使用、段ボールぶすまに比べてこれを使うように当然指導するべきではないか、こういうように思うのですが、この点どうですか。
○金子説明員 お答えいたします。 先生のいまのお話では、和ぶすまと量産ぶすまがあまり価格の開きがないというふうなことでございますけれども、住宅公団あるいは一部でございますが、地方の公営住宅の事業主体等について調査いたしましたところ、和ぶすまのほうがかなり高くなっておりまして、たとえば物価版等の資料によりますと、四千円台になっておりますので、かなり価格の開きが現実にあるところでは、やはり安いほうのものを選ばざるを得ないというのが実情であろうかと思います。 なお、いま先生、公団での使用状況をおっしゃったと思いますが、公営住宅のほうでもやはり東京とか名古屋、愛知、静岡、そういう量産ぶすまの生産地に近いところで採用率が高いようでございますから、価格の点で秤量して考えておるものだろうと思います。公共住宅は、いずれにしても特に賃貸住宅については家賃の問題もございますので、どうしてもできるだけ安いものを使わざるを得ないということがございますので、価格差があまりに大きいような場合には、いかに品質がすぐれていてもそちらの品質のいいものを使うようにという指導はしにくかろうと思います。現在のところは、先ほどもお答えいたしましたように、実情に応じて適当なものを採用するようにということで、特段の縛りはしてございません。
○野間委員 これで終わりますけれども、そうすると、先ほど話がありましたけれども、コストの点について、量産ぶすまに比べてそう高くつかないとすれば、これはいろんなほかの点、条件から考えても和ぶすまがいいということですから、これは積極的に使うように、これから私たちは強く要求して働きかけていきたいと思いますけれども、そのことをつけ加えて質問を終わりたいと思います。
○濱野委員長 松尾君。
○松尾委員 最初に、公正取引委員会の委員長にお尋ねしたいと思います。 独禁法の改正の問題であります。ただいま独禁法の改正の具体案というものが公取で検討されておる。非常に大きな問題がございまして、そして国民の世論も非常に高まっておりますし、期待もそのとおり高いのですが、最終的な公取の結論、これがいつごろどんな形で提案されるのであるか、これを最初にお尋ねいたします。
○高橋説明員 ただいまの御質問はいろんな形で私のほうで受けとめられますけれども、いわば公取の試案のようなもの、公取の骨格案ですね、これはなるべく早くまとめたいと思っておりますが、しかし取り扱いにつきましては、自民党のほうにこの問題検討のための懇談会がすでに発足しておりまして、私も先日そこに行きましたが、自民党の懇談会と十分相談した上でどうするかをきめたいと思っておりますが、なるべくならば——あまりおそくなりますと、これは私のほうの立場というよりは、いろいろ各方面からの御批判を承る意味で、おそくなり過ぎてはまずいのじゃないかと思っておりまして、そういう趣旨で、お話があれば申し上げるつもりでおります。
○松尾委員 われわれもさきの国会に改正案を提示しておるわけであります。まあそういうことは別にいたしまして、いろいろ巷間伝えられておる重大な問題がありまするので、各項目について私申し上げますから、それについてはこうだというように、まとまっておれば御答弁願っていきたい、このように思うわけであります。 まず最初に、価格の引き下げ命令の権限というものを公取委に付与する、この問題はいかがでございましょう。
○高橋説明員 公取委員会といたしましては、価格引き下げ命令につきましては、カルテルの範囲でやりたいという考えでございます。公取委員会の考えでございますが、独占禁止法全部についてやるという——これは公明党の御提案にもそうなっておりますが、カルテルは大部分が価格カルテルでございます。しかし、生産カルテルの場合でも、それによって価格が明らかに変動するということがあれば、そういうときにも適用したらどございます。
○松尾委員 第二の項目は、企業合併の規制を強化しなさい、企業分割の措置がとれるようにされたらどうか、こういう点でありますが、いかがですか。
○高橋説明員 特定の企業に非常に生産力やその他供給力が集中いたしまして、そしてそれによって、いわゆる独占的な状態から来る弊害が生じておる場合が普通でございます。そういう場合には、企業分割を行ない得る規定を設けたいと思っております、かねがねそういうふうに言っておりますけれども、ただしそう軽々しくではなくて、他の方法をもってしては競争状態を再現できないというふうなことがはっきりした場合にやる。大体そういう方向で、これは運用の面でもありますが、法律の上でもあるいはそういった表現を用いるかもしれません。しかし、やすやすと行なうのではない、こういうことでございます。
○松尾委員 次は、金融機関の株式保有制限のワクを、現行の発行済み株式総数の一〇%以下を五%以下にしたらどうかという強化の問題、それからあわせて商社の持ち株制限を新設したらどうか、こういう世論に対するお考えはいかがですか。
○高橋説明員 まだ最終案がきまっておりません。最終的なこちらの試案がきまっておりませんから確実な数字は申せませんが、金融機関の一〇%はこれを引き下げるという方向で扱いたいと思いますし、それからいわゆる総合商社でございますが、これは私どもは、一般に総合商社だけということではなくて、それを含めて大規模な業者の持ち株については何らかの制限を置くべきであるというふうに考えております。
○松尾委員 次は再販価格維持の行為の規制を強化する。いろいろ努力もされまして、ある程度強化されておりますけれども、さらにこの再販価格維持行為の規制を強化するお考えはどうか、この点いかがですか。
○高橋説明員 再販の制度につきましては、いろは、私どもも十分承知しております。ただ、去る九月一日から再販縮小が発効したわけでございます。そういう際でありまして、そういうことを行なって、直ちにその制度そのものにまたさらに追い打ちをかけるということについては、少し性急過ぎるのではないかという考えもありまして、今回の改正法律案の上からはそれは除きたいと考えております。
○松尾委員 これは価格の公表も当然の問題でありますけれども、特に不況カルテルの認可条件をきびしくしなさい。それから、やむを得ない認可の際には商品の価格構成、経営内容などを公表させる、これは当然と思うのでありますけれども、これは原価の公表の問題とからみまして、あわせてお答えを願いたい。
○高橋説明員 不況カルテルは現行の規定を十分に深く読んで解釈をいたしますれば、私どもは、不況カルテルという制度をやめてしまうならば別でございますが、そうでない場合には、あの規定を厳格に解釈すれば、それでいままでとかくの比判がありました弊害は除かれると思います。つまりその事業の継続が困難と認められる、ほっておけばみながやめてしまうというような規定までとるわけでございまして、これは程度の問題でございますから、厳格に過ぎた場合は、ほとんど不況カルテルは認められないことになるので、そこまで私ども突き詰めないけれども、法律の改正によってでなくて、運用の厳格化を期するということでやれるのではないかと思います。 原価の公表につきましては、これはそういった場合に不況カルテルをやったならば、それぞれの品目について原価を公表すべきであるということになりますと不況カルテルを申請するというのは、必ずしも寡占産業に限りません。寡占でなくてもあるわけでございます。現に中小企業団体法に基づくものなどは、数が非常に多い場合がある。そうでありますから、それもやはり同様な基準でやるとなりまずと、これはやはりたいへんな問題になって、それはもうやれないということになるのじゃないか。ですから、事務的にもたいへんな問題でございますが、実際問題として、そういう業界の構成が非常にまちまちであるというものに対して常に原価の公表をするという点については、私はどうも消極説をとらざるを得ません。しかし、原価公表そのものの制度とおっしゃいましたから、これについては、いわゆる寡占産業——独占的産業を含みますし、それからいわゆる一般的に寡占といわれておるもの、これは高度の寡占ということになる。寡占というものにもいろいろございますが、高度の寡占の業種につきましては、原価の公表を求める。と申しますのは、その場合でも、自由な競争が十分に行なわれていると認められるときにはそれは要求いたしません。価格面においてほぼ同時的に、これはたまには、二、三カ月ずれることもございますが、ほぼ同時的に同一価格が実現されているというような場合には、価格の面において競争がないということからそういう原価公表という方法を用いたらどうであろうか、こういう考えでございます。
○松尾委員 いまお話がございましたけれども、不況カルテルというものは、中小企業関係も起こる。これは当然でありますけれども、われわれが前提として考えておりまするのは、そのような中小企業が、もう倒れるか倒れぬか、いま非常に大きな問題を起こしておりますが、そういうところをきびしくやりなさい、こういうわけではありません。当然これは鉄鋼の不況カルテル、そういういろいろな社会問題を起こしておる、そういうものを対象としての考え方であるということは御認識をしていただきたいと思うのです。 それから、違法カルテル行為によります不当な利益をあげておる企業、これに対する課徴金制度の新設、刑事罰の強化、消費者の告発制度の導入という問題についてはいかがですか。
○高橋説明員 課徴金制度は、何らかの形でカルテルーこれは大体やはりカルテルの場合だと思いますが、そういう場合に不当利得を得たものとみなされるわけでございまして、何らかの形でその課徴金制度を導入するという考えは強く持っておりますが、ただしこれは関係省のあることでございますから、私どもの考えだけで通るかどうかはわかりません。しかし、そういう考えでおります。 さらに、刑事罰の強化とかいう点についても、いまの時世に合うような改正も考えておりますが、告発は公正取引委員会の専属の権限となっております。これには十分理由があることでございまして、一般人が客観的な事実だけ把握して、そしてこれはカルテルだときめてかかって告発する。告発いたしますと、検察庁としては、そういうものを認めますと、告発についてそれ相応の調査をしなければなりません。これはたいへんなことだろうと思います。私どもが告発権を持っておりましてもいまのところ非常に慎重にやっております。まだ一件しかありません。その公判もまだ開かれてないのです。相当の期間経過しますが、開かれてない。これは一般人に告発権を認めるということになりますと、さらに検察庁等はたいへんな重荷をしょわされるし、実際処理は不可能であるし、また事件を審査して、私どもが少なくとも審決によってこれは違法であるということをきめたもの以外について告発できるとなれば、これはちょっと証拠のないものを告発するということになりますから、適当でないというふうに考えるわけでございます。
○松尾委員 これで最後でありますけれども、以上のほかに公取自体のいろいろな強化をはからなくちゃいけないということ、それから消費者意見を反映させなくちゃいけない等、いろいろその他の項目としてあるわけでありますけれども、私が申し上げました公取自体の強化の問題、または消費者意見の反映というものについてはいかがですか。
○高橋説明員 私のほうから自分で言うのは恐縮なんですけれども、確かにいままで、この一、二年間手がけてきましたような相当件数にのぼるところの違法行為、独禁法違反行為をたくみに処理していく、しかもあまり長い時間をかけないで結論を出すとかいうふうなことを考えますと、それからまた、取り扱っていないものの中で違反としてやるべきものが積み残されているという現状から見ますと、公正取引委員会の充実ということはぜひお願いしたいところでございます。また、そういう点からいいまして、事務局職員が実際は中心になって働くわけですから、私どもはそういう出先まで出かけないのですから、そういう実際に働いている人に希望を与える意味におきましても、他省の部長と同格の、そこどまりで終わる人が大部分であるということについても考えていただきたいという気持ちが切実にございます。 それから、一般人の意見という問題については、私どもは、独占禁止懇話会、これは毎月原則として開いておりますが、独占禁止法研究会ではなくて懇話会のほうに消費者代表の方、中小企業代表の方、掌者、いろいろな各界の代表二十数名をお願いしておるわけでございまして、そういうところから、むしろこちらから問題を投げかけて御意見を承るという方式をとっておりまして、今後ともそういうものを十分充実して活用してまいりたいと考えます。
○松尾委員 これは通産大臣に聞くわけでありますけれども、最近のマスコミの報道等にも関連いたしますが、通産省自体は、いま公取委員長からいろいろお答えがあったわけでありますが、そのような基本的な考え、基本的な方針というものをどのように評価していらっしゃるか。
○中曽根国務大臣 私は、いま初めて委員長のお話をお聞きしたわけでありますが、これは非常に重大問題でありますから、よく慎重に検討してみたいと思います。われわれのほうでも、非常に大きな大事な問題でありますから、ドイツや米国のほうにも調査員を派遣したり、またわれわれ自民党内部におきましてもいろいう政調会やあるいは有志議員等が懸命な調査や研究を行なっておりますから、そういういろいろな議論をよくかみ分けた上でわれわれの最終的判断をきめていきたいと思います。
○松尾委員 また、通産省で行なっておる産業組織についての業種別実態調査、これはどういうねらいであるのか。そして、これは何か独禁法改正問題との関係があるのかどうか、この点はいかがでしよう。
○小松説明員 私どもではかねがね産業の実態の調査につきましては意を用いているところでございますが、独禁法の改正問題につきましては、先般の国会におきましてこれを研究するように御決議のあったことでもございますし、現在の日本経済がどの程度独占的あるいは寡占的になっておるのか、その結果どの程度の弊害が生じておるのか、また現在いろいろいわれておりますような独占禁止法の改正の方向が、日本経済の実態に照らして競争を維持、促進するのにはたしてそのまま役に立つのか、また雇用問題、失業問題、物価問題、自由経済の維持、その他の諸政策との斉合性がどの程度保たれるのか、こういうことの判断の材料といたしまして、目下そういう方面に重点を当てまして実態の勉強をし直しておるという段階でございます。
○松尾委員 公取関係は以上で私の質問を終わりますので、委員長は適宜に御退席になってけっこうです。 次に、最近の内外の石油情勢に関しまして、通産当局、大臣に聞いていくわけでありますけれども、最近ようやく、高値でありますけれども需給関係は安定に向かっている。そして、消費節約によりまして備蓄が増加する傾向であります。しかし他面、最近の世界的な需給の関係は、そのような緩和を見通しまして、OPECでは再度生産削減等を伝えてまいるということでありますけれども、そのようなことの真偽はどうか。OPECの考え方はどうなんだ、そしてあわせて石油需給のわがほうの見通しはどうか、これいかがでしょうか。
○増田説明員 お答え申し上げます。 ただいま松尾先生がおっしゃられましたように、最近の石油事情につきましていろいろ流動的な面がございます。特にOPECが今後輸出制限をするかどうかということについていろいろ注目されておるわけでございますが、昨年の石油危機の発端となりました輸出制限、これは中東戦争の解決を有利に導くための一つの戦略的なやり方ということが言えるわけでございますが、現在のところ、そういう動きはございません。ただ、石油の供給が世界的に相当過剰になっておりますので、OPEC諸国ではこの需給のバランスを合わして価格を高位に維持するために生産制限あるいは輸出制限をするということについていろいろ討議がなされているということがいわれております。現実には現在すでに一部の産油国におきましては出荷の制限が行なわれておるようでございますが、これはまだOPECの決議とかいうことで行なわれているわけではございません。ただ、近く九月十二日にOPECの会議が行なわれ、最近の需給事情あるいは価格状況について検討をいたすということになっておりますので、そのときにあるいは数量の制限について討議がなされ、それについて何らかの決定がされるのではないかということがいろいろいわれておりますが、私どもはそういうことはほとんど行なわれないんじゃないかというふうに現在のところは考えております。
○松尾委員 次に移りますけれども、産業計画懇談会の提言がありました。これは九月四日でありますけれども、原油輸入の対策に関しまして、今後の原油輸入量を二億五千万キロリットルに押えたらどうか、伸び率も年率四%程度にすべきであろう、こういう要点であります。まことにこれは傾聴すべき意見だと思うのでありますけれども、これに対する通産当局の考えはいかがですか。
○増田説明員 ただいま松尾先生の御指摘ありましたように、九月四日に産業計画懇談会の意見書が出まして、その提案といたしましては、一つは備蓄を早期に実現すること、それから第二に、ここ二年ほどは原油の総輸入量を二億五千万キロリットルぐらいに押え、その後は年率四%をこえないように輸入を押えるという方針を内外に向かって宣言いたしたわけでございます。 通産省といたしましては、この二億五千万キロリットルという数字はともかくといたしまして、今後の世界的な原油の供給事情から見まして、またわが国の国際収支の問題を勘案いたしますときに、エネルギーの消費節約運動の展開、代替エネルギーの開発などによって原油の輸入を必要最小限度にとどめなければならないというふうに考えております。この意味におきましては提言の趣旨は理解できるわけでございますが、しかしながら現状の日本の経済の規模から申しまして、この二億五千万キロリットルということに押えることは、国民生活あるいは産業活動の基礎であります石油の数量が二億五千万キロリットルで適当であるかどうかということにつきましてもう少し検討しなければならないと思います。ただ、先ほど申し上げましたように、できるだけ原油の輸入を節約するという方向で通産省としても努力いたしたい、こういうふうに考えております。
○松尾委員 やはり日本の一カ年間の原油の輸入量、需給というものをある程度きちっとしませんと——使うから輸入するんだ、そういうものは必要だからというような前提があってはいけないのでありまして、やはり公害の問題、省資源の問題等の観点から産業構造の転換等をわれわれも強く要望しております。大臣もそれは着々とやっているというお答えであります。その土台として、石油の輸入量をどのくらいにしていくかということは早くきちっとおきめになりませんと、すべての計画というものがうまく軌道に乗らぬのじゃないかという感じがいたします。この点は私は強く要請をしておくわけであります。 次に、備蓄の問題でございますけれども、消費国機構等でいろいろ論議も尽くされ、国際的には六十日分ためていこうじゃないか、このような結論が出ておるわけであります。これは日本としての考え方でありますけれども、そういうものにどう対応していくか、また来年度は石油備蓄公団というものを新設するというようなことも出ておるわけでありますけれども、その備蓄公団を新しくつくるということはどういう考え方か、石油開発公団との関連はどうなのかということであります。いかがですか。
○増田説明員 備蓄の問題についてお答え申し上げます。 昨年の石油危機を経験いたしまして、やはり相当の備蓄がないと、輸出制限その他が行なわれましたときに非常な混乱が起こるということで、現在わが国の備蓄能力は約六十日でございますが、これをぜひとも九十日目標に持っていきたいということを考えております。欧州諸国では大体九十日から百二十日持っております。そういうことから考えますと、わが国のように非常に石油に依存する経済におきまして、備蓄が六十日ということは、不安定な供給状況になっております現在、これをふやすということがぜひとも必要でありますし、またこれが国民的なコンセンサスになりつつあると思います。そういう意味におきまして、現在の六十日を数カ年かけまして九十日目標に持っていきたいということを石油政策の一つの大きな柱として立てたいというふうに考えております。 ただいまお尋ねの石油備蓄公団という問題につきましては、この石油備蓄については、原則としては石油の精製業者が原油をためる、自分の精製施設の付属施設としてタンクその他を設置いたしまして、備蓄の数量をふやすというのが原則でございますが、ただ現在の状況から見ますと、石油精製業者の資金状況あるいは土地の取得の可能性その他からいいまして、やはり国が相当この備蓄に対しまして積極的な応援をしなければならない。こういう立場に立ちまして、石油備蓄公団という構想も現在検討中でございますが、内容といたしましては、石油備蓄を業界自身が行ないますときに、それに対しまして積極的な援助を行なう、また業界自身において不可能な場合に国みずから土地を取得し、タンクを設置いたしまして備蓄を行なうという構想でございます。まだこの構想につきましては検討の段階でございまして、現在関係方面にいろいろ打診中でございますが、私どもとしては石油備蓄公団というものにするか、あるいは半官半民の石油備蓄会社のようなものに持っていくかということで、まだ結論は出ておりません。 それから、いまお尋ねのように、石油開発公団が石油備蓄を行なうのかどうかということでございますが、石油開発公団本来の趣旨は、海外における石油開発に対しまして融資、出資の事業を行ないまして、これを促進するということでございますので、石油備蓄公団あるいは半官半民の石油備蓄会社と非常に性格が異なるわけでございまして、石油開発公団の中に石油備蓄業務を持つのがいいかどうか、これも一つの検討事項として行なっておりますが、いま先生のおっしゃられましたように、石油開発公団に備蓄業務を行なわせるということでありますと、石油開発公団の従来の業務とは非常に離れた仕事をここにくっつけるということになりまして、技術的、法的にいろいろな問題点がございますので、これもあわせて現在検討中でございます。
○松尾委員 この備蓄の問題は非常に重大でありますし、国際的な関連も強いわけであります。わが国における石油備蓄の基地の問題でありますけれども、調査研究なんかは具体的にどうされておるのか、また通産当局の石油備蓄に対する構想、こういうものはどうか、こう具体的に入っていきますが、いかがですか。
○増田説明員 お答え申し上げます。 三十日、備蓄をふやすというためには相当な備蓄基地が必要でございますことは、先生御指摘のとおりでございます。このために、石油の備蓄基地としてどういう場所が適当かということにつきましては、現在私どものほうは石油精製各社といろいろ打ち合わせをいたしておりまして、石油備蓄基地として適当なところはどこかということで検討をいたしておるわけでございます。 現実にいろいろの計画が出ておりますが、ただ、この石油備蓄基地を設けますにあたりましては、その地域の住民との協調をはからなければなりません。また、石油備蓄というものが国策として必要であっても、これが公害その他をもたらすということでありますと、地域住民に対しまして非常に影響を及ぼすということで、その点におきまして備蓄基地の候補地がいろいろとあげられておるわけでございますが、地域住民に対する説得また備蓄のやり方につきましての計画の説明ということを現在行ないつつあるということでございます。
○松尾委員 いまお話がありました備蓄基地の問題ですけれども、いろいろあちこちで具体的に出ております。これは長崎県の五島列島でありますけれども、そこには国定公園もあります。国定公園以外の場所もねらっておるようでありますけれども、五百万キロリットルというような基地をつくりたい。降ってわいたような話でありまして、非常に現地では混乱をしておる。特に長崎県における最後の漁場、東シナ海に通ずる豊富な漁場としていま残されておる大切なところであります。そこへある石油会社が出てきて、そして中国の油をどうするこうする、非常に便利だというようなことで、地元にそんな説明をしたというような話がありますけれども、これは慎重にやらないと、いま長官が言われたとおりに、地域住民とのいろいろな接触、そういう人々の賛成というものがありませんで、ぽかぽかと、ここがいいだろう、あそこがいいだろうということで片っぱしからやられますと、至るところで問題を起こすわけであります。そういうことに対する基本的な指導行政といいますか、必要なものは必要だ、それからここはどうだというところまできちっとしませんと、問題がばらまかれて地域が非常に困っておるということがあるのですけれども、いかがですか。
○増田説明員 石油備蓄基地の一つの候補地として五島列島の一カ所が候補にのぼっておるという御指摘でございますが、現在この問題につきまして約五百万キロリットルの備蓄基地を五島に設けるということがある会社の計画として出ております。先生御指摘のとおりでございますが、この問題を実現いたしますのには、御指摘のように、まず地元住民の協調、賛成というものを得なければ、これはもう現在では建設できない。また、この地域が国定公園に一部かかるというような関係もございますので、地域住民が非常にこの問題について必要性を認識され、またこれの具体的計画について賛成されなければ、これは実現しない。こういうことで、現在会社の担当常務その他が説明会を開きまして、そして自社の石油基地建設にっきます計画の内容、それから問題点につきましてのいろいろの解明ということに努力いたしておる。そのやり方は、まず地元で説明して地元の賛同を得てから備蓄基地を設けようということでやっておるわけでございます。
○松尾委員 慎重な態度でひとつこれは指導してもらいませんと、日本各地でそのようにぽこぽこと基地が要るんだ、おたくの地域でどうでしょうかというようなことでやられたら、これは大きな問題をばらまくだけでありまして、結局やりたいこともやれぬようになるのじゃないかというような感じもむしろいたします。 これは、佐世保基地には米軍の石油基地があるわけでありますが、いま三つの基地がございます。そして、五百三十八万バーレル、これを換算いたしまして八十五万五千キロリットル、小さなものでありますけれども、なお余地はありましようし、百万くらいはこういう既設の場所で一そうして米軍の使用というものはほとんどありません。返還をすれば何か条件をつけまして、必要とする場合には米軍に優先的にくれとかいう条件をつけるぐらいの話でありまして、いま喜んでこういうものは返還するのじゃないか、このような感触を持ちます。むしろこういうところをとりまして、そうして向こうも喜んで返還する、こちらももらう、そういうところでありますれば、従来あったところでありまするし、それから地域の了解というものも、施設を拡充することについても大きな反対はもともとないのじゃないか。むしろ西海町あたりはこういう国有財産を払い下げてもらって、そうして大きく基地になりたいというような地元の要望もあるぐらいであります。ですから、このような施設を返還を受けまして、そうしてあわせて利用していくというような考え方はいかがですか。
○増田説明員 ただいま松尾先生のあげられました佐世保付近の米軍の貯油揚あるいはそのほかの施設の返還によりまして、これを石油備蓄の基地にするということにつきましては、私どももその方向で進めたいということで、現地の通産局それから地元の県その他とも連絡をいたして、備蓄基地というものにこれを推進したいということで進めております。
○松尾委員 これらの問題はこれで最後になりますが、これは八月二十四日でありますか、アラビア石油とクウェートの間で三〇%のクウェートの経営参加、この調印が行なわれたのであります。こうした産油国の経営参別の動きによるわが国への影響はどうか。そうして、だんだんそのようにして精製なんかもできないでおる。販売もできない部門というものがとられていく。結局民族資本というものがだんだん弱っていくわけであります。石油部会の中間報告でも、民族資本の業界の体制づくりをいうものもやはり取り上げられております。どのようにこういうものに対処していくのか。民族資本の石油というものをどのように伸ばしていこうという考えであるか。これは大臣から聞きたいのですけれどもね。大臣、わかりましたか。——長官から答えて結論は大臣……。
○増田説明員 ただいま先生の御質問の一つは、クウェート政府のアラビア石油に対しましての事業参加につきまして一応の取りきめができた。これは非常に重大であるし、今後日本の石油業に対してどういう影響を与えるかということでございますが、このクウェート政府がアラビア石油に対しまして事業参加——アラビア石油と先般一応の取りきめができたわけですが、その前にクウェート石油会社いわゆるKOC・これは外資はイギリスのBPとそれからアメリカのガルフが入っておる会社でございますが、この会社に対しまして、クウェート政府が六〇%の資本参加ということを行ないまして、この取りきめが約一月前にできたわけでございます。それと同じ形で、クウェート及びサウジアラビアの中間地帯にありますアラビア石油に対しまして、クウェート政府が同様な事業参加を要求したわけでございます。内容といたしましては六〇%でございますが、先生のおっしゃいましたようにクウェートの分は三〇、それにサウジアラビアの三〇、こういうことでまずクウェートがその分の要求をしたわけでございます。ただ、これにつきましては、クウェート政府との間の話し合いは一応終わったわけでございますが、まだサウジアラビアとの間の話し合いが始まっておりませんので、この合計六〇%の事業参加というものの決定は先に延ばされておるわけでございます。 ただ、先ほど申し上げましたように、クウェート政府は、クウェート国内にありますKOC、クウェート石油会社に対しましてと同じ方式でアラビア石油に行なったわけでございますし、またこういう六〇%の事業参加はカタールあるいはアブダビでも行なわれておりますので、一応このような事業参加ということは、中近東の諸国においては今後の大勢ということがいえるんではないかと思います。 これと日本の石油確保との関係でございますが、私どもが聞いておりますのは、六〇%の事業参加が行なわれますが、それによってクウェート政府が取得いたします石油の処分につきまして、できるだけ従来のアラビア石油が扱わしてもらうように、いわゆるバイバックをするようにということで、現在この交渉が行なわれております。もしバイバックが全量行なわれるようになりますれば、従来どおりアラビア石油の取り扱い量というのは減らないということになるわけでございます。 それからもう一つ、これに関連いたしまして、石油業界の再編成について、総合エネルギー調査会石油部会の答申、中間取りまとめという形でこの前一応の結論が中間的に出たわけでございますが、ここにおきましては、開発部門とそれから精製部門とそれぞれにおきまして現在非常に多くの企業が存在し、これがやはり石油危機とか現在のように変動します世界石油事情の中に脆弱性をあらわしているということで、これに対する今後の対策を行なわなければならないということで、開発部門及び精製部門それぞれにおきまして体制整備を行ない、中核企業を育成する必要があるということが答申の内容になっております。この方向を踏まえまして、政府といたしましても、この円滑な体制整備が今後進められることを期待しておりますし、またその方向に進みますときには所要の支援を行なうという考えでおります。
○中曽根国務大臣 増田長官が申されたとおりでありますが、クウェート政府はあの交渉においてかなり強い姿勢でやったようであります。いろんな情勢から見まして、産油国の立場は非常に強くなってきて、消費国の立場が弱くなってきておりますが、われわれといたしましては国際的な摩擦をできるだけ回避しつつ石油を確保することと、わが国益を守るという二点を守るようにせっかく努力していきたいと思っております。
○松尾委員 石油の問題は以上でとどめまして、最後には、中小企業関係で若干質問を続けたいと思うのでありますけれども、時間がだいぶなくなりました。まとめて申しますので、長官からまとめて要領よくお答え願いたい。 まず最初は、この総需要抑制策の浸透に従いまして生産、受注というものが激減しております。在庫は増大、資金繰りは悪化、こういうことで、中小企業はかつてない非常な不況に立ち至っておる。政府としましては、このような実情というものを、業種別にどのように把握しておるかというのが第一点。 それから第二点は、この中小企業に対しまして、不況打開のためにどのような措置を講じてま 第三点は、倒産防止のために政府はどのような措置を講じてきたか。 以上三点、長官、お答え願いたい。
○齊藤説明員 最近の中小企業の実情でございますけれども、総需要抑制とか金融引き締め政策の浸透に伴いまして、だんだんきびしさを増しております。そのために中小企業の各経済指標は漸次悪化の傾向にございます。 まず、生産でございますけれども、ことしの四月以降、すでに前年同期の水準を下回るに至っております。在庫も、ことしの二月以後毎月、前月比でふえておりまして、六月には過去の最高でございました昭和四十六年のいわゆるスミソニアンの調整が行なわれましたころの水準をさらに上回るに至っております。 倒産も、ことしに入りましてから、三月の千三十六件をピークにいたしまして四月、五月と千件弱の倒産でありまして、六月、七月が八百件台でございますが、八月にまた九百三十五件と、高水準になっております。 業種別に見てみますと、四−六月までは建設業、それから繊維業が主たる不況業種でございましたけれども、その後、機械工業関係が、自動車、家電の生産の不振に伴いまして、こういった分野の下請関係、さらに建設不振に伴います木材、木製品、家具、タイルあるいは陶磁器といったような業界、あるいは紙パルプといったような業界とか、商業関係にも不況が強まってまいっておりまして、全産業にこの傾向が拡大するような傾向がございます。 こういった情勢に対処いたしまして、私どもとしましては、健全な中小企業が資金繰り等の困難から倒産等の不幸な状態におちいることを防ぎますために、四−六月におきまして政府系の三金融機関の貸し出しワクに千五百億の増額をいたしたのでございますが、さらに先週の金曜日に、当面の第二段の追加といたしまして三機関に千億の追加をいたしたわけでございます。また、経営が個々の実情に応じまして既往債務の償還の猶予等の措置もとることにいたしております。またそのほかに、民間の金融機関で中小企業救済特別融資制度というものを設けてもらっておりまして、通常よりも安い金利で不況の部門に貸し出しをいたしておりますが、先般ネオン、地方ガス、それから繊維、建設業といった部門に約五百五十億円の特別融資を行ないまして、これは現在も実施中でございますけれども、さらに引き続きまして、機械関係の下請あるいは製材、合板といったものもこの民間の特別融資制度の対象に加えるべく、現在話し合いを進めておるところでございます。 なお、信用保証制度につきましても、これをフルに動員いたしまして、必要な資金の確保につとめておるところでございます。
○松尾委員 もう時間がありませんので、最後に一点。 現在、金融引き締め、総需要抑制で、中小企業の資金繰りというのは非常に苦しいわけであります、そういう中で、私はきょうは商工中金の問題について聞くわけでありますけれども、四十九年度の貸し出し規模、純増ベースで二千八百六十六億円でありますが、この資金の裏づけというものはどうかというのが第一点であります。それから、債券の引き受けが財投で三百八十億円ありますが、そのうちで純増は百四十八億ですね。商工中金自体が結局二千七百十八億円の資金調達をしようとする。それは預金であり、債券の発行——債券の発行につきましては、利付の五年もの、これは金融機関、事業団に対するものであります。割引債が個人に対するものでありますが、この比率は二対一、このようなことでありまして、まず資金の裏づけがどうかということが一点。 それから、この割引債の消化状況はどうかということであります。 なぜそういうことを聞くかと申しますれば、中金自体も自己資金の調達に非常に困っておるのじゃないかと思われます。ですから、割引債といではないかと思うのであります。これはある商工中金の支店の会則でありますけれども、何々ワリショー友の会、これは商工中金の支店がこのような友の会というものをつくってやっておるわけであります。「目的」「名称」「会員」「役員並びに事務局」とありますけれども、結局はこの会員というものは「新規に一口五万円以上の自動継続ワリショーを支店から購入する。」そして「取引先会員は年間において十二口以上、関係者会員は年間二口以上の購入を目標とする。」というように、自動継続ワリショーというものをその友の会ですすめておる。それから、金を借りるときには、借り入れ金の額というものは「購入済ワリショー積立額の五倍をもって限度とする。」、割引債を買っていませんと借りられないというような、裏から逆にいえば、ワリショーを買いなさい、そしてそれが割引債を持っていなければ借りられないというようなかっこうになっていくのじゃないか。百万円借りたい、貸しましょうというと、一割から二割、十万から二十万ぐらいのワリショーを買わなければいけない。それが自動継続でありますから、いつまでもそれを持っていないといけませんし、毎年それはふえていく。そして、そのような必要とする資金は「購入済ワリショー積立額の五倍をもって限度」でございます。こういうことがあるわけでありますけれども、いまごちゃごちゃと私が何点も申し上げましたが、そういう点はあわせていかがですか。 そして、そういうワリショー等が消化が悪いのじゃないか。結局悪いものだから、自己資金の調達が困っているから、いろいろ友の会みたいなのをつくって、そして資金を潤沢にしたい。そういう心はわかりますけれども、百万円借りて、それでも非常に苦しいのに、一割も二割もそれでワリショーを買わせられる。それで自動継続ワリショーになっていて、友の会になってふえていく。そして、そういうものを買わないと現実には金が出てこない、貸してもらえない、こういうこた、現にそのようなことで苦しんでおる者がおるわけです。そうしますと、これはそういう面において、いま困っておる中小企業をそういうところで押え込むのじゃなくて、そういう割引債券については別途に資金のワクをふやすとか、そういうことを努力しておいて、中小企業に苦しい上の追い打ちをかけないようにすべきではないか、こういうことでありますが、お答え、いかがですか。これは最後には大蔵省のほうからも、いらっしゃればお答え願いたい。
○齊藤説明員 商工中金の原資の相当部分は、御指摘のように商工債券、商中債を発行いたしまして調達をいたしておるわけでございますが、その市中消化の状況は、金融引き締めによりまして、過去に発行いたしました既発債の市中利回りと、新しく発行いたします新発債の金利に乖離が生じまして、既発債のほうが利回りが高くなっておりますので、新発債の引き受け意欲は一般的に申しますと弱まっております。商中債は直接商中が売ります分と証券会社を通じて売る分とございます。直接売ります分のうち利付債につきましては、大体金融機関等特定の顧客に安定的に消化をいたしておりまして、これは一応順調に消化されております。また、割引債につきましては、特にことしの六、七月はボーナス特別割引債ということで、従来よりも利回りのやや高い割引債を発行いたしまして、ほぼ計画に近い消化を見ております。消化が悪いのは証券会社に委託して販売しておる分でございまして、これにつきましては芳しくない状況にございます。総体で申しますと、今年度の年度間の債券の発行額の予定が約二千億でございますけれども、そのうち上期中に五〇%の消化予定に対して四五%達成、五%ぐらいは消化がショートするようなただいまのところの見込みでございます。 ところで、こういった点も、今度新発債の利回りが改定されますればさらに消化も進むのではないかと考えておりますが、特に取引先に商中債の消化を強制をしておるのではないかという御指摘の点でございますけれども、一応取引先が資産運用としまして有価証券を保有するといったようなことがあります場合には、なるべく系統機関であります商工中金の債券を引き受けていただくというようにお願いはいたしておるようでございまして、それが中小企業金融の円滑化になるからということでお願いはしておるようでございますけれども、あくまでこれは取引先の経理なり経営の事情によりまして、自発的に引き受けていただいておるというふうに私ども聞いておる次第でございまして、強制的に割り当て的にやっておるというふうには聞いておりません。また、現在の取引先が引き受けております割合は、貸付残高に対しまして二・五%でございまして、非常に低い割合になっておりますし、この割合は最近ずっと、あまり動いておりません。ただ、御指摘のような、もしやや行き過ぎがあるようなことがございましたら、実情を調べまして、そういう行き過ぎがないように十分……
○松尾委員 友の会ということはわかっておりますか。
○齊藤説明員 友の会というのは、ちょっと私、ただいま承知いたしておりませんが、至急にその辺は実情を調査いたしまして、もし行き過ぎがありますれば是正するように指導いたしたいと思います。
○垣水説明員 先生の大蔵省に対する御質問は、もう少し財投なり何なりで商中債を引き受けて、そして民間から吸い上げるのを肩をすかしたらどうかという御趣旨からかと存じますが、実は私どももそういう点からかなりといいますか、できるだけ努力をいたしておるわけでございますが、実は資金運用部資金法あるいは簡保年金法でも同様でございますが、金融債の引き受けにつきましては、一の金融機関の五割以上を引き受けてはいかぬ、この五割にはまだ間があると思いますが、一回の発行の六割以上をやってはいかぬという法律上の制限がございまして、これは、あまり一つの、特に金融債等につきましては一つの金融機関に片寄らないようにという運用部資金あるいは簡保積み立て金の運用の適正化という面からの制限だと存じておりますが、そういう面がございまして、やはりある程度運用部なり簡保年金から金をつぎ込もうといたしますとどうしても全体の発行ワクを広げるという面もございます。もちろんそれだけでもございませんと思いますが、そういう点もございますので、法律の許す限り、できるだけ私どもとしては今後もめんどうを見たいというふうに考えております。
○松尾委員 友の会のことは長官も御存じなかったわけでありますが、非常に苦しい中で金を借りる。借りたら一割も二割もそういうワリショーを持たせられる。持ったものは優先的に金が借りられる、持たなければ肩身が狭いというような、現実はそうなんですよ。そうでありますからひとつこの点はよく検討を重ねて、そうしてそういうワリショーに対する友の会みたいなものは私はやめたほうがいいんではないかと思うのです。でありますから、ひとついい方向にこれは持っていかれるように要請いたしまして、私の質問を終わります。
○濱野委員長 宮田君。
○宮田委員 たくさんの質問が出てまいりましたので重複するところもあるかもしれませんが、まず私も独禁法の改正問題に対しまして公取委員長に質問をいたします。 高橋委員長は、すでに、次期通常国会に独禁法改正案を提案することを公式の場で表明をしておいでになるわけであります。その提案に至るまでの経過でございますが、九月の末までに改正案の骨格をまとめるということでありますが、この要綱はもちろん独占禁止法研究会の意見を参考にされたものと思います。これは公取委独自の案ということで考えてよろしいものかどうか、まずその点をお尋ねいたします。
○高橋説明員 私どもがただいま作業を進めております公取委の試案というものは、公取委独自とおっしゃいました意味がよくわかりませんけれども、公取の私どもとしては独善におちいることのないように十分各権威者の方の御意見も承るということから独占禁止法改正のための研究会を設けておりまして、そういう方々は非常に外国の事情にもまた論理についても詳しい。しかし、私どもは実務の立場からその意見そのままをやるというわけにもいきませんけれども、しかしそういうことがたいへん貴重な参考意見になっておりますので、そういう意見を十分に取り入れられるだけ取り入れる。 なお、私どもは、国会にストレートに提出するというわけにはいきません、それはもう先ほど申しました。そこで、かりにこの試案をつくった場合に、骨格ですね、それはやはりいろいろな方面の方の批判を受けるのが当然だと思います。そういう意味において、その扱いにつきましては、先ほど申しましたけれども、自民党の中にせっかく懇談会が設けられておりますので、どういうふうにするかを十分相談した上でその骨格案のものについて、これを見れば大体のことがわかるわけですから、それについて各方面の御意見を承った上で最後案をつくり上げたい、つくり上げられるかどうか、それはもういろいろ問題がございますから、私どもの独断ではまいりません。
○宮田委員 私ども民社党といたしましても独禁法の改正強化について提案しておるところでございますが、研究会のこの中間報告に対して産業界はもとより、労働組合の間からも、その是非についてさまざまな議論が出始めておるのが現実でございまして、またいま委員長のおっしゃいました各界のいろいろな論議になっておるということも当然かと思います。この研究会の中間報告は、御存じのように、あくまで学者グループの研究成果であるわけでございまして、産業界あるいは労働組合、さらに独禁法の強化を最も期待しております消費者の意見をどうこれからくみ上げるのか、またわが国の産業政策の根幹にもこれは触れる重要な問題でございますので、行政機関との調整をどうされるのかといったことも当然に起きてこようと思います。いま申し上げましたように、各方面との調整と公取委の改正要綱づくりとの関連はどうなるのか、また改正要綱ができた段階で何か特別の機関でもおつくりになる考えがあるのかどうか、この点を含めて委員長の御見解を承りたいと思います。
○高橋説明員 お尋ねの点はまことにもっともだと思います。ただ私ども、繰り返すようですが、この試案、骨格案をつくりました段階で自民党の懇談会に十分御相談申し上げた上、どういうふうにするかということをきめたいと思っておりまして、したがいまして、いま直ちにこれはこういう方法でやるとか特別の集まりをつくるとかいうようには考えておりません。時間的に申しますと、特別にその会合を設ける——会合は別ですが、別の何といいますか、懇話会みたいなものをつくりましてやるというのではなく、それぞれの各界の方々に御理解をいただくという方法をとるほうがいいのではないかと思っておりますが、まだ具体的なことを申し上げる段階ではございません。
○宮田委員 さっき申し上げましたように、もちろん各党でもこの点についてはいろいろ検討されておると思いますが、私はこの中で一つの問題点として関係各省庁間の調整というものが当然に必要になるのじゃないかということを申し上げたわけでありまして、この点についてはどのようなお考えを持っておいでになりますか、もう一度お聞かせ願いたいと思います。
○高橋説明員 いまおっしゃられた点、当然であると思いますので、私どもは案をつくった段階ではぜひ関係各省の御意見を承る、またこちらがいろいろ御説明申し上げて納得していただく、なかなかスムーズにはまいらないかもしれませんけれども、できるだけ努力したい、こう思っております。
○宮田委員 独禁法の改正にあたって公取委の基本的な考え方がどこにあるかということについてでございますが、独禁法研究会での討論内容を発いますと、今回の改正のねらいの大きな柱は、わが国産業界の寡占化に対する歯どめをつくるというふうに受け取られるわけであります。研究会のメンバーも、日本の産業界が寡占化の方向にあり、これを排除するには独禁法を改正強化しなければならないという認識では一致したとも伝えられておるわけですが、この点を踏まえて、法改正の精神ともいうべきところをひとつここで明確にお示しできればお示し願いたいということです。
○高橋説明員 なぜ法律を改正するのかというねらいを申し述べろということでございますので、私としてはいままでもある程度は申し述べたつもりではございますが、かいつまんで要約してその改正のねらいを申し上げますと、これは要するにいまも御指摘のあったように、日本経済がただ国際競争力の強化ということだけをねらいにしたような段階を越えて、むしろ寡占化の方向を抑制すべき段階に来ているのじゃないかということでございます。結局これは私どもが言ういわゆる構造的な問題でありまして、まあこれは用語の問題でございますから、構造問題と言えば大体わかっていただけると思いますが、分割というふうな問題は結局そういうことなんです。で、構造的な問題に手をつけ得る状態にしておかなければ歯どめにならないだろう。その寡占化さらに独占化の方向に対する歯どめをなすためにはそういう方策が法律の上に整備されておらなければならないんじゃないかという考え方がございます。これが一つでございます。 それから、もちろんこれは改正には直ちに出てないのですけれども、当然合併そのものを規制していくという、これはやはり予防的措置でございます。その合併の基準をきびしくする。さらに、私どもはいまの基準、これは法律改正と関係ないですけれども、そういうことも考えていかなければならないと思いますが、構造問題でございます。その寡占の問題につきましても、理論的にはあるという批判はありますけれども、やはり原価公表趣旨が入っておるわけであります。 もう一つ、いま申しましたが、独占禁止法は当然公正な競争政策でありますから、競争を制限するような行為を排除していく、これに対する現行法が非常になまぬるいということでございます。早く言えば、カルテルの排除措置にしましても実際の効果をほんとうにあげているのかという疑問がございます。こういうカルテルのような業界における違法な協調行為が多過ぎる。こういうものを排除して十分に効果をあげるようにするのにはどうしたらいいかということでございますから、要するに基本的には独占、あるいはそれに近い寡占対策、これは構造的な問題に対する何らかの手段を持つべきでないかということ、それとカルテル等の不当な取引制限行為を有効に排除する手段を持つべきじゃないか、こういうねらいでございます。
○宮田委員 ただいまの御説明の中で、改正点の一つとして原価の公表制度、これのこともおっしゃいましたが、私どもの党の独禁法改正案でも寡占企業の価格決定はあらかじめ原価、利潤を報告させるとしているのでございますが、研究会の意見は外形上カルテル行為があるとみなされる行為に対する措置という考え方に立っている、こう思うわけであります。 そこで、寡占産業の定義づけの問題もあるわけでございますが、いわゆる意識的平行行為と通産省の行政指導ということであります。値上げの事前了承制と関連するわけですが、つまりこの届け出制もその行為自体意識的平行行為に当てはまるようなお考えでございますかどうか、これを公取としてどう考えておいでになりますか、これもお聞かせ願いたいと思います。
○高橋説明員 その点につきましては、前々から私は予算委員会等でも申し述べましたが、やはり法律に基づかない価格に対するそういった方式は、介入ですね、事前了承制にしましても、結局生まれ出てくるのは異なった価格というわけにい結果的には同じである。とすれば、これはただいまおっしゃられた意識的平行行為なのか、何かその辺がはっきりいたしませんが、私どもとしてはたいへん困ったことであるというふうに思います。つまり厳格に言いますと、この価格を決定するのはだれかということでありますから、法律によります場合には、これは政府そのものなんです。政府には独禁法の適用はありませんから、政府がきめる行為については、それが何であろうととやかく言うことはありません。私どものほうはあくまで民間事業者の行為を規制する法律でございます。したがいまして、事業者がきめたのかという点が、つまり事業者が暗黙に協定してきめたのではないかという疑いが非常に濃いことになりますから、そういう措置については私どもの立場から言うとたいへん遺憾なことであるといいますか、なるべくならしていただきたくない、かように申し上げるほかありません。
○宮田委員 この問題につきまして一番重要な関係がございますのは通産省だろうと思っておりまして、通産大臣にお聞きするわけでございますが、今回の独禁法改正をどう受けとめられておられますか、まず御所見を承りたいわけでございます。公取の改正要綱が出てみないとわからぬという答弁も考えられますけれども、骨格、骨子が大体示されておるんじゃないかと認識しておりますだけに、通産省の基本的な産業政策と照らしてみて、どのようなお考えを持っておいでになりますかお伺いしたいと思います。
○中曽根国務大臣 日本の経済はここ十年ばかりの間にかなり大型に成長してきており、消費者との関連においていままでだけの考えではたしていいかどうか大いに検討すべき時代に入ってきておると思います。そういう意味において、独禁当局においていろいろ案をお示しになるということは非常な刺激にもなり、かつ有意義でもあると思います。また、時代の流れというものを考えてみますと、ある程度従来の独禁法や独禁政策についてはないか、そう思います。 しかしながら、また一面産業政策という面から見まして、特に雇用問題とかあるいは真に消費者の利益のためとかそういう点を考えてみますと、現実問題として振り返ってみた場合に、理論的に考えたものがはたしてそのとおり実行できるかという点についてもわれわれは慎重に検討しなければならぬと思っております。 一言で申し上げると、いまの独禁法第一条というのはかなりよくできておると私は思っております。要するに、拘束とか制限を排除して公正にして自由な取引を保証して、そして国民経済、消費者のためになる、そういう立て方になっておって、非常にうまくできておると私は思います。そういう趣旨からするというと、拘束とか制限とか不公正取引とか、そういうものが出てきた場合に、独禁受局というものが爆破力として拘束を排除し、制限を排除し、不公正取引を排除し、自由競争を保征する基盤をつくる、爆破力、破壊力として活用するということは非常に意味があるけれども、何か形成力というところまでいくとなると、これは行政の分野に入ってしまって、これはわれわれがこの間あたり行政指導価格をつくって、バルクラインをどうするとかなんとかいうことでやぶに入っていってしまうような苦しみを味わいましたけれども、せっかくの独禁当局の権威がそこなわれるようなことになりはしないか、あるいはまたほんとうに消費者のためにならぬ、価格の下ささえになるようなことも起きはしないか、そういうこともやはり考えてみる必要がある。そういうような考えを私、ばく然と持っておりまして、いずれ通産省や党の研究を経た上でわれわれもよく検討してみたいと思っております。
○宮田委員 高橋委員長再三表明されておりますような法改正ができますならば、これは最終的には消費者の利益につながるわけでありまして、独禁法運用への消費者の参加と申しますか、たとえばカルテル行為を告発する権利を国民に与えるといったような消費者保護の強化策についてどのようなお考えを持っておいでになりますか、ありましたらお聞かせ願いたい。
○高橋説明員 私どもは、この独禁法というものは、究極の目標は国家の経済が健全に民主的に発達するという目的、そして国民を消費者とした場合、消費者の立場にある国民を企業の不当な行為から保護するという感じですね、そういう気持ちは持っております。だから、カルテルを的確に排除する、あるいはカルテルに近いものに対して抑制的な効果を持つようなことをすること、そういうことが直ちに消費者の保護につながるものであろうと思います。ただし、実際にメーカーをあげた場合に、直ちに消費者にどれだけの利益があるかという点は直結はいたしません。いたさない場合も、それはあると思います。ただ、 いまおっしゃった意味がよくつかめないのですけれども、この独禁政策を運用する場合に、消費者の意見を入れるとかあるいは消費者の参加を求めるということになりますと、これはやはり制度上の問題でありますので軽々しくは判断できません。 西独の場合でいいますと、非常にこれは司法的につくられております。でありますから、御承知と思いますけれども、審決部が八部から編成されております。審決部が八つの部門からできておりますが、原則として司法官——原則でございますから行政官が当然入ります。しかし、行政官の場合には司法官よりも経歴の高い者でなければならぬ、こういう規定が明文であるわけですね。ですから、非常に専門的な事項であるという認識で、しかもそのあれからいいますと、ちょうど特定の経済問題に対する行政裁判所的な構成をとっておる。 イギリスの場合は公正取引庁というのがございますが、別に独占、合併の委員会がつくられておるというような事情もございまして、これらは委員長以下非常勤であるというふうなこともございます。 それぞれ国によって違いますし、アメリカもまた二つの機関を持っておるというふうなことがございますので、わが国の制度が一番いいかどうかそれはわかりませんが、消費者参加という問題については慎重に考えなければならない問題であると思います。
○宮田委員 この問題につきましてはこれで終わりますが、非常に重要な問題でございますし、また私自身も勉強しなければならぬ立場にございますので、公取に資料の早期の提出をぜひお願いを申し上げたいということでございます。いろいろな見解が各委員会で示されておりますが、その見解を公式の文書として示しておいていただきたい。そういうふうにしていただかないと、論議をする場合の焦点といいますか、いろいろ不自由も感じるわけでございますので、この点をぜひお願いをいたします。 また、商工委員長にも資料の提出ということを私のほうから要請をいたします。
○濱野委員長 どういう資料ですか、具体的に……。
○宮田委員 独禁法の改正に対するこれまでのいろいろな見解なり、またいまおつくりになっております骨子なりの資料の提出方をお願いを申し上げたいということで、要望としてお願い申し上げておきます。
○濱野委員長 出せますか公取委員長。——宮田さん、骨格がまとまった時点で出してもらいましょう、いま出せないでしょうから。——それでは、遠くないうちに出すということにひとつお願いします。
○宮田委員 引き続いてもう少し質問さしていただきます。 繊維の問題について、これもいままで質問をだいぶなさっておりますので、できるだけ簡略でよろしゅうございますからお答え願いたいと思います。総需要抑制政策の継続によりまして、産業界には一段と不況色が浸透しておるわけでございますが、中でも繊維産業の窮状は深刻そのものであります。私は羊毛紡績に関して政府のお考えをお聞きしたいと思うのであります。 この羊毛紡績の置かれています実態につきましては、私がここで申し上げるまでもなく、需要の落ち込みから正常在庫の三倍をかかえ、自主操短ももはや限度にきておるようでございます。月々の賃金はどうにか支払われておるようでございますが、聞きますと夏のボーナスは半分だけしか支給できない企業が多かったようであります。業者の中ではレイオフをも考え始めているというのが現状でございます。政府のこれまでの救済策は中小企業中心でございます。もちろん中小企業に対しましても当然なことでございますが、私が特に強調申し上げたいのは、中堅から大手のほうが今回の状況からむしろ苦しいという状態と判断をしておるところでございまして、政府は、私が申し上げましたこの実情にどう対処なさる気か、まずこの点をお聞かせ願いたいと思います。
○橋本説明員 羊毛紡績業には梳毛紡と紡毛業とございますが、特に深刻な不況に薩面しておりますのは梳毛紡のほうでございます。ただいま御指摘になりましたように、六月末には在庫が三万四千トン、適正在庫二万トンといたしますとかれこれ七割アップの過剰在庫をかかえておるという状況でございます。それから、価格につきましても昨年の三月時点、これは一時梳毛糸の需給が逼迫いたしまして、三月の平均値、名古屋の取引所で申し上げますと二千九百五十九円、キロ当たりかれこれ三千円という状況であったわけでございますが、昨年の秋以降ずっと需給が逆転いたしまして、つい昨日、九月九日の当限の相場では九百円といったような非常に激しい落ち込みを見せておりまして、これでは原毛の価格の半分にもならないのじゃなかろうかというふうなことから、非常に梳毛紡の経理は逼迫しておるわけでございます。 さようなところから、主として中小三機関を通じての融資を実行してきておるわけでございますが、特にただいまも御指摘ございましたように大企業、中堅企業と申しますか、むしろ私のほうでは非中小企業といっておるのでございますが、内容的には中小企業なんだが従業員だとか資本金規模ではいわゆる中小企業の定義にはずれるもの、これに対してどういう対策をつけるか、これにつきましてはもちろん中小企業三機関の融資の対象になりませんので、関係の金融当局ともお話し合いをいたしまして、ケース・バイ・ケースにそれぞれの市中金融機関の協力を得て何らかの形で資金融通の道をはかりたいということで、ここ一、二カ月努力いたしておるところでございます。
○宮田委員 羊毛紡績業界では、ただいま不況カルテルを認めてほしいという声も非常に強くなっておるわけでございまして、現実には五割からの自主操短をやっているわけなんですが、その点通産省ではどう指導なさるのか、これもお聞かせ願いたいと思います。
○橋本説明員 本来的な対策といたしましては、先ほど申し上げたような過剰在庫を減らしていくということは当然必要かと思います。そのために業界等もいろいろと自主減産をやっておるようでございまして、昨年のピーク時には月産一万二千トンの生産をあげておりますが、これに対して最近は三五%ダウンの七千七百トンないし七千六百トン程度の生産、こういうことになっておりますが、依然として問題は解決しない。結局不況カルテルを結ぶか結ばないかという問題になってくるわけでございますが、これは先生御承知のとおり、本来的には公正取引委員会の判断の問題、権限の問題かと思いますが、特に不況カルテル要件が幾つかある中で、事業継続の困難性というところの判断がポイントになってくるかと思います。これにつきましては、やはり公取の判断にまつべきかと思いますが、私たちといたしましては十分にその情勢の推移というものを注視してまいりたい、かように考えております。
○宮田委員 対策の一つでございますが、現在かかえております在庫を、たとえば一定期間凍結する方法、こういうものもあると思いますが、その点はどうですか。また、不況カルテルによります製品買い上げという二本立てでいけば、当面しのげるのじゃないかと思うのでございます。 もう一つは、大手に対する——大手といいますか、いま答弁をなさいました中小企業の範疇に入らない、そういう業者に対します救済資金対策でございますが、地方、都市銀行の融資を緩和して、繊維産業だけに限って行なうような措置を大蔵省あたりに働きかけて実行するというようなお考えはないものかどうか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
○橋本説明員 繊維一般について申し上げられることかと思いますが、なかなかその需要喚起策というものがこういう情勢の下において見当たらない、そういった意味合いにおきまして、在庫凍結というのも一つの方法かと思います。ただ、これにつきましてもやはり独禁法との関係がございますので、現在検討いたしておりますのは、商工組合等が共同経済事業としてやれる範囲内のものということで考えておるわけでございまして、梳毛紡績業全体を通じて、いま御指摘のような買い上げ機関を通じてやるといったようなことも、確かにできれば効果的ではあると思うのですが、これにつきましてはさらに慎重に検討してまいりたいということでございます。 それから、繊維、特に梳毛紡等について、金融を緩和できないかという問題でございますが、これにつきましては、やはり物価優先という立場から、私たちといたしましても総需要抑制策の手直しということは、まだその時期に来ていないのではなかろうかという感じがいたしておるわけでございまして、むしろそういった手直しとか、あるいは特別のワクをつけるということではなく、企業の資金繰りの状況を見まして、個別にそれぞれの地方銀行あるいは市中銀行に資金融通をあっせんするといった、じみちではありますが、むしろそういった形で資金対策を進めていくのが現実的ではなかろうか、かように考えておるわけでございます。題についてちょっとお伺いをいたします。 総合エネルギー調査会の総合部会、石油部会のそれぞれの中間報告でも、今後のエネルギー政策の基本方向として安定供給の確保を強く打ち出しているわけであります。最近の原油輸入状況を見ますと、目下、量の確保には明るいものがあっても、要は、原油や製品のストックをどうするかが最大の問題であると思うのであります。両部会の報告でもその対策の緊急性を強調しておりますが、この報告を受けて通産省は、来年度予算での対処あるいは次期国会での新たな法制化などを考えておられるのか、この点についてお答えいただきたいのでございます。 もう一つは、関連をいたしまして、備蓄の増強は、現在のような中間企業だけから、国が何らかの形で関与するようになっても、最大の難問は原油基地の立地問題でございます。さきの国会で、発電所の立地促進のため、いわゆる電源三法が成立をしたわけでありますが、石油に関しましても、この電源三法に類した基地立地市町村への上優遇施策、この点を考えるような方向は持っておいでにならないのかどうか、この点お答え願いたいと思います。
○増田説明員 ただいま宮田先生からお話ありましたように、最近の石油事情は、昨年からことしの初めにかけました石油危機の時代とは打って変わって、非常に供給が順調になっておりますが、ただ私どもは、これは長期的に見ましたときには必ずしも楽観を許さない、こういうふうに思っておるわけでございます。価格の問題につきましても、また供給の確保につきましても、いろいろ今後石油については問題が起こってくるのではないか、こういうふうに思っております。 そのような観点から、従来のような石油政策というものにつきましては、これを再検討すべきだということで、先ほどお話がありましたように、総合エネルギー調査会その他で今後の石油政策の見直しということを行なっておるわけでございま 来年度の施策ということで何を考えているかという御質問でございましたが、これにつきましては、従来の、石油が順調に獲得できる、豊富に低廉に獲得できる石油情勢が、昨年の危機を契機といたしまして一変いたしておるわけでございますので、新しい石油事情に合いました考え方で石油政策を行ないたい、こういうふうに考えております。 具体的に言いますと、一つは石油業法の見直しが必要かどうか、従来の客観情勢が変わっておりますから、これにつきまして石油業法の改正が必要かどうか。また、現在の石油につきまして、民族系の会社とそれから外資系の会社におきましては、入手します原油につきまして非常に価格の格差も生じている、これに対する対策というものを行ないたいと思っております。 それから、御指摘のありました備蓄の問題につきましては、昨年の石油危機の経験を生かしまして、ぜひとも九十日確保いたしたい、こういうふうに考えておりますが、いまお話のありました電源三法のように、地域の住民に対してその利益を還元するという方法につきましては、現在私ども、大蔵省との間で具体策について検討中でございます。まだ結論が出ておる段階ではございません。
○宮田委員 終わります。
○濱野委員長 本日は、これにて散会いたします。 午後五時五十九分散会