社会労働委員会 第4号
- 発言数
- 314 件
- 登壇者
- 36 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1974/10/29
会議録
○野原委員長 これより会議を開きます。 この際、派遣委員の報告を聴取いたします。斉藤滋与史君。
○斉藤(滋)委員 去る十月十四日より五日間、北海道における厚生・労働行政を中心に住民福祉の実情を調査してまいったのでありますが、私からその概要を御報告申し上げます。 派遣委員は、私のほか、川俣理事、瓦、住、村山、森井、寺前、大橋、和田の各委員であります。 まず、十四日には、北海道庁におきまして、道庁関係者として副知事及び民生、衛生、労働の各部長並びに労働基準局長、地方医務局長よりそれぞれ北海道における行政の概要説明を聴取した後、委員各位から熱心な質疑が行なわれましたが、北海道における広域、過疎、北方大陸性気候による特殊事情のあることが、十分に察知されました。なお、道庁側より、国の予算措置等につき概略次のごとき要望がありました。 一 物価高騰に伴う弱者対策の強化 二 ウタリ福祉対策 三 医療従事者、福祉施設職員の確保並びに増員 四 水道の普及、難病対策等に対する国の予算の増額 五 以上のほか、地域センター病院の整備等住民の福祉増進の要望にこたえるための国の手厚い施策の要望がありました。 次に、札幌市勤労総合福祉センターを視察した後、北海道赤十字血液センターを視察いたしました。施設及び内部設備は、全国的に見てかなりの高水準にあるものであります。なお、献血率は、全国平均の三・一%に比べ、北海道においては四・六%であります。 次いで、十五日には、網走支庁において、支庁関係、市並びに職安関係につきまして、それぞれ当局者より説明を聴取し、市内失対現場を視察いたしましたが、冬期の流氷被害並びに凍結による冬期の失業対策事業につき、地域の特殊性に基づく国の手厚い対策の要望がありました。なお、網走刑務所を視察いたしました。 十六日には、国立弟子屈病院を視察し、院長よりつぶさに地域医療の実情につき説明を聴取いたしました。医師、看護婦の定員確保の困難さ等僻地医療の問題並びに公的医療機関のあり方等現場における実情について率直な意見交換が行なわれました。次いで、釧路支庁において、支庁、市関係の厚生・労働行政の事情説明を聴取いたしましたが、管内の広域、過疎に伴う問題が論議され、労働関係として昭和四十五年炭鉱閉山に伴うその後の問題、生活保護、失業保険の実態等について説明を聴取いたしました。また、精神薄弱者厚生施設鶴ケ丘学園を視察いたしました。なお、白糠町に勤労者休暇村設置につき強い要望が関係市町村よりございました。 十七日には、足寄町の大規模草地育成牧場、池田町及び北海道農協乳業十勝工場を視察し、十勝支庁において関係機関より管内の厚生・労働行政の実態の説明を聴取いたしました。 次いで、十八日には、国立帯広療養所に参り、その運営並びに実情を視察しましたが、医療従事者の確保並びに施設医療機器設備の整備、夜間における看護体制の整備、重度心身障害児(者)対策については早急に職員の増加、療育内容の整備、従事者の待遇改善、施設賃金職員の定員化等につき国の措置に対する要望がありました。次に、道立高等職業訓練校を訪れ、説明聴取並びに実習状況を視察いたました。卒業生に対する求人倍率は平均二八・八倍ときわめて高く、道内の要望にこたえている現状でありました。 以上で調査日程を終了したのでありますが、関係機関の協力並びに委員各位の御熱意によりおおむね所期の目的を達成することができました。 以上で、その概要を御報告申し上げましたが、なお調査の詳細につきましては、委員長に報告書を提出いたしますので、会議録に掲載されるようお取り計らい願います。以上、御報告申し上げます。(拍手) —————————————
○野原委員長 おはかりいたします。 ただいまの斉藤滋与史君の御提案のとおり、調査報告書を会議録に参照掲載するに御異議はございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○野原委員長 御異議なしと認め、さように決しました。 ————————————— 〔報告書は第五号末尾に掲載〕 ————◇—————
○野原委員長 労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありましすので、順次これを許します。小宮喜君。
○小宮委員 最近、原子力発電所において原子炉設備の故障や異状が発見されて、いろいろ問題になっておりますが、しかしながら、そこで働いておる肝心の労働者の方々のこの方射線の影響はどうであるかということについては、何らこれまで取り上げられておりません。もし放射線漏れが重要な影響を及ぼすということであれば、当然そこで働いておる従業員の身体の安全が最重点に考えられなければなりませんけれども、これまで全然取り上げられておらないということは、この原子力発電所に働いておる労働者の方々に被曝の事例が全然ないということなのかどうか、その点をまず質問します。
○中村説明員 お答え申し上げます。 原子力発電所で各種のトラブルがございますが、従業員被曝の例といたしましては、四十六年の七月に、原子力研究所の東海研究所におきまして、許容被曝線量、三カ月間につき三レムというものをこえた事例がございます。その他につきましては、いろいろ事故例などが伝えられてございますが、許容被曝線量をこえた被曝というようなことは起こっておりません。 なお、最近特に問題になったケースとしましては、本年三月及び四月に参議院の予算委員会において取り上げられました、これもやはり日本原子力発電株式会社でございますが、この敦賀におきます下請従業員でございますが、この被曝問題につきましては現在その実情を調査しておりまして、まだ、現在の段階で、その発電所の問題での被曝かどうかというところは、断定する段階に至っておりません。
○小宮委員 私もこのことを非常に心配しまして、今月の十六日と十七日に敦賀の発電所、それから美浜、大飯、高浜、この四つの原子力発電所を調査に行ってまいりました。そこで働いておられる方々といろいろ話し合いをやってみましたけれども、その中ではそういうような被曝したという事例は何ら出ておりませんでしたけれども、ただ問題になるのは、従業員の方々に対して国としての制度的な災害補償についてぜひひとつ考えてほしいというのが強く訴えられたわけでございます。 そこで利学技術庁に質問したいことは、昭和三十六年、原子力損害賠償保険法つまり原賠法が国会で成立した際に、この従業員の補償についても十分考慮せよというような附帯決議がつけられております。このことは、原賠法と現行の労災法との間に格差があるということで、そういうようなことでは原子力産業の発展あるいは育成について好ましくないという考え方からこの附帯決議がつけられておるわけでございますが、この附帯決議を受けて、科学技術庁は原子力委員会に従業員災害補償専門部会を設けて検討され、その部会の答申がなされたと承っておりますが、その答申の内容を御説明願いたい。
○中村説明員 お答えいたします。 ただいま御質問の従業員災害の問題につきます原賠法の取り扱いの問題でございますが、先生御指摘のとおり、この問題はかねて何べんか議論されたものでございます。四十六年に、原賠法の改正に際しましてこの問題も原子力委員会内部で検討されたわけでございますが、その当時の検討といたしましては、種々各国の法制その他の検討、あるいは労災で越える部分につきましての救済の実態、保険制度その他でございますが、そういうものも総合的に勘案いたしまして、その段階では直接の従業員は対象にしなかったわけでございます。このときには原賠法の損害補償の限度の改定等があったわけでございますが、しかしその際に、国会でも十分前向きに検討するようにという強い御指示がございました。原子力委員会としましては、従業員の問題につきましての専門部会を四十六年以来開いておりますが、現在のところまだ答申が出るまでの段階に来ておりません。大体の答申の骨子等につきましては案がまとまっている段階でございますが、まだ答申を正式に提出するというところまで来ていない段階でございます。
○小宮委員 いま説明がありましたように、この専門部会では答申が出ているわけですね。しかし、この経過をずっと考えてみますと、この時点で、科学技術庁はその附帯決議を尊重してどのような努力をされたのか、その点をひとつ明確にしてください。
○中村説明員 先生、答申が出たという点でございますが、この原子力事業の従業員の災害補償専門部会につきましては、私ただいままだ答申が出てないと申し上げましたが、これは現在の四十六年から始めております専門部会の問題でございます。先生から答申が出たという御指摘がございましたのは、これは三十七年から四十年にかけての専門部会でございます。御指摘のとおり三十七年からの専門部会におきましては、労災法の給付対象とならない者について原賠法を改正することが望ましいという点の御意見が出ております。これを受けまして原子力委員会としても種々検討したようでございます。ようでございますというのは、過去のことで私そう申し上げたのでございますが、先ほど申し上げましたように諸外国の法制、あるいは本来それを労災法の分野でするのか、あるいは労災法以外の事業者の保険というようなことで救済していくのか、あるいは原賠法そのもので対処するのかという点につきまして種々検討し、結論が得られないままに四十六年の改正ではその点が織り込まれなかったというふうに聞いております。その後、四十六年の改正後にさらに強い各方面の御意見がございまして、従業員の災害補償問題についての専門部会を再度設けまして、労働者の代表の方も入っていただきまして検討を続けている、こういうところでございます。
○小宮委員 この原賠法が成立したのは三十六年ですよ。それからいまいわれたように専門部会で一応の答申がなされているわけです。経過を言えば、この原賠法は十年間の時限立法であったために、その時限立法を更新するときさらにこの諮問がされているわけです。いま言われておるのはあとのほうのその後の問題であって、私が言わんとするのは、三十六年に原賠法が成立する場合そのような附帯決議がつけられておったにもかかわらず、遅々として今日までそれが成果を見ていないということについて、科学技術庁としてはどういうふうな努力をしたのかということを言っておるわけです。何らしてないのじゃないですか。たとえば、この問題については、この専門委員会の中には労働省、厚生省、文部省、科学技術庁、各局長クラスがみんな出席した、そこで第一回のこの専門部会の答申が出されておる。当然その専門部会の答申に基づいて各省庁ごとに協議をして、この附帯決議をいかに具体化するかということについての協議がなされてしかるべきであるにもかかわらず、ただ科学技術庁としてはその十年の更新期を迎えるまでに何もしていないということを私は言っているわけです。したがって、その間どういうような努力をしたかということをお尋ねをしておる。 それでは労働省のほうにお尋ねしますが、この原賠法ができて、その後附帯決議を受け、それでこの労働者災害補償専門部会を設けた場合は労働省も出席しておる。だからそのことについてこれはまたあとにいろいろ質問がありますけれども、労働省としてはこの答申をどのように考えておられたのか、その点ひとつ労働省からもお聞きします。
○東村説明員 ただいまいろいろお話ございましたが、労働省といたしましては、御指摘の附帯決議、さらには原子力従業者災害補償専門部会でございますか、そういう報告でも述べられておりますように、ただいま御指摘ございました原子力事業の従業員についても原子力損害賠償法が適用されまして、労災保険法による補償を越える損害については同法によって損害賠償を受けられるようになるのが望ましいという態度でまいっております。
○小宮委員 私が言いたいのは、労働省、厚生省、文部省の各局長クラスがこの専門部会へ出席して、それで一応の結論が出ているわけですよ。ところがその後の推移を見てみますと、いま言うように、労働省は、それは科学技術庁の問題でございますとかそれは私の所管ではございませんとかいうことで、労働省もこの問題についてはいつも逃げてばかりおる。科学技術庁は科学技術庁で、この問題について労働省とそれではどういうようにするのかというような具体的な協議を何らなされていない。そういうようなことで——ただ附帯決議だけつけられた、ただつけられたという形だけで、それを実現するための努力をどうしたかということ、科学技術庁はそのことについて労働省と話し合ったことがありますか。
○中村説明員 お答え申し上げます。 先生御指摘のとおり、法制定の際に附帯決議がつけられまして、三十七年以降原子力事業従業員災害補償専門部会というところで検討したわけでございますが、その後さらに原子力損害賠償制度期間延長問題とからみまして検討いたしました。このときの部会長は我妻栄先生がなられたわけでございますが、この部会におきましては、当初の附帯決議に反するような意見が出てまいりまして、労働者の災害補償保険制度もすでに相当充実していること、それから同一の事業体におきます原子力部門に従事する従業員につきまして特別の措置を講ずるということについては、他部門の従業者との間のバランスの問題があること等々の理由があげられまして、この四十六年の法改正にあたりましては、その対象にしなかったわけでございます。 〔委員長退席、葉梨委員長代理着席〕 その後先生御指摘のとおり、国会の附帯決議によりまして対象とすることを検討しようという強い御指示がございまして、四十六年以降、この専門部会を開催しているわけでございます。再度始めたわけでございます。この過程におきまして、労働省との間でも私ども十分協議しておりまして、たとえば労災法の認定のやり方の問題とか、あるいは、まだこれは実現にまで至っておりませんが、労働者の被曝を中央で登録管理する問題とか等々お話し合いを進めております。 それから原賠法の対象とする問題につきましては、私どもといたしましても、この審議の過程で、他部門の従業者とのバランスの問題と、やはり一つの法制の問題としては問題であろうかと思います。他方、御存じのとおり、原子力事業の関係でも、直接従業者でなくて下請従業者は原賠法の対象になっておりますので、下請従業者と直接従事者とのバランス、こういうことも考えなければならぬわけでございます。こういうようなことをいろいろ労働省とも話し合いまして、事務当局同士の問題といたしましては、やはり各界の御要望に応ずるためには、労災法の拡大でこの原子力従業者の問題に対処するのは問題があり、どうしても、原子力従業者につきましては、するとすれば原賠法でやっていかざるを得ないんじゃないだろうか、こういう点についていろいろお話し合いをしております。ただ、先生御指摘のとおり、非常に長い期間を経ておりながら、いまもって答えが出ていないというか結論が出てないという点につきましてはこれは私ども事務当局としても、仕事の進め方のおそいことについては、たいへん申しわけなく思っております。
○小宮委員 いま言われたように、十年間の時限立法であったため、その更新時期において、原子力委員会並びに原賠法専門部会に今後の原賠法のあり方をいかにすべきかということを諮問した際に、このいわゆる従業員災害補償の問題についてもひとつ検討をしてもらいたいということで諮問しているわけですね。いま言われたように、この原賠法専門部会では、労災法でオーバーする問題については各労協でプラスアルファをきめておるとか、同一産業内で原子力だけ手厚く保護することは他の部門とアンバランスになるとか、いろんなことをいわれておるわけです。したがって、この場合の原賠法専門部会というのは、これは構成が違うんです。前回の従業員災害補償専門部会の場合は労働者代表も入っておるし医師も入っておるわけです。この場合は、原賠法専門部会は性格が違いますから、だから労働者代表はここには入っていない医師も入っていないということで、いま言われたような内容のものになっているわけです。ところが、さらにそのあとまた労働者災害補償専門部会を開いて、そこではやはり同じような、第一回で答申したような内容のものをさらに答申しておるわけです。このことについては先ほどちょっと言われたように、いま検討中でございますというようなことを言っておりますけれども、現実は第一回の専門部会で出した結論を、第二回の専門部会でも一応答申として出しておるわけです。ただ国会答弁の技術的な問題として、いま検討中でございますということでずっと言ってきておるわけです。だから、そのことについて皆さん方ほんとうに真剣にこの問題を考えておるのかどうかということを非常にわれわれも不満を持つわけです。これはもうこの法律ができるときから一貫してずっと今日までいろいろ国会論議もなされた問題なんです。もう十年以上たっておるのです。それが現実には何ら答申が生かされておらないという問題についていろいろ皆さんが質問しておるわけです。それはもう少しあとで質問しますけれども、そういうような経過を踏んできているということを十分ひとつ理解していただかなければならぬ。 それでは、原子力発電所にはかなりの下請工がおります。これらの下請従業員は原賠法の対象になるのか。第二者は対象になりませんからね、従業員は。第三者対象ですから、この下請従業員は第三者対象になるのかどうか。言いかえれば、いわゆる原賠法の対象になるのかどうかということ、その点いかがですか。
○中村説明員 お答え申し上げます。 私どもは直接従業員以外、すなわち下請従業員は対象になると考えております。
○小宮委員 もう一回……。
○中村説明員 下請従業員は対象になると考えております。
○小宮委員 そうすれば、同じ原子力発電所、これは原子力船「むつ」にとってもいいですけれども、「むつ」には下請はおらぬでしょうけれども、原子力発電所で下請の方々が多数働いておる。これは原賠法の対象になる、私もそのとおりだと思うのです。そうしますと、原子力発電所に働いておるいわゆる常用従業員は第二者になる、原賠法の対象にならぬ。それは下請の人たちはなる。そうすると、常用従業員を原賠法の対象に入れるということになれば、他産業の労働者とのアンバランスの問題ができるということを言っております。そうであれば、たとえばすでに原子力発電所で働いておる中で、下請の方々は原賠法の適用を受ける、片一方は原賠法の適用を受けずに労災法の適用を受けるということになれば、これまた矛盾した問題になりはせぬかと思うのです。私はそのため、やはり科学技術庁がほんとうにこの問題と取り組もうとしておる姿勢があるのかどうかということを疑いたいのです。 そのためにはいまの原賠法を改正して、その中に第二者の従業員も原賠法の中に入れれば問題ないわけです。しかしなかなかそこまでいかぬもんだから、労働省との関係の労災関係で非常に問題が出てきて、労働省としては労働省としての言い分があるもんだから、なかなかこの問題遅々として一つも解決されないという問題があるわけですね。だから科学技術庁として、この問題について十年一日のごとくいまのような問題がいつでも論議されております。私は、きょうは時間がないから小さい問題、具体的な答申の内容の一つ一つの問題については論議いたしません。ほんとうに科学技術庁として、できれば逃げたい、逃げたいという気持なんだけれども、しかしいま皆さん御承知のように、日本は石油問題、石炭問題、そういうようなあとに来るエネルギー源としては、好むと好まざるとにかかわらず原子力エネルギーというものは世界的な趨勢として今日大きく浮かび上がってきておる。そういうような中で、こういうような問題をやはり解決しておくことが今後の原子力産業、原子力行政の育成のためにも私は必要だと思う。だから、もちろん原賠法ができた時分は、原子力というのはやはり危険性があるというような認識も一般にあった。しかしまた、最近いろいろ問題が出てきているけれども、その間案外危険性というものを感じなくなったということにおいて、科学技術庁はこの問題に取り組む姿勢が非常に消極的になったのじゃないかというような見方をわれわれしておるわけです。そういうような意味でここではっきりしてもらいたいことは、やはり科学技術庁としてこの問題についてはどうしようとするのか、その点をひとつはっきり言ってください。
○中村説明員 お答え申し上げます。 最初に先生、最近の専門部会がもうすでに答申が出ておるという御指摘でございますけれども、答申案の骨子につきましてはほぼまとまっておりますが、まだ答申という段階まで来ておりません。これにつきましても率直に申しまして、事務当局等いろいろ手違いもございましておくれている点は、私ども申しわけなく思っておりますが、答申が最終的に出たということでないことだけは御理解いただきたいと思っております。もちろん、その答申が出てないからいいというわけで申し上げるのではございませんが、事実としてはそういう段階でございます。 ものの考え方でございますが、先生御指摘のとおり、ほかの産業の従業員とのバランスという点が一つの大きな問題でございますが、下請従業者と同じところで働いている者とのバランスで考えれば、直接従業員を対象にしないのはおかしいじゃないかということも確かにございます。私どもとしましては、今回の専門部会で、長い間、それこそ先生おっしゃるように十年来の懸案につきまして最終的な答えが出てくれば、また出てくることを期待しておるわけでございますが、私ども事務当局といたしましては、この問題についていつまでも懸案をたなざらしにするということでなくて、解決すべきものと考えております。ただ制度を改正する場合に、補償限度額六十億ということがございますが、こういうものをどうするかというようなかなり付帯的な詰めの問題はまた生ずるかと思っておりますけれども、御指摘の方向に沿いまして——私どもとして確かにおっしゃるとおりいままでのテンポにおくれもございますが、今後前向きに対処いたしまして、原子力問題の環境整備の一環として積極的に取り上げてまいりたいと思っております。
○小宮委員 この答申の中にもいろいろ出ておりますように、放射線障害というのは、実際問題として業務との因果関係というものは医学的に立証することが非常にむずかしいという問題がございます。そこで、原子力施設に一定期間以上勤務した場合、一定の疾病、たとえば白血病などにかかった場合は労災補償の対象とする、いわゆるみなし認定の問題こういうような問題についても、むしろ労働省のほうが非常に大きく抵抗しておるわけです。だから、このみなし認定の問題についての労働省の見解はどうですか。
○東村説明員 御指摘のように、労災保険法におきましては、およそ労働者の業務上の災害については原子力事業であるといなとにかかわらず一定の補償を行なっておるわけでございまして、それが直接そこで働いている人であろうが下請であろうが同じでございますが、いま御指摘のみなし認定、いわゆる十二症例の問題でございますが、これを今日の医学の知見に基づきまして、そのあり方を含めまして専門家会議を設置して見直したいというふうに考えております。
○小宮委員 じゃ、もう一つ、現行の労災法は労働能力の喪失を補償するというたてまえになっているわけですが、たとえば放射線障害を受けて、それで不妊娠だとか、あるいは早流産とか、こういうような放射線の影響があると判断された場合は、この損失を労災で補償するという問題についての見解はどうですか。
○東村説明員 具体的な問題はさておきまして、私どものほうで考えております、また実行しております労災補償の補償の考え方でございますが、原子力損害賠償法におきましては、人身事故のほか、物的損害、精神的損害も入りますが、私どものほうでやっております労災保険では、稼得能力の損失を補償するというたてまえでやっております。
○小宮委員 そこで、いま言われたような論議をこの十年間もうずっと繰り返しておるわけです。だから、この問題がいままで一歩も前進しない原因はそこにあるのです。そこで、労働省は労働省の見解に立つ、労災法の見解に立っておる。科学技術庁は科学技術庁で、原賠法を適用するのは無理だ、こういうようなことを言う。そんなことでは、今後、おそらく何十年たってもこの問題の解決というものはむずかしいというふうに私はもう言わざるを得ません。 そこで、私はここで一つはっきりしてもらいたいのは、いまもそれぞれ科学技術庁、労働省は、ひとつこの問題は検討してみたいとかいろいろ言っておるわけですが、ここでもうばらばらじゃなくて、ひとつ政府としての統一見解を、この問題についてはどうするということを、幸い労働大臣も来られたので——もともとこの問題の主管は科学技術庁ですが、それぞれの立場で、いやああでもない、こうでもないというようなことを繰り返しておったのではこれは一つも前進しませんから、そういうふうな意味で、この原子力従業員の災害補償について政府としてどうするんだというような統一見解をここではっきりひとつ示してもらいたい。労働大臣もせっかく来たばかりでございますけれども、労働大臣は労働省の災害問題については非常に前向きに取り組んでおりますし、非常に理解がある大臣でございますから、この問題について、ひとつ政府の統一見解として労働大臣から御答弁を願いたいと思う。
○長谷川国務大臣 最近、原子力問題等々は非常に大事なことでもございますし、また委員会のたびに労働省がそういう問題についても御質問を関連して受けているわけであります。従来の経過は経過としていろいろ込み入ったものもあると思いますが、それぞれまた答申が出ることと思いますので、その答申を早めてもらうような感じ方と、もう一つは、やはりこういう大事なときですから、御趣旨に沿う、お話にあるような意味などを含みながら、答申の出たときには積極的な御協力を惜しまない、こういう姿勢であることだけ申し上げておきます。
○小宮委員 それでは、科学技術庁はいまの答申はいつ出ますか。
○中村説明員 具体的に何日ということを申し上げる段階でございませんが、できるだけ急いで答申を出したいと思っております。
○小宮委員 まあたよりない話だけれども、それくらいで、時間もございませんので次へ進めます。 このような原子力従業員の方々の労災補償の問題がこういうふうに非常に前進しないというのは、しないということも含めて問題になるのは、やはり根本的に現在のわが国の労災補償が非常に低過ぎるというところに問題が出てくるわけです。だから原賠法の対象者と第三者対象者と第二者対象者がそこに違ってくるわけです。だから問題は、これは特に労働大臣にひとつよく聞いていただかなければなりませんが、私は、やはりいまのように非常に物価が狂乱の時代に一番取り残されておるのは、労災補償の給付水準があまりにも低過ぎるということを指摘したいと思うのです。たとえば、労災では休業補償にしたって平均賃金の六割でしょう。大企業あたりではすでにこの労災法の休業補償の六割を上回って、四割加算をして十割支給を、もう大企業はほとんどやっておるのです。特にいま困っておるのは中小企業の方々の皆さん、休業補償が平均賃金の六割、しかもその平均賃金も中小企業の場合は非常に低い。それにかてて加えて六割ということで、どうして生活ができるのかと私は言いたいのです。だから私は、中小企業に働く人たちのこういうふうなことも考えた場合に、いまの労災補償の休業補償にしても遺族補償にしても障害補償にしても、もっと抜本的に引き上げるべきだ。前回の国会において労働省は、八日以上からは八〇%にするというような法律案を出しましたけれども、あれは参議院のほうで廃案になったわけですからこれはやむを得ぬとしても、あれぐらいでわれわれが満足すべきものではない。また、これは大臣も満足しておらぬと思うんですよ。特に六割というのは、自分の病気で会社を休む場合も、健康保険から六割は補償されておるのです。それが、会社で負傷した場合に、やむを得ざるそういうような負傷によって休業せざるを得ないような人に対して、自分の病気で休む健康保険からの手当てと同率であるというのは、どうしても私納得できぬ。だから、そういうような意味で労災法の抜本的改正をやるべきだ。最近の公害補償についての中公審の答申を見てください。あれにしたって、障害補償だってみんな平均賃金の八割から十割なんだ。公害補償ですらこういうように非常に補償を手厚くしておる。ただ労働者の災害に対してだけは、いまの労災法というのはあまりにも現実離れのした、私に言わせれば時代おくれの労災法だと思うのです。そういうような意味で労災法を抜本的に改正をして、できればそういうような中でいま原子力従業員の災害補償の問題も含めて改正ができればこれは幸いと思いますが、そういうようなことも含めて、私はこの労災法の給付水準の引き上げを労働省としてはひとつ早急に審議会あたりにでも諮問して、少なくとも休業補償の一〇〇%ぐらい支給するようにしないと、六割ということではあまりにもみじめなんです。だから、できればそういうような労災法の抜本改正の中にいまの問題も含めてどうするかということもひとつ検討していただきたい。これはもういままでのように、科学技術庁と労働省の場合に、いろいろそれぞれの立場でお互いの主張だけを述べ合っておったのでは、特にこの問題の解決は十年かかっても二十年かかってもできません。 そういうようなことで、ひとつそういうことも含めて、これはできれば科学技術庁のほうもこの原賠法の改正が可能であれば、それは下請工との関係もありますからやはりその中で検討してもらう。それができなければ労災の中で当然こういうような人たちを救済するような措置を労働省と密接な連携をとって、やはりこの附帯決議を尊重していただくようにひとつ強く要望しておきます。その点について労働大臣からまた所見を承って、私の質問を終わらしていただきます。
○長谷川国務大臣 労働者の災害についての非常な御理解、私も感ずるものがあります。そこで、お話のありましたように、先日廃案になった労災保険法、これをやはり一日も早く通過さしていただきたいということが願いの一つです。それと同時に、あわせて制度全般の問題につきましては、毎日毎日進歩している世の中でありますし、改善ということは必要でございますから、そこで制度全般についての重要問題につきましては、やはり労災保険審議会等々に御検討をお願いしてやってまいりたい、こういう前向きの姿勢で取り組んでいきたいということをひとつ御理解いただきたい、こう思います。
○小宮委員 質問を終わります。
○葉梨委員長代理 次に、川俣健二郎君。
○川俣委員 物価をどうするのだという声が全国にみなぎっておるわけですが、政局がどうあれ、田中内閣を支持しないのが七一%になろうがどうであろうが、とにかく国民はこの狂乱物価に苦しめられておる。そこで、きょうは、物価高に対処する総元締めの内田長官に来てもらって、片や国民は物価抑制にあきらめを持って、それじゃ所得を少しでも獲得する以外にないという、政治に対する、物価抑制に対するあきらめと所得に対する政府の政策というものとの混乱に入っておるわけですが、せっかくおいで願った内田長官は十分しか時間がないということなんで、それじゃまず手始めに、一体物価の見通しというのをこれから私たちがどう受けとめていいのか、ひとつ長官、教えていただけませんか。いろいろと研究もされたし、何々研究会がかなり行なわれておるようですが、その辺を総合的にここで披瀝してもらいたいと思います。
○内田国務大臣 物価の見通しいかんという川俣さんからのお尋ねでございますが、まあ私は政府でありますから、ことに物価の問題を預かっておりますから、自分びいき、政府寄りの御答弁を申し上げるということでは決してございませんけれども、物価が一番狂乱状態にございましたのは御承知のように昨年の暮れからことしの二月ぐらいでございました。この間は、卸売り物価で申しますと、一番高くなりましたのは一カ月で、つまり対前月七・一%あるいは五・五%というような月が三月ぐらい続きました。また消費者物価のほうは、いま申し上げます卸売り物価ほど一カ月間の上昇というものはございませんでしたけれども、しかし、やはり同じように昨年の暮れからことしの二月ぐらいまでの間は対前月四%以上、もちろん三%以上というような月がやはり三月ぐらい続いてまいりましたが、御承知のように、ことしの三月以降、卸売り物価、消費者物価も鎮静の方向をたどってまいっております。 ことに卸売り物価は、最近に至りますまでの間、(「また上がった」と呼ぶ者あり一月の上昇率が一%を割り込むことのほうが多くなりまして、最近では対前月上昇率がプラス〇・一%というような月もございまして、また上がったというお声がございましたが、十月の上旬は〇・四%の上昇ということにとどまっておりまして、昨年の状況に比べますと、いま申しますとおりそれは非常におさまった形であります。しかし、とにかく上昇はいたしておることは、たとえそれが〇・何%であれ間違いはございません。 消費者物価のほうも卸売り物価とおおむね同じような足取りを示してまいりまして、対前月上昇率というものが一%を割り込む月もこの三月以降かなりございましたが、四月とか七月とかいう月は一%を少し出ました。ことにこの十月の東京都の分は、東京都の地下鉄、これは都営地下鉄また営団地下鉄、それから都営バス、民営バスというようなもの、東京都だけにこういうようなものもありますし、その上国鉄の料金改定、これは御承知のように昨年ないしことしの春上げなければならないものを、私どもの政策努力で特にこの十月まで、法律を直してまでおくらしていただいたわけでございますが、そうした国鉄、米などのいわゆる公共料金、公共物資の値上げも十月に集中をいたしましたために、東京都におきましては御承知のように対前月二・五%、また対前年の上昇率が二五%を少しこえるぐらいな上昇がございまして、私どもも皆さま方とともに憂いを同じくいたしておるわけでございます。しかし、十一月になりますとこの十月に集中した公共料金、公共物資の値上げというふうな状況がなくなりますので、また十一月の消費者物価は最近までの足取りに戻すことが想定をされております。したがって、今後私どもはいろいろの積み上げ作業とかあるいはコンピューター等を使いまして計算をしてまいりますと、今年度の終わり、すなわち来年三月には、対前年同月すなわちことしの三月に対しますと、十数%の上昇率でおさまる、こういう見通しを持っております。しかし、それに対しまして、ここにいらっしゃる労働大臣はじめ総務長官あるいは自由民主党のほうでは、十数%というような幅のある見通しではなしに、政策目標としてぜひ一五%ぐらいの消費者物価の上昇にとどめるように努力すべきことというような御要請もございまして、ごく近くそういうところに持っていく、つまり十数%という私どものやや幅のある見方を一五%におさめるような政策手段を取りまとめてまいる会合をも開きまして、そのようなところにぜひ持ってまいりたいと思います。昭和五十年度はそれをさらに低くしてまいる、こういうことを続けます。
○川俣委員 とてもじゃないが、だれも信用しないよ。抑制したいという意欲があっても具体的に抑制する手だてをとらなければ、上がっていっているわけだ。たとえば新聞代が一斉に七月上がったら対前月一・九%、東京都の消費者物価を見ると。それから十月に入って例の公共料金、米、国鉄、医療その他いまのバス等々、そうしたら対前月二・五。一年前を二五少しくらいこえたといったって二五・八ですから、まず二六%に近いものなんです。 そこで大事なのは、これから労働大臣の御所見を伺う問題に触れるのですが、物価が鎮静しておるというこの鎮静が問題なんですよ。こういうように対前月二・五%も上がっておる十月の分一つ取り上げましても、これは鎮静というきざしがはたして当てはまるんだろうか。これはとてもじゃないが、直った形を持っているといったってだれも信じませんよ。しかもおとといは砂糖が二四%上がったんじゃなくて、上げることを了承したわけでしょう。政府が了承して、一五%ぐらいになる見通しだといったって、それは全然合わないですよ。直接手だてをしていない長官が、一五%くらいになる見通しだといったって、希望はそうかもしれないけれども、だれも信用しないと思うのです。まず結論的に申し上げますと、鎮静ということばが当たるかどうか、どうです。
○内田国務大臣 七月とか十月の消費者物価の上昇のことにつきまして私は申し上げておりますので、それは七月、十月の特有の現象でございました。 また鎮静ということばでございますが、手段がないわけではございませんで、御承知のように総需要の抑制、金融引き締めというものの政策というものは、今日までずっとこれを緩和することなく続けてまいりましたので、鎮静どころではなしに、一部の業界、一部の物資につきましては、たとえば繊維でございますとか、あるいは木材製品でございますとか、ほかにもいろいろございますけれども、下がり過ぎてどうにもならない、何とかしてほしいというような国民の声もありますことも御承知のとおりでございます。物価でございますから、上がるものもございますけれども、そのように下がっておりますものもございまして、そうして、三月以降の足取りは私が先ほど申しましたとおりで、ある特定の月は別といたしまして、鎮静の方向をとっていることは間違いございません。しかし、十一月も二・五上がるということでは全くございませんで、私どもは十一月は十月に比べますと半分以下の落ちつきを当然取り戻す、こういう見通しを持っているわけでありまして、これは言い出すと、あなたのほうは政府を攻撃するわけですから、おまえが鎮静すると言ってもだれも信用しないと言いますし、やじも飛んでおるわけでありますけれども、現に下がっておることは統計が示しておることも、ひとつこれは信用していただきたいと思うわけでございます。 私は来年の三月に、これは一五%という目標を各方面から御要請がございますので、十数%というような幅ではなしに一五%に押し込めるような努力を、これは私が宣言してもおっしゃるとおり下がるものではありませんから、これは農林大臣、通産大臣、大蔵大臣等具体的な施策を持っておるそういう方面、これもみな私どもと一緒に内閣を構成しておるわけでありますから、それらの閣僚とも十分足並みをそろえまして、申し上げた方向に必ず持っていくことをここで申し上げておきます。
○川俣委員 来月もそれじゃこういう質問を長官にいたします。三月もしたいと思うのだけれども、経済企画庁長官が内田さんになっているかどうかわからぬけれども、一応問題はいま長官が言うように、総需要の抑制策のあらゆるものをとった、とったけれども何か一つとっていないものがあるというような考え方が長官の頭の中にあるのか。あらゆる総需要の抑制策にはいろいろの手だてがあるわけだ。金利もあるし、その他いろいろなものがあるわけだ。したがって、経済企画庁としては、総需要抑制策の中に一つとっていないものがあるというような考え方をお持ちであるかどうか、これをひとつ聞きたいのです。
○内田国務大臣 川俣さんからなぞめいたお尋ねで私も当惑をいたすわけでありますが、総需要というわけでありますから、総というのはすべてというわけでありまして、すべての需要を抑制するというたてまえでやってきておりますけれども、これは国会は国政を御批判になられるところでありますから、おまえ、これを忘れているということがありましたら御遠慮なくおっしゃっていただきまして、私どももそのことについてさらに努力を重ねたいと思います。
○川俣委員 それじゃ、この四月に経済企画庁が、隅谷レポートで出されておった所得政策はとるべきではない、しかも物価高の要因は賃上げではないという労働白書も出ておるのに、一応やはり所得政策を検討すべきだというので非常に大きくこれを取り上げようとした。その後経済企画庁はどういう方向でいるかどうかを最後に聞いて、長官を解放いたします。
○内田国務大臣 所得政策の問題でございますが、私は経済企画庁長官に就任をいたしましてまだ一年にしかなりませんので、わりあいに古いとらわれた観念は持ちません。そこで私は、所得政策というのは何も勤労者の賃金だけを押え込むのが所得政策だというふうの先入主を持たないで、これは前の熊谷委員会とか隅谷委員会とかいうところで、私の就任前四、五年前からいろいろの検討をされたことも聞いておりますが、私はそれよりもさらに広い意味で、所得政策ということはこれは日本語でいうと所得の複数がございません。諸所得政策ということになりますが、英語で申しますと御承知のようにインカムズポリシーということでありますから、単に賃金だけでなしに、それは利潤であるとか配当であるとか、あるいは地代、金利、すべてのいろいろな経済、なかんずく生産のファクターに対する所得の公正なるあるべき姿の配分というものがインカムズポリシーである、私はこういう広い観点に立ちまして、前の時代の熊谷委員会あるいはいまの隅谷委員会というものは、それなりのいろいろの理論を展開されまして、すでに終わっておるわけでありますが、今度は五月の段階で馬場啓之助先生を中心とした、名前は忘れましたけれども、文字どおり所得の配分に関する研究会というのを発足していただきまして、賃金を押え込むだけでなしに、今日の日本の経済の状況のもとで賃金はいかなる姿にあるべきか、あるいはその他の利潤の配分はいかなる姿にあるべきか、さらに進んで、われわれ政府はインフレということばは使わないことにいたしておりますが、物価の継続的上昇下において現にいろいろな社会的不公正が生じておる、これを是正するためのインデクセーションというもの、いま金利のお話などもちょっと川俣さんからもございましたが、物価の上昇をこえる金利というものとのバランス、つまり金融資産がインフレの中において必ずしもいままでのところしかるべき処遇を与えられておらないというような面もございましょうし、あるいはまた、私かつてこの委員会に始終ごやっかいになっておりまして、年金などのことについていろいろ皆さま方から御批判や御教示をいただいてきたわけでございますけれども、簡単に言うとそれらの年金のスライド、総合的に申すとインデクセーションというようなことについて、どうあるべきかというようなことを含めた研究をいたしておるわけであります。 ただ、しからば賃金はどうあってもいいかというと、私は決してそうであるとは思いませんので、今日の日本の経済というものは、御承知のとおり過度成長どころではなしにゼロ成長、あるいはついことしの三月ぐらいまではマイナス成長の状況でございまして、今年度を通算いたしますと、前年度に対しましても、正直に私が申しますと、ゼロ成長よりも少しマイナスがかった成長になるのではないかと思われる状況のもとにおきましては、やはり労働の生産性というものも当然落ちるわけであります。みんなで経済の落ち込みをどのようにかぶっていくか。しかし、もちろんいま御批判のございましたように物価上昇率がゼロになるわけではございませんから、物価の上昇する分だけは、実質経済がマイナスになりましても、いろいろの人々の名目の取り前というものはふえるでございましょうけれども、そうした際に、そうした経済の実体をも踏まえた——これは賃金ばかりを言うわけじゃありません、賃金ばかりを言うわけじゃありませんけれども、すべての階層の人々の取り分というものがしかるべき合理性を持ったところできめられるような、政府が干渉するということではございませんけれども、そういう国民的合意、コンセンサスというものがあるべきである、こういう非常に進歩的かつ弾力的な考えをもちまして、もし所得政策というものがありとすれば私はこれに対処してまいりたい、こういう考えでございます。
○川俣委員 約束ですから、大臣……。 それでは、いまの大臣の話の続きになりますから、政府委員につなぎに質問していきます。 経済企画庁では、隅谷委員会、熊谷委員会、いろいろと研究会がなされておるようですが、その辺も聞かしてもらいたいのですが、せっかく労働省でこういう分厚い労働白書を出しておるわけです。そこで、この労働白書について経済企画庁のほうでは、物価抑制についていろいろと分析された結果、この労働白書を容認してかかっておるのかどうか、ちょっと聞いてみたいと思います。たとえば、いまの問題で一番関連するところは、こういうように労働省は分析をしております。「消費者物価についても、その上昇要因を賃金コストの上昇、卸売物価のはね返り、公共料金の引上げに分解してみると、四十一年から四十五年間の時期に比べ、四十九年二月時点の方が賃金コストの影響は小さくなっており、この時期までについてみる限り、昨年来の消費者物価上昇の強まりは賃金が主因となってもたらされたものではない。」こういうように労働白書がうたっております。これに対して経済企画庁のほうの造詣の深い、物価抑制に日夜健闘されておる政府委員のほうはどのようにお考えですか。
○宮崎説明員 労働白書は、申すまでもなく政府が閣議に報告している正式の文書でございまして、その作成の過程で私どもも相談を受けております。したがいまして、いま先生がお述べになりました部分について、私どもも同じような見解をとっております。
○川俣委員 そうしますと、賃金の引き上げは要因にはなっていないという考え方を前提にして物価対策を考えておるように考えていいですね。どうです。
○宮崎説明員 ただいまの労働白書の中にございますように、消費者物価と賃金との関係につきましては、その分析は、少なくともことしの二月の時点までであるということが述べてあるかと思います。それまでの期間におきましては、消費者物価の上昇は、賃金コストの部分もございますけれども、一昨年後半以来の卸売り物価の急騰ということがかなり影響しておるかと考えます。しかしその時点以降におきましては、卸売り物価の状況あるいは生産性の状況その他が変わってきておりますので、今後につきましてそのとおりであるかどうかということについては、なお事態の推移を見なければいけない、こう思います。
○川俣委員 労働省の局長のほうも手を上げてくれているようなので何か意見があると思うのだが、いま経済企画庁の話を聞いていけば、だんだんに注釈がつくようです。ただし、この分析は本年の二月までがそうであった、しかしその後は違うのだ、こういう見解をとっておる。労働省もそういう考え方ですか。
○道正説明員 私ども労働白書の中にもはっきり書いておいたつもりでございますが、ことしの春の大幅賃上げの原因と大幅賃金がもたらす結果とは、はっきり区別して労働白書にも分析をいたしております。したがいまして、大幅賃上げの原因がどうであるということと、その結果がどうであるかということはおのずから別でございまして、私どもは今後大幅な賃金が物価に無縁であるというような分析はいたしておりません。むしろ今後は過去の大幅賃上げのようなわけにいかないのだ、その点について労使のお考えをいただきたい、国民にもお考えいただきたいということは、はっきり申し上げておるわけでございます。
○川俣委員 そうしますと、こういうことですか。平らに言うと、四十九年の春闘の分は、大幅な物価高を挽回する意味においてけだし当然なのだ、あと追いの賃上げとしてやむを得ないのだ、しかしその後は鎮静のきざしが出ておるから、挽回という意味の大幅賃上げというのはいかぬのだ、こういう考え方の上に立っているのか、どうなんです。その次に大臣の方々の演説を聞きたい。まずそれを労働省当局はどう考えているか。
○道正説明員 繰り返しになりまして恐縮でございますけれども、大幅賃上げが結果として物価に無縁であるとは私どもも考えません。経済企画庁で試算をされました数字がございます。これは先生御承知のとおりでございますけれども、一〇%程度物価に影響を及ぼす。これは物価対策その他との関連がございますけれども、計算上はそうなる。したがって、そうなってはたいへんだから政府もいろいろ施策を講じなければいけないし、労使にも御努力をいただきたいということを申し上げているわけでございまして、私どもとしては大幅賃上げが定着したというふうには考えていないわけでございます。
○川俣委員 それじゃ大臣に伺いますが、一応私らはこういういきさつと考えておるのですがね。春闘で三〇%をオーバーした賃上げが行なわれた、そこで閣議で田中総理が、総需要抑制策の中に賃上げの抑制ということを極力考えろということを出された、そこで経済企画庁も、四月の十何日に隅谷レポートは出たけれども、あれを再検討すべきだという考え方を出された、そこで労働大臣は労働白書を持ち込んで閣僚会議に出た、そこで賃上げというのは物価高の要因ではないという分析を出した、ところが、その後労働大臣はどういうように豹変されたのか知りませんが、方々で大幅な賃上げというものはやはり物価高の要因になっておるからということを言われてきた。これはどういうことかね、一貫していないような気がするな。労働白書が一貫していないような気がする。それからさらにつけ加えますと、昨年の東京都の消費者物価の上昇率は二五・八%です。それで鎮静のきざしが出ておるというような分析というのはどういうわけか。その辺は大臣、どういうようにお考えですか。
○長谷川国務大臣 いま政府委員からお話のあったように、昨年の暮れの石油危機からの狂乱物価、当時の大蔵大臣も、これは物価じゃありません、相場でございます、こういうふうに国会で御答弁されたことは私たち記憶しておるところであります。ですから私は、一月において、どの委員会か忘れましたけれども、今日労働者の実質賃金は、消費者物価から見ますと四・五%落ち込んでいるのです、そういう数字をはっきり申し上げました。それから見ましても、ただいまの二人の政府委員からの答弁からしましても、年末年始の物価高というものは賃金が元凶ではないということ、具体的事実を私は申し上げたわけです。そしてそのあとで、おっしゃるように三二・九%という春闘相場が実現した。その結果は、これも政府委員が申し上げたとおり、二月以降三月というものは、日銀であれ経済企画庁であれ、三二%の中には、一〇%というものは物価に影響力があるのだ、これが実は公表されているわけであります。私はそういう事実をつかまえまして、労働省としまして、昨年まで一一%の高度経済成長を十年間続けてきた、しかし御承知のように、御審議いただいたとおり二・五%の安定成長率を願いながらも、なおかついまゼロ成長率である、そうするならばこれはお互いひとつしっかりと考えなければならぬ時代が来たんじゃなかろうか、こういうデータでございますということを私は大阪で、あるいはまた同じデータを勤労者の組合の諸君などにも御提供申し上げて、将来の問題については、国民経済全体の問題からして、労使がこれこそ良識のある行動というものを将来とる必要があるのではないか、こういう呼びかけを実はしているわけであります。
○川俣委員 しっかりした考え方を持つべきだというのは具体的に言うとどういうことかわからなくなったのですが、当初は労働大臣は、こういう物価高に対処するためには、物価抑制というものはあきらめてかからなければならぬから、国民はどこかで所得を得なければならぬ、年金をもらっている人はスライドしてもらわなければならぬ、あとで質問したいが、最賃制を上げてもらわなければならぬ、そういうようにして物価高に対処して生活していくと言っているわけだね。それが労働行政の上に立つ大臣が、公平な立場で物価高と賃上げとの関係の上に立たなければならない大臣が、この物価高が続いているいまの段階において、しっかりした考え方を労使双方考えていけというのは具体的に言うとどういうことなのか。ガイドを示そうとしておるのか、プッシュしようという考え方なのか、その辺なんです。
○長谷川国務大臣 その前提は、これは御承知のとおり資源が少ない日本、公害の問題等々もあり、そして世界がインフレに悩んでいる時代でございますから、何としても私たちは物価の安定ということがこれは全世界共通したテーマでございます。わが内閣もそういう意味では物価安定ということに一生懸命であります。そしてそれを関係官庁が一生懸命やってもおりますし、私たちもそれを労働者を守る立場において推進申し上げている。問題は物価安定、それが御期待のとおりいかないだろうという御批判などもありますけれども、これは一生懸命やる以外手はない。そしてそういう意味の環境づくりをしながら、一方においてもそういう事態をお互いがしっかり考えてやろうじゃないかというところに努力しているつもりであります。
○川俣委員 そうしますと、物価の安定ということでいまの田中内閣は総力を結集しているとして——してないとは思うんだが、しているとすれば、物価の安定に、労働大臣のほうから見れば、物価がこのように上がっているのだからやっぱり所得をふやすのはやむを得ないのじゃないかという上のことでしょう。経済企画庁のほうは、物価の安定のために賃上げを押えてくれという考え方を持つとすれば——さっき持ってないとかなんとかと言うけれども、文献その他からいえば持っているんだ、それを論争する時間がないけれども。経済企画庁の長官が賃上げを抑制してくれ、総理大臣も労働大臣に対してもっと抑制するように言えと言った場合に、労働大臣はどういう考え方を持つのですか。
○長谷川国務大臣 総理大臣から賃上げを抑制しろという話は私は聞いておりません。私たちは労働者を守る立場にありますから、この一番の問題はやはり物価を安定して、自分がいま得ている賃金というものが自分の生活の充実になるようにしようということをいま一生懸命言っているわけです。 それから所得政策の話がありましたが、これは私前々から申し上げているとおり所得政策はやることではなくして、やる立場もとっておりませんし、よその国が失敗したものをやるようなことはいたしたくない。それから何といっても日本の場合には賃金の問題は労使がきめることですから、その場合にそういう外的要件、それと同時に物価抑制を徹底的にいろいろな経営者なりそういうところに政府としてやっておりますから、それを今度は私の立場からも、労働省の立場からもプッシュしていくという二面作戦をとって、及ばずながら懸命にいまやっているつもりで、そしてただいま経済企画庁長官も一五%と労働大臣から言われているという話ですが、これはやはり一五%をやらせることが日本のためにもなるし勤労者のためにもなる、実はこういう姿勢で私はお願い申しているようなかっこうでございます。
○川俣委員 労使双方に対する大阪発言その他を考えると、そういうような考え方というよりも、むしろ労働大臣は物価が鎮静しているということを前提にして話しているわけです。物価が鎮静しているという前提で労働大臣はなぜ話をするのだろうかと私らは思うわけです。物価が上がっているからやむを得ないのだという春の見解からずっと労働行政をやってきた、そういうような考え方の上に立って来年度の予算、労働省の行政をいろいろと考えたわけでしょう。失対の問題だとか、それから生活保護基準の問題は厚生省が考えるとか、あるいは最賃の問題とか、いろいろ考えるでしょう。そうしますと、いま物価が鎮静のきざしを持っているのだという前提に労働省がいるのかどうか、それだけ、じゃ聞きましょう。
○道正説明員 大臣からるる御答弁がございましたように、問題は名目的な賃金上昇ではございませんで、あくまで実質的な所得が向上するということであるわけでございまして、そのことは大臣の大阪発言以来、一貫して機会あるごとに言っていることでございまして、この点につきましては労使双方に御異論もないわけでございます。したがいまして、物価を極力安定させる、下げるということが当面のわが国経済、社会、政治にとりまして最大の問題である、そのことが賃金問題にも非常にいい影響を持つということを確信いたしておるわけでございます。しからば現在の物価が鎮静化しているかどうかという判断の問題につきましては、先ほど経済企画庁長官がおっしゃったとおりと私ども考えております。
○川俣委員 それじゃ、もう少し理解を深める意味で大臣の考えを聞きます。 いまのような物価高、一五%という経済企画庁の希望的観測は述べていたけれども、しかしながらこのように十月で二五・八%、さらに砂糖がこの間二四%上がっていっている。こういうようにいっていくとおそらく物価高はおさまらない。とすれば、いまの情勢で上がっていくとすれば大幅賃上げもやむを得ない、こういう考え方は変わらないわけですね。どうなんです、大臣。
○長谷川国務大臣 問題は、いま勤労者もあるいは家庭の台所を預かっておる人も、物価を下げてもらいたい、下げたいというところに重点があるだろうと私は思います。私たちはいまそちらのほうに政策の重点を置いて懸命に努力することこそが一番大事なことだというふうに感じてやっておるわけであります。
○川俣委員 もう少しそらさないでもらいたいのは、物価を下げてもらいたいというのはだれでも、大臣だって私だって、一般の国民みんな思っておるわけだ。だけれどもしようがないわけだ、このとおりどんどん上がって、あっという間に農林大臣は二四%の砂糖の値上げを了承したわけだから。だとすれば、労働大臣としては国民が所得のアップを願うというのはやむを得ないだろうという考え方をすべきなんだ。どうなんです。
○長谷川国務大臣 私たちは、幾ら上がるとかそういう問題もさることながら、やはり実質というものをいかにして得られるようにやっていくか、その中に賃金もある、こういうふうな考え方でおります。
○川俣委員 もう少し聞かせてくださいよ。物価の安定はみんなこいねがっているんだよ。だけれどもこのとおり上がっていっているのだもの。上がっていっているのなら、労働行政をとっておる者として、所得の上げもやむを得ないと考えるのが労働大臣じゃないだろうかというのです。どうなんです。
○道正説明員 賃金問題は労使の自主的な交渉できまるというのが原則でございまして、政府としてどのくらいがいいというようなことは、いままでも申し上げたことはございませんし、今後も申し上げるのは適当でない。申し上げるつもりはございません。ただ、労使の賃金交渉の現実を見ますと、いろいろな要件がございますけれども、その中に非常に大きな要素として物価問題があることも事実でございます。しかるがゆえに政府として物価対策に全力をあげなければいかぬということを申し上げておるわけでございまして、そういう意味で物価問題が賃金問題に関係があるということは事実でございますけれども、いまここで賃金問題について政府がとやかくのことを申し上げることは適当でないというように考えるわけでございます。
○川俣委員 いろいろと具体的に考えておるようですが、仄聞するところによると労働政策としていろいろな手だてがあるわけだ。たとえばアメリカでもイギリスでも所得政策——所得政策といったって物価と賃金だけでしたけれども。あるいは賃金だけという年もあった。全部失敗。そこでイギリスのような社会契約という問題ですね、これなどを労働省で、いまやるとかやらないとかじゃなくて、少し事務当局で検討する時期だ。検討ですよ、実施じゃない。その辺はどうですか。
○道正説明員 イギリスのソシアルコントラクトにつきましてはもう先生が御承知のとおりでございますけれども、ことしの二月に総選挙で政権の座につきました労働党が、いままでの保守党によってとられておりました対策にかえまして、ソシアルコントラクトということを労使との間でかわし、賃金上昇率を妥当な線におさめたいという新政策をとったわけでございます。十月の総選挙におきましてもソシアルコントラクトが非常に大きな論争点になったことも事実でございます。ソシアルコントラクトの内容につきましては説明を省略させていただきますけれども、アメリカ、西ドイツ、イギリス、フランス、それぞれの国がそれぞれの国情に合ったインフレ対策を懸命の努力を重ねることによって解決しようということでやっているわけでございまして、私どもも、イギリスのソシアルコントラクトの行くえと申しますか、今後どういうふうになっていくか、特にTUCが下部の組合に対しまして、このソシアルコントラクトを徹底させることができるかどうか、非常に注目しておるわけでございます。
○川俣委員 時間がありませんから最後に大臣に申し上げますけれども、やっぱり労働大臣が当初持った、これは労働者に味方するとか、田中内閣の一員ですからそれに巻き込まれるとかという問題は別として、いまの物価高に対処するためには国民はどこかで所得を上げていくしかない、そして片や節約していくしかない、こういう生活をこの冬しなければならぬのです。特に東北なんか灯油の問題で一番苦しんでいるわけだ。三百八十円の春の単価がいま六百五十円ですから、これで物価の鎮静のきざしが出ているなんといったって、大臣も東北の御出身ですけれども、だれも信用しませんよ。そういうような考え方に立つとすれば、所得のアップを労働者があらゆる手で、組織を使ったり団結の力で取ったりいろんなことをやっていますが、その上に立った労働大臣の行政は行司役にこそなれ——大阪の発言がそういう意味でなかったとこう言うのだが、しかし世に対する反響は違いますよ。やっぱり賃上げ抑制という演説だということにとられていますよ、マスコミばかりじゃなくて。そうなると、やっぱり労働大臣というのはどっちのほうを向いているのだということに相なる。社労委員会もしかりだ。そういうことを強く要望しておきます。 そこで最後に、この春闘の最後のどたんばでいろんなことを確認されました。特にインフレ弱者の問題が年金問題を含めて確認されました。それから時間短縮、週休二日制、そして定年延長、最賃制、こういうように確認してきました。ここで確認したいのは、最賃制だけをひとつその後の動きを聞いてみたいと思います。 そこで、もう一ぺんここの委員会で確認されたことをポイントだけを読んでみます。大臣はこういうように確認しております。「今後の最低賃金制のあり方については、広域最賃の設定、その他制度、運用の改善について、中央最低賃金審議会の場でさらに検討を進めてまいる所存であります。なお、全国全産業一律最低賃金制」——これは労働者が提案し強く要求しているわけだ。「については、」「労働省として今後検討したいと存じます。最低賃金の改定の問題につきましては、当面する最低賃金行政として、賃金、物価事情の急激な変化に対応して、最低賃金の実効確保の立場から、中央最低賃金審議会の御意見を聞いて、現在決定されている最低賃金の効率的な改定をすみやかに行なってまいりたい」、こうなっている。もうすでに半年になるわけだ。そして物価がこのように上がっていっているわけだ。そうなると、ぼつぼつ結論を出してもらわないといかぬのではないかというように考えておる。その辺の経過と、現時点における結論めいたものを伺って、私の質問を終わります。
○東村説明員 最低賃金制についての一律最賃制の問題でございますが、大臣のお答えをいま引用されてお話しございましたが、問題は制度の基本にかかわる問題でございますので、労働省といたしましては慎重な検討が必要であるという観点から、賃金の実態であるとか賃金の格差、さらには諸外国の事例等を鋭意収集中でございます。 それからもう一つ、いま先生御指摘の最低賃金額の効率的改定のお話でございますが、これにつきましても中央最低賃金審議会から四十九年一月に建議がございまして、これに基づきまして改定をしたということと、さらには中央最低賃金審議会の御意見も伺いまして、ただいま御指摘のように、四十八年度以前に効力を発生した最低賃金について、そのすべてを改定するという立場から現在努力をしております。現在までにそのほとんどが改定審議中でございまして、すでに一部結論が出されたものもございます。 以上のとおりでございます。
○川俣委員 そうすると、差しつかえなければ、大体いつごろまでをめどに結論を出そうとしておられるのか。
○東村説明員 問題が問題でございますし、いろいろ関係するところもございますので、いま明確にいつごろまでということはちょっと申し上げにくい段階でございます。
○川俣委員 大臣、いまのめどはどうですか。
○長谷川国務大臣 ことしの春、川俣委員の質問に対して、先ほど御紹介あったように私お答えしたわけであります。そしてただいま局長が答弁したように、それぞれ作業は進めているところでありますが、審議会の問題等々もございますので、これはいますぐどうのこうのという、時期が明白にできないことを御理解いただきたい。 それから先ほどお話がありましたが、私が発言したことに対して御理解いただけないもどかしさをいささか感じているものでございますが、私は、日本という国は、皆さん御承知おきのとおり、やはり汗の上に築かれた日本だと思っていますから、労働省は労働者の諸君の生活を守りもし、そして充実させていく、こういうことに対しては十二分に努力をしていく、これをひとつ御理解いただきたいと思います。
○川俣委員 終わります。
○葉梨委員長代理 次に、山田耻目君。
○山田(耻)委員 わかり切ったことを伺うようなことが多いわけですが、最近、公共企業体等労働関係法の適用を受ける組合なり、あるいは地方公営企業法の取り扱いを受ける組合なり、それぞれ——前者のほうは仲裁裁定は完全に実施をするという政府見解が述べられるし、昭和三十一年、法改正などもございましてかなり前進をいたしております。しかし、地方公営企業の中で、公労法十六条を受けて、昭和二十七年に制定されその後数次にわたって改正されてきた中の十条、特に二項あたりの解釈が、公労法を受けていながらなかなか不燃焼な部分もございまして、いろいろとトラブルを起こしております。こういう取り扱いについて、労働省なりあるいは自治省のほうから現実的な運用、取り扱い、これについてきょうは見解をお聞きして、不必要なトラブルが起こらないように善処を求める、こういう気持ちで質問をいたすわけです。きわめて時間に制約がございますので、過去のいきさつ、経緯、それぞれ明らかにしながら、客観的に今日の実際運用について証明していきたいわけでございますが、その時間等も十分ございませんので、最初に、まず労働省の大臣のほうにお聞きをしておきたいと思うのです。 公労法の十六条、予算上、資金上不可能な内容が取りきめられた場合は、議会承認を得る、こういうことになっておりますし、地公労法十条の場合もそのことがうたわれております。ただ、地公労法十条の場合には、解釈について若干食い違うといいますか、若干すれ違いの要素がありますので、一応労働問題にかかわる主管の省である労働省として、この見解をお聞きしておきたいのですが、十条の二項に、予算上資金上不可能な支出を内容とする協定を結んだとき、前項の協定をしたときには、当該地方公共団体の長——これは市長とか知事とか、こういうものをさすわけですが、長は、事由を付して——日にちもありますけれども省略しますが、事由を付してこれを議会に付議し、その承認を求めなければならない、こうなっているわけです。予算上資金上不可能な協定を結んだときには、地方公共団体の長は、事由を付して議会に付議して、承認を得なければならない。この事由を付してということが予算上資金上可能不可能の問題の協定なんですから、事由を付すとは、予算上不可能という事由もあるでしょう、あるいはこのように予算上可能ですという予算書をつけて補正を求める事由もあるでしょう。この、付して提出をしなさい、その承認を求めなさい、こうなっているわけです。この解釈について、事由はそういう可能不可能の中身を指さしておる、こういうふうに私は今日まで実際運用上理解をしておりますが、これは大臣、よろしゅうございますか。
○道正説明員 事由を付すというのはまさに事由を付すわけでございまして、予算上実施不可能であるという理由を付して出すという意味でございます。
○山田(耻)委員 いまの賃金協定を見ますと、四十九年度の当該賃金というのは、予算成立のときに予算総則あるいは賃金の準則できまっていますね。だから、予算上資金上不可能というのは、今日ただいま予算化されていないから予算上資金上不可能という解釈をしておると思うのです。 〔葉梨委員長代理退席、委員長着席〕 しかしながら、企業実績等を見まして、そういう協定を当該理事者が調印をするときには、そこらあたりも十分配慮して調印をするわけです。予算上資金上不可能な調印をするということは、私は今日の労働運動の中であまり想像できません。 いま道正さんのおっしゃっておりました一つの今日の動向の想定というものは、たとえば、公労法に定めてある仲裁の段階で一つの仲裁が出る、その仲裁は、当該年度の資金上予算上としては、形式的にはその仲裁裁定を満たしていくような予算はございません、それを国会とかあるいは閣議で了解をする、こういう意見が働いております。現実の労働争議の段階で働いております。それを国会に付議するときには、もう事態がたいへん急変しておるので、補正予算の提出を待たずして了解というふうな、いわゆる仲裁裁定そのものを了解をする。それは形の上から見たら、仲裁裁定自身を、裁定書そのものを付議したというふうに形式的には受け取るわけです。そういうことが私は前提にあったのではないかと思いますが、現実に労使双方の当事者が、よろしゅうございます、出しましょうとその調印に判を押すときにはいろいろ予算検討します。予算検討した場合に、よし、これは出せるといって判を押します。そうしてそれを議会に付議するときには、その理由というのは、予算上資金上不可能でございますという理由はつけません。これこれの協定をいたしました、これこれの補正予算の審議、可決をお願いいたします、こういう形で地方公共団体の長は議会に出しておるわけです。だからここに法律に書かれておる、事由を付して議会に付議してもらうその事由とは、その協定そのものではなくて、協定に必要な、不可能である可能である、この事由をさしておるわけですから、不可能の事由、可能の事由、その事由を付して議会へ出していけば、議会はその事由について諾否をきめればよろしい、これが私はこの十条二項にいわれておる法律の解釈だと思うのですが、大臣、常識論としていかがでございますか、あなたの見解は。
○道正説明員 先ほどもお答えいたしましたとおり、また先生も御理解いただいておるとおりでございまして、予算上実施不可能な協定につきまして、不可能な理由を付して出すわけでございます。それを受けました議会が承認するかどうかというのは議会の判断でございます。その判断に従って事務当局が処理をするという仕組みになっていることは御承知のとおりでございます。
○山田(耻)委員 そのようにして、その協定を調印すると、もちろん形の上では、当該年度は資金上予算上不可能な協定でございます。そうして地方公共団体の長がそれに対して予算書をつけて、これをひとつどうぞ認めてくださいとして出す。ところがそんな予算書は審議をしない、いわゆる事由を付して出されたその事由の審議はしなくて、協定そのものを審議するということは、私は今日の公労法十六条なりあるいは地公労法十条二項の現実的な運用としては少しずれておるような気がするのですが、ここらあたりはいかがでございますか。
○道正説明員 非常にむずかしい問題でございまして、労働協約の締結ができない場合には調停あるいは仲裁という形でやるわけでございますが、問題は一般の民間の場合と違いまして、公営企業の場合にはやはり予算の議決との関係が出てくるわけでございまして、その調整をどうするかという非常にむずかしい問題でございます。現行法は先ほど来御指摘のございましたような形でその間の調整をしているわけでございます。したがいまして、現行法の解釈に関する限り、予算上実施不可能な協定の効力は議会の承認にかかわらしめられているということになっているわけでございます。
○山田(耻)委員 道正さん、どうもあなたらしくないし、少しちぐはぐなんですよ。法律ははっきりしているのです。そういう協定を締結したときには事由を付して議会の承認を求めなさいとなっているのですよ。事由を付したその中身の承認を求めておる。だから、予算書の承認、不可能な承認、可能な承認を求めなさいとなっている。協定そのものの承認を求めなさいとは書いていない。そうでしょう、法律は。それを、その出された事由は予算どおりけっこうです、認めてくださいといって出した補正予算を審議せずに、いわゆる事由というものを審議せずに、なぜ協定を審議したのか、これはおかしくありませんかと聞いている。道正さん、非常に答弁が苦しいけれども、これは私がいまこれから述べようとする一地方の議会の問題ではないのです。この激しい春闘を迎えようとしておる中でいろいろな議論があります。労働大臣のことばでは、私は長谷川大臣らしいことばだと思うが、率直に、労働省は労働者を守る立場なんだ、こういう立場で労働大臣が一つの表明をなさっておることは敬意を表するわけですが、私がいまこの問題を労働省にお聞きしておるのは、やはり労働省としては法律を斜めに読まずに、現実の運用という今日の趨勢をのみ込みながら運用というものは生まれていくのですから、公労法はそれがいわゆる慣習法になってきたのですから、それをひとつ踏まえていただいて私は御答弁を求めておるので、最初のほうはそのとおりだ、あなたの言うとおりだとおっしゃりながら、しまいのほうは何かちょっと聞き苦しくなるのですけれども、直截にお伺いしておるのです。 そういう資金上予算上不可能な協定をしたときには、可能なのか不可能なのかといえば、補正予算を組んで出すのか出さないのか、その事由ですよ。その事由を議会に求めなさいと書いてある。だから現実には、そのもとである資金上予算上不可能といわれる協定を参考資料でくっつけて出しているのです。それを事由を付すべき中身については審議をせずに、協定そのものを議会で単独議案として審議をするということはちょっとどうかしていませんか。現実の運用として多くの疑惑を労働団体に与えることになるから、そこらあたりは現実の運用を踏まえて、ひとつ解釈、運用の実態を聞かせてくれといっているわけですから、あまりみんなが混乱を起こすような答弁は特に道正さんはしていただかないように、しかも労働者の立場を守る労働省の非常に有能な労政局長なんですから、その判断でひとつ御答弁をいただきたいと思います。
○道正説明員 わざと持って回った御答弁を申し上げたつもりはないのでございまして、協定が結ばれると、その協定の中身が予算上可能かどうか、不可能と判断した場合にその事由を付して出す。協定の効力は、その議会の承認、不承認ということによってきまってくるというのが現行法の仕組みになっておりますということを申し上げたつもりでございます。議会がこの種の案件を審議するにあたりまして、その財源を予算化することが当該地方公営企業の経営状況から見て可能かどうか、あるいは他の経費とのバランス等もあろうかと思います。いずれにいたしましても、議会がどういう判断をなさるかということによって協定の効力がきまってくるという仕組みになっているわけでございまして、問題は議会がどういう判断をなさるかということだろうと思います。
○山田(耻)委員 議会というものは、その地方におけるある意味ではオールマイティーでしょうからね。ただ労働者の場合にとりましても、それぞれ終戦以来労働立法ができまして、そこにある労働三権というものは団体交渉権、団結権そうして争議権と、そうしていまの公企体なり地方公企体については、争議権は一応否認をされております。しかし団結権、団体交渉権はりっぱに憲法でも法律でも守られているわけです。そこで結ばれた労働協約、それはやっぱり私は労使の信頼関係の上に立って守られていかなくちゃ、近代文明の中で労使の対立というものは収拾のつかぬ混乱におちいっていくんですよ。だから相互信頼で守られていかなくちゃいかぬ。ただ、それが国民なり市民なり、不特定多数の人をしっかり繰り上げていかなくちゃならぬそれぞれの議会、そこには裏打ちとなる予算が要るのですから、その予算を審議するときには、その協定は資金上予算上不可能なものを協定したときには、いけませんよ。この一つの一連というものは協定の権威、団交権の保障、そうして議会が不可能なものを結んだときの審議する態度、議会がオールマイティーであったとしても、それは全く同じウェートで見てあげなくちゃいけないわけですよ。そこで、議会の予算上資金上可能、不可能の議論というのは、私は最もふまじめであってはならぬと思うのです。それは地方自治体の長が予算上資金上可能なんですと、そういう事由を付して出したものを審議すればいいのに、付して出された事由は審議せずに、事由書は審議せずに協定だけを審議して破るということは、私は一つのそれぞれの権利関係から見て、ある意味では憲法で保障された団体交渉権を否認をされていくという逆の結果を起こすことになる。それで、相互信頼を失うことになるので、少しでもふまじめと指摘される審議があってはならない。これは長年論争し尽くしてきたところですね。ただ私はいまの道正さんのお話の中で、総体的にはそれでけっこうです。やはり予算上資金上不可能というのは、当該年度の予算にはないわけだから全部不可能なんです、新しい協定を結んだら。しかし、ほんとうにこの法律そのものが指さしておるのは、そういう形式論議じゃないのです。そういう協定を結んで、いろいろな四囲の情勢で財政枯渇だとか物価上昇だとか、あらゆる条件が重なってきて、その協定は結んだが、何とかしてあげたいけれども、資金上予算上むずかしい、だから過去にやってきましたように、財源に必要な起債を起こすということも方法の一つとして考えられてきたんですよ。そういう場合には実施期日を繰り延べるとか、金額を多少ダウンさせるとか、そういう作業が議会の中でも議論された事例は多くあるんですよ。公労法関係でも、昭和三十一年以前にはたくさんございました。その一つの資金上予算上不可能なというのは、当該年度に予算がありませんという不可能をさしているんじゃなくて、ほんとうはせんじ詰めていけば、もう協定を結んだけれども、どうしようもありません、どうしようもないから、これはひとつ議会の承認を得なければならぬというのが、私は、労使の信頼関係で結んだ協定が正しく守られていくか守られていかないかという運用上の認識でなくちゃならぬと思うのです。ところが、いまのお話で、私はそれは付議すべき事項審議、可能か不可能か、これがやっぱり優先すべきであるし、それを優先審議すべきである。そうしなければ、それの承認、不承認が自動的に親協定の協定自体が延期になったり減額になったりするんですから、問題の承認は、付した事由の中身の承認不承認、こういうことに道正さんも理解をしていただいておるので、私はけっこうだと思うんです。 そこで植弘さん、あなたにお伺いするのですが、自治省はどういう指導を現実になさっていますか。いま私と道正さんでお話ししました事柄を受けて行政指導に当たっておられますか。
○植弘説明員 基本的には、地公労法の十条の規定も公労法の十六条の規定とほとんど同じといってもいいと思います。基本的な法律解釈なり指導の基本は、先ほど労政局長がお答えしたとおりだと思っております。 ただ問題は、この予算上不可能な場合といったときに、二項によって協定の承認を受けるといった場合、その協定の内容を審査するのかどうかという問題があると思いますが、やはりこれは協定の成立そのものを、これを承認する問題ではないだろうと思っております。協定によって実施しようとする内容ですね、これについての承認の問題だろうというふうに理解いたしております。
○山田(耻)委員 公務員第一課長もその見解でけっこうですか。——お見えになっていませんか。それなら欠席裁判になってたいへん恐縮なんですが、私はいまのような問題を含めまして、実は山口県の防府市に事件が起こったわけです。それは、労使が協定を結びました。ことしの七月だったと思うのです、協定を結びました。小っちゃな水道局でございます。協定を結んで総額百七十万くらいの賃金引き上げ、制度改正になるわけです。別に争いもなくてこの協定はまとまったわけです。私は、よく自治省も御心配なさっておるし、一体防府の水道局が累積赤字を持っておるのじゃないか、かなり累積赤字を持って料金引き上げもなかなか困難だ、そういうことでかなり問題を起こしたのじゃないかと心配しました。あるいはまた四十九年度、ことしたいへん赤字を出しているのじゃないか、それで賃上げ問題が混迷しておるのじゃないかと思って心配しました。しかし、心配しておったのじゃいけませんから、現地へ行きました。現地へ行きましたところ、いや、実は協定が議会で破棄されたのだ、そうして中身はどうかと聞けば、累積赤字は一文もございません、たいへんみんな勤勉に働いておるし、実積も高いのです、四十九年度は五百九十万くらいの黒字です、そのうち百七十万ほど改定資金に充てるような協定なんで、労使とも円満に調印をいたしました。それはまたおかしな話だ、それで協定が議会で否決されたとは何事かと聞いたら、議会に協定そのものを単独案件でかけたわけです。もちろん補正予算書も出ています。それは市長は調印者の側の責任者として補正予算百七十万プラスで組んで出しております。しかし、その付議した事由のほうは審議せずに、予算上資金上不可能な協定という協定そのものを単独審議をして否決をしたわけです。それで今日非常にトラブルを起こしているのです。一たん調印をした労使の相互信頼関係は完全にこわされてしまっている。そうして市議会の協定不承認に回った人たち、保守系の方ですが、二十八名が有志議員団という一つの声明を市内にまき散らして、この協定を破棄したことは正しい、そうしてやっぱり脅迫の電話をかけている。組合の委員長なり副委員長、書記長に、おまえたちはぶち殺す、こういうふうな電話がかかってきたりして、たいへんな人道上の問題まで引き起こそうとしておる。昨晩、そこの委員長はいま瀕死の重傷を受けております。それが交通事故という形式はとられておりますが、ただ一般の人々は、ぶち殺すとかなんとかいう電話がしきりにかかってきた状態の中で起こった交通事故なんで、ちょっとという首のかしげ方もしています。しかし私は、夜のことであって交通事故を受けられたんだと思いますけれども、非常に不明朗な社会不安の情勢をかもし出しているのです。私はその源は、協定がなまで議会にかけられて、成規の手続で審議されたというふうに受け取れない気持ちが私の気持ちの中にありまして、これが一つの発火点になっている。 それで私は、話をもとに戻しますが、防府の市長にも会い、水道局長にも会い、いろいろ意見を聞きました。そしたら、これは上部官庁の指導によるものなんです。そこで私は県庁の社会課長のところに行きまして、どういう指導をしたのかと言いましたら、十条二項に書かれておる法律のとおり私は措置、指導いたしました。どういう指導をしたのか。それは資金上予算上こういう協定を結んだから協定をかけなさいと指導しました。実際運用は今日までそうなってはいない、事由を付してその承認を求めるんだと言いましたけれども、いいえ、それはあなたの意見である、私は自治省の見解を受けたんです。その自治省はだれが言ったかといったら、公務員部長だと申しております。 そこで私は、これはいけないと思いまして、九日の日に労働省と自治省に参りまして、事態の円満な解決をはかっていただくように指導をお願いしました。そのときにそれぞれ、労働省の労政局長にしてもあるいは公務員部長にしても、その協力をお約束いただいたわけであります。ところが公務員部長の下に公務員一課長がいらっしゃるのですが、私が行ったのは十月の九日です。ところが十月の十五日に、こういう書面です。それを見ますと、質問に対しての答えですが、山口県の総務部長からの質問書です。「地方公営企業の予算上又は、資金上不可能な資金の支出を内容とする協定が締結された場合においては、当該地方公共団体の長は、地方公営企業労働関係法第十条第二項の規定により、協定そのものを議会に付議し、その承認を求めなければならないと解するべきか。」こういう質問に対して、そのとおりだ、こういう書面をお出しになっておるわけです。これは、私が十月九日に行きまして労政局長なり公務員部長に会って、いろいろ今日の実際運用の話もしてその指導を求めて、よかろうということになったんですが、その以後こういう文書が出ている。きょうこの文書をお出しになりました坂田さんお見えになっていませんから、私は別に坂田さんの真意を問いただそうとはいたしておりませんけれども、しかし私は、こういうことが事態の混乱をますます拡大させていく、今日のこの時期に労働問題ができるだけ平穏に、しかも過去の歴史を踏まえて秩序ある段階で前進をしていくことを非常に期待をするわけです。にもかかわらずこういう形で下部の火を吹くような形で指導されたのでは、一体いまの労働省の見解とも違うし、公務員部長のお話しになった見解とも違う指導があり得るとしたら、私はたいへん不愉快でならないのです。一体どういう立場でお出しになったのか、聞くすべもございませんけれども、ただ、上長である公務員部長の御意見も伺いましたから、労働省と同じだということですから、私はこれ以上公務員部長に問いただそうとはいたしません。 問題はこれからの処理なんです。処理事項。片一方ではすでに裁判闘争が提起されています。しかも、この関係と根っこが同じものである公労協、公共企業体関係労働組合も非常に重要な関心を持って見ている。総評も見ている。そういうさなかでこれからこの戦いが展開されていくということは、私は春闘に一掬の花を添えるということになるかもしれぬけれども、私はそういう花はあまり添えてほしくない。やはり今日までの労使慣行なり定められていった措置というものは今後踏襲してほしい。できるだけ問題を正しく処理してほしいためのきょうはこれからの質問をするわけです。時間が非常にございませんので申しわけございませんが、一体どのような指導をこれから強めていくのか。そういう条件が出そろってきつつある。 そこで私は時間がありませんから先を急ぎますけれども、一つは、市議会はこの協定を否決した、しかしその協定そのものは消滅してはいない。これは今日学説二つございますけれども、それが消滅するということになれば、これから団体交渉の対象は市議会になります。地方の執行者じゃなくなるのです。戦いは市議会に向けて展開をされていく。こういう労使慣行というものはあり得ない。だから私は協定そのものが厳然として存在をしておる、効力は議会の承認がないからとまっている、だから議会で自後承認をされれば協約日にさかのぼって効力を発するという法律の一条文がありますので、そういう措置ができるのかどうなのか、あるいはそういう指導をなさろとするのかどうなのか。 二つ目には、協定の日付はかなり前にさかのぼって十月一日実施となっております。それがこれからもう一度同じ内容で再協定をする。協定日付を何日かずらす。そうなると新しい協定です。その新しい協定を付議するという方向の御指導をなさる気なのか。何らかの措置をなさいませんと、私はきょうは申し上げておりませんけれども、自治省の行政指導に対してたいへんなミスを指摘して争いを拡大せざるを得ないような気になるわけですけれども、きょうそれを本意としてはおりません。問題の解決をどうするのかということで、現行のいま持っておる、死んでいない、効力を発していない協定を効力を発生させるような何らかの手続、指導をなさる気なのか、それとも新しい協定、日付だけ変えた新しい協定で効力を出させていくような措置を講じようとするのか、私はこの二つを当面質問しておきたいと思うのですが、いかがでございましょう。
○植弘説明員 いま先生のお話の前段のほうでございますけれども、私どもは法律解釈によって具体の地方団体に混乱を起こさせるというような気持ちはございませんし、先生の御説のように労使関係がうまくいくようにということは願っておるところであります。しかし山口県の照会に対する私のほうの公務員一課長の回答を私も見ております。したがいまして、これは協定そのものを議会に付しということばで、先生は交渉による協定そのものといいますか、形式的にも実質的にもすべての協定そのものの締結に議会の同意が要るというふうにお読みになったようでございますけれども、私どもがこれを「お見込みのとおり。」という答弁を出しましたのは、私、先ほど答弁申し上げましたように、交渉そのものは当事者間で成立しておるわけでありますが、十条によって予算上不可能な協定でございますから、それが地方団体を拘束するかどうかということになってまいりますと、協定の内容を、予算上不可能な内容を審査した上で議会の承認がない限りは地方団体を拘束しない、こういう立場で申し上げただけでございまして、決して労使が対等の立場で行なう団体交渉、それによって結ばれた協約そのものが議会の承認がなければ効力を発しないといったようなつもりでこの「課長が回答したものではございませんので、その点はひとつ先生も御理解いただきたいものだというふうに、まずお願いいたしたいと思います。
○山田(耻)委員 それが第一点。次は……。
○道正説明員 第一点につきましては、協定は効力を発生する由がないということになるわけでございます。 第二点につきましては、今後労使間で話し合いをされまして新たな協定を締結され、議会の承認を求める手続をおとりになるならば、そういう手続を進めていただく。ただ、その場合の効力の発生の時点をいつからにするかということは、新しい協定の内容の問題だろうというふうに思います。
○山田(耻)委員 公務員部長のいまの答弁にしても、道正さんの答弁にしても、非常に形式的な答弁なんです。やっぱりこの争いを起こして、しかもそれが協定そのものを単独で議会にかけてよろしいという認識を地方議会に持たせた、その指導の根源はやっぱり自治省にあったわけですよ。それが今日の混乱を引き起こしてきておるんだけれども、いまの十条二項の解釈に触れておられますので、もう一ぺん私は言っておきますが、十条二項は協定そのものをかけろとは書いてないのです。その協定の事由を付して議会の承認を求める。それはさっきから何べんも言っているように、この協定は資金上予算上、不可能なものという事由が一点あるでしょう。しかし、当該年度は不可能ですけれども、補正予算を組んでもらったら可能です、だから補正予算を出します、こういう可能の態度と二つあるのです。これが付議すべき事由なんです。この事由を承認をしなさい、あるいは不承認をしなさいと法律は書いてある。それを協定をなまで審議しろ、協定を単独で審議しなさいというふうに指導なさった自治省がこの混乱を起こしている。私は申し上げる。公務員部長、それ反対なんですか、私の解釈に。それをひとつ言ってみてください。
○植弘説明員 気持ちとしては、先ほど申し上げましたように、よく先生が地方団体におけるそういった問題を御心配いただいている点については感謝します。私も同感でありますが、この十条二項を分離的に読みますとすれば、なるほど「事由を附し」とはございますけれども、「これを」議会の同意を受けなければいかぬ、「これを」というのは協定そのものでございます。しかし、そうはいいましても、団体交渉によってまとまった協約そのものが議会の承認によらなければならないというふうに私どもは解釈しておりません。しかし、やはり承認を受けるべきものは協定です。十条二項はそうしか読めないと思いますが、いかがでございましょうか。
○山田(耻)委員 道正さん、いかがでございますか。
○道正説明員 十条二項の条文に関する限りは、そういうふうに判断をする以外にないと思います。 ただ、そのことは、事実関係として労働協約が結ばれたという事実まで否定する由もないわけでございまして、効力が生じないと申しますか、拘束力が生じないということになるわけでございます。
○山田(耻)委員 これは、いま学者の中でも議論が二つありまして、あなた方の意見を述べておるのもいますよ。しかし、実際のこの解釈、運用は、私が言うとおりに運用されているんです。その点、行政指導のワクからはみ出して片側の説のほうに寄りかかってもらうと、争いは激化するのです。長い間慣習ができてきてしまったんだから。その慣習を私たちは、決してよこしまな、労働団体が強引につくり上げた慣習とは思っていない。それはこの十条二項をもう一ぺんよく見ていただければ、私の主張もこの中に当てはまるのです。「前項の協定をしたときは、」——「前項」とは「予算上又は資金上、不可能な」という前項、その協定をしたときは、事由を付して議会にその承認を求めなさい。だから議会が不可能であるということをいえば、協定そのものは質的変化を起こす、効力を出させようとすれば。それが過去の公労法なんです。一部延期、四月一日実施が十月一日実施になるという六カ月間の延期措置、こういうふうな措置が過去ずっととられてきたんです。いままでは事由に対して採否を問われているんです。協定そのものの、仲裁裁定否認、仲裁裁定賛成ということをやったことは一ぺんもないんです。ただ、四十九年の国会では、荒れ狂ったあの春闘のさなかで、一日も早く事態を収拾しなくてはならぬということで労働大臣苦労しましたね。だから、仲裁裁定というのはのみますよ、のみますから、皆さん仲裁裁定で折れ合ってくれということで経済閣僚会議できまって、そうして仲裁裁定受諾ということになった。これは裁定そのものの受諾なんです。初めてでしょう。それが全くあの混迷混乱をきわめておる事態に対処すべき賢明な策なんです。これが協定のなま承認なんです。 今日地方自治体に起こっておるようなことは、協定のなま承認ではない。予算を付して、これでやってください。市長も了解をして、水道局長も判を押して、全く円満な労使関係の中でまとまった協定に事由が付されて、それが補正予算です、これでやります、五百九十万の黒字から百七十万だけ出します、累積赤字は一文もない、これでお願いしますと言ったら、そんなものは審議しない、付した事由の承認、不承認、その審議はしない、協定を審議する。協定がぼっと出る、そういうものを審議してよろしい、けってよろしいというふうな十条二項を縦に読んだ自治省の指導が出ておるということは許されぬですよ。それがいたずらに労使関係をますますこわしていくことじゃないですか。だから協定というものは労使信頼の上の貴重な産物なんですよ。それが憲法に定めた団交権なり団結権の証左なんです。憲法が保障しておる。それをこのような取り扱いをしていくということは私はいけないと思う。ますます労使関係を混乱さしていく。 二番目のこの自治省の回答を見ると、今度逆から聞いているのです。「同一議会に、当該協定承認議案及びそのための補正予算案を提出した場合において、当該補正予算案のみを議決し当該協定については、未議決であるときは、当該協定は、同法同項の適用はなくなったとして、当該協定承認議案は、自然消滅」する、これでよろしい。それでよろしいと自治省が出しておる。何ですか、一体これは。この場合にかけておるのは、補正予算で百七十万出ておる。予算はあるのですよ。よろしいと出ておる。この百七十万の金がないとどうしようもない、起債発行するわけにいかぬというような緊迫した状態ではない。この百七十万を削って予備費に入れておる。予備費に入れた予算は通しておいて、この百七十万消えた、これが消えたら自然消滅をするということは正しいかと言ったら、正しいという回答。こういうふうなことをやられていったのでは、私はこれからの地方公営企業なり地方の労働団体を、秩序ある今日の指導の中でしっかりまとめながら労働者の地位を守り育てていくということはできないと思うのです。これは公務員部長、どうなんですか。
○植弘説明員 私どもこれを山口県から受けました感触は、いま協定の事由を付して二項の承認案件出ましたですね。一方で補正予算が出ました場合に、議会の都合で——これは議会がきめることですから、補正予算案をかりに審議いいたしましたといたしまして、それを議決だといたしますと、十条一項にいうところの予算上不可能な協定でなくなるわけです。予算可能になるわけですから、二項によって協定の承認を求める必要がないという意味のことで、お見込みのとおりなんでございます。先生のいまの御意見、私どもと若干違うそういうふうに読めたのでしょうか。私どもは、両方出ておりまして、予算が先に通ったときには、もう不可能な議案でなくて可能な協定になるわけでございますから、それでもう二項のほうの協定の承認という事態は起こらないという意味のお見込みどおりなんでございます。
○山田(耻)委員 法律を表から読むとそのとおりです。私もそういつも見ているのです。ところが協定を否決した防府市議会が、こういうふうな指導をなさった山口県が、あなたのほうに出されてきたこの解釈を求めるこの趣意書が全然まだ事実行為が何も発生していないときに、法律解釈いかがですかと聞かれたのなら、あなたの解釈は私も認めるのですよ。協定を否決し去っておいて、そして十条二項の解釈、これはいいのか悪いのか、こういう聞き方。片一方でこれが消えたから予算も消える、こういう措置。片一方予算百七十万とって予備費に入れておいて、これが消えたから片一方の協定も消えていきますね、こういう聞き方。これは現地の実情をよく把握しないと——ここに二面の質問が出ているんです。それを私は、そういう事態を起こしてはいけないと思ったから、十月九日にあなたにお会いして現地の事情も詳しく話して、正しい法解釈に基づく運用、行政指導をしてほしいとお願いしたわけですよ。そのお願いした私の意思なり、当時のあなたと私との話は一つもあらわれておらぬじゃないですか。全然何の関係も、事件も起こってないときの十条二項の解釈がこれに出されておる。しかも、この事件の起こった当事者県から出ておるのです。それに対してあなた方は表向きの解釈を出されて、わしらの解釈は正しかろうがと言われたのでは私はいけないと言うのです。こういう事件が起きてから起こったこういう質問書なんですから。それをやはり私は、現地の情勢判断を正しく認識して指導してくださいよとあなたに申したわけです。その点が結果としてこうなっていますから、一体これから後にはどうなさるお気持ちなんですか。それをひとつ聞かしてください。
○植弘説明員 先生が私どもへおいでになりまして、いろいろとお話を承りました。その際にはもうすでにこの種の質問がございまして、そこでお見込みのとおりで話をしておりましたのですから、回答の日付がおそくなっておるようでありますけれども、実際はこういう考え方で指導したはずでございます。表向き十条二項の解釈どうだといわれますと、具体の事例の前にそういう解釈を求められますと、私どもはこういう解釈しかないんだということで、とりあえずお答えしたわけであります。したがって、意図的に先生のお話を承ったあとでこれを糊塗するなんて、そういう意図は私ども持っているわけではございません。経過で考えてみましても、先生が私どもへお見えになったときにも、すでに県の地方課長は公務員部からこういう話を聞いておるという話でございまして、そのときにこういう考え方を話しただけでございます。 また、今後につきましては、先ほど労政局長からもお話がございましたように、協定そのものが十条二項による地方議会の予算審議権のたてまえから承認できなかったということになってまいりますと、この協定そのものが十条一項で地方団体を拘束するということにはならないだろうと思います。したがって、新たなる見解としての今後の労使関係をどうしていくかという問題があろうかと思います。
○山田(耻)委員 結局、いまあなた二つ申されたわけですが、この文書は、私が十月九日、あなたにお会いする前に、この趣旨は県の指導で述べておる。これは一般論だと述べておる。しかし、私から事情を聞いて、やはり現実的な指導というものが大事だというふうに当時あなたは私にお約束なさいましたね。そういうことも了解できる、だからこの文書は、私とあなたがお会いする前にもうすでに指導に入っておった中身のものである、こういうふうにお話しなさっておるわけです。しかし日にちが十月十五日になっていますが、自治省でお出しになる文書は日付は関係ない、そんなものは。とにかく、あとから何とかつじつまを合わすためにこの文書をつくったんだというふうな簡単な気持ちで申されておるのじゃないかと思うのです。しかしそういうことはやはり官僚としては私はよくないと思うのですよ。やはり、私たちが何とかして日本の国の中で問題を正確に把握しながら片づけていきたいという努力は一つも効をなさぬことになるんですね。これは厳重に、第一課長に対してはあなたから注意をしておいてほしい。こういうことがいたずらに混乱を起こすことになる。ただ、あなたのおっしゃっていることには、私はそう虚偽はないと思う。私が十月七日に山口県庁に行きましたときには、もうすでにそのことを話していました。統一見解文書があるのかと聞いたら、いま発送中ですと地方課長申しておりましたから、それはあなたがおっしゃっておることも私はほんとうだと思うのです。実際にこの文書を出した十月十五日というのは、第一課長は当時私たちが行って話した実情を全然考慮に入れてない。日付が十五日をさしておるということを考えると、計画的に、意識的に、自治省は地方自治体における労使関係を混乱をさせる意図的なものがあると私は判断します。そういうようなことを国会の中で議論し合うということはほんとうに悲しいことですよ。長い間かかって、ようやくつくり上げていった労使の慣行というものを、こういうものでたたきこわされていったのではかないませんからね。これは厳重に私は注意してもらいたいし、やはり慣行が正しく維持され、そしてより高まっていくように指導なさるのが指導の任にある皆さんたちの役割りじゃないか。 時間がございませんので、ほんとうに恐縮ですが、いろいろと国会の分野でもこれの基本にかかわる問題が特に議論されてきておりまして、今日では基本権の問題をどうするかという対策委員会も進んでおります。その中には当事者能力の問題も出ているのですよ。当事者能力というものと十条二項と十六条とは非常に深い関係があるのです。そういうものは確かに将来に向けて改正していかなくちゃならぬという段階にいま来ておるのですよ。その審議がずっと深まってきつつある。こういうときに、このような事態を引き起こされると、労働者の不信感というものは、まただましやがった、こういう気持ちに発展をしていくことは私は当然だと思います。 だから、将来のことは将来として、ここでのこの協定にかかわるものを解決したいという御答弁がありましたけれども、それは私は困る。十月一日から実施をしていくというこの協定について議会は否認をしたけれども、私たちも県庁を通して指導したいと思いますけれども、自治省は今日一応眠っておるこの協定をどうするのか。予算もあった、補正も組まれておる、水道局も大幅黒字である、こういう事態のこの協定、この協定を何とか生かしてやりませんと、労使間の不信というものはぬぐい去れませんよ。委員長は事故を起こして、もうきょうあすわからぬ重態である。そして水道局長は変なほうの力が入ってきて罷免されるかもしれません。争いは非常に深刻になってきつつあるのです。私は、このような状態を解決していくためには、あの議会で処理された事案を、少なくとも十月一日から行なわれるこの協定を何とか生かしてやれるような方途を行政指導の上で考えていかないと、自治省が出されたこの文書が発端になっておるのですからね。この見解が発端になっておる。予測できない事態を発生させたのですから、どういうふうにしてこの協定を生かすかということを考えてもらわなければ、事態のほんとうの円満解決、労使の信頼をますます高めていくということにはなりませんよ。その点について、労働大臣、一体どうしたらいいと思いますか。特に労働問題ですから、あなたの見解を述べていただきたい。
○長谷川国務大臣 地方の問題で、具体的なことは承知しておりませんでしたが、山田さんが非常に説得力のある、そしてまた非常に建設的な労使関係樹立のために御努力されて、いろいろいままで御手配をお伺いし、そしてまた、その間に私たちが労働省の立場において、先ほどの公労委員の仲裁裁定を国会に承認を求めて、そして労使の関係を円満にしたという御評価などもいただいて、そういう立場からしますと、やはり地公労の関係はなかなか地方においては予算とか、扱いのいろいろな問題等々があって、まだよき慣行が生まれていない。しかもその上に、いろいろな場合に暴力問題なども起こったり何かしますと、ほんとうに労働問題にとってたいへんなことだ、こう私は思いますので、まさにこういうときこそ労使のよき慣行というか、信頼を裏切らぬような努力というものが一そう望ましい。だんだん私お話を聞いておる間に公務員部長の話等々もわかりましたし、私はそういう方向に向かうすべが出てくるのじゃなかろうかということを期待しているものであります。
○山田(耻)委員 公務員部長に最後にお答えいただきたいのですが、いまの大臣のおっしゃったような趣旨を体して、この労使問題についてはこれから行政指導をしていただくということと、それから、私が一応現地にいるものですから、この問題のこれからの解決策について具体的に行政指導を求める相談に乗っていただけるかどうか、その二点をお聞かせいただきたいと思います。
○植弘説明員 地方団体といえども、労使関係において正常な形で運営されるということにつきましては、先生なり先ほど大臣からお答えしたとおりに、私どもとしてもそうあるべきものだと思っております。いままでも基本的にはそういう立場で行政指導もやってきたつもりでおります。 ただ、この問題につきましては、すでにもう防府市の市議会が一つの判断を出しております。市議会といいますと、やはり住民から選ばれた代表でございますし、そういった権威のある議会でございますから、十分そこらの意図、状況、こういったものもよく現地に徴したりいたしまして判断をしなければならない問題もあろうかと思います。先生のほうからいろいろとこの問題解決について御相談といいますかお話がございますれば、私どもとしてもそのお話には応ずる必要があるだろう、このように思います。
○山田(耻)委員 ありがとうございました。以上で終わります。
○野原委員長 島本虎三君。
○島本委員 私の場合は、前回大臣から貴重な答弁がありました職業病の問題ことに頸肩腕症候群、それと模写伝送機受電に際して塩化ビニールから塩化水素を発生する、これに対する危害を及ぼした問題それからアルキルナフタリンがPCBの代行として使われたそれ以後の問題、それから失対問題、こういうようなことについて前回伺いましたが、それについての三つぐらいはっきり大臣にいま確認しなければならないことがございますので、その確認を先にさしていただきたい、こう思うのであります。 〔委員長退席、葉梨委員長代理着席〕 大臣は前回——この前回は九月十日午前十時三十分からの社労委員会です。そこで、基準法から安全衛生関係法が独立したのが四十七年、いままでの抽象的な文言から具体的措置に変わった。常に職場環境は良好でなければならないという前提のもとに、労働安全衛生の配慮、これを十分考えて今度行なうようにしたということ。それで、大臣のほうでは、労働省の行政はいろいろあるけれども、労働安全の問題については最重点の労働行政として取り上げていくつもりである、こういうようにはっきり答弁なさいましたが、その点においてはもちろん修正はあり得ないと思いますが、それはもちろんでございますね、もう一回それを確認しておきたいのです。
○長谷川国務大臣 そのとおりでございます。
○島本委員 当時郵政省のほうでは、三ツ林政務次官が、安全、人身に関する問題については、御指摘のとおり細心の注意を払っているところであります、こういうふうな答弁をなさいましたが、これも郵政省は、政務次官が言ったその趣旨に沿って行政を指導されておられるんじゃないかと思いますが、それは間違いございませんね。
○佐野説明員 そのとおりです。
○島本委員 労働省の中西労働基準局安全衛生部長のほうではこの問題については「今後郵政省等と連携を保ちまして、至急その実態を明らかにいたしたいと考えておるところでございます。」こういうようにはっきり答弁なさいましたが、連携、指導、これは十分行ないましたかどうか、中西部長に……。
○中西説明員 努力いたしております。
○島本委員 これも最後に大臣に確認なんです。 これは大臣としてもその最後に、私のほうから、大臣は研究するとおっしゃったのですが、いまから研究するのじゃおそい、「新しいものにかえなければならない、かえるまではとめなければならないということなんです。人命尊重という立場から、人に被害を与えないようにこれを指導しなければならないということなんです。」こういうふうに言ったら、大臣も「お答えします。あなたのおっしゃるような意味での研究でございます。」とこういうふうにおっしゃっているのですが、この点においても大臣としては、十分この点は確認の上で指導なすっておられると思うのですが、これも間違いございませんね。
○長谷川国務大臣 前回の委員会で先生からそういう御指摘がありましたから、私はさっそく九月十九日に郵政省及び日本電信電話公社に対して、模写伝送機配備数、関係労働者数、放電中発散するガスの種類とその濃度などについて調査するように指示し、それぞれ当局はやっているわけであります。
○島本委員 大臣、一時からの約束で、あとでまたあなたが来たときに……。 それじゃ郵政省にお伺いしたいのですが、ちょうど大臣がいま確認し、郵政省がはっきり指導の基本を示したのが十日でありますが、翌十一日に——四国郵政局人事部管理課、労働速報一三三、四十九年九月十二日付「社労委で有害と認めたとして模写電送記録紙の取扱中止申入れ。省側拒否」についての速報であります。これは十分本省のほうにも通じての示達ですか、それとも下部のゲリラ行動ですか。これはもう存じておりますか、おりませんか、郵政省。
○仲松説明員 お答え申し上げます。 この労働速報というのは、各郵政局が、その管内の労使関係の情報を整理して、その管内の各郵便局へ情報を与えている性質のものでありまして、これは通達とかそういうものではございません。したがいまして、これはつい最近になって本省には報告ということで来ております。
○島本委員 じゃ、この内容については、十分に本省のほうからの指示に基づいて発せられた労働速報ですか、それとも本省の意向に関係なしにやられたことですか、それを聞いているのです。
○仲松説明員 この内容につきましては、本省とは全然打ち合わせしておりません。
○島本委員 本省はこの内容についてどう思いますか。
○仲松説明員 あとで郵政局のこの表現についての意図するところを照会したわけですが、四国郵政局の労働速報に掲載されたこの記事は、労使の関係で表現をめぐりましてトラブルがあったわけでございます。 郵政局では、この記事の趣旨は、国会で論議があったことは聞いているが、その詳細な内容についてはまだ何も本省から指導はない。したがって、現段階で郵便局段階で取り扱いを拒否するというような行動に出るということのないようにということを四国地本に申し入れましたということを簡潔に書いたわけでございます。ただ、表現が舌足らずで十分意を尽くさなかった点があろうかと思いまして、本省としては、誤解を招くことのないように、特に国会軽視だとか人命軽視だとか、そういったことを誤解されるような表現は避けたほうがいいというふうに思っておる次第であります。
○島本委員 十日に、この問題に対してこの場所で、郵政省を代表してはっきりと政務次官が、労働大臣と一緒に、重要な問題であるから今後の指導は的確を期する旨の、これは貴重な発言もあるのです。 次の日に至って、これはどのような審議をされたか不明であるが、事務取り扱い方法はあくまでも郵政局からの通達により取り扱うべきものである。そしてこの記録紙の問題でも、本省と組合本部との間で話し合ってきたものであり、これは下部段階で話し合うべき問題ではない。そして、職員が内外務ともに拒否した場合は、業務命令を発出すること、配達にあたって袋に入れてはならない。業務命令拒否者については、その状況を記録するとともに、郵政局労務連絡官に直ちに報告すること。国会審議と行政とは区別されるべきものであり、かりに労使間で話し合うことになったとしても、中央段階から話し合っていくべき問題である、今回の両支部の要求には全く応じるわけにいかない、下部指導をされたい。こういうようなことが要旨であります。これは全面的に舌足らずだ、こういうようなことなのでありますけれども、労働省、これを聞いてどう思いますか。 この場合には、重大な問題であり、人命や健康にかえられない問題である。それが粗略になったから、この労働安全関係を全部別法に仕立てたんだ。したがって、毒性のガスを吸入して被害者が出ている以上、今度は労政局長、生産点で働く労働者として、生命を守る立場から安心して働きたい、こういうように思うのは当然だと思うのです。法のたてまえ上、これを守るのも当然なんです。毒性ガスを毎日吸入させられたり、命と健康について危険な状態にさらされている当事者から、命にかかわりますからというこの要求をもって支部折衝を申し入れた、それについてこれを拒否する。私はちょっとおかしいんじゃないかと思うのですが、拒否するのが当然だと言っている。労政局長、これは当然ですか。あなたもまたなめられているんだ。
○道正説明員 内容の問題の前に、団交の対象事項はいっぱいあるわけでございますが、そのどれをどの段階での交渉事項にするかということは、労働協約の基本にかかわる問題でございまして、その事項が当該段階での団交事項であるならば、これは団体交渉の対象事項になるということは明らかだと思います。
○島本委員 全逓と郵政省においては、この「団体交渉の方式及び手続に関する協約」というものを締結してありますね、郵政省。それによって交渉の場は、中央交渉は本省と本部、地方交渉これは郵政局と地方本部、それから支部交渉は局所とこれに対応する支部、こういうようになっていると思うのですが、こうなっていませんか。
○仲松説明員 団交に関する協約は、先生のおっしゃるとおりでございます。
○島本委員 そういうふうになっておるのです。なっておっても、これはもう明らかな人命、健康に関する事態である、問題である、こういうようなことで支部のほうから交渉の申し入れがあった、それを拒否した、このことは妥当でしょうか。こういうような協約もあるのです。労政局長は、フランクな立場で、どう思いますか。
○道正説明員 私もただいま先生から初めて伺ったのでございまして、その具体的な事例について考えを申し上げることは遠慮させていただきたいと思いますけれども、各段階ごとに団交の対象事項というのはきまっておるわけでございますから、その具体的にきめられている団交事項であるならば、これは団交の対象になるというように思います。
○島本委員 これは当然過ぎるほど常識なんです。もしこれを軽視したり、これに応じなかったりすることは、当然憲法の二十八条の団交権の否認でしょう、郵政省さん。それから労働組合法第七条二号の団交応諾義務、これにも違反します。それと労働問題の労働安全衛生法第三条第一項の労働者の安全と健康確保に違反した行為である。これはちょっとおかしいですよ。こういうようなことを平気で労働速報に載せてやってある。そして、支部のほうが不当な申し入れを行なっているような書き方で言ってあるわけですね。ちょっとおかしいじゃありませんか。憲法にも、各関係法にも違反した行為です。労働省のほうでは——ちゃんとこのとおり本省、本部間に協定がある、協定に従って支部段階は支部段階の問題としてこれを取り上げた。扱う生産点における健康上の問題ですから、それを取り上げたら、それを拒否された。こういうようなことはあっていいものでしょうか。常識でどうです。そんなことはあり得ないと言う。郵政省のほうではこれをやった。これは一体どうなんですか。
○仲松説明員 先生のいまの御指摘の四国の問題ですが、これは二つ問題点があろうかと思います。 まず第一点は、九月十日、当日だったと思いますが、社労の委員会でこの問題で先生から御指摘があって、いろいろなやりとりがあった。その同じ日に現場段階では実はこれは承知していなかったわけです。郵政局も承知しておりません。したがってこれは人命軽視だとかあるいは国会軽視というものではなくて、むしろ郵政局が情報のないままに現地のトラブルを何とかおさめようという挙に出たのじゃないかと思います。 第二点は、団交拒否と申されますけれども、この問題につきましては、これはかりに、郵政省として全国的な問題でございますから、一つの方針が出て下のほうへ流れていった段階ではいろいろ話し合いができると思います。しかしこのケースの場合は、郵政局としても、どの郵便局がこういったものを一つ一つ取りかえていく、あるいは取り扱いを拒否されるということになってはならぬということで、むしろこういう種類のものは本省、本部間で全国的なものとして話し合うべきものであるというふうに考えたのじゃないかと思います。
○島本委員 本省、本部間——本部のほうではこれは現地においてやりなさいと指示を流してあるのです。それもまた少し違ってきておる。ことにいまのようにして国会でどのような審議がなされたか詳細不明である。なぜ電話で聞かないのですか。なぜそれをやらないのですか。組合のほうがわかっておって、郵政局のほうがわからない。こんなちぐはぐなことがありますか。その郵政局のほうが指導性を持っている。そして指導している。じゃ、わからなくて指導するのですか。わかっている人をわからない人が指導するのですか。ちょっとおかしいじゃありませんか。こんなことがあってはいけないです。どうして、これはどういうふうなのがあったかと本省のほうに聞けないのですか。聞かなくてもいいことになっているのですか。当日じゃありませんよ。これは次の日ですよ。いまあなたは当日とおっしゃいましたが、次の日ですよ。組合のほうがわかっていて郵政局がわからない。わからなければ、なぜ電話で聞かないのですか。そのために電話があるのじゃないですか。いまダイヤルでもってかけたら何秒でかかりますか。こういうような労苦もあなたたちは惜しいのですか。それで指導の役目を果たせるのですか。これはおかしい。十日と言ったのは間違いありませんか。
○仲松説明員 機械を「即時、取扱いを中止し、手書きに切替えよ」という申し入れがあったのが十日でございます。それで郵政局が指導したのは十一日でございます。失礼しました。
○島本委員 どうもそれにしても国会審議の状態を組合のほうが知っていて、郵政局のほうが知らない、そんなとんまな話がありますか。そしてこれはもう当然郵政局のほうでは本省に聞くべきです。それもやっていない。そして知らない郵政局の通達を順守せい、これを押しつけている。主客転倒じゃありませんか。逆転じゃありませんか。国権の最高機関である国会よりも郵政局の指示のほうが優先するという内容じゃありませんか。委員長、こんなばかなことをやっているのです。国会においてどんな審議をされようと全く無関係である、そして労働者の安全について全然考慮を払わないで郵政局の権威を前面に出してこれを固執する、これが郵政省という国家機関がとるべき態度ですか。国会のほうは国権の最高機関でありませんか。この点についてどう考えましょうか。これは労政局長に。
○道正説明員 国権の最高機関で、国会のことはもう御指摘のとおりでございます。また連絡に粗漏があってはいかぬということも御指摘のとおりだと思います。郵政関係の労使関係、非常に全体としてはいい方向に向かっていると私ども考えておりますが、さらに中央、地方の労務関係の担当者の方がきめのこまかい配慮をなさいまして、労使関係が円満にいくように一そうの努力をしていただくことをわれわれとしても心から期待をしたいと思います。
○島本委員 労働省としてそういうようなことを指導しないといけないのじゃないですか。まだ依然としてこういうようなへまな指導が行なわれておるんです。これはやはり組合と本省間で話し合う問題であるということをここで郵政局が指摘していますね。確かに抜本的な解決については、全国的な問題ですから本省、本部間でこれは交渉するということは当然です。あたりまえなんです。しかし、現場においての当事者の意見、これを一方的に封ずるということは、これは態度としてよろしくない、生産点に働く人ですからね。それをもう意見を聞かないで上ばかりでやるから郵政省の指導はおかしくなるのですよ。当事者抜きに問題が解決することは考えられないでしょう。したがって、下部で問題点を十分に煮詰めて、そして中央で抜本的に解決を促進する、これが一つの順序じゃありませんか。生産点にある人たちが何も知らないで上だけでやる、こんなむちゃなことはございません。生産点では団交権があるんですから、支部段階で煮詰めてそれを中央へやって抜本的に改正する、当然じゃありませんか。それをなぜそうさせないのですか。支部のものを拒否するんですか。こういうおかしいところがある。これは当面の緊急な安全対策ですよ。この当面の緊急な安全対策はお互いに誠意をもって話し合うのが当然の道だと思います。そうじゃないですか。私の言うのが間違っていたら郵政省、指導してください。
○仲松説明員 先生のおっしゃるのはそのとおりでございまして、ところがこのケースの場合は、やはり支部段階の当局側としましては、機械を入れかえるとかあるいは取り扱いを中止するということになりますと予算を伴いますし、そういったことであるいはこれは本省、本部からというふうに考えたんじゃないかと思います。
○島本委員 思います——、これは人ごとじゃないですよ。あなたのことなんです。それじゃ労使の関係なんかよくなりませんよ。これは道正さん、どうしようもないですよ。こういうような人ごとのように考えている。いままで何か一回でも、要求しても取り扱いを拒否したなんということがあったんですか。
○守住説明員 お答えを申し上げます。 過去にはそこまでの事態に立ち至ったことはございません。申し入れ等はございました。
○島本委員 過去には一回も、この問題で要求はしても取り扱いを拒否したことはないんであります。そうしてこの安全対策の話し合い、話し合いたいという申し入れでありますね、当面の安全対策に対して話し合いたいという申し入れを拒否して、一切の安全対策についてはもう取り扱いを放置している。そうして今度は何だというのですか。「職員が取扱いを拒否した場合は、業務命令を発出すること。また、配達にあたり袋に封入してはならない。」一体これはどういうことですか。過去に一回も拒否したことがないのに、拒否した場合には業務命令を発せい、これは挑戦ではありませんか。こういうようなことを挑戦というのですよ。過去何回もあったというなら、それはそれを予想してこういうようなものを出すことは私としても了解できますが、一回も拒否したことがない。それなのに、この問題は国会で、重要な問題であってこの問題だけは率先して実行する、大臣も郵政政務次官も言っている。その問題に対して、拒否した場合にはもう業務命令を発せい。一回も拒否したことがない、それに対してこんなことを言っている。命にかかわるような問題で、業務命令を発出せい、処分せい、こういうようなことでどうかつする。これは労働者を人間と認めての行動じゃないです。これが官というものの一つのやり方なんですか。官はそんなにえらいのですか。それじゃ木へんの棺じゃありませんか。とんでもないことです。こういうようなことが平気で行なわれているのです。 もう少しこの内容について。だいぶよくなったと言いながらも、依然としてこれが当面の重要な問題であるとか安全衛生の問題、職業病の問題でもある。これは労働省としては指導の怠慢だと思いませんか。労働行政全体に対してもう少し道正局長は権威を持って指導すべきじゃありませんか。いままでしていましたか。していないからこんなことをやる。どうしようもないなんて言われません。もう少し決意をはっきりさしてください。
○道正説明員 私は、三公社五現業等の労使関係が円満にいき、いやが上にも改善されることを願う気持ちにおきまして人後に落ちないつもりでございます。今後とも、先生の御指摘のございましたような問題を含めまして、郵政関係の労使に、側面からではございますけれども、私としてできることはやってまいりたいというふうに思います。
○島本委員 こういうような点で、私見ると、どうも一つ一つさか立ちしているような気がするのです。形式的だと思う。 一つ一つの指摘はこれが最後になるのですが、この「国会審議と行政とは区別されるべきものであり、かりに労使間で話し合うことになったとしても、中央段階から話合っていくべき問題である。今回の両支部の要求には、全く応じるわけにはいかない。下部指導されたい。」下部指導されたい、労働組合を指導しなさい。わからない人が下部指導されたいなんと言っているのです、知らないで。これはナンセンスじゃありませんか。国家の一機関である郵政省のとるべき姿勢ではないでしょう。まして国会でやる場合には真剣になってやっている。国権の最高機関ですよ。これをもう何も関係なしに、区別されるべきものである、これだけ前面に出して、そしてその内容を無視しようとしている。国会を軽視したり冒涜したりしている。これはもう郵政省の下部機関の姿が浮き彫りにされているようです。こういうような一つ一つの指導は、ちょっと私としては許されないと思うのです。 次の「労使間で話し合うことになったとしても、中央段階から話し合っていくべき問題である。」前に言ったことと逆行でしょう、これは。生産点に実際にある人が実際こういう問題がある、問題はここだということをはっきりさして煮詰めてから、中央がそれに対して大局的見地から結論を出せばいい。何でもかんでも中央、こういうように考えるのが間違っているのです。「下部指導されたい。」というのは、郵政省として労働組合を下部指導せいなんというのは、これは不当介入じゃないですか。労組法第七条三項に該当する不当労働行為、こういうようなことになるおそれはないですか、道正さん。
○道正説明員 いま御指摘の文書を私はまだ詳細に拝見しておりません。拝見さしていただいた上法律の問題を判断さしていただきたいと思います。
○島本委員 その文書はこれですからよく見ておいてください。 そしてこれで問題になっておるのは、前回からここで取り上げられました模写伝送機の受電に使用している用紙の塩化ビニールから塩化水素それからホスゲン、こういうようなものが発生する、こういうようなことで気管支や肺を侵され、それが鳥取日赤病院の診断書がつけられ、そして鳥取大学医学部で疫学的に調査を終了した、この段階から問題になったのです。ところがこの問題については基本的に誤りではない、基本的に正しい、模写伝送機の問題で支部交渉に応じない、本省から指示があるから支部交渉や話し合いには応じない。本省ではこういうふうに応じるななんてことを言ってあったのですか。
○仲松説明員 郵政局から何の連絡も受けておりませんので、そういう指示はしておりません。
○島本委員 これは四国郵政局岩田人事部長が十月一日高松へ来て組合関係者と話し合った際にはっきり言っております。もしそうだとするならば、どっちがうそかはっきりさしてもらいたい。これは調べてそうして報告してください。これは問題です。 それから模写伝送機の受電に使用している用紙の問題、前に一つ例をあげましたが、その後例は全然ないのですか。
○守住説明員 郵便局の中に置かれております模写伝送機については例は聞いておりません。
○島本委員 じゃ私から申し上げます。 高松市で請負人、名前は申し上げません、二畳半のところに模写伝送機を入れているところで換気扇を入れた。換気扇はまっ黒になってそしてそれをやった人は、請負人は意識不明になって倒れ、入院して翌朝気がついた。これは発生した塩化水素ガスによるもの、こう推定される。高松市でこういう事件があったことを御存じですか。
○守住説明員 聞いておりませんが、郵便局の場合は郵便局の中に模写伝送機を置いておりますので、請負人は、夜間上位局集中の場合夜郵便局へ出かけてくるわけであります。昼間は職員がそれを利用する、こういう形になっておりまして、もし請負人の自宅だといたしますと公社の請負人のほうの関係ではなかろうかと思うわけでございます。
○島本委員 公社のほうでこういうような事態が高松市であったということを御存じですか。
○小畑説明員 お答えいたします。 いまだそういうことを全然聞いておりません。
○島本委員 ないというのですか。
○小畑説明員 聞いておりません。
○島本委員 じゃ、これを調べておいてください。そしてこれをすぐ報告してください。これはひとつはっきり、私の手元にありますから。
○小畑説明員 ただいまの高松の件、さっそく調査いたしまして御報告いたします。 〔葉梨委員長代理退席、斉藤(滋)委員長代理着 席〕
○島本委員 そのほかになお岩田人事部長に対しては——何か高松市内で巡回予備定員の中島敬子さんという人、これは妊娠してまでもいろいろ仕事をさせられ切迫流産と診断された。そしてそれが診断書の問題でトラブルを起こして、そしていろいろの問題についてまた組合折衝になったということを聞いているのですが、これも岩田人事部長の強制命令だ。この中島敬子さんのこの問題について、どういうことなんですか。
○仲松説明員 お答え申し上げます。 ただいまの先生の御指摘の件は初めて承るわけで、内容を承知しておりません。
○島本委員 この問題について初めてだと言いながらも、こういう問題があったから支部交渉を申し出たらこれを拒否されているのです。そういうことを岩田人事部長が指導しているのです。だからいけないというのです。まだこういう官がえらいというような一枚看板があるじゃありませんか。官ばかりえらいというのはそれはだめですよ。これも調査してください。もしだめならここに資料がありますからこれを見てください。これが団体交渉の中心になってやっている。これを拒否されたのです。そして申し出た婦人部長と組合責任者は暴力行為、こういうようなことで労務速報に流されているじゃありませんか。本末転倒ですよ。何を指導しているのですか、あなたたちは。考えなさい、もう少し。これも詳細に調査して知らしてください。
○仲松説明員 調査いたして御報告申し上げます。
○島本委員 じゃ次に頸肩腕症候群の問題についてちょっとお伺いしたいと思うのであります。これは労働省——ちょっと頸肩腕症候群の前に、電電公社でもVF4、5またはVF9、この用紙の安全性については十分検討されたと思うのです。VF4あるいは5あるいはVF9、この安全性の分析はどこのデーターによっておりますか。電電公社。
○小西説明員 お答え申し上げます。 労働科学研究所の四十四年七月の分析データーを根拠にいたしております。
○島本委員 四十何年ですか。
○小西説明員 四十四年七月でございます。
○島本委員 そのほかはありませんか。
○小西説明員 そのほかには外国文献が二件、それから国内の塩化ビニール協会技術委員会の資料が一件でございます。
○島本委員 すべて外国文献、アメリカからの文献によってやっているようであります。これは外国文献としては二、三ございますが、「むつ」の問題でも外国文献によって全部アメリカで安全だといって、あれがああいうふうな状態になったのです。これも外国文献が主です。こういうようなことではまだ安全性がはっきりしたと自信を持って言うことにはならないじゃありませんか。四十四年、その後いろいろな情勢の変化があります。もう少しこれは的確に、働く人の健康と命のために検査すべきだ、調査すべきだ、こう思うのであります。調査資料が古過ぎる、これはどうですか。
○小西説明員 この労働科学研究所におきます実験データにつきましては、前回の委員会で先生御指摘のように濃度分布とか部屋の広さとか、われわれとしてその結果の評価に反省の余地があるように私感じております。一方ポリ塩化ビニールを酢酸ビニールにかえまして新しい用紙の開発を進めておりますが、この分析を同じ労働科学研究所に依頼をいたしておりまして、先ほど先生御指摘のような点にも十分細心の注意を払って、この分析結果を、大体十一月中には出る予定でございますが、われわれ待っておる状況でございます。
○島本委員 この資料そのもの、これはもう今後的確な資料にして、その上に立って運営する、これはいいのですが、ただ現在はその濃度その他においても与えられた許容限度以下であるからよろしい、こういうようなことをしても、これはいろいろな点から公害その他の点で蓄積公害というのがあるわけです。また相乗作用というのもあるわけであります。そういう点からして、四十四年七月の分析データ、それはもう五年もたっていますから、もう少しこの相乗作用や身体に蓄積された場合、こういうようなことを考えて、もう少し的確にして、危険でないようにすべきである、こういうように思うのです。それと同時に、国家機関として認定した権威あるものにしてほしい、こう思うのですが、その努力について、いたしますか、いたしませんか。
○小西説明員 ただいま先生御指摘の蓄積効果であるとか相乗効果であるとか、こういうデータにつきましては非常に検証が困難であるかと私考えます。それで、先ほど御説明いたしましたように、ポリ塩化ビニールを酢酸ビニールにかえた新しい用紙を早急に開発いたしまして、これに切りかえるということが最善の策ではないかというふうに考えております。
○島本委員 長い間使うことによってこれが蓄積する場合、こういうようなことは当然あるのがいまの公害の実態なんですが、環境庁としてこういうような問題考えなくてもいいとお考えですか。
○橋本説明員 いま先生の御指摘のございました物質については、私どもまだ環境庁として直接に取り組んでおりませんが、御指摘の慢性毒性の問題等は相当年月がかかります。環境庁といたしましては、毒性の問題は労働省と厚生省が扱うといたしまして、特に四十九年度から動き出しました化学物質の規制法によりまして厚生省の責任とされておりますが、私どもは環境毒性のほうから取り組んでおります。しかし、御指摘のような問題は当然必要な問題であるというぐあいに考えております。
○島本委員 したがってもう少しこの点は的確に調査されたほうがいいのであります。ことにアルキルナフタリン、この問題については皆さん御存じのようにPCBにかわるものだとして、これは安全性の点からして取り上げられたんです。しかしながらこれは慢性毒性の問題や亜急性の毒性試験、こういうものをやったと称しながらも、発ガン性試験はやってないのです。催奇形性試験もやってないのです。相乗作用についても、これはやってないです。ただ分解性が高いからよろしい、これだけなんです。はたして分解されて何になるのか、この研究もしてないのです。そしてこれはメーカーの試験によるわけなんです。そういうようなことであるから、この問題に対してはもっともっと研究した結果でないと、これは使用されないほうがいいんじゃないか、こういうことなんです。郵政省では、この問題に対しては用紙の使用等は問題があるとして中止しているようですが、電電公社はこれはもう使っているようであります。労働省もこの問題等については使っているようでありますが、労働省自身どう考えておりますか。公社自身どうなんでしょうか。——答えはないようであります。これは第二のAF2であるとかPCB、これになってはいけないから、いまのうちにはっきり手を打ちなさいと言っているのです。 労働省についても、この問題労働省自身がこれを使用するなんていうことはナンセンスです。同時に公社自身はこの点十分考えて対処しなければならないと思うのです。依然としてこの問題に対しては公社は使っているように聞いているのですが、どうなんでしょうか。
○小西説明員 郵政省の先例にならいまして、昨年の末から一部通信局で切りかえを使用頻度の高いところから逐次早急に始めております。全通信局管内切りかえの終わりましたところもございますが、まだ完全には進んでおりません。あと精力的にこの切りかえを進めていく予定でございます。
○島本委員 こういうようなアルキルナフタリンの問題についてはまだまだ問題が残っております。 それからVF4あるいはVF5またはVF9、この用紙の安全性について十分考えている、こういうふうに存じておりましたが、この調査の方法とデータ、もう少し権威あるものにしてほしい。十分公社としてはこれに予算を組んで対処してございますか。
○小畑説明員 お答えいたします。 いまの紙の問題その他につきましては、今後とも十分調査していきたい、こういうふうに思っております。
○島本委員 今後とも調査では実際はおそいのであります。しかしおそくとも調査するということで、急いでやっておいてもらいたいと思います。 それで次は頸肩腕症候群、頸肩腕症候群のことで電電公社もこれに対処されているようであります。いろいろ労働省との関連性においてこれから伺っていかなければなりません。 大体電電公社のいままでの頸肩腕症候群の患者数二千八百七十二名、そして精密検診を実施した状況は六百十三、そして業務内外この認定数が四百三、こういうようなことになっているようでありますが、これはもっと的確にして認定を早める必要があると思うのです。この点公社としては何か措置上において早く認定できないような隘路があるのですか。現在それに対して何ら危惧はないのですか。
○小沢説明員 ただいま先生の御指摘の数字は本年九月末の数字でございまして、そのとおりでございます。いま九月末で業務災害として頸肩腕症候群を認定してほしいという申請の出ております件数が六百十三件でございまして、これに対しまして認定を済ました数字が四百三件でございます。 本年の三月八日の衆議院の予算第五分科会におきまして島本先、生からこの認定の御質問がございました際は、二月末で認定済みの件数が二十件でございました。これを急ぐようにという御指摘がございまして、鋭意これを促進いたしまして六百十三件の認定申請に対して四百三件という認定を終了したわけでございますが、お尋ねの認定にあたっての隘路というような問題は特にございません。六百十三件に対して労災病院等で詳細な資料をちょうだいいたしまして、その資料が電電公社に到達したものから逐次認定作業を進めておりますので、その間の作業は現在のところおおむね順調に進んでおります。
○島本委員 国会速記者、現在一生懸命やっておられます速記者、この頸肩腕症候群の申し出が十五名、十五名は全部認定されております。電電公社は数が多いのでありますが、率からすると国会より少しおそいようであります。この点等について電電公社は労働省へ意見の進達、こういうようなことに対して再々行なっていると思うのですが、それは何回くらいいままで行なっておりますか。
○小沢説明員 本年中に十二回行なっております。
○島本委員 十二回行なっているようでありますが、まあそのとおりであります。それに対して結論というかはっきりした認定に対しての一つの方法が確立されたんですか、それともまだ残されている問題があるのですか。
○小沢説明員 御承知の基発第七百二十三号が基準通達でございまして、これをもとにいたしましていろいろと労働省の御指導をいただきながら認定を行なっているわけでございますが、われわれのほうではおおむね労働省が非常に適切な御指導をそのつどしていただいておりますので、作業にはいまのところ支障というものを感じておりませんが、ただ全電通労働組合のほうでは私どものほうへ最近申し出ておりますのは、この基発第七百二十三号の基準の中で、他に発症原因のあるものは業務上というに当たらないということに対して、これは責任回避だ、疑いのあるものも含めて認定すべきであるという要求を最近出してきております。
○島本委員 私も全電通中央本部がいっていたそれは、疑わしきは救済せよ、こういうような原理からして当然だと思います。 それで労働省、昭格四十八年二月二十七日の七十一国会社会労働委員会で——三月の二十九日に設置されたこの頸肩腕症候群にかかわる職業病認定基準の検討のために専門家会議、これが開かれて、そしてもう検討事項は終了した、こういうようなことさえ聞いているのでありますけれども、この結果について労働省に何か提出されておりますか。
○東村説明員 ただいま御指摘ございましたように、頸肩腕症候群の業務上外の認定の基準の問題につきましては、昨年三月に専門家会議を設置いたしまして、その後検討を進めてまいりました。十三回ばかり検討をしております。その際、この疾病については医学的に不解明の分野が多いむずかしい問題であるということで小委員会を設置しまして問題点を検討し、本年五月にその検討結果を専門家会議の全体会議に報告いたしました。それがいま先生御指摘のところだと思うのですが、実はその際いろいろ御議論ございまして結論が出なかったわけでございまして、再度小委員会を開いて検討することになりまして、この小委員会での検討も間もなく終わるということでございまして、大体十二月初めぐらいになるかしれませんが、近く全体会議を開いて締めくくりの方向で持っていきたい、そういう経過になっております。
○島本委員 そうすると、労働省で今後のこの基発七百二十三号などの改定作業、こういうようなものについての関連が当然出るんじゃないか、こういうふうに思います。そして労働基準法施行規則第三十五条、そのうち第十三、これが問題になっている個所であります。この中に「電信手」というものがあるのですが、いまはもう非現行的なもの、したがってタイピストはろよしい。「筆耕手等の手指の痙撃及び書痙」当然これは電信手があるならば、古いからこれに交換手その他適当なものを入れたらどうだ、こういうようなことを前から言われておりましたね。ところがそれがはっきり入っていないために「その他業務に起因することの明かな疾病」こういうようなことになり、いろいろな認定上において差異が生じてくる。これも労使の間の一つのトラブルのもとだった。したがって労働省のほうでは、今後この専門委員会で検討を終了し労働省に提出されている、こういうようなことからして、早く結論を出して、そしてこの改定作業の日程等も、それもいつこれをやるんだ、何をやるんだ、第何項をどうするんだ、この辺まできちっとすべきである、またしなければならない、こう思うのでありますが、ひとつこの点についてどの辺まで労働省は考えているのか、現行でいいのか、もっといま指摘したとおりこの辺まで考えていなさるのか、ひとつこの辺ではっきりしようじゃありませんか。
○東村説明員 ただいま私申し上げました認定基準の改定作業その他、それはいま先生御指摘の三十五条の三十八号の「その他」というようなかっこうで進めているわけでございます。 ところでこの三十五条そのものにはいろいろ職業病その他列記されておりますが、その問題全体についてということも実は考えられておるわけです。たとえばいま先生おっしゃいました非常に古い名前だとかあるいは古い病名だとかいろいろございます。そこで、かたがた新物質による中毒や機械化の進展に伴う健康障害、出てまいりましたので、これらの現状に対応させるためにただいま御指摘の頸肩腕症候群を含めて労働基準法施行規則三十五条そのものを見直したいということで専門家の御意見を聞いているところでございます。 なおちょっと申し添えますと、この検討にあたりましては、労働基準法施行規則三十五条という規定そのものが作業の種類とか作業の場所、取り扱いの物質、こういうものを要素にいたしまして整理されているものでございますが、はたしてこのような整理のしかたが妥当かどうか、また問題の頸肩腕症候群のような業務以外の原因によっても発症する可能性のある疾病については、これを法令の上であるいは規則の上でどのように規定したらよいかというような困難な問題がございまして、これらをあわせてこの三十五条の見直しを進めてまいりたい、このように考えております。
○島本委員 わかりました。わかったんです。 このうちで、いま言ったようなこの早い時期にいまのような考え方をまとめて、まとまったものを中間点でもいいからこれを資料として提示できないだろうか。われわれ自身も検討してみたい。 それと同時に労働基準法施行規則三十五条の関係で、頸肩腕症候群即職業病、すなわち業務外と反証されない限り認定すべきだ。公害対策その他環境破壊、こういうような面ではもうすでにそれが先行しているわけです。もう職業病の問題でもその辺まで労働省踏み切って指導されてもいいのじゃないか、こう思うのですがどうですかね。
○東村説明員 先生御承知のように非災害性の疾病でございまして、なかなかむずかしい問題もはらんでおります。したがいまして、業務上の認定などに困難をするわけでございますが、そういうことを考慮いたしまして認定の基準等におきましてはなるべく問題がないようにひとつ改定をしていこう、そういうふうに考えております。
○島本委員 初めからそういうような意図でこれはつくられたのですが、もう三十五条は時世に合わなくなったのです。ですからもうそれをいまの時世にきちっと合わせ、論理的に矛盾を感じないようにするためには、頸肩腕症候群即職業病、すなわち業務外と反証されない限り認定すべきだ、これが一番早いじゃないですか。何よりも先に救済が先です。そういうようなことからして、その辺まで考えてほしい、こういうようなことであります。いずれまた私のほうとしてもこの問題に対して重大な意見を提起したい、こう思う次第であります。こういうような点は放置できません。したがって、早くこの頸肩腕症候群に関する専門家会議、小委員会、これらをまとめて、法の抜本的改正、改正というか修正ですね。こういうふうなものに対して指針を明らかにしてもらいたい。その間一電電公社としても起きた事象に対しての認定、この問題に対してはほんとうにじんぜん日を過ごすようなことなく、早くこれに対する認定はすべきである、これを私は心から期待したいのであります。 双方から御意見を伺いたいと思います。
○東村説明員 ただいま先生のおっしゃいましたように、なるべく早い機会に、ただいま申し上げたような研究その他の作業が終わるように私どもも努力したいと思います。
○山本説明員 ただいま先生御指摘の頸肩腕症候群に関する問題につきましては、たしか前回の委員会でも申し上げましたが、公社といたしましては、職場の安全を確保するということを何よりも重大視いたしまして、こういった病気が職場から発生しないように、万全の予防対策を講ずる。それから不幸にして病気にかかった罹患者に対しましては、現在の医療技術等を最大限に駆使いたしまして、できるだけすみやかに治療をするという治療対策の万全化を期す。それからその治療の過程等におきまして、いろいろ新しい暫定措置と申しますか処遇、あるいは通院、あるいははり、きゅう、あんま等の利用等、いろんな面において可能な限りの新しい対策を講じて、できるだけ早く病気がなおるように、いろんな面から公社として最大限の対策を講じて、この問題に対処してまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。 さらに今後とも引き続きそういった対策をやってまいりたいと思っておりますが、公社の中に昨年来、関東病院のお医者さんを中心としてできましたプロジェクトチームの中間報告をもとといたしまして、これを事業の中にどういうふうにその中間報告の結果を生かしていくか、設備面あるいは実際の作業面、作業管理面、いろいろな面で事業の中にどう取り上げていくか、そういったものを早急に検討して結論を出し、具体化していくための委員会もつくりまして、近くこれも中間報告を得て、できるものから職場の中でどんどん実施をしてまいる、こういう姿勢でおるわけでございます。いずれにしましても最大限の努力を払って対処してまいりたい、こう思っております。
○島本委員 午前中の質問はまずこれで終わって、失対は午後に残します。
○斉藤(滋)委員長代理 この際、二時四十分まで休憩いたします。 午後二時四分休憩 ————◇————— 午後二時四十七分開議
○斉藤(滋)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続けます。島本虎三君。
○島本委員 大臣は、内閣総理大臣田中角榮あての、総理府社会保障制度審議会会長大河内一男さんからの「当面の社会保障施策について」の意見、これをもらっていると思うのです。この中には、ずっと書いておりまして、「当面対応すべき具体的措置」ということで、第一「福祉年金等について」、第二「年金額の自動スライドについて」、第三「社会福祉施設について」、「その他」となっているわけです。なかなか傾聴に値するりっぱな指導方針だと思います。この「その他」の中に「なお、この際、以上述べて来た諸問題に直接、間接に関連するいくつかのことについてもふれておきたい。」この前提で、「第一は、生活保護世帯、母子家庭、心身障害者、失業対策事業就労者等に関する問題である。」こう申し述べまして、「これらの階層は、インフレーションの影響を最も深刻に受ける立場にあり、手厚い対応措置が緊急に行われなければならない事情にある。これらの人々の生活基盤が崩壊せしめられることのないよう、それぞれの制度に即した対応策が、機を失せずとられることを強く要望する。」こうあるわけです。その他の部分に及んでおりますが、関係している部分はこれであります。したがって、これは内閣総理大臣の諮問機関なのです。内閣総理大臣の諮問機関としてこれを強く要請しているその中に、失業対策、現場に働く労務者のこの問題を一つ大きく取り上げているわけであります。これに対しては即刻この意に沿わなければならないと思うのでありますが、大臣はこれに対してどういうように意に沿う決意ですか。
○長谷川国務大臣 私もせんだって、大河内先生が総理大臣あてにお出しになったのを拝見しました。やはりそれぞれの変化に応じてあの人たちの立場から非常にりっぱな御意見が出ているということをよく拝読したわけであります。
○島本委員 拝読をしただけでしょうか、これに対して手厚い対応措置が緊急に行なわれなければならない事情にある、これらの人々の生活基盤が崩壊せしめられることがないように、それぞれの制度に即した対応策が期を失せずとられることが必要だ、これを要請している。そうすると、ここに大臣は、失対労務者に対して米価措置をはっきりおとりになりました。失対賃金の場合は三十円アップであります。生活保護基準は三・一%のアップになっておったと思います。生活にはたしてこれが的確に対応できるだろうか、このことであります。去年の九月、失対賃金全国平均は千五百四十六円、この二・二倍の三千三百四十七円保障するのでなけば最低限の生活の確保にならない、こう思うのです。したがって失対賃金の措置、これは総理府家計調査、これをもとにしてやるようですけれども、これだけでは不十分なんです。当たらないんです。失対の人々はなぜ当たらないか。米が安くて副食が高い、肉や魚が高い、したがって米をたくさん食べるという特殊性を持っております。これが低所得者世帯の消費構造、こういうようなものに対してはっきり考えおかなければならないと思うのであります。はたしてそれに対して完全に考え、対処しているかどうか。失対労働者の夫婦世帯で、米、その他の主食、外食消費支出は四千九百二十七円十銭でしょう。それから、本年の十月一日に消費者米価三二%アップ、今回の米価値上げ率での支出増は千五百七十六円七十銭になっている。そうすると、失対労務者の場合、二十二日就労するとすると七十一円七十銭なければならない。三十円だとすると二・四倍与えなければならないということになるじゃないか。これではこの米価措置に即応した的確な措置だといえないんじゃないか。これどうですか。
○佐藤説明員 御指摘のとおり、消費者米価の引き上げが失対就労者の家計に影響を及ぼしますので、今般の消費者米価の引き上げに伴いまして、従来の例にならって米の購入のための支出額、米価の引き上げ率等考慮して三十円の加算を十月一日から措置いたした次第でございますが、いま先生お話しの問題は、社会保障研究会が調べた調査の結果だと思います。ここで一々取り上げるのもいかがかと思いますが、データ等について非常に少ない数でございますので、私どもは従来から総理府の家計調査の臨時日雇いの世帯の状況を調べまして、従来の例にならい最大限の努力をいたした次第でございます。 過去におきまして米価が一番上がりましたのは、今回を除きますと、四十年一月の一四・八%でございまして、その際の米価の引き上げは十円でございます。私ども三十円につきましては、大臣の指示によりまして、大臣自身にもいろいろ御努力をいただきまして、実現をいたしたわけでございます。先生御指摘の数字等も私どもいろいろなもので拝見をいたしておりますが、調査対象が非常に少のうございますので、確かに先生御指摘のとおり米に依存する割合が高いというようなこと、副食費の問題等あるわけでございますが、全国的な数字を国民の税金で支出をするわけでございますので、その辺の問題は今後の問題として私どもも勉強いたしたいと思いますが、今回の措置はただいまお答えしたような結果になった次第でございます。
○島本委員 それはやったという一つの根拠を明らかにしたにすぎない。消費者米価が三二%上がった、それに見合うものとするならば、上がっても十分それで購入し、食費として異状ないような状態でなければならないわけですが、とうてい食べられない、買えない。こういうような状態にしておいて、過去において十円上がったの、今度三十円上がったから大臣の重大な配慮であるというような恩恵がましいことを言ってもだめですよ。三十円上がって、二十二日就労で幾らになりますか。六百円こえる程度、それではたしてやれますか。支出増になるのは千五百七十六円七十銭だとすると、少なくとも七十一円くらいは当然見てやってしかるべきだ。最下層の人でしょうから、その辺は考えないと、何のために労働省があるのだ、何のために失業対策部長がいるのだ、こういうようなことになってしまうわけです。これは少な過ぎる。 それと、五月には電気料が上がって、八月にはガス料が上がって、十月以降は国鉄運賃の値上げその他、続々と上がってしまった。大臣も米の上がった分に対応して、ならしによって措置した、公共料金が上がったら、物価指数を見てその措置は別に考える、こういうようなお考えのようであります。米代分だけといっても、これだけでは不十分だということははっきりしている。まして公共料金の上昇がもうものすごいのでありますから、その分に対して処置してやらないと困るじゃありませんか。十月二十五日総理府発表の東京都区部の消費者物価指数によっても、前月比が二・五%、それから前年比が二五・八%の上昇ということになっておりますね。もうすでにそういうふうになっておる。二・五%の上昇率のうち一・六%は消費者米価である、国鉄運賃、医療費等の公共料金の値上げに相当する分だということを解説されています。それと、〇・五六%は外食費値上げ分である、こういうふうにいわれておるわけです。そしてその分たけでも——二・一六%は公共料金関係という公共料金主導型の物価上昇分ですから、この分に見合うだけは当然大臣も考えてやってしかるべきであって、これを考えないということになったら何にもないじゃありませんか。一番最下層級の人ですから、これを大臣、もう考えてやらないといけないです。それがこの趣旨に沿うゆえんである、こう思うのであります。社会保障制度審議会会長のこの要請に沿うゆえん、ここにあるんじゃないかと思います。物価はウナギ登りのインフレ狂乱物価の情勢ですから、それに対してはっきり対処するかしないか、大臣の決意を伺います。
○長谷川国務大臣 何といたしましても、やはり物価を押えることが最大施策だと私は思っております。そういう中にも米価の問題がありましたから、私は、従来の例を聞きますと何かたいへんワクが小さいようでありますから、それをひとつ、少しいままでの例より上げてやったらどうだというふうなことが三十円、ここまでなったわけでして、それでもいまのようなことでは努力が足りないとおしかりいただくことは非常に残念でございます。しかし、将来ともに消費者物価を押えることが私たちが最大限に努力を払うことでありますし、また労働省といたしますれば、今後とも就労者の生活の実態について重大な関心をもって見守ってまいりたい、こう思っておりますことを御了承いただきたいと思います。
○島本委員 それで大臣、したがって、こういうふうな急騰をしておる際に、労働者階層の底辺を守るためにも賃金の補正が必要な段階ではないかということです。もうそれの必要がないというお考えなのかどうか。ここに懇篤なる要請が出ているのですから、それがこれに沿うゆえんじゃないかということを言っているわけです。これは当然すべきですよ、大臣。大蔵省とけんかをやってもやるべきですよ。ほんとうにこれをやらないと、何にもなりませんよ。
○佐藤説明員 消費者物価が上昇する中で、失対賃金も当然改定すべきでないかという先生の御意見、私ども重々よくわかるわけでございますが、ただ申し上げておきたいことは、失対事業に就労いたします就労者に支払われます賃金は、先生御案内のとおり、屋外において類似の作業に従事する労働者に対して支払われる賃金を考慮してきめるというたてまえになっておりまして、いわゆる生計費や物価と直接リンクするたてまえにはなっておりません。しかし、ことしの六月におきましても諸般の事情を考慮いたしまして賃金改定を実施した次第でございますし、そういった観点につきましても、ただいま大臣がお答えになりましたように十分関心を持って、特に就労者の生活実態については関心を持って見守ってまいりたいという御答弁があったわけでございます。十月の数字がどう出てくるか、十一月がどうなるかというような状態は、私ども失対事業を運営する立場におります一員といたしまして重大な関心を持って、大蔵省とけんかをするようになるか、それはまだまだその時期に至りませんけれども、十分適正な賃金水準を確保するよう努力はいたしてまいる考えでございます。
○島本委員 考えるじゃなくて、実行に移さないとだめなんですよ。これらの人々の生活基盤が崩壊してしまうのです。それぞれの制度に即応した対応策が機を失せずにとられる、ここが妙味です。機を失せずにとられることを強く要請しているのです。まごまごしていたらとんでもないことになってしまうのですから。 それと同時に、いま寒くなってしまって、北海道あたりではもう全部ストーブ、私の家もストーブをつけてある。灯油です。そうなると、寒冷地・石炭手当の冬季加算、これもまた問題になるわけです。いままで昭和三十二年から当初二十円ずつ、そして百八十円をめどにしてあとは十円ずつずっと上がってきている。四十年、四十一年だけ二回休んで、そしてあとまた十円ずつずっとやってきた。インフレ、狂乱物価、そしてまた灯油、こういうような値上がりの一番ひどいときに一番低層にいるところの失対労務者、この人たちの寒冷地・石炭手当、いわゆる冬季加算について十分考慮してやらなければなりませんし、当然本年は低賃金に加えての諸物価の狂騰ですから、一そうの困難性の増大であります。たって抜本的大幅増額がいま求められている最中であります。石炭手当は値上がりに見合って大幅にこそ引き上げてやってしかるべきだ、こう思うのであります。ことに機を失せず、底辺にあえぐ人たちに対して、これは当然要請に沿うべきでありますが、これは要請に沿うのか沿わないのか、どうですか。
○佐藤説明員 失対事業に就労される方々につきまして、特に寒冷地におられる方々につきましては寒冷地における生活実態を考えまして、先生御指摘のとおりに実は冬季加算の制度を運用してまいったわけでございます。それで、北海道につきましては三十二年にそうなりましてから、三十六年度に二十円、三十七、三十八年度にそれぞれ十円、四十、四十一年度にそれぞれ十円、四十三年度から四十八年度まで各年度十円ずつの加算をいたしてまいっております。ただ、冬季加算の問題は本来民間の類似の作業に従事する労働者に支払われる賃金を考慮してきめるというたてまえから申しますと、民間の日雇い労働者にはそのような冬季加算の制度もございませんので、若干問題があるわけでございますが、先生かねてより御主張のとおり、やはり底辺にある就労者であるということを考えまして、私どもとしては冬季加算の制度を実施いたしてまいったわけでございます。 しかしながら、本年度は、御案内のとおり、六月から失対賃金を六%上げる、また十月には米価改定で三十円実施する。いずれ開かれます臨時国会で補正予算が審議されると思いますが、そういう中での財政事情等もございます。従来の慣例から申しまして、冬季加算制度につきましても失対事業賃金審議会でいろいろと御意見を承って年度当初にきめておる問題でございます。そういった観点もございまして、現段階で直ちにこれを増額することはなかなかむずかしい問題であると思います。しかしながら、先生御指摘の点は私ども理解をするにやぶさかではございません。これは何とかしてやらなければならぬ、機を失せずにやっていただけないかという御指摘は、私よくわかるわけでございますが、諸般の事情がございまして、その点は沿いがたい点がございますけれども、今後の問題、特に来年度予算に向けての問題もございますので、その問題としては私の立場で全力を尽くしたい、かように考えておるわけでございます。
○島本委員 来年度予算ということになりますと、本年十一月の分は上げない。いままでずっと十円ずつ上げてきた平常の状態より最も困難な状態のときに、本年は逆に上げないという。来年の予算といったら来年からの分ですから、来年の分上げたらことしは上げないぞということになる。したがってこれは重大だと思うのです。いままでの歴史をあなたの手によって変更することになる。いままで連綿と続いてきたこの十円ずつの値上げが、今度長谷川労働大臣のときになってこれをストップしたという悪名が残るのであります。これはもう許されない。私はやっぱりこれはやるべきだと思う。 私の手元に失対問題についての陳情書がたくさん来ているのですが、その中の一通です。日夜日々御建闘いただきましてありがとうございます。御承知のように政府、労働省の来年の五十年度再検討について日夜心配して眠ることができません。失対賃金についても、現在の物価高の中で三十円の賃金が上がりました。私たちはどんな生活をせよと政府は考えているのでしょうか。あまりのそのやり方に私どもはどうしていいのかさえわかりません。そのほかずっと書いているのであります。もうすでに三十円上がったって焼け石に水。そしていま言ったような状態で、ここに石炭・寒冷地給いわゆる冬季加算もつけないというのならば、これは重大な問題です。そのほかに五十年になれば失対事業の制度再検討の年である、こういわれて、制度の縮小、廃止をほんとうにねらっているとするなら、これは許されない。もう現在上げなければならないのに、来年度の予算からだ、こううそぶく。そしてここに失対事業の制度の検討の年だといって労働省は制度の縮小ないし廃止を考えているのじゃないかと心配して夜も眠られない、こういうようなはがきさえ来ているのであります。これは重大であります。すなわち五十年度の失対事業の制度検討、これはもう制度の縮小、廃止を考えているのかどうか。あわせてもう一回お答えいただきたい。石炭・寒冷地手当の冬季加給、これはやめるべきではない。十円ずつやりなさい、このことだけは強く要請したい。「むつ」の問題で、何にもやらなかったのに十四億、十五億という金はぽんと政府は出すじゃありませんか。出せるじゃありませんか。失対労務者のように一生懸命働いておるこれらの人になぜ出せないのですか。「むつ」の場合は全然予想しなくても補助金として出るんです。「むつ」には出て失対労務者には出ない。こんなばかなことはありません。いまこの二つの問題についての答弁を求めます。重大です。
○佐藤説明員 毎年毎年十円上がってきた、確かに先ほど私が数字でお答えいたしましたように、四十三年度から四十八年度まで各年度十円、その間四十二年度は切れておるわけでございます。また三十九年度も、とまった年がございます。ただ私、こんな言いわけでございますから、もう繰り返したくございません。しかし現在の置かれました財政事情、いろいろな問題を考えます場合に、現段階で直ちに冬季加算の額を年度途中で上げることはきわめて至難のわざである、今後の問題としては最善の努力をいたしたい、同じ答弁をしてまことに恐縮でございますが、そのように私ども考えておるわけでございます。ただ先生の強い要請もございます。実はこの問題についてもいろいろと接触はいたしておりますけれども、まだまだその時期には至っておりません。ただいま来年度のきわめて事務的な予算は大蔵省と詰め合っておる段階でございますので、そのような御論議のあったことも十分お伝えをしながら私どもの立場で最善の努力はいたしますが、私客観的に申し上げますならば、きわめてむずかしいという感じを受けておりますので、その点をお答えいたしたわけでございます。 なお、失対制度の検討につきましての御意見でございますが、一部就労者団体等におきまして、来年が五年目の制度検討の年に当たりますので、何か失対事業を打ち切ってしまうのではないだろうかというような形でいろいろととやかく私どものところにもはがきがずいぶん参っております。また本日も実は就労者団体の代表株である全日自労の諸君とも会見をいたしてまいりましたけれども、その点のお尋ねがございました。私どもは、緊急失業対策法によりまして、失業対策制度につきましては五年ごとに検討するということになっておるわけでございまして、五十年はこの意味におきまして前回の制度検討から五年目でございます。行政といたしましては、現在いろいろと執行しております事業につきまして、その仕事のやり方につきまして検討するのは当然でございまして、検討が即打ち切りだというのは私ども非常に心外でございます。当面いたしておりますいろいろな問題がございます。たとえば、就労者構成の実態の問題、老齢化に伴います時間管理の問題、いろいろな問題が山積いたしてまいっております。それらにつきましていろいろと勉強をしていくということでございまして、いま御心配なさっておられるような、私どもが打ち切りを目ざして失対制度の検討をやるというような意図はございません。私どもといたしましては、いろいろと当面する諸問題について、行政の立場で多大な国民の税金を使わしていただいておるわけでございますから、適正に事業が執行され、それによりまして失対就労者の皆さん方の生活の安定が確保できるように努力しているわけでございます。そういう気持ちでいまおるわけでございますが、五十年の検討はそういう考え方で私ども取り組みたい、かように考えておるわけでございます。 なお、この問題は五十年の問題でございますので、どういう問題があるかというのは私どもの内部では勉強いたしておりますが、まだ勉強をしておる段階でございまして、いまからどうこうということも考えておりません。したがいまして、法律上当然のあれでございますけれども、まだ大臣にも御報告をする、まして上司にも報告をいたす段階に至っていない問題でございます。
○島本委員 いまから約三年前に、中高年齢者雇用促進法という法律が通りました。その際大臣も声を高くして、やめる人はやめてしまった、残った人は今後は手厚くこれに対処してやらなければならないのだとはっきり言っておりました。何も手厚くないじゃありませんか。いまも冬を控えてたった十円の冬季加給さえつけない。大臣としてはもう当時の前言に対して違反しておりますよ。残った人に対して手厚く対処していくとはっきり言っておるのだ。それと同時に、手厚くしてもう首を切ったり何かすることはしないのだということさえそのときはっきり言っておるのです。あるのです。議事録をもう一回読んでもらいたい。特に制度のこういうようなこともまた考えると言う。それを言うと、当然これは廃止も一緒に考えるのじゃないかというふうに勘ぐるのは、私はこれはやはり当然だと思います。そんなことをしないて、何のために——これはよくするために一生懸命考えているとなぜ言わないのですか。言えないところがおかしいじゃないですか。考えるのは、よくするために考えるのが法の精神に沿うゆえんなんであります。中高年齢者雇用促進法をつくったときの附帯決議、それと同時に大臣の言明がはっきりあるのです。これに撤してやってもらいたいのです。どうも私はきょうは遺憾なんです。この辺で、事務当局はもういいから、大臣としての決意を述べてください。
○長谷川国務大臣 失対労務者の問題についていろいろいつも熱心にお話がありまして、拝聴させられるのですが、私もいまから先にも失対、就労者の実態に即してものを考えていくということでは人後に落ちません。それから、冬季加給の問題等も、これはいままでの先生とうちの事務当局との応酬の模様をよく拝聴いたしましたから、将来とも研究してまいりたい、こう思っております。
○島本委員 これで終わりますけれども、最後に一つだけ確認します。 失対は打ち切る意思はない、このことだけをはっきり確認しておきたいと思いますが、大臣、答弁を願います。
○長谷川国務大臣 ただいま失対部長からお話がありましたように、私のところにまだその案があがってこない。失対の事務的なものについて五年に一ぺんずつ洗う、そういうことで実態を検討するということでございましたから、私はそれを慎重に扱って、実態についての検討をやるというのを見守ってまいりたいと思います。やるやれないの問題というふうな問題じゃなくて、従来五年に一ぺん経過を洗うということでございましたから、それを慎重に検討したいと思います。
○島本委員 大臣、知らないんだ。質問をやめるつもりですけれども、やめられない。あの中高年齢者雇用促進法がいまから三年有余も前に通ったときに、いま残った人たちは最後まで十分厚くこれを待遇しますということを言っているのです。したがって失対は打ち切りすべきじゃないし、しないのだ、このこともはっきり言っているのです。だから、これを確認せいということなんです。どうもいまの答弁だったらまたおかしいじゃありませんか。
○長谷川国務大臣 就労者の実態に即応して、打ち切りなどはいたしませんで、残った者を大事にするような方向に持ってまいります。わかりましたか。御理解ください。
○島本委員 これで終わることにいたしますが、いままでの答弁の中で、冬季加給の問題は私は大不満であります。それと、三十円でやった、これが米価措置であるということは実態に即していません。そして狂乱インフレ物価に対して、もう一回、十分この恵まれない人のために大臣として考えてやるべきである。この三つを強い不満として、また皆さんに強く要請して、私の質問を終わらしてもらいます。委員長に感謝いたします。
○斉藤(滋)委員長代理 石母田達君。
○石母田委員 私はきょう、いま日本の経済情勢がきわめて深刻な状態にあるときに、労働大臣が賃金と物価の問題について、まさに全国遊説ともいうべき形で、大阪から福岡あたりまで足を伸ばしていろいろ話をされている、この問題について大臣にいろいろ問いただしたいことと、もう一つは、これまた深刻な様相を呈しております雇用、失業問題等について質疑を行ないたいと思います。 第一の問題で、私はまず労働大臣としての現在の経済情勢についての認識をお尋ねしたいと思いますが、それを答えていただく前に、若干のデータについて確認したいと思います。 先ほど経済企画庁やその他にお尋ねしてありますけれども、まず国民総生産、GNPの低落状況でありますが、これは七四年の一月から三月、これを前期に比べますと、つまり七三年十月ないし十二月に比べますとマイナス四・七%、そしてこれは二十年来の記録的な落ち込みというふうに思いますけれども、この点での経済企画庁のお答え。それから同時にもう一つ、時間の関係上、国別のGNPと消費者物価対前年比で、OECDのことしの七月の経済見通しとして、フランス、イタリア、西ドイツ、アメリカ、日本、イギリス、こうしたところのいまの指標をお尋ねして、いただいておりますけれども、この資料。それから、企業倒産が増大している状況を示す資料として、七四年の一月から六月までと前年の同期に比べての資料で、負債額一千万円以上の件数と負債総額、こういうものと、それからさらに国際収支の悪化の状況を示す材料として、貿易収支が昨年は三十六億八千八百万ドル、これが黒字でしたが、ことしは二十七億七千八百万ドル、これは一月から六月までの資料ですが、赤字になっておる。経常収支は昨年から赤字に転じまして、前年の七二年は六十六億も黒字でしたのに昨年は一億三千六百万ドルの赤字、これがことしになりますと何と五十七億四千九百万ドル。総合収支におきましては一昨年の七二年は四十七億四千百万ドルの黒字でしたが、昨年は赤字が百億ドルをこえ、さらにことしは七十二億ドルをこえる赤字になって、きわめて重大な事態に達しているわけであります。これらの数字について、まず先ほどいただいた資料、それからいま述べた数字について、経済企画庁のほうからの確認をお願いしたいと思います。
○高橋説明員 ただいま先生が御指摘になりました数字のうち、二点につきまして最初に御報告申し上げます。 第一点の四十九年一−三月の実質のGNPの前期比マイナス四・七%、これは戦後さかのぼってみましても例のない大きさでございますが、昭和二十九年のときのいわゆる二十九年デフレ、このときにやはりかなりの低い伸び率をいたしました。そのとき以来ということになるわけでございます。 それから第二点といたしまして、ことしの一—六月期の企業倒産件数でございますけれども、これは御指摘の数字は東京商工リサーチ、民間の調査機関の数字で御指摘になったかと思うのでございますが、前年同期に対しまして六〇・九%増ということでございます。
○石母田委員 いま確認されました資料と先ほどの資料でおわかりのように、いま日本の中で不況とインフレが同時に出現するというような事態になっているわけであります。生産の落ち込みが二十年来、それからまた一連の産業の不況の状態も、たとえばよくいわれる自動車、繊維それから家庭用電気とか建設という中で、神奈川県では特に自動車産業の例を引きますと、これは七四年の一月から六月までの登録届け出台数が前年同期に対しまして三割以上減じている。乗用車に至っては四八%、約半分です。これは戦後初めての売れ行き不振でありまして、この自動車産業に三百万人の労働者が働いているということを考えますと、これは今後の雇用、失業の問題についても重大な影響を与える。特に企業倒産の増大の中で最近の特徴として非常に大型化し、たとえば日本熱学で見ますと負債額は五百億円弱でありますし、日本開発に至ってはいわゆる負債額が二百五十億円をこえておる、こういう状況です。先ほどいただいた資料によりましても、各国の中でも最も消費者米価が上がっているのが日本でありまして、またイギリスに次いでGNPの落ち込みの激しいのが日本である。こういう指標から申しましても、世界的なスタグフレーションの影響の中で日本が特に最も深刻な状態にあるということをこれらのデータは示しているわけであります。これについては大臣も十月二日の福岡県の経済四団体主催の講演で、いわゆる賃金と物価問題についていろいろ提案している立場を釈明して、これはインフレのために国全体が破産の状態におちいらないようにするためであるとか、あるいは実質経済成長率はわが国がいまだかつて経験したことのないような落ち込みとなっている、今後の回復を見込んでも、年度間を通じては政府の見通しの二・五%を下回るゼロ水準に低迷せざるを得ないという深刻な事態が予想されておる、こういうふうに述べられておりますけれども、現在のこの情勢に対する大臣の認識をお話ししていただきたいと思います。
○長谷川国務大臣 ただいま最近の経済情勢、国際収支の問題、あるいはGNPが二十年ぶりに下がっている問題等々、詳しい数字の御説明がありましたが、私もそれらの事実を踏まえまして、非常に深刻に心配しているものであります。何さまことしは二・五%の安定成長に持っていこうとしましても、ただいまのところゼロ成長、いないなマイナス成長じゃなかろうか、こう心配されておるときでありますから、そういうデータを石母田先生が入手された、それと同じような形において、国民の皆さん方に機会のあるたびに提示いたしまして、お互いの勉強の材料にしてもらいたい、こう思っている次第であります。
○石母田委員 次に、いまの物価の問題の中で、今回の値上げは田中内閣が成立してから第三番目の大波だというふうにいわれているわけです。第一波というのは言うまでもなく田中内閣が成立当初、いわゆる日本列島改造計画が打ち上げられ、土地を中心とする建設資材などの大幅の値上げ、第二回目は昨年秋の石油危機に便乗してのいわゆる狂乱物価といわれる異常な急騰、今回が公共料金の値上げによるいわゆる第三波といわれる大幅の異常な物価値上げにわれわれは遭遇しているわけであります。十月の消費者物価指数は東京で前月比二・五%、前年同月比二五・八%で、昭和二十四年以来二十五年間で最大の上げ幅になっているわけでございます。一体大臣はこのような物価値上げの原因は一体どこにあると思っているのか、そしてこのあなたの講演の中にあるように、賃金値上げがその主因であるというふうに考えているのかどうか、これをまずお尋ねしたいと思います。
○長谷川国務大臣 物価値上げの原因は、どこの国でも悪性インフレに悩んでいるわけでありますけれども、私は日本は海外の諸原因がよその国よりももろに受ける体質を持っておるのじゃなかろうかと心配しております。何さま日本が九九・七%輸入している石油が四倍以上も上がった。さらにまた食糧は六割も外国に依存しておるという姿、そういうものが直ちにお互いの国民生活に影響することでございます。そうした中にいかにしてインフレを退治するか、諸外国もインフレを退治するためにやっておりますが、わが国内においてもいかにして物価抑制をやるかというところに、いまのところ努力しているわけであります。それに対していろいろの御批判もあるでしょう。そういうものがときには倒産などにどんどんどんどん出てくることによって、職場から離脱する諸君があなたの御心配のように出てくるということをいかにして防ぐか、それには何としてでも、御批判はいろいろあるでしょうけれども、物価抑制に一生懸命あげてやらなければならぬということで、政府が一五%、三月までという目標を立てたものを、労働省の立場においてもこれを実現してもらいたいということで、極力推進している次第でございます。
○石母田委員 そうしますと、原因としてはちょっと明確に受け取れませんでしたけれども、海外の要因が主たる原因だと見ているのか、賃金値上げがその主因であるといういろいろな見解を述べておられるようだけれども、その点についてはどうなのか、もう一度お伺いしたい。
○長谷川国務大臣 ことしの一月か二月の国会でお話し申し上げたのですが、昨年の十月十六、七日から起こった石油危機というものが狂乱物価を引き起こした最大の原因だと私は思っているのです。でありますから当時の大蔵大臣から当時の物価というものは、これは物価にあらず相場じゃありませんか、物価抑制を一生懸命短期決戦でやりますという話がありました。その事態において十一月、十二月、一月の実質賃金が消費者物価よりも四・五%下がっている、こういうことを私は国会で御答弁申し上げたわけでありまして、当時における物価の狂乱の原因というものは賃金じゃありません、賃金は春に上がっているわけですから、そして十月からじゃんじゃん物価が上がっているのだから、私はそういうふうに申し上げたわけでございます。
○石母田委員 そうしますと、その前の土地価格の騰貴がありましたが、あれは石油危機が直接原因していないとぼくは思うけれども、この点と、今回の普通にいわれる公共料金の値上げ、米価の値上げを一連としての異常な高騰、こういうものは、石油危機後の問題でありますけれども、石油危機が直接の原因である、そういうふうに見ているわけですか。
○高橋説明員 ことしの一−三月の卸売り物価の上昇率、上昇要因につきまして、本年度の経済白書でも指摘しておりますけれども、三〇%以上前年同期に対して上がっているわけでございますが、その中身を分解してみますと、六割強が原油の値上げ及びその他の一次産品の値上げによるもの、それから残りの四割程度が国内の需要超過によるものというふうに指摘しております。 四十八年度中につきましては、賃金の上昇による影響というのはほとんど見られなかった、こういうふうに述べております。同様の趣旨のことは、本年度の労働白書にも指摘してあるはずでございます。
○石母田委員 そうすると、この八月七日の大阪市ロイヤルホテルで労働大臣が、関西経営者協会懇談会で賃金、物価問題について講演されましたね。その要旨があなたたちのほうから届いておりますけれども、その内容を見ると「四十九年春闘において大幅賃上げが行われたために、今や賃金問題は、」「物価対策上の最大の問題の一つとなつている」これのあとに「政府の試算によれば、三〇%をこえる賃上げは、これをそのまま価格に転嫁するとすれば、卸売物価を九・五%、消費者物価を一〇%押し上げることになります。」こういうふうに大臣は言っているけれども、まず第一に、物価対策上最大の問題の一つだということは、これは物価値上げの主因であるということではないとすればどういうことなのか、それから政府の試算というのは、経済企画庁が五月二十二日に出した「春季賃上げの影響と今後の経済運営」という検討資料の中で出されておる試算を引用したものであるかどうか、この二点について大臣にお伺いしたいと思います。——大臣に聞いておる。
○道正説明員 第一点につきましては、ことしの春闘の大幅賃上げ、少なくとも賃金が主因でないということは、労働白書におきましても、経済白書におきましても分析しているところでございます。ただ今後、大幅賃上げが物価に無縁であるかということはだれしも言えないと思います。どのくらい影響を及ぼすものであるかということについて、第二点の御指摘があったわけでございますが、八月七日の大臣の御講演の中で引用しているのは、経済企画庁の分析に従っているわけでございます。
○石母田委員 委員長に御注意願いたい点ですけれども、私はきょう労働大臣の話した講演の内容について触れて、この内容について大臣に答弁していただくことは大臣にきちんとしていただきたいと思っております。 それで、いまの話は大臣の答弁にかわるものと見ていいと思いますけれども、では、いまの十月からの大幅な値上げ、これについては賃上げがこれまた主因ではないというふうに思うが、この点についてはどうなんですか。——ちょっと待ってください、大臣がわからないらしいから。 この前の石油危機のときには、物価値上げの原因は賃上げじゃないというのでしょう。そうすると、十月から物価が二五・何%も先ほど言ったようにぐっと上がっておるでしょう。われわれは公共料金の値上げや米価の値上げだ、こう言っておるけれども、それではなくて、これは賃上げが主因なんだ、おもな原因なんだというふうに見ておるのかどうか、大臣の見解をお伺いしたいと思います。——大臣だよ、あなたしゃべっておるのだから。
○高橋説明員 ただいま先生が御指摘になった点に関しましては、先ほどの御質問の中に、ことしの五月における春闘の経済に及ぼす影響についてという経済企画庁の試算があるがという御指摘がございましたので、それに関連いたしまして御報告申し上げたいと思います。 この五月に出ました春闘賃上げの日本経済に及ぼす影響についてという試算につきましては、政府部内の一つの検討資料ということでお出ししてあるわけでございますけれども、その内容につきましては、本年の三〇%強の春闘の賃上げが四十九年度の日本経済にどのような影響を与える関係にあるかという点と、それから第二点といたしましては、それを踏まえて今後の経済運営をどのように進めることが望ましいかという以上の二点を中心に取りまとめたものでございます。したがいまして、ただいま御指摘の点につきましても、当然この分析の中に一応ある程度示唆されておるという面があろうかと思いますので、その内容についてごく簡単に御報告申し上げたいと思います。
○石母田委員 ちょっと待てよ。答弁が違うよ。そんなこと聞いていやしないよ。 ぼくは、去年の石油危機のときの値上げは賃上げが主因じゃないと労働大臣が言うから、それではいまの物価値上げはそうなのかというふうに大臣に聞いておる。これは、あなたがここで話をしておることについて聞いておるのだから、あなた自身が責任をもって答えなさい。(長谷川国務大臣「分析ですから、先にあちらから聞いてください」と呼ぶ)いや、原因だと思っておるのかどうかというあなたの判断なんだ。経済企画庁には一ぱい聞くことがあるから、あとからまた聞きます。あなたはあなたとしてこういうふうに話しておるのだから、そう思っておるのかどうか、あなたの思っていることを言っていいんですよ。そうでないとかそうであるとか言えばいいのです。簡単なことなんです。原因であると思っておるのかどうか。
○長谷川国務大臣 私は、一月、二月までのものは、物価を押し上げたのは賃金じゃない、こう言うております。そしてまた経済企画庁が、三二%アップというものが試算すれば物価を一〇%押し上げておる、その一〇%押し上げたのが、それでは十月にどの程度影響しておるかということは、数字的な問題として経済企画庁のほうからお聞きを願いたい、こう思います。
○石母田委員 じゃ経済企画庁さん、聞かれたってあなただって困るけれども、物価が十月から急騰しましたが、この中に賃上げがどのくらいの部分入っておるか、数字で出せるのですか。
○高橋説明員 ただいま御指摘の十月の数字について、その要因いかんという御質問に対しましては正確な数字を持ち分わせておりません。しかしながら、ことしの五月に行ないました分析では、四十九年度の消費者物価の上昇率を一応想定いたしまして、その中の要因分析ということをやっておりますので、その面から御報告申し上げたいと思いますが、よろしゅうございますか。
○石母田委員 いや、それは要らないです。 これを大臣何で言えないのですか。十月から上がっているでしょう、先ほどからあなたも認めているように。二五・八%数字も出ているわけです。二十五年来の急騰なんです。これのおもな原因が賃上げにあるのかどうか。これは私はそうじゃないと思うのだけれども、でもあなたとずいぶん立場が違うから、そこのところ違うのじゃないかと思って、あなたの意見を一応聞いておきたいと思う。いまの値上げはどうなんです。十月から国鉄も上がり、米も上がり、全部公共料金が相次いで上がっているんですよ。十七種類の物価がどんと上がっているんですよ。私たちはそれが原因だと思うけれども、そういう簡単なこと言えないですか。
○長谷川国務大臣 十月のものはいまのような要素もありましょうけれども、物価はそれだけでばんと上がるわけじゃありません。全体の中のおもなるものがいまのような問題だと理解しております。
○石母田委員 そうすると、くどいようだけれども、主たる原因ではないがその中に入っておる、影響しているかもしれないけれども主たる原因ではないというふうに見ていいですか。
○長谷川国務大臣 大阪で私が講演した時点ではそうです。
○石母田委員 そうしますと、消費者物価の指数、賃上げが行なわれたのは大体四月ですから、四月以降の対前月比の消費者物価の伸びですね、経済企画庁、これはありますか。四月からずっと四、五、六、七、八と八月まで出ていますね。対前月比で言ってください。
○高橋説明員 それは全国でよろしゅうございますか。
○石母田委員 それでも東京でもどっちでもいいです。
○高橋説明員 四月が二・七、五月が〇・三、六月が〇・五、七月が二・〇、八月が一・〇、九月が一・六でございます。
○石母田委員 これがはっきり示している。もしこれがあなたたちの言うようにばんとはね返るんだったら、もう五月、六月、七月ごろから上がるわけなんです。伸びがほとんどこんなものでしょう。だから、こういう数字について見たってあなたのような結論にはならないのです。 それで、講演した時点と言われますけれども、こういうふうに書いてあるんですよ。つまり、いまの政府の試算によると、三〇%をこえる賃上げは消費者物価を一〇%押し上げるのだ、こうした賃上げの物価に対する影響を緩和するため云々といろいろなことを考えているけれども、しかし、「このような情勢がつづけば、賃上げの物価への影響が大きくなることはさけられず、物価上昇分のかなりの部分が三〇%をこえる大幅賃上げ等によってもたらされたものであることを実証する結果となることをおそれるものであります。」つまり、この試算のとおりにいくならば、こういう物価上昇分のかなりの部分が賃上げによるのだ、主たる原因がそうなるのだということを実証をするといっているんです。 ところが先ほどの経済企画庁の答えにあるとおり、一〇%程度上げるかもしれないというのは試算のうちの一つの方法なんです。こういうものは幾つもあるのです。物価と賃金というものの関連はそう単純なものじゃないのです。この一つの試算なんです。しかもその試算の内容を経済企画庁からもらった資料で見ますと、三〇%上がった場合に産業平均の生産者価格を九%程度上昇させる要因となる。そして卸売り物価に換算すると九・五%程度、消費物価で一〇%程度となる、こう書いてあるのです。 大臣、あなたはこれを引用されているんだけれども、この原文を読んだことありますか。
○長谷川国務大臣 見たような記憶があります。
○石母田委員 こういうあなたの論旨の最大の根拠を見たことがある……。そのうしろに、次の文章にどんなことが書いてあるか、いまでも覚えていますか。記憶がないなら記憶がないでいいです、いまからでは時間がないから。記憶がないようですから私が読んであげましょう。「ただし、この試算は賃上げのコスト面への影響(生産性上昇で吸収されない部分)が、そのまま価格に転嫁された場合の試算であって、昨年以来の石油危機による先取り値上げ、需給状況、分配率の変化等を考慮すると、この上昇要因がそのまま今後の物価上昇に結びつくものではない。」いいですか、大臣。こういう結論がこのところから出ているのです。試算をするとこういうふうになるけれども、しかし石油危機であのように先取り値上げをした。そうして史上最高のばく大な利潤をあげたわけだ。こういう状況のもとでそのまま価格に転嫁した場合、生産性上昇で吸収されないという二重にも三重にも仮定を置いてやったものであって、そうしていまの状況では今後の物価上昇にこれは結びつくものではないということなんです。ところがあなたは、この試算の数字だけはいいところを利用して、これと別な逆の結果を出そうとしている。 私は、こういう問題について大臣が記憶にないということなんだけれども、一体この数字についていま経済企画庁が出した問題についてどういうふうに考えておるのか、聞きたいと思います。
○長谷川国務大臣 手元にありましたから読んでみます。私がやったものを持っております。 賃上げの物価に対する影響、消費者物価を一〇%押し上げる、そういう話が出ていますから、その「賃上げの物価に対する影響を緩和するため、生産性の向上や、これまでの物価上昇によってもたらされた利益などによって吸収するなどの企業内努力が強く望まれるのであります」こうしておりまして、こういうふうに私は警告しておるわけです。
○石母田委員 それで終わりですか。そのあとなんです。「このような情勢がつづけば」というけれども——警告したけれども、そういう夏のボーナスの妥結状況などを見ると、それに多くを期待することはむずかしいんだ、だからこのような情勢が続けばさっき言ったように主たる原因にならざるを得ない、こういうことをあなたは言っているわけでしょう。だから、じゃあなたはいまは主たる原因に見ているのかどうかということを先ほどからしつこくあなたにお伺いしているのは、あなたの論旨がどういうことになるのかと言っているわけなんです、そこまで言ったのなら。それはあなたは警告したのです。したけれども、そのあとを読んでごらんなさい。だけれどもできないから、結局物価上昇になるんじゃないか、こう言っているんですね。
○長谷川国務大臣 そのあともお読みください。「物価上昇分のかなりの部分が三〇%をこえる大幅賃上げ等によつてもたらされるものであることを実証する結果となることをおそれるものであります。」すなわち生産性でこれを吸収するか、いろいろな企業内努力でやるか、そういうことをやらないとこういう実証をされる結果になりますから御努力願います、こういうふうに私は話しておるのです。
○石母田委員 十月から物価が上がったでしょう。こういうものが行なわれないからこうなっているのか。あなたの論旨ではそうなるわけでしょう。そうでしょう。どうなんですか。いまの時点でこの点についてあなたはお答えくださいというのです。そういうふうに企業内努力だの何かをやらなかったから、賃金が主因になって十月から物価が上がっているのだ、こう言うのかどうかということなんですよ。そうじゃないのでしょう。どうなんですか。
○長谷川国務大臣 そういうおそれがあるから、いまでも企業内努力、企業において生産性向上なり、あるいは便乗値上げなどをしないようにということを、たとえば米の値上げがされたけれども、その米の値上げのとたんに社員食堂においてうどんの値上げやらそばの値上げをするようなことはいけませんというふうに、個別的に私のほうは警告しているわけです。
○石母田委員 それでは、いまの幾つかの試算というものがどんなに根拠のないものか、これについては東洋経済にも載って、あるいは読んだかもしれませんけれども、日銀の船岡調査役が、これは専門家ですけれども、三つのケースについてやはりいろいろ検討しているわけです。そしてそういう中で、いわゆる労働生産性もある程度上がる、五%くらい上がった場合とか、そして企業利潤を圧縮した場合というようなケースについてもいろいろ検討されて、そしてこの三つのケースの中の第三番目の、企業利潤を思い切って圧縮した場合、全部なくすわけじゃないですよ、昭和四十年代ぐらいの三・六五%ぐらいにして、そういうものにとった場合には、むしろ卸売り物価上昇率は、賃上げ率が三〇%、そして賃金総額では、賞与とかいろいろありますから二五%と見て、マイナス一・六%、むしろ下げることさえもできるのだ。それほど企業の中にはこれまでの状況から見て多くの利潤が蓄積されているのだ、こういうこともあげられているわけです。 この問題を見ましても、こうした問題というものは慎重に、単純にいろいろな見解を出すのじゃなくて、結論を出すのじゃなくて、いろいろのそうした検討もあるわけです。特に、この物価の問題は、私どもは常々述べているように、いわゆる日本の物価というものは、いままでの物価値上げの経過を見てもおわかりのように、いわゆる外国の大きな、大企業、独占資本も含めて、自分の製品をどんどんつり上げる、あるいは売り惜しみ、買い占めを、ああいうふうに、石油危機のようにやって、ばく大なもうけをやっているということによって、物が余っても値段は下がらない、意識的な、人為的な値上げ政策が行なわれ、そのために、大企業が世界でも有数の成長率を示しているが、日本は世界一の物価高に悩んでいる、こういうことで、企業の利潤をそのままにしておいたならば、これは物価を押えることはできないのです。ですから、そのもうけを押えるというところにメスを加えない限り、ほんとうに物価を押えることはできない、こういうことで、この労働省の見解を見ましても、経済企画庁の資料によって見ましても、先取り値上げ分は相当大きいことが示されており、そのような状況からすれば、産業によって事情が異なる面があるとはいえ、全体として見れば、価格の引き上げを行なうことなく賃上げの影響を企業内に吸収することがかなりできると考えられる、こういうことをあなたたちも言っているわけなんです。 それで、私は、そうした問題で、いわゆるいまの時期の中でこのように異常な物価値上げがどんどん続く、そして実質賃金が下がっていくというふうに見ているわけなんです。ところがあなたは、この実質賃金は五、六%、五月と六月上がりましたね、そして実質賃金を着実に改善したことは、これは五、六%はかなりの水準だ、三十年代の成長期に見合うような水準だということを言っているわけです。しかし、この実質賃金は、五月、六月は確かに賃上げがありまして、上がりましたけれども、その後どうなっているか、今後どうなる見込みだということをきのう聞きましたら、十月ごろはかなりあぶない、あるいはマイナスになるのじゃないかというような心配もされておりました。こういう状況について、あなたは着実に改善してこのまま実質賃金が改善が続くと思っておられるかどうか。
○長谷川国務大臣 お答えします。 実質賃金前年同月比、先ほど私が申し上げましたように、四十九年の一月が実質賃金がマイナス四・一%であったのです。五月が〇・三%だった。そして春闘が終わったあとの五月が六・五%、そうして次が、六月が五・五、ボーナスが入ったあとでしょう、七月が一〇・二%、八月が四・二%にまた下がっているわけであります。でありますから、私は、この実質賃金というものを確保するためには物価抑制が大事だというふうなことからしまして、中小企業の製品はだいぶ下に下がっておりますけれども、ほかの製品でなかなか下がらないものがある。これは物価抑制上、閣議において、ある場合には各所管官庁がそれぞれ手を打ってやってもらっている、こういう形でございます。
○石母田委員 意欲のほうはわかりますけれども、つまり実際にはその意欲と反して、物価はものすごい異常な状況になっているわけですね。今後もこれが続くかもしれないということが国民の常識になっているのですよ。そうした場合に実質賃金はますます低下するのじゃないか。これは十月末はまだ出ませんけれども、おそらく十月でとんとんかあるいはマイナスになるかもしれないということをきのう来た人も言っていましたけれども、そうなる危険性が、あなたたちが押えれば別だが、このままでいったらそうなると思いますけれども、これは専門家ですから道正さんに……。
○道正説明員 今後のことは物価動向にもよりますので予断ができません。ただ実質賃金がどんどん下がっているというようなお話もございましたけれども、ただいま大臣が御説明申し上げましたように、三十年代の高度成長時期に比べては高いということは、もうはっきり大阪の講演でも大臣がおっしゃっているわけでございまして、それを四十年代以降と申しますか、今後ゼロ成長だというようなことがいわれるとき、あるいは今後低成長が予想されるということを考えますと、実質賃金としてはかなりの改善を見ている。ただ今後どうなるか、これはわれわれも重大な関心を持って注視しているところでございます。
○石母田委員 関心を持つのはいいけれども、見通しとしては、このままでいったら物価は上がっていって賃金指数は下がりますよ、そうでしょう。そうして実際はいま残業規制や収入がどんどん減っていく、そうしてもらう賃金が減っていくというようなものだってあるわけですから、そういうことになりますと、実質に、賃金指数というものは、物価がどんどん上昇していたのでは下がることは当然のことなんです。それでいま言ったような心配を出されているのだけれども、あなたたちは関心を持っても見通しを立てることはできない。これはへたをすると年内に下がるかもしれません。第一、ことしに入ってから、一月、二月、三月、四月、ずっと賃金指数はマイナスでしょう。こんなことは私は、一九五四年以来、こういう賃金指数の統計が始まってから初めてじゃないかというふうに思いますけれども、この点、これは労働省に。賃金指数を出しているのは労働省でしょう。
○道正説明員 過去の数字につきましては、いま手元に詳細な資料を持っておりませんが、一月から四月まで四カ月も続いて実質賃金が四ないし五%低下したということはあまり過去には例がなかったと思います。しかるがゆえにわれわれも重大な関心を持ったわけでございます。ただ三二・九%という大幅な賃上げが行なわれた結果、五月以降は改善を見ているわけでございます。
○石母田委員 あなた、月々でこま切れになっているけれども、人間は一年じゅう暮らしているのだから、これで年内に下がると、一月から四月までマイナスで、もし十月とんとんとしても、十一と十二がマイナスになったとすれば、物価値上げのほうが多い、これは一年じゅう半分以上がマイナスになって、トータルすればマイナスになる、こういう状況なんですよ。去年だって、あんなにひどい時期でもことしの初めから下がったけれども、ことしは年内に下がるかもしれないという状況なんです、見通しからいって。これは重大な事態だと思う。ですから労働者の人たちが、物価がどんどん上がっていけば、これは当然のこととしてこの賃上げというような問題が出てこざるを得ないですね。 だから労働大臣、あなたも九月三十日、日本政治経済調査会の研究会というところで講演をやった、その講演のあとに一流企業労務担当部長クラスの質疑においてはということなんだけれども、その中でこういう質問の出たことを覚えていますか。「公共料金をはじめとする物価上昇が続く限り、これに積算の根拠をおく組合側の賃上げ要求を突っぱねられない」これにどうするかという質問が出た。そうしたらあなたは、これは新聞の内容ですけれども、「まず政府が物価を抑えることに全力を尽くさなければならない。物価が抑えられてこそ、(それに対応した)組合側の態度が出てくるものだ。首相はじめ大蔵、経企など経済閣僚が(物価値下げに)一生懸命にならなければならない」、こういう趣旨の答弁をしたということですけれども、これはいまでもそう考えておられるかどうか、大臣に聞きたいと思います。
○長谷川国務大臣 気持ちとすれば、そのとおりでございます。いまでも変わっていません。
○石母田委員 あなたにも責任があるわけですから、ぜひ物価値下げに一そうの努力をしていただきたいと思います。 さらに大臣がいろいろの話の中で、先ほども指摘されていましたけれども、大幅賃上げの自粛論を訴えているのだということが新聞に伝えられているわけですね。こうとられるほうがおかしいのだ、そういうつもりはないのだと言うのだけれども、先ほどからずっと説き起こしてまいりますと、まさにそういうふうに受け取られるのが当然のことであって、そうではないというのは、私は詭弁であるというふうに思っております。そういう点で、所得政策の導入についてはすでにもう先進諸国でも失敗したものである。つまり企業の利潤を押えないで、ただ労働者の賃金を押えるなんという所得政策が失敗するのは当然のことでありまして、そういうものについてはしないということをあなたは再三言明しておりますけれども、これは政府の正式の態度になっているかどうか、これを大臣にお伺いしたいと思います。
○長谷川国務大臣 私がこういう講演をしたことが賃金を押えろ、ストレートにそういうふうに理解されることは非常に残念でございまして、あなたのお手元にさえもその講演の要旨をお配りしたか、あるいはお届けしたか知りませんが、私は講演した先で、大阪の場合は大阪の経済団体に講演したのですから、同じプリントを、翌日いろいろな組合の幹部の方々にお目にかかったので、こういうふうなデータがあるのだがぜひひとついい知恵を出してもらいたいということでお配りもし、そしていろいろなところに、講演のたびに実はその資料をお配りしているわけでありまして、賃金問題は労使でおやりになるということははっきりしておることであります。所得政策につきましては、賃金抑制のための所得政策はとるべきじゃない。いわんやよその国が失敗していることでございます。それにつけても物価抑制をして、実質賃金を獲得するようにすることが私たちの役目だ、こういうふうに感じておりまして、所得政策は内閣としてもただいまとる意思はないということをお伝えできる、私はこう思っております。
○石母田委員 大体きょうの論議の中で、これまでの物価値上げ、さらにいまの物価の値上げでも賃上げが主因ではないということが明確になりましたし、またこのままでいくと実質賃金が下がるという危険性も出るので、実質賃金確保という意味からも、物価値上げをどうしても抑制しなければならぬということに、政府は責任を持って全力でやるということだというふうに理解してよろしゅうございますね。 それで、次は雇用失業対策の問題であります。雇用失業対策が非常に緊急な情勢になっているということについては、神奈川におきまして調べによりますと、ことしの四月から九月までの間に解雇者が千八百七十八名出ております。そして三百人以下の中小企業がそのうち七五・四%を占めているわけです。また新規の学卒の求人状況は九月現在、前年同期比で中卒が二六%減、高卒が一五%減となっております。また企業整理におきましては、まだ把握していない面がいろいろあるそうでございますけれども、県の調べによりますと、たとえば川崎にある帝国通信工業というようなところでは、パートタイマーの五十人全員解雇八月から残業停止。それから松下精工、藤沢、これもパートタイマー解雇五月から残業中止。中山鋼業、これは横浜ですが八月から三割減産で十月以降配転、人員縮小を検討中。宮田工業、茅ケ崎、パートタイマー七十七人を六月解雇。神奈川レース、厚木、一斉休業、生産中止、六月。釜屋電機神奈川工場、大和、これは三百五名中百二十名の希望退職をつのったら二百六十名出て、いま一時休業して女子三十五名がすでに退職したわけです。また倒産は協和製作所、川崎、八十人が六月五日倒産をいたしました。川崎工機、厚木、二百人が七月十日事業所閉鎖で全員解雇、こういうちょっとした調べでもこのような深刻な状況が出てきております。特にヤシカの問題が、神奈川県民あるいは皆さん方も新聞でござんのように、大きな衝撃を与えておると思います。それは、あのカメラメーカーでありますヤシカの相模原工場が全部閉鎖されて、これは富士通が買い取るというような話であります。そして全従業員二千二百人のうち九百人を整理する、これは相模原だけじゃありませんけれども、そういう状況になりまして、再建策をめぐりまして労働組合の委員長が二十一日に割腹自殺未遂、それから数日たった二十五日に工場長がこれまた割腹自殺未遂、いずれもこの再建案をめぐる深刻な状況の中で起きた犠牲であります。こういう問題について、私は特にこのヤシカの問題について一体その事実を知っておられるたか、知っておったとすればこういう問題について国として一体どういう対策が必要だと考えておられるのかということについて、労働大臣の立場からお伺いしたいと思います。 〔斉藤(滋)委員長代理退席、委員長着席〕
○道正説明員 御指摘のように、ヤシカの工場閉鎖に伴いまして労使それぞれ、幸いにして未遂ではございましたけれども自殺行為が出るというようなことで、深刻な事態と受けとめております。いろいろ労使のやりとりの過程で、必ずしも意思疎通が十分でないという面があるようでございますが、昨日夜ほとんど徹夜でヤシカの労使交渉が行なわれたようでございます。その結果、本日あらためて話をするということであったようでございますけれども、使用者側の都合でそれが三時に延びておるようでございます。 われわれといたしましては、自殺者が双方に出るというような非常に深刻なかつデリケートな問題でございますので、慎重な配慮をしながら、労使が円満に話し合いをし妥結をするように、側面から注視しながら事態を見守っておるわけでございます。
○石母田委員 ちょっと訂正しておきますけれども、自殺をしたわけではなく自殺をはかったわけですから……。
○長谷川国務大臣 いろいろな問題がありますけれども、労働省として一番頭の痛いといいますか憂慮している問題は実は失業であり、職場から離脱せざるを得ないという人がよけい出るようなことをどうして防ぐかということであります。でありますから労働省はあげて、いろんな企業などにそういう事件がある場合には事情を聴取し、一方においては新規採用をぜひやめないように、若い諸君はすばらしい働き手であるからこういうときにこそ企業の社会的責任でしっかりやってもらいたい、こう呼びかけなどもしているわけでありまして、ほんとうにこういう失業あるいは雇用の不安というものがじわじわ出てくることをいかにして防ぐかは経営者並びにお互い全体の問題じゃなかろうかということで頭を痛めており、そういうことに対しての皆さん方のお知恵、あるいはまた国民連帯の関係で何かやるものがあるならばぜひひとつやりたいということで、方策を尋ねあぐんでいるようなところであります。
○石母田委員 特にこのヤシカの問題は深刻な状況を迎えておりますので、ぜひとも政府としても何らかの対策が出るように、特に長野県の下諏訪にもありまして、ここでも全員協議会で通産省やその他にいろんな対策を要請しておるようでございますので、特に労働大臣としても、また政府部内でもこのヤシカはじめこうした問題について善処されるよう心から要求したいと思います。 それではさらに、私はこういう雇用情勢がきわめて緊迫しておる状況のもとで、緊急ないろんな諸対策が必要であるというふうに考えております。特に失業者の生活を安定させる、それから失業者の就労の問題とかあるいは失業の予防というような問題について特別な緊急の処置がきわめて重要になっているというふうに思います。特に失業対策事業の問題は就労の問題で先ほどいろいろ論議がありまして、五十年再検討についても打ち切りの方向ではなくというような答弁がありましたけれども、これを現在いる失業者という、失対労務者というだけではなくて、次から次へと失業者がどんどんふえるわけですから、こういう人々をさらにこの失対事業に吸収していくという点での検討もやはり進めていかなければならぬじゃないかというふうに考えますけれども、この点についてどう考えるか。
○長谷川国務大臣 詳細については事務当局からお答えさせますけれども、まず出ないようにすることに一生懸命やるべきじゃないか、こういうふうに努力しております。さらにまた十月一日からは失業保険の給付を三三%上げているようなこともございます。もう一つはこれはぜひこういう際にお考えいただきたいのですけれども、何といたしましても私は先日の雇用保険法案というものがあれば、あれによって三分の二あるいは二分の一の雇用調整交付金というのが出たことでありますから、こういうものがあのとき通過しておればだいぶ模様が違ったのじゃなかろうかという感じ方も実は持っているわけでありまして、ぜひひとつそういう予算までついたものなどについてのあらためての御理解などもいただきたい、こう思うわけであります。
○佐藤説明員 最近の景気停滞がございまして、離職者が増加するということに対処しましては、従来から職業安定機関の総力をあげましてこれに対処いたしてまいっているところでございまして、特に中高年齢者等の就職が困難な失業者に対しましては、いわゆる中高年法に基づきます求職手帳制度によりまして手厚い措置を講じながら、民間雇用への再就職の促進をはかることとしておるわけでございまして、現段階におきましてこの制度の十分な活用、さらに御指摘の、大臣からもお話になりましたけれども、やむを得ず離職せられた方の失業中の生活の安定をはかるための失業保険金の給付額の増額というようなことで対処いたしておるわけでございます。 御指摘がございました失業対策事業そのものを拡充して云々という点につきましては、中高年法制定の経緯もございますし、現段階におきまして、現在失対に就労されている方につきましては何とかその生活の安定をはかるよう努力いたしてまいりますが、新たに事業を起こして云々ということは現段階では考えていない状況でございます。
○石母田委員 私、大臣に、これはいままでの法的なものから言うといまの答弁を出ないわけです。しかしいまの緊急事態という中で言えば、たとえば工場を誘致してそこでパートで働いている農家の方、主婦の方なんか、そのまま失業されるという方があるのですよ。やはりこういうときにいまの失対事業、いま言われたように活用するということから言うと、もっとこういう人たちを吸収できるような方法がないかどうかということを、これはあらためて検討するということなんですよ。これは私はこういう緊急事態という中では、当然そうしたものを洗い直して検討する必要があるんじゃないか、あるいはもっと公共事業の導入をはかるとか、そうした問題についてぜひ大臣にそういう抜本的な立場からいまの現情勢に対応するという点で真剣な御検討を願いたい、こういうことを大臣にお願いしたいわけですが、どうでしょうか。
○長谷川国務大臣 御要望としてよくお伺いしておきます。
○石母田委員 それでいま大臣は雇用保険法のほうを出しましたけれども、低い声だったが、再び出すというようなことを言いましたけれども、それはもとのままで、国会で審議して修正案になりましたね、あのままで出すという考えですか。
○長谷川国務大臣 この前皆さん方から御修正などをいただいてつくった法律案でございますので、それがみんなの御都合がよくて通過させるようなかっこうですと私のほうは都合がいい、こういうふうに考えておりまして、国会の模様をただいまよく見ているところでございます。
○石母田委員 私はこれは非常に重要な発言だと思うのです。国会の審議で修正案ついたということは事実でありますけれども、それについては私ども社会党、公明党は反対しているわけですね。なぜ反対したかというと、私いなかに行って、実は栃木県や石川県への視察に参りまして、雇用保険法のいいところだけ——いいところというと語弊がありますけれども、一時帰休制のどうのこうのとかいうことだけはわりに入っているんですね。そしてあれはいい法案じゃないか、こういうふうに——これは自民党や政府の立場からは別ですよ。しかしもう一面あるわけです、私たちが同意できないものが。それは、ああいう雇用保険法が通って、若年労働者、三十歳以下が軒並み改正案でも三カ月ですよ。そうすると、たとえば十八で高校卒業して十年間つとめたとすれば、いまは保険をかけた期間でもえられるわけですから、九カ月もらえるわけでしょう。今度のものは軒並み三カ月ですから、そういう立場からいえば三分の一に減っちゃうわけです。就職支度金はなくなるとか、そういうことで、いまの失業情勢の中で若年労働者が中高年に対してうんと就職しやすいかどうか。それは、あのときの計画されたときは別として、いまの状況では、先ほどヤシカの問題でも、ほとんど若い人なんです。こういう人たちが受け入れられる状況でない。しかも失業保険が大幅に削減される。行け行けと言ったって、就職促進させると言ったって、できやしない。こういう状況の問題であるということについて私が話したら、ああ、そういうものなんですか、つまり、全面的にあの法案の内容を検討して知っているんじゃなくて、そうして一つだけ知らして、何か一時帰休をやると金をもらえるんだという話だけが通っているんですね。私はこの雇用保険法については毒まんじゅうだ。確かにこうやって飢えてくれば食べたいという面もあるけれども、やはりこれまで長い間失業者の生活を安定させるということを目的にしてきた失業保険法、これはもっとむしろ改善しなければならない。あなた、いま、十月に三三%上げたと言うけれども、あれは自動変更でしょう。自動的に変更する処置、当然の処置なんですね。これは二〇%以上上がった場合の上限上げたということで出てくるものです、ですから、たとえばこの失対の労務者に対しても三十円しか上げない、そういう考え方で失業者の生活安定というようなことを考えていたのでは、失対事業の労働者に対してもこうだ。ましてや、この失業している人たちには、私たちはもっともっと手厚い保護を加えておきませんと、たいへんなことになるという事態なんです。それで私は、そういう意味でこの雇用保険法なんというのは逆行なんですね。むしろ大幅に減らしているわけなんだから。(「そうでもないだろう」と呼ぶ者あり)冗談じゃない。こういう知らない人がいるんだね。あんた、二百七十日もらうのと九十日もらうのと、どっちが得なんだ。三分の一なんです。それは私はからだの向きが違ったけれども、数字から見たって当然のことなんです。ですから、この問題について国会であれだけ審議されて、参議院でああいう結果になったということは、衆議院でもそうしたことが審議されて、そうして与野党が一致するものであればもっともっと早くいくわけなんですから、なぜああいうふうな審議を要して、われわれの意見も出しているわけですから、それを労働大臣が簡単に、この次は出したい、ぜひ御理解願いたいということを私の質問にひっかけて言うなんということは、私はやはり国会の審議というものについてもっともっと行政当局が慎重な態度で言っていただきたい。私は新聞で見ているけれども、まさかそういうことを国会で堂々と言うことではないと思ったから発言を差し控えておりましたけれども、あなたのほうから、政府がそういうことを、国会でああいう結果になったものについて軽々しく私は取り扱ってもらいたくない、こういうふうに思うのです。この問題については、あなたたちが出されるということであれば、これはもちろん私たちの立場で討議いたします。しかし、私は提起したいのは、わが党でもいま実は特別の措置、立法処置について検討しているわけです。それはいまの失業保険の制度を改善する。失業給付額を改善するとか期間の問題とか、そういうもので失業者をいまよりもよくするということが大事だ。それからもう一つは、やはり失業者の就労という、仕事の問題を保障していかなければならない。これをどうするかということは、先ほども私質問で要望申し上げましたけれども、門戸を広げて広くこの失業の事業についての拡充をはかっていくという問題、それからいま大臣も言われた失業の予防でありますね。いまの憲法上の規定もありまして、解雇制限という問題はかなりむずかしい法的な問題があります。しかし、このままの状況で神奈川のようにどんどんと出されるということになりましたらたいへんなことになりますので、解雇をやはり一定の規制をしていくような問題で考えなければならないだろうし、あるいはそういう休業の問題についても何らかの保障も考えなければならぬ、こういうようなことについてだれでもが一致できる問題で特別の立法的な処置も考えなければならぬ、そういうことも検討しているわけです。それで、私どもはそういう特別の事態について考えておりますので、政府当局としても、ただいわゆる完全失業率一・四%で完全雇用に近い状況ということで検討されたあの雇用保険法が通らなかったからまた出すんだ、こういう安易な形ではなくて、現実にいまの情勢にこたえて、しかも国会でわれわれみんなの同意を得られるようなものについて真剣に再検討していただきたい、こういうことを大臣にお願いしたいと思います。
○長谷川国務大臣 雇用保険の問題は、あのとき通っていれば役に立ったということでございます。そこで、いまから先私が一番心配していることは、よその国でもどんどん失業者が出ております。わが国でも有効求人倍率が一・〇四というふうに九月期下がっているわけでございまして、これが裏書きして先生がおっしゃるように自動車あるいは神奈川県のいろいろな問題が具体的に出ていることだと思っておりまして、そういうものに備えてありとあらゆる行政的な努力をいまからも続けていきたい、こう思っております。
○石母田委員 最後に、ちょっと話は変わりますけれども、同和対策の問題で一つだけお伺いしたいと思います。 今度予算の中でも、概算要求の内容を見ますと、「職業生活の充実をめざした総合的雇用対策の推進」という中で、「同和地域住民の雇用対策の拡充」ということでいろいろ予算を組まれておるようです。私どもは、これを実施するにあたりまして、現在起きている問題について十分検討して運用をはかっていただきたい、こういうふうに考えているわけであります。それは、言うまでもなくいわゆる差別問題でありますけれども、これは四十八年の七月に寺前議員がこの社労委で、いわゆる未解放部落の方が就職のときに差別を受けたということを取り上げまして、労働省として統一応募書類をつくって、そうして一々親の職業だとか親の出身地だとかいうような問題を調べなくてもいいような書式をつくるということでありました。これは非常に前進的な方法であると思います。これをさらに大学や短大にもぜひ適用してほしいということで、検討されるということになっておりましたが、この点について文部当局がその後も検討がどの程度まで進んでいるのか、その点についてお答え願いたいというふうに思います。
○十文字説明員 大学卒業予定者の就職につきましても、高等学校と同様、不合理な差別というものを排除しなければいけないと私ども考えておりまして、私どもといたしましては、大学関係の八団体、これは短大協会というものも入っておりますが、八団体で構成しております就職問題懇談会あるいは国立の学生部の部課長の全国会議等の場におきまして、最近求人側に対しまして労働省のほうからその趣旨徹底がはかられている具体的な点を紹介し、説明いたしまして、大学側としても大学における職業紹介を一そう適正に行なうように具体的に注意を喚起して指導してきているところでございます。これから先も、労働省とよく御相談いたしまして、中央雇用対策協議会等も通じまして企業側にお願いを申し上げますとともに、大学に対しましてもさらに一そう趣旨を徹底していくようにしてまいりたいと思っております。
○石母田委員 遠藤という人、これはあなたの前の学生課長だね。この人が答えたことと一字一句違わないんだな、いまの答えは、これは去年だよ。去年とことしと全然違わないというのはどういうわけだ。読んでみようか。「事柄の性格上は全く同様の事柄でございますので、労働省のほうとも御相談をしながら、中央雇用対策協議会等を通じまして企業側にもお願いをし、大学のほうにも今後趣旨を徹底させ」る。これはあなた、去年の七月十七日にあなたの前任者が答えた答弁そのものをやって、それでこの「大学につきまして、この問題についての問題意識が薄かった」ということだけは抜かしているんだな、都合の悪いところだけは。これは、こういうふうに気がついたらすぐ実践しなければだめですよ。ですから、この統一応募書類というのは、労働省が、「同和地区出身の新規学校卒業者の方々がいわば人生の門出にあたりまして就職の機会均等を奪われまして、不合理な差別を受けるということは断じて許されない」、こういう立場からこうした統一応募書類というものをつくっているわけですから、これの採用について早く進めなさいということを言っているんですから、その点どうなんですか。もう、いつごろやるとか、やりますとかいうことでやらないの。また検討——やる気で検討しているの。
○十文字説明員 その点につきましては今後労働省とさらによく相談をいたしまして、前向きに検討してまいりたいと思っております。全く何もあれからやっていないのではないかという御指摘でございますが、先ほど申し上げましたように、たとえば具体的に申し上げますと、この五月二十三日に全国の国立大学の学生部の次課長会議がございまして、その席でも、たとえば企業側からの応募書類の中に本籍地とかあるいは実庭の職業とかいうような記載を要求する欄がある応募書類であれば、これはもう大学として学生に渡してはならない、そういう点につきましても具体的に指導をしているわけでございます。
○石母田委員 一そうそれを強化して、早くこういうものを採用するようにしていただきたいと思います。これはいま、呉高専の学生の増岡君という人が、五洋建設というところに採用内定になっていたところが理由が明らかになされないままに内定取り消しとなった。学校側や家族側の調査によれば父親が五洋建設の下請会社の組合の委員長をしているとか、父親の職種が左官屋さんであるということしか考えられないということで、いま裁判に訴えているわけなんです。これは私は、現実に企業側でもまだこういう実態が残っているわけですから、十分に指導をしていただきたいし、これはまた労働省の側にも大臣のほうにもぜひこの点はお伺いしていきたい。これは、父親の職種によってもし差別をされるということになったらたいへんなことでありますから。特に私はこの問題で、同和対策の中で、最近皆さんもいろいろ御承知のように朝田一派といわれる、一つの窓口といいますか、その団体を通じなければいろいろな同和対策の事業をやらせない、それが非常に不当な暴力でいろいろやられていまして、現にわが党の国会議員である木下議員が兵庫県の朝来というところで監禁状態になる、あるいはそこの橋本夫妻、先生ですけれども、この人がそういう人たちに同調しなかったということで、朝四時ごろまで拡声機をつけて騒ぎ、あるいは投光器を五、六台つけて照らすとかという、そういう暴力ざたが起きまして、裁判所の仮処分によりましてそうした自動車の排除あるいはそういう大声をあげたり投光器をはずすというようなことはいまやりつつありますけれども、非常に現場の警察などがこの取り締まりが不徹底だという報告も聞いております。そういうことで、私は最後に労働大臣に、こうした労働省の同和対策事業を行う場合にも、民主的に公正な方法で、窓口一本というような差別行政を持ち込むのではなくて、断固としてそういう不当な暴力やそういう脅迫におかされずに、憲法で保障された方向で、ぜひとも同和対策を進めていただきたい。この点についての労働大臣の決意をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
○長谷川国務大臣 若い学生が就職する場合、一生の大事なことをきめることでございますから、ただいまお話のあったように、文部省その他ともよく、いままでも連絡しましたが、さらに連絡して、公正な指導方針でまいりたい、こう思っております。
○石母田委員 それは同和対策についてそうである、そういうことでございますね。はい、終わります。
○野原委員長 大橋敏雄君。
○大橋(敏)委員 私も初めに失対事業並びにその賃金についてお尋ねしたいと思いますが、先に二人の委員がすでに質問をいたしておりましたので、私も若干質問をいたしたいと思います。 先ほど、委員の中から、失対事業は改定期が来た、このまま取りやめるのか、また続けるのかというような質問に対して、大臣は、いや、取りやめることはいたしません。つぶすことはいたしません。むしろ、いま働いている皆さんに対しては、よりあたたかい手を差し伸べます、このような御答弁があったやに聞き取れたのですけれども、私のその聞き方に間違いがあったかどうか、ひとつ確認をしたいということが一つ。 それからもう一つは、十月から米価措置としまして、失対賃金日額を三十円、生活保護基準を三・一%引き上げた政府のこの措置でございますけれども、これは引き上げないよりは確かにいいことであろうと思いますけれども、焼け石に水といいますか、全くこれは申しわけ的な引き上げである。ですから失対労働者の皆さんの気持ちから言うならば、ありがたさよりもむしろ私は怒りのほうが先ではなかろうか、このように感ずるのであります。 実は、去年の九月の時点で、失対賃金は平均千五百四十六円であったわけですけれども、そのときの生活水準からいきますと、少なくとも二・二倍に相当するいわゆる三千三百四十七円ほどの賃金にしなければ、最低限の生活を確保していくのは困難である、このように調査された学者あるいは関係者の指摘がなされていたはずでございます。したがいまして、今回の三十円の引き上げにつきましても、実はこんなばかげた話はない。少なくとも実態から見るならば、七十一・七円の引き上げが必要であるという意見も出ているわけでございます。 正直いって、五月には電気料金、八月にはガス料金、十月には国鉄、米価、医療費、矢つぎばやに公共料金は引き上げされていきました。異常なこのような物価高騰の中で、まさに崩壊に直面している低所得者層の生活に対して、このような小刻みといいますか、場当たり的な物価措置といいますか、こういうのは、もう事態に対処することは不可能である、私はこう思うのでございます。 したがいまして、二つの点について、いわゆる失業対策事業についてどのような態度で臨まれるのかということが一つ。もう一つは、賃金に対して抜本的な対策をとられるのかどうか。もちろん抜本的対策というのは、賃金のスライド制を導入なさる気があるかどうかということも含まるのでありますが、その点についてまずお伺いいたします。
○長谷川国務大臣 大橋さんにお答えいたします。 前段の五十年度検討の時期が来たということで御心配されているという向きがありますが、それは取りやめたり何やらするということじゃないということは、先ほど申し上げたとおりでございまして、働く皆さん方に、あなたのおっしゃるように満足な御回答はできないかもしれないけれども、内容を充実するようなかっこうで私はやりたいということで、御理解いただきたい。 二番目の、三十円は少ないというお話がありましたが、先ほどから質疑されたように、従来の例ですと、三十円よりもっと何か少ないというふうな話がありましたから、それはもう切り上げたりなんかして三十円までいったらどうかというふうな、あなたからおしかりあるかもしれませんが、そこまで努力をしたことでありまして、何さま物価スライドのたてまえではありませんので、物価が就労者の生活に影響を及ぼすということは私も十分承知しておりますので、将来ともにいろいろな場合に重大な関心を持ちながら対処してまいりたい、こういうことで御理解をいただくならばしあわせだと思います。
○大橋(敏)委員 まあこれは御理解いただけませんけれども、先ほどの質疑応答を見ておりまして、これ以上の答弁は出てこないと思いますけれども、いずれにいたしましても、春闘で主要企業の賃上げは平均三二・四%でしたかね。国家公務員は三二・五%ですけれども、失対賃金四十九年度は二一・八%であったわけですよね。当初予算からいくと二七・三%ですけれども、失対事業は引き上げ幅についてもやはりぐっと低いわけです。それからもう一つは、いま言いましたように失対賃金もこの際物価スライド制を導入すべきだ、こう考えるのですが、どうですか。
○佐藤説明員 賃金の問題につきまして生活の実態に対応しておるかどうかということでございますが、実は就労者構成の実態もございますので、失対の賃金につきましては、もう私から御説明申し上げるまでもなく、緊急失業対策法の規定によりまして類似の労働者に支払われる賃金という形で賃金が決定されておるわけでございます。その調査の結果に基づきまして適正な水準を確保する。その結果の額が非常に不満であるという御指摘でございます。私どもも、特に物価が上がっております現段階において、大臣の御指示によりまして種々折衝し、改善すべきものは努力をいたしておるわけでございますし、将来におきましても適正な賃金水準を確保するように努力をいたしてまいりたいと思いますが、物価スライド制を導入すること自体につきましては、そういう法のたてまえもございます。 ただ、就労者構成がかなり老齢化いたしてまいっておりますので、いわゆる賃金論でいくべきか、どういうふうに考うべきかというような問題も実はあるわけでございます。五十年に勉強をすると申しますのは、先ほど大臣から御答弁になりましたように、そういった就労者の実態に即してということでございまして、現在の平均年齢が昨年の十月現在で五十九・六歳というような状態を踏まえますときに、いわゆる労働市場性のある労働力として、いまのままの賃金のきめ方がいいのかというようなことも、一つの検討の課題であろう。そういった事態、そういう問題点もございますので、勉強させ、その際に先生の御意見につきましては十分勉強させていただきたい、かように考えておるわけでございます。 なお、先ほど先生数字をおあげになりましたわけでございますが、社会保障研究会低所得部会の数字でございますが、あの数字は、こういうことを申し上げてはまことに失礼でございますが、神奈川、東京の、わずか約二十足らない世帯の数字をもちましていろいろな数字が出ておりますので、せっかく正しく調査はされておると思いますが、全国たくさんにあります失対就労者の米価、生活実態を反映してどうこうするというのには、まだまだ私どもとしましてはにわかにそれを促進しがたいというような問題もございます。せっかくの調査でございますので、そういった調査の方法、内容につきましては、十分今後も研究させていただきたいと思います。
○大橋(敏)委員 きょうは労働省の前に失対労働者の皆さんが、全国から数千人の方がお集まりになりまして集会を持っていらっしゃいました。私もそこにごあいさつに行ったのですけれども、皆さんの声を聞きますと、ほんとうに切実なものでございます。やはりこれは何とかしてあげなければ、ほんとうに狂乱物価の中でかわいそうな生活である。やはり実態の上に立って、あたたかい行政の手を打っていただきたい。強く要望しまして、失対事業に関係することはこれで終わります。 では、次に移ります。羽田空港におけるところの外資系航空会社とその関係下請企業との間にいろいろと問題が起こっているわけでございますが、きょうは若干の問題点を具体的に取り上げまして、適切な措置を要求したいと考えているものでございます。実は、いま申し上げた種々の問題というのはほんとうに山ほどございまして、きょうの限られた時間の中ではとても言い尽くせませんので、きょうの制限された時間の中では、できるだけそれに当てはまるだけの話を取り上げてみたい。 その第一といたしまして、ノースウエスト航空会社関係を取り上げてみたいと思いますが、ノースウエスト航空会社には、東京地域だけでおもな職場が十四カ所ほどあるわけでございます。そしてその八つの職場にはそれぞれ下請が導入されております。問題は、その下請会社のほとんどに職安法第四十四条違反と思われる現象が存在しているということでございます。そしてこの下請のあり方が航空の安全と旅客サービスの低下をもたらす根源にあると言っても私は言い過ぎではない、このように考えているものでございます。 最近、ハイジャック防止対策といたしましては、空港における乗客に対するチェックはかなりきびしく行なわれておりますけれども、一方、空港制限区域に立ち入ることについては、その許可証、いわゆるランプパスといわれておりますけれども、この発行されている状態というものはきわめてずさんである。きょう実は、運輸省の航空局の関係の皆さんがこの委員会に来れないということで、この問題は私は次回に譲るといたしますけれども、たとえばそのパスに写真も張っていない、そういうパスを利用して出入りがなされているわけでございますが、これは他人にそれを譲って入ろうとも少しも判別がつかないというようなものでございます。もちろん悪いことをしようという人は、そういう写真が張ってあろうとなかろうとそういうことにはこだわらず、それ以上の知恵を働かして悪いことをするでしょうけれども、私が言いたいのは、その一つを取り上げても非常にずさんであるということであります。先ほど申し上げましたように、これは運輸省関係でございますので、次回にこの問題は譲るといたします。しかし、ただ心配いたしておりますのは、来月ですか、アメリカから大統領が来日するわけでございますけれども、それに関しまして、とかく不穏なうわさを聞くわけでございますが、私は大きな事件、これにかかわらず空港で爆弾事件だとか何事件だとかいう事件が起こったあとではこれはもう取り返しはつかない。ですから、事前にこの問題を指摘して、一日も早く善処してもらいたい、こういう気持ちできょうは質問に入っているわけでございます。 さて、ノースウエスト航空会社とその下請企業ですが、たとえば日本空港サービス株式会社、通称JASCOといっております。これは下請です。そのまた次の下請に関東空港サービスというのがあります。あるいはビケンというものもありますけれども、このノースとその下請企業との間には契約が結ばれているわけです。形式的には下請企業ということになっておりますけれども、ノースウエスト航空会社へ労働者を単に供給しているにすぎない。そういう姿になっておるわけです。またノースウエストは下請企業に対して契約金の支払いを行なっているようでございますけれども、実はここにも大きな疑問点、あるいは法律違反ではないかと考えられる内容があるわけでございます。その契約代金の支払いを受けた下請企業は、その代金の中から上前をはねる。つまりピンはねですね。余った金を下請労働者に支払っているという疑いがきわめて濃厚である。 ですから、ここには二つの問題がひそむわけでございますが、労働基準法第二十四条の違反と第六条違反というものが実はひそんでいるわけでございます。 また、この下請企業がまず請負業としての要件を備えていないということであります。単なる労務者の提供事業にすぎない。わが党の調査によりますと、その実態の上からも明らかでありました。それは下請労働者は現にノースウエストの職場で働いて、施設もノースのものを利用して、機材から什器、備品に至るまで、そのほとんどがノースウエスト航空会社のものを使用しているわけです。ですから下請企業というのは名前ばかりで、ただ労働者をノースウエスト航空会社に提供しているという実態があるだけなんです。そこに問題があるわけですね。また作業中における監督、指揮、命令等もノースの直接指揮下に置かれておりまして、こういう事実がはっきりわかったわけでございます。しかも雇用関係は、形式的にはノースではなくて下請企業にできているわけです。 ですから、まず法律違反の第一としては労働基準法第六条「中間搾取の排除」という項に触れると私は思うのであります。これはおそらく労働省の皆さんはまだ実態を掌握していらっしゃらないと思いますけれども、いま私が言ったような実態、実情であれば、いま私が言ったような違反になる、こう考えるわけでございますが、どのような見解をお持ちですか。 〔委員長退席、山口(敏)委員長代理着席〕
○東村説明員 ただいま具体的な問題を提起されながら、かりに労供というような事実があれば、その場合には労基法の六条、つまり、業として他人の就業に介入して利益を得るという六条に該当するかというお話でございますが、その可能性はあると思います。しかし具体的な問題になりますと、また別でございます。
○大橋(敏)委員 これはぜひ調査してもらいたいと思います。もう事実は明白です。 そこで、いまおっしゃいましたようにこの第六条は「何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。」とこう規定しているわけですね。そこで、下請労働者というものは、いわゆるその親会社、つまり雇用関係を結んでいる会社ですね、その会社の直接の監督、指揮、命令下で働いているのであって、賃金も当然直接その親会社から支払いを受けるのが私は常道であろうと思うのであります。したがって、そういう立場から、いま私が申し上げました各下請業者の実態というものは、単なる下請労働者の上前をはねている人貸し稼業といわれてもしかたがないという実態がここにあるわけです。これはたいへんな違反だと思うわけです。ですからきょうは私の一方的な話でございますのでかみ合わないところが出てきますけれども、実情を調査いただければ、私の言っていることがなるほどと裏づけられるわけでありまして、それはいまおっしゃったとおりに労基法第六条違反である。また賃金の支払いが、本来ならば下請業をやっているわけですから、その下請業者のほうから直接労働者に支払われなければならぬわけですね。それがノースウエスト航空会社から支払われているというかっこうになっていますので、これもやはり第二十四条違反に通ずるのではないか、こういうふうに考えるわけです。 そこで、そのピンはねの実態をいまから具体例をあげておきます。これも参考にしていただきたいと思います。 まず、ノースの下請企業である先ほど言いましたJASCO、日本空港サービス株式会社でございますが、ここで働いている従業員の初任給の平均を見ますと、標準勤務時間が八時間で月二十二日働いたとしますと、月に百七十六時間、大体八万三千百円程度が支給されているわけです。これはノースウエスト航空会社の初任給ですよ。そういう一番最低の立場で見た場合に、それをそのままこのJASCOで働いている季節的労働者のCさん、この人の実態に合わせて計算してみたわけですが、ことしの八月の裏づけ書類を私は持っておるのですけれども、十二時間、そして二十七日働いておりますから三百二十四時間の労働になっておりました。単純計算でまいりましても、最低二十六万九千二百円にならなければならぬはずです。あるいは二十七万二千三百二十八円という計算も出てくるやに聞いておりますけれども、実際にそのCさんに支払われている金額はそれよりもぐっと低い、税込みで十四万九千百三十七円であります。税を抜きますと十四万一千九百四十円、これはちゃんと証拠がございます。そこで、なぜ単純計算でそうなるかといいますと、ここに送り状がございます。これは十月分の送り状でございますが、日本空港サービス株式会社がノースウエストに出している請求書ともいう内容でありまして、その賃金の最低は八百円になっています。そして労働者の員数、時間、賃金、それがかけられてそのままそっくり請求されているわけですね。ですから、下請なんというものじゃないわけです。 いずれにしましても、私が言いたいのは、最低の金額が八百円ですから、単純計算でいま言ったような二十六万九千二百円になるのですけれども、実際の手取りは十四万一千九百四十円、きわめて幅があり過ぎる。だから私は、ここにピンはねの疑いがあると言いたいわけです。これも調査していただきたいと思います。 それからこのJASCOのさらに下請、だからノースウエスト航空会社からいえば孫請に当たるわけでありますが、関東空港サービス株式会社というのがございます。ここの「賃金及服務規定」というものがあるわけでございますが、この内容を見てみまして、私はほんとうに驚きました。これから紹介いたしますけれども、Yさんと言っておきましょう。このYさんの一例をずっと拾っていってみたのですけれども、この賃金の支給の実態というものがまたきわめて問題です。四十九年の九月ですから先月のことですね。二百十七時間この人は働いていらっしゃいます。この裏づけ書類もちゃんとあります。そして最低の八百円をかけますと、十七万三千六百円になる。これは単純計算ですよ。ほんとうはいろいろな手当がつくのです。ところが、一月からずっと今月まで支給された金額を見ますと、最高で十一万八百五十円、最低は七万一千二百六十二円です。これはもう全部書類はそろっているのですよ。これもそうだし、ほかにも全部私は持っておりますが、きょうはこれは一方的に公明党の調査ですから、具体的にどうのこうの言ってみても、まだ調査しておりませんのでという答弁で終わると思いますから、私は一方的にこれを申し上げておきますが、この実態を見てみましても、十七万三千六百円に単純計算でもなるはずなのに、いま言ったように十一万八百五十円ないしは七万一千二百六十二円、程度の支給しか受けていない。こういう実態を見たときに、二重のピンはねをされているような気がしてならないわけです。 そこで、いま言いました「賃金及服務規定」というのがありますけれども、第一は役職手当、部長手当が三万だとか次長手当が二万だとかずっとありますが、こういうのは時間がございませんので省きますけれども、服務規定の中にこんなことがあるのですよ。「一、年始の公休制廃止 一月一日、二日、三日の公休制度を廃止します。」これは仕事の内容からいって、あるいはこういうことも考えられると思いますけれども、二番目として「遅刻、早退の取扱 一カ月間に三回遅刻、早退した場合、一日欠勤とする。」とあるのです。いいですね。三番目として「欠勤の取扱 (一)欠勤一届出のあった場合) 一ヶ月間に三日欠勤した場合、一日加算の四日欠勤となる。」三日欠勤したら四日にするというのですよ。「一ヶ月間に六日欠勤した場合、二日加算の八日欠勤となる。上記の賃金はその月の賃金よりカットし、更に賞与より減額対象とする。」そしてその次に「(二)無断欠勤 無断欠勤の場合は一回で四日の欠勤とし、賞与の減額対象とする。」こういう服務規定があるわけでございますが、もう何をか言わんやでございます。こういう事実があったとすればどういうことになりますか、ちょっと御見解を承りたいと思います。
○東村説明員 ただいま先生御指摘のありました点でございますが、われわれもわれわれなりに一応実態を掌握しておりますが、そこまでなかなか本省の手元にはございません。したがいまして、いまのような事実があれば、これは労働基準法の就業規則の懲戒の問題等に触れる問題でございますので、厳正に対処しなければいかぬと思います。 総括的に申し上げまして恐縮ですが、先ほどの六条の問題、それから二十四条の問題、いまの問題、私どものほうはこの事案について明確に細部について承知しておりませんので、そういう違反があれば厳正に措置をとりたい、こういうことでございます。
○大橋(敏)委員 最後にまとめて大臣に見解を聞きますので、よく聞いておいてくださいよ。 そこで、私はいま基準法の第六条、その問題をさらに裏づけられていく法律として職安法第四十四条、この違反の疑いについて確認をしておきたいと思うのでございますが、この四十四条というのは、「何人も、第四十五条に規定する場合を除く外、労働者供給事業を行い、又はその労働者供給事業を行う者から供給される労働者を使用してはならない。」ということですね。これは法律の条文そのままですからもう当然ですが、その次に四十五条というのは、「労働組合法による労働組合が、労働大臣の許可を受けた場合は、無料の労働者供給事業を行うことができる。」こうあるのです。しかも、第五条第六項では「労働者供給とは、供給契約に基いて労働者を他人に使用させることをいう。」こういうふうにきちっと条文があるわけですが、これに照らしてまいりまして、いま私が申し上げました下請企業の実態を見ていきますと、まさに労働者供給事業をやっているといってもほとんど間違いではないという実態があるわけです。 そして、さらに裏づけておきたいことは、この下請企業が請負業として認められない理由は、職安法施行規則第四条の規定に当てはまっていないからだ、こういうことです。 ここでお尋ねしたいことは、職安法施行規則第四条というのは一から四項までにわたっておりますけれども、たとえ形式が請負契約であってみても、その一から四項にわたる内容に該当しない場合は、これは労働者供給事業を行なう者とみなす、こういうふうにあると思うのでございますが、いかがでございましょうか。
○岩崎説明員 いま先生おっしゃるとおりでございます。法律上の構成は四十四条、四十五条で労働者供給事業の規定がありまして、労働組合が許可を得てやる以外は労働者供給事業は禁止されている。その労働者供給事業であるかないかの判定の基準が職業安定法施行規則の四条、特に一項の一号から四号まで各号に列挙してあります要件をすべて充足している場合には、これは請負業として労働者供給事業ではないという認定を受けられますが、一つでもその要件を欠いている場合には労働者供給事業になる、こういうことでございます。
○大橋(敏)委員 いま申し上げましたように、これはその四つの要件をことごとく欠いているといっても言い過ぎではないような内容になっているわけです。しかし四つの中でも主観的にとれるものがありますので、特に読み上げておきますが、施行規則の中には、第二番目には、「作業に従事する労働者を、指揮監督するものであること。」が一つですね。これはこのとおりになっておりません。全部下請企業の指揮監督ではなくて、ノースウエスト航空会社のすべての指揮監督に従っているということに違反があるわけですね。それから四番目ですが、「自ら提供する機械、設備、器材(業務上必要なる簡易な工具を除く。)若しくはその作業に必要な材料、資材を使用し又は企画若しくは専門的な技術若しくは専門的な経験を必要とする作業を行うものであって、単に肉体的な労働力を提供するものでないこと。」とありますね。こういうことからいくと完全にこれはひっかかります。絶対にひっかかります。 そこで、結論から申し上げますと、ノースウエスト航空会社に入り込んでいる下請企業は、すべて現在の実態では職安法第四十四条に違反する労働者供給事業を行なっていると私は断言できるのでありますが、労働大臣、これから見解を聞きたいわけですが、まず私が言ったような内容がはたしてそうであったかないかという調査をしてもらいたい。当然行なわれるであろうと思います。また同時に、その調査結果は私の言ったとおりであった場合は、どのような措置をとろうとなさるのか、この二点についてお伺いいたします。
○長谷川国務大臣 大橋さんが羽田空港の警備の問題から発言されまして、ノースウエストのいまのような状態を私初めて聞きました。そういうふうな事案がありますれば、これは職業安定法あるいはまた労働基準法、関係法令に照らしまして違反があった場合には、私のほうでは是正されることにいたします。外国人企業といえども、私たちの国の働く諸君を守るには一歩も譲ることはできません。そういう意味で今後におきましても、この事案が調査しまして認められた場合には、監督指導を実施しまして、これらの下請労働者の労働条件の確保、改善をはかることに懸命につとめてまいる所存であります。
○大橋(敏)委員 労働大臣はいろいろ知っていても知らない知らないとよくおっしゃるのですが、実は東京地方検察庁に、四十九年の九月ですから先月です、もうすでに告発状が出ているのですよ。だから、これは、民間航空会社の問題だからというのではなくて、やはり労働行政全般の総責任者である労働大臣としては、それを知らないというようなことでは問題だと思います。 いずれにいたしましても、こういう実態が現にあるということは非常に遺憾なことであります。これはノースウエスト航空会社のみならず他の外資系の航空会社、パンアメリカンとかエアフランスその他にも同じようなことが言えるのではないかと私は思うのでございますので、この際思い切った調査をしていただきたいということを強く要望しておきます。 時間もだいぶたってきましたのですが、法務省の方にちょっとお尋ねしますが、四十八年に、やはり同じようにノースウエスト航空のほうから、労働者のほうから、外国人の出入国管理令違反云々という問題が告発されたわけでございますけれども、御承知と思いますが、これが不起訴になったわけですが、どういう理由で不起訴になったのか、その理由を聞かせていただきたいと思います。
○俵谷説明員 御指摘の事件でございますが、これは本年の八月十六日、東京地方検察庁におきまして不起訴処分にされております。 その事案の内容でございますが、告発事件でございまして、その告発事実の要旨を申し上げますと、これはノースウエスト航空株式会社の日本支社長でありますジェンキンズというものと、それから同じく同社の社員でありますデビッド・ワイゼルという人たち外二十三名の人が告発されていたわけでございます。これらの人たちが日本に本年の四月下旬ごろから七月ごろまでの間に入国いたしまして、その入国の資格は出入国管理令第四条一項五号のいわゆる事業、投資等の活動をする、こういった在留資格を持って来たものあるいは四条一項十六号に基づきます法務省令に根拠があります短期商用の在留資格、これを持って日本へ入ってきておったわけでございます。ところが、昨年の四月二十六日から五月六日ごろまで、当時労働組合のストがあったわけでございますが、その間六回ほどにわたりまして、この在留資格外の活動であります荷物の搭載、燃料の積み込み、機内食の準備、そういった作業あるいはエンジンの整備、こういった作業を行なったわけで、これが法務大臣の許可を受けないで在留資格外の行動をしたという違反事実の告訴があったわけであります。これに関連いたしまして、支社長のほうは、これを教唆したということで、これが事実である、それを調べた結果でございますが、東京地方検察庁におきましては、このストライキに際しまして、組合との労働協約に、保安要員に関する取りきめ等がなかった、こういうような事情もあったようでございますが、本社とも連絡の上、緊急的措置としてこの二十三名の者を呼び寄せた。そうして、これらの者は、管理者の立場にあったわけでございますが、その業務のかたわら、航空業務の公共性の強い点、それから危険性といいますか、そういった業務の特殊性にかんがみまして、業務の維持運営に必要最小限度と安全確保の見地から行なったものであるというような点、それから資格外活動の点につきましても、もっぱらそういう活動を行なったかどうか、こういった点に問題があったことなど考慮いたしまして、さらにこの事件につきましては争議がその後円満に解決されておる、こういう事情等をしんしゃくいたしまして、関係者の意見も聞いた上で不起訴処分した、こういうふうに聞いております。
○大橋(敏)委員 まだほんとうによくわかりませんけれども、いずれにしましても、関係者との話し合いの上で不起訴になったというのですけれども、労働大臣、これは去年起こった問題なんですが、ノースウエスト航空会社の労働組合の皆さんが、いわゆる合法的にストをやったわけです。つまり、生活向上あるいは賃金向上のためのストをやったところが、そのスト破りのために外国人、アメリカ人を——アメリカ人ばかりかどうか中身は知りませんけれども、要するに外国人を呼び寄せて、そのかわりに働かせたという内容になっているわけですよ。いわゆるスト破りなんですね。けしからぬ話なんですよ。いま外資系会社であろうと何であろうと日本で会社を持っている限りにおいては、日本の法律できちっと取り締まっていくとおっしゃった大臣の考えは当然のことでありますけれども、現にいまも三人から六人の外国人労働者が労働組合員が行なうところの業務の代がえ要員としているというのですよ。そして、ついこの前、十月十七、十八、十九日の三日間やはりストが行なわれたわけですね。そのときにやはり同じような形でスト破りの姿が出てきているわけですよ。この外国人の労働者というものは、一体これはどうやって入ってきたんだろうか、そしてどのような手続を踏んでそうした就労をやったんだろうかと疑問でならないのですが、まず最初にどういう入国手続を経て入ってきたのか、今度スト破りした皆さん。それはおわかりにならないですか。現在いるんですよ。
○小林説明員 御質問にございました六人というお話でございましたが、その外国人労働者が現在ノースウエスト航空に勤務しております職員のうち、どの人物をさすものであるかということにつきましては、私どもちょっと明確にしてない面があるのでございますが、私どもが承知しておるところでは、ただいまノースウエスト航空には支社長以下十四名の米国人職員が本国から派遣されて在勤しておると承知しております。そのほかに随時要員が短期間出張来日しておるということでございます。この三名ないし六名とおっしゃいました外国人労働者が、そのうちのどれをさすかということにつきましては、ただいま申しましたようにはっきりしない面がございますが、諸般の情報を総合いたしまして推定いたしましたところによりますると、これらの該当者はいずれも商用査証を持って上陸を申請し、それぞれの目的に応じた在留資格で上陸の許可を与えられておるわけでございます。また、これらの職員はすべてノースウエスト航空の正規職員でございまして、管理的な業務に従事する者でございます。したがって、短期の雇用者、臨時的な雇用者は含まれていないと承知しております。
○大橋(敏)委員 短期の商用査証で入ってきたということでございますが、これは要するにいまの日本の法律では、外人は特別の場合を除いて雇ってはならない、働かしてはならないのですね。研修生だとか中国料理をやっている人だとか、特別のきめられた人は別としましても、一般的にはまだ禁じられているわけですね。それだけにこの問題は大きな問題であろうと私は思います。 時間の関係でこれをこれ以上追及するのはきょうはやめたいと思うのでございますが、いずれにしましても、このノースウエストの中には不可解な事柄がまだ幾らもあるようです。そしてこの外人は、空港内で作業を行なうために、空港制限区の立ち入り許可証、ランプパスを持っているわけですね。これは運輸省の関係になりますので、次の機会にまたただしてみたいと思うのですけれども、いずれにいたしましてもこういう実態があるわけですよ。これはやはりただしていかなければいかぬと思いますね。 最後に、大臣の率直な、まじめな気持ちをお伺いしたいと思います。
○長谷川国務大臣 わが国では、いまから先でもまだ中高年齢者の方々の就職ということが非常に大事なことなものですから、御承知のとおり外国人労働者は原則的に日本では働かないような形になっておるわけでありまして、そして熟練労働の、何か非常に大事な、日本が学ばなければならぬような方の入国は、私のほうと法務省が相談をして許可している、非常に限定された職種というふうに御承知おき願いたいと思います。 いまのような事態で入ってきて、その外国人の航空関係の人が、旅券の内容が違って、あなたのおっしゃるような形の労働をしているかどうかということは、私たちいますぐつまびらかにできません。ただ一つ考えられることは、やはり航空の問題ですから、安全もあるし緊急性もある、そういうところに何かそういうふうな問題が起こったのじゃなかろうかと考えられる向きもありますが、何といたしましても、私たちの国は法治国でございますから、その法治国の線はきちっと守って、是正すべきものははっきり是正していくというふうな形をいまから先もとりたい、こう思っております。
○大橋(敏)委員 じゃ最後に一言。とにかく空港の仕事というのは、いまジャンボ、大型化されまして、乗客の数はもう日に増しふえていっている状態にあるわけですね。そうした乗客の安全確保あるいはそのサービスについてはより深く、また広く検討していかなければならぬと思いますが、先ほど申し上げましたように、そうした大きく伸びていく姿に対応できず、言うならば人手不足というものをそうした下請けというような名のもとに解消していっている。これも小手先の対策だと思うのですね。実はきょうは傍聴席には現場で働いていらっしゃる皆さんがたくさん来ていらっしゃいます。きょうの私の質問を聞いていて、おそらく歯がゆい思いをしていらっしゃるだろうと思うのです。いや、そんなものじゃない、もっともっとひどいのだと、おそらく声を大にしてうしろから叫びたいような思いだろうと思いますが、私ども公明党の調査もまだ日浅うございまして、さらにこれを深めていきたいと思います。いずれにいたしましても、こういう問題を一日も早く善処して、明朗な航空行政ないしは飛行場で働いていらっしゃる皆さまの労働条件を改善されることを強く希望いたしまして、私の質問を終わります。
○山口(敏)委員長代理 坂口委員。
○坂口委員 最後の質問者になりましたし、たいへん時間もおそくなってまいりましたので、できるだけ簡潔に申し上げるつもりでおります。したがいまして、御答弁のほうもひとつ簡潔に、しかも大事なところは抜かさずにお願いを申し上げたいと思います。 きょういままでにも、狂乱物価に始まりまして、総需要抑制政策等にからみますところの失業問題、その他倒産等の問題も出ていたようでございますが、私も本年の後半から非常に倒産が目立ってまいりました繊維の問題をきょうは中心にしましてひとつ質問をしたいと思います。 九月の倒産負債総額は過去最高の千九百億円に達しておりますし、繊維だけをとってみましても、九月には製造のほうが二十七、販売のほうが三十三、合計六十件の倒産を数えております。十月の十五日に発表になりました東洋紡績の二千三百三十人に及ぶ希望退職者の募集がございました。これは労使間で合意された件でございますけれども、いわゆる三大メーカーの一つである東洋紡が先陣を切って退職者を募ったということは、他の中竪あるいはまた小零細、そういう企業への影響は非常に大きかったと思うわけです。確かにこれに続きまして多くの企業から希望退職を募りましたり、あるいはまたはっきりとした人員整理というような形が出てまいりました。この東洋紡績だけに限ったことではございませんけれども、東洋紡績を一番先頭にいたしました今回のこの退職者の募集ということに対して、労働省がどういうふうな受けとめ方をしておいでになるのか、このことをまずひとつお伺いをしたい。 続きまして、通産省のほうからもこのことをどのようにお受けとめになっているかということをひとつお聞きをしたい。
○岩崎説明員 私ども、一般的に申しますと、できるだけそういった不況に伴う企業につきまして、人員整理が行なわれないように何らかの合理的な労使関係の中においてお話し合いができますようにということを期待し、またそういうことを指導してまいっておるわけでございますが、たとえば東洋紡におきましても当初三千三百人ほどの希望退職募集というような会社側の発表でありましたけれども、その後労使の話し合いが進みまして、一つには週休二日制とかそのような時間短縮によってある程度の縮小をし、またそのほかいろいろと労使の話し合いの結果、企業側が言っておりました当初の発表よりも千人ぐらい減っているというような状況になっている等、労使の話し合いによって、まず第一義的にはできるだけ離職者を少なくするということを期待してやっておるわけでございますが、それが離職者になって出てまいります時点においては、現行法に基づきます失業保険制度あるいは雇用対策法等に基づきます施策を活用いたしますとともに、職業安定所を通じて求人開拓、職業あっせんということを精力的にやってまいりたい、こういう方針で臨んでいくつもりでございます。
○田口説明員 先生御指摘のとおり、わが国の繊維産業は昨年末の石油ショックのころから今日まで不況が約一年続いておりまして、不況の状態も月を追うに従いまして深刻化しつつございます。御指摘のように、大企業ですら離職者の問題が出てくる。それから中小企業におきましては、たとえば織機を一時とめてほかのところに働きに行っておる。こういったような状況が出ておりますことも御指摘のとおりございます。 私ども、できるだけの金融面その他の手段によりまして倒産を防ぐ。それからある程度の減産はやむを得ないと思いますけれども、産地、中小企業、零細企業等が非常にお困りになるというような事態を何とか全力を尽くして防ぎたい、このように考えております。
○坂口委員 きょうはこのことについてさらに突っ込んだ議論をする時間がないのが残念でございますけれども、私がお聞きしたいのは、これをどう受けとめ、これからこれにどう対処していかれるかということでございます。ことばをかえれば、一口で言えば、これがたいへんなことなのかどうか、それとも大勢には影響がないというふうに受けとめておられるのかという点でございます。ちょっとことばが悪うございますが、これはたいへんなことなのだというふうにお受けとめかどうかという、一口で言えばそういうことを私は皆さん方のほうから御意見として聞きたいわけです。
○岩崎説明員 過去何回か不況があり、またそういった雇用問題に影響のある事態というものはあったわけでございますけれども、先生御案内のとおり今回の不況は非常に規模も大きく、また深刻度は深いというふうに考えております。
○田口説明員 たとえば対米輸出規制あるいは第一次ドルショックに見舞われました四十六年の不況のときに比べましても、現在はさらに深刻な状況にある、一言に申しますとたいへんな情勢にある、このように認識しております。
○坂口委員 去る九月十七日には繊維業界で史上最大の倒産といわれております阪本紡績の倒産が報道をされました。日本の繊維業界は、中小企業は言うに及ばず、大手メーカーにとりましても、いまお答えがありましたように、たいへん重大なときを迎えておりますし、また今後もさらにより一そう苦難の道を歩まなければならないのではないかと思うわけであります。これに対しましてどういう手を打っていくかということを議論をいたします前に、なぜにこういうふうな結果をもたらしたかということを議論しなければならないと思うわけであります。きょうは労働関係の委員会でございますし、その原因等につきまして詳しく議論をする場ではないかと思いますけれども、しかし一応この原因についてここで質問をしておきたいと思うわけであります。 この原因につきましては、全体的な大きな経済の流れの問題と、それから繊維自体が持っている固有の問題と、大ざっぱに分けて二つに分かれると思いますし、本来ならばこの一番大きな経済の流れをここで議論をしなければならないと思いますが、これも時間の関係がございますし、ここでそれをやっておりましてはいつになるかわかりません。また私のほうも他の委員が他の委員会で多くの発言をいたしておりますので、そちらのほうにその大きな問題はゆだねるといたしまして、きょうは繊維固有の問題として特にどのような原因があって今日に及んだかということについての御意見をお聞きしたいと思うわけであります。 問題がばく然といたしますので、もう少ししぼらせていただいて御答弁をいただきたいと思いますが、一つは、退職者の募集や倒産の現状から見て、これは先ほども少し御答弁がございましたが、もう放置できない状態なのかどうか、もうこれ以上放置できない状態にあるというふうに現在を把握してお見えになるのかどうか、これが第一点。 それからもう一つは、いままでたしか四十二年ごろからだったかと思いますけれども、いわゆる構造改善事業というものがなされてまいりましたが、その構造改善事業の結果と現状を見て、この事業をどう評価してお見えになるのか、その構造改善事業の結果が現在どのようにあらわれているかというふうにごらんになっておるか。この二点につきまして通産省のほうからひとつ御答弁をいただきます。
○田口説明員 第一の不況の原因の御質問でございますが、一言に申しますと、現状のまま放置することはとてもできないというふうに考えております。 なお原因についてごく手短に考え方、見方を説明さしていただきますけれども、短期的な原因といたしましてはおそらく三つくらいあるのじゃないか。一つが、いわゆる仮需の変動、昨年の行き過ぎ、これに対しまして昨年非常な過剰生産をしたということからことしが非常に景気が落ちてきた、しかも金融引き締めが影響をもたらしておると思います。第二は、消費者の皆さまが相当節約を旨とするような態度に変わられたということがあると思います。それから次に輸入問題。従来輸入が非常に少なかった日本の繊維産業に対しまして、最近では発展途上国を中心といたしまして輸入品が相当ふえてきている。以上の三つがあろうかと思います。 それから長期的、構造的な問題から申しますと、これは輸入の問題とからみますけれども、輸入品と同じようなものをつくっている限りとても賃金面で競争できないのではないかといったようなことから、知識集約化ということを進めなければいけないといったような構造面の問題が一つあろうかと思います。それからもう一つは、やはり過剰設備と申しますか、設備にいたしましても過当競争が行なわれてきている。こういったようなことが長期的な原因じゃなかろうか、このように思います。 それから第二の御質問でございますけれども、四十二年から本年の六月まで講じてまいりました従来の構造改善についての評価でございます。端的に申しますと、従来の構造改善は、繊維全体の中で四つの業種、紡績、織布、メリヤス、染色という四業種を特定業種と指定いたしまして、これの国際競争力の強化をはかるという目的でやってまいったわけでございます。政策手段といたしましては、手短かに申しまして三つございます。一つは生産設備の近代化、量産化、二番目は企業規模の集約化、三番目は過剰設備の廃棄といったような目標があったかと思います。 評価問題は非常にむずかしゅうございますが、第一の設備の近代化、量産化につきましてはほぼ目的を達成し得たのではないか。二番目の企業の集約化という点では、実績は目標を相当下回ったということを申し上げざるを得ない。それから三番目の過剰設備につきましては、織機等は、廃棄した台数は目標をほぼ達成したわけでございますけれども、中途で予想しなかった無籍織機というものが発生している。したがいまして、現状では依然過剰というふうに申し上げざるを得ない。このように評価しております。 なお、先国会におきまして本法律の改正を国会で通していただきまして、従来の構造改善から新しい構造改善ということで業種を特定しないで輸入品と競争するあるいは消費者にいいものを供給するということで知識集約化を今年度からはかる、こういうことでスタートしつつあるわけでございます。
○坂口委員 構造改善事業というものをどういうふうな角度から見るかということによりまして非常にいろいろな評価がなされるであろうと思いますが、いまお聞きしたような評価のしかたもあろうかと思います。いまお聞きいたしておりますと、たとえば経営の合理化でございますとか、過剰設備の問題でございますとか、あるいはまた、いまございませんでしたが販売ルートの整備等の問題もあったのではないかと思います。こういうふうな構造改善事業の内容からいたしますと、ややもいたしますともう少し別な面での構造改善というものが忘れられていたのではないかという気がするわけでございます。と申しますのは、構造改善にとって私は一番大事なことだと思いますのは、たとえば一つの産地におきます繊維業界というものが、自分たちが一体何をつくり、あるいはまたそれをどう販売するかという、いわゆる自分たちで企画し、自分たちで売る能力というものをつけていく、そういう構造改善がなされないと、いかにスムーズに販売ルートができあるいはまた過剰設備が整備をされ、近代化されたといたしましても、いつまでも大きい企業の下請をして、そして大企業が命じるままの製品をつくってそれを売るだけの中小企業であったならば、これはやはりこういうふうな時代になったら生きられないのではないか。そこで構造改善事業の方向性というものに一考を要するのではないかということを常々考えているわけでございます。 そういうふうなことを私は申し上げたかったわけでありますが、これもそのことに時間をとっているひまがございませんので、労働省のほうに戻りまして、労働省のほうからの意見を聞きたいわけでありますけれども、原因はどうであるにしろ、いままで打たれた政策にたとえば間違いがあったといたしましても、現在起こっております現実というものはいかんともしがたいものでありますし、この現実は何としても乗り切っていかなければならないわけであります。そういう意味でわが国の繊維業界をながめてみますと、従業員数は約百七十五万といわれておりますし、周辺のものを入れましても若干二百万に足らないくらいな程度、約二百万、御家族等を入れますと一千万の人口になるわけでありますし、この繊維の問題は日本の人口の十分の一の人たちの生活を左右する大きな問題であるわけであります。そういう意味で、現在起こっております繊維危機に対して、労働大臣としてどう対処していこうというふうにお考えになっているのか。ここに来たるゆえんにつきましては、いまいろいろお話がありましたような、また私が述べましたようないろいろの原因等もあったかと思います。それはさておくといたしまして、この現状をどう乗り切っていくかということについての労働大臣のお考えをひとつお聞かせいただきたい。
○長谷川国務大臣 私たちが学生時代に日本の輸出品といえば、綿糸、綿布、毛織物というたわけであります。それが三、四年前は、アメリカなどは日本の繊維輸出におそれおののいた、そしてちょっとの時間がたてばこういうふうに大不況ということでございまして、これは一にかかって、大企業だけにあらず、さらに、地方に進出している三十人、四十人、五十人の工場がありますが、そういうところもいまそうした失業とかレイオフとかいろいろなことを受けているわけでして、これはまさにたいへんなことだ、こういうふうに私は感じております。御承知のように、前回の国会において皆さんに御審議いただきました雇用保険法案というものも、それを予想したわけじゃありませんでしたけれども、ちゃんとあの中に三分の二あるいは二分の一という雇用調整交付金なども実は入れておったようなかっこうでございまして、とにかく、従来アメリカの繊維危機の場合にも使ったいろいろな方策などもありますから——あの場合は高度成長のバネですぐによくなりました。しかし、今度はなかなかたいへんで、ゼロ成長でありますし、それがまたすぐにも直るというふうな見通しはなかなかつかないということでありますから、労働省としましてはありとあらゆる機関を総動員していろいろな方策を講じているという形でございます。
○坂口委員 大臣からもう少し具体的なことをお聞きしたいわけでありますけれども、たとえば先日の新聞等を拝見いたしますと、職業転換給付金制度でありますとか、あるいは繊維工業の構造改善臨時措置法によるいろいろの措置でありますとか、こういったことについても発言をしておいでになりますし、また保険金の受給延長についても述べられているように承っているわけであります。この辺につきまして大臣の前向きな発言をお願いしたいと思います。
○岩崎説明員 やや事務的な措置の問題になりますので、私から具体的なお話を申し上げたいと思います。 従来、繊維産業に関しましては、先ほど通産省のほうからもお話がありましたが、特定繊維工業構造改善臨時措置法によりまして雇用奨励金制度というものがあります。それから日米繊維協定に基づきますところの輸出規制に伴う繊維産業離職者雇用奨励金制度というものも設けておったわけでございますが、いま大臣からも申し上げましたように、そのときは高度成長の中でそれ自体あまり発動することはなかった。これは幸か不幸かわかりませんが、そういう事態で過ぎてまいったわけでございます。現在考えますのには、そういった日米繊維協定の際の問題は、やはり国際間の協定に基づく一つの国の具体的な措置として行なわれたものであるということから、直ちにこのような法律措置が用意できるかというと、必ずしもそうはまいらないというふうに考えざるを得ないと思います。また、失業保険の運用によります救済ということでいまお話がありました点は、実は現行の失業保険制度の給付延長と申しますのは、産炭地などにおける非常に離職者多発地域であって、その地域における就職がなかなか困難である。したがって、全国的な広域求職活動をしなければならぬ、そういう人たちのための措置として給付延長制度というものがございます。それが現時点における繊維不況に際して直ちに発動できるかどうかということには、若干要件の問題で疑問があるわけでございます。大臣からお話も申し上げましたが、実は雇用保険制度の中ですと個人の給付延長、あるいは全国的な不況の場合の全国的な給付延長というような措置も考えられておった、こういうようなことであったわけですが、その点は残念ながら……。
○坂口委員 大臣からも雇用保険の問題が再三出てまいりまして、この時期に至って雇用保険がないのは一に野党の責任である、これがあったらこんなことにはならなかったのにと言いたそうなほどの口ぶりでございますけれども、この雇用保険の議論は別にするといたしまして、保険金の受給延長の問題でございますけれども、これは地域によってなされる問題だと思いますが、このことは大臣どうですか、少し具体的に何かお考えになっておりましたらひとつ御意見を承りたいと思います。
○岩崎説明員 ちょっと事務的に補足させていただきます。ただいま申し上げましたことでちょっと足りなかった点を申し上げますと、たとえば個人の延長でも実際に職業訓練を受けている人たちに対する給付延長という制度は現行法においてもあるわけでございます。ただ、いま申しますような地域的なと申しますと、あるいは産地として形成されますようなものについては、事態のいかんによりましてはそういうことも発動する余地はあるということは申し上げられると思います。
○坂口委員 そういたしますと、このことについてはかなり検討も進められ、そしてこの受給延長についての可能性というものはかなりあるというふうに理解させていただいてよろしゅうございますか。
○岩崎説明員 先ほどから申し上げておりますようなことで、今回のたとえば繊維の不況あるいはほかの産業、それから一つの企業のいろいろなところにあります工場の離職というようなことに直ちに発動できるというものではないと思うのでございますけれども、たとえば新潟の燕の洋食器産地が非常な不況で軒並みであるというような場合に検討する余地があるのじゃないかというふうに考えるわけです。
○坂口委員 大臣はいかがでございますか。 〔山口(敏)委員長代理退席、山下(徳)委員長代 理着席〕
○長谷川国務大臣 事務的にできるものは全部洗って、こういう大不況の場合には手当てをするようにということで研究しているわけであります。先ほども申し上げましたが、保険給付金を三三%出すようにしてみたりしておりますが、何さま私はほんとうに残念であったことは、そういう意味では先日の雇用保険法案というのが残念。しかもいま私のところに組合の諸君が大ぜい毎日のように来るのです。あるいは紡績協会の諸君なども来るのです。ほんとうにのどから手が出るような感じじゃないでしょうか。私は、せっかくですから何かそういうふうなことができたならば、ほんとうに一つ一つ、アメリカの場合の特定地域というふうなことじゃなしに、大きく網をかぶせさせることができるというふうな期待を持っているわけであります。この辺についても、ひとつ御研究のほどをお願いしたいと思います。
○坂口委員 もう一つ大臣にこれはお願いをしておきたいのは、大きい企業たとえば大手メーカー等が、経営努力も、それはもちろんやっているのだろうと思いますけれども、経営努力よりも、ややもすれば安易に人減らしの政策というものに走り過ぎはしないかという意見もかなりあるわけであります。大臣はこの点をきびしくひとつ指導を、私はしてもらいたいと思いますし、そういうふうな一時的にしろ経営努力よりも人減らしのほうに安易に走って、そうして多くの人たを解雇をする、あるいはまた勇退を募るというような形にならないように、ひとつこれはお願いをしたい。 それからもう一つは、事前協議等をこれはどうしても徹底してやっていただいて、そうしてその中でこういうような問題を一つ一つ前進をしてもらうような形に、これはひとつ指導をしてもらいたいと思います。 大臣から、このお話を一番最後に御決意を伺いたいと思いますが、その前に中小零細企業にとりましては、何と申しましてもやはり融資の問題がからんでまいります。その中小零細企業の中で働く人たち、この人たちにとりましては、やはりこの年末融資がどうあるかということによって、かなり大きな影響を受けるわけでありますので、きょうは中小企業庁のほうからお越しをいただいておりますね、ひとつ年末における繊維の融資の問題、それから返済の猶予の問題等につきまして、簡単でけっこうでございますが、お触れいただきたいと思います。
○若杉説明員 一言にいいまして、たいへん心配な状況でございます。年末金融につきましては、目下大蔵省と折衝中でございますが、最大限の努力を払って何とかしのげる金額は必ず確保するという決意でやっております。 それから返済猶予につきましては、業界からは一律にやってくれというような希望もあるのでございますが、お金のほうは逆にそういう回収金どもからんで貸し付けがありますので、一律はかんべんしてもらいたい。しかし、結果として全員がなってもかまわない。しかし、ケース・バイ・ケースでできるだけ前向きにやっていく。結果として全員がなってもそれはかまわない。しかし最初からアプリオリに、全部一年なり伸ばすよというように業種別にアプローチされては困る、こういうことで前向きでやっております。それでたとえば件数から見ても、去年の一年間の返済猶予件数を三カ月で突破しているとか、そういう実績も出ております。前向きにやっていることは間違いございません。そういうことで、さらに返済猶予が苦しくなると強化しなければいかぬじゃないかということで、指導を徹底的に三機関にやっていきたい、こういうふうに思っております。
○長谷川国務大臣 私たちはそういう企業の責任者に会いますと、せっかく自分の会社でいままで一緒に働いた、ことに繊維の場合は若い諸君が多いわけですから、そういう者を離さないようにして、こういうときこそ企業の社会的責任を果たしてくれということをいろいろな場合に言うてもおります。またおっしゃるとおり、事前協議というものが行なわれてけっこうだと思うんです。先ほどお話のあった東洋紡の場合でも、三千三百名がだんだん話している間にその数が減ってくるというようなことでございますので、いまから先もそういうところにしっかりと努力をして、私はこの不況の中に一番目立つものが繊維というふうなことで、何かいままで日本の非常に代表的な産業ががたがたいくようなことじゃ困るというたてまえをとって、努力してまいるつもりでおります。
○坂口委員 じゃ最後にもう一度、これは関係各省にお願いをしておきたいと思うわけでありますが、先ほども申しましたとおり、日本の中の約一千万の人口が、この繊維の動向によって生活を左右されるという状態でございますし、また来年度はいわゆる海外からの輸入等の問題が、今年よりもより深刻化してくる可能性も含んでいるわけであります。そういう中で構造改善事業等の方向性も含めて、これは各省庁が連絡を密にしていただいて、そうして積極的にひとつ取り組んでいただきたいと思うわけであります。この繊維におつとめの皆さん方が、いま年末を前にして、これは経営者もそしてそれに働く人たちも非常に暗い毎日を送っておいでになるわけであります。中小企業庁のほうも、いまお話を伺いましたが、ひとつ積極的に大蔵省と折衝をしていただいて、少しでもこの年末が乗り切れるような形にしていただきたいと思います。 以上であります。
○長谷川国務大臣 ただいまおっしゃるとおり、一生懸命がんばります。ですから政府のほうでは、ありとあらゆる手を打つ一つの中には、バングラデシュのようなところにいまの滞貨したそういうものを送るという話などもあるし、一方やはり国民の連帯感でございますから、私は消費者の皆さん方も外国のものを高く買わずに、日本国内のものは安くていいものがありますから、そういうものを買うような選択もぜひ進めてもらいたい、こういうふうに思っております。
○山下(徳)委員長代理 次回は明三十日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時五十一分散会