災害対策特別委員会 第4号
- 発言数
- 137 件
- 登壇者
- 22 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1974/11/26
会議録
○阪上委員長 これより会議を開きます。 災害対策に関する件について調査を進めます。 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。 災害対策に関する件、特に火山噴火対策及び地震対策について、本日、参考人として、京都大学教授加茂幸介君、東京大学教授下鶴大輔君、東京大学教授浅田敏君、名古屋大学教授宇津徳治君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○阪上委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたします。 この際、参考人各位に一言申し上げます。 参考人各位には、御多用中のところ、当委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。 加茂参考人、下鶴参考人には火山噴火予知に関しまして、浅田参考人、宇津参考人には地震予知に関しまして、それぞれ御専門の立場から、忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。 なお、議事の進行上、まず参考人各位から一人約十五分程度御意見をお述べいただき、そのあと委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。 それでは、まず火山噴火予知につきまして、加茂参考人から御意見を承りたいと存じます。加茂幸介参考人。
○加茂参考人 私は、京都大学の加茂でございます。桜島火山観測所の所長をしております。 火山の活動様式には、それぞれ個性がありまして、また個々の火山におきましても、その活動の段階によって特徴がありますので、長い間たんねんに観測することによって、その特徴から前兆現象を見出して、ある程度の噴火予知は可能となります。社会的要請の強い噴火予知は防災的意味が強く、ある程度と申しますのは、少なくとも人命だけは失わない余裕を持って噴火を予測するということであります。 このことは、私どもが噴火予知の研究を進める上で当面の目標としておりまして、方法としては過去の活動様式と現在の活動様式を比較して判断する、いわば経験論的手法をとっています。個々の火山で、程度の違いはありますが、活動様式を探るための観測あるいは活動様式がある程度わかっていて、その監視のための継続的観測の整備充実が必要となります。重要火山については本年度より始まっております噴火予知研究計画で実施されつつあります。一方このようにして得られた経験法則の本質的解明が噴火予知をもっと確かなものにするわけで、観測の強化も大事でありますが、火山学あるいは地球物理学全般の発展が望まれます。 私に要請されました桜島火山の噴火予知について述べる前に、桜島の火山災害について若干述べたいと思います。 桜島は、爆発を伴う噴火と、近い過去に二度にわたり溶岩流出を見ましたように、日本の火山の中でも危険の度合いでは、浅間火山とともに最右翼に位置づけられております。にもかかわらず、いろいろの事情からその危険区域内に生活の場を持っている火山でございます。私どもの常識では、火口より少なくとも四キロメートル程度は危険であり、さらに溶岩流出あるいは火山地帯特有の自然侵食の問題も考慮しますと、まさに全島が危険区域と申して過言でないかと思います。大正噴火のおり、島民は二万余で、現在でも一万一千余の人間が居住している危険な火山だといえます。 また、桜島の活動で溶岩流出を伴う大噴火は過去四回ありますが、その四回の期間の間には三百年、百四十年あるいは五十年といった間隔があり、人間の寿命とそのサイクルが異なっていて、こわさを忘れる要因ともなっているのではないかと思います。一般論として、火山の山頂噴火の繰り返しは、比較的安全度が高いのですが、桜島火山では、大噴火から次の大噴火の間には火山灰を大量にふき出す、この繰り返しが続いているようであります。桜島を生活の場にしていますと、火山災害というのは、溶岩流出もさることながら、このほうの災害のほうが大きいように思えます。 桜島火山は活動の激しい火山であるにもかかわらず、科学的な継続的観測が実施されたのは最近のことでありまして、昭和三十年の活動が契機となって、たかだか十数年の継続観測の歴史であります。比較して申しますと、浅間、阿蘇では昭和初期に始まっております。桜島火山の研究に従事していて致命的に思うことは、大正、昭和と溶岩流出の活動を見ながら、噴火後の調査あるいは噴火前後の記述については非常に詳しいのですが、活動前後を比較し得る科学的観測資料には乏しいことであります。経験的手法で噴火予測を行なう現在、推測がまじる原因ともなっております。 桜島火山の活動様式の特徴として知られていますことは、大正噴火の場合、桜島周辺の地盤に垂直と水平方向に変動のあったことと、前駆現象としての地震活動があったことであります。地盤変動については詳しいデータが残っておりますが、その後については継続的でありません。地震については、十倍程度の地震計で大きさと回数のみで、震源分布等についてはわかっておりませんし、昭和の活動については戦後間もないことで、噴火前については資料は皆無に近いありさまです。そこで、昭和三十年の火山活動再開を機に、地殻変動の観測と地震活動の観測が継続して行なわれてきており、これからお話しすることも、この観測結果に基づいてのものであります。 まず、大正三年の大噴火の際、次のような地盤変動が事実としてわかっております。 明治二十七年の溶岩流出後の水準測量から、桜島と鹿児島市を結ぶ線より北部の錦江湾一帯を、われわれは姶良カルデラと称しておりますが、このカルデラの中心部を中心とする同心円状に、カルデラ及びその周辺の地盤が沈降したことが知られております。中心部の沈降量は三ないし四メートルと推定されております。地盤の水平移動については、噴火時に桜島の南北両側が相反した外側に移動、つまり東西の線を境として割れたような動きをしております。境がちょうど新しくできた噴火口の帯状のものとよく一致しております。 したがって、われわれもこのことから、桜島とその周辺の水準測量を、大正噴火の際の特徴を参考としまして基線を設け、昭和三十二年から一年ごと、場所によっては四年ごとに繰り返し実施しております。カルデラ周辺の水準測量は大正三年以降、国土地理院によって大正四年、七年、昭和七年、二十一年、三十五年、四十三年と実施されておりますが、その結果、カルデラ周辺は大正四年以後隆起を続けている状態であります。 この間、昭和二十一年に溶岩流出の噴火活動があったわけですが、この場合も、活動前の水準測量は昭和七年で、変動の様子はよくわからないわけでございます。推定としまして、それまでの隆起速度から見て、溶岩流出後の昭和二十一年の測量値と比べますと、若干沈降したと見るほうが妥当とされております。また、大正三年、昭和二十一年についても、噴火直前にどの程度のレベルまで隆起していたかは推定値しかない状態であります。 この姶良カルデラの沈降、隆起については、その傾向がわかっているだけで、本質的解釈につきましては二論あります。大量の噴出物を噴出しまして沈降し、その後の隆起は安定に向かっているという説と、一方では、その後再びマグマをため込む説、つまり次の噴火を準備しているという考え方であります。いずれにしましても、これらの説は大噴火の場合の姶良カルデラの安定の基準面をどの辺に見積もるかということになりますが、現在のところの資料では、きめようがないわけでございます。 私が先般来申しておりますことは、隆起の現象、隆起という傾向でございますが、この現象は、やはりカルデラの下にマグマをため込むと見るほうが妥当であろうということを主張しているわけでございます。昭和三十五年以降、ひんぱんに実施している測量結果から見ておりますと、桜島の南辺に比べまして北辺のほうが隆起速度が速く、地理的位置の関係から見ますと、北辺がカルデラの中心部に近いことから、カルデラの中心部の隆起を意味すると見ておるわけです。一方、鹿児島湾に沿う磯街道沿いの大崎鼻は大正噴火の際、測量点として最も大きい沈降値を示したところでありますが、鹿児島市からこの点を結ぶ線は、ほぼカルデラの中心部に向かっていまして、その隆起量も桜島北縁と見合う量を示しております。やはりカルデラ中心部の隆起を想定させるものであります。数値としましては、桜島北辺で年平均十六ミリメートル、大崎鼻で年平均十ミリメートルの隆起量を示しております。 私が注目しましたのは、桜島が昭和三十年に山頂活動を再開しまして、昭和三十五年に年間四百回をこえる爆発を繰り返しました。この状態は、ちょうどことしの桜島の状態に似ているわけでございますが、このあと昭和三十五年から昭和四十一年にかけまして、先ほどから言っている隆起現象が桜島北辺ではとまったわけでございます。また大崎鼻では若干沈降の傾向すら見られたわけでございます。すなわち溶岩の流出こそありませんが、山頂の爆発活動は激しく、火山灰の噴出もはなはだ多く、このため隆起がとまったものと見ているわけです。つまり姶良カルデラの隆起の傾向は、マグマの蓄積過程と見ているわけでございます。 このような地殻変動の観測データは、他の火山でもそうでありますが、桜島火山活動の長期的予測を立てる上で有利な資料であります。昭和四十一年以降は、先ほど述べたような一定量で再び隆起を続けております。大森房吉先生も推論されておりますが、安永の大噴火の際にも、大正三年前のような大きい沈降を示し、桜島火山活動は、大噴火を一つの大きい活動の波のピークとしますと、その大噴火の間には沈降から隆起を繰り返しながら、しかもその途中で昭和二十一年の溶岩流出を見た活動や昭和三十年以降あるいは現在のような山頂噴火を繰り返し、そのたびに若干沈降するという小波の活動が乗った形が特徴ではないかと思います。古い資料がある大崎鼻についていえば、鹿児島県庁の基準点と比べて、すでに明治三十四年当時まで回復していて、地盤のひずみ量としてはかなり大きいものと考えられます。この一事でもって大正並みの噴火を想定するというのは早計かと思います。 私が主張していますのは、ともかくこういう隆起の傾向というものはマグマの蓄積を意味するもので、もしそうであるとすれば、この隆起の傾向が続く限りは、時期は推定できませんが、いずれは大噴火を免れぬであろうということであります。桜島島内の隆起の状態は、南北でその速度の違いがあるだけでして、そのほか特に部分的に異状を示すようなことは、目下のところ見つかっておりません。したがって、今後肝要なことは、地殻変動の観測をさらにひんぱんに実施する必要があります。このための対策としては、水準測量は人手と時間が非常にかかりますので、光波測距儀により地盤の水平の動きを監視することで観測強化をはかるつもりでございます。 次に、地震活動について述べますと、大正三年の大噴火に際しましては、有感地震が頻発しております。昭和二十一年の噴火では、有感地震の発生はあまり確認されておりません。島内で近代的地震観測が始まったのはここ十年余りですが、その間の成果は、桜島火山活動の山頂噴火の場合です、やや深い場所で地震が発生し、続いて浅いところで微小地震が群発しまして、その後山頂で小中規模の爆発が発生する過程がほぼ当てはまりそうだということでございます。特に昭和四十七年の十月以降の活動の初期にはよく見られた現象でありまして、私も、昨年の学会では、典型的なしかも定性的には理解しやすい火山活動として報告したわけですが、昨年八月以降間々この原則をはずれる場合が見られるように変化してきました。 この見解については、溶岩上昇と爆発が山頂で長く繰り返されると、溶岩が移動しやすいような、すなわち抵抗が少なくて地震の発生も少なくなるのではないかと考えたわけでございます。ある仮定を設けまして、地震の発生と爆発のエネルギーの関係を見てみましても、そのような状態を考えるほうが妥当のようでございます。 昭和二十一年の噴火の際にも、溶岩流出のわりには大正三年ほど顕著な地震活動が見られなかったのは、昭和十四年と十六年の激しい活動で溶岩上昇が容易になっていたと推定されていました。このような懸念があり、経験的比較論から注意を要するでありましょう。 また、やや深い地震の震源分布が、昨年八月、すなわち地震活動と爆発の間に例外が認められるようになった時期を境にして、広がりをもって分布しているようでありますが、このことは、他の火山の観測例から見てみますと、活動の初期に震源がわりあいに広がりを持っていて、噴火活動の最盛期には火口周辺に集中するとか、あるいは活動がおさまる時分には再び分散していくというような例がありまして、何とも判断できません。ある局部に地震が集中することに注意することが必要と考えます。 この意味で、桜島火山噴火予知計画では、私どもの観測所で桜島の島の内外に地震観測点を増設して、島内のデータについては、テレメーターによる集中記録する設備が設置されます。 現在の活動につきましては、地殻変動の隆起の速度が一定であること及びマグマの動きを示すであろうやや深い地震活動の少ないこと、それから適当に山頂で噴火を繰り返していることから見て、溶岩流出のような事態が差し迫っているとは考えられません。 噴火活動の時期については、いまのところ明言できませんが、近い過去に得られた大正と昭和の溶岩流出を伴う活動から見て、初めに述べましたような人命を失わない余裕を持った噴火予測は、桜島火山については可能であろうと思っております。大正型噴火では、地殻変動については先に述べたような特徴があるわけですが、地震活動については、当時南岳より十キロメートル離れました鹿児島市内で倍率が十倍程度の低い地震計で、噴火の始まる約十時間前から、また後の調査では島の中では約二十九時間前から、さらに大森先生の推定によりますと、安永の大噴火の場合でも約十七時間程度前から、前兆現象として地震を人間が感じております。現在では数千倍の地震計が、島内に気象台及び大学で九カ所設置されておることから見て、さらに早い時期に異変は察知されるであろうと思います。 昭和二十一年型の噴火につきましても、終戦の混乱期で資料がありませんが、微小地震は発生していたのであろうと推定されますし、この種の活動は人命に被害を及ぼすほどのものでなく、人間の移動が可能でございます。この種の噴火の予測は、現在研究中のものでありますが、火山物理学の分野で試みられております火山体の地表面の温度分布の測定を繰り返すことで見つかるのではないだろうかと思います。桜島火山についても、近々実施する予定でございます。安永・大正型の噴火には、その他水位の上昇低下、温泉の温度変化、噴出あるいは海水の変色といった顕著な目視現象も多く報告されております。要するに、各種の観測を強化することが必要かと思います。 人命の損失は、噴火予測では防止ができましょうが、溶岩の流出による財産の損失防止は、単に予知だけではできません。溶岩の流路を変えるような試みは玄武岩質の火山では一、二の例はございますが、溶岩の性質と過去の流出の例から、桜島の場合にははなはだむつかしいように思えますが、早晩検討しなければならない問題かとも思います。 最後に、噴火の予知の問題と若干異なりますが、火山地帯の自然侵食の問題を述べたいと思います。 私の試算では、昭和四十七年以降現在までの桜島島内だけに堆積している降灰量は一千万トンに近いと推定しております。噴火の直接災害ではありませんが、集中豪雨等によります山体の自然崩壊がはなはだしい勢いで進行しております。南岳周辺の土石流もさることながら、北岳の山腹は縦侵食が進行中、横侵食に発展すれば、一挙に土石流となって人家に押し寄せるような事態も考えられます。特に、大噴火時には有感地震が多数発生して、山津波を想像させましょう。火山地帯の災害として最も注意しなければならないことかと存じます。(拍手)
○阪上委員長 次に、下鶴大輔参考人。
○下鶴参考人 東京大学の下鶴でございます。私は噴火予知全般について御説明申し上げます。 噴火予知ということばでございますが、噴火予知というものを、われわれは一体どういうふうに考えておるかということを、まず簡単にお話申し上げます。 噴火予知をするためには、四つのファクターがございます。 まず第一は、噴火をする場所でございます。一体ある火山の山頂から噴火するのか、あるいは山腹のどこから噴火するのか、あるいは、昭和新山、西之島、メキシコのパリクティンといったような火山は、何もない畑あるいは海から新しい火山が誕生いたしておりますが、こういったような場所をきびしく指定するということが、火山噴火予知及び防災の面から非常に重要でございまして、これは地震予知と場所の点につきましては、けたはずれに精度を高く出す必要がございます。 次に、噴火するときでございますが、いつ火山が噴火するかということにつきましては、火山の噴火短期予報と長期予報の二つに分けて考えることができます。短期予報と申しますのは、個々の噴火がいつ起きるかということにつきまして観測から割り出すということでございまして、長期予報と申しますのは、一つの火山が、これから一体どういうふうな活動に向かっていくであろうかというやや長期的な観点に立ちます。スケールから申しますと、数カ月あるいは数年といったようなスケールでもって火山の活動状況を予測する必要がございます。 次に、噴火のタイプと規模でございます。噴火のタイプは、一つの火山につきましては過去の歴史がございますし、それからその火山の溶岩の性質というものもわかっておりますので、大体この火山では、こういうタイプの噴火をするであろうということが予測できます。それから、どの程度の規模の噴火をするであろうかということの予測につきましては、これは前兆現象のあらわれ方から、やや大規模の活動をするかもしれないといったようなことから、ある程度の推定をする必要がございます。 第四番目は、噴火活動の終息でございます。これは地震と違いまして、噴火が起きますと、ある時間あるいはある日数、活動が続きます。そしてこの活動が一体いつ終息するであろうかということの予測も、これまた非常に重要でございます。 以上申し上げました四つのことが、私どもが噴火予知の内容として学問的に考えておる問題でございます。 次に、噴火予知の方法でございます。火山の噴火と申しますのは、マグマの物理化学的な性質によりまして非常にさまざまでございます。つまり、マグマの性質によって噴火の様式が支配されるということは、これはいままでの経験からわかっておりますが、火山によって前兆現象のあらわれ方というものが、マグマの物理的化学的性質によって異なってまいります。 たとえば安山岩質のいまお話のありました桜島あるいは浅間山というようなところでは、粘性のやや高いマグマが上昇してまいりますために、非常にたくさん地震を起こします。あるいは山頂の隆起といったようなこともございます。一方、玄武岩質のキラウエア火山、あるいは日本で申しますと三宅島、伊豆の大島といったような火山では、マグマの粘性が低く流動的であるために、噴出する前に地上に無理がかからないということで、地震の発生があまり期待できません。そのかわりに山頂部分の隆起あるいは地磁気の変化といったようなものが前兆現象としてあらわれることが、過去の観測によって明らかにされております。また、安山岩質火山ならば、すべて前兆現象が同じであるかと申しますと、これはそうでございませんで、たとえば浅間山であらわれた火山性地震のあらわれ方と噴火というものと、桜島にあらわれる火山性地震と噴火との関係は、必ずしも同じではございません。 したがいまして、一つの火山で長年観測をやってまいりまして、その火山で有効な噴火予知の方式を確立したといたしましても、それをそのまま同じタイプの火山に当てはめることは非常に困難でございます。さらに一つの火山につきまして、過去起きた噴火のときの前兆現象と、それからまた現在起きている噴火のときの前兆現象というものが、必ずしも同じではございません。具体的に例を申し上げますと、昨年の二月に噴火いたしました浅間では、噴火前にあらわれる前兆現象としての火山性地震のあらわれ方が一つ一つ異なります。 こういうふうに火山というものはなかなか複雑でございまして、われわれが一体一つの火山で噴火予知のために何を観測したらよろしいかということは、これは一つの火山で、じっくりいろいろな地球物理学的あるいは地球科学的あるいは岩石学的な方法によって確立していくということが必要なわけでございます。 具体的な方法と申しますというと、これはいま申し上げた観測というものが第一でございます。それで、数多くの種類の観測をじみちに続けるということが必要でございまして、たとえば火山性の地震を山体に観測網を張りまして観測する。この火山性地震の発現を前兆現象とする予知は、短期的な予知として非常に有効でございます。 次に、測地学的な方法でございますが、たとえば土地の傾斜あるいは土地の伸縮あるいは垂直変動あるいは重力の変化といったような種々の測地量を繰り返し観測によって得るということが非常に重要でございまして、これは短期的な予報と、それから長期的な予報に有効でございます。短期的と長期的の時間のスケールは、先ほど申し上げましたように、長期的と申しますのは、数カ月あるいは数年というようなオーダーで火山活動がどうなっているだろうかということについての意味でございます。 次に、地熱の問題でございますが、マグマが上昇してまいりますと、火口周辺、火口底あるいは山腹の何かの場所あるいは噴気口といったようなところの温度が上昇してくることが期待されます。火山というのは、なかなか近づきにくい場所でございますし、それからある程度前兆現象が活発になってまいりますと、危険なために現地山頂あるいは噴気口に行けないということがございます。最近開発されましたリモートセンシングの機械を使いまして、地表面の温度を地上から、あるいは航空機から監視することができます。これはやや長期的な予報に有効でございます。 次に、地磁気の観測でございますが、マグマの中に磁鉄鉱が含まれております。玄武岩の火山には、この磁鉄鉱の含まれている量がかなり多い。そのために、地下で高温になりますとマグマが溶ける。溶けますと磁性を失います。そのために、地磁気の観測を常時続けておりますと、地下での温度の変化を間接的に推定することが可能でございます。この地磁気の問題は、やや長期的な意味で玄武岩の火山に有効でございます。 次に、火山ガスでございますが、火山ガスは、いままで長いこと地球科学者の観測によりまして、亜硫酸ガスあるいは炭酸ガスの量が火山活動と関係があるということがわかりかけております。したがいまして、火山ガスを何とか自動的に記録することができれば、火山ガスの連続観測というものが噴火予知にも有効であろうというめどが、いま、ややつきつつあるというところでございまして、そういう機器観測の開発というところに重点が置かれつつございます。 さらに、カムチャツカの火山では、ラドンの量が噴火の前兆現象として変化するという報告がございまして、ラドンもまた噴火予知に有効かもしれないということでございます。 以上申し上げましたように、火山につきましては、種々さまざまな観測をじみちに繰り返して、そしてある噴火というものを経験する、そのときにそういう観測データがどういうふうに変化したかということを知り、そしてこの火山には一体どういう観測が噴火予知のために有効であるかということを発見することが肝要でございます。 三番目といたしまして、噴火予知の問題点を簡単に申し上げます。 火山の噴火と申しますのは、火口底の破壊でございますが、これは固体の破壊、それからマグマが上昇して噴火するということは、またこれは液体の破壊につながっておりますが、そのような破壊現象というものは、これは確率論的仮定と申しまして、われわれがその噴火の危険性というものについて確率論的にしかものが言えないということが噴火予知の宿命でございます。したがいまして、ある短期的な予報としていつごろ噴火があるという表現のしかたといたしましては、噴火の危険度が何十%ぐらいであるということになります。そして、観測を充実させて次第にその精度を上げていくという方法をとらざるを得ない。 また、一つの火山が臨界状態にあるかどうかということを観測によってもし知り得た場合に、その火山が噴火するかどうかは、ある非常に簡単な引き金作用によって起こされる可能性がございます。したがいまして、臨界状態であるということをわれわれが発見した場合に、その噴火は非常に簡単な引き金作用で起こる可能性がある。その引き金作用は一体何であるかということにつきましては、現在のところよくわかっておりません。 次に、常時観測のある火山、これは気象庁及び大学でもっておもな火山に常時観測設備を置いておりますが、そのような火山と、それからそうでない火山とがたくさんございます。そうでない火山につきましては、気象庁及び大学でもって臨時観測をときどき実施するということで、その火山のその時点での活動度を監視するという体制をとっております。 以上でございます。(拍手)
○阪上委員長 この際、地震予知につきまして浅田参考人から御意見を承りたいと存じます。浅田敏参考人。
○浅田参考人 私は、地震予知一般に関しまして簡単に御説明申し上げたいと思います。 いまから二十年とか三十年前には、地震予知というのはまじめな学者が取り上げるべきものではないというような感覚が学界にあったことは事実でございますが、十年少し前に日本の学界では地震予知をまじめに取り上げようではないかという考えが起こりまして、計画を立てました。それは各方面の援助を得まして十年間たってきたわけであります。その計画を最初に立てましたとき、十年研究すれば地震予知ができるかどうかわかるであろうというのが、その最初の問題の設定でございましたが、いまはその答えを出さなければならない時代にきたわけであります。その答えはすでに簡単でありまして、地震予知はできるであろう、非常にまじめな努力を積み重ねれば必ずできるであろうという答えが出たと申しましても間違いはないのではないかと思います。現に、小さな地震に関しましては、日本ではございませんが、予報というようなことに成功している例もあります。 そのような状態で十年目を迎えたわけでございますが、そもそも地震の予知というものは、場所と大きさと時期がはっきりわからなければ意味がないものでございます。これはある程度は、たとえば地震の歴史を見るだけでも見当がつくことがございます。たとえば南海地震という地震がございますが、この地震は西暦八〇〇年代からいままで何回も記録に残っておりまして、大体百何年かの間隔で非常に規則正しく起こっております。それに比べますと、関東地震のほうは、それほどははっきりいたしておりません。しかし、いまからもう三十年も前に、当時の今村博士がこのような根拠に基づいて南海地震の危険性とか、あるいは関東地震の危険性を社会に訴えたわけでございます。 それに比べますと、内陸に起こりますもっと規模は小さいけれども、やはり都会に近いという意味で破壊的な地震は、このような方法でその発生を察知することはむずかしい事情がございます。しかし、それに関しましては、最近活断層の研究ということが進んでまいりまして、どこがあぶないであろうという見当だけは、まだ完全にとは申しませんが、つくようになってまいりました。 大きい地震、ことに太平洋岸の大きい地震は、その起こる場所は、もう一つの地震の空白地域というような考えが進んでまいりまして、それによって多少の見当はつくようになってまいりました。たとえば根室地震は、ここにおります宇津教授が指摘されたのでありますが、空白地域がありまして、それと歴史的な地震のつながりぐあいとあわせまして、根室の沖に地震が起こるであろうといわれたものであります。そこにまさに起こったわけであります。現在東海地震があぶないのではないかといわれている一つの根拠は、この空白地帯があるからでございます。 それからもう一つ、地殻変動もその大ざっぱな場所と大きさの予知に役に立ちます。たとえば房総半島は、関東地震がありますと上のほうに隆起するわけです。それがまた次第に沈みまして、また次の関東地震で隆起するわけです。地形学者の研究によりますと、八〇%だけ戻ったときに次の地震が起こるという話がわかっております。 しかし、いままで申し上げましたようなことでは、時期についてはっきり知ることができません。時期をはっきり知ることができなければ予知は完成したことにはなりませんので、その前兆現象というものが非常に大事な意味を持つわけであります。これは地球物理学が進むにつれまして、実にあらゆるものが地震の前兆としてあり得ると いうことがだんだんわかってまいりまして、たとえば縦波の速度が異常になる。地殻変動も測量によって明らかな前兆現象を呈している例がある。たとえば一九六四年の新潟の地震のとき、それから一九二七年の関原の地震のとき、これはいずれもそのあとから予知をしたという形でございますが、非常に明らかな前兆現象を示しております。それ以外に、地磁気とか地殻の中の比抵抗、あるいは重力の変化すら前兆現象を示す可能性がある。最近、たとえば地殻潮汐という、地球が絶えず一日周期で変形しておりますが、それの振幅も変化するということが地震の前兆現象として非常に重要ではないかというような考えも出てまいりました。このようないろいろなことが前兆現象の仲間に入ってまいります。 その前兆現象と地震の大きさとの間には、ある関係があることがわかってまいりまして、たとえば縦波の速度がだんだんのろくなる、それでまた回復したときに地震が起こるのでありますが、そういう前兆現象の期間は、たとえばマグニチュード八・五の地震では四十九年間続く、八の地震では二十年ちょっと続く、七の地震では四年あるいは五年続く、六の地震では一年ばかり、ずっと小さくなりましてマグニチュード四の地震だと二週間続く、こういうふうな結果が得られております。 これはもちろん統計的なものでございますから、これから非常にはずれることが多いのですが、大体基本的な前兆現象というものは、こういうふうに地震の大きさと関係があるのだということがわかってまいりました。それだけでは、たとえばマグニチュード四の地震は十四日続くのでありますから、うまくいけば二、三日の精度で予知をすることができるわけでございますが、マグニチュード八・五の地震は四十九年続いたあとぴったりと四十九年目に起こるかどうか、そういうことはないのでございまして、もちろん統計的な変動があります。 ところが、もう一つの見込みがございます。それは、たとえば傾斜とか地殻中の容積の変化をはかる——ボアホールと申しますが、細いボーリングの穴を掘りまして、その中にそういう機械を据えつけて、しかもそれを何個か、できれば何十個もしたいわけでございますけれども、絶えず観測をする、そういうことによって数日あるいは数時間前に何かの変化をキャッチする見込みが非常にあるであろうというのが、ただいまの結論であります。ただし、このような穴を、たとえば二、三百メートルの穴を何本もあるいは何十本も掘って、テレメータリングで中央まで持ってくるということは、たいへん費用のかかることでございます。地震予知というものはそのように非常に着実に進歩してまいったのでございます。 それでは、たとえばあぶないといわれる東海地震などに対しては、どう対処したらよいのであろうかという問題になります。 小さい地震の予報は、ソ連においても中華人民共和国においても、あるいはアメリカでも一部成功しております。しかし大きい地震を成功したところはどこもないのでありまして、日本はある事情によりまして、小さい地震の成功するのは、そういう国々よりむずかしいだろうといわれておりますが、日本はいきなり本番ということになるわけでございます。 それでは、もしか東海地震というものがあぶないとすれば、どうするかということは、 これはさっき申し上げましたようなあらゆる量の観測をあと起こるまで続けなければならない。測量も続けなければならない。あるいはサイスミシティの調査も続けなければならない。あるいは縦波の変化の調査も続けなければならない。それからいま申し上げましたボアホール・ティルトメーター、つまり深い井戸の中の傾斜計の群列、幾つも組みになっているものなども、ぜひたくさん設けて観測を続けなければならない。そうすれば、東海地震が起こる前に前兆をキャッチする見込みがあるというのが、目下の私たちの考えでございます。 いままでお話申し上げましたことは、非常に楽観的な立場から申しましたが、これにはもちろん非常に問題がたくさんございます。地震予知ができないなどとはとてもいえない状態でありますが、非常に問題があります。たとえば、同じ前兆現象でも、いままで申しましたように単純なものではございません。要するに、一筋なわではいかないという性格を持っております。ある前兆はあったりなかったりいたしますし、たとえばある量に前兆があらわれたといたしましても、地震がないこともあり得る。また、地震の起こり方も場合により非常に違うというわけで、いま楽観的なムードで、観測を続ければ、どんどんうまく行くのであろうという調子に申しましたけれども、とてもそれほど楽観的にいかないかもしれないという面がございます。 しかし、いずれにいたしましても、あと五十年とか、百年とか、二百年とかたてば必ず地震予知はできるのだろうと思います。しかし、百年はもちろんのこと、五十年でもやや気が長過ぎる。というのは、この五十年以内にかなり破壊的な地震が幾つも起こる見込みは、見込みと申しましてはおかしいのでありますが、起こる可能性は否定できないのでございます。それでは、どうすればせっかくここまで進んできた地震予知を加速できるかという問題に最後にちょっと触れさせていただきたいと思います。 たとえば、日本でまだやっていないことも幾つもあります。ボアホール・ティルトメーター、つまり、細い十センチくらいの穴を何百メートルも掘って、その下に傾斜計を入れて、しかも、それを適当な間隔に十個も二十個も置いて、できればそれを東京なら東京に持ってきて、絶えず監視するというようなものはまだ行なわれておりません。 それから、たとえばP波の速度の変化は非常に見込みがあるということになりつつあります。あるいは少なくとも見込みがないとは言い切れる人は一人もいない。最も保守的な学者でも全然見込みがないんだと言うことはできない。にもかかわらず、そういうものをルーティン、絶えず自動的に行なうようなふうに観測というものは、まだそこまで整理されていない。いままで、地震学と申しましても、地球物理学と申しましても、非常に個人的なベースで研究を進めておりましたのですから、このような大規模な事業的な観測というものは実現するのが非常にむずかしいわけでございます。 大規模な事業的な観測というものは、たとえば測量は国土地理院で、あるいは大中小の地震は気象庁の地震課で行なっております。よその役所のことを申し上げるのも何だと思いますが、片方は院でありまして、片方は課でございますけれども、この両方とも非常によくやっていらっしゃると思います。たとえば、測量の日本全国の繰り返しをふやすことは非常に値打ちがあることでございますけれども、これはすでに直営と下請と合わせても能力の限度が近いというふうに聞いております。ですから、あるいは費用をかければ、そう円いうことをする一切の会社を養うことができるのかもしれません。あるいはそういうようにして頻度をふやすことが必要なのかもしれません。 それから地震課、これも非常に大学などと違いまして、ルーティン、つまり、絶えず監視する仕事は専門でありまして、非常にいい仕事をなさっておりますが、何しろ気象庁というところは六千人職員がおるそうでございますけれども、地震関係のほうは百人余りというような状態で、私の個人的な考えでございますが、地震予知ということの重要性を考えれば、もう少し大ぜいの人が関与してもいいのではないかと思っております。 あと大学でございますが、大学は一人一人やりたいことをやるということが非常に特徴でありまして、もちろん学問の基礎のためには、それが必要であります。いままで予知は非常にできやすいように申しましたけれども、わかっていないことが一ぱいあります。ごたごたいたしますから、そのことは、いま申し上げなかったわけです。 それでありますから、その研究、ことに基礎的研究という立場を早くくずしますと、予知の加速にはかえって悪いかもしれない。一番の問題は大学であります。大学をどう組織するか、つまり大学、東大理学部地球物理学教室とか、京都大学理学部の地球物理学教室とか、防災研究所の一、二の部門とか、そういうふうに分かれております。私の考えでは、そういうものの組織、たとえば、いまは地震予知小委員会というものが学術会議にございまして、そういうところで研究の連絡が行なわれておりますけれども、もう少し有機的な組織というものをくふうしていくのがよいのではないかと思っております。 いま地震予知を加速するために必要な観測施設というものは、基礎的研究に要るものですら、いままでの大学が使っていたものより大きいものでございまして、たとえば地震研究所、私は東大理学部に属するのでございますけれども、地震研究所などが大きいというふうに世の中でも、あるいはわれわれも思うのでありますけれども、地震研究所ですら、ちっとも大きくないのかもしれない。いままで申し上げました国土地理院とか気象庁とか、そのほか地質調査所も関与しておりますれば、科学技術庁の防災技術センターも関与しておりますが、それと各大学等と限られている研究者の人数をフルに利用するようにくふうすること、それには費用の問題と体制の問題と、もう一つは精神の問題でございますけれども、それだけが整うことが地震予知を加速することの要件だと思っております。 簡単でございますけれども、終わります。(拍手)
○阪上委員長 次に、宇津徳治参考人。
○宇津参考人 名古屋大学の宇津でございます。 ただいま浅田教授から一般的な話についていろいろお話がありましたので、大体のことは尽くされていると思います。私の話は多少重複する点があると思いますけれども、日本における地震予知の現状あるいは日本列島を見渡しまして、どの程度のことがわかっているかというような点について御説明したいと思います。 災害を伴うような大地震は、大きく分けますと、太平洋側の海底に起こります非常に大きな地震と、それから日本列島の内部あるいは日本海側に起こります、これは規模としてはそれほど大きくないのもありますけれども、内陸に起こるために災害が非常に大きくなる型と、簡単に申しますと、海の地震と陸型の地震、大きく分けますと、その二つに分けて考えることができるかと思います。 それで、先ほど浅田教授から説明がありましたように、海底に起こります大きな地震につきましては、たとえば南海道沖の地震でありますとか、十勝沖地震、根室半島沖地震でありますとか、そういった地震につきましては、地震というものは同じ場所で繰り返して起こる性質がありますが、たとえば百年とか二百年とかいうような間隔で繰り返す性質があるわけでありますけれども、海の地震はそういった性質が、かなりはっきりとしている場合が多いわけであります。しかも一つの大きな地震の震源域の大きさがかなり大きい。つまり百キロとか二百キロくらいの範囲にたまっていたエネルギーの放出が起こるというような大きな地震でありますので、いままでの歴史を見まして、過去に、比較的最近大きな地震があったところは当分はないであろうということがいえます。それからかなり前、たとえば百年以上前に大地震があって以来ずっとないところは、かなり危険であるというようなことがいえます。 それから場所によりましては、そういった非常に大きな地震、マグニチュードにしますと八近い地震は起こらないで、一番大きくても七くらいのところである場所もありますが、そういったところは、それほど心配する必要はない、そういうふうに考えられますので、過去の地震の起こり方を見ますと、大体の危険度の推定がつくわけであります。 ところが、内陸の地震は活断層の調査などによりまして、最近かなりのことがわかってまいりましたけれども、地震現象そのものが小さいわけでありますし、至るところ起こる可能性があるわけでありますから、そういった方法でここは安心で、あるという場所はごくわずかでありまして、大部分はよくわからない、つまり地震の起こる可能性を秘めているというところになります。 それで、まず海のほうから地域的に多少説明いたしますと、北のほうからまいりますと、南千島あるいは根室の東方方面では一九五八年、それから六三年、六九年に、それぞれマグニチュード八に近い大地震がありましたので、これはまだ当分は大きな地震は起こらないだろうと思われます。ところが、根室半島沖は一八九八年ですか、九六年以来ですか、大地震がなかったので、かなり注目していたわけでありますけれども、昨年相当大きな地震が起こりました。そこで一応済んでしまったというふうに考えられておりますけれども、少しその地震の大きさが予想していたのよりも小さかったので、まだ残っているという考えもあるわけであります。特に根室地方の内陸で観測されております地殻変動がまだ残っておりますので、根室の沖は依然として警戒をする必要があるのではないかという考えが一部にございます。 それから十勝沖は、これは一九五二年に済んでいる。それから青森県東方のほうにまいりますと、これは一九六八年の十勝沖地震がありました。ここもそれ以前は大きな地震が百年以上なかったところであります。それから岩手県の沖にまいりますと、これは先ほどの十勝沖地震の震源によって一部カバーされておりますし、それから一八九六年に大きな地震がありました。それからかなり年数がたっておりますけれども、その岩手県沖あるいは三陸沖の地震の起こり方は百年あるいは百五十年ぐらいで非常に規則的に起こっているのではなく、もう少し不規則でかなり間隔が長いように見えますので、ちょっといまのところ何ともいえない状態であります。 昭和八年、一九三三年に三陸沖の大津波地震がありましたが、これはちょっと場所が違っておりまして、かなり日本海溝を越えた沖合いのほうでありますので、これは非常に特殊な地震だと考えられますので、地震の間隔の計算の中には普通入れないわけであります。 それから南へまいりまして、宮城県の沖合いになりますと、この辺は最近は大きな地震は起こっておりません。しかし歴史的にも非常に大きな地震はそれほどないので、どの程度危険であるかということの推測が非常に困難であります。ただ、最近十年ぐらいの間にはマグニチュード六以上のものは宮城県のかなり沖合いのほうには全然なくて、一種の空白域を示しておりますけれども、これにつきましては研究者の間ではそれほど危険だと思われてはいないようであります。 それから福島県から茨城県沖あたりは、ここは非常に大きな地震はどうも歴史的に見ても起こっていないようでありまして、エネルギーが比較的小さな地震で小出しにひんぱんに出るようなのでありますので、それほど大きな地震に対しての心配は要らないのではないかと思います。 それから房総半島の南東沖でありますけれども、ここは前回の地震予知連絡会のときにも少し話題になりましたけれども、元禄の関東大地震というのがありましたが、そこの震源域であったところであります。それ以来、一七〇三年以来三百年近くないのかもしれないので注目をしたほうがいいのではないか。ただし、かなり沖合いですので、関東大地震のような大被害が発生することは考えられません。しかしそこでも、たとえば一九〇九年の地震というのがありますが、もしかすると、それがそのところに起こっておりまして、かなりのエネルギーが出ているのかもしれませんし、そういう点ではわからないことがあります。 それから伊豆のあたりですけれども、ここは大きな地震は起こらないのでありまして、ことし伊豆半島沖地震がありましたが、最大級でもこの程度ではないかと思います。伊豆半島沖地震は、これは海が震源ということになっておりますが、実は陸の地震のクラス、タイプに分類したほうがいいものと思っております。 それから静岡県から愛知県の沖ですが、ここが問題の遠州灘でありまして、ここは一八五四年の安政の地震以来、百二十年間にわたって大きな地震が起こってないと考えられております。もっとも昭和十九年、一九四四年の東南海の地震の震源域が一部そこをおおっているので、かなりのエネルギーが出てしまったという考えもないわけではありませんけれども、地殻変動の模様あるいはその南海道地震と、それから一八五四年の安政の地震の震度分布とかあるいは津波の模様などを見ますと、安全をとって考えれば、やはりかなりのエネルギーが残っているから、相当注目する必要があると考えたほうがいいのではないかと思っております。この地域につきましては、ことしの二月に地震予知連絡会のほうで観測強化地域に指定されまして、国土地理院、気象庁あるいは大学関係の観測が強化されつつあります。 それから西のほうにいきますと、紀伊半島沖の熊野灘あるいは紀伊半島の西側の沖合いあるいは四国の沖合い、この辺は昭和十九年、二十一年の東南海あるいは南海道の大地震で済んでおりますので、当分は心配ないのではないかと思います。 高知県の沖合いあたりは地震観測のほうから見ますと、いわゆる空白域が非常にはっきりと出ておるのでありますけれども、これは最近の研究によりますと、一九四六年の南海道の地震のときの断層の運動の状況が東側と、それから高知県沖あたりの現在の空白域と思われている場所で非常に様相が違っておりまして、高知県沖では断層が非常にゆっくりとすべったために余震活動等が発生せず、したがって空白域として見かけ上見えておりますけれども、地震のエネルギーは解放されたという説がありまして、大体それで説明ができるのではないかと思っております。 それから九州、宮崎県あるいは鹿児島県の沖合いはマグニチュード七・五くらいまでの大地震がありまして被害が起こることがありますけれども、八クラスの巨大加護は歴史的にもございませんし、ここはいわゆる非常に大きな地震は起こらないところであろう、そう考えられております。 以上のように、海の地震につきましては大体の見当はつくわけですが、これが、たとえばいま注目を要するといった場所でも、いつ起こるかというようなことの時間の問題は全くわからないわけでありまして、たとえば遠州灘とか、海底と申しましても、比較的そういった陸に近いところが震源域となる地震では、陸上あるいは海底の観測を強化をすれば、前兆現象を発見される可能性がかなり強いものと思います。しかし、たとえば房総沖とか三陸沖などのようにかなり沖合いのものですと、陸上での観測によって前兆現象が見出される可能性は比較的少ないのではないか、そう思っております。 それから陸の地震でありますけれども、これはもちろん最近大地震のあったところは当分ないということはいえますけれども、その領域は非常に小さいわけであります。マグニチュード七くらいの地震でも、たかだか三十キロくらいの範囲内で事が済んだだけでありまして、その隣は依然として残っているわけでありますから、そういったところが幾つかあったとしても、日本全体から見ますと、ほんのわずかなところが安心だといえるだけでありまして、ほかの地域は場所によって程度の違いはありますけれども、みな大地震の危険性を秘めているといわなければいけないと思います。 もちろんその活断層の調査その他によって特に危険であるというようなところが今後次第にわかってくるとは思いますけれども、非常に問題の多いところでありまして、海のほうのように、ここが特に注目を要するというような場所を指摘するのは、なかなか困難かと思います。ところが陸の地震は、とにかくその震源の真上で各種の前兆現象を観測できますので、前兆現象による地震の予知、特にいつ起こるかという時間の問題を議論するのには非常に有利であります。 こういった地震につきましては各種の異常現象、前兆現象となります現象をこまかい観測網を張って観測をしておれば、ある程度の大きさの地震については、先ほど浅田教授から御説明がありましたように、地震の大きさによって前兆現象のあらわれる期間の長さが違いますが、かなり前から、ある程度の予測がつく見込みがあるのではないかと思っております。 ただ、こういった地震は、それほどひんぱんに起こっておりません。たとえばマグニチュード七以上の地震ですと、昭和になりましてから九回内陸に起こっておりますが、地震予知計画が始まってからは、まだ一回も起こっておりません。最近十年間では七程度以上のものは起こっていないわけです。ことし起こりました伊豆半島沖地震の六・九というのが一番大きいわけですが、これは観測網があまり整備されていないはずれの地域に起こりましたので、前兆現象は残念ながら、はっきりとしたものはとらえられておらないわけであります。もちろんあとから見ますと、温泉に異常があったとかいうような話は多少ありますけれども、地震の前においてそういったものは全く認められていなかったわけであります。これは観測網が整備されていなかった比較的端の地域にあったためでありまして、地震計、地殻変動の計測器、測量のひんぱんな繰り返し、あるいは電磁気的な現象の観測というような各種のことが行なわれておれば、前兆現象はとらえられたのではないかと思っております。 ところで、そういった前兆現象が幾つかありまして、米国、ソ連あるいは中国などでは、比較的小規模のものでありますけれども、あるものによっては予測ができたというような例が若干ございますが、日本ではそういったのがまだございません。これは、外国で成功した例は震源の非常に浅い地震でありまして、日本は地震国であるとは申しましても、内陸部に起こる震源の非常に浅い地震というのは、それほどたくさんはないわけであります。 それから、日本ではいろんな理由によりまして、そういった観測項目の変動が非常に大きいわけであります。たとえば地震の振動、要するに地震現象そのものをとらえようとしますと、日本はとにかく人口が稠密でありまして、社会活動が活発でありますから、交通機関とかそういった人間の活動によって発せられる振動が多いので、小さな地震をとらえにくいというようなこともありますし、地殻変動を調べようとしますと、いろんな意味で地震の前兆にはならないような異常な変動があります。たとえばある年に雨が急に多かったり、あるいは雨の少ない年があったりしますと、それが地殻変動の観測所の計器には敏感に異常な現象として出てくるわけであります。 たとえば名古屋大学の観測所で、昨年は地殻の変動がかなり異常だったわけですが、これはいまから考えますと、昨年のつゆが非常にからつゆでありまして、例年のように雨が降らなかったので、例年どおりのような変動が出なかったのではないかと思っているというようなことがありますし、気象現象、人間の活動、それから地質の構造が複雑であるというようなことから、現象のあらわれ方が非常に複雑であるというようなことがあります。 そういうわけで、たとえば前震をさがすために非常に小さな地震まで観測するということが行なわれておりますが、地震波の速度あるいは地殻変動によって、たとえば伸縮計、傾斜計の異常というようなもので、一つの項目だけで異常現象が出たからといって、すぐ何か行動を起こすとしますと、たいていの場合ははずれることが多いわけでありまして、そういった外部の影響が非常に多いということを考慮しまして、いろいろな項目について非常に密な観測をやって、一つの項目だけではなくて、地震活動にも異常がある、地殻変動にも異常がある、地震波速度も変化しているらしいとか、あるいは地下水が変わっているとか、いろいろとその前兆があらわれれば、これは確率が非常に高くなりますから、そういったアプローチをする必要があるのではないかと思います。 それで、現在気象庁、国土地理院等の官庁による定常的な観測が日本全体にわたって行なわれておりますし、大学関係では、一部の地域でありますけれども、かなり詳しい観測が行なわれ、また基礎的な研究が行なわれております。こういった研究をさらに促進させていけば、私どもが前兆現象をとらえてほんとうの意味で、つまり地震の大きさと場所と時間を、ある程度狭い範囲で指定できるような可能性は十分あるものと思っておりますけれども、先ほど浅田教授からお話がありましたように、そう簡単な問題ではないということであります。 そういった地震の前兆を直接さがすということは非常に大切なことでありまして、観測網をもっと強化する必要があることは申すまでもございませんけれども、たとえば何か異常現象があったときに、これがどういう意味を持つものであるかというようなことを、いわば観測の結果を解析して解釈するということになりますと、われわれは、地球の内部の状態がどうなっておるか、あるいは地震の発生の機構がどういうものであるか、これは場所によって非常に違いますが、そういったことについての知識が非常に不足しておりますので、そういった基礎的な研究も同時に大いに進めまして、地震現象あるいは地球の内部についての知識をふやしていく必要があるのではないかと思っております。 それで、観測は非常に時間、人手を要するわけでありまして、観測にからだを使うことが過ぎまして、そういった基礎的研究ができなくなると、これはまた問題でありますので、両方バランスをとった上で進めていく必要があるのではないか、そう思っております。 以上であります。(拍手)
○阪上委員長 ありがとうございました。 これにて参考人からの意見聴取は終わりました。
○阪上委員長 参考人各位に対して質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宇田國榮君。
○宇田委員 先ほど加茂教授からいろいろ述べられましたが、かねてから非常に熱心にこの問題に取り組んでいただいて感謝にたえませんが、先般来、その発表によって、実はその周辺の人たちが戦々恐々としておるのでありまして、私も大正三年の噴火を体験いたしておるものでありますので、当時全く阿修羅地獄と申しますか、阿鼻叫喚と申しますか、戦慄の体験があるものでありますから、加茂教授の御発言が各方面に非常に大きなショックを与えておることは事実であります。しかし、ただいま承ると、やや小康を得た感じがいたしますが、さきにわれわれはそういうことから、ここに御列席の社会党村山議員その他各党の挙党一致と申しますか、全員一致で活動火山周辺地域における避難施設等の整備等に関する法律をつくって、その対策を講じておるわけでありまして、政府も非常に力を入れていただいておるわけであります。 ただいま加茂先生がおっしゃるとおり、噴火口としては浅間山とともに桜島が最も危険性を帯びておるということでございます。そこで、なぜ桜島を私らが特に強調するかと申しますと、ほかの火山口と違って、その周辺に人口、産業経済の施設が密集しておるということであります。したがいまして万一を考えて われわれはその対策を講じなければならぬということに立脚いたしておるのであります。幸いにここに政府の諸氏もおいでになっているとおり、いまや桜島の防災調査ということに非常な御考慮を願って、その防災計画調査が行なわれんとしているのでありまして、二年間の計画で建設省と林野庁が共同で、そのために三千二百三十万円の調査費を出していただいておるわけであります。これに対しまして、周辺地域の農作物被害あるいは堆積した火山灰、土石の流出、崩壊が急増しておりますから、桜島の地形、河川などの現況を調べていただくわけでありますが、これとともに加茂先生を中心として、その対策に専念されておるのであります。 そこで加茂先生にお聞きしますが、率直に申しますとその時期、その噴火のなには予言はできないとしても、そういう危険性があるから、即刻その周辺の人たちは避難すべきであるか、あるいはそうした考えのもとに対策を講じておくべきであるか、先生の専門以外にも関連している問題でありますけれども、その辺のことをひとつお尋ねしたいと思います。
○加茂参考人 たいへんむずかしい問題の質問でございます。これは個人的な意見と申しますか、何かそれに努力するだけの立場にもありませんし、それから力量の問題を考えても非常に言いにくいわけでございますが、忌憚ないところを申し上げますと、世界の中で一応危険だとされている火山で、まあ南のほうの島ですと若干あるかと思いますが、先ほど述べましたような、火口から危険区域内に住民がたくさんいるという火山はまずないわけでございます。たとえばアラスカあるいはカムチャッカ、桜島以上に危険な火山が幾つかあるわけですけれども、周辺二、三百キロは人間が住んでいないというのが普通でございます。ただ、日本の場合、国土が狭い等の問題がありまして、非常に危険なところへ、先ほど申しましたように、活動期のサイクルと人間の寿命が違っているものですから、ある世代においては全然危険性を知らずに住んでいる、あるいは知っていても諸般の事情で近づいている。そういうことから考えますと、できれば大きな国の力でもって、一応桜島の中には人が住まないという原則のようなものをつくるのが抜本的な対策かと私は思います。
○宇田委員 先ほど来申しますとおり、日本は地震国であり、火山国である。しかし、その火山の中でも桜島が最もその周辺に人口、産業経済の分布の密度が強いというわけでございますので、われわれとしても、加茂先生のお話に関連をして、政府並びにわれわれのこの災害対策でも、この問題を大いに検討いたしたいと思います。 どうもありがとうございました。
○村山(喜)委員 関連して、先生方にお尋ねいたします。 ちょっとお話をお聞きをしながら、いろいろと私も考えたのでございますが、まず浅田先生がお出しになっていらっしゃる「地震 発生・災害・予知」という東京大学出版会の本を私も拝見をさせていただきました。この中で、地震の発生というのは、いわゆる断層の生成の中で生まれるのだという見方が通常的な見方だというとらえ方をしておいでになるわけですが、先ほど加茂先生のお話を奉っておりますと、いわゆる沈降、隆起のそういう地殻の上昇というような地質学の上から見た場合には、マグマをため込んでおるという状態が、いま桜島の場合には出ている。その隆起が続く限り、大噴火というおそれはまだ十分にあるのだというお話を聞きました。 そういう考え方からまいりますと、地殻のすき間の中にそのマグマが流動いたしまして、突入をするショックによって一つの火山性地震というものが発生をするんだとも受けとめられるわけでございますが、そういう考え方は、これは大きな地震と小さな、微小地震というのでしょうか、マグニチュード四・五以下とかなんとかいうようななにによって境界がきまっているものなのか、あるいはそういうようなことによって地殻の変動が断層を伴う形で地震というものが発生をするんだということに結びつけられるのか、その点について初めに御説明をいただきたいと思うのです。
○浅田参考人 それではお答え申し上げますが、まさに、いまおっしゃったとおりだと思います。火山地震はいまいわれたような方法で起こっていると考えてもよい場合が多いのだと思いますが、一般にマグニチュード八とか七とかいうような大地震は火山地帯には起こりませんので、その場合はマグマが貫入して、たとえば関東地震のように震源地帯だけで百キロ以上の広がりを持つというようなものが起こるということは考えにくいのでありまして、そういう大地震は、やはり断層の生成に伴って起こる。しかし火山地震のうちのあるもの、これは何しろ人家のそばで浅いところで起こるものでございますから、小さいとはいえ、被害を伴うこともあるのでありますが、そういうものを含めまして、火山地震はそういうマグマがいずれにせよ、重要な役をしているということは否定できないことだろうと考えております。
○村山(喜)委員 そこで、私はここに「九州における地熱資源開発」の資料、これは社団法人九州・山口経済連合会が出した資料でございますが、この中の二四ページを見てみますと「南九州の陥没構造」という内容がございまして、いまの錦江湾という桜島を取り囲む湾は姶良カルデラの、いわゆる陥没をした地域である、こういうとらえ方が正しい。そこで七二年の火山学会のときに、北大教授の横山泉先生が、これはまだ未刊行の資料だけれどもということで「霧島・桜島周辺の重力異常図」というのを発表なさっていらっしゃるのを私が見たのでございます。 学会でございますから、先生方は横山先生のお話もお聞きになっていらっしゃるだろうと思うのでございますが、これによりますると、先ほど京大の加茂先生がお話がありました大崎鼻の隆起、この状態がやはりそれとの関係から考えられると思うのでございますが、いわゆる地球物理学の重力の内容に入ってまいるわけだろうと思うのでございますが、霧島火山脈の下にあります牧園町から隼人町にかけまして計十数キロメートルの区域でマイナスの等高線が見られる。その地帯は、いわゆる沈降地域がマイナス五メートル状態で予測をされるんだという内容のものがここにございます。 これはやはり桜島火山との関係において、そういうような重力のひずみが生まれてきているのだろうと思うのでございますが、片一方においては隆起をする、片一方においてはマイナスに沈降していく、こういう現象が両火山にはさまれた地帯で生まれてくるという、これは学問的な研究だろうと思うのですが、そういうことになりまするならば、いまいろんな観測をなさっていただいておるわけでございますが、それは単に電磁式の地震計とか、あるいは微小値地震観測とかそういうようなものだけでなくて、やはり地質学の上から、あるいは地球物理学の上から、それらのいわゆる関連性の中で、その地域における地殻の変動とかなんとかというようなものもとらえていかなければ、ここに書いてありますような横山先生のお話が正しいとするならば、いま指定をされております隼人あるいは牧園というような地域が、将来そういうような大変動がきた場合にマイナス五メートルの、いわゆる陥落地帯になるということになるならば、これはきわめて大きなショックを住民に与えるものだと思うのでございますが、そういうようないわゆる総合的な火山観測だけでなしに、地球物理学あるいは地質学というようなものを織りまぜた形の中での観測体制というものは、これからとれないものであろうかどうかということについて、主として加茂先生のほうからお答えをいただけましたら、たいへんありがたいと思うのです。
○加茂参考人 いまおっしゃいますような地殻変動あるいは地震以外の観測につきましては、従来重力については毎年一応は繰り返しておるわけでございます。それから磁気の観測については、海上保安庁が航空磁気測量を行なったり、あるいは、これは鹿児島大学と私のほうの理学部のほうの先生が錦江湾上の海上探査をやったりして繰り返してはおります。いまの噴火問題に関連して、そういう観測というのは定期的に行ないまして、異常区域を見つけ出していくといいますか、変化を見るのが肝要だと思います。 おっしゃるような総合的な観測は、現在桜島の火山が噴火の準備をしているといいますか、臨界状態に向かうような過程にあるということで、いわば大学連合軍というような形で総合的な調査をするようなことは、目下他の大学の先生とも話し合っている段階でございます。
○村山(喜)委員 終わりますが、私たちそこに住んでいる者としましては、こういうような非常に大きなショックを覚えているわけです。そういう沈下現象がいつの時点であるかははっきり言えないけれども、そういう地域でマイナス五メートルの、海面よりも低く沈降するであろうということが学問的に言えるような状態であるとするならば、これはそこの住民にとりましては、きわめて大きな問題になってまいりますので、ここには国土庁の杉岡災害対策室長もお見えでございますが、いまの問題を、学問的なものは各大学で総合的な検討を進めていただくといたしましてもそれらのものをどういうふうに取り組んで行政的に進めていくかという問題は、これはやはり国土庁の仕事であろうと思うのでございまして、その点では万遺憾のないような対策をとっていただきますことを、桜島に関連をして要請を申し上げておきます。 終わります。
○阪上委員長 金丸徳重君。
○金丸(徳)委員 貴重な御意見を承らしていただきまして、ありがたいことでございます。 たいへん時間の制約がありますので、一、二点についてだけお伺いをさせていただくのでありますが、ただいまも問題になりましたような桜島におきます最近の非常な危険の事態あるいは浅間の動き、阿蘇の状況など、火山的に見ましても、ずいぶん最近動きが激しいように実はしろうとには受け取れるのであります。また地震にしましても、あるいは東北、関東方面にかけまして、陸上もしくは海中において地震が最近頻発しておるように思われるのでありますが、これらを見まして、しろうとの私どもといたしましては、何かしらん日本列島が全体的にゆさぶられてきているのではないかなと心配にたえないのであります。 そこで、それらの事象を踏まえて、それから、いままで御苦労なさって集めてこられ、観測なされ、分析なさっておられます諸データの上に立って非常に——まあ非常にということがいけないならば、危険の度合いが増すような傾向になっておるのかどうか。それを一言ずつ先生に伺って、それから次に移りたいと思います。いかがでございましょう。それでは加茂先生から御順に……。
○加茂参考人 答えにくいといいますか、たとえば日本列島全体に見て火山活動が全体として高まっているのかという御質問かと思うのですが、たとえば昭和の初期に阿蘇をはじめ幾つかの火山の活動が非常に高まったというような事例はあるのはありますが、昨年から鳥海が爆発する、焼山が爆発するというようなことが、すべて関連があるかといいますと、正確にはちょっとお答えできないといいますか、よくわからないのが実情かと思います。まあ非常に長い地質年代のようなことで言いますと、そういう時期もあるのではあろうと思いますが、現在がそういう時期に当たるとは必ずしも思っておりません。 それから地震のほうは、また地震のほうの先生のお答えがあるかと思いますが、一つは情報過多ということもあるのではないか、そういうふうに考えております。
○下鶴参考人 お答えいたします。 日本には活発な火山が六十以上ございますが、もしかりに一つの火山が六十年の周期で噴火するといたしますと、毎年一つ日本のどこかで火山が噴火する勘定になります。六十年の周期というものは、一つの火山ついて比較的長い——もちろん火山の活動の周期というものは明瞭でございませんが、比較的長いと考えられます。したがいまして、一年に二つや三つの火山の噴火というものは日本で異常ではないというふうに考えられます。もちろん、ある年には噴火をしない年もございますし、ある年に幾つかの火山がせきを切ったように噴火することもございます。そういうのは火山噴火の当たり年というような感じを持っております。 それから、もう少し長い年代を見てみますと、たとえば大島三原山と浅間山との噴火活動が比較的似ております。そういったような、わりに離れた火山の活動と、あるいは霧島山と桜島の火山活動との時間的関係というものは、まだ明瞭でございませんし、われわれは、火山噴火というものは一体何であるかという研究の対象として、いま非常に重要な問題と考えております。
○浅田参考人 昔は、地震などがたまたま続けて起こった場合には、これは統計的には意味がないんであるというのが標準的な答えでありまして、統計をとってみると、まさにそうであります。しかし最近は、プレートテクトニクスというような考えが出てまいりましたので、日本じゅうあちこちで地震が起こったのは、全く統計的な現象であると言い切るのは、あるいは問題があるかもしれないというふうな考え方も出てまいりました。しかし、いま特に地震が多いとかいう印象は私は持っておらないのであります。ですから、いま特に地震が多くて日本列島全体に特別なことが起こりつつあるというような、やや科学的でなくて恐縮でございますけれども、そういうふうな感じは持っておりません。ですからやはり統計的揺動の範囲の中の現象ではないかと感じております。
○宇津参考人 地震活動を見ますと、ときによって、だいぶ多い年や少ない年がありますけれども、大きな目で見ますと、最近特に多くなっているような気はいたしませんです。それで、たとえば大きな災害を伴った地震を見ますと、死者が百人以上出た地震は昭和になってから七回ありますが、いずれも昭和の前半でありまして、最後が福井地震、もう二十五年ぐらい前であります。それ以後、死者が百人以上出たような大災害の地震というのは起こっていないので、そういった災害の面からいいますと、昭和前半に比べますと、むしろ後半のほうが少ないという感じがいたします。ですから全般的に見まして、大体平均的であろう、多少の変動はもちろん年によってはありますけれども、大きな有意義なものではないだろうと思います。
○金丸(徳)委員 ありがとうございました。私は、実は地球に氷河時代近づくなどという専門家からの報道などを見まして、あるいは全体的にそうした異常の時代に入ってきており、あるいは特に火山列島とか災害列島とか地震国などといわれる日本には、顕著にそれが進んできておるのではないかなどと杞憂をあえて進めながら、それだけに、対策についていままで不十分な点は、この際、もっと力を入れていくべきときに入ってきておるのではないかなどと思ったのであります。 いま承りますと、特に顕著に心配の現象は、いまのところないんだ、こう仰せられました。したがって、まだ時間はあるぞという意味において、対策について一、二お伺いをいたしてみたいのであります。 実に幼稚なお尋ねをいたして申しわけないのでありますが、先般、私ども桜島の状況を視察に参りましたおりに、あちらのほうの研究所でこんなことを承ったのです。たくさんのデータがあるのだが、手が足りない関係もあって、これが十分に整理できていない、急いでやるつもりではあるがというようなことを承りました。いろいろ予算の関係もありますし、人の手の状況もあるのでありましょうが、そういうことが、もしも桜島の観測所ばかりではなくて各地にあるとしまするならば——これはもしもであります。もしもそういうことがあるといたしますならば、これはたいへん残念なことに思われまするので、それらについて、その後どういうふうになっておりますか。 また、これから国として、また私ども政治の面に携わる者といたしまして、どういうような対策をこれから練っていかれれば、そういう心配のない、学者の先生方の御苦労に対して報いることができるかということをお伺いいたしたいのであります。これは加茂先生、ひとつ……。
○加茂参考人 昨年お見えになったときそのようなことを私、たしか申し上げたのだと思いますが、当時、私のところの観測所では、三名の人が病気等で次々になくなった直後でございまして、特に痛感していたわけでございますが、その後、昨年度、助手技官一等の増員がありまして、観測強化するとともに、過去にたまっているデータというのは少しずつ整理を始めております。今回申し上げたようなことも、そういう整理の結果申し上げているわけでして、現在、噴火予知計画に従いまして、桜島の中の地震観測網というのはかなり整備が進んでおりまして、北側のほうのネットの強化を四十九年度に行なって、五十年度には南側の観測点を強化いたします。さらに移動観測班が設置されまして、地震並びに地殻変動の観測は強化されるものと思います。 それで、今後そういうものをどう強化していくかという問題でございますが、実は先ほどから申し上げていますように、たんねんな観測を続けて比較できるような資料を積み重ねていくことが、噴火予知にしましても地震予知にしても、目下の急務であろうかと思います。それで、お金と人をつぎ込めば、すぐできるような問題でもないわけでございます。特に人の問題につきましては、たとえばそういう火山に出まして、先ほどから申し上げていますような観測に従事できる人間というのは、六十ぐらいの火山のうち危険な火山は十程度でございますが、技官の身分の人まで動員しましても全国で三、四十人というのが現状であろうかと思います。そういう人たちというのは、必ずしも一年や二年で養成できるものでありませんので、やはり人材を確保するということが基本的には一番問題であろうかと思います。 次に、そういう観測で経験法則が出てきましても、先ほど宇津先生も強調しておられましたけれども、それを本質的に解明するための地球物理全般の発展が肝要かと思います。
○金丸(徳)委員 いろいろお伺いしたいのでありますが、時間もありますので、はしょります。 実は先ほど浅田先生からの御意見を承っておりまして、まじめに取り上げられるようになってから十年、しかし、いまや大きな希望と自信を持って地震の予知にも取り組むことのできるような状態と相なっておると、たいへん力強い御意見であります。 そこで私は、そういう状態になればなっただけ、なお観測機器の整備なり観測網の万全を期するというような意味において、先ほども御意見の中に出ましたが、たとえば気象庁における地震課の整備などを急いでやらなければなるまいと思う。といいますのは、いまの気象庁の天気予報というものが、これだけ世間から信頼されるまでなるには、ずいぶん時間がかかった。それでもいまや信頼される状況になりました。私は、地震の観測にいたしましても火山の観測にいたしましても、まあそれは気象ほどに精密に、また時間的に正確にというわけにはいかないといたしましても、ややそれに近づくような状態がやがてくるのではあろう、きてもらいたいと思います。あらゆる手を通じて、いまではわからないけれども、いまの状態の観測のデータその他資料を積み重ねていくことによって十年後、二十年後にはそういう事態がきてくれることを思う、願いたいのであります。 そういうことと同時にもう一つには、大学あるいは国の機関以外に、民間においても、そうしたデータがつかめるものは、たくさんあるのではないかと思うのです。したがって、たとえば温泉を掘る者は、温泉の温度の変化というものは国に通報する義務があるのだというようなことも、もし参考になるならば、それを要求なさることがよろしいと私は思いまするし、あるいは地熱の発電所を計画する者は、これはもちろん地殻に相当の変化を与えるものでありますから、その後におけるその地域の変化というものは国に通報する——国に通報するといいますか、そうした研究機関に通報するというような義務まで課することによって、官民全部を動員しての資料の集積によりまして、その理想といいますか、もう少し正確な、もう少し安心のできるような状況というものをつくりだす必要が、いまのわれわれの義務としてあるのではないかと思うのであります。これにつきまして、浅田先生から御意見を承りまして、私は質問を終わりたいと思います。
○浅田参考人 全く御意見のとおりだと思います。私は七月に、中華人民共和国の地震を視察いたしましたが、これはあそこの口のきき方の方式ですけれども、たとえば人民に学べという口のきき方がございます。たとえば土地の人たちは、ある地震の起こる前に井戸水がどう変化したかというようなことを非常によく知っているわけでございますね。そういうことが非常に予知の参考になっているわけでございます。ですから日本でも、たとえば井戸の水位とか、もしかしたら温泉の温度とかそういうものの情報が、あるいは気象庁にでもよろしいわけでございますけれども、どこかに一手に集まるというようなことがありますと意外の進歩を見せるかもしれない、そういうふうにやはり考えております。
○阪上委員長 柴田睦夫君。 〔委員長退席、金丸(徳)委員長代理着席〕
○柴田(睦)委員 現在の地震予知の体制が、五省庁と国立大学の研究所が協力する、そして各機関の間の情報の交換や総合的判断を行なうために地震予知連絡会がセンターになっている、こういう体制であるわけですね。それで現在、地震予知研究を強力に推進する必要があるという時期であるわけですけれども、この地震予知研究体制について改善すべき点については、まあ問題があると思うのですが、そういう体制自体についての学者としての御注文、見解をまず浅田参考人にお伺いしたいと思います。
○浅田参考人 非常に言いたいほうだいというような形になることをおそれますが、あまり気がねや遠慮なく考えを申させていただきますと、地震予知は、主として事業を行なっている官庁と、それに付属している研究所と、大学によって行なわれております。それで、非常に根本的なことを言いますと、そのどれ一つもが、いまより大きければ、大きくなった値打ちはそれだけ出ると考えております。 たとえば非常に具体的に言えば、もちろん国土地理院も、いまの二倍になれば、いまの二倍の密度で測量をすることができる。それから地震課も、地震課一つというのは非常に情けないと思っておりますが、もうちょっと気象庁が力をたくわえてくれれば、それはもうその値打ちは出ますし、たとえば科学技術庁の防災センターも、部門としてはまだ部が一つぐらいの感じですが、もうちょっと大きくなれば、それはそれだけの値打ちが出ます。これはもう非常に簡単な話でありますが、要するに規模が大きくなれば、それだけデータの集積が早くなりますし、お金が来れば、というより、これはお金が来てもだめで、人が来ればと申し上げなければなりませんけれども、それだけの値打ちは確かに出ると思います。 それで機構ですね、たとえば地震予知連絡会があるとか、あるいは地震予知何とか会があるとか、そういう機構ですが、むしろ機構よりは、そういう底辺に力をためることのほうが実際に役に立つと思います。というのは、そういう底辺で得た情報、まあこの場合、国土地理院とかなんとかいうりっぱなところを底辺と申しましては失礼みたいな感じですけれども、そういうところでためた情報というものは、われわれの間にもすぐ流通いたしますし、そういうものが流通しないということはありません。 それから大学でございますが、たとえば大学では、文部省は非常によく世話をしてくれているという印象でございますが、物理もあれば生物もあれば化学もあり、大部分の人が非常に乏しい研究費でやっているわけでありますから、地震予知だけといって、あまり過度に特別扱いをしてもらうというのも、ある意味で気がひけるわけでございます。しかし、これもやはり人数がふえて、ただし、ただいたずらな膨張は問題があると思いますが、人数がふえてお金が来れば、それはそれだけの値打ちは出ることと考えております。 ただ、もう少し申しますれば、たとえば地震研究所というところに紛争が起こりまして、最近その紛争が解決したといわれておりますが、地震研究所というところにも非常にたよるわけでございますが、しかし、これもよく考えてみますと、地震研究所ですら決してそう大きくはないということに気がつくわけです。たとえば地震研究所の教授、助教授は二十人おります。しかし、京都大学には固体地球物理関係の教授、助教授が十八人いるというようなわけで、地震研究所も非常に大きいというわけではない。そういうわけでございますので、大学関係は、言ってみれば地震研究所のような大きいところも、あるいはある大学の理学部での小さいところも、極端な意味では平等な立場にありますので、そういうものを何かくふうをしまして、たとえば理学部などというところは大きなことをするには器が小さい。地震研究所ですら器が小さい。しかし、地震予知をちゃんとやるためには、まだ巨大科学とまでは申せない状態で研究が進められておりますので、セミ巨大科学とまでいけるような器が大学関係にあれば、それはそれで急速に進歩するために、たいへん役に立つのではないかと考えております。 簡単でございますが……。
○柴田(睦)委員 地震予知の第三次五カ年計画は、ことしから始まったわけですけれども、この計画に基づきまして全国精密測地網の設定という事業が目玉になって、それが実現すれば、従来の一等水準測量と相まって地震の長期予報はまさしく実用化に入るだろうという期待があるわけですが、ことしの予算を見てみますと、地震予知関係各省庁は大体合計二十億円の予算を要求しましたけれども、十五億円余に削られました。特に国土地理院では、六億二千万円の要求をいたしまして三億七千万円ということになっているわけです。 そして国土地理院では、全国精密測地網の測量を一年間に千二百点やることを計画したのですけれども、実際は三百点しか認められなかった。水準測量とあわせても予算は三億円になっております。千二百点を測量しても、掛け算しますと、十二億円ぐらいで済む予算だと思うのですけれども、十二億円といえば、国の全体の予算から見ると、まことに微々たるものであるわけですけれども、この地震予知研究というのが現在国民的課題になっているということから考えてみました場合に、研究者の立場から、この研究を現在の段階で進める上において行政のほうが手を差し伸べていない、むしろセーブしているというような点は、お感じになることはございませんか。この点、浅田先生にお伺いしたいと思います。
○浅田参考人 行政がセーブしているというふうには感じておりません。おそらく国土地理院が六億円でございますか要求して半分に削られたのは、それなりの削る論理があったのだろうと推察いたしますが、そのことについては私は何も存じておりませんが、地震に関係している一私人といたしましての私の感想は、国土地理院がやりたいと思っていることは、ぜひ全部やってもらいたい。非常に強くそう感じております。
○柴田(睦)委員 海底地震の観測のことについて木を読んでみますと、いろいろ観測の方式があるということですけれども、日本の場合にやられている海底の観測の方式がどういうタイプであるか、そしてそれは現在の地震を予知する研究として十分なものであるかどうか、この点についての見解を宇津先生にお伺いしたいと思います。
○宇津参考人 海底地震計はここにおられる浅田先生のほうが専門でありますけれども、大きく分けまして二通りあると思います。一つは、船で機械を運んでいきまして、船から海底に沈めて海底で記録をとりまして、しばらくたってから、それを回収して陸地に持って帰ってその後にその記録を解析する方式と、それから陸上からケーブルを引いておきまして、ずっと長いケーブルを張りまして、そのケーブルの先あるいは中間に地震計を設置しまして、地震計の記録を即時陸上にケーブルで信号を送るという方式があります。 それで地震の予知、つまり直前になりまして、いつ地震があるというような予報を出すような段階におきましては、前者では使いものにならないわけでありますけれども、後者のほうは、つまりケーブル方式は非常にばく大な予算を要します。これは現在気象庁で開発中でありまして、二、三年後にはいま問題となっております遠州灘に設置されると聞いておりますけれども、一方、船で運んでいきまして記録をして回収するという方式は、比較的費用がかからない。もちろん船の運航費その他はかかりますが、研究のためには非常に有力な手段であります。それで、やはりこれはどちらも地震予知の研究のためには必要であろうと思いますが、現在浅田先生のところの研究室あるいは北大あるいは一部のところで観測を行なっているだけでありまして、日本では海底に起こる地震のほうが数としては圧倒的に多いので、予知の研究の場としては海底が非常に役立つわけでありますので、このほうの研究ももっと進める必要があるのではないかと思っております。 たとえば名古屋大学でも、浅田先生のほうから海底地震の観測もやらないかというような話があったわけでありますけれども、とにかく私どもは非常に人数が少ないので、そちらをやるとすれば、陸上の観測を削らなければいけないというような状態でありますので、現在では私どものほうは非常に注目はしておりますけれども、とてもそこまで手が回らないといったような状態であります。
○柴田(睦)委員 結局、研究に手が回らないというような問題がいろいろ訴えられておりますが、この地震予知の研究に携わる中で、たとえば宇津先生の研究をなさる中で、研究のスタッフや人員配置の問題で、どうしても解決しなければならないような問題点がありましたらお聞かせ願いたいと思います。
○宇津参考人 研究というのは一つ一つ経験を積んで先へ進んでいくものでありますので、一ぺんにたくさんの研究を一つの機関でやるということは、必ずしもいい結果を生むとは限らないわけであります。それで私どもは、地震予知の中の、たとえば名古屋大学に限りますと、ある部門を受け持って、それをやっているわけであります。そういった点につきましては、人数は少ないですけれども、特に第三次予知計画が始まってからは、ある程度の予算もいただけるようになりましたし、今後ますます進めることができるようになったと思って、たいへんうれしく思っているわけであります。 もちろんあまりばく大なことを一ぺんにやるのは好ましくないわけでありますが、現在、名古屋大学を見ますと、名古屋におるのは私のところの講座、つまり教授一、助教授一、助手一の三人のスタッフでありまして、それ以外には全くいないわけであります。それから観測所が四つありますが、それぞれの観測所に助手一及び技官一、つまり二名で維持しておるわけでありまして、先ほど加茂先生の火山のほうの話がございましたが、やはりデータはとっても、それをすべて解析するだけの余裕がないというような事態は往々にしてございます、重点的にやっているわけでありますけれども。そういった状況でございます。
○柴田(睦)委員 火山噴火のことですが、人命に被害を及ぼすような噴火については予知することができるようになる。こうした予知ができるようにすることは、国民の大きな希望であると思うのですけれども、いま火山噴火を予知する上においてどういう体制が研究者として求められているか、現在の体制の一番弱点になっているようなところ、克服すべき問題についての御意見をお伺いしたいと思います。下鶴先生にお願いします。
○下鶴参考人 お答えいたします。 実は前からそうでございますが、火山学というものは、若い人たちにとっては非常にアトラクティブでないという事実がございまして、若い研究者が火山研究に取り組むという機会が非常に少なかったということがございまして、先ほど加茂さんもおっしゃいましたが、現在火山研究者の数が非常に足りない。それから、現在の火山研究者を入れる器が妙ないということでございまして、まず人材の養成が先決であろうと思います。 それからもう一つは、観測手法が次第に近代化してまいりますと、リモートセンシングでありますとか、その他いろいろ他の分野で開発された機械をどしどし火山研究に導入する必要がございます。そういう機械は往々にして非常に高額でありまして、一大学の研究室あるいは研究部門といったようなところでは、そういうものを手に入れて、そして新しい観測成果を得るということはなかなか困難でございます。したがいまして、新しい観測手法の導入というものは、単に火山学だけではなくて、地球物理全体として、そういうものを導入するということがぜひ必要であろうと思われます。
○金丸(徳)委員長代理 高橋繁君。
○高橋(繁)委員 朝からありがとうございました。 時間も過ぎておりますので簡潔に質問いたしますが、まず最初に加茂先生、昨年私も桜島視察に参りました。そのとき先生からもいろいろお話を聞きまして、先ほども人員が増加されて、昨年よりは体制が充実されてきたというお話を聞いて、たいへんうれしく思います。 たいへん具体的なこまかい問題でありますが、観測する場合に、きょうのお話ですと、テレメーターの設置ができたというお話もありました。当時、電話で連絡するということで、たいへん不便を感じているというお話がありましたが、その辺の問題は解決されましたのかどうかということと、お話の中で、桜島はいわゆる噴火によって自然の侵食がなされている、一千万トンの灰が降るとか、あるいは集中豪雨による被害であるとか、山津波が起きる可能性もあるということで、いろいろ考えると、あそこの島は人が将来にわたって住める場所ではない、非常に大きな問題でありますが、そういうようなお話もなさいました。実際問題として、あそこに住んでいることが将来にわたってどうかということでありますが、もう少し具体的な御意見がありましたら、お聞かせを願いたいと思います。
○加茂参考人 幾つか御質問があったと思いますが、電話云々の件をまず……。その後無線機を増設しまして、一応観測点に出向きましても、その観測点から本拠であるところへ無線で連絡できるような体制は整えております。 それから二つ目の、住めるか住めないかという問題ですが、私、よく地すべり地というようなものも見るわけです。自然災害の起こる土地というのは、一般にいって豊かであるといいますか、くだものがよくできるとかそういったことが非常に目立つわけでして、そういう点からいきますと、先ほど抜本的な対策というのは、人が住まないことだということを申し上げましたけれども、住んでいる人にとっては非常に大問題であろうかと思います。これは私、行政の立場にないので非常に無責任な発言になるかと思いますけれども、できれば夜住むところは島の中じゃなしに、別にそういうものを準備して、あそこは非常に土地が豊かなところですから、農業に従事するようなことは昼間だけに限る、そういうようなことができれば、非常にいいのじゃないかと常日ごろ考えておる次第です。
○高橋(繁)委員 確かに私たちも視察しまして、たいへんなところである。常時灰が降っておりますからね。将来にわたって、このままでいいかどうかということは、これは行政当局、地元の人たちが考える問題であろうかと思いますが、先生の御意見は御意見として、私も拝聴をいたしておきます。 それから、下鶴先生からお話がありましたが、いわゆる機器の観測体制を充実するということ、また浅田先生も、量的な人員、組織体制あるいは精神という面で充実をしなければならないというお話がいろいろございました。その中で最近特に、宇津先生からいろいろな外部の影響が大きいというお話もありました。 学者あるいは先生方がいろいろ発表しております、たとえばラドンの研究、あるいは最近出ました東大の若手研究家の水谷理論ですか、いわゆる新理論として出されました電磁気学ですが、その問題でも予知はある程度可能性があるということで、特にラドンの研究については、この間名古屋で開かれました地震の研究会のときに、東大理学部を中心にしました地震研究グループが静岡県下で観測強化地域に指定されました御前崎、そうしたところにおいて、その測定を始めたというお話がありますが、浅田先生あるいは下鶴先生、そうした問題について新しい理論が次々出てくるということに対して、特に水谷理論について、どういう御見解を持っていらっしゃいますか、お答え願いたいと思います。浅田先生、下鶴先生、どちらでもよろしゅうございます。
○浅田参考人 最初にラドンのことを申し上げますと、実は日本ではラドンをやる人は一人もいなかったのでございます。それをやっと一人、去年の暮れからやる人が出てきたという状況であります。ラドンは日本以外の国では非常に見込みがある、あるいはすでに実績があると考えられておりますので、やっと一人出てきた人のグループを、ぜひ無事にやっていけるようにしたいと思っております。 それからいろいろな新理論でございますが、たとえば一、二年前にショルツ理論というのが非常に紹介されました。あれは実はショルツさんではなくて、ヌーアという人が、そのほんとうのもとなのでございます。日本ではショルツということになりまして、これは日本でもアメリカでもしろうとの方がショルツと言うと、くろうとの人は一々、いやショルツではない、ヌーアであると言う。日本人もアメリカ人もそういうふうに言うのでありますが、これはやはり非常に意義のある理論でございまして、これが出たために——これが正しいかどうかということはまだ問題があります。実際はいろいろなことがありますので、全部百点満点に正しいのだとか全部悪いのだとかいうことは申せません。ですけれども、これが出たために、見通しあるいは仕事をして、いろいろものを解釈したり、そういうときに非常に進歩をしたと思っております。 水谷理論でありますが、実はすぐそばにいるもので、いつでも聞けると思って、私、学会のときに遠州灘にP波の速度をはかるために出張しておりましたもので、聞いておりません。いつでも聞けると思っているので、いままでサボっているわけでありますが、ちょっと聞きかじったところによれば、非常に示唆的なものではないかと思っております。そういうふうな新しい考え方が出ることは、地震予知の精神的な栄養素として非常に大事だと思います。 それから、もう一つつけ加えますが、有名なヌーアのダイラタンシーの理論というものは、もとは別のブレイスという人が、岩石の破壊の研究を何年も何年もやっていたということがもとになっておりまして、ヌーアさんはその人の弟子であります。その岩石の破壊における経験と、実際の地震の観測の経験とが結びついてできたものでありまして、決して架空にできたものではなくて、やはりたとえば岩石の破壊というふうな基礎的な研究が非常に大事だということを示しておるものだと思います。 簡単でございますが……。
○高橋(繁)委員 静岡県下の五カ所でラドンの測定を始めたとありますが、先ほども先生方から中国の話がありましたように、井戸をたくさん掘って、いわゆる官民一体となって地震の予知をやっておる。私は静岡県でありますので特に関心を持つわけですが、第二番目としての観測強化地域に指定された、その地震の予知として、いま五カ所のラドンの測定を始める。はたしてこれだけで満足な予知ができるかどうか。そうした官民一体となった予知の体制が私も必要なような感じもしますが、その辺についての御見解を、もう一度宇津先生でもけっこうでございますが、よろしくお願いします。
○宇津参考人 静岡県下で東大のグループがやっておりますラドンは、これはまだ日本で初めての経験でありますし、そういった遠州灘タイプの大きな地震について、どういうことかということは、まだわかっておりませんけれども、かなり重要な研究といいますか、見込みのあることではないかと思います。 というのは、遠州灘タイプの地震は、それに面しております陸地において、かなり大きな地殻変動を生じるわけでありますし、地震の前兆としての異常な地殻変動もかなり大きく出る可能性があるわけです。これは、まだそういったことははかられた経験がないのでわかりませんけれども、最近のプレートテクトニクスとかいろいろなことを考えますと、そういうことでありまして、遠州灘に面した内陸における地下水の状況とか、その中のラドンの含有量が地震の前兆として大きく変わるということは大いに考えられることなのであります。しかし、これは何しろ初めてのことでありますので、絶対変わるということはもちろん申せませんし、どの程度変わるかということもよくわからないわけでありますが、かなり適切な場所で観測しておりますので、これを次の大地震が起こるまで絶やすことなく続ける、あるいはもっと観測点をふやすということは非常に大事だと思います。 とにかく、いま浅田先生が紹介されました初めて日本で始めたラドンの研究者というのは、地震の研究者ではありませんで、別の仕事のサイドワークといいますか、パートタイムでやっている。しかも、それを手伝っている人たちは学生でありますから、年がたてば大学から去っていく可能性が多い。そういったことを考えますと、何とかそういった部門の永久的なポストをどこかにつくるというようなことも考える必要があるのではないか、そう思います。
○高橋(繁)委員 あと一問お願いしたいのですが、先ほどもお話がありましたように、起こったあとで温泉のあれが変わったとかいうことで、私は、将来にわたって、そうした民間あるいはいろいろな地震予知をさぐる上での研究については、英知をしぼってやらなければならないのではないかと思います。 それから最後に、静岡県の南伊豆沖地震で、これは直下型、いわゆる活断層というものであるということがはっきりしておりますが、せめてその活断層の地図をつくれという人もあります。これが日本全国でわかることができ、あるいはつくることができれば、またそうした面のことも私たちも大いに参考にもできるし、将来にわたって、地震の予知についても大きな示唆を与えることができるのではないか。こうした活断層の地図がつくれるものであるかどうかについて、どなたでもけっこうでございますから、お答えを願いたいと思います。
○浅田参考人 活断層は数人の地質学者によって研究が進められておりまして、その地図はつくられつつあると理解しております。ただ、地質学者というのは地球物理学者の十倍も二十倍も日本じゅうにおりますが、活断層をやっている人が五、六人しかいないというのは実に理解に苦しんでおりますが、その五、六人のグループで一応進捗しておると理解しております。そのスピードを上げるとか、あるいは活断層のうち、どの活断層がほんとうにあぶなくて、これは活断層であるけれども、さしあたりはあぶなくないとか、そういう研究のほうは必要性が叫ばれているという状況にございます。
○高橋(繁)委員 ありがとうございました。
○金丸(徳)委員長代理 次に、栗田翠君。
○栗田委員 たいへん長くなりましたが、最後の質問者としまして、あと二、三伺わせていただきます。 先ほどから東海沖地震のことを、しばしばお話くださっておりますが、特に東海沖地震について、二月二十八日に東海地域が観測強化地域というふうになりました。特定地域から特に強化地域になりましたその辺の理由、根拠、地震の起こる可能性というものについて少し詳しく伺いたいと思いますが、宇津先生よろしくお願いいたします。
○宇津参考人 太平洋側の海底に起こります大地震につきましては、先ほども申し上げましたように、安心なところと、そうでないところというのは区別できます。そして、その中には根室沖と遠州灘というのは、かなり前からあげられていたわけであります。その根拠といたしましては、過去の地震活動の歴史の点から、大地震がかつてはあったけれども、その後長い間ないところであるということと、それから、それに面します陸地で地殻変動、つまり地震が起こるような方向に地殻変動が進んでいるということ、それから小さな地震もほとんど起こっていないいわゆる空白域であるというようなことがありますが、遠州灘及び根室沖は、この三つの条件を満足していたため注目されていたわけであります。 ただ、根室沖につきましては、確信というほどでもありませんけれども、かなりはっきりとしていたわけですが、遠州灘については、先ほども申しましたが一九四四年の東南海の地震というのが熊野灘を中心にして起こったわけですが、それの東のほうがどのくらいまで遠州灘にいっているか、ことによると遠州灘は全部そのときにエネルギーが出てしまったのではないかということも考えられないわけではないのでありまして、その辺が多少疑問のあるところであります。しかし、それはよくわからないと申せば、それまでなんでありますけれども、そうであるということは、もちろん言い切れません。つまり遠州灘は安政以来百二十年間大きな地震が起こっていないところであるが、過去においては百年ないし百五十年ぐらいの間隔で起こっている。しかるに、百二十年間ないということを考えたほうが私はよろしいだろうと思うわけであります。 それで予知連絡会が強化地域に指定しましたのは、そういった背景がありまして、いろいろ議論されていたわけでありますが、たまたま根室沖がありまして、いわばそういったところに実際起こったということが実証されたというようなことがありますし、ことしのあの二月の時点において何か新しい異常現象が起きたので、特に新しい情報がつけ加わったので、急に強化地域にしたというのではないと私は思いますが、いろいろな状況を考えますと強化地域にして観測を強化することが地震予知研究に非常に大切であるという判断のもとに強化地域になったと思います。 それでありますけれども、いま言ったような状況でありまして、これですぐ、たとえば数年のうちに非常に大きな地震が起こるか、あるいは何十年先になるかというようなことは、いまのところではわからない。つまり直接前兆となるような異常現象は、現在までの乏しい観測ではありますけれども、研究観測の結果からはまだ出ていないわけであります。今後観測強化しまして、そういった前兆現象をさがす、もしあるならば発見できるように努力する、そういった状況であります。
○栗田委員 重ねて宇津先生に伺いますが、この遠州灘沖地震が起こった場合に予想される地震の規模なんですけれども、どのくらいになるかということや、それからたとえば震源地から百キロメートルくらい、二百キロメートルくらいのところで最大加速度はどのくらいになると予想されますでしょうか。震度などについても伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
○宇津参考人 もしいま予測されています、われわれが考えております中で一番危険な場合といいますか、たとえば東南海地震があまり東のほうまで及んでいなくて、遠州灘がまるまるあいているというような状況を考えますと、マグニチュード八くらいの広さはあるのではないかと思います。それからもう少し小さ目に見れば、たとえば七・五とかそのくらいかもしれないわけであります。この場合かなり陸地に近い、あるいは一部は陸地に震源域がかかっておりますから、これは震源から何キロというのはちょっと言いにくいわけでありますけれども、震源域内に含まれる、あるいはそれに非常に接近した、たとえば静岡市あたりから浜松市あたりくらいの地域で特に地盤の悪いところでは、過去の安政地震あるいは宝永地震の経験から見ますと、震度六ないし七くらいの地震に見舞われる可能性はあるのではないかと思いますが、そうしますと、加速度にしますと、震度と加速度等の関係も、あまりはっきりしない点もありますけれども、数百ガル、たとえば二、三百ガルとか、場所によってはもっと大きくなるかと思います。 ただし、全くこれはそういった地震が起こった場合の話でありまして、いつ起こるか、あるいはことによったらば何十年間先も起こらないかもしれないわけでありまして、この辺が、まだもっとよく調べてみないとわからないところであります。
○栗田委員 この遠州灘沖地震についての観測体制は、いまどんなふうになっておりますでしょうか。浅田先生に伺いたいのですが、お願いいたします。
○浅田参考人 国土地理院では測量を繰り返すことになっていると考えております。 それから、私がお答えするのもおかしいわけですが、気象庁は、適切な場所に地震観測をふやすということとか、あるいはさっき申し上げましたボアホールの容積変化計を十カ所取り巻くような形に植えつけまして、東京で記録を監視するという計画があると聞いております。もし非常に運のいい場合を考えますと、これは絶大な威力を発揮する見込みがあるのではないかと考えております。 それから大学では、名古屋大学がおもになりまして、地震及び地殻変動の観測網をまわりになるべく整備するようになっております。 それから事業費、関東及び東海という名前がついておりますが、そういう臨時事業費が各地震関係の学科のある大学とか研究所についておりまして、これはやや研究的なことにも使われております。たとえば、さっき申し上げましたP波速度の変化をもっと精度を上げてはかるというようなことを研究的に、かつ半分実際的にやってみるということなどに使われておりますが、そういうお金も名古屋大学を中心とする観測網を補うような形で年に一回か二回か臨時観測を行なうというふうに使われております。 それから去年は、科学研究費を宇津教授が代表者ですがいただきまして、私たちは東海大学丸という船をチャーターいたしまして、十一月の十日から二十日まで地震計を入れまして、火薬を投げることを特に各方面に頼みまして了解してもらいまして、そこの地殻の縦波の速さをはかってきました。この結果はまだ出ていないのです。観測は成功したと思っておりますが、全部データを整理するのは一月とか二月にかかります。こういう今回の海底地震の観測がどういうふうに役に立つかということは、その結果が出たときに明らかになると思っております。それで将来一年あるいは二年に一ぺんずつ、気象庁の観測網ができるまで、あるいは気象庁の観測網を補うような形で、そういうことをすることが必要なら、また続けていきたいと思っております。 いまのところは、こういう状況であります。あるいは一、二の大学から、たとえばさらに地殻変動観測などを置こうではないかというような提案も出るかもしれないという状況でございます。
○栗田委員 重ねて浅田先生に伺いますが、先ほど予算の問題も出ていましたけれども、特にこの観測体制をもっとこの点で強化したいというお考え、御注文などございましたら、伺わせてください。
○浅田参考人 非常に一言では言いにくいのですが、たとえばさっき申し上げました、陸に置く深井戸の中に入れる容積変化計あるいは深井戸の中に入れる傾斜計などを非常にたくさん植えつけるということは非常に値打ちがあることではないかと考えております。それから海の底の縦波の速度を監視することも、あるいは値打ちがあることではないかと思っております。このことにつきましては、今回の結果が整理されれば、ぜひしなければならないのか、それともそれほど値打ちはなさそうなのかということは、はっきりわかるのでありますので、もし値打ちがあるということがわかったら、大いに推進したいと思っております。 予算は、もちろん原則としては非常にあるほうがいいのでございますけれども、やはり器の問題がございます。たとえば東大の理学部では、ほかに学科が十一ある。地震予知をしているのは地球物理学教室の中の五分の一ぐらいでありますので、理学部の事務能力から考えましても、ある程度限度がある。これは地震研究所でも、やはりそういうことはいえるのでありまして、たとえば地震研究所にいきなり百億円のお金が来ても、とても効率的に使うことはできないだろうと思います。ですから、やはりじみちにそういうところを固めながら、地震予知の研究及び実際の推進を進めていくよりしかたがないのではないかと思っております。
○栗田委員 観測強化地域の中に、御前崎に近い浜岡というところに原子力発電所があります。それで宇津先生に伺いたいのですが、原子炉安全専門審査会がこういう文書を出しているんですね。「過去の記録によると、静岡県近辺の地震活動性はかなり高く、被害を及ぼすような大地震がたびたびあったが、いままでのところ浜岡近辺ではほとんど被害を受けたことはない。また、静岡県遠江地方に大きな被害をもたらした東南海地震のときでも、敷地付近の被害はほとんどなかった。」ということをいっているのです。だから安全であるということが裏にあるわけなんですけれども、これは何か地盤の関係なんでしょうか。それとも、こういうことは今後いえるのでしょうか。人家がなかったということがあるのかもしれませんし、その辺について伺いたいと思います。 宇津参考人 地震のときの振動による被害は、地盤の状況によって非常に違います。一九四四年の東南海の地震でも、御前崎あるいは浜松、あの辺の地域はかなりの被害を受けたわけです。たとえばその辺、袋井とか掛川の町の一部あたりは、ほとんどの家が倒壊したにもかかわらず、ちょっと離れますと、倒壊家屋は全くないというような状況でありまして、そういった点から見ますと、私、あの辺の地盤をよく研究したわけではありませんけれども、そういった非常に悪い地盤でないことは、もちろん確かだろうと思います。したがって、東南海の地震のときに被害がなかったということも、私、直接研究したわけではありませんけれども、たぶんほんとうだろうと思います。 それから、かつての大地震のときは、これは昔の資料がどうなっているかよく知りません。いなかですと、たとえば浜岡といった地点について、どのくらいゆれたか、あるいは被害があったかということは、たぶん記録がないだろうと思いますから、どこか近くの記録のあるところの資料を参考にしているんだろうと思います。いわゆる地盤の悪いところでないとは思いますが、御前崎付近で非常に大きな地震が起こったときに、どのくらいゆれるかということは、私もちょっとわかりかねます。もちろんそういった施設でありますから、その周辺の中では一番地盤のいいといいますか、おそらくそういうところを地質的にも検討してつくられたものとは思いますけれども、私、そちらのほうの専門ではありませんので詳しいことはわかりませんが、ただ真下で非常に大きな地震が起これば地盤のいいところでも相当大きくゆれることは、これは間違いのないことであります。私がいまわかっていることは、その程度であります。
○栗田委員 浅田先生に伺いますが、地震の場合に、基盤に、ある一定の加速度が加えられますが、その上に沖積層などかなり土などが乗っているわけで、基盤と表面とのゆれ方、加速度の加わり方もずいぶん違うと思うのですけれども、その辺の関係、特に最大、大きな差があった場合、基盤と表面とで一体何倍ぐらいの違いがあるものなんでしょうか、その辺を伺わせていただきたいと思います。
○浅田参考人 実は私、その問題についてはよく存じませんが、わかっていますことは、たんぼや海岸を埋め立てたところは、もうおそろしく悪いということでございます。おそらくこれは、自信のある値ではありませんけれども、二倍や三倍以上の差があるのではないかと思います。 原子力発電所ですが、何しろ、もし起こった場合には、震源がそばでありますから、たとえば短周期の振動、激烈な振動が来ると思いますから、最大加速度は必ずしも小さいといって安心してはいられないのではないかという気がいたします。ただ、この問題は地震工学という部門で扱われておりまして、やはりそればかり考えている人がおるので、私などよりは、そういう人たちのほうが適任かと存じます。
○栗田委員 津波の被害については、どんなことが予測されますでしょうか。浅田先生に伺います。
○浅田参考人 「理科年表」という本がございまして、それに昔の地震の被害が書いてございますが、それによりますと、東海道の遠州灘が関係していると思われる地震の津波の被害は、かなり強烈であると思われます。たとえば明応の地震というのがございまして、一四九八年だと思いますが、たとえば紀伊半島の右側で一万人流された。それから、そういうところで津波が起こりますと、鎌倉のほうまで波が来るらしくて、大仏さまのところまで波が来た。二百人死んだと書いてあります。ですから、津波のほうも決していいかげんに考えてはいけないことであります。 一番肝心の静岡県でありますが、明応の地震では、静岡県の志太郡で二万人流死したと書いてあります。ただ、これはもっとよく調べると、台風があったとか洪水があったとか、そういうものと重なったとも書いてありますので、津波だけで、それだけ死んだかどうかはわかりませんが、しかし、津波のことは、場合によっては土地の振動以上に重大な問題じゃないかと考えております。
○栗田委員 新潟地震の場合に液化現象というのが起こって、だいぶ被害がございましたが、あれは地盤改良で防げるというふうな説もありますが、学説としては一致しているのでしょうか。両先生、どちらでもけっこうでございますが、お答えいただけますでしょうか。
○浅田参考人 これはますます専門から遠くなってまいりまして、やはりそのほうばかり研究している人がおります。新潟のときに、りっぱなアパートが横倒しになったことがございまして、これはそういうことで起こったんだというふうに聞いております。ですから、ほんとうはああいうりっぱな建物は、その下の岩まで根が届いていればいいわけでしょうし、しかし、もしそうでない場合は、私の常識によれば、やはりその地下のコンクリート部分を、そうでないところより大きくするとか、お金はかかるわけですけれども、そういうことによって防ぐよりしようがないのではないかと思っております。
○栗田委員 最後に伺いますが、さっきも言いましたような浜岡地域、御前崎のすぐ近くに原子力発電所がつくられておりますし、静岡市のすぐ隣の清水市の海岸べりに東亜燃料の工場があって、いまでも石油タンクが林立しているのですが、今度これを三・六倍に増設するという計画があるわけなんです。先ほどから、地震の様子とか津波の予測とか、お話を伺っておりますけれども、こういうところに、こういうものがつくられて、はたして安全かどうかという点について、両先生の御意見を伺いたいと思います。
○浅田参考人 これも非常に専門から離れていると思いますが、日本で地震に対して安全な場所というのは、比較的少ないわけです。たとえば、非常に具体的に言えば、鳥取地震というのがございましたけれども、あそこはまだ余震が起こっておるということが、最近、小さい地震を調べましてわかりましたので、あと二百年や三百年は地震が起こらないだろうと思います。そういう意味で、そこは安全だろうと思います。 そういう意味で安全なところというのは、あちこちありますが、地震に完全に安全なところというのは、ことに海岸べりにはあまりないと思われますので、あるいは何かつくるのもやむを得ないのではないかと思いますが、ただその場合には、その危険に対する投資がうんと高くなるということは理解していただかないと、あぶないことが起こるのではないかと思います。そういう考えでございますが……。
○宇津参考人 そういった施設は、たぶんどこかにつくらなければいけないのじゃないかというような事情にあるのかと思いますけれども、とにかく非常に大きな地震が来れば、たいていのものはかなりの損害を受けることは考えられるわけであります。 それで、先ほども申しましたように、遠州灘でいろいろ取りざたされておりますけれども、もし、たとえば今後十年以内に九〇%の確率で起こるというようなことが言えれば、多少ともその危険のあるものは全部つくらないようにするとか、危険なものはやめて、よそに持っていくとかいうようなことがあるいはできるかもしれませんが、現状ではそこまでの知識はわれわれ持っていないわけでございまして、まあ大地震の発生の可能性があるから、注意したほうがいいという程度で、すべてのものをやめてしまうというわけにもいかないわけで、われわれの側からいいますと、地震予知の確率をなるべく高く上げるように、なるべく早くそういったときが来るように努力をするということだろうと思いますが、その程度しかちょっと申し上げられません。
○栗田委員 どうもありがとうございました。
○金丸(徳)委員長代理 これにて参考人各位に対する質疑は終わりました。 参考人の方々には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。 この際、午後二時まで休憩いたします。 午後一時二十三分休憩 ————◇————— 午後二時四分開議
○金丸(徳)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 災害対策に関する件について調査を続けます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。金瀬俊雄君。
○金瀬委員 午前中地震の問題がいろいろ出ましたので、それに関連いたしまして御質問を申し上げます。 最近八月から十一月にかけて地震の規模が大きいもの、小さいもの、また一日に二度、三度と起きておる、また二日間も連続して起きておる、このことについて、この地震の起き方は、大きな地震が起きる前提ではないか、前ぶれではないかという人が多いわけですが、これに対する気象庁あるいは建設省、文部省ですか、見解をお聞きしたいと思います。
○末広説明員 気象庁の考えを御説明申し上げます。 御指摘のとおり最近確かに地震は数がふえております。ただ、地震と申しますのは、一たん起こり出しますと引き続いて起こる、それでその活動がやんでしまうと、またしばらく黙っているという性質がそもそもございます。それで、最近、八月以来起こっております地震は茨城県の南西部、それから千葉県の中部及び茨城県沖の三地域で、おもに東京で感じております地震が起きているわけでございまして、これら三地域は、そもそも地震の群発しやすいところでございます。過去にも、二、三年に一度ぐらいの頻度でこのように地震がかたまって起こることを現在までも繰り返しておりますので、特に現在の活動が大地震につながるとは私ども思っておりません。 ちなみに、東京でございますと、一年に約四十回ぐらい地震を感ずるわけでございますが、ことしは前半がたいへん静かでございまして、後半になってから、こういうふうに地震がふえてきておりますが、現在まで約三十回でございまして、そういう意味では特に年平均を上回ってはおりません。ただ、首都圏に近くたいへん大事なところでございますので、今後とも監視を強めまして、もしまた群発が再発する、あるいは増加するというようなことがございますれば、その起こり方を直ちに解析し、皆さまの総合的判断を下していくということにいたしたいと存じております。
○金瀬委員 いま茨城県の南西部、それから千葉県の中部、それから茨城県の沖、そういうところに地震が最近集中しておるということですが、それに対する監視体制というのを特別何かつくっておりますか。
○末広説明員 関東地方では、私ども気象庁の観測網は全国でも一番稠密なところでございまして、現在、われわれの感じておる地震、あるいはそれを下回るからだに感じない地震まで十分にキャッチすることができる体制が整っております。でございますので、特に機械的に観測点をふやすということはいたしておりませんが、特別に、たとえば東京大学地震研究所の持っておられる微小地震観測所のデータをいただく、あるいは交換するということをいたしておりまして、データ解析の面で特に強化しております。
○金瀬委員 大きな地震が起こらなければけっこうですが、災害というのは、先ほど学者の方から話がございましたように、特に地震においては予知するということはきわめて困難だ、時間をぴったり当てるとか、あるいは予想することは困難だというようなお話がございましたので、平素災害対策を立てておかなければならないわけですが、現在京浜地区、京葉地区、これは両方ともコンビナート地区ですが、そこの地盤というのは、漁民を補償で、追い出すということばは悪いことばですが、追い出して、そのあと埋め立てをやってできたものです。いわば砂を盛ったことになるわけですが、砂を盛ったコンビナート地帯が、もし大正大震災程度の地震が起きた場合にはどうなるかということについて、通産省なり建設省なりあるいは国土庁で、どういうふうに対策を立てて、どういうふうに研究しているか、そのことについて御答弁願いたいと思います。
○横手説明員 お尋ねの趣旨は、おそらく南関東の、特にコンビナート地帯に関しての問題と存じます。このコンビナート対策につきましては、通産省を主にいたしまして関係省庁で各種の問題点、これを取り上げて検討を進めておる、こういうような状況にございます。
○金瀬委員 各種のことを予想していろいろ検討している、検討をやった日がいつであって、どういうことを検討して、その会議に出た人がどんな人か、ちょっと言ってみてくれませんか。一番最近のものでいいです。最近にコンビナート対策をやったというから、いつやって、どんな人が集まって、どんなことをやったかということを発表してください。
○杉岡説明員 お答えいたします。 コンビナートにつきましては、先ほど審議官が申しましたように、通産省あるいは消防庁それから労働省、こういったところが関係省庁の連絡会議を開きまして進めておるわけでございますが、特に四十八年、これは地震じゃございませんけれども、コンビナート等の事故がございまして、こういったものを契機にいたしまして三省庁の連絡会議をやっておるわけでございますが、特に通産省では、エチレンセンターの総点検、こういったものをやっております。 それから、保安の確保につきまして、四十八年の十月でございますが、通産省は通達を流しております。あと、保安距離の暫定的な確定だとか、あるいはもろもろの研究、こういったもの。それから消防庁等におきましても、立ち入り検査の重点実施等の防災対策の指導通達を流しております。それから労働省におきましても、監督の強化あるいは石油コンビナートについての監督の実施、こういったものをやっておりますし、われわれ国土庁におきましても、今後こういった関係省庁の対策をさらに進めるという意味におきまして、連絡会等を通じまして、さらにこれを強化するというように考えております。
○金瀬委員 たとえば、埋め立てが終わってから何年くらいたってから工場を建設することが一番理想的であるかという点がございます。埋め立てが終わってから何年くらいたって工場を建てるのが一番適当であるか、理想的であるか。埋め立てを終わって、すぐ工場を建てれば地震に非常に弱いわけです。何年くらいたって建てることが適当であるかとか、あるいは海浜にどの程度の密度の工場を建てたらいいかということについては非常に検討しておると思うのです。どういうふうにやることがいいかという検討した資料とか、どういうふうにいま検討しておるか、そういうことについて御答弁をお願いいたします。
○杉岡説明員 どうも、ただいま、私専門家じゃございませんものですから、詳しいデータ等につきまして手持ちの資料もございませんし、また知識もございませんが、関係省庁等に連絡いたしまして、先生のところにそういったことにつきまして御報告にあがるように連絡いたしたいと、こう考えます。
○金瀬委員 新潟地震のときには、地震によってタンクが破れたり、パイプがちぎれて、そのことによって災害が非常に大きくなっているわけですね。そのときのことを参考にして、新潟もあれは砂地に建っているわけですが、埋め立て地に工場を建てる、パイプラインを敷くという場合には相当の検討がなされておるわけですが、どこでそういうことを一番検討するのがほんとうなのか、政府の中でどこがそれを責任を持って検討するのか、そのことについて御答弁をお願いします。
○杉岡説明員 お答えいたします。 現在、さっき言いましたように、コンビナートの事故対策といいますか、保安距離あるいは事故対策、こういったものの関係省庁の連絡会を検討するとともに、現在コンビナートの耐震性につきましても、通商産業省のほうでいろいろと研究されております。したがいまして、やはり専門のそういったコンビナートを所管しております関係省庁、特に通産省で現在そういった耐震性の研究をされておりますので、そういったところが適当かと、こう考えております。
○鎌田説明員 お答え申し上げます。 私どもは、高圧ガス保安の観点から、 コンビナートの地震対策につきまして、いろいろ措置をとってまいっておるわけでございます。特に昭和四十六年度以降、コンビナート防災システム開発調査というものを特殊法人高圧ガス保安協会に委託いたしまして進めてまいっております。この結果、最近に至りまして、コンビナートにおける耐震設計、防災体制についての基本的な問題についての解明が得られたというかっこうになっております。 さらに、LPG等の球型タンクにつきましては、これも昭和四十六年度以降、科学技術庁を中心といたしまして、工業技術院の各試験研究所あるいは建設省等々の御協力を得まして、球型タンクの耐震性についての大規模な実験を進めてまいっております。これも近々、成果がまとまる見通しになりました。 こういった各種の調査研究の成果の上に立ちまして、私どもといたしましては、近々、高圧ガス保安等審議会のうちに地震対策分科会をつくりまして、コンビナートにおける高圧ガス設備の耐震設計指針につきまして御検討をいただく、こういう運びにいたしておる次第でございます。
○金瀬委員 通産省ですか、阿蘇でガスの実験をやりましたね。その実験の資料はございますか。
○鎌田説明員 先月の後半に九州でエチレンの爆発実験を行なった次第でございます。 実は、このエチレンの爆発実験は、先生の御承知のとおりでございますが、昨年の一連のコンビナート事故の反省の上に立ちまして、この七月の三十日に、高圧ガス保安審議会から、コンビナートにおける保安距離の拡大あるいは設備間距離の拡大等につきまして御答申をいただいたわけでございます。この御答申の内容とされておりますことにつきまして、その裏づけになっております理論、考え方、こういったものが、ほんとうに現実にマッチしているかどうかということを確認するために行なった次第でございまして、この実験のデータ自体は、本年度一ぱいぐらいかかってまとめる、こういう段取りで、いま鋭意やっておる次第でございます。
○金瀬委員 その実験の結果が、今度海上で衝突して火災を起こしましたね、あれはナフサですね、エチレンと似たようなものです、あの火を消すとか、あれを処理するとかということについて、何か参考になりましたか。
○鎌田説明員 実はLPGタンカーにつきましては、海上保安庁を中心にいま具体策を進めておられるわけでございますが、エチレンの火災抑制につきましては、各種の消火剤を用いて実験をやったわけでございます。その結果、ドライケミカルにつきましてはきわめて消火効果が大きいということが確認されまして、これはドライケミカルを噴出いたしまして、ほんとうに一分足らずのうちに火災が消えた、こういうかっこうになっております。それからあわ消火剤につきましては、消火効果は必ずしも十分ではございませんけれども、火炎の抑制効果が非常にあるということがわかったわけでございます。 それで、コンビナートにおける火災の場合の一つの特徴なわけでございますけれども、火を消しますと、場合によりますと、なまガスが漏れまして、なまガスが空中に滞留いたしまして、結果として爆発事故に至るおそれが多々あるわけでございます。そういうことで、ある場合にはドライケミカル等を使って完全に火炎を消す、ある場合には、あわ消火剤を使いまして火炎を抑制する、こういったことが非常に有効であるということがあらためて確認された次第でございます。
○金瀬委員 今度の海上の衝突事故で、そういうあなたがいま言ったような、いろいろのものが全然役に立たなかったということが、はっきり言って証明されたわけだ。イギリスから技師を連れてきて見せたり、あわ消火剤なんか全然受けつけなかった。だから、あなたがいま言っているのは、ほんの小さな火災のときには役立つけれども、コンビナート地帯にできたような、あの大きなタンクなんかに火が入ったとかいう場合には、はっきり言って全然ものの用に立たないというものですよ。そうでしょう。 だから私が聞いているのは、そういうぼやができたとかいうことではなくて、地震によって大爆発が起きた、ああいう衝突事故が起きたことに対してどういう——海の上はいいですよ。海の上のことは海上保安庁だからいいけれども、あれはあのまま富津の沖へ持ってきたわけですね。あれは浅瀬だからよかったけれども、漂流して米軍のタンクの近くへ行ったので、大急ぎで千葉県側へ引っぱってきた。横須賀のほうへ行ったのを大急ぎで引っぱってきた、横須賀へかりに着いたら危険だということで持ってきたということになっているけれども、もしタンクに火がついたら、どういう方法で消すつもりだったか。阿蘇で実験したことがどういう結果になっているか私わかりませんけれども、ああいう大きなものになってくると、全然処置がないということで、外洋へ持っていって沈めるということにしたんですね。沈めるほかに手がない。そうすると大きな地震が来た場合にはコンビナート群、たくさんタンクがある、どうにもならないということなんですか。どういうことなんですか。それは消す自信があるんですか。そのことについて……。
○鎌田説明員 詳しくは消防庁からお答えいただくのが適当ではないかと思うのでございますが、ただいまちょっと申し上げましたように、エチレンの爆発火災実験ではドライケミカルが非常に消火上有効であるということが確認できたわけでございます。 ただ、繰り返しになるわけでございますが、問題は化学工場で火災が発生した場合でございますね。完全に火を消しますと、今度はなまガスとなりまして、タンクの中の内容物が外に出まして、それが空気と適当にまざって爆発するという危険があるわけでございます。そういった意味で、これはLPGタンカーの場合もそうだったんだろうと私推察する次第でございますけれども、消そうと思えば消せる場合でも、簡単に消すことができない。むしろあまり危険に至らぬようにコントロールしながら長時間かけて燃やしていく、こういうことが非常に必要になってくるわけでございます。そういった事態におきましては、先ほど申し上げましたように、あわ消火剤というようなものが非常に効果的であるということが今度の実験でわかったわけでございます。
○金瀬委員 結局、消せないということなんでしょう、簡単に言えば。燃え尽きるまで待つということなんでしょう。
○鎌田説明員 そういう場合があるという……。
○金瀬委員 そういう場合じゃなくて、消せないということじゃないか。今度の火災の場合も消せない。消せないから、そのまま捨てて置けば六カ月くらい燃えている、そうでしょう。そこで、六カ月も燃えておると、そばに監視船とかいろいろ持っていっておくと一日何千万という金がかかる。そうなってくると、沈没させてしまったほうが手っとり早いということで沈めるようですね、簡単に言えば、費用がかかり過ぎるということで。そうなってくると、陸上でタンクが爆発した、火が入ったという場合には、海へ持っていって沈めるわけにはいかないでしょう。そうすると、まわりでどういう体制をとっているんですか。海の上で海上消防艇が相当出ておったですよ。出ておったけれども、これは消すために出ているのかと聞いたら、そうじゃない。まわりの鉄板が溶けるといけないから、まわりから水をかけて冷やしているだけだ。それから、ほかへ移らないように冷却することも必要だ、こういう話ですが、それは消すのではなくて、要するに鉄板が破裂するか溶けるのを冷やして防御しているだけの話だ、こういうことなんですが、事実そういうことなのかどうなのか。
○永瀬説明員 先生のお尋ねの点でございますが、実はコンビナート地帯にたくさんございますタンクのうちで、油類が入っておりますタンクとガスが入っておりますタンクとでは燃え方が違いますし、その中に入っているものの状態が違いますので、消し方も当然変わってまいります。 油の場合でございますと、一般的にとられております消火の方法は、タンクの油の上にあわをかけまして、あわで全体をおおって空気と接触を断って消すという方法でございまして、現在のコンビナート地帯にございます油のタンクに対しましては、あわの消火剤を放出できる、これはフォームチャンバーと呼んでおりますが、放出口を、タンクの直径に応じまして、ある程度の数設けまして、もとのほうで水と薬剤をまぜてパイプで送り込むという形式になっております。この薬剤がタンクに送り込まれませぬと消えませんが、新潟地震の際に、消火薬剤を送りますパイプが切れた例がございます。したがいまして、現在は地下の埋設パイプにいたしませんで、陸上の露出配管にさせてございます。 なお、さらにもとのポンプがこわれる、あるいは動かなくなるということの懸念もゼロではございませんので、タンクのまわりを囲んでおります防油堤と申しますか、土手がございます。この外に、消防車からその配管に送り込むことのできる枝をつけまして、そこから化学消防車で、あわをタンクに入れるという形式に現在はさせております。したがいまして、このような設備が大きなタンク全部になされておりますので、一応油タンクにつきましては消し得るものと考えております。 ただ、先ほど通産省からお答えがございましたように、ガスを入れておりますタンクにつきましては、これは火を消しましても、あとからのガスの噴出がとまらない限りは広くガスが広がりまして、それに再引火のおそれがございます。そうなりますと、かえって大爆発を引き起こします関係上、ある程度ガスの放出がとめられない限りは、いわば消防のほうでいいますと、お守をしながら燃していくという方法をとらざるを得ません。ただ、そのガスにいたしましても、液体で存在する場合もございますので、冷凍LPGタンクのような形でございますれば、まあ今後の検討問題でございますが、ドライケミカルで消すことも可能な大きさはございます。 以上でございます。
○金瀬委員 今度の第十雄洋丸ですか、あの衝突火災ということで、衝突すると同時に火炎放射器のように三十メートルぐらい吹き出したそうです、ナフサが火がついたまま。それで、ほとんどの人が死んでしまった。相手の船で助かったのは一人でしょう。ほとんどの人が焼けて死んでしまった。一緒に行って、あわをかけようと、何をかけようと全然歯が立たなかった。ですから、大きな火災というのに対して、私は消防力とか消火能力というのは非常に弱いんじゃないかと思うのです。だから、タンクヤード、ああいうところについては、よほど、十分すぎるくらい準備しておかなければ、火災というのが発生した場合に防ぐことは困難じゃないか、そういうふうに考えております。火災が発生したり、そういう地震によって大災害が出るということですので、そういうところについて十分ひとつ今後対策を練っていただきたいと思います。 それから、現在どんな企業でも放射性物質を使用しているといわれておりますが、こういう事実がございますか。
○渡辺説明員 放射性物質の管理につきましては、原子力局のほうで保管して、やっておりまして、私、ちょっと所管外の人間が出てまいりましたので、お答えいたしかねますけれども、放射性の安全性については、先日も一斉に点検しましたところが、まだ不十分なところがあるということで、委員会等で現在、今後の安全対策について検討している段階だと聞いております。
○金瀬委員 これはどこの工業地帯でも同じだと思いますけれども、タンクの中にいまどのくらい油があって、減りぐあいはどのくらいかということを、これは放射性物質を使うのが一番早いということで、どこでも使っているようですよ。それは知っていますか。
○渡辺説明員 私は存じておりません。
○金瀬委員 それでは、建設省の人来ていますね。建設省の人は、ダムには必ず使っておるはずですが、それを知っていますか。
○大田説明員 建築指導課長でございまして、ダムのことは存じ上げておりません。
○金瀬委員 ダムというのは、水がどのくらい減ってきたとかどうとかいうとき、放射能の変化によって全部調べているようですね。それから、油がどのくらいいまタンクの中で下がってきているかという量を調べるのに、全部それを使っているようですよ。その取り扱いが非常にぞんざいというんですか、乱暴というんですか、慎重に取り扱ってないということで、地震の際とか、何か非常に危険だという人が相当いるのです。それを放置してそのまま逃げるとか、あるいは放射能のあるところがこわれて、放射能が外へ出るとかというので、これは相当危険に考えている人が多いですよ。これに対して、だれか、科学技術庁か何か、そういう専門の人はだれもいませんか。——わからなければいいですが、どうですか。
○渡辺説明員 本日は参っておりません。
○金瀬委員 それでは、その問題については、この次のときに……。専門の人に連絡をとっておいてください。 それからその次に、コンビナートの地震対策のために、災害対策でもいいのですが、出光とか、丸善とか、あるいは富士石油とか東亜燃料とか、いろいろありますが、それが全部寄って防災センターというのをつくって、火災とかあるいは地震対策とか、いろいろなことについて研究するような機関ができていますか。
○鎌田説明員 高圧ガスの関係でございますが、昭和四十三年の四月に局長通達をもちまして、各コンビナートごとにコンビナート保安防災協議会を設置せしめることといたしております。 その協議会におきましては、自主保安活動の一環といたしまして、地域の自主保安に関する基準の制定、設備の適正配置、保安の共同研究、災害防止のための相互援助あるいは共同の防災訓練、こういったものを実施せしめております。
○金瀬委員 工場地帯に、地震でもいいですが、火災でも何でも災害が起きた場合に、どんな対策を立てなければいけない、何をやるかということ、こういうことをやるとか、ああいうことをやるとかと、いろいろあると思うのです。それを順序正しく言ってみてくれませんですか。災害が起きたら、こういう処置をこういうふうにとっていくという順序があると思うんですよ。とにかく防災会議というので政府のほうで長い間研究しているんだろうから、火災が起きたとか災害が起きた場合には、その地域でどういうふうな対策を一つずつ立てていくかということを、順序正しくちょっと説明してみてくれませんか。どういうことをやるかと……。
○永瀬説明員 本来的には災害対策基本法に基づきます地域防災計画でこまかく規定されているはずでございますが、申しわけございませんが、私、防災の担当でございませんので、工場の火災関係についてだけお答え申し上げます。 危険物を、いわばガソリン等を貯蔵し、あるいは取り扱っております工場に対しましては、これは量によって違いますけれども、ある程度以上の規模の工場に対しましては、化学消防車を主体といたしますところの消防隊を編成することを義務づけておりまして、量に応じまして一隊から四隊まで義務づけがございます。現在は、全国では四隊の義務があります工場は、たしか二工場程度と記憶いたしておりますが、市原のコンビナートに対しましては、かなり多くの工場が三台の化学消防車を持つ義務を課せられております。 なお、この義務と相まちまして、市原等のコンビナート地帯におきましては、工場間の相互応接協定を作成させまして、地域を、たとえば市原の場合ですと三地域に分けております。三地域に分けまして、それぞれの地域内での工場間の相互応援、それから地域ごとの相互応援体制を組ませまして、一地域内で他の工場から化学車等が応援に行く、そしてその地域で間に合わないときには他の地域から応援に行く。もちろん化学車と薬剤とを含めてのことでございますが、そのような体制。それからさらに、県内の他の地域からその発災地域に対しまして応援に行く、このような県内、あるいは川崎等を含めました隣接地帯との間の相互応援協定を結ばせておりますので、この間で不足するものを相補って初動体制を考えております。 ただ、火災が発生いたしました場合、直ちに行なうべきことは、やはり消防機関への通報と、その企業内における消防隊の出動による火災の鎮圧でございますが、現在の化学工場の中は油だけでございませんで、可燃性のガスがたくさんございます関係上、これらのガスを漏出させない、バルブを締めて出さないということが、まず第一の要件でございますけれども、あまりバルブを締め過ぎますと、内部にこもって爆発がございますので、必要なところはバルブを締めて各装置の間の縁を切る。そして燃えているところは、フレアスタックと申しまして、大きな煙突で上で火を燃しておりますが、そちらのほうにガスを逃がしていくということを工場の中の作業基準に盛らせまして、当面の災害対策をやらせております。 火災に関しましては、以上でございます。
○金瀬委員 工場地帯に災害が起きたということを仮定して防災会議というのが何かやっておるはずですよ。地震でも火災でも何でも、災害が起きた場合にはこういうことを基準にしてやるということがあるでしょう。何もやっていないかやっているか、それだけ言ってくれればいい。何もないというならばなくていいし、こういうふうにやっているというならやっているでいいし、その基本的なことがあるでしょう。何か災害が起きたら、まずこれを先にやるのだ、その次はこれだという基本的なことがあるでしょう、常識的に。きわめて常識的でいいですよ。
○横手説明員 コンビナート地帯における災害対策につきましては、先ほど消防庁のほうからいろいろとるべき措置についての説明がございましたが、もっぱら通産省並びに消防庁、こうしたところを中心に検討を進めてもらっております。やはりそちらがそのほうの専門家もそろっておりますので、そちらでやってもらっておる、こういう状況でございます。
○金瀬委員 そういう科学的なことでなくて、常識的に見て、どういうことをやることが一番必要かということがわかりませんか。 これはこういうことなんですよ。私、大学の先生に何人か集まってもらって、コンビナート地帯にそういう事故が起きた場合、一番先にやることは何だと聞いたら、こういうことです。一番簡単なことですよ。人間が死なないように全部避難させることです。人を殺さないように避難させることが、災害対策の第一義だというのですよ。それから二番目は、火災を絶対に起こさせないように消防車をたくさん配備することだという。三番目は、危険物が流出しないように、有毒ガスとか油とか、そういうものに対する流出の対策をすぐすることだという。その次は、最後には工場の近所の住宅に住んでいる人をみんな片づけろということですよ。住宅地に被害がいかないように全部避難させる。そういうことを平素訓練しておかなければ災害が起きたとき困りますよ、こういうことを言っている。 これはきわめて常識的なことだけれども、そういうことについて、あなた方は検討したり訓練したりしたことがあるかどうか。たとえば火災が起きたことを、あるいは災害が起きた、地震が起きたということを想定して、人を避難させるとか何かそういう訓練を工場地帯でやったことがあるかどうか。また、そういうことに対して基本的なことを何かつくってあるかどうか。防災の憲法みたいなものですね。
○横手説明員 大きな災害が生じました際の各種の対策でございますが、これは地方公共団体、都道府県ないし市町村の段階で、それぞれ防災計画、こうしたものをつくっておりまして、その中で、あるいはいまお話の避難対策、こうしたことも計画に織り込まれております。 また避難の訓練でございますが、先日も江東地区でございましたか、ここでも地域住民の避難訓練が行なわれておりましたが、各地方公共団体の段階で、それぞれ必要に応じてそうした避難の訓練をしておる、こういうような状況にございます。
○金瀬委員 国で防災会議というのをつくっているのだから、コンビナートというのは東京にもあるし、横浜にもあるし、川崎にもあるし、千葉にもあるわけですが、そういうものの災害が起きた場合どうすべきかということについて、基本的に、こういうことは絶対やれというようなことで本省のほうできちんとしたものをつくっておかなければ、これが統一したあれができないと思うのです。先ほどのように、放射性物質はどこの工場でも使われているのですよ。この放射性物質の管理がまずいと、災害のときに非常に被害が大きくなるということがいわれています。この点については、この次のときに質問しますが、十分検討してきていただきたい、さように考えております。 それから、今月の五日に、目黒区で幅十五メートル、長さ二十メートル、道路が陥没した、そしてガス管が折れて付近一帯にガスが充満した、火が出ることを防ぐために送電をストップした、それから火を使うこともとめた、災害の原因は電話線の地下埋設工事だということが書かれているけれども、地震がなくても東京というのは、こんなに——これは全部現場の写真ですよ。地震がなくても、こういうことで簡単に陥没してしまうのです。地震があったらたいへんだと思うけれども、こういう地下構造に対する対策というのはどうなっているか、建築指導課長さん、ちょっとそれを説明してくれませんか。
○大田説明員 街路の一般的な構造物は道路関係の管理者がやっておりますが、私どものほうでは、地下街とかそういうものについてはいろいろ規制をやっております。特に地震に関しまして構造物自体が安全かどうかは、一般の高層建築物並みの耐震設計をやっておりますし、また地震に伴いまして起きます二次災害、特に火災のことを考慮しまして、いち早く避難ができるような階段の数とか歩行距離の制限あるいは防火区画等々の制限を加えております。
○金瀬委員 それでは、あなたは十分できていると言っていますが、地下道、地下街、地下室、地下鉄、東京は全部そういうことでなっていますが、そういうところについて、いま地震が来た場合、安全であるかどうかということについて言ってみてくれませんか。
○大田説明員 私どもの担当しております建築物の地下あるいは地下街、そういうところは安全である、こういうふうに言えると思います。地震に対する倒壊に関しましては安全である、こう申せます。
○金瀬委員 私は、いまの地下街とか、それから地下鉄とか、それから地下室、こういうものは絶対安全でないというふうに考えております。あなたが安全だと思っていれば、それでけっこうですが、絶対安全でないというふうに考えています。 かりに電話線を引いただけで道路がこんなに陥没するとかいうような状況にあって——せんだっても私どもは新幹線を調査したときに東京駅の地下道を歩いた。これで地震が起った場合どうなるか。かりに電気が消えたとしたら、出口はわからない。あの中はまっ暗で、おそらく出口のところに行って重なって、みんな死んじゃうじゃないかということが言われた。それでも、あなたは安全だということだからいいけれども、その程度で建設省が安全だというふうに考えているようだと、防災会議だとかそういうものは、つくってもつくらなくても同じだ、何もやってない、ただ机上プランで、寄り集まって相談しているだけで、何もやってないと同じになってしまう。何もやってないと同じじゃないかと思う。地下道にあれだけ人が入っていて、地震が来て電気が消えたら、たいへんなことだと私は思う。たとえばすぐ予備の電気がつくとか何かあるとか、十分な対策があるかと聞いてみたら、やっぱり何もない。
○大田説明員 地下街につきましては、常用の電源が切れた場合には、直ちに非常用の照明がつくような規制になっております。これは最近の規制でございますけれども、古いビルにはこれがございません。それで、実は先国会にそういう古いビルにも新しい設備をつけさせるような遡及適用と申しましょうか、そういうことを盛り込んだ建築基準法の改正を提案いたしまして、目下継続審議になっております。
○金瀬委員 国のいまやっておる地震対策、特に都市については、いまのような都市が過密の状態の中で、どういうふうにやるかということは非常にむずかしい問題だと私は思うのです。昼間だと、一日に平均千九百台ぐらいタンクローリーとか、あるいは高圧ガスを積んだトラックが動いている。そこに地震が起きた。特に高圧ガスを積んだタンクローリーが高速道路の上に出て、そして車がじゅずつなぎになっているところに事故が起きた場合を考えると、これはたいへんなことだというふうに考えるわけです。地下街も同じだし、そういう道路の上も同じだし、そういうものに対す十分な対策をひとつ今後練っていただきたいと思います。 さように考えておりますが、防災会議なり、防災に対する国の考え方というものが、いまから徹底的にそうしたことをやっておかなければ、地震が来た場合に火災でも起きれば、東京の人口がどのくらい減るかということについて、私どもは非常に恐怖を持っていますが、それに対する今後の対策について、どういうふうにしていこうと思っているという皆さん方の方向だけでもきまっていたら、発表してください。
○横手説明員 地震対策、特に人口の密集しております地域における震災対策、これはできるだけ早く対策を立てまして、問題点を解消していくべきものである、かように存じておりますが、震災対策の内容は、もう先生御承知のように非常に広範多岐にわたっております。 そこで、私ども当面関係省庁と話し合いまして、都市防災、防災体制、避難対策、救護対策、それから情報通信対策、研究、こうした六つの分科会を設けまして、各分科会ごとに、それぞれ当面必要とする対策措置についての検討を進める段取りにいたしております。最近もこうした打ち合わせ会を二、三度は開いておりますが、関係省庁も非常に多いというような面、また対策も広範にわたるというような面もございまして、直ちに万全を期し得られるというような状況にはなかなかございませんが、私どもとしましては、せっかく努力をいたしまして、できるだけ早急に問題点の解消につとめてまいりたい、かように存じております。
○金瀬委員 与えられた時間が参りましたので、これで質問をやめますが、実はせんだって銚子沖にわりあいに大きな地震がありました。震度四だった。そのとき私は、たまたま近くにおりまして、あるホテルに泊まっておりました。ホテルの主人がこういうことを言いました。自分は大正大震災のときに東京にいた。そこで水がなくてまいった。水がなかったから、千葉のほうから船で水を持ってきてもらって、それを使ったという話とか、米とかあるいはそうした備蓄のあれもなかったので、千葉のほうから持ってきて食べさせてもらったということを言っておりました。 それからもう一つは、プールなんか、コンクリでつくったものは全部水が漏れて役に立たなかった。自分は、いまかめを置いてある。かめは地震が来ても、わりあいに割れない。それから鉄の容器をつくった。鉄でつくった洗面器みたいなものをいけてあるから、そこは地震が来てもだいじょうぶだ、こういうことを言っておりました。だから、コンクリのプールというものは、地震のときには水が漏れてしまって全然だめだ。そういうホテルの主人公というのは、お客さまの地震対策について一生懸命やっておる。 それで、国も東京とか都市に住んでおる人を地震とか災害からいかにして守るかということについて、そういうことをこまかく検討して、各都市でこういうことをやりなさいということを各都市に出すとか、あるいはコンビナートはこういうことをやれとかということを出せば、それだけ災害を防ぐことになるわけですが、そういう点について十分早く検討して、方針を出していただきたい、そういうふうにお願いしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○金丸(徳)委員長代理 次に、青柳盛雄君。
○青柳委員 私は、ことしの水稲の作柄につきまして御質問いたしたいと思うのであります。 私ごとでありますけれども、私は東京第五区選出の議員でありますし、また担当しております常任委員会は法務委員会でございまして、農作物に対する災害などにつきましては専門に研究しているわけではありませんが、たまたまことしの九月の中旬に山梨県を視察する機会がありまして、約一週間ほど各地を見てまいりました。そしてまた、農民の方々のいろいろの要求を聞いてまいったわけであります。 その際に、山梨県の峡北地域の北巨摩郡高根町清里部落に行ってみたわけでありますが、これは、同地域が農作上災害を非常に受けておるという話がありまして、現地の農家から強い要望もありましたので行ったわけでありますが、九月中旬であったにもかかわらず、春以来の長雨とか日照不足及び低温などの異常気象、並びに再三の台風の影響もありまして、稲作全般にいもち病が多発し、さらに冷害現象が起こって、全国的な豊作が伝えられる中でも非常に不良であるということでありました。 その後、農林省が十月十五日現在の四十九年度産水陸稲の予想収穫量というのを閣議に報告いたしましたのを新聞記事を通じて見ますと、全国的平均は一〇二という、やや良という程度だそうでございますけれども、私の参りました山梨県を含めて関東地域が非常な冷害を受けている。たとえば茨城県が九九、栃木が九三、群馬が九五、埼玉が九八、東京九九、神奈川九五、そして山梨は九四というような状態であったのであります。静岡も九一というふうに、大体関東一円が冷害にやられているという状況、それに長野県も同様九四でございます。山梨県と長野県が隣合っていることは御承知のとおりであります。 私の参りました清里という部落は、八ケ岳の山ろくにある標高七百五十メートルという非常に高い地域でございまして、いままでは幸いに凶作には見舞われませんでしたが、二十一年ぶり、昭和二十八年にあってからのたいへんな凶作に見舞われたわけでございます。 そこで、現地の農民たちの要求を聞いてみますと、いろいろに分かれているわけでありますけれども、その中の一つに、天災融資法の適用をぜひ国のほうで考えてもらいたいということがございました。その後、山梨県当局からも政府に対して同様の申し入れが出ているようであります。 私は、天災融資法というものが大きく活用されて、そしてこういう凶作に見舞われた農民の経営を保護してやるということは、非常に適切な措置であろうと考えるわけでありますが、俗に言うと天災融資法、正確に言うと、たいへん長い名前のようでありますけれども、その第二条によりますと、この法律において天災というのは「当該天災による被害が著しくかつその国民経済に及ぼす影響が大であると認めて政令で指定するものに限る。」と、こういうふうになっております。だから、そのつど政令で、これは、いわゆる天災融資法にいう天災であるというふうにきめるような仕組みになっているようであります。 そこで、お尋ねをいたしたいのでありますが、こういう政令を出す何か一般的な目安というか、基準というか、ことばはきわめて「被害が著しくかつその国民経済に及ぼす影響が大」こういう抽象的な文句でありますので、何とでもとれるようなものでありますけれども、いままでの慣例で、天災融資法にいう天災とは、こういうものであるということで政令が出された場合の基準のようなものは、今回の場合にもやはり踏襲されるのかどうか。そうだとするならば、どういうような標準があるのか、それをお尋ねいたしたいと思います。
○今村説明員 先生お尋ねの、天災融資法を発動するのは、どういう基準に基づいて発動をするのかということでございますが、先生が先ほど天災融資法の条文を読み上げられましたように、天災融資法は、国民経済的に重大な影響を及ぼすような災害を政令として指定をするというたてまえをとっておるわけでございまして、何が国民経済的に重大な影響を及ぼすかということは、その災害の態様でありますとか、あるいはまた被害の程度でありますとか、あるいは被害の広がりというふうなものを総合的に勘案してきめるというたてまえになっておるわけであります。 したがいまして、被害額が幾らということを一義的に政令なり何なりできめるというたてまえはとっておりませんが、従来からの取り扱いにおきまして、大体、相当な被害の広がりがあり、また相当な被害の程度があるという、その相当という一応の基準は、農林省の統計調査部の調査の結果に基づきまして、大体三十億以上の被害が見られるような場合であるというふうな取り扱いをいたしております。したがいまして、そういうふうな一応の目安に基づきまして、それぞれ被害の態様なり広がり、大きさ等を勘案をして、それぞれの場合において判断をいたしまして政令を出しておるような次第でございます。
○青柳委員 被害額が三十億円以上という統計的な数字が出たわけでありますが、同時にこれが一定の地域的な広がりといいますか、そういうものも必要なのかどうか。全国トータルにすれば、今年度の冷害といいますか低温といいますか、そういうことによる被害は優に三十億をこえているようでございます。正確な調査がまだ行き届いておらないかもしれませんが、山梨県だけでも十億円、それから長野県は二十六億円ぐらい、これを合わせると、もうすでに三十億をこえておりますし、そのほか、東北でありますけれども、宮城県の七十七億円とか福島の二十二億円というようなのがございまして、そのほか、先ほど申しました関東一円の不良な状況を見ますと、優に三十億はこえていると思いますけれども、これが何か地域的に連続、接着しておらないとだめなんだ、たとえば山梨県と長野県ならばくっついているからいいけれども、宮城県と山梨では離れ過ぎているというようなことでもあるのかどうか、そういう基準もございますか。
○今村説明員 先ほど被害の程度と、その被害の広がりということを申し上げましたけれども、やはり災害として相当集中的な被害をもたらしておる、集中的というのは一地域ということではありませんで、たとえばこの間の台風でございますとか、そういう一つの集中的な被害という観点が一つございます。 それから同時に、被害の深さといいますか程度といいますか、そういうふうな判断が一つございまして、たとえば今回の、いろいろ被害があって作況指数が低下したというような状況は関東一円にもある程度見られるわけでございますけれども、それの程度ということ、あるいはまた一定の地域というととを考えますと、なかなか天災融資法の発動にはなじみがたいという問題がございます。
○青柳委員 関係農業団体などからそういう要請、つまり天災融資法の適用を考慮してもらいたいというような要請が農林省に殺到しているのではないかと思いますが、現在までのところ、農林省としては、いま私が申し上げたような冷害について天災融資法を適用するための政令を出す、そういうような段階に至っているのかいないのか、それを簡単にお話いただきたいと思います。
○今村説明員 山梨県の山沿い地帯におきましては、七月の下旬及び八月上旬の低温の影響によりまして、水稲に障害型の冷害が発生しております。また、九月から十月の上旬にかけまして、低温寡照によりまして登熟不良と、いもち病の発生を見ているわけでございまして、その被害の性格上、その最終結果については収穫期を待って調査をすることとしておりますので、目下関東農政局の山梨統計情報事務所において鋭意調査を取りまとめ中でございます。 先ほども先生からお話がございましたように、十月五日現在の県の報告によりますれば、被害面積が二千二百十五ヘクタール、収穫の被害金額は、県の報告によりますと十億二千六百万円ということに相なっております。そういう関係で、天災融資法の発動につきましては、農業関係団体から陳情は受けております。しかし、これらの被害につきましては、従来の冷害に比較しまして、その被害範囲等から判断をいたしまして、天災融資法の発動は非常に困難であると考えられます。しかし、天災融資法の発動が困難であるからといって、私たちはそのままにしておくわけにはまいりませんので、これらの被害の救済措置といたしましては、自作農維持資金、これは五分で償還期限二十五年だったと思いますけれども、これによる金融措置を講じまして、その救済に十分な措置を講じてまいりたいと考えておるわけでございます。 そこで、山梨県ともいろいろと御相談を申し上げまして、どれだけ自作農維持資金を融通すればいいかということで、山梨県からもいろいろな需要の額を聴取をいたしたわけでありますけれども、山梨県からは、天災融資法の発動はなかなか困難であるという事情はわかるので、自作農維持資金のワクの設定については十分配慮を願いたいという要望がございまして、三億三千五百万円の需要額があったわけでございますが、私たちとしましては、そういう状況を踏まえまして、県の要望を十分満たせるように、配分額としましては三億三千万円、ほとんど全額の自作農維持資金の配分をいたしておるような状況にございます。
○青柳委員 天災融資法のあり方の問題につきましては、私も意見があるわけでありますけれども、今後のこういう災害に対する心あたたかい国の施策が十分に行き届くためには、政令の発布につきましても相当ゆるやかな考え方が必要だろうと思います。 しかしながら、それはそれといたしまして、いま御答弁いただきましたように、それにかわる措置として自作農維持資金を特別にワクを広げるような見地から適用しようということだそうでございまして、それなりに、それは農民の要求にこたえる面を持っていると思いますから、ぜひそれは推進していただきたいと思います。 ただ、個々の農民からいいますと、まだそれでも県の要請が十分に農民の考えをくんでいるかどうかという点、疑問がなきにしもあらずであります。たとえば、清里部落だけでも九千万円ぐらいは必要なんだ。私も行ってみて驚いたわけでありますけれども、ほんとうにまだ九月の中旬でございましたが、もう立ち枯れ状態、ほとんどもみになる可能性がないひどいものでございまして、われわれしろうとが見ても、これでは全滅同様ではないか、多少米らしいものがとれるだろうかという心配をしておったのですけれども、はたせるかな、その後の調査でも相当悪いようであります。翌年の種米もないなどというような農家もあるというようなことであります。ですから、今後とも自作農維持資金の活用をやらていただきたい、かように考えます。 そこで、実は規格外米といいますか等外米ですね、これを政府のほうでしかるべき価格で買い取るような措置を講じてもらいたい、こういう要求も出ております。これは従来も行なわれていることのようでありますので、どの程度まで等外米の買い入れについて措置がとれる可能性があるか、これもお尋ねをいたしたいと思います。
○志村説明員 お尋ねの、災害によります結果の等外米、規格外米の買い入れでございますけれども、通常の場合ですと、御案内のように等外米及び規格外米は政府買い入れをいたさないということになっておるわけですが、特に災害対策等の一環といたしまして、被害の著しい場合には、先生のお話のように規格外、等外米の買い入れをいたしております。これが従来からやってきている取り扱いの方法でございます。 そこで、御質問の山梨県の場合でございますけれども、現在私たちの出先、食糧事務所あるいは統計調査部のほうの調査によりますと、大体発生数量が七十トン程度ではないかというような情報もございまして、現在の段階では、当該地域に発生いたしました規格外あるいは等外米の政府買い入れについては、買い入れをしなくても済むのではなかろうかというようなことで考えております。
○青柳委員 買わなくても済むという意味が、私ちょっと理解できなかったのですが、私のほうで聞いたところでは、八十トンから百トンぐらいは等外米が出ているのではなかろうか、だから、それはぜひ引き取ってもらいたいということのように聞いているのですが、その必要も認められないという意味なんでしょうか。
○志村説明員 等外、規格外をいま調整いたしまして、極力五等米のほうになるように指導いたしております。その結果、あと余ってまいります、どうしても規格外あるいは等外にならざるを得ないものは六十トン足らずというような話でございまして、現状では、いま申し上げましたように、五等米になるように調整するよう指導中でございます。
○青柳委員 その点わかりました。 次に、予約金というのでしょうか、要するに予約金として、あらかじめ一定の額の買い入れ金を先渡しをしているようでありますが、いま申し上げましたような状態で、返済が米の売り渡しでできないといいますか、精算ができない、こういう状況にあるようであります。これは翌年の経営を維持するために、たとえば自作農維持資金の借り入れができたといたしましても、本年度の予約金を精算してしまうと、来年度以降の農業経営に支障を来たすのは常識でございますので、これを何とか据え置きをしていただけないか。たとえば五年間据え置いて十年くらいに返済をするというようなこと、利息についても、何とかこれは国かあるいはしかるべき機関で補助をしてもらいたい、こういう要求があるのでございますけれども、こういうことについては考える余地がないものかどうか、お尋ねしたいと思います。
○志村説明員 御質問の、米の予約概算金の返納が不可能になった場合に、それに対して延納措置あるいは金利の利子補給をするようなことができないかという御質問のようでございますが、米の毎年の買い入れにあたりましては、政府の米穀の売り渡しに関する政令というのがございまして、それで売買条件を告示をいたしております。売買条件の中でいろいろの災害等を想定いたしまして、天災融資法に基づく指定災害のような場合には、予約売り渡し申し込み数量の政府への売り渡しが災害によって困難になったというような場合には、予約概算金の返納について利子の減免等をする制度が開かれております。天災融資法の指定になった災害の場合には、そういう措置があるわけでございます。 そういうことでございますが、いま山梨のお話のようなことがございますと、天災融資法の指定がどうなるか、まだわかっておりませんけれども、そういうような措置がある、売買条件の中できまっております。予約概算金がかりに返納期に返納できないという場合には、もう一つ、その生産者が参加しております指定集荷業者がかわって政府に払うというような仕組みもできておりますので、そこらをひとつ十分利用していただいて、概算金の返納についての手続をしていただければ、ありがたいんではないかと思います。
○青柳委員 先ほど農業維持資金についていろいろと配慮しておられるということを言っておられましたが、これのすでに借りている分もあるらしいのでありますが、こういうものの返済を延期してもらえぬだろうか。たとえば三年を据え置いて、そして十一年くらいの年賦にして利子の補給もやってもらいたい。ちょうど、いま天災融資法の適用があれば、政府予約金の返済についても配慮される。しかし、それがないとだめだという、裏からいえばそういう御見解のようでありまして、ほかの方法を講じてもらいたいということでありますが、農業維持資金についてはどうでございましょうか。
○今村説明員 自作農維持資金につきましては、先ほど申し上げましたように、県の要望を十分満たすようなワクの配分を考えておるわけでございますので、また、自作農維持資金のワクにつきましても、本年度、相当従来の金額を上げてまいりましたものですから、それはそれとして貸し付けを申し上げる。これは金利は先ほど申し上げましたように五分で、償還期限が二十年という相当長期の資金でございますから、まあ、そういってはあれでございますけれども、天災融資法の金利は、かりに激甚でやった場合においては三分でございますけれども、期限が非常に短いというようなことで、自創資金そのものは非常に喜ばれておるような状況でございますから、それを十分に活用をいただくということが、農家にとっては非常に有利なことではないかと——災害を受けた農家にとっては非常にお気の毒でございますけれども、そういう資金の融通の面から見れば、非常に有利なんではないかと思っております。 それを借り受けます場合に、ほかの、かりに農林漁業金融公庫の資金を相当多額に借りておるために、それを借り受けても、あるいはまた、それを借り受けるということは別にしましても、いろいろ償還に御不便といいますか、償還がきわめて困難であるというふうな状況でありますれば、これは私たちは、県農林漁業金融公庫を指導いたしまして、ケース・バイ・ケースで、そういう農家の実情、経営の状況の実情に従って、そういう従来の債務の償還条件の緩和につきましては、十分指導をいたしてまいりたいと思っております。 なお、また、県におきましても、先ほど先生がお話がございましたような、冷害の稲わら飼料化対策等につきましても、県単独でいろいろ事業を実施をいたしまして、県、市あわせまして相当高い補助率で補助をいたしておるところでございます。 また、冷害地域の水稲の種子の確保対策につきましても、県がいろいろ力を入れてやっていっておるような状況にございます。 なお、また、私たちといたしましては、共済金の仮渡しにつきまして、できるだけ早く共済金の仮渡しを実施するようにという指導を農業共済団体にいたしまして、現在すでに一億六百万円ほど仮渡しをいたしておるような実情にあるわけでございます。
○青柳委員 いま私がお尋ねいたそうかと思っておりました共済金の早期支払いの問題についても、県のほう、団体のほうに対して、しかるべき指導をしておられるようなお話でありますので、それは非常にけっこうなことだと思います。 現地の農民からいいますと、共済金の額が非常に不十分であって、これは改善をしてもらわなくてはならぬという制度的な要求もありますけれども、それも当然これからも考慮をしなければならない問題だと思いますが、当面これがいつまでも払われないというような状態では、年も越せないということにもなるわけでありますから、ぜひすみやかに十二分の措置がとられるように、引き続いて配慮を願いたいと思います。 それから、大体農民の要求は、まだ県に対するいろいろの要求などもありますけれども、たとえば冷害に耐えられるような品種について、やはり農林省としての指導もこまかくやってもらいたいという要求があります。 ことし被害が集中して出ましたのは、シュウレイという名前の県の奨励品種であったわけでございますが、これはおととしにも冷害を受けておりまして、農民の間にも疑問が多かったわけでありますけれども、収量が多いというようなことに、やはりつられるのでしょうか、やはりシュウレイをやってきて、それが他の品種に比べて被害がはなはだしく大きかったというようなこともありますので、こういう点は大いに改良しなければならない問題だろうと思います。 私も専門家ではありませんので、たとえばヨネシロという品種は、それほどでもなかったというようなことも聞きますが、それがシュウレイと比べてどの程度、うまくいった場合には不利なものか、そういうことはわかりませんが、寒冷地域というよりも、これは年じゅう冷害にさらされる危険性がある高冷地でございますので、東北、北海道あたりの場合と違った配慮がなされなければならないのじゃないかというようなことも農民の間から声が出ておりました。 しかも私の参りました清里というところは、地理的な関係もありましょうかわかりませんけれども、いわゆる出かせぎ農民というのが非常に少なくて、八〇%くらいまでが水稲専門、いわゆる専業農家だそうでございます。専業の農家で、しかも水稲を中心にやっているというようなところに対しては、それなりの特殊な指導、援助が必要ではないかというふうに考えます。いろいろ農民の声を国政の中で生かしていただきたい、かように考え、たまたま同地を視察した一人の議員として、いろいろとお尋ねしたわけでございます。 これをもって質問を終わります。
○金丸(徳)委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後三時三十二分散会