外務委員会 第5号
- 発言数
- 159 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1974/12/04
会議録
○有田委員長 これより会議を開きます。 この際、羽田野外務政務次官から発言を求められておりますのでこれを許します。羽田野君。
○羽田野説明員 羽田野忠文でございます。 このたび外務政務次官を仰せつかりました。きわめて大事なやりがいのある仕事でございます。しっかりがんばってまいります。よろしくお願いいたします。 ————◇—————
○有田委員長 国際情勢に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堂森芳夫君。
○堂森委員 わが外務委員会は、野党側の強い開会要求にもかかわらず、多くの外交的な諸問題がございましたが今日まで開かれなかったということはきわめて遺憾である、われわれはこういうふうに思うのであります。そこで、きょうは最近の外交上の諸問題について、時間もございませんので、なるべく簡潔に数点お尋ねをいたしたい、私はこう思うのであります。 まず最初に外務大臣に伺いたいのは、九月のアメリカの国会におけるラロック証言が十月になって発表されまして、このラロック証言が発表されて以来、今日までに引き続いてアメリカにおける上院の外交委員会筋であるとかあるいはニューヨーク・タイムズというような有力な新聞が、アメリカ側の権威筋の発表であるとか証言であるとか、あるいはわが国のアメリカに駐在しておる共同通信のほうから発せられるいろいろな報道とか、いろいろなものが次々と報道されてきまして、従来からわが国における非核三原則あるいは安保条約における事前協議の空洞化であるとか、核がないのははたしてほんとうであるかどうか、こういう疑いが国民の間に今日といえどもだんだんと広がってきておる。そして先般、フォード大統領がわが国を訪問された際、田中総理並びにフォード両首脳の会談において、この問題について当然触れるであろう、そして国民は、わが国に核はないのだということが明瞭な姿でこの会談の結果国民に知らされるであろう、こういう期待を持っておったことは間違いないと私は思うのでありますが、この日米首脳会談ではどのような話し合いが行なわれたのか。核の存否について確認が行なわれたのであるかどうか、まずこの点について最初に外務大臣から御答弁を願いたい、こう思うのであります。
○木村国務大臣 先般の田中総理とフォード大統領の会談におきまして、ラロック発言事件以来のわが国内におけるこの核問題に対する世論の動向、またそれに伴う波紋等につきまして、田中総理からフォード大統領に対していろいろ説明をいたしました。それに対しましてフォード大統領は、もうすでに数回にわたって米政府のこれに対する見解を明らかにしておるとおりであるが、あらためて日本国民の核兵器に対する特殊の感情を深く理解して、日米安保条約及びこれに関連する取りきめを今後も忠実に順守する考えであるということを答えられました。
○堂森委員 そうしますと、重ねてその点についてお尋ねいたしますが、日米首脳会談でアメリカ側、大統領からさっきのような話があった、こういうことであります。私はその点について引き続きお尋ねしたいと思いますが、新聞報道によりますと、さっきも御答弁になったように、わが国の国民の核に対する特別感情というものに深い理解を示した、こういうふうなことが新聞にも報道されておりました。このような報道で外務大臣は、わが国に核がないということがこの会談で明らかにされたんだ、こういう考え方を国民は持つとお考えでございましょうか、いかがでございましょう。
○木村国務大臣 日米安保条約をはじめといたしまして、日米間の関係はお互いの友好信頼の上に成り立っております。そういう意味におきまして、米大統領自身がわが国の政治最高責任者である田中総理にそういうことを述べたということは、これは申すまでもなく、わが国にそういう核兵器が存在しないということを保証したというふうに私どもはとっておりますし、また、国民も一般にそのようなことで理解をしていただけると思います。
○堂森委員 外務大臣、ほんとうにそうお考えでございますか。もっとも、今度の共同声明を見ますとこの点については何も触れられておりません。国民が最も期待しておった一つの点は、わが国には核はないのだということが、日米首脳会談で明らかに、率直に、ストレートにそうした話し合いの結果が発表されるだろう、そうなってほしい、こういう期待を持っておったと思うのでありますが、この共同声明を見ましても何ら触れていない。 それから、深い理解を示したというような報道を見ておりますと、この問題について従来から、アメリカ政府の誠意を信じ、安保条約の事前協議の制度の誠実な順守、そうした姿が核についてはずっと守られてきたんだというような説明をなさっても、あの共同声明には何も触れられていないし、また新聞報道等を見ておりましても、核は全くわが国には持ち込まれていないのだ、こういうことを、しつこいようでありますが、国民がそう信ずるというようにほんとうにお考えでありますか。私はそうでないと思うのでありますが、もう一度御答弁願いたいと思います。
○木村国務大臣 今回の共同声明にはこの問題があらわれておりません。しかしながらいま申し上げましたとおり、田中総理とフォード大統領との会談の中では、この問題が先ほど申し上げましたとおり取り上げられております。それにつきましてフォード大統領みずからが、日米安保条約及びこれに関連する取りきめについて、これを忠実に順守すると言っておるのですから、私はそういうような相互の信頼関係に基づいて日米関係は成り立っておるということから申しまして、国民にぜひそういう御理解をいただきたい、こう考えております。
○堂森委員 私は、なぜ核の存否について、政府のいっておられることを信用しようとしない人がたくさんわが国にはあるのかということについて、その大きな原因はやはり政府の態度にある、こういうふうに思うのです。まつ正面からそうした国民の疑惑を解くような姿の説明を政府がしない。また、そういう行動をとらない。常にアメリカ側の政府の意向に何か、追随するというとそういうことばは妥当でないかもしらないが、アメリカ側の政府の意向を迎えるような、そういう姿の態度で終始してきておる。 また、私は思うのでありますが、核の存否について明らかにできないのは、従来の政府が、あなたもここで言ってこられたように、原子力基本法によるものである、こういうことをいってこられたが、その後、いやこれはアメリカの核戦略の秘密保持上の立場からアメリカの基本政策だからこれがはっきりさせられないんだ、こういうふうに変わってきたと思うのであります。そういうふうな政府側の態度にも大きな原因がある、私はこう思うのであります。核存否について、これを明らかにできないことがアメリカ側の基本政策であるならば、わが国の非核三原則というものもわが国の基本的な政策である。したがって、今度の日米会談ではこの点について、私はもっと国民に納得できるような発表ができるような姿の会談が行なわれるべきであったとこう思うのであります。そうして、これは私は政府の外交姿勢についての大きな責任があると思うのでありますが、今回のああいう会談のあなたが御答弁になったような内容、あるいは共同声明に発表されておるような内容で、政府の外交上の責任は果たしておられると、こういうふうにお考えでございますか。これをさらに御答弁を願いたい、こう思います。
○木村国務大臣 繰り返して申し上げますが、日米間の問題はやはり相互信頼というものがなくてはなりません。その相互信頼の上に築かれた日米安保体制の運用につきまして、先ほどから申し上げましたとおり、アメリカの最高責任者であるフォード大統領が、日米安保体制とこれに関連する取りきめに違反していないと言っているのですから、これ以上われわれは米大統領のことばを追及するわけにもまいりませんし、またそれが日米間の相互信頼に基づくものであれば、われわれはアメリカのその言明を信頼する以外にない、こういう態度でございます。
○堂森委員 そうすると外務大臣は、日本の政府はアメリカ政府を信頼する以外は、それ以上のことは核の存否については何ら言うことはない、こういう態度でございますか。
○木村国務大臣 もちろんそういう個々のケースにつきましては、そのたびごとに国会での御質問等にも答えておりますし、またその御質問に基づいてアメリカにいろいろ問い合わせもしております。また、ラロック発言なるものについても、御高承のとおり、米政府からこれに関する公式の見解を求めて、それをわれわれは受けております。そういうケース・バイ・ケースの場合においてはいま申し上げましたとおり、事あるごとにこういう問題についての疑惑、懸念というものを解こうとする努力はいたしております。しかしながら、一般に申しまして、いま申し上げたとおり、最高責任者同士の話し合いの中では、お互いの信頼関係に基づいたそういう先ほど申し上げましたような会談の内容で、われわれは満足しておるわけでございます。
○堂森委員 外務大臣、私は、あなたがそういうふうにおっしゃいましても、国民はほんとうに核はないんだ、持ち込まれていないんだというふうな受け取り方をしてない人がたくさんわが国内にはおるということだけは、間違いないと思うのであります。そういうことをいまあなたと議論してもしかたがないのでありますが、しかし外務大臣としては、外交の姿勢として、この国民の最大の関心事の一つについて、今回の日米会談で国民にもっと納得させ得るような姿の発表が何もされていないということは、これは現内閣の大きな外交的、政治的な責任といいますか、そういうものは私はやはりのがれられぬと思うのでありまして、この問題についてこれ以上は申しませんけれども、国民の大多数はやはり核は持ち込まれておるんだという印象、考え方を持っておる。あなたのような考え方でなしに、そういう印象、考え方を持っておる人がたくさんおるということだけは明らかだということを申し上げまして次の問題に移りたい、こう思います。 今回の前脳会談で、キッシンジャー国務長官の提唱するいわゆる石油消費国同盟の結成について、米側から強く同調を求められたということが報道されておるが、この問題についてはどのような要求があったのか、また政府はどういうふうな対処をしたのであるか、この点について御答弁を願っておきたい、こう思います。
○木村国務大臣 私とキッシンジャー国務長官との会談、三回にわたって行なわれたわけでございますが、その中で石油問題が話し合われたことは事実でございます。これは、キッシンジャー国務長官から要求されたという立場ではございません。むしろわが国も、石油危機以来この問題については最大の関心事でございますから、その問題について、相互に率直に話し合ったということが事実でございます。キッシンジャー国務長官が、かねてから持倫でございます石油問題を国際協調の中でぜひとも解決したい。もちろんその国際協調の中には、各先進国消費国間の話し合いもございましょうし、またそういう先進国と産油国との間の話し合いということも必要でございます。そういう問題を前提にいたしまして、御承知のとおり、キッシンジャー国務長官がシカゴ大学でスピーチをいたしまして、そこで石油問題についてのキッシンジャー構想なるものを提起したわけでございます。その問題が、キッシンジャー国務長官のシカゴ演説に先立ちまして、われわれにも内々そういう内報がございました。 このキッシンジャー構想なるものの最大のポイントは、このままで石油の価格が推移すれば、世界的なあるいは国際経済に大きな秩序の乱れが出てくる。御承知のとおり、OECD諸国の国際収支全体を見ますと、昨年は約四十五億ドルの黒字が計上されたにかかわらず、おそらく来年度にかけましては、約四百億ドルの赤字がOECD諸国の国際収支上に出てくるのではないか。また同時に、一方におきましては、産油国の中では、明年あたりはあるいは八百億ドルをこえるようなオイルダラーが蓄積される。こういうように国際経済、通貨面から申しましても国際貿易上の問題から申しましても、たいへんな秩序の混乱が起きてくる。これを何とか事前に防止しなければ、産油国また開発途上国も含めて世界の経済がたいへんなことになる、危機を迎えるであろうというような一つの考え方から、この際、まず先進消費国がお互いにこの危機を打開するための協調体制をとろうではないか。そのためにはもちろんいろいろ具体的な考え方も含まれております。 すなわち、産油国も言っておりますとおり、この有限である石油をコンサーブすると申しますか、石油を節約するという考え、これは産油国ももちろんそういう考えでおりますとおり、もとより消費国間でまず石油の節約をお互いにやろうではないか、これがまず第一の構想でございます。具体的には三百万バーレル・パー・デーというような数字もあがっておりますが、これはお互いの各国の経済の実情に応じてやるべきことであります。 また第二には、先ほど申し上げましたようなオイルダラーが非常に偏在する、そのリサイクリングと申しますか、還流をやらなければ国際金融上も非常に大きな混乱が出る。したがってそのリサイクリングの考え方としましては、サイモン財務長官の構想にもありますとおり、二百五十億ドルというものを集積いたしまして、お互いにこれを積み上げてお互いの融通に充てるというような考え方も示したわけでございます。 しかしながら、すべてこういうキッシンジャー構想なるものは、今後われわれ世界の先進国消費国がお互いに協調のもとに達成しなければならぬ一つの目標を示したものでございまして、これはある意味においては国際的な石油問題の協調、協議の一つのたたき台と申すべきものを提供したというふうにわれわれは受け取っております。したがいまして、私とキッシンジャー国務長官との話し合い、また、たまたまフランスのソーバニャルグ外務大臣との会談も行なわれましたので、その中で私どもはこの問題についてお互いに協調の場を見出すべく努力をいたしたわけでございます。
○堂森委員 私は、キッシンジャー構想というのは、消費国、先進国が一致団結をして石油の値段をできるだけ下げよう、押えよう、こういう意図がやはり明らかであると思うのであります。そうしますと、これは産油国に対してはやはり大きな問題点を当然はらんでくることは予想しなければならぬ。そういうような産油国との対抗組織であるというふうにも言えると思うのです。 わが国は昨年石油ショックで、しかも政府は特使を派遣して、俗なことばでいえば油ごいに行っておる。こういう事実をわれわれは昨年は経験しておるわけですね。そうすると、キッシンジャー構想にわが国が同調し、そしてこれに同調した態度を今後示していくということは、アラブの産油国等に対して何か影響が出てくることは予想しなければならぬ、こう思うのでありますが、いまのあなたの御答弁を聞いておりますと、フランスの外相が来たとき、石油に関するフランス側の提案等も聞いたし、キッシンジャーとの会談においてもこの問題についての消費国同盟についての話があった。そうすると、一体わが国はどういう態度で今後臨んでいこうとしておられるのか。私は、キッシンジャーの構想とフランスの外相のあなたに言ったこととは、やはりその構想は違うんじゃないか、相反するものでないか、こう思うのでありますが、外相はどういうふうにお考えでございますか。どういう態度で今後臨んでいかれるのですか、伺っておきたい、こう思います。
○木村国務大臣 私がキッシンジャー国務長官とまたフランスのソーバニャルグ外務大臣と話し合ったいろいろ結果を総合して判断いたしますと、究極するところ、米仏ともに基本的認識では差異はない、こういう結倫でございます。 しかしながら、その問題意識は同じくしながら、そこへアプローチするやり方と申しますか、方法論において、やや認識が違っておったということは事実でございます。その中でわが国は御承知のとおり、いま御指摘のとおり、産油国とのコンフロンテーションは絶対にこれを避けなければならぬという立場にございます。アメリカのように産油国であると同時に消費国という立場とはわが国は立場が異なっておりますから、そういう面でたいへんデリケ−トな立場におりますので、そういうところに十分配慮いたしまして、キッシンジャー構想の中におけるそういう危険性もあえて私は指摘いたしました。 それに対してキッシンジャー国務長官は、すでにシカゴの演説の中に触れておりますとおり、産油国との間の建設的な対話はこれを決して排除してないという考えを述べましたし、また、しかしながらフランスの構想に一部見られますように、何らの消費国間の協調、話し合いを経ずして、客観的なそういう雰囲気がない前に、ただやにわに産油国とあるいは開発途上国との会議の場を持ちましても、決して建設的な話し合い、実りのある結果にならないのじゃないか。お互いに立場を異にしておることでございますから、そこにきわめて不毛な議論ばかりに終始して、なかなか建設的な成果があらわれてこないのじゃないかというのも、キッシンジャー国務長官の懸念するところでございました。 また、フランスのソーバニャルグ外務大臣の考え方は、わがほうの考え方にきわめて近いもので、産油国とのコンフロンテーションは避けなければならぬし、また産油国を消費国との間の話し合いに引き込むためには、やはり産油国の立場、すなわち産油国の安定した収入というものも考えつつ、産油国との話し合いに入るべきだという考えのもとに、あまり当初に消費国側できわ立った会議、会合、協議の場を持つことは、結局産油国に対してむしろ逆作用を呼ぶのではないかというような懸念がフランスにもございました。 そこで私は、米側のキッシンジャー構想なるものも決してそういう産油国とのコンフロンテーションを考えるようなものではなくて、その前にお互いに消費国間である程度の考え方を、たとえば消費節約にいたしましてもオイルダラーのリサイクリングの問題にいたしましても、ある程度の歩調というものをとり、あるいはそういう客観的な情勢というものをこしらえておいて、産油国との話し合いに入ったほうがより建設的な成果が得られるのじゃないか、こういうような考え方で、そこにお互いに、先ほど申し上げましたとおり問題意識は同じくしながら、アプローチのしかたについてきわめてデリケ−トな相違がございましたが、どうもお互いの話し合いの中から来ることから、私も、米仏間である程度の調停をいたしまして、おそらく米仏最高首脳が十二月中旬に会合いたしますまでに、米仏間で内々の話し合いが行なわれるのではないか、これは私の推測でございますが、そのように考えております。したがいまして、米側のキッシンジャー構想なるものがフランスのジスカールデスタンの構想と、結果においてはそう違ったものではない、お互いの考え方を協調のもとに取り入れまして、しかる後に、来年しかるべき時期に産油国との合同会議に進む、こういうような見通しを持っております。
○堂森委員 いまの外務大臣の答弁でございますが、私はキッシンジャー構想とフランスの側の構想というものは、根本的には違うと思うのであります。それはあなたはそういうふうにおっしゃいます。消費国側の意見の統一もせずに、直ちに、ストレートに産油国とのいろいろな会議に、同じテーブルについて協議をしていくということでは会議の前途に云々と、こういうような意見がありましたが、そうした組織といいますか会議を持って、産油国との交渉に入っていくということのほうが、私は今後の産油国側あるいは発展途上国側との間の円滑な石油問題についての国際的なコンセンサスを得るような方向にはいかないように思うのであります。 もっとも、外務大臣は、こうときめたわけじゃないのだ、両方の意見を聞いておるし、そして両方にも、日本の外務大臣としてのあるいは政府としての考え方も伝えておるんだ、こういうお話でありますから、これ以上追及することはございませんが、当然のごとく、今後この問題については慎重な態度をもって、しかも産油国をでき得る限り刺激しないような、そうした慎重な配慮をもって対処すべきである、こういうふうに思うのであります。 もう時間がございませんので、次の日韓問題について二、三聞いておきたいと思います。 今回のフォード大統領の極東訪問は、アメリカが日韓両国との同盟関係の強化をはかりながら、ソ連、中国との緊張緩和政策を推進するという世界的なアメリカの世界戦略の意図がうかがえる、こういうふうに思うのでありますが、日米韓一体のアメリカの戦略からいたしまして、現在の日韓関係の改善あるいはアジアの安定と平和に名をかりた日米間の相互の負担、責任分担の要求などがアメリカ側から出たのではないか、そういうことが話し合われたのではないか、要求が出されたのではないか、特に韓国問題についてはどのような討議がこの日米会談においてなされたのであるか、まずこの点について御答弁を願いたい、こう思います。
○木村国務大臣 アジア情勢一般の話し合いの中で朝鮮問題にも触れております。しかしながらわが国としましては、日韓間の問題は日韓問の問題としてこれを考えておりますし、また米側としましても、当然米韓防衛条約に基づく対韓政策も持っております。そういう日韓、米韓関係は別といたしまして、アメリカ側から、韓国問題について日本に対して差し出がましい要求はもちろんございませんし、また韓国、朝鮮半島についてのお互いの負担の割合とかそういう問題は一切出ておりません。
○堂森委員 一切アメリカ側からは要求がましいような話はなかった、こういうことでございますね。そのように答弁されるのでありますから、そのように理解いたしましょう。 そこで、本年九月でありますか、われわれ、当時、外務委員会を早く開けといって要求いたしました九月、椎名特使が韓国に行かれて、そして田中総理の親書を持っていかれた、そして同時にメモなるものを持っていかれた。新聞を見ておりますと、何かあやまりに行ったというふうな印象を与えるような報道もなされておりました。現に韓国の国会においては、向こうの総理が、日本の特使はあやまりに来たのだ、こういうような答弁もしておるようでありますが、私は、ああいうようなやり方は、事件をほんとうには解決の方向には持っていかなかったのだ、一時的な何かごまかしというか、何か妥協というものであって、木村外務大臣は、よく、折り目正しい外交、こう言われますが、しかし、あの姿は、私は、絶対折り目正しい外交のあり方、あなたの理想とされるような、そういう外交の姿ではなかった、これは明らかだと思うのでございますが、八月十四日にはもう金大中事件の捜査の打ち切りということが措置されておる、それから二学生の訴訟裁判問題などは、これは何にも解決のほうに前進していない。 こういうような状態を続けておるにもかかわらず、政府は、十月二十五日、対韓援助を再開しておる。そして三百十三億円余りの借款供与を行なっておる。そして日韓貿易会議が十月二十一日、二十二日開かれ、そして二十五日に、三百十三億でございますか、借款の凍結が解除されて、三百十三億の借款の供与をきめておる。それからさらに新たに二億ドルでありますか、新規の借款を申し入れてきておる。そういうふうにわれわれは聞いておるのでありますが、私は、現在の日韓関係からしまして、対韓援助は当然見合わすべきである、こういうふうに思うのでありますが、大臣はどういうふうにお考えでございますか。
○木村国務大臣 まだ日韓関係には金大中事件の処理あるいは日本人学生問題等も残っておりますが、しかしながら日韓間の問題は、この経済援助につきましても、特定の政権にてこ入れをするようなものでございません。韓国における民政の安定、経済の発展についての日本の援助でございますから、そういう懸案の日韓間の問題と切り離して、この韓国に対する経済協力は今後も進めていく、こういう方針でございます。 ただし、御承知のとおり、新規の援助の要請はまだ出たばかりでございまして、これについては目下検討中でございます。
○堂森委員 木村外務大臣は、金大中事件等の懸案事項が未解決のままである今日は、日韓の間の定期閣僚会議でございますか、こういうものは開くべきではないという態度を従来からとっておられたのでありますが、現在でもそういう心境でございますか。
○木村国務大臣 私は、こういう問題が解決しなければ定期閣僚会議を開けないとは申しておりません。ただ、その当時の私のことばと申しましては、まだ日韓定期閣僚会議を開くような雰囲気ではない、こういうことを申し上げたわけでございます。
○堂森委員 それでは、外務大臣にもう一ぺんお尋ねしますが、現在のような姿の状況では日韓定期閣僚会議は開くべきではない。そうすると、どうなったら開いていいということでございます か。もう少し具体的におっしゃってください。
○木村国務大臣 現実には、御承知のとおり、わが国内政局もこういうような状態でございますし、日程上、年内はきわめて困難であるという見通しを持っております。
○堂森委員 じゃ、閣僚会議というものも開くべきではないという状況であるのに、借款だけは先行させるということについて、わが国の国民は納得すると思われますか。私は、外務大臣としての、従来から主張してこられた折り目正しい外交をやっていくんだというあなたの態度とは非常に矛盾すると思うのですが、そうお考えでございませんか。もう一ぺん御答弁願いたい。
○木村国務大臣 先ほどお話のありました交換公文は、もう約二年前に話のついた問題でございます。ただ、それが技術的な問題から遷延しておりましたのを、ようやくにしてその問題に決着をつけたということでございまして、先ほどから申し上げますとおり、こういう問題と別個にこういう経済協力についての、しかも先ほどのような農業基盤強化に資するような経済協力については、すでにプレッジしたものはこれを進めていくということは前から申しておりますとおりでございます。
○堂森委員 時間がございませんから私は終わりたいと思いますが、私は納得できません。日韓関係のいろいろな諸懸案が何にも解決の方向に前進していないのに、しかも一それだから経済援助、借款等凍結してきたんでしょう。これを事務レベルで先行さしてやっていくということは、これは私はやはりわが国の日韓関係のなしくずしのやり方だと思うのです。国民はこれに対して納得せぬと私は思うのです。しかも、日韓関係のほんとうの親善を今後願うならば、なおさら日韓両国の国民の感情が、あるいは気持ちがといいますか、納得するような姿で借款が行なわれてこそ、両国の親善関係の前進に役立つと思うのです。しかし、現在こうした諸懸案が何ら前進していないのに、事務的に事務レベルで借款だけを先行して解除していく、そして与えた、こういうやり方には私は賛成することはできない、強い反対の意向を述べまして、私の時間がありませんので、質問を終わりたいと思います。
○有田委員長 河上民雄君。
○河上委員 いま堂森委員からお話がありましたように、国際的に重要な事件が次々起こっているときに、国内政治の混乱というようなこと、あるいは外務大臣の外遊でいたずらに空白であったことは、たいへん残念だと私は思っておりますが、その空白の間に刻々と事態は進んでいるように思うのでございます。私は、まず石油問題にしぼりまして、外務大臣にお尋ねをしたいと思います。 いま堂森委員も触れられましたが、先般のフォード大統領の来日に伴って、その際発表されました共同声明の中でも、第六項において特に項を起こし、エネルギー問題について、消費国間の協力を進めることを重視するという意味の合意が示されておるのでございます。いま大臣のお話によりますると、明らかにこういう問題について議論したということでありますが、この中で大臣は、先ほど産油国との関係にも配慮しつつというようなことでございますけれども、共同声明に関する限り、まず消費国間の体制を固めてからというニュアンスが非常に強い、いわゆるキッシンジャー構想の色彩が非常に強いように思うのでありますが、政府はこれに対して合意をされたのかどうか。同時に、日仏外相会談では、フランスの構想にも賛同したというようなことでありますけれども、キッシンジャー構想は、まず消費国間の体制を固めて産油国との間に話をする。それに対してフランスの構想は、消費国、産油国、開発途上国、三者の合同の会議をまず最初からやる。こういうことで、まあ同じようなものだ、ただ手順が違うというようなニュアンスの御答弁でありましたけれども、実はこの手順がいま一番問題になっておるわけでございます。日本政府は一体どちらをとるつもりなのか。またもし両者の中間をとるとすれば、どちら寄りであるのか。きょう昼のニュースを耳にはさんだところによりますると、三木さんもあいさつの中でこの石油問題についての態度に言及されているようでございます。これは非常に重要な問題だと思いますので、まず初めにそのことを伺いたいと思います。
○木村国務大臣 おことばのとおり、これはたいへんデリケ−トな問題でございます。しかしながら、米仏いずれの構想もしかく単純なものではございません。したがいまして、両方とも手順ないしアプローチの違いであると申しましたが、やはりそこに、これから一体どういう目的で、どういう問題意識で石油問題を国際的に処理していくかという一つのフィロソフィーがなければなりません。その問題意識は、確かに米仏もわがほうも全部一致しておりまして、そこに何らの矛盾もございません。 すなわち、ただ産油国が、ほしいままにとは申しませんが、石油価格を上げていけば、結局それは先進国あるいは消費国、また産油国でない開発途上国にたいへん悪い影響をもたらして、同じ地球という船の中に乗っておる国際経済全体がたいへんな危機におちいる、これを何とか全体の国際協調の中で解決しなければならぬという問題意識は、全部が同じ気持ちでございます。したがいまして、それを実現するために一体どういう方法がいいか。もちろん、アメリカはアメリカとしての考えもございましょうし、フランスはまたフランスとしての、従来のいろいろないきさつに立脚した立場もございましょう。しかしながら、そういう立場をお互いに国際的な場で話し合って、産油国とのコンフロンテーションも避けて、ある一つの統一した考え方に到達するという努力を現在継続中でございまして、いま河上さんがおっしゃったように、アメリカとフランスの中でそういう一つの大きな、もう越えがたいみぞと申しますか差異があるわけではございません。したがいまして、たとえば消費節約を一つとりましても、わが国はいろいろ消費構造が違いますので、そういう特殊な事情については、キッシンジャー国務長官もソーバニャルグ外務大臣も大いに理解を深めてくれたと思いますし、また、オイルダラーのリサイクリングの問題にいたしましても、これはOECDとたとえばIEAとの両方の案がございますが、その中間的なところで考えてもいいじゃないかという空気も将来生まれてこようと思います。 総じてそういう問題をあまり四角四面に、対立した考え方で進むのではなしに、お互いに、たとえば消費節約の考えでございましたら、いま申し上げたような国際的な話し合いの場、リサイクリングの問題でございましたらあるいはG10の場というような国際的な場で、お互いに話を詰めていくということがまず肝要ではなかろうか、こういう考え方では一致しております。しかしながら先進国がそういう話し合いをしておることが、産油国側にいかにも一つのコンフロンテーションと映ずるようなやり方は避けなければならぬ。こういうような問題につきましても米仏とも同じ考え方でございます。ただ、そういう意味で、まだ米仏ともこれでなければならぬというような考え方、構想を固めたわけではございません。お互いに一つの考え方を出して、これを国際協調という、しかも、将来産油国も加えた、また開発途上国も加えた国際的な大きな話し合いの中で、これを一体どう建設的に煮詰めていくかということをお互いに話し合っておるというのが現段階でございます。
○河上委員 いま大臣はそういうふうにおっしゃいまして、ニュアンスとしてはアメリカとフランスの間を、どこにしようか、あっちがいいか、こっちがいいかというような感じでおられるという印象でございますが、それにもかかわらず先月末に政府が明らかにしたところによりますと、キッシンジャー国務長官の来訪のあとを受けまして、その構想を具体的に詰めていくためにエンダースというアメリカの国務次官補が近く日本にやってくる、こういうことでございます。一体、このエンダース国務次官補が来日する目的は何であるのか、また、日本政府側としてはどういうことをここで議論するつもりなのか、項目など明らかになっておりましたらここで発表していただきたいと思います。
○木村国務大臣 まだエンダース国務次官補が来るとはきまっておりません。
○河上委員 そうしますと、新聞報道では、政府筋が二十八日明らかにしたところによるとということでありますけれども、これは必ずしも確たるものではない、こういうふうに判断していいのでありましょうか。
○木村国務大臣 まだそれはきまってないようでございます。
○河上委員 それでは、先般の日米共同声明の第六項を受けまして、何らかの具体的な、エンダース国務次官補の来日というような具体的なことは別といたしまして、何らかの具体策を詰めるプランというものがいま政府にあるのかどらか、それをお聞かせいただきたいと思います。
○木村国務大臣 この問題は、私とキッシンジャー国務長官との間で相当具体的な話し合いも実はいたしました。したがいまして、消費節約という問題を具体的にいろいろ説明した中に、アメリカのキッシンジャー構想のように、たとえば何十万バーレル・パー・デーというような節約のしかたは日本には適しない、したがって、わが国としましては総需要抑制策の中でエネルギーの消費節約を実現していくような特別な事情があるということもよく説明いたしましたし、そういうようなことでだんだんお互いの理解が進んでまいっております。また、今後、たとえばIEAの場とか、あるいは先ほど申しましたG10の場、そういう場でお互いに話し合いを進めていく考えでございます。
○河上委員 そういたしますと、エンダース国務次官補の来日というプランはむしろアメリカ側のプランであって、この前の両外相の協議の中でそれはだんだん立ち消えになったというようなふうに受け取っていいのかどうか、そんなようなニュアンスのお話でしたけれどもいかがですか。
○木村国務大臣 まだエンダース国務次官補が来ないということも決定しておりません。あるいはエンダース氏にかわってほかの人が来るかもしれません。お互いにそういうような往来と申しますか、話し合いをたびたび繰り返す中で、先ほど申しましたような消費国間、先進国間の協調がだんだん進んでいく、こういうようなやり方が一番建設的かつ具体的な現実的なやり方ではなかろうか、こう考えております。
○河上委員 それではエンダース氏、またはそれにかわる人が来る可能性は十分残されておるというように理解いたします。 いまの話は先の見通しでありますけれども、すでにはっきりとわかっておりますことから申しますと、国際エネルギー計画といいますか、インターナショナル・エナージー・エ−ジェンシーに日本政府は参加を決定したようでございます。これは十月、十一月の国内的な政情の混乱の中であまり大きく取り上げられなかった問題でありまするけれども、非常に重要なことだと思うのでありますが、一体政府がこれに参加された意図というものはどういうものであるのか。またこの構想は新聞報道その他によりますると、かなりキッシンジャー構想の具体化というか、それに近いものであるというふうに受け取られるのでありますけれども、政府はこれに参加するにあたって一体どういう意図で参加し、またこれに伴うメリット、デメリットというものはどんなふうに考量しておるのか、それを伺いたいと思います。
○木村国務大臣 このIEPと申します一つの考え方は、確かに米側から主導的に出たものではございますが、しかしながらわれわれが日ごろから、平素から石油問題に対してどういうような取り組み方をするかということは寄り寄り考え中でございました。このIEPの考え方は、結局消費国間、先進国間で、一つの大きな緊急時における石油の融通計画と申しますか、そういう構想が中心であります。したがいまして、わが国がこれに参加いたします際に最も意を用いましたのは、これによって産油国に対するコンフロンテーションと申しますか、そういうような影響を与えてはならないというところにございました。したがって、わが国のイニシアチブによりましてこのIEPに基づいてできましたIEAなるものの機構をOECDの中にこれを含むということについては、幸いにして各国の同意を得ましてそのように実現したのも、これは日本側のむしろリーダーシップに基づくものでございます。したがいまして、この石油の緊急融通計画の中で、その中に含まれます数量は単にお互いの輸入量だけでなしに、その国における産油数量まで全部含めたものでございます。したがいまして、わが国から申しますれば、御承知のとおり九九・八は輸入でございますから、もうほとんどわが国は産油をしておりません。そういうようなわが国がこの中に加わって、緊急時におきまして石油の融通を受けるということは、わが国にとってはメリットこそあれデメリットはほとんどないというような考え方に基づいてこのIEPに参加したわけでございます。
○河上委員 しかし、実際にはヨーロッパの国々の中にもこれについては足並みがそろっていないように受け取られるのでありますけれども、これが実際に作動し始めることができるかどらかというその見通しについては政府はどのように理解しておられますか。
○宮崎説明員 現在IEAに参加いたしておりますのは、日本、アメリカ、カナダのほか、ヨーロッパの中でEC加盟九カ国のうちでフランスを除く八カ国、それからスイス、スウェーデン、オーストリア、スペイン、こういったような国が入っております。フランスがこれに参加しない理由につきましてはいろいろ取りざたされておりますけれども、フランスの主張では、このような緊急時におきます、つまり石油供給が非常に削減された場合におきます融通スキームというような、融通制度というような防御的なものでは不十分である、もっと石油価格の問題なり何なりに重点を置いて議論したほうがいいというようなことでIEAには参加しないでおります。ただフランスもこのIEAの活動には非常に興味を示しておりまして、何らかのかっこうでフランスとIEAとの間の連携が行なわれる可能性も残されております。
○河上委員 これに参加するについては来年五月一日までに参加国は憲法上必要な国内手続をとることにしているというようなことでございますけれども、これはおそらく国会承認ということを意味しているのではないかと思うのですが、このIEAに参加したことについて政府は国会承認を求める意思があるのか、また求める時期はいつごろであるか。というのは、ノルウェーはこういうことがあるからということで、国会の承認か得られていないということで参加を見合わせているわけでございます。そうなりますると、一体憲法上必要な国内的手続というものを日本政府がどういうふうに考えておられるか伺いたいと思います。
○宮崎説明員 先ほど大臣から申し上げましたように、わが国といたしましては、産油国との関係を配慮する等のそういう理由等から、この仕組みをOECDのワク内に持ってくるように主張いたしまして、幸いにして各国の了解を得て、これはOECDの一つの機構といたしまして国際エネルギー機関、IEAなるものが設立されるに至ったわけでございます。この国際エネルギー機関ではいろいろな問題を幾つかの分科会に分かれまして討議しているわけでございますが、そのうちの一つに国際エネルギー計画、IEPというものがございます。これはいま申し上げましたようにOECDの一つのワク内の機関で、これから国際的にも協力していきますための一つの融通スキームを中心としました一つのプログラムでございまして、このプログラムにつきましてはOECDワク内の問題といたしまして、このプログラムの参加につきまして国会の承認を求めることはいまのところ外務省といたしましては考えておりません。 御指摘のノルウェーでございますが、ノルウェーはこれは近く北海の石油が出てまいりますと産油国になるというようなこともございまして、国内で審議の結果参加を見合わせるに至ったわけでございますが、なおIEPについては協力していくという立場をとっております。 各国それぞれの国内上の手続が違いますけれども、たとえばアメリカのごときは、もし必要であれば国内法は制定するということで、しかしIEP自体を国会にかけるということはしないというふうに承知しておりますし、イタリアなんかもやはり同様の手続でやってくるのではないかというふうに推測されるわけでございます。したがいまして私どもは、OECDのワク内で設立されましたIEAの一つのプログラム、このプログラムに参加しているわけでございますので、国会の承認を求める必要はない、かように考えている次第でございます。
○河上委員 これはそれぞれ国によって違うわけですけれども、これは、ほんとうによその国では、特にノルウェーのように国会の批准を得た上でないと参加できないという態度をとっておる国もあるわけでございます。そういうことになりますると、これは国会の批准を必要とするかどうかは別として、もう少しこういう問題について国会に相談するというのですか、そういう態度はやはり必要ではないかと私は思うのでありますが、この点につきましては、私もなおもう少し研究しなければいけないと思っておるのでありますけれども、いまの政府の態度では、これは国会の批准を求める必要はない、こういうことですが、この点については私はなおもう少し日をあらためて、五月までございますので、その間追及さしていただきたいと思うのであります。 通産省に伺いますけれども、こういうIEAの構想に応じて国内体制の整備を通産省ではやっているように受け取られるのでありますが、たとえば一〇%削減というようなことを通産省でいっております。一体この場合、アメリカのキッシンジャー構想との交渉で問題になると思うのでありますけれども、節約の基準というのは国内消費量を基準とするのかあるいは輸入量を基準とするのか、そういうことが問題になるはずですけれども、通産省ではこれについてどう考えておられるのか。また昭和五十年度の通商産業政策の重点というものを背景にいたしますと、九十日備蓄の予算措置を考えたいというようなことでございますけれども、これを通産省では来たるべき国会の予算において要求せられるつもりか、それがどのくらいの額になるのか伺いたいと思います。
○左近説明員 通産省が考えております節約の問題でございますが、実は昨年の石油危機以来石油の供給が非常に減りましたときは、御承知のとおり石油需給適正化法に基づきまして、法律に基づく節約を実施してきたわけでございますが、ことしの八月の末に至りまして石油の需給も緩和いたしましたので、行政指導に推移しておったわけでございます。ただし、この石油の節約というものは今後永続してやるべきであるということで、実は政府といたしまして八月の末に、「資源とエネルギーを大切にする運動本部」というものを新たにつくりまして、そこで長期的な節約運動を進めるということになりました。 そこで、通産省といたしましては、従来は量的な節約ということを中心にしておりましたが、今後はこの長期的な目標に立ちまして、同じ量のエネルギーを使ってもそれを効率的に使う。たとえば、従来かりに鉄一トンつくるのに石油が〇・五キロリットル要ったとすれば、今後は同じ鉄一トンをつくるのに石油を〇・四キロリットルで済ませよう、そういうふうないわば石油の効率的な使用というものをやろうというふうな運動をいたすことにいたしまして、来年の一月からこれを実施したいということで、実は通産省に熱管理法という法律がございますので、その法律に基づきまして、熱管理法の対象工場約三千五百に対しまして、いまのようなエネルギーの効率化の目標をきめて実施をしてもらうということをやっておるわけでございます。これは先ほど申しましたように、国内的な対策として考えたものでございますが、その準備を進めている途中にお話しのキッシンジャー構想か起こってまいりました。そこで、それにどう対処するかというような問題がいま新たに起こってまいったわけでございますが、これについて先ほどお尋ねの一体どういう基準でやるべきかというような問題も、実はIEAにおいて少し議論がなされないとはっきりいたさないというように思いますので、実はその問題については今後のIEAの討議を待って考えたいというふうに思っておりまして、さしあたりは、この九月に考えました従来の通産省の方針を、一月から実施していくという方針を続けてまいりたいというふうに考えております。 それから九十日備蓄につきましては、日本のような石油のほとんどを輸入にたよっておる国といたしましては備蓄を増強しなければいけない。大体来年の三月末で六十日ぐらいの備蓄は確保できる予定でございますけれども、さらにヨーロッパ諸国並みの九十日にいたしたいということで、来年から五カ年の計画で九十日備蓄を達成すべく実は現在大蔵省に予算要求中でございまして、この予算編成期に何とか間に合わせて、そしてそれをまた国会の御審議を仰ぎたいというふうに考えております。
○河上委員 あまり時間かないので簡単にお答え願いたいのでありますが、いま、一方では足らぬ足らぬというので油ごいをあちこちでして、今度は少しだぶついているから生産制限しようなんという話がある。灯油などを見ますと、不足しているから値上げはやむを得ない、だぶついてくると生産削減をするというようなことでは消費者は踏んだりけったりだと思うのであります。 同時に、国際関係においても、最近新聞などの報ずるところによりますと、中国の原油を何とか輸入して、そして依存度を多角的にしたい、中東への依存度をやや緩和したいというような方針で、また日中友好の裏づけである日中貿易のバランスをとる意味からも中国の原油の輸入に非常に努力をした。ところが、確かにインドネシアの原油より若干価格は上であるというようなことが理由かもしれませんけれども、今度はちょっとだぶついてきたら、中国の原油をせっかく契約したのに、これは破棄する、こういうようなことでありますが、こういうことでは今後中国との間に、中国のみならず世界のすべての国に対してもそうでありますし、また中東諸国についてもそうであろうと思いますが、非常な不信感を招きやしないか。そういうことになりますと、すべてを友好諸国の信頼感に依存して生きていかなければいけない日本として、大局的な見地からいうと、これはもう非常に重大な問題だと思うのでありますが、大臣、いかがでございますか。 私がこの八月中国へ参りましたときに何度も聞かされたことば、石油の開発については、外資を導入して、その貢献に見合う量をお返しの意味で輸出するというようなやり方はわが国はとらないということと、それから石油の生産についても長期的かつ安定的な計画生産をするんだ、そしてただ外貨をかせぐためにめったやたらに掘ったりはしないんだ、こういうことを向こう側は非常に強く主張しておるし、現実にそうだと思うのでありますけれども、そういう中国の原油に対して、足らぬときはもう一生懸命入れる、ちょっと余ってきたらそれは要りません、あなたのほうは少し値段が高いというようなことでは、これは非常に困るんじゃないかと思いますが、外務省としてはどういうようにお考えでありますか。
○左近説明員 最初に申し上げたいと思いますが、中国の原油につきましては、民間の会社及び団体が契約をしておりますが、現在のところ契約を破棄したという事実はございません。極力取るように努力をしておりますし、通産省といたしましてもそのように指導をいたしております。 それから、全体の問題といたしまして、現在短期的には石油の需給は非常に緩和いたしておりますが、これはやはり昨年の石油危機以来、原油価格が大体四倍ぐらいに上昇いたしましたので、それに基づいて需要が減少した、あるいは節約が浸透したというようなことで、短期的には確かに原油供給が過剰になっておりますが、長期的に見てみますとむしろ需給はタイトに推移するというふうにわれわれは考えておりますので、なるべく早くこの短期的な混乱を乗り切って、長期的に需給がマッチするようにいたしたいし、われわれとしても石油業者にもそのような指導をいたしまして、対外的な引き取りに混乱を来たさないようにいたしたいというふうに考えております。
○河上委員 そういうことであれば非常にいいのでありますが、二十九日付の読売新聞にそういうことが出ておりまして、私は非常に心配をいたしておるわけでございますが、外務大臣に、そういうようなことはない、単に油ごいのためにやたらに油を売って歩くというようなことではないんだということをここでもう一度確認していただきたい。 もう一つは、あるいは最後になるかもしれませんが、先般の中東決議、十一月二十二日だと思いますけれども、PLOの招請の問題と、パレスチナ国家建設に関する決議がございましたが、その後者のほうにつきまして、日本政府は、中東諸国の非常な期待にもかかわらず最後は棄権することになったということでございます。現在のところこれに対するリアクションは全く起きてないのでありますが、先般ちょっと新聞で見ますと、石油の供給の見通しについて通産省は非常に楽観的だけれども、外務省はまた石油危機再燃のおそれがあるといって非常に警戒しているという報道がございました。先般の十一月の国連決議というのは、私どもの見るところ、一九四七年のイスラエル国家建設を認めた決議、それから一九六七年の例の第三次中東戦争後の決議に匹敵する三番目の非常に重要なものだと思うのでありますけれども、それについて日本政府は棄権をし、非常に失望を買っているということが、将来石油危機再燃のときに一つのてこになる心配はないだろうか、その点外務当局はどのように考えておられるか、伺いたいと思います。
○木村国務大臣 石油問題はあまり短期的に考えてはいけないということは御指摘のとおりでございまして、やはり長期的な見通しのもとに石油の需給関係を考えていくべきであるし、またわが国のこれからの長期的な経済計画の中に石油の占める地位、エネルギー問題を一体どう考えていくかということはもちろん必要でございます。そういう意味において私どもは、外交政策の面で、このエネルギーの問題は今後国際経済的にたいへん大きな問題でございますので、エネルギーの長期的安定にウエートを置いた外交方針をとっていかざるを得ないと思います。 その関連におきまして、いま御指摘のパレスチナ決議の問題でございますが、棄権をしたことについてアラブ諸国にたいへん期待を失わしめたという御指摘でございますが、この決議案なるものの内容は——御承知のとおり、われわれはいままで、この三年来、パレスチナ人の自決権を尊重するという態度で、すべて国連でいろいろな問題に対応してまいりました。しかし、今回の国連決議案を見ますと、確かに、パレスチナ人の自決権をもちろん取り上げております以上に、パレスチナに対応いたしますイスラエルそのものの存立をほとんど無視するがごとき内容になっております。したがって、私どもは、国連憲章に基づくパレスチナ人の自決権を尊重すると同時に、また現在、国連憲章に基づくイスラエル人の民族的自立というものも尊重しなければならない。そういう観点から見ますと、今回の国連決議案は何らそれに触れておりません。また、かつて、一九六七年以来のアラブ問題についての重要な決議案である安保理決議二四二も何らそれにカバーしておりませんので、そういう面から申しまして、私どもは今回この決議案に対して棄権という態度をとりましたが、その棄権という投票態度をとる場合におきまして、斉藤国連大使から十分日本政府の意のあるところを説明をしております。まあ、これに対して賛成をしなかったということについてのある程度の期待はずれはあると思いますが、これについてアラブ諸国が、いままでの日本の態度に対して非常に大きな失望を感じるというようなことは万々ないと考えております。
○河上委員 もう時間がございませんが、先ほど核の問題については堂森委員からお話がございましたので、私は重ねて申し上げませんが、木村大臣の御答弁に関連する部分が一つありますし、大臣にできるならば今後もこういうことで質問する機会があることを望んでいるわけですけれども、きょう一言だけ申しまして私の質問を終わりたいと思うのであります。 この前私が質問いたしましたときに、核の通過について、領海あるいは領空の通過につきましては、いかなる場合にも非核三原則に基づいてこれに反対する、事前協議の対象にする、こういうことを言われたのでありますけれども、実は海洋法会議の結論いかんによりましては領海が拡大される。そうなりますと、日本を取り巻く幾つかの海峡におきまして、すでにいま米ソの軍艦が核を積んだまま通過しているというこの現実との間に衝突が起こる。これにつきましては私もかつて質問したことがありますし、同僚の土井委員も先般かなり詳しく質問されたわけでございますが、この問題について私の質問の直後、ある会合において外務大臣は、もしそういう事態が起こった場合にはもう一度検討しなければならぬというようなニュアンスの発言をされたやに伝えられておりますが、この点について、もう時間がありませんので、お答えだけいただきますけれども、大臣の所見、また外務省としていましばしば検討中であるというようなことでございましたけれども、これについてのお考えを承って私の質問を終わりたいと思います。
○木村国務大臣 明年あるいは五月にカラカスにおいて再び海洋法会議が開かれて、そこでこの国際海峡問題の新しいレジームというものが確立するということも可能性なしといたしませんけれども、この国際海峡問題については米ソのきわめて強い自由通航の主張もございまして、なかなか私は簡単に話がまとまるとも考えておりません。したがって、そういう新しいレジームができることを前提にいたしまして、私どもがいま外務省でいろいろ検討中でございますが、まだそれに対する結論は出しておりません。ただ、いかなる場合におきましても、わが国に非核三原則があるということだけは十分認識の上で対応したい、こう考えております。
○有田委員長 石井一君。
○石井委員 きょうは私は、まず最初に外務大臣に核防条約の批准に関する政府の御見解を承りたいと思います。 この条約を批准するにあたって、わが国は三つの条件が満たされたらそういう方向に進むというのがその外交政策のようでございますが、まあ、主観の問題でございますけれども、いまのところ必ずしもこれらの条件が十分に満たされておるとはいいがたい国際情勢、客観情勢があると思うのでございますが、それはそれといたしまして、木村外務大臣は、イギリスでの御発言、それからまた国連総会での演説、さらに日米共同声明における軍縮に関する問題など、この条約の批准という方向でかなりの熱意を示されておるようでございますけれども、臨時国会は無理であろうかと思いますが、通常国会に提出をされるということをお考えなのかどうか、まずこの点からお伺いしていきたいと思います。
○木村国務大臣 政府といたしましては、来たるべき通常国会にこの核防条約の承認をお願いしたいと考えておりますが、ただそこへ参りますいろいろなプロセスがあることは御承知のとおりでございます。したがいまして、この安全保障措置の問題あるいはその問題がいま予備交渉の段階でございます。それを別といたしましても、核防条約の問題につきましては、署名は完了しておりますけれども、批准についての国内世論というものがまだまだ私どもは一致したとは申せません。そういう意味において、今後は国内世論あるいは国会における審議、いろいろプロセスを経まして、そういう慎重な段階を経てから提出の最終的な態度をきめたい、こう考えております。
○石井委員 そういたしますと、大臣は個人的には批准の方向で大いにこれから努力を積み重ねていくが、政府部内としてはまだ正式にこの通常国会へこれを提出するかどうか決定しておらない、こういう段階でございますか。
○木村国務大臣 現内閣といたしましては、来たるべき通常国会に批准案件を提出するという考えでございました。御承知のとおり、新しい内閣ができますと、その新内閣においてまた新しい決定が行なわれると思います。
○石井委員 そう言うてしまわれますと、次へいろいろ各論に入っていくのがどうもむずかしくなってまいるのでありますが、原則的に、外務大臣として政府のお考えはずっと継承されていくわけでございますし、出す出さぬということは別にいたしまして、この条約自体に対する御見解というものを一、二点承っておきたいと思うのであります。 これが非核保有国に非常に不利であるという考え方がございますし、それからまた、これからエネルギー問題その他で、先ほども議論もございましたけれども、原子力の平和利用ということを推進していくのにも非核保有国というものはかなりの差別待遇を受けてくるのではないか、こういうふうないろいろの批判と申しますか、こういう形での、わが国において非常にその実益がそこなわれるというふうな見解があるわけでありますけれども、こういう点に関して客観情勢としては、やはり国際的にも国内的にも批准の方向に事態が移行しておる、こういうふうに外務大臣はお考えでございますか。その点はいかがですか。
○木村国務大臣 先般のインドの核爆発実験を境にいたしまして、世上この核防条約の問題について反対的な傾向も出ておることは事実でございます。しかしながら、そういう問題を別にいたしましても、わが国が今後絶対核兵器を持たない、核武装しない、またわが国は非核三原則という強い決意に立っております以上、わが国が今後核武装しない以上は、やはりこの核防条約に対して批准の態度を進めていくべきであるという考え方には変わりございません。 また、この核防条約を署名いたします際に三つの条件を提示しております。その三つの条件の最後の、原子力平和利用に障害がないようにということにつきましては、いま石井さん御指摘のとおり、わが国はこれについてのIAEAとの話し合いも進んでおりますし、むしろ二国間の原子力協定の査察以上には、もちろんこの保障措置が不利になることはございませんし、むしろ逆に、その保障措置においては、二国間の原子力協定による査察よりは有利な取り扱いを受けるであろうということすらわれわれは考えておるところでございます。
○石井委員 核防条約を批准するということによって、国際的に核武装の意思を放棄したということは非常に明瞭になる、御指摘のとおりでございますけれども、その反面、核軍縮ということに対して発言する場所と申しますか、立場というものを非常に弱めてしまう、そういう矛盾点も私はこれに含まれておるのではないかと考えるのですが、ここに問題があるというふうにはお考えになりませんか。
○木村国務大臣 私はそう考えておりません。したがいましてわが国は、この核防条約の批准問題と離れて、国連の軍縮委員会におきましてはたいへん強い立場に立ちまして、世界の核軍縮に向かっていろいろ提案も行なっております。また、この核防条約の加入によって、核軍縮に対する発言権が弱まるとは思いません。むしろ核防条約の加盟国になって、その中において核軍縮についての発言を強化していくということのほうが、私は核軍縮問題についてはより強い立場に立ち得るというような考え方でございます。
○石井委員 非常に大きな核保有国である中国、フランスというものがこの条約に未署名であるという、原則的な欠陥というものがございますけれども、そういう形の中でこの条約の目的というものが十分達成できるというふうにお考えですか。この点はいかがですか。
○木村国務大臣 中国、ソ連等がこの中に入らない、核防条約に入らないということは、これはたいへんな欠陥でございます。核防条約そのものが完全な条約であるとは私は申しません。しかしながら、核の絶滅ということを叫んでおりますわが国の立場としましては、まず今後それへ向かう一歩として、不完全ながら核防条約というものに加盟いたしまして、将来世界的な舞台において中国、ソ連のそれに対する参加を呼びかけていくということのほうが、むしろわが国の立場をより明確にするゆえんではないか、こういう考えでございます。
○石井委員 いま中・ソと言われましたが、中・仏という御意図であったと思います。 そこで、もう一つ新しい議論としまして、こういうことも指摘されておるようでありますが、非核兵器国は長期的に見て科学技術面で相対的にだんだんと大国から立ちおくれていく。往々にして科学技術の発達という面は、武器だとか核だとか原子力だとかいうふうな開発において、飛躍的に伸びてきておるというのが現実である、こういう形から考えれば、何も軍事的利用をわれわれは討議しておるわけではございませんけれども、平和的利用ということを指向した場合に、こういう面からもこの批准というものに問題があるのではないかという議論がございますけれども、これに関してはどういうふうに御答弁をされますか。
○鈴木説明員 核防条約の中に一カ条の規定がございまして、原子力の平和利用に関して書いてございますが、核防条約に入っております加盟国につきましては、非核兵器国の場合、その原子力の平和利用について、他の加盟国が積極的にこれに対する協力を行なう。逆にいいますと、非核兵器国は原子力の平和利用のための設備、資材あるいは科学的、技術的情報を最大限度までにこれを受領する権利を有するということになっております。 一言で申しますれば、この加盟国である非核兵器国は、この条約によって核兵器国を含む他の加盟国から原子力平和利用について積極的な協力を受ける権利があるという点が、この条約の外にいる国との違いになろうかと思います。
○石井委員 それではこの問題はこの程度にいたしますが、外務大臣が今後引き続きその職務を全うされるという立場になると、次国会ではこれが、いまのような御意図でございますから、十分提出されてくる、こういうふうに理解してよろしいですか。
○木村国務大臣 その問題は私からお答えする限りではございませんが、いずれにいたしましても、政府といたしましては、この核防条約の批准については変わらない立場をとっていくであろうと思います。 また、先ほど私の答弁の中に、中・ソと申しましたのは、中・仏の誤りでございますから、御訂正願いたいと思います。
○石井委員 次に、日韓問題についてちょっとお伺いをしておきたいと思うのでございますが、当委員会でもしばしば論議をされた問題でございますし、特にここ一両年、これほど問題が起こったことはございません。最近は何か、忘れられたような感じになっておりますけれども、いまだにこの両国のここ一両年に起こりました政治問題と申しますか、刑事問題、これはすべて未解決だというふうな状態でいまも残っておるというふうに思います。案外、このような時期に外交は根強い交渉を続けるべきであり、問題の解決に追い込んでいくというのが私は国民の世論ではないかというふうに考えるわけでございますけれども、その後、これらの問題に関しまして何らかの政府の交渉があり、進展があったのかどうか、この辺についてまずお伺いをしたいと思います。
○木村国務大臣 この日韓間の問題、御承知のとおり金大中事件の処理の問題、それから三学生の問題この二つの問題がございますが、まず金大中事件のその後の状況に関しましては、御承知のとおり金大中氏自身が、いわゆる法廷闘争をやっております。法廷戦術を使って裁判官の忌避の事件に、いま大法院へかかっておるようでございます。この裁判の結末がつかなければ、おそらく自由出国もいかがなものだろうと思いますが、ただ、最近の状況を見ますと、いろいろ最近行なっております政治集会にも出席しておるようでございますから、そういう意味における国内的な政治的自由は確保されておる、こうわれわれは理解しております。 また、それに伴います金東雲元書記官の問題につきましては、一時、捜査打ち切りというような通告もございました。これに対しては私どもは、警察をはじめ納得できないという申し入れをいたしております。それに伴いまして、去る十月二十五日に、金東雲元書記官の捜査状況について、わが国の持っております客観的な証拠についてもう少し説明をしてもらうように申し入れをしております。
○石井委員 大統領狙撃事件の日本官憲に対する捜査の協力、非協力、また朝鮮総連に対する規制、こういう問題はどういうふうになったのでございますか。
○高島説明員 いわゆる八・一五事件につきましての捜査につきましては、日韓警察両当局間で相互に捜査の協力を十分行なっております。
○石井委員 この事件は詳しくおわかりにならぬのじゃないかと思うのでありますが、両国に大きな意見の食い違いがあったまま今日に至っておるわけであって、その後、もう少しこの事件の解決に進展があったのかどうかということですが、それはあなたの立場ではおわかりにならぬですか。
○高島説明員 御承知のとおり、韓国側といたしましては、裁判所のほうでいろいろ文世光事件についての捜査の結果を発表いたしております。これにつきまして、わがほう警察当局からいろいろ疑問点その他先方に照会いたしまして、それに対する回答も得ております。また韓国警察当局からの依頼に応じまして、わがほうで捜査し得る限りのいろいろな情報も先方に提示いたしております。そういう状況でございまして、日韓双方でこの事件そのものについての大局的な判断というか、そういう点についての相互の納得のいく結論というようなものはまだ出ておりません。
○石井委員 二学生の問題に関しまして、先刻朝日の記者でしたか、金総理に会見をいたしましたときに、二学生問題は決着がつき次第、裁判が終わり次第、両国でもう少し話し合う必要がある、こういうふうな発言があります。これは、明らかに何らかの政治的措置を加えようという意図のあらわれではないかというふうに私たち考えておるわけですが、間もなくこの裁判が終わろうといたしておるわけですが、この三学生問題に関して、政府は積極的に取り組もうとされるような考えがあるのか、先方の出方を注視し、それを待つというふうな考え方なのか、この点については外務大臣どういうお考えをお持ちですか。
○木村国務大臣 御承知のとおり、いま大法院に問題が係属しておりますので、まだ日本政府のほうからかれこれ申し上げる段階ではございませんが、その裁判が最終的に決着を見た上で、しかるべき政治的配慮があるということを私どもは強く期待しております。
○石井委員 先ほど、金大中事件に関しましても、政治的自由が与えられておるやに外務大臣のお話がございましたが、私は、これは事実とはかなり違うのじゃないか、また原則的に政府がこれまでどおり主張されておる問題について、何か時間がたって忘れ去られてしまわれておるというふうな一面があるのじゃなかろうかというふうな点を懸念するわけでございまして、これらを一々やっておりますと切りがございませんし、また、この公の席でやるべき筋合いの問題ではないかもわかりませんけれども、私はやはりいまが非常に重要な時期だというふうに考えておるわけです。そういう意味では大臣が十月初旬に三重県庁で記者会見をされましたときに、日韓間の友好的な雰囲気をつくるために、日本側から何らかのステップを踏みたい、こういう発言をされておるわけでございますけれども、こういう措置をとっておられるのか、この発言の裏にはどういう御意図があったのか、この点ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
○木村国務大臣 私はどういう発言をしましたか、ちょっと記憶が薄れておりますが、おそらく日韓間でいろいろ問題がありましたのを、お互いの立場でこれを円満に解決するような方策をとるべきであるという考えが基礎にあったと思います。したがいまして、当然韓国側におきましては、昨年十一月の日韓間の了解事項をなるべく早く履行してもらうということも必要でしょうし、またわが国もそれに対応いたしまして、そういうような雰囲気のもとにおける日韓定期閣僚会議の開催も望ましいことである、こういうようなことの考えを述べたものであろうと思います。
○石井委員 このたび後宮大使を更迭されまして、西山大使が赴任されるという御決定があったようでございますけれども、この裏には、やはりこれらの問題との関連性があるのか、何らかの新しい訓令というふうなものを出しておられるのか、この点はいかがですか。
○木村国務大臣 報道されました人事は、まだアグレマンを求めておるような段階ではございません。したがいまして、そういう一連の人事と日韓関係の問題の解決とは必ずしも結びついておるものではございません。
○石井委員 それはある程度結びつけていただいたほらが国民としては好ましいのじゃないかと思うのですね。これはいまは遠ざかっておるようでございますけれども、私は、いまが非常に解決を迫るべき時期だ、こういう認識をいたしておるわけでございまして、いまのような御答弁でございましたら、アグレマンがとれました時期に、新しく赴任する大使にはもう少し新しい決意を吹き込んで行かしていただきたいと思うのであります。 〔委員長退席、水野委員長代理着席〕 日韓の外相会議、これは従来の閣僚会議ではありませんが、都合がつけば年内にでもソウルで開きたい、こういうふうな報道にも接したようでございますけれども、年内にそういうふうな外務大臣会議を開くような環境にあるのかどうか。非常に必要なことであると思いますけれども、この点に関しては、大臣はどういうお考えをしておられますか。
○木村国務大臣 日韓間の外相会議の問題は、私が国連に参りましたときに、ワシントンの在米日本大使館で金東作外務部長官から出た話ではございますが、その後、金東作外務部長官もその話は出しておりませんし、私どもも年内に日韓間の外務大臣協議というものを開く考えは現在ございません。
○石井委員 わが国の政局というものも非常に激動いたしましたけれども、ようやく落ちついた方向に歩みつつあるというふうに言っても差しつかえないと思います。韓国サイドにおきましても、いろいろの問題がございましたけれども、いま国会が始まり、予算の審議も順調に終わり、野党との対決というものもある程度おさまって、ようやくある意味では——私は何もあらゆる面て経済協力を進めたりするというふうなところまでは言っておりませんけれども、これまでの両国の長年にわたる懸案事項をトップのレベルで積極的に解決をされるべき時期だというふうに考えておるわけでございまして、これまで特使の派遣だとかなんとかいうふうなこともいわれましたけれども、椎名さんが行かれましても、あれはあやまりに行かれたということにすぎぬわけで、これらの問題と関係がないということですから、私はそういう面で外務大臣の政策の転換と申しますか、強い決意というものをこの日韓関係に示していただきたいと考えておるわけでございますけれども、この点について何か御所見がございましょうか。
○木村国務大臣 新しい情勢と申しますか、まだそれは必ずしも顕著には出ておりませんけれども、やはり外交でございますから、ある情勢をキャッチいたしまして、そこに新しい展開を求めるということも必要だろうと思います。新しい内閣ができましたら、そういうことも当然考え得ることだろうと思います。
○石井委員 それでは、最後に、残された時間であと一、二点。 フォード来日に関しまして、天皇の御訪米の問題でございますけれども、この問題を今後どういうふうに進めていかれるお考えなんですか。
○木村国務大臣 米大統領が来日されましたときに、天皇陛下に直接、御会見の際に訪米を申し出られたわけでございます。したがいまして、この訪米御招待につきましては、当然内閣が今後は責任を持ってこれを進めるという立場におります。今後は外交ルートを通じて、かつ、宮内庁その他ともよく協議いたしまして、この天皇陛下の訪米問題は慎重に取り運んでいきたい、こう考えております。
○石井委員 フォード大統領が直接天皇に御招請をお出しになったということでございますから、訪米されることは確実だというふうに理解をしておるわけでございますが、こういう重要な両国の話し合いというものがなぜ共同声明に組み込まれなかったのか。この点はいかがですか。
○木村国務大臣 今回は先ほど申し上げましたとおり、フォード大統領が、直接陛下にそういうことを申し出られたという特別の場合でございますので、そのお話し合いの結果を直接発表にあらわしたということでございますので、再びこれを共同声明で取り上げる必要がなかったという考え方でございます。
○石井委員 時期としては大体いつごろの予想で外務当局は交渉をいま始めておられるのですか。
○木村国務大臣 まだ具体的に交渉を始める段階ではございません。したがいまして、先ほど申し上げましたとおり、陛下の御訪米でございますから、やはり宮中の御都合もございましょうし、また米側の都合もございましょうから、この問題については、今後具体的時期その他については外交ルートを通じて話し合っていく、まだその段階でございます。
○石井委員 繊維だとか貿易のアンバランスだとかいろんな問題経済問題があったのですが、これは解決をした。いま両国間にほとんど問題はないのですが、大きな懸案事項になっておるのが例の漁業の交渉であり、漏れ聞いたところによると、非常に交渉が難航しておるというふうに聞いておりますが、この経過と見通しはいかがですか。
○木村国務大臣 交渉の詳しい内容は事務当局から御説明いたしますが、田中総理とフォード大統領の会談の際にもこの問題が出ました。しかしながら、わが国のたん白質の半分は水産からこれを補っております。またその二〇%が北東太平洋からとれる水産資源でございますので、日本にとってはたいへん問題が大きいということを重々申しまして、フォード大統領の理解を求めたわけでございます。しかしながら、実際上いま行なわれております日米間の漁業交渉の内容は非常にきびしいものがあるようでございます。何とかあとに残りました六日までの交渉期間中に、しかるべき妥結に持ち込みたいと鋭意努力中でございます。
○石井委員 それじゃ、これで終わります。
○水野委員長代理 金子満広君。
○金子(満)委員 簡単に御質問をしたいと思いますが、核兵器の積載艦船や航空機が日本の領域を通過する場合、または核兵器を一時持ち込む場合のことについては、これまで十数年の間政府側の見解がまちまちであった、これは国会のいろいろの速記録を見てもはっきりしているわけです。そこで、十月の三十一日に参議院の内閣委員会でわが党の内藤功参議院議員が質問したのに対して政府側は、具体的には山田外務次官でありますが、あらためて政府のその点についての見解を出す、このように答弁しているわけです。つまり統一見解を出すということであります。しかも、できるだけ早く出すという約束をしているのですが、一カ月以上たっておりますが、まだ結果を聞いておらないのですけれども、その点の進行状況、現状どうなっているか説明していただきたいと思います。
○木村国務大臣 現在、統一見解について検討中でございますが、これはできるだけ早く、これを求められました参議院の内開委員会に提出したいと考えております。
○金子(満)委員 参議院の内閣委員会に提出するということ、これは筋だと思います。そこで、作業の点もいろいろあろうと思いますが、いまさら統一見解を出さなければならない事態に立ち至った経過があるわけです。 〔水野委員長代理退席、委員長着席〕 私はそういう点で、これまで政府が少なくとも通過問題 一時持ち込み問題、この点については一貫した立場がなかった、こういうことが言えると思うのですね。これは昭和四十三年の四月に当時の三木外務大臣の発言、あるいは翌年の四月二十四日、当時の外務省の東郷さんの発言、さらにその後の江崎防衛庁長官の発言、こういうようにみんな違ってきているわけですね。こうした点について政府の態度が変わった場合に、これは当然アメリカ側に通告をしてあるのですか。どうなんですか。
○山崎説明員 御承知のとおり、安保条約の六条の実施に関する交換公文の合衆国軍隊の装備における重要な変更という問題は、核兵器及び中長距離ミサイルの持ち込み並びにそれらの基地の建設ということを意味するということは、当時の交渉当事者でございました藤山外務大臣とマッカーサー大使の間で口頭で了解されておるわけでございまして、これはその当時以来一貫して政府が申し上げている点でございます。したがいまして、一時的な立ち寄りの場合でありますと日本に配置される場合とを問わず、核兵器がわが国の領海内に持ち込まれるということがある場合には事前協議が行なわれることになっておりまして、この点はきわめて明白でございます。したがいまして、この点について米側に問い合わせる必要はないとわれわれは考えております。
○金子(満)委員 私は問い合わせるということを聞いているのじゃなくて、そういう見解をとり始めてきたのは昭和四十四年の四月からなんですよ。ですから、その時点で、アメリカ側にこちらから通告をしたことがあるかどうか、ここのところを聞いているのです。そうでないと、国際法の上から見ても、一つの行為を行なった場合、違ったことをやる場合、黙っていればこれは何も効力がなくて過ぎてしまうということになるじゃありませんか。ですから当然日本政府の態度が変わったのだから、それは相手方にこのようにわれわれは考えておるとか、こういうふうにしてほしいとか、このようにすべきであるとか通告をするのが当然だと思うのですね。それをしなければ、米側のほうはそれ以前と同じことを考えていても、またそれに基づいて持ち込みや通過をやっていても、これは文句を言えない筋合いのことになってくるんじゃないですか。
○松永説明員 ただいま御指摘になられました中で、四十三年の三木大臣の統一見解とそこで非常に変わった、その後また変わってきているじゃないかというお話でございます。しかし、これはいずれ統一見解が作成されまして御説明申し上げるときに出てくるかと思いますけれども、そのときそのときに取り上げられました問題ないしはその質問、論議の問題点でございますね、それがそのおのおのの場合に違うわけでございます。 三木統一見解についていま申し上げますと、これは無害航行に関する一般国際法上の政府の立場について御説明を申し上げているわけでございます。無害航行につきましていわゆる領海条約でいうところの一般的な基準のワク内において、どういう航行が無害であるかあるいは有害であるかということは、第一次的には沿岸国の判断の問題とされているわけでございまして、こういうことについて一々外国と相談をするあるいは協議をするという問題は、もともと発生しないわけでございます。したがって、そういうことについて私どもとしては外国と、これはアメリカだけではございませんけれども、その間で協議をするあるいは通報をするという性質の問題ではないというふうに考えております。
○金子(満)委員 通過とか一時持ち込み、それは沿岸国が考え、処置することであるというお話ですけれども、その前に、いまあなたおっしゃるように、そのときそのときでいろいろ解釈が違ってきていることは間違いないです。これだけは事実です。ところが、条約とか事前協議に関するいろいろな合意事項とかいうものがそのときそのときで変わったら、これはとんでもないことになると思うのです。もし変わる必要があるとか、あるいは変わったのなら変わったように、相手国があるわけですから、自分だけで論文書いているんじゃないんですから、そういう点で明確にしなければならぬということを私は言っているんです。ですから、こちら側はそのときそのときで、まあ悪いことばでいえば、その日の答弁がすり抜けられれば、あとはまた違うことを言ってもいいんだということではないと思うんですね。その点をもう一度伺いたいと思うのです。
○松永説明員 一般国際法上の、先ほど申し上げました無害通航について申し述べますと、無害通航に関する基本的な考え方というものがそう変わってはおかしいじゃないかという御指摘はそのとおりだと思います。私どもも、基本的に無害通航に関する政府の考え方というものは、そうぐらぐら変えるべき性質のものではないというふうに考えているわけでございます。ただ、具体的に特定の場合につきまして、それが無害航行に該当するかどうかということは、沿岸国の主観的判断にゆだねられている事柄であるということを申し上げているわけでございます。
○金子(満)委員 ぐらぐら変わることがまずいことはもう当然のことなんですが、沿岸国の解釈、沿岸国の処置でいいということは、もしそうであったとしても、相手の国がそこのところへ入ってくるというときに、おれは解釈をしているだけじゃ済まないのです、解釈の問題を聞いているんじゃないのですから。一般的に国際法がどうだということを聞いているんじゃなくて、核兵器を積載した軍艦なりあるいは航空機が、日本の領域を通過するときのことを私は言っているわけです。解釈だけして、向こうはもういつも同じだ、こういうことでは全く政府として国民に責任をとるという立場にはないし、いつも同じところでぐるぐる回りしているわけですね。したがって、これは統一見解が出た段階でもう一度詰めたいと思う。 ただ一言明確に言えることは、この期に及んで統一見解を出さなければならないほど、この問題は日本政府としては、そのつどそのつど解釈と答弁を変えてきた。しかもそういう上に立って、アメリカは同じ態度で臨んできている。しかも日本政府の最初の態度は、事前協議の対象にならないということを明確に言ってきているんですから、そのままやられてきたということだけは重大な疑惑として私は指摘しておきたいと思うのです。 次は、先般フォード大統領が日本に来ました。いわばこの時期というのはラロック証言その他、国会のいろいろの質疑の中でも日本に核兵器が持ち込まれているという疑惑が最高潮に達したときである、もうこの疑惑は動かぬものだ、こういうときに来たわけです。その中で田中総理とフォード大統領、そしてまた木村外務大臣とキッシンジャーとの会談もやられた。そこで核の問題は、先ほどの委員の質問に対する答弁でもありましたが、もう十年一日きまっているわけですね。それば、日本側は核に対する特殊な感情を説明した、アメリカ側は深い理解を示した、もうこれは判で押したようにいつも同じく出てくるのです。もう一歩行くと、信頼関係にあります、これで大体ちょんになるわけですけれども、私は、その点は非常にまずいだけじゃなくて、重大だと思うのです。 そこで、日米会談が行なわれ、二十一日の朝にフォード大統領;口か迎賓館を出たわけですが、その直前にこの迎賓館の中のネッセン報道官の部屋で、アメリカの記者団の代表取材記者に対して、そこにいた米政府の高官が次のように言っているということが報道されています。「日米両国は、(核の存在を)否定も肯定もしないあいまいな態度を持ち続けるべきである。それは米国にとっては安全上の理由のため、日本にとっては感情的になりやすい問題のためだ」、こういうふうに言っているわけですね。そうしますと、特殊な感情、日本の国民が持っている感情というものがなければ、そういうことが解消されれば核兵器は持ち込んでもいいんだというようになってくるといわざるを得ないと思うんですね。ですから、ここで米高官筋がどういう人であり、具体的にどういうことを言ったか私は知りません。しかし、報道はそのようにやられているわけですね。そこで、その会談に出た木村外務大臣は、この政府高官筋という、いま私が読み上げた点ですが、そういうようにあいまいにしておくことが日米間では必要なんだという点について、そう木村さん、思っているのか、ここで報道をされている内容というものは間違いなのか、その点を伺いたいと思うのです。
○木村国務大臣 私は、その高官なる人がどういう人かわかりませんし、またそういう報道についてコメントする立場におりません。差し控えたいと思いますが、そういうことをあいまいにしておくことが日米にとって利益であるということには、私は加担いたしません。
○金子(満)委員 当然、非核三原則というものがあるわけですから、このあいまいということはとんでもない話だ。そうしますと、いまの大臣の答弁から、私は次のような問題が出てくると思うのです。日本側は非核三原則だ、アメリカ側は、あるかないか存在を言うことはできないというのがアメリカの国策上の最高政策である、さあどちらが優先するか、これは矛盾があるという問題ではなくて、日本の側は矛盾をつくってはならないわけですから、そうしますと、こういう、あいまいにしておくという見解にはくみしないということは、あくまでも日本に持ち込ませないという点では徹底して貫いていくということですか。
○木村国務大臣 アメリカ側が国防上の最高機密としてこれをあいまいにしていくという立場は、私ども理解しております。しかしながら、日本にとりましては非核三原則はもう厳然たる、明らかな基本原則でございますから、そこにあいまいさは許しません。したがって、先ほど申し上げましたとおり、すべて核兵器の存在についての問題は、アメリカにとっては国防上の最高機密ではあるけれども、わが国の、この事前協議の対象としてはこれを明らかにしなければならぬという立場を今後ともとっていきたいと思います。
○金子(満)委員 アメリカ側がその存在をあいまいにしておくということは理解できるということを言われましたが、理解できるということは、日本以外のところについてのことなのか。いまおっしゃられる点でいえば、日本の領域内については絶対入れないということであれば、ラロック証言その他でも指摘をされ、重大な疑惑が持たれているのですから、これはどこかでチェックしなければならぬ。どこかで調査をしなければならぬ。そうして、ないということを明白にしない限り、やはりことばと実際は違って、アメリカは日本の国内についてもあいまいである。 私は先般、横須賀の米海軍基地を視察しました。そして横須賀の海軍基地の参謀長に会いました。横須賀に核があるかないかと言ったら、それは答えられない、こういうことです。したがって、アメリカ側は一般的、抽象的に、どこにあるかないか言えないのではなくて、横須賀についても言えない。これはいまの大臣のお考えですれば、あるかないか言えないのはもってのほかである、横須賀にないと言いなさい、われわれは非核三原則を守っているのだ、当然そういうような立場をおとりになるのが筋だと思うのですが、どうですか。
○木村国務大臣 いまの海軍基地の参謀長が、そこには核があるかないかは言えないと言ったのは、私は参謀長として当然の立場だと思います。しかしながら、むしろ一般的に言いますと、先ほどから私が申し上げますとおり、日本の非核三原則というものを深く理解して、その上に立って日米安保条約及び関連取りきめを忠実に順守しておるという米側の公式見解というものは、むしろある意味におきましては、一般的に日本の領土、領海における核兵器の不存在というものを肯定しておるということになると思います。
○金子(満)委員 そこのところは、私もなかなかよく答弁はわからないのですけれども、アメリカ側が日本に対してとっている核政策と、日本側が非核三原則という立場でとらなければならない政策というものは、同じ日本の領域の中で違った状況になってきていることだけは私は指摘をしておきたいと思うのです。 そこで今度の日米共同声明ですが、その三項の中で核問題を扱ったところがあります。「両国は、」ということで、「核兵器保有国が高度の責任を有することを強調し、核の脅威から核兵器非保有国を守ることが重要であると考える。」つまり、核を持っているアメリカは核を持っていない日本を守ることが重要であるという意味だと思うのです。つまり核のかさといわれる内容だと思うのですね。これはいままでも言ってきたことであるけれども、こういうことと、もう一つは国会で核兵器の全面禁止の決議案が通っているわけです。そして当時の大平外務大臣は本会議でも答弁して、この決議を体して積極的にやるという旨の発言をやっておるわけです。私はいろいろ調べてみたのですが、いままで田中総理あるいは木村さんを含めてこれまでの外務大臣、それから今度の日米会談、その中で核兵器全面禁止ということを日本の政府の側から打ち出したということを一度も聞いていないし、どのようなものにも発表されてない、報道されてないわけです。そうしますと、全面禁止のほうは全く触れないでおいて、アメリカの核で日本を守ってもらいます。両国はここで一致しましたという、今度は核の存在を肯定する共同声明になっているんです。この辺の矛盾をどう考えますか。
○木村国務大臣 核兵器の全面禁止と申しますか、地球から核を一切絶滅しようというのは、これはもちろん日本国政府の変わらざる方針でもございますし、またこれは日本国民の永久の願望であろうと思います。そういう意味におきまして、その理想とするところはもちろんそのとおりでございますが、しかし、そこへまいります現実のプロセスというものがあろうと思います。したがいまして、現在、核兵器が存在する現実の国際社会におきまして、核軍縮を実現するということがまず第一の現実的な段階であろうということを私どもはたびたび言っておりますし、国連においても、また国連の軍縮委員会においても日本がこれを強く主張しておるところはもう御承知のとおりでございます。 しかしながら、核軍縮と申しましてもやはりそこにいろいろ段階がございましょうし、それまでに至る間のわが国の核脅威からの安全保障というものは当然現実に必要でございます。そういう意味におきまして、わが国は日米安保条約に基づいてアメリカの核抑止力にこれをたよっておるということも、これも現実のやむを得ない段階であろうかと思います。 いま御指摘の、今回の日米共同声明の中の第三項の、核兵器保有国が核兵器非保有国を核脅威から守るということは、御承知と思いますが、単に日米安保条約における従来の考え方より一歩出まして、国際社会において一般的に核兵器保有国が最高の責任を持ち、かつ核兵器を持たない国々を核の脅威から守るという共同の責任をうたっておる、こういうふうにお読み取りを願いたいと思います。
○金子(満)委員 いまの最後のほう、私はたいへん重要だと思うのです。これはことばをかえて言えば、アメリカとの共同声明でいっていることですけれども、核保有国の世界戦略、世界を支配しようということと切り離して考えるわけにはいかぬ。つまり、安保条約のワクをもう出てしまったんだという大臣のお話、これは私は非常に重要だと思うのです。 そういうことで、これはアメリカのやっている国際的な、世界的な核政策に日本がくみしていくということである。そういうことの中で今度は日本の責任分担ということが大いにいわれてきた。そうして核兵器の持ち込みという問題がこれほど大きな疑惑としてやられている。しかもアメリカ側はそれを否定も肯定もしない。また日本側はそこのところを最後まで問い詰める、突き詰めてはっきりさせるということはやらない。そうして日本の国民の感情を説明した、向こうは理解した、あとは信頼だけです、こういう上で、いま核問題は日米安保条約のワクを越えて一歩前進したというか、そういうアメリカの世界政策の中で位置づけられる。具体的に言えば米・日・韓の軍事同盟というものがその中にあるということは、これはもう否定できなくなると思うのですね。そういう意味でこの問題については、もう時間がありませんから私は次の機会に譲りますけれども、非常に重要な発言だと思うのです。 そこで、最後になりますが、先ほど河上委員のほうからパレスチナ問題を扱った国連の問題それに対して日本政府のとった態度、これが問われましたが、大臣はあの決議、つまりパレスチナの民族自決を認める決議と、それからもう一つはPLOがオブザーバーで国連総会あるいはまた国連活動に参加するというこの決議ですね、これに対して棄権をした。民族自決を認める決議は三十七カ国提案、この中ではアラブ二十カ国は全部入っているわけです。ところが大臣の説明の中に、この決議がイスラエルの存在そのものを否定するような意味の発言があった。私は決議内容を全部見ましたけれども、それは一言も入っていない。 そうではなくて、パレスチナ人民の民族自決ということは、これはもうこまかいことを言うまでもなく、いままで、去年の三階堂官房長官の談話、それからまた政府特使としてアラブ諸国を歴訪した当時の三木さんの記者会見における、公の席でのいろいろの発言ですね。三木さんは、パレスチナ人の権利は回復され、自決権が認められなければならないということも言っておるわけですね。それからまた木村さん自身が、十一月の九日日本とエジプトの共同声明を発表しましたが、その共同声明の中でも、パレスチナ人の民族的権利が完全に回復されることというのをうたい込んであるわけですね。 そうしますと、今度の国連の決議案に対して日本政府がとった態度というのは、イスラエル抹殺論は書いてない、イスラエルを海の中にけ落とすということも書いてない。こういう点を考えると、やはり反対するための一つの口実になっている、はなはだしい歪曲ではないか、こういうふうに私は思うのです。もし木村大臣が答弁されたようなことであるなら、これは八十何カ国も賛成するはずがないですよ。しかも八十九カ国が賛成、反対が八つで棄権が三十七。この三十七は、わからなくて棄権したというものじゃないと私は思うのです。 これまでの日本政府が、少なくとも一昨年の二階堂発言以後、責任ある立場のいろいろの人が、政府の人々が発言した内容から見ると、これは後退ではなくて意味が違ってきていると思うのです。その意味の違いというのは、やはりアメリカとイスラエルの態度に気がねをしただけではなくて、そちらのほうに迎合して反アラブの態度になった、こういう点で非常に重大だと思うのです。ですからことばと行動が、まさにそのものが提案された国連総会で違ってきた、こういうように私は思うのです。ですから大臣、イスラエルを抹殺するとかけ落とすとかいうような意味がその文章の中のどこにありますか。九つある項目の中にありますか。一つもないです。
○木村国務大臣 アラブについてのわが国の態度が後退したということは、これはもう誤解でございますから……。いま御指摘の決議案の内容を見ますと、確かにイスラエルを抹消するとか、そういうことばは明示されておりません。しかしながら決議の内容をよく見ますと、その地理的範囲としてパレスチナを明示しております。「パレスティニアン・ピープル・イン・パレスタイン」という文句が入っております。地理的範囲を明示しております。かつ、自決権の内容たる民族独立と主権に対する権利を明記しております。これはいいといたしまして、何らの制約なしにパレスチナ人の郷土と財産への復帰の権利を確認しております。こういうことになりますと、こういう権利をもし無制限に実現するということになりますと、すなわちイスラエルの生存権を否定することになる、それにつながる可能性がある、こういう解釈を私どもは持っております。したがいまして、パレスチナ人の自決権を尊重するという態度には何ら変更はございませんし、またアラブ問題に対するわが国の政策的後退はごうもございません。その面につきましては、すでにパレスチナのPLOの国連招請についてのわが国の態度で明らかであると思います。したがいまして、この決議がイスラエル人の自立と申しますか生存権を否定するものではない。かつ安保理決議二四二で認められておるようなことにもし言及しておるとすれば、われわれは当然これは賛成したと思います。ただ、そういう意味において、ややこの決議案が一方的な傾きがあるというので、慎重な協議の結果、これに棄権をいたしたわけでございます。
○金子(満)委員 では最後に一言だけ申し上げて質問を終わりますが、国連がパレスチナ問題をこれまでは難民問題として多くの場合は扱ってきた。しかし、今度の国連は政治問題として初めてこれを取り扱った、これは非常に大きな意味があると思うのです。同時に、PLOを国家ではないが準国家的な扱いとして、オブザーバーとして今後国連活動に参加するということをきめたのは非常に大きな意味があると思うのですね。いまそういう上に立って考えたときに、大臣はいろいろ言われましたけれども、あの決議案の中には、国連憲章の目的と原則に従ってということがあるわけですよ。一九四七年にイスラエルが国をつくる場合、ユダヤ人国家とアラブ人国家というものをやったわけですね。これは国連が当時やったわけですから、そのことの是非は別として、そういう歴史的な経過があるわけですから、これを抹殺とかなんとかいうところまで考えるということは実際問題として当たっていないし、確かにその決議の中には、イスラエルの中に当時いたアラブの人たちが追い出された。家もとられ土地もとられ、いろいろの財産もとられた、そういうものは回復する権利があると書いてあるのです。これは無制限にどんどん延びるものではない。それは国連の目的と原則ということでしっかり押えてあるので、私は日本政府のとった態度は誤りだ、そして中東政策についてはこれまで積極的なことばがあるのですから、そういう方向に転換をすべきだ、以上を申し上げて、質問を終わります。
○有田委員長 渡部一郎君。
○渡部(一)委員 私は核問題について、まず前回の委員会に引き続きまして答弁を求めたいと存じます。 前回は、私の質問に対して米軍に対しあるいは米国政府に対し問い合わせるという事項について、外務省当局から御説明を求めたいと存じます。
○山崎説明員 前回、十月十四日の衆議院の外務委員会におきまして、渡部先生から、最初に沖繩にあります知花、読谷における弾薬庫がバリケードされておって、ここに核弾薬があるのではないかという御質問がございまして、この点に関しまして私のほうといたしまして米側に照会してみるということを申し上げたわけでございます。この点に関しましてはさっそくアメリカ側に照会いたしましたところ、アメリカ側は、沖繩にあります第四〇〇弾薬整備部隊の敷地に建設した最も新しい弾薬貯蔵施設は、一九六八年に着工して一九六九年に完成した十八の障壁のついている地上型の標準弾薬庫である。そして、この弾薬庫は各種の弾薬を貯蔵するために用いられておるということであります。そしてこのバリケードという意味について、特別な意味があるのではないかということを私たちのほうも問い合わせたわけでありますが、これは爆発物を貯蔵する施設のまわりにある自然のまたは人工の土手、つまり土の堤のことをいうんであって、わずかの例外を除いて米軍の爆発物の貯蔵施設にはこういう障壁は設けられているんだということでございました。そういう点で、このバリケ−ドされているということは特別のことではないということであります。そして、沖繩に核があるかないかという問題に関しましては、これはもう先生の御承知のとおり、返還時におきますロジャーズ長官の福田大臣あての書簡でも述べられておりますように、沖繩の核抜き返還に関する米国政府の確約が完全に履行されたといっておるわけでございますから、私たちとしてはこの弾薬庫は通常の弾薬庫であり、そして核はないものと確信いたします。 それから次に、先生のほうからお話ありましたブロークンアローという問題がございまして、これは横田基地でその事故が、ブロークンアローというのは核に関する事故という意味にこの場合おっしゃったわけでございますが、その事故に関して、横田基地で現実に発動されたという話があるので米側に照会するようにというお話がございました。この点に関しましてもさっそく照会いたしましたところ、アメリカ側が申しておりますのは、ブロークンアローというのは二つの音一味がある。一つは、ブロークンアローは核兵器にかかる事故を報告する際に用いられる用語である。そして、御指摘のようなこの核兵器の事故に関するブロークンアローの事故は、横田だけでもなく、また嘉手納でも、那覇においても発生したことはありませんということでございました。 なお、ブロークンアローということばは、核の事故に対する対応能力、対応能力といっておりますが、対応能力をテストするということを目的とする訓練に関しても用いられることがある。こういう訓練は、通常、災害に対処する計画及び実施に関する空軍の規則と手引に従いまして世界じゅうで定期的に行なわれているということであります。したがいまして、実際にブロークンアローと称するような核事故はなかった、ただブロークンアローと称するそういう訓練計画はあります、こういうわけであります。 それから第三点でございますが、渡部議員から沖繩の核撤去費として米側に七千万ドルの金が支払われたが、その使途の明細をアメリカ側に照会するようにというお話がございました。この点に関しましては、日本政府としましてはかねて沖繩国会のときからも申し上げておりますように、この沖繩返還協定の第七条の規定におきまして、米国政府は沖繩のわが国への返還を、一九六九年の共同声明の第八項にいうわが国の政府の政策に背馳しないように実施する、すなわち沖繩の核抜き返還の義務が明確にされたものでございますが、この核抜き返還のアメリカ側の義務に対応するものを含めまして七千万ドル程度の支払いにつき妥結を見たものでございます。したがいまして、この七千万ドルの支払いは、もともと積算の基礎というものにはなじまないものでございまして、また事柄の性格からしましても、その内容を明らかにし得ないものであったのでございます。ただ、その交渉の際の高度の政治的判断からして、七千万ドル程度は適当であるというふうに認められたと承知しております。したがいまして、それが米側によってどのように使用されたかということは本来日本側が知り得べき内容ではなく、私たちとしても申し上げることはできなかった次第でございます。こういう性格の金でございますので、この使途に関しましてアメリカに照会することはわれわれとしては差し控えておる次第でございます。
○渡部(一)委員 いまの米側の御回答でありますが、私の言ったことは半分以上裏づけられたと思うのであります。というのは、私が申し上げたのは知花、辺野古弾薬庫地帯と申し上げたのであって、知花、読谷地域と申し上げたのではない。ですから辺野古地域についてはあなたは御回答がありませんでした。そこもあわせて今度はもう一回アメリカ側に聞いていただかなければならぬと思います。 それからもう一つは、私の申し上げた核弾薬の倉庫と思われる地域の問題については、ただいま述べられましたように十八棟が現に存在することは明らかであります。私は重ねてそのように申し上げますが、それについて特殊なベンチレーター及び冷房施設がこれに付設せられており、通常弾薬庫では見られない冷房及び湿度恒常設備がついていることもあわせて申し上げたいと思います。これは核兵器以外には不要であります。これでもなおかつ通常弾頭の倉庫であると申されますか。あわせてその点ももう一回調査を進められるか、あるいは当委員会委員の該地域に対する入域について外務省はお計らいをいただきたいと思います。 なお、いまブロークンアローについて言及されました。ブロークンアローについては、ブロークンアローそのものとブロークン・アロー・エクササイズがあると私は申し上げました。そのうち、ブロークンアローについて発令された事実がある旨、私は申し上げました。私はうわさとは申し上げましたけれども、かなり確度の高い情報でこれを申し上げました。また、ここでブロークン・アロー・エクササイズが現に行なわれ、演習が行なわれている旨を米側の回答としていま申されました。これは重大問題であります。核兵器のない日本においてブロークン・アロー・エクササイズなどということをやるということ自体が問題ではありませんか。そういうことを今日まで黙って隠しておいて、米軍がそのようなことまでやっているのを放置している。私はいささか問題ではなかろうかと思いますが、どうでしょうか。これもあわせて、こうした行動は慎まれるよう言うべきである。あるいはこのような行動自体、一つ一つの積み重ねが核兵器の日本に対する持ち込みの一つの傍証になっていると私は指摘しなければならぬと存じます。
○山崎説明員 最初の点でございますが、私もその当時の速記録をここに持っておりますが、それによりますと、先生のお話としては、「知花、読谷地域に散在する約二十の核弾薬庫」というふうにおっしゃっておられるのであります。われわれは実は速記に基づきましていたしましたので、あるいは辺野古であったのかもしれませんが、「知花、読谷地域に散在する約二十の核弾薬庫」というお話がここに出ております。 それから、いろいろベンチレーターの施設、空調施設等があるということでございますが、その点に関しましてもわれわれはアメリカ側に指摘いたしまして、そういうふうな特殊といいますか特別の施設をしておるようだけれども、その点はどうかということも含めて問い合わせたわけでございますが、それに対する回答が先ほど申し上げたとおりでございまして、われわれとしては、この回答でわれわれの疑問とするところは一応解消したのではないかというふうに考えております。あるいは先生としては特別のお考えがあるかもしれませんが、われわれとしては、米軍がそういうふうに回答してまいりましたことをもって了承しておる次第でございます。 それから、第二のブロークンアローの点でございますけれども、ブロークンアローと称する核事故に対応する訓練の一つのプログラムがあるということは事実のようでございまして、それを横田などでやることがあるのかもしれません。しかしそれは、空軍の性格としまして世界各地に配属されるわけでございますから、そこにおる空軍の要員というものは、各地に配属されるものである以上、そういうものに対応するための訓練というものはどこにおろうとやるということであると了解しております。したがいまして、そういう訓練をやること自体をいけないということはいえないと思うのであります。これは安保条約の範囲内において許容される問題であると私は考えます。
○渡部(一)委員 それでは、いまの話はまるで米側の返事みたいな御返事が続いたので外務大臣に伺わなければなりませんが、日本国内でたとえば戦車隊がブロークン・アロー・エクササイズをやるわけはない、歩兵がやるわけはない、これは飛行部隊、航空部隊が明らかにそれをやっておる。しかもその航空部隊で、ただの偵察機集団がこれをやっているわけでは決してない。これは要するに、核をしょっちゅう扱う部隊だからこそブロークン・アロー・エクササイズが義務づけられているのです。航空母艦でもこれは行なわれておる。常時通過する地域において行なわれておる。これは別の資料から明らかに言うことができます。そうすれば、横田において核兵器を常時操作しているという重大な疑いがあると見てよい。それを、そんなアメリカ軍がそれぐらいの演習をするのはあたりまえだなんという無神経な御答弁で済むかどうか、大臣はどうお考えになりますか。
○木村国務大臣 私もよく専門的なことはわかりませんけれども、しかしながら、アメリカ側がそういう核兵器をそこで操作しているというようなことがもしありとすれば、これはたいへんなことでございます。したがいまして、日米間の信頼に基づいて、そういうことをアメリカがやっておるとは私は夢にも考えておりません。
○渡部(一)委員 日米間の信頼とおっしゃいますが、日米共同コミュニケの第八項において、日本の核に対する特殊な感情及びその政策に背馳しないようアメリカ側は行動をとる旨約束をしております。しかしそれは明らかに第七項を隠しております。第七項においては、極東の安全のためにアメリカ側が行動することを日本政府は支援する旨を明瞭に約束しております。この七項と八項は、この問題について常識的に解釈をするならば、明らかに逆のことをいっております。アメリカ軍が極東地域において核兵器を持ってうろうろすることを日本政府は、第七項によれば全く文句も何もいえないということを示しておるではありませんか。私は、そこで御答弁には多少無理があると指摘しなければならないと思います。ですから、当委員会で何回も確かめられましたけれども、これだけの大きな疑惑に対してアメリカ側に抗議するのでも何でもない。結局、事実として明らかになってくる。疑いはますます濃くなるばかりである。そしてわれわれはますます多くの資料を持ち出さなければならない。このまま放置されるのであるならば、しまいにわれわれは当委員会に核弾頭でも持ってこなければならないでしょう。そこまで問題をエスカレートせざるを得ない。どの辺まで持ち出してよいか、われわれが迷わざるを得ないような議論にいまやなりつつある。ここを十分お考えいただかなければいかぬと私は思います。 ラロック証言以来多くの問題点が出てまいりました。時間もありませんので一括して最後に伺ってしまわなければならないのでありますが、いま疑われておりますのは、政府としては核積載艦船、核搭載航空機が一時的に日本に入ってきておるというようなことはあり得ないと思っておられるのかどうか、そこを伺いたい。そして、そういうことは絶対許さないという立場でおられるのかどうか、そこを伺いたい。
○木村国務大臣 従来繰り返しておりますとおり、そういうことはあり得ないと同時に、そういうことは許し得ないという考えでございます。
○渡部(一)委員 アメリカ側は、核を積載して時的に日本へ入る場合、それは日本政府の許可なく入っても差しつかえないと了解しているのではないか、この辺についてはどう思われますか。
○木村国務大臣 当然事前協議の対象としておりますから、アメリカもそういうことは考えておらないと思います。
○渡部(一)委員 そうすると、第七艦隊がアメリカの母港を出てそして日本に入る場合、核搭載艦はいずれも途中で核を洋上でほかにほうり投げてくるというふうに考えておられるのか。また、核搭載航空機は日本へ着陸する前にその核をどこかに置いて、太平洋のまん中か何かにほうり投げて着陸しておると考えておられるのか。その辺も聞いておきたいと思います。
○木村国務大臣 事前協議がない限り、そういうことはあり得ないと考えております。
○渡部(一)委員 もしそういうことがあったら——これは次の質問のために伺うのでありますが、そういうことがもしあったとしたら、政府は、また外務省はどういう責任をとられますか。
○木村国務大臣 そういうことはあり得ないと思いますが、万一そういうことがありましたらこれは日米間の信頼を裏切ることになります。したがいまして、私ごときは取るに足らぬものでございますが、はっきり責任をとりたいと思います。
○渡部(一)委員 そのおことばはあとで重大な問題になるだろうということを予告しておきたいと思います。 次に、外務大臣は第二十九回国連総会一般討論において、核兵器不拡散条約を批准する準備を進めていると述べられた旨承知をいたしておりますが、この核拡散の時代に、野放し状態になっている核実験、あるいは次から次へと拡散していく核保有国の誕生というようなものに対して、核の不拡散条約を批准する旨表明された理由はどこにあるのか。またそれはいつごろ国会へ持ち出そうとされているのか。また、核防条約を批准するための基礎的な条件を整えなければならないと思うけれども、それに対してどういう考えを持っておられるか。以上お答え願いたいと思います。
○木村国務大臣 わが国が四年前に核防条約に署名いたしました際の三条件が完全に達成されておるとは思いません。非常に不十分な条件がございますけれども、しかしながら核拡散傾向が非常に著しい今日、私の考え方といたしましては、それだから、かえってわが国が核防条約に思い切って参加すべきではないか。その理由といたしますのは、わが国はすでに非核三原則という世界にも誇るべき基本的な政策を持っております。そのわが国が核防条約に参加しないで一体どういうメリットがあるであろうか。核防条約を批准しないことによってわが国が核についてのオプションを持つということが利点とされておりますが、非核三原則を持っておりますわが国が、将来といえども核武装することは全く考えられませんし、またそれが日本国民の納得するところでないことは火を見るより明らかでございます。そのような核武装を絶対しない、またそういうことがあり得ないと国際的にも明らかにされておりますわが国が、核防条約に入らないことによってオプションを持つことによってどういう一体利点があるか、これをまず考えなければならぬと思います。したがいまして、もしそういうオプションをポリティカルウェポンと申しますかそういうものに使うなれば、それはある意味においては、ことばは悪いのですが、竹光を佩用しておると同じことではないかと思います。したがいまして、そういう中でわが国が決然として核防条約の批准を断行いたしまして、わが国が将来における核兵器の絶滅、また段階的には核軍縮に対して大きな発言権を国際社会で得るということが核防条約を批准する最大の理由ではないか、こう私は考えております。 また、それに参ります道程といたしましては、もちろんこれは国民のコンセンサスが必要でございます。特に批准を承認をお願いする以上、国会における十分な御審議の上でこれを承認していただければこの批准に進むということが当然考えられますので、わが国といたしましては、また現内閣におきましては、依然としてこの核防条約を国会に批准をお願いするために提出するという基本的な考え方に変化はございません。問題はもうしばらく後にできます新内閣が、この問題についてどういう一体立場をとるかということは、今後また国会で御審議の際に明らかにされることだと思います。
○渡部(一)委員 時間が参りましたのでその問題を十分に議論できないのが残念でありますが、最後に一つだけその問題について申し上げておきたいと思うのです。 それは、核拡散の動きが、たとえば朝鮮半島に核拡散がとか、イスラエルにおいて核拡散がとか、南米のある国で核拡散が起こるというようなことが報じられ、政府当局者においても述べられている向きがございます。そうすると、日本が核防条約に入るだけでなくて、積極的にアジアにおける非核地帯の創設等につき、日本の影響力を全面的に行使することが一面大事ではないか。 もう一つは、SALTの第二協定が最近アメリカとソ連に結ばれているわけでありますけれども、そのSALTの第二協定の内容は、両国ともに二千四百発のミサイルを許容する、こうしたような意味合いであり、かつ、アメリカのサイミントン上院委員長の国連における演説によれば、アメリカはいま広島型にして六十一万発を保有しておる。またソ連もそれとほぼ匹敵するものを持っておる。こうしたものについては何にもブレーキがかかっていない。ミサイルの数だけを制限している。こういう状況において、米ソ両国に対し、核軍縮に対し積極的にアプローチするような核外交の展開こそ、日本にとって大事な方向性ではなかったか。外務大臣は新内閣でどういうお立場をとられるか私はわからないのでありますけれども、そういう核政策の基本的方向ができないのであったなら、この間の外交としては非常に残念なことではないか、私はこら思うわけであります。したがいまして、アジアに対しては非核地帯の創設を、先進両国というか核大国であるこの二国に対しては積極的な核軍縮を提言することこそ、外務省の基礎的な方針の一つにならねばならぬのではないか、私は意見を申し上げて私の最後の質問にしたいと存じます。
○木村国務大臣 いまの御意見に対しては、私全く同感でございます。わが国が今後世界におきまして核軍縮、最終的には核兵器の絶滅を叫んであらゆる機会をとらえて発言をしてまいるということが、わが国外交の今後の一番大きな課題であるということについては、全く同意見でございます。
○有田委員長 永末英一君。
○永末委員 アメリカ・フォード大統領は、日本、韓国さらにソ連、三カ国の訪問を終えて帰国いたし、十二月二日、ワシントンにおきまして記者会見をいたしました。そのときに、日本に対する訪問に関しての評価を次のように申しました。自分はこの訪問によって日米両国関係に新時代を築くことに成功した。新時代ということばを使っておるのでありますが、外務大臣は、この新時代というのはどのように解釈をされますか。
○木村国務大臣 日米会談があるごとに新時代ということばをたびたび使っておりますが、今回用いられた新時代はいままでとはまた別の意味があると思います。すなわち、累次にわたる日米会談は、日米の二国間、バイラテラルの関係に重きを置いておりました。今回は幸いにして日米間にはあまり大きな——微調整を要する程度の問題しかございません。もっとも、日米の漁業交渉は続けられておりますが。そういう段階にお互いの関係が成熟してきております。ときあたかも世界的に国際経済の基本をゆるがすようなエネルギー、食糧問題が起きております。こういうような世界的な問題に取り組むために、GNPで世界の四〇%、貿易量で二〇%というような大きな影響力を持っております日米両国が、今後は両国間の協力をさらに伸ばしまして、世界において国際的秩序を維持するために、日米協力に意を用いていくというようなことをお互いに話し合い、お互いにこれを確かめ合ったということに日米間の新しい時代の意味がある、このように考えております。
○永末委員 日米共同声明の四項、五項、六項等にそういう考えがあるように思われるのでありますが、たとえばエネルギー問題にいたしましても、食糧問題にいたしましても、日本の立場とアメリカの立場とは明らかに一〇〇%同じではございません。ただ大きく協力という、ことばは非常にきれいなことばではございますけれども、わが国の主張というものはおのずからアメリカと異なる場合がある。その辺のことは十分に主張されましたか。
○木村国務大臣 きわめて率直に話し合いまして、私はそれを強く主張いたしました。たとえば石油の消費節約の方法につきましても、日米間には大きな差異があるということも深く理解を求めまして、先方はこれを了承しております。
○永末委員 共同声明の第二項で、日米安保条約下での日米間の協力関係は重要であり、かつ、永続する要素を構成しているということを両国で認めました。この「永続する」は、英語はデュラブルでございますから、持続というのかもしれませんが、永続と認識をされているのは一体どういう意味ですか。
○木村国務大臣 アジアにおける情勢から申しまして、日米間のこういう日米安保体制を軸とする協力というものが、単に軍事防衛面のみならず、いま申し上げましたようなエネルギー、食糧問題すべてのそういう経済面、あるいは大きくいきましては、国際的な安定段階におきます日米協力というものが、きわめて大きな力を持っておるということについてのお互いの認識を確かめ合ったわけでございます。したがいまして、そういう関係は、国際情勢が今後流動的な段階できわめて永続的な意味を持つべきである、こういうような考え方でございます。
○永末委員 わが国は、現在中国との間で日中平和友好条約の締結に関して折衝しておられるはずでございますが、この「永続する」ということばを使われたのは、日中友好平和条約が結ばれた暁も、現在の日米安保下にある日米関係は変わらない、こういう意味に解釈してよろしいか。
○木村国務大臣 私は、日中関係と日米安保体制の永続化ということ、堅持ということは何ら矛盾しない、こう考えております。
○永末委員 ソ連と日本との間におきましても、平和条約を結ぶための担当閣僚間の接触が定期的に持たれる、このようになっていると伺っておりますが、これは北方領土の問題がございますので、なかなかまだ山あり谷ありかもしれませんが、少なくとも日本とソ連との相互の努力の結果、日ソ間に平和条約が結ばれたときも、日米安保条約下における日米関係は永続するんだ、こういうお考えですか。
○木村国務大臣 日ソ間に平和条約が結ばれましょうとも、また現段階で日ソ間の平和外交関係が続いております際にも、日米安保体制はこれに何らの影響をもたらすものではない、こういう考え方でございます。
○永末委員 日米共同声明の第三項にいろいろな概念が書いてございますが、これについて一体外務大臣はどういう認識をしておられるのか、お答えを願っておきたい。 一つは、「軍備制限」ということばがございます。「軍備制限」というのは、この話し合いの中でどういう状態をお考えになったのか。次には、「軍備縮減」ということばがある。「軍備縮減」というのはどういう意味なのか。さらに、「核軍備の管理」ということばがございますが、これらそれぞれ意味がはっきりと違っている問題だと私は思う。このことを、日本政府の当該交渉をされました外務大臣としてどのように認識をしておられるか、伺いたい。
○山崎説明員 最初の「軍備制限」といいますのは、英語で申しますと、アームズ・リミテーションということでございまして、それから「軍備縮減」……
○永末委員 英語はよろしいんです。
○山崎説明員 どうも失礼いたしました。 そこでいずれも、この「軍備制限」という用語と「軍備縮減」ということはあわせまして、われわれとしては軍縮というふうに考えておるわけでございます。 それから、アームズ・コントロールということばといいますか、「核軍備の管理」というふうなことばを使っておりますが、これはちょっと違った意味でございまして、たとえば現在行なわれておりますSALT交渉のような場合は、一種の核軍備の管理ということでございまして、将来のああいう戦略核兵器の発達をさらに伸ばすということをある程度前もって押えていくという意味もあると思っております。
○永末委員 いまSALTの話が出ました。フォード大統領は、わが国を訪問したあと韓国を経てウラジオストクでソ連ブレジネフ書記長との間にいわゆるSALT会談をやったのでありますが、これまた十二月二日の大統領の記者会見によって、その内容が明らかに世界に発表されました。 それは一つは、戦略兵器運搬手段、ICBM、SLBM、ボンバー等を含めまして、それぞれ両国ともに二千四百という上限の総数を限定するということでございまして、これによりますと、アメリカはなお自分が保有すべき運搬手段は増加ができるという内容であり、ソ連はいささか減少をしなければならぬ。また多目標核弾頭弾MIRVにつきましては千三百二十という総数を話し合いできめました。アメリカは現在七百五十しかMIRV化していないということになりますと、これまた増強し得る余地がある。ソ連のほうはなお数がこれよりも少ないようでございますから、著しくMIRV化をする余地が残されておる。 さらにフォード大統領は、この記者会見におきまして、ミサイル弾頭に積載し得る重さ、その積載量の増大の開発については、われわれは何らの制限を受けていないということを特に断わって、記者会見の質問に応じておるのが実情である。だといたしますと、外務大臣は、このSALT交渉というものは、いまあなたのほうの局長が申しましたように、管理という面に属するのであって、軍縮の面には関係がない、このようにひっつけますと理解できるのですが、外務大臣はどうお考えですか。このSALTの評価をこの際しておいていただきたい。
○木村国務大臣 私もその点についてたいへん矛盾を感じております。お互いにまだこの世界には、力、パワーというものが作用しておるということは、これは現実の問題として否定できません。しかしながら、その力をある一つのワク組みの中に押え込むということも必要であると思います。このSALTというものは、そういう意味において、何らの抑制がないような核軍備拡張の中から、最も超大軍備力を持つ、核兵力を持つこの両国が、お互いにセルフリストレイントといいますか、自制をして、ある限度までにおいて——それこそ軍備制限のほうでございましょう、そういうことをあえてやろうとする、そういうような現実の一つの危険管理というような考え方で、このSALTというものが行なわれておるということは否定し得ないと思います。 しかしながら、これをほしいままに、全く野放しにしていいかどうかということになりますと、これは世界全体の危険ということから考えまして、両国がお互いに自制心を発揮して、一時は、ある制限までは軍備の拡張になるかもしれないけれども、そこに一応のリミットを置いて、リミットに到達したあとで、次の軍備縮減という段階にほんとうは向かうということの現実的な一歩ではなかろうかという意味において私は理解し得る、こういう考えでございます。
○永末委員 共同声明の第三項の初めのほう、先ほどことばの意味をどうとっておられるかを聞きましたが、そのあとで、核兵器等の拡散を防止するために、すべての国が真剣な努力を払う必要があると日米両国は考えているようでございますが、この話し合いをいたしましたときに、すべての国にそういうことを求めておきながら、自分の国だけはなお増強するんだというような、きわめてこれは論理的におかしい話ですね。この辺は外務大臣はどういう説明を受けましたか。
○木村国務大臣 論理的には確かに矛盾するところがございましょうが、しかしながら、論理の段階でなしに、現実の世界の情勢に対応するためには、とにかく論理的に矛盾することもあえてしなければならぬ場合がありましょう。 そういう意味におきまして、核拡散と申しますと、これはいわば核兵器の水平化ということ、水平的な拡散ということになります。また、米ソ両国が一時的にせよ、核兵器を増強する。MIRVの増強という点については、これはある意味では垂直的な増強ということも言えましょう。しかしながら、こういう二つの超大国核兵器国の垂直的な縮減が今後行なわれるという前提のもとにおいて、水平的な核拡散というものも同時に抑制しなければならぬ。これはたいへん矛盾するようでございますが、もしこの理性を持たない核拡散によって核兵器が拡散されるにおいては、いまの超大国による戦略核兵器によるバランスよりももっと危険が拡散されることになる、こういうような考え方もあると思います。 そういう意味におきまして、私はむしろ第三世界、あるいはイスラエル、エジプトに核物質を提供しましたアメリカのほうの説明をよく聞いておりますが、これについては、かつてのインドに対するカナダの核物質の供与のようなああいう甘い考え方はとっていない、きわめて厳格な抑制策を、制限をとっておりますので、ここにおいてインドのような核爆発の実験が起こり得ないというような確信をアメリカも持っておるようであります。 しかしながら、そのような核拡散が水平的に広がりますと、こういう抑制力のない局地的紛争にそれが使われるという危険のほうが、むしろSALTによって結ばれておるこの超大核兵器国二国の一時的なMIRVの増強よりはより危険であるというような考え方もございましょう。 そういうようなことを考えまして、論理的にはきわめて矛盾しておりますが、私どもはいたし方のない現実の世界におきまして、これも一つの段階ではないか。しかしながら、あくまでわが国としましては、これらの諸状況にかかわらず、徹底して将来における核軍縮、核兵器の絶滅ということは、今後も大きくわが国の基本方針として発言をしてまいりたいと思います。
○永末委員 かつてわが国がこの核拡散防止条約に調印をいたしましたときに、先ほど外務大臣も触れられたように、この現在の核保有国が核軍縮の努力をすることという一項目が条件の中に入っておったと思うのです。しかも、いまおっしゃったように、この二超大核保有国は現在のところ一つも軍縮はしていない。ある数字は出しておるが、なお内容は増強し得る余地の数字を出しておるだけである。現在世界にはこの二核保有超大国の態度にあきたらずとして、そういう状況が続く間は自分らは核兵器を持つんだ。そうしてそれは拡散ではなくて、超大国のいわゆる核による世界支配を認めてはならない。その意味では、核保有に至るほうがより核軍縮に至る道を開くのだと考えている国もございます。これは核を保有している国にもそういう意見があることを私は知りましたし、現在核を持っていない国においても似たような評価があるのでありまして、この点は日本政府としては、十分その国際世論というものを承知しておられるはずだと思います。 さて、先ほど核拡散防止条約についてのことに言及がございましたが、この第三項で「一層の拡散を防止するために、真剣な努力を払う」という明文を共同声明にされたことによって、わが国がアメリカに対して核拡散防止条約の批准を約束したものとは私は思いませんが、そうでございましょうね。 同時にまた、いまのこのアメリカ、ソ連二大核保有国の戦略核兵器に対する態度が、核軍縮になっていないと私は思います。だといたしますと、先ほど外務大臣が触れられた、政府が調印をしたときの核保有国が核軍縮の努力をすることということにはまだ条件が熟していない、こう見ますが、いかがですか。
○木村国務大臣 その角度から考えますと、確かにおっしゃるとおりだと思います。 しかしながら、米ソ両国間で、すでに御承知のとおりSALTも出発しておりますし、またある意味では核戦争の防止協定もできておりまして、そういうようなあらゆる努力が現在続行されつつあるという展望におきまして、私は、この核軍縮がその当時の署名の際における条件を完全に満たしておるとは思いませんが、そのような努力が現在続行しつつあるという観点におきまして、将来の展望において私はそういうことを考えるという立場をとっております。
○永末委員 もう一つ伺ったのは、第三項の前段で、アメリカ側に日本政府の核拡散防止条約に対する国会の批准を約束したのではございませんね。
○木村国務大臣 そういう意味ではございません。
○永末委員 時間が参りましたが、もう一つだけぜひ聞いておきたいのは、第三項の後段で、日米両国は、核保有国が、核兵器を持たない国に対する核の脅威があった場合にはこれを守ることが重要だと考えた、こういう表現がございますが、具体的には、日本が非核保有国でございますし、アメリカが核保有国でございますが、アメリカは日本に何をしてくれるというのですか。
○木村国務大臣 この共同声明の表現というものは一般的な問題をいっておりますが、当然日米安保条約におきまして、日本が核の直接の脅威を受けたときは、アメリカはその日本に対する脅威に対してこれを守るということは、日米安保条約からくる当然の結果でございます。
○永末委員 時間がございませんのでこれで質問を終わりますが、私は木村外務大臣と再び相まみえてあなたのお考えを聞くことを期待をいたしております。
○有田委員長 本日はこれにて散会いたします。 午後四時四十一分散会