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72回国会参議院1974/04/05

予算委員会第二分科会 第2号

発言数
394
登壇者
33
会派数
4
開催日
1974/04/05

会議録

嶋崎均自由民主党

○主査(嶋崎均君) ただいまから予算委員会第二分科会を開会いたします。  昭和四十九年度総予算中、防衛庁所管を議題といたします。  政府からの説明はこれを省略し、本日の会議録の末尾に掲載することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

嶋崎均自由民主党

○主査(嶋崎均君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  それではこれより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 防衛庁長官にお聞きいたしますが、これは板付基地及び雁の巣基地返還促進協議会からの陳情書です。再三ごらんになったと思いますが、こういうことが書いてあります。「板付基地は福岡空港として発足し早やくも三年目を迎えました。」、米軍から返還されたのでありますが、「九十万市民の生活環境を守るため、残存する基地の返還及び自衛隊機の福岡空港の使用中止等について要請を続けてまいりました。」と、しかしなお、現状としてはそれが達成していない。したがって第一は、「福岡空港の一部に存続する米軍基地の早期完全返還をアメリカ合衆国に対し強く要請し、福岡空港における軍事色を早急に一掃するよう努力」してもらいたい、こういう陳情でありますが、長官の御見解を聞きます。

山中貞則自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(山中貞則君) アメリカの施設が確かにまだ残っております。これは通信機能が主であるように承知いたしておりまして、これをアメリカは固執しているとも見られませんが、これは外交折衝並びに運輸省の板付のレイアウトその他がございますので、それに合わせて協力してもらうようにしたいと思います。  なお、自衛隊施設については後刻質問にお答えいたします。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 次はその自衛隊機の問題でありますが、自衛隊機の福岡空港使用状況は米軍機の約二倍以上となっており、米軍機の使用とともに市民に不安を与えているので自衛隊の福岡空港使用を中止し自衛隊機の常駐を行なわないこと、こういう陳情でありますが、この点についての見解を聞きます。

山中貞則自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(山中貞則君) この点は覚書がございまして、自衛隊がいま三カ所を使っておりますAB地域をC地域のほうにまとめる、それについては予算もつけます、努力します、予算化しますという内容がございます。ただ問題は、運輸省の福岡空港のターミナルビルの青写真というものはどのような具体的な設計になるのか、そういうもの等が並行しませんと、私どものほうはこの予算要求もいたしていたわけでありますが、やはりそちらのほうがはっきりしませんと予算をつけるのにちょっとぐあいが悪いということで、予算をいつでもつける準備は政府としてしておりますが、運輸省の計画全体を待ってそれに約束どおり対応する準備はいつでもいたしておるわけであります。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 飛行場部長見えていますか——いまのような答弁ですが、この間第二空港ビルができました。そのいきさつなり、なぜああいうところに空港ビルをつくったのか、またいま防衛庁のほうでは十分御存じないようだから——どういうことですか。

隅健三運輸省航空局飛行場部長

○説明員(隅健三君) ただいまの第一ターミナルビルをつくりましたときはまだ米軍の使用をしておった時代でございまして、第一ターミナルビルに引き続きまして大型機用のエプロン、あるいはターミナルの増設が計画されたわけでございますが、そのときに西側の展開ということもまだ完全にマスタープランができておりません。やむなく現在の東側のところ、交通事情も非常に思わしくなかったんでございますが、駐車場その他を考えまして第二ターミナルを東側に一応つくった。これで大体四百二十万人の人をさばく、これで東側は手一ぱいでございますので、今後の計画といたしまして西側を中心といたしましたマスタープランを書かざるを得ないという状態になっております。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 この米軍基地が返還されたのはもう三年前ですが、博多側のこの第二ビルの設計、いつからあったんですか。

隅健三運輸省航空局飛行場部長

○説明員(隅健三君) これは実際に申請が出てまいりましたのは昨年の五月でございまして、実際にやりましたのは四十五年からその計画があったようでございます。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 昨年計画が出て、もう自衛隊が三年間に返還をして、いま防衛庁長官がおっしゃったように協議をしてちゃんと保留地までつくってあるわけですよね。そうしたらもっとちゃんとあと人がさばけるように空港ビルをつくらぬことには、あなた御存じのとおりですよ、もういまのジャンボ機が着きましたら、国道をはさんで駐車場がある、もう動きがとれないんですよ、事故が起こりますよ。昨年の五月にその建設認可を持ってきたのに防衛庁とはどういう協議をしましたか。

隅健三運輸省航空局飛行場部長

○説明員(隅健三君) この点につきましては防衛施設庁に対しましても一応の西側の展開についてのマスタープランについていろいろ御相談をいたしましたが、運輸省といたしまして西側の展開につきましての最終案がどうしてもできないということで、福岡県あるいは福岡市とも御相談いたしまして、また御存じのように福岡空港には民有地がございますので、民有地の地権者の皆さま方とも御相談して、第二ターミナルまでは東側においてこれをまかなう、それ以後のものについては、さらに全体的な構想を立てて西側展開をはかっていくということで第二ターミナルを東側に建設したわけでございます。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 人の流れとか人のさばき方なんか考えてつくっておるのですかと聞くのですよ。ほとんどいまのところはもうさばき切れないのですよ。いまおっしゃったとおりだ。四百五十万人もさばかなきゃならぬが、国道をはさんで駐車場とビルがありましてね、もうおりましても何時間もタクシーを待っている実態です。しかも、あぶのうて、駐車場を出た人が飛行場に行くのにあぶのうてしようがないのですよ。そんなのわかりながらビルの建設認可を……。その前になぜ防衛庁と——こんなにまだ移転するたけの余地かちゃんと残してある、防衛施設庁とよく相談すればもっといい方法が考えられて、しかも民間も協力をして西側のほうへ、三号線に直行できるのですから、まあ次善の策としておりる客だけでも反対側におりらせる方法も考えられることができるのではないか。でないと、あの飛行場使いものになりませんですよ。どうですかね。

隅健三運輸省航空局飛行場部長

○説明員(隅健三君) 先生のおっしゃるとおりでございまして、福岡バイパスも西側のほうを通っておりますし、また博多駅に参ります道といたしましても向こうのほうが近距離にございます。そういう点は十分考慮いたしまして今後あの全体のマスタープランといたし、現在の第一ターミナル、第二ターミナルは一応ローカルの線に対する発着のターミナルとしても利用できる、将来においてはやはり西側を中心として展開をしていくというマスタープラン、いまわれわれといたしましては十分検討いたしておりまして、第三次の空港整備五カ年計画にはこれは十分盛り込んでいきたいというふうに考えております。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 先般も副知事や助役からもそういう陳情がありましたから十分ひとつ考慮して早急に実現するようにしてください。  いまのような話でありまして、これ防衛施設庁に聞きますが、さっき防衛庁長官の答弁のように、通信隊が何かおりまして、まだ兵隊が五、六名番兵がおりまして、家があります。もっと早く、保留地もあることですから、片側にちゃんと寄るような交渉をしていただきたかったのですが、その交渉の経過を御報告願いたいと思います。

平井啓一防衛施設庁施設部長

○政府委員(平井啓一君) 板付飛行場の西側に所在します運輸省以外の使用としましては航空自衛隊の使用と米軍の使用と、二つございます。米軍の使用区域は、専用区域としては面積七万六千平米で、空港全体の約二%でございます。これは御指摘のように主として米空軍の通信施設として使っております。また一部は板付空港を出入します米軍機の、米軍の連絡機等の支援のために使っております。これらの部分につきましてはいまのところ米側と具体的にこれの移設計画について話は進めておりませんが、運輸省のほうの西側地区の整備計画というものの具体化に合わせまして米側と十分今後は折衝を続けていくつもりでおります。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 もう三年ぐらい前に一回ぼくは予算の分科会で取り上げたことがあるのですよ。それから交渉してもらいたいと言うておいたのですがね。もう少しスピードを上げて、市民がちゃんと注視しているのだから、しかもこういう市や地元の陳情が毎年来るんですよ。やっぱりもっと敏感に役所は感応しなきゃならぬのじゃないですか、市民生活に。何とかその場のがれで、一年に一回ずつ国会を切り抜けたらいいということでなくて、市民にぴんぴん対応しながら対策を立てるのが役所の仕事じゃないかと思うし、三年前に一回国会の問題になったようなものは、もうここでは、これやりましたと、これこれやったがどこがネックでして進みませんとか報告しなきゃ意味ないですね。一生懸命こうやって国会で論議しましても意味ないですから、ひとつ、いままでのことは言ってもしようがないから、早急にひとつ米軍とも話して、どっかにまとまってもらう。大事なりっぱなところを、兵隊が四、五人おって家を守るようなことをせぬで、ぴしゃっと片寄ってもらって、そうしてそこをあけてもらう。そうしますと、あのりっぱな土地が国民に非常にりっぱに使えるでしょう。そういうことをひとつ希望しておきます。  それから、全般的に言いまして、あそこはやっぱり民間の航空基地として使いたいから自衛隊機も米軍機ももう使ってくれるなというのが市民感情ですね。感情だけでなくて、国民的にもそうがと思うんですが、長官も、そういう点もひとつ米軍に対しても外務省と一体になって交渉してもらいたいと思います。見解があったら聞いておきましょう。

山中貞則自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(山中貞則君) 二4(b)に基づく使用をいたしておりますので、それを全部返させるということはいまの段階ではなかなかむずかしいと弔いますが、御要望に沿い得るような方策というものはいま検討しておりますんで、最終的にはそういうことになると思いますけれども、通信施設その他については、移転の場所等についても機材等についてもやはり条件がいろいろあるようでして、それらの点はわが自衛隊の、日本国としての二4(b)使用でありますので、いまのところ、その状態でなるべく市民に迷惑をかけない努力をしていきます。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 それから、防音に対する騒音規制の法律が通りましたからそのときも論議されたと思いますけれども、防音対策を早期に急いでまいりたいというのと同時に、これは大野城市長から陳情がありましたから特にお願いをしておきますが、民間空港への移管により、市庁舎は防音装置をやる場合に国の補助を受けることができなくなった、対象とされない。学校はやれるけれども、市庁舎はやれない。市庁舎も学校も同じゃないですかと言うわけですね、市長が。だから、この市庁舎の防音装置の工事も補助をいただきたいということでありますが、いかがですか。

隅健三運輸省航空局飛行場部長

○説明員(隅健三君) この点につきましては、三月二十三日に現地を調査いたしましたときに大野城の市長からのお話も十分、私、承っております。またその前にも数回にわたりまして運輸省に返還になったときから防衛施設庁では市町村の主たる事務所の防音工事ができたわけです。現在の航空騒音防止法ではできないというお話は承っておりますし、一昨日も私のところにお見えになりまして、そのお話を伺ったわけでございます。われわれといたしましては、学校あるいは病院等の公共事業の防音工事、あるいは今度の法律改正におきまして民家の防音工事を取り入れてまいりましたが、第三次空港整備五カ年計画において騒音対策といたしまして、やはり全般的な見直しも必要ではないかというふうに考えておりますので、こういう公共施設につきましては何らかの配慮を考えなければいけないんではないかというふうに考えておりまして、現在、第三次の空港整備五カ年計画の中において、この点について検討を加えております。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 そうしますと、今度帰りまして市長に会いますが、この間の陳情については早急に陳情の趣旨が実現するといって返事していいですか。

隅健三運輸省航空局飛行場部長

○説明員(隅健三君) 現在の航空機騒音防止法の体系から申しますと、非常に限定的な規定のしかたをいたしておりますので、この点をさらにどのように改正していくか。それから予算的にはわれわれといたしまして第三次空港整備五カ年計画では原因者負担と申しますか、いろいろの騒音料であるあるいは着陸料の値上げであると、財源的に確保する見通しを持っておりますけれども、この点につきまして公共施設の追加という点につきまして五十年直ちに予算化できるかどうかについては、いま全般的な見直しをいたしておりますので、前向きの方向でこの点は検討していきたいと思いますけれども、五十年の予算要求において直ちに実現するかどうかについては、さらにもう少しお時間をかしていただきたいというふうに考えております。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 五十年の予算要求ができぬようでは、これから二年かかりますよ、そんなマン・マン・ディでは仕事ができぬですよ。この間あなた調査して騒音の実態御存じのとおりでしょう。大野城市というのは一番真下にあるんですよ、役所は。学校はすぐ付近にあって、学校の防音装置はできているんですよ、それは矛盾ですよ、同じ公共施設じゃないですか。こんなことでは答弁になりませんよ。もう二年すればあなたが担当官でなくなるかもしれませんから、そういうことでは困りますよ。もう少し、せっかくの予算委員会だから、少しぐらいは修正すればいいんじゃないですか。修正できぬような予算委員会では意味がないですよ。切なる要求であるから、陳情も聞いたから、今度この予算が通ったらすぐ検討しましょうくらいのことは答弁しなさいよ、いいでしょう、それで。

隅健三運輸省航空局飛行場部長

○説明員(隅健三君) 特定飛行場にいたしましたのは二年前でございます。騒音防止法の改正法も成立いたしました。やはりわれわれといたしましては騒音対策、これは周辺対策とともに音源対策も必要でございますが、やはり周辺対策に対して重点的に施策を行なう必要がございますので、この点につきましてはさらにできるだけ早い時期にこの点についての解決点を見出したいというふうに考えます。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 ことばはきれいだが、何を言っているかよくわかりませんが、前のほうは要りませんが、できるだけ早く、ということはもうこの予算に入れるということは無理でしょうが、通ったあとでいろいろ融通できるから融通して早急に早急にということは来年度予算なんか考えないでやるということ、検討するということ、それでいいですね。

隅健三運輸省航空局飛行場部長

○説明員(隅健三君) 誠心誠意できるだけ早くこの点は検討いたします。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 これは長官から聞いたほうがいいようだな。山中長官では無理かな。施設庁長官見えておりますか。

山中貞則自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(山中貞則君) 民港になっているんですから法律上の制約があるのじゃないか……。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 制約なんかないです、法律をつくったばかりだから。

隅健三運輸省航空局飛行場部長

○説明員(隅健三君) 第六条だと思います。共同利用施設の補助規定がございます。この点について公民館あるいは共同利用施設といたしましての部落の皆様方の寄り合っていただく施設、この中に市町村の主たる事務所が入るかどうかというのはいろいろ検討を必要とする問題でございます。防衛施設庁のほうでははっきりとその点が規定されております。この点の問題がやはり残っておることは事実でございます。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 この間、法律が通ったばかりですから論議されたでしょう。その論議の経過はどうですか。私は実は予算委員会に入っておって論議に加わっていないんですが、そんなことで法律通るはずがないんですよ、これはどうですか、その結果は。

隅健三運輸省航空局飛行場部長

○説明員(隅健三君) 学校あるいは病院の施設につきまして、それから共同利用施設、この点につきまして法律改正におきましてその御質問が確かにございました。この点はさらに検討をするということで、この点をさらに法制局あるいは財政当局とも相談をいたしまして明確にしていきたいというふうに存じております。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 今度の国会で通った法律ですから、法制局に相談も何も要りませんよ。国会でこういうふうな論議がありましたと、必要があればそれは附帯決議をつければよかったんだけれども、ついてないが、それはやっぱりこの法律をつくるときの議員のいろいろな意見を総合してお役所のほうでやはりそれを解釈をしてやってもらいませんと困りますから。私だけじゃありません。あなたも、御存じのとおりだ。一生懸命市長が陳情していましたから、これもう市庁舎だけじゃないと思います。公民館とか、あるいは公立の病院など公共の——病院には適用できますね。したがっていま私が申し上げた点をひとつ十分考慮して早急に検討してください。  最後に、春日原地区住宅地区の返還の問題で、自衛隊が一部使うということで、衆議院でも質問があったようでありますが、ぜひこれも質問しておいてくれよということでありまして、地元のほうでも非常に関心を持っていますから、長官の見解を聞いておきたい。

山中貞則自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(山中貞則君) 一部地元に、自衛隊があと半分ぐらい使うんじゃないかというそういう報道がありまして、それに基づいての御質問があったことは事実であります。私どものほうはどれぐらいということではありませんが、現在やはり司令部とか、ことに西部航空警戒管制団等がございますので、これをあそこを出ていきましてよそに求めることは御承知のとおりきわめて困難でございますので、大野城市の望まれる面積、施設、それから春日市の考えておられる施設、面積、そういうもの等もほぼわかっております。それから県庁並びに九大、こういうものは私の知る限りにおいては、大体あの敷地についての御要望はなくなったと聞いておりまして、ただ一方では亀井知事さんも反対だということを県会で表明されたということもありますから、そこで私どもとしては、現在の施設撤去ということは不可能でありますんで、現在大蔵省の所轄財産に対して一時使用をいたしておりまする分野が点在しておりまして、面積にすると相当広くなりますので、これを一応一カ所になるべくまとめられるような、一カ所とはいきませんが、西部航空警戒管制団のほうがちょっと離れておりますので、まあ比率でどうしても言えということであると、三分の一ぐらいになるかなということ、希望を持っておりますが、これは実は私どものほうできめられませんで、大蔵省のほうが審議会の議を経て決定いたしますので、われわれも陳情をいたしておるということでございます。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 いまおっしゃったとおりです、地元の情勢は。九大やあるいは県庁の敷地など話がありました。そういうほど非常にいいところで広い土地だものですから、よけいに目につくんでありますから、いわゆる軍事施設としては反対だというそういう声です。したがって、十分その点も考慮されて将来に対処していただきたいと思います。  質問終わります。

神沢浄日本社会党

○神沢浄君 私が質問を申し上げるのは三月の二十七日の予算委員会における一般質問の続きでありますが、あの際、北富士演習場における林野雑産物の補償の問題の扱いについての政府側の立場、考え方というようなものは一応お聞きしたわけであります。しかし私は何としてもまだそれでは納得がいかない点が残るのでありまして、そういう点を少しく掘り下げてお尋ねをいたしたい、こう思うわけです。  そこでこれ、施設庁の長官でけっこうでございますが、あのときのだめ押しみたいになりますが、従来忍草の入会組合の入り会い慣行について、これを現状確認し、将来に向けても尊重をするという内容の文書が政府から発出されているわけであります。たとえば江崎防衛庁長官時代あるいは藤枝防衛庁長官時代、その他山上施設庁長官、小野施設庁長官とか、これは何度にもわたって発表されておりますが、その文書は今日においても別に政府の見解が異なっておるということはないと思いますけれども、いかがですか。

田代一正防衛施設庁長官

○政府委員(田代一正君) お答えいたします。  いまでも同じように考えております。

神沢浄日本社会党

○神沢浄君 そうなりますと、入り会い慣行を認めて、それに対して政府としては林野雑産物の補償に対する算定基準というものを定めておるわけであります。したがいまして、その点からいたしますと、忍草入会組合が、これは組合側から言わせると入り合い権を主張しておるようでありますが、そのことはさておきましても、政府が入り会い慣行を現在から将来に向けて認めて、しかも政府が入り会い慣行に対するところの実損補償をするというこういう施策を明らかにしておる以上は、これは当然忍草入会組合には国に対して請求をする権利というものは、これは明らかに存在をする、こう私は解釈をいたしますけれども、その点はいかがですか。

田代一正防衛施設庁長官

○政府委員(田代一正君) 政府が従来行なってまいりました林雑補償の法律的な性格の問題だと思いますが、先生も御案内のとおり、政府といたしましては、昨年あらためて入り会い権は最高裁判所の判決が別にあったわけでありますから、それに関連いたしまして、入り会い権はないということをはっきり申し上げておるわけであります。そういたしますというと、本件についての法律的な性格は一体何かということになると思いますが、そこで以来この問題に対する政府側のものの考え方といたしましては、かつて旧軍がいろいろな条件のもとで関係住民の方にいろいろな中で下草を刈るとかいろいろなことを認めてきているわけです。それを米軍の使用状態になるに及んでそれが非常に窮屈になっておる。そこでやはりそういった行為が入り会い権という問題じゃございませんけれども、そういった阻害されている事実もあるのではなかろうか、それについて何らかの方法をとらないと北富士演習場の円満な使用はできないのじゃないか、こういう配慮ですね、いわばそういった政策的な配慮のもとで従来行なってきたのが俗にいう林雑補償、こう思います。そういたしますると、当然問題の性格は政府が政策的配慮のもとに行なってきた行政措置であるという観点に立ちますならば、地元の皆さんがおっしゃるということは、これは一つは、一つの希望とかそういう点はございましょうが、しかしながら、それでもって当然に請求権があるのだということにはならないと思います。地元の皆さん方が希望を持ちそして申請をされる、これに基づきまして防衛施設庁におきましてはいろいろな審査をいたしまして、そのあげくに補償契約書をつくります、補償契約を締結した段階でもって初めて地元の皆さんは受給の権利を取得しまた国はその金円を支払いするという義務が生じます、こういうことになるのではないかと思います。

神沢浄日本社会党

○神沢浄君 その辺がうんとおかしいところなんですよね。  それからお願いしておきますけれども、時間がきまっちゃっていますから、ひとつお答えはなるたけ簡明にお願いをしたいのですが、私などもちろん法律のしろうとですけれども、しろうとが考えてみましても政府が入り会い慣習というものを確認をして、それから政策であろうとも、その入り会い慣習の実損を受けた者について補償するという、こういう政策をとっているわけですね。そうである以上は、当然入り会い慣行を持つ者が、実損がある以上はそれに対してこの実損の補償を請求をする権利は当然その政策の中でもって生じているとこれは解釈をすることのほうが私は妥当だと思うわけでありまして、そのことを裏書きするように、忍草入会組合がかつてこの補償の問題でもって国と訴訟の関係を起こしたことがありますが、その際、昭和四十五年の二月二十七日の東京地裁の判示例で、林雑補償請求権を組合財産として取得したものと解するを相当とするという判示が明らかに出ているわけであります。ですから、法律をつかさどるところの裁判所のこの解釈からいたしましても、入り会い権の問題ではないけれども、国の政策の中におけるところの入り会い慣行を持つ者の立場でもって実損がある以上は当然請求をするところの権利というものは生じておると、こういう解釈のほうが私は妥当だと思うんですが、重ねてひとつ見解を聞きたいと思います。

田代一正防衛施設庁長官

○政府委員(田代一正君) それには、北富士問題の基本に属する問題でございまして、私も、着任以来約四カ月でございますが、いろいろ研究したのでございますが、やはり私の申し上げた解釈が正しいのじゃないかといまでも思っております。

神沢浄日本社会党

○神沢浄君 そうしないと、政府側はきっと都合が悪いでしょうけれども、しかし、私があえてくどいくらいにこの問題を取り上げておりますのは、政府はそういう考え方でもってこれを押し切るといたしましても、もっと大きな観点から考えて、行政の秩序とか、さらに言えば、行政の倫理とか、こういう上からいって私は重大な意義を持つケースだからと考えるがゆえに、あえてこういう質問を続けるのですが、そこで、法制局の方をお願いをしてありますが、法律上の問題として、解釈上の見解をひとつ聞かしてください。

角田礼次郎内閣法制局第一部長

○政府委員(角田礼次郎君) 結局、問題は、昭和三十五年あるいは三十六年あるいは三十九年、そういう時期に防衛庁長官なり、あるいは施設庁長官が地元の方といろいろ取りかわしている文書というものがあり、また、これまで部分的には支払ってきた、そういう実績というものがあることは確かだと思います。そういうものを踏まえて、すでに、この入り会い権の問題は別として、補償金請求権という具体的な債権を持っているという主張が一方でされているわけです。これに対して政府側は、そういう覚書であるとか事実というものを認めることはむろん認めておるわけですけれども、それは政府の政治的な行政的責任の根拠としてはむろんなると思いますけれども、具体的な債権というものは、やはりそういうものを踏まえた上で両当事者の間に契約が結ばれて、初めてそこで具体的なものになるのであろうと、こういうふうに政府側は考えているわけです。その点は、先日の三月二十七日の神沢委員の御質問に対して法制局長官がお答えをしたのもそのとおりなんでございますが、もらいたいという意思表示を地元の方がされまして、それに対して、国を代表して防衛施設庁がいたしましょうという意思表示をして、そこで初めて契約が成り立つ、その契約がでさればそれに基づいて債権がここへ出てくる、こういう考え方であるわけであります。むろん、何と申しますか、考え方としては二つあるんだと思いますけれども、これはそういうことをしたらいいだろうと言うわけでは決してございませんけれども、結局、そういう契約が成り立っているかどうかということについては、やはり裁判所が両当事者の意思内容なり、あるいはその当時のいろいろな客観的事情を判断して、そして最終的にきめるものだと思います。  なお、先ほど神沢委員が御引用になりましたのは、たしか四十五年二月二十七日の東京地裁の判決だと思いますが……。

神沢浄日本社会党

○神沢浄君 そうです。

角田礼次郎内閣法制局第一部長

○政府委員(角田礼次郎君) これもいろいろこまかい問題ございますけれども、やはり補償契約が成立しているかどうかということについての争いであったと思います。それは、まあこれ判決の解釈でございますから、私、断定的に申し上げるわけにいきませんけれども、いまの覚書だとか、そういうものだけでは足りないので、やはりこの場合だと、たしか三十六年の十二月かに実際に両当事者の間で、ある種の交渉文書があった、それがはたして単なる覚書といいますか、そういう一応の方針を示したものなのか、あるいは具体的な権利をそこに含めた契約であるかということがやはり争いになったんだと思います。御指摘のとおり、第一審では確かに国が負けたわけでございますけれども、しかし、それは結局、そういうものが具体的権利を発生する契約であるかどうかの具体的な解釈の問題としてやはり考えていくべき問題だと思います。

神沢浄日本社会党

○神沢浄君 また押し問答していますと、時間が限られていてなくなってしまうものですから……  ただ、この実損補償は、二十七年から始まっておりまして今日までだと相当の年数を経過をいたしているわけですね。二十七年から現在問題になっております四十二年から五年に至るまでの三年間以前に、四十一年までということになりますと十数年間というものの実績というものがあるわけですね。その実績は、要するに国とそれから忍草との間の契約が行なわれて実損の補償というものはなされてきておるわけですね。私は、やっぱり法律上の解釈から言っても、その十数年にわたる実績というものは、これは大きな根拠になっているだろうと思うんです、初めてのケースを論議をしておるわけじゃないんだから。これは家を借りておる者が、たまたま契約が更新をされないといったっても、その居住権がそうみだりに動かぬと同じように、十数年間の補償の受給をしてきておるところのその実績というものの上に立てば、私は、何といいますか、この法律解釈のむずかしさはわかりませんけれども、これは当然、裁判所でも言っておりますように、請求の権利というものは、これは生じておるというように考えることのほうが妥当ではないか、こういう認識の上に立つわけであります。しかし、そのような押し問答を繰り返しておると、これはあとの質問ができませんから、これはいずれ法をつかさどるところの判断というようなものに待つよりほかしかたがないと思いますが、ただしかし、請求をすることのできる立場にはありますね。その点はどうですか。

平井啓一防衛施設庁施設部長

○政府委員(平井啓一君) 忍草入会組合と称せられている団体の中で約二百二十三関係農家のうち、すでに……

神沢浄日本社会党

○神沢浄君 いやいや、私の聞いたことをずばり答えていただけばいいです。時間がむだになってしまいます。

平井啓一防衛施設庁施設部長

○政府委員(平井啓一君) 残り約百二十三でございますが、これらの方々が過去の実績に照らし四十二年度から四十四年度分について請求すべき立場にあられることは、われわれも十分承知しております。

神沢浄日本社会党

○神沢浄君 長官はひとつお聞きになっていてください。あとからお聞きします。  それから、あの際も問題になりました四十八年の四月三日に国と県との間でもって締結をされておりますいわゆる覚書の第三項ですか、この条項に関してのことでありますが、あの時点におきましては、すでに演習場対策協議会の加盟者では忍草入会組合はなかわたのでありまして、脱退をいたしておりますのは、それより一年前の四十七年のたしか三月か四月ごろのことだったと思いますから、その事実は御認識になっておりますね。

平井啓一防衛施設庁施設部長

○政府委員(平井啓一君) 十分承知しております。

神沢浄日本社会党

○神沢浄君 そういたしますと、またこれは私は法律のしろうとですから常識論でお尋ねをするわけでありますが、加盟していない団体の分まで、演習場対策協議会なるものが、その受給の関係についてのすべての取り組みが行なわれるような立場で、そういう覚書の締結というものができるものかどうなのか。もっと平たく言えば、委任状でも取っておけばそれは可能でございましょう。あるいはそこまで正式な手続きをとらなくても、了承等を求めてあればそれはよろしいかもしれません。しかし、何ら了承を求めることもなしに、全然そういう手続はなしに、全く関係のない者の利害にかかわるような問題についての覚書の締結ということがはたしてできるものなのかどうなのか、私はもうしろうと流に考えると、そんなことはまことにむちゃなことであって、これはもう不可能なことだと、こう考えますが、その辺の御見解はどうですか。

田代一正防衛施設庁長官

○政府委員(田代一正君) お答えいたします。  たしか、四月三日、昨年締結されたときに、この覚書の相手方は内閣官房長官と山梨県知事、御案内のとおり演対協会長が立ち会い人でございます。そういうことで、まあ山梨県知事が全体を代表したという形でもって覚書が成立していると思います。それからもう一つは、先生おっしゃいましたように、個人の権利、義務に関係することを何で委任状もなしで知事がかってにできるかと、こういう御意見じゃないかと思いますけれども、やはりこの演対協を通ずるということは、行政措置の一環としてそういうことであってほしいと、こういう御意見じゃないかと思うんですね。したがいまして、先ほど申し上げました私の法律的なものの考え方から申しますというと、行政措置でございますから、そのルートをどういうぐあいに指定するかということは、やっぱりその時点における行政目的をどうしたら最も効果的に発揮できるかという判断のもとに規律されるべき問題じゃないかと思います。したがいまして、こういうことがありまして、こういうことをもとにいたしまして、演対協を通ずるということを、行政当局として、行政ルートに指定するということはおかしくないと、こういうように考えております。

神沢浄日本社会党

○神沢浄君 私は大いにおかしいと思うんですがね。それは、なるほど締結の当事者は、国を代表する官房長官と県を代表する知事であることはそのとおりであります。しかし、問題は内容でありまして、それで、その第三項によれば「林野雑産物損失補償については、国(防衛施設庁)と、北富士演習場対策協議会との間において協議されたところにより、措置されるものとする。」と、こういうことなんですね。そういたしますと、一方に忍草入会組合なるものは全くこの演習場対策協議会とはその際関係のない立場というわけでしょう。そうすると、どういう協議が行なわれるかわかりませんが、協議の行なわれよういかんによりましては、これは忍草入会組合にとっては重大にその利害に影響も及ぶわけでありますね現在そういう問題に際会をしているわけでありますが。そうしますと、知事とそれから国と、政府との間のこれはもう形式上覚書になっておるから、まあ政治裁量というか、判断上別段の問題はなかろうというような御意見に承るんですが、事の発展していく行く手においてはこれは重大な問題が生ずるわけであって、そういうようなことを全然考慮されずに締結をされたのかどうか。これはどうもそういう問題になると、当事者の官房長官がおいでにならぬからむずかしいことだと思いますが、まあ官房長官は、防衛庁の長官にまかしておるというようなことを言っておられたんですが、しかし私は、当時の事情を考えてみて、あの当時の防衛庁の長官は増原さんですよね。山中長官はそのあとでもって交代をされているわけでありまして、私どもは山中長官がその間の事情などをそう詳しく御存じであろうとは考えません。考えないですけれども、私は確かに、これはまさか政府があれは間違いだったということもこれは言えぬでしょう。言えぬでしょうけれども、しかし、第三者を完全に納得せしめ得るような理由、根拠は私は持たない行為だったじゃないかというふうに判断をされてならないわけであります。何か法律上は第三者契約というようなこともあるんだそうでありまして、民事においてはですね、全然関係のない者の利害に及ぶようなことを全く別の立場でもって協議をしてそれを取りきめるなどということは、これは許されない。法律はそういうものは許してはいないようであります。ところが、事実上は政府と県がそういうことをやったということにもなるわけでありまして、私はこの辺の点については、済んだことはしかたがないという、こういう言い方もあろうかと思いますが、だからまあくどいくらいに私は、行政上の秩序、倫理の問題だと、こういうことを申し上げておるのはその点でありまして、そういう点でもってどうも何か政府側としてでも若干でも不自然さを感ずるということであれば、私はやっぱり今度行政の立場でもってこれは考えるべき問題だと、こういうように思うのでありますが、この点は長官どうでしょうかね。

山中貞則自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(山中貞則君) 私は心情的に予算委員会でもよく理解申し上げながら、ただ答弁となりますとああいう答弁ということに、これは既定の路線についての私の変更権がございませんし、行政裁量そのものが政府代表の官房長官の調印によってもうルートが定められましたあとでありますので、答弁も同じように繰り返しておるわけであります。相願わくんば、国のほうはお支払いいたしますという姿勢は今後も堅持いたしますので、なるべく円満にこういう林野雑産物の補償がそれぞれの各個人の方に、各家庭に行き渡るように早くする方法はないものだろうか、この点は私も真剣に考えておる次第であります。

神沢浄日本社会党

○神沢浄君 そこで、この覚書に基づいて、二十七日の論議の中でも特に取り上げましたように、現在この演習場対策協議会に委任をしなければ支払いが受けられないという事態が生じているわけであります。私はその点につきましても、そういう問題を取りきめる際には、当然これはそれによって利害関係の生ずる忍草入会組合等については、そういう取りきめに先立って私は意見を徴するぐらいの配慮というものは行政上必要じゃなかったかと、こう思うのでありますが、その辺の手続等についてはどうなっていたでしょうか。

平井啓一防衛施設庁施設部長

○政府委員(平井啓一君) 昨年の覚書が取りかわされ、使用転換が行なわれるまでの間にも、山梨県あるいは演対協は何度となく忍草入会組合、それからまた当時やはり脱退されて最近復活された北富士入会組合等にも呼びかけをされましで、こういうことで北富士の問題をまとめたいということで、ずいぶん折衝、協議されたという経過を承知しております。また覚書が成立し、逐次林野雑産物の補償が他の入会組合に支払われる経過におきましても、これと同様に忍草入会組合も早くこういった形で林雑補償が受けられるようになろうじゃないかというようなことで、再三県、演対協から話し合いをされたという経過も承知しております。

神沢浄日本社会党

○神沢浄君 そんなことはないですよね。そういう演対協に委任をしてのみというか、に限る、こういう方針をきめて、そして要綱を定めて、それは定めた後に、それぞれの入り会い団体に通知をしておるのであって、演習場対策協議会の傘下には忍草入会組合いないわけだから、したがって、そのような方針を定めるについては、傘下にいない忍草入会組合には事前にそのような連絡が、私は行政の措置としては当然必要だったと思うんですが、それはやっていないんですよ。やっていないから、かつて内閣委員会等でもって私なども取り上げてきているわけですからね。それはまあいまの御答弁を私はそのまま納得はできない点でありますがですね。それから、まあその後は、何かきめた以上はその方針で支払うから、忍草としても委任状を書くようにと、委任状を提出するようにと、こういう働きかけはしたことは事実ですね。しかし、もうきめてかかっちゃって、それからやれといったって、もうそこから問題は出発をしているわけであって、今度は組合がそのことに応じないということになりました際に、演対協が何をやったかというと、今度は個人あての働きかけをいたしましたね、個人あての、これは国が了承の上でやらしたんですか。

田代一正防衛施設庁長官

○政府委員(田代一正君) あとから聞きました。そういうことをやったということを、演対協からあとで聞きました。

神沢浄日本社会党

○神沢浄君 まあ無理にでも押えつけようというやり方ですよ、それはね、一口に言えば。もう理屈も何もあったもんじゃない。大体無理が通れば道理が引っ込むということがありますが、いま確かにもう道理が引っ込んじゃった。  それでお尋ねいたしたいのは、国はその行為については事前に関知はしなかったと、演対協からの協議もなかったと、こういうふうに私は受け取りましょう。そこで、これも従前、なくなられた山本伊三郎議員が質問主意書を通じて政府に質問をして、そして、この林雑補償の受給の資格者は、これは入り会い団体だという、その考え方が相当と思われるという答弁がありますね。政府自体がそういう答弁をしておられますね。そして、その質問に対する政府答弁に基づいて、たしか権利者協議会の会長名でもって知事を経由をして、そして政府に対して、そのことについての見解はそのとおりかという質問書を提出したものに対して、政府はすべて貴見のとおりという、こういう返事をしておりますね。まあこれは二十七日の論議の際にも、資料として読んでいただきました。ですから、政府はとにかく受給資格を持つ立場は、団体性を有する以上入り会い団体であるという見解を明らかにしているわけなんですよ、それはね。もう一回読んでいただいてもいいですがね、ただ、時間がないから、どうにもしようがないですけれども。いずれにしても、そういう経過というものを持っているわけですよ。そうである以上は、それは解釈論が、私がずばりそれは団体だと、こう言うのと、あるいは政府側は、団体性を尊重するけれどもというくらいのそれは違いはあるかもしれませんが、しかし、政府が明らかにその答弁書を通じて団体性をたとえ尊重するであろうとも、そういう意思表示をしておる限りにおいては、今回その組合を相手とせず、個人に直接働きかけをしておるというような行為を演対協がすることについては、私は政府として黙っているということはおかしいと思うんですよ。少なくとも政府とすれば、いままでの言質に対する責任の上からいっても、そのような行為は決して望ましいもんではない、適当のものではないというくらいのこれは指導措置がなければおかしいじゃないですか。それじゃ、この覚書の三条に基づいて、もう演対協に何でもまかす、どんなことをしても差しつかえない、やりたいことをやれ、こういうこととちっとも変わりがないじゃないですかね。その辺の御見解どうです。

田代一正防衛施設庁長官

○政府委員(田代一正君) お答えいたします。  ただいま先生のおっしゃった文書は、昭和三十六年の文書と四十二年の文書と両方じゃないかと思います。私、これ読んでみますと、受給資格者が、農業その他の部落民と申しますか、住民と申しますか、住民個人であるということは一貫した考え方になっておると思います。ただ、その入り会いの慣行ということもございますので、収益の源泉と申しますか、収益のあり方ということについては、団体性によって規制される、つまり、みんなで下草を刈りにいくということをいたしますというと、当然、あんまり長いかま持ってくるな、小さいかまを持っていけとか、時間は何時から何時までだよと、こういうことは当然団体性がある行為でございますから、それはあるでしょう。それによってやはり収益というものは規制されるということは書いてあると思います。しかし、その収益の帰属の対象、あるいは逆に申しますというと、受給資格者と申しますのは住民個人である、これは一貫して流れている考え方であります。それから四十二年の文書でございます。これは補償交渉の当事者ということで、組合のことを書いてあるわけであります。これは、先生御案内のとおり、当時は、昭和三十九年以降、権利者協議会というものが一応、まあこれは県が入っていないそうでございますが、できましたんですが、どうもその権利者協議会がうまくいかないという時点のもとにおいてこの四十二年の回答が出ているという状況であります。しかしながら、いずれにいたしましても、補償交渉の当事者というような形でもってとらえてあるわけでありまして、権利者あるいはまた受給資格者という角度でとらえている文書じゃございません。

神沢浄日本社会党

○神沢浄君 確かに私の解釈もそんなに違っておりません。結局、政府のいままで立ててきた見解というものは、これは確かに受給資格者はその入り会い慣行を有する農民である、こういうことであります。しかし、いまの山本質問書を通じて国が明らかにされておりますのは、その内部の収益関係等からいって、これは団体性を有する点については、それは相当であろうということを認めておられるわけですよね。入り会い慣行を有する住民の内部における収益関係は、それが団体性を有する限りにおいては、お尋ねのようなものであるのが通常であろうと、こういうふうに言っているわけですね。そうしますと、個人あて、これは演対協が働きかけて、国はそのことについての協議は受けていなかったというように言われておるわけですけれども、今度は個人あてにそれを働きかけるということになりますと、その団体内部の収益性というものは当然そこなわれますね、これは個人個人が今度は相手ということになれば。また従来そんなことやってこなかったんだから、従来もうそれぞれ入会組合を対象として——これはあるいは国は事務上の便宜手続と、こう言われるかもしれませんがね、いずれにいたしましても二十七年以降四十一年までは、形式上はなるほど国のその見解の上に立ってそれぞれ入り会い農民の委任を受けた形でもって入会組合長が処理をしてまいりましたね、入会組合が処理をしてきておるわけです。それが各個人に動きかけをしてということになりますと、その慣行はそこでもって明らかに変えられたわけでありますし、ですから私が言っておるのは、そういうことをやるについてはこれはもっと、県が、演対協がやろうということについては、またやった事実というものを承知をしたについては、やっぱり国がもっと適切な指導というものをしなければ、いままで発出していた組合との間の、少なくとも政府が公文書をもって約束をしてきておるというようなことについて、しかも——ここで拾い出すのは時間かかかりますからやめますが、何かいつかの施設庁長官の公約文書の中などには信義、誠実をもってやりますというようなことがたしかありますよね。ありますよ。この信義、誠実も何もないじゃないですか、こういうふうなやり方を放置しておくというようなことについては。私はそういうふうにいろいろの点からいって何としても割り切れないのです、この問題の処理というのは。まあ政府側がこうやって押し切る以外にはないんだということであれば、そう言ってください。私は思うに、いまの政府側の立場、考え方というのは、多少無理であろうと、強引であろうとも、いまはもうこうやって押し切って、もっと極端に言うと、あの演習場に反対の運動を続けておる忍草入会組合をこの際ひとつこれをつぶすんだと、こういうことであるならばそう言ってください。私にはそういうふうにしか解釈がつかない。もう支払いの問題についてもああやってあれでしょう、できないことを無理に押しつける。私はきょうの質問の中で時間がとれませんから、いずれほかの機会にしようと思うのですが、私の聞くところによれば、いま四十五年以降の調査をやっておられるようですね。この調査などについては、公正を期するために従来はその道の専門である学者などを委嘱をして第三者機関を通じてやってきたようです。ところが今度はもうほとんど実質的には国と演対協がやってると、こういうようではありませんか。どんな調査結果が生じてくるか、これもおそらく私は思うに、その政府の考え方に反対をしたり抵抗したりする忍草入会組合についてはきわめて不利益なものが生ずるかもしれないというふうに考えておるところであります。まあそうであるとするならば、申し上げたように、この際ひとつ政府にとってきわめて不愉快な存在である忍草入会組合などというものは押しつぶしてしまおうというための措置だと、こういうことであれば事はまことにはっきりします。まあ、そうですかと聞いてもそうですとはおそらくおっしゃらぬでしょうけれども、私にはそのようにしか受け取れないわけであります。  時間が来てしまいましたから、最後、私、長官に質問ということよりか、私の意見を申し上げて、そうして御見解を尋ねておきたいと思うんですが、お聞きのように、とにかく不自然で不明朗な経過であることは、私は間違いないように思っております。それてもう前段の——調査の問題というのはあとからの問題になりますが、前段の支払いの問題については、四十八年度のまあ予算終わってしまいましたし、一段落ついちゃったという点だと思います、百二、三十名くらいのその支払いを受けなかった人たちを残して。そして一応もう四十八年度予算は終わったんですから、この四十二年度から四十四年度に至る過年度分の支払いの問題は一段落ついた、こういう時点だと思うわけであります。ですから、まあさっき私の申し上げるように、長官はその後かわられたんだし、覚書締結当時の事情等について私は長官を責めようなんという気にはなれません。ですけれども、その覚書がもたらしたこの過年度支払いの問題については予算年度の終了とともに一応の段落というものがここにあるわけでありますから、これからは私は、今度いわゆるその長官のあの覚書にそこまで拘束を受けなくてその事態の解決というようなものを考えていかれる時期というものも出てきているんじゃないかというふうに私は考えるのでありまして、私なども別にただ、こうやって忍草入会組会を代弁するような立場で質問はしておりますが、そういうことにのみ別段私自身としても考えているわけではありません。ただ、国の行政の上に立って、大切な行政の秩序、行政の倫理——先ほど申し上げたんですが、そういう点について私は非常に重大に考えるからであります。そういうような点て今後ひとつ——まあ長官かつて内閣委員会での御答弁の中で、別に思想、信条などというものにかかわるものではないと、検討したいと、こうも言われておるわけでありますから、私はまあ新たな時期においてひとつ検討をしていただくことを心から要望してやまないんです。私の考え方を申し上げて、一応長官の御意見を聞いて終わりたいと思います。

山中貞則自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(山中貞則君) 私はよくわかりますし、思想、信条等によって法律でまず差別をしてはならないことは憲法の定めるところであります。したがって、法律で禁止されてることを行政でやることもこれまた単に、道徳、倫理とおっしゃいますが、それ以前の問題としてやってならないことだと思うんです。ただこの場合は県、市、村——忍野村も入っておりますし、さらにまた忍野忍草入会組合の中で当初からその中に入っておられる方もおられるというような事情等もございまして、残られた方々の中で繰り越し予算の年度末を控えて若干の混乱が起こって、たいへん部内では御迷惑がいろいろとあるようだということも知らぬでもありません。これは決して国の行政として、やっつけてやるんだとか、自分たちがそういうつもりで初めからやったんだとかいう、そういう非情な気持ちは全くございませんで、でありますから、やむを得ないことであったが、しかしこれは将来もその人たちにお支払いができるように、五十年度予算では大蔵大臣も承知の上で予算化いたしますということでいたしておりますのて、その間に——また今度は日にちが若干てきてきました、逆に。その間に相願わくばその問題と支払いの問題とは別で、思想、信条に関係なしに受け取ろうというようなことにもしごあっせん願えればたいへんしあわせに存じます。

嶋崎均自由民主党

○主査(嶋崎均君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕

嶋崎均自由民主党

○主査(嶋崎均君) 速記を起こして。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 装備問題を中心にちょっと長官に伺いたいと思うんです。まず最初に、四十八年度の予算に計上された主要装備の契約状況について、装備局長に伺いたいと思います。

山中貞則自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(山中貞則君) これは報道もされましたんですが、資材、人件費その他の値上がりが実は予算単価と大幅に狂いまして、でありますから、契約を年度持ち越してもなお今後交渉の余地のあるもの等々については、DKK、DSS等について全く残念でございますが持ち越しをいたしました。これは前例がないことではありません。しかし、国庫債務負担行為で年度内に契約を終わらなければこれは大蔵省に返上しなければならないものがございまして、これはもう三月三十一日が日曜でございまして、たいへん困ったんですけれども、日曜まで関係者全部最後まで努力をいたしましたけれども、最終的には各種スペックダウン等もいたしてみましたけれども、LST、輸送艦の小型について一隻建造に着手することが、契約をできなかったということで、大蔵省に約二億円の一隻建造不可能になる分についての予算上の返納措置をとった次第であります。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 装備局長からもう少し具体的に六一式戦車とか、当初の予算予定と実際に契約した金額、ファントムまで含めてお願いしたいと思います。

山口衛一防衛庁装備局長

○政府委員(山口衛一君) ただいまの大臣の概括的な御説明のとおり、主要なものにつきまして、一部継続費関係につきまして契約を繰り越したもの及び主要なものについて調達を中止せざるを得ないとなったもの、これにつきまして申し上げましたが、主要なものについて簡単に、全部触れますと非常に時間がかかりますので、申しわけありませんので、主要なものだけにつきまして概略を申し上げます。  甲類装備品のほうでございますが、全般的に甲類は小銃、機関銃とか、六一式戦車、これはすでにかなり長期にわたりまして調達を継続しているのでございます。こういうものにつきましては、全般に言いまして、材料手配を比較的かなり早くからやっぱり進めておりますということ、それから工員の完熟度等もかなり高くなっているという点におきまして、個々の部品その他につきましては幾分値上がりはあったんでございますけれども、企業内部の努力を続けさせまして、合理化努力によりまして何とか予算範囲内でおさめるように、両者とも最後までつばぜり合いの商議を続けまして、ようやく何とか予算内におさめるということが可能になりました。ところが、装甲車及びけん引車につきましては、これはいずれも七三式という称号をとっておりますが、御承知のとおり、四十八年度から新たに調達を開始するものでございました。こういうものにつきましては、単に予算は認められているものの実際にどの程度でやっていけるか、その仕様等につきまして四十八年度の初めから防衛庁と関係企業との間でかなり積極的な商議を継続してまいりましたが、なかなかその途中におきまして、たとえば昨年十月以降の石油等の値上がりによります非常な物価高騰及び人件費のアップ並びに特に購入部品等を関係の部外企業から……

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 簡単でいいや、大きな主要の分。

山口衛一防衛庁装備局長

○政府委員(山口衛一君) はい。それらにつきまして、七三式装甲車とけん引車につきましては、当初予定の金額を実際にはなかなか達成することが不可能になりました。したがいまして、装甲車におきましては、当初予定三十四両とにかく全部調達するという予定で、約十七億円の予算に対しまして二十一億円の経費を出すようになりました。けん引車につきましては四十五両の当初予定でございましたが、これを十両削減しまして三十五両にしまして、二十九億円の予算範囲内で何とかおさめるようにいたしました。  以上が甲類装備品でございます。  艦艇でございますが、艦艇につきましては、おもに二年及び三年の国庫債務艦艇、これが七隻ございますが、この中で小型輸送艦を一隻除外いたしましたが、その他につきましては輸送艦、大型輸送艦におきましては大体総額十九億円で契約をいたしました。その次に掃海艇でございますが、掃海艇は二はいございますが、いずれも幾分値上がりをいたしまして、中型掃海艇につきましては三十一億四千万円の予算に対しまして四十億円で契約をいたしました。小型掃海艇につきましては七億一千万の予算に対しまして八億二千万円で契約をいたしました。魚雷艇につきましては十二億七千万円の予算に対しまして十三億円で契約をいたしました。大体以上のとおりでございまして、その他支援船はその範囲内でおさめております。  航空機でございますが、航空機におきましては大体値上がりは——失礼いたしました。先ほどの輸送艦、大型輸送艦につきまして数字が間違えましたので訂正いたします。大型輸送艦は予算が三十三億円でございますが、契約は三十九億円で締結をいたしました。  次に航空機でございますが、航空機のほうはやっぱり全般的な値上がりはいたしかたありませんでしたが、ほとんどのものを大体一〇%前後程度におさめるように努力をいたしました。ただ、F4EJにつきましては、四十六年度に契約して以来四十七年度一年間あいておりまして、四十八年度に今度契約が二年目で行なわれたわけでございますが、これは二十四機総額五百五十六億一千万円の予算に対しまして、何とかこれをできるだけの企業努力と部品等のできるだけの手配を積極的にさせるということによりまして予算の範囲内でおさめることができました。したがいまして、これは年率にしまして七・三%アップということでやっております。これは現実にいままですでに数十機を当方に納入しておりまして、第三回目の契約でありますので、その辺の有利さは確かにあったかと思います。  大体以上が主要な物品についての調達状況でございます。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 長官、この予算オーバーして部品を落としたとかあるいはLSTですね、これを予算返上したと、そうしますと、その分の差ですね、これはいつどういう形で埋めるような考え方ですか。

山中貞則自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(山中貞則君) 自走浮橋とかそういうようなものを見送ったものもありますし、ことに四次防中に建造する艦艇の隻数の中に入っておるもの等もございますので、これはたとえば小型輸送艦等については、五十年度以降四次防中に調達を行なえば大体国会に対する私どもの御説明に沿い得るものと考えておりまして、しかし予定した年度に調達できなかったということはたいへん申しわけがないことだと思っております。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 まあ計画はできないほうがこっちはいいんですけれどもね。それでたとえばその問題ともう一つ、四十九年度の予算に計上する予定であったFST2改等を含めた戦車ですね、こういう問題についての計上もやはり四次防の範囲内の期間にやるという計画ですか。

山中貞則自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(山中貞則君) これは一年見送っただけでございますので、たとえば戦車は、御承知のように百六十両の一括調達契約を四十両にしただけでございます。FST2改については、これは確かに見送りましたが、昭和五十年度予算で入れればそれでもって四次防中の目的の達成はできるということでおるわけであります。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 そうしますと、五十年にたとえばこれを発生するとしますと、生産工程からいきますと、やはり四次防のこの五十一年完了までの間に、あるいはそれ以後のいろいろの計画に防衛上非常にある意味では構想が狂ってくるんじゃないですか、その点についてはいかがですか。

山中貞則自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(山中貞則君) これは大きな声では言えませんが、と言ったって速記がついているのですから……。ですけれども確かに隊の編成その他について若干の操作が必要になります。そのために超音速練習機のT2等の編成等を前倒しにいたしまして、それでもって部隊の編成等が不測の事態が起こらないようにいたしておりまして、確かに不足年度が一年ずれるという点は国防上の配慮という意味から言えば慎重な今後の検討を必要とするできごとでございます。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 そうしますと、その具体的な防衛上の計画ですね、この問題についてはもう実際発注は三月三十日に終わっているとか、あるいは五十年以降にやるという問題も、具体的なもう煮詰めはできていると思うんです。これについて具体的に、いま構想の一端を、裏話をされましたけれども、実際に五十一年までのこの四次防の計画に相当な狂いが生じた、あらためて改定をし直すとか、あるいは年次の繰り下げをするとか、期間を延長するとか、そういう考え方にその検討が入っているのか。

山中貞則自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(山中貞則君) 金額の面では狂いが生じた、これはもう石油の例一つをとってみても、予想していなかったものでございますから、それはあると思います。しかしそれは全体的に、防衛庁だけが見舞われた突然の影響ではございませんので、全体として見直して、新しい日本の経済体質諸元というものがまとまってまいりますと、それに沿って国の総予算というものも変わりましょうし、国のまたその総予算中の国防費の比率というものも、特別に、国民の諸負担、優先すべき教育とか社会保障とか公共社会資本の充実とか、そういうものに御迷惑をかけない範囲の中で予算的にも処理できるのではないかと見ておりますが、まだはたして日本経済がどのような状態で落ちついてさらに発展を続けていくのか、どのぐらいの発展の経済のスピードになるのか、そこらは政府部内においていま検討中の問題でございます。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 しかし、四十九年度計画に入ってない、あと四次防完成まで五十、五十一ですね、この二年間の間ではたしてその見送った分の予算計上が五十年、五十一年に行なわれれば、やはりその年度に占める防衛予算というものは相当膨大になってくると思うんです。この問題が、日本経済の発展といった面からいくと、遠い五年先、十年先の問題じゃなしに、もう二年先の問題ですね。この問題をやはり上のせするとなれば、やはり単年度の、この五十年度あるいは五十一年度の防衛予算は、一般会計予算の中に占める比率というのは相当膨大になってくるんじゃないかと思うんです。そうすれば、これはやはり国民的な考え方からいってもこれは許されるべき問題では私ないと思うんですけれども、その点いかがですか。

山中貞則自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(山中貞則君) これは公共事業を中心にする総需要抑制の一環というものが、私どものほうでも率先協力しなければならない、あるいは自分たちでやらなければならないという考え方で、予算額としては百億に満たないものなんですけれども、総需要抑制の効果は千八十八億に達するというようなものについて重点的に見送ったわけでございますから、道路とかその他の港湾、一ぱいございます、そういうもの等の来年度予算の取り組みの姿勢いかんによって、私どももその同じ姿勢をとっていくわけでありますので、したがって、四次防達成というものが、自衛隊の費用のために、その配分が著しく国民の必要とする予算を食ってしまうというようなことのない限度の中におさまるものと見ておりますが、まだこの見通しは現時点ではちょっと立てにくいという感じです。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 確かにいろいろな問題はあると思いますけれども、たとえばこの総理需要抑制が緩和される、この秋以降はですね。そうなった場合に、いま五十年度の予算にそれと並行して上積みをするという形に防衛予算としては考えているわけですね。この点もう一度。

山中貞則自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(山中貞則君) 防衛庁は目に見えない国家の自衛権の目に見える存在でございますので、これは国家そのものとして、国家の姿勢の示すところに従っていくということでございます。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 防衛構想の問題については、いまいろいろ、時間がありませんから、具体的にまた別な機会に伺いたいと思うけれども、もう一つの問題は、やはり石油の値上げの問題で、実際に今度防衛上の問題ですね、これが実際四十九年度百二十二億ですか、艦船とかあるいは航空機の予算計上が。はたして石油会社がいままで納入している石油の金額のどの程度アップを要求し、この運営上どの程度までまかない切れるのかどうか、この点についてはどういう考え方を持っていらっしゃいますか。

山中貞則自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(山中貞則君) どうもたいへん痛いところをつかれたわけですが、これは予算編成時においては新しい石油価格というものがきまっておりませんでした。混迷状態の中で、量はだいじょうぶらしい、かといって外貨その他から考えれば、量も、たとえば国の年間では三億五百万キロリットルを使う予定であったものが、結果は大体二億八千を切るくらいのところにまでは来たのでありますけれども、それらの混迷状態の中で、一応の数量を私どもは昨年は六十九万五千キロリットルというもので、節約をしても六十七万キロリットルという予定でおりましたものを、それを四十七年度実績の六十四万キロリットルをさらに五千キロリットル下回る六十三万五千キロリットルに押える、量の面でも努力をしよう、実はこれは単に七四年に五千キロリットル足らないばかりではないのでありまして、ファントムの消費する燃料が三・七倍になるとか、機数がふえるとか就役艦艇がふえるとかで、それだけの要因でネット四万トンはどうしても上のせしなければならない。しかしそれものみ込みまして六十三万五千キロリットルにいたしました。これは量の問題です。そしていま御指摘の価格の問題はJP4等の主燃料について百十一億ということに——それか六十三万五千キロリットルでありますが、総燃料費でも話がありましたが、百二十二億である。じゃ先般、その後きまった新しい石油価格というもので計算したらどうなるかといいますと、これは途中でエンストを起こしちゃうことは間違いありません。そこでこれは大蔵省のほうでも、私どもの省だけじゃございません、おそらく海上保安庁その他もあると思います。これ全体を踏まえてみまして、ランストその他等を食ってしまってもなお足らないかどうか、あるいはランストゼロで年度当初を迎えてすぐに油は入りませんから、そういう状態があっていいかどうか、これら今後の問題点として詰めたいと思いますが、たいへん機微に触れた貴重な御質問である、私はそれだけにちょっと答弁がたいへんしにくかったという点でございます。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 これはあとでファントムを聞きたいと思っているのですけれどもね、一時間飛べば八十万円ですか、燃料を使うわけです。ファントムはどんどんふえてきているわけですね。三月三十一日までに二十四機導入になっているわけです。こうしますとさらにそれを友好的に、たとえば友好のために、ファントムをつくった立場は違いますけれども、皆さんのほうはそう考えているわけです。それをさらにこの石油高騰の中で、これだけの予算ではたしてそれだけのファントムを運用し切れるかどうかという問題こう考えたときに、相当な補正予算というか、あるいは今後の大蔵省との油調達のための防衛庁資金獲得という問題が非常に大きな問題になってくると私は思うのです。この点はどの程度、いままでの石油の価格の問題あるいは具体的にもう四月からの契約はできているのかどうかですね、アップした分の石油価格は算定ができて、契約書がかわされているのかどうか、この問題等も含めてお願いしたいと思います。

山中貞則自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(山中貞則君) 三月までは十二月単価で幸い契約はできました。四月については目下いま折衝中であると思いますが、事務当局から答弁させます。  ファントムが燃料をよけい消費する飛行機である、それがふえてくるのではないかという問題は、これは日本ひとりが近代的な装備の革新される中で、持っている以上は、何の役にも立たないことがわかっているものを持つわけにいきませんので、やはり更新その他をしていかなければなりませんから、しかしそれについても量の面ではそれらをのみ込んで六十三万五千キロリットルでいこうということで、その中におさまるように、石油需給適正化法に基づく通産大臣に提出いたします四月の消費分というものもちゃんときちんと押えて、その中で消費できるようにいたしております。でありますから、残るのは、買い得る金額は一体いつまで買い得るのかという問題で、これは先ほど申しました横並びで今後検討していきたいと思います。

山口衛一防衛庁装備局長

○政府委員(山口衛一君) 主燃料の単価につきましては、大体平均しまして四十八年度の上期に契約した分に対しましては、約五割程度の上昇を示しております。ただ大臣お答えになりましたように、下期におきましては大体その線で平均して買いましたが、四月以降におきましては毎月毎月の契約になります。しかし、私どもの見方では、やはりこの三月に契約しました分は、これまでずっと一月以降、十二月以降の金額でまいりましたが、やはり四月以降におきましては、新しい先般の油の全般的なアップ、たとえば平均しまして八千五百円でございますか、このようなものが当然付加されると思いますが、私どもはできるだけこれまでの契約を各社と続けまして、最大の努力をいつもさせておりまして、一般よりもできるだけ安い値段で買うようには努力はしております。しかしながら、四月以降におきましては、やはりこれに対しましてかなりのアップになってくるということは考えなければならぬというふうに考えております。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 このかなりのアップは、大体防衛庁としてはどのぐらいまで要求をされているのか、いまの折衝過程でいろいろ問題点はあると思いますけれども、何%ぐらいアップを要求してきているんですか。

山口衛一防衛庁装備局長

○政府委員(山口衛一君) 私どもが購入します場合は、油の場合は随意契約でございませんで、常に指名競争入札契約をとっておりますので、私どもは当然予定原価を出しますが、しかしながら全然オファーがありませんと、私どもは一リットルも入りませんので、どうしてもやはり最低値から購入せざるを得ないと思います。その場合には、やはり市価のアップ率よりも幾分下がった程度というようなところに落ちつくのではないか、そのように努力したいというふうに考えております。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 その問題、じゃ時間がありませんから、あとでまたいろいろ具体的に聞きましょう。  こういう油の問題だけではなしに、装備品等も含めて相当な予算アップになってくると思うんです。そうしますと、この四次防の五十一年までに組んだ四兆六千三百億ですか、これのワク内にはとうていおさまり切れないんじゃないか、人件費のアップ等も含めて。いかように考えてみても、この四次防のワクの中のこの金額では私はおさまり切れるはずはないと思うんですね。こうなりますと、四次防の構想はそれでいくけれども、期間や予算と金額等についてはそのワク外へはみ出す、こういう計画で長官はこの四次防構想を進めるのかどうか。

山中貞則自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(山中貞則君) 期間の問題はちょっともう少し模様を見ないとわかりませんが、予定どおりいきたいと願っております。  それから金額の問題は、いまおっしゃった様相も確かにございますし、さらにもう一つ頭の痛い問題は、本土の場合においては、リロケーション等の要求があって基地が整理されましても、大蔵省の特特会計といわれております歳入を伴うものなんです。ところが、最近は沖繩にずっとこれが重点が移ってきまして、沖繩は御承知のように全部個人に返さなきゃならない。そうしますと、もちろん特特の財源にならないわけでありますから、これは全部歳出面ではいわゆるその年度の防衛予算ということになってくるわけであります。広い意味の防衛予算でありますが、何ら変化のないのに代替施設だけの金額が上積みされていくことについて、どうも私どもとしては、やらなければならないことであるが、防衛予算のあり方の内訳としてどうだろうかということで、大蔵とことしも相談は一応してみたんですけれども、なかなか財政上の仕組みが問題なものですから、これは次の年度の会計年度では、大蔵ともう少し話を詰めて何か方法はないかということを考えてみたいと思いますが、しかし、御指摘のようなベースアップ等を入れていない四兆六千三百億でございますから、これはもう金額は上回るであろうという点はおっしゃるとおりだと思います。     —————————————

嶋崎均自由民主党

○主査(嶋崎均君) この際、分科担当委員の異動について御報告いたします。  ただいま上田哲君及び小柳勇君が委員を辞任され、その補欠として鈴木強君及び戸叶武君が選任されました。     —————————————

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 そうしますと、基地周辺整備等、これはいろいろな問題点があると思いますけれども、その予算を横にずらして、防衛予算のほうをかさ上げしないような方向で装備の充実をはかっていく方向で防衛庁長官としては考えていると、こう受け取ってよろしいですか。

山中貞則自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(山中貞則君) ちょっと違うんです。基地周辺整備法の新しい法律というものは直接関係はございません。それはそれなりに充実をしなければならない周辺対策でございますが、私の言っているのは、基地縮小という要望にこたえていきます場合に、沖繩の場合には、大蔵省の特特会計の財源として入ってくる収入が全くほとんどと言っていいほどない。個人の所有地に返る。この点がもろに歳出面で、一般会計から、防衛庁の結果的には年度防衛予算の総額の中に入ってくる。この点が、このままいくべきかどうか、手段がほかにないかという相談をしておりますが、まだ有効な手段が発見できないということを言ったわけであります。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 そうしますと、四次防以後において、これは長官が表明していたのかどうか、真偽のほどを私確かめておりませんけれども、単年度計画を進めるという、そういうふうな構想が何か防衛庁の中にあるという、あるいはきょうの新聞等にも、防衛構想の改定をいろいろ検討されているそうでありますけれども、単年度予算にするとさらに予算が膨大化するんじゃないかという、私たち非常に危険を感ずるわけですね。こういう問題については長官としてどう考えていらっしゃいますか。

山中貞則自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(山中貞則君) これは、単年度予算と私が言っておりますのは、全体を単年度で、結果積み重ねてみると、過去の三次防、四次防、総額幾らであったものに対して結果幾らになっておることは五年目にわかるというようなことをやってごまかそうという意味じゃないんです。それは人件費とか食料費とか被服費とか、そういうその年々で実人員に対して調達予算を組むものについては、これは普通の単年度の人件費予算でいいじゃないか。そういうものと、別途、シビリアンコントロールとして国会が最終の、最高の場でありますから、やはり相当長期にわたり、巨額の費用と、また装備等の性質によって、国会に御報告申し上げその可否を御審議願うことが絶対に必要であって、そのつど、単年度ちょびちょび頭出しをしていくことがむしろシビリアンコントロールの精神に逆行すると思うような問題については、これはやはり長期計画というものを、三年のものもありましょうし、五年のものもありましょう、そういう意味でまあ組み合わせを考えているわけです。かといって、私は、その中にうまくそれをくぐり抜けてやっていこうというような気持ちは全く持っていないということだけは知っていただきたいと思います。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 それでは、もう一つの防衛生産委員会ですか、あるいは経団連の各委員会から、特に防衛産業のほうから、すでに契約した分の納期の遅延の問題とかあるいは価格の再検討をしてくれとか、あるいは輸入部品の為替差損の問題であるとか、あるいは価格の流動的な問題をもう少し検討せいとかいういろんな突き上げが防衛庁のほうにきて、いろいろいま検討に入っているという状況があるわけでありますけれども、何か防衛産業がとにかく押しまくって防衛庁を動かそうという、こういう考え方で、特に既契約分についての納期が相当遅延するんじゃないだろうか、あるいはこういう問題で相当またコストアップをしようという一つの大きな動きがあるという、こういう問題に対する長官の考え方はどうですか。

山中貞則自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(山中貞則君) 私は防衛産業から直接意見を聞いた機会はありませんし、持とうとも思ってもおりません。でありますが、防衛産業の言わんとするところは、おそらくスライド制というものではないかと察しております。しかし、これは一般の他の国家の諸資材調達その他について、スライド制という思想がまだ取り入れられておりませんし、したがって、将来上がっていくものだけを考えてスライド制を考えていくとすると、下がった場合においても当然にそれを受け入れる用意がなければならぬのですが、いまのところ、そういう要因がないものですから、都合のいいことだけ言っているんだろうと思いますけれども、そういうような防衛産業の意向というものに沿って自分たちが作業をしようという気はありません。でありますから、どうしても私たちのぎりぎりの、これ以上は譲れないという単価で向こうがなおがんばる場合においては、先ほど申しましたLSTの小型については調達を断念する。そして、四次防中の五十年か五十一年度予算で考えようということに変えている実績が示しますとおり、無原則な妥協、無制限な妥協ということは絶対にいたしません。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 まあ、見送ってもいずれはつくるということで、防衛産業のほうは安心はしているわけですよね、考えてみれば。それほど防衛庁としてもずさんなことをやっていないと思いますけれども、やはりこういう問題は国民から非常に関心の持たれている問題でもあるし、そういう防衛産業に押しまくられた国税の乱費ということのないように、厳重に注意していただきたいと思うのです。  次に、私ファントムの問題にいきたいと思うのですけれども、二十四機のファントムの最終納入が三月三十一日だったと思うんです。これは完全に納入になったのか、そして配置計画はどういうふうになっているのか、それを。

山口衛一防衛庁装備局長

○政府委員(山口衛一君) これまで契約いたしましたものにつきましては、すべて契約期間どおりに入っております。先生御指摘のとおり、この三月三十一日までに私どもは三十四機納入をさしておりますが、一機事故がありましたので、現在三十三機保有しております。計画どおり入っております。

久保卓也防衛庁防衛局長

○政府委員(久保卓也君) いまの三十三機の配備の内訳でありますが、三十三機のうち、百里にあります第七航空団に二十八機、この部隊の編成は本来二十二機でありますが、六機予備機としてあります。それから、浜松にあります第一術科学校、ここに教材として三機、それから実験航空隊で各種のテストをやるために、岐阜にありますが、二機配備しております。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 これに対するパイロットの養成計画ですね、はたして、この二十四機、それからまた八十四機、二十六機とこうつくるようになっていますけれども、このファントムのパイロットの養成計画は、これはどういうふうになっておりますか。

大西誠一郎防衛庁参事官

○政府委員(大西誠一郎君) ファントムのパイロットの現在員は、昭和四十九年三月末現在で四十二名でございます。で、これは御承知のように昨年五月に事故がございまして、事故の調査及び安全対策のために約三カ月おくれましたので、当初の計画よりも十数名おくれております。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 飛行機は納入されたけれどもパイロットがいないということで、予備機が六機も実際に飛べないような状態でいるのじゃないですか。その点いかがですか。

大西誠一郎防衛庁参事官

○政府委員(大西誠一郎君) 現在はファントムのパイロットを養成する時期でございまして、第七航空団に三十三機ございますが、この飛行機を使用いたしまして、ただいま申し上げました四十二名のうちの二十数名が、教官パイロットといたしましてパイロットの転換教育を鋭意進めている状況でございます。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 パイロットの養成計画、これ詰めておりますと時間がありませんので、これは突っ込みませんけれども、実際に飛行機は納入されたけれどもパイロットがいないということで、非常に防衛構想上からいっても、何だかこれトンチンカンのような問題になっていると思うんです。  で、その一つの例が、ファントム一機墜落しましたね、三菱重工でつくった国産機第一号が。この問題に経緯と、そのときに、落ちたあと三カ月間総点検したと思うのです、納入された品物について。それについて約十三点ばかりの欠陥が出たと思うんです。その内容について。

大西誠一郎防衛庁参事官

○政府委員(大西誠一郎君) 五月一日のファントムの事故は、パイロットが殉職をいたしましたし、航空機も海没をいたしました。したがいまして、直接物に当たって原因を究明することはきわめて困難でございましたが、事故の目撃者の証言とかあるいは米国の事故例とか航空機の構造等を勘案いたしまして、事故の原因といたしまして、ブリード・エア・ダクトの破損あるいはエンジンの損傷によって燃料系統等が破壊をされ、そして非常な多量の燃料が漏洩をすると、そういうような問題が複合して空中爆発をしたか、あるいは燃料系統等の破損によって多量の燃料が漏洩をするのと、ブリード・エア・ダクトの破損あるいはエンジンの損傷が同時に発生をするというようなことで瞬間的に空中爆発を起こしたというふうに推定をいたしております。  これに対する自後の措置といたしまして、当時部隊にございました十一機の航空機と、会社にございました九機の航空機について点検をいたしました結果、部隊におきましては、十一機のうち五機について不ぐあいを発見いたしましたし、会社におきましては、九機のうち四機について不ぐあいな事故がございました。これにつきましては、部隊における点検、検査の強化といたしまして、燃料系統、配管、配線類、ブリード・エア系統及びエンジンについての点検間隔の短縮、あるいは新規点検項目の追加という措置をいたしております。また、会社におきましては、燃料系統、配管、配線類、ブリード・エア系統及びエンジン等についての点検確認方法の改善等を指示いたしまして、安全対策につとめたわけでございます。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 時間が来てしまったようですけれども、このファントムの欠陥ですね、この問題等を含めて、四十九年の予算にファントムの修理費が二十億組まれておると思うのですね。この問題について、この修理はどこへ発注するようになっているんですか、オーバーホール等を含めて。

山口衛一防衛庁装備局長

○政府委員(山口衛一君) オーバーホールにつきましては、私どもはこれはオーバーホールが技術的にできる企業をすべて集めまして、特定日時におきまして見積もり合わせを全部出させておりまして、決してその間に不公平な差別取り扱いがないというような原則を維持しております。F4の場合にも、昨年の三月十二日におきまして、午後一時に、この場合には三菱重工と日本飛行機から総経費をとりましてやりましたが、その結果、かなり低いほうが取りまして、三菱重工にきまりました次第がございます。今後におきましても、私どもは飛行機のこのようなオーバーホール、修理につきましては、できるだけそのような低コスト及びできるだけ技術的な能力の高いものというような角度から、厳正な判定を下していきたいというふうに考えております。

三木忠雄公明党

○三木忠雄君 しかし、私、去年の予算委員会でよ六一式戦車の三菱重工の修理の問題で指摘したんですけれども、ファントムもやはり三菱重工でつくり、こういう欠陥機が出、それで最終的に修理は三菱重工、これが二十億計上されるという形になりますと、何でもかんでも、とにかく、どこに欠陥があるかといったら三菱重工内で全部この処理をしてしまうという問題で、やはり日本飛行機ですか、あるいは川崎重工なり、いろいろ金額的な指名入札という形になっているにしても、われわれどうもふに落ちない問題があるわけですね。こういう修理の問題等については、やはり共同でやるというわけにはいかないかもしれませんけれども、三菱重工なら三菱重工に独占さしてしまうということ自体が、やはり欠陥の発見という問題も出てこないし、結局はこういう問題が二人の事故者を出してしまうような悲惨な結果にも、今後もまた出てこないとも限らないわけですね。こういう修理の方法という問題については、もっとやはり国民がもう少し納得のできるような姿でファントムの修理なんかは考えなければならないんじゃないか、こういう問題を含めての長官の答弁と、もう一つは、これはもう時間がありませんので答弁だけをお願いしたいと思うのです。  FXの導入問題について。これは非常にいま商社、元空幕と前空幕が争いをするとかいうような、いろんないやなうわさが出るわけですね。こういうFXの導入計画等の問題については、もっとやはり国で直接こういう問題、もし輸入するとなっても、こういう商社がとにかくいろんな材料を提供し、とやかく言われるような姿を与える、昔のロッキード、グラマンみたいな、こんな問題が起こるような姿はないように、導入計画はもう少し明確な方法でできる方法はないかということなんですね。この点についての答弁を伺って、私質問を終わりたいと思います。

山中貞則自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(山中貞則君) この修理の問題は、やはりつくったところで修理させませんとかえって危険だと思います。しかし、その他の初めからの姿勢ですね、研究の段階から始まる。これをいまいろいろと装備局長にくふうさしておりまして、事実、二件ほど、本来ならばたぶん随契でいかざるを得なかったであろうと思われるものを、三社ぐらいに広げることによって、これがやがては三社競争の条件ができるようになってきますから、そういうこと等も配慮いたしておりますが、今後そういう姿勢については十分、戒心していきたいと思います。戒めていきたいと思います。  さらにFXの問題は、これは四十九年度中には問題に実はならないわけでありますが、その姿勢については、まさにおっしゃるとおりの考え方で、せっかく国民の血税で、もし輸入するという国防会議の決定があれば、それについては姿勢をきちんとした姿でやりたい、そう考えております。

嶋崎均自由民主党

○主査(嶋崎均君) 速記をとめて。   〔速記中止〕

嶋崎均自由民主党

○主査(嶋崎均君) 速記を始めて。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 私は四次防の問題を中心に質問しますが、その前に、ちょっと北富士演習場に関係のある問題で、事務当局から若干お伺いをしておきたいと思います。  第一は、問題になっておりますこの東富士有料道路の路線の決定のことですが、建設省はいままで標高一千メートル近くの演習場の中を突っ切っていく道路が一番よろしいという見解をとっておるわけですけれど、防衛庁のほうではこれに対して反対をしておるということで、なかなか路線の決定ができません。したがって、この道路の建設もぐうっとおくれてきておりまして、非常に問題になっておるわけですが、先般、私は他の委員会で建設省のほうにお伺いをいたしましたところが、まだ相当先に延びるようなのんびりしたことを言っておりましたけれども、ひとつ早く問題を詰めて、そして路線の決定をしていただきたいと思うんですが、現状、これについて防衛庁としてはどういう考え方でやっているのか、説明してもらいたい。

長坂強防衛庁参事官

○政府委員(長坂強君) これまで建設委員会等で、それから昨年の十二月の予算委員会などで、鈴木先生から御質問がございまして、うちの大臣もお答え申し上げておりますが、この道路の建設には防衛庁としては御協力申し上げるという基本線は、これは一貫して貫いてまいっておるつもりでございます。それで、問題が若干従来ございました。その千百メートルと言われました場所は、これは山梨県側の場所をさしていると思われますが、この点につきましては、道路公団と私どもとの打ち合わせの中で、これはせんだっての返還ということで日米間で合意を見ました二百十ヘクタール、この二百十ヘクタールの部分を通っていこうと。それから、今度は静岡県側と申しますか、いわゆる東富士のほうは、これは演習場のへりの部分——当初は演習場のへりの部分から下がってまいりますが、この中ほどに参りますと、須走のほうに至る中ほどに至りますと、どうしてもその勾配の関係で演習場の中を通らなければならない。これがまた射撃演習等の危険その他の関係もございますので、このある部分においては覆土式にしまして、そして危険を防止しようというような、道路公団側が設計を立てているというふうに聞いております。そういうようなことで、これは大臣の御意向も受けまして、基本線としてはこの道路の建設には御協力申し上げようという立場に変わりはございません。以上でございます。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 協力する方針はそれは変わらないでしょうけれど、問題は、具体的にもう詰めをどうするかということにあるわけですから、そこのところを早くやっていただかないと、だんだんとあとへ延びるばかりですから、二百十ヘクタールの部分を通るということになると、地元に返還をするその二百十ヘクタールが、その部分だけへこむわけですね、実際に返還される分がね。しかも、その道路が通るために、あるいは二百十ヘクタールが分断されて、道路の両側にこれは返還地が位置するようになるかもしらんわけですからね。そうなると、なかなか地元のほうもいろいろな問題が出てくると思うんですよ。ですから、二百十ヘクタールというようなことにあんまりこだわらないで、もう少しくふうしたらどうでしょうね。道路技術の進んでいる日本としては、何とかくふうすればできるんじゃないですか。

長坂強防衛庁参事官

○政府委員(長坂強君) いまの北側の部分につきましては、大まかな構想としましては、県ともそれから道路公団とも私どもとも意見が一致しておりまして、それで、そのお話しのたとえば道を、従来の道を横断するというような個所につきましては、道路公団側でこの高速道路設計上のまたくふうもしたりして、従来の高速道路の下を通行が可能なような設計も考えるという意向であるようでございまして、極力そういった便宜は設計上でも解決をしていこうという道路公団側の姿勢のように伺っております。私どももそれに協力したいと、こう思っております。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 大臣ね、いまちょっと東富士有料道路の路線の問題でお伺いしておったんですが、これは事務当局もいろいろ御苦労いただいて、東側の部合だけは大体三者の了解は得たようですけどね、問題はその先なんですよ。演習場の、北富士のほうに参りますね。ですから、そこのところの部分ですから、建設省は標高千百メートルのところと、こう言っておったわけですね。したがって、防衛庁はそれは困ると、こういうことで意見が対立してここまで延びてきているわけですよ。しかし、迷惑するのはやっぱり早く東名とそれから中央道との連結をしてほしいという、これはやっぱり国民の願いがあるわけですから、その願いをかなわしてやらなければいけませんね。ですから、ある程度政治的にこれは判断をしてやりませんと、事務当局の話し合いだけではうまくいかぬと思いますから、この際ひとつ大臣同士の決断で、何とか早く決着をしてもらいたい、こう思うのですがね。だんだん延びちゃっているんですから、これじゃ困りますから、ひとつどうでしょう。

山中貞則自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(山中貞則君) いや、私のほうはですね、そういう事情があったことを聞きましたんで、これは非常に貴重なバイパスであるし、御協力を申し上げなきゃならないということで促進いたさせまして、ほぼ合意に達しておるわけであります。したがって、その合意に対して若干の障害がございます場合において、私どもも道路公団もともに協力し合うということで、その点については県側も了承しておりますし、もう障害はほぼ存在しないというふうに私どもは思っております。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 いや、必ずしもそうすらっといってないんですよ。せんだって、私が予算委員会で建設省のほうに聞きましたら、まだかなり先に延びるようなことを言っておりましたよ。六月とか七月とかね、そんなことを言ってましたよ。それじゃこれは困るんでね。もっと早くしてほしいですよ。そういう建設省側の意見もありますからね。防衛庁がそれだけ積極的にやるならば、それでひとつ大臣同士でも話をしていただいて、そして促進してくださいませんか。ちょっとその向こう側の建設側とのかみ合いがありませんから、その点ちょっと心配になるんですよ。

山中貞則自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(山中貞則君) 承知いたしました。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 その次にですね、北富士演習場に現在駐留しております自衛隊員の数はどのくらいですか。

久保卓也防衛庁防衛局長

○政府委員(久保卓也君) 北富士で、第一特科連隊七百、そのほかが合わせまして八百六十人であります。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 特科連隊七百人ですか。それと、合わせて大体八百六十二人。  装備はどうなんですか。

久保卓也防衛庁防衛局長

○政府委員(久保卓也君) 特科連隊が約七百名でありますが、百五ミリのりゅう弾砲、百五十五ミリのりゅう弾砲、それから地区施設隊がおりますが、これが約六十人で、ダンプ、グレーダー、トラック、クレーン、ブルドーザー、その他の部隊、これは基地業務対策隊でありまして、合計八百六十名ということであります。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 それで、昨年一年間に自衛隊は何回くらいここで演習をしていますか。それから米軍の演習は何回ぐらいございましたか。

久保卓也防衛庁防衛局長

○政府委員(久保卓也君) 自衛隊の関係は私が申し上げまして、米軍関係は施設庁のほうから御答弁いたしますが、昨年、つまり四十八年度としまして私の手元にありますのは、昨年の四月から本年の二月まででありますが、実射訓練による使用実績は延べ十二日、それから一般の訓練につきましては、休日を除きましてほぼ毎日実施しているようであります。  米軍の関係は施設庁からお答えいたします。

平井啓一防衛施設庁施設部長

○政府委員(平井啓一君) 昨年使用転換いたしました四月からこの二月までの実績は、第三海兵師団麾下の部隊がやってまいりまして、りゅう弾砲、無反動砲等の射撃演習等を伴った演習をやっておりますが、大体月平均いたしまして五日ぐらいの実績になっております。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 使用転換がなされましてから、米軍の演習もこの前から比べましてかなり回数がふえているように思うんです。この演習場はいわく因縁がありまして、今日まで長い年月、国会でも論争が行なわれてまいっております。それで、やはり県民の気持ちあるいは国民の気持ちの中に、あの霊峰富士のふもとから火薬のにおいをなくしたいという、私はこれはほんとうにそういう気持ちを率直に持っていると思うんです。少なくとも——あるところに参りましたら、身体障害者を持っているおかあさんが、鈴木さん、何とかああいう演習場なんかのところにこういう身体障害児を収容するようなコロニーあたりでもつくっていただいて、あの恵まれた環境の中で国民の福祉を生かすようなことができないでしょうかというような、切々たる気持ちを訴えられたのでありますが、その気持ちは私はどなたも持っておられると思うんです。ただ一面、防衛庁の立場になると、あすこをなかなか返せないという、そういうことで、せっかく民法上一たん返ってまいりましたあの演習場が、自衛隊使用の形に転換されたといういきさつもあるのでありまして、山梨県民の願い、国民の願いは、何とかこの北富士演習場というものを全面的に返還をして、あすこを国民の福祉のために使ったらどうかということなんです。何回これはやっても同じようなことになって、私きょうまたここでどうかなという気持ちはあるんですけれども、やっぱり心の底にある全面返還、平和利用というその気持ちが強いもんですから、また重ねて大臣にその考え方を申し上げ、そしてひとつ長期展望に立ってでもいいですから、何とかこれをひとつ国民の願いに沿えるようにしてもらえないだろうかという、そういう気持ちを強くするわけです。いま五年間の契約になっておりますね、使用転換については。ですから、そういうような一つの転機を見はからって何とかできないものでしょうか。大臣のほんとうの気持ちの中に、これを全面返還、平和利用するんだという、将来に向かって。そういう気持ちはあるんでしょうか、防衛庁の中に。そこのところはどうなんでしょうか。いますぐというようなことじゃなくても、将来展望に立ったらそういう姿に戻したいという、そういう気持ちはあるんでしょうか。

山中貞則自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(山中貞則君) もちろん霊峰富士、日本のシンボルでありますから、そこに火薬のにおいが全くしないという状態が理想であることは私もわかりますし、また環境庁長官も何かそういう答弁をしておられる事とを新聞で知りましたが、それは基本的には私どもも変わりありません。ただ、富士演習場については、われわれは安保条約を一応結んでおりますし、米軍側の実射の場所もほかにありませんし、私ども自衛隊のほうとしても、一定の種類以上の火砲になりますと、ほかに撃つ場所を中部地方に求めることができませんので、現在のところ、あすこしかないということで使わしていただいております。その点は、日本国民全部、あるいは山梨県、静岡県の関係の地元の方々にわかっていただきたいと思いますけれども、これは平行線をたどる立場の方もおられると思いますが、なるべく私たちとしては、そういう意味で謙虚な気持ちで使わしていただかなければならないんだということだけは考えております。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 そういう気持ちのあることはわかりました。そうであればなおのこと、この演習場において実弾射撃をやる場合とか、いろいろと訓練する場合に、できるだけ住民の御迷惑にならないようにという最大の考慮を持たれ、しかもそのことによって住民に危害を与えることのないような万全な安全対策というものをやはり考えていただいて、そしてやることだと思うのですね。ですから、私たちいつも思うんですけれど、夏場になって、あそこに登山者がたくさん来るような時期に、ぼんぼんとあそこで撃つわけですね。ですから、そういう時期には少なくとも演習はできるだけやらないとか、まあ覚え書き、了解の中にもそういったような趣旨が盛り込まれていると思うんです。ところが、なかなか実際の場面になるとそうはいかない。それは自衛隊の場合ですと、国内的なことですから、ある程度皆さんの考え方になっていくと思いますけれども、特に米軍になりますと、遠慮会釈なくやってくるわけですね。ですから、そういう点も対米軍との間に深い理解を持っていただいて、住民を刺激をするようなことをできるだけ避けてほしいと思うのですよ。そういう最大の配慮をしていただきたいと思いますがね。

山中貞則自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(山中貞則君) まさにおっしゃるとおり、私どもは使用転換に際しまして、米軍との間に結ばれた覚え書きにはなかった協定の条項を挿入いたしまして、七、八、九月の三カ月については、いわゆる夏山シーズンのころでございますし、そういうことを踏まえて、小火器以外のものは原則として使わないというような条項も挿入をいたしました。でありますから、このことがあらわしておりまするように、われわれはそういう努力をいたしますし、また米側についても、われわれの自衛隊管理になった以上、こういう条項を新しく入れたんだということば説明してあります。したがって、私は演習計画については、あらかじめこの三カ月について事前に目を通しまして、率直に申し上げて、自衛隊の演習計画そのものも私の手元で二分の一ほどに削りまして、そういう努力もいたしております。もちろん米軍に対してもその姿勢を、自衛隊の管理に移りました以上は協力してもらうように努力をいたすつもりでございます。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 ぜひそういう配慮をしていただきたいと思います。私たちは終始一貫、全面返還、平和利用というこの立場に立っておるわけですから、どうぞそのことも十分理解の上で今後いろいろと御努力をお願いしたいと思います。  次いで、第四次防の問題に移りたいんですが、まず、要員の充足率の点では、当初の整備計画、五カ年計画の進捗状況ということでお尋ねしたいと思うんですが、十八万人の整備目標になっておりますが、現在陸海空の要員はどういうふうなことになっておりますか。

高瀬忠雄防衛庁人事教育局長

○政府委員(高瀬忠雄君) 四十九年の一月三十一日現在での充足状況を申し上げます。  定員、陸海空二十六万六千四十六人、それが全定員でございますが、現員は二十三万一千四百三十四人、欠員が三万四千六百十二人、充足率は八七・〇%でございます。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 これ、陸海空別に言ってください。

高瀬忠雄防衛庁人事教育局長

○政府委員(高瀬忠雄君) 陸海空別に申し上げます。  陸、定員十八万人、現員十五万三千三百一人、欠員が二万六千六百九十九人、充足率が八五・二%。次は海上自衛隊、定員が四万一千三百八十八人、現員三万七千六百四十一人、欠員が三千七百四十七人、充足率が九一%。それから空、定員が四万四千五百七十五人、現員が四万四百十四人、欠員が四千百六十一人、充足率九〇・七%。  他に統幕がありますが、これは九四%の充足率であります。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 陸の欠員の数をもう一度お願いします。

高瀬忠雄防衛庁人事教育局長

○政府委員(高瀬忠雄君) 陸の欠員は二万六千六百九十九。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 この要員の充足率というものが一毎年毎年伺っておるのですけれど、さっぱりよくなっておらないわけでございますね。特に陸のほうにつきましては、八五・二%ですか、八五%くらいの充足率でして、これはどうなるんですかね、一生懸命募集しても集まらないのでしょう、これ。それから、海、空については比較的よかったわけですね、従来からも。特に空なんかについてはよかったんですが、いま伺ってみますと、海の場合でも三千七百四十七人の欠がある。空の場合では四千百六十九人の欠があるわけですね。これは自衛隊というものがだんだんなじまなくなってきてしまっているという証拠じゃないですかね。この辺どうなんですか。かね、太鼓で募集してもなかなか集まってこない。第四次防衛力整備五カ年計画というものがつくられて三年目に入っているのでしょうけれども、こういうことに対して、防衛庁としては、具体的にもう一回、自衛隊そのものに対して、根本的な再点検と言うとおかしいですけれども、再検討を、このあり方についても加えてみる必要があるんじゃないでしょうかね。その点どうでしょうか、この問題に対して。

山中貞則自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(山中貞則君) 立場は違いますが、結論は私もそういう気持ちでおります。基本的には、自衛隊のあり方の問題として、内部的に私たちはこれで国民の信頼をかちうる体制にあるといえるか、個個人の問題まで含めて検討を開始して、内政の年ということにしておりますが、客観的に申しますと、国民の理解を、国会においても、国民的な立場においても得られる努力をしなければどうにもならないことであろうという気が、まず周辺の情勢として存在いたします。  さらに具体的な見通しになりますと、高校進学率の九〇%に達する勢い、あるいは出生率等の関係もございますが、まあ大学進学率の関係もそれに関係してきますけれども、先行き自衛隊に来てくれるかもしれないと思われる年齢層の数がどんどん少なくなっていくという見通しにいまございます。そういたしますと、ここ当分の間は、これは、充足率の向上というのはきわめてむずかしいということを私ども率直に認めたいと思います。ことにまた、入った者が、年度間で見ますと、やめてしまう者のほうが逆転いたしまして、充足率の向上どころか、低下の傾向がおととしから始まりまして、これ、容易ならぬことでございます。したがって、それらの点については、住む生活環境その他処遇の問題等について、始終隊員の意向をくみ上げる努力を続けているつもりでございます。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 たとえば、防衛大学校なんかの卒業生の中にも、卒業するとやめてしまうような方もあるようですね。せんだっても、総理が卒業式に行って、何かいろいろ訓辞を与えておったようでございますがね。何ぼ訓辞を与えてみても、学生の心の中に響かなきゃだめなんですね。から念仏に終わってしまっているのじゃないでしょうか。特に自衛隊が違憲であるかどうかというような論争は、これは国論を二分していままできておるわけです。まことにこれは悲劇だと思いますよ、日本民族の。憲法九条の争いというのはね。先般、長沼違憲の判決も出ておりますからね。これが偏向判決だとか、あるいは青法協の裁判官だとかいうようなことは、これは論外ですよ、私は。少なくとも、第一審であっても、明らかに九条の憲法違反だという明確な裁判所の判決が下されておるわけですからね。そういうような点も、私は若い人たちの心の中にやっぱり焼きつけている一つのことだと思いますよ。ですから、いろいろと大臣以下その籍にある人たちは、立場は違ってもベストを尽くしてやっておられるでしょう。しかし、そのことが実らなければ、これはもう何にもならないわけでしょう。ですから、私は、そういう意味において、もう一度自衛隊というものについてここで真剣に考え直す必要があるんじゃないか。憲法でも変えて、それは徴兵制でもとるというなら別ですよ。そんなことはできないでしょう。憲法を改悪するなんというようなことは考えていないでしょうからね。だから、そうなると、志願兵制度ということになりますね。現状の中では、むしろ充足率は減ってしまうというようなことであったのじゃね。第四次防というのは、これは立場が違いますから、皆さんのほうからすれば泣いているんじゃないですか。したがって、これもあとからも、いろいろと狂乱物価の中で四十八年度のやろうとするものもやれないと、四十九年度もまたどうなるかわからないというようなところに追い込まれてきまして、装備計画そのものもたいへんなピンチに来ていると思いますね。そういう意味で、どうですか、憲法九条に定めている自衛隊のあり方、これについてもう一度考え直すというような気持ちは大臣の腹の中にはないでしょうかね、長官の腹の中には。

山中貞則自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(山中貞則君) 長沼判決のことをおっしゃっているんならば、これはもう全然議論が違うわけであります、私どもは。しかし、自衛隊員というもの、これ、やはり若い国民の中の層が自衛官になるわけでありますから、それに対する私たちの配慮というものは、これは当然なければなりません。しかしながら、現状では一般の応募率も、あるいは防大の入学志望率も、あるいは今回できました防衛医科大学校の志願率も、きわめて順調に進んでおるようであります。したがって、大体自衛隊というものが、その限りにおいては存在しないということよりも、存在しておってもいいという考え方も国民の一部に——甘えておるわけではありませんが、あることの証左であって、これをやはり私たちは、ある以上は、国民から信頼され、支持され、尊敬される——できれば尊敬される、期待される自衛隊像というものをつくることに全力を尽くしたい、そう考えます。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 大臣のおっしゃる医科大学のほうですね、これは志願者多いでしょうね、おそらく。志願者多くて、入って勉強して、さあ卒業したら、また、いまの防衛大学と同じように、他へ行ってしまったんじゃ、これはだめでしょう。そういう危険性はあると思いますよ。それは勉強さしてくれるんですから、大いにそこへ行って、安く勉強さしてくれるんだから、みんな、志願者が多くあると思いますけれども、それだけでは将来の見通しにはならぬと思うわけです。  そこで、最近、われわれが国民の中に入っていろいろ聞いてみますと、先般来の石油パニックのような機会がございまして、日本の重化学工業の八〇%近くが石油によって動いておる。ですから、アラブがちょっとさじかげんをしたら日本の重化学工業はもう麻痺してしまうと、だから、自衛隊を幾ら大きくしてみたところで自衛隊は役に立たぬじゃないか、むしろ向こうのさじかげんによって、日本がどうにもならぬような重大打撃を与えられてしまう、これに対して自衛隊が手が出るか、出やしない、そんな自衛隊なら存在の意義がないじゃないかというのは、それは一面かもしれませんよ、そういう考え方も出てきていますよ、最近は。だから、国を守るということは一体何だということ。それと、国際情勢が非常に好転をしてきて、部分的には皆さんがおっしゃるように局地的なトラブルはあるとしても、世界の大勢というものは、もはや力によって、一つの戦力によって、戦力で相手方をやっつけるなんという、そういう時代よりも、三十六億なり八億の民族がやっぱり平和の中に繁栄していくという、そういう道を歩んだほうがいいのだ、地球よりも重い人間の命をお互いに殺し合うような、そんな野蛮な戦争行為というものはもうごめんだ。幸い、日本は戦争を放棄した憲法を持っておるわけですから、そういう意味からいえば、平和外交というものがほんとうに大事だという、そういうことを国民もだんだんだんだんと認識をしてきていると思うのですね。あれやこれや、やっぱり皆さんの考え方になかなか順応していく人たちが少なくなってきていることは事実だと思うのですよ。私は、少なくとも、陸において二万六千六百九十九人、それから海において三千七百四十七人、空において四千百六十九人、これだけの欠員を持っているということは、二十六万の兵力を持つというその目標からすれば、全くこれは遺憾なことですよね。できないことをやろうったってこれは無理なんですから。それならいっそのこと、その要員数をかげんするとかしなければ、定数だけ持っておったって、ちっともこの十年も十何年間も埋まらないわけでしょう、これは。毎年毎年われわれがこれを聞いてみましても。そしてまたあるところでは、この前の防衛二法のように、人をふやすために六千名ふやしてみたところで、全体の定数の中でやりくりできるようなことになっていればいいんだけれども、そうはなっていないから、こっちはまた六千名ふえていく、こういう矛盾があって、国会の中もごたごたするわけですね。ですから、どうですかね、できないことをやろうというのは、これは無理じゃないですか、大臣。それならやっぱり、できるようにくふうしてみたらどうですかね。長沼裁判になると違う——それはそうでしょう、あなた方と私とは立場が全く逆ですから。それはよくわかります。わかりますが、そうはいっても、現実に自衛隊が存立していることは間違いないわけですからね。ですからこういう論争が出てくるわけでしょう。したがって、じゃ自衛隊というものを一体どういうふうにしたらいいかという、だんだんと論議が発展していくわけですね。そこにいくわけですよ。われわれが完全に否定しておったって、否定しておるからそれでいいというわけにはいきませんから、私たちはやはり論争を展開していくわけですから。だから、賢明な大臣ですからね、将来をになう立場にある、リーダーシップをとる方ですから、できないことをやろうというのは、これはどだい無理だから、できないならできないことはやっぱりあきらめて、現実に即したような方向に計画をやっていくということも必要じゃないですかね。どうでしょう。

山中貞則自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(山中貞則君) これはいろいろ考え方をやはり練らなければならない問題だと思いまするし、したがって、常時編成定員というものと、戦時編成定員とでも申しますか、そういうようなもの等もやはり考えてみなければならない問題もありましょう。また、師団編成等の、のべつ軒並みに充足率が低いという師団も、九千人師団、七千人師団と分けてみても、平均して一番の下の底辺のほうが充足率が非常に不足してその率が高いというような状態ではたしていいのかどうか、これらの問題は私も基本的な問題として受けとめておりまして、いま具体的な研究に入っておるところであります。

嶋崎均自由民主党

○主査(嶋崎均君) 速記をとめてください。   〔速記中止〕

嶋崎均自由民主党

○主査(嶋崎均君) 速記を始めてください。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 それでは、ちょっと時間が違うよ、主査の言っているのと、私の見ている時計とは、しかし、主査の言うことを聞きますからね。  そこで大臣、いろいろ私は、実は、四十八年度予算でなかなか装備が充足できないようなことが出てきておりますね、幾つか。それで具体的に伺おうと思ったのですが、時間がございません。それから、四十九年度、それから五十年、五十一年と——五十一年まででしたかな——そうですね。ですから、あと残された四十九、五十、五十一年、整備計画、五カ年計画の残りの三年ですね、それとの関連で、ことしこういう高物価のために、購入しようとする装備が入らないでしまったと、やむを得ず三月三十一日までに契約ができずに、予算は大蔵省に返すようなことも出てきたということですね。これは、一がいに防衛庁が怠慢だとも言えないと思います。これは非常に異常な高物価が続いているわけですからね一そういう意味では御同情申し上げますが、しかし、第四次の五カ年計画から見ると、目標はずれてきたわけですね。したがって、おそらく四十九年度も、これから物価がどうなるかわかりませんが、電力が上がり、いろいろと物価がなかなか鎮静の方向にいかないわけですから、どういう事態になるか、これも予測できない。そうなりますと、第四次防というものはある程度のやはり修正を加えざるを得ないのじゃないかというような気もするわけです。要員問題一つとりましてもそうですがね。その辺を含めて、いかがでしょうか、再検討し、場合によったら四次防というものは縮小しなければならないと、当初目標からすれば。そういう情勢にあるということは認めますか。

山中貞則自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(山中貞則君) 四次防というものは、予定どおりやりたいと思っておりますが、それはかりに変更を検討するにしても、年次を延ばすのか、あるいはおっしゃった、規模を小さくするのか、そういうような問題等ももちろん含めての検討になりましょう。しかし、現時点においては、ことしの予算の契約等において、予定いたしました隻数のうち、LSTの小型は予算を大蔵省におっしゃるように二十億円返納しまして、契約はついにできなかったという実態がございます。そういうことを踏まえまして、今後検討はいたしますか、これは日本経済全体——全部の体質のもとになる諸指数がかたまりませんと、これはひとり防衛庁のみならず、年次計画その他を持っております各省全部、悩みは同じだろうと思いますので、そこらのところは政府全体の施策の定まった方向において、われわれは政府の姿勢に従っていくという形をとっていきたいと考えます。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 これで終わります。  それはわかりますけれどもね。ただ問題は、私は、ある段階で判断をしてきめなければならない問題があると思いますね。それは、ことし発注して来年できるようなものであればいいですけれどもね、そうばかりもいかないと思いますから。ですから、もう少しある段階、たとえば四十九年度のある時期になって、きちっと、たとえば内容を修正して縮小するとか、あるいはまたさらに先に延ばしていくとか、そういう方法を含めて、ある段階でやはりきちっとこの計画に対して再検討をして結論を出さないと、いまわれわれに示しております五カ年計画、第四次防というものは、ちょっとむずかしいということは大体わかってきているわけですから、その修正をどの時期にやるかという、そういう時期の判断というのはやはり必要でしょう。そうしないと、五十一年までに完成できないのじゃないでしょうか、そこのところを私は言っておるわけです。

山中貞則自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(山中貞則君) だから、私の申し上げておりますのは、国家全体の予算の規模も、たとえばことしは総需要抑制であれば、公共事業抑制というふうに、予算の規模そのものも編成されてまいりました。ですから、予算の編成の規模の前提となるのは国民経済であり、あるいはそれを形づくる成長率その他の諸元が整いませんと、昭和五十年度予算はどんな姿勢になるのかということがやはりまとまってこないわけでありますから、現時点においては、やはり予定どおりの年次内において消化をするための努力を続けるということしか、これは私ばかりではなくて、ほかの大臣も言えないのじゃないかと思います。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 それじゃありがとうございました。時間がまいりましたから……。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 まず、山中長官に伺いますが、自衛隊法では隊員の政治活動は選挙権の行使以外は認められていないと思いますが、この点はいかがですか。

山中貞則自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(山中貞則君) そのとおりです。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 じゃ、次にお聞きしますが、情報収集や民政協力を口実にして、国民の思想、信条について自衛隊員が調査活動をすることは認められておりますか、おりませんか。

山中貞則自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(山中貞則君) 自衛隊は、本来の任務として、国民の思想、信条の調査をするような立場にございません。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 では、二つの点を確認しまして、具体的にお聞きしたいと思います。  ここに私は、東北方面総監が、昭和四十八年十二月十日付で管下の各師団長、各部隊長、東北地区補給処長、仙台地区病院長、各地方連絡部長あてに出した通達、東北方面第五五七号、「国民の理解と信頼を得るための施策実施要綱」、略して「国民施策」という通達文書を持っております。長官はこの通達文書を知っておりますか。

山中貞則自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(山中貞則君) 知っておりません。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 こういう通達文書は、これは防衛庁長官の指導と承認なしには私は出せないものだと思うんですけれども、この点いかがでしょうか。

山中貞則自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(山中貞則君) 長官の通達、あるいは長官の命を受けた事務次官の通達——それぞれの内部規程によって各幕僚長におろされておるもの、あるいはまた方面総監等におろされておるもの、いろいろございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 そうすると、この文書は防衛庁としては責任を持つのですか、持たないのですか。この文書の要約がございますから、審議の便宜上、これは政府にもあげたい、それから報道陣にもあげたい。要約したのがあります。ここに原文謄写がありますから。

山中貞則自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(山中貞則君) 中身が全くわからないんですけれども、しかし、防衛庁の文書であるというものであれば、もちろん防衛庁が責任を最終的に負うことは当然であります。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 少なくともこの文書は、いずれ質問の過程で明らかになると思いますけれども、これは防衛庁の方針なしにはこれは出せないところの文書だというふうに思うわけです。私はこの文書を読んでみて、事の重大さに驚いているわけですが、この中には、国民施策を行なうにあたっての隊の方針とか、目的、施策の対象、隊員の役割り、情報活動とかが詳しく述べてあります。一体これは何の必要があってつくられたものですか。

久保卓也防衛庁防衛局長

○政府委員(久保卓也君) これはどういう経緯でつくられておりまするか、その経緯を聞いておりませんと、またこの文書を読んで見ませんとわかりませんので、直ちに、いまお見せいただいただけではお答えできません。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 まあこの文書を読み、そしてこの審議の経過でこれはわかっていくと思うんですね。それじゃこの文書についてお伺いします。  この冒頭には、その「方針」として、施策推進のために多くの協力者、理解者の拡大をはかり、防衛基盤を確立するとして、その目的を明らかにしています。そのためには、また、各部隊の長を先頭とし、「あらゆる機会を通じて進んで国民に手をさしのべ、また、求めて地域社会の活動に参画して、」防衛の必要をPRすることを述べています。こういう方針というのは、これは防衛庁の方針でございますか。

久保卓也防衛庁防衛局長

○政府委員(久保卓也君) この文書は、内局で申せば各局全般にわたっているようでありますので、私だけで答弁するのは適当でないかもしれませんから、補足していただいたらけっこうでありまするけれども、私どもが全般に申し上げているのは、自衛隊の真の姿を国民によく理解をしてもらう、そして自衛隊というもの、あるいは最小限の自衛力というものがわが国の防衛にとって必要であるということを十分に認識をしてもらう、そういうことのために理解者を求めたり、あるいは真の姿を知ってもらうためのPRをやるべきであるということは、いろんな機会に長官以下各段階で言われておりまするから、ここに書いてありまするところは格別おかしくはないので、適当なことが書かれてあるというふうに私は思います。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 これは防衛庁の方針と考えてよろしいですね。長官、どうですか。その方針に従ってこのようなこれは文書が出されたんだと、そう考えてよろしゅうございますね。

山中貞則自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(山中貞則君) これは話は逆でありますが、しかし、この「方針」のところを読んでみまして、自衛隊の現職の諸君が、ことに責任者の諸君が、わが国の自衛隊のあり方について国民によく知っていただくための努力をせよということにおいて、何らおかしな点はないと思います。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 その論議は過程で明らかにしますが、事実関係をまず最初にお聞きしているわけですね。そうすると、この「方針」に間違いがないというんですから、これは防衛庁の方針に基づいてこのような通達文書が出されたと、こうはっきり確認してこれはいいと思う。  もう一つお聞きしますけれども、このような文書は、単に東北方面総監だけ出しているんじゃないだろうと思うのですね。これは各方面総監で出しているだろうと思うのですが、こういうものは全部防衛庁に当然私は送ってくるだろうと思う。防衛庁ではこれを保管しておりますか、どうですか。

丸山昂防衛庁長官官房長

○政府委員(丸山昂君) これは東北の方面総監から出した通達ということになっております。私どもの内局のほうに方面総監から出しましたものがじかにまいるような仕組みにはなっておりません。ものによりまして、各幕僚監部に報告があるということになっておると思います。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 幕僚監部にはこれはあるわけですね。全部集約されているでしょうし、これは防衛庁はいつでもそれを見ることができる、さらにこれはそういう関係においてちゃんとあるということは言えるのですね、この文書はね。この文書を、これやっぱり明らかにする必要があると思いますが、まあ内容について、それじゃさらにお聞きしましょう。  次にですね、特に重大なのは、施策遂行上の「重要性の認識」として、「従来の「隊務に支障のない範囲で施策を行う」という」この思考を転換する。そうして、「「隊務の一環」として計画的、積極的に施策を遂行する」と、はっきり方針を転換させているのですが、いつから何の必要があってこんな転換が行なわれたのか、こんな仕事を「隊務の一環」つまり本務として行なうことは、元来差しつかえないのかどうか、お伺いしたいと思うんです。

丸山昂防衛庁長官官房長

○政府委員(丸山昂君) いわゆる民政協力という範疇に属しますことは、自衛隊法の規定によりまして、隊務に支障のない範囲内で施策を行なうと、こうなっておるわけでございます。で、上の「方針」のところに書いてございますことは、個々の語句の使用、字句の使用その他については必ずしも適当でない面もあるかと思いますが、大筋において防衛の必要性、それから自衛隊の真の姿というものを国民の方々に広く知っていただくということは絶対必要なことでございまして、これは私どもの広報活動として当然行なわれておることでございます。そういう意味で「隊務の一環」というふうにおっしゃるのであれば、この表現は適当であるというふうに考えるわけでございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 私は根本態度を聞いているんです。わざわざ態度を変換したんでしょう。いままでは本務に支障のない、そういう範囲で行なう、そうなっておった。それを今度はちゃんと本務の一環として行なう、隊務の一環として行なうというんですから、これは隊務そのものなんですよ。だから、基本的にはこれは変わったわけでしょう。そうすれば、この文書は、これは要約ですから十分でないと思いますが、ここには原本があるわけですが、この原本を見れば、ずいぶんこれはそういう点では全面的に全組織をあげてこの施策を行なう、こういうことが出ているわけでございますから、そういう点からいいますと、この態度は明らかにこれは変更された、こういうふうになるわけでございます。この点はそのとおりでしょう。何でわざわざ変更がないものを、何の必要があってこんなことをわざわざ断る必要があるんですか。

丸山昂防衛庁長官官房長

○政府委員(丸山昂君) この通達それ自体が、いわゆる真正の通達であるかどうかということは私どもはわかっておりませんので、そういう前提でお答え申し上げたいと思いますが、ここに書いてございます「従来の「隊務に支障のない範囲で施策を行う」という思考を転換し、「隊務の一環」として計画的、」云々と、こう出ておりますけれども、先ほど申し上げましたように一国民に広く防衛の必要性と自衛隊の実態を知っていただくという、いわゆる広報活動につきましては、これは自衛隊法の中に防衛庁の所掌事務として出ておるわけでございまして、いわゆる隊法で前から一貫して私どもは続けておるわけでございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 時間がないんだから、聞いていることに答えてください。いままで、とにかく「支障のない範囲」という、そういうことを規定しておったのを、今度変えた。はっきり変えた。転換を行なうと言っているんです、明確に。なぜそういう必要があったのか、いっそういうことをやったのか、こう聞いているんですよ。これは防衛庁長官、答えてください。

丸山昂防衛庁長官官房長

○政府委員(丸山昂君) 少なくともここに書いてあることにつきまして、私どもどういうわけでこういう転換をしたのかという御質問に対してはお答ができないと思います。私どもは、いま申し上げましたように、従来一貫した方針をとっておるわけでございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 そういうことを言って、結局ここはあいまいにしようとしたって、それは通らぬですよ。この文書の発行期日を見てください。これは四十八年の十二月十日です。つい最近です。しかもそのあとに、これ以前の「東北方1第373号(四八・八・三〇)は廃止する」、こういうふうになっているんですから、明確なこれは方針の転換が行なわれているんです。ところで、長沼裁判は自衛隊の違憲判決を出しました。それは九月七日のことです。つまりこの通達は長沼判決後の情勢に即応して、そのために出された対応策ではないのですか。ですから、八月二十日に出した前通達はこれを廃止すると言っている。まさにそうとられてもこれはしかたがない。これは明らかだと思いますか、この点いかがですか。

山中貞則自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(山中貞則君) 私どもは長沼判決については応じがたい、認めがたいとして上訴いたしておりますから、したがって、長沼判決について、私どもがそれに従って行動するということは考えておりません。防衛庁設置法第五条第十一項「所掌事務の周知宣伝を行うこと。」というものが明確に書いてございますから、その一環として周知宣伝を行なうということは、そういう長沼判決等でいろいろ疑問が提示されておるとするならば、さらにわれわれは、それが国民のために必要であるわれわれの実態というものを知ってもらうための一そうの努力をするということはちっともおかしなことではないと考えます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 そういうことを言いますけれども、なぜこんなに、この時期で態度を変更したか、国民はこれを了解しません。  そこで、時間の関係から、私はこの文書の中から重要な二、三のことを指摘してお伺いしたいと思うのです。  中でも重大なことは、自衛隊の政治活動の問題です。通達によれば、土木工事の着工式などの場合、「なるべく申出者、受託者側とも多数の参加者を求め得るような日時の選定に留意する」、そして関係部隊長等は、防衛講話などによって「地域住民との親近感を醸成すること」 「防衛意識の普及に努める」とありますが、これは明らかに政治活動だと思いますが、いかがですか。

山中貞則自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(山中貞則君) これは政治活動でありませんで、特定の政党を支持し、もしくはそれに反対する行動でありませんで、やはり自衛隊の実態の周知徹底、あるいは宣伝、広報というものの一環に、そういう受託行為等が行なわれて起工式等が行なわれた場合、その際にもやはりできればそういう周知、宣伝の機会としてもよろしいという意味であろうと思います。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 そのPRの内容というのは、いままでもしばしば問題になって、国論が二分しているときに、一方に偏するようなそういうPRをするということは、これは政治活動につながるものですね。  それでは、さらにお聞きします。「具体的主要施策とそのねらい」というところの中で、駐とん地防衛館の利用として、「自衛隊の活動状況(災害派遣、民生支援、部外工事等)を示すとともに、現在の国際情勢、特にアジアの情勢、諸外国の国防努力」等により、「見学者に自衛隊の必要性と国防の重要性を認識させるようにする」と、ここにも同じような目的で書かれていますが、これも自衛隊の存在理由を一方的にPRする政治偏向ではないかと思うのです。元来、こんなことはそれは政党や政治家のなすべき領域であって、自衛隊がみずからの隊務の一環として行なうことは、明らかに自衛隊法六十一条にも抵触する越権、逸脱行為だと思いますが、いかがでしょう。

山中貞則自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(山中貞則君) 私はそうは思いません。ただ、展示資料館その他で、いままであったような古いものを並べておるだけじゃなくて、そういう国際比較等も、それをグラフ等において見る人がわかるようにということで、わが国の自衛隊のあり方についてのそういう理解を深めるという意味でありますから、これが自民党を支持せよとか、自民党以外のどっかの党を反対せよとかいうような資料を陳列するとなれば、これはまさに政治活動に触れますけれども、そうではないと考えます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 そういうふうに言っていますけれども、この実態を——先ほども申しましたように、全く問題になるところです。そうして一つの意図のもとにこれが行なわれてくる。これは明らかにやはり六十一条、そういうものとの抵触関係が出てきます。  次に指摘したいのは、自衛隊の情報活動の問題です。「付紙第1」によれば、情報活動、特に、この施策の推進状況を視察した所見というところでは、隊員が「町内会等役員への積極的な就任を奨励し、多くの自衛官が既に町内において主動的な立場を築きつつあり」と述べています。このような問題、こういうことは、これはどうなんですか、政治活動になると思いますが。

山中貞則自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(山中貞則君) これは青森駐とん地の実情を説明しておるものであると考えますが、そういうことですね。青森駐とん地では、こういうふうに一生懸命やっている。だからよき地域内の社会人として、隣人として一生懸命働けと、こういうことだろうと思うんです。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 こういう行動にこれは当然次へ続いてきますよ、寄付金、たとえば「政治的目的のために、寄附金その他の利益を求め、若しくは受領し」、こういう問題は、これは表面には出ていないだろうけれども、こういうかっこうで町内会なんかのところに接触していく、これはやはり非常に問題もあると思う。特に情報の問題ですが、これは非常に重大な——この通達の中でも一番私は重大な問題を持っていると思う。この実施要領というところを見ますと、「情報主要素」として、「各種住民組織及びマスコミ関係者等の中で現に自衛隊に協力的な人々、並びに今後協力を期待できる人々はだれだれか。」とか、「また、今後自衛隊に協力を期待できる団体等、並びに反自衛隊的な人々が多くて協力を期待できない団体等」、それぞれそれはどこかとか、またさらに、「これらの人々及び団体等の地域社会における地位、影響力並びにそれらの人脈及び政治的系列等はどうか。」とまで、こういうことまでこれは調べているわけです。つまり、自衛隊が日常業務の中で、団体や個人の思想、信条まで立ち入って調査を全部隊をあげて展開している、こういうことになるわけです。これは先ほどの、業務としてやり、しかも、隊長をはじめとして、あらゆるこれは隊員はこれに協力をしてこの実績をあげるように施策を推進するように、ということをこの通達ではうたっているのでありますから、そういうことになりますというと、まさにこのような情報活動——スパイ活動というようなことになるわけでありますが、これは軍隊の情報活動としては非常に大きな問題を持っております。そうしてしかも、これは明らかに憲法に抵触する課題だ、つまり、憲法違反の活動と言わざるを得ないのでありまして、この点については、どういうふうにこれはお考えですか。

山中貞則自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(山中貞則君) 私どもがいま答弁しておりますのは、あくまでも岩間先生が一方的に入手されて、一方的に私たちに印刷物で——あるところは省略をしたりなどして出された資料に基づいて、それを前提として答弁をいたしております。したがって、それがはたしていまおっしゃったような憲法違反にはならぬと思いますが、自衛隊がこういうふうに、人とか団体とか、そういうものを隊務としてそういうことを調査——調査とは書いてないですね。情報を得るように努力しろということでしょうな。そういう点は、具体的実際の問題を調べてみて、やはり行き過ぎておる点があれば直します。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 それは確認しておきたいと思いますが、これは陸幕のほうにきておるでしょうから、この次もう一回あなたと会う機会あります。そのとき、この資料持ってきてください。これで十分やるつもりでありますからね。これはもうちゃんと確認しておきます。  とにかくどうですか、「団体等の地域社会における地位、影響力並びにそれらの人脈及び政治的系列等」、こういうものまで調べるということは、まさにこれは調査活動の中でもたいへんな個人の当然の権利を侵害する、憲法違反に、明らかに違反の問題だと言わなきゃなりません。これについては調べてみる、逸脱があればこれについては当然これはやめさす、そう考えてよろしゅうございますね、いまの御答弁は。

山中貞則自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(山中貞則君) 調べてみる、そうして行き過ぎがあればそれについて是正するということは申し上げられます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 確認しておきましょう。  その次です。土木工事の場合ですが、工事の審査、受託にあたって、「事前調査を周到に行い、工事実施により収め得る効果を的確に判断する」としています。つまり、効果を判断して、自衛隊に協力する効果があれば工事を実施する。効果がなければ実施しないということになるわけです。一体、国費を費やして行なわれる自衛隊の委託工事が、自衛隊の利害によって左右されるということは、これは許されることでしょうか。こんなプライベートなことは絶対にこれは許されてはならないと思うのでありますが、いかがでしょうか。

山中貞則自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(山中貞則君) ないですがな、そういうのが。あなたにもらったのにないんですが。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 これにありますから、それなら、これになければ、これについてお聞きしたい。「付紙第3」というところですね、いま読んだ条項があるわけです。こういうことはどうですか。

山中貞則自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(山中貞則君) 全然ありませんし、ですから答えようがないわけですが、抽象、一般論で申しましょう。自衛隊がそういう工事を請け負うことは可能でありますし、それは自治体等の要請によるものであること、そしてそれが自衛隊の隊務、訓練等に合致する内容のものであること、そして、特定の人もしくは団体等を利することにならないこと、こういうような条件等を勘案の上お受けするかしないかをきめることにしておりますから、第一、自衛隊に工事をやっていただきたいとおっしゃるような地方公共団体等が反自衛隊的な立場でそれをおっしゃってくださるとは思いませんので、そこらの文章のところはよく意味がわかりませんが、抽象論、一般論でお答えしておきます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 まあこれははっきりしているんですからね。何ですか、これは——もし御意見があれば言ってくだすったらいいんです。

山中貞則自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(山中貞則君) あなたが見せてくださっても、これがどういうルートであなたの手に渡って、それが本物であるかどうであるかについても、私のほうは確認をしなければなりませんしね。それでつり込まれて、あなたが言われたから、べらべらしゃべっているとあとでどえらいことになりますので、そう簡単に答弁はいたしかねます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 私は、治安行動草案について私が十三年前やったとき、同じこと言ったんですよ、答弁ね。あとであいへんなことになって、そうしてないとかあるとか言っておったが、結局あった。だから、これは出してください。ちゃんと出してくれば——陸幕にある、なければおかしいんだ、さっきの答弁から。出してください。これ出して、これについて論議をしましょう。秘密文書でもなさそうだ。

山中貞則自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(山中貞則君) だから、先ほどから、あったらお出しをしますし、そして調べてもみますし、行き過ぎについてはチェックもいたしましょうと——ただ、いまの請負工事については、そうなことをわざわざ言う必要のないことで、やってくださいとおっしゃる方は、自衛隊に対して反自衛隊、反感を持っておる方が申し出られるはすがないんでありまするから、それに対して先ほど申しました——ちょっと聞いていらっしゃらなかったと思うんですが、先ほど申し上げましたんですが、それは自衛隊のまず教育、訓練、そういうもの等に、任務に合致する内容の仕事であるかどうか、あるいはそれが公共の目的に沿うものであるかどうか、特定の個人や団体等を利することにならないものであるかどうか、利することにならないかどうか、そういう点も判断をして、お受けする際も慎重にしておるわけでありますから、まして、申し出られる際に選別するなどという——申し出を断わるとかなんとかいうことが大体存在しないと思うんです。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 それはあなたの解釈です。私の解釈はもうはっきりこれは可能性があるわけです。そういう立場から、これはやっていないからと言って——実際は非常にプライベートなやり方あります。これは指摘をすることができるわけだ。この次やりますよ、時間いまあまりないから。だから、はっきりあなただけのそれでまかり通れないんです。はっきりこれは事実ありますから。  まあ時間の関係から、次に工作対象、どういうものを工作対象にしているか。それで、本通達の終わりのほう、別紙のところを見ると、「国民施策推進状況視察所見」として、管下の郡山、岩手、青森、引前、秋田各駐とん地のことが具体的に述べられています。たとえば郡山駐とん地の場合をあげてみますと、「生活体験者が増加し、特に青少年層に重点が置かれている」として、そのあとに、「(青年会議所、日本女子工校、郡山女子大、喜多方工業高校、松川少年柔道クラブ)」などと書いてある。ここのところははっきりそういう成果をこれはあげているんです。さらに青森駐とん地のところでは、「隊員による郷土芸能の育成発展に留意し、獅子舞木造ネブタ太鼓及び陣太鼓等その他の地元名物の保存に役割を演じている」、これはいままで支障のない限りやってたんだろうが、今度は本務としてこれをやるというようなことになるのでありますから、たいへんなことなんです。弘前駐とん地の場合には、「マスコミ、特に陸奥新報との関係が良好に維持され、今年四月−十一月までの駐屯地に関する報道は九六件にのぼっている」云々と、こういうふうにあります。その他、岩手やその他の駐とん地につきましても、これはいろいろな情報が入っている。これらは自衛隊の工作の一部にすぎないのです、私がいま申し上げたのは。しかし、青少年や学生の間にこのような形で入り込んでいく、これは先ほどからの充足率の問題が非常にありましたから、そういう問題を打開するというのは当面のこれは目標かもしれませんけれどもね。そういうかっこうでこれを進めていく、そうして軍学共同のそういうような工作が行なわれる、あるいは郷土芸能やマスコミにまで入っていっている。このような国民生活のあらゆる層に侵透し、その生活に介入し、これを懐柔し、組織的、全般的な工作を背後から遂行しようとしていることが、自衛隊の一体本務として許されていいのかどうか。明らかにこれは国民主権への私は侵犯であると思います。その点は一体どういうふうに考えておるのか。先ほど防衛庁長官は、あやまちがあったらそこのところはこれは是正すると言っておりますけれども、こういうのはまさにこれは行き過ぎと言わざるを得ないと思うのです。ここまでやっぱりやらなきゃならぬのですか。これは自衛隊の本務なんですか。こういうことでは、やはりこの防衛論争の中で私たちはあらためてこの問題を大きくやらなきゃならぬと思いますが、御見解を伺っておきたいと思います。

山中貞則自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(山中貞則君) あなたがあらかじめ書いてきて読まれたのは、実はここには載ってないんですよ、いただいたものには。ただ、弘前のほうは二行ほど載っておりますがね。ただ、その頭のほうには——これもいただいた資料ですよ、視察の所見と書いてあるので、行ってみたらそういうふうなことをやっていたというんで、申し上げておきますけれども、自衛隊員も日本人でございまして、したがって地域社会のよき隣人であれと、また地域連帯間の中の人間たるように心がけと、外に対しては謙虚であれと、そういうことをいつも言っておりますんで、社会奉仕の気持ちが徹底しておると思います。したがって、部隊長が見た所見、東北方面総監の見た所見か——ここにはちょっとしか私のもらったものにはないんですが、そういうふうに出ておるんでしょうが、したがって、全部調べてみなきりゃわからぬということですね、これは。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 最後に、それじゃこれは調べてみて、いまの逸脱の部分もあるので、それから非常にどうも私はふさわしくない問題だし、ことにPRのこの情報活動の問題なんというのは、全く憲法違反のそういう疑いが濃厚でありますから、そうしたら、私はこういうものが不当だというなら、当然これは廃棄すべきだと思う。どうですか。そのときあなたは、これ仮定だということでお答えにならないのじゃなくて、そういう事態が起こって、非常にこれは最近の自衛隊のオーバーなやり方というものは、これは非常に国民も問題にしている問題ですよ。ことに長沼判決があったたとに防衛庁長官のああいう通達のようなものが出されて、それでそのことは非常に大きな論議を呼んでいる、そういう中です。そうして一方でこういうものが出されている。そういうことになりますと、非常にこれは重大な課題を持っていますんで、私はそういう点から言いますというと、憲法はあくまで守る自衛隊とか何とかあなたは返答をされておりながら、実際はこれに反するような行動になっている。これは当然間違いでありますから、そうすりゃそのような通達というものはこれは廃棄する、そういうお考えはありますか。

山中貞則自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(山中貞則君) 全部見てみなければわかりませんし、第一、あなたにこういうものがあるぞという抜すいをもらって、それを仮定の前提のこととして応答をいたしておりますから、かりにそれがあった場合に、憲法に定めた個人の思想、信条等を侵してはならぬとか、差別してはならぬとか、そういうような人権の問題とか何とかというものを自衛隊が積極的にそういうことを侵しているならば、これは訂正もいたしましょうし、改めもいたしましょう。しかし、私たちは国民の中の一人としての自衛官であり、国民あってこその自衛隊である、したがって、外に対して謙虚であれ、よき隣人であれ、社会人の一人であれ、市民を手本にせい、こういうことを言っておりますので、そういう意味で私は全部が憲法違反だと思いませんし、長沼の一審判決があったからといって私たちは、自衛隊が憲法違反の存在であるという最終的な日本の三審制度のもとにおいて決定を下された後、非合法に存在しているものとは考えておりません。したがって、上訴いたしております。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 もっと具体的にこまかくやるその議会を再保留して、これで私の質問を終わります。

嶋崎均自由民主党

○主査(嶋崎均君) 以上をもちまして防衛庁所管に対する質疑は終了いたしました。     —————————————

嶋崎均自由民主党

○主査(嶋崎均君) 速記をとめてください。    〔速記中止〕

嶋崎均自由民主党

○主査(嶋崎均君) 速記を起こして。  次に、昭和四十九年度総予算中、外務省所管を議題といたします。  政府からの説明はこれを省略し、本日の会議録の末尾に掲載することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり」

嶋崎均自由民主党

○主査(嶋崎均君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————

嶋崎均自由民主党

○主査(嶋崎均君) この際、分科担当委員の異動について御報告いたします。  予算委員の異動に伴い、鈴木強君、神沢浄君、三木忠雄君及び岩間正男君の補欠として、羽生三七君、田英夫君、渋谷邦彦君及び星野力君がそれぞれ選任されました。     —————————————

嶋崎均自由民主党

○主査(嶋崎均君) それではこれより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 きょうは主として経済協力問題でお尋ねをしたいと思いますが、オイルショックの際に、日本としては産油国に三木特使、中曽根通産大臣、総いて小坂特使を送って、油問題に関連して経済協力問題を協議されてきたわけですが、さらに別途、田中総理が東南アジア諸国を訪問して、特にマレーシア、インドネシア等に協力を約束されてきたわけです。それ以外にも、たとえばいままで約束したもので、いま述べた中近東あるいは東南アジア諸国と別に従来約束してきたもので未実行額、相当額にのぼっておりますが、それはまたあとからお尋ねすることとして、いま述べました三木特使、中曽根通産大臣、小坂特使並びに田中総理の東南アジア訪問において約束された経済協力は、額はどの程度で、それから援助目的はどういうものであるのか、お示しをいただきたいと思います。

御巫清尚外務省経済協力局長

○政府委員(御巫清尚君) お答え申し上げます。  まず、田中総理大臣の東南アジア御訪問に対しましては、五カ国回られたわけでございますが、そのうちで、タイにつきましては、従来から日本が約束しております円借款がございまして、その円借款の中で、全体が金額が六百四十億円でございますが、そのうち四百六十億円がプロジェクト関係の援助となっておりまして、そのうちで、もうすでに実行済みのものもございますんですが、その残っておりますもの、大体において半額を条件の緩和をいたしたいということになりまして、従来の、これは経済協力基金からと輸出入銀行からと、両方から供与されておりましたんですが、経済協力基金分の百七十億円につきまして、三・二五%という年利率を二・七五%に、輸出入銀行の分で六十億円を五%から四%に直すというふうに御約束をなさいまして、これらにつきましては、目下交換公文等の手続をしておるところでございます。  それからマレーシアにおきましては、マレーシアに対しましても、第二次マレーシア五カ年計画と申しますものに対しまして、すでに三百六十億円の円借款を供与してあったわけでございますが、それだけではプロジェクトに対する援助が不足するということから、先方、ラザク首相の強い要請に基づきまして、当初はこういうことは予定しておらなかったのでございますが、新たにそれに追加して、三百六十億円を供与しようという御約束をなさいまして、これにつきましても、近く、来週ぐらいかと思いますが、マレーシア側から代表団がきて、こまかい打ち合わせをするという手配になっております。  それからインドネシアにおきましては、従来からインドネシア援助協議グループというものがございまして、これに対しましては、日本は、インドネシアの援助を必要とする総額の中から、世界銀行であるとか、アジア開発銀行であるとかいう多数国機関が行ないます分、それから食糧援助の分、これらを引き算いたしましたものの金額の三分の一を従来から受け持ってくるというような形になっておりまして、今年度十二月に、このインドネシア援助協議会議というのがございましたんで、その席上でインドネシアが提示いたしました八億五千万ドルという援助必要額のうちから、いま申しました二項目を引きますと、大体六億ドルになりますので、その三分の一である二億ドルを援助するということを、これは新たな約束という意味ではございませんで、確認されたわけでございます。  それからさらに、そのほかに、インドネシアにおきましては、天然ガスの産出が最近におきましてはっきりしてまいりましたので、この天然ガスの液化工場をつくるために、政府借款を要請されておりましたんですが、これにつきまして、五百六十億円の借款を供与するということを御約束されました。この天然ガスプロジェクトに関します五百六十億円の供与につきましては、これはスマトラとカリマンタンと両方にわたるものでございますが、すでに交換公文を締結の手続を終えております。  以上が、田中総理大臣の回られました場所におきます御約束分と現状でございます。  その次に、三木時使が回られました分につきましては、エジプトにおきまして、スエズ運河が近く再開されるであろうという見通しのもとに、このスエズ運河は、単に現在の状況で沈船等の引き揚げを終わって、清掃を終わって再開しただけでは、そこを通過する船のトン数等がきわめて制約されたものになるので、これをエジプトにおきましては、深さを深くし、副を広げるという計画を持っておりましたが、そのうちの南側については、日本に協力を要請してまいっております。で、とりあえず三木特使は、そのうちの第一期分といたしまして三百八十億円という金額の借款を供与することを御約束されました。その条件としましては、この運河の国際的な海運の上に占めます重要性にかんがみまして、年金利を二%というような緩和された条件で供与する約束をなさいました。  そのほかに、商品援助等のお話し合いがありましたんですが、御訪問中には最終的に合意ができませんで、その後、さらにエジプトからハテムさんという副総理が日本にお目えになりました際に、三木副総理とお会いになって、大体三百億円の商品援助並びにプロジェクト援助、合計して三百億円を供与するようなことをお話し合いになりました。その点につきましては、なお今後詳細の詰めを行なって、交換公文等の正式の約束による考えで、目下準備を進めておるところでございます。  サウジアラビアにも行かれましたが、この国は、技術協力を相当希望しておりまして、従来から技術協力協定といったようなものを結びたいという希望がございましたが、まだ先方から双方の出しました案についての返事もございませんし、そのときも返事がございませんでしたが、今後かなりの技術協力を進めましょうというようなお話し合いがございました。  それからシリアに関しましては、三木特使が御出発前に、シリアの副総理兼外務大臣が見えまして、製油所の建設というようなことを申されておりましたんですが、副総理の行かれましたときにも、必ずしも最終的な話し合いにはなりませんでしたが、その後、また話し合いが進みまして、結局二百七十億円にのぼるこれは政府借款と民間信用とを混合して供与する、その平均した金利が五・二五%になるようにするということが、約束が大体でき上がっておるのが現状でございまして、なおそのプロジェクトがどういうふうなかっこうになるのか、日本の供与した金額だけで、はたして全部のプロジェクトが完成に至るのかというような点の検討を現在進めておりまして、その点が確認されました後に、正式の約束にまでもっていきたいと考えております。  イラク、イランにも三木特使はおいでになりましたが、三木特使のイラクにおいでになりましたときには、経済技術協力協定というようなものをつくりたいという先方のお話がございまして、それは今後話し合おうというようなことでお戻りになりました。イランでは、特に目新しいことはございませんでした。  カタールにも寄られましたが、カタールでは、先方から日本の経済の視察団をよこしたというような話がございまして、これについては歓迎するということを申されてお帰りになったわけでございます。  次に、中曽根通産大臣が、その後にまたイランとイラクとを御訪問になりました。  イランにつきましては、その前から先方の要請がまいっておりまして、輸出用の製油所をつくる、そのために、先ほどシリアで申し上げましたような、政府借款と民間信用とを混用したような形の援助をしてほしいというお話があったわけでございますが、中曽根通産大臣がイランに行かれますと、この輸出用の製油所だけではなくて、さらに石油化学関係のプロジェクトも援助をしてほしいというお話し合いがございまして、金額があまりにも膨大になりますので、今後さらに話し合いをしようということで、お帰りになったわけでございます。  イラクにつきましては、やはり先方が石油を供与するので、それに対しまして各種のプロジェクト、たとえばLPGのプロジェクトとか、そういったものを民間、政府合計して十億ドルを、円借款と民間資本との混合したものを供与してほしいという話し合いがございまして、これにつきまして、やはり先ほどのと同様に、その全体の平均した金利五・二五%で供与するということでお話し合いができましたが、それにつきましても、先方のプロジェクト等につきまして、なお詳細な調査を現在続行中でございますので、それらができまして以後、正式のお約束になるかと存じます。  最後に、小坂特使が回られました国につきましては、アルジェリアは、従来から日本に対しまして、各種の種類のプロジェクトについて、経済協力の要請を行なってきておりましたが、小坂特使の御訪問に際しまして、主として電気通信関係のプロジェクトに関連して、百二十億円の円借款を供与するということを約束されまして、    〔主査退席、副主査着席〕  その後、これにつきましても、詳細な点を目下詰めておる段階でございます。  そのほか、小坂特使、いろんな国を回られたわけでございますが、円借款のお話し合いがありましたのは、そのほかにモロッコとヨルダンとそれからスーダンで、それぞれ金額は三十億円ずつでございます。  で、どういうプロジェクトについて、この三十億円をそれぞれ使用するかについては、今後の話し合いに待つということになっておりまして、現在、各国それぞれの相手方政府と話し合いを続行しておると、こういうのが現状でございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 そのほかに、中曽根通産大臣は、ブルガリアを訪問した際に話し合いをされたが、これは民間ベースで一億ドルというのが別にまだあるんじゃないでしょうか。いまのは政府関係があれだと思いますが、民間ベースで。

御巫清尚外務省経済協力局長

○政府委員(御巫清尚君) 羽生先生御指摘のとおり、民間ベースのものだというふうに存じますので、私どものほうは、主として政府ベースのものをやっておりますので、そういうようなお話し合いがあったということは、一応、聞いておりますが、特に詳しい内容については存じておりません。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 これで、いまのを全部総計すると、どのくらいになりますか、総額で。

御巫清尚外務省経済協力局長

○政府委員(御巫清尚君) 中近東と、東南アジアと、一応、分けて申し上げますと、三木特使、小坂特使、それから中曽根通産大臣と合計いたしますと、大体千二百億円ぐらいになるかと存じます。正確には千二百九十億円になると思いますが、これは政府部分だけでございますので、それにつきまして、さらにイラクにつきましては、その十億ドルのうちの二億五千万ドル分だけを勘定した場合の数でございます。  東南アジアにつきましては、先ほど申し上げました数字を、全体を合計いたしますと、二千七百七十億円ということになります。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 いまのイラクの十億ドルのうち、二億……

御巫清尚外務省経済協力局長

○政府委員(御巫清尚君) 失礼いたしました。ちょっと訂正さしていただきますが、東南アジアにつきましては、約千五百億円程度でございまして、両者、東南アジアと中近東と両方合わせたものが、いま申し上げました二千七百七十億円という数字でございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 それで政府ベースのものが、たとえばイラクで言えば二億五千万ドルですが、あと民間ベースで七億五千万ドルあるわけですし、それに、このイランが、最初、日本の中曽根特使の言われた十五億ドルの供与を提案したけれども、イラン側が、さらにもう十億ドル追加供与を求められて、その結果、その後、会談が中断しておるわけですが、これはどういうことになりそうですか。

御巫清尚外務省経済協力局長

○政府委員(御巫清尚君) イランにつきましては、その後も、在イラン大使を通じまして、イラン政府側と話し合いを続けておりますが、日本側といたしましては、最初に考えましたこの輸出用の製油所に対します十億ドルの、民間と政府混用の経済協力というものについて、まず話を進めようというような提案をいたしましたわけでございますが、イラン側がまだそれに応じてきておりませんので、まだお話し合いが続いておるというふうに考えております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 それで、このイラクの政府ベース二億五千万ドルのほか、民間の七億五千万ドルを入れて十億ドルと見て、この政府、民間合わせたもの、これが約十八億一千万ドルくらいになると思います、総計で。インドネシアとか、マレーシアとかいう、田中総理の東南アジア訪問の約束と、中近東諸国を全部含めて、十八億ドル余になるし、それに、もしイランの十五億ドルがまとまるというと、約三十二億ドルくらいになると思うんです。それからそのほかに、いままで各国で約束したもので、未実行額が、日本金にして五千七十九億円、約十八億ドルということになっておるようですが、これは詳しく調べてもらったんですが、これ間違いないと思うんですが、どうでしょうか。

御巫清尚外務省経済協力局長

○政府委員(御巫清尚君) 最後に羽生先生御指摘になりました数字は、毎月、月末に閣議に報告しております、要するに、その月までに交換公文ができ上がったもので、それでまだ実行が済んでいないものの数字だと存じますが、そういう意味では、ほぼそういう数字が出ております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 それに賠償及び準賠償の残額が約五百四十五億九千万円残っておるわけですが、これをドルに換算すると、一億七、八千万ドルになるんでしょうが、こういうものを統計すると、五十億ドルをこすことになると思うんですね。だから、これは非常な膨大なものになるわけですが、この場合、日本の外貨事情が、国際収支の関係で、必ずしも将来好ましい展望ではない現時点から考えて、つまり、これだけの約束をされても、単なるリップサービスに終わらないように、確実に実行できるという保証はあるのかどうか。もしそれが確実に実行できないというと、将来の日本外交にも、信用問題で大きな影響を与えることになると思うんですが、この点は、いまの中近東から東南アジア、あるいは約束をしてまだ実行をしていない額、賠償及び準賠償等、総計五十一億ドルくらいに及ぶこの膨大なものを、この国際収支の悪化条件の中で、十分こなしていける確信があるのかどうか、これは大臣からひとつお伺いいたします。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 仰せの御質問、ごもっともでございますが、その金額は、単年度に実行すべきものでなくて、複数年度にわたっておるものでございますから、まず、単年度で割ってみて、どのぐらいの負担になるかということでございます。その場合、われわれは経済協力基金だとか、輸銀などで政府ベースの援助を、大体年間二千五百億円内外のいわば口径を持った援助の分量を大体考えておるわけでございます、予算に計上してあるものが。したがって、その中で単年度の援助がこなせる程度を目安にいたしまして検討を加えた上でのお約束でございます。  それが第一点でございますが、いま羽生先生、外貨の問題でございますが、それはいわゆるタイドローンでございまして、わが国からの物資、役務の調連でございますから、直接その外貨には影響はございません。しかしながら、そういう物資を供給するわけでございますから、それの原材料は当然間接に輸入にかかってくることはございますけれども、直接に外貨事情に響いてくるというものではないと承知しております。ただ、全体として外貨事情が窮屈になってきておる、その展望も明るくはないということを十分念頭において、私ども用心深く対処していかなければならぬと考えております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 この各国の援助のうち、特に中東諸国に対する経済協力問題を見ると、石油危機に直面をして、とにかくにも石油をということで、三木特使をはじめ中曽根さん、小坂さん等を送られて、相次いで使節を送られたわけですが、率直にいってどろなわ的で、明確な目的意識や計画があっての対策ではない、全くの急場しのぎの対策と考えられます。  そこで、今後政府が、政府援助と民間援助との関係——これはたとえばイラク一つとってみても、民間が七億五千万ドルという膨大なものになるわけですから、そういうことで、政府援助と民間ベースの援助との関連、さらに中東諸国、産油国への援助の協力の関連で、西欧先進諸国と日本との協力関係が非常にひとつ問題になると思うんです。特に将来、産油国の経営のあり方が、石油問題に対する対処のしかたが、国有化するような場合には、なおさら問題が私は出てくると思うんです。ですから、そういうことを考えた場合にあの場合は、三木特使をはじめ各特使や大臣が急いで飛んでいかれて、油の手当てをされたことはやむを得ないこととは思いますけれども、しかし、長い将来を考えてみた場合に、もっと計画的に西欧先進諸国との協力関係とにらみ合わせて、さらにこの油が国有化された場合に一体どうするのかというようなことも考えて、もっと長期的な展望に立っての計画的な対策が必要ではないか。東南アジア等ももちろん必要ですが、特に中東諸国に対する態度として、もっと計画性と将来の展望を持った援助方式、協力方式が必要だと、こう思うのですが、大臣の見解をお伺いいたします。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおりでございまして、今度の三木さん、小坂さん等をわずらわして中近東を旅していただいたのは、世間では油外交だというレッテルを張られておるわけでございますが、実はそうではなくて、羽生さんが後段に言われたような気持ちでわれわれはやったつもりです。  いま、そういう経済協力の約束をいたしましても、二国間取引で石油を引く手はございませんし、価格も一国の自由になる価格じゃございませんし、私ども決してそんなに甘くは見ていないわけでございます。  したがいまして、長きにわたってこういう国々と友好関係を保っていくためには、従来も円借款もやっておりましたし、技術協力もやってまいってきたわけでございますけれども、今後も長い展望に立って、こういう国々の願望いたしておる国づくりについては、日本の援助供与能力の許す範囲においては考えておくべきであるという考え方に立脚してやったわけでございましたが、時期が時期でございましたから、これはどろなわ式の油外交だと、こう言われたんで、実は非常に心外に思っておるわけでございます。そんなつもりはないわけでございます。したがって、仰せのように、長きにわたってこういう国と永続的な関係を取り結んでまいるということを心がけておるわけでございます。  それから第二に、これはローンでございまして、いわば投資で、日本の所有にかかる施設が向こうにできるわけじゃないわけでございまして、したがって、これは貸借関係になるわけでございますから、一応国有化とは関係は私はないように思いまするけれども、資源主権がだんだんと拡大してまいりまして、資源に対する支配力を保有国がだんだん掌握してくるし、そのパーティシペーシッンもだんだん度合いが拡大してくることは十分頭に置いて、こういう経済協力をやる場合におきましても、そういう展望は十分頭に置いてやらなければいかぬと、そういう点は心得てやっておるつもりでございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 もちろん、国有化になってすぐそれが直接的な影響があると、私、言うわけではないのですが、しかし、それらのことも将来の展望の中に含めて問題を検討すべきであると、こういうことを申し上げたわけです。  それから、この種の、いまの中東諸国から東南アジア諸国、今度の田中総理や各特使が回られた範囲の援助は、これはいま説明を受けたとおりですが、そういうことから、その他の諸国に対する援助がそのために影響を受けるということはないでしょうか。日本は相当強い経済力を持っておるけれども、そうではあっても、そのためにその他の諸国に対する援助が何らかの影響を受けることはないか、この点はいかがでしょうか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 大体、日本の経済援助は東北アジア第一で、その次が東南アジア、両方合わしてまあ九割近くいって、あとは中近東だ、アフリカ、ラテンアメリカというように、それがだんだん詰まってきておるわけでございまして、この姿は決して私はバランスがとれた姿とは思わぬので、ほかの地域に対しましてもできるだけ分厚く、力があれば分厚く差し上げるようにしなければならぬと考えております。  幸いに、いままで政府の予算も年々歳々二〇%内外の拡大を見てまいりましたし、援助予算も、財制当局の御理解で、それを上回る予算をつけていただいておりますので、こういうことをやることによって、それじゃ東北アジア、東南アジア方面の援助が減るということはないと思います。  ただ、これから先日本の財政がどういう姿になるか、これは全体として締めていくようになるのか、ということになってまいりますと、また全体として模様が違ってまいりますけれども、これだけをとって考えてみた場合に、ほかの地域を減らすという羽目になるとは私は考えておりません。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 時間がないので、もうあとわずかしかないので結論に近づけますが、あとから戸叶議員から質問があると思いますけれども、いますぐソ連のシベリア開発に協力するわけではないけれども、かりにこれが具体化すれば、ここにも相当金が要るわけですね。ですから、そういうこともあるので、いままで見てきたように、なかなか膨大な額になる。その余分にまた新しいものが加わることになるので、日本の現状とにらみ合わせて、十分計画的な経済協力体制の確立が必要だということを申し上げておくわけです。  最後に一点ですが、これはちょっといまのこととは直接に関連はありませんが、さきに新大西洋憲章の名のもとに、キッシンジャー構想が昨年出されたわけですが、これはある意味においては、たがのゆるんだNATOに日本を加えて、西側同盟外交の再編成を考えたものと思うわけですが、その有力な式器に石油を使ったと思うのです。そういう傾向が非常に顕著だと思うのですが、それはともかくとして、このいわゆる新大西洋憲章というものは、あれはキッシンジャーが撤回したことになっておるのですか。その辺はどういうようなことになっておるのですか。日本も何か行動をともにするような一時期もあったように思うのですが、何か最近の情報では、あれは撤回したようなふうにもいわれておるけれども、その辺はどういうことになっているのですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) これは、まず、日米欧の三つの先進国の協力関係を規律する新しい理念を宣言の形で考えてみよう、対中外交、対ソ外交などに一応の成果をおさめたニクソン政権が、今度は同盟国との関係を強化しよう、もう一ぺん姿勢を整え直そうという意味で考えられたことでございまして、米国と欧州との間には二つのパイプがありまして、一つはNATOをパイプにして、一つはECをパいプにして、二つのパイプで話し合いが行なわれておったわけでございます。それから、アメリカと日本はまた別な話、そういう話し合いを日米間でもやっておったわけでございます。それから、欧州は日本に対しまして米日欧の話し合いをしようじゃないかという呼びかけを受けておったわけでございます。ところが、それを検討するいまの現状は、それがいまはかばかしくまいらないという現状でございまして、話が切れたわけでも何でもないわけでございますけれども、したがってこれがどういう姿にだんだんなっていくのかという、まだ展望を語るには少し早いのではないかと私は思いますけれども、わが国の立場から申しますと、われわれは日米欧三者のこの一般宣言みたいなものが望ましいという考え方は、ヨーロッパにもアメリカにも通知してあるわけでございますが、そのままの姿で、いま特に顕著な進展がないという状況に、まああります。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 そうすると、話は切れたわけではない、そのまま続いておると、それからその話の次第によっては、日本もやはりキッシンジャー構想に加わっていくというように理解してよろしいでしょうか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) ええ、つまり、先進工業国間の共通の問題がいろいろございますから、通貨の問題にしても、公害の問題にいたしましても、貿易の問題にいたしましても、資源の問題にいたしましても、科学技術の開発の問題にいたしましても、いろいろ共通の課題があるわけでございますから、そういう問題について協力のルールというようなものをつくり上げていくということは、私は日本として十分検討に値する課題であろうと考えております。   〔副主査退席、主査着席〕

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 それで、私がなぜこの石油問題の際に唐突にこの問題を出したかといいますと、先ほど申し上げましたように、やはりキッシンジャー戦略といいますか、構想の中には、いま大臣から御説明あったようなこともありますが、同時にその有力な武器として石油消費国の結束——西側同盟外交の再編成ではあるが、同時に石油消費国を結束して産油国に当たろうという、そういう意味の戦略が非常に濃厚だったと思うのですね。そういう意味で——いや私はそう理解しているのです。ですから、やはり私はある程度の警戒を必要とするのではないかと思うのですが、それに関連して、まあ時間がないのでこれでやめるのですが、近く日本で石油消費国の第二回会議をやるようなうわさもあるのですが、そういうことはあるのですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) いや、別にまだそう周まった話ではございませんで、石油エネルギー国際会議が生み落とした調整グループの会合というものを回り持ちでやっていますからね。いずれまだ、日本も引き受けなければならぬという日があるかもしれませんが、まだ具体的にきまっておりません。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 最後に。  その場合に、私はもし日本がその当番国になって引き受けなければならぬような場合には、それは慎重に、周到な配慮をもってやっていただきたいと思う。これはなかなか、やり方いかんによっては非常に影響が大きいと思うので、この点は特に要望をしておきたいと思いますが、大臣いかがでしょう。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおり、慎重に心得てやるつもりです。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 大平大臣にお聞きしますが、日中航空協定交渉が核心に入っておると、こう報ぜられております。総理も外務大臣も相当な自信を持っておられるやに承っておりますが、この際、調印までの手続というか、手順というか、これを先にお聞きしたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) まだそういう手順まで考えていないのでございまして、いませっかく交渉中でございまして、この交渉をなるべく早く仕上げるべく努力をいたしておる最中でございまして、これが大体仕上げについて見当がつきました段階で、どういう手順を踏んでまいるかということについて腹がまえをつくってみなければいかぬと思っておりますが、そういうことについては、まだ思いをめぐらしておりません。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 大臣はもう御承知のように、現在は政党内閣です。そこで、外交は政府の専権だということになっていますが、この前から、まあ、もみにもんで、党議といけものが一応出ておりますが、これについてどういうふうに見解を持っておられますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 外交は、政府の外交権の行使ではございますけれども、国民の強い支持を得なければなりませんし、とりわけ、与党の圧倒的な理解と協力がなければ円滑な展開は不可能であるということは、よく承知をいたしております。日中航空協定に関連する党議は、私もよく承知いたしておりますし、その精神を十分体して事に当たるつもりであります。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 党議に、日中航空協定締結と同時に日台間の民間協定もやってほしいという、こういう党議になっておりますが、現在、同時にということは全く同時でありまして、国民の間で、北京との間で、まあ百メートル競走にするなら九十メートルくらい、いま走っているのじゃないか、あるいは八十メートルかもわかりませんが、片一方のほうは、日台間のほうは、これはスタートラインにもまだついていない、後段申し上げますが、ウォーミングアップした程度じゃないか、というふうな見方があるんですが、これはどのように理解しますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) そういう理解は私は持っていないのであります。現在、日台間には定期便が順調に飛んでおるわけでありまして、この日台間の航空往来は、安定した基礎の上で将来も続けていかなければならぬと考えておるわけでございます。日中間にはまだ飛行機は飛んでいないわけなんでございまして、これは日中航空協定の成立を踏まえて、これまた協定ベースに乗りましたフライトが早くできるようにすることを期待いたしております。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 それは大臣、あたりまえのことですよ。いま日中間に、北京との間に協定ができてないんですから、これは飛ばないのはあたりまえで、あの日中共同声明の精神にのっとって、日台間に経済、文化、人事の実務的な交流は続けていくという、これに基づいて交流協会ができ、亜東関係協会ができて、その交換文書がかわされて、こちらは二階堂官房長官が、向こうは外務大臣が、同時にこれを支持するという声明をして、いま日台間に飛行機が飛んでおるんです。あたりまえのこと、これは何もふしぎはないのです。  そこで、私たちはそういう前提に立って、やっぱり問題なのは、大臣が持って帰った六項目ワンパッケージの中の、中華民国という主権国家を否定をする、そういうふうな「(台湾)」と、また中華航空機の尾翼についておる青天白日旗について別途その認識を表明するという、それと第六項の代理店業務の問題、これがやっぱり政治問題として依然残っておるわけです。北京のほうも、これを私は決して経視をしていないと思います。最も重視しておる問題じゃないかと思います。しかし、中華民国もそうなんです。あなたが去年のここの分科会で、ここにちゃんと私は記録を持って来ておりますが、「私は、中国に二つの政府があるということを否定しないわけであるわけでございます。」と、これはやっぱり中国という地名の中に、中華人民共和国というのと中華民国という二つの政府があるということ、あなた自身が認めておられるわけです。そうでしょう。それであるならば、やっぱり中華民国というものは、この地球上に主権国家として存在をするんだということなんです。その中華民国が主権を否定をされておると見る、いわゆる日本がかってに一方的な措置によって日華平和条約の無効宣言をした、それによって国交が切れていった、今度また、その一方的に切った日本が主権を否定をするような行為に北京から圧力をかけられて出てくるというのは、一体どういうことなんだという認識なんですね。これの認識については、国民の間でもかなり、おかしなことやるもんだ、何でこんなことやらなきゃいかぬのだと、こういうことのために、せっかく日本人が年間四十三万人も行きかいしておる、投資も四五%ふえておる、こういう中華民国、台湾というものに対して、何でこんな問題を起こさにゃいかぬのだろうか。しかも、党内におきましても、国民の間にも、いろんな議論がある。へたしたらたいへんなことになるぞという心配もある。そういうときに、なぜ急がなきゃならぬのか、その解明、その説明、私は不十分だと思います。ここでやっぱりわれわれに納得のできるような説明をひとつしてもらいたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 日中の国交を正常化いたしまして、日中間の実務関係を規律するところの航空協定をはじめ、各種の実務協定を結ぶ締結交渉をしようじゃないかという約束をいたしまして、私どもは正常化後その仕事に手を染めてまいったわけでございます。もう一年半もたったわけでございまして、私はなるべく早く各種実務協定は結ばなきゃならぬと考えておりますし、これは当然の道行きであると思います。玉置君もその点は十分御理解をいただいておることと思うのであります。  それから台湾との関係でございますが、台湾と、今日わが国が、過去において中華民国の名におきまして日本と外交関係を持っておりましたことは厳然たる事実でございますが、日中国交正常化を契機といたしまして、われわれは中国を代表する唯一合法の政府として北京の政府を認めたわけでございます。したがって、外交関係は切れたわけでございますが、その段階で中国政府と話し合いまして、その理解のもとに、日台実務関係は滞りなく平穏のうちに維持してまいったわけでございます。しかしながら、日華平和条約をはじめといたしまして、国家間の取りきめが働く余地がなくなり、失効いたしました現在、この姿はあくまでも暫定的な状態でございまして、なるべくこれを早く安定した秩序を与えなけりゃならぬわけでございますので、日台航空往来につきましても、民間協定という姿を通じてこれを維持していこうということが最も常識的な、実行可能な道であると考え、この点につきましては、国の内外にそう異論もあるように私は承知いたしていないわけでございまして、これも一日も早く結んでまいりたいと考えておるわけでございます。私どもが、日中関係、日台関係においてこれまでとりましたことについて、私は間違いもなかったと思いまするし、悔いも持っておりません。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 大臣、英国は、御承知のように、北京と国交を開いて二十年、いまだに相互航空協定を締結していませんね、正式に。これはどのように認識しますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 英国と中国との関係につきましては、コメントすることは差し控えたいと思います。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 大臣は大臣の立場で言うことを避けたいという、これは理解できます。しかし、国民の側から見たら、おかしなことなんですよ。英国は国交を開いて二十年、そうして北京と英国の間に航空協定はまだ結んでいないということ。これはBOACとキャセイの関係——いわゆるBOACというんですか、あれが北京に入るということについて、北京は一たん了解をした。しかし、香港に本社を置くキャセイ航空が台北経由で東京に行っておるということについてけしからぬと北京が言い出した。そうすると——簡単に言いますよ、まだいろいろ事情はありますが、簡単に言いますと、英国は、ああそうか、そういうこと言われるんなら、あんたが百年言い続けるなら私とこは百十年待ちましょう——私は、英国というのは、やっぱり世界の外交というものについては相当な指導国というふうに考えております。斜陽英国といえども、外交になったら、やっぱりりっぱなものだなと思っています。日本の外交はいつもしかけていくんですよ、こっちから。特に北京との外交を見とったら、いつもしかけていっている。しかけていったものは——これは外交の評論家に聞いていただいてもわかりますが、事と次第にはよりますものの、しかけていったものは七分の不利だということ、待つという、この外交の姿勢、じっとがまんをするという、その有利さ、こういうものについて、あなたはどう考えますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 待つべきときは待たなければいけませんし、急ぐべきときは急がなければいかぬと思うわけでございまして、そのタイミングの判定には、私も十分、乏しい能力でございますけれども、配慮いたしておるつもりでございます。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 そうすると、いまは、日中航空協定、こういう問題は待つべきでないと、日本から積極的に出かけていってやるべきだという考えでございますね。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 積極的に出かけるとか出かけないとかいうことではなくて、もう正常化後一年半、先ほど申しましたように、たっておるわけでございまして、一日も早くこの問題に始末をつけるべきときが来ておると私は判断いたしております。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 私は、大臣の口から出ましたように、玉置君も日中航空協定を結ぶに反対じゃないだろうと、そのとおりです、反対じゃございません。早く北京の飛行機が日本に飛んできて、また日本の飛行機が北京に飛ぶということ、これはもう反対じゃない。当然のことです、これは。国交を開いた限りには当然のことです。しかし、それによって起こる別な行動というもの、別な一つの動きというもの、これが国益を阻害するんじゃないかという配慮が私たちのいつも脳裏にあるんですよ。  そこでお聞きをしますが、台湾との間、いわゆる中華民国との間の交渉というものをどのようにいま進められておられますか、お聞きをしたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) いま日台間は、玉置さんも御案内のように、先方は亜東関係協会を窓口にいたしておりまするし、わがほうは交流協会を窓口といたしまして、そのパイプを通じまして実務関係の処理をいたしておるわけでございます。わがほうの考え方、構想というものは、詳細に交流協会を通じて先方に御説明申し上げてありまするし、先方も検討を約しておられるわけでございますが、まだ確たる御返答をいただいていないわけでございます。しかしながら、私どもといたしましては、絶えざる注意を持ってこの成り行きを見守っておるわけでございまするが、その間のいろんな事情につきましては、事が微妙な段階でございますので、この席で申し上げるということは差し控えさしていただきたいと思います。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 大臣ね、それならこれをお聞きします。あなたが党の実力者に説明をされて、朝野の方に密接な連絡をしておるという説明があったというのですね、朝野って一体だれだろうなと、朝野というのは、朝田さんの朝が朝で、野は一体だれだろうなというような実は冗談を言いながら、朝野というのは一体だれだろうなと思ったのですよ。それはなぜか、説明します。  向こうは、田中総理が日台航空路線問題における民間交渉はすでに進展してきていると発言したことに関して、三月二十一日、外交部のスポークスマンが、次のように記者会見をして正式に語っておるんです。「これは事実ではない。そのような交渉はまだ開始していない。従って進展云々は有り得ない。日本側は現在の」——これは向こうは「中日」と言っておりますが、日台のことです。日台「航空路線に就いて若干の変更を加えることを提議しているが、その中のある部分がもし実施されれば、中華民国の利益と尊厳に損害をもたらし、中華民国は如何なる状況の下においても絶対にこれを受け入れることはできない。中華民国のかかる立場は已に再三日本側に通告しており、この立場は絶対にかえられない。従って」日台「空路の現状が日本政府の中華民国の立場を無視する措置によって中断すれば、日本政府はその全責任を負うべきである。」、これが三月二十一日。引き続いて三月二十三日午前十一時、亜東関係協会の張研田理事長が交流協会の伊藤所長と会見して、次のとおり申し伝えております。この、渡しました文書を続み上げます。大臣もおそらく文書を見ておられると思います。「三月二日板垣理事長と会談した当時(伊藤所長も同席)は、政治問題が未解決のままだったので、中(華)日航空路線問題の民間交渉は開始されなかった。中華民国の利益と尊厳を擁護する立場は絶対に変えない。従って、中(華)日民間航空の現状がもし日本政府の中華民国の立場を無視する措置によって中断されれば、日本政府はその全責任を負うべきである。」、こういうふうに述べておるわけです。だから、われわれの認識する範囲におきましては、これは中華民国、あの政治問題という主権否定の行為というものが何らかの形で修正をされなかったならば、これは民間協定どころじゃないという認識のもとに動いておるということ、これをやっぱりどういうふうに考えますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) おたくのいま読み上げられました声明は、よく私も承知いたしておりますが、それに対しましてとかくの論評というものは差し控えたいと思います。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 それでは、大臣ね、けさの新聞ですけど、あんたの写真が出たこの新聞です。朝日新聞にも出ておるし、それから「毎日」は、これは朝田さんのなにが出ている。ここで、これは「朝日」ですが、「政府関係筋が四日明らかにしたところによると、日台路線をめぐって日台の航空関係者間の話し合いが始まり、懸案の一つであった『中華航空の営業所、地上サービスを代理店に委託する』問題から、まず打開への糸口がみえ始めた。」——ずっとこの記事のところで、「政府筋によると」という、まあ「朝日」も「毎日」もやっぱり「政府関係筋」とか「政府筋」とか書いています。こういう朝田さんと周社長の間の会談というのは、どういう内容でございますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) いま私は、先ほど申しましたように、この問題につきまして交渉の当人でございまするし、微妙な段階でもございまするから、北京や台北における状況がどうなっておるかというようなことにつきまして、とやかく申し上げることは賢明でないと思いますので、そういうことについて一切申し上げていないつもりでございます。「政府筋」と書いてございますけれども、私に関する限り、そういうことを申し上げたことはないんでありまして、新聞の記事につきまして責任を負うわけにはまいりません。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 これはね、大臣、それだったら、私のほうの見解だけ、私の認識しておる範囲のこと言っておきます。  実はきょうの朝われわれの集まりがあったわけです。そしてこの問題を、冒頭に真相をただすということ——私は、やっぱり真相を常に知っておる、真実を知っておるということは、国会議員として当然のことだと思うんです。真相を知らざるをこれを迷いと言うんです。これは御釈迦さんがちゃんと教えておる。真相を知らざるをこれを迷いと言う。そこで、こういうふうにして真相が語られたごとく報道されるという、この日台路線の関係というものは非常に危険だということです。こういうもとにおいて、お互いが大きな疑惑を持ちながら真実を知らないまま突っ込んでいくということは、非常に危険だということのために言ってるんです。この周社長は、きょうはインドネシアのジャカルタにおるんです、これは。本人も至って当惑しておるんです、これは。そういう事実がないということをはっきり言っておるんです。そればかりじゃない。これは自分をおとしいれるための一つの奸策じゃないかとまで言っております。これは電話であります。  さらに、ここにあなたに電報をお渡しします。ちょっとこれ、電報、外務省の人、秘書官、この電文。これはいま入った電報、十二時に入った電報です。これ原文ですから大臣に見せてください。このことについて、「ただちに次のメッセージを亜東関係協会の馬代表に伝えよ。中華航空の周社長は、日航の朝田社長との間で、日本と中華民国における中華航空と日航の代理店に関する双方の協議が達成されたことを否認した。中華航空の周社長は、中華航空は日航と、航空権に関する如何なる政治的決定について交渉する権力がないと強調した。」、これ電報です。だから、もう一回、大臣、確認をいたしますが、こういう状態のもとにいろんな形で進められるということについては、私もはなはだ残念であります。こういう真相が知らされないままに、真実が語られないままに、いろんなこういう情報が飛びかわって、あたかも日本のほうが、民間協定の交渉に入っていないとはっきり正式の機関で声明をしておる中華民国、台湾に対して、次々と何か、この民間協定交渉に入っておるがごとく日本国民に植えつけていく、そうして台湾のほうが交渉に乗ってこないからだと、しかたがないから日中航空協定に調印をし、国会批准にかけざるを得ないという、もしそういう意図がありとするならば、これは私はたいへんなことになると、そういうふうな勘ぐりすら起こすような最近のムードです。私は、そのことが決して日本の国益のためにならない、こういうふうに理解をしておるんですが、どうですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 私は、たびたび申し上げておりますように、この問題、公正な立場でできるだけ早い解決をはかりたいと一生懸命にがんばっておるつもりでございます。この問題の処理はきわめて慎重にやっておるつもりでございます。ただ、新聞その他の記事が問題になっておるようでございますが、それは私にかかわりのないことでございます。あなたのおっしゃるように、国益を踏まえて、慎重にかつ円滑に事を運んでいきたいと、日夜努力いたしておるところでございます。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 そうしますと、大臣はすでに御承知のように、去年の七月の十四日の中華民国の外交部の声明、これはここに資料がございますから、もう一回確認する意味で読み上げます。「もし日本政府が北京の圧力に屈した場合、中華航空は日本での離着陸を放棄するが、同時に、日本の航空機の離着陸および通過を認めない。いかなる航空機であるとを問わず、許可なくして防空識別区内に侵入したものは、すべて正体不明の飛行物体とみなして処理する」という内容、これはいま言いましたように、去年の七月の十四日に外交部のほうから発表したものであります。で、引き続きまして、この声明を、いわゆる日中航空協定問題が騒がしくなってきたときの本年の一月十五日、蒋経国行政院長が再び確認をして、その声明を出しております。これはまあ御承知のとおりだと思います。で、さらに一月二十六日に、いわゆる中華民国の、国府側の最高の機関であります中央常務委員会で臨時会議をわざわざ開いて、こうした問題についての一切の決定権というか、指令権というか、それを蒋経国行政院長に一任をするという決定をいたしておりますが、これは御存じでございますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 台北内部の事情はよく存じませんけれども、この声明につきましては承知いたしております。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 その臨時会議の決定はですね、大臣ね、この航空路線を維持するとか、そんな問題ではないんですよ。もちろんこれも大事ですけれどね。それよりも一番みんなが意見が集約され、いわゆる皆さんのこの最終的な結論というものは、中華民国の尊厳と権益が侵犯をされるのを許さないという、最初のこの中華民国の尊厳というところに大きなウエートがかかっておる。このことを理解をしないでこの日台間の民間航空協定を話を進めるということについては非常な危険性を伴うんじゃないか。私なんか、こういうことをしょっちゅう言いますと、あいつはすぐおどすじゃないかとか、そういうことを言いますけどね。大臣、どうですか、私は先輩としてのあなたにお聞きするんですけれどね。政治家というのは、国会議員というのは、一つの問題が起きたときに、楽観的にものを見ていくよりも、最悪の事態、この問題が突っ込んでいったときに最悪の事態はどうなるんだろう、それが起こったときにわれわれはどういうふうに解決をしていくべきか、その前に、その事態を起こさないためにどうしたらいいかということ、こういう配慮をしていくのは私は当然のあり方だと思うんですが、ひとつお教えをいただきたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 政治家としてばかりでなく、公人として常にそういう心がけでいなけりゃならぬと私も思います。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 私は、ここで大臣にお聞きするんですが、どうも日本の外交というものは、外交戦略と安全保障戦略というものと、この関係をもっと重視をしてやったらいいんじゃないかなあという——まあ私はしろうとだからそう言うのかもわかりませんが、それはどうなんですか、外交戦略と安全保障戦略の問題。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 外交戦略と安全保障戦略は別にあるわけじゃなくて、安全保障戦略とあなたが言われる意味をそんたくするに、私は、このことは外交戦略の一番基本にあるものと思います。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 外交戦略が基本にあるのですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 外交戦略の基本に安全保障戦略というものがなければならぬと思います。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 ああ、そのとおりです。私は、もう未熟ですが、大臣のおっしゃられたとおりだと思います。外交というものは、日本の国の安全保障というものを基本に考えてやっていくというのは、これは当然のことなんです。であるならば、最近、この国民政府、いわゆる国府の中で、国民党の中で語られておる事態というものについては、あなたは何らかの情報を持っていますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 寡聞にして、詳しいことは承知いたしておりません。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 私はそれは当然だと思います。国交を切っておるんだし、また、そういうパイプが、いま私たちの知っている範囲であろうはずがない。そこに大きな危険性を持つんです。  そこで、いまこの中華民国というものが、最近のまた北京と日本との交渉を見ておって表情が非常にけわしくなってきた。国府、いわゆる国民党の中央統部の会議の模様等も最近非常に激しくなってきた。これは一体何に原因をするのかということ。そして日本に対する措置というものも、これは従来よりも、というより、一昨年の状態よりも非常に強気になってきておるということです。一昨年のときも、私と外務大臣の間で、あるいは党の機関なんかで質問をして、明確な答弁を私たちは得ることかできなかったし、大臣のいろいろな考え方は、あの当時はあの当時で私たちも聞きました。しかし、あの当時といまの中華民国というものは非常な情勢の変化があるということ、これはお認めになりますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 先ほど申しましたように、台北政権の中の外交戦略に、あるいは安全保障戦略にどういう変化があったかということは、私はつまびらかにいたしておりませんので、もしお教えいただければ幸いです。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 外務大臣に教えるというような、そういう立場じゃないですが、私は日本の国の安全保障というものをぜひ頭の中にしっかり入れていただきたいという意味で、私の知っておる範囲のことを申し上げます。  これは時間の制約がありますから簡単に要点だけ申し上げますが、それは、一昨年のあの国交をこっちから切った当時と今日の台湾というものは根本的に違うというのは、あの当時は国連から追放された、そうして国内的にもまだ動揺があった。しかし、あの当時の日本に依存する程度というものが非常にパーセンテージが高かった。で私は、これは実際の話でありますが、孫経済大臣、いまの日本の通産大臣みたいな人でありますが、孫さんに、あなたたちはもっとしっかりしなさいよと言った。そしたら、孫さんが私に何と言ったか。とてもとてもいまの台湾の経済状態で日本に対していろいろ措置をする、報復をするというようなことはいまの力ではできません、こう言われた。いろいろあのとき意見があったですよ。意見があったですが、いまの孫経済大臣なんかはそういう見解を取っておった。いまからして思えば、私はなるほどなとうなづける。この一年半過ぎた今日におきまして、中華民国は原材料というものを一あそこもいわゆる工業立国であります。農業立国でもございますが、工業というものに非常に力を入れておる。それだけに、この工業立国いわゆる加工生産という方面に力を入れておりますので、海外から材料を仰がないかぬ。原料を仰がないかぬ。その原料を仰ぐ外国の国というものを、日本と再び経済が切れてもいいように、アメリカに、また国交を切っておるイギリスに、社会主義国のオーストリアに、そこまで手を伸ばして、現在承認国家は三十七に減っておりまするが、そういう経済、文化、こういう交流をしておる国は百二十五カ国に及んでおります。そうして国内の体制も着々と固めつつある。こういうふうにして、一昨年とだいぶん台湾の内部の状況が変わってきた。  さらに私は、今度中華民国を強気にしておるのは四つ条件があると思いますが、これは一つは軍事情勢であります。あとで、久保局長が来ておりますので、久保さんにもお聞きしたいと思いますが、軍事情勢が大きく変化をしてきた。やっぱり台湾の当面の敵というのは中国大陸です。  二番目には、アメリカとの関係が、いま日本とアメリカの関係はあの当時よりもいいということでは私はないと思います。しかし、台湾とアメリカとの関係はあの当時よりも、もっともっとよくなっておる、これは大臣も承知しておられると思います。  三番目は、ASEAN五カ国の、一昨年国交を切ったあのあたりの状況というものは、私は、インドネシアのマリク外務大臣、あのあたりと意見交換をしましたが、台湾はなまいきだと、尊大だと、おれたちがあれだけ国連の中でサポートをしながら、言うことをきかなかったというふうなことでありまして、インドネシアにいたしましても、タイにしましても、決して台湾にいい状況ではなかった。しかし今日では、日本に対してああいう状態に出てきておるこのASEAN五カ国というものは、総体的に見て台湾に対して非常に同情的である。また加えて、昨年の十月から十一月、十二月にかけての石油ショック、これで、あまりにももろい、あまりにも弱い経済大国日本という姿を台湾に見せてしまった。こういうことを考えていきますと、台湾がやっぱり世界戦略としてとっていく方向というもの、これ、おのずから出てくるわけであります。  大体いまここまで話をしておきますが、大臣、いまの私の四つの点についてどのような認識を持っておられますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 私としては、日台関係が安定した関係において今後も続いてまいることを希望いたしておりまするし、この地域のアジアが平和であることを希求いたしておるわけでございます。で、そのことのために、日本としては細心周到な配慮をしていかにゃいかぬと考えておるわけでございます。台北におきまして、どういう考えでどういうことが行なわれておるか、よくつまびらかにいたしませんが、その上に、いまあなたがおっしゃったことについてとかくの論評を加えますことは適切じゃないと思いますので、遠慮さしていただきます。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 私は、大臣がほんとうに立場があるからそういう答弁をしておられるのだと思いますが、それはあたりまえのことなんで、細心周到の注意をして日台間の関係をそこなわない、そのためには論評を避ける、これもあたりまえだと思います。しかし、そんなことだけで答弁を終わって、一方で北京のほうであの六項目の中にある「(台湾)」、それから旗の認識について別途声明するという問題、六項目の問題、これが修正をされない、依然として中華民国の主権を否定する行為が日本の外務大臣でありますあなたの腹の中にしっかりあるということでありますならば、あなたのそういういまのような答弁というものは、台湾にとっては全く信用するに足らない、またそのことが、いわゆる国民の中で、どうも大平さんが火遊びをしておるんじゃないかなという失礼な見方さえ生まれてくる、こういうこと、どうですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 事厳粛な公務について火遊びをするなんということは毛頭考えていないのでありまして、私が考えておりますことは、日中正常化を受けて、そのあとにおきましても日台の実務関係が維持される、そのことに対して中国は理解を示されたわけでございますが、今後長く中国と日本がつき合いをやってまいります場合におきまして、台湾の実務関係の問題ばかりでなく、すべての問題につきまして、やっぱりちゃんとした理解を持ってやらなければならぬわけでございます。同時に、玉置さんも言われるように、台湾に中華人民共和国の支配が及んでいないことも事実でございます。したがって、日台関係の処理というものは、台湾のお立場もありまするし、たいへんむずかしい課題であるということは十分承知いたしておるわけでございまして、その間、日本政府としてどういう措置をとるのが一番適当であるか、実際的であるかということを毎日考えておるわけでございます。火遊びどころでなくて、たいへんな苦心をいたしておることについては、あなたにも御理解をいただかなければならぬと思います。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 そこで、大臣、もう一回、大事なことでございますので、重ねてお聞きして恐縮でございますが、この「中華航空(台湾)」とするというあなたの説明がありましたね、前に。そうして、旗についてはあまり詳しい説明がなかったんですが、この問題であなたと私たちの間でかなり論議がかわされました。  で、板垣さんが向こうに行ったときの会談の内容をここに、こう、持っておるわけです。張研田さんとの会談の内容を持っていますが、そのときに、やっぱり「中華航空(台湾)」の名称についてということで、かなり論議がかわされております。中華航空と中国民航というのは、これは漢字で読んでも全然違う。英語で読んでも全然違う。また略字で見ても全然違う。こんなものは間違うはずがない。それなのに何で「(台湾)」と入れなければいかぬのか。そして、これによって何で問題を大きく広げなけりゃいかぬのか。この辺の認識がわからないんですよ。あなたの説明では、北京と国交を開いたんだから、国交を聞いて台湾も一つの中国と言うとるんだから、そうだからというような説明があったです。また、板垣さんもそういう説明をここでしていますよ。しかし、この問題だけで何でこんなに大きな国民に心配をかけなきゃならぬのか。これと、それで旗の問題と、そして営業所の問題がすっと解決すれば、これは問題ないんですよ。何でこれ、日中航空協定は北京と日本の間でさっさとやって、中華民国、台湾のほうは別途民間協定でさっさとやるという、いわゆるこれにひっかかっとるんですから。この辺の「(台湾)」という問題についての見解、それから旗についての見解、お聞きをしたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) この問題は、一口に言いますと、中国の理解と台湾の了解が得られるという、そういう境を発見して処理しなければならぬわけでございます。いまあなたが提示されたような問題、過去一年余りにわたって苦心をし、吟味をしてまいった案件でございまして、私といたしましては、中国の理解を求め、台湾の了解を求めて何とか解決をしたいと、いま懸命になって努力をいたしておるところでございます。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 私の認識では、大臣、この問題が北京と日本との間で何らかの了解を取りつけるというか、これはあなたの説明が以前ありましたが、これは日本が独自でやるということになっていましたね。日本国として独自でこれを声明するんだということでありましたね。そうであるなら、私は、やっぱりこんな問題を引き起こして心配かけることはないと思うんですよ。その私たちの心配しておることを具体的にいま申し上げます。  これなんです。(図表を示す)軍事上から見た台湾周辺のレーダーカバレージというやつです。大臣、こういうの見たことありますか。ごらんになったことありますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 初めてです。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 初めてですか。初めてであれば、これはたいへんなことです。これの説明を簡単にします。  久保さんにちょっとお聞きします。久保さん、これ知っていますか。私らしろうとだから、間違っておったら教えてください。われわれも苦心して、あっちこっち回って得てきた資料です。というのは、これを考えないで日中航空協定をやったらたいへんなことになるということだ。これは大臣、こういうことなんです。ここに中華民国、台湾という島がある。こっちのこの線は日本のレーダーカバレージです。こっちはフィリピンです。こっちは中国大陸のほうの中華人民共和国のレーダーです。台湾はこのオレンジ色のところです。ちょうどこの間に、全然日本もフィリピンも中華人民共和国もタッチすることのできない、何というか、抜け道というか、これがあるんですよ。それでちょうどここに、いま台湾が軍港の建設を急いでおります花蓮港がある。われわれ一番心配するのはこれなんです。そうして、あなたに私は言ったかどうか知りませんが、高島君には確かに言った。海空セット説というのがいま中央常務委員会の決定になっております。海空というものはセットされたものである。防空識別圏内に入ってきた飛行機に対して物体不明機として処理するという。それだけでなしに、飛行機にそういう処理をしようと思ったら、陸海の協力がなかったらできないという見解を軍がとったのであります。そうして行政に持ち込んだのであります。そうして党の最高決定になった。私はそこに大きな危険を感ずるんです。久保さん、あんた専門家だから、こうなったらどうなるの。あんたどう解釈しますか。むずかしかったらあんたも言わぬでもいい。しかし、こういうのがあるということは認めますか。

久保卓也防衛庁防衛局長

○政府委員(久保卓也君) 厳密にはかったわけではございませんけれども、私どもが承知いたしております姿は、大体いまお示しのようなかっこうになっております。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 大臣、このところをタンカーが通るんです。タンカーが、ここが大体三十万トン以下です。日中正常化ができてからこの台湾海峡を通らないんです、いま日本の船はパーシ海峡に切りかえたんです。だから、この台湾海峡についてはもう心配要らないんです。われわれは、この台湾の中華民国が持っておる軍事上から見たレーダーカバレージというもの、これを心配するんですよ。花蓮港から出て、そうして航空機に援護された艦船か出てきて——ごく簡単なところです。ここが三十万トン以下、こっちが三十万トン以上、こういうふうに入ってくる。こっちのこれはロンボクから出てきた鉄鉱石を積んだ船です。この航路です。これはマラッカを通って、そしてずっと上がってくる中近東の油船です。これに対して中華民国のほうは、いま台湾のほうはどういうふうに考えているかというと、戦争状態なんというのは引き起こさないということなんです。非常に考え方が最近シャープになってきたと私は思うんですけれども、それだけに私は心配しておるのです。で、またここでこの戦争状態というものがかりに起こっても、いまの日米安保では、日本が、アメリカも出動することができない。第五条で施政権の及ぶ領域ということになっておる。であるならば、いま中華民国の党のほうで、中央統部で語られておるこの問題というものは、台湾というこの領土に、東海岸にオイルボールが漂着するのです、オイルボールが。そしてこの東海岸の海岸の汚染をしておる。その度合いが最近とみに激しくなっている。というのは、日本が規制が非常に激しくなったからです。この原因は一体どこにあるのかといったら、このそばを通っていく日本向けの油タンカーじゃないかという見解です。そしていろんな写真をいまとっておる。その船をひとつ臨検をするという挙に出てきた場合、これは大臣、どう処置されますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 日台関係はさようなことのないように、安定した関係を続けたいと思っております。

玉置和郎自由民主党

○玉置和郎君 それは、私たちもあくまでもあなたと一緒に希望を持っておる、そういう状態が起こらないように。そこでぼくは前段あなたに聞いたんです。先輩として教えてほしい。国会議員というのは一つのものを考えていくときに最悪の事態を想定をして、そういう事態の起こらないようにすることが第一。起こったときには短時間のうちにこの問題が解決されて、もとに復すということ、これに全力をあげるということ。そういうことからするならば、私は、あなたのいまの希望的観測でこういう事態だけを見ておるということの危険性、これをむしろあなたに御指摘を、失礼でございますが、したい。そういうことで私たちはなかなか納得するもんじゃない。そういうことで、あなたが、やれ批准に賛成しろなんて言ったって、なかなかそういうわけにいかない。また、おそらく現在の国務大臣の中におきましても、そういう事態が解明されない限り、私は賛成をする方ばっかりじゃないと思う。それが日本の政治家の真の姿です。なぜこういう問題をかかえながら、こういう問題を解決をしないで、そうして日中航空協定を急ぐのか。あなたは、そう言ったら、台湾との間はうまくやっておりますと、こう言う。しかし、私が最初申し上げたように、台湾との関係は一つもうまくいっていない。うまくいっておるとは考えられない。日本の報道機関も真実を伝えていない。むしろ私たちは、こういうことを見たときに、あなただとは言いませんが、政府筋に、あるいは政党筋のある一部において世論操作をやっておるやに見受けられるこの危険性というものを再び御指摘を申し上げたい。私たちは、それだけに、もう一度これは確認する意味で申し上げますが、こんな状態のもとでほんとうに安心できるのかということ。私は、国民にこの状態を知らすべきだと思うんです。そして総務会でも申し上げました。いまこの問題で党四役が一任をされておりまするが、党四役とあなたが相談をなさって——私なんか行きますと、あれはまた台湾びいきの報道をするからと、放送をするからということになりますので、私たちが行って帰ってきて報告しても、これはつまらない。むしろ、気持ちの中で日中正常化のこの状態を促進すべきであるという人、こういう政治家、また野党の人でもけっこうです。行ってくれる人は行ってもらって、そして、当の台湾のこういう実情というものをつぶさに自分の目で確かめ、はだで確かめて帰ってくる。それでないと危険でたまらない。いまあなたも御承知のように、台北には日本の記者という方は一人もおらない。これもたいへんなことです。もしかりに、こういう問題、いわゆる詰めが甘かって、かりに私がいま心配をしているような状態が起こったとするならば、これは第一に、外務大臣、あなたを含めて私たちも責任をとらなきゃならない。国民の前に責任をとらなきゃならない。一田中内閣だとか、一大平外務大臣というような立場じゃない。与党野党がない。政治のこの選択というものがいかに大事かということ。特に外交というものの選択というものがいかに大事かということ。今度のこの日中航空協定をめぐって、日台の民間協定を締結するということをめぐって、私たちにきびしく教えていただいた。私はこれは天の啓示であると思う。  そういうことを考えますと、野党の諸君の中でも勇気のある者はひとつ台湾に行ってもらいたい。与党の中で、あなたと党四役と総理も交えて相談をされて、そうして心情の中に日中正常化というものを進めるべきだというふうな人、台湾に行って一カ月なり二カ月なり、ほんとうにバッジをはずして、民間の観光客か何かに化けてしまってもいい。官庁の中にも、外交官でなくて、そしてキャリアの中で中国語を話せるりっぱな方がおります。そういう方を選んで、そして台湾の実情というものを精査願いたい。そして私たちの言っておることが、玉置君、おまえの言うていることは全くうそだったと、おまえの言うていることは間違っておったと、心配要らぬよという、こういう報告をあなたの口から聞いたときに、私たちは日中航空協定の締結に、いまよりもっと大きな声で賛成をする。  私はもう、この問題で、おそらくあなたが外務大臣ですわって、そしてあなたとこうして間尺の間で話をするということは、もうないでしょう。私はおそらくそう思う。あなたも参議院選挙が終わったらおそらく外務大臣をやめられるんじゃないかというのが、これは巷間のうわさです。また、たいへんだ、実際やってみて。私らみたいなものにこうしていろいろ言われて、これはたいへんだと思うんですよ。ほんとうに私は失礼だと思いますよ。個人的には私はあなた好きなんです。好きなんですけれども、やっぱりこの問題だけはどうもいかぬ。それだけに私は、もう再びこの分科会で、あなたが外務大臣として、また私がこういう立場で、この中華民国の問題について話しすることはないと思います。私の生涯にとってもこれは記念すべき日であると思いまして、あえてあなたに対して礼を欠いたところもありましょうが、お許しを願って、どうかひとつ日本の国益を、もう何べんも言うようですが、そこなわないように、そして中華民国というものに対して十分の十分の配慮を願いたい。こういうことを申し上げて私の質問を終わります。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 最初に、日中航空協定の問題について若干お尋ねをいたします。  ただいまもいろんな角度から論議されたわけでございますが、田中総理は訪仏を前にいたしまして、昨日でございますか、日中航空協定の批准を急げというようなことが伝えられております。また一方、事務レベルの折衝もある程度合意に達して見通しができたと、おそらく早ければ今月の二十日ごろ調印の運びになるのではないだろうか、こういうふうな取りざたが実はされておるわけでございます。さらに、今国会において批准承認という段階まで持っていきたいということでございますが、この辺の経過と事情についてお尋ねをしたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) ただいま交渉いたしておりまするけれども、そしていろいろな論点についての一応の意見の交換はいたしましたけれども、まだ煮詰めるという段階まで至っていないわけでございます。したがって、いつごろまでにまとまるかというめどを申し上げる段階に至っておりません。ただ、私といたしましては、鋭意努力いたしまして、これを仕上げて、国会に御承認を仰ぎたいという希望は、依然として捨てていないというのが今日の実情でございます。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 先ほどの御答弁の中にもございましたように、正常化の道が見出されてからすでに一年半である。政府としても極力急ぐ方向へ推進を果たしたいと、努力をするということ。それはやはり早く実現をという願望が含まれているのだろうと、このように思います。その願望の前には、ある程度の見通しというものが当然あってしかるべきではないだろうか。お気持ちはわかります。その時期について言えないということもわかります。しかし、おそらく物理的に考えまして、長くてもことしじゅう、あるいは、でき得れば今国会の批准を仰ぐというのが、いままでのいろんな伝えられた言動を整理してみましても、そういう結論になるのではなかろうかと思うんですが、その点はいかがですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) まだ自信を、いつまでにできるであろうという確たる展望を申し上げる自信はないんです。ただ、極力急いで仕上げたいという願望、そして、できたら今国会に御承認を仰ぎたいという願望、これは捨てていないということでございます。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 ただいまも指摘がございましたように、与党としては、日台路線のあわせての解決が必要であるという党議決定がされているそうでございますが、この解決がつかない場合にはどうなるのか。また、党議を無視というとちょっと強過ぎる言い方だと思いますけれども、やはり大局観に立って、政府レベルでもって、与党と切り離してこの推進の役割りを果たすのか、その辺の関係はいかがでございますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 日中路線は開設したい、日台路線は維持したいということでございまして、日台路線が維持できないということは考えていないわけでございます。いかにかしてその安定的な維持をはかりたい。そのために努力をいたしたいというのが今日の心境でございます。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 ということは、くどいようですけれども、やはり党議決定の線を尊重しながらその解決に当たると理解してよろしいんでございますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 仰せのとおりです。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 そうしますと、たいへんいまじっと質問を伺っておりまして、きびしい環境の中に現状としては置かれている。はたして一方を立てれば一方進まないというような私は印象を受けたわけですね。両方とも並行的に平和裏のうちにはたして解決ができるのかどうなのか、いまいろいろな質問を伺っておりましても、与党内にもたいへんきびしい抵抗がある。どの時点で一体それを調整しながら、そしてまた、その見通しが十分立てられるのかどうなのか、その辺はわれわれどのように一体受けとめたらいいのか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 調整できないというごとは考えていないんです。やらなきゃならぬと考えております。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 さらに、この今国会での批准ということの願望をいま述べられたわけでございますが、しかし、もう残すところあとわずかでございます。おそらく会期延長になっても、はたしてこの物理的に間に合うかどうかという心配も出てくるわけでございますが、必ずしも延長された時点でそれが批准承認とならなくてもこれはやむを得ないと、一面そういうふうな見方も出てくるのではなかろうかと思いますけれども、その点はいかがでございますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) いま交渉をやっておる最中でございまして、いま私の当面の目標はこれを仕上げるということでございます。で、これが仕上がりました段階で、いま仰せのような問題を考えてみたいと思っておるのでございまして、いま当面は全力をあげて交渉に取り組んでおるというように御承知願いたいと思います。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 おそらく、大平さんとしてもたいへんむずかしいお立場ではなかろうかと、こう想像できるわけでございますけれども、従来も外務委員会でしばしば私はこの問題を提起してまいりました。その都度同じような表現でもって前向きに努力をする、できるだけ早い時期に。そうしているうちにだんだん時間の経過というものがあるわけでございます。およそ、その政府の腹づもりというか、いま私は一側面しか申し上げておりませんけれども、いろいろな経過がございます。その経過を十分頭の中でおそらく整理をされながら、大体この時点には可能性が出てくるのではなかろうかと、もう北京のほうとも合意に達したという時点を踏まえつつ、これはあまりにも見通しのきかない、ただできるだけ早く努力をするということで、はたしてその道が明確に開けていくものかどうか。たいへん含みのある大平さんの御答弁でございますので、どっちにも受け取れる場合もございます。たいへん失礼でございますが。その辺重ねてやはり見通しというものは立てられないものかどうか、重ねてお伺いをしておきたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 私が確信を持てた段階におきましては、国会を通じて申し上げますけれども、まだそういう段階ではないわけでございます。国会の発言というのは、これはいわば真剣なものでございますから、ばくたる展望を語るなどということはたいへん国会に対しても非礼だと考えております。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 まあ、この問題はこの程度にして、また次の機会に譲りたいと思います。  次に、昨今ますます多極化した外交というものが展開され、わが国の外交としても、あらゆる面に配慮をしながら推進をしていかなければならないという課題が至るところにあると思います。ところで、その外交の先駆を切るべき外務省の機能というものが、今日の機構で十二分に一体果たせるものかどうなのか、非常に心配になる点がございます。たとえば、この戦前と戦後の職員の構成を考えましても、大幅に減っている。たしか私の記憶では、戦前と比較をすると六割ぐらいの現状で、四割減っている。こういうことではたして維持できるかどうか、この点はいかがでございますか。

鹿取泰衛外務大臣官房長

○政府委員(鹿取泰衛君) いま渋谷先生御指摘の問題でございますが、まず、戦前との比較の点でございますが、これは戦前と戦後とはいろいろな体制が違いますので、単純な比較はできないわけでございますが、私どもでほうぼうにお示ししました資料の中で、戦前と比較して外務省の定員がふえていないという数字を出したことがございます。たとえば昭和十三年外務省の定員は四千六百九十八名で、それに比較いたしまして、昭和四十八年には二千八百七十一名である、したがって、半分ではないけれども、相当減っているという数字を出したことがございます。これは数字としてはこれで正しいわけでございますが、ただし、昭和十三年四千六百九十八名の中には、当時ございました領事警察というものを持っておりまして、その人数が二千四百程度入っていたわけでございますので、その要素を除きますと、昭和十三年の外務省の定員と昭和四十八年の外務省の定員とはそう違わないということになるわけでございます。しかし、先生が御指摘なさいましたように、国交を維持している国の数、それからいろいろな国際関係が複雑化したという要素を考えますというと、確かに先生の御指摘になったような問題があるわけでございます。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 まさしくそのとおりでございまして、大公使館、総領事館、その数は戦前と比較にならないほどふえているはずであります。これからもあるいはそのふえる可能性も私は出てくるんではなかろうか、資源外交というようなきわめてわが国にとっては重要な問題がありますだけに、はたして領事警察を除いて戦前と戦後を比較しても大体変わらないと、私はその中身が変わっていると思うんですね。したがって、またまた昨年のオイルショックに見られるような、ああいう事態が、情報収集がきわめてまずかったというようなことを背景として、将来も起きないという保証は現状において全くないんじゃないかということを非常に心配をするわけでございますが、はたして今後これで十分その機能を発揮できるのか、あるいはかりにその職員の数をどのくらいふやさなければ機能が発揮できないのか、その絶対量といっても、これはなかなかめんどうなことだろうと思いますけれども、ある程度の目安というものが、外務省としてもいろいろ今日までの検討を加えた経過の中で、その判断がおありになるんではないかと思います。

鹿取泰衛外務大臣官房長

○政府委員(鹿取泰衛君) 先ほど私が申しました点と、いま先生の御指摘になった問題がまさにあるわけでございますが、これに対しましては一昨年来、昨年も含めまして査定当局、大蔵省及び行管等の御理解を経まして、漸次増員をはかっているわけでございまして、四十九年度の予算におきましても、百名の増員が本省と在外合わせて認められたわけでございます。ただし先生御存じのように、総定員法の関係で各省が定員の削減をある一定率で受けるわけでございまして、外務省につきましても、四十九年で四十五人の定員の削減を受けたわけでございますので、百名増員いたしましたけれども、結局実際には五十五名ということになるわけでございます。しかし、五十五名でもこれは例年に比較いたしまして相当数の増加になりますし、問題は、定員の数的な増加も必要でございますけれども、同時に質のいい省員を集める、あるいは研修するということが必要でございまして、あまりに急激に定員の数をふやすということになりますと、やはり中には質の悪い省員も入ってくるということでございますので、われわれといたしましては、質量均衡のとれた改善をしていきたいということで、できれば一応の計画を立てながら漸進的に定員をふやしていく、それと同時に、省員の質の改善のための研修その他の訓練を施す、さらに、特に現在本省、在外を含めまして、いろいろな通信機械その他の施設の改善をはかっておりますけれども、こういうことでいろいろ仕事を合理化していきまして、急激に定員がふえない場合にも質でもってそれに対応していけるようなくふうをはかっていきたいと考えております。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 それは当然のことでありまして、質量ともにその条件をそろえる、けれども場合によっては量も必要なことがございますね、たとえば外務省から私いただいたこの資料を見ましても、通信員というのはほとんで主要国に集中しているような状況になっていますね、これでは何か一たん事が起こった場合に、だれがそのことを分担してそして本省なら本省へ連絡をするのか。私どもが海外回りましても、一人二役、三役やっている実情を何回も聞いてきました。依然としてそれは解消されてない。ただいま申し述べたように、これからいろんなむずかしい困難な条件に遭遇する外交課題が多くなってくるわけです。いま申し述べたように、資源外交をこれからどう厚みを増して、そして強力に推進するかという点を考えましても、はたしてこれで本省としても十二分に情報が収集でき、整理ができ、分析ができ、そして適切な措置というものが直ちにできるのかどうなのか、非常に疑問視されてならないわけでございますが、確かにこの要求された人員と査定された人員は大幅に違うわけです。おろらく外務省あたりで要望された人員の割り振りというものについては、相当シビアにこれは考えておるだろうとぼく思うんです。それは総定員法もわかっていますよ。けれども、先ほどから国益の擁護ということをおっしゃっている、その国益の擁護をやらんとするならば、その辺はやはり本省として適切にその定員の割り振りについて話し合いをしながら、やはり優先的に割り振りができるような仕組みができないのかという、依然として私にはそういう疑問が残るわけです。大平さんいかがですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 外交の事務もふえたし、電信の数もふえたし、公館もふえたし、人の往来もふえ、外交が非常に多彩多岐にわたるようになってまいりましたことは、御指摘のとおりでございます。これに対応いたしまして、質量両面にわたって外交陣容の建て直しをやらなければならぬということも、全く渋谷委員の仰せのとおりでございます。  そこで、問題は量的な側面でございますが、量ばかり急にふやしてみてもすぐ働ける状態になるかというと、なかなかそれはむずかしいことは御高承のとおりでございます。したがって、私どもは総定員法のワクはございますけれども、いま在外公館で多くの部署において国内各省から御協力をいただいて、第一線で働いていただいている方が多くございますが、大きなたらいの中で私どもに相当数の有能な人を割愛できる道がないか、相当の経験も積み、国内の事情にも通じたものを在外公館で使わしていただくという道を考えるのが私は一番近道だろうと思うのでありまして、その点をひとつ推進してみたいと考えております。  第二に、定員の問題でございますが、定員につきましては、非常に厳格な規制をいま歴代の内閣がとっておりまして、そのこと自体は私はけっこうだと思うんでございます。公務員がいたずらにふえるということは、決してよくないことでございまして、できるだけ少数精鋭で国民に奉仕に当たるということが、政府の姿勢としては当然だと思うんで、総定員法において、これを規制してまいるという姿は、決して否定はいたさないつもりでございますが、その中におきましても、まあ原則には必ず例外というものがあるわけでございますので、どれだけの例外のルートをわが外務省が確保できるかということ、例年これはがんばっておるわけでございますけれども、いま御指摘のように、ほんとうにまだわずかな人数しか確保できてないことを非常に残念に思うわけでございますが、しかし、一段と各方面の理解を得まして、定員の確保をつとめてまいりたいと思っております。  それから第三の問題は、かくて得た要員の教育訓練に周到を期してまいりまして、充実したサービスが可能であるようにいたさなければならぬわけでございまして、その方面の努力もいたしておるわけでございますが、なお一そうの努力をいたしたいと考えております。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 たとえば、たしかにいまおっしゃられたように、大学出がすぐ使えるわけがございません。しかし、いままでもう戦後三十年近くたっております。そしてまた、これからの日本外交の路線というものを、時の政権担当者によってそれなりにきまっていくでありましょう。そうすると、五年先とか十年先というやはり長期間の展望に立ったビジョンが当然あってもいいんじゃないかと思うんです。それに要する今度は職員の研修にしても、やはりもっと機械的に、合理的にやりませんと、いつまでたってもこの問題は、私は解決のめどがたたないんじゃないか。私は何回か、この問題について申し上げました。しかし、一向にそのあと解消されたということも聞かないし、確かに漸増はしております。しかし、漸増している中でも、アフリカなんかの場合を例にとりますと、通信員はほとんどおりませんよ。先ごろドバイで乗っ取り問題がありました。あのときも、アラビア語を話せる方がきわめて少なかったとかなんとかという理由で、非常に正確な情報がキャッチできにくかったという、こういう問題もあるわけでございますね。  そういう今度問題に若干触れさせていただきますと、確かに質の向上という問題の中に、まあ最近マスコミあたりでも、キャリア組とかノンキャリア組ということで、いろいろ評価されてございます。しかし、たとえば、ノンキャリア組の中でも、ずば抜けてアラビア語ならアラビア語というものにたんのうな方もいるんではないかという感じもいたしますし、あるいはそういう専門官を、欧州にならってたくさんの人員をそろえる、いつでもそれが稼動できると、そういうような面の配慮というものも、並行的に私は必要じゃないか。特にアフリカは、これから資源開発、あるいは資源外交の新しい一つのポイントとして、アフリカがおそらく近い将来脚光を浴びるだろうと思うんですよ。そういうような場合でも、事前の対策を講じておかない限り、またその場になってから、まあ少数精鋭もけっこうでございますよ。それでできるんなら、私はけっこうだと思うんです。しかし、やっぱりそこに、プラスアルファというもう一つの要素を、それに準ずるような人々の配置というものを、当然私は必要になっていくんじゃないか。そうでないと、いつまでたったって、日本の外交というのは、事が起きなければ腰を上げないというそしりを私は免れないんじゃないかということを心配するんですが、その長期展望に立った施策というものを当然お持ちになっていらっしゃると思うんですが、その点については、どういう一体いま措置を考えられていらっしゃるんですか。

鹿取泰衛外務大臣官房長

○政府委員(鹿取泰衛君) いま御提示にありました長期の展望及び計画の点でございますが、これは私どもいろいろ現在検討中でございます。いろいろ考えるべき要素があるわけでございまして、世界の国の数はもうある程度ふえっこないわけでございますが、世界の国全部とほとんど外交関係を持つに至りましたけれども、しかし、しからばその全部に実館と申しますか、現実の公館を開設することが合理的かどうか、原則はもちろんすべての公館に大使館をつくるべきでございますけれども、場合によっては近所の公館から出張というような形で、事務所をそこに開設するというようなことも考えておりますが、そういう将来の在外公館の数、規模、それから本省のいろいろな仕事の合理化というものと考え合わせまして、現在三年とかあるいは三年よりもっと多い期間の中で、外務省の機構なり、定員なり、組織なりが、理想的になるような計画を現在検討中でございます。しかし、いまのところ来年度さらに、私の申しますのは五十年度のことでございますけれども、五十年度の予算要求にはどういう形で御要求すべきかというところの成案は、まだみるに至っておりませんけれども、鋭意その成案を得るよう努力しているところでございます。  もう一つ、先生が御指摘されましたキャリア、ノンキャリアの問題、あるいはアフリカ中近東等が手薄ではないかという問題につきましても、現在われわれ真剣に検討しておりまして、現に四十九年で増員していただきました定員の増加は、主としてアフリカなり中近東なりの公館の増員に充てる計画でございます。  それからまた、キャリア、ノンキャリアを別にいたしましても、特に中級試験とか語学研修生試験というのを合格いたしまして、先生御指摘のようなアラビア語とか、そういうような語学にすぐれている者につきましては、その優遇措置をもっと促進するように検討しております。近い将来に、アラビア語の中級試験あるいは書記生試験、戦前でございますと書記生試験といいましたけれども、大使を出す計画もございますし、漸次先生の御指摘のような方向で改善方努力しているところでございます。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 それはぜひ強力に推進してもらいたいんですよ。いたずらに人材を埋もれさしておくということは好ましくないことで、私がちらちら耳に入ってくる話につきましても、たとえばノンキャリア組、いつまで外務省に奉職していても魅力がない、希望がない、それなら商社にかわって、むしろ自分の力量を発揮したほうがいいとやめていかれた人があるというふうに聞いております。もったいない話です。やはり職場に魅力と希望を与えなければ、いかにその人が能力を持っていても、十分にそれが発揮できないということはこれは常識ですよ。いま官房長はとにかくそういう面も考慮しながら、今度は大使級の人材も登用すると、むしろおそきに失したような感じがいたします、私は。必ずしもキャリア組が完全なる能力といったって、それは語弊がありますけれども、ベストじゃない場合だってあると私は思います。したがいまして、そういう面の人材登用というものを、やはり外務省の最高の責任の立場におられる大臣としては、本来ならばもう十分考えられて、そうしてその機能がもう脈打っていると、こういう体制に当然今日の時点ではなっていなきゃならないはずではなかったか。場合によると、いつも後手をふむようなことが最近目に見えて多いわけです。どこに一体盲点があるのか、どこにその膠着したそれを切り開いていけない問題点が残されているのかということでございますね。私は、先ほどから、今後の資源外交の強力な推進ということが当然のことながら予想されますので、それを踏まえて考えた場合、いま抜本的な対策を講じない限りまた同じわだちを踏んでいくという危険性が多分に私はあるんではないだろうか。待遇改善の問題も当然含まれていきます。十分にその人の能力が発揮できるような環境と条件をつくってあげなくちゃいけない。大平さん、いかがですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) どの組織におきましても、人事管理の問題が一番むずかしいし、またしかし、一番大事であると思います。そして、そこに生涯を託しているわけでございまするから、生きがいを覚えなければならない、誇りを持たなければならない、そういう人事管理は、待遇の面ばかりでは、物的内容ばかりでなく、プロモーションの場合、配置の場合、いろいろ考えてまいらなければいかぬと思うんでありまして、ノンキャリアの登用問題につきまして、おそきに失したじゃないかという御指摘でございますが、せっかくそういう機運になってまいりまして、そういう道を切り開いてきておるわけでございますので、今後一そうこれを推進してまいりたいと思います。同時に、渉外、語学その他の特異な才能の領域でお働きいただかなければいかぬ人々につきましては、いまの給与制度ではまあ必ずしも適切ではないと思うのでありまして、特別の制度において、その職にありながら厚遇が受けられるような状況をつくらなければならぬのじゃないか。そういった点につきましては、一そう努力を積み重ねてまいりたいと思います。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 とにかく、大臣がかわるたびごとにその考え方が変わられては困るんですね。私は、福田さんのときにもそれを申し上げたんです。一向に改善されていない。あらためていま大平さんにそのことを申し上げる。その機運がいまようやく盛り上がってきている。けっこうなことだと思います。どなたにかわろうとも、その一つのきめられた方針というものは貫いて、やはり国益を守るための今後の態勢というものに万全を期してもらいたいと願ってやまないわけでございます。  きょうは持ち時間が非常に限られておりまして、移住問題、それからローデシアの問題に触れる予定でしたが、最後にローデシアの問題を一つ伺って終わりにしたいと思います。  これはタイムズ紙がすっぱ抜いたようでございますので、はたしてその信憑性があるかどうか、私は疑問でございますが、すでに国連の経済断交決議がなされたにもかかわらず、このローデシアと日本の大手商社が貿易関係を結んで、そのあり方についてきびしく指摘されたと、こういうことが伝えられているわけでございます。非常にやはり好ましくないことだと思いますね、もしこれが事実だとするならば。何かまた抜けがけのそういう経済外交といいますか、貿易を通じまして、そしてまたもや日本かという——エコノミックアニマルにさらに輪をかけたような悪い評価を受けるということは、実に好ましくないことではないだろうかということでございますが、いま私が申し上げた、この今後、いまも外務省の機能あるいは機構問題について申し上げましたけれども、これに関連して、これからおそらくアフリカ政策についても新機軸を日本政府としては推進されるという、その時点に立って考えた場合に、あるいは諸外国から受けてきたような日本に対する評価を再び受けるようなことがないようにするためにも、国連できめられたことを破ってまでも貿易をするというようなことは、これはやはりきわめて国際環境の中ではまずいやり方じゃないか。その点について、集約して御答弁をいただきたいと思います。

鈴木文彦外務省国際連合局長

○政府委員(鈴木文彦君) いま御指摘のとおり、南ローデシアとの貿易に関しましては、累次の安全保障理事会の決議によりまして、貿易関係を停止する、つまり経済制裁を実施するということの決定がございまして、日本もこれを受けまして、閣議了解でこの地域との貿易あるいは貿易に関連します貿易外送金の措置を停止いたしております。で、従来、何件か日本がいわゆる制裁破りをして貿易を行なったという容疑がかけられたことがございますが、そのたびに調査いたしまして、その事実関係がないということで、国連に対する報告をいたしております。  一番問題になりますのは、南ローデシアの産品が近隣諸国の産品というかっこうで日本に入ってくるという問題が一番むずかしいといいますか、困難な問題でございますが、この点につきましては、従来とも日本は南ローデシア産品とそれからその近隣諸国との産品をいかにして判別するか、これが実は安全保障理事会でも、あるいは安全保障理事会の決議によりましてできました制裁委員会でも、この判別方法については非常にむずかしいということで、結論が出ておりませんけれども、ただ、わがほうは、日本としましてはこの制裁の趣旨をできるだけ尊重するたてまえで、近隣諸国から産品を輸入する場合には、必ずその原産地証明書を添付する。つまり、その原産が南ローデシア以外のものであるということを確認する書類をとるように、輸入業者に指示いたしております。  で、昨年五月にこの制裁の履行体制をさらに強化するという決議が出ましたのを受けまして、現在関係省との間で、従来やっております措置をさらに強化する、特に、添付書類の面でこの制裁破りがないということを確保する方法をいま検討いたしているところでございます。  今回の新聞の記事につきましては、調査しましたところ、新聞報道のような事実がないということを、これは通産、業界通じまして返事がまいっております。今後ともいま申し上げましたような措置の強化という方向で、真剣に検討してまいりたいと思います。

田英夫日本社会党

○田英夫君 私は、二つの問題で御質問しようと思います。  最初にベトナム援助をやろうと思いましたが、担当の局長がおいでにならないようですから、最初に、去る三日に最もわれわれに近い国である韓国のソウルで学生運動が再燃をいたしましたので、この問題についてお尋ねをいたします。  まず外務大臣に伺いたいんですが、今度の事態、すでに後宮大使から正式の報告が入っていると思いますが、新聞でもすでに報道されておりますこの新しい事態を、外務省として、政府としてどういうふうに受けとめておられるか、それを伺いたいと思います。

高島益郎外務省アジア局長

○政府委員(高島益郎君) 今回の韓国の学生デモと、これに対します大統領の緊急措置第四号宣布に関しましては、いま次々と電報が入っておりまして、その全貌をここで御披露するほどのまだ整理ができておりませんけれども、やはり韓国にとりまして非常に重要な事態だと思います。私どもの受けている印象では、学生の運動がいままでも陰で、あるいは間接的な形で浸透しておりまして、それが今回、たまたまこういう形でもって出てきた。しかも、これに対する受けとめ方は韓国政府のほうでは全国民主青年学生総連盟というものが中心になっておるということであって、その背後に何か別の手が動いておるというような認識を持って、そういう危機感から緊急措置をとったというふうに解釈いたしております。

田英夫日本社会党

○田英夫君 いまアジア局長がいわれたとおり、今回の学生の決起といいますか運動再開は、私どものつかんでいた情報でも非常に根のあるものであり、周到な準備の上で行なわれている。しかもその韓国の民主青年学生総連盟という名前は今回初めて明らかにいたしまして、いわばベールを脱いだというふうに理解していいんじゃないかと思います。さらにこれは韓国全国の学生組織にまたがっていわば表とそれから根になる部分とをあらかじめ準備をして、その上で立ち上がっているということで、これに対する朴政権のほうは、その総連盟自体を北朝鮮系と結びつけているというふうに規定をして弾圧を始めているわけでありますが、しかもその緊急措置四号なるものによると、死刑を含むと、こういうことで実は日本で報道されているよりもはるかに多くの人たちがすでに逮捕をされている。一月八日の緊急措置第一号の十五年の懲役というのに適用された者も日本で報道されているよりもはるかにたくさんの者がいるということであります。また、この学生の中には多数の高校生まで加わっている、こういう情報もあるわけで、いかに根が深いか、そして決死的ということばは日本人にとってはたいへん悪い思い出のことばでありますが、文字どおり、この学生の決起は死刑ということでありますから、死を賭して立ち上がっているということは、そのとおり当てはまる事態のようであります。  これは私からもう申し上げなくても、後宮大使からの情報で刻々御存じだと思いますが、そこで、これはぜひ大平外務大臣、政府の責任者の立場でお答えいただきたいんですが、実は金大中事件が起きましてから、本会議の席でもあるいは外務委員会の席でも、田中総理大臣あるいは大平外務大臣が繰り返して、これは私自身も本会議の緊急質問で伺いましたときに、田中総理大臣からの御答弁にあったわけですが、韓国の朴政権下のこの現状を民主主義国家と思うかどうかという質問に対して、民主主義国家である、こういうふうに田中総理は答えておられるわけでありますけれども、今回のこの緊急措置四号なるものの内容——ただ反政府運動に立ち立がったということで死刑にするという、しかもこれは憲法に、しかもその憲法自体、大統領が戒厳令下で改正した憲法でありますが、その憲法第五十三条を適用しているとは言いながら、全く独裁的な権限で死刑を含む重刑を科すというようなことを、反政府運動の国民に対して科すということは民主主義の国家としてはもうとうてい考えられないことだ。そういう状態が今回発生していても、なおかつ日本政府は韓国の朴政権を民主主義国家と規定されたその態度をお変えにならないのかどうか、これは変わらないのかどうか、この点をぜひ外務大臣から伺いたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 私、外務大臣という立場でございまして、まあ他国の政治体制について評価を加えるということは必ずしもかっこうな立場でないわけでございまするので、政治評論家でございますならばいろいろ申すことができるのかもしれませんけれども、まあ私の立場でございますので論評を加えることは御遠慮さしていただきたいと思うのです。  田中さんは、御指摘のように自由と民主主義を基本目標とした国であるというように言っておられますが、これはまあ田中さんの御答弁でございまして、私はもう自分の持論といたしましては、外国のことはあんまり論評しないことにいたしておりますので、ごかんべんいただきます。

田英夫日本社会党

○田英夫君 外務大臣のお立場は十分理解いたしますが、なおかつ今回のこの朴政権の措置というのは、これは遠い国ならばいざ知らず、われわれにとって最も近い隣国の事態であります。しかもそこで起こっている事態は、まあ日本に六十万人という朝鮮民族が在住をしているということにも関連をして、全く無関心ではいられない。確かに外務大臣であり政治評論家ではありませんけれども、これはよそごとではないと思います。そこで、昨年の金大中事件以来、日本国民の関心も特に韓国の問題については非常に高まっている。ここで日本政府がどういう態度をとられるのかということは国民注目をしていると思います。私はそれがわかるから、きょう実は御質問をしているわけで、ほんとうに興味本位で大平さんがどんなことを考えているのかなと思って聞いているわけではありませんので、ひとつ評論でなくてけっこうです、ほんとうの政治家としての隣国を思う気持ちをお聞かせいただきたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) まず、基本的な立場は、私ども外国とのつき合いというのは、その国の政権に道義的指示を与えたり、政治的指示を与えたりするということではなくて、その国の政権が有効な支配を及ぼしておるという事実を認めて、そして日本との間柄を考えてまいる立場なんでございます。  で、その国と、外国と日本との間柄を考える場合に、まずわが国の立場といたしましては、わが国自身が信義を守って、きちんとしたおつき合いをしていかなければならぬというように考えておるわけでございまして、そして、できるならばその関係が安定した永続的な関係であってほしいと念願するわけでございます。しかし、われわれが交わりを結んでおる国におきましていろいろな事件が起こり、それがそのままわが国の国内の世論にも反映してまいっておるという事実は、これは注目していなければならぬと思います。とりわけ韓国の場合は最も隣接した国でございまするし、韓国籍を持つお方も国内に多いわけでございまするし、とりわけ周到な関心を払っていかなければならぬことと思うのであります。そうしてそのことを踏まえて、現実の国交の上において起こる問題をどのように処理するかということにつきましては、これまた、非常に周到でなければならぬと考えておるわけでございます。で、今日起こっておる事態というものにつきましては、先ほどアジア局長も御説明申し上げましたように、事態がまだ流動的であるようでございまして、もう少し私どもも勉強さしていただきたいと思うのであります。いま対韓政策についてどうこうするという固まった考えは別に持っていないわけでございますが、重大な関心を持って事態の推移等をずっとウォッチしていきたいと考えております。

田英夫日本社会党

○田英夫君 そこで、私の立場から、私の知っている限りの判断で言えば、今回の事態、そして緊急措置四号というものの内容を見たときに、これはとうてい民主主義国家とは言えない、こう思わざるを得ないわけでありますが、そういう韓国に対して、昨年は両国の国民世論の反対を押し切って政府は日韓閣僚会議をおやりになって経済援助をおきめになりましたけれども、一体、今年度、これから以後はどういうふうにお考えになっているのか。二部で伝えられるところによると、ああした日韓閣僚会議方式で援助をきめることは好ましくないので、いわば多国間で共同で援助をする中の一員という形で経済協力援助をしていく考えもあると、こういうことがいわれるおりますが、これからの対韓経済援助協力、この問題の基本的な方針を伺いたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) まず、去年の第七回の閣僚会議から私どもは、閣僚会議で経済協力案件のネゴシエーションをやるということは慎まなければならないじゃないかと、複数の閣僚が集まりまして、両国から集まってテーブルを囲んで話しする以上、もっと高次元の立場に立って共通の関心を持っておる二国間の問題、国際問題等につきまして十分意見の交換を遂げて理解を深めるということであってしかるべきだと思っておりますが、そのやり方は今後もそういうことでいきたいと思っております。しからば、問題の経済協力案件をどうするかという問題でございますが、これはまずわが国のこれまでの経済協力についていろんな評価もあり批判もあるわけでございます。そしてそれにはわれわれが考えなければならぬ面もございますが、また誤解に基づいた面も私は確かにあると思うのでございますが、いずれにいたしましても、そういう批判の中に立ってわれわれがやる以上は、国民に十分納得ができるものでなければならぬと思います。そして同時に、それは非常にクリーンなものでなければならない、十分プロジェクト自体の吟味を周到に遂げて、そうして適正にそれが遂行されて的確に効果が期待できるようにやらなければならぬと思うのでございますが、しかし、そういう問題は先方からいろんなプロジェクトの御提議があって、それをわれわれが吟味して、この案件は取り上げる、この案件は取り上げない、この案件はこういう方法とこういう条件であればわれわれは考慮できるというようなことを、政治ベースというよりは経済ベース、事務ベースで十分固めて、それでやってまいらにゃいかぬのじゃないかと考えております。  それから第二に、日本自体の援助供与能力というものを十分はかっていかなければいかぬわけでありまして、わが国にも、わが国の援助供与能力というものも、経済全体の状況、外貨状況その他いろいろ考えなければならぬ、それから財政状況もいろいろ考えなければならぬわけでございまして、その範囲内におきましてサイザブルなものをやはり見当はつけておかなければならぬと考えておりますけれども、いまあなたがおっしゃるように、対韓経済協力はマルチのこのマシナリーをつくってインダイレクトにやるべきじゃないかというところまでまだ私どもの考え方は熟していないわけでございます。それも一つ吟味すべき方式だと思いますけれども、まだ政府部内におきましてそういう問題の是非、そういうやり方の是非というような問題について検討を加える段階まで来ていないわけでございます。

田英夫日本社会党

○田英夫君 時間がありませんから、その問題はまた詳しく伺い得る機会を持ちたいと思いますが、最後に韓国問題で一つ伺いたいのは金大中氏の近況であります。  最近韓国を訪問して金大中氏に会ってきた私の友人の報告によると、二月中旬ということですが、深夜金大中氏の家の門をたたく人があって、家人が表に出てみたところが、門の内側にただ何でもない宣伝ビラがたばねて置いてあって、外側には別のビラがたばねてあって、それは朴政権を転覆する、あるいは朴大統領を暗殺するというような計画を書いた文書がわざわざ金大中氏の家の門の外に置いてあったということで、それは直ちに当局に提出をしたそうでありますが、金大中氏自身の解釈によると、もしそれを知らずに家人が家の中に持ち込んでそのまま——どっちみち金大中氏とは関係のないことだから、何でもないと思ってそれを家の中にもししまい込んでおいたら、逆にCIAが踏み込んで、やっぱりこういう計画をやっていたのかという証拠物件として金大中氏を逮捕する、こういう陰謀であったのではないか、こう御本人が言っておられたそうでありますが、こうしたことが実は大小さまざま金大中氏の身辺で最近も起こっているそうであります。こうしたことを後宮大使から報告が入っておるかどうか、この点を伺いたいと思います。

高島益郎外務省アジア局長

○政府委員(高島益郎君) いま田先生がおっしゃったことと全く同じようなことは伺っておりませんけれども、私どもある人を使いまして金大中氏と最近会ってもらったことはございますが、それに類するようなことは金大中氏自身からその人が聞いております。

田英夫日本社会党

○田英夫君 いずれにしましても、この韓国の新しい事態というものを昨年からの金大中事件の経緯から考えても、私どもも無関心ではいられないし、日本国民多くの人たちが非常に注目をしていると思います。きょうはこの点はこのくらいにいたします。  次に、去る三月三十日に南ベトナムに対する経済援助の調印がサイゴンで行なわれたわけでありますが、かねてから言われていた五千万ドルという有償無償の援助の具体的な調印ということになったわけでありますが、これはまあ内容などはすでに報道もされておりますし、いまさら触れるまでもありませんが、一体今年度以降の南ベトナム経済援助というのをどういうふうに考えておられるのか、政府の基本的な考え方をお伺いしたいと思います。

御巫清尚外務省経済協力局長

○政府委員(御巫清尚君) すでに四十九年度予算の中で御審議をいただいておりますインドシナ諸国に対します援助の金額は、全体で百二十億円ということになっておりますが、その中身をどういうふうにするか、従来いろいろな形のものがございましたし、関係国も幾つかございますので、どういうふうにするかははっきりいたしておりません。が、ただ一つ申し上げられることは、御承知のように、四十八年度の補正予算で南ベトナム並びに北に対しますものとラオスに対しますものと全部合わせまして百八億円の補正予算を計上していただきましたが、北の分につきましてはまだ話し合いができておりませんので、この分があとに残るかと思いますので、いま申し上げました百二十億円の中にはその分は入っておらないということでございますから、もしかりに北のほうの話が進むというようなことが可能であれば、いまの申し上げました金額に五十億がまた足されるというかっこうになるかと存じます。

田英夫日本社会党

○田英夫君 いまちょうどその北の問題が出ましたから伺いますが、四十八年度補正予算に二千万トル、五十億円の北べトナム分の援助——これは無償援助てすね——が計上をされていて、そのままになっているわけですが、これは予算の手続上はどういうことになりますか。

御巫清尚外務省経済協力局長

○政府委員(御巫清尚君) 経済協力を行ないます場合には、相手国との話し合いに基づいて経済協力を供与するというのが通常でございますので、今度の場合も相手国の都合によりましてこの供与が予定の年度内に行なわれません場合に該当いたしますので、いわゆる明許繰り越しということになるかと思います。

田英夫日本社会党

○田英夫君 そこで、問題は、なぜ二千万ドルの無償援助という、これは戦禍を受けた北ベトナムにとってみればきわめてほしいといいますか、必要な援助だと思います。それがいまだに使用されないでいるということは一体どういうことなのか。同時に、北ベトナムとの間には国交樹立ができたはずでありますが、いまだに大使館が置けないでいるのは一体どういうことであるのか、この点はいかがですか。

高島益郎外務省アジア局長

○政府委員(高島益郎君) 北越の政府の代表者との間におきましては、わがほうの出先の大使との間で相互大使館の開設の問題及び経済協力の問題につきまして随時話を進めておりまして、現在の段階では先ほど経済協力局長が申しましたとおりまだ話が詰まっておりませんけれども、かなり相互の理解が進んでおりまして、いずれこの経済協力にあてがっております五十億円を北越に対しまして提供し得るような時期が来ると思いますが、まだ現在の段階ではそこまで至っておりません。

田英夫日本社会党

○田英夫君 この大使館が置けないでいるということを含めて、北ベトナムとは国交を樹立し、まあこれから戦後の復興に日本も協力をするという方針をしばしば外務大臣の口からも伺ってきたわけでありますが、残念ながら、大使館を置く準備が完全に整っているという状態であるにもかかわらず、ハノイに大使館が置けない、こういうことですが、その一つの大きな理由は、いわゆる南ベトナム臨時革命政府の承認の問題と賠償の問題というふうにいわれておりますが、そういうことを外務省としても感じておられるのか、それは事実なのか、この点はいかがですか。

高島益郎外務省アジア局長

○政府委員(高島益郎君) 私ども北越の当局者との話におきまして、そういう形でもって問題は議論されておりませんで、やっぱりあくまでも経済協力の問題あるいは大使館の相互開設の問題として随時会合を重ねて話し合いを進めております。

田英夫日本社会党

○田英夫君 実は、昨年秋来日いたしました北ベトナムの祖国戦線の代表団長と私が会談をしたときに、はっきりと日本政府は南ベトナム臨時革命政府の存在を認めるべきである、そうでなければ大使館の相互設置という形に実行するわけにいかないということを言っていたわけであります。当時外務委員会でその発言の意味をひとつ十分御検討いただくべきではないかと、今回、いま行なわれているアジア卓球大会の問題、入国の問題に関連しても私は外務委員会で発言をいたしました。スポーツという場で臨時革命政府の選手団を南臨時革命政府側の旅券で入国させるということで存在を認めることになるではないかと、こういうことで実は外務省もたいへんこの問題については理解を示され、積極的に動いて政府部内でいろいろな声もあった中でそれを実現をされたわけでありますが、やや手続が、まあ未承認国の入国ということで旅券をということではなかったわけでありますけれども、これがやはり一つの新しい動きになってきているんじゃないかと、こう思いますが、そうした反応、そうしたことを外務省として何らかプラス材料としてお感じになっているかどうか、その点はいかがですか。

高島益郎外務省アジア局長

○政府委員(高島益郎君) 南越臨時革命政府といいますか、要するにPRGのほうの選手団が日本へ入国するにあたりましては、いわゆる渡航証明書によって入ってきたわけでございまして、この点につきましては何ら問題はなかったというふうに考えております。ただ、カンボジアにつきましては、御承知のとおり原則的立場から日本に入国できないという事情になった次第でございます。私ども今回のようなスポーツの大会でございますので、そういう立場から承認とかなんとかいうことにとらわれずに日本入国のために善処したいということでやってまいりまして、入国できたことは私はよかったことだと思っております。

田英夫日本社会党

○田英夫君 時間がありませんから、最後に経済援助の問題について一つ関連して伺いたいんですが、かねて私はこれも委員会でしばしば取り上げましたミクロネシア協定に基づく十八億円、これが六億円ずつ昨年度から三回、三カ年度にわたって計上されている。今年度も六億計上されておりますが、昨年度の分を含めてまだ使用されていないと思いますが、そのとおりなのかどうか。神戸銀行に寄託されているということで理解してよろしいかどうか、その点はいかがですか。

御巫清尚外務省経済協力局長

○政府委員(御巫清尚君) 田先生御指摘のとおり、一括預託方式というかっこうをとっておりますので、三回に分けて預託をして、それから使い方を相談して使っていくということで、ごく近い将来にその調達の方法についての合意ができ上がる予定でございますので、そういたしますと、その預託されてあるお金が現実に消費が始まるというふうに考えております。

田英夫日本社会党

○田英夫君 時間が来ましたので意見だけ最後に言わしていただきますが、実はこのミクロネシア協定も、日本側の十八億円というのはなぜか物資と役務で支払う、そしてアメリカ側はキャッシュで支払う、こういうことになっていて、この問題については、私の記憶では当時これを審議した衆議院の外務委員会で、ここに戸叶先生おいでですが、戸叶里子先生が取り上げられたと記憶しておりますが、社会党の委員の方から指摘があったと思います。にもかかわらず、これがそのまま多数で承認をされて現在に至っているわけでありますが、このことでもわかるように、また南ベトナムの今度の五千万ドルの援助ということに関連をしても、現地からの報道などでいわれてきていることは、常に日本の業者が甘い汁を吸うのではないか、日本の経済援助というのは、結局は日本の業者が甘い汁を吸うことを目ざしているのではないかという点であります。  ミクロネシアの場合は、ほんとうに金額からいえばわずかなものであるかもしれませんけれども、いまだになぜ日本が役務、物資で支払うのかということについては理解できない。これは全く私は不可解だ。だからこそミクロネシアの青年が日本にすわり込んで、自分の父親は日本軍のために死んだのだから日本政府から賠償を支払いなさい、こう言っているにもかかわらず、このミクロネシア協定がじゃまをして、日本政府はキャッシュを払うことはできないから、それをアメリカからもらいなさい、こう言うと、いや、私のおやじはアメリカのために死んだのではない、日本のために死んだのだ、靖国神社に祭りなさい、賠償金、補償金は軍人恩給並みに、あるいは軍属並みに少なくとも支払いなさい、こういうことを言って、いまも日本にいるわけであります。その原因は、日本はキャッシュを払えないという協定を結んでいるからじゃないですか。日本の経済援助というのはいまやまさにそういう目で見られている、こういうことを大臣ひとつ十分お考えいただきたい。  経済援助の問題についてもっと詳しくいろいろ伺いたかったわけでありますが、時間がありませんのでこれで終わります。

御巫清尚外務省経済協力局長

○政府委員(御巫清尚君) ただいまの御質問の中で、やや技術的な点でございますが、日本から差し出します十八億円は無償協力ではございますが、いわばタイドエイドという形になっております。したがいまして、日本からの、日本国の生産物並びに役務ということになっておるわけでございます。アメリカ側の分と御指摘になりましたのは、それとやや違った性質のファンドのことをおさしになっておるのではないかと思っておりまして、つまりミクロネシアの人たちが戦争によって受けた損害に対するクレームを処理するための別のファンドがあるというふうなぐあいに承知しておるわけであります。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 ただいま田君から、ミクロネシアの問題で私のワイフのことまで引用されましたが、たしかあれは愛知君が外務大臣のときだったと思いますが、ミクロネシアの問題については、アメリカ側も、どちらかといえば、やはり日本に担当してもらったほうがいいのじゃないかというふうな考え方があるのも事実で、きわめてソフトな形でしたが、国務省関係の委嘱を受けていると思われるアメリカの大学の婦人の教授が来て、私にもワイフにも別々に意見を開陳したことがあります。あのときに、結局、アメリカと日本が十八億円ですか、あの折半した援助というふうな形にしましたが、なったようですが、あそこの人たちが、青年たちが日本に留学したい要望もあるので、私は門下生をやりまして東海大学に関係があるので入れたこともありますが、アメリカやハワイに留学するよりもはるかに費用もかからないので喜ばれたこともありますが、これは私はやはりアメリカからは距離が遠いし、それからミクロネシアへ行って、あの人たちと一緒にあそこの統治をやるというのに積極的な人がアメリカにはないのが事実です。率直に言って、日本のやることはみな悪いようなことを多くの人は言うが、あの太平洋における委任統治の時代においてはずいぶん慕われた面も多々あるようでして、将来われわれは、やはりあのミクロネシアの民族をもっと希望の持てるような将来にするためには、日本という角度にとらわれないで協力していくことが必要なんじゃないかと思います。  そういうふうにいま私は日本自体が身近なところからものを考えなければならないというふうに感じたのは、私は実は去年の十月から十一月、国会のほうの関係もありまして、しばらくぶりでアメリカ、カナダ、ヨーロッパ、東欧、バルカン半島、中近東を経てインド、香港から帰ってきましたが、問題は、やはりエネルギー資源を中心とした資源の問題と、食糧並びに飼料の自給あるいはその確保の問題、こういう問題を現実的に考えると同時に、やはり各国の人々の心をかちとることができるような文化交流をやらないと、日本が、田中さんがひどい目にあった、エコノミカルアニマルの代表的なものとして、どんなに金をやっても逆な結果が出るのじゃないかと思って、そのことをきょうは聞きたかったのですが、ちょうど羽生君も田君も触れましたから、私は触れないで、いきなり私は、さっきの台湾問題をめぐって自民党もこれで一つの政党かな、えらいこっちゃ、これは社会党にも若干反省すべきところがあるが、自民党や社会党がもっとやはりこの国の政治や外交に責任を持たないとたいへんなことになるという感じをしみじみして、大平さんも気の毒な人だなと思ってしまったものだから、どうも中国から入ろうと思ったが、中国はもう少し、毒気を抜かれたのでしばらくしてからしますが、やはり中国との国交正常の次には日ソ平和条約と取っ組むのだと田中さんがラッパを吹き、あなたもそれに同調したのですが、その後さっぱり——牛の歩みで遅々として進んでおるのでしょうが、前進しないけれども、今度は私は、外務大臣なんだ、だれでも途中でいやになってしまうような目にあうと思いますが、どんなむずかしい問題でも、小さな問題ではミクロネシアの問題から、やはり隣の中国の問題、台湾の問題と取っ組むと同時に、やはりソ連との取っ組み方は中国以上に私は非常にむずかしい。むずかしいけれども、憶病になっていたのでは、相互不信の中に堂々めぐりをしているのでは前進しないと思うのですが、現在、大平さん、どのような成果があがっているのでしょうか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 復交をいたしまして十七年たつわけでございます。その間の日ソ関係の進展というものは私はまずまず満足すべきものではないかと考えております。ソ連との間の理解というか、相当進んできたと思うのであります。人の交流も非常にしげくなってまいりました。航空路も開設されてたいへん彼我の交流が頻度を増してきております。総理大臣自身も訪ソされるという機会を持つことができまして理解は相当進んできた。それから貿易は着実に伸びてきております。それから経済協力の面でも、これまで幾つかのプロジェクトが実りまして実行に移っておりますし、ものによりましては、第一期は終わって第二期の交渉に入っているものがあるわけでございます。でございますから、それだけを見てみますと、そんなに不満足なものではないと思っております。  で、これからの問題は、しかしながら懸案の領土問題、それからもっと規模の大きいシベリア経済開発に対する協力問題、そういう問題がいま当面の大きな課題になってきておるわけでございます。これ、両方ともなかなか手に負えない大問題でございますが、いま戸叶先生がいみじくもおっしゃったように、これは大きな課題でございますけれども、われわれは真剣に取り組んで相互の間に不信のないように、信頼をこわさないようにしなけりゃならぬと考えておりまして、領土問題につきましては、ことしも引き続き交渉が行なわれるわけでございまするし、経済協力の問題につきましては、数個のプロジェクトのうち若干のものにつきましてはもう相当煮詰まってきているわけでございますから、まずこの煮詰まったものから取り上げて実行に移していくというようにしなければならない。川の水は絶えず流れていなければならぬわけでございますので、そのような配慮をいたさなければならぬと考えております。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 流水三尺にして濁らずということばがありますが、こういう激動期においてはダイナミックにやはり外交を展開しないと、あんまりのろのろしていると足を引っぱるやつが多いから、やはり筋を立ててびしびしやっていかなければならないと思うのです。ソ連との外交の問題は、徳川時代から非常にむずかしくて、中国の李鴻章の書いたものの中にでもむずかしさが書いてありますが、古くからいままでむずかしいわけです。それはお互いにやはり民族の習慣や何か知らない関係もあると思うんですが、ほんとうは、ざっくばらんにものを言うと、一時は険悪になるけれども、私は理解度は早まるんだと思います。  実は、私は十年前に成田君と一緒に社会党の使節団として和田博雄君などとともに国賓待遇で招かれたんですが、ざっくばらんに私はこういう気性ですからものを言って、成田さんが社会党の外交路線としての歯舞、色丹で平和条約を一応結んでという意見を述べましたあとで、私は党人だからそれに拘束されるけれども、日本の国民感情としては北方領土の返還ということが保障されなければ平和条約はなかなか困難じゃないか。私は、やはり外交というものは人々の心をかちとるということが大切であって、そのことを言いずらいけれども私が言うのは、やはり何といっても、ヤルタ協定は戦時中にできた軍事秘密協定であるのであって、サンフランシスコ講和会議に見識のある人がいるならば、あれは破棄さるべきものであった。ベルサイユ講和会議のときに、一九一五年に連合国が謀略によってイタリアを同盟軍から離脱させて、そうして一九一五年のロンドン秘密協定でアフリカの北岸といまのユーゴスラビアの土地の一部分を与えるようなことをしたが、そのことをベルサイユ講和会議で、講和会議というのは、平和会議というのは次の平和を保障すべきところの条件を具備していかなければならない、領土を取る戦時中の軍事秘密協定は解消さるべきであるということを言って、イタリアの代表が憤激して席を立って去ったこともありますが、それだけの理想主義的な理念を持ってベルサイユ講和会議をウィルソンがリードしたそれから見ると、サンフランシスコ講和会議というものには非常に理想が低いものがあったと思うのです。  過去のことは言いませんが、いまなかなか現実において一国対一国の問題じゃなく、いろいろな日米安保条約などというものがある以上は、簡単にソ連がオーケーとは言わないでしょうけれども、私はやはり機が熟するならば、北方領土は自発的にソ連も返還し得るようなゆとりは持ち得ると思うのです。いつ、何か、どうやったかということは、いつか記録を残しますが、いまからははっきりいたしませんけれども、ロシア自身でもやはり私は苦脳している面があると思う。今回、いきなり田中さんが領土問題を先に出したから問題は一つも進まないのじゃなかったかという意見もありますが、出し方には問題はあると思いますが、領土問題の中身、いまの次元で埋没しては日ソ平和条約は発展しないと思いますが、これをどういうふうに展開していくか。安保条約がありながらも、日華条約——いや、アメリカと台湾との間の条約がありながらも、それをまたいで日中国交正常化がなされたという現実的な外交におけるところの路線も新しく生まれてきているのです。  こういう問題に対して、イギリスのデーリーテレグラフは昨年の九月二十日に、日中共同声明で、周恩来首相はほぼその言い分を全面的に通したが、日本側も、台湾問題については日華条約破棄を声明に織り込むことを免れたし、蒋介石総統を非難することなく済んだ。それに、中国に与えた損害はありながら、賠償金をすっかりかんべんしてもらった。これらの点は中国側が田中政権を国内的に窮地におとしいれないための配慮であり、その背後には中国のソ連に対する抜きがたい警戒心が動いているというふうに指摘しております。当たっているか当たっていないかは別問題として、古い形の外交という観念から見ると、ずいぶん変わった、心と心との結びつきを縫うて展開していく外交が現実の外交の中に躍動しつつあるのが事実だと思うのです。そういう意味において、大平さんが私は気の毒な気はするけれども、しっかりしろ——気の毒どころじゃない。一国の民族の志というものを貫かなければ、少しぐらいの強圧があってそれで動揺するような形ならば、惑うなかれで、外交はできません。この民族の平和を保持することはできないと思いますが、あなたのソ連との外交交渉、今後のかまえは、どういうふうに領土問題を引っくるめて持っていくつもりですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 幸いに、ソ連側も平和条約を日本との間につくることによって永続的な友好関係をつくり上げようと、そういうことを表明いたしております。領土問題にからんでくしゃくしゃ言うのであれば、これはいやだとはおっしゃっていないのであります。われわれのほうも領土問題を解決して平和条約を結びましょうということは一貫して主張いたしておるわけでございます。したがって、彼我の間に思惑の差はございましょうけれどもゴールは一致しておるわけでございますから、私はこの問題につきましては、率直にたゆまざる話し合いをきわめてざっくばらんにこれやっていかなけりゃならぬことと思うのであります。問題は、いま先生がおっしゃったように、率直に話しするということが非常に大事ではないかと考えまして、われわれはその点、領土問題ばかりでなく経済協力問題につきましても率直な態度に終始してとびらを開くように努力を積み重ねていくべきだと考えております。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 この日ソ関係の問題でも、国会で北方領土の返還というのは決議もされておりますし、また日中国交正常化の問題でも、党派を乗り越えて一つの正常化の方向に国会の意思は方向づけ、それに沿うて田中内閣は踏み切ったんだと思いますが、先ほどの話を聞いていると、党中党ありで、いろいろ私のほうもあまり大きなことを言えない面もありますけれども、少なくとも国の中の選挙だとか何とかというこまいことなら別だが、一国の外交問題に対して、一つの政権をとっている内閣が党内の合意が得られないなんということならば、その政党は解体し、その政府は崩壊したほうが国のためにはいいんだと私は思いますが、それまで言っちゃ内政干渉になりますけれども、国民が私は今度はおこると思うんです。大体自民党だけじゃない、国会でもってあれだけの決議もなし、合意も取りつけ——一部の人に引きずり回されて、何か外務大臣はキリストさまじゃないけれど、十字架に上げられているような状態だ。これじゃ漫画にもなりませんよ。こういう少なくとも外交においては、理想的には超党派外交が望ましい。しかし、いろいろな立場立場があるから、いろいろな主張、相手の意見も聞くということが必要だが、ものには一つのけじめというものがつかない限りにおいては近代政治は成り立いないと思うのです。  そこで、それはあなたのほうのことだから、田事さんとあなたのステーツマンシップに依頼しますが、このプロジェクトは大別して七つほどあると思います。この七つのプロジェクトの中において、シベリア開発という大きなワクの中に入る具体的に取りかかっているのはどれとどれですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) いま具体的な交渉に入っておりますのはヤクーツクの天然ガス、それから粘結炭、それからシベリアの森林開発のプロジェクト、それからサハリン沿岸の大陸だなの石油並びにガスの開発プロジェクト、それからチュメニ石油のプロジェクトと承知いたしております。そのうちで折衝が進んでおりまするのは最初に申し上げました三つ、すなわちヤクーツクの天然ガスの探鉱プロジェクト、またどれだけの埋蔵量があるかを探査するプロジェクト、それから粘結炭の問題と、それから第二次の木材開発のプロジェクト、この三つが相当折衝が進んでおるように私は承知いたしております。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 チュメニはどうなんですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) チュメニの問題等は、検討はいたしておるようでございますが、その検討は非常に進んでおるという段階ではまだないように思っております。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 最近新聞に出てきたもう一つのシベリア鉄道の問題はどうなんですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) この鉄道自体はソ連の計画でございまして、これはほかのプロジェクトと並んで日ソ協力によってやり遂げようとするプロジェクトという性格を持っておるものとは承知していないのでございます。ただこれが、この問題といままでわれわれが折衝いたしておりまするプロジェクトとの間の関連という問題は、どういう関連を持ってくるのかという問題が究明されねばならぬわけでございまして、そういった検討をしてみなければいかぬと考えております。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 ソ連との問題でも中国との問題を気がねしなくちゃならない、いろいろな国際間の問題は複雑多岐でありますが、やはり相手の立場を尊重しながらもみずからの主体性をくずさないで多極化時代の外交を推進してもらいたいと思うのですが、時間がありませんから、あと具体的な問題を二、三点だけお尋ねします。  一つは、この四月に、たしかトルコの東と西を結ぶあのダーダネルズ海峡のそばの橋が、西ドイツと日本の石川島播磨の協力で東と西をつなぐ橋が竣工するのですが、あの橋梁建設というものは地中海諸国並びに中近東に大きな興味と関心を呼び起こしております。御承知のように、われわれはいま石油で夢中になっておりますが、あの地帯で近代国家をいち早くつくったのはトルコです。青年トルコ党を率いてケマル・パシャが五十一年前にトルロ人民共和政府をつくった。あの革命の方式が、あの宗教によって政治が停滞し腐敗した根源を切り開くために、政治と宗教を分離し、またオスマン・トルコの王室というものがイギリスのかいらい化してしまったときに、これをマルタ島へ追放し、国民の責任においてケルマ・パシャが人民共和政府をつくって近代化につとめたのでありまして、私はトルコの日本から学ぼうという気持ち、われわれは日本より五十年前に近代国家をつくろうとして日本に五十年おくれてしまった、しかし、二十一世紀においては、われわれは二十一世紀のトルコの役割りの時代をつくろう。失業者はいまでも潜在失業者まで百万あるだろうといわれるが、六十万はECの国々に出かせぎしている。五十万までは彼らが最もあこがれのドイツへ入っている。家族連れである。日本の東北の出かせぎよりも大規模だ。そこでトルコ民族は勤勉なそうして合理的なドイツから学ばなければならない。  しかし、ドイツだけでなく、日本の技術というものを見ておると、またあの橋をつくるにあたっても、いきなり日本では労働協約を結んで労働者の立場を尊重してくれた。そのリーダーは四十前後の若者であるが、われわれと一緒に、差別感を与えないで一緒に架橋の作業やってくれている、非常に学ぶものがあるということを率直に私はあそこの労働者の人から聞きましたが、これは日本の海外に進出した私は仕事の中で一つの刮目すべきものだと思うんです。この四月にあの橋ができ上がったようなときには、どうぞほんとうに政府のしかるべき者が——外務省なり建設省なり行って、トルコのあこがれを満たすべきであるし、またブルガリアなんといえば小さな国でありますが、ブドウ酒時代が来た、フランスは高い、日本の「サントリー」なり、あるいは「味の素」の関係の会社なりがブドウ酒を買ってくれた。地下埋蔵資源はない。しかし、この騎馬民族の流れをくむ点においてはトルコと同じくバルカンにおける一つの流れです。日本から教育勅語を学ぶというんじゃないのです、田中さんは錯覚してますけれども。近代国家になった秘訣を学ばなければならない。教育を学ばなければならない。イデオロギーの時代じゃないんです。もう世界が具体的事実を通じて、自分たちがその国を豊かにし、国民が納得しなければならないという形を、ソ連の寵児といわれるブルガリアにおいても熾烈であって、大統領はあの万国博に来て、そこのホテルオータニに泊まって感心して、ホテルオータニをソフィアに今度はつくる。共和制国家だけじゃなく、よその国からも観光で人を呼ばなければならない。いろんな形においてそれぞれの模索をやっていると思うんです。  やっぱりそういうところに、自由国家だとかあるいは共産圏などとけちな考えることを持たないで、人々の心をかちとる以外に世界の平和をかちとることはできないんで、これはソ連にも私は言ってやりましたが、日本みずからもびくびくしないで、むずかしいところへぶち込んで変なトラブルメーカーに政治をゆだねることなく、民族はおおらかで屈託なく平和路線、平和共存路線をいくんだという形をするためには、外務省は有能だが人手も足りません、金も足りません、みな秀才ぞろいで、そんな骨折りする人、あまりいないんだから、大平さん少し、よし、おれは外務省のボスになってやろうと、そのつら魂で、このままで、その根性でなれば、私は外務省に新しい機運が生まれて、よし、大平だけを立ち往生させぬ、われわれがやってやろうという者が出てくるんじゃないかと思いまして、そういう意味において、私の先輩の緒方竹虎さんなんかが模索した、世界的な情報化時代に外務省なり、あるいは内閣の中になり、世界のやはり正確な情報をキャッチできるような——変なやつか行ってこちそうになって、おだてられて、ものを言うのじゃなくて、正確な事実を把握するような情報のセンターなり情報室を設けるなり、もう一つは、イデオロギーにこだわらないで、よその国のためにもなるような文化センターみたいなものを設けてやらなきゃ、日本人が教会や寺をつくったってあとは迷惑します。大学を変につくるのよりも、実際の役に立つような人々、子弟を養うようにやっぱりするべきだと思うのですが、そういうことを、これは田中さんも来れば、田中さんおっての話と思って——そのときに忘れちゃうかもしれないけれども、そそっかしいから。あなた、よくそれを心にとめて、田中さんだって大平さんだって、おどかされるまでもなく、そう長い寿命じゃないんだから、何かいいことを残そうというのを残さないと、実際苦労だけして何にも残らなかったというと意味をなさぬから、ひとつこういう一番むずかしいときに、よし、おれはこれをやってやるんだという形でやっていってもらいたいと思うのですが、どうです、この情報センターの問題なり、一つの文化センターをつくるなり、人々の心をかちとるような具体的な施策を躍動させないと、エコノミックアニマルの子守りと変なファシストの子守りをやっているんじゃかないませんよ。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) たいへん御鞭撻いただいて感謝します。外務省もせっかく私を助けてやる気になっておりますかち、御鞭撻を願いたいと思います。  それから政治外交、経済外交はもとより大事でございますけれども、仰せのように、目に見えぬ文化外交というものはこれからの外交にとりまして大事な局面をになってくるのではないかと私ども考えておるのでありまして、この分野の開拓と、それから情報を広くとり、それを正確に解明し、それを迅速に伝達するということにつきましては、人の訓練の問題で、設備の充実の問題、要るわけでございますが、御鞭撻のラインに沿いまして一そう努力いたします。

嶋崎均自由民主党

○主査(嶋崎均君) 速記をとめて。   〔速記中止〕

嶋崎均自由民主党

○主査(嶋崎均君) 速記を起こして。

星野力日本共産党

○星野力君 私は、沖繩の米軍基地の問題について質問いたしますが、時間の関係もございますので、主として政府委員の方にお聞きしようと思います。御答弁も事実に基づいて簡潔にお願いしたいと思います。  国民にとって、米軍基地の存在が物心二面にわたってますます耐えがたいものになってきております。特に、沖繩では施政権返還後満二年になろうとしておるのに基地の中の沖繩という状態はほとんど変わっておりません。一月三十日の日米安保協議委員会で、沖繩の基地の一部の返還が合意されましたが、それによっても沖繩の状態は本質的には何ら変わるものではないのであります。一月三十日にきまった沖繩基地の返還につきまして、日本側では、三十二基地、面積にして二千六百五十九万五千平方メートル、沖繩の米軍基地面積の九・五%が返還されると発表しておりますが、米軍の新聞スターズ・アンド・ストライプスは、二月一日付でございますが、米国は沖繩の七基地を返還、こういう見出しで報じております。これは私、日本側の発表がだいぶ誇大宣伝であると思います。一月三十日の返還取りきめのうち、移設の条件なしに返還される基地の件数、合計面積、その沖繩基地全体に占めるパーセンテージをお答え願いたいと思います。

平井啓一防衛施設庁施設部長

○政府委員(平井啓一君) 十五回安保協議委員会で合意されました中で、御指摘の沖繩に所在します施設・区域の中で、移設なしに返還される施設は、全部返還の部分が七施設、二百五十七万一千平米、一部返還施設十三施設で、約七百七十万平米、合わせまして、二十の施設で御指摘のとおり千二十六万九千平米でございます。スターズ・アンド・ストライプスの記事と申しますのは、そのうちの全部返還の七施設のものについて記事に掲載したものと思われます。

星野力日本共産党

○星野力君 あなたは私の言わんとすることを先取りしておる。わずか三・六三%であります。北部訓練場、安波訓練場、これがそのうちの約四〇%を占めております。三・六三%のいまの御説明の返還の分のそのまた四〇%というものを占めておりますが、その大部分は返還後も米軍が使用する仕組みになっております。それについてはあとで質問いたしますが、そういうような返還であります。返還がきまったと言われる基地の大部分は、いま言われましたもの以外の基地でございます。これは移設措置とその実施にかかる合意の後返還される施設、いわゆるリロケーションの基地であり、実際にはいつ返還されるかわからないものであります。  ところで、北部訓練場と安波訓練場の場合でありますが、一月三十日の日米安保協議会では、両訓練場の各一部、面積合計四百十万平方メートルの返還となっておりましたが、二月二十一日の日米合同委員会では二百九十万平方メートルだけが返還されることになったといわれます。何のためにこういうやり方をするのか、残りの部分はどうなるのか。ごく簡単でよろしゅうございます。

平井啓一防衛施設庁施設部長

○政府委員(平井啓一君) 第十五回の日米安保協議委員会で、日米間で作業をしておりました段階におきます各返還される対象基地の面積につきましては、特に一部返還部分につきましては、当時の図上における概数で話し合いをしていたわけでございます。日米安保協議委員会で方針がきまりまして、日米合同委員会で最終的に合意をいたします段階におきましては、ダムを建設されます建設省のほうといろいろ技術的なお話し合いを詰めました段階におきまして、図上において一応技術的に積み上げられた数字として二百九十万という数字が当時、後ほどになって出てきたわけでございます。そこで、日米合同委員会におきましては、二月二十一日には二百九十万平米という数字については合意の内容にはなっておりませんが、当時防衛施設庁のほうでこの合意の内容を発表いたしましたとき、記者クラブのほうから問い合わせがあって、その数字を申し上げた、こういう経緯でございます。

星野力日本共産党

○星野力君 としますと、一月三十日の段階で合意されたあの二つの訓練場、これは実際には四百十万平方メートルというものよりも百万平方メートル余り少なくなって返ってくる、こういうことになりますか。簡単でいいですよ。

平井啓一防衛施設庁施設部長

○政府委員(平井啓一君) 二百九十万平米という数字も、あくまで現在図上における数字でございます。このダムが完成いたしまして、水を湛水いたしました時点におきまして、これがいわゆる洪水位と申しますか、一番水が満水になりました状態における水面から二メートルの高さ、あるいは水ぎわから十メートルといういずれかの範囲をとって、これをダムの湛水区域の範囲とするということになりますので、最終的にはダムが完成した時点においてこの数字がきまるわけでございます。ただ、御指摘のように四百十という数字は概数で日米間で話し合いをしておりましたが、現在技術的に相当正確な形に積み上げられた二百九十、大体近い数字のところに最終的にはおさまるのではなかろうかと考えます。

星野力日本共産党

○星野力君 それでわかりましたが、先へいきます。いまダムのことを言われましたが、要するに返ってくる部分はほとんどがダムになるというふうに考えられますが、どういう目的のダムが幾つつくられますか。

加瀬正蔵沖繩開発庁振興局振興第一課長

○説明員(加瀬正蔵君) 洪水調節用のダムと、それから都市用水の需要に対応するためのダムが新川、普久川、安波川、三つの水系にできるわけでございます。

星野力日本共産党

○星野力君 合計三つですか、四つですか。

加瀬正蔵沖繩開発庁振興局振興第一課長

○説明員(加瀬正蔵君) すでにできております、工事が相当進んでおります福地ダムを入れると四つでございます。

星野力日本共産党

○星野力君 要するに、それらの訓練場は無条件で返還されるわけではないわけですね。管理権は日本に返るが、大部分の地域は地位協定第二条四項(b)によって米軍も使用できることになっているわけでありますが、要するに真の返還ではない。一体アメリカはどういう目的にそのダムを使用しようとしているのでありましょうか。

平井啓一防衛施設庁施設部長

○政府委員(平井啓一君) この四つのダムが完成いたしまして、全部湛水されました時期におきまして、この湛水されました区域と、それからダム本体、管理事務所等が一たん返還されまして、米側から日本に。そしてダム本体及び管理事務所、その周辺五十メートルの区域は完全に返還されて、米軍に対する施設・区域ではなくなるわけでございますが、ただ、湛水されます部分につきましては、ダムの目的をそこなわない範囲で、アメリカ側としてはその湛水水域におきまして水質浄化訓練とかあるいは渡河訓練、そういったものをさしてもらいたいということで、これは地位協定の二条四項(b)に基づきまして米軍の必要のつど使用することができるようにする、そういう条件の施設・区域になるわけでございます。

星野力日本共産党

○星野力君 いま浄化訓練、それから渡河訓練に使うということを言われましたが、もっといろいろのことの訓練に使う話し合いになっておると思いますが、そこだけはもう少し詳しく言ってください。

平井啓一防衛施設庁施設部長

○政府委員(平井啓一君) 水質浄化訓練と申しますのは一応……。

星野力日本共産党

○星野力君 いいです。水質浄化訓練でいいです。

平井啓一防衛施設庁施設部長

○政府委員(平井啓一君) それから渡河訓練でまとめました中には、たとえば浮橋——浮き橋でございますが、浮き橋という架設物等を建設して訓練に使用する、あるいは湛水部分の徒渉をやる、あるいは小舟艇の操作をやるとか、それからヘリコプターによるところの救助訓練を行なう、そういったものが先ほど渡河訓練と私一括して申し上げました中に含まれているわけでございます。

星野力日本共産党

○星野力君 ここ、大事ですから、もうちょっと確認しますと、使用内容としては、水質浄化訓練、これはろ過車なんかを使ってやる訓練ですね。訓練といいますか、演習ですね。それから浮き橋の建設、利用、それから応急渡河訓練——救命胴衣なんかをつけて渡るというやつ、それから小舟艇の操作訓練、それから波乗り訓練というのもありますし、いまおっしゃったヘリコプターによる空海救助訓練、それからもう一つ、水陸両用車の利用法に関する訓練、水陸両用戦車なんかの訓練、これもございますね。

平井啓一防衛施設庁施設部長

○政府委員(平井啓一君) それも渡河訓練の中に入っております。

星野力日本共産党

○星野力君 これは私たいへんなことだと思うのですがね。やらないのは爆破訓練だけだそうでありますが、ダムそのものを破壊するようなおそれのある爆破訓練だけはやらないということのようでありますが、このダムは、先ほどは洪水調節ということを言われましたが、洪水調節と、それから上水用の水を取るところですね。私、これ、当初の計画をちょうだいしてあるんですが、それによりますと上水用と工業用となっておりまして、四つのダムの合計の一日当たりの供給量が、上水道が十六万一千九百トン、工業用が五万八千百トン、合計二十二万トン。言いかえますと、この上水道用が七四%にも及んでおるところのダムでありますが、この数字に基づいて割り算をやってみますと、一人一日三百リットル生活用水として使うとして五十四万人分の水をここに仰ぐことになります。少なくとも沖繩県民の三分の一、三十万人の飲料生活用水の水源になるものではないかと思いますが、いかがですか。

加瀬正蔵沖繩開発庁振興局振興第一課長

○説明員(加瀬正蔵君) 来年夏くらいの見当で三十二万トンぐらいの水需要がございますので、その相当部分を、来年の夏は福地ダムのほかに、あと中南部におきます河川の表流水とか地下水とか、そういったものも使うわけでございますので、計算上はおっしゃるとおりかと思います。

星野力日本共産党

○星野力君 こういうダムで演習をさせるということは、一体これはどういうことでしょうか。日本では他にもこういうダム水面を米軍の演習に提供しておる例はあるんでありましょうか。

平井啓一防衛施設庁施設部長

○政府委員(平井啓一君) 私の記憶では、本土におきましてはそういうダム水面を米軍が使っているという例はなかったように記憶しております。

星野力日本共産党

○星野力君 それはないのはあたりまえですよ。そんなことをやられたらたまったものじゃない。  厚生省の方にお聞きしますが、水質の汚染防止、水質保全という観点から、こういうことはよろしいとお考えになるかどうか。——おいてになりませんか。

石丸隆治厚生省環境衛生局長

○政府委員(石丸隆治君) 水道水源の清潔の保持につきましては、できるだけ外部からの汚染がないようにわれわれ十分注意いたしておるわけでございまして、水道固有の施設につきましては水道法に基づきまして、また公共水域につきましては水質汚濁防止法で必要な措置を従来からとってまいっております。

星野力日本共産党

○星野力君 沖繩のこの計画が好ましいことかどうかと聞いておるんですよ。

石丸隆治厚生省環境衛生局長

○政府委員(石丸隆治君) 御指摘のダムにつきましては、このダムの施行主体がこの判断をいたしておるわけでございますが、このダムの施行につきましては、当初から水道に使用するという目的を認識いたしました上で、水質上の支障が生じないという判断でこのダムをつくったというふうに聞いておるわけでございますけれども、われわれといたしましては、できるだけそういった外からの汚染がないものが望ましいと、こういうふうに考えております。

星野力日本共産党

○星野力君 非常に回りくどい表現をしておられるけれども、要するに好ましくないと、こういうことだと思うんです。これは計画に参加されたんだろうと思うが、沖繩開発庁はどういうふうに考えておられますか。

加瀬正蔵沖繩開発庁振興局振興第一課長

○説明員(加瀬正蔵君) 私どもといたしましては、ダム本体への影響あるいは貯水池への汚染の関係、こういう点についての保証が得られるならば差しつかえないという判断をしております。

星野力日本共産党

○星野力君 保証が得られるならばといって、水質の保全なんかについてもでしょう。保証を得られますか、これ。

加瀬正蔵沖繩開発庁振興局振興第一課長

○説明員(加瀬正蔵君) 私どもとしては、合同委員会に提案する際に、そういう点について十分に米側の認識を求めるようにお願いもしてございますし、そのような了解が得られているというふうに伺っております。

星野力日本共産党

○星野力君 ダムの中へ水陸両用戦車を乗り入れてかき回しておって、どうしてこれは水質の保全なんかできるもんですか。これは工事をやられる、また、これを後々管理される建設省としてはどう思いますか。

宮内章建設省河川局開発課長

○説明員(宮内章君) いま先生御指摘の水陸両用戦車を水中に入れるとか、それから先ほどお話がございます浮き橋とか、いろいろ訓練の種類は多くあるようでございますが、訓練の種類の内容とか、あるいはその時期によりまして川に与える影響というものは違うかと思います。それで、今回の協定におきましても、そのつど細目は協議するということに話は進んでいるようでございますので、私どもはその細目の協議のときに現地で十分そのあたりの内容はチェックしていく必要があるかと思います。

星野力日本共産党

○星野力君 そのつど協議すると言ったって、もう基本的にこういうことを、原則としてこういう演習を許すというたてまえに立ってどこまでチェックできるもんですか。アメリカ国内でこんな例あるかどうかと思って私調べてみました。聞いたら笑われてしまいましたよ。アメリカでそんなことをやったならばアメリカ国民は黙っておりやしない、何と言うだろうかということでありました。ニクソンは一九七〇年に特別の教書を発表して、環境保全、公害防止のためにアメリカは世界のトップを行く、そういう規制をやるんだということを宣言したことは御存じだと思いますが、実際アメリカの各州の水質保全のためにやっていることなどを少し見ましても、実にきびしい規制を——実際やっているかどうか知らぬけれども、やることになっておりますよね。やっているだろうと思います。アメリカではそういうことをやっておりながら、またそういうていさいのいい宣言をやっておりながら、大統領自身が、日本では水陸両用戦車でダムをかき回す、飲み水のダムをかき回す、これは沖繩県民だけじゃない、日本国民を侮辱しておることだと思うのであります。  二月二十一日の合同委員会では、合衆国政府は本施設の貯水池の汚染を防止するため万全の処置を講ずると、こういうことに合意しておるそうでありますが、できるはずはないですね。万全の処置を講ずるというのは、結局、そこで言われている爆破訓練はやらない、恒久的建造物はつくらない、設置物は終了後直ちに撤去する、こんなことあたりまえですが、これだけのことしかやりゃしない。このぐらいのことをやったところで、どうしてこれは汚染を防止する万全の処置が講ぜられますか。上水道水源池の汚染防止、水質保全のために水道法——先ほど言われましたが、何か規定がありますか。

国川建二厚生省環境衛生局水道課長

○説明員(国川建二君) 水道施設並びに水源の清潔保持につきましては、水道法の第二条に、国民が日常生活に使う水源でありますから、その水源や水道施設並びにこれらの周辺の清潔保持に十分心がけなければならないという規定がございます。そしてまた実態的には、それぞれの施設の態様に応じまして必要な水性清浄の措置をするように指導いたしておるところでございます。

星野力日本共産党

○星野力君 この沖繩につくられようとするダムにはそのまま当てはまらない条文かもしれませんが、水道法の第二十一条では、水道の取水場などの業務に従事しておる者の定期健康診断を義務づけておりますね。また、第二十二条には衛生上の措置について規定しておりますが、これらの規定はどういう目的のためにここに設けられておるんでございますか。

国川建二厚生省環境衛生局水道課長

○説明員(国川建二君) 二十一条の健康診断並びに二十二条の衛生上の措置等につきましては、もっぱらその水源並びに、特に浄水場等におきまして直接水道の水に触れる機会のある人たちの健康を守る等、まあ健康診断を行なって衛生を保持する、あるいは二十二条の関係につきましては、水道施設の管理運営に関しまして必要な衛生上の措置を講ずる、こういうことの規定であります。

星野力日本共産党

○星野力君 別の言い方をすれば、もっと簡単に言いますれば、そこに従事しておるところの関係者が伝染病の病源体などを持っておらないようにと、その検査をするということでしょう、健康診断のほうは。そうでしょう。

国川建二厚生省環境衛生局水道課長

○説明員(国川建二君) さようでございます。

星野力日本共産党

○星野力君 沖繩の場合、多目的ダムであっても、先ほど申しましたようにその水は七四%が飲料その他生活用水になるものであります。当然ここは専用ダムに準ずるだけのきびしさが必要だと思うのであります。あそこで演習をやるのはマリーンだと思いますが、彼らは御承知のように東南アジアのあっちこっちをかけ回って伝染病の流行する地域に生活してきており、それらの病源体を保有しておる率も非常に高いのではないかと思いますが、どうでございましょうか。

石丸隆治厚生省環境衛生局長

○政府委員(石丸隆治君) わが国へ入るそういった外来の伝染病の根源というのは、大体東南アジア地区に非常に多いわけでございまして、そちらから入ってくるいろんな旅行者その他につきましては一応検疫の制度はございますけれども、やはりその可能性は高いと、こういうふうに考えております。

星野力日本共産党

○星野力君 そういう連中があの中に入って演習をやるんですよね。私ちょっと調べましたが、いまありませんが、もとの米陸軍王子病院、ここで伝染病の発生状況を聞いたんでありますが、調べたんでありますが、赤痢とか、猩紅熱とか、日本脳炎とかという法定伝染病ですか、これの発生率というものがきわめて高いですね。日本国民全体に比べてもうこれは格段の高さでありますし、法定伝染病ではありませんけれども、マラリアなんかは一億の日本国民の羅病者よりも王子病院だけの羅病者ですか、これのほうが絶対数において多いんですよ。  それで、このことに関連して私一つの問題にぶつかったんですが、在日米軍は、伝染病が発生した場合に、日本の関係当局というか、地域の保健所に届け出る義務があるんじゃないですか。

石丸隆治厚生省環境衛生局長

○政府委員(石丸隆治君) ちょっと私のほうのこれは所管でないわけでございまして、公衆衛生局のほうの所管でございますが、私の知っている範囲内でお答え申し上げますと、現在のところ届け出の義務ではないわけでございますが、相互に連絡を十分とると、こういうことになっているように存じております。

星野力日本共産党

○星野力君 それはあなたの答弁のほうが正しいようですね。四十一年の九月に、日米衛生関係者間における情報交換についてということで、日米合同委員会で、伝染病発生について、アメリカ軍病院長が管轄の保健所長に相互に情報を交換することに同意したと、これで日本側としては米軍の伝染病発生の有無を知り、防疫する上から非常に便宜を得ることになったと、こういうことになっておりますが、沖繩ではこれが実行されておらないようでございますね。現在、復帰後二年たとうとしておるのに、これは実行されておらぬようであります。これはどういうことでしょうか。

石丸隆治厚生省環境衛生局長

○政府委員(石丸隆治君) 本日、公衆衛生局長が参っておりませんので、ちょっとわかりかねます。

星野力日本共産党

○星野力君 要するに、施政権返還された後もこういう措置をとらない。四十一年の段階では、本土の十四の病院からそれをやるということになっておって、施政権は返還されて沖繩県になったけど、そういう措置は講じておらない。これは私は政府の重大な怠慢だと思いますがね。沖繩、言うまでもなく米軍が一番たくさんおる。そういう伝染病の発生も一番多いんです。なぜ今日まで放置してきたのか理解にこれは苦しむところでありますよ。まあ東京都が管理しております小河内その他のダムでは水面周辺への立ち入りを禁止しております。もちろん泳いだり魚をつったりすることも禁止しておる。これは一面には危険防止ということもありましょうが、水道用水の汚染を防止することが本来の目的であると都の当局者は言っております。水道法では除外されておるような貯水池も含めて、職員、関係業者には三カ月ごとに定期検診も行なっておると、こう言っておりました。私、こういう演習を沖繩でつくられるダムでやる、あの猛烈な海兵隊がやるわけであります。ダムを使って生物化学作戦の演習などやられたらどうしますか。その可能性は絶無とは言えないと思うんであります。  以上の問答をお聞きになって、大臣、大体事情はおわかりになったと思いますが、こんな事態を放置してよろしいんですか、どうですか、お考えを聞きたい、はっきりした考えを聞きたい。

大河原良雄外務省アメリカ局長

○政府委員(大河原良雄君) まず、これらのダムの使用状況でございますけれども、先ほど御指摘ございましたように、合同委員会の合意によりまして、この施設を米側に提供いたします際に、その使用条件といたしましては、水中爆破は一切行なわない、恒久的な建造物はつくらない、仮設建造物は使用後直ちに撤去する、また貯水池の汚染防止に万全の措置を講ずる、こういうことを条件にいたしております。したがいまして、ダムの構造上もダムに被害を与えてはならない、また実際の使用にあたりましては、貯水池の汚染について防止に万全の措置を講ずるということを米側は義務づけられているわけでございます。したがいまして、これらのダムの建設地におきまして、米側が先ほど来御議論があります演習をあるいは訓練を行ないます際には、これらの条件に合致した形での使用を確保しなければならないわけであるわけであります。  もう一つ、先ほど王子の病院のことを御指摘がございましたけれども、王子の病院におきましては当時ベトナムからの兵隊の問題があったろうと思います。ベトナム戦争が昨年の和平協定によりまして一応の和平状態がもたらされ、また米軍の兵隊の大幅な撤退という状況がございますので、かつてのような海兵隊兵員の南方との往来ということは状況は完全に変わっているだろうと思います。また、検疫の問題でございますけれども、これも先ほど御指摘ございましたような合同委員会の合意に基づきまして日米間で検疫に関する情報交換の合意ができておるだけではございませんで、米側といたしましては、軍隊の移動の際に自己の責任において十分な検疫体制をとっており、その状況については随時日本側に緊密な連絡を行なっていると、こういう状況でございまして、私どもといたしましても、検疫面からも、またダムの使用の上から見ても、これらの汚染の問題が発生しないようには十分な注意を払ってまいりたいと考えるわけであります。  また、先ほどこれらの上水道の使用について御発言がございましたけれども、私どもの承知しておりますところでは、これらの上水道の水を米軍の構成員も使用する、こういう状況でありますので、米軍自体としても汚染防止には当然のことながら最大の関心があるというふうに承知しているところでございます。

星野力日本共産党

○星野力君 あなたはこういう合意を取りつけたいわば当事者でありますから、いろいろ言われるでしょうが、いまみたいなことを百万べん言われたって沖繩県民は安心できませんですよ、それは。一体米軍はこれまでその種の訓練どこでやっておったのでしょうか。あるいはキャンプ・ハンセン・ダムでやっておったかもしれません。しかし、施政権返還後キャンプ・ハンセン・ダムをそういうことに使わしてくれという申し出に対して、沖繩県当局は県民の衛生上からもそれはできないといって拒否して、いまダムのまわりにはさくをめぐらして人が近寄れないようにしておる。それが当然のことじゃないですか。返還と交換に、県民にとっては危険しごくな、そして米軍にとってはまことに便利な新しい演習場をつくってやる必要が一体どこにあるのか。ダム、特にこの上水道水源になるダムを外国軍隊の演習に使用させておる。私は少なくとも先進工業国といわれるような国には一つも例のないことじゃないかと思うのであります。私、こんな取りきめは未然にこれは廃棄しなければいけないと思う。最後に、外務大臣のはっきりした御所見を伺いたいと思います。

大河原良雄外務省アメリカ局長

○政府委員(大河原良雄君) 事務的なことから私御答弁させていただきます。  先ほども御答弁申し上げましたように、これらの施設の提供にあたりましては、日本側としては使用条件を厳重に課しているわけでございまして、米側としましてこれらの施設を使います際に、この使用条件に基づいた使用ということを行なわなければならないという義務を持っているわけでございます。したがいまして、これらのダムが多目的ダムとして上水道の重要な供給源であるという事実を踏まえた上で日本側としてはこれらの施設を提供したわけでございまして、今後ともそういう面での条件が厳重に実施されるということについては十分な関心を持ってまいりたいと考えております。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 米軍の要請も考えにゃなりませんけれども、御指摘のように人命、人の健康にかかわる問題は重大でございます。したがいまして、この問題の処理にあたりましては、その点に最大限の注意を払って誤りのないようにしたいと考えます。

嶋崎均自由民主党

○主査(嶋崎均君) 以上をもちまして外務省所管に対する質疑は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十七分散会      —————・—————

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