予算委員会 第24号
- 発言数
- 465 件
- 登壇者
- 32 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1974/04/09
会議録
○委員長(鹿島俊雄君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 この際、委員の異動に伴う理事の補欠選任を行ないたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鹿島俊雄君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に木島則夫君を指名いたします。 —————————————
○委員長(鹿島俊雄君) 昭和四十九年度一般会計予算 昭和四十九年度特別会計予算 昭和四十九年度政府関係機関予算 以上三案を一括して議題といたします。 これより締めくくり総括質疑を行ないます。加瀬君。(拍手)
○加瀬完君 質問に先立ちまして、総理のご今回のフランス訪問における各国首脳との会談内容について御報告をいただきたいと存じます。
○国務大臣(田中角榮君) ポンピドーフランス大統領の急逝による国葬執行に際しまして、パリを訪問をし、弔意を表すとともに国葬に参列をしてまいったわけでございます。特に四月の半ばには日本を訪問される予定でございましたのが病気のために訪問が中止をせられたということでございますし、その後現職の大統領の職にありながら急逝をせられたということでございますので、国葬に参列をした各国の代表は、ほとんどの国々すべてが網羅をせられたということでございまして、葬儀はいとも荘厳のうちに執行せられたわけでございます。また、日本の代表がこの葬儀に参列したことに対しましては、特にフランス側から深甚の謝意が表明せられたわけでございます。 この葬儀に参列することを契機にして各国の首脳との間に会談が持たれたわけでございますが、葬儀に出席をしたことを契機にしてということでございますので、あらたまった会談ということよりも、まず久闊を叙しながらお互いに当面する問題に対して意見の交換を行ない、将来日本とそれらの国々との友好をはかる上に具体的な問題があればこれを爼上に乗せて討議を続けたということでございます。特別目的を持ってあらかじめ予定をした会談ではなかったわけでございますからさして申し上げることもないと思いますが、おおむね新聞その他で報道せられたとおりだと御理解いただきたいと思います。 まあ二、三特別の御要求でございますから申し上げますと、第一には、ソ連のコスイギン首相と正味一時間にわたって、世界の情勢、それから日ソ間の懸案の諸問題、特にシベリア開発の問題等等に対して、具体的意見の交換を行ないました。現にいまソ連の代表団が来日し各方面と接触を続けておるわけでございますので、これらの問題に対してはプロジェクト別に話が煮詰まれば政府は政府間取りきめを付与するという方針を明確に述べておきました。シベリアの問題に対してはいろんなプロジェクトがございますが、日本側がどうもその非常に熱意を持っておりながらもこれが交渉が妥結に至らないということはどういうことでございましょうという率直な意見の開陳がございましたから、こっちは買いたいんですしそれから資源を持たない国でございますから、シベリア開発には熱意を持っておりますと。熱意を持っておるだけではなく、シベリアから供給が受けられないということになれば他の国々から受けなければならない立場にございますので、そういう意味では日本はフランクにシベリア開発という問題には対処しておるんだと。そういう立場を認識されてソ連側もこれを煮詰めてプロジェクト別に交渉が妥結ができるように配慮が望ましいということを明確に述べておきました。日本が少し買いたたき過ぎるんじゃないかということであったが、すなおに見るとそうじゃないんじゃないですかと。二千五百万トンというのが四千万トンになったり、四千万トンが二千五百万トンに逆戻りをしたり、パイプラインが鉄道になったり鉄道がパイプラインになったりするからどうも日本がはかりかねておるんじゃないかというのがすなおな見方ですよと。ですからね、ワンパッケージでもってやったんじゃなかなかむずかしいから、一つずつ具体的に話を詰められるものから詰めたいという意見を明確にしておきました。そうしたら、ワンパッケージでなくてけっこうですと。そういうことはこちら側も主張しませんと。ですから、十年来続けておるKS木材の問題があるわけですから、これはもう値段さえきまればすぐであります。ことし少し安いなと思ったら来年上げりゃいいんだし、ことし少し高かったなと思えば来年下げりゃいい話であって、そんなむずかしい話だと思わぬ。そういう問題からきめられるほうが望ましいというこっち側の意見を述べておきまして、大体そういう問題に対しては一つずつ詰めましょうということでありますので、そういう問題に対してはひとつ日ソ両国の友好親善。それからとにかくシベリアというところは日本と近いところでありますし、資源はうんとありますが、モスコーへ持っていくにも相当な距離があるわけでございますので、そういう問題をすなおに評価をして両国の合意がいっときも早いことが望ましいということで両方とも合意に達しております。 それからフランス、メスメル首相と会ってまいりましたが、これは去年の訪問まで引き続いて今度のフランス訪問で日仏間の友好関係は非常に大きく前進をするものであることを信ずる。去年訪問をしてから二つばかりの問題が解決したわけです。フランスから濃縮ウランを千トンずつ供給を受けるという契約が成立をいたしまして、ガボンの開発問題に対して一千万ドルの信用供与の調印が済んでいるわけでございまして、日、仏、ガボン三カ国で共同して開発を行なうということはもうスタートしたわけでございまして、日仏間の友好問題は大いに前進がはかれるというようなことに対して、早々の間でございましたが具体的な意見を交換をし合ったわけでございます。 西ドイツのブラント首相との間には、これは日本との間にエネルギー問題その他各般にわたって実務者の会議が持たれることになっております。これはドイツ側からの案はすでに日本政府に届けられておりますし、日本政府もこれを検討し対案を出す状態になっておりますので、その後起こった石油問題等に徴しても日独の間に協議をしなけりゃならない問題多々あるわけでございますので、これらに対して積極的な友好関係を増進するということで意見の合意を見ております。それからシベリア開発その他に対して参加をするかどうかという問題等に対しても、具体的な問題としてアメリカが参加をする、ドイツもその意味で、こういう国際的大きなプロジェクトに対しては世界各国においてお互いが協力し合うということは望ましいことでありますので、そういう問題に対しても前向きでお互いが情報の交換をしながら経済開発というような問題に対しても可能な限り共同して行なうようにしようということにいたしたわけでございます。また国際通貨基金の問題やそれから世銀等の問題、またオイルダラーをどういうふうにしなけりゃならぬのか、また国際流動性の問題とか通貨制度の問題とかいろんな問題、広範にわたって討議をいたしました。友好的な会談であったと思います。それから石油問題に対しての現状、将来起こり得べき問題、解決せなきゃならないような問題に対しても十分意見の交換を行ないました。 次いで、イギリスのウィルソン首相と会いまして、北海開発の問題等を詳細に話し合いをいたしました。この問題に対しましては、六カ月ぐらいの間に北海開発プロジェクトに対してどういう方式でどういうような計画で行なおうかというようなプランを作成したいと、プランができたら日本にもひとつ提示を願いたいと、特に相当大きな油田が発見をせられておりますので、いままでのイギリスの非常な大きな消費国がこの油田が開発せられれば石油の産出国になるという、立場が変わるわけでございます。イギリスの経済の再建はもとより、イギリスの国際収支問題も一挙に解決できるかもしらぬという非常に明るいニュースの開陳がございましたから、日本もそれに大いにあやかりたい——あやかりたいといってもあんたのところで産出する石油が日本の国際収支にプラスになるわけはない、しかし大きな問題にして長い歴史を持つ日英間において共同のプロジェクトとして開発に参加をする道も考慮していきたい。これらは開発に参加をしても北海の石油が日本に供給されるというのではなく、中近東及びアジア諸地域における共同プロジェクトの問題も存在するわけでございますので、石油のスワップというような問題もまじめに考えようというような活発な意見の交換を行ないました。 それから翌日、引き続いてニクソン大統領との会談を行ないました。約一時間余にわたっての会談でございましたが、日米間の緊密な関係というものの再確認というか現状分析、また石油問題、これからの国際通貨の問題、国際収支の問題等々広範にわたって意見を交換したわけでございまして、アメリカでもお会いをしておりますし、またフランスのパリでさえ会ったんだからいずれ東京でということで別れたわけでございます。いずれ東京でというのは私が述べたわけでございまして、向こうは東京でということになるとニュースになりますけれども、そうじゃなく、いずれ東京でということでございまして、またお会いしましょうということでございます。 それからポドゴルヌイソ連の国家評議会の議長とも会いましたし、これらの問題は日ソ間で十分ものを詰めてもう少しスピードアップをしたいということでございました。 その他いろいろな国の代表から会談の申し込みがございましたが、日程の都合上リビアとかガボンとかアフリカ諸国等の代表には時間がなかったり、また先方の日程が変わったということで会えなかったりというようなものがございます。 最後に、カナダのトルドー首相と一時間ばかり会談をしてまいりましたが、これは日加経済協力、日加の友好という問題が教育それから科学の問題、海洋開発の問題その他各般にわたって非常に重要であるということの強調がございまして、この会談を契機にしてカナダはきん然海洋国家として沖繩の海洋博に参加するという言明がございました。 まあかいつまんで申し上げると以上のようなものでございまして、葬式に出た前段、後段でございますから非常にお互いに人間らしいすなおな気持ちの会談であり、実り多かったものだと、こう考えております。
○加瀬完君 ただいまの御報告につきましては、いずれ同僚議員からまた重ねて御質問があろうと思いますので、第一に、本論に入りまして物価、インフレ問題について伺います。 電力料金は結局上げることになりますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 電力会社から申請がまいりましていま鋭意審査を開始したところでございますが、現在の経理状況等を見ますと、早晩上げざるを得ない情勢であると踏んでおります。いずれにせよ、審査を急いでその経理の状況をよく見きわめて、もしやる場合といたしましても、これは極力物価に影響を及ぼさないように引き締めて努力していきたいと思っております。
○加瀬完君 極力物価に影響を及ぼさないということになりますと、時期あるいは上げ幅が問題になると思いますが、これはどのように考えていらっしゃいますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) これは国民経済全般との関係がございますから各省とも協議して決定しなけりゃならぬと思いますが、私の考えでは五月の中旬から下旬ぐらいにかけて決断すべきものは決断しなければならぬではないかと、そういうふうに踏んでおります。幅につきましてはできるだけ圧縮する努力をしてみたいと思います。
○加瀬完君 経営困難を理由に料金の値上げを申請するわけでありますから、そうすると、経営上の配当率の問題なんかも当然出てくると思います。配当率はどのくらいに押えて健全という基準をきめますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 電力会社は原油価格の非常な騰貴、引き上げによりまして、大体三月決算では減配にたぶんなるだろうと見込んでおります。ところによっては六分、あるいはところによっては八分配当ぐらいになるんではないかと想像されております。それぐらい三月決算というのが非常に苦しくて相当なものを取りくずしてやらざるを得ぬ現状でございます。それはそれといたしまして、次に本年度以降九月、あるいはそのほかこれから将来のことを考えてまいりますと、電力の安定供給ということは国民経済や国民生活の上からも不可欠でございます。そのためにはある程度電力の開発も必要でございますし、それに要する資金、あるいは公害のための資金、そういうようなものも必要でございます。そういう資金調達のためには電力債を順調に発行できるようにしないと資金調達はなかなかできない。電力債をある程度発行するというためには資本金とのパリティの問題がございます。そうすると増資をやらなければ電力債をふやしていくというわけにいかなくなる。増資をやるためにはある程度の配当がなければ増資に応ずる人もなくなると、そういう因果関係がございまして、やはり恒常的な安定経営あるいは電力の供給ということを考えてみますと、ある程度適正配当というものは将来考えてやらなければいけないと考えております。それがどの程度になるかということは、経理の状況を調べた上でわれわれとしては料金査定の際に考えてみたいと思っております。
○上田哲君 関連。 この適正な配当率ということなんでありますけれども、二十年ぶりたいへんな大幅の一斉値上げ申請ということに際して、特に狂乱の物価高での物価政策の根幹をなす電気料金の値上げ決定ということになりますと、社会的な立場からいって適正値というものはかなり厳密な議論が必要だと思うのであります。問題は一〇%を維持するのかどうかというところに帰着するわけでありますけれども、今日、電気事業審議会の料金制度部会が二月の二十日に中間報告を出して、三月の末にこの答申が行なわれて、この答申に基づいて通産省側の指導がなされているわけであります。で、その指導は四十九年三月付の供給規程料金算定要綱が出ているわけでありますけれども、これには八%、八分という指示が出ているわけです。私は今日やはりこのような状態の中でかつてない大幅値上げが企てられているときに、この配当率というのは当然一割を墨守するということであってはなるまいと思います。現に昨日、九州電力社長が八分まで落とそうということを表明をしております。事実そういう状態が起きているということから考え、また通産省自身の供給規程料金算定要綱が出ているその数値からいっても、これは当然一割ということが前提ではない。八分と——私はもっとそれ以下でもいいと思うんですけれども、八分というところにやはり線を引くということになるのではないかと思うんですが、その心がまえを明確にお示しいただきたいと思う。
○国務大臣(中曽根康弘君) 電力事業は公益事業で国民経済に対する影響も非常に大きい社会性を持っておる企業でございますから、その点はよくわれわれも認識しておりますが、また自由経済のもとにおける私企業でもございます。それもまたわれわれは基本的に考えなければなりません。そういう面から電力債というものが金融市場において消化できるということが一つのやはりポイントでございまして、それがどの程度になるか、それはそのときの金融市場の情勢にもよりますけれども、いままでは大体一割見当ということがその辺の常識とされておったようでございます。そういう常識の線もやはり考えないと、これは電力債を順調に発行して電源開発や公害防除の施設を進めるということには支障を来たすという危険性もございます。そういう意味で、その辺を見当にしてやるのが私は妥当ではないかと、そういうふうに考えております。
○上田哲君 そうしますと、私はいま九州電力と申しましたけれども、北海道電力も出しているわけです、八分というのを明確に。北海道電力、九州電力が八分というのを出しておるのに、通産省がそれを一割にすると、これはたいへんおかしいじゃありませんか。社会的実勢値と逆にいって資金需要云々というようなことばのすりかえがそこに出てくるということになる。現にさっき申し上げたように、電気事業審議会の答申というものをどういうふうに受け取っておられるのか。あるいは現に通産省の資源エネルギー庁から出ている供給規程料金算定要綱との関連はどういうことになるのか。私はやっぱり社会的な構成値からいっても八分までおろしていいと思うんですよ、もっと下げてもいいと思うんだけれども。その心がまえをお持ちなら、そこはすっきりお出しになるのが正しいんではないかということをもう一ぺんひとつ伺うのと、もう一つ、昨日の分科会でもこれは通産大臣からかなり前向きの御答弁があったんでありますけれども、電気ガス税、今日の引き上げ額がどの辺になるかということは今後の問題でありましょうけれども、少なくとも平均六〇%をこえているところを相当圧縮するとしても、現在の福祉料金体系とおっしゃっている千二百円の免税点というのはそのままじゃだめだと、結果的にはこのままいくと自然増税ということになる。きのう私はお願いしておいたんで、何%に上げたらどれだけの自然増税になるのかという算定があったらそれもお示し願いたいと思うんだが、いずれにしても通産省の見解としては、電気ガス税というのがこういう形で大衆負担を増加させてはならないから、事実これが市町村税という面の財源上のかね合いはあるけれども、ぜひこれが事実上の大衆課税増ということにならない点では免税点の引き上げないしは六%の切り下げと、このどちらかの措置を講ずるように処置をするということは、これは通産省から出ている。問題は、これは自治省と大蔵省との話し合いになるだろうと思う。ぜひ、したがって、分科会等ではなくて、この場で具体的な結論を各大臣から承りたいと思うのは、自治大臣も地方税との関係がありましょうけれども、これは財源があるからということとの関連ではなくて、財源は別に考えるとしても、この問題については積極的な前向きの姿勢を示されるということを確約を願いたいのと、大蔵省当局もこれについてはできれば撤廃と、私たちは賛成ではありませんけれども、値上げということになるなら、値上げという時期にこれを同時に決着をつける、こういう姿勢が本来のものだと思うんでありまして、その辺の前向きの姿勢をしっかりひとつ各大臣、あるいは総理からもお願いをしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 北海道電力ないしいまの九電力の一部の社長が言明しているというのは三月決算のことであります。三月決算は、途中でこれだけ大きな原油の値上げがありましたものですから、これはもう必然的に配当は減少して、いま申し上げましたように、場所によっては六分ないし八分減配の可能性もありますと私は申し上げたんです。それはいま申し上げた三月決算のことです。私がいま申し上げておるのは、料金体系というのは将来にわたっての問題であり、今後一年、二年あるいはできるだけ永続させようとする料金体系の問題、その間における電力供給を安定させ、そして電源開発や公害防除の施設を充実させていくという配慮からすれば、電力会社が恒常経営ができるような基礎をつくってやらなければできない。産業にゆがみが出てまいります。そういうことも考えてみて、金融市場において電力盾が消化できるような線を考えてやるということは当然のことであって、それが八分であるか一割であるか、常識的な線で落ちつくべきであると思います。しかし、大体電力債というのはいま大衆の資産株になっておる。それで非常に国民大衆が広範囲にわたって財産として持っている株式でありまして、そういう株の性格も考えてわれわれは配当の問題も考えなければならぬと、そう考えておるわけです。 それから第二に、今度の電力料金がもし上がるとすれば相当な増税になるではないかという御質問に対しましては、これは確かにかなり収税の額が多くなります。この問題をこのままにしておいてよろしいかどうか、適当な善処を必要とすると私自体は考えております。したがって、きのうも御答弁申し上げましたように、これは大蔵省、自治省等との間で相談をして善処したいと、こう申し上げているとおりでございます。 なお、電気ガス税については、毎年自民党・政府もできるだけこれを下げようというので、一%ぐらいずつ毎年下げてきたところであります。この努力をわれわれは今後も継続していくつもりであり、終局的には電気税のようなものはなくしていきたいと、そういう努力を今後も継続していくつもりでございます。
○国務大臣(福田赳夫君) 電力料金値上げと電気税との関係の上田さんの御指摘、私もそれはよく承知しております。確かに、電力料金を引き上げますれば、電気税について地方自治団体には自然増収が出るわけなんです。そこで、予定の額をこえるんだから、この際、その額に見合う分だけの電気税の減税をしたらいいじゃないかという議論は、私は一つの御議論だと、こういうふうに思います。私もそれが妥当であるかどうかということについて検討はいたしておるわけですが、これはまあ自治省の主管する地方財政と関連の非常に深い問題でありますので、自治省といま相談をしておると、こういう段階でございます。 ただ、全廃論になりますると、これはまだ予算も成立いたさないと、こういう段階でありますので、にわかに賛成いたしがたいと、そういうふうに理解しております。
○上田哲君 前向きにいきますね。
○国務大臣(福田赳夫君) この問題は、電源開発税ですね、あの問題とも関係があるんです。ああいう問題とも関連をとりながら、前向きに私は考えております。
○加瀬完君 通産大臣の御説明ですと、公益事業という性格は非常にぼやけてきておる。電力会社に関しては、やっぱり他の私企業と同じように、十二分な利潤の確保というものをねらっていると、そうしか解釈できない。これでは、公益事業というものの性格は、いままでのような公益事業のいろいろの料金が、ただ採算の上だけで値上がりをしたり、あるいは消費者だけを対象にバランスをとったりしようとする方向しかとれなくなる。しかし、これはここで議論を進めるのは時間がかかりますから、省きます。 そこで、私鉄やバス料金も同様に上げるということになりますか。運輸大臣、お答えいただきたい。
○国務大臣(徳永正利君) 私鉄、バスの料金を上げるのかということでございますが、これは、政府としましては、たびたび各閣僚から御説明申し上げましているように、公共料金は極力抑制するという、その立場はいささかもゆるぐものではございませんけれども、この公共料金を押えたがために、サービスの低下とか、あるいはまた、安全施設そのほか、問題をそれぞれにかもすようなことがあってもなりませんし、そういう問題については個々の実態をよく見きわめた上で処理していかなければならないと思っております。
○加瀬完君 さっきの質問で、自治大臣がお答えになりませんでしたので、あわせて、バス関係は自治省にも非常に関係がございますから、お答えをいただきます。
○国務大臣(町村金五君) このたびの電力料金の引き上げが、いつ、またどの程度になるのかということにもこれは関連をいたすわけでありますが、いずれにしても、相当の値上げが行なわれるということに相なりますれば、現在の税率をもっていたしますれば、電気税が相当に多額に増収になるということだけは間違いがございません。 しかし、いまも御指摘もございましたが、やはり電気税というものは、広く一般の消費者からことごとく徴収をされるというたてまえのものでございますから、このたびの、私は少なくとも引き上げに際しましては、免税点等については相当の引き上げをもっと行なわなきゃいけないのではないかというように感ずるのでございますけれども、なお、そういった点、いろいろ検討すべきことがございますので、その段階においてどうするかということで、いま検討をいろいろいたしておるところでございますが、いずれにいたしましても、このことによって消費者に電気税があまり多額にかかるということはできるだけ避けるようにしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
○加瀬完君 物価対策上公共料金を据え置くと、この方針は打ち切りということになりますか。
○国務大臣(内田常雄君) 打ち切りというつもりはございません。これは物価の大きな要素、国民生活安定の要素でございますから、従来から申し上げておりますように、極力抑制し、慎重な処理をするという立場で、現実の問題にも対応しなければならないと私は考えます。
○加瀬完君 これは総理にもあわせてお答えをいただきたいのでありますが、軒並みに公共料金を上げて、しかも物価が鎮静するという理由はどこでしょう。
○国務大臣(内田常雄君) 公共料金は、もちろん、物価の大きな要因でございますので、物価全体の中で考えなければならないと、したがって、しばしば他の機会にも申し上げましたように、最近から今後にかけての物価全体の鎮静の中に公共料金の問題を現実的にはさんでいくと、こういう考えでおるわけでございます。
○加瀬完君 公共料金が上がれば、物価は必然的に上がるでしょう。公共料金を上げて物価を上げないという、一体、方法はどういう方法があるのか、それを具体的にお答えいただきたい。
○国務大臣(内田常雄君) 昨年来のわが国の物価卸売り物価にいたしましても、消費者物価にいたしましても、異常な上昇を示しましたが、それは申すまでもなく、公共料金の改定によるものでは全くございません。他の、もう繰り返しませんが、いろいろな要因によりまして物価が著しい上昇をいたしてまいりましたが、幸い、加瀬さんも御承知のように、本年の二月ぐらいから、卸売り物価につきましても、あるいはまた、三月の消費者物価なども、非常な落ちつき、鎮静の状況を来たしておるわけでございます。この傾向は、一方において総需要の抑制というようなものを、これはまあいろいろ世間から要望や批判も最近は出てきているようでございますけれども、私どもは、直ちにいまこれをやめにするという考え方はございませんで、物価鎮静の情勢というものを、一そうこれをその方向に持っていくと、こういう考え方でおりますので、そういう状況のもとにおきましては、公共料金の合理的な是正ということも私はしなければ、しばしば申しますように、そういう公益事業に対する資源の適正な配分を妨げて、かえって国民生活を危殆に陥らしめることもあると、こういう考え方で、全体の物価の鎮静状況と、それから合理的な、また現実的な公共料金の改定というものをかみ合わせてまいりましても、私はことしの夏ぐらいまでに、総理がしばしば申し述べておりますように、物価の鎮静というものはその方向にいき得ると、こういう考え方を持つものでございます。 なお、ついででございますが、私どもは、もちろん、これらの公共料金がある幅で改定をされましたときに、それらが消費者物価とか、あるいは卸売り物価とかいうようなものにどのくらいのはね返りがあるかということも計算をいたしております。しかし、これは全然ないというわけではございませんけれども、先ほど来申し述べますような物価鎮静の間にはさみ込み得る程度のものであると、また、そういうことにしたいと、こういうことでやっておる次第でございます。
○加瀬完君 公共料金が一つのてこになって、公共料金が上がることで、ほかの物価にまた反映するというのがいままでの実例ですわね。大臣のおっしゃるのは、願望としてはわかりますが、具体的な方策としては何にもない。 そこで、原則論を少し伺いますが、政府は、いまの物価は水ぶくれ現象だと、こう言っておった。こうおっしゃったことは、いまでもそう御信じになっていらっしゃるでしょうね。
○国務大臣(内田常雄君) その水ぶくれという表現は私は使わないんでありますが、便乗値上げとか先取り値上げというものは、昨年の十一、十二からことしの一月ぐらいまで相当あった。したがって、その物価上昇の要因が、一般的に学問的にこれまで言われておったように、いわゆるデマンドプル、需要の引き上げとか、あるいはコストの押し上げ、コストプッシュということのほかに、私自身もスペキュレーションアップというものがあったと、こういうことを申しておりました。その分は確かにある。したがって、先般、石油製品価格の改定などをもいたしましたときに、主要物資についての価格の一つの安定政策といいますか、あるいはわかりやすいことばで言えば押え込み政策というようなものをとり得たのも、そこに一つの根拠があったと、私はそういう発想から賛成をいたしておるわけでございます。
○加瀬完君 これは総理も大蔵大臣も水ぶくれ論をおっしゃった。じゃ、水ぶくれでない正常な状態というのはどういうものかという質問に対しては御説明がなかった。あらためて御説明いただきます。
○国務大臣(福田赳夫君) 水ぶくれ物価というのは私が申し上げたんだから、私からお答え申し上げますが、普通、正常な意味において物価というときには、何といってもコストが基準になるわけです。コストプラス適正の利潤、これが普通、物価の基礎をなすわけですが、それがそのときどきの経済情勢のもとで、需給がきびしくなったり、緩和されたりする、その需給の関係である程度のフレがあります。そういう状態で形成される物価水準というのは、これは正常物価です。ところが、今日の物価はそうじゃない。昨年の暮れからことしの正月にかけて物価が狂騰する。それはなぜかというと、コスト要因をもうすでに離れちゃうんです。もっぱら——もっぱらというか、非常に大きく需給要因が働く。その需要の中には仮需要というものが起こってくる。仮需要とは一体何ぞやといえば、申し上げるまでもありませんけれども、物を持っておればこれは高くなる、そこで、買っておけ、持っている者は売り急ぐなと、こういうような傾向です。そこで、私はそういう仮需要の旺盛な中で形成されたあの暮れの、また正月の物価状態、これは物価とは呼ばれない、騰貴による相場であると、こういうふうに言ってきておるわけでありますが、つまり、正常な価格、その上にかなり上のせされた部分が含まれておる。その状態をさして水ぶくれだと、こう言っているわけであります。
○加瀬完君 そうすると、公共料金を上げることは水ぶくれをやせさせることになるんですか。
○国務大臣(福田赳夫君) それで、その水ぶくれの水を抜く、そのために総需要抑制政策をとったわけです。なぜそういう政策をとるかというと、需要が多過ぎたというためにそういう不正常な事態が出てきたわけです。そこで、需給の関係からいうと、供給が多少余りぎみだ、需要のほうが少なくなった、こういうような状態を出すことが必要である。そこで、政府、地方公共団体、それから民間経済活動総ぐるめにいたしまして需要を減らす。つまり、総需要抑制政策をとったわけです。これが現に効果をあげてまいりまして、二月半ば以降、大体実質的には卸売り物価は横ばい状態と、こういうことになっておるんです。そこで、私は一今日この時点になりますと、もうこの需給要因から物価というものにそう混乱はあるまい、もう狂乱と呼ばれる物価の事態、これは大かたこれを克服するのに成功しておると、こういうふうに見ておるんです。物価をきめる要因は、先ほども申し上げたとおり、需給の関係とコストの関係がある。その一つであるところの需給関係についてはまずまず心配ない事態になってきた。 ところが、今度はコストの問題が出てきたわけなんです。それが春闘の問題、これは最大の問題です。賃上げ。それから次いで電力料金の問題、私鉄、国鉄の料金の問題等がある。で、そういう公共料金また賃金の大幅な引き上げという事態は、今日のこの物価政策のむずかしい時期からいうと好ましくないです、これは。何とかしてこれを阻止したいように思う問題です。ところが、よく考えてみますと、賃上げは、これだけの物価騰貴の際ですから、そうそうとこれを抑圧するということもなかなかむずかしい問題でしょう。それから電力料金を引き上げずにおきますと、これは企業経営上重大な問題があるのみならず、いずれはこの問題を処置しなけりゃならぬ、そのときにまたはね返りがある、こういう問題。 そこで、総需要抑制政策をこれから進めるわけですが、需給の関係は大かた克服する、なお姿勢を堅持いたしますれば、私はこれから先、他の要因なかりせばこれは物価水準というものはずっと下がっていくと、こういうふうに見ておるのです。その下がっていく時期をとらえまして、コスト要因の問題を順調にさばく、これは一つの私はタイミングじゃないか、そういうふうに見ておるわけです。ですから、これから数カ月の間、まあ需給の要因から物価は下がるです、そういう要因がある、一方、コスト要因から上がる要因がある、この二つの要素が合流するその一点が新価格体系というところになっていくのだろう、そういうふうに思いますが、とにかくこの鎮静化した経済情勢の推移のもとにおいて、生産コストの上昇という要因である公共料金の改定が行なわれる、これは好ましくないことはもちろんでありますけれども、やむを得ざることである。しかし、物価体系にそう大きな動揺を与えたり、あるいは混乱を生じたり、そういうような事態はないと、かように考えております。
○加瀬完君 いまの物価状態を、鎮静化しているという認識は私どもは持ちません。それから、総需要を抑制しただけでこの物価体系というものは変わるものではない。賃金問題についてはあとで触れます。 そこで、あなた方は新価格体制というものをお考えになった。その新価格体制というものは、いまおっしゃるように、コストプラス適正利潤ということでお考えになったのですか。
○国務大臣(内田常雄君) 個々の物資につきましては、コストプラス適正利潤というものもございましょうし、また、その物資に対する需給関係というものもございましょうが、私どもが新価格体系と申しますのは、そういう個々の物資の価格のきめ方ではなしに、物価はこれから先鎮静をいたします。したがって、物価の総水準というものの動き方というものは、昨年一年のような狂乱的な動き方はさせないということでいくのですが、各価格と価格との相互関係、つまり、一つ一つのものや、料金との相互関係というものが、従来のような石油以前の問題あるいはまた飼料その他の農産物以前の問題、あるいはまた、これは春闘の結果などをどう織り込むかという問題もございましょうが、そういう個々の物資の価格の相関関係というものを、たとえて申せば省エネルギー、省資源型にするというようなこともその一つでございましょうが、そういう意味において申し述べているわけでございまして、これは絶対に必要で、昔のままの組み立て方で価格水準を押え込めば、それで日本の経済や国民の生活がうまくいくということでは私はないと思いますので、その物の実態関係をにらんで、それに伴う影としての価格というようなものをこの実態関係にアジャストしていくと、こういう意味を私は考えております。
○加瀬完君 そうすると、新価格体制というのは、値を下げるとか、値を上げないということではなくて、高値安定ということですか。
○国務大臣(内田常雄君) それは国際物価との私は関連も出てまいると思います。たとえば、これはおまえはそういうことを言うのかといって加瀬さんからしかられそうでありますが、石油なら石油というもの、あるいは石油製品をとりましても、高値安定ということばは私はいいことではありませんけれども、そのものは私はやはり昨年の下半期以前の価格で安定させるということもできませんし、また、国際的な食糧価格などにつきましては、幸い、最近ロイター指数などを見ますると、これは非常に幸いなことに、非常に安定ないし低落の面もございますけれども、これはもう世界の低開発国、発展途上国がそれぞれ欲望をふやし、人口をふやし、またいろいろな食糧をはじめ、物の需要をふやしていくという情勢のもとにおいては、昔の値段に戻すということもできない。そういう面におきましては高く安定するものもございましょうし、あるいはまた、いまの省資源、省エネルギー的構想のもとに、賃金を無理に押え込まなくても私は安くもっていけるものも当然出てまいる、かように思います。
○加瀬完君 政府のほうで価格凍結をいたしましたね。その価格凍結は、天井値横ばいだという指摘があります。生活必需品について、それでは凍結一カ月前と凍結時点の価格差をお示しをいただきたい。
○政府委員(小島英敏君) 価格凍結後の数字につきましては、やはりもう少し時間がたちませんと、統計としては整備されませんので、その段階で発表いたし、御説明をいたしたいと思います。
○加瀬完君 ちょっとちょっと、これがそうですか。(資料を示す)
○政府委員(小島英敏君) 個々のものにつきましてサンプル的に調査をしたものはあるかと思いますけれども、政府統計として全体として出てまいりますのがもうしばらく時間がかかる、そういう意味でございます。
○加瀬完君 三月十九日の読売に、「天井値横ばい 価格凍結やっぱり消費者泣かせ 政府統計、はっきり〃証明〃」、こういうのが出ている。これですと、凍結前一カ月より凍結した時点のほうが値上がりしているものがほとんどだ、ここに例示されているものは。ですから、高値安定ということが新価格体制かと、こういう疑いを持たざるを得ない。下げたというならどこで下げたのか、はっきり御説明願いたい。
○国務大臣(内田常雄君) 個々の物資につきましては、実はそれぞれ所管省の担当官から説明をさせるのがよろしいのでございますが、私なども物価については非常に関心を持ちますので、加瀬さんのおっしゃるような意味で二、三の物資につきましての例を聞くことがございます。たとえば灯油でありますとかあるいはトイレットペーパーでありますとか、場合によりましては洗剤のような、ほんとうに価格を分析すれば必ずしもそうなるはずがないものでさえも下がっているということをしばしば聞きます。しかし、それは私は悪い意味にとるということよりも、あれだけ狂乱して、ほうっておけば上がるにきまっておりますものを、あるいは標準価格をつけたり、あるいは石油の製品価格の上昇に歩調を合わせないように、その時点における価格というものをとりあえずそこで安定させましたが、それらにつきましては、各省ともよく打ち合わせの上、そこで凍結するのではなしに、高いまま凍結はしない、安くなり得るものは引き下げの努力を続けるということを、これは閣議決定の文章にまでうたってございますので、そういう品目につきましては、そのしかるべきゆえんを十分調査の上、下げてしかるべきものは下げるし、あるいはまた標準価格などというものは、これは灯油がその例になるものかどうか知りませんが、あたたかい時期に灯油をせっせと買うというようなこともなくなる場合には、そういうものについて一時標準価格をはずすとかいうようなことも考えてしかるべきであると思います。いずれにいたしましても、しかし御指摘のような状況が出てまいりましたことは、私どもは、関心を持つ物価水準全体としては、その安定定着の方向を示すよい例であるとこういうことを感ずるものもございますし、それからまた、話はこまかくなりますけれども、ある種の物資につきましては、いろいろな小売り商等が、目玉商品として、ことさら仕入れ価格等や、利潤をはき出して、客寄せのために——最近売り上げも御承知のとおりいろいろ減ってまいってきております。あるいは特売場とかあるいは目玉商品というようなものをつくって安くしているものもございますので、それがほんとうの値段というものでもない場合もございますので、先ほど来申しますように、それらの実態を十分物資主管省の担当者に調査をさして対処するのが私はよかろうと思います。
○加瀬完君 安定定着とおっしゃいますが、安定定着の線というものはどこだというものは明確になっていませんね。昨年の異常物価前に比べてどの程度に押えるんだという、はっきりしたものは何にもお示しない、これはどうですか。
○国務大臣(内田常雄君) これも一般論になって恐縮でございますし、また、同じことを私もしばしば述べてまいりましたけれども、物価の安定定着ということは、昨年以前の状態に個々の物資の価格を、プライスを下げるということではなしに、その上げ幅、上昇の状況というものを鎮静させるのだ、こういうことを実はしばしば申し述べておるわけであります。これはいろいろ御反論もございましょうけれども、右のとおりでございます。
○加瀬完君 それなら私が最初に指摘したように、上げ幅鎮静ということならば、一番上がっている天井値に横ばいを続けさせるということに過ぎないじゃないですか。
○国務大臣(内田常雄君) そういうものもございますし、述べましたように、下がっておるものにつきましては、下がっておる実態を調査して、それに応じて引き下げの一これは行政指導ということは非常にまた御批判の対象になりますが、行政指導をやるとか、あるいはもうそれは固定していいものにつきましては標準価格を新しく国民生活安定法によって設定する。これはそれぞれ物資の主務大臣はということで法律ができておりますので、私どもも主務大臣と十分協議をいたしまして、主務大臣にそういうアクションをとってもらうようにいたしたいと思います。
○加瀬完君 私は、適正な行政指導けっこうですよ。そこで、あなた方は凍結品目をつくったけれども、そのメーカーなり問屋なりの仕切り価格などに対する行政指導というのは何にもやっていないじゃないですか、これはどうですか。これは通産大臣ですか。流通段階についての指導をどうしているか。
○国務大臣(中曽根康弘君) われわれは統制経済をやる意思はないわけであります。それで小売り価格の末端につきましては、これはスーパーとかあるいは百貨店に対して、これがプライスリーダーの役目を果しておりますから、三月十五日の値段でおたくの品物は目玉のこれこれについては抑制してください、そういうことで協力を求めて実行しておるわけであります。工場のものにつきましてはまた工場としてやっておるわけです。ですから、その工場と最終末端製品との関係においてその程度にやっておけば、大体国民大衆に対する影響度というものはまあまあやれるんではないか。あとは自由経済の機能調整を自動的にやらせる。これを原価計算して統制経済やるということになるとこれは別でございますが、やはりいまのような自動調節をある程度流通段階に認めたほうが品物が出そろう、そういうことがあると思っておるのであります。
○加瀬完君 私は統制経済やれと申しておりません。いまの価格支配はほとんどメーカーなり問屋なりによって行なわれているでしょう。メーカーなり問屋なりに対して行政指導が徹底しなければ、価格は、値上がりをしたって安定をするということはあり得ません。こういう実態御存じないですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) いま一番われわれが関心持っているのは、国民大衆に接する場合の価格、末端価格の問題で、しかもこれが日用品とか生活必需品等について重大関心を持っているので、その点をぴしっと押えておこう、それ以外のことは工場についてある程度押えておけば、あとは流通過程で自動機能で調節させるということが、あまり政府が介入しないで、統制的な色彩を薄めていきつつ国民大衆、国民の協力を求めてやる経済体制としては適当ではないかと、現段階においてそう判断しておるわけです。
○加瀬完君 そういう行政指導のやり方が、価格凍結という名のもとに天井値の横ばいを来たしている。どうして、国民の側から見て適正価格だという指導ができないんですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) これは生活や産業の基本になる重要なものにつきましては、たとえば石油については八千九百四十六円とか、電力についてはいま査定を開始するとか、あるいはその他の公共料金については現在は凍結しておるとか、そういうことでぴしっぴしっと要所要所を押えておるわけでございます。そのほかの国民生活に密着する必需品については、いま言ったような目張りの処置をしておるわけであります。この体系を維持しながら、適時調整、微調整ということをやっていけば、私は物価問題は次第に漸進的に改善されていき、安定していくと、そう考えておるのであります。
○加瀬完君 将来のこともさることながら、いまのこの物価の値上がりというものに対して、国民は、もっと下げられないのか、押えられないのかというのが一般の願望ですよ。そこで、凍結価格と言いながら、結局国民の側から見ての適正価格というものをつくり得ない。 あらためて伺いますが、経済企画庁なり通産省なりが考える適正価格というものは、どういう算出基礎によってこれが適正価格だとお認めになるんですか。算出基礎を明確にしてください。
○国務大臣(内田常雄君) それはまあ計数的に申し述べますと、適正生産費プラス適正利潤ということでございますけれども、しかし、これはただ計数的にだけ申せませんので、標準価格を設けます際の法律の書き方は非常にむずかしい書き方がいたしてございますように、その物の国民経済におけるその需給状況の客観的の地位でありますとか、あるいはまた地域的な事情、格差とかいうものもございますので、そういう要素、また将来の見通しというようなものを織り込んだものが私は適正価格として取り上げられるべきものであって、何カ月前の価格と同じものが必ずしも適正価格ではないと。いわんや、先取り要素を含んだ、たとえば電気料金もまだ上がっておらないのにそういうものを含むような価格と考えられるものも、適正価格でないことはもちろんでございます。
○羽生三七君 ちょっと関連。 衆議院の予算委員会の段階、それから参議院の最初の総括質問の段階で田中総理が御説明になったことは、物価水準は昨年の十月以前の水準に戻すと、これがもう再三繰り返して総理がお述べになったことです。ところが、企画庁長官の先ほど来の御説明を承っておるというと、物価を昨年の十月時点の水準に戻すということが必ずしも言われているわけじゃないんですね。のみならず、世界的な資源不足の石油あるいは農産物等、世界的な資源不足の時代になって、ある意味において高価格体系に入ろうとしているわけです。そういう時代に、しかも公共料金は軒並みこれから値上がりするんです。それなのになおかつ物価を下げる下げると——十月以前の水準に戻すと総理は言われてきておるんですが、そこは非常な矛盾だと思うんですね、私。それはむしろこの新価格体系というものは、ある意味の高価格体系に移行することの別名であると、新価格体系というと聞こえはいいが、実際には新しい価格体系、高価格になっていくことを公認することがある意味の新価格体系ではないかと思うんです。それを経済企画庁長官はいろいろなことを言って説明されておりますけれども、いずれにしても、もう昨年の十月以前の水準に戻すという総理の言明は不可能と、それが不可能と言えないので新価格体系の名で呼んでおるんではないかと思うんです。この辺は、その食い違いというものを明確にひとつしていただきたいと思うんです。これは重要な問題だと思います。
○国務大臣(内田常雄君) 私はこの段階において、決して前の表現や、また詭弁を弄しているつもりは全くございません。昨年の十二月ごろ、国民生活安定緊急措置法の御審議をいただきます際に、これはたしかここにいらっしゃる加瀬さんか、羽生さん、その人からであったかと思いますが、おまえの言うことを聞いていると、おまえはこれからの物価の動き方というものを適正にするということだけで、前の安い値段に戻すということにならぬではないかということをしばしば問い詰められましたが、私はそういたすつもりですということを申し上げないで、実はたいへん抵抗いたしてまいりまして、そういうことではないと、これから先、物価の狂乱的な上昇を押えていくんだと、それでその十月以前という総理の表現の意味とは違うかもしれませんが、私は従来の平常な時代の物価の足取りに戻すんだと、また国際的な物価の足取りに戻すんだということを私は繰り返し申し述べてきまして、おまえはそういう目的のためにまでこの法律をつくるのかと言って、たいへん御批判をいただいたことがありますが、私はもう曲げずにその説を突っ張ってまいりました。総理のおっしゃる十月以前の状態というものも、個々の物資のプライスを十月以前の何円何十銭とするということじゃなしに、おそらく私が申し述べておったことと同じことで、あの法律をつくります際に、いろいろ閣議でも、あるいはまた、自民党などの国民生活安定緊急対策本部の方々も含めましてあの論議をいたしましたので、これは総理の言うことを私がここで言う必要はない、総理からおっしゃるだろうと思いますが、私と同じ考え方であったと思います。
○羽生三七君 総理からも聞かしてください。
○国務大臣(田中角榮君) 正常な物価とはどういうものかというと、昨年の石油問題が起きなかった事態の物価というものは、これは正常——まあその前にも買い占め売り惜しみとかございましたけれども、とにかく正常ならざる物価というのは、石油問題が起こって、先高というようなことや買い急ぎもあったし、いろいろな不安材料がございまして、その間隙に異常な物価高を来たしたということでございまして、まあ少なくとも昨年の石油問題が起こらない前の物価水準まで戻せればこれは理想的なものでございますと、理想的というよりも、目標にしてやらなきゃならぬと思いますということは、すなおにそう考えております。 その後の問題としましては、まあ標準価格をきめたり、いろんなものでもって抑制をいたしておりますから、おおむね、私はあの石油問題が起こった直後のような波動が現在の物価の中になくなってきつつあるということは、これは認められると思います。それと問題は、いずれにしてもその波動は少なくなったけれども、去年の物価にまで落ち込んでおらないものもあるじゃないかということは、これは私も理解できます。それはしかし、内容をよく精査しまして、それで去年の十月、十一月ごろの物価というものが正しいものであると、その中で十分利潤が得られるものであるとするならば、そこまで引き下げるようにこれからも努力を続けていかなきゃならぬと思います。まあ去年の十月、十一月の中でもって、ある品物においては非常に安いものであったが、これはその後電力料金と同じように、石油を主材料としてやっているものとか、いろいろなこれからの、労賃もうんと上がりますし、そういうような、何人でも容認できるような理由があって、そしてまあ去年の十一月の物価よりもこの品物は一〇%上がることはやむを得ないというようなことであれば、私は去年の十一月の物価プラス一〇%の品物が出ても、それは理由が明らかになれば、去年の十一月の物価水準まで引き下げられたと、安定をしたと言い得ると思うんです。ですから、個々の品物が、まあ五十円だったものが五十五円になったじゃないかということではなく、その理由が内容的に国民が理解できるものでなければいかぬ。その中に思惑とか先高というようなことや、在庫でもって供給不足の状態にしておきながら、自動的にその品物がつり上げられるような人為的な操作があるような物価をつくってはならないと、そういうことを意味しているわけでございますから、私と経済企画庁長官の述べていること——まあ経済企画庁長官は実際の衝に当たっておりますから、より私よりも現実的に述べているという面もあるでしょうが、よって立つ基盤、目標としておる理想というものは全く同一であると、こう考えていただきたい。
○羽生三七君 必ずしも了解しませんが、関連質問なので、やめておきます。
○加瀬完君 その羽生さんの御質問は、総理は昨年の十月以前に戻すとおっしゃった、経済企画庁の長官はこれからの高値の幅を押えていくんだと、これが同じだという御説明はどうしてもうなずけない。あなた総理と同じ考えだと言ったから。目標は同じかもしれぬけれども、言っていることはまるきり違う。戻すというのと、これからの値段をさらに上げ幅を少なくするというのではずいぶん違うじゃないですか。これが同じだというのはどういうわけですか。
○国務大臣(内田常雄君) まあ、私より総理のほうが偉いんだから、私が総理の発言を訂正するつもりはありませんが、私は物価を担当することを仕事の一部といたしまして、毎月の物価指数の前年に対する動きとか前月に対する動きというものを非常に慎重に常に持ち歩いているんです。いるんですが、昨年の秋のころというのは、たとえば消費者物価にいたしますと、対前月への値上がりというものは〇・四とか、これはたとえば十月は〇・四、十一月は一・〇でございました。また、卸売り物価のほうでも対前月への上昇というものは二%程度でございました。しかるに、昨年の十二月は卸売り物価は七・一%前月に対して上がり、一月になっても五・五%上がり、二月になってようやく落ちついたが、まだ三・六、しかし、それがだんだん落ちつきまして、最近では、旬をとりますとゼロになってきている。御承知のとおりゼロ、ゼロというようなことになってきているとおりであります。また、その当時の、昨年秋ころの卸売り物価、消費者物価というものの対前年の同期比を見ましても十数%ということでございました。でございますが、最近では御承知のようにこれが三〇%台になったり二〇%台でありますが、それは異常であるから、少なくとも昨年の秋、あるいは私はむしろ昨年の前半ぐらいの上昇の度合いに戻すということが、これは物価政策としても経済政策としても正しい行き方で、ほんとうにこれを去年以前の状態に物価を下げてしまえば、それは恐慌、倒産というものを起こしたり、また、日本の経済のあり方というものが国際的に非常に乖離して、それこそは為替レートを二百八十円とか、あるいはフロートではなしに、まあ為替レート二百三十円ぐらいにしないと、それは加瀬さんの御趣旨のようなことにはならぬことは加瀬さんよく御承知のとおりでありますから、これは政府を責めるに急かもしれませんが、私は私の申し上げていることが正しいと思います。
○加瀬完君 そんなことを言っていないですよ。十月にすぐ返せと、そんなことできるはずないでしょう。しかし、目標をどこに置くかということで、総理のおっしゃるように十月というのを一つりめどにおいて、そこへ物価を引きおろしていこうという方法と、現在の横ばいを認めて、横ばいの幅を低めていこうという考え方では違っているんですよ、これは。違いませんか。あなたのおっしゃることは天井を、横ばいというものを追認していくようなかっこうですよね。おっしゃるように便乗値上げというものは認めないという、しかし便乗値上げを追認していることじゃないですか。
○国務大臣(内田常雄君) 全体として申しますと私の述べたとおりでありますが、たびたび申しますように、個々の物資の価格につきましては天井を追認する必要はないと、引き下げてしかるべきものもあるし、またたいへん上がってしまうものも、これは石油を例にとると、あまりいい例ではございませんけれども、石油なり石油の親類みたいなものについてはそういうものも出てくる。しかし、個々の物資としては私は下げてしかるべきものもあると思います。全体の水準としては先ほど来申し述べているとおりで、いま為替レート二百三十円といったようなところで日本の物価を国際物価の中において持っていくということは非常な私は問題があるということを申し述べたところで、まあ加瀬さん十分おわかりいただいていると私思います。
○加瀬完君 遺憾ながらわかりませんね。押えるものもあるという、じゃ何を基準に押えるのか、その基準をさっきから伺っている、何を基準に押えるのか。——そんなもの大臣答えなさいよ。
○国務大臣(内田常雄君) たびたび申し上げているとおりで、昨年上半期の物価を基準と、それより二割増しであるとか、あるいは近代化、合理化が行なわれたから二割引きであるとかということを私は基準としないわけでございまして、その物価の、数字的には適正なるコストに適正なる利潤、マージンというものを加えながら、これも先ほど来申しましたように、その物資の需給関係、その他国民経済の全体との調和を考えて適正というものが出てくるだろうと、こういうふうに私は思うんです。
○加瀬完君 その適正生産費なり適正利潤なりというものをはっきりと掌握しておりますか。
○国務大臣(内田常雄君) 通産大臣からお述べになっておりますように、わが国は、統制経済といいますか、管理経済というものを全面的にとっておりませんので、今回問題になりかかっておりますところの公共料金でありますとか、あるいは先般の、これは公共価格ではございませんけれども、異常な値上げを招来しつつあった原油の精製コストというものにつきましては、これはそれぞれ担当大臣が法律により、あるいはまた強力な行政措置として価格形成の過程を掌握をいたしておるわけであります。自余の物資につきましてはそういうことではない、価格というものは市場のメカニズムを通じたり、あるいは購買者の立場や、あるいは社会的合理性というようなものを通じて形成されていくわけだと、いまのわが国の経済社会構造におきましてはと、こういうふうに私は考えます。
○加瀬完君 いまの経済企画庁のやり方は、つくられて出てきた値段を押えるということにすぎないでしょう。 そこで通産省に伺いますが、原価掌握というものをはっきりとしない、この点を非常に渋っている理由は何ですか。それからもう一点、産業連関表を使用するということでありましたが、このごろ考え方が違ってきているみたいです。もう一回御答弁をいただきます。
○国務大臣(中曽根康弘君) 減価償却とか生産費とかというようなものは、原価を明らかにする、原価計算をやって行なうという統制経済につながる考え方で、その基本をなすものであります。われわれは統制経済をやろうという考えはないと前から申し上げているとおりでございまして、やはり市場機能とか価格のメカニズムというものを善用しながら流通を豊富にしていこうと、そういう考えに立っております。したがいまして、原価計算につながる減価償却費というようなものは、公益事業やその他については厳格にこれはやっておりますけれども、一般のものについて、いわゆる原価計算主義に基づく減価償却というような考えは持っておらないわけであります。
○加瀬完君 適正価格が出ないでしょう。何を押えて適正価格を出すんですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 大体標準価格という思想を持ちましたときには、物価動乱、石油危機による動乱が起こる前の、比較的ある程度の時期、安定していたときのスタンダードを基準にして、そしてその程度で抑制するという思想があったわけです。ですから、灯油にいたしましても、九月の平均仕切り価格、たしかあのころは一万九千八百何円であったと思います。そういうような、その九月の平均仕切り価格というものを一つのメルクマールにして抑制していくと、そういう考えで、じゃ九月の一万九千何ぼというものが正確な原価計算に基づいた価格であるかといえば、必ずしもそういうものではないと。
○小野明君 関連。 通産大臣、いま加瀬委員の第二点目の質問にお答えになっていないわけですね。というのは、産業連関表の否定、そういう傾向があるがどうだと、こういう質問であります。これは先般物価集中審議の際に、タイヤの価格が過去三ないし四回上げられておる、この原価を、あるいは適正な価格を推測をする一つの方法として、産業連関表に基づく石油の価格アップに伴う各物資への影響の度合い、これを通産省が出しておられるわけであります。で、私どもは、この産業連結分析に伴うこの試算というものをきわめて重要視をしておるわけであります。ところが、先般先取り値上げ、便乗値上げではないかという追及を行なうのに、私はこの産業連関表に基づく試算を質問をした。ところが、政府委員ですね、これは基礎産業局長がこういう答弁をしておるんです。「個々の製品につきまして、あの数字でないといかぬというところまではなかなか言い切れない特殊な事情もあるかと思います。」と。これは、通産省が出しておるあの試算表を全面的にみずから否定をしておる。そして先取り、便乗値上げと、こういうものを企業代表に対して堂々と認めた、こういう結果になっておるわけであります。ですから、そんないいかげんなものなら、そういういいかげんな試算を出すのなら出さぬほうがよろしいと私は意見を申し上げておきました。このことは、私は、結局産業連結分析というものを全面的に否定をしておる、こうとらざるを得ないと思うんです。それに基づいて適正な価格の推計、推測なんというものはでき得ないと思うんです。これについての御見解を承りたい。これが第一点。 それから第二点は、先ほどこれ、上田委員が質問をいたしまして、的確な御答弁がなかった電力各社の配当の問題であります。通産大臣は、大体金融情勢から見て、増資をする際にも一割ぐらいの配当と、こういうふうに御答弁になったと思います。ところが、資源エネルギー庁がこの三月に出した供給規程料金算定要領、これによりますと、報酬率は年百分の八とする、きわめて明確に書いてございます。こういう行政指導がなされておるものですから、電力各社は大体八分配当だと、これを承知をしておる。さっき上田委員も八分ですねと、こういうふうに言ったのはここに根拠があるわけであります。電力各社が八分で了承しておるものを、大臣がここで一割だと、こういうふうに御見解を述べられる。何としてもこれは私は納得のいかぬ点であります。この二点についてお答えをいただきたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) まず後者から申し上げますと、この八分というのは、電気料金算定の基準要領の中で、電気会社が持っておるいろいろ生産要素に対する報酬率を八分として、八分見当として計算をして、そして諸経費を見なさいと。というのは、報酬率というものを一割にしてはいかぬと、八分程度を限度にして計算をしなさいという意味で、経費を圧縮するための基準として八分ということにしておるので、それは配当とは関係のないことなんです。それによって貸借対照表がどう出てくるか、生産費、コストがどう出てくるか。それで電力会社がある程度の適正利潤が出てきた場合に、それを、じゃ、ぺースアップにどの程度向けるか、どの程度配当に向けるか、どの程度内部留保に向けるか。その原資を生み出すための基礎基準として、その生産各要素に対する報酬のパリティを八尾程度と見込んで、厳に圧縮しなさいと、そういう基準として使っておるという意味です。でありまするから、配当の外部に出てきた利益をどうまいていくか、配当にするか、ベースアップにするか、内部留保にするかという問題とは別の基準のことをそれは意味しておるのであります。それで、いままで電力会社の配当というものは大体一割程度で、資産株として安定性を持っておりましたし、電力債は九分見当で公社債市場で流通してきたわけで、大体やっぱりそういう水準を守らしていくことが経済を再び安定さしていく基準として、また、公害防止や電力開発のためにも必要な基準として私たちは一応考えてきておる。今回査定をしてみないと結果はわかりません。また何割配当をするというようなことを私がここで申し上げる立場にはございませんから、それは申し上げません。が、しかし、大体いまのような経済運営をしていく一つのメルクマールとしてそういうことを頭に置いて査定もする、そういう意味でございます。 次に、連関表の問題は、これは昭和四十五年の産業構造を基準にしてやりましたもので、これは一つの資料としては用いられるものです。しかし、あの中には産業のロードファクターであるとか、あるいは賃金の問題であるとか、非常に不確定な要素がございます。そのほか、外国の物資の値上がり状況が、国内に入ってきた場合に、それがどういうふうに影響を及ぼすか、技術革新がどういうふうに影響を及ぼしてくるか、そういうようなものは計数には出てこない要素もございます。しかし、一つの基準としては、これはある意味においては純粋経済的に、数量的に見当をつけられる資料ではありますから、一つの基準としてはセメントを値上げするなとか、鉄鋼をこれ以上上げないようにとか、そういうような行政指導をするとぎに使う材料ではございます。しかし、それに対して、そのほかのいろんなファクターを入れなければ現実の価格を妥当に判定する資料にはならないのであります。そういう意味で、これは通産省が内部に持っていて、価格を押えるときの材料として、一つの基準として用いよう、そういう考えに立っておるわけであります。
○小野明君 関連ですから簡単にやりますが、しかし大臣、その報酬率を八%というめどを資源エネルギー庁から出している以上、これは配当もその範囲内に押えられると、こういうふうに考えるのが常識じゃないでしょうか。ですから、大臣が、その上に政治的な加算で、配当は一割だと、二分のせたと。こうとしかわれわれは受けとめ得ないんです。 第二点の問題は、確かに一つのメルクマール、産業連結分析というのはメルクマールであることはわかる。しかしそれを、この答弁は、個々の製品につきましてあの数字でないといかないというところまではなかなか言い切れない、こういうふうに答弁をされておるわけです。そうなりますと、一つの基準じゃない。あの試算表は個々の物資にわたって石油の影響が書かれておるわけですよ。そうなりますと、これは一つの基準どころじゃない。全面的にこれは価値がないものだと、企業の便乗値上げを全部認めると、価格推計なんかはでき得ない、これはもうちりあくたのようなものだということを言ったにすぎない。それを証明していると、こうとしか私は思えないわけであります。再度御答弁をいただきます。
○国務大臣(中曽根康弘君) 産業連関表の基準に用いられているいろんなファクターが昭和四十五年の産業構造を基準にしておりますから、その後非常に大きな変化を実は日本経済はやったわけです、産業構造の上におきましても。それから技術の革新度というのも非常に強い大きなファクターがそこへ入ってきているわけです。それからそのほかに、たとえば労賃、あるいは稼働率、そういう問題についてもある設定をもって、仮説をもってやっているわけです。労賃なんかは、たしかかなり低い率になっております。稼働率あたりも必ずしも現在のものと合っているわけではございません。そういうようないろんな新しい函数が入ってきて、それをもって個々の物資については見当をつけなければ、非常に現実とそごするものになるわけです。そういう意味で、しかし通産省としては、そういう純粋経済的に理論値を計算してみて、企業側が便乗値上げを防ぐための一つの武器としては、産業連関表によればこの程度であって、そのほかにこれこれのファクターを入れてもこれとこれではないかと、そういう意味の一つの武器として使おうという意味で、内部的に参考資料として使っておるのでありまして、ですから、産業連関表のとおりにやらないということ、私は正しいやり方であろうと思うのです。そのとおりにやってしまったら現実と非常に違った結果が出てまいります。しかし、一つのそういう査定と申しますか、審査をするときの要素、武器として使う、そういう意味で御理解願いたいと思うのであります。
○加瀬完君 その企業に対する行政指導について、統制経済ということを国民が非常にきらうというのを、それを隠れみのにして行政指導をするということ、総理もたびたび言明しているにもかかわらず、通産省は企業の野放しをそのまま認めている。これは私は許されないと思う。こういう点で、政府の各省庁間の連絡というのは非常に私は欠点が多いと思う。私どもが保税倉庫を視察をいたしました。倉はしけに大豆を山積みしている。なぜ出さないかというと、貨車がないと言う。冷凍倉庫の中に肉や魚がたくさんある。どうしたのだというと、農林省に連絡をしても農林省は何にも方法を講じませんと、こう言う。一体これはどうしたことですか。
○国務大臣(倉石忠雄君) お話のございました私どものほうの物資に関係のあります問題でありますが、ごらんなさったそうでございますから御存じと思いますが、いろいろ保税倉庫を調べてみました。第一に肉でございます。これは畜産振興事業団に調べさせましたが、港湾倉庫に約九万トン程度の肉類の在庫がございますが、昨年八月をピークといたしまして逐次減少いたしておる。で、この牛肉がいまございますのは、先般来ここでもしばしばお話し合いが出ましたように、下期九万トンの輸入ワクを持って輸入を許しておったのでありますが、たいへん牛肉が低下してきたということ、そこで日本の畜産家の人々が、こういうふうなばく大な輸入肉を見せられたのでは、えさは高いし、畜産をやる勇気がないということで、非常に全国的に問題が多くなりましたので、私どもといたしましては、四万トンを入れることを禁止いたしまして、そのほか、いま持っておりますものも市場に出さないようにいたして、ようやくバランスをとっておったというのが最近までの実情でございます。そういう事情でございますが、なお、現在港湾冷蔵庫に蔵置されております牛肉の搬出を促進した場合には、いま申し上げましたようなことができますので、そういう点について牛肉は押えておりました。 あとは豚と、それからオーストラリアの羊肉がございますが、これは御承知のように、加工原料として貯蔵されておるものでありまして、一般のマーケットには直接関係はございませんで、これは冷凍保存をいたしておきまして、逐次工場のほうに搬出をしてまいるということでございまして、お話がございましたので、四十八年一月からことしの二月までの毎月のバランスを調べてみました。四十八年一月合計六万六千トン、ただいま八万八千トンということでありまして、私どもの把握いたしております肉類、それから魚につきましても平常の状態でございますが、ただ、お話がございましたようなことを保税倉庫について調べてみました。やっぱり、この前どなたかここで御指摘になりましたように、倉庫に入ったまま持ち主が転換していくというふうなことがありまして、そういうことにつきましてはいろいろな事情があるでありましょうが、私どもといたしましては、一度にどっと冷凍品がマーケットに出てくることによって価格の大きな変動等があります場合には、そういうことを警戒いたしておりますが、最近の状況では、保税倉庫にありますものをなるべく早く放出をして価格の安定をはかるように、それぞれ指導をいたしておる次第でございます。
○加瀬完君 そういう行政指導を私は非難をいたしません。しかし、半年も、通知をされても在庫関係がどうなっているかということも見ないで指導ができますか。いまの肉がどうこうといっていることでない。通知をして半年も農林省は保税倉庫関係に対しての在庫がどうだという調べもなければ、そのものをためておけということや、あるいは出せという、そういう行政指導も何にもない、こんな連絡の不十分が許されていいかということですよ。
○国務大臣(倉石忠雄君) いまあとのほうで申し上げましたように、牛肉につきましては、先ほど申し上げましたああいう状態でありますので、なおかつ畜産振興事業……
○加瀬完君 それはわかりますが、半年も見に行かないでしょう。
○国務大臣(倉石忠雄君) いや、そんなことありません。そこで、その次申し上げました羊肉、豚肉、こういうものにつきましては、加工品の原料でございますので、これは工場に出てまいります間、貯蔵いたしておくものであります。その他、魚等についても、先般この国会でもお話がございましたので、私どものほうとしては、それぞれに手配をいたして調べてみましたが、特段にいわゆる買い占め売り惜しみというふうな性質のものが見当たらないということでありましたが、なるべく早くやっぱり市場の安定のために円滑に出してもらえるようにという指導はいたしておるという、こういう次第でございます。
○加瀬完君 東京保税倉庫だけでなくて、貯蔵倉庫の中に一番ストックされておりますのは、農林省関係です。ひとつ厳重にこれは……。保税倉庫側の、税関のほうでは、農林省は怠慢だとは言わないけれども、連絡をしても何の反応もないと、こう言っているわけですから、御注意をいただきたい。 そこで、物資安定というととであるならば、生活必需物資の供給確保対策というものは、これはいろいろなものを値下げする上に非常に必要だと思う。この計画は十分に立てられておりますか、経済企画庁。
○国務大臣(内田常雄君) これはまあ、食糧関係、農林物資のみならず、国民生活必需品につきましては、これを供給することが今日の政治の大きな課題であると私は考えますので、そのことについてはいつも私どもは配慮をいたしておるところでございます。
○加瀬完君 具体的な対策、どう立てているかを聞きたいのですよ。生活必需物資の供給対策をどう立てておられるか、具体的なことを伺いたいのです。立てておりますだけじゃわからない。
○政府委員(小島英敏君) 個々の物資につきましては、所管省のほうからお聞きいただきたいと思いますけれども、一般的に申し上げますと、やはり生活必需物資の中心は食糧でございますから、米については御承知のような形で、むしろたっぷりした需給計画を組むということが最近の基本的な考えになっております。その他のものにつきましても、農林省はもちろん総合農政ということで、特に畜産、果樹、野菜、これに非常に最近力を入れつつあることは事実でございまして、特にやはりこの輸入という問題がございまして、私どもやはりなかなか野菜などは輸入もむずかしい面もございますけれども、輸入のきくものは極力輸入によって供給を確保するということを一つの重点にいたしております。 それから通産物資に関しましては、やはり最近の石油の供給等におきましても、生活必需物資については絶対に供給不足にならないように万全の措置をとるということで、供給確保に全力をあげている次第でございます。
○加瀬完君 通産大臣、この点はどうですか、生活必需物資、あなた方のほうの管轄の中のもので対策が立てられておりますか。
○政府委員(森口八郎君) 主要生活物資については、私のほうで需給を洗いまして、問題がありますときには直ちに対策を講じられるように準備をいたしておるところであります。
○加瀬完君 問題がありますときにはといって、いま問題がないという御認定ですか。
○政府委員(森口八郎君) 現在の段階では、生活必需物資については特に問題はないというように承知いたしております。
○加瀬完君 高値安定のようなかっこうになってしまっておっても問題がないと言えますか。
○政府委員(森口八郎君) 先ほど御指摘がございました生活関連物資の値上げ抑制策でございますが、私どもが値上げ抑制策を講じましたのは、石油価格の大幅引き上げが契機となりまして生活関連物資に便乗値上げが起こるという点を阻止するということが唯一のねらいであったわけでございます。したがいまして、先ほど大臣が御答弁いたしましたように、価格凍結ではございませんので、値上げ抑制を行なっておるという趣旨でございます。したがいまして、生活関連物資等は需給によりまして価格の下がるものも当然あるわけでございますので、そういうような状態が起こりますれば、関連業者に価格引き下げを指導してまいるということは当然であろうかというように考えております。
○加瀬完君 品物が、供給がふえなきゃ値下げになる可能性というのはないですよ。高値であなた方のほうは安定させたわけです。総理のおっしゃるように、去年の適当な時期のほうに値下げをだんだん導いていこうという考慮でやったことはないのか、これから野放しに上がるものを、この辺で上げ幅を押えようというだけにすぎないじゃないですか。だから、総理のおっしゃるような方向に物資を動かそうとするならば、供給そのものを考えなきゃならない。その供給対策が何にもない。それでバランスがとれていきますか。
○国務大臣(内田常雄君) 戦前、戦後のようないわゆる物動計画的なものは、これは経済企画庁でも、あるいは各省でもやっておりませんけれども、私どもが現実にやっておることがございます。それを申し上げますと、加瀬さんがお考えになられるような国民生活に必要な物資、その中には、例の売り惜しみ買い占め防止法等の対象になっているものも幾つかございますが、そういう幾つかの物資をあげまして、実はこのごろは少し予算ももらいまして、全国の各都道府県の物資担当部局との間に、あれ、ファクシミリというんでございましょうか、さっと印刷になって出てくる、あれの設備を経済企画庁と各都道府県との間に設けまして、そしてこちらが指定している心配のありそうな物資につきましてのその需給の動向、それからまた価格の動きなどにつきまして、ちょうど交通信号のような赤まる、青まる、黄まるというような、そういうものの連絡を毎月一日と十五日に交換をいたすことにいたしております。それを見ますると、非常に物資の需給がうまくいっていないで買い急ぎが行なわれているもの、あるいは行なわれそうなおそれのあるもの、あるいは価格につきまして警戒を要するような動きのあるものが、いま申しましたような指標で出てきておりますので、それらの結果を通産省、農林省にも連絡をいたすことにいたしております。しかし、いま通産省の物資担当官が申されましたように、最近では、その需給並びに価格関係とも、おおむね落ちついておる状況を見ております。しかし、これらにつきましては、これ、もうそれで十分だとは考えませんので、始終、経済や景気やいろんな物資の関係もございますので、必要に応じてさらに物資の範囲を広げたり縮めたりして、遺憾なきを期すようにいたしてまいりたいと私は思います。
○加瀬完君 まあ結論を言うと、総理のおっしゃる十月以前に物価を戻すということは、これは取り消すと、こう了解してよろしゅうございますね。
○国務大臣(内田常雄君) 先般来私が申し述べておりましたとおりで御理解いただきたいと思います。
○加瀬完君 もう一度念を押しますが、特に通産省に伺いますが、大蔵大臣のおっしゃるように、投機的な期待インフレというものも一番のインフレの原因だと思うのですよ。そこで、もう期待感は持てないと、こういう企業に対して、き然たる政策というものが出されなければ、これインフレはとまりませんよ。しかし、伺っていると、企業過保護とも思われるようなお話ばかりでどうも政府の企業に対してインフレをとめるという、き然たる態度を感ぜられない。この点はどうですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) これは、政府は一体となりましていまの物価の抑制をやっておるのでありまして、通産省は通産省の分野を受け持って、石油の価格の問題につきましても、外国から比べてみて、時期もおそいし、値上げ幅も非常に低く押えつけておる。これがために石油会社は相当な欠損がいま出てきておる。電力につきましても、三月決算は先ほど申し上げたように軒並み減配という情勢にもなっておる。そういう基本的なものを押えつつ、それの上部構造に当たる各物資につきましても、いま全面的に抑制をしておりまして、いろいろ各企業からは上げたいという要請や何かが部分的にはございますけれども、それも厳として、はねつけて協力を求めておるわけでございます。こういう態度はあくまで私たちは一貫して堅持してまいるつもりであります。
○加瀬完君 第二の問題で、総需要の抑制について伺います。 総需要抑制といいますが、何と何を抑制しようということですか。
○国務大臣(内田常雄君) それは手段から申し上げれば御理解いただけると思いますが、まず財政需要、それから金融による購買力を大きな二本柱といたしております。 財政によりまして押えられますものは、公共事業の遂行が第一でございます。これは政府による公共事業の遂行が第一でありまして、これら極力契約率をあとに回すとかいうようなことをやっておりますことも十分御承知のとおりであります。金融におきましては、設備投資もございまするし、これも押え得る、押えたほうがよろしい設備投資は押えると同時に、また、その対象となりますものにつきましても、公害関係等を別にいたしますと、極力従来の計画をもカットして次に回してもらうというようなことをやっております。また、個人の消費需要を押えます一助といたしまして、御承知のように割賦金融なども押えておること、申すまでもありません。また、銀行の窓口規制等々をやっておるわけでございます。要するに、国民総生産の配分項目のうち、ことに財政消費、それから企業の設備投資、それから三番目には個人の消費支出というようなものも、これはまあ間接方法でございますが、国民の消費態度を最近の情勢に応じて改めていただくとか、あるいはこれ、十分の施策でないといっておしかりを受けますけれども、貯蓄などにつきましてもできる限りこれの努力を国民にも協力をしていただくというようなことが、私は総需要の抑制のおもなるところであると考え、そのようにやってもらっております。
○加瀬完君 公共投資ですが、これは前にも触れましたけれども、四十八年の事業の繰り延べを四十九年度に回すと、結局合算すると抑制にはならないのじゃないですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 公共事業の繰り延べを、これを四十九年度の予算実行に上のせをすると、こういうことになりますと、大体予算自体としては前年度並みでございまするけれども、それを上のせした場合におきましては八%ぐらいふえるのじゃないかと思います。昨年の夏の閣議決定だけでありますと、これは大体五%ぐらいの上のせになる。ところが、その後もずっと繰り延べを強化いたしております。その結果、大体八%ぐらいになるのじゃないかと、こういうふうに思います。しかし、これはもう例年のことでありますが、四十九年度の、その四十八年度からの繰り延べ、繰り越しを上のせしましたそのいわゆる予算現額というものですね、その中でもかなりの額が、これは自然と、どうしたって昭和五十年度に繰り延べ、繰り越しになる。そういうような事情もありますので、差し引きいたしますとどのくらいのことになりますか、そう予算の組んだ精神を乱るようなことはありませんし、また、まあそれとは別の問題でございまするけれども、昭和四十九年度の予算の実行につきましては、第一四半期、第二四半期、第三四半期、第四四半期と区分いたしまして、景気の情勢ともにらみ合わせまして、まあ先の、初めに来る第一四半期、これにつきましては、かなりの抑制的な実施をいたしたいと、こういうふうに考えております。
○加瀬完君 四十九年度予算も若干後半は抑制しなければならないということになりますと、これは不完全予算ですよね。抑制というものを見越して予算を立てるということは、完全なものとは言えないと思うんです。しかし、これは議論になりますから質問を進めまして、民間設備投資の抑制策は、どういう方法がとられておるんですか。
○国務大臣(福田赳夫君) いまの御理解いただけないというお話でございますが、昭和四十九年度の予算ですね、これは、私が申し上げましたのは四十九年度の中における調整をやるということなんです。いまから昭和五十年度にその繰り越しを予定していると、こういうことじゃないんです。まあ例年、こういう異常事態でない年でもやっておりますが、たとえば下半期において実行する額を大き目に見る、上半期のほうは抑制ぎみに見る、御審議願っている予算案自体を変更する、こういうことではございませんから、そのように御理解願います。 それから民間のほうにつきましては、金融政策でやっておるわけであります。そして、まあこれは特に産業官庁であるところの通産省、その他の各省とも連絡をいたしまして、新規設備投資はいたしません。まあ例外のものは、これはもちろんありますけれども、いたしませんということを原則とする。また、既定の諸計画につきましても、繰り延べできるものは繰り延べするというようになるように金融政策のほうを運用すると、そういう方針で、これはかなりの実績をあげていると、かように見られております。
○加瀬完君 日本輸出入銀行の十大商社に対する貸し付け残高、ここでも問題になりましたが、もう一回御確認をいただきます。
○政府委員(吉田太郎一君) 有価証券報告書によりますと、十大商社に対する貸し付け残高では六千百三十四億円でございます。
○加瀬完君 四十八年の財源合計は七千三百億、これに対して六千百三十四億、こういう貸し付け残高ということになりますね。
○政府委員(吉田太郎一君) ちょっと最初の御質問の趣旨をよくとれませんでしたが、どういうこ とでございましょうか。
○加瀬完君 四十八年の輸出入銀行の財源合計は幾らですか。
○政府委員(吉田太郎一君) 約七千三百億でござ いますが、これは本年に貸し付ける予定のものでございます。 それから、先ほど申しました六千百三十四億円は貸し付け残高でございまして、過去のものも含まれておるわけでございます。
○加瀬完君 ですから、本年度予定額の相当のパーセントを占める昨年の、四十八年の貸し付け残高というものがあるわけですね。この貸し出しが適正であるという理由は何ですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 輸出入銀行の貸し付けは、輸出関連資金、特にいろいろなプロジェクト等に対する延べ払い貸し付けとか、そういうものでありまして、一般の金融機関におきましては対外競争上どうもそういう有利な条件では貸し付けにくい、一般金融機関から貸し出しを受けることは妥当でない、そういう性格のものでありまして、これは厳重に銀行において精査し、なお問題のあるものは大蔵省にも、あるいは通産省等の官庁に対しましても相談をいたしまして、適正を期しておる次第でございます。
○加瀬完君 金融の引き締めも一つの総需要抑制の項目として取り上げられたと。そこで、四十八年度の少なくも下期は、これはもう金融引き締めをしなければならないし、インフレ対策をしなければならないという期間ですね。その期間においても十大商社にはこういうばく大な貸し付けをしておる。これが全然設備投資のほうに影響がないと言い切れますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 輸出入銀行は輸出のための金融的利便を供する、そういうことでありますが、それによってわが国の輸出は大いに助成されるわけであります。輸出が助成されるというようなことになりますると、これは輸出する商品を製造する、そういうようなことで国内の産業の動きに相当大きな関係がある、そういうことであります。ですから、これはこういう問題ですね。先ほど企画庁長官が総需要を押えると、こういう話をした。そこで、総需要とは中央、地方の財政がある、また民間の設備需要がある、それから一般国民の消費がある。で、話がそこまでいって抜けておりましたが、輸出需要というものがあるわけなんです。で、総需要と言えば、いま中央、地方の財政を押えている、また国内の設備投資を押えておると、こういうことになっておるわけでありますが、輸出需要につきましては、これはなかなか押えにくいです。これはいまお話もあり、私がお答えしたとおり、輸出が盛んになれば、それは国内の産業を活発にする影響があるのですが、この輸出を押えたら一体どうなるのだというと、物価問題よりはもっと深刻な国際収支の問題、そういう問題に触れてくるわけであります。でありまするから、この輸出につきましては、その及ぼす影響につきまして、これは慎重な配慮はしなければなりませんけれども、一輸出自体はこれをさらに活発にして国際収支のほうの安全を期さなければならない、こういう考え方をとっております。
○加瀬完君 十大商社は、何度もここで指摘をされたように、ばく大なもうけをしているわけですね。自己財産が相当あるわけだ。自分の財源を使ったって十二分に輸出活動ができるわけです。ですから、輸出財源というものをこういう形で例年のとおり与えてまいりますと、自己財源が余る。その自己財源が土地の投資とか、あるいは在庫品の投機的傾向で、これを保存しておくとか、いわゆる買いだめなり売り惜しみなり、こういう形に変形していかないという保証はどこにもない、こう思いますが、いかがですか。
○国務大臣(福田赳夫君) まさに、御指摘の事態は昨年の暮れまでの間あったわけなんです。ことに輸出が非常に活発である。そこで外貨が積み増しにだんだんとなっていくというときにはドルが流入をする。ドルのかわり金は何になっておるかというと円になっておるわけですから、その円資金の多くを商社が持つ、そういうようなことで、過剰資金をあの国際収支の異常なドル流入期においては持ったわけでありますが、今日は形勢がもう逆になってきちゃって、国際収支はたいへんな赤字が憂慮されるような事態でありまするから、これはそういう関係では全く逆の現象でありまして、ドルの関係からの商社の手持ちは非常に窮屈になってきておる。そこへ上のせをいたしまして、日本銀行が中心となりまして商社金融というものを詰めておるというのですから、いま実態とすると商社は非常な金詰まりになってきておるわけです。その影響がいま中小企業の金詰まりというようなことで騒がれておりますけれども、いまお尋ねの点は過去においては確かにそういうことがあった。しかし、今日におきましてはもうそういうことは解消され、非常に商社としては商社活動に不便を感ずるほどの窮屈な状態になってきておる、こういう状態でございます。
○加瀬完君 本委員会で、不適正な商社に対しては融資等をとめるという御発言があった。この十大商社には限りませんが、まあ代表する十大商社は不適正な、融資をとめるようなそういう対象になる商社は全然ない、例年どおりやはり輸出財源は政府で与えていく、こういうことになるのですか。
○国務大臣(福田赳夫君) この問題は、先般の一般質問の際、小野さんからたいへん詳細にお尋ねがあったわけであります。その際お答えをいたしたのですが、そのお答えをいたした際に、反社会的行動をとった企業に対して政府関係金融機関が融資を行なうというのは妥当じゃない、そういうような見地から一つのルールをつくろう、こういうふうに考えておる、そのルールはまあ来週中にはつくると、つまり先週であります。先週中にはつくるというふうにお答えしたんですが、これは考えてみると非常にむずかし問題があるのです。何となれば、制裁というのはみんな法律できまっておる。関税法に違反すれば関税法違反というとがを受けるわけであります。税法に違反すれば脱税のとがを受けるわけです。まあいろんな法規がある。これはもちろん憲法の精神に従いまして罪刑法定主義というたてまえをとる以上当然のことでありますが、その罪刑法定主義の例外といたしまして行政的手段によって何がしかの制裁手段を考えるというのですから、これは非常に慎重に扱わなければならぬというので、大蔵省では一つの案をつくりまして関係各省に示しておるんですが、関係各省との間でまだ調整がつかない、そういう段階で推移しているわけです。すみやかにきめたい、こういうふうに考えております。そこで、まだそういうルールがきまらぬものですから、十大商社の中でどれが該当するのだというふうな判定はまだいたしかねる段階でございますが、疑わしきものにつきましては融資をただいま留保いたしておるわけであります。
○加瀬完君 これは問題が少し違いますけれども、公共投資を削減をするというならば、従来の道路計画というものに対して変更を加えなければ、これは国、地方とも、完全な公共投資の削減にはならないと思う。自動車関係もいろいろ問題になっているとき、石油関係も問題になっているときに、従来のような道路投資計画というものを政府はこれからも続けてまいりますか、あるいは修正を加えますか。
○国務大臣(亀岡高夫君) 現行道路五カ年計画につきましては、加瀬先生御承知のとおり、経済社会発展計画に基づいてできておるものでございます。したがいましで、基本的には、現在時点におきましてはこれを改定する意思は持っておりません。ただ、国全般として経済社会発展計画の見直しという事態が起きてくれば、これに伴ってやっていきたい。ただ、計画実行の面において、実施の面において弾力的に運営をしてまいりますことによって、この物価上昇を食いとめる総需要抑制という目的を果たすことができるということで、四十八年度におきましては、まあ現時点において約一〇%の事業の繰り延べをいたして総需要抑制の目的完遂に協力をしておる、こういう事態でございまして、基本計画を変えなくとも総需要抑制の目的は十分達成できるものと、また、そこで残りました、おくれました分については、経済情勢が鎮静して平常化いたしましてから積極的に展開することも可能であると、こういう考え方をいたしておるわけであります。
○加瀬完君 これは総理に伺いますが、交通対策上、鉄道と道路というものをどのようにこれから連関させてまいりますか、あるいはウエートの置き方をどっちを主にしてまいられますか。
○国務大臣(田中角榮君) 道路は、現在五カ年間十九兆五千億の計画をやってるわけでございますが、この計画をやればこれで終わるというのじゃございません。これは五ヵ年間でございまして、この十九兆五千億があとまだ二十兆、三十兆と、こう日本の経済、日本の国民生活の状態、社会情勢というものは変わってきますから、そういう問題で道路というものは必要であるということは事実でございます。それで十九兆五千億が五カ年間でやれるかどうかという問題は、これは中には補助工事や有料道路、また単独新規事業とかいうようなものに分かれております。ですから、そういうものの調整や年度間の調整というものが行なわれる。ですから、ことしは普通ならば対前年度二〇%以上も伸びなきゃならぬものが前年度並みだということで、そのとぎの社会情勢、財政事情、物価問題等から年度予算で調整をしていくということでありまして、いま建設大臣が述べたとおりでございます。鉄道は一体どうかというと、まあ道路に比べでみますと、鉄道は明治から大正、昭和にかけては年間千キロということの建設をやったわけでございまして、いみじくも述べると、明治、大正、昭和の経済成長の指数は日本の鉄道建設の指数にちゃんと合ってると、こういわれておるわけです。昭和二十九年から三十九年までの一〇・四%というのは、新道路法、有料道路、ガソリン税を目的税にしたわけでございますが、道路整備費の増大に大体合っておると、こういうことでございます。 それで、三十五年から四十五年までというと全く明確にそうでございますが、四十五年度を展望すると、いまあなたが御指摘になっている問題にぶつかったわけです。道路だけではどうにもならないということで総合体系という第三の時代に入らなきゃいかぬということでございます。これは地形、地勢、気候上の制約、特に五〇%が雪の降るところでありますし、それから本州を縦断する山脈がある、八五%が山岳地帯である、山地であるというような情勢を考えると、鉄道が大量輸送機関であり、しかも最も低廉なものであるということだけはこれは事実でございます。これは道路は無料公開の原則に立っておりますし、もうかるところだけ、いわゆる応益負担にもなるところだけ有料道路制度をとっておるわけですから、これは計算しないから道路はつくれるわけです。それではいかぬというので、ガソリン税を目的税にしたり、トン税を財源にしたりして調整をしておるわけですが、鉄道は単一会計でもって計算しますから赤字が出るというのですが、国民の公共負担という面から考えると、鉄道と道路というのを比べますと、指数的に見ると二十対一ぐらいな計算もできるわけです。ですが、どうも国民的な感情からいいますと、鉄道企業の赤字の面だけを取り上げて、赤字鉄道はやめたほうがいいというような議論が多いものですから——鉄道というものは明治、大正、昭和の初年までは非常にうまくいったのですが、その後、戦後、鉄道建設というのが非常におくれたということは事実であります。ですから、まあこれからの状態を考えると、近距離は道路で、中距離は鉄道で、長距離は海運で——そのシェアは、貨物でもってやりますと海運が五〇%、鉄道はどうしても貨物において二五%をやらなきゃいかぬ、そうして残りの二五%を道路でやるというのが大体常識的に考えられることでございます。ですから、そうすると鉄道はどうなるのかといいますと、鉄道は六十年までを展望しますと、新幹線九千キロ、それで在来線のうちの二万キロ程度を複線電化にして近距離通勤と貨物輸送にウェートを移さないと道路はパンクしてしまう、こういうことが数字的には明らかになっているわけですが、これからの経済成長のこともありますので、鉄道に相当のウエートをかけなければ物価問題なにかも解決しないということも言い得るわけでございます。
○加瀬完君 鉄道関係はあとでまた質問をさしていただきます。 三番目に、賃金問題で伺いますが、今日の物価高騰で国民生活は低下したということはお認めになりますか。
○国務大臣(内田常雄君) 過去十年ぐらいをとってみますると、たとえば賃金は、もう申すまでもなく、物価の上昇を上回っている数字があらわれております。ところが、加瀬さんがお尋ねになるのは、このごく最近の二、三カ月の間どうかと、こういうことに焦点があろうと思いますが、これは残念ながら、この一月、二月ぐらいは勤労者の稼働時間が少なくなったというようなことが一面において総収入を減らし、また他面においては物価の狂乱的上昇もあったということで、これは労働省がおつくりになる毎月勤労統計というもの、名目賃金を消費者物価指数で割ってみますると、むしろ実質的にはこの一月、二月はマイナス、ごく微弱ではありますがマイナスになるという数字があらわれていることも事実であります。しかしこれは、今度は単位当たりの所定内賃金というものだけをとってみますると、もちろんこれはマイナスになっておらない。要するに、時間外のかせぎや、まだ一部レイオフというようなものも影響をしてきている面も事実だろうと思います。しかし、全般を通じて見まするときには、わが国の国民生活、その国民の働く人の七〇%ないし七五%を占めているはずの給与所得者の賃金収入の増加率というものは、名目におきましても、実質におきましても、各国を非常に高く上回ってまいってきておったと、最近までは、ということも事実でございます。
○加瀬完君 労働大臣に伺いますが、いま問題のストライキをかまえておる労働者の家計はどのように御認識をしておりますか。
○国務大臣(長谷川峻君) お答えします。 ただいま経済企画庁長官からお話のあったように、一月が四%、二月が五・九%というのが実質賃金が下がっているわけです。そういうことからしますというと、ただいまの生活はやはりたいへんなことだと、こういうふうに感じております。
○加瀬完君 各紙に出ておりますが、「国民生活低下はっきり」、「収入・支出とも実質減」、「衣食軒並み目減り」、「実収入6%目減り」、こういう報道もありますが、大体においてこれはお認めになりますね。
○国務大臣(内田常雄君) 労働省から出てまいっておる数字を私のほうで消費者物価指数で割ったものでございますから、政府の公式統計でありますから間違いないわけであります。しかし、先ほども申しましたように、それは総収入でありますから、この一月などは休みが多かったり、また最近、先ほど来問題になっております総需要抑制で稼働時間が少ないというようなこともありますので、所定内の賃金というものはそのようになっておらないから、私はこれは一時的の現象であるようにつとめて回復させなければならないと考えております。
○加瀬完君 あなたの願望はわかりますけれども、この数字はお認めになりますね。 そこで、総理に伺いますが、この物価高騰は賃金アップにおもなる原因があると、こういう御認定ですか。
○国務大臣(田中角榮君) 賃金アップはそれほどのウエートを置いておりません。これはもう間々申し上げておりますように、賃金は実質的にいままでも主要工業国十カ年平均しましても最高に上がっておるわけでございますが、それでも世界最高じゃないわけです。アメリカのまだ二分の一ですし、西ドイツの三分の二、ようやくイタリーやフランス、イギリス並みになったと、こういうところでございますから、日本は世界で最高になることを望んでおるということでございまして、賃金が上がることを何も、これはもう国民福祉の最大の願望であるということで、賃金は上がることを私は望んでおりますが、それが直ちに消費に回って、そして自分の首を締めるような状態になっては望ましくないので、政府に御協力を願ってひとつ大いに物価を下げれば、目減りするどころじゃなく、自分の資産もふえ、豊かな生活が築かれるわけですから、これはひとつ貯蓄に回していただきたいと、こう言っておるのでございまして、いま物価が一番上がったとき、異常な物価は思惑物価であり、金融でもって滞貨金融ができるような状態だったとかいろいろな問題があるわけでございまして、私はいまの状態で、いままで上がった異常な物価が賃金の高騰によるものだというような認識は持っておりません。
○加瀬完君 よくわかりました。思惑物価という御説明がありましたが、そのように私どもも認識をしてよろしゅうございますね。そうすると、一部に、今回の春闘等で賃金がアップいたしますと消費傾向を刺激してインフレのもとをつくる、こういう説がありますが、いま要求していることは、先ほども数字で指摘をいたしましたように、目減り分をどうして埋めるかと、こういう要求であるということは、労働大臣、お認めになりますか。
○国務大臣(長谷川峻君) 賃金の問題は労使が自主的に解決することでございますが、一方、私のところに来る労働団体の中には、幾らでも取れるけれども、個別物資を行政的にやって下げるようにしてもらいたい、こういう話もあるのでありまして、そういうふうに自分の生活をカバーする問題ともう一つの問題と二つに分かれる、こういうふうに思っております。
○加瀬完君 総理のおっしゃる思惑物価等によるインフレに対しまして、特別に物価上昇分についてインフレ手当で処理をしたらという意見がありますが、これについてはどうお考えですか。
○国務大臣(田中角榮君) 思惑物価というのは思惑によってできたのですから、これは政策のいかんによっては押えられるわけです。押えられるわけですから、それは、物価は一月、二月といえ短い時間でも目減りのないことが望ましいということで、これは一月、二月の分を三月、四月、五月ぐらいで取り戻して余りあるようにするのがいい政治ということになるわけですから、そういうことでもっていま努力を続けているわけです。ですから、過去十カ年間、日本が一番最高だったということは私は述べません。述べなくてもあなたはおわかりになるのですから。前は前、いまはいま、あしたはあしたと、こうなるのが望ましいことは事実ですが、でも、物価を引き下げなければならぬという最大の国民的課題があるわけです。ですから、一月、二月が目減りをしたので、その分だけ別に出せと、こういうことで私は片づける問題ではない。それはどうしてもいまもうそうでなければ生きられないというような低所得者やいろいろな方々、もっと不幸な方々に対して、私は政府が諸般の政策を行なうということは必要であると考えておりますが、そうじゃなく、これ、国民の六割も七割の人も、これ、全部合わせれば昨年は七十二兆円もあるわけです。七十兆円というと、それをまた二〇%こせばとにかく八十五兆円になるわけです。二〇%でおさまるかどうかと、こう言っているわけですから、そういう意味で、これがさつき言ったように全然物価には影響ありませんと言えば、これで八十五兆円全部使われようものなら物価に影響あるにきまっているのです。そういうことは国民的課題でありまして、物価がおさまれば実質的に国民全体がよくなるんですから、そういう面から考えるのが正しいということで、これは目減りをいま政府がスライドしてこれを支払う、こういうことは考えておりません。
○加瀬完君 その生活弱者といいますか、インフレによる一番犠牲の多い弱者に対しては別途考えるという意味の御発言がございましたので、これはあとでまた伺います。ぜひそうお願いをしたいと思います。 そこで、この企業の過保護でインフレが生じて、さらに今日ではインフレ対策という名で企業救済だけが急で、国民の利益を重点に考えられておらないではないかと、こういう説がありますが、通産大臣あるいは企画庁長官、そうではないんだと、国民の利益を重点にこうやっているんだと、具体的な問題がありましたらお示しをいただきます。
○国務大臣(内田常雄君) 私は企業寄りの考えをふだんから持つものでは全くないわけでありまして、そもそも企業の存在や経済の動きというものは国民全体の生活水準を高めることが目標である、そのためには企業は企業として社会的責任を果たすべきであるし、また勤労者も国民全体の経済、あるいは子供や孫の完全雇用ということも考えなければならないという趣旨で常にものごとを考えるわけであります。実は、さようの見地から特に申し上げておきたいことは、これはこの四月から給与所得者を中心とした所得税の大減税を行なうことになりましたこと、これはもう中身は申し上げませんが、いままで全くやり得なかったことを給与所得の大幅の引き上げというものを含みまして現実に大減税が行なわれるということであります。 それから先ほど一月、二月の給与所得者の賃金収入の目減りというのは、先ほども申し上げましたように、その働く時間が、時間外手当等が少なくなったということでございますので、経済を押えつけてしまえばいいということではありませんので、私はこれは労働時間を長くするということではございませんけれども、働く機会をできるだけ多くするという経済の運営もはかっていかなければ、勤労者もともに収入を充実したり生活を上げることができないという観点から経済の動きをとめてしまわないようにする。そういうことがしばしば御指摘がございましたように企業寄りの企業保護ではないかと、こうお取り上げになる面もあるかもしれませんが、そういう趣旨ではないことで、私は給与所得者が税引きの可処分所得を上げること、これは私は田中内閣の最大の功績であったと言えると思うんでありますけれども、そういうようなことを申し上げておきます。
○加瀬完君 大幅減税とおっしゃいますけどね。勤労者の一番厚い層は七十万から百二十万くらいの収入層が多いんですよ。こういう層には今度の所得税の減税というのは何にも影響をもたらさない。これはあとで触れます。 そこで、私どもがいま伺っておりますことは、一月に目減りがしたからとか、二月にどうなったからということではない。ストライキを掲げている労働者の要求は、このインフレの状態になってから実質収入が減ったんだから、その実質収入を取り返そうという願いではないかという点を指摘をしているだけでございます。 そこで、問題のこのストの問題で若干伺いますが、政府は関係労組のスト宣言以来どのような対処をしてこられましたか。
○国務大臣(長谷川峻君) 大規模なストライキが予定されておりますので国民全体、もちろん政府を中心にして心配しておるところでありますが、私は昨晩も公労協の幹部諸君とお目にかかりましたが、ぜひひとつこういうストライキを中止してもらいたい。こういうふうに物価抑制で全国民が一生懸命やっているときに、日本じゅうの鉄道その他がとまるようなことになったらこれは物価抑制はだめになるし、それから人心のいらいらが出てくることになる、そして、私はやはりこういう平和なうちにせっかく積み上げた民主主義、こういう基盤がくずれるようなことがあっては困るから、ぜひひとつ良識を発揮してもらいたい、こういうふうに懇請しているところであります。
○加瀬完君 それでは、このストライキに対してどのような収拾策を、懇請にあたりましてどのような収拾策を具体的にお講じになりましたか。
○国務大臣(長谷川峻君) ここでだんだん話の出ましたように、国民春闘という名前でいろいろなお話が出ておりますがまず第一に、総理大臣と労働四団体の御懇談を、そしてその際にはっきりしておったことは、とにかく議会政治を守ろうじゃないか、こういう団交の場所でおみやげを出すところじゃなくして議会というものがあります。こういうことからずっと話を続けてまいりまして、その間に出たところのいわゆる弱者救済の問題等々については、国会でも御論議があり、政府も考えており、そしてまたそういう方々の御意見なども参酌して政府が百三十億出したこと。しかしながら、百三十億じゃ足りないんだ、三百億だ、こういうことで三月一日のストライキが行なわれたことは非常に残念でございます。一方、この議会においていろいろなことが論ぜられるのを政府は、一つ一つ、できること、私はまた私でそういう団体の諸君によくお目にかかって具体的な話などを聞きながら、事務的にやれるもの、大きな問題等々についてはいまからいろいろ考えるもの等々区別しながら、議会政治とこういう違法ストなどというものを区別しながら、ひとつ国民的連帯感でこういう大事な危機をお互いで切り抜けていこうじゃないかということを御懇請申し上げておるところであります。
○加瀬完君 では、総理に伺いますが、収拾策は具体的にはお考えになっていらっしゃると推測してよろしゅうございますね。
○国務大臣(田中角榮君) ストライキはやらないようにと、こういうことを要請しております。 これはとにかくストライキということが国民に無影響でできないわけですから、国民に重大なる影響を持つものである。特に時が悪い。いまこの戦後最大の物価問題と取り組んでいるときに、そういうときだから政府をいじめるにはいいときだという見方もありますが、ストライキの効果もまたあると。しかし、それは国益中心という意味から考えなきゃならぬこと、これはもう政府、与党、野党たるとを問わず、これは国民すべてが考えてもらわなければならぬことであります。みずからのことである、みずからだけ例外たり得ない。こういうことで、それでまた特に要求していることが制度上の問題である。政府は無限の力を与えられておりません。国会で通過をした法律による限定的な権限だけしか与えられておらぬわけです。その政府に国会の意思をきめろというようなことまで要求されても、それはそんな専断はできません。そういう意味で、これはもう議院内閣制であり議会制民主主義であると、民主主義の根本に触れる問題でありますし、特に制度上の問題はこれは平和なときに国民的合意を得ることが最も望ましいし効率的なんです。こういうどさくさにやろうということは、国民が反発をして、もうどんないいことでも反発する。ですから、私はもう赤裸々にそれを述べて、とにかく今度の第一の段階の経済問題はまあまあというところできまるんだろうと。これで一体中小企業はやっていけるかと思うような、いまもう内示されておるわけです。ですから、そういうようなおおよその問題はきまる。そうすると、あとは国会の議決を見なきゃいかぬ。国会の議決というのは国民的な習熟を待たなければならない、どんないいことでも。私はいいと思っているんですが、小選挙区でも、それは君、国民的合意がまだだよと言えばちゃんと出さないんですから、それが民主政治を守る根底なんですよ。ですから、そういうことの前提に立つときに、国会が議決を——とにかく政府は返答しろと、そういうことはやはり私はもっと慎重に考えてもらいたい。ただ、もらいたいだけじゃいけませんので、政府は可能な限り最善の努力をしてこの局面を収拾しよう、異常な決意を持っています。具体的な問題に対してはまだ申し述べる段階でありません。
○加瀬完君 そうすると、誠意を尽くして収拾に当たると、こういうお考えはそのまま確認をしてよろしゅうございますね。
○国務大臣(田中角榮君) よろしゅうございます。
○加瀬完君 それから国会の議決にゆだねるべきものは国会にまかせる、こう解していいですね。
○国務大臣(田中角榮君) 政府は、現行法の規定を守って行政を行なう以外にはないわけでございます。それ以上のものを求めるということは、国会に対して求めていただくということであって、これはもうそれ以外ありません。
○加瀬完君 そこで、そうすると懇談をしていくについても、話し合いの窓口というものがきちんときまっておらなければどうにもならないと思うんです。政府はどなたを窓口としてこれから交渉を進めてまいられますか。
○国務大臣(田中角榮君) それはもう労働問題でございますから労働大臣が窓口でございますが、労働大臣ではやれない問題も掲げているわけです。制度上の問題公務員制度の問題でありますから、これは総務長官を窓口にいたしております。それで必要があれば官房長官も出席し、また私が会ってもいい、こう言っているわけですから、政府全体が窓口である、こう考えております。
○加瀬完君 労働大臣、それから総務長官、そうして、ことによれば総理みずからも話し合いの相手になる、このように政府としては考えておると了解していいわけですね。
○国務大臣(田中角榮君) けっこうです。
○委員長(鹿島俊雄君) 午後一時まで休憩いたします。 午後零時三十一分休憩 —————・————— 午後一時五分開会
○委員長(鹿島俊雄君) ただいまから予算委員会を再開いたします。 午前に引き続き、質疑を行ないます。加瀬君。
○加瀬完君 質問の第四点は、いわゆる弱者の救済について伺います。 当面の政治で最大の目標の一つは、インフレ弱者の救済であると思いますが、御同感いただけますか。
○国務大臣(齋藤邦吉君) 同感でございます。
○加瀬完君 今日のインフレでは、各国とも市民は憤り、企業は嘆き、政府は苦慮するといわれておりますが、日本の企業だけが笑っているのを不公平だとは思いませんか。通産大臣。
○国務大臣(中曽根康弘君) 必ずしも企業だけが笑っているという情勢ではないだろうと思います。企業は企業なりにやはり社会的責任も自覚し、物価抑制に協力しておるところでございまして、まあ全国民あげてこの危機を突破すべきであると考えております。
○加瀬完君 この間の集中審議でも内容があらわれましたように、必ずしも全部の企業が政府なり国民の期待と同じように同じレールの上を走っているとは言われないと思うのです。政府のほうからもたびたびと御指摘がありました悪徳業者なり、あるいは反社会的な業者なり、こういうものが現存をしておるわけですから。 ところで、人類の生存上、空気のようなものは私有や占有が許されないと同様に、国民としての最低生活条件というものは、公平に共有または均てんさるべきものだと思いますが、これは御異存ないでしょうね。総理、お願いします。
○国務大臣(田中角榮君) それはもう当然のことでございます。
○加瀬完君 教育でありますとか、交通、医療、住宅、あるいは食糧といったものは、最低条件は国民のすべてに均てんをさるべきものだと思いますが、これも御異議ございませんね。
○国務大臣(田中角榮君) 申すまでもないことであります。
○加瀬完君 これは厚生大臣に伺いますが、いまのような立場からして、インフレから国民を保護するという具体策が今度の予算案の内容に盛り込まれておりましょうか。
○国務大臣(齋藤邦吉君) 経済的に弱い方々、そのうちで最低の方、すなわち生活保護世帯は、最も力を入れなければなりません問題でございます。そこで、生活保護世帯の方々の補助基準につきましては四十八年度当初に比べまして二〇%のアップをいたしてございます。さらにまた、老人ホームその他の社会福祉施設に入っておられる方方の処遇費につきましても二〇%のアップをいたしております。 さらにまた、年金関係でございますが、老齢福祉年金あるいは身体障害者福祉年金等につきましては、これは御承知のように全額国費でございますが、五〇%のアップをして予算に計上いたしております。さらにまた、拠出制の年金、すなわち退職した労働者の方々のいわゆる拠出制の年金につきましては、昨年の御協力によって成立いたしました法律に基づきましてスライド制を本年度初めて実施するということにいたしまして、予算面上はほぼ一四%の国庫の負担を計上いたしてございますが、四十八年度の消費者物価指数が全部出そろったところで、それ以上に消費者物価指数が前年度に比べてアップいたしますれば、ちゃんとそのとおりにスライド制を実施していくと、こういうわけでございまして、そのほか述べますとたくさんございますが、さしあたりその辺をお答え申し上げておきます。
○加瀬完君 これは大蔵大臣に伺いますが、そういたしますと、インフレで得もせず損もさせないと、こういう制度が財政的には明確にこの際立てらるべきだと思いますが、そのような具体策になっておりましょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) インフレで得もせず損もせずという状態をつくるためには、インフレをやめるほかはない、ほかにもう万能薬はございません。そこで、厚生大臣からも申し上げましたが、特別に拾い上げましてそして弱者対策というようなことをすると、そういう以外に道はございませんです。
○加瀬完君 そこで、この席でも指摘がございましたが、預金利子の目減りをどう救済するか、あるいは預け金利の優遇の預金対策はないか、政府のほうから御説明がございましたが、そのほかには具体的にこういう目減りについて救済をする財政措置あるいは金融措置というものはお考えにはなっていらっしゃいませんか。
○国務大臣(福田赳夫君) 預金者の立場というものは大蔵大臣としてはこれはたいへん苦慮しておるわけなんでございますが、とにかくこういう異常な物価高の状態というものはこれはもう全国民に被害を及ぼすと、こういうことになるわけなんです。全国民に対するでこぼこの影響というものをならすということを考えなければならぬわけなんでございますが、そういう際に財政負担でやる方法ということを考えるべきだということを言う人がありますが、まあそうただいまも申し上げましたが、これは全国民に対しまして財政負担でそのでこぼこを調整するというようなことはとうていこれはできることではない。そこで、インフレ弱者といいますか、弱い立場の方々のことを特例的に財政としては考えるということになるわけなんです。預金の目減り、これはもう確かにそういう重大な問題があるんですが、これを財政的にということになりますと、その影響はたいへんなものです。これはまあ他のあらゆる金銭債権者にまずそういう措置を講じなければならぬというようなことになり、これはもうとても収拾のつかないことになる。そこで、そういう特別の財政上のあるいは金融上の施策でというわけにはまいりませんけれども、預金者の立場というものも社会的に非常に重大な問題でございます。そういうことを考えましてあの手この手を使って今日まで来ておるのでありますが、夏になりますと、暮れの六カ月定期、これの期限が来るわけなんです。六月であります。そういう際におきましては、各方面から言われておるいろいろな御意見等も参考といたしまして、何らかの措置を考えてみたいというふうに考えておる次第でございますが、それ以上のことはただいま考えておりませんです。
○加瀬完君 そうすると、現在行なわれておりますもののほかに、物価情勢の推移によってはさらに何らかの方法も考えられる、考えると、こう了解してよろしゅうございますね。
○国務大臣(福田赳夫君) 六月の時点で何らかの措置を考えてみたいと、かように考えておる次第でございます。
○加瀬完君 厚生大臣に伺いますが、二〇%上げる、二五%上げるということよりも、一体最低生活の基準というものを確立しているかどうか、この委員会でも問題になりましたが、それはどうなんですか。
○国務大臣(齋藤邦吉君) 大体、本年度昭和四十九年度の東京における標準家族四人といたしまして扶助額は、昨年が五万円でございましたが、二〇%上げて六万円ということに月でなるわけでございますが、そこで、扶助基準のきめ方が非常に問題になるわけでございまして、これは、御承知のように、戦争終了後はマーケットバスケット方式で一品一品食べる食品を数え上げて扶助基準をきめるというやり方でございました。それはどうもおかしいじゃないかというので、その後エンゲル係数方式に変わりました。さらにまた、最近におきましては、いわゆる一般国民の消費水準に格差を縮めて近づけていくというやり方に変わってまいったのでございます。 そこで、一般消費者、一般勤労者の消費水準と扶助基準の関係でございますが、昨年における扶助基準の額は一般勤労世帯における消費水準の大体五六%になっております。一般勤労者のうちのしかも収入の低いほうの第一十分目というのですか、というところになりますと、大体八〇%台になっておると、こういう数字になっておりまして、一般消費水準と均衡をはかりながらそれの格差を縮めているというやり方をとりながら消費者物価指数の動向をにらみ合わせていわゆる扶助基準をきめていくと、こういうやり方でございまして、これは専門家の方々のお集まりによる社会福祉審議会の御意見によって大体そういう方針をきめておるような次第でございます。
○加瀬完君 ここでわが党の矢山委員からの指摘がありまして、保護基準は一般家庭の五二%にしか当たっていないじゃないかと。それから児童施設の献立は、厚生省から出されたもので計算していくと、カロリーは二分の一に減っていると、昨年に比べて。あらためて資料を提出してもらいたいということになりましたが、資料が出てこない。これでは、何%上げたからといって最低生活が保障されたということにはならない、こういう指摘がありましたので、私も同じことをもう一回ここで聞きます。
○国務大臣(齋藤邦吉君) 一般勤労者の消費水準との比較は、いまお述べになりましたように五十数%でございますが、一般勤労者のうちでもいわゆる所得の少ない第一十分位の方々に対しましては八〇%以上になっておるということも御理解いただきたいと思います。 それからいろいろな献立の関係でございますが、それは私どもも調べました資料がありましたら、私先般お尋ねのときはたしかスリランカに行っておったときのことでございましょうが、提出をいたすようにいたしたいと思います。
○加瀬完君 インフレで国民全体の実質収入が下がっている、生活水準も下がっている。そして第一分位のものを標準にしてはこれは一般生活の基準にはならない。ですから、あくまでも基準にすべきは、下がっているといっても一般家庭ということでなければならないと思います。そこで、結局、政府は、いままでの成長政策によってのプラス面マイナス面というものが確実に把握ができておらないのじゃないか、だからただ何%増しということで問題が解決するという立場をとるのじゃないかと、こういう疑義がありますが、成長政策の功罪をどう把握しておりますか。
○国務大臣(齋藤邦吉君) なるほどそういう御意見もおありかと思いますが、私どもは、この生活扶助の基準の伸び率というものを見ますと、やっぱり実質伸び率というものを考えてみております。いわゆる物価とかそういうものを全部反映さして、消費者物価上昇というものを反映さして、実質どの程度上がっているかということを常に考えておりますが、年々大体最近におきましては七%から八%、実質的には生活が向上していると、こういう数字になっておるわけでございます。たとえば例を引いて申しますれば、昨年は経済見通しにおいてはたしか五・五%消費者物価指数が上がるであろうということで一四%の扶助基準を引き上げました。さらに、十月から五%を引き上げる。さらにまた、最近における一−三月の動向にかんがみまして三月に一時金を一人当たり二千円を支給する、こういうやり方をやってまいりました。そういうことでございますので、実質的には昨年は多少落ちると思います、積算はまだしておりませんが。昭和四十七年度までは実質的に七%程度は上がっておると、こういう数字が出ておるわけでございます。
○加瀬完君 田中内閣は福祉優先ということを大きなスローガンにして出発をしたわけです。そういう福祉優先ということを重点に予算を見るとき、社会保障費がそういう重点的に組まれていると、こういう御認定ですか。
○国務大臣(齋藤邦吉君) 昭和四十九年度の予算を考えてみましても、まあ総需要抑制ということもありましょうが、工業需要等は相当押えられておる中にあって、厚生省所管分が三七%の増ということでございますから、私をして言わしむるならば、やっぱり田中内閣は福祉に重点を置いた予算を組んだと、こう私は申し上げることができると思います。まあいろいろ御批判はおありでしょうが、私はそういうふうに考えておるものでございます。
○加瀬完君 四十一年から四十五年の厚生費を見ると一四・二です。確かにことしは一六・九に厚生費は上がりました。しかし、物価ははるかに四十一年から四十五年と比べると上がっているわけです。だから、社会保障費として実質使えるものは、量質とも、そう大臣がおっしゃるようにふえてはおらない。質が変わるほどにふえたと、こういう保障が一体ありますか。
○国務大臣(齋藤邦吉君) まあ、いろんな言い方もおありでしょうが、たとえば生活扶助基準を考えてみましても、昭和四十八年度の当初に比べて二〇%アップということでございます。というと、昨年の四月一日から最近までの物価はどの程度上がったかというと、それほどやっぱり上がってはいないという状況でございますし、それからいろんな年金等につきましては五〇%アップ、これも言い方によっては少な過ぎるとか何とかいう御意見もあることは承知しておりますが、やっぱり五〇%アップということでありますれば、これは老齢福祉年金は昨年の十月に五千円にしまして、ことしの十月から七千五百円にするわけでございますから、五〇%アップということでございますから、やっぱり量ばかりじゃなくて質的にもアップしている。そのアップの率のぐあいについての御批判は別として、やっぱり相当アップしていると、こういうふうに評価をしていただきたいと、こう考えておるわけでございます。
○加瀬完君 これは財政関係のものなら、何%アップということが一つの基準になって、計算の功罪が問われていい。しかし、厚生大臣は、社会保障の内容が実質的に高まったかどうかという判定でなくて、何%上がったからというだけでものを見るわけには私はいかないと思う、底が低いですから、基準が低いですから。低い基準で何%上がったって、いま年金の例が出ましたが、年金が五〇%上がっても、年金の効果がこれで十分だということが言い切れますか。
○国務大臣(齋藤邦吉君) いろいろその点は言い方もあり、見方もあると思うんですが、五千円を七千五百円と、こう簡単に言いますが、やっぱり総計にしますとたいへんな金なんでございます。これを三カ月分を一期分といたしまして、本年度のいま予算に御審議をいただいておりますには、たしか、老齢福祉年金を七千五百円、それから障害福祉年金を七千五百円から五割ずっと上げていくと。これをやりますと、本年度だけで四百四十億、平年度に直しますと千五、六百億と、こういうわけでございます。いま念のために数字がございますから、扶助で実質どの程度上がっているかということを申し上げてみますとおわかりがいいと思うんですが、扶助基準は毎年一四%なり一五%なり上げてまいりました。四十八年度は最初一四%、その後五%ですから、一九%上げておりますが、実質の改善は、四十八年度の分はまだ統計出ておりませんからわかりませんが、四十七年度では、やっぱり実質八・四%の扶助の改善、四十六年度は七・九、それから四十五年は六・二というふうに、最低生活の保障の実質改善も、実質消費者物価の伸びを差っ引きまして伸びておるわけでございますから、伸び率は低いという御批判はあろうかと思いますが、実質的にも相当伸びているんだ、こういうふうに私は理解をいたしております。しかし、すべて社会保障の問題というのはこれで十分だということはありません。もっともっとやっぱり積極的になすべき必要はある、かように考えておりますので、今後ともそういう方向で前向きに努力をしていかなけりゃならぬだろう、こう考えておる次第でございます。
○加瀬完君 いままでの政府の経済政策というものは、あるいは財政運営というものは、高度経済成長というものに大かた振り向けて、社会保障というのは言いわけ的と言うか、ほんのちょっぴり、従としてしか考えておらなかった。今度、田中内閣はそうはやらないと、こうおっしゃるんでしょう。社会保障なり福祉なりというものを重点にしてこれから政治をやっていくんだと公約なさった。それならば、財政の組み方そのものが変わってこなきゃならない。全然重視しておらなかったときを根にして、それに何%増したということではなくて、内容が社会保障に値しているかどうかと、こういう点から検討しなきゃならない。さっきも話が出ましたけれども、生活保護費を上げました。上げましたけれども、それは一般家庭の五二%にしか当たっていません。これで社会保障が十分だということにはならないじゃないか。少なくも厚生大臣ならば、これだけの内容という、新しいものが今度はありますよと、そういう要求がされ、そういう予算が組まれてこそ、いまあなたの御説明のことを私もうなずく。何%と言っても底のないものの何%はだめですよ。
○国務大臣(齋藤邦吉君) 確かに、社会福祉のいろいろな行政というものは、以前は、私も相当伸び率は少なくおくれておったと思います。田中内閣ができましてから、御承知のように一番おくれておりますのは所得保障でございましたので、御承知のように、田中内閣ができましてから五万円水準年金と。私はこれは画期的なものであったと思います。昨年の十月成立したわけでございますが、五万円水準年金、さらに物価スライド制、これなどはもう画期的なものであると私は思います。さらにまた、昨年においては医療保険等においても、健保の大改正をやりまして給付の大幅な改善を行なう、こういうことをやってきておるわけでございますから、以前はなるほど確かに厚生省の福祉というものの行政はおくれておったと私も率直に思います。したがいまして、西欧先進諸国に比べれば非常に劣っておった。それを、昨年、御承知のように経済社会基本計画というものをつくって、五十二年度までには、いわゆる社会福祉の関係の振りかえ所得を八・八%まで上げましょうと。ここでやっと初めて日本も福祉に本腰を入れているんだと、こういう姿になったのではないかと思います。そういう意味において、まだ私も若輩でございますから努力は足りないかもしれませんが、今後とも大いに努力をいたしてまいる考えでございます。
○加瀬完君 確かに医療関係費は非常に上がりましたよ。しかし、年金が非常に上がりましたか。これ、外国と比べていただきたい。社会保障の内訳として、年金と疾病医療に関する経費は、イギリスはどういう率になっていますか。日本はどういう率になっていますか。
○国務大臣(齋藤邦吉君) これは、先ほどもちょっと申し上げましたように、日本の社会保障の進捗状況というものは諸外国に比べておくれておるということを先ほど申し上げました。そこで、社会保障の国民所得との比率を考えてみますと、昭和四十九年度に御提案申し上げておりまする予算によりますと、社会保障給付費と国民所得の比率は八%になり、大体、五十二年度に九・七、約一〇%になる。こういう水準でこれは動いていくわけでございます。そこで、諸外国に比べてどうかと言いますと、イギリスに比べてまあ大体半分と、それからスウェーデン等についてもまあ半分と、こういうわけでございますが、それとともに、ここで私ども考えなくちゃなりませんことは、いわゆる負担の関係ということも十分私どもは考えておかなければならぬであろう、こういうふうに考えておるわけでございます。昭和四十九年度の社会保険の負担は、国民所得に対しまして五・四、税の関係で、税が一九・九ですから約二四、五%。ところが、諸外国ではこれが四五%なり五〇%と、こういったふうな負担になっておるわけでございます。ですから、負担との見合いで考えてみますれば、まあ、大体調整はとれていると、こういうことが言えると思います。 そこで、お尋ねの中身の問題でございますが、社会保障給付と国民所得とのその八%の中で、医療は四%でございます。半分でございます。それから、八のうちの二・五が年金でございますが、年金は、これはもう御承知のように、現在、まだ日本は制度が未成熟でございます。特に国民年金などはできてまだ十三年きりたってないと、こういうわけでございますから、成熟しておりません。しかし、これが、どんどん老齢人口がふえ、厚生年金の被保険者の中で給付を受ける方の数もふえていくということになりますれば、今後は、この二・五という年金の比率が上がっていく。そして、医療保険は大体これで横並びで進んでいく、こういう形になろうかと思います。諸外国も大体そういうふうな趨勢で動いておるわけでございまして、今後は年金が伸びていくことによって社会保障給付がふえていくと、こういうことになろうかと思います。
○加瀬完君 その御説明は納得できませんがね、時間もありますので先へ進みます。 すると、年金は将来希望が持てるような方向に改善がされていくと、こういうことですね。 そこで、端的に伺いますが、年金の賃金とのスライドということについては、どう考えておりますか。
○国務大臣(齋藤邦吉君) 年金というのは、御承知のように、労働者が退職したあとの老後の生活をささえるという性質のものでございますから、これはやっぱり事の性質は、いわゆる貨幣価値の減価を食いとめて、そして貨幣価値の変動によって生活がおびやかされないようにしていくということで、いわゆる消費者物価というものを、物価というものを中心にして考えていくべきであるというのが私どもの考えでございます。しかし、一面には、賃金によって年金というものを考えていくべきではないかという御意見は、私は、傾聴すべき意見だと承知しておりますが、この賃金というのは、御承知のように、子供をかかえて生活をしていく働き盛りの労働者の生活をささえると、こういうわけでございますから、年金とは趣が多少違うんではないか。そこで、私どもは、賃金を中心とした年金制というものはどうであろうかということを考えております。しかしながら、財政再計算期というのがございまして、いまの法律では五年ごととかということになっておりますが、実際は四年とか三年で改定をしておりますが、この際には、物価のみならず、賃金その他生活水準もあわせ考慮しながら年金水準の改定を行なっていく、こういうやり方といたしておるわけでございます。
○加瀬完君 物価スライドでは一年おくれになるわけですね。これはどう救済しますか。途中で修正しますか。
○国務大臣(齋藤邦吉君) 本年度、御承知のように初めて物価スライド制というものを実行することになるわけでございますが、それによりますと、昭和四十八年度の物価指数がはっきり出ましたあとに、四十七年度の物価指数の上昇と比較いたしましてある一定の率が出て、それに基づいて年金額の改定をやっていく。それが十一月実施、来年の二月に支給される。国民年金のほうは、一月に改定して来年の三月に金をいただけると、こういう仕組みになっておりますが、どうもこれでは少しタイムラグが長過ぎるじゃないかと、こういう御意見がたくさんあるわけでございます。私も、どうもこういう物価が非常に激動しておる際でございますから、このタイムラグを何とか短縮する方法はないだろうかということを実は苦慮しており、また勉強しているんです。ところが、三百何万人の方々に対してこれを一々はじいていくというのはたいへんなことのようです、業務量。こんな事務的なことを言うとおしかりいただくかもしれませんが、たいへんなことのようです、実際。そこで、どうしたものだろうなあということで実はいま苦慮しておりますが、私はまだあきらめておりません。十分もう少し勉強を続けてまいりたいと、こう考えておるわけでございます。それによって物価激動期における年金受給者の生活を守っていく、こういうやり方で進んでまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
○加瀬完君 大蔵大臣に伺いますが、弱者救済の財源というものは何に求めておりますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 弱者救済という問題、まあ四十九年度の予算はかなりのものが出ておるわけであります。まあ経済の見通しなんかに非常な狂いが出てきまして、どうしてもそういう対策をとらなければならぬということになりますれば、それらの予算の運用ということを考えなければならぬし、それで対処することが妥当でないというものにつきましては、予備費を運用すると、こういうことになろうかと思います。
○加瀬完君 この資金運用部資金を、いわゆる社会保障の住宅なりその他いろいろな公共施設なり、そういう面に大幅に使うということは反対ですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 資金運用部資金は産業に従来はだいぶ使ったんですが、それをだんだと制限いたしまして、ただいまお話しの、あるいは住宅対策でありますとかあるいは社会保障のもろもろの施設に対する対策でありますとか、そういう生活福祉関連に重点を置いてまいっておりまして、四十九年度の予算でも大体六割ぐらいはそういう面に充当されるという計画になっておるわけであります。この方向は堅持してまいりたいと、かように考えております。
○加瀬完君 この資金運用部資金法の前の預金部預金法、その根拠になりましたのは郵便貯金法ですね。郵便貯金法の目的はどういうことですか、郵政大臣に伺います。
○国務大臣(原田憲君) 郵便貯金法は、国民の経済生活を安定させ福祉を増進させるために、貯蓄という手段で郵便局を通じて広く公平にこれを活用して目的を達成しよう、こういうことでございますから、二万近い郵便局の窓口を全国に置きまして、そして元本を国が保証する、こういう方法でやっておりますが、預ける、出すだけではなしに、いまお話しのある資金運用部資金でこの金を国民のために使っていく、こういうことがあるわけでございます。
○加瀬完君 いま言ったように、郵便貯金法には福祉を増進するという項目がある。それから運用部資金法には公共の利益の増進に寄与するということが目的になっている。したがいまして、現状の運用法はこういった国民の側に主目的を置いて利益を供与するという形にはなっておらない。いま大蔵大臣のおっしゃったように、そういう面を今後拡張、強調していくものだと認識してよろしゅうございますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 資金運用部資金は、ただいまも申し上げましたように、国民福祉の方面にも使いまするし、また公共の利益にも使いまするし、まさに法律のいっておる方向で運用されておるわけなんです。 それで、その傾向を見ますと、戦後間もない時期というものは、どうしても産業復興ということが大事だと、こういうようなことで、そっちのほうが重点になっておりましたけれども、最近は福祉、そういう方面がだんだんと増大するようになってまいりまして、もう今日では六〇%はそういう方向に使われておるという状態です。しかし、この方向は今後ともさらに強化してまいりたい、かような考えでございます。
○加瀬完君 重ねて大蔵大臣に伺いますが、税関係でありますが、四十八年度、四十九年度の自然増はどのくらい見込まれますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 四十八年度につきましては二月までの収納実績が出てきておるわけです。その傾向から見ますると、まあある程度の自然増収がありそうでございます。まだ三月の確定申告、これの状況の整理なんかできておりませんので、幾ばくになるかは申し上げられないんです。が、かなりの自然増収があるであろう、こういうふうに見ております。 それから四十九年度につきましては、これはもうこれから新予算がスタートすると、確かに賃金なんかは予定よりは上がってくる。そういう面からは自然増収というものがあるかもしれませんけれども、さて下半期、これからの経済が一体どうなるか、そういうようなことにつきましては、まあ沈滞の傾向というものがかなり強く出てくるであろう、そういうものを彼此勘案して考えなければなりませんが、何せいまスタートせんとする予算と、そういう現時点におきまして自然増収が出ると、こういうようなことにつきましては考えておりませんのです。
○加瀬完君 これは当然考えられるわけですね。ベースアップというものが実現すれば、自然増収というものは大幅に出てくると。したがいまして、これらの増収分は、現在もし増収があれば、主として使わなければならないものは何だという目安はありますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 四十八年度につきましてはもう年度が終了しちゃったわけです。それでありまするから、これは剰余金としてこれを整理するほかはない。 それから四十九年度につきましては、いま自然増収出るか出ないか、これは見通しは全然つきません。そういう段階でございますが、もし自然増収が出ますれば、たとえばかりに補正予算があるというような際には、その財源に充当されることになろうと、かように考えます。
○加瀬完君 新聞報道によると、イギリスでは、インフレ対策に政府の補助金を出して、あるいは食品の値上げを食いとめるといったような方法に使われるというそうでありますが、こういう自然増というものを、インフレ対策なり、あるいは弱者の救済なり、こういうものにお使いになるというお考えはありませんか。
○国務大臣(福田赳夫君) たとえば、かりに補正予算の必要ができてきた、それが秋の時点に国会が開かれて、というようなことをかりに想定してみますと、その時点におきまして、その自然増収をどこへ使ったら一番国家的であるかということを考えて充当しなけりゃならぬと、こういうふうに考えますが、やっぱり、その時点で物価がかりにおさまらぬと、社会弱者というものの対策が急務であるというような事態でありますれば、これはもう当然、そういう弱者のための対策の財源というような意味合いをこの自然増収が持つことになろうと、かように考えます。
○加瀬完君 経済企画庁に伺いますが、先ほどもちょっと触れましたが、減税がありましても、現在、いま勤労者の収入は七十万から百二十万層というのが非常に多い。こういう者にとりましては、いわゆる所得減税の恩典というのはないわけですよ。だから、これがインフレ対策ということをするならば、物が安く買えるという以外に生活に対する実質的な援助というのはないわけです。物を安く買うというなら、生活必需品の値下げをする方策に国が財源をある程度傾注をすると、こういうことでなければ、これらの人たちは救済されないわけですよ。この低所得層に対する、減税ではできないインフレの救済というものに対して、自然増の分あるいは資金運用部資金から投資できるもの、こういうものを使って何とか物価を押えると、こういう対策に政府が本腰を入れるというお考えはありませんか。
○国務大臣(内田常雄君) 税の問題につきましては、低所得者ほど控除を大きくするということで、今度の新しい税の改正ができておるわけでありますけれども、加瀬さんのおっしゃるのは、おそらく、年所得百十五万程度の者については、すでにもう課税最低限で、所得税は標準課税についてはかからぬのだから、何ぼおまえが安くしたと言ってみても、それらについては減税の恩恵がないと、こうおっしゃるわけです。しかし、これは自治大臣から御答弁申し上げるべきであると思いますが、そういうものに対しては、住民税と地方税につきましても、地方税を安くすると、こういうことをやっておりますことは、これ、御承知のところであると存じます。また、財政の余力をもって国民大衆が支払うべきプライスを安くするということは、一部の政府関係の物資等につきましては、たとえば米の場合でございますとか、その典型的な例としてやっておることも御承知のとおりでございますし、また、これは臨時の措置といたしまして、昨年の暮れの決定で、国鉄などにつきましても、政府が利子補給までをして、そうして低料金を据え置くというようなことをやってまいりました。しかし、これをすべての公共料金に及ぼすと、あるいはまたすべての国民生活物資等に及ぼして、本来のコストを政府が財政をもって助成、引き下げてまいるということが、財政本来のあり方として、一番国民の幸福を増すかどうかということにつきましては、先ほど大蔵大臣からも言及がございましたが、総合的に私は判断をすべき問題であると考えております。
○加瀬完君 総合的にとおしやいますが、いままでの政府のやり方は、企業が優先されて経済成長が先行して、国民福祉なり、社会保障なりというのは、あとに置き去りをされておった。そこで、福祉優先と言うならば総合的にと言うけれども、どちらを今度は先頭に立てるのかという問題なんですよ。だから、インフレによって弱者が大ぜい出ることも予想されるならば、また出ているならば、その弱者救済というのに政府の一番の力点が置かれなきゃならない。そういう点がさっぱり、はっきりしておらないということを伺っておるわけであります。 そこで、あらためて税金の関係で総理あるいは大蔵大臣に伺いますが、このガソリン税等の自動車関係税というのは、いままで目的税ですね。この自動車関係税は道路という、こういうワクをはずして、国鉄財源などの公共輸送に使うべきだという意見がありますが、これには御賛成いただけませんか。
○国務大臣(福田赳夫君) 結論から言うと賛成できませんです。つまり、道路は非常にわが国においてはおくれておる。しかし、その道路をどういうふうに整備していくかということにつきまして、財源ですね、これは国鉄のように料金を取る、全部について料金を取るというわけにもいかない。したがって、ガソリン税というものに着目いたしまして、道路の使用者にガソリン税というものを通じまして御負担を願おうと、こういう着想になってきておるわけでありまして、したがって、国鉄のように応能者負担というものを利用者に求める制度を持たない道路、その道路を整備するための財源としてのガソリン税、これをその目的税を廃止いたしまして、一般にこれを使うとか、あるいは国鉄のほうに使うとか、そういうことは私は妥当じゃないと、かように考えます。
○加瀬完君 それは、大蔵大臣の御意見は、総理のさきの御意見と食い違いがある。自動車交通というものをいままで主にしてきたが、むしろ鉄道を交通の主軸にしなきゃならないだろうと、こういう御見解であった、総理は。それならば、その鉄道が財政的にも有利に整備されるように、財源が転換されてしかるべきだと。したがって、道路建設というものだけにガソリン税を使っておるが、そうではなくて、大きな意味の交通体系にこのガソリン税を使うようにしたほうが——ガソリン税にとどまらず、自動車関係税を、全部じゃなくても、その一部を充当するようにするほうが、全体の交通体系というのは整備するんじゃないか、こういうことにも私は当然なると思いますけれども、これは検討の余地はありませんか。
○国務大臣(福田赳夫君) 交通体系は、これは総合的に考えなけりゃならぬと、しかし、その総合的に考えた個々の交通対策の財源をどういうふうにするかということにつきましては、それは道路だ、国鉄だ、そういうものをどういうふうに運営するかという、その仕組みとの関連で考えなきゃならぬ。国鉄につきましては料金制度というものがあるわけでありまして、それが主軸になる、そうして足らない面があるわけであります。そこで、その際には、政府が出資金を出す、あるいは国鉄の利子に対しまして政府が補給を行なう、こういうような援助の仕組みがあるんですから、これで十分に国鉄の財政再建計画はやっていけると、こういう見通しでありますので、あえてガソリン税を充当する必要はないと、こういうふうに思います。
○加瀬完君 それは練達たんのうな大蔵大臣にしては、はなはだ認識不足だ。そんな形で国鉄運営ができないからいろいろ問題が起こっている。たとえば、赤字路線というのも社会的必要でやらなきやならない。整理はできないんです。しかし、独立採算なんといういままでのようなやり方をしておっては、これはどうにもならないので、財政負担をするというふうにいまの政府は踏ん切った。これはけっこうだ。しかし、財政負担にも限度があると。それなら、全体の交通体系というものから交通関係に使われて、むしろ、資源関係からも、公害関係からも、自動車関係というものをある程度制限をしていかなきゃならないという時点になるなら、道路拡張はやめて、道路拡張財源を国鉄に振り向ける、当然これは考えられていいことだと思うわけです。総理大臣、これはどうですか。財源を十分国鉄に持たせるというならいいけれども、国鉄にないんですから、財源が。
○国務大臣(田中角榮君) いや、先ほども述べましたとおり、総合交通体系をどうしてもやらなけりゃいかぬ、それで鉄道の増強は急を要すると。ただ、道路も十九兆五千億を五カ年でやっていますが、これで足れりとしているのじゃありませんと、こういうことを申し述べておるわけでして、これはちょうど二十年前、議員立法でもって道路整備の財源等に関する法律、有料道路制度、現行道路法、これは道路三法というのは議員立法でやったわけでありますが、有料道路法だけ閣法という名前にしましたが、これは実際は三法とも議員立法です。そういうことでガソリン税を目的税にしたわけでございます。ですから、道路の整備はまだまだこれから何十万キロの分、やらなきゃならぬわけでありますから、ガソリン税は道路の財源にしようと、そのかわりに、第二の税として自動車重量税を徴収しまして、この相当部分を鉄道の建設に回すということになっているわけです。この二つの税を取ったときには——鉄道の整備というときには通行税を取ろうということになったんです。そういうことでもって、明治時代にやったと同じように、千キロずつの整備ということを通行税を取ろうと、通行税をいただこうということだったんですが、通行税問題よりも鉄道の運賃が非常に安いと、国民所得や国民総生産が非常に低い、いまの何十分の一のときの価格から比べてみましても、昭和九年から昭和十一年のまだ三分の一にしかなっていないということですから、鉄道は国会でもってまあ御審議をいただくものですから、なかなか問題ありますが、これはやはり鉄道の運賃というものはどうあるべきかということも、やっぱりまじめに考えていかなきゃならぬ問題です。しかし、鉄道運賃の値上げを三回、四回にわたってやるという財政再建法を御審議いただくとぎには、ただではだめなんでということで、大蔵省が大幅な財政資金の投入ということに踏み切って第一回の値上げに御賛成いただく——御賛成じゃありませんが、とにかく御可決をいただいたと、こういうことでございまして、これからは、やはり鉄道運賃をどうするかという問題は、観念論じゃなく、国民生活を守るという立場から応益負担ということはやるべきだと思うのです。鉄道というものは、昔のように二点間を結ぶ全くの単一の交通機関ではなぐ、いま、道路もあるし、鉄道もあるし、飛行機もあるしというような、そういう状態でありますから、やはり応益負担という面から考えてみても、いまの有料道路でもって短い間走る有料制度の料金と比べても、鉄道は安いということは事実でありますから、鉄道の応益負担ということと、国民の税金の中から支出をするものとのバランスをどう考えるかということで鉄道の建設、再建ということはなすべきだと。しかし、重量税は、これは誘導税制として、当然のこととして鉄道に一部支出をすることは、これはもう当然の方向だと思います。
○加瀬完君 地方財政問題で端的に二、三点伺います。 この義務教育施設の請負状況について、文部大臣でもいい、自治大臣でもいい、伺いたい。予算単価は幾らですか、いま。
○国務大臣(奥野誠亮君) 四十八年度の当初の予算単価は……
○加瀬完君 四十九年度でけっこうです。
○国務大臣(奥野誠亮君) 四十九年度の予算単価は六万一千七百円でございます。
○加瀬完君 それでは、四十八年の実施単価を次の都市でお示しください。守口、高槻、浦和、川口、船橋。自治省でもいいですよ。どちらでもけっこうです。
○国務大臣(奥野誠亮君) 船橋では六件あるようでございますが、実施単価は一平方メートル当たり五万五千円のものから六万六千円のものまでとなっております。屋内体育館については四件……
○加瀬完君 学校だけでいいです。体育館、けっこうです。
○国務大臣(奥野誠亮君) 浦和市につきましては、四万五千円から五万五千円のもの。守口市につきましては、六件のうち四件が四十八年度契約でありますが、実施単価は五万円のものから八万円のものまでとなっております。もう一つ川口市は、四万五千円のものから六万七千円のものまでとなっております。
○加瀬完君 自治省、それ間違いありませんか。どこの資料ですか、それは。
○国務大臣(町村金五君) 私のほらも大体同じように見ております。
○加瀬完君 この「学校、社会福祉施設、公営住宅の建築費の状況」という報告があるはずだ。違っていますよ。そんな安くできるはずないでしょう。五万円でできるものが何で六万円に改定をするんですか。
○国務大臣(奥野誠亮君) お示しの資料は、私存じていないんでございますけれども、いま私が申し上げましたのは、文部省でとっている資料でございまして、ただ、お示しの資料が、あるいは補助対象になっていないものも含んだ一平米当たりの単価になっているおそれがないだろうかというふうに思います。補助対象の場合には、へいでありますとか門でありますとか、そういったものは対象にならないわけでございます。あるいは寒い地域以外につきましては、暖房施設は補助対象にならないわけでございます。そういうものが入っていない場合と入っている場合と、単価をつくります場合に出てまいりますので、あるいはそういう意味でのそごが出ているんじゃないだろうかというふうにも思います。
○加瀬完君 それでは、人口急増都市協議会というのから、文部省なり自治省なりに、資料をつけての陳情があるはずだ。その人口急増都市協議会の資料は、これは間違いですか。全国市長会からも出ているはずです。
○国務大臣(奥野誠亮君) 私、各市からもいろいろな話を伺いますけれども、基本的には、市で出されます場合には、現実の受け入れ単価を面積で割ってお出しになります。そうしますときに、問題の食い違いが二点ございます。一つは、いま申し上げましたような、補助対象になっていないものも市の計算の中には加えていられる、これが一点でございます。もう一つは、補助します場合には、標準仕様というものを基礎にして単価を決定しているわけでございます。標準仕様よりも上回った仕様で仕上げられます場合には、当然補助単価を上回ってくるわけでございます。そういうものも別に、現実の実施単価でございますから、現実の契約単価を基礎にして一平米当たりの単価を出しておられる。おもにその二点で食い違ってくる場合が多いと思います。
○加瀬完君 それでは、あなたのほうで実質補助単価と、それから標準に、一平方メートル幾らと、それを対象に計算をした単価と、足りているか足りていないか、当然調査があるでしょうから、その調査をおっしゃってください、文部省の調査を。どこでもいいから。
○国務大臣(奥野誠亮君) 昨年来、かなり経済的に混乱した状況が見られたものでございますので、地域によりましてかなり単価が食い違いました。同時にまた、同じ地域でありましても、時期によりましてかなり食い違いました。かなり混乱をした姿が認められておる、かように考えるわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、建築単価が上がってきたことは事実でございますので、四十八年度の場合には、予算に計上いたしました単価を三回にわたりまして手直しをいたしたわけでございます。そうして、できる限り実態に合うような努力を続けてまいったところでございます。
○加瀬完君 だからね、そういう変更した限りにおいては、変更の前提というものの調査があるでしょう。その調査をおっしゃってくださいと言っているのですよ。
○国務大臣(奥野誠亮君) 事務当局からお答えさせます。
○政府委員(安嶋彌君) ただいま大臣から御答弁申し上げましたように、時期により、場所によって違うわけでございますが、船橋市の事例について申し上げますと、校舎につきましては五万五千円から六万六千円ということになっております。屋体につきましては四万七千円から六万円という実績になっております。それから浦和でございますが、校舎につきましては四万五千円から五万五千円ということになっております。それから守口につきましては五万円から八万円ということになっております。それから川口につきましては四万五千円から六万七千円ということになっております。ただいま申し上げましたように、予算単価を上回っておるものもございますが、ほぼ予算単価に近いものもあるわけでございます。で、予算単価を上回っておりますものの中身は、大臣からもお話し申し上げましたように、負担対象外のものが算定されておりましたり、あるいは、負担対象のものでございましても、標準仕様以上の仕様によるものが含まれておるわけでございまして、実際の単価が予算単価を上回っておるからといって、直ちにその部分がいわゆる超過負担であるということには必ずしもならないというふうに考えております。こうした実績単価、契約単価の実態を踏まえまして、ただいま申し上げましたように、三度にわたりまして公立文教施設の単価の改定をいたした、こういうことでございます。
○加瀬完君 私のいただいた資料とはだいぶ違いますので申し上げます。 これは、校舎の改築なり新築なり、守口は単価が九万一千三百七十八円、高槻は七万六千七百六十七円、浦和は七万一千七百三十一円、川口は七万七千三百十二円、船橋は七万二百二十六円、これが直接に市のほうからいただいた私のほうの資料です。こうでなくて、あなた方のおっしゃるのが正しいかどうか、これは再調査をしていただきたいと思う。といいますのは、六万一千七百円というものでは建築はできませんよ。御説明のようだというと、建築は完全にできるということになるわけですから、これはもう一度御調査の上に議論を進めてみたいと思いますんで、御調査をお願いします。よろしゅうございますか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 大切なことでございますので、十分調査をいたします。
○加瀬完君 これは自治大臣、大蔵大臣に伺いますが、交付税については国が留保権を持つ根拠は何ですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 交付税につきまして国は留保権を持っておりませんです。ただ、国会の御審議を得、御承認を得ましてさような措置をとる、そういうことでございます。
○加瀬完君 法律的に留保権の根拠のないものを千七百億あっためておく、六百億をどうするといったような操作をいままでしておったことはおかしいんです。こういうことをやらないという約束を福田大蔵大臣御自身がなさったはずだ。交付税は地方固有財源だと、こういう御認定は、自治大臣なさるでしょう。
○国務大臣(町村金五君) 交付税は地方公共団体の固有財源だというふうに考えております。
○加瀬完君 固有財源であるものを、ときによって政府が留保する、こういうことはおかしいじゃないですか。そこで、地方財政法十八条、これはどういうふうに解釈するんです。このとおり行なわれておらないじゃないですか。
○国務大臣(町村金五君) いまの加瀬委員の御指摘は、地方財政法十八条とおっしゃいましたか、いまあなたは。
○加瀬完君 ええ。というのは、地方財源について堺市長外十二市町長から意見書が出た。その意見書に対して政府がまた回答をなさいましたね。それで、十八条は、この回答の中にはっきりこういうようにいたしますと政府の態度が出ている。しかし、さっぱり守られていないじゃないですか。
○国務大臣(町村金五君) 地方財政法の規定は、御承知のとおり国と地方公共団体の財政秩序を確保するということを目的として、国庫支出金の算定にあたっての基本原則を定めたということは申し上げるまでもございません。ただいま御指摘になりました問題について、国が十分にこの本旨を守っていない、こういう御指摘のように伺ったのでございますが、御承知のとおり、現在国がこういった国庫支出金の算定をいたすという場合におきましては、それぞれの目的に即した合理的な規格や規模において、能率的に事業を行なわれる場合の費用を前提として、是正を要する範囲のものを、これは超過負担であるというふうに判断をしてやっておるのでありまして、必ずしも現実にそれぞれの地方公共団体が、ただいま申し上げたような趣旨をかなり越えて支出を行なわれておるというものまでについて、これを超過負担なりとして是正をするということは、現在やっておりまするたてまえとしてはきわめて至難だ、こう考えるわけでございます。
○加瀬完君 そんなことを聞いておりませんよ。政府はこう答えているんですよ。「今後において国の負担金、補助金等の地方公共団体に対する支出金については、建設物価、既施設水準等の推移等を勘案して実情に即するよう措置をいたします」と言っているんです。このような措置があれば、資料の食い違いで議論が中途で切れましたけれども、公共施設に対する超過負担なんという問題は起こらないですよ。十八条が全然約束して守られておらない。しかも、交付税という固有財源を国でチェックされてそのまま自治省はそれを認めている。これでは地方財源に対する確保ということは、自治省の責任では何にも行なわれておらないということになる。地方自治の本旨、独立性の強化、こういう交付税の目的も、いまのままでは守られないことになるんじゃないですか。そういうことを言っているんです。地方財源は確保されておりますか。
○国務大臣(町村金五君) 地方交付税は、御承知のとおり、地方公共団体に安定的な財源を保証するということがたてまえであることは申し上げるまでもありません。したがって、そういったような趣旨から、本年度の場合、御承知のように交付税は千六百八十億円を減額調整いたしましたけれども、なお五千億円以上の増額が見込まれる。なお一般財源も相当に前年よりはふえるというような状態でございますので、私どもは総需要抑制の見地から、この点大蔵省と話し合いをいたしましたことは、私は地方財政を無視するというようなことにはならないものと、かように考えておるところでございます。
○加瀬完君 五千億ふえようが、一兆増加しようが、これはそのまま地方団体におろされて、地方団体で総需要抑制について留保するなり、総需要抑制に協力するためにこれを特別会計としてわきに片すなり、こういうことは地方がやることなんです。国がいいおせっかいに固有の財源に対してかれこれ指図をする権限はありませんよ。それが交付税法に違反をしていると申し上げておるわけであります。 そこで、総理にあらためて伺いますが、地価問題はどういうような対策をこれから立てていかれますか。
○国務大臣(田中角榮君) 地価問題というのは、 一つには異常な状態は終息をするようにいまやっておりますから、これは金融の引き締めということで仮需要の抑制ということをやっておりますので、これは漸次正常な状態に復する、こういう見通しでございます。しかし、何ぶんにも地価というのは、これは需要と供給の上に地価がきまるものですから、人間はふえていく、土地はふえないというんですから、これは土地というものの全国的な視野に立つ利用計画ということを定める必要がある、これはもう当然であります。無制限に限られたところに人が寄ってくれば地価は上がるにきまっておると、これは算術以前の問題でございます。ですから、日本全国土を総合的に長期的展望に立って利用計画を行なうということが一つであります。もう一つは、まあいままでもそうでありましたが、このごろとみに土地を私有する、占有するという観念が先行しております。しかし、明治、大正、昭和の初年で、地価問題は、土地問題はうまく解決してきたわけであります。その中でいま忘れておるものは、その土地を私有する、占有するというんではなく、地上権を利用するということがうまくいっていたわけです。ですから私たちも、二十時代にも、もう二十になったころでも家ができたわけです。小さい家ですが、できたわけです。そう何でも土地を手に入れないで、ちゃんと借地権でもってできましたから、だからやっぱり土地の占有、私有というものよりも、土地は利用権が大切なんだということであり、とにかく土地の利用、だからまあいまレンタル制度ということをようやく取り上げられてきておりますが、やはり土地というものの利用権という問題をもっと法律的にも明確にしなきゃなりません。これは底地権というものに対しても争いがありますが、みんな裁判の決定を得なきゃいかぬということではなく、これは国総法の中にも言っておりますとおり、この底地権や借地権、借家権というものに対しては、ある種のそのものを一つきめて、それで不服があったら裁判を受ける権利を剥奪しないということで代執行できるということでなけりゃいかぬし、家を建てた者が二十五年たったらいつでも明け渡しをしなきゃならぬのかという不安定感というようなものを、法制上整備をしなきゃいかぬというような問題が非常にあると思います。 それで、あとは、どうしても限られたものに集中するというなら、高さを高くする以外にないわけですが、これはむやみやたらに道路をそのままに、既存の道路を認めておって斜線制限を行ないますから、このごろは東京の家はみな三角の家ばかりであります。全世界に例のない家が建っているわけですが、こんなことにもメスを入れないということ自体がおかしい。こういう問題はみな国総法の審議の中に具体的に提示をされておるわけであります。ですから、やはり大局的に見て、全国土の総合的な利用計画、それから所有者なるがゆえにその占有を主張することに対してはおのずから限界がある。これは社会、公共のためには、憲法の規定どおり利用されなければならない、それから立体化という問題がもう土地問題のほんとうにほとんどすべてだと考えます。
○加瀬完君 その御説明の、国総法にとらわれることなくまず土地規制をすると、こういうお考えはありませんか。
○国務大臣(田中角榮君) それはもう規制なくしては利用はないですから、規制してけっこうです。ただ、憲法上の問題があって、鹿を追う者山を見ずということじゃだめなんです。これはやっぱり憲法二十九条の、私有権を侵さないでそれで社会、公共の用に供されなけりゃならない。これ、そうじゃないと一これはまあ加瀬さんに申し上げるのよくないですけれど、こういうことはやっぱり言っていけば一番わかりますからね。これは私有権ということに関しては、新東京国際空港では一坪地主ができているわけですから、あれは何もじゃましているわけじゃないんです。憲法二十九条を明らかにしなきゃいかぬと。これがなくちゃこれは問題にならない。ですから、目的のためには手段を選ばぬ、これはだめです。これは国民の理解を得ることはかたい、こういうことです。
○加瀬完君 そうすると、国総法が通らなければ土地規制の立法はしないということではなくて、土地規制の立法はそれとは別にお進めなさると考えてよろしゅうございますね。
○国務大臣(田中角榮君) これは部分的にはございます。部分的には、今度の都市再開発法に、農地法といえども市街化区域内においては効力を停止しておりますし、今度の大規模な都市再開発を行なったり、それから交換分合を行なう場合、いろんな法制上のものが出ておりますし、それから現在でも、土地収用の規定とかいろんなものが法制化されておりますので、必要なものはそのつど国会の審議をわずらわしておるわけですが、土地問題がこんな大きくなっているときでございますし、やっぱりまあ名前やメンツに私はとらわれておりません。提出者である内閣も、国民の利益のためにはと言っておるんですから、やっぱり野党の皆さんも、メンツだとか、そんなこと考えられているわけじゃないでしょうが、やっぱりこれは効果をあげ得るものにして、早く法律を通していただくということが望ましいことだと私は考えております。
○加瀬完君 これは少し別の問題になりますが、今度政府は固定資産税について非常に狭い土地、小さい家に対しての固定資産税というようなのを減免を考えるようですが、逆に、総理がさっきおっしゃった占有観念の見本みたいに、五千坪も一万坪も一万五千坪もという大きな屋敷を持っている者に対しては、累進率をもっと適用すればよろしいじゃないかという考え方もありますが、いかがですか。
○国務大臣(田中角榮君) そこらは土地問題の中の専門的分野に属する問題でして、非常に重要な問題なんです。感情論的にはすぐそういうことになるんですが……。
○加瀬完君 感情論ではない。
○国務大臣(田中角榮君) いや、いや、感情論的になるんです。ところが、実質的にそれは逆な議論なんです。都市は過密であって、都市機能をほんとうに都市の公害とか、それから災害時における避難場所とか、緑地とかということを考えますと、スプロール化することは絶対いかぬのです。だから、都市ほど細分化しちゃいかぬのです、本当からいいますと、非常に国民的な輿望をになっておるようですが、五十坪以内は免税にするとか三十坪以内というのは、それはもうスプロール化の促進でありまして、あとからどうにもならなくなるんです。これは全世界の都市がそれでもって、再開発、再開発、再開発といって、これは古家の修繕といってもつくるよりもかかるんです。いながらにして——どこかへ行けるわけなんですから、いながらにして改造しなきゃいかぬから、非常に浪費であります。だから、そういう意味ではこれは全く専門家の議論であって、あまり土地問題に対して感情論が入ってくると、後代のためにはえらいマイナスを起こすという問題一つあります。ですから私も、自民党でも国民的感情には沿いますけれども、長い土地政策としては非常に慎重を要しますよと、それ以上言ってもなかなかこれはもうたいへんなことですから、ですから、まあ国民感情で何か小市民の住宅だけは税が安いとか、土地は売買しても登録税が安いとか、固定資産税を安くするとかということは、ばかに国民的なようですが、そのために命を失うということもあるんです。非常に都市機能を低下せしめるということがあります。 もう一つ、あなたがいま言ったことと同じことを一つ申し上げますと、大きな未利用地に対して未利用地税をかけなさいと、これは一つの学問的な提案でもあります。一定規模以上の宅地保有者に対しては累進税をかけなさいと、これは法人に対して累進税をかけると同じ議論なんです。これ一カ所に持っておれば、それが児童公園にもなるし、緑地にもなるし、空気清浄にもなるし、いざという場合にはそこにかけ込むこともできるんですから、そういうところは必ずある一定規模の二〇%とか三〇%は緑地にしなさいというのが都市改造の基本でなければいかぬ。しかし、ある一定規模のものを持っている者には高率の税金というと、それは細分化の促進になります。同時に、同じところに何カ所か分かれて持っている人は、一カ所は小さいけれども何ヵ所も持っておるという人は、税はかからぬわけです。
○加瀬完君 そんなことはない。
○国務大臣(田中角榮君) いや、そうなんです。そうじゃないと、いま古い時代から親子何代かにわたって相続税を納めながら、安い値段でもって貸している借地権というものと真正面からぶつかるんです、これはもう。ですから、そういう狭義な土地政策というものはなかなか成功しないし、だから大きなものから取りなさいということなら、それは相続税率上げたほうがいいんです。相続税率上げまして、君が死んだらこれは国有にするよということになれば一番いいんです。そこらが、国有にはしたくない、国有にはしたくないし、自分も、とにかくなるべく税の恩恵から離れたい。しかし、何とか土地をいま要求している人の期待にこたえたいというような妥協案でいろんな案が出るのですが、それは都市機能というような面から考えると、ある意味においては、大きな土地を持っている人は、その人の負担においていざという場合の災害の避難地を確保しておるわけでありまして、緑地に対しては逆に世界の国はゴルフ場をつくるに際しても補助金を出しているのです、緑地保全に。ですから都市の中の大きな緑地を提供している人は、その人の個人の負担において非常の場合の避難場所を提供するということや、土地の浄化を行なっておるということで、ある意味では税を安くしているわけです。鳥類保護という面からいっても補助金を出しているのです。ですからやっぱり土地問題はそんなに一つの目的を目標にした角度からだけでは論断できないというところがむずかしいのであって、これはやっぱり私は、土地問題に対しては専門家の意見にまかせるということが一番正しい。専門家の意見にまかす。そうでないと、せっかく細分化してまたそれを全部まとめて緑地にしなければならぬというような愚は繰り返すべきでない。そこらがむずかしいところでございまして、まあひとつ私も研究しますからあなたもひとつ御研究のほどをお願いしたい。
○加瀬完君 それは総理の御心配なさるような点は、都市計画なり社会計画なりによって、どこにどれだけ緑地を残すか、どこにどれだけ避難場所を残すかということは、基本的には大都市なんかでは当然考えられなければならない。個人がたくさん、五千坪なり一万坪なりという広い土地を持っておるから、それが緑地に利用されているとか、それからそれが避難場所になるということとは別の問題だと思う。三十坪で税金を払っている者も一万坪で税金を払っている者も同じだというのは、これは不公平ですよ。問題は適正に、総理がおっしゃるように都市計画を進めたりするならば、たくさんの未利用地を持っておる者が土地を手離しやすいような、手離さなければならないような規制というものは当然必要だと思うのです。
○国務大臣(田中角榮君) 非常にいいところまで入ってきましたから、私はこの際申し上げたい。それだから計画が必要なんです。それは現在の所有主に対して憎たらしいとか、たくさん持っている者はたくさんやれというような考えで言うと、それは社会主義か自由主義経済かの根本にいくわけです。なぜかといいますと、土地というのはほんとうからいうと合わないのです。社会主義経済は利用の面からいって国有にしたほうがいいというのですが、私たちは土地は国有、公有にしちゃ合わぬという考えなんです。なぜかといいますと、ここで一つの例を言いますと、二十歳で大学を出て坪五万円の土地を買って六十年たつと八十歳になります。そうすると年率一〇%で複利計算していくと幾らになるかというと、坪五万円の土地は千二百何十万円になるわけです。ですから、これは合っちゃいかないのです。これは絶対に国有、公有にしたら合わないのです。ですからこれを千二百万円に——五万円の土地を六十年間持っておって千二百万円に売って一〇%の利息しかつかないわけですから、ですからそれは占有権、私有権という人間の持つ古来の欲望をうまく利用しまして、人に稼がして土地を私有させる。同時に税の大宗は地租だったのですから、それで高額の税を払わしているというのですから、これはその意味では近代社会、ずっと近代国家の歴史をひもとくまでもなく、そこらが違うわけですよ。ですから国民に持たしておって、占有権と私有権を満足させるかわりに税はいただきますよと、こういうことをやっているわけですから、ですからそれを高度の社会的な政策を加味して——土地の利用権という、いうならばまず計画をつくって、そうしてその三〇%なら三〇%は緑地にいたします。緑地にいたせば、もちろんそこは公有地でありますから税の対象にはなりません。税はあがらぬが、これはだから税のあがらぬ土地を税金で買っちゃいかぬから、換地で道路と緑地は出させる、無償で提供させるということを考えておるわけです。そうしてあと残ったところは十年以内につくれば、低利長期、減税をいたしますと、こうイタリーでもみんなやっているわけです。アウトバーンの両側でも四階十一メートルでもってつくりなさい、ただしつくらなければ政府が代執行しますよと、こういう法律をいま国会に出しているわけです。ですから世界各国にあるものを全部二十年、二十五年間積み重ねて専門家がこれ以外にないだろうというのがいま国会の議題になっているわけですから、私はこれ以上にそんなにいい案があれば外国でもやっていると思うのです。たった一つだけいいのは、日本の土地収用というようなものではなく、これは憲法のたてまえが違いますが、ハワイの不良街区改良法は計画をきめて公示します。公示をして、公示をした日から買収に応じないものは一カ月にテンパーセントずつどんどんどんどんと収用価格は下がっていく、これは日本でもまねられればまねたいところだと思いますが、それは新しい憲法の基本的な精神があって、正当な対価を払って法律に基づいてということでございますので、そういうアメリカ式なことはできない。その時点における正常な対価を払わなければならぬということで、居すわった人間には高い金を払うということになるわけでありますから、あらゆる国でもってやってきた何百年かの土地の政策というものをほとんど網羅をして、いま国会に審議を求めておるということでありますから、私はもっといいことがあれば、いい方法があればあなたの言うことでも何でも聞きます。それはもう政府もオールマイティーだとは思っておりませんし、完ぺきなものだとも思っておりません。ですが、しかし、土地問題は非常にむずかしい。場合によっては土地は全部国にしてください、土地持ちなら全部国に寄付します、そのかわりに私は少なくともいまの土地をそのまま借地として認めてもらいたいと、こういう状態が起こったとしたら、国はそんな政策を採用できるはずはありません。それはもうほんとうに、一つの面からだけでは土地政策は論じられないということだけ申し上げておきます。
○加瀬完君 私も社会主義革命をして土地政策を遂行しようというような大それた考えで申し上げているわけじゃありません。社会政策として、現状において固定資産税のかけ方というものに一つのくふうがあってもいいじゃないかという提言でございます。 総理のおっしゃるように、社会資本的に緑地なり避難地なりとして提供するなら、それはそれで減税の方法もあれば免税の方法も立つと思う。問題は、さっき満足度というお話がございましたが、不満足度百点の者も満足度百点の者も税金が同じだということはおかしい。ですから占有観念の満足度ばかり満喫している者に対しては、満足度はけっこうだから満足度の満足ぶりについても税金をかけろという議論もこれは私は無理な話ではないと思うわけでございます。私も一生懸命研究します。 そこで最後に、今度の問題もこれは総理と意見が一致しないかもしれませんが、なるべく一致さしていただきたいと思うのですが、教育の問題です。教育は政党政派の問題ではないと言明をされましたが、この御言明はそのとおり承ってよろしゅうございますね。
○国務大臣(田中角榮君) これはもう全くそのとおりであります。政党に所属しておっても、あす政党から離脱することはありますが、日本人から離脱することはできないお互いであることを考えれば、申すまでもないことであります。
○加瀬完君 それならば教育政策は党利党略ではなくて、広く国民合意によって進めらるべきものだと思いますが、これもよろしゅうございますね。
○国務大臣(田中角榮君) それはもう国民的合意によって進められるべきものであります。
○加瀬完君 教育は、行政組織の改編だけでできるものではなくて、教師の人間が問題だと思いますが、これはいかがでしょう。
○国務大臣(田中角榮君) 非常に重要な問題でございます。ですから長い時間かかって人材確保の法律案を成立さしていただいたわけであります。
○加瀬完君 これは文部大臣がお答えくだすってもけっこうですけれども、学校の校長は教育者であるべきか、それとも管理者であれば事足れりとするのか、いずれですか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 教育者でなければなりませんが、同時に管理的な能力を持っていることが必要だと思います。
○加瀬完君 管理者がいなくても教育者がいれば教育は進むんです。教育者がいなければどんなに管理練達の者が長になろうとも進まないわけです。いまは、特に文部大臣のお考えになっていることは、管理体制を強化してそれで教育体制を強化しようというお考えではありませんか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 教育の現場におきまして、それぞれの先生方はりっぱな教育者でなければなりませんが、同時に職務の分担、これを明確にして、お互いに能力を発揮しながらも協力をもって進めていくということが非常に大切でございます。職務分担を適正にしていくというようなことは、これは管理に属する問題だと、かように考えるわけでございます。 今日の教育の現場に起こっておりますことは、たとえて申し上げますと、職員会議が最高決議機関だというようなことで、校務の分掌でありますとか、あるいは学校行事でありますとか、そういうことは先生方が決議してきめていくんだと、これがもう最高の決議機関だと、こういうことをおっしゃいまして、国会できめていただきました法律に基づいて、それを基礎にしてきめられている問題に対しまして反発をされる。しかし、校長さんとしては、法律によって「校務を掌り、」と書いてあるわけでございますので、責任は校長さんにあるわけであります。校長さんとしてはどうしても法令に基づいて運用をしていきたい。しかし、職員会議あるいは組合分会、その方々は反対なことをおっしゃる。そこに混乱が起こったりしておりまして、たいへん困っているわけでございます。したがいまして、校長さんはもちろん教育者でなければならない、先生方もみんな教育者でなければならないわけでございますけれども、まずこの教育現場の混乱をなくしまして、秩序ある姿において学校環境が守られるようにしていかなければならない。やはり子供さんたちは、環境が人間を育てるということもいわれておりまするように、環境を守っていくことは非常に大切なことでございまして、これもまた管理に属する問題ではなかろうかと、こう考えているところでございます。
○国務大臣(田中角榮君) これは非常に重要な問題でございますし、これからも起こる問題でありますから、ひとつこの際明らかにしておきたいと、こう思います。 政府は管理体制だけを強化しようと思っているんじゃありません。これは校長とか教頭とかいう人は教育者であって、教育の実情をよく知っておって、場合によれば学級を持つ担任の教師が外国に行ったときには、私たちが小学校時代や中学校時代に教わったように、校長が担任を持ってやってもらう。われわれ校長に教わったよということは一生忘れないわけです。 そういう意味で、全くしろうとが管理者になっても、これは学校というものに理解が示せないということはわかります。わかりますが、管理というものが必要なことも事実なんです。学園の自治を守り、学問の自由を守ってやるためには適正な管理が絶対に前提条件であるということを忘れちゃだめだと思うんです。ですから医者は個人の医院とか、個人の病院の経営には限界があるんです。ですから大きな病院には必ず事務長が必要である。これは管理専門の人がいなければ真に診療の実をあげることはできない。これは私が申すまでもないことであります。 国会でもそうなんですよ。国会にはいろいろな問題があります。国権の最高機関であるといいながら議員よりも身分の高い、法律上身分を確保されている職責が国会にあります。これは申すまでもなく両院の事務総長であります。事務総長は国会の役員であります。新憲法と新国会法をつくるときに相当もめたんです。もめたんですが、国権の最高機関として、議員が行なう濶達な議論というものは議論である。勉強であり、議論であり、法案審議であり、国政の審査である。それを効率化するためには事務総長という国会役員制度が必要である。これを全部二十七、八年前に認めたんです。ですから国会の事務総長は一般の国会議員よりも国会の中においては高い給与をもらっております。身分を保障されております。その程度のものは必要なんですよ、これはどう考えてみても。ですから国会の事務総長が国会の役員であり、議員よりも高い身分を持ち、高い報酬を受けているからといって私は国会の審議権を拘束するもんじゃない。もう私はあたりまえのことだと思うんですよ。 そういう意味で、戦前の教育制度を戦後の教育改革でもって抜本的に変えた六・三・三・四制という新教育制度の中には、戦前のマイナス面を排除しようという目的達成のために、とにかく管理運営というものを学園以外の人にまかさないということをまず四半世紀有余やってみてきたんです。そのために学園は荒れてきたんですよ、一部においてはね。とにかく国費をもって支弁しておる東大の地震研究所も、脳神経研究所も、全然開かれない。教授は入れないという状態が続いておるんです。人殺しが行なわれておる。これはきわまってるその現状に目をおおうてはなりません。真の学問の自由や学園の自治を確保するためにも、ある程度の専門的な管理者は必要である。こういう考え方であって、何も文部大臣も、私も、この内閣も、ちゃんときめたものを、君はこれとこれを教えなさい、四時半になったら学校から帰りなさい、帰らなければ押し出しますよ。こんな管理機構をつくろうなどと、また考えたってできるわけはありません。全然違うのですから、そこらはあなたも専門家ですから、そこらはすなおに考えて、もう少しいい教育制度をつくろうじゃありませんか。
○加瀬完君 その総理のお話はわかるのですがね。だいぶその議論の前提に錯誤があると思うのですよ。 で、校長に教わったよというような環境はいま学校にはないのです。校長は全く事務官に堕しているわけです。 それから管理は必要ですよ。管理は必要ですけれども、学校は教育者としての管理をしてもらいたいのです。教育を離れた管理はしてもらいたくない。 それから事務総長のお話がございましたが、事務総長は確かに大きな役割りをしておりますが、議会運営の主体ではないわけですね。ただ、学校の校長は事務系統の管理者ではなくて、教育全体の管理者であるためにはどうしても教育者を必要とするわけです。しかし、いまは教育者が出られるという面よりは、事務能率の高い者が校長に出るというような面が強くなっていることが問題です。 それから大学の混乱と小中学校の現状というものを同じように考えていただいては困ると思う。 で、戦前戦中では、学校では教育的感覚というのがものを言ったんです。職員会議のことを例に出されましたが、戦前戦中の校長は、職員会議をいたしまして、職員の中で一番いい意見を出す者の意見を採用いたしました。それは教育的感覚がものを言っておったのです。教育者としての識見が高くなければ長にもなれなければ教頭にもなれなかった。それが、これは組合員の不満ではなくて、いま教育者の不満になって出ているわけです。ただ試験だけ通れば校長になる、教頭になる。極端に言うなら、子供をうっちゃっておいて試験を通った者が校長になったと、こういうことでは信頼ができないという不満があるわけです。教育者の識見が職場を支配できるような環境や条件というものをほしいと、こういう環境にあるわけです。これを育成していただきたいと私は思うのです。で、児童生徒を教育する権限というものは、あくまでも文部省や教育委員会ではなくて先生にあるわけですから、その先生がいま総理のおっしゃるように永久に印象に残って忘れられないような業績を自由奔放にできるような環境を、これはつくっていただかなければどうにもならない。これは上から網をかぶせるようなやり方ではできない。 それからたびたび例に引くような特殊の例もあるんですよ。何万何千というある学校の特殊な例を引いてこうだからということは私は議論にはならない。そんな学校があれば、それは校長が悪いのだから、そういう無能な校長はむしろ排除されるべきだと思う。 そこで、とにかく国民の合意を得るように慎重に教育の問題は進めてもらいたいと思います。 終わります。
○国務大臣(田中角榮君) ここで一言、また補足するようでありますが、あなたも教育者でございますから、私はすなおに述べておきたいのですが、戦前の校長に確かに大校長はおりましたよ。それは教育者でもあるし、管理者の適格者でもあった。しかし、そのかわりに校長の職権というのは非常に強かったわけです。これは校長の意に沿わなければどこかへ飛ばされるといううわさもあったわけですから。しかし、その後は教育委員会という制度ができておりまして、当時よりも非常に第三者が人事やいろんなことをやれるようになっておるのでありますから、その意味で教育委員会がまだ不備であるならば、これを理想的に改正すればいいんですよね。それを、ただ教育者がすべて、教育をやらなけりゃいかぬのかということをぜんじ詰めていくと、教育者という身分に隠れて教育を壟断するという面も出てくるわけです。私はそういう例もたくさん知っています。なぜかといいますと、あなたもいまいみじくも言われましたけれども、やっぱり教育というものは、先生が濶達な教育をすることは絶対必要です。教育に情熱を持たなきゃいかぬ。これは事実です。ただそれは、何でもかんでもやっていいなどということは絶対いえないと思います。それはどこからでも好きな教科書を持ってきて、ソ連の教科書でも、中国の教科書でも、アフリカの教科書でも持ってきて、おれは教えていいんだと、そんな自由はありません。それにはおのずから限界があり、泉のごとく際限のないなどということはね……
○加瀬完君 教師の良心にまかせればいいことだ。
○国務大臣(田中角榮君) いやいや、それは良心といっても、人間、気違いもありますよ。そんなことだめだ。それはやっぱり一つの国民的な合意によるワクは必要であるということは、それは当然のことですよ。国民自体が了解できないとしたら、それは教育者の専断ですよ。私はそんなことは認めません。そんなことであるはずがない。それは国民全体の大多数が容認する一つのワクと基準を守って、その中に濶達に教育を行なえるということでなくてどうしますか。私はそこらが、お互いに当然のこととして議論がかみ合うはずであります。これは国民的な立場でかみ合うはずであります。濶達ということと教育に情熱を持つということと、それから恣意によって何でもやれるという権能はおのずから別です。公の立場においてお互いがやっぱり際限があるように、私にも私のやっぱり限度がありますよ。あなたにもあなたのやっぱり制限がある。内閣総理大臣といえども、ちゃんとした法律に基づいてやっているんだから、教師だけがなぜ法律に基づいてやれないか。そこらは私はやはり行き過ぎだと思いますよ。
○加瀬完君 そんな、法律に基づいてやらないなんていうこと、だれも言っていませんよ。地域父母の総意に従って教育の良心でやるというふうに教育基本法は書いてある。教育基本法のようにやる。教育基本法のようにやる教師には政府も地域も全面的に協力する、こうあってほしいということを言っているだけです。以上。(拍手)
○委員長(鹿島俊雄君) これにて加瀬君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(鹿島俊雄君) 細川君。
○細川護熙君 私は、自由民主党を代表して、この物価国会の中での二カ月にわたる論議を締めくくるにあたって、これまでの衆議院、参議院における議論というものが、どちらかというと石油危機に端を発した直接的なというか、個別の問題に立ち入った議論であったのに対して、私はもう少し何というか、マクロなというか、長期的な観点から物価問題の総合的な対策ということについてお尋ねをしていきたいと思います。一言で言えば、つまり物価問題のこれまでの総合的な対策に対する評価と、そしてまた展望ということであります。 初めに話をわかりやすくするために、私はこれまでの物価対策というものを三つの段階に分けて、三つの時期に分けてお尋ねをしていきたいと思うのですが、第一の段階は、四十八年の秋にアラブの石油戦略というものが発表されたそれ以前の時期、それからもう一つの時期は、第二の時点は、そのアラブの石油戦略が発表されたその時点から、原油の再値上げがされたこの三月までに至る時期を第二の時期、それからもう一つは、その上に立ってのこれから先の長期的な展望ということだろうと思います。 そこで、まず初めに第一の段階についてお尋ねをするわけですが、この時期における総合的な物価対策というものがはたして今日、結果論としてではありますけれども、どういうふうに評価されるか、評価をなし得るか。その当時の四十八年度の財政というものがはたして過大ではなかったかどうか、あるいは弾力性に欠けてはいなかったかどうか。あるいはまた金融政策というものが、五回の公定歩合の引き上げというものが、タイミングといいあるいはふん切りといい、はたして適正なものであったかどうか。私はあくまでもこれは過去の政策の成否というものをあげつらう意味で申し上げるのでは、もちろんありません。その当時、そのときどきの政策当局の判断というものは、私はもちろんこれはもうベストなものであったという確信を持っておりますけれども、しかし、円切り上げというものをタブー視したことの結果というものも私はその中に結果としてあったような気がいたしますし、その当時において、たとえばすでにトイレットペーパー騒ぎであるとか、あるいは卸売り物価の高騰というものもすでに二〇%をこえる上昇というものが続けてあったわけでありますから、そういう観点からして、私はこの当時の政策というものを、これからの教訓として生かしていく上でどういうふうに評価をしたらいいのか、たいへんにのっけからお答えのしにくいことをお尋ねをいたしますけれども、率直にひとつ、これから先の問題を考えていく上で評価をしていただきたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) この際明確に申し上げますが、ニクソンショックといわれた事態から約一年有半にわたる国内政策は、必ずしも私は適切であったとも考えておりません。そういう意味では反省をすべきところは反省をしております。 しかし、理由がなかったわけではありません。これは三〇%切り下げというような非常にショッキングな事態に対応して、日本の中小企業や日本の零細企業というものは一体耐え得るのかどうかという問題が一つございました。そういう問題であの当時、野党の皆さんもまた国民的な課題としても、とにかく中小企業、零細企業対策に対しては手厚いことをしなければならないと、それで政府が当時出した予算でも少ない、これをもって倒産が一体避けられるのかどうかという問題が指摘をされたことは事実でございます。もう一つは、日米繊維交渉というあの重大な二つ目の問題が続いて来たわけですが、このときに千五百億円の特別融資等を行なわなければならなかったわけです、税制上の改正その他。一体これでいいのか、これは半分でないかという御指摘があったという事実に徴して、国民が当時の状態を正確に判断できるような状態でなかったということもございます。 しかし、三十五年から四十五年まで十年間、平均して一一・一%というような高い平均成長率を続けておったときに、これだけのことをすれば一体どういうような状態になるのかということは、推算にかたくなかったわけであります。しかし経済的なものやまたその後起こった国際収支の大幅黒字というような問題よりも、まずあのような事態で、二十五年間ようやく今日を築き得た日本が、国内的な、民族的な摩擦を起こさずして、血の粛清も血の犠牲者も出さずして四半世紀やってきた、対外的要因であるからといって、この政策を誤ることによって国内的に混乱を巻き起こしてはならない、こういう考え方が先行しておったということは事実でございます。 ですから昭和四十六年の四月一日から、当時まで対前年度比一五%台の日銀券が増発されておったものが、それからずっと一カ月おきに一%ずつ拡大をし、ついに二八・二%までになり、繊維は千五百億の救済措置を受けながら史上最高の決算を行なったというような数字を指摘されますと、それは完ぺきな政策でございました、これ以外になかったということは、なかなか申し上げられるような状態でないということでございます。特に昭和四十七年の補正予算、六千五百億ばかりでございます。四十七年の補正予算六千五百億というのは、これは当時の要請ではあったけれども、あれだけの税収があるときにあれだけのことをしなければならなかったかと、それは事実上全部次年度に繰り越したというような事実は、これはもう反省すべき問題である。これは私は当時通産大臣であり、その後引き続いて総理大臣の任にありましたので、これらの責めを免れるわけにはいかない、こう考えておりますから、すなおにそれらの問題は自認をして申し上げたいと、こう思います。 ただ、石油問題で全然関係なかったかというと、私通産大臣に就任と同時に、これは国際的な問題、繊維交渉のごときものも避けがたきものである、やがて多国間の交渉も避けがたいだろうと、それから多消費産業というのはこれは転換しなきゃならない、知識集約的産業に急転換しなきゃならないということを述べたわけでございますし、いろいろのことを述べたわけですが、しかし第二、第三の段階を迎えたということで、私は国際的に見ても必然的な状態だと思いますし、これはやっぱり日本の転換の一つのよきチャンスにもなる、私はそう考えておりまして、日本人はこれをチャンスとしてとらえて、ほんとうに水ぶくれをなくし、重病人からうんと栄養をとって糖尿病になりかかった、今度これを十キロ、十五キロやせて、すばらしい体力づくりをする日本に必ずなる、私はそういうチャンスだと、こう考えておるわけであります。
○細川護熙君 いろいろ問題はあったと、つまりこれからお尋ねをするいわば第二の段階、第二の時期、いわゆる狂乱物価に対する短期決戦というものが行なわれたこの第二段の時期におけるいろいろな問題の種というとあれかもしれませんが、種がまかれていたというか、いわゆるその萌芽というものが多少なりともあったということを率直にお認めをいただいたというふうに私は受けとめますけれども、そこで第二の段階で、いわゆるこの三月の再値上げが行なわれるまで、この期間の施策というものは、とにかく総需要の抑制策あるいは金融手段によってあまねく物価を押え込もうということが最大のねらいであったわけでありますが、この便乗値上げによる物価の上昇、狂乱物価に対する短期決戦というものを私なりに定義づけて言えば、異常な経済心理に基づく物価の上昇と物資需給の乱れに対する決戦と、こういうことであろうと思います。 大蔵大臣はせんだってから幾つかの委員会等においても、八割方この短期決戦というものは成功したと、こういうふうにおっしゃっておられますけれども、私もいろいろな経済指標、マネーサプライであるとか手元流動性であるとか、いろいろな経済指標から判断をして、私はここではっきりとこの短期決戦というものは終息をしたというふうに、何というのか、けじめをつけるべきではないかというふうに思いますが、もちろんこれからいろいろ、さっきから話が出ておりますように電力であるとかあるいは米であるとか、あるいは国鉄であるとかいろいろな、いわれのはっきりしたものもあるわけですけれども、いろいろな問題がありますよということを国民に率直に理解を求めるためにも、私はこの時点でこの短期決戦というものは一応終息をしたと、そしてこれからはやはり物価に対する持久戦というか、長期戦に臨まなければならないという宣言をここでなさるのが、政策当局として私は必要な姿勢ではないかと思いますけれども、この点いかがでしょう。
○国務大臣(田中角榮君) 福田大蔵大臣の述べているとおり、異常の状態を呈しておった日本の内政の方向というものは、政府が企図したように、とにかく方向づけは済んだし、国民の理解も得られたし、それから引き締めも浸透してまいったし、この段階で七、八割方成功したということは過言でないと思います。 ただ、詰めが一番大切なときである。これは病気でもそうですが、もうなおったなんていって出かけると、ゴルフに行ったりすると、今度は命を落とすということになりまして、そういうところは非常にむずかしいところでございますし、いまあなたがいみじくも言われましたが、確かに方向づけはできていますから、このままでもとにかく政策効果は上がるという状態になっています。へたすると今度は引き締めのマイナスが出てくるということを考慮して、一つのけじめをつけたほうがいいという考え方、それは経済界にもありますし、学界にもありますし、マスコミにもあります。しかし、政府としては非常に慎重にまだ政策を進めなきゃならないというのは、いま春闘があるわけです、春闘。この春闘が七十兆円の、二〇%にしても八十五兆円になるわけですから、これが一体使われるか使われないかによってはまた暴走するわけです。これは事実そうです。それからもう一つは公共料金その他の是正という問題があります。これは私鉄運賃とかバスとかいろいろなところまで考えますと、相当やはりその行く末を見なきゃならないという問題もございます。 二八・二%も伸びておった日銀の貸し出し残が二〇%台になった、今月一九%台になるだろうといっても、それはしかしベースが大きいものでありますから、これはまだ、一五%台でもって一一・一%の成長率が続いたわけです。二十九年から三十九年までは一四%台の対前年度比の伸びで、一〇・四%の成長が十年続いたわけですから、これは即それが経済成長じゃありませんが、土地が値上がりしたなどということは歴然たる証拠があるわけです。 私は衆参両院でもって、「列島改造論」を君が出したから地価が上がったんだと、さんざんやられましてね、私は、それならあんなもの廃刊にしてもいいと、ほんとに腹に思ったんですが、そうじゃないんですね、これを見ておりますと。四十四年に一兆三百五十九億、四十五年一兆七千億、四十六年に三兆三千五百億、四十七年に三兆二千三百億、四十八年、四十九年の春を入れますと十五兆円近い土地の代金が支払われているんです。どこから出たのか。これは全部貸し増しによって起こったものであります。 〔委員長退席、理事吉武恵市君着席〕 これは事実なんでしょう。これがまだ引き揚げられておらないから、日銀券のしりは二〇%台になっているんですよ。これが一五%台まで引き下がったときには、これはむやみやたらにやれば倒産が将棋倒しになりますよ。これは黒字倒産が続く。そうじゃない。ですから、正規な手形金融はやります。そのかわりに、いまいわゆる仮需要として持っておるものはこれを売って換金しなさい。いま私鉄はそうでしょう。土地をたくさん持っているんですから。持っているものを売ろうとしても買い手がないじゃないですか。半値にしてもない。そうすればどうすることもできない。金融をつけてもらうか、とにかく運賃是正をするか。そうでなきゃ給与も支払えなくなる。支払えなくなるだけじゃない。私鉄が果たしている公共的使命を考えたら、ストライキのごときものじゃありませんよ。そういう状態を一つずつ考えてみますと、遺憾ながらいますぐというわけにはまいらない。 それは、ちょっと締めただけで、先月一ヵ月で幾ら一体外債ができたと思いますか。二百億ドル集めているんです。日本の企業は世界的にそのくらい信用があるんですよ。そのくらい力があるんですよ。そんなときに、目張りが全部できなくて、もうここでもって政策はだいじょうぶでございます、物価は安定しましたなどということを言える状態じゃありません。やはりこれは物価問題は国民最大のものである。五割上げてもね、それは五割といったってわずか二千五百円じゃないかと、こういう議論がまかりとおるようになっているんですからね、だめですよ、これじゃ。五割ずつ予算をふやせるものじゃありませんよ、幾ら何でも。そういう実態が前提にある限り、それは国民の理解を全部得て、目張りは完ぺきに行なう、再び日本をこんな異常な状態には絶対しない、こういうことはやはり政府与党の、長い間政権を維持してきた政党であり内閣の責任ですよ。どんなにうらまれても、どんなに批判をされても、国民の利益を守るためには専心努力をすべきだ。 だから、少しぐらいぬるいお湯が続いたからといって、お湯の中に入っていればかぜ引きませんから、早く飛び出すようなことをしないで、ここはもうあらゆる問題に対して自信を持てる状態、それと、ある意味においてのいわゆる社会保障とか国民生活環境を拡大していって、先進工業国になれるようにするには、やはり自由な立場における民間の活動は幾ばくか押えながら、計画的に国や地方公共団体の投資が多少先行していけるような状態になって、初めて十カ年計画で日本の社会福祉水準はここまで上がるんだということが言えるんです。そうでなくて、また民間に火をつけたら、政府が幾ら社会保障をやっても、政府が出すものはスズメの涙だ、二階から目薬だ、こういうことを何回も言うことになるんですよ。それは政治に対する不信でもあります。そういうことはやりません。これはもう絶対自信を持って、国民がもうわかったというところまでは責任を持ってやりたい、こう思います。
○細川護熙君 おっしゃるように、あらゆる問題に対して自信が持てる状態になるまでいわゆる短期決戦ということは終息しないのだ、こういうことだろうと思います、しかし、それにしても大かたいろいろな状態が終息に向かいつつあるこの時点で、さっき申し上げたような手元流動性であるとかいろいろな指標から見て終息に向かいつつある。もちろんさっきから繰り返し申し上げるように、いわれのはっきりしたものはこれからもどんどん引き続いてたくさんあるわけですけれども、そういうふうないろいろなたくさんの問題がありますよということを国民に率直に理解を求めるためにも、私はこれからは物価というものはやっぱり長期戦ですよということは、これははっきりおっしゃっていただいたほうがいいと思うんです。この点ひとつもう一ぺんだけ重ねて、簡単でけっこうです。
○国務大臣(田中角榮君) それは短期戦というのは異常な物価を正常なものにするというだけであって、あとは今度は長期戦でいきますから、これはもう長期戦である。日本人というのは非常に感度がいいですから、石油が上がった、石油を押えるとこう言ったら、東京を走る車は三分の一になったです。石油はとにかくだいじょうぶだとこう言ったら、もう二週間たたないうちに警視庁調べではもとへ戻ったと、こういうんです。これだけの感度のいい日本人を長期戦に持っていこうというのですから、そこらはやっぱり真実を述べて国民的理解を求めて、腰を据え腹を据えてやるときだ。私はそういう意味で、これはもう物価は水ぶくれを正常にするのは短期決戦である、しかしこれからは、また物価論争で一国会百五十日まるまる物価論争というようなことは絶対にやりたくない。これはプラスのある議論じゃないですもの、これは。国民のために何をつくるかというような議論ならこれはいいけれども、こんなに上がった物価をもとにしてもとっこなんですから。そういうことで、やっぱりこれはそんなものは短期でやるべきですよ、短期で。あとは絶対だいじょうぶだと、こういうことにします。
○細川護熙君 一応これからも長期戦というものについて宣言をされたというふうに私受けとめますけれども、そうなると、そこで問題になるのはこれからの長期的な対策ということでありますけれども、初めに私は経済運営の長期的な対策というものを立てていく上での経済運営の理念というような問題からお尋ねをしていきたいと思います。 初めに、その中で私は一番問題になるのはやはり経済の量的な側面といいますか、成長のスピードという問題であろうかと思います。申し上げるまでもなく、石油という非常に大きな制約によって、これからはわが国の経済というものは縮小均衡に向かわざるを得ない。安定成長ということはもうこれはひとしく、総理がブリタニカの中に書かれた中でもそういうような趣旨のことをおっしゃっておられますが、これはもう前の佐藤総理のころから安定成長というようなことは言われてきたことでありますけれども、しかし安定成長ということばについては、これは個々の受けとめ方が非常にまちまちで、そう言っちゃなんですけれども、政府の部内においてもどれだけはっきりした意思の統一があるのか、私もその辺はっきり伺ったことがありませんが、もう少し具体的な形で安定成長というものの中身というものを私は議論をしておく必要があると思うんです。 大蔵大臣は、四日ですかの決算委員会か何かでウサギとカメの話をされて、カメのようにスロー・アンド・ステディでこれからいかなくちゃいかぬ、それはウサギとカメもけっこうなんですが、もう少し具体的に、いろいろなものさしがあると思いますが、国際水準ということも一つのものさしかと思います、国際水準並みでいくのか、あるいは国際水準並み以上なのか、これも一つのものさしだと思いますし、あるいはまた何というのか、世界貿易の中での日本のシェアについて、どの程度の許容度が考えられるかということも一つのものさしだと思います。そういう何かもう少し具体的なものさしでもって安定成長ということをどういうふうに考えられるか、この点ひとつ総理、大蔵大臣両方から求めたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 何%というのはあまり意味がないんです。ただ、日本においては何%ということばかり言っておりますが、私自身も引用するわけですが、二十九年から三十九年まで、三十五年から四十五年まで、一〇・四であり一一・一であるというけれども、この中の内容にメスを入れなければならぬわけです。 これは二十九年から三十九年までの一〇・四%という内容を見ますと、二次産業比率が非常に高いのです。これは一次、二次、三次産業全部合わせてのGNPの計算をしております。社会主義国は一次産業と二次産業しかやってないわけでありますから、これはすぐ鉱工業生産指数と合うようになりますが、日本はある場合においてGNPが非常に高いときにも、鉱工業生産指数はうんと低いという場合もあり得るわけです。ですから、ただ観念的な何%成長ということではなく、一次、二次、三次産業比率を一つの目標に固定をして、それでこれから十年間こうなりますということには非常に明確な数字が出ると思うのです。 そういう意味で、私はいろいろな試算をやってみましても、経済企画庁がいま慎重にやっておる新全総というのは、これはいままでは過去の累積というものに修正値を加えまして積算をしたのですが、今度はそうではなく、昭和六十年展望なら六十年展望で、年間一・三%ずつ人口がふえていくと、一億一千万人の日本人が一億二千五百万人になる。その中の一次、二次、三次産業比率をまず押えなければいかぬ。 それは押えるということになるとどういうことかというと、西ドイツが一番いい例だと思います。西ドイツは一つの指標だと考えているのです。西ドイツの場合でもって試算をしてごらんなさい、それから主要十カ国のうち日本を除いた九カ国の平均値で計算をしてごらんなさいと、そうしてあとは残るのは、いまスウェーデンが五七・六、その次はフランスが四七・一、イギリスが四六・三、アメリカにおいても三七・三という租税及び社会保険料の合計額が、国民所得に対してこれだけの高負担をしているわけです。日本は二四・一ですから、これが一体二五でいくのか、二七・五でいくのか、三〇になるのかという指数を押えないでやったって、これは狂うにきまっているのです。そうして三次産業比率がいまのようにうんと上がりますと、名目所得はうんとふえますが、それは今度十人でつくったものを二十人で管理しているということでありまして、これは消費者価格や卸売り価格にうんと反映することはこれはもう理の当然なんです。 そういう状態でまず六十年展望でもって租税負担率というようなものをどの程度に押えるのか。高福祉高負担と言っておりますが、観念的ではなく、これを二七・五にするのか三〇にするのかということを押えながら、そうしてそのときには国民総生産はこの程度になり、その内訳は一次、二次、三次がこういう状態になりますということでないと、明治十三年には一次産業八〇・九、二次産業は六・六、三次産業は一二・六だったんです。それが七二年には一次産業は一四・八、二次産業は三五・七、驚くなかれ三次産業は四九・五になっているのです。こういう事態の前提数字を全然考えない国民総生産論議というものは、論文にはなるが実体とは遠いものになる、こういうことであります。 ですから、政府も各省庁あげて、民間の力もかりながら一つの試算をやって、そうしてその中で安定成長——安定成長といっても、成長なくして社会福祉が向上するわけはないんです、現実問題として。ですからそういう面を逆算をしておりますから、出そうと思ってももう少し待とうということで、経済企画庁が何回も試算数字をつくっては引っ込め、試算数字を引っ込めてやっておるんですが、私は非常にそれはいいことだと思うのですよ。これだけの大問題が起こったときに、これを落ちつけて、石油の見通しや産業の進む状態を全部考えながらやりませんと、私がいまいみじくも一言だけ申し上げたのですが、わずかの間で国内の引き締めによって日本の商社や日本の企業は二百億ドルの外貨をちゃんと借り入れているんですよ。これをこのまま続けていったらいまにアメリカと同じになってしまう。日本の国際収支は思い切って逆転する。国際的にはどんどんと出ていくと、こうなれば何にもならないのでしてね、そこらを目張りをして、外債は一体まあここで借金のし得だ、しどきだといって、じゃあ六十年まで一千億ドル借金するのか、それは日本には貸せますからね。そこで、思い切って日本の社会保障をどこまで上げられるのかというような試算は何通りも何通りもやってみなければ、いままでの国会論議のように、ここで何%にいたしますと、そういう答弁はなかなかできません。これは、そういう意味では、やはりほんとうにお互いが学校もやりなさい、社会保障もやりなさい、道路もやりなさい、鉄道もやりなさい、こう言っているときに、そしてみんな国民には土地を与えなさいと言っているときに、それはとてもそういういままでのような感じで私は簡単な試算をなすべきではない。これはやはり未成熟のものでございますが、一つの案として国会に提案いたします、ひとつ各党でも検討してくださいよというぐらいに、フランクに私は六十年展望の指数は出すべきだと、こういうふうに考えていますから、せっかくの御質問ですが、どうも何%というふうにお答えできないことをひとつ御理解ください。
○細川護熙君 いまの点で、何というのか、各産業の、一次産業がどうだこうだということがわかってこないとできないという、これは私もよく理解をできましたけれども、もう少し何というのか、さっき質問のときに申し上げた、たとえば国際水準並みなのかどうか、国際水準並み、国際水準という一つのものさしでどうなのか。あるいは日本が世界貿易の中で占めるシェアですね。そういったようなものからのものさしでならおっしゃれますか。
○国務大臣(田中角榮君) それは端的に申し上げられることは、一つの指数は日本を除く九カ国これは主要工業十カ国の中で日本を除けば九カ国ですから、九カ国の水準というものを考えて、その水準プラスアルファだと思うのです。あとの九カ国は何百年間にわたって、二百年ないし三百年の間、各植民地を持ち、現在膨大な原材料や、資源を持つ国をまだ関係諸国として無関税というような特殊な状態にあるわけです。ですから、その蓄積で社会資本の拡充を行ない、社会保障を増大せしめてきた先進工業国と、無資本の中から足かけ三十年間で今日の繁栄を築いた日本、ただこの築いたのは力があるだけなんですよ。われわれの生活の、家でも何でも全部ぶちこわして、全部建て直さなきゃならないというところでしょう。ですから、蓄積のない日本が蓄積のある主要工業国と同一になりなさい、いつなるのだというのが国会での質問であり、国民は全部それを望んでいるのですから、それを六十年までやるとすれば、少なくとも主要工業国九カ国と同じ率なら九カ国との差は絶対に縮まりません。九カ国の平均指数プラスアルファというもので、いかにして過去の蓄積に対応する分が日本の国内に蓄積されるかということですから、これはその意味では、言えるのはプラスアルファをどういうふうにするか、それは無制限なものではないということです。ただ、石油は入らなくなっても原子力をやればこれはエネルギーは調達できます。日本人はそれに対応するくらいなエネルギーを確保することはできます。できますが、公害の問題もあるし、これから二千万人もふえるものが全部日本に定着するということもむずかしいことですし、いろんな問題がありますので、すなおにここでもっては述べがたいことですが、常識的に述べれば一つの指数はそういうことである。それから国際的な問題としては、国際分業の問題もありますし、それから石油といっても、石油の供給を受けないというかわりに、日本と産油国で合弁事業で現地でやるということになれば、日本まで持ってきてやるよりも、もっと大きくなる可能性もあります、国際的に借金政策をとるか、とらないかということによって。これはしかしバイタリズムの問題でして、日本が一番くみしやすい、相手として一番正しい、こういうふうに評価を受ければ、これは相当海外でもやれますし、いま日本は国際的には肥満児ですから、ある意味においては。だからそういう立場で、いますぐ私は日本の海外活動をどういうふうな状態でシェアをどうするかと言うことはできませんが、石油問題の会議の中から、私はやはりここ半年とか一年の間に国際的なルールもできるし、国際的におおむねのものの見通しはつくだろう、だから五十年度予算編成——私はまあ五十年度よりも、五十年一ぱいがまあいろんな問題の勉強かなあと、そして五十一年から六十年というとちょうど残り十年と、こういうことになるので、まあそんなとこだといままでの五年計画、十カ年計画を全部洗って、五十一年度から六十年度までの十カ年計画に全部直すということになれば、国民もよくわかりますし、学者もよくわかるし、すべての議論がふくそうしないと思うのです。できればそのときに暦年制にかえられれば日本の統計はもっとはっきりする。これは国際的にも国内的にも四月、三月年度を換算をかえて、そういう暦年制にしては国際統計と首っ引きで議論するようなこともなくなりますから、そういうようなことをやるにはどうしても四十九年度、五十年度かかるのかなあという感じをしています。気の長い話だなあと思うかしれませんが、そのくらい考えていると物価も非常に安定的な、世界で最もいい日本、こういうことになるのだろうがな、こう思っているのですがね。
○細川護熙君 いまの問題に関連をして——もう一つだけいまの総理のお話に関連をしてお尋ねをしておきたいのは、例の長期経済計画というものですね。これもまあ今度の大幅な春闘というものがあって、やはりこれは考え直さなければならないような状態になったのではないかという気がいたしますが、この点はどういうふうに考えられますか。
○国務大臣(田中角榮君) これはもう現実的には修正が行なわれているわけです。五カ年間、五十二年度までのものがもうそういう年度割りはうまくいっていないわけですから、ですからこれは長期的——四十八年から五十二年までの計画をそのまま変えるということも一つの考え方です。よく見ていって、この計画では合わないなあといいながらその時点、その時点でもって、まあ一つの目標数字であることは事実ですから、そういう意味で、その時点における国内情勢に対応して五カ年間やっていく、五カ年間じゃなくとも、さっき言ったように五十年でもって区切りをつけて、五十一年から六十年に全部一緒にしたほうがいいですから、実際は。それは港湾五カ年計画でも、道路でも、治水でも、港湾でも何でも、漁港でも、社会福祉計画でも、全部これは年度は別ですからね。これはやはり計算するのはたいへんなんです。コンピューター以外に計算できないというようなやり方をやっているわけですよ。ですから、そんなことよりも、そういう意味で、まあ見直すということよりも、事態の認識をもっと深めて、長期的に今度はもうほんとうに十年間守っていけるような計画に乗りかわるということは必要だと思いますよ。ただ、まああの中でどうしても国会に御提案したのですから政府が守らなければならぬものがあるのです。あの半分しかGNPは伸びなくても、長期社会保障計画だけはこれは自民党内閣はどうしてもやっていかなければいかぬ。ですからあの中で不動なものは、社会福祉の長期計画、これはもう実現をしないわけにはいかぬのです。情勢が変わりましたから低くしますなんというわけにはいきません。これはもうやらなければいかぬ。他の問題に対してはやはり洗い直す、勉強し直す、見直すということは当然やってしかるべしである。ただ観念的にあれはあれでやめて、また新しいものをつくるのですといったって、また一年もたたないうちに別なものにしなければいかぬのじゃ困りますからね。ですから、少し腰を落ちつけて、視野を広くして、野党の皆さんからもさすがだなあというようなものでなければ、簡単に乗りかわれないじゃないですか。
○細川護熙君 いま成長のスピードという、量的な側面についてお尋ねをしたわけですけれども、今度はもう一つ、次にはそういうことになると質的な問題、いわば何というのか、政府が直接に国民に対して保障をすべき福祉の内容とその方式という問題について、一つお尋ねをしておきたいと思うんですが、このことは、最近、いわゆるナショナルミニマムとかソーシャルミニマムとか、いろいろなことばで言われておりますけれども、私は、もちろんこういう問題は所得保障とのかね合いにおいて一律に決定をされるべきものではないと思います。しかし、国民の多くが市場経済というものを信じ、また国民の選択がこう多様化してきた今日の状態というものを考えてみると、やはりできる限り多くの分野は所得保障の面に譲るにしても、やはり国が最低限関与すべき分野というものについて、そのワクを広げていくということについてはやはり考えていかなくちゃならぬことだと思うのです。そこで、ナショナルミニマムというか、国民の基本的な需要、最低限の需要、これはどういうものが考えられるか。たとえば、それは主食である米なんかもその一つでしょうし、あるいはまた通勤や通学の料金の一部とか、あるいは電気代、水道代、ガス代いろいろなものがあると思うのです。そういうものについて具体的にどういうふうなものが考えられるか。もし、また、それが考えられるとすれば、それを具体的に設定をすると同時に、やはり具体的、計量的に設定をすると同時に、やはり年次計画というものを立てて、そういう方向でやっていかなければならぬのじゃないか、こう思うのですけれども、この点いかがですか。
○国務大臣(田中角榮君) 短い時間で合理的に答弁しようと思っているのですが、なかなかむずかしい問題の提起でありますから、ちょっと申し上げますが、これは、あなたがいま指摘をされたような問題を全部含む計画でないと無意味だと思っているのです。今度つくる長期計画の六十年展望のものの中、その中には、大きく分ければ、社会福祉をどうするか、それから新教育制度をどうするか、それから国民の負担をどうするか、租税負担、それから国民健康保険等保険負担、それから応益負担——そこに問題があるのですよ、あなたのいま言った問題よりも一つワクをはみ出しているのは。これは応益負担というものをいままで考えないところに——鉄道運賃をむやみに押えろとか、電気料金は押えなきゃいかぬとか、そうして、ほんとうに応益負担でもって調達すべき資金を財政でもって中途はんぱにしているために計画も遂行できない、財政も硬直する。それで、その資金が有効に回るかというと、それは消費にだけです。消費というよりも、いわゆるレジャー消費に回っているというような面はおおうべくもない事実ですよ。それがばらばらに指摘をされておるというような問題に対しては、やはり明確にしなきゃならぬと思います。それで、やっぱり労働者財産形成というものは六十年になったらどうなるのか。これは全部六十過ぎたら国の施設に収容されるようなことは全く不幸なことです。これは、もうそんなことは不幸なことです。ですから、それはやはり自分の子供や孫に小づかい銭を与えられるような豊かな環境というものをつくるには制度上どうしなければいかぬか。一番低い視野だけを見ての戦後、現在というような面からやはり長期的展望に立ったものの考え方、国民がやっぱりほんとうに豊かな気持ちで生きられるということを描いた計画でなければだめだと思うのです。私は、そういう意味では、やはり鉄道運賃などというものは、ある意味においては鉄道運賃であるがゆえに、公営企業であるがゆえに一般会計でもってまかなって——一般会計このままにいきますと、地方自治体の仕事というのは何になるかというと、社会保障と月給と公営企業の赤字補てんだけにしぼられてしまう。そんな自治体ありませんよ。そうじゃなく、ほんとうに土地計画はどうする、六十年には少なくとも、賃金水準は国際的にこうなった場合には、自分では家も持てるし、セカンハウスドも持てるし、そして、ほんとうに不具の人とか、目の見えない人とか、業病、難病、奇病の人たちは全部社会連帯の中で完全看護をするというような、そういうきめのこまかいものを全部網羅をしたものでなければならないという考え方で、私は——いま指摘のあったように、通学をどうするとかなんとかと、いろんなのありますよ。幼稚園までして、学校は何歳まで入れるというようなものよりも、ある意味においてはいまから後退するのじゃないかという議論が巻き起こる場合もあると思うのですよ。健康な人は、六十五歳から六十歳まで下げなさいというやつを、逆に六十五歳から七十歳までにやろうじゃないかという議論も出てくると思うのですよ。そのかわりに、国がまかなわなければならぬものは全額もう生まれたときから引き取ります。私は、そういうものにちゃんとアクセントをつけなければいかぬと思うんですよ。七十歳が七十五歳になり八十歳までになるのに——人間第一線から離れればすぐまいっちゃうんですから、そういう意味で仕事を与える。やっぱり働けるうちは働くということにウエートが移らなければいかぬのに、六十五歳だ、六十歳、五十五歳になったら全部年金でもって暮らせる、そんなことは私は正しいことではないという考え方に立ちまして、やはり専門的な議論も国民的な視野に立ってその調整をしてりっぱな計画をつくる。その中にはいろんな角度からの議論を全部網羅をして、まあ大体ここらだろうという、六〇%——八〇%の国民から理解が得られるというものをつくろう、つくらなければならぬ、こう考えております。
○細川護熙君 もちろん国が関与していく分野というものをこれは野放図に拡大していくことはできないので、そこの財政のけじめ、国が関与するけじめというものをやはりはっきりさせておくという意味で、私は、その基本的な需要、いわゆるナショナルミニマムというものの設定が私は必要だと思うのです。そういう方向でひとつ御検討いただきたいと思いますが、その問題に関連して、いま具体的なお話は何も出なかったわけですけれども、たとえば石油のようなものについても、私は、たとえば石油製品のような分野に限って、たとえばいま産業界あるいは学識経験者等の間でも、この石油の輸入、流通あるいは価格の各段階において国の関与する度合いというものを、管理体制というものを強めるべきだというような議論もありますけれども、そういう問題も含めて私は検討をしていっていただきたいと思います。 あまり時間がありませんから、私、その辺は質問だけで先に参りますが、それと、さっき総理がおっしゃった——いま申し上げたのは、いわゆる基本的な需要ということでいま申し上げたわけですけれども、それ以外の分野は——それ以外の分野はということは、つまりそれ以外の選択的な分野については、やはりできる限り所得保障の分野で所得保障を高めていくということでやっていかなければならぬと思うのですけれども、さっきおっしゃったいわゆる社会保障の長期計画、これは私、去年のこの予算委員会でもお尋ねをしたんですが、現実に作業はどのくらい進んでおりますか、厚生大臣。
○国務大臣(齋藤邦吉君) 昨年の二月、経済社会基本計画ができまして、そのあとを受けまして、社会保障の長期計画を立てようということで、厚生省の中に学識経験者の諸君にお集まりいただきまして、懇談会をつくりまして、今日まで問題点をしぼりながら御検討いただいておるわけでございますが、御承知のように、昨年の秋以来の経済の激動期を迎えておりますので、その激動期に即応してある程度の見直しをしなければならぬものがあるわけでございますので、そういう観点から見直しを必要とする年金の今後の問題等につきましてはあと回しにいたしまして、社会福祉施設の拡充の問題、さらに看護婦の——医療においていま一番大きな問題は看護婦の問題でございますので、看護婦の養成の問題等につきまして一応懇談会からの答申が出ております。今後は、物価の問題もだんだん鎮静化してまいりますし、さらに今度の国会に年金法の一部改正も提案をいたしておりますから、それと見合いながら今度は所得保障の年次別計画を策定する、そういう方向に進んでいくと思います。 さらにまた、医療保険につきましては、昨年の大改正のあとを受けまして、今年度は、そのうちで日雇健康保険がおくれておりますので、それを今度の国会に提案をいたしておりますので、それができ上がりますと一応医療保険の将来の方向が非常にはっきり出てまいるわけでございます。 そういうふうなことで、今後はそういう問題に重点をしぼって突っ込んだ答申を出していただくようにお願いをいたし、先ほど総理からお話がありましたように、五十二年度振替所得八・八%という基本線は守るような計画をつくっていくようにいたしたいと、かように考えておるわけであります。なお、そうした計画をきめるにあたりましては、そうした給付の改善等ばかりではなしに、負担をどうやってもっていくかというこの負担につきましても、給付の改善と見合った年次別の計画を立てて、所得保障、医療保険における負担をどういうふうになめらかに拡大をしていくか、そういう問題がこの次の問題になろうかと思います。あくまでも基本の線に従って長期計画を策定していく、かように考えておる次第でございます。
○細川護熙君 いま、これから物価の長期対策を立てていく上での基本的な考え方というものをお尋ねをしておるわけですけれども、もう一つこの国会で非常に議論になったのは、統制と自由経済という問題であります。この点については、私たち自由主義経済の道を選んだ以上、介入が介入を呼ぶようなそういう統制のあり方というものは、やはりいつまでも続けるべきではない。これは御異論のないところだろうと思いますけれども、しかし当面現在の行政介入というものは、秩序立った、あるいはゆるやかな値上げ誘導のためには必要なものだと思いますし、また現状ではなしくずし的に新しい価格体系に移っていくより手がないにしても、やはりものの価格はあくまでも需給関係によってきまるものでありますから、やはりその原則に早く立ち戻ることが望ましい状態だと思います。そこで、電力料金を引き上げたあとにでもこの介入の度合というものを徐々にゆるめていって、たとえばどのくらいたったらその介入を撤廃する方向で、何というのか、検討していくかという、その辺のめどをひとつお聞かせをいただきたい。
○国務大臣(田中角榮君) めどというとなかなかむずかしいんですが、これはとにかく物価は夏ごろまでということを一つのめどにしておりますし、こういう異例なことはなるべくやるべきではないんです。ですから、早く正常な状態を招来することが望ましいと。しかし、もうここらで引き締めは解除するんだろう、もういつまでも引っ張っておれないだろうというようなことを待っておるような状態のときには、なかなかそれはめどがつくまでは解除できないと。同じように、今度は異常な物価高というようなものがあったのですから、そういう状態が再び起こらないというところまでは、この体制——この体制というよりも行政が、真にやむを得ないということの状態は続けなければいかぬと思うのですよ。ですから、それは状態が安定的にならなければ一年ぐらいやりますよと、やるつもりですよということも私はずっと産業界にも述べておるわけですから。しかし、これは日本というのは、そんなに諸外国のように——私は、日本人は勤勉ですし、案外質素ですからね、一つの段階を経れば、本来の日本人というものは、そう浪費する日本人ではないという感じです。ですから、土地でも何でも手当たり次第に買えるような金融政策をとったということは、これは政府の責任ですよ、ある意味で。ですから、そういう意味で、金融に対してもしさいに配慮をしてまいると。それで、当然社会保障やその他のいろいろな問題に対して国民的要請にこたえていくためには、やはり計画的な投資が行なわれなければいかぬ。そうすれば、それは好むと好まざるとにかかわらず、国や地方公共団体が主体になる投資というものは拡大していかなければ、どうしても社会保障やなんかできないでしょう。ですから、そういうことになるならば、やっぱり反面自由にという問題は、恣意によって何でも手当たり次第にやれるというような自由は、ある程度のワクの中で押えるということはやむを得ないと思うのです。それでバランスをとっていくということになるんです。それで、そういうことになれば、まあ諸外国と比べてみて、いつでも申し上げるように、国民総生産の中に三〇%、三五%、場合によっては四〇%も占めるような国防費を抱いておる国と違って、現在のままで推移できるとしたならば、日本は少なくとも国民総生産の一〇%でしょう。そうすれば、他の先進工業国が持っている生産力、いわゆる国防費マイナス——日本の国防費でいえば、GNPに対して二〇%も三〇%もものを供給し輸出をする余力はあるわけです。そういう意味で、ノーマルな生活状態を維持していく限りにおいてものの不足は起こらないと。それはよその国が国際的な物価高や原料高によって上がるその範囲内はやむを得ないにしても、そうでなければ、日本で、少なくとも日本だけが異常物価になるような要素はないのだということが理解されれば、これは買いだめもないし、売り惜しみも起こらぬし、売り惜しみや在庫が確保できないように金融の正常化をはかっていけばいいんですから。そういう状態をやはり十分見ながら、いまの制度はできるだけ早く解除することが望ましいと、こういうことですからね。やはり戦後三十年に対する一つの区切りをつける段階ですから、やっぱり何カ月たったらこれを解除して正常なものにということよりも、再び異常な現象を起こさないという大前提をつくると。これが早くできれば早く解除する、おそくなればおそくまではやむを得ぬ。これはおそくやればひずみが起こるんです。あなたがさつき述べたように、石油とかいろいろなものに対してもできますが、これもやはり備蓄とか、それから原子力の開発の問題とか、原子力の公害防除だとか、やっぱり公害の問題とか、そういう国や公共負担の限界があるのでして、これはやっぱり石油公団をつくって全部備蓄をしておってというようなことではないのです。これはやはりあくまでも政府が介入するもの、公が介入するものは最小限でしぼっていくべきだという政策的な基調をくずさないで調整をしてまいるということです。
○細川護熙君 統制というのは、介入というのは、できるならば望ましいことではないということはいまおっしゃったわけですけれども、統制のない状態の中では、これは言うまでもなく独禁政策というものが一番基本になるわけであります。この前からこの国会におけるずっと論議というものを振り返ってみると、私は行政指導下のカルテルが違法かどうかという問題は、学問的にはともかく、国民の立場から見れば、何というのか、非常に学問的な話で、非常にむずかしい論争であったということでして、私はそういうことではなくて、もちろん行政指導というものが非常に現時点において有効な手段であるということも、これはもう言うまでもないことでありますけれども、しかしできる限り、いま総理がおっしゃったように、行政指導というものが行なわれない状態が望ましいわけでありますし、一方においてまた独禁というものも、これは発動されない状態、いわゆる抑止力としての独禁という状態が一番望ましい状態であると思います。その辺については御異論がないと思いますけれども、私はそこで、この独禁の役割りについて、独禁政策のあり方について、形式的にただ取り締まるというだけでは、これはやっぱり早い話が、罰金だけ払えばカルテルによる値上げは可能だということになってしまうので、カルテルを破棄させても価格は下がらないという、そういうふうな何というか、独禁に対する無力感というものが、今回のある意味で、統制というか、介入に対する国民のばく然とした期待感をあおったということも一面で私は事実だと思います。しかし、そういうことで、だからといってすぐに公取に、たとえばその価格の引き下げ命令権を与えたらどうかというと、これもまた私は少なからぬ問題があろうと思うのですが、公取に与えるかどうかということも含めて、ひとり価格の引き下げ命令というものについて、どういうふうにこれを考えたらいいのか、総理からひとつ……。
○国務大臣(田中角榮君) 独禁法の改正問題に対しては、勉強会をつくっていま検討しておりますから、政府は公取委員会の勉強の結果に待つということです。ただ、まあ公取委員長もおられますが、いよいよ立法ということになると、いろんな問題が起こってきますよ。これは確かに公取が審決を行ない——まあただ勧告を行ない、立件をする、立件をしても、私的独占禁止法の定めにそむいた不法カルテルが行なわれたとしても物価引き下げ命令がない、引き下げ命令がないからすぐ独禁法の改正で公取が出せるようにすることが一体正しいのかどうか、これはなかなかむずかしいのです。これは三権分立の根本論にもありまして、もちろん、三権の中でいえば公取も政府機関であることは間違いありません。日銀と同じように、法律に基づいてその職務を行なっている。しかし、これが立法府に属するものでもなく、司法に属するものでもないということになれば、三権になれば、四権がなければあと残るものは行政府だけですから、これはもう行政権であるということは当然。ただ、独禁法に基づいて審決を行なうという面に対しては特別な任務を持っておるということです。ですから、私も国会で論争がありましたから考えてみたんですが、まあすなおなことになると、それは政府に対しても勧告をしなければならない、政府はその勧告は拒否できない、勧告があれば行政的に執行しなければならない、それで行政府がこれに対して、所管の官庁が行政権を行使することによって価格を引き下げるとか、これはただ処罰を受けるだけで、私的独占禁止法の定めに従って罰金を納め、科料を納め、刑に服すれば足るんだということでは、私的独占禁止法の目途とするところは達せられないということは私もわかります。 ただ、いまの私的独占禁止法そのものがこれは輸入物件でございまして、どうも日本の国情に必ずしも合っているかどうかという問題は、制度上はもう少し私は明確にする必要はあると思うのです。これは検察庁法十四条にはちゃんとあります。法務大臣は個々の事件を指揮することはできないという禁止規定があります。やるときには、十四条によって指揮しなけりゃならない、こういうことになってますから、これは同じことなんです。ですから、そういう意味で、日銀法は日銀に対して大蔵大臣の権限は非常に強く書いてありますが、私的独占禁止法という面から見ますと、どうも少しあなた学問的過ぎる、どうも高いことであって、それよりもまず国民は直接効果をねらっているんだと、こういう立場での発言でございましたが、まあ学問的な面からも勉強する必要はあります。同時に、現在の設置法やその他の行政権という面との間のやっぱり調整も必要とするところがあるのです。これは私はこの国会でも、予算でも済みましたら、公取委員長なかなか学者ですから、ですから私もひとつ意見を述べようと思っているのですがね。この行政権には明文がないけれども、行政権で勧告を行なった案件に対しても、これを受諾するかいなかによって協議を行なった場合には、私的独占禁止法に触れてカルテルと認めますと、こういう議論、これはまあ法制局長官もとにかく法律的にはそういうことでございますと言うから、いやわかりましたと、こう言ってますがね。そうすると、行政権行使に限界が起こってくる。これはわかりますがね。そういうところをもう少し法文上明文を必要とするんじゃないかなあという感じもしているのです。そうじゃないと、私的独占禁止なんですから、恣意によって合議を行ない、不当に価格をつくり上げることによって不当利益を受けることを排除するための法律なんですから、どうも行政権との間に——私はしろうとでございますが、立法府の議員としては相当なキャリアがあるわけでありますから、そういう立場から考えてみると、どうも法文上まだ整備をしなきゃならないところがあるなあと思いますよ。そういう問題もひとつ、私のほうからじゃなく、公取でもって勉強しておられるその観点で、政府側の意見も述べたり、行政府としての各省設置法からの意見も述べたりして、それで最終的に国会に提案をする段階までには完ぺきなものにしたいと、こう思っております。
○細川護熙君 いま総理がおっしゃったように、私もそれは占領政策の落とし子という、輸入物件ということで、これはいろいろ私自身も公取とは一体何なのかということについて非常に素朴な疑問を持っておりますけれども、いずれにしても、そういう問題について、価格引き下げ命令権というものについて、これはまあ近いうちに独禁法研究会ですか、ここで結論を出すという、これは秋ですか、たしか九月には結論を出すということになっておったと思いますけれども、私は、これは企業分割の問題なんかとは違って、やはり物価を引き下げるという非常に大きな問題でありますから、九月とは言わずに、企業分割なんかの問題とは切り離して、やっぱり公取の中で、独占禁止法研究会の中で、切り離して、ひとつできるだけ早く結論を出していただきたいと思うのです。 この点、公取委員長、いかがですか。
○政府委員(高橋俊英君) 大筋としてはまさにおっしゃるとおり、この問題を切り離しても早く解決したほうがいいのではないかと、私は思います。しかし、実際問題として、一括幾つかの改正点をあげまして独占禁止法研究会にかなりおまかせした。もちろん、これはまかせっぱなしでございません、私どもの意見ももちろん加えましてやっているわけでございます。その意味で、早ければいいという点はありますけれども、私どもは拙速よりは手がたく、あとに悔いの残らないものをつくりたいという気持ちでございます。 なお、ちょっと先ほどのやりとりを聞いておりまして、私、気になりましたのは、行政指導と引き下げ命令とが関係があるみたいに……、それはございません。法律で明らかに、明文でやろうと、現在、排除するために必要な措置をとることができるという条文はございます。この中に入るか入らぬかという、引き下げ命令権があるかないかという議論はございますが、私どもは否定的に考えております。やはり価格について引き下げ命令するというのは、単なる引き下げ命令じゃなくて、協定を破棄するということによって必然的に生ずべきものなのです。協定を破棄したならば原点に戻れというのが本来の趣旨であるべきである。ところが、それがないものですから、あいまいもこたるうちにさらに値上げさえするという場合があるという、これを私どもが思わしくないと、こう考えているわけでございまして、法律によってそういう状態をなくする、したがって、法律で命令をするということでございまして、行政指導によって価格に関していろいろ指導するというようなことは先進各国私の調べたところではありません。必ず法律によって、その価格を上限をきめる場合でもやっているわけでございますから、こういう点については、私は独禁法との関連で反対意見を申してきましたが、そのらちを越えて申すならば、行政指導によって価格を押えるという、実力で押えるというのは、これは非常な独裁的な行政になりがちでございますので、その点は、私はそういう点からもやはり反対の意見を申し上げざるを得ない。私どもがやろうとするのは、あくまでもそうではない、行政を侵すのじゃありません。法律によって、違法の行為を行なわれた範囲で、破棄命令に伴い通告、引き下げ命令を行使する法律をつくる、こういう趣旨でございますから、どうぞ御了解をお願いいたします。
○細川護熙君 価格引き下げ命令権をどうするかということは、後刻また御検討いただくとしても、私、かつて違法なカルテルの摘発後に、関係の各省の指導なり勧告なりによって現実に価格がどれだけ下がったかということを調べてみますと、ここに一つ資料がありますけれども、これを見ても、ほとんど下がっていないのがこれは一つの現実だと思うのです。ちょうど四十八年度に、価格協定があったのが六十五件、そのうち五十七件が協定を破棄しただけで、もちろん、これは罰金も何も払っていないわけですけれども、価格は全く下がっていない。わずかにことしになってからの八件だけ、具体的な名前もありますけれども。その八件だけが下がっておりますけれども、その下がり方も、大体四〇%から五〇%の値上げ幅の中で下がったのは五%から一〇%です。これだとやつっぱり初めからサバを読んで——変な言い方をすればサバを読んで上げておいて、五〇%なら五〇%上げて、行政指導があったから五%下げましたよということもこれは可能になってしまうので、私はそういう意味でもこの価格引き下げという問題については、どこに与えるかはともかくとして、これはやっぱり早急に考えなければならない問題だと思います。この資料を見ても、とにかく同じ会社がもう何べんもやっているのですね。カルテル——とにかく罰金だけ払えばいいじゃないかという、カルテルはやり得だというふうなやはり感じさえ私は、ここに出てきたこの資料というものを見ると、そういう気がするのですけれども、三回以上やったところだけ——ちょうどこの四十七年度、四十八年度中に勧告を三回以上受けたところが全部で十五社、七回も受けているところが二社あります。五回というのが一つありますけれども。こういうのを見ると、価格引き下げの指導なんというのは、これは全くもう有名無実な感じがするわけです。かといって、告発をすれば何カ月もかかるということになると、なかなか告発もできない。五十万円の罰金というのも、これはまたどうにもならぬことだと思いますし、私は、さっきの価格引き下げ命令、そこまで一挙にいかないにしても、たとえば西ドイツあたりがやっているような、違反行為によって得た超過収益の三倍額をこれは行政罰として課徴するというような、そういうこともやはり一つの方向として考えられる方向ではないかと思いますが、この点ひとつ簡単でけっこうです。
○国務大臣(田中角榮君) まあ、そういうことも考えられます。それは五十円のものを百円にしたら、五十円まで下げさせるのはそれはあたりまえでして、だから、四十円までとにかく下げろと言えば、これはカルテルをやった罰としては効果はあるわけですな。ですから、課徴金としては、不当な行為によって得たものの三倍ということになれば、これはもう過罰になるわけです。何らかの処置を講じなければいかぬということは私もよく理解できます。それで、これは五十万円ぐらいのものを払ったってやったほうが得だというのはもう何をか言わんやで、これは商道徳地に落ちたりということです。ですから、一罰百戒ということで、もっと過料金等を大きくしなければいかぬのかなということですが、それはまた法務省やいろんなところの考え方もあるでしょうし、ひとつ公取の研究会におけるものを待ちます。待ちまして、そのときには、政府側に意見を聞かれたら、政府にもこういうのがあるよということを出しますし、政府側から意見を聞かれなくとも少し勉強しようということにいまなっているのです。通産省でも農林省でもいろんなところで勉強しようと。それでひとつ文章にして、われわれもまたこのような意見があるが、あわせて勉強してくれないかというようなものをひとつ勉強しようと思っているのです。これはもう制度がある以上、これが効率的、能率的に運用されるということでなければなりませんから、そういう意味では真剣な勉強をしたいと、こう思います。
○細川護熙君 いま、そういう制度の面のお話を申し上げましたけども、さっき申し上げたように、抑止力としての独禁ということを考えた場合には、やはりこれは、現在の、たとえば公取審査部の人数は六十八人ですか、今回の石油の例の摘発で、石油カルテルで動員された検察庁の人数は五百人というのですから、こういうことではやっぱり私は組織の面でも、抑止力としての独禁、さっき申し上げたように、できるだけ発動されないことが望ましいわけですけれども、できる限りやはりそういう意味で、私は組織は組織的にもこれは強化をされることが必要だろうと思います。その点だけ申し上げておきます。 さて、次の問題で、物価の長期対策を考えていく中で、国際情勢にどう対応していくかということも非常に一つの重要な柱だと思います。 通産大臣にお尋ねをしますが、エネルギー危機というものは、いま申し上げたように、一番大きな長期的な対策の中での不安要因になるわけですけれども一、外交策を軸として供給体制の安定化をはかる一方で、資源多消費型の産業構造というものを転換をしていかなければならない、知識集約型に変わるというようなことはずいぶん前から言われていることですけれども、これはお題目でなく、どうやって具体的にいま指導しておられるのか、あるいはこれから進めていこうとしておられるのか、少し具体的なイメージがわいてくるような話を少しお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) これはまだ世界的にそういうモデルのようなものはできていないわけです。一つ一つ、ぼつぼつとそういうものができつつある。たとえば航空機産業であるとか、あるいはコンピューター産業であるとか、あるいはファッション産業であるとか、そういうようなものが非常に高度の知識集約をやったものであります。主として情報産業的なものであります。そういうものが出てきておるので、日本の次の産業構造の青写真として、具体的にどういうものをわれわれとしてモデルとすべきかという点は、いま通産省の内部において青写真の研究会をやらしておりまして、たぶんもう二、三ヵ月でできると思います。これができましたらお目にかけたいと思います。
○細川護熙君 いま一点、大蔵大臣にお尋ねをしようと思いましたが、ちょうど外に出られましたので、総理からでもけっこうでございます。 資源輸入の調整をやっていかないと、国際収支がもたないのじゃないかという気がいたします。国際収支の破綻をまた円レートの切り下げでしのごうとすれば、また、非常に大幅な物価上昇の原因にもなるわけで、その辺で、国際収支の関係で資源輸入の調整というものをどう考えられるか。
○国務大臣(田中角榮君) まあ、石油だけでも年間百億ドルも外貨がよけい流出するというのでありますから、算術的な計算からいうと、確かに国際収支問題は真剣に検討しなければならぬ問題であります。しかし、また別な見方もあるわけです。いままでは日本の輸出が伸びて困っておるということで世界的に文句があったわけですが、アメリカでは七一年に四十二億ドル、七二年には三十一億ドルですか、それがもう三年、四年前。ことしの一月は四千万ドルの出超、二億一千万ドルの入超ということで、今年度の対米貿易は、こちらのほうが赤字になるというようなことでありますから、具体的な問題個別の問題については、輸入調整とか、輸出調整とかという問題が起こってはおりますが、いま日本の商品が出過ぎて困るというような事態ではないということであります。それよりも、開発途上国などでは、日本からの一体輸出品が確保できるのかという問題が最大の問題になっているわけです。 タイなどをひとつ申し上げますと、九〇%原材料は日本から供給しているわけです。これが五〇%、六〇%しか供給できない場合は、操業率二分の一になるわけです。これは非常に大きな問題であります。それからインドネシアやその他の国々に対して、肥料六十万トンの要求に対して三十万トン、四−六月だけは何とか輸出をしても、あとの輸出の確保はできない。これは中国の問題やいろいろな問題とのバランスでもって、どっちかを削らなければ出せないというような問題で、そうなったら一体どうするんだと、ことしの食糧はどう確保するのかという問題もあります。それから石油の産油国との間には、非常に大きなプロジェクトがどんどんといま要求され、折衝を続けているわけですから、引き締め基調が続けば輸出ドライブを意識的にやるというわけではありませんが、輸出は相当伸びているということは事実であります。三月対前年度比三〇も四〇も伸びる、史上最高であるという場合もあるわけです。ですから、何でも輸入するということではありませんが、やっぱり供給をふやさなければならないという状態でもあります。備蓄もしなければならぬという状態でもありますし、いま国際収支が直ちに破綻をするということじゃありません。先ほどもちょっと具体的なひとつショッキングな話を申し上げましたが、これは事実だから警告の意味でもいろいろなことの考え方を提供する意味でも申し述べたわけですよ。日本の企業はあっというぐらいの間に二百億ドル以上も外債が調達できるんです。これはもういまだったら日本には幾らでも貸せるわけです、ほんとうに。日本の国内ではいろいろなことを言っておられますが、国外から見ますと日本なら幾らでも貸せる、こういう状態でありますから、これらをあまり無制限にやっておりますと、国際収支の問題も非常に大きな問題になりますし、へたをすると、アメリカがかつて慢性的な国際収支に悩んで、ドルの三〇%切り下げを行なったというようなことも人ごとではなくなるわけでありますから、これらの問題を近視眼的に見ないで、やっぱり長期的にも国際的なワク組みの中で正常な貿易ということを考えていかなきゃならぬ問題だと思います。まあ二、三カ月見ているうちに、国際会議もいろいろ開かれておりますし、いろんな案件も見通しがつくということでありますので、四十九年度、五十年度の見通しというようなものが、そういう中でつけていけるだろうと、こう思っています。
○細川護熙君 いまさっき申し上げた資源外交の問題に関連をして、今度の総理のフランス訪問の件でお尋ねをしておきたいと思います。 今度、ほかの国に先がけて積極的に自主外交ということで打って出られてフランス訪問されたということは、私それなりに非常に評価のできることであったと思います。さっき初めに、きょう加瀬委員からの質問でお話が出ましたけれども、もう少し具体的に、たとえばフランスのメスメル首相との会談で濃縮ウランの話は出たのか、あるいはブラント西独首相との話で、日独資源合同委員会の話題はあったのかどうか、あるいはウィルソン首相との話で北海油田の件については前向きに話が進んだのか、あるいはソ連首脳との間で、シベリア開発の問題について、まとまる問題から個別にやっていこうということになったのか、あるいはこれは全体としてワンパッケージでやるということになったのか、その辺のことでお話のいただける点がありましたら、ひとつ具体的にお話をいただきたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 時間を効率的に進めるために、ちょっと用意してまいりましたから、メモで申し上げます。 まず第一、メスメル首相には弔意を表しました。モナリザの貸与に対して礼を述べました。 濃縮ウランは、前回の訪仏の結果、メスメル首相と書簡を往復し合って実現したものでございまして、石油危機発生前から取り上げたことであり、お互いに先見の明があったという証左であるということで、向こうは非常にそういう点を強調し、これは日仏間の友好増進、これから新しいいろんなプロジェクト推進のために有意義であったということでございます。 それからガボンの鉄道建設につきまして、アフリカ諸国との協力関係増進のため第三国と協調してやっていくものである。これは非常に高くフランス側も評価をしておりまして、ガボンのボンゴ大統領も私に会いたがっておったわけでございますが、双方時間のやりくりがつかなくて実現できなかったわけでございます。また、リビアのジャルディ首相その他とも連絡がございましたが、帰国を急がざるを得なかったために会談はあきらめたわけでございますが、まあ日仏間においては重要な問題が二つもう軌道に乗っておりますし、その前に、アブダビの石油資本、三分の一、日本が割譲を受けたという問題もありましたので、大きな問題三つきまっているということで、非常に日仏間は具体的に接近をしたわけであります。 ブラント首相との間には、日独資源合同委員会が提案をされておりますので、近く日本案を提示をして、これを進めるということにいたしました。欧州をめぐる諸情勢の問題では、石油危機の問題とか対ソ経済協力の問題等、具体的に話し合ったわけでございます。シベリア開発に対しても、場合によれば参加をしてもよろしいと、まあいろんな問題に対してお互いに意見の交換をしようということで別れたわけでございます。また、石油の共同開発その他に対しても、資源石油等の開発に対しても、ジョイントベンチャー方式等を採用することに対して両国は積極的に協力しようということであります。 ウィルソン首相との間には、訪英の際会う予定でございましたが、たまたまブラックプールでの労働党大会出席とかち合ったために実現できなかったわけでございますが、今回は非常に有意義な会談ができたと思います。まあ初対面の第一印象は老練な政治家と、こういう感じでございます。会談では話題にはなりませんでしたが、いろんな話をしておる過程において得ましたのは、ヒース首相がECに傾斜しておったのに対して、新首相は、米国との関係の一そう緊密化ということに非常な熱意も持ち、腐心をしておるということが看取されたわけでございます。 また、北海油田につきましては、国有化するとの意見もあるようだがどうだと、それから日本は東南アジアやアジア地域における石油資源や鉱物資源開発に対してイギリスとの間にスワップ協定をやってもいいんだという話等も出しましたから、先方から、いずれ北海油田開発について六カ月以内ぐらいに案をつくりたいと、その結果、日本にも話し合いをいたしたいと、こういうことでありましたから、これは日本の動向を十分承知しておっての発言であると、こういうふうに理解をしたわけであります。 それからニクソン大統領との間は、貿易収支の不均衡がすっかりいま解決し、日米はきわめて良好な関係にある。まあ物価、資源エネルギー、食糧等、共通の困難な問題に直面しており、今後とも相協力していく必要があると、こういうことでありました。 特にブラント首相やその他と会ったときのヨーロッパ及びソ連は、ことしは暖冬でありまして雪が降らないということで、食糧は必ずしも増産態勢にないというような問題から考えてみても、アメリカ、カナダは今度はうんと食糧を増産をしてもらわないと、世界的に食糧が逼迫すると物価問題が困るから、少しアメリカ、カナダは十分食糧増産をして安定、低廉なる食糧を供給せられたい、これがアメリカがやっぱりやるべき一番大きな使命だろうということに対して、これは大いに協力しましょうと、こういうことでありました。 シベリア開発問題については、アメリカの参加が望ましいということに対して、これはもう参加ということがアメリカ側でも非常に大きな関心事であるということでございました。 それからトルード首相等につきましては、これは招請も受けておりますし、この間特使を送ってくれたということもありますので、これはとにかく先方からたずねてこられたので、一時間余にわたって十分なる会談を行ない、日加両国の問題に対して討議をいたしました。 五月に開かれる日加経済閣僚委員会におきましては、去年行なえなかった分も、来年分も、三年分ぐらい一緒にやろうと、とにかく日本もカナダを必要とし、カナダも日本を必要としておる。世界の平和、世界のいろんな問題解決するためにも、両国の利益のみならず非常に必要であると、これは官僚的な会談というよりも、全くフランクな会談でありまして、意見の一致を見たわけでございます。まあ、特に自主多極外交というものに対して、米国との協調を基調としながらも、日本もカナダもお互いひとつ兄弟のような力でいろんな問題に対して協調しようということでございました。 コスイギン首相やポドゴルヌイ議長との問題につきましては、モスクワ及びフランスで個別に会ったわけでございますが、シベリア開発を進めるとの日本側の方針に変わりはないが、ソ連のほうから種々新しい提案が出て、かえって問題を複雑化し、交渉にブレーキをかける結果となっているのが事実だと、だから、日本が故意にこれを延ばしているというような事実はないと、また各プロジェクトの具体的交渉、価格等にあたりまして、ソ連側からいろんな変わった条件が出るというようなことが問題の解決を遷延さしているんじゃないかということも率直に述べておきました。これに対してコスイギン首相は、ソ連はチュメニ石油の輸送の一部を従来のパイプラインにかえてシベリア新鉄道の建設により行なうこととしたが、この問題と日ソ間のすべてのプロジェクトをパッケージとして結びつけるつもりはない旨、指摘をしました。まあいろんなことを言ってくるもので、次次次々と提案があるんで、これは日本はまじめだからどうもその結論が出ないんだと、日本も世界各地と交渉をし、もうこの間には多数のプロジェクトが決定しているんだから、何でシベリアだけが決定しないんだということに対してよく考えてもらいたいと、これはもう解決する気持ちがあれば必ず解決しますと。買うほうが注文つけるよりも売るほうが腹をきめれば直ちに問題は解決する、これは人類の歴史に明らかである。こういことを明確にしてさましたら、スピーディーにきめましょうやということでありました。ソ連としても、互恵平等の原則のもとに、日本との協力を進める方針であることを再確認したわけでございます。 これらのやりとりの結果、私はコスイギン首相との間で、日ソ間のプロジェクトはできるものから一つずつ個別にきめていこう、こういうことで完全に意見の一致を見ました。それからポドゴルヌイ議長との会談でも同様、私とコスイギン首相との間の前記了解事項が確認され、日ソ双方は、シベリア開発を互恵平等の原則のもとに推進することに意見の一致を見ました。 以上述べたところにより明らかなように、今回の会談の結果、シベリア開発について、これをワンパッケージではなく、個別的にまとまるものから一つずつ取り上げていくこと、また、価格等具体的条件の決定にあたっても、あくまで互恵平等を指針として話し合いを詰めることにつき、日ソの最高首脳間で明確な合意が達せられたことは、本件をめぐる日ソ関係者の今後の話し合いの促進に裨益するものと信じておるわけでございます。 メモにすると、こういうことでございまして、まあ一時間ぐらいずつの会談でございましたが、相当具体的な問題をお互いに提案をし合った一これは一回目でなく、二回目、三回目でありますから、相当ドラスティックなものの考え方で具体的に話が出、そういう問題に対してこちら側の考えも率直に述べて、意義ある会談が続いたと、こう理解をしております。
○細川護熙君 いまのいろいろな一連の資源外交に関連をして、最近石油の問題を契機にして、中東外交であるとか、あるいはまた総理が東南アジアを訪問されることによって東南アジア外交であるとか、いろいろ地域的なブロック外交というものが行なわれたわけですけれども、私一つお願いをしておきたいのは、最近あまり目の向けられていない中南米ですね。いろいろ、銅とか、ボーキサイトとかのカルテルの問題とか、いろいろな問題がありますけれども、日本にとってやっぱりこの資源外交というものを展開していく上で非常に重要な地域だと思いますし、それからまた、法人の進出の度合いとか、資本の投下率とか、いろいろな問題から見て、遠い国ではあるけれども、私はやっぱり総理が一ぺん近い時期に訪問をされることが非常に実りのある結果を生むんではないかという気がいたします。この点について総理、そういう御意思があるかないか。
○国務大臣(田中角榮君) 世界から、相当な国から招請を受けておりますが、まあカナダは訪問しなきゃならぬと思います。 それから中南米はメキシコ、ブラジルというようなところから再三招待を受けているわけです。これは資源の面、大きなプロジェクトもありますし、これも一回訪問しなきゃならぬと、こう思っております。 それから豪州、ニュージーランド、これは、豪州のホィットラム首相もこちらに来ておられますし、これはウラン鉱開発の問題とか、製鉄所の問題とか、鉄鉱石の問題とか、それから西イリアンを含めた広大の地域のガスの問題、それから西豪州のガス問題と大きな問題があるわけです。これは労働党政権ということでナショナルプロジェクトとしてやりたいという閣内の考え方ではあるが、日豪の間だけは別な意味でひとつ協調しよう、こういう話し合いになっておるわけですので、具体的な問題もありますので、早晩訪問をする必要があるという考え方でございます。政治日程が許せば、これらの問題一つずつ、訪問を実現しなきゃならぬだろうといま考えております。
○細川護熙君 いまの問題に関連して、中南米外交というものにこれから力を入れていっていただかなきゃならぬという問題に関連して、行管庁長官に一つだけ、これは時間がありませんから、お願いだけしておきますけれども、外務省には、中南米審議官というのがおりますけれども、中南米局というのはないのです。やっぱりこれは、それはスクラップ・アンド・ビルドという原則はわかりますけれども、それはあくまでも原則であって、これからこういうふうに多極化外交というものを進めていく上で、私はあまり原則にとらわれずに、その辺はひとつお考えをいただきたいということだけお願いをしておきます。 最後に、私は、この物価の長期対策の中で、いまこの問題の春闘にも関連をして、賃金と物価の問題についてお尋ねをしておきたいと思います。 私は、もうすでに始まった春闘について口を差しはさむつもりはありませんけれども、それがこういうふうな異常な雰囲気の中で毎年こうしたことが繰り返し行なわれるということは、国民の立場から見ると、どう見ても不毛のことでしかないという気がいたしますし、労賃を押えるということを、単に被害者としての立場だけで受けとめるのではなくて、やはりその両者で長期にわかって話し合いをしていくルールづくりが必要だと思うんです。そういう意味で、賃金と物価についての新しいルールづくりをしていくための権威のある話し合いの場というものを考えられるおつもりはないかどうか。
○国務大臣(田中角榮君) 賃金決定という問題に対しては、公労委の場もあるし、仲裁の場もあるわけですが、公労委にさえもまかせないということが報道されておりますが、これは、労使の間で話のつかないものは第三者機関にまかす、第三者機関の人選その他機構が完ぺきでなかったら、それをもっと拡充し、理想的なものにすればいいと、人類の英知で片づけていくというような方向で努力しなきゃならぬと、こう思います。 賃金と物価の問題は、これはあまりいま刺激的にならないようにということで、政府側も非常に発言には注意をしているわけです。賃金が上がるということは、国民的には望ましいことでありますが、そういう意味で、賃金と物価との悪循環論というような、戦後のどぎつい表現を使わないように腐心はしておりますが、労働側も、そういうやっぱり配慮というものをすなおに受け取ってほしいというふうには考えていますよ。全然関係ないわけないんです。二〇%賃金が上がれば、とにかく物価にはその六%か七%自動的に、計算上はこれはもう鉄道運賃が上がる、また電気料金が上がるというような問題とは違うぐらい明確に数字ではじき出されるわけでありますから、そんな、はじき出されることをあえて申すこともないと、これは日本のレベルは十分それを理解しているんだということで、刺激的にならないようにという配慮をしているわけです。やっぱり互譲の精神ということで、国民的利益と、それで国民的利益が得られる中でみずからの利益がまた確保されるということが一番望ましい姿であるということで、非常に慎重な発言をしておるということは理解いただけると思うんです。賃金と物価と理論的にどうするか、賃金体系をどうすべきか、制度関係をどうすべきかという問題は、これはやはり私はそのままほっておける問題ではなく、七年も八年もかかるという問題は別にして、もっと合理的なものを何らかやっぱりまじめに勉強してもらうということの必要性は十分感じておりますし、またいろんな角度から検討もいたしております。
○細川護熙君 いまの問題に関連して、こういう時期に申し上げることが適当ではないかもしれませんけれども、いわゆる所得政策という問題ですね、これはいろいろなほかの国の例を引くまでもなく、いわゆる法律によって物価や賃金を押えるというふうなハードな意味での所得政策と、それから望ましいガイドラインというものを国民に示して理解を求めるようなソフトな意味での所得政策とあると思うんですけれども、総理は前から、この委員会だったか、ほかの委員会でだったか、とにかく国民のコンセンサスが得られない限り、俗にいう所得政策はとらないという趣旨の御発言をたしかされたと思いますけれども、総理のおっしゃった意味は、私は、ハードな意味での所得政策ということであって、ソフトな意味での所得政策ということではないと思いますが、その辺ちょっとひとつ確認をしておきたい。
○国務大臣(田中角榮君) それはもちろんのことでございます。所得政策というような、俗に観念的にとられるようなことを——やるときにはこれはずばっとやるべきなんです。やりもしないのに、やるようだということでもって、さなきだに混乱をするおそれのあるところを、火に油を注ぐことはないという立場で、責任ある立場においては慎重な発言に終始しなきゃならぬことは当然であると、こういうことを言っているんです。あなたが言ったように、全く国民的な立場で、所得政策というんではなく、やっぱり物価問題の一環として望ましい賃金というものはどういうものかということは、これはもう国際的に賃金を上げ過ぎて困った例もありますし、上げなくて困った例もありますし、まあうまく上げたなあという例もあるわけですから、そういう意味で、政治的に巻き込まれないで、国民がすなおに勉強の結果を待つというようなものが必要であることはもう論を待たないんです。ですから、チープレーバーだと言われたようなときには、国際的な機関から注意を受けたり、反応がすぐありましたけれども、日本の月給が上がって、それが物価にどう影響するかという問題、あまり外国の機関は言ってくれませんよ。これはやっぱり人頼みじゃだめなんで、これはやっぱり日本がやるべきなんです。ただ、言い出すのはなかなかむずかしいでしてね、やっぱりうまくそういうものが受け入れられるような体制、状態、人選、機構、またタイムリーでなければいかぬというような問題でありまして、今度の春闘というようなものが済んで物価がおさまったら、いま物価もおさめられないでなんだと、こういう物価が上がったやつをとにかくただその分だけよこせというんだというような、そういう端的な議論が横行しているときには、なかなかそぐわないものでして、ですから、この物価問題でも終わったり、 〔理事吉武恵市君退席、委員長着席〕 春闘問題でも済んだら盛り上がるような状態において勉強が始まるということが望ましいんだと思いますよ。
○細川護熙君 おっしゃったような意味であれば、私もそれで納得をいたしますが、早い話が、たとえば所得政策というのは、この国会で、衆議院、参議院で行なわれた物価集中審議なんかも、これは広い意味での所得政策といえば所得政策だと思うんです。物価に対する牽制という効果からいえば、所得政策だと言うこともできるわけでありますから、そういう意味でこれをやっぱりタブー視扱いしたり、悪もの扱いしたりして、将来の政策の選択の手段の中から抹殺してしまうということは、やはりこれは私は困る。やっぱり、そういうことをはっきりこれは将来の政策の選択の一つの手段として残しておいていただかなければならない問題だと思うので、いま申し上げたんですが、その点の御確認いただきましたので、——私もそろそろ時間になりましたから、これで質問終わりますけれども、以上、大体総合的な物価対策というものについて、三つの時期に分けて、特にこれからの長期対策というものをどうしていくかということについて、お尋ねをしてきたわけですけれども、四十九年度予算をこれから執行していくにあたって、いままで申し上げたような経済運営の理念、あるいは具体的な手段、そういうものをこれから実行していくにあたって、初めにも申し上げたように、円切り上げというものをタブー視したことの轍をもう一ぺん踏まないように、政策当局のふん切りというか、決断というものを促して私の質問を終わります。
○委員長(鹿島俊雄君) これにて細川君の質疑は終了いたしました。(拍手) —————————————
○委員長(鹿島俊雄君) 戸叶君。
○戸叶武君 私は、日本社会党を代表し、内閣総理大臣の田中角榮さんに対し、四十九年度予算案の締めくくりの総括質問を行ないます。 田中さんは静よりも動の政治家で、ポンピドー大統領の葬議に参列したおりにも、パリにおいて六カ国の首相と会談しております。このことはすでに田中首相から報告を受けておりますが、世界は激動変革の時代に突入しておりまして、石油問題も、シベリア開発も、通貨問題も、グローバルなスケールで解決に当たらなければならなくなっております。田中首相は、日中国交正常化を断行した直後に、次は日ソ平和条約の締結と取り組むのだと宣言しております。そのおりに、田中さんは、北方領土の返還なくして日ソ平和条約の成立はあり得ないと断言しております。 田中首相は、去る四月五日に、モスクワのシェレメチェボ空港でコスイギン首相と会談した際に、今後シベリア開発は一括してやるよりは可能なプロジェクトから進めていくという話し合いがついたということでありますが、それはいかなることを意味するか、御説明を願いたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) シベリアには資源がございまして、この資源を開発して日ソ両国が恩恵を受けるわけでございますから、基本的にシベリア開発に日本が参加をするということは、もう先年の訪ソによってもきまっておるわけでございます。モスコーでコスイギン首相と会いましたときも、正味一時間これらの問題に対して議論をいたしました。どうも日本は非常にシベリア開発に熱意を持っているようだが、さて実行の段になるとさっぱり進まない、それは日本は一体どういうことを考えているんだと。こういうことであったから、それはこっちで聞きたいことでございますという、率直に話をしてまいりました。日本は資源を持たない国でございますから、どっかから入れなきゃいかぬのです、どっかから。そうして、もうすでに日ソの間でもって交渉をしておる間にも、世界各国とは相当大きなプロジェクトがどんどんきまっているんです。にもかかわらず、なぜ日ソの間がきまらないかというと、問題はソ連側にあると思いますということを明確に申し述べたわけです。ですから、そういう意味で、まあだんだんと条件が変わってくるというようなことではなく、長い間かかってこれから大シベリアの資源開発を行なおうというのであるから、一つずつきめたらどうですかと、こういうことを述べましたら、それはワンパッケージでなくともきめることには賛成です、ということですから、長いことかかっておってきまらない継続事業であるKS木材からまずきめましょうと。そういうことになれば話はスピーディーに進むはずですと、こういうことでありまして、まあシベリア鉄道の開発問題とか、敷設問題とか、いろんな問題がございますが、これは日本が参加するしないにかかわらず、ソ連が独自な立場で、シベリア開発のために必要であるという鉄道であるし、その一部を延長することによって日本がそのほうがより効率的であるという場合は、そういう経済ベースで考える問題であるので、すべてを引っくるめたワンパッケージの問題にしては、どうも話は延びるだけだから、早いものからきめましょうやということで、そういたしましょうということですので、これはまあ一つずつ近く合意ができるものだと考えております。
○戸叶武君 プロジェクト一つ一つ片づけていくということですが、それでは日本の要求していた北方領土、歯舞、色丹及び国後、択捉、この四つの土地は一八五五年の下田条約以来、帝政ロシアすら確認しているのであります。あれから百年を経過した一九五六年、昭和三十一年に鳩山首相は日ソ共同宣言に調印しましたが、そのおりには領土問題をめぐってのソ連及び日本側との見解が異なり、いまだにそれが明確化されていないのですが、田中さんは勘のいい人ですが、この前ブレジネフさんとも会っておりますけれども、ソ連にはソ連の立場があり、日本には日本の立場があり、領土問題はきわめてデリケートなもんだが、必ずこの民族の悲願というものは早晩達成され得るという確信には到達しているのでしょうか。
○国務大臣(田中角榮君) まず、シベリア開発というのは、これは日ソ友好ということを前提にして、日本が必要な資源をシベリア開発によって供給を受ける、こういうことでありますから、純経済ベースの問題でございます。これはソ連側もあそこに広大な資源を持っているけど、よそに持っていくには非常に陸路を運んでも一万キロ、一万五千キロ運ばなきやならぬし、とにかく海路といえば日本という市場があるにもかかわらず、日本を越えてはるかにということになれば、これはもう輸送の面から考えても日本に供給することが一番望ましい、経済的である。これは開発によって得る利益は両国とも得ることでありますから、純経済ベースで進めるということであります。 それから第二の問題は、四島の問題でありますが、これは日本固有の領土でございますので、日本に返還を一時も早くしていただきたい。これはもう鳩山訪ソから一貫して述べておることでございます。この間も、短い間でございましたが、一番最後にちゃんと言っときました、せっかくモスコーで会ってきたんですから。日本が非常に友好的であり、日本がまじめにソ連に接しておるということは大前提として考えなきゃだめですよと。それはなぜかというと、とにかく四島を返してもらわなきゃならない日本側なんだから、それはそんなに——まあ、話はこわれてもいいんだとか、引っぱればいいんだとか、そんなこと考えてないんだと、友好のうちに四島の返還を求めたい、こういう大前提があるんですからということは、私もせっかくモスコーへ寄ったんですからちゃんと言うとこは言ってあるんです、新聞会見では言わなかったですけどね。これはちゃんと言ったんです、それはもう。 そういうことは私も述べておりますが、それは私は訪ソのときに述べましたとおり、四島の返還なくして平和条約の締結はできませんよということは言ってあるんです。平和条約の締結は四島の返還が前提である。それは私だけではない、私が訪ソをする前段において衆参両院において満場一致領土返還の決議を行なった。この決議を背にして私は訪ソをしているんだから、これは国民の声であるということでありますから、これはシベリア開発とは別の問題として日本は対処しておるということを言っておきましたから、だから、そこはまあ、向こうも誤解があったわけじゃありませんが、まあ、冗談のように、四つの島、金じゃ売りませんからねえというような、まあ、そういう話が出るくらいでございましたから、非常にお互いは腹の底で理解をし合いながら、まじめに会談をしておるということの一つの証左にはなると思います。
○戸叶武君 私は、回顧すれば十年前の一九六四年の七月七日の日だったと思いますが、モスクワのクレムリンの宮殿の最高幹部会の部屋で、当時のミコヤン副首相と北方領土の問題で大論戦を展開したことがあります。いまだにこの内容は正式には発表しておりませんし、今後においても一部か発表できないと思いますが、そのときは社会党訪ソ代表団のメンバーとして、団長は当時成田書記長であります。成田さんは、歯舞、色丹の線で日ソ平和条約を結びたいと、平和条約の促進というものに重点を置いて意見を述べました。しかし私はそのとき間髪を入れずに立ち上がって、社会党の決定はそうであるが、これに至るまでにはいろいろな経緯がある。私たちは軍国主義者ではない、帝国主義者ではない、北方領土の全面的返還というものを国民的悲願として求めている。国後、択捉の返還なくしては日ソ平和条約の締結はあり得ないというのは田中首相がいま発言したとおり、それだけでなく国会の総意も確認しておるのであります。その意味において、今日に至ってはあの当時と違って国民的合意を取りつけたということは、私はソ連側でもわかっていると思います。しかし、ソ連には、領土問題においては私たちが想像する以上にむつかしい幾つかの問題をになっているのが事実であります。フルシチョフ当時の首相が、単独会見で私たちに対して、私たちの意見を全面的に支持するような発言をいたしましたが、その後間もなく失脚したのを見ても、私たちが、やはり時と場所をわきまえないと相手をひどい目にあわせるような場合もあるんじゃないかと思いましたが、私はやはり率直に日本の声をアメリカにでも中国にでもソ連にでも、だれかがぶち込んでいかなければ、腹を割って、ときにはつかみ合いのけんかをしても、お互いの民族の心というものを理解することはできないんだと、それには自由な立場の野党の一政治家として、日本人の魂をぶつけなければいけない、そういう形で私は一九六〇年の安保闘争のときにも、浅沼君が——早稲田時代の盟友ですが、殺されたあの直前でありますけれども、北京において三日間私はがんばったのは、われわれは日米安保条約の廃棄ということだけを高く評価してもらいに参勤交代に来たんじゃないんだと、やはり日米安保条約の軍事同盟ができるということを予想して、すでに中国とソ連が中ソ友好同盟条約の中に軍事条項を一年前に加えているはずだ、われわれが安保条約を、日米軍事同盟を廃棄するという場合においては、中国はすでに政権を握っておるし、ソ連との関係はきょうだい国的な立場にあるとしても、それを解消するという確認を私たちが得なければ、われわれは敗戦国の国民であるが卑屈なまねはできない、なまいきかもしれないけれども、対等の立場でなければ日中国交共同声明に応ずるわけにはいかないということをがんばり抜きまして、人民大会堂で、八時に調印するところを朝の二時まで実際かかったのであります。 私は、その向こうは政府、われわれは在野の一政治家にすぎないが、その悲願をあれほどがんこと思われる当時の中国においても生かしてもらえた、そういう気持ちでソ連にもぶつかって、ほんとうにわれわれが民族の悲願というものもソ連が受け入れてくれるかという願いをこめてぶつけたんですが、当時立ち会ったいまは有名な外交官の人が、戸叶さんというのはばかにがんこ者で、こんなえらいやつが飛び込んできたと思ったが、あとでつき合ってみるとそれほどこわい人ではないようだと言って笑い話になっておりますが、私は、もうこの段階にきたら領土問題のみに埋没しておったのでは日ソ問題の解決の前進はあり得ないと思うのであります。そういう意味において、民族の悲願はあくまでも貫く、われわれが押しつけるのでなくて、あなたが言ったように、友好を積み重ねていってまつ正直に飛び込むならば、あのようなヤルタ協定のゆがんだ条約の制約というものは、ソ連みずから次の平和を保障すべき前提条件にはならぬという考え方にまず到達するならば、自発的に解消する段階が私は来つつあると思うのであります。 そういう意味において、自分の立場だけを強引に固執するのでなく、相手の立場をも考慮して、やはり一つ一つ問題を片づけていくのも一つの方法かと思いますが、そういう考え方が自民党内ではたして合意を得られますかどうか。国民は私はわかってくれると思いますが、自民党の中は党内事情がなかなか複雑ですが、その辺はどうですか。
○国務大臣(田中角榮君) 自民党は非常に広範な立場における国民政党でございまして、過去にも困難な問題ございましたが、消化をして今日まで至っておるわけでございますから、自民党の中の御心配はひとつおまかせいただきたいと思います。 とにかく第二次戦争の結果、こういう事態になったわけでございますが、ヤルタ協定でも領土不拡大ということが確認せられておるわけでございますし、日本は過去の戦争等において、正規な外交ルートや外交交渉によって得た領土もすなおに返還をし、放棄をしておるわけでございます。ただ、固有の領土を放棄したつもりもございませんし、固有の領土というのは、これはもう日本人に与えられたもの、日本人の所有するものと、こういうことであります。まあ、そういう大前提に立って努力を積み重ねた結果、第二次戦においては最も迷惑をかけたアメリカが沖繩返還に踏み切ったわけでございます。日中間においては、まあ、恩讐を越えて国交の正常化をはかることが両国永遠の平和を築くものであり、人類の平和に寄与し、貢献する道である、こういう大乗的見地に立って日中のとびらはまた開かれたわけでございます。まあ、残るのは、北方四島でございますから、これはもうどうしても日本の誠意が理解をせられて、早期に日本に復帰することを望んで、たゆまない努力、ねばり強い交渉を続けなければならないということはもう当然でございます。で、また、日ソの間はもう十八年前に国交が再開せられておるわけでございますし、お互いの人的、文化的、また経済的な交流は日に増し拡大をしておるわけでございますから、シベリアという、不毛だといわれながら最も多くの資源を保有するシベリアというものが開発をされれば、モスコーと東京も近くなりますよと、こういう表現で私は述べておるわけです。まあ、飛行機でもってやっぱり十時間飛ぶというと八千キロあるわけでございますから、八千キロあると、いま異常にモスコーと東京は遠いという感じだが、まん中が開発をされる、両国が利益を得るということになれば、日ソの友好というものはそれなりに拡大をするはずだと、まあ、ほんとうに隣国であるということが実証されるわけですから、お互いが経済ベースで利益を確保できるものは、神がせっかく与えた資源じゃありませんかと、これが人類のために使われるということはいいことですよと、いつまでも資源はどこへもやらぬなどと考えておったって、私たちの生命はそんなに長くないと、こう言って、こう情熱を傾けていま折衝しておるわけでありますので、私は平和条約の問題と、友好親善、またその上に立った資源開発というような問題は、直接これ一つではなかなか解決しない問題でありますので、これは分けてお互いが友好の道を拡大していくと、その中で平和を目的とした最終的結論を出したい、こういうことでいくのがやっぱりすなおじゃないかと、そうでないと、なかなか一挙に片づく問題ではないだろうと、だから誠意を間間披瀝をするということで理解を得ていきたい、こういう考えです。
○戸叶武君 田中首相とソ連のポドゴルヌイ議長との七日の会談は新聞も伝えておりますし、本日、また田中さんから詳細な経過の報告はありましたが、田中首相は、ソ連の木材、石炭、石油が日本にとって必要なものであるが、日本は世界各国から膨大な原材料を輸入しているという事実をあげ、ソ連側が資源の日本への供給価格についてすみやかに決定を下すように求めたということでありますが、これはソ連側が国際価格にこだわる場合、日本側としてはシベリア開発プロジェクトに投資してもあまり意味ないことを暗示したものでしょうか。このソ連側の配慮を求めたという態度はやはり必要なことでありまして、木材の輸入等では、実際、日本の木材業者が非常な犠牲を払っている面もあります。ソ連側もこのことはわかっているようであります。いずれにしても、田中首相は、日ソ平和条約締結への道をシベリア開発プロジェクトへの積極的な参加ということで一歩前進したというふうに田中さんの外交を認めてもよろしいでしょうか。御本人から奉ります。
○国務大臣(田中角榮君) シベリア開発問題があるなしにかかわらず、四島の帰属を求めるということは、もうこれは日本人の悲願であります。ですから、これは日ソ友好の結実として、果実として、どうしても実現しなきゃならない。ねばり強く交渉を続ける、こういうことであります。 それからシベリアには、——シベリアは卑近な土地であります。そして膨大もない資源を有する地域である。まあ、ソ連も長いこと自国領でありますし、これが開発に努力を続けておることも事実でありますが、日本は、鳩山訪ソを契機にして、日ソの復交が行なわれた直後から、まあ、魚の問題は年々こう協定が小さくなっていきますが、木材というのは、これは大きくなっていってんです。もうすでに十年近くやっているわけです。そして日本には木材が搬入せられておるわけであります。で、今度はちょうど時期が来ましたので、契約更改の時期に至っておるというにすぎないんです。これはただ、去年から国際価格が上がっておるので、これからもっと上がるのか上がらないのかという問題だけでございますから、これはもう交渉がまとまらないのがおかしいわけです。何もソ連からだけ入れているわけじゃないんです。カナダからも入れておりますし、アメリカからも入れておりますし、アマゾンからも入れておりますし、インドネシアからも入れておるんです。フィリピンからも入れております。豪州、ニュージーランドからも入れておる。そういうことですから、日本人が要求しておるものは、過去十年間に近い実績に基づいて、国際価格の波動を十分考えながら要求しておると思います。そういう意味で、解決できない問題じゃないじゃないですかと、日本人が国際価格に比べて安くたたき過ぎるという気があったら、ことしきめておって、一年間両国でもって世界の木材の状態をずっと調べて、これでも高かったと思ったら来年のものを安くする手もあるでしょうし、安過ぎたら来年高くしたっていいじゃありませんかと、何で一体雪解けを待っておって、木材さえきまらないんですかと、こう言ったらば、うん、それもそうだと、こういうことですな。ですから、あなた方の第一線の人が愛国心があり過ぎるんじゃないですかと、こう言ったら、愛国心はソ連人はみんな持っているっていうことで、まあ、わしも祖国に対しては愛国心を持つこと人後に落ちないと、こういういろんな話をしながら、どうも木材ばかりじゃないんです。木材ばかりじゃなく、第一、いますぐきまるガスがあるじゃないですか、ガスがと、石炭はすぐ出せるんじゃないですかと、そういう問題は、アメリカと比べてみても、アメリカよりもうんと金利が少ないものをどうしてきまらないんですかと、とにかく西ドイツには、キャッシュを払って製鉄所をつくろうといっていま調印したじゃありませんかと、どうして一体日本とだけきまらないんですかと、まあ、そういうことで、日本は近くにあるけれども、安くたたいて買おうなどということを考えていないんだと、たたけばまたたたかれると思っていますから、非常に紳士としての商行為をやってんだからすなおに認識しなさいと、こう言っているんですよ。ですから、それはじゃわかったと、そこへ持ってきて二千五百万トンが四千万トンになったり、また二千五百万トンになったり、パイプが鉄道になったりすれば、それはとてもそうきめられるもんじゃないから、一つずつきめましょうやと、こう言ったら、鉄道はあなた方が参加するしないにかかわらずソ連が必要とするものだから、ただちょっとひげを伸ばせば大量の木材が輸送できるというから親切に言っているだけだと。親切は親切、営業ベースは営業ベース、ちゃんと分けてひとつきめましょうやと、こういうことを述べたわけでありまして、まあ相当、だから出先できまらなかったなら、私は業者から全部聞いてメモをして大使を経由して送りますから、あと三首脳でもって回答を出してもうきまる問題じゃありませんかというところまで述べてまいりましたので、まあ、日ソの国交問題はいまもうすでに正常化されておるわけでありますし、純経済的なベースとして日本が開発をすれば、またアメリカや西ドイツも参加するかもわかりませんが、こういう問題が推進をされることによってシベリアに灯がともり、結局それだけ、その開発のメリットというものはソ連自身も得るわけであります。ですから、そういう意味で私は早晩この問題はまとまると、純経済ベースとしてまとまると、その結果友好は促進されるということでございます。
○戸叶武君 田中首相は西ドイツのラブント首相及びアメリカのニクソン大統領と会談したおりにも、シベリア開発についての協力を打診しております。それはいかなる意図によるものですか。
○国務大臣(田中角榮君) 協力を打診というんじゃないんです。これは参加したほうが得だぞと、こういう話なんです。それはほんとうなんです。これはアメリカ側はもうすでにガルフやエッソやそういう石油会社もソ連側と直接交渉をしておるんです。それからまたアメリカ側との間にパルプ工場の問題がいま討議をされております。ところがパルプ工場の問題は、これはアメリカの金利が高いもんですから、日本のほうがいま安いということで、まあ、考えてみれば日本のほうがいいかなあという気持ちも向こうは当然起こるわけでありますから、そういう意味で、これは私が誘ったというんじゃなく、向こうの業者はもうすでにソ連側と交渉を進めておる。ソ連の代表がアメリカへ渡って交渉も進めておりますし、またICDVとの交渉も進んでおるわけでありますし、またブレジネフ書記長がアメリカの大統領と会ったときもシベリア開発問題は議題になっておるということでございますので、これはまあ、お互いがジョイントベンチャーというのはもう世界の趨勢になっておりますので、そういう意味で、まあ、日本が話がまとまるときにはあなた方もまとめちゃどうですかということで、それはもうそのとおりだと、こういうことでございます。また、ドイツとソ連との間にもプロジェクトの交渉はあるわけであります。現に中東の石油をソ連圏に持って入り、そこで石油化学や製鉄所をつくろうという具体的な、五十億、六十億というプロジェクトが調印されておるようであります。そのかわりに、じゃその石油をどうするのかというと、それに見合う石油をソ連の西ドイツの近郷から西ドイツに供給するというように、もう世界の大勢になっているわけです。ですから、シベリア開発というものに参加をした場合、西ドイツ側からモスコーに参加するというよりも、太平洋ぐるっと回るか、その北極圏を飛び越して日本側から入るということも可能なわけであります。そうすれば、それと見合う分は北海開発に日本が参加をするということになるわけでありまして、これはもうアフリカとか中東の問題でも解決済みのものもあるわけです。日本の石油会社とドイツ国営の石油会社デミネックスとの間にいろんな問題がありましたが、これは私の訪独を契機にしてこれらの問題も解決をしているということで、広範な立場があるのであって、ドイツやアメリカを誘い込むというような考えではないんです。結論的にジョイントベンチャーになることもあり得る、こういうことでありまして、これは国際的な大きなプロジェクトに対してはどこへでも、日本も参加するし、どこの国も入ってくるということがこれからも常道になる、その一環であるというふうに理解されたい。
○戸叶武君 次に、石油、ガス等の油送管の敷設の問題と、第二シベリア鉄道の建設に対する協力の問題についてお尋ねします。 パイプの問題は中ソ国境を通るので、廖承志君が日本に来たときにこれに抗議をしたりいたしておりまして、その後立ち消えになっている模様でありますが、第二シベリア鉄道の建設はソ連の内陸で、ソ連の領土内でソ連が鉄道建設をやるのであって、これは第三国がとやかく干渉する余地はないと思うのであります。日本側はソ連からこのことに関して、技術あるいは資材供給等の何らかの内交渉を受けているかどうかを承ります。
○国務大臣(田中角榮君) 第二シベリア鉄道というのは降ってわいたような話ではないんです。これは私が昨秋モスコーを訪問したときも、すでに建設計画に入っておると、これは日本やアメリカを対象にして協力を得ようというものではない。シベリア開発のために必要とする鉄道としてソ連が自力で建設をするんだと、こういうことで明確だったんです。それはいいことですと、まあ、そういうものができれば、ヤクートのガスや石炭が開発されれば相当部分西側に運ぶこともできるわけですから、そういうためにはいいことでございますと、こう私は述べておったわけです。で、今度永野さんや植村さんが行かれたときにそういう提示があったというので、私は今度行ってただしました。これを日本の七つ八つのプロジェクトと一緒に一込みになるから話が大きくなるので、これは一体どういうのかと、こう言ったら、それはちゃんと提示をしました。で、こういうことで計画はソ連自体として進めておるんだと。ただ、ソ連の計画は必ずしも日本に木材を出すところまでは、そういう地点は選んではおらぬので、そういうソ連が計画をする鉄道にちょっとひげを出すとか、百キロ、二百キロ延長すれば、日本へ持っていくガスでも、それから木材でもパルプでも非常に便利になるじゃないかということであると、こういうことですが、それなら話はよくわかりますと、まあ、それはいずれが一体合理的なのかはそれは検討には値しましょうと。ですから、それをどうもシベリアから八千キロにわたる鉄道を全部七つ八つのプロジェクトと込みなのか、ワンパッケージなのかというところに問題があるんですと。ワンパッケージ政策はとりません、いいですなと、こうちゃんとして合意に達しておりますから、これは分けて考えて、日本のために必要であるかどうかということであります。まあ、パイプでもって持ってきた場合でも、酷寒の地であり、冬は零下五十度ないし五十五度になるわけでありますが、それに一体対応するパイプがあるのかと言うから、それはもう零下百度でももちますと、そんなパイプは幾らでもある、こう言ったら、政治的な立場か、まあ冗談のように、日本がちょっと参加すれば鉄道のレールでもパイプでもみんな日本から買おうというのに商売気がないですなあというような、そういう話でございますから、商売気は大いにあると、それは別の問題として十分また勉強しましょうというぐらいな、一時間で相当詰めてきた話でございますから、しかし、いろいろ両方でもって遠くでもって憶測をしておったようなものに対しては非常に明確な合意ができたと、こう理解しております。
○戸叶武君 七つ、八つのプロジェクトの中で、現実に調査に着手あるいは協力を実施したプロジェクトは三つぐらいあるということですが、それは何ですか、お示しを願いたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 一番初め港をつくったんです。港はもうできました。それから第二はKS木材、木材は十年近く伐採をし、搬出をして内地に持ち込んでおるわけです。それからいま日本が経済的に合う問題として相当煮詰まっておるプロジェクトの中にはヤクーチャの炭田開発があります。同じく同地区の液化ガスの問題、ガス開発があります。それからその次には沿海州の大陸だな資源の開発、調査費がある。それからその次にはサハリンのガス及び石油開発があります。そのほかにはチュメニの油田があるわけです。そのほかにも新しいプロジェクトとしていま出ておるのが、アメリカ側との話も進んでおるパルプ工場というのがあります。もう一つありますのは、日本で原子力発電がなかなかむずかしいようだから、南樺太に四百万キロないし五百万キロの原子力発電所をつくってもいいから、日本がその電力を北海道へ引くかと、こういう問題があるわけですが、新しい問題が次々出てくるわけです。ですから、私がいま述べた段階ぐらいで具体性、実現性というものは非常に濃厚であると、このように理解していただきたい。
○戸叶武君 田中内閣の外交政策の中で最も不可解で心配にたえないのは、日中国交正常化はできたが、日中両国間の成果ははたしてどれだけあがっているか。日中貿易について中曾根通産大臣に承りたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 日中の貿易については、経済協力に関する貿易協定が成立をいたしまして、そういう背景もありまして、両国間の貿易は次第次第に増加してまいりまして、大体昨年は、その前の年の倍近くに伸びております。ことしもかなり順調に伸びております。そのほか、鉄鋼そのほかの経済協力の案件も、あるいは肥料そのほかの輸出等の問題も目下交渉中でございますけれども、これらも話し合いは友好的に行なわれて、経済関係についてはかなりお互いの間はうまくいっているように思います。
○戸叶武君 いま問題になっている日台関係の貿易はどうなっておりますか。中曽根さんに承りたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 手元にいま数字の資料がございませんので、調査して御返答申し上げます。
○戸叶武君 総理大臣が席におりませんから大平さんに承りたいと思いますが、いま一番問題になっている日中航空協定の交渉ですが、日台間の空路問題はどうなっていますか。日台空路に関して、台湾側では、台湾の主権と尊厳を侵してはならない、その保障を求めるということを党内の台湾寄りの方に主張しているということでありますが、このことは何を意味しますか。
○国務大臣(大平正芳君) 日台間の航空路は、正常化後といえども中国側の理解のもと、順調に維持されておるわけでございます。私どもは、今後この航空往来がより安定したベースで維持したいものと念願いたしておる次第でございます。台湾側におきまして、尊厳と主権について言及されておりますることは承知いたしておりますが、これは台湾の政権にとりまして、この問題がたいへん重大な関心事であると私どもも理解をいたしておるわけでございます。しかし、私どもといたしましては、日中間の航空協定を結び、日台間の航空往来を維持していくと、二つのことを円滑に実際的に処理してまいりたいということを目的といたしまして鋭意努力をいたしておることでございまして、このことにつきまして、中国側には理解を求めなければなりませんし、台湾側には了解を得なければならぬものと考えております。
○戸叶武君 世間では今日開かれる自民党総務会の動向に異常な関心を寄せています。日中航空協定について、北京で、いまだ重要項目で合意が得ていられない模様であります。それは日中の交渉で、政治原則、つまり日台路線に、日本政府の姿勢について最終的に了承するところまではいっていないからだということでありますが、大平外務大臣は総務会で、いわゆる台湾寄り派という人々に対して、きょうの新聞で伝えるところによると、日台路線は切れないという発言で何とか切り抜けようというところへ来ているということでありますが、その程度の発言で切り抜けることができるかどうかを承りたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 日台路線は、日台問の航空往来は、先ほど申しましたように、今日まで順調に維持されてきておるわけでございまして、今後もこれを安定した基礎の上において維持してまいりたいと念願しておるわけでございまして、私としてはこれが切れるというような事態は全然考えておりません。
○戸叶武君 政府は日中航空協定について本国会中に承認を取りつける方針ということでありますが、このことは田中総理大臣にお尋ねします。 世間では、二十日ごろまでに調印するという見込みを立てているのではないかと推定しておりますが、調印前の法制局による協定案文審査期間などから逆算して、十四、五日ごろまでに乗り入れ地点、以遠ルート、税金問題など合意に達しないと、二十日に調印ということはなかなかむずかしいと思うのでありますが、山場はきょうの自民党総務会ということでありますが、見通しはいかがですか。
○国務大臣(大平正芳君) 山場は自民党総務会でなくて北京交渉でございます。北京における交渉が煮詰まりまして、それが仕上げができますと、私といたしましては今国会中幸いに間に合えば御承認を求める手続をとってまいりたいと思っておるわけでございます。現在の交渉の段階は、一応いろいろな問題に触れてまいっておりまするけれども、完全に仕上がったというところまではまいっていないわけでございまして、鋭意その詰めを急いでおる段階でございます。
○戸叶武君 ただいまの大平外務大臣の答弁は一見識を持っております。私も自民党の内部のことには立ち入らないことにいたします。しかし、田中総理大臣に答弁を要請したいのは、田中首相は自民党総裁であると同時に内閣総理大臣であります。外交は内政と異なり国民的合意を必要とします。日中国交正常化の宣言を国会で承認し、国会の合意、国民的な大多数の合意を得て手続的に間違いないのにもかかわらず、今日の段階において、反対党ではなく、自民党の内部から大平さんあたりが突き上げられている状況を見ていると、私たちは他人ごととは思えない何という政治の世界は非情な世界かということを感ずるのでありますが、これに対して田中さんはどういう配慮を持っておられるのでありましょうか。
○国務大臣(田中角榮君) 先ほども申し述べましたように、自民党、長い間にはいろんなことがございましたが、おおむね妥当な結論を出して消化をしてきておるわけでございます。これはもう御承知のとおり、サンフランシスコ平和条約の問題も、また鳩山訪ソ、日ソ国交の回復の問題も、私が北京へ参りますときも、今度の日中航空協定も、たいへんな問題であればあるほど自民党は国民政党として十分な議論を尽くすということは事実でございます。しかし、政府与党として必要な手続を了するまでには、自民党は必ず結論を出すということが過去の例でございます。日中航空協定が必要なものであるということは、もう異論のないところでございます。また、党議も決定いたしております。党議の線に沿って政府は日中の航空協定を急いでおるわけでございますから、調印が済めば、自由民主党の党内手続である党の了承を得て国会に批准を求めるという段取りになるわけでございます。自民党の問題、いろいろ御心配賜わっておりますが、これもやはり重要な問題であるだけに、遺憾なく討議を続ける姿であるというふうにひとつ御理解をいただきたいと、こう思うわけであります。
○国務大臣(中曽根康弘君) 先ほどの台湾と日本との貿易の関係でございますが、日本からの輸出は、昨年度十六億四千二百万ドル、輸入が八億九千万ドル、中国との関係は、輸出が十億四千万ドル、輸入が九億七千万ドル、伸び率は七二年、七三年にかけて大体中国も台湾も同じぐらいの率で伸びております。
○戸叶武君 自民党は、よそから見ると、党内の言論が自由放任主義であって、てまえがってのことをかってに言えるところでうらやましい面もあります。しかし、近代政党としては何か欠けているものがあるのではないか。私は、外国から見ても、国内の国民の世論に徴してみても、どこに鼻があり、どこにへそがあるのかわからないのがいまの自民党で、こんとんの中に明け暮れているが、こんとんというのは、荘子の哲学によると、あまり目鼻をつけると死んでしまうということであります。目も鼻もつけないで、そのままに流れさせていけば、流水三尺にしてにごらずということで、いつかは静まるということでありますが、それでは私は、実際どっちを向いてものを言っているのか。国会の前例からしても、一度外交上で決定した問題に対して、再び二つの中国の主権論の論争なんかぶり返されるということは前例のないことであります。外国でもびっくりすると思うのであります。その辺のことに対して、病める自民党の悩みについて、大平さんからは答えられないでしょうから、田中さんは率直な方ですから、率直に承りたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 自民党の勉強ぶりといことに対しての御批判がございましたが、自民党、国民政党でございますし、非常に慎重に討議をするという政党でございまして、これは結論が出る一ときになればちゃんと出ます。ですから、あまり近くで見ておられるといろんなことが見えるかもしれませんが、遠くから見ると大自民党はちゃんり頭もあるし目もあるしということでございまして、そう御心配になることはありません。ただ、非常にやはり困難な問題であるし、重要な問題であることは事実なんです。それだけ慎重を要する。慎重に、しかもこれだけの大仕事をなし遂げるときには、とにかくみんなが議論をして、みんながすっきりとした気持ちで承認をするということでございますから、いろいろ評価がございますが、そこらが自民党のいいところでございますから、これだけの大仕事を三十年近くもやってくるのでございますから、やっぱりいろんなことがございましたけれども、吉田さんのときも、鳩山さんのときも、私が訪中のときも、党議はしゃんとまとまっておるわけでございますから、そういうところはやっぱり民主政治体制というものの一つの見本だと思って、ある意味でひとつ高く評価していただきたい。
○戸叶武君 水も長い間ためておくとボウフラがわく。長期政権のひずみがいまの自民党に出た。これは自民党だけでなくて、イギリスの議会政治の中においても、内閣制度をつくり上げたウォールポールの二十年政権が崩壊するときには腐敗その極に達したのであります。アメリカでも南北戦争の後における二十年以上の政権が続きましたが、腐敗をまき散らしたのであります。この辺でやはり私は、自民党というものは近代政党にたたき直さなければならない。これは田中さんのことでありますが、田中さんが、先ほどの人生哲学の中で、日本人というのはショックに強い、敏感性があるという形で述べられておりますが、私もその説には賛成です。一九三七年以来、この激動の革命期において、一九七一年のニクソンショック以来、その翌年のドルショック、昨年十月の石油革命とまでいわれるショック、ショックに敏感で少しあわて者過ぎるところもありますが、対応に強い。なるほど日本民族はテンション民族だわいというふうに世界が見ておりますが、半分は皮肉ですけれども、半分はコペルニクス的転回の妙味を持っている田中さん並びに日本民族の変わり身の早さというものに世界はびっくりしていると思うのでありますが、われわれはやはりよい面を見てその線を伸ばさなければならないが、日本で一番欠点は、やはり石油、鉄、その他の資源に恵まれてないということでありますが、長所は、昔から気候が温暖で、台風による被害はあっても、雨によって水を豊富に持つことができる。豊葦原の瑞穂の国といって食糧にはこと欠かないような長所が日本にはあるのであります。田中さんは、大平さんもそうですが、石油ショック以来やはり資源外交を世界各国に向かって多極化外交の形で展開しておりますが、これはアメリカ一辺倒外交の反省がアラブ寄り外交となり、あるいは東南アジア重点外交というふうに次々に打ち出されておりますが、このエネルギー資源の確保、食糧自給の確立、これを目ざしてどのように今後政策を展開していくか、その点を承りたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 御指摘のように、原材料、食糧その他重要な資源に不足している日本でございます。しかもその不足は大量に不足をいたしておるわけでございますので、わが国の資源外交はグローバルなベースでやらなければならないわけでございまして、世界の一地域だけに偏曲してまいるわけにはまいらないわけでございます。したがって、わが国の外交方針といたしましても、友好同盟国はもとよりでございますけれども、体制を異にする国との間におきましても、経済、文化その他の関係の濃密化を通じまして理解と信頼を深めていっておるゆえんのものも、わが国の置かれたそういう立場を踏まえてからのことでございます。 それから第二に、この資源問題というのは、わが国だけの問題でなくて世界全体の当面の切実な課題でもございますし、また巨大な問題でございますので、やはりこの改善、解決は国際協力に待たなければ成果があげ得られないわけでございますので、このあらゆる機会、あらゆる場面をとらえてわが国は進んで国際協力に参加して、わが国の主張は主張として述べ、わが国の要求は要求として主張し、そしてわが国の必要とする資源の安定確保をはからなければならぬという姿勢を貫いておるわけでございます。 それからアラブ外交についての言及でございましたが、アラブ外交も基本的にそういう考え方でやっておるわけでございまして、油ほしさから、なりふりかまわずやっておるわけじゃ決してないのでありまして、末長い信頼関係を築くことによって、その結果としてわが国の必要とする資源の安定確保に役立てようということでございまして、基本は、そういう国々との間に協力関係をじみちに築き上げようというじみちな努力として評価していただきたいと思うのであります。
○戸叶武君 内政も外交も、経済政策も外交政策も不可分な関係に、しかもグローバルな形において展開されなけりゃならない段階に来ておりますが、問題は経済政策において、田中内閣における田中首相と福田大蔵大臣の考え方は、基本的に経済見通し、経済成長率について異なっているという印象を私たちは受けております。田中首相は、池田さん以来の伝統を継承し、西欧以上の成長率を主張しております。高度経済成長政策を改めようとしておらない模様であります。福田さんは、石油ショック以後における西欧の成長率、四%ないし五%以下ぐらいに成長率を見ているのではないかと思いますが、私の推定よりも、ここに御本尊がいるのでありますから、やはり個性ある御答弁を田中首相と福田大蔵大臣からこの機会に承りたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 先般もそういうような御指摘がありまして、田中首相から、新潟県人と群馬県人ぐらいな違いがある、こういうふうにお答えしたんですが、まあ違う人間ですから考え方が違うと、これは多少のことはあると思います。しかし、国策になるときには、これを閣議でちゃんと論議しましてそういうふうにきめます。これはもう統一します。ですから、その辺につきましては一切御心配ないようにお願い申し上げます。
○国務大臣(田中角榮君) 福田大蔵大臣述べましたとおり、同断でございます。(笑声)
○戸叶武君 どうも越後から米つきに来た人と、上州——やくざと言いませんが、やはり上州の福田さんの、とにかくこの答弁にはこっちも辞易したんでありますが、まあいいでしょう、そこいらがやはり田中内閣の幅のあるところでしょうから。(笑声) 問題は、しかし、この個性ある二人の発言というものをどういうふうにつかまえていこうかというので、国会でもずいぶん野党の人たちも悩んでいるのでありますが、まあ自民党というものはなかなかむずかしい、やはりつかみどころがない面があるところに国民がだまされているか、一顧の魅力をつないでいるところかもしれませんが、問題は、福田さんは、総需要抑制によって物価の値上がりの鎮静を待つ、事実上物価は安定したではないかというような表現をしておりますが、きょうの論議においても、高物価の横ばいで、コストプッシュ型のインフレであり、不安定な安定というような、一つのインフレの病がまだなおってないという見方をわれわれはしておるのですが、あなたは病気は完全になおったという診断でしょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) 私は午前中もお答えしたんですが、これはもうものには段階があると考えているのです。今日までの段階は、一つの私は区切りの時期であると、こういうふうに見ております。つまり去年の暮れからことしの正月にかけて物価が非常な大混乱状態になった。これはどこから起こったかというと、物価の一つの面である需給関係から起こっている、つまり仮需要が非常な異常な形で暴発をしておると、そこから出てきているんです。そこで、総需要抑制政策というので、これが鎮圧にかかったわけでありますが、この仮需要は二月の中ごろからだんだんだんだんと落ちつきぎみになり、今日ではもう大体仮需要は再び起こらない、こういう段階まで大体来ておると、こういうふうに見ておるのです。 今度しかし新しい局面に入る。それは仮需要——この需給関係はまずまず克服し得たと。しかし、生産コスト、コスト上昇要因が、あるいは春闘、あるいは電力料金の、あるいは国鉄、私鉄の料金の引き上げと、こういうことで解決を迫られておるのであります。総需要抑制政策は、この需給要因打開のため、仮需要討伐のために採用されましたけれども、さらばといって、新しい段階に入ったからといってこれを取りやめることはできない。つまり総需要抑制政策が、このコスト要因により物価が動揺する、不安定になるということを今度は抑制する、任務を変えてまた引き続いてとられていかなきゃならぬ、こういうことになってきておる。私は、総需要抑制政策をずっとそういうことで進めてまいりますれば、需給関係からは物価は下がりぎみの傾向になる。また、そこへ逆に今度はコスト引き上げ要因がある。それが調整されて新しい価格水準というものが生まれてくる。そういうふうに経済は動いていく、そういう見通しを持っております。
○戸叶武君 福田さんは、物価狂乱をオーバーキルで異常なインフレを一応鎮圧したというふうに見ているんですが、だれが見ても、高物価安定といいますか、不安定に定着しつつあるようにしか思えないのであります。ここで問題は、このどさくさに資産の分配が好ましい形でなく、貧富の差が非常にギャップを生んでいるのでありますが、インフレは強い者を強くし、富める者をうんと金持ちにさせ、弱い者を弱くし、貧乏人に犠牲を強要するような結果を導いているのが事実であります。その意味においてインフレをだれでもがおそれているのでありますが、インフレによって大衆が収奪をされた富の不公平な配分というものを、どういう形において不公平な配分を公平なほうに切りかえていくか、その点を二、三お聞きしたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、インフレ物価高ということは、それは性格といたしまして、ただいま御指摘のように社会的不公正というか、富の不公平な分配というか、そういうものを非常に刺激する要素を持っていると思うんです。結論としては、強い者が助けられて弱い者がひしがれる、そういうような政治の目標とするところと全く逆の作用をする。それであるからこそ、物価高、これは早期にこれを解決しなければならぬ、こういうふうにいま考えておるんです。やっぱりそういう問題に対する対策というものはこれは考えなければなりません。たとえば弱者対策、そういうようなもの、あるいは高所得者と低所得者との均衡、それはことしの予算に関連いたしまして大幅な所得税減税案を提出をしておる。また、非常に抑制型の予算でありまするが、その中におきまして社会保障費を大幅に伸ばしておる、そういうような努力はいたしておりますが、根本的には、これはインフレを一刻も早く断ち切る、これが私はきめ手、これ以外にきめ手はない、こういうふうにいま考えております。 ただ、いかにも激しい混乱であり、動揺であったわけでありまするから、ずいぶん傷あとを日本社会に残していくだろう、税の政策をとりましても、あるいは予算上社会保障費に配慮いたしましても、つめあとというものは、ずいぶん私は残るだろうと思うんです。そういう問題は、物価が安定し、国際収支の見通しもつく、そういう時期におきまして、いわば戦後処理というような形でいろいろ考えなけりゃならぬと、かように考えております。
○戸叶武君 国民は、インフレというふうに今日の状況を見ておりますが、田中さんは、インフレということばをきらっておりますが、これは人の好ききらいの表現ですから、これには立ち入りませんが、インフレ利得を社会に還元するということは大切なことであるということをいま福田さんが述べておりますが、法人利益、大企業の利益に対して適正利潤を前提とした臨時課税をかける、あるいはインフレに便乗した土地騰貴に対して土地再評価税をかける、戦後昭和二十五年にシャウプ勧告でやったような資産再評価ということもこのようなときには可能ではないか、いろいろな説がありますが、福田さんは、この中でどれをとろうとしておりますか。
○国務大臣(福田赳夫君) まあこれだけの大混乱のあとでありまするから、日本社会は、実に大きなでこぼこといいますか、このあらしの残すつめあとというものがずいぶん残るんじゃないかと思います。その地ならしをしなければならない時期というものが私はあると思うんです。ただ、その地ならしの方法論ということになりますと、これは、このいまの混乱がどういうふうに収拾されますかですね、その収拾されたあとの、日本経済の姿というようなものをながめてみないと、この時点で、どういう対策をとるんだということは、なかなか申し上げられないんではないか。しかし、まあ大きなつめあとが残ると、それに対しましては、これは地ならしのために、相当の施策が必要となると、こういうふうに考えております。
○戸叶武君 あらしが来たときには、政治家はみのかさをかぶってあらしの中に飛び込んで、そのつめあとを直さなければならない使命があると思います。インフレの最大の被害者は、社会保障層であります。現在平均月額受給が三万六千円前後の厚生年金、一万二千五百円の国民年金、五千円の老齢福祉年金を受けている人等は、最大の被害者ではないかと多くの人が見ております。政府は、国民春闘において、ことしは労働組合の人たちが、国民春闘という形で、弱者のためにわれわれは要求するだけのことは要求して、これをもかちとろうという気がまえできておりますが、これに呼応して政府のほうも、その意見は全くだ、おれのほうもそれに同意だという線を打ち出してくることによって、春闘の解決というものも、あまりひどい傷あとを残さないでいけるんじゃないかと思いますが、この国民春闘の要求に対して、大蔵大臣はどのように受けとめておりますか。
○国務大臣(福田赳夫君) まあ先ほど戦後処理ということを申し上げましたが、戦後処理じゃない、この戦争中といえども、社会弱者というものは特にお困りになる。それに対しましては予算上もたいへんな配慮をしているわけです。また経済を、経済見通しのように見ておりますけれども、これに大きな変化が出てくる、違いが出てくるということになりますれば、それに対しまして、また予算に上積みというか、とにかく新たなる対策をとらなきゃならぬ、あれやこれやといろいろ考えておるんですよ。それでありまするから、この春闘が、国民春闘とかという名前でいろいろ言われておりますけれども、これはまさに政府が考えなきゃならぬ問題です。何もこう、ストライキを背景として国民春闘が要望するという事項じゃないと、こういうふうに考えます。また、あるいは国会において論議されるべき問題である。ですから、私どもはそういう、この春闘の、政治あるいは国の政治、施策に対しての要求、これに対しましては、これはさい然と賃金問題等とは区分いたしまして、これは政府のやる問題であり、また国会において論議さるべき問題であると、さような態度をとるべきであると、またさような態度をとっておるわけであります。
○戸叶武君 先ほど、青嵐会の玉置君が、大企業の背後に大銀行が動いている、銀行における住宅ローンの問題を問題にしておりますが、インフレ抑制にあたって、われわれが構造的改革を要求する場合に、第一にあげなければならないのは、成長金融のメカニズムを修正しなければならないと思うのであります。田中さんは、正直者がばかをみないような政治をやると言いますが、インフレ下において一番ばかをみているのは、まじめくさって貯金して、銀行や郵便局に金を預けている人だということに国民は気づいてきております。節約は美徳であるといって貯金は奨励されておりますが、インフレ下において、働く人たちが零細な貯金をやるのにあたって、もっと金利は二けたパーセント台の預貯金、安定特別国債、そういうものを発行しなければならないんじゃないかと思いますが、大蔵大臣はこれに対してはどのようなお考えですか。
○国務大臣(福田赳夫君) この問題につきましては、しばしばそういう御質問がありまして、もうしばしばお答えをいたしておりますので、まあ多くを申し上げませんが、これは二けた台に預金金利を引き上げるというようなことになりますれば、自然、金融機関の融資の金利のほうも二けた台にしなければならないと、こういうことになる。そうしなければ、これはまあ金融機関は成り立ってまいりません。それを回避する道は、国がその金利の幅を金融機関に対して補給をすると、こういうことであろうかと、こういうふうに思いますが、これもただいまとっておる総需要抑制、また財政の健全化、こういう角度からいいますると、なかなかこれも問題だ。そういうようなことで、二けた台の預金金利という御着想は、そのお気持ちはよくわかりまするけれども、実際問題とすると、これはもう非常にむずかしゅうございます。諸外国においても、そういう同じような傾向でございまして、諸外国なんかは、わが日本よりは零細貯蓄者に対する預金金利なんかはずっと低いような、そういうような状態でございます。まあ大蔵大臣として、大蔵大臣のこの行政を助けてくださる預金、この預金につきましては、たいへんこれに関心を持ち、この預金を大事にしなければならぬという立場ではございまするけれども、しかし、そういう重大な関連がありますので、二けた台というようなことは、とうていこれは成り立ち得ざる構想であるというふうに考えております。ただ、大事な預金でございますので、この預金をそういう大きな波及を持つというような形でなくて何とか配慮したいということにつきましては全く同感でありまして、あれやこれやと考えておるんです。そのうちに、まあ六月ごろの時点で、ボーナス期になりますから、それに対してどういう特別の金利体系を、金利を考えるかというようなことにつきましては、いまいろいろと考えておると、かように御理解願います。
○戸叶武君 いわゆる宝くじ預金ということが出されていますが、大蔵大臣は本気にこれをやるつもりでありましょうか。私たちはいま日本におけるこの競輪や競馬、こういう温床の中にばくちが非常に流行しておるのを困った現象だと思います。福田さんの故郷の上州やくざ、私の故郷の野州無宿、あんまりほめたことではありませんが、やはりばくちがなくなったことによって、明治維新以後、一つの、女が泣かなくても済むような秩序が確立したのでありますが、あの競輪の帰りや競馬の帰りの人たちのうらぶれた姿を見たときに、これがとにかく先進国の日本かと嘆かざるを得ないんですが、なるたけ射幸心をあおるようなばくち類似のものは慎むようにしたほうがよいと思うんですが、いかなるお考えですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 割り増し金付定期預金は、これは競輪、競馬とは違うんです。競輪、競馬のほうは元も子もなくなっちゃう。ところが、割り増し金のほうは元は残るんです。しかもですよ、その上にまあ三分程度の金利まで残そうと、こういうんであります。この制度はこれはまあ戸叶さん御指摘のような射幸心との連想、そういうことは私はあり得ると思いまするけれども、まあ終戦直後、あの荒れ狂ったインフレの中でこれが非常に成功しておる。そういうようなことを考えまして、この際ひとつこれを採用しようと。ただし、これがいま御指摘のような射幸心につながっちゃ困るというので、あるいは発行の額でありますとか、あるいは宣伝の方法でありますとか、いろいろ射幸心につながらないような仕組みをし、なおかつこれを二カ年間の時限立法とするというふうにいたしましてスタートいたしたわけでありますが、これはもうほんとうに真剣に取り組んでおります。まあスタートしたばかりでありまするけれども、成績は非常に好調である、かように御了承願います。
○戸叶武君 田中首相は昨年のヨーロッパ訪問、ソ連訪問、ことしに入ってからの東南アジア訪問、今回のポンピドー仏大統領の葬式に参列しても、至るところで資源外交を展開しておりますが、この資源外交に対する見通しについても、先ほど、常に述べておりますが、問題はやはり私たちはこのエネルギー資源の問題については、未来のエネルギー——太陽エネルギーのサンシャイン計画のごときも十分考えなければならないと思いますが、通産大臣あるいはエネルギー庁長官のほうでこの問題とはまっこうに取っ組んでいるようですが、これは現在日本では、予算に今度は芽が出てまいりましたけれども、どういうふうになっておりますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) エネルギーの総合的な開発計画を本年度から長期計画として始めておりまして、まず太陽エネルギーといたしまして八億七千三百万円、これは太陽エネルギーコレクターの開発等でございます。特に革新的冷暖房システムの開発を工業技術院が直接自分でやろうということであります。それから地熱が五億五千百万円、地熱発電の開発でございます。第三番目が石炭のガス化、液化で四億三千五百万円、特に石炭ガス化プラントの開発に力を入れる考えです。第四番目が水素エネルギー、これは三億三千二百万円、高効率電解プラントの開発でございます。要するに水を分解して水素と酸素に分けて、その水素を直接使おうと、こういう雄大な計画でございます。 そのほか、総合研究として一億九千五百万円、その他五千六百万円、合計二十四億四千二百万円、これをことしとして投じまして、総合計画に出発したわけでございます。
○戸叶武君 エネルギー問題に便乗して、石油が足りないならば原子力発電を考えなければならぬという形において、いまだ調査、実験段階であって、いろんな問題も起きているときに、森山科学技術庁長官は強引にこれを説得しようとかかっておりますが、その安全性というものが完全に保障される段階にまでいっているかどうかを、森山科学技術庁長官から承りたいと思います。
○国務大臣(森山欽司君) ただいまの御質疑で、昨年の中東紛争以来のエネルギー、石油危機に便乗してというおことばがありましたが、私は便乗していたと思っておりません。わが国の資源不足の状態から見まして、先ほど中曾根通産大臣からお話がありましたように、太陽熱、地熱、あるいは石油の液化、気化等々の問題について十分検討を進めていかなきゃならない、資源の多角的利用を考えていかなきゃならないことは当然しごくであること当然でございます。しかしながら、いつごろそういうものはものになるかとか、どのくらいの量が役に立つかということになりますと、何と申しましても今世紀は原子力しかないと考えるのは当然でございまして、そういう資源問題の現状分析について、便乗という御指摘はいささか当たらないのではないかというふうに考えておる次第でございます。 そうしてこの原子力についての安全性の問題と、いろいろ問題があるではないかという御指摘がございました。そのことは私は否定はいたしません。しかしながら、御案内のとおり、原子力発電というものは、原子力の平和利用の最もティピカルなものでございまして、しかも、その原子力の利用は、何と申しましても原子力核分裂というものの、瞬間的に利用するという軍事利用から出発をして、わが国は広島、長崎において痛切なる、深刻なる体験を経たという事実はございますが、しかし、原子力発電というものは、決してその原子力の軍事利用とは全く違うわけでございまして、核分裂を利用することは間違いございませんが、徐々に制御された形で利用するのでございまして、決してこれが核爆発を起こすなんということは全然ないのでございます。ただ、この動力炉の外に放射能が漏れるという危険性は、ほうっておくとそういう危険性があることは否定はいたしませんから、そのことがまさにただいま戸叶委員御指摘の安全性の問題に当たるというふうに考えておる次第でございます。それなればこそ、こういう原子炉をつくります際にやかましい安全審査もやりますし、許可、認可、検査等の手続も経るわけでございますし、またそういう手続の過程におきまして、格納容器をやかましく言い、あるいは炉心冷却装置を備える、さらにまた安全ということを常に一番考えてやりますから、かりに事故、故障等が起きましても、一般の人たちやオペレーターに迷惑のかからないようなやり方でやっておるわけでございます。そういうことでございますから、たとえばオペレーターがミスをするとか——人間ですからミスをすることがありますし、あるいは機械でございますから故障することもございますが、そういう際には、現在の動力炉は、それに応じて被害が一般公衆あるいはオペレーターに及ぼすことのないように、被害を周辺の一般公衆に及ぼさないことを基本方針にして、具体的には故障をしたりあるいはミスがあった際には、安全保護回路とか安全設備の機構等によって事故に発展せず、予備機械が自動的に起動するあるいは原子炉が安全停止ができるようになっておる。原子炉が最悪の場合とまるわけであります。とまると、これはあぶないと、こういう御批判がしばしば出るわけでございますが、とまるから安全なのでございまして、どうかひとつその点もお願いをいたしたいと思っております。そしていまいろいろお話がございましたが、非常に危険性があるようであるがということでございますが……
○委員長(鹿島俊雄君) 簡潔にお願いします。
○国務大臣(森山欽司君) 簡潔に申し上げますと、原子炉等規制法に基づく報告によると、昭和三十八年以来、毎年日本の原子炉施設における事故は、三十八年一回、四十年二回、四十一年二回、四十二年四回、四十三年五回、四十四年四回、四十五年一回、四十六年四回、四十七年九回、四十八年四回というごとく、事故の回数ははなはだ少ないのでございます。ところがこの問題について、こういう数字や内容にいろいろ御論議がございますのは、たとえば先ほど申し上げましたように、検査をする場合にとめます。とめていろいろ調べてみると故障が発見される。それは安全の証拠なのでありますが、それが一々事故であるかのごとくお取り上げになられていろいろ御論議がある。何しろ新しい産業であり、新しい技術でございますから、いろいろ御論議があることは、当然でも、ある見方からいえばありましょう。したがって私どもといたしましては、やはり原子力発電というものが一人前になる過程においてこういう御論議は一度は越えなきゃならない関門であるというふうに考えておりまして、今後ともこれらの安全には特に留意してまいりたいと思いますので、御支援のほどをお願いいたします。
○辻一彦君 関連さしてください。 安全性の問題は別として、ちょっといまここに資料を持っておりませんが、加藤電気事業連合会の会長、中部電力の会長と思いますが、便乗と言われてもこの際原子力発電は便乗してやらなくちゃならないと、新聞に明確に発言しておりますが、業界のこの動きについてどうお考えになるか、伺いたいと思います。
○国務大臣(森山欽司君) 電気事業連合会の会長の加藤さんがどういう御意図で言われたか存じません。便乗ということをおそらく言われたので、すなおにそのことばに従ったのでございましょうし、御本心はそのように考えているかどうか、私は関知いたしません。
○辻一彦君 関知しないというよりも、この際安全の問題は別としても、大型集中化、早急に原子力発電所をふやしていこうという動きが産業界に非常に強いわけですが、これは便乗でないと言われますが、便乗と言われてもいいと、便乗しなくちゃならないと、こういう発言をされておりますが、こういう事実についてどうお考えになるか、これを伺いたい。
○国務大臣(森山欽司君) 御案内のとおり、わが国のエネルギー全体、非常に問題が多いわけでございます。また電力にも問題がございます。今日の状況で申しますと、来年の八月の電力を一番食う時期には、すでに供給に対して予備率が八%ないし一〇%ぐらい多くなければならないわけでありますが、それらのいわゆる予備率の限界を切るというような状況になってまいります。このままでまいりますと、昭和五十三年以後におきましては、電力の供給が電力の需要に対して下回るというような状態が予想されるわけでございますから、これらの問題を解決するために、政府としてはもとより原子力発電を大いに進めるという考えでございますが、電気事業者といたしましても、私は電力供給の、これは法律上、電気事業法でございましたか、義務があるわけでございますから、今日の時期において原子力発電に取り組むことは当然のことであると私は考えております。
○戸叶武君 農林省は今回の農業白書において、昭和四十七年度の食糧自給度を、カロリー計算によると五三%という西欧並みの数字を発表しました。この統計はいままでの統計の出し方とだいぶ違うのでありますが、農林省内にもおいても非常な論争があったといいますが、農林大臣からその経緯を御説明願いたいと思います。
○国務大臣(倉石忠雄君) 農業白書にカロリー計算の自給率を出しております。昨今、このわが国の食糧問題について、国民の間に、たくさんの方方の間に、非常に関心をお持ちになって、しかも自給率についてもいろいろお話がございます。で、先般のこの委員会でもお話し申し上げましたように、わが国でカロリー計算で自給率を、カロリーでオリジナルカロリー論を出した中山誠記氏——それ以来わが国でもオリジナルカロリー論というのは出てきておりますが、これは戸叶さん御存じのように、たとえばわが国の国民の食生活がだんだん高度化してまいりまして、酪農品、肉類等の需要がだんだんふえてまいるにしたがって、そういうものを育てていきますためのえさの自給率が逆に減るわけであります。つまり、そういうことで、私どもといたしましては、全体としての自給度を高めるというまず大きな眼目の中に立って畜産、酪農を奨励してまいらなければなりません、需要が強いのでありますから。そういたしますというと、まずその飼料の、えさの工面をしなければなりません。そこで、先ほど外務大臣からもお話がございましたように、こういうものの輸入につきましては、グローバルな立場で考えなければいけない、——全く同感でございまして、そういう意味では、私どもは従来まあアメリカが第一でございましたが、御審議願っておりますような海外協力事業団というふうなものの発想がありまして、わが国と、農業関係についてタイアップをいたしまして供給をしたいというお考えの国がかなりございますので、そういうところは、国際協力という立場で先方とこれから十分相談をいたしまして、安定的に一定量を確保し、また先方でも、それを必要とするものはお使いになるというふうなことで、一方においてそれをしていかなければなりませんが、国内においてやっぱり生産の可能なものにつきましては全力をあげて増産してまいると、そういうことのために、やはりオリジナルカロリーという見地に立ちましても、この自給度がだんだんと向上してまいるような努力をしなければならないと、こういう意味で総合自給率とカロリーの自給率とを併記いたしまして一般に御報告をいたしたと、こういう次第であります。
○戸叶武君 食糧自給の問題は国にとって大切な問題であります。日本と同じような歩みを続けているヨーロッパ諸国並びに農業生産の豊富なカナダ、アメリカ等における食糧自給の状態は、日本と比較してどんなふうになっておりますか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 一九七一年から七二年の統計がいまございますが、アメリカ合衆国が一四〇、カナダが一七九、フランスが一六三、イギリスが六五、西ドイツが八三、オランダが三六、イタリアが七一、ECの九カ国で平均して九〇と、こういうところでございます。
○戸叶武君 アメリカ、カナダを別といたしまして、日本に産業構造が類似しているようなEC各国の平均が九〇%の自給率を持っている。ヨーロッパで最も食糧自給率の低いといわれるイギリスよりもこの日本の国の食糧自給率が低下しておりますが、これでよろしいものでしょうか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 戸叶さんよく御存じのように、食糧穀物だけから計算いたしますと、イギリスの自給率よりわが国のほうが上であります。 そこで、西ドイツがいま御報告いたしましたように八三ということでありますが、私どものほうでは、たびたびこの席でも申し上げておりますように、私どものいま計画いたしております五十七年度の長期見通しの計画でも、米はこれは別格で、一〇〇%でありますから、あとは野菜、くだもの、乳製品、肉類等は八〇%ないし一〇〇%の自給度を維持したい、こういうことの計画を立てておるわけでありますが、何としてもやっぱり土地関係の制約がございますので、主要穀物等を国内で全部まかなうということはこれは全く不可能なことであります。さればこそ、やはりグローバルな立場に立って、一カ国だけからの供給ではなくて、多方面で安定的な物資を入れるという計画を立てる必要があるということでいまやっておるわけでありますが、それにもかかわらず、やっぱりわが国内でもそういうものの増産対策をいたし、四十九年度予算にもそういう施策を計上いたしておることは御在じのとおりでございまして、やはりオリジナルカロリーという立場に立ちましても私どもは極力自給度を高めてまいる、こういう方針でございます。
○戸叶武君 現実にイギリスよりも低くなっているというこの事実は見のがせないのであります。日本の国は昔から豊葦原瑞穂の国といって、米騒動のあったときにも、ある社会詩人が、「豊葦原瑞穂の国に生まれきて米が食えないとはうそのような話」という歌をうたっておりますが、日本もいまのような調子だとそういう場合も起きると思います。 イギリスでは、御承知のように大陸縦貫鉄道ができてアメリカやカナダから穀物が入り、汽船が発達して豪州からも小麦が入るというような形で、穀類が大暴落してしまった。デンマークのごときもそうですが、それで価格が下がらない酪農に転換した。イギリスでは、重化学工業を発展させて、そうして穀物は安いのを外国から買おうとして、いまの日本のように至るところにゴルフ場をつくった。しかし、現在のイギリスは、日本のようにべらぼうにゴルフ場を乱造させていません。これはいまの日本としても問題です。こういう機会に、少なくとも農耕地たり得るようなところは、いまのゴルフ場の半分ぐらいはやはり調査して、私は、穀物なり飼料なり、牧場になり得るような土地にしていくような勇気をもってやらないと、いまの食糧自給の問題は片づかないと思うのであります。 そこで、日本がこのように食糧自給の体制がくずれてきたというのは、戦後アメリカのあり余った余剰農作物を日本では受け入れ、それが今度はMSA協定となり、あるいは国際分業論となって、貿易の不均衡を是正しようということになって、日本の米以外のものを日本では価格保障しないような形において、麦もソバも、あるいはその他の大豆のようなものも、つくっては割りに合わないというので、つくらなくなってしまったんです。大体、去年からことしにいろいろな買い占めやとん積や、いわゆるいろんなものの経済的な悪行が流行したのは、去年の正月に三千円の大豆がまたたく間に四倍もの一万二千円あるいは一万五千円というように値上がりしてしまったので、年越しに鬼は外といって豆をぶつける豆も使えなかったんで、鬼がはびこったということであります。こういうふうに、日本ではつくれるものをつくらなくしてしまったので、こういうことはやはりきめこまかく私は改めるべきであって——大体、革命を非常にこわがっているけれども、ロシア革命でもドイツ革命でも、日本の米騒動でも、発端というのは食糧暴動から発火点をつくっているんです。戦争ばかりでなく、海員組合、港湾ドックのストライキということでイギリスでは非常に悩んだことがあることは、倉石さんはすでに御承知だと思いますが、これはやはりドイツでも八〇%前後というような手がたい食糧自給はやっているんですから、それに見合うだけの食糧自給体制をつくることが必要じゃないかと思いますが、どうでしょうか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 結論から申し上げますならば、自給度を高めるということにつきましては、全力をあげてやっておることは御存じのとおりでありますが、いまお話しのございましたように、ただいまわが国が輸入いたしております輸入先は、一番大手はアメリカ合衆国でありますが、そういう地域からかなりの小麦を買い入れておりますが、これは大体食糧の分であります。それからまた飼料の関係もございます。そこで、わが国で、先ほどちょっと申し上げましたように、戦後逐次生活が安定してまいりまして、食生活が、何といいますか、向上してまいるに従って酪農品、畜産品が多く求められるようになりましたので、米の消費量が逓減して逆にそういうものの需要がふえたと、そういうものを育てていくための飼料穀物が、急激でありますので足りないということで、逆に今度はそのほうの自給率が減ってきたということでありまして、極端に申しますならば、酪農と大家畜というものがかりにないといたしますれば、わが国においては、飼料作物についての自給率は、いまより上へ回っておるわけであります。 そこで、わが国の国民の食糧生活がそこまでよくなってきたことはけっこうでありますから、それに見合うだけのものをやっていかなければなりません。そういうためには、十ヵ年計画でやっております土地改良長期計画、これは十三兆円の計画でありますが、そういうことに基づいて、私どもといたしましては、極力新しい事態に対処するための基盤整備等に全力をあげることをいたしておるのと、それから今国会で、すでに衆議院は通過いたしておりますが、農用地開発公団の構想がございまして、全国に大きくは四カ所、あとは二十数カ所畜産基地を設けます。これはいま戸叶さんがおっしゃいましたような御意見にマッチするのでありまして、国内においてこういうものを待望しておる地方が多い次第でありまして、それに見合うようなやはり飼料作物については、大体十カ年の計画の中では七十万ヘクタールを予定いたしまして、そういうものに見合うこの増産対策を講じておるということでございますので、私どもが考えております方向は、やはり自給率を向上させるという一点に最終的には帰着して邁進をいたしておるわけであります。
○戸叶武君 それでは、私は話題を転じて、政府に向かって「婦人に関する諸問題の総合調査報告書」なるものを総理府でつくってくれたことに対して、戸叶さんは、なくなった奥さんのかわりにひとつ総理大臣に一応お礼を言ってくれということを藤原道子さんや田中寿美子さんに頼まれたのですが、御承知のとおり、明日は四月十日です。二十八年前のこの日に最初の婦人代議士が出現しました。この日は、日本の婦人が初めて投票権を行使した記念日であります。四月十日から十七日まで、あすから婦人週間になっております。昭和二十一年婦人参政権が与えられ、二十五周年を記念したときに、当時の佐藤首相に対して、普選運動の先覚者の市川房枝さんや、なくなった私の妻や、婦人議員を代表して、婦人に関する諸問題の総合調査の資料を政府で作成してもらうことを頼んだということであります。佐藤首相は喜んでこの約束を引き受け、総理府の責任でこの調査書をつくったんです。貴重な資料でございます、内容のいかんは別問題でありますが。 この報告書には、各項目で具体的な提案も出ています。この資料をたたき台として日本の婦人はこれらの諸問題を討議していきたいというのですが、一般の手には入らないそうであります。この縮刷版でもつくって、この機会に全国の消費者パワーとなっている婦人に、生活を守ると同時に、政治的な意識を高めなけりゃならぬという、それを促すためにも、私は、これを政府で配付してもらいたいと思うのであります。アメリカにおいても、ケネディが一九六三年に特別委員会でアメリカンウーメンなるレポートを出しています。ひとつこれを政府のほうで約束してください。内閣総理大臣、ケネディの問題は、やはりすべて歴代大統領がその精神を継承しております。佐藤さんから田中さんにかわっても、田中さんは奥さんや娘さんに親切な方ですから……。
○国務大臣(田中角榮君) せっかくの御発言でございますから、十分相談をいたして実現方努力をしてまいりたいと思います。
○前川旦君 関連。 関連ですから、ごく簡単に総理と労働大臣にお伺いいたしますが、ただいまの働く婦人の問題であります。この婦人に関する諸問題の総合調査報告書によりますと、婦人労働者の地位はまだ低いと指摘しております。たとえば職場では賃金や昇進、昇給や定年等に差別がある。社会的な制度でも、保育所の不足や育児休暇制度の未発足など、いろいろ指摘されております。 そこで、総理と労働大臣にお伺いしたいのは、まず第一点が、この調査はかなりの予算を使ってなされたものであります。これを調査で終わらせないように、この内容を前向きに実現するように取り組んでいただけるかどうか。その姿勢を持っていただきたいと思いますが、これはいかがですか。これが一つです。 第二は、この報告には幾多の具体的な提案がなされています。たとえば、職場における昇進、昇格、定年制などの差別に対して救済する公的な機関がありません。いまは裁判所だけです。ですから、こういう男女の差別の苦情処理機関、公的な苦情処理機関を設置すべきであるという具体的な提案もございますが、こういうものを実現するお考えがあるかどうか。 第三には、毎年国会で問題になっております有給育児休暇制度、この制度化について、ことしは前向きに取り組んでいただけるものかどうか、この三つについてお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 婦人は母でもございますし、これから婦人の職場参加というものは、先進工業国の例に見るまでもなく、急速に拡大をするわけでございます。婦人は、男子と違って、いろいろな問題を職場の状態やその他において持っておることは私も承知をいたしております。 政府がせっかく斯界の権威を集めて調査をしたものでございますから、政府もこれを十分勉強しまして、可能なものから、また、日本の国情に合い、婦人の地位の向上や婦人の母体が保護されたり、男女の間に差別があるようなものありとせば、職場においては、婦人は男以上にいろいろな整備をしなければならないものがあるわけでございますから、そういう問題に対しては、具体的に勉強し、取り組んでまいりたいと、こう考えます。
○戸叶武君 私は、最後に田中さんにお願いしたいと思います。 ニクソンさんも、大統領選挙で無理をしなくても大統領になれるのに、権力に集まる一つのともがらというものは、とかく政治家を誤らせやすいのでありまして、田中さんのまわりにも、やはり田中さんに率直に食ってかかるような意見を吐く人をまわりに少しは集めなくちゃだめだと思います。最近、田中さんがこの顔面神経になったときに、私の侍医である松本という群大の先生で医学博士の人がすぐにそれを見ました。あれはゴルフをやって顔面神経になったに相違ないと、上野の駅長もそうなんです。ストレス解消なんていってあんな無理をすると、西尾さんも前に自動車に乗ってて顔出しててああいうことになりましたけれども、こういうことはやっぱり……(「時間だよ」と呼ぶ者あり)いや、これは総理大臣の健康に注意しなきゃ、君らやはりおべんちゃら言ってちゃだめだよ。——率直に言ってゴルフなんか禁物です。それから天皇を政治に利用するような発言や、「君が代」や、やはり国旗掲揚の法的規制の問題や、靖国神社とか教育勅語とか、まるで明治憲法下におけるような発言が続出しておりますが、これは日本の近隣諸国は、みな日本の軍国主義、帝国主義の復活じゃないかといっておそれていますから、あんまり隣近所をおどかさないように、少し慎重に発言はやってもらいたいと思うのでありまして、あなたに前に言いましたけれども、自民党総裁としては、自民党で党議で憲法改正を決定している。しかしながら、憲法において、内閣総理大臣は平和憲法を忠実に守らなけりゃならないことが規定されておるのでありまして、どうぞあなたも二刀流の達人でありますが、この自民党総裁と内閣総理大臣の刀の使い方を間違えると、気違いに刃物という結果にならないとも限りません。この引用は少し激し過ぎるかもしれないけれども、われわれ国民が怒りをこめて六十何年ぶりかに桂内閣を倒したときの憲法擁護の運動のようなものが巻き起こってくるその前夜に、ファシズムか憲法擁護かという戦いの決戦場にあなたが国会並びに国民運動の場をさせたいならばそれでよろしゅうございますが、あなたはそうでもないようで、変わり身の早い人ですから、どうぞこの辺でいい加減に、適当にやはり調整していただかれんことを、ブレーキをかけていただかれんことをお願いします。
○国務大臣(田中角榮君) 私は、御承知のとおり、新憲法下第一回に議席を得た者でございまして、真の民主主義者であるということで、私は、転向者でもございませんし、もう生まれてから真の民主主義一本に生きておるということをひとつ御認識をいただきたい。 それから、憲法論とか、また、国旗の問題とか、「君が代」の問題とか、いろんな御指摘ございましたが、新憲法を擁護する立場にある者は、「君が代」や国旗や、そういうものを議論してもいけないという考え方は誤りでございます。これはもう……(「慎重にと言っている」と呼ぶ者あり)——慎重にということは、これは私から述べたんではなく、野党側の議員諸君のたっての質問に答えたのでございます。質問に答えなかったならば、これは国会軽視になるわけでございまして、質問に際しましては誠意をもって真情を吐露するというのが民主主義者のこれはもうつとめでございますので、いろんなことがございましたが、そういう御発言や質問をなさらないことであれば、私からはこんなことを述べることはございませんが、どうしてもということでございますから、私は腹の中にあることをすなおに述べるのでございます。いろんな御注意は御注意として承っておきます。私は、そういう意味ではすなおな人間でございますし、長いこと私を十分知っておられる戸叶さん、しかし、重要な地位にあることをおもんぱかって、特に頂門の一針ということで承っておきたいと思います。
○委員長(鹿島俊雄君) これにて戸叶君の質疑は終了いたしました。(拍手) —————————————
○委員長(鹿島俊雄君) 三木君。(拍手)
○三木忠雄君 私は、石油問題を中心にしてきょうのところは質問を進めたいと思います。 特に、石油供給の安定的な確保をはかるために、今後、産業体制を含めた総合的な石油政策、こういう問題をやはり検討しなければならないのではないかと思うんです。こういう問題について総合的に総理はどういうふうに考えているのか。石油の総合的な対策ですね、この問題について。——わからなければ通産大臣から先に聞きましょう。
○国務大臣(中曽根康弘君) 石油及びエネルギーの総合的な確保につきましては、政府としても目下いろいろ努力しておりますが、とりあえずは、やはり目下の問題としては、OAPEC諸国と融和しつつ、かつ、国際協調のもとに日本に対する石油の供給を円滑にしておくということ、これは現在比較的に成功しておると思います。 それから、やはり補完的エネルギーとして当分は原子力にたよらざるを得ませんし、そのほか石炭あるいは……
○三木忠雄君 石油だけでいいです。
○国務大臣(中曽根康弘君) 石油につきましては、いま申し上げましたように、国際的協力のもとに、OAPEC諸国と協調しつつ入れようと、そういうことで努力しているところであります。
○三木忠雄君 総理、パリへ行ってから、何か石油問題、資源問題等でいろいろ話し合いをされたそうでありますけれども、実際に石油の問題一つに私しぼって伺いたいんですけれどもね、安定的な供給という、こういう問題について具体的な政府の対策というものがやはりある意味では後手後手にいっているんじゃないかと、こういう感じを受けるわけです。中東戦争の影響による国民生活というものは、非常にやはり混乱におとしいれられているわけですね。こういう問題について、もっと具体的なやはり石油の供給についての安定対策を考えるべきじゃないかと思うのですがね、その点について。
○国務大臣(田中角榮君) 石油問題に対しては、いろいろ国内でも議論があったわけでございますが、いままで非常に安い石油が大量に入ると、こういう前提のもとにおおよその議論が進められてきたことは御承知のとおりであります。これは食糧の問題もそうであります。同じ問題です。これは米価をきめるときには、騒然としたような状態でございました。また政府と政党が圧力団体に屈して米価を上げる、米は外国から買えば半分じゃないか、こういう経済論一本で終始をしてきた。その中で、突然のことでございますが、二年間シベリア、中国、インドというような地球上の三分の一、半分の人口が住むというようなところが食糧危機に見舞われたということで、米は一挙に倍になってしまいました。いまちょうど国内価格と同じでございます。いま自給率を上げようという声に、きゅう然として方向転換していることと同じであって、私が通産大臣に就任したときには、石油に対しては開発輸入しなければならないということを訴えたわけでございますが、開発輸入をするということそのものが何か、安い石油を買えるにもかかわらず、特定の政権に対する利潤をはかったり、また、何か戦後いろいろうわさされた利権問題というようなにおいがいろいろ流布されて、なかなか大きな石油開発というものに対して実行ができなかったというような問題がございます。そのうちに、石油は年率二〇%ずつ使用するような状態になり、特に昨年度は、三十億トンの石油のうち一割、三億トンを日本に入れなきゃならない、そういうときに石油問題が起こったわけでございます。 私は、日本政府そのものが万全の体制であったと思う。だれが反対があろうが、責任を果たすためなら断固としてなすべきであったという面もございます。そういう意味で、インドネシアに対して、長いこと懸案であった二億ドル借款供与を行ない、またADMAの三分の一、七億数千万ドルの株式保有、引き続いてインドネシアの液化ガスの借款二億ドル余でございますか、私が通産大臣のときでございますが、シベリヤのチュメニ油田の問題をアメリカ側に提起をして、これらの問題に対してアメリカに関心がない、なければ日本がやらざるを得ないかもしらぬということに対しては、それは奇想天外である、実現性がない、こういうことを言われたわけでございますが、今日は、もう今昔の感にたえないという面もございます。 民主政治でございますから、やはり国民的な習熟を待って大きな仕事は前進をはからなければならないということも事実でございますが、しかし、石油問題はやはりここで本腰を入れて、石油というものを見直し、同時に、日本のエネルギー対策そのものに対してメスを入れなければいかぬ、おそまきながらサンシャイン計画をスタートさせたということでございます。石油問題は日本だけではなく、先進工業国、また、後進国そのものもすべてが影響を受けておるわけでございます。ですから、首脳が会えば、石油問題に対してとにかく議論が必ずそこに集中するということは、真にやむを得ないことでございます。 石油問題だけではなく、一番大きな問題は、年に千億ドルというようなオイルダラーがどうなるのか、どこで使われるのかといったら、これは国際通貨問題や国際流動性の問題とか、これはもうほんとうに根底からゆさぶられるわけでございますので、石油の問題は、エネルギーという狭義の問題だけではなく、これは世界的な話題として現在世界の中心的話題であると、こういうことでございます。まあそういう意味で私たちは、日本の置かれておる立場や特性というものを十分把握しながら、石油問題に対して国内的に、また対外的に、広範な視野に立って事態に対処してまいらなければならないと、こう考えておるわけであります。
○三木忠雄君 政府が積極的に介入するのは、精製の問題とか、販売ルートの問題とか、価格の問題ではなしに、やはり産油国の開発であるとか、あるいは原油の引き取り体制等を中心に、もっと積極的に私は考えるべきだと思うんですよ。特に、国際資本に言われっぱなし、やられっぱなし、実態わからないような実態で、私たち納得できない問題があるわけですね。こういう問題に対して、積極的な総合政策をどう考えているのかということがないと思うんですよ。
○国務大臣(田中角榮君) かつて、私は十年ばかり前に一つの本を読んだことがございまして、それからそれを契機にして勉強したことがあるんです。これは、そのころ提案をして一つのレポートをまとめるというような自信はなかったんですが、それは、電電公社の民営論というのが、答申までいかなかったと思いますが、一つの結論らしいものが出たことがございます。このときに、なぜかという一つの立論として、三公社はこれは民営にすべきである、そして、その資本をエネルギー開発に投資すべきであると、こういう、私は一つの卓見だったと思います。これは日本の専門家が検討したものであり、また、そのくらいの量でなければメジャーの株を三分の一引き取るとか開発に積極的に乗り出せるという体制になかったことは、十五年、十年前の日本の国際収支の状態を見れば、年間の外貨の保有高十八億ドル、十五億ドルという状態でございました。三億ドルないし五億ドルが減った場合には、引き締め政策を行なわなければならなかったのはわずか正味十年前であります。そういう事態において、石油開発というものに対して膨大な投資が必要であるということで、先見の明を持ったこれらの人たちは、やはり警告を発したんです、その具体策を提示したんです。私は、それからこの石油問題というものに対して相当勉強してまいったことは事実でございますが、しかし、今日を迎えたということは、まあいまでもおそくない、これから石油というものに対しては相当な努力を続けなきゃならぬと、こう思います。 で、いま御指摘になったように、石油は国家機関でもってやるということは、日本の体制ではむずかしいと思います。そういう意味で、いま考えておりますのが、あなたがいま述べられたとおり備蓄問題でございます。備蓄は、私ももう三年余前から国会でも述べ、いろいろ提案をしておるわけでありますが、備蓄はなかなか、まあ安い石油が入るということで実現に至らなかったわけです。これを一年間備蓄をすることによって、欧州諸国のように百日ないし半年間備蓄をしたら、年間何億ドルから十億ドル近い金利を払わなきゃいかぬというような純経済論ばかりが先行しておって、備蓄はついに今日まで成功を見なかったわけでございますが、ロンボクという問題をいまわれわれも十分検討して提議をしておるわけでございますが、これは産油国と消費国等が一緒になって、それで相当な備蓄を行なおうということを提議をいたしておりますし、それからもう一つは、いまのチュメニのような問題とか、ガボンの石油開発の問題等、こういう問題に対しては各国の政府ベースで話をして、それでジョイントベンチャーという、いわゆる形式は民間団体がやることでございますが、これに対しては政府がお互いに協定をしなければならないことでございます。その一号は、わずか千万ドルでございますが、日本とフランスとガボンの三者で決定をし、調印をしたわけであります。 まあシベリア開発などをやるとすれば、当然そういう問題も起こってくるわけでございますし、南シナ海の問題を一つ提起をすれば、これはもうおわかりになるとおり、ここは民間の力だけでやれるものじゃありません。これは政府が当然関与して、相当な主要国が入ってやらなければ、これらの問題は早期に開発ができないという問題がございますので、そういう試掘、探鉱、それから備蓄、新しい油田の開発、こういう問題に対しては、政府も積極的に乗り出してまいりたい。国際的なスワップをやる場合には、私たちが北海開発に入って、南シナ海やいろいろな地域に対してイギリスや西ドイツやフランスが入るという場合には、当然政府間の交渉になるということでございますので、いままでのように商社まかせというようなことで済まない状態であるということは、政府もそう感じて、具体的に施策を進めております。
○三木忠雄君 これ、通産大臣に具体的に伺っておきたいんですけれども、この原油の引き取り問題、これはやはり国際資本の、ある意味では言いなりになっているような姿を国民は受けるわけですね。いろいろな問題はあると思います。しかし、もう少しこの国際資本に対する考え方を、通産省として積極的に交渉する余地はないのかどうか、そういう問題、今後の対策としてどういうふうに考えていくのか、この点について伺いたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 原油の備蓄は、石油危機発生前は五十九・七日分まで上昇したわけです。六十日を一応目標にしました。それをさらに九十日まで伸ばそうとしておったときにこういう状態になって、今日三十九日分ぐらいに低下したところです。しかし、やはりわれわれはこれを回復していく努力をしていかなきゃならぬと思います。 それから、国際石油資本に対しては、民族系と差別するという意識をもってものをやってはいかぬと思うんです。やはり民族系も国際資本系も一視同仁、わが国のために協力してくれるものについては喜んでわれわれのほうも受け入れるし、また協力を要請する、そういう考えに立つ。わが国の国策に順応できないものについては、われわれとしてはわれわれの立場を貫いていく、そういう平等の立場をもって私たちは言いたいと思っております。
○三木忠雄君 いま、具体的に三月十八日から石油製品の再値上げが行なわれたわけなんですけれども、実際に通産省は、原油の輸入原価、これをどのような原価でとらえているのか、この点について国民は、その実情というものをやはりよく知りたいと思うのですね。いろいろな論議があったと思いますけれども、ここで通産大臣の見解を伺いたいと思う。
○国務大臣(中曽根康弘君) 輸入の原価ですか。——大体平均的に約十ドル原油とこう言われております。これはミナスであるとか、あるいはアラビアンライトであるとか、イラニアンヘビーであるとか、油種によって非常に違いますが、大体十ドル原油という形で間違いないと思います。ミナスのような場合は十二ドルに上がっております。
○三木忠雄君 これは平均で十ドル原油ですけれども、やはり原油コストに各社によって大幅ないろいろ格差があると思うのですね。その上限と下限との間は、どの程度通産省は見ておりますか。
○政府委員(熊谷善二君) お答えいたします。 各社によりまして、先生御指摘のように差がございますが、バーレル当り二ドル前後という差というふうに考えていいかと考えております。
○三木忠雄君 これは大蔵省に伺いたいのですけれども、一月、二月、三月の通関実績並びに——これ事務当局でけっこうです、単価は幾らで入っていますか。
○政府委員(大蔵公雄君) 四十九年の一月、本年の一月が数量にいたしまして二千二百一万四千キロリットルで、その際の輸入平均単価といたしましては六・一ドル、一バーレル当たり六・一ドルでございます。二月が、輸入の総量が二千二百二十九万二千キロリットルで、その際の輸入の平均単価は九・九ドル、一バーレル当たり九・九ドルになっております。三月は、最終的にまだ数字が確定ではございませんが、輸入数量は約二千四百万キロリットルで、その際の輸入単価は、一バーレル当たり十・五ドルということになっております。
○三木忠雄君 そうしますと、これは十八日、値上げをするときの仕切り価格の値上げ根拠の中に出てくる原油輸入価格一万九千二百八円キロリッターですね。これはやはり三月のこの一番上限をとったような私は感じを受けるんですけれどもね。この点についてはいかがですか。
○政府委員(熊谷善二君) 私ども値上げの際の精査をいたしました上で、四十九年の上期の原油価格につきましては、平均CIFで十ドル五十三、バーレル当たりでございますが、そういう計算をいたしております。これは通関によりますインボイスを私どもは確認いたしまして計算いたしたものでございまして、この一月から最近までの間、メジャーから通告をしてまいっております価格というのは、ほとんど暫定価格でございますが、いわゆる産油国とメジャーとの間のたとえばパーティシペーションの比率あるいはバイバックの価格、こういった問題につきましてなお交渉が続いておりますが、その過程におきまして、追徴金がその後逐次各企業に通告がなされてまいっております。この十ドル五十三というバーレル当たりの価格につきましては、確定をいたしました追徴金につきましては一部入っておりますが、今後、その後におきましても追徴金の通告がまいっておるわけでございます。 これは、なおメジャーからそういう通告がございましても、日本側の精製企業におきまして、その価格につきましての値ぎめなり交渉がございますので、それを直ちに受けるというわけではございませんが、今後の世界の原油の需給状況がどうなるかということによりまして、この価格の先行きにつきまして、相当影響が出てくるかとは思うんでございますが、むしろ私どもが心配しておりますのは、これからの追徴分の扱いの点であろうと。先生御指摘の高値できめるということではむしろなくて、これは現実に入った油を、実際に確認をいたしましたものの平均価格で行なっておるわけでございます。
○三木忠雄君 まあちょっとこれ、ここでは私、時間をかけて詰めようと思ていませんけれども、まあキロリッター八百円から約千円前後、通関実績と違っているわけですね。三月が十ドル五十セントという、こういう問題でありますけれども、まあこの問題がやはり上限で、追徴金も考えた上でのいろいろな問題点が含まれた一万九千二百八円ではないかという点を私は理解したいわけです。こういう点がやはりちょっと問題ではないかと思うんですけれども、ここは私、きょうは詰める考えを持っておりませんが、この輸入の原油価格について、通産省はどういうふうな報告を受けるのか。電話でメジャーから受けるという話もあるし、実際に原油価格はどういうところで通産省は掌握をしているのか、この点についてお伺いしたい。
○政府委員(熊谷善二君) お答えいたします。 原油価格は、それぞれメジャーと取り引きのある企業につきましては、メジャーから当該企業に通告があるわけでございます。これはそれぞれの契約に基づきまして通告がなされておりまして、通産省に対しましては、精製企業のほうから価格につきましての報告がなされておるわけでございます。
○三木忠雄君 これは、通産省のほうには文書で何か報告が来るんですか、実際にこの価格の問題については。
○政府委員(熊谷善二君) 報告は私どもが聴取をいたしてやっておりますが、ときには企業のほうからの文書による報告という形もございますが、一義的にはきめてありません。そのときの状況によりまして報告を求めて聴取をしておるということでございます。随時必要を見てやっておるわけでございます。
○三木忠雄君 この輸入原油の値上げ幅はどこに聞いても実はわからぬですね。まあ通産省に聞けば、電話で私たちは報告を受けるんだと、こういう程度で、いつも、実態を私たちが知りたいと思っても、なかなかそういう実態が掌握できないというのが一原油の、ある意味じゃ秘密というか、いろんな問題点になって、実際に国民が、こういう問題がどの程度平均上がっているんだろうといっても、なかなかわからないという点が私は大きな問題じゃないかと思うんです。したがって、今回の再値上げについても、実際にどれだけ——八千九百四十六円、これはことばで悪く言えばハヤクシロと読めるわけですよ、八千九百四十六円。何か総理に早くしろと言われて上げたんじゃないかと思うんだけど、実際にこの凍結から三月十八日の値上げまでの石油元売り会社の赤字の実態というものはどういうように通産大臣は掌握しておりますか。
○政府委員(熊谷善二君) 当委員会でも大臣からお答え申し上げたことがございますが、私ども今回の値上げを三月十八日から実施したわけでございますが、これを実施いたしましても、なお三月末におきます各社の経常利益というのは合計いたしますと約千三百億の赤字というふうに、仮決算の形での報告を私どもは受けておるわけでございます。ただ、この計算は、各社、たとえば為替レートにつきましては、ここでも申し上げたと思いますが、レートは二百九十円、これは過去の三カ月平均価格をとっているわけでございますので、この二百九十円が三月末におきますとやや円高の点がございますので、若干は減額することがあろうかと思いますが、大筋におきましてはさような金額を想定をいたしております。
○三木忠雄君 ところが、この八千九百四十六円の値上げで、石油業界、特に企業集中審議等においても業界から述べているそうでありますけれども、実際にこの八千九百四十六円では相当赤字だという、こういう問題に対する見解は、通産大臣、どう考えていますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 先ほど石油部長が申しましたように、大体三月決算で概算千三百億円程度の赤字が出てきておると、われわれもそうにらんでおります。それはやはり、石油の価格は低目にきめたためにそういう現象も出てきておるのであろうと思います。しかし、これは例の二分の一法という法によって、それでもキロリッター約二百五十円程度の利益は見込まれる、性能のいい会社については。そういう水準で査定をしておるので、これで何とかがまんして能率をあげてやっていけばやっていける、そういうふうに踏んでおるわけであります。
○三木忠雄君 がまんすれば、踏んでいけばいけるという、こういう実態があれば、たとえばこの三月期の仮決算——三月期決算のところもあるし、ないところもあるかもしれませんけれども、この三月期の決算の石油各社の配当の問題については、通産大臣はどういう見解を持っていらっしゃいますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) おそらく減配ないし無配に転落するだろうと見ています。
○三木忠雄君 これは通産大臣がこの値上げに先立ってのいろんな話の中には、配当制限はやらないという、こういう方針で、もしこういう問題についての考え方が出た場合に、配当制限はやらない方向で通産大臣は進むのかどうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) われわれは統制経済をやりませんから、配当制限という所得政策に類するようなことは控えております。しかし、国民感情等も見て、事実上そういうような企業が自粛した形をとらざるを得ないという程度の価格のきめ方をしているはずであります。
○三木忠雄君 ちょっとわからない話ですけど じゃ次に進みましょう。石油業界と通産省との関係をもう少しすっきりすべきじゃないか。何か、新聞紙面、あるいは業界から出てきた代表関係のいろんな発言を聞いておりましても、やはりもっとしっかりした通産省の指導理念というか、こういうものが欠除しているんじゃないかと思うんです。したがって、通産省がいつも指導したと、こういう形で、やみ協定の問題、いろんな問題が公取から指摘もされたり、いま地検でいろいろ捜査もされている問題もありますけれども、もっとやはり業界に対する指導の法的な根拠というものを、もう少し明確にしておくべき問題ではないかと思うんですけれども、この点についていかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) いままで、特に石油業法制定以来の時代というものは日本の高度成長の時代で、原油を入れて高成長をやろうという、両方協力して進めようという時代であったと思います。しかし、今日におきましては、公害問題や、あるいは省資源、省エネルギーというふうに、がらっと風土が変わりまして、そういう意味においては、石油業界に対するわれわれの立場もまた変わったものが出てこなければならぬと思っています。そういう意味において、いま総合エネルギー調査会に、石油関係のあり方、われわれの行政指導も含めまして諮問しておるところでございまして、それを得ましてから、われわれはわれわれの考えをはっきりいたしていきたいと思っております。
○三木忠雄君 公取委員長に伺いますけれども、衆議院でもいろいろ話題になりましたけれども、行政指導による凍結ですね、この問題について、政府との間にいろんな問題がありましたけれども、この可及的すみやかにという、この問題の解決ですね、公取委員長は大体いつごろまでと考えているわけですか。
○政府委員(高橋俊英君) 私は、これを石油の問題と、そのほかの問題とを若干切り離して考えなければならぬと思いますが、石油の問題につきましては、もうすでに三月の入関の総価格等も明らかになっておりますし、そういうことから推しまして——まあ為替レートのことを言ったら、これは切りがありませんから。私は前にも申しましたように、為替レートが安定するまで待っておるというなら、これは全然できないということでございます。おそらく、ここ半年やそこらでは為替レートがきまりませんから、そうと私は思いますので、したがいまして、不安定な要因というのは何かというと、原油の価格が非常にフラクチュエーションが多いということであると、まあかっちりしたような形の標準価格に移行できないという理由も全くないわけではない。しかし、私は、行政指導価格で相当期間持っていこうというならば、やっぱり標準価格で何カ月かやって、それでだめなら標準価格を直せばいいんですね。そう言っては何ですけれども、標準価格というのは、統制価格としては非常に私は弱いものだ、おそらく行政指導に近いような内容ですね。ほんとうは違いますよ、法律でございますから。その点、私は法律によっていただきたいということをかねがね申し上げておる。しかし、勧告と公表しかないんですから、違反しても特定標準価格になって初めて同額の課徴金を取られる程度ですから、不当利得をそのまま召し上げられる程度であって、別に三倍持っていかれるわけじゃない。ですから、私はこれは非常に弱い形の統制だと思います。そういうことでございますから、そう標準価格に持っていくことを統制統制と、こう騒がなくても、行政指導で統制するほうがよほど私は悪いと思います。——と思いますので、これは忌憚なく申しますが、なるべくそういうことをやめて、すっきりとした法律に基づく措置で統制をやっていただきたい。統制ということばを私はきらう必要もないと思うんですが、統制がいやだとおっしゃるなら、規制でもけっこうです。ですから、規制でもけっこうですから、法律でやっていただきたい、こういうことです。まあどのくらいの時期までということは、いますぐ私は申しません。申しませんが、かねて、そういうことは覚え書きみたいなものもございますし、その間で期限は切ってございませんが、私は、いまとなれば、きわめてすみやかにというふうに申し上げるほかないと思います。
○三木忠雄君 まあ、きわめてすみやかにと、こういう問題ですけれども、この問題について、やはり凍結している農林物資等もありますね。食用油なんかも行政価格から上げなければならないという話が出ているわけですね。石油と他の品目とは分けるという、こういうふうな公取委員長の考え方ですけれども、これは具体的にどう考え方を変えるのかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。
○政府委員(高橋俊英君) いまのおっしゃいました生活関連物資でございますが、石油以外でいま現在凍結しておる、これをどう扱うかという問題、たいへん私むずかしいと思います。むずかしいというのは、品目がやや広範にわたっているということですね。凍結の対象になったものの中には、たとえば繊維製品のようなものも入っております。ほっとけば、あるいはいまのような総需要抑制を続けた場合に、価格がもっと下がってしまうんじゃないかと思うものも対象品目に入っているわけでございますので、そういうものをどう扱うかということはむずかしいけれども、主なる品目——これは私の意見でございます。そうしませんと、引き上げた場合に、みんな同じような、たとえばどの百貨店も同じ幅で値上げするということになれば、これはカルテルになっちゃうわけです。でございますから、そういうふうにならないようにするために、やはり主要な品目については標準価格をつくってみていただいたらどうだろうかと私はそう思います。 いまおっしゃいました食用油のようなものは、かつて非常に暴騰もしたことがある実績がございますが、砂糖にしてもそうでございます。砂糖の場合に国際相場がたいへん動いていることは私はよく存じておりますが、やっぱり代表的な品目については標準価格によっていただくのが筋ではないだろうか、そして引き上げるなら引き上げたときに、それを標準価格とする、引き上げをどうしても要する場合にはその引き上げた価格をもって標準価格とすればあまり問題はないのじゃないだろうか。ことに標準価格は特定の標準的な品目だけ選ぶのでございまして、一つの百貨店が同じようなものを何十種類も売っておりましても、そのうちの一つだけを取り上げてやるということは許されるわけでございます。したがいまして、それを標準として他のものを右へならえと、こういうふうに指導——実際は指導というんじゃなく、規制するのが正しいあり方ではないかと思います。
○三木忠雄君 たまたま砂糖の問題が出ましたので、ちょっと聞いておきたいんですけれども、政府の協力店ということで、百八十六円でスーパーとか何店か、一割程度の小売り店で政府指導価格できめているわけですね。これがはたして、この問題が独禁法上どういう関係にあるのか、この問題について伺います。
○政府委員(高橋俊英君) 私どものほうで実情を承ったところでは、大体百八十六円以下にするのを当初一割程度と考えておったのが、三割ぐらいは百八十六円の中におさまってきている。つまり七割はそれからはみ出しているということでございますので、この押え方自体については、当不当の問題はございますけれども、いまカルテルだとみなすに足る根拠はないように思います、現状は。
○三木忠雄君 それから、いろんな話の中に、やはり五月ごろには重油の値上がりがささやかれているような話もあるわけですね、こういう問題、あるいはガソリンがもっと上がるんじゃないかという、こういう問題、したがって、可及的すみやかとにいう、こういう問題について、やはり標準価格へ移す考え方がはたして通産大臣はあるのかどうか。何も奨励するわけじゃありませんけれども、何か便乗値上げ便乗値上げという形で、さらに備蓄の関係とか含めて、重油の値上がりが予想されている業界もだいぶいるそうでありますけれども、こういう動きについてはいかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 先ほど申し上げましたようなバイバックやDDオイルの追徴金がいまぼつぼつ来ておりまして、まだ不安定な要素がございます。しばらくはまだ行政指導価格でいかざるを得ない情勢であります。石油の価格を改定するという考えはいまのところありません。
○三木忠雄君 そうすると、通産大臣は行政指導価格というものを大体どの程度まで考えていらっしゃるのですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) いまのような条件がととのって機が熟したら、なるたけ早く標準価格に移行させたいと希望しております。
○三木忠雄君 まあ、いまのような条件といいますけれども、通産大臣はもっと具体的な考え方を示していただきたいと思うのですけれども、いかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) いまのところ、各メージャーごとにばらばらに来ておる情勢でもありまして、具体的にいつまでというふうに期限を切ってお答えする自由を持ちません。
○矢追秀彦君 関連。 いま通産大臣、石油の価格を改定する気はないと言われましたが、実際もう、先ほど赤字が千三百億という報告がありましたし、先日来の物価集中審議では、石連の会長が、企業努力はもうできないと、こう言っているわけです。もう再値上げをぜひお願いをしたいと、逆に、こちらが質問したことに対して、もう陳情されたような次第でして、そういうことを考えますと、今後電力の値上げ等もいろいろいわれておりますし、おそらくまた再値上げということが十分考えられるので、いま三木委員のほうから質問あったので、重ねてするわけですけれども、その企業努力ができないと、まあ石連のほうは開き直っているわけですけれども、これは通産大臣、どういう形で、じゃこの赤字をなくすために企業が努力をして、それを吸い上げることができるのかどうか。やはりその点がしっかりしないと、赤字がたまってきた段階で何らかの形をとられる。じゃそれ以外に、いまの八千九百四十六円のままで見送るなら、その赤字をどういうふうにしていくのか、その点でお伺いしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) これは、この時代に国民がみんな苦労を願っておるときでございますし、それに去年の秋、暮れにかけて石油企業は便乗先取り値上げをしたと、そういうような国民の悪い感情も多分にまだ残っておったという状況でもあります。そういうこともわれわれは考えて政治をやらなければなりません。しかし、経済合理性を全く無視していいということではありません。そういう意味において、いろいろ計算をして、あの石油の値幅をきめたわけでございますが、ともかくあの程度で石油会社はいろんな合理化をやってもらい、内部留保を吐き出してもらい、そして全力を投球して経営の改善をやってもらう、土地を持っておるものは土地を売りなさい、山を持っておるものは山を売りなさい、重役の賞与も、あるいはそのほかの諸般の内部留保金も出せるものはこの際出してもらうと、そういう形でやっていきたいと思うのであります。
○矢追秀彦君 もう一点。 いま具体的に言われましたが、石油の値上げが十八日ですよ、もう半月以上たっているわけですね。この時点で、先ほど決算が出てきましたけれども、具体的にそういうことをきちんとやった石油会社はあるんですか、それは確認をされておりますか、どうですか。
○政府委員(熊谷善二君) 三月期決算のものにつきましては、各社におきまして現在計算を行なっている途中でございます。私どもが各社から、値上げの時点におきまして、今後三月期並びにこの九月期といったものにつきましての会社側の計算を一応試算的にとったわけでございますが、その数字が、先ほど申し上げました経常利益ベースで見まして、三月期におきましての約千三百億の赤字と、これは合計でございますが、そういう数字が出ておるわけでございます。各社の実際の決算につきましては、時期が五月に入りましての時点での株主総会ということできめられることと思いますが、今日まで私どもが得ております各社からの感触と申しましょうか、こういった点では、おおむね今期におきましては、特に値上げ時期がおくれたという各社側の感触もございますけれども、先ほど申しました相当の赤字が各社に発生すると。したがいまして、役員の賞与あるいは内部留保の取りくずし、こういったたことが今期のこの三月期の決算といたしまして、各社において行なわれることが予想されております。
○三木忠雄君 企業努力で、何か、通産大臣もいま申されましたけれども、実際に三月二十七日、石油新価格のもとで約五千億の特別融資をやろうという通産省の考え方に固まっているそうですね、この点についてはいかがですか。
○政府委員(熊谷善二君) 先生ただいま御指摘の五千億という数字は、おそらく輸入代金が急激に増加をいたしますので、それの支払い決済資金の増加額が——おそらく七月、八月ごろ、そのころの時点が一番ピークになろうかと思いますが、それが四千億あるいは五千億、その程度のものになろうかと思います。これは実際に日本に入りました油の対外的な決済のために必要な増加資金でございまして、この一月以降入りましたものの決済というものが実際は六カ月後にならなければ代金回収ができない、それまでの間の資金繰りがつらいという問題でございまして、この中にはいわゆる赤字というものは入っていない計算でございます。
○三木忠雄君 大蔵大臣、この問題については、何か特別に通産省との間の話し合いはできているんですか。
○国務大臣(福田赳夫君) まだ私は何も聞いておりませんけれども、資金繰りにつきましてはそうむずかしい事態ではないと、こういうふうに聞いておるんです。何か政府委員段階で話があるかどうか、ちょっと政府委員に答えさしていただきます。 〔委員長退席、理事吉武恵市君着席〕
○政府委員(吉田太郎一君) いま大臣からお答え申し上げましたとおり、まだ通産のほうと話を進めておる段階ではございません。現在、石油会社に対しましても日本銀行からの指導といたしましては、純増をゼロというところで指導をいたしております。お話のように、今後の問題として資金繰りの問題は起こってこようかと思いますが、しかし、同時に売り上げ代金というものが増加していく面もございまして、この辺のところはやはり規制を緩和するといたしましても、全体のワクを別ワクにするというようなことではなくて、石油会社に対する特別の規制についての多少の手心を六月ぐらいに加えることはありましても、いわゆるワク外と、新聞に書いてありますようなワク外というようなことを考える必要はないものと私どもは考えております。
○三木忠雄君 確かに企業努力もしなきゃならない。ところが、石油業界だけこういう救済処置をやるということは、やはり他の、資金難で、凍結された品目のメーカー等についての波及効果というか、あるいはいわんや中小企業が一番実はこういう問題で困っているわけですね。こういう点を考えると、あまりにも石油業界だけを優遇し過ぎるのじゃないかと、こまかな資産の問題についてはいろいろ検討しなきゃならない問題がある中にあって、もっと明確な態度で私は石油業界に臨むべきじゃないかと思うのですけれども、通産大臣のお考えを。
○国務大臣(中曽根康弘君) これは、石油もほかの品物もそうですが、輸入のユーザンスというのがございまして、三木さん御存じのように、猶予期間を持っておるわけです。これはいずれまたガソリンスタンドから回収して、それで決済して返すわけであります。そういう意味の決済資金でございますから、ある程度認めてやらざるを得ません。しかし、いま事務当局が申し上げましたように、大体ユーザンスの期限が来て、増高分がたぶん五月ごろには必要になるであろうという予測は持っております。しかし、いま大蔵省にお願いして話を始めるという段階ではないと私は承知しております。
○三木忠雄君 それでは、石油企業の具体的な問題について、私、一、二指摘したいと思うのですけれども、通産大臣は十二月二十四日の談話で、元売り各社に対して——価格凍結の行政指導の問題ですね、一月、二月、三月は小売りあるいは元売り仕切り価格等も値上げを認めないという談話を発表しているわけですが、これに対する具体的な指導効果はどうあったのか、この点について。
○政府委員(熊谷善二君) 御指摘のように、十二月の二十四日に通産大臣談話を発表いたしました。この趣旨は、今回のOPECの値上げというのが日本経済に与えます重大な影響にかんがみまして、直ちにこの新しい油価に対応する値上げを各社がやってはならない、こういうことを大臣談話として発表したものでございます。実際に油が入ってまいりますのは、御承知のように、概括的に申し上げれば、一月の二十日以降そういった新価格でのものがだいぶ入ってまいるわけでございますので、大臣談話を昨年の十二月二十四日発表いたしましたが、具体的な指導といたしましては、年が明けました一月の下旬に、各社の営業担当の役員を呼びまして、具体的な指導をいたしたわけでございます。その後、今回のこういった大きな原油価格の高騰に伴いますような各社の値上げというものは行なわれておりません。
○三木忠雄君 行なわれていないはずの、指導価格が破られて、実際にエッソ・スタンダード石油会社、これ自体がもう指導価格を守らないで、実際に便乗値上げというものをやっている事実は承知しておりますか。
○政府委員(熊谷善二君) おそらく先生御指摘の点は、エッソ石油がいわゆるマネージャープラン方式によりますガソリンその他の販売の際のことを御指摘になっているんじゃないかと思うわけでございますが、エッソの十二月から一月にかけましての一般特約店に対する価格の引き上げはございません。ただ、そのマネージャープラン方式によりますものにつきまして、これはいわば直営的なものでございますが、マネージャーとエッソ本社との間のいわば手数料の分配方式についての計算方法が十二月と一月に変わったということはあるようでございます。この事実から直ちに凍結違反ということは認めがたいというふうに私ども考えておるわけでございます。
○三木忠雄君 エッソ・スタンダードのこのマネージャープランのやり方、これ自体で非常に被害が出ている問題があるわけです。確かに小売り価格は押えた、あるいは仕切り価格を押えたと言うけれども、実際にマネージャープランで約三百五十軒に及ぶガソリンスタンドはやはり小売り価格を押えられ、仕切り価格は今度はエッソ・スタンダードからリットル五円なり三円上げられる、このために非常にこの三百五十店の経営者というものはたいへんな負債というか負担金を背負わされているわけです。こういう問題に対する通産省の考え方はどうなんです。
○国務大臣(中曽根康弘君) マネージャープランはエッソが会社としてやっていることで、マネージャーになった人がその地域のガソリンスタンドを経営して、そしてその手数料を受け取っているというやり方で、エッソはエッソ流のアメリカ人らしいやり方でやっているわけであります。そのために、かなりマネージャーのほうの手取りが薄くなってきて各地でもんちゃくを起こしておるのがあるようです。これは衆議院でも二、三の議員の皆さんから御質問がすでにありました。われわれとしては、しかし、会社の経営内部まで干渉するということは適当ではございません。これは会社内部において解決すべき問題でありますから、そういうように指導していきたいと思っています。
○三木忠雄君 ところが、これは会社内部でなかなか実際まとまらないんですね。いつもいつも強制的に圧力をかけられて、新しい契約、解雇というような問題がどんどん出てくるわけです。 たとえば石油製品の価格がこれだけ上がったためにエッソが利益を得たのは、約三カ月間で、三百五十軒のマネジャープランでやっておるこのスタンドから九億五千万の利益を得ているわけですね、エッソ自身が。わずか三百五十店のこのスタントから、四円値上げした一その他揮発油あるいは軽油、こういう問題もありますけれども、これを含めて、わずか三カ月程度で九億五千万の不当な利益をこの三百五十店から吸い上げているという問題ですね。それにもかかわらず、通産大臣は、仕切り価格を押えろという、こういう問題。確かに一部、会社的な内部の問題があるかもしれない。しかし、こういう業者がいつもいじめられているということについてのやはりもっと強力な行政指導をすべきではないかと思うんですけれども、いかがでございますか。
○政府委員(熊谷善二君) 私、お答えいたします。 私どもも先生の御指摘の問題につきましてかねてから実態をいろいろ調べたわけでございますが、先ほどもちょっと触れましたように、いわゆるエッソのこのマネージャープラン方式と申しますのは、いわゆる特定の地域におきますゾーンプライスというものをきめまして、これはいわば手数料の計算の基準でございまして、この価格自体で売られるものでは必ずしもないわけでございますが、その価格を上回って売った場合には当該マネージャーはその分は利益がふえる、あるいはその価格以下になった場合には、自分の手数量からそれが差っ引かれる、こういうことになる、そういう計算の一つの基準になっているものでございまして、実際の市場価格自身は、昨年の十二月に、まあ平均いたしますとガソリンの場合リッター八十円あるいは八十二、三円だったと思いますが、これがエッソの報告によりますと、一月におきましてもこの価格自体は変わっていない、二月に入りますとこれが逆に下がってまいっております。 で、問題は、このマネージャーの方が十二月の初めから後半にかけまして値が上がったに伴って自分のいわゆる取り分と申しますかマージンがふえたわけでございますが、本来ここでゾーンプライスを調整すべきはずであったと考えられます。ゾーンプライスというのは大体市価にスライドしているわけでございますので、その調整を一月に入って行なった。これが外から見ますと、いわゆる一見仕切り価格を上げたいというふうに受け取られるのではないか。実態は、そのようなものではなしに、一つの基準価格を十二月に本来やるべきものであったというものの調整であろうと考えておるわけでございます。
○三木忠雄君 それは非常に通産省としての考え方が甘いんですよ。これはやはり仕切り価格を上げて——実際に、この三百五十店にしてもおのおのが石油商業協同組合に入って一つ一つの具体的な店舗として経営をし、経営成績も自分自身が利益、あるいは赤字になった場合には担保を背負わされて実際にやっているわけですね。 こういう中で、さらにこういう石油の便乗値上げの中から末端価格を押えられたということで仕切り価格を上げて、このマネプラから、何といいますか、収益をさらに上げるという、こういうエッソのやり方自体がいいかどうかという問題なんですね。いままでにもいろんな問題点があるわけですよ。実際、三百五十軒のうち、経営者が百十店かわっているわけです。これはみんな赤字で実際に苦しんでしまっている。いわんやこの赤字自身が、担保を要求されて担保を取り立てられる等いろんな問題がある。あるいは一家離散をした問題があるとか、精神病になったとかいう、こういう問題がずいぶんこのマネージャープランの経営によって非常に苦しめられている日本のスタンドがあるわけですね。こういう問題について、もっと通産省はしっかり手を加えるべきではないか、こう思うんですけれども、特にスタンドの許認可の問題等にからんで、もっとこういう問題に対して、シェアを拡大するようなやり方はやめるべきじゃないかという考え方に私は立つんですけれども、通産大臣いかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) そのスタンドがいろいろな基準に違反するとか、あるいは小売り価格がこちらがきめた指導価格に違反するとか、そういう問題が出てくればわれわれとしては鉄槌を下しますけれども、いまのように経営の内部の問題でコミッションが多いとか少ないとかいう、そういう問題について通産省が介入することはできるだけ避けることがいい。そういう過酷な条件をつけている会社はおそらく内部がばらばらになるでしょうし、そのうちにマネージャーになる者もなくなるでしょうし、お客さんも少なくなるでしょうし、自然の成敗を受けていくだろうと私らは思います。それが公序良俗に反するというようなものなら、われわれが出ていく必要があると思いますけれども、われわれがいままで調べた範囲内におきましては、通産省が介入するという性質のものにはまだなっていない、そう思います。
○三木忠雄君 ところが、通産省からいろいろ石油スタンドの実態をもらいましても、エッソのマネプラは元売り直営ではない形になっているわけですね。ゼネラルはなっている。ゼネラルば、実際、こういう問題が起こってないわけですよね。その点について確かに企業内部の問題が一部いろいろあると思います。しかしながら、こういうものがどんどん社会的にいろんな悪影響を及ぼしてきている問題、確かに訴訟問題が起こっていることも当局は御存じだと思うんです。こういうことについて、やはり新しいガソリンスタンドをふやしていくとか、こういう問題をチェックすべきじゃないかと思うんですけれども、この点についていかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) ガソリンスタンドの増設は、もう去年から凍結して、やらしておりません。将来、もしスタンドをふやすというような場合には、いまのような営業形態は当然われわれの考慮の対象に入るだろうと思います。
○三木忠雄君 それから同じように、こういうラベルの問題一つにしましても、たとえばトヨタのキャッスルのモーターオイルが百九十五円で普通のところは入るわけですが、エッソのラベルを張るだけで実際に三百円で販売をするわけですね。こういう問題が、公取では、不当表示にならないのかどうか、あるいは商標権の問題でどういうふうに考えるのか。ただマークをつけるだけで二百円なり三百円便乗値上げをする、このことが消費者にそれだけ価格に加わって転嫁をしてくるという、こういう問題に対するチェックはどういうふうにやるのか。
○政府委員(高橋俊英君) ただいまのお話は、どうも私にもよくわからない点がございます。実は、エッソのいまの特殊なスタンドの経営方法は経営をさせる委託経営なんです。そのほうはだいぶ長いことかかって調査しておりますが、いまおっしゃったラベルを張るだけで割合にしたら五割以上も上がるというようなこと、そういうことは実際あり得るのかというふうに私は非常にけげんな感じで聞いておったんですが、なお、そういうことがほんとうにありますれば、その事実はよく究明してみたいと思っております。非常に何といいますか、不公正な取引になるかもしれませんし、不当な対価でやっているということになるかもしれません。先ほどの、スタンドを経営するにあたって個人を募集しまして、まあ私どもの調査では厳格に申しますと二百九十九店なんです。ただし、おっしゃったように、それに百十店入れかわっております。中身は入れかわっておりまして、問題があるということも承知しておりますが、利益率は、私どもの調査の結果だけを申し上げますと、主要な利益率を比較しましたところ、売り上げ高利益率で見ますと一・八と一・九なんです。つまり一般のほうが——普通のスタントですね、これは特約店、それは一・九でございまして、それからこの特殊な方式によります——マネージャープランと称しますか、というのが一・八でございまして、百二十数店を平均した数字でございますから、かなり実態に近いんではないかと思います。その限りにおいては、あまりひどい待遇を強制しておるものとはちょっと言いがたい点があるので、それで二年も三年もかかってまだ結論が出ていないというのが実態でございます。
○三木忠雄君 これは三十五年ごろからいろいろ公取が調査をされていることは聞いているんですけれども、これは十項ですか、やはり優位に立ったほうから押しつけられるような契約方法という問題については独禁法上問題じゃないかと私は思うんですけれども、この点についての公取委員長の見解を伺っておきたいんです。
○政府委員(高橋俊英君) 契約自体とその実績だけを平均で見ますと、必ずしも営利的な地位を乱用しているとまでは言い切れないんですが、しかし、いまおっしゃられました個々のケースをとった場合に、非常に何というか、みじめな経営におちいったというふうなことが何に起因するのかという点を、そこまでやっぱり入って見なければいけないと思います。具体的な事例についてこれからさらに調査を進めるようにいたさせます。いまおっしゃった確かに不公正な取引方法に該当する向きがないとは言い切れません、あるともいまは申しませんが、ないとは言い切れないと思います。
○三木忠雄君 それでは最後に、同じくガソリンスタンドの問題で、商社の経営のガソリンスタンドが最近非常に多いわけです。この問題について、実際に通産省はどのように認識しているのか。
○政府委員(熊谷善二君) お答えいたします。 ガソリンスタンドの商社の在籍数でございますが、私どもはこのデータによりますと四十四年の十二月末が千二百九十店、四十五年の十二月末が千五百五十三店、四十六年の十二月末が千七百二十六店、四十七年の十二月末が千八百五十六店、四十八年の十二月末につきましては千九百八十九店というふうに書かれております。これは漸増いたしておりますが、全体の中で占めますシェアは四%と、ほぼ同じ水準を維持いたしております。
○三木忠雄君 きょうは、個々のこまかなところまで立ち入る考えを私は持っておりませんけれども、これは実際の商社の直属なんですね。それに加えてやはり関係会社が相当持っているわけです。たとえば伊藤忠燃料であるとか日石伊藤忠であるとか、こういうところはどんどん具体的にこのスタンドを設置してきているのが実情だと思うのです。 それから、さらに資金的に非常にたいへんな問題が出てくると商社が資金を投入して、その系列にガソリンスタンドをつないでしまうという、こういうふうな形態が非常に私はふえてきているように思うのです。このためにやはり昔から長年続いておる小売り店が非常に苦境に立っているというか、やはり苦しい問題があるんじゃないか。商社が元売り会社とあるいは関係会社を掌握し、こういう十一月やあるいは十二月の石油問題のときなんかは自分の系列のところは石油がくるけれども、実際に昔からずっとやってきたこういうスタンド会社が非常に苦境に立つという、こういう問題で今後さらに混乱が起こってくるのではないかと思うのですね。こういう問題に対するスタンドの設置のあり方について通産大臣どう考えられますか。
○政府委員(熊谷善二君) 先ほど大臣からお答え申し上げましたように、スタンドの設置につきましては、昨年十二月の段階で新規の届け出は受理しないということで今日までまいっておるわけでございますが、本件につきましては、先生御承知のように、設置につきましての調整措置を行政指導でやっていたわけでございます。今後の問題につきましては、一つは、この凍結の取り扱いの問題がございますけれども、私どもとしましては、流通段階におきます石油のスタンドのあり方という問題等につきましては、流通の全体の一環の中で新しく私どもは見直す必要があろうかと実は考えておるわけでございます。先ほど御指摘のように、最近はスタンドの建設も相当な資金が必要になりますので、自然、大企業あるいは商社その他に資金を依存するという形態もふえてくるという実態は確かに見受けられるわけでございますが、やはり中小企業への配慮ということにつきましては、私どもは十分念頭に置きまして、これからの流通体系のあり方も考えていく必要があるのではないかというふうに考えておるわけでございます。 〔理事吉武恵市君退席、委員長着席〕
○三木忠雄君 じゃ、この問題の最後に、大蔵大臣か総理大臣ですね、外交官に対するガソリン消費税の免税はあるんですけれども、身体障害者やあるいは老人等を運ぶ施設のバスですね、こういうバスにガソリンの消費税をなくするという形、外交官と同じような待遇を与えるというような考え方はないですか。
○国務大臣(福田赳夫君) そういうことを考えますと、ガソリン消費税ばかりでなくて、各般の消費税等に波及する問題じゃないかと思うのです。私もそういうことで考えたことはございませんけれども、なお考えてみる、かように存じております。
○三木忠雄君 考えたことがないけど考えてみますじゃ話がわからぬ問題ですけれども、実際に施設の限られた車ですよ。福祉施設にあるとか身体障害者施設にあるとかという、そういう限られた車だけにでもそういう方向はできないかということです。外交官はやはり免税になっているわけですよ。またいろいろ外交特権もあるでしょう。しかし、そういう施設の限られたところで、こういうガソリンがどんどん値上がりしてくると、これはたいへんな問題も出てくるわけです。そういう点の考慮はできないかということです。
○国務大臣(福田赳夫君) なお、だから、考えてみることにいたします。
○委員長(鹿島俊雄君) 三木君の残余の質疑は、明日、これを行なうことといたします。明日は午前十時開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後七時三十六分散会