予算委員会 第14号
- 発言数
- 239 件
- 登壇者
- 27 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1974/03/22
会議録
○委員長(鹿島俊雄君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 昭和四十九年度一般会計予算 昭和四十九年度特別会計予算 昭和四十九年度政府関係機関予算 以上三案を一括して議題といたします。 三案に対する一般質疑は本日から六日間とし、質疑総時間は八百四十五分とし、各会派への割り当ては、自由民主党及び日本社会党それぞれ二百九十九分、公明党百九分、民社党及び日本共産党はそれぞれ五十五分、第二院クラブ二十八分とすることにすでに決定をいたしておりますが、質疑順位につきましては、先日の理事会におきましてお手元に配付いたしました質疑通告表の順位とすることに協議決定いたしました。 そのように取り運ぶことに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鹿島俊雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(鹿島俊雄君) 参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。 三案審査のため、本日、東京大学医学部講師高橋晄正君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鹿島俊雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(鹿島俊雄君) それでは、これより一般質疑に入ります。鈴木君。
○鈴木強君 最初に運輸大臣と——国鉄総裁、いらしておりますね——にお尋ねいたします。 先般この委員会におきまして、田中首相が国鉄民営論をぶたれました。私は非常に奇異な感を受けたのでございますが、これに対して、運輸大臣と総裁の御所見をまず最初に承りたいと思います。なおまた、十九日の閣議で、同様な趣旨を首相から述べられて、何か再検討的な指示がなされたと聞いておりますが、その事実がありましたかどうかも一緒にお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(徳永正利君) お答えいたします。 国鉄民営論につきましては、総理から検討を指示されたことはございません。これは何か新聞の誤報であると思います。 それから民営の可否については、国鉄が鉄道省から公社に移行された当時からいろいろ検討されておったという総理のこの間の答弁は、私はもう一ぺん速記録を取って読み返したのでございますが、そういうことをるる申し述べまして、山崎議員との間に憲法論まで持ち出していろいろ討論があったわけでございますが、したがいまして、いま民営にすると申しましても、法律論やら、いろんな実体論、たくさんの問題をかかえて、これが早急に結論を出せるものではないと思います。したがいまして、昨年来、再建十カ年計画による国鉄の問題等、御審議願っております法律案の経営主体が変わっていくというようなことはないというふうに考えております。
○説明員(藤井松太郎君) お答え申し上げます。 趣旨におきましてはただいま運輸大臣の御答弁のとおりでございますが、御承知のように、国鉄をいかなる形で運営するかということは、国営があり、民営があり、その中間の公共企業体というものがございますが、このいずれをとるかということは、いずれの形が国民の御利益、御利便に最適であろうかという問題でございまして、過去におきましてもいろんな御議論がございましたが、結論的な御議論にはなってないというような状態でございますが、いずれにしましても、国民の最大の利益、最大の御利便ということを念頭に置いて、慎重な検討と申しますか、考慮をめぐらさなくちゃいかぬと、かように考えております。
○鈴木強君 公共企業体に国営から移行する際のいきさつについてはもうここでは私は触れませんが、公共企業体経営そのものがなお検討する余地は私はあると思うんです。特に国鉄の場合に、昭和二十八年に会計上の独立採算をとられましたね。その結果、非常に収入がダウンしてくる、交通体系が変革をしてくるという中で経営が苦しくなる、そういう場合に、独立採算のたてまえの現行からいきますとたいへんな苦労があるわけです。ですから、昭和二十八年に、黒字があったら一般会計に納付するのをやめて国鉄がそれを使うような方法に変えた、その時点における将来に対する国鉄の判断というものが多少私は誤りがあったんじゃないかという気がするんです。ですから、そういう点を含めて会計制度のあり方、それらの問題についてはもう少しく公社に自主性を与えるとか、こういう点は私はもう一歩検討する余地があると思うんです。民営にするなんということはいま考えられないことですけれども、そういう現行公共企業体経営の中において是正すべき点があると思いますが、そういう点について、これは国鉄総裁、いかがですか、あなた直接経営にタッチしておって。
○説明員(藤井松太郎君) お答え申し上げます。 申し上げるまでもなく、公共企業体というものは、国営といわば民営の中間に位するようなものでございまして、これに批判をあえてすれば、国営的な色彩が強過ぎるとか、あるいは民営的な色彩が強過ぎるとかといったような御批判はあると思いますけれども、私はとにかくその中間体の責任者だということで、私が申し上げることは、そんなにおまえいいこと知っているならなぜ変えぬかということにもなり、弁解めいたことになりますので、よろしく私のような直接責任を持ってない方々の意見を拝聴して、しかるべき方向に動いていくということ以外に方法はないんじゃないか。私が申し上げることは弁解めいたことになるんじゃないかということをおそれる次第であります。
○鈴木強君 少なくも国鉄総裁として、日本国有鉄道をあずかっている、あなたは最高責任者ですからね。現状経営について、こういう点はこうしてほしいとか、こういう点はこうあるべきだという、そういう意見を述べることは一向差しつかえないわけですよ。私はそこを聞いているわけです。いまの経営がベターですか、最高ですか。
○説明員(藤井松太郎君) お答えします。 これは本質的な問題でございまして、政府、運輸省の御意見も伺わなくちゃいけませんけれども、私の国鉄総裁としての個人的な見解でお許しを願えれば、多少国営的な色彩が強いんじゃないかという気がいたします。
○鈴木強君 これは運輸大臣、いかがですか。
○国務大臣(徳永正利君) 民営論はさておきまして、いま御指摘のような、公共性と企業性をどういうふうに持っていくかということだろうと思います。したがいまして、いま総裁が申しましたように、公共性の色彩が非常に強いんじゃないかというようなことでございますが、私は公共性を、これを見のがすわけにはまいらぬと思います。これはもう国鉄の発想の点から申しましても、それがために政府が独立採算制を公共企業体に一方的に押しつけるということは、これはよくないことだと思います。したがいまして、今後におきましても、政府の投資でございますとか、あるいはまた、その他の面において独立採算制のみを押しつけるんじゃなくて、十分配慮しつつまいらなければならないことは言をまたないところでございます。したがいまして、そういう面における今後の検討というものは、いろいろな面でやはり検討してまいらなければならぬことだと思います。
○加瀬完君 関連。 この間の総理の発言はね、私、非常に軽率だと思うのですよ。話が長くなって恐縮ですが、鉄道が国営にされた原因は、低廉に国民に鉄道の利便を与えるということで国有にしたわけでありますから、歴史的に見ても、運賃を値上げをしないで済ませるために、国有と、こういう形をとったわけであります。しかも、昨年の予算構成のときには政府の方針は公共性というものを重視をしなけりゃならない。したがって、独立採算制という形で、運賃だけで国鉄の赤字を片づけるわけにはいかない。したがって、相当の財政負担というものを政府が新しく支出をするんだ、こういう運営方針をきめたわけですね。したがって、国からの赤字補てんの財政支出をどれだけ拡大していくかということで議論があるというのはわかるけれども、民営に移せばいいなんというとっぴな議論は、昨年の閣議の決定とはまるきりうらはらなものですね。こういう暴論をいいかげんに出されては困ると思う。そこで、いま鈴木委員の指摘をしておるように、国営か民営かということではなくて、独立採算制というもので国鉄やっていけないのだから、どれだけ政府が金を出すか、こういうことで議論が進められるのが、昨年の主張からすれば当然だと思う。こういう前提はくつがえったんですか。
○国務大臣(徳永正利君) 民営論のことにつきましては、先ほど鈴木委員にお答えしたとおりでございまして、昨年来御議論いただいております再建計画において、国もできる限りの応分の負担をしなければならぬ、それからまた、受益者負担と申しますか、そういうような意味で、利用される方々にも御負担を願う、さらに国鉄の企業努力によって経費の軽減をはかる、この三本の柱が再建の大もとになっているわけでございまして、国鉄の公共性というものからして、国がどういうふうに今後財政的にも力を入れていくかということが、いま御指摘のような問題点になっているわけでございます。したがいまして、今後のことといたしましても、御案内のように、公制審の答申の中にはいろいろ問題点を指摘されているわけでございますけれども、それはそれとして検討するといたしまして、今後再建十カ年計画の企業組織自体というものがここでくずれるというようなことではないわけでございまして、この点はひとつ御了承いただきたいと思います。
○鈴木強君 去年二百八十日も会期を延長して論議をし尽くした問題ですから、私はいまの運輸大臣のお考えで大体わかりましたので、次に移ります。 いま運輸省のほうに、バス、トラック、それから旅客線、国内航空の各社から、それぞれ運賃料金の値上げの申請が出ているように聞いておりますけれども、その状況はどうなっておりますか、ちょっと伺いたいんですけれども。
○国務大臣(徳永正利君) 公共料金につきまして、それぞれの立場から申請が出ておることは御指摘のとおりでございます。したがいまして、バス等につきましては、これはもういままでの二年ローテーションの線に沿いまして、しかし、油とかあるいはいろいろな問題がそれにからんでおりますけれども、これを一応の原則としまして公共料金の値上げを認めていかざるを得ないと思います。しかしながら、その場合におきましても、各企業の実績というものを十分検討しまして、公共料金を抑制するという政府の立場は原則的には変わらないものでございますけれども、そういう零細、弱小企業、弱い企業体の経営するものについては、また特別なひとつ配慮を払わなければならぬのじゃないかということで、いろいろ関係各省庁と連絡、協調いたしまして、そういう方向で処理していくつもりでございます。
○鈴木強君 トラック等。
○国務大臣(徳永正利君) それからまだトラックについては、この前小柳委員からも手きびしい御指摘がございましたが、もう少し実態をよく見きわめて、トラックにいたしましてもあるいは連絡船等にいたしましても、その実態を十分調査の上、弱い部面の経営については、これが安全投資等においても欠けるようなことのないような配慮をするのは当然でございますから、そういうようなところを十分検討した上で関係各省庁の協議の上で公共料金の値上げ等についても善処してまいりたいと思います。
○鈴木強君 航空はどうですか、国内航空。
○国務大臣(徳永正利君) 航空は、御承知のように、昨年航空三社から値上げの問題が出ておりますけれども、まだ私どもはこれを検討中でございます。したがって、運輸審議会にもまだ答申を求めておる段階でございません。しかし東亜国内航空は、御承知のように非常に合併当時からいろいろな問題があり、その後また大きな事故を起こした等のことも加わりまして、経営内容はきわめて悪いわけでございます。特に、幹線のジェット路線はいいわけでございますが、このYS11のローカル線は実は経費倒れに終わっているのが現状でございます。したがいまして、この路線の割り振りを変えるかということも一つの案だと思います。しかし、路線を変更するということになりますと、これは既存の路線を持っております全日空なり、あるいは日航等との間のいろいろな問題も複雑な問題がございまして、いまそういうものの調整等も含めまして国内航空料金の問題につきましては、事務当局の間で鋭意検討をさせておる実情でございます。
○鈴木強君 タクシー料金については、総括質問で明確に上げないということを大臣おっしゃっていますから、それはいいのですけれども、私鉄の運賃を含めて公共料金抑制というこの政府の方針から見ると、いまお述べになりました中小企業の、あるいはバスとかトラックだというふうに理解をするわけですし、また旅客船や国内航空の問題についてもやはり上げるという前提に立って検討しているように思われてしかたがないのですけれども、やはり公共料金抑制の立場から言うと物価を安定しようという八月のめどが大体あるわけですから、少しずれていくと思いますけれども、そうしますと、その方針と相反するような形に感ずるのでございますけれども、この点については私鉄運賃は一体どうするのか。それから経済企画庁長官にも、これらの公共料金の値上げについて経済企画庁としてはどうなさるのか、この点もひとつお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(徳永正利君) 私鉄運賃につきましては、もう昨年運輸審議会に是非の答申を求めているわけでございますが、ただいま運輸審議会で検討中でございまして、いずれ結論が出るだろうと思います。しかし、この油の事情等がからみまして、かりにいつごろどういう方向に進むかわかりませんけれども、電力料金等の検討しなければならぬ段階に至りましたならば、私鉄の運賃等もなかなかこれはほうっておける問題ではないのじゃないかというふうに考えるわけでございますけれども、政府といたしましてはこの公共料金の抑制と、これを強力に抑制するという原則は変わっておらないわけでございます。ただ、現場を受け持っております私の立場といたしましては、やはり安全設備投資が欠けるようになったり、あるいはまたそういうような問題が起きてくるということは、これはもう絶対避けねばならぬことでございまして、この点等のかね合いにおきまして実は悩んでおるわけでございます。これから先もそういう問題を十分把握し検討し、その上で関係省庁間の連絡をとって善処してまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
○国務大臣(内田常雄君) 公共料金につきましては、これまあ国民生活に非常な関連がございますし、そのまた及ぼす影響も広範なものもございますので、私どもといたしましては、これの改定につきましては慎重に取り扱わざるを得ないと、こういう立場は今日も変わりはございません。ただ、これは御承知のように、昨年暮れの物価狂乱あるいは石油の値上がりというような事態のもとにおきましても、料金のその先取りというものは行なわれておりませんために、今日コストの上昇につれておあげになりましたような、バスでも、トラックでも、私鉄でも、あるいは電力はもちろんのこと、みなコストアップによる大幅な赤字の状態もございますので、これをいつまでも放置をいたしておきますということになりますと、これに対する資源配分がそこなわれて、公益事業そのものが崩壊するということにもなりますので、慎重な中でも実態に即して必要なる配慮は正直に申してやらなければならないときには、それはやるように、関係の主管庁とも打ち合わせて進まざるを得ないと私は考えます。電力につきましても、私鉄につきましても、事は同じでございます。バス、トラック等につきましても、もちろんその軽油などにつきましては、軽油引取税というものを上げないことにいたしたり、あるいはまた、今回の原油値上がりに際しまして、いろいろの油の種類に、石油製品に、値段を開きます場合にも、原油については特別な配慮をいたした等のことはやっておりますけれども、しかし、それだけでしのげるものではないことも頭に置きまして、慎重かつ必要な処理をいたしたい、いたさざるを得ないと考えます。
○鈴木強君 経済企画庁長官の立場というのは、非常に私は重要だと思うのです。従来ややもしますと、経済企画庁は非常に強い姿勢を当初出しておるのでございますけれども、そのうちにだんだんと各省との折衝をしている間に後退をしまして、結局各省の線に同調していくような傾向が強うございます。これはまあ信頼する内田長官ですから、そんなことはないと思いますけれども、もう少し私は経済企画庁というものが全体の物価の動向について、あるいは抑制について、強力なやはりリーダーシップをとらなければいかぬのですよ。これは経済企画庁をつくったというのは、私はそこにねらいがあったと思うのです。ところが、どうもそういう点がいままで見ておりますと、われわれの期待に十分こたえていないような気がするわけです。ですからもう一段とひとつ、もう上げないのだという前提に立って、やはり経済企画庁のほうではものを考えていかないと、それはとても夏には物価安定しませんよ。その点いかがでしょうかね、私の感じなんですがね。
○国務大臣(内田常雄君) 御批判をいただきましてまことにおそれ入ります。しかし正直に申しますと、私は今日ほど経済運営、あるいはまた経済運営というものが、単なる運営でなしに、今後いろいろな経済構造の改変あるいは物価構造の改変までも伴うようなことを想定をしながら、物価を押えたりあるいは経済成長というものを調整したりしていかなければならないことも考えてはおるわけでありますが、そういう方面で苦労された鈴木さんからもいろいろ御批判と同時にまた御指導やら御教示もいただきまして、御期待に沿うようにつとめてまいりたいと考えます。
○鈴木強君 がんばってください。 それから次に、成田新国際空港の建設計画の進捗状況でございますが、地元との折り合いの点が一番大事だと思うのですが、その点を含めましてどうなっておりますか。そうして開港のめどを一体どこに置いているか、明確にしていただきたい。
○国務大臣(徳永正利君) 成田新国際空港の様態でございますが、本格的なパイプラインは地元とのいろいろな問題をまだ調整を残しておるわけでございます。したがいまして、暫定的なパイプラインの施工を急いでおるわけでございまして、これはもう工事にかかっております。せんだって来、ちょっと水が出たというようなこともございましたけれども、これが大きく工事の進捗がはばまれるというようなことはないと思います。したがいまして、千葉港からの油を輸送する問題と、さらに鹿島港からの暫定パイプラインまでの輸送の問題があるわけでございますが、地元の皆さん方等の意見のまだ多少調整を要し、また御理解をいただかなければならない問題が残っているわけでございます。したがいまして、この点につきましては、鋭意いま現場におもむきましていろいろ話し合いを進めておる最中でございますが、いずれにいたしましても、地元の皆さん方の御協力も、だんだんと御理解を得られることと信じております。 なお、開港の時期でございますが、これは四千メーター滑走路のすぐ先に鉄塔が二つあるわけでございますが、これはどうしても御協力をいただいて撤去しないと飛行機が飛ばせないという現状でございます。なお、暫定パイプラインの問題等もあわせまして、工事等もあわせまして、なるたけ早い時期ということでございますけれども、歴年、今年のなるたけ早い時期に、今年一ぱいと言わなくて、今年のなるたけ早い時期に開港をいたしたいと、かように考えておる次第でございます。
○鈴木強君 それからその次に、現在問題のエアバスですが、これは例の事故が起きまして、トルコ機が。そのあと運輸省はそのまま認めておるようですけれども、まあ国民のほうから見ると安全性についてやはり疑義があると思いますから、その点はもう絶対だいじょうぶだということの保証はできるんですか。
○国務大臣(徳永正利君) せんだってのダグラスDC10という飛行機がフランスで事故を起こしましてから、特にこのエアバスの問題が関心の的になってきたわけでございますが、このダグラスDC10というのはいま日本にはないわけでございます。日本航空が五十一年ごろを目標にこれを買い入れるという計画はあるようでございますけれども、これはいまのダグラスDC10が使っておりますジェットエンジンとは違うようでございます。で、これはまた専門的には御説明を申し上げたいと思いますが、いま飛んでおりますエアバスと称しますのはボーイングの747SRというのでございますが、それとロッキードの一〇一一でございますか、一〇一一という機種でございまして、これはいままで一ぺんも事故は起こしておりません。いま沖繩に就航しております日航並びに全日空の飛行機はいずれもこのボーイング、ロッキードでございまして、事故を起こしましたダグラスではないわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、就航いたしましているエアバスにつきましては、安全の面においてはいままでよりも、ただ形は大きく、人はよけい乗れますけれども、安全度においてより高いものだと、また環境公害等においても、より騒音等においては少ないわけでございまして、今後もこの就航につきましては、これを国民の皆さん方の安全に対する御理解を十分いただいて許可してまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
○鈴木強君 まあ国民の不安にこたえて絶対だいじょうぶだという保証が明らかになればよろしいと思いますけれども、しかし、たまたまああいったパリのトルコ機事故があったときですから、もう少しこう安全性について、国民にこれこれこういうふうでだいじょうぶなんだという、そういう周知的なものも若干欠けているように思うわけですね。ですから、もう少しその辺の配慮というものを運輸省当局としてやるべきじゃなかったのでしょうか。またやってほしいと私思うんですけれどもね。しろうとはよくわからないんです、その安全性というものについて、ああいう事故が起きましても。
○政府委員(中曽敬君) それではもうちょっと詳しく申し上げたいと思いますが、どのように私どもがエアバスの安全性について確認をしておるかというようなことにつきまして、ちょっと御説明申し上げたいと思います。 私どものほうで現在、まあエアバスに限りませんけれども、航空機の安全性を確かめるためにやっております作業といたしましては、航空法上に定められました耐空性検査というのを実はやっておるのでございます。大体現在日本に導入されております飛行機はアメリカ製が大半でございますが、米国の製造工場へ私ども航空局検査官を派遣いたしまして設計の審査を行なっております。と同時に、実機一機ごとにつきましての耐空性検査、一つ一つの飛行機につきまして実際の試験飛行等を行ないまして、耐空性検査を実施しておるわけでございます。 それから第二に、航空機の運航方法、それから整備の方法につきましても、技術上の基準というものを各航空会社で定めさせております。これは運航規程、そして整備規程と称しておりますけれども、そういった規程をつくらせまして、そしてこれを私どものほうで逐一審査いたしまして、だいじょうぶであると、運航とかあるいは整備の方法というものが安全を確保するためにだいじょうぶである、そういうふうなやり方になっておるということを確認いたしまして認可をしておる。これは大臣認可事項になっておりますけれども、そういう方法で認可をしておるわけでございます。 第三に、運航並びに整備の従事者でございますパイロットそれから整備従事者、そういったものにつきましての訓練とそれから資格の取得ということが必要でございますけれども、そういった問題につきましても、同様に航空法上の規定がございまして、この規定に基づきまして審査をやって、適確に航空機の操縦ができ、そうしてまた整備ができるということを確認審査しているわけでございます。 それから第四に、エアバスの就航にあたりましては、航空法上の事業計画変更認可という手続が必要でございます。したがいまして、われわれといたしましては、安全にかかわる路線ごとの設備あるいは飛行場の設備を含みますけれども、そういった設備とかあるいは人員の配置状況といったものが事業計画の内容、何と申しますか、安全を確保するための事業計画というふうなものになっているかどうかということを審査しておるわけでございます。 それから第五に、さらに運航開始にあたりましては、運航開始前の検査ということをやっておるわけでございます。これはどういうことをやるかと申しますと、運航管理の方法あるいは整備の施設等あるいは人員配置、そういったものか実際にこのエアバスを飛ばすにあたって十分であるかどうかというようなことについての検査をやっておると。具体的に申しますと、今度現在の、先ほど大臣が申し述べられましたような沖繩線につきましては、羽田と那覇の空港につきましてのそういった整備施設あるいは人員配置というものが十分できておるかどうかということを十分審査いたしまして、だいじょうぶであるという確認をいたしましてから就航さしておるというふうな状況でございます。
○鈴木強君 事故が起きてからではもうどうにも取り返しがつかぬのですから、日常不断に、さらにこの安全性についての確保を十分やっていただくように希望しておきます。 それから、これは国鉄総裁でしょうか、東京都内の交通緩和のために東京に第二環状線を建設するという計画があるように聞いておるのですけれども、それはどういうものかですね。
○説明員(内田隆滋君) 前国会でそういうお話がございましたが、これは東京の全体の通勤の問題でございまして、運輸審議会でも今後検討されるべき問題だと思っております。
○鈴木強君 今後検討すべき問題だとおっしゃるんですが、第二環状線を建設して交通緩和のためにやろうというそういう考え方が国鉄にあるのかないのかですね。
○説明員(内田隆滋君) いまのところ具体的な計画はございません。しかし、いわゆる武蔵野線あるいは南武線等をつなげて第二環状的なものを形成するようなものが徐々にできつつあることは事実でございます。
○鈴木強君 その次に、昭和四十九年度ですね、今年度、国鉄の赤字路線の解消計画というのはさまっておるんでございますか。
○説明員(藤井松太郎君) お答え申し上げます。 いわゆる赤字路線の改廃の問題につきましては、再建計画の御検討の段階におきましても御論議を願いましたように、地方のそれに代替する交通機関の有無であるとか地方の状況、それらを十分勘案して、なおかつ地元の御賛同を得てやるというようなことになりまして、まあ極力私どもそういう方向で進んでおりますけれども、あまりはかばかしくは進んでいないというのが実情でございます。
○鈴木強君 四十八年度じゅうに国鉄が考えた路線は何キロだったのですか、それがどうなったのか。いま私が聞いているのは四十九年度、そういう赤字路線の解消計画を持っているのかどうかというのを聞いているんですが。
○説明員(伊江朝雄君) お答え申し上げます。 先般、八十三線区の赤字路線、約三千キロございますが、これについての計画は立てましたけれども、その後の事情の変更によりまして昨年度は具体的に大体三十キロぐらいの計画ということでございます。で、次年度の四十九年度におきましても大体三十キロ程度というふうに考えております。
○鈴木強君 これは赤字路線解消、そんなにあなた方が考えるように簡単にいくものではありませんよ、これは。やっぱり僻地の人にとりましては、採算制の問題もあるでしょうけれども、やはり国鉄というものに期待する度合いが非常に強いわけですから、そう算術計算のようにいくわけはない。だから、やっぱり計画をやってみたところで計画どおりにいかないのだけれども、無理に計画を立てては何かむだな努力をするような気もしますから、これはやっぱり国鉄経営の基本の問題にかかわることですから、ですから公共企業体のあり方、そこまでやはりさかのぼって、財務会計のあり方までさかのぼって検討していただきたいということを私は希望しておきます。 それからその次に通産大臣にお尋ねしますが、電力料金のことですが、二十日に電気事業審議会の料金制度部会から中間的な御報告が通産大臣になされておるようでございますが、その要点だけひとつ教えてもらいたい、最初に。
○国務大臣(中曽根康弘君) 概して申し上げると、福祉優先という思想がかなり強く加味されて、いままでの原価主義のワク内においてそれを実現しようという構想で盛られております。いままでは家庭の電灯料金と産業用の電力料金の間に格差がございまして、原価主義でやりますと、産業の場合には工場に太い電線を一本持ってくればそれでまかなえるというので原価は非常に安いわけです。しかし、家庭の場合には変圧器が要る、配線が要る、電柱が要る、こういうわけでかなり費用はかかる。したがって、家庭用の電灯は約二・二倍ぐらい高かったように思います。しかし、こういう時代になりまして民生優先ということで家庭について考慮しなければならぬと、それから省資源、省エネルギーという時代の要請に基づきまして、電力をうんと使うものは高くつくと、そういうことでできるだけ電力を使わない、結局石油も使わない、そういう方向に産業を誘導しよう、そういう考えを基本にいたしまして今回の中間答申が出たようでございます。それで家庭用の電灯料をかなり据え置いて、ただしある程度の平均的家庭、たとえばルームクーラーとか三種の神器とか、ある一定限度はどうしても使わなければいけない。そういうものについての上げ率をできるだけ少なくして、しかし、それ以上よけいに使うという場合にはこれは多少高く取ってもよろしい。そういうふうに非常に社会政策的考慮をした電灯料金体系をひとつきめました。それと同時に、電力料につきましては、使えば使うほど値が高くつくと、そういうような思想も盛られておりまして、具体的には公益事業部長から御報告申し上げますが、私らの見たところでは大体妥当な線が出てきておると、それで、これをもとにしまして各省庁とも相談をしまして通産省としての基本的態度をきめていきたい、こう考えております。
○鈴木強君 そうすると、大体妥当なものだという通産大臣のお答えでございます。したがって、この中間報告を実施に移そうという考え方になるわけですね、そうなりますと。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私は妥当なものであると思いますか、電力問題は各省庁——産業、民生にも影響いたしますからこれは一応ほかの省とも相談をいたしまして、その上で通産省としての基本的態度をきめてわれわれの基準をつくっていきたいと思います。
○鈴木強君 これは経済企画庁のほうでは、この答申をやはり長官もごらんになったと思いますけれども、いま通産大臣は大体妥当なもので、いろいろ相談をして、時期は別としても、やっていきたいというような御方針のように伺いましたけれども、経済企画庁としてはどうなんですか、長官の意見。
○国務大臣(内田常雄君) これは私の考え方では、今度の電気事業審議会の料金部会が初めてその答申をされたということに形の上ではなるのでしょうが、従来からやはりそういう方向であるべきだということがいろいろの方面でいわれておった線に乗るものだと私は考えます。でありますから、福祉型であり、また省資源型であると、こういうことになっておりますので、こまかい手直し等は別といたしまして、その線でいいのではないか。したがって、今後電気料金の改定等を具体的にやる場合にも、やはりこれは参考にさるべき電気料金の一つの型として取り上げられるべきもので、よいのではないかと私は思います。
○鈴木強君 それで通産大臣、おそらく電力九社ができるだけ早くこの答申が出たものですから、一緒にやるか別々にやるかは別として、料金値上げの申請をしてくると、こう見なければならぬと思いますね。特に加藤電気事業連合会会長がせんだって意見を述べておられますが、それによりますと、九社はそれぞれ一日も早く値上げ申請をしたいということを言っておりますし、また申請する値上げの幅についても最低四〇%、最高七〇%、九社平均で六〇%と、こういうふうなかなり大幅なものをほのめかしているわけですね。しかし、昨年九月に関西と四国は値上げをしておりますし、それから北海道はまた特に石炭でやっていると思いますね。そういう点も考えてみるとなかなかむずかしい問題だと思いますけれど、通産大臣として、妥当なものである、したがって、この答申に基づいて申請があった場合に早い時期に値上げを認めなければならないというそういう考え方かどうか。その辺はいかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 電力会社の経理もさることながら、いま政治や内閣が当面している最大の問題は物価を安定させるということでございます。したがいまして、やはり物価安定ということを優先してわれわれは考えていかなきゃならないと思いますので、この間石油の値段を上げましたので、この石油の値段の上げたのが各方面にどういう反応を及ぼし、どういう新しい安定均衡水準をつくり得るか、内外にわたって様子をもう少しよく見まして、その均衡状態の行く末等をよく熟慮した上で電力問題に次に取りかかろう、そういう考えでおりまして、いつ審査するとか、いつ決定するとかいうことは全くまだ夫定でございます。
○鈴木強君 この各九電力の経営の内容等については、すでに通産省としてかなり御調査をなさっておるわけですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) かなり審査はしております。中身は調査はしております。大体私のうろ覚えで、やはり一番苦しいのが東電、それから中部電力、それから中国電力、それから四国電力、この四つが一番苦しいのではないか。わりあいに余裕があると思われるのは北海道電力ではないか。それにしましても、大体三月決算では東電やいま申し上げたような苦しいと思われるものは相当内部留保を吐き出しまして、そしておそらく最後の、お金でいうと山内一豊の妻のお小づかいみたいな最後の資本留保あるいは利益留保というようなもの、それを吐き出すと今度は外債の募集とかあるいは内債の債券の募集に差しつかえるようなものまで手をつけざるを得ないのではないか。その境目ぐらいまで来て、ほかの渇水準備金とかその他の内部留保はほとんど吐き出してかろうじて決算ができる程度ではないか、三月決算を見ますと大体そんなところが多いのではないかという気もいたします。それで時期的に見ますと、やはり五月、六月ぐらいが限度ではないかという感じがいたしております。
○鈴木強君 まあ、エネルギー資源を電力、水力なりあるいは石油に求めるというそういう日本の実情ですから、いまにわかに将来の展望まで含めて論議をしてみたってこれはしようがないことなんですけれど、しかし、まあコストの面からいって、どうしても火力にたよってきた日本の電力、こういったものがもう一歩積極的に水力の開発ということも考えながら、かりにそれがコストアップになりましても、段階的にバランスを八対二を七対三にするとか、そういうふうなくふうもやっぱりやりながらこれからのエネルギー資源というものの開発をやる必要があるんじゃないでしょうか。そういう点もやっぱり並行的に考えてもらわないといけない時期に来ているんじゃないかと思うんですがね。ただ、料金値上げ、それだけでなしに、そういう点をやはり各社にも十分に考えてもらう必要があるんじゃないかと思いますけれど、どうでしょう。
○国務大臣(中曽根康弘君) 先ほど私が五月、六月が限度だと申しましたのは、その苦しい会社につきまして経理上の問題を問題にいたしますとそういう感じがいたします、という意味でございます。 いま鈴木委員が仰せられましたことは私も全く同感でございまして、日本のエネルギーバランスをどういうふうにしていくかという基本問題に遭遇していると思います。それで大体六月ごろにエネルギー総合調査会から答申を得る予定になっておりまして、その中間答申を得まして、石炭、電力、原子力あるいは太陽エネルギー、地熱発電等々に関する長期計画を策定いたしまして本格的に乗り出していく、そういう考えでおります。
○鈴木強君 そうすると、これはむずかしい質問ですけれど、総理は、参議院選挙を一つ意識して、電力料金についてはできるだけ参議院選挙前は上げたくない、したがって選挙が済んだあとにと、こういうようなニュアンスの発言を遊説先でやっておられますね。いま聞きますと、五月ないし六月、非常に会社の経営が苦しくなるだろうという通産大臣のお答えでございますが、まあ自民党でもこの点はいろいろと検討をされておるようでございますけれど、一応参議院選挙前はないというふうに判断をしておいていいわけですな、国民は。
○国務大臣(中曽根康弘君) 参議院選挙を意識しているということよりも、やはり国民の世論、国民の納得、そういうものが政治家には大事なので、まあ選挙というのはその結果的な副次の産物じゃないか、われわれとしてまじめに正面から取り組むものはやはり国民世論というものであるだろうと思います。 それから値上げの問題につきましては、いまそういう基準の勧告が出たものでございますから、これから各省とも相談をし、それから通産省としての本がまえの基準をつくってそしてかかろうというので、いま、いつどうするかということは未定でございます。
○鈴木強君 これは経済企画庁長官にお尋ねしたいのですけど、いまは未定だとおっしゃいますけれど、これは上がることは間違いないと見なきゃならぬのです。そうなりますと、石油が上がり電力が上がって、まあ二つの大立て役者がここにそろうわけですよね。そうなりますと、それに関連をして必ず他の物価に波及的に悪影響を与えていくことは間違いないと思うのですよ。そうなりますと、これからいろいろと御苦労されて、基礎物資を凍結したりあるいは生活用品を凍結したりしておられますが、しかし、そういったものとのかね合いで、やはりある時期が来ますと凍結を解除しなきゃならない、電力料金を上げなきゃならない。そうなりますと、一斉にまた物価がこう上がってくるというそういうふうな要素が先行きの日本経済の中にはっきりしてきたように思うのですよ。ですから、経済企画庁長官としては、すでにきめられております経済見通し、経済計画というものに対してたいへん頭を痛められていると思いますけど、非常に流動的な要素がありますから、卸売り物価がずっと少なかったからまあ大体いいだろうというようなそんな簡単なことにはならないと思いますよ、これは。 したがって、たいへん御苦心をされていると思いますが、標準価格なんかもきめられておりますけれど、一体その標準価格というものがそれで適当であるかどうかということと同時に、その価格がそのとおりに守られているかどうかというそういう監視——監視というとちょっとあれですけど、行政指導の面における体制というものもなかなか不十分であると思うのです、私は。これは昨年の暮れに長官と少しやり合ったのですけれど、その後二法ができまして、いろいろ立ち入り検査なんかもしていただいておりますけど、やっぱりこう何といいますか、なれ合いみたいなやり方なり、あるいは行政指導の中では事前に漏れる情報によって、立ち入り検査に行ったときにはもう人がいなくなってしまうとか、そういったいろいろ行政指導のやり方、法律を活用する場合のなまぬるさと申しますか、そういうものが国民から見ると非常に不満なところなんです。そういう監視体制というものを強化しつつ、なおかつ、これから電力が上がり、さらに石油が上がった今後における日本経済の見通しというものをどういうところに置いていくか、実勢値は一体大体どの程度になっていくのか、物価は一体どうなるのか、その辺はどうでございましょう。
○国務大臣(内田常雄君) 非常に正直に申しまして、お尋ねのとおり、むずかしい問題であると私も考えております。 前段の、石油、電力料金その他の公共料金値上げが一般の物価や今後の日本経済、国民の生活に及ぼす影響についての考え方でございますが、これは鈴木さんのお耳にももちろん入っていると思いますけれども、政界の一部では、これは石油と電力の同時値上げ論というものも実はなかったわけではございませんでした。ということは、御指摘のように、今日の発電の非常に大きな部分が石油火力に依存いたしておりますので、したがって、重油の価格が上がれば、そうでなくても今日電力料金というものが電力会社の経営にマッチしていない事態をさらに加重いたすことになりますので、この際思い切って新しい物価体系というものを全部洗いざらい出したらどうかという意見さえもあったわけでありますが、いまその電力につきましてもウランについても直接御所管の通産大臣でさえも述べられたように、石油製品値上がりの影響というものはどういう形でおさまるかということを見きわめながら電力料金の値上げには手をつけたいと、こういう御発言もございましたが、これは私ども政府におります者は同じような考え方でおるわけでございます。でございますから、まあ絵でかいたよりにうまくいくとも私は思いませんが、今度の石油の値上かりというものをいろいろな施策の中に吸収をいたしながら、その吸収をしたところに電気料金の値上げ等の公共料金の是正をはさみ込んでいくと。しかも、そのはさみ方というものは、これもすでに御論議がございましたが、参議院選挙というようなものを抜きにして、全く純経済的な構造ベースからこの問題を処理していこうと、こういう考え方でございます。これは御質問にはございませんでしたが、たとえば養蚕農家をはじめ、畜産酪農農家等に関連のある農産物資等、これは飼料の価格に大きな影響を持つわけでありますが、そういうものにつきましても同じ課題がございますので、私どもは単に数字を並べて楽観いたしておるというわけではございませんので、いろいろの面でいろいろな政策を織り込んでいこうと思います。そのことは、ちょっと時間が長くなりまして恐縮でございますけれども、すべての物価を押えさえすればいいとも私は思いませんで、当然、先ほどの答弁でも申し上げましたように、いろいろの価格構造、物価構造の変化というもの、あるいは経済構造の変化というものも織り込みながら、今後の経済政策というものは平面的でなしに立体的であらねばならぬと、こういうことを考えながら、物価を押え、国民生活を安定をさしていきたいと思います。 なお、末端価格の取り締まりにつきましては、鈴木さんと御論議をいたしました後におきましても、政府側におきましては、価格調査官というものをかなり千人に近い数百名にふやしました。また、専任調査官も置きましたし、地方公共団体も非常によく協力をしていていただきまして、今日では八千名をこえる地方の価格監視員というものもでき上がっております。これは、単に国民生活安定緊急措置法による標準価格の取り締まりのみならず、今回の石油関連製品等、あるいは百貨店、スーパーその他の商店で取り扱う凡百の国民生活関連物資などの指導や監視のためには、それにさらに地方公共団体の協力を得たり、あるいはモニターの方々の協力を得て、万をこえるようなそういう監視指導体制というものを配慮いたしましてできる限りの努力はいたしてまいる所存でおります。したがって、経済見通しにおける明年度の物価の上がり方、これは昭和四十八年度の上がり方から見まするとかなり低いものになっております。しかし、それでもやはり上がると。卸売り物価におきまして御承知のように一四・六%、消費者物価におきましても九・六%の引き上げというようなものを四月から始まる来年度の経済見通しの物価の中にも織り込んでおるわけでありまして、何とかしてその範囲には押え込んでいくようなことをやりながら、また立体的な政策もとろうと、こういうことでいろいろ苦労をいたしております。
○鈴木強君 そうすると、いまおきめになっております経済見通しについては、いま手を加えるということはなさらないわけですね。その時期は、一体、経済社会発展拡充計画等との関連でどういう時期に一応手直しをするというような見通しはあるのでございますか、心組みはあるのでございますか。
○国務大臣(内田常雄君) 現在のところ、変える必要もないと私は考えております。これはまだ四十九年度に入っておりませんから、はなはだ実態が違うようになりますと、それは私は私の良心をもって変えていくことも考えなければならない場合には良心をもって誤りなきようにいたしたいと考えます。
○鈴木強君 私はあまりにも実態から見てかけ離れた見通しでございますからあえて申し上げたわけですが、まあおきめになったような形になっていけばこれはもう幸いなことですから、それはお互いに最善の努力をするとしても、私はとてもそれはそんなことにはならぬということだけはここで明確に申し上げておきたいと思います。 それから公取の委員長にちょっとおいでいただいたのですが、あなたの独禁法上の解釈について私たちはたいへん敬意を表しておりました。ところが、先般の行政指導による指導価格、あるいは事前協議制によってもし上げる場合には届け出をするとか、そういうようなことで一応緊急避難という考え方の上に立ってあなたの主張してまいりました結論というものは政府と妥協したようなかっこうになっているのですけれども、この点はどうもわれわれなかなか納得できないわけでありまして、あなたのおっしゃったような基本的な態度をいまも私は支持しているわけですよ。ですから、緊急避難というのは、とりあえず行政指導でやってですね、標準価格ができないから。したがって、標準価格ができるまでの期間だということで、もしできなければそのときには独禁法違反ということで公取委員長はお出ましいただけますか。
○政府委員(高橋俊英君) 行政指導が直ちに独禁法違反になる事案だとは私は申したことはないわけです。行政指導によって価格は設定されませんから、行政指導に価格設定というのはないわけです。ですから、それは別個に業者がそれに従うが、その場合に、それに従うことをきめる場合に、たとえば石油業界のようなものは私どものほうから見れば非常にカルテルを数多くやってきたという歴史を持っておるので、したがって、個々別々に指導するといいましても、なかなか私どもとしては納得しがたい場合がある。ですから、結局、そこに横の連絡が行なわれればやみカルテルとして扱わざるを得ないと、そういう懸念がありますので、したがって、行政指導による——まあ非常に重要な場合でございますから、行政指導によって価格を設定せしめるということは感心しないと、こういうことを申し上げてあるのです。ところが、十八日から石油の価格を引き上げました。たいへんせっぱ詰まっている状態にあったということはわかるわけです。そのために、そういうことがありますものですから、政府といいますか、私どもと意見の対立をしておりました政府全体の意見としましては、とにもかくにも早くやらなければいかぬ。そして、最後まで、やり方について四分の三バルクラインでやるか何かもう一つの別のほうでやるかということで検討しておったと。だから、間に合わないという問題もあるし、他に幾つかの理由をあげておられます。そこで、私どものほうから見ると、まあまああまり緊急避難として適切な理由かどうか、いまだに多少の疑問の点はございますが、しかし、公正取引委員会が独禁法をたてにとってあくまで標準価格でやらなければいかぬと、こういうことできびしい対立をしておりますと、経済政策としてもうほんとうに緊急を要する石油製品の価格設定ができないことになる。価格を事実上引き上げすることができない。それは私いろいろ問題はあると思いますが、いずれにしても政策的にそうせざるを得ない状態になっておるということでございます。としますと、法律をたてにとって私どもが横になっているというのではぐあいが悪いから、できるだけ早く標準価格に移行するということを前提にいたしまして、私どもはそれを承認いたしましょうと。しかし、それを当然の原則と心得られては困るので、原則は変わっていない。ですから、行政指導でやるのは適当でないという原則はお譲りできないということを言っているわけです。 それからもう一つの問題を御指摘になりましたが、凍結をしておりまして事前届け出制によってやる場合はどうかと。これは、やっぱり、通産省を主体としまして、各省がその凍結品目の引き上げを認めざるを得ない場合には、あくまで個別におやりになると、こうおっしゃっているのです。個別におやりになることがたいへんな労苦であるとは私は思います。しかし、引き上げをすぐ認めるだけの十分な理由があった場合に、これを認めないということで押し切るか、あるいは上げることを認めるかということについて、凍結解除のときに個別指導でやるということをあくまでもおっしゃっておるのですから、そのときになってみなきゃ私は何とも言えないと。個別指導でやれば、これはまあ全然カルテルとは関係ないということになりますから、それまでいかぬというふうに私は強く言いませんけれども、しかし、ちょっと制度的に——制度的にといいますか、行政指導で価格をこういろいろいじるというのは少し無理があるのじゃないか。どうせ、私は、行政指導であれ、標準価格であれ、統制は統制だと思うのです。私は個別統制が必要であるというほうの考え方なんです、個人的に申しましてですね。ですから、それはもう手段の問題ですから、あまり標準価格であれば統制であり行政指導であれば統制じゃないんだということにこだわらなくてもいいのではないかと、これは私の見解でございます、そういうふうに考えます。
○鈴木強君 われわれが明確に高橋公正取引委員長からお話を伺ったのは、国民生活安定法案というものがあるわけですから、行政指導価格なんということでなくて、ちゃんと標準価格にしなさいと、すっきりしなさいと、そうしないとだめだと、こういうのが一つでしたね。 それから事前協議制の問題についても、やはり届け出をするのが当然ですけれども、いまお話しのような点もあったかと思いますが、いずれにしても、緊急避難という解釈は、標準価格をつくるという前提に立っての暫定的な指導価格であり行政指導であると、こういうふうに私は明確に聞いておったわけです。ですから、そうであれば、もし標準価格がなかなかできないという場合には、公取としてやっぱり出てもらいたいと、こういうことを聞いているわけです。ポイントはそこにあるんです。
○政府委員(高橋俊英君) 私どもの出方がどのようなものであれ、とにかく適当な時期にというのを何カ月先でもいいのだというふうに解釈されておやりになるのでしたら、私どもは重大な異議を申し立てます。その点は黙っておるということはありませんから、ひとつ御信用ください。
○鈴木強君 それでは、厚生大臣、本会議の関係でちょっとおくれて参られたものですから、きょうは高橋先生にも御多用の中を参考人としておいでいただきまして、たいへんお待たせして恐縮でございましたが、大腿四頭筋短縮症という病気がございまして、これについて政府の見解と高橋先生の見解を承りたいと思います。 まず、昨年の十二月の十三日にこの予算委員会で私がこの問題を取り上げました。御承知のように、山梨県の鰍沢という町を中心にして峡南各地にこの病気が発生いたしております。この病気の原因の究明と治療対策と救済対策、これについては緊急を要するものでございます。昨年、厚生大臣は、私の質問に対しまして、私もよく承知をしております、県もその原因究明に乗り出しており、私のほうも県とよく連絡をとり原因究明に当たりたい、そしてその子供たちが身体障害者ということに該当するならば、それなりの救済措置を講ずることにしたい、こうお答えをいただいておるのであります。そこで、その後この問題はどのようになっておりますか、まずその経過について御説明をいただきたいと思います。
○国務大臣(齋藤邦吉君) 昨年の国会において鈴木先生から御指摘をいただきましたこと、よく承知をいたしております。そこで、大体いま県当局の情報によりますと、三月十六日現在で百五十四名の患者がおられるという情報をいただいておるわけでございます。山梨県におきましては、昨年の十二月十五日、四頭筋短縮症対策委員会というものを県は設けまして原因究明に乗り出しておるということを伺っております。具体的には、この一月と二月に患者の精密検診を実施いたしました結果、なるべく早く手術を要するという患者が十五人おるということでございます。こうした方々の手術は、県立の中央病院、甲府の市立病院、それから国立の甲府病院、この三病院において手術を行なうことにしておりまして、現在九名の手術を終了いたしたと伺っておる次第でございます。さらにまた、三千人を対象とした幼児の検診を実施中であるということも承知いたしておるわけでございます。 そこで、国といたしましては、こうした県の当局と十分連絡をとりながら対策に努力をいたしてまいりたいと考えておりますが、さしあたり、大腿四頭筋短縮症患者の全国的な状況調査、これを行ないたいと思います。 それからもう一つは、その原因に関する研究をやる必要がございますので、先般、原因に関する研究班を設置いたしたところでございます。 なお、治療の面において、これが身体障害者ということに該当するという場合には、児童福祉法による育成医療の制度を活用して公費負担によって医療を進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。 こうした子供さんを持ったおかあさん方が子供を連れてあちらこちら病院に治療方法はないだろうかといったふうなことで歩いておられるというお話も十分承りまして、ほんとうにまことに気の毒なかわいそうな子供だと思いますので、今後とも県当局とも十分連絡をとりながら、治療方法の開発、そういう方面に特に全力を注いでまいるようにいたしたいと、かように考えておるような次第でございます。
○鈴木強君 大臣、私にお約束をしていただいた原因の究明ですね、この点について私はちょっと意見を申し上げたいんですよ。というのは、もうすでに、この病気は長い間問題になっている病気です。したがって、いまころになってまだその原因の究明をしなければならないというようなことは、何としても日本の医学の面から見ましても、医療行政の面から見ましても、これは私は納得できないのでございますね。なぜいままでそういうものについて徹底的な究明がなされなかったのでしょうか。後ほど高橋先生からも伺いたいと思いますけれども、その点だけ一点私はどうしても大臣に申し上げておきたい。これはもう厚生省の指導、あるいは県の指導、いろいろあるでしょう。しかし、国としてもう少しこういう病気に対して徹底的な原因の究明をしていただいておったら、私はもっと早くこういう問題はなくなっておったと思うのですね。非常に残念に思うのです。その点、いかがですか、怠慢じゃないですか。
○国務大臣(齋藤邦吉君) この点につきましては、多分に厚生省のほうの対策に乗り出すことがおくれておったということを私は率直に反省をいたしております。しかし、昨年の国会において鈴木先生から御指摘をいただいて以来、できるだけのことをしなけりゃならぬと、まあおくれておったわけでございますけれども、そうした反省を踏まえて治療班をつくることにいたしたことでもございますので、今後全力を尽くしてまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
○鈴木強君 では、ここで御出席をお願いいたしました東大の高橋晄正先生にちょっとお尋ねを申し上げたいのでございますが、先生は、この病気の問題については研究班をつくられまして、研究会というのがあるそうですが、その研究会の中に東大の整形外科の先生方もお入りになって、そしてわざわざ現地まで何回も出向いていただきました。そして、日夜苦しみ悩んでおる子供さんを持つおかあさんやおとうさんとよく相談相手になっていただいて診察もしてくださいました。この点は現地の関係者が心から感謝を申し上げておるところでございます。で、先生のほうではそれぞれ診察をしていただきまして、その結果についての中間的な御報告もまとまっておられるようにも聞いておるのでございますが、この原因が一体どこにあったのか。そしてこの大腿四頭筋短縮症というのは治療すればほんとうになおっていくものなのかどうなのか。そういう見通し等につきましてもお述べいただければ非常にありがたいわけでございます。よろしくお願いします。
○参考人(高橋晄正君) 私はたまたま山梨県の鰍沢地方に講演に参りましたときに、おかあさんたちからこの地方には原因不明の奇病が多発しておるということを聞きまして、それで原因究明してほしいという依頼を受けて、東大またその他の大学の医師、看護婦等と一緒に五回にわたって調査に参ったわけでございます。その結果、鰍沢町、増穂町を中心にいたしまして百五十例ほどの、年齢からいいますと零歳から七歳までぐらいの子供たちの被害者がいる。これは、両方の大腿を見ますというと、両わきのほうが筋肉がごりごりにかたくなっておりまして、時によりますというと、皮膚が引っ込んでおります。下に癒着があるらしくて引っ込んでおりまして、歩きますときには足をXの字に開きまして、おしりをうしろへ出してよちよち走る。すわらせますと、おしりが地べたにつかない。無理にすわらせると、足を開いてしまって、非常にすわることをいやがるという病気でございますが、これは大腿四頭筋という、非常に大きな頭が四つありまして、膝蓋骨を包みまして下腿の骨にくっついておりますひざを伸ばす重要な筋肉が、これが非常に短くなっておるという病気でございます。 これの発生状況が、原因が県のほうでわからぬというお話だそうでございますので、私ども詳細に調べましたところが、この百五十例ほどの九五%は特定の医師によって幼時に注射を受けておる。残り五%は近くのほかの医師の注射を受けておりますが、患者さんの九五%は特定のある医院の医療を受けて、そこで注射を受けておるということがわかっております。それから、まだこれは多数ではございませんけれども、注射を一度も受けたことのない子供たちには一人も発生していないということもわかっております。それから注射の回数と足の屈曲の不自由さ、不自由度とはきれいな関係がございまして、大体二十回ぐらい注射しますというと、もう悪くなるところまで悪くなってしまいまして、ほとんど足が曲がらなくなってしまう。二十回まではほぼ比例しておるというようなことなんかも出ております。 ところで、この原因が何であるかということでございますが、すでに日本では昭和二十一年に報告がありまして、当時は原因不明、先天性じゃないかといわれておりましたが、二十七年ごろから多数の報告が整形外科学会に出てまいりまして、注射であるということがもう常識化されております。外国でも昭和三十四、五年ごろからぽつぽつ報告がございまして、やはり原因がわからないというふうに最初は報告されておりましたが、日本では二十七年ごろにはもうすでにはっきりわかって多数出ていた。外国でも三十九年ごろには、これは注射のせいだということで前にこの先天性といって報告されたものも全部調べ直しましたら、かなりのものが乳幼児時代に大腿部に抗生物質その他の注射をされているということがわかりましたんですが、その発見の動機は東大の整形外科の教授であった三木教授からの手紙によって、どうもこれは注射らしいということがわかったということでございますので、日本の整形外料学会では、これは注射が原因であるということはほとんど常識化していたもののように思われます。また、私どもが実際調べましたものでも、注射以外の原因はちょっと考えられないということがほとんど確実でございます。ただ、実際こういう患者さんに注射をしましたお医者さんからまだ病歴を見せていただいておりませんので、病歴をいただきましたならばさらに詳しい分析をしたいと思っております。 この病気は昭和四十年に福井県で五十何例発生しておりまして、医師会等がこれを示談の形式で処理いたしておりますし、四十四年か五年には名古屋で十一例発生しておりまして、これは訴訟になりまして、百数十万円支払われております。現在また郡山でも訴訟が起こっておりますし、仙台の法医学の赤石教授が、一昨年日本医事新報に書いているのを見ますというと、文献上にすでに日本の例で百八例報告があるということが書かれておりまして、日本じゅうさがしましたら、事によると数万例も存在するのじゃないかというふうに考えられます。すでに長野県の岡谷でも、一週間か十日ぐらい前でしたか、六十例発見されておりますし、その目で見ますというと、おそらく数万例に及ぶのではないかというふうに想像いたされます。 そこで、この対策でございますが、対策はすでに赤石教授も指摘をしておりますし、乳幼児の大腿部に注射するということを避けなければならないということは言われておりまして、これをやりますというと乳幼児の大腿四頭筋は非常に弱い上に、最近抗生物質というかなり強烈な薬が出てきておりますので、そのために筋肉がどうしてもやられてしまう。大腿四頭筋の場合には上下に通っておりますので、ある一個所に刺しましても薬液が上から下まで全部通ってしまいまして、筋肉が山脈のようにぼろぼろにかたくなってしまいまして、しかもそれが筋肉繊維が死滅いたしまして繊維になってしまいますから、物理的に大腿四頭筋が三十センチならば三十センチにもなってしまうわけです。で、骨のほうは伸びてまいりますから、だんだんだんだん間に合わなくなって、不自由さがはなはだしくなっていくということでございますので一みだりに簡単な病気に注射をしないということがきわめて重要であるように思います。外国の報告例はいずれも重病でやむを得ずやったということでございますけれども、わが国の場合には、私どもが鰍沢地区で調べましたのでは、大部分がかぜ引きのようでございまして、この病気別に調べてみますと九五%までは外国の常識でいきますというと注射をしないような病気、そういう病気に対して抗生物質というような非常に強烈な注射が行なわれております。特にこれは確認いたしておりませんけれども、大体鰍沢地区で某医師が使われました薬はクロロマイセチン——クロラムフェニコールという薬でございまして、非常に毒性が強くて、骨髄障害を起こして再生不良性貧血をつくるというので、アメリカでは数年前から腸チフスのとき以外には、ほかに薬がない腸チフス以外には使うなといって極度に使わない薬でございまして、この薬が大部分の子供たちに注射されているようでございます。こういう点でございまして、これはどうも私たち医師の医療技術上の欠陥がいつまでも全国的に修正されないままで、局地的に絶えず誤りを繰り返しているということのようでございますので、何よりも重要なことは、この問題をすでに文献の中に原因その他もう究明されておりますので、これを早急に全国の医師に対して周知させまして、こういうことをしないようにするということをしませんというと、きわめて危険な状態に全国の子供たちが置かれているように思います。特にこの整形外科学会におきまして報告数が多発してまいりましたのは昭和三十六年からでございますので、これは健康保険の実施と軌を一にしておりまして、健康保険の実施がこういう注射の乱用を誘発したのではないかというふうに考えられます。 治療対策としましては、二、三年先にこの手術例が、手術するといいましても筋肉が死んでしまったものはなかなか伸ばせませんので、軽いのはリハビリテーション、マッサージ等でなおりますが、重いものは結局手術しますが、手術しましても結局腱を切り離すことしかできないので、なおすということが基本的にはできない。それで、二、三年先にまた短くなって、足が伸びるに従って筋肉は短くなります。また、手術するというようなことなんかもございますようですが、十年、十五年、二十年先どうなっているかという調査が行なわれていない。どういう手術実績が将来どういうふうな状況を起こすかということもよくわかっていないようでございますので、私どももこれを調査したいと思っております。 大体このようなことを調べましたので、お知らせいたします。
○鈴木強君 高橋先生のお話ですと、打ってはならない注射を打っておるという、そして、原因が大体注射のためだというふうにお話し承りました。県のほうも三月二十一日の新聞を拝見しますと、やはり注射説が強まっているというふうな見方をしているわけですね。ですからそうなりますと、医療ミスということになるかもしれませんね。大臣も反省されておりましたように、原因の究明そのものが手ぬるかった、怠慢のところがあったということもあると思いますが、いずれにしても厚生省側としていまの高橋先生の御意見を大臣伺っていただいたと思いますが、県側も言っている注射説だとするならば、これはたいへんなことになると私は思うのですけれども、いまお聞きになって大臣はどういうふうな感じされましたか。
○国務大臣(齋藤邦吉君) 私は、医学的には全然しろうとでございますが、山梨のその事例を承ったときに、どうも特定の医者に非常に多いということを私は注目をしました。ところが、そうやってみると、しかしそうでない方にもあるということになると、これはやはり注射であろうと、それで、特に福井などにもあるということも承知いたしておりました。したがって、やはり薬の関係もあるだろうというふうなことをいろいろ総合的に考えてみますと、そういう薬の使用、注射のやり方、いろいろ考えなければならぬ問題がたくさんあるわけでございます。それから、一般的に乳幼児に対する注射というものをどういうふうにするのか、これは制限すると、これは当然でございましょう。そういうふうないろいろな問題を、薬の問題乳幼児と注射の関係、そういういろいろな総合的に考えなければならぬ問題がたくさんあると私は思いました、しろうとながら。そこで、この治療班でそういう問題を十分研究していただきまして、さしあたりこういうことはどうもあぶなっかしいと思うならば、やはりあぶなっかしいことは避けていただくというふうに通知を出すとかいうふうなやり方をして、予防のほうに力をいたすとか、そういうふうなきめのこまかい、一つ一つを積み重ねていくようにしなければならぬであろうと。 いずれにせよ、今日までほんとうに私は反省をいたしておりますので、その反省の上に立って予防の面に、治療の面に全力を尽くすようにひとつ治療班で研究していただきまして努力をいたしてまいらなければならぬだろうと、こういうことをしみじみ感じた次第でございます。
○鈴木強君 これは大臣、日本医師会というのがございますよね。ですから、そういう先生方ともよく御相談をなすって、そして注射がもし大腿部ではなくて、乳幼児の場合、適当な場所があるとすれば、その打ち方についてもなお研究していただくとか、いずれにしても注射説というのが強まってきたことは間違いないわけですから、その辺は早急にひとつ厚生省がリーダーシップをとって、医師会の皆さんにも協力していただいて、全国的なひとつ周知徹底というものをはかっていただきたいと思いますが、その点はいかがですか。
○国務大臣(齋藤邦吉君) もちろんその治療班でいろいろ研究をされる結果につきまして、最終的な報告がないにいたしましても、やはりこういうことを予防的にも早くやったほうがいいということがありますれば、どんどん医師会その他関係者のほうとも連絡をとりながら措置してまいるようにいたしたいと思います。
○鈴木強君 この病気は、さっき高橋先生もおっしゃったように、歩行状態が足を外に振り出して歩いたり、歩くとおしりが突き出たり、足を引いて歩いたり、足を外側に回して腰を曲げひざを伸ばしたままで歩いていく、足がうしろのほうにいかぬ。それでここに子供さんのはいたくつが大臣あるんですよ。同じくつですけれどもこういうふうに先がこんなにいたんでいるのです。ちょっと見てください、ひどいものです。 それでさっき大臣に時間の関係があったものですから、「母親は訴える この子の足を守って」、という文集がそこにありますが、それお読みくださってどんな感じがいたしましたか。
○国務大臣(齋藤邦吉君) 鈴木先生から大腿四頭筋短縮症の子供を守る活動に協力しましょうということで、家庭の母親が子供さんをつれて病院をあちらこちら歩いたり、非常に苦しんでおられる姿を読ませていただきました。私も非常に感銘いたしましたわけでございますが、こうした子供たちの治療に努力をしていかなければならぬことはもとよりでございますが、今後こういう子供さんが出ないように、予防の面においても先手先手と打っていかなければならぬであろうということをしみじみ感じた次第でございまして、今後とも十分努力をいたしたいと考えておるような次第でございます。
○鈴木強君 結局いまここでどうこう言ってもこれは始まらない問題ですから、当面この気の毒な子供たちのためにできるだけの近代医学の粋をすべて集めて、そうして最大の努力をして、手術のできるものは手術をして早く差し上げる。そしてまた苦しんでおられる財政的な面につきましても国が責任を持って保障してやるとか、そういう点を私は十分配意していただきたいと思うのです。さっき児童福祉法のお話も出ましたけれども、相当これは費用もかかっておりますよ。この点大臣ね、必要なものは国費で見てあげるんだという基本線をはっきりしてもらいたい。
○国務大臣(齋藤邦吉君) この子供たちの医療費につきましても、相当かかることは私も十分理解をいたしておりますので、育成医療という形で公費負担において措置をする、こういう方針で臨む考えでございます。
○鈴木強君 これ所得制限がございますか。
○国務大臣(齋藤邦吉君) 多少の所得制限はあるはずでございます。
○鈴木強君 それは何とかできぬのですか。
○国務大臣(齋藤邦吉君) 所得制限のところは、やっぱりこれだけを特にというわけにはまいらないと思います。一般の難病その他の医療費と同じような取り扱いをしていくわけでございます。
○鈴木強君 そう言えば実もふたもないわけで、特にあなたが厚生省としても怠慢だということも認めたわけだから、その上に立ってなおひとつ研究をしてみてもらいたい。 それからもう一つ、指定医療機関というものがお話のように山梨県では五つしかない。たまたま峡南地域にはないわけでしてたいへん困っているわけです。その辺もひとつ厚生省のほうで実態をよく見ていただいて、適当に指定医療機関として指定できるようなところがありましたら早急にやっていただいて、遠くまで行かなくても済むように御配慮いただきたいと思いますが、その点いかがですか。
○国務大臣(齋藤邦吉君) 公費負担につきましての所得制限につきましては、今後とも所得制限のワク、額の問題について、幅の問題についてさらに十分研究をいたしたいと思います。 なお、それから手術、治療等につきまして、現地のほうにそういう指定病院というものはないと思いますが、専門の先生がその地域におるかいないかこれが一つの問題でございますから、実情を調べてみまして、そういう専門の先生がおるならば指定医という制度をつくるとか、そういうことは考えていかなければならぬであろうと、かように考えておる次第でございます。
○鈴木強君 それからこの病気に対する取り組みについては、県のほうも非常になまぬるかった、おそかった。高橋先生が現地のほうに行っていただいていろいろ診察をされる。当時はまだ対策委員会すらできていなかった。これはやっぱり何といいますか、実際に患者を持っている父兄からしてみると耐えられないことです。もっと早急にやるべきです、これは。そういう点についても少し県のほうに警告しておいてもらいたい。
○国務大臣(齋藤邦吉君) 確かにお述べになりましたように、県も対策委員会をつくったのは昨年の十一月、こういうわけで、それまでにすでにもう相当の患者が出ておったはずでございます。どういう関係でそういうふうにおくれておったのか、私もよくその理由はつまびらかではございませんが、今後県も十分督励もいたしますし、国がまた陣頭に立って治療班を設けるということまでいたしたわけでございますから、県と市と一体になって——それから山梨県ばかりじゃなくて、福井県などにもやっぱりおるということでございますので、そういうふうな衛生主管部ともよく相談をしながらこの問題の解決にできるだけの努力をいたす考えでございます。
○鈴木強君 じゃ、これはこれでいいです。
○委員長(鹿島俊雄君) 午後一時まで休憩いたします。 午後零時一分休憩 —————・————— 午後一時九分開会
○委員長(鹿島俊雄君) ただいまから予算委員会を再開いたします。 午前中に引き続き、鈴木君の質疑を行ないます。鈴木君。
○鈴木強君 大蔵大臣にお尋ねいたしますが、給食費の免税措置につきましては、昭和二十九年に七百円と改定をされまして以来、今日まで十九年間据え置かれておるのでございまして、この際基本通達を改正していただいて、免税点を少なくとも四千円ぐらいに上げていただきたいと思いますが、ぜひひとつこれはよろしくお願いします。
○国務大臣(福田赳夫君) 現物給食給与、この問題は、いま月七百円所得税から控除をする、こういうことになっておるんですが、鈴木さん御指摘のように、今日の物価情勢から見て、月に七百円というのは一体何だと、こういうような感じがする数字なんです。これは一般の所得税の算定から例外的な措置なんですが、昭和二十九年当時は、まだわが国の食糧事情がそう豊かではない。そこで現物食事給与ということが流行した。そういう際のできごとで、当時の七百円といえば、これは妥当というか、まずまずというところだったと思うのです。ところが、今日非常に物価が上昇しちゃった。そうすると、全くこれは奇異の感じがする数字になっておるんです。 そこで、今回所得税法の改正をいたしまして、課税最低限は百七十万円まで引き上げましょう、給与控除を大幅に引き上げる、こういうことになったわけでありまして、大蔵省のほうでは、この際もう形骸化した七百円というのを、これは廃止したらどうだという意見も非常に強かったのでございます。しかし、廃止するというのはなかなかこれはむずかしい問題ですからね、そこでいま据え置きにはなっておるのでありますが、これはどういうふうにしますか、まあ実態を少しよく調べてみまして、昼食時の食事代、それをどういうふうに税法上扱うか、そういうようなことでよく検討してみる、こういうことにいたします。とにかく廃止論が非常に強い、こういうような状態の中でありますが、現在もなお実物食事給与というようなことも行なわれておる。それが福利厚生的な意味合いで行なわれておるというような意味合いとすると、これをどう扱うかということは検討してしかるべき問題ではなかろうか、こういうふうに考えますので、どうかひとつ少し時間をおかし願いたい、かように存じます。
○鈴木強君 これは特に、夜も昼も、盆も正月もなく現場第一線で働く職員の方などにとりましては、数は少ないかもしれませんけれど、一つの勤労意欲を向上させる意味においては妙味がある施策だと私は思っております。ですから、大臣おっしゃるように、もう少し実態を御調査くださいまして、できるものであれば私はこれを残していただいて、そして額を少なくも四千円ぐらいまで引き上げていただきたいと、特にお願いしておきます。 それから建設大臣にもだいぶお待たせをいたしておりますが、実は時間がだいぶなくなりまして、四十八年度の住宅建設の進捗状況や、あるいは四十九年度の住宅計画等について詳細に承りたかったのですが、それができません。これは分科会のほうに譲りたいと思います。 そこで、二つだけ簡単なものについてお尋ねいたしますが、一つは中央自動車道の建設につきましては、特に大月以西西宮線の問題についてはたいへん御配意をいただいておりますが、この工事の進捗が最近の物価高や物不足によって若干おくれているのではないかという懸念をするわけですけれど、当初計画どおり、供用開始の点についてもそのとおりいくのかどうなのか。この点ひとつお尋ねします。 もう一つは、東富士有料道路の通過路線のことですが、これは建設省が主張されましたように、演習場の中の標高千百メートル程度を通ることが一番理想だと私も思います。ところが、残念ながら防衛庁が少し反対しまして、うまくいっていませんでしたが、これはどういうふうに最終的にきまるのでございますか、きまったのでございますか。その二つだけお尋ねいたします。
○国務大臣(亀岡高夫君) 一番目の中央自動車道大月以西西宮線の工事の進捗状況についてお答えいたしたいと思います。 中央自動車道西宮線の大月−瑞浪間約二百五十キロでございますが、この間については、昭和五十二年度までに完成、供用させることを目途に工事の促進をはかっておるところでございまして、計画どおり進めておる次第でございます。このうち瑞浪−小牧間、これは二十八キロメートルでございますが、についてはすでに供用を開始しておりますし、四十九年度におきましては、恵那山トンネルがこの間工事用の貫通を見ましたし、恵那山トンネルを含めまして松川−瑞浪間約八十キロメートルの供用をしたいということで建設の促進をはかっておるところであります。また、大月−小淵沢間約八十キロ、この間の山梨県内の工事につきましては、全線の路線発表をすでに終えまして、このうち大月−勝沼間約二十キロにつきましては、この区間にある笹子トンネル、四・四キロメートルのトンネルでございますが、ことしの二月二十七日にすでに貫通しておりますので、昭和五十年度に供用をはかるように仕事を進めさせておる次第でございます。 それから二番目の東富士有料道路の件につきましては、実は十二月の予算委員会において鈴木先生から御指摘をいただいたわけでございまして、この計画を促進しなければならないという立場で道路公団に調査、設計を進めさせまして、目下細部の技術的検討に入っておるわけでございます。そのルートにつきましては、地元の山梨県及び静岡県を中心に協議を進めておるわけでありますが、まだ一部が未調整の部分があるわけでございます。なお、演習場内を通過する部分については、その機能が維持され、安定的使用が阻害されないようなルート、構造が必要ということで防衛庁のほうから要請が出てきておりますので、細部の点について防衛庁と協議中であります。特に恩賜林団体に二百十何ヘクタールか払い下げをする問題が事務的に時間がかかっておりまして、これが大体六月ころ決着がつくのじゃないか。それから具体的な話し合いを道路公団とするわけでございますので、八月か九月ころに大体の最終的な結論を出すことができるのじゃないかということで、いま鋭意急がせておる次第でございます。
○鈴木強君 建設大臣、標高千百メートルの位置については、建設省はもうおりたわけですか。そうじゃないんでしょう。
○国務大臣(亀岡高夫君) 従来のルートはおりませんで、関係各省と、また県とも折衝いたしておるわけであります。
○鈴木強君 農林大臣にお尋ねしますが、十八日の日に肥育豚の生産費の調査の発表をされておりますが、その内容をちょっと教えていただきたいのです。
○政府委員(澤邊守君) 去る三月十八日に発表いたしました四十八年度の肥育豚の生産費でございますが、これは一頭当たりにいたしまして二万五千九円の生産費になっております。なお、この調査は、四十七年の七月から四十八年六月までの間の一カ年間の調査でございますので、最近におきますえさの値上がりその他のコスト値上げ分は、全部はまだ反映されておらない、そういう数字でございます。
○鈴木強君 それはキロにして何キロの豚ですか。
○政府委員(澤邊守君) 両方で出しておりますが、肥育豚生体百キログラム当たり生産費は、二万五千七百二円ということになっております。一頭当たりにいたしまして二万五千九円でございます。
○鈴木強君 昨年来の数度にわたる飼料値上げで、まず畜産は壊滅直前といっていいと思います。いままでの危機につきましては、生産者自体の技術の改善とか努力によって国民のたん白質源の供給に努力をしてきたのですけど、いまの場合は、もうこの危機は、飼料の国内自給というものを軽視して外国に依存したその政策から来ておるものでありますから、飼料の値段が非常に高くなっておりますから、もうこれは生産者の段階ではどうにもならぬところまで来ているわけですね。したがって、ぜひ枝肉一キロ当たり六百三円のその生産費というものを保証してもらいたいという強い意見がございますが、この点、大臣、いかがでございますか。
○国務大臣(倉石忠雄君) ちょうどただいまいろいろやっておるところでございますが、先般畜産振興審議会の懇談会がありまして、そこでは消費者も生産者も第三者も入っていろいろ相談していてくれるのでありますが、ただいまお話のございました問題、つまり、「飼料値上がりによる生産者負担を軽減するため、緊急の特別の措置を」講じられたい。で、加工原料乳保証価格、それから豚価の安定価格、鶏卵の価格などについて再生産の確保がはかられることを基本とするようにと。「畜産物の価格安定を図るため、輸入及び需給の調整・を行う場合には、予め一定の方式を設け、これに従って弾力的に措置すること」、まだいろいろありますが、御趣旨のようなことを、ちょうどこの審議会の委員のほうからいろいろ意見が出ております。私どもも、しごくもっともであると存じますので、政府部内において、そういう趣旨でただいまいろいろ相談をしたいと思っておるところであります。
○鈴木強君 たいへん恐縮ですけどね、肉豚の生産原価について、実は山梨県の大鎌田という農協がございますが、そこで立川市場に出しております上位の肉です。これを非常に勉強して原価計算しておるんですけど、そうしますと、肉豚一頭当たり生産費が三万八千六百二十九円、これは全体重百キログラムで枝肉にしまして六十四キロ、これじゃどうにもならぬです。したがって、おそらく来月一日から指定食肉の安定価格というのがきめられると思いますね、改正になるから。そこで、何とか枝肉一キログラム当たり生産費を六百三円にしてもらわなければどうにもならぬというこれは貴重なデータがここにあるんですよ。ちょっとこれを大臣見てください。(資料を示す)それ、ひとつ検討をして、来月一日からの新しい安定価格の際にぜひそうしてほしいんですが、もう一回ひとつ恐縮ですが。
○国務大臣(倉石忠雄君) 具体的な数字をいままだ拝見しておりませんが、先ほどお答えいたしましたような趣旨で十分再生産の確保のできるようにきめてまいりたいと、こういう方向でいま鋭意努力をいたしております、御承知のように今月末が期日でございますので。
○鈴木強君 最後に、文部大臣にお尋ねしますが、この憲法二十六条によりますと、義務教育費というのはこれは無償でなけりゃならぬと、こうきめてあるんですけれど、どうも最近父兄の負担がだんだんと大きくなっておりまして寒心にたえない状態になってるんですが、全国的に見てどういう状況か、まずその報告をしていただきたいんですが。
○国務大臣(奥野誠亮君) お示しのように、法律の定めるところによりまして、義務教育費は無償だと、こうされておるわけでございます。特に授業料というようなものの負担を求めないのだという趣旨だと、こう解されておるわけでございます。従来と比べますと、たとえば校舎を建設するそういう場合にまで父兄の負担を求めておったところがかなり多かったわけでございますけれども、そういう問題は私はなくなってきたと、こう考えておるわけでございます。本来公費でまかなうべきものとされておるものを父兄の負担にゆだねる、そういう点は私はかなり排除されてきて、すっきりした姿になってきているのじゃないだろうか、こう考えてきておるわけでございます。学用品等につきましても、要保護家庭に限らず準要保護家庭につきましても相当な援助をするようになってまいってきておるわけでございますし、また学校給食につきましても、要保護家庭に限らず準要保護家庭につきましても全額で負担をするという仕組みはとってきておるわけでございますので、私はやっぱり父母負担の軽減は前進を見ているのだと、こう考えるわけでございます。ただ、最近の物価事情等からいたしまして、本来父母負担に属するものとされておるものにつきましては、学校給食もその一例でございますけれども、負担が多くなっておることは、これはいなめない事実だと、かように存じております。
○鈴木強君 もう一つ。大臣ね、私はここに具体的な資料を持っているのですけど、時間がもうなくなりましたから、また後ほど参考資料として事務当局に届けたいと思うのですが、まだまだプールの建設だとか校庭の拡張、それから学校の改善、寄付金、労働奉仕、こういうような問題があります。それからまた学校図書館の司書、こういう人たちの人件費とか、学校の維持費とか、PTA会費、学級費とか相当なものがまだ父兄負担になっておるのですよ。ですから、もう少し実態をお調べくださいまして、できるだけ自治体とも相談をし、まあ国費でまかなう分もふやしていただいて父兄の負担をぜひ軽減さしてもらいたい、こう思いますが、もう少し状況把握が足りないような気がしますけど、いかがでしょうか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 従来、その地方からみますと、もう一歩進んだ施設にしたい、そういう場合に必ずしも全額公費で負担をしないで父母に負担をさせる面がかなりある。これはまあ事実御指摘のとおりだと思います。できる限り施設設備に属しまするものは私やはり公費負担でいくべきだと、父母負担を伴うもののようなことはあとう限り避けなければならない、こう考えておりまして、またそういう方向で努力を続けていきたいと思います。
○委員長(鹿島俊雄君) これにて鈴木君の質疑は終了いたしました。(拍手) —————————————
○委員長(鹿島俊雄君) 内藤君。(拍手)
○内藤誉三郎君 奥野文部大臣はたいへん有能な文部大臣ですから、私は歴代文部大臣が解決し得なかった教育の根本問題を解決せられると確信をいたしまして、これから数点にしぼって御質問を申し上げたいと思います。 六三制になってから義務教育が九年に延長され、高等学校の進学率が九〇%をこえ、準義務制になり、大学の進学率は三〇%をこえ、近い将来四〇%になろうとしておる。私は、教育はまさしく非常に普及したと思うのです。ただ、問題は中身であり、質の問題だと思うのです。 戦前のわが国の教育には二つの大きな柱があったと思うのです。その一つは、明治八年の教学大旨から始まって明治二十三年にようやく制定された教育勅語であったと思う。それからいま一つは、明治十九年に森有禮文部大臣が創設された師範教育制度、この二つの柱がわが国教育の根幹だったと思う。ところが、終戦直後のごたごたの混乱の中で、この二つの制度がいとも簡単に無批判的に廃止されてしまった。私は、これは日本の教育の失敗だったと、いま深く反省をいたしておるのでございます。戦前の国定教科書を見ますと、修身でも、国語でも、歴史でも、教育勅語の教えが一貫して流れておった。そして学校の教師も、子供も、親も、国民一般も、たれ一人異論を差しはさむ者がなかった。教育勅語の中にある教育の指導理念については、天皇陛下の勅語という形によって国民的な合意が得られておったと思うんであります。それでこそ教育の成果があがったのであります。確かに戦前の教育には一本筋金が通っておった。小野田さんもその典型的な例であろうと思う。戦後、教育勅語が廃止されて新しい教育基本法が制定されましたが、その中の目的を見てみますと、平和で、文化的で、健康な国民の育成と書いてありますけれども、これでは私は教育の具体的指導目標にはならないと思う。親も、子供も、教師も、国民一般も、いかなる日本人に育成するかという点について価値観がてんでんばらばらで分裂しておる、これでは私は教育の効果はあがらないと思う。 特に、教育で一番大切なのは教師だと思う。教育とは教師の人格による感化力であります。戦後、師範教育制度が廃止されて、どこの大学でも教育原理、教育心理等教職教養十五単位とわずか二週間の教育実習を受ければたれでも教師になれる仕組みになっているわけです。これでは、教員でもなろうか、教員しかなれないデモシカ先生が出てくるのもやむを得ないと思う。ものをつくる技術者でも、工業大学で四年間一生懸命専門の学問を学び、工場で多年実習してやっと一人前の技術者になれるのであります。からだを診察するお医者さんでも、六年間病院で実習しながら大学で専門の研究をしてもなお一人前の医師にはなれない。さらに二年間研修する研修医制度のたてまえになっているわけであります。人間の心を育てる教師が私はこれでいいんだろうか。人確法で教師の待遇が画期的に改善され、一般公務員よりも優遇される今日、はたして教員養成制度は現状のままでいいんだろうかと、こういうことを私は考えておるわけですが、いま日本の教育を見てみますと、教育勅語にかわるべき国民的な教育の指導理念もなく、専門職たるにふさわしい教師の教員養成制度も確立されてない。ただ、あるのは試験地獄だけだと思う。これではりっぱな教育が行なわれるはずがないと思う。外国人から日本人のことをエコノミックアニマルとばかにされるのも無理がないと思う。私は、これでは日本の将来が思いやられるんで、日本民族の永遠の繁栄をはかるために、この際わが国教育の抜本的改善が急務だと、こういうふうに確信をいたしております。 そこで、第一に大学入試制度の改善であります。本予算委員会でも同僚委員からたびたび質問されたように、大学入試はわが国教育の最大のガンであります。高校以下の教育は大学入試の犠牲になっている。学校がいいとか悪いとかいう判断は有名校に何人入学したかによってきまるわけなんです。親も、子供も、教師も、受験勉強に狂奔させられている。こんなばかげた教育は私は世界じゅうどこにもないんではないか。大学入試というのは大学教育の入り口でしかないはずだ。しかるに、大学入試がわが国教育のすべてであるとはまことに情けない限りだ。教育界は荒廃し切っていると。かつて来日したOECDの教育調査団は、日本の教育は選抜に重点が置かれ、能力を育てることや価値観を身につける教育がおろそかにされていると報告しております。私はまさにそのとおりだと思う。 私は、一九七〇年文革直後、松村団長のもとで北京に訪問をいたしました。北京大学、清華大学等は当時閉鎖されておりました。なぜ閉鎖されたかと聞きましたら、学科試験による大学入試に弊害が大きいという理由で大学入試を全廃した、そして学生の募集も停止いたしました。そこで、今後どういうふうに大学の入学者を選抜するかという話を聞きましたら、高校卒業生を一たん職場に配置して、その中から、職場経験の中から優秀な者を選抜して推薦によって大学に入学せしめる方法を検討中とのことでした。確かに英断であり、それも一つの見識であると思って帰りました。これほどわが国教育界を荒廃させ、害毒を流している大学入試制度を改善できない理由は一体どこにあるんだろうか。大学入試改善の方策として、かつて文部省でも大学進学適性検査や能研テストが試みられ、追跡調査の結果、現行の大学の学科試験制度よりもはるかに信頼度の高い成果があったにもかかわらず、大学の入試改善が失敗した理由は何であったか、私は大学のエゴイズムであると思うのですが、文部省はことしの予算でも大学入試改善の予算を組んでいらっしゃいますが、今後大学入試をどういうふうに改善されるおつもりですか、文部大臣の明快な御答弁を伺いたいと思います。
○国務大臣(奥野誠亮君) 教育に深い見識を持っておられる内藤さんからいろいろ御意見を伺ったわけでございます。人によって考え方は違うかもしれませんけれども、御指摘のとおり、教師をどうして確保していくかという方策、そしてまた教育指導理念、この二つについての戦後のあり方が今日の教育界をたいへん混乱させているという点につきましては全く同感でございます。先生をどうして育てるかという問題もさることながら、戦後わが国が占領軍の管理下に置かれたその占領軍の管理政策からくる混乱も私はぬぐいがたいものがあるんじゃないだろうかというふうに思っております。 たとえて申し上げますと、日本を民主化するんだと、あらゆる権威を否定するんだと、先生が教壇の上でお話をするなどということは穏当でない、平等じゃないか、教壇を取っ払えというような占領軍の指導の行なわれた地域もあったようでございます。先生がみずからがおのれの権威を否定してかかる。私は、やはり教師として資質を充実させるために研さん努力を積んでいく、その結果、児童生徒から仰ぎ見られる存在になってくる。おのずから権威を備えてくる。そうあるべきであるにかかわらず、みずからおのれの権威を否定してかかることがあるべき姿のような誤解を与えてしまったというようなこともあろうかと思うのでございます。 〔委員長退席、理事西村尚治君着席〕 また、教育勅語のお話がございましたが、これも占領軍の指導のもとに、国会におきまして失効確認でありますとか、あるいは排除でありますとかいうような決議まで行なわれたわけでございまして、その後昭和三十三年に道徳という時間を特別活動として設けるということになったわけでございましたが、組合の中ではこの道徳という時間を設けることについてひどい強い反対運動をされたところもございまして、地域によりましては、まだこの道徳の時間の充実がうまくいっていない面もございます。でございますので、御指摘になった問題、それがいろいろな面でなお混乱を重ねているわけでございまして、こういう問題につきましては、私たち鋭意早急な打開をはかっていかなきゃならない、かようなことで腐心をいたしているところでございます。 そこで、大学の入学試験の改善についてどう考えているかということでございましたので、結論的なことを申し上げさしていただきたいと思います。私も、この問題を早く解決する必要がある、それには文部省として具体的な提案をしたほうが早いんじゃないだろうか、こう考えまして、文部省の省議にはかりまして、昨年、昭和五十年から国立大学については一期校、二期校の区別を廃止したらどうか、五十一年から国立大学については同一学力テストを実施したらどうか、これをぶっつけてごらんなさいよと、こう申しました。そういたしましたら、これを中心にいろいろな意見が返ってまいっておるわけでございまして、全国の高等学校長協会からは、五十年から一期校、二期校の区分をやめてしまうというのではなしに、五十一年から統一学力テストが行なわれるのだから、その機会に一期校、二期校の区分を廃止するというふうにしてもらえないだろうかという意見が出てまいりました。やはり高校生には、一期校、二期校の別を廃しますと、受験の機会をそれだけ奪ってしまうことになる、だから高校長協会としては大問題だと。しかし、趣旨はわかる、趣旨はわかるから、五十一年の統一学力テスト実施、その際に同時にやってもらえないだろうかということでございました。また、五十一年から国立大学で統一学力テストを実施してもらえないだろうかという文部省の提案に対しまして、従来からもその方向で国立大学協会等で御検討いただいているわけでございます。したがいまして、またそういう気持ちでいろいろと今日も御検討いただいているところでございます。同時にまた、一期校、二期校の区分を廃止する、その結果受験の機会が奪われる、高校長協会として心配されることもわからぬわけではない。 そこで、あるいは二次志望、それを何かの形で救済できないだろうかと。たとえて申し上げますと、定員の一割をリザーブする、そしてリザーブした部分について二次志望の方々を受け入れられるようにしてあげたらどうだろうか。しかし、これにはたいへんに手数がかかる、手数に耐えられるだろうかというようなことも、国立大学協会の関係者の面でいろいろ御検討をいただいているようでございます。いずれにいたしましても、入学試験のあり方を改革することが高校以下の教育内容を健全なものにしていきます基本的なポイントだと私も考えておるわけでございます。いま申し上げましたような意味合いで努力を続けているわけでございますが、経過はこのようなことでございます。
○内藤誉三郎君 文部大臣、いま一期校、二期校の廃止をおっしゃった。私も一期校、二期校を区別することは反対なんです。というのは、何か一期校に行った者が優秀で、二期校に行った者は少し程度が落ちるのだというようなそういう錯覚を起こし、子供たちが、二期校に入った子はインフェーリアコンプレックスにおちいると思いますから、なるべく一期校、二期校を廃止していただいたほうがいいし、確かに入学の機会が少なくなりますけれども、大体自分の学力でどこの学校に入れるかということは子供も先生もある程度見当がつくと思うんです。ですから、なるべく早い時期に撤廃していただきたいし、ぜひ私は統一学力テストをやってほしいと思うんです。 ヨーロッパの諸国では複線型ですから、小学校を終わった段階で、イレブン・プラスその他国家試験をやって選抜しておりますから、それほど問題が起きていない。ところが、日本のように進学率が高等学校は九〇%をこえているので、そこから大学に入ってくるのですから、希望者の八五%は入学しているのですから、そんなに受験難とは言えないんですけれども、有名校にどうしても殺到するから、そこからきびしい受験難が起きているわけなんです。そこで、大学では何とかして振り落とそうというような意地悪な問題を出すから、高等学校あるいは小中学校で指導要領にどうきめても、結局大学の入学試験の問題か日本の教育の内容を決定してしまう。私は大学入試そのものは反対じゃないんです。ですから、基礎的な学力を見るならけっこうだけれども、意地悪で、ともかく振り落とすための試験でどこから出るかわからないとなると、子供も百科事典をまる暗記するように詰め込み主義の教育をせざるを得ない。しかもそれが何にも消化しない、試験が終わってしまえば忘れてしまう。こういうむだな教育が行なわれ、高等学校の生活はまさに灰色な生活なんで、私も非常に日本の教育に憂うべきだと思う。 そこで、文部大臣が統一学力テストとおっしゃった。私はぜひそれをやっていただきたい。ただ、その場合に、また振り落とすための二次の学力試験はやめてほしいと思うんです。かつて進学適性検査をやりましたときに、一次で一ぺんふるいまして、また大学でめいめいが学科試験をやったので、二重の手間だから進学適性検査をやる必要ないというのでやめた経緯がございますから、今度文部大臣、標準学力テストでおやりになるなら、私はそれ一本でやってほしいと思う。それで定員の二倍なり三倍なりすぐられてあとですね、内申書なり、作文または小論文、それから音楽、、体育等は実技が必要ですから、実技等を課せられることもけっこうだと思う。そして最後は面接でやっていただきたいと思う。どうもこのごろの入学試験というのは、もうマル・バツ一点ばりですからね。たった一点違っても三十何人も四十人も違うんですからね。そして客観テストと称するんですけれども、私は、これはそれだけが信頼度があると思わないんで、もっと主観テストである作文とか小論文、そして面接、そういうものをもっと重視してほしいと思うんです。これについての文部大臣のお考えを伺いたいと思います。
○国務大臣(奥野誠亮君) 入学試験に難問、奇問を出されますので、それに対応しようとして進学塾通いをやったり、あるいはまた、いたずらにまる覚え的な学業の進み方をしたりしている面が非常に多いようでございます。高等学校の学習指導要領が、四十八年に改定をされた、四十八年、四十九年、五十年、これで完成をする。その完成を待って五十一年から統一学力テストを行なう。高等学校の学習指導要領を基礎とする教育内容、これを一応心得てさえおれば、何ら不安がないというような出題にしていかなきゃならない。そういうことから統一学力テストの実施を五十一年からと、こう考えてまいってきているわけでございます。同時に、統一学力テストで、あとは各学校の選考は許されないのだということでは不穏当だと、こう考えるわけでございます。あとは各学校に簡単な選考方法で選抜をしてもらう、こう考えておるわけでございます。芸術大学等におきましては技能を調べるというように、それぞれの専門専門があるわけでございますので、それぞれの専門に向いているか向いていないかという意味の簡単なテスト、これはやはりおやりいただいてしかるべきだと、こう考えておるわけでございます。もちろん、その専門を調べる場合には、学科的なものもあるかもしれませんけれども、ごく簡単な方法で適性を見るということでよろしいんじゃないだろうかと、こう考えておるわけでございます。統一学力テストで一般的な試験をやるわけでございますので、各大学でも、この御検討に当たっておられる方々はそういう気持ちで当たっていただいていると思います。各大学の個別の選考は認めない、これは適当でない。しかし、認めるけれども、ごく簡単な、いま御指摘になりました口頭試問でありますとか、あるいは大学の専門に適しているかどうかということを見るための試験であるとかいう意味の簡単なものにとどめるようにしなければならない、かように考えているわけでございます。ぜひ、こういう方向で国立大学協会の結論も出てまいることを心から期待いたしているところでございます。
○内藤誉三郎君 大臣、私も統一テストだけでやることはよくないと思いますが、それでまあ定員の二、三倍まですぐっておいて、そのあと各学校の独自の試験をおやりになるのはけっこうですけれども、その場合に、私はやっぱりお話のように、芸術大学が音楽をやるとか、体育大学が体育をやるとか、これは当然のことだし、ところがどうも大学ではもう一ぺん試験をやりたいという空気が濃厚なんですよね。で、かりに一科目でもやりますと、また日本の高等学校以下の教育は受験勉強に振り回されちゃうので、お話のように簡単な問題、そして口頭試問をやりながら、ある程度、どの程度の学識があるのか、どういう方向に向いているのか、それは口頭試問をやれば私はよくわかると思うんで、あるいは小論文でもけっこうだと思うんで、そういうふうにひとつ御指導願って、また学科試験を繰り返すようなことをしないように、かつての進学適性検査の二の舞いをしないようにひとつ御配慮いただきたいと思うんですが、大臣いかがですか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 御指摘になりました点、まことにごもっともなことだと思います。詳しい学科試験をもう一ぺんやるんじゃ統一学力テストをやる意味がないと思います。各大学が責任を持って選考試験を行なうんだというたてまえはくずさないが、しかし、同じようなことを二度やるという愚はおかさないように、この問題が解決します場合には積極的に注意を払わなきゃならないと、かように考えております。
○内藤誉三郎君 この入学試験というのは、日本の教育界のほんとうにガンだし、私はもう親も子も、学校の先生も、みんなうんざりしていると思うんでね、これをやっていただくことは日本の教育界を救うゆえんだと思うんで私は奥野文相に非常に期待をしておりますが、この問題は、私、長年見ておってなかなかむずかしいんですよ、正直言って。むずかしいからひとつ文部省もしっかりやってほしいと思いますが、場合によったら、私はこれこそ野党の協力を得て議員立法でもいいから解決してみたいと思っているくらいですから、ひとつ奥野文部大臣、これはやっていただければ日本の国民にとって非常な福音ですから、ぜひあなたの時代にひとつ解決の曙光を見出していただきたいと心からお願い申し上げます。 第二に、教育の指導原理の確立についてお尋ねを申し上げたい。 特に、私は教育憲章を制定してみたらどうかという御提案をしたいんですが、先日、田中総理大臣は徳育教育を強調されました。現在行なわれている道徳教育の改善充実も一つの方策でありますが、先ほど文部大臣がお話のとおり、一部の教師の側で反対が根強く、実効があがっていないことも事実でございます。確かに、戦前のわが国の教育の指導理念は教育勅語であったと思う。ヨーロッパではキリスト教で、公立学校でも教えている。それで道徳教育が行なわれている。ですから、キリスト教がヨーロッパ各国の指導原理になっておるわけです。米国では、キリスト教は直接学校では教えていないが、家庭、教会、社会一般にキリスト教の影響力が非常に強く、キリスト教が教育の背景になっておるわけで、学校もその例外ではないわけです。共産圏でも、私はソ連も中国も参りましたが、生徒守則、生徒の守る規則というのがありましてこれを実行している。私はたいへんいい見本だと思いますので、文部大臣もひとつぜひ、共産圏の生徒守則をごらんになったら皆さんに配ってほしいと思う、日本で案外知らないと思うんですが。これは、大臣、ごらんになったことかありますか。——私は特に文革後の中国へ参りましたときに、毛沢東学習が学校でも職場でもたいへん熱心に行なわれているんですよ。これが教育の中心になっている。たとえば自力更生、人をたよって失敗したから、もうソ連にたよらぬというんで自力更生ね。刻苦奮闘、それから勤倹建国、その次は破私立公——私を破って公を立てる、破私立公、それから服務人民のため——服務人民のためというのは毛沢東最高指示でもある。そこで私利私欲を捨てて人民のために奉仕せよ、人民のために働くことが生きがいであって、そのために死ぬことは死に場所を得たんだと、こう教えている。そして人民のために死んだ人々は英雄として祭っている。私、毛沢東学習を見ていると、これは単に教えるだけとか、暗記するだけじゃない。毎日どう実行したかという実践を強く要請しているんですよ。毛沢東語録というのは、かつての日本の教育勅語と同様に、親も子供も、教師も人民も、学校も職場も一貫して共通の守るべき教育規範になっている。私は、そこに中国における教育の国民的合意が形成されていると思うんです。その成果はすばらしいものがあったと思う。かつて腐敗堕落した中国が、精神的には完全に立ち直り、まことに目を見張るような状況でございました。 それに引き比べて日本の現状は、戦後ずっと精神的空白が続いていると思う。かつて文部省でもこのことをたいへん憂慮されて、中央教育審議会に「期待される人間像」を諮問され、その答申ができましたが、これは作文だけに終わって一向に実行されなかった。先日総理は「五箇條の御誓文」のような単純明快なものがよいと述べられたが、私もそういうふうに思う。これから世界の中に生きる日本人の育成を目ざして、たとえば克己、節約、忍耐等の自制心を涵養すること、他人に対して思いやり、助け合い、親切にすること、社会連帯、公共のために奉仕する、こういうような、だれも反対をしないし、みんなが賛成してくれるような教育の指導理念を、国民的合意を得て教育憲章として私は立法化していただきたい。法律できめれば、これは野党の諸君も皆さんに賛成してもらいたいんですが、そうしないと、やっぱり教育の力強いバックボーンにはならないと思うので、そうすることによって、親も子供も、教師も、社会一般も共通の価値観にささえられて教育に当たることができると思う。道徳教育を振興し、教育を本道に戻すことができると思いますが、文部大臣の御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(奥野誠亮君) 戦後の経過は、私よりもむしろ内藤先生のほうが詳しいと思うのでございますが、しかし、国会の当時の論議等を振り返ってみますと、戦後文部当局は、教育勅語を将来にわたる徳目として持続をしていって何ら差しつかえないのだという答弁をされておるようでございまして、反面また、教育勅語は詔書の形をとっている、戦後のあり方としてはこれを国会においてきめるべきだ、こういう論議もあったようでございましたが、その後文部当局から、教育の基本に関する法律をつくるという御答弁に変わっているわけでございます。そうして教育基本法が生まれてまいりました。おそらく占領軍の強い指導によってこういう経過をたどったものだろうと、かように考えているわけでございます。日本国憲法が制定された、平和で文化的な国家をつくっていかなければならない、それは教育の力にまつんだ、ついては、教育はこういう基本的な態度で進めていくんだということで教育基本法が生まれて、この教育基本法を制定することによって教育勅語にかわるものの議論に終止符を打つという態度を当時とられたように私理解をしているわけでございます。同時に、学校教育法等々の法律もあるわけでございまして、こういうものを受けまして、学習指導要領で具体的に教育の指導理念を展開をしていくんだということで今日進んでまいってきているわけでございます。 しかし、これらの考え方につきましても、一部には国旗を掲揚することすら学校行事から排除しようとするというような動きがあるわけでございます。しかも国旗は愛国心につながる、愛国心は戦争につながるというような理屈をこねたりする先生も中にはいらっしゃるようでございまして、たいへんな混乱でございます。そういうものを早く解決しようとすれば、国権の最高機関である国会でぴしっときめていただけばそれで済むじゃないかということにもなるわけでございましょうけれども、なかなかそうもいかないところに今日の日本の私は問題があるだろうと、こう思うわけでございます。いずれにいたしましても、国それぞれには国としての理想があるはずでございます。その理想にふさわしい国民のあり方もあるはずでございます。これを受けまして、次代をになう青少年はどうあるべきか、少なくとも国として示すものがなければならないはずだと、こう考えるわけでございます。現在は、いま申し上げましたように日本国憲法、教育基本法、学校教育法等々を受けまして、具体的な展開を学習指導要領にゆだねているわけでございます。しかしまたこの学習指導要領そのものを排除しようとする教師集団の動きもあったりしているわけでございます。 いずれにいたしましても、いま申し上げますように、国それぞれ理想があるべきだと、またその理想にふさわしい国民のあり方もあるはずだと。次代の国家をになう青少年、これを受けましてそのあり方が当然示されるべきだと、こう考えるわけでございます。それを示す場合に、いま教育憲章を国会できめたらどうかという御提案をいただいたわけでございます。いずれにいたしましてもこういう問題になりますと、国民大多数の合意が得られる、その合意の上に立って国会でおきめいただくということでなければなりませんので、いまの段階におきましては一つの有意義な御提案だと、こう受け取らしていただく以外にはないんじゃないだろうかと、かように考えるわけでございます。 いずれにいたしましても、こういう論議が国会その他を通じまして活発に行なわれていく、そして日本がほんとうに、理想を追うて進んでいく国民の姿がいろんな形において私は出てこなければならないと、こう考えるわけでございます。価値観も多様でございますが、そればかりじゃなしに、国の進み方につきましても、いろいろと意見の分かれているところでございますので、なかなか簡単には合意を得にくいように思うんでございますけれども、なるだけ早い機会に国民大多数の合意が得られて、そして次代をになう青少年はいかにあらねばならないかというようなことにつきましてまとまった方向が出てくること、これは私は心から期待をいたすものでございます。
○内藤誉三郎君 明治の新学制以来、日本の教育も非常に混乱して、そして明治八年に明治天皇の教学大旨が出てから二十三年までたいへんな苦労をして、やっと国民的合意が成立したのが教育勅語なんです。私はその意味で簡単に合意が得られるとは思いませんけれども、しかし、文部省が指導要領でおやりになっても、いまお話しのように指導要領にも反対な集団もあるというわけですから、私は指導要領だけで、何か学校の片すみだけで教育しても効果があがらないと思う。親がその気にならなければいかぬと思うんです。そして社会一般も、国民も、みんながそういう風潮でなければ教育の効果があがるもんじゃないと思う。世の中が悪くて、学校だけよくしろといったって、それは無理なんです。エゴで、エコノミックアニマルで、自分さえよければいいという風潮の中に、学校の子供だけがまじめになれと言ったって、私は無理だと思うんです。ですからやっぱり国民的合意を得てやりたいと思うんです。 そういう意味で私は文部大臣に、これは御提案ですから、できればやってほしいと思いますのは、産業界の人々も全部ひっくるめて、それから日教組をはじめ労働組合の諸君も全部入れて、それから宗教界、教育界、言論界等各階各層の有識者を網羅した教育憲章制定国民会議のようなものを設けて、ここでその具体案を審議し、検討されたらどうか。そういうことでもしていただかぬとこれは前進しないでしょう。ただ御提案ということだけで済まされちゃいかぬから、もう少し文部大臣積極的にやっていただきたい。魂のない日本の教育ですよ。私は魂を入れなければいかぬと思う。これについての文部大臣のお考えを聞きたいと思います。
○国務大臣(奥野誠亮君) いまの御提案は、非常に重要な御提案だと考えておるわけでございます。同時に私としては教育界の正常化——教育をになっているのは先生方でございます。文部省、教育委員会は教育の諸条件を整備していく。したがいまして、教師なり教師集団なりと文部省なり教育委員会なりとが手をつなぎ合って努力をしていかなければならない、こういう性格のものだと思うんでございますけれども、教師集団の中には、教育委員会や校長さんの正当な権限を排除するということを運動目標に掲げているんです。しかも口では憲法を守ると言うておられるんです。ところが法律を守らないんです。私はやっぱり口で憲法を守ると言うておられるんだから、議会制民主政治をたてまえにしているこの国会できめました法律、それに従って教育委員会の権限、校長さんの権限を正当に認めるべきだと思うんです。法律で与えられた教育委員会や校長さんの正当な権限を排除することが、教師集団の努力目標であるようなことを掲げられているということは、私は日本の将来に対してたいへんなことだと、こう考えるわけでございます。御提案もさることながら、まずこのことから改革をしていかなければ、とうてい私は内容のある、実りのある教育を期待できないじゃないか、こんなことも思っておるわけでございますので、あまりにも日本の現在の混乱がはなはだし過ぎる、事、教育界については特にはなはだしいものでございますので、まず教育界にりっぱな先生方を迎え入れる、そうして先生方に自覚を持ってもらう、口で言うておるとおりに行動で示してもらう。一年も前から翌年のストライキをきめて、やれやれとしりをたたいているばかりのようなことじゃ私は困ると、こう思うのであります。ストライキに参加しない、組合から抜ける——たいへんなつるし上げを受けるんです。たいへんな脅迫を受けるんです。そういう暗い教育界は私はぜひ早く明るいものにして、みんなが使命感に徹して、情熱を教育に傾ける先生方になっていただけるように、まず基本的にはこれから努力をしていきたい。そうして内藤さんの御提案の問題もあわせて研究さしていただきたいと、こう思っておるところでございます。
○内藤誉三郎君 これはOECDの教育調査団が日本の教育について指摘しておりましたことの中に、日本の教育が荒廃しているのは文部省と日教組、文部省と大学との不信感だと書いてありました。私もそのとおりだと思いました。そこで私はこれは文部大臣に御提案ですが、いま日本の教育は確かに大臣のおっしゃるとおりの現状だと思います。しかしそれは、私は文部省も日教組も、もっと虚心たんかいに話し合ってほしいと思うんです。そうして日本の教育をどうするのか、これでいいのかと、私はやっぱり何かお互いに会わないで不信感を抱いているのはよくないから、とことんまで話し合ってみる、そういう機会をつくっていただきたいのです。私はできればあらゆる機会に日教組の代表も入ったらいいと思う。そして意見を述べるなら述べてもらう、堂々と。そうして文部大臣も言いたいことは言ったらいいと思う。お互いの不信感を除くことが私は教育正常化の根本だと思うんです。そういう意味で、ここでお互いにいがみ合っても日本の教育は前進しませんから、ひとつ文部大臣、日教組とお会いになって、日本の教育をどうするかということをひとつ真剣に話し合ってみるお気持ちはないでしょうか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 私、文部大臣になりましてから、いつでもお互い都合つけて会おうじゃないかと、意思の疎通をはかることが私は大事だと思うよと、横枝委員長にも申しております。正式に会ったのはもうすでに三回ございます。今後も率直に話し合っていきたい、こう思っております。 そういうことを通じて解決できればいいんですけれども、だんだん運動方針あるいはスケジュール闘争ずっと見てみますと、一部の方々だと思います、一部の方々だと思いますが、基本的な考え方が違っているんじゃないだろうかと、やはり社会主義革命に参加するものだとみずからを規定しておられるように私には受け取れるんです。しかし、今後も積極的に話し合っていきたいと思います。そういうことで一歩でも二歩でも前進させるようにもっていきたい。しかしながら、文部省と日教組が話し合うだけじゃなしに、国民の皆さん方に、いまの教育の姿がどうなのか、どういうまた教師集団が考え方を持っておられるのか、これについても関心を持っていただきまして、みんなで今日の教育をこれでいいのか、日本の将来にとって差しつかえないのか考えていただく以外には私は解決しないんじゃないだろうか、こう考えているわけでございます。私は横枝委員長に対しまして、私は今後も日教組の批判をどんどんやっていきますよと、しかし日教組のすべてが悪いとは言いませんよと、あなたも中央教育審議会の答申粉砕だとか、あるいは文部省や教育委員会の政策は全部反対をするんだとかというようなことはやめなさいよと、いい政策がたくさんあるじゃありませんかと、こう申しました。彼は同感だと、こう言っていました。彼と私の間では話がつくようでございます。しかし、日教組全体を流れている流れというものは、私は横枝氏でどこまで変えられるんだろうかという疑問をこのごろ非常に強く持つようになってまいってきておるところでございます。
○内藤誉三郎君 文部大臣の御努力を私も多としますが、やっぱり失望しないで、粘り強く説得をしていただきたいと思います。 第三に、新構想の教員養成大学及び大学院がこのたびブロックごとに一校ということで、本年度予算で兵庫県に創設準備費が計上され、上越、鳴門、鹿屋の三カ所に調査費が計上されましたことは、私はまさに画期的なことだと思うんです。この点は大臣の御努力に心から感謝いたします。 人確法が成立した今日、国民の教師に対する期待は非常に大きいと思うんです。新構想の教員養成大学及び大学院の構想について、大臣のお考えを承りたいと思います。
○国務大臣(奥野誠亮君) 今日、大学を卒業して教職につかれるわけでございますけれども、それで教師としてもう十分完成したと考えていいのかどうかということになりますと、若干疑問を生ずるわけでございます。そうしますと、ある程度現職についた上で、もう一ぺん実践的な学習、研究に打ち込むような機会を与えてあげることが必要じゃないだろうかと、こう考えたわけでございまして、そういう意味で教員大学院に進んでもらう。修士課程は二年でございますので、大体二年ここで実践的な研究、学習の研究に御努力をいただく。そこに四年制の幼稚園、小学校を通じます初等教育の先生方を養成する大学を設けたい。少なくとも現職から大学院に入ってこられる先生方については全寮制をとるべきじゃないだろうかと、こう考えているわけでございまして、そういう方々の影響のもとに、四年制の大学の学生が将来教師となる素養を深めていくということが、望ましい教師を育てることが可能になるんじゃないだろうかなと、こう思っているわけでございまして、何といいましても環境が人間を育てていくわけでございますので、教師を育てるのにふさわしい環境をまずつくっていかなきゃならない、それについては、ほんとうに完成した先生を育てる環境の中で、四年制の大学が運営されていくことが好ましいことじゃないだろうかと、こう考えているわけでございます。同時にまた、四年制の大学におきましても、今後の先生としては何といいましても人間養成、人柄をつくっていくんだというようなところに力を入れなきゃならない。従来の科目、単位につきましても、もう一ぺん見直してもいいんじゃないだろうかと、こう考えているわけでございまして、教師にふさわしい単位に力を注いでいくというようにしたいものだと、同時にまた、人間と人間との触れ合いを濃くしていく必要があるだろうと、そういう意味においては合宿研修のような時間をたくさん持たせたらいかがなものだろうかと、学生相互間の触れ合いあるいは学生と教師との触れ合い、そういうことを通じて今後また教師として児童生徒を導いていく場合にも得がたい体験を積ませることができるんじゃないだろうかと、こうも考えているわけでございまして、いずれにいたしましても大学院を中心にする大学を頭に描いて、できましたならばブロックに一つぐらいずつはほしいなと、こういう希望を持っているところでございます。そういうことでまず一つを兵庫県につくらしていただくということで、財政当局の御理解も得たところでございます。
○内藤誉三郎君 いま日本で教育大学とか、教育学部とか名前はありますけれども、私はあれはほんとうの教育大学でも教育学部でもないと思うんです。前は学芸学部と言ったんで、名前だけ教育学部に変わったんだけれども、私はほんとうの教育学部じゃないという実は感じがするのです。教師は親と同様に子供の人格形成に重大な影響を与えるので、教師みずから人格形成に格段の考慮を払う必要があると思うんです。その意味で、いま文部大臣が人格形成に努力させると、こうおっしゃたので私もたいへん心強く思っている。何といってもやっぱり教師の人柄ですから。 そこでお尋ねしたいんですが、この新構想の大学の中では、ひとつ従来の教職教養のほかに文学とか歴史、哲学、宗教、倫理、道徳等の学問を必修するようにひとつお考えいただきたいと思うんですが、この点、大臣のお考えを聞きたいと思います。
○国務大臣(奥野誠亮君) 現在、関係の審査会——審議会でしょうか、そこで具体の教科をとう編成したらいいだろうかということも御検討いただいているところでございます。いま御指摘になりましたような考え方もその中で十分取り上げていただいているようでございますけれども、お気持ち、私も全く同じような考え方に立っているものでございます。そういうことを踏まえて御答申いただくように、いまの御提案のあったことも何らかの形でお伝えをするようにしたいと思います。
○内藤誉三郎君 それから第二に、教育実習のことですけれども、現在はどこの大学でも二週間教育実習すれば先生の資格が得られるんですけど、私はお医者さんでも臨床経験を積んでこないと一人前の医者になれない。教師だけは二週間の教育実習でいいというのはあまりにお粗末だと思うんで、そういう意味で、さっき大臣が、大学院では教育実習をしっかりやるとおっしゃったんでたいへん心強く思ったんです。私は今度の新構想の大学では最低一年、一年以上やっぱり子供と一緒にいて、しょっちゅう、絶えず指導、観察し、子供を育てるという努力をしなきゃ、私はいまの教育で教えることはできるけど、子供を育てるという教育ができていないと思うんです。その意味で教育実習を一年以上やっていってほしいんですが、これについての大臣の御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(奥野誠亮君) 教育実習を重視するというお考え方には全く同感でございます。ただ今日、公立学校が教育実習に応じてくれるかということになりますと、これはまた至難のわざでございます。しかし、大事なことでございますので、いろいろなくふうを尽くしながら、できる限り教育実習が重視できる、それがそのとおりに実行されていくという姿をつくり出すように、いろんな点で研究もし、努力もさせていただきたいと思います。
○内藤誉三郎君 いま公立大学で教育実習をいやがっているのは、ちょこちょこ二週間ぐらい来て、ひっかき回されるからいやなんで、一年間ずうっと張りついて子供のめんどうを見てくれたら、こんないいことはないですよ。これは先生が一人ふえるようなもんだから。私は必ずやると思うんです。いままでのような中途はんぱな教育実習ならやらないほうがましだと思っています。 それから第三に、やっぱり人間形成の一環として、先生方が修養につとめることが大事ですが、先ほど大臣がおっしゃったように、私はぜひ全寮制にしていただきたいと思うんですよ。というのは、いまの大学を見ておると、非常に個人主義なんです。やっぱり教師というものはみずから子供を育てるわけですからね、集団生活を通じてお互いに切嵯琢磨する機会がほしいと思うんです。そういう意味で、ひとつ教師には集団生活を通じて社会連帯の精神、こういうものをつちかうということが非常に大事だと思うんです。それでなくてもいま日本人は個人主義で困っているので、私はエゴイストの先生というものは先生の資格がないと思うんです。やっぱり社会連帯、そういう精神を体得した人でなきゃならぬ。その一助としてぜひ全寮制をしいていただきたいと思うんですが、大臣のお考えを伺いたいと思う。
○国務大臣(奥野誠亮君) 私は今日の大学全体について、学生お互いの触れ合い、学生と教師との触れ合い、これがなさ過ぎるという感じを持っているものでございます。また文部省でも、そういうこともございまして、新しく学生が入ってきた場合には、数日間、学生、教師が合宿してオリエンテーションその他をやるというようなことで予算もつけているようでございます。 いま、将来教師になる人についての全寮制のお話しがあったわけでございます。将来教師になるような人は、特にお互いの人柄を練摩していくということが大切でございますだけに、この触れ合いは非常に重要なことだと、かように考えます。ただ、全寮制という方式を一律にとろうとしますとなかなか指導者が得にくい。しかも今日価値観も多様でございますし、複雑な社会になっておるわけでございますので一そう若い人たちを全寮制をとって十分人柄の練摩というところに生かしていけるかということになりますと、必ずしもその効果を期待しにくいというような点もあろうかと思うのでございます。したがいまして、少なくとも将来教師になる人たちについては、合宿研修の期間を大幅に取り入れていくということじゃなかろうかと、かように考えておるわけでございます。そういう気持ちで新年度からでも——五十年度ですか、からでもできる限り将来教師になる人の学部については、そういう費用を大幅にお願いをしたいなとかようなことも考えているところでございます。
○内藤誉三郎君 私も合宿研修というのは非常に賛成でして、私自身もやってみて、お便所の掃除からふとんの上げ下げ、おふろの掃除までやってみたけれども、私もそういうことを通じて、やっぱり裸になってお互いに切瑳琢磨する機会があると思うんで、全寮制が無理なら、せめて合宿訓練をしていただきたいし、まあできれば、指導者がおれば全寮制をやっていただく。私は、ほかの大学もそうしたいんですけれども、教師は特に社会連帯という、そういう精神を体得した人でないと、いい教師じゃないと思うんです。ですから、特にお願いを申し上げたいと思うんです。 それから、新構想の大学の設置形態でございますが、これは、私はひとつ文部大臣にぜひお考えいただきたいのは、全く新しい形の特殊法人をひとつやっていただいたらどうかという提案なんですが、大学の管理運営の改善策として、先般、筑波大学か法案が通りまして、私はあれも一つの方式であろうと思うんですが、あれは国家公務員というワクがはまっているんですよ。ですから、国家公務員の長所も短所もあるわけなんで、そこで私は、国立大学の長所と、それから私立大学の長所、双方を取り入れて、経営と教育研究の調和をはかりつつ、伸び伸びとした自由な学園の創設を検討していただきたいと思うんです。特にこの特殊法人について、私は大学の学長さんにも聞いてみたら、学長も、それはたいへんけっこうだと、国家公務員のワクに縛られないで私学の長所を取り入れることができる。それから野党の諸君の中にも賛成者がいますので、ひとつ大臣、ぜひ今度の教員養成の新構想大学の場合には、この方式を御採用願うように御検討いただきたいと思うんですが、大臣の御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(奥野誠亮君) 大学の管理方式、私はいろんな管理方式があっていいんじゃないだろうかと、こう考えておるわけでございます。筑波大学も一つの新しい管理運営の方式だったと思います。いろんな方式、そしてそれぞれが長所を競い合っていきゃいいんじゃないだろうか。あまりにも形式的、画一的でなきゃならないというのが日本の従来からの癖だと思うんですけれども、みんなが研究をする、くふうをする、そして新機軸を出していく、そういうことによって、私は、日本はどんどんどんどん伸びていくと思うんです。従来の形式にこだわっている限りにおいては発展がないんじゃないかと、こうまで考えているものでございますので、いまの御提案、よく検討さしていただきたいと、かように考えます。いずれにいたしましても、できますならば四十九年、五十年、そして五十一年四月に学生を入れるというように準備を進めたいなと、かように考えているわけでございますので、その間、研究さしていただきたいと思います。 いずれにいたしましても、現在の大学は教授会が大学自治の基盤になっているわけでございます。将来とも教授会が大学自治の基盤として重要なものであること、これはもう言うまでもないことだと思います。しかしながら、先生方一人一人、教育研究については大きな能力を持っておられるけれども、この複雑な社会において管理運営についてまで、皆さん相当な能力を持っていられるかといいますと、私は少ないと思うんであります。にもかかわらず、集中的に教授会に責任を負わせているところに若干問題がある。やはり、ある程度役割り分担をされたらどうだろうかと、役割り分担をして、そうして全学的にそういうことを協議していく、そうして学長につなげていくと、教授会はあくまでも大学自治のにない手として基礎的なものではあるけれども、何もかもおれがやるんだということじゃなしに、役割り分担をして全学的に協議を進めていって学長につないでいくというふうなくふうを、各大学においてぜひお考えいただきたいものだなと考えているわけでございます。いま内藤委員からの御提案は、おそらく理事会が管理運営の基本になっていくんだろうと思いますし、また、理事会でありますと、そういう能力を持った方々を集めていくことができる、そこにある程度の期待を寄せていただいているんじゃないかと考えるわけでございます。いずれにいたしましても、いろんな型があっていいんじゃないだろうかと、ぜひ、国会におきましてもいろんな型があることを御容認いただきたいものだなと、かように念願をいたすところでございまして、よく研究さしていただきます。
○内藤誉三郎君 いま大臣から大学の現在の管理体制についての御意見が出ましたが、終戦後、総司令部が中央集権から地方分権化への方向を強力に推進しまして、そこで文部大臣の国立大学に対する監督権を排除して指導助言に改めたでしょう。その際、総司令部は、国立大学には私学と同様に理事会制度を導入し、それに大学の管理運営を行なわしめる考え方だった。そこで、教育公務員特例法をごらんいただきますと、管理機関ができるまでの間、大学の運営は評議会、教授会に当分の間委任すると書いてあるんですよ。ところが、当分の間の暫定措置が戦後三十年間一向に改善されないんです。これが今日大学運営の混乱している私は根本的原因だと思うんです。 そこで大臣、現在の国立大学の管理体制をどう改善したらいいのか、大臣の御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(奥野誠亮君) それぞれの大学が、教育研究の実をあげるためにはどうなければならないかということを一生懸命考えてくれていると思うのであります。また、東京教育大学の構想が筑波大学方式として実ってまいってきたわけでございます。今度の場合にも、広島大学が総合科学部を設けたり、北海道大学が法学部の改組を提案したりしてきておるわけでございます。しかし、なお全体的な空気になっているとは言えないと思います。あくまでもやはり私たちとしては大学の当局者の自覚を呼び起こす、その努力を繰り返ししていきたい。また、新しい大学につきましては副学長を置かせていただく、そうしてまた外部の意見も聞けるように参与を置いて、運営は各大学にまかせたらよろしいんですけれども、学外の意見にも耳を傾けるような体制をとってもらうというようなことで、あくまでも大学自身が自覚して改革をみずからの責任として努力をしていただく、そういう体制づくりといいましょうか、環境づくりといいましょうか、さしあたりはそういうことで努力をしていくべきことではなかろうか、こういう気持ちでいるところでございます。
○内藤誉三郎君 私は、先ほど大臣がおっしゃったように、大学の経営面と教育研究は分離して、そこに調和があるのが望ましいと思うんで、その意味で筑波方式もその一つの方式ですが、特殊法人も一つの方式だと思うんです。いろんなタイプの見本を見せて、そうして各大学にどうしたらいいのか選択させることが望ましいんではなかろうか、かように考えておりますから、よろしくお願いします。 それから第四番目に、私学助成についてお尋ねします。 本年度の予算で画期的に私学の予算が増額されましたことは、私、心から敬意を表します。 ノーコントロールの点については、国立も私学も同じであるが、国立のほうはまるがかえであり、私学はわずかな国の援助では、これはどうも国民は納得できないと思うんです。大学が国家社会の有能な人材を育成し、公共性のあることについては、私学も国立も共通であります。沿革上の理由はともかくとして、戦後、文部大臣が国立大学に対して監督権がなくなった今日、財政上の国の援助について国立と私学では雲泥の差があることは国民一般の理解に苦しむところであります。将来は国立私立について国の援助に私は差等を設けるべきでないと考えておりますが、当面私学に対しては、人件費のみならず物件費施設費に対しても経費の半分は国が負担し、残り半分は父兄その他で負担するという原則を確立したらどうかと思いますが、文部大臣の御所見を伺います。
○国務大臣(奥野誠亮君) いわゆる私立大学に対します経常費助成は昭和四十五年から始められて、専任教員の給与の半分は国庫で助成しようじゃないかということであったわけでございます。そのとおり四十九年度で完成をしたわけでございます。しかし、専任教員とは言いながらも、勤務の実態や給与の額等から見てふさわしくないものは助成対象に取り上げない、あるいはまた、その給与の額につきましても、ことしは前年の五%積み上げから一〇%積み上げに改善さしていただいたわけでございますけれども、必ずしも十分でないという議論もございます。また、事務職員につきましても、助成対象に加えてまいったわけでございますけれども、なお、四十九年度は十分の二にとどまっているわけであります。また、非常勤講師等は助成の対象からはずしているわけでございます。そういうことでございまして、人件費につきましてもまだ二分の一にはなっていないのでございます。そういうこともございますので、現在、私立学校振興方策懇談会を文部省に設置さしていただきまして、ここでもう一歩進めた助成方策はどうかということで御研究いただいております。私の個人的な考え方を申し上げさしていただきますと、まず、人件費の二分の一助成までいけないもんだろうかなあ、そしてさらに、内藤先生御提案のような問題にいくということじゃなかろうかなあ、こんな感じも持っているわけであります。いずれにいたしましても、五カ年計画がもう達成したんだからこれでいいんだというような考え方は毛頭持っておりませんで、これをさらに発展さしていきたい。その発展させるについては、まず、人件費の二分の一ぐらいは助成をぜひしたいなあと、かように念願をいたしているところでございます。
○内藤誉三郎君 五カ年計画が達成しましたら、この機会にひとつ画期的な私学振興方策を確立していただきたいとお願いしまして、次の問題に入らさしていただきます。 先般、参議院の決算委員会で、私学の水増し定員の問題が論ぜられまして、だいぶ誤解を招いているようですから、この際、文相の真意を明らかにしていただきたいと思います。 現在、私学は定員の二倍程度収容していることは事実であります。私学が定員を厳守しますと、私立大学生が全大学生の七五%を占めている現状ですから、大学進学率は現在の三三%から一挙に二〇%以下に低下し、ものすごい進学難となり、受験競争が激化し、教育界は大混乱になると思う。そこで、私大の実員を定員化する方向で、ひとつ文部大臣、御検討いただきたいと思うんです。 ただ、この場合に、定員に必要な教員と、それから施設設備を整備しておれば、定員改正を認める方向で踏み切っていただきたい。ただ、この場合に、土地の拡充だけは困るんですよ。都会地で膨大な土地を要求されても、これは無理ですから、新設の場合と異なって、既設の場合には、土地は現状のままにしていただきまして、教員組織、施設設備の充実状況を考慮して定員改正を認めるように、設置基準の弾力的な運営をはかるようにひとつ御努力いただきたいと思うんですが、大臣、お考えいかがでしょうか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 国会の各委員会を通じまして、私立大学の現実が、認可を受けた定員と現実に入学を許可している員数との間に大きな開きがあるじゃないか、それで教育が適正に行なわれていると考えているのかという御批判が私に向けてずいぶんなされたものでございまして、教育界でございますだけに、認可を無視したような運営をしていくことはなるほど大きな問題でございます。しかしながら、反面また、それだけの人たちについて入学を許しても、教育の実は自分なりにはあげていくことができるんだという、私は自信を持っておられるんだろうと思うんであります。しかし、文部省が示しているような形式的な基準からいうと、はずれるかもしれない。しかし、それぞれの私立大学は、無責任に入学者をふやしておられるわけじゃない。財政上の問題もあるかもしれないけれども、それなりにこういう手を講ずることによって教育の実をあげることができているはずなんだと、こういう自負も私は持っておられるんじゃないだろうかと思うんであります。そう考えていきますと、いまのままで放任をしないで、定員をはるかに越えて入学を許可しておられるんなら、定員をふやす申請をしていただいたらいいんじゃないか。文部省もまた、あまり形式的、画一的なことにとらわれないで、実情に応じてそれを認めてあげたらいいんじゃないだろうか。そして、教育界がうそをついているというような姿を露骨に残していくというようなことは、私はやっぱり早く避けなきゃいけないんじゃないだろうかなあと、こう考えているところでございます。 いずれにいたしましても、大学設置基準、いま御指摘になりました用地につきましては、若干弾力的な規定も置いているようでございます。同時にまた、こういう認可申請にあたりましては、大学設置審議会で御論議もいただかなきゃなりませんので、大学設置審議会についても御理解を得るように努力しなきゃならない、かように考えるわけでございます。 いずれにしましても、あまり形式的、画一的なことでものを考えないで、やはり現実において教育が進められているんなら、それなりにその実情というものを理解してかかるという姿勢が大切だろう。そしてしばしば数多くの方々から御批判をいただく、御叱正をいただくような問題は、終止符を打てないものだろうかなあと、こう期待しているところでございます。
○内藤誉三郎君 私はぜひそうしていただきたいし、実情に合うように定員改正をしていただいて、そういう措置を講じた上でなおごまかしがあれば、私も教育界ですからそういうことはよくないと思う。それは私立学校法の監督規定を発動されるのもやむを得ないと思う。その前に、いま言った定員改正の措置をしていただきたいと思うのです。これをお願い申し上げます。 最後に、中曽根通産大臣がお見えになりましたので、石油公団の原油備蓄についてお尋ねを申し上げたいと思います。 石油は大部分外国に依存しているので、外国の生産制限や価格引き上げによってわが国の国民生活及び産業経済に重大な影響を与えたことは、今回実験済みであります。今後も同様なことが起こりかねませんので、はなはだ不安定な状態に置かれているのであります。これから国際収支の関係で、価格の面から輸入量の制限を行なう必要も出てくるでしょう。また、輸入量の制限に伴い、省資源型の産業構造の転換も余儀なくされるでありましょう。現在、灯油やプロパンは現行価格のまま据え置くことにされましたが、生産が低下し、供給が不足してくれば、これは値上げせざるを得ないと思うのです。今回のこのとうとい教訓を生かして、再び過去のあやまちを繰り返してはなりませんので、石油公団に一定量の備蓄を義務づけておいて、必要があれば、財政資金を投入して、灯油やプロパンには安い価格の原油を供給したり、国民生活の安定及び産業の健全な発達をはかるために、必要最小限の調整用原油の輸入を認める必要があると思うのですが、中曽根大臣、どういうふうにお考えでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 全く同感でございます。石油の備蓄につきましては、欧米各国は、石油危機の前に大体九十日分ぐらいまですでに達成されておりました。わが国は、それがようやく六十日に達しようというときに石油危機が始まりまして、現在は四十九日から五十日前後になってきております。日本の産業は、平生の正常運転を実行していくためには、最低限三十九日分は必要です。これを切りますと、結滞が起きてパニック現象が起きる危険性が出てまいります。そういうような情勢を将来また起こしてはなりませんから、そういう意味において、国として相当責任を持てる体制をつくる必要があると思っております。 いままで財政投融資等を使いまして民間の蓄積についていろいろ便宜を供与しておりましたが、民間のみにたよるべき段階でもない。そういう意味において、石油公団をそのために活用するということは最も適当な案であると思います。 もっとも、石油公団が自分で貯蓄するという場合もありますし、石油公団を経由して財政金融的なめんどうを見て、民間に一定量の蓄積をやってもらうという場合もございます。そういう両方のシステムを使いつつ、いまのように日本の備蓄政策を進めていくことは今後の課題であると考えております。
○内藤誉三郎君 石油は主食と同じように、私は国民生活の根本的な必需品だと思うのです。食管が国民の食生活の安定に今日まで寄与した功績は高く評価する。特に、最近、諸物価が上がったのにもかかわらず、食生活が安定したのは、私はせめてもの国民のしあわせだったと思うのです。そういう意味で、やっぱり石油についても、食管と同じような機能を一部持たせる必要があると思うんですが、この点についての大臣の重ねて御意見を伺いたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私も全く同じような発想を持ちまして、食管制度が国民の最低限の食生活の安定のために非常に大きな機能を果たしたと深く認識しておるわけでございます。それと同じように、産業の米である石油についてもそういう必要性を痛感しておりました。したがって、石油公団法を実は改正いたしまして、そういう備蓄及び外国との場合で利権を獲得すると、そういう程度まで石油公団の機能を拡充したいと念願しておりましたけれども、今回の予算につきましてはそこまでいかないで、外国の国営石油会社が仕事をやる場合に融資ができると、そういうところまで前進したわけです。しかし、これだけであきらめないで、できるだけ早期に、いま内藤先生か申されたような線を達成するように今後ともつとめてまいりたいと思います。
○内藤誉三郎君 通産大臣、後世に残るように、後世の人たちから感謝されるようなひとつ今度改正をしていただきますようにお願いを申しまして、私の質問を終わらしていただきます。(拍手)
○理事(西村尚治君) これにて内藤君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○理事(西村尚治君) 戸叶君。(拍手)
○戸叶武君 ただいまから、田中内閣の経済、外交、文化政策に対して御質問をいたします。主として大平外務大臣、倉石農林大臣、中曽根通産大臣並びに文部大臣に質問したいと思いますが、理事から、大臣が出たり入ったりでこま切れ質問になるかもしれないからというので、こま切れ料理をするつもりで、出ている人たちからだんだんに片づけたいと思います。 だれもいないのでは——ああ防衛庁長官が、この人は一番まじめな人ですから、この人からまず質問をいたします。 一番最後の質問を劈頭に持ってくるんですから、羊頭狗肉ということになるかもしれませんが、これは皮肉でも何でもありませんが、日本にとっていま一番大切なのは、私は、教育の場と政治の場の荒廃だと思うのです。幾らえらいことを言っても、今日の日本で致命的な欠陥は、教育の場と政治の場の荒廃でございます。日本の憲法に対する論議が先ほどもなされておりましたが、ほんとうに日本の歴史なり憲法を理解しての発言かどうか、私は疑念を深刻に抱いたのであります。やはり内務官僚と文部官僚の秀才のなれの果てかと思いますが、やはり戦後における近代民主主義というものを正しく私は理解していない。古きをたずね新しきを知るというのが東洋における哲学追求の態度でございます。そういうことを千三百年も前の、極東の軍事的危機と国内におけるいまの政治のような派閥闘争のかいらいとなって天皇が殺されるという、あのきびしい時代に聖徳太子が十七条憲法をつくり上げたのですが、もっと深刻に民族の進路というものを模索し、真実を追求してきたのでありますが、いままで黙って聞いている限りにおいて、憲法に対する観念というものが、依然として明治政府における絶対主義のもとに育てられた、教育勅語と軍人勅語によって育成された人たちの観念というものが一つも払拭されていないのでありまして、この問題に対しては、今後われわれが繰り返し繰り返しまっこうから対決しなければならないと思います。 順序が違いましたが、大平さんが来ましたから、はなはだ失礼ですが、ひらにあやまって大平さんから質問いたします。はなはだ失礼ですが、やはり順序が狂うといけませんから。 大平さん、一番むずかしい外交の職にある人に、質問がすべて物価と石油の問題に行ってしまいまして、ほんとうにお気の毒だから質問しろというのを理事からの命令がありましたので、私はその要請に従ったのであります。 イギリスの議会政治の近代的なルールとして、オポジションパーティーのリーダーというものは、まず外交、財政、金融の質問から始めるのでありますが、それは、イギリスの国が十八、九世紀において世界にイギリスの旗を立てた帝国主義的な基盤の上に立っての一つの政治のスタイルかとも思うのであります。しかし、いまの日本は戦争に負けたおかげで、皮肉ではありますが、世界の心を勝ち取るかどうかというところに来ていると思うのであります。あなたが御承知のように、われわれはまず第一に祖国が置かれている基盤をはっきりとやはり見詰める必要があると思います。同じ島国でも、イギリスは大西洋上の島国であり、日本は太平洋上の島国であります。イギリスは鉄なり石炭の資源を持っておりますが、日本の国においては、豊葦原の瑞穂の国と言って、米のほうはできたが、食べることはできるが、資源は持っていないという弱点があります。この長所と欠点を見詰めながら、われわれはどういうふうに日本の進路を、グローバルな時代に世界に向かって展開していくか、私はあなたが真剣に模索していると思うのでありますが、あなたが簡単に資源外交ということばで表現していますが、あなたの言っている資源外交の内容はいかなるものですか。
○国務大臣(大平正芳君) 資源外交というのは俗語でございまして、私は、このことばは決して適切でないと考えております。外交は国と国との交わりでございまして、これは国家生活のあらゆる分野に及ぶ深い広い関係でございまして、したがいまして、外交の基本は相互の信頼と理解というものを深めてまいり、それを永続的な姿にしてまいることが基本であると考えております。そういうことを通じて相互の理解と信頼が深まった深まりの過程の中で、われわれが必要とする資源というものも安定した確保がはかられると思うわけでございまして、資源外交を頭に持ってきて、そのために外交を展開するというようなことをやっておったのでは、資源外交自体が初めからつまずくのではないかと憂えるのでございます。したがいまして、いかに資源の確保がむずかしくなりましても、外交の基調というものは狂わすことなく、永続的な信頼と理解を深めていくところに根底を置いて展開すべきものと私は考えております。
○戸叶武君 日本は東西南北の十字路に立っております。したがって、十字架を背負っていま歩かざるを得ない運命に立っておるのでありますが、東西の障壁が打ち砕かれて、そして東西貿易も拡大されようとしておりますが、これと取り組むのに際して、日本みずからの外交の主体性というものがきわめて重要だと思いますが、日本憲法で明示しているように、日本の生きる道は、この石油ショックでも考えさせられたように、戦争や暴力革命によって日本の進路は開拓できない、自国の繁栄を望みながらも、他国のことをも配慮して、平和共存の外交を進める以外に進路はないと私は確信しているのですが、あなたの見解はどういう見解でしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) 全く仰せのとおりだと私も心得ております。したがいまして、日本政府といたしましては、あらゆる国と、体制、政治信条の桓根を越えて交わりを深めてまいるということを第一の外交の基調といたしておるわけでございます。 それから、経済関係におきましては、できるだけ自由な経済の交流が秩序正しく展開されて、経済交流の拡大な結果できるような方向に経済外交を持ってまいるということを基調に考えておりますことも仰せのとおりでございます。 それから、平和外交と一口に申しておりまするけれども、わが国自身が、みずから平和に徹し、平和の追求、平和の創造に挺身しなければならぬことはもとよりでございますけれども、世界のどの地域におきましても、争いの禍根を取り除き、緊張を緩和する方向にわが国の外交が働くということでなければならぬと心得ておるわけでございまして、いま仰せの趣旨に従いましてわれわれの外交を展開しておるつもりでございますが、いろいろ足らないところがございますならば、御指摘を賜わって、改めてまいらなければいかぬと考えております。
○戸叶武君 総括質問のときに、田中内閣総理大臣にこれは質問するのが本義でありますが、特に、この国会におきましては、天皇の問題が、いたずらに政治的に利用されると思われるような発言やら失態が多いめでございまして、その問題はあらためて本格的な質問をやりますが、新聞休刊日には大きなニュースがあるというように、きのうはイギリスでアン王女が狙撃されたというできごとが起きました。イギリスとしては珍しいことですが、情報化時代の外交として、どうも情報を正確に取りづらいのがいまの外務省の弱点のようですが、どういうふうにあの情報は受けとめておりますか。
○政府委員(大和田渉君) お答え申し上げます。 あの事件は、イギリス国民の非常に敬愛をもって見られていた方々に対する事件でございまして、非常なイギリス国民にショックであったと思います。と同時に、われわれにとってもやはり大きなショックであった。ただ、不幸中の幸いと言えますのは、お二方に何らの危害が加えられなかったということではないかと、こういうふうに考えております。
○戸叶武君 これは、イギリスのことでありますが、イギリスの王について、アンドレ・モーロアのごときは、最も詳細に分析しておりますが、イギリスの憲法は不文法でありまして、伝統の中からつくられたルールでありますけれども、パーラメントの中における王の位置づけであります。国会は最高の機関として、女を男に変えることはできないが、ほかのことは何でもできるという形において、王もこれに従わなければならない。イギリス的なモナーキーな国家であっても、象徴化されているのであります。それ以上に、日本の現行憲法においては、天皇というのは、政治にタッチしないようになっておるのでありますが、最近のいろいろな政府の言動を見ると、非常に天皇をわずらわしたほうがものごとが簡単にいくんじゃないか、外交の場合においても、防衛の問題でも。悪い動機からではないでしょうが、そういう風潮が流れてきているときに、万一のことが国外で起きたようなときに、だれが一体責任をとるのか。この間は、ちょっと舌足らずとか、感覚の受け取り方が足らないとかというので、大平さんもひどい目にあいましたが、そういうことは、今後において政府では、どういうふうな責任をだれがとるのか、そういうことをこの機会に明確にしておいてもらいたい。
○国務大臣(大平正芳君) 天皇をはじめ皇室に対しましての政府の申しますこと、お願いすること、これは、仰せのように、日本国憲法を十分踏まえた上で慎重でなければならないこと、仰せのとおりでございます。また、いやしくも天皇制度というものを政治的に利用するということが釐毫も許されるべきことでないことも、十分政府として心得ているつもりでございます。したがって、われわれといたしましては、十分慎重に事を運んでおるつもりでおるわけでございますけれども、問題が往々にして世上の大きな論議を呼ぶ問題に転化されまして、たいへん当惑をいたす場合が間々ありますことは御案内のとおりでございます。当面の御訪米の問題にいたしましても、政府といたしましては、きわめてすなおに日米友好関係を考えまして、陛下にそのお気持ちがございますならば、御訪米をお願いすることもけっこうであろうという考えを前々から持っておりまするし、米国政府からたび重なる希望が寄せられておりますことも御案内のとおりでございまして、できることならば、その実現をはかってまいりたいと考えておることに変化はないわけでございます。しかし、この御訪米は、憲法にいう、いわゆる国事行為ではないのでございまして、天皇の公の御行為ではございまするけれども、国事行為ではございません。したがって、内閣の助言というものではないわけでございますけれども、内閣全体の大きな政治責任において行なうことでございますので、この行事の一切の責任、政治責任というものは当然内閣が負わなければならないものと私どもは心得ております。
○戸叶武君 あなたたちの与党の自由民主党というのはなかなか言論の自由があるところでうらやましい次第でありますが、青嵐会の石原慎太郎君なんか、その最も勇気を持った人かと思うのでありますが、すでに田中内閣を打倒しろ、大平さんを罷免しろ、なかなか元気のいい叫び声を上げていますが、それまででなくても、この「自由」の四月号に石原慎太郎さんが書いているのには、天皇は戦争責任をもって辞任すべきであったと、そこいらに間違いがあるというようなことを、退位を迫るような御意見を展開しています。なかなか勇気のある一つの行き方で、田中さんをやっつけるのよりはやはり筋は立てているのかと本人は思うのでしょうが、こういう若い人たちの元気さ、中曽根さんでも、もっと元気なときには、やはり総理大臣国民投票の主張の看板を方々へ立てた方です。いろいろな立て方がありますが、このお二人とも、日本憲法の持っている哲学、文化伝統と哲学を理解しない典型的な標本じゃないかと私は思うんです。これは無理ないんです。石原君も、よく見たら一九三二年生まれというのだから、ああ、あの「太陽の季節」で紙を破った英雄だなと思ったんですが、この神をおそれない、この石原君の発言の中に、私はやはり世界の歴史の波動の中における苦労がわからない、やはり若者の一つの動きが見られると思うのです。彼は確かにワイマール時代の危機をいま感じております。そのとおりです。しかし、ワイマールの危機というものは、あのワイマール憲法を空文化してしまって、そしてペンキ屋職人上がりの気違いみたいなヒットラーとハンブルクの知性のなきマルキストのテールマンとの武力的な闘争の中に、音を立ててワイマール体制は崩壊したんで、あのときにドイツに責任を持つだけの民主的な党がなかったことがワイマールの致命的な欠陥でございます。 私はワイマール体制崩壊期と同じ危機を感ずるのは、日本憲法をつくったのは伊藤博文です。明治天皇じゃないですよ。明らかに——だれかつくったかということを大正デモクラシーの吉野さんが生涯をかけてそれを知りたいためにずいぶん苦労しましたが、憲法の番人といって枢密院に立てこもっていた伊東巳代治もその秘密を明かさなかったけれども、 〔理事西村尚治君退席、委員長着席〕 伊藤博文が松方公に寄せた手紙の中に、明らかに、明治十五年ベルリンにおいてウィルヘルム一世に会ったときに、ドイツには社会民主党というものができてしまって、軍事予算にけちをつけていっても削る——どうも日本の社会党のようだったのでしょう。だから、これを削らせないようにするためには、とにかくこれを押えちゃわなければだめだ。そこに統帥権というものを設けなければ、憲法をつくるなんかということで喜んじゃいけないという忠告があったから、これで一服、青酸カリのようにこの統帥権というものを入れちゃった。動きがとれないところに、万機公論に決すべしどころじゃない、軍部、官僚の手によって日本は運営されて、だれも責任をとる人がいないから、天皇がしかたがなしに八月十五日に責任をとって、もう戦争はしまいと、国民の声を代表してやはり——したんたが、こういう私は明治憲法に対する——憲法の審議というので、ただ学者を集めて、御用学者だけの堂々めぐりの論議をしていちゃだめなんで、一番のつぼは、明治憲法の弱点はどこにあったか、その弱点をなくして、どうやってこの平和憲法を守るかという問題ですが、特に私はあなたの責任は非常に大きいと思いますので、やはり一天皇の外遊だけの問題でなく、サラエボの一角でセルビアの青年がオーストリアの皇太子を撃っただけで第一次世界戦争は起きているのです。国連の中においても二つの王制が消えていっています。イランの王制なりいろんな王制があるけれども、それと日本とが同じだなんというふうに見られるような錯覚の発言をすると、それが変わったときにどうなるか。そういうことも配慮して私はすべきだと思うのですが、外務省のほうでは——さっきの文部大臣の発言にはだいぶ失望しましたから、あまり聞く必要はないですが、あなたはどう考えていますか。
○国務大臣(大平正芳君) 私は憲法論争を申し上げるほどの素養がないわけでございます。ただ、現行憲法に、天皇は国の、国民統合の象徴という最高の地位が保障されておられること、これはたいへんな英知だと考えておるわけでございます。したがって、現行憲法の精神を十分体しまして、この問題につきましては慎重に対処していかなければならぬものと考えております。
○戸叶武君 資源外交の中で一番重要なのは、やはり石油と食糧の問題が当面において重要だと思いますが、去る三月十八日、アラブ石油輸出国機構が、石油担当相会議でもってアメリカへの禁輸措置を即時にやめましたが、こういう関係から、今後、石油の問題は量の問題より価格の問題に移りつつあると思いますが、これに対して中曽根通産大臣及び大平外務大臣の御答弁を承りたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) 石油の問題は確かに価格の問題のほうへ移行しつつありますが、量の問題も必ずしも完全に解決したものであるとは思いません。現在国際外交を見てみますと、石油問題をめぐって三つか四つの複雑なファクターがまだ作用しております。一つはイスラエル問題であります。もう一つは、OAPECの内部において、共和制をとっている国と王制をとっている国の見解の相違がございます。もう一つはガルフの湾岸をめぐって、たとえばイランとサウジアラビアの間、同じ王制をとっておりますけれども、利害関係がまた対立しております。そういうようないろいろ複雑な要因がからみ合って、石油の価格問題やあるいは生産制限の問題というものはまだ流動していると私ら考えております。でありまするから、今後とも慎重な対処と、それから国内に対するまた周到な配慮を行なった政策を進めていかなければならぬと思いますし、特に対外関係、石油関係を中心にする外交関係というものにつきましては、アメリカやイギリスのようなメジャーを持っている国、あるいはイタリアやフランスやあるいはドイツのような、その中間地帯にある国、それぞれの国々の動向もよく見きわめつつ、日本の国益を損わないように行動していかなければならぬと思います。
○戸叶武君 次に、これに関連して大平さんに説明を願いますが、昨年十一月二十二日、官房長官談話でもって中東政策のアラブ寄り転換を声明しましたが、あの前日に、キッシンジャーはアメリカとヨーロッパ、並びに日本と結んでのキッシンジャー構想というものを前進する決意を示しているのに、いろんな点において非常にキッシンジャーと接触しているようですが、その間の経緯は、ちぐはぐな経緯はどういう事情によるものですか。
○国務大臣(大平正芳君) 十一月二十二日のわが国の中近東政策の発表でございますが、これは世上アラブ寄りと言われておるわけでございますが、日本政府といたしましては、国連の二四二号決議というものの正しい解釈はこうあるべきではないかということを宣明したまでのものでございまして、アラブ寄りにかじを取り直したという御理解をお持ちだとすれば、本来の趣旨はそういうものでなかったというように御理解をいただきたいものだと思うのでございます。したがいまして、わが国といたしましては、一度宣明いたしましたこの中東政策というラインに沿いまして、今後も対処してまいるつもりでございます。 それから第二に、この中東政策というもの、われわれが宣明いたしました中東政策は、アメリカのそれとは若干趣きを異にいたしておりますことは御案内のとおりでございます。日米間は申すまでもなく太い友好関係を持っておるわけでございますけれども、しかし、そのことは直ちにあらゆる政策が同一のものでなけりゃならぬという筋合いのものではないと思うのでありまして、政策の手法において日米間に違いがございましても、そのことが決して日米間の友好関係を損うものであると私は考えていないのであります。しかしながら、日本がそういう中東政策をとるということにつきまして、アメリカ側が同意はしないまでも、十分な理解を持っておいてもらわなければならぬ、そういうことは大事なことだと心得まして、この政策の発表前後、私ども対米接触を持ちまして、十分わがほうの意のあるところを説明いたしました結果、アメリカ政府が声明いたしておりまするように、この政策に対してアメリカは賛成できないと、しかしながら、日本の立場は理解できるということを声明いたしておるところで見られますように、日本の立場について十分アメリカの理解は確保されておると考えておるわけでございます。で、これはひとり中東政策ばかりでなく、あらゆる政策において、こういう政策の分野におきまして日米間にはこういうことはあり得ることだと思うんでありまして、問題は一々の手法において違っておりましても、基本において理解し合うということだけは確保しておかなければならぬと私は考えております。
○戸叶武君 キッシンジャーさんはジャスト・アンド・ラスティング・ピースという形で、自分の政策が一番正しい恒久平和への探求だという形で、それをすでに昨年の初めぐらいから打ち出して、ヨーロッパの受けとめ方というものは、IMFにおける愛知さんの言動でも、ヨーロッパを旅行した田中さんの発言でも、その線に沿うて、アメリカを代弁して資源の問題外交の問題を打診して歩いているんじゃないかという憶測まで出たんですが、まあいずれにしても、日本には日本の立場があるというのを堅持して新しい外交へ転回されたと思うのですが、そこでこのアメリカではすでにニクソン、キッシンジャーをはじめとして、万一アラブ諸国で問題が起きたときはという予測をしながら、私は石油政策は慎重に根回しはやったと思うのであります。これは、そのアメリカの石油政策、エネルギー政策を見ればわかるのですが、中曽根通産大臣及び山形資源エネルギー庁長官は、アメリカと日本のエネルギー対策のどういうところが異なっているか、それを簡単にでも比較して少し説明してもらいたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) アメリカの場合は、一つは世界政策をリードしている、いわゆるリーディングパワーであると。スーパーパワーである点において、世界政策における位置が日本とまず第一に違います。第二番目は、アメリカは国内的には天然資源を非常に持っておって、特にガス及び石炭において豊富でありまして、外国に依存する率が非常に少ないという点であります。第三点は、アメリカはメジャーを持っておりまして、世界の七大メジャーのうち、たしか四つか五つはアメリカが持っておるという戦略的体制を持っております。そういうような面は、日本は全然持っておりません。 それで、外交分野におきましても、アメリカは中東政策についてはかねてから非常に深甚の配慮をしておりまして、たとえばイランの大使は前のCIAの長官をしておったヘルムスという人でありますし、サウジアラビアにも相当大ものの大使が行っておるわけであります。中東地帯というものは、石油を中心にして米ソの間においても非常に重大な利害関係を持っておる、おそらく世界戦略におけるキーポジションにもなっておる。そこへイスラエル問題というものがありますから、アメリカとしては外交の最大重点の一つをあすこへ置いてきたと私は見ております。それに対して、日本はわりあいにあの辺を閑却視してきたところがなきにしもあらずであります。 自来、このエジプトのサダト大統領の出現、その後のエジプトの政策の変化というものは、微妙に影響してきたと思います。すなわちサダト大統領は、ソ連との連携をある程度犠牲にしながらアメリカ寄りを敢行した。それによって中東問題を、ある程度、あるいは一挙に、解決しようという方向に動いたと思います。そういう面から、ソ連の軍事顧問団のエジプトからの一挙の引き揚げという面が出てきて、それによってアメリカとの接近が著しくエジプトとの間に進みました。そういう面は、おそらくいろいろ複雑なアンダーグラウンドの動きがあって、キッシンジャー・ニクソン・ラインのもとに行なわれていたと思うんです。 ですから、サダト大統領の最近の言明を見ると、キッシンジャー、ニクソン氏をかなり弁護して、非常に近い姿勢を示しております。これは、いままでのジョンソンさんの時代とはまるきり違った姿勢を示しておる。それにおいて、サダト大統領もアラブの諸国がイスラエルの存在を否定しない、そして相互共存の立場を国際法の原則にのっとってつくっていきたいという立場にアラブの国を引っぱってきておる。そこで、アメリカとエジプトを中心にする国、それを補助したのはサウジアラビアであると私は思います。むしろサウジアラビアがリードしてそこまで持っていったのかもしれません。そういうような情勢で、エジプトとソ連とは顧問団引き揚げ等を契機にして、サウジアラビア、エジプトが非常に接近して、そしてアメリカとの接近を策していったところが、どうもその関係においてうまくいかぬところもあって、十月戦争の勃発になった。しかし、地下におけるある意味における話し合いや了解は私はその後も続いていたと思いますから、キッシンジャー国務長官の強気の発言や強気の態度はあったと思うんです。先を読んでいたに違いないと私は思います。私はキッシンジャー氏とも会いましたけれども、アメリカが日本の立場とは違って、非常に強い立場で一貫しておるのを見まして、これは何か地下にあるなという気がしておりました。自来、アメリカはその強気の態度を一貫して持っておりまして、ワシントン会議の招集とか、あるいはそのほかの面においても、今日においても同様である。それをサダト大統領はある意味において評価しておるという現実を無視できない。そこにフランスがある意味において反発をしていまのような国際情勢が展開しております。こういう情勢を見ますと、中近東問題の仕上がりが非常に重要であると思うんです。国連決議二四二号は一〇〇%完遂されることをわれわれは願望しておりますけれども、段階的に、あれが経過的に達成されていくという場面がないとも限りません。そういう仕上がりぐあいで、いま私が第一問で申し上げましたような国際関係がどういうふうな微妙な影響を受けるかということは日本にも甚大な影響をもってまいります。その辺をよく注意しながら日本の国益を確保していくということが大事ではないかと思っております。
○戸叶武君 中曽根君がそのように分析しましたが、中曽根君はどちらかといえば民族資本を育成しようという形で、ずいぶんキッシンジャーに負けないだけの力み方をやったが、裏目に若干出たような形がありますけれども、大平さんのほうは私はもっと、やはりキッシンジャーは根回しのじょうずな人ですから、ソ連のブレジネフと右手を握り、左手においては中国の周恩来とも手を握り、背後にアメリカのメジャーを背景とし、世界の国際石油資本をバックにしながらサウジアラビアの石油相なりエジプトの指導者なりと手を握ってこれは打った外交ということは、あとになればみんなわかると思うんです、手品の種は。火事が済んでから拍子木をたたくのではこれは意味がないんですが、その辺の感覚は大平さん、どういうふうに石油ショックを通じてあなたは受けとめておられますか、それを承りたい。
○国務大臣(大平正芳君) キッシンジャー外交の手品の種をあかすほど私は洞察力がございません。問題は、私が受けておりまする印象を率直に申しますと、いま中曽根通産大臣も言われましたように、中東和平の達成ということに対してたいへん熱意を持っておられるということでございます。まず、エジプト、イスラエルの兵力の引き離しに成功されて、第二段としてシリアとイスラエルの兵力引き離しに取りかかっておられるわけでございまして、中近東和平への手順というものを着実に段階的に踏んでおられるわけでございまして、そのことに対しましては、われわれも敬意を表明するにやぶさかではないわけでございます。で、問題は、いまキッシンジャー外交の当面している問題といたしましては、仰せのように、二大軍事超大国である米ソの間が激しい対立でなくて、対話に持っていくことに成功し、対中関係におきましても現実的な話し合いの場を持つことに成功いたして、これからかかっておる問題が、欧州や日本との間の協力をどのようにいまから築き上げていくかという点に力点が置かれておるように思うのでございまして、そういう全体のワク組みの中で、仰せの石油問題、食糧問題、その他一連のこれから出てまいりまする問題の処理にアメリカがどういうことを試みるか、それに対して、わが国としてどのように対応してまいるか、それがわれわれの課題ではなかろうかと考えております。
○戸叶武君 キッシンジャーからするならば、日本の外交なり日本の財閥なんかひねるのは朝めし前の仕事だぐらいに軽く私はいなされたのじゃないかと思いますが、いま激動変革の時代が、一九七〇年代の世界の世相でございます。この激動変革の時代に対処するような機動力のある情報、あるいはそれをキャッチ、あるいは駆使する人材の養成、そういうものがいまの外務省においてはどういう形においてなされているのでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) 戸叶先生おっしゃるとおり、いま歴史始まって以来、ある意味において空前の変革期でございまして、この変革期の実相をどのように解明するか、そして将来をどのように展望するかはなかなか手に負えない大事業であると思うのでございます。 第二に、しかし、こういう問題は、ひとり問題が巨大であるだけに外務省の窓口だけで処理できる問題じゃないことも当然でございまして、全国民的な大きな課題であろうと思うのでございます。しかしながら、仰せのように外交当局といたしまして、この時代に適応した能力を持ち、可能な限り的確な情報を掌握、解明して事に当たらなければならぬことは当然の責任であると思うのであります。われわれは与えられた陣容、与えられた予算の中で可能な限り努力をいたしておるつもりでございます。第一に、まずわれわれといたしまして、在外公館を中核にいたしました外交機能の充実をはからなければなりませんし、とりわけ 一番弱い語学の駆使力というものを強めてまいらなければならぬわけでございまして、あらゆる重要なことばにつきまして、特別な初めから将来の道標をきめて、十分そのことばをこなし得るだけの要員の養成にいま取りかかっておりますことは御案内のとおりでございます。あわせて財政当局の御理解を得まして、できるだけ在外公館の整備と充実に力をいたしておるわけでございます。とりわけ国内各省から有為な人材を御動員いただきまして、あらゆる知能を外交機能に注入、活用する方途をいま講じておりますことも御案内のとおりでございます。しかし、やっておりますことは、きわめてまだ初歩的なものでございまして、十分御期待に沿い得ないことは十分承知いたしておるわけでございまして、今後一段と努力を傾けなければならない課題であると考えております。
○戸叶武君 これは戦時中のことで失敗したのですが、私の先輩である緒方竹虎さんや共同通信の先輩であった古野伊之助さんたちはイギリスに留学していたこともあるし、各国における外交活動の中で正確な情報、正確なデータを持ってないと対策は立たぬというので、やはり海外の公館の中に情報センターなり情報室みたいなものを設けなきゃいかぬという構想を持っておったが、戦時中であって非常に誤解される傾きもあって、それはなりませんでしたが、いまこそ私は、外務省の人たちは秀才が多いが、仕事が多過ぎて、ものを客観的に見るゆとりと、交際を活発にやれるだけの大体金も流れていないようです。そういう形で、この情報化時代に流れに沿うてタイミングのあう対策を立てなきゃならないのには不適当な古い体制が、今日の、これは大平さんの失敗とか、あるいはアメリカ大使の失敗とかという前に、情報活動において充実した整備がなされてないところに私は欠点があると思うんですが、どうでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) 情報をくまなく収集、解明、活用するということは、言うはやすく行なうはたいへんむずかしいことでございまして、しかし、それが外交の中核的な機能であることは申すまでもございませんで、私どもはあとう限り努力をいたしておるつもりでございます。ただ、先進諸国に比べまして、情報関係の予算、要員というものは一けた違うわけでございまして、二十分の一、十分の一というような予算、要員の中でやっておるわけでございまして、まことにまだ貧弱な段階でありますことは先生御承知のとおりでございます。まず、その充実をはかってまいらなければならぬことは当然でございます。幸いに国際文化交流基金もできましたし、また一般の予算に比べましては比較的御理解を得た予算の増額を毎年積み重ねていただいておりますので、この努力を積み重ねてまいりますならば、ある程度の充足は可能であろうかと考えております。また、通信回線の整備ということにも努力をいたしておるわけでございまして、ここ一両年の間に枢要なところと本省との連絡はラインに乗って円滑に進んでいく体制ができると考えておるわけでございます。しかし、何はともあれ、外務省全体がまだきわめて少数の要員と少額な予算の中にあるわけでございまして、予算は飛躍せずと申しまして、また急にこれを増大させる手もないわけでございまして、着実に各方面の理解を得まして充実の歩を進めてまいる以外に分別がないと思っておりまして、私は私なりに全力をあげて努力してまいるつもりであります。
○戸叶武君 ソ連等では、国際関係大学を設け、またアメリカとしても国際関係の講座というものは非常に多くなっております。こういう国際関係が非常に複雑になってきたときに、当然社会科学の中において国際関係学というものは重要な位置づけをされなければならないのであって、外交官だけでなくて、やはり銀行家なりあるいは貿易商なり、海外で活動するそういう人材を広く養成して、そうして新鮮な血が外務省にも入らなけりゃいけない。日本の官僚の中で、日銀、大蔵省、外務省といえば秀才をみな集めたというが、秀才がみな栄養失調になっているのがいまのこの状態じゃないかと思うんで、もう少し人間性にふくらみを持たせ、ゆとりを持たせなければ人材養成というのは私は出てこないんじゃないか。あなたなんか苦労人だから、相当そういうことを、ほかから入って外務省でもって痛切に感ずると思うんですけれども、そうでないと、アメリカなり、イギリスなり、フランスなり、ソ連なり、中国なりの外交に太刀打ちできませんよ。ちょんまげ外交ですよ。もっとやはりスマートな外交に転換していくようにしたらどうでしょうか。この石油ショックの中から、石油の排気ガスばかりをわれわれが浴びせられるのでなく、あの中からやはり教訓を拾わなけりゃならないと思いますが、大平さん、どうですか。
○国務大臣(大平正芳君) たいへん大きな問題でございまして、長い鎖国時代を経まして、単一の国語と単一の血液を持った民族で、国際交流になじまない民族として育ってまいりましたものが、りっぱに国際的に通用する教養とマナーを身につけていくということは容易ならぬ大事業でございます。したがいまして、ひとり大学ばかりでなく、初等の教育から、家庭の教育から、社会の教育から全部があなたの言われるよき国際人を育成するという方向に方向づけられて定着してまいること・が期待されなければならぬわけでございます。しかし、それはそれといたしまして、国際関係学あるいは国際関係についての知識と教養というようなものをもう少し広くかつ分厚く、あらゆる教育の面にどのように生かしてまいるかという当面の課題は、仰せのとおり、非常に緊切だと思うのでございまして、そのために専門の教育機関をつくるというようなことも、先生かねがね唱道されておりますことにわれわれは共感を覚えておるわけでございまして、いま日本として一番大事なことは、経済的な競争力、技術力というようなものは相当世界に対比するだけの力をたくわえてきたわけでございますが、そういう面におきましてまだ十分よくなったといえない、非常な劣勢を感じないわけにいかないことは御指摘のとおりでございまして、われわれがこれから努力しなければならない力点の一つは、御指摘の部面に確かにあると私は承知いたしております。
○戸叶武君 農林大臣が来ないので、もう一、二点外務大臣にお尋ねしますが、田中・大平コンビで登場したときには、日中国交正常化の次は日ソ平和条約締結とまっこうに取り組むのだというが、いつまで待っていても取り組む模様もあまりありませんが、どうなっているんですか。いま交通は盛んになっていますが、北方領土の問題なり、あるいはシベリアにおける開発に対する協力の問題なり、そういう現段階はどこまでいっているのか。この間のどこが間違ってどうだということは私は根掘り葉掘り言うのではありませんが、国民の前に政府はこういう姿勢で取り組んでここまで前進しているんだということを明らかに示してもらいたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 鳩山訪ソによりまして日ソの国交が復元いたしまして以来十七年の歳月が流れたわけでございます。その間、日ソ関係は私は満足すべき進展を見ておると思うのであります。人と人との交流もずいぶん多くなってまいりましたし、相互の理解も深まってまいりましたし、現象的には貿易も着実な伸びを見せております。経済協力も地についた進展が見られておるわけでございますから、日ソ関係全体が前進したと申し上げて少しも差しつかえないと考えておるのであります。 ただ、十七年以来から懸案になっておりまする平和条約の締結という問題がまだ打開のめどがついていないこともまた御指摘のとおりでございまして、しかし、この問題につきましてはソ連側も平和条約を締結したいという希望は持たれておるわけでございます。平和条約を結ぶということは、同時に当然の帰結として領土問題を解決するということになるわけでございますが、この領土問題につきまして日ソの間には解きがたい距離がまだございますことも御案内のとおりでございます。去年の首脳会談におきまして、この未解決の問題を解決いたしまして平和条約を締結しようじゃないかということ、そしてそのことについてまず首脳間で交渉を行なったと、そしてこの交渉は一九七四年も継続するのであるという合意ができておるわけでございまして、私ども、できるだけ早く本年の交渉をいつどこでどのレベルで持つかということを外交レベルを通じまして詰めていくべく用意をいたしておるのがいま当面のことでございます。しかし、この問題は問題だけに、手っ取り早く解決がつくような性質のものではないこともまた御案内のとおりでございまして、私どもわが国の立場を踏まえまして忍耐強く交渉に当たって国民の期待にこたえなければならぬと存じております。
○戸叶武君 ソ連側からは、領土問題もさることながら、エネルギー資源の開発ということがお互いの国においても重要なことだが、この問題に対して民間だけを出してきて、政府の責任ある態度が示されてないのが遺憾だというのがいままでの考え方だと思います。やはり北方領土の問題が解決できない以上は平和条約は結べないという一つの立場もさることながら、この領土問題の中にだけ埋没しておってエネルギー問題の解決をおろそかにしたり、あるいはアジア安保の問題に対してどういうふうに取り組んでいるか、そういうことに対しても御意見を承りたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 経済協力の問題は、ひとりソ連ばかりでなく、わが国は資源保有国のいずれの国とも互恵平等の立場に立ちまして経済協力を進めていくことに異存はないわけでございます。また、わが国の体制が自由な体制をとっておりますので、当面の当事者は民間にならざるを得ないわけでございまして、そのあたりは先方もよく承知いたしておることと思うのでありまして、私ども民間の当事者と先方の当事者の間で各プロジェクトごとに十分のデータをそろえてフィージビリティースタディを遂げて、満足すべき基本契約ができますならば、政府がそれに対してなし得る支援をしてまいることは異存はないわけでございまして、その旨は先方にもよく伝えて理解を得ておるつもりでございます。 現在、民間の当事者と先方の当事者の間で問題になっておる数個のプロジェクトにつきまして話し合いが行なわれておるわけでございまして、その話し合いを通じまして満足すべき成果が得られることをわれわれは期待いたしておるわけでございます。しかし、いままでやりましたチップであるとか木材であるとか、あるいはウランゲル港の修築であるとかいうようないままで実行いたしました経済協力案件に比べまして、いま問題になっておる案件は規模も大きいし、供与すべき信用の量も大きいし、また高度の技術も要ることでございますので、問題が巨大なだけに慎重な配慮が要ることは、これまた当然の成り行きであろうと思うのでありまして、いま両当事者の間で進んでおることにつきまして政府も重大な関心は持っており、これを見守っておるわけでございますが、その満足すべき成果を私どもはいま期待いたしておるところでございます。 それから第二のアジア安保でございますが、アジア安保ということは一つのことばとして聞いておるわけでございますけれども、一体具体的にどういう構想なのかという詳細の点につきましては、われわれはまだ知るよしもないわけでございまして、それからまた、アジアという地域が米中ソという三大勢力の微妙な錯綜したかかわり合いの中に置かれておることも十分承知いたしておるわけでございまするし、また、われわれは日米安保条約をはじめといたしまして、既存のいろいろな条約のワク組みも持って平和を保障いたしておる関係もございまして、そういった事柄と、いわゆるアジア安保構想というのがどういう関連にあるのか、そのあたり、まださだかにいたしかねておるわけでございまして、こういう問題につきまして日本政府として見解を申し述べるには十分な材料を持っておりませんし、熟した考え方をつくり上げるにまだ至っていないことは御了承を賜わりたいと思います。
○戸叶武君 田中内閣における日中国交正常化の中で不可解なのは、台湾問題に対して歯切れが悪い点です。もう正式に国と国との協定がなされているのに、自民党の中でもたもたしているというのは、近代政党として、はなはだおかしい。よその政党には介入する必要はありませんが。これに対してどういう決意をもって国際的な信義を果たすか。まあこれはあなただけでは説明できないかもしれないが、田中さん、大平さん、どういう考えを持っているんですか、あの航空乗り入れの問題を通じて。
○国務大臣(大平正芳君) 一昨年の国交正常化の成果を踏まえまして、私ども永続的な日中間のあり方につきまして前向きに着実に処置してまいらなければならぬと考えておることは、そのときと現在と少しも変わりはないわけでございまして、政府と与党との間の問題は、あなたもいみじくもおっしゃいましたとおり、これは私どもにおまかせをいただきたいと思うんでありまして、私ども、ただ、日中間に信頼と理解が確立いたしまして、日中間の平和ばかりでなく、安全ばかりでなく、アジア全体の平和と安全に役立つような方向で問題を処理していかなければならぬと考えておるわけでございまして、せっかくの御声援をお願いしたいと思います。
○戸叶武君 農林大臣が来るまで待っていてくれというんですが、なかなか待ち切れませんから、あと時間を少し残しておかないと質問できませんので、とりあえず防衛庁長官に。 ソ連の戦略が石油戦略だけでなくて、いま重点が海に注がれていると思います。私は、ギリシャからトルコ、あの辺をしばらくぶりでたずねまして、いま黒海からダーダネルス海峡を経て地中海をソ連の海軍が制圧しております。イギリスの海軍は逃げてしまっておりまして、アメリカがかわって出てきております。今度スエズ運河が通ずるならば、アメリカ、ソ連も了解の上でありましようが、インド洋にソ連の軍隊は出てくるのです。日本は、別にソ連やアメリカのような、いわゆる戦争ができる軍隊を持っているわけじゃないんですけれども、これに対して日本は海の防衛ということをどのように考え、受けとめておりますか。
○国務大臣(山中貞則君) わが日本の防衛の限界は、海においても厳然としてございます。したがって、現在のインド洋における問題についての軍事的な考察であれば別途お答えいたしますが、わが自衛隊の海上自衛隊というものが影響を受けるかと言われれば、これは影響はない。われわれは、常時警戒水域数百ノーチカルマイル、二つの航路帯の設定にあたっても限度を一千ノーチカルマイルという範囲内の行動しかしないということにいたしておりますから、わが自衛隊としての関連は、これには直接ないと考えております。
○委員長(鹿島俊雄君) よろしゅうございますか。——これにて、農林大臣の質疑を残し、戸叶君の質疑は終了いたしました。(拍手) —————————————
○委員長(鹿島俊雄君) 前田君。
○前田佳都男君 定期航空運送事業のあり方について、ひとつ運輸当局にお伺いをしたいと思うんでありますが、現在、定期航空運送事業の数は幾つございますか。また、それの営業状況、収支状況、赤字であるとか黒字であるとか、配当をどの程度やっておるとか、そういう点についてお答えを願いたいと思います。
○政府委員(後藤茂也君) お答えいたします。 ただいま航空法に基づきまして定期航空運送事業として免許をいたしております路線は、日本航空が九路線、全日空が七十路線、東亜国内航空が五十八路線、南西航空が六路線でございます。 航空会社の収支、経営状況いかんという点でございますが、航空会社の四十七年度の決算について御説明申し上げますと、日本航空は、四十七年度におきまして百三十七億の経常利益をあげております。特別損益を差っ引いた当期の純損益は十九億円でございます。全日本空輸につきまして申し上げれば、同じ四十七年度の経常損益は二十億円、特別損益を加味した当期の純利益は三十八億円でございます。東亜国内航空について申し上げますと、この会社は、四十七年度においては三十二億円の欠損を計上しております。
○前田佳都男君 南西航空の御回答はございませんでしたが、これはどうですか。
○政府委員(後藤茂也君) まことに申しわけございませんが、南西航空につきましては、手元に資料を持っておりません。
○前田佳都男君 少し航空法についてお伺いをしたいと思います。 定期航空運送事業の免許基準というのがございます。航空法の第百一条に「免許基準」というのがあるわけでありますが、この「免許基準」の百一条の第一号に「公衆の利用に適応するもの」という条件があるんですが、これは一体どういうことを具体的にいっておりますか。
○政府委員(後藤茂也君) 航空法百一条に列挙してございます「免許基準」のうちの第一号「当該事業の開始が公衆の利用に適応するものであること。」ということばの意味は、そのような定期航空路線を経営することがこの飛行機を利用して旅行をする旅客あるいはこの定期飛行機に貨物を積み込む荷主、そのような人たちの利益、便宜、都合というものにその申請をされております路線の計画がちょうどミートしておるということを判断の基準の一つとする意味であると理解し、運用しております。
○前田佳都男君 まことにごもっともな、きわめて抽象的な御答弁でありますが、これは具体的に、その頻度といいますか、回数というか、一週間に何回とか、そういうこと、あるいはスピードはどうであるか、あるいは時間は何時ごろがいいかと、そういうことを具体的にいっているものと解釈をしてよろしゅうございますか。
○政府委員(後藤茂也君) ただいま先生が列挙なさいました要素は、すべてこのようなことを判断する場合の要素の一つに考えられております。
○前田佳都男君 よくこの事業を免許する場合ですね、免許の基準というのはどの事業にも、単に運輸事業だけじゃなくて、そのほかの事業におきましても免許基準というものがございます。ところが、その免許を受ける、免許を申請するときには、まことにりっぱな基準に適応するような条項を羅列して申請をするものであります。しかし、一ぺん免許になってしまうと、あとは野となれ山となれというわけでもありませんけれども、すぐにそろばん勘定、すぐに経営の点からこの条件というものを大体無視するというか、無視するわけでもないんでしょうが、軽く見る傾向がある。この定期航空運送事業の免許基準にある、たとえば「公衆の利用に適応するもの」という、こういう条項は、事業免許のときに運輸大臣がどういう基準でこれは非常に必要であると言って免許をされるわけであります。それが一ぺん免許になってしばらくたってから、いろいろ会社も苦しゅうなったと、かなわぬということで申し出をすると、そうしたらそれを変えること——これはまたあとで御質問をいたしますが、とにかくこの条件というものは、免許基準にぴったりと合った条件というものは免許のときだけ合ってればいいのか。それとも、続けてやはり事業がある以上は、その免許基準に適合してもらわなければいかぬ。初めの入学するときだけぱっといい成績とって、あとはあんまり成績はよくなくてもいい、そういうものであるかどうか。その条件というのは変えてもいいものかどうか、事業免許と公衆の利便に適応するものという条件とのその関連をひとつ聞きたいと思います。
○政府委員(後藤茂也君) 一たん定期航空運送事業の免許を受けました事業者が、その事業を遂行するにあたりましては、同じく運輸大臣の認可を受けました事業計画にのっとりましてその営業を継続するわけでございらして、その営業の状態が、その後刻々変化する社会情勢に応じまして常に適合するかどうかというものを監視、指導するのは運輸省の責任であると承知しております。 また、事業者のほうが、一度認可を受けました事業計画というものを何らかの都合で変更しようといたします場合には、また航空法の規定によりまして変更の認可を受けることになっております。その認可にあたりましては、先ほど先生御指摘の第一号を含めまして、免許の場合と全く同様の基準が航空法に基づいて準用されることに定められております。
○前田佳都男君 別に私も、一ぺん許可になったものは社会情勢の変化があっても変えるべきじゃないと、永久不磨のそういう基準であると、そんなことはだれも私も言っていない。社会情勢が変わればこれは変わるのはあたりまえでありまして、それは、航空局長の言う点、そのとおりであります。ただしかし、「公衆の利用に適応するもの」というものを、そうその免許のときといつも——社会情勢というものは、大体飛行機が、航空機が要るような情勢にだんだんなってきている。だんだん航空機が要らぬような情勢じゃなくて、だんだん要るようになっている。回数だって、だんだんふやしていかなければいかぬ情勢である。そういう点も私、航空局長は異存ないと思う。どうですか。
○政府委員(後藤茂也君) 御説明いたします。 航空機の定期事業の運航そのものが、問題になっております公共の利便に適応するものであることが一つの重大なる要素であることは疑いをいれませんけれども、そのときそのときの事情によりまして、航空機の定期運送の規模、頻度、時刻、そのようなものをいかにしてきめるかにつきましては、その他の要因が、実際上、最近は非常に無視せざるを得ないような事情にあることもまた事実でございます。最近は、まことに残念なことでございまするけれども、東京羽田の国際空港における能力は、もう実際に、利用する飛行機の一ぱい一ぱいを発着させるのにむしろ足らないような事情でございまして、航空の安全を確保する意味から、この東京羽田におきます飛行機の発着回数を制限するような措置を講ぜざるを得ない事情にございます。また一方、大阪伊丹におきます空港の発着回数も、航空の安全、あるいは地元の騒音に対する苦情といったようなものを考慮いたしまして、その発着回数を制限せざるを得ない実情にございます。したがいまして、公共の利便に適合するというただ一つの要素でもって、定期航空の事業の実際のあり方というものを私どもは最終的にきめるわけにはまいりません。たまたま、お客さんがだんだんふえておるという一つの路線というものがありましても、その路線に就航する飛行機の便数というものが、それに応じてふやしていくということが実際上できかねる場合が多々ございますことは、御了承いただきたいと思います。
○前田佳都男君 「公衆の利用に適応するもの」、この条項で幾らあんたと議論をしたって、これ、きりありません。ただ、その他の要因、その他の要因によって公衆の利便というものはそのとおりにいきませんよと、簡単に言うとそういうことだろうと思います。それはよくわかりました。しかし、その問題はあとで続けてまたお尋ねをしたいと思っております。 その次に、「事業計画が経営上及び航空保安上適切なものであること。」、第三号にそういう規定がございます。一体、経営上適切であるということは、具体的にどんなことを言っていますか。あるいは収入、あるいは支出、利益率はどの程度に見るんだという点、そういう点をひとつ一ぺん航空当局の考え方を聞きたい。
○政府委員(後藤茂也君) 事業計画が経営上、保安上適切なものであることというもののうちの、経営上適切であるかないかの判断でございます。これは、飛行機会社が飛行機を定期的に運航するにつきまして、もちろん、保安上の見地からも当然検討されるべきことではございまするけれども、その会社の経理的な内容の基礎の安定しておること、営業用の物的、人的な施設というものが完全に充実されておること、そのようなことにつきまして運輸省の係官を派遣して検査をいたし、免許をいたすというのがたてまえでございます。
○前田佳都男君 経営上適切であるということは、それじゃ、赤字を出してもいいということですか。それとも、やはり黒字でそういう経営をしなくちゃいかぬという、そういうことは言っているんですか、言っていないんですか、お考えになっているんですか。ただ運輸省の係官が行っていろいろ指導するとか、そういうことじゃなくて、どの程度の利益をあげるのが大体のめどでありますとか、うんともうけるのがいいんだとか、まあ、そんなことだれも考えていないけれども、そういうことか。そうしてまた搭乗率ですね。会社によって、路線によって搭乗するパーセンテージが違うと思うんです。非常によく入る路線もある。繁盛する路線もある。とんと、はやらぬ路線もある。そういう点、ひとつ塔乗率というふうな点もあわせて、もうちょっと具体的にお答えを願いたい。
○政府委員(後藤茂也君) 問題を御説明いたしますのに、その白紙の上に会社が新しい路線を開設いたします場合と、免許を受けましたあとで、その路線をさらに継続しております場合とに分けて御説明申し上げる必要があろうかと存じます。 何もない状態のところに、新しい航空会社が新しい路線を開設いたそうとする場合につきましては、それは収支、その会社が申請をいたしております運賃率、見込まれるお客さんの数、そういったようなものから適切な利潤が見込まれるということが吟味されました上で免許ということにいたすのが方針でございます。ここで適切な利潤が一体何%であるかにつきましては、ただいま明確な数字でもって私はお答えする自信がございません。一体そのような免許を受けまして、その会社がその路線を経営いたしております場合に、おそらくは、いろんな事情によっていろんな事態の変化がございましょうし、先ほども御説明申し上げましたように、定期航空会社の一つは、相当な赤字を現在会社として計上しておるというのも事実でございます。そのような場合に、先生の御指摘の事業計画の変更、あるいはある事業計画を遂行していくことについて直ちにたとえば変更命令を出すとか、事業計画の変更を認可しないとかということに、直ちに赤字を出しているからといってそれを認可する、しないということが、それのみをもって決定はされないものと理解しております。実際的に会社そのものが営業を何とかして継続をし、そして、その路線を利用している公衆の利便というものがそこなわれなくなるような、そのようなことについても当然配慮をしなければならないものかと存じております。
○前田佳都男君 あなたのいまおっしゃった赤字とか黒字とか、そういうことはあんまり考えないで、やはり公衆の利便から事業を免許していく、そういうふうに私は解釈したのでありますが、この航空法に書いてある経営上適切であるということは、赤字を出して幾らもうからぬでもよろしゅうございます、それでもやりましょうというふうな意味——まあ、それは程度の問題だろうと思いますけれども、そういう意味じゃないと思うんですが、どうでしょう。ある程度採算がとれるような路線じゃなけりゃ、そんなものは、初めから成り立たぬような見込みのある路線を、そういう事業免許というものはすべきじゃない、それが航空法の精神じゃないかと私思うんですが、そうじゃありませんか。
○政府委員(後藤茂也君) ただいま御説明申し上げましたとおり、路線の免許を下すにあたりまして、初めから赤字が出るということがはっきり見通されるようなものに対しては免許をすべきでないという考え方が、この先生の御指摘になりました航空法百一条第三号の基準の、経営上云々というところはそういう意味に解しております。
○前田佳都男君 それでは、少し話が小さい、こまかいですが、搭乗率というものは大体どの程度に見ているものですか。国鉄の場合でも、汽車の場合でも、大体何%乗れば採算がとれるんですと、そういうめどがあるわけなんですね。航空機の場合、ジェットとあるいはプロペラとによって違うと思います。しかし、平均搭乗率というのは何%に見ればいいんだと、それをひとつ聞かしていただきたい。
○政府委員(後藤茂也君) お客さんが座席に比べて何%乗れば採算がとれるかとれないかということは、運賃率を幾らにし、その与えられたコストというものを前提にいたしまして、運賃率が幾らにきまっておるかということとの関連できまることでございまして、何%乗ればもうかる、赤字が出ないということには直ちにはまらない、そういう性格のものではなかろうかと思いまするけれども、一般的に、あらゆる路線を通じまして、路線の経営上、平均的な消席率と申しますか、ロードファクターと申しますか、というものがあらゆる路線について確立した一つのものがあるわけでは、御指摘のように、ございません。最近の実情を申しますと、最近は、先ほど申し上げましたように、一番大きな、中心的な空港におきます飛行機の発着数が制限せざるを得ない状況でございますので、一般的に申しまして、平均的に、国内の定期航空路のロードファクター、座席に対するお客さんの数というものは非常に高まっておるのが実情でございまして、七五%ないし、多いのは八〇%にも達しておる路線がございます。
○前田佳都男君 それでは、その七〇%とか八〇%のときは、これはまあ、その路線だけにとればもうかるわけなんですね。採算がとれるわけなんですね。
○政府委員(後藤茂也君) 先ほども御説明申し上げましたとおり、お客さんが何%乗ればもうかる、もうからない、何%になれば赤字になるかということは、運賃率と、それから先ほど先生が御指摘になりました飛行機の機種——古い飛行機は比較的コストが高うございまして、一般的に申しまして新しい型の飛行機は、一人のお客さんの一マイル当たりの、一キロメーター当たりのコストは安うございます。したがいまして、直ちに、八〇%であれば当然に黒字である、六〇%であれば当然に赤字であるというようなことは一がいには言えないかと存じます。会社によっていろいろと事情が違いますので、明快に御説明できないと思いまするけれども、一般論といたしましては、現在、ターボプロップのYS11型の飛行機を運航する場合には、お客が相当たくさん乗っても、燃料費あるいは人件費、全体のコストというものが高くって、収支償うのは非常にむずかしい。それに対しまして、最近の新しい型のジェット機というものの場合は、その収支相償う比率というものはずっとYSに比べて低くなっておる、こういうのが実情でございます。
○前田佳都男君 なるほど、その搭乗率ばかり言っても意味ありません。運賃をどうするかという問題、あるいは機種をどうするかという問題、それによって搭乗率が変わってきます、それはそのとおりです。ということになると、大体、機種によってどの程度の搭乗率があれば採算がとれるのですと、しかし、搭乗率というものは、われわれも運賃計算をやる場合いつも見たのです、われわれ鉄道の運賃計算する場合も。だから、航空機についても、運賃を運輸省で免許される場合ですね、運賃の認可申請がある、それに対して許可をする場合がある、必ずその搭乗率というものは見ておるはずなんです。その機種によって何%に見ているのかということを、これは別にきょうこんなこと問答しておると時間がありませんから、資料としてひとつ提出を願いたいと思います。 次に、時間の関係もありますから申し上げますが、「申請者が当該事業と適確に遂行するに足る能力」がある、これもなかなか資本金がどうだ、ああだといっていろいろ議論があると思うのでありますが、この点を飛ばしまして、東亜航空が白浜便というのをやっております。これについて東亜航空のいう会社から減便の申請があったということは事実ですね。
○政府委員(後藤茂也君) 東亜国内航空が、東京と南紀白浜の路線を、ただいま免許を受けて毎日一便、つまり週七便の運航をいたしておりまするけれども、この会社が最近、週七便のところを週二便でございましたか、に減便いたしたいということを申請してまいっております。
○前田佳都男君 その申請に対して、私が聞いておるところによると、現状どおりいろいろ地元の陳情とか——まあ、われわれも陳情いたしました。そういう結果、とにかく現状どおりにしましょうという運輸当局の気持ちだということを聞きまして、運輸当局の、運輸大臣をはじめとするその決断というか、その行政行為に対して、非常に私は高く評価して感謝しておるのでありますが、ただそのときに、まだ現状どおりに回復できません、まだちょっと飛行場の関係で一便できないとか、いや、毎日就航ができないとか、そういうことを聞いたのですが、その点はどうですか。
○政府委員(後藤茂也君) 東亜国内航空のただいまお話にございました、東京−南紀白浜線の減便の申請と申しますのは、東亜国内航空が、先ほど御説明申し上げましたとおり、羽田空港におきます発着の回数の総数を私どもが押えておるということに一つの原因があるのでございまして、会社としての全体の各路線の飛行機の便数の配分というものをいろいろ考えました上で、どうしてもほかの路線を——いろいろと需要に応じて変えようとすると、どこかの路線を、どこかのを減らさないとだめでありまするので、そこでこの問題の路線について減便をいたしたい、こういうふうに説明がなされておるのでございます。 で、先生御指摘のように、この南紀白浜路線の減便につきましては、地元の利用者の立場から考えまするならば、そのような大幅な減便が、従来毎日一便飛んでおります状態に比べてきわめて不便であることは当然でございますし、運輸省の基本的な考え方といたしましても、そのような減便の計画を実施するについては、まずもって地元のお方々と話し合いを行ない、そしてできるならば、そのような地元のお方々の理解と協力を得た上で——減便の計画をやむを得ず実施するときには、そのような方法をとるべきであるというのが私どもの一般的な指導方針でございます。理由はともあれ、南紀白浜−東京路線が大幅に減便されるにつきましては、私どもが承知しております限りでは、そのことについて前もって地元のお方々と会社との間に十分な話し合いがあったということは認められません。で、その点について、私どもは一方において会社に注意を促すと同時に、他方において、その問題の根源になっております羽田の空港の発着便数のワクの中で、何とか別の方法、結果的にどこかの路線の減便をどうしてもしなきゃならないようになるかどうかについて、さらに航空局として検討を加えたわけでございます。 その結果といたしまして、当初、東亜国内航空が大幅な減便を計画いたしておりましたけれども、その相当部分は減便をしないで済ませるような方法を現在模索中であるというのが現状でございます。まだ最終的な結論は見出しておりませんけれども、一週間に七便というものが完全に減便しないで、マイナスゼロということにはまだまいりかねるように私は思いまするけれども、大部分の便数というものをそのままの形で運航を継続するような形。しかし、若干の減便になるというような形で最終的に落ちつく見通しでございます。
○前田佳都男君 減便申請に対して、運輸当局が、やはり地元の意見であるとか世論というものを尊重してよく検討するその姿勢には、非常に私は高く敬意を表するのでありますが、ただ、減便の申請が、ただいま航空局長は空港の事情、飛行場の事情によって全体の便数をやりくりするとか、何か非常にいいお話をされたのであります。しかし、大体、私聞いておるところによると、減便申請の理由が、白浜線は赤字であると——赤字じゃないと私は思いますが、赤字どあると、いや、もっともうかる線のほうにかえたいとチェンジしたいと、転換したいと、そういうことが一つの大きな原因じゃないかと、実は私あまり具体的には言いたくありませんけれども、もっともうかる線をうちのほうに配分するようにしてもらいたいというふうな、いろいろそういうことも、われわれの交渉段階においてもそういうことを聞いておるわけでありまして、もうかる線をわれわれが、そういうことを会社のために配分すると、そんなことわれわれはする力もないし、そんなことしたくもありません。 ただ、減便申請の理由が、飛行場の事情で全体の何か便数の調整をすると、非常にかっこうはいいのでありますか、そういうことじゃなくて、やはりそれは会社だから一銭でも一円でもよけいもうかる線にかえたいのはあたりまえですよ。しかし、どうもその減便申請の理由なるものが、その間の空気から察してみて、何かいい線にかえてほしいというふうな気持ちがありありと——現に言うているわけでありまして、そういう点について、おそらく監督官庁である運輸当局にはそんなことを決してみじんも言わぬでしょう。言わぬかもしれません。しかし、そういう点が実際言うているわけであります。その点をどういうふうにお考えになりますか。 それから大体搭乗率は白浜線というのは何%になっているか。これもちょっと一ぺん聞きたいのであります。
○政府委員(後藤茂也君) 南紀−白浜路線の減便の理由が、そこがもうからないから云々という点につきましては、私どもは会社からの申請につきまして、そのような説明を受けておりません。また南紀−白浜路線の東亜国内航空のいわゆるロードファクターでございますけれども、月ごとに数えまして、最近六カ月、一番低い月が約四六%、一番高い月が約七〇%でございます。
○前田佳都男君 運輸大臣もお急ぎのようでありますので、ちょっと結論を急ぎます。 要するに冒頭にも私お伺いしたように、現在の民間航空輸送事業というのは、もうかっているところもあるわけなんですね。また非常に赤字を出しているところもあると、とにかくその原因は一幾ら働いてもとにかくもうからぬ会社もあるんですね、路線によっては。路線によっちゃ、とにかくお客さんが集中して非常にもうかる会社もある。もうかる線を持っておる会社と、幾らやってももうからぬ線を持っておる会社とがあるわけでありまして、そこに問題があるんじゃないかと思うんです。公共料金を一般にストップするというところで、非常に会社もそれは苦しいんだろうと思います。 しかし問題は、現在の航空輸送事業というか、民間航空事業会社のこの免許のあり方というか、数の問題に問題があるんじゃないかと思う。もっともうかる線ともうからぬ線とをミックスしてやれば、多少その点が余力が出てくるんじゃないかと思うんです。とにかくいい会社はいい路線ばっかり持っておる。悪い会社はよくない路線を持っておる。そんな路線を持たすなら、第一、免許すること自体がおかしいんであります。それをもうかる会社にやらせればいいわけでありまして、その点、初めに免許するときに私は問題があるんじゃないかと思うんであります。まあ免許のあり方、数の問題——会社かとにかくこういう線を維持するために、うちのほうはもう赤字でたまりませんと、どうぞひとつもうかる線をわれわれにも配分するように、ひとつ張り切って世話してくださいよというふうな、そういう会社側の発言も聞いたわけでありまして、これはまさに私の指摘する点を示しておるんだと思うんです。もうかる線ともうからぬ線とあって別々の会社になっておる、そこに問題があると思うんですが、その点について、これはちょっと大きい問題でありますので、運輸大臣の御答弁をお願いします。
○国務大臣(徳永正利君) お答えいたします。 御指摘のとおりでございます。で、免許するときに十分そういう点を配慮してやるべきだということも御指摘のとおりだと思います。ただ東亜国内航空が四十七年度におきましても三十二億の赤字を出しておる。今日、飛べば飛ぶほど赤字をしょい込むというのが現状であることは、先ほどの説明のとおりでございますが、これは合併当時のいろいろないきさつがあるようでございます。私は詳しく存じませんけれども、いろいろとこの合併当時のいきさつもこれあり、また合併して間もなく大きな事故を国内航空がやりまして、その事故の補償等で、もう最初から立ち上がりに向こうずねに傷を負ったというような点もございまして、そういうようなものが、経営の今日の挫折を招いた一つの大きな原因になっているようでございますが、御指摘がございましたような路線の配分というようなものは、これは考えなければいけないのじゃないかと思います。これを運輸政策審議会にはかるかどうかというような問題もからめまして、ただいま前向きの姿勢で検討しておるところでございます。
○前田佳都男君 ただいまの運輸大臣の御答弁まことにけっこうでありまして、ひとつ、その線に沿ってこの事業免許のあり方等について、ぜひその審議会にもかけて御検討いただきたいと思うんでございます。 それからこれは小さい問題ですが、これは局長でけっこうであります。 今回、東亜国内航空が減便申請をいたしまして、運輸大臣がまだ許可も何もしてないのに、切符の予約発売というものを停止したと、こういうことは少し運輸当局をなめておるんじゃないかと、許可も得ないのに、もう当然われわれの事業計画の変更の申請は運輸省の航空局長なんか許可するんだと、あるいはちゃんと打ち合わせしたかどうか、それは知りませんけれども、そういうことは大体、私は陳情を受けましたときに、そんなばかなことがあるかと、厳として運輸大臣が存在するんだと、そんなばかなことはありませんと言うたけれども、現実に切符は予約しておりませんよということを言われて、運輸当局なめられておるのじゃないかと思ったんですが、それについて航空局はどうお考えになりますか。
○政府委員(後藤茂也君) たてまえといたしまして、先生御指摘のように、認可を受けるべき行為について、認可を受けない前に、認可をすでに受けたという前提で商売をやるということは遺憾なることかと存じます。
○前田佳都男君 それから、またその地元の町も、またその地元の県も、何にも知らないうちに営業所でそういうことを周知するということも、開設のときはかねや太鼓でどんちゃか騒いで、いや白浜空港ができました、いや東京‐白浜間の航空便ができましたと大騒ぎしておいて、そしてやめるときにはほんとうにこっそりと、町にも県にも連絡せぬと、そういうことをやるような営業方針というか、私はその会社の姿勢というものがまことに気に食わぬと思うのでありまして、その点、ひとつ運輸当局から厳重に注意していただきたい。どうですか。
○政府委員(後藤茂也君) 先ほども御説明申し上げましたように、航空会社の減便の場合の望ましい形、あるべき姿につきましては、つとに私どもははっきりと関係の会社に私どもの考え方を伝えてございまして、地元の方々によく説明をし、やむを得ざる事情について了解を得られるあらゆる努力をした後に実行に移すように、具体的には認可の申請を行なうようにという指導方針をとっております。で、今回の先生御指摘のような事実は、そのような指導方針にも合っていないことでございますし、すでに私どものほうから会社のほうにはよくその点を申してあります。
○前田佳都男君 大体この便数の変更というようなときには、地元の意見を聞くというのはこれはあたりまえのことです。ところが、航空法というこの法律を読んでみても、いろんな規則を読んでみても、地元の意見を聞くという条章はございません。しかし、事実上、大体地元の意見というのは聞くのはあたりまえじゃないかと思う。鉄道だって一々町村長の意見を聞いていませんよ。しかし、いつも地元と接触して、地元の意向というものを反映するような輸送回数、便数を持っている。航空便の変更等についても地元の意向を聞くという考え方は、別に法律で書くわけじゃありませんけれども、そういうふうに指導されちゃどうですか。どうですか、その点は。
○政府委員(後藤茂也君) すでにお答えいたしましたように、ただいま先生御指摘のような方法が私どもとしての指導の理念になっております。
○前田佳都男君 これはまた、指導の理念にはなっておるけれども、理念どおり行なわれないことがよくあるわけでありまして、その点はさらに念を押しておいていただきたい。今後、地元の意向というものをろくに聞きもせぬとやるような場合は、ただいまの次長の発言をひとつまた私持ち出しますから、その点ひとつとくと御記憶にとどめていただきたいと思います。 次に、この路線ですがね、これは別に答弁は要りませんけれども、大体これは新婚旅行にでも乗って遊びに行くような線に思っておるんじゃないか。私はどうもそれが気に食わぬのであります。とにかく紀伊半島の南半分はこれをみな使っておるわけでありまして、レジャーで遊びに行くようなしろものばかりじゃない。非常に大事な用事で国会議員もみなこれで往復しておる。いろんな町村長でもみんなこれで往復しておるわけでありまして、単かるレジャー便で、温泉にひたりに行くような線じゃないというふうに、とくとひとつ航空当局は頭に入れておいていただきたいと思います。これは答弁要りません。 次に、事業計画の変更ですね。事業計画の変更の場合は、運輸大臣の許可が要るわけであります。たとえば便数を減らします、あるいはふやします、これはみんな事業計画の変更に入るわけでありまして、その変更には地元の意向というものを、諮問するとは言わないけれども、先ほどの話で、よく地元の意向を体して、その点は許認可というものをやっていただきたい。 ただ問題は、ここにこういう規定がある。百十七条に、定期航空運送事業の休止の規定がございます。休んでしまう規定があるわけであります。毎週七便、一日一便であったという便がある場合に、これは毎週七便をやめて、土曜日と日曜日だけにいたしましょう、五便やめましょうという場合は、これは事業計画の変更になるんですか。それとも、この百十七条の休止になるんですか。どっちですか。
○政府委員(後藤茂也君) 一週間に七便やっておりますものを一週間二便に変えるのは、この法律の運用上は事業計画の変更でございまして、事業の休止とは考えておりません。事業の休止と申しますのは、ある一定の期間、完全に飛行機を飛ばさないということでございます。
○前田佳都男君 まあ減便と休止の違いというものをいま聞いたわけでありますが、一向、私はあまりわからぬのであります。休止というのは完全ストップで、全然一週間に一ぺんの飛行機も飛びません、全然飛行機の姿は見えませんというのが休止でありますと。七回あったのを五回に、あるいは六回に減らしてしまって、一便だけ残してもそれは変更であします——まことに都合のよい御回答だと思うのであります。あるいはそれがそういう法律の解釈かもしれません。しかし、とにかく六回はいずれにしてもその飛行機が飛ばないわけでありますから、休止と同じことであります。したがって、その休止をする場合はここに規定がある。変更によって公衆の利便が著しく阻害される場合は許可しなくてもいいという規定があるわけであります。その表現は多少違いますけれども、変更によって公衆の利便が著しく阻害される場合は許可しなくてもよいというふうに、逆に、そういうふうな規定がこの航空法に書いてあります。 ということになると、なるほど休止と変更とは性質が違う、びたっとみなとめてしまうのが休止でありますと。あるいは事業の休止というものはそうかもしれません。しかし、ほとんど九割程度のものをやめてしまったら、やめた九割分はこれは休止と同じことであります。しかし、その許認可についてはよほど慎重であってもらいたい。変更によって公衆の利便が著しく阻害される場合に該当するやいなやということを、とくとひとつよく考えてもらわなければいかぬ。休止と変更とはもちろん違いますけれども、その精神というものは同じじゃないかと思いますが、その点どうです。
○政府委員(後藤茂也君) 休止を事業者が許可の申請をしてまいりました場合に、ただいま先生御指摘のように、「当該休止によって公衆の利便が著しく阻害されるおそれがあると認める場合を除く外、前項の許可をしなければならない。」という規定がございます。事業計画の変更は、その内容がたとえば週七便飛んでいるのを二便に減らすというような事業計画の変更を申請してまいりました場合には、それは先ほどの、冒頭に先生が御指摘になりました百一条の免許基準の各号がその認可にあたっては準用されることになっておりまして、したがいまして、まあ表現は若干違いまするけれども、「当該事業の開始が公衆の利用に適応するものであること。」云々といったような百一条の基準が、その認可にあたっては法律上当然考えられることになっております。
○前田佳都男君 運輸大臣は、事業の合併命令とか譲渡命令といいますか、ちょっと条文はいま忘れましたけれども、そういうことができる規定がございますね。これはどういうときお使いになりますか。
○政府委員(後藤茂也君) 御質問の趣旨が十分に把握されておりませんが、運輸大臣が事業の合併命令を出す法律があるという前提での御質問だと思いますが、いまちょっとそれをさがしておりますが、うかつでございますが、私はいまだどの条文にそれがあるのか、いま直ちにはっきりいたしておりません。
○前田佳都男君 航空法のひとつそれをよく読んでおいていただきたい。ただ書いてあるだけじゃないんですからね。これはやはり発動する場合があることを予想して書いてあるわけですから、決して運輸大臣が独断専行でやってもらうつもりもありません。あるいはそういう審議会というか諮問機関に聞いて、それはそれでやらぬでもいいと思いますが、しかし、合併命令とか譲渡命令というのは、時と場合によっては出す必要があるんじゃないかと私はつくづくと今度考えました。 それでひとつ聞きたいと思いますが、民間航空運送事業の事業免許に期限というのはあるんですか、無期限ですか。
○政府委員(後藤茂也君) 事業の免許には期限はございません。
○前田佳都男君 ただいま次長の答弁のように無期限であります。一ぺん免許をもらったら、ともかくいつまでも、少々事業計画を変更して、ほとんど内容をからっぽにして、一週間のうちで九割休んでしまって一便だけ飛んでおることもできるわけであります。そういう事業免許というのは私はおかしい、そういう会社のあり方はおかしい。 もうかる会社ともうからぬ会社と並べておいて、そうしてもうからぬ会社にいろいろ言うて、もうからぬ会社はもうかる会社に路線をかえていきたい、料金を上げてもらわなければ困ります、いい路線をもらわなくちゃ困ります、やっていけません、どうぞ助けてください、われわれは別にそんな会社を助けるようなそういう立場にはございません。それよりも、公衆の利便というか、われわれの利便という点からいつもこれは見ているわけであります。航空法の考え方というものは、大体、会社を育成するというふうな点に重点を置いて航空法の立法というのは書いてあるように思うんであります。従来は私はそれでよかったと思うんです。しかし、これからは航空輸送事業というものはほんとうに大衆の利用する機関になっている、一部の金持ちだけが使う輸送機関じゃないという意味において、航空法というのは、公共性というか、それに重点を置いて、ただ健全経営というか、あるいは会社を守ってやるとかいう考え方だけじゃなくて、そういう立場から私は航空行政というものはやってほしいと思うのです。 それで、たとえば免許は永久でしょう。一ぺん免許になったら、いつまでも、よほど悪いことをやらない限り、ほとんど免許は取り消さないということになると、たとえば白浜線のように、とにかく搭乗率七〇%程度あるんです、そのように悪いと私は思いません。それよりもっといい線もある、もっといい線にかえたほうがもうかるんです。そんなことにわれわれは犠牲にされてたまるものじゃありません。とにかく赤字路線専門の会社、赤字路線ばっかりを持っておる会社にやってもらっておる航空路線というものはまことに安定性がないわけです。ほんとうに安定性がありません。地域の住民はいつも不安におびえておる。いつ何どきこれはやめられるかわからぬと、もうかりまへん、さあかわりましょう、そうやられてはたまったものじゃないわけであります。しかし、企業である以上、採算というものは経営も成り立つようにせにゃいかぬと思います。 しかし、ほんとうに地域住民に安心感を与えるためにも、業界の再編成ということを勇敢におやりになっちゃどうか。先ほど運輸大臣も、そういう趣旨だ、再検討したいということをおっしゃったわけでありますから、けっこうであります。ただ、この法律には事業譲渡あるいは合併等のことも命ずることができるようなことが書いてある。非常に強い権限を持っている。権限をただ置いておくだけじゃなくて、時と場合によっては使って、ほんとうに公衆の輸送機関、大衆の輸送機関としての航空輸送のために、私は航空行政がひとつ決意するときじゃないかと思うのです。これは運輸大臣に聞きたいのでありますが、運輸大臣は先ほどもう答弁した。同じことでありますから、航空局長、ひとつこれはほんとうに真剣になって考えてもらいたい。あなた、現在ある会社、赤字の会社、黒字の会社を陳列しておいて、それでいいなんという航空行政はありませんよ。航空業界というものを再編成するということについて前向きで積極的にこれから考えますというかどうか、それをひとつお答えをいただきたい。
○政府委員(後藤茂也君) 先生御指摘の点につきましては、先ほど運輸大臣がお答えしたとおりでございます。
○前田佳都男君 次に鉄道に入ります。 これは、副総裁、非常にプリミティブな質問でありますが、ちょっと教えていただきたい。国鉄で近距離輸送といいますか、通勤輸送というのは非常に定期客が多い。したがって非常な赤字である。そういうふうなもし数字でもあればちょっと教えていただきたい。短距離輸送というか、通勤輸送というのはこんなに赤字でありますという、それ何かありますか。
○説明員(井上邦之君) お答えいたします。 いまお尋ねの資料は手元に持っておりませんので、的確なお答えはちょっといたしかねますが、単に通勤輸送だから一般的に赤字であるということも言えませんし、大都市においては、すでに償却済みの施設を使って輸送いたしておりますような場合には大体が黒字になります。また、新たに設備投資をいたしまして、相当多額な資金を投じておるというようなところ、まだ減価償却が完全に済んでいない、しかもそれが多額であるというような場合には、たとえ旅客が相当乗っておりましてもやはりその線区は赤字ということにもなりますし、一がいに通勤輸送だからどうだということはないというふうに考えております。
○前田佳都男君 よくわかりました。 とにかく、これまでは道もだんだんようなりました、自動車も比較的安い、ガソリンはふんだんに使うことができる、自動車を使えばいいのだという考え方がポピュラーになって、そうして近距離はほんとうに自動車を使う、鉄道さようなら、自動車こんにちは、というような時代がごく最近まで来ておったわけであります。しかし、石油事情といいますか、石油がとにかく入ってくることは入ってくる、非常にむずかしくなったけれども入ってくることは入ってくる、しかし値段は上がってくる、しかも有限の資源である、これを使うということについては、よほど効率的に能率よく使わなければいけないという点から、やはりこれは国鉄だけの問題じゃないと思うのです。運輸行政全般の問題として考うべき問題だと思います。とにかく、石油事情というものから、交通体系全般についてこれを考え直す必要があるのじゃないか。私は実はそのこともお伺いしたいのでおりますが、今度運輸委員会でそれはお伺いしたいと思っております。 きょうは問題を鉄道にしぼって、したがって鉄道も、その一つの方法として東京−大阪間の輸送を強化する、第二新幹線をつくる、そういう考え方もいいでしょう。長距離列車重点主義もいいかもしれない。しかし、短距離輸送機関としての役割りをこのときこの際再認識して、今後、国鉄の運営にあたって——もちろんできるだけ、国鉄の監査報告書を読んでみても何読んでみても、営業収益を上げましょう、上げましょうということを専門に書いてある。われわれはその努力というものは非常によくわかるのであります。しかし、それと同時に、やはり公共企業体でありますから、特にこの石油事情という点にからんで、短距離輸送、公共大量輸送機関としての使命を果たせるように、そういう点に重点を置いて国鉄当局はやろうとするのか、具体的にどういうようにしようと思うか、それをちょっと聞かしていただきたい。
○説明員(井上邦之君) 先生御指摘のとおり、前々から、私ども鉄道こそエネルギー消費の面については最も効率的な輸送機関であるという自信を持っておりました。昨今の情勢でその点が特に皆さま方の御認識をいただいておるようでございますが、大ざっぱに申しまして、たとえば自動車との比較で申し上げますと、エネルギーの消費効率で申しますれば、自動車の場合、バスとトラックとちょっと違いますけれども、バスやトラックに比べまして鉄道は大体六分の一ないし七分の一ぐらいのエネルギーの消費で同じ量を運ぶことができる、非常に効率的な輸送機関である。したがいまして、先生の御指摘のとおり、単に東京‐大阪というような主要幹線、そういうところだけに今後力を注いでいくということじゃなくして、やはり幹線と幹線との間をつなぐ肋骨線でありますとか、あるいは地方の都市の通勤線区でありますとか、そういった点につきましても、今後、複線電化という問題を含めまして、極力国民の皆さまの足としての使命を確保してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○前田佳都男君 今後のあり方として複線電化ということに力を入れるという、そのものずばりの回答をいただいて非常にけっこうだと思うんであります。 全国新幹線の構想もいいけれども、とにかく当面は、それよりも在来線の拡充強化ということに重点を置いて、それがためには複線電化という点に力点を置いていただく、その国鉄当局の姿勢は非常にけっこうでございますが、現在、複線電化と単線電化と両方あると思うんです。いずれにしましても電化されておる現状は何キロであるか。それからまた今後の計画は何年計画で、それについての予算は幾らであるかということを、資料というものをごく大ざっぱにここでちょっとひとつ聞かしていただきたい。
○説明員(井上邦之君) 現時点におきまして、複線化いたしております線区の長さは六千九百六十一キロでございまして、全体の路線に対しまして三三・一%ということになっております。今後十年間にさらに三千四百キロぐらい電化いたしまして、全体の約五〇%近くを電化してまいりたい、かような考えを持っております。 金額の点につきましては、ちょっと手元に私資料を持っていませんので、後刻またお答えいたします。
○前田佳都男君 十年間に全体の路線の五〇%程度を電化したい、その構想はまことにけっこうだと思います。 ちょっとこの際お伺いしたいんですが、この複線電化の費用であります。複線電化というのは、とにかく複線電化する経費とその上を走る車両の経費があると思うのでありますが、その比率は一体どうなっておるかということもちょっと教えていただきない。比率だけでけっこうであります。 それと時間の関係上続けて聞きますが、もう一つは複線電化する何かめどというのはあるんでしょうか。ただむやみやたらに、とにかくあちこち複線電化するというんじゃなく、こういうところをしましょう、こういうところをだんだんしていきましょうという、そのめどを聞きたいんです。その基準というか、別にきまったものさしでもないけれども、そういうものを聞きたい。どういうポイントから複線電化というものが進んでいくのかということをひとつ聞きたい。
○説明員(内田隆滋君) 電化の工事費でございますが、大体、キロ当たり四千五百万円ぐらいということでございます。 それで御指摘のように、車両との比率でございますが、電車は平均一両当たり四千万円ぐらいでございまして、その電車が何両要るかということは、開業時の輸送量あるいはダイヤの構成等によって違いますので一定しておりません。したがって、比率は線区によって違うということでございます。 それから電化の基準でございますが、国鉄といたしましては、いわゆる合理化、近代化ということで、国民の皆さまになるべく御迷惑をかけないようにということで考えておりますが、電化というのは、そういう意味では一番経営の近代化に通ずるものである。したがって、そういうものはメリットの大きい線からやってまいるというのが基準でございます。
○前田佳都男君 その御答弁はまことにすっきりしたいい答弁でありますけれども、しかし何のことかはっきりわかりません。ただそのメリットがあるところを推していきたいと。そのメリットがどういうところにあるのかということを聞いておるわけでありまして、結局、おそらく国鉄は、幹線であるとか大都市近郊の通勤線であるとか、そういうところをお考えになっておるというふうに考えてよろしゅうございますか、メリットがあるかどうかという問題は。
○説明員(内田隆滋君) 大体、そういうふうに考えてよろしいと思います。 ただ、たとえば輸送上短絡する肋骨線、そういうようなもの、あるいは周囲が全部電化されたような場合に一部の線路がまだ電化されてない、これは車両運用上その他から考えまして、やはり電化をしていくのが至当だというふうに考えられます。
○前田佳都男君 とにかく、新幹線の構想と違いまして、この複線電化というのは在来線を拡充強化するという意味で非常に意義が大きいわけであります。これは新線の建設あるいはそれ以上の意味を持っておると思うんですが、大体、鉄道建設審議会あたりで新線をどういう線をどうするかということを大騒ぎしてきめるわけでありますが、新線建設あるいは新幹線の構想とかの路線をきめる以上に、どの線を複線にします、どの線を電化しますということは、単に国鉄の理事会できめていただいて、われわれ、はいさようですかと言って引き下がるわけにいかない。これはわれわれも相当重大な関心を持っている。新線建設以上に持っている。 その点で、たとえば鉄建審議会にこれを諮問する、そういうふうな考え方をこれから持つかどうか、そういうような点、どうですか。
○説明員(井上邦之君) この問題は国鉄からお答え申し上げるのが筋であるかどうか私存じませんけれども、一応、私どもの考えを申し上げますと、なるほど事柄は確かに御指摘のとおり重要な問題ではございます。ございますが、新幹線の建設でありますとか、あるいは新線の建設でありますとか、そういう建設の問題と違いまして、いわば部内的な改良工事でございまして、その点で多少性質が違う問題である、かように考えておりますので、直接、鉄建審議会その他の審議会になじむ問題であるかどうか、私どもといたしましてはいささか疑問に思っております。
○前田佳都男君 それはあなたの御答弁される範囲じゃないかもしれません。しかし、それほどさように非常に重要な意義を持っているという点を国鉄当局はよく認識していただきたい。したがって、複線電化については、われわれも今後国会においていろいろな点から伺っていきたいと思いますから、どうぞひとつそのおつもりでおっていただきたい。 きょうは時間の関係で、ちょっとこれだけにしておきます。
○委員長(鹿島俊雄君) 答弁いいですか。
○前田佳都男君 ええ。
○委員長(鹿島俊雄君) 前田君の残余の質疑は、明日、これを行なうことといたします。 明日は午前十時開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後五時散会