予算委員会 第3号
- 発言数
- 476 件
- 登壇者
- 25 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1973/12/12
会議録
○委員長(鹿島俊雄君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 昭和四十八年度一般会計補正予算 昭和四十八年度特別会計補正予算 昭和四十八年度政府関係機関補正予算 以上三案を一括して議題といたします。 これより質疑を行ないます。上田哲君。
○上田哲君 憂慮すべき事態だと総理は言われます。憂慮すべき事態ということばは、総理にとっては精一ぱいの表現のようでありますけれども、今日この激しいインフレの波の中にあえいでいる国民の実感からすると、やはり対岸の火をながめているというそらぞらしさを、ことばの中ではなお禁じ得ないのであります。タクシーの個人営業の運転手さんが燃料不足のために自殺をするということが出てきている世情の中で、私は総理に、キャベツは一玉幾らであるか、リンゴが幾らと思うかということを聞こうとは思いません。しかし、この問題に関しては、苦しんでいる国民の生活実感、このことを総理が具体的にどのように実感として受けとめておられるかということをお伺いするところからでなければ、国民に対する議論は始まらないと思います。総理のまわりでのインフレ実感は何でありましょうか。
○国務大臣(田中角榮君) 日々の報道、また、私は朝七時ごろから陳情団その他に毎日会っておるわけでございますが、その中で当面する現実に対してきびしい状態を訴える人があります。けさも、新潟や東北のドライブイン関係とか、いろんな人たちが参りましたが、石油はこれから削減されようということであると思いますが、現在もうすでにお客は五〇%以下に減っておりますと、このままでは、緊急に何らかの融資等をしてもらわなければ営業を続けること自体がむずかしいと、こういうような深刻な実情を訴える者がございます。私は、現在のきびしい状態の中で、よりきびしい状態が起こるかもしれないという予測の中で、国民がもう一ぺん自分の身のまわりを見直しながら、節約、合理化、耐えられるものに対しては合理化に努力をしておられるという姿も承知しておりますし、このままでは大きく生活を転換しなければならないのではないかという不安にかられておる方々の状態も承知をしております。私も戦前、戦中、戦後を生きてきたわけでございまして、特に大正、昭和の不況の中に人となった、農村の不況の中で人となったものでございますから、このような変動の時期において、国民各層に大きな影響があり、困難な状態があるということは人一倍認識をしておるつもりでございます。しかも、責任の地位にございますから、より深刻にこれらの事態を的確に把握をして、これに適切なる施策を行なうことによって国民に対する影響をできるだけやわらげなければならない。同時に、その過程において、真に将来日本のためになり、お互いの社会や生活のためになるような合理化が行なわれるとするならば、その施策もあわせて行なっていかなければならないと、このような信念に立っておるわけであります。
○上田哲君 政策責任というおことばですから、そのことはじっくり議論をしたいんです。私はこの次元の質問はあまり続けたくはないんですが、もう一回だけ伺いたいのは、この暗い歴史も通ってきたんだと、その体験から認識も十分に持っておるんだと言われるわけですけれども、今時点の、きのうきょうの、ネオンも消される、冷たく暗くなっていくというきのうきょうの国民生活の実感の中で、総理自身の生活の流れの中で、インフレ実感は具体的に何ですか。一番感ぜられることです。
○国務大臣(田中角榮君) 私も一人で生存しておるわけじゃありません。回りにはたくさんの人々もおりますし、社会人の一人として生活をしておるわけでございます。私がいま念頭に置くものは、この急激な変化に対応してみずからの責任の上でどうしなければならぬのか、その行ないつつある政策がどう効果があるかということを感じておるわけでございます。その他の問題で、私も政治家でございまして、商売もしておりませんし、私が自分の生活の中で営業でもしておるならば直ちに感ずるでございましょうが、私が営業している以上に日本じゅうから切実な声を私に届けておるわけでございますし、政府に届けられておるわけでありますから、それらの認識に対して、他の人以上な認識を持っておるということだけは明確に申し上げておきます。
○上田哲君 政策の責任者ですから、私はそのことを、生活ではなくて、政策を問うべき場だと思っています。しかし、このインフレは異常なんでありますから、この実感をどれぐらい、はだで感じておられるかというところから私はかみ合う話がしたかったということです。総理のおことばの中からは、そういう、はだで感ずる的なニュアンスは私には受けとれにくかったということを申し上げざるを得ませんが、まあまさに政策の話にしたいと思うんです。つまり、今日の憂慮すべき事態と言われるのは、ぎりぎりであるという認識ですね。
○国務大臣(田中角榮君) ぎりぎりということは、これはいろいろな見方がございまして、いまよりももっともっと苦しい生活もあったわけでありますし、もっと非常な事態もわれわれは経験してきております。ですから、なお現在よりもきびしい状態も想定して政策を行なわなければならぬわけでございます。ただ、非常に高密度社会になっておりますし、日本の経済社会の体制が広範多岐なものになっておりますので、その意味では、政策を浸透させるといってもある程度時間がかかります。同時に、品物があっても品物がないんだということを一言言われれば、十分在庫のあるトイレットペーパーでも、三日間で全国的に買い占められるという状態が起こるわけです。その中にはけが人も出るわけです。そういう事態が起こり得る社会体制であるということはよくわかります。しかし、ぎりぎりであって、これ以上もう合理化も何もできないんだというふうには考えていません。いま急激に起こってきておるこれらの現象に対して、いわゆる調整機能が、行政的にも国民的にも法制の上でも制度の上でも完備しておらないわけでありますから、混乱が起こっておる。その中には不公平も行なわれるということであります。また不徳行為も行なわれるということでありますので、これらはできるだけ早い期間にノーマルな状態に置いて、まあ乏しきものであっても、乏しきはお互いに公平に分配されると、乏しきを憂えるよりも等しからざるを憂えなければならないということは、これは政治の要諦でもございますから、そういう、ないならばないような状態において――これは戦前を考えれば何でもないんだという人も、戦前の経験者は言う人もありますが、そんなことをいま言ったって、国民の共感を得られ、協力を得られるはずはありません。また、戦前の経験を知らない人が三分の二も四分の三も日本のいま中核として存在するわけですから、やっぱり現状というものを国民にさだかに認識をしていただきながら、現状に対応する施策を政府はとります。そういうものに対して、政府だけでできるものじゃありません。国民の協力を得ながら、共感を得ながら、国民生活に波動を起こさないような配慮をしてまいらなければならない。それはもう当面する問題に対して対処しなければならぬことと、中期的に安全率を見て施策を行なわなければならぬことと、長期的に見て施策を遂行しなければならないこと、それはやっぱり区別をして、国民の理解を得て、いまは不足だという現象が起こっておりますが、政府はこういたしますので、これはもう一カ月、二カ月後にはノーマルな状態になりますから、買い急ぎをしないでくださいとか、これはもうこまかい配慮をしなけりゃならない。これはもう世界百四十五カ国ございますが、この中に比べて、日本の生産力や日本の在庫力や日本の生産性というものがずば抜けて高い水準にあるということは、これは数字上明らかな事実でございますから、これを公平な分配、国民が安心して生活を営めるような状態をつくれば、いまが最低であり、いまがどうにもならない状態であるということで悲観をするには当たらない、こう思います。
○上田哲君 努力はするんだけれども、まだ悪くなることもあり得るということだと思うんですね。だから、憂慮すべきという表現になるんでありましょうが、何とかしなきゃならないんだという勝負は、ここ半年、春まで、こういう感じですか。
○国務大臣(田中角榮君) これは、もうほんとうは十二月中が一番国民は動揺しておるわけですから、年内が一つのめどであります。それから三月末が一つのめどである。それから第一四半期、四-六月というようなことが考えられるわけでございます。四-六月の次は七-九ということになりますが、そういう状態においては国際的な問題、中東問題に対する問題――まあいままででも、これは石油とかLPガスとかの売り込みはあったんです。これはもう明確に申し上げれば、ペルーでもエクアドルでもみなあったんです。しかし、それは要請されるところの国からの援助額と見合えば、まだ中東のほうが安いじゃありませんかとか、それよりもずっとインドネシアのほうが恒久的であり、日本とインドネシアの交流に重点を置くべきであるとか、それは国と国との均衡をとってみると、ここにそれ以上も投資できませんとかいう、そういう議論を二年も三年も続けてきておって、今日の段階になってやりましょうというところは一ぱいあるんです。これは確かに何カ国もあります。そういうものも、いまおそまきながらここ一、二カ月の間でやっておるわけです。 ですから、中東石油というものが、一〇%の削減が一六%になり、二〇%になり、二五%になり、やがて三〇%にならないという保証はありません。これは長期的に私はそうなるとは思いません。二年も三年もそんなことが行なわれて、ほんとうにベトナム戦争というような状態を想定するわけにはまいりませんし、これは、中東戦争というものは地球上における最後の紛争として、とにかく解決するためにお互いが全力をあげなければいかぬのだと。そうなれば、いままでのように二〇%も三〇%も中東石油を年々増大することはできないにしても、少なくとも今年度の三億一千万キロリットルをとにかく確保するのか、年率五%でございますよ、年率一〇%でございますよというような状態というものは、ここ三カ月、半年ということで私はめどをつけなきゃならぬと思うのです。その間にエネルギーの多様化もはかり、開発輸入というものを、いままで右顧左べんをしておったものを、思い切ってやらなければいかぬ。そういう具体的な措置の一つとして三木特使を中東にいま派遣をしておるわけであります。そういう意味で、こういう中途はんぱな事態、国民に与えるものは不安だけであるというような事態でもって半年も一年間もずらしていけるわけはありません。私は、そういう意味では、やっぱり十二月末、三月の年度末、それから四-六月の四十九年度第一四半期と、これはめどをつけて安定感を急速に進めていくということが必要だと、みずから考えております。
○上田哲君 くどいようですが、私は石油のことだけ申し上げたわけではない。それを含めたこの異常な物価高、われわれからすればきびしいインフレの問題を問題にしているわけで、この憂慮すべき状態を脱するための勝負どころはそういうことだということですね。
○国務大臣(田中角榮君) もうやっぱり来年の上期ということをめどにしてやらなきゃいかぬだろうと、それでもなおおそいというぐらいに考えていますが、しかし、四十九年度予算の成立が三月三十一日でございますから、新年度は四月一日だというのでございますので、三月三十一日までにというわけにいかぬわけです。しかも、もう財政や財政の繰り延べ、緊縮予算その他いろんな施策をとってまいりますが、問題は、やはり国民には金がございます、現実的に。改訂経済見通しに対しては、百十五兆円のうち国民消費のウエートは六十兆円でございますから、そういう意味からいって、ある品物でもなくなるんだという前提で、これ、買われれば、もうなくなるにきまっております、これは。これは灯油一 んずつ差し上げます、これはまあ差し上げますといえば切符になるわけです。切符になりますが、これは二法案の過程でお互いに意見を交換して、より合理的ないい案が出れば採用するにやぶさかでありません。そういうことになりますが、それまでにどうせ先高なんだからといって、アパートの中でもって灯油かんを五かんずつ買っておるというマンション、私も通知を受けております。ですから、テレビやこの予算委員会の席上で、そんなお買いにならなくとも、必ず切符でも確保いたしますと答えておるわけです、私は。もし火がついたらマンションごと爆発いたしますよと、私はそう言っているんです。無責任な発言をしているわけじゃないんです。それがけさの新聞に報道されておるじゃありませんか。一室の爆発は全部を爆発しておる。これは随所に起こり得ることでありますが、それは、この高いレベルにある日本人がそれだけのことを理解されないはずはないんです。ですから私は言っておるんです、戦前と違うんですと、各国とも違うんですと。各国は少なくとも税は日本の倍になっているんですと。その中でもってうんと大きな国防費を持っていますと。日本は国防費は少ないじゃありませんか。まだ多いという議論もありますが、国民総生産に比べても比ぶべくもないほど低いじゃありませんかと、しかも国民総生産の一〇%余の輸出力がありますと、いまその輸出を押えるというものは貿管令以外にはありません。しかし、今度の法律をつくっていただければ、必要ならば、アメリカの大統領が物価抑制のために輸出の抑制をある時期やったように、やれるはずなんです。やれば品物が、石油がたとえ一〇%、一五%、三〇%削減されても国民生活に直接必要な品物を提供できないはずはないわけであります。それで緊急輸入もやります、その緊急輸入に耐えられるだけの外貨の蓄積はございますと、こう言っているわけでございますから、国民の理解を得なきゃならぬ。これは全く総動員法があって何でもできるような、いま政府の権能じゃないわけです。国民がそういうふうな状態を認識して理解をしてもらうところに政策効果があがるという政治体制でございますから、やはりこれは与野党も、政府も、そういう別なく、こういう問題に対してはやっぱり国民の理解を得るような状態で御協力をいただく以外には政策効果をあげられないということはひとつ理解していただきたい。
○上田哲君 私はちょっと気になるのですがね。国民が理解しろ国民が理解しろと言われるんだが、国民は理解していますよ。理解ということばは正確でないが、国民はじりとがまんしていますよ。これだけカットされ、夜が暗くなり、冷たくなり、正月に向かってほんとうに不安がありながら、とにかくまだ政府に対して期待をつなぐという意味で、じっとがまんしていますよ。国民はいま理解をしていると思いませんか。
○国務大臣(田中角榮君) 理解していると思っています。理解し、がまんをしていただいていると思っておりますが、政府が根拠法を与えられ、政府がもっとより合理的な調整権が発動できるまでの間、特に御自重いただきたいという気持ちは切であります。
○上田哲君 国民の理解ということばを使ったらたぶん正確でないと思うのでありますが、じっとがまんをしながら最後のかたずをのんでいるという感じだろうと思うのです。私、は国民の実感からすれば、もうあすだ、あさってではない、きょうこの事態を解決するのでなければ政治の存在理由があるかというぐらいの、もう怒りの沸騰点まで来ているだろうという気持ちを持つんですけれども、しかし、政策次元の努力としては、おっしゃるように、春なら春、これはおそらく国民がなおこらえている気持ちの中で田中政府に与える最後の政策のチャンスじゃないか。ここでひとつ、この異常な騰勢を処理をしてもらわなければならないということだという意味合いをしっかり御理解をいただきたいと思うのであります。 そこで、くどいようですけれども、憂慮すべき事態というのは、まだあとがあるということばを意味しているわけですが、その最悪の事態、そうあってはならないはずの事態というのはどういう事態をさしているわけですか。
○国務大臣(田中角榮君) 憂慮すべき事態というのは、病気でも何でもそうでございますが、一朝誤るとたいへんだということを憂慮すべき事態と、こう言うわけでございまして、とにかく施策を必要とし、適切な対策を必要とするという事態である、こういう認識でございます。そういう意味で緊急二法というようなものをいま御審議いただいているわけでございます。憂慮すべき事態、いまよりももっと悪くなるというおそれはないのか、これはないとは言えません。いま、南シナ海には、エカフェが調査で発表いたしましたように、中東の全石油以上の石油が存在するということが確認されております。おりますが、中国、台湾、それから韓国、日本、こういう問題で実際的採掘はできないという状態になっております。とにかく、シベリア開発に対しても話は進み、基本的合意には達しております。ちょうど、シベリアのチュメニ油田から送られるものというのが当初二千五百万キロリットルないし四千万キロリットルでございますから、これが現実化しておれば、ちょうど今度の削減に見合うくらいの額になるわけですが、これはいまの間に合いません。しかし、その後、イラクとかインドネシアとか、インドネシアでもこの間、年間七百五十万トン、石油に換算すれば約一千万トンの液化ガスの輸入に仮調印をしておるわけでございますが、そういういろいろな問題があっても、なかなかいますぐの場には間に合わぬわけでございます。そういうときに、いまの一六%削減が二〇%になり、一月は三〇%削減になるというようなことがもし起こりせば、いまよりももっとたいへんな事態であるということは、これは言い得るわけでございます。 しかし、いまは急激に来たものでございますから、だから、在庫や流通経路にはあるものであっても、なかなかこれがすなおに流れない。ちょうど遊水池には水はございますが、下流には河川維持の水さえ流れておらぬという場合もあり得るわけでございます。だから、そういうような状態の混乱であれば、それは正常な経路に直すべく、いま二法案の立法をお願いし、立法ができない限りにおいては行政指導という名において民間の要請、協力を求めておるわけでございます。ですから、これから二法案を通していただいて、政府もそれだけ――いままでは法律がない、法律権限のないものが行政権を発動してやっておるわけですから、今度法律を与えられた限り、いまよりももっと政府の責任が重くなることは事実であります。これだけの臨時立法、これだけの処置を直ちにとれるような法的根拠を与えたにもかかわらず、いまだに正常にならぬじゃないかということになれば御叱責を受けるわけでございますが、少なくともいまよりも強力な調整権能が行なわれることは事実でございます。でありますから、これから五%とか一〇%削減というものがあったとしても、それよりも少ない削減のいまよりも必ずしも社会が混乱するということは、数字的には、現実にはならぬかとも思いますが、しかし、数字的に見れば一〇%でこのくらい混乱をし、一五%でこのくらい混乱し、二〇%、三〇%になればもっと国民生活が逼迫するだろうということは、これは言い得るわけでございますが、そうなればそれだけ選別的なものになり、国民生活優先というウエートが強く分類されるということになりますので、あるものは相当制限を受けるかもしれません、レジャー関係その他。しかし、国民生活に絶対不可欠のものというものに対しては、いまよりもより確実に供給が約束されるという事態も起こるわけでございますから、これは一様には言えないわけでございますが、まあそういうことにならないように、外交努力その他あらゆる立場で努力をいたしておるわけであります。
○上田哲君 ちょっとかみ合わずに困っておるんですが、私は石油の話だけをしているつもりはないのです。だから、石油あるいは二法の話に、統制立法をつくればどれぐらい有効であるかどうかという問題に話を持っていかずに、いまの異常物価の問題を議論をしていただきたいと思うんです。私は、そういう意味で言えば、石油パニックというのは一つの口実にすらなっていると言ってもいいと思いますから、この話はまた議論をいたしますけれども、お伺いしたいことは、憂慮すべきとおっしゃるわけですから、ことばにこだわっているわけではありませんが、そうなってしまってはならない最悪の事態というのはどういう事態かということを具体的に聞いているわけですが、たとえば……。
○国務大臣(田中角榮君) それは、国民がもうどうにもならないというようなことを予想して、すべて買い出動に出られれば、いまよりもうんと悪い状態になることは当然であります。いますべて石油から起こっているのです。石油が削減されるために電力が削減される、電力が削減されれば生産力が削減される、生産力が削減されれば供給力が落ちる、供給力が落ちれば値が上がると、こういう五段論法なんです。現在あるんです、品物は全部。四十八年度には百億ドル以上もよけいに物が入っておるじゃありませんか。あるんですよ、いまは。現時点はあるんです。石油はもう五十何日分はありますし、フル稼働をしてもあるんです。しかし、それが削減をされておりますから、電力は一〇%削減をしなきゃならない。一〇%だけではあぶないから一五%削減をしなきゃなりませんと、こういうことでやっておるわけです。すべてこれは石油がもとになっているんです。ですから、石油が確保されれば国民は安心しますから、そこらはもうめんどうな問題は、一応現状としては回避できている。しかし、そんなものはいつまで続くと思えないということで、今度は政策的に、構造的にいろんなものを年次計画をもってこれに対応するような長期的な政策を進めていくという二段階に移るわけです。 いま石油の削減という、削減されて品物がなくなるのは何カ月後なんですが、しかし、現実的にはそういう不安感が消費購買力につながっておる。ちょうど国民の手元には金はあります。現実問題として、家にはならぬが車は買うだけのものはあるんです。車にはならないがクーラーを買うだけのものはあるんです。クーラーを買えなくともカラーテレビを買えるものはあるんです。カラーテレビを買えなくともデパートへ行って一万円札で物を買うだけのいま購買力はあるわけであります。ですから、先ほど申し上げた百十五兆円のうち六十兆円が個人消費であるという数字が示しておるじゃありませんか。ですから、それは供給が確実になるという保証があれば、何もトイレットペーパーや洗剤を買いだめる必要はありませんし、砂糖も塩も買い集める必要はないわけです。そうすれば、デパートが毎日毎日、安い品物でも、毎日のように、いままで店頭に飾っておる品物は同じものであっても正札が毎日変わる、変わっても売れ行きは全然落ちないという状態は現実であります。だから、それは不安から来ているのでありますから、その不安を除去するためになさなければならないというのが一つであります。 もう一つは、これはとにかく三兆円ともいわれ、五兆円ともいわれますが、私は、少なくとも四十六年の四月一日の状態から年率一五%ずつ伸びてきた日銀券が、二六%ないし二七・七%まで伸びた現実から見ますと、新しい金融の供給はとめられておりますが、すでに貸し出されてしまったものはそのまま塩づけになっておって、金融の状態全体から見ますと、金繰りは非常に苦しいけれども、手持ちの土地やなにかを売り出すような状態になっていない。私は企業別の資料を持っています。ですから、この金融は締めていくということになっているんです。だから、新聞にもちゃんと報道されているじゃありませんか。金融はもっと締める。日銀総裁も相当程度締めてまいりました。これが大ざっぱに言って、四十六年の四月一日、五十億ドルの外貨準備の当時まで引き締められれば、これはもう相当な引き締めになることは事実でございます。しかも、それから経済は実質的にも成長しているんですから、六%、六%で一二%成長しておりますから、その部分を足した部分でもって一五%プラス二・五%なら二・五%で日銀券の流通は一七・五%増しである。対前年度ではなく、四十六年四月一日から一五%、それを基準にして一七・五%の正常値まで戻るならば、購買力は落ちるにきまっておるじゃありませんか。ですから、そうなれば、少なくとも二六であります。今月は二六であります。二六から一〇台に落とすには、月に一%ずつ日銀券の発行高が落ちていかなければならぬわけじゃありませんか。 そういうためにはどうするかということは、まあいろいろ新聞には議論されております。財政当局でも金融当局でもちゃんと研究していると思います。残るのは何かというと、政府や地方公共団体がやっておる公共事業とか予算の執行である。予算の中には、御承知のとおり、社会保障と人件費と公共事業の三つがありますから。人件費はとめるわけにはいきません。今度の補正予算を見ればわかるんです。五千億は人件費じゃありませんか。だから、人件費はとめられません。それで、社会保障はこの中においてこそ残さなければいかぬ。そうすれば、公共投資その他を縮める以外にないということで、総需要の抑制――公共投資は厳に抑制します、現実的に八%繰り延べておって、来年度の予算は厳に抑制しますというのだから。政府がやり得るものはオールマイティじゃないんです。これは、政府は国民とともにやらなければならぬことでございまして、国会の支持も得ながら、国民の理解と共感を得ながらでなければ、政府は、とにかくすべてのものを国有化して、すべてのものを切符でもって配給できるような日本は経済体質になっておりませんから、そういう意味ではとにかく法律を与えていただいて、政府は可能な限り最大の努力をいたします、こう言っておるんですが、国民が六十兆円、七十兆円のボーナスや給与をふところにされて、これを使いなさんなと言ったって、これを使わさぬ法律はないんです。それじゃ、あとまあ所得政策をやるか、そうでなければ国民が買えないようにうんと高い消費税をかけるかということで、そんなことはできるわけがありません。ですから、所得政策はやりません。大いなる国民の消費をとめるような政策もやりません、こう言っているんですから。ですから、そういうことに対しては、政府は明確に言っておるんですな。現実、実情を国民に明らかにして、共感、協力を求める以外に政策メリットを追求するわけにはいかないんだという政府の立場をひとつ理解していただきたい。
○上田哲君 総理、私は五段論法を聞いているんじゃないんです。憂慮すべき事態だと言われる。個人消費を目のかたきにされるけれども、日銀総裁が心配されたにもかかわらず、たくさんの年末手当をもらったサラリーマンが、実際には使わずに、びくびくしながらこの時の流れを見ていますよ。国民がじっといま見詰めている段階なんです。私が聞きたいのは、そういう国民に向かって、政府の施策がもたらすものとして、憂慮すべき事態だと言われる総理が、最悪の事態、困った事態、許されない事態をどういう事態だと想定されておられるのかと。具体的に聞かなきゃいけないんでしょうから、たとえば……。
○国務大臣(田中角榮君) 無理ですよ、そんな話。
○上田哲君 無理じゃありませんよ、具体的に伺いますから。たとえばユナイテッドステーツ・ニューズ・アンド・ワールド・リポートが明らかにしておりますね。世界の四十六主要都市の物価の一カ月分の生活費をとってみた、実態をとってみた、二位のストックホルムにうんと差をつけて、ずば抜けて東京が第一位です。阪神が第四位です。これはたいへん最悪の事態だと思いませんか。
○国務大臣(田中角榮君) それは国際的にも指摘をされておることでございますから、決して否定いたしません。しかし、日本の東京や京阪神の過密状態も世界で最高なんです。しかも、日本のこの二、三年の給与の急速な上昇、国民消費の上昇、偏重度も世界で最高なんです。そういうお互いに歴史はみな違うわけであります。蓄積のある西欧先進国と、敗戦の中から今日まで、まず働く職場を得る、輸出力をつけなければならない、完全雇用にするんだということを前提にしてきて今日を築いてきたものとは違うじゃありませんか。この中に一言も、全部――生まれたとき同じ状態から出ているんじゃありません。全部違う、過程の状況もみな違うんです。影響するものは全部違いますよ。ですから、少なくともいまの状態を続けてはいけないので、これをノーマルな状態にしなければならぬ。ノーマルな状態とは何かと言うから、それは蓄積のない日本でありますから、ですから蓄積のある西欧先進国と同じようなことを望むことは、これはたいへん無理はございますが、しかし、生活環境の整備とか、社会保障の拡充とか、なさなければならないものは既定計画を変えないでやってまいります。その中で、なお国民の消費を堅調にしてもらったり、そういう協力を得ながら安定的なものにしていきたいと思います。その安定のめどはどういうことかと言うから、それはもう日本が同じ数値でもってはかることは無理な状態でありますが、しかし、先進工業十カ国という中に日本も入っているわけでありますから、その十カ国から日本を除いた九カ国の平均という数字の中に日本のあらゆる指数がおさまればノーマルな状態になったと評価されると思います。ですから、そういうものを一つの基準としながら最善の努力を傾けてまいりますと、こう言っておるんでございますから、これはもう上を見れば限りなし、下を見れば限りなしということで、これはどのような状態に一もっともっと悪くなるということを想定することは、これはもう政治の責任を果たすゆえんではありません。だから、現状よりもよくなるようなそういう状態を目ざして努力を続けておるということを理解いただきたい。
○上田哲君 東京の物価が世界一高いというのは、過密のせいだということにどうも短絡されるようでありますけれども、二位のストックホルムは過密のせいだとは思いません。少なくともこの東京に住んでいる人が世界で一番高い物価の中で、ずば抜けた物価の中で生活をしているということが政治にとって一番好ましくないことだということはお認めになるでしょう。
○国務大臣(田中角榮君) 外国の物価の状態と日本の物価の状態とはまた違うんです。内容を見てみればすぐわかるんです。これは先ほども申し上げましたとおり、外国の物価の値上がりの寄与率を見てみますと、日本の内容とは違います。きのうも申し上げましたとおり、日本は消費者物価一四%を対象にしてみても、その中で占める比率というものはガスとか生活必需物資、必需的なものはマイナス要因にさえ働いておりますが、その他小間物とか、教育費とか、それから衣服費とか、だからデパートが繁盛するわけでございますが、衣服費とか、それから娯楽費とか、そういう相当部分が内容的には全く違うんです。ですから、一次産業比率と二次産業比率と三次産業比率が動くと物価の移動する内容も変わってまいります。ですから、まあ日本の東京というものが物価が非常に高いという事実はわかります。事実はわかりますが、これが恒常的なもの、生活必需品が絶対量が不足をしており、生産が全くこれに伴わないスタグフレーション的なものであるかないかと言えば、これはもう外国とは違うわけであります。ただ、十カ年平均の卸売り物価が一・三%高い、十カ国の平均の半分ぐらいなわけでありますが、このようなものが急速に去年の九月から上がっておる。これにちょうど平仄の合うものは、そのころから急速に日銀券の流通が活発になっております。これは確実に通貨量は急激にふえておるわけであります。ですから、そういうものは国民の消費というものの質が変わってきたのか、やはりこういうものは蓄積をしておかなければいかぬという堅実な行動のあらわれになるのか、これはいろいろな見方はございますが、いずれにしても、東京が世界で最高だと言われることは望ましいことじゃございませんので、これはもうこれを押えていくために努力をしなければならない。これはできれば各国の内容の比較を全部したいと思うのです。いままで日本はやっぱり子供は五人おっても大学は一人しか出さないというような、全部出さなければならぬというと教育代が上がります。そういう質の転化もあります。そういうものも非常にございますので、いままでつけものであったものが施設野菜になり、ビニール栽培の野菜になっていくというような質の転化があるのです。そういうものはひとつこまかく私は一月の通常国会には御説明ができれば、国会に説明だけではなく、国民自体にいわば判断を求めるような資料を出さなければならぬと思いますが、いずれにしても世界の都市で一番高い、これは名誉な話じゃございませんから、これを引き下げる、ノーマルなものにするということに対しては全力を傾けるということで理解をいただきたい。
○上田哲君 ようやくお認めを願ったので、そこはそれで先に進みますけれども、お話の中に、これはよくないけれども、悪くならないように、いいほうにというふうにおっしゃるのです。ところが、国民経済研究協会が発表した数字では、相当な抑制策をとるとして、それを前提として一-三月には卸売り物価で三〇%、消費者物価で二三%は避けられぬだろう、この見通しはどうですか。
○国務大臣(田中角榮君) それは非常にむずかしい問題であります。これはさっき一番初めに申し上げましたように、日本の経済が非常に大規模になっておる、社会の密度が非常に高密度になっておる。ですから、新幹線で走ってきた車を急ブレーキかけても三百メートルから千メートル走るわけであります。これは時速三十キロで走っておるもの、時速六十キロで走っておるもの、九十キロで走っておるもの、百五十キロ、二百キロ、二百五十キロパワーで走っておるものは、これは惰性でもってとめることはなかなかむずかしい。ですから、急速に引き締め政策をやってもある程度時間がかかりますというのはこれは申し上げたとおりなんです。これは慣性の理屈がございますから、走ろうとしているのを急激にとめればひっくり返っちゃう。ひっくり返れば憂慮すべき段階などというのではなく破局的段階、こういうことになるわけでございますから、そんなことになってはいかぬということで、ここで引き締め政策――法律が与えられない現状においても最大の行政力を発揮して国民の協力を得ておるというのでありますから、これは引き締め政策をいまやっておって十二月末にどうきく、それから三月三十一日にどうきく、六月にどうきくということは、これは引き締めの度合いによって、われわれで動くわけでありますから、どうしても幾ら引き締めてもここまではいってもこの程度ですよと、しかし、そのまま破局的になり、コストインフレになり、スタグフレーションになると、スタグフレーションにしてはいかぬ、スタグフレーションにならぬという保証はない。スタグフレーションには日本はならないけれども、三月末にはまださっきあなたが言ったようなこういう高い数字ですよという警戒的な数字がいろいろ発表されておることは私も承知しております。私も毎晩経済雑誌を読んでいるわけですから承知をしておりますが、しかし、そうならないように、それよりも低くするように、もっともっと低くするように、いま予算編成中でもございますし、いま四十八年度予算執行中でありますから、そういう意味においては、いま努力を重ねてまいるということであります。
○上田哲君 先ほど勝負は春までだという話もありました。その春に三〇、二三というような事態になっては絶対に困るわけですね。
○国務大臣(田中角榮君) それはそうなったら困りますから、やらないように何とかやりたい、こう思っております。 先ほど言いましたとおり、私たちが考えるよりも日本の経済力の基盤というものは強くて、政府のブレーキがきかないということがないとも言えません。ないとも言えませんが、私は、国民の協力姿勢というものがすべてを律するわけであります、これは。これは工事を進めていっても、とにかく金は支払うのを待ってくれよと、待てませんと、では手形でございますと。手形の金利だけ損する気持ちでもってほんとうに手形を払ったら、手形は割れませんから、選別融資をやっているのですから、そうなれば一ぺんに締まっていくということは、これはもういろいろな方法があるわけです。これはもういろんな方法があります。現在やっているものに対して何月何日支払う、現金で支払うという気持ちがなければとにかく手形で払えばいいんですから手形で払う。現金で払うと言っておっても、払うつもりだったがなかったと。しかし、私はそういうことを慫慂しておるわけではございませんが、そのぐらい国民の皆さんがほんとうに政府と一体となって――政府はだれのものでもないのです、国民の権利を代行しているのです。代議政治じゃございませんか。そういう意味で、人のものがころんだようにわれわれは考えていませんよ。ほんとうに政府がなさなきゃならぬ責任は感じておりますが、国民の協力がなければいかに政府が一あらゆるものを、すべての国民生活を律するということはできるだけ避けたいのです。できるだけ国民の理解と協力によって社会が正常な状態で運営されることこそ望んでおるわけであります。しかし、政府は責任を果たさなきゃならぬ。そのためには憎まれようが何しようが国民の利益を守るためにはなすべきことはやらなきゃいかぬ。それで法律をお願いしておるわけですから、これはもう三〇%、五〇%というようなそういう数字になっちゃいかぬということでいまやっていますから、これはもう全力をあげます。御協力をお願いいたします。
○上田哲君 総理のおことばの中には、まず第一に出てくるのは、まず国民だと……。
○国務大臣(田中角榮君) 国民なんだから……、憲法がすべてですよ。
○上田哲君 いやいや、それじゃ困るんですな。国民がこちらを向いてくれなければ、国民がまずやってくれなければ……。国民が一体何ができますか。いまひたすら政府に向かって、あるいは相当大きな統制授権になるのではないかとしても、野党もいまこの二法案について鋭意対案も出しながら審議を進めておるわけですよ。相当あぶない橋を渡ってでも、とにかく目の前の火を消さなきゃならぬということをじっと見詰めている国民は、これ以上の協力はあり得ませんよ。ボーナスだってそんなに使っちゃいませんよ、数字が明らかじゃありませんか。そういう中で、いま私たちは政府が率先垂範、何をしてくれるのかということを問うのがこれは国民の全体の声だと思う。ところが、総理から出てくるのは、国民だ、国民だとおっしゃる。二〇、六〇の問題ではないと思うのです。 そこで、お伺いをしたい。経済問題に対して政府の責任をかけて努力をするんだと言われる。きのう来そのことは一服の清涼剤と受け取ってもいい。責任政治のあり方だと受け取ってもいい。いまここで明らかになっているのは、勝負は春だと、そして三〇、二三などという状態にしてはならぬ。国民の協力もけっこうだが、そのために政府は責任をかけて努力をすると、こういうお約束をしていただけますね。
○国務大臣(田中角榮君) 全力を傾けてやります。
○上田哲君 くどいようですが、総理の最大の政治責任をかけておやりになるということと受け取ってよろしいですか。
○国務大臣(田中角榮君) 自由民主党内閣は、全精力を傾けてこの難局に対処し、国民が安心してやっていただけるように努力をいたします。
○上田哲君 そこで、総理は昨日の委員会でもこれまでの経済政策について反省を持っておるという表現をされました。その言やよしと思うのであります。具体的な反省の中から、責任をかけていく具体的な有効な施策も生まれるべきだと思うので、それをひとつ国民の前にお聞かせをいただきたいと思うのであります。いろいろ先ほど来御説明があるのですけれども、先ほどの四十六主要都市の例でもそうでありますし、OECDが指摘した数字も同じような趨勢を示しております。インフレということばをお使いにならないわけですけれども、いずれにしても、この憂慮すべき物価高、これを諸外国のインフレと区別されるのは何か違った特質がある、違った部分があるというふうにお考えなわけですか。
○国務大臣(田中角榮君) まあ、違ったことはあります、確かに。お互いの間はみな違いますように、これは幾ばくかの違いはみんなありますが、日本としての違い方というのはこれはございます、とにかく世界にない現象が起こっておりますから。都市に対して人口が集まるというのはこれは歴史的な事実であり、世界的な趨勢でありますし、これからもまだとどまるところを知らないということだと思います。まあ社会保障などが拡充されれば都市に集まる。これは社会主義国でも共通の悩みであります。ですから、中国においては、世界最大の上海が四十五万ないし五十万ずつ一年間に地方に分散を強制的にやっておるという事実、それからソ連においても、一人もモスコーの人口をふやさないという非常に強い規制――まあ日本はまだそういうことではなく、国民の意思によって流入が許される、認められておるということでありますから、都市に集まってくる。都市に集まればやっぱり三次産業とか比率がどうしても高くなる。高くなればこれは流通経費が高くなりますから、消費者物価に影響を与えるということはこれは避けがたい法則でございます。まあそういうような状態が続いておりますが、その過密というものの速度は日本がやっぱり一番大きい。日本、特に東京、大阪、名古屋、県庁の所在地と、これはもう数字が明らかに示しておるとおりでございます。 で、もう一つは、車が非常に、モータリゼーションというようなことばに当てはまらぬほど車が多くなっておる。昭和二十八年、道路三法を制定しましたときには百三十万台でございましたが、それが去年国会で説明しておるときには、今年度中には二千万台をこすかもしれませんと、こう述べておったわけでございますが、もう八月の三十一日に二千五百万台をこしており、このままに推移せんか、来年一ぱいには三千万台をこすということでございます。そういうような状態によって石油の消費量というものは加速度的に大きくなってるということであります。まあ昭和九年から十一年の平均をとってみますと、物価は相当上がっておりますが、タクシーの運賃などはものすごく上がってるわけです。それはまああなたも私も大体年代は同じですが、これは銀座と横浜の間が当時は一円で行けたものが、いまですと六千円ぐらいかかるわけでございますから、一円が六千円というと六千倍であります。それでもなおタクシーはどうにもならない、もっと五〇%の値上げをするのだということがいま報道されておりますから、ここらは異常であるということは事実でございます。それでもなおタクシーは国民の要請にこたえられないということもございますから、いろいろな問題あります。賃金もまあ少しはよくなっておりますが、少なくともこの主要工業国に比べてのこの二、三年来、四十六年、七年、八年の賃金上昇率というものは、これはもう世界で約倍ぐらいになっておるということも事実であります。まあいろいろな面がございます。 それでまた、国民の消費の態様の中も全く変わっております、質的に。先ほど言ったように、子供は全部大学を出すのだと。それが高校の進学率、高校から大学への進学率というものとなっておりますし、三次産業比率が急速に上がったこのテンポというものは、もう主要工業国とは比べものにならないほどのテンポであります。北海道というあの地域が三次産業比率が五三%である、この事実は世界に例がないような事実であります。これはもう北海道といえばいまのオーストラリアというようなものがすぐ連想されるわけですが、この一次、二次、三次産業比率の移動の年次的な経過を見ますと、異常な状態でもう大きくなってるというような問題、いろいろありますが、これはだから、勉強の過程において政府にも資料がございますので、これはひとつ国民の勉強の課題として、私はやはりどういうところをお互いが一年延ばせばいいんだなあと――これはもう住宅が必要なものを半建ちにしておくわけにいきませんから。しかし、住宅は一年間でやるものを一年半でやっても、車はまあガソリンがこんなになり、自動車トン税が上がるなら車を買うのは来年に延ばそうと、こういう判断ができるような資料というものをもっと早く政府は提供すべきだったと思います。 そういう問題に対しては、諸外国と比べるとこんなにも変わってるのかと。それなら十九兆五千億円の膨大もない投資を、何でこんな大きくするのだというような投資をしておる道路計画、これをやったって、東京都へ入ってくる車の台数がふえますから、一時間の走行距離はもうぐんぐんと減っていっている。それが全部コストアップにつながっていくんだという数字がよくわかるわけであります。これは新聞社がもうオートバイ以外は一切使えないという状態になっておる。だから、あれもやめてテレックスにしなきゃいかぬ、こういうような状態になっておることを、事実をもって私は参考的な資料は提供したいと、こう思いますが、違いは相当ございます。
○上田哲君 総理が言われる違いもわかりますよ。確かにこの十五年ほど民族の大移動というほどの大きな動きも出ているわけですし、さまざまな差異もあると思います。私は今国会だけでも総理の御答弁をずっとトレースしながら、しかしその中で非常に大きな差異だと思うのは、今日の異常物価高という姿の要因を、総理は第一に海外要因を非常に強くあげられるわけですけれども、私はやっぱりまさに田中内閣の政策的要因、つまり政策的インフレの結果という部分を強く指摘しなきゃならぬと思うんです。 私は念のためにここに表をつくってみたんです。これはいまでもないわけですけれども、これは四十七年からとりあえず四十八年三月までですが、四十七年七月、田中内閣が発足をしたときです。三十年から三十五年まで消費者物価が安定していた。三十六年から数%の高騰を示し出した。四十七年まで卸売り物価が動かなかった。これが田中内閣の発足をした翌月から動き始めて、四十七年十月には初めて卸売り物価が消費者物価を抜いて今日その趨勢は変わらない。この状態がずっと続いている。特に十一月にはそれまで〇・一、〇・六、〇・七ときたものが一・五に上がる。一・五%超というのは三十一年の九月以来のことですね。これがずっと続き始めてしまっているという、この激しい、まあ言ってみれば卸売り物価先行型インフレ、こういう性格が今日の異常物価高のキャラクターだと私は思うんです。(資料を示す)ここに向かって赤い色をつけてみたり、青い色をつけてみたりしたのは、つまりそれに対して財政、金融、産業政策、あるいは列島改造に至るまで、赤いのはつまりアクセルです。刺激効果です。この水色は、言ってみればブレーキをかける方途でありましょうけれども、これがこんなにおくれていて、一斉に赤い力がこの物価の騰勢を押し上げているというのが歴然とこれは出てきましたよ。ゆうべ一生懸命つくってみたら、たいへん私はみごとにこれは出てきたという感じがするんですけれども、こういう田中内閣発足以来、日本経済には見られなかった非常に特徴的な卸売り物価先行型異常物価騰勢が出てきたということの原因を総理は何だとお考えになりますか。
○国務大臣(田中角榮君) 四十五年は消費者物価七・一%、卸売り物価が二・三%でございまして、これは十年間一・三%で来たものがもうここで四十五年で倍になっているのです。四十六年は消費者物価が五・七%、四十七年が五・二%、四十八年の一月が六・二%、二月が六・七%、三月が八・四%、四月が九・四%、五月が一〇・九%、六月が一一・一%、七月が一一・九%、八月が一二%、九月が一四・六%、十月が一四・二%と、この趨勢はずうっと続いておるラインでございます。 この要因はどういうことになっておるかといいますと、四十五年には卸売り物価の指数で見ますと非常によくわかるのですが二・三%で、一・三%からもうすでに六割上がっているわけです。それから四十六年は不況期であるためにマイナスでありまして、〇・八%、四十七年は三・二%でちょうど倍以上、三倍になったわけです。四十八年一月には七・六、二月には九・二、三月には一一・〇、四月には一一・四、五月は一二・三、六月は一三・六、七月は一五・七、八月は一七・四、九月は一八・七、十月が二〇・三と上がっているわけです。これはそのとおり輸入物価が上がっているのです。全資源を海外の依存に仰がなければならないということですから――賃金も上がっておりますがね、賃金コストは私は計算は申し上げません。申し上げませんがね、輸入物価が上がっていることは事実なんですよ。四十五年の物価の二・三%という一%上がったときには、輸入物価の寄与率は二・四%しか上がってないのです。四十六年のマイナスのときには輸入物価も一・四とマイナスなんです。四十八年の一月から一二・九、一一・五、一三・一、一一・七、一四・一、そうして六月から一八・四、七月には二四・〇、八月には二七・四、九月には二五・五、十月には二五・三、この数字に、輸入物価に少し季節調整値を入れますと卸売り物価の上昇率とぴしゃっと合うんです。これは私は何も観念論を述べているわけじゃありません。総理府の統計局の数字でありますから、これは間違いのない数字でございます。 これに対して付加されるものば何かというと、ここに私ずうっと四十一年一月から書いてございますが、外為会計の払い超がございます。外為会計の払い超がございます。それで中小企業のものが現在も続いておるわけでございます。現在の状態を見ますとですな、とにかく都銀などは七-九の状態を見ましても、都銀の七千七百七十五億円は一兆一千八百九十二億円にしかなっておらないものが、中小企業は七-九でもって四千三百八十一億円が一兆三千九百二億円、一兆円よけい出ているわけです。これは当然のことであります、中小企業対策としては。農協資金が二千九百二十五億円が九千九十一億円ふえている。一体、財政はどうかというと、財政は対前年度比二兆円以上上げているわけでございます。ですから、四十六年から四十七年八月に貸し付けたものがそのまま焦げついておる。この間から五、六十億ドルずうっと出ておりますから、そういうものが上げておるわけです。上げておりますが、まだピーク時から見ますと、実際は残留しておるものがある。これは手元流動性ということではありませんが、品物として残っておる。金繰りは苦しいけれども、現実的に物を売り出すような状態になっていないというのは数字的に非常に明らかなんです。ですから、観念的な問題で物価が上がっているという要因は非常に数字的には少ない、これはやっぱり要因は相当厳密に皆さんの前に明らかにできる、こう思います。 なお、百十五兆円のうち六十兆円の国民消費が、どのぐらい物価に寄与しているかという数字が必要なら申し上げます。
○上田哲君 そこのところを総理は強調されたいわけでありましょう。私は海外要因が大きな力を押し上げているということを否定しているわけではありません。そういう形で出てきた卸売り物価の異常な高騰というものに対して、じゃ国内の政策はどうしたかということが問題なわけですよ。国内の政策は結局たとえば金融緩和政策をそのまま継続をした。これは確かに田中内閣の前の佐藤内閣からの継続でありますから、あなたが総理大臣になった翌月から上がったことを全部その内閣の責任だと言うつもりはありませんけれども、しかしその継続をそのまま受け取られたということは明らかであります。 四十七年六月の引き上げ以来、七月に長期の引き下げをやる、それから産業政策では不況カルテルを六カ月、十二月まで延長をする、あるいはエチレンの休戦合意をする、こういう一連の動きが今日の品不足、原料高という結果を招いた。現に鉄鋼の四十七年度下期の利益は一年前の十・六倍である。こういう非常に大きな、不健康な開きになっているという結果は、ここから、つまり外部要因でないここから出てきたということはお認めになるでしょう。
○国務大臣(田中角榮君) それも原因の一部であるということは認めております。認めておりますが、やっぱり原材料の高騰は海外輸入物価が非常に大きく寄与しておるということだけは、これは事実であります。これは卸売り物価に寄与しておる寄与率を申し述べますと、十一月の卸売り物価に寄与しておる海外物価高要因は四六%でございますから、これはもう約半分であるということで、これは世界的にもそうですから、これは主要工業国全部大体賃金アップによるところのコストアップがどうだとかという計算をみんなしておりますが、賃金の分はそんなに大きくないんです。それだけコンベヤー化し、合理化が進んでおりますから、ぎりぎり一ぱいのところではありますが、それがうんと押し上げの要因にはなってない。これはやはりドルから来た、ドルの切り下げ、それから国際流動性の不安というような問題を契機にして、いままでは安くとも出さなければならない資源保有国のドル保有高が非常に大きくなったということで、強くなったということは事実であります。アラブの石油を見ても、千億ドル近いドルを持っておれば一年や二年は石油を売らなくてもいいんだということを書いておる人もございますが、それはやはり世界的に見て五〇%程度は海外要因であるということは、これはもう事実でございます。ただ、不況カルテルなどというものは延ばさぬでもよかったじゃないかとか、不況カルテル事態のときには、たまには上がるんだからうんと下がってもいいじゃないか、よかったんじゃないか――鉄鋼会社が全部無配を二、三年続けてみてよかったじゃないかということも、それは一つの考え方としては言えますが、鉄鋼は春闘の先駆相場であるということになると、鉄鋼が無配になると、これは労働賃金を、その意味において全部政府が横を見ながら実際は所得政策をやっておったということになっちゃ、これは勤労者が国民の七〇%もおるんですから、そういう政治はとれないんですよ。ですから、そういうところにとつおいついろいろな配慮があったということもひとつお考えいただきたい。ただ、不況カルテルなど延ばしたということはあまりりこうじゃなかったなということは、もうすなおに認めます。
○上田哲君 お認めいただいたから、そこは差し違えますけれども――差し違えますけれども、鉄鋼の春闘の一番バッターのためだったなんていう話は、これはもう全然受け取れないところでありまして、総理は組閣早々、やっぱり国際収支が一番頭にあったわけですから、解散はどうしても避けたい、まずどうしても円の再切り上げに対するしっかりした施策をとりたいということをしきりに言われておった。その言い方はいいにしても、また、いま言われるように海外要因というものの大きさを私は認めないわけでは全然ないわけです。しかし、現実に、たとえばいまのような国内施策のあり方というものが、実は逆の方向を向いてしまった、別な言い方をするならば、国際収支のバランスをはかるために、物価問題をやっぱり第二義的にしてしまった。そもそもが、四十七年度予算が十一兆四千七百億円というのが、これはもうそういう不況対策予算だったはずですから、そういう立場からするならば、この方向というのはやっぱり――海外要因の議論はいいです、それは認めておきますから。しかし、国内施策の問題としては、そのとき方向転換をすべき反省点はあったのではないか、こういうことは言えるわけですね。
○国務大臣(田中角榮君) 結果論でございますが、病人がとにかく起きた、この病気をなおすためには栄養をやる――これはまあ、医者は基準がございますから、これ以上めしを食わしてはならない、糖尿病なんかをなおすためには千七百五十カロリーということでちゃんときめていますから、千七百五十カロリー以上、ウイスキー一ぱい飲んでも病気は悪くなりますよ、横ばいになりませんよ、それに人間は刻々と年をとっていくわけですから、身体細胞が老化していくということを考えると、少なくとも何%か千七百五十カロリーから下でなければ糖尿病はなおりませんよということは、それはよくわかりますよ。ただ、政治の中では、案外、病気をなおすほうが先なのか、それから病気をなおすために栄養というものは少な目にやるほうがいいのかというと、それは影響がなければいいんですが、栄養をほんとうに病気をなおすために急激にやりますと、日本に世界にはない中小企業、零細企業という非常に特殊な状態がある。輸出の大宗をなしているわけです。大きな需要を出しているといっても、この八〇%は下請企業ですから、直営でやっているものなんて二〇%もないでしょう。そうすれば日本の輸出力の八〇%は中小企業であるといわれているのはそれなのです。それが三〇%の円切り下げに耐え得ないような状態なら、これ、えらいことになってしまうのです。そういうことなんです。四十二億ドルのものを、三年間でもって基礎収支を均衡しますというようなことは、口で言えてもそれはたいへんなんです。やってみたら、三年かかると思ったら一年でできました、ことしは基礎収支も赤字でございますと、こういう状態になって、三年間かかるというのは、ことしは十八億ドルぐらいしか対米貿易の黒字はないと思います。そういう問題もトリレンマの、そういう問題の中に社会保障を伸ばさなければならないということでおったわけでありますから、金融政策をやったときも、税制政策をやったときも、野党の皆さんも、これでほんとうに三〇%の切り下げに耐えられるかという切実な御質問があったことも事実なんですから、そういう意味で、やはり病人にはまず栄養をつける、病気なおったのです、確かに。なおったけれども、肥満児ができたわけであります。それがいまの物価問題でございますから、この肥満児には運動させる、今度は減食を要求したって死ぬわけはありませんからと、こういう政策をとらなければいかぬ。そういう意味から言いますと、四十七年の下期に六千五百億の補正予算を組んだ、これは要らなかったなあということは、これは一般的な問題になっていますから、それはそのまま繰り延べております。繰り延べたことは事実でございます。予算は成立をさしていただきましたが、この部分よりプラスアルファを含めて繰り延べをやっているわけです。それで二四・何%という四十八年度の予算も通していただきましたが、その繰り延べにプラスをして八%以上繰り延べをやっておるわけでございます。まだこれから四十八年度の第四四半期が残っておるわけでございますので、これは民間とも合わせながら、民間に三千平米以上の、とにかくビルをやめてくださいと、そう言えば住宅とかその他でなくても不要不急、一年間くらいずらしても何ともないなあと、何とかなるなあと思うだけでも、三千平米以上といえば、鉄鋼だけで六百万トン、セメントもほぼ六百万トン近くこれは直ちに押えられるわけでございますから、そういうものを世間に要求しているとともに、政府も継続工事の中で、大幅な鉄鋼、セメントその他を使うものは思い切って押えますと、こい言っていま押えているわけであります。で、四十九年度予算の恒久事業というものは将来に希望を持っておっても、年次計画としてはうんと押えまますと、こう言っているわけでございますので、私は予算に対して、石油問題が起こったということで国民の協力も得られると思いますが、なかなか石油問題が起きなかった事態に、ドル問題のときには国民生活や中小企業をつぶさないためにというのが国民の要請でございました。物価問題もさることながら、まずそれが最大だったのです。 それで今度はもう国際収支要因というものはなくなったし、中小企業も何とかやっていけるようになったから、倒産だけは絶対に起こさないようにしなければならない、しかも物価が最優先だ、こういうことになっているので、引き締め政策を行なうには私は国民の協力を得られると思います。ですからいま考えると、先進工業国が、最高イギリスが一二%の公定歩合でやっているときに、こっちが五%から六%、六%から七%に上げたわけです。四・五%から四%までに下げたわけですから、まあ歴史上、金融史上最低まで下げておって、七%はもう最高のタイですから、もう〇・五上げれば最高ですから、七%というのが腰だめではなく、あの当時としては私は常識的な金融政策だったと思います。しかしアメリカが九%とかイギリスが一二%というときに、もう二%も上げておいたほうがいいではないかという議論を私も読んでおりますよ、午前三時半ごろ。そうかなあと、こう思いますけれども、そこらは、日銀法は政府は指定することができるようになっていますがね、総動員法の規定による日銀法ですから政府は何でもやれるようになっていますが、そうではなく、国会は、金融は日銀の自主性にまかすべしだという立場から言うと、私はやはりあのときにまだ中小企業や零細企業の状態を見ておって、九%にも一〇%にも公定歩合を引き上げられるような状態ではなかったろうと思うのです。そういう意味で、まず三兆円ともいわれ、五兆円ともいわれる、すでに両二年度において貸し出された金が凍結をされておるのであって、これを回収しない限り、ほんとうの物価対策にならぬという専門議論を読んでおります、私も。また私も責任の立場にございますから、そういう意味では、大蔵省や日銀ともよく相談をしていただきまして、金融政策に遺憾のないようにしたい。特に、農協資金というのはらち外だったわけです。やっと去年日銀のワクの中に入れたわけですが、しかし、日銀から金を借りておりませんから、支配も受けない。そういう意味では、先ほど言ったように、貸し出しは三倍にも五倍にもふえておると、こういうものを、まあ来年度は、ここでもってそういうことを御指摘になるのなら、農民が直接使う以外に員外貸し出しにあてる金はすべて国債の引き受けをやりなさい、一年間凍結しなさいということになれば、これは金融は締まります。それは理論の上では言えるんですが、なかなか実際に行なうには幾ばくかの調整の日時を要するということでもございますので、そこらはひとつ御理解をいただきたい。
○上田哲君 非常にすなおにお認めになるところがあるのはいいと思いますよ。問題は幾つかありますけれども、やっぱり肥満体、肥満児のお話のたとえで、国際収支を重視することのために、やっぱり物価問題というのは、まあやむを得ない部分として二義的になったということも御確認になったんだと思いますよ。また、海外要因だって、実は日本の物価高が海外物価をせり上げるという要素もあるわけだから、そういうところもめぐりめぐって議論はいろいろあると思うんです。しかし、まあ六千五百億のお話もそちら側から御指摘になるわけですから、そういう流れの中で、もう一つ申し上げたいのは、変動相場制への移行がおそかったんではないか、これはいかがですか。
○国務大臣(田中角榮君) 変動相場制というのは、おそかったという議論もあるし、早かったという議論はまあこのごろなくなりました。しかし、まあ変動相場制に移行すること自体に対しての議論はあったわけでございます。まあ、これは制度上はIMFに通告することでもってすぐ発効するわけでありますから、いますぐでもきめられるわけです。しかし、国際通貨維持、まあ基軸通貨としてのドルを基準にしての問題でございましたので、やっぱり主要工業国というものは一応の話し合いをしなければならないし、その中で、日本は日本独自の地位を守り、国益を守らなければならなかったということでありますので、どうも私も、まあその専門家じゃございません。ございませんから、まあさだかにここで断定するわけにはまいりませんが、国際的に日本が変動相場制に移ったと。固定相場制を目標としながら、変動相場制はある意味で長期にやらざるを得ないという国会における発言は、諸外国では高く評価をされておるということだけは事実なんです、これは。まあ、あのときにはもうすでに二回もマルクの切り上げをやったドイツ、その後まだドイツは日本よりもたいへんな状態になっておりますが、まあそういう面から考えて、時期がよかったか悪かったか、これはもう静かに将来ともあの時点をどう評価されるかということは、当時内閣の責任者でもございますから、そういう意味でひとつ静かに見てまいりたい、こう思います。
○上田哲君 まあ三百八円を固守しようとされたあの当時の総理の表情というのはたいへんなもんだったわけですから、静かにひとつ考えてみてください。反省の材料だと思うんですがね。 そこで、やっぱり静かじゃ困るのは列島改造ですよ。これは個人的論文であるとおっしゃるのだけれども、やはりこういうふうに並べて見ますと、金融・産業政策いろいろどんどん刺激していく中で、たとえばその八月の初めに第一回列島懇談会が開かれる、国土総合開発審が開かれる、あるいは九月には第二回列島改造懇が開かれる、そして十月には工本再配置公団発足、そしてまあ十月の末には線引きが行なわれると、十一月には総理が札幌で国土総合開発庁の構想を述べられる、そしてそのあとまた十二月には第三回の列島改造懇が開かれると。こういうずうっとここのところつながってくる動きの中で、列島改造の政策意図が、やはり非常に強く全体的な総合政策の中に浸透していくということはやっぱりいなめないことだった。これが土地の投機を非常に大きく促していったということは、やっぱりこれはひとつ最後にきちっとお認めを願いたいと思うのです。
○国務大臣(田中角榮君) どうも列島改造ということを私はいつでも申し上げるんですが、列島改造は私の私的論文でございますと。国土総合開発法というのは昭和二十五年の提案でございますと。これはこの間もおしかりを受けましたが、共産党を除く全議員の議員立法だったわけですが、最後に、かかる国の基本法は閣法にすべきであるというので、一夜で議員立法を閣法に変更して、現に閣法になっておるわけです。その閣法になっている国土総合開発法というものを基準にして、四、五十の法律ができているわけです、ここ二十五年の間に。それはもう申すまでもなく、有料道路法の制定であり、ガソリン税の目的税法案であり、新道路法であり、新産業都市建設法であり、北海道開発法であり、東北開発公庫法の設立になり、その後は水資源の開発法になり、電源開発促進法になり、新幹線建設促進法になり、高速度道路建設促進法になり、首都の建設促進法になり、もう軍港都市整備法になり、工業地帯整備法になり、離島振興法になり、農村工業導入化法になり、工業再開発法になりですね、やってきているんですよ、現に。全部やってきて、この列島改造論が起きるまでは、国土総合開発法を前提にするこれら四、五十法にのぼる法律案は、大体与野党は内政問題としてほとんど全部賛成だったんです。ほとんど賛成でもって、そのときにはこれは必要なんだと。ところが、この列島改造論というものが出てから、どうも国土総合開発法というものを目のかたきにされるようになりましたけれども、私はそうじゃないんですよ。それはまあもっと私はある時期には明確にできると思いますが、金融の緩和ということで相当程度入ってきた外貨の、そのピーク時においては七兆円ともいい、六兆七千億ともいい、幾らともいっておりますな。六兆五千億と一兆七千億を足した分だけだよと。いろいろなことを私はそれはあえて言いません、国益に関する問題ですから。言いませんけれども、そこで合わせて先ほど言ったようなもので、年間十兆円ずつの金が一年半ばかりふえたわけです。そのうち相当部分が吸い上げられて揚げ超になっておりますが、しかし、そのまだ半分以上、六〇%も外に出ておることは事実なんです。事実なんです。ですから、銀行に返すといっても返さないでよかったでしょう、実際。 そういう意味で、公定歩合の引き上げ、窓口の規制、準備率の引き上げというふうに、だんだんだんだん引き締めてきて、その四〇%、五〇%が吸収されてきつつある。しかし、それと同時に、農協の資金とか系統資金、雑金融の資金量が急激にふえたために、その貸し出しは年間五倍にも六倍にもなっておるという事態があるでしょう。その上に、なお、個人の預貯金が伸びておるということも、それはもう私は申し上げません。申し上げませんがね、十五年前に一兆円であったものが、とにかく郵便貯金は十三兆円になっているでしょう。これはもう全部言えば数限りのない数字を私は述べられるんです。そういう意味で、これらがちょうど何があるかというと、全然マイナスだった設備投資にはつながらなかったから、そのときには何につながったかというと、株にいったわけです。土地にいったわけであります。その土地というのはどういうことかというと、土地は売っても五%の税金で済む、一〇%の税金で済むという特例法が時あたかも時を同じくしたので、売り手はあったし、金の潤沢であったものは全部これを買い上げてしまうということになったわけです。ですから、株と土地にいったことは事実であります。それが商品投機に回ったことも事実です。ですから、そういうことでいま抱いたわけです。ですから、それを吐き出させるために今度は土地保有税の新設をし、しかも、これを売った場合には法人税のほか二〇%重課をいたしますよと。それだけじゃない、なに、最後には上がるよというなら、国総法によって指定をすれば、三年間は絶対に動かせなくなりますよと、乱開発もできませんよと、最後には県に買ってくれと言うだけしかありませんよと。県はそのときには金がないし、インフレになると困るから、半分は十年間の交付公債ですよということを言うかもしれません。そういうふうに、私権をうんと制限をするということによって金を締めていけば、企業は持っている株や土地を出さざるを得ない。六対四は七対三に、個人と企業との持ち株比率は逆転しているじゃありませんか。これは放出すれば株価は下がるにきまっておるんだ、これは。そうでしょう。持ち合い株をやれば、株は減資をされておるわけですから、流通する株価は、どんどんどんどんと株の数が少なくなってくればウナギ登りに株は上がるにきまっております。持ち合いは安定株主のために持った株ですから、これは売らないはずです。売らなければ、供給量が少なければ上がるにきまっておる。そこへもってきて今度は都市に線引きをやったですから、線の外というのは絶対に許さないと言えば、線の中しかと言えば、これはもう幾ら税金をかけられても、税金の何倍も上がるというから、幾らかかっても供給をしないと、こういうものが全部複合して地価の値上がりということになったわけでございますが、これはもう必ず地価は下がります。これはもう三月まで締めれば全部投げ出しにならざるを得ない。私はもうそれ、恐慌が起きては困るというのでまあいろいろな配慮もしておりますが、これはもう下がらざるを得ません。ですから、十カ所計画をしておったゴルフ場は六カ所全部キャンセルしておるじゃありませんか。これはわずかに二週間の間の現象であります。ですから、今度は、まあ私が言えるのは、私もまだ十年ぐらい国会に籍を置きたいと思っておりますから――総理大臣は別でありますよ。総理大臣は別ですが、国会議員としての責めを負わなくちゃいかぬと思っているんです。そうしますと、国土総合開発法というものを、どんな内閣ができてもやらぬで済むかということを考えていただけばいいと思うんです。やらなきゃなりません。一億二千万人になる人が二十や三十の都市に集中してきたら、いまの税金の負担率は五〇%になります。コンピューターが明らかにちゃんとやっていますよ。そんな日本で物価が押えられるはずはないんです。土地を供給できるはずはありません。水が第一確保できるはずもないし、第一、公害の除去ができません。それはもう公害投資をうんとやればいいと、そのままコストアップにつながることはもうこれは自明の理であります。ですから、これからのテンポは十分大蔵大臣考えてくれると思います。建設大臣も慎重にやります。私自身も慎重にやりますが、夢と希望と、やっぱり国民に対しては十年後にはこうなる、子供を生んだらこうしますよということだけは明示をしていかなきゃならないんです。ですから、そのうち――私は十年後にはおると思います。まあまあこれはあしたの命もわかりませんが、その中に、国総法はずっとやったが物価は下がっていったと、こうなったらまあやっぱり田中の意見も聞くに値したなあと、こういうぐらいにひとつ考えていただきたい。
○上田哲君 まあ総理でなけりゃ、十年でも二十年でもおやりになるのは御自由でありますけれども、総理ということになれば、やっぱり政策の最高責任者としてきびしく、私たちはそういう一般論では見のがすことはできないと思うんです。総理の言われることは一般論なんです。一億二千万がというようなお話、何%がというお話はもう私たちも何べんも聞かされましたけれども、この狭隘な国土をより有効に活用していく方策を考えようじゃないかということが反論のあろう道理はないんです。そういうことと、いま総理が出されている日本列島改造論、ずっと十何年やってきたいろんな土地政策というものを集大成したんだとおっしゃるけれども、たとえばこの十月に行なわれた工業再配置促進法に基づく線引きみたいなものは、明らかにそういうものとは違った形で土地の値上がりの促進効果を果たしたことは間違いないんです。しかも、この問題だけではなくて、全体がこういう慢性的なインフレ刺激効果に向かって大きく火を燃やしているような政策全般の流れの中で、こういうものがカウンターパンチのように出てきたというところに、決定的な政策選択の誤まりがあったということを私たちはきびしくいま区別して議論をしているんでありまして、狭隘な国土をどのように活用していこうかという一般論とこれはすりかえられてしかるべきものではない。十年、二十年かけてやるべきものはまた別なんでありまして、いまとにかく火を消すんだといわれるような問題としては、これは明らかに区別をしておかなきゃならぬと思います。 そこで、そういう中で一番問題となるのはやっぱり財政なんですよ。個人消費をたいへん問題にされますけれども、やっぱり財政政策主導型といいましょうか、そういう体質を持っている日本経済の中では、この政府の手の中にある財政というものが、たとえば四十七年の八月に三千五百七十六億の第一次財投追加をしている。そうしてこれはさっきお認めになったけれども、十月には六千五百十三億円の実に超大型補正予算が通っている。これはもうまずかったなあとおっしゃっているのだから追及はしないけれども、しかし、そのあと四十八年一月の実に十四兆二千八百億円、初めは愛知さんは十五兆円予算とおっしゃっておられたが、結果的には十五兆二千になりますけれども、いま。いずれにしても、四十八年一月段階で十四兆二千八百億円、二四・六%増の大予算を組む、こういう方向の財政というものが一体何を果たしてきたか。しかも、この四十八年一月の二四・六%増の一般会計がその予算編成方針の中で述べられていたのは、物価問題は二の次、三の次になっているわけですよ。社会資本、社会福祉、国際収支、そういうことのあとに物価問題が位置づけられているという政策選択は、これは総理、やっぱり総合的に間違っていたこと、これはひとつしっかり御確認をいただきたいんです。
○国務大臣(田中角榮君) 間違っていたとは申し上げられません。これは四十九年度の予算を見ていただければわかるのですが、国会でもって、これでも少ない、これでも少ないと言われているもの、その部分が平年度化して当然増になるわけでございます。ですから、今度の補正予算を見ていただければわかるのです。これは非常に数字的に大きいのです。大きいのですが、この中でもってとにかく大きいものは何かというと、給与であるし、もう一つは、鉄道の運賃が値上がりを一年間おくらしたために当然出さなければならない出資であるし、もう一つは、食管の値上げをそのままできなかったというための食管会計の繰り入れ、これが三つであります。あとは、まあありますけれども、これは社会保障的な経費もありますけれども、これはもうそう金はたいしたことない。これだけでもってとにかく八、九割を食っているわけであります。予算の組み方はそうなっておるわけでございます。ですから、去年の二四・数%という一般会計予算というものが大きいと言われますが、当然増経費プラス公共事業の総ワクは、予算編成段階でもろて御承知のとおり原資六千億であります。六千億を配分したということでございますが、六千億を配分したその四十七年プラス四十八年度の新規予算財源として六千億プラスした分は、いま現に八%全部繰り延べているわけでございますから、ですから、数字的には一般会計が大きかったということは、議論はあっても、私たちは大きゅうございましたとは言えないのです。しかし、その中でも伸びているものは、やはり公共事業費の中でどうしても繰り延べられないような、下水道とか国民生活中心のものがございますから、文教とか、そういうものは押えられないということで、ほんとうに一年、半年延ばしてもというようなものは、その部分ではごく少部分である。道路や鉄道はもうみんな延ばそうじゃないか、そうすれば歩いて通うかということになるので、それはもうそういうわけにいかないのです。これは幾ら鉄道をとにかく延ばせといったところで、東京や大阪の地下鉄延ばせなんていう議論が一人も出てくるわけはございませんから、そういうものをこまかくやってみますと、そんなに財政が刺激をしているということはない。 ただ、国際的に見まして、日本の予算の立て方の相違はございますが、対前年度比二〇%以上ずつ自動的にふえていくということは、国際的にも日本は大き過ぎるのじゃないか、それが日本の国際競争力を強めている一番の元凶じゃないかという指摘を受けています。ですから、そうじゃないのだよ、内容は下水とかこういうことでもって、ほんとうに生産性に寄与できる投資は少ないのだと言っても、なかなか信用しませんから。どこの国でも二〇%以上ずつ年率十年間も伸ばせる国は世界にないじゃないか、こう言います、確かに。そういう意味で大きいということを言われますが、蓄積のない日本であるということと、都市にあまりにも急激に集中したために、都市に対する搬入、出入りの公共事業をやるだけでも公共事業の七割も食ってしまう、場合によれば八割も食ってしまう。こういうような現状である。これは有料制に変えまして、特別会計、公団、公社というものでやっておりますが、これを全部見ますと七割にも八割にもなるわけであります。これがやめられるのかどうかと言ったら、やめればもう車の通勤は三十分が四十五分に自動的になるわけでありますから、そういうものがどういうふうにコストアップにつながるのかということは、これからこまかく出して、建設白書とか、いろんなものが出ていますが、こういうものに、なぜ私がいま言うようなものを国民に訴えて理解を求めないのだろうかと思っていますが、これからも勉強します。 そういう意味で、まあ地方財政のことは申し上げませんが、比較的に税収がよかったために地方財政も急激に膨張したということ。まあ国の予算に対して八〇%あったものが九〇%になり、同額になり、これをこすようになる。自動的にいけば来年はうんとこすようになると思います。それでは困るので、ここらでもって同額ぐらいにしようじゃないかと、そういう前提で二千億近いものを資金運用部に返済してもらったということが自動的に協議ができているわけですから、まあ四十九年度は大蔵大臣たいへん苦労しております。これはもう自動的に当然増が一七・五%あるわけですから、それに医療費が出てくればどうなるんだということでもって、たいへんに予算の組み方というのは苦しいわけです。基準内賃金はきまっているんですから、もう予算を組むには、とにかく会社の予算はこれしか最低組めないと同じことなんです。ですから、そういう状態でございますから、残っている問題は、財政がやっぱり一般論的に過去と同じようなベースでもって伸びてきているということが心理的影響を与えたということは、四十九年度予算編成に対しては十分配慮しなければならぬと、こう考えております。
○上田哲君 四十九年度予算編成のポイントのために――これはやっぱり総理違いますよ、おっしゃることは。たとえばいまかかっている補正の九千八百億が、費目をあげられて、これはどうしようも動きようがないじゃないかと。しかし、これと先ほども認められた、うまくなかったなという前年度の六千五百十三億の補正の意味は、六千五百億はそれは繰り延べたとおっしゃるけれども、繰り延べだったら、注射器は入れたけれどもあわてて引き抜いたということで、傷あとは残りますよ。これは注射を入れないほうがいいんですよ。だから、繰り延べしちゃったから全然関係はないんだなんという理屈は、これは通らない。そういう意味で、前年度の六千五百十三億の補正は、これはインフレをつくる予算ですよ。いまの九千八百億はインフレがつくったものですよ。この性格は全然違うんです。だから、そこまで硬直化している問題が、財政選択として、財政政策選択として、経済政策の選択として私は間違ってきたじゃないか、このことを申し上げたい。いろいろ個人消費の問題が出ているけれども、やっぱりこの色を一つ見ていただいたっておわかりになるように、明らかに、たとえば去年の十一月からは前月比一・五%上がっているんですよ。これが五カ月ずっと続いているというのは朝鮮動乱のとき以来ないんですよ。こういう異常な値上がりをしている、高騰をしているというときに、じゃどうなったかといえば、さらにこの大きい大予算を組む。しかも、ようやく四十八年一月から預金準備率の引き上げに入った。金融のところで幾らか窓口を押えるなんというのは一番安易な方法で、金融で押えるなんということはどこへ一番しわ寄せがいくのかということを言ったら、これは経済政策選択として私は一番安易だということは、これはどうしたって常識だと思いますよ。財政的にどのような方途をとるのかということが、今日こういうインフレ――異常物価でもよろしいが、そういうときの政治のあり方ではないのか、ここのところはやっぱりしっかり確認をしていただかないと四十九年度予算の可能性が出てこない。
○国務大臣(田中角榮君) 財政は景気の先駆的役割りをなすということは私も承知しておりますから、財政が景気刺激要因にならないようにしなければならないということは原則です。同時に、これはもう特に大きな不況から脱却するとき以外は財政が先駆的な役割りをなすようなことをやってはならない、これはもう事実でございます。しかし、いまは物価を押えなければならぬときでありますから、財政は物価の刺激要因にならないというよりも、抑制要因になるようにしなければならないということを考えております。 四十九年度の予算編成のことをいろいろ言われますが、これは議論としてはいろんな議論が存在することは私も認めます。しかし、四十九年度の予算編成中でも、また国総法を通していただけると思いますし、通してもらわなければだめなんです。通してもらっても、物価は三月-六月――いわゆる土地をいまあなたは指摘されますが、土地は下がります。必ず下がります。これは自信を持って私は申し上げる。下がらないはずはない。これは財政よりも金なんです。しかも、戦後のあの全く荒廃の中からの二十七、八年の歴史を見ますと、先駆をなしているものはみんな金融だったんです。特にその中で日銀のシェアがだんだんだんだん低下をして、いま三〇%を割っております。日銀の金融的調整機能は非常に低下していることは事実であります。だから、その意味で、何で一体シェアが落ちたんだ。雑金融機関といわれているものが金融機関の大宗をなしてきておるわけであります。これがもう非常に大きな生産力の拡大の要因になったことは、歴史上、統計上明らかなんです。それは輸銀もございましたし、開発銀行もございました。東北開発もありました。都市銀行もありました。しかし、あらゆる面、二十七、八年のデータをこまかくコンピューターにかければ何が出てくるか。日本の今日の大きな経済力をつくったもの、その中に大きなロスがありましたよ。ロスがあったけれども、三十年の長さで見た場合、今日の日本経済をつくったものは何かというと、これは雑金融機関のウエートが非常に大きいんです。それがまた今日のような物価とかインフレとかという場合には抜け道にもなっているわけであります。まあ言いたくない話でございますが、どういうふうにしてやっているか。いま住宅ローンというものができます。ローンはできるんです、百万円とか百五十万円とか。会社の社員に全部百五十万円ずつのノルマをかけて、二十口ずつ集まればこの土地は維持できるということを言っているじゃありませんか。ローンを締めるということをもし日銀が言えば、これはすぐ、新聞はたいへんだと思うんですよ。これは所得政策の前段だと、住宅ローンまで締めてくるのかと、こう言うから、なかなか政治的にはやれませんが、現実的に、ざるで水をすくっている事実であることは、抜け道であることは事実であります。都市銀行は、これはしゃんとした調整下に入っておりますからできませんが、そういう意味で、現在の予算執行中でも土地は下がっていくという場合になれば、なるほどこれはやっぱり予算だけの問題じゃないなあという理解は得られると思います。 ですからそれは、財政というものはもう非常に姿勢を正していかなきゃならないし、地方財政もこれに右へならえしてもらわなければなりません。同時に、金融というものはいかに大きいかということ。第一、財政がなかったんですから。四十年までは公債を発行しなかったんですから。ですから、ドッジ・ラインをやり、シャウプ税制を守って、均衡財政を貫いてずうっと四十年まできたのですからね。そのときに財源の前提になったものは金融が大きな力であったことは、これは申すまでもないんです。ですからそういう意味で、政府主導というのは、政府が、いささかでも財政が景気を刺激したり、物価を抑制の方向に行かなきゃならないということは当然でございますが、金融政策もあわせてやらなきゃならない。私は、その意味では、まあちょっとこれは異常な発言になるかもしれませんが、日銀法の改正案を十年前に私が提案して廃案になったんです。しかし、いまの日銀法と食管法は総動員法の残法として残っているわけであります。この二つ。日銀法は相当なことを大蔵大臣ができるようになっております。なっておりますが、国会では大蔵大臣が公定歩合の問題に言及しても問題になるような御時世でございます。そういう意味で、日銀当局も金融当局も、金融がいかに大きなウエートを持っているかということはよく知っているはずです。 しかも、私が先ほどから述べているとおり、百十五兆円のうち国民の支出が六十兆円、五十九兆七千億であるということを考えれば、金融政策が弾力的に運用されないで日本の経済の安定的運用ができるはずがありません。特に、物価問題に対しては金融政策が非常に大きいウエートを持っておるということだけは、これは事実でございます。ですから、私は長いこと前から、無税国債とか、その他いろんなことを述べておるのは、所得政策などをすぐオーソドックスに考えるんではない。物価問題ではすぐ所得政策と増税だということが学問的の前提になっておりますが、増税でなくて、二兆円減税をやろうと言っているのでしょう。そんなときに所得政策ができるわけないんです。そういうことではないんだと、国民の協力を得るような金融政策が行なわれなきゃならないと、こういうことを述べておるのはその間の事情を説明しておるのであります。
○上田哲君 四十八年度の責任を明らかにしてくれと言っているのは、四十九年度の予算がその同じパターンの上に行なわれていったんでは、総需要の抑制などということの先べんを切る予算にはならぬということを私は言いたいからです。具体的にいまかかっている補正を加えれば十五兆二千億になる。十五兆二千億に当然増が二兆五千億といわれますから、それだけで十七兆七千億になる。大蔵省は十七兆五千億以下で押えたいと言っているそうですね。だとすれば、もしそうであるならば当然増も上に乗らぬじゃありませんか。新規事業は全然ないわけですね。こんな形の中で、しかもこれが二三%になっていく。 大蔵大臣に伺いたいんだけれども、愛知さんのパターンであった二兆円減税なり二三%なり、あるいは公債の一定限の発行なりというようなパターンを変えていくということが発想の転換であり、そのことが安定成長だというお考えだと思いますね。だとすれば、実際問題として、四十九年度予算に四十八年度のこれまでの流れから、どのような安定成長分のズレがあり得るのか、可能性があり得るのか。
○国務大臣(福田赳夫君) 愛知大臣時代に一つの構想めいたものがあるんです。つまり、予算の総ワクを十七兆五、六千億ぐらいで、前年度に比べて二三%増と、こういうことです。それから国債の発行額は、これを前年度の国債依存率よりは下げようと――率のことでございます。それからかなりの自然増収がある。そういうことを考えて、いわゆる二兆円減税をいたしたいと、こういうことです。それが流れの骨子でございますが、私はまあ二十日足らず前に大蔵大臣にはからずも就任をしたわけでございます。たいへんなところへ当面をしておるわけでありますが、これはもう私が就任をした時点では、これは石油問題というものが非常な深刻な問題として取り上げられなきゃならぬ、そういう事態になっておる。そういうことから考えまして、これはまあ前から流れておる構想、これをそのまま踏襲するというわけにはいかぬ。これは私はそう大蔵大臣に就任をするそのときにも総理にもお願いをしたわけですが、これは新しいそういう事態に即しまして見直しをすると、そういうことで目下、鋭意見直しをしておると、こういう最中なんです。ですから、ただいま申し上げましたいままでの流れには、これはこだわりません。そしてほんとうに、いまるるお話がありまするとおり、この物価抑制、この異常事態を克服することが政府の課せられた最大の任務である。その任務を遂行するにあたりまして、これはどうしても総需要の抑制、これ以外にない。そのためには政府が先頭に立って指導的役割りを演ずる、こういうことをこの予算を通じまして国民にはっきり示す、こういうことが必要だろう、こういう考えでいま鋭意勉強しておる、作業をしておる、そういう最中でございます。
○上田哲君 四十八年度のままの発想と財政技術論を積み重ねていけば、現在ただいまこれが通れば十五兆二千億なんだから、当然増すら乗らないわけですね。つまり、結論を先に言うなら、二三%増、十八兆になんなんとする予算がつくられたんじゃ総需要の抑制なんということは政府の立場がなくなりますね。それはどうなんですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 四十八年度予算を編成するときと事態が非常に変わっておる。物価が異常な高騰をしておる。そこへ石油の問題も起きておる。ですから、基本的な財政の組み方の発想というものがこれは変わってこなきゃならぬ、こういうふうに思うんです。その変わった発想で四十九年度予算は編成いたします、こういうことを申し上げているわけです。
○上田哲君 変わるポイントは、二三%ではいかぬということですね。
○国務大臣(福田赳夫君) まだ勉強中でありますので、そのパーセントとか数字を申し上げかねるのでございますが、これはもう極力抑制しなきゃならぬと、こういうふうに考えております。また、率もさることながら、中身をやはりよほど吟味をしなきゃならぬ、そういうふうに考えております。 それから公債の発行額につきましても、いままでの流れ、これをかなり変えなきゃならぬ、こういうふうに考えておるわけです。とにかく発想の転換ですね、そういう考え方を基本といたしまして、全部見直しをするというので作業中である、かように御了承願います。
○上田哲君 二三%を切るということをおっしゃられますか。
○国務大臣(福田赳夫君) まあ私はそういう考え方のもとに詰めていくと二三%を切る、これはまあ自然そういうふうになってくると思うんです。ただ、どの辺まで予算ワクがめり込めるか。これは、御承知のように、当然増――当然増は何だというと、地方交付税交付金と社会保障費が多いんです。そういうものになかなか手はつけにくい。そういうようなことから、さあ、どこまでいけるかということにつきましては、まだ確固たる自信はできませんけれども、できるだけの抑制を試みてみたい、そういうふうに考えております。
○上田哲君 乱暴な言い方ですが、当然増に何らかのくふうはできませんか。
○国務大臣(福田赳夫君) まあ、なかなかくふうの余地のある内容じゃないんです。当然増だと、そういうことでございますので。しかし、これも私はある程度のくふうはいまいろいろ試みておる、まだ勉強中である、こういうふうに御理解願います。
○上田哲君 いろいろ述べてまいりましたけれども、総理に申し上げたいのは、外因、海外要因というようなことではなくて、今日の異常な物価高、インフレというものをもたらしたのはやっぱり政策的な結果であるということを十分に踏まえていただき、それを反省としていただいて、それを鎮静するための四十九年度予算編成に生かしていただかなければならぬということになると思うのです。 いままでの話の中で、具体的に出てきたことがあります。先進十カ国の平均値より下げると言われるわけです。この下げるというのはどういうことですか。具体的にひとつ。消費者物価の指数を下げるということですか、平均値の中から。
○国務大臣(田中角榮君) 消費者物価だけではなく卸売り物価が問題でありますから、卸売り物価が上がれば消費者物価に何カ月後かには必ず反映するということであります。ですから、消費者物価を考える前に、まず卸売り物価の抑制ということは厳に考えなければなりません。それで、卸売り物価の影響と他の要因がどのように寄与して現在の消費者物価が構成されておるのかということは厳密に調査をいたしております。内容的にもそうです。まあ消費者物価といっても、いままで一-三月の――これは暦年制でないということからくるものでございますが、げたがあります。そうすれば、自動的に物価は幾らになるかというようなことで、実数とは遠い、学問的には一つ考えられる問題であっても国民にはぴんとこない物価指数が明らかにされておるわけです。そういう意味で大蔵大臣にいま頼んでいるのですが、大蔵大臣と経企庁でもって十分調整をして、四十九年度からはもう少し国際的に見て、国際指数と換算をしなくともすぐ対比できるようなものに考え直せないか、こう言っているわけです。私は実質的な卸売り物価、それから消費者物価ということは、これは蓄積のある先進工業国とは違いますが、しかし、やはり何年かの間には主要工業十カ国の水準以下に押えるということが望ましい、そういうことでもっていま試算をさしておるわけであります。特に、いままで卸売り物価というのが過去ずっと十年間国会でも問題にならなかったのは、先進工業国で、蓄積のある先進工業国であっても日本よりも高かったわけであります、三・三%とか四%とか四・何%とか――日本は一・三%でございましたから卸売り物価は問題にならなかったわけです。 それで、消費者物価が問題になるというのは、これは質の変化があります、確かに。質の変化が相当ありますけれども、十カ国の平均から見ても低くないのじゃないかというところに消費者物価の問題があったわけですから、やっぱりその蓄積の違いはございますし、日本のようにまだまだ消費者物価に反映をするような国民的要求があるし、この要求を満たしていきながらも、やはり、物価の水準というものは主要工業十カ国程度を目標にしてやっぱり進めるということが正しいことだと思うと、これはまあ全然資源を持たない日本と、資源を持っている国との間には当然アンバランスがあることはこれはあたりまえであります。また、資源を自分の国で持ってなくても、かつての植民地との間に無関税でもって入るというスターリング地域の問題なんかがイギリスにあるわけですから、そういう問題とは、日本とは相当な開きはありますけれども、日本人には勤勉さもあるし、同一民族としてこれまで築いてきたという自負もあるわけですから、そういう面を取捨選択をして、先進工業国の十カ国、まあ九カ国ですな、九カ国並みというぐらいの目標でひとつ政策を強力に進める。これはなかなか来年の三月まで、六月まで、九月までと言ったら、これはこれだけの要因があるわけでございます。特にアラブに八〇%も石油を仰いでいる国と、アラブから入れている石油は四%のアメリカと一緒になるわけはありません。ありませんが、しかし、やっぱりオーソドックスなものの考え方としては、先進工業十カ国のうち、日本を除く九カ国というものの数値をめどにしながら、引き下げ、安定ということを切に努力をしてまいろうと、こう申し上げてておるわけでございます。
○上田哲君 はっきりお約束をいただきたいんですがね。これはだんだん、だんだんぼけてきちゃ困るんでありまして、卸売り物価なのか消費者物価なのか。それから、たとえば通産省で出しているこういう数値なのか。たとえば十年前の一〇〇とする数値の中で、いまトップですからね、十カ国の中で。一体どれをどうするのかということをひとつしっかり出していただきたいんです。そうでなければ国民はわかりません。そのことをお約束をいただきたい。 それからもう一つ、先ほどから土地は必ず下げるとおっしゃる。これはもういつまでというのは言いにくいということとは違いまして、国民が非常にこれ苦しんでいるわけですから、たとえば現実に七月の五日なりいろんなところの公式な会見の中でも、あと一年たてばというようなことを具体的に言っておられることもありますから、ひとついまの二つですね、土地を必ず下げるのをいつまでに下げるんだということ。いつまでということが、具体的に何月何日とは私は申し上げないけれども、どういうめどを立てるのが経済政策のあり方なんだという具体的な言い方は、ひとつ政府の側から出していただかなければ困りますが、そういう言い方、それからいまの十カ国の平均より下げるということを、どこをどういうふうな数値で下げるのかということを具体的に明示をしていただくと、お約束をいただきたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 私は経済企画庁長官の職にはいまないわけでございますから、政府としての考え方を述べておるわけで、基本的考え方を述べるんです。ですから、このような異常な高騰を続けておくわけにはまいりませんから、安定的にこれを抑制しなければならぬことは申すまでもないことであります。まあこれは、しかし一ぺんにできる問題じゃありませんが、とにかく正常な状態に近づけるべく最大の努力をいたしますと。そのめどは一体どういう数字だと言うから、まあ十カ国の平均ぐらいのものに来年からは考えていかなければいかぬだろうということであります。それをいつまでと言ったって、これは政府に総動員法でも与えてくださるなら、それはやりますよ。そうじゃなく、国民の自主的なとにかく経済活動はなるべく政府は介入するなと、こういう制度を守りながら、政府はいまの現行制度の中で最善の努力をしておるのでございますから、いつ幾日までと言ったって、それはまあ……。
○上田哲君 たとえばこの中身、変えますか。(資料を示す)これ、通産から出てますね。これ、一〇〇にしてですね、全部、十カ国ありますね。この数値を変え、この中で平均値をとりますか。
○国務大臣(田中角榮君) いや、だから年率、大体平均値というものは、経済成長率をどうするのかと言っても、これもやっぱり十カ国の平均というようなものもしんしゃくをしながら、日本だけが高度な成長を続けていけるわけにいかぬから、これは石油の分配にしても、石油の備蓄をするにしても、共同開発をするにしても、おまえのところだけとにかく無制限に石油を使うようで、金を出せるわけがないじゃないかという問題がもう国際的に出ているわけです。 そういう意味で、成長率そのものや、まあとにかくいろいろな問題を、十カ国平均ということを一つの目標にして、そしてひとつ試算をやってみようということでおるわけでございますから、ですから、何月何日までに下げるということをなんて申し上げられるわけはございませんが、しかし、申し上げられないなら、じゃいつまでも下がらぬのかと、こう言ったら、それは政治の責任を果たすゆえんではないと。これは来年の六月には自民党・政府、自民党も政府も国民の判断を受けるんです。そういう制度になっているんですよ。自民党の政策が悪くて、自民党は国民の負託にこたえなければ、自民党はたたかれるんです、これは。あなた方にかわるんです。それはかわるかもしれません。
○上田哲君 そこまでに下げますか。
○国務大臣(田中角榮君) だから、下がらなければそうなるんですから、そこらは私は、裁判官で、裁判で死刑の判決できるような権限与えられておるわけないんですから……。
○上田哲君 選挙に勝てば何でもいいということですか。
○国務大臣(田中角榮君) いや、選挙に勝てばじゃなくて、それは選挙に勝てば国民がそれを支持しておると、比較論かもわかりませんよ。
○上田哲君 支持しませんよ。
○国務大臣(田中角榮君) いや、自民党も悪いけれど、まだということで、かもしれませんが、それはわかりませんよ。それは制度の問題じゃありませんか。
○上田哲君 話は別ですよ。
○国務大臣(田中角榮君) いや、それはそうですよ、制度の中では。ですから私は少なくとも……。
○上田哲君 別ですよ。
○国務大臣(田中角榮君) それはそうじゃありませんか。制度の中でちゃんと整理されなければだめですよ。ここで権限も与えないで、いつまで下げろったって無理な話じゃありませんか。ただ、政府は国民の負託にこたえられなければ、政府はその責めを負って下野しなければならないようになっているんですよ、ちゃんと制度は。ですから、私たちは国会でいいかげんな答弁をしていませんよ、これだけの現状を認識して、全精力をもってとにかくこれに取り組みますとね。ですから、金融も締めますし、とにかく財政の姿勢も正します。国総法はとにかく土地の需給関係をやるためには必要なんですと述べているんですから、これはあなた方も、いまの出している国総法だけじゃだめだと言うなら、御自分の案も出して、お互いにかつて国総法をつくったように、そういう状態で前向きにやっていただけばいいじゃありませんか。こういう土地一つの問題がこんなになっているときに、一年間も、これ、たなざらしにしておって、それでいつまでに下げるかと言われたって、これは無理な話じゃありませんか。ですから、われわれがやれることは、予算をどうして組むかという問題、やれます。金融は大蔵大臣が法律的にはやれるようになっていますが、それはそれなりに簡単にやれるわけありませんから、金融の自主性を守りながら、金融当局と政府が一体になって金融の引き締めをやっていきますよ。そういうことによって私は必ず下げていかなきゃならぬ、下げるように全力を傾けます。下げることができなければ、国民から一発で下野を求められることは当然のことであると私は考えておりますから、そこらはあなた三月まで……。
○上田哲君 みずから責任はとらぬですか。
○国務大臣(田中角榮君) そういう制度になっていないんですよ、おかしいんです、それは。だめだったらやめちまえばいいんだというようなことで民主政治が育つはずはありません。そうじゃないんですよ、それは。憲法というものはちゃんと選挙で神聖な国民が判断をすることになっておるじゃありませんか。(「そんな答弁あるか」「議事進行について」と呼ぶ者あり) ですから、私は、何月何日までに下げます、そんなことできるわけありません。しかし、引き締めていけば、来年の一月から三月までには土地は下がると思いますと、こう言っているんですよ。下がらなかったじゃないかというときになれば、責任は問われるわけであります。そうでしょう。ですから、それをいつまでに下げますかと、それはそういうことよりも、いま現状からも物価は抑制しなきゃならぬので、二法案の審議をお願いしているんでしょう。政府にも、お願いしていることに対してひとつ御協力いただきたいんですよ。そういうことでなければ、政府ができないもの、やれないじゃありませんか。
○鈴木強君 ちょっと関連。 私は朝からずっと総理のお話を伺っておりまして、非常に勉強されて、すなおによく答弁しておりますよ、時間的にちょっと心配しているくらいに。しかし、非常に熱心にやっておられますから、私も非常に熱心に聞いているわけですけどね。しかし、いまの最後の総理の御発言は私は少し受け取れませんよ。あなたの言い分というのは、権限を与えろと、権限を与えればやってみせるけれども、権限も与えないで何だと、しかも事もあろうに総動員法まで出してお話をおっしゃる。まさにこれは、あなた、ファッショ的な発想じゃないですか。いまの民主政治というのは、そうじゃないんですよ。そこにくふうと英知が必要なんだ、民主主義というのは。時間もかかるでしょう。しかし、そいうものの考え方の中に、何かあなたがファッショ的に、こう何か権力を持たなければやれないんだというような大だんびらを振りかざしてお答えをするところに、私は民主主義を指向するわれわれとしては非常に問題があるような気がするんですよ。せっかくのあなたの午前中の真剣なお答えも、そのことによって消えてしまうんじゃないですか。そのことを私は非常に憂えますね、民主政治の中で。もう少し冷静に、上田議員が真剣に問題を提起しているわけですから、何か大だんびらをおおいかぶってくるようなそういう御答弁は慎んだほうがいいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(田中角榮君) 鈴木君にお答えしますがね、それはあなたの御忠告ありがとうございました。私もまじめにやっているんですよ。いま政府は、今日の段階、たいへんだと思っていますよ。ですから、やっているんですが、まあ上田さんの言われることもわからぬことはないですよ。国民がこれほど困っているんだから、いつごろまで、いつごろまでというめどをつけたほうが一番いいよと、ただ、めどをつけるというような、いますぐからやっておるわけでありますし、来年のとにかく予算もこういたします、金融も締めます、国民の協力も得ますと、ですから、そこでとにかく、それでまだ成果があがらなければ国民から鉄槌を受けるよということなら、これは私もいいですが、(「それ以上あなたが言うから。」と呼ぶ者あり)いや、そうじゃないです。何月までと、こう言われると、私どももそれはやっぱり国民の協力を得ながら、しかし、結果がよくならなければ政治の責任を免れることはできないと、私はそう思っておるのでありますから、全力をあげてやります。しかし、もとは国民の協力を得なきゃなりません。私、ヨーロッパを回ってきたんですよ。日本でも土地を凍結しろと。私どもも閣内でもってあらゆる意味で土地凍結を検討したんです。ところが土地凍結は、国総法を、あそこまで認めましたけれども、あれ以外には土地凍結の方法はありませんので、物統令を適用できて一時的に全部押えられないかとさえ私は内閣の中でやったんですよ。いまの法制ではできないんですと。そうすると、アメリカはやっているじゃないかと、アメリカは大統領にそういう権限を委任していますと。ヨーロッパへ行ってきたんです。全部戦時中の非常立法があるんです。日本には何にもないのかと言ったら、いや一つだけあります。それは何か、災害が起こった場合のことであると。しかし、災害が起こったときの特別立法、三十七年にやったのですが、これはやはり衆参両院の審議の過程において憲法論が優先しまして、ごく狭義に、しかももうごく短い非常のときだけしか使ってはならないと、こういうふうになっていますから、このような法律をいま出しても国会で審議ができるわけはありません。ですから、問題としては、いま物統令が生きているのですから――物統令は、御承知のとおり国民総動員法を前提として物統令と価格統制令があったわけですが、物統令と価格統制令はメモによってこれは廃止になったわけです。残っているのが、まあはんぱだと言われておるのですが、中には死んだネコだなんと言っていますが、物統令だけ残っているのです。しかし、これでやれば公判維持もできないし立件もできないというような問題も考えられる、いままでの状態において。これはふろ屋だとか、いまとにかく現に二つのものがあるじゃないかということで、この間幾つかの品物を強引に指定したわけでありますが、これも新規立法に早くゆだねて、新しい国会でなかったときの法律、有効であるものは新憲法下における国会の議決を求めた新法に直ちに移すべきです。そうでなければ、この法律をいまの状態で、なかなかむずかしいことがありますよというから、緊急二法を出しているわけですよ。そのぐらい私も努力をしておるのですが、他の国にあのような準拠法がないわけです、実際。ですから二法案、最低限二法案を何とかしていただきたいと、まああなた方も、何とかここのところ夜までやっていただいておるわけですから、私も感謝していますよ。それまでのことをしていただいて、それで効果があがらなければ自動的に政治責任が起こるというぐらいのこと承知しています。ですから、全力を傾けて物価抑制に取り組んでおるということをひとつ御理解をいただきたいと思います。
○委員長(鹿島俊雄君) 午前中の上田君の質疑はこの程度にいたし、午後一時十分まで休憩いたします。 午後零時十三分休憩 ―――――・――――― 午後一時十九分開会
○委員長(鹿島俊雄君) ただいまから予算委員会を再開いたします。 午前に引き続き、補正予算三案に対し質疑を行ないます。上田哲君。
○上田哲君 さて、四十八年度までの財政政策を中心にする失敗と反省の上に立って、四十九年度はたいへん苦難な道でありますけれども、言うなれば自然過熱型というような財政運営、予算規模の性格の中で、一つ取り上げたいのは、防衛費であります。大蔵大臣、どのように、総需要抑制の中でこの問題を取り扱いますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 先ほど申し上げましたが、総需要につきましてはきびしくこれを抑制します。その一環として財政が当然その抑制政策の先頭に立たなきゃならぬ、そういう基本的な姿勢でいま編成作業を進めておるんですが、また、防衛費につきましてもその例外であるというわけにはまいりません。防衛費に対しましても、時局にかんがみ、抑制方針はこれは堅持して臨まなきゃならぬ、こういう、ふうに考えております。ただ、どういうふうにこの抑制を防衛費についてやりますか、そういう辺はまだ、私連日連夜やってるんですが、防衛費のところまでこないんです。そういう状態で、中身について申し上げることはできませんけれども、方針につきましては、防衛費につきましても、これはいささかも他の問題と変わりはない、こういうことははっきり申し上げます。
○上田哲君 かりに一般抑制比率というものがあるとすれば、防衛費はその例外じゃないということですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 防衛費につきましても、総需要抑制という一般方針は、これは厳に適用していかなければならないと、そういうふうに考えております。比率というと、まあどういうふうになりますか、比率というよりは、中身をさようなふうに考えていかなきゃならぬ、こういうふうに考えております。
○上田哲君 従来は、防衛費というのは、先取りといいますか、優遇措置の対象になっていたわけでありますが、そのような例外措置はとらないということですね。
○国務大臣(福田赳夫君) 防衛費は、とにかくGNPに比べますと一%以内であり、総予算の中における割合も、これもかなり低い、一〇%以内、つまり六・五、そういうふうな状態でありまして、これが景気の先頭に立つという役割りをなしておるとは考えませんけれども、防衛費につきましては、いまこういう非常な時局である、この例外を設ける、こういうわけにはまいらぬと、かようなことを申し上げておきます。
○上田哲君 今度の石油問題が出まして、総理、だれもが感じたことは、石油危機が一発見舞ったら、この石油で動けなくなってしまう軍隊、装備、これは一体何かと。やはり守るべきもの、あるいは守る体制というものはこういうものじゃないんじゃないか、防衛構想を根本的に反省を加えなきゃならない、こういうふうに国民は思っていると思うんでありますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(田中角榮君) 石油がなければ防衛活動が非常に制約を受けるということは当然でございますが、石油は備蓄を行なったり、また開発輸入を行なったり、防衛という問題に対してでございますから、その他のエネルギーというものがどういうふうに使えるのか、石油にかわる原子力潜水艦とか、原子力の船とか、そう考えられるわけですが、しかし、原子力は平和利用以外には使ってはいかぬと、こういうふうになってますしね。そういうところは、お互い国民全体の生命財産を守る、独立を維持するということですから、これは国会の中でも、国民的合意とか、いろんな問題の中で、最も効率的であり、安全な防衛体制ということはやっぱり考えていかなけりゃならぬ問題だと思います。石油だけに、いままでのように石油が安価にいつでも入ってくるということを前提にしての防衛力の整備というわけにはいかぬと思います。
○上田哲君 確認が、一つは、先ほどの大蔵大臣の見解を内閣の見解として受け取ってよろしいかということと、それから、いまのお話は四次防の見直しということを含みますか。
○国務大臣(田中角榮君) 緊縮予算を組むというときですから、防衛費も総需要抑制の中で例外たり得えないという大蔵大臣の発言はそのとおりであります。四次防問題というのは、いま四次防をどう考えるかというような問題ではなく、これはもう四次防も年度年度の予算の中で検討してまいるわけでございますので、当然四十九年度は四十九年の経済状態というものの制約を受けるということは事実でございます。四次防全部を見直すということはいま考えておりません。
○上田哲君 防衛庁長官は、これについてどのようにお考えですか。
○国務大臣(山中貞則君) 総理、大蔵大臣の答弁と私も差はございませんが、しかし、防衛という瞬時も休むことのできない部分を含む――これは私たちの立場から見てですが、そういう性格にかんがみ、これをかりに石油が全く手に入らない軍隊というのはナンセンスだというお話がありました。軍隊ということばは語弊があるならば、わが国の自衛隊でもけっこうでございますが、これは日本のみならず、諸外国においても共通の現象だと思うのです。飛ぶことも走ることも動くこともできない飛行機、船、戦車というものは、これはナンセンスにきまっております。しかしながら、わが国の石油消費量の中で占める自衛隊の比率は〇・三%でありますから、その中で、しかし私たちは年間消費量を、それを各官庁並みの節約の目標と同一に置いて、いわゆる部隊の演習等も含めて、単に庁舎燃料のみならず節約を、訓練その他を適当に配分しながら節約をしていきたいと考えておりまして、年間消費量が六十四万トン、それに対しまして、十二月で大体六千リッター程度のものの節約をすでに開始いたしておりまして、応分の努力をいたすわけであります。 さらにまた、来年度予算については、これは姿勢の問題と実質の問題と、二つあろうかと思います。 姿勢の問題は、大蔵大臣のお話のように、四十九年度予算におけるあり方、すなわち、わが国の四次防をきめました際の決定において、総額四兆六千三百億とするけれども、各年度の予算においては経済、財政需要を勘案し、他の一般諸施策との均衡をはかって予算を組むとなっておりますから、当然その範疇の中に入り、バランスのとれた、自粛されたものでなければならぬと考えます。しかもそれは、単に普通の予算編成作業というような形で、大蔵省からわれわれの要求した形が査定、削減されるというような形よりも、むしろ、私たち自身がそのような国の姿勢にこたえるべくどのような答えを出して、予算の八月要求の中身を再点検するかという問題にかかっておりましょうし、これを踏まえて、予算の前に開かれる国防会議に原案を出したい、そのときまでに、大蔵省の査定を待つまでもなく、姿勢を示してまいりたい、そのように考えて内部点検をいたしております。 第二の実質の問題でありますが、これは、金額面において、あるいはまた総需要抑制の対象となるべき予算の範囲内において、どのようにそれに対してこたえていくかという問題でありますので、これは陸、海、空の自衛隊それぞれの正面装備、人件費はこれは削るわけにはいきませんが、あるいはまた隊舎建設等の費用その他についてこまかな検討をみずから加えてまいりたいと考えます。
○上田哲君 私たちは反対ですけれども、この防衛費に関しては、ほかの費目とはちょっと違った事情がありますね。いま内部点検というおことばもあったわけでありますけれども、概算要求が出たときの一兆一千五百七十億円――たしかその数字だと思いますが、あるいはこの時期の前でしたから、その意味では一兆をこすということに政治的な意味は内外ともにあるわけですが、そういう線を基準にしますか。
○国務大臣(山中貞則君) 八月末の予算要求の時点における要求総額に全くこだわらないで、現時点における政府の四十九年度予算編成方針に従って自衛隊の来年度要求予算というものを防衛庁全体を含めて再点検をいたします。
○上田哲君 くどいようですが、それは防衛庁の意向として、一兆円を基準として切ることもあると。
○国務大臣(山中貞則君) 一兆円の大台というものをこすことに念願を持ってもおりませんし、それを切ったからといって、そのいわゆるわが国の自衛に対する姿勢というものがダウンするのだと いうふうにも考えておりません。
○上田哲君 そこで、これを削減するということになりますとね、問題は定員と装備ということになってきます。定員はどうでしょうか。定員をどう考えますか。
○国務大臣(山中貞則君) 定員は陸上については、来年度すでに要求をいたしておりませんが、海空については、艦艇、航空機の就役に伴う必要なる最低の人員の要求を現時点ではいたしております。しかし、これから予算編成作業は始まるわけでありまして、ここでまだ私どもは最終的な検討をいたしておりませんし、したがって、増員について来年度予算をどうするかについては、現時点ではお答えできないのであります。
○上田哲君 装備は、まあ油も協力しておるというお話でありましたけれども、ほかの油とちょっと違う。たとえば、航空機の燃料、あるいは艦艇の重油、これは質が違うむずかしさがあるし、それから値上がりの幅が全然違うわけですね。こういう問題を考えて、当然装備の問題にははね返ってくる部分があるはずであります。そういう面をどのように検討しますか。
○国務大臣(山中貞則君) 装備の面は、一つは国防会議付議事項となるべき新型のあるいは新開発にかかる問題、あるいは長期にわたって膨大な予算を伴う問題、その他いろいろとあります中に含まれるべき問題としてのとらえ方と、いま一つは、装備そのものを運用する場合において、たとえばJP4等の油の価格の値上がりがことに顕著でありますから、これらの問題を予算上どのようにやっていくかという問題はきわめてむずかしい問題でありますけれども、これは一般の石油の供給の見通しと価格の見通しとが現時点においてだれしも予測し得ないという答弁が累次ありますように、私ども自体においても、政府全体が最終的に推測を交えた見通しのもとに私どももそれに従っての作業が必要であろうと、そう考えます。
○上田哲君 やや抽象的でありますけれども、おっしゃりにくいところはわからぬではないけれども、国防会議ということばも出ました。国防会議付議事項も含めて、たとえばこの油の問題一つとらえたって、あるいは防衛産業側からとても単価なり仕様なりにこのままじゃできぬという声があがっているはずです。そういう事実はあるかどうか。そういうことも含めて、当然これはいうところの目玉装備、具体的には新型タンクとか、ファントムとか、FS-T2改とか、DDHとか、これは私は当然対象になってしかるべきだと思うのです。いかがですか。
○国務大臣(山中貞則君) 予算編成の途中で国会が開かれることはあまり前例がありませんから、したがって、ふだんならばきわめて明快にあなたにお答えするのが私のいつもの答弁のしかたでありますけれども、この時点であなたのおっしゃる目玉、あるいはあげられたそれぞれの正面装備というようなものを品目について私がいまここで御回答できないというのはきわめて残念であります。しかし、単価その他については、たとえば十二月以降三月末まで油を一括調達しようといたしましたけれども、十二月分しか応札をしてもらえなかった、その日暮らしであるということも現実に証明いたしておりますので、これらの点は鉄鋼資材その他の資材の現状から考えて、慎重なしかも現実に即した検討を当然加えていかなきゃならぬと考えております。
○上田哲君 抽象的な範囲ではよくわかります。 そこで、もう一歩だけ。つまり、私があげた目玉装備については検討の対象になり得るわけですね。
○国務大臣(山中貞則君) 当然対象といたしますが、具体的にお答えできないということであります。
○上田哲君 いつごろ明らかになりましょう。
○国務大臣(山中貞則君) 大体今月の二十日過ぎぐらいに国防会議に来年度予算において装備すべきもの等についての御相談をいたすことに予定をいたしておりますので、そのころにおいては予算の最終確定を待たずして防衛庁の来年度予算に臨む予算要求の新しい品目その他についての姿勢は明確になると考えます。
○上田哲君 総理、大蔵大臣、防衛庁長官は非常に注目すべき御発言であったことを注目いたしておきます。 念のために、重複する部分もありましょうが、自衛隊のいま油の問題をどのように考えているか。特にJP4などの問題を含めて御報告をいただきたい。
○国務大臣(山中貞則君) 油については、予算における調達予定量は七十万トンでありますけれども、実際上においては六十四万トンということで使用目標を定めておったわけでありますが、価格等の問題できわめてその目的達成は困難な情勢になりつつあります。したがって、私どもとしては、期末備蓄その他の一種のランストでありますけれども、ランニング・ストック的なものをみずから食いながら、それでもってどうしても落とせない分野、たとえばスクランブル、アラート、あるいはその直近周辺の練度を高めるための訓練、そういうもの等を中心にして、どこをどのように節約をしていったならば目的を保ちつつそして国民的な要望に自衛隊も沿い得るかという問題について重点的な検討をしたいと思います。
○上田哲君 外務大臣、在日駐留米軍の油がどうなっているのか。
○国務大臣(大平正芳君) ことし一月-八月、五十六万トン納めておるわけでございますが、年間を通じまして約百万トン内外消費が予想されるわけでございます。先般、政府におきまして石油緊急対策がとられた段階におきまして、アメリカ側に問題を提起いたしましたところ、米側におきましてよく理解を示されまして、自発的な節減態勢に入っておると承知いたしております。その後、日米間でなお調整中でございまして、ただいま私が申し上げられることは、わが国の生活面、生産面等における規制の状況にかかわらず、アメリカ側が理解をもって問題をいま検討いたしておるわけでございまして、遠からず結論が出ることと期待をいたしております。
○上田哲君 いま、百万キロリットルとおっしゃったんだけれども、これは二百万キロリットルではないでしょうか。 それからドイツやイギリスなどの情報では、つまりアメリカ軍の駐留を希望しているこれらの諸国でも、油の供給を全面的に停止するという申し入れを行なっております。日本の場合はまあ半々程度ではないか。これは、やっぱり、そのレベルまでいくべきではないか。
○国務大臣(大平正芳君) 在日米軍がどれだけの油を現実に消費しているかはさだかにわかりませんけれども、わが国から調達いたしました分量は、先ほど申しましたように、一月-八月ベースで五十六万トンと承知いたしておるわけでございます。地位協定によりますと、自由調達を原則といたしておるわけでございます。で、いま日米間の折衝の状況は、先ほど御答弁申し上げたとおりでございます。
○上田哲君 日米防衛援助協定に基づいてこの油は無税であり、無関税であります。これはどう考えても国民感情から納得ができません。ぜひひとつドイツ、イギリス並みに全面供給停止、また、現在の分についても免税特別措置をとらないというふうにお話をなさるべきだと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 私といたしましては、できることなれば、話し合いの上、相互理解の上に立ちまして所期の成果をあげたいと、せっかく努力をいたしておるところでございます。
○上田哲君 私が申し上げたような方向で交渉なさるのですか。
○国務大臣(大平正芳君) わが国の当面している事態は御案内のような事態でございまして、それに対する米側の十分な理解を求めて、それをベースにいたしまして米側の自制を期待するわけでございますが、私が先ほど申し上げましたように、先方の理解は私どもの期待以上にございまするし、日米間の調整も順調に進んでおりますので、遠からず具体的な成果が期待できると私は考えております。
○上田哲君 日本側からの供給停止、供給ゼロになるということですか。
○国務大臣(大平正芳君) せっかくいま折衝中でございます。先方も深い理解を持って調整に臨んでいただいておるということを御承知願いたいと思います。
○上田哲君 日本側の方針を伺っているのでありまして、ドイツ並みの方針で交渉中でしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) 先ほど申しましたように、日本政府といたしましては、こういう問題につきまして十分な話し合いと理解の上に立ちまして所期の成果をあげたいということで臨んでおるわけでございまして、そのことが望ましく、また、そのことが実効をあげるより有効な道ではないかと私は考えております。
○上田哲君 何が望ましいか、よくわかりませんな。供給ゼロを目ざすのですか。
○国務大臣(大平正芳君) いま日本が直面しておる事態につきましては、申すまでもないたいへんきびしい事態であるということは、上田さんも御承知のとおりでございます。この事態について先方に十分な理解を求めて、その理解の上に立ちまして全幅の協力を期待いたして、その上に立って調整をいま行なっておるわけなんでございますから、そして、そういう方法によってやることが、あなたが言われるようなドイツ方式と申しますか、そういうような方法によるよりは賢明な手段であり、実効をあげる道ではないかと私は考えておると申し上げておるので、きわめて明快ではないかと思います。
○上田哲君 在日米軍の油の使用量は去年よりことしのほうがふえているのでありまして、その傾向値に私は問題の一つを見出しているわけでありますから、しかも、税がない、これはやっぱり国民感情とは背馳する。どうかひとつ、供給停止という言い方がふさわしくないならば、国民感情に沿うような形での外交的御努力の万全を期していただくことを申し上げておきます。 そこで、別な問題でありますけれども、四十八年の八月三十一日の閣議決定、例の八%、四%の規制でありますけれども、このときに、十一月二十日の自治省の財政局長通達、これは十一月二十日現在未契約のものは翌年度に繰り延べろ、起債の内示のあったものでも自主的に繰り延べろと、こうなっておりますけれども、しかるに、これと一緒に出されております自治省の地方債課長の通達は、例外といいましょうか、報告を要しない部分が設けられている。この中に基地対策が入っているのです。これはどういうわけなんでしょう。
○国務大臣(町村金五君) お答えいたします。 いまの起債につきまして措置を講じましたのは、地域住民の民生安定上あれは必要な資金であるという観点に立っての措置でございます。
○上田哲君 これは施設庁かなにかのほうでないと答弁にならぬと思うのですが……。
○国務大臣(山中貞則君) 自治省の事務次官通達あるいは地方債課長の通達、そういうものに対しては、わが防衛庁は、施設庁も含めて関知いたしておりません。
○上田哲君 繰り延べというのはそういうものでありまして、たとえば、具体的に申し上げたほうがいいかもしれないけれども、北富士演習場のまわりでは病院が事業ができないわけです。これは非常に必要なものですよ。これは厚生大臣からお答えをいただきたいけれども、なくてもいいですが、そういうものです。しかるに、基地周辺整備法に関する基地対策費はそのまま進んでよろしいということになっている。これはおかしいじゃありませんか。
○国務大臣(町村金五君) ただいまの点は、財政局長からお答えさせます。――財政局長が参っておりませんのでお答えをいたしますが、これは、先ほどもお答えを申し上げましたように、基地対策につきましては、御承知のように、いろいろな内容を含んでおります。いずれにいたしましても、基地の存在によりまして地域住民の生活に重大な支障がある、それをできるだけ措置いたしますための資金であることは、あらためて申し上げるまでもございません。したがって、そういった意味でこの際見合わせる必要はないと、かような判断に立っての通牒を出したものと、かように心得ております。
○足鹿覺君 関連。 ただいまの上田委員の質問に関連いたしまして、大蔵大臣並びに自治省に伺いますが、総需要抑制のための財政執行の繰り延べと基地対策の関係でありますが、総需要抑制のための総合的施策の一環として政府は八月に閣議決定をいたしました。この八%という公共事業の抑制は、総額一兆円をこえるわけであります。その成果と今後の見通しはどういうふうになっておるか、閣議決定以来約五カ月、どういう状況であるか。 また、私どもが納得のいかない点は、自治省は十一月二十日に「地方公共団体の事業執行の繰り延べについて」という財政局長通達を出し、同日付をもって右通達と同時に出された自治省地方債課長の事務連絡によれば、軍事基地対策事業はこの繰り延べ通達の対象から一切除外されているということであります。いま上田君が例をあげられました富士吉田市、忍野村、山中湖畔につきましては、十一億八千四百八十二万二千円にわたる総事業費が支出されんとしており、これの起債についても五億九千三百万円という地元起債があるのであります。ところが、自治省通達によりますならば、この繰り延べあるいは起債の延期あるいは国庫補助対象外の事業として、病院対策があがっておりますし、また、厚生福祉施設整備事業というようなものもあがっております。「会館、体育館その他これに類するスポーツ施設、休養施設その他これに類するレクリエーション施設」というものがあがっておるにもかかわらず、先ほど上田君の取り上げられた北富士関係については、コミュニティーセンター、保育所、勤労青年センター、道路整備、住民体育館、有線放送施設等が自治省財政局長通達から適用が除外され実施されつつあります。私はこういったものをことごとく否定するわけでありませんが、明らかにこの通達内容の対象に含まるべき性格のものがほとんど実施されることは、総需要抑制の趣旨に反するものであります。これは基地周辺整備法の拡大解釈ではないか。いわゆる軍事費は自治省関係の通達外だと一課長名をもってこの閣議決定のワク外にするという意味、一般の福祉事業や医療事業までもストップするというときにどのような意味合いを持つかということは、これは国民は疑惑を持たざるを得ない。真に総需要を抑制しようというならば、本来の自衛隊の隊員の数あるいは重装備までも削減やむなしという態度も一時大蔵省側にあったようにわれわれは聞いておりますが、この点について、罪滅ぼしのために総需要抑制化の閣議決定を自治省は防衛関係についてはこれを除外する、こういうことでは私は筋が通らないと思う。政府の姿勢を明らかにするために、今後の軍事費のあり方について、総需要抑制に伴う措置としてこのようなものについては再検討をされていく筋合いのものでないかと考えますので、首相、蔵相、自治大臣から御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 昭和四十八年度予算の実行上の繰り延べ措置につきましては、まず最初に閣議で公共事業費八%等との基本方針をきめまして、その基本方針にのっとりまして、大蔵省と各省との間に費目別細目の打ち合わせをいたしまして、それができた段階でまた大蔵大臣から閣議にそれを報告いたしまして、そこで最終的な決定があるわけなんです。で、それをいまどういうふうにしておるかというと、そのきめられた計画に従いまして大蔵省は支出の権限をまだ各省大臣に与えておらないわけであります。したがって、そういう状態で年度末までずっと推移する。そして、年度末に至りまして、これを会計法上の繰り越し措置にするかどうかという判断をするわけなんです。繰り越し手続をするというふうにいたしましたものにつきましては、四十九年度の予算の上積みといたしまして執行されると、こういうことに相成るわけであります。 そこで、夏にきめました八%の執行繰り延べ、これはそういう状態で動いておるわけでございまするけれども、その後石油の問題なんか起こってきておるわけであります。そういう事態にかんがみまして、なおまあ追い打ちというか、重ねて上積みといたしまして執行繰り延べをすることが必要であるかどうかということにつきましては、個個の費目につきましてただいま考慮をしておると、こういう段階でございます。
○国務大臣(町村金五君) 御指摘のございました、一般的には厚生福祉事業あるいは病院について多少の繰り延べをしておきながら、北富士等についてはほとんど行なわれていないと、こういう御指摘のように伺ったのでございますが、ただいま御指摘のございましたたとえば病院等につきましては、これはその庁舎なりあるいは駐車場といったようなものはこの際繰り延べたらどうかという扱いにいたしておるのでございまして、ただいま御指摘になりました北富士におけるコミュニティーセンターというようなものにつきましては、御承知のようなあの地域の特殊の情勢というものも勘案をいたしまして、大体この点は四%程度の起債を繰り延べさせるという程度で処置をいたしたというふうに私は承知いたしておるわけであります。
○足鹿覺君 総理にはあとで伺いますが、昨日来瀬谷委員の質問に対しましても、新幹線問題がずいぶん首相からるる述べられました。その新幹線すらこれの着手を延期せざるを得ない、こういう情勢判断のもとにあって、「昭和四十八年十一月二十日現在未契約の事業のうち契約を見合わせられたい事業」というのが自治省通達から出ておる。その中には、「港湾整備事業、臨海工業用地等造成事業、内陸工業用地等造成事業、公共事業の施行とあわせて実施することが必要な事業以外の事業、電気事業、上下水道事業、地下鉄事業、ガス事業、市場事業」というようなものが入り、その下に、先ほど述べた「病院事業 診療に直接必要な施設および設備であって緊急に整備をしなければ住民生活に影響を与えると認められるもの以外のもの」と、こういうことになっておりまして、町村さんのただいまの御答弁ともこれはいささか食い違っておる。あなたが出された通達をよくごらんになってしかるべきじゃないかと思う。こういうふうに、厚生から、いま一番日本でやかましい公害や、あるいは不時の災害等は当然除外されなければ、福祉を犠牲にし、拡大する公害を犠牲にするということになりますから、やはり、福祉、公害、病院、こういったものについては、私どもは、これを十ぱ一からげにされるというところにこの通達の趣旨が行き過ぎではないか、こういう面も若干感ずる中にあって、自衛隊関係の重装備や兵員までも四次防に関係のない限りこれを抑制すると総理は衆議院予算委員会で答弁をされておる中にあって、周辺整備の自治省通達と同じ趣旨のものが、福祉関係やレクリエーション関係、不要不急、あるいは理由の不明確なものが載っておるということについては、これは軍事優先の立場がやはり貫かれておるのではないか。総需要抑制下にあってはさようなことは許さるべきでないと、このような国民は見解を持つであろうと思いますので、その点についても総理からも御答弁をわずらわし、町村さんからもいま一応この実情等について再検討されることを考慮してもらいたいと思いますが、いかがでありますか。
○国務大臣(町村金五君) ただいま御指摘のございました病院等につきましては、これは先ほどもお答えを申し上げましたように、必要な施設については、これは起債を見合わせるということはいたしていないのでございます。ただ、先ほど北富士等の基地周辺の問題につきまして御指摘がございましたが、これらの問題につきましては、それぞれ地域の情勢等も勘案をいたしましてこういつた通牒に相なっておるものと、かように私は承知をいたしておりますが、この点さらに十分ひとつ検討をいたしてみることにいたします。
○国務大臣(田中角榮君) 先ほどから申し述べておりますとおり、総需要抑制が必要であるということでございまして、防衛費もその例外ではないという基本的な立場を貫いてまいりたいと考えます。まあ、国防、自衛ということは非常に大切なことでございますから、これが大切であるということ、また、その任務を遂行するために必要なものはこれは最小限確保していくということを大前提といたしまして、総需要抑制に対してはその緊急の度合いをしんしゃくいたしまして総需要抑制の実をあげてまいりたいと、こう考えます。
○上田哲君 ただいまのような形じゃ、総需要抑制なんて言っても、国民にとってはたいへん疑惑を招くばかりでありますし、事柄がまた基地周辺整備法関係ということになると、非常に問題が出てまいります。ぜひひとつこの通達の再検討自身を含めて御検討をいただくことをお約束をいただきます。 油にしぼっていきますけれども、アブダビから三木特使の御報告はいかがですか。
○国務大臣(大平正芳君) 大統領その他首脳と会談されまして、まず第一に、わが国の中東政策につきまして先方から一応の評価を受けたということ、それからわが国との友好関係を維持、増進してまいる意向が示され、経済技術協力関係の前進を期待される旨の発言が先方からあったように聞いております。三木特使からは、中東戦争が一日も早く平和のうちに収拾を見ることを期待し、そのために日本といたしましてできることを探求して貢献いたしたいという希望を述べ、わが国の石油危機の実情を説明いたしまして、先方の理解を求められたと聞いておるわけでございす。空気はは至って友好的であったと承知いたしております。
○上田哲君 リビアの情報はいかがですか。
○国務大臣(大平正芳君) きのうは、その後の公電にはまだ接しておりません。
○上田哲君 問題は、アラブ政策をどうするかということが根底にあるわけでありますけれども、十月二十六日の口上書、十一月二十二日の新中東政策、この力点あるいは食い違いといわれる部分について御説明をいただきたい。
○国務大臣(大平正芳君) 十一月二十二日の政府声明は、これまでのわが国の国連決議の解釈につきまして、これをより明確にいたした点でございます。すなわち、それは三点重要な点がございまして、第一点は、イスラエルは一九六七年戦争における全占領地から撤退すべきであるということを初めて明らかにいたした点が第一点でございます。それまでは、占領地からの撤退という表現であったわけでございます。それから第二点は、イスラエルを特定いたしまして、占領を継続していることに対して遺憾の意を表明いたしたことでございます。第三点といたしまして、もし今後の事態の推移いかんによりましては、わが国といたしましてイスラエルに対する政策を再考しなければならなくなるであろうという警告を入れたことが三つの新しいステップでございます。十月の官房長官談話におきましては、直接二四二号の解釈に触れることなく、わが国の基本の方針といたしまして、戦争によって得た領土を占領し続けるということに対してわが国は反対であると、いわばわが国の基本的な考え方を示したわけでございますが、十一月声明は、二四二号についていま申し上げたような点を鮮明にいたした点に前進が見られるものと考えております。
○上田哲君 その情勢の推移というのですがね、これは和平会談の成り行き待ちでしょうか、それとも供給制限が長引くということでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) 前者でございまして、十一月二十二日の声明は、中東紛争に対してわが国の姿勢を明らかにしたものでございまして、石油問題とは直接関連はございません。
○上田哲君 そうしますと、この成り行きの中で、再検討と言われている中身ですけれども、どういう変化が出てまいりますか。
○国務大臣(大平正芳君) 再検討というのは読んで字のごとく再検討でございます。再検討の中身が明らかでございますならば、この時点において明らかであれば、明らかなことはうたわなければならぬわけでございます。今後の推移によりまして、その時点において最善の道を日本政府としては探求し、実行してまいらなければならぬということでございまして、いまの時点で再検討とは何ぞやという内容にわたりまして、私どもはまだ考えておりません。
○上田哲君 アラブ側の要望としては武器貸与と国交断絶です。
○国務大臣(大平正芳君) アラブ諸国のいずれの国からも公式にそういう要求は受けておりません。
○上田哲君 シリアの外相とアブダビの国務大臣が来日されてお話し合いになられたと思うんでありますが、その内容で、相手国の意向は、日本がアメリカに対してアラブ政策、あるいは中東政策と申しましょうか、の変更を要望してほしいと、こういう趣旨のことがあったやに聞くわけでありますが、おくみ取りになりませんか。
○国務大臣(大平正芳君) 仰せのように両大臣から日本政府に寄せられた要請の一つに、日本政府がアメリカに働きかけて、和平への促進についてアメリカが全力をあげるように働きかけることを求められたわけでございまして、アメリカの中東政策を変更することを日本政府からアメリカ側に要請するようにという要請ではございませんでした。
○上田哲君 そうなりますと、二四二決議の食い違いの問題、それから先般来日されたキッシンジャー国務長官との話し合いの中でどのようなお話し合いになったか。
○国務大臣(大平正芳君) キッシンジャー長官は中近東地帯を回られて先月の十四日、十五日訪日されたわけでございまして、まず第一に、中近東方面を旅行された状況をつぶさに拝聴いたしたわけでございますし、同時に中東紛争に対しまして、アメリカといたしまして善意の調停者として全力をあげてその推進に当たると、そのために労を惜しまないという決意の表明が漏らされたわけでございます。当方からは、わが国が当面いたしておる局面につきまして詳しく同長官の理解を求めた次第でございます。
○上田哲君 日本としてはオランダの道もあるわけです。そういう方向をおとりになるのか、それともかなり思い切ってアメリカのある意味ではたなごころの外にはみ出る部分があってもアラブ外交を推進されるのか。
○国務大臣(大平正芳君) 日本は日本の立場があるわけでございまして、御案内のように日本は石油ばかりでなくあらゆる重要な資源の大部分を海外に仰いでおるわけでございまして、日本はあらゆる国と友好関係を持つことがわが国の生存と繁栄の条件になっておるわけでございまして、したがってわれわれの外交政策は、そういう基盤の上で考えてまいらにゃいけないわけでございまして、非常に明快な、振幅の大きい選択の余地はないわけなんでございます。他の国には他の国のそれぞれの事情がございまして、その国の自主的な御判断によって中東政策をおとりになっておると思いますけれども、わが国はわが国として精一ぱいのことを考えてやっておりますことを御理解いただきたいと思います。
○上田哲君 明快な、振幅の幅が少ないというのはたいへん重要な御発言であります。 総理。三木特使に総理は広範な権限を与えられたと言われたようでありますけれども、広範な権限というのは経済援助を含みますか、首脳招待などを含みますか、あるいは新中東政策についての解釈の内容を含みますか。
○国務大臣(田中角榮君) 三木特使は政府を代表して訪問をしておるわけでございますから、官房長官談話の真意とアラブに対していままでより以上な積極的な外交を行なうためには、機構やいろいろな整備も必要でございますし、同時に日本に対してアラブが何を求めておられるかというような、アラブ側の真意というものも詳細に聴取をしたいということでございます。またアラブ側から十七、八件の政府ベース及び民間ベースの技術協力また経済援助その他いろんな案件が提示をされております。こういうものに対しても、すぐ受けられるものもございますし、また向こう側との間にまだ調整を要するものもございます。そういうものに対しましても日本側の意向を伝え、アラブ側の意向も聞き、なお必要があれば本国政府に請訓をしてくると、こういうことになっておりまして、たださらっとごあいさつに参りまして、そして事情をお聞きしてくるということではなく、日本の立場、日本の二四二号決議に対する真意、また官房長官談話の真意、そういうものを広範に説明をし理解を求めるということで、そういうものに対しては相当な決意をもって、また政府の意見を代表できるような立場でアラブを訪問しておるわけでございます。
○上田哲君 経済援助とか、医師とか看護婦とか、そういうことはどうやらお話の中でよくわかりました、できるだけのことをしようと。問題のポイントは、たとえば国連の場において日本が主体的な、主導的な役割りを演ずるということができるかどうかがあると思うのですが、そういう判断についてはどうなんでしょう。
○国務大臣(田中角榮君) 日本は国連中心主義であるということを明確に前提にしております。そして、国連を育て、国連が真に世界の平和に貢献できるような機構になることをこいねがっておるということも大臣に申し述べてあります。それから、国連が人類の理想達成の機関でありながら、現にその機能が完ぺきでないということに対して、これを強化し、補強していかなければならない。そのために対して日本も応分の寄与と協力を惜しまないという意思も明らかにいたしております。まあスエズ運河の再開一つにつきましても、国連が結論を出せないような状態であります。しかし、中東戦争等の問題を考えれば、これから恒久的平和の確立ということになれば、国連軍というか、国連の機能というものが相当大きく要請されるわけでございます。そういう場合は費用負担の問題もございます。そういう意味で、国連の国際的平和維持に要する費用分担等についても日本は応分のことをやっておりますと、その事実も述べております。で、特に北ベトナム等の――南北ベトナムの和平に対して国連が中心になっておるものに対しても、日本はその主導的な役割りを行なって民生の安定や経済復興を行なう意思のあることも国連に表明しておることも、先方側も承知をしておるようでございますが、そういうことも事実として述べてございます。それから、国連中心、それから、国際赤十字中心、また二国間、対日本及び複数のアラブ諸国との間にいろいろな民生の安定や平和への過程における協力というものに対しても、日本の意思を明確に伝えてございます。国連というものが四大国中心、五大国中心という、アメリカ、中国、ソ連、イギリス、フランスというような、そういう中で日本が新しい憲法を持ち、永久に平和主義を貫くということ、また国際紛争を武力で解決しないという理想の憲法を持つ日本というものが安保理事会の常任理事国として働くというようなことの意義というものもあらためて評価ができると思いますというようなことも述べてございます。 それで、なお国連中心ということで、国連の二四二号決議というものが満場一致で行なわれておるというなら、これはやっぱり実現しなければ、国連が世界の平和維持機構の中心的位置として確認をされるように、信頼を受けるようにならないので、お互いにそのような方向で寄与し貢献してまいりたいという基本的な姿勢というものを申し述べておりますし、特に日本は武力による領土の拡張とか、占領の継続とかということは認めがたい、認めがたいというよりも、そういうことは一切日本は国是として行なわない。こういう世界に対する日本の基本的な憲法の精神、日本政府の精神、日本国民の願望、こういうものが官房長官談話の基礎をなしておるということを十分述べておるはずでございます。
○上田哲君 なまな言い方は避けますけれども、アラブ側の要望を受けて国連の場で努力をするということが含まれているということに受け取っていいわけでございますね。
○国務大臣(田中角榮君) まあアラブ側の要請というよりも、アラブ側の意見はすなおにこれを承る、意思の疎通をはかるということでございます。日本は武力占領ということには反対でございますから、あってはならないということでございます。そういうことがある限り地球上における平和というものは維持できない。こういうもう非常に強い国是を持っておるわけでございますから、そういう日本側の立場を明らかにし、理解を求めると同時に、アラブ側の意向も十分これを承って、日本が寄与できるものに対しては国連中心で活動を続けてまいりたい、こういうことでございます。
○上田哲君 関連してですけれども、日本のような資源非保有国の資源保有国に対する、石油だけでない、他のいろいろ食糧なり鉄なりの問題があると思いますから、そうした立場での今後の資源外交といいましょうか、その問題についての展望や御抱負も承っておきたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 石油だけじゃございません。これはもうあらゆる資源を外国に受けておるわけでございますから、これはいままでのような考えから新しい視野と立場と角度から、この中東動乱による石油問題を契機にして、資源確保というものに対しては根本的なひとつ洗い直しをしなければならない状態になっておるということは事実でございます。そういう意味でまず問題の食糧とか、去年は大豆の問題がございました。それから、特に食糧の問題は日本の備蓄というものを日本でやるだけではなく、国際的にも備蓄ということが考えられなければならないし、同時に、日本が開発途上国に対して交付しなければならない、援助しなければならない食糧問題もございます。大豆バンク構想とか食糧基金構想というような、長いこと問題になりながらついに実現を見ないでおるわけでございますが、そういうような問題もあらためてひとつここで実現をしなければならないということでございますし、そういう意味で飼料、国民生活に必要な食糧というようなものに対してはカナダ、アルゼンチン、ブラジル、ニュージーランド、豪州、それからインドネシアというような地域を対象にいまプロジェクトをずうっと詰めておるわけでございますし、また銅というようなものに対しては、カナダでは少なくとも二次製品をつくる前の段階まではカナダで製錬を行なうという問題が長いこと日加の間の問題になっておりますが、これらの問題にしても、すべてがカナダで製錬を行なうということが可能だとも思いませんが、しかし、食糧とか、雑穀とか、飼料とか、そういう問題とあわせて銅の製錬という問題に対しても、これは事実問題として考えていかなければならないということもいま検討いたしております。それから、西豪州から鉄鉱石を入れておるわけでございますが、西豪州やそれからインドネシアにおける製鉄所の問題とか、現地と消費国である日本というものとの間の関係、いままであらゆる資源を日本へ持ってきて、これを製造するということでございましたが、公害の問題、電力の問題、石油の問題等ありますので、これらの問題に対しても具体的にプロジェクトを詰めていかなければならぬと思います。 今度三木特使が訪問をする七カ国にも現地で石油の精製工場を行なう、現地で石油化学の工場を行なう、製鉄工場を行なうという幾多のプロジェクトがございます。そういうようなものもあわせて、少なくとも中期的見通しを立てて、それに合うような状態というものを対外的には考えていかなければいかぬし、考える段階ではなく、実行していかなければならない段階であると、こう考えております。 国内的にはエネルギーの多様化とか、安定成長とか、いままでよりも資源を使わない、いわゆる付加価値の高い省資源産業というものに転換をしなければいかぬというような広範な問題をここで洗い直して、いままででもここでも申し上げておったのですが、なかなか国民も、そういう転換がきかないような大きな経済規模になっておるわけでございますが、今度の石油で政府だけじゃありません、国民もいやというほど知ったわけでございますから、そういうわけでこれは国民的合意を求めるには一番いいときだと、こういうことでありまして、間髪を入れずということでひとつ政府も案を出し、国民の理解と協力を得たいと、こう考えております。
○上田哲君 外務大臣。ちょっと飛ぶんですけれども、金喆佑問題ですね、この問題についてどのようにお考えですか。
○国務大臣(大平正芳君) 同氏は北海道大学の助手の地位にあって、正式の出国手続を経まして韓国に渡られた段階で、韓国の治安当局に逮捕されたと承知いたしております。で、この方は韓国籍を持っておりますので、形の上から申しますと、外交特権が及ばないわけでございますけれども、日本大使館といたしましては、あらゆる手を尽くしまして、本人との連絡はとれるようにいたしておるわけでございます。
○上田哲君 そこで油に戻りますが、プロパン、灯油のピンチはもう決定的なところにきていると思います。 政府説明は、供給量、流通過程あるいは消費者と、大きく分ければこの三つのところにそれぞれ問題があるようなお話なのでありますが、たとえば一番きびしいところは、問題のあるところはどこですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) プロパン使用の各方面を見ますと、大体家庭用が四七%ぐらいで、タクシーがたしか一六%、それから工業用、これはガラスその他の中小企業関係の工業用、それがやはり一六、七%であったと思います。それで、いまこういう歳末でもありますから、家庭用を最大に重視いたしまして、いま配当をしておるところであります。それから、もう一つは、タクシー関係が最近騒ぎが起きましたから、これも手当てをしたところであります。一応小康状態を呈しておりますが、絶対量を見ますと、下期で五百七十万トンぐらいの輸入が予定されておりますのが、最近各国から非常に奪い合いになっております。大体半量は輸入で、きておるわけであります。それからもう一つは、石油精製の際に出てくるのが四四%ぐらい出てまいります。そういうわけで、石油の輸入量の減少、精製量の減少、それから、いま五百七十万トンという予定が若干減るのではないか、それに対応するだけのいろいろな調整措置を講じておかなきゃならぬ、そういうところでございます。
○上田哲君 念のために、これから先の見通しですが、一-三月。
○国務大臣(中曽根康弘君) 苦しいけれども、その調節をうまくやっていけば何とかやっていける、そういう見通しでおります。それで、これは業界に対して相互融通をうまくやれるようにするということが一番大事でありまして、その点について業界をいま指導しているところであります。
○上田哲君 数字ではお聞きできないのですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 大体先ほど申し上げました五百七十万トンというのが予定量でございまして、どこに何ぼあるかというのをまだすみずみまでチェックしておらないのです。また、われわれのほうには権限がございませんので、目下のところはそれを確かめることもできないわけであります。そこで、いま石油法案を御審議願っておりまして、あれが通過したら、そういう正確な資料を手に入れまして、確実な調整をやっていきたいと思っておるところであります。
○上田哲君 船がとおっしゃるのですが、これはもう一-三月なら船積みが終わっているはずなのですよ。推計ができないはずはないのです。どうして数字が出ないのでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 大体あれは月ベースできておりますから、したがって、いまわかるのは大体一月の中旬ぐらいまでの着荷ベースがわかっております。したがって、それ以上のことはまだわからないわけであります。
○上田哲君 その部分でけっこうです。
○国務大臣(中曽根康弘君) こまかい数字ですから、追って資料としてお届けいたします。
○上田哲君 追って資料というのは、いまここで出るのですか。持ってないということですか。ここはいま非常に重大なのです。
○国務大臣(中曽根康弘君) いま手元にございません。
○上田哲君 通産にはあるのですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 船で海外からやってくる分の着荷の報告はある程度あると思いますが、これは私はまだ想像でありまして、確定的にあるということを責任を持って申し上げるには、もう少し調べてみる必要があります。
○上田哲君 ないのですよ、これが。あるのかないのか調べてください。
○国務大臣(中曽根康弘君) チェックしてみます。
○政府委員(北村昌敏君) 一月の数字は現在見通しを詰めているところでございまして、申し上げられるような形での詰めがまだできておりません。現在手元に持っておりまする資料で申し上げられまするのは、十月及び十一月末現在のストック量について、現在持っております資料で申し上げますると、十一月はプロパンガス――これは速報ベースでございまするが、国内の精製が三十七万トン、輸入が四十万トン、合計七十七万トンでございます。なおそのもう一つ前の十月の生産及び輸入の計が八十一万トンということでございます。それでメーカーの在庫は、これは十月末現在七十七万トンでございまするが、このほかに流通段階の分をも含めますると、流通段階のほうの数字は正確にはとてもつかめないのでございまするが、推定で十月末現在約百万トンのプロパンガスの在庫があるものと、こういうふうに推定いたします。
○上田哲君 つまり、ないのですよ。だいじょうぶだとか、あるとか、計算が間もなくとかおっしゃっているけれども、ないわけじゃないですか。これはどういうわけですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) いままでのは実績を御説明したわけです、七十七万トン、十一月ベースというのは。しかし、将来にわたってのは、これをまあ生産計画、それからいまあるストックを配当しての配当計画ということになると思いますが、大体LPガスは半分が輸入で半分が国内産という数字になっておりまして、外国から入ってくる分の着荷ベースというのは、船積みその他の関係でなかなか正確には、まだ確報が入っていないわけであります。しかし、わかっている限りのものは資料としてあとでお届けいたしたいと思います。
○上田哲君 わかっている限りはないわけですよ。見通しというのは計算なんですから、三月までは無理だけれども、一カ月ベースでくるのだというお話なんです。だったら、なければ議論はできないではないか、私はそこのところを問題にしている。大まかのトータルのことは言えますよ。しかし、これは全然政策にならぬじゃないですか。 もう一つは、通産省の数字と、石油連盟の数字はどういうふうになっておりますか。
○政府委員(北村昌敏君) 通産省のほうの下期を通しまするこれは推定の見通しでございまするが、その見通しの数字と、それから石油連盟の数字との間に、かなり大きなギャップがあったことは事実でございます。その後、最近に至るまでのメジャー各社からの通告ぶりなどを踏まえまして、双方で詰めを急いでおりました。現在時点でわれわれのほうと、それから石油連盟側のほうとは、下期を通じました輸入見込みでほぼ一致点に達しました状況は、当初の下期、これは石油全体で数字を申し上げまするが、当初需要に対しまして約二割減という形で、石油全体では――油種別ではございませんが、石油全体では、当初需要に対しまして二割減というところで一致点に達しておる状況でございます。
○上田哲君 見通しですか、それは。
○政府委員(北村昌敏君) これは非常に大ざっぱなあれでございまするが、下期全体――十月から 一、二、三月、これ一、二、三月は不確定要素が非常に多うございまするが、ある程度の仮説を置きまして、その上に立った双方の詰めの結果でございます。
○上田哲君 こんな調子じゃ国民が不安であるのはあたりまえなんですよ。だから私が聞いたのは、供給量と流通過程と消費者の間のどこに一番問題があるか。あとの二つには問題がないんです。供給量のところですよ。供給源ですよ。そうお考えになりませんか。
○政府委員(北村昌敏君) 先ほども申し上げましたとおり、一月、二月、三月につきましては一つの仮説を置いております。すなわち、アラブの減産が、一月以降前月に対しまして毎月五%の減産上積みをするという想定に立ちまして、最近時点におけるメジャー各社の供給カットの通告ぶりをも加味いたしまして、下期――十月から来年三月まで通した双方の見通し数字が、先ほど申し上げましたとおり当初見込みに対しまして二割減ということでございます。
○上田哲君 違ったことを答えるということもしようがないんですがね、消費者に協力を求めるだとか、流通過程がどうだとか、出ているけれども途中で消えるとか、とんでもない話なんです。とんでもない。供給量のところもつかんでないし、見通しもない。悪いのは供給源ですよ。そこを私は問題にしたいんです。 一つ調べてきましたけれども、東京世田谷の赤堤に生活クラブ生協というのがあるのです。一万二千六百七十六世帯、十二月に五百四十八キロリットルの灯油が要る。これは多いですか、少ないですか。一万二千六百世帯、五百四十八キロリットル。
○政府委員(北村昌敏君) ちょっと先生の御質問を聞きそびれましたのでございますが、灯油につきまして……。
○上田哲君 一万二千六百七十六世帯で十二月に必要な量が五百四十八キロリットルです。やれ買い占めだとか、買い控えだとかというような数値ではなかろうとぼくは言いたいわけですけれども、お認めになりますか。
○政府委員(北村昌敏君) 灯油の一カ月の全国の需要量は――ちょっと失礼いたします。
○上田哲君 じゃ、質問を変えましょう。いいですよ。
○政府委員(北村昌敏君) ちょっと失礼いたしまして……。
○委員長(鹿島俊雄君) 答弁しなきゃいけません。
○上田哲君 あのね、去年は八千三世帯で千四十二キロリットルのものを提供されているのです。ことしはそれよりぐっと少ない。ずっと押えているのです、消費者は。いいですか、無理な数字じゃないということです。それで、来たのはわずかに三分の一弱の百六十六キロリットルです。これは普通でしょうか、普通でないでしょうか。
○政府委員(北村昌敏君) それは先生、全国の数字じゃございませんですね。
○上田哲君 一つの生協の例をとっているのです。三分の一弱という数字がどのように感じられるかでいいですよ。
○政府委員(北村昌敏君) 灯油につきましては、十月末――この下期に入ります前から備蓄の積み増しをやってまいりまして、十月末現在で五百八十万キロリッター――全国ですが、これは六十三日分の備蓄量に相当するわけでございまして、これを昨年の同期に比べますると二五%増しの備蓄量という状況でございます。なお家庭用需要の重要性にかんがみまして生産及び安定的流通の確保につとめるところでございまして、それを昨年の三分の一の量のカットというのは確かにひどい数字だと、こういうふうに考えます。
○上田哲君 何がひどい数字ですか。これはあなた、いかに実態を知らないかということですよ。これはいい数字ですよ。
○政府委員(北村昌敏君) 先生おっしゃいましたのは……。
○委員長(鹿島俊雄君) 北村次長、的確にもう少しお答えを願います。
○政府委員(北村昌敏君) 先生がおっしゃいましたのは、昨年の使用実績に対しまして三分の一の供給量という状態だと、こういうふうにおっしゃったと私承りまして、それでは現在の灯油の備蓄量及び生産状況から考えましてそれはひどいと、こういうふうに申し上げた次第でございます。
○上田哲君 そんなことを言って回っているから困るんですよ。灯油なんかは十分に行き渡っていないじゃないですか。行き渡ってない中でいったら三分の一弱来たのはいいほうだと言っているんです。そんな実態がわからぬのですか。もとは出ている、下までしみ渡っていないと。どこへ行ったんだ、それじゃ。説明してごらんなさい、そこを。
○国務大臣(中曽根康弘君) 最近の報告を聞いてみますと、全石商連、各都道府県にわたりまして非常に徹底してまいりまして、そういうようなところは例外的ではないかと思うんです。一時そういう声があがりました。しかし、われわれのほうでだいぶ行政指導もいたしましたし、また業界内部におきまして石油連盟、全石商連その他が懸命に融通もし合いまして灯油の問題は大体いまは片づいているはずなんです。いまはプロパンガスの問題がわれわれとして一番大事な仕事であると思ったところで、上田先生のおっしゃるそれは例外じゃないかと思います。もしそういうところがありましたら、さっそくわれわれのほうで融通させますから、どうぞお教え願いたいと思います。
○上田哲君 そんなことをおっしゃるから困る。きのう調べてきたのだ、これは。東京の世田谷の生活クラブ生協だという名前をはっきり申し上げておるんです。生活生協では非常に大きいんです、これは。強いんです。何とかしてこの生協に入りたいと言っていて入れないんですよ、いまは。とんでもない例外ですよ、おっしゃるのは。三百七十八円で売っているのです、これはポリかんで。三百八十円を必死に守っていますよ。協力していますよ、これは。それで、こういうことなんですよ。ただ、ここで実態を知らないならしようがないから議論できませんけれども、一番問題なのは、八つのスタンドと一つのメーカーなんです、ここは供給は。ところが、一つの系列に属するメーカーは三十五キロリットルを量は保証するけれども値段が高ければというのがちゃんと来るんです。ここに問題があるんですよ。流通過程が問題だというのは系列化なんですよ。石連と数字が違うでしょう、さっきのように。問題は石連なんです。消費者じゃないんですよ。そこをはっきりしていただきたい。
○政府委員(北村昌敏君) 灯油の値段につきましては、先般店頭渡しで裸で三百八十円ということで業界――石連及び小売り店の団体とも了解に達しておりまして、ただ残念ながら現在時点ではまだ末端段階まで完全には浸透していない向きもあるかと思います。そのようなところから、地域によっては一部混乱がまだ起こっているかもしれませんですが、もう少し時間をかしていただきますならば末端まで浸透するものと考えております。
○上田哲君 LPじゃもっとわからぬと思って、こっちを言ったんですがね。じゃ、伺うけれども、十二月の九日に緊急放出、これはどこからどう出てきたんですか。国民だれもわからぬ。どこにあったLPですか、これは一生協ぐらいの話じゃないから。
○政府委員(北村昌敏君) あの緊急放出は、LPGメーカーからLPGのガススタンド協会に対してだったと思うのでございます。
○上田哲君 そんなことじゃわからないんですよ。どこの倉庫からどう出てきたんですか。運輸省では次官が御説明になったけれども、どこにあったかわからぬという御報告をなすっているはずです。
○政府委員(北村昌敏君) 十五のスタンドに対しまして七トンずつの計百五トンの放出をやったと、こういうふうに聞いています。
○上田哲君 もらったほうですよ、どこから出てきたんですか。説明にならぬな。これを国民はみんな不安に思っているんですよ。急にどこから出てきたんですか。どこからとは聞かなくていいですよ。しかし、出てきたところはどこであるかがわかっているかどうかは、はっきりさしてください。無理は言ってないつもりだ。出場所がわかっているのかどうかだ。出場所がどこかとは聞かない。
○政府委員(北村昌敏君) 先ほど申し上げました放出は、当然に十一月末のメーカー在庫から放出されたものであります。
○上田哲君 委員長、これはだめだ。私は何番地を教えてくれなんて言ってないですよ。どこの倉庫だとは言ってませんよ。私、はっきりしておいてもらいたいのは――後刻でもいいですよ。そんなことは。はっきりしておいてもらいたいのは、その放出先、もとはどこから出たのかということは、わかっているかわかっていないかだけは言ってもらいたいというのです。どこである必要はありませんよ。
○国務大臣(中曽根康弘君) それは、いまお答え申し上げましたように、メーカーから在庫を放出さしたと、そういうことであります。
○上田哲君 だから、メーカーじゃ困るんですよ。そのメーカーのどこにあったんですか。そして、通産省は、そのメーカーの門口から、そのことを言う以外に、メーカーのどこに何があるかということを知らなかったということになるんですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) これは、十一月末に全体の集計は持っておって、そしてその集計に基づいて、メーカーに対して、いまのタクシーのプロパンの問題については放出するように指導して、各メーカーからおのおのの系列について放出したと、そういうことであると思います。
○上田哲君 これはひとつ具体的に後刻資料をいただきたいと思います。いいですか、委員長。
○委員長(鹿島俊雄君) 資料要求ですな。
○上田哲君 はい。
○委員長(鹿島俊雄君) 承知しました。
○上田哲君 資料をいただいて、ひとつ質問を保留いたしますけれども、これは明らかに通産省と石連の間に問題がある。私は、独禁法違反ではないかとすら思うような――すらですよ、思うような問題があると思っています。たとえば、通産省の高級官僚は、ほとんど、外資、民族を問わず石油会社の重役をつとめている。そうした中で、問題は私は石連だろうと思うんですよ。ここのところ三年間、全然電力に対してものも言えなかった石連が、ずうっと強くなっている。こういう形の中で、この灯油なりプロパンなり、すべてこれはもうトイレットペーパーからなんですけれども、結局安値多売をしていたスーパーとか生協とか、そういうところをねらい撃ちにしているという結果しか残ってないんじゃないか。 念のため総理にも伺うんだけれども、その私書箱一号とおっしゃるんですけれども、実際には何か具体的な効果があがっておりますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私書箱一号を設けました当座は、大体一日に百通から百二十通ぐらいの手紙がありました。二、三日前の私の手元に来ているのは五十六通というのが最近の例でございます。大部分は、初めのうちはトイレットペーパー、砂糖、洗剤等の問題でありましたが、最近はプロパンガス等に対する心配、そういうようなものが多くなってきております。
○上田哲君 これはまあ原油の値上がりがありますけれども、結局消費者の部分にしわ寄せする値上がりが二倍なり三倍なりということがもう目の前に来ていると、この結果しか残さぬシステム、メカニズムだったのではないかと思うのです。その部分だけ。
○国務大臣(中曽根康弘君) おそらく、そのプロパンなんかにつきましては、日本に輸出しているメジャーズが原油の価格を非常に上げましたり、あるいはプロパンの値段、LPGの値段にいたしましても三倍近く上げると、そういう新聞記事が出ておりますものですから、非常に御心配なすって問い合わしてきているのが多いわけであります。
○上田哲君 最後ですから、まとめて申し上げますけれども、先ほどの資料を出していただきたい。 それから石連の各メーカーの通産省元公務員であった方々の、局長以上でもけっこうですから、一覧表をひとつつくっていただきたい。その他について、具体的にひとつ御質問を後ほど申し上げたいと思っています。 私はやっぱり、消費者に向かってすべて責任を押しつける、ぜひひとつ皆さんの御協力をという姿勢でこの問題を解決してはいかぬと思うのです。具体的にその供給源のほうに大きな問題かあるのだということをぜひ申し上げておきたい。これは石油だけの問題ではなくて、物価全体の問題に締めくくりを申し上げておきたいのでありますけれども、私は、石油危機ということばに隠れて、すべての今日の異常な物価高というものが説明されてしまってはならぬと思います。根本的に、総理もたいへん私は率直にお認めをいただいたと思うのだけれども、やはり去年の夏からあのような騰勢を示してきた経済動向、あるいはそれ以前の高度成長というものが必然的に政策的にもたらした今日の異常状態というものがある。これは、非常に失礼な言い方を使うならば、外部要因としての石油パニックによってある種の言いわけができた、こういうことですらあると思うのです。私は、私書箱一号のいま具体的な数字を、内容をそうたくさんはお伺いする時間がありませんでしたけれども、目安箱を回復するような形の中で新しい民主主義社会の経済活動が円滑に行なわれるということは期待すべきではないと思います。きょういろいろお話を伺いながら非常に危惧を持った一点は、総理がアメリカの例などを引かれながら、国家総動員法というようなものがぜひとも必要だ、力を与えてくれれば何とかなるのだ、力を与えないでこうした問題は解決できない、いかにもインフレ、物価高をおさめるのは政府の統制権限を強化するのが一番よい、道は国家総動員法以外ないのだというようなその種の御発言というものは、これは非常に国民に対して危惧を与える。北風とマントの話ではありませんけれども、やはりここはもっと大きな自由の幅を拡大し、国民の良識に期待するという政治の仕組みの中から、経済の円滑な運営に努力をすべきだと思うのであります。この点に関して非常に危惧を持ったのでありますから、総理から、いかにも国家総動員法的なものを、ぜひ統制権限を授権されたいというところに経済問題解決の唯一の何か手だてがあるような印象を受けた部分について、しっかりとお答えをいただくことをお願いをして終わります。
○国務大臣(田中角榮君) 私は統制はきらいでございますから、自由民主党に所属しておるわけでございます。それから、私も戦時中から戦後、統制というものが机上の論のようにうまくいかないものであるということも、よく承知をしております。ですから、統制というようなもの、官僚統制というようなものが可能だとは考えておりません。これはもう戦前の例を見れば、植木ばちまで統制のリストに載ったという歴史があるわけでございまして、こんなものがうまくいくなどと考えておりません。ただ、国民のいま必要な生活必需物資というものに対しては、製造に対して、これを増産命令を出したり、流通段階の経費はこれだけで押えて、確実にこれを最終消費者に与えるというような調整権限ぐらいは与えていただかないと、これは私のほうでも国民の理解と協力だけではどうにもならぬわけでございます。しかし、その大前提は、国民のお互いが連帯の思想で、ここらでひとつもうけようと、いままでもうからなかったんだから、ここのところ出庫をしぼればもうかるにきまっておると、十年間の赤字は全部消えます――そういうような状態をそのまま野放しにしておいてはだめでありますから、そういうものに対しては、在庫を放出させるようなやっぱり調整権は最小限与えてもらわなければいかぬです。不当な利得者に対しては、この利得を吸い上げて、売り惜しみ買いだめによって不当な利得を得られないような、そういうやっぱり最小の権限だけは与えていただかなきゃいかぬということであって、私は、もう官僚統制などの論者じゃありませんし、総動員法のようなものなどは、全くこれは考えておりません。これは悪夢であると考えておって、ですから、私は、放送法の改正も郵政大臣のときに提案したんですし、そして大蔵大臣のときは、日銀法の改正も提案しておるのでございますから、そういう意味では、もう全く思想的にそういうことではないということだけはよく理解していただきたい。
○上田哲君 終わります。
○委員長(鹿島俊雄君) 以上をもちまして、君の質疑は終了いたしました。(拍手) ―――――――――――――
○委員長(鹿島俊雄君) 鈴木君。
○鈴木一弘君 私は、公明党を代表して、最初に補正予算について、また経済政策について、そのほか最近の石油問題、石油外交等について質問を若干行ないたいと思います。 最初に、これは厚生大臣と労働大臣にお伺いしたいんですが、四十八年度予算でインフレの補正が行なわれたのは、生活保護基準の五%、あるいは失対労務者賃金の五%引き上げ、一体金額は何ほどの引き上げになっておりますか。
○国務大臣(齋藤邦吉君) 生活扶助基準は、本年度一四%上げました。これは、御承知のように家族数、級地別によって違いますが、標準四人世帯の東京の例を引いて申しますと、金額で申しますと、昨年は四万四千三百六十四円でございましたが、四十八年度当初一四%を引き上げましたので、五万五百七十五円に引き上げました。五万五百七十五円を、十月一日から五%緊急改定をいたしまして、五万二千七百九十六円になったわけでございます。したがって、現在は昨年に比べまして一九%のアップになるわけでございますが、今回上げましたのは五%でございますから、五%分だけを申し上げますれば二千二百二十一円となるわけでございます。
○国務大臣(長谷川峻君) お答えします。 失対賃金五%この十月に上げました。これは失対法改正以来、法ができて以来初めてでございますけれども、四十七年度の当初千二百八十二円一銭から、千五百十四円七十九銭、そして前年度比一八・二%と上げております。一日七十八円だと思っております。
○鈴木一弘君 この五%引き上げの理論的根拠は、厚生大臣、どうなっておりますか。
○国務大臣(齋藤邦吉君) 理論的根拠でございますが、昨年の四月からことしの十月までの前年比を考えてみますと、消費者物価十月といたしますと、一二・一%が消費者物価指数の上昇の率でございます。さらに、家計消費支出、これは非常に大事な点でございますが、一般の世帯の消費支出がどの程度伸びているかということは、いまのところ統計的には出ておりませんが、全国勤労者の消費支出の伸び率を見ますと、ことしの九月で比較いたしますと、前年に対して一六%の消費支出の増加であります。ということを考えまして、一四%にプラス五%、一九%であるならば今回の事態に対処できると判断をいたしたわけでございます。
○鈴木一弘君 この五%増額分が四人世帯で、先ほどの御答弁ですと二千二百二十一円、一人当たりでは月額が五百五十五円余り、一日で十八円、四人で一日が大体の計算で七十二、三円程度じゃないかと思いますが、そうするとこういう物価急騰のときに、一日で四人世帯で七十二円の改善ということで、一体どういうふうに生活の改善がなされたと、こういうふうに頭に描かれたのか。これは閣議決定でありますので、それに関係した大臣にお伺いしたいと思うのです。厚生大臣、労働大臣、経企庁長官、大蔵大臣から、どういう改善を頭に描いて決定をされたか伺いたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 一日ということになると、ばかに小さい数字になりますが、これは根っこがあるわけであります。一四%本予算で乗っけた、それにさらに五%積み増しをする、で、一九%になるのです。一九%にした結果、標準家庭では五万二千円程度になるわけでありまして、この一九%という上昇率と、それから五万二千円という額、これは大体生計費計算調査、そういうものから見て妥当である、こういう関係各省間の合意に基づいて予算を組むと、こういうことにいたしたわけであります。
○国務大臣(内田常雄君) 御承知のように、消費者物価は本年度に入りましてからかなり急ピッチの上昇を示しておるわけであります。十月ベースでは一四・何%と、こういうような昨年に対する上昇率でございますので、したがって、保護世帯に対する保護費の上昇と、数字の上では――年初に一四%、今度五%乗せますから一九%で、まあ数字の上では保護世帯に対する引き上げ方が悪くはないと私は思いますが、しかし、私は経済大臣として考えてみますると、保護世帯は一般の国民よりもエンゲル係数も大きゅうございますし、また保護世帯の生活内容というものを一般の国民に近づける、こういう趣旨からは、今回五%上げられたことはたいへんいいことであったと考えます。
○国務大臣(長谷川峻君) 大蔵大臣、他の関係大臣から御答弁があったとおりでございますけれども、生活保護基準が上げられた、それを受けて私のほうは立ったわけです。 ただ、その際に御理解いただかなきゃならぬのは、失対賃金というのは、緊急失業対策法の規定によりまして、これに似たような作業をされる方の労働者の賃金を考慮して定めております。それは生計費や物価に直接リンクするものじゃない、こういうふうなたてまえでありますけれども、先日の十月のときには、一日――先ほどちょっと数字があるいは間違ったかもわかりませんが、一日当たり六十四円の平均賃金アップになっております。今後とも失対賃金問題については、失対就労者の実情を十分考慮して、適当な賃金水準を確保するように、私のほうとしてはがんばってまいりたいと思っております。
○国務大臣(齋藤邦吉君) なるほど、今回上がりました五%は二千二百二十一円になるわけでございまして、それを一人当たり一日何ぼに割れば何ぼになる、こういう考え方ではないのです。生活でございますから、生活は総体的に考えなければならない。そうなりますとことしの十月上がったところで四人世帯で五万二千七百九十六円、これで生活をしよう、こういうわけでございます。しかも医療扶助とかあるいは教育扶助だとか、住宅扶助は別でございまして、ほんとうに衣食だけの生活、しかも一般の消費水準よりも上回って上げておるわけでございますから、まあまあ、もっと上げたらいいではないかという御意見もおありだと思いますが、いまの事態に対しましては適当なところではないかと、かように考えておる次第でございます。
○鈴木一弘君 これは労働大臣、一日七十八円の失対賃金の今回上昇ですね。それでインフレ補正として生活のささえというものは確実にできるという見込みでございますか。
○国務大臣(長谷川峻君) お答えします。 七十八円じゃありませんで、一日当たり、先ほど申し上げましたが、六十四円でございます。ですから、先ほども申し上げましたように、失対賃金は生計費とかそういうものにリンクしないというかっこうになっておりますが、この際は五%上げましたが、将来の賃金、いろんな問題について将来考えていこうと、こういうふうに考えております。
○鈴木一弘君 これは総理にお伺いしたいのですが、いま生活保護世帯が約七十万、それから失対労務が四十八年度の当初予算で十万二千人を見込んでおられます。そういうことで、これだけの多くの人がおるわけでありますけれども、今回の補正の五%、先ほども若干総理府のいわゆる家計消費支出調査のことが出ておりました。家計消費支出調査の勤労者全国世帯のを見ても、四月以降全部一五%を上回っている。いずれにしても、当初の一四%などははるかに上回っているから今回上げたのだと思うのですけれども、ということは、これまでが当初予算での上げ幅では昨年以下の生活を現在まで余儀なくされてきたということ、ここのところで十月から五%引き上げても、あと追いの補正になるのじゃないか。そうなりますと、ここでの物価急騰があります。そういうことで一切が帳消しになってくるじゃないか。これでは総理の言っている福祉型経済ということには言えないと思うのですね。当初予算額が足らないからこんなことが起きてきたのじゃないかと思うのですけれども、その点はいかがお考えですか。
○国務大臣(田中角榮君) 社会保障対象の階層に対して手厚い保護政策をやってまいりたいということは、政府はかねてから申し上げておるわけでございます。 長い年月の中で今日までなったわけでございます。ですから、いまの段階においてだけ計算をされると、これはいろんな問題があります。ありますが、しかし、全精力を傾けて働いておる、そして同じ家族を持っておる人たちでも一〇%しか上がっておらぬ人もあるのです。一五%の人もあります。日本の基礎産業といわれておるようなところで一八・五%、こういうようなときでございますが、しかし政府は、国の税金でまかなっておるというこういう階層に対しましても、少なくともその最高になるようにということで一四%プラス五%ということでありますから、ものはやはり誠意の問題であり、そうして、少しでも国民の税金を使うわけでありますから、国民の理解が得られるようにということでやっておるわけであります。 いま厚生大臣が述べましたとおり、四人に割れば幾らだということでございますが、それと同じような収入しか取れない若い人もあるわけであります。五人も六人も家族を持っておって、税の対象にはなりませんが、収入は、やはり朝早くから行って五万円にしかならない人もまだあるわけでありますから、そういうものをレベルを総体的に上げていかなければならないということが政治の目標でなければなりません。ですから、それらの不満はありますよ。あなたが御指摘になれば御指摘になるような事情はございますが、少なくとも国の税金で五万三千円近いものを確保しましょうと、こういう誠意は、私はその対象の方々からも理解がいただけると、こう思うわけでございます。それは一五%平均のものを一〇%で据え置いたんだというようなことなら、これは問題はありますが、一四%であって、またその後春闘もありましたので、とにかく一九%にしようという誠意は、これは理解していただけると思うのです。
○鈴木一弘君 これは、総理はいまの段階だけの計算ではとおっしゃるのですけれども、こういうような経済の激動しているときには、いまの段階での計算をやらなければならないわけですよ。やはりまっ先に手を差し伸べなければならないところに差し伸べなければ、福祉元年とか福祉型経済とか言えないわけですよ。当然政府が一番先に手を伸ばして、初めて今度は総理の言われたようないろんな格差の是正もできてくるのではないですか。その点はどうお考えですか。
○国務大臣(田中角榮君) やりたいことはやまやまでございますし、これからも全精力を傾けてやってまいります。やってまいりますが、一四%上げて、プラス五%やっているのだという政府の善意もひとつ御理解いただきたい、こう思います。
○鈴木一弘君 建設大臣に。補正予算で建築単価の改定を行なったということでありますけれども、その内容を公表してください。
○国務大臣(亀岡高夫君) 今回の補正予算につきましては、当建設省といたしまして関係のある部門につきましては、公営住宅の建築単価の問題であろうかと思うわけでございます。 御承知のように、公営住宅の建設事業におきましては、昨年度から今年度に及ぶ建設資材の高騰に対処するために、実態に見合うように六月と十月の二回に、六月に一三%、十月に一〇%補助単価を引き上げて、合わせて四十八年度予算単価に対して約二四%の改定を行なったわけでございます。したがって、建設省関係といたしましては、補正予算に計上いたさなくとも、この単価改定に伴いまして必要になる財源が要るわけでございます。その財源につきましては、全国の公営住宅事業の進捗状況を総合的に勘案をしまして、単価を改定をいたしましてもなお年度内に着工することが困難と思われる一部の事業を翌年度へ回して、単価是正を行なったと、こういうことであるわけでございます。 したがって、今回の単価改定の措置は、既定予算の範囲内で建設省としては対処いたしておると同時に、これからの事業につきましても特に支障は来たさない。ただ、残念に思いますことは、予算戸数がそれだけでき上がらないということに相なるわけであります。しかも、十一月から石油問題が起きまして、さらに資材が非常に高騰してきております。これらの問題につきましても、地方自治体はたいへんお困りのようでございますので、それぞれ各地方自治体の特徴に応じましてお話し合いをいたしまして、現在建設費の実態や入札状況、これをしさいに調査をいたしておりまして、それらの結果を十分考慮いたしまして、できるだけ多くの公営住宅が建つようにという配慮は十分いたしておるつもりでございます。
○鈴木一弘君 これは自治大臣と大蔵大臣から。いま若干建設大臣から答弁がございましたが、地方自治体の超過負担が、いまのようないろいろの資材の値上がり、そういうことになりますと増加するばかりであって、これを根本的に改める必要がある。これがいま最大の緊急課題であろうと、こういうふうに考えられるわけであります。その点について自治大臣と大蔵大臣から伺いたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 超過負担問題につきましては、四十八年度、四十九年度両年度にわたりまして、これが是正を行なう、こういうので計画を立て、それを実施する過程で今回の異常物価高、こういう状態になってきたわけです。そこで、これにつきましては年度の途中でも調整いたしましたが、なお調整足らずということで、今回の補正予算でも、積み残しの一部を補足いたしまして調整をする、こういうことにしたのです。これからの物価情勢がどうなるかということもありますが、それに応じまして、また予算の範囲内における差し繰り等もいたします。同時に、四十九年度におきましては、これはもう調整問題、とやかく御批判を受けないというような状態にぜひしてみたいと、かように考えております。
○国務大臣(町村金五君) ただいま大蔵大臣がお答えになったとおりでございまして、本年度、御承知のとおり二回にわたりまして公立文教施設等について補助単価の引き上げを行ないました。ある程度超過負担の解消は進んだものと、かように考えておりまするが、その後、石油危機を契機といたしまして、さらに資材の値上がり等が見受けられまするので、さらに今後実態の調査等を行ないまして、超過負担解消に極力つとめてまいりたいと存じております。
○鈴木一弘君 これは文部大臣に。改定の内容で、鉄筋コンクリート校舎の単価改定ができてまいりました。それを今回の予算書で見たのでありますけれども、平米当たり五万二千三百円ですか、補助率が二分の一となれば、建築費用がその倍の金額になるわけでありますが、この単価で心配なくやっていけるのか。また、公立の文教施設についても今後心配なく建設ができていくのか。この二点について伺いたいです。
○国務大臣(奧野誠亮君) お話のように、予算単価は四十七年度と比べますと、今度の補正によります単価が三五・五%増しになっているわけでございます。学校の建設の単価、必ずしもゆとりあるものとは言えませんけれども、三五・五%引き上げさせていただいたということで御理解いただけるのじゃないだろうかと、かように考えるわけでございます。 なお、学校建設の遂行にあたりまして、契約の進んでいる程度は、九月末で六五%ぐらいでございます。十月末現在では八二%の契約率になっているわけでございます。かなり苦労はしているようでございますけれども、おおむね消化しつつあるようでございます。
○鈴木一弘君 これは総理、いまの文部大臣の答弁等を聞いていても、消化はしているけれども、だいぶ苦しいような話がありました。十月末で八二%ということでありますけれども、それから以降十一月あたりのいろんな急騰があります。そういう点から見ると、いまこの程度のやり方では、こういう非常に困難な時代には無理じゃないか。やれるところまで一ぺん単価を、金額というものを、これは本気になって考えて引き上げる必要があるのじゃないかと思いますが、その点いかがでございますか。
○国務大臣(田中角榮君) 緊急なものに対しては単価の補正を行なっていかなけりゃならぬわけでございますが、しかし、単価が上がるから必ずこれを全部消化してしまうということになれば、その単価が横ばいで定着するわけでございますから、それは非常にむずかしいんです。これを一挙にすべてを消化するということになれば、もう天井知らずの物価高を招くということになりますから、そういう意味では、今度の法律が成立をすれば、これは順位をつけるわけでありまして、国民の生活必需物資の供給を確保すると同じことです。これはセメントでも鉄鋼でも、場合によれば支給することができるわけであります。現実的に五万円程度で見積もっているものが八万円になる。八万円でなければ手に入らぬからといって、それだけの単価補正はできません。そんなことをしたら、もうそれこそウナギ登りということになりますから、それは最終的には、必要なものは材料支給にしなきゃならぬわけであります。ですから、それは学校とか病院とか保育所とか、必ずそうなると思います。 しかし、そうなるということは、ある意味では調整権が相当発動されるということでありますから、これはやっぱりできるだけ自由な経済の中で――売り惜しみなどをすればそうなるにきまっているのです、必ずもう。自縄自縛になります。ですから、商活動というもの、中間経費でマージンを得ているものは全部疎外されてしまって、直接生産者から消費者へということになってしまいます。ですから、そういうことにならないで済むように、やっぱりいろいろなことを協力を求めていかなきゃならぬわけであります。 そういう過程においては、こんな異常な事態においては繰り延べられるものは繰り延べる、繰り延べられないものは繰り延べないでやるということでもって、取捨選択をしてもらわなければならぬわけです。ですから公営住宅などは、こんなに土地が上がってどうにもならないということですから、やっぱり百棟のものは八十棟にしても公営住宅は提供しなければならぬわけですから、そういうことによって材料費の値上がりも押えながら、しかも国民の要望にもこたえるということでありますので、政府が単価補正をするというものにも、おのずから限界があるということは御承知いた、だきたい。
○鈴木一弘君 時間がありませんから、私はそのくらいにとめますけれども、その点は言われることもわかりますけれども、超過負担や何かで緊急なものもあります。福祉施設などはなかったらたいへんなことになります。そういう点は十分配慮してほしいと思うのです。 次は、経済政策についてですが、四十八年度の経済見通しを、当初と今回改定されたのとを比べて報告をしていただきたいと思います。
○国務大臣(内田常雄君) 本年度の物価の状況が、これは卸売り物価にいたしましても消費者物価にいたしましても、昨年の秋あるいは今春以来急激な上昇をいたしまして、名目所得のほうでは当初の見込みとそう多くは変わりませんでしたけれども、いわゆるデフレーターとして名目所得を実質所得に直す、その計数は正直に私はこれをあらわすほうがいいだろうと、こういう見地から改算をいたしました結果、名目のほうはそんなに大きな動きはございませんでしたけれども、実質のほうが六%余と、こういうことに、これは本年度、下期をも見通しました数字になったわけであります。
○鈴木一弘君 これは総理、国民総生産が名目で対前年度比二一%の伸び、それに対して実質は六%の伸びというのは、これはすごいインフレだというふうに思わざるを得ませんけれども、その点はお認めになりますか。
○国務大臣(田中角榮君) 名目が二一になるだろうという予測を立てて改定したわけでございますから、だから、物価は憂慮すべき段階にございますということを申し述べておるわけでございます。しかし、物価に寄与しておる海外要因というものが非常に大きいということも述べておるわけでございます。しかも、プロパンガスなどに対してはガルフは三倍の値上げを要求してき、それをのまざるを得ないというような状態もあります。これはまあ緊急でございますし、在庫との調整をすれば、そんなに三倍になるわけはありません。現在の価格と、もっと安い価格で入っているものもありますから、そういうものと突っ込みでもってやれば、まあ六〇%、八〇%の上がりで供給できるという面もございますが、そういう単純な計算ではいきません、上がっただけでは。しかし、そういう状態は異常であって、これに耐えられないということはわかりますから、だから物価は憂慮すべき段階であり、物価政策と正面から取り組むと、こう言っておるわけでございます。 いま大蔵大臣と経済企画庁長官にも相談をしているんですが、これはことしの物価には、いままでの計算上、げたがございます、一月から三月までの。これは年度計算としまして、一月から十二月までのものを対前年度幾ら上がったということにやっぱり切りかえるのが私は至当だと思うのです。 〔委員長退席、理事吉武恵市君着席〕 げたなんということは、よく国民はわからないわけです。ですから、そういう意味で、げたは六・四あるわけであります。六・四のげたがございますから、引けば二〇%が一四%台ということになるわけでございますが、そういうふうなこの年度間の、これも四月年度と一月年度との差でそういうものが出てくるわけでございまして、しかし、いずれにしても異常のものであるということで、物価対策に真剣に取り組んでおるということを御理解いただきたい。
○鈴木一弘君 私が申し上げているのはちょっと違うので、名目と実質がこんなに離れたということはいままでなかった。改定で見ると、卸売り物価が一七、消費者物価が一二%という、二けた上昇ですよ。そういう見込みです。二けた上昇というのは異例でしょう。この状況は、やっぱりこれでも総理はインフレとごらんになりませんか。
○国務大臣(田中角榮君) これはいつでも申し上げておるんですが、インフレーションとかデフレーションとかいうのは外国語でございまして、日本語で申し上げておるわけです。これは、物価は騰勢にございます、憂慮すべき状態にございます、政府はこれに正面から取り組んで、物価抑制に全力を傾注いたしますということで御理解をいただきたい。
○鈴木一弘君 こういう異常な卸売り物価、あるいは消費者物価が一三%というような、あるいは一七という、二けた上がるというような異常な状態をインフレと言うんじゃないですか。これは政治家として当然の認識でなけりゃならないと思うんです。これは総理の御答弁がないようですから大蔵大臣に伺いたいんですが、大蔵大臣は、インフレの定義は学者に聞けという話があったそうでありますけれども、二けたも乖離するという、そういうようなかけ離れるというような異常事態はインフレと定義できないのか。政治家として、一国のまた財政経済運営の責任者としても、当然これはインフレと認識していかなければならないのじゃないかと思うんですが、その点いかがですか。
○国務大臣(福田赳夫君) インフレということばはよく使われますが、現状はインフレであるかどうかと、こういうふうに聞かれますと、なかなか答えがしにくいんです。つまり、インフレということばには、もう非常な幅でいろんな見方があるわけです。ただ単なる一%、二%ぐらいの物価上昇も、欧米諸国ではインフレだ、インフレだ、こういうふうに言うんです。それから非常に極端なのになりますと、悪性インフレをもってインフレというふうに言う人もあるわけであります。ですから、非常に答えがむずかしいものですから、そういうインフレであるかないかというようなことを議論しているよりは、それは学者にまかしたらいい問題じゃありませんか、問題はこのインフレといわれるところの現在の物価情勢が、これがほんとうに心配されるような状態であるかどうか、これの認識の問題だと、こういうふうなことを申し上げておるわけなんです。ですから私は、憂うべき状態を称してインフレだと言うなら、そのインフレということばに何らの抵抗も感じませんし、異議も申し立てる者じゃない、こういうことまで申し上げておるわけであります。
○鈴木一弘君 これは総理、昭和三十五年の高度成長政策が池田内閣で発表された。その高度成長期を通じていままでの間に、名目成長率が二〇%をこえるというのは三十六年度だけですよ。この三十六年度の年は、所得倍増は物価倍増だと大騒ぎになった年です。四十八年度の成長率の見込みが二一という大幅過ぎる成長率は、これは田中内閣の超高度成長政策を象徴しているんじゃないですか。総理の生産第一、投資第一主義がこういうふうになった。石油問題を抜きにしても二〇%になったのじゃないかと思われます。むしろ、いま石油問題がブレーキになって、下期の一月から三月あたりになれば、これはどうしても停滞せざるを得なくなりますから、そうすると、これは田中内閣にとっては石油危機は救いの神であったということになるんじゃありませんか。もしそうでなければ、三十六年度を大幅にこえる、いわゆる実のないところの超々高度成長にならざるを得ないと思うんですが、その点から見ても、これは完全に総理の経済政策の失敗だと、こう思うんです。西ドイツのエアハルト内閣の例をとるまでもなく、こういう未曽有の国難の時を一体どういうふうにお考えですか。こういう国難を引き起こした責任はどうなさるおつもりですか。
○国務大臣(田中角榮君) 物価の抑制は、厳にこれをやらなければならないということは当然でございます。物価は最大の政策的焦点でございますと、こう申し上げておる。物価だけじゃないんです。政府が当面する問題は他にもあるわけであります。この前の国会ではどうであったか、その前の国会ではどうであったかということを考えればわかるわけでございます。 これは、アメリカと日本との間がまずくなったら、いまの石油のような状態じゃございません。これはもう申すまでもないことでございます。対米貿易というものは、間接、直接を入れれば四〇%あるのでありますから、これを完全に一年間で押えなさいと言ったら、五年ぐらい逆戻りをするわけでございます。これはアメリカのメジャーまでが、いまの中東と同じように、日本に対しては石油を全部三倍にしろ、五〇%削減しろということになったら、これはえらいことになるわけでございます。そういう大勢にあるときに、四十二億ドルも一年間に貿易収支の赤字が出て、アメリカの国論は押えがたい状態にあったじゃありませんか。そういうときに、アメリカは三〇%のドルの切り下げを敢行したわけでございます。そうすれば、それに対応して国際収支の改善をしなければならないということは、これはやむを得ないことであります。だから、それのためにはどうするかということになれば、輸出を内需に転換せざるを得ないわけであります。内需に転換をして、内需を拡大するにはちょうどいい二つの要請がありました。 それは、社会福祉政策を推進しなければならない。社会福祉というものは、これは人類社会を守るために当然やらなきゃならぬことでありますが、必ずしも直接生産性を高めることにいますぐ寄与するわけはありません。それは環境がよくなり、人間が正常な状態でもって勉強できるようになれば、生産性を長い将来において向上することができても、いま国家支出を行なうという過程においては、これはある意味において総需要の抑制と反対の状態が起こることはやむを得ません。やむを得ませんが、しかし、社会福祉の元年にしなきゃならないという大きな国民的輿望に沿っていかなきゃいかぬわけであります。 もう一つは、中小企業や零細企業という特殊な、世界に類例のないような日本の状態であって、それを三〇%のドルの切り下げに対応できるようにするにはどうするか。それは金融の緩和策をやり、税制の優遇策をやり、いろんなことをやらなきゃならなかったじゃありませんか。これも政策だったんです。物価を押えると同じ政策だったんです。だからトリレンマと言ったんです。そんな相反する政策を同時にできるかと、前に進まなきゃならんで、うしろにおるウサギがつかまるかと、こういう御質問も受けましたが、それは日本が避けることのできない現実だったじゃありませんか。 そういう中でアメリカとの国際収支も対外収支も均衡いたしました。両三年といっても、三年でできるものかと言っておったものが、一年間でことしは四十二億ドルが十八億ドル以下にもなるという状態でありますから、アメリカは問題ないでしょう。同時に、基礎収支は赤字になるということがいま新聞に報道されておるじゃありませんか。中小企業も対前年度比三〇%、対米貿易は依然として続いておる状態でありますから、とにかく二つの政策はうまくいったんです。ただ、社会保障に対しては、いま御指摘あるように、社会福祉元年と言うならもっと金を出したらいいじゃないかというような御不満がありますが、いずれにしても方向は前進を続けておる。 残ったのは物価問題ですから、この物価問題にうんと取り組む。私は超高度成長論者じゃありませんよ。私も安定成長論者なんです。安定成長論者なんです。だれも超高度なんて考えておりませんよ。ですから、私の列島改造論にも、五%から刻んで最高一〇%、最低は五%というところをちゃんと出しておるのでありまして、それはもう二十九年から三十九年までが一〇・四%で、三十五年から四十五年までが二・一%のときに、五%という線をちゃんと国民のテーブルの上に提供しているわけですから、安定成長論者のワク内に入ると。これはどうぞ御理解をいただきたい。
○鈴木一弘君 これは総理、例のドル問題のときに、調整インフレはとらないというようなことは言われていたんですが、いまの御答弁からすると、完全に調整インフレ政策をとられたということですね、これは。そう理解してよろしいですか。
○国務大臣(田中角榮君) 調整インフレなどということを絶対に考えておりません。私は調整インフレとか負の税制とかということはあまり好きじゃないんです。好きじゃないというより、私はそういうことはいかぬと、こう思っているんです。それは日本人の勤勉性、これは無資源でありながら勤勉性だけでもってこの偉大なる国家を形成してきた歴史に徴しても、そういうことを私は全然考えておらないんです。ですからアメリカや外国のように、日本と違う状態はありますよ、確かに。設備投資をするときに借り入れ金でやるというのは日本だけだと私は思うんです、まあ開発途上国は別ですがね。ですから私は、大蔵省に在職中に証券局の設置を行ない、少なくとも自己資本比率を戦前の六一%に高められなくとも、いまの一五%台で一体資本の自由化ができるのかと。OECDに加盟して、資本の自由化に踏み切り、八条国に移行した私は責任者でありますから、そういう意味におきましては、自己資本比率をうんと上げて、自己資本比率のワク内でもって設備投資を行なうべきだ。だから私はいまのような時価発行も反対だったんです。早い、理論倒れであると。そういう指摘した問題をそのまま、アメリカの制度をそのまま入れるというところで民法の改正が行なわれ、商法の改正が行なわれ、今日になってきて、結局、財政を締めても、日銀が金融を締めても、必要な金は全部民間の資本市場から集められる。どうにもならないような状態があるじゃないですか。いまになって、とにかく時価発行は五〇%に押えなさい、これはプレミアムに対しては二年間で還元しなさいというようなことを言っておるわけでございまして、私自身が、調整インフレ論者でもありませんし、健全な財政論者なんです。
○鈴木一弘君 いまの論議では確かに調整インフレには反対のようですけれども、それじゃどうしていままでの間でそういうことができなかったかということ、これは大きな問題ですよ。
○国務大臣(田中角榮君) そこが問題なんです。そこは中小企業と零細企業という、これは非常に過小資本なんです。ですから過小資本であって、七百万から千万ぐらいの会社で十倍も二十倍も借りなければならないんです。それだけじゃありません。現実的にはもっと大きな借り入れ金を行なっているわけです。それは設備投資をするときには、親企業から三分の一新しい施設を担保にして提供を受けている。自分の家、屋敷を担保に入れて、会社は三分の一負担をして新設備をやっているわけです。これはもう事実みなそうなんです、日本の状態は。そういう状態から見まして、これは全部事実は借り入れ金でまかなっているわけです。これを自己資本比率を上げていくには、よほどの慎重な配慮と計画を持ってやらないと一大混乱が起こるのであります。 私は幾つでも例をあげられますけれども、わずか一億の会社で百五十億ぐらい借りている企業があります。二億の会社でもって五百億から千億借りておる会社もあります。そういう過小資本、これは言うなれば過小資本ですよ、事業は幾ら大きくても。中小企業のたぐいですよ。そういうものが、あのような国際情勢や円の切り上げという状態において、少なくとも五ヵ年、十カ年間でもって自己資本比率を――だから私は、自己資本比率を十年間でフィフティー・フィフティーにしなきゃいかぬと、こう述べておったんですが、なかなか世の中の理解を得られなかったわけです。それとは逆なような答申が出てきて現在の状態になってきていることは事実なんですよ。私は大蔵大臣在職中に国会でもって答えたことを今日やっておれば、こんなにならないと私は思いますよ。そういうためにやったことも、みんななかなか社会の理解を得られないということもありましたし、現実的にもそうだと思うんです。私は、今度はやっぱり中小企業や零細企業というものは、何年間で自己資本比率の十倍以上間接資本によってはいけないというぐらいな政策を出さない限り、相当な波動は免れないと、こう思います。
○鈴木一弘君 いまの自己資本の装備率を引き上げる、自己資本の何倍以上は借り入れができない、そういうことは法制的に措置をとられる予定ですか、いまの御答弁からいくと。
○国務大臣(田中角榮君) これは、とったら非常に大混乱が起きます。さっき言ったように一億の会社が百五十億も借りて、いま五百人、千人を動かしてやっているわけですから、これは非常にたいへんな問題でございますが、しかし、自己資本比率が一五%になり一四%になり一三%になってきて、しかも中央銀行のシェアが三〇%を割っているというような現状がノーマルなものだとは思いません。ですから、これこそ私は朝野の意見をいれて、これこそ主要工業十カ国の平均を日本の昭和六十年展望の率にすれば、だれも反対ないわけです。それは非常に簡単に出ると思うのですよ。日本だけが零細であるということになれば、社会的な波動、国際的な波動にたえられなくなることはこれはやむを得ないと思うのです。ですから、ゆえなくして金融緩和政策をとったのじゃありません。ここはひとつ十分御理解をいただきたい。
○鈴木一弘君 総理のいままでの答弁を聞いていますと、ことしのインフレ、石油に限らずに非常に物価が高騰してきた、それがことごとく、ほんとうなら調整インフレのようなことはやりたくなかったと、形はそうなっているわけです。私は反対だったけれども、とうとう社会がそうさせたんだというふうにしか聞こえないんですけれども、そういう態度でよろしいんですかね。
○国務大臣(田中角榮君) そうじゃなかったんです。あなたも先ほどからお聞きになっていますように、中小企業が病気で死んじゃ困るからということで、金融緩和をやりいろんなことをやったら、病気をなおすために栄養を少しよけいやり過ぎた。病気はなおったが、しかし肥満児ができましたと。肥満児ができたところへ石油問題がまた起こってまいりましたので、この肥満体を健康体になおすために、引き締め政策を行ないます、総需要の抑制も行ないます、こう言っているわけでありますから、そこらはひとつ御理解くださいよ。
○鈴木一弘君 これは企画庁長官、経済見通しの当初と改定の数字で、そのかけ離れている状況はどうなっていますか。国内の需要項目で言ってほしいのですが。
○国務大臣(内田常雄君) これは量的に申しますと、御承知のとおりに総支出のうちで国民の直接消費が五二%ぐらい占めますから、絶対数字はやはり国民の消費が多いと申さざるを得ません。しかしその率は、率で申しますと当初が一五%と予測しておりましたのが二一%、これは六%の増加でありますが、金額は一番多うございます。それから次に目立ちますのは民間企業設備投資で、当初の一四%が二七%ということに改定試算をいたしました。これでやるとかなりふえておりますが、一々説明は申しませんけれども、いろいろ事情がありましたこと、御推察のとおりでありますが、最近はまたこれをうんと押えにかかっておりますので、ふえっぱなしということではないことだけを申し添えておきます。それから政府支出は、これは繰り延べ等の関係がございまして、私どものパーセンテージで申しますと、当初の一七%から改定におきましても一七%と、こういうことでございます。今度の補正予算等の金額ももちろん入れてありますが、これは実質的に政府の財貨購入サービスというようなものをふやすものではございませんことも、これも御承知のとおりでございます。大体目ほしい項目を申し上げますと、右のとおりでございます。
○鈴木一弘君 企画庁長官は、金額の大きいほうからということで個人消費支出からやったようでありますけれども、見てみればわかるのは、民間設備投資が一番伸びたんじゃないですか、パーセンテージの。
○国務大臣(内田常雄君) いま申し上げましたとおり、パーセンテージから申しますと一四%が二七に伸びたから、そのとおりでございます。しかし金額は、これは全体に占める金額が要するに一四とか一七とかいうことでございますから、国民総支出が百十五兆ぐらいの中でございますから、それに対して二十兆前後と。しかし、国民総支出のほうは、別にこれを決して私はあげつらうわけではございませんけれども、これはまあ五十数兆あると、こういうことでございます。
○鈴木一弘君 これは民間設備投資の当初見込みの金額に対して何%伸びていますか。個人消費支出の場合は何%伸びていますか、金額で。
○政府委員(橋口收君) お答え申し上げます。 金額で申しますと、民間設備投資は当初の見込みでは十八兆七千億でございましたが、今回の試算によりますと二十一兆七千億になっております。
○鈴木一弘君 これは総理に伺いたいんですが、民間設備投資は一四%から二七%、金額で三兆円伸びている。つまり当初の十八兆七千億に対しては一八%ふえているわけです。それから個人消費支出については、当初の五十五兆八千五百億円に対して三兆五千五百億のふえですから六%しか伸びてないんです。それでわかることは、民間設備投資に対して大きい誤算といいますか、誤りが出てきた、計算の。総理は、節約は美徳ということで個人消費を押えることがまず物価上昇を押えることだと、所信表明でも第一がドル不安、第二が過剰流動性、三番目が五十兆をこえる賃金・給与というふうにおっしゃっています。きのうは第二番目に設備投資のことを言っておりましたけれども、しかし基調ではやはり個人消費支出のほうを押えようという、個人消費の抑制を強調して貯蓄奨励まで言っている。しかし、これで見ると、ほんとうは個人消費支出のほうの増加よりも設備投資のほうが犯人じゃないんですか。いままで総理は設備投資が行き過ぎだということはあまりおっしゃっていません。やはり投資主導型の列島改造論というようなものもございますし、そういう投資主導型経済が、そういう運営が原因になっているんじゃないですか。そういう投資主導型経済の失敗を個人消費支出が犯人のようにすりかえたのは国民に責任を転嫁したことになる、そうですよね。それじゃ一国の経済運営が誤ってしまうわけです。そういう点で総理好みの経済運営というのは、こういうものなんですか。
○国務大臣(田中角榮君) いや、数字は非常に事実をあらわしておることでございまして、私はあの個人消費の問題にウエートを置いてないんです。置いてないから所得政策はとりませんと、こう言っているんですから、これが絶対的であり、ここは締めなきゃならないということであるならば、これは好むと好まざるとにかかわらず所得政策を断行せざるを得ないじゃありませんか。これは一貫して私は述べておるんだということだけは理解してくださいよ。 それでいまの政府見通しの差だけで申し上げますと、いまのようなあなたの理論になりますがね、四十七年対四十八年で見ますと、個人消費は四十九兆円が五十九兆四千億になっているんですから、ちょうど十兆四千億ふえているんです、一年間で。十兆四千億。それから民間の住宅投資が六兆八千億が八兆九千億になっておりますから二兆円ふえておるんです。それから民間の設備投資は十七兆が二十一兆になっておりますから四兆ふえています。政府支出は十八兆四千億が二十一兆四千億になったんですから三兆ふえているんです。ですから、政府支出の伸びと民間の設備投資の伸びとを――民間の住宅建設の伸びを全部入れても個人消費支出には及ばないわけでございます。民間の住宅建設をそのまま個人の消費支出に合わせれば十二兆四千億と八兆五千億という数字でございますから、これはどちらにウエートがあると言うているんじゃありません、これは数字でございますから。こういう状態の中においても国民の要請や現状に徴して私は所得政策などというものを考えるときじゃないと、政府がまず基本姿勢を正すべきだと、こう言っているわけでございますから、そういうことはひとつ御理解いただけると思う。これはもう四十四年対四十五年、四十五年対四十六年の数字を申し上げると、この三兆円という数字がそれほど大きなものでないということは申し上げられます。
○鈴木一弘君 そこで、総理の答弁ではっきりしてきたんです。民間設備投資の当初の見込みが低過ぎるということは、もう予算委員会でも与党質問の宮澤喜一さんの質問でも出ている。しばしばもうこの予算委員会でも各党から出たわけです。十七兆円――いまの答弁は二十一兆とおっしゃいましたね。しかし、当初予算は十八兆七千億ですからね。ですから、当初の見込みはそうです。改定して二十一兆になるわけでありますから、わずか一兆円しか余分に見てなかった。そういうところの指摘までされているんですから、当然経済運営としては最大の注意を払っていかなければならなかったことだと思うんです。ところが、そのことが今回のことですっかりくずれてきてわかってきたわけです。 ところが、四十七年に大型補正をやり、四十八年の超大型予算、こういうことで需要の拡大もやった。需要を拡大すれば、民間設備投資のほうがそれに引きずられて火がついてくるのは当然です。その火がついたのを押えなかった。田中内閣のほうで手をこまねいていた。そういうことから、需給関係が一そう逼迫してきて物価にはね返ってくる。だから、海外要因は当然ありますよ。ありますけれども、やはり一つはそういう当初の引き締めのしかた、民間設備投資については、とにかくこれを見ただけでもうえらい狂いでありますから、そういう点、見込みを低過ぎに押えてその点については手をこまねいてきたということが一つの大きな原因じゃないですか。だから、そういう点では今回の物価騰貴は政策からもたらされた政策インフレと言わざるを得ないと思うんですが、その点はどうお考えですか。
○国務大臣(田中角榮君) 政策インフレではないと思います。これはもう外国の要因が四十六年、七年、八年の三年間はあるんですから、そこはひとつ十分考えていただきたい。 そして、民間の設備投資を見ますと、四十三年から四十四年はちょうど二兆円、四十四年から四十五年も二兆円、四十六年は非常に不況のときでございまして、これは税制上、金融上の政策をやらなければならなかったときでございます。これは六%ということで特別な措置を国会でお願いしたときでございます。このときは、これはほとんど四十五年と四十六年は横ばいでございます。それで、四十六年から四十七年には約二兆円――二兆五千億ばかりふえております。それで、四十七年から四十八年に対しても、初めの見込みは二兆円からまあちょっとでありましたでしょうが、それが四兆六千億ふえておるというところに、二年分ぐらいの設備投資が行なわれておる。これはしかし、国民総生産の中に占める消費支出の伸び方を見ても、大体四十三年、四十四年、四十五年、四十六年というのは非常にノーマルにきておるわけですが、この四十七年から八年に対しては二兆円という大きなものになっておる。これはまあいままで一〇%以下の給与が一五・五%なり一八・五%になっておるわけですから、これはまあこれだけの支出がふえるということは、これはやむを得ないことだと思いますが、これはまあ政策的なインフレ、あなたが言った調整インフレ式なものであるということではないと思います。
○鈴木一弘君 ですから、総理、当初一兆円しか民間設備投資はふえないと見ていたのが、ここで大幅に狂ってきたわけです。だから、当然四十八年度の民間設備投資の調整を考えなければならない。ところが、石油危機が叫ばれてようやく通産省が設備投資の調整に手をつけている。田中内閣になられてから、悪いところは、この前の円の切り上げの問題も今回の問題も、外圧がないと手をつけないというくせがあるんじゃないですか。いかがですか、外圧。その点いかがですか。
○国務大臣(田中角榮君) どうもこれは避けがたきことであって、何びとかが負わなければならないことだと思って私も観念しているわけでございますが、外圧が来なけりゃやれないというんじゃなく、外圧が来るから政策を転換しなきゃいかぬと、こういうことでありますから、そこはひとつ十分御理解をいただきたい。外圧が来ますので、ドルの切り下げということが行なわれたので中小企業対策をやらなきゃいかぬということになるんです。これはもう全くそういうことでございまして、まあ外圧でないというのは、こちらが少し引き締め過ぎて輸出ドライブになって、そして輸出がうんと出過ぎたために海外からたたかれ、日米間が険悪になったという状態でもってこれはやむを得ず繊維協定も結ばざるを得なかった、それから国際収支改善対策もやらなきゃいかぬかったということは、これはまあこちら側の政策的な面からかもしれませんが、他の国際流動性の問題とか、ドルの切り下げの問題とか、石油の問題は――私はこの間も言ったんです、アラブの代表にですな。日本はアラブという国には夢を持っておりますと、少年時代から夢を持っているが、悪いことは一つもしていませんと、何もしてないんですと、こう言ったら、いやそれはよくわかると、こう言っていましたよ。よくわかるが、国際的に強大な地位と力を持ってきた日本は中東問題の解決に対して力のある国だと、われわれはそう評価しているんですと、こういうことでございましたがね。そういうところからも国際的な影響を受ける。だから、国際波動自体-私も全然考えないわけなかったんですよ。こんなにいいときが続くわけはないんだというんで、国際波動に対応するために対外経済調整法の必要というものを説いて国会に出したんですが、遺憾ながら審議未了になってしまったのですがね。まあ全然考えないことはなかったんです。外圧があるもんだから、日本がどうしてもこれに対応する処置をとらざるを得ないんだと、ここらをひとつよくお考えいただきたい。
○鈴木一弘君 まあ私は外圧が来てからいつも手を打って何でも後手になるという印象しかありません。どうも総理は経済が大きくなれば人間がしあわせになるというふうに錯覚しているんじゃないかという感じがあるわけですけれども。 来年度のわが国の経済のことですが、実質成長はゼロになるかマイナスになるか。まあわずかなことであろうと、成長があっても、そういう予想もあります。しかし、物価は現状のままでいったら相変わらず騰勢を続けるだろうと、そうなったときには名目だけのいわゆる成長だけが出てくる、こういうことになります。そういう最悪の事態になります。こうなった場合は、それはこの状況、どう判断しますか。これはスタグフレーションというふうにお認めになりますか、そういう場合。それともあるいは欠乏インフレというふうな感じで受けますか。
○国務大臣(田中角榮君) スタグフレーションというのも、インフレーション、デフレーションと同じようにいろいろまああれがありますが、スタグフレーションというのは、まあ生産性が横ばいもしくは低下をしながら物価が上がっていくということでございます。まあスタグフレーションというような状態にしないようにしたいということで、流通経路にあるところの在庫や何かを放出しながら物価を正常な状態で流したいと、そしていままでの自然発生的、まあ自由経済の一つのマイナス面かもしれませんが、非常にたくましいと同時に、ある意味ではロスもあるわけであります。そういう意味で先ほども指摘がございましたが、そういうものの調整も行なっていく過程において相当なメリットが浮かぶわけでございます。ですから、あらゆる角度からあらゆる面をしさいに検討して国民の協力を得ていこう。またエネルギーの消費というものに対しましても、同じ鉄でも使い方によってはいろんなものになるわけであります。インゴットでそのまま輸出をする、鋼材やレールでそのまま輸出するよりも、二次加工してサッシにして出す場合には付加価値はうんと高くなるわけでありますので、そういういろんな問題を考えながら、スタグフレーションというようなものに絶対しないためにいま緊急な政策をお願いしているわけですし、また予算編成もきびしく、金融もきびしくと、こういうことを言っておるわけでございますから、この間のひとつ政府の考え方は理解をいただきたい。
○鈴木一弘君 これは、いまのは重要な答弁ですからね。スタグフレーションにしないということになれば、来年度の成長がほとんどないような場合でも、物価はその場合には引き下げないしは押えていくと、これは絶対間違いございませんと、こういうことですね。そうでなければ、成長はなし、物価だけ上がると、名目だけの成長ということになるわけですから、そうするとスタグフレーションになっちゃうわけです。いかがですか、その点は。
○国務大臣(田中角榮君) まあ、スタグフレーションにはしないということを目標にしていま懸命な努力を続けておるわけでございます。それはまあ日本で、先ほどからもるる申し上げておる中で、ヨーロッパの諸国等は確かにスタグフレーションという面があります。これは学者も認めておりますように、成長率よりも賃金が高い、賃金よりも物価が高くなるということでありますから、これはもうスタグフレーションの面を有するということは言えると思います。ただ日本は、いまの石油事情という突発的な問題、必然的に起こる問題だと言われるかもしれませんが、そういう問題から起こっておるいま、洗い直しをして正常な状態にしなければならないと、正常な状態を確保することによってそのメリットも相当追求することができると考えております。人間一%ずつふえるわけでありますから、全然成長率がゼロになるということは考えてないんです、これは。成長率がゼロになって人間一%ふえれば、東南アジアと同じことになるわけです。三%の成長率があって、人間が三・五%ずつふえれば、年々マイナス〇・五%ずつになるわけでございますから、そういうことは考えていません。日本がそんなことになるなら、これだけの生産力のある日本がああなったら、世界じゅうどうなるかという問題になるわけです。だって、軍事費が少ないんでしょう。そして日本の生産力は世界でもってどの国にも負けないほどの生産力はあるんでしょう。問題はエネルギーと原材料がスムーズに入ってくるかというだけでございます。ですから、そして緊急輸入する外貨はあります。成長率をゼロに押えなけりゃならないようなそういう状態ではなく、外貨は保有しておることは御承知のとおりでございます。そして国民生活に絶対必需品を十億ドル、二十億ドル、三十億ドル入れるだけの力はあるんです。五十億ドル入れてもいいと思いますよ。そういうようなことから考えてみて、いままでのような一〇%とか一一%ということなど、それはとても望み得るべくもありませんが、計算をしてみても何%かの実質的成長率は維持できると、しかもその上に絶対に物価は抑制しなきゃいかぬ、こういうことを考えているんですから、スタグフレーションにするようなことなど毛頭考えておらぬ。それならもうたいへんなことです。
○鈴木一弘君 総理が、先ほどの上田さんに対する答弁に対して、総需要の抑制のことで西欧の諸国の、ヨーロッパですね、ヨーロッパの諸国のようにという話がありました。それを見ると、ヨーロッパの場合には卸売り物価は日本よりはるかに高いです、毎年。十年間の平均ですごく上がっています。イギリスなどは、ある年は七・八%も卸売り物価が上がっている。確かに消費者物価のほうは低いですけれども、卸売り物価のほうもそういう見込みでやるわけですか。その辺のところをちょっと伺いたいのです、どちらが目標ですか。
○国務大臣(田中角榮君) 一番高いイギリスをとろうなんて考えておるのじゃないんです。だれでもが納得するのは、主要工業十カ国、十カ国の中で日本よりも税負担の少ないという国はないでしょう。アメリカが課税最低限が多少いままでよりも十五万ばかり多いんですが、百五十万、百七十万円にすれば、課税最低限は世界で最高になるわけです。そればかりじゃなく、税と保険の負担料は国民所得に対して二四・一でしょう。二四.一というのは、二四を割るわけですよ、今度減税すれば。しかし、西欧諸国は四八.五%ないし四九・五%なんです。北欧三国は五五%です。ソ連もそのとおりです。これはもう国際統計で、IMF統計でもって世界に明らかにされているんですから、これは明らかなとおりでしょう。日本が現在の租税負担率を維持しながら、これは高福祉、高負担といっておりますから、幾ばくかふえるということに経済社会基本計画はなっておりますが、しかし少なくとも、西欧先進国十カ国の平均よりも半分以下であって、そして無資源の国である日本が、西欧の国を含めた頭から数えて九カ国の平均というもので押えられるならば、私は理解が得られると思うんです。ですから、日本はそうではなく、非常に低い卸売り物価指数を維持しながら、そして人の倍も給与を上げて、しかも世界じゅうに日本商品が進出をするというので、チープレーバーじゃないかとか、いろんなことを指摘されたでしょう。エコノミックアニマルである、イエローヤンキーであると言われたじゃありませんか。そうじゃないんですよ。ノーマルな状態になる、日本人の意志と日本人のエネルギーは、それだけのことは十分可能である、こう私は考えておるわけです。ですから、石油問題が安定するまでの間、大きな波動があるわけでございますが、少なくとも長期的に見て、日本ががたがたになってしまう、そんなことは絶対にない、そんなことは絶対にしないで済む、こういうことを皆さんに申し上げておるんです。
○鈴木一弘君 そうすると、西欧近代諸国十カ国云々ということになりますと、卸売り物価はこれから上がるということになるわけでしょう。それはもう、いまの総理の答弁ではっきりしている、私はそういう印象を受けました。卸売り物価は上がっていく、そうすると今度は消費者物価も上がるということになるんじゃないですか。
○国務大臣(田中角榮君) 過去十カ年の平均の卸売り物価は一・三%でございますから、これはまあ十カ国平均の半分ぐらいであります。ことしは高いんですから、ことしは。この高いものを十カ国平均ぐらいに引き下げる、引き下げたい。いや何%というわけにいかないんです、これは。向こうも上がるかもしれませんから、相手のある話ですから。三%というのは、それは理想でございまして、四%、四・五%、五%というのもありますが、しかしね、これはいまの石油のようなことを、鉄鉱でも銅でもマンガンでも、みんなやられたら、主要工業国の卸売り物価はみな上がりますよ。羊毛を三倍にされれば、服は三倍よりも四倍になりますから。賃金が上がるわけですから。これはもう、とても企業の合理化やコンベヤー化やオートメーション化でもってカバーできる問題でないと思うんですよ。ですから、いろんな問題があります。ありますがね、とにかく原材料を持っている国と持たない日本を比べても、それを大きく上回るようにはしたくないというんですから、政府が大体ノーマルな数字を目標としているなあということは、ひとつ御理解いただけると思うんですよ。
○鈴木一弘君 ですから、倍になるということですよ。――倍じゃありません、いままでの一・三とか一・四%の御売り物価の上昇じゃなくて、二%から三%になってきそうだと。だから総理はそういうふうに押し上げをねらってらっしゃるんですねということでございます。――いや、別に……。先へ移ります。 経済社会基本計画が、こう物価が上昇したんで、もうことごとくくずれてきている。経済成長率でも、これはもう一体、今後計画とのかけ離れをどう取り戻すかということは、たいへんなことだろうと思います。あるいは物価についても、いまのままでいけばどういうふうに今後進むのかと。総需要抑制だけでは――今後も年パ四%以上は上昇させられないという計算になるわけです。卸売り物価もそういうことです。民間設備投資、国際収支、もうことごとくが……。これは経済社会基本計画は来年以降の経済運営の指針なんですけれども、しかし、この経済社会基本計画は完全にベースがくずれてしまっていると思うんですよ。これは、総理は今後この経済社会基本計画については見直しという程度で、こういくんですか。それとも改定をするのか、あるいは計画は計画で、経済運営は経済運営で全然別だと、こういうふうに押えられになるんですか。この三つのうち、どこへ運営の基本を置かれますか。
○国務大臣(田中角榮君) 基本計画そのものを改定する必要はないと、こう考えております。しかし、この基本計画の年次計画というものの中で、動かしたくないというのは、いまも申し上げておりますように、社会保障に対する長期計画というものは、困難な状態があっても、これはやっぱり国民の期待するところでございますから、こういうものは計画はやっぱり進めていくべきだろうと、こうまじめに述べておるわけです。しかし、経済自体が、あなたの言をかりれば、ゼロになることもあり得るというぐらいに緊迫をしておるということでありますから、これらに対しては対応策をとらなければいかぬわけです。これは、対応策をとるというのは、国内の引き締めだけではなく、いままで、もたもたしておった、とにかく開発投資はすぐやればいいんです。しかし、やってもすぐ来るということはありませんが、しかしやるなら、いま持っておる手持ちのもの、いまの出ておるガスや石油を日本に対して送るものをいますぐふやそうという国もあるんです。 最初仮調印したインドネシアのLNGの場合、毎年七百五十万トン、二十年、石油換算で毎年一千万トン、合計二億トン以上の供給を受けることになっています。そういう意味で、これはいろんなことをやらなきゃだめなんです。それで、それでなく、いままでは鉄鉱石を持ってきてやったものを、現地でもって製錬をして、そして二次加工を日本でやるということは、銅もそのとおりでありますし、それで、いまアルミナの精製工場は、これはもうとにかく公害が出ますから、これは日本ではなるべくしないということでもってやっておりますが、これは外地でもってアルミナ工場をやろうという国はたくさんあるわけです。だから、今度三木特使も十八プロジェクトのうち、そういう問題を十以上持っていっているわけです。中にはスエズ運河の問題もございますよ。ありますがね、そういうことをやっていくことによって、来年よりも再来年、また一年ごとに全く変わってくる、日本の産業形態が全く変わってくるわけです。そういう事情を十分考えなければいかぬのでございまして、あの数字そのものをいま変革をする、改変をするということは、それはちょっと拙劣だと思うのです。あの数字は、予算編成の中でどうしてもとらなければならない社会保障はとりますが、その他のものに対しては九・四%なんという成長はできませんから、そうすると何%になるかという、それは違いはあります。ありますが、日本のまあ全知全能に近い人たちが集まって半年、一年もやってくれた答申を、そのまんま政府はまるのみにしたわけでございますから、これはいま改定をするということではなく、あるいはもう一ぺん、二へん、三べん読み直して、そしてひとつうまくやるということであります。
○鈴木一弘君 どちらにしても基本計画が直ってくるというように思います。 次は減税について伺いたいのですが、総理は二兆円減税を打ち出されたのですが、愛知大蔵大臣が存命中は二兆円減税実施を叫んでいた。十一月二十五日に内閣改造が行なわれて、その前後から自民党の声も減税反対が出てきた。総理はいまどういうふうに二兆円減税を考えられておられますか。
○国務大臣(田中角榮君) 予算編成の過程において大蔵大臣に検討をしてもらっておるということでございます。これは経済見通しがございますから、経済見通しは経済企画庁、それから工業生産や国民総生産という問題の実態的な問題になれば通産、農林その他の関係がございます。まあそういうものを十分検討してもらいながら、最終的には税制調査会の議を経て最終案を決定するということでございます。
○鈴木一弘君 これは、情勢の変化ぐらいで一国の総理が二兆円減税というふうな重要な政策を決定したことを簡単に変更されちゃ、これはたいへんなんです。総理はたしか池田内閣のときに大蔵大臣をやられた。そのときに、財源はつくり出すものだという、こういう有名なことばを吐いて大蔵官僚のどぎもを抜いたと言われているのですけれど、二兆円減税は国民が心から現在待っているのです。また国民福祉にも役立つものです。それならば、財源をつくり出すとおっしゃったんだから、つくり出せるんじゃないかという感じがするのですけれども、減税削減では国民を裏切ったことになりますが、その点についてはどうでございましょう。
○国務大臣(田中角榮君) 二兆円減税というものに対しては強い期待を持っております。これはシャウプ税制に対するメスを入れる、大幅のメスを入れる一つのきっかけを初めてつくったわけでございます。大体シャウプ税制というものは、戦後の経済復興というものに対しては大きな寄与をしてき、貢献をしてきたことは事実でございます。しかし、シャウプ税制というものの根幹は何かというと、所得税中心、直接税中心でございます。直接税中心でございますから、税負担は、先ほど言ったように、先進工業国の半分以下であるから、税負担からいったら何も負担が大きいわけじゃないんですが、直接税中心であるし、第一、もらわないうちに天引きされてしまうというところに非常にマイナス面がございます。五十万円のとにかく国会議員であっても、十五万円引かれて三十五万円であると。そうすると奥さんに渡すのは三十五万円ですから、奥さんは、うちの主人の価値は五十万円だとは考えていないんです。三十五万円だと考えているわけです。そこらが税に対する不信なんですよ。ですから、少なくとも七〇対三〇というような直接税中心というのは、政府にとってはいい税制です、これは。これはもうとにかく財源確保のためには一番いい税制ですよ。とにかく物価が上がれば名目所得は上がるわけですから、上がれば自動的に税収はふえる。もうすでに四千万人近い納税者になっているんでしょう。そういう事態からいって、今度二兆円減税を、ことしの年度内減税はできませんと、そのかわりに来年度、再来年で二兆円減税をやりたいと思いますと、そうすれば五百万人ないし六百万人の納税者が減りますと、こう言っているわけです。 ですから、これは考え方は、長いこと税調、政府税調でも求めてきたものでございますから、普通ならすんなりできるわけですが、石油問題にぶつかったので、大蔵大臣たいへんだと思いますよ。思いますが、これには前提があるんです。これはどうしてもこれをやるかわりに、間接税の増徴というものは出しておるわけであります。印紙税、自動車税、ガソリン税、法人税、そういうものは出しておるわけです。で、きのうかきょう――きょうですか、広告税をやればいいじゃないかと、広告税は、一兆五千億もあるんですから、これを半分を損金不算入すればすぐ二千五百億の財源が出てくるわけです。しかし、新聞紙が半分になって、テレビの放映時間をうんと縮めよというときに、これ、広告税をやろうものなら、えらいことになって、これは言論抑圧ということになると思うんですよ。ですから、そういう意味で福田大蔵大臣もほしいんだろうと思いますが、先ほどそれは慎重に考えていますと、こう言うんですから、それは内閣みんなそう思っている。あなたもそうだと思うんですよ。ですから、そういう意味で、二兆円というのは平年度でございますから、その過程において、あなた方が物価抑制になり、しかも直接税と間接税のウエート、そういうようにうまいバランスがとれるならば新税はまたしかりである。こういうものとのバランスが第一であります。第二は、予算、一般会計の規模に関してきているわけであります。もう一つは、公債の発行額をどう押えるかということであります。公債を発行しても減税公債を出せという御議論があるわけでありますから、そういう議論をすべて調整をして最終的には決定をされると、このようにひとつすなおに理解していただきたい。
○鈴木一弘君 いまの二兆円減税は平年度だという話で、われわれは、一番最初の初年度二兆円かという感じがしたのですが、まあ平年度ということで、そういうことで二年間と、こうおっしゃったわけですね。いずれにしても、このインフレ被害という、現在の物価高から納税者を救済していくには減税以外にはない。そうしませんと、とにかく減税をしなければ所得が増加する、増加した分だけ実質今度は増税になってくるわけです。そういう点は確実にやっていただきたいと思うのです。 ところで、総理は七月五日、これだけ引き締め政策に転換しながら物価が下がらないわけがないと、第三、第四・四半期になれば総需要も減ってくるし、物価は鎮静すると、こういうように大みえを切っておられますよ。七月四日のことであります。もう秋は来てしまっております。ところが、九月二十四日の徳島の知事選挙の際には、年度末に必ず下げるというものでなく、物価を安定させたいということだというふうに発言が後退をしてきた。すでに第三、第四四半期であります。もう第四四半期を迎えようとしております。物価は急上昇している。これは当然政治家として責任を感じなければならない問題に入ってきておるわけですが、いかがでございますか。
○国務大臣(田中角榮君) その責任の重さを痛感いたしております。
○鈴木一弘君 次に、外交問題に移りたいと思いますが、先日の十二月十日でありますが、アブダビの国務相とシリアの外相が記者会見をして、十一月二十二日の日本政府声明は、親アラブとは言えないと記者会見で言っております。日本政府の声明はどういうことになるというふうに、この評価の上から見るとお考えでございましょう。
○国務大臣(大平正芳君) わが国の中東政策を従来の形よりも、より鮮明な形において表明したものでございます。これにつきましては、国の内外にいろいろな評価があることは承知いたしておりますが、政府といたしましては精一ぱいの中東政策であると考えております。
○鈴木一弘君 中東問題解決促進国連決議二四二でありますが、この決議二四二について、主文の1項の(i)の「領土」の前に「ザ」がないから、これは全面撤退を求めていないのだと、こういうふうにイスラエルは言っている。それに対して、エジプトなどアラブの諸国は、全面撤退を要求しているのだと言っているわけです。当時の安保理事会の議長は、おそらく日本ではなかったかと思うのですけれども、どういうようにここのところの解釈は当時なさったのでしょうか。
○政府委員(鈴木文彦君) 安保理二四二のいま御指摘の点について、英語のテキストでは確かに「ザ」はございません。ただ、これがイスラエルの占領地からの撤退という場合に、全占領地からの撤退であるかどうかという点については、いろいろ解釈があるところでございます。で、日本政府は、この間の十一月二十二日の官房長官談話におきまして、決議のこの面における日本側の考え方を非常に明確な形であらわしました。それは、この当該決議の部分における日本側の立場は、全占領地からの撤退であるということでございます。
○鈴木一弘君 そうすると、その次の項目にある、「安全にして認められた国境の中に」、あるいは「安全かつ承認された境界線」どちらかの訳になると思いますが、それはイスラエルの主張でなくて、いわゆる全面撤退したあとの線と、こういうことになるわけですね。
○政府委員(鈴木文彦君) イスラエルの全占領地からの撤退の点と、それから当該地域における関係国が安全な境界線の中において生存する権利、この二つは一種のパッケージとして、この決議の重要な原則をなしております。したがいまして、この二つの調整の過程において、いかなる占領地から撤退されるかということがきまると思います。ことばをかえて申しますと、これが和平交渉の内容になろうかと思います。
○鈴木一弘君 そうすると、日本政府の考えでは、この境界線というのは、新規にできるというように認めるわけですか、それともどういうラインになっておりますか。
○政府委員(鈴木文彦君) いまの御指摘の点は、和平交渉の中身でございまして、当事国がどういう話し合いをするかという、その結果によってきまると思います。
○鈴木一弘君 だから、日本としてはどういう考えを支持するのですかということを伺っているわけです。
○政府委員(鈴木文彦君) いまの点は中東紛争の直接の当事国の間の話し合いによってきめられるべき点でございます。
○鈴木一弘君 これは、非常に大事なのは、官房長のいわゆる例の談話、声明ですか、あれでイスラエルとの関係を再検討するという、そこにも引っかかってくるわけです。ですから大臣、この点はどういうふうに考えられておりますか。
○国務大臣(大平正芳君) いま申し上げましたように、いま御指摘の点が、全占領地区からの撤退がなければならぬということと、それから、それぞれの国が国連憲章のもとで安全な、公正に生存する権利があるという意味の条項とが、パッケージになっておるという立場を日本政府はとっておるわけでございまして、そしてそういうことがいま答弁申し上げましたとおり、和平交渉において当事国が、当事者間におきまして交渉されることと思うのであります。で、官房長官談話が示しておるラインは、今後そういう話し合いがどのような姿で行なわれて、どういう事態が発生してまいるかということを注視するという最後のパラグラフに書いてあるわけでございまして、それを注目したいということが第一点でございまして、その過程におきまして、場合によっては日本政府としてイスラエルに対する政策を再検討せざるを得ない場合が生ずるかもしれないという警告を最後に付加いたしてあるわけでございます。これは今後の事態の進展にまたなければならないわけでございまして、いまの段階におきまして、その内容につきまして予告をするという筋合いのものではないと考えております。
○鈴木一弘君 再検討の問題でありますけれども、それはいわゆるイスラエルとの断交までという極端な場合もあるわけでありますけれども、あるいはその手前の経済制裁、そういうところまでいく予定でありますか。考えはどうなんですか。
○国務大臣(大平正芳君) いまお答え申し上げましたとおり、いまの段階でその内容にわたって予告をするということは、政府としてできないのでございます。
○鈴木一弘君 予告としてできないといっても、そのいろいろなケースが考えられるという、そういうケースは考えておられないんですか。
○国務大臣(大平正芳君) いまお答え申し上げましたように、これからの事態の推移を注目してまいりますと、事態の推移を見なければならぬわけでございまして、外交はその事態の推移に応じまして一番適切と考える措置を、適切と考えられる時期にやるのが外交であると思うのでございまして、最大限のフレキシビリティーをいつも保持していなければならぬものと私は考えます。
○鈴木一弘君 石油問題は、こういう中東紛争がなくても起きた問題だと思いますけれども、実際問題として、あり余っていない、限りのある天然資源であります。そういう点で、これは国際通貨についてはIMFがあり、貿易の問題についてはガットがありという、国際的な世論形成の場所あるいは問題を解決するクラブがあるわけでありますけれども、天然資源については、一体人類のため今後どう使っていったらいいか、どういう配分をすべきかということについては全然ないわけですね。当然、国連の中に天然資源委員会をつくるなり、あるいはそういうような全世界的な立場で解決する何らかの機関が必要だろうと、こう思うんでありますが、そういう点について日本政府として提案をしたり、あるいは今後推し進めていくという、そういう構想はございませんか。
○国務大臣(大平正芳君) いま御指摘のような機関がすでに国連では設けられておるわけでございまして、日本政府も参加いたしまして、すでに討議に入っておるわけでございます。で、私が承知しておる限りにおきましては、ただいままでは水資源の問題が主たるテーマであったように承知いたしておりまするけれども、今後石油問題という問題が取り上げられてしかるべきものと考えるわけでございまして、それは仰せのとおりの趣旨で、政府といたしましても、国連を通じても努力すべき課題であると考えております。 〔理事吉武恵市君退席、委員長着席〕
○鈴木一弘君 じゃ、その機関に日本としては積極的に石油問題のことを今後提案をし、解決をはかっていくようにするわけですか。
○国務大臣(大平正芳君) すでにその資源委員会には日本も参加して、討議に参加しているわけでございます。もちろん、日本としても積極的に推進に当たりたいと思います。ただ不幸にいたしまして、いま石油問題につきましては、各国とも自分の国に降りかかった問題に追われておりまして、仰せの国際協力という問題につきましては積極的に踏み出す状況になっていないことは残念でございます。そういう空気をつくり出すことに、仰せのラインに沿いまして、政府としても努力をいたしたいと考えます。
○鈴木一弘君 西ドイツとか、あるいはEC、あるいはインド各国が消費国でありますけれども、そういう消費国と一つの連携を保ってクラブをつくったというかっこうでの世界的な解決はお考えになってませんか。
○国務大臣(大平正芳君) いまの石油危機の一つの局面は、そういう各国間の協力体制がないというところに危機の様相が一つあると思うのでありまして、すでに国連でもそういう組織がありながら、石油問題の討議にまだ入っていないということ、せっかくOECDにおきまして、石油の融通スキームの問題が討議されておりましたけれども、石油問題に火がつきましてから、それがいま停滞しておるというような事実がございまして、たいへん残念だと考えておるのでありますが、ひとり消費国ばかりでなく、産油国も含めまして国際協力のフォーラムを可能な限りつくってまいるということは、鈴木さんのおっしゃるとおり緊切な課題であると思うんでございます。そういう方向に私どもも外交的努力を傾けなければならぬと考えます。
○鈴木一弘君 次に、石油問題にじかに入っていきたいと思いますが、中東から日本向けタンカーの最近の積み取り状況はどうなっておりますか。これは運輸大臣から伺いたいんですが。
○国務大臣(徳永正利君) タンカーの積み取りでございますが、御承知のように、アラブ諸国からの石油削減に伴いまして、中近東からの積み込みが非常に障害を来たしております。これは十一月の十日から十二月の四日の間の状況でございますが、ペルシア湾の現地を日本に向けて出発いたしましたのが一もう着いているものもありますけれども、百一隻でございます。このうち一つの港で満船になったのが四十七隻、それから一つの港で全部満載できなくって、二つの港で満船にしたのが十八隻、さらに、三つの港を回って満船になったのが四隻、計六十九隻でございます。それから百一隻のうちで、大体八〇%以上積み込めた――まあいろんな航程の関係上やむを得ず出港してきたわけでございますが、八〇%以上積み込んだのが二十八隻、八〇%以下でやむなく出港したというのが四隻でございます。大体この全部の積載量は、積み高は千二百八万トンでございます。この千二百八万トンを予定しておりましたところ、積み取りの実績が千百五十七万トンと、五十一万トンを積み残したということでございます。
○鈴木一弘君 じゃ次に、これは大蔵大臣に、石油等の輸入の最近の通関の実績をちょっと伺いたいのです。
○国務大臣(福田赳夫君) お答えします。 一月が二千二百九十七万キロリットルです。二月が二千百二十五万六千キロリットル、三月が二千三百八十万三千キロリットル、四月が二千三百十九万九千キロリットル。今度は数字で読みます。五月が二四・二三七、六月が二四・〇五三、七月が二三二四七、八月が二七・三五二、九月が二三・二六四、十月が二七・〇二一でございます。これは通関輸入実績であります。
○鈴木一弘君 次いで、これは通産大臣にお伺いしたいのですが、いまの積み取りの状況を見ても、それから通関の状況――税関を通った状況、これを見ましても、これは通関のほうは十月までしかないようでありますけれども、不足するわけがないというような感じがあります。今回は非常に、それなのに大幅な削減が行なわれようとしている。特に漁業とか農業などの第一次産業、それから製造業、こういうところに大きなしわ寄せがきて、それが結局は国民生活を根底からひっくり返すようになるのではないかという心配をしていますけれども、こういう重油、まあ軽油、こういうものについての重点配分はどうするお気持ちですか。また順位はどうなる予定ですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 最近減ってまいりましたのは、OAPECが九月を基準にしまして二五%削減を行なって、日本がその仲間に入れられました。それ以来急に削減が加わってきておるわけであります。 それで、その入荷したものの重点配分をどういうふうにするかということでございますが、これは十一月十六日の今度の緊急対策本部の結成に伴って対策要綱を発表いたしました。それで政府がきめたのでございますが、やはり民生関係を重視して、中小企業、農漁業、それから医療関係、それから大衆交通手段、そういうものを重点項目として列挙してあるのであります。民生の中には、食糧の生産、配給、輸送ももちろん含んでおります。
○鈴木一弘君 これは通産大臣は減るという話でありますけれども、どうもこのタンカーの積み取り状況なんかを見ると、ちっとも減ってないということは、これはほんとうだと思うんですね。そういう感じしか受けません。 で、農業の問題ですけれども、これは農林大臣に伺いたいんですが、石油パニックで農業生産資材の値上がりの状況はどういうふうになってますか、その点を伺いたいのです。
○国務大臣(倉石忠雄君) お答え申し上げます。 いまのお話で、農村物価指数によりまして、農業用資材の価格の動向を見ておりますというと、本来この石油に原因しているかどうかということにつきましては、いろいろ疑問もございますが、総合では、本年十月の対前年度比で三〇・四%の上昇となっております。で、これらの資材のうち、建築資材が一番上昇しておりますが、それから飼料、これは御承知のように外国との関係等がございまして本年は四六・二%、それから肥料は九・三%、農薬で三・三%、農機具で九・三%、農業用ビニール等の諸材料、これは先般事故等もありました関係もありまして一九・六%、それから石油を含みます光熱動力、これは農業用にいろいろ使っておりますが、これが一二%、このような程度の上昇を示しております。
○鈴木一弘君 これは通産大臣だと思うんですけれども、肥料がここで三〇%の値上げをということで、先ほどの農林大臣の答弁では九・三%すでに上がっております。それがこの――例年は年度末に翌年度分をきめるのに、今回は中間でこれを改定しようとしていますが、この点はどう考えていますか。これは農林大臣のほうからも答弁いただきたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) 肥料生産の状況は、電力、石油の削減等もありまして、現在までのところメーカーから調査したところによりますと、十二月において十月実績に比べおおむね一〇%前後の減少となる見込みのようであります。そういうような点から、おそらく先行きの模様等について、いろいろメーカーと消費者との間で話し合って、そして値段も中間的に両者である種の協定といいますか、了解点をつくっておこうと、これから先、石油の値段がさらに上がったりなんかした場合に備えて、中間的なそういう意味の踊り場といいますか、そういう意味でおやりになってるんではないかと思います。
○国務大臣(倉石忠雄君) ただいま通産大臣からも答弁ございましたが、私どものほうといたしましては、例の肥料価格安定臨時措置法の適切な運用等によりまして、生産コストの把握、業界の指導等につとめてまいったわけでありますが、ただいま、先ほど申し上げましたような石油事情等、これが現実にはたして製品にどれだけ影響しておるかというふうなことは、まだ調査いたしておるわけでありますが、通産省とも連絡をとりまして肥料の対策を万全の措置を講じてまいりたいと、こう思っております。
○鈴木一弘君 これは通産大臣、一〇%減産になって、国内用、国外用とこれはあるわけですけれども、輸出等に対する影響はどうなりますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 十二月は、先月からの余剰在庫を取りくずして輸出が行なわれておりますのでそれほど変化はございませんが、一月以降については、石油削減の程度いかんによっては、生産減少の影響を受けて多少減少するものと予想されております。しかし、わが通産省といたしましては、できるだけ東南アジアの発展途上国の食糧生産にそれは向けられ、あるいは中国にも向けられておるわけでございますから、可能な限り供給できるように協力していきたいと思っております。
○鈴木一弘君 これは本会議でも質疑があったことでありますけれども、まあ、遠洋漁業の関係が現在石油不足でほとんど動きがとれなくなってきている。先日も三浦岬のカツオ、マグロの方々に聞いたんでありますけれども、それがそのまま今度は正月用品の値上がりにつながっております。前の櫻内農林大臣は記者会見で、十一月十六日に農・漁業に必要な石油の確保に全力をあげると、まあ、こういうように発表しておるわけですけれども、状況としては悪くなっております。これはどう確保する予定ですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 櫻内さんがそれをお話しになりましたときよりも石油の削減率がひどくなってまいりまして、そのためにある程度影響が及ぶということもやむを得なかったわけであります。それで先般来、通産政務次官と農林政務次官の間に農林漁業用の石油類の確保についていろいろ折衝させまして、きのう大体両省の了解ができ、それぞれ業界団体にもその数量を指示しつつあるところであります。大体私の記憶によりますと、重油類で約五十五万トン、月に。それから十二月であります。全部でいろんなA重油あるいは灯油、軽油等を入れまして、ビニールハウスから漁業に至るまで約百万トン前後の供給を両方で話し合ったと、そういうことであるように記憶しております。
○鈴木一弘君 ここでカツオ、マグロ、特にマグロ漁業でありますが、そのマグロの場合にA重油の使用量はどうなっておるか、ちょっと伺いたいんですが、マグロの。
○国務大臣(倉石忠雄君) 御承知のように、ただいま出ておりますものもありますし、こちらにおるものもありますが、そこでカツオ、マグロではA重油等の燃料油の使用量は昭和四十八年度において約百二十万キロリットル、このうち北米、豪州等の海外で補給いたしますものが約三十万キロリットル、こういうことでございます。その他の遠洋漁業における昭和四十八年度の燃料油の使用量は約二百四十万キロリットル。このうちアフリカ、中南米等の海外で補給するものが約三十万キロリットルと見込まれております。そこで、ただいま通産大臣の御答弁にもございましたように通産省と農林省はこのような前提のもとに万遺憾なきを期するように事務的な了解を得て進めておると、こういうことであります。
○鈴木一弘君 外地で現在大体二一二%ぐらいカットをされているという話なんですけれども、その点の掌握はどうなさっておりましょうか。
○国務大臣(大平正芳君) ただいまの段階は、出漁されておる現地におきまして給油に困っておるという場合、ケース・バイ・ケース、在外公館を通じまして現地から給油が可能になるような措置を外交的にお願いをいたしておる段階でございますが、いま農林大臣からお話がありましたように、石油二法が成立いたしまして通産、農林両省におきまして石油の漁業向けの供給体制ができました暁におきまして、それを在外各公館に通報いたしまして日本側の措置を、日本側といたしましては、こういう措置を講ずることになっておるということを理解せしめて、出先におきまして給油国側の理解を求めて給油を確保するような努力を積み重ねてまいりたいというつもりで努力をいたしております。
○鈴木一弘君 何%ぐらい減になったかというのはわかりませんか。農林省のほうで。――わからなければけっこうです。 じゃあ、ここで、海外での燃料補給を断わられているというのがあるわけであります。で、一体どんな状況なのか。どの方面に何ばいぐらい、何隻ぐらいかと、このマグロの漁船でけっこうでありますけれども伺いたいわけです。ケープタウン、ポートエリザベスあるいはイーストロンドンですか、ホノルル、グアム、ニューヨーク、至るところで、油を探して歩いて、石油があるというところへ、本国から無電で知らせて、そこへ漁船が集中をしなければやっていけないという状況は、ちょっとこれは考えものだと思うのですね。また、そういうような点で、どういう海にうろうろしている船があるのか、一体燃料補給を断わられておるのは何隻ぐらいあるのか。これをちょっと伺いたいのですがね。
○国務大臣(倉石忠雄君) 所要の油量を先ほど申し上げましたが、このいまお話しのございましたただいまの状況に基づいて、遠洋漁業船が海外で燃料油の補給を制限されておるものがどのくらいあるかということでございますが、十一月十三日から十二月十一日までの報告を合わせましたもの、アフリカで十七隻、このうち三ばいは農林省の調査船でございます。それから北米で六隻、中南米で四隻、オーストラリアで四隻、計三十一隻、こういう状態でありますが、このうち、まあ、申し上げました農林省の調査船はこれは別といたしまして、大体ただいままで得ました情報ではアフリカ、北米等でいま申し上げましたように約三十隻-三十一隻このような状況でありますので、私どもといたしましては、今後とも外交ルートを通じて相手国に給油の確保を要請するほか、国内石油の積み出しによる洋上補給、漁場変更の指導等、これに遠洋漁業船の燃料油の確保に最大限の努力を払ってまいりたいと、こう思っておるわけであります。
○鈴木一弘君 これはメジャーといわゆる契約を結んでいるところですね、そういうところの大手の水産会社等はいいと思いますけれども、現地でもって寄港直前に必要量を注文した、そういう場合が断わられているというような例があるわけです、そういうことで。そういうのがほとんどです。そういう漁船についてはもう各国から現在拒否されておる。これから先もさらにふえてくるのじゃないかと、こういう心配がありますが、その点はいかがですか。
○政府委員(荒勝巖君) ただいま御質問がありましたように、過去におきまして長い間の契約がある船につきましては、石油の供給もある程度、窮屈ながらも行なわれているようでございますが、そのつど買いというふうな形で油を買っておった船につきましてはなかなか補給がむずかしいと、たまたま寄港してもなかなか契約しにくいというようなこともありまして、ただいま大臣からお話し申し上げましたように、日鰹連といたしましては、ただいまトロール、アフリカ沖あるいはハワイ方面で停泊しております船について、近々中に油を約一万数千キロリットル積みまして洋上補給に出るということで準備を進めている次第でございます。 なお、そのほか、発展途上国周辺の基地の港で油が補給できないことにつきましては、なるべく船を洋上で移動させまして、油の供給のでき得る地点で操業するようにという指導をただいまいたしている次第でございます。
○鈴木一弘君 非常に高い値段があって、ペルーあたりでは一キロリットル五万五千円という値段になっているという話なんでありますけれども、そういう海外での石油価格の急騰、いわゆるA重油の価格でありますが、その点はどういうふうに仕分けしているか、ちょっと言っていただきたいです。
○政府委員(荒勝巖君) 非常に最近この重油の値段が上がりまして、たとえば、ことしの四月には南アフリカのケープタウンにおきましては、キロリットル当たり約四十ドル八十セントであったものが、十一月の価格では六十九・五ドルというふうに上がっております。また、特にホノルル方面では――北米でございますが――四月に三十五ドル二十二セントであったものが、十一月には八十二ドル六十二セントというふうに、倍以上上昇しているというふうに御理解願いたいと思います。
○鈴木一弘君 この神奈川県の漁業組合の陳情書を見るというと、ペルーのカヤオでは一キロリットルが五万五千円だというようなものすごい値段が出ております。そういうような価格では、せっかく油を売ってくれるといっても、これは積んでは帰れませんですね。赤字をつくるだけであります。そういう点で、いま話がありました一万数千キロリットルを洋上補給するように補給船を出すという話でありますけれども、この補給船は今後ずっと続けていかれる予定ですか。これから先、御承知のように、イカの漁も始まる、ニューカレドニアの沖、そういうように次から次へとあるわけでありますけれども、そういうようなことを考えますと、相当これは国内からそのまま船で絶えず洋上補給をしなきゃならないという体制に入ってくると思うんですが、これはどういうシステムでやられるんですか、その点を伺いたいです。
○政府委員(荒勝巖君) さしあたり当面の急を要する問題といたしまして、現地で停泊しております漁船につきまして、帰港する、日本まで帰ってくる油を補給するということで今回の緊急措置を行なった次第でございますが、極力国内で油をできますれば積んで、往復分まで確保していきたいというのがわれわれの気持ちでございますが、今後の問題としましては、やはり海外におきまして油の供給を受け得る、受けやすい地点を選んで操業をするのが一番さしあたりの問題だと思います。その後の問題につきましては、さらに相手国政府と油の供給問題については十分に外交ルートを通じてお願いいたしたい、こういうふうに考えております。
○鈴木一弘君 こういうことが帰港のおくれであるとか、あるいは操業をどうしても短縮せざるを得ない、出港の船を減らさなければならない、こういうことが必ず起きてくる。それが価格にはね返ってくることはもう論をまたないわけですね。その点は、たとえ情勢が変わったとしても一〇〇%の確保をしなくちゃいけないんじゃないか。特にマグロ等については日本しか食べるところはほとんどございませんから、そういうところを考えると、これは通産大臣、先ほどの答弁ではどうも私も不満なんでありますが、その点どうなのかということ。 それから、これは農林大臣に、農家のハウス栽培が埼玉にしても栃木にしても全滅状態です。いわゆるイチゴ生産等もやめなければならない。花の生産もやめなければならない。もちろんのこと、一月、二月、三月に出荷するところのキュウリのハウス栽培も重油がなくてやれない。こういう状況になってきています。こういう点の掌握、あるいはそれに対する対策はどうお立てになっているか、これを伺いたいわけです。
○国務大臣(倉石忠雄君) 先ほど通産大臣から、通産省と農林省で詳細に従来の経過を基礎に検討をいたしまして、とりあえず十二月分の話し合いをした、こういうことをお答え申し上げましたが、その計画でやるわけでありますが、その次に、ただいまのビニールハウス等の灯油等につきましても、やはりそういう中に計算を加味して話し合いをいたしておる品目に書いてあるわけでありますが、私どもといたしましては、電力の使い方、油の使い方等に対して、こういう際でありますので、極力合理化してそれを節約するようにということを農林省としては当該者に行政指導をただいまいたしておる最中であります。
○鈴木一弘君 合理化という話はいいんですけれども、実際は一月にドラム一本ずつ一アールで要るというような状態なんですから、その確保がされなければ、その産業が施設農業ということでようやく蘇生をしているところもあるわけです。そういうところについて、これはほんとうに考えなくちゃいけないんじゃないかと、その点の熱意の問題だと思うんですけれども、それはいかなることをしても確保しなければならないことだと思うんですがどうですか、その点は。もう一度。
○国務大臣(倉石忠雄君) 通産省と私どもで打ち合わせてきまりました話し合いの中の項目によりますというと、ただいま御配慮いただきましたような事柄につきまして十分な手当てをいたすつもりで、ことに通産省では、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたが、中小企業並びに農漁業のようなものについては特別な配慮をする、こういうことでございますので、いまお話しのようなことも十分念頭に置いてやってまいるつもりであります。
○鈴木一弘君 これは通産大臣に伺いたいんですが、今回の電力削減といわゆる重油のそういう削減、そのことで各製造業への打撃がかなりあるようですが、すでに操短そのほかの計画が出ているところがあるんじゃないかと思いますが、その点をわかっておりましたら業種別に伺いたいんです。
○国務大臣(中曽根康弘君) いまのところ、目立つような操短とかあるいはレイオフとか、あるいは首切りのような現象は出ておりません。タイヤの方面に出たんではないかというので、ブリヂストンその他も調べましたが、減産はしておるようです。約二〇%の減産という報告が来ておりますが、レイオフとか、そういうようなことは目下のところはまだございません。
○鈴木一弘君 労働大臣。いわゆるレイオフ、人員整理あるいは臨時工の首切り、こういったことがいろいろわれわれの耳に入ってきています、実際は。たとえばタイヤ関係でいま話がありましたが、臨時工二百人を整理する、いまその名簿をつくっているという声があるところもありました。そういうことがありますんですが、その点、労働大臣はつかんでおられませんか。
○国務大臣(長谷川峻君) お答えします。 いろいろ話はありますけれども、私のほうでも手を尽くして調査はしておりますけれども、具体的なものは入っておりません。
○鈴木一弘君 いずれにしても、今後はそういうことが、これは総理、予想もされてくるわけです。そういう点もありますし、いま申し上げたようにいろいろな業種が、たとえば、話に聞くと自動車も四つのタイヤをスペアをつけないで出そうかとか、そういう話を聞いたり、あるいはセメントについても、セメントのかま、キルンというんですか、あれを何基か閉鎖しなければならぬとか、そういうことが次から次へと言われてきております。すでにセメントの価格等もここへきて落ちついたが、もう一ぺんはね上がってきていることは御承知のとおりだと思います。現在も五百円をこえております。そういう点から見ると、製品価格へのはね返りというのが必ずあると思うんですが、これは何ほどと総理はお見込みになりておりましょうか。 それから、これについてはどういうふうに……。いわゆる優先順位云々の問題もあります。先ほど通産大臣から答弁ももらいましたけれども、これはへたをすれば命取りになりかねないような問題になってくるわけですから、その点の確保の――確保といいますか、そういう国民の納得できるような行き方、こうこうこういうわけだからどうしてもこれだけはやらなきゃならぬ、削減をしなきゃならぬと、まず、一番不要不急なら、こういうものからやりたいんだと、こういう点についてだけは確保すると、いわゆる製造等についてはきちんとするとか、こういうことになると思うんです。先ほどは民生云々、中小企業云々ということだけがあったようでありますけれども、製品価格へのはね返りということを考えると非常におっかない感じがするわけですが、その点についての所信を聞きたいと思うんですが。
○国務大臣(田中角榮君) 今度の石油問題で製品価格が急騰するようなこと、これはもう厳重に避けなきゃなりません。今度二法案を通していただければ、必要なものの順位をつけて、そういうものには電力を送付するというふうなことまでやるわけであります。電力を送付すれば製造は拡大をしていくわけでありますし、ですから、国民生活に必要なものというものに順位をつけまして、それに電力供給を行ない、操業度を確保していくということになりますれば、品物が便乗値上げができるような状態ではないわけでございます。そういうものをしさいに検討し、調査をして、優先順位をつけたものから、最終的に必要であれば政府がこれを輸入したり、輸入を委託したり、政府自身が買い上げてこれを交付をするということもできるわけでありますし、切符制も採用できるわけであります。ある場合には、中間経路を全部省略をして直送の方法もあるわけでございます。そういう意味で、物価問題に影響しないように、これも非常にこまかい配慮をしていかなきゃならないと、こう考えております。急騰するものに対して、官需とか、そういうものがあれば、それは需要を削減するということにならざるを得ないわけでございますので、広範な面からの調整権を発動してまいるということでございます。
○国務大臣(長谷川峻君) 私のほうからもお答えしておきます。 御承知のように、いま新規求人が前年同期に比べて二四%増なんです。求人倍率が二・三、そして、失業保険受給者が前期に比べますと二%減なんです。労働関係が、需給が非常に逼迫しているんです。ですから、当面私たち暗いような感じを持っておりませんけれども、しかし、いろいろ対策を練りながら、もし、そういうことが起こるようなことがありますれば、これはいずれ皆さんに御審議願わなければなりませんけれども、失業保険制度の根本的解決というふうな方途を考えておりますことも、この際に御了承願っておきたいと思います。
○鈴木一弘君 通産大臣、中小企業に対しての重油の問題なんですが、非常に一番先に詰まってきているという感じがあります。特に、いろいろな中小企業もあると思いますけれども、やはりメーカーからなり、代理店からなりの供給保証をきちっとさせるようにしなきゃならないんだろうと思うんですね。そういう点についての行政指導的な面、さしあたりどういうふうにやられようとなさっておるか、それを伺いたいんです。
○国務大臣(中曽根康弘君) われわれのところへ参りましたのは、たとえばせともの等の焼きがまの重油等がもうすでにございます。これらのために十二月じゅうにあっせん所をつくりまして、府県単位に石油商の組合と連携をとりまして、いままでビニールやセメントでやりましたように、あっせん行為を行なわせようと思って準備しております。
○鈴木一弘君 それは、いまのは政府としてのあっせんの問題なんでしょう。そうじゃなくて、供給保証ということになると、一つのところから仕入れるのに、あなたのところについては、まあ今後とも、何%減になるけれども保証はいたしましょうというのがいわゆるメーカーサイドからなされなきゃおかしいわけですね、重油のほうの、供給側から。そういう保証を何とか取りつけるようにさせないと。それでどうにもならないところが、いまのようにあっせんのところに行くんだろうとぼくは思いますです。そういう供給保証をさせなければ、やはり買い占めといいますか、売り惜しみというものが出てくるんじゃないかという感じがするわけなんです。そういう点はいかがかということなんです。
○国務大臣(中曽根康弘君) 御趣旨を尊重しまして、その線で行政指導いたしたいと思います。
○鈴木一弘君 次は、異常な買いあさりでもってすっかり値が上がってしまった砂糖でありますけれども、この砂糖の問題については、これは家庭ではもう、なきゃならないものでありますから、この点について伺いたいんです。 で、平生は、一キログラムのいわゆる小袋ですが、あの袋が百二十円から百三十円、これはスーパーサイドだと思いますが、現在は二百三十円から二百五十円にもなってきている。もっと高い場合もあります。百九十円からのもありますし、これ以上高いのもあります。なぜこんなふうに上がったのかということについて、メーカーの言い分はどんなふうに言っているんでしょうか。
○国務大臣(倉石忠雄君) これは、先般たいへん異常な騰貴を見ましたそのときに、私どもといたしましては、御存じのように糖価安定法がございますので、この糖価安定法第六十四条と思いますがを発動いたしまして、メーカーの工場、それから事務所等立ち入り検査をいたしました。同時にまた、地方にないといわれておる方面に、製造業者から百貨店あるいはスーパー等に急遽現物を流すように行政指導をいたしまして、御存じのとおり、ただいまのところは、もうすでに安心して、――安定をいたしておるような次第であります。そこで、まあ、いろいろあるようでありますが、やはり品物に対する先高見越しのような一般的風潮もありましょうし、それから石油に直接関係があるなしにかかわらず、そういうような空気をうまく使って、ただいま申し上げましたようなことが食品等においてはしばしば行われる状態でありますので、私ども行政当局としては、そういうことについて十分な理解を持っていただくようにつとめなければいけないと、こう思っておるわけであります。
○鈴木一弘君 これは、メーカーの言い分と言って私はお願いしたんですが、いまのは先高を見越したとか、あるいは石油危機云々ということで、こう、答弁があったんですからね、ちょっと話が違っているんですけれども、ロンドンのいわゆる砂糖相場が最高の高値になったと、そういうことからなったと、こういうふうにいわれているんですが、その点はいかがでございますか。
○国務大臣(倉石忠雄君) ロンドンでございますが、四十七年の十月、七十六・一六ポンド――これはトンでございます。それが十一月には同値、十二月は九十三・〇五と、本年に入りまして九十八・二五から――少し省略いたしましょうか、逐次上がってまいりまして、七月には九十八・一一、八月には九十四・二七、九月には九十五・一五、十月には百一・六三、十一月には百九・八〇と、こういうところでございます。 で、私どものほうの平均輸入価格は、いまで申しますというと、四十八年のたとえば十月、ロンドン相場で百一・六三というときに、五万三千八十五円でございましたが、これは双方にリンクされているというわけではございません。ただそのときにそういう状態であったと、こういうことを申し上げておるわけでありますが、ロンドンとわが国の平均輸入価格とは、いま申し上げましたような状態であります。
○鈴木一弘君 このいわゆるロンドン相場が砂糖取引で上がってきたのは、その原因が一つには、いわゆる糖価、国際砂糖協定の問題と、いま一つはソビエトの問題と、こういうふうに二つがあるという話なんですが、その点の原因はどういうふうにおつかみになっておりますか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 御存じのように砂糖協定、価格の面が御破算になっておりまして、それが現在に至っておる状態でございます。
○鈴木一弘君 いま大臣の答弁からもわかりますが、とにかく砂糖の値段が上がるということは、国民生活に大きな影響が出てくる。一九六九年からずうっと五年間国際砂糖協定で価格がきめられてきていたわけですけれども、いまお話しのように、この間ジュネーブで行なわれたことしの砂糖会議で、値段の意見調整ができなくなってしまったと。だから、もうそういうことは実質には無協定時代に入ったということですね。無協定時代に入ったということになれば、今度は、それから以後は、当時示されていた価格よりはまた二割ぐらい上がっておりますね。ずうっとここで上がってきている。そうすると、輸入するのが上がるわけですから、輸入するのが上がるとなれば、当然糖価安定法できめられておりますから、ほんとならば直接にこれは響くわけがないわけでありますけれども、本来なら響かないのが響いている。私のほうで考えられるのは糖価安定事業団のほうがきちっと手を打つべきじゃなかったのかと、こういうように考えられるんですけれども、その点はいかがかということが一つ。 それからもう一つは、この無協定時代における今後の国際糖価の見通しはどうなのか、この二つについて伺いたいのです。
○国務大臣(倉石忠雄君) ただいま申し上げましたように無協定状態でございますので、砂糖の生産の可能な開発途上国に、できるだけ砂糖をつくってもらうということが、私は国際的に必要ではないかと思っております。 それから、いま私どものほうの農林省といたしましては、先ほど申し上げましたような状況もございますので、糖業界と相談をいたしまして、できるだけ原料の輸入をリザーブを多くしておくように用意をしておると、こういうことでございます。
○鈴木一弘君 量の問題は問題ないと思うんですよね。しかし、日本が世界の砂糖の自由市場の中では、かなりの分量買うわけでありますから、その点では自由市場の砂糖を買う点では最大の輸入国であると思います。そういう点で、いまのはできるだけ各国につくってもらって、そうしてという話。それから予約をしておきたいというお話しがありましたけれども、価格の点についてはどうなんですか、これは。いまの価格でそのままずっといける見込みがあるのか。それとも、これから先は非常に上がってくるというような感じなのか、そこのところを伺いたいんです。
○国務大臣(倉石忠雄君) 御存じのように、一般輸入農作物がみなそうでありますように、傾向としては若干高目をたどらざるを得ないんではないかと、こう観測しております。
○鈴木一弘君 農林省の資料で見ますというと、事業団からの市場放出価格というのが、四十五年の一トン四万二千円から、ことしは十月が五万三千円、十二月が五万四千円というふうにどんどん上昇しております。これは、糖価安定事業団の市場放出価格がこういうふうに上がってきているという理由は何ですか。
○政府委員(池田正範君) ただいま御指摘のように、事業団の売り戻し価格が上がってきていることは御指摘のとおりでございます。これは現在まで、実はいま大臣から申し上げましたように、国際砂糖協定の中の価格の面が話し合いがつかなくてブランクになったわけでございますけれども、現在はまだ前に供給約束をいたしましたものがかなり入ってきているわけでございます。これはいわゆる一ドル七セント六十という一つの約束価格で入ってきておりますので、したがってこれと、それからそのワクからはみ出た、あとから契約した分とが合わさってできておりますので、だんだんに安いものが減り、これからの時価で買うものがふえるという形で、じりじりと買う、総括としての高値にいまなりつつある。ただ、事業団としては、かつて非常に安く供給約束価格で買っておりましたので、その際に保有しておりました安定資金を放出をいたしまして、上限価格で売り戻ししておりますから、全体としての価格の安定帯を、国際砂糖価格が大きく狂うからといって、直ちに国内価格にはね返すという形は阻止できる。それがいまの制度のメリットであろうと考えております。
○鈴木一弘君 糖価安定事業団が砂糖の売買を通じて価格の安定をはかっていくと、こういうことになっているわけですね。ところが、従来は国際糖価が安定しているときには、低い場合は、かなりの差益を持っていたわけです。こういうふうに上がってきたのに、そして上限、上限といってだんだん上に上がっていっちゃうという感じですね。こういうのではなくて、むしろもっと安い供給というようにさせるようにやるべきじゃないか。いまある残高から見てもこれはできるんじゃないかと思うのですが、その点いかがなものでしょうか。
○政府委員(池田正範君) ただいま安定帯として上下限できめておりますものの考え方は、世界的な商品である砂糖の一つの価格水準の見込みといたしまして、過去二十年間の全体の国際的な砂糖の価格というものの趨勢値をとって計算をいたしております。これの移動平均を使いますので、したがって、高くなりますというと、徐々にではありますけれども、やはり上がらざるを得ません。しかし、過去の安い時代のウェートはかなり残って、おりますから、したがって、相当国際的な砂糖の相場が上がりましても、直ちにその価格が上がると、いわゆる上限価格が上がって、売り戻し価格が上がる、国内砂糖にはね返るという形は防ぎ得るものではないかというふうに考えております。
○鈴木一弘君 私が言っているのは、いままでがもう何十億と現在あるわけですよ、そういうふうにあるんじゃないかと思いますが、そういうふうに思えば、そういうものを、たとえ赤字になってもいいから放出をして、そうして安い砂糖の値段にして国民に渡すべきじゃないか。それが安定事業団が、国際糖価が上がれば、それに伴って、少しずつだけれどもだんだん上がっていくというやり方でいいのかということなんです。それじゃならないんじゃないか、その辺をここでもう改めるべきではないか、こういうふうな私は考えがあるのです。この点は農林大臣いかがですか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 糖価安定事業団の仕組みは、いま流通局長から申し上げましたとおりでありますが、いまの状況になりますというと、糖価はだんだん上がってまいりましたので、事業団のたくわえております蓄積というのは、上限価格を上回るようになると、それにいま申しましたように補完するわけでありますので、逐次取りくずしてまいる、当然なことでございます。
○鈴木一弘君 だから、逐次取りくずしを、さらにそれ以上にするべきだと言っているわけです。その点はどうなんでしょうか。
○国務大臣(倉石忠雄君) いままで原価の安いものを入れて、そしてある程度で売却をして、そしていま申しましたように上限、下限があって、上限にいった場合には取りくずして補給すると、こうなっておるわけでありますので、たくわえといっても限度があるわけであります。したがって、それをこういうような際にどのようにしていくべきであるかということにつきましては――それからまた先ほど申し上げましたように、輸入原材料、食糧関係はとかく先高見越しでございますので、そういうようなことも念頭に置いてひとつ検討いたしてまいりたいと思っております。
○鈴木一弘君 私は、そういう点は抜本的な改正をするべきだ、そうしていかないとやはり上がるんじゃないかということで、再び一キロの小袋について買いが殺到するということが考えられるわけですから、そういう点はよく見ておいていただきたいと思います。 それから、これは大蔵大臣に伺いたいんですが、砂糖の値段がうんと上がってきております。一時に比べると、確かに暴騰もありまして、その価格が鎮静をしているとはいうものの、まだ場所によっては、さっき申し上げたように、二百円も三百円もしているところもあります、二百円をこえ、二百三十円をこえているというところもございます。 それで、この砂糖についての税の問題でありますけれども、砂糖消費税と関税と二つかかっておるわけです。で、一キロについて、家庭用のもの、ああいう砂糖については十六円の消費税がかかっているはずであります。関税とを入れば、関税が四十七、八円ですから、合わせて六十円近くになるわけです。当然こういうときに税をもって云々というわけにはいかないと思いますけれども、この砂糖消費税というものを私はなくすべきじゃないか、そういうふうに考えるんですけれども、その点はいかがですか。あるいは、関税についてはどうするか。
○国務大臣(福田赳夫君) これは申し上げるまでもないんですが、砂糖関税、砂糖消費税は、これはずいぶん長い歴史もあるわけです。それからもう一つねらうところは、他の甘味資源――ブドウ糖でありますとか、黒糖でありますとか、そういう国内甘味資源の保護育成、こういうような趣旨も持っておるわけなんであります。まあこういう、砂糖の値が上がったとか、そういう際に、一応この消費税だとか関税だとか下、げたらどうだという考え方もあるかもしれませんけれども、とにかく長い間なじんでおる税であり、しかもこの税の負担というものは、消費税について言いましても、関税につきましても、まあそう過大のものでもなし、また、砂糖自体が国民生活でどうだというと、生計費の中では〇・二幾らだというくらいなものでありますので、租税体系全体から言いましても、少しどうも消費税あるいは間接税を増強して、そして直接負担を軽くしたいと、そういう考え方を持っておるこの際でもありますので、まあ糖価安定そのものにこそ力を入れるべきであって、この際税のほうでとやかくというのもいかがであろうかと、かようにいま考えておるわけであります。
○鈴木一弘君 これは総理、砂糖消費税は、日清事変かあるいはその前の義和団のときのあの北清事変かのときだと思います。そのときの戦費調達にできたのが最初だと思うんですよ。あの戦争が終わって百年ぐらいたっているんですよ。もうぼつぼつよろしいんじゃないですか。それからあとからやった織物消費税はなくなっているわけですよ。いかがでございますか。
○国務大臣(田中角榮君) まあ、税はないほど、ないにしくはございませんが、やっぱり財源確保という面もございますし、砂糖と塩と比べれば、これはもう塩のほうが大切でありますし、塩と米というと、これは両方大切だと、こういうことでございまして、いま大蔵大臣が述べたとおり、砂糖というものが国民生活の中で甘味資源としては非常に必要ではございますが、砂糖以外の果糖とかいろいろなものもあるわけであります。そういう面で、砂糖の消費税をいますぐ廃止をするということはなかなかむずかしいと私は思います。これは、ほかの国では非常にいい税として非常に高い……、国でやっておって、まあ専売に近い制度にして財源確保のために使っておる、たばこのように使っているという国もあるわけです。まあそういう意味で、いま大蔵大臣が述べたとおりで御理解いただきたいと、こう思います。まあ社会保障費もあるわけでございますから、どうぞひとつ。
○鈴木一弘君 それは少し、社会保障費云々はつけたりで、よくないことだと思います。 これは通産大臣に伺いたいんですが、例の関東ガスの問題ですね、それに関連してでありますけれども、昨日の答弁で、都市ガスの天然ガス使用量が全体の四%にすぎないということで、ほかの大口需要から融通してと、こういうふうにおっしゃっておるわけでありますが、その状態から見て、だいじょうぶでございますか。まあ、関東ガスのほうからいろいろ聞いてみると、やはり四つの会社から入る予定のが入ってないというような、そういう話が聞こえているわけなんですが、その点いかがでございましょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 関東ガスの問題は、行政指導いたしまして、メーカーのほうから供給することにいたしまして、とりあえず現在の事態は乗り切りました。しかし、各地方都市におきまして、そういうようなガスの供給が必ずしも十全の手配のしてないのもまだあります。大体ガスの供給は、地方都市の例を見ますと、一カ月ぐらいで自転車操業みたいに供給して、タンクローリーその他が来るのを待ってやっている、そうして貯蔵タンクもそれほど大きなものではないと、流通が非常に円滑にいままでいきましたために、それで十分安心して行なわれておったようであります。そういうのが、削減の結果、少し渋滞が起こる危険性も出てきております。それらにつきましては、保安上の問題もありまして、もしガスが切れたという場合に、つけておったもの、そういうもののガスが漏れたり、爆発したりする危険性がございますから、ガスについては安定供給をする、そういう方針のもとにいろいろ業界とも話し合って行政指導を強めていきまして、消費者に安心していただけるような措置を講じていきたいと思っております。
○鈴木一弘君 関東、信越には関東ガスと同じような一〇%の原料削減通告を受けたガス事業をやっている会社が十二社もあるという話を聞いています。いまの答弁で、わかったようなわからないようなところがちょっとあるんですが、というのは、関東ガスにじかに、こう、いろいろ聞いてみますというと、通産省から言われてやりましたと。しかし、いまのところでは、四社からくださる予定のものが三社からしか来ていませんと。で、いまのところは二十一日までしかないというんですよ。二日か三日延びてきたわけです、十八日というのが。それから先についてはお先まっ暗だというんです。これは関東ガスに限らないと思うんですね。至るところが全部そういうような空気じゃないか。これはほんとうに、必死になって何とかしないと、たいへんなことになっちゃうのじゃないかという感じがするわけであります。その辺の実態を毎日のようにこれはおつかみにならなければまずい。ただ、急にとめたのがいけないというだけではとても……。原料がどんどんどんどん手当てされなければ、これは各家庭へガスを入れることは不可能になってくるわけです。そうすると、いやでもおうでも削減をせざるを得なくなる。これは大問題になってくるわけです。その点はいかがでございましょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) それは全くお示しのとおりであります。そこで、地方のガス供給者の中には必ずしも力の強い者ばかりでなくやっておるのがございまして、一つ一つ各通産局ごとにそういうものをチェックいたしまして、いまメーカーとの間をつなごうと思って努力さしておるところであります。 それで、ただ、私たちお願いしたいと思いますのは、われわれも一生懸命になってそういうふうにガスの供給を絶やさないように努力してまいりますが、消費者のほうも、できるだけそういう場所におきましては節約に協力していただきまして、ガスをつけっぱなしにするとか、あるいは暖房について必要以上にあったかくするとか、そういうところもやはり協力していただかないというと、両方ともうまくいかない。やっぱり両方で協力してこの事態を乗り切っていきたいと、そう思います。
○鈴木一弘君 これは消費者のほうも、もちろんそういう事態ですから政策に協力すると思うんですけれども、とにかく二十一日で先行きまっ暗だなんというのは困るわけです。しかも四社のうち三社しか持ってこない、一社よこさないという、こんなのはちょっとよくないですね。そういう点、これは最後、総理にお願いしたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 私も関東ガスには驚いたんです。これから生活必需品はちゃんとやると言っているのに、無通告でこういうことをやるというのはどうもよくないです。これはもう行政上もひとつ考えなければならぬと思っております。まあとにかく、こういうことが行なわれて、すぐ中止されましたからいいようなものの、こういうものが生活必需品や生活上不可欠なものにおいて起こるということに対してはたいへんなことでありますから、これはもう、これを契機に徹底的にそういうことのないように配慮いたしたいと、こう考えます。
○委員長(鹿島俊雄君) 以上をもちまして鈴木君の質疑は終了いたしました。(拍手) ―――――――――――――
○委員長(鹿島俊雄君) 鈴木強君。(拍手)
○鈴木強君 私は、インフレ、物価、それから石油危機問題を中心にお尋ねをいたします。 最初に総理に、政治姿勢の問題で若干お尋ねをしたいと思います。 先般、総理は内閣の改造を断行されましたが、これはどこに最大のねらいがあったんでございましょうか。
○国務大臣(田中角榮君) 愛知大蔵大臣の急逝ということもございまして、また石油問題もございまして、党も党役員の任期は一年でございまして、暫定的に延ばしておったということでございます。特に参議院も役員の改選等があったわけでございますが、役員の改選を待っておったというような事情もございましたので、ここで党、政府の陣容を整備をして、このたいへんな時局に対して国民の負託にこたえなければならないと、こう考えたわけであります。
○鈴木強君 ちょうど通常国会まぎわでございまして、愛知大蔵大臣の急逝はまことに痛惜哀悼にたえません。心から御冥福をお祈りしますが、当時、総理は、やるようなやらないような、改造について態度をとられておりましたね。まあ愛知大蔵大臣が急逝されて、急にこの改造の動きが出てきたというように一般的にいわれているわけですね。ですから、愛知大蔵大臣がもしおられたら改造はなかったのではないだろうかというような見方もあったんですけれど、その辺はどうでございますか。
○国務大臣(田中角榮君) 慎重に配慮しておったわけであります。
○鈴木強君 福田大蔵大臣にちょっとお尋ねをしたいんですが、福田大蔵大臣は、入閣にあたりまして、経済路線の白紙還元、それから内閣の民主的運営、この二点をあげられて、いずれも田中総理がこれを受け入れられた、こういうことで大蔵大臣を福田さんはお引き受けになったというふうに、まあ有力紙が報道しておりましたが、そうでございましょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、大蔵大臣に就任するにあたりまして、たいへんちゅうちょしたんです。それはなぜかというと、どうも私が何か一言言っても、閣内不統一だ、あるいは角福戦争だと、こういうふうにいわれてきたわけです。そこで大蔵大臣という、始終総理と話し合わなけりゃならぬ、そういう立場になると、あとになってまたそういうようなことがしばしば起こる、そういうことになっては、せっかく総理が、挙党体制だ、また石油だ、物価だ、むずかしい時局だというので改造された、それにその期待に沿えないようなことになるかもしらぬと、そういうことがあっちゃ改造の趣旨に反するじゃありませんかと、こういう趣旨だったのです。そういうことで、ちゅうちょしながらいろいろなことを話し合いました。まあ党の、あるいは内閣の運営という問題も話し合うし、それからこういう危局に臨んで、いままでのいきさつにこだわらないでその施策を一新するというような問題、そういうことについても話し合いました。その他いろいろと話し合いましたが、結論としては、こういうむずかしいときに逃げたような形になることは、これは政治家としてとるべき道ではないと、こういうふうに判断しまして、最終的にはただいまの大蔵大臣の地位につくと、こういうことにした次第でございます。
○鈴木強君 それから、大蔵大臣に御就任になりまして最初の記者会見で、一つは、もう言われておりますように、二兆円減税は白紙に戻し、場合によっては縮小する、二つ目に、物価高の火に油を注ぐおそれのある列島改造論はインフレを克服してからだ、三番目に、石油危機との関連で景気政策を考え、景気と物価のかね合いを見る二刀流でいく、四つ目に、地価対策も統制は好まぬが大都市の地価は凍結すべきである、こういう見解を明らかにされておりますが、いまもこの考え方は変わっておりませんですか、今回の質問では若干変わっておるように思うんですが。
○国務大臣(福田赳夫君) いまあげられたようなことを大体話したのですが、私は、日本列島改造論というのには非常に慎重にお答えをしておるつもりでございます。あるいは田中総理の私の論文であって――と言ったか、あるいは私の考え方であって、まだ政府の施策として取り上げられておるというものではないと、それですからお答えする限りではないと、こういうふうに言っておると思いますが、その他の点については大体いまお話しのようなお答えをしたつもりでございます。ただいまにおきましてもその考え方は変えておりませんです。
○鈴木強君 総理大臣、大蔵大臣の就任に際してちょっとちゅうちょしたといういまお話もありました、が特に現時局に立って、財政、金融面あるいは経済面ですね、これは経済企画庁長官の分野も入るかもしれませんが、そういう問題については大体福田さんにまかしたと、こういうふうにいわれておるんですけれども、そうなんですか。もちろん、あなたが最高責任者としての総理の立場はだれも承知の上でございますが、そうなんでしょうか。
○国務大臣(田中角榮君) 大蔵大臣は財政の責任者でございますから、大いに大蔵大臣の意見を尊重すると、こういうことでございます。最終的には憲法の定めに沿って一蓮托生、これはお互いに連帯して皆さんに責任を負っていると、こういうことであります。
○鈴木強君 それから総理大臣、もう一つ、改造後の新聞が報道している中に、石油危機や悪性インフレ、諸物価の高騰という、戦後まれに見る悪条件下にあるにせよ、文字どおり保守政権の運命をかけた内閣であると、これは田中改造内閣、しかも実力者といわれる主要閣僚の考え方は大きく異なり、船頭多くして船山に登る危険性をはらんでいる、田中首相ならでは実施し得なかった内閣であることだけは間違いない、はたして国民の期待にこたえて石油危機と悪性インフレを克服して物価の安定を期することができるかどうか、こういう点を心配してインタロゲーションマークもつけている。この点に対して総理の確固不抜の御所見を承りたい。
○国務大臣(田中角榮君) 政党の名前は変わりましたけれども、所属する議員というものは、戦後片山、芦田内閣を除きましては四半世紀に近く現在の自由民主党が中心になって日本の政権をになってきたわけでございます。そういう意味で、自由民主党の責任、功罪というものはきびしく追及さるべきであることは、もう言うをまちません。その間に非常にたいへんなこともたくさんございました。ございましたけれども、一歩後退、二歩前進ということで今日までまいったわけでございます。物価の問題でも、二十六年、七年、あの朝鮮事件の始まったころは、いまと同じような異常な状態でございまして、雰囲気もたいへんでございました。世の中は物情騒然たるものでございました。そういうような中でさえも、日本人の英知は今日を築いてくれたわけでございます。その中で、野党の皆さんを含めた国会のたいへんな御理解、御叱正を得ながら、何とかしてその責めを果たして今日までまいったわけでございますが、今度はやはり朝鮮事件のころとは違った高密度社会においてこういう大きな問題が惹起されておるということ。これは、米だけあれば生命がつなげるというような敗戦経済時代、それから所得を倍増すればお互いの生活が豊かになるというような事態とは違うわけであります。非常にむずかしい、広範多岐にわたるむずかしい問題だと思います。 私は、まあいつも申し上げておりますように、百四十五もある国の中で、やっぱりアメリカがあれだけ強権を発動してもなかなかアメリカの物価やアメリカの国際収支が直らなかったように、また、イギリスやフランスやドイツにおいてもたいへんな問題がございますように、だんだんと日本もそういう高密度、広範な社会構造になってきておりますから、右から左に簡単に片づくものだとは考えておりません。おりませんが、それだけに非常に重要な時期を迎えておるということを考えております。これは内閣だけが政権の責めを負っておるのではありません。政党内閣であり、議院内閣制でございますので、これはもう政党も内閣も一体になってこの責めを負わなきゃなりませんし、また、自由民主党だけが負えるわけがございません。これはもう野党の皆さんにも、国会議員として国民の側に立って御叱正を賜わり、応援を願わなきゃならぬわけであります。これは、だから、こういうことはある意味において国難来とも言えるわけでございます。私は、そういう意味で、政府がいかに対処しなければならぬかというほんとうにきびしい考え方を持っておるのでございます。ですから、長い四半世紀に近い政治の中心にあってその責めを果たしてまいりましたが、今度こそ自民党も内閣も――内閣というよりも、自民党も内閣も私はその真価を問われるときであるという考え方に立っておるわけでございますので、皆さんの御意見にも謙虚に耳を傾けるなどというのじゃなく、いいことならば何でもいたします、ほんとうに。そういうことで、政治は政党のものではなく、議員のものでもなく、国民のものだというためにその責めを果たそうという非常な決意を持っておることを御理解いただきまして、多少イデオロギー的に、またいわゆるいろんな違いがございましても、必要なもの、当面して国民のために必要なものには大きな立場で御協力をいただきたい。そのかわり、失政を正されるということに対してはきびしさを甘受するつもりでございます。
○鈴木強君 インフレ、物価の問題と石油危機についてはなお具体的にあとでお尋ねしますから、いまは御所見を伺ったことにしておきます。 それで次にお伺いしたいのは、国会の運営の問題についてでありますが、総理は通年国会制というのをだいぶ主張されておりますね、通年国会。これが、いまの国会法十条、十一条、十二条から見まして、会期を設定しているというその趣旨からすると、あなたの通年制というのはその精神からはずれていくように思うんですよ。ですから、その辺はもう少し日本の民主主義というものの発展も期待しつつ考えていきませんと、問題があるように思うんですが、あれは引っ込めたんですか、通年制のあなたの主張は。
○国務大臣(田中角榮君) 通年制という問題につきましては、これは過去にもずっと議論されてきた問題であることは、あなたも私と同じころから出ておりますから、よくおわかりになるとおりなんです。これは新国会法をつくるときからの問題でございます。しかし、会期制度ができたということは事実でございます。新憲法下第一回の衆議院は松岡駒吉議長、いまはない淺沼稲次郎氏が議運の委員長として、いまの国会法及び衆参両院規則で占領軍のメモとの折衝に当たったわけでありまして、私たちもその衝に当たったのでありますから、非常によく知っておるんです。知っておりますが、通年制ということがあったんですが、やっぱり二院制をとろう、しかも会期制をとろう。会期制をとった以上、議題継続の原則、会期不継続の原則、これはもう議会制以前の問題でございましてね、私もそんなことは承知しています。承知していますが、現状というものは、やっぱりお互いがある改革を必要とするときだと私は考えておったんです。私も永年勤続議員の表彰を受けたときに心に期したんです。やっぱり効率的なものでなけりゃいかぬし、能率的なものでなければいかぬし、国民の信頼をつながなければ議会制民主主義というものは育たないと、こう思っておるわけです。ですから、イギリス制の議会制度を取り入れても、イギリス制は、いまの日本と同じようなことをやっていますけれども、定足数はないし、いろんな日本と違うところが一ぱいあります。常任委員会制度をとったときには本会議はやらないということが原則だったんです。やるならば、政府を拘束するようなことではなく、議員同士でフリートーキングを行なうということでもって始まったわけでありますが、いつの間にやら本会議制度に、読会制度に戻っておるじゃありませんか。同じことを、委員会において反対討論を行なったものに対して本会議でまた行なう。 いろいろ二十五年の間に直すべきものはあると思うんです。しかも、いま問題になっております国総法が昭和二十五年に成立したときには、参議院はたった一日で通っておるのです。参議院は一日で通っております。私は、全部調べてあるんです、こういうことを申し上げるには。私も、ただ通年制などということを提案すれば手きびしい批判を受けることは承知しています。しかし、何びとかが、今日の段階をより合理的なものにするためには、一つのテーマを提供せざるを得ないわけで、きっかけをつくらざるを得ないのです。あの時代において、提案をされたものが本会議でもって、全然委員会に付託もされないということもたくさんございました。あの初め、淺沼稲次郎さんのときなどは、委員会に自動的に付託をするということが原則であったわけでありまして、議院運営委員会などというものが少なくとも委員会に付託をする法案を握るなどということはあってはならないということになっておるわけでありますが、しかし、百五十日の会期があっても、何法案か、全然与野党の合意が行なわれなければ委員会で審議さえもできない。私も商工委員長の職にあって、わずか半年間で二十四法を通した事実がございます。そういう事実を考えてみまして、お互いがとにかく話がつかなければ、いまの中東戦争みたいな状態もあるわけです、実際において。そういう状態に対して、このままでいいと私は考えておらないのです。やはり採否というものはきめなければなりませんし、あのように、とにかくわずか三カ月、四カ月の会期でもって二百法近いものを通したことがある。しかし、その中でも混乱を起こすようなものはちゃんとお互いの話し合いによって継続審議になり、廃案になっております。ですから、民主政治いまだしのあの昭和二十六、七年から、占領軍がいなくなった混乱時代の二十七年から三十二、三年ころまででも、ちゃんとお互いがあれしまして、鳩山内閣のときには、追放解除の直後であったが最後には廃案にはなりましたけれども、とにかく教育二法、しかも、それだけではなく、小選挙区法も参議院に送られたことは事実であります。 そういうことから考えてみて、今日の国会というものに――私は内閣でございますから、そんなことを批判は申し上げませんよ。申し上げませんが、実際において正すべきところがないのかという考えで、あの状態をそのまま是認すれば通年国会制をやっていただく以外にありません。多数決政治は行なわれません。多数決でばしゃばしゃとやれば、これはもう暴力的になる。からだを張るということに、この悪循環はさんざんお互いに繰り広げていたわけでありまして、参議院の審議の過程でもって告訴事件が起こって、有罪になったという人もあるじゃありませんか。そんなことをして議会制民主主義が育つはずがありません。ですから、私は、あえて通年国会制を持ち出して、皆さんが何とかしようということを考えていただきたいと考えておったのであって、私も少なくとも新憲法下初めての議員として議席を得、しかも、会期制度がとられておるという、その会期制度を全然無視して、それが言うなれば法文以前の問題である議題継続の原則、会期不継続の原則をみずから破ろうという考えなんか持っているわけはないんです。ないんですが、何らかのことをしなければならないという切実な考えのもとに、私はあえて通年制を言ったということでございまして、いまのあなたのようなものわかりのいいお話があれば、まあ通年制などを申すことはないんでして、ほんとうに国会議員はもっと勉強する時間も必要ですし、通年制などでもって国民の声を聞けないような状態じゃ困るんです。これはやっぱり通常国会の会期は百五十日とする、しかも、ずっと会期は何回でも無制限に延ばせることになっていましたでしょう、初めは。それで、吉田内閣のときにさんざん延ばしたのです。こんなことをしておれば議会制民主主義は破られるということで、特別国会に関しては二回、他は一回という現行法に直されたじゃありませんか。そういう歴史の重さも尊重してもらわないで、私は真に議会制民主主義などできるものじゃないと思いますよ。そういう意味で申し述べておるのでございますから、これはほんとうに私もまじめに考えておることでありますので、そうお考えをいただきたい。
○鈴木強君 総理のおっしゃるお考えは、私は、非常に一面的な点だけとらえていると思うんですね。ですから、内閣が出した法案を何でも通したいということになれば、一面はそういう考え方があることは否定できませんね。ただ、私は、もっと議会の民主主義というものを守るためには、やはり基本の問題があると思うんですね。たとえば議長、副議長の党籍離脱とか、与党が議長、野党第一党が副議長とか、それからまあ常任委員長も党の議員の数によって配分するとか、そういう院の構成にかかわる基本的な問題がまだ実は未解決でございますね。参議院は、この二年半の間、少なくとも河野議長のもとに、国民からそうひんしゅくを受けるようなことのないような民主的な運営をしてまいりましたよ、これは。立場は違っても、やはり民主主義の原理原則というものをわきまえて、少数意見を尊重し、多数意見に論議を尽くした上に従っていくというこの原理原則を貫けば、そんなに混乱ないです。ですから、そういう点を忘れられて、忘れられてというか、置き去りにしておいて、ただ会期延長をしていく、通年制だという、それだけじゃやはり片手落ちじゃないですか。そのことを私はあなたに申し上げたい。そういう全体の中で考えるなら、私も大いに考える必要があると思うのですよ。
○国務大臣(田中角榮君) これは歴史をひもとくまでもなく、お互いにまださだかに覚えていることでございます。まあ参議院は緑風会という勢力がずっと長いこと第一党でございましたから、河井議長でも、みんな緑風会から議長が出ておったわけでありまして、参議院が今日のようなよき慣習が守られておるということは、これは敬意を表しております。衆議院におきましては、これはケージス氏やウイリアムス氏のメモで、新国会法をつくりますときの記録にも明らかでございますように、議会制民主主義というものを育てるには国会の運営は責任を持たなければならない、しかも、下院という、いわゆる議決院であり、先議院である衆議院においては、議会運営の責任は明確にすべしということだったんです。ですから、比較第一党が首班を出す、そして少数であっても、議院内閣制である限り、政府与党が国会の運営の責任を持つということだったですから、ですから、松岡議長であり、それから鈴木茂三郎さんが予算委員長であり、浅沼さんが議運の委員長だったんです。そのときには、社会党は多数じゃなかったんです。百四十三名の比較一党であったにすぎないでしょう。私、いまでも覚えているんですよ。時の自由党が第二党であり、時の民主党が第三等だったんです。芦田さん、いや、いまは小島徹三君がおりますけれども、芦田さんや武田キヨさん、矢野さん、それから小島君、こういう人たちが移ってきたために逆転をして、三党連立内閣ができたんです。そして片山内閣が倒れ、芦田内閣が倒れたときにはどうなったかというと、同じく百四十二、三名であった時の民主自由党に議長以下全役員を与えたんです。そしてそれはずうっと守られてきました。しかし、その後いろいろなごたごたがございまして、第二党からというので、野党第一党の社会党から副議長が出られたわけです。いま大阪から出られた久保田鶴松君や、中村高一氏も副議長になられたわけですが、そしていろいろなものも分配をしたのですが、なかなか政党のいろいろなあつれきがございまして、党議で縛られると委員長は出てこれなくなってしまうというので、私がかわってやったこともあります。そういう歴史がたくさんあって、それで乱闘が行なわれたりして、全部並んで、今度はいたしませんということを国民に何回か何回かあやまった結果、またもとに戻って今日になっているわけですから、私は、ほんとうに国会役員の配分がされなければならないということになれば、それはお互いにできると思うんです。参議院はちゃんとうまくいっているんですから。ただ、党議で拘束されて委員長がどっかへ逃げていかなければいかぬような事態、これではいかんともなしがたいんです、これは。ですから、そんなことは――現にあったんです、私たちもあったんです。ですから、民主党内閣ができたときも、比較多数で民主党が全部委員長をとったという長い歴史の上に今日があるのですからね。やっぱりお互いに、そういう意味では、国会運営というものはよく――今日ただこつ然としてあるわけではありません。新しい憲法も定着するには二十五年かかっているじゃありませんか。国会法がそうですよ。ですから、私はほんとうにまじめにそう考えておるんです。ですから、国会というものが国民から見まして、国会の姿が全部地方議会にまで及ぶようなことは望ましいことじゃありません。そういう意味で、まじめに考えておりますから、まじめにひとつ私も話しますから、あなたもまじめな案をお出しください。どうぞひとつお互いにやりましょう。
○鈴木強君 私もほんとうにまじめにお話を申し上げているのです。それで、どうでしょう。あなた、首相であり、自民党の総裁でございますから、政党内閣ですから。ですから、いまおっしゃったような過去の歴史もよくわれわれも知っているわけですから、そういう中で、いかにしたら議会制民主主義が守れるかというその一点に問題を集中して、各党がやはり謙虚に話し合って、そうして両院が院の権威を保って国民から信頼される国会の運営をやるように、これ、やったらどうでしょう、やるべきじゃないですか、どうでしょう。
○国務大臣(田中角榮君) しごく賛成です。私は、いま、この御質疑が終わったら衆議院はまだやる、夜までやってもらえるということで、これはほんとうにありがたいことです。ですから、そうでなければいかぬのですよ。いま一週間に二回とか言っているでしょう。あれは何でできたのですか。そうじゃないでしょう。委員会がたくさんで、委員会室がなくてどうしようもないからといって、わざわざ新しい委員会室をつくったんじゃありませんか。にもかかわらず、国民のこれだけの税金を使っておりながら、そのときに、わずか、きめた委員会の開催日を、一週間に二日でございます、三日でございます、そんなことはいけませんよ。私は、少なくとも、とにかく国会なら、ちゃんと十時から始まって拘束八時間でぴしゃっと終わる、そのかわりに毎日、月曜日から金曜日まではやる、こうでなくて、どうして一体信がつなげるかと思っているのですよ。ですから、第一あれでしょう、憲法、そうなっているでしょう。憲法は、国会は唯一無二の立法府であると言っていますよ。しかも、政府もまた議案を提案することができるという除外例があるだけであります。立法は全部議員がやることが新憲法の精神になっておることは、憲法制定当時にちゃんときまっているじゃありませんか。しかし、それは旧憲法時代と同じように、政府が全部法律を出して、こうしてずっと並んでいなければいかぬ――並ぶことは一向に差しつかえありませんよ。しかし、そうじやなく、あの憲法制定当時の学者はどう言いましたか。この、政府もまた議案を提出ができるというものは狭義に解釈すべきであると、旧憲法のようなものではないのだと、政府に固有権限として与えられておる外交、予算に関する案件、議案以外、政府が提案することはできないということで、憲法の発案権は政府にない、憲法調査会法案は違憲であるという議論が衆参両院においてなされたじゃありませんか。ですから、そういう憲法制定時代からのものをずっと考えながらやらないで、自分の考えだけを前提として押し通しておったんじゃ、民主政治も何もありません。私も正すべきものは正します。これは正します。
○鈴木強君 それから、まあ総理がそこで御自分の意思をはっきり表明されたんですから、それはそれとしていいでしょう。しかし、それだけでうまくいくなら、これは何も苦労ないですよ。やはり野党には野党としての抵抗権はあるでしょう。たとえば東京都議会を見ても、与野党が逆転すれば、自由民主党さんが審議拒否するようなことも出てくるわけです。だから、限度です、それは限度。ですから、あなたがそこでこうならなきゃいかぬといって自分の意見だけ固執したんじゃ、これは国会の運営はうまくいかないのだから、だからそういう点も含めて、野党の意見も含めて、どうしたらうまくいくかということを相談したらどうかということを私は提案したんですよね。
○国務大臣(田中角榮君) 私もほんとうにそう思います。私も、まあ出てきたときには片山内閣と芦田内閣の野党だったのですから、あなた方と同じだったのです。ですから、そんなときは、ものわかりよかったですよ。ですから、議案を付託しないとか、そんなことしませんでした。もう自動的に付託をしたのです。付託をする権能を持つために、両院の事務総長は国会の役員になっているわけです、これは。国会議員よりも一段高いところに置いてあるのです。ところが、このごろは理事会が、きめなければならぬ――委員長権限は全然行なえない。しかも、議院運営委員会という、うしろでは議長も副議長も長い間ずっと話を聞いてなければいかぬ。あんなことなかったのです。いつの間にやらああいうことになってきて、議長や委員長の権威が一体守れるはずがないじゃありませんか。そのときでも、ちゃんと自動的になったものは委員長権限で、野党の委員長でもちゃんとやりましたよ。それで政府案を否決をしたことは――石炭国管法案は否決をしたのです。にもかかわらず、それを時の与党であった皆さんは黙って本会議に自動的にかけて、本会議でちゃんとひっくり返しておるじゃありませんか。そんなものはもう数は一ぱい私はここで指摘されますよ。ある委員長はみずからの不信任案をみずから採決したというようなこともありますよ。しかし、そういう混乱時期があっても、そのころちゃんと与野党であった私やあなたはやってきたじゃないですか、うまく。なぜ一体いまになって、ほんとうに野党になったらやれないのですか、お互いに。私は、自分の自説を固持するなんて考えていません。これは私たちの生命には限りがありますよ。日本の民主国会というのは、これは悠久なんですから。やっぱりそれはまじめに考えれば、お互いに話し合いは必ずできますよ。やりましょう、お互いに、ほんとうに。
○鈴木強君 やりましょうということですから、それは大いにわれわれの意見もいれて、国会の運営をどうするかということは、これはいいことですからね。 それから、それでは次に、公務員の綱紀の粛正の問題でちょっとお尋ねしますが、最近、公務員の汚職事件が頻発をして国民からひんしゅくを買っております。せんだっても建設省の河川局次長が汚職事件を起こしました。また、いま問題になっておる資源エネルギー庁の流通課長というのが、ゴルフだ酒だといって、二年間も遊び回って 一億円の汚職をした事件が出ています。科学技術庁の課長補佐が銀座を豪遊して、五百万円せしめた。某検事が万引きをしたとか、枚挙にいとまがない。こういう綱紀の紊乱は、やはり国民の公僕としていけないことだと思うのです。 総理は、こういう問題について、厳重に綱紀の粛正について思いをいたし、再びこういうことのないようにやってほしいと思う。やっぱり内閣の信頼にもかかわることですからね。
○国務大臣(田中角榮君) 官紀紊乱、綱紀粛正の要は、これはもう痛感をいたしております。で、新しい公務員法制定のときから、公僕である、昔の官吏と違ってまさに公僕であるということであり、われわれ自身も、憲法に定める唯一無二の立法府、国権の最高機関である議員といえども公僕であるという思想のもとに、新しい憲法は発足したわけでございますから、これは官紀を振粛し、綱紀を粛正しなければならないことは言をまたないことでございますが、御指摘のような事案が存在することははなはだ遺憾でございまして、これはもうおわびをいたします。特に、エネルギー庁という、いま石油問題が起こっているときに、エネルギー庁がとにかくがたがたしておって、どうも仕事が手につかないのじゃないかという世論が一部にあることも承知をいたしております。そんなことがあってはいかぬ、エネルギー庁は全精力を傾けてこの石油問題と取り組まなければいかぬという激励をしておるわけであります。同時に、今度は二法案等ができまして、いろいろな秘密にも介入するわけであります。ますますいろんな問題が起こり得る可能性があります。通報する義務を課しても、通報しないで済めばということになると思います。そういう意味で、私は、やっぱり裁判官や検事や、ほんとうに警察官のような、同じきびしさというものを全公務員が持たなければならないということを切実に感じておりますので、御指摘の案件に対しては遺憾の意を表し、しかし、それによって事態に対応できないようなことにならないように士気を鼓舞して、その責めを果たしてまいりたい、こう考えております。
○鈴木強君 総理から遺憾の意を表明されましたから、このことについて私はもういいですけれども、ただ、行政管理庁長官にお伺いしますが、ことしの国費のむだ使いを見ましても、四十七年度百七十六件、十四億余の金が不正に使われている。行政管理庁としては、この公務員の綱紀粛正について不断にどういう方法をとられておるのか、ちょっと伺いたいです。
○国務大臣(田中角榮君) どこですか。
○鈴木強君 行政管理庁長官。
○国務大臣(田中角榮君) 公務員制度は総理府総務長官です。
○国務大臣(小坂徳三郎君) お答え申し上げます。 特に国民の目から見ると、官吏というものは公僕だという意識があるのでございまして、また権力の座にあるということも当然のことでございますが、やはりこうした問題につきましては、官吏がおのれをむなしくして国民に奉仕するということ。同時に、綱紀については、厳正な気分を持っていくということに努力しなければならぬと考えております。 今後、大いに注意をしてまいりたいと思います。
○鈴木強君 ちょっとそこに座っていてくれませんか、もう少し聞きたいですから。 あなたは財界の御出身でございますから、民間において従業員の方々が第一線でいろいろと御苦労されている点もよく存じておると思いますね。したがって、民間の企業における職員の平素における社風になじんで一生懸命仕事をするというような、そういうふうな気風を涵養するためにはどういう手をとっておられますか。で、あなたが長官になられて、公務員の場合を見たとき、民間とどういう点が違うのか。それで、公務員に対してはこういうふうにしたらいいだろうという具体的なお考えがあったら聞かしていただきたいです。
○国務大臣(小坂徳三郎君) 率直に申し上げますと、民間企業におきましては、職制者が第一線の方々とマン・ツー・マンでほとんど話をしている、そういう組織になっています。しかし、公務員の場合においては、もちろんそういう努力をみなしておると思いますけれども、やはりほんとうに第一線に働いている人たちの身になっていろいろなことを深刻に考えていくというようなこと、これはやっぱり能率だとか、いろいろな問題に関連すると思いますけれども、そういう点がやや欠けているのじゃないかと思います。私は、やはり人間関係というものは、上級者が一緒に働いてくれる人たちのことをほんとうに真剣に考えていくという気持ちがなければ、組織としては十分でないというふうに考えておりまして、総理府におきましては、着任早々、そうしたことを全員にお話をしてみているわけでございますが、やはり基本的に官吏の国民との関係、そしてまた組織の中における官吏としての立場、そうしたものを十分融合して、今後、国民の期待に沿うような努力をすべきだと考えております。
○鈴木強君 多くの公務員の方々は、善良な方で、一生懸命国家のために奉仕してくれているんですよ。ただ、一部にこういうものが起きますと、何か公務員が全体的に悪いことをしているように受け取られる節もあるわけですね。ですから、これはいま始まったことではなくして、もう長い間、われわれが国会におきまして、いつもいつもこの問題を取り上げて綱紀の粛正を迫っておるにかかわらず、依然として国費のむだづかい、会計検査院が指摘するそのむだづかいというものも、若干額は減っておりますが、絶えない。だから、根本的にそういう職員の訓練といいますかね、牽制組織を含めまして、そういうものをやっぱりちゃんと考えてやってみたらどうかと思う。なかなかそれをやってくれない。だから、小坂さんがせっかく民間からおいでになったんですから、そういう点をひとつ創意くふうして、具体的にそういう不正をなくするような方途を講じてもらいたいというのが、私の願いなんですよ。
○国務大臣(小坂徳三郎君) 各担当の閣僚の皆さんとも御相談しまして、できるだけ早い機会にそうした問題の前進をはかりたいと思っております。
○鈴木強君 いつも大臣ね、そういうことを言っては一年たってやめていっているんです。だから、具体的に一つ出してくださいね。いつごろをめどにしてくれますか、それ。そうしておかぬとだめなんだ、いつでも食い逃げされちゃう。
○国務大臣(小坂徳三郎君) できるだけ早くとお答えするしかないと思いますが、なかなかそういう気持ちになってない面もあると思います。それにはやはり閣議その他でも発言をいたしまして、全員その気になれば、組織でございますから、動いていけると考えます。
○鈴木強君 まあ、期待しております。 それから次に、自治省にお伺いしますが、四十七年度中に政治資金規正法に基づいて届け出のされております、党派別、個人別の寄付金額というのは幾らになりますかね、ちょっと教えてもらいたい。
○国務大臣(町村金五君) お答えをいたします。 四十七年度の一年間の届け出のございました金額は、五百四十五億三千十四万円でございます。
○鈴木強君 五百何ぼですか。
○国務大臣(町村金五君) 五百四十五億三千十四万九千円でございます。
○鈴木強君 これは党派別、個人別にはわかりませんですか。(「半分ぐらいだろうな、実際は。全部ダブりがある、半分ぐらいだね、実際は。国民協会の金は全部自民党とダブっている。」と呼ぶ者あり)ダブるですか。――(「政府委員やりなさい」と呼ぶ者あり)こまかいことだったらいいですよ、政府委員でも。
○説明員(土屋佳照君) お答えいたします。 四十七年度の政治資金の各党別の額はわかっておりますが、個人別には、非常にたくさんございますので、別途資料は差し上げられると思いますが、全部読み上げるのはたいへんでございます。 おもな各党だけを申しますと、四十七年度は自民党が九十四億七千六百万余でございます。それから日本共産党が五十一億六千九百万余でございます。公明党が三十七億千六百万余りでございます。民社党が九億四千二百万余りでございます。それから日本社会党が七億六千六百万余りでございます。
○鈴木強君 それでは個人別のほうは、多いようですから、後ほど資料で出していただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
○説明員(土屋佳照君) 四十七年度の個人別と申しますか、それぞれの団体別のものは、これは官報で公示をしておるわけでございますので、それは官報には載っておるわけでございます。それで御承知おき願いたいと思います。――官報で公示した額がそのとおりございますので、それは差し上げられるわけでございます。
○鈴木強君 総理ね、この政治資金の規正については、すでに選挙制度調査会からも答申が出されておりますね。これをぜひ一日も早く実現してほしいというのが、私は国民の願いだと思うんですよ。来年は参議院選挙もございますしするので、ひとつ、これはもう総理の決断にかかっていると思いますがね、ぜひ私は答申を受けて、いろいろいきさつはありましたけれど、この国会に提案をしてほしいと、こう思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(田中角榮君) 政治資金規正法につきましては、その改正を要するということは、長い間の懸案でございますから、政府も熱意を持っておるわけでございます。これまた政府だけではなく、国会議員が憲法の定めに従って議員立法をおやりになって一向さしつかえない問題でございます。これはもういつでもやろうと思えばできることでございます。ただ、二十四年-二十年余りというのじゃなく、二十四年間にかかって在野の見識を集めて七次答申までいただいたわけでございますが、その中には金のかからない選挙ということを前提にいたしております。その中に、もちろん政治資金規正法の改正案も議題になっておりますが、金のかからない選挙というのは、いわゆる選挙法自体の改正も当然含んでおるわけでございますので、これは分離だけしていくというわけにはいかぬわけです。まあまあいいものから分離しなさいというのですが、これはそうばかりいかないのです。これはだから、政治資金規正法というものとあわせてそれ一本というものでございます。しかもこの過程におきましては、これはもう個人の献金に限るべきであるという中間における答申もございます。まあ、それができないから段階的にそうすべきであるという場合もございます。 しかし、その場合には、労働組合員や、そういういわゆる事実においては政治活動をしておりながら、労働組合運動の名において巨額の金を集めておるものも政治資金の対象とすべきであるという議論も議論されておることは事実なんです。そうして、これは労働組合に対しても規正をすべきだという議論もあります。そういうことはずっとお互いに二十四年間あったわけですから、労働組合のほうは、政治活動したって、ビラ張りしてもそれは別だ、そうして、会社のものだけずっとやれば自民党は困るだろう、こういうものだけでは、これはとてものむわけにまいらないのです。ですから、これは与野党の議員がみな参加をされて、議論はあったにもかかわらず、一次答申から七次答申までは答申が出ておるわけです。ですから、そういう問題を全部国民の前に明らかにして、それで早急な結論を得る、われわれはやはりそういう責任を負わなければいかぬと思っておるのです。 政治家は常に、いまの自治省のあれもございましたが、実際五百何十億というと非常に大きい金でございますが、ダブリがありますから、それは実際計算すると、もっとうんと少ないものだと思います。一つの例を言えば、自民党の九〇%は国民協会でございますから、国民協会と自民党を合わせれば百七十億ということになっていますが、実際動いている金は、国民協会の金は自民党に大半が来ておりますから、だからこれは半分になるわけです。出したものもみんな何々という政治資金規正法に基づいて届けられておりますから、五百四十億の中に計上されておりますが、それは各政治団体に幾ばくかずつ出ているわけでありますから、これらの金は全部ダブっているわけです。しかし、それ一つ出るだけでも、国民はやっぱり政治資金という問題に不信感を抱くと思うんです、私自身は。ですから、そういう意味で、合理的な選挙制度、合理的な政治資金ということをなさなきゃならないと思っているんです。 過程においては、公営選挙を拡大しなさいということでやりました。しかし、全部公営選挙でやれば、官営選挙になってしまって、民主政治の大道を破ることは言うを待ちません。そこらが、もう二十四年間にわたってあらゆる角度から外国の例も全部研究しながらできておるんです。ですから、私は、小選挙区法がいいとか悪いとかということを申す前に、一括して国会の議題に供そうと思ったんですが、テーブルに乗らないうちにもう田中の独走であると、こういうことを言われて、はなはだ遺憾だったんです。これは小選挙区法を出しても強行することはありませんよ。なかったんです、実際は。だって、鳩山内閣のときに出て、ちゃんと参議院まで来たときに、教育二法案を通してやるから、しかも、教育法案の中の刑事罰を行政罰に直せということを言わないで教育法を通すか、とにかく、いずれか二者択一だというので、当時の与党は小選挙区法をあきらめたんです。あきらめたら最後までぎりぎりになってしまって、最後のどたんばで刑事罰を直せとこうきたから、結局、刑事罰を行政罰にしてしまって、そのままで通ってしまったというのが歴史的事実ではありませんか。 私も、少なくとも二十六、七年間もただやっているわけじゃないんです。ですから、そういうことを全部テーブルの上に上げて、どっちがいいのかということを国民の前にさえ明らかにできないということははなはだ遺憾だった。私は何もあれを押し通そうと――押し通せば私の首が飛んでしまいますから、理想を行なうこともできませんから、そんなことを考えたんじゃないですよ。二十四年間も政府が頼んで、国会に出しますと言っておって、それさえも出さなかったら、それこそ私の責めは問われると思ってテーブルに乗せようとしたら、まるで田中の独走であり独断であり――まあ言われてもいいです。長にある人は常に批判の的となる、それはいいことであります。みずからもって瞑すべしだと思っておりますが、お互いにさっきの国会運営と同じ問題でしてね、やっぱり国民にきめてもらう。場合によったら、私は全く第三者にきめてもらって、そのまんまある時期国会がのむというぐらいのことでなけりゃ、政府の責任だけでやれるもんじゃありません。ほんとうにそうです。これはよくお考えいただきたい。私も人後に落ちるものではないということだけ申し上げておきます。
○鈴木強君 公選法の改正もやること、これは当然ですから、すでに活動の面における一部の改正をいたしましたね。しかし、定数問題とか自由化の問題については確かに意見があります。ですから、最終的なコンセンサスは得ておりません、各党とも。ですから、それはそれとして、とにかく当面、政治資金規正現行法については幾多の不備欠陥があるということが明らかなんですから、いろいろと協議をしていただいた結果答申も出ているのですから、この答申をすみやかに実現してほしいというのが、これはわれわれの気持ちなんです。佐藤さんの時代には、大骨どころか小骨一本も抜かんと言ったんですけれども、とうとう佐藤総理大臣の時代にはこれが国会に出なかった。ますます国民は疑念を持つわけですね。ですから、できるだけ田中さんが総理になられて、物価は上がって評判悪いですよ。評判悪い。だから、せめて国民がなるほどというような施策をやるべきじゃないですかね。こういうこと一つやっても、私は、政治の基本的な姿勢というものについての国民のやはり理解というものが得られると思うのですよ。 そういう意味で、公選のほうも十分煮詰めていただいて、できるなら今度の国会に私はこれを提案してほしい。まあ、小選挙区のことも出ましたけれどもね。ちらりちらりとそういうものが出たって、それはあなた、無理ですよ。あなたの自民党の中でもコンセンサスを得てないように私たちはちょっと受け取りましたけれどもね、あの小選挙区については。出し方についてもっとよく話をすればよかったんじゃないですか。自民党の中から反対だという意見が出てきちゃったんですからね。そういう点は少し、閣議の運営等についてもさっき福田さんがそういう条件を出したようですけれども、これはやっぱり心してやってもらわなければいかぬことだと思いますね。
○国務大臣(田中角榮君) それは一つずつ出すというのは、もうあったんです。出したんですが、審議未了に何回もなっているんです。ですから、これは一括でなければだめなんです。それをどうもきれいな口をきいて、出します、出すように努力いたしますと言って出さないんだ。出すがごとき、出さないがごとき、これこそよくないんですよ。出せなかったら出せない、何で、理由はこうだと言って、国民にその次の選挙で批判してもらえばいいんですから。それはそういうことで一つずつやってきたんでしょう。 いずれにしても、定数是正は、おかしいじゃないか、定数はやりなさいというので、東京の四人区を六人区にして二つに割ったり、やりましたよ。いま、それはとにかく神戸の一区とか、それから東京の三多摩とか、それから大阪の幾らですか、二十万票取らなければだめだというようなところ、そういうものがいかぬということで、割ろうという議論はあるわけです。参議院もとにかく半数にしてしまおうかと。全国区はたいへんだし、全国区をやるとみんなもう健康を害するから、全国区はやめて、もうとにかくわずか五年の間に六人も七人もなくなっておられるんでしょう。そういう意味でやめようと。もっと国民に周知徹底できるような範囲というものは限度があるから、そういう議論が出ているにもかかわらずだめだったんでしょう。だめだから政治資金規正法だけ出しているんですよ、何回も。出しているけれども、審議未了じゃありませんか。もう国会の意思はそういうことになっているんです。ですから、出さないものに何か出すがごときポーズをとることは私の良心が許さない。そういう意味で、出すなら一括して出します。明確にしておきます。
○鈴木強君 だから、一括して出すなら出すでけっこうですから、私は、この国会に出してほしいということをあなたに言っているわけですから、出せるか出せないかです、これは。
○国務大臣(田中角榮君) 貴重な御意見として十分拝聴いたしておきます。私も努力を傾けます。
○鈴木強君 では、次に移りますが、最近の物不足と物価高は、異常を通り越して、まさに暴動一歩手前というような状況にあると思います。いま日本は、米その他の主食については、需要供給のバランスは大きくくずしておりますものの、食糧問題についてある程度安心できる状態にありますから、まあ暴動は起こらないでしょうけれども、これはたいへんな事態だと思いますよ。しかし、この食糧でも、需要供給のバランスはまさに六対四と言われております。この石油問題の二の舞いが食糧問題で出てこないとは私は言えないと思うのです。いずれにしてもそういう状態にあります。あなたの、消費者が買いだめをするし、買い急ぎをすると、これはどうも困るのだというようなお話もありました。私も一面にはそう思いますけれども、しかし、実際に家庭の主婦の気持ちになってみると、とにかく、物が毎月毎月こう上がっていくわけですから、ですから、いまのうちに買っておかなければ損をするという、そういうやっぱり心理が動くことは、これは否定できないですよ。だから、あなたが買うなと言うならば、やっぱり物価は絶対凍結して上げないと、こういう方針を国民に示したら、国民は安心して買わないですよ。だれだってそんな先買いすることを好んでいる人はないですから。ですから、そういうところに、国民のやっぱり賢い消費者といいますか、そういう心理が動くわけですから、一がいにはこれも責められないわけですね。 ことしは春に、御承知のような大手商社六社が、商道徳も商人の仁義もないですな、ああいうふうなむちゃくちゃな、モチ米を買い占めたり、あるいは材木を買い占めたり、綿製品を買い占めたり、大豆を買い占めたり、そうしてたいへんな問題が起きましたよね。市中には七十円なんというとうふが出てきましたよ。そのときに、確かに改府が言うように、これを取り締まる法律はないということで、悪い者は悪いことをしっぱなし、力のある者は、財ある者は悪いことしっぱなしと、こういうようなことでたいへん問題が起きたわけですよ。その後、それではいかぬというので、買い占め売り惜しみ防止法というのができましたね。その後、まあちり紙とか、合性洗剤、砂糖、塩、歯ブラシ、食用油等、次々にこの品がなくなるというようなうわさが伝わって、一波は万波を呼んで、買いだめ狂想曲になってきているわけですね。 で、最近は石油輸入量の削減によって、灯油とか軽油とかLPGの不足も生じて、日本経済はまさに石油危機に見舞われ、資源の小国日本の弱体ぶりというのがさらけ出されていると思うわけです。 いまの世相というのは、徳川時代の百姓一揆ほどではないですけれども、大正の米騒動や、昭和初期の金融パニックの前兆に似た節があると私は思うのですよ。経済社会に対する、あるいは政治に対する不信と不安というものがここまで高まっていることはないと思う。だから、国民は、自分の暮らしというものは自分で守らなきゃならぬと、自己防衛的なところまでもう思い詰めている状態がある。これをいま解消せずして、政治はあってなきがごとし、政治の責任は果たされないと私は思うのです。だから、これから物価を一体どうして下げていくか、当面は石油危機をどうして克服していくか、この問題にやっぱり焦点がしぼられてくると思いますけれども、とにかく、この法律ができて十四品目が生活必需物資として指定されましたね。一体、指定された物資について、それぞれの各省におきましてはどういうことをやっておりましたか、それをひとつ各省ごとにここへ報告してもらいたい。
○国務大臣(内田常雄君) まず、私から包括的なお答えを申し上げておきます。 この買い占め緊急措置法が夏に制定をされました当時は、品目指定も十数品目であったようでありますが、その後さらに数品目を追加をいたしまして、今日ではただいま鈴木さんがおあげになりましたような商品もこの法律の対象になりまして、二十一品目になっております。それのまた価格調査等に当たる職員も、ある程度ふやしたようでございますけれども、私が見るところでは、私が経済企画庁長官として就任をしてみますると、とてもあんな人数でこの法律を動かして、そうして買い占め、売り惜しみを監視、また立ち入り検査等できるものではない、こういうふうにまず第一に感じましたので、今度国会に御審議をお願いしている二法案の制定とあわせて、この買い占め売り惜しみ法の強化をいたしまして、それの取り締まり権限等も、国の公務員ばかりじゃなしに、必要あれば地方公共団体にもその権限を委任するように直そうとしておりますことも、鈴木さんもおおむね御承知だろうと思います。 しかし、これまでのところは、実は立ち入り検査を、二百数十人ないし三百六人くらいの価格調査官がいるわけでありますが、それで立ち入り検査を行なった件数は、私が聞きましたところではまだ一回くらいしかない。そういう意味におきましては、全面的な発動にはなっていませんけれども、しかし、この法律が効果がなかったかというと、そうではございませんで、この法律によりまして、ここに指定された物資の値動きとか、あるいはその品物の動きとかいうものを監視をしていまして、そしてこの法律の三条調査といいますか、その三条によって与えられた権限によりまして、いろいろの資料をとったりいたしまして、そうして常に状態が悪化しないような機能を果たしてきたという役目はつとめ得たと思います。しかし、私は、これだけではとうてい足りない。足りないものですから、これはあとからお尋ねがあるかと思いますが、今度の二法案を出した、こういうことだけを包括的にお答えを申しておきます。
○国務大臣(中曽根康弘君) 通産省の分は、七月十三日に繊維関係六品目、羊毛、梳毛糸、毛織物、綿糸、綿織物、絹織物、九月四日に灯油、十一月十三日にティッシュペーパー、京花紙、ちり紙、トイレットペーパー、それから最近プロパンガス、これを指定いたしまして、それで本省で三十三名、通産局で六十七名の価格調査官を指名いたしました。百名の価格調査官でいろいろ監視や指導をしているところでございます。 これらの中で、繊維製品につきましては、八月以降市況は非常に軟化いたしまして、ほとんど問題ないぐらいにこれは鎮静いたしました。最近絹織物等が少し騰貴の傾向にありますが、概況としては、毛織物、そのほか羊毛に至るまで、非常に価格は低下しております。 灯油につきましては、先般来御説明申し上げましたが、三百八十円の指導価格を設けて凍結しているところであります。灯油については、一部で立ち入り調査したところがございます。これは小規模のものでございます。 それから、トイレットペーパーについては、これも緊急輸送をやりまして、それによって鎮静したところでございます。 プロパンガスについては、いま、先般来申し上げるような手当てをしている最中でございます。
○鈴木強君 まだあるでしょう、農林省。
○国務大臣(倉石忠雄君) 農林省所管でございます買い占め売り惜しみ法の特定物資につきましては、現在同法第三条に基づいて、メーカー、販売業者等に対しまして、在庫量調査などを実施いたしまして、価格動向や需給状況の監視につとめておりますが、その成果もありまして、幸い価格は、おおむね安定的に推移しておりますが、最近の石油情勢にかんがみまして、なお一そうの監視につとめてまいりたいと存じます。 それから、もとより価格、需給の状況に異常が見られますれば、直ちに同法第五条に基づく立ち入り検査等を実施することといたしておりますし、その体制としては、本省に五十二名、地方農政局に八十二名の価格調査官を配置いたしまして、必要が生ずれば、いつでもこれを機動的に活用して対処する考えであります。 品物を指定されておりまする大豆、大豆油、これは輸入商社二十六社、製油メーカー十八社。大豆油かす、これは配合飼料メーカー七十七社、大豆問屋二十社。それぞれ在庫量、販売量、販売価格動向について、毎月報告を聴取しております。 それから生糸は、輸入業者百四十社、機業地三十三産地から、輸入予定数量、それから消費見込み量等について報告を聴取いたしております。 なお、丸太、製材、合板がございますが、製材会社は百五十社、合板は百八十社の流通在庫量につき、毎月報告を聴取いたしております。 以上でございます。
○国務大臣(齋藤邦吉君) 厚生省の分では、医療用ガーゼだけでございます。したがいまして、調査官は三人任命いたしております。任命後直ちに、生産、流通等の調査を行ない、増産の指示、あっせん等の処置を講じてまいりましたが、最近における生産量は非常に増大してまいりまして、需給関係も好転し、しかも、その価格も、実は四月、五月、六月、反当たり三百五十円まで上がりましたが、八月から下がりまして、十月におきましては、反当たり三百十円というふうに下がってまいっておる次第でございます。
○鈴木強君 経済企画庁長官に伺いますが、長官のおっしゃるのには、法律はつくったが、残念ながら調査官の数が非常に少ないという点を言われましたですね。これはまことにそうだと思います。私の持っている数字は、三百六名で――ちょっと確認してください、経企庁が十一名、厚生省三名、通産省が百五十三名、それから農林省百三十九名、これでよろしゅうございますか。合計三百六名。
○国務大臣(内田常雄君) そのとおりでございます。
○鈴木強君 それで、この法律が可決成立しますと、これは当然動いていくわけですから、その際に、第七条にいうところの立ち入り検査あるいは質問に関する職務、こういうものをやるのには当然担当官が必要になるわけですね。ですから、仏つくって魂入れずで、結局は、法律はつくってみたけれど、まあ財政、予算的な面もあったと思いますけれども、そういう点がおろそかになって、調査官の数が非常に少なくて動きがとれない――立ち入り検査やったのは一件だというのですね。LPガスも十一月二十二日に指定されておりますし、それから灯油は九月の四日に指定されております。それから七月の十四日に大豆、大豆油、大豆油かすとか、そういうものが指定されておるのですから、少なくとも私は、物不足の際に、一体その物資がどうなっているのか、この法律に基づいて、少なくとも立ち入り検査ぐらいはやるべきですよ。最近、灯油とか石油とかLPとか、いろいろありますが、むしろ消防庁のほうが消防法の面から一生懸命やっておられますね。ところが、法律に基づく主務官庁が立ち入り検査は一ぺんしかやらないなんていうことでは、その効果があがるはずはないじゃないですか。こういう点は、総理大臣、少し反省してもらいたいですよ。 法律だけつくってみたって、実際に動きがとれなかったんじゃこれはだめじゃないですか。少なくとも立ち入り検査して、元売りから第一次、第二次、消費者までどういう経路でいくのか、どこに物が隠されているのか。物はあると言っているのですからね。そのくらいのことはやらなきゃだめですよ。価格の点は今度の法律でないとできないとしても、そのことだけはできたはずですからね、これをもっとやるべきですよ。
○国務大臣(田中角榮君) 買い占め売り惜しみの法律に対しては、じっくりと、こうやっておるわけでございます。ただ、陣容が少ないとか、いろんな面がございますが、これは引き続いてやってまいります。同時に、今度の二法案が通過をいたしましたら、政府は完ぺきなひとつ布陣をしたいと思っております。これはもう完ぺきな布陣をいたしまして、しかも、あの売り惜しみ買い占めの法律が施行した当時からの問題を全部やるつもりであります。 それは、課徴金を追徴するというわけにはまいらないかもしれません。遡及できないという問題はございますが、しかし、税務調査は行なえるわけでございます。異常に値上がりをしたとうふだとか、異常に値上がりした品物は、新聞を読めば、一覧表はできておるわけでありますし、全部いま各省に調査を命じております。これは製造から最終販売までの経路は、調査をするのは当然でございますし、これは違法な行為があれば、税務署や警察に通報しなければならないということになりますから、これに対しては、しかるべき措置はとられるということだけは、私は考えております。 それで、新法によりましては、適切なる処置をとりまして、国民の生活必需物資に対しては、これを確保するというかたい決意で、この法律の運用に当たるということだけ、明確に申し上げておきます。
○鈴木強君 まあ総理から、そういう点がはっきりされましたので、いまの四つの主務官庁では、二法が通った場合、いまの買い占め売り惜しみ法によって、非常に不便をしておるわけですから、大体どの程度の要員措置があれば、その三法を含めて完ぺきなものができるか、運営ができるかということについて、もう法律が出ているのですからね、そういう措置はされていると思いますから、何人の人数を考えておりますか。
○国務大臣(内田常雄君) さっき私が早口で申しましたから、お耳にとまらなかったかもしれませんが、今度この二法を提案をいたしておりますが、その二法の中で、この買い占め緊急措置法の改正をいたしておるわけでございます。 これは権限の強化もございますが、ことに買い占め緊急措置法の権限を行使する職員を国家公務員だけ、まあ今日でいう三百六人だけに限らずに、各省とも、地方公共団体の職員にもこの権限を委譲できるということにいたしまして、もっぱら中央的な権能につきましては国の官庁がやりますが、消費者あるいは小売り業者なり卸売り業者等に接する面におきましては、地方公共団体の当該職員に、この法律に従って立ち入り検査もしていただいたり、調査もしていただく、こういうふうに改正をいたします。したがって、必ずしも各省自身の定員を何倍にするということ――それも私のほうはぜひやってもらいたいのですが、そればかりではなしに、いま言う中央、地方ともどもに体制を整える、こういうことを考えております。
○鈴木強君 経済企画庁というのは、もう少し各省を取りまとめて、強力な権限を持って対策をやることになっているのじゃないかと思うのですけれども、何かそういう点で、各省間の統一した動きというものが、この法律に基づいて動いていかないというようなきらいがあるように思うのですね。ですから、いま長官からお話がありましたが、具体的に、そうすると、いま三百六名の調査官がおるわけですが、地方に委嘱するものを含めまして、新法が動き出す場合に、どの程度の要員が考えられているのか。各省別にわかったらぜひ教えてもらいたいのです。そうしませんと、また同じことになるのですよ、いまの売り惜しみ防止法と同じようなことになってしまう。これは明確にしておいてもらいたいのです。
○国務大臣(田中角榮君) この問題は、もうしばらく、ひとつ、この法律が通過するまで政府に検討さしていただきたいと思うのです。それは、国民生活に必要なものというものをいま各省で選別をいたしております。それからもう一つ、国民生活に直接いますぐじゃなくとも、急速の値上がりをして、それが波及効果を他に及ぼすというような事態が起こった場合どうするかという問題をいま研究しています。そして、これは場合によれば、経済関係省は、ある一定の地位以上の者に対しては、すべて併任を行なうという手もあるわけであります、これは。一般の行政事務を行なうよりも、これは国民生活のために絶対不可欠の重大な問題であるなら、そんな人数なんかにこだわっておれるはずはありません。ですから、定員をふやすとか、そういう問題ではありません。ですから、異常な決意を持っておりますから、それはどの程度ということは、いまここで各省別に申し上げるわけにはいかないのです。ここらは、一応行政事務を二分の一にしても、あとの事務を、二分の一併任事務に当たらなければならない。しかも、ちゃんとやったものは通報しなければならない。あとの人が行って通報しなければ、それがさっきあなたが指摘されたように、国家公務員としての責めを果たさなかった責任を今度は問われるわけでありますから、それは非常に慎重ではございますが、異常な決意をもってこれに臨むということでございますので、各省でいまどのくらいということは、いま調査をしているわけですから、これはちょっとかすに時をもってしていただきたい。
○鈴木強君 わかりました。法案が通るまでに明確にしていただきたいと思います。 それで、いまの三百六名というのは、定員法をふやしたわけではなくて、現在の職員をやりくりして、調査官三百六名を配置しているということですか。この法律が成立したときに三百六名の新規要員を配置したわけではないでしょう、この辺は。
○国務大臣(内田常雄君) 御想定のとおり、これまでの職員をやりくって、調査官をおおむね兼任で発令をしておるという状況でございます。
○鈴木強君 総理ね、これじゃだめなんですよ。ですから、こういう面に人をふやす場合であれば、国民は納得しますよ。ですから、やっぱり法律が制定された以上は、これを完全に遂行できるように体制をしいてもらって、そうして物価の値上がりに対して、物の不足に対して、厳正な行政が行き渡るようにしてほしいですよ。その点はいいですね。
○国務大臣(田中角榮君) 私は、いまだ併任という、単に併任ということでこの職を行なえるかどうかということも、まだいま検討中でございますし、それから増員をするということはあまり考えてないのです。増員しなくても、緩急の度合いがあるわけですから。ですから、これはいわゆる経済担当省の全職員ということになれば、これはもう何人かふやすようなものと比較になるわけありません。しかも地方もだれでもというわけではありません。少数のものを持っていってやらなければならぬわけでございますから、これらは地方庁や国の機関との相談も十分しながら――これは中途はんぱじゃだめなんです。少なくとも新聞にもう出て、こんなに上がったじゃないかと文句が来た問題に対しては、直ちに権限が発動されるようでなければいかぬわけですから、そういう意味では慎重な配慮をやっておりますが、私みずからが、その中心的な役割りを果たそうと、こういう決意をもっていま詰めているわけでございますので、人員をふやさなきゃ仕事ができないということじゃないんです、現実問題としては。それはまだまだ公務員の運用ということで、ほかに方法も確かにあります。緩急によって、とにかく災害が起きれば交通巡査は全部災害のほうに招集されるということがあるわけですから、動員されるということがあるわけですから、そういう問題をいま詰めますから、いまここで何人ふやせと――あなたの気持ちもよくわかります。わかりますが、国民負担を最低にしながら、最も効果的な行政価値を確保すると、こういうことで、ひとつ、もう少しおまかせいただきたい。
○鈴木強君 総理のおっしゃる面もわかりますけども、私はこの前ポッカレモンの問題を指摘したときにつくづく思いましたよ。当時の某厚生大臣が――やはり厚生省が指定した栄養食品なんです、ポッカレモンというのは。それが平素調査官が非常に少ないんですね。ですから、届け出をして許可する場合にはビタミンCを三倍強化して本物を持ってくるけれども、今度はほんとうにびんの中に入れるときは、クエン酸を入れて、そして広告はビタミンC三倍強化ということで売っておるようなんですね。だから、常時その品物に対して目を光らさなきゃだめなんです。当時もうあやまっちゃったんですよ、人が足りないというんで。ですから、私は何でもかんでも人をふやせと言っているわけじゃないんですけれども、やっぱり行政がしゃんとした姿勢をとってませんと、なかなか業界というのはずるいですよ。ですから、そういう点にすきを与えないためには、多少平素むだがあっても、Gメン的な監視の目を光らす職員というのは配置しておくべきだということが、私の経験からも考えるわけですから、総理のおっしゃる点もよくわかりますので、私の意見も十分いれて、どうかすると、行政が産業サイドに、業者サイドに癒着しているじゃないかというようなことも言われる原因もこういうところにもあるわけですから、その点を、賢明な総理ですからわかってもらえると思いますから、私の意見もいれてやっていただきたい、私も何もむだな人をふやせと言っていませんから。
○国務大臣(田中角榮君) あなたの御意見も十分拝聴いたしましたので、いろいろな状態を想定をしまして、行政効果が真にあがるような体制を整えたいと思います。
○鈴木強君 大蔵大臣、この前、本会議で、竹田四郎君の質問の際に、専売品である塩がなくなりまして、それでところによりましてはやみ値で売られているようなところがあったわけですよ。そのときに、大臣もその非を認められたように思ったのですけれども、その後それはどういうふうになりましたでしょうか。これは専売法によって、もし事実とすれば処分することになっておりますけれど、これはどうしてそういうふうなことになったのか、いきさつをもう少し詳しく教えてください。
○国務大臣(福田赳夫君) 塩が、どういうきっかけでありますか、塩が足りなくなるのじゃないかという風評が立ったようなんです。それに伴いまして、小売り店におきまして、専売価格をこえる価格で販売するという事態が、かなりのケースあったのです。そういう通報がありましたので、専売公社におきましては直ちに調査をした。そうしますと、その違反の事実があるということが確認されたわけなんです。それに基づきましていま調査をしておると、私、数日前報告を聞いたところで、いまこの時点のことはまだ承知しておりませんけれども、精細に詰めまして、専売法違反であれば違反の規定に従って、その処置をとると、こういう方針でございます。
○鈴木強君 それは一件だけですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 一件じゃありません。かなりの数があります。
○鈴木強君 それでは恐縮ですが、質問があすに回るようですから、その点、何件が、できればその名前が公表できたらひとつしてもらいたいのですけれども、それはよろしゅうございますか、いまの。
○国務大臣(福田赳夫君) よろしゅうございます。
○鈴木強君 総理大臣が私書函一号の苦情箱を利用してくれというので、だいぶあそこに投書が集まっているようですけれど、総理は忙しいからこれを読むわけにはいかぬと思うんですが、実態をどういうふうに把握されていますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 通産省で毎日調べておりまして、そうして各省、または各原局にそれを配当して、その要望なりその他の陳情を処理しております。この前申し上げましたように、あれを設けましたころは一日百五十通ぐらい参りました。それが百通ぐらいに減り、先週の末は五十六通というのでございます。中身は、初めはトイレットペーパーとか、洗剤とか、砂糖とか、塩とか、そういうものが多うございました。最近は、灯油とそれからプロパンガスが非常に多いようであります。それらはみんな通産省では、それを処理する各原局に回しまして、処理して、またいろいろ連絡もとっております。ただ、いま石油の関係は、匿名のものがかなり多いので、一々返事することができないというのが、かなり多くなっております。
○鈴木強君 投書の数が減ったと言うけれども、減るわけですよ。実際に投書しても、投書について追跡をし、投書をした人たちの気持ちになって改善してくれないからですよ。たとえば、せんだって私は、新宿のある婦人団体の会合に出たときに、小売り店の店先に、新しいお客さんお断わりという張り紙が出たそうですよ。これはけしからぬというので投書を出したのだけれども、ナシのつぶてで何にもしてくれないというようなこととか、あるいは小売り価格、灯油十八リッター三百八十円ですね、このことについても通産が指導してくれているのですけれども、さっぱり守っておらぬ、そこで投書したけれども、さっぱり返事もないし、やってくれない、こういうことですから、だんだんと減ってしまうと思うのですね。ですから、具体的に、投書した中で幾つ改善していただきましたか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 出てきたものの数を申し上げますと、十一月二十四日から十二月八日まで千五百八通です。その中で、トイレットペーパーと紙類が三百三十八、灯油が三百七、砂糖、農林物資が九十五、合成洗剤二十三、上記ものの組み合わせが二百五十二、その他が四百九十三と、こうなっております。それで大体中身を見まして、その中身によりまして、その部局から直ちに立ち入り調査を行なって解決しているのもありますし、それから業界に連絡して、指導して、その他改善をやらしているのもございます。大体何件くらいかという、まだその結果を得ておりませんが、石油関係は、先ほど申し上げましたように、非常に匿名が多いので、一々こうやったという御返事をすることができないというのが多いようでございます。いずれにせよ、そういうような緊急を要するものは、直ちに敏速に電話をかけるなり、あるいは立ち入り調査するなりしてやっております。
○鈴木強君 何件改善したのか、何件。
○国務大臣(中曽根康弘君) 大部分、もう来たものはその場で処理さしておりますから、滞留しているという分はあんまりないんだろうと、私は思っております。
○鈴木強君 あとで資料を出してください。
○委員長(鹿島俊雄君) 本日の質疑はこの程度にいたします。 明日は午前十時より開会をすることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後七時十分散会