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72回国会参議院1973/12/11

予算委員会 第2号

発言数
173
登壇者
22
会派数
2
開催日
1973/12/11

会議録

鹿島俊雄自由民主党

○委員長(鹿島俊雄君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  補正予算案三案の審議につきまして、理事会において協議決定いたしました要旨を御報告いたします。  三案に対する審査期間は十一日から十四日までの四日間とすること、質疑時間各派割り当ては、自由民主党及び日本社会党はそれぞれ二百分、公明党八十分、民社党及び共産党それぞれ四十分、第二院クラブ二十分とし、質疑順位はお手元に配付いたしました質疑通告表の順位とすること、以上でございます。  そのように取り運ぶことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鹿島俊雄自由民主党

○委員長(鹿島俊雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————

鹿島俊雄自由民主党

○委員長(鹿島俊雄君) 参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。  補正予算三案審査のため、本日、日本銀行総裁及びその役職員を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鹿島俊雄自由民主党

○委員長(鹿島俊雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————

鹿島俊雄自由民主党

○委員長(鹿島俊雄君) 昭和四十八年度一般会計補正予算  昭和四十八年度特別会計補正予算  昭和四十八年度政府関係機関補正予算  以上三案を一括して議題といたします。  これより質疑を行ないます。瀬谷英行君。(拍手)

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 大幅な物価の上昇が続いている日本経済の現状は、憂慮すべき異常な状態であるということは総理も認めておられます。じゃ、どうすればよいかということを考えるには、原因を正しく把握をする必要があると思います。原因と、それからこの物価高の特徴は一体どうなのか、インフレということばを用いるかどうかは別として、総理の見解をまず冒頭に明らかにしていただきたい。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(田中角榮君) 物価は憂慮すべき状態にあるという認識のもとに立って、これが抑制のために全力を傾けてまいりたいと、こう考えております。物価上昇の要因はいろいろございますが、その中に一つは海外要因がございます。もう一つは、民間の設備投資及びドルの切り下げ等が行なわれましたために、中小企業、零細企業等が国際競争力に対応できるようにしなければならないという金融緩和政策、また各種の財政、税制等の措置、また平価調整に伴いまして、その後外貨が急増いたしたということにより、企業の手元流動性が異常に大きくなったというような問題が、あわせて物価押し上げの要因になっておるということを考えておるわけでございます。それに加えて、石油の供給削減ということで先高見通し、また生産量が減るというようなことから推論をして品物が不足になるのじゃないかというような考え方から、買い急ぎやまた売り惜しみも存在をするというようなことが複合して物価押し上げの要因になっておると、こう考えます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 総理の所信表明演説では、海外的な要因が多分にあるというふうなニュアンスがあったわけですが、海外的な要因と内部成な要因と比較をして、どちらがより多く今日の物価高を招いたというふうにお考えになっておりますか。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(田中角榮君) 海外要因というのは、ドルの切り下げ、国際通貨の不安ということも海外要因でございます。石油の供給の削減ということも海外要因でございます。それから海外の物価高というのも海外要因でございます。これは、ことしは輸入が非常にふえておりまして、八十億ドルぐらいの貿易収支の黒字を見ておったのが、三十億ドル程度になるというふうに改定見通しを出しておりますが、この五十億ドル余の輸出輸入の差額のうち、その六、七〇%以上は、海外の物価高、輸入品の物価高、輸入品高ということが四、五十億ドルにもなっておるわけでございますから、そういう意味で非常に大きい。  これは念のために申し上げますが、卸売り物価の七−九月の押し上げの寄与率は、輸入物価が四九%でございます。需給ギャップが一四%、通貨供給量の残高一二%。その他という中に買いだめとか売り惜しみとかいろいろなものがございますが、風潮からくるもの、消費の堅調というようなものが明確に示されておるわけであります。海外要因五〇%、まあ学者や評論家によると六、七〇%という面もございます。しかし、そういうふうには見れないんで、こまかく計算をした統計数字としては四九%ということであります。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 インフレと認めるかどうかということで、だいぶ衆議院では論争がありました。そこで、福田大蔵大臣にお伺いしたいけれども、あなたの対談というのが週刊誌とか雑誌にだいぶ出ておりました。それを拝見をしますと、当面の問題として、いま直面しているインフレの火の手を消しとめなくてはならない、あるいは物価問題が非常に深刻な段階にきたここで、インフレを静めることが他のいかなる政策よりも大事である、こういうことを言っておられる。これはもっとも行政管理庁長官という立場でもって言っておられるのですがね。このことはお認めになりますか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) そのとおりに考えております。とにかく、物価がこういうふうに異常になりますとですね、これは社会不公平、こういう問題が起きてくる。それからわれわれの個人の活動にしましても、あるいは企業としての活動にしましても先々はわからない。これは経済問題の域を脱しまして、心のインフレというか、民心不安定というか、そういうところになってくるおそれがある。そういうことを考えますと、何よりもまずこの物価をおさめる、これが政治の至上課題である、そういうふうに考えております。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 福田大蔵大臣が行政管理庁長官のときに談話として掲載されたものと、大蔵大臣になってからとで、考え方が違ってないということがここで確認できれば幸いなんです。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) いささかの違いもございませんです。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 いささかの違いもなければですね、このインフレということばにこだわる必要はないと思う。あなたが雑誌等に発表しているのは、インフレの火の手を消しとめなくてはならない、あるいはインフレを静めることが他のいかなる政策よりも大事だと、こういうことを言っておられる。したがって、そういう認識をお持ちならば、衆議院でもって勝間田議員の質問に対して、インフレであるかどうかは、これは学者にまかせるといったようなことをおっしゃるのはちょっとおかしいと思う。すなおにお認めになったほうがよろしいんじゃないかと思うのですが、その点はどうですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 現状をインフレと言うかどうかと、こういう御質問になりますとですね、これは答えがなかなかむずかしいんです、インフレの定義でございますから。この定義はなかなかまちまちでございます。そこで、ああいう答弁をしましたが、非常にこの物価状態は憂慮しておる、そういう憂慮すべき状態をインフレと言うんだと言うならば、私も何も異存はございませんと、こういうふうな考えでございます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 田中総理もこのインフレについては、これは別にこだわる必要ないと思うんですよ。社会通念上インフレというのは、こういうふうに物価がどんどん上がること、特に卸売り物価までがこのように二けたでもって上がっておるというようなことは、社会通念上は、これはインフレというふうに呼んでいるわけです。これは学問上の理屈じゃないと思うのですね。したがって、常識的にこれはインフレならインフレということを認めていったって、総理として困ることはないと思うんですが、その点はどうですか。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(田中角榮君) インフレーションとかデフレーションとかスタグフレーションというのは、これは日本語じゃございません。外国語でございます。日本には物価高騰ということばがあるわけでございますから、私は、物価高騰の状態でございましてまさに憂慮すべき状態でございます、政府はこれに対して万全の処置を行ないますと、こう申し上げておるのであって、これは適切な発言だと考えております。インフレーションということばに対してはいろんな定義もありますし、学説的にもいろいろあるのでありまして、現状がインフレであるかというと、そうばかり定義はできない。ただ、あなた方がそうおっしゃるなら異議は差しはさみませんと、こう言っているんですから、これはすなおな日本語として御理解いただきたい。これは私は何回も何回も言われますので、しいて、病人という定義というのはあるわけですが、私も軽い甲状腺機能高進症を持っていますが、君は病人なりやと言われたときにイエスと言うわけにはちょっといかないということもございますし、国のいまのような状態の中で国民に対して国民の協力を求めて安定的な状態を確保しなきゃならない重大な責任に立っておる政府ということでありまして、そういう意味で発言に注意をしなきゃならぬこと、これは申すまでもないことだと思うんです。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 一々、物価の高騰は憂慮すべき段階にあるといったようなことを言っていたんじゃめんどうくさいから、そこで世間の人はインフレと詰めて言うわけですよ。こういう詰めて言っているのは、これは社会通念上のことばになっているんだからこだわる必要はないと言っているわけです。いま病気云々という話がありましたけれども、経済が現状のように特に卸売り物価が連続して上がっているという状態、しかも一般の消費者にとってはトイレットペーパーまで行列して買わなきゃならないといったような状態は、まさに一種の病気というふうに見てもいいんじゃないかと思うんです。総理の見解によるとこれは病気ではないんだというふうに言われたけれども、これはやはりどうでしょう、その点は。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(田中角榮君) トイレットペーパーの問題はあまり申し上げたくないんですが、これは紙の全部の二%というところでございまして、いかに何でもこれだけの生産力を持つ日本がトイレットペーパーが不足するわけはないのでございますが、しかし、それは三日間のうちにざあっとトイレットペーパーがなくなるおそれがあると、こういって団地を中心にして買い出動に出た、そういう雰囲気がその前提にある、そういうことが起こりやすい状態にあるということを指摘されてインフレと言ってもいいんじゃないかと、こういうように俗にいわれるインフレーションにつながらないように政府は全力を傾けなきゃならぬというのが経済白書にもちゃんとそういうふうに書いてございます。インフレにならないように政策運営を行なう必要があると、こう述べておるわけでございまして、それは簡単にそうあなたが、みんなが言っているんだからインフレーションと認めたらどうだと、そんな簡単にはまいりません。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 言いたくなきゃ言わなくたってかまいませんけれども、総理が認めようと認めまいと世間ではインフレという認識に立っているわけです。だから、それを無理に定義としてインフレというふうに認めないと言ってみたところで、赤い顔をして千鳥足になっていれば、酔っぱらっちゃいないと言ったって世間では酔っぱらいというふうに判断をするわけです。別にこれは医師の診断を必要としないわけです。したがって私どもは、こういう危険な状態になっておる、おまけに酔っぱらい運転をされて、それでつかまっても、おれは酔っぱらっていないと、こういうふうに開き直られちゃ困ると思うんです。そこで、じゃ、どうすればこの物価高騰の現状を打開できるかという問題になってくると思うんです。いろいろと過去のことを言ってみたところでしかたがないと言われるかもしれませんけれども、この原因は何かということがはっきりしなければいけないと思うんですよ。特に卸売り物価が上がっておるということは一体どこに原因があるのか、田中内閣自体が今日まで行なってきたところの経済政策の一つの結果ではないか、こういうふうに見られてもしかたがないと思うんです。海外的要因ということを多分に言われましたけれども、石油危機なんというのはつい最近のことです。田中内閣が成立して以来、特にこの卸売り物価の上昇というのは去年から始まっているわけなんですね。それまでは安定していたわけです。このことは政策と無関係というふうには考えられないと思うのですが、その点はどうですか。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(田中角榮君) 海外要因がおもなものであるということは事実でございます。これはドルの切り下げ、それから国際通貨の不安、それから国際収支の異常な状態から正常化への転換、こういう問題を基礎として国内的政策を行なわなければならなかった、その政策が少し厚きに過ぎたということで、金融緩和等による企業の手元流動性が多くなり過ぎたというような問題もあります。政策的に完璧だったとは申し上げませんが、政策的にも、あのときもっと適切な政策もあってしかるべしだったという反省には立っておりますが、大きくは海外要因であります。それは日本だけ、単に日本だけというのではなく、これは国際的にはすべてそうなっておるのでございますから、これはもうそういうことは十分御理解がいただけると思うわけでございます。日本の卸売り物価というのは主要工業国に比べて非常に低かったわけであります。まあ大体十年間三%台であったものが、日本が一・三%であったというふうなことで、ここで海外的な要因をまともに受けざるを得ないような状態になったということも事実でございます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 特に海外的要因というものを強調しておられますけれども、海外的要因が今日の物価高の主たるものであるということになると、田中さんは、これはおれのせいじゃないよと言っているようなものですよ。しかし、世間ではそれじゃ、そういうふうには認められません。なぜかというと、これはいままでの衆議院の予算委員会でもたびたび指摘されてきたところでありますけれども、たとえば鉄鋼、化学工業等の不況カルテルを認めてきたこと、あるいは金融緩和策をとって過剰流動性の横行を許したこと、あるいは公共事業費の大幅な引き上げをやってきたこと、四国に橋をかけるとか、あるいは新幹線計画というものをはでに打ち出してきたこと、あるいは公共料金の引き上げ、これらの事態は今日の物価高の決して原因となっていないというふうには言えないと思うんですが、その点はどうですか。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(田中角榮君) 総需要が大きかった、それから仮需要も大きかった、その前提には金融の緩和という問題があった、また政策的にもそごするようなものがありました。これはあとから御質問があれば具体的にお答えをいたしますが、そういうふうな問題があった。その結果、卸売り物価の高騰の要因となり、ひいては消費者物価にもつながったということはそのまま認めます。認めますが、ほんとうに新幹線や本四連絡架橋というものが影響するとするのはこれからでございまして、いままで仕事をやってないのですから、だから影響するとすれば、景気がよくなるなあという心理的影響というのがあったことは、これは否定いたしませんが、これからやろうとするものだって、来年度そのままやっても一億一千万トンの鉄鋼の中でわずか三万トンしか使わないというものであって、これが去年からの物価高騰の要因であったというようにはどうも断定できません。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 日本列島改造論が土地の価格を暴騰させる一つのきっかけになったというふうに考えられませんか。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(田中角榮君) 考えておりません。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 日本列島改造論について福田さんは、やはりかなりいままでは批判的だったというふうに思われるわけです。しかし、この日本列島改造論をこのまま進めていって物価の高騰にますます拍車をかけるという認識はお持ちでないでしょうか、その点はどうでしょうか。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(田中角榮君) ちょっとここでお断わりをしておきますが、日本列島改造論というのは私の個人的著書の名前でございまして、政府が行なっておりますものは国土総合開発の改定版であり、新全総の改定を行ない、いま新全総のもう一ぺん改定版を検討いたしておる。しかし、方向においては、日本列島改造論なる著書は、これは自由民主党が決定をしました都市政策大綱、その後政府も決定をいたしました全国総合開発の路線に沿うものである、軌を一にするものである、これだけはひとつ明確にしておいていただきたいと、こう思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 私は、しばしば申し上げておりますが、日本は非常な転換期だと、経済成長がここまで来たパイはできた。しかも、パイはできた反面に、公害だとか過密過疎だとか、そういう問題がある。そういうことをとらえながら、新しい国づくりにこのパイを元手として取り組まなければならぬ段階に来ておる、こういうふうな認識です。そういう国づくりのためには、これは国土総合開発的な発想が必要であると、そういうふうに考えております。その国土総合開発を推進するための具体論として、日本列島改造論とか、国土総合開発計画だとか、まあいろいろあります。ありますが、いまそういう問題に手をつけるそのやさきに、異常な物価高だとか、しかも加えて石油問題だとか、そういう問題が起こってくる。まず、とにかくこの物価高の問題を克服する、また石油問題を乗り切る、これが当面の最大の問題だと、そういうふうなとらえ方をしておるわけです。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 日本列島改造論には関係がないというふうに言われましたけれども、この一年間の物価の値上がりというのは特に顕著であって、これは世界でもおそらく一番日本がぬきんでているんじゃないかと思う。その点、この一年間の物価の動向について、大臣としてはどのようにお考えになりますか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) この一年間の物価の上昇は、一つは海外要因もあるんです。つまり、海外の物価高、それからもう一つは、賃金が非常な急上昇をしたと、こういう問題がある。この二つが物価を押し上げるコスト要因ですね。その二つの要因です。  それから、物価上昇にはコスト要因ばかりじゃない。需給問題というのがあるんです。需給問題として、問題がまたこの一年間に出てきておりますのは、諸需要が軒並みに上がってきた。つまり、一番大きなのは住宅需要です。これはまあ量が少ないですからさして問題がありませんけれども、一番問題は、これは設備投資、これが急上昇した。それから財政も拡大された。そういう需給要因というものがある。これらが寄り重なって卸売り物価が急上昇する、それに伴って消費者物価も上がってきたと、こういうふうにとらえておるわけであります。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 それでは、国鉄総裁にお伺いしたいと思うんですがね。新幹線計画について、田中構想によれば、日本国じゅうに新幹線を建設するようなことになってくるけれども、一体、どういう構想でもって建設費あるいはその収支の状態等は考えておられるのか、お伺いしたいと思うんです。

藤井松太郎日本国有鉄道総裁

○説明員(藤井松太郎君) お答え申し上げます。  御承知のように、ただいま新幹線で工事をいたしておりますのは、山陽、東北、上越、成田の四線でございまして、過日の整備計画、つまり、これから工事を現実に実施するための調査命令を受けておるものか、東北、北海道、北陸、九州——これは鹿児島へ行くものと長崎へ行くもの、おのおの一線でございますが、ございます。その他、さらにこれから基本計画といたしまして、新幹線をつくる整備計画を立てるといったような路線がおおむね三千キロほどございます。  この収支の状態に関しましては、山陽、東北、上越、成田といったようなものは、これはまあ財政上、東海道新幹線をごらん願いましてもはっきりするように、何ら心配はないのでございますが、東北、北海道、北陸、九州の二線といったようなものをつくりました場合に、完成して直ちにこれが黒になるかというと、実はそうじゃなくて、やはり二、三年といったようなものは、少なくとも黒には相ならぬだろうと、まあかように考える次第でありますが、これらの完成いたす時期は五十四年というようなことでございますので、この間におきまして、政府のおとりになっておる需要の抑制であるとか、こういったものが功を奏して、まずまずその二、三年後には黒になるんじゃないかというふうに考えるのでございます。不幸にして黒にならぬということになりますれば、政府にお願いするとか、国民の御理解を得るとか、こういうようなことであるいは赤をカバーしなくちゃいかぬかとも思っております。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 たいへん楽観的なことを言われたけれども、そんなに新しい新幹線計画が楽観して見ていられるのかどうかという疑問があります。  じゃ、在来線の赤字線と黒字線、この内訳をここで述べていただきたい。

藤井松太郎日本国有鉄道総裁

○説明員(藤井松太郎君) 現在線の赤字、黒字に関しましては、御承知のように、運賃は平均において設定されますので、いかなる時代におきましても、その九割、八割は赤字線であるということはこれはやむを得ないんで、それを二割程度のいわゆる黒字線でカバーするというたてまえに立っております。まあこの新幹線がきわめて楽観的だというおしかりを受けたんでありますけれども、これが政府の経済基本計画といったようなものによって、国民的に大きなメリットをもたらすということでございますので、国鉄の責任者としてははなはだ楽観的でございますが、国鉄の財政といったようなものは、またその面からお助けを願えるんじゃないかと、かように考えております。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 在来線の赤字線と黒字線をいま述べてもらいたいと言ったわけです。そこで、それを数字的に営業係数を一々こまかく言わなくてもいいですが、それはわかっておられると思うんですよ。どこが黒字線で、それ以外は赤字線であるということ、それを述べてもらいたい。

藤井松太郎日本国有鉄道総裁

○説明員(藤井松太郎君) ただいま詳しい資料を手元に持ってまいりませんので、概念的に申し上げますと、東海道線であるとか、東北線であるとか、あるいは上越の一部、あるいは山手、こういったもの、山陽の一部、こういうものがいわゆる黒字線でございまして、その他は、程度の差がありますが、おおむね赤字線でございます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 じゃ、私のほうから申し上げますけれども、国鉄の資料によると、東海道新幹線、それから開通した山陽新幹線、山手線、高崎線、東北線、これ以外は全部赤字線なんですね。ということは、これからできる新幹線で黒字線になる可能性があるのは、上越新幹線の一部、東北新幹線の一部だけであって、それ以外は、全部赤字線になるというふうに判断していいんじゃないですか。

藤井松太郎日本国有鉄道総裁

○説明員(藤井松太郎君) 新幹線に関しましては、御指摘のような懸念は多分にございますけれども、これは運賃政策にもよるものであり、要は新幹線がいかなる利便をもたらすかということであるいは問わるべきものでございまして、やはり先ほど申しましたように、十年たって——これを開業した二、三年後はおおむね黒になるものが多数じゃないかと、かように考えます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 そんなことを言うなら、何で九州なり四国なり北海道なりの線区が現在赤字なんでしょうか。あるいは日本海沿線が赤字なんですか。いままで赤字のところが、新幹線をつくったからといって急に大ぜい人が乗るということはあり得ないでしょう。それとも国鉄総裁は、新幹線さえつくれば、いままでの赤字の線区が全部黒字になるというふうに考えておられるんですか、これは。

藤井松太郎日本国有鉄道総裁

○説明員(藤井松太郎君) 先ほども申しましたように、赤字黒字の議論は、これは全国の二万キロの平均値でもって運賃を設定するということになりますので、いかなる事態になりましても、大半は赤字であるということには変わりはない、かように考えます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 前の答弁とちょっと違うような気がするんですがね。

藤井松太郎日本国有鉄道総裁

○説明員(藤井松太郎君) それじゃ申し上げます。  赤字黒字の議論は、国鉄の二万キロのものの平均から設定した賃率によって赤が出、黒が出るということであって、この黒字線は数線に集中いたしますので、いかなる運賃を設定しても、おおむね八割以上は赤であるということには間違いないと思います。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 それじゃばく大な金をかけて新幹線をつくっても、これからできる新幹線は赤字を増大するだけだということになるわけですが、その点、総理はどのようにお考えですか。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(田中角榮君) 戦後、占領軍政策で、国鉄は赤字をつくらないようにということになったわけでございますが、鉄道というものは私企業ではないわけでございますから、赤字黒字論というものは、これは国民の負担を少なくするためにそういう議論は当然考えなきゃなりません。しかし、鉄道を一番初め建設した当時は、いまよりも何十倍かの料金を取っておったわけでございますが、それでも赤字であったということはこれは当然でございます。ですから、鉄道会計は赤字であっても、国民の利便に供するためには鉄道を運行しなければならない、それには国有鉄道でなければならない。これはもうかるものなら私鉄でけっこうなんです。ですから、北海道の鉄道は依然として、過去も現在も将来もまだ赤字かもわかりませんが、しかし、国有鉄道の北海道における赤字の何百倍も何千倍も何万倍も、鉄道を敷設したことによって国民総生産に寄与し、北海道の国民所得が上がっておるということはこれは申すまでもないことでございます。明治時代に北海道の鉄道が、五万人、十万人しかおらないときに、あれだけの鉄道を敷設したわけでありますから、これはもう黒字になるはずはないのであります。あなたもとにかく専門でありますし、国鉄の御出身ですからよくおわかりだと思いますが、そこに国有鉄道というものの意義があります。これは林野であっても郵政事業でも同じことなんです。もうかるものであるならば民間にやればいいのでございますが、そうではなく、他の政策目的を達成するために、ちょうど一般公務員と民間との中間のような状態ということがコーポレーションになったわけでありますから、私はそういう意味では、別な角度から国鉄は考えなきゃならないと、こう思います。  もう一つ、国鉄の二万キロの建設の速度にちょうど応じて明治から戦争が始まるまでの国民総生産は拡大してまいりましたし、二十八年から今日までは、道路の建設にちょうど比例をして国民総生産と国民所得が拡大しておるということで、道路は、有料道路制度を二十八年から採用するまでは無料であったわけであります。道路は無料公開の原則、全部税金でまかなうものである、これは言うなれば全部赤字であります。赤字黒字論からいえば赤字であります。しかし、鉄道は少なくとも料金を取ろうということでありますから、道路よりも鉄道のほうが国民の財政負担は少なくなるということは当然でございます。船は、御承知のとおり、港湾はつくってやるけれども船の運航は全く民間であるということで、料金収入によってまかなっておるということでございまして、これから昭和六十年展望で二千万人もふえるわけでありますから、一体鉄道なくしてどうしてやれるだろうという問題が一つございます。  もう一つは、もう二千五百万台の車にさえ配給するガソリンが不足をしておるというときに、このまま六十年までいけば最低四千百万台になる。一体それに合うように無料公開の道路をつくれるかどうかというので有料道路制度が採用されておるわけでございます。しかも、これから何%ずつでも人間がふえるのですから、人間が一%ふえれば、最低でも、三%も五%も国民総生産が十二年間に少なくともふえるはずであります。少なくとも経済社会発展計画によって言うように九%も大きくならないにしても、必ずふえます。そうすれば、ガソリンはとにかく制限を受ける、車にはたよるわけにいかない。いまのように九州から東京まで野菜を一万五千円の日当を払う運転手がとにかく運べるような状態が許容できるはずがありません。ですから、海運にどれだけとにかくやるかとというと、四〇%のシェアを五〇%にしなきゃいかぬ。いま陸送にたよっているものは、いまよりも少なくとも落とさなきゃならない。そうすれば鉄道による以外にないじゃありませんか。そういうところに新しい鉄道の使命——ちょうど明治、大正に鉄道をつくったときと同じような立場で鉄道を考えなきゃならない。だから、十九兆五千億もいま出しておる道路というものは、これは鉄道と逆じゃなかったかという議論が識者の間でいま研究されているのは、そこに問題があるわけです。鉄道が十兆円であり、道路がすでに五ヵ年間で、五十二年までで十九兆五千億、これは逆であったろう。日本のように山岳が八五%もあるところで道路政策にウエートを置いたことは、これはやはり国民の財政負担というものはどうしても避けがたい。その意味では鉄道に——ちょうど日本と逆の八五%の平野を持っておる西ドイツでも、七千万人の人が七千二百万キロのアウトバーンの維持保守ができないために、百年間停止をしておった道路を十年間で建設をしようといって、いまことしから始めておるじゃありませんか。  そういう意味で、鉄道というものを、占領軍が言ったように、とにかく独立採算制をどこまででも押し通していくというものじゃないと思うのです。私はいまの逓信事業もそうだと思うのですよ。冬、とにかく冬山にはがき一通を届ける、夜間の電報を届けるといったら、二万円や三万円のコストで届けられるものじゃありません。しかし、確実に送達をしなければならない。幾ら赤字が出ても国民の利便のためには逓信事業は必要である。だから五現業というものを国がやっておるのでありまして、民間に委託しない、民営に移管しないということであって、これはとにかく学校の教育でも、一般会計はこれは全部国民に負担しているわけですから、それは言うならば、企業会計議論からいえば全部赤字であります。道路はそのとおりなんです。  そういう意味で、鉄道を単なる企業としての赤字黒字というのではなく、鉄道が一体いいのか、海運がいいのか、道路がいいのかというバランスの上に考えて、国民の公共負担が最も少なくて、最も合理的でありメリットの多いものというのは、地形、地勢、気候上の制約を受ける日本においては、鉄道以外にない。いまこそ鉄道は見直されるべきである。アメリカにおいても、大陸ハイウェーをやめて、大陸高速度鉄道の建設に踏み切っておるという事態を考えて、私はいまのように、国鉄総裁だけで答弁できる問題じゃありません。これはほんとうに政府が国有鉄道に関しては御答弁を申し上げなきゃならない、こういうことでございまして、そういう意味では、あなたはもうとにかく国鉄の先輩であり専門家ですから、そのことはもう私の言うことそのままあなたの口からお聞きできると、こう私は理解しております。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 独算制を押し通すものではないというふうにいまおっしゃいましたね。しかし、実際に新幹線を独立採算でなくてやっていくということになるとたいへんな金がかかるわけです。そこで、いま総理は、独算制は押し通すべきではないというふうにおっしゃったけれども、では今後の国鉄の運営についてもそのように大蔵大臣としてお考えになるのかどうか、その点はどうですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 総理は、原則的な総理のお考えをお考えになっているので、私もその原則的な考え方はそうだろうと思います。つまり、国鉄新幹線をつくる、これは私自身としてもそれはぜひそういたすべきものだと、そういうふうに考えております。  ただ、私が夏ごろの閣議でありますとかいろんな場で申し上げていることは、新幹線計画もあると、私はこれは賛成だと、賛成だが、いま物価問題という問題がある、この処理が最大の問題だと、その点に十分配慮をしてやってもらいたいんだということを申し上げてきておったわけなんです。十分配慮をしてそういうふうにいたしますということになっておりますが、その財政上の負担をどうするか、これはその時点における国民生活の状態なんかを考えまして、利用者に負担をさせるがいいか、あるいは一般国民の租税負担にこれを求めるがいいか、そういう時々のいろんな環境のあり方、そういうものをよく見てそして判断すベき問題であると、こういうふうに考えております。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 物価問題が最大の問題であるというふうに言われました。そのとおりだと思うんですよ。そこで私が、田中総理の大ぶろしきに対して心配をするわけですよ。気前のいいことをおっしゃるけれども、日本国中に新幹線を建設するということになりますと、その金はたいへんなものになると思うんですね。それだけの金をどうやって捻出するのか、それが現在のこのインフレ状態にさらに拍車をかけるという心配はないのかどうかということなんです。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(田中角榮君) いま大蔵大臣が述べましたとおり、鉄道も道路もそうでありますが、これは港湾計画もそうでありますが、当面する問題と、中期的な見通しの問題と、長期的な見通しというものに、三つに明確に分けて考えなければいかぬ。いまの現象だけにとらわれて、わが子、わが孫の時代に何にもなさなかったとしたならば、いまよりも過密であり、いまよりも公害がたいへんであり、いまよりも生命に危険であるというような日本を残すなら、われわれの責任を果たしたゆえんではありません。果たすことになりません。ですから、明治の人たちがいまよりも何百分の一というような国民所得のときに、年間千キロずついまの三六の鉄道を建設したじゃありませんか。それがちゃんと今日の日本を築いておるということを考えれば、鉄道がいいのか、道路がいいのか、海運がいいのかということは考えざるを得ません。ですから、鉄道に対する国の負担というものを厳密に推し進めていきますと、五〇%負担をしなさいということになるかもしれませんよ。私はそう思う。なぜかといったら、東京や大阪の地下鉄は赤字ですよ、建設費の二分の一は現実問題として国が補てんしているんですから。それだけじゃなく、地方公共団体が経営しておる交通機関の赤字もたな上げをして、一般会計で補てんするという法律ができたじゃありませんか。ですから、この狭い日本に一億二千万人に人がふえて、現在百十五兆円の国民総生産が二%、三%、五%、七%になるかわかりませんよ、いずれにしても、人がふえるだけは国民総生産はふえるんですよ。そうすれば貨物もふえますよ。とにかく国民の行き来も激しいんです。いま少なくとも小学生の修学旅行が全部新幹線じゃありませんか。そういう国民的要請にこたえるようなやっぱり輸送機関を整備するというのはそれは国の責任なんです。そういう意味で、道路が一体いいのか——道路がいまは十九兆五千億でありますが、これがこのまま引き伸ばしていくと、六十兆円計画、九十兆円計画になるわけです、引き伸ばしていけば。コンピューターは明確に数字を出しているわけです。車は四千百万台、五千万台にできないからこれを三千万台に押えるとしたならば、鉄道でもって幾らまかなうかということをきめないで、だから、いまのインフレ論と十二年後の六十年の展望をごっちゃにして考えておるんでは、それはもう日本の政治をあずかっておる政府としてはそんなことは考えられません。ですから、福田大蔵大臣も言ったように、長期計画は必要です。十分検討しますと。ただ、その施行年次に対しては、いま、全面的にストップする案もあります。初年度で横ばいでいいという場合もあります。二〇%削減するほうがいいと、こういうことでございますので、現時点においては押えるものは総需要の抑制で、必要であっても押えざるを得ません。十二年間の中におけるものでございますから、そういう問題としては慎重に配慮をしながらまいりますと。そうでなかったら、北海道に新幹線をつくってくれないというならけっこうですと。北海道の五百二十万人は一年に二十万人ずつ減って東京に出ますよ、という場合には、新幹線の赤字の何十倍も社会保障費がふえるというのはコンピューターで明らかに数字が出ておるわけでございますから、そういう広範な立場で鉄道も検討せざるを得ないということはもう言うまでもないことだと思うんです。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 私は北海道や九州に新幹線は必要ないと言っているわけじゃない。これは、遠い将来において——遠い将来と言っちゃ語弊があるかもしらぬけれども、これは許されるならば、北海道でも九州でも新幹線が建設されたほうがいいだろうとは、それは思いますよ。しかし、いま当面している問題は、この現在のインフレをどうするかということなんです。インフレということばが気に入らなかったら——日本語て言うと長いから私はインフレと言っているんだけれども、いまの状態は異常な状態であるということでしょう。それに対して、一体どうしたらいいかということが一番政府として考えなきゃならぬことでしょう。それをやるためには、先々、十年、二十年先の新幹線計画なんということを考えるよりも、当面の問題をどうするかということをやっぱり優先すべきじゃないんですか。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(田中角榮君) ですから、当面は総需要抑制で、国民生活に絶対必要なものに順位をつけて、そして、十二年間にやるものなら一年間分はストップしていいじゃないか、二年間分ストップしてもいいじゃないかというように取捨選択をいたしますと。どんなに金がかかる——東京の地下鉄はキロ当たり七十五億円から百億円かかっております。しかし、これをとめるわけにいかないでしょう。こういう国民的に絶対に必要なものはやらなきゃいけません。しかし、どうしてもこれを——駅舎をつくるということになれば何キロ分もかかるわけですから、駅舎がなくったってバスやタクシーはちゃんと運行しているわけですから、そういう意味で、駅舎などに対しては全部これを延ばすとか、不要不急とは言わなくても、いま、ビルを大きくつくるものは全部これをとめるとか、そういうことの総需要の抑制の中で、公共事業も例外ではありませんので、特に長期計画——昭和六十年までかかる四国三橋——本四架橋の問題に対しては、来年は鉄材わずか三万トンといいますけれども、これは国民に対する影響もありますし、総需要抑制という基本的な姿勢もありますし、それだけではなく、まだ、水利権の問題とか漁業補償の問題、片づけておらぬ問題もあるんですから、そういうものは十分片づけてから進めても問題はないと。ところが、いま、洪水が絶対起こるというものとか、災害でがけくずれがあったところは当然やらなきゃならぬことは、これは言うまでもないことでございます。まず、政府と地方公共団体が姿勢を正して、いずれにしても、総需要抑制に対してはお互いに協力し合いながらやりましょうと。そして、民間にも、設備投資は厳に抑制しましょうと。これは抑制できるんです。選別融資をびっしりやれば、やろうとしてもできなくなるわけでございますから、これはできます。いずれにしてもできます。あとは民間でございますから、民間は、住宅が少ないときに住宅を削減するというわけにはまいりませんから、住宅には民間の希望に応じて投資をしても、その投資が伸びればその分だけは国や地方公共団体の施行する公共事業面でもって抑制をしてバランスをとるも、こう考えておるのであって、あなたの言われておることと違いはないんです。ただ、あしたがあるんです。夢も希望もなくなっちゃ政治にならないんです。少なくとも将来はどうしますと言わなけりゃ。道路は幾らでもできるということになれば車は幾らでも増車されます。(発言する者あり)そうじゃありません。そんなこと間違っています。それは、車というものはある時期において制限を受けますということになれば、車に代用する輸送線は鉄道で確保しますということを政府が言わずして政治の責任は持てますか。そんなことは持てません。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 関連。  総理の答弁を聞いておると、本質から逸脱しておると思います。そこで、私お伺いしたいことは、総理は、本年の三月三十一日、この委員会で、私の質問に、土地や物価の値上がり等経済の異常事態に対する政府の政治責任に関するものでありましたが、その私の質問に対して、重要な答弁をされておりますので、この際関連で質問させていただきます。その際の速記録を読ましていただきます。  「日本では経済問題で政治責任が問われるようなケースは過去にほとんどありません。大体国際問題とかスキャンダルとか、そういうことが問題になる。しかし、今日のように、インフレ、投機、買い占め等のような異常事態が長期にわたって続いた場合」、この場合、「先日当委員会で、土地の値下がりが一、二年中に実現できなければいつでも責任とります」——これは瀬谷議員に答えたことです——「責任とりますと言われたが、私はそういう一つ一つのケースはここで申しません」と。ただ、いまのようなこういう事態が「長期にわたって続いて、それを抑止することができないような場合には、みずから責任をとるような、そういうルールが確立すべきではないかと思う。そうでないと、これは何か個人のスキャンダルを掘って、そういうことで、さあどうだどうだとかいうようなことを言って責ある以外に、経済のことなんか、動くものだから物価の上がるのはあたりまえじゃないかと、こういう論理でいけば、いつまでたっても」政府の「政治責任というものは明確にならぬ。ですから、そういう意味で私は、この際のけじめというものをひとつはっきりする意味で総理の御見解を承っておきたい」、こういう質問をしたのです。  それに対して総理大臣の答弁。「非常に適切な御指摘だと思います。過去の政治責任というものは、外交問題とかスキャンダルとか、その種のものに限られておって、経済問題でもって政治責任が追及されると、これはきめ手がないということで追及されなかったと思います。しかし、いま御指摘のように、相当な経済的な事態が惹起した場合政治が責任を負わなければならない」、こう答えております。ですから、この場合には明確に——私は田中総理個人のことを言っておるのじゃないですよ。そういう政治責任、経済においても政治責任を負うべきである、それが適切な御指摘だから今後そうしますと、総理は明確に答えておられる。この質疑からちょうど九ヵ月たっております。まだ一年にはなっておりません。なっておりませんが、このいまの総理の答弁の中にありましたように、いま御指摘のような相当な経済事態が惹起した場合政治が責任を負わなければならない、これはもうこれからは当然そういうことだと、こうあります。こういう答弁ですから、このいまの憂慮すべき事態に、衆議院で答弁された憂慮すべき事態というのは、これは、相当な経済状態が生じた場合には責任をとると言われた、その相当な経済状態以上のものではないでしょうか、憂慮すべき経済状態という意味。総理のこの際明確な御答弁をお伺いします。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(田中角榮君) 物価は憂慮すべき状態にございますので、これが抑制措置に対して遺憾なき処置をとるべく全力を傾けてまいりたい、こう政府の基本的姿勢を述べております。あなたの御質問に対してお答えをした政治の基本的姿勢に対しては全く変わっておりません。また、以後もこれからこれを守っていかなければならないというきびしい考え方を持っております。いまこのような事態に対処して、私を含めた政府が行なわなければならない責めは、この物価問題に対処して適切な施策を適時適切に行ない、国民の不安を除去し、ノーマルな状態を確保していくことが政治責任を果たすゆえんであると、こう考えて日夜本件と取り組んでおるわけでございますので、御理解を得たいと、こう考えます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 さきに、円がフロートに移った場合、円の再切り上げといわれる状態が起こった場合、総理は私に、やはりこの席で、重大な政治責任が生ずると言われましたが、私はあえて追及しなかった。なぜなら、それはあらかじめ円のフロートをいつ幾日からやりますなんて言えるものではありませんから、私は、総理が重大な政治責任を生ずると答えられたけれども、あえて問わなかった。その次に、昨年は、列島改造論は撤回すべきだと言われましたが、総理は、撤回はできないがいつでも修正に応ずると言われましたが、その後衆議院では言を左右にして、この修正問題には——今度の国会は別ですよ、さきの国会ではこれを否定されておったと。しかし私、今度の場合は、しかしこれは相当な経済問題が惹起した場合は政治が責任を負わなければならないと明確に答えておるのが、いまは相当な経済状態です。憂慮すべき経済状態というのは相当な経済状態以上のものです。  そこで、私がここで特に申し上げたいことは、そうであるなら、総理はできるだけの努力をすると言われた。しかし、総理が政治責任を生ずるとこの経済問題で答えられたのは、今後努力するということではありません。ここにおられるどなたも……。そういう場合には相当な政治責任を負うと、こう言われたわけです。努力をすることによって責任をカバーするという意味ではないんです。ですから私は、しからば、もしそうであるならば、無制限に、経済がどうなろうと無制限に続くならば、経済が重要な状態に達した場合には政治責任を負うということには一定の限界があるはずだと思うのです。では、衆議院で言われましたように、衆議院では、来年の上半期、一応上半期でこの物価は鎮静するだろうと言われておった。そういう一応のめどを置かれますか。そうでなければ、総理みずからが、経済問題ではきめ手がないから政治責任を負うということはなかなか困難だと、追及することが。しかし、今後は政治責任を負いますよと明確に答えられておるでしょう。そうであるならば、来年の上半期に経済状態が、今日の重要な経済事態を脱却できない場合には、それが総理の言う政治責任を負う限界に私はなると思う。いかがでありますか、これは明確にひとつお答えをいただきたい。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(田中角榮君) まあ、来年の上期には収束をせしめたいという考えを持っております。持っておりますが、御質問自体が、何ヵ月で一体今日の状態がとどまりますかというときに、二、三年もかかりますなどということを言って一体いいわけはありません。発言が国民にいかなる影響を持つかということは、これはもう大先輩よく御存じのとおりでございます。ですから、私たちが発言に対して注意をしなければならないということの内容に対しては御理解をいただけると思います。しかし、私が、いままでのような、何かなければ政治責任を負わないというようなことではなく、政治責任を負いますと、こういうようなき然たる態度を示すことは民主政治としては必要であるということに対して、けじめをつけて御返答を申し上げたわけでございます。しかし、そこにはおのずから、責任を果たさなければならないということに対しては、これも責任をとるということが、投げ出したりほうり出すことが責任をとることだとは考えておりません。ですから、そういう意味で、私は全精力を傾けてこの難局に対処をしておると、こういうことでございます。ですから、外交的にやはりやりますが、しかし石油は全部、一滴も日本には一年間これを行なわないという事態が起きた場合には、それはもっとひどい状態になることは、これはもう申し上げるまでもないことでございます。しかし、国内政策というものの採用については、実行に対しては全力を傾けて努力をいたしますということで御理解をいただきたい。しかし、私は、こういうような異常な事態がこの後半年間も続くこと自体もたいへんなことだということを前提にして、いま緊急二法案の審議もお願いをしておるのでございますから、私が当然責任を負わなければならないという事態が来れば、皆さまに御指示を受けなくとも、みずから身を処することは、二十五年の永年勤続の表彰を受けておるのでございますから、出処進退を明らかにいたします。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 もう一問だけ。  ある特定の何ヵ月という期限を切るわけにはいかぬと言われたが、それはそのとおりだと思います。私も六ヵ月たったら責任をとれと、そういうことを言っているわけじゃない。やはり常識的に見て、もう相当な期間、やはりこういう状態が、今日のようなインフレ状態が続いて、国民の生活が少しも改善できないというような事態が続いた場合には、これはわれわれの追及がなくとも、総理みずからが——私は前に申し上げたように、総理個人のことを言っておるのじゃないですよ、そういう責任政治のルールが経済の分野においても確立されるべきであると。そうでなかったら、個人のスキャンダルかなにか掘る以外には責任の追及の道がなくなるわけです。ですから、そのルールを明確にする意味で、総理がやはり適当な時期に、物価が安定できず、こういう状態が続く場合には、みずから責任をお感じになるものと私は理解しておるが、それでよろしゅうございますか。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(田中角榮君) 民主政治のルールは、まさに御指摘のとおりであります。また、そんなことでもって、まだまだその判断をしないなどと言っておれば、国民から手きびしい判断を受けて追放されるわけでございますから、その程度の認識はあります。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 関連。  ちょっとタイミングがどうかと思っておったんですが、いま羽生委員からも関連質問がございましたので、私も総理に率直な私の気持ち、これはおそらく国民の気持ちだと思います、お伺いしたいことがあります。  それは、いま日本経済が異常なインフレ、そして物価高、こういう経済が最悪の事態に立ち至ったその原因が一体どこにあるかということを国民はよく知りたいんです。あなたは、みずからの責任ということに対してはっきりものを言っておられない。要するに、外国の品物が非常に高くなって——原料がですね、いわゆる外圧的な問題とか、あるいは国民が物を買い過ぎたとか、こういうふうなところに責任を転嫁をして、最高責任者としての田中総理大臣の責任というものがどうも明確になってないところに、非常に国民はあなたに対して不信を持ってるんですよ。だから、ベストを尽くしてやられたことは——だれだってこれは一生懸命日本の国をよくしようと思ってやってるんですから、あなたもそのつもりでやってくれると私は確信してます。しかし、現状、このような悪性インフレと異常な高物価を招いたということが、ただ単に外圧や、消費者は王さまだというような、そういうことでもっていままであおってきて、いまになって消費者に責任があるようなことを言われたんでは、これはもうやるせないというのが国民の気持ちだと思うんですよ。ですから、政治家として、自分がやったことに対して間違いがあれば、あるいはうまくいかなかった場合には、みずから責任をとって、そして新たな決意でこの不況を克服するということを国民に訴えるべきなんですよ。そういう点がどうも不明確だということを非常に私は不満に思うんです。きのうも私は山梨県へ行きまして多くの人に会ってみましたけれども、総理の衆参のいろいろなお答えを聞いておって非常に納得できないと、こうおっしゃってます。ですから、その辺をはっきりけじめをつけなけりゃいけない。それがすなわち、あなたに直ちにここで辞職せいというようなことを私は言うつもりはないんですけれども、そういう点はもう少し明確にしてほしいんです。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(田中角榮君) いま鈴木さん、たいへん御理解のある御発言でございましてありがとうございます。私もほんとうに友人としてありがたいと思っております。  ただ、ここで私の立場も言わしていただきたいのは、戦後非常に順調にまいりました。二十九年から三十九年まで一〇・四%、三十五年から四十五年まで二・一%、世界に類例のないような状態でまいりましたけれども、まあ神さまってのはやっぱりそんな順調なところだけはいかないと思うんです。そこにアメリカのドルの切り下げということがありました。ところが、日本は対米貿易というものは直接三〇%、それから間接貿易を入れれば四〇%にもなるわけです。これが三〇%も切り下げられて、このまま対応していけるわけありません。これはもう日本の中小企業や零細企業は将棋倒しに一応なるはずでございます。そういう意味で、短い間にこの三〇%のドルの切り下げに対応できるような中小企業や零細企業、日本の産業構造を対応させなきゃならない。もう一つは、四十二億ドルも年間対米貿易にアンバランスができましたから、これを両三年間で解消するためには内需を振興せざるを得ません。そういう意味で、これではまだ不足だという御指摘もございましたが、税及び財政、金融に対して相当な処置をとったわけであります。その結果は成功だったと思います。中小企業がアメリカに対して対前年度三〇%ずつの輸出を維持できるようになったわけでございますから、メリットはあったんです。もう一つは、四十二億ドルというものがことしは十四、五億ドルに下がってしまう。三年間かかるであろうと言っておって、日米間の経済が混乱した場合は、日本は昭和四十五年まで逆戻りをすると言った学者も評論家もあります。にもかかわらず、そうもならないで、少なくとも十四、五億ドルの出超だけで済むようになりましたから、日米間の問題はなくなりました。  その反面に、国内に過剰流動性が起こったり、物価が上がる、上がるたびに賃金も大幅に上げなきゃいかぬというような状態になりましたから、今度はその意味において総需要の抑制と、もう一つは金融の引き締めをはかっていけば、選別融資を行なっていけば、国民の必要な生産をするところにはちゃんと金を出し、必要でないものを押えるということをやれば、この総需要は相当抑制されるわけであります。場合によっては成長率ゼロまで落とすことができます。そうすれば、あとに残るのは何かというと、海外物価要因と、それから年間六十兆円——ちょうどいまの百十五兆円のうち六十兆円あるんですから、このようなものと、もう一つは石油の問題なんです。この三つがこれからの物価のきめ手になるわけであります、五つあるうち二つ押えますから。財政によるものは押えるし、地方公共団体も協力して押えるし、民間の設備投資も押えるというんですから、あと残っているのはどういうことかと言えば、三つじゃありませんか。そうでしょう。そうすると、だから私はインフレという問題に対しても、百十五兆円のうち政府支出は二十一兆五千億であります。そういうものに対応して、民間の消費支出は五十九兆七千億、六十兆円でありますから、しかしこれに手をつけると言えば、これは所得政策にならざるを得ませんから、所得政策は国民的合意を得ておりません。やりません。ただし、金があるから買いだめ売り惜しみというようなことで、紙の二%しかないトイレットペーパーが三日間で全部売れてしまうと、こういうことになったら、それは物価を押えられません。そういう意味で、不正常な商行為や、国民の協力を得て、とにかく買いだめをしてもらわないようにと、政府もPRをいたします、これから毎日、こういう品物はあります、配給はいたします——これはもう徹底的にやります。中間段階にあれば、とにかく今度すべての人たちが、調査をして、警察及び税務署には通報しなければならない義務を課します。そうすれば、年間百億ドル以上もよけいに品物が入っておる日本において、いま国民が騒がなきゃならないような品不足であるはずはないんです。電力が削減されれば生産が落ちるだろう、そうすれば供給が落ちるだろうという、そういう先を見越しての買い急ぎということになるんですから、国民のとにかく協力を得なきゃならぬ。  しかし、これが、私がまあ一つの例を言うことは悪いかもしれませんが、この異常な状態がどこにもあるんですが、少なくとも主要工業十カ国の平均というものに日本は近づけなきゃいかぬ。それ以下にしたい。いままでは卸売り物価はみんな主要工業十カ国が三%平均であったものが日本が一・八%、十カ年平均だったから、国会でも卸売り物価の議論はなかったわけです。それが今度卸売り物価がぐんと上がれば消費者物価にすぐつながるということで御議論をいただいておるんですから、十カ国の平均数字ぐらいに押えればノーマルな状態になったと私は批判をしていただけると思うんです。それがならない、一年たっても二年たってもならない、そうして所得政策もあえて断行しなけりゃならないというときになれば政治責任が起こると私は思っているんです、自分で、腹の中で。それは国家のために必要であるならば政府は責任を負わなきゃなりませんし、それは責任ある政策をやらなきゃいけませんが、そのときになっても政治責任がないなどと強弁できるようなもので民主政治が育つものではないというぐらいな考えを持っています。  ですから、そういう考えで、日本の立場だけでもって、こう——いままで紙が少ないからといって新聞社は外紙を入れておりますが、ちょうど日本の紙が高くなったものよりも五〇%高いわけであります、外国はみな。ああ、じゃ日本は安いんだなということをいわれておりますが、しかし五〇%安く製造をして販売ができたものを外国並みに高くして、その上、なお上がるということになれば、政治責任が起こることは当然であります。私も経済閣僚として長いことその責めにあったわけでありますから、みずからの責任を回避しようという考えはごうまつもありません。そういう意味に対しては、私もいろいろな支出を考えながら、ノーマルな状態——ノーマルとは何ぞやということを自問自答しながら、しかも国民的な合意を得るような努力を続けておるというのが現状でございますので、政府の施策を御理解を得て、御協力を賜わりたい。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 これはちょっと、私はもう一つだけ簡単に……。  総理、あなたは問題をそらしちゃうんですよ。いまここであなたに政治責任をとれと、こう私が言っておるというように考えておられるんでしょう。それは政治責任をとってほしいですよ。ほしいですけれども、私そこまで言っていない。だから、いままでいろいろな外的な条件もあったことは、あなたがそこでるるおっしゃるようにわかっていますよ、私には。わかっておりますけれど、そういう中で日本が、この過熱する経済をどういうふうにして鎮静化していくかということについては、それは公定歩合も何回も上げ、それはそれなりの努力をされたでしょう。しかし、物価は安定するというその目標から見れば、残念ながら、あなたがことしの春までには物価を安定しようと、こうおっしゃっていたものが、今度は秋になった。秋になってもならなくなると、来年の三月だと、こうおっしゃる。それをいま羽生先生の質問に答えていると、二年も三年も先まで物価が安定しないということになると、どうなるんだと、要するに、早く安定するという見せかけみたいな一つの目標を示して、努力するんだというその考え方をあなたは言われているわけですよ。だけど、現実にいまの経済がここまで来たというのは事実でしょう。それには政府の施策がどっかに欠けておったところがあったんじゃないでしょうか。一生懸命やっても欠けておったところがあったんじゃないですか。それに対して、その努力が足りないことをわれわれは、国民としては、やっぱり率直にあなたが認むべきだと言うんですよ。反省するところは反省して、反省の中に前進があるんです、これは。そういう点を私は言っているんですから、あまり話をそらしちゃって、そうしてやられたんじゃこれは困るわけです。そういう点に一点しぼってひとつやってくれませんか。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(田中角榮君) 話はそらしてはおりません。私はこんな考えだけでもってやっぱり御答弁はできないんです。それは国民の支持と理解を得なきゃならぬのですから、それはあらゆる角度から国民の理解が得られるように発言しなきゃならぬ責任を有しておるんです。ただ、最後にあなたが一点しぼった、過去の政策が完ぺきであったとは考えておりません。いろんなそごもあったということを認めております。だから、先ほど瀬谷さんの御質問に対しても、私は反省して、反省すべきは反省いたしております、現状を把握して、将来に対して誤りのない施策を強力に進めます、こう述べているんですから、少しことばが多いかもしれませんが、言っていることの重点はひとつ十分御理解を賜わりたい。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 総理の答弁は、やはり弁明と、それから決意の表明という抽象的なことばが多過ぎたわけです。それから今度は具体的な問題になると、新幹線の問題なんかは将来構想をここへ出されたわけです。しかし、現実の問題は、たとえば三百八十円で灯油が買えるかという問題、それからプロパンガスの不足でもって個人タクシーが仕事にならぬといったような問題、こういう問題があるわけです。したがって、これらの問題を一体どうするか。これらの問題に対してどのように政府としては対処していくのか、自信があるのかということが、やはり一番さしあたっての問題だと思うんです。  そこで、今度は通産大臣にお伺いしたいけれども、話のついでだから通産大臣のほうから、灯油の問題あるいはプロパンガスの問題、これらの需給の計画等について国民を安心させるような施策というものがいま考えられているのかどうか、その点を端的にお伺いしたい。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 灯油につきましては、量的には確保されております。最近の報告によりますと、五百九十万キロリッター、昨年に比べて百二十万キロリッターぐらい貯油は多くなっております。でありますから、量的には心配は要りません。  値段の点でございますけれども、これも過般御報告申し上げましたが、三百八十円、店頭裸売りということで、一応指導価格として凍結したわけでございます。ただ、この価格を発表するときに、非常に早くやって、そうして思惑を防ごうという立場から、中央の全国諸団体とは連携し、協力を求め、承知してもらいまして発表いたしましたが、各府県の石油商組合そのほかには必ずしも全部徹底しないところがございました。最近全国の各県の小売り商とも十分了解ができまして、協力してもらうことになりました。それでこの指導価格を維持していくように努力しておるつもりでございます。  それからプロパンにつきましては、家庭用のプロパンを最も重視いたしまして、大体プロパンの半分は家庭用ということであります。したがいまして、これは最も重視いたしまして、まず第一に、価格を灯油と同じように安定させなきゃならぬというので、今週末を目途にいま作業を進めさしておるところであります。それから量的には、一部タクシー等で不足が起きましたけれども、これは部分的な流通の阻害ということがございました。そこで、それらは業者間におきましても相融通させ合いまして、これも解消しつつあるところであります。この問題は間もなく解消すると思っております。また、一部の都市ガスにおきましてガス欠の状態が部分的に出ましたけれども、これらもいずれも業者関係におきまして融通し合いまして、都市ガスについても住民の皆さんに御心配をかけないように努力しておるところでございます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 量的には問題がない、こういうふうに言われたけれども、価格ははたして守られているかどうか、政府の威令が行なわれているかどうかということが問題だと思うんです。ところが、実際には三百八十円で売られているかというと、必ずしもそういうふうにはわれわれ聞いていない。  それから先般私もマーケットに行って見てみましたら、ほんとうに砂糖も塩も、あるいはてんぷら油も粉も、そういうもののたなは何にもないわけです。そうして、在庫品は全部放出しましたから、あしたの朝来てくれというようなことを書いてある、こういうふうに日常生活の面では相当庶民を悩ましているという現実があるわけです。これは結局通貨に対する不信感があるということが原因だろうと思うのでありますが、通産大臣としては、それらのいろいろな品物について、これは通産大臣の所管の問題だけじゃありませんけれども、どのようにしてこれから数量を確保し、国民に安心をさせるという手だてを講ぜられるのか、その点をお伺いしたいと思います。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 現在の日本は、過般の戦争中と違いまして封鎖経済ではないのであります。石油だけがOPEC、中東戦争の影響を受けて削減されておるという状態でございますから、やはりこの市場機能、価格メカニズムというものをうまく生かしながらこの期間を乗り切っていこうという考えに立って、自由経済を若干調節しつつ、規制を加えながら、この時期に対処しようという基本方針で臨んでおります。それには一部において生産が縮小してくるというものもないとは言えません。石油の削減から当然起きてくる問題でございますから総需要をカットする、そういうことで民間設備投資あるいはそのほか民間消費、特にボーナスのお金の関係等についてもできるだけこれを抑制してもらいまして総需要を切る、それによって物資の需給関係とお金の関係とを見合うようにしつつ価格を維持していこうという基本方針をいま遂行中でございます。  通産省関係の民間設備投資についても、約二千億円から三千億円近い総需要カットをさらに一−三月に向かって加えるつもりでやっております。それで一般の民生物資は食料にいたしましても、野菜にいたしましても、魚にいたしましても、昨年と同じようにあるのでありまして、ただ石油関係のものが、トイレットペーパーその他について一部の思惑等によって一時的現象として不足のことが起きました。しかし、これらは思惑やその他でできておるものでございますから、われわれが手当てをすれば十分解消するものであり、すでにしたところでもあります。砂糖とか塩とかに起きるということは変な事態でありまして、そういうものは十分あるのでありますから、国民の皆さんも安心をして生活をしていただいてけっこうである。そうして石油の問題につきましては、いま御審議いただいておる二つの法案の通過を待ちまして有効な調整措置を逐次加えていく。石油の輸入量を見ますと、われわれは当初一六%程度削減という見込みでおりましたが、どうも下期二〇%程度にはなりそうであります。それに相応するだけの対策を二つの法案の通過を待ちまして調整措置を講じていこう、そういう考えで目下おるわけであります。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 安心していただいてけっこうだということなんですけれども、安心して行ってみたら物がなかったというんではちっともけっこうではないわけです。  昨日も埼玉県の武里団地でもってガスが時間供給制になるという話が出て、たいへんな問題になりました。これはさしあたってはまあだいじょうぶだということになったとしても、これから先来年もこのLP等については十分に心配をかけない、間違っても時間供給といったようなことにはしないということが確約できるのかどうか、その点をお伺いしたいと思うんです。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) LPGの需要の部門別を申し上げますと、家庭業務用が四六%、工業用が一八%、都市ガス用は四%です。あと自動車用が一六%、化学原料用が一三%、大口特殊用が二%、輸出が一%、こういう関係になりまして、都市ガス用というのは四%で、量から見たらそれほど大きなものではございません。この程度のものはわれわれがほかのものを融通しても間に合わせるようにして、御心配かけないようにしていきたいと思っております。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 そこで、もう一度今度は総理に申し上げたいけれども、現在のこの異常な物価高、これは憂慮すべき状態であるということはもう繰り返し聞いております。しかし、これはたとえてみればデパートの火災とちょっと似ていると思うんですよ。一般のお客には責任がないわけです。しかし、インフレという火の手が上がって、物価高という煙にいま巻き込まれそうになっている、こういう場合にデパートとすれば一体何をなすべきかということを考えれば、まず火を消すことと、それからお客を安全に避難をさせることであるということになると思うんですね。したがって、現在のこのインフレの問題でも、国民大衆には、たとえ行列して物を買ってみても、それは通貨に対する不信感、不安感があるからそういうことになるんであって、消費者には責任がないわけです。したがって、消費者に安心をさせるためには、政府としてどうやってその消費物資を供給をするか、さらに物価を安定をさせるかということに留意しなければならぬと思うわけです。総理のお話のように、日本列島改造論でもって将来も新幹線は必要だと、北海道にも九州にもといったような話でもって、その遠い将来の話をしている時期じゃない。いままさに足元から火の手が上がっているという状態なんですから、そんな将来構想よりも当面の問題を片づけると。物価の問題についていままでの御答弁だと、年内には鎮静をするという話があった。年内といったってあと何日もない。鎮静しそうもないわけです。だから、そこでこれから先どういう点に政府としては重点を置いて物価を抑制をするのか、これ以上上げないようにするのかということを、具体的に政策として明らかにしていただくことが必要じゃないかと思うんですがね。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(田中角榮君) まず、総需要は抑制をいたします。それから仮需要も抑制をいたしていきます。仮需要の抑制、総需要の抑制、両方につながるものは金融でございますから、金融はノーマルな状態にいたしたいと思います。昭和四十六年には十四兆円であったものが、昭和四十七年度一ぱいには十八兆二千五百四十三億円の貸し出しが行なわれておるわけでございますから、四兆何千億という金がよけい出ているわけであります。それが対前年度比一七%というのが二七%という日銀券の発行に連なっておるわけでございますから、これは引き締めなきゃならぬということは当然でございます。それから四十八年度はこれが二十兆円をこすわけでございますから、依然として金融は緩和傾向にあるということは事実でございます。金繰りには苦しくとも、少なくとも抱いたものを吐き出して換金をするというところまでいってないということは数字が明らかでございますから、これは引き締めてまいります。  そうすると、あとは何かというと、今度まあ、この一四・八%の内訳を見ますと、衣料が一八・七%、教養娯楽が一一%、外食が一〇・三%、その他というのは菓子とか——電気とかガス代とか保険料はマイナスになっておるのに、菓子とか家屋の修繕とか文房具とか教育費とかというのが約二〇%あるわけでございます。これを合わせると六〇%をこしているわけでございます。だからこういうものに対して、衣料の値上がりというのは何かというと、まあ糸やなにかが高くなっておるということでございますが、とにかく消費者物価の抑制、特に消費者物価の中で国民生活に不可欠なものを抑制するということは、これはもう確実にやってまいりたいと、こう思います。それに対して、まあちり紙や洗剤のように、あるにもかかわらずないというようなことが起こらないように、これは原因究明をやっております。このちり紙に対しては、静岡で小さな工場が十四日間営業停止を受けたら、その瞬間から三日間で全国にこの情報が連なって、団地の主婦は総出動になったという事実でありますから、これはいまもう厳重に調査を縮めておりますから、だれがどういうことをしたのかということはもう確実にとらえられると思いますし、こういうものは排除してまいりたいし、このような事実は国民の前に明らかにしてまいろうと、こういう考えでございます。それから国民生活に必要な品物に対しては、どういうような状態であって、どういう在庫があって、流通経路にはどれだけあって、政府は確実にこれを供給いたしますと、必要ならば切符売りいたしますという程度のことは、これは国民に周知徹底をいたします。  それからもう一つは、国民総生産に対して一〇%余の輸出力があるわけでございます。ですから、輸出を禁止するというような準拠法がありませんからでございますが、これは輸出を一〇%、いわゆる国民総生産の一〇%余の輸出のうちの一〇%を内需に向けるとすれば、これはもう楽に国民の必需品は確保できるわけでございます。戦前のイメージがございますが、国民総生産の六、七〇%のウエートが軍需品であったという時代とは全く違うわけでございます。日本の製品が外国に出過ぎて困るということでございました。だから、それを内需に転換をさせようと、内需に転換させ過ぎて需要が、喚起ではなく、需要が多くなり過ぎたというところもございますので、これらは数字、品目別、具体的に、まあ二、三十品目だと思いますから、こういうものは政府が国民に周知徹底する告知を行なうということによってこれらの問題は十分排除してまいれると、これはもう適切なものをやります。それには、ほかには全部、日本のかつての総動員法と同じようなものが、アメリカにもあるんです。ありますから物価と賃金の凍結もできるわけでありますし、輸出の一割ストップもできるわけでございますが、今度ヨーロッパを回ってみて日本だけであります、そういうものは何もないんです。そういうような根拠法がないんで、政府はなぜやらぬなぜやらぬといっても、政府が調整する権限は行政指導とお願いをするだけしかないのであって、今度の二法案ではある意味の調整が可能であるということをお願いしているわけでございますから、この法律を一日もいっときも早く通していただければ、政府は行政指導とかお願いとかということではなく、政府の責任で相当国民の生活必需物資の確保をはかってまいるということで物価の抑制に寄与してまいりたいと、こう考えます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 総需要の抑制ということなんですけれども、総需要の抑制あるいは金融を締めていくといったような問題、これらの一連の政策について、日銀総裁が見えておりますので、日銀総裁にお伺いしたいと思うんでありますけれども、貸し出し金の発行あるいは日本銀行券の発行高、これらの点について、昨年と比べてどういうふうになっているのか、締まっているのかどうか、まあそういう点。それから日銀としてはどのような方針でもって現在のこのインフレに対処をしていくということをお考えになっているのか、その点をお伺いしたいと思います。

佐々木直日本銀行総裁

○参考人(佐々木直君) 日本銀行は、ことしの初めから金融引き締めを実行してまいりました。その前にも市中銀行の貸し出しにつきましてはいろいろ内部的な指導を始めておりましたけれども、政策としてはっきり引き締めを打ち出しましたのは、ことしの一月の預金準備率の引き上げ以降でございます。その引き締めが始まりましてから後の日本銀行の貸し出しは、総額としてはやや増加いたしておりますが、この貸し出しの中には二種類ございまして、一つは輸入資金貸しと申します、日本の輸入しました品物の決済資金というものを、その輸入額に応じて貸し付けるものでございます。したがって、これは、輸入額が増大いたしますと自然にふえるという性格を持っておりますが、それを除きましたものが一般の貸し出しでございまして、これは、ことしの初めから今日まで、十一月の末まで約千六百億円ほど減っております。これは、やはりわれわれが都市銀行を中心に貸し出し限度額というものを設けまして、それ以上貸さないという方策をとっておりますので、それによって頭が打たれているということをあらわしていると思います。したがって、今後もそういう一般貸し出しはもうあまり増加はいたさないことに相なっております。  それから銀行券のほうは、この間にやっぱり一兆五千億ぐらいふえておりまして、これは、全体の伸び率がことしの三月ぐらいから非常に高くなりまして、月の平均残高で比較いたしますと、前年同期に比べまして、ことしの三月から二七%増という高いレベルになりまして、それがことしの九月まで大体二七%台に続いておりまして、十月になりましてようやく二六%台、十一月もやはり二六%台になっておる、こういうことで、銀行券の発行高はいまでもなかなか水準が高いのでございます。これは結局、日本銀行券が使われますのは個人所得、個人消費が中心でございます。したがって、大幅なベースアップがあり、それによって国民の総消費がふえるということになりますと、どうしても日本銀行券の発行高というものはふえる。したがいまして、これは、総体の総需要抑制策が効果を発揮して初めて銀行券の伸びは落ちついてくるものでございまして、総体の政策というものが非常に必要であります。いまの金融の情勢は、量的には非常に強い引き締めが現実に出ておりまして、大体われわれの戦後数回やってまいりました引き締め政策の経験から見ますと、いまの量的な引き締めというものはぎりぎり一ぱいにほとんど近いところまできているような感じがいたします。しかしながら、さっきからお話がありますように、総需要抑制ということがいま一番大事なことでございますので、こういう引き締めは引き続き堅持してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 総需要の抑制、総体的な抑制策ということになりますと、具体的にはどういうことが望ましいというふうにお考えになっておるのか、それから、公定歩合等についてもいろいろ取りざたされておりますけれども、これはどのようにお考えになっておるのか、その点もお伺いしたいと思います。

佐々木直日本銀行総裁

○参考人(佐々木直君) 総需要の抑制の中で、金融が直接影響を及ぼし得るのは企業の投資でございます。企業の投資には、設備投資と在庫投資と両方ございます。これが大体総需要の二割見当になろうかと思いますが、その分につきましては、直接的な効果が金融の引き締めによって及ぼし得るわけでございます。設備投資のほうは、いまのところ、昨年に比べて相当ふえる見込みでございます。大規模な設備投資はいまのところあまり新しいものは見られませんけれども、しかし、たとえば公害を防ぐための投資でありますとか、あるいは中小企業の省力のための——労力を省くための投資、こういうものは相当盛んでございます。ただしかし、いまのような石油不足の問題が起こりましたから、設備投資は今度は物の面から相当押えられてくる。それで、金の面からも押えられますが、両面で民間の投資は相当押える効果があると思います。それ以外の需要、たとえば個人の消費でございます。そういうものは、これはやはりわれわれからの行き方としては、貯蓄をできるだけすすめていくということで、貯蓄のためのいろいろな、これを助ける措置が今後さらにくふうをされていかなければならない、こう考えております。  財政需要につきましては、今度の新しい予算というものが、そういう点を十分考慮した上組まれるものと期待しております。  それから公定歩合の問題につきましては、私ども金融引き締めを強く維持していく考え方でございますが、いまいろいろ新聞紙上に出ております公定歩合引き上げの問題につきましては、当面考えておりません。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 設備投資の問題それから預金金利の問題等も、いま御発言がありましたけれども、預金金利の引き上げ等については、衆議院の予算委員会では考えていないということでございましたけれども、いまの日銀総裁の答弁ではこれはどういうふうに受け取られるのか、これは大蔵大臣のほうからお伺いしたいと思うのですけれども、いまの日銀総裁のいろいろな見解をそのまま受け取るならば、預金金利も考えなければならぬのじゃないか、それから民間の設備投資等についても相当規制をしていかなければならぬのじゃないかというふうに考えられるわけです。ところが、今日までの、特に昨年の補正予算から今年の予算について、民間の設備投資はかなりふえているわけです。それらのことが、このインフレのかなりの要因になっているということも認めなければならないと思うのでありますが、今後の問題としては、そうすると逆の方向に行かなければならないと思うのですけれども、その点はどうですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 先ほども申し上げましたが、設備投資がことしは非常に活発になった、それが物価押し上げの一つの要因であったということは、私はそのとおりだと思います。  これからはどうかと、こういうことにつきましては、きのうも私は実は経団連の首脳と会ったのです。空気としては、新規設備投資はもう一切しないようにしよう、こういうくらいの決意でございます。ですから、これは非常に鎮静化してくる、こういうふうに見ておりますが、金融政策の面でどういうふうにするか、量的にはかなりもう詰まってきておるのです。質的に、つまり選別的にどうするか、この問題が残された問題だと。いま不動産融資それから商社融資、これは選別して厳重に規制しておるのです。その他につきまして適当な方法があればぜひしてみたいと、そういうふうに考えております。  それから預金金利の問題は、これは金利体系全体に関係しますので、簡単な結論は出ない。しかし、私の検討事項として頭の中にある、こういうくらいなところで御了承願いたいと、かように存じます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 結局、今日の物価高を招いた要因というものをいろいろ考えてみると、対外的な要因のほかに政策的なものも非常に多くあったわけです。だから、それらの点を考えてみると、反省すべきところは反省してもらわなければならぬと思うのです。さらに、石油の問題とはかかわりなく、物価を押し上げる一番大きなきっかけになったのは土地の問題だろうと思う。総理が答弁をされている中で、日本列島改造論はこれは物価の上昇とは関係がないようなことを言われたけれども、実際は、この日本列島改造論によって土地の上昇が拍車をかけられたということは否定できないのじゃないかと思います。したがって、土地価格のこの一年間の値上がりの状況、これはどういうものであるか、この原因をどのように把握をしておるか。これらの点については、建設大臣からお伺いをしたいと思うのです。

亀岡高夫自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(亀岡高夫君) お答えいたします。  土地の価格の上昇につきましては、政府といたしましても今日まで各種の手段を講じてきたわけでございます。先般の国会におきましても、税制面で法人に対する土地譲渡に対する特別措置、さらに土地保有税の創設等をやり、さらに、ただいまも総理並びに日銀総裁からも御答弁のありましたとおり、金融面においても、土地に対する金融については非常にきびしくこれを断行をいたしたわけでございます。そして、今日におきましては、土地の面においては、上昇の率が実は鈍化の傾向にあることはもう瀬谷委員も御承知のとおりでございます。  そこで、私考えますのに、ここで思い切った土地政策をこの上に積み上げていけば、具体的に申し上げますならば、ことしの三月、国会に提案いたしてあります国総法、これが成立ができまして、異常な土地値上がりをするような地域に対して特別規制措置を強力に実行していけるような体制をとることによって、土地問題については、従来にない効果をあげることができるものと確信をいたしておりまして、それにつきましても、やはり強力なる特別規制地域、これを具体的に大都市にかぶせた場合にはどういう情勢になるかと申しますならば、部分凍結。たとえば江東地区、さらには東京湾の湾岸道路で、将来、橋をかけるということを見越して土地を買っておる法人も実は現実にあるわけであります。そういうところを規制地域に指定をいたしますならば、その土地を所有しておる諸君は、これを売買する際には許可制ということになるわけでありまして、東京都知事の許可を要するということになりまして、これは事実上の凍結というところにまで持っていけるものと、こう考えておる次第でございまして、従来政府がとってまいりました施策が漸次効果をあげてきておるところへ、さらにこれを追い打ちをかければ、土地問題は、従来にない成果をあげることができるんじゃないかという希望を持っておる次第でございます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 非常に楽観的なことを言われましたけれども、この一年間の土地価格の上昇、これを数字的にわかっておりましたならば発表していただきたいと思うんですが。

亀岡高夫自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(亀岡高夫君) 具体的に記憶も私、十分じゃございませんので、事務当局をして数字を御答弁させます。

大塩洋一郎建設省計画局長

○政府委員(大塩洋一郎君) 最近一年間の動向でございますが、昭和四十七年の三月から四十八年三月までの全国の市街地の価格の上昇につきましては、全国で二五・一%、六大都市で三一・七%でございました。  公示価格の上昇につきましては、四十七年一月から四十八年一月までの一年間の上昇率は、平均いたしまして三〇・九%、なお、東京圏につきましては三四%の上昇になっております。  自後の調査はまだ出ておりません。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 埼玉県の調査によりますと、地方税法の一部改正に基づく税額の計算表なんでありますけれども、昭和三十八年度三・三平方メートル当たりの評価額が五百円だったのが、三十九年度が二千五百円になり、四十五年度は九千円になり、四十八年度は二万五千円になっております。つまり、十年間で五十倍になっているわけです。特にこの一年間の値上がり、いま聞いただけでも三〇%というたいへんな値上がりです。これは楽観的なことを言っておられる場合じゃないと思うんです。  国総法でもって、この土地の地価の凍結ができるかのようなことを言われましたけれども、なぜ国総法を引き合いに出さなければ地価の凍結ができないのか、それ以前にやるべきことではなかったのかというふうに考えますが、その点はどうでしょうか。

亀岡高夫自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(亀岡高夫君) 地価の上昇につきましては、私も建設大臣に就任いたしまして、この事態を放置することは、これはもう絶対にいかぬ。何といっても、土地によって、そのままにしておいてこれで暴利をむさぼるというようなことが許されてはならない。  しかし、一面、これは憲法に示すところの個人の財産でもあるわけでございます。御承知のように、土地収用法並びに公共用地の取得に関する特別措置法というような法律をつくる際におきましても、やはり個人の財産というものは十分に尊重されなければならないという憲法の精神と、ただいま申し上げた、個人で土地をそのままにして付加価値もつけずに暴利をむさぼるというようなことは許されない、この二者の間をどう調整をとっていくかということが土地の問題を解決する基本であると、こういう立場を私はとりたいと思うわけでございます。したがいまして、ただいま国総法でなくても直接地価凍結をやれるじゃないかとおっしゃる論は、私はいただきかねるわけであります。  これは非常に技術的にむずかしい面が存在してくるわけであります。たとえば、いま地価公示にいたしましても、一万五千点しか全国で調査が行き届いておりませんし、御承知のように、固定資産税の評価額というのは六千万筆いずれもみんな条件が違ってきておるわけでございますので、こういう国民の大事な財産を凍結する際に、国民にどのようにして納得してもらう基準をつくれるかということになりますと、これは非常に不可能であると、こういうふうに考えざるを得ないわけであります。したがいまして、先ほど来申し上げてまいりましたとおり、私どもといたしましては、国総法に基づいて、そうしてこれによって特別規制をやることによって結果的に土地の価格の凍結を期待できるという措置が考え出されたわけでありまして、これを国会に御審議をいただいておると、こういう立場でございます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 地価の暴騰というのは、これは口で言うようななまやさしい問題ではないと思うのですよ。これは住宅事情を非常に悪くしております。  じゃ、住宅を求めようとすれば、一体どのくらい金を出さなければならないのかということのひとつ具体例をお示ししたいと思うのですけれどもね。これは(資料を示す)新聞に入っていた一つの広告ですけれども、分譲住宅の広告が出ております。この内容は、これはこういう写真にあるような家なんだけれども、価格のほうは四千三百六十八万円から四千四百九十七万円ですよ。ざっと四千五百万円。これはたいへんな値段ですね、一戸の住宅の価格としては。こういう住宅が、じゃ、だれにでも手軽に購入できるかという問題があります。  そこで、大蔵大臣にお伺いしたいけれども、公務員の場合、平均賃金がいま幾らで、三十年ほど勤続して退職した場合の退職金が幾らになるのか、その点、ちょっとお伺いしたいと思うのですよ。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 課長級でありますと、三十年勤続いたしまして大体千二百万円ぐらいの退職金でございます。  平均賃金につきましては、政府委員のほうからお答え申し上げます。

橋口收大蔵省主計局長

○政府委員(橋口收君) お答え申し上げます。  公務員の退職手当でございますが、本省課長クラスで、勤続三十年の職員では、平均で約千二百万円見当でございます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 それはいま大臣が答えたよ。

橋口收大蔵省主計局長

○政府委員(橋口收君) いま手元に資料がございませんので、調査の上お答え申し上げます。

小坂徳三郎自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(小坂徳三郎君) お答え申し上げます。  ただいまの三十年勤続の場合には、高校卒で平均が十五万二千四百円でございまして、大体三十年で退職した場合の退職金は九百万円前後になると思います。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 どっちにしても、三十年勤続しても九百万から千二百万ということでしょう。そうすると、退職金全部はたいたって、この広告にあるような家は一軒買えないということですよ。四分の一にしかならぬわけです。月賦で払うといったって、じゃ月々十万円ずつ払っていったって四十年近くかかるわけです。月収のほうをいま聞こうと思ったんだけれども、第一、十万円そこそこの月収じゃ月賦払ったら何にも残らなくなる。こういうことは、住宅対策として、これはまことに残念なことだと思わなきゃならぬと思う。これは公務員の場合、在職中は公務員住宅に入っていられるかもしれないが、じゃ退職したらどうなるかと。マイカーは持てるかもしれないけれども、マイハウスは持てないということになるわけじゃないですか。この点はどうなんですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) いま異常な土地の状態、それからまた異常な資材の状態から考えますと、まさに、御指摘になられたような問題は、非常にこれは深刻な問題だと思うんです。公務員のいま退職金千二百万円と、これは大体民間のほうとそう狂いはない。ですから民間にもそういう問題があると、こういうふうに見なきゃならぬ。私は、そういうことを考えますときに、この住宅問題というのは、これはまた、いま異常な物価高の問題がありまするけれども、それとは別に、サラリーマンの住宅への期待をどういうふうに満足させるか、これはもう非常に重大な問題だと、こういうふうに思うんです。やっぱりサラリーマンの一生の夢は何だと、とう言えば、これはもう、ささやかではあっても家を持ちたい、これが一念だと思う。この命がけの夢というものに対して期待を与えるということが、私はほんとうに政治のかなめでなけりゃならぬと、こういうふうに思うんです。それを妨げている問題は何だというと、私はもう地価の問題。そういう角度から地価問題というものに取り組まなきゃなりませんが、この地価の問題に政府が介入する、土地の問題に政府が介入するということは、これは一つは憲法上の問題があると思うんです。つまり全国一律に地価問題に手を入れると、土地の問題そのものにも手を入れるということになると、これは富士山のてっぺんまで、何でその必要があるのかというような議論になる。やっぱり憲法の認める限度というものは公共の福祉ということでなければならぬ。その公共の福祉という点から見ると、私は国土総合開発法、この観点からも、また許容される問題でもある、こういうふうに思うんです。  それからもう一つの問題は、住宅問題、これはもう国の当面している最大の社会問題であり政治問題である、これはまさに公共の福祉だと、こういうふうに私は考える。この住宅問題、つまり公共の福祉という側面からこれをとらえるときには、地価また土地そのものに対しまして、かなり国家が介入するということをして、あえて私は、憲法にこれが違反をするということはなかろうと、こういうふうに思うのであります。私は行政管理庁のときに、行政監理委員会といたしまして、行政管理庁長官たる私に答申をいたしたわけですが、まさにそういう考え方に立っての答申なんです。その答申の考え方は、やはりいろいろ問題はあるけれども、特に東京、大阪、名古屋というような大都市、これの住宅問題が緊急の問題である。そこにつきましては、既成市街地の高層化の問題もあります、また市街地内に点在する農地の住宅への転用の問題、いろいろありまするけれども、かなめは、この巨大都市における地価を凍結するということをやらなきゃならぬ、こういうことにあるわけでありまして、今回、大蔵大臣に転じましたけれども、その考え方は変わりません。いま建設大臣とこの考え方をどういうふうに具体化するか、いま鋭意建設省において検討中でありますが、成案ができましたら、ぜひこの国会に御提案を申し上げたい、かように考えております。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 地価の凍結ということを言われましたけれども、上がるだけ上がっちまってからそれを凍結したのでは、たとえばこの広告にあるように、四千五百万が相場になっちまったということでは、庶民には手が出ませんよ。この住宅だって、ここには「豪邸」と書いてありますけれどもね、面積はどのくらいかというと、地所は五十坪にしかすぎないわけです。ちっとも豪邸じゃないです。総理の屋敷に比べりゃ話にならぬわけです。こういう住宅問題が、やはり地価の問題と関係があるわけでしょう。したがって、この地価の問題については、これは国総法に一々こだわってないで、これはとっくにやるべきことじゃなかったかと私は思うのですよ。何で国総法に総理としてはこだわるのか、その点をお伺いしたい。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(田中角榮君) あまり観念的な議論ではなく、現実的な議論をしていただくとよくおわかりになるんですが、土地問題というのは非常にたいへんな問題であることは、これは申すまでもないことであります。国と国との間で土地を争えば戦争になるわけでございますし、それから社会主義と自由主義との境は土地の収用を認めるか認めないかでなるわけでございますから、土地というのは非常に大きな問題を持つ財産権である、だから憲法二十九条に明確に規定をしておるわけでございますが、しかし土地は、公共の用に供する場合には、法律をもってこれを収用することができるというふうになっています。ですから土地収用法があるんですが、土地収用法の審議の過程においても、野党の皆さんからも注意が出ておりますのは、これは公共という美名に隠れて憲法にいう私有財産権を侵してはならない。だから、この憲法の制定する私有財産権を侵さないで、そして公共の福祉のために土地を利用させるための調和点としての土地収用法は、狭義に解釈せざるを得ないということは言うまでもないことであります。  でありますから、東京国際空港の例をとってみましても、滑走路は収用できる、パイプラインを敷設をする本管の敷地は収用はできます。ただし、臨時に行なう仮設のパイプラインの敷地は話し合いによるべきであるということで、これは絶対にやれないわけであります。これは私はいやがらせで言うわけではありませんが、一坪地主という運動も、憲法の精神を守るという挙に出ていることは事実なんです。ですから、公共の福祉のために土地は提供されなければならないというが、少なくとも憲法の私有財産権というものは相当これを厳密に解釈せざるを得ません。そういう意味からいいまして、いま土地を凍結する方法はないわけであります。  これは外国にはあります。戦前の総動員法と同じ法律があるのですが、これは占領軍のメモによって廃止をされてきたわけでございます。戦前は総動員法のもとに価格等統制令があり、戦後はこれが物価統制令になったわけでありますが、本法と価格等統制令がなくなってしまったところに、物統令が非常に中途はんぱなものになっているという事実は歴史的に明らかでございます。  そういう意味で、住宅というものに対して凍結をしたり収用したりできるのかどうかということで非常にめんどうなわけであります。それで、議員立法で公営住宅法をつくったわけであります。でありますから、その土地を収用するといえども、これは現行価格で、時の時価で対価を支払わなければならないということに非常に厳密になっております。そういう意味で、いまの法体系の中では、公共用地という、しかもしぼられた明定をしたものでなければ収用の対象にもならないということで、そのために東京国際空港は二年も開港が延びているわけであります。  でありますから、そういう意味からいいまして、結局土地の凍結というのは準拠法がないというので、国総法を出したわけであります。で、あの国総法の中では、知事が特定地域に指定すれば三年間に限って地価は実質的に凍結するようになっています。これは移動は禁止しておるし、開発も禁止をしておりますし、最終的には知事に対してこれを売り渡すという買い取り請求権しか認めておらぬわけでございますから、そういう意味では、ある意味における地価凍結法であることは事実でございます。  私は国総法にこだわっているのじゃありません。中には、あれを規制部分と分離をしてはどうかというのですが、ちゃんと基本計画をきめて、公示をして、一定期間を過ぎてでなければ収用権が発動できないというのが法体系になっておりますから、国総法も例外たり得ないのです。ただむやみに指定をして凍結をするというわけにはいかないのです。ですから、基本計画を定め、そうすると地価が急騰するおそれのあるような場合、そこを特定地域に知事が指定すれば三年間凍結をすることができる、で官に売らなきゃいかぬということになっておりますから、あれは審議の過程において、東京都のようなところで、どうしても不良街区で、どうにも地震がきたらあぶないというようなところを特定街区に指定をして、しかし、その前には必ず憲法の精神でもって直ちに収用はできませんから、住宅ということで直ちにできませんから——これも住宅公団が収用できないのと同じことなんです、住宅公団といえども収用できないということですから。これはどうするかというと、ある年限を期して、三年間でもってこれをこういうふうにしなさいと、緑地を四〇%とって、道路は全部公共のために無料で拠出をして、こういうものをつくりなさい、そのためには低利長期の金を提供いたします、固定資産税は二十五年免税しますと——外国はみなやっているのですから。そうして三年以内にそれをやらなかった場合には、国総公団及び住宅公団が代執行を行なう——ちょうどハワイがやっているようなことをやっているわけです。  これを全部国や地方公共団体が買おうものなら、それは膨大もないものになりまして、いま六十年まで展望しても二十八万ヘクタール要るわけですから、九億坪要るわけですから、これもいまあなたの言うような三十万円、二十万円なんかで買えるわけがありません。坪三万円にしても三十兆円の金が出るんですから、それこそもうインフレを加速するということになりますし、中には交付公債でやればいいと言われるかもしれませんが、交付公債を受け取ってもらうには本人の承諾が必要です。これはもう交付公債で交付することができるという法律をつくれば別ですが、これは戦前の総動員法をつくるわけですから、とても国会でもってそういう審議が得られるはずはないわけであります。ですから、いまの状態においては、国総法というものをつくって計画をきめて、知事が公示をして、三年間だけは特定地域で指定できるということになっていますから、この間ちょうど衆議院でも話が出ましたが、とにかく湾岸道路ができれば上がると思って千葉県をうんと買っている人があるというから、それは国総法が通れば、そこをちゃんと指定すれば先高を見越した人は全部利益を徴収されるようになっておるわけでございます。  ですから、そういう意味で、国総法というのは、列島改造論という前提のもとであの国総法をお読みになっておりますが、野党の皆さんがいままでずっと御発言になっておったものをほとんど全部網羅しているわけでございます。でございまして、最終的にはあの規制部分だけを通したらどうかというのですが、それはいままでの土地収用法を無限大に拡大するという、全くそれはもう戦前の総動員法と同じ精神の条文ができてしまうのであって、それはとり得ないということで、法制局としてはよくのんでもらったというぐらいに拡大解釈の限度一ぱいをしたのが国総法であるというので、もう名前はどうでもいいんです。あの法律がとにかく通らない限りにおいては不当利得を排除したりできません。  それから、ここでもう一言だけ申し上げますと、六十年までの住宅は三千百万戸ばかり必要でございますが、国や地方公共団体がやるというのは千百五十万戸。私はそれをラウンド千万戸と言っているのですが、あなたがいま言っているようなものを対象にしてできるわけがないんです。ですから、いま市街化区域内における農地が二十八万八千ヘクタールありますから、これが全部宅地に転換できれば十二年分が一挙に供給されるわけです。そんなに人が集まろうものなら、それこそ公害も交通ふくそうもどうにもならなくなりますから、それで非常に高いというので、全国的にいま六、七万ヘクタールずつ転用しているものを、五、六年分に対して交換分合を行なったり、いろんなことをやって、三十万ヘクタールという一つの計画ができないか、もう一つは市街化区域外の雑地等において三十万ヘクタールの計画ができないか、そうすれば九十万ヘクタールというものをいまから準備をしながらやっていって、それで、それを財形貯蓄にくっつけますと、現在の給与の中で月一万円ずつ積んでいけばちゃんといまでも買えるようになるんです。ですから、それは四十八年価格に資金運用部の資金六分七厘五毛あるいは六分五厘の金利負担分を足しただけのもので、政府や地方公共団体は財形貯蓄によってこれを交付するということになれば、これはもう確実にできるのであります。  そういう面が——東京や大阪というのは、こんなところでもって家をつくろうとすれば、いまあなたの御指摘の議論でございます。ですから、三十年のものを前半の十五年を一万円ずつ積み立てる、後半の十五年を二万円ずつ積み立てていきますと、そっくり三十年でもって、七十五坪とか百坪ではなく、十五年で百坪、二十年で百五十坪、二十五年で二百坪、二百五十坪、三百坪という、いわゆる九百九十平方メートルまで全国的なものは供給できるのであります。ですから、これから二千万人も人が十二年間にふえるということを前提にコンピューターがはじいてきめたものでありますから、日本には土地はあるんです、そういう面で供給をふやす。供給をふやすことの逆なことばかりやってきたんです、いままでは。  とにかく市街化区域のあの線を引いたものですから、線の中は売らない、線の外は絶対つくらせないというような、供給不足で地価が上がるということはもう当然でございますし、そしていままでとにかく金を返そうと思っても銀行は返さぬでいいということになれば、結局土地にでも投資をする以外にないということが積み重なってまいりまして、特に土地を供給するために、二年間は、五年以上持った土地は税金が五%でいい、一〇%、一五%、来年の一月一日から今度二〇%になるわけですが、これがもう地価を上げたんです。これは年間八百五十億であった取引高税が三千五百億に一年間になったのですから、一〇%にして計算すれば三兆五千億土地を買ったんです、土地代金が払われたわけです。そうすると、払われただけの金融緩和の状態があったわけですから、あの法律をつくるには、少なくとも個人の宅地として売らなければならない、宅地は一年以内に住宅をつくらなければならないと、こういう制限をすべきだったんです。そうでなければ、買った人は、持っている人はこれを三年以内に、二年以内に住宅としてやらなければいけません、そして標準価格で売れば税を免税します、やらなかったら普通の税金を取りますと、こうやっておくべきだったのが、そういう制限がなかったので、事志と違うて、全部個人の土地が企業に入っちまった。ですから、今度企業は、うんと金を締めてますから、一月から三月になれば必ず換金をしなきゃならない。それがいまもう株になっているわけです。一日三十円ずつも旧ダウが下がっているわけですから、これはもう日銀さまが締めてますから、どうにもなりませんから、結局株はまず換金する、動産から換金していくということで、ぎしぎしと株は下がっているでしょう。あれが今度ある一定限度になれば、土地を売らざるを得ないのです。そういうところまで金融引き締めをやりますと、こう言っているのですから、いままでいいと思っていた法律が、みんな逆目になるような法律をつくってきた、そこらは失政である、だから反省をいたしております、こう述べておるわけであります。

横川正市日本社会党

○横川正市君 関連。  日銀の総裁に、もうお帰りいただかなきゃいかぬのですが、一言だけ質問しておきたいのですが、実は、昨年の予算の審議のあとで、景気刺激策をやりました。それで、具体的には、予算の使用の公共投資の繰り上げをやり、それからそのあとに、結局景気調整のために補正予算を組み、公共投資をいたしました。そのときの私どもの質問に対して、政府の答弁は、たとえば技術者不足、労働者不足、そういった不足でこの金の使用ができるかということを私どもは質問いたしましたが、政府は、それを消化するということで景気の刺激策をやったわけであります。そのあと、私どもはやはり、たとえば輸出の一つの安定的な状態、それから総需要に対しての政策、それから金融関係の緩和あるいは引き締め、こういうことをやってきまして、日本の経済というのは、現在までは一つの路線というのを通ってきたと思うのです。  いま出されております各種の政策は、私は、これは総需要の抑制にいたしましても、土地の凍結にいたしましても、それから最近のレートの変化にいたしましても、大体日本の景気の動向は相当大きく変化するんじゃないか、いわゆるダウンするんじゃないか。日銀総裁としては、そういうダウンに対してどういう施策を持っているかという点をお聞かせいただきたいと思います。

佐々木直日本銀行総裁

○参考人(佐々木直君) 石油の輸入制限が日本の経済に及ぼします影響につきましては、なかなか見通しが立てにくい状態ではございますが、とにかく、品物が十分企業としてつくれないということは、その企業の業績にマイナスに作用することは間違いないことでございます。したがいまして、今後いよいよ年が明けまして、そういう石油制限の具体的な影響が出始めますと、あるいは産業により、あるいは企業によって、いろいろむずかしい環境に入ってくるところもあろうかと思います。そういうものにつきましては、私どもとしては、まず総体としては、総需要の抑制の方針を維持しながら、個々の産業、個々の企業に対してはその実情に応じた金融措置を講じる、こういう考え方でいくことが適当ではないか。  最近、金融の質的調整ということが言われておりますが、私どもは、その質的調整の中に、そういったような個々の事態に対する適切な金融政策というものを、そういう質的政策の中に含めて考えておるのでございます。ただ、いま当面の問題といたしましては、物価の抑制が第一義でございますから、したがって、総需要の抑制ということをまず前面に強く打ち出しまして、これを進めてまいります。しかし、その中におきまして、いま申し上げたような個々の対策を今後実情に応じてやってまいる、こういう考え方でございます。

橋口收大蔵省主計局長

○政府委員(橋口收君) 先ほどはたいへん失礼いたしました。  調査の結果でございますが、昭和四十八年度のベース改定後の全国家公務員の平均給与でございますが、十万四千四百九十七円でございます。

鹿島俊雄自由民主党

○委員長(鹿島俊雄君) 午前中の瀬谷君の質疑はこの程度にいたし、午後二時三十分まで休憩いたします。    午後零時二十六分休憩      —————・—————    午後二時四十分開会

鹿島俊雄自由民主党

○委員長(鹿島俊雄君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  午前に引き続き、補正予算三案に対し質疑を行ないます。瀬谷君。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 今回の補正予算についてでありますけれども、いままでの総理の答弁から言われたことは、総需要抑制でなければいかぬと、そのつもりだということを言われたんです。だが、今回のこの補正予算の内容を昨年度の場合と比較をしてみると、その規模は決して下回ってないわけです。かなり前年度に比べれば上回っているわけです。総需要抑制というけれども、一体、今回の補正が総需要抑制という線に沿っているのかどうかということと、総需要抑制そのものが具体的にどういうことを意味していくかということもあわせてお伺いしたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 今回の補正は総需要抑制方針に完全に合致している予算でございます。つまり、額は多うございますが、そのうちの非常に大きな部分は、これは地方交付税の引き上げに当たるわけです。それからもう一つは、米価の引き上げに伴う残務処置、あとは単価の改正とか、あるいは生活保獲費の単価の引き上げとか、そういうようなものでございます。これはまあ財投のほうでも全く同様でございます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 額は九千八百八十五億ですか、とにかく相当なものになるわけですが、しからば、その単価の補正について若干お伺いしますけれども、まあ文教、あるいは社会福祉施設、海洋博関係等の公共事業単価は改定しておりますけれども、住宅関係が除外されているというのはどういうわけなのか。現在の予算単価で建設が可能なのかどうか、この点もお伺いしたいと思うのです。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) そのこまかい点になりますと、主計局長がいまちょうど着かえをしている最中でございまして、すぐ参りますから、ちょっとお待ちをいただきたいと思います。  公営住宅の話と思いますが、これは、単価の改定は行なうことにいたしておるのでございますが、事業の執行の状況が非常に悪いんです。そこで、戸数が減るわけであります。したがって、予算にもそれだけの余裕が生ずると、そのワク内において処置するために補正を必要としなかったと、こういう状態でございます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 戸数が減るということは、事実上住宅対策がそれだけまあしわ寄せを食っておくれておるということになるわけですけれどもね。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) そのとおりでございます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 そのとおりでございますと言うけれども、住宅問題については、大蔵大臣もその重要性というものを認められているところなんですね。そこで、また今後の住宅問題、先ほど私もちょっと一つのサンプルをお示ししましたけれども、一般の、公務員であろうと会社員であろうと、サラリーマンにマイホームの夢を持たせるためには、現状ではどうにもならぬということははっきり言えるわけです。しからば、一体政府としてどういう夢を持たせるか。総理のほうは、新幹線を日本国じゅうに張りめぐらすという一つの構想を先ほど発表されましたけれども、現実の問題としてですよ、一般の庶民にとってマイホームの夢がはかなく消えてしまうという現状は、これはまことに憂慮にたえないだろうと思う。それについて、はたして成算があるのかどうか、その点をお伺いしたいと思うんです。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 住宅問題を全国的にとらえてみますと、これはなかなかたいへんなことだと思いますが、やっぱり急ぐものからやらなきゃいかぬ。そういう見地から考えますと、三大都市、特にその中で東京、大阪の二大都市、これが非常に緊切な問題になってきておると、こういうふうに思うんです。これは都内あるいは市内におきまして高層化を進めるというような方法もありましょう。また、かなりの農地があります。それを住宅地に転用するという方法も考えられます。と同時に、それだけじゃとても足りませんから、やはり近郊に政府機関が出動するということも考えなけりゃならぬだろうと思うんです。その近郊に出動する仕組み、これに対しましては、これは特別の考え方をしなきゃならぬだろうと、こういうふうに思います。つまり、いまたとえば東京について言いますれば、千葉だとか埼玉だとか神奈川、これが政府の住宅対策に対しまして非常に拒否反応を示しておると、こういう状態です。それを解消する施策というものを考えなきゃならぬ。それには、一つは、政府施策住宅が建設されるという、その政府施策というのが、従来の政府施策というよりは、むしろこれは地方団体と共同体でそういうものをするという仕組み、こういうことを考えたらどうだと、それから同時に、それが住宅の団地をつくるという基本的な考え方でなくて、住宅もつくりますが同時に、新市街地を形成するんだということも考えなきゃならぬだろう、そういうことを考えますと、新しい、そういう中央と地方との合体の新しい仕組みというものにはかなりの権限を与えなきゃならぬ。あるいは交通機関を運営する、あるいは水についても、そういう市街地を運営する、それに足る権限を与えるとか、いろいろな仕組み、権限の付与ということも考えなきゃならぬと、こういうふうに思いますが、私は、まあ一番そのスタートとなる問題は、これはいま金融引き締め政策をやっておる。そこで全国の地価、これが頭打ちになってきておると思うんです。あるいは下がっておるというところも出てきております。それから都内におきましても、まあ頭打ちの傾向というものがある。しかし、金融引き締め政策をいつまでも続けるわけにはまいりませんから、まあ金融状態が正常になった場合には、また地価が頭を持ち上げる可能性もあるというわけです。そこで、地価に対しては何かこれを規制する考え方というのを持っていなきゃならぬだろうと思うんです。地方の開発地帯に対しましてそういう働きをなすのは、私は国総法だと、こういうふうに思います。それからその国総法というあの体系が、東京都だとかあるいは大阪市だとか、そういうところに包括的にひっかかり得るかというと、これはあの仕組みからいうと、ちょっとまだ私はそういうことにはすぐはいかぬと、こういうふうに思うんです。ですから、新しい立法措置を必要とする。東京なり大阪なりあるいは名古屋なり、その住宅対策に必要な地帯、これに対しては地価凍結という歯どめをする必要がある。その方法は、あるいは国総法、そういうものにそういう権限を行使できるような仕組みを引き入れるか、あるいは新しい立法を考えるかと、こういうようなことになりますが、いずれにしても、私は地価の凍結ということを考えていかなければならぬと。それから先ほど瀬谷さんが、それじゃ現状の高くなったのを公認するのかと言うが、そうあっては私はならぬと思うんです。やっぱり適正な地価をもって凍結すると、そういう考え方をとらなければ、これは国民の要請には合致しないと、そういうふうに考えています。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 現実の問題として、現在の一般の庶民の収入、あるいは退職金、そういう収入でもってまかない得るだけの住宅でなければ意味をなさないわけです。ところが、先ほどお示ししたように、極端な例は四千五百万、それからそのほかの例を、広告を見てみましても、一千万から二千万です、現在、分譲住宅の場合は。これでは庶民にとってはもう高ねの花なんです。こういう状態は何とかして解決しなければならない。ところが、土地問題については、これは田中内閣の失政だったというふうに断定してもいいと思うんですよ。現在、このように土地価格が暴騰してきたということは、これはもう否定できない事実だから。それを建設大臣は国総法でということを言われたんです。しかし、国総法の中にこの地価対策をどうしても入れておかなければならぬか、国総法の中にはめ込まれなければならないものかどうか。これは単独ででも、あるいは単独法ででも、地価対策というものは確立する必要があると私は思うんですよ、そうじゃないですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) いま、私はまあ専門的法律家ではありませんもんですから、断定的なことは言えないんですが、私がいま述べたような考え方を、いま政府が提案しておる国総法で全部ひっくるめると、こういうことはなかなかむずかしいんじゃないか。国総法体系に入れるということになると、どうもあの法律を若干修正するという必要が出てくるんじゃあるまいか、そういうふうに思うんです。たとえば、一番非常に大きな問題と考えておりますのは、国総法では開発地点の地価の凍結をすると。そういう場合に、三年ないし五年の凍結なんです。東京のように開発地帯というわけでもない、とにかくしかし非常に広い地域としての開発帯だと、こういうようなことにして、かりにですよ、いまの国総法のあの観念でその地価の凍結をするということを考えても、それは三年、五年地価凍結ということでありますと、三年、五年待っていれば、これは凍結が解除されるんだというようなことになりまして、土地の供給というものはふえてこない、こういうふうになるんじゃないかと思うんです。ですから、やっぱり凍結すると言う以上は、二十年だ、二十五年だというような長期の凍結にならぬと、これは所期の目的に到達しないんじゃないか、そういうふうに思うんです。私は一応、そういう私が申し述べたような考え方が、いま提案されておる国総法のワク内にこれが吸収しきれるかということは非常に困難だと、こういうふうに思います。しかし、国総法的発想の一部として、国総法の一部をそういうふうに改正するということは、まあ非常に常識的な行き方ではあるまいか、そういうふうに考えております。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 先ほどの建設大臣の話だと、きわめて忠実に、したがって、国総法の中で地価凍結をというふうに言われたんですがね。しかし、いま大衆が求めているのは、地価を下げることだということになるわけです。国総法まで求めているわけではない。ほしいのは——薬を売ってくれと言っているどきに、薬だけは売れないと、薬局ぐるみ買えと、こういうことを言われても、これは現実の問題として無理だと思うんですよ。そこで、いまの大蔵大臣のお答えでは、国総法修正ということも考慮に入れておるということを言われましたけれども、建設大臣としては、これは非常に重要な問題なんですけれども、行政管理庁からの答申も出ておりますけれども、この土地問題については。どのようにお考えになっておるのか。

亀岡高夫自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(亀岡高夫君) お答えいたします。  ただいま大蔵大臣からお答えがございましたとおり、国総法の法体系の中でこの問題は処理できると、こういうふうに実は私ども考えておる次第でございます。先ほども申し上げましたように、やはり土地問題に対しましては、できるだけきびしく、憲法の示す社会公共のためにできるだけきびしい線をわれわれとしては実現をしていきたいという気持ちを実は持っておるわけであります。そういう意味で、行政管理庁からの答申も、その気持ちを十分くんだ上での答申と受けとっておるわけでありまして、一つの提案になっております税問題につきましても、土地による利潤というものに対しては、一〇〇%これを税金で取れという発想も実は示してあるわけであります。そういう点も実は考慮をいたしながら、この土地問題についての彼此総合した体制で地価の低廉化をはかっていかなければならない。しかし、いずれにいたしましても、地価の低廉、地価の低廉とお念仏を千回唱えましても、地価は下がるものではございません。先ほど来お話のありましたとおり、やはり供給と需要との関係というものを改善をしてまいりませんと、地価を下げるわけにはまいりません。ところが、その供給の面において、実はいままで住宅公団等においてずいぶん努力はいたしておるようでありますけれども、これは土地を提供する方策を講ずると同時に、やはり宅地に適する土地をつくり上げていかなければならないという問題があるわけでございます。したがって、この点につきましては、建設省といたしましても、昨年来、宅地をいかにして造成をし、一般勤労者並びに国民のための宅地提供をはかっていくかということを、実は来年度予算の編成にあたって、当省の重点問題として鋭意検討を進めておる次第でございます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 民間デベロッパーによって買い占められた土地を放出してもらうといったような方針を、先般、埼玉県では取り上げたわけでありますけれども、こうでもしないと——その埼玉県だけではないと思うのですよ、東京周辺の千葉県、神奈川県、埼玉県、これは東京の一部になってきております。こういう地域の住宅問題都市問題は解決できないというところまできているわけです。県がこういったような措置を講じているということに対して、建設省側では、先般は、むしろ業者に対する融資ということを考えるという発表があって多少物議をかもした点があるんでありますが、その辺はどのように調整をされるつもりなのか、この点もお伺いしたいと思うんです。

亀岡高夫自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(亀岡高夫君) お答えいたします。  大企業の買い占めた土地の放出ということは、これは仰せのとおりの大きな問題でございまして、実は先般、建設省といたしまして、大企業等の保有する土地でございまして、なかなかみずから開発しょうという努力をしない土地がだいぶあるわけであります。しかし、公的機関にこれを移せば、直ちに開発できると思われるような問題に対しましては、これを放出するように実は交渉をいたしたわけでございます。そうして、九月に九団地、四百二十四ヘクタールの実は放出がきまったわけでございます。なお、そのほか、デベロッパーがみずからの力で開発をしようという意欲のあるものにつきましては、現在五ヵ年計画をつくって、そうして早急に開発をするように指導をいたしておるわけでありまして、今月中には、その計画が建設省に提出されることに実は相なっておるわけでございます。大体百八十社くらいから計画が提出されるのではないかと。したがって、今後は、開発可能であるのに、値上がりを待って開発ないし供給を行なわないというような法人が、業者がおれば、これには強力に、先ほど申し上げたような放出の措置をとらしたいと考えておるわけでございます。現行法のもとにおいては、これが精一ぱいの処置であるということを御理解いただきたいわけでございます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 行政管理庁の答申について、これは、行政管理庁長官より大蔵大臣のほうからお答えになりましたけれども、どちらでもいいんですけれども、この答申を実行するという点について、それこそ実行ができるかどうかということがなかなかの問題であろうと思うんですけれども、その点について、これは成算を持っておられるのかどうか、お伺いしたいと思うんです。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) それじゃ、前官としてお答え申し上げます。  私はあの答申につきましては、大体七ヵ月ぐらい勉強いたしまして、これ以外にはないと、こういうことに考えまして、答申を出す場合にも、田中首相と概略につきましては意見の交換をいたしまして、これでいきましょうと、こういうようなことになっておるんです。そういうことでありますので、あの答申の大筋はぜひとも実行したい、また、あれをやりますれば、これは住宅対策上は画期的な効果を生ずるであろうと、こういうふうに確信をしております。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 今日の物価高、あるいはインフレといいますか、というものは、結局、昨年の日本・列島改造論が発表になったあとでの土地の騰貴が一つの導火線になったということは、私だけが言うんじゃなくて、これは多くの識者の定説になっていると思うんです。総理として、これを認めたくないかどうか、それはわかりませんけれども、そこへ外部的な要因が重なって、今日の憂慮すべき物価の状況になったというふうに考えるわけですから、総理としては、みずからまいた種はみずから刈り取る必要があると思うんです。したがって、外部的な要因については、外国のインフレ、あるいは石油問題等については、みずからの力ではこれはどうもならぬかもしらぬけれども、しかし、地価を上昇させたという点については、ことしの春の予算委員会でも、下がらなかったら責任をとりますと、私の質問に対してお答えになりましたけれども、これを下げるということについて全力をあげて努力をしなければならぬと思うんであります。いまも大蔵大臣からもお答えがありましたけれども、さらに積極的な施策というもの、新しい土地対策というものを考えて、推進していかれるつもりがあるかどうか、その点お伺いしたいと思うんです。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(田中角榮君) それはもう非常に重要な問題でございまして、積極的に取り組んでまいりたい。さしあたりは問題はどういうことかというと、金融が緩和をしておったわけでございますから、金融は引き締めてまいると。引き締めてまいれば、買ったものは売らざるを得ないということになりますから、これはもういま私は、最近、四十六年、四十七年、四十八年を見ますと、まだやっぱり三、四兆円、多くて五兆円ぐらい町の金融というものは多いのじゃないかとさえ思っておるんです。一四%台の日銀券の増発で一〇・四%、一五ないし六%ぐらいの日銀券の増発がずっと続いて一一・一%、去年のちょうど物が上がりかけてきたときから二六%、二七%——二七・七%まで上がっているわけです。これはおおうべくもない数字なんです。ですから、これとまた平仄の合うのは百貨店の売り上げ高、ちょうど二七%ないし二八%、こへは昭和二十九年から一貫しておる一つの指数でございますから、これを引き締めなければならないということは言うまでもないことでございます。ですから、これを引き締めれば、企業は抱いているものは換金せざるを得ない。もうすでに株式の換金が行なわれておる。年末ですから行なわれております。三月の末になれば、期末でもって今度追われる。五月になれば今度は配当であるということですから、これは当然引き締まってくるということは言うまでもないことでございますので、土地が放出されるまで大いにやるということは、これは申し上げられるわけであります。  もう一つは、いろいろなことを言われますが、国総法というものをやはり早く通していただくということでないと、これはおかしなことなんです。そしてあの中で、いろいろなものを、いま申されたようなことを修正するなら修正案をお出しになって、これはやはり早く通してもらえれば押えられるのであります。じゃ、それだけでは一部だからと言ったら、もっと大幅に押えられるように修正案をお出しになっていただければいいんです。いずれにしても、いまよりもうんと合理的になることは事実でございます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 国総法にだいぶ固執されるけれども、日本列島改造論と国総法を総理大臣は、衆議院の予算委員会等ずっと見ておりましても、非常に固執しておられるわけです。  そこで、端的にお伺いしたいのだけれども、石油の見通しなんです。昭和六十年までに、現在の計画からいうと、石油精製設備に——石油審議会の答申等もありましたけれども、これによれば、かなり投資をすることになっていますね。そこで一体、石油はどのくらいこの段階において必要とするようになるのか。それから、その必要とする石油を入手する可能性があるのかどうか、その点はどうでしょう。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 石油の輸入量を見ますと、ことしは、当初は約三億一千万トンくらいを期待しておりました。それが減りまして、おそらく二億七千万トン台になるんではないかと思います。それで、昨年は約二億六千万トン、二億五千七百万トンくらいでございました。それで、どの程度石油を入れるかということは政策的な問題で、今度の石油削減によって非常にわれわれも痛感したことでございますが、経済成長とか経済活動というものは、石油の輸入量に依存している。電力でも何でもみなそうであります。そういう意味で、適正成長を行なうためには、石油の輸入量というものを毎年政策的にこれをきめて、そうしてそれによって経済活動の基礎を考えたらどうか、そういう気がいたしております。そういうようにして、そのときの経済情勢とか、あるいは国際環境とか、あるいは国民的要望とか、そういうものを勘案しつつ、政府が責任を持ってその適正輸入量というものをきめて、そうして経済成長をはかっていく、こういうやり方になるのが適当であると思います。  では、どの程度輸入ができるかということになりますと、これは貯蔵能力、貯油能力、あるいは精製設備がどの程度いまの環境においてできるかどうか、そういうことにもかかってくるし、また、アラブその他の石油の産出国が、自分のところで精製設備やペトロールケミカルをやりたい、それに協力する国に油を売る。そういう方向に動いてきておりますから、海外立地との関係がまた出てまいります。そういうような問題をすべて総合的にとらえまして、今後のそういう問題を検討していきたいと思っております。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 問題は、昭和六十年までに現在の三倍からの石油を必要とするような計画を立ててみたところで、三倍はおろか、いまの状態で言うと、三割増しだってなかなか石油を確保することが困難だということになりはしないか。そういう心配があるのですけれども、その懸念はないのかどうかです。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) おそらくアラブのほうは、石油の産出については、これをある程度限定してくるという可能性はあると思います。しかし、南米、あるいは北海、各地において石油が発掘される徴候というのは顕著に出つつあります。日本列島の沿岸にいたしましても、思い切ってこれを開発したら、かなりのものが出てくるかもわかりません。そういう面から、アラブのほうで多少そういうことがあっても、世界的には石油の供給というものは私は、安定的に伸びていると見ております。供給のほうはそれほど心配はしておりません。しかし、問題は受け入れの能力のほうでありまして、これは立地とか、公害とか、あるいは経済政策とか、そういうような問題によって影響してくると思っております。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 供給 ほうは心配なくて、受け入れのほうだけ心配しておるということなんですがね。いま心配されるのは供給のほうじゃないんですか。受け入れのほうは、それはその設備を整えればいいかもしれないけれども、はたして石油というのは、井戸を掘って水をくむように、幾らでも手に入るものであるという認識をしていいのかどうか、疑問のような気がするわけです。金を出しさえすれば幾らでも買えるというものであったならば、これはどんな計画を立ててもいいと思うけれども、どうもそうはいかないような気がするのですね、ごく最近の中東の紛争から石油危機ということを考えると。そうすると、はたして石油の見通しいかん、ということになるのです。この点はそんなに楽観的な見通しが立てられるのですか。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 今日は中東戦争のあおりを受けて非常に差し迫った条件がございますから、こういうふうに供給側が非常に、何と申しますか、切迫している感じを持っておりますけれども、しかし、世界における貯蔵の問題とか、あるいは資源の賦存の問題等考えてみますと、私は、それほど切迫してもおらぬし、ある程度の安定供給が可能な埋蔵量とそれから採掘可能量を持っておると思っております。問題は、むしろそちらの問題よりも、当方の経済政策とか、あるいはアラブと日本との間における精製能力をどういうふうに分かち合うとか、あるいは中間精製をどういうふうに政策的に取り上げるか、そういうような問題にからまってくると思います。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 しかし、現実に灯油ですら十分でない。LPの問題で、タクシーやあるいは団地のガスまで心配しなきゃならぬ、こういう事態になってまいりますと、このエネルギー資源については日本も相当考える必要があるんじゃないか。たとえば石炭等についても、これを再検討する必要がありはしないかという気もするのでありますが、その必要はないのかどうかですね。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) その点は同感でございます。石油のみに依存しているということが今日の事態を招いている要素でもございます。したがいまして、太陽熱エネルギー、あるいは地熱のエネルギー、あるいは原子力を大幅にこの際推進するとか、あるいはオイルシェール、オイルサンド、この開発、あるいは石炭の液化、ガス化、こういうように——さらに進めば、いま、水を分解してすぐ酸素と水素に分けようという研究がかなり進んでおります。こういうようなエネルギー源の多面化、また、それからわれわれが供給を受ける地域の分散化、そういうような問題を思い切って進めなければならぬ段階であると思います。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 もし、石油のような、こういう全く外国に依存をする資源が、絶対量が足りなくなるという場合に、自由主義経済でやっていたならば、これはどうにもならなくなる、こういうことを心配するわけです。したがって、もし、今後の石油の入手ということが、問題がなければ別だけれども、絶対量が足りないという事態が予想される場合には、公的な機関でもって、この管理なりあるいは使用計画なりというものを立てていくというようにしなければならぬと思うんでありますが、その点までの配慮は必要がないのかどうか、お伺いしたいと思うんです。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) われわれとしてはそういう方向をとりたくない考え方でおります。やはり市場機能、価格のメカニズムというものを生かしてやることが、長い目で見てわりあいに格安で安定的に供給を得られて、しかもまた国際的にもうまくやれる体系ではないかと思うわけでございます。なるほどアラブの一部には、非同盟中立という政策を支持する向きもございますけれども、そのことと、石油を買うほうの社会体制がどういう体制であるかということは、直接結びついていないと私は思います。今日の問題にいたしましても、やはり中東紛争に対するどういう認識と解決方策を持っているかということが問題なのであって、その国の社会体制とは直接関係ない、そういうように私は思います。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 この絶対量が足りなくなるという心配は全然ないという前提に立っておっしゃっているような気がする。私は絶対量が足りなくなるということも考えておく必要があるんじゃないかということで質問をしているわけなんです。その点はどうですか。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 絶対量が不足するということは私はないと思っているんです。別の理由で、われわれは、今日の日本のいままでとってきた政策を反省しなきゃならぬと思っているんです。それは、石油に依存し過ぎて、そして肥満体質になったと、いわば糖尿病が出てきたと、そういうようなもので、この際そういう食事を考えなければならぬと。石油を多消費するという型から、もっと多面的な、また、質的な変化を伴った方法に前進しなければならぬ。たとえば原子力にしてもそうでありますし、石炭の見直しという問題も入ってまいりますし、あるいはさらに水素に対する直接還元ということも大いに振興していかなければならぬと、そう思っているわけであります。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 浪費をすべきでないということについては私も同感です。そこでしかし、これは油断のならぬことだと思うんです。一割か二割減らされただけでもたいへんな影響がくるということが今回はっきりしたわけです。そこで、やはりこの石油資源というものは外国に全面的に依存するだけに、われわれとしても今後考えていかなきゃならぬだろうと思う。  そこで今度は交通問題等についてもお伺いしたいと思うんですけれども、新幹線のことをだいぶ先ほど総理は強調されましたけれども、急ぐもとから先にやっていくんだということをいま大蔵大臣が言ったばっかりです。そうすると、いま急ぐのはこのインフレの火の手を消すということが一番急ぐことだろうと、こう思うんですね。日本国じゅうに新幹線を張りめぐらす、四国に三つも橋をかけるといったようなことは急ぐものとは思われないわけですね。したがって、当面そういったようなばく大な投資を必要とするものをたな上げしてでも、当面のインフレ対策に全力を注ぐということが政治のあり方としては正しいんじゃないかという気がいたしますが、その点はどうでしょうか。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(田中角榮君) いや、急ぐものから先にやるということでございまして、新幹線は六十年展望でございます。まあ新幹線と飛行機を比べてみるとすぐわかるんですが、新幹線というのは、キロ当たり十億と見ても、九千キロつくれば九兆円ということになりますから大きいようでございますが、あの貨物を運ばない飛行機だけでも一体六十年までどのくらいの投資を必要としているか。それだけ人間の交流というのは国内的にも多くなっているわけです。ですから、日本の国内航空というのは一体何十兆円使うのかということを考えてみりゃわかるんです。明治初年から二万キロつくったわけですから、戦争終わるまでの間。ですから、それでもいま全世界で鉄道の切符が買えないというのは日本だけであります。あなたも長いこと国鉄におられてわかるように、実際買えないでしょう。しかも今度ね、車にはとにかく四千万台も五千万台——車をとにかくふやすわけにはまいりません、石油もそのとおりでございますから。そうすればどうするかといえば、新幹線をつくるということは、ただ速いということじゃないんですよ。これは、新幹線に旅客輸送を移すことによって在来線をあけて、線増すると同じことになるわけです。在来線の複線電化を行なうことによって近距離通勤及び中距離輸送を行なうと同時に、貨物を増大しなければ、これはいまのトラック運送でやっているものはもうパンクするわけです。これはもう五十五年じゃないんです。実際五十二、三年、もう五十一、二年になると、トラックの運賃というのは三〇%も五〇%も上げることをいま要求しているわけですから、鉄道の見直しというのは全世界に行なわれておる。ですから、山岳が八五%もある日本の地形、地勢、気候上の制約から見ると、鉄道というものはほんとうに見直されなければならないということで新幹線論が出ておるのでございまして、これはもう飛行機にどのくらい一体投資が必要なのかというのは、いま国会で同じく議論しているわけですから、一体飛行機がいいのか、鉄道がいいのか、船がいいのか、自動車がいいのかということは、これはお互いにちゃんと比較をしまして、この程度のシェア——私の言っているのは、六十年展望では貨物は四〇%はどうしても内国海運にたよらざるを得ませんと、そしてあとの五〇%というものを鉄道か陸送かどっちかでやらなきゃならぬわけでございますが、そうすればもう道路と自動車には限度があるので、自動車はもうガソリンがなければ、いまの自動車さえも動かない状態にあるわけですから、そうすれば、レールというものは、東京の山の手線は明治時代のレールの上、れんがの上を一時間当たり十万人、十五万人運んでおるという鉄道の大量輸送機関としてのメリットというのは、これはもうどうにも否定できない事実なんです。ですから、東京や大阪はキロ七十五億も百億もかけて地下鉄をつくらなきゃどうにもならないということで、地上路線を全部撤去したら地下鉄にかわっておるじゃありませんか。そういう意味で、現実の問題とやっぱり長期的な問題というものを混淆しないでやらなきゃならぬ。もちろん現時点で、新幹線をつくることが先か、いまの東京や大阪周辺の線増をやることが先かといえば、それはもう線増をやることが先だと思いますから、そういう意味では線増をやるということにおのずからきまってくるということで、六十年展望のものと中期的五十五年展望のものと……。われわれは六十年まで生きないかもしれませんが、子供はちゃんと六十年、七十年生きるんですから、そういう展望に立ってのバランスのとれた交通機関の整備ということを考えるのは当然である、こう思っております。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 そこで、総理の言っている理屈は私だってわからぬわけじゃないですよ。しかしね、じゃ、貨物輸送をどうするか、通勤輸送をどうするかというと、在来線を強化する以外にないわけですよ。ところが、在来線の強化ということは全然行なわれてないわけですね。新幹線を先にして在来線をあと回しにしているというのが現状ですよ。たとえば、あの上尾事件がありました、高崎線の。その上尾事件がありましたけれども、高崎線の輸送力強化というものは全然行なわれておりませんよ、これは。これは新幹線をやるんだからそのあとだというのが口実ですよ。それでいいのかどうか。これは国鉄総裁にお伺いしたいと思うんです。

藤井松太郎日本国有鉄道総裁

○説明員(藤井松太郎君) お答えします。  新幹線をやって現在線を忘れているのじゃないかというおしかりなんでございますが、実はその財政再建の十兆五千億という工事予算の新幹線の占める割合は四兆八千億でございまして、現在線の補強が五兆七千億、つまり現在線の補強に力を入れておるということでございまして、御指摘の線路増設は一体その間に幾らできるかというと、現在の五千キロから二千キロふえて七千キロになる。電化は現在の六千四百から三千六百ふえて一万キロになるというようなことで、現在線と新幹線を結んで有機的な輸送をやろうということを考えている次第でございまして、現在の高崎線の増強を一向やりよらぬというおしかりでございますけれども、実はその後、列車の単位が、御承知だろうと思いますが、十二両編成を十五両にし、なおかつ列車の本数をふやしたということで、現在やっておりますが、さらにふえてまいりますと、もう一線通勤線を設置いたしてそれをさばくということを考えております。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 何か数字的なことをあげられましたがね。今度は新幹線の公害の問題ですよ。これを考えたならば、いままでのような予算でもって簡単にできるというものじゃないと思うのです。名古屋の近辺がいい例です。たとえば、ああいうふうに新幹線に近接をした住宅の困っているところは、たとえば二十メートル以内あるいは三十メートル以内という家屋はこれは撤去してもらって、そのかわり空間地をつくる、そのかわり撤去してもらった家に対しては十分かわりのその住まいを提供すると、そのくらいのことをやらなければ新幹線公害という経験のある国民はもう納得しないと思うのですね。その点について一体十分な配慮がなされる用意があるのかどうか。これは運輸大臣にお伺いしたい。

徳永正利自由民主党運輸大臣

○国務大臣(徳永正利君) 新幹線の公害の問題でございますが、御承知のように、新幹線の建設費の中に、五%を見込んでおるわけでございます。で、その中で、はたしてこれが全部これから先の新幹線にうまくいくかどうかということは、いまからいろいろな面で検討してまいらなきゃならぬと思いますけれども、まあ全部のこの建設費の一五%を国が支出をすると、まあ、その振り分け等についてはもう御承知のとおりでございます。この前の建設計画の中でいろいろ御議論もあり、またその中で明確にしているわけでございますが、いまのところ、この全建設費の五%をもってやろうということで、お説のような問題が今後も出てくるだろうと思います。その点につきましては、今後この範囲内で処理するということでなくて、十分な配慮をして今後やっていかなきゃならぬと思います。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 地下鉄の問題が出たから、この地下鉄の問題に関連してお伺いしますけれども、韓国が日韓閣僚会議を急いでおる。その中にソウルの地下鉄の問題もありました。しかし、日本の地下鉄だって思うように延長できないでいるときに、韓国の経済援助に何で日本のほうが力を入れなきやならぬか、こういう疑問も生まれてくるわけです。これは地下鉄の問題だけじゃありませんけれども、金大中事件というのがああいう釈然としない形でもって終わっているという段階で、日韓閣僚会議を開いて経済援助を積極的に行なうというのは、どう考えてもおかしいと思うのでありますが、これは中止をすべきではないかと思うのでありますが、その点の見解をお伺いしたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 対韓経済援助について御批判があることは私も承知いたしております。しかし、われわれ対韓経済援助は、特定の政権を援助する意味でなくて、韓国の民生の向上に役立つように、その経済の自立に役立つことを目的といたしておりますことは、かねがね申し上げたとおりでございまして、過去二回にわたる五ヵ年計画を通じまして、韓国における生産の拡大、それから民生の向上、国際収支の改善等においては私は見るべきものがあり、第三次の五ヵ年計画の満了の年をもちまして経済の自立が達成されるということを目途に努力をいたしておると承知いたしておるわけでございまして、われわれの援助がそういう意味におきまして隣国の経済自立にお役に立ってまいったことは間違いないと考えております。しかしながら、仰せのように、一つ一つのプロジェクトにつきまして十分な吟味を加えまして、そのフィージビリティーを確かめました上で援助すべきことは当然でございまして、その点につきましては十分な配慮を加えてまいりたいと思っております。  御指摘の、地下鉄並びに国鉄電化に援助につきましては、いままで五十八億円の援助をいたしておることは事実でございますけれども、内容について精細に吟味いたしまして、今後の処置につきましては慎重な配慮を加えてまいりたいと考えております。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 最後に税制の問題で、たとえば広告税であるとか、交際費の課税であるとか、こういったような面で節約をする、むだを排除するという意味で、新たな税の財源を求める考えはないかどうか、この点をお伺いしたいと思うんです。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 総需要抑制というのが、四十九年度予算の眼目をなすわけです。そこで、税制の面でもそういう配慮をしなけりゃならぬ、こういうふうに思います。ただ、こういうふうに異常に物価が上がったということを考えますと、その物価騰貴に伴うところの影響を税制面でも緩和したい、こういう考え方があるんです。そこで、所得税のかなりの減税をいたす、しかし、他面におきまして、その財源が必要であります。その財源としまして、まあいろいろ考えておりますが、法人税の増税をいたしたい、こういうふうに考えております。法人税全体としてかなりの増税をいたしますので、広告税なんというようなことも検討してみたんですが、技術的には非常にむずかしい点があるんです。広告とは一体何ぞや、これを税制面に当てはめて実行しようとすると非常にむずかしい問題があります。そこで、一応広告税という声もあるんですが、なかなかこれはむずかしそうだなというふうに考えております。しかし、まあ総需要抑制だと、そういうようなことを考えまして、法人税について一般的な増税をしてみたい、かような考えでございます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 法人税について質問しようと思っておったら、先に答弁されましたから、その点はけっこうなんですが、じゃ広告税についてちょっと申し上げますと、新聞にこれくらい広告が入ってくるわけですよ、一回に。これなんかもそうです。(資料を示す)広げてみるというと、畳一枚大になるんです。こういうものです。ここに、しかも節約の時代ですなんて書いてある。トイレットペーパーがなくて、けが人が出るなんて騒ぎをやっているときに、こういうものに対して税金を考えるのは、これは当然じゃないかという気がいたしますから、この点は重ねてお考えをいただきたいと思うんです。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 広告税というのは、いろいろ考えてみたんですが、技術的、事務的に非常にむずかしい税金なんです。しかし、もう広告なんかしてもそう意味はない、こういうような時世にだんだんとしたい、こういうふうに考えておるんです。そういうことにつきましては、ほんとうに全力を尽くしまして、そういう傾向を馴致したい、さように考えておりますので、御了承を願いたいと思います。

鹿島俊雄自由民主党

○委員長(鹿島俊雄君) 以上をもちまして瀬谷君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————

鹿島俊雄自由民主党

○委員長(鹿島俊雄君) 熊谷君。

熊谷太三郎自由民主党

○熊谷太三郎君 私は、自由民主党を代表して、物価とエネルギー資源の二つの問題につきまして、総理大臣はじめ関係大臣に若干の御質問をいたしたいと存じます。  時間の関係もございますので簡単に申し上げたいと存じますので、御答弁もできるだけ御簡潔にお願いをいたします。  第一に物価についてでございますが、繰り返して申し上げるまでもなく、総理大臣はその所信表明演説におきまして、物価の安定は当面する最重要課題であると述べておられますし、また大蔵大臣は、その財政演説において、いまや、物価問題の解決こそは、すべてに優先して取り上げる政策課題であり、これに全力を傾注せねばならないということを述べておられます。さらに、この物価対策を推進するために、総理は、物価騰貴を抑制するためには総需要の抑制をはかることが基本であると述べられ、大蔵大臣もまた、総需要の抑制をはかることが最も肝要であると述べておられるわけであります。  申すまでもなく、この総需要の抑制につきましては、こういうわけでありますから、政府とされましては、あらゆる方法を講じ、また講じようとしておられるわけでございますが、私はこの際、この総需要の抑制を推進する施策の一つとして、思い切って当面不急不要の物資の製造、販売を一時停止させるようなお考えはないかどうか、これをお伺いいたしたいと存じます。現在、百貨店等の売り場には、おびただしい物資が出回っておりますことは御承知のとおりであります。これらの物資の中には、美術工芸品は別といたしましても、必ずしも国民の日常生活には急を要しない、しかも高価なものが少なくないわけであります。一々具体的な例を取り上げますことは、あるいは無用な刺激を起こすことになるかもしれませんので、一々例は申し上げませんが、しかし、常識的に判断されれば、そういう物資がかなり出回っておりますことは容易に御認定になれると思うわけであります。そういう物資を選別されまして、不急不要と認められ、かつ高価なものにつきましては、その製造販売を停止させるか、または禁止的な重税を課するなどの手段によりまして、当分の間その流通をストップさせるということが当面非常に必要な問題ではないかと考えるわけであります。これは単に総需要の抑制に寄与するだけでなく、近来高度の経済成長によりまして、国民の一部の間に生じましたいわゆる昭和元禄的な奢侈の風潮に対して反省を促す一助にもなるのではないかというふうに考えるわけであります。  そこで、こういう問題につきまして、総理大臣、通産大臣、経済企画庁長官並びに大蔵大臣に対して一言御見解を承りたいと考えるわけでございます。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 熊谷委員のおっしゃることは、われわれも胸にしみるようなお話でありまして、非常に共鳴するところでございます。ただ、国民経済を発展さしていくという観点から立ちますと、今度製品安全法という法律を通しまして、おもちゃであるとか、あるいはそのほかで有害物質、あるいは危険な物質等につきましては、これを事前に検査したり、厳重にこれを監査しながら売らなければならぬと、そういうことにいたしまして、お客さんの安全を講ずるという措置をとっておりまするけれども、それ以外の、値が高い、安いというような問題は、これはお客さんの選好にまかせるべきものではないかと、そういうような気がいたすのであります。それ以上のことは、これは国民の道義心に訴えるとか、あるいは自覚に待って行なうのが適当ではないかと。あんまりそういうような品物を価格その他の面で行政権をもって干渉いたしますと、これは人間の趣味やその他に対する干渉にもなって問題点が出てまいります。そういう場合には、むしろ物品税を思い切って目玉の飛び出るほど高く取るとか、そういうようなやり方で自動的に矯正していくことが賢明ではないかと、そういうように思います。

内田常雄自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(内田常雄君) 今日物価の安定——上昇の抑制をはかりますことと、また、国民生活に必要な物資を確保するということが、私は政府としても至上命令であると考えるわけであります。したがいまして、この国会に御審議をお願いいたすことになりました国民生活安定緊急措置法などの運用につきましても、私は、その運営の責任者といたしましては、これはもちろん物資にはいろいろなものがございましょうが、国民生活に最も必要な物資というものをまず優先させまして、それの価格の上昇を押えてまいるということと、そういう物資に対して出回りが悪いような場合にはいろいろ緊急の措置を講ずるということを第一義といたしまして、熊谷さんがおっしゃるような、そういう不急不要な奢侈品、ぜいたく品等につきましては、これは私は積極的にエネルギー資材について心配をするようなことはまずできない、そういう行き方で当面進むほうがよいのではないかと、かように考えます。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 物品税というお話でございますが、物品税は、これをかけましたり、あるいは引き上げましたりすると、大体これが価格にはね返ってくるわけです。いわゆる転嫁が完全に行なわれるというのが、これが実際でもあるし、学説でもあるわけです。そこで、こういう物価上昇のむずかしい段階におきまして物品税構想というのはいかがであろうかというふうに思うんですが、熊谷さんの御指摘は、一般的なそういう話じゃなくて、おそらく非常に高価な、また普通には使われないような、そういう品物について物品税のかさ上げをしたらどうだろう、あるいは新設をしたらどうだろう、こういうことかと思いますが、そういう品物につきましては、私たちといたしましても、そういう珍貴な品物等につきましては、これは幾らこれが上がろうが、われわれ庶民の生活にはそう関係のないことですから、これも一案かなと思いまして、いろいろ大蔵大臣就任以来検討をしてみたんです。しかし、もう大体そういうものにはかなりの高い税もかかっておりまするし、また、これを範囲を広げますと、たとえば、いま電気冷蔵庫あるいはクーラー、そういうようなことを言う人もあるんですが、そういうものにつきましては、また生活必需物資、物品との間の限界というものが非常にむずかしい問題もある。なおいろいろ考えてみますが、そう簡単な問題ではないんだということだけをひとつお含みおき願いたいと思います。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(田中角榮君) 熊谷さん言わんとするところは私もよく理解できます。これは外国から見ますと、日本人が馬を買ったり、それから家を買ったり、とにかく高いものは全部日本人だと、こう指摘されておるわけでございますから、そういうものはもう金融を引き締めるという以外にないわけでございますから、選別融資といって、会社でもって営業資金、事業資金として借りて、それが土地になり家になり、いろいろなものになっているということになれば、そういう内訳を全部締めて、選別融資の中で、事業の運転資金及び輸入資金等でなければこれを出さないというふうに金融は引き締めなきゃならないということは一つございます。  もう一つ、あなたがいま述べられた中で、必要でないようなものをつくっている製造業者云々ということでございますが、これはそのとおりだと思うんです。生活必需物資というものに対しては、これはもう電力も供給しなきゃなりませんし、資金も供給しなきゃいかぬし、また石油も供給しなきゃいかぬということになります。だから、そういう原材料や電力の割り当てというようなときに不要不急のものには当然しわが寄っていくということになりまして、生活必需物資を製造している企業に対しては電力一〇%削減であるというものが、不要不急物資を製造しているものに対しては五〇%削減を求めると、これはもう当然のことでありまして、必要物資と必要でない物資というのは、いま通産省や各省で分けさしておるんです。そして、ある時期に米、みそ、しょうゆ、塩、砂糖と、こういうようなもの、これは必要物資ですから、こういうものを全部入れると生活用品としては三十品目ぐらいあるんです。これは政府が確実に保証いたしますと、こういうことをひとつテレビでもやらなきゃいかぬと、こういう責任を持っているわけですから、そういうものの製造確保に対してはそれはもう万全の処置を講ずると、そうすれば不要不急のものに対しては当然しわが寄っていくというような、きめこまかい政策を考えてまいりたいと、こう思います。

熊谷太三郎自由民主党

○熊谷太三郎君 まあ、たいへんむずかしい問題でありまして、そう簡単なものではないかと思いますが、昔よくはやりました非常時ということばでございますが、現在まさしく一種の非常時的な状態と考えられますので、まあ趣旨はよくおわかりいただいたことと思いますから、そういう思い切った考えも持っているんだというくらいの気魄はひとつ十分に示していただいて、今後善処をしていただきたいと考えるわけでございます。  次に、来年度の予算に関連しまして大蔵大臣に一つ二つお尋ねをいたします。  先ほどからも申し上げましたように、来年度の予算は総需要の抑制というたてまえから非常に大幅な圧縮を受けるのではないかと考えるわけであります。これは万やむを得ないことかと存じますが、そういう際におきましても、福祉関係の諸経費はもちろん別格といたしまして、そのほかに、たとえば国民の食糧自給に直接つながります農林漁業関係の諸経費でありますとか、あるいは中小企業や零細企業のための対策に必要な経費等はあわせて特別の御配慮をお願いしたいと考えるわけであります。  それからもう一つは、公共事業が非常な圧縮を受けることになろうかと思いますが、その結果は相当経済界に混乱が予想されることと思います。大体いま公共事業費の経費の上昇を三割と見ますと、来年度の予算が本年度と同額の場合は三割だけ事業量が減るわけでありますし、一割増額されたとしても二割の事業量が圧縮されるわけでありまして、相当なやはり混乱が予想されると思うわけであります。これももちろんやむを得ないことかと思いますが、そういう場合にも、やはりさっき申しましたように、そういう混乱のしわ寄せが中小企業やあるいは勤労者層、そういう経済力の弱い方面にそのしわ寄せが及ばないように、たいへんむずかしいことではありますが、きめのこまかい御配慮を願って予算をお組みいただきたいと、こういうふうに考えるわけでございます。  この二点につきましては大蔵大臣の御所見を承りたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) お話のとおり、来年度予算の編成にあたりましては、これはまあ総需要を圧縮すると、こういうことが中心の課題になるわけです。そういうことによりまして、総需要を圧縮すると同時に、政府か率先して総需要——これは各項目があるわけでありますから、率先垂範というと古いことばでございまするけれども、そういう姿勢を打ち出してみたいと、かように考えているわけです。ただ、その際におきまして、かような異常な物価高の際でありますので、とにかく弱い立場の人たちですね、そういう者に対する配慮につきましては格別の考えをしなけりゃならぬと、こういうふうに考えております。これは御説のとおりにいたしたいと存じます。  それから農林漁業、中小企業というお話でございますが、これは農村、農家の人々もそう強い立場じゃない。この方々の立場も十分考えなきゃならぬ、そういうふうに思いまするし、中小企業、これは景気の変動のしわ寄せがもろにかぶさってくると、こういうような立場にありますので、これに対しましても特別の配慮をいたしたいと、かように考えております。  なお、公共事業につきましては、これ一律というふうには考えておらないんです。公共事業と申しましても、社会福祉というようなものに直結した、そういうものもかなりあるわけでありますから、それらのものにつきましての配慮、これは一般の公共事業とはおのずから違ったものがなければならぬと、こういうふうに考えておりまするし、また、公共事業に関連いたしまして、大企業と中小企業、これがあわせて影響をこうむるわけです。そこで、たとえば建設業者のごときものにつきまして過当な影響がいかないようにという配慮もしなけりゃならぬ、そういうことを考えますと、地方の奥地山村の橋をつくる、道を直します、そういうようなこまかいプロジェクトというか、事業・につきましては、これは特別の配慮をしなけりゃなりませんが、公共事業と申しましても、とにかく物が要る、そういうものにつきましては、これは思い切った削減を試みなきゃならぬだろう、つまり大型プロジェクトを中心にしての公共事業の抑制というふうにいたしたい考えでございます。

熊谷太三郎自由民主党

○熊谷太三郎君 それでは第二に、エネルギー資源の問題につきまして、総理大臣はじめ関係大臣にお尋ねを申し上げます。  今回の石油危機によりましてわが国の得ました最も大きな教訓は、わが国のエネルギー資源でも特に重要な地位を占めております電力関係かと思うわけでございます。現在の電力のように、その七五%までもが石油に依存するような火力発電によります限り、日本の経済は永久にきわめて不安な状態に置かれると思うのであります。で、この際、少々おそまきではありますが、この石油にかわるエネルギー源としまして最も現実的かつ有効なものは、原子力発電ではないかと考えるわけでございます。この原子力発電の推進につきまして政府の基本的な考え方を承りたいと考えます。  なお、いま一つ、原子力開発利用の長期計画によりますと、昭和五十五年度には大体三千二百万キロワット、すなわち総電力の一八%、昭和六十年度には六千万キロワット、すなわち二五%の目標になり、さらにこれが六十五年になると三分の一の程度までその需要が見込まれているわけでありますが、最近のエネルギー情勢から見ますと、この目標はもっと引き上げられねばならぬかと思うわけであります。したがって、この点と、先ほど申し上げました原子力発電を推進するという基本的な考え方と、この二点につきまして特に科学技術庁長官と通産大臣に御見解を承りたいと存じます。

森山欽司自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(森山欽司君) 原子力発電がきわめてこの時期に重要な役割を果たさなきゃならないことはまことにそのとおりでございまして、特に仰せのとおり、現実的な石油エネルギー代替資源として最も重要視されなきゃならないということは、まさに同感でございます。  いろいろ、こういう時期でございますから、石炭の見直しをやれとか、あるいは水力を考え直せとか、地熱だとか、あるいは太陽熱とか、いろいろの考えがございますが、いずれもこれは注目すべき考え方であります。しかし、技術的になお相当の期間、これを仕上げるには時間がかかりますし、また金もかかります。そういう点から見ますると、原子力はもうすでに実用段階に達しております。世界的に見ましても、世界じゅうで百三十二ヵ所原子力発電所がすでに稼働をいたしておりまして、四千万キロワット、これが現に動いておるわけであります。そうです、建設中、計画中のものを含めますと四百六十八基、全世界で三億一千五百万キロワット、これが今日の世界の原子力発電の現状でございますから、これはまさに現実的にどう処理するかという際に、原子力を抜いて当面の処理を考えるということは、私ははなはだ疑問だと思っております。  衆議院の予算委員会では、ほとんど原子力の質問は出ませんでした。参議院で初めて質問をしていただいて、せっかく科学技術庁長官に新任したわけでございますから、何だか聞いてもらわんと非常にそこにいて手持ちぶさたでございました。まことに感激にたえない次第でございます。  ところが、わが国の場合非常に問題なことは、御案内のとおり現在運転中の原子炉は五基でございまして、百八十二万キロワット現在発電中であります。二基が今年度中に完成いたしますから、合わせて七基、これができまして三百七万キロワットになるわけでございます。現在建設中のものが十五基でございます。これが全部できますと約千六百万キロワット程度になろうかと思います。これはいま熊谷先生おっしゃいました、昭和五十年には三千二百万キロワットという原子力委員会の長期計画になっておるが、どうだということでございますが、この調子でまいりますと、計画の半分程度しか進まないのではないかと考えております。特に近来、原子力発電についてはいろいろ強い地元の反対運動などが起きておりまして、非常に行き悩みでございます。現在審査中の原子炉はただの一基でございますし、ことしに入って一回も申請がないというようなことで、これだけの電力の、石油問題、ひいては電力ということで騒がれているときに、原子力発電の現状というのはまことに残念しごくでございまして、この機会に本腰になって考え直さなきゃいけないのじゃないか。私は、何ゆえに衆議院の予算委員会でもこれが一言も議論にはならぬか。参議院でも先ほど通産大臣も一言原子力を言っただけ。これは私はたいへんであるというふうな感じを持っておる次第でございます。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) いまの発電のパーセンテージで見ますと、火力は七一%、水力が二六%、原子力はわずかに三%であります。これを昭和六十年に二五%までもっていこう、六千万キロ、この計画がいまのお話のように遅々として進まないわけです。そのためには周辺地域整備法という法律まで出してやっておるのでありますが、あの法律もまだ不十分なところがございます。思い切って原子力を推進する方策を来年度予算等を通じて実行していきたいと思っております。

熊谷太三郎自由民主党

○熊谷太三郎君 原子力のお話をいたしましたところ、私がお尋ねしようと思う先のことまでお話が出ましたので、ちょっとペースが狂った感がいたしますが、原子力の必要であるという問題、それから今日までの立てられました長期計画がはたしてこれでいいかどうかということにつきましても、必ずやその見直しというものが行なわれざるを得ないのではないかと考えます。いずれにいたしましても、この原子力発電を推進するといたしますと、まずもって考えられますことは、その原料であります天然ウランの入手、備蓄及び濃縮ウランの確保にも万全を期しまして、今回の石油問題のごとき轍を踏まないような処置が必要であると考えますが、この点につきまして、重ねて科学技術庁長官にお尋ねを申し上げます。

森山欽司自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(森山欽司君) 天然ウランの問題につきましては、昭和六十年ごろまでの所要量、先ほどの原子力委員会の出しました長期計画に基づく、発電量にいたしまして六千万キロワットに必要な天然ウラン九万五千トンは、すでに入手について契約済みでございます。ただ、天然ウランを濃縮をいたしますということにつきましては、現在のところわが国に技術はございませんが、日米原子力協定によりまして、おおよそ昭和六十年ぐらいまでの分はめどがついておるわけでございますが、しかし昭和五十五年ぐらいになりますと、アメリカのウラン濃縮の能力が足りなくなるということもございまして、先般総理がフランスのほうへ行かれました際にも話題になったことでございますが、フランスあるいはヨーロッパの各国にこれらの仕事をお願いする、わが国自身も濃縮ウランの国産化ということについて、近来、予算も相当大幅にとりまして手をつけて今日がんばっておるところでございます。

熊谷太三郎自由民主党

○熊谷太三郎君 そこで、いよいよ本論でございますが、わが国の原子力発電所は、先ほど長官がお述べになりましたように現在運転中のものが五基、大体百八十万キロワット及び建設中の十七基、千三百六十万キロワットでございますが、これ以外を除いてはほとんど建設のめどが立ってないと言ってもいいかと思うのでございます。しかも、いま長官が御発言になり、私も申し上げました建設中の十七基のうち、女川、伊方、浜岡第二号は順調に工事が進んでおりませんので、これを除きますと、わが国の原子力発電所は約千四百万キロワット以外はほとんど建設のめどが立っていない現状であります。そして、その原因のほとんどは、私どもがかねがね強力に指摘しておりますように、地元の住民の受け入れを得ることができないからであります。  すなわち、原子力発電所は、その安全性につきましてなお地元民の間にいろいろ不安があり、そのためにさまざまの混乱が起きまして、これを受け入れた地元の市町村及び県は非常に困難な立場に立たされておりまして、しかもこれを受け入れたために年々多額の経費も投入しておるのにもかかわらず、国の態度はきわめて冷ややかでありまして、この地元に対しても、その費用に対する見返りなどはもちろんのこと、メリットらしいメリットはほとんど与えられていないのであります。繰り返して申し上げますが、地元が最初にわずかに期待いたしました固定資産税のごときも、例の特例措置によりまして最初の五年間は三分の一、その次の五年間は三分の二しか入りませんが、しかも、こうして入りました三分の一、三分の二の固定資産税の収入は、七五%までが基準収入の中に加えられて、手元に残るのは何ほどもないというような現状であります。さらに、この原子力発電所の固定資産は十五年で償却になるそうでございますから、十五年過ぎればそれも入ってこないというようなことになるかと思うわけであります。せっかく国の施策に協力した地元がこのような冷淡な取り扱いを受けていたのでは、原子力発電所の受け入れが順調に進むはずがないのであります。  したがって、政府は、原子力発電所を推進されますためには、これに対してまずもって安全性の確保とそのPRの強化、並びにその一環として温排水の影響に関する結論の取りまとめを急ぐなどの対策を早急に推進していただかねばならぬと思うのであります。これらにつきまして、科学技術庁長官並びに環境庁の御当局の御所見を承りたいと存じますとともに、こういうものには予算の裏づけが必要でございますから、あわせて大蔵大臣の御所見を……。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(田中角榮君) それはひとつお答えします。  これは石油問題がここまできたら、原子力問題原子力発電というものがどんなに必要であるかという必要性に対しては、もう全く議論がないところに至ったわけでございます。でありますから、原子力発電所はやらなければならないということでございます。去年度からことしにかけて計画の一割もできないというようなことで、石油問題を幾ら論じてもどうにもならないわけであります。ですから、これは政府はやらなければならないということであります。  で、やる問題に対しては、あなたがいま御指摘になったように、地元にメリットがないということであります。これは地元に対して、私も通産大臣時代から申し述べておるのですが、地元でもっていろんな影響だけ受けて、それでほとんどメリットがない。ですから、送電ロスが当然起こるわけでありますから、送電ロス分だけは地元に供給する場合には電力を安くしなさいということが、非常に強く言われておるわけであります。そうすると、これは電力料金の地域差というのができるわけでございます。これはもうあたりまえのことだと思うんですが、なかなかいままでの通産省としては、その電力料金の格差ということをやれない状態があるわけですから、これはやっぱりここで何か、地元でもって消費をする場合、送電ロスの分だけは安くするということは一つ考えられるわけであります。  もう一つは、消費をするところには税源として消費税が与えられておりますが、その影響を受けるところの山奥の発電県には、県にばかりいっておって、さっぱり発電所を建設する市町村には恩恵が少ない。恩恵が少ないだけではなく、トラックとか、建設の途中では非常に迷惑を受ける周辺市町村には何にも恩典がないというところに、もうまわりから来て反対をするわけでございますから、この恩典を与えるということを明確にせざるを得ません。  あとは安全性の問題でありますから、これは政府が責任を持ちますということを明確にせざるを得ません。これは私は長いことかかって研究した結果、結論を得たのは、政府が安全性に対しての責任は持ちますということを言わざるを得ません。これはヨーロッパ及びソ連に参りましたときに、ソ連はいま大きな原子力発電所をつくって、東欧諸国に全部これを供給しておるわけであります。それで日本に対しても、日本がどうしても原子力発電所ができないならば、そうして濃縮ウランを買うという意思がないならば、樺太に大規模な原子力発電所をつくって、北海道に海底送電線によって送電をしましょうという話までしてきたわけでございますから、ですから、世界各地においてそういうようなものを現実に処理をし、建設をしておるにもかかわらず、日本がこんなに石油で困っておりながら、原子力発電所の問題が遅々として進まないということは、どうしてもここでもって解明せざるを得ません。  ですから、四十九年度予算と四十九年度の経済見通しをつくるときには、その中で原子力がどのように稼働するかということが前提にならないと、これはもう石油でもって全く日本の経済は左右されるということになりますので、いままでは学者まかせというところもございます。しかし、政府は、やっぱり分担すべきところは政府が分担をして、責任を持ち、PRもするということはやらなければ、この問題は解決をしないという問題でございますので、まあ濃縮ウランその他に対してはフランスからも千五百トン以上、八〇年以降買い取るという契約をしてまいりましたし、合意をしてまいりました。これは多いのじゃないかなどと言ったんですが、石油問題が起こってから、あれは三千トンにしておけばよかったなどということを言う学者もありますが、いずれにいたしましても、原子力発電に対してはもう抜本的な対策を政府が責任をもって行なう。九電力にこれをまかしておいて、本件に対してじんぜん日を送るということが許されない状態であるということをまず申し上げておきます。

森山欽司自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(森山欽司君) たいへん心強い総理の御意見の表明がありました。実は、ことしの八月ごろ出しました概算要求は、こういう事態ではございませんでしたから、この際急速切りかえなければいかぬとひそかに準備しておりましたところ、総理のほうから非常に積極的な御意見がありまして、まことにありがたく思っております。  それで、ただいまお話がありました安全の問題、安全審査の問題でありますが、はたして原子力の安全という問題について、いわゆる反対運動が言っておることがそのまま事実であるかないかは別にいたしまして、もしかりにそれがイデオロギー的なバックグランドでやるとすればこれは論外でありますが、そういうことはないと考えまして、もしそういう安全の面が心配になるといたしますれば、やはり安全審査というほうにこれは力こぶを入れていかなければいかぬのじゃないか。ただ、いままでのように非常勤の大学の先生みたいな方々が片手間にやっている安全審査よりも、やっぱり本腰になってやるような人をたくさん入れて、さしあたり、私見でございますが、百人ぐらいことしはそのために入れまして、そして安全審査に本腰で取り組むというふうにしてまいりたいと思っております。  それから安全研究の問題でございますが、これはいまの昭和四十八年度の予算で五十億ぐらい研究費が、要するに四十七年度に比べて倍にふえておるわけでございますが、今度はできれば三倍ぐらいにしてもらえないかと、これもまた私案でございますが、ひそかに考えておるわけでございまして、こういうふうに、やはりそういうことが問題になれば、反対運動がいかぬいかぬと言っているだけではいかぬのであって、やはりこちらもやることをやる、そういう態勢を固めて事態に対処してまいりたいというふうに私どもは考えております。  それからPRの問題でございますが、これに即応いたしましてこれから強化をしてまいりたい。先ほど総理からもお話がございましたように、原子力発電というのは世界の趨勢であります。フランスなんかでは、もうこれからやる発電は原子力発電一本にしぼると、こういうふうに言っておるわけです。一九八五年におけるヨーロッパの原子力発電の発電に占める割合は、およそ六〇%ということになっておる。日本の場合どうかと申しますと、いまの原子力委員会で昨年きめた計画でも三二%、三分の一でございますからね。そういう世界の趨勢から見れば、まだまだいま盲での計画だってこれはもう足りないのでございます。それが諸般の事情で、御案内のとおりもたもたしている。こういう石油危機を前にいたしまして、石油問題でわれわれはいろんなことを勉強いたしました。その勉強の一つとして、やはり原子力発電というのは、私が科学技術庁長官になってうれしまぎれに言うわけじゃ決してございません、まことに大事な問題だと思いますので、どうかひとつ格別の御支援をお願いいたします。

保利茂自由民主党行政管理庁長官・環境庁長官事務代理

○国務大臣(保利茂君) 原子力発電所の問題いま総理や科学技術庁長官から、安全性の問題については政府が責任をとりますという明確な御発言があっておりますから、私は、これによって関係の住民の方々も一応の御理解をいただけるのじゃないかと。ただ問題は、温排水の設定基準を早く設けたらどうかということでございますが、温水が出る、冷却水が温水になって出る、これは火力発電でも同じことでございましょう。原子力発電所から出た温排水はあぶないじゃないかというような不安がありとすれば、これはいまの安全の問題になってきますから、これは大ごとになると思いますが、これまでの状態からいいますと、その心配はないように私は伺っております。そうすれば、残るは温排水によって沿岸の漁業にどういう影響を与えるか、あるいは魚類にどういう影響を与えるかということが問題であろうかと思いますけれども、これも水産庁あるいは各県、関係の方面で調査をずいぶん——四十六年来、早く基準を設定したいということで調査資料を集めておりますけれども、まだほとんど、こうだというものが出ていない。それはある意味においては、あまり影響ないんじゃないかということにも裏からいえばなるんじゃないかと思いますけれども、せっかく関係の県においても調査を進めていただいておりますから、中央の調査と相まって、できるだけ早く温排水の設定基準を設けたいということで環境庁はやっていただいておるようでございます。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 熊谷さんのお話、結局二つの問題を含んでおると思うんです。つまり、安全性の問題、それから受け入れ体制に対しまして、当該都道府県に対し国は手厚い措置を講じなけりゃならぬ、あるいはその他の諸問題も考えなきゃならぬと、こういうことかと思うんです。  安全性の問題につきましては、総理からただいまきわめて明快なるお答えがありましたので、私はつけ加えません。  それから受け入れ体制の問題は、このあとですか。

熊谷太三郎自由民主党

○熊谷太三郎君 あとでまた。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) そうですが。それじゃあとにいたします。

熊谷太三郎自由民主党

○熊谷太三郎君 たいへんどうも総理大臣から力一強いおことばをいただきまして、非常に意を強くしておる次第でございますが、ただ一点、原子力の安全性については国が責任を持つというお話でございますが、もちろん初めから受け入れました地元の市町村なり県なりはそういうつもりで、それで受け入れたわけでございます。ただ、それにもかかわらず、安全性の強化とか、PRとか、あるいは大蔵大臣にお願いするとかというようなことを申しますのは、つまり国が安全について責任を持つという姿勢が十分地元の市町村なり府県に映っていない。たとえて言いますと、地元の県では、あるいは市町村では、国が言うだけでは住民を納得させることができないので、企業と県と市町村で安全に関するいろいろな協定を結んでおります。それから安全に関する経費を、いろいろPRの費用を含めまして、そうたくさんでもありませんが、当然その責任を持たれる国において負担していただかねばならぬ費用さえ持っている、こういうことを私が申し上げているわけでございます。  まだまだいろいろこまかいこともございますが、要するに、そういう安全の強化、PRの問題、それから温排水の影響、これも先ほど環境庁長官からお話がありましたように、地元では、国がそういう調査をされるのを待っておられぬわけでございまして、前からその調査を進めているわけであります。調査をすれば費用もかかるが、国は、おれはおれのほうでやるのだと言うだけのことでございまして、少しも地元と連絡もなければ、もちろんそれに対して指導なり助成なりをされるような態度に出ていない。ことばは少し極端でございますが、何も田中内閣だけがそうだと言うわけではありませんが、とにかくわが国の歴代の政府の姿勢が、原子力につきましてはきわめて冷淡だというふうに評さざるを得ない状態にあるということを、あらためて御認識をひとつ深くしていただきたいと思うわけでございます。  そこで、先ほどからお話の少し出ました地元に対するメリットの問題でございますが、これにつきましては、先ほど申しましたように、第一に考えられますことは、固定資産税の特例廃止ということが考えられないかどうか、それから、その収入を基準収入から差し引かないということが考えられないかどうかと。もし考えられるのならば、そういう方法もとっていただきたいと思いますが、しかし、いろいろな税の均衡の関係もありまして、この点がむずかしいということでもあろうと思いますから、この際ひとつ地方の財源としまして核燃料消費税、これは仮称でございますが、そういう地方税——県税の程度の地方税を創設していただくことをひとつ、いますぐこれは実現ということもむずかしいかしれませんが、それを地元に対する有力なメリットの一つとしてお考え願いたいということであります。  それからもう一つは、地帯整備法、これは通産省におかれまして昨年その案を出していただいたわけでございますが、不幸にして成立を見ていないのでございますが、ただ、私どもとしましては、同じ地帯整備法にいたしましても、もう少しきめのこまかい内容を考えていただきたい。ということは、地帯整備法によっていろいろその地元に必要な施設をしました場合に、それに高額の補助をするというような内容になっておりますが、補助をいただきましても、そういうことをしようと思えば、やはり地元が幾らかの負担をしなければ目的を達することができぬということで、せっかく地帯整備法をつくっていただいても、それを活用しようとすれば、やはり地元としては金が要るということになるわけでございます。したがって、大体原子力発電所の所在地のような地域は、いわゆる過疎地域が多いわけでございまして、そういう財政力もないところでありますから、相なるべくは、そういう地帯整備法の御精神を生かしていただいて、地元で特別の持ち出しをしなくても何かの公共事業ができるというような方法が考えられないか、そういう内容のひとつ地帯整備法というものを、この際あらためて御研究願えないかということであります。  それからもう一つは一さっき総理大臣からおっしゃっていただきました例の地元に対する電力料金の優遇措置、これは当然ひとつお考えを願いたいと考えるわけであります。  まだ、そのほか通産省等でいろいろ御計画になっておりますことも漏れ承っておりますが、そういういろいろな問題がありますので、総理大臣にはあとでまたひとつひっくるめてお尋ね申し上げますから、さしあたっては、いまの税の問題につきまして、核燃料消費税の創設という問題につきまして、自治大臣からひとつ前向きな御検討をする旨のお答えをいただきたいと思いまするとともに、通産大臣からは、たびたびお手数でございますが、そういう優遇措置あるいは地帯整備法等の問題その他につきまして、地元に対するメリットとして考え得られますような点を、ひとつこれまた前向きなお考えでお答えを願いたいと思います。

町村金五自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○国務大臣(町村金五君) お答えをいたします。  原子力発電所の存在ということが地元市町村にとってまことにメリットが少ない。政府のこれに対する態度はたいへん冷淡だと、こういう御指摘でございます。このことが原子力発電所推進の阻害要因にさえなっておるんではないかという御指摘でございますが、そこで、お尋ねになりました発電所等に対しまする固定資産税の軽減措置ということは、これは本来、できましたときには、これがあることがむしろここへ発電所が誘致されるんだという立場に立っての立法であったと思うんでございますけれども、現在ではそれが逆になってしまっておるという事情も私ども十分わかりますので、この点は、近くこういった特例は廃止をするということにいたしたい、かように考えて目下検討をいたしておるところでございます。  さらに、核燃料消費税というんでございましょうか、何かそういった意味の税を府県税として設けたらどうかというお考えのように承ったのでございますが、御承知のとおり、この発電所につきましては、事業税等の関係等もございまして、直ちにこれを創設することがよろしいかどうかということにつきましては、なお相当に検討の必要がございますので、私どももひとつ十分前向きに検討させていただきたいと思います。

中曽根康弘自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 地帯整備法によりまして地元にいろいろ施設をするという場合に地元の持ち出しをなくするようにしたいというのはごもっともでございまして、各県や市町村の御陳情もその向きでありますので、前向きにぜひ取り上げたいと思っております。  それから、いまの固定資産税の問題は、自治大臣が御答弁になりましたが、これは長い間の懸案で、今度の予算編成にぜひ解決いたしたいと思っております。  それから消費税の問題は、これはほかの税体系との関係もございますので、検討さしていただきたいと思います。

森山欽司自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(森山欽司君) ただいま発電所の周辺の整備に関する法律も出ておりますし、また、通産省のほうから補助金についての予算要求も出ております。私ども原子力の立場からいたしますと、従来、いま市町村ということでございますが、なかなかいろんな、こう、動きを見ておりますと、やはり市町村だけじゃなくて、県のほうにもそれだけのやはり、かいがあるようなことを考えてやっていかなければいけないんじゃないかというふうにも考えております。  それからまた原子力の場合には、原子力発電所だけではなくて、原子力に関連いたします再処理工場だとか廃棄物の処理のセンターとか、あるいは原子力空母の母港とか、そういうところについても広く考える必要があるのではないか。これは、予算上の問題がいろいろございますから、問題はございますが、キロワットアワー当たり千円という計算で一億円で頭切りということでありますが、原子力の場合、はたしてそれでいいのかというようなことも問題事項になろうかと思います。いずれにいたしましても、来年度予算を進めます過程で、私どもとしてはできるだけの努力をいたしたい、こういうように考えております。

熊谷太三郎自由民主党

○熊谷太三郎君 原子力の問題につきまして、最後に総括的に総理大臣にお尋ねしたいと思っておりましたが、その基本的な御熱意、一部具体的な点も加えられましての御所見を一応承ったわけでございます。それで、実はこの機会に御要請申し上げたいわけでございますが、私どもこの原子力発電所に関する問題について、いろいろこの安全性の問題、あるいはその監視体制の問題それからPRの問題、それから温排水の問題、地元に対するメリットの還元といいますか、そういう問題について実はいまこまかく検討中でございます。それについての結論を取り急いで出したいと考えておりますが、そういうときには、ここでお示しいただきました熱意をひとつ十分に具体化されるようにお取り計らいをお願いしたいと考えるわけでございます。最後に一言だけひとつ大臣のほうから……。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(田中角榮君) 先ほども述べましたように、原子力発電所はもう世界的趨勢であり、しかも日本はこのような石油事情を迎えておる現在、原子力発電に対して積極的な発電を行なわなければならないということは避けがたい事実でございます。そういう意味で、残っております問題としては、地元が納得ができるように政府が努力をするということであります。もう一つは、安全性に対しては政府が責任を持つということであります。そして、まあ特に大型なものは別でございますが、世界各地に行なわれており、現に日本で行なわれておるようなものに対してはスピーディーにこの認許可を与えるということが必要でございます。で、最終的にはやっぱり地元にメリットを与えなきゃなりません。そういう意味では、基準財政額に算入をされるようなことではだめなんであって、発電所をつくった町村やその周辺には、少なくともそれだけのものは自動的に交付をされて、それが自己財源にならなければならないわけでございます。そういう問題に対して、具体的な問題をここ二、三年来検討いたしておるのであります。ですから、これは自治大臣も関係がございますし、大蔵大臣ももちろん関係がございますし、通産省も関係があります。ありますが、私も通産大臣時代からずっとこの問題を検討してきたわけでございますから、四十九年度予算編成の状態において、本件に対しては結論を出す、そうして来年一月からはそういう方向に向かって、原子力発電というものは国民の理解を得ながら建設を行なうということをスタートしたい、こう思います。

細川護煕自由民主党

○細川護熙君 関連。  いまいろいろ原子力の問題について前向きなお話があったわけでありますが、いま一つ非常に重要な問題で、核拡散防止条約の批准の問題に関連をして、一点だけ総理に伺っておきたいと思います。  これまでわが国は、批准にあたっての前提条件として、平和利用の平等化といったような問題についていろいろ主張をしてきたわけでありますが、さきの国際原子力機関との交渉ですでに大かたの保証は得られたわけであります。つまり、前提条件に関する限り、批准の討議を延ばす理由はなくなったわけでございます。また一方では、西ドイツあるいはイタリア等ユーラトム諸国も現在批准の手続を進行中であります。したがって、万一わが国だけが批准を行なわないということになると、日米関係の悪化ということもありましょうし、ひいてはそれが、先ほどからお話の出ております核燃料の安定確保という問題にも非常に大きな影響があると私は思います。また、平和外交を推進していく立場からも、この際ぜひともこの国会で批准承認の件を出していただきたいと、こう思うわけでありますが、この点について総理の御所見を伺っておきたいと思います。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(田中角榮君) わが国は、いまもう調印済みでございますが、批准に対しては慎重な態度をとっておったわけでございます。それは、原子力の平和利用ということに限られておるわが国でございますので、これが共同査察の問題とか、いろんな問題がございまして、今日まで批准の手続がとられてなかったわけでございますが、御指摘のような事情もございますし、世界各国の本件に対する批准の方向もおおむね明らかになってきておる状態でございますので、今次の段階においては、これを批准案件として国会に提出をしても国民的理解が得られるのではないかという考え方をいま持っております。これに対しては国内に非常に議論があったわけであります。特に、唯一の被爆国である日本として、原子力問題に対して、また、特に特定な国が核兵器を保有しておる、日本は一切これを、三原則を原則とし、つくらず・持たず・持ち込ませずと、こういうことを言っている立場において、非常に慎重であったわけでございますが、いま御指摘のような事情が定着しつつございますので、この通常国会に提案をして批准を求めたいという現段階の考えを明らかにいたしておきます。

細川護煕自由民主党

○細川護熙君 この国会にかけるという、いままでの政府の姿勢を非常に大きく踏み出したことだと私は思います。そういう意味で、世界の各国もこのニュースを聞いて非常に重要に受けとめるであろうと思いますが、問題は、今度の条約再検討会議の準備会議というものは来年の二月に実は開かれることになっておるわけでありまして、そういう意味から言えば、今度の国会にかけると言っても、できれば来年の二月までにかげることができるならばこれにこしたことはないわけでありますが、この点について重ねて、外務大臣からでもけっこうでございますが、伺っておきたいと思います。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(田中角榮君) 事務的な問題があるようでございますから、専門家である外務大臣から答弁いたします。

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 仰せのように、条約加盟国による——条約加盟国がいま八十ヵ国はかりございますが、条約再検討会議が開催されて、その準備委員会が、明年、御指摘のように、初めから開催される由であります。この再検討会議ないし準備に参加するというためには、そしてそこにおいてわが国の立場を主張するためには、批准が前提とならなければならないのではないかと考えておりますので、いま細川さんがおっしゃるように、それまでに批准を終えるということは、いま目下この問題につきまして鋭意検討中の段階でございますので、お約束いたしかねますけれども、私どもといたしましては、いま御指摘の点も念頭に置いて検討さしていただきます。

熊谷太三郎自由民主党

○熊谷太三郎君 それでは、最後に水力発電についてお伺いをいたします。  わが国の包蔵水力は大体五千万キロワットだそうでございますが、そのうち、開発され、もしくは開発中のものが大体その半分の二千五百万キロワットだそうでございます。元来、申すまでもなく、この水力は火力に比べまして非常に発電原価が高いわけでございまして、現在、火力がキロワットアワー一円八十銭から二円ぐらいに対して水力が五円ぐらいということを聞いておるわけであります。しかし、石油がこうなってまいりますと、火力発電も次第に高くなってきまして、その差はだんだん解消していくと思いますが、しかし、そういうことのいかんにかかわらず、水力発電は現在わが国にある固有のものでございまして、外国に依存する度合いがほとんどないわけでございますから、あまり高価になって、極端なものにつきましては、これは無理かもしれませんが、残されました二千五百万キロワットのうち、ある程度のめどをつけていただきまして、やはり将来にわたってできるだけその開発を急ぐということも、今回のこの石油危機に関連しまして当然考えを新たにしなければならぬのではないかと思うわけであります。これはもうほんとうは大蔵大臣、通産大臣にお尋ねすることでございますが、やはり総理大臣の最終的な御熱意、御決意が非常に必要かと思いますから、ひとつ総理大臣にお尋ねを申し上げたいと思います。

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(田中角榮君) 水力発電所に対しては、いまあなたが指摘されたとおり、約半分しか開発されておりません。これは火力が非常に安いということでそうなったわけであります。電源開発促進法をつくりました昭和二十八、九年ごろから約十年間は水主火従であったわけでございますが、現在全く火主水従であるということでございます。しかし、これは利水という意味で水の効率的利用というメリットもあるわけでございまして、電源開発のコストだけでもって計算ができないものがございます。災害防除の面もございますし、それから上水道等の面もございます。それから農業用かんがい用水の面もございます。工業用水を確保するという面もございます。そういう意味で、いままでのような電力コスト一キロワットアワー幾らという計算ではいかないと思うわけでございまして、まあ多目的ダムという考え方で水の特別会計ができたわけでございますので、その趣旨から考えまして水力発電所を見直さなければならぬということは当然でございまして、いま二十万キロ以上の発電ができるダムサイトが相当存在するわけでございます。そういう意味で、安定的な、しかも外貨を払わない電力ということになると、水力発電所を当然見直しをしなければならない。北海道においては石炭専焼の発電所さえも計画しなければならないということでありますので、当然のこととして、水力発電に対しても見直しを行ない、積極的な開発を行なうということでございます。いま非常にいいのは、水の問題に合わせまして、約千ヵ所ぐらいの調査ができておるわけであります。建設省は治水の面と利水の面からだけ約六百五十ヵ所をいま明らかにしておりますが、現実的には千ヵ所程度のおおむねの調査が行なわれておるということで、一時のような状態ではなく、工事を行なうという意思があれば発電は非常にスピーディーに行なわれるという状態でありまして、これは積極的に取り組まなければならないと考えております。

鹿島俊雄自由民主党

○委員長(鹿島俊雄君) 以上をもちまして熊谷君の質疑は終了いたしました。  明日は午前十時開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十九分散会      —————・—————

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