P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
72回国会参議院1973/12/04

本会議 第2号

発言数
23
登壇者
9
会派数
3
開催日
1973/12/04

会議録

河野謙三各派に属しない議員議長

○議長(河野謙三君) これより会議を開きます。  日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)  去る一日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。吉田忠三郎君。    〔吉田忠三郎君登壇、拍手〕

吉田忠三郎日本社会党

○吉田忠三郎君 私は、日本社会党を代表して、田中総理の所信表明並びに福田大蔵大臣の演説に対し、今日焦眉の課題である基本的な問題について、若干総理及び大蔵大臣並びに関係大臣にお尋ねをいたし、それぞれ御所見を承りたいと思うのでございます。私は端的に伺いますから、どうぞ答弁者の各大臣も率直に誠意をもって国民の前にその疑問を晴らすために答弁をいただきたいと思うのであります。  今日、国民の間には、田中内閣の政治に対し、不信がかつてないほど高まっております。国民生活の危機は、国民の間にきわめて深刻で、しかも不満と不安を高め、随所に怒りが吹き出しつつあるのであります。政府は、この異常な物価高、インフレ、公害などに対し、どのように対処していくのか、伺っておきたいと思います。  次に、政府は、アラブの石油規制を逆用して、もっぱら危機感のみあおっているのであります。そして今日、にわかに国民に対し耐乏生活や節約を説いているのであります。しかし、こうした内外政策の行き詰まりは、まさに自民党政府が長年にわたって推し進めてきた国民生活無視の高度成長政策が完全に失敗したことを何よりも私は雄弁に物語っておると思うのであります。外交においてもしかりであります。アメリカ追従外交を続けてきたわが国外交が完全に破綻し、行き詰まったことにつきましては、何人ももはや否定をし得ないところであろうと思います。ですから、国民は、すでに自民党と田中内閣を信用していないのであります。灯油、トイレットペーパー、洗剤、砂糖に至るまで、生活必需物資の異常な値上がりと品不足によって、国民生活のあらゆる分野に不安と不満が発生し、だれも政府の言うことを信用しないのであります。いまや、物不足と買い占め、価格つり上げに消費者はますますインフレムードをかきたてられ、社会不安を拡大しつつあるのであります。これに加えて、政府みずからの原油供給削減キャンペーンは、一そう物資不足ムードと買い占め・売り惜しみを引き起こし、異常な物価上昇に拍車をかけているのであります。これはまさに政治パニックであり、戦後最悪といわれ、今日の危機をつくり出したのは田中内閣そのものであります。政府は、この際、これまでの高度成長路線が完全に失敗したことを率直に認めて、これを反省して、国民の前にその責任を明確にすべきであると私は思うのであります。田中内閣は、内閣を担当してわずか一年四カ月にして支持率は一〇%台に暴落をしたのであります。そうして、インフレ内閣という国民的レッテルさえ張られているのであります。  私は、総理に端的にお伺いします。  総理は一いま国民が田中内閣に対してどのくらい、何%の支持がおありだと御認識をされておるのでありましょうか。所信表明では、「いまだかつて経験したことのない試練」だと言われました。みずからの失政をたな上げして、ことさらに国民に耐乏を説く前に、政府がまず姿勢を正し、この際、首尾一貫した政策を具体的に国民の前に提示いたすことこそが私は先決ではないかと思うのであります。それなしに、政策破綻の結果だけ国民に押しつけることは、みずからの責任を明らかにしないで、ツケだけを国民に回す姿勢であって、まさに責任のがれで経済危機を国民に転嫁するものであります。私は断じて許されない行為だと思うのであります。  今日の物価高、インフレ、公害、環境破壊の激化、石油危機は、自民党政府の乗り上げた暗礁そのものにほかならないのであります。この危機を切り抜ける道は、大企業優先の成長第一主義と資源浪費型の産業構造を改めて、国民生活最優先の政策に転換し、物価の抑制、公害の絶滅を中心とした経済政策を樹立する以外に私はとるべき道はないと考えます。総理はいかがお考えですか。  さらに、アメリカ追従の外交がアラブ諸国の総反発を買い、石油輸出の削減措置を受けたのであります。このこと一つをとって見ても、資源エネルギーの乏しい日本は、小手先の資源外交ではなく、何よりも、対米軍事同盟外交をやめて、民族独立闘争に対する敵対的外交を即時転換し、非同盟、中立政策に立った外交を進める以外にわが国が生きていく道がないことを証明しているものだと思うのであります。この点はどのようにお考えですか。  次に、総理は、内閣改造後の記者会見でも明らかにしたように、いまだに、しかもいたけだかに、日本列島改造論により経済政策を推進することを表明しているのであります。総理の所信には、過去の政策に対する反省が全くありません。今後の経済政策においても、発想の転換、政策の転換も示していないのであります。私は、総理に対し、この際、発想の転換と政策転換を強く要求します。まず、総理の主張する高度成長路線すなわち日本列島改造計画をすみやかに撤回し、国民生活最優先の基調に立った経済安定成長路線に政策転換をすること、そして列島改造計画、それを裏づける国総法をいさぎよく撤回すること、これに対して総理の明快なお答えを願いたいのであります。  また、総理の言う歴史的な転換期に処する決意のほどをお伺いいたしておきたいと思います。  同時に、福田大蔵大臣にお尋ねをいたします。  大蔵大臣は、かつて自民党の総裁選にあたり、いわゆる福田派の政策を通じて、あるいはかねてから主張されてきたところでありますが、日本経済を安定成長路線に軌道修正されることを申してきたのであります。私は、あなたの識見、手腕、政治家としての実績をよく知っております。国民もまた、大蔵大臣に対し具体的な政策実行を求めているのであって、その限りでは、当面のあなたの経済政策の見解はそれなりに一つの見識だと思います。しかし、この見方、考え方は、田中総理の日本列島改造路線とは明らかに異なる道であると理解するのであります。私は、このことをとらえ、単なる閣内不統一を問題にしたり、あるいはあげ足をとるつもりはございません。しかし、わが国経済にとってきわめて重要かつ重大な政策だけにお伺いをいたすのであります。  そこで、福田さん、あなたの言われる安定成長とはどのようなものか。端的に申し上げて、今後の経済成長率を何%ぐらいに持っていかれるのか。そして、具体的にその経済運営すなわち財政金融政策と施策を忌憚なくこの機会にお聞かせを願いたいのであります。(拍手)  第二は、大蔵大臣の見識が正しいとされたといたしましても、福田さん、いまの田中内閣の体質からして、田中さんみずからが政策転換を求めなければ、せっかくのあなたの安定成長路線への政策転換は、いかに福田さんが実力大臣といわれておっても、私は転換ははかることができないのではないか。そして、このことは結果として国民はまたまた失望いたし、さらには田中内閣政治に対し不信を高めることになるのではないでしょうか。大蔵大臣はどのようにこのことを受けとめておられますか、お聞かせを願いたいのであります。  さて、次に石油であります。  現在、日本は年間約三億キロリットルの石油を消費しているのであります。高度成長が提起された昭和三十六年は四千万キロリットル、四十一年には約一億キロリットル、四十五年には約二億キロリットルと、四年ごとに二倍になっているのであります。さらに、日収列島改造論によれば八億キロリットル、これは世界の資源エネルギー貿易の三〇%以上を輸入する計画であります。田中さん、このことは世界各国が同調するはずはないじゃないですか。今日の石油危機だけから見ても、日本列島改造論は根底から破綻していることは明らかであります。  社会党は、さきに、今日の石油危機の原因は、日米安保条約を中心とした対米追随外交にあることを明らかにいたしました。アメリカの手のひらの中で進められた外交政策と、大国偏重、アジア、中東、アフリカ、非同盟諸国軽視の外交結果が、一挙に火をふいたのであります。  そこで、今日焦眉の課題である中東外交について外務大臣にお尋ねをいたします。  政府は、中東に突如として起こった戦争によって、アラブ諸国の石油減産、非友好国への石油輸出の停止、もしくはきびしい割り当て制という処置を前にして、石油ほしさから、日米安保体制を取り続けながら、急速アラブ諸国への開発援助と引きかえに、あるいは一片のアラブ寄り談話などで、石油供給の削減の緩和をはかろうとあわてて対処してきたのであります。こんな欺瞞的な外交では、アラブ諸国の信頼と友好を得ることはできません。  中東戦争の根本的な原因は、長い間の帝国主義による植民地、民族分裂支配の政策にあることは明らかでございます。日本政府は、戦後一貫して、安保条約のもと、アメリカ追従を続け、アラブに対し帝国主義的侵略、民族的権利の抑圧に加担してきたのであります。したがって、政府がいまなすべきことは、これまで政府のとってきた帝国主義的な中東外交を根本的に改め、パレスチナの民族的権利と、占領されたアラブ領土の回復など、アラブ人民の正当な諸権利の承認、アラブ諸国との真の友好関係を打ち立てることであります。このことが、アラブ問題を解決するかぎであります。この点、外務大臣の所信を伺っておきます。  日本社会党は、今日、アラブ連盟から招待を受けています。政府のような石油ほしさからのアラブ寄り外交ではないのであります。非同盟、中立政策に立ったこれまでの友好、交流をさらに進展させ、恒久的な連帯を築くために、代表団を派遣することにしているのであります。もし、政府が、中東政策の転換を本気に考え、誠意をもって事に当たろうとしてわが党に協力を要請されるならば、わが党も、事態打開に協力することを考慮いたします。この際、総理の考え方をただしておきたいと思うのであります。  私は、ここで一連の総理の訪問外交と関連して特に申し上げておきたいことがございます。エネルギー危機を契機としてわが国の経済外交が完全に行き詰まった根本原因は、田中総理が、高度成長の成果を武器にして諸外国を日本の商品のマーケットとしてしか考えていないということにあることを深く反省しなければならないということでございます。  田中総理は、この夏、キッシンジャー構想に対し積極的な態度を示しながら、フランス、イギリス、西独、ソ連の四カ国を歴訪し、たいへん景気のいい宣伝を行なったところであります。それから数カ月もたたないうちに、世界の現実は、あの景気のよさが全く白昼夢にすぎなかったことを暴露してしまったのであります。とりわけ、対ソ外交では、北方領土問題は共同声明にすら盛り込めず、十七年前の鳩山内閣時代の国交回復交渉からむしろ後退さえ見せているのであります。しかも、日ソ共同声明で調印した正文が日ソで食い違がっていたという前代未聞の醜態を演じたことは、きわめて象徴的であるといわなければなりません。まさに、対ソ連外交は欠陥交渉であり、外交の常識すら忘れたキッシンジャー構想の外交員にすぎなかったことを物語っているのであります。  対ソ漁業交渉もしかりであります。特に安全操業問題は不成功に終わり、櫻内農相が訪ソしてもついにまとまらなかったのであります。安全操業問題は人道的な問題だけに、せめて安全操業問題だけでも総理みずからがけじめをつけてこなければならない問題であったと思うのであります。そうしたことが結果的には農林大臣交渉も不成功に終わったことになるのであります。今日、私は、総理のその責任は重大であると考えます。総理が外遊の成果を大いに誇っているその直後に、中東戦争をてことして、世界は大ゆれにゆれていたのであります。対ソ外交においては、結局、資源問題については何一つ交渉していないのではありませんか。しかも、ソ連のシベリアの石油開発のパイプは必ずしも日本につながらなくてもかまわない、それは西ドイツにつなげば、日本はその分だけ中東から西ドイツの割り当てを回してもらうことにすればよい等々、そういう安易な場当たり的な行き方では、資源外交を乗り切ることはできないのであります。十二年も先の三百兆円経済を宣伝される田中総理が、わずか一月も先の情勢をも見抜けないようでは、首相としては失格を宣言せざるを得ないのであります。いまや日本外交を根本から見直し、アメリカの手のひらの上にある外交から脱却しなければならないのであります。  第一に、日本国民の悲願ともなっている北方領土問題について、共同声明にすら盛り込めなかったのはきわめて重大であります。政府は来年また交渉すると言っているが、いつ開く方針なのか、その可能性はどうなのか。  第二に、日ソ共同声明の日ソ両案文の食い違いをどのように処理するのか。  第三には、漁業交渉、特に安全操業問題についてどのようにしてどうめどをつけるお考えか。  第四に、チュメニ石油に対してどのような交渉を進める考えか、お伺いをいたしておきたいと思うのであります。  さらに、今日の原油供給の二五%削減等の産油国の生産制限は、わが国だけの短期的な需要抑制で乗り切れるものではないのであります。したがって、資源エネルギーの多角的、安定的な供給をはかるべき段階にあることは言うまでもございません。資源外交の今後の展望と政策転換の方向を明らかにいたしていただきたいのであります。  次に、国民がいま怒りを爆発させている緊急物価対策であります。  消費者物価は、この一年間に約一五%も上昇し、これまで安定していた卸売り物価は二〇%をこえ、たった一年間で過去二十年間分にも当たる値上がりぶりであります。まさに物価の上昇は異常そのものであり、悪性インフレの段階に突入しているのであります。これでは、労働者がインフレ手当を要求し、主婦や消費者が、トイレットペーパーや灯油を買いあさるのは、この異常なインフレ、物価高から生活を守るための自衛手段と言わなければなりません。ところが、このインフレ、物価高に対処すべき責任者が、まっ先に消費者米価の大幅引き上げをきめ、緊急物価対策を審議している閣議をサボってゴルフに熱を上げているのでありますから、もはや、田中内閣そのものは、まさに狂乱時代と言うても過言ではないと私は思うのであります。このような政治姿勢では、石油危機と相まって、おそらく来年度は最悪の経済状態である不況下の物価高におちいることは目に見えています。  田中さんは、今日の異常な物価高騰に対して、インフレではないと言い切っているのでありますけれども、消費者米価、麦等々の値上げを強行して、一体、田中さん、インフレでないという根拠をこの際国民の前に具体的にお示しを願いたいのであります。  社会党は、すでに、反インフレ、生活防衛の緊急対策を要求し、幾つかの緊急項目を提案し、その実行を要求しているのであります。  その第一は、政府がみずからの手で、き然として、すべての公共料金値上げを三年間ストップすることであります。  第二に、政府は、買い占め売り惜しみ緊急措置法を改正し、投機的行為と価格のつり上げを厳重に規制すべきであります。最近の灯油の急激な値上がりは、厳寒期を迎え、北海道はもとより、全国民の生命にかかわる問題であります。  第三は、直ちに、買い占め緊急措置法及び独禁法の規定に基づき、価格と供給の人為的調査と、その公表を行なうよう、厳重な規制を要求したところであります。  しかるに、通産省は、その時点では、石油供給計画が立っているからだいじょうぶだということで、適切な措置を怠ってきたことは明らかであります。この際、通産大臣の見解を求めます。  私は、灯油など生活必需物資の価格と供給の安定を確保するために、まず、企業の灯油使用を押え、民生用暖房の灯油量のワクを優先的に確保するとともに、買い占め緊急措置法を改正して、指定品目の拡大、在庫調査と報告、立ち入り調査、売り渡し命令、罰則の強化を加える改正を行なうべきであると考えるのであります。特に、在庫調査、監視機構がいまのままで大臣の規制命令を強めることは危険であります。少なくとも、各都道府県段階に調査機関を設け、調査、監視、摘発を行なえるような保障をすべきでございます。そして、消費者も加わった民主的な委員会をつくって、監視、摘発を強化すべきであると考えます。以上の点について、政府はどことどこを実行し、どことどこはできないのか、はっきりさせていただきたいのであります。  政府は、国民生活安定法案と石油適正化法案によって当面の危機を切り抜けようとしているようであります。詳細は、わが党同僚竹田議員の質問に譲りたいと存じますが、価格、生産、流通に対して民主的な規制を強めて、国民の監視権限を制度的に強化していくことが最も大切だと考えるものであります。  また、この際、カルテル排除に伴う価格変更命令など、独禁法についても改正すべきであると存ずるのであります。  次に、インフレ被害に直撃された労働者のインフレ手当と、緊急調整減税を含めた大幅減税、いまや生活の方途を失っている老人、母子世帯、低所得層に対する社会保障費の引き上げ、私は、この際、インフレから社会保障を守れと強く要求をいたすものでありますが、総理並びに関係の大臣の見解を求めておきたいと思うのであります。  次に、最近の田中総理の二兆円減税構想なるものであります。内閣改造により、大蔵大臣の減税構想、その考え方とは若干食い違っているように思うのでありますけれども、この際、私は福田大蔵大臣に伺っておきますが、政府の責任ある二兆円減税の構想を具体的にこの際明らかにいたしていただきたいのであります。  最後に、私は、アイヌ民族問題について政府の姿勢をお尋ねいたします。  アイヌ民族の歴史は、和人による侵略と搾取の歴史と言わなければなりません。アイヌの人々は、これまでいわれなき差別と偏見によって苦痛の生活をしいられてきたからであります。一刻も早くあらゆる分野で差別をなくし、アイヌ文化の保存、生活環境の改善、生業の振興等の措置をとり、アイヌ民族の真の幸福を保障すべきであると思いますが、政府の今日までの取り組みとそしてその姿勢を明らかにしていただきたいのであります。  以上、今日の緊急な課題に限ってお伺いをいたしたのでありますが、関係大臣は国民に向かって親切な答弁をされまするよう強く求めて、私の質問を終わりたいと思う次第であります。(拍手)    〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(田中角榮君) 吉田忠三郎君にお答えをいたします。  まず第一は、政治姿勢等についてでございますが、政府は、本年二月閣議決定をせられました経済社会基本計画の示す路線に沿いまして、従来の重化学工業化と輸出競争力強化を中心とする生産第一主義を改め、国民福祉の充実を目ざした政策運営に鋭意転換をはかっておるところであります。新しく資源の制約が加わりました現段階におきましても、国民の創意と努力を結集して事に当たれば、当面する国難も必ずや克服できるものと確信をしておるのであります。  また、日本列島改造論につきましては、私が間々申し上げておりますとおり、一つの試案といたしまして世に問うたものでございます。四十五年度の国民総生産七十三兆円を基準にして六十年を展望し、五%なら幾ら、七%なら幾ら、八・五%なら幾ら、一〇%ならば幾らになるという日本人の持つ潜在成長力の明示をしまして、これに対応するような国土の総合開発が必要であると訴えたものでございます。大都市及びその周辺地域における過密公害問題及び地方における過疎問題をともに解決し、全国土にわたって健康で文化的な生活環境を整備し、国民の福祉の向上をはかることの必要性は、今日の情勢においても基本的には変わっておらないのであります。このような長期の展望と現下の経済政策とを混同した議論が起こらないよう政府もまた国民の理解を求めてまいりたいと考えております。  また国総法案は、国土資源の有限性に着目し、公共の福祉と自然環境の保全を優先するという原則に立って、健康で文化的な生活環境の確保と国土の均衡ある発展をはかるため、地方主導型の生活環境開発を進めるために策定をせられたものであります。またこの法案は、同時に地価凍結を含む土地対策の基本法的性格を有するものであることは御承知のとおりでございます。したがって、本法案はぜひとも必要だと考えておるのでございます。  内閣に対する支持率は幾らかということでございますが、つまびらかにいたしておりません。  第二は、資源外交と対アラブ外交等についてでございますが、資源エネルギー問題は、一国単独で解決することは不可能でございます。国際協調の一そうの推進によりまして、資源の安定的供給の確保につとめていく所存であります。アラブ諸国をはじめとする資源供給国とは、長期にわたって友好親善を深め、その国づくりに協力をしていくことが重要と考えておるのであります。外交に対しまして、日本社会党が協力の姿勢を表明されましたことに対して謝意を表明いたします。  次は、一連の外交等についての御質問でございますが、日米関係は量的にも質的にもきわめて深いものがあり、国際政治、貿易収支、資源エネルギー、人的交流等、あらゆる問題に関し、常時対応策について意見の交換を行なっていく必要があると考えておるのであります。  西欧訪問につきましては、新しい困難な時代を迎えて必要とされる具体的な協力関係強化の契機となるとともに、多極化時代における日本外交の基盤拡大に大いに役立つものと考えまして、ヨーロッパ三国を訪問いたしたわけでございます。日本の総理大臣として十七年ぶりに訪ソをし、北方領土問題をはじめ、日ソ間の諸問題について忌憚のない話し合いを行ないましたことは、日ソ両国関係の前進のために画期的であったと評価をいたしておるのであります。  なお、互恵平等、内政不干渉の原則に基づきまして日ソ関係を発展させてまいりますが、その過程におきまして不可欠である北方領土問題の解決のため、ねばり強く交渉を継続してまいりたいと思います。なお、北方領土問題につきましては、日ソ両国間で解決さるべき懸案でありますから、これが両国の継続される交渉案件であるということは共同声明で確認をせられておるのであります。日ソ共同声明のロシア語テキストの欠陥につきましては、日ソ間で調整済みでございます。日ソ首脳会談において同意せられたことに従いまして、漁業問題、シベリア問題等も積極的に推進をしてまいりたいと考えます。  緊急物価対策等につきまして申し上げますが、現在の物価上昇が憂慮しなければならない段階にあることは事実であります。このため、政府といたしましては、総需要の抑制措置の強化、生活必需物資を中心とする個別物資の需給調整の強化、緊急二法案の提出などによりまして物価の抑制をはかってまいる決意であります。昭和六十年展望の大型プロジェクト等につきましても、当面は総需要抑制との関係から大幅なスローダウンを考慮したいと考えておるのであります。  なお、公共料金につきましては、従来から極力抑制的に取り扱ってきたところでございます。現に国鉄運賃の改定を今年度末とし、米の政府売り渡し価格を今年度内据え置いておることでも御理解いただけると思います。しかし、恒常的に公共料金を据え置くことは、結果として財政負担を増大させることになり、予算規模を極力圧縮せよという現下の要請に相反することにもなることに御留意いただきたいと思うのであります。  今回の石油供給削減の事態に対処いたしまして、物価の安定をはかるためには、生活関連物資等の生産の増強や供給のあっせんを行なうとともに、買い占め等防止法について、特定物資の範囲の拡大、売り渡し命令の創設、権限の委任等、所要の改正を行なうこととなしておるのであります。  食糧につきましては、国内生産が可能なものは極力国内でまかなうべきでございまして、安易に外国に依存すべきではないと考えております。このため、規模が大きく生産性の高い農業を確立していくこととし、新しい土地改良長期計画に基づく農業生産基盤の計画的な整備、農業団地の形成等の生産、構造、価格、流通等、各般の施策を講じてまいりたいと考えております。大豆等、輸入に依存せざるを得ない農産物につきましては、その安定的な供給を確保するため、長期的展望に基づいて輸入先の多角化、商品協定、長期輸入取りきめの締結、備蓄の増大、海外農林業開発等に積極的に取り組んでまいりたいと考えます。  なお、アイヌ民族に対する施策の充実につきましての御発言についてでございますが、アイヌの人々は、生活環境、所得状況など、生活面におきまして一般の世帯に比べて相当の格差が見られる実情にございます。このような現況にかんがみまして、政府といたしましては、従来、生活館の整備など不良環境の改善を推進してまいったところでございますが、今後なお生活環境の整備、社会福祉の増進その他の諸施策について、積極的に推進をはかってまいりたいと存じます。  残余の問題については、関係閣僚から答弁をいたします。(拍手)    〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) まず、私の日本経済に対する見方について申し上げます。  いま私は、日本といたしますと非常な転換期に来ておると、こういうふうに見ておるのであります。つまり、戦後二十八年間、われわれの生活はたいへん改善されてきた。また、私どもの国際社会での地位も非常に向上したのであります。これは経済の発展がそうさしたと、そういうふうに見ておるのであります。とにかくわが日本は、いまやアメリカ、ソビエト、日本と、こういうふうに言われるまでになってきておるのであります。それは、なぜそうなったかと申しますれば、わが日本国民がなりふりかまわず働いてきた、そういうことの結果である。つまり、これを国として見るときには、成長の成果を次の成長につぎ込んできた。産業優先、成長重視という考え方があったと思います。  ところが、ここまできたこの時点において国を見回しますれば、公害の問題がある。あるいは過密過疎の問題があります。あるいは交通難の問題がある。住宅の問題がある。あるいは社会諸福祉施設の立ちおくれという問題がある。私は、アメリカ、ソビエト、日本と言われるような、ここまで強大になってきた日本、この今日におきまして、しばし踏みとどまって、これからの行く末を考えなきゃならぬ、その時期に来ておる、こういうふうに思うのであります。  そういう立場に立ちまするときにはどうかと言えば、経済の発展成長ということは、これは目的ではない、あくまでも手段である。われわれは、その手段をもってこの健全な社会、豊かな生活、これを実現しなきゃならぬ、こういうふうに思うのであります。いま、成長中心あるいは産業重視のこの運営、これを大きく生活重視の方向へ転換しなきゃならぬ、こういうふうに考えるのであります。  私は、いま物価問題という緊急の問題があります。これはたとえば、火事が始まっているような騒ぎであります。この火事の火を消しとめなきゃならぬ、そういう問題があります。しかし、それを消しとめまして、将来を展望しますときに、私は、公害の問題などの国民の問題としておる問題というものは、すべてこれは解決し得る、こういうふうに思います。そのためには、私どもは、これを国土全体を見回した総合的な計画、構想を持たなきゃならぬ。いま新全国総合開発計画というのが政府にあります。また、田中首相の頭の中には日本列島改造論があるのであります。私は、そういう考え方から、そういう国土総合開発という、その考え方については、これは賛成です。そういう国づくりの今後の方向としてそういう考え方を持たなきゃならぬ、かように考えるのであります。  ただ、経済成長中心主義から福祉中心主義に移るということになれば成長の速度はにぶる。また、これからは、日本の経済の運営が安定するためには、物価の問題、また公害の問題、国際収支の問題、資源の問題、こういうものとのバランスを考えなきゃいかぬ。そういうことを考えまするときに、成長の速度はかなり低くならなくちゃならない、こういうふうに思うのであります。  そういうふうに思いますので、これから国づくり、すなわち国土総合開発をどういうふうに推進するか、これは、これから慎重に検討されなけりゃなりませんけれども、基本的に総理大臣と私の間に見解の相違はございません。その辺は御安心を願いたいと思います。  次に、年内減税並びに二兆円減税でありますが、年内減税の問題につきましては、これはいたさないことにいたしております。つまり、いまは年末一つを考えてみましても、国民の消費購買力がどう動くか、こういうことがたいへんな問題である。そういうようなことを考えまするときに、私どもは、まあ、ボーナスの支給が非常に多額になる、これを何とか貯蓄に回してもらいたいというのでお願いをいたしておるわけでございまするけれども、そういうような考え方といたしまして、いまこの際年内減税をする、こういう考え方よりは、まあ、公債の発行額を減額する、そうして現下のこの物価対策への要請にこたえるというほうが妥当である、かように考えるのであります。  また、二兆円減税につきましては、これは田中総理が非常に熱心に考えられておるのであります。私もその考え方は理解できます。しかし、二兆円減税というものは減税一つでこれはきめられるべき問題ではない。減税をするためには、その財源が必要である。自然増収がどうなるか、あるいは増税が可能であるか、あるいは公債発行額をどうするか、そういう四十九年度の予算編成の一環としてきめられなきゃならぬ問題である。そういうふうに考えておりますので、私は四十九年度の予算について目下勉強中でありますが、その勉強の結果の一環として二兆円減税をどういうふうにするかきめていきたい。総理が熱心であるという状況はよく承知しておりますから、その辺もまた頭に置いて善処してまいりたい、かように考えておるのであります。  ざらに、予算編成の基本方向はどうかというお話でございまするけれども、私は先ほど申し上げましたように、わが国の前途は非常に展望が明るいんです。しかし、いまこの時点というものは、どうしても、この予算を通じましても物価上昇、この火の手を消しとめなければならぬ、こういう立場に置かれておるのであります。そういう要請にこたえるということを主眼とし、かつ、その要請にこたえる上におきましても、この物価上昇に伴いまして、被害を特に受けるところのこの小さいもの、弱いもの、そういうものの立場を重視して予算を編成したい、かように考えておる次第でございます。(拍手)    〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) アラブ外交について御質問でございます。  第一は、わが国のこれまでのアラブ外交は帝国主義的なものであったのではないかという御批判でございますが、私どもは、ゆめゆめ帝国主義的なアラブ政策をとった覚えはございませんし、またアラブ諸国においても、わが国はアラブ諸国について手をぬらしたことの、よごしたことのない数少ない国の一つであると認められておる上から申しましても、さようなものでなかったことを御理解いただきたいと思います。  それから第二は、先般十一月の二十二日に政府が声明いたしました声明でございますが、あれは中東紛争の公正かつ永続的な解決を早急にもたらしたいという願いをもちまして、これまで国連におきまして、本件に関してとられました国連決議に盛られた諸原則をより明確に示したものでございまして、吉田さんが御指摘のように、油ほしさに取り急ぎつくろった政策では決してないということを御理解いただきたいと思います。  第三に、日米関係と石油危機との関連で御意見をまじえての御質問がございました。今回の石油危機は、資源保有国側の保有資源を最も有利に活用したいという念願とあわせて、中東紛争を解決するためにアラブ諸国が結束いたしまして、その意図と政策を遂行する上で、石油を政治的武器として利用するために起こったことでございまして、その影響を日本が受けているわけでございまして、日米関係と一応かかわり合いはないものと、私どもは考えております。  ただ、本件の解決にあたりまして、われわれが、日本とアメリカとの間に深い関係があるということでございまするから、そして、この解決をもたらす調停国としての信用と力量において、アメリカは世界的な期待を持っておる国の一つでございまするので、わが国といたしましては、終始アメリカに対しまして早期解決を要請する立場にございます。そういう意味で、精力的なアメリカ外交を展開してまいることは本件の解決に資するものと考えております。(拍手)    〔国務大臣中曾根康弘君登壇、拍手〕

中曽根康弘通商産業大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) まず、日本の資源エネルギーと産業構造の問題でございますが、一九六〇年代に中東に安い大量の石油が噴出いたしまして、それを大量に日本は取得し、また、これがために臨海工業地帯等をつくって、非常に安い鉄とか石油化学製品をつくって、それを外国へ輸出して今日のような外貨も獲得したという形になったわけでありますけれども、反省してみますと、これは中東石油というものに偏食をした、やや肥満体の日本経済が現出している。その結果、公害問題が出てき、また、最近は中東紛争によって石油で悩むということが現実に反省されておるのであります。こういうような現況にかんがみまして、通産省といたしましても、一九七〇年代の産業構造としてかねてから指摘され、決定しておりました省資源型、知識集約型に急速にわれわれは構造変換をしていかなければならぬと思っております。この際、やはり今回の反省といたしまして、石油の供給量あるいは電力の供給量というものが限定されることによって産業構造の変換をかなり有力に促進することができるという感じがしております。何億トン、何億トンと毎年無限大に入るというような幻想を捨てて、やはり日本の経済体質を石油の輸入量というものに限定して改革していくという大事なポイントがここに出てきているのではないかと思うのであります。そういう観点に立ちまして、私たちは省資源型、知識集約型産業に、この石油の輸入というものを一つの有力なてこにして今後検討してまいりたいと思っておるところでございます。  それからもう一つ大事な点は、エネルギーの質の問題でございます。石油に偏食したというのをあるいは水力、あるいは原子力、あるいは潮力、地熱の力、あるいは太陽熱、あるいは石炭、そういうようなエネルギーの多面的な、質的な面も重視しなければならないと思いますし、また、これを獲得する方面についても、多地域にわたって、これらのエネルギー源を確保しておくということが非常に重要であると考えられております。  当面の方針といたしましては、大体十二月以降、われわれが期待していた数量に対して二〇%あるいはそれ以上の削減が来るという各メージャーズからの報告等をもとにいたしまして政策を立て、この十六日に内閣としての緊急対策大綱を発表し、その線に進んでおるわけでございます。まず第一に、官庁みずからがこれを自粛するということ、それから二十日から産業カット並びに民間に対して協力をお願いを申し上げており、かつ今回の国会におきまして、近くこれに関する二つの重要法案を提案いたしまして御審議願うということであります。この重要法案の方向は、いわゆる戦時中行なわれたような官僚統制——マル公とか、経済警察とか、やみとか、そういう忌まわしいものを避けて、これは民間、官庁、全国民総ぐるみの御協力によって、いわゆる民主的調整という形で価格の維持と数量の確保をやろうと、そういう考えに立っておるところでございます。一番大事な点は、この際便乗値上げを防ぐということでございます。石油の不足に応じてそういう気配がございますので、われわれとしては、灯油を先発といたしまして、この指導価格をきめて、いまかなり各品目についても検討しておるところでございますが、これらの便乗値上げというものは、今後政策をやっていく際にはこれを許さない。そういう方針で今後の価格政策をやっていくつもりでございます。  灯油について、在庫調査その他の御質問がございましたが、これは法律の成立を待ちまして、もちろん在庫調査はもとより、情勢によっては立ち入りその他も辞さない考え方でおり、価格の維持につきましても、これは消費者等とも、また地方団体とも緊密に連絡をいたしまして、この価格を維持してまいるつもりでございます。  独禁法の問題につきましては、これは、政府が国家権力をもって介入し、指導して行なうことに対して、民間に協力を願っておるのでありまして、独禁法の対象にはならない問題であると心得ております。(拍手)    〔国務大臣内田常雄君登壇、拍手〕

内田常雄自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(内田常雄君) 吉田さんの御所論に関連いたしまして、総理大臣ほか関係閣僚の御答弁と重複を避けながら、私の所管にかかる分につきまして、率直に私の考え方を補足的に答弁をさせていただきたいと存じます。  まず、物価危機の今日に対応する今後の経済指導政策の問題でございますが、これにつきましては、経済企画庁の私どもが、内外のその方面の識者を動員をいたしまして、経済審議会をつくり、そこで御承知の、ことしの初めから経済社会基本計画というものをつくってまいってきておるわけでございますが、しかし、私が入閣をいたしまして、この基本計画並びに現内閣が本年の初めに立てましたところの、経済見通しに関連しまして、その後の推移を検討をいたしてみますると、かなり思い切った改定を要することになっておりますことを第一に気づいたわけであります。そこで、皆さま方も御承知のとおり、十一月の三十日には、私は思い切って過去にとらわれないで、今年度の経済成長の見通しの改定作業を閣議にも報告をいたし、発表をいたしたわけであります。したがって、この改定に即しますときには、現在の経済社会基本計画というものも、私は、次のような諸点から、今後その指導方針をさらに検討をしてまいるべきだと考えるものであります。  それは、すなわち現在の経済社会基本計画というものも、ことしの初めに立てましたときは、活力ある福祉社会の建設を目ざしてという傍題がついているわけでありますが、しかし、私はそれに加えて、今後の指導方針は、国民福祉の充実ということ、それから言うまでもなく次は物価の安定、それから中曾根通産大臣も言われましたが、省資源、省エネルギー産業への構造転換、それからこれは、政府も国民をも含めまして、浪費のない消費生活に転換するということを、今後の経済指導の基本原理とすべきであると考えるものでございます。したがって、いま私のところで現行の経済社会基本計画のフォローアップをいたしておりまして、そして、私はいま申しましたような指導原理に基づきまして、この計画の運用方針も変えていくつもりでありますが、名前は、私は経済社会基本計画と申しましても、その心は、経済社会安定計画というようなものに改定したつもりでやってまいりたいと思うことが第一でございます。  それから国総法の問題も経済企画庁の所管でございまして、すでに当院にも御説明を前国会以来申し上げているところでございますが、このことにつきましては、田中総理大臣からすでにお話がございました。しかし、皆さんも御承知のように、現在ある国土総合開発法というものは、昭和二十五年、終戦直後の法律でございまして、今日の国土の状況とは全く違うわけでございまして、いわばここまで成長した日本の社会経済というものには、全くそぐわない小さい着物を着せられたような現行国総法になっております。さらにまた、これから先、日本人が毎年百数十万人ずつもふえまして、いまから二十年、三十年後には一億数千万人になることを考えますときには、この国総法というもののたてまえも、現在のような過密過疎が非常に深刻化し、あるいはまた、田中総理大臣が常に言われますように、人口、産業が限られた都市に集中しておるというような状態のもとに将来の国土総合計画を進めてまいることは全く無理でございますので、中身に何を盛るかということは、先ほどの経済社会基本計画の考え方によりますように、常に弾力性を持たしていくことにいたしましても、この国総法のたてまえというものは、私は、これはやはりぜひ皆さま方に御理解をいただいて進めてまいりますことが、現内閣における新人の私といたしましても、政治家としての良心であるように考える次第でございます。  それから物価の緊急対策等につきましては、総理大臣並びに通産大臣からお話がございましたから、これは省略をいたします。ただ、中曾根大臣からもお話がありました国民生活安定緊急法並びに石油安定化法等と関連いたしまして、現行の売り惜しみ買い占め防止法につきましても、この際、現状に即した改正を試みていくことにいたしております。すなわち、関連物資の範囲を広げますとか、あるいはまた、いままでの勧告、公表にとどめず、必要な場合には、それは売り渡し命令等の事項も用意をいたしますとか、また、私が見まして、現状の価格調査官だけの制度では現在の緊急事態を乗り切れないものがあると考えますので、この価格監視制度の充実につきましても、これを強化をいたしてまいる所存でございます。  最後に、公共料金の問題でございますが、これも総理大臣からのお話がございましたが、公共料金は、言うまでもなく、今日の消費者物価の中で重要な要因を占めるものでございますので、私の考え方といたしましては、公共料金につきましては、抑制的の立場から慎重な検討を進めていくつもりでございます。ただし、従来の公共料金の抑制等の経緯にかんがみてみますると、抑制をしたがためにその後非常に大幅な値上がりを招来したり、また、その公共サービスの分野に資源の配分が非常におくれて荒廃を来たすというようなことの結果も見られておりますので、その辺も十分勘案しながら、物価対策並びに国民生活の安定という見地から遺憾ない処置を進めてまいりたい所存でございます。(拍手)

河野謙三各派に属しない議員議長

○議長(河野謙三君) 吉田忠三郎君。    〔吉田忠三郎君登壇、拍手〕

吉田忠三郎日本社会党

○吉田忠三郎君 私は、冒頭に、端的に伺って、しかも、国民にわかりやすく今日の疑問点を払っていただきたい、こういうお願いを申し上げながら質問したのでありますが、総理大臣以下ただいままでの答弁を聞いておりますると、さっぱり国民にわかるような答弁ではない、むしろ欺瞞的な答弁をいたしているところに私は非常に不満を感ずるものであります。憤りを感じます。  たとえば第一に、総理大臣は、いまの物価高、超インフレ傾向、これをインフレでないというあなたは認識でたびたび新聞記者や、あるいは報道関係に報道されているのであります。ですから、インフレでないという一体根拠を明確に明らかにしていただきたいと、こう言ったんでありますが、答弁はございません。  同時に、内閣改造来、記者会見を私は伺っております。あなたの記者会見での発言を聞いている限り、その後における言動、いまの政治、経済に対する発想の転換、政策転換が示されてないわけですから、私は、この際その発想の転換、政策の転換が必要ではないか、こう聞いたのです。  このことは、大蔵大臣にも関係いたすのでありますが、大蔵大臣は、いままでたびたび安定成長に路線を切りかえなけりゃいけない、いまの答弁でも、火事であるから早目にとめなければいけない、こう言っている。一体火をつけたのはだれなんですか。政府・自民党じゃないですか。ですから、政策の転換が必要だということはあなたはたびたび言ってきたのでありましょう。しかし、いまの答弁を聞いておりますと、いつかもう早変わりをして、大蔵大臣になったとたんにその安定成長論がどっかに吹っ飛んでいっちゃって、田中総理の言いなりになる姿勢について、一体国民が納得しますか。このことを私は聞いているのであります。  外務大臣については、アラブ外交、中近東の外交について、大平大臣は、何か自分ひとりよがりの、片思いの外交的な考え方を私は持っているんじゃないかと思う。そして、日米と関係ない。こう言っていますが、あなた方があわてふためいてアラブ寄りの政策をとったときに、一体アメリカはどういう仕打ちに出たでありましょうか、これで一体日米に関係はございませんか。わが国の外交の基調は、日米安保条約に基調があることをあなたはいまも答えられたでしょう。関係ないと言うのは、一体具体的にどういうことか、お示しを願いたい。国民は信用しませんよ。  それからもう一つは、経企長官は、もう質問しないことを何かべらべら長ったらしいことをしゃべっておりましたが、どうも経企長官の答えを聞いていましても、何かしら運用を間違ったとか、検討してみなければならない点があるとか等と言っているのでありますけれども、何ら具体性がないのでありまして、この点は聞こうとは思いません。  そこで、私は、大蔵大臣に伺うのでありますが、大蔵大臣、二兆円の減税を公約したのはみずからの田中総理大臣なんですよ。公約なんですよ、これは。あなたは年内減税いたしませんと、いま答えました。いいですか、減税をしなければしないでもよろしいのですが、具体的に何と何と何の要素のもとに減税ができないということを、国民にはっきり言えないのですか。大蔵大臣、税の自然増は、すでに当初をはるかに上回った財源があるじゃありませんか。ですからこの財源と、来年度予算編成のつまり財政規模等とは関係は全くないとは私は言いませんよ。ですけれども、取り過ぎた税があるわけであります。明年多少それが鈍化されたとしても、明年の税収入は自然増として私は四兆円をこえると思うのであります。だとすれば、当然減税というものは考えられるべきものなんですから、その内容においては違いまするけれども、この点は減税すべきであるということは、私は総理大臣とはそう見解は遠くないのであります。  それから最後に、インフレというものの弊害は、一体どこにくるかということは、皆さん御承知おきだと思うのです。先ほども申し上げましたように、老人、母子家庭、生活保護を受けておる世帯、すべての社会保障制度に、そのインフレの弊害が最大に発生をするのであります。被害をこうむるのであります。これに対する答弁がないじゃないですか。いかに、田中総理大臣は、去年の暮れに、社会福祉の建設、年金の年、こう言っておりましても、いまの答弁、この姿勢でも明らかなように、現内閣は、社会保障制度というものをさっぱり取り上げていないという証拠になるのじゃないでありましょうか。私は、この点をあらためて質問をいたします。  第五に、アイヌ民族についても、私は……。

河野謙三各派に属しない議員議長

○議長(河野謙三君) 吉田君、吉田君、時間です。

吉田忠三郎日本社会党

○吉田忠三郎君(続) 聞いたのでありますが、これについても答弁がないじゃないですか。再答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(田中角榮君) インフレ問題に対してまず申し上げますが、インフレの定義がむずかしいということは、御承知のとおりでございます。しかし、現状は、物価状況が非常に深刻であると認識をいたしておりますと、こう述べておるのでありまして、あとは、学問的なインフレ論というものに対しては、これは、インフレであるかないかというような問題は、これは、私がいま学問的なインフレであるとかないとかいうことを申し上げられる段階にない。ただ、深刻であるという認識のもとに諸施策を進めますと、明確に答えております。  それから第二は、政策に対してでございますが、これは間々申し上げておりますとおり、日本はかつて重化学中心でございますし、その過程においては輸出中心型であり、特に、そういう産業は資源の多消費型でございますから、日本が資源を持たない国である。資源の大多数を外国から輸入しなければならないというような状態を、いつまでも続けることができませんので、重化学中心、輸出中心産業から省資源、省エネルギー、知識集約型産業に転換をしなければならない。またこれは、公害除去のためにも、狭い日本の生活環境を整備するためにも、そうせざるを得ませんというのは、先々国会から間々申し上げておるとおりでございます。そこへもってきて今度の石油問題が起こってまいりましたので、このピッチを上げなければならないということは、先回、この壇上から所信に関する演説で述べておるとおりでございます。また大きな筋といたしましては、輸出とか生産中心から、生活環境を整備して、生活中心へ、その過程において、社会保障を拡大しなければならない方向に、大幅に転換をしなければならないということは、間々申し上げておるとおりでございます。  それから二兆円減税に対して、大蔵大臣から述べられましたが、これは二兆円減税には熱心であると大蔵大臣も述べたとおり熱心なんです。これは最終的に決定するのは、四十九年度予算編成のときにきまるわけでございます。その過程においては、財源の問題もございますし、国債発行高の問題もございますし、また新税の問題もございます。そういうものと、十分調整をしながら、二兆円減税の実現に対して、非常に努力を続けておる。私は、大蔵省は二兆円減税というものをやってくれるだろうと、こういう気持ちを持っておるわけでございます。そういう意味で、鋭意作業中である、こういうことでございます。  最後の問題に対しては、先ほどお答えをいたしました。(拍手)    〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 私の安定成長論が、私が大蔵大臣になったとたんにどこかへ吹っ飛んじゃったじゃないかというような御質問でございますが、私は、先ほどお答えの中でもはっきり申し上げたんですが、経済の運営には物価、国際収支、資源、公害、この四つのかなめを凝視し、これとのバランスをとりながら進めなけりゃならぬ、こういうことであります。また内容におきましては、いままでの成長中心から国づくり中心のものにしなければならない、かように申し上げたわけでありますが、そういう考え方をとりますと、いままでわが国の経済が非常な発展をした、ことにこの十五カ年のごときは先進諸国の二倍半の高さの成長、発展をしたんですが、そういう高さの成長はもうとうてい考えられることができない。その成長の高さにつきましては、これは物価、国際収支、資源、公害、これらとのバランスを見ながら慎重に適正にきめなけりゃならぬ、かように考えております。いままでの考え方を変えておるわけではございませんですから、御理解を願います。  それから二兆円減税につきましてもお答え申し上げたんですが、この考え方自体につきまして私も勉強してみました。なかなかバランスのとれた、まあ一つの理想的な減税体系だと、こういうふうに考えられます。またこれを田中総理も非常に熱心に推進を考えられておる。しかし、これが考えられだされましてからその後石油問題が非常に深刻化しておる。したがいまして、財政のかじのとり方、この考え方につきましても調整を加えなけりゃならぬ、そういう事情に迫られておるわけであります。そういう点を踏まえまして、その財源の自然増収をどう見るか、また増税をどういうふうに考えるか、公債発行をどの程度にするか、諸般の問題をいま検討中なんです。  私も、この二兆円減税というような考え方、これは総理がそう考えておるということも尊重しなけりゃならぬ。同時に、私自身といたしましても、とにかく物価高だと、こういう際に、その物価高によるはね返りをこういう方法で緩和するということも考えなきゃならぬというふうに考えておりますので、四十九年度予算の骨格をきめる、それと同時に、その一環といたしまして結論を出したい、かように考えております。  それから物価高の影響をこうむるところの階層に対して対策をとるべきじゃないかというお話でございますが、そのとおりであります。したがいまして、補正予算におきましてもいろんな施策の御審議をお願いを申し上げております。四十九年度予算におきましてもさような考え方は貫く。つまり、この四十九年度予算はどうしても抑制型になるのです。これはやむを得ない。しかし、世の小さいもの、弱いものの立場、これは極力尊重する、特別な配慮をする、さような方針でございます。(拍手)    〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) アラブ外交と日米関係について明確でないという御指摘でございました。私が御答弁申し上げたのは、石油危機の発生はアラブ諸国の固有の事情から出てきて、そうしてその影響を日本もこうむっておるということであって、日米関係とは本来関係がないものであるという意味に申し上げたわけでございますが、アラブ政策自体につきまして日米間に必ずしも意見の一致を見ていないことは、吉田さん御指摘のとおりでございます。これはそれぞれの国の事情がございますので、必ずしも政策の手法が一致しなければならないという筋合いのものでは私はないと考えております。しかしながら、日米関係を外交の軸にいたしておる日本といたしまして、基本的な信頼関係をそこねるようなことはいたしたくないわけでございまして、その点については十分な配慮をいたしておるつもりでございます。また、その信頼の上に立ちまして、中東紛争の解決につきまして、米国の積極的な役割りをわれわれとして大いに期待し、それを要請してまいるということは、日米関係の上で当然やるべきわれわれの責任ではないかということを申し上げたわけでございますので、御了解をいただきたいと思います。(拍手)     —————————————

河野謙三各派に属しない議員議長

○議長(河野謙三君) 安井謙君。    〔安井謙君登壇、拍手〕

安井謙自由民主党

○安井謙君 私は、自由民主党を代表いたしまして、今回の政府の所信表明につき、総理並びに各関係大臣に対し、若干の質問を行ないたいと思います。  もっとも、吉田君の質問と若干重複するところもあります。もし答弁が尽きておる点は御省略をいただきましてもけっこうでございます。  今日、わが国は、石油危機によってかつて経験したことのない重大な試練に立たされ、社会的にも大きな激動期を迎えております。  この重大なときにあたり、国務に殉ぜられた愛知大蔵大臣の逝去は、まことに残念なことであり、心から哀悼の意を表する次第であります。    〔議長退席、副議長着席〕 しかしながら、田中総理は、この悲しみを乗り越えて、災いを転じて福にせんとする決意によるものと思いますが、文字どおり、電光石火の速さで内閣改造をやってのけられ、人心の一新をはかり、時局と真剣に取り組む姿勢を明らかにされました。深く敬意を表するとともに、その成果に大きな期待を寄せるところであります。  新改造内閣がまずもって緊急に取り組むべき当面の課題は、強力な物価安定対策、生活必需物資の確保、石油危機打開と資源対策にあることは言うまでもありません。  政府が国民生活の安定を目ざしてこれから実施しようとしておる新政策には全国民が刮目し、強い政治力の発揮に期待をかけております。ただし、率直なところ、多くの国民は、今後の物価対策、生活必需物資の確保については、期待とともに、一まつの不安を抱いておるのが真相ではなかろうかと思います。この不安感が強まれば、政治に対する不信につながる危険も生じます。この際、国民の信頼をいかにしてかちとるかは大きな政治課題であろうと思います。  田中総理は、現在起こっておる物資不足現象は、戦時中あるいは戦後の日本の経済力が極端に疲弊して全く物のなかった時代とは異なり、単なる一時的現象にすぎないのであるという点を説明され、国民に十分な理解と安心感を持つようにと説得をされております。確かにそのとおりであるにもかかわらず、現実の物価高、物不足ムードに対して国民は非常に敏感になっております。今日の物価高、物不足に拍車をかける要因といたしましては、自由な暮らしになれていた国民が経済の急激な変化に対応し切れないで、買いだめに走ったり、売り手側が先を見越して売り惜しみをしておることも大きな原因の一つとしてあげられます。いわゆる住民、企業ぐるみのエゴイズムが存在しておることも確かでございます。しかし、今日の物価高は、その点を指摘するだけでは解決しないと思います。今日、一番大切なことは、政府の施策に対し国民の信頼をいかにしてつないでいくかということではないでありましょうか。重大な時局に臨んで政治に取り組んでおられる田中総理のお考えを承りたいと思います。  なお、総理は、御就任以来、決断と実行をスローガンとしてこられましたが、これまでの実績に徴しても、総理の決断と実行のさばきはまことにあざやかなものでありました。しかしながら、世間の一部の批評の中には、決断と実行が度を過ぎると、独断拙速におちいる危険もなしとしないという批判を聞かないではございません。私は、政治の最高責任者が強いリーダーシップを発揮されることは、常に必要なことと考えます。それがむろん独裁であってはならないことは言うまでもありません。今日の議会制民主主義は、あくまで衆知を集めた政治でなければならないし、多数の意見を集約して大きな流れを見きわめ、その上で決断を与えるべきであろうと思うのでありますが、この点についてもあわせて総理の御所見を伺いたいと思います。  次に、今日の経済の激動期をいかにして乗り切るのかという問題についての基本的なお考えをお伺いします。  当面の課題は、申すまでもなく、物価の安定、生活物資の確保にあります。今日の物価上昇の要因は、財政規模の急激な膨張、それに伴う総需要の拡大、過剰流動性、国際インフレによる輸入価格の高騰、賃金の大幅上昇等を背景とするインフレ心理にありますから、その対策の実施にあたっては、これら個々の要因をはっきり見きわめ、まず、大宗をなす総需要の抑制を中心に、金融・財政はもちろん、その他あらゆる観点から総合的な施策を行なうとともに、国民の理解と協力を求めることが必要であろうと思います。  田中総理は所信表明にあたって、政府は全力をあげて国民経済の混乱を未然に防ぎ、内政、外交のあらゆる面にわたり冷静な判断と敏速な行動力をもってこの転換期を乗り切る決意であると述べられました。また、福田大蔵大臣は、物価問題と石油問題の解決こそ政府に課せられた責任である、政府は率先して有効適切な施策を果敢に実行する、私は最善を尽くして難局を乗り切る決意であると述べられておられます。  いずれも、時局に対するきびしい認識の基調のもとに、現在起こりつつある諸問題と真剣に取り組む姿勢を示しておるものと受け取っております。  政府は、すでに、当面する諸問題を解決する緊急対策として、公共事業の繰り延べ、金融の引き締め、金利の引き上げ等、着々と必要な手段を講じてはおりますが、経済の大きな流れは短期決戦では片づかないと思います。この際、さらに一歩を進めて、今日日本の置かれておる経済の実態をありのままに国民の前にさらけ出し、現段階では政策の効果にもおのずから限界がある点を示し、長い目で見た国民の理解と協力を求められるべきではないかと思います。そのためには、当面の緊急を要する短期対策と構造的かつ総合的な形での長期対策を具体的に国民の前に示される必要があるのではないかと思うのですが、お尋ねいたします。  今日、物価高の影響を最も手ひどく受けておる階層は、申すまでもなく、固定的な収入に生活の全部を依存しておる人々、恩給・年金生活者、生活保護を受けておる階層の方たちであります。物価高による国民の生活苦が叫ばれておる一方では、六兆円にのぼる年末賞与が支給され、デパートの売り上げは激増し、レジャーブームもやむところを知らずといった状況にあることも事実でございます。社会構造から見たこのひずみ、格差をいかにして取り除いていくかということが政治の最大ポイントではないでありましょうか。  物価の安定は、一言に尽くせば、総需要の抑制ということになりましょう。総需要の抑制が強力に進められることは当然でありましょうが、このことは、一面、設備投資の縮小、生産の低下とつながり、従来の惰性になれた国民の需要欲を満たし切れないで、いわゆる需給のアンバランスを生じる危険もあります。そのことは、逆に物価高を呼び、いわゆるスタグフレーション現象を起こす危険もなしとしないかと思うのでありますが、この見通しについて大蔵大臣の御見解もあわせてお伺いしたいと思います。  次に、新中東政策と日本外交のあり方についてお伺いいたします。  中東問題について最近の報道によれば、アルジェリアのアラブ首脳会議を転機に、アラブ世界はナセル以後の混迷期を脱し、新しい勢力秩序への再編期に入ったといわれております。この動きは、同時に、アラブ産油国の石油武器戦略の効果を背景に、今後の国際政治、中東和平のあり方にも大きな影響をもたらそうとしております。  政府は、このたび、中東紛争に関する一九六七年の国連決議について新しい政府見解を発表されました。  その内容を要約すれば、従来からの中立的な対中東路線を転換し、アラブ寄り路線を打ち出したものと理解されております。アラブ諸国はこれを評価し、EC諸国並みに十二月から五%の供給削減追加を免除する措置をとりました。新しい中東路線は、高まる石油危機に歯どめをかけたものと考えられます。しかしながら、来年一月以降、アラブ諸国がどのような方針をとるのか、全く明瞭になっておりません。政府はこの点でどのような見通しを持っておられるのか、まずお伺いをいたします。  一方、アラブ寄りの対中東路線を打ち出したことによって、イスラエルはもとより、世界経済に大きな影響力を持つ国際資本との摩擦が高まることが憂慮されております。すでに米国内では日本に対する抗議デモも行なわれたということも聞き及びますが、こうしたリアクションをどのように見ておるのか、また、どう対処していくのか、外務大臣の見解をお尋ねいたします。  なお、近く三木副総理が政府特使として派遣されるやに承っておりますが、いかなる構想の上に立って接触されるのかをお聞かせ願いたいと思います。  このたびのアラブ産油国による石油供給の削減は、わが国経済のアキレス腱を浮き彫りにいたしました。原料資源の輸入が困難になれば、わが国経済の存立の基盤が根底から脅かされることを深く教えられたのであります。すでに世界の石油資源は三十ないし四十年で枯渇するともいわれており、資源のないわが国においては、石油大量消費型の産業構造の転換に取り組まなければならないと考えます。同時に、これまでの消費は美徳なりとする考え方は、節約は美徳なりとの考え方に転換することが大切であろうと思います。今後の石油需給の見通しについては、現段階では判断がつかないというのが常識でありましょうが、現段階において産業界並びに国民生活に与える影響はどの程度のものかをお示しを願います。  また、ほとんどの原材料輸入国であるわが国といたしましては、他の主要原材料の安定確保についても今後十分な対策を要すると思いますが、その目算は立っておりましょうか。総理は、御就任以来、欧米を回られ、また近く東南アジアも歴訪され、特にこの問題には関心が深いと思いますのでお伺いをいたします。  また、将来、石油にかわる安定エネルギーとしての石炭の見直しや、豊富な水力エネルギーの開発、原子力発電の実用化が当然考えられますが、特に原子力発電については、わが国でも相当大規模な開発が進められておりますが、安全度の問題、環境保全の問題、ざらに廃棄物処理の面等でいまだ解明し切れない部分があり、常に社会問題を引き起こしておりますが、これについて政府はいかなる確信をお持ちであるか、お尋ねいたします。  また、近い将来、原子力発電はどの程度わが国の平和利用に貢献し得る見込みなのか、これもお伺いしたいと思います。  石油輸入削減とも関連しまして、わが国の国際収支の見通しについて一言お伺いします。  わが国の国際収支は、四十六年度の外貨準備百六十六億ドルから、一貫して増加し続けてまいりましたが、今年二月の変動相場制への移行に伴って、それまでの黒字拡大傾向から赤字へ移行し、十月末には百四十億ドル台にドルが減少しております。その上、さらに中東石油の供給削減で国際収支の赤字の増大、その長期化が予想され、このまま減少を続けるならば、今後の通貨外交や対外援助にも重大な影響が出てくるのではないかとの懸念もないではございません。輸入の急増や長期資本の流出で国際収支の赤字傾向はなお強まると見る向きもあります。これは、本格的に国際収支均衡化をたどるための一時的な現象であるのか、産業の構造的原因によるものであるのか、今後の国際収支の見通しと、外貨準備の適正水準をどのように考えておられるのか、あわせて承りたいと思います。  以上、石油問題を中心にして若干の質問を試みましたが、当面の課題につき、四十九年度予算編成方針と関連して、二、三お伺いをいたします。  田中総理の御主張されておる日本列島改造論は、今日種々の論議を呼んでおりますが、その目的とするところは、日本の置かれておる経済的・社会的構造のひずみを根本的に改造し、過疎過密に悩む日本全土のバランスのよい体質づくりに構想が置かれておるのであろうと思います。このことが、日本の将来にとって欠くべからざるものであることは、言うまでもありません。  ただ問題は、いかなる時期、いかなる手順を踏まえて実現していくかということにあろうと思います。膨大な資金、資材、労力を要するこの雄大な計画を、いま直ちに強行するには時期が悪過ぎるかと思いますが、御所見を伺いたい。  政府は、すでに、新幹線、高速道路、海洋博、その他大型公共事業及び官庁営繕事業等の実施をスローダウンさせております。明年度以降についてはどのような方針でこれを貫かれるつもりであるか。一部に報ぜられておるように、公共事業の伸びを明年度は一けた台にするというようなお考えでありましょうか、四十九年度予算の全体ワクとも関連して見通しをお尋ねいたします。  次に、政府所管にかかる公共料金の取り扱いについてであります。  公共料金を極力押えていくという方針は変わらないと思いますが、一部伝えられておるように、すでに決定した消費者米価の実施時期をさらに延期するとか、郵便料金の値上げストップとかをおやりになる決意があるかどうか、お伺いします。  米や郵便料の若干の値上がりは国民生活にそれほど大きな影響はないとか、独立採算制は堅持しなければならないというたてまえ論は確かにございますが、物価問題に対する政府の姿勢、国民に与える心理的な影響について十分の配慮があるべきだと存じます。  明年度の抑制型予算の編成にあたって特に配慮さるべき問題が二つあろうかと思います。  一つは、中小企業対策であります。経済の変動期にあたって一番影響をこうむるのは中小企業でありましょう。金融引き締めの強化によって、中小企業、特に、卸・小売り業をはじめ、下請企業の資金繰りが悪化しております。これは、日銀の窓口規制に加え、地銀や相互銀行、信用金庫等が、零細企業に対する先行き警戒感から選別融資を強化したことと、貸し出し金金利が急上昇しておることがその理由となっております。ことにこれから年末にかけてさらに窓口規制が強められ、中小企業向け金融機関の選別が強まる情勢にあるだけに、中小企業者の資金繰りが苦しくなることが心配されております。政府は、これらに対処して、中小企業金融対策をどのようにお進めになるのか、お伺いをいたします。  いま一つは、社会福祉予算であります。物価高の影響を最も強くこうむっておる国民層に対する予算措置には格別のものを期待をしておる次第でございます。  次に、税についてお伺いします。  勤労者所得税平年度二兆円の大幅減税構想が早くから打ち出されております。ただいま吉田君から再度にわたる質問もありましたから、答弁につきましては御配慮あってけっこうでありますが、この二兆円減税構想は、石油危機を契機として財政を圧迫し、インフレ傾向を増大するから、一定限度内にとどめるべきであるとの消極的意見も出ております。単に財政上の理由だけではございません。一方、現在のように所得が急増しておるときは、名目所得の増加率をこえて税負担が増加し、毎年のように所得減税を行なっても納税者は実質的に負担を軽減されたとは感ぜず、国民は依然として重税感を持っておるのが実情であるゆえに、物価高のマイナスを大幅減税でカバーすべきであるとの要望も強く出ております。政府はどのように受けとめておられるかを伺います。  次に、三大都市圏の地価凍結並びに農地転用について伺います。  このたび、住宅対策のための土地行政のあり方について行政監理委員会から出された答申は、マイホームの夢を前進させるものとして各方面から非常な注目と期待をもって迎えられております。ことに、この答申の大きな柱となっておる三大都市圏の地価の凍結は、都市圏勤労者にマイホームヘの夢をふくらませております。すでに政府部内でも関係者間の話し合いが進められておるようにも聞き及んでおります。権威ある今回の答申を尊重し、極力実現の方向で具体的な検討を進めていただきたいものだと思います。  また総理は、過般、来年度を目途に地価抑制の大きなきめ手として農地転用構想を打ち出し、現行の農地転用基準をゆるめ、市街化区域内の農地約二十八万ヘクタールと、国道、県道沿い二百メートル以内にある農地二万ヘクタール、計三十万ヘクタールの宅地転換について農林省に具体的な検討を指示ざれたと聞き及んでおります。三十万ヘクタールというこの膨大な農地が転用されれば、過密地帯の住宅用地の供給は大きく前進し、地価の抑制にもいい影響を生ずるものと思いますが、一方では、今後の農業政策との関連についていささか危惧を持つ向きもあります。そのせいか、総理はこの計画の実施について弾力を持たせるよう指示されたとも伺っておりますが、この間の事情を承りたいと思います。  以上、当面の問題につき若干の質問をいたしましたが、わが国の経済は自由主義を基調にいたしております。もちろん、いかなる企業といえども野方図な自由を認められるべきではなく、みずから社会連帯性、社会公益性のワクのもとに健全な発展が望まれます。今回提案となった国民生活安定法案、石油需給適正化法案もこの趣旨に基づくものと思われ、一日も早く成立し、国民生活に寄与することを希望しております。  今日、わが国が重大な時局に当面し、自民党内閣に対する批判があることも否定できません。しかしながら、国民の大多数は、人間本来の持っておる自由を享受できる現体制を望んでおり、寄せ集めの野党連合の幻想にはいささかも期待していないであろうことをつけ加えまして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕

田中角榮自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(田中角榮君) 安井謙君にお答えいたします。  まず第一は政治姿勢についてでございますが、わが国は、これまで、豊富で安価な石油エネルギーを使えるという利点を最大限に生かして幾多の困難を克服し、世界に例を見ないほどの生産の増強と雇用の拡大を達成してきたことは、御承知のとおりでございます。この国民の創意と努力を結集すれば、資源の節約の中で、新しい豊かさ、すなわち潤いのある生活空間、多彩な余暇空間を積極的に創造していくことは可能であると考えておるのであります。そして政治は、長期的展望を見失うことなく、きびしい現実に対しては冷静な判断と敏速果断な行動でもって対処していかねばならぬと考えておるのであります。そのため、政府は、当面国民経済の混乱を未然に防ぎ、国民生活の安定を確保するために総力を結集してまいりたいと考えます。  また、現在の政治体制は、申すまでもなく政党政治でございますし、議院内閣制でもございますので、この困難な情勢に対処して、党と政府が一体となりまして、また、その上に内外の衆知を結集してまいりたい、こう考えております。その上、国民各層の理解と協力を得て時局に適切に対処してまいりたいと考えるものでございます。  経済政策に対する基本的態度について御言及がございましたから申し上げますが、物価問題はすべてに優先して取り上げるべき政策課題であり、政府はこれに全力を傾注してまいりたいと考えております。経済的にも社会的にもわが国にとって一つの歴史的転換期ともいうべき試練に直面をいたしております現在、長期的には、産業構造の知識集約化、国土の均衡ある発展、原子力の開発、水力発電の見直し、石炭その他国内資源の活用、無公害の新エネルギーの開発、資源外交の推進等につとめる必要があると思うのであります。  また、当面最も緊急に対処すべき問題といたしましては、物価の上昇と石油問題がございます。当面、政府としては、総需要の抑制措置の強化、生活必需物資を中心とする個別物資の需給調整の強化、緊急二法案の提出などによりまして、物価の抑制をはかってまいる決意なのであります。その際、先進工業国に見られるようなスタグフレーションにおちいることのないよう万全の配意をしてまいらなければならぬことは当然でございます。  石油以外の主要原材料の輸入対策等は一体どうなのかという御指摘でございますが、現在のところ、石油を除き、こうした国民生活上重要な主要原材料については、国際需給の観点から見てもその輸入を確保し得る見通しを持っておりますが、なお万全を期するべく輸入動向の把握に十分注意をしてまいりたいと考えます。長期的に安定した輸入を確保するためには、供給源の分散化を進めますとともに、開発輸入、長期契約輸入を促進すべく、今後、法制上、財政上、金融上などで各般の施策を強化してまいりたいと考えております。  列島改造論、また実施時期、その手順等について御言及がございましたが、先ほどから申し上げておりますとおり、将来にわたって国民が豊かな生活を享受するためには、過密過疎を解消し、国土利用の抜本的な再編成をはかっていくことがぜひとも必要なのであります。いつも申しておりますが、昭和六十年展望になりますと、現在の一億七百万人の人口がこのままで定着をするのではなく、自動的に一億二千万人になるというのでございます。そうすると、いまよりもふえるであろう千三、四百万人をこの東京や大阪や県庁の所在地にそのまま自動的に集めていいのかどうか。一次産業比率はすでに一五%になっておりますが、まだ一〇%も二次・三次産業へ転出を余儀なくされるであろうというのが先進工業国の実態でございます。そうすれば、一千万人まだいずれかへ転出の可能な人口が存在するわけでございます。そうすると、新しくふえるであろう千三、四百万人に一次産業から二次、三次に転出するおそれのある人口千万人を加えると、約二千五百万人に近い人をどこに収容しようとするのでございますか。年間三百万台、四百万台の車がふえておるいまの東京の状態を考えてみても、名古屋や大阪の状態を考えてみても、このままにして生活環境は整備されるはずはありません。それだけではなく、このままにして推移せんか、これはもうコストアップになって無制限な物価騰貴をもたらすことは必然であります。そういう立場において、アメリカの一州カリフォルニア州にも満たないこの小さな日本の総合的な高度利用を考えることは必然的な道であると、こう述べておるのであります。石油だけじゃありません。水の不足、土地の不足。北海道を考えれば、北海道にはまだ石炭専焼火力をつくる余裕があるということを考えてみても、国土総合開発がいかに必要であるか。(「だれが石炭山をつぶしたのか」と呼ぶ者あり)石炭山を整理したこととこの問題とは別であります。そういうことを混淆して百年の将来に生命をつなげるはずはありません。そういう意味で総合開発が必要であるということは何人も否定できないことでございますが、御指摘のとおり、国土の総合開発の構想は短期間に実現できるものではなく、まず昭和六十年展望に立って着実に実施を積み上げていくべきものだと考えておるのでございます。したがって、総需要の抑制を緊急課題として実施するにおきましては、大規模プロジェクト等の実施テンポを大幅にスローダウンをさせる、また、こまかい問題に対しましても、これが実施工程につきましてはしさいな検討を加えながら調整措置を講じなければならぬことは、申すまでもないことでございます。  消費者米価その他についての御質問にお答えをしますが、米の政府売り渡し価格につきましては、当面の物価対策上の措置として今年度中はその水準を据え置くことにいたしたのでございます。しかしながら、その後政府の買い入れ価格の引き上げに伴いまして生じました米価の大幅な逆ざやが食糧管理上種々問題を生ぜしめておりますし、四十九年度の予算編成を困難ならしめる等、放置できない問題が生じましたことに対処いたしまして、物価及び家計への影響を慎重に考慮の上、明年四月から必要最小限度の値上げを行なうことといたしたことは御承知のとおりでございます。したがいまして、その改定の実施時期を延期するような状態にないことを御理解いただきたい、こう思います。  郵便料金につきましては、現在郵政審議会において慎重に御審議をいただいておりますので、この答申を待って慎重に検討いたしたい、こう考えております。  二兆円減税につきましては、もう先ほどからずっと何回も申し上げておりますが、ここでひとつ明確に申し上げておきたいと思いますが、昭和四十九年度におきまして、所得税について課税最低限の大幅引き上げ、税率の緩和を含む平年度二兆円の減税を実施いたしたいと希望いたしております。この減税案の本年度における実施の細目につきましては——本年度というよりも四十九年度でございますが、大蔵省で検討いたしておりますが、予算規模、新規の税、国債発行額等々、総合勘案して決定をするということでございます。この減税につきましては、できるだけ国民の要望にこたえられるようなものにしたいと現に考えておるわけでございます。しかし、この決定につきましては、国会の御意見を十分しんしゃくをいたしてまいりたいと思いますし、先ほども申し上げましたとおり、独断できめるなどということはございません。いま大蔵省で慎重に検討を願っておりますし、最終段階は与党との間にも十分意思の疎通をはかって、国民の希望にはこたえ、そして物価の抑制にはちゃんと寄与できるようにという結論を出してまいりたい、こう考えておるわけでございます。  行政監理委員会の答申の具体化につきましては、行政監理委員会の答申は、三大都市圏を中心とする住宅宅地難の実情にかんがみまして、強力な地価安定施策の実施の必要性を強調し、かつ、土地の計画的利用等に関する具体策を提案したものであることは御承知のとおりでございます。政府としましては、この趣旨を尊重してその具体化につとめてまいりたいと考えております。  農地転用構想についてでございますが、現在農地転用というものをどうして一体出したのかということは、御指摘のとおり、市街化区域内における農地の面積は二十八万八千ヘクタール、ラウンド約三十万ヘクタールといわれておるわけでございます。それから一般の農地で国道の両側とか府県道の両側とか公共用地に年々自動的に転用が行なわれておりますのが毎年六、七万ヘクタールになりておるのでございます。現在は、もうすでに農地の売買等が行なわれておるにもかかわらず農地転用ができないという事情で、そのまま転用が行なわれないでおるという実情も現にございます。そういうものを合わせるとおおむね十万ヘクタール程度になるのだろうということが巷間言われておるわけでございます。一年間に六、七万ヘクタールといいますから、三十万ヘクタールといっても約五年分ということでございます。その他に、農業用地というのではなく、雑地その他住宅用地に転用できるものがおおむね三、四十万ヘクタールは存在するわけでございます。そうして、いま政府が検討いたしております昭和六十年度展望の宅地及び工場用地その他の合計必要量は約二十万ヘクタールでございます。二十万ヘクタールというものに対して、その約四倍ないし五倍に近い、三十万ヘクタール・三十万ヘクタール・三十万ヘクタールということが計算ができれば、土地に対する需給というものは非常に緩和をするわけでございまして、買い急ぎをはかることもありませんし、買いだめ売り惜しみをして土地の値上がりを待つということも全く無意味なことになるわけであります。  また、そういうような中において初めて市街化区域内における二十八万八千ヘクタールのうちどれだけを永久農地として残すのか、どれだけ緑地とするのか、どれだけを都市改造の換地として保有をせしむるのかということを逆算してこなければならないということは、もう申すまでもないことでございます。  そういう意味で、目標としては三十万ヘクタールを一応の目標として農地の転用をはかりたいということ、すなわち五年間くらいのものを何年かもう少し縮めてできないか、そこに土地問題の需給をもっと緩和できないかというのが目標でございます。もちろん、その実施にあたっては、食糧生産に支障が生ずることのないよう優良農地の確保に十分配慮してまいります。  なお、現在一般農地の公共用地その他への転用は、先ほど申し上げたとおり、自動的に毎年六、七万ヘクタールずつが実施をせられておる現状であるということで御理解をいただきたい。  残余の問題に対しては、関係閣僚から答弁をいたします。(拍手)    〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) お答えいたします。  まず、スタグフレーションにこれからの日本経済がなっていくのかいかないのか、その見通しはどうかというお尋ねでございます。  私は、この問題につきましては、見通しは非常にむずかしい問題だと思うのでありまするが、概観いたしますと、いままでの日本経済というものは、とにかく最近は物価問題が非常に深刻な状態だ、それに対しましては総需要の抑制政策をとらなきゃならぬと、そういう立場にあったわけであります。なお、そこへ石油問題というのが追っかけてきておる。そういう情勢を考えますと、これからの日本経済は、大勢といたしましては、どうしても成長の鈍化、また不況感が出てくると、こういうふうに見るのであります。そういうような情勢下におきましてもなお物価が上昇を続ける、深刻な状態にあると、こういうことでありますると、まさにスタグフレーション——不況下の物価高、こういう状態になってくるのだろうと思います。そのような事態は、これは避けなきゃならぬ。そこで、物価対策というもの、これが経済政策の中で最も優先する政策として考えられなけりゃならぬと、こういうふうに考えておるのであります。  結論といたしますると、成長は鈍化するであろう、不況感は出てくるであろう、しかし、そういう状態下において物価を何とかして安定させる、物価問題を克服させると、これが政府の考え方でございます。  それから安井議員が国際収支について非常に御懸念の所見を述べられておるわけでありますが、過去三年間におきましては、国際収支は非常に好調でございまして、そういうことにあまり頭を使わないでこれを運営することができたと、こういう状態でありましたが、最近の情勢を見ますると、どうもこの前途につきましても非常な関心を払わなけりゃならぬという状態になってきていると思うのであります。  経済の運営につきましては、先ほどもるる申し述べましたが、物価の問題、国際収支の問題、また資源、公害、この四つのかなめをにらまなけりゃならぬという立場にあるわけでございまするけれども、この三年ばかりは、たいへん国際収支の状況がよくて、その問題についての顧慮をする必要がないというような立場であったわけでございまするけれども、これからは、経済の運営につきまして、国際収支、この点につきましてよほど注意していかなければならぬだろうと、かように思います。  ただ、外貨保有高、この問題につきましては、御指摘のように、ことしの二月の百九十億ドルから最近の百三十一億ドルというふうに激減をしております。しかし、この外貨保有額が一体どういうところまでは許容されるのだろう、どの程度のものを持っておったら安心だという点につきましては、その額のポイントよりは、むしろその趨勢のほうが大事である。百五十億ドル持っておりましたと申しましても、この一年間に非常に減少が続くというような趨勢でありますれば、これが、その趨勢こそが憂慮されなきゃならぬと、こういうふうに思うのであります。まあ適正保有量はどうかというお尋ねでございまするけれども、その時点時点における国際収支の趨勢、動きというものがどういうふうになっているんだ、堅実な歩みであるかどうかという点に力点を置いてこの問題は取り組んでいきたい、かように考えます。  それから物価高の中におきましては中小企業の立場を配慮せい、あるいは恩給・年金生活者、生活保護家庭等の立場を重視せよというお話でございまするけれども、これは当然そうなければならぬというふうに考えております。税の面におきましても、金融の面におきましても、また財政支出の面におきましても、十分配慮してまいりたい、かように考えるわけであります。  二兆円減税の問題につきましては、もうお答え申し上げませんから、お許しを願います。  それから四十九年度の公共事業費の伸びは一体どうなんだと、二けたか一けたかというようなお話でございますが、私は今日、日本経済が置かれておる立場から考えますと、どうもこういう公共事業、そういうものにつきましてはかなりきびしい抑制的立場で臨まなきゃならぬ、かように考えております。ただ、一がいに公共事業と申しましても、その中には社会福祉施設につながるようなものもありますから、そういうものにつきましては、これは公共事業でありましても特別の配慮をしなきゃならぬ、かように考える次第でございます。  なお、安井議員からは、長期対策と当面対策、二つを経済政策としては準備しなきゃならぬ、かようなことでございますが、私もまさにそのとおりだと思います。先ほどもお答え申し上げたところでございまするけれども、これからのわが日本国の課題は、もうとにかく日本経済というこれだけの偉大な力ができた、それを踏まえまして長期の国づくりに取り組まなきゃならぬ、こういう次第でございます。その長期の国づくり、それに対する総合対策というもの、これは持たなきゃならぬと思います。ただ、先ほどから申し上げておりまするとおり、いまこの日本国に火事が始まっちゃった。この物価上昇という問題であります。この問題、これは長期総合対策とは別にしっかりしたものを持たなきゃならぬ。そしてこの火事を消しとめるというための全力投球をしなきゃならぬ。そういう意味合いにおきまして、安井議員が長期計画と当面の短期対策とを持て、こういうお話につきましては、全面的に賛成であります。この二つを持ちます。しかし、これは持ってもこれを混淆してはならぬというまた安井議員の御注意に対しましては、これも全面的に賛成であります。何とか全力を尽くしてこの時局を乗り切らなきゃならぬと、かたい決意であります。(拍手)    〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕

大平正芳自由民主党外務大臣

○国務大臣(大平正芳君) 今回のアラブ政策に対するアラブ各国の評価でございますが、一般に今回わが国のとりました措置を評価いたしております。で、アラブ首脳会議におきまして、しかしながら、石油を紛争が解決するまでは戦略的武器として引き続き活用するという方針をきめております。ただ、その限度といたしまして、七二年の石油収入の七五%までを限度とするという一応の歯どめはついておりますけれども、それ以上はっきりとした将来の展望は明らかにされておりませんので、今後の展望という点につきますと、私どももさだかにわかりません。ただ、事態の推移に即しまして、可及的に安定供給を確保するように努力してまいりたいと考えております。  第二に、今回の措置についての米国の反応でございますが、先ほど吉田さんにもお答え申し上げましたように、米国政府といたしましては、日本の立場に同情はするけれども今回の措置はたいへん遺憾であるということでございます。  また、アメリカ一般の世論でございますが、わが国の出先の公館に、小規模ながらイスラエルに対するわが国の態度に抗議の動きが見られますけれども、わが国に対する具体的な組織的な形における報復的な措置は見られないのであります。  総じて、アメリカにおきましては、今後のわが国のアラブ政策というものを注視しておるというように私どもは見ております。  それから第三に、三木副総理をわずらわしてアラブ諸国においでいただく件でございますが、これは申すまでもなく、アラブ諸国との意思の疎通をはかりまして、長期的な視野に立ちまして友好協力関係を深めてまいるということを目的とするものでございまして、いませっかく準備を急いでおります。近く御苦労をお願いすることになると思います。(拍手)    〔国務大臣中曾根康弘君登壇、拍手〕

中曽根康弘通商産業大臣

○国務大臣(中曾根康弘君) まず第一に、産業活動の推移と中小企業への影響でございますが、油の供給を予測してみますと、十一月の時点におきまして、外国の大きな石油会社等からカットされた報告をとりまして、その総計をいたしました予測をもっていたしますと、昨年日本が使った油の量は二億五千七百万キロリッターです。ことしは三億キロリッター強使う予定であったのが、その油会社のカットの報告を総計いたしますと、約二億七千九百万キロリッターの推計になりました。  ところが、最近の現象は、アラビア湾に各国の船が殺到いたしまして、と申しますのは、シリア及びイラクのパイプラインが切断されたり一部機能を停止したために、西欧各国の船が喜望峰を回ってみんなアラビア湾にタンカーが殺到してきたわけです。それがちょうど到着するときといまぶつかってまいりまして、そのために、現地で油を取りに行った油送船が待船したり、あるいは必ずしも一〇〇%油の補給を受けられないというような混乱がいま起こっておるわけであります。  そういうような情勢からしまして、われわれが推計した二億七千九百万キロリッターは、多少減る可能性も今日は出てきております。しかし、一応それをもとにいたしまして計算いたしますと、鉱工業生産は、十二月以降三月まで、一二%の予定が八%程度に年間の率で落ちると。それから経済成長は、実質成長において年度当初予測が一〇・七%でございましたが、これが五ないし六%程度に年間を通じて落ちる可能性が出てまいっております。  そういう面から、中小企業に対する波及等もわれわれは十全の策をとらなければならぬと思いまして、いま石油カットを一〇%ずつやっておりますけれども、これはある程度強化せざるを得ません。そうなりますと、大企業におきましても、工程の変化が出てまいりまして、パートタイムが要らなくなるとか何かが出てまいります。そうなると、それが中小企業に波及いたしまして、加工品が要らなくなるとか、そのほかの問題が出てまいります。そういう点から、通産省としては、十一月の十日ごろから、大体そういう予報を大企業にやりまして、そうして、中小企業等との調整を行なうように実は誘導してきたわけなのでございます。しかし、年末等を考えてみますと、われわれとしては万全の策を講じなければなりませんので、中小企業、農漁業等を中心にいたしまして、信用の供与その他思い切ってやろうとしております。  まず第一に、石油等の物資不足に備えましてあっせん所を、これを強化する。いままで塩ビとか、丸棒とか、綿糸とかその他についてあっせん行為をやっておりまして、かなりこれはきいておりました。特に、石油につきまして、あっせん行為を至急やるようにいま準備を進めております。近く提出いたします法案の中にも、あっせん行為をやれるように明示してありますが、行政指導でできるだけ早期にやれるようにいま用意している一ところでございます。  それから年末金融につきましては、政府系三機関につきまして約三千四百億円のワクをふやしました。昨年が千九百五十億円でございますから、一・八倍に当たる思い切った増額をやっております。なお、大蔵省とも連携いたしまして、市中金融機関等について年末にかけて三兆円ぐらいの融資を中小企業等にやってくれるように、これは連名で要請しているところでございます。  最後に、原子力発電、原子力の動向いかんということでございますが、現在、日本で稼働している原子力発電は約百八十万キロでございます。それで、昭和六十年に六千万キロ開発するというのがその長期計画でございますが、ことしは約千四百キロ分を開発に着手する予定でありましたけれども、いろいろ立地難等のためにその一割もうまくいっていないという状況でございます。それには安全性に対する不安等もございますので、原子力委員会におかれてもその安全審査機能を特に強化いたしております。なおまた、外国等の例も参考にして大きな容量の発電をやる場合の低レベルのエネルギーの影響、長期にわたる影響等についてもこの研究を開始しておるところでございます。なお、原子力につきましては、温排水の影響等によって漁業組合との摩擦等も起きておりますものですから、温排水の影響等も科学的に科学技術庁を中心にしていま研究に入っておりまして、これらの問題を解決しながら原子力発電も思い切って推進しなければならぬと思っているわけでございます。(拍手)    〔国務大臣内田常雄君登壇、拍手〕

内田常雄自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(内田常雄君) 国際収支の見通しにつきましてだけ私から大蔵大臣の御説明を補足さしていただきます。  これは、先般公表いたしました経済見通しの改定試算に基づくものでございますが、昭和四十八年度の国際収支の見通しはかなり最近違った姿をあらわすようでございます。  簡単に申し述べますと、すなわち、本年度の当初におきましては、貿易収支はかなり好調の見通しのもとにここ二、三年の傾向を持続をいたしまして八十一億ドルぐらいの黒字になる見込みでございましたが、私どもの最近の試算によりますと、かなり減りまして、三十一億ドル程度の黒字に終わるのではないかという見方でございます。これに経常収支のほうも、これはまあ毎年、例年赤字でございますけれども、これを総合いたしますと、貿易外、貿易合わせた経常収支全体では、当初の見込みに四十九億ドルぐらいの黒字を残すであろうと見ておりましたのが、逆に八億ドルぐらいの赤字で終わるであろうと、こういう見通しでございます。  昭和四十九年度の見通しにつきましては現在作業中でございますが、国際経済の情勢は御承知のとおり非常に複雑でございますので、まだ申し上げる段階に至っておりません。  以上でございます。(拍手)

森八三一各派に属しない議員副議長

○副議長(森八三一君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

森八三一各派に属しない議員副議長

○副議長(森八三一君) 御異議ないと認めます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗