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72回国会参議院1974/05/30

社会労働委員会 第14号

発言数
43
登壇者
7
会派数
2
開催日
1974/05/30

会議録

山崎昇日本社会党

○委員長(山崎昇君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。  議事に先立ちまして、藤原道子君に対する感謝状贈呈の件を議題といたします。  委員皆さんの御賛同をいただきまして、議員生活二十七年のうち、ほとんど本委員会の委員として活動いただきまして、今度の改選で退任をされることになりました藤原道子君のこの御活動に対しまして委員の皆さんから感謝の気持ちをあげたい、こういう提案等がございまして、委員長からかわってその提案をしてもらいたい、こういう皆さんの御趣旨がございましたので、私のほうで感謝状等を準備いたしました。これから皆さんにその感謝状を読み上げまして、満場一致のひとつ御賛同をお願いしたい、こう思うわけであります。      感謝状     藤原 道子君  あなたは 新国会発足の当初から今日まで二十七年に及ぶ長い議員活動を通じ 参議院議員としては 終始本委員会に席をおかれ その間 数々の批判 提言を行われて 我が国の社会福祉 社会保障 公衆衛生 労働福祉などの向上に寄与されました その歩みは われわれ委員一同の指標となってきたのであります  今回 議員生活を去られることは 深く惜しまれるところであり 委員全員はここに長年の御活動に対し深甚な謝意を表し 今後の御健勝を祈ってやまない次第であります    昭和四十九年五月三十日     参議院社会労働委員会    〔拍手〕  なお、皆さんから拠出をしていただきまして、ささやかですが、記念品を副賞ではありませんけれども、おあげしたいと思います。(拍手)  では、藤原道子君。

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 私、思いがけなく、議会といたしましては初めてのようなこの感謝の会をお持ちいただきまして、まことにありがとうございます。  私は、終戦後初めて衆議院に出まして、自来ずっとつとめさしていただきましたが、皆さま御案内のように、うちが没落いたしまして、尋常五年の中途退学、十一から印刷女工をいたしまして、夜学に行ってやっと尋常小学校だけを卒業した者でございます。  無学な私が大正十四年から社会運動に飛び込みまして、そして議員になってきょうまでつとめさしていただきましたが、実は、私が参議院に回りますときの公約が社会保障制度の確立、これが私の公約でございました。ところが、まだ社会保障があまりいわれていないときでございましたので、社会保障などは夢物語だ、あんなものができるもんか、だまされるな、街頭演説でまで攻撃を受けましたが、おかげさまで私は当選いたしましたので、自来、このことが、ほんとうに社会保障が実施されるまで私はがんばるんだと、こういうつもりで、無学ではございますが、いろいろな施設を視察したり、いろいろいたしまして、おかげで、今日では、厚生省にしろ労働省にしろ、社会保障を相当取り上げてきたということで、私はほんとうにうれしく思っております。  実は、私は、去る六年前の選挙のときに、当選して二日目に心筋硬塞を起こしまして、そのとき、ああ、もうこれでやめよう、——手銭手弁当の応援で、七回の選挙でたった二千万円も使っておりません。皆さんの手銭手弁当の応援のおかげで議員生活が続いたんだから、議員である限りは皆ざまに感謝の気持ちを込めても国会活動をしなきゃならないと。で、無理をいたしまして、肝臓、心臓、じん臓が悪くなりました。肝心かなめのところが悪いんだから、もう議員をやめたほうがいいと医者から注意もいただきましたのでやめる決意をいたしました。けれども、やめましても、私は、社会保障関係の仕事は何とか命のある限りやっていきたい。これが御支援いただいた皆さま、そして私のようなわがままなばばあを委員会でもずいぶん好意をもっておつき合いをいただきました方に感謝の気持ちでも、命ある限り働く決意をいたしておりますが、全国から反対はございますけれども、やめたあとでも働くことで反対の方にはお報いをいたしたい、こう考えております。私のような無学な者で、そしてわがままなばばあに対しまして最後にこんな表彰状までいただきまして、泣きたいほどうれしゅうございます。  実は、二十五周年の表彰をいただきましたときにも、何といいますか、超党派で祝賀会をやっていただきまして。衆参両院の議長さえ御出席をいただきました。衆議院の代議士の方も全党の方が御出席いただいて、お祝いをしていただいたのも議会始まって初めてだということでございましたのに、この委員会でこんな感謝のおことばをちょだいしまして、何ともお礼の申しようがございません。実はきょう、こんなしゃれたかっこうで参りましたが、これは二十五周年のときにやはり社会労働委員会でお祝いにいただきました。私はおしゃれじゃございませんが、これもお祝いにいただいたものでございますから、それをあわせましてきょうは感謝の気持ちでやってまいりました。  こんなに最後の日まで御厚情いただきましたことを心から感謝いたしまして、今後も皆さんと御一緒に、院外ではございますけれども、できるだけのことをしたい、こう考えております。まことにありがとうございました。(拍手)

山崎昇日本社会党

○委員長(山崎昇君) 御報告いたします。まず、委員の異動について  昨二十九日、林ゆう君が委員を辞任され、その補欠として中山太郎君が選任されました。     —————————————

山崎昇日本社会党

○委員長(山崎昇君) 作業環境測定法案、労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案、以上両案を一括議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を順次聴取いたします。労働大臣。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○国務大臣(長谷川峻君) ちょっと委員長、特にお許しを得まして、いまの藤原先生のこういう場面に私も参加できまして、私の感想を一言許していただきたいと思います。  藤原先生、ほんとうに長い間御苦労さまでした。世の中というものは、勇気のある人、心の美しい人、そういう方がいろいろ苦難の中にすばらしいものをつくっていく原動力だと思います。私は衆議院におりましたが、先生が衆議院、そうしてまた参議院、そうしてまた社会保障、こういうところにほんとうに一生懸命御挺身された。そらして本日の各委員の方々の心こもったこういう場面に対処しまして、労働省をあずかる者といたし、あるいはまた一人の政治家といたしまして、先生の今日までの御苦労、築かれたもの、その心を心といたしまして社会福祉、労働行政に当たってまいりたい。  どうぞひとつ御健勝のほどをお願いいたします。(拍手)

藤原道子日本社会党

○藤原道子君 どうもありがとうございました。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○国務大臣(長谷川峻君) ただいま議題となりました作業環境測定法案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  作業環境の測定は、有害な業務を行なう作業場につきその空気環境その他の状態を正確に把握し、労働者の健康にとって適正な作業環境を確保するために行なうものでありまして、労働衛生対策の基礎となる重要なものであります。このため、労働安全衛生法では、一定の有害作業場について定期に作業環境の測定を行なうことを事業者に義務づけているところであります。  ところで、作業環境の測定は、作業環境中の微量の有害物について行なうものでありますので、そのための十分な知識と技術を持った者が行なう必要がありますが、現在のところは、作業環境測定を行なう者の資格等について、公的な担保がなされておりません。  このような状況にかんがみ、労働省では、適正な作業環境測定を確保するための法制の整備が必要であると考え、それに関する構想を、本年二月、中央労働基準審議会に諮問いたしましたところ、同審議会から適当である旨の答申をいただきました。  その結果に基づいて、作業環境測定法案を作成し、ここに提案した次第であります。  次に、その内容の概略を御説明申し上げます。  第一は、この法律の目的であります。  この法律は、労働安全衛生法と相まって、作業環境の測定に関し必要な事項を定めることにより、適正な作業環境を確保し、もって職場における労働者の健康を保持することを目的といたしております。  第二は、作業環境測定士及び作業環境測定機関についてであります。  作業環境測定士とは、労働大臣の登録を受け、事業場における作業環境測定の業務を行なう者をいうものとしておりますが、この登録を受けるには、作業環境測定士試験に合格し、かつ、所定の講習を修了することを必要とすることにより、作業環境測定の能力の公的な担保をはかることとしております。また、作業環境測定機関とは、登録を受け、他人の求めに応じて事業場における作業環境測定を行なうことを業とする者をいうものとしておりますが、この登録を受けるには一定の基準に適合していることを必要とするとともに、登録を受けた作業環境測定機関について所要の監督、指導を行なうことにより、その業務の適正化をはかることとしております。  第三は、作業環境測定士等による作業環境測定の実施についてであります。  事業者が、労働安全衛生法の規定により作業環境測定を行なうことを義務づけられている作業場のうち、一定のものの作業環境測定を、みずから行なうときはその使用する作業環境測定士に、他の者に委託して行なうときは作業環境測定機関に、これを実施させなければならないことといたしております。  以上のほか、指定試験機関、指定講習機関等につきまして所要の規定を設けることといたしております。  なお、施行期日につきましては、公布の日から起算して三カ月を経過した日から施行することといたしておりますが、作業環境測定士または作業環境測定機関による作業環境測定の実施の義務づけその他につきましては公布後二年または一年以内で政令で定める日から施行することといたしております。  以上、この法律案の提案理由及びその概略につきまして御説明申し上げました。  何とぞ、慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。     —————————————  次に、ただいま議題となりました労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  現在のわが国の労災保険の給付は、これまでの数次の改正により、ILO百二十一号条約の水準に達しているところでありますが、最近の経済社会の諸情勢を背景に、給付の改善等につき各方面からいろいろの意見や要望が出されているのであります。  このような状況にかんがみ、昨年一月、労働大臣より、労働者災害補償保険審議会に対し、労災保険制度の改善について諮問いたしましたところ、同審議会においては、慎重審議の結果、昨年十二月、この際早急に経済社会の情勢に応ずるところまで制度の改善をはかることが、労災保険の社会的機能を確保するために必要である旨の答申を、労・使・公益各側委員全員一致によって提出されたのであります。  政府におきましては、この答申の趣旨を全面的に尊重して検討を行ない、答申中法律改正を要する部分について成案を得ましたので、その改正案について労働者災害補償保険審議会及び社会保障制度審議会に諮問し、それぞれおおむね了承する旨の答申をいただきました。また、船員保険につきましても労災保険制度の改正に準じた改善措置を講ずることとし、社会保険審議会及び社会保障制度審議会に諮問し、それぞれ、御了承をいただいたところであります。  これらの結果に基づいて、労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案を作成し、ここに提案いたした次第であります。  次に、この法律案の内容の概要を御説明申し上げます。  まず、労働者災害補償保険法関係の改正についてであります。  その第一は、完全労働不能に相当する障害等級第三級に該当する者の障害補償年金の額を、現行の給付基礎日額の二百十九日分から二百四十五日分へ引き上げることとし、その引き上げ率により、その他の等級に該当する者の障害補償給付の額も引き上げることといたしたことであります。  第二は、障害補償年金の額の引き上げに見合って、現在、給付基礎年額の百分の三十から百分の六十までに相当する額となっている遺族補償年金の額を、給付基礎年額の百分の三十五から百分の六十七までに相当する額に引き上げることといたしたことであります。  第三は、労災保険の年金たる保険給付と同様に、障害補償一時金、遺族補償一時金及び遺族補償年金の前払い一時金についても、賃金水準の変動に応じてその額を改定することといたしたことであります。  なお、これらの改正措置は、通勤災害に関する保険給付についても同様に行なわれるものであります。  次に、船員保険法関係の改正について申し上げますと、この改正は、船員保険の職務上の事由による保険給付の内容について、労働者災害補償保険法関係の改正に準じた改善措置を講ずることといたしたものであります。  以上のほか、労災保険の遺族補償年金または遺族年金の前払い一時金制度の拡充、中央労働災害防止協会が国から委託を受けて行なう業務に労災保険の保険施設として設けられる施設における化学物質等の有害性の検査の業務を加えること等の改正を行なうこととしたことであります。なお、施行期日につきましては、本年十一月一日といたしております。  以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、慎重に御審議の上一すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。

山崎昇日本社会党

○委員長(山崎昇君) 以上で両案の説明の聴取は終わりました。  両案に対する質疑は後刻に譲ります。

山崎昇日本社会党

○委員長(山崎昇君) 参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。  雇用保険法案及び雇用保険法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の審査のため、雇用促進事業団理事長堀秀夫君、経理部長米田一男君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山崎昇日本社会党

○委員長(山崎昇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————

山崎昇日本社会党

○委員長(山崎昇君) 雇用保険法案、雇用保険法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案、勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案、以上三案を一括議題とし、質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 ただいま藤原先生のために超党派の感謝決議をして、ちょっとしんみりしたところでございますけれども、私は、いま議題になっております雇用保険法案に対しましては、もう全く反対の立場から納得いくまで御質疑申し上げたいと思いますので、大臣よろしくお願いします。  雇用保険法案ですね、衆議院のほうから修正されてまいりました。で、その修正で、ある程度の、まあ、いわゆる平ったいことばで言えば物取りが原案よりはできた。ですけれども、その修正そのものに私は非常な疑問を持っております。それ以上に一番疑問があるのはこの制度そのものの非常な変革、失業保険法の非常な変革に対して疑問を持っているわけなんです。  私の見ますところでは、今回の修正は、失業保険の制度、これは世界じゅうどこの労働者もみんな持っている基本的な権利だと思いますが、その失業保険の制度ですね、根本的に変更する方向に向かっているということ、つまり失業保険の場合は失業をした労働者の生活の安定を保障するというのが目的なんですね、ところが失業の救済じゃなくて雇用政策のほうへスイッチをずっと入れてしまっている、そのために名称も雇用保険法というようになったわけなんですね。私はこのことを非常に重大だと考えているわけなんです。これまで、たとえば労働省側が失業保険になじまないとおっしゃっていた出かせぎ者への給付、あるいは結婚とか退職とか出産とか、看護とか育児とかいうことを理由にしてやめていく女子労働者のまあ離職手当的な給付に次第に失業保険そのものを変えてきた、つまり失業対策よりはその性格を、幅を広げてきたということは、労働省の失業保険行政のやり方そのものに責任があったものなんですね、それは日本の資本が要求しておりますところの労働力を確保していくためには、季節的な循環的な労働力が必要だということで出かせぎ労働者を引っぱり出しているし、また短期でわりあいに早く回転するところの女子労働者というのを日本の産業の発展の上で利用してきたわけなんですから、それに対する一つの恩恵的な給付みたいに失業保険を使ってきている、そういう政策をとっておきながら、女子労働者は結婚してやめるのに失業保険をもらう、これは不正受給であるというようなことを宣伝したり、それから出かせぎ労働者は三%の掛け金で三〇%の給付を受け取っているというようなことをPRして、そしてこの保険法案が出された当時、ほとんどの新聞の論調がそれにそっくりそのまま乗ぜられてきている。しかし、これを、こういう労働の形態を要求してきたのは日本の資本そのものでございますから、そして、それをそのように失業保険のあり方を変えてきたのも労働省の政策であった、政府の政策であったんです。そこへさらに諸外国でやってないようなこと、つまり雇用改善だとか聴力開発だとか雇用福祉という、雇用対策をですね、もう過去にすでに失業保険制度の中ですっかり入れ込んできているわけです。つまり失業保険の掛け金が毎年黒字になる、徴収した料金よりも給付金のほうが少ないから、毎年々々黒字になって、その残った分は剰余金として財投の資金運用部資金に預託してきている、もうこれはすでに四千二百三十億、今年度の、四十九年度の終わりには五千億にもなろうとしているほど積み立ててきていく。そこで、それを担保にして雇用促進事業団に融資をして、そうして雇用対策を進めてきた、つまり失業保険の性格そのものを事実上曲げてきているわけなんですね。こういうふうに事実上失業保険金の積み立てた金を流用してきた、使ってきたというその実態を今回の法案改正で認知しようと、そういう私はやり方だと思うのですね。ですから、たくさんの矛盾をはらんでいるのに、だから、失業保険ということを言ったでは非常な矛盾が出てくるから、雇用保険法というわけのわからない名前の法律に変えてしまおうとしているわけです。  ですから、私はこれから以下順を追って詳しく質問してまいりますけれども、現行の失業保険法の第一条の目的ですね、これは、「失業保険は、被保険者が失業した場合に、失業保険金を支給して、その生活の安定を図ることを目的とする。」と、非常に明確に書いてある。ところが、今回の雇用保険法の目的というのは、「雇用保険は、労働者が失業した場合に必要な給付を行うことにより、労働者の生活の安定を図るとともに、求職活動を容易にする等その就職を促進し、あわせて、労働者の職業の安定に資するため、雇用構造の改善、労働者の能力の開発及び向上その他労働者の福祉の増進を図ることを目的とする。」、たいへん幅を広げたわけですね。労働者が失業したときにその生活を守るということのほかに、この後段に書いてあるような行政が必要なのはあたりまえのことです。ですけど、これは失業保険とは異質のものであると私は思っておるわけです。それを合わせて、いま完全雇用の状況にあるから、だから失業保険金はますます黒字になっていく、そこで、それを使って雇用対策をしていこうという考え方、これはもう過去に実績としてそれがある。中身については、私はまたあとで触れますけれども、最初に、そういう点で非常にこの雇用保険法案というのは、これまで失業したときに労働者が保障されるべき労働者の基本的な権利をくずしていって、そして、国や企業が持つべき責任を、そっちのほうに金を流用していく、こういうことになる。この点を私は最初に指摘をしておきます。きっと労働省のほうは、いや今度は、千分の三は全部三事業に充てる、千分の三は事業だけが負担しますよと、そういうふうにおっしゃるだろうと思います。私は、との点についても非常にたくさんの疑問点、ごまかしがあると思っております。そういう意味で、本来雇用対策として労働省が、政府がやらなきゃならないこと、それから企業のほうがやらなければならない義務、そういうものは、大いに私はもっと発展さしてほしいと思うのです。ですけれども、それを失業保険と一緒くたにして、失業保険の制度をくずしていくということに対して非常に反対しているわけなんです。それで、私は、なぜこういうような法案が出てくるようになったのかということをいろいろと考えてみますと、どうも労働行政のあり方に問題点があるというふうに思うわけなんです。それで、大臣、一体いま労働行政の最重点をどこに置いていらっしゃるのかを最初にお伺いをしたいと思います。なぜ、こういうふうな、つまり本来労働省が設置されたのは、労働者の権利を守るためにできた。企業だとか産業のほうの利益は、ほかに通産省もあるし、いろいろな機関があるわけです。それなのにこういうふうになっていくのには、労働行政そのものに変化が起きているのじゃないか、そういうふうに思うわけなんですね。ですから、労働大臣は、いま労働行政は何を一番重点にしていらっしゃるのかということを御説明願いたいんです。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○国務大臣(長谷川峻君) 田中先生は、労働省のことは特にお詳しいわけであります。また経過についてもよく御承知おきのとおりでございますが、私が労働省をおあずかりまして、行政の中心というものは、やっぱり国民福祉であり、労働者の福祉の向上を基本としてすべての労働者が職業生活を通じてその能力を十分に発揮して家族とともに安心して明るく豊かな生活を送れるようにすること、そのためにいろんなものを総合的、積極的に推進していく、これが大事だと思っております。そのためには、最近の経済情勢のもとにおきましても労働者の福祉の増進をはかることは必ずしも容易ではありませんが、しかし、そういう条件のもとにおきましても福祉優先の政策を定着させていくことこそ、今日の労働行政にとって重要な課題だと思っておりますし、そういう点からいろんな問題だとえば御審議いただいております勤労者財産形成とか、あるいは週休二日とか、そういう社会福祉の面、それから、何といたしましても、やはり失業というものが働く諸君にとって一番不幸なことでございますから、こういうときにおいて十分充実した職業生活の実現を目ざす総合的な雇用政策、これが私は大事だと、さらにまた、先ほど説明いたしました労災制度の充実とか、いずれにいたしましても、働く人々の安全と健康を守るために、いままでもやってまいりましたが、こういうときであればあるほど、熱心に真剣に前進さしていく、こういう気持ちでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 もう少し具体的にお話しいただきたい。労働大臣は福祉を優先するとおっしゃいました。労働者の福祉ということはどういうことを意味しているのかももう少し具体的にお伺いしたいんですが……。同時に、私は最重点をどこに行政上置いていらっしゃるのかと、そしたら総花的におっしゃいましたが、それでは職業安定行政、雇用行政、それから基準行政、労政行政がありますね、それから婦人少年行政ありますね、こういうものの予算とか人員とか、そういうものを全部出して、どこに一番重点があるのかということの御説明を願いたいと思います。

北川俊夫労働大臣官房長

○政府委員(北川俊夫君) 労働省の予算を重要項目別に申し上げますと、昭和四十九年度の労働省の予算額で、まず雇用対策でございますけれども、雇用対策は五千七百三十一億円を計上いたしております。それから勤労者財産形成その他勤労者の福祉対策につきましては四十一億円を計上をいたしております。それから、先ほど大臣があげられました労災保険制度の充実あるいは働く人の安全、健康を守るその対策の経費といたしまして二千八百二十九億円の計上をいたしております。  以上がおもな項目とその予算でございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 人員は。

北川俊夫労働大臣官房長

○政府委員(北川俊夫君) ちょっと資料を——失礼いたしました。本省と地方とが入りまじっておりまして、ちょっと失礼いたしますけれども……。  失礼いたしました。本省関係の総員が約千二百名でございまして、この中に官房、労政、基準、安定、婦人、これは込みでございますが、こまかい数字を若干申し上げますと、官房四百三十八、労政は六十八、基準が三百七、婦人が六十五、安定が二百六十七、訓練が六十一、それが千二百名の内訳でございます。地方支分部局について申し上げますと、基準が三千百四十九、それから、そのほかに監督署が五千三百四十四、この両方合わせました約八千四百が基準局でございます。それから婦人関係は、婦人少年室が百七十九でございます。それから安定所が一万三千三百六十四名、それから、それ以外に地方事務官、いわゆる県の安定課、失業保険課が二千二百五十七と、こういう内訳になっております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 それで、いま予算をお尋ねしたわけなんですけれども、雇用対策と労災保険がずば抜いて多いわけですね。この多い理由は何でございますか。

北川俊夫労働大臣官房長

○政府委員(北川俊夫君) 雇用対策が、やはりいま三千万の労働者の雇用対策ということで、行政の内容も非常に多岐にわたっております。重点的にもたいへん充実をいたしておりますので、五千七百三十一億というたいへん大きなものになっております。おもな項目について簡単に申し上げますと、高齢者の職業の安定福祉、あるいは社会復帰対策を重点とする身障対策の拡充の問題、さらには中小企業労働者の雇用の安定、こういうようなところに重点を置いておるわけでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 労災は。

北川俊夫労働大臣官房長

○政府委員(北川俊夫君) 労災につきましては、安全衛生対策、いわゆる予防の面のほかに、被災労働者に対する補償、あるいはそれに関連する福祉施設の充実等がございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 失業保険はどこに入りますか。

北川俊夫労働大臣官房長

○政府委員(北川俊夫君) 失業保険は、いま申しました雇用対策の充実の中に入っております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 つまり雇用対策と労災保険、労災関係が大きいというのは、ここに保険があるからでございますね。ですから、労働者から掛け金を集めている、その金額が非常に膨大なものにのぼっているので、それが入っているから大きいんだということは非常によくわかるわけです。  労政とか婦人はどうなんです。幾らなんですか。——ついでに基準もね。

北川俊夫労働大臣官房長

○政府委員(北川俊夫君) 縦割りの分はちょっと資料を持ってきておりませんが、まず、労政について申し上げますと、二億五千六百六十五万円というのが労政の予算でございます。その内訳といたしましては、労使のコミュニケーションの推進、あるいは中小企業の労使関係の安定、労働教育の調査研究の充実、こういうことでございます。  婦人につきましては、合計が七億八千七百三十三万円になります。内訳といたしましては、働く婦人の家あるいは勤労青少年ホーム、そういうものの充実、あるいは勤労婦人福祉対策の推進等々でございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 基準はどうですか、基準局。——準備してないんですね。(「質疑に対する準備をしていないじゃないか」と呼ぶ者あり)労働行政について聞きますよと言ってあるんですよ。

北川俊夫労働大臣官房長

○政府委員(北川俊夫君) すぐ調べます……。  失礼いたしました。基準局の予算総額でございますけれども、二千八百三十九億二千万円でございます。そのおもな内容としましては、労災防止関係、安全衛生関係、それから産業医科大学の設立の準備、それから労災関係の給付の内容その他週休二日制あるいは最低賃金監督のための費用等でございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 きのう、労働行政について伺いますということを通告した——きのうじゃない、もう何日か前にしてあるわけなんですが、どういうわけで準備がないのか、ちょっとびっくりしているわけなんですけどね。  それで、雇用対策と、それから基準で大きいのは労災保険と、まあ雇用の場合は失業保険ですね。つまり掛け金が入ってくるところが大きな比重を持っている。ところが、さっき労働大臣は福祉優先とおっしゃった。で、いま読み上げられました項目で見ましても、たとえば婦人の場合は、働く婦人の家とか、勤労青少年ホームとか、それから勤労婦人福祉対策とか、まあ、福祉のところに重点がいっていることはよくわかります。それでは、その労働者の福祉というのは、一体どういうことを意味していらっしゃるのか、もう一ぺん整理して言っていただきたいわけなんですが、全体として福祉、福祉ということばにこの予算が入っておりますのでね。ですから、労働行政というのが福祉行政のほうにずっとスイッチしてきているというふうに私はと思いますので、それじゃあ、労働者の福祉の行政を労働省で扱っているのは何と何と何、どういうものであるか、それから、その根拠法はどういう法律があるのか、これを説明していただきたい。

北川俊夫労働大臣官房長

○政府委員(北川俊夫君) 労働者の福祉につきまして私たちが考えておりますのは、労働者、働く人すべてが、その生涯を通じまして明るく豊かな生活を送れるようにする。特に先ほどから申し上げておりますように、適正な雇用機会の確保、それから適正な労働条件の確保、これを中心にいろいろの施策を行なっておりまして、そういう意味では労働行政の大半が福祉、労働福祉の内容と、こういうことになろうかと思います。したがいまして、その根拠法という御指摘でございますけれども、適正労働条件の確保につきましては、労働基準法、あるいは最低賃金法、それから、財産形成関係では財産形成関係の法律、こういうものになりますし、安全衛生等につきましては安全衛生法、さらに負傷した場合の補償につきましては労災保険法、こういうものが福祉の根拠法になろうかと思います。それから、雇用の確保の関係につきましては、基本的には雇用対策法、あるいは職業安定法、さらには失業した場合の給付は、現在御審議をいただいております失業保険、こういうものになろうかと思います。その他婦人、少年、これの福祉の問題につきましては、両方とも勤労青少年福祉法、あるいは勤労婦人福祉法というものの成立を見ておりまして、それによりまして勤労婦人、あるいは勤労青少年の福祉向上というものを行なっておるわけでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 福祉といえば全部入ってくることになるということになりますね。で、私はもっと具体的に労働行政そのものが非常に変わりつつあるというふうに思うもんですから聞いているわけで、いま、適正な労働条件の確保というのも福祉だとおっしゃいましたから、これは労働基準法が根拠法律でございますね。それでは、その労働基準行政のことをお尋ねしたいと思うんですが、いまさっき、予算のうち労災保険がもう大部分を占めていると思うんです。で、人員も伺いましたが、その監督官ですね、監督官の数ですね、これとか、その予算が、労働省設置以来ふえてきているのか、どういう比率でふえているのか、それから監督率ですね、そういうものがどういう推移をしているのかということをお尋ねしたいわけなんです。  というのは、労働省にとって一番基本的な法律というのは労働基準法だと思いますが、その条件に関してですね。その労働基準法が、ほんとうに守られていない情勢が一ぱい出ているわけですね。だから、その基準行政のほうにうんと力をまだ入れなければならないときに、福祉、福祉の名でどうも非常に重要な労働省のポイントがずれつつあるんではないかと心配するもんですから、それでお尋ねしているわけなんですが、監督官は設置以来どういうふうにふえて、事業所のふえ方に対して監督率はどのくらいできているのかということをお伺いしたい。

渡邊健二労働省労働基準局長

○政府委員(渡邊健二君) 現在の労働基準監督官の定員は、四十九年度で三千十名と相なっております。ちょっといま手元に設置以来の人員の数ははっきりいたしませんが、監督官の数を昭和三十七年からだけの数字しかございません。それ以前の数字はちょっと手元に持っておりませんのですが、三十七年から申しますと、三十七年当時は、監督官の数が二千三百九十八人でございました。それが、その後逐次ふえまして、先ほど申しましたように、四十九年では三千十人ということに相なっておるわけでございます。で、私ども監督官の増員については毎年非常に努力をいたしておりまして、四十九年度におきましても監督官、それから近ごろ安全衛生関係が非常に専門的な面がふえておりますので、そちらのほうも同様に重視いたして同様に考えておりますが、安全衛生専門官合わせますと九十名の増員を得ておるわけでございますが、もとより私どもこれで十分と考えておるわけでございませんので、毎年その増員に努力するとともに、今後も一そうその増員をはかってまいりたいと、かように考えております。  それから、これらの監督官による事業場における臨検監督、これは当然基準局の業務の中心といたしまして、鋭意これを実施し、それによって基準法の履行が完全に個々の事業場で行なわれるようつとめておるところでございまして、まあ以前には、ほとんどの事業場が昭和三十年ごろまでには基準法が実施されておらなかったという状況でございました。しかし逐次、十分ではございませんが、   〔委員長退席、理事須原昭二着席〕 徐々に改善を見ておるところでございまして、手元に持っております数字でございますと、四十四年におきます監督結果の違反率が七四%ということでございましたが、四十六年には六七%というようなことで、わずかずつではございますが、徐々に改善を見つつあるところでございまして、今後とも、いやしくもこの基準法の最低労働条件はすべての事業場で完全に実施されますように、鋭意監督につとめてまいりたいと考えております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 基準局長ね、いまの基準監督行政、これでいいと満足していらっしゃるのかどうか伺いたいんですがね。私が最近見ました資料によりますと、監督官の数というのは二十四年当時に比べてたった一・一倍にしかすぎない。数はあんまりふえていないんですね。それから、監督率ですけどね、これまでよく一割監督といわれていましたね。十年に一ぺんしか事業所に回ってこない。それが最近九・三%に落ちてるという。だから、毎日の新聞を見ても、この間も問題になりましたように、放射能の取り扱いを少年労働者が手づかみでやっていると、こういうようなことも起こっているし、私自身横浜港に見に行った冷凍庫なんかは少年労働者がほとんどちゃんとした服装もしないで働いている、こういうことがもうざらにあるわけですね。それからそのほうにも、女子労働者の問題も一ぱいあるけれども、最近は、先日須原委員がここで議論されましたけれども、外資系の企業なんかでは、労働組合もつくらせないし、労働協約もつくらせないようなところ、基準法をむちゃくちゃに無視しているようなところが一ぱいある。ことに男女同一賃金の原則なんて守っていないで、平気で女子の給与体系をつくっている、男女、別の給与体系をつくっているようなところも一ぱいある。つまり監督率はむしろ下がっている。  それで、いま、人員は幾らかふえているような御報告ですが、三十七年当時二千三百九十八が四十八年で三千十、ほんとうにわずかですが、その間の対象事業数は、事業場数ですね、どうですか、たいへんふえているはずなんですね。

渡邊健二労働省労働基準局長

○政府委員(渡邊健二君) その間の適用事業場数は三十七年が百七十二万でございますが、四十九年はまだことしでございますので、ちょっと適用事業場数を把握いたしておりませんが、四十七年の数字がここにございますが、二百六十九万六千、かように相なっております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 適用事業場数は倍になっていますよね、いまおっしゃっただけでもね。だけれども監督官はもう実に遅々として数はふえておらない。だから監督率は十年に一ぺん回ってくるはずだった程度の監督がさらに十一年に一ぺんぐらいになりますね、これ、九・三%なんということであればね。こういう基準行政、さっきは——このごろは福祉、福祉といって、労働者の財産形成のほうに力を入れたり盛んにしていらっしゃるけれども、労働者にとって基本的に大事なのは、さっき、家族とともに豊かな生活ができることだと労働大臣おっしゃったけれども、そういうことをするためには、労働者がただ一つの自分の資本であるからだを使いあるいは頭を使って仕事をするわけですから、これを守ることが労働行政のまず一番出発点だと思うのですが、労働大臣、基準行政こんな状況でいいとお思いになりますか。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○国務大臣(長谷川峻君) おっしゃるように法によって労働者を守るのが労働省の役割りでございます。経済成長の発展に従って事業所がふえているわけでして、そういうところにまた働く諸君がふえているわけであります。人間の数は多少ふえてるものの、事業所のほらがよけいふえておる。同時に、私も労働省に来てみまして、監督行政がなかなかたいへんだということと、さらにまたいろんな突発的な問題が出れば全部この労働省に問題がかかってくるんだと。早い話が、二、三日前の新聞にタコ部屋の話が出た、いまどきタコ部屋なんということはあり得ない、しかし、それはそういうものを労働基準局のほうではすぐに追っかけなければならぬ。どっかの会社が破産した、破産すればその給与は払ってない、払ってないとすれば、そういう会社の今度は給与を払わせる御加勢もしなければいかぬというふうなことで、非常に問題が、——何さま、官房長のお話のように、三千六百万の勤労者です。それに重点的にですからやっていくことと、人間をふやすことということはいまから先も心していかなければならぬというふうに私は感じております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 だから、もっと労働基準行政に力を入れていただきたいんですよ、大臣ね。毎日の新聞とおっしゃるから、私もいまもう一つ申し上げますけれども、この間新宿で芸者置き屋で芸者が前借金と相殺されてですね、これは労働基準法で禁止していることでしょう。——強制的に身柄を拘束して売春をさせているような状況がある。あれは売春防止法をつくるときに労働省ずいぶん力を入れたわけなんです。しかし、ああいうサービス関係のところでの労働基準監督というのはほとんど行なわれておりませんよね。それから、外資系で働く女子労働者が男女差別賃金体系を持っていましたので訴えてきたので、じゃ監督署へ行きなさいといって教えてあげた、そしたら、監督署へ行ったら、組合の男性と企業との間にそれぞれいいという協約があるんだからどうしようもないという。こんなだらしのないことは、——私は職場の中でも男女差別あると思うんです、組合の中でも。そういうときに法律によってできる、介入ができる権限を持ってる基準行政というものに力を入れないなんというのはとんでもないことだと思うんですね。その辺のほらは大臣たいへんおろそかに、——いま申し上げましたように、二十四年、労働省出発して間もないころと監督官の数のふえ方は一・一倍にすぎない。こんなことで労働基準法を守れるはずはないわけです。それなのに、いまや労働基準法はもう保護が多過ぎるからカットすべきだという意見すら使用者の間から出てきてるわけですね。で、もっとこっちに力を入れてもらわないと困るんで、基準局長は遠慮深くて自分のところの労働行政の中で基準局にもっと金と人間を入れてくれということをおっしゃりにくいのかもしれませんけれども、私はそれはぜひ大臣に今後力を入れていただきたいと思うんです。  それで、さっきから出ております労働者の福祉という概念なんですけど、労働福祉というのがありますね。これは基準法の中に労災なんかを称していうのだと思いますが、その労働福祉という概念と雇用福祉という概念を、これ区別をちょっと、はっきり、お二人局長が来ていらっしゃいますから説明していただきたい。

渡邊健二労働省労働基準局長

○政府委員(渡邊健二君) いまおっしゃいました労災保険などで労働福祉とおっしゃっておりますのは、おそらく労働福祉事業団という事業団があることをおっしゃっておられるんだと思います。で、労働福祉事業団の労働福祉と申しますのは、労働福祉事業団法に規定されておりますように、労災保険の療養施設といたしまして、労災病院が主でございますが、その他労働者のリハビリテーションのためのリハビリテーション作業所等、労働者が業務上負傷、疾病にかかって治療をされ、さらに諸機能を回復されて社会復帰されることを御援助する、こういう施設、及びそういう労働災害が発生するのを未然に防止する趣旨におきまして、労働安全衛生融資制度を行なう、これを含めて労働福祉事業団の労働福祉のための事業、かように同法によって規定をいたしておるところでございます。

遠藤政夫労働省職業安定局長

○政府委員(遠藤政夫君) 労働福祉あるいは労働者の福祉と、これは非常に広い意味で、ただいま田中先生からも労働条件の向上、これは労働者の福祉の基本的な課題だという御指摘ございました。まことにそのとおりでございます。その中で雇用福祉ということばを使っておりますが、私どもは広く労働者の福祉の中で雇用者について、雇用の面での福祉対策と申しますか、そういう意味で雇用福祉ということばを使ってるわけでございます。まあ言ってみますと、労働者の福祉の一つの前提は職業の安定だと、生活を安定させるために職業の安定が必要である、これが第一でございまして、そのために就職のむずかしい人に就職の援助をして差し上げる、あるいは職業の安定をはかるための各種の施策を行ないますとか、あるいは特に中小企業の労働者のようにいろいろないわゆる福祉施設に欠けておる、こういったものを充実整備していく、こういったものを私どもは考えておるわけでございまして、その他、住宅がない人のためのいわゆる雇用促進住宅のようなもの、こういったものを含めまして雇用福祉という概念で私どもは考えているわけでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 そのほかにまだ福祉、——労働省が事業として労働者の福祉のためにやっていることはどういうものがありますか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○政府委員(渡邊健二君) そのほかにこれも労働福祉の一環の事業と考えられますものに中小企業退職金共済事業というのを実施いたしております。これは中小企業退職金共済法によりまして、事業主が自分の雇用する労働者のために掛け金を掛けまして、それを中小企業退職金共済事業団が管理をいたしまして、その労働者が退職をする際に事業団から退職金を支払う、こういう業務を行なっています。さらに、事業といたしましては、勤労者財産形成促進事業、これも昭和四十六年に御制定いただきました勤労者財産形成促進法に基づきまして、これは労働省が直接やっているのではない、個々の労働者が金融機関に貯蓄するという点もございますし、あるいはそれに対しまして雇用促進事業団でそれらのファンドを利用いたしまして勤労者の持ち家促進の融資事業等も行なっているわけでございます。事業としてはそれらのものがありますが、行政一般といたしましては、そのほかに私ども週休二日制の普及促進、定年延長の奨励、これらのこともやはり労働者の福祉の観点から推進をいたしておるところでございます。その他いろいろ労働者の福祉施設、たとえて言いますと中小企業レクリエーションセンターだとか、あるいは勤労福祉センターであるとか、あるいは勤労者いこいの村等々の福祉施設の設置促進の業務を行なっております。   〔理事須原昭二君退席、委員長着席〕 婦人あるいは勤労青少年のための勤労青少年ホームや勤労婦人の諸施設等も同じような福祉施設のカテゴリーの中の一つのものであると、かように考えておるわけであります。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 いま御説明のありましたような方向に相当の努力が払われているわけですね。予算と人員もそこに入ってきている。あるいは外郭団体であるところのいろいろな事業団のほうからもそういう方向にはたくさん金が行っていると。そして再三申し上げますが、基準行政のほうでは監督行政よりはそっちの方向に向かいつつあるということを非常に私は心配するわけなんです。で、産業構造が変わってきて、いろんな意味で非常にむずかしい条件が出てくる。あるいは重化学工業に対処しなければならない。そういう意味では安全衛生法もこれも労働者の基本的な権利、労働基準法の中にある権利として別ワクの法律はつくったけれども、やっぱりこれも権利ですね。そういうものに対する対策が非常に立ちおくれつつあるけれども、非常に労働行政は雇用促進あるいは雇用対策のほうに重点が大きく移っていきつゆあるというふうに私は思っているわけなんです。  そこで、少し論点をかえてお尋ねいたしますが、四十三年十一月二十六日ですね、行管長官と労働大臣と自治大臣の三大臣が覚え書きを交換して労働省の機構を改革しようという案をつくりましたね。その案はどういうものであるかを説明していただいて、それで午後に私の質問は譲りたいと思いますが、行政機構改革についていろいろと取りざたされておりますし、職業安定局長はその中心になっていらっしゃると思いますので、それはどういうふうな状況にあって、どういう意味で、どういう方向に持っていこうと考えていらっしゃるのか、現状はどうかということをお尋ねいたします。

遠藤政夫労働省職業安定局長

○政府委員(遠藤政夫君) 私どもの行政の中で、先ほど御説明いたしました総定員の中で、いわゆる地方事務官と称迂られる者が都道府県の職業安定課及び失業保険課の両課の職員で約二千三百名が四十七都道府県に配置されております。この問題につきましては、田中先生ただいま御指摘になりましたように、昭和四十三年の十一月の二十六日だったかと思いますが、労働大臣、行管長官、自治大臣、三大臣の間でこの問題の処理についての覚え書きが交換されております。  その内容を簡単に申し上げますと、地方事務官制度を解決するために各都道府県に労働部を置きまして労働行政全般をその労働部の中におさめる。現在あります都道府県労働基準局、婦人少年室を含めて県の労働部の中に労働基準関係業務、婦人少年関係の業務を包括いたしまして、労働行政一括統一的に実施をしていく、こういう考え方でございます。  私どもが労働省といたしまして、当時この構想を持ちましたのは、全国一億国民の中の大部分が労働者とその家族でございます。したがいまして、国民も大部分、ほとんど全部と言っていいぐらいが労働者に属する人たち、この行政を進めてまいります上に現実に都道府県自治体というものがあって、これが行政の第一線行政機関として作用しておる。それと遊離した、労働行政がこういったたいへん広範な人たちを対象にして、そういう人たちの職業の安定、労働条件の向上、福祉をはかっていく上に、職安行政、基準行政、婦人少年行政ばらばらであっていいわけではない、こういうことで、これを統一的により積極的に進めていく上におきまして、都道府県という第一線の行政機関というものをより現実的に活用していく方法を講ずべきではないか。こういう考え方で自治省、行管とも相談いたしまして、ただいま申し上げましたような考え方で三大臣の覚え書きが調印されたわけでございます。  しかしながら、これも先生も先刻御承知のとおり、この問題につきましては、基準行政のあり方あるいは婦人少年行政のあり方についての長年の実績等もございまして、いろいろ関係方面から異論もございまして、結局この問題につきましては再度慎重に検討を進めるということで今日に至っているわけでございます。  で、昨年来、この地方事務官制度を根本的に解決する必要があるという関係筋からの、いろいろ国会等の御意見もございまして、私ども積極的に検討を進めておるわけでございますが、私どもこの職安行政をあずかる者といたしましては、現在は国家公務員という身分の地方事務官が都道府県知事の指揮、監督を受けて職業安定行政を遂行いたしておるわけでございます。私どもは職業安定行政、雇用行政というものが国全体の労働市場を踏まえながら実情に応じて行政を進めていく、そういう意味では国の一貫した政策と、各地区都道府県の実情とを十分両方にらみ合わせながら行政を進めていく必要がございます。そういう意味におきまして、国家公務員の身分である者が都道府県知事の指揮、監督を受けて都道府県の組織機構の中でこの行政を進めていく、こういうことはこの両方の要請を十分踏まえながら行政を行なっていくという利点があります。そういう意味におきましては、ある程度現実的な制度であろうかとも考えております。ただしかしながら、こういった都道府県の中に国家公務員が置かれるという何とも木に竹を継いだような制度である。こういうことからいろいろ反論、御意見もございまして、この問題について根本的に解決策を進めなければならない。こういうことでどうすればより行政を積極的に進めることができるか、そうして、こういったいわゆる矛盾した制度を解決するためにはどういう方法をとったらいいか、積極的に前向きに私どもは検討を進めてまいりまして、できるだけ早い機会にこの根本策の検討に結末をつけてまいりたい、かように考えておる次第でございます。

山崎昇日本社会党

○委員長(山崎昇君) 三案に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後二時再開することとし、休憩いたします。    午後一時休憩   〔休憩後開会に至らなかった〕      —————・—————

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