決算委員会 第11号
- 発言数
- 137 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1974/05/15
会議録
○委員長(田中寿美子君) ただいまから決算委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 本日、石本茂君、佐田一郎君、佐藤一郎君及び峯山昭範君が委員を辞任され、その補欠として竹内藤男君、志村愛子君、黒住忠行君及び沢田実君がそれぞれ選任されました。 —————————————
○委員長(田中寿美子君) 昭和四十六年度決算外二件を議題といたします。 本日は締めくくり総括質疑を行ないます。 まず内閣総理大臣に対する質疑を行ないます。総理に対する質疑時間等につきましては、昨日の理事会におきまして協議し、各質疑者に御通知申し上げたとおりであります。たいへん窮屈な時間でございますが、質疑をされる方並びに答弁をされる総理の御協力をお願いいたします。 それでは、まず私から総理にお尋ね申し上げます。 総理大臣、御苦労さまです。この際総理に、委員長として二点についてお尋ねいたしたいと存じます。 その第一点は、資料提出をもっと十分にしてほしいということでございます。 第二点は、決算提出時期を早めることはできないかということでございます。時間がきわめて限られておりますので、簡便にお答えいただきたいと思います。 第一点の、資料提出をもっと十分にしてほしいということにつきまして、三つのポイントについて申し上げます。 一つ目は、予算執行状況報告の不十分さとそのおくれについてでございます。予算審議に際しましては膨大な資料が提出されますけれども、予算可決後の執行状況報告はきわめて不十分でございます。昨年、四十八年度予算委員会の締めくくり総括のおりに、予算執行状況を、憲法九十一条、財政法四十六条に基づいてもっと十分に、時期も早めに提出するようにという要望が出されましたとおり、総理大臣、それから大蔵大臣、行政管理庁長官などがいずれも改善するとお答えになっていらっしゃいます。当委員会は、特にこの点を重視いたします。しかし、実態は、その後あまり改善されておりませんので、あのおりの御答弁の趣旨に沿って、ぜひ本年度から改善していただきたい。 二つ目は、各省関係一般資料についての秘密主義のことです。最近、政府からの資料提出がきびしくなりまして、行政上の秘密主義が濃くなったような感じがいたします。これは決算審議の過程でも各委員が感じたことでございます。この点を改めていただきたいと思います。 三つ目は、財政関係資料の提出についてでございます。財投は、第二の予算と呼ばれる規模と役割りを持っております。昨年来の国会審議で総理も御承知でございます。財投関係の資料提出の要求は衆参両院で高まっておりまして、白書の形式で年次報告をすることや、その他財投資金の投資効果が国会でも十分検討できるような実績資料を出してもらうよう御勉強願いたいと思うのです。財投の原資は、庶民の零細な財金や年金の掛け金であることにかんがみまして、ぜひ資料提出をもっと充実させていただきたいと思うのです。 以上、資料に関する三つのポイントについて、十分にして迅速な資料提出が行なわれますように、総理は各省庁に督励される意向がおありになりますかどうですか、お伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 国会審議の過程における政府からの資料提出につきましては、積極的に可能な限り最大の努力をすべきであることは、申すまでもありません。また、政府もそのような基本的姿勢を守って、国会審議の便に供したい、こう考えておるわけでございます。 それから、決算書の国会提出を少し早められないかということでございますが、この問題については、四十六年度の決算の報告は、四十七年十二月二十二日に提出をして御審議を仰いでおるわけでございます。これ以上ということでございますが、せいぜい努力はいたします。いたしますけれども、御承知のように、現行制度による決算の処理は、出納事務の完結の期日が七月三十一日でございますし、それから各省庁の決算報告書の作成と、大蔵大臣への送付がございます。またこの送付を受けて大蔵大臣が決算書の作成をし、会計検査院の承認を得るという期日が十一月三十日になっておるわけでございます。十一月三十日から会計検査院の承認を得て国会に提案をするということになりますと、どうしても十二月に物理的になるということでございます。で、財政法第四十条の規定によりまして、御承知のとおり、次の国会の常会に提出をするようにということでございますので、物理的にも、また国会に出す以上所定の手続を全部経て完ぺきなものとして出さなきゃならないということは論を待ちませんので、そういう意味で常会に提出をするという法律の定めのとおり実行しているわけでございます。まあ常会といっても常会が終わるころというのでは困りますから、できるだけ早くということで、四十六年度決算は四十七年十二月二十二日でございますから、一年半ばかり前に御提出を申し上げておるわけでございます。まあ第二の問題については物理的な制限もございますし、行政府は国会に対する基本的な態度という面もございますので、これ以上どの程度縮められるかということはなかなかむずかしいと思いますが、御発言の趣旨も十分理解できますので、常会の最も早い期間に提出をするだけではなく、要は、参考資料もということにウエートがあると思いますので、そういう問題に対してもできるだけ完ぺきなものにしたいと、こう考えております。 第三点は、財投の資料等も提出をすべしということ。これは参議院の予算委員会でも御質問があったことは私も承知いたしております。もう財投だけではなく、行政府が国会の求めに応じ出さなければならないもの、御要請があるようなもの、また要請がなくても必要と思われるようなものに対しては、可能な限り最大の努力を続けてまいりたいと思います。
○委員長(田中寿美子君) 総理大臣、実は私がまだお尋ねしないところをお答えになってしまいましたね、たぶんメモが行っていたのだろうと思いますが。 第一点は、資料の提出をもっと十分に早めよということで、その中で三つのポイントを申し上げました。 第二点が、決算提出の時期を早めてほしいという問題で、それはこれから申し上げるところでございますが、まあほとんど答弁のほうが先になってしまいました。 問題点を私はもう一回申し上げますけれども、国会における決算の審査、その結果が次の予算編成に参考になることが必要ではないかと、こういうふうに私思っておるわけなんです。いま四十九年度予算が審査可決されたところで、ようやく四十六年度予算が決算の審査が終わろうとしている。たいへんおくれているわけでございますね。こういうふうになると、予算と決算の関係がほとんどないような状況になります。私は、これは総理大臣、民間の企業の場合に、決算を見ないで予算をつくるということはあり得ないけれども、国会の場合には予算を編成するときには膨大な資料を持ってくるけれども、そして大騒ぎするけれども、あとは決算はどうなってもよろしいという感がございますので、決算は軽視されます。そういう意味で決算の提出の時期をもっと早めてほしいというふうに思っておるわけです。いますでにお答えになりましたように、財政法四十条によって、常会のときに前前年度の決算を提出することになっている。そこで七十二国会の初め、四十八年の十二月に、四十七年度決算書が提出されました。ところが日程的に申しまして、そのころに提出されましたものはいままでに審査することはできませんですね、予算委員会もございますし、その他で。ですから私はもっとこれは早めることができないだろうかというふうに考えているわけです。いま、大蔵省がオンラインシステムを採用するというふうなことも報道されておりますから、今後できるだけの方策を講じまして、できれば七月末ごろまでに——いままで七月末までに決算の集計がかかるという二十年来の慣行がございますが、それを次第に早めていっていただきたい。そして、財政法に定めてある出納整理期間を短縮したり、決算の提出時期につきましても、もうそろそろ再検討していい時期が来たのではないか。そういうふうにして決算のタイミングを早めていただきたいということを申し上げたかったわけです。そうしませんと、もし決算が全部出せないとするならば、正規の決算の国会提出時期が通常国会以前にさかのぼれないというなら、決算の集計が終わった時点で仮決算、または粗決算という形で即応的な数字を国会に報告して、予算編成前に実質的な審議が行なわれるというようなやり方をとっていただきたいと思うわけなんです。そのことについて総理大臣、御検討くださって、御督励していただけませんでしょうか、どうでしょうか。
○国務大臣(田中角榮君) 決算の結果が予算編成に反映されることが望ましい、これは当然のことでございますが、ただ、制度上の問題としまして、その前年度の決算が国会の審議を経まして、そして予算編成に完全に反映をされるということは、これは物理的な問題としてなかなかむずかしいわけであります。しかし、現実問題として、予算を組む場合には、財政当局は自分で手がけておるものでございますから、そういうものも十分参照しながら予算が組まれるということは当然のことでございますが、国会に提出をするということは事実、年度が終わりましてから、これは、四月の税収も前年度の歳入として受け入れることになっております。そうすると、全国的に各省庁支分部局から上がってくるもの全部を集計をするということになりますと、やはり完結が七月三十一日というような膨大なものでございますので……
○委員長(田中寿美子君) 総理大臣、途中で失礼ですけれども、わかりました。ぜひ検討してくださいませ。
○国務大臣(田中角榮君) だから、検討いたしますと、こう言うことはいいのですが、これは、できないことをできるようなことを言うことは、これは国会の尊厳を傷つけることでございますから、そういうものははっきりしておいて、できるものはできる、できないものはできませんと、こういうことでないと、政治の責任を果たすゆえんではない、こう思うわけです。ですから、予算は十二月の、年度の初めに提出をしろということになっております。そうしますと、やはり理論的にも物理的にも、前前年度の決算というものと予算というもの、国会側で見ますと、そういう立場でひとつ御理解をいただきたい。ただ、中間報告的なものを出せという御発言に対しては、これはできるだけ国会に御説明できるものはしますが、実際、こうずっといまも申し上げたとおり、会計検査院に送付をして常会に書類を出すという現実の状態を考えますと、中間報告というような形で国会に出せぬのかどうかということで、私も十分事務当局に何とか……(「勉強しますと」と呼ぶ者あり)勉強しますということを申し上げられるようにということで、勉強してきたのです。勉強してきましたが、物理的にはむずかしいと、こういういま返事でございましたので、こういう事情を十分申し上げて、せっかくの御発言でございますし、これは勉強はいたします。いたしますが、事情もひとつ御理解をいただきたい。
○工藤良平君 私は、かねがね田中総理と農業の問題につきまして、じっくり討論をかわしたいと考えておりました。きょうはこの機会にそういう問題について私お聞きをいたしたいと考えるわけですが、その前に、先日十三日、日本武道館の「田中総理を励ます新潟県人の集い」で、これからの政治目標と思われるような非常に重要な発言をなさっているわけでありますが、その中で特に徳育のため義務教育段階の生活規範ともいうべき非常に重要な五つの大切、十の反省というようなことをおっしゃったようでありますけれども、これは一体総理として全国民に訴える非常に重要な発言として私どもはとらえなければならないと考えるのでありますが、これは憲法なり、あるいは教育基本法等との関連の中から、どのように理解をしたらいいのか、その点をまず最初にひとつお伺いをして農業に入りたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) これは私の年来の持論を申し上げ九わけでございます。もう戦後足かけ三十年にもなりますので、三十年の経験に徴して、よりよい教育制度というものをつくるために、私の考え方も国民の前に明らかにしなければなりませんし、また国民がどのように考えておられるかということを吸い上げて、これを教育制度改革ということに還元をせしめたい、こういうことで私の考えの一端を申し述べたわけであります。 これは私は思いつきや何かではなく、教育メモランダムが来たときからの持論でございます。もう二十八年間代議士やっているわけでございますが、これはもうその間ずっとそういうことを考えてまいりました。私が昭和二十一年の選挙に立候補したときから、本件に対してはちゃんと記録があります。訴えております。その後各党との討論会に出たときも、義務教育というものが、平和を愛せとか、それから世界の民を愛せよとか、そういうことよりも、ものは具体的に言わなければいかぬ。特に子供は、これはいいことである、これは悪いことであるというようなことは、これは非常にわかりやすく、そういうことが必要であるということは、もう私の持論でございますし、そういう考え方を述べたわけで、民主政治というものは、一つ一つの政策がどんなにりっぱでも、国民の支持と理解がなければ民主政治にはならぬわけでありますから、そういう意味で考えの一端を述べた、こういうことでございまして、これを述べたからすぐやるというのではございません。やりたいという熾烈な希望を持っておるということは事実でございます。
○工藤良平君 この問題で私は本来の時間が非常に惜しいわけでありますが、これはやはり教育基本法、憲法にも触れる問題でありますし、一国の総理としての発言としてはきわめて重大な発言だと、私はそのように解釈いたしまして、今後これの問題については対処していきたいと考えているわけであります。 そこで農業の問題に移ってまいります。 総理にお伺いいたしますけれども、先般四十九年度予算審議にあたりまして、衆議院の予算委員会で田中総理は資源問題の質問に対しまして、日本には資源がない、あるのは人間だけだと、このような御発言をなさったのを私は聞きました。田中総理の真意をうかがいかねたのでありますが、その点についていまも変わらないか、まずその点をお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 常識的に資源の乏しい国であるということは、戦前・戦中・戦後、将来にわたってもこれはもう変わっておらないことだと考えます。
○工藤良平君 そこで、私は総理の頭の中に、人間だけが日本の資源であると答弁をなさったそのときに、一体農業というものが頭の中にあったのかどうか、そのことを私はお聞きをしたいわけです。日本が資源が少ないということは私も同感であります。そのとおりであります。しかし、日本にはやはり国土というものがあります。これは一八%しかいま利用率がないと言われているわけですね。この農業というものは、土地と水と太陽があれば無限大に物をつくり出すことができる私は唯一の最大の資源だと実は思っているわけです。田中総理の頭の中に、それは事実としてはおれの頭の中にあるのだというように私は解釈をしたいのでありますが、答弁のときにちょっと落ちたのではないかと思いますけれども、しかし、その真意の中になかったとするならば、私は非常に重要な問題だと思いますから、頭の中におそらくおありだと思いますけれども、その点をまず確認をしておきたい。
○国務大臣(田中角榮君) それはあなたの言われるとおりなんです。資源というものをこれ比較論で述べますと、三十七億という国民を地球の全面積で割ってみれば一億一千万人、三十六分の一の頭数がおりながら、カリフォルニア州よりも少ない、あなたがいま指摘されたように八五%は山だ。山に住めないことはありませんよ。住めないことはありませんが、しかし、理屈の上からいっても感じの上からいっても比較論として資源に乏しい国であるということは、これは事実だと思うんです。ただ、南北に非常に長い、四季の別がある。最も大きな資源といえば水であります。これ水資源は世界に冠たるものであります。台風が常時来ると、こういう面からいって、それは専門的に中に入ってまいりますと、これも資源である、太陽のエネルギー、これも資源でありますし、いろいろあります。一キロ深まで掘れば何が出てくるかわからぬ、これはそんなことはそれはそういうことは言いますが、比較論として、いままで日本人があらゆる文献、あらゆる話題の中で日本は資源がある国かどうかといえば、常識的には日本にあるものは人の頭数と勤勉さだ、こういうことを言われているわけですから、そういう意味で私はすなおに述べたわけでございますが、ところがしかし、こういろんなことを言えばこれは資源が大体ないというような、そういう意味でないことはもう申すまでもないことでありますので、そこらはひとつ平たくお考えいただきたい。
○工藤良平君 一応総理の中には土地というものを考えると地価のほうのことをまあ先に考えるようでありますけれども、私がさっきから申し上げますのは、一八%の利用率しかないといういまの日本の現実というものを踏まえて私は残された八十数%というこの未利用の国土をどのように利用するかによってそれを有効に資源として利用し得るかどうか、その可能性を秘めているんだ、そういうことが基本的にあれば、これからの農業に対する取り組みというものもおのずから総理の頭の中に新しい私は構想が浮かんでくるだろう、このような考え方からこの点を申し上げているわけで、その点に対しての基本的なお考え方を聞きたいわけです。
○国務大臣(田中角榮君) それはあなたの御指摘のとおりです。八五%は山だから使えないとは考えておりません。これは私の列島改造の中にも山地農業ということを取り上げているわけですから、これはもう当然のことであります。これはもう八五%は使えないんでこれは水源涵養と緑を守るだけで人間の生息の適地としてこれを利用できないとか、それから産業用、農業用そういうものに使えない、そんなことはありません。これはもう他の国では海抜千メートル、千五百メートルというところに巨大な都市が存在しておるのでございますから、そういう意味では日本はまだまだあります。ありますが、これはまあ人間がふえていきますから、そういう意味で考えますと、やはりまあ砂漠を緑化しようというような時代ですから、日本の八五%の山地が一五%、二〇%、三〇%利用できない、そんな考えは持ってません。持ってませんが、しかしそれはまあコストの問題とかいろんな問題がありますので、そういう立場からも広範に考える、資源がないなどと考えてません。
○工藤良平君 ちょっと縮めて話をしていただきたいと思います。 そこで、わかりました、その点については私と一致をいたしますから、これからの農業政策についてはきわめて積極的な施策というものが出てくるであろうということを私は期待をしたいと思うんです。 そこで、この農業の日本の土地の無限大に有する土地ということからまだまだ可能性はあるということが一つ、それからもう一つは、非常に重要な問題で、いま六月に国際海洋法会議が開かれようとしている。専管水域の問題についていま三海里でありますけれども、それを十二海里あるいは経済水域として二百海里説が出ている。これに対して一体日本がどうするのかということは、これまた食糧資源の問題からいたしましても非常に重要な問題でありますが、これに対して日本としては、総理としてはどのような態度でお臨みになるのか。これはやはりこれからのたん白資源の非常に重要な問題でありますから、その点についてまず基本的にお伺いひとつしておきたい。簡単でよろしゅうございます。
○国務大臣(田中角榮君) 専管水域の問題、これは国際的にそういう問題はございます。特にアフリカとかアジア、アメリカとか南米の一部とか、国の数からしますと、これは八〇%ぐらいがそういうことに賛成しそうだという状況にありますが、日本が二百海里説をそのまま前提にして計算をしてみますと、いま年間一千万トンの漁獲量がございますが、その四一%、これはもっと大きくなると思うのです。そういうものがすぐ制限をされるということはこれはたいへんなことであります。これは国民のたん白源というものが確保できないという問題にもなります。それだけでなく、ブロック経済とかいろんな孤立経済ということがだんだんとやめなきゃいかぬ、自由化をしようと、そういう事態に、専管水域を二百海里までというようなことを言うことは、人類の平和のためにもあんまり望ましいことではないという人類平和論から大上段に、ひとつ日本は国益を、国益というよりもこれはもう人類の問題として、そう海までいろんなことでもって区切るというようなことが平和を守るゆえんじゃないということだけは十分述べるつもりであります。私はアメリカでもソ連でもそういう話をしてきました。こういう問題に対しては、やはり地球は小さくなってるんだから、もっと幅広く柔軟に考えていくべきだし、お互いに勉強していきたい、こういうことを考えております。
○工藤良平君 この問題は私は非常に重要な問題を持っている。いずれこれは十二海里になるか、あるいは二百海里になるか、三海里ということが通るということはおそらく不可能ではないか。そうすると、いずれにいたしましてもやはり日本がいままで求めてきた海の資源というものはかなり制約を受けてくるというように国際的に考えなきゃならぬ。そうしますとおのずからわれわれは資源をみずから育て、それをやはり利用していくという方向に変わらざるを得ない。したがってそういう意味から漁業三法等もすでに私どもは法案の審議を終わりまして、これを採決をいたしているわけでありますけれども、何とかしてやっぱり資源を確保し、育てなきゃならぬという努力を積み重ねているわけであります。そういう意味合いから、ぜひこの資源の問題についても、いずれ十二海里から二百海里になるという一つの前提の上に立ってわれわれはやっぱりものを処していくというかまえがないと、たいへんな問題を起こしてくるのではないかと思いますので、その点に対する、もう一ぺんひとつ総理のお考えを聞きたい。
○国務大臣(田中角榮君) まず自然のものを漁獲するという方法から、だんだんと栽培漁業という面に積極的に転換をしていかなきゃならないということが前提であります。もう一つは国際的な理論を展開いたします。いたしますが、地球上の現状を見ますと、方向としてはやはり無制限であったものがだんだんと制限をされる状態に移行しつつあるということは、これはもう厳然たる事実でございまして、これに対応するような状態を日本も考えていかざるを得ないわけでございます。そういう意味で、資源はこういうような状態でたくさんありますという、鯨にしましても、動物愛護の精神から鯨とっちゃいかぬ、制限しろと、こういう議論がいま国際会議でやられているわけですから、そういう面に対して、やはりいままでのように野放しでやるわけにはまいらない。その場合、一体まあ専管水域でもってその国と栽培漁業をする場合の投資をどうするのか、分け前をどうするのかというような技術的な問題も勉強いたしております。専門的にあらゆる状態に対応できるような状態で勉強しておるということを申し上げておきます。
○工藤良平君 いままで日本の漁業が資源を育てずにただ乱獲をするということが、国際的な非常に大きな非難として上がってまいりまして、そのことが国際的に今度の海洋法会議等の問題につきましても、もちろん後進地域の非常に発言も出てきておるわけでありますけれども、そのことがやっぱり非常に大きな問題として提起されているわけでありますから、この点についてはこれからの日本の漁業政策の上におきましても、総理としてもぜひお考えをこちらのほうにもいただいて、十分なる対策を講じて国際的に信頼を得る漁業政策というものをやはり樹立するように、私は特にこの点を要望しておきたいと思うのです。 そこで海の問題についても非常に問題がある、国土利用についても非常に無限大のものを持ちながら、なおかつやはり問題は残っている。そこで非常に重要になってまいりますのが、やはり国際的に日本の食糧問題を一体どのように理解をしていったらいいのかということが一つ出てくると思うんでありますが、現在もう御承知のように、日本の食糧輸入というものは国際的にもたいへん大きなものになってまいりました。飼料、麦、大豆を含めまして二千万トンをこえたという状況でありますからで、こういう問題を踏まえてみますときに、一体われわれはどう考えたらいいのか。一昨年の外貨の保有高と現在の保有高を比較いたしますと、非常に減少いたしております。その減少の大きな原因は一体何なのか。石油だけではないのであります。石油より以上に非常に重要な問題はこの食糧輸入の増大というものが日本の外貨保有高を非常に減少していっているという統計的な数字が出ているのでありますけれども、その点については総理はどのようにお考ええになっておりますか。
○国務大臣(田中角榮君) 食糧というのは、これはもう人類が生存していく限りにおいて、食糧はあらゆるものに優先をするものでございます。なけりゃ輸入せざるを得ません。しかし、主食を輸入しなければならないという国は、これはもう国際収支などは全然もたないということはもう申すまでもないわけであります。とにかく日本が戦前・戦中・戦後、主食を輸入しないで済んだと、まあ大ざっぱに言ってそうです。これはまあ昭和二十年から二十七、八年までは、これはアメリカで備蓄された余剰農産物というようなものの援助を受けて生きてきたという歴史もございますが、まず一貫して見ますと、主食というものを輸入しないで済んだというところに戦後の経済成長があったわけです。これはもう主食をずっと外貨に換算したら、今日の経済成長あるわけありません。そういう意味で、主食というものは一〇〇%自給自足したいと、これは日本では可能なわけであります。ところが、主食というものの内容が質的に変わってきております。米は少なくなり、いわゆるたん白源というものがどんどんと必要になってくる。たん白源という、今度飼料問題が起こってまいるわけでありますから、そういうものを考えると、主食といっても、主食のウェートが変わってきた肉類とかたん白源というものに対しては、今度もう飼料が日本で供給できるかできないか。これはまああなたがいま言うように、これは相当部分はできます。できますが、これは今度は合うか合わないかという問題もあるわけです。これは、われわれは、まあ私は新潟でございますが、新潟では全部あぜ豆をつくっておりましてね、豆は全部あぜだったんです。あぜでもって自分でつくるみそも、子供のところに送るみそも、煮豆の豆も、みんなそうだったんですよ。ところが、いまつくる人は一人もいないんです。これはなぜかというと、合わないということでございます。合わないといったって、たんぼをやる時間というのはさまっているんだから、合わないというんではなく、自分の食うぐらいのものはとったらどうかと、こういっても、それはなかなか安いものが入れば、あぜ豆なんかできないと、こういうことでございまするので、そういう意味で、まあこれからの食糧問題というのは、内容を十分に国民の嗜好の状態を長期展望しまして、これに国内的にほんとうに一〇〇%自給自足するものは何と何、それからせめて八〇%が何、五〇%のものが何、全部が全部外国ということになりますと、これは損得ではなく、今度の飼料が上がったら倍にもなるわけですから、そういうことも十分考えながら、自給自足というものは品目別に長期計画を立てなきゃいかぬ、こういう考えです。
○工藤良平君 総理ですね、私具体的にお聞きをいたしますけれども、一昨年約七十億ドルの農産物の輸入でありましたのが、昨年の暮れにはそれが約百十億ドルと、こういわれているわけですね。非常に急速に伸びている。それはやはり飼料、大豆、小麦、そういう米以外の穀類なんですね。農林省の発表によりましても、その穀類の自給率というのは四三%といわれているんですね。この穀類を日本で生産をするとするならば、約五百万ヘクタールの面積を必要とするということであります。それは日本で一気に生産をするということは不可能でしょう。私もその点はわかります。わかりますが、やはりそれをどれだけ日本の国内で努力をしていくのか、その努力をしていった上で、なお不足分を輸入をするという前提に立たなければ、たいへんな事態が起こるということなんですね。これは確かに私はMSA協定以来、アメリカとの間でペアを組んできたその日本のパートナーが、実はソ連や中国が不作であわたということで国際的に非常に不足を来たしたということ、しかしそれは日本とアメリカの外交関係が続いていく限りにおいてはこんな暴騰が起こらないであろうと考えておった小麦や飼料が三倍にはね上がったと、そのために日本の農業に及ぼす影響というのははかり知れないものがあったわけであります。非常に苦しい立場に追い込まれてしまっているという現実を考えてみるときに、やはり私たちは、さっき私は冒頭申し上げましたように、まだ土地があるんだと、これをどのようにして、もちろん短期的にはばく大な金が要るかもわからないけれども、しかしこれは末代の問題でありますから、だからその資本投下によって、日本ででき得る限りの可能な食糧を生産をしていくという前提に立つ、こういうことが必要ではないのか。そうしないと、ややもすると、何か開発理論というものが優先をしてまいりまして、それにすりかえてしまったんでは、再び石油やあるいは現実の飼料問題のような事態が起こるのではないかということを私はいまから心配するわけで、その点に対して総理のぴちっとしたやはり基本的な考え方というものがいま明確に出されなければならない、このように思いまして、その点のひとつ決断をお伺いをしたい。
○国務大臣(田中角榮君) 先ほども述べましたように、食べるもの、国民食糧というものを輸入するというのは非常に不安定な状態であることは、もう申すまでもありません。そういう意味で自給率を上げるということは、もう当然の方向でございますが、ただ、日本が南北に長い列島であるということで、飼料作物等をつくっても、国際価格というものと全然比較をしないでやるわけにもまいりません。ですから、しかし、安いからといって、全部が全部外国にたよっておると、倍になり三倍になるという波動にはたえられないわけでありますから、そういうものを、まあ日本で適地満作ということでやれるものはやる、やれないものはやっぱりどうするかというようなものを明確に区分する必要があると思うんです。ですから、まあいずれにしても、大豆などでも、これは北海道でもってやるということは可能です。可能ですが、日本人が必要とする大豆を全部自国でまかなえるかどうかといったら、これはとても中国の東北地区でもってあれだけ大規模な大豆の増産をやろうとしているこの大豆に匹敵するような価格で供給できるはずはありません。ですから、そういう意味で、まあアメリカだけにたよっておったというようなことは間違いであって、これは多角化し、多様化すということであります。だから、まあ自由な市場から買うもの何十%、それから日本が開発輸入するもの何十%、国内でまかなうもの何十%と、どんな波動にもたえられるというようなひとつ見通しを立てなきゃならぬということは申すまでもありません。 それから、日本で飼料でいますぐでもつくれるというのは、大畜産の飼料といういわゆる牧草とか、そういうものです。これはつくれるわけです。ですから、そういう意味では二百万ヘクタール以上も農用地に供し得るところがあるわけですから、こういうものは草地政策を進めるということでいいわけです。 もう一つは、九州、四国というようなところは、確かに何でもできます。できますが、これは野菜をつくるほうがメリットがあるのか、果樹をつくるのがメリットがあるのか、放牧をして肉牛をつくるのがメリットがあるのかというような計算もせざるを得ません。 もう一つは、外的要因、これは、まあ率直に一つの例を申し上げますと、日タイ間では、日本とタイ国の間では、日本に売るものがない。これはもうタピオカを買う以外にないんだと、こういう問題があるわけです。そうすると、タピオカを買えば、もうすぐでん粉問題でもって競合すると、こういう問題がありまして、そういう国際的分業、南北問題の解決という問題もありますから、国際的に十分見ながら、国際協調、ひんしゅくを受けないような状態をまず考える。そうしてそれでも結局、無限大ではない国際収支の中で日本人の食生活を安定せしむるということから、日本の長期的展望に立った飼料その他、品目別に計画を立てていきたい。いま四十四年から米の転作とか何とかでもって一兆円以上使っているわけです。ですから、これは米よりも他に買わなきゃならぬものがあるわけですから、そういうものに長期的な投資を行なうということが確立をされれば、私は転作ということで他の雑穀、飼料等の供給も需要に対して何十%か必ず確保できるだろうと、こういうことでいま専門的に、各地域別に適地適作ということで検討を進めておるわけであります。
○工藤良平君 昨日の新聞によりますと、本年度ソビエトが再び不作ではないかと、天候不順のために。いわゆる春植えの麦が植えつけがおくれているということであります。日本の場合も異常な降雪ということから東北方面、どのような予測が立ちますか、私はいまから非常に心配している一人なんでありますけれども、そういう点を踏まえ、さらに先日、五月一日のFAOのベルマ事務局長が、今年度後半において、世界の食糧の手持ち高は三週間程度しかないのではないかという警告を発しました。各国ともやはり食糧備蓄という面については相当な精力を注がなきゃならぬという御指摘が出ておるわけでありますが、それに呼応いたしまして、三年間努力してきた農林省がこれは要請をしたようでありますけれども、国際化に対応する農業問題懇談会、東畑精一さんが会長でありますけれども、この懇談会からも、特にやはり日本の国内における自給体制の確立ということがまず前提条件でなきゃならぬという御指摘もなされておるわけでありますから、こういう点も踏まえ、私たちが今後なお農業というものを考えていく場合に、いまの農業というものは大体田畑、牧草地、改良牧草地を含めて五百七十万ヘクタールというのが一般的な通念でありますけれども、私がいま口をすっぱくして言っておるのは、五百七十万ヘクタールということじゃなくて、もう少しマクロ的な八百万あるいは一千万ヘクタールというものを一つの基準に置きながら、日本の農業の開発を考えるということがいま必要ではないのかと、こういうことを言っているわけでありますけれども、その点は先ほどの総理の御答弁からいたしますと、あまり大差のない考え方と私は実は理解をしたいわけであります。そういたしますと、おのずから日本農業というものは平たん地農業から山間地の農業に入らざるを得ないということになるのではないか。これはもちろん農道の開発あるいは水の開発、いろんな開発によってそれは私は可能であると判断をいたします。しかし問題は、やはりいまある既成の優良農地の確保もきわめて重要な問題でありますし、そういう面からいうと田中総理の言うあの三十万ヘクタールの転用なんというのは、これは農業の生産意欲にとりましてもたいへん重要な発言でありまして、いまのあなたの気持ちの中にはそういうことはもうおありにならないと思いますけれども、それは私がいま言ったマクロ的な大きな観点に立ってもう一ぺん農業というものを見直すという出発点に戻りて御検討いただきたいと思うんです。
○国務大臣(田中角榮君) 三十万ヘクタールというのは、これは何も無理なことを言っているわけじゃないんです。いまでも六、七万ヘクタールずつつぶれているんです。道路とか住宅とか、無計画につぶれておりますので、どうにもならないと、こういうことでありますから、これらは地価を下げたり、住宅用地を提供したり、公共用地を確保したり、これを虫食いにならないようにするために、計画的にまず三十万ヘクタールをめどにして——七万ヘクタールずつやれば、五、七、三十五で五年で三十五万ヘクタールが虫食いになるわけです。そうしないでもっと合理的なものをやろうと、こういうことですから、農用地の拡大に何ら問題がないわけです。農用地は二百万ヘクタールもいま予定されているものだけでもあります。あるだけではなく、それ以上にも適地適作という面からいえばやれるわけです。あなたはとにかく大分県ですが、大分や四国四県は、耕せば天に至るというところまで百年前からやっているじゃありませんか。ですから、それはできるんです、それは。いまのように電力あり、あらゆることがどんどんできるんです。高地から水を引かなければだめじゃなく、低いところから水を押し上げることもできますし、サイフォンでどこへでも水は持っていけるのです。そういう意味で、それは日本の国土というものは、あなたが一番初めに述べたように、新しい視野と角度から見直せば農用地なとは十分ある。なければ、これから——六十年——十二年間で千五百万人もふえるものにめし食わせることできないんです。そんなことはありません。ですから、そういう意味で、これは長期的展望に立って、米はどうする、大豆はどうする、肉はどうする、魚はどうするという計画を立てて、国際的な要因も全部加味をした理想的な姿をつくって国土の利用を考えますと、こういうのでございまして、三十万ヘクタールなら三十万ヘクタールだけを考えている、そんなことをやっていたらあっという間に六十万ヘクタールも虫食いになってしまうということになるおそれがありますから、そういうことではなく、理想的なものをつくりたい、こういう考えでございますから、そこらはひとつ十分お考えをいただきたい、こう思います。
○工藤良平君 私も近ごろ日航を利用する機会がありまして、東京から福岡まで飛んでみまして非常に驚きましたことは、いままで新幹線で毎週行ったり来たりやるわけです、大分との間をですね。平面から見ますと、あまり気がつかないのですが、上から見まして驚いたのですが、特に須原さんおりますけれども、名古屋の近郊、あの大平野ですね、一体どこが町か村か、たんぼかわからないぐらいたいへんな事態になっているのですね。いま総理がおっしゃるように、確かにこれは年間に六万ヘクタールもつぶされていけば、どこが農村かどこが町かわからなくなってしまっている。こういうやはり無政府状態が続いてきた。これはもちろん、きょうはあまり私は議論をしませんけれども、やはり土地買い占めなり、そういうものが非常に大きく日本の農業というものを破壊をし、地価をつり上げ、農業をやろうとする者の規模拡大を阻害しておるという、もろもろの要因があります。ですからそういう点をもう一ぺんもとに戻って、私たちはやはり、日本の食糧をどのように確保し、そのための農業をどのように一体これからつくっていったらいいのかという大きな視野から、もう一ぺん見直す必要がある。その上に立って都市の再開発も考え、水の開発も考え、そうして農地の確保も考えていくという視点を私はこれから十分に考えていかなければならない、こういうことを特に御注文として申し上げておきたいと思うのです。
○国務大臣(田中角榮君) ちょっと一言だけ。あなたは農業問題に対して非常に精通されておりますから、ここで一言申し上げておきますがね。その議論からちょっと一歩入りますと、三十万ヘクタールの議論というのは非常にはっきりするのです。これは、良質な農地というものを確保することが、新しく農用地を開発するよりも合理的である。それは観念論としてはそのとおりです。ただ、それは良質な農地といわれているところは、これは米をつくるに最もいいところなんです。米が余っているというところで、米から転換をするというところに必ずしも平たん部の農地は、良質農地ではないのです。なぜかというと、これは水平畑というのは、水をかぶったら何にもならないでしょう、これは。ですから農林省は、このごろ米をつくっちゃいかぬからというので水平畑、畑ならけっこうだというので補助金を出している。畑にならないのですよ、これは。実際問題水をかぶれば一ぺんにですね、これはもう……。それで排水をして、ほんとうに乾田化さすということになりますと、高いものになってしまうのです。ですから必ずしも都市の周辺の優良な農地というものは、農地として米を栽培するには優良農地だが、転作をする場合、大豆や牧草をつくるに一体優良農地であるかどうかという問題もあるわけです。ですからそういう意味では、私も新潟の出身ですから、私は、とにかくそんな質のいい米をつくるなら山田が一番いいんですよ。私たちのところは山田で、一反歩六俵しかとれないところのやつを飯米にして、量の多いところは供出しようと、こういうことですから、そういうところが優良農地だという観念、前提的観念に立つと間違いです。それはもう釈迦に説法ですがね。そこらは自民党と皆さんとの間で少し話し合いをすれば、三十万ヘクタールというのは十分御理解が得られると、こう思います。念のため申し上げます。
○工藤良平君 それは総理、私も土地というものは、やっぱり有効にどう利用できるかということが優良農地としての評価ということになるだろうと思います。それはもちろん使い方がたくさん、さまざまあります。そして問題は私はやっぱり、この日本の非常に狭い土地の中で、ただ日本の農業の特徴というものは土地をやっぱり有効に何回も使えるというところに日本のこの土地の利用率の高いという、それが日本の食糧を今日まで確保してきたという要因になっているわけでありますから、土地改良事業等におきましても、できるだけそういう多様に利用できるという土地改良をやらなきゃならぬということはもう原則であります。その点を全く私は今後の土地改良事業としてそういうように進んでいかなきゃならぬということを指摘をしておきたいと思うんです。 そこで、ただ問題は、総理、簡単に三十万ヘクタール転用なんということを言いますと、やはり直観的に受ける感じというものは、もうこれは百姓というのはやってもどうもだめじゃねえかと、もうそれよりはじっとしておって土地の値上がりを待てと、働くよりは果報は寝て待てということに実はなりかねない。そればたとえば土地利用率においては、かつて一八〇%も土地利用率があったものが、いまや一一〇%という土地利用率になってしまっておる。さっきいみじくも総理おっしゃいましたけれども、四十三年以来過剰米対策として今日まで約九千八百億の——いわゆる過剰米処理だけに九千八百億も使っているわけであります。これを転作の問題等を入れますとたいへんなお金になるわけなんで、私はこのようなことが将来あってはいけない。将来あってはいけない。たんぼを休ませて金をやるということがあってはいけない。ですから、そういう意味合いからいたしますと、私はこれからの農業というものを考える場合に、やはり日本の農家の皆さんに真剣につくってもらうという意欲を起こさせることが大事だ。そういう意味合いから、きょう武道館で行なわれている米価大会、私は先ほどちょっと行ってきましたけれども、異常な雰囲気であります。これはなぜかということですね。御承知のように米は昨年の十一月に政府に売ったんです。一万三百二十円で売ったんです、一俵。ところが、それから異常に物価が上がった。いいですか。農業パリティ、ことしの一月で三二%をこえた、現在おそらく四〇%ぐらいになるのではないかと思います。で、このような短期間の間に四〇%近くも農業用資材をはじめとして上がっている。これから農家の皆さんが、去年の十月に政府に米を売ったその古い価格でもって秋まで生産をし、自分の生活をささえていかなきゃならぬ、たいへんなこれはみずからの犠牲の中で身を切った生産をしなきゃならぬという実態にあるわけです。きのうの発言ですか、総理と倉石農林大臣は米価は参議院選後にきめるということでありますけれども、私は少なくとも日本の食糧をいま確保しなきゃならぬたいへんな事態にあるというときに、そのような姿勢では、おそらく全国から集まっている農家の皆さんがまさに火に油を注いだような勢いでたいへんな事態が起こるのではないかと思いますが、その点に対して総理の御見解を伺いたい。
○国務大臣(田中角榮君) 米価はいまのところ参議院選挙前とか参議院選挙後というんじゃなく、できるだけ早くきめなきゃならぬ。しかし合理的でなければいかぬ。合理的ということは、パリティが前提ですから、これはやっぱり春闘後の国民全体の賃金の問題とかいろんな問題のデータを集めなきゃいかぬ。それを集めないでどさくさにきめるわけにはいきません。そういう意味で生産農民の納得を得られるようにといえば、やっぱり七月になってからだと、こういうことを私すなおに述べているのです。いままででも、四十年が七月の九日、四十一年七月八日、四十二年が七月十六日、四十三年八月十三日、こういうことになってるんです。まあその後は四十四年、五年、六年というのは六月十日、六月九日、五月一日というのがございますが、四十七年は七月二十五日、四十八年は八月の八日。これはおそくなるほど上がっているんです。大体六月きめたときとか五月きめたときは上がってないんです。これは押えるという前提できめたんですから、これははっきりしている、これはね。ですから、その六月十日にきめたときはゼロ、六月の九日のときは〇・二%と、こういうもう、これは押えるということが前提できめられたときでございますので、そうではなく、やはり生産農民というものに対して理解を得られるというまじめな態度で政府が米価審議会に米価を諮問するというなら、これはやっぱりちゃんとしたデータもそろえ、それで消費者米価そのものにすぐはね返る問題でありますから、そういう起こり得べき国民の判断というものに対して理解が得られるような十分な努力を政府は続けなきゃいかぬ。そうするとまあ物理的に考えても七月になると、こういうことを述べているわけでございまして、これはもう私は、昭和三十六年までは百円とかしか上がらなかったんです。三十七年から私自民党の政調会長として千円上げたわけです。それからまあ七、八年間ばたばたばたっと米は上がってきたわけです。それで、田中は農村の代表である、こうまあさんざんいろいろのことを言われた当事者でございましてね。私はしかしほんとうに、米を輸入しないで済んだ、外貨を使わないで済んだので今日の日本の状態があるんだと、こういう考えでございますのでね。私は感情論でも何でもなく、米価というものはまじめに理解が得られるような状態で決定さるべきだと、こういう考えです。
○工藤良平君 時間があまりないようですから、あと一、二問で終わりたいと思いますが、いま総理おっしゃいました、確かに近ごろ六月なり七月になりということでだんだんふえてきております。しかしことしは異常であります。異常であるということはこの農業パリティ、これは昨年の米審に出されました資料でありますけれども、農業パリティ指数を四十四年から見ましても、四十四年が四・二、四十五年が八・二、四十六年が九・一、四十七年が七・三と、こういうふうに、大体いままで農業パリティが一〇%上がったことはないんです。今年は異常な状態だと。異常な状態だから農民も、これではもうたまらない、生産もできないぞ、農村を離れざるを得ないという、非常にもう農業政策という問題ではなくて、人権の問題まできてるというところに、私は現実の農家はどこを回ってもそういう悲痛な叫びがある。したがって、いま田中総理がおっしゃいましたけれども、前とかあととかいうことじゃなくて、できるだけ早くそういう目標を示してやるということ、それが必要であるし、たとえば電気料金だって石油だってもうこの前上げたわけです。公務員の賃金だって前払いをしようかと。私どもも田中総理もこの前〇・三を実は繰り上げてもらったわけなんです、余分に。そういうことを考えてみると、農家の皆さんに、これからおまえたちは身を切って、自腹を切って米をつくりなさいということは、どんなことがあっても私ども政治家としては言えない。そういう現実をあなたも踏まえて、これから農民の痛烈な悲痛な叫びをどのように受けてこの米価の決定に対処していただくか。もちろん計数も大事でありますけれども、いままでの農林省の——長官おりますけれども、あまり信用できないというとこれは語弊がありますけれども、最終的には政治的な決断で米価がきまってきたということ、そういうことを考えていただいて、私は田中総理の決断をいま言う時期にこだわらずに、やはり農民の納得できるものを早く示して、食糧を確保するという熱意を示していただきたい、このように思うんです。
○国務大臣(田中角榮君) じんぜん日を延ばそうなんて考えておりません。これは適切に国民全体から理解が得られるような米価、生産農民の意欲を減殺しないような米価をきめたいということで、いま日夜努力をいたしておりますから、可能な限り最も短い時間にきめたい。これはもうできれば予算米価、予算をきめるときが一番望ましいと。そうすればモミの選択もできるし、来年はもう何反しかやらぬことにしようと——これはとにかく来年もう一反ふやそうという気になるんです。ところが予算米価できめると必ず低目になるという、そういう常識から、やっぱり米を政府に売り渡す前にきめるべきだと。これ実際に、つくらしてから、もう刈り入れの前になってこれできめるというのはおかしなことなんですよ。これは自由選択ができる時代にきめるのが望ましい、あたりまえです。あたりまえですがね、半年間といえどもその聞こう、いろいろ波動するものをちゃんと考えて、農民に損を与えないようにということでこうなってきてるわけですから、そういう意味で、私も農村の出身でございますし、農村出身だからといってえこひいきしませんよ、しかし、農をもって日本国の大本となしておったり、心のふるさとであり、魂の安息所だという、米やなんかの生産だけじゃなく、民族的なふるさとである農村が荒れるようなことはいたしません、これはもう誠意をもってやりたい、こう思います。
○松岡克由君 限られた時間ですので、総理に基本的な問題を二、三お尋ねいたします。 異なことから承りますが、この間、さる委員会、当委員会ではないんですけれども、野党の議員が、おそらく質問中に、穴談だとは私思うんですけれども、総理はなかなか口が曲がってもインフレだとは認めぬと。まだ病中ですから口が曲がっておる。口がなおらぬでも、経済だけでも早く直してくださいと国民の中には言う人もあるでしょう。私は言いたいけれども、あまり言うといけませんから言いません。言ってるわけですね。 国会以外の場所でたしか、なまけていると老人ホームへ行っちまうと言って首になった大臣がいました。それから、記者との雑談中のことばじりをとらえられてまたいすを棒に振った大臣もいました。ことばというのは私はたいへん大事なものだと思っています。ころを聞いていて私は腹が立ちましたよ。人間何がひきょうだといっても、肉体的な欠陥を突いてくる、なおそうとしてもなおらぬところを、私はこんな失礼なことはないと義憤を感じて——私的ならともかく、国会という公器の場所で——私はもう事の常軌を逸脱していると、こう解釈したわけです。総理個人の問題でなく、人間が生きていくための私はモラルのことだと思うんですが、こういうことを見過ごしているとはあえて申しませんが、言論の自由だと思いますか、総理。
○国務大臣(田中角榮君) インフレ論ですか。(笑声)ちょっとそのポイントだけ言ってください。質問のポイントがわからなかったんです。
○松岡克由君 ポイントをつかんでほしいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) もう一回御発言願います。
○松岡克由君 個人的なものを発想させるということに対してどうお考えでございますか、個人的な欠陥を突いてくることについて。聞いててくださいよ、人の質問を。
○国務大臣(田中角榮君) ちょっとはっきりしてくださいよ。主客がはっきりしないものですからね。 野党が私の病気のことを言ったことがどうですかと、こういうことですか。
○松岡克由君 そういうことです。
○国務大臣(田中角榮君) やっぱり主客をはっきりしてもらわぬとね。それはまあ野党の皆さん、私の口が曲がったのは曲がったことですから、まあいろんなことを言われるかもしれませんが、そんな口の曲がったことに言及される時間があったら、もっと本質的な物価論議もあったわけですから、やっていただきたいと思ましたけれども、それはそういう質問もなかったので、私も腹の中ではそう思っていましたけれども、御自由な発言ですから、という感じです。
○松岡克由君 いや、私の考えではたいへんそういったことがよろしくないと。たとえば本質的なもの、本質的なといいますが、何を言われてもいいと、がたがた言うなら法案を通しちまえばこっちのかってなんだと、法案を通すことが先決であって、私は審議プロセスの無視みたいなものを政府与党の体質に——私も与党ですけれども感じるんです。議会制民主主義において私は絶対的多数、これは当然ですが、全会一致ということも考えようによっちゃおかしな話なんです。 その問題は別にしておきましても、私はものごとを相対的に解釈している。したがって譲るべきところは譲る、また妥協するときは妥協する、これはルールです。ルールであっても、私は原理、原則というのがしっかりしていなければ、どう譲ろうがどう妥協しようが、しょせんこれはなれ合いといわれてもしかたがないと思うんです。私は一年生議員ですが、しろうとかもしれませんが、小さなことかもしれませんが、痛切にそのことを感じたのです。どう処理してどう感じていらっしゃいますか。これならおわかりですね。
○国務大臣(田中角榮君) 議会制民主主義というのは、御承知のとおり多数決政治が最終的なんです。その多数決政治が行なわれ得ないということなら、これはもう議会制民主主義そのものが否定される危険があるということはもう事実です。しかし、多数決というものを何でもかんでも多数決でやりゃあいいんだと、その結果は国民の直接判断にゆだねるべきだというように簡明直截にだけ事を運ぶと、せっかく発展しつつある民主政治の発展過程における一つのマイナス要因にもなりかねないということで、少数意見は尊重し、多数党はできるだけ譲るべきだという原則に立って国会が運営されるということが望ましいことだと思うんです。 ただ、少数党が横になると、少数党が賛成しないとどこまででもずるずるといかなきゃならぬということがルール化してくると、これは民主政治、議会制民主主義の危機に私は通ずるものだと思うんです。だから、ときどき自民党も、これは相当新聞にも書かれるかなと思っても、やらなきゃならぬことはやるわけです、実際。ですから、そういう意味で野党の皆さんと相談をし、野党の意見を聞くということの謙虚さは持たなきゃなりませんが、やはり国民が判断をしたのは、次の選挙まではとにかく多数党に政権をゆだねるということで意思判断が行なわれておるわけです。やっぱりそれに対して多数党というものは責任を果たさなきゃいかぬということもあるわけであります。ですからそこらの調和ということを十分考えてやらなければならぬ。こう思います。 ですから、初めから言いますと、百五十日間でぎりぎりにならないとなかなか法律これで全部通るのかなと思って心配することもあるんです。あるんですが、最後になるとやはり野党の皆さんもひとつ国会を守ろうということで、よほどのものがない限り何とか修正もし、通していただけるということであります。ただ、これ絶対通さないんだという考え方にはこれは同調できない面もございます。しかし政府が出したものが万全であるということは申しませんから、これこうすれば議了しよう。この国会はもうとにかく参議院へきたものは通らなければ全部流れるわけですから。これは三年に一ぺんずつ必ずある国会なんです。ですからやはり議案の可否というものの態度は国民の前に明らかにされる、これはもうされなければならない国会を迎えているわけですから、そういう意味ではひとつ御協力をお願いしたい、こう思います。
○松岡克由君 私もわりと判断が早いほうですから短目でけっこうでございます。総理に負けませんつもりですから。まあおっしゃることは確かに事実です。そのとおりです。そこに私はたいへん微妙な問題ですけれども、それがひそんでいるので、その微妙な問題がどんどん抽象的な形で大きくなってきている感じがするので、一言注意のつもりで申し上げた意見です。 とこに私、こういう新聞の切り抜きなんです。これ子供なんですがね。商社の問題なんです。つまり、自分のおとうさんが商社へつとめている。学校でたいへんに悪口言われたり、いじめられたりしている。これはどうなんですかと聞いたときの答えが、金沢何がし、これは有名な教育評論家だそうですが、ところがおやじが悪いのは、かりに悪くてあっても悪くないでしょう、商社が悪いのかもしれません、おやじが悪くてもそれはあなたの責任ではない、親がどろぼうでも子供のあなたには責任がないんだと、こう答えているんです。つまり商社の存在価値といいますか、内容に対して全く無知なんです。これがほとんどいまの世の中の全般の意見なんです。私は、商社の存在というのは、とにかくこの狭い日本に一五%しかない平地のところにひしめき合っている一億の人口が豊かな生活をするためには、原料を持ってきてこれを加工して売り出す。これは当然のことで、ぼくは政治形態が変わってもこの宿命からのがれられないと私なりに判断しております。しかるに、一部が悪いからそれをもって全部を判断する。そんなもの百も承知だと総理お思いでしょうが、これがありとあらゆるところに広がっているんです。不平を正義化している現在、たいへんこれが私は公平な目で見て腹が立っておりますんで、どうでしょう、心臓が悪いから心臓を取ってしまえというこの論法、商社観を一言簡単に述べていただけませんか。
○国務大臣(田中角榮君) 商社が一部批判を確かに受けるような状態があったことはこれはいなみません。いなみませんから、政府も商社に対して行動基準等をつくってもらって世間の批判にこたえるようにということを指導いたしておるわけでございます。 しかし商社というものの功罪ということを考えるときに、これはテンポの早いときでありますし、こういう社会の中で非常に大きな仕事をやっているわけです。二万種類。国会において社長はこんなことを知らぬのかと、こういう質問に対して、端的にお答えできません、——これはあたりまえと思う、私は。その商社を私が調べてみましたら二万何千種類も扱っているんです。前の日にちゃんと指摘をされて、こういう質問をするからちゃんと調べてきなさいというんならいいんですが、少なくとも二万何千種類も扱っているものの中から一つ指摘されて答えられれば私はおかしいと思う。ですからそういうことをもって商社の性悪理論というものに結びつけることは、これは角をためて牛を殺す。——じゃ商社かなかったらどうするんです。戦後膨大な輸出、輸入をやってきたものは商社、これが主体である。日本は自由経済を主体といたしておりますから、政府はやっていないんです。そういうことで少なくとも三十億トンのうち一〇%、三億トンを日本に確保するような現実をつくったのは商社なんです。ですから一年前、二年前に商社だけでいかぬから石油開発公団にやらせようと言ったら、それはなかなかむずかしいという議論があったように、商社というものが戦後足かけ約三十年間の国民生活の相当部分をまかなってきた、になってきた。その結果今日の繁栄もあるんだ。これからそれじゃ商社をやめて全部社会主義政体のように政府が貿易やれるかどうか。政府がやったらこれはアフリカの山の中へ行って日本の品物を売ってなんてきませんよ。やりませんよ。ですから、そういうプラス面も、新聞記者だからこそあぶないところへも行って取材をしてくるんでね、役人に月給を払っているからとにかく火炎びんが飛びそうなまん中へ行って写真とってこいと言ったってとるわけがないんです。(笑声)ですからそういうやっぱり自由経済がなぜ日本で必要なのかということのメリットは十分評価をして、そしてその非難されるようなところがあったらそれを正してもらうということでなけりゃいかぬ。政府はそう考えておるし、自民党もそうやっております。
○松岡克由君 やってないからこそこういう、やっててもそれ効果がないからこういったものに出てくるんだということを……
○国務大臣(田中角榮君) いや、たまにはね。
○松岡克由君 新聞は信用しませんか。——まあ、それはともかく、庶民と最も密接な関係のサイクルで生活している議員の意見もやはり頭のどっかにとめておく必要があると私は思うんです。 福祉問題なんですけどね。いま福祉、今回の春闘も弱者救済ということをスローガンにしてますが、私は方法論、何といいますかね、方法論の展開が、どう救ったらいいのかというのがないんですね。つまり、日本人というのは愛とかそういうことばに弱いもんですからね、ただまずしいところを救ってやればいいんだという。 私、この間も京都でもって母子家庭のおかあさんが自殺したから子供があとを追って死んじゃった話があるんです。これね、親がいないんです、おとうさんが。おとうさんがいればそういったことはあり得ないだろう、まあ、いても失業したらそうなったかもしれない。私は助かる以前に一家がやっぱり満足に働いていくというこの方法論の展開が非常に少ないような感じがするんです。同じ意見は繰り返さなくてけっこうですが、この一言に対して総理一言お願いします。
○国務大臣(田中角榮君) 老人福祉と一言で言っておりますが、ある年齢に達したら年金を与えればいいとか、老人がある年齢に達したら老人ホームに収容すりゃいいとか、そういう面も必要です。必要ですが、それは根本的な老人対策ではない。老人というものは現在のわれわれの生活の基盤を築いてくれた人であり、お互いも必ず老人になるんだと、これは。そういう意味で老人というような、いわゆる特殊な見方ではなく、当然われわれの行くべき道だし、われわれだけじゃなくてだれでも行くんですよ、年とりゃ老人になるんですから。そういう意味で老人対策というようなものはもっと精神的であり、もっと国民的であり、国家的であり、人間的でなけりゃならぬ、ほんとうにまじめにそう考えています。
○松岡克由君 そのとおりだと思います。やっぱり人間のプロですからね、年寄りというのは。やはり年をとったから救ってもらっていいもんじゃない。それよりしようがないからそうやってんのかもしれませんが。たとえば都会の老人は山の奥の静かなところへ連れていかれたら逆に発狂する。都会の騒音の中で老後を過ごしたいという、こういう救い方すらあるわけです。早い話が、いかに老人たちがリーダーシップをにぎりたいと思ってんのは、この議員見たってわかりますよ。七十、八十になってやめたらいいだろうと思っても、やっぱりリーダーシップは持ちたいためにやっぱりやめないというこの事実。これは老人というかやっぱり人間の一つの本質だと私は思っている。私はそういったものをやっぱりいい意味に加味しながら判断して救っていかないと、いまのやっていることは、年をとったら救ってやる、助けてやる、——たいへん残酷だと思います。そこ、総理と意見は合います。実行に移してほしうございます。 で、ただ私、今回の根底の意見は何だというと、いまの世の中は完全に不平政治、これはけっこうです、お互いにオープンに言える。不平が全部正義にすりかわっているというこの事実、これを重視しないといけないと思うんです。この間、これはまあ漫談として聞いてもいいですがね、テレビに写ったんです。競馬場です。その競馬場で、こう物価が上がっちゃわれわれしゃあねえや、ばくちでもやってるより手がねえやって、こう言っているんですね。田中はしゃあねえなって、そのとおり写ってんですね。それをアナウンサーがとって、庶民はこの物価の値上がりをばくちに身をやつすしかないのだ、政府は一体どうするんだと堂々としゃべっている。これはうそです、はっきり言って。別に総理に味方するわけでも何でもない。こいつらばくちが好きだからやっているんで、物が上がろうが下がろうが、こいつらはやるんです。しかし、これを事実と思わして、それを蔓延さしていくというこの姿勢が私は悪いと思います。 この間も予算委員会で民社党の議員が、老人が助けてくれと和歌読みました、萩原さんでしたか。それはそれなりの意見かもしれません。しかし、その老人がどういう生活をしていたか、ここに切り抜きがあるんですがね。老人の意見です。私は恩給だけにたよって生きているようなことはしないと、堂々たる建設的な意見を吐いているわけです。まああえて読みませんがね。時間もございませんでね、読みませんが、私はこっちのほうをどんどんどんどん主体にして進めていかないと、つまらぬところで、総理は根本的にわかっていらっしゃるけど、わからぬ連中に対する配慮が足らないと思います。どうでしょうかね。
○国務大臣(田中角榮君) 生きとし生けるものの中には不平はあります。世の中というものは万全じゃありません。これはもう完ぺきではない。理想に向かって一歩一歩現実を向上さしていかなきゃならないことは当然です。ただこの不平というものがよりよくなる、向上の刺激になるということはいいんですが、これはもうあたりまえなんです。ところがその不平がもう当然化して、自分が不平言わないと先端をいっておらないような状態で不平を言っておったんじゃ、これは悲しく思うんですよ。ものは比較でしてね。何も一ぺんに天まで上がれるわけありませんよ。理想は高く掲げなければいかぬが、現実があるんでしてね。親子何代もかかってやらなきゃならぬものもある。そういうものに対してもうすべてが不平であると思ったらすべてが田中の責任であると、こう言ってもそれはかまいませんよ。それは私は自分に対する刺激であるし、私は重き荷を負う責任の地位にありますから、それは不平に対してわが身もしさいな耳を傾けなきゃならぬと思うが、そうすると、やっぱり外へ行ってみまして、私がこう真実を述べて数字を述べればやっぱり二万人も集っていただいて、そうだそうだ、しっかりやれと、(笑声)こういう国民の声は至るところにあるわけでしてね。まあみんな国民がそう不平を言うような状態じゃない。それはもう不平もいいかげんにしろという議論も国民の間には圧倒的だ。それは理想は高々と掲げなけりゃいかぬが、朝から晩まで不平言っている人、それは不幸な人ですよ。ある意味において病気かもしらぬ。(笑声)それはあなた、なかなか勇気を持ってポイントを突かれたけどね、私はそう思うんですよ。人間向上心があって理想に向かってたえず精進、努力を続けることはいいが、朝から晩まで見るもの聞くもの全部不平にとらえることは望ましい姿じゃありません。
○松岡克由君 全部意見が合って、何かなれ合いの質問みたいな感じですが、(「いや、そんなことありませんよ」と呼ぶ者あり)そうでなくて、基本点ですから私はむしろ合うべきことが私は質問の趣旨だと思ってます。 時間がありません。最後に一言だけ。今度はきざな言い方ですが、忠告をいたします。総理のテレビ出演のことなんでございます。逓信委員会でもまま問題になりましてね、要するによろしくないと、閣僚ばっかりが多数出ていると。嫉妬と、それからある意味においては内容的なものも突いている場合もありました。ということは、野党側も出せということなんですわな、バランスがくずれるという。その意見はその意見で、私、拝聴しておりました。で、一度見ました、「総理と語る」というのを。実にくだらぬ番組です、番組としてね。私もテレビに出演している人間、また制作に幾らか介入している人間として。これは取り巻きというか、回りがよくないです、あんなの。私がマネージャーだったらあんなばかげた出演させません。あのね、何というんですか、山岡荘八さんでしたけど、全く総理の威におそれるというか、内容に対する遠慮かもじれませんがね。もっと堂々とやり合うべきなのに、やり合ってこそおもしろいのに、総理の独演会。独演会とするなら総理独演会とすればいいんです、立川談志独演会と同じように。田中角榮独演会ならいいです。独演会じゃない。「総理と語ろう」、——違う。私はもっと堂々と野党から不満が出ないように、須原さんでもいいじゃないですか。まあ、たまたまここにいたから——失礼。成田さんだろうが、飛鳥田さんだろうが、場合によっちゃ大森実と語りなさい。青嵐会の代表と語り合ってもよろしゅうございます。私はそういうようなものを総理自身の姿勢の中に入れておきたい。また入れておかなければ——どうぞ回りがそういったことを進言してほしいと思うんです。負けないでしょう。負けるからやらないんじゃないでしょう。たまたま相手がいないって、選ぶ人がたまたま見つからなかったか、そこまでいかなかったか、少なくもいまの状態、逃げの姿勢に見える。やって負けないですよ。まああんた方そうおっしゃるけど、私の態度としてはやるときややると、あの例の弁舌でやれば私は絶対に負けないだろうと思う。(笑声)これはテレビというものをばかにしてはいけません。ばかにしていらっしゃらないと思いますが、どうぞひとつ、どうですか、こういったアイディア。堂々とひとつ論戦を展開するぐらいのあれがないと私は庶民の首相ではないと断言します。
○国務大臣(田中角榮君) あなたの発言として記憶をいたしておきます。 これは野党の皆さんがいろんなことを言っておられること、私も耳に入っております。これは党としてじゃないです。三権をになう総理大臣としてやっておるんです。そしてそれはまあ野党がない国は別ですがね。社会主義国などは一方交通なんです。しかし、一方交通ということはあじけないから質問をしてもらうということのほうがいいでしょうと。あれは対談会じゃないんです。本来は一方的なものであります、これは。ですから野党の皆さんがおやりになるときも、内閣を組織されれば当然おやりになります。
○松岡克由君 ほほう、そうですか。
○国務大臣(田中角榮君) これはあたりまえの話です。そういうところにものの考え方が違うんです。ですから、そうじゃないものは自民党は譲り過ぎるということを言うほどの国民も意見を持っておっても、それは普通なら在籍人員でもって時間が割り当てられるべきですが、しかし、各党討論会は国会に議席をほとんど持っておられない政党でもよけいしゃべるんですよ。私は……
○松岡克由君 私は二十分ですから、今回。
○国務大臣(田中角榮君) いや、自民党の幹事長のときにあなたは少し多かったというので、私は速記録の字数をNHKに突きつけた、そうしたらそのときは私は三番目だったと思う。第一はいまの日本共産党の委員長が私よりもはるかに字数は多かったんです。私は口が早いから、多くしゃべっているような錯覚を起こすだけなんです。(笑声)ですから、それでおかしいじゃないかと、一対四党、一対六党でやっておって公平な一体放送と思いますかということで、官房長官を自後同席させることにしたわけです。またそれにはやっぱり二十年の歴史があるんです。ですから、これは自民党の総裁としておとりになっちゃ困るんです。これは三権の一翼をになう内閣総理大臣としての公共放送、いわゆる電波を通じての国民に対する発言である、こういうことでありましてね、これには私が問題がないというのではなく、これはもう放送事業者の要請があって、私はそれを受けておるということでありまして、私がこういう人間にしてください、こういうことだというんじゃないんです。これはそうなると、ちょうどあなたと私がいま討論しているようにみんな合いますなあというような人ばっかりやっておったんじゃいろいろあれがあるでしょうから、(笑声)そうではなくて、これはテレビ局の、ラジオ局の自主的な番組に内閣総理大臣としてこたえておる、こういうことでありますからそこらひとつ考えてください。
○松岡克由君 終わります、一言で。わかりました。私は総理と語ろうということばからすると対でやるものかと当然思うのも事実だと思いますんで、その辺を配慮していただければけっこうです。これはよけいなことかもしれませんでした。私は基本的な問題を聞きまして、答えをそれなりに満足します。あとは実行を待つのみです。以上で終わります。
○中尾辰義君 それでは私は、最近におきます銀行の持ち株が企業支配に及ぼす影響につきまして若干お伺いしますが、昨年来総合商社の反社会的行為、これは衆参国会におきましても批判の的になったわけであります。しかし、この総合商社がかような行為に出たその背景には、やはりその資金面におきましては金融機関、特に都市銀行になりますが、営利主義のみに走って、その使途のいかんにかかわらず大商社に大量な融資をしていると、そこで商社等の社会的責任につきましては追及もあったわけですけれども、やはりこれはそのバックという点から銀行の行動原理につきましても考える必要があるんじゃないか、こういうわけでお伺いしますが、特に商社の持ち株保有が大きな問題になった。しかし、この商社以上に大量の株式を保有しているのが銀行であるように思っておりますが、そこで私は、この企業の社会的責任が問われている現在において、銀行の持つ大量の株式保有の実態につきましてちょっと数字もあげてみたいと思います。 その前に御承知のとおりに、現在の銀行の株式保有は、これは独禁法の第十一条によりまして、原則として各企業の発行済み株式の一〇%以下、こういうふうに制限をされておるわけであります。ところが、形式的には株式保有がいかにも制限をされておるように見えますけれども、現実におきましてはそれぞれ大企業の筆頭株主である例がかなり多いわけであります。少なくとも大口株主の上位にランクされておる、これが実態のように伺っております。そこで、この間接金融が圧倒的なウェートを占める、そうでなくてさえ企業は金融機関の顔色をうかがいながら事業を営んでいるのが現状である上に、企業の筆頭株主であったり、上位ランクの大株主になると企業の支配力はこれは非常に強力になってくるわけでありまして、その点につきまして、この銀行の株式保有の実態を明らかにしていただくことと、それからその銀行の企業支配の実態を総理はどのようにお考えになっているか、まず最初にその点をお伺いします。
○国務大臣(田中角榮君) 金融機関が企業の株式を多額に保有するということには弊害を伴うおそれがあるということは考えられるわけでございます。これは金融をやっておる金融機関が株式を大量に保有しているということになれば支配力も強くなるわけでありますので、そういう意味で望ましいことではないということで一〇%以内という制限を持っておるわけです。現在は三%ないし七%ということが平均でございますから、これはもちろん法律で規定しておる一〇%以内であるということは事実でございます。で、銀行というのは、必ずしも戦前の銀行というのではなくて、こうした世論が非常にきびしいときでありますから、銀行が株式を保有しておるから支配権を行使をするということは、これは非常に私は希有であると、これはわれわれが考えるよりもそういうマイナス面、おそれは少ないということは言えます。ただその中で、じゃあ銀行から天下りでもって役員が行くじゃないかということですが、これは大体銀行から押しつけるんじゃなく、会社が左前になるとか、会社側から要請されるというのがほとんどの例であります。要請されるといったって魚心あれば水心だろうと、それは裏でもって話をしておるからだという、まあいろいろな議論はありますが、金融機関というのは戦後はそういう意味では強権を発動して問題になるようなことを非常におそれておりますので、私は、比較的に銀行、金融機関が株式を保有しておるという弊害というものは少ないと思います。 ただ数字で見ますと、全国銀行の株式保有状況は、総資産百二十五兆一千五百十億円という中で株式は二兆九千六百二十九億円ですから、そのウェートは二・三六%と、銀行の資産内容からいうとこれは大きな問題じゃありません。ただ全上場株式の保有者別のシェアを見ますと、これは個人と法人に分かれるわけですが、これは戦前は自己資本比率六一%あったわけでありますが、二十五年は個人が六一・三%、法人が三五・五%というシェアだったわけです。これはあなたも御承知のとおりですが、四十七年には個人が三二・九%——約半分、法人か逆に六六・九%、こういうことになっておるわけです。ですから、金融機関等が保有することは安定株主工作という面からはいいという議論があると同時に、どうも法人のウェートが大きくなり過ぎた、場合によっては時価発行などに法人同士が株価の押えができるじゃないかという議論さえもあるわけでありますから、そういう意味ではこれはやはり動かないということになると、動く少数の人たちだけがその株価に対して相当な力を持つおそれがあるということも一つの問題になろうと思います。この六六・九%の中で金融機関が三三・八%というシェアを持っておるわけですから、まずそういう意味からいって、金融機関というものの株式保有というのは法律でいう半分ぐらいですが、しかし現実問題として見ると、四十七年度の数字でさえも法人の持つものの三分の一が金融機関であるという事実は私も承知をいたしておりますので、弊害の起こらないように十分勉強しなきゃならないだろうと、それには個人株主をふやすということに対して相当思い切った政策を展開しないと、自己資本比率の向上もできませんし、まあそこら辺に問題があると、こう理解しております。
○中尾辰義君 時間がありませんので。ただいま物価対策の面もありまして、総需要抑制のもとで金融引き締めがずっと続行されておる、こういうことでありますが、過去の例をいろいろ見てみますと、金融の引き締め時にずっと金融機関の株式取得が非常にふえておると、これはもう明らかに統計的にも出ておるわけでありまして、四十八年四月以降が公定歩合の引き上げもあって引き締めがあったわけですね。それ以前とその後、これを比べてみますと、全国銀行でも金融引き締め後は金融機関の株式保有高、これが一二・五%も伸びている。この伸びが損害保険、生命保険、こういうような伸びよりか大きい。たとえば生命保険等は一〇・三%しか金融引き締め後に伸びておらない。ところが、銀行はどういうわけか、引き締めのときに限って株式の保有が伸びておるということは、私は非常におかしな現象だと思うんですね。むしろそういう面から、金融の引き締めの中で、株でもって大企業に便宜を与える、金の面で。そういうような懸念も考えられておるわけですが、そこで時間がありませんので、外国なんかにおきまして、どうもアメリカでは商業銀行は株式を保有してはならない、こういうことになっておるわけでしょう。ところが、日本の銀行は一〇%以内でありますが、これを買っていいと、そういうようなことから、これをこのままほっておきますと、やはりあなた、総理は、そういう事業支配の懸念なんかいまのところないということでありますけれども、私はその点を心配しておるわけでありまして、それが一つ、いいですか。 それで、今後それをこのままでいいのかどうか、一〇%ということは、これはありますけれども、この一〇%は昭和二十八年、独禁法改正の際につくったものであって、その後非常に経済情勢も変わってきておるわけですからね、そこら辺のところをどうするのか、これでよろしいのか、外国の例等もお考えになってひとつお答え願いたい。 それからもう一点は、今度は銀行が系列企業の支配という点においても少し心配があるわけでありまして、これもたとえば私の資料で見ているんですが、三菱銀行なんか同系企業の株式保有、これが二二・五%、住友銀行が二一・七%、こういうように、今度は系列企業の株式保有となりますと、これが一〇%どころじゃない、二〇%から二五%もふえている。そういう面も非常にまた系列企業、これの集団化、独占過程にまあつながっていくわけでありますが、このままでよろしいのか、私はその点非常に懸念もあるわけですよ。その二点、ひとつお答え願いたいと思います。 それからもう一つ、追加しておきますが、一〇%以下七%とかいろいろといま話がありましたけれども、同じく七%、八%といいましても、これはどんどん大企業は増資をいたしておりますから、パーセントはそうでありましても、株式はふえているんですね。たとえば三菱銀行なんかの例をとりましても、三菱重工業、これがあなた、六・三%ですよ、パーセントでいいますと。ところが、持ち株は一億三千百五十一万八千株、こういうような膨大なものになっているんですから、ただパーセントだけではいけないんじゃないかと、こういうふうにも思うわけであります。 以上、お答え願いたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) まあ銀行が株式保有しておる一〇%がいいか悪いかということでございますが、これはまあアメリカの商業銀行等は企業の株式保有を禁じておると、それは自己資本比率がうんと上がって、資本の自由化に国内企業が対応できるようなという大きな前提が整備をされておるところと、日本のように、自己資本比率が戦前の六一%に比べて一四、五%まで下がっているというような状態、そういう中で資本の自由化に踏み切らざるを得ないというような事態でございますし、急速に増資をしようとしてもなかなか国民が株式に対応する資力を持たないというようなことで、法人の保有、また、銀行等も一定の基準以内であるならば保有を認めておると、こういうことになっておるわけです。これは一〇%を五%にしたほうがいいというような議論も存在することも承知いたしております。ですが、いますぐ角をためて牛を殺すというわけにはまいらぬわけです。ですから、先ほど申し上げましたように、将来、金融機関が保有する一〇%というものを五%にするならば、それに対応できるような施策が前提として行なわれなきゃなりません。それから金融機関だけではなく、いま、商社の株式投資というものに対しての問題もございます。こういうものは独禁法の勉強会でみんな具体的な問題となって提起をされ、検討は進められておるわけでございますが、やはり理論倒れになって、日本経済を混乱せしむるというようなことではたいへんマイナスが多いわけでありますので、理想点を目標にしながら、どういうような経路を経て理想的な姿にいくことが望ましいかということが、いま、勉強過程にあるわけでございます。 それからもう一つは、銀行が不況になると株式投資がふえるということでございますが、不況になると、確かに増資をするとかいうことになりますので、いまのウエートから申し上げまして、法人の持ち株比率が六六・三%であり、そのうち金融機関が三三・八%だということになりますと、増資ということが行なわれれば、自動的に金融機関の持ち株比率が上がるということになるわけであります。 それでもう一つの問題は、いま大蔵省でも検討してもらっておるわけでありますが、時価発行というものが多少理想に走り過ぎたという感じがいたします。私が昭和四十年に大蔵大臣をやめるときには、証券局の設置を行なって、アメリカで行なわれておるからというようなことで時価発行を急速に行なうべきでないということを私強く述べておったわけでありますが、急速に時価発行ということが行なわれたわけです。時価発行というと、もう御承知のとおり、配当率から見ますと、大衆は手が出ないということでございます。そういう意味で、結局、時価発行を引き受けるのは金融機関か法人であるということになると、そうすると表面から見れば比率が上がると、こういうことになるわけです。そういう意味で、今度は大蔵省も十分注意をいたしまして、銀行が払い込む持ち株比率を厳守するだけではなく、時価発行というものに対してこれを押えるということにいたしたわけでございまして、現在では非常に少なくなっております。四十六年、七年当時、四千億ないし六千億ぐらいの時価発行があったわけでございますが、これが今年度の四−六月わずか六百億ぐらいというぐらいでございまして、これから七−九を見ましても、まあ増資をしたいと、金詰まりでありますから増資をしたいという意欲はあっても、現実問題として増資を押えておる、時価発行を非常にきびしく押えておるということでありまして、いまの状態では金融機関が増資にどんどんと応じて、金融機関の持ち株比率が伸びるようなことはないという実情にございますので、それはひとつ御理解をいただきたい。 系列化につきましては、これはもう系列化ということがあまり行なわれるということは望ましいことではありません。寡占価格がすべて管理価格になるというようなことでは困るので、これらに対してはいま野党の皆さんは銀行法を改正して一手にしぼるべきだということも言われておりますし、またアメリカのように一つの企業に対して二〇%以上貸し出してはいかぬとか、持ち株比率に対しても系列化が過度に行なわれないようにするにはどうするのかというような問題を勉強しておるのが実態でございます。いずれにしても個人が株式に回って法人や銀行が持っておるものを引き受けるという、そういう前提的な政策を先行させない限り、これは角をためて牛を殺すおそれがあるということだけは明確にしておきます。
○中尾辰義君 私はまだ二回しか質問しておらぬですよ。もう時間きちゃったのですよ、これで。それで、要点だけ言ってください、これで終わりますから。 一つは、不景気なときに銀行の株式がふえておるという現象、あなたはさっき、増資をやると——そういうような不景気のときに増資をやったのじゃ株があまり高く売れないです、払い込みも減っていきますから。その辺はちょっとおかしいような答弁でありましたけれども。それで、そういう不景気のときに株式を所有してそれを企業のほうに金融の形で回すというような現象があるのじゃないかと、これが一点。 それから二点は、現在銀行の持ち株ですね、これは大蔵省令の第五十九号ですか、その取り扱い規則によって株式の保有状況は報告をしなくてもよいと、こうなっているのですかね、持ち株の報告をしなくてもいいと、どこの会社が幾ら、どこの株が幾らと、そういうふうに。ところが、ほかの大企業はそれがきちっと出ておるわけでして、私どもとしてはその点が非常に不明確である。これは公開すべきじゃないかと思います。 その二点だけお伺いして終わります。
○国務大臣(田中角榮君) 不景気で法人の持つ株式が多くなるというのは、これはやはり増資なんです。いま場で買っているようなことはありません。これはそんな資金量はないということでございます。で、特に日銀から金を借りて投資をするというようなことはこれはこれできちっと押えておりますからそういうことはありません。ですから、増資をすれば、特に時価発行を行なうと法人が持つ率が非常に多いのです。転換社債の場合も法人が持つ率が多い。ですから、それさえもいま大蔵省は制限をして押えておるということを申し上げておるわけでございます。 それから増資がしり抜けにならないかということでありますが、増資がしり抜け、いわゆる金融を調整し、金融引き締め基調のしり抜けになるようなことはありません。 それから、法人や銀行が持っている株式の内訳を公表してはどうかということでございますが、これは税務監査の場合には当然政府は承知をいたしております。これは全部を対外的に公表するということはこれは法律が必要でございまして、そういうことは、金融機関であるから……
○中尾辰義君 有価証券報告書に出る……
○国務大臣(田中角榮君) 有価証券報告書を見られれば、それはもう……
○中尾辰義君 出ていない。
○国務大臣(田中角榮君) それは全額出ておるわけでございまして、これは全部こまかく銘柄別に出さなければいかぬのか、そうすれば土地も何もみんな一筆ずつに出せということになるわけでございまして、そこまで一体大衆的に国民的に必要なのかどうかという問題はあります。これはもう政府が少なくとも押えるというような、大蔵省ではちゃんと承知をしておるわけですから、これを全部の経理を全部ある一定限度以上つまびらかに公表すべしというところに対しては、私はここで明確な答弁はできません。
○栗林卓司君 時間がきわめて限られておりますので、御答弁を特に簡潔にお願いいたします。 いま、ことしの賃金交渉は大体終わろうとしている時期だと思いますけれども、お互いにまじめに考えて、りつ然とする思いで見詰めているのは、来年の賃金交渉の推移であると思います。そんなところから所得政策ということばが各方面でいろいろ言われるようになりました。この点について総理は再々、所得政策といっても国民の合意がなければできないのだということを言われてまいりました。そのとおりだと思います。 そこでお伺いしたいのは、そういう国民の合意を求めるための前向きかつ積極的な努力を政府として今後しておいでになりますか。それから誤解のないように申し上げますけれども、所得政策をするかしないかという端的なお伺いを申し上げているのではない。必要な場合にはできるような国民の合意を求めて取り組んでいかれますか、ということでございます。
○国務大臣(田中角榮君) 所得政策ということを端的に申しますと、これはやって非常にむずかしい。同時に効果をあげるかどうかという問題になると、アメリカはやったって効果があがらないじゃないかというような、国民に議論だけ巻き起こっておってマイナス面だけでもってあまりプラスにならないわけです。ですから、しかし現実的には少なくともおととし一五%、去年二〇%、ことしは千人以上でもって三〇%、三百人から千人まで三二%、三百人以下は三四%というのです。これは三年間で月給が倍になっているわけです。しかも、ことしの額を総合すれば二十兆円をこすわけです。そういう意味でこれは物価問題だけ言っておって、これ全然無縁であるなんて、そんなことはありません、これは。そういう意味で国際比較も税の負担や実態を全部勉強しておりますし、数字を持っております、私は。そういうものは門外不出ではなく、国民に提供しまして、お互いに賃金の上がることは望ましいのです。世界で最高になることは望ましい。しかし物価がそれよりも上がる火つけ役になったらたいへんですから、それは国民的に資料は正確なものを提供して、国民の合意を待つという努力は当然しなければならぬというので、いま勉強いたしております。
○栗林卓司君 共通の土俵のために数字をなるべく公表しなければいかぬ、これはおっしゃるとおりなんですけれども、ただ国民の合意を形成するために努力をするというと、もう少し前の問題が同時にあるんじゃありませんか。というのは、政府が国民に訴えながら何かをやっていくということになると幾つかの条件があるはずです。大きな幾つかをかりにあげてみますと、一つは、政府あるいは政治が国民から信頼をされる。もう一つは何かというと、現在の所得配分というのは大筋としてはまあ大体公平だと国民が感じている。さらに三点目をつけ加えれば、指導的立場にある人たちがそれぞれに姿勢を正している、いろいろとあげられると思うのです。そこで、こういう面について国民合意形成という観点から政府は前向きの対処をなさいますか。 時間が限られておりますからその次まで重ねてお伺いしますけれども、たとえば政府あるいは政治が国民に信頼をされるというときに、避けて通れない問題が政治資金の問題です。この点についてまずどうされるのか。従来総理が繰り返してこられた答弁のあれではなくて、これはやっぱり避けては通れないんだということをまずお認めになりますか。
○国務大臣(田中角榮君) 賃金問題に対しては国民の合意が得られるように資料提供をいたします。これは特定な資料ではだめなんです。やっぱり政府が資料提供せざるを得ないのです。これは国際比較があります。年次的なこまかい数字があります。これは業種的な格差が非常にあるんです。ある中小企業、零細企業はこれによって、このままなら倒産するということになるのです。しかも三〇%賃金が上がって二十兆円になりますと、少なくともこれは卸売り物価は八%、消費者物価は一一%上がるという一つの試算があるわけですから、そういうものを全部私のほうの意見は述べないで、これはまじめに国民に議論をしていただけるような資料を間接的に出そうと思っているのです。これは、政府が直接やると所得政策やることに踏み切っておると、こうなっちゃほんとうに真意が伝わりませんから、だれでもが納得するような一つの機関ができれば、そこへ要請によって幾らでも提供いたします、こういうことをやりたいと思っております。 政治資金の問題はこれは二十四年間やってきたものを、国会の議題にできないというのですから、私はいままで同じことを答えているのはそれだけむずかしいから同じことを答えているんです。ですから一つずっと言うけれども、一つずつということは、ただ自分の角度と立場からだけで、これは国民納得しませんよ。そんなことありません。もっと別なものたくさんあるんですよ。そういうものを、私はやっぱりすべて国会の議題にするということでなければだめだと思うんです。ですから、私はある時期に参考意見として出しなさいというなら、私は選挙法の改正から一切のもの、これは議題としなくても、こういう案がございますよという政府案をちゃんと、答申を受けているんですから、私のほうは。その中には労働運動も、労働の資金も出ますし、それから一切もう出てきますよ。そうなると、税の発動だとかいろんなものが出てくるということで、国会の審議の過程があって政府は慎重にかまえてきただけであって、全部明らかにしなさいと言うなら、二十五年間にわたる審議の数字は全部持っているんです、これ。これは明らかにいたします。そうすれば、一つだけ、自分の、これだけでもやったらいいじゃないですかというような、迎合的な政策をとれるものじゃありません。これは民主政治の基本に関する問題である、こういう問題です。そんな簡単にやれるわけがないんです。ですからそれは私が述べていること、いいかげんな言い方でもってすりかえたり、逃げておるんじゃありません。ですから、ほんとうなら私は正面切って国会に参考資料として提供してもけっこうです。
○栗林卓司君 二十数年来の課題であったことを否定するわけではありません。ただ、先ほど来総理が口をすっぱくして言われるたいへんむずかしい経済問題、物価問題あるいは今後非常にむずかしい所得政策ということばで表現されている問題に取り組まざるを得ないのではあるまいかと感じ始めている今日の状況があるわけです。そこで、政府がいろんな数字出すのはけっこうです。その政府が信頼されなければいけないし、それを出している政治そのものに対する信頼感もまた確保されなければいかぬ。そこで、従来この二十数年来の課題の政治資金問題というのが避けては通れない道なんだということをまずお認めいただければいいんです。しかしそうなると時間が限られるわけです。いままでは慎重でもこれから大至急やらなきゃいかぬということになるんではないか。
○国務大臣(田中角榮君) それは政治資金問題いまのままでいいと考えてはおりません。おりませんが、それをやるには、選挙制度そのものも一体のものであるし、同時に労働組合が、現実的に政治活動をしておる労働組合が集めているその金も政治資金規正法の対象になるという面があるんです、現実問題として。これは二十五年間にわたって議論になり、これをやるときにはこれもやろうということになっているわけです。それをそうではなく、いわゆる法人擬制説とか、法人ということに対して、法人だけがというようなことにしぼって、それが国民の納得を得られるものじゃありませんし、これはもう民主政治体制の原則論であるということで、私はるる申し上げておる。私ももう二十八年間も代議士やっていまして、私は、政府が出す案としてはいつでも国会の審議にゆだねたい。こういう気持ちであることだけは明らかにいたしておきます。
○栗林卓司君 ちょっと総理に伺いたいんですけれどもね。何かというと労働組合とくるんですがね、民主政治ということに触れてひとつ、かりの案を出しながら御意見を承りたいと思います。政治献金なり政治資金というのは、本来これは企業であろうと組合であろうと問いませんよ。団体が出すものなんだ。本来政治的決定に関与するのは、基本的には国民であり、個人であるということを考えますと、総理がいろいろなほかの問題について年来の持論ということを言われますから、その分野のこととしてお答えいただいてけっこうなんですけれども、本来の政治資金の集め方というのは個人から取る。そうなると基本的な考え方というのは企業であろうと組合であろうとを問わない。団体が出すというのはいろんな弊害を生むんだということをひとつ踏まえながら個人が政治献金がしやすいように、これはもうそうなれば税制面いろいろあるわけですね。そういったことも含めて取り組める余地というのは私はあるんじゃないか。そういう取り組みを、しかもそんなに時間が私は残されていないという気がするもんですから、それもこれも含めて取り組む必要があるんじゃないか。
○国務大臣(田中角榮君) 私は個人的な考えですが、理想としては個人が政治資金を拠出する。投票権は個人にあるんです。個人にあります。これはもう国民の権利であります。これは主権者は国民でありますから、国民は権利であるということで投票権を行使をする。同時に間接的に政治に関与するという意味で、それは個人が望ましいということはわかります。望ましいが、法人と個人という立場とか団体とかという立場というものは法律的にまだ明文化されておりません。そういう意味でこれは準拠法もなく、ただ制限をするということになりますといろんな問題がございます。しかもこれはもう国民の基本的な問題、憲法上の基本的な参政権の問題に触れるわけでありますので、ただ観念的な感情論だけでやれるものではありません。そういう意味で第三者機関、各党から委員を出してもらって四半世紀にわたって議論をされておる問題であるということはひとつ御理解をいただきたいと思います。
○栗林卓司君 時間がないですからとれ以上続けませんけれども、感情論といいますけれども、問題は政府が何かを、数字を出す、あるいは訴えていく、そういうときにそれをささえる国民感情があるかないかという意味では、あまり専門的なことばかり言っていたからといって解決できないんじゃないかと、そんな意味で、時間がありませんから、かねがねよく出る話題の一つを出してお伺いしたいと思います。 いまの所得分配というのは公平なんだと、そのときに、一般の国民の感情という面で見ますと、だれから見たって気になるのが交際費の問題です。一兆数千億使っているんです。これは従来からお伺いしますと、それは企業のあなた、モラルの問題なんだというお答えが返ってくるんですけれども、昨今のように企業のあり方をめぐって行政が——まあいろいろ慎重な配慮をしながらでしょうけれども、中に立ち入っていかなきゃいかぬ、姿勢を正さなければいかぬという時期に来ていることは事実だと、そういう意味でそれは企業のモララなんだということだけでは済まない。しからば交際費どうするかというとたいへんむずかしい。そこで時間がありませんから、こういう面からもし考えたらどうですかということをお伺いしますけれども、なぜ不公平だと感ずるかというと、団体の費用でゴルフに行くと、こうなるわけです。行きたければ全部それは所得とみなして、みなすほうが簡単にいくわけですから、それをやっちまいながら政治をすることでも一つの案ではあるんです。どちらにしてもこれもまた決着をつけていかないと、先ほど来お伺いをしている素朴な国民の合意、政治に対する信頼というのは育たないんじゃないか、この点だけ最後にお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 交際費の問題はこれはもういつも問題になるわけでございますが、非常にむずかしい問題であるということは御指摘のとおりです。これは交際費というのは、これは企業でも個人でも交際費という名前はいい名前じゃありませんが、これは企業経営上真にやむを得ない必要経費と、こういうことの一つにはなるわけです。これはお互いが、お祭りになりゃ寄付は来るし、とにかく隣が火事になれば幾らかみんな町内で出しましょうということはあるんです。ですから所得税法においても政治資金に対して限度を定めたものであればこれに対しては税金を免除するという制度があるわけです。そういう意味で、この世の中に生きていく限りにおいては大なり小なりあるわけです。ですから、これを完全に認めないということは制度上も現実の上でもこれはもうあり得ることじゃない。だけどそれはもう九九%は損金算入認めないということで、一%ならいいだろうということもあります。ただ、これはもうどこの国でもこの問題はいろんな問題が起こっておりますが、これは大体税の課税対象にするもの自体が、五〇%というのが限度だろうということが一つの学問的にも現実的にも、五割以上というものに対しては相当な理由がなけりゃできない。そういう事態にもかかわらずこの交際費には七五%というものが課税対象になっておるわけです。ですから交際費というものの中に、確かにもううんと引き締めすると銀座は火の消えたようになると、それからゴルフ場へも社用接待は急激に減ると、そういう指摘だけを受ける、そういう面から考えても交際費というものは何かもっと厳密なものにしたい、しかしそれには限界があると、こういうところでありまして、こういうものに使う、左の用途に、列挙するものに支出をした場合はこれに全部損金算入認める、あとは認めないというふうにできるかどうか。
○栗林卓司君 いや、税法の話じゃないですよ、モラルの問題としてどうするんだということです。
○国務大臣(田中角榮君) いやモラルの問題は、これはもうこれだけ国会で議論になっているんですから、これはもう企業はモラルの問題としては最上のものとして考えている。ただね、皆さん、こういう問題国会ですからはっきりしておきますが、国際的な問題のときに交際費を使わないで国際的な商談がまとまるかどうかという問題があるんです。同じ問題が国内にも、それは事業やっているもの、生存をしている限りにおいてある。ただ限界を越してやっちゃいかぬ、これは社会悪につながる、こういう問題があるのでしてね。ここらは限界を置くにはやっぱり政治上——制度上は限界があるのです。あとはモラルに訴えるということ以外にないし、これはもう徴税上の技術やいろんな問題として国民が納得を得るようにしなければならない、こういう問題だと思います。
○春日正一君 時間が非常に限られているので端的にお聞きしますがね。総理は三月二十八日の衆議院の本会議、その翌日の予算委員会でも、何も教育勅語そのものの復活を考えているわけではないが、という前置きはつけておりますけれども、教育勅語の中にも多くの普遍的な人倫の大本を示した部分があり、形式を越えて現代にも通ずるものがある。それらについては、国民の共感を得られるような状態で世論に問うべきではないかと考えるという答弁をしております。それからNHKテレビの総理の対談では、教育勅語だけでなくて、軍人勅諭にもいいところがある、こう言って、いまは排除されているが、もっと国民の共感を得られるような状態で世論に問うべきだ、こうまで発言をしておりますけれども、これは田中個人ならともかくとして、一国の総理としての発言としてはきわめて重大だと思います。総理も御存じのように、教育勅語その他は昭和二十三年に衆参両院でそれぞれ排除あるいは失効の決議が行なわれております。特に衆議院の決議では、「これらの詔勅の根本理念が主権在君並びに神話的國体観に基いている事実は、明かに基本的人権を損い、且つ國際信義に対して疑点を残すもととなる。よって憲法第九十八條の本旨に従い、ここに衆議院は院議を以て、これらの詔勅を排除し、その指導原理的性格を認めないことを宣言する。」明確にこう言っておるんですね。しかも、この決議には、当時も総理も議員として採択に参加されておいでだと思うんですよ。それにもかかわらず、総理が、排除され、失効した教育勅語とか軍人勅諭というようなものを引き合いに出して教育を論ずる、これを賛美するというような印象を与えるような発言をするということは、院の決議を無視し、憲法九十八条に反する、そういう疑いも持たれると思うんです。だから、その意味でこの発言はこの際取り消されたらどうか。そうして教育を論ずるなら、憲法と教育基本法に基づいて論ずるということにされたらどうかと思いますけれども、どうですか。
○国務大臣(田中角榮君) 私は自分の発言が不穏当なものとは考えておりません。取り消す意思はありません。これは教育勅語が国会において排除せられたことは承知いたしております。私も少壮な議員でございましたから、いまよりももっと感受性の強い二十代の議員でございましたから、私はそういうことを記憶から抹消するような状態じゃありません。刻み込まれておるものでございます。しかし、私が述べましたのは、教育勅語そのものを是認し、教育勅語の復活を意味したものでないということはそのとおりであります。なぜかというと、質問に——君か代や教育勅語はどう思うかと、こういう質問に答えて言っておるわけでございますから、これはもう論ずる余地のないところでございます。特に過去のものの中にも、それは確かに成立や公布の形態とか、経緯とか、いろんなものがございます。及ぼした影響とか、いろんなものがございます。そういう意味で、それは排除されたという事実に対しては、国会議員、それはちゃんと守っております。しかもそのときに、それがもう必ずしも国民が納得したものでなかった、それは憲法に優先すると言われた占領軍のメモランダムという、どうすることもできなかったようなものが主軸になって行なわれた数々のものであっても、国会で成規に議決をせられたものは守らなきゃならぬということは当然のことです。それは現憲法でも憲法起草委員長である芦田均先生は本会議で絶句して声なかったじゃありませんか。そういう歴史があっても、それは成規な手続を経てやったものを守らなければならぬことは当然であります。それはいまの教育制度も、幣原内閣はメモに対して抗したために幣原内閣は辞任したわけであります。これはもう全国民の知っていることであります。このような教育制度は守れません。こういった守れない内閣はやめなさい。有名な幣原内閣亙解の事実は国民すべて知っているわけです。知っておりますが、国会の議決を経て制度ができた以上、これは厳として守らなければならぬこと、当然なことであります。当然なことでありますが、あなた方でもいま日本共産党は憲法は守る。しかし共産党が天下をとったときには憲法は新しくつくると言う。憲法は勉強しているでしょう、憲法草案というものはこういうものだと、勉強することは一向差しつかえないし、問われて信義を述べる、これはあたりまえのことであります。私は教育勅語を排除されたということと、復活を考えていないということでありますが、中にはいいところがあります。なぜか。「父母二孝二兄弟二友二」……(「夫婦相和シ」と呼ぶ者あり)「夫婦相和シ朋友相信シ恭倹己ヲ持シ博愛衆二及ホシ学を修メ業ヲ習ヒ以テ智能ヲ啓発シ徳器ヲ成就シ進テ公益ヲ広メ」、これどれ一つとして現憲法の中で当然お互いが守っていかなければならないことじゃありませんか。こういう部面はもう一ぺん、こういうことは何もこんな固い文章じゃなくていいですよ。もっと、考行はこうこうしなさいというように、読み易いように現代的に直してもいいと思うんですよ。しかし、私は、人倫の大本としてお互いがもう一ぺん考える必要がある、こういう真情を述べたのでございまして、私は永久にそう思っておりますよ。
○春日正一君 ノモンハン戦を戦われた総理が軍人勅諭に郷愁を持ったり、(「郷愁なんか持ってない」と呼ぶ者あり)そう思われるのは御自由です。しかし教育勅語というものはあれこれとってきてこうというものではなくて、一つのまとまったものとして戦前、絶対主義的な天皇制のもとで、忠君愛国、滅私奉公ということを最高の道徳として、徹底した国家主義、軍国主義教育を行なう支柱になってきた。その結果国民は天皇のため、国のためということであの侵略戦争にかり出され、大きな犠牲を受けている。だからそういう意味でいえばこれは、主権在民、人権尊重の現憲法とは根本的に相いれないものです。教育勅語という一つのまとまったものが、軍人勅諭もそうです。これは私も時間ないから読みませんけれども、憲法の前文にも主権が国民にあるということを書いて、この原則に反する詔勅や憲法や一切のものは排除されるということが前文に規定されておる。九十八条にも規定されている。だから当然ここから先ほど言った衆議院の決議、そういうものも出てくるし、特に参議院での決議では、教育勅語等の失効確認に関する決議、「われらはここに、教育の真の権威の確立と国民道徳の振興のために、全国民が一致して教育基本法の明示する新教育理念の普及徹底に努力をいたすべきことを期する。」といって、教育基本法に基づいてやれということを参議院は決議しておる。そうして教育基本法でも前文に、個人の尊厳を重んじ、真理を平和を希求する人間を育成する。第一条では、「真理と正義を愛し、個人の価値をたつとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成」というふうにうたっておるわけであります。だからこの世中に先ほど言われたような「父母ニ孝ニ兄弟ニ友ニ夫婦相和シ」というようなことだって全部入るわけです、言えば。それをことさらに教育基本法という現にある基本の法律に、国の総理大臣が一言も触れずに、教育勅語だの軍人勅諭というようなものを持ち出して教育を論ずると、そこに一番問題があるんです。だから軍国主義の復活を企てておるんじゃないかというおそれもあるし、自民党の諸君でさえきょうの本会議で、わが党の須藤議員が総理が軍人勅諭に触れていたということを言ったら、そんなはずはない、取り消せと言って抗議されたじゃありませんか。だから誤解を受けるようなことだから、そういうことは取り消して、はっきり教育基本法に基づいて、具体的にどういう子供を育成するかということをおっしゃっていただきたい。私どもの考えでは子供たちに「読み・書き・そろばん」と昔は言いました。いまは算数と言っております。この基礎的が学力をしっかり身につけさせ、必要な市民的な道徳を身につけさせるということが国民教育の基本でなければならぬし、そういうものを具体的にいまの民主主義の原理に基づいて進めていくべきであろう、共産党はこう考えておる。総理はそういう市場でこれからも発言し、また憲法、教育基本法に基づいて教育政策は進められるのか、それは横へ置いて教育勅語にもいいところがあるんだ、軍人勅諭にもいいところがあるんだと言って、昔の廃棄されたものの中から取り出してきて何かをつくろうとされるのか、その点はっきりさしておいていただきたい。
○国務大臣(田中角榮君) 教育勅語やその他のものが排除せられておる事実は私はそのとおり認めておるんです。私も議員だったんです。賛成したんです。私は欠席したわけじゃないんです。(笑声)ですからね、なまなましき記憶として終生刻み込んでいる事実なんです。ですから私は新憲法下第一回の議席を持った議員なんです。そういう意味じゃ私は旧憲法時代生きたなんというのは人生のうち幾ばくもないんです。あとはもうほとんど新憲法下で人となっているわけです。今日五十六歳を迎えたと。こういうのですから、事実は何でもそのとおりなんです、あなたの言うとおり。ですから質問があってどう思うかと言うから、教育勅語にも、教育勅語の中に書いてある文言の中にも、そこらは中にもというようなことが抜けているかもしれませんけれども、私は民主主義者である。民主政治家である、十一回も当選したのですから、そんなことは言わずもがなであります。ですから、こういう発言をすることによって軍国主義の復活とか、再来とか、そういうところに結びつけるのは、そこらは大飛躍だと私は考えておるんです。 そうじゃないんですよ。いま世界の民を愛せよ、人類愛にどうだ、それが、ことばに対して、これやったら悪いことですよ、これやったらいいことですよ、いいことをやりなさい、悪いことをやるとつねりますよ。こういうことが必要だということを考えるときに、中に書いてあったことで、兄弟は仲よくしなさい、夫婦はお互いに信頼し合いなさい、朋友はまたと得がたき人生における兄弟のようなものだ。私はいまでも、これはもうこれから何百年、何千年の後でも人倫のとにかくもととしてうたうに足るものがあると、こういうことを述べているんです。私は取り消さなければならないということは全くないと思う。こんな考えが全くなくなったらほんとうに私自身が議席を遠慮しなければならぬ、私はそういう考え方をほんとうにすなおに言ったんです。ですから子供でもめんどうなことを言わないで、いいこと悪いことをもっと個条書きで教えなさいよと、子供自身がそう言っているんです。ですからそういうことを私が述べて、これは軍国主義復活である、田中角榮が三十年も逆戻りするということは絶対ありません。あなたと比べても民主政治家として人後に落ちるものじゃないということをあらためて明確にしておきます。
○春日正一君 時間がないからやめておきますわ。
○野末和彦君 参議院選挙が迫りまして、街頭にはんらんしておりますね。立候補予定者のポスターとか看板とか。あれは全部明らかに選挙に結びつく事前運動の一種だと思いますよ。警察庁も悪質なものはきびしく取り締まるということを言っていますけれども、悪質でなくても、まあともかくポスター、看板それ自体がもう目に余るような状態ですね。そこで総理自身に御意見を伺いたいのですが、総理はああいうポスター、看板をどういうふうに思われ、どう考えていられるかですね、あのはんらんを。もちろん総理の御意見は、あれは事前運動の一種ですから好ましくないと、ほっておくわけにはいかないというお考えだとは思うのです、そうですね。
○国務大臣(田中角榮君) 法律に禁止をされておることはいやしくもやってはならない、こういうことは厳に考えております、おりますが、この問題しょっちゅう出るのです。選挙が来るたんびに出るのです。出るのですが、これどういうことかというと、全国区などは一体二十三日や二十五日でわかるのかどうか。だからあんなことをしなければならないという全国区の制度を残しておくのは国会の責任じゃないかという議論もいままでうんと議論されてきたことであります。全国区七千数百万の投票者に一体名前を知ってもらえるのか、二十三、二十五日間で。そういう問題も大前提にあるわけです。ですから、私はいやしくも国民の審判を受けようとする候補者が違法行為を行なうということがあっては、それはもう厳に慎まなければなりません。しかし、現職議員は、これは国会報告の告示書を出しておるのだと、国会報告は当然じゃないかと、こういうことも言われます。だから立件されたものでもいろいろな結果が出ているわけです。私は町にはんらんするあのような状態が望ましいものと考えておりません。ですから、制度的にもいろいろな状態としてもっと合理的なものにしなければならぬ、美観条令でもつくれば全部ひっかかるものだと思いますよ、私は。そういう意味で、これは与野党を問わず、すべての人たちが、私だけが一枚もやっていませんというような人たち、私は見つからぬと思うのです。何らかやっています。ですから、そういう問題に対して政府がこれ直ちに取り締まるとか、私が申し上げられることじゃありませんし、御承知のとおり警察庁でも逮捕しておるようでございますし、民主政治体制そのものが破壊をされるようなことになっては困る。国民にも告示しなければならない。国民の利便に供さなければならぬ。しかし、その事態が国民のひんしゅくを買うような状態になれば元も子もなくなる。こういう問題の一つとして十分検討してまいらなければならぬ問題だと思います。
○野末和彦君 総理が望ましくないと思われていることがわかりましたが、そこですぐに選挙制度の問題にまで飛躍しないで、いまできることをやはり少しでもやっていくことが国民に対する政治の義務だと思うのですよ。そこで、総理御自身が応援している立候補者なんぞを見ても、やはりかなりやっているわけですね。身内の人間にそういうことを——目に余る宣伝ですね、ということを許しておく神経がどうもわからないですね。少なくも道徳観に基づいて、総理がきのうもおっしゃったようですね、反省すべき十のこととか、大切な五つのこととか、あれは総理自身へ総理の身内の人間自身がまず反省すべきことじゃないかと、当然思えるのです、あのポスターなり、看板なりに限って言っても。そこで私は総理自身がもっと身辺に指導力を発揮することがいま必要で、これはできることであると、選挙制度云々を言うべき時期ではないのだと、そういうふうに考えます。 そこで提案したいのですが、事前運動、その他ポスターや看板などはんらんを警察庁にまかしておいてもだめですから、ここで総理が国民に一言こうアッピールしたらどうかという提案をしたいのです。それは、呼びかけて、ああいう選挙前のポスターとか看板の類は見かけ次第どんどん引っぱがしてもいいのだと、引っぱがして町をお互いにきれいにしようじゃないかというぐらいのき然たる姿勢を総理が示して、国民にアッピールすることが大事じゃないかと、そのぐらいのことをしないと、金のかかる選挙に対する不信あるいは政治不信というものを、国民のそういう気持ちを払拭できないというふうに考えまして、ここですぐに総理が選挙制度が間違っているから金がかかるんだとか、全国区だという飛躍をする前に、いまできることをやるべきである。総理、国民に目に余ったらあのポスターはがしてもいいぞと、そしてお互いに町をきれいにすることから新しい選挙制度を検討するきっかけをつくろうという呼びかけをするべきだと思います。いかがでしょう。
○国務大臣(田中角榮君) これはなかなか法律の上でむずかしいのだそうです。それを取り除くやつがないのかと準拠法を求めさしておるのでございますが、美観条例のあるところは取れるけれども、ないところは取れない、まごまごすると刑事被告人になる……
○野末和彦君 そんなことはない。
○国務大臣(田中角榮君) いやあるんです。そういう問題もあって、政府もいろいろやっておりますが、なかなかできない問題もある。もう一つは、現実問題として、現職議員は国会報告ができます、現職議員以外の人はできなくなるということになると、そこに差別が行なわれるんじゃないかという問題もあります。ですから、私は望ましくないということを言っているんです。ところが、私がとにかく言って、取ってもいいですよと、こういうことを言える問題ではないということぐらいはあなたも十分おわかりのはずなんだ。私がいかにやろうとしても、とにかく反対が多くてということになると、国会が混乱するとなれば小選挙区法だって出せなかったんですから、そんなことはあたりまえの話でしょう。都合のいいときだけ総理大臣が法律も何もかまわず宣言でやらせろ、そんなことが通るわけはありません。ですから、やるならあなたが提唱されて、各党が公認候補は全部あしたから取り除くという決意をされたら直ちにできます、これは。
○野末和彦君 それだったらできますか。
○国務大臣(田中角榮君) いや、各党がうんと言えばできます。自民党だけが取り除いてほかの政党だけがあったり、ほかの政党があって、無所属だけは堂々とやっている、そんなことが許されるはずはない。(笑声)そんなばかなことがあるはずはないんです。そういうことこそ政党で話し合いをしてもらって片づけるべき問題で、あなた無所属でしたらね、政党よ立て、こういうことを言われることはいいことです。私は公の席上で、望ましくない、そしていまの法律で何かできないのかということは閣議でもお互い相談をしておるし、建設大臣は何かできないか、美観条例でどうだ、自治大臣はどうなのか、いろいろなことを言っておるのです。検討はさしているのです。さしているのですが、何か逆に、まごまごすると、こう取り除いたほうがやられるということでは困るので、やっぱり役人が取り除く以外にないのですよ、職権に基づいて。国民にあれを持っていってまきにしてよろしいなんと言おうものならえらいことになります。(笑声) —————————————
○委員長(田中寿美子君) 委員の異動について御報告いたします。 ただいま小林国司君、渡辺一太郎君、佐々木静子君及び和田静夫君が委員を辞任され、その補欠として高橋雄之助君、細川護煕君、片岡勝治君及び神沢浄君がそれぞれ選任されました。 —————————————
○委員長(田中寿美子君) ほかに御発言がなければ、昭和四十六年度決算外二件に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(田中寿美子君) 御異議ないと認めます。 それでは、昭和四十六年度決算外二件につきましては、これを一時中断し、次に本委員会は、昨年、昭和四十五年度決算につきまして、内閣に対し警告の議決を行ないましたが、その警告に対し、内閣のとった措置などにつきまして説明を聴取いたします。福田大蔵大臣。
○国務大臣(福田赳夫君) 昭和四十五年度決算に関する参議院の審議議決について講じました措置の概要を申し上げます。 政府は、従来から、決算に関する国会の審議議決、会計検査院の指摘等にかんがみ、国費の効率的使用、事務事業の運営の適正化、不当経理の発生の防止等について特に留意してまいったところでありますが、昭和四十五年度決算に関する参議院の審議議決について、各省各庁において講じております措置を取りまとめてその概要を御説明申し上げます。 まず、審議会等の整理統合につきましては、第二次行政改革計画等に基づき、従来ともその推進をはかってきたところでありますが、さらに今般、公社公団等の整理統合に関する意見具申が行なわれ、これに伴い、目下関係各省庁において鋭意検討中でございます。 また、現在の審議会にりきましては、積極的な活動を行なうため、委員の兼職数の低減、在任期間の短縮、高齢者及び審議会所管省庁出身者を極力避けること等種々の改善をはかっているところであります。 次に、防衛庁の行なう研究委託契約または試作契約の実施に伴って生ずる工業所決権につきましては、これが必ずしも国に帰属することとはならない場合がありましたので、今般、訓令により、これらの権利はすべて国に帰属することとなるよう、契約に際して必要な措置をとることといたしております。 次に、公害防止事業団が受託金融機関に委託して行なう貸し付け事業につきましては、従来から適正を期するよう指導監督を行なってまいりましたが、今後とも正しい業務が行なわれるように指導してまいる所存であります。 なお、今回御指摘のありました事項につきましては、政府から同事業団に対して貸し付け業務の受託金融機関に対する指示の徹底と貸し付け先に対する必要な指導を確実に行なうよう指示したところであります。 次に、日本私学振興財団の私立大学等に対する経常費補助金交付につきましては、従来から適正に行なわれるよう指導、監督してまいりましたが、今後とも正しい業務が行なわれるよう指導してまいる所存であります。 また、財団自身におきましても、学校法人からの資料提出の早期化等により事前審査の徹底をはかるとともに、学校法人に対する指導の強化を行なうことといたしているところであります。 次に、看護婦等の確保及びその環境の整備等につきましては、四十八年度に引き続き四十九年度予算におきましても看護婦等養成所施設整備費を増額し、施設の充実につとめており、また、有子看護婦等の離職防止と再就業の促進のための院内保育事業に対する助成措置を講じているところでありますが、今般、潜在看護力の活用をはかるため、四十九年度予算においては、ナースバンク設立のための必要経費を計上し、有資格看護婦の再就業を一そう促進する措置を講じております。 次に、ゴルフ場の造成にかかわる保安林解除の審査に当たりましては、国土保全、環境保全の見地から厳正かつ適正を期すること及びゴルフ場用地内の公共用財産の管理についても適正な処理を行なうことについて各都道府県に対し指導しているところであります。 次に、重量車による法定外の荷重等のための路面損壊の問題につきましては、道路橋の床版強度の引き上げ、工事施行者の厳密な選定及び厳重な工事監督の実施等の措置を講ずるほか、主要幹線道路を中心とする検量施設の整備充実等により道路法違反の車両通行に対する強力な指導取り締まりを行なってまいる所存であります。 次に、有線音楽放送業者の道路の不法占用等につきましては、関係当局と協議し適正な道路管理が行なわれますよう措置するとともに、不法占用の一掃につとめたところでありますが、その結果、国が直接管理する国道につきましては、四十八年度において不法占用はおおむね解消いたしたのであります。 また、日本電信電話公社、電力会社等電柱所有者についても、引き続き正常化につとめておるところであります。 次に、郵便局における不正行為の防止等につきましては、従来から諸種の施策を講じておるところであります。特に防犯管理体制の強化及び相方牽制措置の励行等につとめ、管理者のみならず一般職員の防犯意識の高揚、犯罪の未然防止と早期発見を強力に推進しておるところであります。 次に、沖繩県における基地問題につきましては、基地の整理統合、基地周辺対策等を積極的に進めておりますが、その他沖繩における当面の緊急課題であるサトウキビ農業の保護育成、ウリミバエの駆除等の病虫害対策、麻薬の取り締まり、売春の絶滅及びハンセン氏病に対する措置等につきましても所要の予算措置を講じ、適時適切な施策を行なっているところであります。 以上。
○委員長(田中寿美子君) 以上で説明聴取を終わります。 —————————————
○委員長(田中寿美子君) 次に、昭和四十七年度一般会計国庫債務負担行為総調書、昭和四十七年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)外三件、昭和四十八年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)外二件、以上八件を便宜一括して議題といたします。 これらにつきましては、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(田中寿美子君) 御異議ないと認めます。 それではこれより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(田中寿美子君) 御異議ないと認めます。 それではこれより順次採決に入ります。 まず、昭和四十七年度一般会計国庫債務負担行為総調書を問題に供します。 本件について異議がないと議決することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(田中寿美子君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって異議がないと議決されました。 次に、昭和四十七年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)を問題に供します。 本件について承諾を与えるべきものと議決することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(田中寿美子君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承諾を与えるべきものと議決されました。 次に、昭和四十七年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)、昭和四十七年度特別会計予算総則第九条に基づく経費増額総調書及び経費増額調書、昭和四十七年度特別会計予算総則第十条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その2)以上三件を一括して問題に供します。 これら三件について承諾を与えるべきものと議決することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(田中寿美子君) 多数と認めます。よって、これら三件は多数をもって承諾を与えるべきものと議決されました。 次に、昭和四十八年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)、昭和四十八年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)、昭和四十八年度特別会計予算総則第十条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その1)、以上三件を一括して問題に供します。 これら三件について承諾を与えるべきものと議決することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(田中寿美子君) 多数と認めます。よって、これら三件は多数をもって承諾を与えるものと議決されました。 なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべきこれら案件の報告書の作成等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(田中寿美子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(田中寿美子君) 次に、先ほど一時中断いたしました昭和四十六年度決算外二件を再び議題といたします。 これらの質疑は先刻終局いたしておりますので、これより直ちに討論に入ります。 各党討論に入るに先立ち、理事会におきまして協議いたしました内閣に対する警告につきまして、お手元に配付いたしましたような案文とすることに意見が一致いたしました。 それでは警告の案文を朗読いたします。 それでは、討論される方は賛否を明らかにして御意見をお述べ願います。小谷君。
○小谷守君 私は、日本社会党を代表して、昭和四十六年度決算外二件に対し、是認することができないことを表明し、警告案に対しては、賛成をいたします。ここに、そのおもな理由につきまして、若干申し述べます。 第一に、財政経済の運営についてであります。 昭和四十六年度財政は、内外経済情勢の激変の中で運営されたのでありますが、政府は、幾多の重大な誤りをおかしております。 その一つは、いわゆるドルショックを予測し得ず、そのため、必要以上に大きく国際通貨不安に巻き込まれ、変動相場制から為替レートの変更という事態が生じたのであります。 加えて、ドルショックの時点で、欧州各国は外国為替市場を閉鎖したのでありますが、わが国のみ開き続け、このために、為替レートの変更を見込んだ商社等のドル売りが殺到し、これを買いささえた外為特別会計と日銀の保有外貨の評価損が約一兆円近くとなり、結果的には国損に通ずるものとなったのであります。しかも、この外貨の増高は、いわゆる過剰流動性となってあらわれたのであります。 さらに、ドルショックによる不況を克服するという名目で、財投の追加や公定歩合の数次にわたる引き下げ等、財政金融の緩和は、結果的には、大企業の擁護となり、わが国の向こうべき新たな福祉社会の建設を、遠のかせる結果を招いたのであります。特に、主として国民の零細な資金を原資とする財投が、当委員会においてもたびたび指摘されましたように、大企業、商社等に流れ、反面、国の中小企業近代化政策は遅々として進まず、産業構造は跛行し、そのひずみも含めて国民生活を圧迫してきたことは看過できないところであります。 今日の狂乱物価といわれる事態の引き金は、ほとんど昭和四十六年度の財政運営の失敗に起因すると言っても過言ではありません。 第二には、財政の執行についてであります。 本委員会の審査の過程において種々指摘されましたように、たとえば補助金等の不当ないし不効率な使用はあとを断たず、財務執行の姿勢は依然として正されておりません。 加えて、公務員の綱紀の弛緩は目をおおいたくなる状態であり、数々の汚職事件が頻発したことはきわめて遺憾であります。これに対し、政府は実効ある対策をとることなく、マンネリ的な通牒を繰り返すのみでありまして、綱紀粛正に対する熱意を疑わざるを得ないのであります。 以上、きわめてわずかな例を申し上げましたが、本件決算には納得のいかない点が数多くあり、反対せざるを得ないのであります。政府は、よくこの点を反省するとともに、警告の趣旨の実現に対し、万全を期することを強く要望して、討論を終わります。
○委員長(田中寿美子君) 温水君。
○温水三郎君 自由民主党を代表し、昭和四十六年度決算外二件を是認し、かつ、警告決議案に賛成いたします。 昭和四十六年度における政府の財政処理はかなりの留意すべき事項がありますが、全体としてこれを見る場合、おおむね、所期の行政効果をあげており、妥当なものと思考いたします。よって、わが党は、本決算を是認いたします。 しかしながら、会計検査院の指摘した事項、また審査過程における委員長をはじめ各委員の指摘の中等にも見られるように、予算執行について留意すべき点もまだ少なくないのであります。したがって、わが党は、委員長提案の警告決議案に賛成するとともに政府が真摯なる態度でこれを受けとめ、将来の財政計画及び予算に反映させ、国民の信頼にこたえられるよう、要望するものであります。 討論を終わります。
○委員長(田中寿美子君) 中尾君。
○中尾辰義君 私は、公明党を代表いたしまして、昭和四十六年度決算外二件に対して不承認の意思を表明するものであります。 不承認の理由につきましては、第一に、政府は今日まで無反省な経済成長至上主義を根幹とした財政金融政策の結果、インフレを増幅し、地価の未曾有の騰貴、引き続き卸売り物価の上昇などインフレマインドをわが国の経済の全般に拡大したのがこの昭和四十六年度であります。そしてまた、わが国を公害列島と化し、このような経済至上主義に対してようやく内外の反撃がきざしたのもこの年度であります。このような趨勢の主軸となったのは、一言にして言えば企業のエゴであり、この企業エゴと結合した政治勢力の無自覚な姿勢にあったと言わなければなりません。公明党は、この中にあって民衆の生活を守り抜く姿勢を貫いてまいったのでありますが、今日に至っても、政府と企業エゴの結合は、民衆の上に不信の影を落としているのであります。この決算という政府の財政行為の集積に対して、これを承認しようとはどう考えても思えないところであります。 第二に、国の財政経理の問題であります。 先般の本会議で私は、公共事業における談合の問題提起をいたしました。総理はじめ政府当局者は、談合の事実はないと言われましたが、しかし、この問題はないと言ったからなくなるものではありません。予定価格は事前に業者に察知され、発注業者の順位とその量は事前に決定されて、形式的に厳正な入札行為が行なわれているという儀式をやっているのが現実であることは、実務者の言の一致するところであります。 自由企業体制のよい点は、公正競争によるところが大でありますが、政府はみずから自由企業体制のよき機能の発揮すら喪失してきたかの感を抱かざるを得ないものがあります。これは、企業エゴと結合し、それに埋没した政府の状況を如実に物語り、そこに何の反省もないことを物語るものと言わなければなりません。このような談合による財政行為がその大きな部分を占める決算であることを不承認の理由として、ここに強調し、政府に警告しておくものであります。 以上の点をあげまして、昭和四十六年度決算外二件についての不承認の理由といたします。 なお、ただいまの警告案文については賛成をいたします。 以上をもって討論を終わります。
○委員長(田中寿美子君) 栗林君。
○栗林卓司君 私は、民社党を代表して、昭和四十六年度決算外二件について是認するとともに、内閣に対しての警告決議案に対し賛成いたします。 本決算に対して、従来と同様に、会計検査院から徴税並びに予算執行の不都合が指摘され、また十項目からなる警告決議案が提示されようとしております。その原因は、綱紀粛正及び行政の水準向上に関する政府の努力不足によるものであり、強く遺憾の意を表明いたします。 しかし、予算執行を全体としてながめた場合、予算自体の適否は別として、予算が想定した方向に従って行政が行なわれたことを認めるにやぶさかではありません。結局問題は、予算自体が妥当なものであるかどうかという点に帰着すると思います。 昭和四十六年を振り返ったとき、われわれは強い悔恨の念を持って思い返さざるを得ません。 この年の七月十六日に、ニクソン大統領の中国訪問計画が突如として発表され、翌八月十六日には、ニクソン大統領の新経済政策が寝耳に水の驚きとともに日本に伝えられました。以来三年間、日本は国際社会の激流に身をさらされてまいりました。昨今の石油危機もまたその一環として理解すべきであります。この激しい変化を、昭和四十六年当時的確に展望し得たかいなかを考えるとき、政府はいまこそきびしく反省しながら今後に対処すべきであります。 しかし、当時この変化が全く予測できなかったかといえば決してそうではありません。当時すでに国際情勢の変化に対処する重要な条件として次のことが各方面から強く主張されておりました。すなわち、 一、 賃金水準、労働時間の問題も含めて国際社会に通用する経済運営、企業行動を行なうべきこと。 二、 重化学工業に傾斜した産業経済政策の抜本的見直しを行なうこと。 三、 社会資本の充実に財政投融資の重点を移行すること 等々であります。 そして、政府はこれらの意見に耳を傾け、少なくも予算編成、財政投融資の見直し、国際通貨政策及び国内金利政策の再検討等に着手すべきでありました。そして、それこそ昭和四十六年の課題であったと言わなければなりません。そして、政府がこの努力を怠ったことが、今日のインフレの遠因を形成したことを考えると、政府の猛省をあらためて求めざるを得ません。強く遺憾の意を表明して討論を終わります。
○委員長(田中寿美子君) 加藤君。
○加藤進君 私は、日本共産党を代表して、昭和四十六年度一般会計決算、特別会計決算外二件について、反対の態度を表明するものであります。 反対の第一の理由は、政府が経済協力の名のもとに、アメリカのアジア侵略政策に全面的に協力し、日米軍事同盟の従属的な一翼をにないながら、軍国主義復活と新植民地主義政策を推進していることであります。 四十六年度に実施されたベトナム・チョーライ総合病院建設、ラオスのワツダイ空港拡張援助など無償援助は増大し、サイゴン政権などに対する援助額は四十五年度の二倍の十四億円にのぼるのであります。 経済協力費の名による出資、一般会計から海外経済協力基金への三百三十億円、産業投資特別会計から日本輸出入銀行へ六百五十億円、石油開発公団へ百七十億円など、郵便貯金、国民年金など国民の零細な積み立て金などが、財政投融資資金として、大資本の高度成長にとって必要な原料資源の開発、進出のために支出されたものであります。 その上、軍事費は絶対額、増加率とも自衛隊創設以来最高の膨張を示し、日米共同声明路線はさらに推進され、自衛隊は侵略的に一そう強化されたのであります。 反対の第二の理由は、四十六年度予算の執行か大資本の高度成長を進めた一方、国民生活の破壊を推し進めた点であります。 防衛費関係の予算の執行率がほぼ一〇〇%であるのに、住宅関係のそれが約八〇%にとどまっていることが示しているように予算の執行も反国民的なものとなっています。 公共事業費については、大資本のためには、港湾整備など海路輸送体制の確立、新東京国際空港、関西国際空港の建設など新全総の推進のため巨額な財政資金が支出されている一方、たとえば人口急増都市では急激な宅地開発に伴って、小中学校、高校及び幼稚園、保育園、道路、下水道などの関連公共施設の整備が大きく立ちおくれています。 昭和四十六年度厚生保険特別会計健保勘定のいわゆる赤字は百八十六億円であり。累積赤字は千九百八十億円に達しておりますが、政府はこの赤字の大きな原因である製薬大資本の独占薬価にはほとんど手をつけず、健康保険制度を改正し、保健料の値上げをし、国民への負担を強めたのであります。 物価対策は総需要の抑制、賃金、物価の悪循環などと国民に物価高の責任を転化し、郵便や電報、電話、健康保険料など各種の公共料金を大幅に引き上げ、さらに配給米の価格の自由化を強行し、物価高騰など今日の国民生活の深刻な危機に与えた影響はまさに重大であります。 また、昭和四十六年度という年が、円の変動相場制移行と円切り上げという日本経済にとってきわめて重大な年であったということであります。円切り上げを招いた要因が低賃金、低福祉、大企業本位の輸出第一主義にあったことはいまや明らかであります。 反対の第三の理由は、予算の執行が財政民主主義に反しているという点であります。 その資金が四兆円をこえる財政投融資計画は国会の審議にもかけられず実施され、その資金運用について、企業機密などの口実で、詳細は明らかにされていないのであります。 予備費は年々増大する一方、その執行は非常に放漫であり、警察庁の報償費や装備費などにまで使用されています。これは、憲法八十七条の予備費の規定を乱用するものであります。 以上がわが党として、この決算に反対するおもな理由であります。 次に、国有財産の増減及び現在額総計算書についてでありますが、約一兆平米に及ぶ在日米軍基地の土地と建物、五百八十七億円の防衛庁の艦船及び航空機の新造、海外援助関係や大企業への融資などの政府出資などが額の上でも大きい部分を占めているのでこれに反対するものであります。 また、国有財産然償貸付計算書については、わが党は、この条項の積極的な活用に賛成するものですが、その実施において不明瞭な点がありますので棄権の態度を表明いたします。 最後に、警告決議についてでありますが、基本的には賛成いたします。しかし、(1)の「綱紀粛正」については、職員の組合活動等の弾圧に悪用されることのないよう、また(3)の「経済・技術協力」は平等、互恵、平和五原則に立って推進すべきである点を指摘して、態度表明を終わります。 以上。
○委員長(田中寿美子君) ほかに御発言もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(田中寿美子君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより順次採決に入ります。 まず、昭和四十六年度一般会計歳入歳出決算、昭和四十六年度特別会計歳入歳出決算、昭和四十六年度国税収納金整理資金受払計算書、昭和四十六年度政府関係機関決算書を問題に供します。 第一に、本件決算は、これを是認すると議決することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(田中寿美子君) 多数と認めます。 第二に、内閣に対し、先刻朗読のとおり警告することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(田中寿美子君) 全会一致と認めます。よって、昭和四十六年度決算につきましては、多数をもってこれを是認することとし、内閣に対し、先刻朗読いたしましたとおり警告すべきものと議決されました。 次に、昭和四十六年度国有財産増減及び現在額総計算書を問題に供します。 本件につきまして、異議がないと議決することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(田中寿美子君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって異議がないと議決されました。 次に、昭和四十六年度国有財産無償貸付状況総計算書を問題に供します。 本件につきまして、異議がないと議決することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(田中寿美子君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって異議がないと議決されました。 なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべきこれら案件の報告書につきましては、ただいまの本委員会の議決内容によりこれを作成することといたしまして、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(田中寿美子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 この際、関係大臣から発言を求められておりますので、順次これを許します。二階堂内閣官房長官。
○国務大臣(二階堂進君) ただいま御決議のありました公務員の綱紀粛正の問題につきましては、従来からも政府は、閣議決定等によりしばしば注意を喚起してまいりましたが、御指摘のような不祥事件が続発しましたことはまことに遺憾でございます。政府といたしましては、昨年十月に行ないました官庁綱紀の粛正についての閣議決定の趣旨に沿って、職務権限配分の是正と、チェック機能の強化、適正な人事配置等について再点検をする等、各省庁が責任を持って綱紀粛正を実効あらしめるよう努力しているところであり、今後、再び、このような事態の生じないよう、あらゆる機会を通じて一そう努力をいたす所存でございます。 また、政府関係機関等の監督に関しましても、御趣旨に沿って、一そう厳正を期するよう、今後とも十分指導をしてまいりたいと存じます。
○委員長(田中寿美子君) 大平外務大臣。
○国務大臣(大平正芳君) ただいまの御決議のありました発展途上国、特に、アジア近隣諸国に対するわが国の経済、技術協力に関しましては、政府は、従来から相手国の経済社会発展と国民福祉の向上を目的として、経済協力を推進してきており、相手国政府はもとより、国民からも相当の評価を受け、その効果をあげているものと確信しております。しかし、御決議の御趣旨を体し、今後は一そう相手国国民の利益と発展に寄与するよう遺憾なきを期するとともに、民間ベースの経済協力につきましても、相手国の立場を十分尊重の上、相互の信頼関係に立って、相手国の発展に寄与するよう、できるだけ指導してまいる所存であります。
○委員長(田中寿美子君) 中村法務大臣。
○国務大臣(中村梅吉君) ただいま御決議のございました措置入院となった者の調査につきましては、御指摘の趣旨を十分に尊重いたしまして、今後善処をいたしたいと思います。
○委員長(田中寿美子君) 奥野文部大臣。
○国務大臣(奥野誠亮君) ただいま御決議のありました文化財保護事業及び学校給食に関しまする事項につきましては、十分検討の上、御趣旨に沿うよう努力してまいりたいと存じます。
○委員長(田中寿美子君) 徳永運輸大臣。
○国務大臣(徳永正利君) ただいま御決議のありました日本航空株式会社と旧日本国内航空株式会社との合併が取りやめになったことに伴う、両者間における航空機材の賃借料等にかかる精算処理につきましては、今後一そうの指導監督を行ない、ただいま御決議のありました警告の趣旨にこたえる所存でございます。
○委員長(田中寿美子君) 長谷川労働大臣。
○国務大臣(長谷川峻君) 全国勤労青少年会館は、この六月一日で開館一周年になります。その大ホールの利用のあり方について、昨年十一月の本委員会において御指摘を受けたことは遺憾でありまして、その警告に基づき、雇用促進事業団に対して、大ホールの利用にあたっては、勤労青少年のための有意義な催しものを優先するなど、利用方法等を改善するよう指示し、その運営改善の方針とその措置についての要領をきめ、現在、鋭意改善を実施して、つとめているところでありますが、私も就任以来三回ほど視察してまいりました。今後も、ただいまの御警告の御趣旨に沿って、なお一そう徹底をはかってまいる所存であります。
○委員長(田中寿美子君) 亀岡建設大臣。
○国務大臣(亀岡高夫君) ただいま御決議のありました多摩川等都市河川区域間における私企業などが河川敷を占用しているゴルフ場等については、本来河川が公共用物であることにかんがみ、公園緑地等として一般公衆の自由なる使用に供すべきであると考えており、このたび多摩川については、昭和四十九年度を初年度とする河川敷開放四カ年計画を樹立し、この計画に基づき、私企業の三ゴルフ場を全面開放することとし、また、荒川、江戸川におけるゴルフ場につきましては、すみやかにパブリック化、低料金化等をはかるなどの方針を定め、その具体化を進めているところであります。
○委員長(田中寿美子君) 福田大蔵大臣。
○国務大臣(福田赳夫君) ただいまの御決議につきましては、政府といたしまして十分これを尊重し、各省各庁と密に連絡をいたしまして、御趣旨に沿うよう、遺憾なきを期してまいりたいと存じます。 なお、補助金等の効率的な使用及び租税徴収の適正な執行につきましては、それぞれ御指摘の御趣旨に沿って、なお、一そう適切な措置を講じてまいりたいと存じます。 また、財政投融資の運用につきましては、より詳細な資料により、実績を明らかにするよう、配慮を求められましたが、これにつきましては、すでに四十八年度決算から、運用実績報告書を国会に提出するよう措置してきたところでありますが、引き続き配慮を怠らぬようにいたしたいと存じます。
○委員長(田中寿美子君) 以上で、関係大臣の発言は終わりました。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時六分散会