外務委員会 第9号
- 発言数
- 72 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1974/04/25
会議録
○委員長(伊藤五郎君) ただいまから外務委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 去る十二日、高山恒雄君が委員を辞任され、その補欠として萩原幽香子君が選任されました。また、去る二十二日岩本政一君及び西村尚治君が委員を辞任され、その補欠として山本利壽君及び長谷川仁君が選任されました。 —————————————
○委員長(伊藤五郎君) 欠員中の理事の補欠選任を行ないたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(伊藤五郎君) 御異議ないと認めます。 それでは理事に平島敏夫君を指名いたします。 —————————————
○委員長(伊藤五郎君) 日本国と中華人民共和国との間の貿易に関する協定の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)を議題といたします。 本件につきましては、去る四月四日の委員会におきまして趣旨説明及び補足説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
○田英夫君 最初に、ただいま日中貿易協定が議題になりましたが、これと一連の日中間の友好関係を深めるという意味から非常に重要な日中航空協定が調印をされ、大平外務大臣もその最後の詰めでたいへん御苦労なさっていることに対して、私どもとしても感謝をしたいと思います。同時に、日中問題だけでなくて、アジアの全体の平和友好という意味から、このように日中貿易協定あるいは日中航空協定というものが相次いで締結をされていくという中で、逆に非常に私、気になりますことがありますので、日中貿易協定とやや離れますけれども、お許しをいただいて、まずお聞きしたいと思いますが、すでに新聞などで報道されておりますけれども、隣の韓国で日本人学生が二人取り調べを受けているということでありましたのが、昨日の情報によりますと、逮捕の状態にあるということであります。ただ日本から韓国へ勉強に行き、あるいは、一人は韓国人の奥さんをもらうので、それを迎えに行ったという状況のようですが、そういう人が逮捕されるということになりますと、非常にこれは問題だと思いますが、外務省のほうで、こうした日本人の海外旅行者に対しての安全ということについては、万全の措置をおとりと思いますので、この問題について、どのように情報をキャッチしておられるか、韓国政府とどのような接触をしておられるか、この点を伺いたい。
○政府委員(高島益郎君) ただいま田先生の御質問の日本人学生の問題につきましては、四月五日、この両名の日本人学生が、四月三日の学生デモに参加したという容疑で韓国側に任意取り調べを受けていました段階から承知いたしておりまして、その早急な取り調べの終了と、それから取り調べ終了——済み次第直ちに釈放するようにということで、鋭意折衝を続けてまいりました。その間の事情につきましては、それがまた部外に出ますと、いろいろ韓国側の反響を呼びまして、かえって本人二人たちのためにもならないという観点から、むしろそういう点につきましては、部外に発表することなしに、韓国政府側と早期釈放のための折衝を続けてまいりました。 その後、韓国側の取り調べの結果につきまして、ただいま現在、きょう午前九時に先方のほうで発表されているそうでございますけれども、われわれがその前に韓国外務部から聞きましたところによりますと、先方の言い分では、両名は入国目的以外の活動を行なったという点が第一点でございまして、特に太刀川につきましては学生運動の取材ということで、本人の観光目的での入国という目的に反するという点を指摘しております。また、早川につきましては、留学の目的で入国しているわけでございますけれども、太刀川の韓国学生への仲介をしたという点を問題にいたしております。 それから第二番目には、両名とも、緊急措置第一号に違反して憲法を誹謗したということを申しております。 それから第三番目には、緊急措置第四号の問題でございまするけれども、両名とも学生運動のカンパ資金を拠出した。それから、両名とも学生運動の指導者と接触しながら当局に報告しなかった。さらに、太刀川につきましては反政府ビラを携行していた。また、早川につきましては、先ほど申しましたとおり、太刀川の仲介をしたというような容疑で逮捕されたというふうにわれわれ承知いたしております。 今後も、このような逮捕の理由いかんにかかわらず、両名とも人道的に処理されることはもちろんのこと、できるだけ早く釈放されるように、鋭意折衝を続けたいと思っております。
○田英夫君 これは、一番近い国であるにもかかわらず、したがって、日本からの旅行者は非常に多いわけですが、そういう中で大統領緊急措置という、これはあまり国際的に例のない、つまり法律といえるかどうかきわめて疑問——手続的にも。これは韓国の中では法律と同様に取り扱われ、憲法の条項に従って大統領が緊急措置を出すということのようでありますけれども、その内容は非常に、死刑を含むというような、国際的な常識では考えられ内容で、それを日本人旅行者に適用しているというところに非常に問題があると思います。そして、それが全く一般の旅行者に適用されるというようなことになれば、日韓関係というのは非常に憂慮すべき状態にならざるを得ない。 一方で、韓国で起こっているそうした事態を日本の報道機関が報道すれば、これまた緊急措置令にかかるということで威圧を受けて、たいへん残念なことでありますが、日本の報道機関は韓国の中の実態を報道できない。これは、先日私、報道機関をずっと回りまして話し合いをしてきた中で、幾つかの新聞社の幹部もそういうことを認めておられる。こういう状態が続くということは非常に日韓関係の上で残念なことでありますので、この点はひとつ十分お考えいただきたい。 もう一つは、これも新聞で報道されておりますが、昨日二人の在日韓国人が、一人は例の北朝鮮スパイ団というのの主領であるとKCIAから指名手配になっている人物、これが自分はそんなことは全く身に覚えがないということを言いました。もう一人はその会社にいた若い人ですが、一昨年の十月に韓国でKCIAに逮捕されて拷問を受けた。こういう実態を記者会見で明らかにいたしましたが、これも、日本で生まれて日本に住んでいる外国人の安全が侵されているという観点から、日本政府として放置できない問題だと思います。特に金大中事件に関連をして考えれば、こうしたことを公にしたこの二人の人に対して危険が及ぶということは十分考えられますので、政府としてこういう場合にどういう対策をおとりになるおつもりか、この際伺っておきたい。
○政府委員(高島益郎君) ただいまの問題につきましては、まだ事情を詳しく承知しておりませんので、至急に取り調べの上、適当な対策をとりたいと思っております。
○田英夫君 この問題は、時間がありませんのでこの程度にいたしますけれども、ぜひ、日韓関係をほんとうの意味で正すという、日中貿易協定、日中航空協定という形で中国との関係が進んでいる中で、韓国との関係は最も近い国なんですから、十分御配慮をいただきたいということをお願いをしておきたいと思います。 日中関係でありますけれども、今回調印をされました日中航空協定、当委員会の審議の段取りといいますか、そういうこともありますので伺いますが、大平外務大臣としては、これから与党の中の御議論もあると思いますが、国会にいつごろ提出をされるのか、それの段取りをどういうふうに御計画か、できれば伺いたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) ただいま、これはわれわれ内輪のことでございますが、政調会段階で、調印を済ませました日中航空運送協定を国会に提出することにつきまして了承を求めるべく、政府側からいろいろ御説明を申し上げ、問題点について御討議をいただいておる段階でございます。これが終わりますと、最終的に総務会で御了承を得次第、閣議を開いて、国会提出案件、これはすべての案件がそうでございますけれども、閣議決定を経まして国会に提出する段取りでございます。 国会の提出は、本国会のただいまの会期がたいへん迫っておりまするので、政府といたしましては、ただいまの会期中に提出をいたしまして、それを踏まえた上で国会がこの案件についてどのように御処理をいただきますか、国会の判断を待たなければならぬと考えております。
○田英夫君 この問題、非常に日中間のこれからの関係を進めるという意味で重要であるのは言うまでもありませんし、われわれとしても、一日も早く国会で承認を終わるということのために努力をしたいと思いますが、今度の調印後、一つの問題として残っております台湾との関係、特に航空関係、新しい航空会社をつくって運航をさせるということになっているようでありますけれども、これについての政府の指導、御計画というのがどの程度進んでどういう方向をとっているのか、この際できればお聞きしておきたい。
○国務大臣(大平正芳君) 国交正常化を日中間でなし遂げたあとの段階におきまして、日台間の実務関係、これは航空往来も含めまして、これをどのように維持してまいるかということは一つの大きな問題でございます。そこで、中国側といたしまして、わがほうが外交関係は持つことができなくなりましたけれども、日台間の実務関係はたいへん濃密な関係にございますので、これは国交正常化の原則にもとらない範囲内におきまして維持したいという希望を中国側に表明し、中国側はこれに理解を示しておられるのでございます。今回、いままで日中間には航空往来はなかったわけでございますけれども、共同声明にもございますように、実務協定を急いでいこうという合意がなされまして、いま御審議を願っておる貿易協定はすでにでき上がったわけでございますが、航空協定につきましてもお話し合いを進めてまいったわけでございます。政府といたしましては、この航空協定を結んでまいる上におきまして、先ほどの一般的な了解、すなわち、わが国におきましては実務関係を日台の間で維持してまいるという希望を表明し、先方も理解を示しておるわけでございますが、今度新しく中国民航がわが国に乗り入れるという事態を踏まえて、その一般的な了解を具体化いたしまして、秩序ある姿で安定した維持をはかるということのために、御案内のように、中国側と話し合いをしてまいったわけでございます。その話し合いの中で、日台間の航空往来は民間の航空往来であるという意味におきまして、つまり日本航空でない航空企業体が運航すべきものではないかということで、日中間はナショナルキャリアでございまする日本航空を迎え入れると、日台間におきましては日本航空でないことが——日本航空であってもらいたくないということでございます。したがって、その事業体につきましては、ただいままでのところ日本航空がそのままという姿ではいけないということだけがまずあるわけでございます。それから先のことは、日本政府の問題でございまして、日本政府がそれにどういう事業体をつくり上げてまいるかということは、日本政府の問題でございます。そしてまた、その事業体をどうつくるかということは、実は外務省の問題ではなくて、運輸大臣のお仕事でございますので、その問題について、これはこうするつもりだというようなことは、私の権限外のことでございますので、御遠慮いたしたいと思いますが、そういう問題について、日本政府としてもそろそろ自分の考えを持たなければならぬのじゃないかということがいま課題になっておるということでございます。
○田英夫君 確かに、新しい航空会社の問題は運輸省の所管と思いますが、中国のほうが、日本航空でない航空企業体であるべきだと、こういうことを主張し、その方向で合意ができているということになりますと、外交的な立場からも関連があると思いますが、新航空会社は、日本航空も、会社は変わっても、日本にはまあ定期航空路を持つ力のある航空会社というのは、日航と全日空と東亜国内航空と三つぐらいだろうと理解をしておりますが、そういうものが協力をして、技術的にも、あるいは人材的にも、あるいは資本的にも協力をしてやるならば、名前が変わってもいいのかどうか、名前が変わっていればいいのかどうか。つまりたいへん立ち入って伺いますが、日本航空は全く排除されて、残る二つでつくらないと中国との理解の上でもまずいのかどうかですね。私はなぜこれを立ち入って伺うかというと、台湾との新しい航空会社の問題をめぐっていわゆる利権といいますか、台湾の側に立っていろいろ発言をしておられる立場の方々の中で、単に日中関係が進むことを好まないというだけでなくて、新しい航空会社をつくろうというような企業、何といいますか、利益の問題に結びついて、それが政治に一つの圧力を加えるというようなことがあってはならない、こう思いますので、またそういう動きがあるやに聞いておりますので、伺うのですが、日本航空というのは全く関係してはならないのかどうか。あるいは三社、あるいはその中の日本航空を入れた二社、そういうような形で日本航空が関与してもいいのかどうか、この基本だけ伺っておきたいのです。
○国務大臣(大平正芳君) 私は、まあ外交的接点の問題といたしまして申し上げますが、日本航空という名の会社でなければいいと考えております。で、今度の新航空企業、台湾に将来就航することあるべき航空企業体の中身を、田さんがおっしゃるように、どういうように組み立てるかは、これは運輸省の問題でございまして、私が言及する問題、私が申し上げるべき性質のものではないと思いますが、ただ航空企業というのは、だれが何と申しましても、これは安全運航というものが第一の生命であろうと思いますので、どなたが考えられましても安全運航が保障されるような姿において政府としては考えていくべきものと思っております。
○田英夫君 航空協定が今国会で承認をされると、本日議題になっております貿易協定、続いて航空協定というあと、いわゆる日中間の実務協定といわれるものを、すでに漁業の問題については取り上げつつあるようでありますけれども、そのあとどういう段取りが、どういう問題が続くか、この際伺いたい。
○政府委員(高島益郎君) 漁業協定につきましては、先般専門家レベルでの会議を北京で終わりまして、来月中旬から正式の交渉のための会議を開くという段取りになっております。私どもとしましては、この交渉で政府間の協定が締結されることを希望いたしますけれども、必ずしもこの点については現状では楽観を許しません。 それからもう一つ、共同声明の第九項にあげてあります実務協定の中では、海運協定がございます。海運協定につきましては、日中相互間ですでに草案の交換をいたしまして、それぞれの草案につきましての質疑応答を繰り返しております。したがって、この点につきましては、さきに大平外相が訪中の際に、すみやかな締結の交渉をしたいという希望の提示に対しまして、先方はそれに同意しておりますので、近く交渉の呼びかけをしたいというふうに思っております。
○田英夫君 そこで問題の、本日議題になっております貿易協定、具体的なことで伺いたいんですが、今回の、まあ一般的に通商協定という形になると、本来なら輸出入制限というものを一切しない、まあ無差別な約束をするといいますか、そういうことを含めて、あるいは関税の最恵国待遇という、そういうことを取り結ぶのが通例だと思いますが、今回の日中貿易協定というのは、その点、関税の問題に限られているように思うんですが、この点はなぜそういうふうになっているのか、まず伺いたい。
○政府委員(伊達宗起君) 御指摘の点につきましては、そのとおりでございまして、通常の通商協定でございますと、輸出入に関する最恵国待遇というものが、従来わが国が締結いたしております通商協定には大体において入っております。この中国との貿易協定でございますが、やはり中国との間には現在十数年にわたりまして貿易関係、対共産圏貿易につきましての自由圏諸国における一つの協議がございましたので、それにつきまして、輸出入を含めるということについて問題があるという意識があったわけでございます。 ただ、これにつきまして、中国側から具体的に問題として提起されたということは、交渉中ございませんでした。 そのようなわけで、輸出入に関する最恵国待遇がここには規定されていないということでございます。
○田英夫君 一般的に考えまして、貿易協定、まあ通商協定も条約も同じことだと思いますが、二国間で結ぶ場合は、当然経済的な交流を深めるということを通じて友好を深めようという目的がある。むしろその友好関係を深める象徴として結ぶ場合さえあると。過去の歴史の中でそういうことだと思います。そうなると、輸出入制限に対する最恵国待遇というのが欠落をしている貿易協定というのは、たいへん何か重要な柱が抜けてしまっているという……。いま伊達さんの言われた意味は、ココムの問題が関連をしているからだというふうに言われたと思いますが、これはまあ確かにココムというものがそこに存在をしているんで、輸出入制限、最恵国待遇というのが結ばれなかったんだろう、こう推測はされますが、何が非常に重要な柱が欠落をしていて、しかも日中間のこの問題は、日中友好を促進するということの大きな一環として、まず航空協定よりも何よりも一番先に貿易協定が結ばれたんだと。そういう意味ではたいへん重要だと思いますけれども、そのときに、その友好を象徴するべき輸出入制限の最恵国待遇が落ちているというのは、まことにどうも残念だと思いますけれども、この点外務大臣はどういうふうにお考えになりますか。
○政府委員(高島益郎君) 田先生の御指摘の点、もっともでございまして、先ほど伊達参事官から御説明しましたとおり、一般に通商協定あるいは貿易協定では当然輸出入の最恵国待遇という規定を置くべきものでございまするけれども、また他面、この輸出入に関する最恵国待遇の規定を置きますと、その反射的な側面といたしまして、これの禁止、制限の例外規定を設けなければならない。で、一般的に通商協定では、そういう意味で国際に収支上の理由に基づく制限、あるいは公共衛生上の理由に基づく制限、どうしてもそういう制限的な規定も、他面どうしても規定せざるを得ない、そういうことでございまして、もちろんココムの問題もあるわけでございまするけれども、そういう制限的な規定を書くよりは、むしろ輸出入に関する一般的な最恵国待遇の規定そのものもあえて規定しないというほうが双方のためにかえってよろしいというのが先方の意見でございまして、その意見に私ども従ったわけでございます。
○田英夫君 そうしますと、事実上、この交渉の過程で、協定文の中には輸出入制限の最恵国待遇という条項はないけれども、実際問題としては、輸出入の制限をお互いにしないといいますか、事実上、条項はなくても認めていこうということなのか。その辺は、つまりココムというものの存在を中国がどう考えているのか、日本に対してそこのところを理解しているのか、その辺の関係はどうなんでございますか。
○政府委員(高島益郎君) かりに輸出入の禁止、制限の規定を設ける場合に、もちろんココムという字は出てこないわけでございまするけれども、ココムを意味するような規定が出てくるということはいずれにしても望ましくないというのが先方の態度でございまして、私どもそういう原則論的立場からいたしまして、やはりそういう制限規定を設けることを必然とするような輸出入に関する一般的な最恵国待遇の規定は、むしろこの際あえて固執しないというほうがいいのではないかということでやったわけでございまして、全然それでは日中間の貿易関係におきまして輸出入の禁止、制限がないかといえば、そういうわけではございません。その点は、協定の規定とは別個の問題として処理されなければならないというふうに思っております。
○田英夫君 つまり中国のほうは、交渉の過程で日本がココムに入って制限をせざるを得ない状態にあるということは好ましくないというような、そういう要望なり要求なりというものは出ていないのかどうか。
○政府委員(高島益郎君) 先方からは、ココムということばは一言も出されておりません。これはもうまさに以心伝心でそういうことにやったわけでございます。
○田英夫君 一方でココムをつくってきた中心人物といいますか、中心であるアメリカ自身、実はココムで禁止されている品目を中国へ輸出しているという事実が、一般的な、国民一般の皆さんでも御承知のような問題の中でも実はあると思います。たとえば、ニクソン訪中のときに使いました宇宙中継の機材、これなどは、金額にすればかなりの額になるものですけれども、これを中国に提供——提供というのはつまり現物はニクソンと一緒に持っていったわけですけれども、形の上では輸出をしておるわけですね。明らかにこれはココムで禁止している品目だと思われますし、あるいはコンピューターとか飛行機とか、こういうものを自分のほうはワクからはずして中国へ出している。しかも、日本は貿易協定を結ぶところまで進んでいるにもかかわらず、そのココムの問題にはやはり結果としてとらわれてしまっているというあたりは、いかにもどうも納得ができないんですが、ここの問題は一体どう考えたらいいわけですか。
○説明員(川出亮君) ココム委員会というところで十五カ国が協議をいたしまして、共産圏諸国に対しますコンピューター等の戦略兵器と考えられるものについて、特認が出ました場合は、それを個別に審査して行なっておるわけでございまして、米国だけが全く自由に、かってに戦略物資に該当するものを出す自由を持っておるというふうには私どもは考えておらないのであります。
○田英夫君 そうしますと、外交の大きな立場からいって、ニクソン訪中あるいは日中国交回復、こういう段階の中で、すでに世界はもう変わっていることは言うまでもないんで、ココムというのは、いわゆる過去の冷戦時代の全くの遺物である。にもかかわらず、これに日本政府がとらわれて、せっかくの貿易協定の中で重要な柱を落とさざるを得ない状況になっているというところに問題があると、こう思うわけです。ですから、もうずばりこれは伺いたいんですが、大平外務大臣の御決断で、こういう状況の中で日本はココムから脱退をする、こういう態度をおとりになるつもりはないのかどうか。
○国務大臣(大平正芳君) わが国で一番大事なことは、申すまでもなく、わが国の国際的な信用でございまして、わが国は、外国と約束をしたことに対して、忠実にそれを履行するという国際的信義が一番大事だと思います。 それで、ココム委員会に二十年近くメンバーとしてわが国も参加して、パリで協議に参加いたしておりますが、わが国の態度は、この委員会を通じまして、世界の貿易はいろいろ制限がなくて、よりフリーアーな貿易体制、つまり世界は一つだというような状態にできるだけ早く持っていくことが望ましいということで、いままで鋭意努力してきたつもりでございます。現にこういう仕組みがございまして、その仕組みの中でわれわれは国際信義を守りながら、よりフリーアーな貿易体制に世界全体を持っていくことがわが国の国益でもあるし、世界の繁栄に寄与する道でもあるという行き方をすることが、私はより現実的であり、より効果的な道筋であると考えておるわけでございます。 で、これを脱退したらいいじゃないかということでございますが、それも一つの見識だとは思いますけれども、私ども、目的を、国際信義を守りながら、国益を守り、世界の繁栄に寄与していく道筋をどのように効果的に実際的に運んでまいるかということは、こういう体制でじみちな努力をしてまいることのほうが私は妥当ではないかという考えを持っておりますので、せっかくの御提案でございますが、これから身を引くということは考えておりません。 それからまた同時に、今度の日中交渉におきましても、先ほどアジア局長も申されましたように、ココムということは特に提起されていないわけでございまして、世界全体が、あなたが仰せのように、こういう姿における貿易規制がだんだん希釈される方向にある。それからまた、ココムの規制自体も、いま御説明がありましたように、特認という道が開かれておりまして、わが国におきましても、特認を得まして二十数品目は輸出いたしておるわけでございまして、全然穴がなくてというようなことではなく運用ができておるわけでございますので、私は、いまの状態で実際的に目的は達して得るんじゃないかと考えております。
○田英夫君 まあ、私が脱退をというふうに申し上げたのは実は適当でなかったかもしれません、というか、そういう態度よりも、今回の交渉を通じての中国の態度のように、いわばおとなの態度を中国もとってきている。そういう中で、日本もアメリカも、ココム参加国全体がやはり同じようにおとなの態度になって、結果として世界の平和に大きく貢献をすると、こういうことが望ましいと思いますし、また、日本はそういう中で特に経済的な問題については中心的な役割りを果たせる力も、あるいは国際的な発言力もあると思いますので、つまりココムをもう解体をする。日本だけが脱退をしてしまうというようなことではなくて、事実上も全く有名無実になっているだけではなくて、世界のいまのこの動きとはむしろ矛盾をする冷戦時代の遺物をもうなくそうではないかということを、日本から提起をする。こういうことは日本の国際的な威信を高め——威信といいますか、信頼感を高める上でもたいへん重要なことではないか、こう思いますので、私はむしろ、脱退という非常に極端なことを申し上げましたけれども、ココムを解体するということを提案するおつもりはないかというふうに質問をし直したいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(大平正芳君) 十五カ国が集まりまして、共産圏に対する貿易制限というような問題につきまして、現実に即していろいろ討議をしてまいってきておるわけでございますが、そして、そういう仕組みができました当時に比べまして、全体としてだんだんと緩和の方向に向いてきて、オクターブもだんだん下がってきておりますことは、いま申し上げたとおりでございます。それからまた、そういう国々が集まりまして、こういう仕組みを通じまして十分意思の疎通をはかってまいるということは、対共産圏貿易ばかりでなく、全体として世界貿易の問題につきましていろいろ意見を交換する機会を持っておるわけでございますので、あえてこれに終止符を打つということよりは、まあ、この仕組みの中で実際的に処置してまいりながら、よりフリーアーな貿易の方向にだんだん持ってまいる努力をするほうが私はむしろ選ぶべき道でないか。そこが若干あなたと見解が違いますけれども、政府の立場もございますけれども、御了承をいただきたいと思います。
○田英夫君 この問題は、私は、ココムをこの際解体する指導的な役割りを日本政府がお果たしになれば、国際的な日本の信頼感を高めるという上で非常にいい一つの外交になると、こういうふうに考えますので、また、これはあらためて別の機会にお話をしたいと思います。 たいへん技術的なことですけれども、今回の貿易協定の中には、入国、滞在についての条項が入っていないと思います。通常ですと、こういう条項があって、いわゆる商社の人たちの活動が初めてやりやすくできるということだと思いますが、これは、中国の国情もあることだとは思いますけれども、これが入っていないいきさつですか、原因ですか、この辺はどういうことですか。
○政府委員(伊達宗起君) 一口に通商協定と申しましても、いろいろ、わが国の結びました通商協定の中には、海運条項を含んだのもあり、ないしは入国、滞在を含んだものもありますし、それから、ないものもあるというようなパターンでございまして、通商協定ないしは貿易協定といったからといって、必ずしも出入国、滞在をきめているものばかりとは限っていない、むしろ出国入国、滞在をきめていないほうが多いのではないかということでございます。ただ、御指摘のように、中国との間で出入国、滞在の問題について規定することができればさらによかったのかもしれませんが、今回の場合は、むしろ、出入国、滞在の問題は、海運ですとか、その他広範な他の分野とも、この貿易協定の対象外になってくる分野とも関連いたしてきますので、この協定ではカバーしないで、今後、日中貿易の量的拡大に伴いまして、両政府間で話し合っていきたいという考えで、出入国、滞在についての規定は設けないこととしたわけでございます。当面、私どもといたしましては、この協定におきます混合委員会がございますが、設置されました暁には、もし何か入国、滞在問題について具体的にケースが持ち上がったような場合には、このような場を通じても両政府間での話し合いができるのではないかというふうに考えております。 —————————————
○委員長(伊藤五郎君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、加藤シヅエ君が委員を辞任され、その補欠として茜ヶ久保重光君が選任されました。 —————————————
○田英夫君 もう一つ、技術的なことで伺いたいのは、いわゆる工業所有権の保護に関する条項がやはりこの協定にはないと思いますが、これもまあ、中国の国情ということがありまして、自由諸国との違いがあると思いますけれども、日本から輸出される製品の特許権というようなものが中国で一体どうなるのか、この辺は話し合いが出ておりますか。
○政府委員(伊達宗起君) 工業所有権につきましては、問題意識といたしまして両国間に話し合いといいますか、話題に持ち上がったことはございます。ただ、両国間では、今後の問題として話し合っていこうという了解が成立しておるのが現在の段階でございまして、実情は、中国側において工業所有権保護に関します国内法制が整備されていない、したがって、もうしばらく様子を見て待ってくれということでございますので、将来の問題として残されているということでございます。ただ、商標権の保護につきましては、これは工業所有権全般の問題よりははるかに容易に解決できるのではないかということで、ただいま日中間で話し合いが続けられている段階にございます。
○田英夫君 これは、中国のほうは商標権にしても、あるいは個人が発明したものも、すべてそれが国家にその権限が帰するというような状況がありますから、同時にまた、自由諸国の場合のように、そうしたものが中国で侵されるという、向こうの中で侵されるという懸念はないといっていいと思いますので、そう私も心配はしませんけれども、ただ、これから貿易が拡大をしていく状況の中では、そうした問題も、中国を経由して、また自由諸国へ移っていくというようなこと、悪用のおそれがあり得るんじゃないか、こういうこともありますので御質問したわけですけれども、時間がありませんから、最後に、この問題に関連をして、あらためてまた、重ねて日中航空協定の話し合いについて外務大臣のさらに大きな御努力をお願いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○黒柳明君 貿易協定につきましてはわが党は異論はなく、また、田先生からいろいろ質問がありましたので、私重複を避けたいと思います。 ちょっと委員会がダブっておりますので、簡単に三問だけお聞きしたいのですが、一問は、先般の公電の脱漏を調べるということ、中国側からは特別に云々ということもなかったようでありますけれども、やはり国際信義上これは重要な問題でありまして、今後二度とこういうことが起こってはならない問題でありますが、調査の結果はどうなったか、御報告を願いたいと思います。 それからもう一点は、与党内部の問題にせよ、新聞によりますと、報道によりますと、連休前に採決したい、衆議院の外務委員会で。あるいはきょうの報道ですと、連休終わってからになるだろう、非常にやっぱり与党内部の事情で大きく流動的にゆれているわけですが、与党内部の調整というのは、きょうじゅうに見通しがつくのですか。あるいは外務大臣としては、当然延期されるであろう会期中に批准すればいいんだと、こういう考えなのか、それとも、一日も早くやっぱりやらなければならないのか、その点ひとつもう一回この時点で、与党内部の調整がどうなっているのかということと、外務大臣の決意のほどを聞きたいわけです。 それからもう一点は、いま田先生のお話がありましたけれども、台湾乗り入れについて、外務大臣が、日航という名前がなければいいのではなかろうかと、こういうお答えでしたが、そうすると、あくまでも形式的な点だけで解決するのか、一部によりますと、日航の子会社がつくられるのではなかろうかと、こういうことも報道されておりますけれども、そうなると、実質的に日航であっても、系列、傍系であっても、日航という名前だけがなければいいと、こういう大臣の発言ですと、あくまでこれは完全に形式的なものだけが要求されているのか、ここらあたりどうでしょうか、三点ひっくるめてひとつ簡単にお答え願います。
○国務大臣(大平正芳君) 公電脱漏事件というもの、公電脱漏事件というおことばでの御質問でございまして、これは公電が脱漏されたものかという点も、これは非常に厳密に調査しなければならぬわけでございまして、公電脱漏と言えるか言えないかもいまの段階では言えないわけでございますけれども、問題は、国家公務員法上の問題といたしまして、政府部内でいま慎重に調査中でございます。事実をまず正確に把握しないと判断が出てこないわけでございますので、いま調査中であるということでひとつ御了承をいただきたいと思います。 それから第二の問題でございますが、与党内部の調整は、先ほど田さんにもお答え申し上げましたように、本日の午後なお政調段階における御審議がございます。それが済みまして、総務会の段階でおとりまとめをお願いしなければならぬわけでございます。で、私は、たびたび本委員会にも申し上げましたとおり、今国会中に御審議を願うようにいたしたいという希望を終始申し上げてまいったわけでございます。ところが、今国会の会期も二十九日ということにきまっておりまするので、今国会の会期をどうされるかということは国会の問題でございますが、国会がこの会期を御延長になられる御判断をされるのかどうなのか、その場合に、その他の案件も含めまして本件も議題の対象になり得るのかどうかということは、政府がこの案件を国会に提案しないと、それは問題になりませんので、与党内の調整は国会の御判断を仰ぐまでには終えていただかなければならぬのではないかということで、せっかくいま急いでおるわけでございます。その後の、採決をいつにするかどうするかということは、これは国会の問題でございまして、私から申し上げる筋合ではないと思います。 それから、日航の問題でございますが、私は外交の立場から申しまして、日航という名のつく国際航空企業体でないということだけが、正常化後の状態において、正常化の原則とワク組みの中において日台航空往来を安定的に維持していく場合において、今後末長く中国からこれに対してとやかく文句がつかないということは十分私としてはやっておかなければいかぬ仕事でございますので、鋭意話し合いをいたしまして、結果、日航という名の航空企業体でないということであればいいと断わっているわけでございまして、しかし、日航という名の航空企業体の中身はどうかということになりますと、先ほど田さんにもお答え申し上げましたように、これは航空政策上の問題であって、外交政策の問題ではございませんので、私から御答弁申し上げることは立場にないということでございます。
○星野力君 まず、外務大臣に政府の対外援助方針について二、三お聞きしたいと思います。 ことしの一月に、田中総理が、今後国際経済協力を政府主導型に切りかえていくということを言われましたが、政府主導型に変えていくということはどういうやり方をすることでしょうか、外務大臣にお聞きしたい。
○国務大臣(大平正芳君) 星野さんも御案内のように、日本の対外援助は、これまで量的には、先進諸国に比べまして決して見劣りのない量的な援助はいたされておるわけでございますけれども、その中身を点検いたしますと、政府援助というものが、ほかの国々に比べましてたいへん見劣りがする状態にあるわけでございます。この状態は、世界の世論から申しまして、世論の批判にいつまでも耐えられる状態ではないと思いますので、まず政府援助の増額ということ、そしてその質的——つまり条件の改善ということにつとめなければならぬということは、わが国の対外援助方針の大きな一つのこれからの道標にならなければならぬと考えておるわけでございます。したがって、田中さんの言われた趣旨のものも、政府援助というものに相当力点を置いておかなければならぬという、そういう背景を踏まえて御発言になられたものと私は承知いたしております。
○星野力君 総理のそういう発言のあります少し前、すなわち、十二月の第七回日韓定期閣僚会議におきまして、今後の対韓援助は民間重点でやるという方針を打ち出されたと思うのですが、それとの関係はどうなりましょう。
○国務大臣(大平正芳君) 韓国は、韓国みずからが、すでにおととしの第六回定期閣僚会議のコミュニケにも明らかに示されているとおり、第三次五ヵ年計画が満了するまでには政府援助という姿のものがないように、民間の経済交流でもって経済の自立ができるようにしたいという、韓国政府みずからが、自主的にそういう御方針をきめられておるわけでございますし、われわれもそれを歓迎するわけでございます。すなわち、韓国のように、発展途上国ではございますけれども、すでにもう経済も離陸の段階になっておる国は、もう政府間の援助という姿でなくて、もう普通の意味の民間の経済交流で事足りるように、すなわち、先進国と先進国の間のような経済交流のパターンにだんだんなっていくということは望ましいことでございます。したがって、そのことは、政府が政府援助に重点を置くという意味は、先ほど申しましたように、グローバルに考えまして、発展途上国、しかも後発発展途上国が非常に多いわけでございますから、それ全体を踏まえて、その中で政府の援助というものに力点を置いて、だんだんこれを増し、それから条件も緩和していかなければいかぬということはそれとして、基本の方針としてわれわれは踏まえていかなければいかぬが、同時に、韓国のようにもう離陸の段階までまいりますと、そういう政府援助という姿のもの、政府間の経済協力という姿からだんだん脱却していくということになるのは、これ当然の道行きでございまして、前者の方針とは矛盾していないと私は考えております。
○星野力君 よろしゅうございます。台湾との場合はどうでしょう。
○国務大臣(大平正芳君) 台湾との関係におきましては、政府間の関係が一切絶たれたわけでございまして、民間の経済交流ということにゆだねられておるわけでございますので、そういう問題は起こらないわけでございます。
○星野力君 今回の日中航空協定で、日台間の貿易その他の経済交流への影響はどういうことが考えられるでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) 今度台湾当局がとられた日台間の航空オペレーションの停止措置でございますが、それはその範囲だけにとどめまして、日台双方ともその他の人的交流、経済交流というものには何ら変化を与えるものではないと私どもも理解いたしておりますし、先方の当局もそのように理解いたしておるものと確信します。
○星野力君 日中の国交回復後、この日中貿易は大きく伸びてきておりますですね。一九七二年に比べまして七三年輸出入合計では、計算してみますと一八三%になっております。一方、日台貿易のほうもこの間に輸出入合計では一六七%になっておる。日中貿易にほとんど劣らぬような速度で日台貿易も伸びておる。そして総額においては依然として日中よりも日台貿易額のほうが多いわけでありますが、日台貿易の今後の見通しについてどういうふうにお考えになっておられますか。
○政府委員(大石敏朗君) 貿易の見通し、いろいろ条件がございますので非常にむずかしいわけでございますが、私どもといたしましては、従来続いてきた傾向とほぼ似たような情勢は、今後も続くのではないかというふうに考えております。
○星野力君 そうすると今後も大幅に伸びていくと、こういうことになると思うんでありますが、それから日中国交回復後、日本企業の台湾への投資が大きぐ増大しております。四十八年は十二月までの数字がここに出ておりますが二千六百万ドル、四十七年度が一千万ドルでありますから、大きな伸び方でありますが、これは日中国交が正常化したあとにおいて急速に伸びておる。日台間の台湾への投資が急速に増大しておる。一見奇妙なんでありますが、これはどういう性質の投資がふえているか、こういうふうに投資が急増しておる原因はどこにあるか、どういうふうに理解したらいいのか、ひとつ御説明願いたいと思うんです。
○政府委員(大石敏朗君) いまその投資の内容につきまして具体的資料を持ち合わしておりませんので、あまり的確なお返事はできないわけでございますが、一時国交の問題もございまして手控えておったというようなものが、事態が安定するに従って出てきたのではないかというように一般的に考えられるわけでございますが、個々の案件につきまして、ちょっと具体的な資料を持ち合わしておりませんので、内容につきましてはあまり的確に御返事ができないのは残念であります。
○星野力君 三菱系の進出が非常に大きいということを聞いておりますが、そうですか。
○政府委員(大石敏朗君) 具体的な資料は持ち合わしておりませんけれども、一般的な話としてそういうふうに私も承っております。
○星野力君 一、二でいいですが、具体的な業種、どんなものですか。
○政府委員(大石敏朗君) いま手元に資料を持ち合わせておりませんので、もし必要であれば調べまして御報告したいと思います。
○星野力君 じゃそうしてください。 これはいまも御答弁にありましたけれど、日中の国交が回復しまして、それによって安心して台湾に投資できるようになったというような条件があるんではないかと、こう私たちも考えるわけでありますが、その間に、中国政府から台湾における日本企業の権益について何らかの保障のようなものが得られたということでしょうか。直接衝に当たられた大臣いかがでございますか。
○政府委員(高島益郎君) 日中国交正常化後の日台貿易自体につきまして、国交正常化の時期前後に中国側から具体的な保障があったということはもちろんございません。ただ、一般的に国交正常化の交渉の過程におきまして、国交正常化後の日台関係全般について先方の理解を求めてあるということでございます。
○星野力君 先方から何ですか、聞こえませんでしたが。
○政府委員(高島益郎君) 日中国交正常化後も、日中間の基本的な関係をそこなわない範囲での日台間の実務関係を維持していくということについての日本政府の希望と、これに対する先方側の理解を得ているということでございまして、具体的に貿易関係について個々に保障とか何とかというようなものは全然ございません。
○星野力君 そうしますと、この台湾における日本企業の活動、そのまた権益に対して中国政府が、何といいますか、黙示の承認といいますか、そういうものを与えているというふうに理解していいことになりますね。
○政府委員(高島益郎君) これは日本政府自体が判断すべき問題で、要するに、われわれは中国を代表する政府としての中華人民共和国政府を選んでこれとの国交を正常化したわけでございますので、この基本的関係をくずすわけには絶対いかない、そういう範囲内でどういうことができるかということを常にわきまえながら、日台実務関係を進めていくというのがたてまえでございます。
○星野力君 いまの御答弁は私の理解を御承認になったことだろうと思って先へ進みますが、日中国交回復後、台湾との間に日本政府としての援助というものがないということを言われた。借款とか、延べ払いとか、民間投資での輸銀使用というようなものもやられておらないというふうに私たち理解しておりますし、経済協力基金のほうもそういうことをやっておらないというふうに理解しておりますが、そうであるかどうか。そしてそうであるとすれば、今後もそういうところの資金は台湾との関係では使わないという方針を堅持なさるのかどうか、お答え願いたいと思います。
○説明員(谷村昭一君) 若干現状を御説明申し上げますと、経済協力基金は台湾政府に対しまして曽文水庫プロジェクトと高尾港の第二港口プロジェクトにつきまして百二十五億円の借款供与を承諾しておるわけでございます。現在四十九年三月末で百十六億円の貸し付けを行なっております。この曽文水庫につきまして、四十八年十月に完成いたしまして、貸し付けを完了いたしておるわけでございます。それから高尾港のほうは、現在四十六年六月に完了いたしておりまして、新しく政府借款という形で今後台湾に対しまして基金から援助をいたすということはございませんが、従来基金が約束をいたしました借款契約に基づきます分につきましては、実行をいたしておるというのが現状でございます。
○説明員(山田幹人君) 四十七年の九月の日中の外交関係樹立以後、昨年の十二月末までの輸銀の台湾向け融資でございますが、合計で六十四億円の融資承諾を行なっております。内訳は、輸出金融が三十三億円で直接借款が三十一億円となっておりますが、この直接借款は、外交関係樹立以前の四十六年八月九日付の交換公文に基づきまして、四十七年六月二十三日に締結いたしました貸し付け契約の実行といたしまして承諾を行なったものでございます。 なお、台湾向けの延べ払い輸出に伴います輸銀融資につきましては、具体的案件に即しまして、延べ払い条件その他諸般の事情を慎重に勘案しながら処理するという考え方でまいっております。
○星野力君 質問のもう一つの点でありますが、新規の承認はやらない、やっておらないということなんですが、この方針を政府としては今後も堅持されるかどうかという点ですね。
○国務大臣(大平正芳君) 先ほど私が御答弁申し上げましたように、政府の直接借款というものは国交正常化以後はいたしておりませんし、今後もいたすつもりはありません。
○星野力君 日中国交回復後、日台間の外交関係はなくなったわけであります。相互の大使館の看板はおろされた。しかし、今後の日中航空協定問題でも示されましたように、事がありますと、前台湾駐在大使が政府の命を受けて日台間を往来しておるというのが実情であります。実際的には二つの中国的外交が行なわれておると思うのであります。経済関係について、いまのお話もありましたように、政府としての援助はやられておらない、今後もやらないということでありますけれども、貿易の状態を見ましても、投資の状態を見ましても、まさに二つの中国的な交流が行なわれておると思うのであります。そういう現実に対して中国政府はどういう態度をとっておるのか、反発的な態度はとっておらないのかどうか、簡単でよろしゅうございますが、ひとつその点。
○国務大臣(大平正芳君) 先ほどもお答え申し上げましたように、日中国交正常化交渉の際に、この措置をもって一つの中国を代表する唯一合法政府として中華人民共和国政府と外交関係を樹立するという選択を行ないました。しかしながら、台湾との間には、従来たいへん広範にわたって外交関係以外の実務関係が今後も続くわけでございますので、日本政府といたしましては、正常化の原則にもとらない範囲でこれを維持してまいりたいという強い希望がございますということに対して、中国側は理解をいたしますということでございます。すなわち、一般的にそういうわがほうの希望の表明と先方の理解の表明という形においてその後の日台関係が安定的に維持できたわけでございます。それで今後、この基本の理解というものを具体的なケースにおいてどのように措置してまいるかということが、今度の航空協定交渉の際に、その具体化という姿において日中間でいろいろ話し合いを行ない、そういうことにつきまして十分台湾側にも理解を求めなければならぬという意味での接触が行なわれたわけでございまして、私どもといたしましては、当然なすべき仕事をやっておると、筋道をたがえておるものとは考えておりません。
○星野力君 時間が来ましたから終わりますけれども、なかなか深い問題をこれは含んでおると思うのでありますけれども、たとえば、航空協定の締結から今後さらに日中関係の正常化がいろいろの形で具体化していった場合に、台湾がどういう反応を示すか、中国側が、中国政府がどういう態度をとるか、なかなか予断を許さない問題もあろうと思うのでありますが、たとえば、台湾側が経済断交というような措置に出てくる可能性もなきにしもあらずと思うのでありますが、その辺のことについて、可能性があるかどうかとお聞きしてもわかりませんと答えられるだろうと思いますし、これで私、きょうは終わっておきます。
○委員長(伊藤五郎君) 他に御発言もなければ、本件に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(伊藤五郎君) 御異議ないと認めます。 それではこれより本件の討論に入ります。——別に御発言もないようですから、これより採決に入ります。 日本国と中華人民共和国との間の貿易に関する協定の締結について承認を求めるの件を問題に供します。 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(伊藤五郎君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(伊藤五郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午前十一時二十八分散会 —————・—————