予算委員会 第10号
- 発言数
- 236 件
- 登壇者
- 23 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1974/02/02
会議録
○荒舩委員長 これより会議を開きます。 昭和四十九年度一般会計予算、昭和四十九年度特別会計予算及び昭和四十九年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、総括質疑を行ないます。八木一男君。
○八木(一)委員 私は、日本社会党の立場でこれからいろいろと御質問をいたしたいわけでございますが、その前に、総理大臣からひとつ確認をいただきたいことがあります。 当然、日本国憲法に基づいて、国権の最高機関も行政府もあらゆるところが問題を推進しているわけでございますが、この際に、憲法を守ってその各条章を完全に実施する、その姿勢で政治に当たっておられなければならないと思いますが、その点について、内閣総理大臣から明確に御答弁をいただきたいと思います。
○田中内閣総理大臣 憲法は国の基本的大典でございまして、これを守らなければならぬことは申すまでもありません。特に内閣は、公務員としてこれを厳に守っていかなければならない。当然のことでございまして、順守してまいる決意でございます。
○八木(一)委員 いま、守るのは当然でありますが、この憲法各条項を完全に実施する、そういう姿勢でやっていかなければならないと思います。その点についての御見解を伺ったわけでございますが、総理の御答弁にその点も含まれていると思います。 その意味で確認をいたしまして、その中で、特に日本国憲法の第三章に規定されております基本的人権に関係する諸政策、たとえば社会保障政策であるとか、あるいはまた同和問題の完全解決、そのような諸政策については、そのときの経済事情や財政事情や、そういうものにとらわれることなく、これの解決のために、これの推進のために政治を進めていかなければならないと思いますが、基本的な、原則的な点について、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
○田中内閣総理大臣 憲法の精神を守ることはもちろん、各条章に対しても、これを忠実に履行しなければならぬことは言うをまちません。 ただ、財政事情その他全然無視をしてということではなく、財政のワクの中で施策が行なわるべきことはもう当然でございますが、精神的に、財政、予算編成やその他を行なう場合においても、憲法の精神を十分そんたくをしながら、この精神が実行できるように最善の努力を払うべきことは言うをまちません。
○八木(一)委員 先ほど私の例にあげました問題について、これから具体的な御質問に入りたいと思います。 私どもの申します部落の完全解放、同和問題の完全解決という問題については、岸内閣以来、国会を通じて内閣と国民の公約ができ上がっているわけであります。そのことは、どの政党が内閣を組織しても、何びとが内閣総理大臣になろうとも、この問題について全面的に対処をしていくということであって、岸さんの当時から、次々の総理大臣に完全にそのものを申し継いでいくという公約がございます。そのことが引き継がれてまいりました。池田内閣あるいは佐藤内閣が引き継いでまいったわけでございますが、それから田中内閣になったわけであります。 昨年の予算委員会の一般質問で、三木副総理や、あるいはまた二階堂官房長官や坪川総務長官から、その方針について、特に大事な時期であるので、いままでよりもさらに積極的に熱意を込めてやっていく旨の御答弁が明確にございました。本日、その最高の責任者である田中首相がおられますので、その点について、ひとつ積極的な決意の表明をいただきたいと思います。
○田中内閣総理大臣 憲法第三章の基本人権を守らなければならぬ、これはもう当然のことでございまして、言わずもがなのことでございます。新しい憲法の一つの大精神ともいうべきものでございます。 それから、同和対策その他につきましては、歴代内閣が所信を明らかにいたしておるとおり、これと積極的に取り組んで、これが環境の整備、諸施策の強力な遂行を実行しておるわけでございますが、この内閣も、十分なる理解と配慮のもとに積極的な施策を行なってまいりたいという基本的な考え方を明らかにいたしておきます。
○八木(一)委員 総務長官にお伺いをいたします。 ただいま、この同和問題の完全解決、私どもの申します部落の完全解放の問題について、非常に重要な時期でございます。特別措置法が規定されてから第五年目になっておりまして、前期が終わって後期に入ろうというところであります。前期の問題が、ある程度対処をされたけれども目標どおりいっていないということは、説明を申し上げなくとも、担当大臣の総務長官は十分に知悉をしておられると思うわけであります。後期について、ほんとうに積極的に問題を推進していかなければならないわけでございますが、その基礎となっております、昨年の閣僚協議会で報告をされました昭和四十六年度の実態調査の数字が、たいへん不完全な内容であるということは、担当大臣はすでに御承知であろうと思います。この問題の完全な解決をするためには、就職の機会均等あるいは就学の機会均等、関係産業の振興等が一番基本の問題でございますが、あのとき報告をされた四千七百三十三億円という総量の問題は、大部分がいわゆる環境改善に属する問題だけであって、根本的な解決を推進するに足るものではございません。しかも、その環境改善についても、熱心な府県市町村では、その政府の調査に対応をして、熱意を込めて計画を推進をしようとしている。しかし、不熱心なところは、その事業量も非常に少ない。非常に許しがたいところは、問題を推進しなければならないことがあるのに、そのようなものはないという報告をしたような府県すらある。問題に対処をしなければならない地区がたくさんあるのに、それを十分の一ぐらいにしか報告をしない、対処をしないという府県もあるというようなことでございまするから、その環境改善だけでも非常に不十分な問題であります。 そういうような不十分な調査のもとに総合計画を進めても、問題は解決するはずはございません。したがって、これについて再度徹底的な調査をする必要があろうと思うわけであります。四年ごとにやっておりまして、来年が調査の年に当たっておるわけでございますが、早めて本年からそれをする必要がある、あるいは少なくとも強力な補完調査をする必要がある、そのことによって、ほんとうの役に立つ総合長期計画を早急に樹立する必要があると思うわけであります。そのことについて、総務長官の積極的な御答弁をいただきたいと思います。
○小坂国務大臣 お答え申し上げます。 ただいまの同和地区調査につきましては、御指摘のように、四十六年の調査の際には、三十二県が協力をして十二県が未報告になっております。これらにつきまして、総理府といたしましても、未報告の十二の県に対して、これをさらに推進してもらいたいということをいろいろな形で推進をしておりますが、この中で、一県だけが昨今の補完調査に協力をしてくれるようになっております。他の十一県につきましては、なおまだ積極的な姿勢をとってもらっておりません。 この点につきましては、八木先生御指摘のような点で不十分であったというふうに私も考えておりますが、いずれにいたしましても、この四十六年の調査におきましては、物的の施設については、三十二県の調査を基礎に四千七百三十三億円の事業量を一応概定いたしまして、それに基づいて予算措置を組み、今日までまいっております。 しかし、御指摘のように、なお十二県の問題が残っておるというようなこともございますが、なおこの三十二県の調査でも不十分な点がございますので、現在、未報告のところが一県参加しまして、十一県が補完調査をやっております。しかし、四十九年度におきましては、私らはこうした問題をさらに越えて、単にこの同和問題は物的な問題だけじゃない、施設の問題ももちろん重要でございますが、それ以上に、いま御指摘のような精神的な面も非常に重要なことがございますので、そうしたことを含めて、四十九年度の予算に対しては、総理府といたしましては、同和対策室を新設いたしたり、あるいはまた、今年度の事業の一つといたしましてモデル県の精密調査をいたしまして、さらに精密な調査をしながら、物的なものと同時に精神的なものを含めて、この事業の重要性を十分認識して、今後の対策をよりよいものにしてまいりたいというふうに考えて努力をいたしたいと思っております。
○八木(一)委員 総務長官に集中的に五、六分質問しますので、近くにいらしてください。 いま、はっきりした御答弁がございませんでしたけれども、再調査をできるだけ早くやる、それからいま補完調査を強力にやるということを、ぜひやっていただかなければならないと思います。 そのことと続けて要求をいたしておきたいと思いますが、同和対策事業特別措置法ができましたのは昭和四十四年でございました。その当時は、その前年の四党協議会でその問題を練ったわけであります。熱心に練って、そうして熱心に総理府もそれをもとにしてつくられたわけでございますが、その後、この問題の解決のために、こうしたほうがいい、こういう方法がいいということがどんどん出てきているわけであります。したがって、いま四十九年、今度は後期に入るときに、同和対策事業特別措置法をさらに補強する、そのような改正を考えなければならない時期に際していると思いますが、その改正について積極的にひとつ御推進をいただきたいと思いますが、御答弁をいただきたいと思います。
○小坂国務大臣 ただいまの特別措置法の改正の問題でございますが、ちょうど本年から後期にわれわれの計画が入ります。基本的にも、また長期計画の基本政策にも明確にしておりますように、前期は一種の地ならしである、後期は、その地ならしを受けて、具体的にさらに総合的な成果をあげるというふうに規定されておりますので、私はそうした方向で努力をしてまいりたい。 同時に、先ほどちょっと触れましたが、そうしたことに対応するための同和政策の対策室を新たにつくるというようなことで、総合的な成果のあがる努力をいたしてまいりたいと思っておりますので、いまこの際に、直ちに特別措置法の改正ということは、現時点では、もう少し積極的に進める考え方をいま持っておりません。 それから、先ほど御答弁漏れましてあれですが、全国の一斉調査は四年目ごとにやっておりますので、昭和五十年がその年に当たりますが、私といたしましては、この調査をさらに、前回の四十六年のものの不備がよくわかっておりますので、それを補完して五十年にはもっと詳細な、そうしてまた、今年いたします精密調査の実績を踏まえて努力をしてまいりたいと考えております。
○八木(一)委員 いま、特別措置法の問題について少し聞こえにくかったのですけれども、あまり積極的でない御発言がございました。 これは、この問題を審議、協議をしておる同和対策協議会においても、すでに提起をされつつある問題であります。協議会が提起をしなくても、この重要な問題をあずかっておられる総理府としては、特別措置法の改正について積極的に取り組まれなければならないと思います。いまの御答弁ではたいへん不満であります。特別措置法の改正について積極的に取り組まれるように、いまの時点で決意を改められて御答弁を願いたいと思います。
○小坂国務大臣 この措置法の改正に関連いたしましても、同時に審議会の期限がこの三月三十一日で切れますものですから、この審議会をさらに、措置法並びに長期計画に合わせて、五十三年までのさらに五カ年の延長を、今度の総理府の設置法の改正の中で国会にお願いしているわけでございますが、私は、いま特別措置法の改正を全く必要としないということを申し上げたわけじゃないんで、さらにその審議会等のあれ並びに調査の結果、並びに同和対策室の努力、そうしたものを踏まえまして、もしも改正する必要があるならば、そういう問題について、決してうしろ向きではないということをお答えしたいと思います。
○八木(一)委員 審議会と言われましたが、協議会でございます。協議会で当然その問題がいま審議のルールに乗っているわけでありますから、その結論が早急に出ますように、総務長官のほうもそういう要請をせられまして、そうして早く特別措置法の改正というものが提出されるように、最大の御努力をしていただきたいと思います。 さらに、その特別措置法の改正がない前に、いま法律と一体になって運用をされているいわゆる確認事項がございます。その確認事項について、そのとおりやられていないわけであります。 この確認事項というのは、与野党で折衝をしまして、質問もちゃんとそのとおりの文言で質問をする、それに対してそのとおりの、決定をした方向で答弁をするということであって、そのときに、その質問者なり大臣が、思いつきで質問をし、思いつきで答弁をしたものでなくて、法律の運営上一体となる確認事項であります。 この確認事項の中で一番大事なものは、一番最後に締めくくりとして床次総務長官から確認をされ、さらに当時の佐藤内閣総理大臣が再確認をされたものでありますが、この法律は積極的に活用していくということであります。法律を積極的に活用していくというそのような確認事項がありながら、その確認事項、あるいはまた法律の運用のしかたを、消極的に狭義に解釈をして運用されているところに、非常に隘路が出てくるわけであります。したがって、この問題の解決の実際上の努力を地方自治体にしわ寄せをして、第一義的に責任を持っている国のほうが責任を転嫁をしている、そういう状態が起こっているわけであります。そういう確認事項がほんとうに実現されるように、総務長官としても御努力にならなければなりませんが、その問題について、大蔵大臣と厚生大臣に伺っておきたいと思います。 実は、福田大蔵大臣はその当時も大蔵大臣でございました。私の質問に福田大蔵大臣が御答弁になりました。その中には、土地の買収費、その先取り、先行取得の問題を含めて、土地の買収費とそれから整地費、そういうものは絶対に対処が必要である。土地のほうができなければ、上屋ができるような体制になってもほんとうは問題が進まないということから、その土地について、国の補助の必要があるということについて質問をしたわけであります。それについて福田さんは、御説のとおりであるということを言われて、それからあと、補助になじまないもの、補助の対象として適当でないものについては、起債その他でもってこれに充てるという御答弁をなさったわけであります。その文言は、補助が原則であって、補助について適当でないものについては起債を充てるという文言であります。これはそのとおりの文言でございますから、福田さん、少し前のことですけれども、私の言ったことをそのままお受け取りをいただきたいと思う。 ところが、それを各官庁がわざと狭義に、また曲解をして、逆にしているわけです。土地に対する補助というものは適当でないから、起債をもってこれに充てるというふうに、とんでもない、けしからぬ読みかえをしているわけであります。補助というものが本則である、それの適当でないものについては、起債をもってこれに充てるという確認であります。それを、うしろのところを拡大解釈をして、土地に対する補助は適当でないから起債をもってこれに充てるというふうに曲げて読んで、それを強行している状態があるわけであります。とんでもない状態であります。中にはこれを正当に読んで要求しても、ほかの相手の官庁がそれを曲解しているからなかなか通らないというようなことで、その要求を、へっぴり腰でしないという状態で問題が進んでおりません。 特に厚生大臣に言っておきたいわけでございますが、たとえば、この同和対策の中で一番最初に手がけられたのは隣保館であります。その当時厚生省は同和対策の窓口官庁でありました。その隣保館の土地に補助が出ていないわけであります。建物にはもちろん特別措置法の規定に従って出ております。土地に出ていない。こんな仏つくって魂を入れずの状態であります。こういうことはとんでもないので、昨年七月の社会労働委員会で、当時の担当者であります坪川総務長官にこの問題を質問をいたしました。まともに解釈をされまして、それはいけない、そのほんとうの確認事項に従ってやることが内閣の意思である、政府の意思である、それを行政官庁はひん曲げて、狭めてそういうブレーキをかけているのはとんでもないから、内閣としては各官庁にその間違いを正して、ほんとうの確認事項に従って、積極的に問題が進むようにやっていくということを坪川総務長官から御答弁をいただいているわけでございますが、この問題については、問題を提起してからなかなか時間がかかるわけであります。佐藤内閣総理大臣が、特別措置法をつくると言われてからでき上がるまで三、四年かかりました。たとえば北海道の方は、善意であってもなかなか理解しにくいということがあります。したがって、官庁なりいろいろなセクションに理解の少ない人があれば、そこでストップになって時間がかかるわけであります。坪川総務長官がそう言われましたけれども、それからの努力の実がまだ結んでおりません。 ですから、これは内閣総理大臣はじめすべての国務大臣がこの問題を知悉をされて、ほんとうに確認事項が実際に行なわれるようにしていただきたい。特に、いま一つの例としてあげました国庫補助が、土地に対して出ることが当然であるという考え方のもとに、みんなが問題を進めていく体制をつくっていただきたいと思う。そのことについて、特に厚生省には、隣保館の土地について国庫補助の要求をすべしということを昨年提起をしておきました。 本年厚生省が大蔵省にそのような要求をされたかどうか、厚生大臣から伺っておきたいと思います。
○齋藤国務大臣 さきの国会においていろいろ論議があったことは、私も十分承知をいたしております。 隣保館を建てるための土地の取得費に対して補助を出すと、こういう問題なんですが、先般来のいろいろな御論議がございましたので、概算要求を前に各省といろいろ相談をいたしました。実際相談したんです。ところが、やはり土地の取得というのは、土地そのものが事業の目的であるならば補助の対象にするのであるが、隣保館を建てるための土地ということであればどうであろうかというふうな議論等もございまして、四十九年度の予算要求の際には、結論が出ずに概算要求はいたしてございませんでした。
○八木(一)委員 他の重要な質問がありますので、これまた一般質問または分科会の質問に譲りたいと思いますが、厚生大臣はそういうことでは非常に怠慢であります。前にこの問題については坪川総務長官に確認をした。総務長官は総務長官としての努力をされたでしょう。しかし厚生省には、各省にまたがる問題だけれども、まず最初の窓口官庁であって、この問題についてほんとうに理解をし、熱意を示してもらっているはずの官庁ですから、その問題から実現をはかろうということで、問題をすでに提起をしているわけであります。提起をしているときに、土地の問題でいかがであろうかという議論があってとおっしゃいました。そういうことを言う公務員が方々にあるんです。それで問題が推進されないんです。いま総理大臣も聞いておられます。福田大蔵大臣も当然であるという態度を示しておられます。そのような人たちがそう思っておられても、各担当の主計局なり、あるいはあなたのほうの生活課の人の腰の弱さ、そういうことで問題が停とんをする。何回言っても、中で無理解の人間のために停とんをする。停とんをさせないようにするのが主務大臣の責任であります。そういう問題が出たというなら論議をされたんでしょう。出ても、それはいかぬのだ、補助を要求するが当然であり、大蔵省がそういうことを言われるなら、みずから出ていって大蔵省に説明をする、あるいはその当時の愛知さんに、いまの福田さんにそれを厚生大臣が話し合いに行くというような姿勢にならなければ、問題がとまって進まないわけであります。そういう姿勢を改めてもらわなければならないと思います。 いま厚生大臣だけを申し上げました。これは文部省の公民館も同じであります。奥野文部大臣も、何を読んでいられるのか知らないけれども、質問をしている者のほうを向いて、ほんとうにそのことを進めなければならないという決意を示してもらわなければならないと思う。あらゆる大臣に関係がありますから、いま厚生省だけ申し上げましたけれども、全部自分の省の問題について、そういう問題を推進する決意を持ってもらわなければならないと思います。そういう問題について、総務長官は、坪川さんもやっておられましたけれども、各省に断じてそのようなブレーキがかからないように浸透させる。各省は、この問題について、あらゆる国民にこの同対審の答申の問題なり、同和問題の完全解決の問題について、講習会を開いて全部に問題の理解をさせて、無理解のために問題が停とんをしない、国民に政府が約束をした方針が公務員の怠慢のために、無理解のために停とんをするようなことがないようにする、そのようにしていただかなければならないと思います。 その点について総理大臣のひとつ決意を伺っておきたいと思います。
○田中内閣総理大臣 先ほども述べましたように、同和対策につきましては、年次計直を立てて強力に推進をしなければならないという決意を披瀝いたしておるとおりでございます。また、計画も後年度の第一年次目に入るわけでございますので、残った五カ年間で完全消化ということを目標にして努力をしなければならないということは、いままで各大臣を通じて申し述べておるとおりでございます。また、福田大蔵大臣当時、当時の大蔵大臣として答弁を申し上げたことも承知をいたしております。 これらの問題については、後年度の予算編成その他の場合実現がはかられるように努力をいたしてまいりたいと思います。また、それまでの間に各省でもいろいろ勉強を続けてまいりますし、また地元の調査も続けてまいりたいと思いますし、協議会の活用もはかってまいりたい、こう考えます。
○八木(一)委員 では、この問題は一般質問、分科会の質問でさらに同僚委員や私どもで詰めてまいることにいたしまして、他の問題に移りたいと思います。 インフレや物価値上げや物不足という問題が、いまの政治の当面の一番大事な課題になっております。この問題について、政府の対処がたいへん怠慢である、問題の成果があがっていない、国民の要望にこたえていないということは、この予算委員会の各委員の質問の中で明らかになりました。総理大臣は、その質問に対して、全力をあげてやってまいりたい、関係の法律もつくっていただいた、あらゆる法律も行政措置も駆使をして問題解決に全力を尽くしてまいるということを言われたわけであります。——総理大臣、ちょっとこっちを見てください。 ところで、この問題は大事でありますが、同じように全力を尽くしてやっていただかなければたらない問題があります。関係のある問題ですが、インフレを克服する、物価値上げを押える、物不足の問題を解決するということは、一体何のためにあるのか。国民の生活を守る、国民の生活を確立するというためにこれが大切な問題であります。そうお考えになりますね。
○田中内閣総理大臣 全くもちろんのことでございます。
○八木(一)委員 それならば、この問題の影響を受けて生活が圧迫をされる、そういう人たちの生活を守る、そういう人たちの生活を確立する問題について、あらゆる法規を活用し、あらゆる行政手段を活用し、さらに必要な立法をし、この問題に当たるということでなければならないと思いますが、総理大臣のその問題についての決意を明快にお答えをいただきたいと思います。
○田中内閣総理大臣 戦後の困難な時代から今日をようやく築いてまいって、これから社会保障も拡大し、人間生活も、憲法の条章に定めてありますような全く理想的な日本人の生活環境を整備していかなければならない、こういうときに、対外要因とかいろいろな問題が起こって今日の状態が起こっておるわけでございますが、こういう中において、物価の安定を強力に推進しながら、国民生活を退歩させることのないように、長期的にもまた短期的にも、国民生活が内容的に充実をしていくような方向で、あらゆる角度からの施策を進めていかなければならないし、また、そのために全力投球を行なっておる次第でございます。
○八木(一)委員 その総理大臣の御答弁、決意はけっこうであります。それをほんとうのものにしていただかなければならないと思うわけであります。そのために、これから各論に入って御質問をいたしたいと思います。 まず、このような状態の中で一番生活上の苦しみを味わう人たちは、たとえば生活保護を受けておられる方々、あるいは年金生活者、心身障害者、母子家庭、そういうような人たちになろうかと思いますが、その中で一番その影響が強いと思われます生活保護の問題について、いまの生活保護の程度、あるいは来年の目玉としておそらく二〇%ということをおっしゃるでしょうけれども、それをも含めて、いまの生活保護の程度がたいへん低いと思うのですけれども、それについて、厚生大臣の御認識のほどをひとつ伺っておきたいと思うのです。簡単にお答えをいただきたいと思います。
○齋藤国務大臣 最近の異常な物価高の状況のもとにあって、一番生活の苦しい方々と申しますれば、生活保護法の適用を受けておられる方々、あるいは老人とかあるいは身体障害者とか、そういう方々であろうと思います。 そこで、来年度の予算は、なかなか総需要抑制というきびしい中でございましたが、わが内閣におきましては、こういう人々の生活はあくまでも守らなければならぬ、こういう考え方に立ちまして、生活扶助につきましては、最近の物価の動向とか、あるいは消費水準の動向、そういうもの等を考えて二〇%を引き上げ、さらにまた老人その他についての年金については五〇%引き上げる、あるいは社会福祉施設に入っておりまする方々についての措置費も二〇%引き上げましょう、こういうふうに各般にわたり、社会的に、経済的に弱い人々の生活を守るために全力を尽くすこととして予算を編成いたしたような次第でございます。
○八木(一)委員 昭和二十六年、七年、これは占領行政から独立行政に移るころです。そのときに一般の消費水準と——けっこうですよ、数字をこっちで申し上げますから。消費水準と生活保護水準の比率は、一般を一〇〇にして、生活保護世帯が五四であります。その後それが非常に低下をしたわけであります。いま五四に回復をしていないわけであります。それはいまどの程度であるか、ひとつお答えをいただきたい。
○齋藤国務大臣 戦後の経済の荒廃いたしましたときの格差は、たしかお述べになりましたように五四であったと思います。その後多少また減りまして、最近におきましては五二程度に回復いたしておる、かように考えております。
○八木(一)委員 昭和二十六、七年というような状態のときに五四であるのが、いま五二というのは、これは二〇%上がったときで五二だと思うのです。現在はそうではありません。だから、生活保護制度自体がインフレでしわ寄せを受けるということの前に、はなはだ低い程度であるということの認識をもっとしっかりしていただかなければならないと思うのです。これは総理大臣も大蔵大臣も各大臣もひとつお聞き取りをいただきたいと思うのです。 それについて、実はそういう状態でダウンをしたときに、昭和三十七年に社会保障制度審議会の答申と勧告、大勧告がありました。その社会保障制度審議会というのは、そのときに私も参加しておりましたが、前後を通じて二百回ぐらいの会議を持っております。夜の十一時ぐらいまでやっております。形式的な会議ではありません。徹底的に討議をして、しかも、政府の各省次官もそのメンバーである、あるいは日経連の代表もメンバーである、労働組合の代表もメンバーである、国会議員も参加をし、学識経験者もたくさんあってそういうことをやったわけであります。 そこで、社会保障全体の勧告でありますが、その中で、昭和三十六年の欧米諸国の標準に十年おくれて、日本の国が追いつくためにはこれこれのことをしなければならない。その中で特記をして、生活保護基準については、少なくとも昭和三十六年基準の実質三倍に昭和四十五年までにしなければならない。これは、「少なくとも」ですから最低であります。ほんとうは四倍にするという意見が多かったわけでございますが、政府の財政事情も考慮をして少なくとも三倍、そういうことになっているわけであります。 ところが、その実質三倍がなかなかに実現をしていないわけであります。現在昭和四十五年ではありません。暦年としては昭和四十九年になっておる。年度としては四十八年度であります。そういうときに、たいへんまだそこに到達をしていないという状態。いまどのくらいの数字か、厚生大臣からひとつ御答弁願いたいと思う。
○齋藤国務大臣 お答え申し上げます。 当時、八木さんも熱心な委員として主張されて、三倍にしなければいけないということを非常に強く力説されたことを私も十分承知をいたしております。したがって私も、私、大臣に一昨年なりまして、二回予算編成に参画いたしまして、扶助費の予算をきめますときは、いつも八木さんの御発言は記憶に残っておるのです。何とかしなければならぬ、こういうわけでございまして、努力をいたしておりますが、お述べになりましたとおり、まだ三倍に実質にはなっておりません。二・五倍、二・五一か二、その程度ではないかと思います。しかし、最低生活にあえいでおる人たちの生活ですから、ぎりぎりの生活よりももう少し上回ったような生活をしなければならぬということで努力をいたしておるわけでございまして、今後とも、実質的に生活水準が上がるように努力をしていかなければならぬだろう、かように考えております。
○八木(一)委員 この問題について厚生省は、ほんとうにそのあとやる気持ちがなかったと思います。齋藤さんは、この一年半厚生省をあずかっておられるだけですが、歴代の厚生大臣が、昭和三十七年の勧告が十二年たって実現をしない。それも一番大事な「少なくとも」と、これだけはと特記した勧告ができない。厚生省の熱意の不足、大蔵省の理解の不足、あるいは内閣全体の、こういう人たちに対して対処する姿勢が問題であったと思うわけであります。これを変えていかなければならない。二〇ということが、総理大臣や大蔵大臣の本会議質問の答弁のときにもありました。生活保護水準を二〇上げた、上げるような予算を組んだ。あるいはまた福祉年金を五千円から七千五百円にする。いまの政策の目玉のように言っておられますけれども、その目玉はとんでもない目玉です。二〇のようなものであってはならない。いま四十九年で、四年おくれて、もっと多くならなければならないけれども、四十五年の四年前の目標にいまやろうとすれば、私の計算によれば、二〇%アップじゃなくて、一〇〇%アップをやって、やっときっちりです。そのことを全部頭に入れておいていただきたいと思う。二〇だから、これが生活保護世帯に対して対処をしたという考え方自体がとんでもないことであります。総理大臣の、その点についての端的なお考えがあったら伺っておきたいと思う。なければけっこうです。
○福田国務大臣 生活保護費の二〇%アップについて、足らぬと、こういうおしかりのようなおことばでございますが、これは、私とすると、ずいぶん努力したつもりなんです。これはこの予算の編成の経過を見ましても、大蔵省が二〇%アップという原案を出したわけです。齋藤厚生大臣のほうは、ずいぶん出したものだなあといって、驚いたかどうかは存じませんけれども、とにかくまあよく出してくれた、こういうことだったと思います。そこで、復活とかいうような折衝は、この問題については一切なく、非常に順調に決定したといういきさつもありまして、私といたしましては、こういう物価情勢のもとでありまするから、弱い生活保護者階層なんかが苦しんでおるだろうということについては十分の理解を持ち、それに対して手厚いことをしなければならぬ、その精一ぱいの気持ちをここへ表現したということであります。とにかく、一般の予算をずいぶん詰めておるこの際です。この際のことでありますので、二〇%というその努力に対してましては御評価をいただきたい、こういう気持ちでございます。
○八木(一)委員 大蔵大臣がいまおっしゃったことについては、そういうお気持ちだろうと思います。大蔵大臣は、こういうときに、インフレ下で非常に生活の困った方に対処しなければならないということで、二〇を決断された。ところが、その背景に、そのくらいでいいんだという政府全体の姿勢があるわけです。その背景に、厚生省がそのくらいの要求でしかたがないのだという怠慢な姿勢があるわけです。だから、主観的に、大蔵大臣がこの問題について今度努力をされたことは、私も気持ちの上では少しわかります。主観的にわかっても、客観的には許されない問題であります。生活保護水準というのは、これは生活保護法の第一条と第三条にありますように、健康で文化的な最低生活、これを、憲法第二十五条の精神をまともに受け継いで、それを保障する法律であります。したがって、前に猛烈に怠慢であったのを、大蔵大臣なりその他の方が努力をされて、少しましになったということで済まされる問題ではありません。 いま、生活保護の水準で、飲食料費について、その一番少ないところはどのくらいになるか、厚生大臣、御存じですか。御存じなければ、時間の関係上けっこうです。こっちで申します。
○齋藤国務大臣 政府委員をして答弁させます。
○高木(玄)政府委員 お答えいたします。 現在、生活扶助基準の算定につきましては、格差縮小方式というものをとっておりまして、昔のマーケットバスケット方式あるいはエンゲル方式のときのように、飲食物費は幾らというふうな積み上げ計算はいたさず、総体としての生活扶助基準を上げておるのでありますが、野菜等を自給しておる人もおられるような場合に、自給認定基準というものをつくりますので、そういった意味で、実行上生活保護法の一類経費というのがございますが、その七五%を食費飲食物費相当額といたしております。それでいきますと、一番低いところでは、六十四歳の女の方の場合に、四級地で六十六円でございます。
○八木(一)委員 一食当たりの平均が、私も数字は知っているのですけれども、私がでっち上げたと思われるといけないから、ちょっと数字を聞いた。一番少ない人は一食当たり六十六円ですよ。大蔵大臣にも、厚生省が説明するときは、平均で一級地ばかり持って説明にくると思います。一級地と四級地では大いに違うのです。一食六十六円で、ほんとうの健康が保たれますか。六十六円の一食で、すぐ飢え死にはしないでしょう。しかし、これは六十歳からの基準です。六十歳から六十四歳。六十歳のお年寄りがほんとうに普通に生活ができれば、いま平均寿命が延びていますから、八十まで生きられる。ところが、そのような生活のために、七十で死んでしまわなければならないということが起こるわけです。人殺しと同じことになるわけですよ。人殺しですよ、ほんとうに。八十まで生きられる人が七十で死なす状態に置くということは。六十六円で食えるはずはない。八年ほど前に、これが十九円の時代がありました。一食十九円。その一食十九円の時代に、埼玉県で、ある民事裁判がありました。犬を預けて、その入り用の金は払うからといって、預けた人が、帰って犬を持っていってあと払わない。とんでもない、けしからぬやつだということで、民事訴訟が起こった。義判所の判決は、犬の食費一食分、その当時五十円として計算をして、直ちに支払えという判決が出たわけです。その当時裁判所は、犬は五十円の食費があたりまえだとした。ところが、その当時の日本の政府は、人間は十九円でいいんだという状態であったわけです。貨幣価値が変わって、いろんなことが変わっておりますから、いまは変わっておりますけれども、大体同じようなものであります。いまの判決なら、犬の食費百円として払えということになるでしょう。百五十円になるかもしれません。それが、六十六円で暮らしていけ、そういう程度の低いことです。これを御認識になれば、これが二〇%上げたときの計算ですよ。二〇%値上げということが、主観的な努力を大蔵大臣はじめ方々の方がされたとしても、客観的には、一部の人たちに死を早める、そういう水準であるということを、総理大臣、認識をしていただきたいと思います。総理大臣、この問題についていかがですか。——総理大臣だ。
○齋藤国務大臣 まず私がお答えを申し上げますが、八木さんは、扶助基準の算定のしかたなどは十分御承知の上で、実は御質問なさっておると思うのです、これは。御承知のように、だいぶ以前はマーケットバスケット方式で、それこそイワシの頭何ぼだと、こういう計算をして積み上げていったのですね。その次がエンゲル係数、こうさまざまやってきたわけです。現在の扶助基準は、食費は何ぼでなければならぬとか、そんなことを言っておるのじゃないのです。一般消費水準の伸びと格差を解消するようなやり方でいこうではないかということを言うておるわけでございます。すなわち認定基準というのは別でございまして、その点は八木委員十分御承知のとおりであります。したがって、食費は幾らだなんということをきめておりません。一般消費者のいわゆる消費水準というものを頭に描いて、そして物価が上がったり、あるいは消費水準が上がれば、それに見合って引き上げていって、一般の方々との格差を縮めていこうではないか、こういうやり方でございまして、逐年引き上げておるわけでございます。 したがって、二〇%というのは、最近の消費水準の引き上げやあるいは物価の引き上げ、物価の動向、そういうものからにらみ合わして、私は適当な引き上げ幅であったと思っております。
○八木(一)委員 委員長、総理大臣に質問しましたから、委員長のほうから総理大臣を御指名願いたいと思います。 総理大臣に質問をいたします。厚生大臣みたいな、こんな怠慢な大臣に、この問題については——ほかの問題はまた聞かなければなりませんけれども……。いま厚生大臣はああいうことを言われました。いまごちゃごちゃの計算になっておることは百も承知です。ごちゃごちゃの計算になって、それでごまかそうということです。その中で、飲食料費はどうか、下着の費用はどうか、燃料はどうかということがわかるように、ごちゃごちゃ計算でも、もとは飲食料費とはっきり分かれたものがあるから、それからこういうスライドをしてこうなった、そういうことを、皆さま方みずから生活保護の基準の審議をされるときに、そういうことを頭に置いてはっきりさして審議をされるべきだ、予算のことについても。ごちゃごちゃでごまかしておけば、基準が低くても言いのがれられる、そういうようなとんでもない姿勢があなたにあります。そういうことじゃなしに、だから、私はいまの制度で飲食料費相当分を計算をしたわけです。そのことについて厚生省は、社会局長が答えたように計算を出しているわけです。知っているけれども、社会局長からその問題を答えていただいたのは、私がかってな論点をつくっていると言いがちでありますから、そういうことを言ったのです。厚生省として、飲食料費相当分はいまの四十九年度二〇%アップになったらこうなる、その中で四級地の六十歳から六十四歳の女子の場合にはこうなる、という計算を出してもらったわけです。 ですから、総理大臣、厚生大臣が言っているような弁解は許されません。いまあなたがこれを言えば予算をすぐふやすだろう、そうなったら政府は困る、そんなような考え方をとるような政治家であってはなりません。国民のために、国民の命が八十まで生きられるのを、七十で死ななければならないというような基準自体がいいのかどうか、そういうことを総理大臣は明快に判断をされて、そういう状態であれば、いままで主観的には努力をしたけれども、客観的にこれは不十分だった、それをどうして直していこう、そういう決意を表明しなければ、一国の政治をあずかる総理大臣としての資格がないと思います。事務的な変な中の計算の基礎じゃなしに、こういう問題を直さなければいかぬと、直すために、さっき質問をして確認をしましたあらゆる法律を駆使し、行政措置を進め、そしてさらに必要だったら立法措置を進めて、国民の生活を守るということを、この問題について推進をするという決意を表明していただきたいと思います。端的に御表明を願いたいと思います。ほかのことばでごまかそうとされれば、この国会を通じて、国民は、田中内閣総理大臣は、田中内閣は、このような生活に圧迫されている人たちのことを考えていないのだということをはっきり確認することになります。はっきりと、私の申し上げたとおりやるという御答弁を明確に、そうして短いことばでいただきたいと思います。
○田中内閣総理大臣 恵まれない保護世帯に対する手厚い保護政策を推進させなければならないということは、間々申し上げておるとおりでございます。 来年度の予算につきましても、総需要抑制という緊縮予算といわれておる中で、これだけの予算を計上したということも、その一つのあらわれである、こう述べておるわけでございます。 しかし、指摘をせられるように、もう少し長期的な見通しの上に立って、答申を受け、実行もされなければならない目標数字の実現にも至っておらないという御指摘もありますから、こういう問題に対しては、引き続いて努力を重ねてまいりたい、こう言っておるわけでございます。 そうしてまた、算定基準の一つになっておる食費に対して六十六円、まあ常識的に見て、非常に低いものであるということは理解できます。しかし、議論をしてみても、これはだんだんと上げていかなければならぬということは結論でございます。もっと上げなければならぬということは結論でございますが、こういう問題、私もまだ六十六円という基礎がどういうものであるかもわかりません。私も、いま二千カロリー以下ということでもって調整しようとしておるのですが、いろいろ勉強してみると、千七百五十カロリーとか、二千カロリーというものでも、いろんな計算がございまして、そういう意味で、齋藤厚生大臣も、食費だけでもって計算しておるのではなく、生活に必要な状態を全部くるめて計算をしており、格差をなくすべく努力をするのだ、こう答えておるわけでありまして、あなたもさっきからの御発言の中で、政府の努力もよくわかる、わかるが、もっと努力しなさい、はい、そういたしますと、こう言っているのですから、そこらはあまり感情的にならないで、ひとつ、ほんとうの政府の真意を理解をしていただきたい、こう思います。 それで、ひとつこれは、私はこの際明確にしておきますが、総理大臣に対して求められるということもございますけれども、これは国務大臣をして答弁をせしむる、政府委員をして答弁をせしむるということもございますので、だから、何でもかんでもすべて総理大臣が答えるというものでもないと思うのです。ですから、やはり所管事項については、御納得がいくように、数字の問題に対しては事務当局いそしてそれに対する現在行なわれておる施策に対しては所管大臣、それで一番最後に、なおこれで不足だが、内閣として連帯して責任を負う内閣の首班者として意見いかん、こういうふうに……。やはりそうでないと、どうしても観念的に、しっかりやります、しっかりやりますということだけでもって済んでしまって、国会の審議というものは実のないものになる可能性もあります。そういうことの取捨選択は、ひとつ御理解を賜わりたい。
○八木(一)委員 総理大臣に、答弁の姿勢を直していただきたいと思う。簡潔にお答えを願いたいということは、すでに数字や何か、制度や何かについて解明をして、総理大臣が理解をされているだろうと思ったから、原則的に聞いたわけです。 いま、あなたは感情的にとおっしゃったけれども、資料を持ってやっておるわけです。感情的でも何でもありません。大きな声で言わなければわからないような態度を示すから、大きな声で言う。 先ほど申し上げましたように、人間の命に関係があるのですよ。ちょっと待ってくれという問題ではないのです。さっき言ったように、憲法の条章を守るということをあなたに明確に伺ったのはそういうことです。憲法で、健康で文化的な最低生活の権利を保障しているわけです。それの実際の一番の焦点のところが保障されていない。犬の食費にも足りない、そういう生活しか保障されていない。ごたまぜ計算だというようなことを厚生省が言って、それをまたあなたが援用されました。あなたは答弁を逃げよう逃げようという態度です。明快にすっぱりと、そういう問題じゃいかぬと言われるべきだ。食費がそうで、食費をこっちに詰めたら下着がないということになるのです。食費と下着をこっちに詰めたら、寒いときには当たる火もないということになるのです。全部がそういう水準になるのです。そういうことでその問題については対処をするということですから、具体的に対処を、これからひとつ要求していきたいと思います。 昨年十月に、生活保護について五%の引き上げをされました。これは昭和四十七年度水準に対する五%であります。その点、ぼくは五%を説明しないものですから、まるまる五%を四十八年の五%と思ってがっかりした人がずいぶんありますが、とにかく五%、四十八年に対しては率が下がります。それをされたことは、まだましな方策であったと思うのです。 ところで、この生活保護基準の改定は、法律上は厚生大臣の権限です。いつでもできるわけです。毎年一回でなければならないとは、どこにも書いてない。それで、昨年十月にされたわけです。こんなに生活保護世帯の状態が物価高で圧迫をされておるのですから、これは毎月改定をする、少なくとも四半期に一回は改定をするということが必要であろうと思うのです。四半期に一回改定するとなれば、また大蔵省がどう考えるであろうというようなことを厚生省が思われて、へっぴり腰になられるのでしょう。しかし、先ほど、大蔵省のほうが二〇%を押されて、厚生省が、はあ、よく出してくれたというような状態であったように見受けられます。厚生省が本腰でかかれば、大蔵省がそれをいなやを申すはずはありません。また、いなやを申されるんだったら、大蔵省の姿勢を徹底的に追及しなければならない。 これを物価の上昇に応じて改定をする。昨年十月の改定から非常に物価が上がっている。二月なり三月で改定をする、あるいはまた、四月に二〇%アップになるその後においても、機に応じて改定をする、そのことの決意をひとつ表明していただきたいと思うのです。
○齋藤国務大臣 生活扶助基準は、最低生活にあえいでいる方々の生活を守るためのぎりぎりの線でございます。したがいまして、消費者物価指数が上がれば、これを改定するということは、私はもう当然やるべきことだと考えております。したがって、昨年の十月も、御承知のように五%アップしたわけでございます。また来年度は、来年度における消費者物価指数が、年度間の平均九・六引き上がるであろうという見通しのもとに、二〇%を引き上げておるわけでございます。 そこで私どもは、消費者物価指数の統計が発表になるたびに、実は頭を痛めておるわけでございまして、政府は物価が上がらぬようにいま全力を尽くしておるわけでございますから、当初にきめた水準をさらに改定するというふうなことのないようにしなければならぬと思いますが、今後とも、消費者物価の動向というものには十分関心を払ってまいります。したがいまして、その動向とにらみ合わせながら臨機応変の措置をとる、これはもう当然なことであると御理解いただきたいと思います。
○八木(一)委員 昨年の十月にお上げになりました。昨年の四月に改定があってから十月に上げられた。そのときの消費者物価指数が上がったから変えられたわけです。それと同じだけの率が上がったならば、必ず即時改定をされる必要があろうと思うのです。そうでなければ、いまの御答弁がうそになります。そのことをはっきり明言をしていただきたいと思います。
○齋藤国務大臣 昨年十月に改定いたしましたときの消費者物価指数の伸びと扶助基準の改定が、同じ率でなければならぬというふうには、私、理解はいたしておりません。理解はいたしておりませんが、消費者物価指数がかりに上がるとすれば、それに見合いながら、最低生活を守るような扶助基準の改定、これは私は臨機応変にやってしかるべきものである、かように考えております。
○八木(一)委員 私、少なくともと申し上げたつもりなんです。もちろん、昨年よりも率の上がり方が少なくても、その前に上げていただいてけっこうです。あなたは、そうじゃなしに、昨年と同じだけ上がったら必ずしも上げない、それよりもう少し多くなったら上げようというようなつもりで言っておられますけれども、どんなことがあっても、昨年ぐらいの率が変わったら即時上げる。もっと早く上げていただいてけっこうですよ。どんなことがあっても、昨年ぐらいの変動があったら即時上げるということを明確に御答弁願いたいと思います。
○齋藤国務大臣 いろいろな希望的な御意見は承っておきますが、消費者物価指数が上がる、それと見合いながら、十分扶助基準の改定も臨機応変に措置をとっていく、これは私は当然だと思います。
○八木(一)委員 総理大臣、いまの問題について、厚生大臣が推進をしようということについて、積極的に推進させるようにひとつ指導していただきたいと思います。
○田中内閣総理大臣 厚生大臣の述べたとおりでございます。
○八木(一)委員 大蔵大臣に、それに積極的な協力を願いたいし、厚生大臣がぼやぼやしていたら、なぜ早く上げないのだと、そういう態度でひとつやっていただきたいと思います。
○福田国務大臣 厚生大臣に全面的に御協力申し上げます。
○八木(一)委員 では、次に移りますが、この生活保護の給付は、そのほかに一時金の制度もあるわけですね。それで、暮れに、期末一時金四千円のところに特別に二千円加えられた。こういうことも、実はいまインフレが非常に進行していますから、積極的に対処をしていただきたいと思います。これを二千円ぐらいではなしに、たとえば一万円とか二万円とか、年に応じて一時的な給付をする、そういうことをぜひ推進していただきたいと思いますが、厚生大臣の答弁を願いたいと思います。
○齋藤国務大臣 昨年の暮れは、歳末ということもありまして、従来出しておりました一時金を増額するという措置を講じたわけでございます。 昭和四十九年度におきましては、二〇%引き上げということを予算においてきめて、国会に予算を提案いたしておるわけでございまして、私どもは、今後とも、物価の高騰というものは、全力を尽くして押えなければならぬという努力をしておるわけでございますから、その物価動向とにらみ合わせながら、必要があれば改定もしなければならぬということを申し上げておるわけで、一時金によってこれを処置することが適当であるかどうか、これは私は相当問題があると思うのです。毎月毎月の生活を守っていくということが生活扶助でございますから、歳末であったからああいうことをいたしたというふうに考えるべきではないか、私はこういうふうにも考えておるわけでございます。 必要に応じて、物価の動向をにらみ合わせながら改定は必要であろうと思います。しかし、そういうことのないことを私は期待をいたしております。
○八木(一)委員 非常にぼんやりした御答弁ですけれども、私は、厚生大臣が先ほどの質問に対して受け答えしておられたことからすれば、たとえば新しい予算が審議をされている、四月からそういうふうに二〇%アップになるのだということに固執をされないで、三月一日からでもこの基準を変えるということを考えられるべきであると思うのです。そういう答弁を期待しておったわけです。ましてや、その一時金の問題について、どうかと思うというようなことではなしに、いま困っておるのですから、そういう問題に対して緊急に対処をしていただかなければならないと思うのです。 時間がありませんから、またあと詰めますけれども、問題を進めていきます。 実は、この生活扶助については、金銭をもってこれを支給するというのを原則としておりますけれども、状況に応じて、物品をもって支給することもできるようになっておる。いままさに一部の物品については、物品をもってこれを給付に充てるということの必要な状態が起こっておるわけです。それについてどうお考えになるか。
○齋藤国務大臣 現金でなくて物品支給というお尋ねでございますが、地方によっては、そういう必要があるところは、市町村においてそういうことも可能であると思いますが、全国一般的に見まして、戦争中の配給のように、物資を配給するというやり方をいやがる向きも実はあるのです。一律に同じものをということでいやがる向きもありますから、一律に物資を配給するというやり方がいいかどうか、私も確たる自信はございません。 しかし、地方の事情に応じて、市町村長の諸君が、困って、入手のできないものがあればそれを確保してあげる、これは私は可能だと思います。しかし、一律に全部やるのだ、そこまで私は踏み切ることはむずかしいのじゃないか。やはり好まないものがあります。 〔委員長退席、井原委員長代理着席〕
○八木(一)委員 いまおっしゃったことはわかります。統制時代と違いますから、たとえば主食にしたって、お米が好きな人もあれば、うどんが砕きな人もあれば、パンが好きな人もある。調味料でも、塩の味が好きな人もあれば、しょうゆが好きな人もあれば、バターが好きな人もあれば、マーガリンが好きな人もある。だから、きまったものをというのは、いまの事態に合わないと思いますが、そういう主食なり調味料なりあるいは燃料たりで、それを総括して、その中から、あなたは何がいいですかということを選択することをちゃんと確保しながら、そういう物資の非常に不足のときに、そういう現物支給という方法を推進されたければならないと思いますし、地方自治体がそれを推進されるときには、積極的に協力をされなければならないと思うのです。 ところで、この前、通産省は、もう全く怠慢でけしからぬと思いますけれども、一億分の一ほどちょっといいことをやられました。生活保護世帯やあるいはまた老人世帯や何かに物を確保して、洗剤でございましたか、そういうことをやられました。そういうことについて、厚生省自体はこういうことを推進されなければならない。昨日、文部省と通産省の問題で、辻原委員の話がありました。通産省が物を扱っているといっても、こういう生活保護世帯とか老人世帯とかあるいは心身障害児の世帯のことを担当しておられる省としては、通産省が気がつかなくても、先にそういうことを当然要請をし、協力を求めて推進をされなければならないと思いますが、厚生省はそれをやられたように見受けられませんけれども、やられたのかどうか。やられておらないとすれば、今後そういうことについて即時対応する体制を推進されるかどうか、伺っておきたいと思います。
○齋藤国務大臣 通産省におきましても、こうした生活関連物資については非常に御心配いただいておりまして、市町村の実情に応じ、優先的に配給してあげましょうというふうな措置も講じていただいておるわけでございます。先ほど私が申し上げましたように、全国一律にやるということは、私は適当ではないと思います。好ましいことでもないと思います。しかし、必要に応じてはそういう道も講じていただく、これはまた必要であろうと思います。
○八木(一)委員 時間がたちますので、別な問題に移ります。 年金制度の問題について、御質問をいたしたいと思います。年金生活者がインフレによって非常に低下をしておるということは申すまでもありませんけれども、その問題に対処していかなければならないと思いますが、いまの厚生年金、国民年金の拠出制に対するスライド制は、五%の消費者物価の上がり下がりによって、それに応じてその金額を調整することになっているわけです。その年金法を昨年この国会で審議したわけでございますが、その当時は、全部の関係の方が、これだけインフレが高進すると思っておられませんでした。したがって、あのような、率の五%はとにかくといたしまして、前年度の消費者水準とその年の消費者水準とを対比して、それで比較して、五%の上下があったならば、その年の十一月ごろにそれを変えるということでありました。これはかみしめてみますと、全部が非常におそい措置であります。そのようなことであっては、ほんとうの年金生活者の生活を守ることはできないと思う。したがって、一年と一年を比較するのではなしに、たとえば三カ月と三カ月とを比較するということで、こういう年金のスライドというものをほんとうに有効にする必要があろうと思うのです。 私の調べたところでは、三カ月間にわたって、物価は上下しますけれども、しかし、三カ月では上がる一方で、上がったり下がったりというのはありません。最近の指数を全部調べました。それから当然、ぼくは一月でもいいと思いますけれども、三カ月くらいで対処しないと、インフレが高進したときに対処ができないと思いますので、このようなスライド規定をひとつ変えていかなければならない。 そのことについて、ぜひ今国会で、これは立法措置が必要であります。国民年金法の改正があるときに、そこにつけ加えていただきたいと思いますし、単独立法でもけっこうでございますが、ぜひこのスライド規定を実態に合うように変える法律をひとつお出しをいただきたいと思うわけであります。その点についての積極的な御答弁をひとついただきたいと思います。
○齋藤国務大臣 昨年成立いたしました年金二法によりまして、初めて本年度自動スライド制を発動するということになるわけでございます。これは御承知の、昭和四十八年度の消費者物価指数が、前年度に比較いたしまして、一応予算的には一四%と積算をしております。しかし、これは実際上がる数字によってやるわけでございますが、それだけ、上がっただけスライドしていこう、こういうわけでございます。 その規定によりますと、ことしの厚生年金については、十一月これを実施するというたてまえになっておるわけでございます。それを繰り上げたらどうだ、こういうお尋ねでございますが、実際問題としまして、これは八木委員十分御承知だと思うのですが、昭和四十八年度の消費者物価指数の年度平均の上昇率がはっきり出ますのは五月でございます。五月実施になりまして、しかもこれは初めての制度でございますから、もろもろの審議会の御意見を聞くというたてまえになっておるわけでございます。その審議会の御意見を聞いて、スライド方式についてかちっとした方針をきめて、それを現実に適用していく。厚生年金だけ考えてみましても、百万以上、百五十万人、この方々について全部金額をきめていくわけなんです。これはもう事務的に実はたいへんな仕事だと思います。 そこで、私としては、ぎりぎりいってやはり十一月ごろになる、これは私は適当じゃないかと思うのです。それに、御承知のように、昨年十一月、既裁定年金受給者については賃金の再評価をやりましたね。二・二倍昨年の十一月に上がったばかりなんです。ですから、私は十一月でもそうおかしくはない、適当ではないか、こういうふうにも考えますし、同時にまた、年金のような長期にわたって行なわれる制度というものは、三月ごとに変えていくということは、実際のところ煩にたえないと思うのです。三月ごろに計算をして、百五十万の人について金額をきめていく、上がるときもあり下がるときもありましょう。年金というものはやはり長期なんです。ですから、やはりある程度のタイムラグを置いて、一年一回やっていく、これが長い目で見ての年金制度としてはむしろ適当じゃないか、こういうふうな考えを持っております。 御意見の点は、各方面からいわれている御意見でもございますから、私も十分承知しております。しかし、実際問題として、これは非常に困難だ、こういうふうに御承知おきいただきたいと思います。
○八木(一)委員 最後に努力しますと言われたからけっこうですけれども、だけれども、ほんとうにそれは事務的なことだけを考えておられるわけです。首を横に振られたけれども、その答弁はそうです。それは、年金改定には非常に事務量があることは知っております。しかし、そういうふうに何%と変えたら、どこがどのぐらいになるというのは、一回方式をきめればあとは指数でいくのです。最初だから、いまタッチをしておられるから、たいへんだなと言われるけれども、たいへんだなということでは済まない問題です。厚生大臣や厚生省の人がたいへんだなというために、多くの年金生活者がその生活を実質的に切り下げられるということになってはとんでもないことです。昨年私どもも、このときにもっと短い時間を設定することを主張し、そのような法律にすればよかったと思う。その点については、みんなで反省をしなければならないと思いますが、とにかくこのように物価が急上昇しているときに、三月ごとの設定で、消費者物価の上限によって年金制度を改定する、私どもは賃金統計もありますから、賃金のほうが実態がありますから、賃金スライドでなければならないという主張を持っておりますけれども、政府ベースでも物価スライドということをとっておられるのですから、三月間でそういうことをやられるという法則は、どんな困難があってもそれを乗り越えてやらなければ、国民の負託にこたえることにはならぬと思う。統計のほうはちゃんと三月ごと、一月ごとにありますから、これはすぐできます。あとはあなた方の事務だけの問題であります。事務はあなた方が対処をしなければならないし、ほんとうに人間の限界を越えるなら、それこそ人員をふやしてでもやっていただかなければならないと思います。 総理大臣に伺いたいと思いますが、こういう問題について、先ほど申し上げましたように、あらゆる法律、あらゆる行政措置を活用し、さらに立法をして、この問題に対処をするということについて先ほど御答弁をいただいておるわけであります。非常に事務的に困難のあることも知っておりますけれども、年金のスライドということは、絶対に必要であるということは申すまでもないことであります。そのような事務的な困難というのは、国民の生活の困難に比したら、それはもう一億分の一くらいのことになります。それを断じて早く進められる体制を、それこそ総理大臣の決断によって進めていただく必要があろうと思います。 つけ加えておきますけれども、これは政府のほうは五%上限に従ってやるわけですから、上がって上がって予算がどうということはない。後に政府の施策がよろしきを得て物価が安定する、物価が下がれば、それだけ下がってよろしいのです、この法律では。ですから、そういうような御心配はなさらないと思いますが、とにかく物価の変動にこたえて急速にスライドをする、そういう体制をぜひ進めていただきたいと思います。 総理大臣からひとつ、これは困難だという事務的なことがありますから、その事務的な困難を国民のために、あらゆる手段を講じてそれを乗り越えてやるという決意を示していただいて、実行していただきたいと思うわけであります。
○田中内閣総理大臣 年金にスライド制が採用されたことは、画期的な進歩であるということは事実でございます。また、これが実行に対して、いま審議会の議を経て、完ぺき、適正に行なわれるような問題に対して審議をいただいておるわけでございます。あなたの言われるようなお気持ちは十分理解いたします。いたしますが、三カ月ごとといっても、先ほど厚生大臣が述べたとおり、それは実際において相当な数にのぼるものでございますし、これは口でただ、善処いたします、努力をいたします、こう言っても、ものには限界がございます。ですから、やはり対前年度比ということであって、いま十一月を目標にして鋭意作業を進めておるということでございますので、厚生大臣、非常に誠意をもって述べておるわけでございますから、これらの発言に対しては、政府の方針として御理解をいただきたい、こう思います。
○八木(一)委員 あらゆる法律を駆使して、あらゆる行政施策を推進して、立法も含めて問題対処に当たると総理大臣は国民に公約をしていられるわけです。それはインフレの防止、物価の値上がりの防止、あるいはまた物の出回りのことについて言われましたけれども、本日、国民の生活を守るためにも、そのことを公約されたわけであります。やはり公約は推進をしていただかなければならない。できないことはできない。きょう言って、あすやれと言ったってできるはずはありません。そんな無理は申しません。しかし、いまの政府の能力を最大限度に活用して、たとえば厚生省の人員が少なければ、物の問題について、あらゆるところで省が協力をしてやる体制をつくると、あなたは指示をしていられるわけです。それと同じような決意をもってこれをやられる。問題は、事務的には困難であります。事務的な困難を乗り越えて国民のために対処をするのが、これは政治家の任務であります。そういうことをやられる。 厚生大臣の立場を尊重して言われますけれども、厚生大臣は総理大臣の激励を待っていると思うのであります。厚生大臣もりっぱな政治家であります。少し理屈が多くて、逃げ理屈が多いのは欠点でありますけれども、かなり熱心にやっていられます。しかし、事務的に非常に困難であるということで答えにくい。事務的な困難は、内閣全体がカバーしようじゃないか。それを総理大臣が推進するということを言われれば、厚生大臣も元気を出してやると思うのです。だから、そのような事務的な困難でブレーキをかけられている、その厚生大臣のことばに対応した答弁をなさらないで、国民のための政治をやるのだという立場で、それを推進される決意をさらに表明をしていただきたいと思います。 その問題について、関係の労働団体とか、あるいはまたあらゆる民主団体、そういう方々が年金のスライドを急速に——主張は賃金スライドでございますが、とにかくそういう主張を急速にいたしておりますので、そういう問題について内閣として積極的な姿勢を示され、その問題についても至急に話し合われるというような姿勢も、ぜひ示していただきたいと思うわけであります。その点について、総理大臣のさらに明快な積極的な御答弁をひとつ伺いたいと思います。
○田中内閣総理大臣 明確にお答えをいたしておるわけでございます。従前も努力をしてまいりましたし、その結果スライド制の採用もきまりましたし、そして、このスライド制の執行に際しまして、実行に際しての手段、方法その他公正迅速を期する方法に対しては、審議会の議を経てきめるように、いま努力をいたしております。事の性質上、対象人員が非常に大きいということで、この問題に対しては十一月に支給をするという方向でいま進めております。 これは気持ちの上で、あなたのおっしゃっていることは、よくわかるのです。わかりますけれども、これだけの大事業を進めるのに、これを六カ月にできないにもかかわらず努力をいたします、最善の努力をいたしますというようなことでは、国民にかえって政治的な不信を与えることでございまして、新しい制度でありますので、遺憾なきを期するためにも第三者の意見も徴しておるわけでありますし、政府は最善の努力を行なっておるわけであります。まあ言うてみれば最善論を申し上げるわけではありませんが、どうも限界を越して、できないということがわかっておって、これが最善ですということに向かっていま作業を進め、全力傾倒しているときに、とにかく一日でも早く引き上げられるように努力をいたしますということが、従前そういう答弁を続けることが、かえって善処いたします、最善の努力をいたしますという実のないものになってはいけないので、あなたも専門家でございますし、齋藤厚生大臣も専門家なわけです。そして長いこと私も、あなたが議員生活中に、この年金制度推進のために議論をされておることも十分承知をしております。だから、あんまり私のほうでも観念的に、ただしっかりやりますと、こういうことだけで済むものではないということで、事実を申し述べて、いまの状態においては、第三者の審議会やまた厚生部会の審議も待たなければならない状態でございますし、政府はその準備に対して全力を傾けております、こういうことで理解をいただきたい。
○八木(一)委員 総理大臣の答弁でぜひひとつ積極的にやっていただきたいと思いますが、つけ加えて申し上げておきます。 審議会の審議ということになると非常にずれることになる。ところが、たとえばある種のものについては、政府のほうが諮問をして一週間くらいでその結論を出してくれというようなことを言っておられます。そうでない大事なことについては、のんべんだらりと審議会の審議を待っているというようなことがあります。いまこのインフレの急速に進行したときの年金制度のスライドについて、どのような方策があるかということを政府が諮問をしておられるわけではありません。スライド問題総体について、ぼやっと審議をやっておりますけれども、それでは間に合いません。ですから、そういうことをやられるとするならば、関係の年金審議会なり、社会保障制度審議会に直ちに、この急速なインフレ進行に対する年金生活者の生活を守るための方策いかん、そして政府の要請として十日間くらいで出してもらいたい、そういう姿勢を示されることが、これがほんとうに実行を一歩進めることになるわけです。それをしていただかなければ、ほんとうに実行になりません。そういうこともあります。 方法にしても、これはできるのです。消費者物価指数は毎月出ているのですから。三月間とって三月間とれば、どれだけ上げるかという数字がすぐ出るわけです。事務的に困難だと言うけれども、五月にきまったら九月までにできると言っているわけです。その四カ月の準備期間を、ほかの省も応援してやれば、人員も増大してやれば二カ月くらいでできる。ほんとにやる気だったら、できるということを申し上げておきたいと思います。そういう点で進めていただきたいと思う。 次に、福祉年金の問題について申し上げます。 実は、老齢福祉年金を五千円から七千五百円にする、特に五割ということばをお使いになりまして、今度の政府の何か目玉のようにしておられます。生活保護の二〇%が目玉のように見えているけれども、客観的にはとんでもない目玉であったということは、ここで明らかになったわけでございますけれども、この五千円を七千五百円にするということは、実は一昨年の末から与党である自由民主党として、わが党として推進するという宣伝が行なわれておりました。昨年二月の予算委員会で厚生大臣と総理大臣から確認をされました。そして経済社会基本計画も昨年二月にそれを入れているわけです。すでに、五千円にし、その次に七千五百円にし、次に一万円にするということは、方針として国民に公約をされているわけであります。ことし特にお年寄りのことを考えて七千五百円にしたということじゃありません。したがって、この問題に対処するために特別にやったというような言い方は、これは政府宣伝に過ぎるのでお控えになったほうがいいと思うわけです。昨年からきまっている問題をいまやられているだけであります。 ところで、昨年からことしまでの物価の上昇は非常に多いわけであります。私どもは、こんな五千円を七千五百円にするというような案のときに、少なくともいまは月三万円でなければならない。その当時は財政も考えて二万円にして、そして賃金スライドにするから三年で三万円になるという案を提出いたしました。現在は物価が高騰しておりますから、三万円にするという主張をいたしておりますけれども、そのときに、そういうことはわかるけれども、まあだんだんにということで、五千円、七千五百円、一万円ということで、あなた方はそれでかんべんしてくれと言われたわけです。ところが、それから物価がずいぶん変わっておりますから、最低の去年の公約である五千円を七千五百円にしても、昨年度において五千円を七千五百円にするという公約とは違うわけであります。 少なくとも物価の動向、これからの動向ですね、この七千五百円を実際に支払われる、国民の皆さま方に受け取っていただくというときまでの物価の動向を考えると、昨年の少ない公約を実質的に果たそうとすれば、これは一万円にならなければ果たしたことにはならないと思う。この七千五百円ということを、ぜひ改めていただきたい。私どもは三万円と言いますけれども、政府の財政もありますでしょう。少なくとも七千五百円、一万円という計画を一万円、一万五千円ぐらいにはなさる、そういう必要があろうと思うわけでございますが、それについての厚生大臣の御意見を伺いたいと思います。
○齋藤国務大臣 五千円を七千五百円、低過ぎるではないか、特に最近における物価上昇においては低過ぎるではないかとおっしゃいますが、五千円を七千五百円にするということは、やっぱり相当なものなんです。というのは、この五千円を七千五百円に引き上げ、同時に母子年金をそれとの関連において引き上げ、障害福祉年金をそれだけ関連して引き上げるということになりますと、半年間で四百億の金がかかるのです。これは全部国費なんです。この緊縮財政の中で四百億という金を出すことは、私はやはり相当なものだと考えております。 それにこの際、私、これは八木委員十分御承知だと思いますが、福祉年金というものの位置づけをどうお考えになっていただけるかという問題だと思うのです。これはもう、皆さん方と一緒にいまから十何年前に年金をつくりましたときに、国民年金というのは拠出制の年金が中心なんです。ところが、拠出制年金に入れぬ方々に、いわゆる無拠出の——一回目のときは、社会党は反対でこざいました。(発言する者多し)反対でございました。そこで、それができたときに、そのときにいわゆる敬老的な考え方で福祉年金をつくろうではないか、これが私どもの提案であったわけでございます。そこで千円ということで、まあできたわけでございます。 〔発言する者あり〕
○井原委員長代理 静粛に願います。
○齋藤国務大臣 千円ということでできたわけでございます。すなわち、拠出制年金を中心とし、無拠出というものは、やはり敬老的なもの、社会保障的な色彩よりは敬老的なもの、こういうことで始まったものでございまして、五千円から七千五百円、こういうことであるわけでございまして、相当なものであると思います。(発言する者あり)
○八木(一)委員 齋藤厚生大臣の発言は、ほんとうに社会保障のことを知らない発言であるし、また、社会保障を推進している社会党に対する侮辱の発言であります。反対をするといえば、社会党が福祉年金をつくらなくていいという考え方のように国民に受け取られます。とんでもないことであります。あなた方は国民年金のことを何にも考えておられなかった。 昭和三十二年にわが党は——これは私のつくったものであります。国民年金法案をつくって、昭和三十二年十二月二十五日のクリスマスの日に、国民にクリスマスプレゼントとして発表しました。三十三年にそれを提出しました。りっぱな年金案でありました。そのときに、あなたが自民党員としての国務大臣としてそういう発言をされたから言っておきますが、そのときに、社会党が国民年金法案を提出をして、初年度、その当時千六百十三億円、ピーク時において八千億円の国庫支出を必要とする法案を提出したところ、それについて本会議で趣旨弁明を要求しました。ところが、議院運営委員会で自由民主党の諸君は、これは、健保を除いて、国民生活では費用の点から考えても最大の法律である、したがって、本会議で趣旨弁明をすべき法律であることは明らかに認める、しかしながら、それが本会議で上程をされて、政府が用意をしていないのに社会党の法案が先に提出をされたならば、自民党政府が老人のことを考えていないことが国会を通じて天下に知れ渡る、そうなれば自民党が損をする、損をするから、横になっても縦になっても議院運営委員会の多数決で本会議上程を否決するという態度をとられた。私は、自民党の国対委員長に交渉に参りました。当然のことであるけれども、自民党が損をするから、どんなことがあっても本会議上程は賛成ができない、明らかに言われました。そういう態度であった。 社会党のほうは、その国民年金法案で、その当時政府が一年後に出してこられたときに、月千円のものに月二千円の問題を出し、翌年には月三千円の、政府よりもはるかに優秀なものを出しているわけであります。しかも、七十歳開始ではなしに六十歳から福祉年金を受け取られる、そういう法律案を出しているわけです。社会党が思い詰めてお年寄りのために考えているのに、ただ反対をされたというようなことで国民の誤解を招くような答弁は、これは慎んでいただかなければならないし、これば取り消していただかなければならないと思う。それ以後、われわれは、国民年金法案については十分な対案を出したときには、この対案のほうがよいから政府案に反対をする、われわれの社会党案あるいは四党案に賛成をする、そういう態度をとってまいりました。そしてそうでない簡単な手直しの国民年金法律案については、反対をしないで通してきたわけであります。賛成をしてきたわけであります。 こういう事実に反した発言については、ここで取り消されて、社会党に対して陳謝をしていただきたいと思います。
○齋藤国務大臣 国民年金法がいまから十四年になりますか、提案いたしました政府提案に対しましては、社会党さんは確かに反対の態度であったと思うのです。政府提案に対してですよ。そのことを私は申し上げただけであって、皆さん方が年金について非常に御熱心に推進されていることについては、私は深く敬意を表しております。あの法律が成立いたしましたときの政府提案に対しましては、社会党さんは反対であったではないかということを、ただ事実を申し上げているだけでございます。それ以上ございません。(発言する者あり)
○井原委員長代理 田中君。
○田中(武)委員 あなた、ここでけんかを売る気ですか。なら、やりましょう。社会党が反対したということには経過がある。その経過を除いて、ああいう発言がありますか。陳謝をし、取り消しなさい。そうでなければ質問は続けていくことができません。(発言する者あり)
○齋藤国務大臣 先ほどの答弁において、政府提案に対する態度について、私触れたわけでございますが、そういう意味ではございませんので、その部分については取り消させていただきます。 〔井原委員長代理退席、委員長着席〕
○八木(一)委員 そこで敬老年金という考え方をあなた言われました。これはとんでもないことです。これこそは自民党の方が憤慨をされなければいけない。厚生大臣の発言で、自民党はお年寄りのことを全然考えていないように受け取られる筋がありますから、自民党の方は、このことについて厚生大臣に抗議をしてください。 社会保障というものは、憲法で進めなければならないということが書いてあるわけです。このことについて、年寄りの人たちが所得能力がなくなりますから、当然年金というものが必要であるということは、社会保障のイロハのイです。政府のほうがその対処をしてこなかったために、いま福祉年金の該当者は——政府のは拠出制年金を主体とされた。二十歳から五十九歳まで保険料を支払って、そして六十五歳から受け取る年金制度というものは、あのとき提唱されたわけです。それは年金制度をほんとうに必要とする人、ほしいと思っている人が入れない。そういうことで、政府の保険料納入を条件とする年金制度、それにはずれた人に対して福祉年金制度というものをつくられたわけであります。ですから、本来は、当然、生活を完全に保障するための福祉年金制度でなければならないわけであります。政府の怠慢のために、拠出制年金の適用を受けられなかった。それは政府が責任をもって、拠出制年金の受け取り者と同様に、ほとんどそれと同じくらいの年金を確保しなければならないあけであります。 政府のほうは、国民年金で五万円年金を、インチキな内容でございましたが、宣伝をされました。ほんとうはあれは四万円年金であります。国民年金の拠出制で四万円の主張で、それに対して皆さんのは少し手直しをして、期間の短い人は少ないからというので、五年年金、十年年金に底上げをされました。それならば、当然それに該当しない福祉年金も、同様に底上げをしなければならないわけであります。政府のベースでも、生活保障に近づくような年金にせられなければならないわけであります。それを、敬老年金かどうかというような、ほんとうに国民のことを考えないところに、一部の人たちの議論を背景に、そのくらいでいいんだということに援用される姿勢は、厚生省の、ひいては田中内閣の、お年寄りに対してはいい顔をしながら、実際は何もしようとする気がないということを証明することになるわけでございます。 もし、そうでないとするならば、そういうような態度を改められて、福祉年金は七千五百円では足りない。少なくとも、政府の昨年の少ない公約であるけれども、それを果すためにも、物価の上昇を考えて一万円にはしなければならなかったという反省の意図が示されなければならないと思う。それに、老齢福祉年金を上げれば障害や母子福祉年金が上がる、四百億円もかかる。四百億円くらいのことを膨大な金のように言われるのは、何たる厚生大臣ですか。二兆八千億で予算がふえたと、へっぴり腰の厚生大臣は、これで喜んでいるんだろうと思います。 社会保障制度審議会の三十七年の勧告では、昭和四十五年に、十年前の欧米諸国の基準に追いつくためには、国の予算では、どんなに少なくてもその四分の一を——最小ですよ、四分の一を充てなければならないという勧告が出ていたのを、あなたも何回も申し上げましたから忘れてはいないでしょう。そうしたら、本年度の予算は、四兆五千億くらいに社会保障の予算はならなければならない。それを二兆何千億でありがたいと思っているような厚生大臣だから、だから四百億円もの金があったらたいへんだから、お年寄りも障害者も母子対策もやりたいけれども、できないというような発言が出るわけです。その態度を改めて、福祉年金を、もちろん老齢福祉年金を上げるとともに、障害福祉年金や母子福祉年金を上げなければなりません。それも含めて、それを前進させなければならない。これは大蔵大臣、よく聞いておいていただきたいと思います。 次の問題がありますから進めますが、実は、この中で老齢特別給付金の問題が五千五百円になっております。本年度国会で決定した老齢特別給付金は四千円であります。老齢福祉年金は五千円であります。その比率は一〇対八。これもとんでもないことで、われわれは老齢福祉年金に一緒にしなければならない、六十七歳ではなしに六十五歳以上でなければならないという当然の主張をしたわけでございますが、あなた方のへっぴり腰で、そういうことになりました。そのへっぴり腰でなった比率が、いま下がっているわけです。五千五百円では八割になりません。六千円でなければならない。そのことも、厚生省はへっぴり腰で九月に要求されたけれども、大蔵省に説明不十分で五千五百円で予算がきまってしまった。少なくともこれは六千円にするように最大の努力をせられなければならないと思いますが、端的に、それだけ答えてください、時間がないから。
○齋藤国務大臣 まず最初に、私は、先ほど老齢福祉年金というものは敬老的なものから出発いたしましたが、最近は社会保障的性格を帯びるようになってまいりました、こういうことを申し上げておるわけでございまして、その点は十分御理解をいただきたいと思います。 それから、老齢特別給付金の問題につきましては、五千円のほぼ七割ということで、三千五百円ということでございました。ところが、参議院の段階において四千円ということになったわけでございます。そこで、来年度どの程度が適当であろうかということをいろいろ考えてみましたが、よその年金等との均衡等も考えまして、大体五千五百円ということが適当ではないか。それが、衆議院において法律が通るときの、七割といったふうな話し合いと申しますか、そういうふうな金額の目安というものもありましたので、一応五千五百円ということにいたしたような次第でございます。
○八木(一)委員 国会に対する大きな侮辱ですよ。衆議院のときには三千五百円でした。このことは不満だけれども、三千五百円で通った。ところが、参議院の修正で四千円になった、そのことは、衆議院のほうでも確認をしておるわけです。国会の意思は四千円です。これは衆議院に対しても参議院に対しても、侮辱です、そういうことは。四千円です。四千円のものがバランスがくずれた、それだけ後退をした。谷間の老人の問題について、本気にやる気がなくて、予算がしんどいということを理由にだんだん少なくしていこう、そういう非常なけしからぬ姿勢がそこで明らかになったわけであります。 厚生大臣として、六千円にすべきであったけれども、一生懸命やったけれども大蔵省が聞いてくれなくて、閣議でも通らなくて残念でした、何とかしたいと思いますと言うんなら話はわかります。そうではないというところに、谷間の老人なんかどうなってもいいというような根底の思想があるということが、明らかになったわけでございます。重大な反省をしていただきたいと思います。 ところで、時間がなくなりましたが、委員長、ちょっと中断した時間は加えてください。 急速に申し上げますけれども、今度厚生省のほうの出しておられる特別児童扶養手当について、二重障害のある人に三千円のプラスアルファをつけた、これはけっこうです。しかし、その金額は少ないわけです。それを種にして、二級障害の子供を持っておる家庭に対する特別児童扶養手当を出してこられなかった。障害福祉年金の金額にマッチをして、いつも特別児童扶養手当については、障害者に対してこれが出たら、障害児を持っておられる家庭にも同じだけの対処をしなければならないというように連動しておるわけです。障害福祉年金に二級障害福祉年金の支給ができたならば、当然特別児童扶養手当に、二級障害児を持っている人たち、その親たちにそれが対処をされなければならない。とんでもない怠慢であります。これは大蔵大臣もよく理解をされて——厚生省が要求しなかったんだろうと思います。厚生省、けしからぬではないかというふうに詰めていただいて、即刻実現のためにやっていただきたいと思うわけであります。 その金額は、二級障害福祉年金の障害児を対象とする金額のほうが、その二重障害の人の、これはいいことですが、プラスアルファよりもずっと金額が多いわけです。ちょっとアクセントをつけて、それはいいことですが、ちょっとの金額でいいかっこうをしようとする。量的に大きな対処をしなければならないことはなまける、こういう態度があります。これは重大な反省をしていただかなければならないと思います。 ところで、この社会保障問題について、非常に皆さんの対処が少ないと思います。それで、総理大臣にも大蔵大臣にも、ひとつ考え直して、社会保障の問題について対処をしていただきたいと思うのですが、そこで、日本国憲法の中で、具体的な政策を規定しているものはどことどこに幾つあるか、総理大臣御存じだったら御答弁ください。——御存じなかったらけっこうです。法制局長官——けっこうです。御存じはないわけですね。それでは大蔵大臣は御存じでしょうか。——御存じではないですね。厚生大臣は知っていますか。——まあ知らなきゃいいです。 それでは、私から申します。ここには、国民主権とか平和主義とか民主主義とか自由とか、大事なことが全部載っております。そこで、具体的な政策が憲法に載っているのは五つあります。それは憲法第九条で、戦力を持たない、陸海空軍その他の戦力を持たない、これが一つであります。それから憲法第二十五条であります。「社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」二七五条第二項の規定であります。そしてその次に、憲法第二十六条であったと思いますが、義務教育無償、その五つだけが具体的な政策として憲法に書いてあるわけであります。 そうなれば、憲法はそれを一番大事にしているわけであります。いろいろな政策の競合がありますけれども、その憲法に書いてあることは、まっ先にやらなければならない。ほかの政策があるから、財源があるから、これはちょっと待ってくれとか、ちょっと延ばすとか、ちょっと減らすとか、そういうことをやられてはならない性格の問題であります。そのことについて、総理大臣も大蔵大臣も厚生大臣も、すぐに御答弁がありませんでした。ほかの大臣も御存じないと思う。こういうところに——御存じないと思います。御存じであったら、いま言ったからいいですけれども、いままで聞いて答えられたためしがない。法制局長官がその次に言って、これも即時答えられないで、五、六分条文を見てから答えるということは、毎回の例であります。 そういうようなことであってはならない。日本国憲法を大事にして、社会保障の要求について大蔵省が断われば、大蔵大臣であっても主計局長であっても、これは憲法違反である。政治家として、公務員として失格である。総理大臣がまあまあこのくらいと言っても、内閣総理大臣は、総理大臣として、国会議員として不適格である。そのような態度で社会保障を推進していかなければならないわけであります。そのことを、あなた方は銘記をしていただきたい。そうなれば、四百億円がたいへんだから、そんなとんでもない発言が出るはずはありません。特に厚生大臣は肝に銘じてこれを覚えて、四百億円がたいへんだ、そういうような発言は一切出ないような、そういう態度で終始をしてもらわなければならないと思います。 次に、ほかの問題に移ります。 ILO条約の問題について、百二号条約や百二十八号条約やその他の条約が批准をされておりません。批准そのものが大事ではなしに、それに対応する内容に、日本の社会保障がなるということが大切であります。 そこで、百二号条約というのは、非常に程度の低い条約であります。ところが、こんな程度の低い条約も、まあ形式的にいえば重要なものの一つ、ほかのものを何か四つくらいあれば批准できることになっておりますけれども、それを、各項目が合格をしていない水準にあるものがたくさんある。特にひどいのは児童手当、これは問題にならない水準である。批准を進めなければならないけれども、批准を進める体制をつくっていかなければならないと思う。 経済的にこれだけ発展をしたといわれている日本の国で、南米の、まだ経済的に進んでいない国が批准をしているような条約を日本の国が批准ができない、そういう状態は非常に怠慢であります。今後それを形式的に、落第点すれすれですべり込むというようなことではなしに、各項目について、少なくとも百点満点くらいとるような状態をつくって批准を促進する。百二号条約だけではなしに、百三十八号条約なり百二十一号条約なりを促進をするということをやらなければならないと思います。労働省は百二十一号条約を批准する体制を整えて、近く批准をされる予定であるようであります。もう時間がありませんから、答弁をいただきません。 労働省はやっておられるのに、厚生省は全くその点で怠慢である。特に児童手当についてはとんでもない。百点満点にしては二点か三点しかない内容である。こんなことをやっておって、福祉国家なんていえる状態ではありません。今後この問題を解決しなければ、現内閣としては福祉国家というようなことばを使う資格がないということを確認をされて、それをやって福祉国家をつくりたいというふうに、いつも説明をするようにしてもらわなければならないと思う。 児童手当で第三子から支給する。三千円を四千円にする。物価からあたりまえの話であります。それが改正のように宣伝されている。とんでもないことであります。日本のいまの若い人の家庭で、三人以上子供さんがある家庭はどれだけありますか。ごくわずかであります。たいてい一人か二人の子供、ほとんど大部分の家庭には関係のない児童手当であります。名前だけあって実体がない。もし三人子供さんがおありになっても、そのうちの一番上のお子さんが規定の年限を越えると、二番目のお子さんの分も支給が停止される。全くがんじがらめで、何も支給できないようにわざわざつくった法律です。三千円を四千円にすることはやられておりますけれども、少なくとも第一子から児童手当ができるように推進をなさらなければならないと思います。時間がありませんから、この問題を強くおしかりを申し上げて、ほかの問題に移ります。 次に、経済企画庁長官に伺います。 実は、本年度の予算をつくるときに、最初十二月二十九日の資料か何かで、これは消費者物価の資料でございますが、ほかの資料も集められまして、閣議の了解事項をされて、一月二十一日ですか、閣議決定されたという状態であります。そこで、一月の閣議決定のときには、石油の需給の状況なり、あるいは国際収支なり、卸売り物価なりについては調整をされたようでございますけれども、消費者物価が非常に上がっているのに、その問題については調整をされていない状態で、その経済見通しを使って、そして予算案を編成されたという状態であると思いますが、それについて伺っておきたいと思います。
○内田国務大臣 八木さんが仰せのとおりの経緯で経済見通しの試算をやりかえまして、その上で閣議決定をいたしました。 しかし、消費者物価につきましては、これは、言うまでもなく卸売り物価のあとを追うものでありますけれども、私どもは、そのあとを追っている間に、消費者物価に対しましては、あらゆる政策を集中してこれを押え込む、こういう観点から、消費者物価につきましては、いろいろの見地を見直しました結果、これを改定する必要がない、こういうような結論に達しました。
○八木(一)委員 改定する必要がないとは、何ごとですか。消費者物価がいま言ったように、国民生活に非常に関係が多い。先ほども論議をしました生活保護者の人たちの生活にも非常に大きな関係がある。命が縮まる危険性がある。そういう問題を無視していいというようなやり方が許されますか。卸売り物価については経済見通しで二・七修正をされていますな。消費者物価はそれよりもはるかに上がっておりますよ、十二月から一月の間について。あなた方は、経済見通しを十一月までの物価値上がりの指数で計算をし、それで予算案をつくられたわけでしょう。それから急激な高騰がある。当然それについて経済見通しを立て、手直しをして予算案を出されなければならないと思うのです。非常に怠慢であり、特に国民生活について、いいかげんな考え方で、この程度はほっとけというような考え方で対処をされたとしか見られないわけでございますが、それについて御答弁をいただきたいと思います。
○内田国務大臣 八木さんもよく御承知のとおり、昨年は卸売り物価の上昇がまことに顕著なものがございました。たとえば十二月で申しましても、卸売り物価の前年十二月に対する上昇率は、実に二九%になっております。消費者物価のほうも上がりましたけれども、このほうは、十二月のベースで一九・一%というようなことでございまして、卸売り物価の上昇が顕著でございます。したがって、四十八年度のあと残っておりまする期間なども考えまして、その間私どもはあらゆる手段を尽くして、その卸売り物価の影響が消費者物価に及ぼさないような、そういう政策的努力もいたしますし、また、私どものほうのいろいろ計数的な試算の結果、先ほど申し上げましたとおり、消費者物価については、これをいじらないでよろしい、こういう考え方をとりました。
○八木(一)委員 あなた方は、十分にできるかできないかわからないことを、あなた方の無能力をこの間からさらけ出していますけれども、無能力で非常に有能なような顔をして、それでいろいろな施策をやって、それで下がるというようなことを、へ理屈をこね回して、それで国民のための予算をつくらないということは明らかなんです。卸売り物価がそれだけ上がって修正をするということであれば、卸売り物価は消費者物価にはね返ってくることは明らかであります。しかも、はね返り方の期間は、最近の動向では、前よりずっと期間が短くなっております。卸売り物価の上昇が消費者物価の上昇に拍車をかけるその期間が、非常に短くなっておるわけです。そうなれば、消費者物価が一九・一と言われましたけれども、そのような状態よりもさらに上がるということを、当然予測されなければならない。そういう対処のもとに国民生活を守る、そのような予算を組まれなければならない。国民の生活を無視した考え方で、予算案を組み直すのには事務的な手数が要る、めんどうくさい、国民の生活なんかどうであっても、たいしたことはないというようなことで予算案を組まれたとしか私どもには考えられない。消費者物価の上昇に従って予算案を改定すべきである。 ここで、一九・一と内田企画庁長官が言われた。ところが、その予算案決定のときには——決定後に、一月二十五日の指数が出ましたね。そのときには、一九・一はまだ出ておらなかったと思うのです。一五・九のときで、そのときで審査をされたのでしょう。それをあなたは、一九・一というようなすりかえをする。一五・九のときで経済見通しを立てられて、そして予算案をつくられた。それから一五・九が一九・一になったのです。ものすごく上がっているわけです。あなたのさっきの答弁からしても当然変えなければならないことが起こる。さらに、その一九・一のときに、東京の区の部分の物価指数は対前年度比ですね、これが二〇・四ということが一月の二十五日に出た。そしてこの表を対比してみますと、これは東京の平均でありますが、東京の平均よりも全国の平均のほうが多い。一月の東京の対前年度比の数が二〇・四であれば、その最近の東京と全国との比率を想定すると、少なく見ても二三・四、当然の見方をすれば二三・四、そのくらいに全国の指数がある。そういう状態を推定しなければなりません。 あなたは、一五・九対前年度比で上がったときをもとにして経済見通しをつくられた。大蔵省は、それをもとにして予算案を編成された。このあと大幅に状況が変わっている。当然に予算案を撤回して出し直される必要があると思いますが、それについて、大蔵大臣の御答弁をいただきたいと思うのです。
○福田国務大臣 予算案は、経済見通しに基づき、これを編成したものであります。 経済見通しにつきましては、消費者物価について、いまるる企画庁長官から申し上げましたとおり、暮れの閣議了解の時点と比較いたしまして、予算案決定の時点においてこれを修正する必要がない、こういう判断に基づいて予算案を編成しておりますので、修正の必要は認めておりませんです。
○八木(一)委員 まあ提案者としては、そういうことばに固着される状態があるのでしょうけれども、国民としては、それでは困るわけです。そして特に十二月二十九日に予算案を閣議決定された。そのときには、対年度比一五・九しか上がっていない、その十二月末の消費者物価の指数をもとにした経済見通しをもとにしてつくられた。ところが、現時点では明らかに全国平均が——その十二月が一九・一、一月は、東京都の推定で二〇・四、それを、東京都と全国の比率を修正をすると二二・四か二三・四になる。これは私の試算です。猛烈な違いがあるわけです。 ですから、当然予算案を撤回して出し直さなければならない。ところが、提案者としては出し直さないと言われる。出し直すように決意をしていただきたいと思いますが、それをされないならば、当然この予算案について、この状態に従って修正をしなければならない。さらにまた、昭和四十八年度の補正予算も、この物価の指数の変動によって組まなければならないということになるわけであります。 昭和四十八年度の補正予算を組むことと、昭和四十九年度の予算案について大幅な修正をする、そのことについて田中内閣総理大臣に伺いたいわけでございますが、この異常な経済的な状態に対して、全面的に対処をする、全国民とともにやっていきたい、全野党の協力を求めたいと、しばしばあなたは言われている。全野党は、国民のための予算案をつくるために協力をする用意があると思います。少なくとも社会党の私はございます。ですから、この予算案については、大幅にこれを修正するという前提のもとに与野党ともにこの修正の協議をする、そのことをなさるのが当然であると思います。 わが党の成田委員長の本会議質問に対して、総理大臣と大蔵大臣は、そういう積極的な意図を表明せられませんでした。しかし本会議の壇上であります。その後いろいろと考えられたでありましょう。野党の協力を求めることについて考えられたでありましょう。しかも、その後消費者物価指数はこれだけ大幅に上がっている状態について、国民のためにこれに対処をしなければならないという良心のうずきを持っておられなければならないと思います。そうなれば、野党に話して予算案を大幅に修正しようということを、ぜひそういう態度を明確にしていただかなければならないと思います。予算案修正といっても、総需要抑制がございます。したがって、福田さんが熱心につくられた総需要抑制のワクを逸脱しようという考え方は、私どもはございません。福祉予算をふやす、そのために、負担能力があって、むだなことに使っているものの税金を増税すればいいわけであります。福田大蔵大臣は、この所得税減税のときに、大きな金持ちに及ぶことについて引き続き追及がありましたときに、バランスがありますということを考えられた。バランスというようなものを考える時期ではございません。負担能力があり、生活に余裕のあるものに当然それだけの税金を負担してもらって、この異常な条件の中における経済の状態を正しい方向に持っていく、国民生活をその中で確立をするために、そういうことを考えられなければなりません。 私は、さらに追及しようと思っておりましたが、日本の交際費について、外国がとんでもないとびっくりしているわけであります。イギリスの新聞紙であります。アイルランド全体の国民総生産よりも多いものが、日本の大会社の交際費として使われておる。その交際費の課税は、あなた方の今度の税制改革案では、わずか数十億をふやすだけであります。これは三千億、四千億の税収ができる根源であります。そういうものを増税して、そして福祉予算を進める、総需要抑制の方針は堅持をする、そういう方法で予算を大幅に修正する必要があると思うわけであります。 予算修正について野党に協力を求める、その話をすぐに始める、そのような決意をぜひ総理大臣からお示しをいただきたい。そのことを言われなければ、どんなことを言われても、国民のことを考えていない田中角榮君である、国民のことを考えていない田中内閣であるということを立証することになります。そのことを踏んまえて、予算修正を、野党とともに推進をするということを明確にお答えをいただきたいと思います。総理大臣から御答弁を願います。
○田中内閣総理大臣 四十九年度の予算に対しての修正の考えはありません。また、物価抑制に対して、野党の皆さん、国民各位の御協力を得たい、こういう考えでございます。
○荒舩委員長 八木君、時間をひとつ……。
○八木(一)委員 予算修正の意思はありません。とんでもない発言であります。あなたが国民のことを考えていない、あなたが総裁である自由民主党は国民のことを考えていない、田中内閣は考えていないということになります。しかし、自由民主党の中にもそうでない考え方の方がおられると思います。閣僚の中にもおられると思います。そういうような国民のための熱心な政治を考えられる方の意見を聞いて、いまのあなたの答弁を変えられなければならない。頭の回転が早いといわれる田中角榮君でありますが、全く頭の回転がおそい。おそいあなたですから、二、三日は猶予をあげましょう。二、三日中に予算の修正を与野党と相談をして、推進をするということをやっていただくことを強く要求をいたしまして、私の質問を終わります。
○荒舩委員長 これにて八木君の質疑は終了いたしました。 午後一時より再開することとし、暫時休憩いたします。 午後零時十四分休憩 ————◇————— 午後一時一分開議
○荒舩委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。近江巳記夫君。
○近江委員 まず、石油問題についてお伺いしたいと思っております。 この前、ヤマニ石油相、アブデッサラムOAPEC議長が来日をしたわけでございますが、その際、総理、また関係大臣がお会いになられておるわけでございます。三木副総理あるいは中曽根大臣も中東諸国を回っておられますし、そうした結果、今後の石油需給あるいは価格問題等についてどのように見通しをされておりますか。今後の石油の需給、価格問題についての見通しについてお伺いしたいと思います。総理にお伺いしたいと思います。
○田中内閣総理大臣 具体的な問題は通産大臣からお答えいたしますが、石油でもって、一つには、中東問題が話し合いによって、両国が少なくとも平和な状態に向かいつつあるということは、一つの大きな事態だと考えます。しかし、石油問題が全面的に解決するということは、見通しは全く立っておらぬわけでございます。 でありますので、日本がいままでも、七二年に二億四千万キロリットル、七三年には三億一千万キロリットル予定して二億八千五百万キロリットル入ったというような、大幅な伸びを前提として需給をはかっていくというわけにはまいらないと思います。でありますので、昨年一年間で入ったものを基準として、そして七四年会計年度に一体幾ら入るのか、また、七三年会計年度の第四・四半期である一−三月から十二月までを通じまして、どういうふうな石油事情になるかということに対して、いまさだかに申し上げられる状態ではないと思います。これから石油に対するアメリカにおける会議もあるわけでありますし、先般アラブ諸国の大臣との折衝も行なっておりますし、いま外交折衝も続けておるわけでございますので、さだかなことは申し上げられませんが、そう潤沢なものになるということを前提にしてはどうしても考えられない。ですから、最小限の石油の輸入ということを前提にしながら、しかも国民生活には影響を与えないように、また物価政策もメリットある方法で進めるようにということを考えていかなければならないと思います。 ただ、非常に石油の価格の上がったものがこの一月の二十日から入荷をしておるという状態でありますので、石油の価格そのものに対しても、まだ見通しは困難であるということでございますが、あらゆる角度、あらゆる情報を総合して、石油問題に対してのできるだけ正確な見通しというものを期さなければならない状況だと考えております。
○近江委員 二月の十二日からワシントンで石油消費国会議があるわけでありまして、わが国としても参加されるわけでありますが、いかなる態度で臨まれますか。これはひとつ大平さんにお伺いしたいと思います。
○大平国務大臣 本委員会でもすでに御答弁申し上げましたとおり、今日の石油問題の解決という問題は、国際的な協力にまたなければならないことは申すまでもないわけでございます。同時に、産油国、消費国の間に対立があるという姿においては、真の解決が期待できないことも当然であるわけでございます。 しかるところ、こういう段階におきまして、アメリカ政府におかれて、主要消費国の外相レベル会議というものを御提唱になったわけでございまして、日本政府といたしましては、石油問題の解決ということにおいてこの会議が国際協力の場になるように、そして産油国と消費国との協調の第一歩になるようなことを期待しながら、そういう問題意識をもちまして参加いたしたいと考えておるわけでございまして、精一ぱい努力をわが国の立場でしなければならぬと考えております。
○近江委員 今後のわが国の経済協力の問題でございますが、国際収支も非常に楽観を許さない情勢下にきておるわけでありますが、従来の開発途上国の援助方針というものについては変更はないのかどうか、さらに、この援助の質的改善について、DACの勧告を今後履行していかれるのかどうか、この点につきまして、総理にお伺いしたいと思います。
○大平国務大臣 私からまずお答えさせていただきます。 開発途上国に対する援助につきましては、近江委員も御承知のとおり、UNCTADにおきまして一つの道標が設定されておるわけでございまして、その道標に近づくべく、わが国といたしましても鋭意努力しなければならない立場にあるわけでございます。また、先進工業国といたしまして、人並みの援助条件をもってこれを遂行してまいるという立場を考えていかなければならぬことは当然と思うのでございますが、ただいままでのところ、量におきましては米国に次ぐ第二の地位を確保いたしておりますものの、援助条件という立場から見ますと、まず政府援助の額が少ないということ、そして援助の条件が、先進工業国の平均に比べましてまだ相当劣っておるということでございますので、施政方針演説でも言及されましたとおり、この援助条件の質的緩和ということに、これからつとめてまいらなければならぬとわれわれは考えておるわけでございまして、そういう用意を政府といたしましては逐次いたしておる次第でございます。
○田中内閣総理大臣 南北問題の解決、世界の平和の維持ということに対しては、やはり先進工業国から開発途上国に対して、強力な技術及び資金その他の援助を行なわなければならないというのは、世界の趨勢でございます。そういう意味で、日本は、DACが目標といたしておりますGNPの一%以上という援助というものは行なっておるわけでございますが、しかし、数量においては大きいというけれども、いま外務大臣が述べましたとおり、政府援助が少ない。DACの平均数字を下回っておるというので、この平均数字までは上げなければいけないということでございますし、アンタイイングの推進もはかってまいらなければいかぬということで、チリにおけるUNCTADの会議では、日本は、非常にむずかしいといいながらも、一つの方向を打ち出しておるわけでございます。その意味で、今度の国会に国際協力事業団というようなものの設置もお願いをしておるわけでございますし、国際経済協力の合理的な、また円満な推進、運営をはかるために、担当大臣の増設もお願いしているわけです。 いままでは原材料を全部外国に仰ぐという特殊な立場にありましたから、どうしても民間ベースが中心になるということが多かったわけでございますが、しかし、経済的なものだけではなかなか理解が得られないということで、社会開発やその他の無償援助の推進とか、それからアンタイイングの推進とか、それからまた、その他の社会的な民生の安定、経済の復興、そういうものもあわせて行なわれることによって、より大きなメリットがあるし、同時に、相互理解を深められるということでありますので、そういう方向に大幅にひとつ転換、推進を行なおうというのが現状でございます。
○近江委員 昨年の石油危機等で通産省が供給の見通しを誤った、こういうことで、非常に、いたずらに石油危機をあおり立て、便乗値上げが非常に行なわれた。これはわが党の矢野書記長が、石油製品の便乗値上げの問題について具体的に指摘をしたわけでありますが、その見通しの問題につきまして、海上保安庁なり税関のそうしたデータという問題でありますが、これは確かに統計は若干おくれるわけです。しかしながら、あの石油二法が審議されておりました十二月中旬、あの時点においては、完全に各省がすり合わせをすればはっきりとした数字も出たわけです。そういう点、この縦割り行政といいますか、そういう連携というものは私は非常に悪いと思うのです。こういうことはたいへんな影響を出しておるわけです。ですから、今後そういう弊害につきまして是正し、正確な情報の把握ということをしなければいかぬと思うのです。総理の反省と、今後の方針をお伺いしたいと思うのです。
○田中内閣総理大臣 御指摘のとおり、いままでの問題に対しては反省すべきところは多々あります。そういう面で、国民に情報提供ということに対して欠くるところがあったということは、私もすなおに認めておりますし、これからそのような面を強化しなければならない、こう考えておるわけでございます。 あの当時、突然起こった中東戦争ということと、あまりにも急激な変化がございましたために、船積みのものがどのくらいあるのか、航行中のものがどのくらいあるのか、現に、現地に着いたタンカーが給油を受けられるのかどうかというような問題も把握できなかったという面があって、多少右往左往した、その間隙を縫われて物価に影響があった、こういう御指摘も受けておるわけです。 でありますので、これからは私は、いま御指摘あったように、海上保安庁の数字をそのまま発表するわけにはまいりませんが、通関統計は正確なものでございますから、通関のときには、数量とそれから価格も大体明確になるわけです。これは通産省に送付されておりますから、通産省ではその後十日ないし十五日たつと通産省統計というものを明らかにしているわけですが、主要な品物、石油に対しては、通関の実績は少なくとも一週間にどのくらいあったということぐらいは、これは政府の、経済企画庁になると思いますが、そこでまとめて、これはテレビを通ずるか新聞に特別公告をするか、何らかのことでもって国民に、これだけの石油が入っているのです、価格はこれだけですということだけは、どうしても周知徹底せしむるというような措置はとらなければならぬと思っております。
○近江委員 そうした見通し、あるいは原材料の把握ということは、これはもう石油だけに限らず、すべての物資に私は言えることだと思います。 そこで、いま売り惜しみ、買い占めということが非常に大きな問題になっておるわけですが、それと関連しまして、当然、倉庫という問題になってくるわけです。 御承知のように、倉庫は、最近自家用の倉庫が非常にふえてきておりますし、営業用の倉庫というのは非常にパーセントが低い。それと、非常に大きいのは、輸出輸入の、預かっております関税局の保税倉庫があるわけですね。保税倉庫につきまして、私ども党といたしましても調査をいたしました。私ども党が集計しましたそれでも、非常に大きいのにびっくりしておるわけです。私どもの調査におきましても、保税上屋あるいは倉庫等で約一億平米ですかの大きさがあるわけですが、この保税倉庫につきましてどれだけのエリアがあるわけですか。広さです。関税局長でもけっこうです。
○大蔵政府委員 お答えいたします。 保税地域全体の合計は、一億二千一百九十七万一千平方メートルでございます。——失礼しました。地域は一億百二十六万六千平方メートルでございます。
○近江委員 これだけの広さがあるわけですが、そこで、大蔵省として最も新しいデータとして、どれだけのいま貨物があるわけですか。
○大蔵政府委員 四十八年十二月末現在の数字といたしまして、保税地域に蔵置されております貨物の総量は、これは品物によりまして、トンのもの、あるいはキロリットルで勘定するもの、木材のように立方メートルで換算をするものがございますが、かりにそれを比重を一という前提で考えますると、合計いたしまして六千二百三十二万六千トンでございます。
○近江委員 そこで、その六千二百三十二万六千トンの中で、内訳はどうなっているのですか。
○大蔵政府委員 そのうち、これを一般貨物と冷凍貨物、それから原粗油等のタンク貨物、あるいは穀物等のサイロ貨物、木材、こういうような分類をいたしますと、一般貨物につきましては一千六百十四万八千トン、それから冷凍貨物につきましては六十五万一千トン、タンク貨物につきましては三千八百五万三千トン、そのタンク貨物のうちの原粗油に関しましては二千十三万三千トン、サイロ貨物につきましては百八十七万五千トン、木材に関しましては五百五十九万九千トンということになっております。
○近江委員 そのうち輸入品というのはどのくらいあるのですか。
○大蔵政府委員 そのうち輸入貨物は、全体の大体七四%に相当いたしますところの四千六百二万四千トンでございます。
○近江委員 関税局長、そのうち関税を、要するに通関しておるのはどのくらいあるのですか。
○大蔵政府委員 四千六百二万四千トンのうち輸入許可済みの貨物が二千九百十四万二千トンでございます。
○近江委員 一般貨物の千六百十四万八千トンの中の内訳は、どういうような調査になっておりますか。
○大蔵政府委員 輸入貨物とその他の貨物の内訳を申しますと、一千六百十四万八千トンの一般貨物のうち、輸入貨物が六百七十六万八千トンでございますし、それから内国貨物並びに輸出をするために一時置いてございます数量が九百三十八万トンでございます。
○近江委員 一般貨物というのはどういうものですか。
○大蔵政府委員 一般貨物といたしましては、食糧、飲料あるいは原料品、金属原料、鉱物性燃料であるとか、あるいは油脂及び化学工業製品、繊維製品、機械類その他、いわゆる冷凍貨物、タンク貨物、サイロ貨物以外のものはすべて一般貨物の中に含まれております。
○近江委員 そこでお伺いしますが、通関済みのものが約六三%あるわけですね。 そこで、関税法から見ますと、保税上屋については一月、保税倉庫については二年ですね。ところが、一般で誤解されておることは、保税上屋については一月、あるいは倉庫については二年以内にほうり出さなければならぬな、こういうように思っているわけですね。ところが、その期間に通関手続をとりなさい、そしてあとは、極端に言えば何年置いてもかまわない、倉庫が一ぱいにならない以上は置いてもかまわない、そうなっていますね。 そこで、いろいろと関係者に聞きましても、いままで通関のことだけしか大蔵省は頭になかった。そういうストックであるとかいうようなことについては夢にも考えなかった。わが党の矢野書記長がああいう商社の手口について追及をいたしましたけれども、今日、物不足であり、そして物価が高騰しておる。非常に大量にいまそのストックがされているわけです。一般の自家用倉庫、営業倉庫、ウナギ登りですよ。そうであれば、こういうストックに政府が手を貸しているのと一緒じゃありませんか。しかも、大蔵省が調査しだしたのは最近でしょう。たとえば十月以前のそういう調査、やっておられましたか、どうですか。
○大蔵政府委員 御指摘のように、最近の物資の問題にかんがみまして、この調査を始めましたのは、昨年の十一月から始めまして、それまでは調査をいたしておりませんでした。
○近江委員 私どもの党の調査によりましても、たとえば神戸税関へ参りまして、これは兵庫県下や中国、四国、山陰各港の保税上屋、倉庫等の在庫調査を聞いたわけですが、貨物量は七百九十万トン、在庫率が五二%。それから六百九万キロリットル、これは原油等ですが、トン換算でその全貨物量が千三百九十九万トン、うち輸入が六百五十五万トン、そのうち全体の六二・九%、四百十二万トンが通関済みなんです。 品目別に見ますと、魚介類の冷凍貨物は、十三万トンの収容能力に対して八万トンで八三・三%、ほとんど満ぱいの状態で置いてあるわけです。倉庫は七〇%で満ぱい。冷凍輸入品は四万トン、うち二万六千トンは通関手続済み。他の食品、原料、油脂を含む一般貨物在庫のうち輸入品が二百六十六万トン、うち百九十七万トンが手続済み。輸入大豆、トウモロコシのうち十九万トン、五四・三%、材木四十七万トン、六八・三%が通関手続が終了しているわけです。原油など石油類も五百九十一万キロリットル、半分以上が通関手続を終了している。 こういう、いかに大手商社、大企業をはじめとしたそういうところがストックに使っておるかということなんです。これだけの膨大なエリアを持っているわけですね。一億でしょう。一億平方メートル、これはもうたいへんなものですね。これがそういう売り惜しみ、買い占めの道具に使われておる。たとえばこういう法律でも、物の流通、ストックという点からは何の考慮も払われておらない。そもそも、通関手続をとるのに二年以内にとれという、そんなゆうちょうな、これ自体もおかしい。当然それは時代の要求であります。当然もっと早く、そういう通関手続をとったものについては、早く搬出させるとか——やはり法律がこうなっているのですから、非常に弱いわけですね、措置をとろうとしても。ですから、法改正をするべきものは法改正をして、やはりストックをさせない、そういう対策をとるべきではありませんか。この問題について大蔵大臣はどう思われますか。
○福田国務大臣 お話しのように、税関は膨大な上屋と保税倉庫を持っておるわけです。これが通常の状態でありますれば、何ら問題はないんだろう。余積があれば物資をそこへ流入して蔵置する、これも経済的な行為だろうと思うのです。 ところが、最近買いだめ、売り惜しみ、こういう形勢がある。しかも港の周辺におきましては、はしけまでがそういうことに使われる、こういう形勢がありましたので、大蔵省でも、税関倉庫、上屋、こういうものがそういう売り惜しみ、買いだめというようなものに手を貸すということになっては相ならぬ、こういうことで、十一月から毎月実情調査をいたしまして、そういう行為に手を貸すというようなことのないようにしようというので調査を始めたわけなんです。 そこで、十一月、十二月、一月、こういうふうに来ておりますが、十二月現在でわかっているところでは、大体上屋、保税倉庫の収容能力の半分ぐらいが、いま倉庫として実際商品を預かっている、こういうような状態でございます。 〔委員長退席、井原委員長代理着席〕 これから、こういう時局でありますので、税関の倉庫が、とにかくいまたいへんな時期でありますから、買いだめ、売り惜しみ、そういうようなものに手を貸すというようなことのないように、厳重な行政指導をやってまいる、これはまた行政指導が完全にできる、そういう状態にあります。
○近江委員 大体、生活関連物資の売惜しみ買占め防止法案は、四十八年の七月六日に法律が制定されておるわけです。この時点で、当然その辺の点については、やはり政府が気をつけて措置をすべきであった。あの時点でも膨大なる材木がストックされておった。一般の市中製品はたいへんな暴騰をしておった。こういうことをもっと大蔵省が、政府がびしびしとやっておれば、あそこまでの暴騰を招かなかった。そういう適応していく、それが政府は非常になまぬるい。それで、実際に現地の税関へ行きましても、いまの法律はこういうようになっておりますから、倉庫にまだ余裕があれば出してくださいということは言えません、こう言っているのですよ。 大蔵大臣、そうでしょう。政府は、今後在庫調査もして、何がどれだけある、不足の事態が来た場合においてはすぐに出せ。ところが、いまの関税法からいきましたら、通関手続さえとれば、極端に言えば何十年置いておいたってかまわぬわけですよ、倉庫に余裕さえあれば。当然、法律にだって手抜かりがあるはずですよ。当然、これは改正という問題につきまして検討してもらわなければいかぬと思うのです。その点についてはどうですか。
○福田国務大臣 業者が上屋なり保税倉庫に品物を入れる、これは当然に税関の承認を得るわけでありますから、その承認にあたりまして期限を付す、これは自由にできるわけです。税関当局がいやだというのを押し込んで置いておく、こういうわけにはまいりません。ですから、完全に行政措置をもって措置できる、かように考えております。
○近江委員 いまでも、四千六百二万四千トンのうち、通関手続を終えているものが二千九百十四万二千トンもあるのですよ、六三%も。この中には、最近しょうゆが値上がりしたとか、みそがなくなってきておる、大豆なんかでも相当なストックがあるわけです。こういうものを、いまの法律であればどうしようもないじゃないですか。そういうことは今後どういうやり方でやっていくんですか。必要なものはすぐに出さすんですか。
○田中内閣総理大臣 保税上屋は公営のものもございます。しかし、保税倉庫そのものは民間のものであります。民間の倉庫そのものは、営業用倉庫を保税倉庫としての認可を受けてやっておるということでございますから……。保税倉庫に入っているものは、通関したものは二カ月というようなものもございます。これは、しかし各国でも二カ月のものもあるし、二カ年のものもあるし、無制限というものもあります。しかし日本においては、いま物価問題があるわけでありますから、通関したものは、早くこれを市場の製品として活用されなければならないというところに主目的が置かれておるわけであります。 ですから、保税倉庫や法律を改正するということよりも、問題は、保税倉庫としての認可を受けておる民間の工場も民間の倉庫も、一般の倉庫と同じわけでありますから、そういう意味で立ち入り調査もできますし、それから買占め売惜しみ防止法という法律によって措置できる対象物件でございますから、そういう立場から措置をすることによって、流通過程に早く乗せるということは、行政的には可能なわけでありまして、そういうところには大きなポイントを置いて運用していかなければならない、こう考えております。
○近江委員 大蔵大臣、しかし今後、そういう現在のような情勢になってきておるわけでありまして、あなたもこの法律が、このまますべていいんだとはお思いにならないと思うのです。やはり見直しをし、悪いところは正す、こういうように思われますか。
○福田国務大臣 これは見直しまして、妥当でないといいますれば改正する、これは当然でございますが、いま、毎月毎月実情を調査しておりますから、これは怪しいぞというようなことがあれば、関係物資官庁に通報したり何なりいたしまして適当な措置をとる、これは当然のことでございます。とにかく、全力を尽くしていまの売り惜しみ、買いだめ、そういうようなことに税関の施設が手をかすというようなことのないように善処いたします。
○近江委員 それから、自家用倉庫が常にどれだけあるかわからない。政府の運輸省が管轄しております営業倉庫、これは大体千三百万平方メートルで約二割ですね。自家用倉庫は約八割。だから、当然、いまのような時代になってきますと、こういう自家用倉庫等につきましても、やはり在庫を報告させるとか、何らかの措置は大事だと思うのです。じゃ、この辺についてひとつ御答弁ください。
○田中内閣総理大臣 これらの保税倉庫の認可を受けておる民間の倉庫、保税倉庫の許可を受けておらない一般的民間の倉庫、それから営業用倉庫、これは当然、すべてのものに対して立ち入り調査もできますし、また、調査要求は可能であります。
○近江委員 私がいま指摘しましたように、こういう法律ができておりながら、大蔵省はやっと十一月ぐらいから調査をしだした。こういう、すべて行政が後手後手になっている。そこにやはり商社なり大企業がつけ込んでストックをしていく、これが庶民の物価を押し上げて、みんなが苦しい目にあう、これは私は非常によくないことだと思います。今後こういう点につきまして、物の流通ということについて政府はきびしく措置をしていただきたい。総理も先ほどおっしゃいましたので、この件はこれで終わりたいと思います。 それから、総理は、この予算委員会等におきましても、今日の物価の狂乱状態、これはもうたいへんなそういう状態を迎えておるわけですが、なぜ起きたかということにつきましては、海外の物価高である、あるいは石油危機である、消費者の需要が多過ぎるのだとか、何かこう政府のとってこられた施策の責任というものについては、あまりお述べになっておられないように思うのです。 そこで、海外の物価高とおっしゃいますが、矢野書記長が指摘しましたように、ああいうからくりがあって物が高く入ってきておるわけですね。そういうこともあるわけです。さらに、国内におきましては、今日も、非常に驚くべきことは、もう総カルテル時代といいますか、平気でカルテルを結んでいく、そうして価格協定をしてどんどんと値上げをしていく、こういうことがあまりにも横行し過ぎておるわけです。 この点につきまして、私は、特にこのカルテルの問題につきまして、いまの物価をこのようにめちゃくちゃな状態にさしておるその大きな原因であると思うのでございますが、総理の御見解はどうでございますか。
○田中内閣総理大臣 カルテル問題も物価問題の一つの要因であるということは、御指摘のとおりだと思います。また、公取がいま勧告を行なっておりますもの、強制立ち入り調査を行なっておりますもの等、いろいろございますが、これらの権限が適切に行使をされることによって、物価抑制ということに対しては、相当の効果があげられるということは——今日の新聞でも指摘をされておりますとおり、協定を破棄する、一〇%ないし一五%の販売価格の低下をはかる、こういうことが行なわれておるわけでありますので、より的確な法運営によって効果をあげ得るものと考えております。
○近江委員 私ども党で調査をしまして、いままでのこうしたカルテルの状況というものを、特に価格協定を中心としましてまとめました。いま総理の手元にもお配りいたしておりますが、どれだけの独禁法違反をやっておるか。四十七年の四月から四十九年一月、価格協定の件数だけを見ましても、四十七年度は三十、そのうち価格協定が十五、四十八年度、四月から四十九年の一月まで、五十六回の勧告を受け、そのうち価格協定が五十四、総計いたしますと、この二年間で八十六回の勧告を受け、そして価格協定の違反の勧告だけでも六十九件。しかも、四十八年度五十四件のこの価格協定に対する勧告のうち、石油、石油化学、プロパン、セメント、紙の業界が三十五件で六五%を占めている。しかも、こういう業界がいま一番値上がりで問題になっておる業界なんです。今日こういうカルテルでつり上げをしておる。 私は、公取委員長にお伺いしたいと思いますが、私がいま申し上げたこの数値は合っておりますか。
○高橋(俊)政府委員 その数字には誤りはないものと思います。 ただし、勧告件数でございますから、たとえば石油化学のように一つの会社が、一連の事件として四つの勧告書を受け取っておる、こういうものも計算されております。石油化学は一回として計算すれば減りますけれども、四回として計算すればそのような数字になります。
○近江委員 いまからしばらく、私は独禁法の問題をやりますので、公取委員長、ちょっと御不自由なようでございますので、いすを持ってきていただきたい。これをひとつお願いしたいと思います。お許しいただきたいと思います。 それで、これを見ますと石油、これは灯油、ガソリン等で、この二年間で十七、うち価格協定が十六。石油化学製品で、塩化ビニール樹脂等が十二回の勧告を受け、十二回とも価格協定。紙、これは段ボール、コーテッド紙等が七回受け、価格協定が七回。セメント、これは生コンを含んでおりますが、七回の勧告を受け、五回は価格協定。プロパンガス、二回のうち二回とも価格協定。化学繊維は八回勧告を受け、価格協定は、これは一応ゼロです。鉄が四回受け、四回とも価格協定。その他二十九で価格協定がうち二十三、こうなっておるわけですね。しかも、立ち入り調査をしておりますけれども、まだ勧告もしていないものがたくさんあるわけですね。そういうものを入れますと、これはもう膨大なものになってくるわけです。こういうやみカルテルというものが横行しておる。 特に、先ほど公取委員長は、数字が合っておるということをおっしゃっておりまして、私ども、この調査で三回以上この二年間で価格協定で違反勧告を受けておる、それのリストをつくってみましたが、宇部興産が五回、住友化学が五回、旭化成が四回、チッソが四回、三井東圧が四回、電気化学工業が四回、日本化薬が四回、三菱油化が三回、三菱化成が三回、徳山曹達三回、日産化学工業三回、日本セメント三回、三菱鉱業三回、昭和油化三回、日本油脂三回、本州製紙三回。この中で旭化成の独禁法違反回数は、生産制限、国際カルテル等を含めると十回になるわけです。同じく鐘紡は七回になるわけですよ。 私がいま申し上げたこれは、公取委員長、間違いありませんか。
○高橋(俊)政府委員 その会社について、いま私、手元にその七回、十回というふうな数字については持ち合わせませんが、多分そうであったかと思います。私、いまその的確な数字はお答えできません。
○近江委員 これは、じゃ公取事務局長、私どもは、これを確信しておりますが………。
○吉田(文)政府委員 いま手元にございます資料で申し上げます。 昭和四十七年度、四十八年度中に公取から勧告を三回以上受けた企業名とその事件の概要について申し上げます。
○近江委員 件数だけでいいんです。ぼくが言っているのが合っているかどうかだけ答弁してもらったらいいのです、時間がありませんから。
○吉田(文)政府委員 まず、住友化学工業が四十七年度、八年度で五回でございます。それから三菱油化が三回、宇部興産が五回、昭和油化が三回、三菱化成工業が三回、チッソが四回、三井東圧化学、これが四回でございます。それから徳山曹達三回、旭化成工業七回、日産化学工業三回、電気化学工業四回、日本セメント三回、三菱鉱業セメント三回、日本化薬四回、日本油脂三回ということになっております。
○近江委員 大体合っていますね。旭化成のそれは、国際カルテル、生産制限のとり方の問題であろうかと思いますが、まあ七回でもいいでしょう。 そこで、私がお聞きしたいのは、こういうカルテルが何回も何回も結ばれ、勧告を受けてそれを応諾する、値段はつり上がったままでそのまま。これは、たとえば交通事犯でもそうでしょう。一回事故を起こすのと、何回注意を受けても、十回、二十回事故を起こすのと、これは同じじゃないでしょう。いまほんとうに物価の上昇に比例しまして、このやみカルテルの増大がデータの上でもはっきり出てきているわけです。こういうカルテルが横行するというのは、なぜだと思いますか。私、それを総理にお伺いしたいと思うのです。
○田中内閣総理大臣 これは産業のモラルの問題でございまして、そういう意味で独禁法か存在するわけでございます。でございますから、独禁法は勧告を行ない、また処分も行なっておるわけでございます。しかし、勧告、処分を行なっても、自粛ということだって——法制的に品物の価格を引き下げるということは、政府は御指摘のようにできない場合もございます。しかし、まあ大体勧告を受ければ、先ほども述べましたように、またけさの新聞が報ずるように、カルテルを放棄し、それから公取の勧告を受けたという事実に徴して値下げを実行しているということは、新聞に報道されておるとおりでございますが、しかし、中には、上げた部分がそのまま全部下がったというのではなく、全額下がっていないじゃないかという御指摘もあります。そういうものに対して、告発をするとか立件をするとか、勧告だけで済ませるとか、いろいろな問題がございますが、これは公取の権限において行なわれておるわけでございますが、政府は、公取法の改正その他の問題に対しては、いま慎重な審議、検討が行なわれておるのでございまして、この検討をまって措置すべきだと考えております。 しかし、すべてが公取法に基づく公取委員会の責任だけで済まされる問題じゃございませんので、政府も行政権の行使を適正に行ないながら、不当な物価のつり上げが行なわれないような行政指導その他を行なっておるわけでございます。今度は法律が与えられましたので、この法律の定めに従いまして、適正な権限を行使しなければならないという政府の責任が生じておるわけでございますので、調査官の制度を拡充いたしましたり、また立ち入り調査を行なったり、これからもまた調査を行なおうというようなことを企図しておるわけでございますし、近く産業界の代表を招致しまして、政府の決意を述べるとともに、いわゆる、いま指摘をされたような産業人としてのモラル、国民に奉仕をしなければならない社会性というものを強調し、協力を求めたい、こう考えておるわけであります。
○近江委員 総理は、企業モラルという点につきまして、非常にウエートを置かれているわけです。確かにいまの企業のモラルというものは話にならぬわけですね。しかし、このカルテルに対して、政府があまりにも寛大だからじゃないのですか。全くこういうような何回の何回も勧告され、平気でこういうことをやっているというのは社会的な犯罪ですよ、これは。どう思われますか、総理は。もう一度お答え願いたいと思います。簡潔にお願いします。
○田中内閣総理大臣 これには、二つの側面があるということを明確にしておきたいと思います。 一つは、あくまでも公取の責任において行なわれるものは、独禁法という法律に基づいての権限行使でございます。そして、これらの権限行使が行なわれた品物というものは、確かに上がっておるわけでございますから、そういう意味では、今度、政府が売惜しみ等の法律に基づいて措置しなければならないという責務とまた設置法上の行政権限を行使し、物価の安定をはからなければならないという二つの責務が生じておるわけでございますので、やはりこういうふうにして立件せられるようなもの、また勧告を受けたもの、累次勧告を受けておるようなもの、その品物等に対しては、特に目を光らせて、報告の提出を求め、立ち入り検査を行ない、厳重な価格動向の調査を行なって引き下げに努力をするというふうに、区分してお答えを申し上げたいと存じます。
○近江委員 何回も何回も勧告されて、こういうことをやってくる、これは私は最も悪質だと思うのですよ。これは現在の独禁法からいきましても、専属告発権というのが七十三条にあるわけですね。これは当然告発すべきです、こういう悪質なものについては。総理は、いまの企業モラルについてけしからぬと思っておられるわけでしょう。こういう何回も何回も重ねてくるという社会的な犯罪を犯しているものについて、独禁法においても告発権というものはあるわけですから、やるべきですよ、これは。総理はどう思われますか。
○高橋(俊)政府委員 告発の問題は、私どもの専属権限とされておりますので、私からお答えします。 いまの近江さんの御意見に対しては、これはほとんどの人が同感であろうと思います。私も、その心情においてはそのとおりでございますが、実はいろいろ昨年の半ばごろ、独禁法違反の悪質なものに対してはそれ相応の強い措置をとる、だから、中には告発も辞さないということを私が申しましたところ、その後、実はいろいろ事件としては告発寸前までいったものもあるのですが、捜査が非常に困難、調査が困難になっちゃったという事情なんです。 最近の一連の石油関係等の事件におきましても、係官が供述をとるのにきわめて困難を感じている。なぜかと申しますと、実はその前に、私どものほうから会社別に厳重な注意書きを、特別な注意書きをやったわけです。あなたのほうは一再ならずやっておる、したがって、今度もしやると、もっと強い措置をとりますよ、こういうことを申したのですが、その結果、今度はその者が行ないましたときには供述を全くしない、これが現状でございます。物証のみにたよるほかなくなりまして、どうも今後もそういう傾向は続くと思いますので、私ども、そういう壁をどうやって破ったらいいかということに頭を痛めておるわけです。何十人呼びましても、一人として、証拠らしきものを出しましても、供述をしないという状態になってきておる。早くいえば黙秘カルテルみたいなものまでできておるわけでございますから、私ども、それで今後やるときには、これは一罰百戒でやる場合には、あれこれと予告的なものは申しません。黙って告発をいたします だから、その点は一罰百戒があり得るということでございますが、その措置は、ひとつおまかせ願いたいと思います。
○近江委員 非常に含みのある、黙ってやる、今後は公取としてのそういう責任を果たすという御答弁であったと思います。 それから、いまのは回数の多いものでありますが、非常に悪質なものがたくさんあるわけですよ。たとえば日本製紙連合会、このコーテッド紙の場合、四十七年の九月一日に立ち入り検査を受け、そして四十八年二月九日に勧告を受けているわけです。ところが、その勧告を受ける前日、四十八年の二月八日ですね。紙パルプ会館において、四十八年五月二十一日から一〇%の値上げをきめておるわけです。それから再度、四十八年七月の九日に製紙会社二十一カ所が公取の立ち入り検査をされておるわけですね。ところが今度は、また紙パルプ会館において、四十八年二月二十日に、四十八年五月二十一日の値上げ実施を今度はまた前に戻して、三月の二十一日から値上げの繰り上げ実施を決定しているわけです。公取は四十八年十二月七日に勧告を発しているわけです。あるいは上質紙の場合、やはり四十八年六月の二十一日に、四十八年八月二十一日から上質紙一〇%の値上げをきめているわけですね。 こういうように立ち入り検査、勧告をされ、その中で平気でこういうカルテルを結んでいる。そして四十八年の十二月の七日に勧告を受け、二十六日に勧告を応諾しているわけです。こういうように立ち入り検査、勧告を受け、やられておっても、平気でまたそういうようなカルテルを結ぶ。全くこれではほんとうに国民をばかにしておるというのか、あまりにもこれは悪質だと思うのですよ。こういう悪質な例もあるのです。 あるいは、このデータに書いておりますが、たとえば四大公害裁判における被告会社の独禁法価格協定違反件数です。四十五年の四月から四十九年一月、私どもの調査でデータにしたわけでございますが、昭和電工などは五回、三井金属鉱業は二回、三菱油化四回、三菱化成工業五回、石原産業一回、チッソ五回、こういうように、公害のそういう費用を出すというようなことの名目かどうか知りませんけれども、社会的にもそういう公害を出しておるところが、こういうような何回も何回もまたそういう違反をしておる。 あるいは不況カルテルを認可された業界、これは、いろいろな事情があって、法的に不況カルテルを公取委が認めたわけですね。ところが、終わったとたんに、あるいは終わる直前から話し合いをして、もうやみカルテルを結んでおる。こういう非常に悪質なんです。製紙業界は外装用ライナー、石油化学業界ではポリプロピレン、中低圧ポリエチレン、塩化ビニール樹脂、あるいは特殊鋼業界では構造用合金鋼、製紙業界では中芯原紙、こういうような悪質なものが横行し過ぎておるわけです。 こういうものを、ほんとうにびしびしと告発権で、持っているのですからやっていくべきです。総理は、企業モラルの問題をいまおっしゃっておりましたけれども、こういうことを放置しておったのでは、ほんとうに国民生活はめちゃくちゃになりますよ。 だから私、いまこうした数値も申し上げたわけですが、公取委員長、私ども確信を持っておりますが、どうですか。
○高橋(俊)政府委員 おっしゃるとおり、不況のときには、不況カルテルによって最悪の時期を免れ、そしてその打ち切られたあとにおいて、半年かそこらの間にカルテルを結ぶということは、道義的にも許しがたいものがあります。私どもは、これから不況カルテルを認めるにあたりまして、いずれまた相当な不況が来ることがあるかもしれませんから、あらかじめ申しておきたいんですが、そのようなものに対しては、私ども、不況カルテルを認めるときの実際の運用の基準を厳格にしたい。きわめてきびしくして、ちょうどいいときには、どんどん値上げの方便としてカルテルを結ぶことが——先ほどおっしゃいましたが、カルテルはなぜ多いのかといいますと、値上げを自社だけでやるということよりも、カルテルによってやったほうがいい。ところが、不況カルテル等で、その間の、業者間の一体性、カルテルを結ぶ条件があまりにも整い過ぎておるという面もございます。ですから、それだけに不況カルテルは、やはり認めるにあたっては、相当厳格でなければならぬし、一般にカルテル自体についての、それは経済悪である、犯罪であるという認識をもっと強めるように、私どももなお一そう努力してまいりたいと思います。 なお、いまやっておりませんが、場合によったら、すでに酢酸エチルに行ないましたが、協会自体の解散を命じております。これはその協会が、いわばカルテルの場になってしまっているということが明らかになったわけです。そのほかにも、任意団体でありまして、集会や結社の自由というものは憲法上の権利でありますけれども、任意団体である協会、組合、本部等がカルテルの場となっておるということ、しかも、それが実際に行なうときには、別のホテルのある部分でやっておるというようなこともございますので、探査に非常に困難を感じまするが、いずれにしても親睦団体であるという名目のもとに、それがカルテルの母体になっておるという事実は争えません。
○近江委員 それから、排除措置をとっても、実際上価格に影響しないわけですね。総理は下がっているじゃないかということをおっしゃっているわけですけれども、これはほんの一部ですよ。だから、競争秩序の回復という点からも、価格引き下げ命令というものを、独禁法の改正ということで研究会等でなさっておると思いますが、これはやっぱり当然入れるべきだと思うのです。公取委員長はどう思われますか。
○高橋(俊)政府委員 御趣旨のとおり、私どもは、やはり価格引き下げ命令は、独禁法の目的はいろいろあって、まあ一つではございませんが、しかし、その中には価格協定、数量協定等を破棄する、そして競争条件を保つということが一つの重要な課題になっており、現在の件数からいうと、それが圧倒的に多いわけでございます。ただ、それが幾ら破棄を命じましても、その効果が経済的にあらわれないということは、はなはだもって遺憾でございますので、ある程度の範囲においては、断固として引き下げ命令はできるというふうにする。 これは、言えば非常に簡単なんでございますが、実は私ども、遺憾ながら今度の石油関係のように、全力をあげて、非常に早く、二カ月足らずで結論を出すものもありますれば、あえて業界が、明らかに違反であることを、協定であることを腹の上で認めながら、審判で争い、さらに裁判に持ち込む、そうなりますと、二年も三年もかかってから結論が出る。そうしますと、もとの価格協定前の価格に戻すということは実情に沿わないこともあるので、一体どういう範囲でそれをきめるかというような問題、さらには、その範囲の損害賠償にからむ問題もございますし、いろいろなむずかしい法的技術があります。それを目下検討しておるわけでございまして、当然、できるだけ早く結論を出して、少なくとも来年の通常国会には間に合わしたいくらいの決意でやっております。
○近江委員 たとえば、コーテッド紙の場合ですけれども、四十八年の三月に初めて公取が実施をし、そして臨検を四十八年の六月にやって、そして十二月に勧告をしたわけですね。そのわずかの間に、指数で見ますと、一一六から一五〇まで上がっているんですね。だから、もうほんとうに公取がこうなさっても、その間にどんどん上がってくる、こういうような問題があるわけです。 それから、たとえばセメントの例からいきましても、勧告から審判開始、決定になりますと、公取が一応はノータッチというようなことになりますね。こういう点から見ますと、四十八年の三月に五千九百円であったものが、いま四十九年一月では八千二百円になっているのですね。こういうような問題、こういう緊急停止命令という問題にもなってくるわけです。 こういう点につきまして、この緊急停止命令の発動について、私はもっとびしびしやるべきであると思うのです。これについては公取委員長も、総理もどう思われますか。
○高橋(俊)政府委員 緊急停止命令という、たいへん法律技術上の問題でございますので、総理にはお話ししてありません。私からお答えいたします。 これは、実はその解釈をめぐって、私どもから言わせますと少し厳格に過ぎる、つまり、これは裁判所が停止命令を出すわけです。裁判を批判するわけではありませんが、実際にいままで行なわれましたのでは、昭和三十年から三十一、二年にかけまして、新聞関係で四件あるだけでございます。それ以外に緊急差しとめ命令を、実際にこちらが申請して発動してもらった例がないのでございます。 と申しますのは、緊急停止命令は競争秩序を回復することが、そのままに放置しておいたらばきわめて困難である、つまり競争相手に対して非常に不公正な取引方法をもって、これは一つの事例を申しますが、大新聞が地方新聞を圧迫した、景品を用いたわけですが、ほっておけば、その攻勢によってその地方新聞はつぶれてしまうであろう、こういうふうな状態、そういうふうな非常に逼迫した状態がない限り、緊急差しとめ命令は行なわないのだということで今日まで来ております。 私は、それに対しまして、今度、たとえば価格引き下げ命令をかりに法律で通していただいたとしましても、それがなければ意味がないと思うわけです。裁判が終結するまで下げなくてもいいのだということになりますれば、それは延々最高裁まで争っていけば、その間何らのあれがありません。ですからそれでは経済効果がない。差しとめ命令を使うかあるいは他の何らかの手段を講じて、即時的にわれわれの勧告の引き下げの内容が実現されるということでなければいかぬのじゃないかと思いまして、その差しとめ命令の問題についても、十分あわせて検討いたしていくつもりでございます。
○近江委員 それから、審決後の報告をとっておられるわけですが、なぜ価格が下がらないかということは、やはり公表すべきじゃないかと思うのですが、これについてはどう思われますか。
○高橋(俊)政府委員 その審決後に価格破棄の公告をさせます。これは、おもな事件はみな全国紙に公告さしておるわけでございますが、その後の価格がどうなっているかと、うことについては、御指摘のように、私どもはこれをむしろ公表したほうがいいのではないか。つまり、守られていないならば、守られていない実態を公表することも一つの仕事でございます。しかし、最近のように、法律で標準価格等をきめることもできるわけでございますから、場合によっては便乗分が相当含まれているというふうな場合には、いま行政指導でやっていただいている、たいへんけっこうでございますが、場合によったら法的な手段をもって裏づけして、引き下げるべきものは引き下げるということをやっていただいたらさらにいいのではないかと思いますが、しかし、その公表という点は、私どもの責務ではないかと思います。
○近江委員 それから、これは法務のほうにも関係すると思うのですが、罰則を重くすることですね。それから、総合商社が非常に問題になっておるわけです。特に六大商社のああしたやり方に対しまして、非常に強い国民の不信感が出ておるわけでありますが、この総合商社を見ておりますと、金融機関的なそういう性格というものが非常に強いように思うのです。 そこで、金融機関に準じて、今後はやはり株式取得等を制限させるべきじゃないか、このように思うのですが、この点について、ひとつ御見解を伺いたいと思います。
○高橋(俊)政府委員 総合商社については、これはそれぞれの商社にいわせれば、自己弁護的ないろいろメリットがあるのだと言っておりますが、私どもにおいては、その裏には弊害も相当にある。そのもとをなすのは、やはり金融的にあまりにも強大に、まあ借り入れ能力がふくれている。もう一つは、株式の保有が、借金でこれは保有しておるわけですが、行き過ぎになっているんじゃないかと思いますので、少なくとも総合商社を中心に、総合商社だけというふうにいくかどうか知りませんが、株式の保有制限については検討してまいりたいし、それを制限する方向で検討をお願いしたいと思っております。
○近江委員 公取の果たす役割というものは非常に大きいわけですね。ところが、公取のこういう予算を見ましても十一億円ぐらいである。人員にしましても非常に不足をしておりますね。これだけやみカルテルが横行しており、ほんとうに手も回らない。そういう中で、やはり政府としても、人員の問題であるとか、あるいはまた予算の点等につきましても、もっと配慮すべきじゃないか。この点について、ひとつ大蔵大臣と総理にお伺いしたいと思うのです。簡潔にお願いします。
○福田国務大臣 いままでの公取の予算につきましては、もちろん公取当局の御理解、御了承も得まして御審議をいただいてきておるわけでありまして、また四十九年度の予算につきましても同様でございます。しかし、当面公取の任務はきわめて重大でありまするから、今後とも、公取が行動し得るための予算につきましては、十分配慮してまいります。
○田中内閣総理大臣 予算その他につきましては、いま大蔵大臣が述べたとおりでございます。 もう一つは、公取法の改正問題がございますが、これはいま審議をいただいておりますし、勉強中でございますので、この結論を待ちまして改正せらるべきものだ、このように考えております。
○近江委員 そこで、法改正も、いま研究会のほうで煮詰めをやり、今後改正をされるわけでありますが、現在の独禁法の中でどういうように運用していくか、運用問題が非常に大事なわけです。そういうことで、国民生活を防衛するという意味におきまして、ひとつ全力をあげてがんばっていただきたい。公取委員長、簡単に決意を話していただいて、この件を……。
○高橋(俊)政府委員 私どもは、確かにいま最小の人員をもって最大の効果をあげるようにやっていると思います。実はいまいろいろな情報の提供がございますが、その全部を消化をすることができません。 そういう状態でございますが、今後とも国民経済上、国民の生活に直接関連あるもののみならず、重要なものと認められるものについては、最大の努力を払ってこういうものを排除していくという決意でございますので、よろしくお願いします。
○近江委員 もう一つだけちょっと。即席ラーメンにつきまして、これは非常に具体的なあれですけれども、調査もなさっていると思うのですが、この点について、公取委としてはどう思われますか。
○高橋(俊)政府委員 いまもうすでに事件になっておりますし、意見を申し上げるのは適当でないのでありますが、ごく最近立ち入り検査をしたばかりで、その際に係官から申しましたところは、四十円から六十円というのは、何とも合点がいかない。五割アップということは、四十円、六十円で二十円の差だということじゃありませんで、これは四千円とすれば六千円にしたということでございますから、そういう点では、ちょっとそういう理由はないのではないかというふうな、協定の事実についての疑いと同時に、値上げのアップ率が合点がいかないというふうな点もありまして、そういういろいろな点を考慮して私どもはピックアップするわけです、重要度を考える場合にですね。これは国民生活に密着しておりますし、いかにラーメンといえどもばかにならない問題でございますから、できるだけの力を尽くして実態の究明に当たっております。しかし、はたしてどう出るか知りませんが、確かにほとんど全部が一月一日からそろって上がった。上がった結果が六十円であるということ、もちろんこれは小売り店です。スーパーは違っておるのですが、そういう疑いで立ち入り検査をしたものでございます。 〔井原委員長代理退席、委員長着席〕
○近江委員 食糧庁は、あまりにもこの五割の値上げというものはむちゃくちゃである、少なくとも十円にしろということもおっしゃっておるようでございます。 農林大臣にお伺いしたいと思いますが、いま公取委員長がおっしゃったように、価格協定の疑いと同時に、あまりにも上げ幅が大き過ぎる。これはやはり庶民の問題であります。こういう点については、値下げの問題についてほんとうに決意をもって臨まれるかどうか、お伺いしたいと思います。
○倉石国務大臣 いま公取委員長からお話がありましたように、国民生活に密着しておるものでありますし、一般に出ております小麦粉の量においては変化はないのでありますから、私どもといたしましては、時節柄、こういうときであるから特に慎んで、値上げなどはきびしくやってもらいたいということの注意をしばしばいたしておるのであります。なお、そういうことについて、今後とも食糧庁においては対処してまいります。
○近江委員 何かその決意が非常に弱い感じがするのですね。やはり大臣がそういうことではだめだと思うのですよ。公取委員長がいま、価格協定と同時に、あまりにも上げ幅が大き過ぎるということもおっしゃっておるわけです。農林大臣、あなたはラーメンを食べたことがありますか。これはほんとうに庶民にとってなくてはならないものですよ。こういうものを五割のアップを平然として、何とか努力します、そんなことではだめだと私は思うのですよ。 たとえば、小麦粉の値上がりについても、向こうが出しておるこれを見ましても、アップが二円じゃないですか。そうでしょう。材料費二円の値上がりで二十円も値上げしているのですよ。これは総理、どう思われますか。もっと政府が何らかの形で努力すべきじゃないですか。これは一つの例ですけれども、私、総理の決意をひとつお伺いしたいと思うのです。どうなんですか。
○田中内閣総理大臣 ラーメンは、これは農林大臣の所管でございますが、大衆食であるという意味では、たいへんな問題でございます。 そういう意味で、夜食をやりながら仕事をしたり勉強したりするということを前提にして考えれば、看過できる問題ではないわけであります。農林大臣もかたい決意をもってやっておるわけでございますから、特に農林省を督励しながら、大衆食料の五割アップというようなことが起こらないように万全な——引き下げてございます。そういう問題に対して努力を重ねてまいりたい、こう考えます。
○倉石国務大臣 ものの言い方は穏やかにやっておりますけれども、砂糖とかそういう諸般の物資について、私どもは、時節柄国民の期待にこたえるように厳重にやっております。 ラーメンにつきましては、いま小麦粉の原料の代金のことをおっしゃいましたけれども、御存じのように、包装資材その他のものが非常に高騰しておる、こういう理由をつけておるわけでありますが、ちょうどいい時期でありますので、食糧庁長官から御説明申し上げます。
○三善政府委員 即席ラーメンの材料の問題でございますが、先ほど先生から小麦粉の値段につきまして御指摘がございましたが、ラーメン一袋の中で、小麦粉の占める価格の割合は大体一〇%か一一%でございます。一食四十円から六十円に上げました場合に、御指摘のように、四円五十八銭ぐらいから二円ぐらい上げております。小麦粉の政府の売り渡し価格は昨年の十二月から上げましたけれども、一月からできるだけ小麦粉は上げぬように、原麦は上がっても小麦粉は上げぬように指導いたしたわけでございます。 それで、ちょうどラーメンに使います小麦粉というのはわりあいいい小麦粉を使っておりまして、その場合に、平均であれば、原麦の上がりに対して三七%ぐらいの小麦粉の値上がりが普通ではないか、いいのも悪いのも含めますと。ただし、いい粉を使いますと、大体四二%ぐらいに上がるのは当然のことでございますが、そういう意味におきまして、このラーメンの中に含まれております小麦粉の値上がり分というのは大体四二%ぐらいになっておりますので、それが価格の全体の中で一一%ぐらい占めているということでございます。 それから、なおほかの材料につきまして私ども調査をいたしてみましたら、特に包装資材とかあるいは油脂、スープ——ラーメンの中に、御承知のようにアルミ箔の中にスープが入っております。ああいった原料が非常に上がっているとか、あるいは燃料費が上がっているとか、そういうような諸経費の値上がり等を加味したようでございます。私どもは、もう少し具体的に内容を調査いたしまして、できるだけ適正な価格を指導していきたいと思っております。 ただ現在、一月にラーメンの建て値六十円にしたわけでございますが、これは、非常に業界の過当競争もございますし、市場価格としては大体五十三円ぐらいになっているんではなかろうかと思っております。
○近江委員 ひとつ、こういう点につきまして、強力に指導をしていただきたいと思うのです。 それで、実際、総理も先ほどおっしゃったように、今日、企業モラルという問題ですね。何でも便乗で上げてくる。いままで政府の態度等もずっと見ておりまして、たとえば、内田経企庁長官は十二月の十五日に、企業は値上げを自粛をせよと談話を発表されておる。一月の十日には経済四団体が自粛の決意をしておるわけです。その後、もう軒並みに値上げをしておる、これは皆さんも御承知のとおりです。総理は、今度月曜日ですかに、主要業界代表を招いてお話しになるということも聞いておりますが、こういういまの業界の企業モラルというものは、私は全く地に落ちておると思うのです。 こういう点につきまして、総理はいまの企業モラルということについてどう思いますか。ひとつ率直な総理の御意見を聞かしてもらいたいと思うのです。
○田中内閣総理大臣 私は、近く産業界の代表を招いて、政府の方針を説明するとともに、強い協力を求めるつもりでございます。協力を求めるだけではなく、これだけの法律を与えられ、物価安定の責めを負わなければならない公の立場にあり、公権力の行使をしなければならないという立場にある決意もひとつ披瀝をしなければならない、こう考えておるわけでございます。 いま高橋公取委員長が申したように、とにかく品物の上がったようなものに対しては、協定のおそれがないのかということで調査をいたしております。調査をいたしておりましたものに対しては引き下げるように、また協定があればこれを破棄するように勧告をしておりますが、真にやむを得ざるものに対しては黙ってやります、こういうことになるわけです。ですから政府もできるだけ、その法律、公権力の行使だけですべてのものが片づくわけはないわけでありまして、そういうことだけでもってまいりますと、統制が拡張されていって、まさに戦前のようなものに近くなるということもおそれて、まず政府の決意を披瀝する上ともに、急速な効果があがるような産業界の協力を求めてまいろう、こういうことを基本にいたしております。 産業界人のモラルということに対しましては、これはもう私はどうこう申し上げるということよりも、経済が非常に急速に拡大をしておる、厚みも非常に大きくなっておるということで、海外においてもいろいろ日本人の商行為、企業活動というものに対するモラルが指摘をせられる面もございます。ですから、戦前、戦中、戦後の困難なときでも、日本の産業は今日を築いてきたわけでございますから、ここらで、国民生活を混乱せしめてまでももうけなければならないというような、そういう気持ちからまず脱却をしてもらって、そして産業の持つ社会性というものをひとつ強く強調し、協力を求めてまいろうという考えでございます。
○近江委員 公共料金のことでお伺いしたいと思いますが、田中総理が就任されてから、たとえば、電力においては関西電力あるいは四国電力、ガスにおいては東京ガス、大阪ガス、あるいは消費者米価を上げる、国立大学の入学金、授業料等も三倍に上げる、健保の保険料、まあいろいろ、高速自動車道の値上げであるとかあるいは国内航空運賃も引き上げております。またこの間ではタクシーの暫定運賃の値上げ、こういうように非常に公共料金を引き上げてきておられるわけであります。 そこで、いまこれだけの物価高騰のおりからでもありますし、政府も米なり国鉄を半年凍結した、そういうこともわかりますが、それじゃ半年後また上げると、またそれが物価上昇を誘発する。やはりこれについても、三年ぐらいは凍結をするとか、やはり公共料金全体につきましての、総理が相当の決意をする必要があると思うのです。あとまた電力なり私鉄あるいはガス、タクシー、あるいは航空運賃等、軒並みに公共料金引き上げを迫ってきておるわけです。 この点につきまして、ほんとうに国民生活を防衛するという立場において、私は総理の決意をお伺いしたいと思うわけです。
○田中内閣総理大臣 間々申し上げておりますとおり、公共料金は、厳に抑制するというのが自由民主党政権の一貫した方針でございまして、私は、いま物価がこのような状態になっているときに、それこそ真に公共料金を抑制しなければならないという立場にあることは、もう申すまでもないことでございます。 しかし、長いこと公共料金を押えてきたために、ちょうどもうどうにもならないときに総理大臣になったということもまたあるわけです。そういうことも、これはやはり真実は真実として理解してもらわないと、それはできないことをできるということは申し上げられません。これは、国の税金をもってまかなわなければならないもの、それから民間の企業によってまかなわなければならないもの、それは当然そうであります。それは、いままでとにかく電気通信事業も、それからいまの三公社五現業も、すべては一般会計の範疇にあったものではありますが、そういうものは、いわゆる重要度によってだんだん、だんだん民営に移していくべきだということで、現在国がやっている完全な官営のものと、三公社のものと五現業のものと、それから法律による特殊会社、日本航空やその他のような認可料金をもってやっているものと、私企業ではございますが、私鉄のように、やはり料金は鉄道会計法を準用しながら認可をしていくというようなものと、全く一般なものもあるわけでございますから、ですから、公共料金という名においてすべてのものを押えていくということが、これが国民の税金というものをもって補てんするということだけで足るわけではないのです。ものの軽重を考えなければならぬわけであります。総需要の抑制といえば、予算も小さくしなければなりません。小さくしなければならないという中で、にもかかわらず、社会保障費や日の当たらない階層に対しては五〇%でも少ない、もっと大きくしなさい、こういうような国民的要請にこたえていかなければならぬわけです。 ですから、公共料金、公益事業というようなものに対しては、おのずから軽重はございますが、できるだけ押える。しかし、いままでのような状態でもって地方公共団体が、すべてのものが、全部応益負担の原則に立つものを税金でまかなっていく、一般会計で補てんしていくということになれば、当然、究極の目的は、増税をするとか国民の税負担率を大きくしていくか、社会保障や、その他必要やむを得ないものを押えるということでありますから、そういう取捨選択をやはり考えながら、国民の理解を得ていかなければならないことは、これは理解していただきたいと思うのです。だから、そういう意味で、私も、そういう時期にぶつかっておるのでやむを得ないということで、真にやむを得ないものだけをやったのです。ところが、それもまだ、大蔵大臣と経済企画庁や物価関係大臣とみな相談をしながら、そうであるが、国会の審議の過程において一年間施行が延びたのだから、もう半年延ばそう、こういって米や鉄道運賃を延ばしている、これは誠意の発露であるということだけは、これはやはり認めていただかなければいかぬと思うのです。 しかし、こんなことをやっているために、ほんとうに緊急時における人の輸送もできなくなる、野菜の輸送もできなくなる、そうすれば、長距離のトラックでもって運べば、鉄道運賃の何倍も上がることはわかり切っているわけですから、だから、そういうものを全部取捨選択をして、公共料金は厳に抑制をいたします、こういうことで、ひとつそういう精神を大いに理解して、上げなければならぬときにはよくよくのことで上げたのだということをひとつ御理解いただきたい、こう思います。
○近江委員 もう時間が来たようですので終わりますが、最後の一問だけ、いまシンガポールのゲリラ事件が起きていますが、政府の考え方を総理からひとつお伺いしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○大平国務大臣 あの事件は、日本人が二名参加いたしておる事件でございまして、たいへん遺憾な事件でございます。 しかしながら、本件は、シンガポール政府の主権のもとに起こった事件でございまして、政府の立場といたしましては、シンガポール政府におかれまして第一義的に対応をしていただき、これに対しまして、わがほうにおきまして全幅の協力を申し上げるというラインで、ただいま鋭意犯人側と折衝をいたして、解決を急いでおるところでございます。
○田中内閣総理大臣 原則的には、いま外務大臣の述べたとおりでございますが、この中に日本人が少なくとも五〇%、四人のうち二人は日本人らしい、こういうことは、これは重大なことであります。五〇%ということは、たいへんなことなんです、ほんとうに、まじめに。 この種の事件に、どうも日本の若者が参加をしておる、こういうことは、この事件の解決は解決として、お互いに国民的課題としてやはり考えていかなければならぬ問題だし、政府もそういう問題に対して、無関心であるというようなことよりも、やはり責めを免れるものではない。こういう問題に対しては、真剣に事件の解決をはかるとともに、これは日本人のモラルなどという問題よりも、日本人の行為そのものが、こういう大きな世界的な問題を惹起しているわけでございますので、そういう問題に対しても、政府はいかにすべきかということに対して検討してまいります。
○近江委員 では、終わります。
○荒舩委員長 これにて近江君の質疑は終了いたしました。 次に、阿部昭吾君。
○阿部(昭)委員 いままで、商社の非常に行き過ぎた行為が指摘をされました。私も、観点を変えてひとつ問題を提起しなければなりません。 商社が系列会社をつくる。その場合に株式の大半を持つというやり方、あるいは金融を通じて支配の目的を遂げられるようにする、あるいは商品を流通させる過程の中で、取引の中で、系列体制を確立する、いろいろなやり方があるのであります。今回の場合は、十大商社の中にランクされております安宅産業という会社、これが系列会社をつくりました。そういたしますと、この系列会社の株式を四分の三持っておるのである。ところがこの系列会社に対していろいろな問題があったのだと思うのでありますが、系列会社を代表する公印、これが安宅産業という商社の課長クラスの人の手に握られておるのであります。したがって、この系列会社と取引をする善意の第三者である事業者が、たとえば手形をいただくという場合には、その系列会社では手形の振り出しもしない。全部その商社本体に出向いてまいりまして、商社本体の課長クラスの人に手形をもらう、こういうような形になっておるのでありますが、その中で、この手形が不渡りになった。そうすると、善意の取引者であります第三者は、日本で名の通った商社がバックにあるわけでありますから安心しておるわけであります。不渡りになった。そこで、何とかならぬのかということになりますと、それは関係のない会社であります、ということになるのであります。 こういう問題で、この善意な取引当事者と商社安宅産業との間に問題になる。そうすると、いままで四分の三持っておった株式の譲渡を系列会社に対して強要する、こういう状態が起こっておるのであります。こういうような場合に、一体どこでチェックをするのか。公正取引委員会のほうに伺っても、なかなか確たる返事は出ない。中村法務大臣の法務省のほうに伺ってみましても、なかなか、これはどういうふうに判断すべきなのか、通産省にまいりましても、さて、どうするのか……。これが、いま日本の寡占支配体制をつくった、この体制の中で一般的に行なわれておることなのであります。 時間の関係で、私はいま安宅産業を引き合いに出しましたけれども、こういうやり方を一体どういうふうに思っておられるか、通産大臣、法務大臣、公正取引委員長、御意見をお聞きしたいのであります。
○中曽根国務大臣 御指摘の安宅産業のケースについて調査をいたしましたが、それによりますと、関係企業、TアンドK社社長の公印は、その社長の経理が乱脈であったために、同社経理担当部長が安宅産業に預けたもので、安宅産業が取り上げたものではないと安宅はいっております。これは真偽のほどはまだよくわかりませんが、一応安宅はそういうことを言っております。 また、安宅産業へ預けた公印を使って振り出された手形が不渡りになったということも事実であります。この手形が安宅産業が振り出したものではなく、単にこれはTアンドK社の要請によって、安宅産業が預かっている公印をTアンドK社が使用したものである、そういうことを安宅は主張しております。 かりに安宅産業の主張が事実であったとしても、関係企業の公印を預かることにより、善意の第三者に無用の誤解を与えるということがあるとすれば、これは問題であると思います。また、関係企業の公印を預かるというような行為は、商慣行としてもまれなケースであると考えられ、むろん政府としては、個々の取引に伴う紛争に個別的に容喙する立場にはございませんが、従来から総合商社に対しては自主的な行動基準を作成させ、それを順守させる等の指導を行なってきておりますので、その一環として、第三者に無用の誤解を与えるおそれのある行動は、厳に慎むように指導してまいりたいと思います。
○中村国務大臣 いま御質問があったようでございますが、意味がはっきりわかりませんが、たぶん御質問の趣旨は、安宅産業の社員が子会社の印鑑その他預かっておって、子会社の手形を振り出したという事案のように思います。 そこで、問題はどういうことになりますか。その手形、小切手が不渡りになった場合にどうなるかという御質問じゃないかと思うのですが、そういう場合には、もし最初から不渡りになることを知って発行したような事実があれば、これは、あるいは詐欺とかあるいは背任とかいう余地があるかもしれませんが、そうでない場合には、これは安宅産業の社員が子会社の責任者にかわって代行しているだけで、別段法律問題は起こらないんじゃないかというような気がしますが、もう少し具体的に、何か事案がありましたら御指摘いただいて、お答えするようにいたしたいと思います。
○高橋(俊)政府委員 ただいまのお話の中で印鑑を——これは三分の二ぐらい株式を持っておるわけですね。ですから、言ってみれば、完全な被支配会社の株を持っておる。これはよくないといえばよくないのですけれども、実は、おそらくそれだけの株を持っておりますと、人事から経理からすべて、それを持っておるほうの安宅産業の支配下にあるんで、意のままになるというケースは免れないと思います。ですから、完全支配である場合には、ただそれが株式会社として独立しておるために、相手方から見れば、独立はしているが、そのような事実までもしわかっておれば、これは安宅産業があとまでめんどうを見るんだなと、こう思うのはあたりまえだろうと思うのです。 ですから、そういう点で、いま法務大臣がお答えになりましたように、はっきりそこに犯意みたいなものが立証されれば、私はこれは刑事事件にもなり得るものだと思うのですが、しかし、普通の民事事件として見た場合、たいへんむずかしい。 それから、独禁法上の立場からいいますと、不公正な取引方法に該当するのではないかとか、あるいは不当表示の疑いがある、不当表示には該当いたしません。これは景品表示法の文言の上からあたかも羊頭狗肉になるわけですが、これはだいじょうぶだと思わせておいて、実は不渡りにする、相手方に損害を及ぼすという点が、これは不当表示に該当いたしません。しかし、不公正な取引方法としてどうであるかという点について、実は私も考えているわけでして、優越的な地位の乱用以外にあり得ないのです。優越的な地位の乱用として、子会社に対して非常に行き過ぎた不利益を強制する、そうするとこの場合、被害者は第三者なんですね。そこが、自分の取引先に対して優越的な地位を乱用した場合には、これは不公正になりますが、第三者に対して与えた損害について責任を回避するという点は、ちょっと独禁法の問題にならないんじゃないかと思います。
○阿部(昭)委員 私がいま冒頭この問題を出しましたのは、つまり売り惜しみ、買い占めあるいはやみカルテル、こういうことが公然とあらゆる分野で行なわれるようになっております背景には、日本の経済界の寡占支配体制が確立をされてきたというところに大きな原因があると思います。したがって、その寡占支配体制の確立というやり方の中にはいまのようなやり方、これがある。そういう意味で、政府のほうにおかれましても、こういうやり方に対して、これはいまの安宅産業だけじゃないのです。あらゆるところにそういうものが横行しております。これを一体どうするのかということを御検討願わなければならない。この問題は、いまの安宅産業だけじゃありません。かねてわが党をはじめ野党各党が証人として出席を求めておるわけであります。したがって、さきに証人喚問を要求しておりますものに安宅産業の代表者も追加をしてもらいたい、そして問題の、この寡占支配体制の確立をする過程を、やはり国会において解明してみなければならない、こう考えますので、委員長のほうでお取り計らいを願いたい。
○荒舩委員長 証人で喚問するか参考人で呼ぶかということは、理事会で討議をしている最中でございます。まだ結論出ませんが、田中理事から御発言がありまして、安宅産業も呼ぶべしということでございますので、そういう場合にはこれを呼ぶことにいたしたいと思います。理事会で発言がございましたので、そういうつもりでございます。
○阿部(昭)委員 そのようにお願いをいたします。 そこで、私もカルテルの問題をずいぶんと準備しておったのでありますが、公明党の近江委員がたいへん正確におやりになりましたので、ただ一つ公取の高橋委員長に伺いたいのであります。 公正取引委員会というものに、いま国民の期待は非常に大きいのであります。しかし、私どもいろいろな調査や資料や何かを要求いたしましても、いまの公正取引委員会は忙し過ぎて、なかなか手が回らないという状況があります。したがって、公正取引委員長は、現在の人員、予算その他で、今日のこのひどい経済状況の中で十分なことをやられておると思っておるのかどうか。手が回らぬ、予算が足らぬということで、なかなか思うようにいっておらぬ、こういう認識をされておるのか。
○高橋(俊)政府委員 各方面からいろんな情報の提供がございます。その中には、やはりカルテルであると思われるものはありますが、これを割愛しているような状態でありまして、なおかつ取り上げた問題は、若干いま多過ぎます。はっきり申しまして、職員の中には、昨年の十一月から今日に至るまで、日曜を一日しかとっていないという者がたくさんいるわけです、その審査関係においては。ですから、私としては若干使い過ぎだと思いますし、そういうことは別にしましても、やはり人員がちょっと足らぬといいますか、この時代においては特にそういうことを痛感いたします。 しかし、何しろ予算でもうすでに四十九年度も純増六名ということできめられたものですから、何ともしかたがない。そういう範囲で私どもは対処せざるを得ない。ただし、たいへんこれは不足でありまして、極端な事例と比べるのはなんですが、アメリカの体制を見ますと、アメリカでは、もともとの起こりが司法省から始まっておりますが、これにいわゆる反トラストがございます。いわゆる独占禁止法です。それが人員約六百名以上、それからそのほかに連邦公正取引委員会が人員千六百名、それでなお各州に公正取引委員会がある。こういう状態であり、さらにその下部組織として、FBI、これは二万数千から三万おりまして、これを使うこともできるということになっておりますが、私どもにはそのような権限がございません。したがいまして、これはアメリカはちょっと多過ぎると思いますが、私のほうとしてはそこまで言っているのじゃありません。ただ、いまのは、あまりにも要請に対して世帯が小さ過ぎて動きがとれぬ、いろいろな御質問にも応じることができない、こういう状態でございます。
○阿部(昭)委員 総理大臣、ただいま高橋委員長御説明のとおりであります。したがって私は、やはり現状の段階ではわが国の公取という組織、機構、人員、予算をもっと強化する、こういうことがなければならぬのじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○田中内閣総理大臣 先ほども近江議員にお答えをいたしましたが、二つ問題がございます。 一つは機構、それから予算の問題を含めて、公取法の問題がいま議論されておるわけでございますから、これは勉強の結果をまって政府はこれに対処したい、こう述べておるわけでございます。ただいまの物価状況から見ましても、独禁法の番人であるといわれておる公取というものが、いかに重要であるかということはよく理解しておりますので、今年度の予算に対しては不足であるというような御指摘もございますが、これから将来の問題としても、これが検討の結果をまって十分対処しなければならぬことは申すまでもないことだと思います。 第二の独禁法の改正問題に対しても、いま専門家の間で勉強が続けられておりますので、これらの結論をまって処置さるべきものだと考えておるわけでございます。
○阿部(昭)委員 これ以上申し上げませんが、ぜひひとつ前向きに願いたい。国民がいま非常に公取に対して期待をしております。なかなか政府各省もあまりはきはきとやらない。全部もたもたしておる。その中で、公取のたいへんな活動に対して国民がたいへんな期待をしております。前向きにひとつ検討していただきたい。 時間の関係で次に進みますが、石油の問題が起こりました。従来、日本の石油開発というものに取り組んできたやり方は、私は非常に手ぬるかったのではないかと思われます。たとえば西独におきましては、デミネックスという国策会社だと思いますが、この会社に対して、探鉱を行ないまする場合に成功払い融資制度、こういうものを持っておるのであります。わが国は全く採算主義のものといっていいのじゃないか。その結果が、インドネシアのカリマンタン沖でインドネシア・ジャペックスという会社をわが国の石油開発公団、石油資源開発、あるいはその他の商社でつくって乗り出したわけでありますが、金が続かぬわけなんです。そこで、米系ユニオンという会社と提携をせざるを得なかった。提携をやったとたんに油が出まして、現在日産十万バーレルの大油田になっておるわけであります。ああいう状況等を見ますと、やはりこの成功払い融資制度といったような、そういうものを西独あたりでつくっておるわけでありますから、わが国でやれないという方法はないと思うのであります。そういう前向きな努力が必要なんではないか、これが第一点。 第二の問題は、この石油開発事業は、いまいろいろな観点で企業が中心になって行なっておる。ところが、技術屋はほとんど持っておらぬ会社が多いのであります。これはかつて国策会社としてつくられました帝石あるいは石油資源、この二つの会社ぐらいが技術陣を持っておりまして、ほかの会社はいろいろな開発に乗り出す場合、全部この両社から技術屋を供給される、こういう状況であります。かねて通産省におきましては、石油公団法、これを改正して技術陣をこの公団の中に大きく結集して伸ばしていこう、こういう動きがあるというふうに聞いておるのでありますが、これは、いま大いに急がなければいけない時期ではないか、これが第二点。 第三の問題は、かつて予算委員会で、田中さんが通産相時代に論議をしたことがあったと記憶いたしますが、日本海大陸だなの開発、一昨年新潟県阿賀野川沖でこれが当たったわけであります。現在あの沿岸一帯を第二日竜号で掘さく、探鉱を進めておる。この白竜につきましても、当時田中さんが通産相の時代に、私が、日本で二はいくらいしかない、ああいう船はやはり四はいも五はいもたくさんつくらなきゃいかぬじゃないか、こう申したのでありますが、確かに第三日竜は今年五月に竣工する、第四日竜も第五日竜も計画中のようであります。しかし問題は、これを全部営利会社というか、企業に対して持たせていくというやり方、私はやはり海洋掘さくの、こういうたいへんな金のかかるものは、政府が責任を持ってやらなければなかなかうまいことはいかぬと、こう思うのであります。特に日本海大陸だなといえば日本の庭先であります。これの開発を、全部外資と提携してやっておる例が非常に多い。私は、やはり日本海大陸だなといった庭先の開発は、日本政府がもっと独自で責任を持って開発をしていくということがなければならない、こう考えます。これが三番目。 第四の問題は、いま東京−新潟の間にはパイプラインがあります。将来シベリアの開発もある。日本海大陸だなの開発もある。現在、私どもの調査では、日本で油の資源のまだ可能性をたくさん持っておるというのは何といっても日本海大陸だな、その中でも秋田、新潟、山形、この三県の沖合いなどというのは最も有望な地帯である。この三県海岸にガス・パイプラインあるいは石油のパイプラインといったようなものをいまから準備をすべきだ。田中さんは通産大臣時代さっそくにと、こう言ったのでありますが、本年あたりも三県のほうから要望があったが、通産省はこれをカットしたようであります。やはりもうちょっと前向きの努力がないといけないのではないか。油の問題は全部営利企業におまかせだ。国はちょっとはたから見ておるというような行き方では、今日のこういう状況が起こりますると、メジャーに全部押えられて動きがつかぬ。産油諸国に何とか三木さんが出かけていって話をつけよう、その帰りにはすぐメジャーまで出かけていって、アメリカまで行って渡りをつけなければどうにも動きがつかぬという状況が起こる。私は、そういう努力も確かに重要だと思います。同時に、やはり日本の国内における庭先の日本海大陸だなの開発やなんかに、もっともっと力を入れる。それは営利会社におまかせというのではなくて、やはり国がもっと責任を持つ、こういう姿勢がなければならぬのじゃないかと思いますが、総理大臣と通産大臣から見解をお聞きしたいと思います。
○中曽根国務大臣 まず、石油の技術者の点でございますが、確かに御指摘の点がございまして、現在帝石と石油資源で、大体二つでカバーしておる、それを公団が支援しているという形で、これだけ世界の石油資源の探査、採掘が進んで日本の技術協力も進んでおる現状にかんがみますと、石油の技術者関係の非常な不足が早晩出てくると思います。そういう意味において、これらの優秀な技術者を育てるということは、非常に喫緊の要務になってきておると思います。そこで、公団にプールしたらどうかという御指摘でございますが、これも一案であると思います。できるだけ何らかの方法によっていい技術者を、官民の協力によって大量に養成できるように、いまのお考えも含めて検討してみたいと思っております。 第二番目に、日本海の大陸だなの問題でございますが、大体、大陸だなの開発は鉱業権は日本の法人でなければならない。しかし、日本の法人では資力あるいは開発技術力が足りない。そういう面から外国系の会社が参加しましてジョイントでやっている場合が非常に多い。しかし、その場合といえども、技術は借り、あるいは資本は借りるけれども、出てきた油については日本に供給する、そういうような話し合いで行なわれているものが多いようでございます。まあ、でき得べくんば純日本の技術者、日本の資力によってやりたいと思いますが、国際協力でやるということもまた意味もありまして、日本が外国へ出ていくという場合も、やはり外国と国際協力でやるという面から考えてみますと、あながち否定すべきものばかりではございません。要は、その運用が日本の国益に沿って行なわれるかどうかという点にあると思います。その点は、よく今後も注目して指導してまいりたいと思っております。 それから掘さく技術、掘さく機械の不足、いまの白竜号の御指摘がございました。確かに御指摘のとおりでありまして、私は、これが一台や二台できるのではおそい、もっと大量につくる方法はないかということをことしの予算編成の際にも指示いたしまして、いろいろ検討しておるところでございます。まさに御指摘のとおりであると思いまして、われわれ今後とも努力してまいるつもりでございます。 それから、パイプラインの件でございますが、そういう必要は、必ず将来出てくるように私、思います。しかし、現在の状況を見ると、秋田、山形、新潟の三県においてはガスの採掘量がまだ少ない。自分の県の中における需給調整だけで精一ぱいで、融通するというまでの余力がないようであります。そういう状況から見て、いま急にそれを急いでやるというほどのことでもないというところから、ことしは見合わしておるわけでございますが、それは将来の課題としては、いずれわれわれは考えなければならぬことであると思っております。 最後に、デミネックスがやっておる成功払いのことでございますが、確かにデミネックスのやり方は、非常にわれわれとしても参考にしなければならぬと思っておりますが、日本におきましても、石油開発公団によって特別の助成が行なわれておりまして、特に探鉱段階におきましては、出資と成功払いによる融資と、その両方がとられておるわけであります。このうち出資は、成功払い融資にまさる優遇措置であることも考えてみますと、わが国の制度は、部分的には西独の場合よりもさらに充実しているともいえます。 さらに今回は、石油開発公団法の改正も含めまして、公団の投融資規模の拡大、融資金利の引き下げ、そのほか、産油国国営石油会社に対する探鉱開発資金の直接貸し付けを公団の業務に追加するように、法律の改正を提案する予定でございまして、こういう諸般のやり方によりまして、外国に負けないように努力しているつもりでございます。
○田中内閣総理大臣 いま中曽根通産大臣が答えましたが、あなたの御指摘のような事情、多分にございます。それは明治から大正にかけて日本で石油が産出をしたというのは、新潟と秋田だけであったという限られたものである。そういうことで、宝田石油とか中野鉱業、日本石油というようなものが一つになって、戦時中帝国石油という特殊会社になったわけであります。資源は帝国鉱業開発という国策会社一つになり、石油は帝国石油になったわけでございますが、その後、石油の今日の状況を予想した人はどうもなかったようでございまして、そこに政府としては、確かに燃料としての石油、その他エネルギーとしての石油は、安くどこからでも買えるのだという考えに終始をしてきたということは、政府の重大なマイナスである、これはすなおに認めます。しかも、帝国石油というようなものを純然たる民間会社に直したときに、三千メートル掘さく機を一台入れるに際しても石油資源開発会社をつくらなければならなかったわけですが、これは議員立法をもってなさなければならなかったという事実に徴しても明らかでございます。それが、その後石油開発公団法に発達をしたわけでございますが、初めは成功払いということで、それはどうにもならないような状態でございました。あなたが指摘をされた、民間でもってつくった北スマトラ石油でございますか、これも政府は金を出さなかったというので、やむを得ずアメリカに売ったら、売った翌年から二、三十万バーレルということであって、今日、なぜ売ったのだということで、おそまきながらADMAの三分の一、七億四千万ドルも出して、とにかく利権をイギリス及びフランスから買収しなければならないというような状態であるということですから、これはもう確かに御指摘される問題たくさんあります。ありますが、過去のこととして、これはどうしても新しい視野に立ってやらなければならぬことは当然でありますし、大陸だな開発という問題や南シナ海の問題等を考えてみても、日本がいままでのような状態で足れりとすることはできない、こう思います。 特にいま石油は、国産石油が小さかったために学者の層も浅い。まあ東大においては上床博士ただ一人だといってもいいぐらい、石油に対しては学者も非常に少ないというような問題が今日に至っておるわけでございますが、これは試掘、掘さく、探鉱、千三つといって、千に三つも当たればいいんだという感じで石油の探査などをやっておっては、時代に即応できないことは申すまでもないことでございます。 そういう意味で、いま中曽根通産大臣が述べましたとおり、大陸だなの自力による開発、それはやはり国内資源というものを得るためには、国が主体性を持たなければならないという考え方に切りかえなければならないということも痛切に感じております。 また、秋田や新潟、山形のパイプラインはガスだけではなく、シベリアの石油を入れてくるという場合の製油所の関係もございまして、新潟を中心にする東京へのパイプラインは、ガスを東京瓦斯に供給しているにすぎないわけでありますが、いま御指摘になったとおり、秋田−山形−新潟を結ぶパイプラインと、新潟−長野、それから山梨−静岡を結ぶ二つのパイプラインが現実的に計画をされておるということは事実でございまして、これらの実施の段階において、政府がどのような措置をとるかにつきましては、慎重に検討してまいりたいと思います。
○阿部(昭)委員 たくさんのことをお聞きしたいのであります。そこで、答弁はぜひ簡単にお願いいたします。 私は、いまの御答弁をさらに発展をさして、油のことは、営利会社にまかしておくというかまえから国が責任を持つ、こういう方向に前進をしてもらいたいということを希望いたしておきます。 それから、大平外務大臣にお尋ねをいたしますが、日本の海外援助、これは営利を目途とした、ぎらついたものが非常に多い。それが現地の腐敗政権とつながっておるじゃないかという現地住民の感情、あるいは現地の一部の特権階級といろいろなつながりになるといったような批判、これがこの間総理が向こうに行った際に、ああいう騒ぎになってくる底流としてあると思います。 そこで、対外援助というのは、その国の国民に対して直に心が触れるようなものでなければいけない。そういう意味では、いま開発途上国が、苦しんでおる問題に人口の急激なる増加、ことしは世界人口年であります。あるいは医療の問題あるいは教育の問題、こういう、金もうけとか営利と無関係な部面に、虚心な協力というものが大いに重視をされていかなければならぬと思います。 そういう面で、いま海外協力事業団法、この中で、たとえば各国の家族計画運動などを見ますと政府ベースで進んでおる国は非常に少ない。ほとんど民間のいろんな団体がほんとうに真剣になって努力をしておる。これに対してどういう協力関係を持つかということになりますと、政府が、政府対政府の関係でまいりますと、たとえば日本のほうから出向いてまいりましていろんな協力の約束をする。ところが、その協力がほんとうに現地に届きますまでの間に二年も三年も時間がかかるということで、たいへん評判が悪いのであります。 したがって私は、この事業団法の中に、特に人口問題、家族計画のような問題は、民間の専門家でいろいろな財団のような団体があります。あるいは家族計画協会のような世界的な組織を持っております。こういう団体に対して、この協力関係の現実の業務というものをやらしていく、こういうぐあいにしないと、実情に即したスピーディーな運用というものができない、こう考えるのであります。 私はそういう意味で、この事業団法の中に、そういう考え方をはっきりと入れていくことがいま必要なんじゃないか、こう思いますが、大平大臣の見解を聞きたい。
○大平国務大臣 国際協力事業団法案につきましては、いま国会提案を前にいたしまして政府部内で検討いたしておりますが、この考え方は、社会開発事業、資源共同開発等、つまり、いわゆる事業に対する政府の融資を軸にいたしまして民間の協力を求めてまいるという考え方でございまして、いま阿部さんが御指摘のように、人口政策の遂行というポリシーマターと申しますか、そういうカテゴリーに属する仕事は、本来この国際協力事業団法の中には入れる考えは、政府は持っていないわけでございます。 しかし、これをどのようにしてまいるかでございますが、あなたのおっしゃるように、政府と政府との間のことにするか、あるいは政府から国際機関に資金なり技術なりを供与いたしまして、それを受益国のほうに均てんできるような状況をつくりますか、それからまた、日本政府が日本の各種の団体、研究所、大学その他を、日本政府の負担においてお願いをいたしまして、同様の目的を達するようにいたしますか、これはいろいろな方法が考えられると思うのであります。 ただ、せっかくの御指摘でございますけれども、国際協力事業団のほうにはそういう考え方は、政府のただいまの考えの中にはないということを御報告申し上げます。
○阿部(昭)委員 従来の、たとえば家族計画運動のようなものに協力をすると、いろいろな約束をしてくる。これが現実に、約束をいたしましてから、向こうに行動となって、実際の業務となって反映されていくのに、ものすごい時間がかかっておるのです。むしろ、ああいう部面というのは非常に専門的なものであります。したがって、民間のほんとうに、金もうけとかなんとかそういうものを抜きにして、虚心に行動しておる団体、こういう団体同士でやれるように、これに国が援助をする、その団体ででたらめかってなことをやってはいけません、これには一定のチェック機能をちゃんとつくる、こういうやり方が必要である、こう思うのです。その考え方はどうでしょう。
○大平国務大臣 あなたのおっしゃる考え方は十分理解できるわけでございまして、そういう考え方を政策的にどのように実現してまいるかの方法につきましては、これはいろいろ検討させていただきたいと思います。
○阿部(昭)委員 それでは、時間がございませんので次に進みますが、総理大臣、いま石油の問題で大騒ぎをしております。つくられた石油不足であってみたり、いろいろな大騒ぎをしておる。私は、いまもっとわが民族の足元を洗っておる大問題は食糧の問題だと思うのです。これは、食糧の問題で火をふいたときは、石油の問題より以上深刻な大問題になると思います。 特に最近は、気象の状況等も、どうも第四氷河期に近い状況ではないかということなども指摘をされております。したがって、世界的な穀物危機、さらに人口の激増、こういう状況で、世界穀物戦争が問題にされるような状況になってきておる。この中で、農産物食糧の需給見通しは一体どうなのか、これが一つ。 それから、農産物食糧の輸入のためにたいへんな外貨が必要であります。石油が大体百五十億ドルではないか、農産物食糧のほうも、どうも七十億をはるかにこえていくのじゃないかということがいまいわれております。 こういう状況の中で、日本の農業政策のあり方、これは総理大臣に大きな責任を私ども求めざるを得ないのでありますが、減反政策をやってきた。減反をやって、草ぼうぼうにすると補助金を出しますという制度、これはどう考えても、国民の合意を得ることはできない政策であります。大豆も足らない、麦も足らない。いま、えさの値段がまだ暴騰いたします。日本の畜産農業は壊滅するのじゃないか、あるいは食用油脂資源等もほとんどのものを輸入にたよらざるを得ない、こういう状況であります。したがって、いま日本の国内のこの食糧自給度というものがどんどん低下をしてきておる。たいへんな穀物戦争といわれる時代に、危機的な問題がそこにあるわけであります。 こういう状況を考えますと、私は、減反をやって草ぼうぼうにすると補助金を出しますという政策は、これはやめなければいけない。そうじゃなくて、不足食糧がたくさんあります。それをつくってもらう。しかし、この大豆にいたしましても麦にいたしましても、他のなたねにいたしましても、なかなか採算がとれないのであります。そのとれない部分は、いままでの米の食管制度と同じように、政治が責任を持つ、七十億ドル以上もこれから払っていかなければならぬのであります。 したがって、主要な農産物の自給を目ざす、こういう立場に立つならば、具体的にどうするかということになれば、私は農業政策の転換が要求されてきておると思います。こういう問題に対して総理大臣は、簡潔に、どういう考えを持っておるか。
○田中内閣総理大臣 御指摘のとおり、主食の順位をずっと考えまして、いかなる場合でも日本が確保しなければならないものであり、また、国内的に確保をしても国民の負担はそれほど増大もせず、しかも国民的理解が得られるというものに対しては、自給度をうんと上げていかなければならぬ、できれば一〇〇%にしなければならないという基本的な考え方に私は賛成です。賛成でございますが、しかし現在、現実的には、米は一〇〇%自給ができるというだけであって、あとは全く自給度はどんどん落ちているじゃないかという現実でございます。それでまた、一部においては草ぼうぼうでもって、まあ精農に金をやるならいいのですが、働かない者に金をやるという制度は、これはあくまでも暫定的制度でなければいかぬということで、ことしからやめるわけであります。ですから、転作奨励金一本にしたわけでございます。そういう意味で、これから主食の米と同じように、大豆でも、すべてのものが自給自足できることが望ましいという考え方は、これはどこの国でも持っていることでありますから、日本も例外ではない、これだけ申し上げます。 ただ、日本は主要工業国の一つでございまして、南北問題という大きな問題の渦から離れるわけにはまいりません。南北問題解決というものには、一つの一番大きな問題は、国際分業体制を確立しなければならないということでございます。そのためには、一次産品は完全自由化、無関税自由化ということがはかられなければ、南北問題は解決できないという国際的な問題と国民的な問題と、二つあるわけであります。この二つの問題を調整されるのは、安定的であり、いかなる非常な事態に対しても食糧に不足はさせないということであり、しかも良質低廉でなければいかぬという三つの問題、ちょうど正三角形の問題がいま食糧の問題でございますので、だから、国内でできるような米その他に対しては、量から質へという転換も行なわれております。また、休耕地その他に対しては、できるだけ補助金を出しても転作を行ない、自給率を上げようということになっております。 しかしながら、日本が食糧を供給しなければならない東南アジアや開発途上国もございますので、そういう国々のことを考えたり、それからもう一つ、日本では国際価格の二倍以上であるけれども、二倍以上の米を無料で拠出をしても、それは国際的には二分の一にしか評価をされない、計算をされないというようなこともございますから、そういう問題も解決をしながら外国との調整もはからなければなりません。しかも、豆などに対しては、中国の東北地区とか、それからいまのアメリカの大豆と、どうも競争をするというのは限界がございます。そういう意味で、国内的に適用するものと、外国との間に長期安定的な供給契約というだけではなく、開発輸入を行なうというようなことも、総合的にあわせてやはり考えなければならないということをひとつお考えいただきたい、こう思います。
○阿部(昭)委員 去年、総理は七月末、八月にわたって日米首脳会談で、このときの情勢は、大豆を送っていただきたい、麦がほしい、えさがほしい。したがって米大統領に田中総理は陳情に出かけた。その陳情の際に、値段は相当高くなるよ、米国のほうは。いままでみたいなわけにはいきませんよ。値段が高いほかに、新聞等の論評をずっと見ておりますると、韓国の軍装備近代化に対して日本が役割りを果たしなさい、極東アジアの安保体制に対して四次防をどんどん進めて、空軍力、海軍力を強化しなさい、分担しなさい、ベトナム復興に対して役割りを持ちなさい、この三つの密約のもとに、食糧農産物の陳情を何とか成功さしてきた、こういうふうにささやかれるのであります。いま私は、総理がおっしゃるような、三角形の関係とかなんとかという、そんな甘い情勢ではない時代になったと思うのです。とにかく、確かにいま世界の肉類やその他は、国際価格は日本の国内価格より安いのです。しかし、いま日本の畜産農業というのは、えさの見通しが全然立たぬのです、値段の面で。一体どうするのか。私は、従来と同じような考え方で、日本の食糧農産物という問題を考えておることは許されない段階に来たと思うのです。 そこで農林大臣、一体、この農産物食糧の需給の見通しはだいじょうぶかどうか、それからこの値段のほうは一体どういう見通しかということをお聞きしたいのです。(田中内閣総理大臣「ちょっと」と呼ぶ)総理大臣に答弁を求めますと演説になってしまって、長くなって、聞きたいことが出てきませんから……。
○田中内閣総理大臣 去年、大豆や小麦や飼料が不足したことは事実でございまして、アメリカでも述べました。しかしながら、あなたが指摘されたような、四次防を推進してもらいたいとか、韓国のどうとかは全くありませんから……。私が言ったのは、アメリカは戦後の日本の経済に協力してくれて、日本人の大半はアメリカに対して感謝をしておる、いま大豆がないのだから、ちょうどセントローレンスの水路もできたのだから、かって齋藤大使の遺体を日本に軍艦をもって送ったように、セントローレンスに軍艦を入れて、大豆を一隻送ってくださるということをすれば日本人はより感謝をしますがね、こう述べましたことはありますけれども、そんな、指摘をされたような条件を向こうからつけられたことは全然ありません。これだけは明確にしておきますから、どうか、あやまってそういう判断をなさらないようにしていただきたい。まことに短い答弁で恐縮ですが……。
○倉石国務大臣 御説のように、食糧問題というのは、国際的にやはりかなりいろいろ問題を生じておりますし、私どもも真剣に立ち向かっていかなければならないと存じておりますが、一昨年の十月、農林省は食糧需給の長期見通しを発表いたしまして、ただいまのところはああいう考え方でやっておるわけでありますが、すでにしばしば世の中でもいわれておりますので、時間もかかりますから別に申し上げません。よく御存じのことであります。(阿部(昭)委員「だいじょうぶか、だいじょうぶでないか」と呼ぶ) そこで、この予算委員会でもいろいろお話のありましたように、四十九年度予算は抑制型予算ということではございますけれども、現在の食糧事情その他を勘案いたしまして、特に食管繰り入れ、あるいは公共等を除きました分だけ拾ってみますると、大体食糧増産関係で二二・一%という著しい伸びを示しておりますことを見ていただいても、政府がいかにこの食糧に重点を置いているか御理解いただけるかと思うのであります。 そこで、この生産対策といたしましては、それぞれ私どもは計画的に進めておりますところに、さらにいまお話のございましたような飼料作物等につきましては、これは、国内で絶対に必要なものであるが、全部をまかなうことは困難であるというものは、やはり長期的な契約を友好国との間に取り結ぶことと、それから、先ほどお話のございましたように、海外で事情の許す国々との協定をいたしまして、長期安定的に、安定した価格で取り入れるような方法を講じてまいろうということで、私どもの計画といたしましては、食糧関係についてはそういう計画で万全を期していく、こういうつもりでございます。 〔委員長退席、櫻内委員長代理着席〕
○阿部(昭)委員 農林大臣、えさの問題を農林省に伺ってみますと、明快な、だいじょうぶですという答えは全然出てこないのです。非常に深刻な答えしか出てまいりません。私どももそのとおりだと考えます。私は、米の場合もそうだと思いますが、足らない、それじゃ直ちにやろう、それはできないのです。草ぼうぼうになってしまった水田に再び米をつくるということは、そう簡単にまいらぬのです。総理、御存じのとおり。畜産なども同じなんです。親牛を二倍にするには十年かかる。豚でも二年、三年、鶏でも一年もかかるのです。いまこの畜産の危機は、飼料の問題で、端的に畜産農家がたいへん浮き足立っております。この見通しはあるのかということになりますと、量は何とか確保できそうだということを言うのです、農林省は。しかし、価格の問題は責任持てませんと、こう言うのですよ。責任持てますか。
○倉石国務大臣 農林省が持っております予算は、当然本年三月三十一日まででございますが、予算を決定していただくことを前提に、私どもとしては長期の話し合いをいたしております。おそらく、担当の者があまりはっきり申し上げられないというのは、そういう役所的立場のことであろうと思いますが、従来どおり、引き続いて相手国との間の話し合いを進めております。ことに、ただいま次官をいたしております中野君は、昨年、櫻内大臣のころ、わざわざそのことで、食糧庁長官でありましたが参りまして、いろいろ話し合いをつけておりますので、私どもとしては、量において決して心配をいたしておりませんが、お話のございました値段につきましては、これはもう御存じのように、いままで食管会計では、外麦では非常に、三百億余り黒字を出しておりましたのが四十八年度でももうすでに六百億近い繰り入れをしなければならなくなったほど、アメリカの対外輸出価格が変化してまいりまして、ただいまのところでは、せんだってわがほうの麦価が上がったにもかかわらず、なおかつその値上げととんとんより若干何か高くなりそうな価格になってきております。 そういうことでありますので、お話のようなえさ関係につきましては、そういう価格の問題をどのようにしてできるだけ経済的にまかなうかということを苦労しておるわけでありますが、量においては、御存じのように心配ありません。
○阿部(昭)委員 価格の見通しは立たぬということですね。
○倉石国務大臣 いま契約いたしておりますのは、それぞれのそのときの価格でありますけれども、これから先は、阿部さんも御存じのように、国際的には、たとえばソビエトのような、あるいは中華人民共和国のような大手のものがどかっと出てまいります。それからまたオーストラリアみたいな国が、去年は非常に天候が悪くて不作であったというふうなこともございますので、そういう原料価格につきましては、ある程度の高騰を見るのは当然なことじゃないかという考えでやっております。
○阿部(昭)委員 長期の契約でといっても、いま生産農家が、また日本のたん白食糧を求めておるその諸関係からいえば、長期のことじゃないのです。いま目の前に日本の畜産農業がどうにもならぬ状態になるかどうかという、そういう危機的状況にあるのです。私どもがいろいろ調査をいたしてみましても、値段の面でだいじょうぶですという答えは絶対に出てこないのです。長期契約とかなんとかいっても、いま目の前のえさの値段はどうなるのか。上げるんでしょう。
○倉石国務大臣 いまの値段は、ただいますぐというわけではありませんが、一番大手であります全農がすでに原価計算をいたしまして、ある程度の値上げをせざるを得ないということを話しておりますので、現在のような状況であるから、あらゆる努力をしてひとつ引き上げを少なくするようにということを折衝しているわけであります。
○阿部(昭)委員 先ほど農林大臣は、飼料のように大部分がまかなわれないと言ったが、まかなわれない量は圧倒的大部分なんですよ。麦も大豆もそれから食用油脂資源も、大部分のものが足らぬのです。半分足らぬとかなんとかいう状態ではないのです。 私は、そういう意味では減反政策などというものは、これは総理大臣、減反政策は失敗したんじゃないのです。間違いであったのです。草ぼうぼうにしたものに銭を出す。そうして惰民政策はいかぬ。だれも惰民じゃないのです。政府が減反政策でなければいかぬというからやらなければならなかったわけだ。政府の責任じゃありませんか。私は、減反政策というのは失敗ではなくて、間違いであったという前提で、これからどうするのかということでなければいかぬと思うのです。 したがって、他の農産物を転作してくれといっても、他の農産物に、何に転作をいたしましても採算がとれないのです。とれないことがわかっておって、この資本主義の社会において、農民だけそこでやっていきなさいといったって、ばかじゃありませんから、転作などできようはずがない。不足食糧をつくらなければいけない、転作をしなさいというなら、やはり転作に対して、ただちょっとの奨励金を出すというようなことではどうにもならぬのであって、たとえば、たった一つ米にあるような食管制度のように、政治がその間に合わぬ部分については、間に合わぬことははっきりしておるのですから、それをつくってもらわなきゃいけないのでありますから、政治が責任を持ちます、こうならなければいかぬと思うのです。 そこで、総理大臣の答弁だと長くなりますから、農林大臣、食糧輸入のために払わなければならない外貨は、四十八年暦年でどのくらいになりますか。
○倉石国務大臣 たしか、四十七年度の輸入は、四百十一億ドルだと思っております。(阿部(昭)委員「そんなに」と呼ぶ)失礼。一つけたが違いました。四十一億……(阿部(昭)委員「四十八年は」と呼ぶ)四十八年はまだ計算しておりませんが、いま年度中でありますが、それよりやや多くなるかもしれません。 それから減反のお話がございました。私どもは、まあ当初やりましたとき五年ということで、三年間は減反について補助金をやろうということでやったわけでありますが、これも御承知のように今年から廃止。そこで、これにつきましては、先ほど来お話のありましたような大豆、小麦、飼料作物、そういうことで、御審議を願います四十九年度予算には、一俵二千円、まあ反当五俵とれれば一万円でございますので、北海道あたりでは、御存じと思いますが、かなりそういう方向に転換して、もうすでに種まきは終わっておるわけでありまして、十八万ヘクタールほどは麦に転作をしていただいております。それからまた飼料作物、草地を今度は七千五百円出すわけでありまして、これも計画は八十五万ヘクタールの計画で、すなわち、外国から買っておるものをできるだけ国内で引き合うように、しかも、さっきお話のございましたように、外国のもの必ずしも低廉でなくなりましたので、うんとこれは奨励することが利益ではないか。そこで、昭和五十七年、新たに七十万ヘクタールの新農地をつくるためにいま計画を立て、それからまた今度のこの予算案で御審議を願います開発公団、そういうようなものも御審議を願って、そしてその計画的な増産に邁進していこう、こういうわけであります。
○阿部(昭)委員 私は、何といっても、この不足食糧というのは、どれをとってみましても採算が、合わないのです。合わないものをやってもらわなければならぬのですよ。だとすれば、これに対して、合わない部分は政治が責任を持ちますということにならなければどうにもならぬはずなんです。このことをしっかりと認識をするかどうかだと私は思います。全農だってえさの値上げをしないわけにいかぬわけです、入ってくるのが高いのでありますから。それで、全農に値上げいかぬいかぬと言っても、ほかの大企業のようにカルテルを組んだりできるようなしろものじゃないのです。 そこで私は、これは総理に簡潔に伺いたいのでありますが、農産物食糧の開発輸入は可能ですか。東南アジアの国々に日本の商社が進出をして農業開発をやっております。出かける際の見通しは、日本は工業生産品をつくる、それを東南アジアに持ち込む、見返りに農地開発をやって農産物の開発輸入をやる、こういうバーターな関係を展望しながら出かけていったのです。しかし、現地に出かけていっております、その開発に当たっておる商社員ははっきり言うのです。東南アジアのどの国々も人口は急増する、最近はまだまだかんがいその他が進んでおりませんから、乾季、雨季が画然として、なかなか農業生産がうまくいかぬ、したがって、東南アジア、インドまで含めて、あるいは中東も、向こうも大体同じだと思うのでありますが、農産物、食糧問題は深刻なんです、ここへ日本が乗り込んでいって、農地開発をやって食糧をつくって開発輸入をいたしますなんということを言ったら、その国内で暴動が起きますよ、開発輸入なんていうものはナンセンスですということを言うのです。 私は、ある意味では、情勢にいろいろこう波動があったといたしましても、浮き沈みがあったといたしましても、あの国々の人口の急増、いろいろな状況、こういうものが、さらに世界全体が長期的な寒冷シーズンに入ってきた、こういう状況からいいますと、開発輸入という考え方は改めるべきだ。むしろ、それぞれの国々の飢餓と貧困に苦しんでおる方々の食糧を確保してやるために日本は努力をする、こういうぐあいに割り切らなければ、またそれは、田中内閣のあとにどういう内閣が出るか知りませんけれども、総理大臣が出かけていって、またいろいろなことになるということになると私は思うのです。 そこで私は、開発輸入という考え方は改めて、海外の農地開発というのは、特に開発途上国におきましては、ほとんどの国々は飢餓と貧困に苦しんでおります。その国々のその民族の食糧対策に対して、日本は協力をするというぐあいに割り切らなければならぬ時期に来ていると思うのです。いかがでしょう。
○田中内閣総理大臣 そこがちょっと問題でございまして、いま大豆とかそれから小麦とか、いろいろな問題とにかく草ぼうぼうにしておくよりも、国内で自給できるものは自給をやったほうがいい、それはそのとおりです。しかしそれには限界がある。というのは、これは食管会計と同じようにして、小麦勘定、大豆勘定、何々勘定ということになれば、草ぼうぼうのところもみんなこれは食糧、一次産品に変わることは間違いありませんが、しかし、それは国民の税金をもって補てんするということになりますから、これは物価安定という表面から見てはそうでありますが、そういうウエートにもおのずから限界があるということで、草地試験場をつくったり、草地改良をやったり、いろいろなこともやっておりますが、しかし、やはり九〇%足らないような大豆を——昔、お互いに東北は全部田んぼのあぜにあぜ豆なんかつくっておったわけですが、いま反当たり幾ら出しても、あぜ豆なんて植えるようなことはありませんよ。そういう状態から考えてみて、やはりそれはどういう方法が一番いいのか、安定的長期輸入をはかるためにはどうできるかということは、これは真剣な問題、避けがたい問題としてやはり結論を出さざるを得ないのです。だから、中国へ行ったときには、いまの東北地区から、大豆をつくったら日本に安定供給してもらいたいということに対しては、中国側も考慮をいたしますということになっております。 それからもう一つ、小麦や雑穀に対しては、日本が長期的に供給を受けるということで長期契約を行なう限りにおいては、減反というものをやめて、適切なる増産計画に踏み切りますと言って、現にカナダが公式にそういう話を進めております。 それから、同じような問題をやっているのは、食糧に困らないアルゼンチンとブラジルでございます。これは、大豆とか雑穀とかその他のものに対して共同開発を行なうということに対しては、一つのプロジェクトとして検討いたしております。 それからもう一つは、ニュージーランドと豪州が、首脳会談において、これは日本だけを対象としたのではなく、世界の食糧基金とかライスバンクとか、いろいろな困っておる人々に対する供給というものと、いわゆる食糧の安定に寄与したいということで、お互いに、一次産品も含めた、工業開発だけではなく、資源開発だけではなく、民生安定というものに対して検討しようということであります。 今度、ASEAN五カ国の中で二カ国だけ、これはフィリピンとインドネシアでありますが、二・三%ずつの人間がふえておりまして、確かに自分の国も援助を受けなければならない状態であるし、隣のバングラデシュには二千二百五十万トンの米が不足である。しかし、日本の商社は、どう考えてみても、民間ベースではとてもあの一次産品の開発をやって合わないわけです。合わないからやらないのです。ですから、そういう意味で、政府間協定を行なって土地を提供する。まあ一万ヘクタールずつ何カ所出しますかというような問題と、三十万ヘクタールというような大きなセレベスの問題等、いま旧軍人がやっておるようなところも一つの検討になる。それはその国の食糧の確保であり、同時に食糧不足の国に対する援助の基地であり、同時に日本に対する飼料や雑穀や大豆の基地であるとともに、牛や豚や鶏の供給基地にもしようということで、そういうことも協議をして合意に達してきておるわけでございます。 そういう意味で、これは民間ベースで合わない、だから政府もちゃんと中に入らなければならないというところに、今度の国際協力事業団の発足をお願いしておるわけでございまして、これはいままでのように、それは一万ヘクタールとか十万ヘクタールというものを開発をして日本に持ってこようとしたら暴動が起こるというような事態ではなく、やはり政府間で協定をしながら、まず第一には、その地域の食糧確保ということ、また、新しい農業の先駆をなす一つのパイロット事業というような関係では話は進んでおりますので、これはひとつ、あなたが行ったときの考え方だけで断定なさらないで、これをひとつ御協力のほどをぜひお願いをいたしたい。
○阿部(昭)委員 そこで農林大臣、えさ問題、何といっても緊急を要する問題です。したがって、この需給の関係も絶対にだいじょうぶかということになると、私どもはそのことも心配しておるのです。価格の問題は、これはますます心配です。この緊急対策はあるのかということになると、全農に頼み、方々に頼み、何とか少し値上げ幅を縮めることができないか、この程度なんですね。 私は、これでは日本の国内の畜産農業は壊滅をすると思うのです。この緊急対策は一体どうするのか。緊急対策はないのですよ。どんなに農林省かいろいろ——私どもも地域に、米作だけではいけない、畜産もやろうと言ってずいぶんすすめてきましたが、この畜産農家はどうにもならぬと言うのですよ。その肝心のものが、おそらく九〇%まで全部購入飼料にわれわれの地帯の畜産農業は依存をしておるのです。このえさの値段が去年に引き続いてまた値が上がっておる、どうにもならぬと言うのですよ。この緊急対策を、私はぜひひとつ明らかにしてもらわなければならぬと思うのです。ただ全農に値上げ幅を何とかしてくれ、その程度のことしかないのでしょうか。
○倉石国務大臣 御存じのように、昨年はたいへんこの基金に融資をいたしましたり、それからストックしております古米を七十万トン食糧庁から出してあげたりして、えさの値上げを防止いたしました。しかしこれは、金融のことにつきましては、もうすでに基金にあれだけのことをいたしておりますし、これからさらにこれをやるということはなかなか困難な実情にありますが、先ほど来お話し申し上げておりますように、量は確保しておりますから、それは心配ありません。 これから成約いたしますものの値上がりについては、これは相手方のあることでありますので、私ども希望をしておるのは、全力をあげてこれをそろばんの合うような程度でひとつ契約をするように、それからまた、これは時期によってずいぶん違いますが、三月渡しのものとそれから先のものとはかなり違うようでありますが、こういうことについてはそれぞれ、全農が一番大手でありますけれども、その他のものにも、十分彼らも事情を知っておりますので、いまのようなお話しのことについては、全力をあげて、価格をできるだけ押えるように努力をさしているわけであります。
○阿部(昭)委員 残念ながら、いまのものに間に合うような農林省に準備がある、農林大臣に準備があるというふうには私ども感じ取ることができません。 したがってこれは、一農林省の問題ではなくて、政府がこの際、やはり日本の畜産農業が壊滅するということはたいへんなことなんですから、政府全体でひとつ緊急にえさ対策を樹立をしてもらわなければいけない、このことを強く希望しておきます。 時間の関係で、これはまあ総理大臣否定なさるわけでありますが、日本の心ある方々は、去年のあの総理大臣が米国に出かけた際に、大豆、麦、えさ、これを何とかしてくれという陳情に出かけたと、みんなそう受け取りました。その陳情を何とかまあ、値段は少々上げられましたけれども、一応は出かけた目的をほぼ達したわけであります。だけれども、値段はずいぶん上がりました。その反面、今回の四次防の予算、この総需要抑制下におきましても、四次防の関係だけはちゃんといっているのです。したがって、当時マスコミやその他が指摘をしたように、これから穀物戦争という、穀物戦略という、農産物戦略というこの段階の中で、韓国の軍装備の近代化の役割りを持てとか、あるいは極東安保に対して責任を持てとか、インドシナ半島の復興に対して分担せよとか、こういう密約のもとにあの陳情をほぼかっこうつけてきた、こういう認識は、多くの国民の胸の中から簡単にぬぐい去ることはできないのです。それがそうじゃないとおっしゃるなら、やはり四次防もがちっとやってみせなければならぬはずであります。これ以上申し上げません。——いやいや、総理、時間の都合がありますからいいです。 そこで、次の質問に移りますが……。
○田中内閣総理大臣 一言だけ。これはまあ一方的じゃ民主政治になりませんから、そこらはひとつちゃんとやってくださいよ。(「答弁が長過ぎる」と呼ぶ者あり)いや、長過ぎない。私は早口だから、時間を数えてごらんなさいよ、時間は一番短いですよ。 そういう密約はないんです。密約ありとして、もし国会でもいろいろなものが出てきたら、もう私はちゃんと責任とりますよ。ありません、そんなものは。明確に申し上げます。ですから、私は成功したとは思っておりませんが、あなたに、行った価値はあったという評価を受けたことは、これはありがたいと思いますよ。 それで、四次防と言いますけれども、それは一兆円をこしているということで御指摘があると思いますが、内容を見ていただけば、ほんとうに新装備は何にもないじゃありませんか。人件費と給食費やそういうものでもってほとんどとっているということです。いま、幾ら何でも防衛庁の職員に給与をあげない、それからめしはとにかく減食させる、そんなことはできるわけはありません。あの内容を見ていただけばよくわかることであって、そういう事実の開陳も許さない、そんなことじゃいけません。それは答弁しておきます。御理解をいただきたい。
○阿部(昭)委員 これ以上議論することはやめますが、私どもは、多くの国民がそういう疑惑を持っておるということだけ申し上げておきます。 次に、通産省は、福田さんのおっしゃる経済の狂乱状態、この中でも中小企業の倒産はどうか、心配ないか、こう言いましたところ、いや、たいしたことはありませんというふうに感じ取られる感触なんです。しかし、私どもはほんとうの深刻な状態はこれから出てくるという心配を持っております。その中で、三千四百億の政府関係金融機関三機関に対して去年緊急な対策をされた。私は、しかしこれで、これから三月危機がいわれ、あるいは列島改造路線の破綻、あるいは総需要の抑制、こういう形の中であらわれてくる中小企業の深刻な打撃というものは、これからだと見ております。したがって、中小企業の倒産対策に対して、たとえば、私ども現場で見ておりますと、国民金融公庫、このあたりに参りますと、従来国金を利用しておらなかった皆さんが、一般の銀行で締め出しを食って、これがどんどん、どんどん国金や中金になだれ込んでおるのです。したがって、三千四百億を出しました、だいじょうぶです、こういう甘い情勢ではないというふうに私ども見ます。 通産省は、これから三月危機、あるいは新しい四十九年度が発足をしていった段階での中小企業の危機に対して、どういう準備をされておるのか。
○中曽根国務大臣 中小企業については決して楽観をしておりません。 われわれは二月ごろかなり出てくるのではないかという予想を持っておりましたが、いまの手持ちの情報を見てみますと、少しずれてきておるようですが、三、四月、少なくとも四—六ぐらいになると、かなりけわしい情勢が出てくるのではないかと非常に憂えておるわけであります。 最近までの例を見ますと、中小企業は資材に非常に悩んでおりましたが、資金的にはそれほどということではないようでした、実態を調べてみますと。主として資材に非常に悩んできておったようです。これは中小企業にもいろいろ中身がございまして、流通過程、商業行為を営むものはかなり金融なんかも受けて、農協やその他から金を借りたり信金あたりからも金がかなり出て、一部は物をかなり持っているというものもございまして、この辺はそれほど心配はない。しかし中小企業の工場、生産業、これらのほうは次第次第に不況がしみ込んできまして、特に自動車産業の下請をやっている向き、あるいは今度電力規制の直撃を受けておるネオン業者、あるいは駅の構内等の広告代理店、こういう人たちがいま一番直撃を受けて出てきております。しかしこれから、繊維の情勢とか、いろいろな土建関係とか、そういうものを見ておりますと、三、四月ごろにはかなり出てくる危険性がございまして、そういう意味におきましても、資金的対策、あるいは債務の返済猶予、あるいは信用保証上の諸措置、そういう問題について、いま大蔵省とも万全の手配をするように進めておるところでございます。
○阿部(昭)委員 通産大臣、そういたしますと、三千四百億を準備いたしました。昭和四十九年度の三機関は大体二兆円程度のことでいこうという準備をされておる。それで去年は、たしか三機関三千四百億が出ない場合は、一兆六千億くらいではなかったかと記憶します。したがって、二兆円程度のところで昭和四十九年度、これからだんだん、だんだんしわの寄ってまいります中小企業対策は、十分ですというふうにお考えになっておりますか。
○中曽根国務大臣 年末までにやりました措置に甘んじておりません。それに匹敵するくらいの額を四十九年度は、上半期においては用意しなくちゃいかぬのではないか。そういう意味において、大蔵省ともいろいろ折衝している最中でございます。
○阿部(昭)委員 そこで、いま業種別にいろいろな不況の波をかぶっておるわけであります。その中で、従来建設業関係——建設業関係というのは、大体田中さんの列島改造政策に大いに期待して乗っかかった部分であります。ところが、建設業の業界はどういうやり方になっておるのかということを私ども調査をしてみますと、でかい工事を大手が受注するという場合には、大学を出た若い技術屋か何かが二、三人出かけるくらいで、あとは全部中小零細業者に下請に出す、そうして一五%なり二〇%のピンはねをする、管理的なやり方だけをやる。それからまた今度、下請さんは孫請という、より零細な業者にどんどん、どんどん分担さしていく、そうしていろいろな建設機材などは、大手がじかに準備をして乗り込むのじゃなくて、零細業者が末端で、今度は田中さんの時代だし、大いにいい時代が来るだろうというので、ものすごくそういう準備を過剰にしております。これが、今度は福田さんの総需要抑制というので、がくんと流れが変わるわけなんです。流れが変わる。この波を全国の中小零細建設業界はもろにかぶるという状態になるのです。 いま私は建設業界の例をあげました。こういう状況に通産省はどういう対応をなさろうとなさっているのか。
○中曽根国務大臣 建設業の倒産状況を調べてみますと、御指摘のとおり最近は非常にふえてきまして、昨年の八月ぐらいまでは、全体の倒産件数七百ないし六百に対して百六十とか百九十八件、二六%、二七%程度でありました。それが九月になると、全体の七百四十四に対して二百五十一、十月は八百八十九に対して二百七十四、十一月は八百五十七に対して二百七十七、十二月は九百三十一に対して三百五と、三百台に上がってきまして、三二・八%であります。四十八年全体を暦年で見ますと、倒産件数八千二百二件に対して二千五百十二件、三〇・六%、大体これぐらいが建設関係の倒産状況になってきています。年末から正月にかけていろいろ調べてみますと、やはり中小の中でも零細のほう、県の仕事を受けているとかあるいは市の仕事を受けている、東京でいえば区の仕事を受けている、そういう程度の人が非常に困ってきているようです。労務者なんかもそっちから逃げて、大手のほうへみんな移りつつあるというのが現状でございまして、これで、総需要カットがさらに進んでいくというと、かなりきつい情勢が零細、中小土建に出てくるということを考えまして、とりあえずは、ともかく金融的措置でささえてあげよう、こういうことで三機関等に対して、そういうものが出てきた場合の用意をいろいろさしておるところでございます。
○阿部(昭)委員 これは露骨に申し上げますが、建設業業界というのは、田中さんが総裁をされておる自民党政治組織の有力な一翼を果たしておるように私ども見ております。選挙などになりますと、自民党の選挙のポスター、ビラなどは全部建設業者が張るのです。私どもの地帯ではそうです。これがいま、今度はもうかなわぬ、自民党のビラ張りなどやめたぞということをおっしゃってくる業者がうんとふえております。 たとえば、契約をした時期と、実際工事をやる段階で、ものすごく資材の値段が上がりました。上がったことに対して、国の事業に対してはそれなりの上積み措置など、いろいろあるようであります。地方自治団体にはなかなかそういう財源はございません。資材の値上がり、物不足等で工事単価がたいへんに高騰する、これに対する措置は、地方自治団体はどうにもならぬ、こういっているのです。ですから、最近はいろいろな仕事を受注することを拒む。入札をいたしましても落札するものがいないという状況が、地方自治体などでは至るところで起こっております。 こういう資材その他の値上がり、物価の値上がりで単価がどんどん変わっていく、この状態に対して、政府のほうでは一体どういうふうに考えておられるのか。国の問題じゃないですよ。地方自治団体の問題これをお尋ねしたいのです。
○福田国務大臣 地方の事業も補助事業が非常に多いわけですが、補助事業のほうは補助単価を改定いたしまして、現実に契約ができるようにと、こういうふうな手配いをしておりますが、単独事業のほうは、これは自治大臣からお答えがあるかと思いますが、これは単独事業でありまして、単独の財源をそれぞれ充当するわけですから、しかるべくやっているというふうに私は理解しております。
○町村国務大臣 地方自治団体における単独事業につきましては、御承知のとおり、近年まではかなりこれを大幅に認めさせるというようなことで、地方債等もかなり昨年まではこれを大幅に認めるというやり方をいたしてまいったわけでございますが、御承知のような総需要抑制の方針をとらなければならぬというような情勢でございますので、明年度における地方債というものは、本年よりは相当にこれを減額しなければならぬというようなことに相なるのであろうかと存じますけれども、いま大蔵大臣からも御説明がございましたように、補助単価のようなもの、あるいは、したがって執行単価というものは、当然今日の物価の上昇に見合うようにしていかなければならぬということは、これは言うまでもございませんので、地方団体もそれぞれそういった配慮をすることであろう、こう存じておるわけでございます。
○阿部(昭)委員 そういたしますと、四十八年度の事業、これの地方団体の既契約分の、現在執行されておる事業の単価が、どんどんこの物価高で上がっていくものについては、国に準じて地方自治体の分も、大蔵省、自治省、全部横の連携をとって、物価の値上がりのために工事が進んでいかぬという状態だけは起こらぬように措置をしておる、措置をしましたと、こういうふうに理解をしていいんですね。
○福田国務大臣 補助事業につきましては、補助単価の改定もしております。それから事業量を減らしてその財源を浮かす、こういうようなことももちろん随伴するわけでございますが、とにかく執行できるような措置は講じてある、こういうふうに御了承願います。
○阿部(昭)委員 自治大臣、そういたしますと、単独事業等の場合、補助単価は上げましても地方団体負担分があるわけです、地方団体がやる事業でありますから。そういたしますと、財源に大きく狂いが出てまいりますね。この場合には、先ほどの御答弁では地方債、そういうようなもので十分なてこ入れをしておりますと、こういうふうに認識をしたのですが、私の認識に間違いありませんか。
○町村国務大臣 四十九年度の地方財政計画を先日……(阿部(昭)委員「四十八年の既契約分のことを聞いておる」と呼ぶ)既契約分のものにつきましては、これはすでにたびたび申し上げたことかと思いますけれども、御承知のように、年度途中でかなり単価の値上がりを見たというようなものにつきましては、地方庁におきまして、それぞれ単価の改定を行なうというようなことをいたしておるところがあるようでございまして、それにつきまして、必要な財源の枯渇を来たすというような事態が地方においては起こらないとも限らないわけでございますが、この点は、昨年は交付税等も地方には、当初考えておりましたよりはかなり多額にいっておるのではないかというようにも私どもは考えておりますし、したがって、私はそれで大体まかないが、四十八年度分はできたのではないか、かように承知をいたしております。
○阿部(昭)委員 そういたしますと、交付税その他でやっておりますから、既契約分の工事単価の値上がり分のことは十分地方団体でまかなえておると思いますと、こういう答弁ですね。
○亀岡国務大臣 お答え申し上げます。 補助事業等、大蔵大臣から単価の引き上げ等ございました……(阿部(昭)委員「地方団体」と呼ぶ)地方団体関係で、これもやはり国から一応補助が出た分で、既契約でもうどうにもならぬ、契約もできないという分が大部分を占めておるわけでございます。そういうものにつきまして、実は一月の十四日に、労務賃金等の高騰に伴う工事請負契約書第二十条第六項等の適用、スライド制、これを一応網の目をこまかくしまして、条件を緩和しまして、とりあえず、とにかく契約ができないというようなことのないように、また契約したものでどうにもならぬということのないように、工事が促進できるようにということで手配をいたしました。御承知のところと思いますが……。
○阿部(昭)委員 地方団体の単独事業、これは交付税や何かやっておる、それで見ろということなんですね。それは私はぜひひとつ、単独事業等でもいろいろな制度や何かの基準があって、どうしても単独事業でいかなければならぬものがあるわけです。そういう問題に対して、やはり同じようなスライドをするならするで、その財源は地方団体だけで責任を持てといっても持てない部分がうんとありますから、これはやはり国のほうで地方債なり何なり、いろいろなもので責任を持っていくというぐあいにしてもらいたい。 時間の関係で次に進みます。 労働大臣に伺いたいのでありますが、いま全国約百万人余と呼ばれる農村の季節出かせぎ者がおります。この皆さん、一体日本の国家にとって、日本の社会にとって、やっかい者であったのかどうか。私は少なくとも、都市社会にホワイトカラーが非常に多いが、しかし、都市の再開発なり地下鉄の工事なり、水道の整備なり、あるいはビルディングの基礎工事なり、こういう建設事業の中で、都市には残念ながら筋肉労働を、ほんとうに汗水たらして働く労働力は少ない。これを政府の農業政策によって、農業だけでは生活できなくなったたくさんの皆さんが、出かせぎという形で家族と別れてこの十数年間、日本社会のために大きく貢献をしてきたと思うのです。もし今日の日本社会において農村のこの季節出かせぎという労働力がなかったとするならば、今日の日本の都市建設なりいろいろな整備は私は進まなかったと思う。 そういう意味で、私は日本の農村の季節出かせぎというこの百万余の皆さんが、日本社会に貢献したことはまことに大きいと、こう思っておるのですが、最近の労働省のいろいろなやり方を見ますると、この皆さんはどうも日本のやっかい者、こういうような態度ではないかと思われるのですが、その認識をまずお聞きしたい。
○長谷川国務大臣 私も出かせぎ地帯の一人でございますが、やっかい者じゃありません。ほんとうにあなたのおっしゃるとおり一生懸命働いてきた人だ。労働省はそういう人々を守るほうの、働く人を守るほうでございまして、いまあなたのおっしゃるようなことをやる気もありませんし、現にやってもおりません。御理解いただきたい。
○阿部(昭)委員 二、三の例を申し上げますと、この出かせぎの皆さんが帰ってまいりまして、失業保険の給付を受けるという状況が起こる。そういたしますと、労働省のほうは、通達をつかもうと思いましたが、なかなかしっぽを出しませんでしたが、職安に対して管内の、つまり出かせぎ者が帰ってまいりました地元の管内の事業所に対して、求人申し込みをするようにということをずいぶんと慫慂するんです。私の調査したところではこういう例がたくさんあるのです。 あるいなかの事業主が職安当局に来られて、求人申し込みしてくれ、いまから出かせぎ者が帰ってくるので、帰ってきた皆さんを皆さんのところで就労させてもらわなければいかぬから求人申し込みを出してくれ、それじゃまあ十人もお願いしようか、十人などと言わずに、それならば三十人くらい申し込んでくれというようなことで、三十人申し込ますのです。そうすると、出かせぎ者が帰ってまいりまして、そこへ職業の紹介をされるわけなんです。出かけますと、いや、わがほうは一ぱいですから要りませんと、こうなるのです。何だ、あなたのほうではちゃんと職業安定所に対して求人申し込みをしておるじゃありませんか、求人申し込みをしておって、わがほうは満ぱいです、要りませんというような話はおかしいじゃないかと言えば、いや、実は職安当局が、私のほうは申し込めと言われましたので、十人もお願いしようかと思ったら、いや、そう言わぬで三十人も申し込めということなんで、実はこういう状況になっておるのです。 〔櫻内委員長代理退席、委員長着席〕 こういうやり方がいままで何年も繰り返されてきました。 私は、この労働省のやり方は、日本社会のために、家族と別れて都市建設のためにたいへんな努力をしてきたこの皆さんを、やっかい者扱いをしておる証拠だと思うのです。今度失業保険法というものを雇用保険法に改める。中身は、何のことはない、季節出かせぎの皆さんが従来持っておった、私から言わせれば既得権、これを三分の一に切っていこうということなんですよ。私は、ああいうカルテルを横行させるような層もおれば、一方ではこういう状態も起こる。世の中のことは、乏しいということでみんながおこるのじゃないのです。問題は、不公正であるということをおこるのです。 私は、そういう観点から二、三お尋ねをいたしますけれども、今回の失業保険法を改めて雇用保険法にしようというねらいには、ことし、来年、このあたりに向かって相当現在の定着労働者、総評その他の定着労働者、これが大量に失業する状態が出てくる。そのためには、従来の農村の季節出かせぎというこの皆さんを、失業保険のこの大きなワクの中に入れておいたのでは、定着労働者を排除、失業する状態をつくる場合に、現在は失業保険特別会計、御案内のように累積黒字は、たしか今年度末までになると五千数百億に達するはずですね。これだけの黒字を持っておりながら、問題は、これからいままでの定着労働者、政府が何によらず目のかたきにしてまいりました総評はじめ、この傘下に結集しておる定着労働者が相当排除される、失業状況になる。その場合には、農村のいままでのこの季節出かせぎという皆さんを、失業保険というワク組みの中から大きく排除しておかなければ、受けざらがないというねらいがあるのじゃないか、こう思うのです。労働大臣、いかがでしょう。
○長谷川国務大臣 非常に暗い話を出されておりまして、私は先ほども昼、政府委員室にいる間に、大ぜいの方々とこの問題についていろいろお話し合いをしておったのです。そこでひょっと気がついたことは、ぜひこれは皆さんにお聞きいただきたいと思います。 十二月の求人倍率、日本は一・七倍、十一月が二・四倍でしたが、いろいろな石油危機あれこれで多少ダウンしたが、なお一・七倍、完全失業率は一%、これはよその国々から見ますと、たいへんなことだ、すばらしいことだと私は思っております。 そこで、いまおっしゃった雇用保険制度は、ただいま審議会にはかっておりますけれども、おっしゃるところの、やはり給付と負担の著しい不均衡、こういう問題もございます。さらにはまた、農林水産の方々、その方面まで適用を拡大していこう、さらにまた、おっしゃる季節労働者に対しましては特例の金を差し上げよう、こういうことがあるのでございますが、審議会においていまこれは御研究いただきながら、近いうちにこの国会に提出することでございますが、そういう実損のないようなはからいをしようと思っておりますので、だんだんのひとつ御研究を願いたいと思います。
○阿部(昭)委員 実損のないことをやると、こうおっしゃるのですね。私は、時間がございませんから、きょうは内容を具体的に詰めることは、次の一般質問なりあるいは分科会に譲ります。譲りますが、実損のない方法というのはどういう方法ですか、簡潔にお願いします。
○長谷川国務大臣 ただいま審議会できょう、あすじゅうに、いろいろ御審議いただいておりますが、その法案のときに、なるべく大きな変化のないようにやっていきたい、こういう考えでございますので、だんだんの御審議をひとつお願いしたいと思います。
○阿部(昭)委員 時間がありませんから、実損のないよう、大きな変化のないようにするということを確認いたしておきます。 そこで、最後に経済企画庁長官にお伺いしたいのでありますが、いま日本の土地問題、これが一体どういう状況になっておるか。たとえば今度の予算の中でも、総需要抑制だとはいっても、学校の建築もやらなければいけない、幼稚園もつくっていかなければいけない、あるいは道路も整備せんければならぬ。いろいろな土地との関係の問題が、政府予算執行の段階でもたくさんのかかわり合いを持ちます。さらに同時に、国民の住宅の問題やいろいろな問題で、この土地の問題をよけて通ることはできないのです。したがって、現在の日本の土地という問題が一体どういう状況になっておるのか。 かって和光証券が、東京証券取引所一部、二部上場だと思いましたが、千三百社ぐらいの会社の買い占めておる土地というものを調査したことがあった。これは田中内閣発足以前の昭和四十七年三月の調査であります。その以降、ここにお並びの田中さんと福田さんが勝負をして、田中さんが列島改造論をひっさげて登場したわけなんであります。 私どもの調査では、いま日本で、全国八カ所の証券取引所に株式を上場しておる会社は、たしか千七百ぐらいあるんじゃないかと思うのです。これが、ある意味でいえば今日の日本の経済を締めくくっておる部分だと思います。この皆さんが日本の土地をどの程度持っておるのか、これを経済企画庁のほうでは調査をされておるかどうか。
○内田国務大臣 土地の問題は、基本的な問題だという認識を私どもは持ちまして、そこで、各都道府県ごとに、土地の利用計画でありますとか、あるいはまた、新しい施策が集中するような地域その他に、特別規制区域というようなものを設けまして、価格の暴騰を押えてまいる必要がある、それなくして現在及び将来の日本の土地問題の解決はないということで、御承知のとおり、国土総合開発法というものを提案いたしておるものでございますから、阿部さんのおっしゃる問題は、その法律の仕組みの過程でぜひ解決をいたしたい、私はかように考えております。
○阿部(昭)委員 そういたしますと、この土地の調査を政府は正確にやっておられると思うのです。土地の調査を正確に持たずに、いま国政の運営なんていうのはできないと思うのです。どこの役所で日本の土地の調査、掌握を完全にやっていらっしゃいますか、お伺いしたいのです。
○亀岡国務大臣 お答えいたします。 土地の問題は、阿部先生のおっしゃるとおり、もうすべての政策の基本になることは申すまでもございません。特に物価問題のきびしいおりから、土地の地価の暴騰というものは、騰勢が弱まってはきたものの、御承知のとおりの状態でございますので、建設省としては、この土地問題についてはもう全力をあげて調査をいたしておるわけでありますが、なかなかやはり業界の、法的な根拠がございませんので、結局アンケートで調査をするという程度でございます。 いわゆる企業の持っておる土地でございますが、去年の三月三十一日現在のもので、これは不動産協会、日本高層住宅協会、日本分譲住宅協会、不動産業関係各団体を通じて、不動産業者の保有する土地の調査をやったわけでございます。それに対しまして、首都圏においては、回答のあったものが二百二十八社でございます。全国合わせまして六万三千四百十六ヘクタールという数字が、企業が持っておる、私どものつかんでおる最近の数字でございます。
○阿部(昭)委員 すでに、たとえば民間の和光証券でも調査をされた。一昨年三月にこの調査結果を出した。ところが、その以降継続してさらに調査をやった結果もあるようでありますが、その公表は、いろいろな関係があって出すわけにいきませんという状態、すでに公明党さんのほうでも調査をされたようであります。わが党のほうでも調査をしております。 そこで政府が、少なくとも日本を締めくくっておる一千六百何ぼかの、証券取引所に上場されておるような日本の大法人が、一体日本の土地をどのように買い占めをしておるかというような調査を正確に持っておらぬなんということで、政策の運営はできないと私は思うのです。たとえば地方自治団体の中では、政治の流れは四十六、四十七、四十八、四十九と、大体同じ流れでいくというふうに考えて、四十九年度には学校の整備をやろう、土地の手当ては四十九年度急にではいかぬというので、四十八年あたりから土地の手当てにがかった。ところが、手金は打って契約はしたけれども、あと金が続かぬ。そこで、この間大蔵省のほうでは、選別融資で何とかしてやらなければならぬだろうなんということで、金融機関に対していろいろ問題を出しておるような経過もあるようであります。 私がいまここで問題にするのは、少なくともわれわれ野党でもちゃんと調査をしておるのであります。政府のほうにこういう資料がないなんということでは、この予算の審議はできないじゃありませんか。田中総理が、三十万ヘクタールの農用地を転換するなどということを言う。まさに、いま穀物戦争の時期であります。私どもの調査では、三十万ヘクタールの農用地転換なんというばかなことをやらぬでも、現在この大企業が買い占めておる、日本を締めくくっておる財界の皆さんが持っておる土地、これを何とかしただけでも、三十万ヘクタールくらいのものは十分に出すことができる。私は、したがって、少なくとも土地と無関係に国政の運営はできません。この予算の審議もできません。したがって、政府は責任をもって、この八つの証券取引所に上場されておる千六百二十何がしかの法人が持っておる土地の実態というものの資料を提出することを要求します。それが行なわれますまで、私はちょっと審議はできません。
○荒舩委員長 ちょっと待ってください。それは出すとか出さないとかという問題じゃなくて、よく相談して出させますから……。 阿部昭吾君の質問に対して亀岡建設大臣、答弁。
○亀岡国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、各法人の持っております土地の正確なデータにつきましては、建設省としても、毎年実は調査をいたしておるわけであります。ところが、なかなか協力を得ることができませんので、結局、回答のあった分を中心にして、それを参考にして進めておるということでございまして、この点は、建設関係の詳しい阿部先生は御了解いただけると思います。この辺にやはり土地行政の基本問題があるわけでございまして、そのほかの商品等につきましては、いろいろ立法上の問題が講じられておるわけでありますけれども、土地の問題につきましては、これからいろいろと国会に出していただいておる法律案等の審議によって、こういうことができるような体制に持ってまいらなければならぬ、こういうふうに考えるわけでございます。よろしくどうぞ……。
○田中内閣総理大臣 土地問題が非常に重要な問題になっているにもかかわらず、準拠法もないということでありますが、しかし、明確な数字でなくとも、一応上場会社が持っておる土地というものを把握しておらぬということは、これは遺憾なことでありますから、これは、とにかく出すまでストップしますというようなことでなく、短い間で出せるものではないと思いますが、これは誠意をもってこの調査をいたします。これは千七百社という上場会社ということに制限されておりますから、これはできないはずはありません。上場会社が出しておる三月決算を見れば、どういう投資をしておるかということはちゃんとわかるわけでありますし、これは有価証券報告書でもわかって、逆調査をしていけばいいわけでありますから、そういう意味で、四十七年度以前に持ったものとか、それから営業用のために必要である土地敷地とか、そういうものは別にしまして、四十七年、八年にいわゆる転用、転売できる土地として調査をするということは、そんなにむずかしいことではないと私は思います。これは、全国でもっていえば、二百万件から二百五十万件の年間の動きがあるのですから、これを全部調査をしろといったら、大蔵省でやっても自治省でやっても、これは相当な時間がかかります。かかりますが、上場会社が保有する転用可能な土地というものを年次別に出せというぐらいのことは、できないはずはありません。 そういう意味で、政府は誠意をもって調査をいたします。
○阿部(昭)委員 私は、いままで政府の各方面にその資料の提出を求めましたところ、納得の得られるような調査は実はなかったようであります。そこでいま要求をいたしました。したがって、その資料をお出しをいただいて、残余の質問をさしていただきたいということをお願いしたいと思います。
○荒舩委員長 ただいまの阿部君の発言ですが、総理大臣が責任をもって資料を出すと言うのですから、資料を出しますよ。だいじょうぶですよ。これは総理大臣が出すと言うのですから、それは間違いございません。出します。それは保留するとかどうとかいう、そういうことは困ります。 〔発言する者あり〕
○荒舩委員長 ちょっとお待ちください。ただいまの質問には総理大臣が答えているのですから、出します。出すようにします。 なお、阿部君に申し上げますが、理事会でも相談をすることもありますししますから、なるべく早く出していただくようにひとつ総理にお願いをしておきます。委員長からお願いをしておきます。
○阿部(昭)委員 私の申し上げましたのは、その資料をお出しいただきたいというので、ずいぶんと政府の各方面に要求いたしました。出てまいりません。まいりませんために、私どもがこれからの国の政策を進める上で、予算審議の中でどうしても解明しておかなければならぬことがあるのです。われわれも資料を持っております。ところが政府の資料は出てこない。出てこないために、私がお聞きしたいことも実はできないわけなんであります。その件に関しては、質問を留保さしていただきたい。
○荒舩委員長 ちょっとお待ちください。総理大臣が資料を出すと言っているのですから、なるべく早く出すことで……。それで保留じゃありません、もう時間が来ています、お約束の。時間が来ています。持ち時間が来ています。ただし…… 〔発言する者あり〕
○荒舩委員長 ちょっとお待ちください。私の発言中ですから。ちょっとお待ちください。ただし、早く出すことはもちろんですが、なおあとの一般質問もあれば、いろいろな質問があると思いますが、そのとき社会党の持ち時間のうちで、どうぞひとつ発言を求められることはけっこうだと私は思います。さよう御承知を願います。 これにて阿部君の質疑は終了いたしました。 〔阿部(昭)委員「委員長、ちょっと待ってください」と呼ぶ〕
○荒舩委員長 どうしてですか。何が違うのですか。いいじゃありませんか、時間が来ているのに。 次回は、来たる四日午前十時より開会いたします。 本日は、これにて散会いたします。 午後四時三十五分散会