本会議 第9号
- 発言数
- 24 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1974/01/23
会議録
○議長(前尾繁三郎君) これより会議を開きます。 ————◇————— 永年在職議員の表彰の件
○議長(前尾繁三郎君) おはかりいたします。 本院議員として在職二十五年に達せられました中村寅太君及び福永一臣君に対し、先例により、院議をもってその功労を表彰いたしたいと存じます。表彰文は議長に一任せられたいと存じます。これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。 表彰文を朗読いたします。 議員中村寅太君は衆議院議員に当選すること十回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた よつて衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する 〔拍手〕 ………………………………… 議員福永一臣君は衆議院議員に当選すること十回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた よつて衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する 〔拍手〕 この贈呈方は、議長において取り計らいます。 この際、中村寅太君及び福永一臣君から発言を求められております。順次これを許します。中村寅太君。 〔中村寅太君登壇〕
○中村寅太君 ただいま、私が二十五年間本院議員として在職いたしましたことに対し、院議をもって御丁重なる表彰の御決議を賜わりましたことは、身に余る光栄でありまして、まことに感激にたえません。これ全く、与野党の別なく、同僚諸賢のあたたかい御交情と御指導のおかげでありまして、心から厚く御礼を申し上げます。(拍手) なお、選挙区の同志各位が二十五年の長きにわたって御支援いただきましたことに対し、深く感謝申し上げるとともに、今日のこの光栄とこの感激の喜びを分かちたいと思います。 今後とも、同僚諸氏の驥尾に付し、国民の信頼と期待にこたえてまいりたい所存でございます。よろしく御指導賜わりますようお願い申し上げまして、御礼のことばといたします。 皆さま、ありがとうございました。(拍手)
○議長(前尾繁三郎君) 福永一臣君。 〔福永一臣君登壇〕
○福永一臣君 ただいま、私が本院在職二十五年になりましたことに対し、院議をもって丁重なる表彰の御決議を賜わり、まことに感謝にたえないところであります。つつしんで御礼を申し上げます。(拍手)。 私は、昭和二十二年、終戦後第二回目の総選挙におきまして、初めて本院に議席を得たのであります。 顧みますと、当時の日本は、いまだ占領下にございまして、国会の運営もいろいろな制約があり、今日のごとき活発なる国会の議論を思うとき、感慨深きものがございます。 二十五年間において幾多の思い出がありますが、何と申しましても、諸先輩の御指導と同志諸君の友情に対し、深く感謝の意を表したいのであります。 また、たとえ政治的立場は異なりましても、野党各位の中には、党派は別として、個人的に敬意を表すべき方々も少なからず、また、親愛の情を感ずる人も多いのであります。与野党を問わず、今後ともよろしく御交誼をお願いいたしたいのであります。(拍手) なお、この壇上より、多年にわたって変わりなき御支援を賜わりました選挙区の方々に対しましても、深く感謝の意を表します。(拍手) 私も、いよいよ内外の困難に直面いたしてまいりましたわが国の現状を見て、われわれ国会に議席を持つ者の責任を痛感し、ますます精進いたしたいと決意を新たにいたす次第であります。 何とぞ、今後ともよろしく御指導をお願いいたしまして、御礼のことばといたします。(拍手) ————◇————— 国務大臣の演説に対する質疑
○議長(前尾繁三郎君) これより国務大臣の演説に対する質疑に入ります。成田知巳君。 〔成田知巳君登壇〕
○成田知巳君 激しく動く内外の情勢、狂乱状態の物価高のもとで、国民の皆さん方は、再開国会の審議を、不安と期待の入りまじった複雑な気持ちで見守っておられると思います。 私は、日本社会党を代表し、政府の内外政策について具体的に問題の所在をただし、その対応策を明らかにしていきたいと存じますので、総理も、多弁と饒舌で問題の核心をそらされることなく、簡明率直に見解を明らかにされ、国民の期待にこたえていただきたいと存じます。(拍手) 質問に入る前に指摘しておきたいことは、総理は、三月には物価を鎮静させる、また、大蔵大臣は、短期決戦だと呼号されてきましたが、一昨日の演説には、全くこれらのことばが影をひそめておるのであります。(拍手)しかも、昨日、政府はタクシー料金の大幅引き上げを決定し、総理は、記者会見で、私鉄、電力料金の値上げをもほのめかされたのであります。公共料金を押えると国民に約束したのは一昨日ではありませんか。全く支離滅裂、政府は、物価対策の自信も能力も完全に喪失したとしか考えられないのであります。(拍手) 今日までの国民に対する公約は一体どうなったのか、まず、この疑問に対し、責任ある答弁をお願いしたいと存じます。(拍手) 新しい時代の創造は、大きな困難と苦痛を伴うが、しかし、あえてこの困難に挑戦し、国民のための政治を決断し、実行し、そして結果について責任をとる、これは、昨年一月最初の施政方針演説で総理が国民に約束されたことばであります。それから一年の歳月が経過いたしましたが、総理は、ことばの正しい意味における国家利益追求のための外交、庶民のための政治、国民のための政治を決断し、実行してこられたでありましょうか。答えは、まさに断じていなであります。(拍手)この答えが私一人のものでないことは、歴代内閣中最低といわれる各種世論調査の田中内閣支持率を見れば、おのずから明らかだと存じます。(拍手) 総理は、インフレも物価高も自分の責任ではないかのように、あるときは遁辞を使い、あるときは傲慢にも居直る姿勢さえ示してまいられました。またまた総理は、一昨日の演説で、結果について政治生命をかけると言われましたが、国民は、総理の政治生命は幾つあるのかと疑うだけであって、総理のことばをまじめに信用する人は、一人もいないと思うのであります。(拍手) 総理も御承知のように、いま国民は、物価高と、つくられた物不足のために、苦しい毎日の生活をしいられております。この悪性インフレこそ、国民の最大の敵であります。政府が何をおいても取り組まなければならないことは、このインフレとの戦いであり、国民生活を擁護するためにすべてをかけるということだと存じます。 ところが、総理は、このインフレとの戦いを回避するかのごとく外遊を計画され、まずニクソン大統領との会談のためアメリカを訪問されましたが、総理も御承知のように、その直前、国会においては、あらゆる国の核兵器の製造、実験、貯蔵、使用に反対する決議を行なっておるのであります。 国民が、総理のアメリカ訪問に期待したことの一つは、この決議に基づき、アメリカの核実験はもちろん、その保持に反対する旨を強く訴え、核軍縮のための適切な措置をとることをアメリカに要求することにあったと思います。 しかるに、総理は、ニクソンとの会談で一言もこの問題に触れることなく、それどころか、逆に、NBCのテレビ放送で、アメリカが核を保有することは意義があり、日本が米国の核のかさのもとにあることは、将来も不変であると放送されております。(拍手)これは、アメリカを含めてあらゆる国の核保有に反対する国会決議と、この決議に表明された日本国民の総意を踏みにじったものだといわなければなりません。(拍手)総理が国会決議を公然とじゅうりんして、どうして議会制民主主義の権威を保つことができるでしょうか、総理の明快な答弁をお願いするものであります。(拍手) 総理は、日米共同声明の中で、朝鮮の平和と安定に積極的に貢献することを約束して帰られました。この朝鮮における唯一合法の政権として、政府は日韓条約で朴政権を認めてきたのであります。しかし、かの金大中事件や、韓国の民主化を求める民衆の改憲運動に対するファッショ的弾圧が示すように、朴政権はまれに見る腐敗と独裁の政権であることが、いまや全世界の人々の前に明らかにされておるのであります。(拍手) この朴政権を相手に、政府は、金大中事件をうやむやにしたまま、両国民の強い反対も無視して日韓定期閣僚会議を開催して、引き続き国民の血税で朴政権に経済援助を行なうことを約束しております。政府が、朝鮮の平和と安定に寄与するというのは、別のことばで言えば、軍事独裁の政権を援助するということにほかならないのであります。(拍手)これから利益を受けるものは、韓国の民衆ではありません。韓国の政府権力者や特定財閥であり、これと暗い癒着関係を持つ日本の一部階層であります。(拍手) このような援助は、朝鮮民族の悲願である平和的統一と朝鮮の真の安定を阻害し、日朝両国国民の友好親善関係を妨げる以外の何ものでもございません。日本がアジアの各国と接触し、経済援助を約束するときの基本的心がまえは、相手はその国の政府ではなく、ましてや、国民から見放されている独裁政権であってはならないということであります。(拍手)祖国の自由と発展を願っておるその国の国民大衆が真の相手であるという立場をとることこそ、われわれの忘れてはならないところであります。 今後の対韓国外交のあり方と、日増しに国際的権威を高めつつある朝鮮民主主義人民共和国との友好親善関係をどのようにして進められようとしておるのか、朝鮮の平和と安定に寄与するという真の意味は何かについて、総理の見解を明らかにしていただきたいと存じます。(拍手) 時の権力者とのみ結び、国民の存在を無視した外交が、いかに両国間に不幸な事態をもたらすか、そのなまなましい実例が、今回のタイ及びインドネシアにおける激しい反日運動の勃発であります。 今回の不幸な事態は、突如として発生したものではございません。起こるべくして起きたものであります。総理は、今回の事態の反省として、日本人は現地語を修得する必要があると強調されたとも伝えられておりますが、これほどアジア外交の本質についての理解の欠如を示すことばはないと思います。(拍手) 今回の事件の底に流れるものは、一言で言えば、現地の民衆を踏みつけてきた日本独占資本の進出、また、これを許してきた現地政府権力とわが国資本との醜い癒着に対する現地民衆の怒りの爆発であったということであります。(拍手) 同様なことは中東諸国との関係についてもいえると思います。今回の石油問題は、資源に対する主権の確立、民族独立と経済自立を求めて立ち上がっておる中東諸国のナショナリズムに対する理解を欠き、第三世界外交を自主的に推し進めることを怠ってきた自民党外交とエネルギー政策の失敗を明らかに物語るものであります。(拍手) これら一連の事態は、一言でいえば、日米安保のワク組みの中で、アジアの一員であることを忘れ、アジアの社会主義諸国を敵視し、開発途上国を踏み台にして、ひたすら経済大国の道を歩み続けてきた自民党外交が完全に破綻したということであります。(拍手)この事実を総理は否定できるでしょうか。総理の見解を明らかにしていただきたいと存じます。 施政方針演説で、総理は、ソ連首脳との会談において、北方領土問題について成果をあげたと述べておられます。しかし、共同声明には、今後領土問題について両国間で交渉するとはどこにも明記されておりません。それだけではありません。北方領土問題が討議されたことさえ、共同声明には一言半句も触れられていないのであります。(拍手) 言うまでもなく、共同声明は、交渉の経過、内容を公的に確認する文書であって、この共同声明に領土問題が討議された事実すら明らかにされていないことは、今後の領土問題交渉に大きな難点を残したものであります。このことは、ソ連敵視の安保条約を堅持したまま北方領土の解決をはかろうとする自民党外交政策の失敗と矛盾を示すとともに、歯舞、色丹の引き渡しで平和条約を締結し、安保を解消して全千島の返還を実現するわれわれの方針の正しさを証明するものであります。(拍手) 国民ひとしく認めるように、田中総理の今回の一連のスケジュール外交は、全くみじめな失敗に終わりました。アメリカの核とドルのかさのもとでの安保繁栄論の虚構は、いまや明らかにされたのであります。それは繁栄の道ではなく亡国の道であります。世界の国々との友好親善を確立し、アジアと世界の平和に貢献し、わが国が平和と繁栄の中に生きていくためには、安保条約を廃棄し、非同盟中立の道を選ぶべきであり、これが国民世論の求めるところであります。総理の見解を明らかにしていただきたいと存じます。(拍手) なお、この機会に、日中航空協定交渉の状況を明らかにしていただくとともに、台湾は中国の一部、すなわち中国の一省であることを確認した日中共同声明の精神に基づき、一日も早くこれを締結するとともに、日中平和条約締結を急ぐべきだと思うが、総理の見解を承りたいと存じます。(拍手) 総理が外遊に次ぐ外遊を続けている間に、国民の最大の敵であるインフレ、物価高は、まさに狂乱状態に達しました。このような経済危機の中で編成された昭和四十九年度予算案は、インフレ抑制の背水の陣をしいたものだといわれております。 だが、総理も御承知のように、大蔵省原案の発表から決定に至る間に、原油価格は大幅に引き上げられ、円為替相場は、一ドル三百円へと大幅に切り下げられております。フランの切り下げ、マルクの動向いかんにより、さらに円の大幅切り下げが予想されております。これが国際収支逆調の要因となり、国内物価と経済成長率に大きな影響を及ぼすことは明らかであります。だからこそ政府も、異例にも、今回、経済見通しの変更を行なったと思います。 このように、予算編成の基礎的前提条件が変わったにもかかわらず、政府はそれをほおかぶりして、予算案に何らの変更も加えないで国会での審議を求めようとしておるのは、まさに無責任な態度だといわなければなりません。(拍手)本予算案を撤回し、新しい経済見通しのもとで予算を編成し、再提出することが、責任ある政府の態度ではないでしょうか。(拍手) 百歩譲って、予算の規模、内容におきまして政府は大幅な修正を認める用意のあることを明らかにして、予算審議に臨むべきだと思うが、総理の見解を明らかにしていただきたいと存じます。(拍手) 政府は、今回の予算案を緊縮予算と自画自賛し、予算規模の伸び率を一九・七%に押えたことを手柄顔に宣伝していますが、これには官僚の予算編成テクニックによる操作とごまかしが行なわれておるのであります。 その第一は、地方交付税のうち、千六百七十九億円を政府が借り上げておるということであります。昭和四十四年、当時の福田大蔵大臣、野田自治大臣との間に、地方交付税の政府借り上げは地方自治体の自主性をそこなうから、これを避けるという覚書を交換していることを大蔵大臣は御記憶だと思うのであります。今回の措置は、みずからつくった覚書を破棄し、地方自治体に犠牲をしわ寄せするものであり、大蔵大臣の責任、まことに重大だといわなければなりません。(拍手) 次に、四十八年度予算中の公共事業費の八%、二千二百七十二億円が四十九年度に繰り延べられております。これを計算に入れますと、予算の伸び率は実質二〇%をはるかに突破しており、一九・七%という政府の宣伝は全くのごまかしであります。(拍手)今回の予算案は、インフレを押え込む予算案ではなく、インフレを追認した予算案だというべきであります。(拍手)ほんとうにインフレと戦い、国民福祉を守る予算案とするために、私は、再生産に少しも役立たない、最も愚かな税金と資源の浪費である防衛費を思い切って削減すべきことを主張いたします。(拍手)インフレの最大要因である国債発行の大幅削減を行なうべきことを提案いたします。(拍手) 国民が物価高で苦しんでいるとき、防衛費はひとり聖域よろしく一兆円を突破しているのであります。しかし、中東戦争に端を発した石油問題は、国民の血税で自衛隊を増強し、戦車や軍艦をたくさんつくっても、一度石油の輸出制限にあえば、近代的戦車も軍艦も一塊の鉄の固まりとなり、無用の長物にすぎなくなることを明らかにしたと思います。(拍手) この貴重なエネルギー源である石油は、ソ連や中国などの社会主義諸国やアラブ諸国との平和友好関係の増進によってこそ得られるのであって、武力ではなく、平和友好の外交こそが日本の最善の安全保障であることを教えたと思います。(拍手) 問題は石油だけではありません。国民生活にとって欠くことのできないのは食糧であります。 自民党歴代政府は、高度経済成長政策を推し進めて、日本の農業から土地と水と人間を奪い取ってきたのであります。世界的な食糧危機の中で、日本の食糧自給率は、カロリー換算で五三%以下となり、国民は外国農業に命を預けておる結果になっております。これで国民の生活保障、日本の真の安全保障が保たれると総理はお考えでしょうか。 政府は、すみやかに三十万ヘクタールの農地の転換計画を撤回し、食糧の海外依存政策を取りやめ、国の投資による農業基盤の整備と、主要食糧の管理制度を確立して、農民の生産意欲を高めて、食糧自給率を最低九〇%にまで高めるべきであります。(拍手)食糧の海外依存か、それとも国内自給か、そのいずれを選ぼうとしておるのか、総理の見解を明らかにしていただきたいと存じます。(拍手) 総理は、一昨日、発想の転換を強調され、正直者がばかをみることのないようにしたいとも言っておられました。しかし、このことばが総理の口から出るとき、国民は実にむなしい響きを感ぜずにはおられないのであります。(拍手)大企業のための高度経済成長という名のインフレ政策で、いままでずっとばかをみ続けてきたのは、まじめに働く正直者の国民、庶民であったのであります。(拍手)物価高と、つくられた物不足のため、中小企業の御主人が、前途に対する希望を失い、とうとい生命さえみずから断っておるではありませんか。もし総理が、ほんとうに発想を転換し、これを実行に移される決意ならば、それはいままでインフレに便乗して得をしてきた者が損をし、いままで損をさせられてきた人が得をするような政治を思い切って断行することであります。(拍手)その決意がはたして総理におありでしょうか。 総理は、春の賃金改定期に労使が節度ある態度をとることを要請されましたが、これは一億総ざんげのお説教であり、そこには重大なあるものが欠落いたしております。 第一に、今日の悪性インフレをもたらしたのは田中政治の責任であり、これが全く不問に付せられておるということであります。(拍手)日本が卸売り物価、消費者物価ともにこの一年間に世界先進国のうち一番高くなったのは、円再切り上げ回避を大義名分とした田中内閣のインフレ政策と、これに拍車をかけた日本列島改造政策の結果であったことを忘れてはなりません。(拍手) 第二に、このお説教は、高度経済成長政策に便乗して不当に利益をあげてきた大企業の社会的責任を問おうとしていないことであります。いわゆる石油危機に直面して企業のとった買い占め、売り惜しみ、価格引き上げは、目に余るものがありました。総理の言うように、確かに物はあるのです。それが庶民の手に入らないのは、この大企業の悪徳行為の結果であります。(拍手)自民党の諸君が声を大にして叫ぶ自由社会を守れというその自由は、大企業が買い占めと投機によってもうける自由、公害たれ流しの自由であることを、今回の事態は実物教育で示したものというべきであります。(拍手) 昨年九月決算で、鉄鋼、石油、パルプ、繊維の大手業界は、前期に比していずれも何倍もの利益をあげております。このような不当利益を吸収することこそ、インフレ対策としての第一の発想の転換でなければなりません。総理は、そのため、法の適用を厳正にすると演説されましたが、その法とは一体何を意味するのか、明らかにしていただきたいと存じます。(拍手) また、超過利得税の創設も伝えられておりますが、これを検討することに私たちはやぶさかではございませんが、しかし、これは所得政策につながる危険も持っており、もろ刃のやいばであります。むしろ、諸外国に比して低い法人税率を引き上げるとともに、現行の比例税率制を改めて、個人所得税と同様に累進税率として、大企業と高額の利益には高い税率、中小の企業と少額の利益には低い税率を課することが、根本かつ現実的な解決の道だと思います。(拍手) この不当利益吸収にあたって、特に大企業の価格への転嫁を許さないために、公正取引委員会に、大企業製品の原価を公表させる権限、引き上げられた不当な価格を適正価格にまで引き下げを命ずることのできる権限を与えるため、独禁法の改正を政府は断行すべきであります。(拍手) 次に、売り惜しみ、買い占めを吐き出させ、不当利益を得させないための措置を講ずることが必要であります。昨年末、石油需給適正化法と国民生活安定法が成立しましたが、法律は万能ではございません。この二法で物価問題が解決すると考えるのは、法律物神化の誤りをおかすものであります。 特に、政府による権力統制が官僚統制につながることを常に警戒しなければなりません。われわれが、緊急二法の審議にあたり、臨時立法とすることを主張し、また、生活安定法に対し、国民参加の審議会を設置することを要求したのも、この理由からであります。 官僚統制におちいることなく、インフレを阻止し、国民生活を守るために、私は、次のような民主的規制を主張いたします。 すなわち、国会の調査権を全面的に発動し、企業の反社会的行為を摘発、規制するとともに、地方議会にもこれに準ずる調査・監視権限を与えること、さらに、この民主的規制を実効あるものにするために、地域住民が大衆的規模で積極的に参加できるような制度的保証を確立するということであります。(拍手) 以上に対する総理の見解を承りたいと存じます。 さきにわが党の実施した、灯油、紙、小麦粉、砂糖、洗剤についての調査の結果、次のことが明らかになりました。 紙以外は、需要に応ずる程度の生産は十分行なわれておるということ。物資の多くは、行政権の及ばない自家用倉庫に保管されて、値上がりを待っておるということ。大企業、大商社による買い占め、売り惜しみ、価格の引き上げが一そう進行し、資金力のない中小企業は転業や倒産に追い込まれているという事実でございます。 政府は、生活関連物資の生産実態、物の流れの調査を現在どのように進めておられるのか、その状況と結果を国民の前に明らかにするとともに、物資の出回り、中小企業に対する今後の対策を明らかにしていただきたいと存じます。(拍手) 次に、損をしてきた人にこれ以上の損をさせないために、まず、春闘を中心とした労働者の大幅賃上げを認めるべきであります。 日本生産性本部の調査によりましても、この十数年間、労働生産性のほうが賃金上昇率を上回っていることは明らかであり、最近、公労委の金子公益委員は、工業製品価格に占める人件費の割合は、平均してわずか一一%程度であり、人件費が上がって直ちに物価に響くという議論は誤りであると指摘し、所得政策を激しく論難しているではありませんか。 労働者の大幅賃上げの要求は、インフレ下の生活防衛のための戦いであり、まさに権利のための戦いであります。(拍手)かつて、インフレだというならば所得政策が必要だと開き直った総理の見解はいかがですか。春闘を前にして、総理の見解を明らかにしていただきたいと存じます。 総理も御承知のように、日本は工業生産力では先進国、社会保障では残念ながら後進国だといわれております。この低水準の社会保障の充実をはかることが、人間尊重の庶民の政治であります。かつて、総理をはじめとする自民党の諸君の中で、社会保障の充実をはかることは、なまけ者をつくることになるとの意味の発言をして問題になりましたが、それだけで近代社会の政治家として完全に失格したということであります。(拍手) 今日の社会で、庶民は、一生額に汗して働いても、老後の生活が安定するような貯蓄がはたしてできるでしょうか。今日の老人問題、重症心身障害者問題などは、現在の社会が生んだいわば社会的産物であって、これを個人の責任として放置することは絶対に許されません。(拍手) 最近、わが党の行なった実態調査で、ある心身障害者の方は、次のように訴えております。諸物価の値上がりで、ちり紙など身の回り品に必要な小づかいだけで月最低一万二千円はかかるのに、障害福祉年金は月額七千五百円です。来年といわず、いま直ちに年金額の引き上げをしてもらいたいと。 これは一つの例にすぎません。今日の物価高、物不足のもとで、毎日を不安のうちに送っている人々に、福祉年金、生活保護費、社会福祉措置費などについて、緊急物価手当を、特に現物支給の形で実施して、恵まれない人々の最低限度の生活を保障すべきだと考えますが、総理の見解を承りたいと存じます。(拍手) 総理、現在の日本経済の危機的状況は、一歩誤れば、社会不安とファシズムへと急速度に移行する危険を持っております。この危機に正しく対応し、日本の民主主義を守る唯一の道は、国民生活をインフレから守り、国民の議会制民主主義に対する信頼を回復し、これを高めていくということであります。 すでに石油問題が具体的に示すように、石油の大量消費を前提とした物価高の元凶、日本列島改造政策は、完全に落第であることが明らかになりました。(拍手)したがって、そのための諸法案をすみやかに撤回し、国民福祉の政治に徹することを国民の前に約束することが、いま総理に与えられた最大、緊急の任務であり、政治の信頼を取り戻す道であります。 総理の「日本列島改造論」には、おそれの思想、これがありません。人をおそれず、天をおそれず、自然をおそれず、すべては金で解決できるという思い上がった妄想から出たものであります。(拍手) この妄想に基づく総理の政治観が、外交においては、反共の腐敗独裁政権との結びつきを強め、アジアの民衆からいま排撃を受けておるのであります。国内においては、物価を高騰させ、投機行為を激化させ、大企業や投機家からは歓迎されたかもしれませんが、働く国民からは、歴代保守党内閣でもその例を見ないほどの痛烈な批判を受けておるのであります。(拍手)このような総理の金権主義、物質主義は、良識ある自民党の保守主義とは無縁のものだと私は考えるものであります。(拍手) 最後に、総理、あなたは、自民党総裁として、先般、自治省の発表した自民党の政治資金調達をどのように見ておられるか、お伺いしたい。 自民党に巨額の献金をした企業の大部分は、インフレの波に乗って大もうけをし、土地投機や商品の買い占め、売り惜しみが問題となった大企業からのものであります。このような金で台所のほとんどすべてをまかなっておる自民党や自民党実力者が、ほんとうに企業の過大利潤追求、不当利得を規制することができるでしょうか。(拍手)いま、日本列島に渦巻いておる政治不信の最大の原因の一つは、外国の保守党にもその例を見ないような、自由民主党と財界とのこの特殊な癒着関係であります。この資金関係を打ち破ることなくして、政治への信頼を取り戻すことは不可能です。いまこそ総理は、国民の政治不信の根源を断ち、政治への信頼を回復するため、政治資金規正法の抜本的改正を国民の前に約束し、その実行を行なうべきであります。(拍手) 以上、私は、日本の外交、内政について、政府、自民党といえども、真に国益と国民生活の安定、向上を考えるならば、実行に移さざるを得ない最小限度の政策要求を明らかにいたしました。もし、これさえも総理において実行する意思なしというならば、もはや田中内閣に日本の政治を託するわけにはまいりません。(拍手)日本の真の平和を実現し、インフレを阻止し、国民生活向上のために、内閣退陣を要求し、国民とともに、田中内閣を打倒して、護憲、民主、中立、国民生活向上の国民連合政府を打ち立てるために全力をあげることを明らかにして、私の質問を終わる次第であります。(拍手) 〔内閣総理大臣田中角榮君登壇〕
○内閣総理大臣(田中角榮君) 成田君にお答えいたします。 まず第一は、国民のための政治についてでございますが、申すまでもなく、政治は、一政府、一政党のみにかかわるものではございません。当面する難局を打開するためには、政府も、与野党も、国民も、その総力を結集していかねばなりません。国民のためにこそある政治は、議会制民主主義の確固たる基盤に立って、その指導性を発揮し、その力を振りしぼるべきときであります。私は国民とともに考え、ともに進んでまいる決意でございます。(拍手) 物価問題についてでございますが、物価問題を解決し国民生活を守ることが当面の最重要課題であることは申すまでもありません。このため、政府は、公定歩合の大幅引き上げ、四十九年度予算の抑制等総需要政策を一そう強化するほか、国鉄運賃及び米の政府売り渡し価格の値上げ実施時期の延期等、物価対策を強化したところでございます。このような総需要抑制に加えて、関係法令の機動的運用によりまして、個別物資対策を活用し、物価の抑制に全力をあげてまいる所存でございます。 今日のごとき時代においては、物価問題にしても、一国のみで鎮静化を果たせるものではなく、世界各国が直面している諸問題は、国際協調、相互補完によってこそ初めて解決可能なのであります。したがいまして、今後とも首脳外交をはじめ広範な外交活動を一そう強化しなければならないと思っておるのであります。 第三は、米国の核のかさの下にある問題について言及されましたが、核軍縮のため大きな努力が払われておりますが、その実現が達成されていない現在の国際情勢のもとにあっては、わが国の安全を維持するために日米安全保障条約に依存する必要があることは、政府が間々申し上げておるとおりでございます。このことは国会決議にもとるものではなく、政府としては、核兵器の全面的な禁止という究極の目標に向かって引き続き努力を傾けてまいる所存でございます。 また、インドネシアやタイにおける問題について、一面からの御批判が述べられたのでございますが、真実を申し上げますと、日本とアジア諸国の関係は相互補完関係にあるのでございます。日本は東南アジア諸国から原材料の供給を受けなければならない立場にあります。そのためには、開発輸入も必要なのでございます。東南アジアの各国は、日本から鉄鋼、塩ビ、肥料その他の生産財の輸入を受けることが絶対不可欠なのでございます。そのような意味で、日本と東南アジア諸国はお互いに利益を享受しつつ繁栄をしていかなければならない立場にあるのでありまして、この関係を断ち切るようなことはできないのであります。 そして、あのような問題が日本の経済活動だけによると考えることは皮相な見方であります。それは、戦後非常に困難なときにアメリカの資金の援助を受け、そしてアメリカの技術協力を受けて、敗戦経済から自立経済に、そして国際経済に発展をしてきた過程においても、経済の交流が拡大するとともに、日米間にも摩擦があったことは御承知のとおりであります。それだけではなく、インドネシアにおいて起こった自動車をひっくり返した何十倍もの自動車を焼いた歴史もございます。しかし、そういう歴史の上に日本の今日の繁栄は築かれ、日米友好は確立をされてきておるのであります。(拍手) いまASEAN諸国にある学生運動の一番の大きな問題は、日本との摩擦が原因というよりも、大学を出ても就職の場もないという問題が最も重点なのでございます。でありますから、石油供給が不足になり、石油の価格が上がることによって、日本から鉄鋼や塩ビやその他の原材料の輸出ができなかったならば、いま稼働しておる生産施設が停止をするおそれがあるのであります。われわれは、その意味で、国内的な需要を満たすとともに、これら開発途上友好国に対して供給しなければならない国際的義務を果たしていかなければならないのであります。(拍手)その意味で、バンカーオイルも、また、日本が必要とするナフサも、東南アジアは日本のためにこれを国内の需要を押えても供給することを約束しておるのであります。 諸君、このときに、日本から輸出せられる肥料が、もしASEAN諸国に計画どおりに輸出できないとするならば、東南アジアの食糧不足はどうなるでありましょう。(拍手)この事実を前提として、日本と東南アジアの関係の拡大のいかに重要なものかを理解すべきであります。(拍手、発言する者多し) また、訪ソの問題に対してお触れになりましたが、私から北方四島の返還を強く要求したことは、新聞に報道されたとおりでございます。四島が日ソ両国の間における未解決な、重要な懸案であるということは、両国首脳会談において確認をせられておることでございます。 次は、経済見通しが変われば予算案も変わらなければならないという御指摘でございますが、政府の経済見通しについては、国際収支の見直しを中心に手直しを行なっておりますが、全体として見れば微調整の範囲にとどまっておりまして、四十九年度予算については修正の必要はないものと考えておるのでございます。 また、国民生活の安定をはかり、物価を下げるためには、自衛隊の予算を取りやめてという、いつもながらの御発言でございますが、国の独立と平和、国民の生命と財産を守るために、防衛は不可欠な問題であります。(拍手)しかし、防衛費は最小限度でその任務を果たすべく、最善の努力をいたしておるのでございます。野党第一党の党首の口から、自衛隊廃止論が堂々と述べられることは、心から遺憾に存ずるわけであります。(拍手、発言する者多し) 諸君、石油が不足であるということは、あに日本だけではありません。アメリカでもヨーロッパ先進諸国でも、石油の供給は削減をされ、石油価格は引き上げられております。しかし、これらの国々においては、民生用を削っても産業用を削らないようになっておるではありませんか。しかし日本は、民生用を確保するために産業用を削っておるのであります。その差はどこから来るかというと、生産面に占める国防生産の率が低いというところに原因をするのであります。(拍手)一般国民の消費を削っても産業用の電力や石油を削れないという理由は、どうしても国民生産の中に占める軍需生産、国防生産を削れないという理由からくることであることをよく理解せねばなりません。わが国の国民総生産に占める防衛生産の比率がいかに低いかは、以上をもっても指摘できるのであります。 なお、食糧問題に対しての御指摘がございましたが、国民の主要食糧確保のため、国内生産が適当なものは自給度の維持向上をはかることが重要であると考えております。このため、農業の基盤整備を進めますとともに、麦、大豆、飼料作物についての生産奨励措置、未利用地域における畜産等の大規模な生産基地の建設などを進めてまいりたいと考えます。 農地の転用問題につきましては、公共用地等の需要に応じて必要な用地を円滑に供給し、地価の上昇を抑制するという観点から、三十万ヘクタールを一応の目標といたしまして、一定の期間をかけて計画的に転用をはかってまいりたい、こう考えておるのであります。 物価と賃金の問題についてお答えを申し上げます。 物価上昇は、前にも述べましたように、内外の要因が複合して生じたものであり、賃金コストの上昇がその唯一の要因であるという考えは持っておりません。しかしながら、昨年来の賃金上昇率は二〇%台に達する勢いであります。今後経済の実勢とかけ離れた高率の賃金上昇が続くならば、物価上昇圧力が一段と高まると、深く懸念をしておるのであります。賃金交渉において、労使が国民経済的視野に立って節度ある態度をとられるよう、強く望むものでございます。 また、企業の不当利得に対しての御発言でございますが、企業の不当利得規制のための原価公表、価格引き下げ命令は、独占禁止法の本来の趣旨とは異なる観点の問題と考えられますので、慎重に検討してまいりたいと考えます。現在、公正取引委員会において、価格協定に対する価格引き下げ命令等を含め、独占禁止法についての研究を進めていると聞いておりますので、独禁法の改正につきましては、その検討結果を待って対処してまいりたいと考えます。 企業の反社会的行為の規制についてでございますが、政府は、国民生活安定法の運用によりまして、国民経済の混乱と国民生活への影響を未然に防止し、物価の安定と必要物資の安定的供給の確保に全力を傾注してまいりたいと考えます。 また、企業の便乗値上げや投機的行為につきましては、強く自省を要請するとともに、かりにこれらの不当な行為等によりまして過大の利益を得たものに対しましては、石油関係二法、買占め売惜しみ防止法、独禁法をはじめとする法の厳正な運用をもって対処してまいりたいと考えます。 また、新たに住民参加等をしてはどうかということでございますが、政府は、当面、御指摘のような制度を採用する考えはございません。また、国民同士の間に摘発制度をとれというような御趣旨の発言がございましたが、顧みるまでもなく、戦後のより困難な状態の中でも、同一民族が同一国家を形成しておるという特性もありますが、日本人はお互いを理解をしながら、混乱を避けながら、今日を築いてきたではありませんか。いま国民の中に不信感を醸成し、お互いが骨肉相はむような手段は、できるだけ避けなければならぬことは言うまでもない。(拍手)その意味で、政府は、企業の、また国民の理解と支持を求めながら、最大の努力を傾けることによって、物価の安定をはかり、当面の問題に対処してまいりたいと考えます。 国総法が必要でないというような御発言でございますが、日本は狭いのでございますし、もうすでに、政府が発表いたしましたように、一億一千万人をこしておるのでございます。だから、この狭い日本を合理的に利用しなければ、真に社会保障が確立されたり、真に生活環境が確保されたりはできないのであります。目先のものだけを考えて、あしたのこと、十年後のこと、わが子、わが孫のことを考えないところには、政治は存在しないのであります。(拍手)私は、国総法は絶対に必要である、こういう考えに立っております。 最後に、政治資金規正法の問題についてでございますが、政治資金規正法の問題については、政党本位の、金のかからない、国民の支持と理解を求められるような法律が一日も早く成立することを望んでおります。しかし、政治資金規正法はこれだけによって解決できるものではありません。二十四年間、識者が検討した結果、選挙制度、定数の問題、政治資金規正法等一体にならなければならないといわれておるではありませんか。しかも、その中には、労働運動の名において行なっておるいわゆる政治資金と同じような問題までどう取り扱うかという広範な問題さえも提示をされておるのであります。政府は、国民の声を聞きながら、慎重に検討してまいりたいと存じます。(拍手) 〔国務大臣大平正芳君登壇〕
○国務大臣(大平正芳君) 三点、総理の御答弁を補足させていただきます。 第一点は、日米共同声明と朝鮮問題についての御質疑でございます。 日米共同声明におきまして「朝鮮の平和と安定」と申しておりますことばは、わが国として朝鮮半島の平和と安定を心から願い、そのためにわが国として何らかの貢献がなし得るのであれば、その用意があるとの一般的な考え方を示したものでございます。 わが国は、韓国の民生の向上と経済の均衡ある発展に寄与することを目的として経済協力を行なっておるものであります。そのことは、朝鮮半島の平和と安定に貢献こそすれ、それを阻害するものとは考えておりません。 それから、北朝鮮につきましては、国際情勢の推移、南北対話の進展等を見守りながら、人道、文化、スポーツ、経済等の分野で交流を広げてまいるつもりでございます。 第二点は、日中航空協定でございます。 日中航空協定は、日中間の実務協定のうち最も急がなければならないものであり、日中関係をいわば象徴するものでもありますので、その早期解決をはかる決意でございます。 それとの関連におきまして、政府はかねてから日台路線をどのように処理するかの問題がありましたが、この問題につきましては、先般私が訪中いたしまして、その維持に関連する問題につき基本的理解が得られたと考えております。目下この問題に関しまして鋭意検討を急いでおりますので、結論を得次第、航空協定交渉を軌道に乗せて、すみやかに締結に持っていきたいと考えております。 第三点は、日ソ共同声明と北方領土問題に関してでございました。 日ソ共同声明におきましては、第二次大戦からの未解決の諸問題を解決して平和条約を締結することが、日ソ間の真の善隣友好関係に寄与するものであると明記されております。また、日ソ平和条約の内容に関する諸問題について交渉した旨が述べられております。平和条約の内容というのは、具体的には領土問題をさすことは常識でございまするし、ソ側もそのように確認いたしております。このことは、領土問題がすでに解決済みとのソ連側の従来の主張にかんがみますれば、領土問題解決への端緒が開かれたものとわれわれは考えておるわけでございます。 ただ、この日ソ共同声明の作案にあたりまして、事務的ミスを犯しましたことを、この機会に私から遺憾の意を表明さしていただきます。(拍手) 〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
○国務大臣(福田赳夫君) お答えいたします。 成田委員長から、今回の予算は、物価安定、総需要抑制予算と称しながら、実体はそうじゃないじゃないか、こういうお話でございますが、一昨日、私は財政演説において申し上げましたように、これは良心をもって申し上げます。これはもう物価抑制の一点にしぼってこの予算が編成された。 地方交付税を千六百八十億円削減をした、これは不当ではないか、こういうお話でございますが、いま総需要抑制ということが非常な課題でございます。そういう際には、中央も地方も相協力をしなければならぬ。そういうことから、地方交付税の法定額から千六百八十億円を差し引き交付する、こういうことにいたしたわけでございます。非常の際の措置として御了承を願いたいのであります。 また、成田さんは予算の伸び率のパーセンテージを問題にされますが、内容のほうを見てもらいたいのです。総需要抑制というのは、予算が物財をどういうふうに使用するかどうか、こういう問題です。そういう見地からいいますると、公共事業費の問題であります。公共事業費は四十八年度の水準以下にしたじゃありませんか。また、その実際上の事業量におきましては、四十七年度の水準以下にしてあるじゃありませんか。私は、この予算は、国民の大方の方が、物価抑制、総需要抑制予算である、こういうふうに評価してくださっておる、かように確信をいたしております。(拍手) 〔国務大臣中曽根康弘君登壇〕
○国務大臣(中曽根康弘君) 物資の調査の問題でございますが、一月七日に田中総理から指示がありまして、約千件ばかりの倉庫の調査を至急やれ、こういう御指示に基づきまして、関係各省で集まりましてその手はずをきめて、一月十六日から実施しておるところでございます。 通産省といたしましては、六品目、灯油、LPG、合成洗剤、塩ビ管、印刷用紙、トイレットペーパー、これについていま追跡調査を実施しておりまして、大体千二百人から千三百人ぐらいの人間を動員して、五百三十件にわたってやっております。現在、すでに終わったものが百件以上ございます。これらの結果は、御要請もございますので、成果を集計いたしまして、二月末までに発表いたしたいと思います。そして、これらの調査の過程におきまして、もし売り惜しみあるいは買い占めのような事態がございますれば、法に基づく必要な処置をびしびしやる考え方でおります。 先般来調べたところでは、合成洗剤等について、約二日ばかりの在庫を持った倉庫等がございましたが、これらは出荷促進を直ちに指示したところでございます。 次に、中小企業対策でございますが、この点は、御指摘のとおり、非常に重大な問題であると考えております。現在すでにネオン業者のようなものは業務が停止している状態になっておるわけでございます。そこで、各省とも手配をいたしまして緊急対策を用意しておりまして、金融あるいは保険あるいは労務、失業、あらゆる面におきまして、いま万全の措置を用意しておるところでございます。 さらに、公共料金と物価の関係について御質問がございました。 特にタクシーの問題について御指摘がございましたが、タクシーは、御存じのように、東京都内におきましても一万数千軒以上の個人タクシーがございまして、これらは非常に零細ななりわいの問題でもあるわけであります。最近、LPガスの輸入代金が非常に高くなってまいりまして、いままで一リットル二十円台であったものが四十円台にも上がってきているわけでございます。そういう面から見まして、臨時緊急の措置として、タクシーにつきましては臨時緊急の料金を認めざるを得ない、こういう状態になったのでありまして、一般の公共料金は、あくまで抑制を堅持していく考え方でおります。(拍手) —————————————
○議長(前尾繁三郎君) 小山長規君。 〔小山長規君登壇〕
○小山長規君 私は、ここに自由民主党を代表し、当面する重要問題のうち、特に物価問題を中心に、田中総理に対し、若干の質問を行なうものであります。(拍手) いまやわが国は、戦後かつてないきびしい難局と試練に立たされており、一歩誤れば、わが国経済と国民生活は収拾しがたい混乱と不安におちいるおそれさえあるのであります。現在ほど、政権をあずかる政府・自民党の責任の重いときはないと思うのであります。 この際、政府は、野党の諸君をはじめ、各界各層の代表者とひざ突き合わせて率直に話し合い、誠意を尽くしてその理解と協力を要請し、国民的合意を背景として、必要な対策を強くかつ迅速に進めることが何より肝要と信ずるものであります。 今回の石油危機は、われわれに幾つかの貴重な教訓と苦い体験とを残しました。 第一の教訓は、重要資源の大部分を海外に依存して高度成長を続けてきたわが国経済の体質と基盤のもろさ、弱さをまざまざと見せつけられたことであります。 教訓の第二は、今日の石油危機が、わが国自由社会のひずみと病根とを余すところなく暴露し、自由社会を守る上において欠くことのできない倫理と節度がどんなに大事であるかということを痛感させられたことであります。(拍手) みずからを律する倫理もなく、節度に欠けた自由社会は、利己主義のみに走る社会をつくり上げ、国民の一部に地価高騰や投機によるばく大な不労所得をむさぼる階層を生み出し、わずか3DKのアパート、宅地五十坪程度の持ち家を夢見て一生を営々として働き続ける勤労者や庶民大衆との間にけた違いの所得格差を生じ、まじめに働く者、正直者がばかをみるという不公正きわまる社会を形成させるのであります。 このような不健全な自由社会が一たび今日のような危機に直面するとき、経営者にも、労働者にも、消費者にも、お互いに苦痛を分かち合おう、協力し合おうという相互連帯意識は全く見られず、ただいたずらに他を非難攻撃し合い、自己の利益だけにとらわれた行動に走らせているのであります。これが今回の危機を実体以上に増幅する結果となっていると思うのであります。 教訓の第三は、現在のような緊急非常事態に際し、行政の組織、機構がきわめて対応力に乏しく、機動力に欠けていることを証明したことであります。 私どもは、この教訓をむだにすることなく、今後の施策に取り入れていかなければならないと思います。それは、単に物価や経済政策に取り入れるだけでなく、広く外交、教育、科学技術の面にも活用しなければなりません。 私は、冒頭にまず、この経験と教訓をいかに今後の政治に生かしていく決意であるかについて、総理大臣の御見解を伺いたいのであります。 私は、以下、物価問題に焦点を合わせて、私見を述べつつ、総理大臣のお考えを伺っていきたいと存じます。 物価の上がり下がりは、本来、需要と供給のバランスがくずれたときに起こるのでありまして、このバランスのくずれは、経済の持つ自律作用によっていずれは落ちつくはずのものであります。ところが、今回の物価暴騰は、石油の不足に加えて、石油をはじめとする輸入原材料の値上がり、先高見越しのインフレマインド、売り惜しみや庶民の買いあさり、便乗値上げなどが重なり合って生じた異常事態であります。したがって、バランスの自然回復を待つというようなゆうちょうな態度であってはならないのであり、短期決戦の覚悟が必要であります。このために何よりも大事なことは、政府の確固たる決意と行動であると考えます。 不足する物資に対しては、エネルギーや原材料の傾斜配分を行なって生産を促進するとか、その生産された物資が買い占められたり隠匿されることのないよう監視するとか、不当利益をむさぼる企業があれば、その利益を吸い上げて国民に還元するなど、いわゆる弱きを助け強きをくじく政治こそ、国民の最も期待するところであると信ずるのであります。 第二に必要なことは、機動的な経済の運営と行政指導の強化であります。今日の物不足は、灯油やプロパンガスなど、特定の品目を緊急立法の対象に指定するだけではとうてい解決を見ないほど複雑であり、多岐多様にわたっております。トイレットペーパーに始まって、灯油、洗剤、プラスチック製品、タイヤ、セメントに至るまで、物不足は、多発的に、かつ全国各地で発生しておるのであります。したがって、これに対処するには、生産から流通、消費までの過程を追跡調査するとか、物の貯蔵可能な場所は、企業の自家倉庫、営業倉庫や問屋の倉庫だけでなく、はしけや農村の簡易倉庫に至るまで調べ上げて売り惜しみ物資の発見につとめるなど、機動性ある行政運営が望まれるのであります。それには、何よりも、総理をはじめとする全閣僚の強い政治力と指導性が必要と思うのであります。 以上、私は、政府に確固たる決意と行動を強調しましたが、しかし、公権力の介入を無限に認めよという趣旨ではありません。国民は、自由なる社会、自由なる生活を望んでいることが明らかであるからであります。 新聞の伝えるところによりますと、明日の仕事がなく、その日の暮らしにも困るという人々を、住まいと食べものに不自由のない福祉施設に収容しようとしましたところが、希望する者がほとんどなかったと書いてありますが、これが人情というものであります。すなわち、その日の暮らしにもこと欠く浮浪者でさえ、生活の自由を求めておるのであります。 いかに生活安定のためとはいえ、戦時中や終戦直後のように、生活物資を配給制にしたり、あらゆる物資に公定価格をつくり、規格品しか手に入らない世の中は、人々の好むところではないと思うのであります。すなわち、個人個人がみずからの選択に従って生活できる社会を堅持すべきであると思うのであります。 以上の諸点につき、総理大臣の御見解を伺いたいと存じます。 私は、いま述べましたように、配給制や公定価格制はとるべきでないと考えますが、私がこのように申しますのは、石油事情の緩和という事実があるからであります。 本年一月の石油輸入量は二千四百万キロリットルと見込まれ、外貨事情さえ許せば、年間二億八千八百万キロリットルの輸入が可能であります。石油そのものの価格は高くなりますが、必要な物資の生産にこと欠く状況ではなく、自由なる経済を維持発展させながら物価の安定をはかることが可能と信ずるからであります。 しかし、当面する異常物価は、政府だけで解決できるほど簡単なものではなく、経営者、労働者、一般消費者がそれぞれの分野において社会的責任を果たし、相協力することによって初めて可能となるのであります。 政府の責任については、さきに申し述べたとおりでありますが、私は、ここで、まず経営者の社会的責任について所見を述べ、総理大臣の所信を伺いたいと存じます。 アラブ産油国の石油戦略が始まった昨年十月から十二月までのわが国原油輸入量の実績は七千六百三十三万キロリットルであり、前年同期の輸入実績七千百五万キロリットルに比べ、五百三十万キロキットル、七%の増加になっており、当初の輸入計画に比べれば多少下回っておりますものの、重要物資の生産に支障を来たすほどの数字ではなかったのであります。 それにもかかわらず、まだ輸入削減の実効がほとんど見られなかった十一月ころから石油関連物資の値上げが行なわれ、十二月には、わずか一カ月間で、ナフサ五〇%以上、プラスチック製品二〇%ないし三〇%、化学製品一八%、パルプ紙類二四%、鉄鋼四%というふうに、卸売り物価の暴騰を示したのであります。 私がここであえて指摘しておきたいことは、メーカーの側に、あるいは中間の流通業者の間に、買いだめ、売り惜しみによって製品の便乗値上げをはかろうとする心理が働いておるということであります。これまでスーパーマーケットなどで目玉商品として売られてきた洗剤、歯みがき、トイレットペーパーなどが、一たん姿を消し、新たに登場してくるときには二倍近い価格になっておるということは、その心理を裏づけるものであります。しかも、そのぼろもうけが決算にあらわれるのを隠すため、従業員に対する臨時賞与、特別手当に回し、課税を免れんとする企業があらわれるに至っては、言語道断といわざるを得ません。(拍手) この際、私は、企業の社会的不公正は断じて許さないというきびしい態度を明確にするため、石油危機に乗じて得た不当利得に対しては、臨時利得税のごときものを創設して、次の決算期から高率の税金をかけ、これを物価安定の原資とするなど、国民に還元すべきであると考えます。(拍手) 総理大臣の御見解を伺いたいと存じます。 以上、私は、企業側の社会的責任について述べましたが、これに関連し、労働者側の社会的責任についても言及をしたいと思います。 新聞によれば、総評、中立労連を中心とする春闘委員会は、生活防衛の名のもとに、月三万円以上、三〇%以上という大幅賃上げを要求し、さらに、最近は、四万円の高額賃上げ要求の動きもあり、目的達成のためにはゼネストをも辞せずとのかまえであるといわれます。 石油不足や石油価格の暴騰により生産の停滞は必至の今日、大幅賃上げを企業努力によって吸収することは、一般の企業としては不可能に近いのであります。万が一にも、ゼネスト回避の名のもとに大幅賃上げが実現しました場合、それは必ずや物価、料金にはね返り、果てしない悪循環の一途をたどること必至であります。(拍手)この道はまさに悪性インフレへの道にほかなりません。 一方、賃金を戦い取ろうにも、戦い取った暁には企業そのものが倒産するという中小企業や、その従業員のあることも忘れてはなりません。また、資材の暴騰にかかわらず、生産物の値上がりがないため、借り入れ金の返済にも困っておるミカン農家やビニールハウス農家もおるのであります。 このような不幸な事態を防ぐためにも、特に大企業の経営者は、製品の値下げと、そして配当率の引き下げを経営方針の第一に掲げ、企業内労働者の理解と協力を求むべきであると考えます。 さらに、当面の春闘に対して、政府は、従来のように成り行きを見て収拾に乗り出すという態度ではなく、労働四団体指導者と積極的に接触し、誠意を尽くして平和的解決を促進する努力を惜しんではなりません。 これらの諸点について、総理大臣の御見解を伺います。 次にお尋ねしたいことは、生産と消費の関連についてであります。特に現在のような深刻な物不足の時代にあっては、消費を規制するか、まず消費の需要にこたえるべきかの問題にぶつかるのでありますが、私は、消費規制に力点を置くべしと考えるものであります。この点が、内閣総理大臣といささか所見を異にいたします。 物不足解消のためには、まず必需物資を傾斜生産させる必要があり、その資源・エネルギー確保のため、一時的に消費を規制することもやむを得ないと思うのであります。具体的に言えば、ガソリンの使用を規制してでもナフサの増産をはかるべきであり、テレビ放映を短縮することによって得られた電力や油を生活物資の増産用に向けるべしということなのであります。 そこでお尋ねするのでありますが、政府はどのような具体的方策をもって消費の規制をなさるお考えでありますか。総理が、「節約は美徳」の価値観を広く国民の間に定着させなければならないと強調されたことに対しては、同感であります。ただ、政府が上から国民に押しつけるような形で節約を求めようといたしましても、それは反発を買いこそすれ、真の共鳴を得るには至らないでありましょう。 すでに国民の間には一つのコンセンサスができ上がっていると言っても過言ではありません。その合意とは、日本のように資源の乏しい国にあっては、物を大切にしなければならないという基本認識であります。庶民は、すでに切り詰めるだけ生活を切り詰め、節約すべき部門は節約しておるのであります。そして、大多数の人々は、考えてみればいままでがぜいたくであったと考えておるのであります。問題は、そのすでに基本認識としてはでき上がっておる節約へのコンセンサスをいかに現実の生活の中に反映させていくか、その誘導政策いかんということであります。上からの押しつけではない政府の誘導政策がとられれば、そこにはおのずから展望が開けてくるでありましょう。 それに関連してお聞きしたいのは、先ほども申しましたが、この際、デパートの週二日休み制や民間テレビ放映の一時間以上の短縮を実現するお考えはないかということであります。NHKはすでに放映を午後十一時までに短縮しましたが、全国の民放にも同調させることができれば、家庭の消灯時間もおのずから早まり、テレビ用の電力のほか、照明用、冷暖房用電気や石油がおのずから節約されることになるのであります。デパートの週二日休み制の効果については、多言を要しないと思います。 次に、物価問題に関する当面の処置についてお聞きいたします。 画期的ともいうべき四十九年度緊縮財政と金融引き締めの徹底、民間不急投資の抑制などの措置は、当面の危機を短期決戦で克服するための荒療治であり、必要かつ適切な措置であると信じます。ただ、このような荒療治が、中小企業の倒産続出、一時的失業の急増等、相当強い副作用を伴うことも必至でありましょう。すでに昨年十二月の企業の倒産件数は、中小企業を中心として九百三十一件にも達しており、金融引き締めの浸透とともにさらに急増することが予想されます。 このような事態に対処するため、十分行き届いた対策を用意することも政府の重大な責任であります。政府は具体的にどのような対策を用意されておるのか、総理大臣の御答弁を求めるものであります。 最近の物価情勢は、金融引き締め、不急投資の抑制にもかかわらず、海外から輸入される原材料の高騰も作用して、依然根強い騰勢を続け、庶民の強い不満と怒りを買っていることは御承知のとおりであります。 そこで、総理大臣にお尋ねしたいのでありますが、今日の物価高騰は、今年何月ごろの時点になれば安定する、あるいは安定させられるという展望をお持ちでありましょうか。このことは、一般の庶民、家庭の主婦がいま政府に対して最もお聞きしたい点であると思われますので、政府の明快な答弁をお願いいたします。(拍手) これに関連し確かめておきたいことがあります。それは物価安定ということばの意味であります。現在の物価を中東戦争以前の水準にまで引き下げることの不可能なことは、海外原料の値上がり一つとっても明らかでありますが、国民の中には、政治の力によって現在よりも相当程度下がったところに安定できると考える人々があり、野党諸君の演説を聞いておりましても、あたかもこのことが可能であり、下がらないのは政府が悪いと聞こえるような節々がないでもありません。むろん、買い占め、売り惜しみの対象となった物資の中には、石油需給の好転によって暴落するものが出てくることも想像できますが、全体としての物価は、原材料や賃金の高騰を考えますとき、上昇の速度が急激に落ちつくとは思えません。各界各層協力のもとに毎月の上げ幅を一月一月縮めていくことが、可能の限度と思うのでありますが、何月ごろになれば安定させられると想定しておられるのでありますか、総理大臣の御見解を伺っておきます。 次にお尋ねいたしますことは、現下の非常事態に対処する行政の体制についてであります。 昨年は、わが国の自由経済体制が大きな試練に立たされた年であり、七月中旬には買占め売惜しみ防止法が公布され、十二月下旬にはいわゆる石油二法が公布され、物資、物価の法的規制の体制が整備されたのであります。戦時中から終戦直後にかけての長い間の統制経済から解放されて以来二十数年、この間自由経済の長所を遺憾なく発揮して高度成長をなし遂げたわが国が、いま再びあえて統制経済の手法をとるに至ったのは、異常な物価上昇という非常事態を短期間に克服する臨時緊急の手段として必要と認めたからにほかなりません。ところが、その運用の実態を見ますと、執行体制がきわめて不備、不十分のため、ほとんど実効があがっていないのであります。消防法に基づく石油類の違法貯蔵の告発件数は相当の件数にのぼっておりますけれども、買占め売惜しみ防止法の発動は、法律施行後半年を過ぎたつい先日に、ようやく倉庫調査に着手したありさまで、この間工業製品の指定物資の価格は依然として大幅上昇を続けているのであります。たとえば、ちり紙は昨年九月以降十二月までに五一%、ガソリンは十月以降十二月までに二一%、軽油は同じく三五%、A重油は三四%、プロパンガスは三四%と、大幅な値上がりを示しております。さらに、合成洗剤は最近ようやく指定品目に追加されましたが、この間価格は二回も大幅に引き上げられております。 また、あれほど急いで深夜まで審議を続けて成立した石油緊急二法は、昨年十二月二十二日に公布されたのに、いまに至るまで標準価格の設定された物資は、灯油、プロパンガスの二つの品目にすぎず、しかもこれは行政指導価格を追認したにすぎないのであります。この間、卸売り物価はあれよあれよという間に異常な高騰を続け、昨年十二月は一カ月で七・一%、前年同月比で実に二九%というインフレ的上昇となり、特に製材、木製品が一カ月間に二〇%から三五%、パルプ紙製品が二〇%から四〇%以上、主要化学製品が二〇%から七〇%という狂気じみた暴騰を示しております。 法律が公布されて相当の日月が経過しておるのに、このような執行体制の動脈硬化的非能率さでは、総理や所管大臣がどんなに張り切りましても、とうてい緊急事態に対処する機動的、効果的活動を期待することはできず、かえって政治に対する国民の信頼を失うことを私は心から憂うるものであります。(拍手) これは担当者に統制経済の経験のないこと、そのような人的体制ができていなかったことなど、理由のあることとは存じますが、所管官庁だけでなく、他の官庁職員の応援を求むるなり、または地方団体に大幅に権限を委譲するなり、さらには新聞、テレビなどの報道機関、消費者団体等の協力を求めるなど、くふうをすれば、国民が期待するような実効をあげることも困難ではないと思うのであります。現に消費者の情報提供で多量の貯蔵洗剤が発見されているのであります。 要は、何よりも迅速機敏に値上がりの著しい個々の物資の追跡調査を行ない、悪徳業者に対しては機を逸せず峻厳な措置をとり、一罰百戒の実をあげることが肝要と信ずるのであります。(拍手) これに対する総理大臣の明快な御回答をお願い申し上げます。 以上、私は、当面の物価対策、物不足対策について政府の考え方をお尋ねいたしましたが、次に恒久的な資源対策について伺います。 それは資源・エネルギーの自給度向上体制への移行についてであります。資源多消費型、公害多発型の経済体質を、省エネルギー型、知識集約型経済に転換していくことはもとより、日本みずからがエネルギー源の開発研究を急がなければならないということであります。 もう一つは、食糧の自給度向上の問題であります。米については生産性の向上に伴って不安はなくなったとはいえ、大豆、小麦、トウモロコシなどの食糧農産物や飼料の自給度向上や備蓄を真剣に検討すべき段階に来ております。今回のようなアラブ諸国の石油戦略が、これら農産物の供給国においてもし食糧戦争の武器として使われることがあるとしたならば、その国民生活に与える打撃は石油の比ではありません。大きな社会不安と治安の乱れに見舞われるでありましょう。一昨年の世界的不作、米国の農産物輸出制限が日本に与えた影響を思い起こせば、食糧戦争のおそろしさは明らかであります。この点からも、協力友好外交の展開と、食糧の自給度向上及びその備蓄が急がれるのであります。 総理の所信をお尋ねいたします。 田中総理は、政権担当以来一年半を迎えました。総理が佐藤前内閣からバトンタッチした際、新聞、テレビがこぞって庶民宰相の誕生と報道したのは、記憶に新しいところであります。しかし、今日、田中内閣とわが自由民主党に課せられた課題はきわめてきびしいものがあり、この難局に処するにあたり、国民が求めているものは、庶民宰相はもとより、庶民政府であり、庶民党であると信じます。 企業や労働団体のエゴイズムを封じ、弱きを助け強きをくじく、乏しきを憂えずひとしからざるを憂うという、わが党の立党精神に立ち返り、政治の指導性を遺憾なく発揮して、庶民の生活を守ることこそが、わが党及び政府に課せられた最大の使命であると考えます。(拍手) 総理の明快な御回答をお願いし、私の代表質問を終わります。(拍手) 〔内閣総理大臣田中角榮君登壇〕
○内閣総理大臣(田中角榮君) 小山長規君にお答えをいたします。 まず第一は、石油危機の教訓と今後の方向についてでございますが、御指摘の教訓につきましては、私も同様に受けとめておるのでございます。 〔議長退席、副議長着席〕 そのために、省資源、省エネルギーの産業構造への転換、原子力の開発利用の促進、水力、石炭などの政策を進めてまいりたいと考えております。 また、真の自由社会を維持し発展させていくためには、各種のエゴイズムの対立、行き過ぎた競争から脱却して、新しい協調と連帯の理念を確立していかねばなりません。これこそ、災いを転じて福となす道であると確信をいたしておるのであります。 また、企業の不当利益の国民への還元、生産から流通までの追跡調査等についての御発言がございましたが、現下の事態に対処するためには、御指摘のとおり、国民生活必需物資等の需給及びこれらの価格の安定を強力にはかりますとともに、このような物価上昇の過程で企業に不当な利得が生じないよう、機動的に対処することが肝要であると存ずるのであります。このため、政府といたしましては、国民生活関連物資等につき、関係各省をあげて大規模な流通経路追跡調査を早急に行ないますとともに、石油二法等の標準価格、特定標準価格、課徴金、生産指示、売り渡し命令等の規定を適切に運用してまいりたいと考えております。 しかし、御指摘のとおり、国民は配給制、公定価格制を望んではおらないということを私も考えております。一日も早く自由と民主主義にとって大きな試練ともいうべき今日の事態を乗り切って、自由と公正な競争原理に立脚した経済運営に戻さなければならない、また、戻るべきものだと考えておるのであります。 企業の不当利得に対する臨時利得税のごときものを創設する考えはないかとの御提案でございますが、企業が目先の利益にとらわれて便乗値上げや投機的行為に出ないよう、強く自制を要請するものでございます。かりに不当な行為等によりまして過大な利益を得た者に対しましては、法の厳正な運用をもって対処いたしたいと考えております。 さらに、臨時利得税のごときものを創設するかどうかにつきましては、不当値上げによる利益を他の正常な利益と区別できるかどうかなどの技術的な問題をなお詰めてみる必要があると思うのでございます。 いずれにせよ、この問題につきましては、政府部内でも検討を続けておりますが、また、野党の中でも、与党においても研究しておられるようでございますので、結論を早急に出したい、また出していただきたい、こう考えておるわけでございます。 春闘について、積極的に労働団体指導者と接触し、話し合いをしたらどうかという御提案でございますが、物価の上昇など、きびしい経済情勢を背景に、労働組合は大幅な賃上げ要求を掲げ、強い姿勢で臨んでおり、容易ならざる状態であることは私も承知をいたしております。こうした中にありまして、政府は、これまでも労使双方に対し、労使がその影響の重大さを自覚し、国民経済的視野に立って、節度ある態度をとるよう強く要請してきたところでございます。 もとより、具体的な賃金交渉は、本来労使の自主的な話し合いによってきめられるべきものであり、政府がとやかく申し上げる筋合いのものではございませんが、このような状態のもとで、大幅な、超大幅な賃金の上昇が行なわれたり、また、御指摘があるように、もうあらかじめ分けてしまおうというようなことが行なわれたり、要求が貫徹しないためにゼネラルストライキに至るというようなことになったならば、それこそ戦後、国民生活のためには最大の危機を迎えるわけでありますので、そういう事態を排除するために政府は可能な限り努力を続けてまいりたい、こう考えるわけでございます。私は、そのためには、直接労働団体の指導者とも会って、平和裏に、合理的に問題を解決するよう呼びかけを行なう必要がありますので、機会を見て実行いたしてまいりたい、こう考えるのでございます。 それから、国民の消費を規制するほうが先だ、どうも私と意見が違うようなことを小山君申されましたが、意見は全く同一でございます。これは私も先ほど申し上げておりますように、諸外国では国民の消費抑制ということを先に行なっております。そうして産業用の確保をしておるのでございます。これは、最もいい例はアメリカでございます。アメリカは、外国から受けておる石油の量はわずかに四%であります。自国で産出する石油の量が九六%であります。しかも、七二年に比べて七三年は二〇%増産をされておるという数字的指摘もございます。にもかかわらず、現下の国際情勢に対処して、まず国民の消費節約を行なっておること、マイカーの自制自粛や、高速道路の乗り入れの禁止や、切符制度に切りかえておるなどは、これはもう私が指摘するまでもないほど、国民的な需要の抑制を先にしておるわけでございます、また、イギリスやオランダや西ドイツやフランスにおいても、より強い民需の抑制を先にやって、産業のほうは確保するということに重点を置いております。 それは、石油の供給が不足すれば電力が不足をする、電力が不足をすれば生産が不足をする、そうすると需要と供給がアンバランスになり、物価が上がる、こういうことでございますから、まず何を考える前に消費を抑制して、生産を上げて、生産と消費とのアンバランスをつくらないようにすることが、これは常道であることは申すまでもありません。ですから、その考えにおいては小山君とは同じなんです。 ただ、日本は、急激に国民生活の混乱をもたらしたくないということと、流通段階にも十分品物がありますし、緊急輸入をする外貨もあるし、アメリカのように輸出をとめても物価を押えなければならないというような段階までしたくない、そのためにもまず国民の理解を得ることが先だということで、産業用の抑制をしても、一般消費の抑制はあと回しにしておるわけでございます。そこらは英知ある国民は理解をしていただけると思うのであります。そこらが、まず統制へと向かう考えよりも、国民の自発的な理解と協力、国民の英知をもって解決をしたいという、わが党及びわが党政府の根本的なものの考え方を先行さしておる、こう理解をしていただけばいいのであって、(拍手)これは小山君と私の考えは全く同じでございますから、これはひとつ御訂正のほどを願います。 なお、しかし国民の節約を何とかしてもらいたいということでいろいろ御提言がございましたので、まあデパートに対しては、営業時間の短縮とか室温を二十度以下に下げるとか、いろいろなことをやっておりますが、週二日休むということになると消費者との関連もございますので、そこらはもう少し研究してまいらなければならぬと思います。 テレビの問題に対しては、御承知のとおり、NHKは放送時間を短縮して協力をしていただいておりますし、また、各民放局も、深夜放送を中止したり、深夜の放送時間を短縮するなど、協力をしていただいております。こういう問題に対して、政府は、できるだけ放送局の自主性にまつ。もちろん、放送時間の短縮とかその他は、郵政大臣がいろいろ行政的にも行なえることでございます。放送内容に介入してはならない。しかし、放送時間その他電波行政に関する権限は郵政省にございますが、しかし、これは国民の先端を行くマスコミのまた先端を行っておるわけでございますから、こういう放送局の自主性の御協力にまつということで、政府は自重にまっておるわけでございます。 中小企業の倒産その他につきましては、これはもう非常に厳重な注意をいたしておりまして、政府は、中小企業が景気引き締め等によって影響をこうむらないように、年末、中小三公庫に対する資金の拡充をはかりましたり、また、選別融資に対しても、中小企業に対しては特別な配慮を行なったり、窓口規制に対しても、中小企業には特別な配慮を行なっておるわけでございます。それだけではなく、品物が入らないという問題に対しましては、あっせん相談所などをつくりまして、中小企業への影響に対しては、可能な限り最大の努力を続けておるわけでございます。 それから、物価はいつごろ一体下げるつもりかということでございますが、これはもう早いほどいいのでございます。 まず、この際一言申し上げておきますが、大体、物価は、過去十年間、アメリカを含めた主要工業国の卸売り物価は三・五%ないし四・五%ずつ平均上がってきたわけでございます。そのときに、日本は一・三%という、アメリカの半分も上がらなかったわけでございますから、その間に日本では輸出力が非常に培養せられたわけでございます。その結果、アメリカと日本との貿易収支は年間四十二億ドルもアンバランスが生じたという結果になったわけでございます。 ところが、四十七年の初めから問題が起こってまいりました。それは、一つは、世界の食糧事情であります。もう一つは、ドル問題を含む通貨の不安の問題なのでございます。 この一つは、地球上における帯のような大きな幅の状態、ソ連及び中国、インド及び東南アジアという、世界の人口の約半分を占める地帯が、二年間にわたって食糧不足になり、ソ連といえどもアメリカから年間二千万トンの小麦の買い付けをしなければならない、こういう事情がありまして、国際的な食糧事情が全く変わってきたのであります。それを契機にして世界の物価高という問題が急速に起こってまいり、非常に低い状態で押えられてきた日本に対する影響が最も激しくあらわれてきたということは、諸君御承知のとおりでございます。 ととろが、中国及びソ連において史上最高の豊作である、今度は世界的に物価もおさまると思っておったときに起こったのが、ちょうど第二次戦争後足かけ三十年目、歴史が示すとおり起こったのが中東戦争でございます。でございますので、石油の供給、全世界の石油の産出量三十億トンのうち、その約一〇%、三億トンを使おうとしておる日本の経済の状態に問題があることは申すまでもありません。御指摘のとおり、クリーンエネルギーやいろいろな産業の構造を変えなければならないという問題がございます。日本人の英知は、しばらく時間をかせばこれに対応できる能力は十分ある、これは私は率直に述べられるのでございます。(拍手) ところが、突然一五%の削減というこの問題にぶつかったわけでございます。しかし、実際削減をされ、生産が抑制されて、それが最終的な消費段階にあらわれるのは、もっと先のはずであります。いまは削減されなかった時代に生産されたものが流通経路に回るわけでございますから、それは結局売り惜しみ、買いだめとか、そういう事態が排除でき、正常な経済状態と正常な流通経路が確保できれば、物価も押え得るはずでございます。 そういう意味で、おとといも申し述べましたように、今年の卸売り物価は四・八%、消費者物価は五・二%程度にということを政府は企図しておるわけでございます。一−三月のげたを引けば、年間を通じてはいま申し上げたようになるわけでございますので、それから推測をしていただくと、まず一−三月のげたを引いた分が年間を通じての物価指数でございますので、大体のめどを今年度上期、四−六、まあ七−九までというよりも、一−三、四−六というところにめどを置いておる、こういうふうに御承知をいただきたい、こう思うわけでございます。 石油二法の運用にあたりましては、従来から主務省において各地方支分部局と一体となって事態に対処してきており、地方公共団体に対しても、関係各法の規定に基づき監視・調査権限を委任し、その協力を求めておるところでございます。 また、関係部局においては、常に一般消費者などからの情報収集につとめ、実情に即した適切な対策を講ずるようつとめておりますが、今後ともより一そう協力体制を確立し、その効果的運用をはかってまいりたいと考えておるのでございます。 将来的展望についての御言及がございましたが、いまも申し上げましたとおり、世界で一年間に産出する石油が現在三十億トンであり、日本が消費しようとするものがその一割の三億トンであるというところに問題があるわけでございますから、まず新エネルギーの開発、それから省資源型産業構造への転換、海外における多国間の協力態勢を新しくつくっていく等、いろいろな問題を強力に進めてまいらなければならない、こう思うわけでございます。しかし、まだ石油の一五%、二〇%、三〇%削減を補う程度の水力発電所の個所も日本には十分存在するわけでございます。なお、原子力発電その他クリーンエネルギーの開発等もあるわけでございますので、ここでひとつ、天が与えた、考え直す、洗い直す好機である、こう考えて、長い展望に立った検討を続けてまいりたい、こう考えるわけでございます。 それから最後に、食糧の需給その他に対しての御質問がございましたが、これは世界的には人口もふえてまいりますし、なかなかたいへんな事情にあると思います。国連で発表した中で、今世紀末の一番大きな問題は、人類にとって何だろう、それは東西の対立でもなく南北問題でもない、それは食糧と水の不足だろうと、こう指摘をされておるとおりでございますので、わが国もその例外ではないわけでございまして、食糧の自給度を上げるために努力をしなければならぬことは当然であります。しかし、国内では適さない、こういう問題に対しては、やはり国際協力という開発輸入にたよらざるを得ないのであります。何でもかんでも全部日本の国内でまかなうということは不可能に近いわけでありますし、南北問題の解決のために、やはり国際的分業ということも平和のためにはあるわけでございますので、それらを調整しながら、食糧の確保に遺憾なきを期してまいりたい、こう考えるわけでございます。(拍手) —————————————
○副議長(秋田大助君) 村山喜一君。 〔村山喜一君登壇〕
○村山喜一君 私は、日本社会党を代表して、成田委員長のあとを受けて、なるべく重複を避けながら、総理及び関係大臣に、基本的な問題をただしてまいりたいと思います。(拍手) 第一点は、総理の指導理念に関することであります。 私たちは、田中総理が歩くところ反日デモが生まれ、暴動さえ発生している姿を見ながら、日本はアジアで孤児になったのではないだろうか、今日までの日本の経済外交はその国の時の政権には手助けをしたが、その国の経済的独立にはこたえていなかったのではないだろうかと考え、その国の国民が真に何を望んでいるかを見きわめて、どうしたらそれにわれわれは貢献できるかを迫られているものと受け取っていました。しかし、総理は、さらに交流を密にしなければならないとか、日本がこれだけ東南アジア諸国に投資をしているのに理解が得られないのは残念だとか、戦争を知らない若い世代に問題がある、教育はこれでよいのかと言っているのであります。 総理、この問題は、在外日本人が行儀よくすればそれで済む問題でありましょうか。教育の領域にかかわる問題でありましょうか。ハーマン・カーンが言っておりますように、同じ日本人ではないか、同じ会社員ではないかという考え方で、歴史も価値観も文化も違うところに、同じアジア民族ではないかと言ってみても、通じないことは明らかであります。 ましてや、企業の資本進出は、金さえもうければよいという資本の論理で動いているのであります。一九六九年、すでにこれらの国における日本からの輸入は、タイで三六%、フィリピンで三〇%、インドネシアで二九%と、日本グループに組み込まれております。日本の企業進出で、時の権力を握る者や資本家たちは利益を得ても、国民の生活は一向によくならない。今度のできごとは、経済的侵略に反対し生活をよくしようとする民衆が、日本の企業、政府に対して抗議の行動を起こしたものではないのですか。対外的な経済侵略をしている大企業、大商社が、国内にあっては、価格の先取りを行ない、便乗値上げをして暴利をむさぼっております。根は同じではありませんか。 今日の問題は、日本の青年が退廃をしているのではなくて、構造的な退廃であると思います。構造的な退廃は指導者の退廃であり、指導的立場にある者の責任ではありませんか。公害はたれっぱなしにし、石油不足、品不足に便乗して値段をつり上げてきたその企業が、海外においては、その国の国民から理解を得られるような行動をとることができるでしょうか。経済価値の追求をただ一つ最高の経営理念として経済を動かしてきた大企業、大商社に、その利益を守ってやるために政治の面からこたえてきたのが、歴代の保守党政府の経済外交ではありませんか。(拍手) さきに行なわれた成田委員長の質問に対する答弁には、一片の反省もなく、大学を出ても就職ができない、そういう状態の中から生まれたものであるとか、あるいは日本においてもアメリカの自動車を焼き払ったではないか、そのあとにおいても今日のような友好関係が生まれているではないかという、雨降って地固まる式の、そういう考え方の話がありました。まさに一片の反省もされていない態度といわなければなりません。 総理、あなたは、反省すべきは反省し、改めるべきは改めると演説をされたのでありますが、あなたは何を反省をし、何を改めるのか、あなたの企業観なり教育観とあわせて答弁を願いたいのであります。(拍手) 福田大蔵大臣の所信表明には、新しい価値観を、実現の可能性は別といたしましても、演説の中で示しておりますが、総理の演説にはそれはありませんでした。あなたがそれを考えているとするならば、国民に訴える新しい価値観の中身を示してもらいたいのであります。 第二は、物価安定の問題であります。 卸売り物価が二九%、消費者物価が一七%も一年間に上昇をする、まさにインフレそのものであります。福田大蔵大臣に言わしめると、狂乱状態である。異常な物価高をつくり出した張本人は、田中内閣そのものであります。財政を通じて事実上の調整インフレを進めた責任は明らかに政府・与党にあるとの反省の上に立って、国民に協力を求める率直な表明がなかったことは、まことに遺憾であります。(拍手) 国民が求めている物価安定は、もうこれ以上は待てない、一日も早く解決をしてほしいということであります。ただいま総理は与党の質問に対して答弁をされましたが、一−三か四−六かという答弁であります。まさに馬券を買うような、そういう態度といわなければなりません。(拍手)政治は、かけであってはならないのであります。私は、その意味において、総理が国民の前に三月までには物価を安定させると言明をされた、そのことは先ほどの成田委員長に対する答弁の中にはお答えがありませんでしたが、そのこと自体が否定をされていないとするならば、そのとおり考えていいものと受け取って差しつかえないかどうかを確認いたしておきたいのであります。 しかし、福田大蔵大臣も短期決戦論を言われます。この一月から三月までの間は、さらに強い物価の上昇が続く、暗い材料ばかりであります。政府は、物価安定への山をどこに設定をし、どのような政策手段を講ずるつもりでありますか、安定への具体策を示してもらいたいのであります。 いま、資源は有限、供給には限界があるという時代を迎えました。しかも、経済の成長率は実質二・五%という、ゼロ成長に近いものが予測をされております。これまでの自由主義経済は、価格が上昇したら需要が抑制をされ、供給が増大をして、新しい均衡がとれるという自律性を持っておりました。今日まで資本主義は、需要と供給は、個人の意思を、自由を尊重して、企業は製品を自由につくってまいりました。 総理、あなたは、自由を守る、統制経済は避けたいと言われております。内田経済企画庁長官は、自由な市場原理と政府による誘導政策の調和で臨むと言われております。供給に限界があり、個人や企業の自由にまかされない時代の経済運営の方式を示してほしいのであります。 昨年の十一月から十二月にかけて企業が一斉に製品値上げに転じたその背景には、商品一単位当たりの価格を上昇さして、利潤を最大限にしようとする企業の意識があります。この企業の意識を変えさせなければならない。そのためには、資源を、だれのために、どのように有効に使うか、計画をつくらなければならない。その計画には、国民が参加をするという新しい民主的な計画経済の手法を取り入れる以外に、これを正す道はないのではありませんか。(拍手)そのことなくして、企業に自制を求めても、労使に大幅賃金引き上げの節度を望んでも、いまのままでは何の効果もないのではありますまいか。 総理は、所得政策があると言われるかもしれません。しかし、所得政策で物価安定ができた国はないのであります。卸売り物価を年間平均一四・六%、消費者物価を九・六%、これが物価の安定だというのでありましょうか。政府の努力目標だと言われるのですか。それさえもできなければ、総理は責任をとってもらいたいと思うのであります。(拍手) 福田大蔵大臣、一月七日、日銀が一ドル三百円に介入点を引き上げ、事実上の円の切り下げをやりましたときに、波及はしないと見ていたようでありますが、フランがこれにならい、政府はついに二十一日には東京外国為替市場を閉鎖いたしました。円は短期的にはさらに安くなり、原油等の輸入原材料はさらに高くなります。物価は上がってまいります。国際収支は悪化をする。わが国の経済に大きな悪影響をもたらすことになりました。一方、フロート下での切り下げ競争から、世界経済はブロック化を早めるのではないでしょうか。これに対する対策を説明願いたいのであります。 総理、あなたは、こういう状態の中にあって経済の見通しを変えるつもりでありますか。変えませんか。一カ月の間にもう二回訂正をいたしました。今回変えるとなれば、三回目の改定であります。こういう状態の中で、まさに一カ月の間に三回も変えなければならない経済の見通しでは、無責任な見通しであり、ないと同じであるとはいえませんか。 いまの物価高は、政府の無為無策の中で人為的につくり出されたものであります。私は、党の調査団の一人として、昨年の十二月八日、LPGの元売り調査を行ないました。私たちの指摘をした事実が正しかったことは、一月二十二日の各新聞社の記事で証明をされています。売り惜しみを計画的にやり、備蓄をふやし、オート用のガスを工業用に転化する操作を行なって価格をつり上げ、プロパンガスは二倍になって、高値だけが残ったのであります。政府の責任はきわめて重大といわなければなりません。 第三は、インフレ下における税制改正の問題であります。 インフレ期においては、税の持つ所得再配分機能を強化しないと、納税者の生活を守ることにはなりません。私たちは、標準世帯三万円の年度内減税案を提出し、インフレ物価高と税の累進構造からくる実質上の増税という二重苦から国民の生活を守れと要求をしているのであります。政府は、年度内減税をやればインフレに拍車をかけることになると拒否をしながら、来年度は一兆四千五百億円の所得減税をしようというのであります。おかしいではありませんか。 財政でインフレを抑制しようとするならば、インフレ利得を得ている者からそれを税金で取り上げる、それをなぜやらないのでありますか。四十七年度の法人企業の資産はすでに二百兆円をこえ、製品価格の引き上げで大きな利益をあげております。ペンペン草をはやしていた土地の売却利益が、企業本来の生産活動で得た数年分よりも大きい、こういう姿があらわれております。 個人の場合でもそうであります。インフレで生活が脅かされている人には、税金の取り過ぎは返す。五千万円の所得者には三〇%も手取り額をふやすような重役減税案が出されておりますが、そういうようなのはやめなさい、便乗減税をとりやめなさい、法人間の受け取り配当には課税をしなさい、土地税制も、資産所得者優遇をやめなさい、そうしたらもっと大衆課税は軽減ができるし、インフレで所得をふやした法人や資産所得者からは増税もできて、純減税額は半分にすることができる、その財源で国債の発行を五千億円削ることができますよと言っているのであります。乏しきを憂えず、ひとしからざるを憂うるというのが、総理が言う連帯ではないですか。福田さんが言うところの社会の公平ではないのですか。答弁を願いたいと思います。(拍手) 第四の問題は、農業政策についてであります。 昨年、小麦が三倍、大豆が五倍に国際価格が上がりました。大豆の輸出規制措置がアメリカでとられて、国際分業論、輸入依存がどんなに危険であるかということを思い知らされました。世界の食糧危機は、単なる異常気象によるものではなく、人口の増加、食生活の向上を考えるならば、構造的なものであります。いま日本の農業の正しい位置づけを行ない、農業生産と農民の生活を守り、食糧の自給体制の確立をやらないと、石油の二の舞いだという認識が、すでに国民のコンセンサスとして成り立っていると思います。政府も、麦、大豆、飼料作物に対する補助金による生産奨励に踏み切ったのもそこにあるのでしょうが、これで日本農業をよみがえらせることができるかどうか。農政の転換といえるのでありましょうか。 田中総理は、三十万ヘクタールの農地を宅地に転用せよと農林大臣に指示をいたしました。大法人等は、列島改造政策に沿ってすでに四十七万ヘクタールの土地を買い占めております。総理は、今度、インドネシアにおいて、経済協力として三十万ヘクタールの開発を約束をしておられるようでありますが、開発輸入との関係から、この田中総理が言われる三十万ヘクタールの農地を宅地に転用せよという問題との関連はどういうふうになっているのか、明らかにしてもらいたいのであります。 わが党は、さきに成田委員長のほうからも申しましたように、農業を全産業の基盤として位置づけ、食糧の自給率を九〇%に引き上げ、農林業を国土自然環境の保全から見直し、土地の高度利用をはかることを提唱しておりますが、政府は真に農政を転換していく方針があるのか。資本の論理で、見せかけの農政を続けていくつもりではないのだろうか。総理に答弁を要求をいたします。 今日、農業の軽視から、土地はやせ、地力は落ち、農薬に汚染をされ、健康な食糧が育つ基盤が失われています。土地価格の上昇は農業を遠隔地に追いやっております。石油不足は農業に大きな影響を与えております。トラック輸送から国鉄の貨物輸送に切りかえることになりましょう。農産物の遠距離逓減は現在中止をされております。これらのこともあわせて検討をされるか、伺いたいのであります。 いまのままでは、山の木を切ったあとに植林をすることは不可能であります。林業振興の決議をどう生かされるつもりであるのか。 また、ことしの六月、ベネズエラのカラカスで開かれる国連の海洋法会議は、日本国にとってはきわめて重大な問題であると考えます。ミスター三海里といわれている日本が孤立をし、二百海里説が通るのではないかといわれております。もしそうなったら、一千万トンの漁獲高は半分になろうと予測をされるのであります。これに対する対策がどのように講ぜられているか、農林大臣から説明を願いたいのであります。 第五点は、福祉政策であります。 福祉元年といわれました昨年の施策は、インフレの前に色あせたものになりました。四十九年度の予算では、社会保障関係に三六・七%増の予算が一応ついております。しかし、中身は医療費が半分を占めておるのであります。目玉商品である老齢福祉年金は五〇%増額をしましたと言われましたが、中身はわずかに二千五百円であります。これさえ十月から実施をするのであります。そのころの物価の上昇を考えてみますと、各種年金等とともに、インフレ調整の体さえなしていないといわざるを得ません。 列島改造の具体的な長期計画は九十兆円以上となっておりますが、これを裏づける長期財政計画はないのであります。社会保障の長期計画は昨年の八月までには出すという約束でありましたが、まだ出ておりません。これが田中内閣の正体であります。社会保障長期計画はいつ提出をされるつもりでありますか、お伺いしたいのであります。 私は、昨年の秋、選挙区の甑島という離島に参りました。村の診療所の先生がおっしゃるには、私は医師として良心に生きたいと思って一生懸命働いておる。しかし、私では手に負えない患者が出てくる。そのときに施設のある病院まで患者を運ばなければならない。私は、人間の生命を救うために、漁船をチャーターして、患者をみとりつつ暗い海を渡り、それを見届けてから、また島に三時間もかかって帰ってくる。私は自分の苦労を惜しむものではないけれども、なぜ国や県はこういう離島におる人間のことを考えてくれないのだろうか、救急患者の輸送にヘリコプターを配置をしてくれないのかと、涙を流して訴えられました。 大臣、どうなっているのでありますか。医療費を医師の技術を高く評価して引き上げられるのもよいでしょうが、離島で黙々と働いておる診療所の医師、医療に恵まれない離島の住民にこたえる政治があるのでしょうか。 最近、どこの病院を訪れてみても、病院はお年寄りで満員であります。老人医療の無料化で、金の心配は要らない。安心して病院に行く。完全看護ですから、家族も安心してお年寄りを入院させる。一年前までは救急病院であった国立療養所が、救急病院からはずされております。聞いてみると、老人で満員だというのであります。民間の病院でも、看護婦の不足などから、指定を返上したいという申し出があります。公立病院は赤字でたいへんだといいます。医療の問題は、公立医療機関を中心とする医療供給体制が体系的に整備されていないのではないか、医療担当者の養成の確保が十分でないのではないか、老人専門病院の整備を進め、老人医療におけるリハビリテーションの供給体制を特別養護老人ホームと連携をして考えることにすべきではないかと思いますが、差額ベッド負担解消の問題とあわせて、厚生大臣の答弁を求めます。 総理は、施政方針演説で、特に婦人の問題について取り上げております。私は、女子教職員等の育児休暇制度も、わが党が参議院を中心に法案を提出してきたが、自民党の賛成を得られず、まだ成立を見ていないことを知っております。何を総理は白々しいことを言っているのだろうかと思いました。(拍手)わが党は、婦人が安心して働くことができるようにと、今国会に公立の保育所を大量に設置する法案を提出いたしております。総理は、新たな観点から根本的に検討をし、家庭婦人の就業促進をはかるための環境条件の整備をするとおっしゃるのでありますから、賛成をしてもらえると思いますが、いかがでございますか。(拍手) 第六点は、雇用と所得、生活の保障の問題であります。 インフレで一番大きな被害を受けるのは弱い人たちであります。身障者、母子家庭、老人、年金生活者、生活保護世帯、失対労働者等であります。さらに、インフレで首を切られたり、一時帰休で賃金が下がったり、資材がなくて仕事ができない職人や零細事業者もたいへんであります。総理は、不況の中での物価高、失業という事態を予想して万全の措置をとる必要はないと判断をしておられるのでありましょうか。政治は、最悪の場合を予想をして、不幸にしてその状態が生まれた場合には迅速に処理できる体制がとれるようにすべきだと思います。その用意がありますか。 いま若い人たちの中には、理由なき欠勤といわれるアブセンチズムの流行で、英国、アメリカ、カナダ等は悩まされているようであります。失業率は高いのに、企業に行くと人手不足、これは新しい価値観の芽ばえであります。青年たちは、個性が発揮できる仕事、自己実現ができる仕事を求め、生きがいを求めております。社会福祉施設などはそれにこたえる職場ではあっても、あまりにも労働条件が悪ければ、人を求めることはできません。施設は棄民収容所ではないのであります。そこに入っている子供やお年寄りと職員の人間らしい生活を確立せよという怒りの声と悲鳴が聞こえてまいりますが、だいじょうぶでしょうか。 東京都などにおきましては、生活保護世帯には、必要な日用品を現物で支給をすることをきめております。そうしなければ、いまの単価ではやっていけないのではないでしょうか。先ほどこれに対する答弁が答弁漏れとなっておりますが、御答弁を願いたいのであります。保護費も措置費も物価自動スライド制はとれないのですか。 石油危機の中で、英国では週三日労働になった。失業ではないので、残りの日は保険金はもらえないと報道されております。この際、日本においても、労働時間の短縮、週休二日制を確立をし、最低賃金と生活と就労を保障する体制をつくるべきだと考えておりますが、いかがでありましょう。 インフレは、中小企業の生産から、資金繰りまで大きな狂いを来たしております。ほとんどが材料不足で操業度を低下させ、原材料の仕入れは、メーカーの言いなりで価格はきまり、手形から現金に変わりました。原材料が手に入らないときはつぶれる、製品価格に転嫁できないときは倒産をする、経営環境は悪化の一途をたどっております。資材のあっせん、緊急融資、転廃業融資はだいじょうぶでありましょうか。答弁を要求いたします。 第七点は、国民に家と宅地をという問題であります。 もう、一般のまともな人たちは、庭つきの家は持てなくなってまいりました。四十七年度の公的資金による住宅建設の実績と四十八年度計画の見込みを示してもらいたいのであります。 公団住宅を例にとりますと、八万八千戸が四十七年度の当初計画でありました。これを年度末においては七万戸に減らしました。しかし、三万戸だけしか発注をしておりません。そうして四万戸は四十八年度に繰り越し、四十八年度の当初計画八万戸と合わせて十二万戸になりましたが、単価が上がったというのでまた四万戸を減らした。そうして、年度内においては幾ら発注ができるのかということになると、不明だと聞いております。 家なき民はどうしたらよいのですか。宅地も、法人には税金で、不動産会社には金融で締めつけて吐き出させるようにしてみましたが、実績は出ておりません。その実績があれば示していただきたいのであります。 もうこの段階の中にあっては、土地の私有権を制限しない限り宅地は供給できない時代に入りました。この際、総理も国総法はあきらめて、各党が一致できる土地規制からやり直しをしてはいかがでありましょうか。(拍手) 第八は、エネルギー政策の問題であります。 石油危機の大宣伝は、だれによる、何のための意識的なキャンペーンであったかということが明らかになってまいりました。その主役は、国内においては石油連盟、国外ではメジャーでした、 そのねらいの第一は、石油や石油製品の価格を大幅につり上げ、特別な利潤を得ることが一つ。第二は、危険な原子力発電所建設を容易にするためにやる。第三点は、公害から国民の目をそらすためにやる。第四点は、資源獲得の必要性を国民にPRし、資本輸出をしやすくすることにありました。 さらに、田中内閣は、失政を石油危機という外圧に転嫁せしめ、体制の立て直しをはかっております。エネルギーが不足をしているのだから、原子力発電所は強力に推進をする。見返りに、発電所の周辺は、電源開発促進税という消費税を国民大衆から取って、整備をしようというのであります。 政府は、原子力発電は安全だと、国民にそれを理解を得るということばで押しつけようとしているのであります。私たちは、安全性が確認ができないと言っているのであります。美浜の一号にしても二号にしても、福島も、事故の連続から、大型の営業用炉建設の段階ではないと見ているのであります。しかも、廃棄物の処理方針さえきまっていないではありませんか。 地方税である現在の電気ガス税は、六%かけられておりますが、鉄鋼、アルミ、化学など百三十の産業用大口需要に対しては免税になっており、税金は、電気総消費量の二〇%しか占めない一般の家庭用が六〇%を負担をしているのであります。しかも、家庭用電灯料金は、原価主義の計算以上に高く、産業用の二、三倍も取られていることは、総理御承知のとおりだと思います。電力会社から料金値上げの申請も出ているようでありますが、この際、電力料金のきめ方を変えられたらいかがでありましょう。限られたエネルギーを節約するためには、余分に使うものから高くとる、有効需要に歯どめをかけることが必要であります。産業優先の政策料金をやめ、原価主義による料金にすべきであります。百億円も、消費税として、また電源開発促進税でとるという考え方は、やめることを要求をいたします。(拍手) 全野党の反対を押し切って成立をさした国鉄運賃値上げを六カ月延期をする。見通しの悪いことだといわざるを得ません。エネルギー危機の今日、総合交通政策を打ち出すチャンスであります。この際、エネルギー効率の上から、陸、海、空の総合交通政策をあらためて提示をされる御意思はありませんか、お聞きをいたします。(拍手) 第九点は、先ほど大平外務大臣から、日中航空協定の問題について、両国間に基本的な了解が中国との間に得られたと答弁がありました。しかしながら、いまだにその協定の妥結がもたついておるのでありますが、これは自民党の党内における内輪もめ、新聞の報道では、青嵐会が党内において造反をしているということから、解決はできないと報道されております。一体この協定締結の問題は、日台路線の変更まで含めて、いつ解決をするめどがあるのか、国民の前に明らかにしてもらいたいのであります。(拍手) 最後に、教育のあり方の問題についてただしてまいります。 教育の目的は、教育基本法に明らかにされておりますように、人格の完成を目ざすものであります。「真理と正義を愛し、個人の価値をたつとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成」、それは平和的国家及び社会の形成者になるようにやるのだと示されておるのであります。私たちも、この教育基本法のもとにおいて、次の世代をになう青少年の教育はきわめて重要であるという認識において、政府・与党にひけをとるものではありません。しかし、田中総理とその重要性の認識においては異なるものがあるのであります。それは価値観の問題であり、価値体系論に関することであります。価値体系論の上に教育課程がきめられてまいります。総理は、初等中等教育については、知、徳、体という価値を示したのであります。遠くはギリシアのプラトンは、真、善、美の絶対価値を教えております。西欧においても日本においても、多くの価値体系論があります。私は、知、情、意の価値論を教えられました。総理府の調査がありますが、この調査資料によりますと、世界の青年意識調査が掲げられております。世界の青年に共通な人生目標は、他人との誠実や愛であると書かれております。日本だけはただ一つの例外社会であると書いてある。それは一口に言うならば、愛情や人間性にそむいた価値観と見られると、総理府の資料でも分析をしているのであります。現代におけるところの人間性回復のためには、いかにして愛情をつくるのか、愛というものを育てるかが問われているのであります。今日までの文部省の教育行政は知育中心であったことは否定できません。無気力な子供たちが育っております。先生の教えることについていけない子供たちが一ぱいおります。情緒不安定の青少年がふえております。これは、文部省が、消化できない教育内容を法定化し、美的価値を軽視する教育の方向づけをしたからであります。政治権力を握っている者たちが一つの価値体系を示し、教育の名において押しつけるというやり方は、教育の本質から見ても、教育基本法から見ても、認めることは断じてできません。(拍手) 教育は、国民のものであり、よりよい教育を受けたいという子供の、よりましな教育を受けさせたいという親のものであります。私はそのことをただすとともに、客観的に見てその必要性のなくなった大学の運営に関する臨時措置法は、寝た子を起こさないようにすることを田中総理に要求をして、代表質問を終わります。(拍手) 〔内閣総理大臣田中角榮君登壇〕
○内閣総理大臣(田中角榮君) 村山喜一君にお答えいたします。 各国首脳とのひざを交えた対話により、お互いに必要とし合っている隣人であることを確認し得たことは大きな収穫であったと思います。よき隣人同士の関係を一そう育成強化するためには、国民の一人一人が国際社会において信頼されるに足る国際人としての資質を備えることが大切でございます。企業につきましても同様であり、国の内外にあって社会的責任を負うに足るものでなければなりません。われわれは、隣人の立場を尊重してこそ、初めて住みよい人類社会の形成のために貢献できると考えておるのでございます。 私が先般訪問しましたASEAN諸国において起こった問題をとらえて、日本がアジアの孤児になったのではないかというようなお考えを交えての御意見がございましたが、先ほど成田委員長に答えましたとおり、ASEAN諸国と日本とは相互補完の関係にあるのであります。例を申し上げますと、日本は砂糖、木材、石油、ガス、ナフサ、エビ、鉱石、その他どうしても必要なものを輸入しなければなりません。向こうは鉄、塩ビ、肥料、機械、中には、操業しておる事業の九〇%日本から材料を入れておるのがあるのでございます。でございますので、こういう状態を拡大することによって、両国が共存共栄の実をあげていくのであるということでございます。 そうして、どうも村山君は、デモが起こるのは、日本が悪いからだということだけにしぼってお考えになっておるようでありますが、確かに日本商社や日本の企業に対して正すべきところはございます。しかし、これはお互いの経済交流の幅が広くなり厚くなれば摩擦も多くなるわけでございます。日米間に四十二億ドルというインバランス問題が起これば、あれだけ問題が起こるわけでありますから、確かに正すべきではありますが、私が五カ国の首脳に会って聞いたときに、一番問題になっておるのは何かというのは、日本とお互いがこれほど緊密であり、必要であり、不可欠な間柄にあるのだということを全国民に知らしめる手段に欠けておるということであります。 一億三千万人の人口を持つインドネシアは、一万三千の島からなっているのであります。三千の島に人が住んでおるのであります。新聞も届かないのです。テレビもないのです。ラジオは断続的に聞こえるにすぎない。しかも、学校を出ても就業の場所がないというようなところにまず原因があります。 もう一つは、これは率直に申し上げるのは、あとから申し上げる日本の教育の問題に関係がありますから申し上げると、年齢の高い人よりも、新しい教育を受けた若い人たちの閉鎖的な姿が、若い人とぶつかるのですと、こう言うのです。それは、外国語を理解しない日本人は外国人社会との接触を好まないし、私は、冗談のように、賢者は聞き患者は語るということばもあるので、東洋のことわざを教わっておる日本人は、どうも外国人の中に飛び込んでいってやあやあと言う民族じゃないのだ、そこらを理解してもらいたいと言ったら、それはよくわかりますが、閉鎖的であり、現地と一切交渉を断っておるという、まあその中には、日本は修身教育というのをやめたのですかと、私は何カ国かの首脳に指摘をされておるのであります。だから、閉鎖的な若い人たちというものが若い人たちとの接触をはばんでおるということが、学生間の大きな不満のもとである、これは私だけではなく、あなた方が現地へ行って、現につぶさに考えればすぐわかることでございます。(拍手) だから、日本企業や日本の経済行動に反発をしてできたものだけではないという事実をひとつ十分考えていただきたいと思うのでございます。 経済の基本的な問題とか、経済見通しを変えるかどうかという問題に対しては、先ほどお答えをしたとおり、いま経済見通しを変える考えはございません。企業の新しいビヘービアにつきましては、わが国は自由主義経済体制を基本として驚異的な経済成長をなし遂げてまいったことは事実でございます。しかし、現下のような緊急時において、企業の社会的責任が問われており、いやしくも買い占め、売り惜しみ等の反社会的な行為によって不当な利益を得るようなことは許すべきでないことは申すまでもないのでございます。 物価の問題については、先ほど申し上げたとおり、まず、卸売り物価一四・六%、消費者物価九・六%、しかし、年間を通じての卸売り物価は四・八%、消費者物価は五・二%と示しておるのでございますから、一−三月のげたを引けばこうなるわけです。そうなると、まず四−六、上期をめどにして物価の安定をはかっておるということでございます。 それから、フィリピンやインドネシアの農業基地の問題と国内における三十万ヘクタール問題との関係について言及されましたが、直接関係はございません。しかし、東南アジア諸国は二毛作も三毛作もできるような状態でありながら食糧不足に悩んでおることは、また事実でございます。日本から今年度の契約どおり肥料が輸出ができないとしたならば、これは大混乱が起こるのでございますから、まず一−六月の既契約のものはどんな無理をしても輸出をしたい、その後のものについては可能な限り最大の努力をお互いにやろう、こういうことを——これはもうアラブ諸国との間に、回教徒の問題、いろいろ密接な問題があるわけでございますから、ひもつきの石油が来るとかいろいろな問題によって、少なくとも東南アジアの食糧自給が行なわれるような状態にするように日本は肥料の供給をしなければならない、こういうことを述べてきたのでございます。でございまして、この食糧基地の問題と日本の国内における三十万ヘクタール問題とは別でございます。別な問題ですが、大豆や飼料やその他、これらの基地が拡大されるごとによって、日本の外国に依存する農産物の備蓄には寄与し貢献することができるということは事実でございます。 それから、原子力発電についてのお話がございましたが、原子力発電の推進には、安全性の確保が大前提でございます。このため、政府としましては、安全対策について万全の措置を講じますとともに、放射性廃棄物に関する対策、環境保全対策等について十分の措置を講じ、原子力発電の推進について国民の理解が得られるよう努力を重ねてまいる考えでございます。 それから、新エネルギーの問題等につきましても、クリーンエネルギー、石炭エネルギーその他、日本の国内でできるもの、水力発電その他に対しても十分な考えをしてまいりたいと思います。 ただ、発電所をつくることを促進するために、現在考えておるような消費税を転嫁して発電税にするようなことには反対であるということでございますが、そうじゃないのです。消費税は、これは減税をしていこうということでございます。もうすでに、一〇%であったものを、私が昭和三十八年、九年、四十年にわたって大蔵大臣在職中に一%ずつ減額をして七%とし、そして去年一%を減じて、現行六%になっておるわけですから、これは徐々に引き下げていこうということでございまして、これは野党の皆さんも賛成なのです。それとは別に発電税はつくろう、こういうのですから、ここらはよくひとつ分けて考えていただきたい。 それから、教育の問題でございますが、教育は、心身ともに健康な国民の育成を期して行なわれなければならないことは言うまでもありません。これまでの学校教育の内容の改善に際しましても、単に知的な教育にのみ片寄ることなく、望ましい人間形成の上から、調和と統一ある教育を推進してきたところでございます。 なお、青少年の愛情や人間性についての価値観は、単に学校教育の内容だけの問題ではなく、社会教育、家庭教育のあり方とも関連する問題でございます。したがって、総合的な見地から検討を加え、全人的教育が十分行なわれるように一そう配慮してまいりたいと考えます。 現在、高等学校への進学率は九〇%に達し、また、進学希望者の九九%近くの者が実際に高等学校に入学をしており、事実上、希望者の全員が入学しているのが実情でございます。今後、地域の実態に即して高等学校の増設をはかりますとともに、定時制、通信制教育について格別の施策を講ずるなど、高等学校教育を希望する者に十分その機会が与えられるようつとめてまいりたいと考えます。 なお、大学の運営に関する臨時措置法が施行された当時とは、今日、実態が変わってきてはおりますが、学園内における党派的対立や暴行等の威圧行為により、正常な教育研究が阻害されている事例は少なくないことは、御承知のとおりでございます。このような事態を防止し、学問の府にふさわしい秩序ある学園環境を確立するには、大学当局の努力を助けるための何らかの法律は引き続き必要だと考えておるのであります。しかし、大学の運営に関する臨時措置法の廃止期限までにはなお期間がありますので、その間慎重に考え、善処してまいりたいと考えております。 最後に一言、週休二日制の問題に対して申し上げますが、方向としては推進の方向でございますが、実施に対しては、日本の国情に合うように、慎重かつ周到な配慮が必要だと思います。 その理由は、申すまでもなく、世界には例のない中小零細企業という特殊な業態が存在するということが一つございます。 それからもう一つ、現在のような社会制度のもとで週休二日ということはほんとうに望ましいことなのかどうかという問題をいろいろな面から検討しますと、国土総合開発法というものが実施されて、ちゃんと庭つきのうちというものが提供されてからでないと、部屋もないところでおやじに二日も休まれたらたいへんであるという現実的問題も存在することを十分考えていただきたいと思います。(拍手、発言する者あり)これは事実です。事実を申し述べている。 なお、第三の問題で申し上げるのは、石油の値が上がる、その上に労働賃金も上がる、それで就業時間も削減されるということは、ひいては物価高騰を直接招くことにもなる。だから、周到なる配慮のもとに、日本の実情に合うようにと申し上げておるのであります。 特に、公務員から先に実施せよという議論がございますが、新憲法をとり出すまでもなく、公僕である公務員から先にかかる制度は行なうべきではないと考えております。(拍手) 〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
○国務大臣(福田赳夫君) まず、円の対ドル相場が切り下げになった、これが世界の通貨切り下げ競争の発端をなしたのではないかというお話でありますが、さようなことはありません。あの当時何らの批判も受けておりませんですから、御了解願います。 なお、いまのフロート制は非常に不安定のものでございます。何とかして早く固定制に持っていきたい、そういうふうに考えますが、現実の問題とするとそうもいかぬ。そこで、フロート制のもとにおける節度ということにつきまして、国際協力、これを進めていきたい、かように考えております。 それから、税につきましていろいろな御意見があったわけでございますが、あるいは、大衆減税を拡大せよ、これはそのとおりにしております。今回の史上最大の所得税大減税、これはそれであります。 ただ、高額所得者につきましてこの減税をやあろというようなお話でございまするけれども、これは税の全体のバランスというものがある、その立場から、そうはまいりません。 それから、法人課税を強化せい、こういうお話ですが、それも一昨日申し上げたとおり、その方向のことを考えております。その際におきましても、中小企業につきましては従来の軽減税率を据え置く、そういうようなことをするなどの特別な配慮をいたす考えでございます。 また、資産所得と勤労所得とのバランスをとれというお話です。これも私はそういうふうなことは当然のことだと考えまして、常に念頭に置くわけであります。それでありまするものですから、昭和四十九年度の所得税大減税におきましても、これは給与所得控除ということに最も重点を置いた、こういうことに相なる次第でございます。 さらに、純減税は半分くらいに圧縮したらどうだ、そして公債の発行額を減額したらどうだ、こういう御所見です。その純減税を半分にする具体的な方法につきましては、私はこれはあなたと考え方が必ずしも一致いたしませんけれども、しかし、そういうような考え方で公債の発行額を減らしたらどうだというお考えは、これは大きな御見識だと思います。私も、今回の所得税減税をきめるにあたりましてはずいぶん考えてみたのです。あれをあの形でやって、そして公債の発行額がそれだけ多くなる、それがいいか、あるいはあれを少し縮めまして、こういう際でありますので、公債の発行額を少なくする、それがいいか、ずいぶん考えてみたのですが、とにかく、あの史上最大の大所得税減税につきましては、国民がたいへん期待をしておる、同時に、いま物価高である、こういう際におきまして、その物価高の被害を受ける、そういう階層に対しまして、税の面におきまして格別の配慮をするということも一つの政治見識であろう、こういうふうに考えまして、公債発行額は、昭和四十八年度よりは額において減らすことができましたけれども、しかし、減税をしただけそれだけ減らすということはできなかったわけでございます。そういうことにはなりましたけれども、この際こういう所得税の大減税に踏み切る、これが政治だ、そういうふうに考えまして、決断をいたした次第でございます。(拍手) 〔国務大臣倉石忠雄君登壇〕
○国務大臣(倉石忠雄君) お答えいたします。 このたびの食糧の世界的逼迫が伝えられておりますような時期でございますが、私どもといたしましては、あらゆるケースを想定いたしまして、国民食糧に支障のないように計画を立てておるわけでありますが、国内で間に合うものにつきましては、昭和四十九年度予算をごらんいただいてもわかりますように、ああいう型の予算を編成しておるにもかかわらず、食管会計等を除いて、生産面に使っております予算三二・一%という、前年度に比べて非常に大きな予算をつけていただいておるのも、いま私が申し上げましたようなことについて政府が重点的に考えておるということでございます。したがって、基盤整備その他には十分な力を入れまして、国内で間に合うものはできるだけその生産を助長してまいりたい。しかし、どこの国でもそうでありますが、なかなか全部を自分の国でまかなっておる国というのはあまりありません。わが国も飼料作物等はとうてい間に合いませんので、先ほど総理大臣のお話にございましたように、国際協力を兼ねて、外国との平常的な価格で与して一定量を安全に入れるという計画を立てましたので、今回の予算にもそれを計上してございまして、御審議を願うはずでございます。 そのようにして、食糧の問題は絶対に御心配をおかけしないという自信を持ってやっておるわけであります。 次に、林業振興の問題でございましたが、昭和四十六年の三月二十五日に本院の農林水産委員会で、林業振興に関する決議を賜わっております。この決議につきましては、森林の持っております国土の保全等の公益的機能と、木材生産等の経済的機能を総合的に、また高度に発揮する観点に立って、すでに昨年の二月、森林資源に関する基本計画、それから林産物の需給見通しの改定をいたしましたほか、造林事業の積極的拡充、林道整備の促進、自然保護に配慮をいたしております森林施策の拡充等をいたしてまいっておる次第でありますが、お話のございましたように、これは国土保全その他の立場から重要なものでございますので、私どもといたしましては、根本的にこの森林政策にメスを入れまして、いま諸般の対策を講じておる次第でございます。 それから、三番目にお尋ねになりました、本年の六月から八月にかけて、ベネズエラのカラカスで国際連合の海洋法会議が開かれること——第三次海洋法会議でございますが、御指摘のように、この問題は、わが国にとりましては重大な問題でございます。つまり、御承知のように、アジア、アフリカ、ラテンアメリカ等の開発途上国は、一般に、いままで、専管水域十二海里を多く言っておりましたけれども、最近では二百海里を主張してきております。もし二百海里というふうなことになりましたならば、遠洋を主とする世界第一の漁業国家であるわが国にとっての打撃は、きわめて重大なものでございますので、われわれは、沿岸諸国の利益をはかってやるということは当然認めるのでありますけれども、これを全部禁止されるというふうなことになりますことは、たいへんなことに属するので、私ども、関係国集まりまして、寄り寄りそれらの相談をいたしておるところでございますが、このことにつきましては、御承知のような状況にありますので、六月、開かれます前に、関係国との間に十分な協議を整えて、わが国の漁業——わが国だけではございません、ソ連なども大きな影響を受けるわけでありますが、そういうことに対して、万全の処置を講じてまいりつもりであります。(拍手) 〔国務大臣齋藤邦吉君登壇〕
○国務大臣(齋藤邦吉君) お答えを申し上げます。 最初は、社会保障長期計画でございますが、これは、昨年、各界の学識経験者からなる懇談会を設けて、御意見を伺ってきたところでございますが、昨年の九月の下旬に中間的な報告はいただいてございますが、さらに引き続き検討作業が進められておりまして、総括的な報告が近くいただけるものと期待をいたしております。政府といたしましては、その報告を待ちまして、その内容を慎重に検討した上できめることといたしたいと考えておる次第でございます。 昭和四十九年度の厚生省の予算におきましては、医療費のアップが相当の部分を占めておることは事実でございますが、特に私どもは、医療供給体制の整備、これに特に重点を置いて予算の増額をはかったものでございます。わが国の医療供給体制のうちで最も重要な問題は、休日・夜間診療の問題、救急医療の問題、さらに離島を含む僻地医療の対策の問題でございまして、これが対策を強化する予算を増額をいたしております。さらにまた、人的な面におきましては、看護婦の養成確保、これはもう絶対に必要でございますので、これに重点を置くことといたしまして、看護婦養成施設の増加、あるいはナースバンクの創設、あるいは病院内保育所の普及等に重点を置いて、今後ともまたさらに看護婦の処遇改善に努力をいたしてまいりたいと考えております。 僻地あるいは離島等に対する医療の確保につきましては、それぞれの地域の実情に応じまして、診療所の整備とか、あるいは巡回診療のための車や船あるいは患者輸送のための車や船の整備に力をいたし、さらに明年度におきましては、僻地勤務医に対する修学資金の貸し付け制度を創設することといたしておるのでございます。 次に、老人医療無料化に伴いまして、養護老人ホームと診療機関との連携調整あるいは老人病棟の設置等につきましては、今後とも十分考慮してまいりたいと考えております。 最後に、物価と社会福祉施設の運営についてのお尋ねでございます。 最近の物価の動向にかんがみまして、老人あるいは身体障害者、生活保護世帯、こういう方々の生活を守るということは絶対に必要であると考えまして、今回、生活扶助基準を二〇%引き上げますると同時に、老人あるいは身体障害者を収容いたしておりまする福祉施設につきましても、その処遇費を二〇%引き上げる、こういう思い切ったことをいたしたわけでございます。これによりまして、必要な物資の確保、これにつきましては政府は全力をあげておるわけでございますから、それは可能であると考えます。したがって、現物支給のような、戦争中の配給を思い出すような現物支給は、いまのところ全然考えていないことを明らかにいたしておきたいと思います。(拍手) ————◇—————
○森喜朗君 国務大臣の演説に対する残余の質疑は、他の日程とともにこれを延期し、明二十四日午後二時より本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会せられんことを望みます。
○副議長(秋田大助君) 森喜朗君の動議に御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(秋田大助君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。 本日は、これにて散会いたします。 午後四時二十九分散会 ————◇————— 出席国務大臣 内閣総理大臣 田中 角榮君 法 務 大 臣 中村 梅吉君 外 務 大 臣 大平 正芳君 大 蔵 大 臣 福田 赳夫君 文 部 大 臣 奧野 誠亮君 厚 生 大 臣 齋藤 邦吉君 農 林 大 臣 倉石 忠雄君 通商産業大臣 中曽根康弘君 運 輸 大 臣 徳永 正利君 郵 政 大 臣 原田 憲君 労 働 大 臣 長谷川 峻君 建 設 大 臣 亀岡 高夫君 自 治 大 臣 町村 金五君 国 務 大 臣 内田 常雄君 国 務 大 臣 小坂徳三郎君 国 務 大 臣 二階堂 進君 国 務 大 臣 保利 茂君 国 務 大 臣 三木 武夫君 国 務 大 臣 森山 欽司君 国 務 大 臣 山中 貞則君 出席政府委員 内閣法制局長官 吉國 一郎君 ————◇—————