本会議 第3号
- 発言数
- 25 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1973/12/04
会議録
○副議長(秋田大助君) これより会議を開きます。 ————◇————— 国務大臣の演説に対する質疑 (前会の続)
○副議長(秋田大助君) これより国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。瀬長亀次郎君。 〔瀬長亀次郎君登壇〕
○瀬長亀次郎君 日本共産党・革新共同を代表して、私は、日本国民が今日直面しておる物価高と石油危機など、重大事態に際し、総理並びに関係大臣に、一連の内外政策について質問いたします。(拍手) 田中内閣が発足してから一年余り、いまや田中内閣の失政は、今日国民が現実に直面しているすべての事実について明白であるにもかかわらず、総理は、きのうの答弁でもその失政を全く認めないばかりか、みずから国民に約束した政治責任を、あらゆる詭弁を弄して回避しようとしているのであります。そこにはまともに現実の事態を直視しようとする姿勢もなければ、物価高、物不足、石油危機の中で、かってない困難に直面する国民へのあたたかい思いやりなど、一かけらも見ることができません。 なぜ総理は、このように無反省、無責任な態度に終始しているのか。それは総理が、今日の事態を生み出した対米従属と大企業優先の政治姿勢を、国民がそれによってどのような被害を受けようが、それに目をつぶり、あくまでも推し進めようとしているからであります。 今日その明白な破綻を前にして、日本列島改造論が国民的な批判にさらされると、総理はきのうの答弁でも、あれは一つの試算にすぎないなどと詭弁を始めました。これは全くの言いのがれであります。列島改造論は年一〇%の経済成長が可能だとして、これを今後のすべての経済計画の基礎に置いたものであります。 石油についても、昭和六十年には年間総輸入量七億五千万キロリットル、五十万トンタンカーが毎日五隻も入港することが必要になると想定して、むつ小川原、志布志湾など、そのための工業用港湾として計画しているのであります。これを単なる試算などというのは全くの詭弁であります。(拍手) 総理はまた、列島改造は私的な論文だと言いましたが、あなたは今年一月の、総理として行なった施政方針演説でも、日本列島改造計画を提唱したではありませんか。私は、総理が国民の批判にこたえて日本列島改造論の放棄を、総理としてこの席で明確にすることを強く要求するものであります。(拍手) 同時に、列島改造論の基礎になっており、政府の公的な方針とされている新全国総合開発計画及び経済社会基本計画などの高度成長政策を根本的に再検討することと、国土総合開発法案をきっぱりと撤回することを要求します。(拍手)これは政府がその政策を、真に国民本位に転換するかどうかのかなめをなすものであり、総理の明確な答弁を求めます。 福田大蔵大臣は、列島改造に対し、きのうの答弁で、年間成長率についてはあれこれ言いながら、列島改造論に盛られている思想については賛成であると述べましたが、一体福田蔵相は列島改造のどこに賛成なのか、何%の成長率に賛成なのか、田中総理と同じなのか違うのか、明らかに答弁をしなさい。(拍手) また福田蔵相は、きのうの答弁で、インフレかどうかはその判断を学者にまかせればいいと述べました。しかし、あなたは蔵相就任以前には、これほどインフレがひどくなかった時期に、その経済情勢を明確にインフレと規定していました。いつからインフレかどうかわからなくなったのですか、明確にお答えください。 次に、物価問題について質問いたします。 総理は、労働者の賃上げや個人消費の増大が物価上昇の原因だなどと言いながら、物不足を意識的につくり出して大もうけをしている大企業のことは、所信表明でも一言も語ろうとしませんでした。これほど大企業を擁護し、国民にすべての犠牲を転嫁しようとする田中内閣の姿勢をはっきりと示すものはありません。 東京証券取引所第一部上場の大企業の九月期決算の計上利益金を見ると、一年前に比して、石油八社は三・一倍、鉄鋼二十六社は五・一倍、化学三十六社が二・二倍、繊維十二社は五・九倍にもふえているのであります。これらはみな物不足で問題となった商品を生産している大企業であり、値段を思いのままつり上げて、史上最高の荒かせぎを堂々とやっているのであります。 今日の物不足は、一部を除いて、実際には商品が足りないのではなく、大メーカーが価格をつり上げるために、十分な在庫を持ちながら売り惜しんでいるためであることは、あまりにも明白であります。現に、公正取引委員会の石油連盟などへの手入れで、灯油を安い値段で売る店に対して大手の元売り業者が供給ストップなど不当な措置をとってきたことも明るみに出ているではありませんか。 総理は演説で、物はある、心配はするなと強調していますが、物不足、物価つり上げの元凶をはっきりさせなければ、国民の不安はますます強まるばかりであります。総理は、犯人が大企業であると、この場ではっきり断言する勇気がありますかどうか、答弁を求めます。 今日の異常な物価上昇を静めるため、まずやらなければならないことは、大企業の買い占め、売り惜しみ、価格つり上げを押えるために、大企業の原価や在庫、流通経路を調査し、緊急放出命令や価格引き下げ命令を出せるようにするための調査機関を国会につくることであります。これは今日きわめて緊急不可欠の課題であります。 わが党は、これまで一貫してこのことを主張してまいりましたが、政府はそのつど、日本は自由主義経済だから、そういう企業の中に立ち入ることはできないと逃げ続けてきました。しかし、もはや今日このような逃げ口上は許されません。アメリカの国会のキーフォーバー委員会ですら、大企業製品の原価を調査し、これを公表しているではありませんか。政府はこれを実行するつもりがあるかどうか、はっきり答弁してください。(拍手) また、来年三月三十一日からの国鉄運賃の値上げ、政府が決定した消費者米価の値上げなどを即時中止するとともに、大手私鉄運賃、電力料金など、公共料金の値上げを一切やめることであります。政府はこれを実行するつもりがあるかどうか。 さらに、インフレを押えるためには、物価安定、インフレ抑制、国民生活防衛を中心とする補正予算及び来年度予算を編成するとともに、物価値上げで大もうけをしている大企業、大資本家に課税を強めることによって過剰流動性を吸い上げるべきであります。大企業の法人税を引き上げ、大企業、大資本家への特権的減免税の廃止を実行すべきであると考えるが、政府はこれを実行するつもりがあるかどうか、明確に答えてほしいのであります。(拍手) そうして、いま物価高、石油危機、物不足のもとで圧迫され、苦しんでいる国民のために、いまこそ緊急対策をとらなければなりません。中小企業の倒産は急増し、失業も増大しようとしております。生活保護者の給付も、このすさまじいインフレの中で、補正予算で五%加算などというこそくな手段だけでは済まされない問題であります。年金スライド制もいますぐ実行すべきであります。労働者のインフレ手当を増額するための措置も講ずべきであります。 さらに、地方自治体の現状は、生活関連事業も不可能な状態におちいっています。超過負担をなくし、住民のための公共事業を促進するために、政府は具体的に援助を強めるべきであります。 以上の諸点について、総理及び関係大臣の答弁を求めます。(拍手) 第三は、石油危機と電力などの問題についてであります。 いまや石油問題は、高度成長を続けてきた日本経済の基調を一変させつつあります。 今日、この危機の根本的責任が自民党政府にあることは、きわめて明瞭であります。(拍手)まず緊急な問題は、この危機をだれの利益を擁護しながら打開するかという問題であります。 総理は所信表明演説で、総需要の抑制、節約は美徳の価値観の定着などと言い、国民にすべての犠牲を転嫁させる方向で石油危機を打開しようとしています。しかし、いま必要なことは、国民への一律の犠牲ではなく、一切の不急不要な部門の節約、規制を強化し、国民生活に必要な燃料、物資を最優先に確保することであります。 列島改造計画に沿った鉄、セメントの大量投入、モータリゼーションの急激な促進に通ずる高速道路網の建設や、無謀きわまる新幹線計画、膨大な公共事業投資と大企業の設備投資などを縮小、凍結し、これに対する石油消費の規制を断行することであります。 同時に、在日米軍への石油供給をやめること、自衛隊の石油貯蔵量を明らかにし、大幅規制を行ない、国民生活のために、その放出を行なわせることであります。(拍手)アメリカ国防総省の発表によれば、すでに十五カ国が米軍に対する石油供給の拒否通告を行なっているのであります。なぜ政府は、この措置をとろうとしないのか。答弁をお願いします。 そして国民生活及び生活関連公共事業に対する燃料及び資材を確保し、家庭暖房など国民の日常生活に必要な分野、中小零細企業、農林漁業、公共交通機関などに困難が生じないようにすることであります。住宅や下水道など、国民生活に必要な公共事業を重視することも緊急の問題であります。 また同時に、民主政治、民主主義にとって不可欠の問題である、言論の自由を保障するための各種用紙を確保することについてであります。 いま、わが国の製紙業界と言論出版界は、石油危機を口実とした一律消費規制という状態の中で、かつてない重大な事態を迎えています。総理は常に自由と民主主義を口にしていますが、現実は言論、出版の自由は、いまや物質的に保障されない状態になっているのであります。これは文明国にあるまじき異常な事態であります。政府は、口先だけではなく、当然、各種用紙を確保するため、石油、電力の供給など万全の措置をとるべきであります。 また、大企業の売り惜しみ、価格つり上げをきびしく規制し、適正価格での放出が行なわれるように現行法をきびしく適用することはもちろん、買占め売惜しみ緊急措置法を根本的に改正することであります。 政府は、灯油は一かん三百八十円で押えるなどといっていますが、国民は政府のことばを全く信用していないのであります。いま必要なことは、独占的精製、販売企業の価格政策、すなわち、重油をはじめとする大企業用製品は安く、灯油など一般家庭用石油製品は高いという、この価格政策を国民生活中心に改めるべきであります。石油製品の原価の公開、企業別原油備蓄の公表のために必要な立法措置をとることこそ、いま国民が要求していることであります。 以上の緊急対策について、政府の具体的な答弁を求めます。(拍手) 次に、石油をはじめ対米従属的エネルギー政策を根本的に再検討し、国内のエネルギー資源を開発する問題についてであります。 エネルギー革命などと称し、国内資源を放置し、石油を米系大企業に依存するなど、対米従属的エネルギー政策をとりながら、海外から世界一早いテンポで原燃料輸入をふやし、加工して輸出するという、自民党政府の従来の方式は、資源の略奪に反対する資源産出国の自主的動向と、ニクソン政権の新エネルギー政策による国際的な原燃料、資源争奪戦の進行の中で破綻に直面しています。それを最も劇的に示したのが中東戦争以来の今日の事態であります。 わが国経済の自主的発展のためには、このようなやり方をやめ、資源産出国と平和、主権の尊重、平等互恵の原則に基づく経済外交を発展させるとともに、国内のエネルギー資源の最大限の開発につとめることは当然のことであります。 わが国の石炭埋蔵量は二百億トン以上と推定され、かつての年間最大出炭量五千万トンを回復しても、なお百数十年は掘り続けられるのであります。現に、世界の資本主義国は一様に、国内石炭の開発、公害対策を含めた多角的利用に力を入れ、長期石炭対策を進めております。自民党政府だけが、貴重なエネルギーである石炭を廃鉱の中で水浸しにしながら、石油にしがみついてきたのではありませんか。今日の危機の原因の重要な一つがここにあります。 政府は、直ちに二百億トンの石炭をはじめ、国内エネルギー源の開発に全力をあげる方向で、エネルギー政策の抜本的転換を行なうべきであります。この点について答弁を求めます。(拍手) 次に、沖繩海洋博問題について質問します。 施政権返還後一カ年半を経過した今日、沖繩県民は本土以上に深刻な経済困難のもとに置かれております。そして沖繩海洋博事業の強行がもはや不可能になっていることは、政府自体が延期していることでも明白です。わが党は、すでに県民生活を守る立場から、「海洋博延期、計画の再検討」を政府に申し入れていますが、新しい事態に際し、政府が、第一に、基地温存と大資本擁護ではなく、県民生活擁護の経済復興をはかる立場で海洋博計画を再検討し、関係期日を延期すること、第二に、計画修正に際して生じる県民の損害については、責任をもって補償を含む措置をとること、この点について誠意ある御答弁をお願いします。(拍手) さらにこの機会に、沖繩県、鹿児島県のサトウキビ耕作農民にとって最も切実な問題になっているサトウキビの最低生産者価格を一万三千円として再告示することを要求します。政府の答弁を求めます。(拍手) 私はここで、当面する外交問題について質問をしたいと思います。 今日、田中内閣の失政は、内政だけではありません。安保条約に基づく対米従属外交は、日本の主権と安全、日本経済と国民生活をますます危険な状態に追い込んでいるのであります。自民党の宣伝してきた安保繁栄論は、二度にわたるドルショック、今回の中東問題による石油危機によっても、それが全くの欺瞞であったことを白日のもとにさらけ出しました。 ここで、まず第一に、中東問題に関連した若干の問題について、政府の見解をただしたいと思います。 すでに明白なように、今回の中東問題の危機に際し、日本にいるすべての米軍が、総理も防衛庁長官も知らない間に自動的に警戒態勢に入りましたが、これは政府の繰り返しの言明にもかかわらず、安保条約に基づく事前協議の取りきめなるものが、全く実効のない、紙の上の空文にしかすぎないことを示したものであります。これは、アメリカ政府が戦争を決意したときには、日本国民は、国会も政府もあずかり知らないままに、わが国土が侵略戦争の前進基地になるということをまざまざと証明したものであります。(拍手)このような重大事態に際し、政府は、米軍及びアメリカ合衆国政府に対し抗議したのかどうか、どのような外交措置をとったか、国民の前に明白にすべきであります。総理の明確な答弁を求めます。(拍手) 次は、中東問題に関連した田中内閣のいわゆる新中東政策についてであります。 石油危機の深まる中で、政府は国連安保理事会決議二四二号の実施をうたい、「イスラエル兵力の占領地域からの撤退と、パレスチナ人の正当な権利の尊重」という官房長官談話を発表しました。しかし見過ごすことができないのは、政府が談話を出すにあたってさえ、アメリカ側に伺いを立てるという情けない対米追従ぶりを示したことであります。 田中内閣のアラブ政策が石油ほしさの口先だけのものでないなら、イスラエル軍の占領地域からの撤退を、イスラエル政府に対し公然と断固要求すべきではありませんか。(拍手)このような措置をとったかどうか。その措置をとらないならば、田中内閣の対アラブ政策は全くのそら文句にほかなりません。政府のはっきりした答弁を求めます。 また、ベトナム問題ですが、きのう総理は、南北ベトナムとの関係が結ばれてすでに問題は解決したかのように述べましたが、ここにはなお大きな問題が残されています。 その一つは、政府がパリ協定の精神にそむき、サイゴン政権を南ベトナムの唯一の正統政府とみなし、南ベトナム共和臨時革命政府の存在を無視し続けていることであります。 政府が、パリ協定の尊重、ベトナム人民との友好をいうなら、当然南ベトナム共和臨時革命政府を承認し、外交関係を結ぶことが必要でありますが、この点についての責任ある見解を求めます。(拍手) 次に、金大中事件について伺います。 この事件が朴政権の謀略機関によって引き起こされたものであることは、在日韓国大使館金東雲一等書記官がこれに直接介入していた事実や、領事館の車が誘拐に使われた事実によって、すでに疑問の余地なく証明されています。日本の領土内で他国の権力機関が強制力を行使した事実が明らかになったいまでも、政府は、これを主権侵害と認めないのか。 また、総理は、日韓定期閣僚会議の開催をきのうも言明したが、この事件の根本的解決がすでに得られたと考えているのかどうか。総理の明確な答弁を求めるものであります。(拍手) この事態でも、あえて主権侵害に目をつぶるというのであれば、それこそまさに、日米軍事同盟とそのもとでの日韓関係をわが国の主権よりも最優先させるものであり、屈辱外交以外の何ものでもありません。 政府は、主権侵害を徹底的に究明し、日韓定期閣僚会議の開催を中止すべきであります。 さらに、現在南朝鮮で行なわれている民主主義の否定と軍事独裁、言論弾圧がどんなに激しいかは、十一月二十九日に、新聞、通信、放送四十二社の第一線記者が組織する韓国記者協会が言論弾圧排撃の決議を行なったことや、東亜日報の「幹部クラスで、これまでに政府機関の取り調べ、ひどいときには拷問を受けなかった人はいないとさ、えいわれる」との報道にその一端がうかがわれるのであります。 総理は前国会で、韓国は自由と民主主義を目ざす国であると言ったが、この見解はいまでも変わらないのか、明確に答弁してください。このことは、あなたが言う自由社会なるものがどんな内容のものであるかを明らかにするのにきわめて重要なので、あらためて総理の見解を聞きたい。 最後に、小選挙区制の問題について、総理の明確な見解を伺いたいと思います。 総理はことし五月、施政方針でも述べなかった小選挙区制提案を突如国会に上程し、一挙に成立させようとしました。しかし、この陰謀は、民主主義を願う広範な国民の反対の前に、後退を余儀なくされました。田中総理のたくらんだこの小選挙区制の策謀が、いかに民主主義を否定し、自民党一党独裁の長期政権と憲法改悪をねらったものであるかは、あらゆる角度から見て全く疑問の余地のないところであります。この十数年、選挙のたびごとに国民の支持を失い、ついに自民党支持率が五〇%を割った状況の中で仕組まれたこの小選挙区制は、自民党が四〇%台の得票で八〇%の議席を得ようとするものであり、議会制民主主義を根底からくつがえすファッショ的な暴挙でありました。 小選挙区制問題は、まさに議会制民主主義を守るかいなかの試金石であります。総理は、小選挙区制問題について一度も国会で明確な態度を表明していません。小選挙区制に対する国民の批判をどう考えているのか。いまでも時期を見て小選挙区制を提案する方針なのか、責任ある答弁を求めるものであります。(拍手) いまや、田中内閣の内政、外交政策は、そのすべてにわたって破綻を来たし、国民の命と暮らし、自由と民主主義、国の主権と安全は、これ以上がまんできない重大な事態に立ち至っております。 私は、すでに質問で述べた緊急対策の実行を要求するとともに、国民の期待にこたえ、自民党政治に終止符を打ち、政治の革新に向かって奮闘する決意をここに表明して、質問を終わります。(拍手) 〔内閣総理大臣田中角榮君登壇〕
○内閣総理大臣(田中角榮君) 瀬長亀次郎君にお答えをいたします。 まず第一問は、成長政策、列島改造論、国総法等についてでございますが、これまでも申し上げておりますとおり、わが国経済は、国民のたゆみない努力によって、世界に例を見ないほどの経済の発展をなし遂げ、その過程で国民の生活水準も格段と向上し、国際社会でのわが国の地位もとみに重要性を加えておることは事実でございます。 しかし、今日の事態は、資源の制約の中で新しい豊かさを追求するという、いまだかつて経験したことのない試練に当面をしておることもまた事実であります。したがいまして、今後の経済運営にあたりましては、物価の安定、国際収支の均衡維持に加えまして、資源及び環境面からの制約に十分配慮しつつ、適正な成長を維持していくという基本的姿勢が肝要であると考えておるのであります。 列島改造論は、私が昨年提案をした試案であることは、間々申し上げておるとおりでございますが、全国土にわたって、健康で文化的な生活環境を整備し、国民の福祉の向上をはかることの必要性は、今日の情勢下においても基本的には変わらないものであります。 地価凍結を含む土地対策の基本的性格を有する国総法案は、ぜひとも必要であると考えておるのであります。 経済社会基本計画は、国民的合意となっている福祉社会の実現を目ざして策定をせられたものであり、その基本的方向は、今後の政策運営の指針として、現在その役割りを果たしているものと考えておるのであります。 物価に関連をした諸問題についてでございますが、わが党政府は、戦後四半世紀にわたりそのほとんどの期間、国民の支持を得て政治の責任をになってきたのであります。その間、わが国の平和と国民生活の向上が実現されてきたことは、何人も否定できない事実であります。(拍手) わが国の経済成長と雇用の拡大は、自由主義経済下に実現をされたものでありまして、経済活動に対する政府の関与、統制は、必要最小限にとどめらるべきであります。現下の経済情勢にかんがみ、国民経済の混乱を防止し、必要物資の安定的供給を確保するため、緊急二法案を提出することといたしておるのであります。 公共料金は、極力抑制的に取り扱ってまいりましたし、今後もこの方針に変わりはありません。 石油、電力、資源対策等について申し上げますが、石油の供給削減に対処し、総需要の抑制をはかる一方、国民生活の安定に必要な部門については、電力等のエネルギーを優先的に供給し、必要物資の需給の安定をはかるべきことは当然であります。 また、新聞用紙の確保につきましては、できるだけ配慮をしてまいります。 沖繩海洋博についての御質問でございますが、海洋博につきましては、当面の経済情勢に対処し、これを繰り延べるかどうか慎重に検討中でございます。 なお、サトウキビ価格につきましては、生産出荷奨励金を合わせトン当たり一万円となりまして、対前年四三・九%の大幅増になっておりますので、この告示価格を御指摘のとおり改定する考えは全くありません。 また、外交問題について申し上げますと、第四次中東紛争発生に伴い、米軍は警戒態勢に入ったことがございますが、その段階では通報を受けておりません。 また、わが国の中東問題に対する態度は、官房長官談話で明らかにいたしておるとおりであります。 また、日韓閣僚会議につきましては、昨日も申し述べましたとおり、定期的に開催をすることにいたしております。なお、韓国はどんな国かということでございますが、韓国は自由主義、民主主義を目ざす国であるとの認識は全く変わっておりません。 ベトナム問題との関連では、去る九月、ベトナム民主共和国と外交関係を設定をしたことは御承知のとおりであります。 最後に、小選挙区制についての御発言でございますが、現行の選挙制度については種々の弊害が指摘をせられておりますので、現行制度を抜本的に改善し、政党本位の選挙、金のかからない選挙を実現する必要があると考えておるのであります。 また、この問題について、選挙制度審議会においても、昨年十二月に報告が行なわれたところでございます。このような審議会の審議の経緯を踏まえ、各方面の意見を聞きながら慎重に検討してまいりたいと考えます。 残余の問題については、関係閣僚から答弁をいたします。(拍手) 〔国務大臣大平正芳君登壇〕
○国務大臣(大平正芳君) わが国の中東政策につきましては、事前に対米通報はいたしましたけれども、瀬長さんがおっしゃるように対米協議はいたしておりません。 それから、イスラエル政府に対しましては、現地及び東京におきまして、イスラエル政府にわが国の中東政策について詳しく説明し、この精神に準拠せられたいことを強く要望いたしてあります。 次に、南ベトナム臨時革命政府を認めるべきだというお説でございますが、政府はそういう考えを持っておりませんパリ協定におきまして、言われる南ベトナム臨時革命政府が当事者であることは認めますけれども、直ちにそのゆえをもちまして外交関係を持たなければならないという解釈はどこにもないわけでございます。 金大中事件につきましての主権の侵害の問題につきましては、わが政府といたしましては、侵害があったともないともまだ確たる証拠を握るに至っていないわけでございます。 以上、御返答申し上げます。(拍手) 〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
○国務大臣(福田赳夫君) お答えいたしますが、まず一は、現状はインフレかどうか、こういう問題であります。これは学問的にいいますと非常にむずかしい問題であります。したがいまして、私は、この点につきましてはかなり気をつけておるのです。私が十月六日「激動期に訴える」、こういう題目で演説をしております。これは最近における私の演説の代表的なものでありますので、それを引用させていただきますが、「いま日本社会がインフレであるかないか、これにつきましては、いろいろ言い方が人々によって違います。私は、インフレだとかインフレでないとか、そのような議論は学者先生におまかせしておいたらいいと思うのです。しかし、わが国の物価問題が非常に憂慮すべき段階にきておるという点につきましては、何人も異論がないところであろうと思うが、どうでしょうか。」と、こういうことを申しておるのでありますが、私は今日の物価問題を非常に憂慮し、深刻に考えておるのであります。今日の政治課題、何よりも優先さすべきものはこの物価問題である、かように考えておりますので、その辺でひとつ御了承を願いたいと思います。 次に、日本列島改造論につきましてでございますが、私はしばしば申し上げておるのでありまするけれども、いま今日、わが国は偉大な経済力をつくり上げた。これを手段といたしまして、新しい国づくりの方向へ踏み出すべきときである。その国づくりは、これは個々具体的な問題を取り上げていくということではない。日本国全部を見回しまして、総合的な国土総合開発計画という形で進むべきである。この論は私はかねがね提唱しておるのであります。したがいまして、私は、日本列島改造、これは国土総合開発の一つの考え方である、そういうふうに理解しておりますので、その思想におきましてはいささかも私は反対をするものでもなく、思想的には賛成である、かように御理解を願います。 ただ、これからの経済運営を考えまするときに、物価、国際収支、また資源、公害、そういうものを十分配慮いたしまして、それとのバランスを失わせてはならぬというふうに考えております。したがいまして、成長の高さというものはおのずから制約されてくる。その辺を踏まえて長期計画は策定されなければならぬ、かように考えております。 第三は、これからの予算、補正予算におきましても、また四十九年度の予算におきましても、生活防衛、生活中心のものでなければならぬ、こういうふうなお話でございまするけれども、物価が非常に上昇しておる、そういう際におきましては、特にそういうふうに考えております。この点については賛成いたします。 次に、地方財政等におきまする超過負担の問題でございまするが、これは長年の問題でありまして、最近におきましては四十八年度、四十九年度、この両年度にわたってこれが解消ということを計画を立て、推進しておるわけであります。ところが、今回の物価上昇問題が起こってきた。そこで補正等におきまして、各種の単価の引き上げ等を行ないましてこの問題に対処するということにいたしております。 サトウキビ価格をトン一万三千円に引き上げよという話であります。糖価安定法によりまして、十月の二十日にこの価格は八千七百円にきめられております。ところが沖繩におきましては、御承知のようにたいへんな物価上昇である、また災害があった。そういうようなことを考慮いたしまして、さらに千三百円を積み増しすることにいたし、合計一万円としております。その積み増しにつきましては、補正予算で御審議をお願い申し上げます。 法人税率を引き上げよというお話でありますが、これは昭和四十九年度の税制改革の一環といたしまして、その方向のことを考えております。 さらに、法人税法における特別措置を廃止、整理せよ、こらいろお話であります。これは、ずいぶん長い間かかって、そういう計画を進めております。来年度の税制改正におきましても、状況を勘案いたしまして、整理、改廃を行なう、そういろ方針でございます。(拍手) 〔国務大臣中曽根康弘君登壇〕
○国務大臣(中曽根康弘君) インフレを抑制するために、大口設備投資を規制せよ、これは同感でございまして、すでに九月から政府は建築関係の抑制を強力に実施しておりますと同時に、この十六日の緊急対策要綱におきましても、総需要抑制の一環として、設備投資の抑制、規制をすることになっております。けさほども閣議におきまして、民間設備投資、公共事業並びに一般消費について、企画庁中心に作業を進めていくということを確認してやっておるとおりでございます。 次に、生活物資優先という点についても、すでに実施しておるところでございまして、特に生活並びに生産関係においては、中小企業、農漁業、一般市民、大衆交通手段等を中心に石油等の傾斜的な配当を実施していきたいと考えております。 石油価格につきましても、灯油、軽油、A重油というように、いま申し上げた分野に配当せらるべきものにつきましては、特に価格上も考慮しなければならぬと思っております。 電気料金につきましても同様でございますけれども、これは最近の情勢にかんがみ、従来の原価主義を検討いたしまして、生活並びに資源消費、そういうような面からいたしまして、いま電気事業審議会におきまして料金体系の改革を検討中であります。 国内資源活用につきましては、まず国内におきまする諸資源、たとえば地熱、太陽熱、原子力、あるいはそのほかの諸般のエネルギーの探求、開発をやろうとしております。通産省におきましても、サンシャイン計画という大規模な計画を立ててやっておりますが、たとえば、この中で最近注目すべきことは、水を分解いたしまして水素と酸素を直接つくろうという発明がやや望みが出てきつつあります。大体九百度ぐらいに熱を加えまして、そうしてそれにさらに化学的な触媒を三度ぐらい加えますと酸素と水素に分かれる。まだこれは工業化する段階に至っておりませんが、これができたら、日本の燃料問題は大きく前進するわけでございます。通産省では、サンシャイン計画のもとに、こういう計画も大いに強力に進めておるところであります。 なお、列島周辺の開発につきましても、先般常磐沖で大規模なガスが噴出いたしましたが、日本列島周辺も非常に有望でございますので、これらの開発も大いに推進してまいりたいと思っております。(拍手) —————————————
○副議長(秋田大助君) 正木良明君。 〔正木良明君登壇〕
○正木良明君 いまや日本国民は、自分たちの将来にきわめて大きな不安と危惧を抱き、やり場のないいらだちと怒りにさいなまれながら、この通常国会が、国民の期待する平和日本と国民生活防衛の福祉路線の確立に転換する大きな切り返し点になるよう、強く望んでいることは間違いありません。 したがって、政府は、いまこそこの国民の要求を謙虚に受けとめ、日本列島改造計画をはじめとする強引な高度経済成長政策や、国民生活無視、大資本優先の従来の政策を清算することはもちろん、今後の生活防衛、インフレ退治に納得できる政策を誠実かつ真剣に実行し、国民の期待にこたえるべきであります。(拍手) 私は、公明党を代表して、この国民の切なる要求に即し、率直に質問をいたします。総理並びに関係閣僚各位の誠意ある答弁を求めるものであります。(拍手) 十二月一日、田中総理の所信表明演説を聞いた国民は、深い失望と憤りを感ぜざるを得なかったと思います。現在の緊急事態に対する正しい分析と、的確な処方せんこそ、いま国民があなたに求めていたことでありました。しかし、あなたは内容の乏しい抽象的な話を強引に国民に押しつけようとしただけであり、さらに最も欠けていることは、この重大な事態を引き起こす原因となったあなたの失政と悪政に対して、てんとして恥ずるところがなかったことであります。(拍手) あなたは、演説の中で、「いかなる政策も、国民の理解と支持がなければその効果をあげることはできません。」と述べ、さらに、「福祉社会の実現という共通の目標に向かって協力されるよう期待してやみません。」と国民に協力を求められました。 しかし、国民の側から言わせれば、いつも国民を犠牲にし、泣かせてきた自民党政府こそ今日の事態を招いたのだという牢固とした認識がありますから、まず政府が、みずからの誤った政治姿勢や政策に対する反省と、それに対する責任の明確化がなければ、政府を信頼し、それに協力するのに釈然としないのはむしろ当然であります。(拍手) 田中内閣が、今日の重大事態の原因として国際経済の激動を強調いたしますが、これは今日に始まったことではないし、わが国が資源を持たないことは、昔からそうだったのであります。むしろ、金さえ出せば何でも手に入るという傲慢さで、しゃにむに大企業優先の生産第一、輸出至上主義の無軌道な経済拡大政策で押しまくり、しかも、アメリカ追随の外交路線の中で馬車馬のよむうに伸ばしてきた成長パターンこそ、資源と労働力で限界に突き当たり、今日の国民生活や自然環境の破壊をもたらしたのであり、われわれも繰り返し警告してきたところであります。(拍手) 今日の事態は、天災でもなければ、資源のないわが国の宿命でもありません。あなた方が招いた災害であり、自民党政治のもたらした人災であります。このような高度成長のひずみを、さらに高度成長をもって是正しようとする自転車操業的誤りを繰り返してきました。 あなたは一財界の圧力によって、鉄鋼、石油化学製品などの不況カルテル、さらに、その延長を認め、昭和四十七年度補正予算で巨額の景気刺激予算を組み、大幅な金融緩和政策をとり、輸出に特典を与え、大企業に過剰流動性を生じさせました。 続いて、本年度予算での列島改造計画の推進のための産業基盤造成の公共投資を中心としたインフレ促進財政が需給ギャップを不当に拡大し、悪性インフレに拍車をかげてきたことは明らかな事実であります。(拍手)これらは明瞭に財政金融政策の失政であると断ぜざるを得ないし、さらに、過剰流動性が土地、株式、商品投機に暴走して、昨年秋からの物価高騰をざらに高進させたことは、これまた明らかなる事実であります。特にこの商品投機については、買占め規制法をつくりながら、一年もたたないうちに野党案のように改正せざるを得なかった事実は、いかに政府の対策が庶民に背を向けていたかを示すものであります。(拍手) したがって、田中総理が国民の前に示すべきものは、何よりもまず、みずからの失政を国民の前に謙虚に認め、いままでの高度成長路線を清算し、いまや国民合意となっている福祉優先型、すなわち、まず国民生活を防衛するという経済政策に切りかえることを厳粛に確約し、しかして率直に国民に協力を呼びかけるべきであると思うのであります。(拍手) このような観点で、私は以下質問を田中総理にいたしますが、それに先立ち、福田大蔵大臣にもお願いをいたしたいと思います。 あなたは、田中総理の成長一本やりの政策に対し、安定成長と称して、ある種の批判を加えられておりました関係から、総理とともに私の同じ質問に対し、それぞれの所信に従って答弁を伺いたいと思います。 第一に、われわれはかねてから日本の経済情勢がインフレーションであり、現在ではそれは全く悪性化しているということを指摘してまいりました。しかし、先日来の答弁におきましては、この現在の状況をインフレーションとは認めようとなさっておりませんが、真にいまの経済情勢を転換させるためには、これをまずインフレーションと認めることから始めなければならないと私は思います。もし総理、大蔵大臣が現在の状況をインフレーションと認めないならば、いかなる状態と認めているのか、認識しているのか、伺いたいと思います。 第二に、現在の緊急事態を招いた根本的原因は、先ほど述べたように、政府の高度経済成長政策に基づく財政金融政策の運営の失敗から来たものであることを認めるかどうか、伺いたいと思います。 第三に、このような財政金融政策の失敗を招いたのは、田中総理の列島改造計画の強引な推進に原因があります。この計画では、昭和六十年に現在の三倍に当たる七億五千万キロリットルの石油を輸入しようとしており、石油供給不可能というこの一点からでも、すでに列島改造計画は破綻を示していることは、だれの目にも明らかであります。(拍手) 総理は、地価の抑制は国総法の成立以外にないといたしておりますが、国総法の発想が列島改造に基づくものであり、列島改造計画路線は、超高度成長路線であります。また、列島改造計画がインフレを高進させてきたことも多言を要しません。してみれば、総需要を抑制する基本的問題は、列島改造路線の転換と国総法の撤回があって、初めて国民に現在の困難にあたって協力を求める政府の基本的姿勢転換の裏づけになると私は思うのであります。 この点について、総理の明快な答弁を求めるとともに、列島改造論は田中総理の私見であると発言しておる福田大蔵大臣にも所信を伺いたいのであります。 さて、今回の石油危機は、石油がわが国の経済活動に必要なエネルギーの七三・五彩を占め、その九九・八%を輸入に依存している現状から見ても、日本経済の基盤をゆるがす衝撃を与えました。スミソニアン体制の崩壊、ガット体制の実質的形骸化の傾向などによって、世界経済の分極化への方向の中で、地域主義、資源ナショナリズムが台頭してきた実情は、十分認識されなければなりません。したがって、アラブ諸国は、たとえイスラエルとの紛争が解決したとしても、石油供給をすべて以前の状態に戻すことはおそらくないでありましょうし、また、他の地域においても資源問題は従来と違った様相を示すことは想像にかたくありません。ここで総理は、石油供給をはじめわが国の必要な資源の調達についていかなる見通しを持っておられるか。また総理は、所信表明演説で、現状を経済的、社会的にも歴史的な転換期であるとして、国民の協力を求めておられますが、この際、最悪の事態を予想しての対応策が必要だと私は思います。政府はいかなる認識に立って、どのように政策を転換しようとされるのか、その具体策についてお答えいただきたいのであります。(拍手) 石油供給削減以来、物価の高騰は、十一月上旬の卸売り物価は、前年同月比二〇・三%の上昇、消費者物価は、東京都区部において、前年度比一四・八%上昇を示し、政府が石油供給、生活必需物資についての規制法案を用意し始めて以来、諸物価のかけ込み値上げはまさに物価狂騰に拍車をかけて、ガソリン、灯油などの小売り価格の石油業界ぐるみのやみ協定をはじめ、京阪神のタクシー業界では、平均七五%料金値上げを明らかにしており、一方、現在の状態で石油供給削減が続けば、来年の経済成長は大幅に落ち込み、マイナス成長になることも考えられます。その反面、物価の高騰は驚異的なものになることが予想されるのは、すでに本年の経済見通しの是正が、実質成長六先、名目成長実に二一%となったことでも明らかであります。この中で、国民はかつてない生活破綻におののき、不安の毎日を送っているのが現状であります。 私は、政府の最大の使命は、いかにして物価を安定させ、生活必需物資を確保し、この国民の不安を取り除くかということにあると確信をいたします。(拍手)石油危機下の物不足は、生産の低下が物不足を引き起こし、国民は先行きの不安、動揺から、生活防衛のために少ない物を奪い合って生活必需品を確保せざるを得なくなり、この傾向が従来の企業主導型の価格騰貴にますます拍車をかけ、大企業の思うがままの売り惜しみ、価格のつり上げを許しているのであります。そのことは、トイレットペーパーや洗剤、砂糖の例を見ても容易に想像されることであります。 したがって、石油危機下の物価対策は、国民生活安定法案にいうように、標準価格の設定という流通面のみの規制では、おそらく実効はあがらないと思うのであります。むしろやみ行為をあおる結果を招くことが考えられます。したがって、国民生活に不可欠な必要物資の生産は絶対低下させない、また、大企業の売り惜しみや価格のつり上げは絶対に許さない、生活必需物資の供給と価格の安定を十分に確保することを大前提とし、生活必需品中心の生産確保のための資源、エネルギーを重点配分する政策を具体的に示し、推進することが何よりも重要であると考えます。(拍手)政府が提出しようとしている石油、生活両法案も、この基本的な政策を前提としない限り、その効果は決してあがらないと思いますし、国民の納得と協力も得られないと思うのであります。総理並びに通産大臣はどのようなお考えか、具体的にお示しを願いたいと思います。 すでに石油企業は利益確保のための選別供給を始めておりますが、この現状をいかにするか。これを放置すれば、石油企業の、石油を通じての全企業支配も起こり得るのでありますが、政府はいかにするのか。価格形成も、企業主導型で、最悪の状態を見越した企業防衛のための価格の狂騰を始めている現状に、いかなる手を打とうとするのか、答弁を求めるものであります。 また、政府が考えている生活関連物資または国民経済上重要な物資の標準価格は、どのようにきめられるのか、石油不足に便乗した高利潤確保のための先取り価格など、現在の軒並み大幅値上げの動きに対し、どう対処されるのか、政府の見解を明らかにしていただきたいのであります。基準価格は、原価プラス適正利潤できめるのか、いままでの大企業主導型の価格にメスを入れ、経理の公開を求め、その上で適正利潤をプラスしてきめるのか。もし、このことをあいまいにするならば、政府の標準価格は必ず大企業本位の高水準の標準価格となり、国民生活をますます苦しめることになることは明らかであります。(拍手) 以上についての、総理並びに通産大臣の所見を明らかにしていただきたいのであります。 経済的に弱い立場にある人々の社会保障給付の改善など、物価高騰の中で所得及び資産の公平な分配を期することは、いまや焦眉の急であります。いまや、社会的公正の回復、社会正義の実現は、政府の最も厳粛な義務であります。年金生活者など低所得者は、インフレの高進の中で最も深刻な打撃を受けているのでありますから、この際、野党が第七十一国会に提出した六万円年金を中心としたすべての年金改正案を、直ちに実施に移すべきでありますが、どうか。 生活保護者などの給付改善についても、今回の政府の生活保護基準、社会福祉施設の老人、児童の生活費の引き上げは、たった五%にすぎません。簡単に計算してみると、生活保護では、一人一日約二十円、福祉施設の老人の食費は一日約十円、児童の食費では一食四円程度の増額でしかありません。 悪性インフレの急進、物価の狂騰、生活必需物資の入手難において、総理、あなたはこのような人に、どうして生活していけと言われるのでありますか。この際、何はさておいても、こうした人たちに手厚い保護を直ちに加えるかどうかは、これらの人々の死活問題であります。政府の引き上げを大幅に修正される意思があるかどうか、総理並びに大蔵大臣に答弁を求めます。 同時に、来年度予算の編成にあたって、社会保障関係の施策を、年次計画を立て、少なくとも五年以内にヨーロッパの福祉先進国の水準に追いつくよう、一般会計予算の二五%を優先確保してこそ、国民福祉優先の政治実現に踏み出したことになりますが、総理並びに大蔵大臣にそのお考えがあるかどうか、お尋ねをいたしたいのであります。(拍手) また、国鉄運賃、消費者米価、郵便料金など、一連の公共料金の値上げは、物価高騰に一そう拍車をかけるのみならず、社会的、経済的に弱い立場にある人たちの生活を一そう苦しめることになりますから、これを凍結すべきであり、特に消費者米価については、物価統制令を復活して、食管法の完全実施を復元すべきでありますが、総理の御答弁を求めるものであります。 そこで、福田大蔵大臣に特にお伺いしたいのでありますが、あなたは大臣演説で、「今後の経済政策の運営にあたっては、物価の安定、国際収支の均衡維持に加え、資源及び環境面からの制約に十分配慮しつつ、適正な成長を維持していくという基本的姿勢が肝要である」と言っておられます。そして、現在、物価問題の解決こそ最優先政策課題であるとして、そのためには「総需要の抑制をはかることが最も肝要である」と言っておられます。 十一月十六日、田中総理が列島改造の主軸となっておる全国高速道路網計画、国鉄新幹線計画、本四架橋三ルート計画など、大型公共事業の着工の延期を指示した際、あなたは、公共事業の圧縮をさらに大幅に進め、道路整備、漁港などの長期計画についても、年次計画にとらわれず、特別な基準を設け、一律に抑制し、抑制財政の実をあげたいと意思表示されたことが報道されていますが、来年度予算ではこの考えをどのようにあらわされるか、お尋ねをいたしておきたいのであります。 現在のものすごいばかりの物価高騰の中で、勤労所得者には直ちに所得税減税をしなければ、生活破綻を来たすと考えますが、所得税減税に対する所信を伺いたいのであります。 さらに、あなたは、貯蓄の推進のため、預金非課税限度額を一千二百万円、大幅引き上げをいたしました。実態的には、高所得者優遇策にほかならないと私は思います。しかも、そうした預金は、結局は企業の貸し出しに回り、新しい資金づくりになる。これが流通通貨や需要の抑制になるとお考えになるかどうか、お尋ねしたいのであります。 現在を非常事態と認識されるならば、通貨や需要抑制のためには、むしろ大企業や金持ちの余裕のある金を吸収する積極策として、凍結的性格を持たせた公債制度を創設すべきであると考えますが、いかがでありましょうか。 わが国にとって、石油資源問題とともに重大視しなければならないことは、食糧問題であります。すでに世界の食糧危機が論じられる中で、わが国の米を除く主要農産物の輸入に仰ぐ割合が、小麦で九二%、大豆九六%、飼料六〇%など、きわめて高い実態から、世界の食糧危機は、すなわち日本の食糧危機であるとの認識に立つべきであると考えます。政府は、抜本的な日本農業の確立によって自給率を向上し、輸入農産物確保のための輸入先の多角化等、食糧対策を確立することが急務であります。これらに対する総理の農業ビジョンをお示し願いたいのであります。 中東戦争の影響による石油危機、このことは、かねてから私たちが主張してきたとおり、日本の存立には世界平和という必須の前提条件があるということをあらためて如実に示したのであります。資源を世界各国に求め、製品の売りさばき市場をこれまた世界の各国に求めているわが国が、日本の平和の確保はもとより、世界のどこかに戦争が発生すれば、直ちにそのあおりを大きく受けなければならないきわめて受動的な国際政治、国際経済の中に生きているということであります。 石油危機という深刻な事態に追い込まれ、政府は中東政策の転換を内外に宣明せざるを得ませんでした。もちろん、政府の今回の政策転換は当然のことであり、むしろおそきに失したものでありますが、私がここで指摘せざるを得ないことは、その動機と目的がきわめて問題であるということであります。すなわち、石油ほしさの場当たり的な政策転換であったということであります。政府の今日までの中東問題に対するきわめて無関心な姿勢は、金さえ出せば石油は幾らでも買えるという考えと相まって、アメリカのイスラエル支持にそのまま追随同調した、およそ中立とはかけ離れたものであることは世界周知の事実であります。したがって、わが国がアラブ諸国からきわめて強い不信をもって見られていたことは言うまでもありません。同時に、わが国外交が常に日米安保という軍事同盟体制下で、わが国がアメリカ支配のもとに完全に組み込まれ、対米追随一辺倒であるという評価がすでに国際的にも動かしがたい印象となって、世界の各国に植えつけられているということを今回の中東問題は如実に明けかにしているというべきであります。(拍手) 石油を中心とする今回の資源問題から予想されることは、限りある資源が新たな国際政治における戦略的な武器として用いられることであります。したがって、今回の石油問題と同じく、他の地域の資源保有国の資源ナショナリズムはさらに連鎖的に強まると見なければなりません。世界じゅうの多くの資源保有国から資源を仰がなければならないわが国が、こうした国際社会の現状の中で、わが国の外交がどうあるべきかは、おのずから明らかであります。より基本的に言うならば、日米安保という軍事同盟体制を断ち切り一対米追随外交を根本的に改め、等距離完全中立政策に基づく真の自主、平和、中立の外交政策をとることが、今日のわが国の出発点でなければならないと思うのであります。(拍手)総理は、過去の外交政策を反省し、等距離完全中立政策をとるべき勇断を国民の前にこの際明らかにすべきであると思うのであります。まずその所信を承りたいのであります。 さらに、ただいま私が述べた立場から、次の質問をいたします。 田中総理は、来年初頭には、東南アジア諸国を歴訪されますが、資源ナショナリズムの高まり、反日感情の激化の中で、一体いかなる目的と使命を持って行かれようとするのか、わが国の東南アジア政策はどういうものなのか、明確に承りたいのであります。 御承知のように、インドネシア、タイをはじめとする東南アジア諸国の対日感情はきわめて悪く、わが国が多大な経済援助を実施しながらも、高まる反日感情を政府はどう受けとめているのでありましょう。その原因は、わが国の経済援助政策の独善と貧困にあることは明らかであります。被援助国の経済的自立あるいは民生安定という経済協力の原則を全くわきまえずに、無原則、無定見なわが国の経済援助政策が、逆に被援助国の経済自立や民生の安定を妨げているといろ事態、特にこれによって日本の経済侵略とのイメージがきわめて強く、反日感情を育てている事実を、あらためて深刻に理解すべきであります。このことは、金大中氏事件によって大きな問題として取り上げられ、わが国の対韓援助の不明朗さに見られます。すなわち、相手国政権へのてこ入れ、相手国の特定階級との癒着などから、相手国国民の理解を得られないどころか、反感だけをつのらせていることを明確に知らねばなりません。 私は、わが国政府があらためて対外経済協力の実態を総点検し、もう一度すべてを洗い直し、わが国の基本的な原則を明確にした上で再検討すべきことが必要であると思うのでありますが、政府の見解を承りたいのであります。(拍手) また、わが国がこれまで続けてきた四次防など軍事力増強政策は、非生産的なむだづかいの最たるものといわねばなりません。これまでの防衛計画の実態が示すとおり、相次ぐ兵器の技術革新によって、次々と兵器の更新が行なわれるばかりか、いわばまぼろしの脅威に対し、いたずらに軍事力の増強をはかることが、はたしてわが国のとるべき平和政策でありましょうか。いたずらに脅威だけを強調し、防衛力の増強をはかることが、東南アジア諸国から強い警戒をもって迎えられ、国際緊張をかえって高めてきたことを政府は反省し、軍事力によらない、日本とアジアと、そうして世界の平和達成への道を探究することこそ、わが国の重大な使命であると思うのであります。(拍手) したがって、直ちに四次防など軍備増強政策を中止し、田中内閣の平和のための長期計画をここに示すよう、強く要求するものであります。総理の御見解を伺いたいのであります。 以上をもって私の質問を終わります。(拍手) 〔内閣総理大臣田中角榮君登壇〕
○内閣総理大臣(田中角榮君) 正木良明君にお答えいたします。 第一はインフレの問題でございますが、インフレの厳密な定義はむずかしいが、現在の物価上昇が憂慮しなければならない段階にあることは事実であります。また、物価騰貴の要因は、海外物価の値上がりによる輸入原材料価格の上昇、外為会計の大幅払い超に加え、輸出を内需に転換するためとられた金融緩和策によって企業の手元流動性が増大し、国内需要の拡大につながったことなど、さまざまな要因が複合して生じたものであります。国際収支の均衡回復がわが国にとって急務であったこと、三〇%を上回る円の対ドル実質切り上げによって中小零細企業の相次ぐ倒産といった事態を回避する必要があったことを考えれば、当時とられた財政金融政策について国民の理解が得られるものだと考えておるのであります。 列島改造論につきましては、間々申し上げておるとおりでありますが、昭和六十年にわが国人口が一億二千万人に増加することを前提とすれば、三大都市圏の過密の進行をそのまま放置するわけにはいかないのであります。全国土の均衡ある発展をはかることが、国民福祉の向上のため必要であることは論をまちません。国総法は特に土地利用基本計画の策定と、土地取引の規制を含む土地対策の基本法的性格を持つものであり、その可及的すみやかな成立が望まれるのであります。言うまでもなく、この国土総合開発構想は、短時日に実現できるものではなく、昭和六十年展望に立って着実に施策を積み上げていくべきものであります。総需要の抑制をしなければならない現状において、その実施テンポを調整すべきこともまた当然のことでございます。 社会的、歴史的転換についての御発言がございましたが、従来のように産業の発展や国民生活の向上を、豊富で低廉な石油エネルギーに依存することには多くの制約を伴うことが明らかになりました現在、産業の構造や国民生活の内容を新しい観点から見直し、産業活動の省資源、省エネルギーを進める必要があることもまた当然でございます。さらに進んでは、石油にかわる新しいエネルギー源の開発も積極的に推進し、また、国民生活におきましても、資源節約は美徳であるという新たな価値観を定着させて、生活感覚を転換させていかねばなりません。これは、資源等からの制約に十分配慮しつつ、適正な成長を維持していくということを意味しておるのであります。 また、国民の必需物資の確保についての御発言がございましたが、石油供給削減に伴う波及効果により生活必需物資等の逼迫が生ずることのないよう、各業界の協力を得て、これらの物資の供給確保につとめてまいりたいと考えます。特に国民生活に関連の深い一般家庭用はじめ、農林漁業用、鉄道等の公共輸送機関用、病院、学校等の公共性の高い施設の使用する石油、電力等は、その適正な必要量の確保につとめるよう、行政指導等に際して万全の配慮を行なっているところでございます。また、今後の生活必需品の生産、緊急輸入等につきましては、適切なる処置をいたしたいと考えます。 国鉄運賃及び米穀の政府売り渡し価格についての御発言がございましたが、これはもう問々申し上げておりますとおり、これを撤回するような考えはございません。 また、消費者米価を物統令の適用をはかれというような御趣旨でございますが、消費者米価につきましては、物統令を再適用することは考えておりません。 次は、社会保障の長期計画についてでございますが、社会保障の拡充が必要であり、社会保障につきましては、長期計画をつくって実施をしてまいりますということは、本院においても明らかにいたしております。ただ、御説のとおり、これから五年間にヨーロッパ各国並みにせよという御説とは別に、最もわが国に適合したものをつくってまいりたいと考えておるのでございます。なぜならば、ヨーロッパ諸国並みというようなものにすれば、国民の税負担もヨーロッパ並みになっていいのかという問題が出てくるわけでございます。いま日本の保険料及び税金の負担の合計は二四・一%でございますが、ヨーロッパ主要国、特に北欧三国等を入れて見ますと、いまの社会保障の水準を維持するために、国民は、国民所得の四八・五%ないし五五%の負担をしいられておるというのが現状でございますので、国民負担を増大しないようにして、しかも、日本に適合するよりよい社会保障を拡充するということでなければなりません。(拍手) 主要食糧の自給率の向上等の農業ビジョン等についての御質問でございますが、食糧は国民生活の基礎をなすものであり、今回の世界的な食糧需給逼迫の事態から見ましても、国内生産が可能なものは極力国内でまかなうべきであることは当然でございます。安易に外国に依存すべきではないという御説には賛成でございます。このような観点に立って、主要農産物である米、野菜、果実、牛乳、肉類、鶏卵等については、できる限り完全自給ないし八割以上の自給率を確保し得るよう、これに必要な施策を講じてまいりたいと考えております。しかし、国内ではどうしても完全自給ができない大豆等につきましては、輸入に依存せざるを得ないわけでございますので、その安定的な供給を確保するため、長期的展望に基づいて、輸入先の多様化、商品協定、長期輸入取りきめの締結、在庫増大をはかる備蓄政策、国際協力の視点にも立った海外農林業開発等に積極的に取り組んでまいりたいと考えます。 それから、石油危機に伴う外交問題等に対しては、関係大臣からお答えいたします。 日米安保条約を破棄せよといろことでございますが、政府としては、従来どおり、米国をはじめとする自由主義体制の諸国、社会体制を異にする国々など、あらゆる国との友好関係を増進するとの多角的自主外交を展開しております。米国との友好関係の維持もその一環をなすものであり、安保体制を破棄するなどは全く考えておりません。 東南アジア歴訪の目的、反日感情の原因等に対してどう思うかという趣旨の御発言でございますが、私は、東南アジア諸国との間に平和と繁栄を分かち合うよき隣人同士の関係を育成強化したいとのわが国の熱望を各国首脳に披瀝して、友好親善の実をあげるため、諸国を訪問いたしたいと考えておるのであります。同じアジアと申しましても、気候、風土、習慣、社会的基盤の相違から、多くの誤解ないしは対日批判が生ずることはあり得ることであります。その原因がわがほうに由来するものにつきましては、十分反省をして、改めていかなければならぬことは当然でございます。人と人との心の通った交流に相つとめるならば、克服できない問題ではないと信じておるのであります。 最後に、四次防を中止せよといろことでございますが、きのうも申し上げましたとおり、防衛は国の基本であります。特に、独立と真の平和を確保し、国民の生命財産を守り抜くために最も重要なものであります。四次防の中止は考えておりません。 残余の質問に対しては、関係閣僚から答弁をいたします。(拍手) 〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
○国務大臣(福田赳夫君) お答えいたします。 まず、日本列島改造論は総需要抑制政策と矛盾をするんじゃないか、かようなお尋ねでございますが、しばしば申し上げておりまするとおり、わが国はこれだけの経済力ができまして、これを踏まえて新しい国づくりをしなければならぬ段階にきておる。その新しい国づくりは、これは個々の施策の積み上げであってはならないのであります。つまり、総合的国土開発計画でなければならぬわけであります。さような構想の一つとして、日本列島改造論というものを田中首相が構想をしておる、こういうことでございますが、しかし、ただいまは、私は、重大な問題が起きておる。つまり、先ほど参議院で、火事が起こっておるというふうに申し上げたのですが、この物価騰貴の問題であります。ですから、これからの国づくりの問題、これは考えなければならぬ問題ではあります。 同時に、当面緊急の問題といたしまして、この短期の物価対策、これに確固たる計画を持ち、これと取り組まなければならぬ、この二つの長期、当面の問題が相並行して進んでいくということが、私は、この際、われわれとして必要ではあるまいか、かように考えておるのであります。 次に、現況をインフレと認めるのか認めないのか、その認識がすべての問題の出発点である、こういろお話でありますが、私は、先ほどもお答え申し上げましたが、物価がいまや憂慮すべき段階に来ておるということを申し上げておるのであります。その認識こそがすべての対策の出発点である、かように考えておるので、しかと御了承をお願い申し上げます。 次に、今日の日本の困難な経済情勢は政府の失政の結果ではないか、それをどういうふうに考えるかというお話でございます。私は、世界情勢が過去二、三年間というものは変転目まぐるしい、そういうような状態でございましたが、これに対処する政府の努力、これはなみなみならざるものがあったと見ておるのであります。その努力に対しましては、私は、高くこれを評価しております。しかしながら、その努力にもかかわらず、いま困難な経済情勢というものが展開されておる。その一番大きな問題は、私は、成長の行き過ぎである、こういうふうに見ておるのであります。政府も努力をした、しかしながら、その世界情勢の目まぐるしい変転へ対応し切れなかった、こういう一面があることを私は率直にさように考えるのでありまするが、私は、成長の行き過ぎという問題が出てきておる、また今後は物価、国際収支あるいは資源、あるいは公害、そういう問題を踏まえまして、均衡のとれた成長を考えていかなければならぬというふうに考えるときに、思いを新たにして、この成長の行き過ぎの是正、こういう問題に取り組むべきである、かように考えております。 次に、総需要抑制のために新幹線、高速道路、本四架橋、これをどうするか、こういう問題でありまするけれども、この新幹線や高速道路、本四架橋、これらは長期展望に立った計画の一つを構成すべき性質のものである、かように考えます。しかしながら、当面物価抑制という重大なる課題に当面いたしております。そういうことを考えまするときに、これらの大型のプロジェクトに対しましては、昭和四十九年度予算編成にあたりまして、これは極力これを抑制方針で対処しなければならぬ、かように考えておるのであります。 次に、インフレ被害者に対してどういう対策をとるか。第一は、生活保護者に対し前年度対比一九彩の保護費の引き上げだけでは十分でない、こういうお話でございまするけれども、これは十月から五%の引き上げをいたしまして一九%になったものでありまして、まずまず今日の物価上昇の状況に対しましても妥当な措置である、かように考えております。 次に、六万円年金をこの際採用する考えはないか、こういうお話でございまするけれども、政府は、五万円年金を本年度スタートいたしておるわけでございます。この五万円年金は、国際水準から見ましても、遜色のない水準であるというふうに考えておりますので、これをただいま六万円に引き上げるということは考えておりません。 なお、社会保障の長期計画を策定し、総予算の中で二五彩をこのために天引きせよと、こういうお話でございますが、これに対する私の所見は、総理大臣からただいま答弁されたと同じでございます。さように御了承を願います。 次に、二兆円減税についての所見でございますが、課税最低限の引き上げ、税率の調整等を含めまして、所得税の減税を行なうべし、その規模を二兆円とせよと、こういうような考え方がずうっと進んできておりまして、この考え方につきましては、田中総理も非常に御熱心であります。私も、いま物価が非常な上昇を来たしておる、そういう際におきまして、その物価上昇の負担を、幾らかでも税の面において緩和することができればなあとも考えるのであります。 そういうような考え方で、との考え方の大勢につきましては、私もそういうふうには考えておるのでございまするけれども、何せ、この二兆円減税がいわれてから石油の問題というような変化が起こっておる。この結果、自然増収もかなり変わってくるわけであります。また、自然増収のほか、これの財源になるところの増税計画をどうするか、これも非常に困難な問題であります。また、公債の発行額も極力減らさなければならぬ、こういろふうにも考えておるのであります。 そういうことを考えまするときに、二兆円減税というものは、二兆円減税そのもので結論を出すことができない。自然増収の見通し、または増税計画、また公債の発行額。したがって、大きく言うと総予算の伸び率、そういうものとも関連をいたしまして決定せらるべき問題であると、かように御了承願います。 なお、利子非課税よりも特殊な国債を発行して、過剰資金の吸収に当たるべしという御所見でございますが、特殊な国債を発行して、そういうようなことをやったらどうかということも、私も考えてみたこともあり、まだ頭の中から消え去ったわけではございません。しかしながら、国債を発行する、そうすると、いままでの国債が、その特殊な優遇されるところの国債に振りかわっていくというような問題もありまして、そう世間でいわれているような簡単な問題でないようでございます。私は、なお慎重にこの問題は検討いたしまして、結論を出したいと存じます。(拍手) 〔国務大臣中曽根康弘君登壇〕
○国務大臣(中曽根康弘君) 先ほどの瀬長議員の御質問の中の答弁漏れをまず御回答申し上げます。 米軍並びに防衛庁、自衛隊の石油削減いかん、こういう御質問でございますが、防衛庁、自衛隊においては、一般官庁並みの削減をすでに実施しております。ただ、スクランブルのような領空侵犯に対する緊急発進のようなものは、練度を落としてはいけませんから、これらは、やっぱりやっておいてもらう必要があると思っております。 米軍につきましては、先般キッシンジャー氏が来日されましたおりも、総理大臣並びに外務大臣、私ら、こもごも日本の削減の情勢を説明いたしまして、協力方を強く要請いたしました。先方は日本の実情をよく認識されまして、協力するという回答がありまして、自発的削減がすでに開始されたと聞いております。 次に、正木議員の御質問の中で、石油削減に伴う日本の政策転換の見通しいかんという大問題でございます。 われわれは、この石油削減を機に、日本の産業構造の転換、それから特に省資源型、知識集約型国家構造への転換を強くはかっているつもりでございます。 いままで、日本経済、特に企業のバイタリティーが非常に強いものですから、安定成長型へ持っていこうと、かなりの努力がありましたが、しかし、成長は常にかなりの高成長でございました。今回石油の削減という冷厳な結果を見まして、私といたしましては、なるほどこういうエネルギー面からのかんぬきをかけるということが、日本の産業構造を省資源型、知識集約型に持っていくのに非常に有効であるということを、まのあたり見た感もいたしております。そういうような経験、教訓ももとにいたしまして、このような産業構造の転換、すでにこれは産業構造審議会において、七〇年代の日本の産業構造の指針として示されておるものでございますが、この方向に推進すると同時に、先般御説明申し上げました新しいエネルギー源の開発研究、これを大いにやってまいりたいと思っております。 次に、石油の配分並びに価格形成をいかに合理的にやるかという御質問でございます。 実は、十一月を基準にいたしまして、外国の大口石油会社等々からの報告をもとにして、どの程度の削減が妥当であると見通されるかということを基本にいたしまして、石油の配分計画を一応つくりました。それで、十二月が一〇%、一月以降は情勢によって流動的に見る、こういうことでございましたが、最近の報告を見ますというと、実は、イラクとかシリアのパイプラインの機能がそこなわれたために、ヨーロッパの国々のタンカーは希望峰を回ってアラビア湾にいま殺到しておりまして、たまたまそれがいまアラビア湾に来る時期になっておるわけです。したがって、日本から行きましたタンカーも滞船を余儀なくされたり、あるいは、ものによっては一〇〇%積み荷ができなくて、八〇%積み荷で帰ってくるというような例もございます。 そういうわけで、いままでわれわれが予期したよりも、どうも入ってくる量は減るような感じが実はいましておるのであります。われわれの当初の計画では、大体昨年は二億五千七百万キロリットルの油が入りました。ことしは三億キロリットル強の油が入る予定でございましたが、石油のこの情勢から見て、約二億七千九百万キロリットルの油であろうと一応推定いたしました。しかし、これもわれわれが期待しておるよりも若干減る見通しでございます。 そういう事態を踏まえまして、これからの石油の妥当な配分については慎重にやっていかなければならぬと思っております。現在、通産省はそれらの配分について権限を持っておりません。そこで、近く御提案申し上げます石油関係の法律によりまして、その授権をしていただいて、その合理的調整をやるようにさせていただきたいと思っておるわけでございますが、現在は大体行政指導によりまして各業界ごとに自主的調整と、それから協議による、協調によって過不足の調整をやってもらっておるのが現状であります。 しかし、いまや売り手市場になりまして、石油会社の立場は非常に強くなりつつあります。御指摘のとおりであります。したがって、この乱反射を行政指導によりまして早晩調整しなければならぬのであります。しかし、でき得べくんば、なるたけ早目にその権限を内閣にお渡しいただきまして、強力に調整をやれるようにしていただけば非常にありがたいと思っておるのでございます。 しかし、それまで待っておれない情勢がもしまいりましたら、通産省が乗り出しまして、それらの業界相互の調整も行政指導によってやっていきたいと思っておりますし、それから、いずれこれは必要になると思いますので、各産業並びに産業の内部別の優先順位の策定の準備をいま進めておるわけであります。やはり民生あるいは中小企業、農漁業あるいは大衆交通手段、病院、そのほかの重点的なところに傾斜的に配分をやる必要がありますし、ある程度のリザーブも国として用意しておく必要がございます。そういう点において、そのような配分の優先順位をいま通産省としても懸命な作業をして勉強しておるところでございます。 価格形成の問題については、石油については公示価格が各種別の原油について世界的に公示されております。したがって、これに輸送賃並びに処理コストを加えますと、大体の標準的原価は算定され得るのであります。したがって、このような標準的原価を基礎にいたしまして諸般の標準的価格をわれわれは算定して、できるだけ抑制してまいるように努力してまいりたいと思います。 それらの価格形成の際にも、いまこれは私らは、省として考えておるところでございますが、そういう重要な生活部分あるいは重要な産業の部分、そういう部分と、そうでない部分、あるいは業務用の使用とレジャー用の使用というものについては、価格等について区別があっていいんではないか、レジャー用のものは多少高くなっても、業務用のものや生活用のものは安くするということが正義ではないか、そういう考えに立ちまして、いま諸般の検討もしておるところでございます。 なお、経済協力の問題につきましては総理大臣から御答弁がございましたけれども、日本の経済協力は相手国の民生、福祉の向上、国民経済の発展を目途に、いわゆる平和的協力として行なわれておるものでありますが、従来、ややもすれば一部の企業に排斥されるような動きがなくはなかったと反省されておるのであります。そこで、企業の行動基準をつくるように私たちも経済団体に要請して、全経済団体合意の上に企業の行動基準ができました。そうして経済的支配、植民地支配を排撃して、公正な共存共栄の道を講ずるという申し合わせをしてくれたのであります。これらを厳重に励行させることが必要でありまして、われわれとしては、大使館並びに現地のジェトロ並びに日本人の経済団体にもこれを通告し、厳重に監視しながら、いま実行させようとしておるところでございます。(拍手) 〔国務大臣大平正芳君登壇〕
○国務大臣(大平正芳君) 石油危機に伴うわが国の外交につきまして、御意見を交えての御質問がございました。 日本の置かれた状況のもとで、日本の生存は世界の平和が前提である、資源ナショナリズムの高まりの中で、資源問題は長期にわたって憂慮すべき課題であると、切実な認識においては正木さんと共通なものを私も持っております。ただ、これにどう対応するかにつきましては、先ほど総理も言われたように、自主、平和、中立というお考えは、政府は必ずしも賛成できないわけでございまして、これにつきましては、先ほど総理から答弁がありましたから繰り返しません。 それから、経済協力についてのお尋ねでございました。緊張の緩和に寄与して平和の創造に参加することが、もとよりわが国の外交の基本でなければならないと考えております。その一環といたしまして、南北問題の緩和のために、経済協力に精進してまいることは、われわれの当然の責任であると考えております。そういう意味で、UNCTADその他において示された諸原則にのっとりまして、受け入れ国の立場に立ちまして、できるだけ親切に、条件を漸次緩和しながら、相手の立場に立ちまして経済協力を推進いたしておるわけでございます。今後とも一そう努力してまいるつもりでございます。 この間の十一月二十二日の官房長官談話は、石油ほしさの場当たり的な措置ではなくて、かねて国連で決議されました決議に示された諸原則をより明確にいたしたものでございまして、長期的観点からのアラブ諸国との友好協力関係の確保を目ざすものであると御理解をいただきたいと思うものでございます。現在の資源、エネルギー問題は、単独の力で解決できるようなものではなくて、国際協力を極力推進し、この問題が国際的な摩擦原因になることなく、むしろこれを協調要因に転化するように今後とも外交的努力を重ねてまいるつもりでございます。これは御所見のとおりでございまして、OECDその他の場を通じましての国際協調を深め、供給源の多元化、新エネルギーの研究開発等も国際的なスケールで努力してまいるつもりでございます。(拍手)
○副議長(秋田大助君) 塚本三郎君。 〔塚本三郎君登壇〕
○塚本三郎君 私は、民社党を代表して、去る一日行なわれた田中内閣の所信表明演説に対しまして、国民が政府に抱いている不安と疑惑を率直に述べて、わが党の立場を明らかにしつつ、その所信をたださんとするものであります。(拍手) 〔副議長退席、議長着席〕 田中総理は、所信表明演説のうち、その前半を、中東戦争を契機とする石油生産と供給制限に対する影響と、それから来たる異常な価格の上昇を論じて、それがわが国の国民生活を圧迫する物価高の最大の原因であり、政府はそれが対策を余儀なくされていることを力説せられました。つまり、物価高の真の犯人は、政府ではなく外的条件であり、石油こそその張本人であると言いたげな論調でありました。 もちろん、私どもとて、石油問題のわが国に占める重大性は、ひとり産業界のみならず、国民生活にも決定的な影響を与えずにはおかないことは承知いたしております。だが、国民の一番の関心事である異常な物価高は、石油問題が発生する以前に、すでに暴騰を続けてきたということでございます。中東戦争によって石油問題が起こったのは、十月六日の戦争以後の問題でありました。したがいまして、今日の物価高は、田中内閣の経済政策の決定的な失敗であり、田中総理は、その責任を痛感して、国民の前にすなおに反省するの態度を表明することが、新たなる決意の第一歩でなければなりません。(拍手) 私どもは、以上の観点から、政府が行なってまいりました経済政策のあやまちの数々を指摘して、その姿勢を正してまいります。 質問の第一は、田中内閣は、本年度における国際及び国内経済の見通しを誤ったということであります。 本年初頭、国際通貨不安、すなわちドル不安にあわてふためいた政府は、不況克服と称して空前の大型投資予算を組み、さらにまた、大型公債まで上乗せして物資の需要を急速に膨脹せしめる一方、生産の規模を縮小せしめるために不況カルテルまで続行せしめて物資不足に追い込んだことが、インフレ助長の第一の原因でありました。 さらにまた、円の切り上げの時期を誤り、国内通貨の過剰流動性を生んで円をだぶつかせ、あまつさえ大商社をして資材の買い占めと売り惜しみに狂奔せしめて物価の高騰を来たしたことは、政府みずから認めざるを得なかったではありませんか。いな、物品のみならず、株式の取得から土地の買い占めにまで発展せしめたではありませんか。 田中内閣の失政の第二は、日本列島の改造であります。 日本列島改造論という単なる学者や役人の文章を思いつくままに宣伝の道具に利用して、いたずらに土地の暴騰と基礎資材の需要に拍車をかげたことがインフレの最たる要因となってしまったことを、御反省なさるべきでありましょう。(拍手) 日本列島を改造して、国の総生産及び総需要をいまの三倍から四倍にすると豪語して、エネルギーの消費量と資源消耗の不可欠なることを力説せられていたのは、つい先日までの総理御自身の口ぐせではなかったでございましょうか。 最近ではその表現を幾分変えられて、日本列島の有効なる国土利用のため、すなわち、過密と過疎を改めるための人口と産業の適正配置に力点を置いておられますが、それならば、なぜ、それを可能ならしめるための具体策を先に行なわれなかったのでありましょうか。 たとえば、いま問題となっている国総法のうち、せめて土地規制の内容だけでも先に立法化しておいて、しかる後に列島改造を叫ばれるならば、まさか一億総不動産屋と化して、何万坪、いな何十万坪単位で大企業、大商社が土地を買いあさるがごときことは避けられたでありましょう。 土地の売買を野放しにしたまま、日本列島全体に人口二十五万程度の中都市をつくり、新幹線網を張りめぐらすのだと一国の総理大臣が大声で叫べば、それらしきところには甘きものにアリがたかるがごとくに金を握った業者が群がり、土地の取得に誘い込まれることは理の当然ではありませんか。 ましてや、だぶついた資金を企業が銀行に返済しようとしても、銀行がまた返済金を受け取らないところが随所にあらわれ、かくして野放しにされた超金融緩和の勢いが株式の買い占めに踊り、あるいは土地の買いあさりにと荒れ狂ったではありませんか。 田中総理はいまこそ、日本列島改造の無責任な叫びが、わが国にインフレという悪魔を誘い込み、庶民大衆の生活を苦しめた元凶であることに気づかなければなりません。(拍手) かくて、日本列島改造論は、学者の将来への展望として論ぜられている間はともかくとして、一国の宰相が、これを総裁選挙の際の派閥間の争いに利用し、あまつさえ昨年の衆議院総選挙のための政争の具にのみ使用したその姿勢は、おのれあって国家なく、権力への執念あって国民なき姿と断ぜざるを得ないのであります。(拍手)いまこそ田中総理は、日本列島改造論をもてあそんだその無責任さをざんげされるとともに、即刻これを撤回されることこそ、インフレ克服の第一歩であると進言いたします。 質問の第三は、田中総理は、国家百年の大計の上に立つべきであって、思いつきや権力的強引さを改めるべきだと主張いたします。 「わかったの角さん」と評される総理は、他人の意見に耳を傾けて、ほんとうにわかったという意味の応答ではなく、相手の主張を封じるための、相手を黙らせるためのことばではありませんか。田中総理の思いつきの施策や権力的な強引さが、わが国政界のみならず、日本の運命に重大なる害悪を流していることを、七つ八つの例をあげて説明し、田中総理の心からなる戒心を求めなければなりません。 まず、日本列島改造そのものからして思いつきの主張であります。昨日、田中総理は、この席から、日本列島改造は私の所信でありますが、国総法は閣議決定による法律案であり、動かすことのできない政策だと述べられました。 田中総理がそれほどまでに執念を燃やされるならば、列島改造そのものをなぜ正規の閣議にかけて経済政策の大黒柱となさらないのでありましょうか。閣議決定もしない、総理個人の所信を振り回して各閣僚にこれを押しつげることは、単なるワンマンの域を越えて、内閣法第六条の法律違反ではありませんか。 担当大臣の所管事項は、閣議決定のものに限って総理大臣の指示権限が認められております。閣議決定なき事項は、所管大臣の任免の権限のみが総理の手元にあって、それ以外の各省所管事項まで総理が指示されるオールマイティではないはずであります。総理、いかがでございましょう。 田中総理の思いつきの第二は、農地の三十万ヘクタール宅地化構想であります。 過日、田中総理は、農林、建設の両大臣に農地三十万ヘクタールの宅地化を指示し、これを押しつけられたと報ぜられております。これまた閣議決定なき両大臣の所管事項を、総理大臣が思いつくままに、人気取りと持ち前の強引さで発表されたことであります。 資源問題が国際経済の最大課題どなっている今日、とりわけ食糧自給の必要性は決して遠い将来のための備えではなく、あすにでも起こるかもしれない不安な国際経済の渦の中にあると見なければなりません。万が一、食糧輸入に対する不安が招来したとすれば、それは過日の大豆問題や今日の石油問題とは比較にならない深刻な事態といわなければなりません。農林、建設の両大臣が、田中総理の思いつきの構想にかなりの抵抗を示したと伝えられるのも、けだし当然ではありませんか。それは、思いつきの角さんの、強引な醜い一面を暴露するのみならず、これまた内閣法第六条の法律違反といわなければなりません。 かつて田中総理は、おれは総理であり、自民党の総裁であり、幹事長であり、国会対策委員長だと豪語せられた不遜なことばは、もはや国会議員のだれ一人知らぬ者はなくなりました。最近では、政府部内の各省所管の役人人事にまで口をいれるに至ったと報道されているではありませんか。節度なき田中総理の強引さは、いよいよ行きつくところまで来たとの感にたえません。 その点、官僚出身であり、主体性をお持ちの福田大蔵大臣は、まさか閣議決定なき列島改造のための予算を易々としてお組みになることはあるまいと信じますが、いかがでありましょう。実力者大臣、やる気の大臣として御所見を伺わなければなりません。 田中総理の思いつきの性癖は、小選挙区法案提出へのいきさつによって、その極に達したというべきでありましょう。それはついに心ある自民党員諸君をして、殿御乱心と陰口をたたかれたではありませんか。節度なき思いつきの行動が、果つるところを知らず、これが対外的施策ともなれば、よって来たる国家の損失もまた、はかり知れざるものといわなければなりません。 今日の石油危機も、もとをただせば、田中総理の八月訪欧の際、キッシンジャー構想の忠実なるセールスマンとなって、中東軽視のヨーロッパ中心の外交に追随して、アラブ諸国の怒りを誘い、石油輸出の制限を受くるの口実を与えてしまったと見るべきではありませんか。 一たび石油に対するアラブ諸国の制限を受けるや、今度はあわてふためいて、腰の重い大平外相をして、しゃにむに親アラブにと転換を迫り、日本外交の方向を急カーブせしめるのやむなきに至りました。まことに座視するに忍びない動揺ぶりであります。 この上、万が一、アメリカなどの反発を買ったとすれば、一体次はいずれに身を寄せられるつもりでありましょうか。まさにわが国の運命にかかわる重大事といわなければなりません。 あるいはまた、総理の所信表明演説の際、わが国は、現在、国民総生産の約一〇%を輸出しており、供給力にも余裕がありますと力説しておられますが、これは物資不足の場合は、輸出を内需に振り向けられるとの余裕を示されたつもりでありましょうが、対外貿易は、ひとりわが国の余った品物を他国に売るといろ立場にのみ立脚することは、きわめて一方的、かつ、かってな思いつき外交といわれてもしかたありません。つまり、わが国の商品を買い入れている相手国、とりわけ東南アジア諸国は、日本商品によって自国の産業及び国民生活があらかじめ組み込まれており、これをわが国の資材の都合のみで輸出を打ち切るがごときことをする場合には、わが国がいま石油によって受けつつある打撃と全く同様の影響を、これらの諸国に与えかねないことを配慮しなければなりません。かくて、わが国の立場からのみ経済を考えるとすれば、一波が万波を呼んで、それこそ経済外交は破局に瀕するといわなければなりません。ここにあらためて総理の所見を求めるものであります。 また、先日の田中総理の訪ソにあたりましては、国民の悲願である北方領土の返還に対し、国民に多大の期待を抱かせながら、返還の時期と見通しさえつかみ得ず、せめてもの期待でありました漁業の安全操業くらいは確約させてこられるものとの切なる漁民の願いさえ、むなしく裏切られるの結果となってしまったではありませんか。外交の常道である根回しをおろそかにした思いつき外交のそしりを免れません。一国の総理大臣たる者が、ただ単に行ってくることに意義があるとうそぶいていて、はたして許されるでありましょうか。まして、日ソ共同声明に対する文章のミスさえ見落として調印して帰られたことは、思いつき外交の恥を全世界に広宣流布したものといわなければなりません。 かくて、その無責任なる思いつき政治の弊害は、ついに一部官僚にさえ類が伝染しつつあります。 たとえば先月、十一月より、厚生省は化学甘味料であるサッカリン使用の物品を販売禁止にいたしました。かつてはチクロが禁止されました。しかし、サッカリンは無害であると、厚生省自身の実験結果を表明して今日に至りました。しかるに、本年春、アメリカの一部で有害の情報が流されるや、厚生省はあわててサッカリンの禁止の予告を政令で出しました。その後世界各国が実験を重ねたところ、無害を表明いたしました。現にアメリカはもちろんのこと、欧州各国はほとんどこれを禁止している国はありません。むしろ、砂糖のとり過ぎによる栄養過多の害を警告しているのが欧米の実情であります。わが国のみが砂糖の五百倍の甘さを持つサッカリンの使用を禁止して、食品業界を大混乱におとしいれ、その結果、砂糖の値段を三倍につり上げてしまったではありませんか。その間の事情は、齋藤厚生大臣は十分に御承知のはずであります。厚生省みずからの実験結果は無害であると私どもに返答しておきながら、なぜこれを使用した物品の販売を禁止したのか。日本じゅうの食品業界が五百倍の甘さを持つサッカリンを取り上げられて、大混乱の末砂糖に群がれば、家庭用の砂糖の値段が暴騰し、スーパーや百貨店の砂糖売り場が連日新聞種になるのは当然ではありませんか。一部のアメリカ報道にうろたえて思いつきで行なった禁止の予告の政令を、なぜ取り消さなかったのでありましょう。情報源であるアメリカが無害として使用させている事実にかんがみ、厚生省の態度は、怒りを通り越して、こっけいとしか言いようがありません。厚生省は一体この結果をどう対処されようとしておるのでありましょうか。とくと信念のほどを伺いたい。 かくて、私は、田中内閣における思いつき政治の数々を爼上にのせて内政、外交を論じ、ただしてまいりました。田中角榮内閣総理大臣、あなたは、単なる市井の一個人として権力の座からおりられたときには、気随気ままに思いつきの角さんの本領を発揮していただけばけっこうであります。だがしかし、一国の最高の権力者であり、最大の責任者である総理大臣の座にありながら、しかも思いつきの角さんによって振り回される国民がいかに迷惑を受け、いかに傷つき、苦しむかを、いまこそとくと反省の上、責任ある御答弁をいただかなければなりません。(拍手) そろそろ結びに移ります。 これらのことを踏まえて、政府は、いま直ちに次の諸点を実行に移し、一刻も早く国民の不安と動揺を除去せられることが急務であると力説いたします。 すなわち、その第一は、公共料金の値上げを今後三年間ストップさせることであります。 いま直ちにインフレを押える絶対の要件はこれよりほかにありません。石油やちり紙や石けんや砂糖などは、法によって価格を指示し、幾ら値上げを抑制しようとも、しょせん、自由経済体制下における商取引は価格規制に限界があることは、総理自身、御承知のはずであります。だがしかし、公共料金たる運賃、消費者米価、郵便料金、電気料金、地方公営企業等々は、いずれも総理及び内閣の手のうちに一切が握られているはずであります。幾ら政府が業界に向かって価格維持の大号令をかけられようとも、政府自身の手の中にあるものの値段を上げて、易々としてこれを許しておきながら、他人さまの商品の値上げだけは認めないと幾ら大声で叫んだとしても、それはから念仏に終わることは、けだし当然といわなければなりません。(拍手)いな、業界は、政府自身に物価抑制の意思なしと見抜くのはあたりまえではありませんか。 公共料金に対する理由や弁明は幾らでもありましょう。さすれば、業界や民間の物品については、さらにさらに多くの言いわけが用意されていることを覚悟しなければなりません。 幸い、来年度は、徴税の伸びが四兆円と計算されておりますれば、取り過ぎた税金のうち二兆円は、いさぎよく国民に返したとしても、なお二兆円という十分過ぎる金が用意されているはずであります。政府は、すべての立法施策や物資不足のお題目を並べるよりも、値上げ禁止の範をみずから国民に示すことが大前提であると信じます。 行なっていただかなければならない第二は、財政及び金融政策を徹底して引き締めることであります。 とりわけ、財政インフレになるような大型公共投資、すなわち、新幹線網、本四連絡架橋をはじめとする物資を大量に消費する事業は中止あるいは延期して、それをまずは生活物資にと回すべきだと主張いたします。総理が説かれた新たなる豊かさとは、このようなことを予算編成に織り込み、具体化して、経済大国日本を福祉大国日本にと、言うがごとくに実行されることであります。 しかるに、問題をすりかえて、五十兆円をこえる賃金給与所得によって消費購買力が充実し、個人消費が拡大したことが物価高の原因の一つだと論ぜられるととは、みずからの責任をのがれて社会的弱者にそれを転嫁するの愚かさであります。 一体、ちり紙や灯油や砂糖や石けんの品不足がどうして個人所得の増大に原因するでありましょうか。個人所得の大小によって生活必需品の価格が上下するのは、ごくごく未開発の国々にのみ見る例であり、さきに述べたがごとき商品の高騰と品不足は、全く他の政治的原因であることをすなおに総理自身が見直していただくことが大前提だと主張いたします。 また、そのゆえをもって、さきに公約をせられた二兆円減税までもほごにせんとするの底意を示されることは、物資不足といろよりも政府の認識の不足であり、政治的良心の不足であり、政府に対する信用の不足であり、かつ田中総理の責任感の不足であるといわなければなりません。 「一万円札 ああ無力の師走入り 狂走物価」これは某新聞の経済面の大見出しであります。われわれがいま一番おそれているのは、国民大衆が、政治はわれわれに何もしてくれないという政治不信の横溢であります。それは田中内閣の存命の問題だけではなく、民主政治そのものの危機であり、国民生活自体の危機であり、国家の存立をもゆるがせる問題と受け取らなければなりません。 今日のごとき底知れざる物価高を放置するならば、かつての国鉄上尾駅や国鉄新宿駅の暴動に見られるがごとく、国民の不満が一挙にふき上げる危険性なしとしないではありませんか。今日の政府は、いかなる釈明や宣伝よりも、ただ一つの実行が望まれてなりません。 第三次田中内閣発足に際し、三木副総理が自戒を込めて語られたことば、すなわち、約束したことは必ず実行すること、実行できないことは約束をしないとの御発言を、田中内閣のすべてが胸に刻んでいただかなければなりません。 思えば、つい半年前まで、百九十数億のドルをかかえた経済大国日本は得意の絶頂でありました。しかし、それは決して豊かなる日本の真の姿ではなかったはずであります。すなわち、これを裏面よりながむれば、それは公害列島日本であり、交通地獄日本であり、住宅難の日本であり、人手不足の日本、受験地獄の日本であったにすぎません。日の当たる一面を見れば、文明と経済成長の恩恵を十分過ぎるほどに吸収していながら、むしろその裏側は、経済大国であったことをのろう国民さえ少なくなかったことを反省しなければなりません。 戦後二十八年間の日本の歴史は、新しい民主政治の形式をもって出発し、今日の虚飾の繁栄を築きはしたものの、真の豊かさとはほど遠かったことを、総理御自身お気づきにならなければなりません。経済大国よりも福祉大国日本、人間中心の日本が至るところに叫ばれる時代が到来いたしました。いな、それよりほかには、資源欠乏の日本には生きる道が許されないことを全政治家が悟らなければならぬときがやってまいりました。それには、まず総理大臣みずからが、今日までの経済政策の誤りを全国民の前にお認めになり、いさぎよく出直すことをお誓いになることが何よりも大切であります。第三次田中内閣に、多くの点で経済政策の異なった福田さんを大蔵大臣に迎えられたことも、国民は率直に総理の気持ちをくみ取っているはずであります。 いまを去る十四年前、自民党池田内閣が出発するにあたって、高度成長と所得倍増をはなばなしく打ち上げられたとき、わが民社党が初めて発足をいたしました。私どもは、所得の倍増は実現されても、物価もまた倍増されれば、国民の生活は決して楽にはならないと反論して、福祉国家の建設と全国民の中産階級化を打ち出したことであります。やがて十三年をこえた昨年暮れの総選挙には、五つの全政党がこれすべて福祉国家の建設を第一の公約として掲げられました。いまや福祉政策の実現は、一政府や一政党のうたい文句ではなく、すべての政治家の公約であり、使命であります。ならば、眼前に横たわるインフレが、福祉国家とはあまりにもほど遠いことを認め、政府みずからがその責任を感じ、田中総理自身が勇気と決断をもって、私が先ほどから提案いたしております政策の数々を受け入れていただかなければなりません。さすれば、私ども民社党は、野党の立場にありとはいえども、インフレ克服のためには喜んで協力を惜しまない覚悟であります。かくしてこそ、国民もまた政治を信頼して、明るい未来に向かって再び希望をつなぎ得るものと信じます。 重ねて田中総理及び福田大蔵大臣の決意のほどを伺って、私の質問を終わります。(拍手) 〔内閣総理大臣田中角榮君登壇〕
○内閣総理大臣(田中角榮君) 塚本三郎君にお答えをいたします。 物価問題、列島改造その他に対して御意見をまじえて御発言がございましたが、物価問題が重要であるということに対しては、もうきのうから十分申し述べておりますので、御理解をいただきたいと思います。しかも、この物価問題を解決し、国民生活を安定的に確保するために、緊急二法案の御審議をお願いするわけでございますので、その間の事情は御了解の上、御協力をいただきたいと思うわけでございます。 予算委員会ではございませんから申し上げるまでもないと思いますが、物価問題を押えるのは列島改造政策というものをやめればいいんだというようなお話が、どうも各党の代表の方々からいつでも出ておりますから、この際、明確に国民の前に明らかにいたしておきます。 列島改造論というのは田中角榮の著書でございます。しかし、いま国会で御審議をいただいておるものは、方向は同じでございますが、国土総合開発法の改正案でございます。しかも、この国土総合開発法が制定をせられたのは、昭和二十五年であります。閣法という名になってはおりますが、これは一党を除く与野党の議員大多数の賛成により制定されたもので、実質的には議員立法であります。この法律の成立の経過を見ればおわかりになるとおり、これは議員立法を便宜閣法に転換をしたにすぎないのであります。 そしてその後、この国土総合開発が必要であるということで、これを土台にしまして、道路三法が制定され、北海道、東北、九州、四国の地域開発法が制定をされ、高速道路建設促進法となり、新産業都市建設促進法になり、新幹線建設促進法になり、水資源開発促進法になり、電源開発促進法になり、愛知用水公団法になり、八郎潟建設法になったじゃありませんか。(拍手)これは歴史的事実であります。 しかも、それだけじゃありません。これらのときにはダム特別会計法、道路特別会計法、水の特別会計法、港湾特別会計法、離島振興法、山村振興法、農業地帯工業導入法案、すべてこの国土開発法の実体法として制定をされておるのであります。(拍手)しかも、国土総合開発法は……(発言する者あり)国土総合開発法は、都市政策大綱の名において、すでに四十三年自由民主党の党議になるものであります。 しかも、選挙法は思いつきだというふうに言われますが、しかし…… 〔発言する者あり〕
○議長(前尾繁三郎君) 静粛に願います。
○内閣総理大臣(田中角榮君)(続) 二十四年間、日本の在野の審議会、調査会の委員が七次審まで行なって答申を出したものを国会の議題にも供さないということになれば、これはいろいろな批判があるにしても、自分が審議に入らない前から、反対だから、これを提案しようとするまじめな立場の政府の態度を思いつきだと言うに至っては、何をか言わんやであります。(拍手) 第三は、訪欧の際のキッシンジャー構想についてでございますが、仏、英、独三国の首脳とは相互の関係緊密化及び先進民主主義国間の幅広い協力関係の促進について、広い視野に立って意見を交換しましたが、特定の構想の代弁ないし売り込みは行なっておりません。 訪ソの成果につきましては、北方領土問題についてソ連は従来一貫して解決済みとの態度をとってまいりましたが、訪ソにより、この問題は平和条約締結によって解決すべき戦後の未解決の問題であることが確認をされ、解決への端緒を開いたと考えておるのであります。 また漁業につきましては、北洋漁業の長期安定化につき原則的合意を見、安全操業問題についても交渉継続につき意見の一致を見ておることは御承知のとおりであります。 公共料金の値上げストップについてでございますが、公共料金につきましては、従来から極力抑制的に取り扱ってきたところでございます。現に、国鉄運賃の改定を本年度末とし、米の政府売り渡し価格を本年度内据え置いておるのであります。 しかし、恒常的に公共料金を据え置くことは、結果として財政負担を増大させることになり、予算規模を極力圧縮せよという現下の要請に相反することにもなります。 財政の引き締めの断行と大型公共投資の中止あるいは延期に対しての発言に答えます。 物価安定をはかるためには、総需要を抑制することが基本であることはかねて申し上げておるところであります。財政、金融政策についてもこのような観点から今後一そう抑制的に運営してまいる所存でございます。公共事業につきましても極力その抑制につとめてまいりますが、その具体的規模、内容等につきましては、今後予算編成の過程で慎重に検討してまいりたいと存じます。 残余に対しては関係閣僚から答弁をいたします。(拍手) 〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
○国務大臣(福田赳夫君) 昭和四十九年度予算には列島改造関係費は織り込むな、そういう御意見、御注意、さように承りましたが、先ほど来しばしば申し上げているところでございますが、この列島改造、これは国土を総合的に開発しよう、そういう総理の構想でございます。国土を総合的に開発するということは、いまやわが日本国がこれに取り組むべき問題になっておるわけであります。したがいまして、私は、列島改造、これは、その考え方、思想におきましてはいささかも異論もなく、むしろ私もさような考え方を前々から持っておるわけであります。 ただ、今日この段階として見ますると、わが日本国は、緊急な問題に当面しておるわけであります。つまり、物価上昇に対しましてどういうふうに対処するか、こういう問題であります。さような物価上昇の問題が、これがわが国が当面しておる最大の問題である、こういうふうに私は考えますので、これに支障があるというようなものにつきましては極力抑制的な態度をとらなければならない、さように考えます。これは長期計画に盛られる諸計画、そういうものに限りません、予算に要求されるところのあらゆる問題、これは物価政策の観点から十分検討いたしまして、これに支障があるというようなものにつきましては慎重に配慮したい、かように考えます。 なお、この問題と関連いたしまして、私の時局に取り組む決意を問う、こういうことでございますが、私は、演説でも申し上げましたように、今日国民が政府に期待するものは何だといいますれば、物価の問題、石油の問題、この問題に対しまして政府がほんとうに真剣に取り組め、こういうことだと思います。そういう国民の期待を受けまして、これが乗り切りのために全力投球をする、これが私の決意でございますから、よろしく御支援願います。(拍手) 〔国務大臣齋藤邦吉君登壇〕
○国務大臣(齋藤邦吉君) サッカリンの問題についてのお尋ねにお答えを申し上げます。 食品の添加物としてサッカリンを使うということにつきましては、アメリカにおきましても一部いろいろ意見のあるところでございます。しかし、私といたしましては、今後、サッカリンに関する内外の科学的な調査研究の推移を見まして、できるだけ早い機会に適正な使用基準を設けることにいたしたいと目下検討中でございます。(拍手)
○議長(前尾繁三郎君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。 ————◇—————
○議長(前尾繁三郎君) 御報告いたすことがあります。 議員荒木萬壽夫君は、去る八月二十四日逝去せられました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。 同君に対する弔詞は、去る八月二十九日贈呈いたしました。これを朗読いたします。 〔総員起立〕 衆議院は多年憲政のために尽力しさきに国土計画委員長の要職につきまたしばしば国務大臣の重任にあたられた議員正三位勲一等荒木萬壽夫君の長逝を哀悼しつつしんで弔詞をささげます ————————————— 故議員荒木萬壽夫君に対する追悼演説
○議長(前尾繁三郎君) この際、弔意を表するため、稲富稜人君から発言を求められております。これを許します。稲富稜人君。 〔稲富稜人君登壇〕
○稲富稜人君 ただいま議長から御報告のありましたとおり、本院議員荒木萬壽夫君は、去る八月二十四日逝去されました。まことに痛惜の念にたえません。 私は、諸君の御同意を得て、議員一同を代表し、つつしんで哀悼のことばを申し述べたいと存じます。(拍手) 荒木君は、明治三十四年七月、福岡県三池郡高田町にお生まれになったのでありまして、私にとっては福岡県立八女中学校の二年先輩であります。そのとき以来、交友は五十有余年の長きに及んでおります。中学時代の荒木君は、俊秀の誉れ高く、私たち後輩のあこがれの的でありまして、私は、後輩として親しく交わりを得られたことを、当時大いに誇りとしておったのであります。 中学卒業後、君は第五高等学校を経て京都帝国大学に、私は早稲田大学に進み、そして学窓を去ってから、君は官界、私は農民運動と、別の道を歩みましたが、その間にも、おりに触れて友情をあたため合うことを欠かしませんでした。 戦後はともに中央政界において活躍することになりましたが、激しく政策論争を展開はしても、二人の友情はいささかも傷つくことはなかったのであります。私たちは真に腹を割って語り合い、励まし合った、文字どおり肝胆相照らす友でありました。(拍手) いま、その君をにわかに失い、私は心に大きな空白を覚えるのでありまして、ここにお別れのことばを述べるにあたり、寂蓼の感ひとしお深く、限りない悲痛の念に打たれるのであります。 荒木君は、大正十四年、大学卒業とともに逓信省に入り、本省の各課長を経て広島逓信局長、商工省電力局長等を歴任し、その間、剛直の士として大いに声望を集められたのであります。 しかしながら、わが国運の変転に際会して、敗戦なお日も浅い昭和二十年十月、君は官界を去られたのでありますが、郷里大牟田の住民の懇望もだしがたく、昭和二十一年一月、市長につかれました。 焼けあとに立って、住むに家なく、食うに食なき市民をまのあたりにした君は、みずから八方に足を運んで肥料を入手し、それを農家に提供して米の供出を促進し、市民の食糧確保にこん身の努力を払い、また、率先、小学校の復旧をなし遂げて二部授業制を解消するなど、文字どおり不眠不休の活動をされました。このような荒木君の活動は、窮乏にあえぐ大牟田市民に大きな希望を与え、感謝と敬慕の念を起こさせずにはおかなかったのであります。(拍手) 市長の職にあること一年余、たちまちにして市民の信頼と期待を一身に集められた君は、郷党に推されて昭和二十二年四月、衆議院議員総選挙に立候補し、みごと最高点をもって当選の栄を獲得されたのであります。(拍手) 時に、新憲法が施行され、国会は国権の最高機関として出発したのでありますが、この第一回国会において、初当選の君は、国土計画委員長の重職にあげられ、新しい日本に生まれかわるための諸議案の審議に当たるとともに、新しい委員会運営のレールを敷く上にも大いに貢献されたのであります。また、大蔵政務次官となって、戦後の困難な財政に取り組んでその手腕を発揮され、やがて、民主党の政務調査会会長あるいは改進党の院内総務の要職について、政策の立案に、党の運営に力をいたされました。 国政の各分野において着々として業績をおさめてこられた君は、昭和三十五年、第一次池田内閣の文部大臣兼科学技術庁長官に任命され、第二次池田内閣にも文部大臣として留任されました。文部大臣として在任三年余、この間、教科書無償配付の道を開き、高等専門学校を創設するなど、幾多の業績をあげられましたが、ひっきよう、荒木文政の特色は、その確固たる教育理念に基づいて諸施策を次々に断行していったところにあります。その評価はもとより分かれるところであり、その審判は歴史によって下されるべきものでありましょうが、わが文教史上に一時代を画し、大きな足跡を残したものと申せましょう。(拍手) 君は、また、第二次、第三次佐藤内閣の国務大臣として、国家公安委員長、行政管理庁長官に就任されました。この間、東大安田講堂籠城事件をはじめとする学園紛争あるいはハイジャック事件など、多くの事件が続発し、これが解決のために献身されました。また、道路交通法を大幅に改正して、とみに悪化する交通事情に対処するとともに、道路を人間の手に取り戻すため歩行者天国を実現し、今日の普及をもたらす先べんをつけられました。 自由民主党にあっても、行政調査会長あるいは総務などの要職を歴任されましたが、その豊富な経験と識見を有する君の存在は、いよいよ重きをなしていたのであります。 かくて、荒木君は、本院議員に当選すること前後十回、在職二十三年二カ月の長きに及び、その間、国政に尽くされた功績はまことに偉大なものがあります。 荒木萬書夫君は、みずからの正しいと信ずる道を貫き通した信念の政治家でありました。(拍手)文部大臣や国家公安委員長在任当時、竹を割ったよらな論旨と歯に衣を着せぬ言動に対し、世評は異常なまでの高まりを見せましたが、君は決して自説を曲げることはなかったのであります。 私は君といささか政治的立場を異にしましたが、荒木君は保守政治家として、継承すべきは牢固に守り、改革すべきは積極的に改めるとの信念に生き、毀誉褒貶を顧みず、大きな誇りと責任をもって政治の大道を邁進されたことは、何人もこれを否定し得ないところであります。(拍手) 荒木君については、ややもすると剛直の面のみが語られてきたきらいがありますが、君の心の奥底には人を思う心情が熱く燃えたぎっていたのであります。文部大臣当時、沖繩の高校生代表が文部省を訪れた際には、平素謹厳寡黙な荒木君が、「同じ日本人だ、思っていることはどしどし言いなさい。からだに気をつけてしっかりやりなさい」と、握手をかわしながら一人一人にいたわりと励ましのことばを投げかけられたとのことであります。その後、国務大臣として戦後初めて沖繩を訪れた君は、沖繩住民の切々たる訴えに強く心を痛められましたが、ひめゆりの塔の前ではついに涙をとめどなく流し、それをぬぐおうともせず、しばし立ちつくしておられたと聞いております。この豊かな心情こそ、君の政治行動の原点であり、この人間像を抜きにして政治家荒木萬壽夫君を語ることは、正鵠を射たものとはなり得ないのであります。(拍手) 天道無私、これを座右の銘とし、文字どおり日に三省してきびしくおのれを律し、政治姿勢にあやまちなきを期しておられたのでありまして、この無私の精神こそ、われわれ政治家のひとしく銘記すべきところであります。(拍手) 君は、七十二年の生涯をあたかも古武士のごとき風格と余韻を残しながら去っていかれましたが、君の胸中に最後まで去来していたのは、国家国民への深い愛情であり、わが国将来の展望であったに違いありません。 いまや、わが国内外の情勢は、激しい流動を続け、幾多の試練と難関に直面しております。このときにあたり、荒木君のごとき信念の政治家を失いましたことは、ひとり自由民主党のみならず、本院にとっても国家にとっても、はかり知れない大きな損失であります。 ここに、荒木萬壽夫君の生前の功績をたたえ、その人となりをしのび、心から御冥福をお祈りして、追悼のことばといたします。(拍手) ————◇—————
○議長(前尾繁三郎君) 本日は、これにて散会いたします。 午後四時四十四分散会 ————◇————— 出席国務大臣 内閣総理大臣 田中 角榮君 法 務 大 臣 中村 梅吉君 外 務 大 臣 大平 正芳君 大 蔵 大 臣 福田 赳夫君 文 部 大 臣 奧野 誠亮君 厚 生 大 臣 齋藤 邦吉君 通商産業大臣 中曽根康弘君 運 輸 大 臣 徳永 正利君 郵 政 大 臣 原田 憲君 労 働 大 臣 長谷川 峻君 建 設 大 臣 亀岡 高夫君 自 治 大 臣 町村 金五君 国 務 大 臣 内田 常雄君 国 務 大 臣 小坂徳三郎君 国 務 大 臣 二階堂 進君 国 務 大 臣 保利 茂君 国 務 大 臣 三木 武夫君 国 務 大 臣 森山 欽司君 国 務 大 臣 山中 貞則君 出席政府委員 内閣法制局長官 吉國 一郎君 ————◇—————