法務委員会 第21号
- 発言数
- 37 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1974/03/27
会議録
○羽田野委員長代理 これより会議を開きます。 本日、委員長が所用のため、委員長の指名により私が委員長の職務を行ないます。 法務行政及び検察行政に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。沖本泰幸君。
○沖本委員 私は、きょうは主として最近問題になりました暴力団の問題につきまして、同時に刑務所の幹部の汚職問題あるいは脅迫事件について、お伺いしたいと思います。 まず最初に、千葉市内で十八日夜、繁華街のどまん中で乗用車から散弾銃が発射された、こういう内容についてであります。十五日と十六日も同じ場所で暴力団による散弾銃の発砲があったということで、この内容につきましてもいろいろな話題が出ておりますけれども、市議会でもこの問題を取り上げていき、同時に商店街でも立ち上がって、この問題に対して協力体制をとっていく、こういうふうな内容が出てきておるわけですけれども、要は、警察が三十人もの張り込みをしている目の前でさらに発砲騒ぎがあった。付近の住民はおちおちしておれない。最近、暴力団の問題について新聞紙面等に出るのはやや下火になったように見えたのですけれども、根ざすものが非常に深くて、資金源に困っていろいろな形、いろいろな場所で暴力団問題が起きているということにもなりますし、また、しばしば刑務所の中で汚職問題がいろいろ起きてきておりますけれども、ほとんど組関係の人であるとか、こういう人たちによって問題が起こされてきておるという点をあわせて考えていきますと、これは単純に考えてそのままなおざりにしておける問題ではない、こう考えるわけでございます。 そこで、最近の暴力団の動きにつきまして、あるいは警察が以前からのいわゆる頂上作戦とかいろいろな作戦をお組みになって暴力団狩りをどんどんおやりになってきたわけですけれども、一部ではそういう面に一つの壁があらわれておるのじゃないか、あるいはなれが起きたんじゃないだろうか、あるいは手薄な問題が出てきたのじゃないだろうか、こういうふうな批判もいろいろ出ておるわけでございます。 そういう点で、最近の暴力団の動き、あるいは組織、あるいはそれに対する現在までの取り締まりの経過とあわせて、千葉市内で起きた問題に至るまでの内容につきまして、まず御報告なり御説明なりをいただきたいと思います。
○田村政府委員 最初に、最近の暴力団の動向でございますが、暴力団の問題につきましては、警察といたしましては最重点事項の一つとして、警察の総力をあげてこれに取り組んできておるわけでございまして、警察の取り締まりその他国民の協力などによりまして、全般的に暴力団の数あるいは事件というようなものも次第に減少してきておるということば事実でございます。 たとえば、現在警察で把握しております暴力団の数及び構成員でございますが、昭和四十八年中が団体といたしまして二千七百二十三団体、構成員が十一万四千五百六ということになっておりますが、たとえばこれを十年前と比べてみますと、四千五百七十三団体の十七万七千三十五ということでございますので、団体数にいたしましてざっと千八百、数にいたしまして六万三千くらい減ってきておるというふうな状況でございます。 また、たとえば検挙人員でございますが、これは構成員なり団体の数が減ってきておりますので、年によって増減のでこぼこがございますけれども、四十八年中の検挙件数は五万八千四百六十二件、人員が五万二千七十七名を検挙いたしておりまして、十年前が件数で七万三千五百余り、人員で五万八千余りということで、件数は四十八年はちょっと減っておりますが、人員といたしましては六千ほどの減少でございまして、団体、構成員が減っておりますので、四十八年は十年前に比較いたしまして決して検挙の状況が落ちているということではないというふうに考えております。 それから、問題の対立抗争事件でございますが、これも四十八年中は五十二件の検挙でございます。十年前の三十九年が六十八件ということでございます。 それから、取り締まりの成果の一つとして考えられますし、また私どもが暴力団取り締まりの重点の一つとして強力に推進をいたしております凶器の押収の状況でございますが、これも四十八年中は七千五百六十四件で、うち拳銃が九百三十六件、これは改造して発射機能を有するようになっております拳銃を含んでおりますが、十年前が七千五百五十八件で拳銃が五百五十二件でございますので、四十八年は総数でほとんど変わりませんが、拳銃の押収ではうんとふえておる、こういうふうなことでございます。 数字をあげまして御説明をいたしますとそういうことでございますが、全般的に見ますとそういう状況ではございますけれども、しかしながら構成団体、人員とも減りながらも、暴力団といたしましては組織の再編成をはかっていく、それからその結束を固めるということに力を入れておりまして、さらにこのそれぞれの組がいま申し上げましたような組織の再編成あるいは結束を固めると同時に、相互に連携をするという動きが見られることでございまして、ここに強い組織防衛の動きが見られるわけでございます。それからまたこの十年間を振り返ってみますと、やはり大規模な広域暴力団というものに次第に吸収されて、系列的なものがだんだんはっきりしてきておるという動きがあげられようかと思うのでございます。そしてそういう大規模な暴力団組織のないところ、あるいは弱いところに進出しようという動きも全国的に見られるわけでございます。 警察といたしましては、暴力団というものは、御承知のように一朝一夕にしてこれを根絶することは非常にむずかしい問題がございますので、そのときそのときの状況によりましていろんなことを考えながら対処してきておりますが、何とかこれを根絶しようということで、とにかくたゆまずやる。一朝一夕にできることではございませんので、常時たゆまずこれの取り締まりを実施する。それから警察の中でも刑事警察なら刑事警察だけの一分野ではなくて、外勤警察の分野あるいは防犯警察の分野、あるいはまた交通警察の分野、あらゆる総合的な面からの取り締まりをやっていく。それからそれと同時に、大事な問題でございますけれども関係の国民の方々あるいは被害者、関係者の保護ということについてできるだけの努力をして、そういうことによる被害と申しますか、不安がないようにしていくというようなことで現在まで取り締まりに当たってきておるわけでございます。そういうふうなことで、いろいろとそのときに応じて施策を考えてきておりますが、約一年前には警察の最重点項目の一つとして長官通達を全国に発しまして、暴力団取り締まりの徹底をはかってきておるところでございます。 そういうふうな情勢の中で、いま御指摘の千葉県の事件が発生をいたしたということでございまして、この千葉県の事件につきましては、概要はもう十分御承知のことと存じますけれども、原因は千葉市栄町の繁華街におけるなわ張りをめぐる稲川会系の大草一家と住吉連合の越川派というものの抗争事件でございまして、三月十五日の午前零時ごろから始まりまして、現在までのところ、三月十九日の夜の八時五十五分ごろまで六回にわたっていろんな事件が起きておりますが、そのうち四回猟銃が使われておる。それでその間、ただいま申されましたように、多数の警察官が警戒をしておる中でこの猟銃が発射されたというような状況でございました。このときも、この関係の団体の事務所のすぐ近所には、それぞれ自動車に捜査員を乗せて張りつけておいたわけでございます。御指摘のありました十九日の晩の分につきましては、住吉系の事務所の十五メートルほどの三差路のところに車を置いて警戒いたしておったのでございますが、そこに突然走行してきた車から猟銃が発射されまして、直ちにこれの追跡にかかったわけでございます。当時自動車の走行が多くて、間にほかの車に入られまして、追跡をいたしたのでございますが、二百五十メートルほど離れた踏切の遮断機で分離をされ、かつ間に車がはさまれましたので、ナンバーも確認をできないということで、残念なことでありまするけれども捕捉することができなかった、こういうふうな状況であったわけでございます。その後千葉県警では、経過は省略をさせていただきますが、結果といたしまして五回にわたって四十一カ所ばかりを捜索いたしまして、日本刀、ナイフ、本刀等三十二点ばかりを押収いたしますと同時に、現在まで関係者を七名検挙して、さらにこの抗争事件の関係者並びにその首謀者等の捜査を現在鋭意進めておるというような状況でございます。
○沖本委員 あらましのことは御説明でわかるわけですけれども、この千葉の場合でも町ぐるみで態勢を整えていくというような自衛手段的なことをお考えになり、市会のほうでもこの問題に対しまして決議をしておる、こういうことになるわけで、これは形としては非常にいい形がとれたのではないかとも考えられるわけですが、前からの経過をずっと見てみますと、どうしてもこういう問題に対してはいわゆる市民の協力が非常に必要であるということも考えられますし、またその反面、あわせて市民の安全をはかっていく、治安をはかっていくという大きな体制を組まなければ、また協力も得られないということも考えられるのじゃないか、こういうふうに考えられます。そういう点につきまして警察庁としてどういうふうな対策なり、今後この問題を掘り下げていって未然に防いでいくということに関する対策、そういうふうなものがおありでしたらお示しいただきたいと思います。
○田村政府委員 市民の協力と暴力団の取り締まりの関係につきましては、ただいまの御質問の内容のとおりでございまして、暴力団の事件、これはもうそれにかかわらず犯罪捜査一般でございますけれども、特に暴力団事件の捜査の場合には、市民の方々の御協力を得なければ、この予防もまた捜査も何事も進まないということでございますが、逆にまた、そういう御協力を得るためには、警察に協力をしていただいたためにいろいろ御迷惑をかけたり不安を感ずるようなことがあるということになるとなかなか協力が得られない、こういうことでございますので、私どもとしては、やはり協力をしていただく、そしてそういう方々については御迷惑や不安を感ぜられるようなことがないように万全を尽くしていくということでなければいけないということで、いろいろなことをいままでも考えております。 それで、場合場合によっていろいろ変わると申しますか、対応のしかたも考えていかなければならないと思いますけれども、定期的に連絡に参る、あるいは一一〇番的なものを設置をして何かあればすぐ連絡をしていただく、さらに緊急通報装置というような機械的なもの、これは関係者の方のところの電話器などに設置をいたしまして、ボタンを押すことで連絡ができるようなそういうふうなものも取り入れていくということで、現在そういうものも緒につかんとしておるような状況でございます。それからまた、状況によりましては警察官が二十四時間、何日間でも関係者の方の保護のために自宅あるいは隣家等に張り込むといいますか、いるというような体制もとるということもやっております。それは場合場合によって異なりますので、そういうような状況につきましては、そういう方々と十分御相談をして、こういうふうな場合にはどうするというような御希望、御要望等も入れまして対策を考えていくということで、これは暴力団の取り締まりということをやってまいる上におきましては欠くことのできないことでございますので、今後ともそういう点につきましては、さらに徹底をした関係者の保護対策と申しますか、そういうふうなものを進めてまいりまして、その地域なりあるいは関係の業種なり、そういう方々の全般的な御協力というものをいただいて、取り締まりを強力に推進をするということで今後ともやってまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○沖本委員 重ねて申し上げるようになりますけれども、暴力団と一がいにいっても、千葉の事件ではなわ張り争いである。なわ張り争いは、いろいろな町の中の麻薬であるとか覚せい剤であるとか、あるいは飲食店のなわ張りであるとか、いろいろな小さな複雑な内容の中から暴力団的な資金を得ていくというやり方から、上のほうは総会屋に至るまでということになり、先ほどおっしゃっておられた広域暴力団に発達していって、系列化していく傾向もある、こういうことも顕著に出ているというお話でもあります。また一面は、今度は取り締まりをのがれるため、バーとかキャバレーとかトルコぶろとか風俗営業とか金融業などの経営にも乗り出していく傾向が強くなって、こういうところから市民生活の場に堂々と根をおろしていっている、こういうふうに内容が非常に複雑になってきておる。こういう点と、それからその複雑さから出てくるいろいろな被害なりあるいは市民生活を脅かしていく、こういう内容について十分体制をとっていく、こういうことはおっしゃっておられるわけでございますけれども、検察当局にその被害者や証人の保護が何をおいても徹底的にやり抜くという体制については、いまお話がありましたし、お礼参りなどはそれなりに張り込みをやったりしていくという体制をとっていくということなんですけれども、結局はそのあとお礼参りなり何なり、みずから警察に協力した場合にその後に起きてくる被害が自分にまた戻ってくるんじゃないかというような点、その恐怖心的なものからどうしてもそういう被害届けなり通報なりというものがなくなってくる。あるいは小さな暴力で電車の中で起きる暴力でも、やはりこのごろは全体的なモラルの低下ともいえるわけですけれども、見て見ぬふりをしていくという最近の市民生活上のいろいろな態様、そういうものを考えていきますと、この辺に大きな重点を置いていただいて、そしてもっとPRなり何なりをしていきながら、市民生活上こういうものの根を絶やしていくには絶えまない民、警の協力が必要であるという点についての市民への呼びかけなり、精神的なものであり何でありというものが、体制が十分確立されていかないとむずかしいんじゃないかというふうにも考えられるわけですけれども、そういう面につきまして具体的な対策をお考えになっていらっしゃるかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。
○田村政府委員 国民と警察が一体になってやらなければ暴力団の取り締まりというものは困難ではないかと言われる、御質問のとおりでございます。それで、いま御指摘がございましたように、それぞれの地域なり業種なりによりまして、いろいろ大小さまざまな生活のからみというようなものの中で暴力団が生存をし、あるいは発展をしていくということが考えられるわけでございまして、やはり何と申しましても暴力団取り締まりの一つの大きな重点と申しますか、それは資金源というものを押えていく、資金源を断つということが一つの大きな取り締まりの重点でございますので、大小にかかわらず、そういうものを押えていかなければならない。そういうことのためには、やはり地域、職域の皆さん、国民の皆さんの御協力がなくてはならないということで、しかもいま御指摘がございましたように、少数あるいは個々にそういうふうな協力をしていただくということは、なかなか言うはやすくしてもむずかしい面がございますので、やはり地域なり職域の関係者の方々がそういうふうな組織といいますか団結といいますか、そういうふうなものの上に立って御協力をしていただくということが肝要だと考えますが、この点につきましてはそれぞれ各都道府県の警察におきまして、地域あるいは職域、業種等に応じましてそれぞれ適切な方法を考えていくということで、そういうものを推進していくということについてはかねがね警察庁としても全国的にそういうふうなことの方針というものを持ってやるというようなことで、各都道府県警察ともいろいろ協議をしてまいっております。いままでもそういう面で相当な成果はおさめてまいっておると思いますけれども、なおそういうものを強力に推進をする。それから特に全国的に見まして繁華街といいますか、いろいろそういうふうな温床になりやすいような繁華街というようなものが相当個所あるというのは事実でございます。そういうふうな温床になりやすいような地域につきましては、これをさらに検討をいたしまして対策を強力に進めていくということで、近くあらためて具体的な対策について関係の都道府県と御相談をいたしまして、また新しい角度から何か取り上げるべきものはないかというような点もあわせて検討して、強力にこれを推進してまいりたいというふうに考えております。 それからいわゆる街頭などにおきます小暴力の問題でございますが、これもただいま御質問にございましたとおりでございまして、なかなかむずかしい問題ではありますが、従来から暴力団取り締まりの重要な一環といたしまして推進をいたしてまいっておるものでございますが、今後とも、いろいろむずかしい問題はございますが、警察といたしましては犯罪の予防という観点、あるいはまた小さな暴力でもこれを取り上げて迅速に対処をしていくという観点をもちまして、そういうふうな街頭暴力というものはどんな小さなものでもすみやかにこれをなくしていくという、そういう考え方でさらに強力にこれを推進してまいりたい、こういうふうに考えております。
○沖本委員 あとで御質問することにはしておりますけれども、刑務所の職員の方でも汚職問題がしばしば起きているわけです。それで今度も起きたわけですけれども、これは、一つの閉ざされた中においてなおかつそういう問題が起きてくるということがあるわけでありますけれども、市民との接触を一番多く持っている警察行政の中にあって、市民生活の中から問題を拾っていかなければならない点が多々あるわけですね。ですから、取り締まり本位に重点取り締まりをやっていく一つの組織的な取り締まり方法と、日ごろの治安を保っていく中にあって市民との接触の中から問題を拾い上げていくという点もあるわけです。そういう点について、警察官自体がいわゆるそういう暴力団の中身の中に巻き込まれていくということが、これはあっては困るわけなんですけれども、人間ですから起きないとは断言できないわけですね。そういう面につきまして、現在警察庁のほうとしては守るほうの側にどういうふうな体制をお持ちか、お答え願いたいと思うのです。
○田村政府委員 国民の協力を得て警察の仕事を進めていくということのためには、まず警察官が信頼をされなければならないということはもうごもっともでございます。特に暴力団の取り締まりの場合につきましてもこれは当然のことでございます。いま手元に資料がございませんので、一、二数字はあるいは若干違うかもしれませんが、四十八年中に暴力団の取り締まりに関係をして警察官が犯罪あるいは犯罪にはならなくても非難さるべきような行動などがあったというような件数は、私が記憶しておりますのは三件ぐらいのような記憶でございます。あるいは一、二件多かったり少なかったりするかもしれませんが、これは数は少のうございますが、こういうようなことが普通あり得ないことでございますけれども、例外的にかりに一件でも起きるということがありますと、それはもう警察に対する信頼に影響をしてくるということはこれまた申すまでもないところでございます。ただ、捜査の場合には、いろいろと関係者に接触をする、あるいは聞き込みをやる、取り調べをする、その他もろもろの捜査活動の中でそういうふうな接触の場合にそういうものが出てこないということは皆無とはいえないではないかというふうに言われましたが、まさに皆無とはいえないということでございます。 これに対してどういうふうな対策というものを講じていくかということでございまして、これは具体的にはその場合、場合によりましていろいろと留意をすべき事柄もあろうと思います。思いますが、やはり一番根底をなしますものは、職責を自覚をするということが一番の基本であると思います。やはり暴力団の犯罪を取り締まりをする、暴力団の犯罪を捜査をするというそういう職責というものを十分に自覚をするということが、そういう取り締まりなり捜査なりに関連をして道ならぬ方向に足をとられるというようなことをなくするということのための根本的な問題でございまして、暴力団取り締まり捜査に関係をしております警察官は、いずれも私はそういうふうな職責の自覚ということを十分持ってやっておると思いますけれども、いつか知らず知らずのうちに、あるいはついうっかりというようなことでそういうふうなことになりませんように、今後ともほんとうに暴力団犯罪というものと対決をし、これを壊滅していくのだ、それが自分たちの職責であるということをさらに十分自覚をして取り締まりに取り組んでいくというようにしていかなければならない、こういうように思います。
○沖本委員 先ほど刑事局長が御発表になったわけですけれども、四十八年度で団体数で二千七百二十三ですか、十一万四千五百六人の構成員数があるだろう。ここからいろいろ犯罪が発生しておって、数としても相当な数になるわけですが、私が刑務所のほうへ見せていただきにいった場合でも、刑務所の中の受刑者の中で、ある刑務所では大半が暴力関係の受刑者ばかり集めていらっしゃる。他との区分もあるんだというお話もあったわけですけれども、現在受刑していらっしゃる暴力事件に関係したあるいは暴力団と見られた人たちの受刑者は年間どれくらいであり、どれくらいの出入りがあるんでしょうか。
○長島政府委員 ただいまお尋ねの点でございますが、昨年の十二月末日現在の数によりますと、刑務所、拘置所に収容されておりました者の総数が約四万六千名でございまして、そこのうちの約九千名を上回る者が暴力団関係者で、パーセントにいたしますと二〇%ということでございます。これが全国平均でございます。なお年間の出入りでございますけれども、約五千名という数が年間に出入りしておるわけでございます。 それで先生の御指摘がございましたように、こういった暴力団関係者は大体前科を持っておりますし、更生が非常に困難であるということでございますので、初犯で更生が容易な者とは別に区別いたしまして、主としてそういうむずかしい者を扱う刑務所に入れております。したがいまして、そういったむずかしい者を扱う刑務所におきましては当然に暴力団の比率がふえておりまして、名古屋とか横浜とかいうような刑務所におきましては、三〇%あるいはそれを上回るという数が暴力団になっておるわけでございます。 以上が実情でございます。
○沖本委員 いまのお答えにあったとおり、パーセントがふえている、数がふえていることは検挙数がふえているということになって、検挙の実数が上がっているということにもなるわけですけれども、そのわりに——これは犯罪の内容によって刑期がきまるわけですから一がいにどうこうとはいえませんけれども、刑期が短くて出ていく人がいらっしゃる。そういう者の数によって一般市民から見てあの人はこわいスタイルだということで、何かの被害的なわずらわしい問題があって被害届けを出すなり何なりをして、それだけではいけないけれども検挙されて市民の目から消えていった。ところがまた間もなく出てきて、同じところへ姿をあらわしておるということが市民にとっては一番恐怖心をかき立てるということになるわけですね。それはまじめに更生している人もいるでしょうけれども、更生したかしてないかということは市民の目にはわからない。こういう面が多々あるわけなんですけれども、そういう面について一々それぞれの機関なり施設でチェックはしてそれをはかっていっていることには違いはないわけなんですけれども、そのこと自体がどの程度実効をあげているか、あげてないかという点も十分わからないということになるわけですから、刑事局長のほうでもこういう実数から見て、お礼参りというものがないんではないのだ。これは十分気をつけているけれども、そういうもの自体が一般善良な市民の目に相当な恐怖を与えるというふうに受け取っていただいて、よりそういう被害が——その人たちがいわゆる受刑生活を終わって刑期を終えて出てきてからあとの更生期間なり何なりは、やはり警察のほうも十分目をつけていただいて、そして市民に迷惑がかからないようにいろんな点を配慮していただくことが、より今度は警察のほうにこういう内容についての協力を得ていくという一つの働きに変わってくる、こういうことも連鎖的に考えられるわけなんですけれども、この点を十分、いまの数字なんかは御存じだとは思いますし、統計はおとりで研究もしていらっしゃるとも思いますけれども、十分検討していただいて、十分な万全の策を講じていただきたい、こう思うわけでございますが、その点いかがでございますか。
○田村政府委員 ただいまの御質問の御趣旨、まことにごもっともでございます。ただ問題は、そういうふうにして出所をいたしてまいりました場合に、お礼参りの問題でございますが、お礼参りを防止をするあるいは検挙するということでございまして、これにつきましては関係者等との連絡は先ほど来申し上げておるところでございますので、そういう連絡というようなことには十分手落ちのないようにいたさなければならないと思いますし、また万一そういう事件が発生をいたしました場合には、これをすみやかに検挙をするという方針で警察としてはやっておるわけでございますが、問題といたしましては、そういうふうな刑務所などから出所をしていわゆるしゃばに帰ってきたというような場合に、そういうふうな者を全部どのようにしてチェックしていくかということでございますが、これにはいろいろ問題もございまして、それがまた更生を妨げるというようなことと、うらはらの問題になる場合もございますので、そこらは十分考慮をいたしまして法務省の関係当局と十分に御連絡をとって、いわゆるお礼参り事案の防止ということにつとめてまいりたい、こういうふうに考えております。
○沖本委員 それじゃ刑事局長のほうはおかげんが悪いそうですから質問これで終わりますから、どうぞ御退席してください。 それで法務省の刑事局長にお伺いいたしますけれども、これは大臣にもお伺いしなければならないわけですけれども、繰り返すことになりますが、千葉で非常に堂々と銃の乱射というのがしばしば起きるわけですね。こういうふうないわゆる暴力団の事案に対して、検察庁としての方針なり大臣なりのお取り組みのお考え方は、どういうふうなお考えでいらっしゃいますか。
○安原政府委員 先ほど警察の局長が申されましたように、平和な国民生活にとりまして暴力、特に暴力団のばっこということは最大の敵でございますので、検察庁といたしましてもすでに各地に地検に暴力係検事を置きまして、常にその管内における暴力団の情報収集につとめますとともに、一たん事犯が起こりましたときには、単なる表面的な事件の処理に終始することなく、その背後関係を剔抉するということによって事犯の根源を突く捜査をやるということを一つの方針としておりますし、また先ほど警察の刑事局長御指摘のように、暴力団のばっこに対する基本策には資金源を断つということをはからなければばっこを防ぐわけにはいかないという意味におきまして、最近は知能犯化しております脱税とか、あるいは先ほど御指摘のように総会屋あるいは麻薬覚せい剤事犯、あるいはやみ金融事犯というようなあらゆる資金源獲得のための事犯にも捜査の手を伸ばすべきだ、多角的な面から暴力団の根絶に尽くすべきだということを基本の方針にしております。 それば事犯の処理についてでありますが、同時に、先ほど御指摘のように、暴力団の根絶のためには適正な科刑の実現ということがなければならないということもまことに御指摘のとおりでございますので、一たん起訴いたしましたものにつきましては、暴力団事犯の害あるいは被告人の悪性立証ということにつきまして、公判活動におきましても充実した検察活動をやるということによって適正な科刑の実現につとめるということも検察の重大な方針にしておりまして、全力をあげて対処しておりますが、御指摘のように、まだ根絶というにはほど遠い状態でございますので、今後ともこの方針のもとに努力を続けるというのが検察当局の方針でございます。
○沖本委員 矯正局のほうから先ほど受刑者の数字の御発表があったわけですが、これは数字で簡単にお答えいただいたわけですけれども、この面で増加の度合いが——増加していることは検挙していることになるわけですけれども、検挙したからといって数が減ったということにはまた当たらない面もあるわけですね。社会情勢のいろいろな変化によって違ってくるわけですから、一がいにはそうは言えませんけれども、だんだんふえてきておるものか。いわゆる全国の刑務所の中でどれくらいの率、いま率はおっしゃったわけですけれども、全受刑者の中で二〇%強ということになっていますけれども、その実態ですね、どういう形で入っておるかという点、受刑の状態というようなものについて、わかる面があったらおっしゃっていただきたいのです。
○長島政府委員 お答え申し上げます。 先生御承知のように、最近は裁判所による一般的に執行猶予等の言い渡しがふえてきております。これは暴力団についてではございませんで、一般犯罪についてはそういうことがふえております。そういう関係で、刑務所に入ってまいりますものが次第に累犯者とか凶悪犯とか暴力団とか、むずかしいものの比率がふえてきております。現に暴力団について申しますと、数年前までは全国で大体受刑者の一五、六%から一七%程度でございましたけれども、現在は、先ほど申し上げましたように二〇%まで増加してきておるわけでございます。こういうような非常にむずかしい受刑者がふえてきておりますので、ことに暴力団につきましては、幹部級が入りましたような場合には、従来暴力団が本拠としておりますところ、あるいはそれの関連のあるような組がある、そういうようなところの近くの刑務所に置きますと非常に問題がありますので、そういう関係の薄いところへ移していくというようなことをいたしまして、幹部級については、分散収容と申しますか、地元に関係のないところへ持っていくというような収容方法をとっておるわけでございます。いろいろ処遇自体につきましても、こういった暴力団で幹部級になっているあるいは相当いい地位になってきているような者につきましては、たいへんむずかしい点がございます。普通の受刑者と同じように単に愛情をもって接するというだけではまいらない面がございまして、かなりきびしく規律をもっていく、対応する職員のほうも非常にきびしい態度で臨むというようなことがありませんと、どうしてもうまく処遇ができないというような実情がございまして、さような点には十分に留意させて処遇をやっておるわけでございます。
○沖本委員 分散して収容していらっしゃるし、きびしい厳格な態度で臨んでいるということになるわけですけれども、こういう面が一番——暴力団に当たるわけでしょうけれども、金嬉老の場合は違った面のあれが出てきているということになりますし、刑務所の中で携わっていらっしゃる職員の皆さんでも、やはりお礼参りとはいかないけれども、何らかの外からの圧力なんかがあったり連絡があったり誘惑があったり、いろいろなことで事故を起こしていく、ために絶えないわけですね。特にこういう幹部級の方々は、下部の人たちが幹部の身を案じながらいろいろと接触をしたり、中との連絡をとったりということのために接近していったりいろいろなことがあるとは思うのですけれども、そういう面についての研究なり対策なり何なりというものはどういうふうにしていらっしゃるわけですか。
○長島政府委員 まことに遺憾でございますが、先生が御指摘くださいましたように、刑務所の中でときどき暴力団の関係等でこういうような不祥事が起こっておるわけでございまして、まことに遺憾でございます。刑務所で何より大事なことと私思っておりますのは、公平な処遇ということでございまして、それがくずれてまいりますと、刑務所の処遇というものは成り立たないというふうに考えております。 先生がおっしゃいましたように、刑務所の職員につきまして一つのジレンマがあるわけでございます。一番大きなジレンマと申しますのは、刑務所の職員は、犯罪者を直していく、矯正するという仕事を持っておりまして、矯正するためには相手方を知らねばならぬということが当然でございますので、どうしても四六時中いわば相手方に接触もいたしますし、その心情を理解しよう、助けてやろうということで、そこに接近があるわけでございます。そのことが行き過ぎますと、一つの、何と申しますか、友情のようなものと申すのでございましょうか、プライベートな人間関係へ誤ってそれが発展する要素があり得るわけでございます。一方で非常に厳正公平な処遇をしなければならぬという責任があり、一方で人間的に更生をはかるという問題がございまして、この二つのけじめをはっきりとつけておきませんと、とかく間違いが起こります。特に暴力団の団員のような場合におきましては、常套手段でございますけれども、非常に善良な人間のような風を装って接近をしてくる、仲よくなる、仲よくなってから何かの拍子に、ちょっとしたことが、規律違反と申しますか、ほんのわずかな規律違反のようなことがありますと、それを種にいたしまして、それをばらすというようなことで、だんだんと深みに引き込んでいくというような、誘惑、恐喝、両方を使って職員を引き込んでいくというような事例が過去に、ことに一般の看守の間におきましてそういう事例が発生しておるわけでございます。 これについての対策といたしまして、まず、先ほど警察庁からもおっしゃいましたことでありますけれども、第一に、一番大事なことは職責を自覚することだと思います。ほんとうにむずかしい、しかし大事な仕事を自分たちはやっているのだというその信念と申しますか自覚と申しますか、これがなければ、根本にこれを常に持っておらなければ、非常に誘惑の多いあぶないポストだというふうに思います。 具体的に申しますと、こういった誘惑におちいらないための各種の予防手段というものをとる必要があるということでございまして、これについては従来いろいろな指導をしてまいっております。たとえば若年の職員等の場合に、何か自分で考えてちょっとこれは問題が起こってきたというようなときに気軽に上司に相談をする、あるいは同僚に打ち明けるというような職場の雰囲気をつくっていく、一方、監督者は、刑務所の中を巡回いたします場合に、単に収容者を見るだけでなくて、勤務している職員の状態、それから職員と収容者の関係というところも十分に見て回るということ、さらには、監督者は単に職場だけでなくて私的生活についてもよく注意をしておって、極端に乱れたような生活態度が出てきた場合にはそれをよく問いただしていくというようなことによって早期に問題を発見するというようなこと、あるいは、先ほどおっしゃいましたように各家族に対して品物を送ってくる、あるいは脅迫文が舞い込むというようなこともございますけれども、そういう場合にすみやかにそれを上司に報告をしてくるということを励行するというようなこと、そういったようないろいろな対策を従来から講じてきておりまして、こういう基本的な心がまえとか対策等につきましては、毎年開かれます刑務所長あるいは少年院長等の会同の際に毎回大臣から綱紀の粛正について、特に刑務所職員の職責にかんがみてその点を強調しておられます。誇りを持って士気を高めてこういうことにならないようにということの指摘が毎回なされております。私からも各種の協議会の際に、協議会といたしまして昨年も三回にわたりまして綱紀の粛正その他職員の士気の高揚、一体感の醸成というような問題を取り上げて協議を尽くしておるわけでございますが、以上のような努力にもかかわらずなおあとを断ちませんことにつきましてはまことに遺憾と存じております。
○沖本委員 あとからお伺いすることを先にお答えになったことになるのですけれども、それで先日ありましたいわゆる刑務所の元幹部に逮捕状が出た。収賄したことが負い目になってゆすられたということからこういう事件に発展したわけですけれども、私たちは新聞紙上で内容を知ったわけですが、短いお話でこの事件の内容、経過を少し御報告いただきたいと思います。
○長島政府委員 実はこの問題になっております職員は昨年の秋ごろから高血圧になりまして、健康状態が非常に悪くなってまいりまして、昨年の暮れごろから血圧が最低が百六十、最高が二百十というような状態になってまいりまして、それで昨年の暮れごろに辞職願いを出してきたわけでございますが、本年に入りまして二月上旬ごろからはほとんど通院するか、そうでなければ自宅で寝たきりという状態になりまして、早期の退職を希望したということで、二月の末日付で退職さしたわけでございます。そのような状況でございまして、その後新聞でこれが恐喝の被害者になっておったという報道がございました。その事実は承知しておりますが、退職後でございましたので特に本人についてその恐喝事実について調べろということを現地に指示はしなかったわけでございます。捜査当局でお調べ中であろうということでそのままにしておったところ、先般今度は被疑者ということで逮捕されたという新聞記事を見て私も実はびっくりしたわけでございます。そういうことでございまして、ただいま捜査にかかっておりますので、私どものほうとしては捜査の内容につきまして新聞記事以上のことば存じておらないわけでございます。
○沖本委員 刑事局長にお伺いいたしますが、いま捜査の段階で捜査の内容に触れることは避けたいわけですけれども、許されれば、この種の内容のことですから、問題は国民に大きな影響を及ぼすとかいうことでなくて、むしろ国民はその経過なり何なりを知りたいというところが多いのじゃないかと思うのですが、あとのために許せる範囲内で事件の概要をお知らせいただけたらと思いますけれども。
○安原政府委員 いま御指摘の日沖正常は、三月の二十三日に警察官により逮捕されまして、二十五日に検察庁に送致され、いま勾留中でございまして、まだ捜査中でございますので事実が確定したということではございませんが、一応被疑事実といたしましては次のような被疑事実で逮捕されていることになっております。 被疑者の日沖正常は昭和四十四年四月十六日から四十八年の三月十五日までの間名古屋の刑務所の分類審議室長というポストで勤務をいたしまして、受刑者の資質鑑別、拘禁及び処遇の分類、作業の指定、累進処遇、仮釈放の審査並びに保護に関する職務に従事していたものであるけれども、賭博開帳図利あるいは銃砲刀剣類所持等取締法並びに火薬類取締法違反の罪で懲役五年二カ月の刑を受けて昭和四十五年十月二日から名古屋刑務所に服役しておる博徒導友会光岡組の組長明官成——韓国人名でありますが、明官成の弟である明道成から兄の明官成の累進処遇及び仮釈放の審査に種々職務上の便宜を受けたいという請託の趣旨のもとに、供応または供与されるものであることの情を知りながら名古屋市内のホテル、ナゴヤキャッスル等で酒食の供応を受けあるいはその同じところで現金五十万円の供与を受けたという疑いのもとに目下捜査中であるというのが現況でございます。
○沖本委員 非常に遺憾な事件であるわけなんですけれども、特殊な場所で特殊な事件が起きてくるわけですからそれだけ目立つと言ったら語弊があるわけですけれども、そうではなくて、大きい問題だけ取り上げていっても、国民の耳をそばだてる大阪大学の不正入試事件なり金嬉老の事件なり何なりで、一体刑務所の中はどうなっているのだろうという疑惑の目が国民の中から生まれるわけです。私たちもぎょっとしてそういうものを見るわけですけれども、同じようなことがしばしば出てくるわけです。それで全部外からの働きかけ。本人から言い寄ったことがあるかないかということはわかりませんけれども、そういうことでほとんど事件のケースというのは暴力団の人との関係が非常に多いということになるわけであり、極端な例でいくと、刑務所の中へ行って伺いますと、ボールの中にたばこを入れて休憩時間に外に出ているときにそこへほうり込んでみたり、いろいろ通報的な内容があるということにもなりますし、それから職員の方も限られた場所に官舎を持っておって、一つの閉ざされた中に生活条件があるわけです。社会と隔絶した中の勤務状況でもあるわけです。これはしばしば私は御指摘申したわけです。ですから、自然に転勤、転勤ということは非常に子供の教育なり何なり困るわけですけれども、さりとて、環境を変えて、勤務を変えていくということは、閉ざされた中で仕事をしていく上からは大事なことではないかと考えられるわけなんです。同時に、視察に行ったりして見させていただくと、一方ではいわゆるお役人の方ですばらしい官舎にお入りになっている人もおれば、そうかと思うと、明治時代からの官舎ではないかと思われるところへお住まいになっておったり、町のどまん中に古ぼけた官舎、これが刑務所の中につとめている人の官舎です。外へ出て話するのもかっこ悪いというような、また町の景観の中で環境を整えていく中からもそこだけ一区切りが区切られているようになっておる。これは当然ずっと町はずれにあったものがだんだん人口集中なり都市の発展で町のどまん中に刑務所がきてしまった。最近は移転問題がいろいろ起きているわけですけれども、それに付随して同じようなことが起きてきている。そういうふうな周囲の環境もいろいろ変わってきているわけですね。そういうものを考えていくと、ただ単に精神的な綱紀粛正ということだけでこの問題を防いでいくということはむずかしいんじゃないかと考えられるわけです。ですから、勤務条件をもっといろいろ変えてあげるなり何なりということが基本になってくるんじゃないかという点で、われわれが問題が起きたときに刑務所なり何なりを見せていただいたときは、当を得ているかいないかは別ですけれども、そのつど気がついたことは御指摘はしておるわけです。それについていろいろと改善するなり何なりというお答えもあったわけですが、いろいろ御指摘申し上げたり、あるいは皆さんのほうでお気づきになってこの点は改善しなければならないというような点があって、それがどの程度改善されていっているかどうか、その点お伺いしたいのです。
○長島政府委員 お答え申し上げます。 まことにありがたい点につきましていろいろ御指摘をいただきました。第一の問題でございますが、刑務所が一つの閉ざされた社会だ、職員もまたそういう官舎に住まわっておりまして閉ざされた一つの社会になっているという点がございました。これは確かにそういう点がございますので、この点についてはいま、昨年以来一つのスローガンと申しますか、刑務所をなるべくできる限り社会に開いていこうというスローガンを立てておるわけでございます。これは職員を含めましてなるべく社会に飛び込んでいく、社会の理解を得るためには職員がやはり社会から離れていてはいけないのじゃないかということで、社会に開いていこうということを推進しておるわけでございます。 第二点に、環境を変えるという問題がございました。この点につきましては、幸いに本年度はこの春に定期の人事異動がございますが、その機会に相当多数の職員の配置がえができることになりまして、下級職員につきましてもかなりの程度の配置がえができたというふうに考えております。気分がこれで相当一新できるというふうに考えておるのでございます。官舎が不良であるとか職務環境が悪いという点は御指摘のとおりでございまして、昨年以来、刑務所の職員が夜寝ます部屋の宿直室、仮眠室と申しますか、これに冷房を入れましたり、官舎につきましても、特別会計等に乗りますものは順次乗せまして新築を始めてきております。 それから人事院の御協力、大蔵の御協力を得まして、俸給につきましても、本年度は従来よりも相当高い程度のベースアップを見ていただいております。またいろいろな手当につきましても、そういうことができてまいりました。 そういう意味では、環境の改善については勤務体制の改善と申しますか、勤務条件の改善についてはできるだけの努力を積み重ねてまいっておりますが、問題は、何と申しましても矯正の職場が一つの誇りのある職場と申しますか、ほんとうに生きがいのある仕事をやっているんだというふうに職員自身が感ずる、その程度までこの職場の雰囲気を盛り上げていきたい、ぜひそういうふうにしていきたいというふうにいま考えておるわけでございます。これにはやはり広く市民の御協力、御理解が得られなければならないと思うのでございますが、そういうやさきでございましたので、今度の事件につきましては非常にショックを私自身受けたわけでございます。
○沖本委員 閉ざされた中ですから、それをより閉ざしたようなことにしてしまっていくと社会から隔絶されてしまうということで、われわれの民主主義的な現在の生活態様の中では、社会生活の中にとけ込んだ中からそういう誘惑なり何なり、いろいろな脅迫というものから自分みずからを守っていくというものができ上がっていかなければいけないわけです。そういうためには、やはり社会との接触もある程度深めていって、社会生活、一般市民との接触がある程度なかったら私はおかしいと思うのです。それをむしろ社会からシャットアウトしてしまって、中だけのことを考えているというようなことのないように方法をいろいろ考えていただかなければならないんじゃないか。これは裁判官の皆さんにも伺ったら、同じことをおっしゃっておられたわけです。家族の結婚にまで影響してくるというような点も、これは社会から閉ざされた一面も出ているわけです。そういう面も十分考えていただかなければならないと思うわけです。どうしてもこういう問題が、先ほどからずっと一貫して御質問しているわけですけれども、事は暴力団のいろいろな内容の中から生まれてきている派生的な犯罪である。それから、問題を起こして刑務所の中まで累が及んでいっているということになるわけですから、よほどこの点は考えていただいた対策をお立てになっていただかなければならないんじゃないかというふうに考えられます。この点そういうふうに考えるわけですけれども、大臣のほうはこれについてどうお考えでしょうか。
○中村国務大臣 刑務所の仕事というのは非常に大事な仕事でございまして、いま局長から申し上げましたように、できるだけ一般の環境に合ったような方法で改善をしていく必要があると思います。特に最近暴力団の事件がしばしばございまして、先ほど局長からも申し上げましたように、暴力団のパーセンテージが二〇%にも当たるというような現状にかんがみまして、今後一そうこの方面に最善を尽くしていかなければならない、かように考えております。
○沖本委員 前からよく申し上げるのですけれども、行ってみると刑務所と書いてあるのです。その基本になる法律は監獄法なんです。刑法全面改正の一つの動きの発端ともいえるのは、いつまでも監獄法ではないということにかかってくる面もあるというようなことから刑法全面改正という動きにだんだんなっていって、それがだんだん近づいてきているという段階になるわけです。監獄法を変えなければならないというのは、監獄法の中に問題が多く出てきたから監獄法を変えなければならない、こういうふうになってきておるわけでありますけれども、この監獄法を変える作業あるいは問題点というようなものはどんな点がいま問題にあげられていて、これを変えなければならない作業が進められておるか、その内容はどの辺までいっておるか。いつごろこういう法律ができ上がるのか、その点についてお答え願いたいと思います。
○長島政府委員 監獄法の改正作業の状況でございますが、昨年の二月でございましたか、私局長の命を受けまして、それ以来さっそく、従来矯正局で考えてまいりました一つの素案がございましたので、その素案を材料とすると申しますか、の考え方について、法務省内の関係部局がたくさんございますので、そういう関係部局の参事官とか課長級の方にお集まりいただきまして、省内の事務的な調整にそれ以来入ったわけでございます。昨年の暮れまでかかりまして、ようやく主要な問題点につきましての考え方と申しますか、議論を尽くしてまいりました。 ただ、そこの中には非常にむずかしい問題がございまして二、三第二読会にのぼったものがございますが、本年に入りましてから第二読会ということで、いま事務的な一つの素案の詰めに入ってきている段階でございます。 むずかしい点と申しますのはいろいろございますけれども、一つはいまの監獄法がつくられた当時とは異なりまして、現在の御承知の新しい憲法のもとで、新しい人権思想というものもございます。そういう観点から受刑者あるいは未決の被告人の法的な地位と申しますかこれをどういうふうに考えていくのかという点が憲法問題ともからみまして、また処遇の実際の場との関係もございまして、たいへん結論が出しにくいむずかしい問題がそこに含まれております。 第二の問題は、御承知のように、監獄法ができまして以来、国際的にも非常に新しい処遇のやり方というものが発展してまいっております。日本も決して、この点では外国におくれをとらない新しい処遇が二、三実験的に行なわれておるわけでございますけれども、こういう新しい処遇をどのような形で、どの程度まで新しい法案の中に盛り込んでいくかという、この処遇面の新法と申しますか、国際的な進展をどこまで取り入れることが可能なのか、取り入れるべきかというのが第二の問題でございます。 第三は、先ほど先生御指摘がございましたように、矯正をもっと社会に開こう、職員だけでございませんで、矯正運営自体もっと社会からよく見ていただくというような方向で、これをひとつ考えていく方向はないだろうかという点が、一つのまた問題点でございます。 なお付加して申し上げますと、近年国際的に監獄法の改正という作業が非常に進んでおりまして、西ドイツでは昨年新しい政府案ができました。最近はこれに対する学者の反対提案というものができております。アメリカにおきましては、昨年アメリカの連邦議会におきまして、監獄法改正についての委員会勧告というようなものが出てまいっておりますし、州によっては新しい監獄法をつくったところがございます。こういうふうに国際的に非常にいま激動の時期にこの面でもまいってきておりまして、その状況をも十分に踏まえながら、日本の現状並びに将来を見渡しまして日本に向いた監獄、新しい監獄制度というものを考えるということでございます。 そのような事情でございまして、時間がかかってきておるわけでございますけれども、刑法のほうも法制審議会で順次審議が進んでおりますので、監獄法の改正につきましても、極力作業を進めましてできるだけ早い機会に法制審議会に提案できるように、上司のお許しを得て、そういうふうに運びたいというふうに考えておる次第でございます。
○沖本委員 その法制審議会へ素案をまとめてお出しになる時期ですね、これは全面改正の進行状況との関係があると思いますけれども、早い時期に出てくるようになっておるのでしょうか、その点いつごろになりますか。
○長島政府委員 私としてはできるだけの実は努力をいま重ねておるのでございますけれども、現在の進行状況から考えまして、正直に申しまして第二読会と申しますか、その程度の、いまやっております懇談会としての一応の考え方がまとまりますのが、早くても秋ごろであろうというふうに考えておるわけでございます。それから省議その他の手続をとりまして、またその段階で十分もんでいただきまして、法制審議会にかけていくというような段取りになるというふうに、それは私の一つの見通しでございます。
○沖本委員 それじゃ来年には成案を見ると見ておっていいわけですね。
○長島政府委員 先生御承知のように、法制審議会へかかりますと、各方面の学者の方あるいは今度は監獄法でございますから、矯正等に関心のあられる有識者とかいろいろな方が入ってこられると思います。その場で将来の矯正のあり方という問題について十分にお話し合いをいただいて答申をいただくということでございますので、諮問いたしましたらすぐ結論が出るというふうにはまいらないのではないかというふうに考えております。その間実際上の問題といたしましては、現在の監獄法のもとにおきまして、訓令、通達等で直せる限りのものは直してまいりまして、新しい事態に合うように、ただいま着々とそういう点の整備は一方並行して進めておるわけでございます。
○沖本委員 大臣にお願いもしたいわけですけれども、先ほどからずっと暴力団問題について御質問してきたわけですけれども、複雑多岐になっていき、広域化していき、その温床になるものは現在の社会情勢そのものもいろいろあるわけなんですけれども、これは努力を重ねていって、根気よくつんでいく以外にないということなんですけれども、動きそのものも、同じ状態でじっとしておるというものではないわけで、刻々いろいろな形を変えていっているということにもなるわけですから、それがより社会悪をかもし出していき、社会環境を悪くしていき、社会情勢を悪くしていき、ひいては日本の経済状態にまで大きな影響を及ぼしていくという点もいま考えなければならぬような時代に来ている、こう考えるわけです。ですからこれは軽い気持ちや単なるお気持ちではないと思いますけれども、ほんとうに真剣に取り組んでいただかなければならない問題だ、こう考えるわけです。その一番終局点が刑務所ということになり、さらに刑務所へ入れることだけで事が足れりというわけではないわけですけれども、さらに更生していただいて、善良な市民として社会生活を送っていただくような方向で、よりよき社会をつくらなければならないと考えるわけですけれども、そういう点についてより一そうの努力を続けていただかなければなりませんが、この監獄法も含めまして大臣の決意を伺いたいと思います。
○中村国務大臣 御指摘のように暴力団の排除ということは、これは社会的に非常に大きな問題でございます。したがいまして、法務省としては警察当局と十分な連携をとりましてこの撲滅といいますか、暴力団のないような社会をつくるために全力を尽くしてまいりたいと思います。 それから監獄法は確かにもう古過ぎまして、運用ではいろいろ変えておるようでございますが、すみやかに改正のめどを立てて、諸外国でも近来そういう動きがあるようでございますから、わが国としてもおくれないように、法律の改正を目標に努力を続けてまいりたいと思います。いま矯正局長から御説明申し上げましたような段取りで目下進行いたしておりますので、できるだけ早い機会に御期待に沿うような案をつくって御審議をいただきたい、かように思っております。
○沖本委員 以上で終わります。
○羽田野委員長代理 次回は、来たる二十九日金曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午前十一時四十一分散会