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72回国会衆議院1974/02/06

文教委員会 第4号

発言数
5
登壇者
3
会派数
1
開催日
1974/02/06

会議録

稻葉修自由民主党

○稻葉委員長 これより会議を開きます。  文教行政の基本施策に関する件について調査を進めます。  文教行政の基本施策に関し、文部大臣より発言を求められておりますので、これを許します。奥野文部大臣。

奥野誠亮自由民主党文部大臣

○奥野国務大臣 第七十二回国会において、文教各般の問題を御審議いただくにあたり、所信の一端を申し述べます。  学制百年の歴史を刻んだわが国の教育は、新たな教育百年への飛躍を期して、多くの関係者により鋭意努力が重ねられております。  ところで、本年は、きびしい試練の年であります。  資源に恵まれないわが国が、今日の試練を乗り越え、限りない未来にわたって発展を続け、真に健康にして文化的な生活を営めるような国家社会を築き、世界の繁栄と平和に貢献していくためには、心豊かで創造力に富み、かつ、国際人としてだれからも尊敬され、信頼されるたくましい日本人の育成をはかることが何よりも大切であると確信いたします。自己の利益のみを追求することなく、将来の日本をになう気概を持つ人づくりの重大さをあらためて痛感し、新たな決意をもって、秩序ある教育環境を整え、教育、学術、文化の刷新、充実のために積極的な施策の推進につとめてまいります。  以下、当面する文教行政の諸問題について申し述べます。  まず最初に、初等中等教育の改善充実についてであります。  教育の成果は、究極のところ教師の力量にまつところ大であります。教職に人材を得、教師がその情熱を教育に傾注して国民の信頼と負託にこたえていただくことが何より重要な課題であり、そのような条件の整備に一段と努力を傾けていくことが必要であると存じます。  現在、国会において御審議願っております義務教育諸学校の教育職員の人材確保のための給与の特別措置については、これに関する法律案が成立いたしました暁には、人事院勧告を待って計画的な改善を行なうことができるよう、昭和四十九年度予算案には初年度措置の平年度化分のみならず、第二年度の措置としてさらに一〇%の改善をはかるための所要の財源を計上いたしました。  義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の充実については、義務教育の水準の一そうの向上をはかるため、昭和四十九年度を初年度とする新たな五カ年計画を策定し、その改善をはかっていくことといたしました。また、高等学校の教職員定数等についても義務教育諸学校との均衡を考慮し、所要の改善をはかってまいる所存であります。  幼稚園教育の普及充実については、国民の強い要請にかんがみ、昭和五十七年度当初までに、入園を希望するすべての四、五歳児を就園させることを目標とする幼稚園教育振興計画を目下推進しているところであり、昭和四十九年度においては、特に幼稚園就園奨励費について拡充をはかることといたしております。  高等学校は、青少年のほとんどすべての者を教育する国民教育機関としての性格を持つに至っております。そこで、定時制高等学校の生徒に新たに修学奨励費を支給するための国庫補助制度を設けるとともに、私立の広域通信制高等学校の教職員給与費に対する国庫補助制度を創設するなどにより、勤労青少年の教育の機会均等の確保を一そうはかることといたしました。  また、さきに養護学校の義務制を昭和五十四年四月一日から実施することといたしましたが、今後は計画的に実施の諸準備を進めるとともに、訪問指導員及び介助職員に対する国庫補助を行ない、また心身に障害を持つ児童生徒に適応した教育方法等の研究を進めるなど、これらの児童生徒に対する教育の一そうの振興のため、きめこまかな努力を傾けてまいる所存であります。  教育内容については、昨年新しい委員による教育課程審議会に、小・中・高等学校の一貫した教育課程の改善について諮問し、その審議をお願いいたしましたが、児童生徒の知・徳・体の調和ある発達を目ざし、心身ともに健全な国民の育成を期することを基本とし、今後の社会情勢に対応した一そう適切な教育課程の実現をはかってまいる所存であります。  公立文教施設の整備については、児童生徒急増市町村における小・中学校の校舎、屋内運動場の整備を重点として事業量の拡大をはかるとともに、これら市町村における幼稚園整備事業の国庫補助率の引き上げを行ない、また、過疎地域における小・中学校危険改築事業の国庫負担率の引き上げを行なうなど、過密、過疎地域における教育施設の整備の充実をはかることといたしました。このほか地方公共団体の超過負担の解消及び物価上昇を織り込んで単価の大幅改定をはかるとともに、校地確保のための公立小・中学校施設特別整備事業について交付率の改善及び単価の改定を行なうことといたしております。  児童生徒の健康の保持増進をはかる学校保健については、近年における社会環境の変化等が児童生徒、教職員の保健上新たな問題を惹起している実情にかんがみ、先般学校における健康診断について検査項目を追加するなど、その充実をはかることといたしました。また、大気汚染地域の公立小・中学校を対象として実施してきた移動教室を、さらに市街地域の公立小・中学校に対象を拡大するとともに、学校環境緑化促進事業についてもなお一そう拡充してまいる所存であります。  次に、学校給食は、栄養のバランスのとれた食事により児童生徒の身体の健全な発育をはかるとともに給食の指導を通じて調和のとれた人間の育成を期する重要な教育活動として広く普及してきましたが、新たに学校栄養職員の給与費を国庫負担の対象とするとともに、その増員をはかることとしたほか、学校給食施設設備の改善整備、物資の需給体制の整備と処理の適正化等について一そうの改善充実をはかってまいりたいと存じます。  次に、高等教育の改善充実について申し述べます。  高等教育については、大学改革の推進をはかることが当面の重要な課題であり、各大学の自主的な努力を助けながら、大学改革を着実に進めていきたいと存じます。このため、昭和四十九年度においては、昨年十月開学の運びに至った筑波大学の整備をはじめ・広島大学総合科学部の設置・北海道大学法学部の改組等を行なうこととしたほか、新しい構想による教員大学・大学院や技術科学大学院の創設について準備を行ない、また放送大学についても、その実施調査を進めることといたしております。  また、恵まれた自然環境の中に新学園を建設し、その環境を保全して、新しい教育の場を設定することについて引き続き検討してまいりたいと存じます。  さらに、高等教育の機会拡大の要請にこたえるため、引き続き、既設大学・学部の充実整備を進めるとともに、特に社会的要請の強い医師の養成については、昭和四十九年度さらに三医科大学の新設を行ない、残る九県についてもその創設の準備や調査を進めて、無医大県の解消をはかる所存であります。  また、大学院及び学位制度の改善、育英奨学の充実等について所要の施策を進めることとし、大学入試制度の改善についても共通試験の実施に関する調査研究等を行なうことといたしております。  大学が国民の期待にこたえてその使命である教育研究を遂行するためには、真に学問の府にふさわしい静穏かつ自由な秩序ある学園環境を保持することが不可欠であり、このためには、なお格段の努力を傾注する必要があると存じます。  次に、学術の振興については、まず、日本学術振興会の事業の拡充等をはかることにより、学術の国際交流を積極的に推進するとともに、科学研究費の拡充によって基礎的研究の充実及び情報科学、環境科学、核融合研究など重要基礎研究の推進をはかり、また、宇宙科学、地震予知、南極地域観測などの大規模研究の一そうの推進をはかる考えであります。さらに学術研究に必要な体制を整えるため、国立大学共同利用の民族学に関する博物館、富山大学和漢薬研究所及び北海道大学免疫科学研究所の創設並びに分子科学研究所の創設準備を行なうほか、既存研究所の整備をはかってまいる所存であります。  次に、私立学校の振興について申し述べます。  学校教育において私学の果たしている役割りの重要性にかんがみ、昭和四十九年度は、私立大学等経常費補助については、専任教職員給与費の対象率及び積算率の引き上げ、給与単価及び物件費の単価改定により、昭和四十八年度に比し大幅増をはかるとともに、日本私学振興財団の貸し付け及び私立学校教職員共済組合補助金について拡大をはかることといたしました。また、学校当局の教育に対する真摯な努力と先輩の母校愛とによって、私学の建学の精神が継承され、健全な発展を見ることを期待し、私学の振興のための寄付金について税制上の優遇措置をさらに改善するなど、私学振興に格段の配慮をいたしました。  なお、今後の私学振興の基本的あり方については、現在、審議をお願いしている私立学校振興方策懇談会の御意見等をもとにして抜本的な改善措置を講じたいと存じます。  次に、社会教育及び体育・スポーツの振興について申し述べます。  心身ともにすこやかな日本人の育成を期するには、学校教育、社会教育、家庭教育の調和ある振興と三者の体系的な結びつきが大切であります。特に今日のきびしい時代にあって、日本人が単に物の豊かさのみでなく、心の豊かさを持ち、国民として、社会人としての教養を深めていくようにすることが大切であると思います。このような努力を実りあるものとするためには、社会教育、家庭教育の格段の振興が必要でありますが、まず、社会教育行政については、その中核となる社会教育主事を都道府県において確保し、市町村の求めに応じて派遣し、人材面での充実に遺憾なきを期し得るよう、この給与費について新たに国庫補助を行なうことといたしました。  また、社会教育施設の整備については、たくましい青少年の育成という見地から、特に国立少年自然の家の設置と公立少年自然の家の整備に力を注いでまいります。  なお、社会教育事業の奨励援助については、生涯教育の観点からそれぞれの年齢に応じた事業の奨励をはかっておりますが、特に家庭教育の重要性にかんがみ、乳幼児教育事業や家庭教育相談事業の拡充、並びに健全な青少年の育成に資するための指導者の養成や校庭開放事業の拡充につとめております。また、社会教育における民間社会教育関係団体の役割りの重要性にかんがみ、これら団体に対する国庫補助を大幅に増額する所存であります。  近年、生活環境や社会環境の急激な変化のもと、青少年をはじめ国民の体力低下の傾向が見られ、健康上ゆゆしき問題となっております。国民の体力の向上と健康の増進をはかり、心身ともに健康で明るい国民生活を享受し得るようにするために、体育・スポーツの普及振興をはかることは、余暇利用施策と相まって緊急の課題であります。  このため、特に総合国民体育館、総合屋内水泳プールをはじめ、体育・スポーツ施設の整備充実をはかるとともに、指導者の養成確保等の諸施策を積極的に推進してまいる所存であります。  また、体育・スポーツ、学校保健、学校給食における栄養等に関する総合的な研究を行なうとともに、これらの分野における指導者の養成を目的とする体育大学の設置に関する調査を行なうこととしております。  次に、文化の振興について申し述べます。  国民生活に精神的な潤いと豊かさをもたらすために、わが国が世界に誇る幾多の貴重な文化的遺産を適切に保存し、広くその利用をはかるとともに、伝統を承継しつつ新しい時代にふさわしい芸術文化の推進につとめる必要があります。  このため、昭和四十九年度においては、特に国立の文化施設の整備をはかることとし、現代芸能のための第二国立劇場設置について調査をさらに進めるほか、新たに大衆芸能の資料の保存、公開等を行なうための演芸資料館の設置についても調査を進めるとともに、国際的視野に立ち、教育的配慮のもとに、青少年をはじめ広く一般に内外美術を理解していただくための国立の国際美術館の設置について準備を行なうことといたしております。また、文化会館に対する助成の拡充と地方における芸術文化施設の整備をもあわせて促進し、すぐれた芸術文化享受の機会の拡充をはかり、また、芸術文化活動助成の拡充等にも一そうつとめてまいりたいと存じます。  文化財の保護については、史跡等の土地の買い上げ及び環境整備を促進するとともに、埋蔵文化財センターの設置等埋蔵文化財の保護、天然記念物の保護増殖、国宝・重要文化財の修理、防災及び買い上げ等の対策を拡充するほか、新たに伝統的建造物群及び文化財を保存する技術の保護の対策並びに能楽の保護のための調査検討を行ない、文化財の保存、活用のために努力してまいる所存であります。  最後に、教育、学術、文化の国際交流について申し述べます。  今日特に、真に国際社会において信頼される日本人の育成が強く要請されているところであります。この要請にこたえるためには、日本のあり方について深い反省に立って改善していくことがたくさんあると思われますが、教育、学術、文化の分野において、国際的な交流を推進することこそ、国際人として開かれた日本人の育成に通ずる道ではないかと存じます。先般の国連総会において、わが国の念願がかなえられ、国連大学本部の日本設置が決定を見たことは、国際社会における日本の役割りを果たす上で、その意義まことに深いものがあります。今後は、その受け入れについて万全の体制を整えるとともに、国連大学研究教育施設の設置の実現につとめる所存であります。さらに、留学生の受け入れ及び派遣、海外勤務者子女教育、教育指導者、学者、芸術家等の交流を積極的に推進し、あわせて国際的視野を持つ国民の育成等についても基本的方策を樹立したいと考えております。  また、ユネスコその他国際的協力機関と協力し、アジアその他の地域の教育、科学の振興及び文化の相互理解と交流を促進する事業を積極的に取り上げ、これらの地域の発展に尽くしたいと存じます。  以上、文教行政の当面する主要な問題について所信の一端を申し述べましたが、その他の諸問題についても、文教委員各位の御協力と御支援を得て、その解決に努力する所存であります。何とぞよろしくお願いいたします。

稻葉修自由民主党

○稻葉委員長 次に、昭和四十九年度文部省所管予算の概要につきまして説明を聴取いたします。藤波文部政務次官。

藤波孝生自由民主党文部政務次官

○藤波政府委員 昭和四十九年度文部省所管の予算案につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、文部省所管の一般会計予算額は一兆七千七百四十一億八千五十一万円、国立学校特別会計の予算額は五千七百四億四千四百七十五万円でありまして、その純計額は一兆八千九百六十五億七千三百八十九万円となっております。  この純計額を昭和四十八年度の当初予算額と比較いたしますと、三千九百五十億五千七百三十八万円の増額となり、その増加率は二六・三%となっております。  以下、昭和四十九年度予算において取り上げました主要な事項について御説明申し上げます。  第一は、教員の資質向上と教育環境の整備に関する経費であります。  まず、教員の資質の向上と優遇措置の推進についてであります。  四十八年度におきましては、教育界にすぐれた人材を確保するため、教員の処遇の抜本的改善をはかることとし、その初年度分として、さしあたり、その中心となる義務教育教員の給与について、給与の一〇%に相当する額の三カ月分を財源措置いたしましたが、四十九年度におきましては、その平年度化分のほかさらに一〇%相当額の三カ月分を財源措置することとし、計八百十六億円を計上いたしました。なお、これらの措置を平年度化した場合の所要額は、地方負担分も含めますと約三千億円に達することとなるのであります。また、教職員の海外派遣につきましても引き続き五千人を派遣するとともに、教員養成の水準の向上と初等教育教員の確保に資するため、新しい構想による教員大学・大学院の創設準備等を行なうことといたしました。  義務教育諸学校の教職員定数につきましては、四十九年度を初年度とする第四次の教職員定数改善五カ年計画を策定して、小規模学校の学級編制、養護教諭、事務職員等に重点を置く定数改善をはかり、また、学校栄養職員を県費負担職員とし、国庫負担の対象とすることといたしました。四十九年度におきましては、この五カ年計画の初年度分といわゆる自然増及び特殊学級増設に伴う増とを合わせて一万五千八百二十八人の増員に必要な経費を計上したほか、旅費単価の引き上げ等を行なうことといたしました。  次に、教材につきましては、義務教育諸学校の教材について引き続き年次計画による充実をはかることとし、また、義務教育教科書の無償給与につきましては、四十九年度前期用教科書から購入価格を一二%引き上げることとし、これに要する経費を計上いたしました。  次に、公立文教施設の整備につきましては、過疎地域の小・中学校危険建物改築事業及び児童急増地域の幼稚園園舎の新増築事業についての国庫補助率の引き上げ、超過負担の解消及び物価上昇を織り込んだ建築単価の大幅改善を行なうとともに、事業量について、急増地域を中心とする小・中学校校舎等の新増築事業、養護学校の新増築事業等を重点として配慮いたしましたほか、校地の確保のための児童生徒急増市町村の公立小・中学校施設特別整備事業について、単価の改定のほか、交付率を引き上げることとし、建物及び用地の総事業費としては、四十八年度に対し、四〇・二%増の一千五百十億円を計上いたしました。  次に、公害対策につきましては、大気汚染地区及び市街地区の学校環境緑化を拡充するとともに、小・中学校の移動教室を市街地域の学校にまで拡大することといたしました。  次に、学校給食の普及充実につきましては、学校栄養職員について、前に述べましたとおり、県費負担職員として国庫負担の対象とし、五カ年計画で定数増をはかることとしたほか、学校給食施設設備について、冷凍冷蔵設備補助の新設、単価の改定等を行なうことといたしました。  第二は、勤労青少年教育、特殊教育等の充実に関する経費であります。  定時制及び通信制教育につきましては、新たに私立の広域通信制高等学校に対し専任教職員の給与費を補助するとともに、勤労青少年に対し定時制高等学校における修学奨励をはかるため必要な経費を計上し、また、私立大学の通信教育教材の改善をはかりますため、教材改定及び共通教材研究開発に必要な補助を行なうことといたしました。  次に、特殊教育の振興につきましては、養護学校と特殊学級の増設等をはかることとし、特に養護学校につきましては昭和五十四年度から義務制を実施するための各般の施策を講ずることといたしました。すなわち、適正な就学指導を行ないますため、都道府県、市町村に就学指導委員会の設置を促進するとともに、養護学校の増設、特殊教育設備整備の拡充のための経費を計上し、また、重度・重複障害児に対する訪問指導及び介助に必要な補助の新設、就学奨励補助の拡充、国立大学付属学校における特殊教育の拡充等を行なうことといたしました。  次に、幼稚園教育の普及充実につきましては、四十八年度に引き続き、公私立幼稚園の計画的増設を進めますため、児童急増地域の幼稚園園舎の新増築事業について補助率の引き上げを行なうなど施設設備の助成を拡充するとともに、父兄の経済的な負担の軽減をはかり、幼稚園教育の普及に資するため、幼稚園就園奨励費補助を拡充いたしました。  次に、僻地教育につきましては、新たに寄宿舎設備費について補助するとともに、教員宿舎建築、スクールバス・ボート等購入等について充実をはかるなどきめこまかく配慮いたしました。  以上のほか、引き続き教育内容の改善、理科教育及び産業教育の振興、就学援助の強化等各般にわたる施策の拡充に必要な経費を計上いたしました。  第三は、高等教育の整備充実に関する経費であります。  国立学校特別会計の予算につきましては、四十八年度の当初予算額と比較して一千五十九億円の増額を行ない、五千七百四億円を計上いたしました。その歳入予定額は、一般会計からの受け入れ四千四百八十一億円、借入金百六十一億円、その他自己収入一千六十二億円であり、歳出予定額は、国立学校運営費四千八百六十四億円、施設整備費等八百四十億円となっております。  まず、大学改革の推進についてであります。放送大学につきましては、施設のモデル設計を行なうなど実施調査をさらに前進させ、また、技術科学大学院(仮称)二校、教員大学・大学院一校の創設準備を進めるとともに、広島大学の改革移転、北海道大学法学部の再編成等を行なうことといたしました。筑波大学につきましては、四十九年度から第一学群、医学専門学群及び体育専門学群について学生の受け入れを開始するため、教職員組織、施設設備等について本格的に整備をはかることといたしました。  なお、高等教育改革の調査研究、大学入学者選抜制度の改善、新学園建設等の調査等につきましてもさらに進めることといたしました。  次に、国立学校の整備充実についてであります。  高等教育の機会拡大の要請に対処し、大学、大学院等の高等教育機関における学生収容力の計画的拡充を進めるため、大学につきましては、筑波大学の整備、医科大学の創設、広島大学総合科学部の創設、学科の新設・改組等既設学部の拡充、新潟大学及び信州大学の医療技術短期大学部の創設等により、二千六百三十七人の入学定員増を行ない、大学院については、研究科の新設、専攻課程の設置等により四百三十五人の入学定員増を行ない、また、高等専門学校につきましては、徳山及び八代に工業高等専門学校を創設することといたしました。国立文教施設につきましては、これら新増設のほか、既設学部等についても引き続き整備をはかることといたしました。また、国立学校における学生、教官当たりの積算校費、教官研究旅費、設備費等の基準的経費につきましては、それぞれ改善充実をはかることといたしました。  次に、医学教育の充実につきましては、前に述べましたように浜松、宮崎、滋賀の各医科大学三校を創設するとともに、医学部入学定員の改定を行ない、そのほか、新たに国立医科大学ないし医学部五校、徳島大学歯学部及び千葉大学看護学部について創設準備を進め、さらに、無医大県解消等のため医学及び歯学の大学、学部の設置に関する調査を行なうことといたしました。また、公立医科大学等については、その創設準備調査に補助を行なうこととするとともに、経常費補助及び国立大学医学部等関連教育病院設備整備費補助を拡充することといたしました。  また、国立大学附属病院の整備につきましては、中央診療施設の整備をはかるほか、看護業務要員及び臨床検査技師等の医療技術関係職員の増員等に特に配慮いたしました。  次に、教員養成の改善充実につきましては、前に述べましたとおり新構想の教員大学・大学院について創設準備を行なうほか、国立大学の教員養成学部について小学校教員、幼稚園教員、特殊教育教員の養成増をはかり、附属養護学校等の新設等を行なうとともに、教員組織、設備等の充実をはかることといたしました。  次に、学生の厚生補導につきましては、引き続き多角的かつ総合的にこれを行なうこととし、これに要する施設設備の整備充実をはかり、加えて保健管理センターの整備を進めることといたしました。  第四は、学術の振興に関する経費であります。  学術の振興につきましては、まず重要基礎研究の推進をはかるため、国立大学共同利用の機関として国立民族学博物館(仮称)の創設、分子科学研究所の創設準備を進めるとともに、大学付置の研究所として富山大学に和漢薬研究所を創設するほか、北海道大学の結核研究所を免疫研究所に改組し、その他の既設の研究所についても所要の整備をはかることといたしました。また、南極地域観測事業、科学衛星ロケット観測事業につきましても、引き続き拡充をはかることといたしました。  次に、科学研究費につきましては、百四十億円を計上し、特に生命科学、地震予知を含む災害科学、情報科学、環境科学及び核融合等の重要基礎研究については、特定研究として重点的に推進することといたしました。  第五は、私学助成と育英奨学事業の拡充に関する経費であります。  私学の振興につきましては、まず、私立大学等の人件費を含む経常的経費の助成について、専任教員及び専任職員の給与費補助の拡大をはじめ、教員経費及び学生経費についても充実をはかり、四十八年度に対し四七・五%増の六百四十億円を計上いたしました。  また、日本私学振興財団の貸し付け事業については、政府出資金十億円を計上するとともに、財政投融資資金から借入金として二百七十三億円を計上いたしました。  このほか、私立学校教職員共済組合補助につきましては、既裁定年金の額の改定等の給付の改善をはかることとし、補助の拡大を行なうことといたしました。  次に、育英奨学事業の拡充につきましては、四十七年度の貸与月額改定の学年進行に伴う増額を行なうほか、私学特別奨学生のワクの拡大、大学院生に対する貸与月額の改善等を行なうとともに、新たに大学を設置する学校法人が当該大学の学生を対象として行なう奨学事業への援助についても道を開くことといたしました。  第六は、社会教育と体育・スポーツの振興に関する経費であります。  まず、社会教育の振興についてであります。社会教育の指導者層の充実をはかりますため、都道府県教育委員会が市町村教育委員会の求めに応じて社会教育主事を派遣することができるよう都道府県に対しその七百五十人分の給与費の二分の一を補助する経費を計上するとともに、引き続き社会教育指導員に対する補助等を行なうことといたしました。  社会教育施設につきましては、公民館、図書館、博物館、青年の家等について補助単価の改善等を行なうほか、特に少年自然の家を重点として整備することとし、公立少年自然の家について大幅な増額を行なうとともに、国立少年自然の家につきましては、現在建設中のものに加え、新たに合わせて三カ所について設置ないし設置調査に着手し、さらに今後の計画につきましても調査を行なうことといたしました。また、国立婦人教育会館(仮称)につきましても、その建設を進めることといたしました。  社会教育事業につきましては、青少年教育関係団体を重点として社会教育関係団体補助を大幅に増額するとともに、校庭開放事業、青少年団体指導者研修、幼児のための家庭教育に関する事業等の諸施策についても充実をはかることといたしました。  次に、体育・スポーツの振興についてであります。体育・スポーツ施設につきましては、広域生活圏域の体育施設及び学校体育施設の整備のほか、広く国民が日常生活の中で体育・スポーツに親しむことができますよう、日常生活圏域における施設、特に総合国民体育館及び総合屋内水泳プールを重点として拡充整備することといたしました。  体育・スポーツの普及奨励につきましては、指導者の養成等を行ないますとともに、特に地域住民のための体育・スポーツの振興諸施策の実施推進に意欲的に取り組む市町村を地域住民スポーツ活動振興指定市町村として指定し、援助する事業を拡充することといたしました。  また、国民の健康の保持増進、体力の向上に資するため、体育・スポーツ、学校保健、学校給食における栄養等に関する総合的な研究を行ないますとともに、これらの分野における指導者の養成充実を目的とする体育大学の構想について調査を行なうことといたしました。  第七は、芸術文化の振興と文化財保護の充実に関する経費であります。  まず、芸術文化の振興についてであります。国立の文化施設の整備をはかりますため、第二国立劇場設置のための調査をさらに進めますほか、新たに大衆芸能の資料・技芸の保存、公開等を行なうための演芸資料館の設置についても調査を進めるとともに、日本万国博覧会記念協会の管理にかかる美術館を国立国際美術館(仮称)として設置することについての準備も行なうことといたしました。  また、地方における芸術文化振興につきましては、引き続き地方文化施設の拡充整備、地方芸術文化活動の促進、青少年芸術劇場及び移動芸術祭の拡充等を行なうとともに、新たに子供を対象に成長段階に応じた音楽、舞踊、演劇の巡回公演を行なうこども芸術劇場を実施することといたしました。また、芸術関係団体の助成、芸術家の在外研修等につきましても拡充をはかることといたしました。  なお、昨年九月パリにおける田中総理大臣とポンピドー大統領との会談の結果、ルーブル美術館所蔵のレオナルド・ダ・ヴインチ作「モナ・リザ」が日本に貸与され、今春東京において公開できることになりましたので、その展示に必要な経費を計上いたしました。  次に、文化財保護の充実についてであります。  まず、国宝・重要文化財等の保存整備につきましては、国有文化財である建造物等の保存修理をはじめ、国宝・重要文化財等の保存修理、防災施設等の整備、天然記念物の保護増殖等についての補助の拡充をはかるとともに、国宝・重要文化財等の国による買い上げを促進することといたしております。無形文化財の保護の強化につきましても、保持者に対する特別助成金を増額するほか、新たに能楽調査、文化財保存技術の保護のための補助及び記録作成を行なうなど所要の措置を講ずることといたしました。  また、史跡等の保存につきましては、藤原宮跡等の史跡地の国による買い上げを継続して行ないますほか、地方公共団体による史跡等の買い上げについては、補助金の増額と地方債等による先行取得によりその推進をはかるとともに、新たに史跡等の適切な保護をはかるため史跡等保存管理計画の策定に着手することといたしました。埋蔵文化財の保護につきましても、地方埋蔵文化財調査センター設置補助、緊急調査の拡充、文化財パトロールの実施等によりその充実をはかりますほか、新たに奈良国立文化財研究所に埋蔵文化財センターを置き、地方公共団体の行なう緊急発掘調査に対する専門的技術的指導と発掘調査員の研修訓練等を行なうことといたしました。  なお、国立歴史民俗博物館につきましては、引き続き設置準備を進めることといたしました。  第八は、教育・学術・文化の国際交流の拡大に関する経費であります。  まず、国際連合大学につきましては、昨年十二月の第二十八回国際連合総会において国際連合大学本部がわが国首都圏に設置されることが正式に決定されたことに伴い、本部の開設、本部の建築その他その受け入れ準備に必要な経費を計上することといたしました。  次に、留学生教育につきましては、国費外国人留学生について採用数の増員、奨学金及び下宿料補助の増額等をはかり、私費外国人留学生についても実地見学旅費の新規計上、医療費補助の充実等を行ないますとともに、海外派遣留学生の増員を行なうことといたしました。  また、研究者の派遣及び招致につきましても、人員の増加、滞在費の改善等に努めますとともに、各種の国際的な共同研究事業への参加協力に意を用い、学術における国際交流の推進につとめております。  海外勤務者子女教育につきましては、新たに海外における補習授業校に対する教材の整備と巡回指導班の派遣を行なうこととし、また、帰国子女の教育につきましては、研究協力指定校を拡充いたしますほか、東京学芸大学の附属高等学校に帰国子女教育のための学級を開設することといたしました。  このほか、アジア・アフリカ諸国への教育協力につきましては、まず、ユネスコを通ずる協力援助として専門家の派遣、国際研修コースの開催及び国際会議への参加等協力事業を充実し、また、二国間の協力援助についてもその推進をはかることといたしました。また、外国人に対する日本語教育の振興をはかりますため国立国語研究所に日本語教育部を設けることといたしました。  以上、昭和四十九年度の文部省所管の予算案につきまして、その概要を御説明申し上げた次第であります。何とぞよろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。

稻葉修自由民主党

○稻葉委員長 以上で説明は終わりました。  次回は来たる八日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時一分散会

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