社会労働委員会地方行政委員会農林水産委員会建設委員会連合審査会 第1号
- 発言数
- 270 件
- 登壇者
- 24 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1974/05/08
会議録
○野原委員長 これより社会労働委員会、地方行政委員会、農林水産委員会及び建設委員会連合審査会を開会いたします。 先例によりまして、社会労働委員長であります私が委員長の職務を行ないます。 雇用保険法案、雇用保険法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案、国有林労働者の雇用の安定に関する法律案並びに失業保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。 ————————————— 雇用保険法案 雇用保険法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案 国有林労働者の雇用の安定に関する法律案 失業保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律案 〔本号(その二)に掲載〕 —————————————
○野原委員長 ただいまの各案の提案理由の説明聴取につきましては、お手元に配付してあります資料により御了承願うこととし、直ちに質疑を行ないます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安田貴六君。
○安田委員 私は、今回提案されておりまする雇用保険法案等に関連をいたしまして、若干の質問をいたしたいと存じます。時間が非常に制約を受けておりますので、全般的な質問ができないことが非常に残念でありますけれども、特に重要と思われまする諸点について若干の御質問をいたしたいと思います。 そこでまず、この雇用保険法案の提案理由の説明を拝見いたしますと、いろいろなことが書いてありますが、特にその中で目立ちまするのは、この法案の策定にあたっては「今後の経済社会の動向を前提」として取りまとめられ、御提案になっておるというふうに理解がされるわけであります。したがって、この場合における「今後の経済社会の動向」に対して、どのような御認識に立ってこの法案が制定せられておるのか、その点に対してひとつ労働大臣から御説明をいただきたいと存じます。
○遠藤(政)政府委員 お答えいたします。 この雇用保険法案を制定いたしますにつきましては、昨年の五月以来研究会を設けまして、学識経験者によりましていろいろ検討を重ねてまいったわけでございます。その議論の冒頭におきまして、今後の日本経済の動向、雇用失業の情勢の見通しはどうかということから出発いたしまして、最近の高度成長によりまして日本の雇用失業情勢はきわめて順調に推移いたしております。量的に申しますと完全雇用に近い状態でございます。しかしながらこういった日本経済の動向が、今後持続的にこういう状態が継続するとは考えられませんで、その中で国際的な要因あるいは国内的な諸要因によりまして、経済的な不況あるいは失業の多発といったような事態も当然起こり得るであろう。また、日本経済の構造的な変化も当然予想しておかなければならない問題である。こういう前提に立ちまして、そういう不測の事態が起こりましても、なおかつ失業保障の面で十分な機能を果たし得るような制度につくり上げる必要がある。と同時に、昭和二十二年に制定されました現行の失業保険法がすでに二十数年、四半世紀を経まして、現在の経済情勢、社会情勢、雇用失業の情勢の実態にそぐわなくなっている面がある。失業保障の面におきましても、機能し得なくなってきている面がある。そういうものを今後の実態に即した制度に改める必要がある。こういう観点からいろいろと検討が行なわれました結果、こういう法案を提出するに至ったわけでございます。
○安田委員 いま局長からるる御説明がありましたが、私は今後におけるわが国の経済社会の動向というものについてはいろいろな見方があると思います。しかし、いまの局長のお話のように、労働事情が非常に順調な推移をし、労働力が順調に必要な部門に確保できるというような情勢には必ずしもならないのではないかというように私は考えておるのであります。ということは、まず第一番目に現在の物価の高騰情勢、こういう高騰の中で政府は一生懸命物価の鎮静に努力を払っておるわけですから、間もなく私はその成果があがってくると思います。しかしこの鎮静状態がもたらされましても、いまの物価よりもそう低い状況での物価の安定というものは私は困難だと思う。やはりいろいろいわれておりますが、残念ながらいまのような高い物価の中で安定せざるを得ないというのが、私は物価の趨勢だと思います。そういうような情勢から考えましても、また一面ひるがえってみますと、今年の春闘等によって三万円をこえる——きょうのテレビにも出ておりますけれども、三〇%をこえるような高い水準のベースアップも行なわれておる。そういうことでございますから、いまの地方におけるところの産業界の労働力は、高賃金を追って高いほうへ高いほうへと流れているというのが、私は一面の趨勢だと見ることが正しいのではないかと思っておるのであります。したがって、中小企業等については、いま政府がとっておる経済政策によっていろいろなしわ寄せが来ておる。したがって、倒産などもどんどんと起こりかねない情勢にある。したがって、中小企業対策等についても急速に処置をとらなければならぬというのが、私は現時点における政府の立場だと考えておりますが、そのほか農林水産業等の第一次産業につきましても、どんどんと労働力は高水準の賃金業界のほうへ、産業界のほうへ流れていっておりますから、地方が過疎現象を来たしておることは御承知のとおりであります。 そういうような中で、他面農林省等におけるところの農林水産業に対する振興方策というものは、やはり経営の拡大をはかりながら、農林水産業等のいろいろな施策の中でいわゆる高所得、他の産業に匹敵するような所得をあげさせてやらねばならぬという方向でいま指導されておるわけです。政策もそういう方向で進んでおるわけです。 そういう中において、失業保険法から雇用保険法に今度は移行するわけでありますが、この移行に伴って、いま言っておるような経済力の弱小な中小企業とかあるいは農林水産業等の発展、振興に支障のないような雇用保険法でなければならぬ、こういうことを私は重視しておるわけでありまして、こういう観点に立って考えますと、いま御答弁になったようななまやさしい経済動向と見るべきではない。そうして農林水産業等の場合を見ますると、生産者価格というものは、農産物については政府の支持価格が相当ありますが、この支持価格もきわめて——きわめてというと私は与党の議員として語弊がありますけれども、残念ながら思うような支持価格にはなっておらない。そういう情勢で逆に生産資材の高騰、労賃の高騰、その他の生産費の引き上げ等によって、全く農林水産業はいまこれからどうするかという、新しい進路を開拓していかなければならぬという政府に対する大きな責任が負荷されておるものと私は考えておるのであります。こういうような情勢の中で、したがって大企業であるとか、三公社五現業であるとかいうようないわゆる政府関係企業、それといま申し上げておるような中小企業あるいは農林水産業等に従事する労働者あるいは経営者の所得格差というものは、だんだん拡大しつつあると私は見ておるのでありまして、こういうような情勢の中におけるこの保険法の制定なのでございまするから、したがって、この保険法を制定するにあたっては、こういう経済動向に対する認識をどこに置くかということが基本になって、そこから法律構想が生まれてこなければならぬと私は考えるのであります。そういうような見解でおるわけでありますが、労働大臣から、簡潔でよろしいわけでありますけれども、そういう私の申し上げておるような認識が正しいのか、あるいは別な認識の上に立って労働省としては雇用保険法を制定されておるのか、その点をひとつお聞かせいただきたいと思います。
○長谷川国務大臣 まさに安田先生のおっしゃるとおり、大きな問題をかかえているわけであります。ただ一方、日本の雇用率というのが、非常に需給逼迫しておりまして、従来ですと、昨年などは春闘が二〇%のとき中小企業は二一%、ことしも大手が三〇%のとき中小企業は三二、三%というふうな、それは人手が足りないものだから、それだけ上げなければ、率は上がるけれども、大体ベースが低いから、金額はそう上がっていない。しかし私は、そういう意味での日本全体の雇用というものを、質と量と合わせて考える。 もう一つ、御承知のとおり農林水産に雇用保険でかぶせるというのも、私たちが将来の農林水産ということを考える一つのメリットがあるんじゃなかろうか、こういうふうに考えておるわけです。
○安田委員 大臣の御説明については、一応了承いたしました。そこで私は、次に内容に入ってまいりたいと思うのであります。 私はいま申し上げておるように、とにかくこの雇用保険法は制定されまする以上は、どうしてもこの制度によって、農林水産業の労働力が確保せられ、あるいは中小商工業といいましても、地方における中小商工業というのは零細企業でございますから、したがっていまお話のありましたように、相当高率のベースアップが行なわれておるという中小企業などとは——私は北海道でありますが、北海道地方の農村における市街地の中小商工業というのは、とてもそんなようなベースアップはできる力がないのでありますから、私どもの考えておりまする中小商工業というのはむしろ零細企業でありまして、そういう、零細企業の労働者を確保する、こういうことがどうしても雇用保険法の制定によってその成果があがるような仕組みにしていかなければならぬという前提で御質問申し上げますので、それを御理解いただいて御答弁をいただきたいと思いまするし、また時間がありませんから、答弁はなるべく簡潔にお願いいたしたいと存じます。 失業給付の面における一般被保険者の求職者給付の問題でありますが、これを見ますると、基本手当の所定給付日数というのは現行法に比しまして、三十歳未満の場合でありますが、だいぶ日数が減少されておるのでありますが、これは一体改善なのか改悪なのか、この辺について局長から御説明いただきたい。なぜそういうふうに九十日ないし百八十日であったものを六十日に減少しなければならぬのか、その理由等について御説明いただきたいと思います。
○遠藤(政)政府委員 所定給付日数の決定の方法につきましては、先ほど大臣から御答弁ございましたように、最近のわが国の雇用失業情勢は量的な完全雇用状態になっております。しかしながら、その中でなおかつ地域的にあるいは年齢的に見ますると、非常に就職困難な状態が依然として残されておりますし、今後日本の人口の高齢化に伴いまして、特に中高年齢層につきましては、一そう就職困難な状態が今後とも持続すると考えられます。その反面、若年層につきましては、いわゆる新卒等につきまして金の卵といわれておりますように、十歳代、二十歳代につきましては、あらゆる職場、職種におきまして求人難の状態でございます。こういう実態から見まして、今後の失業保障機能のあるべき姿といたしましては、より必要な人たちにつきまして手厚く、きめこまかく失業保障の機能を充実させる必要があるという観点から、所定給付日数の決定の方法を変更することにいたしたわけでございます。 そこで三十歳未満について見ますると、就職の難易度という点から比較いたしますと、中高年齢層に比較いたしましてきわめて就職は容易な状態でございます。過去の実績から見ましても、三十歳未満の人たちにつきましては平均六十日以内で、大体五十日程度で再就職をいたしております。これは、すべての職種について同じようなことが言えるわけでございます。したがいまして、失業保障という観点から見ますると、六十日の給付日数があれば再就職、離転職の場合の失業保障としては十分である。と同時に、その反面、中高年齢層につきましては、かなり就職が困難でございますので、若年層に比較いたしまして、二百十日、三百日という失業給付のための給付日数を決定する、こういうことに改めたわけでございます。
○安田委員 中高年齢層に対する給付日数を多くするということについては、私は賛成なんです。その点については問題はありませんが、三十歳未満という若い年齢層の方々のいわゆる給付日数を六十日に減らすということは——これは私は、制度的な問題をしゃべっているんですからね、実際上の問題をしゃべっているわけじゃないですから、そこのところを御理解してくださいよ、制度論としてしゃべっているんですから。いままで失業保険法では、九十日ないし百八十日という、こういう給付日数になっておったものが、今度新しい法律によれば、三十歳未満は六十日に減らされるわけです。結局、いままでの給付日数を受けられる人であった人方でも受けられなくなるわけですから、いま局長の御答弁では、平均六十何日だというような話をしておりますけれども、そういう問題は私はいま議論の外に置いているわけですから、実際が六十一日であっても二日であっても、制度的には、いままで九十日であり百八十日であったものが六十日になるのですから、それだけのいわゆる失業保険をもらえるはずの人が今度はもらえなくなるわけです。その点で御質問しておるのですから、そういう面でお答えをいただきたいと思うんです。ですから制度論としても、政策論としても、私は一般国民がふしぎに感じられるんじゃないかと思うんですよ。自由民主党の労働政策というものはそういうものかという感じを与えるんじゃないかと思うんですよ。それで、私は心配で質問するわけですから、そういう点を御理解いただいて、もう一度、どうして制度論としてこれが国民に対して説得力がある日数なのかどうか、御説明いただきたい。
○遠藤(政)政府委員 制度論といたしましては、失業保障の機能が十分であるかどうかという点が、最も重要な点であろうかと思います。ただいま申し上げましたように、三十歳以下の人につきましては、かりに離職、失業いたしました場合に、その再就職までに必要な期間というものを、過去の現行法によります実績を見てまいりますと、ただいま申し上げましたように平均的に大体六十日、特に男子につきましては四十五日程度で、ほとんどすべての人が就職をしております。こういう観点から考えますと、新たに制度を起こします場合に、その必要にしてかつ十分な給付日数をいかに定めるべきかということになりますと、大体いま申し上げましたような六十日程度で必要でかつ十分であろう、こういう観点から決定いたしたわけでございます。
○安田委員 いまの局長のような御理解の上に立ってこの制度が運営されていきますと、これはこのままきまればそういうことになるんでしょうが、そういう結果になりますと、先ほど冒頭に私が申し上げておいたような弱小産業界に対する労働力というのは、これは確保不可能になってまいると私は思いますよ。だからそういう面、これは必ずしもいま私が質問しておるのは、農林水産業の関係であるとか、そういうものは別でしょうが、商業であるとかサービス業に対する問題が中心になって制度的にはできておりますけれども、地方市街地等におけるその種の業種の方々の労働力は確保困難になるということは、私はもうはっきりと言い切ってもいいと思うんです。しかし、次の問題に入りたいと思いますので、これでこの話はやめます。 そこで、引き続いて御質問をいたしますが、次に御質問いたしたいのは、いわゆる短期雇用特例被保険者制度の問題でございます。これは法三十八条関係でありますが、この短期雇用特例被保険者制度を設けまして、これを三十日分の一時金制度とした理由は、前段質問いたしましたものと関連がありますけれども、どういう理由に基づくものなのか。これもいま申し上げましたように、給付日数九十日または百八十日分という制度上の日数が三十日の一時金に、これはきわめて少なく縮減されるわけでありますから、こういう制度的な改正というものは私は不適当だ、はっきり申し上げて、私は見解を示しておきたいと思いますが、こういう理由を明らかにしていただきたいと思います。
○遠藤(政)政府委員 出かせぎの保険受給者の問題につきましては、従来からいろいろと御意見を承っております。本来、出かせぎの方々は一年間のうちの六カ月ないし七、八カ月を出かせぎという形で働いておられます。あとの期間は不就業あるいは農業に従事されるという労働形態を毎年繰り返されるわけでございます。一定の期間就業と不就業を繰り返す、その不就業の期間は予定された失業という形で、この予定された失業に対しまして現行の失業保険法を活用してその期間中に失業保険給付を受ける、こういう形で十数年来繰り返されてきたわけでございます。したがいまして、理論的に申しますと、出かせぎ受給者の方々の失業保険の受給という問題は本来的には失業保険制度になじまないものである、こういう御批判、御意見を従来受けておったわけでございます。しかしながら今回、雇用保険制度を新たに提案いたしますに際しまして、こういった出かせぎの受給者の方々の実態を見ますと、出かせぎという労働形態は決して好ましい形ではございませんけれども、出かせぎに出る人たちにとりまして、今後もどうしても出かせぎに出ざるを得ないし、と同時にまたこれを受け入れるほうの側にとりましても、出かせぎ労働者というものがどうしても必要である、こういう実態は今後農業構造改善が進み、日本の農業問題が改善されてまいりましても、なおかつ早急にこの解決を望むことは非常にむずかしい問題であろうと思います。私どももこの出かせぎの人たちにつきまして、通年雇用化、常用化を進めるというような施策は進めてまいっておりますが、なおかつこの出かせぎの人の実態を、実態として踏まえながらこれを新しい雇用保険制度の中に組み込んでいく必要があろうか、この実態を踏まえて新しい制度に定着化させる必要がある、こういう考え方に基づきまして、新しい雇用保険制度の中の一つの特例の制度としてこの出かせぎの短期受給者の問題を取り上げることにいたしたわけでございます。したがいまして、一般の偶発的なあるいは企業側の理由による解雇、そういったことによります失業と全く質を異にいたしておりまして、毎年毎年就業と不就業を繰り返す、この不就業に対する給付というものを一般と同じような形で制度化することについてはいろいろ問題がございます。そこで、従来からいろいろと御批判を受けておりました点を十分勘案いたしまして、これを一時金という制度によりまして定着化させることにいたしたわけでございます。 その際、一時金ということになりますと、一体どれくらいの日数にしたが適当であるかという点も、現在の出かせぎの受給者の方々の平均受給実績というものを勘案いたしまして、それにほぼ近い線でそれを出かせぎから帰られたら一時金で全額を受け取れる、こういう制度にいたしたわけでございます。
○安田委員 いまの局長の御答弁によって趣旨はわかりましたけれども、三十日の一時金にした結果、金額が減るのでしょう。金額が減ることは計算上出ておるはずですから、そういうことはどういう説明をしても国民が納得しませんよ。そういう点は私はもっとあたたかい政策というものが、自民党の政策の中にあたたかい感じを与える政策が盛り込まれていかなければ、理論的にどうであろうともいままでとっておった政策よりももっと低い政策、悪い政策、そういう低額の保険金を支給するような政策をとるということ自体、私は適当でないと思います。 それから、いろいろ説明されておりますけれども、農村というのは出かせぎに出るほうの立場ばかりじゃないのですからね。北海道あたりの農業は大規模農業が多いのですから、むしろ求人、雇用者を求めるほうですからね。求める農業経営が問題になるのですからね。水産もそうですよ。林業もそうですよ。林業労務者なんか、いまほとんど確保困難になっているのですよ。造材とかそれから造林とか、いわゆる製造業でないほうですよ、林業関係の。きょうは時間がないから個々に産業上の実態を申し上げませんけれども、一がいに農村労務者というと何でも東京に出かせぎに来て働く人方だという考え方でなくて、逆にそういう人方を求める地帯があるということを忘れてもらっては困るわけですよ。そういう点を考えると、私はこれは非常に問題点である。 それから、この三十八条の第一項一号、二号に書いてあります「季節的に雇用される者」とか「短期の雇用に就くことを常態とする者」とか、これはこの規定では読んですぐ理解できます。しかし、これらのものに対する産業別の業種とは一体何をさすのか、具体的に説明していただきたいということ。 もう一つは、労働保険の保険料の徴収等に関する法律の十二条第四項に、いろいろ建設業であるとか農林水産業であるとか酒造業であるとか、この規定が別にありますね。これとの直接的な関係がこの三十八条はあるのかないのかということが第二点です。 それから、労働保険の保険料の徴収等に関する法律十二条の四項第五号に「政令で定める事業」ということばがありますね。これは一体何をさすのか。この三点について御説明いただきたい。
○長谷川国務大臣 北海道も出かせぎ地帯ですが、私のほうも出かせぎ地帯です。そこで、今度の一時金の特例は、一ぺんもらったらそのあとどんな仕事にも従事されるというところに、北海道のように農林水産でも人手のほしいところはそれだけのメリットがあると私は思うのです。従来は、失業保険をもらっている間はなかなか働きに行けなかったわけでしょう。そういうことからすると非常なメリットがある。しかしながら、先生がおっしゃるように急激な変化というものは政策としておかしいじゃないか、こういうことは社会労働委員会などにおいてほかの先生方からもよく御指摘をいただいておりますので、そういう問題については、御審議の過程において私たちはよく理解しながらそういうものを受け入れていきたい、こう考えております。
○遠藤(政)政府委員 法案の三十八条の二つの項目でございますが、これは、先ほどから御指摘になっておりますいわゆる出かせぎの方々、あるいは出かせぎでなくても、毎年毎年一定の期間繰り返して短期的に雇用される人たち、つまり保険の体系の中からいいますと、毎年一定の期間働いて、そして不就業の期間保険給付を受けるという形の方々をさしているわけでございます。この規定は徴収法の規定の建設業、農林水産業、清酒製造業と結びついておる規定でございまして、こういった短期雇用を繰り返す人たちを主として雇用する業種というものとして、建設業と農林水産業と清酒製造業をあげておるわけでございます。 「政令で定める事業」と申しますのは、こういった農林水産業、建設業、清酒製造業に類する、同じようなものがあるとすればそれを政令で指定してこれに加えようという考え方でございまして……(安田委員「現在ありますか」と呼ぶ)現在はございません。考えておりません。
○安田委員 この三十八条の一号、二号の項目とそれから徴収法の十二条の四項と直接に関係があるかないかということを御質問申し上げたのですが、結びつきがあるという御答弁でございましたけれども、これは法律的には何によって結びつきをつけているのですか。どの法律条項に基づいて。ちょっと教えていただきたい。
○遠藤(政)政府委員 こういった三十八条の二つの号に規定しております労働者を雇用する三つの事業につきましては、保険料率に特例の規定を設けております。そういうことから結びつきがある。法律的に直接結びついた条文はございませんけれども、こういう人たちを主として雇う事業については保険料率を一般の保険料率と違った料率を適用します、こういう規定がございまして、そういうことから結びついておると申し上げたわけでございます。
○安田委員 私はそういう説明は適当でないと思いますよ。それは徴収法の十二条にありまするものは、いま局長の御答弁になっているような、いわゆる農林水産業、建設業、それから酒造業というようなものを明確にわれわれが理解できる規定になっていますけれども、この三十八条はそういうものが直ちに理解できる性質のものにならないと私は思うのですよ。それから保険料率の規定というものはまた別な問題ですから、局長がそういう関連づけの説明をすることはおかしいのじゃないですか。あなた方専門家ですから、私が言うのも変ですけれども、法律の条文はそんなふうにはできておらないのじゃないですか。そういう考え方で指導することが、そういう考え方でこの保険法を運用せられることが、現地の国民に対して非常な弊害を残しているのですよ。それがあなた方の感覚だけでそういう説明をされるから誤解を招くし、私のような質問をしたくなってくるのですよ。あなた方重大な責任のある立場にある方なんですから、新しい法律が制定される場合におけるこの種の質問に対しては、もう少し明確に、しかも条理にかなった答弁をできるようにしておいていただかないと、国民から見ますと非常な誤解を招きますよ。その点もう一回説明してください。
○遠藤(政)政府委員 私の説明がたいへん不十分でございまして申しわけございません。 整備法の五七ページにございますが、徴収法の十二条の規定によりまして、新しい雇用保険の保険料率は一般的には千分の十三ということになっております。その例外といたしまして、「土地の耕作若しくは開墾又は植物の栽植、栽培、採取若しくは伐採の事業その他農林の事業」、第二には「動物の飼育又は水産動植物の採捕若しくは養殖の事業その他畜産、養蚕又は水産の事業」、第三に「土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体又はその準備の事業」、第四に「清酒の製造の事業」、こういう四つの事業があげてございまして、ただいま先生御指摘のいわゆる農林水産業、建設業、清酒製造業が、一般の千分の十三の保険料率の特例といたしまして千分の十八の料率が適用されることになっております。 そのほかに、雇用保険法の第三十八条第一項に規定する短期雇用特例被保険者を雇用する事業で政令で定めるもの、ただいま申し上げた点でございます。したがいまして、この四つの項目にあげております事業につきまして雇用される労働者が、三十八条のいわゆる特例被保険者が大部分である、こういう構成になっておりまして、こういう短期雇用特例被保険者を雇用している事業について特例の保険料率が適用される、こういう規定になっているわけでございます。
○安田委員 局長さんのその説明の中で、この徴収法の十二条に書いてあることはよくわかるのですが、千分の十八の保険料を徴収するそのものが、直ちに三十八条の短期雇用特例被保険者であるというふうにすぐ結びつくのですか。そういうふうになるのですか。私はちょっとそこが理解できないので……。
○遠藤(政)政府委員 直接結びつくわけじゃございませんが、この徴収法の十二条に掲げられております四つの項目、政令で定めるものを含めますと五つの項目に掲げられた事業については、特例の千分の十八が適用されることになります。この事業に雇用されております特例被保険者につきましては、三十八条の特例被保険者の扱いで、その給付については一時金の制度が適用される、こういう仕組みになっておるわけでございます。
○安田委員 いまの説明、私はこれにこだわるつもりはないのですよ。ないのですけれども、これが短期雇用特例被保険者制度の運用の場合の非常な問題点になると思いますから、私は質問を少しくしつこくしているわけですよ。局長さんの冒頭の説明のように、この三十八条に書いてある対象者は直ちに千分の十八の対象になるんだという考え、徴収法の十二条が裏返しにすぐ三十八条に結びつくのだというものの考え方、これは非常に危険な考え方ですからね、われわれ国民から見ると。そういうことは絶対明確にしておいていただいて、現地における安定所等の保険法の運用に当たってもそこをきちっとして、そして労働省の恣意というと語弊がありますけれども、恣意によってそういうことが運用されないように、法の規定というものを厳格に守るようにしていかないと、たいへんなあやまちをおかすのじゃないかと私は思いますよ。 それから徴収法の十二条の中にも書いてありますが、カッコ書きで「労働大臣が指定する事業を除く。」ということばがあるでしょう。これとまた三十八条の対象とは私は違うと思いますよ、ここで除かれたもの以外のものについても。これは「季節的に休業し、又は事業の規模が縮小することのない事業として」云々とあるのです。「季節的に休業し、又は事業の規模が縮小することのない事業」ということになりますと、私は大体建設業なんかはこれの対象に入るべきものじゃないと思うのですよ。あなた方の運用しておるいわゆる一号から五号までの対象になっておる土木建設業であるとか酒造業であるとかいうものは、この十二条のカッコ書きで除かれるものと私はみなしてもいいものだと思うのですよ、この業態の性質からいえば。「季節的に休業し、」建設業なんかは休業しませんからね。「又は事業の規模が縮小することのない、」これは縮小されておりませんからね。こういうカッコ書きで除外しておきながら、片一方では今度これをみんな千分の十八のグループに入れておるわけだ。その辺の問題がぼくは法律論としてあると思いますが、きょうはその辺でやめておきますが、そういう点はあなた方のほうにおいても法体系の整理という問題をもう少し慎重に念入りにやっておく必要があるのじゃないですか、どうですか。ちょっと簡単に……。
○遠藤(政)政府委員 最初の問題でございますが、農林水産業、建設業、清酒製造業以外の業種で、もし千分の十八の特例保険料率を適用する必要が生じますような業種が出てまいりました場合は、これは恣意的に出先機関が決定するのではございませんで、第四項第五号の規定によりまして政令でその業種を指定した場合に限って、その業種に千分の十八の特例保険料率が適用されることになりますので、恣意的な適用、運用は絶対にございません。 それから、四項の本文にございますカッコ書きの「季節的に休業し、又は事業の規模が縮小することのない事業として労働大臣が指定する事業」これは第一号、第二号の農林水産業だけについて適用される条項でございまして、農林水産業のうちで季節性のない、たとえば畜産業みたいに常用労働者を年間通じて雇用するような事業、そういうものについてはこの特例が適用されない、一般の千分の十三が適用される、こういうことでございます。
○安田委員 次に移りたいと思いますが、附則の第三条によって、本法の五条において強制適用事業として取り上げておる個人経営の農林漁業等を任意適用事業にしておるわけですね。これはどういう理由によるものか。それから「当分の間」とはいつまでをいうのか。それから附則の三条二項に書いてある内容を明らかにしていただきたいということ。それから任意適用期間中の個人経営の農林漁業の保険率は千分の十三なのか千分の十八なのか。この四点についてひとつ御答弁いただきたい。
○遠藤(政)政府委員 現行の失業保険法におきましては、先ほど来先生の御指摘ございました商業、サービス等の中小零細企業、それから農林水産業については、全部適用除外になっております。適用されないことになっております。それを今回すべての企業、事業につきまして、労働者を一人でも雇えば全部適用する、いわゆる全面完全適用というたてまえに踏み切ったわけでございます。 ただその際に、農林水産業につきましては、昭和四十四年の現行法の改正の際に、昭和五十一年の一月末までに農林水産業に対する適用について具体的な措置を講ずるべきである、こういうことが国会修正によりまして義務づけられております。それを私どもは一年繰り上げて今回実施に踏み切ったわけでございますが、その場合、農林水産業につきましては一般の事業と異なっておりまして、雇用関係が必ずしも明確な形がとられない場合がある、あるいは賃金形態等についてきわめて不明確な点がある、こういったことから、一般の産業と異なりまして、個人経営の五人未満の零細規模のものにつきましては、その実態把握がなかなか困難な場合が多いわけでございます。したがいまして、たてまえとしては全面適用いたしましたけれども、こういった個人企業の五人未満につきましては、一応任意適用という形によりまして、できるだけ早急に全面適用、完全に強制適用にできるような状態に持っていきたい、かように考えておる次第でございます。したがいまして、この任意適用につきましても、保険料率は農林水産業は一般と同じ千分の十八が適用されることになるわけでございます。
○安田委員 時間がだんだん迫ってきますから、あまりくどく話しておられませんが、いまの話を聞いておると、ちょっと私は矛盾を感じてならないのです。任意適用にしておきながら、片方では、この保険料率だけは千分の十八を取るのだ。強制適用を任意適用に、暫定的に当分の間ということになっておりますけれども、やらなければならぬ理由は、要すれば役所側の準備だけの問題ではないですか。あと何か保険財政的な問題にも影響するのですか。何か役所側の保険事務を扱う上における体制の整備だとか、そういう問題が問題だという考え方に立っておるのではないかと思うのだが、それならば幾らでもやり方があると思うのですよ。皆さん方のほうも徴収法の中にもある事務組合のようなものをつくるとか、あるいは農協に対して事務組合をつくってもらうなり、あるいは委託するなり、便法の処置は幾らでもとれると思うのですよ。それにもかかわらず、本法でせっかく強制適用にしておきながら、附則でもって経過的に当分の間は除外する、任意適用だ。そういう農林水産業軽視のような制度をなぜつくらなければならぬのですか。私は、その点答弁は要りません。要りませんけれども、基本的に農林水産業に対する労働政策があまりにも軽視されておるという感じを受けてならぬ。農林水産業に従事する労働者といえども、他の産業に従事する労働者との間に軽重はないはずですよ。どうして雇用保険法の場合には附則でもってそういう軽重がつけられておるのか遺憾でありますが、これは強制適用に直ちに直していただきたいということを私は要請をしておきます。 それから、時間がそろそろ来たということでございまして残念でございますが、きょうは建設大臣もお見えになっておりますから、一言、二言お聞きしたかったのですが、私は、建設大臣、それから農林省は大臣が来ていませんから構造改善局長に要請をしておきます。 いまの中小企業、特に地方における建設業は、北海道においては、今度の新しい雇用保険法によれば、今度の改正によって働く人が不利になった部分を経営者が補ってやらなければならぬという問題が起きておる。ですから、いまのような保険給付日数の問題だとか、もちろん賃金日額の問題もありますよ、ありますけれども、日数の問題、それから適用面におけるいろいろな制約、こういう給付条件の問題については、根本的にもう一回考え直していただかなければならぬと私は考えます。そうしないと、中小建設業者、それから農林水産業、北海道等においては労務者が入ってまいりません。全部賃金の高い、べースアップの盛んに行なわれるほうへばかり傾いちゃって、北海道の方面には参りません。第一次産業や弱いところの建設業者の方面には入ってまいりません。たいへんな結果になりますので、この点を十分に御理解をいただいて、御善処をいただきたいと思います。 時間がありませんから、締めくくりをいたします。 そこで最後に、これも労働大臣にお願いしておきますが、いままでの質問を振り返ってみますと、とにかく農林水産業や弱小中小企業もそうですが、特に建設業等に対する給付改善の問題、それからもう一つは、国庫負担が非常に少ないと思うのですよ。これは改正前の失業保険法時代と同じように四分の一ですかにとどまっております。これも時間がありませんから触れませんが、こういうような問題。それから保険料でやるところの福祉施設、ああいうものはやはり一般会計で支弁すべきものだと私は思うのです。そういうふうにしてやらないと、他の給付条件の改善がとれないと思うのですが、そういうような問題を含めまして、どうかせっかくつくる雇用保険法でございますから、先ほど大臣からも、この審議の過程において云々という非常に含みのある、あたたかい御答弁もちょうだいしましたから、それに大きな期待をかけまして、質問を終わりたいと思いますが、よろしくお願いいたしたいと思います。
○野原委員長 多田光雄君。
○多田委員 雇用保険法について、いまいろいろ論議されておりますが、私は、北海道の実態から、この法案が施行された場合どういう結果になるかということについて、かなり調査してみたわけです。そうしますと、この法案はやはり国総法その他と一体となって、日本の雇用問題その他に相当深刻な影響を与えている。部分的な修正ではとてもよくなるものじゃないということを痛感させられているわけです。 そこで、いま、過去の高度経済成長のもとで公害の問題であるとか土地問題、こういう問題と並んで過疎過密の問題は大きな社会問題になっています。特に過疎地帯では、御承知のとおり、人口、労働力の流出から地場産業が崩壊していく。そしてまた、それが地方自治体に行財政の上で深刻な影響を与えている。このため国も一定の金を出して補強しなければならない、こういう状況になっているわけですね。 この中で私が北海道を例にあげるのは、北海道は御承知のとおり、農業、漁業、林業あるいは石炭、こういう一次産業を中心にして今日まで来たわけですが、これが急速に崩壊する中で人口も停滞する。若年労働力は道外に流出していく。そして今日では、各府県の中でも最も過疎の深刻な地帯ということになっているわけです。ですから、この典型的な北海道において雇用保険法が適用された場合に、はたして地場産業は発展させることができるのか、あるいは労働力を確保することができるのか、さらにつり合いのとれた地域や産業の発展が保障されるのか、そういう角度から私はこれをながめてみたわけです。ところが、決してそうならないのではないかということを、非常に短い時間ですが、私は大臣その他に若干の質問をしたい、こう思っています。 そこで、自治省に最初伺いたいのですが、今回の法案に対する反対の意見書、これは全国で相当多くの市町村議会が決議しているわけですが、この全国の市町村議会で反対意見を決議した数、さらに北海道で二百十三の市町村議会のうちで幾つが反対決議をしているか、その数をちょっと述べてください。
○古屋政府委員 地方自治法の九十九条二項の規定に基づきまして、雇用保険法案について労働大臣あての意見書を提出しました北海道の市町村議会は、労働省失業保険課の調べによりましても八十六件でございます。八十六件のうちで、参考に申し上げますと、法案に対する反対を趣旨とするものが三十件、その他、その他と申しますのは給付等の激変防止、農林業対策を強化しろというようなのが五十六件ございます。全国についてはいま私のほうに全国の資料を持っておりませんので、調査をいたしましてお答えいたします。
○多田委員 五月五日の新聞によりますと、これは全国で二百八十八の議会がこれに反対もしくは意見書を提出しております。そして北海道では、いま八十六件ということでございましたが、これは九十二件であります。しかも道議会を含めてほとんどの議会が、与野党これは一致して反対もしくは意見書をきめておるわけです。北海道についていうと、これほど短期間にこれほど、全市町村二百十三のほぼ半数近くがこのような決議をしたというのはこれはまれであります。ということは、いかにこの法案に対して道民が危惧を持っているかということのあらわれだろうと思います。 そこでさらに自治省に伺いますが、その反対しているおもな理由はどういうふうに書かれておりますか。
○古屋政府委員 先ほど申し上げました八十六件という数字がいまのお話で九十二件ということでございますが、これは労働省の失業保険課の調べでございまして、先ほど申し上げましたように、八十六件とした場合の、法案に対する反対の趣旨が三十件、その他が五十六件というふうになっておりまして、むしろ私のほうよりも労働省からお答えしたほうが適当かと思っております。
○関説明員 ただいま手元に意見書等を持っておりませんので、その理由というものがこの場で詳しく申し上げられませんが、ただいま政務次官からお答えもございましたように、反対または中止要請、こういうものと、生活に激変を与えることを回避してくれ、あるいは地域対策、農林水産業等の振興対策を望むもの、あるいは現行制度の充実強化を望むもの等種々ございます。
○多田委員 自治省がこれほど広範な市町村が反対決議をしているその実数並びにその内容が十分つかめない、あるいはつかんでおらないということは、これはやはり自治省としてまずいというように私は思います。それからいま反対決議をしている主要な例を私調べてみましたら、これは建設労働者の生活の破壊、それから建設業者をはじめとして地元の中小零細業者の影響の甚大、それから地場産業の崩壊、地方自治体の行財政上への影響、それから労働力の流出、過疎の進行、こういうことが大体共通している内容になっているわけです。 そこで、これは労働省に伺いますが、反対決議の多い北海道では失業保険受給の季節労働者は何人いるか。それから全国の中で何名いるか、それをひとつ言ってください。
○関説明員 四十七年度の北海道におきます季節的受給者は約二十六万名でございます。それから全国は六十一万七千名でございます。したがいましてその割合は約四二%ということになっております。
○多田委員 全国六十一万のうち北海道の季節労働者が二十六万、約四二、三%、これだけの数を北海道は占めているわけです。そこで、これも労働省に伺いますが、北海道の季節労働者の特徴はどういう特徴でしょうか。
○関説明員 北海道で季節的に失業保険を受給している者——季節労働者といいますと、必ずしも失業保険と関係ない方もございますから、失業保険を季節的に受給している者は、冬期積雪寒冷等の理由で離職する冬型の受給者、これが非常に多いという点が、特に北海道の特徴かと思います。
○多田委員 二十六万のいま言った失業手当を受けている季節労務者、そして北海道の特徴というのは東北とは違うのです。東北はともかく、まあ十分不十分はあっても、夏場は家内と一緒に農作業をやるわけです。そして冬場を東京その他に出かせぎに行っているのです。ところが北海道は夏場出かせぎに行って、正月をはさんで冬場にうちへ帰ってくるのです。そしてその冬に仕事があるか、これは仕事がないのです。この仕事がないというのは幾多の資料がございますが、たとえば政府や道の発表したものによっても冬場はほとんど仕事がない。ここに特徴があるのです。それだけにこの保険法が適用されたならば、どこの季節労務者よりも深刻な影響を受けるのだ。しかもそれが二十六万人です。家族を含めれば膨大な数になりましょう。まずそれをひとつ皆さんにはっきりもう一度御認識をいただかなければならぬと思うのです。 そこでお伺いしたいのですが、これだけ失業あるいは季節労務者、これが北海道に多いその主要な理由は一体何だと思いますか。その原因は何でしょうか。これは北海道開発庁に伺いたいと思います。
○秋吉政府委員 お答えいたします。 北海道の特殊事情といたしましては、これはもう先生が私どもより数段御認識があるかと思いますが、積雪寒冷地であるという気象的な特殊事情と、それから何といっても雇用の機会が他の本土等に比べて狭い、この二つの原因が主たる内容じゃないか、私はかように考えております。
○多田委員 いまの回答は私は答弁にならないと思うのです。なぜこういう季節労務者が多いのか、その原因ははっきりしているのです。これは農業林業、漁業、これがまさに北海道の中心であった。田中総理も、北海道を食糧基地にすると言っている。ところがこの一次産業が御存じのとおり政府の施策のもとで、最も典型的な過疎になっているのです。それから石炭がそうです。それが主要な原因でございましょう。そしてその条件として東北や関東なんかと違って積雪寒冷地だから困難だということだけのことなんです。これも、私の時間は三十分ですから非常に時間がありませんが、これも幾多の資料があることです。たとえば道内で農林、水産、鉱業、ここから出た労働者がどういうふうに流れていっているか。それから、二十六万のうち建設関係の仕事に従事しているのが二十万人です。そういう実情はやはり、政府の施策が今日の失業あるいは季節労務者を生んでいった。これが北海道に典型的に出ているのだ。私はそのことを皆さんに第二の問題としてぜひ確認していただかなければならぬ。了承されるかどうかは別として、事実として。これは客観的な問題です。 そこで季節労務者として失業手当を受けている人たちの生活の実態、これはどんな状況か、これは私は実は何人かの人の訴えをもらってきたのですが、大臣ひとつ聞いてください。これは札幌のSという建設業に働く一婦人です。「五月中旬から十一月まで働いて、一月半ば過ぎから失保受給、一日千円から千百円くらい、働いているときの給料は月五万円程度である。いまはひとりぽっちでアパート暮らし、家賃六千五百円。物価高で生活は苦しい。働かなくてはと思うが、冬は仕事がない。飯場のごはんたき、くぎ抜き、材料のあと始末。冬の仕事がないものでしょうか。九十日給付が三十日になったらどうすればよいのか。細細としたものだが命の綱だ。」こう言っています。そのとおりなんです。寒いし、冬の仕事がないし、九十日が三十日に削られる。当然なことです。 それから、三十八歳の、これも札幌のとび職です。「家庭は高校一年、中学三年、三歳の三人の子供と夫婦の五人家族。失業保険は三千円弱の最高額。月に二十八日支給で八万円と少しになる。家は市営住宅で、家賃は一万九千円。暖房など六千百十七円かかる。」そして、奥さんが病気なんです。「どこか働かせてもらいたいと思っても、ことしはほんとうにどこにも仕事がない。雪が解けたいまもない。」これは公共事業の抑制の結果です。「遊びたくて働かないのではない。ほんとうに仕事がないのだ。仕事がほしい。この上三十日給付になったらひぼしになってしまう。」こう言っています。 それからこれは、産炭地の三井美唄の解雇された五十歳の炭坑夫です。この人は「夏はかせぎまくって疲労こんぱいして家に帰ってくる。年がら年じゅう働きずくめで、家庭にいるのはこのときだけだ。三十日給付になったら家庭の破壊だ。もしなったら常時出かせぎの流浪の民だ。」つまり夏は出かせぎ、冬は三十日に削られる、生活にならないから、今度は仕事を求めて雪のない遠方に行かなくちゃならない。年間を通じて出かせぎなんです。 こういう実態を、今回の法案をつくるときに真剣にお考えになったのかどうなのか。これは民間だけじゃないのです。 そこで開発庁に聞きますが、開発庁には約三千六百の臨時職員がいるはずなんです。数字が違っていたら直してください。少なくとも三千名こしているはずだ。その中で、二十五歳で妻、子供の三人ぐらいでどのくらいの給料をもらっていますか。
○秋吉政府委員 お答えいたします。 ただいま先生御指摘になりました数はおそらく四十八年七月一日現在の数字ではないかと思います。しかしながら、年間を通じまして延べ採用している実人員の数で申しますと四千八百という数字に相なります。したがって、とり方によっての相違でございますが、七月一日現在の私どもの数字では三千五百十八名という数字になっておるわけでございます。 それから、いま賃金日額の御指摘がございましたが、四十九年度の平均賃金はまだこれからでございますから、四十八年度の平均日額で答弁させていただきます。 デスク系と技能労務糸と二つございまして、技能労務糸が大部分でございますが、これを合わせまして全体で、平均日額は二千百四十円という数字に相なっております。したがってこれは全体の平均の実態値でございます。 なお、いま御指摘がございましたが、技能労務系の場合に職種によって違いがございます。自動車運転手であるとかあるいは電話交換手であるとかそういったものは、先生御承知のように、公共三省の民間賃金相場を比較いたしまして調査した、いわゆる三省協定の労務単価表というものをつくって出しますから一がいにいえませんが、職種によって違いますけれども、いずれにいたしましても三省協定の労務単価表を基準といたしまして算出をいたしておるわけでございまして、かりに技能労務者の重作業ということで申しますと、新中卒が十五歳ですから、大体五年たちますと二十歳ということになりますと約二千四百五十円、私ども標準値としてそういう数字を持っております。これは四十八年度の労務単価表でございます。 以上でございます。 〔野原委員長退席、葉梨委員長代理着席〕
○多田委員 私は帯広の開建現場につとめておる何人かの労働者に会ったのです。そこで、これも名前を秘匿しますが、Aさんという人です。二十五歳、妻、子供一人、一歳です。これは雑役夫です。これの昭和四十八年度の十カ月働いてもらった金が、五十六万七千八百六十円、保険料抜きです。日額は千六百九十円です。ですから、月二十三日働いて三万八千八百七十円。そしてこの帯広は生活保護の二級地。幾らもらっておるか、四万九千九十円です。このほかに生活保護の場合、薪炭料が入る。その開発庁の臨時職員、二十五歳の青年は、手当を含めて月額五万六千七百八十六円。まさに生保と同じなんです。しかも、このような人が十勝の開建だけで三十人もいるのです。しかも、十勝の開発建設部に約八百人いて、そのうち四面三十五人が臨時です。そして四十四歳以下が三百二十七人もいる。ですから、民間だけじゃないのですよ。政府自身がこういう雇用のしかたをしているのです。 私は、この問題をこれ以上いまやる時間がありませんが、大臣にこういう人が二十六万人いるんだということを考えていただきたいのです。北海道だけですよ。 そして、これも名を秘しますが、同じ二十六歳の青年が安定所に行ったら、そんなに金と仕事がほしければ海を渡れと言われた。海を渡れということは、年間を通じて安定した仕事につけということなんです。これが政府のいっている雇用の安定なんです。この新法がそういうものにならないという保証はさらさらない。労働者や出かせぎの人は感覚的に、この法案ができれば流浪の民になる以外にないんだ、青森に渡らざるを得ないんだということを、十年、二十年の生活や労働の実感から知っているのです。しかも、全国的にコンピューターで労働力の移動をやっているわけでしょう。その実例を個別に示せというのなら示します。 そこで、もう一つ伺うが、大臣、五人、十人、二十人という労務者をかかえている建設業者はこれで一体やっていけるでしょうか。いま、私の前の与党議員の質問ですらも、中小企業はこれでは労働者が手に入らないと言っている。その確信がございますか。
○長谷川国務大臣 地域によっていろいろ事情の違うことは、御承知のとおりでございます。北海道はそういう意味からしまして、北海道開発庁を別につくり、そして補助金その他でも内地よりはいいものをやりながら、開発を長い間政府がやってきているわけであります。早い話、数年前までは米の移入県であった北海道が、いまや移出県として大きく伸びている。こういうふうな変化などもあるわけでありまして、このたびの雇用保険法案というのは、先生がおっしゃるような労働者をいじめるということじゃありませんので、いまから先日本の社会は中高年層の世界になる、そういう方々もあわせて長く働いてもらうというふうなこと、あるいはまた能力開発、すなわち技能を持っていれば収入もよくなる、そして社会の発展に合わせて自分が仕事ができるというふうなことを願っておるのでありまして、農林水産にまで適用いたしまして、労働省としてはそういう働く方々をお守りするというところに今度の法案の趣旨があるのであります。
○多田委員 いま私の手元に失業保険法改悪反対運動十勝協議会の募金帳が来ているのです。いま代表が傍聴に来ているのです。これを見ますと、中小の土建業者そろって一万円から二万円のカンパなんです。何十万というカンパなんです。あとで申し上げますが、たとえば芦別という産炭地には失業保険改悪反対市民会議が十団体でできている。どんな団体が入っているか。政党でいえば共産党、社会党、公明党、それから地区労、商工会議所、農民組合、建設業界、町内連合会、福祉協議会、高齢者協議会、市があげて反対しているんです。 業界の場合、私申し上げますと、これもこの間四日の日、私は札幌で数名の中小業者の方に会ったんです。この中小業者の大半は与党を支持している方ですよ。この方々が、資材の高騰、それから総需要抑制により公共事業がダウンしてきている、それから金融の引き締め、これでトリプルパンチを食っているわけですよ。そこへ今度のこの法案が通ったらどうなるだろうか。 たとえば、これも名前を伏して、Aという建設業者はこう言っています。この人は、大工五人を確保するためにどういうことをやっているかというと、大工は一日八千円の日当です。それの六〇%ですから四千八百円、これを四、五の二カ月、主人が自腹を切って出しているんです。そうしないと労働者が確保できないからです。なぜなら、北海道は、公営住宅にしても五月二十日からでしょう。仕事は、ことしは雪が多いからなかなか始まらない。そういう中で、四、五の二カ月分の給料の六〇%、つまり失保に匹敵する金を払っているんです。ですから、この人はこう言っていました。四千八百円、一日五人で二万四千円、そしてこの場合は二十八日払っているというんです。七十万の金です。その上、飯場代、それから通勤用の車の代金まで払っている。こうしないと職人が手に入らないんです。だから、北海道の相当大きな業界の人たちまでが反対している。これは単に地域的なものとはいえないですよ。なぜなら、北海道のこの建設業の大半は、これは公共事業なんです、大臣御承知のとおり。 そこで、こういう実態を見て、この法案がほんとうに東北、北海道の実態を調べたのか、この疑念を一そう私は深めざるを得ないんですよ。先ほど労働省は、九十日から三十日になって、一時金のつかみ取りのほうがいろいろな仕事を拾えるから得だと言っている。そういうところもあるでしょう。しかし、北海道で仕事がありますか。先ほど与党議員は、幾つか仕事があるようにおっしゃっていましたが、北海道は広いんですよ、東京から大阪へ来るよりもっと遠いんです。私は、一体仕事があるのかどうなのか、それをひとつ労働省に伺いたいと思う。 〔葉梨委員長代理退席、野原委員長着席〕 雇用の安定というのは、人間を将棋のこまにすることじゃないんだ。仕事がないから東京へ行けとか、これがいままでの政策でしょう。生きているからには、労働もある、生産もある、家族もある、学校もある、近所づき合いもあるんです。そこで仕事を見つけるというのが、ほんとうの雇用の安定なんです。ところが、汽車で五時間も六時間も、しょっぱい海を渡っていって仕事を見つけるという雇用の安定なんというのは、これはほんとうに人権を尊重した雇用の安定じゃないんです。それをいま皆さんはこれでやろうとしている。 ついでに、時間がないから私のほうから一方的にしゃべりますが、たとえば工場再配置。産炭地の問題でもって産炭地がどういうふうになっているか、私一例をここであげましょう。芦別の場合です。これも幾人かの市会議員に聞いたんです。昔十三の山があったが、いま三井の山一つなんです。人口が七万七千から三万八千に、三万九千減ってしまった。そして現在の就業者が約八千人、これは農民を除いて。そこで季節労働者が二千五百人いるんです。これは失業保険をもらっている人です。炭鉱関係者が多いんです。そして、このうち市内の建設関係に約千三百人、あと市外への出かせぎが七百人です。そうしてこの失業保険関係の年間の所得が十五億円、これが市当局に言わせると、商店街を潤わしている、これが三分の一になると言っているのです。そして建設業者がいま言ったとおり、こぞって反対をしているのです。そして産炭地の工場誘致だというけれども、これもきのう役所から資料をもらいましたが、幾つかの企業でこの十年間雇っている労務者も千人ちょっとなんです。千人という数を見れば多いように見えるでしょうが、何千人という炭鉱労働者がやめているんです。しかもその中身を見たら、八〇%以上が婦人労働者です。四十人、五十人の小さい企業、三千万か四千万の中小企業が政府から金をもらってやってきた。働いているのはほとんど八〇%以上が婦人労働者です。しかも二万円、三万円の低賃金で、労働組合さえつくれない。なぜか。つくったら企業は来ないからといわれている。しかもこの中小企業で働いている婦人が、実は驚いたことに出かせぎの奥さんなんです。こういう実態を、人間の魂をゆさぶるものとして、政府の人がほんとうにつかんでいるだろうか。だから、もしこの法案をやられるのならば、もう通年出かせぎ、家庭の破壊。どうなるか、産炭地はますますさびれていく、こういうのが現状なんです、北海道で。こういう問題をあえて地域的というならば、一体政治というものはどういうものなんだろうかという疑問を国民が与党や政府に持つのは当然のことなんです。 そこで私は大臣に伺いたいのですが、一体真の雇用の安定というのはどういうことなんですか、簡潔にひとつ述べていただきたいと思うのです。
○長谷川国務大臣 雇用の安定というのは、とにかく会社がつぶれることによって自分が失業しないこと、そういう意味での完全雇用というのを願っているわけでありまして、地域によって——日本の場合には職業の選択の自由というものがございます。そういう中から、いま石油危機といわれながらも、失業率がよその国より少ない。これを内容を充実させながら、将来また雇用関係が需給逼迫の中をこれをどう調整していくかということだろうと思っております。きょうもお昼の休みには、北海道の知事さんが産炭地の問題で私のところに参ります。そういう問題で一つ一つ、私たちもできることは、北海道の問題についても検討してまいりたいと、こう思っております。
○多田委員 いまの大臣の御答弁ですね、私はそういう御答弁だからほんとうの雇用の安定、これはならないと思っていますよ。私は雇用の安定というのは、本来は、地場の産業、これを発展させていく。たとえば北海道でいえば、いいかっこうをして無理をして二次産業を入れる——私はそれに反対しているのじゃないんです。ほんとうに総理大臣が北海道を食糧基地にするのならば、百年の開発の先頭に立って深い雪をかき分けやってきた農民、漁民、これが愛する郷土で、自分の産業でもってまず職業をしっかりと握っていく、その上に二次産業やその他を考えていかないというと、これは私はほんとうの雇用の安定にならない。だから、今度の法案を見ていると、私は第二次の過疎化の大きなきっかけになっていくんじゃないか、その不安を持っているのです。なぜなら、依然として列島改造でございましょうがね、中核工業団地をつくっていくでしょうがね。そうしてこれが国総法——これはどうなるかわかりませんが、これらと一体になっていけば、ますます農民、漁民あるいは産炭地、山林、ここが過疎になっていくことはもうこれはほんとうにはっきりするのです。なぜなら、あなたの頭じゃそうならないとしても、生活の実態や生活の論理がそうさしていくのですよ。 そこで私は自治省に伺いたいのです。私は、自治省はこの法案にいまたいへん他人事みたいなその態度、こう言えば極端かもわかりませんが、たとえば自治省は今度過疎地域振興計画でもって後期の五カ年計画を、四兆円から五兆円といわれておりますね。前期で一体どれだけ過疎対策になったかは私は疑問なんです、一向に解決されないで逆に進んでいるんだから。そこで、この法案でほんとうに過疎化を防いで地方自治体の行財政を確立していく、あるいは地場産業を発展さしていく、そういうものの契機の一つになるというふうに確信をお持ちですか。
○古屋政府委員 自治省といたしましては、過疎地域対策緊急措置法に基づきまして、御承知のように、産業基盤施設の整備、農林漁業経営の近代化、企業の導入促進、観光開発をはかるというような法の趣旨に基づきまして産業を振興し、あわせて安定的な雇用を増大させる。同時に出かせぎ等の労働力の流出防止につとめておりまして、大体この法案の趣旨に基づいて私どもは努力をしているところでございます。 なお、先ほどお話しのように、自治省といたしましては四十五年からことしまで、四十九年までを前期の五カ年計画とし、その数字等は時間の関係で申し上げることを省略いたしますが、さらに五十年から五十四年の後半におきましては、産業振興による人口の流出防止を重点とした指導をいたしたいと思っております。
○多田委員 これは十勝の市当局に聞きましたら、四点あげていました。国民健康保険、住民税の低下、それから生活保護の受給者が多くなっている。それから公営住宅家賃の滞り、それから地元の公共事業、これが地元の業者でできなくなっている。そこから当然超過負担の問題が出てくる。こういうことを地方自治体の関係者が言っておりましたけれども、私はこういう点から見て、まさにこれは部分的な修正では直ることのできない悪法だと思います。ですから、今日の失業保険法をもっと実情に合ったように思い切って改正していく。そして少なくともこの法案を皆さんが出そうと思うならば、なお一年ぐらい実情を見てもっと適切な方法を考える必要が私はあるのじゃないか。地場産業の発展を抜きにして幾らこんなことをやってみたって、雇用の安定にはならぬです。まさにそれは前から言われている、紋切り型だと思われるでしょうが、大企業やあるいは工場地帯の低賃金労働者をどんどん都市やその他に持っていく、過疎地のこの不均衡を一そう発展さしていく、地方自治体に負担をかけていく、これはもうはっきりしているのですよ。そういう意味で、私は最後に大臣に、この法案を撤回してもらいたい、そのことをもう一度強調して、大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
○長谷川国務大臣 多田さんがおられる北海道を一番先に開いたのは東北の農民でございます。ああいうところに行って木を切り、石狩川を開き——本庄陸男の「石狩川」の小説は、宮城県の農民の開墾の姿を描いているのです。そういうような諸君でありまして、そういう場所を北海道開発庁とかいろいろなことをやって地方に工業、働く場所、そんなものをいままでやってきたわけであります。いまから先もそれは一生懸命つとめます。しかし、先生がおっしゃいましたけれども、この法案をいままで御審議いただいてきておりますので、撤回する意思はありません。
○多田委員 終わります。
○野原委員長 佐藤敬治君。
○佐藤(敬)委員 労働大臣にお伺いしますけれども、今度のこの法案のタイトルについてお聞きしたい。 雇用保険というのは非常に私はおかしいと思うのです。形容矛盾じゃないか、こんな感じを持つのですね。失業保険というのはいわば社会保障の一環であろうと思います。しかし、雇用政策というのは政府が金を出してどんどんやればいい。それを二つ結びつけた。しかも失業という名前を全然とってしまって雇用保険、こういうふうな名前をつけた、このいわれをお聞きしたい。
○長谷川国務大臣 終戦直後、日本の国土の荒廃の中に失業者が大ぜい出ました。そういうときにこの失業保険法が生まれてずっと御審議をいただき、仕事をしてきたわけであります。その失業者というものが今日、石油危機の中といえども、統計の示すところでは一・四%、アメリカは五・二%、イギリスは百万も出ている、そういうところであります。しかもなおかつ若い諸君は金の卵、一方いまからの日本は年寄りの世界になりますから、そういう方々の職場というのはいまのところなかなか、地域によってはありません。ですから、私は量質ともにこういう雇用保険制度にしまして、能力開発などをし、雇用の機会をよけいつくり、そして長く労働者の諸君が働きながら自分の技術を身につけて、いい収入をとって社会福祉、そういうところに持っていくのでありまして、名前がちょっとおかしいという話でありますが、いい法案だと言って使っている間にずっと皆さんがおわかりいただくんじゃありませんか。よろしくお願いします。
○佐藤(敬)委員 いい法案だと言われますけれども、これは雇用にはいい法案かもしれません。しかし失業には何もよくないのですよ。この法案を見てみますと、なるほど雇用改善事業をやるとか能力開発をやるとか、あるいは雇用福祉事業をやるとか、そういうことがいろいろ新たにどんどん入ってきています。ですから、雇用ということには非常にふさわしい名前かもしれませんけれども、一方、失業のほうはかなり後退している。こういうことから見ますと、これはどうも雇用保険というのじゃなくて、雇用促進法か何か、こういう名前をつけたほうが私はいいのじゃないか、こういうふうに思いますけれども、どうですか。
○長谷川国務大臣 私は働く諸君が一番大事なことは、やはり失業しないことだと思うのです。私も学生時代、飯田橋の職業安定所に立って、非常に不況の時代でしたが、非常に暗かったです。しかし、今日失業しないで済むという制度、その中に雇用の拡大をしていくということが国の労働政策として一番大事なことじゃないか。それに見合うところの人間をつくっていく、そういうところに今度の法案があるのであります。
○佐藤(敬)委員 それは話はわかるのですよ。雇用を促進しなければいけないし、改善しなければいけない、それは十分わかるのです。私はそれを非難しているわけじゃないのです。ますますどんどんやってもらいたい、こう思います。確かに失業というものと雇用というものはちょうど相関関係にありまして、非常に密接な関係があります。しかし一番先にも申し上げましたように、失業はいわば社会保障の問題であるし、雇用を促進するということは政府が自分の金でもってやるべき問題だ。業者からとってその税金でもって雇用を促進する、そういう方法もあるかもしれませんけれども、私は本来的には政府が政府の金でもってやるべきものだ、こういうふうに思うのです。これを何とか別の方法に切り離さなければ、このままでいくと失業がどんどん後退していく、こういう名前を見ただけでまずそういう危惧を持つのですが、どうですか。
○遠藤(政)政府委員 現行の失業保険法を全面的に改善いたしまして雇用保険法案を御提出いたしましたにつきましては、先ほど来申し上げておりますように、今後の雇用失業情勢に対応してより一そう失業保障の機能を充実強化すると同時に、ただいま大臣からお話ございましたように、さらに大事なことは失業をできるだけ予防する、積極的に雇用内容を改善していくということを一つの法案として取りまとめたわけでございます。 実はこの法案の取りまとめに際しまして、いろいろな関係団体、労働組合の御意見も伺ったわけでございますが、その中で、労働組合関係からは事業主の社会的責任をもっと充実する必要がある、そこで使用者から賦課金をとって雇用基金制度をつくって、その雇用基金によって雇用対策をやるべきである、こういう御意見もございました。私どもは、国の一般会計でやるべき労働政策、雇用政策と、それから企業の社会的責任という観点から企業に対する賦課金によって実施すべき雇用対策、この二通りがあると思います。今回の雇用保険におきましては、この企業に対する賦課金を使用者全額負担の保険料で千分の三をとることにいたしまして、これによって失業の予防、積極的な雇用政策の一端を実施いたすことにしたわけでございます。そこで全体を雇用保険法という名称にいたしましたが、実はILOにおきましても、失業に関する保険をエンプロイメントインシュアランスということばで表現してもいいという議論が行なわれております。また同時に、日本の保険について見ましても、たとえば本来疾病保険としての性格を持った保険制度が健康保険という名称で呼ばれております。まさに失業保険を雇用保険と呼ぶのも一向差しつかえない、むしろ私はそのほうが妥当であろう、積極的に失業を予防し、失業が出た場合にこれに対する保障機能を充実強化させるという意味で、私は雇用保険法案というのは妥当だろう、かように考えているわけでございます。
○佐藤(敬)委員 この法案を見ますと、いま申し上げましたように、雇用のほうは促進されているけれども、一方の失業のほうは後退している、こういう感じを受けるのですよ。そこで、私はいま申し上げたのですが、どうも雇用に片寄り過ぎて、失業者の保障、こういう問題になると後退しているわけですが、このままで行きますと、失業中の生活保障、こういうことよりもむしろ再雇用の促進に重点があって、いわば働け、こういうことで企業への低賃金労働、こういうものを提供させる一翼をになう、こういう結果になるのじゃないか、こういうことを危惧しておるのです。 それからもう一つは、今度のこの雇用保険の改正の大きな目的は、いわゆる季節労働者、出かせぎとそれから女の人の問題ですね、この二つに的をしぼられておる。特に出かせぎの問題に的をしぼられておると思うのですね。どうもこれを一貫して流れている空気といいますか考え方というものは、出かせぎなんかして失業保険をもらうのはけしからぬ、こういう考え方が非常に強く流れていると思うのです。これはおたくのほうから来たのでしょう、そうですね。この新聞論調、新聞投書に見られる意見という中に非常におもしろい例があるのですね。こういうふうに書いてあるのです。「出かせぎ労働者には気の毒だが、その穴埋めをなぜ善良なサラリーマンの掛け金で負担するのか。」こういうふうに書いてあるのです。これは非常に端的にあらわれてきた例でありますけれども、穴埋めをするサラリーマンが非常に善良で、それに対置される季節労働者というのはこれは悪人だ、善良でない、こういうような空気がこの論調の中にもあらわれていますけれども、皆さんの法案の骨子として、まずそれを大前提としてこの法案というものがつくられておる、そういう感じがします。いま頭をかしげておるけれども、私もあなたと同じように、反対の立場から頭をかしげなければいかぬ。なぜ出かせぎ者というものが善良でないのか、こういうことをひとつ聞きたい。
○長谷川国務大臣 前段の、この雇用保険制度によって低賃金の労働者をつくるというお話がありますが、これはひとつお互いに国会議員としてよく数字を、私なんか見るほうですけれども、ことしの春闘もさることながら、いまの日本の労働者の賃金というのは、国際統計によりますと、昔、十年前まではチープレーバーといわれて、そしてダンピングなどといわれましたけれども、今日は統計のあらわすところによりますと、イタリア、フランスを抜き、イギリスを抜き、いま西ドイツが一・五倍、アメリカが十年前は日本の五倍であったものが、ようやく日本が二分の一まで押し上がったということでして、日本の労働者というのはそう低賃金じゃないという私は自信を持っているのです。そういうふうなことですから、これによって低賃金労働者をつくるんだということの誤解はひとつお解きいただきたい、こう思うのであります。 それからもう一つは、このたびの雇用保険法案が、出かせぎと女の人の受給者をいじめるためのものだというお話でもありましたが、雇用理論全体の中に組まれたものでして、一つの場面にそういうものがある、それを非常にクローズアップされて議論いただいておる、それは全体の問題じゃない。 私は、たとえば出かせぎの問題一つにいたしましても、いままではなじまないもので、毎年毎年失業を繰り返す。そこのところに、新聞論調にあるように、給付と負担のアンバランスがあるという、ある意味では善良なサラリーマンか知りませんけれども、そういう方々がそういう御議論をされるのもわかる。しかしそこで、そういうふうな議論から私は出かせぎ者というものを守るために、法律としてぴしゃっと今度は一時金として位置づけして、もうそんな悪口を言われないで済むような制度が今度の一時金制度であるというところに、非常なメリットがあるのじゃなかろうかと思っているわけであります。
○佐藤(敬)委員 どうもよくわからぬのですが、もう一ぺんこれはあとで聞きます。いま言いましたように、この雇用保険法案というのは、どういうように言われても、出かせぎというのが一つの重要な的であることは間違いないと思うのですね。ところが、現在農家の状態を見ますと、出かせぎしないでは暮らしていけない。この状態をどういうふうに考えるか。一方的に理論的に、けしからぬ、だから切るというのでは、とてもこれは農家としてはやっていけないわけなんです。この問題があると思うのですね。 これは何回も蒸し返された議論でありますけれども、農林省の方にお聞きしたいのですが、いまのいわば基本法農業、こういうものが、現在の農家が働いても働いても食えない、出かせぎして失保をもらわなければ生活できないという大きな原因になっていると思うのです。構造改善事業というものの二本の柱がありますね。自立経営農家を育成するのだ。この内容は言うまでもなく、小農を切り捨てて、そうして経営面積を、経営規模を大きくする、この一言に尽きるわけなんです。ところが農家は、小農といえども土地を放すとそのまま流浪の民になってしまう。土地を放してそれで十分安定した生活をしていけるところの条件がないから、最後のよりどころとして農地を放さなかった。この構造改善がねらったところの、小農を切り捨てて経営規模を大きくすることが事実上失敗に終わったわけです。そのために、いまだにいわば小農という小規模農家がたくさん残っている。 それからもう一つは、構造改善の一つの基礎となっているのは、例の機械化問題です。何でもかんでも機械を買え、どんどん機械を買わせる。ふしぎなことに、普通の工場であると、間に合わない会社には絶対に金を貸さないけれども、農業だけはふしぎな制度がありまして、構造改善事業に付属したいろいろな自作農創設資金だとかいろいろな資金があって、間に合わないものにもどんどん貸すのです。たとえば耕うん機の問題を一つ見てみますと、五町歩も一台の機械で耕せるのに、一町歩持っていない、五反歩ぐらいの農家がどんどん買うのです。普通の工場であれば、こんな間に合わないものは貸さないでしょう。過剰投資ですね。ところが五反歩しか持っていない人に、五町歩耕すことができるところの耕うん機、それをどんどん金を貸すのです。間に合うはずがないのです。これが要するに機械化貧乏ということになった。借りるときはいいけれども、返すときになって、農業だけで返せないものだから出かせぎに行かなければいかぬ、こういう状態ですね。今日の農民の状態というものをつくっているのは、構造改善事業にあると私は断言してはばからないと思う。こういう状態にしておいて、だから農民は出かせぎをして保険をもらって、そういうものをまかなって償還していっている、こういう実態なんです。 いま大臣もいろいろなことを言われたし、この中にも書いてありますけれども、理論的には確かに矛盾したところがあると私は思います。だけれども、現実の問題として、農業というものが、出かせぎに行って失業保険をもらわなければ食っていけない、こういう現実の状態があるのです。それをつくったのは何であるか。私は農民じゃないと思う。好きかってにそういうような状態におちいったのではないのです。いま育ったように、農基法農業、構造改善事業というものが今日の農民をそういうふうに追い込んでおる、そういう現実がある。しかも、それをいままでやってきておきながら、理論的に成り立たないというのでぼさっとやったら、一体日本の農業はどうなります。農家はどうして食っていけばいいのか、食っていく方法をひとつ教えていただきたい。
○白根説明員 先生おっしゃられましたこと、いろいろむずかしい問題がございます。ただ、われわれ農林省として考えておりますのは、農民自身がやはり相当程度の所得を得まして生活できる、こういう状態をつくるというのが基本であろうか、こう思うわけでございます。そういたしますればある程度の経営の近代化でございますとか規模の拡大でございますとか、こういう対策といたしましてはやはり必須の条件ではなかろうかと考えておるわけでございます。 いま言われましたように、規模の拡大というのはなかなか思うとおりにいかないという面がございます。われわれのほうといたしましても単に自立経営農家、これは確立は当然でございますけれども、一方ではむしろ生産規模の拡大、スケールメリットを拡大するということで、兼業を抱き込みました集団組織、そういうものを考えながらものごとを進めてまいりたい、こう考えておるわけでございます。現実問題といたしまして、特に東北を中心といたしました単作地帯におきまして、出かせぎの状況というのはわれわれの調査では約三十四万ございます。こういう状態でございますけれども、現在直ちに出かせぎの解消というのはなかなかむずかしいのも、これもそのとおりと思います。ただ私どもといたしましては、むしろ農家の志向に従いまして生産組織なりあるいは自立経営を希望する者につきましてはやはり近代化なり基盤整備なり、こういうものを中心的に考えてまいろうか、こう考えておるわけでございますし、一方農家の方々の中にも他産業へ就業いたします、こういう希望の方々もあるわけでございますので、こういう方々に対しましてはすでに労働省と十分協議をいたしながら、職業の訓練でございますとかそういうものを実施しておるわけでございます。 そういう状況でございまして、農家の志向に従いまして、時間はかかりましょうけれども、そういうものを進めていく、農業自体としてはそれ相当の規模を持った中核農家というものを確立していくことが現下の状況においても必要なことではなかろうか、こう考えておるわけでございます。
○佐藤(敬)委員 いまの答弁は、一体何を言っているのか、さっぱりわからぬ。何を言っているのか、何にもわかりませんよ、あなたの答弁は。もう一ぺん聞きますけれども、現在の状態において出かせぎをしなくても、失業保険をもらわなくても農家が生活できるようにする方法は一体何かとあなたに聞いているのですよ。もう一ぺん答えてください。
○白根説明員 私ども端的な対策といたしまして考えておりますのは、結局出かせぎという状況ではなくて、地場に安定的な就業を得ることがさしあたり必要、こう考えておるわけでございまして、こういう意味におきまして農村工業の導入、農村地帯に工業を導入するという対策を三年ぐらい前からやっておるわけでございます。現在緒についたばかりでございますので、これからの問題はなかなか多うございますけれども、現況を見ましてもある程度の地場雇用というものを考えられておるわけでございます。こういうものを中心としながら極力地場におきます安定就業、こういうものをまず考えてまいりたい、こう考えておるわけでございます。 同時に、いま先生おっしゃられました出かせぎ収入、現在農家経済調査というものの組みかえ集計を私どもはしておるわけでございますけれども、平均的に見ますと出かせぎ収入は約三十五万ございまして、農家の経済余剰というものと大体見合っているわけでございますが、そういう状況でございますので、やはり地場におきます就業あるいは現在四十九年度予算におきまして、対策という意味で、状況はそれぞれ地域によって異なりますので、いろいろな調査というものを県を中心としてお願いしておるわけでございます。そういうものを通じましてあるいは林業構造改善なり、農業構造改善事業の中でやはり地場に合った職業というか事業というものを選択してまいる、こう考えておるわけでございます。
○佐藤(敬)委員 いまいろいろなことを言われたけれども、何一つできていないことなんです。これからもほとんどできる可能性のないことです。先ほど私の前の質問者が質問いたしました。工場誘致などといったって、そんなものは雇用の実際の役には立ちませんよ。女の人が少し、片手間に二万か三万の低賃金で働いているだけですよ。一人前の男がその地に骨を埋めるようなきちっとした仕事はいまの状態ではこないのです。これからもなかなか、あなたが言われるように早急にいまこの出かせぎをなくして、しかもそれでもって暮らせるような状態にはないのです。しばらくは、これからどういうふうに状況が変化してくるかわかりませんけれども、まずいまの状態ではそういうものの見通しはない。そうすればこれを廃止すればどうなりますか。それでなおかつ食えますか。
○白根説明員 先ほど来御説明ございましたように、今回の雇用保険法におきまして、むしろ現在の給付というものを一時金制度に切りかえる、こういう考え方につきましては、出かせぎ者自身が農業に基盤を置いているわけでございますので、農家の生活実態からいいましては一時金制度のほうがむしろ合っているのではなかろうか、こういうことで御趣旨につきまして政府として賛成しているわけでございまして、出かせぎを現在直ちに全くなくすということは先ほど申し上げましたように私どもも考えておりませんし、むしろそういう実態を踏まえて、制度のあり方としては一時金制度のほうが望ましいのではなかろうか、こう考えておるわけでございます。
○佐藤(敬)委員 非常に私もおかしいと思うのですよ。出かせぎをなくすことは考えていない、そういったって、この内容をこのままやれば出かせぎはなくなるのですよ。いま出かせぎ農民は二者択一を迫られているのです。農業をとるか農業を捨てるか、そういう窮地に立たされているのですよ。いま、前のように四カ月と二十二日、それでようやく農作業との歯車がかみ合って、出かせぎを終えて農作業をしてまた出かせぎに行く、こういう歯車が回っておった。今度六カ月まるまるになると、それが回らなくなる。そうしますと結局農業をとるか出かせぎをとるか、どっちかにならなければいかぬのですよ。いまそういう岐路に立たされておるわけです。出かせぎは当然なくなりますよ。農業ができなければ出かせぎ一本。そうすれば出かせぎじゃなくて、出かせぎが本業になってほんとうの労働者になってしまう。だから私さっきも言いましたように、これをやれば小農はめしが食えないから必然的に農業をやめて工場労働者として追い立てられる、これを言っているのですよ。だから出かせぎをなくすとかなくさないとか、これは小さな落ちこぼれはもちろんあるでしょうが、全体の理論としては必ずそうなるのです。だから私は逆にこれをやりますと、この前の構造改善と同じように、小農を断ち切ってそして工場労働者に追いやると同じような結果にならないか、こう聞いているのです。
○遠藤(政)政府委員 ただいま先生の御質問に触れられました点は、今回の雇用保険法案が成立すると出かせぎか農業か二者択一を迫られることになりはしないか、こういう御指摘のように私はお聞きいたしました。実は四十四年の法律改正の際に国会の御意思で修正が行なわれまして、五十一年の一月末までに農林水産業への失業保険法の適用を具体的に措置を講ずるように私どもは義務づけられておるわけでございます。と同時に、四十四年の改正で修正が行なわれまして、出かせぎの人たちの受給資格要件も現行法どおり定められております。今回の雇用保険法の中に定められましたいわゆる受給資格要件は、この四十四年の法律改正によって修正されました条項をそのまま取り入れているわけでございます。と同時に、五十一年一月末に義務づけられておりました農林水産業ないしは中小零細企業への全面適用も今回の雇用保険法によりまして実施いたすことにいたしたわけでございます。その点におきましてはむしろ私どもは積極的にこの課題に取り組んでこれを実現しようといたしておるわけでございます。 そこで受給資格要件が六カ月ということになる、これは現行法はいま凍結されておりますが、五十一年一月から動き出すそれがそのまま動くわけでございますが、と同時にその時点で農林水産業への適用、小一零細企業への適用がはかられるということによりまして、四十四年の改正当時予想された事態がこの雇用保険法によって実現されるということでございまして、この雇用保険によって出かせぎか農業か二者択一を迫られるということにはならないんじゃないか。かりに四カ月二十二日が六カ月になった、それで出かせぎの期間が長くなることによって農業に従事できなくなった、かりに一月受給資格要件が満たされなくなる、その点につきましては、四十四年の修正の当時いろいろと御議論がなされたところでございますけれども、地元に帰って小零細企業あるいは農業に従事することによって、かりにその期間が不足する場合は、それが補完される、こういうことが前提になってあの当時の修正が行なわれたわけでございまして、その考え方をそのまま取り入れたわけでございますので、いまの先生の御指摘によります受給資格要件を満たさなくなることになりはしないかという御懸念は、私は当時のお考え方をそのまま取り入れたことによって解決できるのではないか、かように考えておるわけでございます。
○佐藤(敬)委員 そういうふうに言われますけれども、私はやはり二者択一を迫られると思います。帰ってきて、そこにちゃんと働くような職場があればいいけれども、何にもない。そこへ帰ってきて、それに一々働いていって、そうして給料をもらってくるという状態に皆さんがあるかというと、必ずしも私はそうではないと思います。やはり、これは大筋においては二者択一をだんだん迫られてくる、こういうふうに思いますよ。 そこで、私はちょっとお伺いしたいのですが、これで一番大きな被害を受けるのは、東北の農村ですよね。一番大きなこの締めつけにあうのは東北の農村です。これはいわば冬型の出かせぎでありまして、秋田だとか山形とか青森、岩手、こういうところが一番大きな締めつけを受けるわけでありますけれども、しかし逆に夏型のところを見てみますと、私は夏型のところはほとんど農業というものは零細化して崩壊してしまっていると思うのです。そういう意味からいけば、東北の冬型のほうの地域というものが、日本の食糧生産の主要な一翼をしょっていると私は思うのです。それは認めますね。そうしますと、今度は、この法律が施行されることによっていまみたいな二者択一の問題が出てきますと、小農というものは、おそらくだんだん時間をかけて切り捨てられていくのは避けられない、こういうふうに思うのです。これは最初の構造改善のとき、小農を切り捨てて工場労働者にしよう、それが失敗したものだから、こういう形でまたあらわれてきたのだ、こう考えても、現実の問題としては私は差しつかえないと思うのです。こうなってきますと、いま食糧問題が世界的に非常にうるさい。日本でもこの前の、食糧が余ったといって減反、減反をやったのが、今度は急に食糧増産だとまた騒いでいますね。こういうふうな食糧の問題になってきますと、その主要な食糧生産地である東北の農民というものがここで断ち切られる、こういうことになりますと、食糧確保の面からも非常に大きな問題だ、こういうふうに考えます。農林省はこういう点についてどういうふうに考えますか。
○白根説明員 いま先生おっしゃられましたように、東北といいますのは、当然農政上、食糧増産上非常に重要な地域で、これからも農業面においては期待するところ大である、こういう点につきましては、私ども同感でございます。したがいまして、東北の農業振興につきましては、従来から土地改良なりそういうものの投資というのは相当多量に、基盤整備についてはやっておるわけでございまして、今後もその姿勢については変わらないわけでございます。ただ、いまお話に出ております、いわば水田の単作地帯、こういう状況がわりあい多うございますので、こういう中で、現に規模の低い農家だけではございませんで、先ほど申し上げましたような数字は一町五反といいますか、中堅層の農家自身も、冬場の収入ということで京浜地方あるいは東京その他に出ておるような状況でございますので、そういう面を十分配慮しながら、われわれとしても今後の農政を進めていきたい、こう考えておるわけでございます。
○佐藤(敬)委員 いま、わかったようなわからないようなことを言われておるのですけれども、結局最終的には小農は切り捨てられる、これはもう避けがたいと私は思うのですよ。そうした場合に、たとえば小農の方々が、構造改善の事業のとき出たように、幾ら大規模経営にさせようとしても、農業をやめても土地は放さない、だから大規模農業にならなかった、その実績があるわけですね。今度でも、これが二者択一を迫られて、小農が切り捨てられても、その人たちが土地を放すという保証は何もないのですよ。おそらく、インフレが進行すれば進行するほど、よりどころは土地に求めて放さないと私は思う。そうなってくれば、同じような状況でもって、農業はやれない、土地は放さない、そうして出かせぎじゃなくて今度は本業、工場労働者になっていく。そうすると農業生産のほうは、いま、片一方の大規模経営にならなければ、零細な経営は、多少は大きくなるけれども、相変わらず、せいぜい二町歩、二ヘクタールかそこいらの小規模な農業がどんどん続いていく。そうすると非常に大きな食糧生産のダウンになると思う。そういう意味で、この法案がこのまま通ってそのまま実行されていくと、食糧確保の面から非常に危険になる。特に日本の食糧を最も多くになっているところの東北の農業が、これによって崩壊する。こういうことになると、いま食糧問題が非常に危険なときに、やはり大問題だと思いますよ。これに対する御意見をひとつ……。
○白根説明員 お説のような事態というのは現にございます。したがいまして、現在行なわれます農業の生産状況、先生御承知と思いますけれども、現に規模の小さい方々、これはまあ自家労力でやります分あるいは他に経営を受託する、こういう傾向が一つ、相当全国的な風潮で出ておるわけでございます。したがいまして、農林省といたしましても、従来生産組織といたしましてむしろ定着しましてその生産の中心となる中核農家を中心として、そういう兼業農家、こういう方々の耕地を借りまして、そこに、たとえば十ヘクタールなりそういうものに機械化農業を展開していく、こういうかっこうをとっておったわけでございます。今回、国会に提案いたしておりますけれども、農業振興地域整備の一部改正の法律案を出しておるわけでございます。これにつきましては、短期間、一年あるいは二年契約であっても、市町村が中心となりまして、いわば農地の利用増進事業というものをつくりましたら、その関係の中では農地の貸借というものを当然考えてまいる、そういう形で規模の拡大をはかってまいる、こういうことを一方では考えておるわけでございます。したがいまして、やはり相当、基幹労働力のあります農業経営というものを中心といたしませんと、農業生産の生産性というものも低いわけでございますので、こういうものを中心としてそういう農地の流動化をはかりながら、あるいは生産組織の確立を通じながら考えてまいる。特に東北におきましてはそういうような趣旨でわれわれとしても政策というものを重点的にやっておるわけでございますので、御了承いただきたい、こう考えております。
○佐藤(敬)委員 先ほどから言いましたように、出かせぎ農民というものは非常に悪いやつだ、こういうような底流があって、いろいろこういう問題が出てきている。理論的にいうといろいろな矛盾があるかもしれませんけれども、現実にはやはり、先ほども申し上げましたように、この失業保険というものが現実の出かせぎ農家の経済の中にしっかりと食い入ってしまっておる。だから、これを一ぺんに、理論的にけしからぬといって切るということは、非常に大きな社会問題だ、こういうふうに私は思います。これを出すならば、先ほどから私はあなたに申し上げておるように、まず農業で食えるような政策を打ち出して、今度はあなた方は農業で食えますよ、だからこっちは切りますよ、こうやらなければ、一体出かせぎ農民というものは死ねということと同じでしょう。これでは人間性のある政治だというふうにいえないと私は思うのです。いまのこの問題があるなしにかかわらず、現在のような出かせぎ農民のあの悲惨な状態を救うために、早急にひとつ安定した、安心して政府にたよってやれるような——きのう、つくるな、きょうはつくれ、またあした、つくるな、こういうような波間に浮かぶような農政じゃなくて、しっかりとした農政にして、昔のようにほんとうに一生懸命それに農民が打ち込むことができるようなこういう農業政策というものを打ち出さなければ、こういうものに私は絶対に賛成することはできない、これはもう当然だとあなたも認めると思うのです。どうかひとつ、そういう意味で全力を尽くしていただきたい。こればかりにかかっておられませんので、別の問題を大臣にお伺いします。 いまのこれを見ますと、六十万人の出かせぎの労働者、こういうのがおって、保険金の支給額の三五%をこういう出かせぎ農民が持っていっている。特に多いのが秋田、青森、鹿児島、北海道、山形だと、こういうように言っていますね。これらの地域では失業保険会計というものが大幅に赤字になっている、だからこれを改正するために一時金三十日分、こういうものを支給するようにしたんだ、こういうふうな言い方なんですけれども、そのとおりですか。
○遠藤(政)政府委員 出かせぎの失業保険受給につきましては、先ほど先生御指摘になりました新聞論調、一般からもいろいろと御批判、御意見があったことは御承知のとおりでございます。その問題を今回の雇用保険法案におきまして、特例被保険者という形で一時金制度にいたしましたその最大の理由は、実はいま先生が御指摘になりましたこの出かせぎ地帯の失業保険財政が、地域的に区切ってみますと赤字だ、その赤字を解消するためだというふうなお話でございますけれども、実はさようではございませんで、先生御承知のとおり、四十四年の失業保険法改正の際に、この出かせぎ受給者の問題をどう解決するか、その対策をどうするかということで、きわめて重大な論議が行なわれたわけでございます。で、端的に申し上げますと、四十二年、四十四年の改正でこの出かせぎ受給をどうするかといった際に、その考え方は、いまお話になりましたように、本来、失業保険という制度の中では、この出かせぎ受給、いわば予定された不就業に対する失業という名目をかりた給付というあり方は、本来あるべき姿ではない。これをどういう形で規制するかというのが当時の改正の最大の眼目であったように私は承知いたしております。 で、それと同じことが、今回保険財政を健全化するため、赤字を解消するために出かせぎを締め出すんじゃないかということが、社会労働委員会におきましてもしばしば御議論ございましたけれども、私どもは今回の改正におきまして、新しい雇用保険法案におきましてこの出かせぎ受給者の問題をどう扱うかということについていろいろ議論がされてまいりました。その結果が今回の特例被保険者の制度であり、一時金制度を導入したわけでございますが、その基本的な考え方は、従来のような考え方と百八十度発想を転換いたしまして、確かに理論的に申しますと、失業保障、失業保険という制度の中で毎年就業、不就業を繰り返し、その不就業に対して給付を受けるというあり方は、制度になじみにくいものではございますけれども、十数年来この現行失業保険制度の中で、出かせぎの人たちが失業保険金を受給しているという実績は否定できない。と同時に、その失業保険法によって受けられる失業保険金の額というものが、こういう出かせぎの人たちの生活実態の中に組み込まれてしまっている。こういう実態を踏まえまして、と同時に、この出かせぎ労働形態、先ほどから御議論ございますように、出かせぎという労働形態が必ずしも好ましいものであるとは私ども考えておりません。できれば地元で農業に専念するなり、あるいは地元で安定した職場につかれることが、労働政策の観点からも当然あるべき政策方向だと私ども思います。 しかしながら、こういった人たちにとっても、出かせぎに出なくて済めばそれにこしたことはございませんけれども、やむを得ず出ざるを得ないというのが実態でございます。と同時に、日本の労働事情から申しまして、この出かせぎの人たちの労働力というものも、またこれはどうしても必要なものだということも現状においては否定できない。そういう実態から、両面から考えますると、今回の雇用保険法でこの出かせぎの問題を解決する際に、従来のような考え方ではとてもやっていけない、この際、この実態を十分踏まえた上で、これを制度の中に定着化させよう、組み込んでいこうというのが基本的な考え方でございます。 そこで、こういった特例的な制度を設けるということにつきましては、ILO等におきましても、失業保険制度の中にこういう特例を設けるということは認められているわけでございます。そういうことで、従来、いろいろとこの出かせぎの短期受給者、いわゆるひところはデカンショ保険というようなことがいわれておりましたけれども、そういう批判を受けることのないように、生活実態に定着化してしまったこの保険給付の実態を新しい雇用保険法の中に組み込むためには、やはりより実態に即した一時金制度をとるということのほうが、私は今後とるべき最も理想的な姿ではないか、こういうふうに考えたわけでございます。 と同時に、いままでの保険給付は、冬場出かせぎに行って、夏は農業に従事している、その農業に従事している間、いわゆる失業を擬制しながら保険給付を受けている、こういうことでございますので、今後は一時金制度によりまして、出かせぎから帰れば堂々と保険給付を受けながら農業に働いていただける、こういうことにいたしたわけでございます。決して出かせぎを締め出そうとか、あるいは従来の考え方のように何とか規制しようという考え方でないことを御理解をいただきたいと思うわけでございます。
○佐藤(敬)委員 あなたの考えを聞いていますと、これに書いてある新聞の論調と正反対なんですね。あなたはいま、決してそういうことはないと言われたけれども、これに書いてあることは全部、この出かせぎが少なく金を納めて保険金の三十何%か四〇%だかを持っていくのはけしからぬ、ほとんどこうなんですよ。あなたの言っていることとこの新聞の論調は全く正反対の理解をしている。だから、必ずしもあなたの言われることが正しいとは私は思いません。これは明らかに的を出かせぎにしぼっているのですね。だから、そのことはいいのですよ。そして私は、さっきも言いましたように、秋田だとか青森だとか、こういうところが赤字だという、これも認めます。そのとおりでしょう。しかし、私は、だからこれを廃止するというのはどうも理解ができないのですね。保険というのは、赤字だからこそほかの人が何かしらそれを救済してやる、こういうために保険というものがあるのですよ。日本じゅうを一本のものにして、どこかに赤字なり困った人ができたならば、それをほかの人がみんなして救ってやりましょう、こういうのが保険なんですよ、あなた。赤字だからこれをやめてしまうというなら保険も何も要らないじゃないか、こんな雇用保険も何も。おかしいでしょう。もしこれが主客転倒して、石油危機か何かどんどん起きてきて工場労働者がみんな失業してごらんなさい。今度それを救う者は農民になるかもしれない。今度は東京、大阪のほうが赤字になったからといって、それをやめてしまいますか。そんなばかな話あるもんじゃないですよ。もう一ぺん答弁してください。
○長谷川国務大臣 どこどこの地帯の出かせぎの失業保険が赤字だからこういうふうに法律をつくったということじゃありません。現に県によっては失業保険のそういう出かせぎ者の金というのが、第四次産業などといわれておりますが、私がだんだん調査したところによりますと、出かせぎ者であっても一割ぐらいはその失業保険をもらってない方々がおられる。今度は一時金になりますというと、そういう方々も大手を振ってもらえるもんですから、保険財政そのものはいままでよりもよけい金がかかるのです。そういうことでして、何も出かせぎ者をいじめるなどというもんではないということを御理解願いたいと思います。
○佐藤(敬)委員 私は、さっきから申し上げておりますように、そしてあなた方がさっきから反駁しておりますように、決してこれは出かせぎに的をしぼったものではないとさっきから言っている。私はその反対で、これは出かせぎに的をしぼったものだ、こう思っています。これはどこまでやっても、あなた方がないと言えばないことかもしれませんけれども、しかし、あなた方がよこしたこの新聞の論調においても、これは出かせぎに的をしぼっておることは、これはもう間違いないのです。だからいま私は聞いた。保険というものの性格をこれは逸脱している、こう思うのですよ。もし保険に、出かせぎの問題がなくて考えるならば、ある地域で一つ、たとえば火事になったとか震災になった、それで非常に困窮した状態になれば、あたりの人が寄ってたかってそれを助ける、これが保険でしょう。これも私は同じだと思うのですよ。それが出かせぎの農民の責任でもってできたのじゃなくて、さっきから言っていますように、構造改善事業という農政の失敗によってこういう状態にされておるのです。それを出かせぎに行って、そして保険金の支払いの四〇%近くを出かせぎ者が取っておる、デカンショの保険なんてけしからぬ、こういってそれを切ってしまうということは、これは非常に保険の趣旨に反すると私は思うのですよ。もう一ぺんそれをひとつ、大臣でもいいから……。私はこういうことはやるべきじゃないと思いますね。
○遠藤(政)政府委員 お手元にあります新聞論調等で、出かせぎの受給者の実態、全体で失業保険会計の中で総保険料収入のわずか二%、その二%を納めておる人たちが全体の給付の三五%の支給を受けている、こういうことに対するいろいろ批判や意見があることも事実でございます。そういうことから、従来この出かせぎ受給の実態についてメスを入れなければならない、こういう御意見は確かにございました。そこでそれを受けまして、私どもが今回の雇用保険の中でこの出かせぎの問題をどう解決するかという考え方の基本は、いま申し上げたようなことで、私どもは今後この出かせぎ受給者の問題につきまして、ただいま御指摘になりましたような新聞論調によるような批判や非難を今後一切もうこの際解消してしまいたい。そのためには、いま申し上げましたように、出かせぎの実態というものを踏まえて、それを保険制度の中に定着させる必要がある。そのためには一般のいわゆる偶発的な失業ということによります失業に対する給付と、それから予定された就業、不就業を繰り返すその不就業に対する給付と、これはおのずから異質のものでございます。その異質のもの、本来失業保障、失業保険という制度の中からは対象になり得ないものを、あえて実態を踏まえて対象に組み入れておるというのがこの趣旨でございます。したがいまして、私どもは保険経済の面からは、農林水産業も入ります。そういたしますと、いままで全然適用外であった人たちが一時金をまるまる受けられることになる。出かせぎの中でも、いま大臣からお話がありましたように、一〇%程度、全く給付を受けなかった人たちも今回からは受けられるようになる。こういうことによりまして、保険経済の面は、むしろ私どもいままでよりは給付はふえる。決して財政をそういった意味でバランスをとるということを考えていないということをつけ加えさしていただきたいと思います。
○佐藤(敬)委員 青森だとか岩手だとか秋田だとか、こういうような場所は、日本全体として見ると非常な後進地域ですよ。この後進地域は何をやっているかというと、米をつくっている。主産業である米というものは、政府によってしっかり統制されている、こういう状態にありますね。しかし一方において、そういう人たちが出かせぎだとかいろいろなあれでもって、いわば黒字になっている地域、都市圏に対して非常に大きな貢献をしているのですよ、これも何回もいろいろ議論されたようでありますけれども。たとえば出かせぎでなくても、普通の状態であっても、都市に対する工場労働者として労働力の供給源になっている地域なんです。農村から工場に人が行かなければ、工場は成り立たないでしょう。農村からの離村人口、都会に対する流入人口というものが、都市や工場というものをささえておるのです。私は非常にばかくさいと思うのは、たとえば自分の子供を一生懸命かかって学校に入れて、苦労して学校を卒業すると、卒業しないうちに工場の人が来てみんな連れていってしまう。地元には何の足しになっていない、子供を産んで育てても。みんな工場、都市圏のためになっているのです。その貧しさに耐えてやっているその人たちの地域が、たまたまそれでなければ食われない状態になって、赤字だからといって、今度はその赤字もけしからぬといって切ってしまう。こういうのは、さっきから言っているようにほんとうに非人間的な法案だ、こう言っても差しつかえないと私は思う。これは経済的な問題からいくと、いわば富の地域的なアンバランスに対する再配分と、こう考えてもかまわないと思うのです、形は理論的に多少おかしくても。やはり出かせぎなり後進地域なり、こういう地域のことをもっと親身になって考えてくれないから、こういう問題ができる、私はこういうふうに考えます。時間がなくなりましたから、別の問題に移ります。 自治省にお伺いしますが、この問題によって県あるいは市町村に対してどういう影響があるか、自治省としての考え方を述べていただきたいと思います。
○古屋政府委員 先ほどもお答えいたしましたが、自治省といたしましては、いわゆる過疎法によりまして、御承知のように四十五年からこの法案が成立いたしまして、十カ年の期限でございますが、大体四十九年までが前期、五十年から五十四年までが後期ということで、過疎法の規定によります産業基盤、農業基盤の拡大とか計画をここ五年間、いま前期五年間の最終年でございますが、やっておるのでありまして、来年から町村、県というものを指導いたしまして、この後期の計画の作成に当たっておりますが、やはり何と申しましても過疎地域というものは、過疎法によりまして規定されておる条件を整備していくことが必要でございますので、私どもといたしましては後期の計画につきましては、前期の計画を取りまとめましたところで反省すべき点は反省し、後期の計画を作成するように県、町村を指導していきたいと思います。 ちなみに県あるいは市町村におきまして、これは全国的な数字しか持っておりませんが、大体重点的に何が行なわれておるかという点につきましては、農道その他交通関係……(佐藤(敬)委員「それはよく知っていますから、いいです」と呼ぶ)そういうような点をやっておるところでございます。
○佐藤(敬)委員 次官にお聞きしたいのですが、いま私が言っているのは、過疎法を説明してくれと言ったのじゃないのです。この問題が出てくれば自治体にはどういうふうな影響がありますか、それに対してどう考えていますか、こういうふうな質問をしたつもりなのです。いま施行している現行の過疎法の問題を聞いたのじゃないのですよ。 こういうような問題が考えられませんか。たとえばいまこの問題が二者択一の問題として、小農の切り捨てのような状態になって進行していくのは、これは避けられないと思いますけれども、こうなった場合に一体県や市町村がどういうふうになるか、これを考えてみますと、こういう数字が出てくるのです。 たとえば秋田県の場合を考えてみますと、一番の米どころは秋田県では仙北郡というところです。その中に南外村という村があります。この村の状態を考えてちょっと計算してみますと、南外村の人口は五千六百五十人なんです。それで出かせぎ者が八百九十六人いるのです。これは一五・八五%ですね。大体一六%というのが出かせぎ者なんです。そしてその南外村でもって一ヘクタール以下のたんぼの経営者がどのくらいいるかというと、四百五十八戸ある。これに一ヘクタールから一・二ヘクタールくらいのものを入れますと、大体半分から半分以上になる。そうしますと、まず半分がいわゆる零細小規模農家だ、こういうふうに考えまして、この人口が大体農業を放棄しなければいけない人口だ、こういうふうに私は思うのです。そうしますと標準家族にして夫婦と子供二人、おそらく私はもっと多いと思いますが、それが挙家離村する、こういうことになりますと、この人口が千七百九十二人になる。全人口五千六百五十人の三一%に達するのですよ。これによって五千六百五十人からたちまち三千八百五十八人という村に転落してしまうのです。これがたとえば岩手県の久慈市の場合ですと、出かせぎ者が四千人いるのです。人口は四万に足りません。三万七千か八千です。それで出かせぎ者が四千人いるのですよ。これの半分が離村ではなくて今度は離市、市を離れますと約八千人。一万人近い人口が減るのです。四万人から一万人減る。二割ですよ。これが実行されると、あの東北の農村一帯に私はこういう状態が徐々に浸透していくと思います。あなた、片一方では過疎対策をしているというけれども、片一方では過疎をつくりながら片一方で過疎対策をしたって何にもなりませんよ。過疎対策の最大の眼目はまず過疎をつくらないことだ。つくっておいてそれに手当てする、こんなばかな話、不経済な話はありませんよ。こういう問題に対して考えたことはありますか。
○古屋政府委員 過疎対策の問題でいまお話しのように、過疎をなからしめるということが一番の基本だという御意見の点でございますが、私どもは現実的にそういうような過疎になった場合において、どういうような施策を講じていくかという点で、先ほども申し上げましたような過疎地域における対策を充実をいたしまして、産業の拡大あるいはまた雇用の促進というものをできるだけ強化してまいりたいというのが、過疎になりました場合の対策でございますので、お話のように、過疎をなからしめるということは政治の一番基本であることは、私も全く同感に感じておるところでございます。
○佐藤(敬)委員 ちょっとお聞きしますが、そうするとあなたは、この法案に賛成ですか反対ですか。
○古屋政府委員 これは労働省所管の法律でありまして、その法律に自治省といたしましてもできるだけ遺憾のないように、過疎対策という面から協力をしてまいりたいと考えております。
○佐藤(敬)委員 最後に一つ、保険料のことをちょっとお聞きします。保険料の詳しいことは話す必要もないかと思いますが、この状態を見ますと、一方では九十日を三十日という三分の一に縮めておいて、片っ方では普通の人が納めるよりも約五割も高い料金になるのですね、千分の二・五高くなるから。これも私はまことにおかしいと思うのです。踏んだりけったりというのは、これのことですよ。くれる金を削っておいて取る金はよけい取る、これは何ぼ何でも私はひどいと思うのですが、どうです。
○遠藤(政)政府委員 確かに千分の十三に対して千分の十八、労働者の負担分にいたしますと、一般が千分の六・五から千分の五に下がることになります。それに対しまして特例被保険者の場合は千分の七・五になります。現行よりも、千分の六・五にして千分の一増額になります。先ほど保険経済の赤字解消という御指摘がございましたけれども、実は千分の七・五で千分の一をふやしますと、かりに月収十万の人にいたしまして月にして百円でございます。私どもは、この千分の一、百円をふやしましたからといって全体の保険料収入の二%が二・〇〇幾らにしかふえないはずでございます。それに対しまして保険給付が、一時金三十日分にいたしましても現在の給付額を下回るようなことにはならない、こういうふうに私ども計算いたしております。保険経済のバランスをとるという意味では決してございません。ただ、本来異質の短期受給者、いわゆる特例被保険者の給付の問題を、先ほど御指摘のような新聞論調あるいは世間一般の、まあ先生からおっしゃれば不当な非難、そういう問題をこの際解消いたしたい、正当なものとして制度化したいという発意から出たものでございまして、私どもは、そういう意味で毎年毎年繰り返し定期的に保険給付を受けられる、そういうものに対する特例的な制度として若干の負担増をお願いしたい。この程度の負担増であれば、月収十万の人で百円ということであれば、まあごしんぼういただけるんじゃないか、こういう考え方でございます。
○佐藤(敬)委員 そのこと自体がもうすでにおかしいんですよ。なぜ出かせぎ者だけが切られて、よけい取られるか。これは当然あなた方は語るに落ちている。そのことがそのままなんですよ。ほかの人と同じようにやればいいんじゃないですか。そしてみんなでめんどう見てやる、これが保険の趣旨でしょう。それを出かせぎ者を目のかたきにして、おまえらは三分の一に切るぞ、金だけは納めろ、これではおかしいじゃないですか。 それから、もう一つお聞きしますが、いま赤字を解消するためじゃない、これをやればまた赤字になるかもしれない、そのことでちょっとお聞きしたいのですけれども、これがもし赤字になりますと、審議会の意見を形式的に聞けば千分の二十まで上げることができますね。これをやりますと、いつごろそういう状態になりますか。
○遠藤(政)政府委員 この部分の赤字になりましても、保険料率を自動的に動かすということにはなっておりません。もし保険料率をそういうことで動かすとすれば、あらためて法律改正をする必要がございます。
○佐藤(敬)委員 徴収法か何かで、十八から二十まで審議会の意見だけ聞いて動かせるようになっているでしょう。
○遠藤(政)政府委員 現行法にも、それから新しい雇用保険法案にも、保険料率の自動変更の規定がございます。それは当該年度の保険給付額と保険料収入額とを比較いたしまして——保険料収入と当該年度の保険給付との割合を比較いたしまして——それともう一つは、積み立て金の額、この三つを比較いたしまして、それが一定の限度を越えた場合には保険料率を自動的に下げることになっております。それが二倍をこえる——保険料収入が積み立て金の額を上回るということになった場合には自動的に保険料率を上げる、こういうことになっておりますけれども、いままでの過去の実績、今後の見通しでも、そういった自動変更によって保険料率を改定するということにはならない、私どもはかように考えております。
○佐藤(敬)委員 ちょっとおかしいので、いまやめようと思ったけれどもお聞きしますが、これは改正徴収法の十二条の五項に、千分の十六から千分の二十まで動かせるようになっているでしょう、審議会の意見を聞いて。そうすると、これは赤字になれば、いまは十八でしょうが、二十に動かせるでしょう。
○遠藤(政)政府委員 これは特例被保険者の千分の十八だけではございませんで、新しい雇用保険の経済全体の問題でございます。したがって、そのときは千分の十三も千分の十八も同じように、千分の十三が千分の一上がるときには千分の十八が千分の十九に上がる、千分の十三が十二に下がるときは千分の十八が十七に下がる、これは切り離しての問題ではございませんで、全体の問題でございます。
○佐藤(敬)委員 これで終わりますが、私はさっきから申し上げておりますように、根本的に非常に困っている出かせぎ者というものが、自分たちの責任じゃなくて、政府の責任でもってあれほど困っているのに、そして現実に失業保険なり出かせぎの賃金というものが生活の中にはっきりと組み込まれているのに、そっちを放置しておいてこっちだけ切る、これはほんとうに農民に死ねということを言うのと同じだと私は思います。まことに非人間的な法律だ、こう思いますよ。だから出かせぎの農民、こういう人を何とするか、こういう方法を考えなさい。そして、こうしてわれわれはきちっとしてやるから、出かせぎしなくてもいいようにしてやるから、あるいは現状やむを得なくて出かせぎするとすれば、出かせぎ者をこういうふうにして保護し救済してやるから、だからこれを切るということでなければ、これは死ねというのと同じで、あまりにひどいですよ。特に一番日本の中で弱いと思われている後進県である東北、北海道、ああいうところを目標にして鉄砲を撃つなんということは、これはまことに抵抗力がない人間を殺すことと同じですよ。まことに非人間的な法律だと私は思います。これに対する大臣の答弁と撤回の御意思をお伺いしたい。
○長谷川国務大臣 佐藤さんと同じように、私も出かせぎ地帯でございます。出かせぎ地帯の問題に対して各先生方から御同情、そしてまた激励をいただきますことは、ほんとうに恐縮に存じます。そしてまた、御熱心な御審議の中にいろいろな意見が出ておりますが、出かせぎ者を殺すのじゃなくして制度的にやるということでございまして、その点御理解を万々いただきたいと思います。 保険給付が受けられなくなって、農業と出かせぎの二者択一を迫るなどというお話がありますが、そういう問題に対しましては、社会労働委員会などにおいてもいままで段々と御論議いただいておりますので、そうしたことを十分に私たちも考えていきたいと思います。 いずれにいたしましても、いままで私たちの東北地方は十四、五年前は次三男対策で悩み、そして経済の成長に従って出かせぎ問題が生まれ、さらにそれが失業保険という形で、ときには議論が出るような中に失業保険をいただいておったわけでありますが、こういう雇用保険法案をきっかけにいたしまして、ひとつここに制度としてちゃんとやって、そういうものが御論議をいただきながら御審議の中に万々と考えてまいりたい、こう思っておりますので、血も涙もあるようなところでひとつしっかりやってみたい、こう思っておりますから、よろしくお願いします。
○佐藤(敬)委員 終わります。
○野原委員長 この際、午後一時三十分まで休憩いたします。 午後零時三十一分休憩 ————◇————— 午後一時三十六分開議
○野原委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。 休憩前の質疑を続けます。瀬野栄次郎君。
○瀬野委員 雇用保険法案連合審査にあたりまして、主として農林大臣並びに関係当局に質問いたします。 農林大臣が農林年金法案の審議のために時間が限定されておりますので、主として農林大臣関係を先に質問しまして、後ほど十六時五分から労働省、建設省関係を主体に質問申し上げたい、かように思うわけでございます。 まず最初に、六十万人ともまた八十万人ともいわれる出かせぎ労働者は、建設業はじめ他産業においても低賃金で下働きに従事し、産業側は大いにこれを活用してきたわけでありますが、このような出かせぎ労働者に対する給付を締めつけ、切り下げを行なうことは冷たい仕打ちであり、問題である、私はかように指摘するわけです。 そこで、第一点農林大臣にお伺いしたいことは、農林水産業の季節的受給者の増大がますます行なわれつつありますけれども、国の経済政策、農業政策、これに基因するものである、かように指摘せざるを得ません。すなわち、出かせぎをしなければ生活ができないというところへ追い込んだ今日の総合農政を検討すべきである、改めるべきである、かように大臣に申し上げたいのでありますが、その点農林大臣の御見解を冒頭承りたいのであります。
○倉石国務大臣 農業者が出かせぎをせずに済むような農政、農業でありたいということは、かねがね私どもも申し上げておるところであり、考えておるところでありますが、ただいまのわが国の経済全体を見ますと、ずっと高度な経済成長に伴って労働力もまた農村に大きな期待を寄せた。一方において、農業それ自体もテンポは他の産業ほどではありませんけれども、やはり逐次伸びてはまいっておりますが、その間、時間の短縮等のできる生産性が上がってきておりますので、余暇を多く持つようになった。もう一つは、農政の方向として規模拡大ということを目標にいたしておりますので、零細な農家がその間において戸惑うような形を持つようになってまいったということは御指摘のとおりであります。 そこで、先年来私どもは、農村における労働力を大都会等になるべく集中しないで、それがやはり農業の余暇を活用して、またその地域を離れないで現金所得を得られるようにという考え方から、農村工業導入の法律を通していただいて、千六百余りその計画が着々進められておる次第でありますが、なお私どもといたしましては、今回御審議を願っております農振法の改正等によりまして、できるだけ兼業農家の持っておる土地を活用するということを考慮しながら、農業それ自体としてできるだけの労働力を吸収して、そこに農業の成果をあげてまいりたいという方向をたどっておることは御承知のとおりでありますが、それにもかかわらず、やはり出かせぎというものはいまのような状態では存在するわけでありますので、出かせぎをできるだけなくする考え方を持って農政を進めると同時に、なおかつ存在いたしておる出かせぎ者の待遇改善、社会保険等についての充実は同様にはかってまいる必要がある、ただいまのところはそういうような考え方で進めておるわけであります。
○瀬野委員 どの出かせぎ農家も叫んでおりますように、好んで出かせぎをしているのではない。また農業だけで生活が成り立たないから出かせぎに行っておるんだということは、農林水産委員会でもしばしば指摘しておるところでありますが、こういったことが実際の農村の現在の実態になっております。特に単作の米どころの東北、北陸、あるいは経営の零細な九州方面の農家にあっては、その状態がひどいわけでございます。つまり政府の農業政策の貧困、他産業との所得の格差の拡大によって、生きるために出かせぎをしいられているわけでございまして、政府も高度経済成長の補完労働者としての誘導策をとってきたはずでございます。 そこで、政府がここへきて、雇用の改善、能力開発、雇用福祉、こういったことを前提に今回の雇用保険法案が提出されておりますけれども、農業だけで十分に食っていける農政の確立と営農の方向づけを同時に並行して示さなかったならば十分とはいえない、かように指摘せざるを得ないのであります。 つまり企業側だけを必要なように指導しても、農業を従来のまま生活の成り立たない状態で放置しておいては片手落ちである、かように思うわけです。今回の雇用保険法案の提案にあたって、かねがね指摘しておるところでありますけれども、こういう機会に農林大臣としてこういったことに十分対処して今後検討していただきたいし、また農業の確立をはかっていただきたい、かように思うのです。この点について農林大臣はどういうふうにお考えであるか、御見解を承りたいのであります。
○倉石国務大臣 失業保険というのは、私は一つの受け身のものだと思います。積極的にはやはり完全な雇用が望ましいことである。しかしながら、一般の経済の進展に伴って、他の産業に転換していく間の失業というものもございます。したがって、失業保険法というものは絶対に必要なものであると考えておりますが、一方において、他の産業のことは別といたしましても、農業従事者が失業保険によって恩典に浴さなければならぬというようなことば、過渡的にはやむを得ないものがあるといたしましても、できるだけそういう恩典に浴さずに、農業それ自体として生活が安定をするということが望ましいことでありますので、私どもただいまお話のございましたような考え方で農政を進めてまいることは当然の義務だと考えております。
○瀬野委員 農林水産業の加入に対しては、季節業種として掛け金の面でも給付の面でも一般の就業者と差別して、高額負担、低額給付の措置をとろうという政府の考え方が問題である、私はかように指摘するわけですが、農林水産業が季節的なものであるということは、皆さん方も百も御承知のとおりであります。そこで、政府、特に主管大臣である農林大臣は、出かせぎをしなくても、また農業労働者を雇わなくともやっていけるような農政を早急に確立するということが基本的には大事じゃないか、かように私は思うわけです。過渡的な問題として、こういう出かせぎ労務者もやむを得ないということを大臣おっしゃいますけれども、こういうことを確立し、出かせぎ者をなくするような農政を今後推進する、こういった点でどういうふうなビジョンをお持ちであるか、また自信があるのか、その点さらに大臣からこの機会にお答えをいただきたいと思うのです。
○倉石国務大臣 兼業が悪いという考え方は、私どもは大いに再検討を要するものではないかと思っております。わが国のような産業構造の国では、従来の経済発展の過程から考えまして、兼業は御承知のように進んでおります。むしろ、われわれは非常に努力しておるにもかかわらず、また農基法も非常に期待しておるにもかかわらず、兼業は農村における就業人口の大体八割くらいあるでありましょう。そのうちのまた六〇%余りが第二種兼業農家、こういう方々に対して、私どもとしては、まずもって他の産業と競争のできるような所得を得られる農業、農家を育成したい、こういうことであることはかねて御存じのとおりでありますが、それにもかかわらず、やはり兼業がございます。その兼業の人々に、どのようにして農業に従事していただく率を多くするかということ、また第二種兼業農家のような方々の余暇を、余力を、どういうふうにして現金所得をとっていただくかということも重大な社会問題であり、農政の一つの大きなポイントであると思っております。 そこで、さっき申し上げましたように、農村における労働力というものを、大都市へ、工業地帯のようなところへ多く集中させることなく、地元においての雇用機会を増大してまいるということが必要である。 一方においては、またその方々の持っております若干の耕地があります。そういうものについて、これは農振法の改正案等によっても御存じのとおりに、そういうものにひとつ協力していただくことによって規模を拡大して、農業それ自体を大きくすると同時に、またその大きくなってまいります農業に協力していただいておる、兼業農家の拠出していただいておる土地というものを効率的に運用して、これからもまた所得を得せしめるというふうなことを農政全体としては考えておるわけでありますが、私どもは、突き詰めて申しますならば、現在行なわれておるようなああいう形の出かせぎはなるべく少なからしめて、あとう限り農業それ自体によって生活が得られるような方向をとっていきたい。ことにいま国際情勢が、全般的に食糧が逼迫しておるといわれておるこういう状態でありますので、われわれは自給度を高めることに全力をあげておるわけでありますので、これからの農業における働き手の方々、こういう方々に対する雇用機会は、農業関係においてだんだん増大してまいるということがわれわれの希望するところであり、またそういう目標に向かって努力を進めてまいりたい、このように思っております。
○瀬野委員 農林大臣は、農業限りで生活できるような方策を講じていきたい、また全力をあげて自給度を高めていくということをおっしゃいましたが、当然のことであると思うのです。 雇用保険法案の審議にあたって、なぜ私はこういったことをお尋ねするかと言いますと、農家が何としても食っていけない。また、実際に総合農政の失敗から、今日塗炭の苦しみを受けている実情をつまびらかに知っておるがゆえに、こういった根本的なものを直さずして解決はしない、かような観点から申し上げるわけです。 そこで、いま政府は米作の生産調整等いろいろやっておりますが、まず私は、農家が安心して生産に従事できるような、おもな農産物の価格保障制度を確立せねばならない。二つには、中小農民の転作のための低利長期の融資制度、と同時に、自主的な機械の共同利用あるいは中小機械、施設にも補助金を出すなど、新しい農業技術の習得のための資金を保証してやる。三つには、日本農業と農民の経営を圧迫する農産物の輸入自由化等をやめるべきである、かように申し上げたいわけです。 御承知のように、農政の三本柱といえば米、畜産、果樹、ビッグスリーともいわれておりますが、減反政策によって米が現在のような過剰のような状態で、米価も期待できないような状態で推移しております。米審にしても、参議院選後に行なわれるというようなことで、来たる五月十日には農業会議所の大会あるいは五月十五日には全国農業協同組合代表者大会等が行なわれまして、全国的に米価運動がまた活発になってくるわけでありますけれども、こういったことを見ましても米価の将来もなかなか不安である。 さらには、一方畜産においても、最近の状態を見ましても、五月五日に私は熊本県の阿蘇郡の郡一円の畜産のせり市をつまびらかに見てまいりましたが、飼料代に十万円も十五万円もかけて養った牛が、今回約八百頭の中で五百頭だけが出品され、しかもその牛も、飼料代の値上がりによって二回、三回と出品を待って、どうしても飼料に追いつかないということで今回ようやく三回目に市場に出した。出したところが、飼料代にもならないような値打ちで、中には一頭百三十万円、百二十七万円という牛も二頭ほどありましたけれども、ほとんどが十万円台、平均二十万円を割るというような状況で、私、たまたまそこへ参りまして、せりの状況または市場の中をずっと見てまいりましたが、異口同音に、農民から国会議員に対する強力な怒号が出てまいりまして、バッジをつけては通れないような状態でございました。十分私も承知はしておるのですけれども、あえて現場をつまびらかに見てきたわけですけれども、あのような状態を見るにつけても、今後の第二番目の柱であるこの畜産もたいへんな危機がきております。芝浦の屠殺場を見ましても、大臣は最近見られることはないかと思いますけれども、日本の牛肉ではなくて、半分ぐらいは外国のいわゆる輸入肉がかかっているということを農民自体も代表が見て知っておりまして、こういった輸入の問題について、どうして政府はこういうふうにするのかということで疑念を抱いて、きびしい批判を傾けております。 またさらに、西日本においては、御存じのようにミカンが過剰状態、いよいよ四百万トン台に入ろうとしております。昨年は裏年、ことしは表年、昨年でもたいへんな問題でございましたが、ことしもまたミカンの過剰時代を迎えてどういうふうにするのか、消費拡大はもちろんのこと、あるいはミカンの幼齢木がだんだん成木となっていく将来を思ったときに、今後どう対処していくのかということでたいへん苦慮しております。だんだんに離農し、そして農業の撤退作戦が行なわれつつある、こういったことを思いましたときに、今後こういった農民に対する施策というものが打たれなければたいへんな問題である、かように思うわけです。 そういったところで、先ほど三つのことを申し上げましたが、価格保障の問題あるいは農業技術習得のための資金の保証、長期低利の融資制度、こういった問題、さらには農業と農民の経営を圧迫する農産物輸入自由化、こういったことに対して適切な指導と方向を定めていかなかったならば、ますます離農し、出かせぎ者も多くなっていく、こういうことになります。そういった点について今後どういうふうに真剣に対処していかれるのか、この機会に大臣の御見解を承っておきたいのであります。
○倉石国務大臣 価格保障、価格政策のことでありますが、これは瀬野さんの御存じのようにいろいろな品目によって決定方法は違っておりますけれども、現在農産物価格の中で行政介入をいたしてきめておりますものが七割余りであります。これらは、米価は御存じのように生産費所得補償方式でありますが、その他数多くのものはパリティ方式によりまして計算をいたし、そしてそれもなおかつ期日まできめて政府が介入をいたしておる。その介入には御存じのように、たとえば三月末に決定をいたしました乳価及び豚価などは、いまお話の中にありました飼料の高騰によりまして非常な打撃を受けた。それを受けて私どもといたしましては、乳価においては四四%、豚価においては三三%の引き上げをあえていたしました。生産地の諸君はたいへん喜んでお見えになりました。 これは瀬野さんも御承知のように、一昨年来の世界的不況で、非常な不作でありまして、この天候異変ということによって、ソビエトロシアとか中華人民共和国のような大国が、ソ連は二千万トン、中華人民共和国は七百万トン余りという大きな買い付けをいたしました結果、シカゴ相場が高騰した、こういうことの影響であることは御存じのとおりでありますが、幸いなことに、今年はアメリカも非常な豊作であり、御存じのようにシカゴ相場も横ばいから若干弱含みになっております。高騰以前のような低廉な価格に下がることはなかなか期待はむずかしいと思いますけれども、一ころのようなことはありません。したがってそういうことを念頭に置いて、私どもはいまお話しのような畜産の指導をいたしてまいるつもりでありますが、いま申し上げました一つの例、あるいは北海道におけるビート、そういう価格の決定に対しましても、私どもは生産費を勘案いたしまして、価格決定にはそれぞれの考慮をいたしておることは御存じのとおりであります。そういうようなことで、いまやっておりますような野菜にいたしましても、やはり価格の決定に介入をいたしておるような状態でありますので、いまの方式を当分継続していくことがいいのではないかと思っております。 もう一つ自由化でございますが、自由化につきましては、わが国はただいまのところ、今年の十月で農産物の不自由化品目は二十二品目だと思っております。これは世界的に申しまして、フランスは三十九もあるそうでありますからわが国より多いのでありますが、あとの国はみないずれも農産物でも不自由化品目は日本より少なくなっている。しかしながらただいまお話のようなかんきつ類につきましては、相手の国が非常に熱心に希望いたしておるにもかかわらず、私どもはわが国の競争品目のことを考慮いたしまして自由化はいたしておりませんし、今日残されるであろう二十二品目の上になお不自由化品目をつけ加えるということは、ただいまのところ政府は考えておりません。 それからまたかんきつ類のお話がございましたが、私も先週の土、日と四国に行っておりまして、つぶさにかんきつ類の生産者の方々とお話をしてまいりました。お話しのように今年は表作でありますので、おそらく三百四十万トン近くの収穫があるでありましょう。これは消費を拡大することにつとめますと同時に、もう一つは四十九年度予算でもごらんのとおりに六工場新しく果汁工場を建設する助成をいたし、いままでもかなり農協に補助をいたしまして果汁工場を増設いたしておりますが、一方においては保管と、もう一つは果汁工場によってその鮮度を維持しながら、長期的保管ができるようにということで対策を講じておる次第であります。 私どもといたしましては、そういうことで現在直面いたしておる問題に対しましては、政府としてはできるだけの、最善の努力をいたしておるわけであります。
○瀬野委員 時間の制限がありますので、あと二点ちょっとお尋ねして質問を終わることにしますけれども、冒頭申しましたように、後ほど、十六時五分から労働省並びに建設省に対する質疑を用意いたしておりますので、細部についてはその節お伺いすることにいたしまして、今回の本法提案にあたりまして、出かせぎ農民を守るための特別立法の制定をぜひやっていただきたいということを申し上げたいわけであります。もちろん、出かせぎしなくても済むような基本農政の確立は、いまもいろいろ論議しましたようなことで今後強力に対策を立てていただくわけでありますけれども、近年出かせぎ期間が長期化しておりますし、職業病、労働災害、賃金未払い、交通事故がふえ、宿舎の火災や公害など被害も多くなっております。政府の農業政策により、中小農民は農業だけでは生活できずに、出かせぎで生活をささえておるのが現状でございまして、出かせぎ者の働くところは、労働基準法、安全御生法、宿舎規定などが守られていない職場が多くて、妻子と別居をしいられている出かせぎ農民がせめて人間らしい生活をし、憲法に基づくところの生活と労働ができるような、政府の責任ある特別立法をつくる、こういったことで、ぜひ対処していただきたい、かように思うわけです。後ほど労働省にも聞くつもりでありますが、農林大臣はどういうように考えておられるかお聞きしたい。 もう一点は、簡潔でけっこうでありますが、本来雇用問題は一省庁ではとても処理できない問題です。人口問題等を含めて、政府は一体となって、産業政策全般の円滑、有効な実施をはかることによって初めて真の解決ができる、こう思うのです。この点について、せっかくの機会でありますので、農林大臣は本法提案にあたってその点どう考えているか、その二点、時間があと一分くらいしかありませんので、簡潔にお答えいただきたいと思います。
○倉石国務大臣 出かせぎ者の出かせぎ現場の対策といたしましては、出かせぎ先の事情によりましても対策は異なっておりますが、いずれにいたしましても、安全な就労ができますように、労働関係の事項を中心といたしまして、健康保険、年金、税制、出かせぎ農民の留守家族の営農等、多岐にわたるものがございますので、それらの施策をそれぞれの所管省筆を通じて一そう強化いたしまして、問題の解決をはかってまいることが最も適当ではないかと考えております。 それからもう一つのお話は、これは労働省が主管でございますが、お話しのとおりに、すべての産業政策が失業者をなからしめることに力を入れるということが大事なことであろうと思っております。
○瀬野委員 以上で質問を終わります。
○野原委員長 竹内猛君。
○竹内(猛)委員 雇用保険法案に対して質問をいたします。 農林大臣が途中で退場されるようでありますから、まず農林大臣に関する問題を先に質問いたしますが、その前に、これは労働大臣にもぜひ聞きたい問題でありますけれども、いままでこの法案についていろいろと質疑がありました。これをいろいろ記録で読んでみますと、重要な問題が私は抜けているような感じがする。労働大臣が最も注意しなければならない問題があると思う。要するに、政治に対する基本的な姿勢というものについて労働大臣はどう考えられるか、農林大臣はこれに対してどういうふうに考えられるか、両方から聞きたい。
○長谷川国務大臣 労働省としますと、これは労働者を守っていく役所でございます。そしてまた失業者がないように、また働く諸君が自分の能力を常に開発しながらいい生活ができていくように、そういうことについて万般の施策をする、こういう感じでございます。
○倉石国務大臣 政治姿勢の一番大事なところは、国民の信頼をかちうるような政策をやるということだと思います。
○竹内(猛)委員 そういうことでありますけれども、いまの政治に対してどの程度国民が信頼しているかということは、世論調査から見るとはなはだこれは疑問があります。労働大臣のいまの答弁、農林大臣の答弁、ともに抽象的ですね。私たちは政治の中心というものは人間を大事にする、生産、物をつくる人間を尊重する、このことから出発をしなければいけないと思うのです。物と金というものを常に軸にして、金がかかるからこの仕事は省略するとか、物があり余っているからそれを買ってくれば間に合うじゃないかとか、こういう考え方の中から、今日の政治の中にひずみが来ておるということだ。このことについて認められるかどうか。私も抽象的なことを申し上げたけれども、この問題について意見が一致しない限り、この議論はなかなか前のほうに進まないわけだ。この辺はどうでしょう。労働大臣どうですか。
○長谷川国務大臣 政治の姿勢としますると、やはり政治家のうしろ姿を見ながら国民が信頼していく、そして信頼してもらうような姿勢、その中から国民に対して誠実に、いま先生がおっしゃったようなことを実行していく、私が申し上げたようなことを実行していく、こういうところに私は信頼というものが生まれてくると思います。
○竹内(猛)委員 この雇用保険の問題に関して、生命保険であるとか火災保険であるとか失業保険であるとかというような、当然雇用されている者が失業の心配がある、家を持っておる者が火災の心配がある、あるいは農業をやっている者が災害の心配があるというような場合に、保険という形でこれをお互いに守り合っていくということは私はあり得ると思うけれども、雇用保険という、雇用という問題はこれは政策の問題であって、保険でこの問題をやるということについて、こういうような制度が世界じゅうにあるかどうか。 しかも、その雇用保険の中で三つの事業をやる。要するに、就業構造を改善するとか、あるいは福祉をやるとか、さらには能力を開発するとかいう話、これはまさに労働省の基本的な、労働省設置法の第三条にある問題であって、労働省自体の問題なんだ。そういうものを保険というような、そのワクの中でやるということ自体に、法案の立案の基礎に疑問を持っている。その点について、一体立案者はどこの例にならいそういうものを出してきたか、その点はどうですか。
○遠藤(政)政府委員 ただいま御審議いただいております雇用保険法案につきまして、この立案当初、雇用保険という名称についていろいろと専門家の間でも御議論のあったところでございます。 私ども、今回の雇用保険法案は、現行の失業保険制度の持っております失業保障の機能を、一そう今後の経済社会、あるいは雇用失業の情勢、こういった実態に即応できるように、その機能を強化いたしますと同時に、積極的に失業を予防し、雇用を改善し、労働者の福祉に役立てよう、こういう趣旨のものでございまして、雇用保険という名称を使いましたことは、これはILOでも、いわゆる失業の保険制度をエンプロイメントインシュアランスという表現を使ってもよろしい、こういう考え方でございます。いわゆる雇用保険でございます。あたかも健康保険が、実は疾病保険でありながら、健康の保険という名称を使っておるのと全く同じような考え方で御理解いただきたいと思うわけでございます。 同時に、今回の雇用保険法の中で、雇用改善事業、能力開発事業、雇用福祉事業、この三つの事業を実施いたすことにしておりますが、これはただいま申し上げました失業保障の機能を強化いたしますと同時に、積極的に失業を予防するための事業をこの三事業として行なうことにいたしておりますが、これは一般的な雇用政策、労働政策の中で、企業の、使用者の社会的責任に属する部分につきまして、いわゆる諸外国の例にありますような、選択的雇用税とかあるいは訓練賦課金とか、そういった使用者負担の賦課金制度がございます。そういったものによってこういった雇用政策の一端を実施しておる例は、諸外国にもあるわけでございます。今回の法案を準備いたします際に、労働組合関係筋からもこういった使用者の賦課金による雇用基金あるいは訓練基金制度をつくって、それによって雇用政策、訓練政策を拡充したほうがよろしいのじゃないか、こういう非常に強い御意見もございます。私どもは、こういったものを別制度にすることも一つの考え方でございますけれども、失業保障の機能を強化すると同時に、これに対する予防策としての雇用対策、雇用改善、能力開発、こういったものを付帯的に一つの法体系の中で実施することがいまの日本の現状から見て妥当であろう、こういうことでこの雇用保険法案を提出いたしたわけでございます。
○竹内(猛)委員 いろいろ問題ありますけれども、時間の関係もあるから先に進みますが、農林省はこの保険制度に対してどの程度に参画をし、どういう理解をし、今後これをどうされようとするのか。一緒に出しているのだから、これは反対だとはいえないだろうけれども、農村に出かせぎをつくったのは別に農民の責任じゃない。これはずっと歴代の政治の中から出てきたひずみでありますね。農民自体は別に出かせぎを好んでやったわけじゃない。そういうようなときに、この制度が、名称はどういうことであれ経過はどういうことであれ適用されると、既得権がどんどん剥奪されてしまう。実際農家の収入が減ってしまうということは事実なんです。だから出かせぎ地帯の者がみんな反対している。しかも農村でたいへん問題がある。そういうものについて、一体農林省はどのような意見を述べ、どういうことをされようとするのか、その点はどうですか。
○倉石国務大臣 おっしゃいますように、農業について失業保険に加入できる制度というのはいろいろ議論があるところだと思います。しかし現実の姿はどうなっておるかと申しますと、先年来、一時失業保険法の改正案というものが国会の中で考えられました当時、いち早くそれについてたくさんの希望を寄せられたのは、わりあいに出かせぎ者の多い東北地域の県知事さん等から、いろいろな理由で農業者に対する失業保険の均てんをやめないようにという要望がございました。そういう状態は、理屈は理屈としてやはり現実の姿はそういうことになっておるわけでありまして、しかもこれは工業部面におきましてもあるいは建設関係でも農業関係でも、あらゆる社会にそうでありますが、時代の進展に伴ってその間にひずみが出てまいりまして、そこで現実に失業とか出かせぎというふうな現象が出てくる。それを何とか考えてあげることが必要なことであると存じますので、私どもは農村の方々に対しても失業保険が適用されることは現状では望ましいことであると思っておりますし、ことに今度の雇用保険法の内容には、ただいま政府委員も御説明申し上げましたようなことでありまして、雇用状態の改善等も含めて考えておられる、私は一つの進歩ではないかと思っております。したがって私どもに関する限りは、われわれの関係者の損害にならないような仕組みを考えていただくことによって、これに協力していくことが必要である、こういう態度でございます。
○竹内(猛)委員 損害にならないようにということを言われますけれども、現にこれが適用されると、いままで四カ月二十二日ということで九十日——それはいろいろのとり方がある。五十日という計算をされる方もありますけれども、それが今度は六カ月で三十日の一時金ということになれば、これは具体的に損害でしょう。だからもし万一そういうことをする場合においては、それ以外の収入、それにまさる収入が農村で保証されて、しかる後にそれをやるならまだ話のわからないことはない。しかもこれは四十四年に一度手をつけて、そして五十年、五十一年に実施されようという段階で、五年、六年という経過期間があるのに、その間に何ら農村に対する福祉施設なり何なりやっていない。たとえば農村工業導入法という法律があります。あの法律をつくるときに、いろいろ調べてみると、五十年には六十万の新しい雇用者を農村で収容するんだ、しかも中高年層を入れるんだということをいっておるけれども、ことしの農業白書の報告によると一万人しか入っておらぬじゃないですか。要するに四十九年において一万人。来年五十九万入るということは絶対考えられない。そういうように、一方において政府が約束したことについてうそをいっておいて、一方のほうだけはどんどん取り締まっていくというようなことは、これは弾圧であり、合理化であり、これは不当ですね。そういう点についてどういうふうに思いますか。
○倉石国務大臣 ものごとはそう計画どおりにいかない場合があるんでありますが、しかし現在すでに着々とそういう、ことに組み立て工場であるとかあるいは繊維工場であるとかいうような、公害を伴わない産業が逐次地方に分散されていっております。それは私どもが当初予定したよりもスピードはおくれておりますけれども、着々そういうことを進めて、しかもその地域の労働力は八割がそこに就職をいたしておるという状態。したがって、なおこれを促進することには努力をいたしますが、そういう状態でありますので、先ほど来お答えいたしておりますように、やはり地元の労働力というものはでき得るだけ地元に定着してもらって、そこで所得を得られる方法を講じていくことが必要であろう、われわれはこう思っておるわけであります。
○竹内(猛)委員 唯一の方針であって期待をしていた農村工業導入法、これは野原委員長が労働大臣のときちゃんと答弁をしている。こういうパンフレットが出ている。約束しているじゃないですか。五十年までに六十万の中高年層を農村に入れるということをちゃんと書いてある。農業白書を見たらそういうことになってない。二八%しかあれがなくて、あとの七十何%はまだ流動的だという形になっている。こういう政府がみずからきめて約束したことについてそれが実行できないというときに、またもう一つこっちから失業保険を、せっかく農村の皆さんがいやいやながらやむを得ずにやっているものを、今度は法律の面からこれを取り上げていく、改正していくというようなことは、これは絶対許されないことだと思う。これは現在の政府が考えているような農村におけるところの農民首切りの方針を、さらに失業保険の改正からあるいは改悪から推し進めていくものだと私はどうしてもこれを解釈する。 結局、いま農民は二つの道の選択を迫られていると思うのです。一つは、もうそういうことであれば、生涯労働者として失業のない雇用関係に就職してしまうという方向をとるのか、もう一つは農業に返って農村でやるか、どっちかしか道がないんじゃないか。 そこで、いま農林大臣は、前々から言っているように、農村をよくするためには規模拡大ということを言われた。先般、川俣委員が本会議で質問をしております。三月二十二日の本会議のその質問に対する農林大臣の答弁を聞いていると、出かせぎをやめるためには、何とかして農村における三反歩、五反歩というような零細な農業経営は、まあやめよとは言わないけれども、それを整理をして、そして農振法を改正して規模を拡大していくのだということをいっている。だから、農民には、いまここに新たな段階における二つの道のどれかをとれということを迫られていると思うのです。そういう意味において、一方の問題がちゃんと処理できない、要するに農村工業導入という、そういう中高年を対象にした職場も完全に与えられておらない、あるいは社会保障も十分にいってない、そういうところにこのようなものを出してくることは、大体タイミング的にもよくないし、中身もよくない、こう思うのです。これはもう少し時期を延ばして、撤回をして、そして出直す御意思はないか。農林省はそういう点についてどう考えますか。
○倉石国務大臣 私ども、法案を労働省が中心になって御提案になるときに御相談を受けまして、先ほど申し上げましたように、農業という立場から種々検討いたし、希望も述べてまいりました。結局まとまりましたのは、政府案として意思が決定いたして提案をいたしておるわけでありますので、どうぞひとつすみやかに御審議の上御賛成くださいますようにお願いいたします。
○竹内(猛)委員 特に食糧が国際的に不足してきている、こういうような段階で、国内においては食糧の自給度を高めなければならないということをようやく政府が言い出したのですね。最近、農政研究センターですが、きのう食料経済白書というものを発表した。これを発表した主人公というのはわれわれが最も気に食わない国際分業論の親玉の小倉武一さんが中心でやっているものですが、小倉さんでさえも、いまやもう世界の農産物の需給がたいへん問題になってきた、一億国民の胃袋を他国にゆだねるのは疑問だ、国内の生産増強が必要である、いろいろのことを言っていますけれども、そう言っている。そういうときに農村の若い労働力を抜き取って、そしてなお企業に従属させていく、こういう考え方をまだ捨ててないと思うのです。 だから私たちは、農業を進めるためにはそれは確かに専業農家というものをつくっていく、あるいは兼業においても、その兼業の基本的な収入のある基礎をきめて、それにプラスアルファという形で所得を保証していくような方式をとりながらいかなければいけないと思う。農業基本法ができてから十年たったけれども、あの基本法が示しているような農業がいまできていないじゃないですか。そういうところも農民が政治を信頼しない。先ほど政治は信頼されなければならないと言ったけれども、政治が信頼されておらない証拠なんだ。だからそういう点で食糧自給という問題と農民の関係、人間の関係というものはいまだに解決しておらない。そういう中で私たちはどうしてもこの法案が持っている政治的な背景、これが問題でありますから、この問題についてはどうしても一考を要する、こういうふうに考えるのですが、農林大臣として、食糧需給というものを担当される大臣として、このことについてどのように考えられるか。
○倉石国務大臣 竹内さんのおっしゃることを私が誤解してとっているとすればお許しを願いたい、訂正いたしますが、この保険と農林側の関係というものは、私どもは出かせぎというふうなものをなるべく少なくしていきたいのだ、こういう前提に立っているわけでございます。なおかつそれがある場合には、やはり雇用保険法によって救済をされるということはありがたいことだ、こう言っているのでありまして、農政の中心としてはいまお話のございましたように、いまの国際間における食糧の逼迫事情から考慮いたしましても、自給度を全力をあげて高めてまいりたい。自給度を高めると申しましても、やはり経済的に引き合うように農業をしていかなければ農家が離れるわけでありますので、そこで自給度を高めてまいります段階におきましては、他の産業にひけをとらない規模を拡大して生産性の上がる農業を育成する。テンポがおそいじゃないかというお話は甘んじて受けるわけでありますが、着々そういう方向で進めてまいります。 したがって、そういうふうになってまいりましたときに、一つの問題は先ほど来申し上げておりますような兼業農家の問題であります。その兼業の方々にはできるだけあらゆる方法を講じて、その持っていらっしゃる土地等を出していただいて規模を拡大して、専業したいという者には専業ができるようにひとつ協力してもらう。そこでその方が余った労働力が出てまいりますので、御自分で農業をおやめになる御希望があるならば、他に就職の機会をつくってあげることは当然なことであるが、なおかつその地元において生きたいというようなお方には、その地元に導入してくる工業等によって現金所得を得てもらうようにいたしたい。要するに出かせぎといったようなことをできるだけ少なくするために、われわれは農政を一つの面においてはそういう考え方でやっておるわけでありますが、やむを得ずその間のひずみで出てくるそういういわゆる失業的立場にお立ちになるような方について、今度の保険法の改正は、どのような均てんをするかというところが農業の面での気の使いどころでございます。 先ほどお話がございましたけれども、今度は一時金でありますが、いままでは一時金でなければ保険をもらっております間は他の所得を得ることはできないたてまえでありますけれども、今度は一時金でそういうふうになりますと、すぐその日からでも、翌日からでも他の産業に転換することができるわけでありますので、むしろ私は当人につきましていろいろ調べてみますと、二つの説はあるようでありますが、やはり一時金ですぐに他産業に転換し得るほうが希望に合うのだという方もかなりあるようであります。それらの調査についてなお必要があれば、事務当局から御説明を申し上げますが、私どもの立場はいま申し上げましたような立場であります。
○竹内(猛)委員 事務当局とのいろいろな話についてはまだ時間がありますから、大臣がいるうちに、大臣にだけ尋ねなければならない問題を聞いておきます。 いまの大臣のお話を聞いていますと、いまの出かせぎの農民というのは、農繁期には農業で一生懸命働いて、国のためにあるいは国民のために食糧を生産をする。そして農閑期になると今度は家を離れ、子供と別れ、たいへんな職場で、しかもあまり保護されていない状況の中で危険な仕事をする。そうして帰ってきて保険金をもらう。これは好き好んでやっているわけではない。だから本来ならば、農業だけで食えるような農政をするのが農林省のたてまえなわけです。にもかかわらず、日本の農業状態というものがそれほど規模を拡大するような条件ではない。ますますこれからいまの地価の状態からいって、農産物の価格の状態からいって、規模を拡大するなんということは困難でしょう。したがって専業農家は専業農家としてこれを守ると同時に、三反歩、五反歩という零細な農家にしても、その農地を守りながら、同時にその地域でやはり仕事ができて所得が得られるような努力をしなければならない。それがおそらく農村工業導入法の構想だと思うけれども、それが今日の段階まで調べてみると、ここで胸を張って、ここの農村工業導入法の会社を見ろというようなことは、農林省は言えないでしょう、いまもう三年も五年もたっているのに。工場が来るために至れり尽くせりの手当てをした。そして土地までやり、金まで貸してやったけれども、できた工場というものは予想されるような中高年層を雇わない。安い若い労働力を雇って、目的と本質が実際と違ったかっこうになっている。こういう景気が悪いときにはそれさえもなかなか進んでおらない。 こういう状態でありますから、農民というものは農村の中でしぼられ、また都会でしぼられて、ほんとうに心もからだもすり減ってしまう、こういう状態だと思うのです。だから、それをこんなにまで働かせなくても、少なくとももっとあたたかい措置をとれないか、これが政治じゃないかと思うのです。終戦直後には食糧増産のためにあれだけの強権発動にまであって努力をした。そうしてまた、戦後になると都市の建設のために高速道路、新幹線、あるいはビル、そこにはすべて東北や北陸や南九州や、そういう農村の労働力が来て、ほんとうにたいへんな仕事をしている。そのことは建設省が認めているのです。こういうような状態の中で、なお依然としてその給付が一部に片寄っておる、公平の原則に反する、こういうことでこの法案を出すとするならば、それならばやはりさっき公明党の瀬野さんが言ったように、われわれも考えていますけれども、そういうものに対する特別立法をしてこれを守るべきじゃないですか。そういうふうにするのが政治というものじゃないですか。その点は農林大臣も、労働大臣も両方からこれはお答えをいただきたい。
○倉石国務大臣 竹内さんよくもうおわかりのとおりでありますが、わが国の農家の平均反別一・一ヘクタール、諸外国——開発途上国は別といたしましても、わが国に匹敵できるような一流国は大体平均が二十町歩であります。アメリカのごときは、この間FAOの報告を見ますと百三十五ヘクタール、全体の就業人口の中に農民の占める割合というのは四%そこそこであります。こういうふうな、アメリカは図抜けて違いますけれども、しかしそういう程度の規模でなければ、十分な専業農家として太刀打ちのできる産業とはなかなか言いかねる。わが国も絶対にそうでなければならぬというわけにはいきますまいけれども、やはりできるだけ専業農家の規模の大きなものをつくっていく。そういう間において、小さな零細な農業者がどういうふうにするかということを、農業の面から考えてみなければいけないと思うのです。 私どもは、農基法でも初めからそういうことを、いまの経済成長の間において農業をどういうふうに持っていくかということで、ああいう法律を考えたわけでありますけれども、その間に出てくるひずみの中に出かせぎというふうな方もありますし、それからまた、兼業農家でもなかなか苦しい方もあります。そういう方々の持っておられる土地をどういうふうに効率的に使っていくか、そういうお方の持っていらっしゃる労働力をどういうふうに生産的に働いていただいて所得を取っていただくかということは、農業の問題でもありますし、大きな社会問題だと思うのであります。私どもは、そういう点について完ぺきなことをやっておるなどという、決してそういううぬぼれは持っておりません。なお足りない点はたくさんありますけれども、竹内さんも御存じのように、われわれは、りっぱな生産の上がる農家として育て、そうしてそういう人たちの生産によって、国民多数の消費者に供給する食糧を、安定した価格で安定した量を供給したい。その中におけるひずみをどうするかということで、ただいま論議されておる雇用保険法というふうなものがその中に一つ出てくるわけであります。 でありますからして、一つ一つの問題を取り上げられれば、私どもなかなかうまく行っておるとは申しておりませんけれども、おおよその方向はそういう方向で進んでおることは御理解がいただけるんじゃないかと思っております。
○長谷川国務大臣 私も農村地帯ですが、たまに冷静にたんぼを歩きながら考えるんです。終戦のときばたしか反当五俵、そして自作農じゃなかった。これが完全に自作農になって、九俵、十俵自分のものだという努力、そういう中に農村が大きくなって、生活の向上もある。そしてまた一方においては、いまのような時代ですから、出かせぎの要請もあり、これがまた自分たちの全部の収入になってきています。そういう方々を失業保険ということでお守りいただいて、出かせぎ地帯とするとほんとうに私はときにはありがたいという感じさえ持っている。それを今度は制度としてぴしゃっと組んでいただいて、そして胸を張って、次の日からでも仕事ができるということでありまして、出かせぎ者そのものを、農村工業法もありますし、あるいは一町村一工場などもありまして、だんだんにその地方、地方で、国土の改造の中から交通網の発達等々によって雇用の率の拡大というものがある。だから、そういう面においての出かせぎ者をだんだんなくし、そしてある者は今度は制度としてこれを保護していく、こういうところに今度の法案があることを御理解いただきたいと思います。
○竹内(猛)委員 農林省のほうに伺いますが、農林水産労働者及び季節的労働者というものに対する基本的な定義、そして同時に農民というのは労働者なのか、土地所有者であるところの一種の所有者なのか、その辺のことについてはっきりしてほしい。
○吉岡説明員 ただいま御質問の出かせぎ労働者の定義でございますが、農林省におきましては農家の世帯についてのいろんな調査をいたしておりますが、その中で出かせぎ者として調査をいたしておりますものの定義と申しますものは、一カ月以上一年未満居住地を離れまして他に雇われて労働をする方でございまして、その就労された期間を経過した後は再び居住地に帰る、そういう方を出かせぎ労働者というふうに定義をいたしまして、調査をいたしております。したがいまして、出かせぎ先において就労をされるその形は、いわば雇用された状況でございまして、その意味では雇用者というふうに私どもは見ております。
○竹内(猛)委員 だいぶいいぐあいに説明をされてくれますけれども、それならばそのいわゆる季節労働者あるいは出かせぎ農民といわれるものの数は、一体どういうふうに分布をされているか。
○吉岡説明員 私ども農林省のほうが調査をいたしておりますものの中に、農家就業動向調査というのがございますが、この調査で四十八年一月一日現在で過去一年間と申しますと、結局昭和四十七年ということになりますが、この一年間に、農家の世帯員の中から出ました出かせぎ者の数は、全国で三十四万一千人ということになっております。 この三十四万一千人を地域別に見てみますと、東北が二十万三千人、全体の五九・六%ということになっておりまして、一番多い地域でございます。次いで九州が四万六千人、一三・六%、北陸が三万七千人、一〇・八%ということになっておりまして、この三地域で全体の出かせぎ者の数の八割以上を占めておるというのが実情でございます。
○竹内(猛)委員 そこで、出かせぎあるいは季節労働者といわれるものの数を、私たちは出かせぎ者と直接接触をしている全国の出かせぎ組合の人人に聞いてみると、百万以上と言われている。 きょうも実は秋田県からある町の若い者が来ました。ここでも大体町の中の七割までが何らかの形でどこかへ出ているという。この収入はたいへんなものですね。こういう状況からいってみて、なるほど百万以上という数が数えられないことはないと思う。労働省がいつも答弁しているのは六十万だという。農林省はいま言うように三十四万ですね。これは農業白書にもそういうように出ているから、地域のことも出ていますけれども、一体これはどの数字がほんとうですか。労働省はどうですか、それ。
○関説明員 出かせぎ労働者の数というのは非常に把握がむずかしゅうございまして、労働省が約六十万というふうに申し上げておりますのは、全国の公共職業安定所を通じまして、地元の市町村の協力を得まして毎年出かせぎ労働者の数を把握しています。その結果などから、出かせぎ労働者数を約六十万人、こういうふうに推定をいたしておるわけでございます。先ほど農林省のほうから御答弁がございましたのは、農家からの出かせぎ、こういうものを調査した結果でございますが、出かせぎ者は必ずしも農家のみに限りません。そういう意味で、農林省の調査と労働省の調査が食い違っている面があろうかと思います。
○竹内(猛)委員 それならば労働省は地域別に、いま言うように東北、北陸、南九州というふうに、その六十万のことを分けてみてください。
○永場説明員 お答えいたします。 四十八年六月に調査いたしましたところでは、四十七年四月から四十八年三月までの一年間に出かせぎに行かれた方々の一年間の実態でございますが、北海道が一二・二%、それから東北が五〇・三%、関東が一・八%、北陸が八・一%、甲信越が一・二%、近畿が一・九%、中国が三・七%、四国が五・三%、九州が一五・五%というふうになっております。これは四捨五入の関係がございまして、足しますとあるいは一〇〇%にならないかもしれません。
○竹内(猛)委員 いまの農林省のそれと労働省のあれとは、数の問題は別にしても、パーセントは、ほぼその方向は合っているわけです。したがって、これを見ると、やはり米の単作地帯ということと北海道というのが中心でしょう。北海道、東北、北陸、南九州に数が多い。 〔野原委員長退席、斉藤(滋)委員長代理着席〕 だからそれは地域的に偏重をしている、一部のものである、こういうぐあいに答申もされているし、答弁もされている。これは不公平だ、一部の者が出かせぎをして、そして失業保険をとるというのは不公平だ、三%くらいの者が何割かのものをとってしまうのはよくない、こういうふうな改正の中の趣旨があるわけなんです。 だからそれは先ほどから言っているように、前からもうみんなが指摘をしておるように、だれも好き好んで出かせぎをしているわけじゃない、できれば農村でやりたい、だから早く出かせぎをしなくても生活ができるような、そういう措置をとってほしいと言っているのに、そのほうが進まないで、法律だけが先行するというところに、私は問題を出すわけなんです。 そういう意味において、たとえばここに労働省が、「失業保険制度をめぐる新聞論調及び新聞投書にみられる意見」というものを出しているけれども、これを見ると、出かせぎ者のことについて悲惨な状態が書いてあることはない。何とかして、これは不当だ、一部の者がとるのは不当だというような、そういう不当性についてとか、あるいは新聞の論説を見ると、大体どれもこれもあれは前向きでけっこうだということになっている。ただし、うしろのほうにちゃんと、出かせぎを直すためには別な政策でこれを措置しなければならないということになっている。その政策というのが三つほどあって、その三つの政策というものが進んでいないのに、一番大事な現在の既得権を押えてしまうというところに問題があると言っておおるのであって、その辺をどういうぐあいに埋めるかという問題なんです。どうしてもこれは納得がいかないんですね、その場合。 そこをどういうふうにしたら農民の出かせぎ者の既得権を押えないでやれるか。それを与えながら、たとえば通年雇用であるとかあるいは農業振興であるとか、地域開発なり地域産業の育成というもので、ともかくいままでの所得を保障しながら、そういう矛盾を解決するということが大事だと思うのです。それができないで、この法律を出してきて、無理やり通そうというところに私たちは文句を言うし、問題を持っておる。この点は労働大臣どうです。
○長谷川国務大臣 今度失業保険というものに全然金をやらないのじゃないのです。やるんですよ。全然やらないような表現をされるからちょっと私も困るんですよ。私のほうの出かせぎ地帯の諸君が、いままで制度としてなじまなかったということは、一般の事業所につとめて失業したときに失業保険というのはくる。ところが、私たちの地方の者は、こちらのほうに田植えが終わってから働きに来て、また稲刈りに帰るところ、あるいは裏日本のように冬型と夏型の違いはありますけれども、そういうふうにして、失業したときに保険をもらう、自分の意思で失業していく、これが毎年繰り返される、そんなところにいままでなじまないものがあった。ですから、今度は大手を振って、制度としてもらえるようにしたところに今度のメリットがある、こういうところをお考え願いたいと思います。
○竹内(猛)委員 そうは言うけれども、六カ月間働いて三十日の一時金でしょう。それは、大の男が、勤労意欲があるのに、一々認定を受けて金をもらうのを好んでいる者はだれもいない。いないけれども、だんだん剥奪されてきたじゃないか。百八十日から九十日、九十日から今度は三十日。しかもこっちのほうは四カ月二十二日が今度は六カ月。これでは完全な米作地帯の、いま言うとこころの北海道であるとか東北であるとか北陸であるとかという、農業経営規模の大きいところの者は実際——大臣だって宮城県でしょう。登米郡ですね。——どこでもいいが、米の産地ですからその点はよくわかるでしょう。だからそういうことについて問題を出しておるのであって、全然くれないとは言わないけれども、それをもらおうとすれば、どっちかを犠牲にしなければいけないじゃないですか。そういうことについて私たちは問題を提起しておる。だんだんもらいにくくしておる、出にくくしておる、こういうことですよ。その点はどうですか。
○長谷川国務大臣 依然としてもらえることにぴしゃっとなったのですが、さて三十日ということでは足りないのじゃないか。しかしながら、私たちは、原案としますれば、給付日額を上げたり何かして、三十日でもいまもらっておる平均には劣らないものにしょう、こう思っておりますが、まただんだんのこういうところの議論などもありますから、それなども参酌しながらやっていこう、こう思っております。
○竹内(猛)委員 たとえば、かりに十万円出かせぎ先でもらっているものを計算してみるとはっきりしておるじゃないですか。一カ月十万円の場合に、従来であれば千分の六・五だから六言五十円、それに六カ月をかけて三千九百円の掛け金をした。それで給付は、十万円を三十日で割れば三千三百三十三円、その〇・六で一日二千二十円として九十日分で十八万千八百円、こういうようにあったものを、今度の改正は、十万円を基礎にしますと、千分の七・五で七百五十円の掛け金、それの六カ月分四千五百円の負担で、給付は、三十で割ると三千三百三十三円で、その〇・六の二千二十円、それの三十日分としたら六万六百円にしかならない。これは明らかに三分の一じゃないですか。あるいはまた別な解釈をすれば、五十日分で十二・六万円だという人もいるが、それもまたその三分の一にしかならない。結局これは三分の一ですよ。これは明確なんだ。これは手品師でもなければそれをごまかすことはできないはずだ。その点はどうですか。
○遠藤(政)政府委員 今回の雇用保険法案におきます出かせぎの受給者の取り扱いでございますが、従来は、先ほど大臣からお答えがございましたように、出かせぎから帰って安定所に求職の申し込みをして、そうして月に二回あるいは四週に一回安定所に行って、そこでその期間、過去二週間なり四週間失業しておった、働いてないという失業の認定を受けて、そういうことでその認定を受けた期間について給付が行なわれる。その給付の実績が、私どもの東北、北海道区の出かせぎの人たちの平均を見ますると、大体五十三日程度になっております。給付の実額は、四十七年度の実績で十二万六千円。これが現行失業保険法における出かせぎ受給者の実態でございます。 そこで、これを今回の雇用保険法案におきましては一時金という制度をとりまして、本来予定された就業、不就業を繰り返している、その予定された不就業に対して、失業という現行失業保険法の考え方を擬制いたしまして給付が行なわれている。したがって、今度はそれを新しい雇用保険制度の特例ということで、そういうものの実態を踏まえて、これを制度の中に組み込みまして、そうして出かせぎから帰って安定所に申し込んで一週間待期が過ぎますと、一時金で一括して支払われる、そのあとは結局失業の期間云々の問題じゃなくて、一時金をもらったあとは自由に働ける、こういうことになるわけでございます。 そこで、問題は、一体その一時金の額が三十日分というのが三分の一になるのじゃないかという御指摘でございますけれども、実績が約五十三日、金額にいたしまして十二万六千円程度、それと同時に、今回の三十日分につきましては金額の単価といいますか、日額の引き上げ等を行なっておりますので、大体推算いたしますと十万から十一万ぐらいになります。実際実額とは若干の差はございますけれども、一時金ということで、過去の失業期間に対して支払われるのではなくて、帰ってすぐ一時金で支払われる、そういうことによるメリット、同時に、そのあとは自由に収入を得る道が得られる、こういうことで、できるだけ実態に即した形にいたしまして、この新しい保険法の中に制度として定着をさせようという趣旨で考えたものでございます。
○竹内(猛)委員 それは結局、六カ月働いてきて認定を受けて一カ月分の金をもらってすぐ働け、要するに働け、働けと、こういうわけなんだ、実際。だから、そうすれば収入は入るじゃないか、こういうことで、これも一つの理屈かもしれない。しかし、六カ月ということは、これは農業のいまの実態からして見てこれはたいへんなことであって、こういうふうにされると、事実上出にくくなるし、やりにくくなるということで、明確にこれはこの法律を契機にして、農民に二者択一を迫っているという、先ほど私は大臣に聞いたことがやはりこれは具体的に問題になってくるであろうと思う。だから、この点についてはこれ以上はもう質問をしません。 そこで、答申の中にもあった三つの問題、たとえば地域政策とかあるいは通年雇用とかあるいは農業振興とかというようなことによって、ともかく出かせぎを食いとめていくんだということを言われている。しかし、そういうことについて、たとえば通年雇用の問題について具体的にどのように進められておるのか、あるいはまた地域政策というのは農工法なり工場再配置だろうと思うけれども、私は先ほど説明をしたように、農村工業、これは必ずしも予定したようにいっていないと思うけれども、もしそれが予定したようにいっているとするならば、農林省のほうから、ここのとこの工場をひとつ見てくれと胸を張って言えるところがあるなら、それは教えてもらいたい。おそらくこれはいまのところはないだろうと思う。 そういうことで、その問題は一体どのようになっているのか、そしてそれはどういう予算を計上をして、ちゃんとこの法案は答申を忠実に受けているのか、私はこう思うけれども、答申なり何なりというものについては、都合のいいところだけ取り上げて、都合が悪いところはみんな捨ててしまっているじゃないか、こういうふうな感じがする。特に社会保障制度審議会の中にこの問題についてかなりきびしい批判もあるけれども、そういうことについてはあまり耳を傾けておらない、こういうような感じがしてならないから、その点についてどういうふうにされておるのかということを聞きたい。
○関説明員 通年雇用の実績でございますが、季節的受給者を通年雇用した場合に、通年雇用奨励金を払う制度をやっておりますが、これが昭和四十三年から四十七年までに全国で、対象労働者数で十四万五千六百五十一人、五十六億円が支払われております。こういうような形で、一気にというわけにまいりませんが、しかし、徐々に成果をあげてきているもの、こういうふうに思っております。 農村工業導入の状況にいたしましても、四十六年から四十八年度まで実施計画策定状況、全国で六百二十九、企業の導入数二百四十一、労働者数で一万七千七百八十、こういうような数字になっておるわけでございます。 また、雇用促進事業団を通じまして、建設業が冬季に工事ができるようにいろいろな設備その他の費用を低利融資するとか、いろいろな形で通年雇用を促進してまいってきておるわけでございます。
○竹内(猛)委員 もう時間がなくなってしまったわけですけれども、この問題は当初私は、大臣にも政治の姿勢について、人間を大事にする、働く者を大事にする、物を生産する者を大事にするという立場に立って、そうして命を大事にし、暮らしを守るという立場に立って質問を続けてまいりました。 そこで、最近の状況から言うと、たとえば石油を中心としたエネルギー資源が枯渇をしているという現状、国内にはない。それをどうして国際的に確保するかという問題、あるいは食糧も国内における自給率は低くて、何とかこれを国内でカバーをしながら海外にも求めていこうというそういう状況、日本は新しい時代に入ったと思うのですね。そういう時代に、戦後一貫して食糧の増産をやり、あるいは国内における劣悪な条件のもとで建設事業に参加をしてきた、こういうような農村における労働力というものを再編成をしていこうという考え方があるのじゃないか。 この問題を基本的に解決するためには、私は三つの問題が解決をされなければいけないと思う。まず一つは、何といっても現在の労働条件の中におけるところの終身雇用の年功序列の賃金制度というもの、これはやはり大問題じゃないかと思うのです。一ぺん就業すればいつまでもその会社にいなければいけない。これは生活給体制になっておらないと思うのですね。そういうことが問題だ。 もう一つは、農業政策の中においてまだ完全な食糧自給計画というものが立てられておらない。なるほど五十七年を目標にしたものはあるけれども、あれも最近手直しをしなければならなくなってきているということは、だれだって認めていることなんです。こういうような問題があります。 もう一つは、年寄りやあるいはいろいろな種類の人を含める社会保障というものが、ほんとうに完全なものに整っておらないということなんです。インフレを前にしてそういうものがうまくいっていない、こういう基本的な問題が整理をされない中で、このような法案を出して、そして説明をすればなるほどというところも中にはあるけれども、基本的にいま北海道や東北やあるいは北陸の、この法律によって被害をこうむるところの知事、市町村、そういうところの者がみな反対をしているということは、どれだけ説明してもそれによって納得されるものではない、こういうふうに私は考えます。そういうことでありますから、これに対する最後のまとまった答えを聞いて、私は質問を終わりますが、その点をぜひ労働大臣から……。
○長谷川国務大臣 お話しの、日本の一つの特徴は、終身雇用でした。そしてまたそこで産業が伸びたことも事実でございます。しかし最近のように、非常に労働者の希望は多様化しておりますから、こういう制度も少しずつ昔と違って、多少形が変わってくるような傾向があることを私は認めております。さらにまた、食糧自給の問題は、石油危機でもあれだけお互いはたいへんな苦労をしたものですから、これが食糧危機になったらたいへんなことである。これは与野党を通じて、いないな政府も中心でございますが、懸命にいまから先やらなければならない。さらに、何といたしましても、社会保障というものはお互いの近代国家として当然やることであります。私たちはこういう近代国家になればなるほど、働く諸君を大事にすることが労働省の仕事でもあり、また政府、いないな与野党全体の仕事でもある、そういう感じがいたしますので、いまの議論の、民主主義の議会政治のときに、働く諸君をそう悪くするような法案を、私たちが出すなんということも考えておりませんし、また皆さんもお許しにならないのでこうして御審議をいただいておる、私はこう思っておりますので、ひとつぜひ御信頼をいただきながら御可決のほどをお願いいたします。
○竹内(猛)委員 最後ですから私は要望をして終わりますが、いまの労働大臣の気持ちはわからないことはないけれども、現実にこれは社会党とか共産党とかいう問題じゃない。あなた方が選んだところの知事なり首長なりが現実に反対をしているじゃないですか。注文をつけているじゃないですか、この問題について。そういうことについて党派の問題じゃないです。これはあるいは地域的な問題かもしれない。しかし、そういうことに真剣に耳を傾けなければ、ここでこういうような議論をした、この一時間の議論だけで事は済むものじゃないと思う。われわれはこの議論の中における皆さんの答弁というものを、必ず地方に行って伝達をして、こういう答弁をしておるということで、これは明確にして世論を喚起しなければならない。これだけで終わるものではありません。ですから、私は社会党ですけれども、その社会党が反対をするとかあるいは要望したことでない。その地域のすべての者が、この問題についてまだまだ理解をしておらないということなんだ。そういうことですから、もう時間はありませんから、今後別な機会において、これは院内でも院外でも、この問題については徹底的に私たちは関係者と話をしながら、やはりもっともっといま言ったようなことが充実するまでは、こういうようなことはやはり考慮しなければならぬ問題だ、こういうふうに私は要望して、私の質問を終わります。
○斉藤(滋)委員長代理 阿部昭吾君。
○阿部(昭)委員 私はあらかじめ委員長に申し上げますが、答弁がよろしきを得ますれば、私に与えられております持ち時間を大いに短縮をして、簡潔に質問をしたい、こう思っております。 そこで労働大臣にお伺い申し上げますが、私の手元にも全国の各地から、こういうものが来ております。「失業保険法の全面改正に関する要望書」「政府は「失業保険法」を廃止し、新たに「雇用保険法」を制定して、昭和五十年四月から施行しようとしております。 雇用保険法が施行されますと、出稼ぎ農民にとっては、保険料の負担が増大するばかりか、従来最低九十日分給付されていた保険金が三十日分に引き下げられるなど、極めて改悪となるばかりであります。 事情篤とご賢察のうえ「失業保険法」の全面改正に反対下さるよう要望いたします。」この要望者は酒田市農業委員会会長であります。この会長は自民党員で、近々市会議員選挙に立候補するはずの人であります。こういう要望書が私のところにうずたかく来ております。労働大臣は、こういう要望書をどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、冒頭にまずお伺いしたい。
○長谷川国務大臣 この法案が話に出ましたころ、よく撤回あるいは絶対反対というふうな話もあったことは事実でございます。私のところにもまた陳情書も参りました。またこの委員会においても、先生はじめ皆さん方から御質問もありました。しかしだんだんおわかりいただいたと思いますが、本会議あるいは予算委員会、社労等々を通じて御審議願っている間に、法案のそれぞれの面がおわかりいただいて、最近は撤回という方々はだんだん少なくなって、やはりあまり急激な変化を与えないようにしてもらいたいという声のほうが強い、こういうふうな感じ方を私は持っておるものであります。
○阿部(昭)委員 きょう農林省の方おいでになっておりますか。 それでは労働省の事務当局にお伺いいたしますが、これは大臣よりも事務当局のほうが正確なあれが出てくると思うのでありますが、農林水産業の適用をやろうとしておる。実は私の選挙区におきましても、全国の方々の地域におきましても、私ども横の連携をとっておるのでありますが、昭和三十七年以降農業の協業化というものをずいぶんと推進をいたしました。この農業の協業体、この協業体が失業保険制度の適用事業所になる。このためには、私の記憶によりますると四年か五年間、ひっくり返しいろんな調査をやられて、そしてやっと一定の内容を持っておったもののみが、しかもずいぶんとセーブをされた条件のもとにこの適用を受けました。私の判断では、一体、いま労働省が考えていらっしゃる農林水産業の適用というのは、今度のこの法律が施行されるにあたってどういうような実態を、どのくらいの数、どのくらいがどういうふうになっていく、こういうふうに考えていらっしゃるのか。
○関説明員 お答え申し上げます。 農林水産業に適用を拡大した場合にどの程度の数のものが適用になるかという御質問だと思いますが、先生のお話もありましたように、農林水産業の雇用関係というものはなかなかはっきりしない場合もございます。そういうような形で、いろいろな統計によりまして数が異なっております。たとえば事業所統計調査でいいますと、農業の常用労働者数約六万、労働力調査でいきますと約八万というような形でいろいろ異なっておりまして、必ずしも正確を期しがたいわけでございますが、農業、林業、狩猟業、それから漁業、水産養殖業、そういったいわゆる農林水産業を含めまして、事業所統計調査によりますと、常用雇用労働者数が二十二万五千三百九十というのが四十七年の数字になっております。一応適用対象として私ども把握し、適用すべき対象者数としては二十二万ぐらいということを頭において、これに向けて進めていかなければならない、こういうふうに考えております。
○阿部(昭)委員 労働大臣、農林水産業がかつていろいろな制約を受けております場合でも、雇用の関係が現実に存在をしておるという場合には、いろいろな制約を受けながらも、従来とも特に農業の共同経営体、農業法人のような場合は、当然これらの適用の対象になったのです。その場合でさえも、私の経験では、労働省に対して適用の申請をいたしましてから四年かかったのです。そして、いま現実にも、ずいぶんと一般の事業所に比べますと、やれ調査だ、やれ何の実態がどうのといって、しょっちゅういろいろな制肘を受けております。このことを遠藤局長は御存じですか。御存じですね。そのとおりなんです。したがって、私はいま関課長が二十二万何千とこうおっしゃる、今度の適用によって農林水産業に適用されるというものは、林、水のほうは相当多いと思います。農の関係というのは、これはなかなかそう簡単にはいかぬのです。農業というのは、従来全部個別経営体なのです。この個別経営体から共同経営体に変わるというのは、並みたいていではいかぬのです。私らの村で共同経営を指導したために、彼はやはり左翼だから百姓をみんな月給取りにしてしまった、百姓を労働者にしてしまった、彼は農村で農民を労働者にする赤の演習をやっておる、こういって一部からは非難され、一部からは、君の指導する農業の共同経営体というのは一体何だ、自民党のいう協業と一体どこが違うんだといって、そっちの側面からはまた批判を受ける。村へ帰ると、やはり赤だから、左翼だから農民をみんな労働者にしてしまって、いままでおのおのが個別経営に立てこもっておった農家というものを、経営体の中で労働者、それから経営者というぐあいに、経営者というのはもちろん自分たちが、共同体ですから選び出したものが経営者になって、そしてその下にいる組合員が労働者、こうなるのですけれども、百姓をみんな労働者にしたといって批判を受けました。そのことは、ある意味でいうと、農業の共同経営体をつくるというのは、雇用の関係を農業の中に実際上存在させるということ、農村の中の意識革命を伴わなければならぬ問題なんです。簡単にいかぬのですよ。林、水のほうは、相当やはり経営的な一つの企業、事業として運営されてきておった長い沿革があります。農のほうはそう簡単にいかぬのです。 そういう意味で、いま二十二万何がしと課長のおっしゃるこの中身ですね。農のほうは一体どのくらいなんです。兼業だ何だかんだいっても、依然として日本で農業に従事をしておる方々は、まだ八百万とか七百万とかいわれておるのです。この中で、一体農林水産業を全面適用だといっても、いま考えておるのは二十二万何ぼ、この中で林、水が相当のウエートを占めておる。農というのは一体何人くらいいるのです。
○関説明員 先ほど二十二万と申し上げましたのは、私ちょっと間違えまして、法人組織のところの常用労働者数のみでございます。したがいまして、法人組織だけでなくて、今度五人以上の個人も、あるいは個人以外の団体の場合にも適用対象に直ちにするわけでございます。そういうものを含めますと、全体で約四十万、いろいろな調査からそういう数になっておると思いますが、そのうち農業が十万七千、林業、狩猟業で十三万三千、漁業、水産業で十五万九千、この辺が適用拡大をすべき対象者数でございます。訂正させていただきます。
○阿部(昭)委員 大臣、いまお聞きのように、農のほうは十万なんです。実際上は、林というのは現実にいまも林として存在しておるのですよ。水というのも海で働いてちゃんと存在しておるのです。この関係は、雇用の関係が比較的明確ですね。農のほうというのは、農村でいままでの個別経営の長い歴史を持っておるものから共同経営体——共同経営体にならなければ、ちょっと簡単に雇用の関係というのは存在し得ないのです、これは大臣御存じのとおり。そうすると、実際上は農のほうはそう簡単にいかぬのです。これは私が身をもって、農業協同組合法による農地組合法人というものを組織した、その段階のときに、一人の農業者が共同体の中に入って、そこの従業員になるなんということは、なかなか並みたいてい、簡単にいかぬのです。したがって、私はいま関課長のおっしゃるこの農の部分、この部分の十万人が新しい雇用保険制度にほんとうにその対象者として定着をするのには、相当の年月がかからなければならないと思うのですよ。なったらそれはインチキなものだ。なったらたいへんです。そう簡単にいくものじゃありません。私自身が身をもって苦しんできました。農業の共同経営体、労使、雇用の関係が存在するということはいかにむずかしいものかということを苦しみ抜いてきました。 昔の二町歩三町歩の農家が、みんないわゆる常雇いを置いておった時代はまた別でしょう。いまは農業なんかに常雇いなんというのはめったにおらぬ。よっぽど大きな、たとえば農園とか果樹園とかなんとか、いろいろなものでやるという場合、それでも年間通じてということはなかなかあり得ない。みんなやっぱり期間労働者です。したがって、いまこの制度でおっしゃる農のほうの十万人の前途というのは、これはいいかげんにやられちゃたいへんでしょう。いいかげんにやっちゃいけない。私ども四年も五年も適用を受けるまでに苦しみ抜いて、いろいろ労働省と、実態調査なんかも何回となく受けた。その中にやっと共同経営体というものが、現行失業保険法のもとでも、あるいは労働災害補償法の中でも、あるいはその他の農業者の年金だとか社会保険だとかいろいろなものを他の企業並みに具体化をしてきた。したがって、いまそう簡単に、農村にこの制度が発足したらばっと変わっていく、そんなことになりません。大臣、こういう私の問題の提起のしかたに対してどういうふうに思われますか。
○長谷川国務大臣 おっしゃるとおりでして、たとえば農地を信託という話などが数年前に出ていますけれども、なかなかそういうこともできなかった。また先生がそういうふうに御苦心されている模様は私わかります。そうしたものをつくった場合でも、今度はいままで自分が土地を持っている経営者である、その方が一部分を受け持つということになって、今度は経営がはたしてうまくいくかどうかという意識の問題等々があって、なかなか地方においてはむずかしい。そういうものも、しかしこの際にひとつ推進させる材料になるのじゃなかろうか。非常にむずかしいことはわかりますけれども、そういうものをかぶせることによって前進させたいというところに——農林水産、これは四十四年からそういう話になっておったことでもありますし、ここでひとつこの法案が御審議いただいた暁には、前進のかまえであるということを御理解いただきたいと思います。
○遠藤(政)政府委員 農業従事者の保険加入の問題で、阿部先生が数年来協業化をお進めになりまして、その適用問題についていろいろ問題がありまして、たいへん御苦労いただきましたことも私十分仄聞いたして承知いたしております。 ただ、いま課長から申し上げました四十万、農、林、水を含めてでございますけれども、その中で農業が十万、この点につきまして、この適用についていままで先生が御経験になりましたようないろいろな問題、あるいはトラブルが起こるのではなかろうか、また適用する場合に実態の把握がむずかしいのではないか、こういう御懸念でございますけれども、実はいま申し上げました四十万のうちの農業十万という数字は、法人とそれから団体とそれから五人以上を雇用しておる個人経営の農業に雇用されておりますいわゆる常用労働者でございます。したがいまして、これについては全く問題はございません。この雇用保険法が成立いたしますと、直ちに適用されまして給付を受けられる。その十万の中で、毎年繰り返される、いわゆる出かせぎの人たちと同じように、農業でございますから季節的雇用ということがあり得ると思います。その場合、当然いままでの出かせぎの人たちと同じように一時金が支給される、こういうことになるわけでございます。 問題は、今回全面適用というたてまえをとりまして、一部分五人未満の個人経営の農業について任意適用という制度を一応残しております。その措置をとりました最大の理由は、先生が御指摘になりましたこういった点につきましては、従来協業化等で御経験になりました御苦心がいまだに、今後とも続くであろうと思います。そういった五人未満の個人経営の農業につきまして、雇用労働者であるのかどうか、雇われておってもその雇用形態なり賃金形態なり、そういった点にいろいろ問題がありまして、私どものほうでもその実態の把握が非常にむずかしい面がございます。と同時に、適用を受けようとする側の農家にとっても、新しい雇用保険制度の対象として具体的に法を適用する場合にいろいろ問題があろうか、こういうことから、その十万以外のいわゆる法人なり五人以上労働者を雇用しておる農家、それ以外のものについて任意適用の措置をとったわけでございます。この分につきましては、確かに今後実態を把握し、適用していくまでにはいろいろむずかしい問題があろうかと思います。その点につきましては、私どももせい一ぱい勉強いたしまして、できるだけ早くこういった人たちも適用できるように努力してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○阿部(昭)委員 農林省、いま労働省から御答弁がありましたが、農林省のいまのようなやり方では共同化も協業化も、農村に雇用が現実に存在をするこういういわば経営の形態というのは広がらぬ、こう私は思っております。広がらぬと思っておるのです。したがって、農林省のほうは、いま農村の中に雇用関係の存在するいわば従業者は一体どのくらいおるというふうに把握をされておるか。——答弁、準備しておいてください。時間がありませんから簡潔に……。 そこで建設省、いま日本の建設業というもの、特に都会、メガロポリス、この地域にはホワイトカラーが非常に多いのです。しかし地下鉄であるとか下水道であるとかあるいはビルディングであるとか、こういう都市建設の工事現場で働いておる者のほとんど大部分は農村の季節出かせぎなんです。この出かせぎという農村の季節労働力というものが、いまこの制度によって相当変わりますね。この変わる影響が日本の建設業、都市建設、こういうものにとってどのような影響が出るというふうに判断をなさっていらっしゃるか。 私は、いままで都市建設、これは何度も何度も労働大臣に提言しておる私の所論なんですけれども、失業保険制度というのは、農村の季節出かせぎ者から見ると、制度的になじまぬ、なじまぬと役所で何度も言いますけれども、たいへんになじんでおるのです。半年家族と別れ、飯場の生活というものは過酷きわまりないものなんです。苛烈なものなんです。これに耐えて、やはり日本の建設のために、ああいう苛烈な条件のもとで労働に従事するというのは——賃金も決してよくないのですよ。今回の春闘とも無関係なんです。しかしいままでの失業保険制度というのは、彼らから見ればボーナスなんですよ。一時金なんです。このあれがあるからこそ、やはりみんな出かけてくるのです。しかもこれは、私、大臣の地元に行ってみましたけれども、失業保険金がくるとそれで何をやっておるか、農機具を買ったり農機具の借金を払ったり、いろんなことをやっておるのです。したがって、この苛烈な条件に耐えて出かせぎにくる農村の皆さんから見ると、もうたいへんに定着し、なじんでおる現状になっておるのですね。こういう状況を建設省はどういうふうに認識をしていらっしゃるか。この制度、いまのままで労働省提案のとおりにいったならば、私は、日本の建設現場に対してたいへん大きな影響を及ぼすと判断をしております。建設省はどういう御認識か。一言でよろしい。
○小林説明員 この法案が成立しました場合に、建設業の労働力確保という観点からどのような影響が予想されるか、こういう御質問かと存じますが、御承知のとおり建設業、なかんずく中小建設業におきましては、技能者の確保という点におきまして、従来いろいろ問題があったわけでございます。そこで今回の法案によりますと、新しく職業訓練制度等につきまして、能力開発事業というふうなものも積極的に推進されることになっておるわけでございまして、こういう観点からしまして、一般的にはもとよりでございますが、特に中小建設業の技能者の確保という点では相当前進が期待される、かように考えておる次第でございます。
○阿部(昭)委員 小林参事官、それは落第答弁というものだ。失業保険があるから、みんな家族と別れて苛烈な条件に耐えて出てくるのです。いまこれがビイッと制約されますね。たいへん労働力確保に動揺が出ますよ、ほんとうに技術的な訓練をされたりするような皆さんは出かせぎなんかしないのですよ。ほんとうの建設業の現場で、経験じゃなくて、どこかで技能訓練やなんか受けて一人前になった配管工やなんかは、出かせぎやなんかの苛烈な状態のところには行かぬのです。もっと定着した高い待遇のところへ行くのですよ。したがって、いまの小林参事官、あなた、建設省を代表する答弁としてはまるでなっておらない、落第答弁。残念ながらそういう認識では、日本の都市建設に大きな打撃がある。 農林省、さっきの質問。
○吉岡説明員 お答え申し上げます。 農林省で行なっておりますセンサス、農業センサスというのを五年に一度やっておりますが、七〇年に行ないましたセンサスの結果で申し上げますと、先ほど先生から御指摘がございましたように、農村におきましてはいわゆる常用的雇用労働というものは比較的少ないのでございまして、大部分がいわゆる臨時雇いという形で雇用関係が行なわれておるということは全く御指摘のとおりでございます。臨時雇いをしております農家の数が二百二十二万戸ございまして、延べ六千三百三十四万人というものが過去一年間に臨時雇いとしてやっております。そのほかに、先ほども労働省のほうからお話しのございました農業の事業体、農家ではない法人、企業、会社あるいは協業経営というふうな事業体がございますが、臨時雇いを持っておりますそういう事業体が三千九百ばかりございます。これが約百五十五万人日くらいの臨時雇いをやっております。そのほかに年間を通じましての雇用形態がございますが、これはやはり主体は事業体でございまして、三千四百ばかりのそういう事業体が、延べ六百四十六万人目でございます。そういう人を雇用をいたしております。 農家の年雇いと申しますのは、先生御承知のように、もうすでに非常にわずかなものになっておりまして、一万八千戸ばかりの農家が一応年雇いを持っておるというふうな状況になっております。
○阿部(昭)委員 これは答弁にならないのです。農林省のいまのやり方では、農村の中に雇用の形態が現実に存在し得るようなあり方は広がらない、私はそう判断しております。農林省はどういうふうに見ておるのか。現状は、労働省が四十万とか何ぼとかいろいろなことを言っております。これが将来、特に農の部分ですね、林、水じゃなくて農の部分、このあたりがどういうふうになっていく、五十二年ごろにはこうなって、五十五年ごろにはこうなって、六十年ごろにはこうなるのだという判断は、どういうふうにしておるのですか。
○大山政府委員 御質問の、農業におきます雇用関係が今後発展する可能性ありや、こういう問題でございますけれども、一つは、生産法人というかっこうにおきます問題の発展が、酪農等を中心にして、あるいは肉用牛というようなかっこうを中心にして今後大きくなってくるであろうということは、推定されるわけでございます。 それから果樹、それからまた北海道等におきます畜産、こういうものについても雇用形態といいますか、中には研修生というような名目によるものであろうとしましても、そういうかっこうでの雇用という問題は出てくるであろう。また現に出ているわけでございます。ただ先生の言われましたように、何年先にどうなるかという推定につきましては、いまのところ予測する材料を持っておりません。
○阿部(昭)委員 労働大臣、お聞きのように、予測する材料を持っておらないのです。私ども現実に村でやってみて、たいへんなんです。そこで現在の段階では、農、林、水のうち特に農、この皆さんが失業保険制度とかかわり合いを持ち、なじんでおるというのは、出かせぎというパターンにおいて、この面において最も農村の皆さんがこの制度とかかわり合いを持っておるのです。この認識は、私と大臣と一致すると思うのです。どうですか。
○遠藤(政)政府委員 私どもは、出かせぎの方々が毎年繰り返して失業保険金の支給を受けている、これは本来失業保険という制度になじまないと申し上げておりますが、これは制度的になじまないと申し上げておるのであって、ただ今回の雇用保険の中でこの問題を取り上げますにつきましては、出かせぎの人たちの失業保険受給というものが、その人たちの生活の実態に組み込まれているということを申し上げておるわけでございます。 そこで、問題は、いま先生お話しのように、十万をこえて、これ以上農家について雇用の実態が進展をしないのではないか、そういうことになりますと、当初予想された問題がなかなか解決しないのじゃないか、したがって、受給の問題について、そこに一つの何かが出てくるのじゃないか、こういう御指摘だと思います。 その点につきましては、確かに四十四年当時から御議論のありましたところで、今回農林水産業につきまして適用をはかるということと同時に、その点につきまして、農業の面では、いろいろ問題が今後残されておるかもわかりませんが、小零細企業のその他の企業につきましても全面適用をいたすことになっております。そういった点で十分カバーできるのではないか、私ども、かように考えておる次第でございまして、農林水産業を含めた全面適用、それから受給資格要件の改定と凍結の解除というものがペアになってセットされておりまして、その関係が今回の雇用保険におきましても同じ仕組みになっておるわけでございます。
○阿部(昭)委員 局長、私は、そういうことを聞いておらぬのです。現実に農村の皆さんがこの失業保険制度と最も深くかかわってきたというのは、出かせぎという局面においてかかわってきたのです。それ以外でのかかわりというのは、これは特殊な例外ですよ。私のところで農業法人をつくっても、この適用さえも、四年も五年もああでもない、こうでもないといって——しかも最終的にどういう決着になったかというと、その共同経営体の中で、百人の従業者がいるという場合には、一年間に就職し得るものは、安定所に行くことのできるのは二十五人まで、四分の一なんです。こういうきびしい制約をかけてやるのにさえも、四年も五年もああでもない、こうでもないと、ずいぶんやるのです。したがって、現実に失業保険制度というものと、農村の皆さんがかかわってきたというのは、出かせぎなんです。ほかのものは例外なんですよ。大臣、この私の認識は大臣と一致すると思うのです。——だめだ。局長答弁ではだめ、局長答弁は要らない。大臣は、農村の方、したがって、私と認識が違うかどうか。この認識が違ったら話になりませんから……。
○長谷川国務大臣 いままでの御苦心の中にそういう実態があることは、私認めます。しかし、いまから先は農林水産全体にワクをかけられますから、それが前進してくるのじゃないか。いままでは、あなたのように、御苦労された人が四年も五年もかかったことはありましょう。今度、法律で一応のワクがかかるから、そしてまた五人以下のものに対してはしばらく時間をおいてゆっくりというものなども、それを早くひとつ強制適用にしろという話もありますが、そういうことで、ワクをだんだん広げていこう、こういう感じです。
○阿部(昭)委員 いままでのところは、私の言ったとおり、ほかは例外なんです。(長谷川国務大臣「そこまで制度は適用されていない」と呼ぶ)農業法人にちゃんと適用されているのです、制約を受けながら。林業労働者も林業のもとで働いておれば、農業生産法人よりはちょっと割りがよかったけれども、二分の一適用という制約を受けながら、やはりちゃんと適用を受けてきているのです、任意適用で。それは道はあったのです。それはいいのです、こっちはわかっていますから、大臣より私のほうがわかっているのですから。 そこで大臣、農村の皆さんが失業保険制度と最も深いかかわりを持ってきたのは、苛烈な条件に耐えて働いてきた出かせぎという——あの飯場の苛烈な生活に耐えて、そして失業保険制度というものと関連を持ってきたのです。いまこの皆さんが、さっきの自民党所属の農業委員会の会長をやっておる人が私のところへよこした要望書のように、私のところの皆さんは九十日間ほとんど全部——これは出かせぎの主力部隊です。もう十何年も出かせぎしておって、この皆さんは九十日間全部給付を受けてきておったのです。この前、私は、百八十日という問題、凍結条項をどうするのかという問題を——いままでもいろいろ質問が出た。この九十日間の給付資格というものを今度三十日にしようというのでしょう。それはさっきから大臣は、三十日というこの問題については、国会の御意思に従っていろいろひとつと、こういう含蓄のある御答弁がいままでありました。しかし九十日受けておった皆さんが、その含蓄のあるところがどのようになるかわかりませんけれども、九十日間の給付を受けておった人がそうでないところに落とされるということは、出かせぎにすべてをかけておった皆さんから見ますと、大きな激変なんです。雪国でも何でもなくて、どんどん就業の機会があるところはいいですよ。激変なんです。大臣は激変は避ける、こういう答弁をされました。したがって、百八十日の凍結条項、これも六年間も凍結したのです。したがって、この九十日をもっと圧迫しよう、こういう激変は、私は、もっと経過措置とか弾力的な配慮とか、いろいろ、こういう大胆な、むちゃなことをやらんとするときは、なければならぬものじゃないか、いかに自民党といえども。 そこで大臣のおっしゃる激変は避ける、農民に実損を与えないという、そういう農民の感情の中に、ここでむちゃなことをがりっとやられたということにならぬような配慮をする、そういうやり方をするという答弁をされておるのでありますが、いま私が新しい問題——従来の給付九十日、今度の原案三十日、どうなるかわからぬ、含蓄のある答弁があった。その運用については激変緩和のための経過措置とか、いろいろな配慮を払うくらいのそれがなければ農村はやはりえらいことになります。 基本的にこの制度は、この前も私が他の委員会から社労に来て何度も申し上げておるわけでありますけれども、大臣、ここは相当慎重な政治的判断というものがあってしかるべきだ、私はこう思うのでありますが——わきから聞かないで、わきのそのあれがよくないのだ。局長、だめ、そういう知恵を入れちゃ……。大臣は純真なんですから、しかもまわりの農村の現状をちゃんと把握しているのです。あなた方のように、なじまぬとかなじむという、そんなけちな量見を持っていないのです。私は大臣の足元の村々を二、三回ってみたんですよ。いまの私の所論に対して大臣いかように思うか。
○長谷川国務大臣 あなたも私と裏と表の違いですからね。そこで、ここでちょっと困った話が出ているわけですね。失業保険というものは次の就職をするまでの生活の足しですね。ところが、あなたのお話にもあるように、それで農機具を買うとかなんとかいう話で出されると、そういうところから問題が出ているわけですね。そういうものを許してもらっていることが、出かせぎ地帯の国会議員としてはほんとうにほかの方々に恐縮している。給付と負担の不均衡ということもあり、そしてそういう中に十数年間も、これがお互いの生活の中に組み入れられておったというところを考えますと、一時金というもので、あとは大手を振って、気持ちを自由にしてやってもらいたい。その一時金というものも全国平均からしますと、日額を上げることやらいろいろなことで大体そう実損にならないのじゃないか。しかしながら、一方いろいろ御議論等もございますから、そういうものも参考にいたしましょう、こう申し上げておる。経過措置等々については、これは地方の問題等、あなたの経験の深い話ですから、御意見として私は拝聴していきたい、こう思っております。
○阿部(昭)委員 もう時間がありませんが、一時金でも給付金額の水準を上げますと、こう言っていますね。ところが無制限に上げるわけにいかぬのですよ。上げたらえらいことになるのです。そこで現行どういう状況になっておるか、大臣御案内のように、いままでは平均賃金の六〇%が基準なんです。今度五〇%、七〇%ということを言っていますね。そうすると、前にも私が言ったとおり、就業期間を何としても一カ月の間に二十五日は確保せいということを私どもは事業主と激しくやりあってきた。そうすると、今度三千七百五十円に上げるのだとか、うまいこと言っていますけれども、そんなのいただける人はほんのわずかしかおらぬのです。ほんの一握り。大部分の人はやはりずっと以下になるのですよ。したがって、農村でいま大臣がやろうとしていることは激変を与える、長谷川労働大臣を恨んで恨んでという、そういう雰囲気になる。 したがって、私は、基本的には今回の制度は農村の出かせぎをたたき出す、圧迫する。青年労働者を大きく圧迫をする。婦人の皆さんをこの制度からきびしく締め出していこう。それだけじゃやはりちょっとおもはゆいのでしょう。だから五十五歳以上の皆さんにちょっぴりあめを与えよう。あめとむちをきわめて巧妙にこの法案の中に盛り込んでおるわけです。大臣はまたいやなことを言うやつだと思っているかもしれませんけれども、いろいろいままでも、この原案にこだわらないという。それはやはり大臣が、私と同じように、出かせぎ者の非常に多い地域を選挙区としてお持ちになっておるというところから、いままで、いろいろわれわれが意味深長な面があるとして受け取るような大臣の御答弁もあったのでしょう。それならば、先ほど私が提案した部分も——今回の改正は、私、基本的に反対ですよ。しかし政策の選択としては一考を要するところではないか、こう思うのです。いかがでしょう。一言でいいですよ。
○長谷川国務大臣 その前に、青年をいじめるとか婦人をいじめるとか——青年諸君は、いま若年労働者が非常に足りない時代ですから、いじめることも何もない。非常にいいところへ、それこそ職業の選択の自由で行かれると思うのです。 もう一つは、私たちのほうの出かせぎ労働者は、それはあとで失業保険がきますけれども、やはり苦しい苦しいといいながらも、毎月十万円か十二、三万円の、働いているその金というものが大きな一つのモメントだと、こう思うのです。そういうことからしますと、私はこの制度において、とにかくほかの方々からもいろんな注文なり、あるいは職安に行ってもいろんなやりとりやら何やらしないで済むようなきりっとした一時金というものが非常にいいのじゃないかと、こう思っております。
○阿部(昭)委員 これで終わりますが、大臣、きりっとしたかっこうなんということにならぬのです。したがって、いま私が提起をした問題、これをぜひひとつ大胆に検討するように希望いたします。 以上で、私もずいぶんとこの問題では大胆とやり合いましたので、さっきの件を強く申し上げて、私の質問を終わります。
○斉藤(滋)委員長代理 瀬野栄次郎君。
○瀬野委員 雇用保険法案の連合審査にあたって、主として先ほど農林大臣に種々お伺いしたわけでありますが、ただいまから労働大臣並びに関係当局に質問いたします。 本法は、先ほど来論議しておりますように、種種問題もあり、基本的に私も反対の立場をとっておるわけでありますが、以下各般にわたって質疑を申し上げて、内容の検討をいたしたいと思っております。 まず最初に、先ほど農林大臣に、出かせぎ者が激増しているという実情から、基本農政のあり方について、私は、出かせぎに行かなくともいい、総合農政の樹立をすべきであるというようなことを主として質問してきたわけでありますけれども、御承知のように、現在出かせぎ者は全国で六十万とも八十万ともいわれ、また一説には百万人をこすのじゃないかと、こういうふうにいわれております。出かせぎ労働者たちが建設業をはじめ各産業において低賃金で下働きに従事し、産業側は大いにこれを活用してきたわけでありますが、このような出かせぎ労働者に対する給付を締めつけ、切り下げを行なうということは、冷たい仕打ちであり、かつ出かせぎ労働者の生活や出かせぎの多い地域の地域経済に与える影響というものが非常に大きいと思うわけでございます。こういった点から、この問題について労働大臣は、本法提案にあたり、どういうような認識のもとの見解をお持ちであるか、まず冒頭お伺いしたいのであります。
○長谷川国務大臣 出かせぎ労働者の諸君がわが国の経済に寄与してきた実績は非常に大きいものとして私も評価しております。これらの諸君の労働条件の向上と安定就労の促進をはかり、福祉の増進につとめることは重要なことであります。こういう観点から、従来からも種々施策をやってまいりまして、出かせぎ労働者の援護に当たってきたところであります。 このたびの雇用保険法案におきましては、雇用改善事業の一環として、地域雇用対策、それから通年雇用のための施策をさらに推進して、これらの諸君が地元で安定した就労ができるよう措置していく考えであります。 また、季節的受給者についての給付と負担面の特例は、農林水産業への適用拡大を進めるために必要不可欠な措置でございますので、その内容につきましては、季節的受給者の生活の実態や過去の受給実績にも十分配慮したもので、決してその生活に急激な変化を与えるものではなく、むしろ一時金制度をとることによって、一時金受給後における地域での就労も容易となり、雇用保険法の施行後における雇用改善事業の推進と相まって、地元の産業振興にも役立つものと考えている次第であります。
○瀬野委員 そこで、先ほど農林大臣にもいろいろお伺いしたところでありますけれども、この出かせぎ労働者の激増は当分続くものと見られますし、急激に農政の転換をはかって、出かせぎ者が激減するということはいまのところでは考えられないわけでありますが、そういった点から、六十万ないしは八十万、あるいは百万ともいわれるこの出かせぎ者に対して、当面——出かせぎ地において災害あるいは事故等がたいへん起きております。こういったことを思いましたときに、どうしても保護、就労の正常化ということをはからねばならぬと思うのです。そういったところから、出かせぎ立法を制定すべきであるということを先ほど農林大臣にもいろいろ示唆したわけでありますが、この点についてはぜひとも制度化すべきである、かように私は思うわけです。この点について、本法提案にあたって、労働大臣はどのように検討してこられたか、その点お答えをいただきたいと思うのです。
○長谷川国務大臣 出かせぎ労働者の保護につきましては、その就労にあたってまず一番大事なことは就労経路の正常化であります。そして、労働条件の改善をはかるために、監督指導あるいは労働福祉の増進等の、必要な行政措置をいままで強力に推進してきたところであります。 ただいま御質問の出かせぎ労働者対策につきましては、現在総理府において、有沢広巳さんが会長でございますが、雇用審議会で検討中でありますので、その結論を待ちまして、一そうこれの拡充をはかってまいりたい、こう思っております。
○瀬野委員 有沢さんを座長とした検討会が行なわれているということで、あの検討会では三つのことが大きく問題になっていると私は認識しておりますが、その検討会の結果を待って、その結果によっては当然こういった出かせぎ者に対するところの特別立法を制定する、こういう考えであるやにいま承ったのですが、その結果がそのように出た場合には、当然早急に特別立法の制定を考える、こういうふうに理解していいか。その点、労働大臣どうでしょうか。
○長谷川国務大臣 せっかく有沢さんを中心にいろいろ御研究願っていることでございますから、その出た結論に従いまして、それを参考にしていろいろな行政の施策に当たってまいりたい、こう思っております。
○瀬野委員 次は建設省にお伺いしますけれども、三省協定の賃金をぜひ引き上げるべきである、かように思うのです。この点については、私たちはいつも農林サイドで検討しておるわけですけれども、どういうふうにお考えであるか、建設当局の御見解を承りたいのであります。
○内海(英)政府委員 お答えします。 三省協定の労務単価につきましては、建設、農林、運輸三省関係公共事業を実施しておる請負業者の法定賃金台帳から直接転記した労賃を基礎に決定したものでありまして、地域別、職穂別労務賃金の実態を正確に把握しておると考えております。四十九年度の労務単価は約十二万人を対象とし七調査を行ないました。主要職種の全国平均上昇率は前年度比約三〇%と、木調査開始以来の最高の伸び率を示しました。また、労務単価の年度内の運用につきましては、各地域の賃金変動の実態を調査して適切に対処するよう、各発注機関に対して指導してまいっておりまして、施工時期の賃金実態に比し不当に安いとは考えておりません。 以上でございます。
○瀬野委員 賃金について発注機関に適切な指導をしておるとおっしゃいますが、具体的にはどういうふうな指導をなさったわけですか。
○内海(英)政府委員 建設省といたしましては、担当の計画局長と農林、運輸のそれぞれの担当の局長との間で協議をいたしまして、通達を出しております。
○瀬野委員 通達はいつ付で出ておりますか。
○内海(英)政府委員 本年は三月四日でございます。
○瀬野委員 この賃金の引き上げについては、ひとつ今後とも十分対処していただきたいことを強く要望しておきます。 〔斉藤(滋)委員長代理退席、野原委員長着席〕 そこで、さらに労働大臣にお伺いしてまいりますが、本法によれば、農林水産業に対する全面適用は段階的に行なわれるようになっておりますけれども、これら産業の事業所の把握というものはなかなか困難でございます。また、雇用関係が不明確であるということは先ほど来いろいろ指摘されたところでございます。したがって、これら産業への適用拡大を行なうについては、周到な計画の策定と、その的確な実施をはかる必要があると考えるわけでありますが、政府の具体策について、農林水産業の全面適用はいつまでに行なう考えであるか、この点明確にしていただきたいと思います。
○遠藤(政)政府委員 今回の雇用保険法におきまして、農林水産業に保険制度を適用いたすことにいたしております。ただいま先生から御指摘のございましたように、農林水産業につきましては、他の産業と対比いたしまして雇用関係が必ずしも明確でない、賃金関係におきましても、一般産業に比較いたしますと、その実態把握が非常に困難でございます。そういった関係から、今回はとりあえず法人と五人以上につきまして強制適用、それ以下の、五人以下の個人経営の農業、水産業、林業につきましては任意適用という形で適用把握を進めていくことにいたしておるわけでございます。 その際、私どもは、特に農業につきましてはいま先生御指摘のような問題がございますので、現地の市町村当局あるいは農業協同組合その他関係農業団体、こういったところと協力しながら、その実態の把握につとめますと同時に、現在この保険関係におきましては事務組合という制度を持っておりまして、小零細企業の場合は事務能力にも限界がございますので、適用を受ける企業の側につきましても、この事務組合を通じて一括して適用を進めていくというような制度を持っております。特に農林水産業につきましては、こういった関係の農業団体等を通じて、事務組合制度を普及させることによりまして事務の軽減をはかっていきたい。同時に、私どものほうの適用の側にいたしましても、事務処理体制をできるだけ機械化、合理化、簡素化することによりまして、できるだけ早い機会に、この五人未満の個人経営の農林水産業につきましても全面適用をはかっていくようにいたしたい、かように考えておる次第でございます。
○瀬野委員 できるだけ早く適用とおっしゃるが、事務的な面、いろいろ諸般の事情があることはよくわかりますけれども、大体の目途としてはどの程度お考えですか。
○遠藤(政)政府委員 実は四十四年の改正におきまして、一般の産業の中で従来任意適用の範囲に残されておりましたものを今回全面適用に踏み切ったわけでございます。こういった面につきましても、なおかつ事務的に把握はきわめて困難な面がございますけれども、一応こういった農林水産業以外の産業につきましては、その実態が明らかになっておりますので、この点につきましてはそういった御懸念もございません。しかしながら、農林水産業は非常に特殊な形態でございまして、本来こういった保険制度になかなかなじみにくい性質を持っております。そういった関係から、これから三年とか五年とかいうような年限を切って、その間にということを申し上げることはきわめてむずかしい実態でございますけれども、できるだけ短い期間に全面適用の実現に向かって努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
○瀬野委員 そこで、農林水産業については、大半が短期雇用者の特例一時金の支給対象となっておりますが、保険料も高率となると考えられるわけでありまして、たとえば養豚のように季節性のないものについては、一般的な取り扱いがなされることになるわけでございますが、このような一般と特別との取り扱いの振り分けにあたってトラブルがなく、しかも実態に適合したものとするということができるかどうかということが問題であると思うのですが、この点は労働省はどういうふうに考えておられますか。
○遠藤(政)政府委員 農林水産業の中でも事業の性格上季節性のない、年間通じて事業が運営されるものがございます。そういったものにつきましては、当然一般の産業と同様に、特例被保険者あるいは特例保険料率の適用は行なわないことになっておりまして、その判定につきましては、これは当然客観的に明らかになっておりますので、そういった先生の御懸念のような取り扱い上のトラブルを起こすようなことはないと私どもは考えております。
○瀬野委員 次に労働大臣に伺いたいのですけれども、今回の短期雇用者に対する給付が、現行の九十日分が三十日分に切り下げられたわけであります。ことしも二月ですか、出かせぎ者の大会がありまして、深刻な要請と、またこれらの悪法を撤回せよという強い陳情を受けたわけであります。こういったことから、少なくとも現行制度の実態、たとえば五十日前後が実態である、こういうふうに考えますと、これを踏まえたもので修正をすべきである、かようにわれわれは考えております。 本法がかりに成立するとすれば、こういった点については修正を当然すべきである、こういうふうに強く考えておるわけです。政府も、本法に対するいろいろお考え等も、別途また検討することになりますけれども、この点はどういうふうに考えておられますか、その点お答えをいただきたい。
○長谷川国務大臣 三十日ということでございますが、それでも日額の引き上げ等々がございますので、あまり私は影響がない、いい制度だと思っております。しかし、いま先生のおっしゃったような平均的な受給実績を十分考慮すべしという御趣旨も理解できるところでありますが、そういう具体的な数字になりますと、その問題についてはここですぐどうこうということは申されませんけれども、政府といたしましては、国会の御意思に沿うて対処してまいりたい、こう思っております。
○瀬野委員 これは農林サイドでわれわれもいろいろ検討しておりますけれども、本法には冒頭申し上げましたように、たいへん問題があるわけでありますけれども、種々修正点をわれわれのほうも考えておりますが、今後本法の成立に対して、私たちの部会でもいろいろ検討する関係から、あえてこれをお伺いしたわけであります。 ただいま労働大臣の答弁によりますと、かなり大幅な修正を考えておる、こういうふうに私は理解していいですか。また、これに対しては十分検討の用意がある、こういうふうに理解していいですか。どうですか。
○長谷川国務大臣 先生の御意見は御意見として拝聴させていただいて、国会の御審議にまちたい、こう思っております。
○瀬野委員 それだけ承っておきまして、社会保障制度審議会の答申を見ますと、季節的受給者の扱いについて、農業政策等のおくれや通年雇用をはばむ諸事情があります。また失業保険金が出かせぎの生活に組み込まれておりまして、再考を要すると指摘しておるわけでありますが、こういった社会保障制度、審議会の答申についての考え方と、さらには同審議会が指摘しておりますように、雇用問題は一省庁のみによって処理し得るものではない。このことは先ほど農林大臣にもいろいろ質問したわけでありますが、季節労働者の通年雇用化とか、あるいは地域振興を踏まえたところの産業の振興をはかるために、当然社会保障制度審議会の指摘のように行なうべきである、私はかように思っておりますけれども、労働省並びに建設省は、この点については、本法提案にあたってどういうふうに検討しておられるのか、お答えをいただきたいと思います。
○遠藤(政)政府委員 今回の法案を社会保障制度審議会ないしは中央職業安定審議会に諮問いたします際に、いろいろ御意見がございまして、ただいま先生御指摘のような出かせぎ受給者の問題につきましては、基本的には農業政策あるいは産業政策の問題がより重要な問題である、こういう御指摘を受けております。 私どもも、出かせぎという労働形態につきましては決して望ましい形ではない、こう考えておりますけれども、さりとて、いま直ちに出かせぎというものをなくしてしまう、そうして地元で働けるような職場を完全に確保するということはきわめてむずかしい問題でございます。私どもとしましては、そういう方向で、地元に安心して働いていただけるような職場をできるだけ拡大し確保していくというために、通年雇用のための融資とか、あるいは奨励金制度というようなものをつくりまして、逐年その方向で努力をいたしてまいっております。と同時に、通産省、農林省とも十分連絡をとりながら、農村地域に工業を導入するとか、そういったことによりまして職場の確保、雇用の拡大をはかってまいっておるわけでございます。 と同時に、私どものほうの保険制度の中におきましても、こういった出かせぎの人たちの保険給付というものがそういう人たちの生活の実態の中にすでに根強く組み込まれておる、こういう、実態を踏まえまして、新しい雇用保険制度の中で特例制度といたしまして、こういう人たちが正々堂々と出かせぎから帰ったら失業の認定を受けなくて、要するに失業の期間中に対する生活保障としての給付でなくて、そういう特例一時金という制度で、こういう人たちのいままでの実態をそこなわないようにしようという考え方で、この制度をつくったわけでございます。 さらに今後とも、この雇用保険の中に新しく組み込まれております雇用改善事業によりまして、こういった過疎地域、農村地域に対しまして工場を導入する。そのために必要な援助助成措置を講ずることによって、今後一そう雇用の拡大をはかってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○瀬野委員 次に、季節労働者にかかる保険料率の問題ですけれども、労働省の原案の千分の四十三から千分の十八となっておりますけれども、現行の千分の十三に比べると、労働者の負担増を招いてこれは問題があるということで、本法の審議にあたっていろいろと論議されておるところでございます。そこで、かりに季節受給問題が保険財政上に問題があるとするならば、国と事業主とで負担すべきである、かように思うわけですけれども、この点についてはどのように検討しておられるのか、その点見解を承りたい。
○遠藤(政)政府委員 この特例被保険者の一時金制度に伴う保険料率が、一般の産業の労使の保険料率千分の十三に対しまして千分の十八ということにいたしております。これは先生いま御指摘のように、必ずしも保険財政上のつじつまを合わせよう、給付と負担のバランスをはかろうということではございませんで、特例一時金といういわゆる季節出かせぎ短期受給者の特例制度をつくりますにつきまして、それに伴って何がしか一般産業の偶発的な失業に対する保障措置としての保険制度とは違った制度でございます。それに見合った制度にしたいということで千分の十八という保険料率を設定いたしたわけでございますが、これは現行の千分の六・五の労働者負担分に対比いたしますと千分の七・五ということで、確かに千分の一相当分だけは高くなりますけれども、先刻来申し上げておりますように、月収十万ということにかりにいたしましたとしても、月に百円でございます。 これをかりに給付と負担の均衡をとるという考え方をとりますと、一時金三十日にいたしますと、大体、おおよそでございますが、千分の百くらいの保険料を徴収することにしないと、保険経済としてのバランスはとれないわけでございます。それをあえて千分の七・五、十八ということにいたしておりますのは、決して保険財政上のバランスをとるという意味ではございませんで、特例制度としてそれにふさわしい、外部からいろいろと従来とやかく批判を受けておりました、そういう批判を受けなくて済むような制度にしよう。そのために一般の産業の失業者とは違った、いわゆる予定された不就業に対する特例制度であるということからくる考え方によって設定いたしたものでございます。
○瀬野委員 次に、給付の受給要件の算定の基礎とされますところの被保険者期間の計算方法でありますけれども、五十一年二月から満六カ月とすることにされておりますけれども、雇用保険法案等により、五十年四月に繰り上げて施行するというふうになっております。この理由と、さらに被保険者期間の計算方法を満六カ月とすることは、米作に六カ月以上の期間を要する出かせぎ農民に対する給付の締めつけとなる、これらをわれわれは問題としていろいろ検討しておるわけですが、この点が本法によりますとたいへん重大問題になりますけれども、この点について政府はどういうふうな見解を持っておられるのか、本法提案にあたっての考え方をお聞かせいただきたいと思う。
○遠藤(政)政府委員 出かせぎの受給者の方々の受給資格要件の問題でございますが、現行の失業保険法が昭和四十四年に改正が行なわれました際に、国会の御意思によりまして修正されました。従来の四カ月二十二日の受給資格要件を満六カ月、百八十日に改定が行なわれました。ただその際、改定された新しい受給資格要件の発効の時期を、六年後の五十一年の一月三十一日ということに定められたわけでございます。その発効の時期までに、同時にあわせて農林水産業への失業保険法の適用について、具体的な措置を講ずるようにという附則の条項が設けられまして、私どもはその具体的措置についての義務づけを行なわれたわけでございます。その関係をそのまま今回の雇用保険法に引き継ぎまして、五十一年一月までに、義務づけられました農林水産業、小零細企業の商業、サービス業等に対する失業保険の全面適用を、今回の雇用保険法案におきまして実現いたすことにいたしたわけでございます。 それとあわせまして、これに時期を同じうして施行されることになっておりました受給資格要件の改定を、あわせてこの法案の中に盛り込んだわけでございます。全く新しい発想からこの制度を今回の雇用保険法に取り入れたわけでは決してございません。したがいまして、受給資格要件が四カ月二十二日から満六カ月になることによりまして、確かに御指摘のような問題があるかと存じますが、その点は、その四十四年の改正当時にいろいろと御意見のあったところでございます。小零細企業に対する全面適用、農林水就業に対する本法の適用が実現することによりまして、かりにそういう資格要件の不足するような場合には、小零細企業なりあるいは農業、水産業、林業等に部分的に就業することによって、その不足分を補完することができる、こういう考え方で農林水産業適用と資格要件の発効時期を合わせることになったわけでございまして、その考え方をそのまま引き継いだわけでございます。一応私どもといたしましては、受給資格を取得するに支障はないものと考えておるわけでございます。
○長谷川国務大臣 法案の考え方につきましては、ただいま政府委員からお答えしたとおりでありますけれども、農村出身の出かせぎ労働者に酷な結果を生じないかということの、熊本出身の先生からの御指摘は、ほんとに理解できるところでありますので、十分ひとつ御審議をいただきたい、こう思っているわけであります。
○瀬野委員 労働大臣からもお話がありましたが、今回の、本法によりますと、いまいろいろ質問してまいりました短期雇用者の特別措置でございますけれども、やはりこれは農民の切り捨てになるということで、私たちも慎重な部会の検討をしてまいったわけですが、ますます出かせぎ農民をふやし、さらには出かせぎや日雇い労務者に追いやってしまう、こういうことで、本法に対しては基本的にはどうしても賛成しかねる、こういうふうにわれわれは考えておるわけです。 そこで、労働大臣としては、こういった出かせぎ者に対する考え方、もちろん地元の産業の開発とかいろいろ方法はあるわけでありますけれども、農林省サイドでは常々いろいろとお伺いしておりますが、労働省としては、こういった問題について、どういうふうにあるべきだ、どういうふうな考えを持っておられるか、その点この機会に労働大臣の御見解をお聞きしておきたい、かように思います。
○長谷川国務大臣 先ほど農林大臣からも話がありましたけれども、やはり地元において就労する機会を持たせるということが一番でございます。 労働省といたしますと、雇用保険法案におきましても、雇用改善事業の一環として、地域雇用対策の推進や通年雇用対策の一そうの充実をはかるつもりでございます。また、短期雇用者に対する特別措置につきましては、季節的受給者の生活の実態を十分考慮した内容となっておりますが、また、過去の受給実績から見ましても、決してこれらの者の生活に急激な変化を与えるものでありませんが、このために離農促進につながることのないよう、また、そういう意図のないことも御理解いただきたい、こう思っております。
○瀬野委員 最後にもう一点お伺いしておきたいのでありますが、この積み立て金の余裕財源があるわけですけれども、その財源の一部を充てて三事業を行なうという政府の姿勢というものが問題である、こういうふうに私たちは指摘をしておるわけでありますが、中小企業とか労働者の犠牲をしいずに、国の負担によってこれらの事業を行なうべきではないか、かように申し上げたいわけです。こういう余裕財源の問題について政府の考えを最後にお聞きしたいと思います。
○遠藤(政)政府委員 ただいま瀬野先生から保険財政に余裕がある、その余裕財源を使って三事業を行なうのはおかしいではないか、こういう御指摘でございますが、実は現行の失業保険制度におきまして積み立て金が四千数百億ございます。これは決して余裕財源ではございませんで、法律上当然支払い準備金として積み立てておくべき原資になっております。諸外国の保険制度の例から申しますと、必ずしも現在の四千数百億の積み立て金が過大なものと考えておるわけではございません。 そこで今回の三事業につきましては、この積み立て金なり保険財政の余裕金を使ってこれをその原資に充てようというわけでは決してございませんで、三事業に充当いたします原資は、今回の雇用保険法の中で定められております千分の十三の保険料のうち千分の三をもってこれに充てる。その千分の三の保険料は実は全額使用者の負担でございます。千分の十がいわゆる雇用保険の失業給付に充てられる原資でございます。したがいまして、もっぱら使用者の社会的責任、企業の社会的責任と申しますか、そういった意味合いから、この千分の三の使用者の負担の保険料によって雇用改善事業、能力開発事業、雇用福祉事業を実施していきたい。そうすることによって雇用状態の改善をはかり、失業の予防に資してまいりたい、こういうことでございますので、決して余裕財源を使うということではないことを御理解いただきたいと思います。
○瀬野委員 以上で質問を終わります。
○野原委員長 稲富稜人君。
○稲富委員 私は次の委員会が採決になっておりますので、簡略に要点だけをとりまして若干の質問をいたしたいと思います。農林大臣が御出席になっておりません。農水委員会があっておりますので、実は農林大臣にお尋ねしたかったのですけれども、やむを得ませんから他の政府委員から御答弁を願いたいと思うのでございます。 最初にまずお尋ねというか申し上げたいことは、本法には出かせぎ労務者の短期雇用者が失業した場合の対策を問題とされているのでございますが、私たちはその問題をもっと最初の次元にさかのぼって、何ゆえに農民が季節労働者として出かせぎをやらねばならないようになったかという、この農政の基本的な問題というものを十分検討しなければいけないと思うのでございます。これに対してわれわれ希望することは、農民が出かせぎに行かないでもいいような、健全な農村づくりをするということが最も好ましいことであると思いますけれども、やむなく農民が生活苦、そういう点から出かせぎに行かざるを得ないような状態になっておるのでございまして、この基本的な問題に対して、政府はどういうような農政に対する考え方をこの機会にお持ちになっておりますか、この点をまず冒頭お尋ね申し上げたいと思うのでございます。
○大山政府委員 先生の御指摘のように、農政の基本といたしましては、出かせぎのない農業経営を確立するということが最も望ましいことである、これは御指摘のとおりだと思っております。われわれといたしましてはそういう方向を意識しながら、たとえば自立経営を指向する農家というものに対しましては、農地の流動化対策、あるいは資本装備の高度化また農産物価格の安定、こういったような各般の対策を講ずる中におきまして、農業によりまして他産業従事者と均衡のとれた生活が維持できるようにする、こういうことを一つの目標といたしまして種々の対策を講じているわけでございます。 しかしまた一方、農家の中には、他薦業に就業しようと指向している農家もあるわけでございまして、そういう方々に対しましては、これは労働省ともども農業就業の近代化対策、あるいは職業訓練等の施策を強化いたしましてその希望に沿い得るようにしてまいる。それでまた今後とも農業を続けるということとともに、兼業所得の増大もはかっていきたいというようなことを指向している農家に対しましては、先般来申し上げておりますように、農村地域の工業導入というような措置を講じますほか、そういう農家も含めまして、専業的な農家を中核とする集団的な生産組織の育成をしてまいる、こういうふうなかっこうで各種の構造政策を講じてまいりたいというふうに考えるわけでございます。 ただ、現実の問題といたしましては、たとえば水田単作地帯というようなところで地元の兼業機会が乏しいというようなところ、たとえば東北でありますとか北陸でありますとかこういったところにおきまして、相半数の出かせぎが行なわれているわけでございます。出かせぎされているという現実に対しましても、要するに生活の分断によります家庭生活の問題や、あるいは留守宅の営農問題、さらには出かせぎ先におきます安全就業上の問題といったようないろいろな問題もあるわけでございます。まあ農家の方々が、現状におきまして所得確保のために出かせぎに出るというのにもそれぞれの理由があるわけでございますけれども、これらの方々に対します当面の対策ということにつきましては、出かせぎ者の留守宅の営農指導あるいは生活指導、それから消防等も含めました地域社会の機能維持あるいは出かせぎ者の安全、安定就業といった各般の援護措置をかねて実施しているわけでございます。こういったような、出かせぎなき農政ということを指向しながら、現実の問題として出かせぎがあるということに対しても、それ相応の対策を講じてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○稲富委員 ここで特に私が政府に申し上げたいと思いますことは、三十六年に農業基本法が制定された当時、おそらく政府は、農民が出かせぎに行かなくちゃならないような農村をつくろうということは夢想だにもしなかったと思うのでございます。農業は農業として立っていくような農村をつくり上げる。それがためには、農業に従事する者と他の産業に従事する者との所得の均衡をはかるということを明記いたしました。しかしながら、その後高度経済成長政策をとって、農業の国際分業論等が台頭して日本の農業がだんだん後退した。こういう結果が、つい農民が好むと好まざるとを問わず、出かせぎをしなければその農家家計がやっていけないようになったという、こういうような事実が今日この出かせぎ問題を生じたという結果になったと思うのでございます。 この点は、私はあえてここで無理に政府を責めるわけではありませんが、かような状態になったということは、かような農政をやってまいった歴代の日本の政府に大きな責任があるということはみずから政府も反省し、今後日本の農業政策を基本的にひとつ再検討して、将来は出かせぎをしないでいいような農村をつくるということで再検討をしなければいけない時期がここに来ているのじゃないか、こういうことを私たちは考えるのでございますが、これに対して政府はどういうような考えで対処しようとされておるのか、これに対する考え方をまず承りたいと思うのでございます。
○大山政府委員 われわれといたしましては、各種構造政策を遂行してまいったわけでございます。そして農業基本法に定められております方向に従いまして、総所得の増大あるいは選択的拡大あるいは規模の拡大、こういったような基本法の精神に基づく各種の施策を通じてやっているわけでございます。その過程の中におきまして、高度成長との関連におきます農家の対応のしかた、これにつきましてはいろいろの階層によって、また個々の農家によって、出かせぎというような現象を生ずる原因というかっこうになりますと、各積の事情があると思いますけれども、いずれにいたしましてもわれわれといたしましては、先生も先ほどおっしゃられましたように出かせぎなき農政といいますか、出かせぎなくしてやっていける農業経営、これを最終の目標にしているということにおいては何ら変わらないわけでございます。ただ、現実に出かせぎがあるということに対しては、それなりにまた対応してまいらなければならぬというのが農政としての基本的姿勢であるというふうに考えます。
○稲富委員 残念ながら農林大臣が見えておりませんので、これ以上政府の責任を政府委員にお尋ねしてもこれはもう迫っつかないことでありますので、こういうような状態を生じたということ、一つの農村の奇形児的なこういうようなものをつくり上げたということは、政府にその大きな責任があるということの反省の上に立って、現実の問題としての出かせぎ農民に対する対策、こういうものはひとつ親切に政府は態度をとるべきである。 今回の立法にあたっても、その点を十分踏まえた上での立法処置であらなければいけない、これが基本的な考えであらなくちゃいけない、かように考えます。これに対する労働大臣としての心がまえを承りたいと思うのでございます。
○長谷川国務大臣 農民運動の大先輩である稲富先生、出かせぎ地帯がわが東北であったり、北陸であったり、北海道であったり、単作地帯です。それだけに私たちはやはりそういう場所において就労の機会が得られるように、そしてまた、いま農林省で推進している農村工業化の問題あるいはまた一町村一工場とかいうふうな、いろいろな問題等々もやっていきながら、そういう単作地帯の農民が出かせぎしないで夫婦もろとも子供と一緒におられる、こういうところにやはり持っていくのが、農林省はじめ政府全体の責任である、こういうふうに感じているものであります。
○稲富委員 いま労働大臣からも御答弁がありましたように、やはりそういうような状態を生じた結果からきた今回の立法処置でございますから、これに対してはいま申しましたように、十分その出かせぎ労働者の状態というものを考えながら、やはり立法処置をやらなくちゃいけない、こう思うわけでございますが、この出かせぎ労働者の短期雇用者が失業した場合、今度は内容について、これはさっきからもお話があっておりましたが、保険給付日数が現在の九十日から三十日に短縮されることでありますが、これは出かせぎ労働者の生活に大きな影響を与えることになるのであります。 確かにこれは予定された失業を繰り返す出かせぎ労働者が、定期的保険給付を受けている現状にはあるいは問題があるかもわかりません。しかし、前に述べたように、かような状態を生み出したということは、政府に大きな責任があったということを認識して、この失業保険制度に対しましては十分なる対策を私はやる必要がある、かように考えるわけでございます。これに対してどういうような考え方を持っておられるか、この点承りたいと思います。
○長谷川国務大臣 出かせぎ者の諸君が失業保険をもらっている、これが繰り返される失業であると先生が御指摘でございますが、出かせぎ地帯である私たちからしますと、ほんとうに保険制度の中に十数年間そういうものがお許しいただいたところに対して、ほんとうにありがたくさえ思うのであります。 しかしながら、これはやはりいつまでもそういうふうに負担と給付の不均衡というものを続けるわけにいかぬ。それからどっちも安定所で——失業保険というものは次の職業を得られるまでの生活保障なんです。ところが自分の土地へ帰ってきて自分の仕事、本職がある。それに失業保険がいくものですから、いままで十数年間、もらうほう、出すほう、非常にトラブルがあったことは事実でございます。そこで、大手を振ってもらったらあとは何してもいい、こういうふうなところから、今度制度としてもらってもよろしいというところに一時金というものが出てきたわけでございまして、その際に三十日という日にちをきめましたことも、今度は給付金額も上がりますから、従来もらっておる実績からすると三十日でも間に合うのではなかろうか。しかしながら、御審議の過程において、急激な変化を与えることがおかしいではないかという話などが社会労働委員会あるいは諸先生方から御議論もありますので、そういう御審議の結果というものを私のほうでもよくひとつ理解をしながら御審議に応じていこう、こう思って、出かせぎ者を守っていく。これはしばらく続きますから、そういう新しい、ぴしゃっとした制度でやっていこう、こう思っておるわけでございます。
○稲富委員 いま労働大臣からこれに対する決意のほどを承ったのでございます。先刻、瀬野君は少なくとも五十日はと言っておりました。実際の現在の出かせぎ労務者の稼働日数、そういう点から見ますと、これは後方いろいろ各般の意見等を聞いて政府も善処するということでありますが、少なくとも私は六十日を下がるようなことがあっては実際上困るではないか。そういう点は、やはり出かせぎ労働者というものがほんとうに苦しい中から長い間なれない地方にいって、なれない仕事をしている、その精神的な苦痛というものに対してどう報ゆるか、子供と別れ親とも別れて、この精神的な苦痛に対しても、政府は報いてやるべきである、私はかように考えます。 こういう意味から、たとえば稼働日数が五十五日でありましても、少なくとも六十日以上は報いるというような、こういう親心があってしかるべきである、かように考えます。いま労働大臣はいろいろな各方面の意見を聞いた上で善処するという実に情のあるお話でございますので、この点は、その労働者の苦痛をわれわれくむのだ、しかも政府はこれに対して苦痛に報ゆるのだ、こういう考えで十分この日にちを見てもらいたい、こう思いますが、ひとつ、ここでは日にちも言われない、こう言われますけれども、その点も十分くんだ上で報ゆることが、私はこの立法の精神でもある、こう思いますので、その点を特に私は申し上げて、労働大臣のこれに対する決意を重ねてお伺いしたいと思います。
○長谷川国務大臣 審議会その他の長い間の御研究の中から出ました結論として、一時金として三十日ということになっておりますので、私は原案を、政府提案者としますとお願いしたい。しかしながら、一方先生のおっしゃるような気持ち、また出かせぎ地帯であるだけに私もそういう気持ちがわかりますし、御審議の過程でだんだんの話も出ておりましたことをよく肝に銘じまして対処してまいりたい、こう思っております。
○稲富委員 いま言いましたような出かせぎ労務者に報いなければできないというような考えがあらなければできないにもかかわらず、この法案の内容等に対しては非常に期待に反するものがあります。 第二の問題点は、短期被保険者に対する保険料率が一般労働者の千分の十三より高く千分の十八とされていることであります、給付日数というものは、先刻言いましたようにかえって削減されている。保険料率は逆に引き上げられる。どうもこういう点は私は納得がいきません。ほんとうに親心をもって出かせぎ労務者に報いようとするならば、私はこういうような点はあってはできないと思う。この点は、いま労働大臣は親心をもって出かせぎ労務者には対処するのだとおっしゃるけれども、この内容を見るときに、はたして大臣はそういう気持ちかわからぬけれども、この立法の事務的な処置に当たった人がそういうことを考えているだろうか、こういう点さえも私たち疑わざるを得ないのでございまして、この点に対しましても十分私は配慮をすべきものじゃないか、かように考えるわけでございます。
○遠藤(政)政府委員 特例被保険者のいわゆる出かせぎ受給者の保険料率が一般の保険料率千分の十三に対して高い、こういう御指摘でございます。その点私ども、今回雇用保険制度の中で、出かせぎ受給者についての特例措置ということで、出かせぎの実態に即して一時金制度によってこういうものを定着させよう、制度の中に組み入れてしまおうという考え方をとりましたわけでございますが、その際にいろいろと問題になりました、先刻来いろいろな新聞論調とか投書の御指摘がございましたけれども、いわゆる負担と給付の不均衡ということがしきりにいわれておったわけでございます。かりに諸外国の例にありますようにメリット制をとりまして、特定の部分についてメリットを実施いたしますと、そういうことをかりにいたしましたとしました場合に、特例の一時金三十日分を保険料率に引き直しますと、おおよそ千分の百ぐらいの保険料率をきめなければならないことになります。私どもはもちろんそういうことを考えているわけではございませんし、あるいはこの出かせぎの受給者の保険給付が保険財政上赤字とかあるいは均衡がはなはだしく失している、それを手直しをしてバランスをとろうということを考えているわけでは決してございません。 ただ、こういうものが、本来の偶発的な失業に対する失業保障という制度に対しまして、予定された不就業、失業というよりも不就業ということ、あるいは本来の職業に従事する、そういう期間に対して支給される給付であるということ、それを制度化する場合に、一般のそういう偶発的な失業を保障するための保険制度と同じにするというわけにはこれはなかなかまいりません。そこで何がしか皆さん世間一般の、一般産業の労使の方方が納得していただけるような程度のもので、しかも出かせぎの人たちにきわめて軽い負担で済ましていただける、そういう意味でいわゆる千分の十八といいますと、現行の千分の十三、千分の六・五からいたしますと千分の七・五になります。千分の一の負担増になりますので、たとえば月収十万にいたしますと月に百円ということになります。まあ百円くらいの保険料が従来よりも高くなることについては、出かせぎの方々にもごしんぼうしていただけるのじゃないか。と同時に他の一般の産業の労使関係からも、別の制度なんだ、だから保険料も別立てになっているのだ、こういうことで御寛容いただけるのではないかという考え方でこういう制度を設定いたしたわけでございます。
○稲富委員 この問題は、ただ事務的な考え方ではなくして、特殊の状態に置かれているという考え方、この点は十分くんで考えてもらうことが私は出かせぎ労務者に対して報いるゆえんである、こう考えます。やはり財政的な処置においても政府は、さっき私冒頭申し上げました、こういうことを言うとおしかりになるかもわからぬけれども、こういう状態を生み出したということは政府の責任だ。この点を肝に銘じながら対処するならば、あえてこういう問題に対して、政府が財源処置を十分やることに対しても私はやぶさかであってはいけないと思うのでございますので、そういう点からこの問題に対してもひとつ十分な御検討の上、これに対して、ひとつ改善の方法を講じていただきたいということを特に私は大臣にお願い申し上げたいと思うのでございます。 次にお尋ねしたいことは、林野庁長官見えておりますか——国有林野の問題についてお尋ねいたします。 国有林野事業に従事する定期従業員の一万七千人、これはこの法律が適用になれば、従来の九十日または百八十日の失業保険給付があったものが三十日に打ち切りということになって、これはほんとうに大幅な改悪だといわなければならないのでございます。その影響は、これは労働者からいいますと非常に大きいわけでございます。この国有林の定期作業員は日々雇用される労働ではなくして、八カ月あるいは九カ月という長期の雇用であることは御承知のとおりでございます。また定期作業員の多くは、通年雇用を希望しながらも、国の事業実行上の退職を余儀なくされているという、雇用作業の実態が常動的であるのでございます。さらに、政府はこれらの労働者に対して、常勤並み処遇をしたいとしばしば明言はいたしておりますが、このような政府の態度からしますならば、国有林定期作業員については本法の示しております三十八条の適用除外にすべきである、これは当然じゃないかと思うのでございますが、これに対して政府はどういうような考え方を持っていらっしゃるか、まず所管の林野庁長官からお聞きしたいと思うのでございます。
○福田政府委員 国有林の定期作業員は、ただいま御指摘ございましたように約一万七千名おりまして、主として造林事業あるいは種苗事業に従事している重要な基幹的な作業員でございます。この定期作業員につきましては、従来から大部分の者は国家公務員等退職手当法に基づく失業者の退職手当の受給者でございます。今後とも従前の取り扱いを考慮した措置がとられますように、労働省と協議を進めておる段階でございます。
○稲富委員 労働省と協議を進めておるでは非常に不安を感じておりますが、これは労働大臣はどういうような御解釈をなさっておりますか。
○遠藤(政)政府委員 この国有林に働いておられる定期作業員一万七千人の方々は実は国家公務員でございまして、そのまま失業保険法の適用があるわけではございませんで、いわゆるこの人たちが八カ月、九カ月働いて、その離職後に支給されます失業保険金相当額の給与は、実は国家公務員の退職手当でございます。したがいまして、今回の雇用保険法によりまして、従来の失業保険法と取り扱いが変わってまいりますが、この国有林の定期作業員につきましては、人事局、大蔵省、農林省、ただいまの林野庁とも御相談いたしまして、従来とその取り扱いが変わることのないように十分協議してまいりたい、かように考えている次第でございます。
○長谷川国務大臣 ただいま局長からも答弁がありましたが、その内容が不利にならないように私のほうでは十分林野庁とも相談してまいります。
○稲富委員 これに対しましては、先般参議院の予算委員会の分科会におきましても、民社党の木島委員が質問をいたしておりまして、このときも林野庁長官は、国有林の定期作業員には影響を及ぼさないように努力する、こういうことは明言されておるということは承っております。 〔野原委員長退席、大野(明)委員長代理着席〕 しかし、その後どうなっているのかという非常に不安がありますので、ただいまお尋ねしたわけでございますので、幸いにいま労働大臣からもその点を承りましたので、いまお話がありましたように、ひとつ不安のないような取り扱い方をやっていただきたいということを期待して差しつかえないのでございますか、どうですか、ようございますか。
○長谷川国務大臣 はい、よろしいです。
○稲富委員 次に、中央職業安定審議会の答申では、農林水産業については、通年雇用の促進、産業政策が総合的かつ強力に進められることが前提として解決されること、給付、負担、職業訓練の面で他産業との不均衡を生じないよう措置すべきである、こういうことを指摘されております。しかるに、政府はこの答申の具体的実施をしないまま、雇用保険法を強行的に国会に上程されておるのでございます。どういうわけで出されたのか、その事情をこの際承りたいと思うのでございます。
○遠藤(政)政府委員 今回の雇用保険法案を提出するにあたりまして審議会の答申をいただきましたが、その答申の中で、農林水産業に今回新しい保険制度を適用する。その際に、全面適用の問題ももちろんございますが、雇用改善事業等によりまして、農林水産業関係者の通年雇用対策を進めるべきである。と同時に、この雇用改善とかその他の三事業についても、農林水産業にあまり均てんしないではないか、こういう点が懸念されますので、その点を十分配慮して、こういった事業が他の産業の場合と同じように適用されるような配慮を十分しなければならぬ、こういうことでございます。 私どもが従来実施いたしております通年雇用化の諸施策はもちろんでございますが、新たに実施いたします雇用改善事業とか能力開発事業、雇用福祉事業につきましても、農林水産業にも十分均てんできるように配慮してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○稲富委員 もう時間がありませんので、最後に一問だけお尋ねいたしまして、私の質問を終わります。 私たちは、安定した職場に就業できる雇用制度が確立されることが必要であり、農林水産労働者の長期的な安定的な施策というものが実施されることが先決でなくちゃいけないと思う。今回のこの立法というものは、先刻申し上げましたように、こういうような事情が生じたがためにつくられる立法措置でございますけれども、この以前にさかのぼって、こういうことのないような施策を政府はやることが最も必要であると思いますので、こういうことに対して、ひとつ政府も万全な策を講じてもらう、こういうことを強く私は要望いたしまして——実は、労働大臣に迷惑のかからないような、労働大臣がこういうことの心配をしないでいいような職業の安定策というものが私は樹立されなければいけないと思います。その点を特に私は要望いたしまして、労働大臣も閣僚として、ひとつそういう点を大いに推進してもらうことを希望いたしまして、私の質問を終わることにいたしますが、これに対するひとつ労働大臣、あなたの決意を承っておきたいと思います。
○長谷川国務大臣 近代国家は、働く諸君を大事にしなければなりません。またその方々の福祉の充実をはかることが一番大事な仕事だと思います。従来高度経済成長の中から、いままでは勤労者の収入などは、生産の向上に従ってパイをぶんどればよかった時代ですが、いまから先はなかなかたいへんですから、私一人じゃできないということで、内閣全体の問題として、労働問題にはみんなで協力してもらう、こういう態勢で万全のかまえでやっているつもりですから、御激励のほどお願いいたします。
○稲富委員 じゃ終わります。
○大野(明)委員長代理 中川利三郎君。
○中川(利)委員 出かせぎ農民は四月十五日に帰らなければ、種もみを準備したり、土起こしをしたり、苗しろをつくったり、そういうことができないわけですね。今度の法案が成立することによって、この出かせぎ農民が失業保険の受給資格を持つためには、この方々はいつごろふるさとを出発しなければならないのか、お教えいただきたいと思うのです。
○遠藤(政)政府委員 失業保険の受給資格を得るために、いつ出かせぎに出なければならないかというお尋ねでございますけれども、今回の雇用保険法案におきましても、現行の失業保険法の受給資格要件と全く同じ考え方をとっております。したがいまして、一年間に六カ月以上の被保険者期間があれば、それによって受給資格が与えられる、こういうことになるわけでございます。したがいまして、出かせぎなりあるいは地元なりで満六カ月の受給資格要件を満たせば、雇用保険による失業給付を受けられる、こういうことになるわけでございます。
○中川(利)委員 私は頭が悪いからもう一回聞くのですが、四月十五日前後に帰らなければ農作業の準備ができない、この方々がこの新法で失業保険をもらうとすれば、ふるさとから何月何日に出れば初めてその資格になるのか、このことを聞いているのですから……。あなたはあまり回りくどく言わないで、その聞かれたことに答えていただきたいと思うのです。
○遠藤(政)政府委員 私は、受給資格要件を満たすためには六カ月の期間が必要であるということを申し上げておるわけでございます。したがいまして、四月十五日まで働く、それから逆算して百八十日前に、出かせぎだけで受給資格をつけるとすれば百八十日前に出なければならない、こういうことになると思います。
○中川(利)委員 四月十五日の百八十日前というと、少なくともこの方は十月十六日には出なければならないね。十月十六日というのは、まだたんぼの農作業は終わっておらないのですね。たとえば刈り取りあります、乾燥あります、脱穀ありますね、あるいはおさめなければならない、あるいは出かせぎに行くために冬囲いもしなければなりませんね。でないと、この前の豪雪で秋田——私は秋田ですけれども、たいへんなことになるね。ですから十一月中ごろにほとんど行くのですね。これは東北の典型ですね。そうすると、こういう方々は受給資格はなくなるのですか。
○遠藤(政)政府委員 今回の雇用保険の受給資格要件の条項につきましては、現行の失業保険法の規定をそのまま受け継いだものでございまして、現行法の四十四年の改正によりまして、農林水産業への適用が行なわれる時点に、現在の法律に定められております受給資格要件の条項が施行されることになっております。それをそのまま受け継いだわけでございます。
○中川(利)委員 お役人の答えというのは、どうしてそういう回りくどいことを言うの。私が聞きたいのは、ほとんどの人が十一月じゃないと出かせぎに行かれないの、あなた御承知のとおりに。そうすると、この方々は、あなたのほうの今回の新法によりますと、十月の十六日に出なければならないから、この方はほとんどもらえなくなると思うのです。もらえるのですか、もらえないのですか、このことで端的に答えてくださいということを言っているのです。
○遠藤(政)政府委員 十月の十六日に出られて四月十五日に帰られれば、その間で受給資格はつくことになります。かりに十一月の十五日に出られれば一カ月足りないことになりますので、その一カ月分を出かせぎから帰られたあとで補完しなければならないことになります。
○中川(利)委員 そうすると、圧倒的な東北の出かせぎ農民はほとんどもらえないということになりますね。 そこで、あなた方、一カ月だとかなんとか言うけれども、実際はもらえないのだな。私の手元におたくから来た資料があるのですよ。出かせぎ労働者のうち、十一月中に出かせぎに出る者の割合というものがある。この割合を見ますと、東北地方では二十一万三千人の出かせぎがいる。これはもう、いまこんなものじゃないけれども、まあ、あなたの資料だからこれでやりましょう。ところがこのうちに十一月中の出かせぎ者は十万八千九百人以上いるのだな。比率にしますと五一・一%。この人がもらえなくなるのだな。この中で、まあもう少しこれをしさいに言うならば、こういう前提を踏まえて私、一つ聞きたいのは、この冬型の出かせぎ者は、失業保険をもらうときには四月に帰ってからもらうわけですから、夏型の受給者になるね、失業保険ではそういうかっこうになりますね。そこでお聞きをしたいのは、東北地方の夏型の失業保険の受給者は何人いるのですか。
○遠藤(政)政府委員 いま手元に地域別の数字は、四十六年、四十七年の実績ございますが、四十七年で東北六県で夏型の受給者は七万九千四百でございます。
○中川(利)委員 そうすると一つ問題があるわけだね。というのは、いま言ったように、出かせぎ労働者のうち、十一月中に出かせぎに出る者というのは、東北ではいま言ったように二十一万三千人いるわけだ。十一月中というのは二十一万三千人のうち十万八千人以上いるということですね、五一・一%、いま言いましたね。ところで、その皆さんのほうの報告をとりますと、そのうち四月に帰る人が六万四千人いるのです。これは皆さんの統計にありますね。そうしますと、夏型の失業保険の受給者は、いま言ったように七万九千人いるとしますと、今度の改正で失業保険をもらえなくなる人の割合はちょうど七万九千分の六万四千ということになりますわね。そうすると八一%ももらえない人が出てくる、こういうことになりますが、そういうことですね。
○遠藤(政)政府委員 繰り返しになりますけれども、現行法で四十四年の改正の際に、国会の御意思で修正が行なわれまして、現行の規定が制定されたわけでございます。今回の雇用保険法におきましては、そのままこれを踏襲して新しい制度に取り入れているわけでございます。したがいまして、そのときの御趣旨は、農林水産業への適用ないしは小零細企業への適用をいたすことによりまして、受給資格要件を満たすことについては支障は来たさないという御意見だったように私は拝承しております。
○中川(利)委員 昔の何がどうだかということを聞いているのではなくて、圧倒的な大部分の方々が、今度失業保険が改正になればせめて一カ月はもらえるかと思っておったら、この一カ月も全然もらえない人が八一%もいるのだ。この実態ですね。いまあなたは、ただ前のいきさつがこうであったと言うだけですから、そうなりますねということを聞いているのです。
○遠藤(政)政府委員 かりにこの雇用保険法案が提出されなかったといたしますと、五十一年の一月三十一日以降はいま先生のおっしゃったような状態になると思います。
○中川(利)委員 それを早めて、つまり農民を出かせぎからも首切る、農業も首切る、こういうことだな。わかりました。 そこで、こういう不当な——あなたのほうの統計によっても出かせぎの五六%は東北だと書いているのですが、実際今度の新法では、八十数%がこの一カ月分でさえももらえなくなるという事実が明らかになったわけであります。先ほどあなたがおっしゃったように、その分は今度の農林水産業の適用拡大によって地元で雇用されるのだ、そうなれば通算になるからもらえるのだ、こういうことを言っております。 そこで私聞きたいのは、私、秋田県ですけれども、たとえば横手、平鹿、こういうところは出かせぎの集中地帯です。あそこで、地元でどこで就職できますか。失業保険適用業種を拡大したというけれども、農林水産業に拡大したというけれども、どこにそういう新しい雇用の職場があるのですか。私ちょっと聞きたいのですよ。
○遠藤(政)政府委員 現行制度におきましては、商業、サービス業等のいわゆる小零細企業、それから農林水産業には保険制度は適用されておりません。しかし、現行法の五十一年一月三十一日までにこういったものについての適用措置が義務づけられております。私どもは、義務づけられた日よりもなるべく早い機会に全面適用をはかるようにという、当時の国会の附帯決議等の御趣旨によりまして一年繰り上げて、約十カ月足らずでございますが、繰り上げて農林水産業、小零細企業、少なくとも一人でも労働者を雇う場合には、すべて雇用保険が適用されるという制度にあえて踏み切ったわけでございます。したがいまして、そういうことによって、当時国会の御趣旨によりましてそういう制度が法定されまして、その法定された御趣旨をそのまま生かしたわけでございます。かりに出かせぎだけの期間で受給資格が一部満たされない場合に、地元のそういった新しく適用になります小零細企業なりあるいは農林業、水産業等に従事されることによって補完されるものだ、私どもはかように考えております。
○中川(利)委員 新しく農林水産業に雇用保険の適用を拡大した、それはわかったのですよ。しかし拡大したからといって、この出かせぎから帰ってきた人を雇用させる保障はあるのかどうかということを聞いているのです。あるならここへ示してください。何もないものをかってに紙の上だけできめたって、何にもならぬでしょう。
○遠藤(政)政府委員 出かせぎから帰られた方が就職したくて、それでなおかつ職がないという場合には、公共職業安定所におきまして就職のあっせんをいたすわけでございます。ただ、御本人が農業に従事することによって就職できないということであれば、これは私はいたし方ないと思います。
○中川(利)委員 農民が四月十五日に帰るということは、百姓をやるために、つまりそういう必要で帰ってくるんだ。とにかくもらえないでしょう、事実として。しかもあなた方は、また地元へ帰って働けば通算になるからいいというけれども、そういう働く場所を保障しているかといえば、それもさっぱり保障してない。これはどうしたらいいの。農民はどうしたら生きていけるの。踏んだりけったりというのはこのことじゃないの。
○遠藤(政)政府委員 出かせぎから帰られて、地元で就職したいという御意思がおありでございますれば、公共職業安定所で最大限の努力をいたしまして、就職のあっせんをいたすわけでございます。
○中川(利)委員 つまり、ことばのあやの最大限だな。実際の保障は何もないんだよ。事実あなたのほうの資料はちゃんとここに書いているんだな。臨時季節労働者の求人求職状況、昭和四十八年、どうなっていますか。青森県の例でいえば、求人数、人を求めますというのが三万七千二百二十三人ですよ。これに対して求職申し込みが十二万八千三百二十四人いるんですよ。これをどうして地元で解決できるの、あなた。最大限の努力をするといって、地元でどうしてこれを消化できますか。秋田県の私のところを見ましても、求人数が二万三千九百十五人です。これに対して求職申し込み数が八万四千百三十人ですよ。こういう実態。労働大臣、とにかくあなた方は紙の上では何だかんだいいますけれども、実際出かせぎの悲しみなり苦しみなり、実態に見合っているものかどうかですね。あなたはりっぱなことを言っても、実態に見合わなければ何らの——実情に沿っていると、あなた何回も今回の雇用保険の改正のことを言っているけれども、こういう状態だということについてどう思いますか。はっきり答えてください。大臣、答えてください。
○長谷川国務大臣 このたびの雇用保険法案では、受給資格を取得するためには満六カ月の就労が必要でありますが、これは昭和四十四年の法改正の際の経緯にかんがみまして、五十一年二月から実施されることになっていた被保険者期間の計算方法を、農林水産業への適用拡大とあわせて昭和五十年四月から実施することとしておりました。この被保険者期間の計算方法は、制度の健全性を確保するため、通常の労働者に期待し得る満六カ月の雇用期間を受給資格要件としたものでありまして、また雇用期間の短い出かせぎ労働者等に対しましては、帰郷後、地元において得た被保険者期間を通算して、受給資格を得やすくするように配慮しておるものでありまして、農林水産業への適用拡大とあわせて実施されることを考えているものであります。
○中川(利)委員 聞いたことに答えていただかなければね。大臣が本会議でもりっぱな答弁をしているから、その裏づけを私はほしいと思っていま聞いているのです。そんな紙の上のことはわかっているんですよ。 私、出かせぎ地帯にいる人間ですからお聞きするわけで、つまり十一月に出かせぎしないといけない人が今度十月になれば、たんぼはやめなければならない。でないと四月に帰ってこれないですからね。そこで八一%の人は何ももらえない。しかも地元に帰れば通算になるからといいながら、地元に帰った場合、農民の希望する仕事も賃金も何も保障がないということでしょう。どうしてくれるかということを聞いているのです。こういう失業保険の実態について、大臣は少なくともこれでいいのか。私はこれは大問題だと思うのです。事実これでは農民は生きていけないでしょう。どうしてこれで生きていくのです。両方ではさみ打ちだ。もらえないんだよ、十一月の人方は。うちへ帰っても、通算するといったって何も保障がないんだ、この求人求職の関係を見ても。どうして生きていくのか教えてください。
○遠藤(政)政府委員 たびたび繰り返して恐縮でございますけれども、この制度は四十四年の改正の際にそういうことでよろしいという国会の御意思によりまして法定された条項でございます。そこで、確かにただいま御指摘になりましたように、求人数に対して求職者のほうが数が多いではないか。その求職者の中の大部分がいわゆる出かせぎから帰られた受給者でございまして、端的に申し上げますと、就職するのでなくて、実は農業に従事しながら求職申し込みをしておられる方が大半でございます。したがいまして、ただいま御指摘になりました求人がございます以上は、ほんとうに働かなければ——農業従事じゃなくて働きたいとおっしゃる方、それによって受給資格をおつけになろうという方については、私は十分御紹介できると考えております。
○中川(利)委員 国会に法定されたから百姓は、出かせぎ者は死んでもいいというのですか。あなたの筆法から見れば、かつてそういう規定ができたからいまさら何をか言わんやという筆法でしょう。それから、あなたは、そういう場合に、帰ってきた人方が就職を希望した場合は十分にやれると思うというような言い方だが、どうしてやれるのか。裏づけをはっきり、具体的に農民の納得できるように、どうして就職のほうをあなたがちゃんと始末できるのだかという、何かわれわれは常識の中では判断できないのです。全国の出かせぎ農民が納得できるように、あなたからどういうかっこうにすれば地元の就職、雇用がちゃんとできるのか。私は横手へ行ったって平鹿へ行ったって、どこへ行ったってそんなことは一つもできないと思っていますから、答えてください。
○遠藤(政)政府委員 東北各県で、求人と求職のバランスが逆に求人のほうが少なくて求職が多い、これは確かにそのとおりでございます。その求職者の大部分が、いま申し上げましたように季節出かせぎから帰ってこられた受給者でございます。その中に夏型と冬型がもちろんございます。したがいまして、その中で受給資格を満たさなかった、一部欠ける方ももちろん出てくるかもわかりません。そういう方につきまして、受給資格を満たすために就職をしたいと御希望の方については、私どもは先ほど申し上げました求人数も十分ございますし、それによって補完する措置は十分可能である、かように考えているわけでございます。
○中川(利)委員 補完する措置、十分じゃないんじゃないですか、何を言っているんだ、あなた。私、時間がないからこれ以上やれないけれども、あんまりあなた無責任なことを言ってもらっては困りますよ。 そこで、いかに出かせぎというものはたいへんなものだかということを、ここに秋田の魁新聞という新聞がありますが、「出かせぎは“命がけ”」だというんだな。「高賃金第一、安全二の次?」まんま食えないから、これはみんな行っているのです。ちょっと見てみますと、秋田県の出かせぎ互助会によっても、「この一年間、秋田県から出かせぎに出た先で労災事故や病気のため死んだ人は九十九人もいた。昨年より二十人多い。また、けがをした人も四百六十人に上り“命がけ”の出かせぎだったことを物語っている。」こういっているんだよ。何のために出かせぎをするか。おたくのこの調査資料がある。これを見れば、出かせぎで得た収入のおもな使い道、一般生活費が最高で八一%を占めていると書いてある、あなたのほうの資料で。これでまんま食わなければいけないんです。生活しなければならないんですよ、みんな。そこまで農業なり農家が追い込められているという事実があるわけだね。それに対して、こんなことで、そんな答弁だとかそんな月並みなことで、どうして責任持てる農政なり責任持てる雇用政策といえますか。
○遠藤(政)政府委員 先ほど来、先生御指摘になっておりますように、四月十五日に出かせぎから帰られる、帰らなければならないということは、どうしても仕事があっても帰られなければならないという方々は、四月十五日から農作業に従事するためにお帰りになる。そういうことであれば、農作業に従事するということは、就職の希望がない、単に失業保険金を受給するために求職の申し込みをしておられるということだろうと思います。その中で、私どもはそういった実態を踏まえながら、これを制度の中に組み入れようとしているわけでございますが、今後受給資格期間が六カ月ということになったことによって、四月十五日に帰った方が一部受給資格を欠けるところがあるというような場合には、そういう中から求人も相当にあることでございますし、その補完的な期間を満たすための就職あっせんは私どもは十分可能だ、かように考えておるわけでございます。
○中川(利)委員 そうすると、農家は田植えのために帰ってくるから、これはもう就職する意思がないのがあたりまえだ、こういう言い方だけれども、なぜそうしなければならないかという根源的な問題については何にも触れないで、ただそういう期間だかと日数の点で縛り上げていく、ここに東北農民の悲しみがあるし、苦しみがあるし、何も理解できない皆さん方のあれがあるのですよ。しかも、地元で働くといったって、地元の賃金がどれだけになっているかということは、地場賃金、三省協定より低いでしょう。あなた、高いのがあったら教えてください。 労働省と農林省と建設省ですか、地場賃金というものは三省協定の賃金というものがあるのです。地元のどんなものを見ても三省協定より低い賃金を実際に押しつけられておって、政府の設定単価より低いものを押しつけられておって、この低いものを地場賃金として、それを失業保険の認定の基準にしてやるというのですから、これは農民を殺すのとどこが違うのですか。何らあたたかいものでもなく、実情に即したものでもなければ、問題にならないと思うんだな。しかし、ここでまたそれを論議してもしようがない。 そこで、一つお聞きするのは、ほとんど出かせぎに行っている方々はどういう農家の層かといいますと、おたくのここに書いてあるように、一ヘクタール未満の人なんだな。農家総数の二五%は〇・五ヘクタールと一ヘクタールの間の人ですか、とにかく一ヘクタール未満で五割以上占めているんだな。零細な人方がこういうかっこうにやられるということは——この前本会議での質問に対して農林大臣が、こういう出かせぎ農民の方々も、小規模農家も大きい農家になっていくことを望むんだ。農民ですから、これは農業で成り立つことを望んでいるというようなことを言いましたが、しかし実際おたくのやっていることを見ますと、六カ月十四日制ですね。こうなりますと、むしろ水田を守り水田をつくっていくということを一そう困難にするものなんですね。そういうことになりませんか。だから、どういう保障で出かせぎ農民が農業を守っていくのか。それなら何か手だてみたいなものをあなたのほうで考えているのですか。
○遠藤(政)政府委員 私がお答え申し上げましたのは、どうも誤解をされているようでございますし、私の答弁のしかたが足りなかったかもしれません。田植えのために帰ったから働く意思がないと申し上げているのではなくて、田植え農作業に従事するために帰られたその期間については、少なくとも就職の意思はない、こう考えてもさしつかえないんじゃないかと思います。かりに受給資格期間を満たさないことによって保険の支給を受けられないという場合に、その受給資格を満たすために農作業の合い間に、一月なり二月なり就職をされるということは、私は十分可能だろうと思いますし、そのためのごあっせんについては十分私どもは努力をしなければならない、かように考えておるわけでございます。
○中川(利)委員 あなた、理屈の上で何だかんだと言いますけれども、なぜ十一月に集中しているかというと、その間は百姓をやらなければいかぬのですよ。そうするとあなたにお伺いするけれども、月に十四日だけ私は働くと、じゃその間十四日だけ雇いましょうなんというところがありますか。そういう雇用主がございますかということをあらためてお伺いしましょう。十四日もやれば十五日分の保険料をかけて通算になるんだね。そんなものですか、いまの雇用情勢というのは。
○遠藤(政)政府委員 先生いまおっしゃいましたように、四月十五日から十一月十五日まで農作業に働かなければならぬということであれば、当然保険の適用対象にならないと思います。保険給付の対象にならないわけでございます。ただ、そうじゃなくて、農作業の合い間に、比較的ひまな期間もあるし、その間二週間なり一月なりお働きになる、これは私は十分可能だと思いますし、そういう御希望については公共職業安定所が十分あっせんの体制をとっておりますし、最大限の努力をしてまいらなければならない、かように考えておるわけでございます。
○中川(利)委員 農作業の合い間に十四日間だけ働かしてくれるところは十分可能だという。私はそんなところはないと思います。大体、こういう求人、求職状況からしても、もうすでに満ぱい状態になっているので、そういうはんぱな、秋田のことばで言えばはぶかけなというのですが、そういうはぶかけな求人なんというものはあるものですかな。あなた、社会人としての常識で考えても十分可能だというならば、その根拠くらいはお示しいただきたいと思うのです。
○遠藤(政)政府委員 最近は、全国的に雇用情勢が逼迫しておりまして、特に中小企業等におきましては、労働力を確保することがきわめて困難な状態が出てまいっております。ことに最近は、一時的な短期雇用という雇用形態もかなり出てまいっております。そういった形でアルバイト的に働く人もずいぶんふえてまいっております。そういう意味合いにおきまして、二週間なり一月なり、そういった短期の求人というものもございます。そういう御希望の向きについては、御希望に沿った形で御就職のあっせんも十分私どもは可能だと考えておるわけでございます。
○中川(利)委員 あなた御希望に沿った形でそういう短期でも十分可能だ……。なぜ農民が出かせぎに行くかということは、地場賃金じゃ食えないからなんですよ。しかも皆さんは三省協定以下の実質賃金が払われておっても、何ら一度も指さしたことないでしょう。つまり、農民の希望する仕事なり賃金を保障した上であなたがそうだということですか。農民の希望する職種、賃金、少なくとも三省協定以上の賃金なんだ、だから出かせぎに行かないのだ、こういうことでなければ意味ない。政府がきめた賃金よりもまだずっと下回って、それでも働いたというような言い方、だからそれをやればくれるということだったら、何のことはない、全く農民を安上がりの人夫、手間取りに仕上げるということであって、政府のああいう雇用保険法の提案理由に説明したようなこと何もないじゃないですか。むしろ首切りそのものじゃないですか。
○遠藤(政)政府委員 安定所に求職の申し込みをされました方につきましては、御本人の求職者の希望される職種、希望される賃金、労働条件について、就職をあっせんするのがたてまえでございます。ただ保険の受給者であります場合には、正当な理由がなくてあっせんを拒まれるということになりますと、これは給付制限の対象になりますけれども、いまお話になりましたような賃金の低いところ、低賃金に押しつけるというわけで決してございませんで、たとえば保険給付の、失業給付の基本手当の日額、それ以下のところについては就職あっせんはしないというたてまえをとっておるわけでございまして、低賃金でそういうところに無理やりにあっせんするというわけでは決してございません。
○中川(利)委員 あなた大曲の職業安定所へ行ってごらんなさい、横手の職業安定所へ行ってごらんなさい。いままででさえも地場賃金より下回るものを押しつけて、それはだめだと言えば、おまえは働く意思、能力がないということでやられて、そういう事例を私たくさん受けて、しかも私も何度か足を、運んでいろいろ戦ってきているのですよ。あなた、そういう通り一ぺんのことばで、正当な理由がなくてという。正当な理由があってもみな断わられているというのがいまの現状なんです。こういう現実の中で、そういうことを言ったって、もう通るものじゃないのですよ。そういう点で、あなたの話を先ほど来ずっと聞いておっても、歯の浮くようなもので、何らいまの農民に対して希望を持たせるものにもならないし、政府というものはもう少しわれわれのことを思ってくれているものだと思ったら、これでは踏んだりけったりどころじゃなくて、もう全く踏みつけにするものじゃないかということで、何かそれは一点のともしびでもあればいいけれども、何もないということでしょう、中身を調べてみますと。こういうことについて、労働大臣は、少しはこれを手直しするとか——手直しどころじゃないのだ、もっといま拡充しなければならないところなんだ。失業保険のたとえばいま六割なのを今度八割ぐらいにするとか、これではだめだからというような気持ち少しありませんか。
○長谷川国務大臣 応答の中にも出ておりましたが、私も思いますが、自分がたんぼを持っていて、そこに働いていく本職がある。その場合に、従来ですと、そういう方々にも失業保険というものが出されたわけであります。だから、それを一時金ということでぴしゃっとしたほうがどこへ行っても働ける。また、私たち、地域といたしますれば、やはり東北開発、秋田県もどんどんいろんな問題で開発が進んでおりますが、そういう意味で就労の機会を地元にやはりしっかりお互いつくっていく必要がある、こう思っております。
○中川(利)委員 最後でありますが、もともと失業保険の歴史を見ればわかりますように、前は一年働けば一年失業保険をもらえた、六カ月働けば六カ月もらえたというような状況もあったわけでありますが、どんどん改悪し、しかも非常な高度成長のときはたくさんかり出していって、いままた余りもののように返してきている。こういう中で一そう失業の問題が重大化しているわけでありますけれども、今回の雇用保険法の改悪——私らから見れば全くの改悪です。これは実情に沿わないだけでなくて、もう少し修正すればいいというようなことよりも、抜本的に、わが党が提起しているようなかっこうで、一そう充実拡大をはかるべきだ。このことでは返事はもらいませんけれども、そのことを強く主張して、私の質問を終わります。
○大野(明)委員長代理 以上で本連合審査会における質疑は終わりました。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時二十五分散会