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72回国会衆議院1974/05/14

社会労働委員会 第24号

発言数
281
登壇者
17
会派数
5
開催日
1974/05/14

会議録

野原正勝自由民主党

○野原委員長 これより会議を開きます。  労働問題の基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田邊誠君。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 去る九日に、公労委は今年の春闘における賃金引き上げについての仲裁裁定を出しました。これは最近の物価の高騰を考えたときには当然のことといわなければならないのであります。確かに単純二九・二二%、二万七千六百九十一円、加重平均で二九・二七%、二万七千五百九十四円はかなりのものといわなければならぬと思うのであります。したがって私は、この仲裁裁定は公労法の定めに従って労使双方を拘束するわけでありますから、これに従わなければならぬことも言わずもがなだろうと思います。こういう立場からいいますならば、政府はこの仲裁裁定についてはこれに従う、完全実施をするということは当然課せられた責務であるというように思います。ましてや企業間における格差等をこれによって生むようなことはわれわれとしては絶対認めることはできないと思っておるのであります。またあわせて、間近く公務員に対しては人事院勧告が発せられるというように聞いておりますが、これも毎年の例でありまして、民間の賃金との格差を解消するというたてまえからいいますならば、この人事院勧告についても政府はこれを完全に実施する責任の立場にあると考えるのであります。これら一連の公労傘下の組合員あるいは公務員の賃金に対して、政府が、この仲裁裁定と予想される人事院勧告に対し完全実施をするたてまえから当然の結論を出すものと私は期待をしておるのでありますけれども、政府の所信はいかがでございますか、お伺いいたしたいと思います。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 お答えいたします。  政府は昭和三十二年以来公労委の仲裁裁定を完全に実施してきたところでありまして、今回の仲裁裁定につきましても、公労法第三十五条の精神を尊重し、かつ健全な労働慣行の確立をはかるために、裁定どおり実施する方針で臨んでおります。  人事院勧告につきましても、最近においては勧告どおり実施されており、私といたしましても、この方針を堅持すべきものであると考えております。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 政府の態度が明確になってまいりました。  そこで、実はこの公労委の仲裁裁定は必要財源約六千八百五十六億に及ぶのでありまして、昨年の三千百五十六億に比べまして二倍以上の額であります。各企業体は五%の財源を当初予算に組んでおるわけでありますけれども、これも千二百八十三億という形でございますから、単純な差し引き計算でいきますならば、五千五百七十三億ばかりの不足を生じます。予備費六百八十五億円を全額充当いたしましても、なおかつ四千八百八十八億円余の財源が不足する、こういう形になっております。われわれは、いろいろと創意くふう等はこらさなければならぬと思いますけれども、この仲裁裁定を実施するためには、ある企業体によってはその財源の捻出が困難ではないかというふうに予測される面があると思うのですけれども、これに対しては一体どういうふうなぐあいにお考えでありましょう。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 御承知のとおり、今回の仲裁裁定はこれまでにない大幅なものであります。三公社五現業平均、定昇込み二万七千六百九十一円、二九・二二%でありまして、公共企業体等においては、既定予算では実施不可能であると思っております。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 そういたしますと、資金上、予算上これが捻出できないという場合には、公労法の定めるところによりますならば、これは三十五条そうして関連をする十六条二項によって、国会の承認を求めなければならぬということになってまいるわけでありますが、従前政府は、これに対しては国会に議案として提案をいたしまして、国会にいわゆるげたを預けて、過去においては、これが措置に国会としてもいろいろな面でかなり苦労をしたという面があります。一部実施あるいは継続あるいは延期、そうしてまた政府のその後の努力等いろいろな曲折があったことをわれわれ踏まえますならば、政府は、この完全実施をするといういまの大臣の言明からいいまするならば、従前とは違って当然政府の責任でこれを実施をする、しかし、必要な場合には国会の承認を求める、こういう形になってくるだろうと思うのでありますが、その間の手続についてはどのようにお考えでございましょう。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 公労法三十五条及び十六条は、予算上実施不可能な仲裁裁定につきましては国会に承認を得ることを条件として当該仲裁裁定の効力を発生させることとしておることは、御承知のとおりであります。したがって、政府といたしましては、今回の仲裁裁定のうち既定予算では実施不可能なものにつきましては、公労法十六条二項の規定に基づきまして、国会の承認を得てすみやかに完全実施する方針であります。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 したがって、国会承認の案件をあなたのほうは直ちに出すという御用意があるだろうと思うのですが、いつお出しになりますか。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 きょう閣議決定していただきましたので、きょう直ちに出したい、こう思っております。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 したがって、政府のそういう態度を受けて、国会はこれに対して処理をすることになりますが、一たび国会の承認がありまするならば、政府はこれに対しては直ちに実施をする、こういう形になってくるだろうと思うのですが、いま申し上げたような形でありますから、当然その財源捻出が困難でありますから、政府はこれに対して直ちに補正予算を組む、こういう必要があると思います。したがって、補正予算を組む御用意があるかどうか、そうしてまた補正予算をお組みになって、今国会がまだ続いてございますから、今国会にこれを提出する、そういう御準備をなされる気持ちがあるかどうか、この点もひとつ明確にしていただきたいと思います。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 御案内のように、既定予算では実施不可能な仲裁裁定について、国会の承認が得られた場合には、政府におきましては今後検討の上、補正予算を含め必要な財源措置を講ずる所存であります。  なお、国会の承認が得られれば、当面は既定予算のワク内で給与の支給を行なうことといたしまして、補正予算は今国会に提出する考えは持っておりません。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 ひとつ念を押しておきますが、あなたの話は前後しておるわけですけれども、今国会にはその提出はちょっと無理だけれども、当然補正予算を組むのだから、間近い国会に補正予算を提出する、こういうように理解してよろしゅうございましょうね。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 そのとおりに御理解いただいてけっこうです。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 そういう形で政府と国会のいわゆる取り扱いが進みますならば、この決定によって配分交渉が当事者間で行なわれるわけでありますが、従前、ややもすれば、賃金問題をいろいろと折衝する場面でも、また配分交渉においても、各企業体の当事者能力が問題になってくるのでありまして、どうもわれわれは、当事者能力がないから政府を直接相手にしなければならぬということを組合側はよく主張していることを聞いておるのでありまするが、そういった点からいいますならば、この賃金の決定ないしは配分交渉についても当然各企業体の当事者能力を十分発揮させる、こういう立場を私はとるべきであるというように考えておるのでありますが、政府はそれに対してどういうような対処のしかたをするのか、この点をお伺いしておきたいと思います。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 非常に大事な御質問であると思います。公共企業体等の当事者能力の問題は、公共企業体等の労使関係の正常化の見地からきわめて重要な問題でありまして、引き続き現行制度の合理的運用につとめてまいりたいと思っております。しかし、根本的措置につきましては、今回設置されます公共企業体等関係閣僚会議で検討いたしまして、可及的すみやかな結論を出したい、こう思っておる次第です。

田邊誠日本社会党

○田邊委員 いまお聞きをいたしまして、今回の仲裁裁定については完全実施をする、そしてまた、国会の承認を得次第、補正予算等を組んで対処するということでございまして、配分交渉についても、政府はこれに対して誠意をもって対処するよう、いろいろな指導をされるものと私は考えておる次第であります。したがって、今後、この公労法関係の組合に対するところの賃金問題あるいはスト権問題そういった生活や権利の問題に対して、政府が誠意をもって最大の努力をされることを私は期待いたします。  国会承認については、いろいろと波及する問題がございます。当然、各企業におけるところの今後のいわば財政運営あるいは事業の運営等についていろいろな問題が実は出てまいると思うのでありますけれども、ともかくも、今回の賃金については政府が一点の曇りなくこれに対処する、このように私は考えておるわけでありますから、これを受けながら、ひとつ、今後の賃金やあるいは権利の問題等に対してさらに政府の前進的な努力が払われるように、私は特に期待をし、強く要望して、私の質問を終わります。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 政府といたしましても、このたびの仲裁裁定の問題について、国会の承認を求めるの点等々、前向きの姿勢をとっておりますことを御理解いただいて、ありがたく思います。将来ともに私は、正しい労働慣行というものがつくられるような努力をいろいろな面においてしたいと思いますので、何ぶんひとつ御協力のほどをお願いいたします。

野原正勝自由民主党

○野原委員長 石母田達君。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 私は、さきに公共企業体等労働委員会が示した三公社五現業職員の賃上げに関する仲裁裁定について質問したいと思います。  その一つは、今回これを国会の承認案件としたということで、これまでいわゆる公労法の十六条で定められた予算をこえる、ワクをこえるものについての実施については白紙から承認案件としたということは、先ほどの答えにもあるように、その裁定を完全実施する立場、こういうことからこのような取り扱いをしたと考えますけれども、どうでしょう。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 そのとおりでございます。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 さて、今度の裁定の内容は、平均いたしまして二万七千五百九十四円、定昇込み二九・二七%といわれております。この裁定の結果は要求三万七千円から見るときわめて不満足な内容であり、特にいまインフレ、物価高の問題、こういう中でこうした回答というものは、裁定そのものが労働者にとってもきわめて不満足なものだ。現実の生活実態からいっても非常に困難な状況をもたらしておるというふうに考えますけれども、この裁定の結果についてきわめて満足なものだというふうに考えているのかどうか、労働大臣の見解を聞きたいと思います。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 御案内のように、公益委員の皆さん方は国会の承認案件で、そういう方々が構成している委員会でございます。そういう方々が御決定いただいたことでございますから、私たちはそれを理解しているわけであります。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 労働大臣はこの中でも再三答えているように、現在の労働者の生活の実態というのはきわめて困難な状況に置かれているし、また春闘などで要求されている要求についても深い関心と、その内容について支持できるものを持っている。しかし、それは全面的には貫徹できないとしても、それに接近するようにできるだけの努力をされると言いました。そういう中で、この要求額から見ると、この額はきわめて幅のある低い額であるということは、これは数字が示すとおりだと思うわけです。そういう中で私は、いま政府・自民党のいろいろな幹部の中で所得政策の導入の問題について検討が始められたとかいろいろ聞きますけれども、このような裁定を完全実施するという中で賃金を固定化することによって、一方私鉄、電力、あるいはまた十月になれば国鉄運賃、お米と相次ぐ公共料金の値上げ、狂乱物価の中でこうしたことは、結果的には労働者の賃金を押えていくという所得政策に通じるものになりはしないかという危惧を持つわけですけれども、所得政策の導入との関連でどういう見解を持っておられるか、労働大臣の御見解を聞きたいと思います。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 仲裁裁定は、私は、公正なものであるということは御理解をいただいていると思います。  所得政策の問題につきましては、これはナショナルコンセンサスを得られるのは日本ではなかなかむずかしいですし、私は、よその国がやっている、またその経過などを見ましても、日本の場合はそれをとるべきでない、こういう感じを持って対処しているわけでございます。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 それから先ほど当事者能力の問題について質問がありましたけれども、今度の三公社五現業の仲裁裁定の中で、アルコール専売と造幣は、御承知のように当事者でまかないがつくということで承認案件の中に入っていないわけです。  さて、実施の時期ですけれども、これは、こうした承認案件を求めていないところも、それから承認案件によって実施されるということになったところも、差別なく、直ちに実施されるものであるかどうかお伺いしたいと思います。

道正邦彦労働省労政局長

○道正政府委員 アルコール専売と造幣につきましては、予算上実施可能であるということを本日の閣議で確認したわけでございますので、その時点で確定をいたしました。ほかの残余の公共企業本等につきましては、国会の御承認があった時点で、四月一日にさかのぼって効力を発生するわけであります。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 最後に私は、当事者能力で先ほどお答えがありましたけれども、これの問題が重大な問題になっているのは、今度の春闘の中でも出されましたように、スト権の回復という要求と結びついているからであります。スト権の問題で当事者能力、特に賃金の問題でも労使間の協定によって実施できるように、こうした問題がスト権の回復にとってもきわめて重要な問題であることは、この審議の中でも明らかになったところです。したがいまして、この間、公的な病院の問題や幾つかの問題で現実に、いろいろ政府の勧奨によってほんとうに自主的に当事者間で賃金が決定できるような体制にしていくという点での努力をされるということを言われましたけれども、この公労協の問題についてもそういう方向で努力されるのか、またスト権の回復についてもそういう方向で努力されるのか、御見解を聞きたいと思います。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 御案内のように、先日の閣議におきまして公共企業体等の関係閣僚協議会が発足したわけでありまして、その中にただいま先生のおっしゃったような問題も当然検討題目になっている、こう私は思いまして、いろんな問題につきまして日本の正しい労働慣行というものをつくることが、近代工業国家として大事なことである、そういう感じ方から対処してまいりたい、こう思っております。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 その点で、当事者能力を与えてスト権の回復をさせるということについて一そうの緊急な措置をとるよう心から要望しまして、私の質問を終わります。      ————◇—————

野原正勝自由民主党

○野原委員長 作業環境測定法案、労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島本虎三君。

島本虎三日本社会党

○島本委員 作業環境測定法案、これがいま提案され、審議に入らんとするのでありますけれども、まず大臣に、はっきりしたこの背景と今後の決意を聞いておきたい。  昭和四十五年の十一月から十二月にかけて、いわゆる公害国会といわれるあの国会で、十四法案がそれぞれ新たに制定または訂正されたわけです。それで、公害は出てからではだめだ。職場の中からそれを規制するのでなければ万全ではないんだ。したがって、職場内の作業環境測定をまさに完全に正確に行なうことの重要性、これはいまに始まったことじゃないわけであります。それにもかかわらず、四年たった現在、ここに作業環境測定法なるものを制定しようとする理由、何のためなのか。やって悪いのではなく、おそきに過ぎるのじゃないか。しかし、これも単なるバスに乗りおくれないというような意図だけのものであるならば、笑止千万である。こういわざるを得ないわけです。この背景と今後の運営の決意をまず大臣に聞いておきたい。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 公害について格別に御研究されている島本先生から基本的な背景についての御質問がありましたが、この機会に私たちも御説明申し上げたいと思います。  近年職業性疾病問題が特に重視されてきている状況にかんがみまして、これが予防のためには作業環境の改善を強力に進めなければならない状況にあります。そのためには、作業環境の実態を正確に把握するための適正な作業環境測定の実施が望まれるところでありまして、このため、測定自体はすでに労働安全衛生法第六十五条でその実施が事業者に義務づけられております。そのための作業環境測定指針等も、逐次整備されてきているところであります。  しかし、現行法制下では、測定の実施についてどのような能力を有する者が行なうかについては全く規制が行なわれておりません。また、作業環境の測定に関する基準等につきましても法的強制力を与えていないことなどもありまして、作業環境の測定が必ずしも適正に行なわれているとはいいがたい実情であることは御承知のとおりであります。  こういうような実情にかんがみまして、現行法制のみでは対処し得ないものであり、この問題解決のためには、作業環境測定に関する基準を明確にし、義務化するとともに、この基準に示された原則を千差万別の事業場に具体的に応用いたしまして、適切なデザイン、サンプリング、分析を行なう能力のある者について資格づけを行ないまして、もって作業環境の測定の適正な実施を確保していく必要があると思っております。  このような考えから、新たに作業環境測定法を制定するに至った、こういうことで御審議のほどをお願いしたいと思います。

島本虎三日本社会党

○島本委員 従来から衛生管理者など現存しております。この活用ということも十分考えられてしかるべきだと思います。しかし、本法は一種の身分法、そして試験機関を委託さえもできるという内容になっております。そうすると、民法法人である日本作業環境測定協会、こういうようなものもつくるように懇切丁寧に体系をつくって、いわゆるめんどう見のよい法律だ、こういわれておるわけでございます。めんどう見のよい法律、これはいい半面があるけれども、その裏に何かの意図もあるのじゃないかということは当然考えられるわけです。したがって、この辺あたり具体的にしておいたほうがよろしい。その一つとして、労働安全衛生法を改正してやればできるじゃないかという所論もあるわけです。なぜこういうめんどう見のよい法律にしたのか。専門家に言わせると、めんどう見のいい法律だ、こういうようなことになっておるわけでありますが、この辺についての見解を明確にしておいてもらいたいと思います。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 この法律は作業環境の測定につきまして、作業環境測定士あるいは作業環境測定機関といった制度を設けました。それから、ただいま大臣がお答え申し上げましたように、労働安全衛生法で作業環境測定を義務づけられておる指定作業場につきまして、作業環境の測定を行なうときには、その事業主の雇用する作業環境測定士にやらせるか、あるいは第三者に委託する場合には作業環境測定機関に委託せよ、こういった内容を持っておるわけでございますが、確かに先生御指摘のように、これも広い意味では労働衛生対策の一環であるわけでございます。  それを安全衛生法の一部改正でやらないで単独法にいたしましたのは、一つは先ほど申しましたような作業環境測定法の内容がきわめて技術的、手続的な事項を含んでおるということ、それからもう一つは、それに関する条文も多数の条文にわたるわけでありますが、作業環境測定ということで一つのまとまった分野を形成しておる、こういうような立法技術的な面と、二つの面から単独法といたしましたわけでございます。  同時に、作業環境測定法という単独法をつくることによりまして、作業環境測定の重要性というものに対する世間一般の認識を喚起することにもプラスの面があるのではないかと思うわけでございます。しかしながら、労働安全衛生法が職場の労働衛生全般の問題を規定しておる。これはそのうちの作業環境測定の面の規定であるという意味においては、両者相関連があるわけでございまして、そういう意味では、両方はいわば姉妹法の関係にある、かように考えるのでございます。この法律の一条で「労働安全衛生法と相まつて、」という文言を入れておりますのも、そういう意味を表明をいたしておるものでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 なるほど労働安全衛生法と相まって、これは今後作業環境の測定に関して行なわれることになるわけでございます。いまの説明によると、まだ、この作業環境測定法という内容そのもの、これは作業環境測定士、それから作業環境測定機関、そして資格制度を設ける。そしてそれによって強化していく万全の体制であるとするならば、その程度ではやはり労働安全衛生法の一部改正でやれる範囲なんです。それをやらないでこれに踏み切った、こういうようなことであります。その意欲はわからないわけじゃないけれども、安全衛生法の一部改正で行なうべきものを、これと相まってというふうに特に抽出して、ここに踏み切ったわけです。そうすると逆に、作業環境測定士は衛生管理者、労働衛生コンサルタント、それから公害防止管理者などの既存のいろいろな制度と重複するおそれがないかどうか、当然重複するように思われる。これらとはどういう関係に立つものであるか、この際これもはっきりさせておいたほうがいいと思います。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 先生おっしゃいました衛生管理者とか労働衛生コンサルタントとかあるいは公害防止管理者といったような方々も、衛生に関する知識あるいは健康障害の防止に関する識見というようなことを必要とされる方々でありまして、その点は作業環境測定士もそういう知識、識見が必要ではございますが、ただ作業環境測定士の場合には作業環境測定という事柄からいたしまして、測定の対象となる有害物質その他の有害要因、あるいは測定対象事業場の態様などについての知識、経験に加えまして、作業環境測定のための適切なデザインあるいは精度の高いサンプリングあるいは分析など、測定機械に関する知識あるいはその操作等についての技術、こういうものを作業環境測定士の場合は特に必要とするわけでございまして、衛生管理者とかコンサルタントとかそういう方々も、労働衛生や健康障害の予防といったような一般的知識、識見のほかに、そういう技術、特殊な専門的な知識、経験、こういったものをあわせてお持ちの方もありますが、必ずしもそういう測定機械の操作技術あるいはそういう特別な機械の知識といったようなものもお持ち合わせでない場合もあるわけでございます。そういう意味で、衛生管理者やコンサルタントにやらせればいいじゃないかというわけにもまいらないのでありまして、そういう作業環境測定に伴う特別な測定機器その他に関する知識、経験、技術、こういうような面を特に必要とするという意味で、作業環境測定士は従来からございますコンサルタントや衛生管理者とは別個の資格制度といたしましたわけでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 そういたしますと、結局は作業環境測定士、それと衛生管理者、労働衛生コンサルタント、公害防止管理者、みんないままでは者になっているわけです。特に今度は武士の士になるわけです。そうすると、これは一体どういうようなことになるわけですか。これは労働安全衛生法と相まって実施させる法律であるならば、者でいいんじゃないか。士に位を高めたという意味なのか、それともこれは身分法であるから、あくまでも士にしておいてその方面に優遇するつもりなのか。また、ここに特別に何か意思するものがあるのかどうか。そうでなければ名称の不一致ということになりませんか。これはちょっと聞いておきたいと思うのです。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 衛生管理者とか安全管理者、それから先生いま御指摘の公害防止管理者等々、そういう一定の仕事を企業の中に置かれてする人は、一般に何々者ということばを使っておるわけでございます。作業環境測定士は、もちろん企業が自分の従業員に作業環境測定士の資格をとらせて、それによって自己の事業場の作業環境測定をさせる場合もございますが、同時に作業環境測定士は、企業の中にある場合だけではございませんで、たとえば作業環境測定機関に雇われるというような場合には、作業環境測定機関がいろいろな企業から作業環境測定の委託を受けますと、そこに行っていろいろな企業における作業環境測定を行なう、あるいはみずから作業環境測定士が測定機関にもなりまして、委託を受けてやる、こういうようなことでございまして、作業環境測定士は企業内だけの問題ではございません。そういうように不特定多数の事業場の仕事もするような場合には、普通、建築士だとかいろいろな技術士だとかいう士という名称を用いておりますので、作業環境測定士は企業内に置かれるだけでなくて、そういう不特定多数の事業場の依頼を受けてそういうことをやる場合もあるという意味におきまして、作業環境測定士という、さむらいの字をつけました名称といたしたわけでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 そうすると、これに対してまた二つの点で指摘される問題があろうと思います。一定の有害作業場の作業環境測定を行なう場合には、作業環境測定士または作業環境測定機関が実施しなければならないわけです。自分の会社でこの作業環境測定士が養成でき、または必要な機器を備えることができる大企業に対しては、これはまことに重宝すべきものである。しかしながら、自分の会社で測定できない、または事実上困難だという中小零細企業に対しては、これは経済的な条件と負担をしいることになりはせぬか、これが一つでありますけれども、この点に対してはどういうような見解をお持ちでしょう。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 安全衛生法六十五条で、指定作業場については事業主が作業環境の測定を行なうべきことを義務づけられておりますが、その事業主がみずから、外に委託しないで作業環境の測定を行なおうとする場合には、従業員の中で作業環境測定士の資格を持っている者をしてやらせるということ。それからその事業主が、対象物質ごとに定められました一定の測定機器を自分のところで利用し得る、こういうことが必要になるわけであります。そういう人的、物的な条件が整ってない企業におきましては、他のものに委託して行なわざるを得ないのでありまして、そういう人的、物的な条件が整っておる企業といいますと、先生御指摘のように、一般に比較的規模の中以上くらいのところがそういう条件を満たし得る。小さい企業でございますと、なかなか満たし得ない。したがって、第三者、すなわち、この法律によりますと作業環境測定機関に委託をしなければならないことになるわけでございますが、そういう場合に、それら第三者機関である作業環境測定機関に委託をせざるを得ない企業におきましても作業環境測定が円滑に行なわれるようにいたしますために、この法律におきましては、作業環境測定機関の測定手数料に関しましては、業務規程の記載事項といたしまして、そういうものは行政官庁の認可の対象といたしまして、適正な料金によって行なうことを確保することをはかっております。そういうこと。  それからもう一つは、私ども今後事業協同組合などの事業者団体が同時に作業環境測定機関の資格をも取得いたしまして、自分の組合等に加盟しておる零細中小企業を含む事業場のために作業環境測定を行なうような体制に行政指導によって持っていきたい、かように考えておるわけでございまして、それらのことによりまして、第三者機関に作業環境測定を委託せざるを得ない中小零細企業におきましても、大きな負担を負うことなしに円滑に作業環境が測定できるように確保してまいりたいと考えております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 第二番目のこれに対する危惧というか、以前、監督官が調査に入って帳簿を見る、こういうような単純な作業では今後なくなるわけであります。したがって、私どもとして、いま測定する機関があって、その機関を指定する、指定された機関を積極的に利用するようにしたい、この意図のようであります。  最近の公害関係の状態を見ると、まず一つの機関に対するグループというようなものがあることは御存じのとおりであります。そのグループというのは、これはたとえば三菱金属であれば、その中に十社を持っています。生産だけじゃなしに、公害防止に対するこういうような研究もしております。そうすると、子会社をまたつくります。そうなりますと、それを登録することになります。登録されて、法で定めて、その機関が測定できることになります。そうなりますと、一定の技術者を持っているところの機関、こういうようなものが連綿と元請、下請また孫請というような機関の設定さえも可能であるわけであります。そういうような点を考えた場合には、登録した機関を使うということに対してのリスク、危険がないかどうか。ことに東邦亜鉛、これはもう監督官や県が完全に技術的にごまかされた例がある。水を別な水にすりかえたり薄めたり、それから日本分析研ではデータの捏造事件さえもあったわけです。こういうふうにしてみると、技術的な問題であればあるほど、その問題に対してはまことに重大な要素があるわけですね。会社の系列もきちっとなるおそれがある。それと同時に、一定の会社のほうへやる、それがしょっちゅう行ってやっていますと、これは主従の関係になった場合には、往々にして技術を行使するがために、機械を行使するがために、それがやみからやみに葬られてしまうというリスクがないというわけではないというわけです。そのおそれは東邦亜鉛によって明らかになっています。この法律ができて、そういうような点はきちっとチェックするのでなければだめだと思います。それが可能でしょうか。こういうようなリスクに対してはどのような方策をお持ちでしょう。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 先生の御指摘は、企業のグループあるいは元請、下請関係等にある事業などにおいて、一定の企業系列等に属する作業環境測定機関あるいは研究機関等が測定を行なった場合に、公正な測定が確保されないおそれがあるのではないか、こういう御趣旨だと思うのでございますが、今回の法律におきまして作業環境測定士が、これは第三者機関である作業環境測定機関に委託する場合にも、その測定機関は作業環境測定士にさせなければならないことになっておりますが、作業環境測定士が虚偽の測定結果を表示いたしたりいたしますと、その登録を取り消されることになっております。同時に、作業環境測定機関としても、そういうことをさせますと、それは登録を取り消される、こういうような監督規定も設けておるわけでございます。  それからさらに、作業環境測定士が作業環境測定を行なうにつきまして、この法律によりますと、労働大臣が定める作業環境測定基準に従って測定をしなければならないことになっておるわけでございまして、恣意的なやり方で測定をすることがないようになっておること、それからさらに、作業環境測定機関が測定をいたしました場合には、その測定結果を記録してこれを保存すべきことに相なっておるわけでございますが、それらの事業場には、同時に、労働基準監督官が適時臨検監督をいたすことになっておりまして、臨検監督に参りました際には、当然、作業環境測定機関がいままで行なった測定結果の記録等も調べ、チェックするわけでございますので、もし適正でない測定がなされておったというような場合には、そういう際に労働基準監督官によりチェックすることも可能なわけでございます。これらによって私どもは、作業環境測定機関に測定を委託してやりましても、十分公正な測定が確保できる、かように考えておりますが、なお先生御指摘のような過去の事例のような問題が起きないように、この法律に測定機関に対するいろいろな行政監督規定もございますので、それを十分に活用いたしまして、それらの機関の監督指導をしていきたい、かように考えております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 いま言ったのは、いわゆる二つのリスクをちょっと言ってみたのです。そしてこの労働衛生については、科学技術の関係と産業界との間の結びつきが非常に強烈なんです。したがって、たとえばカドミウムの被害者が出ても、公害としてあらわれて住民運動になって、それが解決されてほどほどになったころに、企業内においての労働者の被害が発見され、問題化したという事例さえあるわけであります。したがって科学技術の学問が企業の影響を受ける、このことだけは過去の事例によってまことに強烈なほどあざやかです。企業によってコントロールされる。今度は役所によってコントロールされる。このいずれにこれはなるのか、いずれにしてもほどほどにしないといけないわけであります。あまり強烈な結びつきこれによれば過去にさかのぼる。同じような運営になっては何もならない。同時に、役所がコントロールするということになると、日本分析研のようなああいうようなことのおそれが、今度は下のほうで繰り返されてもわからない。あまりにも高度な技術である。まして放射線も測定するようなことになりますから、そういうような点を十分考えないといけないんじゃないか、こういうふうに思うわけです。したがって作業環境測定の中立性を確保するというような観点からして第三者機関——機関といえば少しなんですけれども、公的な作業環境測定機関です。これによる測定を原則とすべきではないか。これがやはり一番いままでのような配慮を欠くことがないようなやり方になるのじゃないか、こう思われるわけですが、この点いかがですか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 作業環境の測定ということは、使用者が当然行なうべき従業員に対する健康管理の一環である、そういう観点から、事業主が、作業環境の測定によって、自分の事業場のいろいろな有害要因の状況等を測定の結果把握して、みずから、もしそれに適正でない状態があれば、それを是正すべき意識を持つことにもなるわけでございますし、同時に、それぞれの作業場の実情は事業主が一番知っておるわけでございますから、そういう意味におきまして、労働安全衛生法でも、作業環境測定の義務というものを事業主に課しておるわけでございます。そこで、この法律におきましても、必ずしも第三者機関ばかりでなくて、各企業が自分のところの従業員で測定士の資格を持つ者に作業環境測定をさせることも認めておるわけでございますが、そこでその測定の公正を期せられるかという点につきましては、先ほど申しましたように、測定士や測定機関に正しい測定をしなかった場合の登録の取り消し等の行政監督規定を設けておるということ、それから、それらの測定士が測定を行なう場合には、この法律によりまして、労働大臣が定めた測定基準に従ってやらなければならないので、恣意的なやり方でやってはならないことに相なっておること、それから企業内の測定士が測定した場合におきましても、その記録を保存しなければならないことになっておって、それにつきましては労働基準監督官が臨検監督に行った際に十分チェックし得ること等によって、公正性が担保され得るものと考えておるのでございます。そういう意味におきまして、必ずしも第三者機関ばかりでなく、企業が自分の雇用する測定士の資格を持った者にも測定させることを認めることとしておるわけでございますが、その公正さについては十分それらの規定によって担保してまいりたい、かように考えます。  それからまた、国がコントロールすると、いろいろとそれに伴う弊害もあるではないかという御指摘もございましたが、たとえて申しますと、測定をやる一番基本となる、労働大臣が定める測定基準等につきましては、これは公正なその道の専門家の御意見を十分に聞きまして、それによって測定基準等を定めるようにいたしたい、かように考えておるわけでございまして、それらによりまして十分公正な測定を確保するよう努力いたす所存でございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 そうなりますと、ここでまた一つちょっと聞いておかなければならないのでありますけれども、作業環境の測定結果について、これはもう労働者にも十分周知させなければならないのではないか。同時に、現在までのところでは、それをはかって、きちっと書類にするかデータをとっておけばよろしい、そしてそれをいまの監督官が臨検に行くとしても、一年に一回行けたら、どんなものですか、いいほうじゃありませんか。そういうような状態のもとに、ただきちっとデータだけを整えておけばよろしいというような考え方こそ安易にすぎないか。したがって、そういうような場合を予想して、その結果については監督署に報告させるとか、あるいは監督機関によってチェックをするとか、こういうような一つのやり方を導入するのでなければ、現行の法律とほぼ似た体制です。やはり公害関係の資格者はいろいろな調査をいたします。たとえばばい煙でも、こういうようなものはかってに出すことができないから、公の機関、資格を持った人が行って調査をすることになっております。ただし調査をしても、その調査データをそのままその企業主にやっておくだけなんです。したがって、もうあとからそれを点検に行かなければ一年でも二年でもそのままの状態が続くというようなのが、現行公害法によるところの一つの内部のしかたになっておるわけです。どうもこういうような状態にしておいて、そのあと追いをまたこの新しい作業環境測定士なる者がこれを行なうようなことであっては、これは何の進歩もない、こういうようなことになるじゃありませんか。したがって、やはり変わった状態がある場合には直ちに、これを業者に知らせるのはもちろんですけれども、そのデータをやるのはもちろんですけれども、これはやはり監督機関にもその通告の義務を与えておいたほうが一番いいのではないか。そうでなければ、いままでと同じようなことになってしまうおそれがある。この危険性に対しての配慮はどのようになされていますか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 作業環境の測定をいたしました結果、これは法律によりましてその記録を残し保存しておく、かようなことにいたしておりますのは、随時監督官が臨検検査等に行った際にそれをチェックして十分に監督する、こういうことによってその測定結果を労働者の健康管理のために確保するということでございますが、同時に先生御指摘のように、その測定結果というものは作業環境の良否の判断の基礎となるわけでございまして、そこの作業場で働く労働者の健康に非常に関係のあることでございます。したがいまして、先生御指摘のように、その結果につきましては事業主に知らせることは当然でございますが、事業主はできるだけ労働者にこの結果を知らせるように指導いたしたいと思いますし、さらに私どもは今回の法律が成立いたしましたならば、省令等の規定によりまして、その測定結果は企業に設けられます労働衛生委員会、労使の委員でなります労働衛生委員会の付議事項にさせたい、かように考えております。したがいまして、その測定結果を労働者代表も入っておる労働衛生委員会で承知をして、その結果必要な処置をとるべきものはとる、あるいは労働者代表の方々がそれについて十分に審議をしていろいろな改善意見等を出される、そういうことに利用し得るようにいたしたい、かように考えておるところでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 いまやはり、データをきちっとしておけばよろしいというその範囲を出ない。もし危険なものまたは異常なる数値が出たりした場合には、労働安全衛生委員会のほうで、労使も入って運営しているのであるからそこでわかるじゃないか、こういうようなことです。これもまた故意に考えて、そっちのほうに付議しない場合もあり得るわけだ。  したがって、この臨検検査に行ける体制は、いまの監督官をして全工場の数とからみ合わせて、何十年に一回行けることになるのですか。その平均、どういうようになりますか。この点についてどうお考えですか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 現在監督官の数は全国で約三千人でございまして、事業場数は全部で約二百七十万でございます。したがいまして単純に計算いたしますと、十年に一度ぐらいしか行けないのではないかという御批判があるわけでございますが、私ども確かに現在の人員で十分だとは考えておりませんけれども、これを運用するにつきましてはできるだけ重点的に監督官の監督というものを行なわせるようにいたしておりまして、特に作業環境測定の義務が課されているような有害物を取り扱っている、あるいはその他の有害要因のある事業場は優先して監督させるようにいたしておりますので、そういうような機動的な運用によりまして、できる限りそういう事業場には濃密な監督をしてまいりたいと考えております。  なお、それと同時に、いままでも努力してまいったところでございますが、私ども監督官や安全専門官、衛生専門官、こういう方々の数はいまの状態で十分とは考えておりませんので、今後ともそれらの人員の増員確保につきましてはできる限りの努力をして、必要な人数を確保するようにしてまいりたいと考えておるわけでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 そこなんですよ。したがって、データをそのまま保存しておけばよろしい、臨検検査にあとから監督官が行って調べます、そのままの状態で一年も二年も寝ている、十年も二十年も寝ている、こういうようになったら、その間にやはり従業員の健康はだんだん侵されていっていたのがいままでの状態。法律を新たに出したら、その状態もあわせて改善するのでなければ画竜点睛を欠くんです。同じような状態にあってやはり同じような臨検や点検だけするというような、こういう態度じゃいまの監督官だめですよ。やはり何かほかに問題があるんじゃないかと思われてもしょうがないじゃありませんか。本来ならば、これは労働省自身がこれを行なわなければならない。それをこういうように企業内の人にやらせる、そういうことによって人減らしのようなこういう作業を期待してはならない。同時に、本来ならば労働省自身がこれをやって、いつでもこれを摘発できるような体制のほうが正しいし、それほどの技術者が最近のこの情勢の中で必要なんだ。ところがこの労働省自身、これに対してはもうほんとうに何といっていいんですかね、届け出をただ点検に行く、臨検に行く、十年に一回か十五年に一回の数にしかならない、こういうようなことになると監督行政をおろそかにすることにつながりはせぬか、そして自分の人減らし、人の足りないのを企業の責任、労働者の責任にして、おまえらにやらせる、そういうような結果がいまのこの法律の内容にあるとしたならば、これはちょっと問題だと思うのですが、そういうような意図はあってはならない。したがって、このデータの届け出の義務づけというようなのが当然考えられてしかるべきではないか、こう思うのです。持っていくのですから、それを見なければならない。来るのを待っていたら十年、十五年に一回しか来ない。濃厚点検をやるにしても人員が足りない、超過勤務時間、こういうものに対しての原資も足りないということになったらどうなりますか。やはりこの人減らしにつながるような行為をしてはならないということ、現在そのまま運営したらこのおそれも考えられはせぬかということ、したがって義務づけあたりに対してどういう考えであるか、ここもひとつはっきりしておこうじゃありませんか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 測定結果を一々監督機関に届け出ていただきましても、非常に数が多いわけでございまして、届け出られたもの、数字だけを見てもはたしてそれが適正な測定をされたかどうか、それだけではわからない、やはり臨検監督をして確認しなければならないわけでございます。そこで届け出の有無というよりは、まず第一には事業主が、測定結果によってもし異常な結果が出ればみずから作業環境の改善をはかるべきことが当然でございますし、また事業主だけにまかせておいては十分なことができないおそれがあるという場合もございますので、先ほど申しましたように省令によりまして、その測定結果は労働者も入っておる労働衛生委員会の付議事項といたしまして労働者がそれを監視すると申しますか、結果を承知して必要な改善措置を要するど思えば衛生委員会の中で取り上げて、企業の中でこれを処理していく、こういうことが実際的だ、かように考えるのでございますが、さらにもちろん国としても適正に行なわれていることを確認することが必要でございまして、それについてはやはり現場に行って、測定結果がどうであるか、現場に臨んで確認しなければ効果がないと思いますので、臨検監督を、先ほども申しましたように、特に有害な物質を取り扱っている作業場につきましては今後ぜひとも強力に推進してまいることによりまして、御懸念のような事態を起こさないようにしたいと存じます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 大臣、三千人の監督官に二百七十万をこえる工場です。もしこれを平均にやっても、十年間に一回またはそれ以上に一回ぐらいしか工場へ行けない。届け出の義務もなしに、ただ保存しておけばよろしい。これは衛生委員会に付議事項にしておくから、労働者も中に入って監視ができるじゃないか、こういうようなことです。科学技術の関係になればなるほど、産業界との影響というか関係がまことに深いんだ。先ほど言ったのはそれなんです。したがって、その中であらわれた事象によると、これは公害です、放射能とかそういうのが外に出て、その付近の人、いわゆる国民に損傷を与え、それが大きい社会問題、公害問題となり、その問題が取り上げられたあとの時点で工場の中の労働者の被害が出てくる。こういうふうになかなか密接だ。このことを言っていたのです。これがやはり実態なんです。これはもう何としてもいたしかたがないであきらめてはいけない問題でありますけれども、それにいたしましても、そういうような実態を救うのが今度の法律だ、そういう期待感を持っているわけですが、監督官は三千名、ただチェックするだけで行くにしても十年間に一回ぐらいしか行けないような状態では、せっかくつくっても画竜点睛を欠くので、この人員配置体制だけはこの法律とともにもう一回十分検討しないといけないし、増員もしかるべく考えなければならないんじゃないか。そうでなければ画竜点睛を欠きますよ。この問題に対して、大臣、人員の確保をする、と同時に、それらの人に化学的な知識を十分与える。私もわからないのですが、あのカメの甲のような化学的な知識を十分備わった人もいるのでなければ点検もできないと思います。社会労働委員会の名理事である川俣さんのようにその方面に卓越していれば最もいいわけですけれども、それにいたしましても、そういう監督官が少ないのは、私どもとしては画竜点睛を欠くおそれがあると思います。したがって人員配置の点、どう考えるか。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 こういう新しいものができたときに、それぞれの現場におる労働者の諸君が環境についてあらためて見直すという一つのメリットもあろうと思います。また事業所が二百数十万という話もありましたけれども、有毒なものを扱うのが大体六万事業所ぐらいで、もちろん三千人の監督官では少ないこともわかりますが、これは何といたしましても、そういう有毒なものからお互いを守っていくのが私たちの役目でもありますし、一方また現場に働く諸君が安全委員会等々も活用されながら、こういう法律ができたときに、自分たちで守っていくという雰囲気をおつくりいただきたい。もちろん私は三千名で足りないことはわかりますから、皆さんの御協力を得て増員については将来とも大いに努力していきたい、こう思います。

島本虎三日本社会党

○島本委員 将来ではだめです。すぐにです。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 承知しました。

島本虎三日本社会党

○島本委員 ほんとうにこの法律施行と同時に考えないといけない。これが通ったならば、大臣、その責任がある。(長谷川国務大臣「はい」と呼ぶ)いや、はいじゃ済まない。これは重大な責任があるということだけははっきり申し上げておきます。  これと、もう一つあるのは、国が作業環境測定の能力を公証した者である、こういうような権威づけによって、今度は逆に別個の労働者の健康管理の問題が事業者によって押えられるようなことがあっては困る。優秀なる能力を公証した者であるからこの関係は間違いないんだ、そこから出てくる病気なんかあり得ないんだ、したがってこの病気は労災の適用を受けないとか、その他いろいろな不利益なことを労働者に与えるようなことがあっては困るし、事業者によって押えられるようなことがあれば、逆にこれはマイナス面になろうかと思うのですが、その辺に対する配慮はどうでしょうか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 この法律によって定められます作業環境測定士あるいは作業環境測定機関は、国によって一定の能力が担保されておるわけでございます。その意味では、先生おっしゃるように、その結果については一定の権威が与えられているわけでございます。   〔委員長退席、葉梨委員長代理着席〕  しかし、それらの測定士等が測定をいたしました結果特に問題がなかった事業場におきましても、現実に職業性疾病が発生いたしまして、それが業務に起因するものであります限りは、労働基準法や労災保険法によりまして業務上の疾病として認定され、そうなれば事業主はそれらの法律によって災害補償その他必要な措置を講じなければならないことはもちろんでございまして、この法律によって作業環境測定関係の法制が整備されたからといって、個々の労働者の健康障害問題がそれによって押えられるということはないわけでございますし、それら個々の労働者の健康障害につきましては、今後とも十分保護されるように努力してまいりたいと考えております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 先ほどからいろいろ言ってまいりましたけれども、私がこの問題の中で心配なのは、この法を実施したあとで、監督機関の測定能力がまだ貧弱な現状の中で、今度は測定士並びに測定機関というものによって結果の正確性を期さなければならないことになるわけです。それを担保するのでなければ何にもならないということになります。そうですね。この場合に、特に環境庁あたりでも、公害行政を見ておりますといろいろな条件があります。条件がある中で正確性に対するチェック、これが一番問題になっているわけです。機械を使う場合に、全国津々浦々まで、どのような機械を使い、どのような人がやっているか。能力にも違いがあるでしょうし、もちろん機械にも違いがあるはずです。そういうふうになってみますと、ここではっきり公の測定というものをするのでなければ、いたずらに企業側に有利にされるおそれさえないわけではございません。したがって、正確性のチェック、これをどのようにして考えるのか。いま医師会のほうと厚生省のほうでは精度管理方式なるものをやっておるわけです。これはきめられた一つの条件で、一つのものに対して全部やってそのデータを集めるわけです。ただし、それも、やるぞといってやるのじゃないのです。出し抜けにそれをやらせるのであります。出し抜けにやらして、全部同じようなデータをとる。それがほとんど違っているわけです。それに対して、どのような状態であるかということで、正確性のチェックをしているわけであります。今度労働省もあらためて、作業環境測定法案なるものが成立して、公の機関だけじゃなしに、機関に委任さえできる。自分の工場でその機関を持って実施もできる。こういうふうになると、その正確性に対するチェックというものは重要になるわけであります。これに対してはどういうようにして担保しておりますか。

中西正雄労働省労働基準局安全衛生部長

○中西政府委員 先生おっしゃいますように、測定の正確性を期するということは非常に重要な点でございまして、作業環境の測定は労働者の健康にとって適正な作業環境を確保するために行なうものでございますので、いま御指摘の高度の精度が要求されるわけでございます。このためには作業環境測定機関は登録の要件としまして一定の機器の備えつけが必要であることは言うまでもございませんが、さらに測定機器の精度及び測定士の技能を確認するための先生御指摘のクロスチェックを行なうことにいたしております。さらに業務規程に機器の保守管理のための定期自主点検の実施及び公的機関による機器の定期検定について規定させまして、その実施を監督指導の際にチェックする等の措置を講ずることによって機器の保守整備を確実にやらせてまいりたいというふうに考えているわけでございます。  なお、測定に関する新しい技術が開発された場合、あるいはその後の定期に行なうことを予定しておりますクロスチェックの結果等から見まして必要があると認められるようなときには、作業環境測定士に対しまして研修を受けるように指示することによりまして測定士の能力の確保、技術の向上につとめてまいりたいというふうに考えておるわけであります。

島本虎三日本社会党

○島本委員 これは大臣が言ったことと相通ずる点が一つあるのです。この体制の中ではそれができないということ。徐々にそれをやっていくというなら私は了解できるのだが、これは衛生対策の根っこになる法律案であるということ。いま労災関係は全部事業家の責任ということで法律の体系づけがきちっとなっているわけです。これは公的な機関、そっちのほうにやって、また労働者自身も責任をもってやるというのが大臣のこれからのお考えのようでありますが、いまの法律の体系の中では、これは全部業者の責任としてきちっと配置されているのです。ただし、中国のほうへ行ってみますと縦、横の点がきちっとしてまして、老人、壮年、青年、縦の線はこれらをもって三結合しています。工場や地域のほうに行くと、今度は指導者と労働者とそれから使用者、この三結合によって、すべての公害はその責任によって排除するように義務づけられているわけであります。これは体制が違います。社会主義の体制ではそれをやっていますから、私の見た範囲では、上海その他ではやはりりっぱな環境でした。そのほか上海では、あそこは井戸水を千百八十何カ所からくみ上げているので、ここ数十年の間に二メートル三十七も地盤沈下したのが、いま逆に十六ミリメートル上がっている、こういう状態さえもやっているわけであります。体制が違う、こういうような管理の体制をやると、そういうふうなすばらしい発想も生まれるわけであります。日本の場合にはそこまで一ぺんにいかないです。これは社会党が天下をとった場合に可能なんです。だけれども、いまの体制ではそれはまだ不可能であります。しかし大臣はいま、こういうふうにして労使の中でこれを解決するようにいったならばいい。もし指導者と労使の中でやらせるということになったら、これはいまのやり方ですよ、地盤沈下まで上げられますよ。ですから徐々に体制はそっちのほうにいっている。ただしこの法律の一貫したものは使用者の責任企業家の責任として全部義務づけられておる。これから一歩も踏みはずせないし、その責任を他に転嫁することもできない、こういうふうなことになっているわけであります。したがって、この責任を今後転嫁するために作業環境測定士なるものをつくり、その方面に責任転嫁を与えるのかどうか。これらについてはいかがなものですか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 安全衛生法におきましても作業環境測定義務は事業主に課されているわけでございまして、基本的には事業主にその責任があるわけでございますが、事業主がその責任を果たすにつきましては、やはり国が能力を担保した作業環境測定士、こういう者を使う等々によりまして、事業主が公正にその責任を担保するようにさせたい。それを国がいろいろな監督によって監督していく、それを担保していく、こういうことで正確な作業環境測定がされ、その結果によって作業環境が良好な状態に改善されるように持っていきたい、こういうことでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 時間がだいぶ詰まってきて、この点もっと詰めたいのでありますけれども、これを詰めるほうはあとから多賀谷先輩にお願いすることにして、やはり作業環境という環境がいままでのところは十分だと思われているところにいろいろな病気、いわゆる頸肩腕症候群なるものも出ているわけです。わりに作業環境はりっぱだ、こういうようなところにさえも出るわけでありますから、今後こういうようないわば粉じんであるとか鉛であるとか、それから放射線であるとか有機溶剤であるとか、またはもう一つ特定化学物質ですね、こういうようなものに対してはほんとうに特別配慮しないといけないと思います。しかしそれにしても労働基準法施行規則の第三十五条の内容で、頸肩腕症候群等に対しては何か現状に対応していないような気がするわけであります。また最近では頸肩腕症候群は、環境のいいと思われる職場でも多発の傾向があるわけであります。これは本法と全然関係がないわけでもなかろうと思いますが、最近のこの情勢の中からして、規則に当然明記してこの問題は解決をはかるべきじゃないか、こう考えられるのでありますけれども、本法に関連して頸肩腕症候群の問題についてお答え願いたい。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 先生御指摘のように、近年新物質に起因いたします中毒あるいはいろいろな作業のための機械、技術革新の進展に伴って頸肩腕症候群その他の新しい作業動作に基づく健康障害、こういうものが見られるわけでございますが、労働基準法施行規則三十五条はかなり基準法制定直後の古い時代に制定いたしましたままになっておりまして、新しいものはその三十八号の「その他業務に起因することの明かな疾病」等の条項によりまして業務上の疾病として処理をいたしておりますが、そういった最近の事態に対応すべく、労働基準法施行規則三十五条の見直しについて今後検討してみたいと考えておるところでございまして、御指摘のような頸肩腕症候群につきましてもその中で検討したいと考えて、ただいまいろいろなそのほうの専門家の御意見等も聞いておる次第でございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 この作業環境測定士法、これに関連して新たな予想もしていなかった頸肩腕症候群、この環境は決して悪いということになっておりませんが、速記の皆さんの中にもこれが出て、もうすでに認定をされている人さえも出ているのです。この環境は悪いでしょうか。まあ悪いには相違ない。いいとはいえない。しかしながら普通の環境であっても出るというようなことで、この作業環境測定士法の運営は今後相当化学的な知識、これに満ちたような運営をするのでなければならない、こういうようなことを特に申し上げておきたいのであります。それと同時に、頸肩腕症候群もこれによって発生しておる。これも今度新たに三十五条の内容等についても今後皆さんのほうで見直しをしたいということでありますから、一つの措置としてそれは評価すべきである。ぜひこれをやるべきである、こういうふうに思うのです。  それで、労働省では専門家会議を設けて認定基準の改定について検討している、こういうようなことを聞いております。罹病者は最近まことによけいになってまいりましたから、救済は焦眉の急です。そして早急に結論を出すべきでありますけれども、この状況はいまどうなっているんですか。それと同時に、電話交換手の頸肩腕症候群についてはどのように検討しておりますか。この点もひとつお答え願いたいと思います。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 御指摘の頸肩腕症候群の認定基準につきましては、現在も認定基準があるわけでございますが、先生御指摘のように、以前はキーパンチャー等が主でございましたのが、その後いろいろな新しい職種にも頸肩腕症候群が発症してきておる、また作業態様もいろいろその後変わっている、医学的にもまたそういう面の医学が進歩してきておる、これらのことにかんがみまして早急に現行の認定基準をもう一度再検討いたしたいと考えまして、昨年そのための専門家会議を設置いたしまして、その検討に着手しておるところでございます。この専門家会議におかれましては、現在鋭意検討の努力をしておられますが、何ぶんにも医学的に未解明の分野がこの問題については多く、まだ結論を得るに至らず、現在小委員会において問題点を煮詰められつつあるわけでございます。しかしこの小委員会の作業もそう遠くないうちに終了する予定でございますので、その小委員会の結論が煮詰まれば、それを受けて専門家全体会議も近く開催して、なるべく早くこの問題の結論を得たい、かように考えておるわけでございます。  御指摘の電話交換手の頸肩腕症候群につきましては、先般電電公社で専門家のプロジェクトチームをつくりまして、一応電電公社における問題についてのレポートを出されております。私どもは、私どものほうの専門家会議でも、その電電公社のプロジェクトチームのレポート等を提供いたしまして、これを参考として、それらを含めて御検討を願っておるところでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 委員長のほうから時間が経過したからもうやめろという厳重な注意であります。まだ残すのがあるわけですが、じゃこれで終わるわけでありますが、なごり惜しいのが一つあるのです。  先ほどからいろいろ質問しましたが、答弁になったようでならないのは公害関係の法律、労働安全衛生関係の法律。公害関係になりますと環境庁や運輸省や通産省や、違った官庁が所管しているそれぞれの法律がありますが、それぞれの名称は者であり士であり、いろいろごっちゃになっているわけです。今度の場合は、これが士であります。しかしまだ、者がいろいろと残っているわけであります。こういうようなことについて今後やはりきちっとした体制を大臣において考えて、せっかくここてこの法律か出たので——この法律そのものはほんとうにめんどう見のいい法律です。めんどう見のいい法律であるだけに、そういうような点においてはひとつはっきりした点をやっておかないと、労働省は依然として、この法律をつくり退職官僚がみなこの中に入ってしまうための一つの隠れみのである、こういうように言われかねません。したがって今後そういうような運営に対して十分注意すること、それから閣議のほうにもはかって、者と士、この問題に対してき然とした態度をひとつ今後検討しておいてもらいたい。このことを心から要請申し上げるとともに、十年に一回しか監督官が行けないような状態では不足ですから、この法律を通すのと同時に、人員の配置は十分考えるべきこと、この点に異議があったならば私は質問をやめませんが、大臣の決意を聞いて私はもう終わりたいと思います。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 おっしゃるとおりで、一つも御異議ありません。その方向で一生懸命がんばりたいと思います。

島本虎三日本社会党

○島本委員 では終わります。

葉梨信行自由民主党

○葉梨委員長代理 多賀谷真稔君。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 引き続き作業環境測定法案について質問をいたします。  いまの島本さんの質問に引き続いてですが、まず第一に、労働安全衛生法に基づいて労働省はどのくらい免許試験があるわけですか。この作業環境測定士を除いてですね、現行法で一体どのくらいの士とか者というものの試験をやっているのか。

中西正雄労働省労働基準局安全衛生部長

○中西政府委員 正確な数字はいま資料がありませんのですぐ出ませんけれども、二十前後と思われます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 労働安全規則の免許試験、六十九条ですね、衛生管理者免許試験、高圧室内作業主任者免許試験からずっと十七の潜水士免許試験、これには士も者もあるわけですね。そうでしょう。これは労働省の所管で試験をしているわけでしょう。どうですか。

中西正雄労働省労働基準局安全衛生部長

○中西政府委員 労働省で試験をやっております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 先ほどから島本さんが聞いておりましたが、どうも今度は作業環境測定士というのが、いわば単独立法で出てくるわけですね。いままで十七も労働省は試験をして、その中に者もあり、士もあるわけです。ですから、何かもう少し統一したらいいと思うのですよ。一体作業環境測定士というのが——測定法ですけれども、単独立法になるだけの価値があるのかどうか。私は仕事上は価値があると思う。しかしそういうことが予想される条文は労働安全衛生法の中にあるわけですね。試験の問題も講習の問題もみなあるわけですよ。ですからこの中に一項、作業環境測定士と、それは一級、二級もあるでしょうが、とにかく入れれば大体事足りるわけです。それから、いやもう一つ必要です、それは作業環境測定官というものが必要ですというならば、それだけはまた別に労働安全衛生法の中に入れればそれで事足りると私は思うわけです。それを法律をつくって、しかも労働安全衛生法とあまり違わないような技術的な法律をつくる一体必要があるのか、ないのか。私はどうも立法をする側からいっても、この種ぐらいで法律を出してもらいますと、この法令集がますますかさばってしまうという感じがするのです、率直に言いますと。これは一体どういうふうにお考えですか、局長から御答弁願いたい。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 先生御指摘のように、安全衛生法でいろいろな名称の資格を定めております。そのうち安全管理者とか衛生管理者、これは安全あるいは衛生についての管理責任者でございます。したがって安全衛生法の、まさに企業の管理責任者という意味で法律の中に直接規定をいたしております。そのほかいろいろな規則で二十くらいあると申しましたが、たとえばボイラー溶接士であるとかクレーン運転士であるとか、あるいはたとえば発破技士であるとか、そういうようなたくさんの資格が規則にございます。しかしながら、これはそれぞれ特定の業務を行なう者について、安全上あるいは衛生上一定の資格要件を課しておるのでございますけれども、今回定めました作業環境測定士というのは、そういう特定の業務ということではなくて、全体の事業場につきまして有害要因を持っている事業場の環境測定、こういうものは全般に関連するものでございます。そしてそういう全般の作業環境の測定をするということは、やはり健康障害から労働者を守るという場合におきまして作業環境いかんということが一番問題でございまして、測定はまさにその基礎をなす重要なものであるのでございまして、さっき申しましたボイラー技士であるとかあるいはクレーンの運転士であるとかいった、個々の特定の業務だけの安全等に関連するものよりは非常に広範、重要な意味を持っておる、かように考えるのでございます。そういう意味で、今度単独法で、その資格あるいは業務の実施について、労働大臣が定める作業環境測定基準によってこれを行なうような義務規定、あるいは第三者としてその委託を受けてやる作業環境測定機関、こういうものが公正に行なわれ、過去にはほかの面でいろいろな不祥事が起こっておるようなことがないように、それらについても十分な監督体制を確立していく、こういう問題でありますので、作業環境測定という広い意味の労働衛生の分野ではございますが、一つのまとまった分野を形成しておるということ、しかもそれが非常に技術的な特殊性を持っておるということ、条文も、先ほど申しましたような意味で多数にわたる、こういうような意味におきまして単独法といたしたわけでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 たとえば作業環境測定者、こう言ったら、それはいま作業環境をやっている、職務についている人、こういうことになるのですね。それから、士というと、資格はあるけれども、必ずしもその職務にはついていないという場合もある。ですから、私は者と士の違いというのはよくわかるのです。しかし、測定者ということで国家免許をやってもいいんじゃないか、こういうふうに思うのです。あるいはもう少し厳格にいうならば、作業環境測定士が、その当時は作業環境測定者になるんだ。ですから、おのずからそこに二分してもいいのですよ。資格を持っておる者と仕事をやっておる者と二分してもいいのです。二分してもいいのですけれども、何か——重要ですから私も一がいに否定できないのですけれども、しかし法技術上非常にバランスがとれていないんじゃないかという感じがするわけです。  そこで、私は通産省にちょっとお尋ねしたいのですが、あなたのほうは、特定工場における公害防止組織の整備に関する法律、これは、いわば労働安全衛生に対する内部組織と同じように、公害に対する内部組織の法である。ですから、労働安全衛生法とそういう面においては大体同じ形態をなす法です。そこで通産省のほうは、先ほどからありましたように、公害防止管理者あるいは公害防止主任管理者というようになっておりまして、その公害防止管理者のおのおの職場についてずっと資格要件があります。そういうようにして別表でその資格要件を定めておる。もし労働省のいうような法体系にするとするならば、むしろあなたのほうも逆に公害環境測定士を置いたらどうか。あなたのほうはその必要がないかどうか、それをお聞かせ願いたい。一方は内部的な自主整備といいましても、与える影響は、労働省もたいへんですが、第三者に与える影響もきわめて大きいといわなければならない。ですから、公害の場合は、第三者に与える影響が大きいわけですから、むしろこれも厳格にやらなければならない。そうなると、通産省のほうも、やはり同じような歩調で公害環境測定士というものをお定めになったらどうか、こういうふうに思うのですが、どうですか。

黒田真通商産業省立地公害局公害防止企画課長

○黒田説明員 お答えいたします。  私も先生御指摘のように、現在いろいろな資格者について、士と申しましたり、師もございます、また者とも呼んでおる、それらの厳密な使い分けにつきまして必ずしも十分に承知はいたしておりません。ただ、特定工場における公害防止組織の整備に関する法律というものは、企業内での公害防止組織、大気汚染防止法でございますとか水質汚濁防止法等でいろいろな規制がかかっておりますが、その規制が円滑に運営されているかどうかということを企業の、工場の側からもしっかりそれを整備していくために、まず工場長を公害防止統括者ということで、具体的な義務は法律に書いてございますけれども、まず任命をいたしております。この段階では必ずしも何らかの技術的な資格を必要とはせずに、その工場自身についての統括管理をする責任を持っている者というものを公害防止統括者としてあげておる。そしてその下に、個々の技術的事項を行なうために一定の国家試験等によりまして資格を付与された者につきまして、公害防止管理者というものを選任をいたすことにしております。したがいまして、この法律でいっております公害防止管理者というのは、その工場の中の管理者だというほうに着目をして名前をつけましたので、あるいは管理者ということになろうかと思います。先生御指摘のように、資格を持った人を管理士と呼んだほうがあるいははっきりしたかと思いますが、私どもは、管理者たるの資格を有する人というような呼び方で、そこを区別しておるわけでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 その点は大体同じなんですよ、労働安全衛生法もそれから特定工場における公害防止組織の整備に関する法律も。ただ、ちょっと違う点はありますけれどもね。やはり労働安全衛生法でも総括安全衛生管理者というのがある。それからこれは衛生管理者と安全管理者がおる。通産省のほうの、特定工場における公害防止組織の整備に関する法律は、おっしゃいました公害防止統括者、それから公害防止管理者の上にさらに主任管理者がおって、一般の管理者がおる、こういう形ですから、それはいいわけですよ。ただ問題は、労働省のほうはそのデータを正確にするために測定士というのを置きました、こういうことです。それを置こうとしておりますというわけです。そうすると、あなたのほうも、内部とはいえ——これは労働省のほうも内部の問題ですよ。工場内部の話をしておる。あなたのほうも、内部組織ですけれども、いろいろな公害問題が起こったときに、これは当然データが要る。そのデータは正確かどうかということになれば、ただ管理者だけでなくて、一つ測定士というものも必要ではないか、こういうように思うのですがね。どうでしょうか。

黒田真通商産業省立地公害局公害防止企画課長

○黒田説明員 先ほど申しましたように、私どもその技術的な資格につきましては、公害防止管理者試験に合格した者あるいはその他政令で定める資格を有する者、しかも、ほかの法規によりまして一定の資格を持っておられる、たとえば技術士等につきましては、この法律に基づきます試験を受けませんでも、この管理者たる資格を与えておるというような関係で、いろいろ利用しておりますので、特にこの際私どもが公害管理士というような一つの資格、特に特定の名称を設ける必要は必ずしもなかった、それは資格を有する者というようなやや一般的な名称で呼んでおるというふうに御理解いただきたいと思います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 管理の面については労働省も改正をする気持ちはないのです。問題は、測定について士を置こうというわけです。ですから、私は、労働省と通産省の法律との関係を言うならば、公害防止管理者についていま改正をしなさいとは言っていないのです。そのいわばデータを正確に——これは職員であってもいいのですけれども、若干第三者的立場に立ち得るのではないかというところの希望を、私は今度の法改正に持っておるのですが、士という資格を置いて、測定については、とにかくだれが測定してもこれは必ずしも会社の意向が入って測定したんじゃありませんよという測定士というものが必要ではないか。これは社内の自主体制の機構の一部でありますけれども、若干でもそこに公正さが期せられるんではないかという気持ちがするんですが、どうでしょうか。

黒田真通商産業省立地公害局公害防止企画課長

○黒田説明員 私は、御指摘のようなことはあろうかと思います。しかし本法、公害防止組織の整備に関する法律というものは、もちろん、ばい煙、汚水等の測定がこの主要な業務にもなっておりますが、そのほか原材料の検査というようなものも、それから施設の配置の改善というような技術的事項も含んでおるということでございます。先生御指摘のように、もう少しそれを客観化するようなかっこうで一定の資格を与えるという御意見、まことにごもっともな御意見のようにも思います。これは一つは、現在の大気汚染防止法でございますとか、水質汚濁防止法というものが事業者に測定を義務づけております。事業者のほうは、その測定の義務づけをみずから行なうのが一応のたてまえでございますが、もちろん、これを第三者に委託をして客観性を確保するということもあろうかと思いますが、あくまでも事業者に課せられた義務であるということで、内部組織の域を残念ながら出なかったということではなかろうかと思います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 労働省のほうも、あくまでも内部組織なんですよ。局長は、さっきの島本さんへの答弁で、若干、機関に委任するのを原則のようにおっしゃいましたけれども、法律の体系からいうとそうなってない。法律の体系からいうと、やはりその測定士にやらす。その測定士は職員だというのが大体……。しかし、中小あたりで、その測定士の資格を有する職員を雇えないような場合に、むしろ第三者に委任をして測定してもらう、こういうシステムになっておるわけです。まあ、それがいい悪いはちょっと私も疑問を持っておる。むしろ第三者を先に出したほうが原則としてはいいんじゃないかという気持ちはありますが、それは別として、立て方は同じになっているのですよ、おっしゃるように。通産省のこの公害防止の関係の法案も同じになっておる。同じになっておるなら、やはり自主的な義務の中で測定士というものを置いて正確なデータをとろうという意図ですから、公害の場合も何ら変わりがないんじゃないかと思う、その点においては。ですから、公害こそむしろ私は測定士というものが必要ではないか、こういうように思うのですが、どうでしょうか。

黒田真通商産業省立地公害局公害防止企画課長

○黒田説明員 おっしゃいますとおり、公害関係のいろいろな汚染因子の企業におきます測定というものは最も重要なことでございまして、先生おっしゃられましたように、もう少しその測定を客観化すべきではないかという御意見につきましては、私どもといたしましても十分今後検討させていただきたいと思います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 法律を出しますときに、通産省と当然合議をしておると思うのですが、どうもばらばらに出てくるわけですね。非常に私は残念に思う。  それから今度例の計量法の改正で、計量士の中にそういう物質を計量する資格を与えるということになっておる。しかし、これはあくまでもこの計量士というのは、いわゆる業とする者、そういうものを業とする者の資格を主として考えておる。でありますから、今度の労働省の法案でいきますと、いわば作業環境測定機関、これのような役割りをすることになっておるわけですね。ですから、そういう点を考えてみますると、やはり歩調を同じようにするには、ひとつ通産省のほうにも、内部機構としてもけっこうなんですけれども、国家試験を持つ環境測定士というものが必要ではないか、こういうように思うのですが、もう一回どうですか、くどいですけれども。

黒田真通商産業省立地公害局公害防止企画課長

○黒田説明員 ただいま御指摘がございましたように、先ほど国会で御承認いただきました計量法の一部改正法律、先生のほうがよく御存じだと思いますが、これによりまして計量証明事業、「濃度、騒音レベルその他の物象の状態の量で政令で定めるものの計量証明の事業」、すなわち公害関係のもろもろの大気汚染の状況、水質汚濁の状況等について第三者が業として計量証明を行なうという段階では計量士というものを置かなければならないということで義務づけをいたしております。これらの計量証明事業者と内部で行ないますところの自己測定の義務というものをどのようにかみ合わせていくかという点は、御指摘のようにいろいろ問題もあろうかと思います。それぞれの体制が整備されました段階でやはり見直すべき問題の一つになり得るものだと私は考えております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 やはり公害問題の紛争というのは、データが一番問題になるわけですよね。ですから、通産省にこそ私は測定士というものが必要じゃないかと思うのですよ。そして記録をずっととって、いつでも報告ができるようにするという、そういう国家試験の資格を持った者が必要ではないか。そうしないと、紛争は片づかない。事業主が鉛筆一つでどんどんデータを書いていくような状態ではどうにもならないという気持ちを持っておる。もうこれ以上言いませんが、これはひとつぜひ通産省においても検討をしてもらいたい。  それから大臣、さっき局長も答弁をされましたけれども、十七もやはり免許を与えておるわけですよ。そうすると、法律を出されることもいいですけれども、私は、規則の中に入れて、そして環境測定についての条文が少し足らないならば、労働安全衛生法にさらに整備をして追加をしてもらう、やはりこういうようにすべきではないかと思いますね。その測定士よりも上部の責任のあるいわゆる管理者というのは、労働安全衛生法の中にある、そして測定士を主とする法律が別個にあるというのは、やはり法体系からいってもわずらわしいと私は思うのですね。これをひとつ今後検討していただきたい、かように思います。  次に、コンサルタントと測定士の関係はどうなるのですかね。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 労働衛生コンサルタントというのは、労働安全衛生法で、御承知のように、作業環境等について改善をしなければならない、そういう場合には、都道府県労働基準局長が事業場に対して、労働安全衛生改善計画の作成を指示できることにもなっておりますが、そういう場合に事業主がどう改善したらいいかというようなことについて意見を求める、相談に乗ってもらう、あるいはその診断をしてもらう、こういうような方々、そういうことを業とされる方々でございまして、これは安全あるいは衛生について一般的な企業におけるそういう問題の相談に応じられるような能力を持っておられる方ということになるわけでございます。  今回の作業環境測定士は、そういう改善等についての一般的な知識も、もちろんあればそれにこしたことはないわけでございますが、直接の任務は、作業環境におきます有害物質あるいはその他の有害要因の測定をする。したがいまして、その測定についてのデザインあるいはサンプリング、分析、そのための測定機器の操作等の知識、技術、こういうことが中心でございまして、その両者の必要とされる能力、それから仕事の面は、もちろんダブって両方お持ちの方もあっていいわけでございますし、両方を兼ね備えられればそれにこしたことはございませんけれども、直接の目的は、両者必ずしも同じではないのではないか、かように考えるわけでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 両者は違いますけれども、コンサルタントは測定士の資格のある者を置かなければならぬとか、あるいはその必要がある、こういうことは要りませんかと、こう言っておるのです。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 先ほども申しましたように、コンサルタントは診断をする、あるいはその結果に基づいて改善について相談に応ずる、こういう業務でございます。したがって、作業環境そのものについては、すでに測定士が安全衛生法によって義務づけられたところによって測定したデータというものがその事業場にあるわけでございますから、それをもとに、もし有害な状態であればそれを直すにはどうしたらいいかということを相談したり指導されればいいわけでございますので、必ずしもそこに測定士を置かれる必要はないと思います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 概念が違うことはわかるのですけれども、しかし測定という基礎の上にコンサルトというのはあるのじゃないか、こう思って質問してみたのです。それはけっこうです。  そこで、この測定士の試験ですが、経過措置はどうなっているのですか。

中西正雄労働省労働基準局安全衛生部長

○中西政府委員 経過措置につきましては、いろいろな場合がございまして、一定の学歴、相当長い環境測定の経験ある者等ございますから、そういう方々につきましては、それぞれの学歴なり経験に応じて必要な講習等をすることによって資格を与えるということにいたしておりまして、これは省令で定めることにいたしております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 最後に一点お聞かせ願いたいのですが、健康管理手帳の問題です。  先般、新日鉄八幡工場のコークス炉に働く肺ガンの方が、タール専門委員会で職業病として認定していただいた。そして、その工場につとめておった人が離職をして、健康管理手帳の交付の申請をしているわけです。ところがこれがなかなか交付がおりないのは一体どういう理由であるか。それから、それには規則の改正等が必要であるのかどうか。これはいまでなくても、午後のときでも御答弁を願いたいと思うのですが……。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 先生御指摘のように、たしか昨年でございましたか、八幡工場のコークス炉の業務に従事していた方に肺ガンが多数発生いたしまして、業務に起因するものでないかどうかということが大きな問題になりました。私ども、専門家を委嘱いたしましていろいろ検討していただきました結果、八幡で起きました方々については、その多くの方が業務上である、こういう認定をされたわけでございます。同様に、他の製鉄所のコークス炉の従事者等につきましても、タールに基づく肺ガン等が発生する危険性が考えられるわけでございまして、そういう一般的な問題につきましては、八幡の問題のあった方々の認定に引き続きましていま検討を続けていただいておるわけでございまして、その検討結果によりまして、場合によれば政省令を改正いたしまして、そういう方々に健康管理手帳を交付することも検討いたしたい、私どもかように考えておる次第で、いまそれらの専門家の方に製鉄所におけるコークス炉従業員の一般的な問題を引き続き御検討願っておるところでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 午後の質問で続けていきたい、かように思います。

葉梨信行自由民主党

○葉梨委員長代理 石母田達君。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 作業環境測定法案について質疑を行ないたいと思います。  今度のこの作業環境測定法案が実施されますと、測定士に一定の資格が与えられて、その測定の結果についてもそうした根拠を持った権威を持たれるということについては、私どもは異論はございません。しかし、この法案が実施された場合に、若干、二、三の危惧の点がございますので、この点について質問したいと思います。  その第一は、三十五条にあります秘密保持義務の問題であります。  これによりますと、測定士に対して秘密保持義務が課されて、これに違反すると一年以下の懲役、十万円以下の罰金とかという罰則も加えられることになるわけですが、いろいろな企業の人たちの中で測定士になる人もあるということで、その企業が測定結果を利用し、あるいはその測定結果が職場の環境——公害問題あるいは労災の認定なんかの問題で企業側に不利な結果が出る、そうした場合に、おかしいけれども、これと相争うという形で、労働者のほうから認定の問題とかあるいは作業環境をもっとよくしろとか公害の防止とかというような問題で相争っている場合に、企業側のほうにそれが有利になる、しかも秘密保持義務だから測定結果について労働者のほうが知らされない、企業側のほうだけ知らされるということになって、非常に一方的な結果、あるいは職場改善の民主的な運動などに否定的な影響を及ぼさないかどうか、こういう点をわれわれ危惧しているわけなんですけれども、この点についてどう考えておられるのですか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 三十五条で作業環境測定機関の役員もしくは職員に秘密保持義務を課しておるわけでございますが、作業環境測定機関というのは、企業等から委託を受けまして、第三者としてその委託を受けた企業の作業環境の測定を行なうことを任務とするものでございます。したがいまして、そういう任務に基づきまして、委託を受けた事業場に入りましていろいろサンプリングをしたりデザインをしたりするわけでございまして、その間に企業のいろいろな機密に触れることがあり得る。したがって、そういう際に知り得た秘密に対しては、秘密保持義務がございませんと企業が安心をしてそういう機関に作業環境の測定を委託することができませんので、秘密保持義務を課したわけでございます。しかしながら、それらの機関の任務でございます作業環境の測定の結果は、労働安全衛生法にもございますように、記録してこれを保存しなければならないことになっておるわけでございます。しかも、これは事業主がその結果を記録し保存することは当然でございますし、先ほども申しましたように、私どもは、そのことは労働者の健康にも関連することでございますので、労働者にはできるだけ周知させるように指導しますとともに、特にこの法律が制定されましたならば、省令によりまして、それぞれの事業場に設けられます労働衛生委員会には、これを付議事項とするようにして、衛生委員会の中で、その測定結果である記録に基づいて必要な職場の作業環境の改善等を労働者代表も含んだ委員が審議できるようにしたい、かように考えておるところでございまして、測定結果自身はそういうことによって労働者には知らされるわけでございます。その測定結果以外の知り得た秘密は、これはやはり秘密順守義務がございませんと企業は安心してそれらに測定を委託することができないと存じます。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 その測定結果の報告の義務というようなものを法令的に、省令でいまおっしゃられた付議事項の中に含める、こういうお話ですね。そのことはこういうふうに理解してよろしゅうございますか。労働安全衛生法の第十八条の一項の三号になりますが、「労働者の健康障害の防止に関する重要事項」、この重要事項というものの内容が労働安全衛生規則の第二十二条のいま言われた「衛生委員会の付議事項」という中に明らかにされているわけです。一項目ないし四項目、重要事項の内容について書いてありますけれども、これに新たに加わるのかどうか知りませんけれども、この中に測定結果を報告しなければならぬとかいう義務的なものを入れるというふうに理解していいのかどうか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 大体先生のおっしゃるとおりでございまして、安全衛生規則の二十二条の「衛生委員会の付議事項」の現在の規定を改正いたしまして、この付議事項の中に、四つございますが、この中に一項起こしますか、あるいは現在の規定の中に字句を加えますかいたしまして、測定結果を衛生委員会の付議事項にしたい、かように考えております。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 それは非常にそうした不安もございますので、不安をなくすためにもぜひそうしていただきたい、こういうふうに思います。  それからもう一つの問題は、測定士の資格を与える試験機関が今度は民間にこれまた委託になる、こういうことになるわけですが、そうした場合に、とかく日本分析化学じゃないけれども、民間というと全体としてそういうことについて何かいろいろな問題が起きやしないかという点も危惧されるわけですが、特に第二十四条の二項のところに試験員についての資格の要件が書いてあります。この試験貝と試験機関の関係というのは、試験の指定機関になりますね、なった場合にそうした試験員というのはどういう方法で選ぶのか、その関係はどういう関係になるのか、この点についてお答え願いたいと思います。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 試験員につきましては、二十四条に規定がございますように、その二項で「試験員は、作業環境測定に関する知識及び経験に関する労働省令で定める要件を備える者のうちから、選任」する、こういうことになっておりまして、要件等については省令で定めるようにしたい、かように考えておりますが、省令の内容につきましていま考えておりますことは、これは作業環境測定士の試験が労働衛生一般、それからデザイン及びサンプリング、分析概論、分析技術等を内容といたすものでございますので、これらの問題につきまして大学の医学部の衛生学についての教授、助教授のクラスあるいは大学の理学部、工学部等において測定に関する学科の教授、助教授のクラス、それから大学を卒業されて研究所等において十年以上その作業環境測定に関する問題の調査研究に従事した経験を有される方、以上の者に準ずる専門家などを省令で規定したい、かように考えております。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 試験員の範囲について主として大学の医学部関係のそれぞれの教授とか助教授とか、あるいはまた大学を卒業されて研究所にいて十年以上の経験といいますかそういうものを持った方、以上これに準ずる、こういう専門家に試験員としてやっていただくということを、これは省令の内容として検討されているということでございますけれども、ぜひそうした方向で、この権威のある、われわれが資格を得るということについてだれが見ても適切だという人を選ぶようにしていただきたい、こういうふうに思います。  さて、その初めのもう一つの質問は、そういう試験員とそれから試験機関との関係なんですけれども、こうした試験員というのは一体何人ぐらい選ばれて、そしてその試験員の資格というのは終身というか、資格を奪われない限りずっと続いているものか。そして特定のそういう試験機関に委嘱されて、そこに常駐体制をとるのか、派遣されるというのか、そういう関係についてお話し願いたいと思います。

中西正雄労働省労働基準局安全衛生部長

○中西政府委員 試験機関と試験員の関係でございますが、これは試験機関の非常勤の職員として委嘱するというような関係になるかと思います。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 その選び方なんですけれども、「選任」と書いてありますが、これは指定機関が独自に選ぶのか。法のたてまえはそういうふうに理解できるのだけれども、先ほど、省令できめられるような人たちが試験員になる資格を持っていて、その試験員として選ぶのはだれなのか。

中西正雄労働省労働基準局安全衛生部長

○中西政府委員 第二十四条の第二項にありますように「労働省令で定める要件を備える者のうちから、選任しなければならない。」選任するのは指定機関が選任するということになります。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 そうすると、いまの二十四条の三項がありますね、「指定試験機関は、試験貝を選任したときは、その日から十五日以内に、労働大臣にその旨を届け出なければならない。これを変更したときも、同様とする。」ということになりますと、これは試験員を選任したということから委嘱されて、労働大臣に届け出て、いいということになれば、ずっと指定機関の試験員になるのか。あるいはよその指定機関が幾つかできるのかしれませんが、そのほうにもいけるのか。指定機関との関係では専門なんですか。常駐というか、そこの専門の試験員になるのかどうか。いろいろ資格を得る試験員でありますから、そういう点での結びつきはどうなのか、専任になるのかどうか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 これは指定試験機関が委嘱でございますから、契約によって一定時期だけ委嘱することもございましょうし、特にやめていただくまで長期間、期間を定めず委嘱する場合もあろうと思います。期間を定めたものか、永久的であるかということは一がいに言えない、かように存ずるわけでございます。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 私のこれについての質問は終わりますけれども、先ほど私の質問の中でお答えのありました秘密義務の問題、これについては付議事項の中に、省令として報告を義務づけるということと、それからいま試験員の範囲については、先ほど述べられました大体三つの内容で権威のある、信頼できるような適切な人を選ぶ方向で省令の内容とする。この二点についてあらためてそれを希望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。

葉梨信行自由民主党

○葉梨委員長代理 坂口力君。

坂口力公明党

○坂口委員 こまかな問題になりますけれども、二、三お聞きをしたいと思います。  労働安全衛生法の第六十五条で定めるいわゆる作業場というのがございますが、この政令で定められておりますものには十種類がございます。今回のこの作業環境測定法案においては、五種類を測定検査の対象としているということを聞いておりますが、これはなぜ減らされたのか、その点をひとつお伺いをします。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 先生がいまおっしゃいましたように、この指定作業場としては、労働安全衛生法施行令の二十一条で作業環境の測定を行なうべきものとして定められております十種類のうち、   〔葉梨委員長代理退席、委員長着席〕 粉じんを著しく発散する屋内作業場、それから放射性物質を取り扱う作業場、特定化学物質を製造し、又は取り扱う屋内作業場、鉛業務を行なう屋内作業場、有機溶剤を製造し、又は取り扱う屋内作業場等の五つだけを指定する予定にいたしておりますが、これは、これら五つは特に安全衛生法施行令二十一条の十種類のうちでも、作業環境の測定について相当高度の知識、技術を要するということ、そしてまた、そういう業務に従事する労働者には重篤な健康障害を生ずるおそれが非常に強いということで、特にその五つを定めましたものでございまして、たとえて申しますと、労働安全衛生法施行令二十一条の十種類の中でも、暑熱、寒冷もしくは多湿の屋内作業場といったようなところにおきまして測定すべきものは、温度とか湿度でございまして、温度、湿度等はそういう相当高度な知識、技術を要しなくても、一般に現在のいろいろな温度計、湿度計等によって比較的容易に測定ができ、しかもそれについてその正確性があとで問題になるというようなことが比較的ないわけでございますので、こういうものは省いた。そして先ほど申しましたような観点から五つの作業場を指定することを考えておるわけでございます。

坂口力公明党

○坂口委員 いまのお話もわかるわけでありますが、この作業環境の測定をするというのは、測定をする人のテクニックがやすいとかむずかしいとかということではなしに、そこに働く人たちにとってそれをきちっと整理をしておかないといけないかどうかということによってきまってくるだろうと思うわけです。ですから、いまたとえば温度等の例が出ましたけれども、温度でも測定しやすさという面からいきますと、これは特定の技術等は要らないかもしれませんけれども、しかしそれをきちっと記録をしスケールをするというのと、それがやさしいというのとは別問題でありますから、そういう職場において、どうしてもそこに働く人たちの健康を守るためには、それをいつも測定をしておかなければならないということであれば、これは加えていくべきではないかというふうに思うわけです。  そのほかにどういうものがありますか、私ちょっと詳しく存じませんが、たとえば騒音のようなものは、これは測定にも多少の技術も要りますし、それから騒音等は非常に生体に対しましても大きな影響を与えるものだと思うわけです。最近の公害等におきましても、この騒音によるものが全体の四割ほども占めるというような現状でございますので、そういう面からいきますと、五種類だけではなしに、やはりもう少しこの範囲というのは、働く人たちの立場からいけば、少なくとも労働安全衛生法で定められている十種類は一応きめておくべきではないかという気がいたしますが、その点はいかがでございましょう。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 先生おっしゃるように、温度や湿度等であっても、やはり正確な状態は測定し記録しておくべきだ、これはおっしゃるとおりでございまして、これは労働安全衛生法六十五条で測定の義務自身は使用者にかかっておるわけでございますが、特に資格ある者に測定をさせなければならないほど正確性に問題が少ないということで、今回の法案から除いたわけでございます。  なお、騒音につきまして、確かに先生専門的な御知識でおっしゃいましたとおり、いろいろ騒音につきましては問題がございます。ただ、現在は、騒音につきましても、音の強さだけを測定させておるわけでございまして、音の強さだけでございますと、やはり騒音計などで比較的容易に、しかも正確に測定ができる。そういう意味で、先ほど温度や湿度についてと同じような意味で除いたわけでございますが、さらに騒音につきまして将来、音の質、こういったことまで問題にして、そういう面まで測定義務を課するということになれば、これは簡単に、だれでもできるという問題ではございませんので、作業環境測定士にやらせなければならない対象に加えていくということも起きてくると存じますが、現在騒音につきましての測定義務はそこまで課しておりませんので、今回におきましては一応騒音等も指定作業場には予定をしておらないわけでございます。

坂口力公明党

○坂口委員 質の問題、私もちょっと触れようかと思ったのですが、先に御答弁いただいたわけでございます。確かにそういうふうな質の問題もございますし、それから比較的騒音の測定等は楽なように見えておりましても、やはりそのはかります場所でありますとか、いろいろの条件によりまして、結果としてはかなり違った結果が出てくるということは、これはよくいわれることでございます。そういう意味からいたしますと、機械の測定そのものは簡単でありましても、全体的な作業職場において、たとえばどの時点ではかるとか、あるいはまたどういうふうな時間にはかるとかというようなことをいろいろ考えますと、これもやはり、ただ機械の測定が簡単だというだけでは片づかない問題があろうかと思います。そういう意味では、働いている人たちのいわゆる健康というものから考えて、多少テクニックの面でやさしい、むずかしいということはありましても、やはりそういったものは取り上げてもらうべきではないか。今回一ぺんにいかなくとも、今後そういうふうな方向で検討をしていただけたらというふうに思うわけでございます。  アメリカ等では、たとえば有害物質等でも、ずいぶん多くのものを指定にあげておりますし、私のところにありますデータが多少古いかもしれませんけれども、四百数十種類のものを有害物質として指定をしている。こういうふうな有害物質にしましても、ずいぶん多くのものに網をかぶせておりますし、それから作業環境の測定等につきましても、かなり広範囲のものをあげているようであります。これはあげればあげるほどいいというわけにもいかないと思いますけれども、しかしわれわれの健康について最も大事なものについては、多少テクニックのことはやさしいものであっても、これはやはり加えてもらうべきではないか。そうしませんと、先ほどから議論になっておりますように、安全衛生委員会等にその結果を報告をしてもらうというような場合にも、いろいろ議論になるところだと思うわけであります。そういうふうな意味では、一応権威ある人が、多少簡単なことでもやはり重要な問題についてはきちっとはかっていくということのほうが、より好ましいのではないか、こう思うわけであります。  それから、安全衛生法によりますところの事業場は全国で約六万カ所近くもあるというふうに聞いておりますが、そのうちみずからの施設及び測定士を設置できる事業場は大体どれくらいあるのでしょうか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 いま先生おっしゃいましたように、指定作業場に指定する必要がある事業場は、約六万事業場あると私どもは見ておりますが、これらの事業場のうち、比較的規模の大きい事業場におきましては、大多数がみずから作業環境測定士を雇用して、そして作業環境測定が実施し得ると考えられますが、残りの中規模以下の事業場におきましては、必ずしも自分のところで従業員に作業環境測定士の資格をとらせて、自分のところで必要な機器などもそろえて測定をするというわけにいかない。結果として、新法によりますと作業環境測定機関に測定を委託するようになると思うのでございますが、そういう第三者に委託せざるを得ない事業場は、規模が小さくなるほどその率が高くなると思われます。推計はなかなかむずかしいのですが、一応私どもがいろいろな現状から推計をいたしましたところでは、みずから作業環境測定士を雇用して、自分で作業環境測定を実施し得る事業場は、約六千五百ぐらいであろう。六万のうち約六千五百くらいであろう、かように見ております。

坂口力公明党

○坂口委員 そういたしますと、一割強ぐらいが自分のところで置けている。それ以外は民間の機関あるいは公共の機関に委託をしなければならないということになるわけです。民間の、現在測定士を置いて引き受けられると思われる機関というのは、これはどのくらいになるでしょうか。これは今後の問題でたいへんむずかしい質問かと思いますが、大体どのくらいができるというふうに見当をつけておみえでしょうか。

中西正雄労働省労働基準局安全衛生部長

○中西政府委員 この点につきましては、昨年末に実態調査をいたしまして、その結果によりますと、その当時作業環境測定を実施しておりました機関が、二百六十でございます。

坂口力公明党

○坂口委員 そういたしますと、今後もう少しふえるといたしましても、急にはそう多くというわけにまいりますまい。公共それから民間、合わせてたとえば三百カ所できておるといたしましょうか、もう少しできて五百カ所できたといたしましょう。それでいたしますと、六万のところで一割が自分のところでできるといたしましても、そういたしますと一カ所で大体百事業場か百二、三十事業場を受け持たなければならないということになります、たとえば五百カ所できたといたしましても。それだけの事業場がこなせるかどうかということは、測定の内容にもよると思いますけれども、こういうふうな測定を民間が引き受けます場合に、ややもすると営利に走るという可能性というものが強いわけであります。したがってそういうことになりますと、検査というものがずさんになるというような問題も起こらないとは限らないと思うわけでありますが、こういうことについての何か歯どめというようなことについて、どういうふうにお考えになっておりますでしょうか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 それら作業環境測定機関につきましては業務規程をつくらせまして、それを届け出させるとかいろいろなことによりまして、登録をいたしました作業環境測定機関につきましては、この法律によりまして十分指導、監督をして、ずさんな測定あるいは営利本位の測定等に走ることのないように指導、監督をしていきたい、かように考えております。この法律の中にも測定機関に対するいろいろな監督規定を規定いたしておるところでございます。

坂口力公明党

○坂口委員 あってはならないことでありますけれども、もしもそういうふうなことが起こった場合に、これは責任の所在というのはどうなりますか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 この法律に基づきますいろいろな監督規定によりまして、場合によりますと、業務の一定期間の停止を命ずるとかあるいは登録を取り消すとか、そういうことによって、そういう適当でない、法令に違反するような行為をした測定機関がありとすればそういうものは排除していく、こういうふうにいたしたい、かように考えております。

坂口力公明党

○坂口委員 仮定の問題でございますのであまり詳しく申し上げませんが、もしそういうふうなことが起こりました場合に、その民間の一つの機関なら機関が罰せられるというだけでは済まない大きな問題をこの環境測定士というのは持っていると思うのです。どうしましても、こういうふうなことが起こりますと、その機関が何らかの罰則を受けるというにとどまりまして、そうしてそういうふうなことがいままでも繰り返されるということがあったわけであります。ですからできる限りそういうふうなことが起こらないような歯どめというものはやはりしていただく必要があろうかと思いますし、それからもう一つは、こういうふうな環境測定士の免許を持たれた方々の年に一、二回の講習等というようなものにつきましては、やはり厳密にやっていただく必要があろうかと思います。それから、これだけの測定件数ならば妥当であるというような一応線のようなものをおつくりいただいて、あまりべらぼうに多くやっているというようなところはチェックしていただく、そういうことをきちっとやっていただかなければならないかと思います。  それから中小零細企業の場合に一番困るわけでありますが、この測定の施設それから測定士の施設というのは困難でありますので、したがって民間機関あるいはまた公的な機関に依存をしなければならないと思います。その委託料等につきましても、これはどうなりますかわかりませんが、中小零細企業の経営から申しますと非常に苦しい現状でございますので、この委託料の問題等もばかにならないことになるではないか、こう思いますが、この点につきましてはどういうふうにお考えになっておりますでしょうか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 作業環境測定機関が第三者の委託を受けて作業環境測定を行なうにつきましての料金等につきましては、それぞれの測定機関の業務規程の中に規定をさせまして、それによって業務規程を行政官庁が届け出を受けて監督する中で、不当に高い料金等をきめることがないように中小零細企業等も十分に円滑にそれら測定機関を利用し得るようにしてまいりたい、かように考えております。

坂口力公明党

○坂口委員 国の研究機関が受けるとか、あるいはまた補助費を出すというようなこと、そういったことはお考えになっておりませんか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 国の機関等につきましては法案の第三条の二項で、事業主は、自分で測定ができないときには作業環境測定機関に委託しなければならないとして、「ただし、国又は地方公共団体の機関その他の機関で、労働大臣が指定するものに委託するときは、この限りでない。」ということで、国の試験研究機関あるいは大学のそういう方面の研究室など、十分に作業環境測定機関以上の能力を持っていると認められるものにつきましては労働大臣が指定をいたしまして、そういうところに頼んでもいいようにいたすつもりでおるわけでございます。

坂口力公明党

○坂口委員 それから企業内で測定をします場合に、下請の企業が同じにあるところ、あるいはまた別の場所にあるところ、いろいろあると思いますが、下請企業の問題がありますが、下請企業の測定については親会社の責任でこれはやられるのかどうか、この点はいかがでございましょう。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 下請企業でございましても、労働安全衛生法六十五条の作業環境測定義務を課されておる事業場で労働者を働かしておれば、下請企業自身が測定の義務があるわけでございます。しかしながら、もし親企業と同じところで働いているような場合には両方に測定義務があるわけでございますから、第三者の測定機関等に測定を依頼する場合には、共同で依頼をする、その場合に親企業が経費の大部分は自分のほうで持つといったようなことによって実質的に親企業がカバーするということは十分考えられるわけでございますが、一応法律上の義務としては親企業も下請の企業も安全衛生法六十五条に該当する事業主であればみずから測定する義務があるんだ、こういうことに法律上はなるわけでございます。

坂口力公明党

○坂口委員 そういたしますと、親会社が持つか持たないかというのは親会社まかせということになろうかと思いますが、いままで同じに仕事をしておりまして、多少違いますが、たとえば有機溶剤等を扱うような職場に同じに仕事をしておるというようなときでも、親会社のほうはどちらかと申しますと監督的な立場でそこにおるわけですね。実際に有機溶剤を扱ってやっておる人は下請の人たちがやっておる。その場合に監督をしている人だけが検査を受けて、実際にやっている人が検査を受けない。すなわち親会社のほうは検査はきちっと受けさせるけれども、下請の企業の場合にはそれを受けさせないというようなことがちょいちょいいままでありました。そういうことになりますと、実際にからだについては害の多い人たちのほうが受けずに、はたで監督している人だけが受けるというような場面もいままでにはあったわけであります。そういうふうなことがありましては、どんなりっぱな法律ができましても用をなさないと思うわけであります。そういう意味で企業内で測定する場合には、下請企業で同じに仕事をしているような場合については、やはり親会社に何らかの義務を課する必要がないか、こう思うわけであります。その点、大臣に一言だけお伺いをしておきたいと思います。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 法律の規定の関係でございますので私からお答え申し上げますが、六十五条で測定義務が課されております事業場につきましては、これは親企業であると中小企業の下請であるとを問わず、私どもはその義務を事業主が完全に果たすように指導監督をしていきたいと考えておりますが、そういう場合の親企業の責任につきましては、安全衛生法の二十九条というので、元方事業主の講ずべき処置といたしまして、元方事業者は関係請負人や関係請負人の労働者に対しまして、この労働安全衛生法またはこれに基づく命令の規定に違反しないように必要な指導を行なう義務がございます。さらに同条の第二項で、もし違反があった場合には是正のための必要な指示を親企業は行なう義務も課しておりますので、親企業がそういう下請だからといって、もし適正な作業環境測定を義務があるのに行なわないような場合には当然にそれに対して指導なり指示なりをすべき義務もあるわけでございまして、私どもの直接監督あるいは元方事業のこういったような規定に基づく義務履行、これら相まちまして下請企業についても確実にこの法律に基づく測定が行なおれるようにいたしてまいりたいと考えております。

坂口力公明党

○坂口委員 ありがとうございました。以上で終わります。

野原正勝自由民主党

○野原委員長 これにて、作業環境測定法案についての質疑は、終了いたしました。  この際、暫時休憩いたします。    午後一時十七分休憩      ————◇—————    午後四時十二分開議

野原正勝自由民主党

○野原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  休憩前の質疑を続けます。枝村要作君。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 労災保険の改正案について質問いたします。  この労災保険制度はその発足当時は労働基準法を下回るような給付もあったのですけれども、四十五年以来、数次の改正で漸次前進して、現在ではILOの百二十一号条約の水準に達する給付水準を確保しているところまできたとまあ労働省はいっておるのであります。確かにこの数字の上ではそういうことがいえるのでありますけれども、しかし内容の給付面ではなお多くの問題が残されておると思うのです。労災保険の審議会でもそのことも指摘しておるのでありますが、特にわが国の社会保障制度が先進諸外国の水準よりあまりよくないだけに、社会保障、国民の福祉の向上が最も緊急な課題として要請されている今日の現状のもとであるだけに、今回のこの労災保険法等の改正はそういう意味で重要な意義を持っていると同時に、大きく関心を持たれていると思うのであります。  そこで第一にお伺いいたしたいのは今回の制度改正の基本的な考え方でありますが、今回の制度改正は労災保険基本問題懇談会における検討をもとにした労災保険審議会の答申に即したものであるか、またその審議の場で明らかにされた基本的な考え方はどういうものであったか、こういうことをお伺いしたい。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 今回の制度改正は昭和四十八年十二月二十日に行なわれた労災保険審議会の労災保険制度の改善についての全会一致の答申の趣旨に即して行なうものでありまして、その基本的な考え方を申し上げますと次のとおりであります。  わが国の労災保険制度の給付は先生ただいまおっしゃったようにILO百二十一号条約の水準に達してはおりますけれども、なお先進諸外国の水準には及ばない面がありますので、しかも最近は列車あるいは航空機事故の場合の賠償額、自動車事故の賠償等が非常に高額化している社会的事情のもとにおきましては、現行の労災保険の給付では不十分とする被災労働者やその御遺族の声を反映しまして、企業内においてもいわゆる上積み給付を新設したり、拡充する例が非常にふえております。こういうことは、労災保険の給付内容、水準等が社会経済の動向に即応していない面があることを示すものでありまして、この際、早急に現在の経済社会の情勢に応ずるところまで労災保険制度の改善をはかることが、労災保険の社会的機能を確保するために必要であろう、こう思いまして、このため今回の制度改正を行なうことにしたものであります。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 今回の制度改正が死亡労働者の遺族と、それから障害労働者に対する給付水準の引き上げと、それから特別支給金の創設というのが基本になっておるようでありますが、それでは、その遺族及び障害労働者に対する給付である遺族補償給付及び障害補償給付の改善率を、改正法案に示されたような率とした根拠をお伺いいたしたいと思います。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 現行の労災保険の障害補償給付につきましては、ただいま大臣からもお答え申し上げましたように、ILOの百二十一号条約の水準には達しておるのでございまして、そのILO百二十一号条約におきましては完全労働不能、わが国の障害補償で申しますと三級にこれが該当いたしますが、これが六〇%ということで条約の水準に合っておるわけでございます。しかしながら、欧米の先進諸国ではこれよりも上回っているものが多い実情でございますし、またこういう重大な損害を受けられました労働者の保護を改善することは必要なことである、かように考えまして条約よりも高い水準をきめておりますILOの百二十一号勧告、これに合わせるように考えたのでございます。  すなわちこの百二十一号勧告では、完全労働不能は通常の賃金の三分の二といたしております。そこで、それに合わせるために、現在六〇%でございます障害等級三級の給付を三分の二に該当する六七%まで高めまして、それ以上の一級、二級及び四級以下の人につきましてはその障害等級三級を六〇から六七に改善した、それに合わせてそれぞれの等級の改善をはかった、こういうのが障害補償についての改正の考え方でございます。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 いろいろ給付改善を行なわれたとしても、今日では自賠保険の保険金が死亡の場合は一千万円に引き上げられたりしております。これに比較すれば低いんじゃないかと思うのですね。たとえば今日では企業負担で一千万円を労働協約できめているところも、何ぼあるかそれはわかりませんが、大きな企業にはだいぶある。それから何らかの形でそういうものを形づくっておる企業がたくさんある。聞けば三割だというのですね。労働組合のほうから聞けば八割だといって、この数字は私はわかりませんけれども、いずれにしてもそういう取りきめ方をしている。実態はどうかというと、労災保険で適用される、これは低い、だから、企業からの補償金もある、それで不満足なら裁判で争う、こういうことで結局は高額の補償金を受け取っておるというのがあるわけなんですね。たとえば横須賀の浦賀ドックにあった例ですけれども、最高三千八百万円ももらった例もあるというようになってくる。これはすなわち労働者の生命の価値が認識され出した一つの証拠であり、傾向だろうと思うのであります。そういうことを見ますと、改善が行なわれたとしても、そういういまの社会のいろいろなこの種の問題に対する補償の実態の中では、どうも低いような気がするわけです。その点はどうですか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 民間の協約による上積みにつきましては、これは先生おっしゃるような、組合によりまして相当高額なものもございます。しかし、中小企業などにおきましては、それほど高額でない例もございますし、私ども調べたところによりましても、四〇%くらいの事業所は労災保険そのままであって、小さな企業におきましては、上積みがない事業もあるわけでございます。したがいまして、労災保険等は最低基準でございますから、協約等によって上積みをされることはまことにけっこうなことでございますが、一応自賠など、他のいわゆる国の制度の給付との関係を考えてみますると、自賠の場合は、先生おっしゃいますように、去年の暮れに内容の改善がはかられまして、最高一千万円まで給付がなされることになったのでございますが、自賠はこういう一時金制度をとっております。労災は年金を中心といたじておりますので、直接これを比較することはなかなか問題の点があると思うのでございます。一時金だけで申しますと、今度年金の場合でも、希望すれば千日までの年金の前払いを受けることができることになったのでございますが、いわゆる最近の平均給付基礎日額が約三千三百円程度でございますので、千日と申しますと約三百三十万円。それに今回、特別支給金が死亡の場合に百万円出ることになりましたので、両方合わせますと、約四百三、四十万、五百万近い金が出るわけでございますが、その場合でも、それでぽっきりということではなしに、前払い金に相当する期間は年金が支給停止になりますが、四、五年たちますと、また年金が支給になるわけでございます。しかも、その年金は、労災の場合にはいわゆる賃金スライドで随次改定をされてまいるわけでございますから、そういうものを総合的に見ますると、自賠よりも必ずしも低過ぎるということもいえないのではないか。  たとえて例を申し上げますと、労災で遺族に対する年金制度が始まりましたのが昭和四十年でございますが、当時、自賠の保険は、死亡の場合最高百五十万となっておりました。労災のほうは、当時の一人当たりの年金の平均額は十八万七千円ということで、月にいたしますと一万五千円程度。したがって、それから見ますと、自賠の百五十万円というのは非常に高額でうらやましいと思われたのでございますけれども、おそらく四十一年当時百五十万の一時金をもらわれた自賠の受給者は、今日ではほとんどそんなものは残っておらないと思うのでありますが、労災で年金の受給資格を得られました方は、その後もスライド等によって、現在でいえば相当の、やはり何倍かの年金になっていまでも受給をしておられるわけでございまして、そういう点から考えて、必ずしも目の前の一時金一千万円というだけで自賠のほうが高いということは言えないのではないか、かように考えるのでございます。われわれといたしましては、こういう業務上災害によってなくなられたような方々につきましては、できる限りのことをしてあげたいということで、今回も年金額の改善、六〇%から六七%へ、これは最高の場合でございますが、それから特別支給金を一時金として出すといったような改善を行なうこととした次第でございます。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 時間がありませんから……。いろいろおっしゃいましたけれども、私にぱっとひらめくような反応はあまりないわけです。  それで一つだけ聞きますが、この特別支給金の額の根拠らしいものをいまちょっと聞きました。これもあまりよくわからぬですが、それにしても、死亡の場合で百万ですね。これは今日の物価の状況なんかから考えると低いと思うのですが、これを増額して支給するような考え方はありませんか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 死亡の場合の遺族補償につきましては、ただいまも申し上げましたように、労災は従来保険給付は年金を中心にやっておったわけでございますが、被災労働者の方々のいろいろな強い御要望もございますし、それから企業における、先ほどもおあげになりましたようないろいろな実際の慣行の例等もあることを勘案いたしまして、今回初めて一時金として特別支給金制度を、年金と併給の形で設けたのでございます。この金額につきましては、大企業、中小企業を通じましたいろいろ企業のこういう種類の給付の実態、それから労災保険の保険財政の面等を考えて、今回は死亡の場合百万円ときめたのでありまして、現在の段階におきましてはこれが妥当なものと考えておりますけれども、今後さらに社会の経済情勢の変化等によりまして物価、賃金等の動向が変わってまいりますれば、それらの推移を十分考えて、今後ともその改善につとめたいと考えておるわけでございます。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 これらの給付及び特別支給金は、いずれも労働者ごとの給付基礎日額に基づいて算定されておりますね。給付率が改善されても、給付基礎日額が低ければ制度改善の効果も半減するということになるわけです。現行では、この給付基礎日額を算定する場合、労働者のいわゆるボーナスとか一時金というものはこれに算入されていないのですが、これではせっかくの制度の改善が、先ほど言ったように半減するばかりでなく、生かされないのではないか、こういうふうにみな思っておると思うのです。今回の制度改善にあわせて、給付基礎日額についても改正をはかるべきであったと思うのですが、この点についてお伺いいたしたいと思います。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 従来の労災保険の給付の基礎の給付基礎日額は、基準法の災害補償の考え方と対応いたしまして、いわゆるボーナス等を算入しない平均賃金と同じ算定のしかたでやっておりますことは、先生御指摘のとおりでございまして、今回の改正を御審議いただきました労災保険審議会でも、こういう問題については非常な御議論があったのでございますが、この審議会におきましては、十二月の答申の中にも述べられておりますように、給付基礎日額の算定方法についてはいろいろな問題がございまして、直ちに結論を出すことは困難であるので、今後引続き検討を続けるべきである、かように答申では述べられておるのでございます。そしてこれらの問題については、今回の改正以後も引き続き労災保険審議会の中の基本問題懇談会で現在検討することになっておりますので、私どもといたしましてはそれらの検討の結果を承りましてよく考えてみたい、かように存じておる次第でございます。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 もう一つ聞きますが、労働省としてはどう思っているかということです。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 私どもも審議会の御答申にもありますとおり、いろいろな問題があると存じます。たとえて申しますと長期の方もおられます。(枝村委員「イエス、ノーでいい、時間がないから。考えておらないなら考えておらないでいいのだ」と呼ぶ一いろいろな問題がございますので、今後引き続き検討される審議会の検討の結果を待ってよく考えたいと存じます。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 今回の制度改善では、障害補償一時金等についてもスライド制が適用されることになっているでしょう。そうすればスライド制そのものは一応充実するということはいえるかもしれませんが、しかし賃金水準が二〇%をこえて変動しない限りスライドは行なわない、こういうふうになっているのでしょう。これでは現在のような賃金や物価の上昇の激しいときには追いついていけない。二〇%の幅はあまりにも高過ぎるので、これを小さくするなりスライド制について改善するつもりはないか、こういう質問です。どうですか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 これにつきましてもただいま先生御指摘になりましたように、今度は一時金にスライドを導入したということで改善がなされたのでありますが、スライドの幅の問題もいろいろ議論がございましたけれども、これについても審議会でなお直ちに結論を出すことが困難で、引き続き検討するとなっております。そして今後審議会の基本問題懇談会で検討されることになっておりますので、これにつきましても今後の検討の結果を待って考えたいと存じます。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 最初の質問で大臣がほぼ答弁されたと思うのですけれども、もう一度お伺いします。今回の法改正によって給付水準が高まることとなったのですけれども、労災保険にはそのほかに、先ほど言いましたようにボーナス等の残された重要問題があるはずなんです。ですから引き続き法改正を行ない、これに対処すべきであると考えるのですが、この点について労働大臣の見解をお聞きしたい。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 今回の労災法改正は遺族補償及び障害補償を中心に改善を行なったところであります。しかし問題は、このほかに障害等級の区分あるいは給付基礎日額の算定方式、スライド制の改善、リハビリテーションのあり方あるいは保険財政方式、メリット制、業務上の認定の要件等の諸問題が残されているわけでありまして、こういう問題につきましては労災保険審議会の今次答申に示されているように、引き続き検討事項となっております。現に同審議会の基本問題懇談会において審議が行なわれているところであります。政府としてはこの結論をもって前向きに検討してまいりたい、こう思っております。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 それで、答弁は要りませんけれども、いま総評や同盟などの労働団体がいろいろな御意見を出しておりますので、これを十分参考にして、労災保険制度が経済社会の動向に即応して、よくその機能を果たすものになるようにひとつ努力していただきたいと思います。  その次に、労災保険の目的は単に給付というだけではありませんで、被災労働者をできるだけ早く最も適切な職場に復帰させることが終局の目的ともいえるわけであります。この意味で、労災保険で行なっているリハビリテーションの諸措置を一そう充実する必要があると思うのですが、そのようなことを考えておられるかどうか、お伺いしたい。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 現在労災保険におきましては、単に傷病を治癒させるだけではなくて、その社会復帰能力をも回復させる、こういうことを主眼に置きまして、療養中もそれに並行して医学的リハビリテーションを行なっており、また治癒した後におきましても、社会復帰にリハビリテーションを必要とする方は、労災リハビリテーション作業所というところにお入れして、そこでリハビリテーションを行なう、あるいは社会復帰資金を貸し付ける、あるいは足などを悪くされた方には自動車購入資金を貸し付ける、その他のアフターケアを実施する、こういったようなリハビリテーションの諸施策を行なっているわけでありますが、さらに先生おっしゃっているように、社会復帰を促進するためにリハビリテーション措置を強化すべきである、かように考えまして、現在労災保険審議会の基本問題懇談会では、ただいま大臣からお答えがありましたように、リハビリテーションの問題等も引き続き検討されておりますので、その結果を待って、さらに改善について考えてまいりたいと存じております。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 いま言いましたようなリハビリテーションの充実や給付の改善、特別支給金の創設といった諸措置も、労災保険が適用されて、はじめて労働者はその恩恵を受けることができるわけなんです。ですが未適用の労働者にとってはこれは全く絵にかいたもちみたいなものでありますから、労災保険では暫定的に任意適用とされている事業がありますので、これは一刻も早く強制適用として労災保険の全面適用を実現すべきではないか、こういうふうに思っておりますが、労働大臣の御答弁をお願いしたい。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 労災保険の適用範囲につきましては、四十四年の改正によりまして、たてまえとして全産業に適用することとして、暫定的に任意適用業種として残るものを政令で定めることとなっております。これら任意適用事業所もその後逐次政令改正で強制適用事業に繰り入れ一現在は商業、サービス業、農業等の五人未満の事業所が任意適用として残っているところであります。政府といたしましては、昭和五十年四月までには政令改正によってこれらについても適用拡大をはかり、農業等の一部を除いて全面適用を実現したいと考えている次第であります。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 労働者にとっては労災保険による災害補償やリハビリテーション措置もさることながら、災害の未然防止がほんとうの意味で必要なことではないかというふうに思っております。  そこで労働省では業務災害、特に職業病疾病の防止についてどのような措置を講じているか。またこのための人員は確保されているのかどうか、こういう点についてお伺いします。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 先生おっしゃるとおり、まず労災にかからないようにすることが一番重要なことであります。そこで労働省といたしましては、四十七年には労働安全衛生法を制定いたしまして、事業主の安全衛生管理体制の確立あるいは危害防止基準の明確化、安全衛生教育あるいは健康診断その他の健康管理の徹底、それから安全衛生等につきましての指導、援助の強化、こういうことにつとめてまいっておりますし、特に先生御指摘の職業病につきましては、安全衛生法の施行令のほかに安全衛生規則、それからいろいろな有害物質に応じまして、有機溶剤の中毒予防規則だとか、鉛の中毒の予防規則だとか、特定化学物質等障害予防規則だとか等々の疾病、あるいは有毒物別に十三種の規則を制定しまして、これに基づいてそういう職業病の予防、健康管理を強化いたしておるところでございます。  またこれを実施いたします人員の確保につきましては、かねてから増員に努力をいたしておるところでございまして、今年度も安全衛生専門官で六十名、それから労働基準監督官で三十名の増員をみたところでありますが、今後とも一そうそれらの増員の獲得をはかりまして、それらの安全衛生行政を一そう効果的、積極的に行なっていくように努力してまいりたいと存じます。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 労働大臣もお答えになりましたように、労災保険の給付水準は、今後とも経済社会の動向に即応してその改善を進めていくという決意を述べられましたが、ひとつ今後とも前向きの姿勢で全力をあげて努力していただきたいことを要望いたしまして、私の質問を終わります。

野原正勝自由民主党

○野原委員長 多賀谷真稔君。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 いま枝村委員から質問のありました従前の所得という給付の基礎日額の算定方式ですが、これはさらに検討するということですが、私はやはり長期給付というものはボーナスを含めて行なうべきだと思うのですよ。短期給付はおのずから別にすべきではないか、これは私の年来の主張ですけれども、現在のように期末手当のウエートが非常に高くなってくる状態の中に、期末手当は入れないという、こういうことは私は間違いではないかと思います。  そこで、現実に日本の労働省が担当しておる給付の賃金算定でもいろいろあります。昨日改正になって通過しましたまず失業保険、これはボーナスを含めて過去六カ月分が入っておるわけですね。ところが割り増し賃金の場合は、割り増し賃金の算定の基礎には、これは別居手当であるとが子女手当であるとか、それから一カ月をこえる給付であるとかというのは、割り増し賃金は別rなっている。それから平均賃金がこの労災補償の対象になるわけですけれども、私は平均賃金でも休業手当のようなものは三カ月をこえるものは引いてもいいと思います。しかし長期の給付、ましてや死亡の遺族年金とかあるいは長期療養給付とか、そういうものはやはりボーナスは入れるべきではないか、こういうように思うわけですね。でありますから、もうすでに労働省でおやりになっています給付の算定基礎の賃金も、いまばらばらなんですからね。私は長期療養とか死亡というような場合の年金というものはやはり長期療養として、失業保険の算定の賃金と同じようにその所得を見るべきではないか、こういうように思うのですが、どうでしょう。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 先ほどこの算定給付基礎日額につきましては、審議会でも結論が出なくて引き続き検討されることになったと申し上げたのでありますが、まさに審議会の中では先生おっしゃったようなことが議論をされたのでございます。現在は療養しておる人に対する休業補償も、それから長期傷病者補償の方、年金も全部同じ給付基礎日額を使っております。これは基準法の災害補償の算定の基礎と合わせておるわけでございますが、先生のおっしゃっておるように、対象によってかなり違うのではないか。たとえば休業補償などで申しますと、もちろん半年以上も実療養にかかられる方もございますが、比較的、けがでございますから十日とか二十日とか一月ぐらいでなおられる方が非常に多い、実際の数としてはそういう方が非常に多いわけでございます。そういう方でございますと、たとえば一カ月けがしてその間休業補償を受けましても、六月や十二月にはなおって、ちゃんとボーナスは別にもらえるんだから入れなくてもいいじゃないかという議論もございます。それから長期傷病者補償だとか年金の方は、先生のおっしゃるような議論も一つ成り立つと思います。  そこで、そういうものをどうかみ合わせるか、休業補償についても、長い方というとどこから線を引くかとか、いろいろそういう検討すべき問題がそのほかにもいろいろございまして、長くなるから申しませんけれども、そこで今回はにわかに結論が出ないので、引き続き今後も検討する、こういうことになっておるわけでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 ひとつぜひ前向きに検討していただきたいと思います。  そこで百二十一号勧告と大体歩調を合わすと言われましても、従前の所得という算定の基礎が違えば、ボーナスがいまどのぐらいあるでしょうか、三割から四割占めておるとするならば、それだけ差があるわけですから、しかも大体ILOが考えております従前の所得は各所に出ておりますが、本人の給付とさらに家族の給付ということまで入れておるわけですから、当然長期のものとごく短期の休業補償とをひとつ分けて出してもらいたい、こういうように私は要望しておきます。これは大臣、大体その方向で労働省は作業するのでしょうね。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 いま審議会でいろいろ御審議をしていますが、そういう大体前向きの姿勢であるということだけは御理解いただきたいと思います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 次に、今度の改正の一つの特徴は、従前もございましたけれども、今度給付が多くなります福祉施設としてありましたものの概念の中に、特別給付金というのを入れておるわけですね。この特別給付金というものは一体どういう性格のものですかね。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 特別給付金と申しますのは、保険給付では業務上の負傷、疾病によって失われたいわゆる逸失利益、これをてん補いたしておるわけでございますが、日本の場合には、いわゆるこういう業務上の災害を受けた人に対する労使の受け取り方、社会慣行などにおきましても、そういう逸失利益以外の面にわたるいろいろな処置が行なわれる、そういうことがございます。それに見合うものをやはり保険で出すことが日本の労使の受け取り方、慣行にも即するのではないか、そういう意味におきまして、いわゆる業務に従事してそれが原因で負傷、疾病にかかり、あるいは死亡した方に対する逸失利益以外の面にわたる弔慰金、見舞い金、そういう性格のものとわれわれ考えて特別支給金制度を設けたわけでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 たとえば、特別給付金の中の一時金の百万円なら百万円をいわば保険給付の対象にしても、これはおかしくないでしょう。私はどうもその点がよくわからないのですね。それから障害の一時金にしても、これは金額で出ておりますけれども、これも私は日数と別立てにされてもおかしくないと思うのですよ。ですから、本来年金それに一時金があります、いまのように一時金というのは保険給付の年金の中から差し引きますというのではなくて、要は前払いではなくて一時金というのが別にあります、それから障害労働者についても、これは長期療養の年金の方も一時金もあります、それからことに障害等級の八級からはこれは一時金でしょうから、一時金と丁時金です、一つは日数でありますが、これは金額で表示しても一つもおかしくないと思うのですがね。それを特別給付金なんてわざわざ分けるということがどうか。しかもこれは法律事項でないようですね。あなたのほうで政令か省令かで出されるわけです。どうも同じ福祉施設でも今度の雇用保険の場合は法律でざあっと羅列しておるのですよ。ところが、今度は労災のほうになると、法律にはあらわれてこない。これはあなたの出された労働者災害補償保険法の一部改正を見ても、どこにも出てこない。そして、あと、別のプリントに出てきておる。これも私は少しおかしいと思うのですよ。同じ労働省が福祉施設といって扱っておる中で、一方は法律の本文の中に入っておる、一方のほうは政令や省令になっておる。もう、金額を法律の中に入れたらどうですか、特別給付金なら特別給付金として。  それでこの前も、失業保険といったら意味がわかるけれども、雇用保険というのはどうも意味がわからぬなと言ったら、健康保険という例がある、こうおっしゃったくらいですね。ですから、私はそういう点親切でないと思うのです、こういう行き方は。しかも、金額については、かなり前進した金額ですね。それを法律の外に置いておる。外ではないだろうけれども、少なくとも本文にない。こういう考え方もどうでしょうかね。しかも同じ労働省で、同じ国会で、昨日通った法案ときょう通過するであろう法案とがてんでんばらばらだという書き方というものもおかしいと思うのですが、どうですか。両方とも保険ですよ。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 労災保険は、西欧先進諸国における業務上災害に対する保険と同じ考え方に立っておりまして、原則としては、そういう業務災害にかかった方については、必要な期間必要な補償ということで年金システムをとっておるのでございます。ただ、障害補償も、軽度な障害を残した人は諸外国でも一時金でいいということに、ILO条約でもなっておりますので、八級以下は一時金でございますが、是本的な考え方は、必要な期間必要な損害をてん補するという意味で年金式の考え方になっております。  そこで、本来の保険給付は、そういうことでわが国の労災も年金になっておるわけでございますが、先ほど申しましたような、外国では業務上災害について一時金を併給するという例はございませんけれども、やはり日本の国民感情、労使の慣行、そういうものによって、一時金をほしいという御要望があり、また、そういう逸失利益以外の面にわたる弔慰、見舞い、そういったものが実際の日本の社会では行なわれることが当然のこととして受け取られる。そういう意味において、今回、本来の年金システムである保険給付のほかにそういう一時金を設けることにいたしましたわけで、本来の保険給付とやや性格が違うんではないか、こういうことで、新しい制度を設けるにあたりまして、これを保険給付と別の保険施設、こういう形で設けたわけでございます。  保険施設につきましては、確かに失業保険その他の法律ではこうではないかという御意見がございますが、労災では、従来から保険施設につきましては、いろいろこのほかにも諸措置をしておりますが、これは法律に規定せずに、省令あるいは実行措置等によってやっておりますので、保険施設という形をとりましたので、特別支給金についても、今回、法律自身には出ずに省令でこれを規定するようにしたいと思っておりますが、そういう形をとることにいたしておるわけでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 たとえば、行政的な給付では満足せずして裁判に訴えた場合、あなたのほうは——あなたのほうというとおかしいですけれども、やはり支給した給付の中に保険施設のものは入りますか。自分のほうはこれだけ支給しております、こういう中に保険施設のものは入りますか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 御質問の趣旨がちょっとわかりませんが、労働者がだれを相手に裁判に訴えるのですか。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 事業主を相手に損害賠償の請求をする、その場合に、ホフマン方式、いろいろの方式でやれるわけですが、いや、これだけすでに事業主としては払っておりますという中に、保険施設の特別支給金は入りますか、支給したというものの中に入りますかと言っている。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 従来は特別支給金のような制度がございませんので、今後どうなるかは裁判の結果を見なければわかりませんが、労働者が業務上の災害によって損失を受けた、それに対して事業主に賠償の請求をした場合に、それが別個、労災保険の保険給付であれ何であれ、てん補されておれば、それは受けた損害の中からそれだけはすでに埋められておるわけでありますから、引かれることになると存じます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 ですから、私はやはり法律に書いて、そうして保険施設であろうと、本文に書いておくべきだと思うのですよ。いや、あれはもらったけれども、保険施設で見舞い金だったから、あれは別個です、こういうように法理論だって展開できますよ、今度はいわゆる災害を受けた労働者のほうは。あなたのほうが保険施設、そうして特別支給金の性格を明らかにしない以上は、あれは別個です、あれはほんの見舞い金でもらったのであって、違うのです、こういう理論だってこれは立つわけですよ。ですから、外国にないと言うが、外国にないようなことは幾らでもあるですよ。きのうの出かせぎの退職一時金なんというのはまさに外国にないですよ。失業保険の概念から、あんなものはないですよ。しかし、それが大問題になって法律事項になるでしょう。ですから、こんな大きな給付をするのに——それは、就学奨励金であるとか看護料であるとか、そういうものは法律の条文になくてもいいと思いますよ。しかし、これだけの給付をするようになれば、これは当然法律事項にすべきじゃないですか。実に私は、こういう大きなものが法律事項から抜けていくということが、やはり民主的でないといえば民主的でない。しかもおっしゃるように——では、特別支給金の性格は何ですかといえば、見舞い金だ、こういうような性格だ。しかし、もうすでに支給したという給付の中に入るでしょうと言えば、それは入ります。こういうものは、やはり性格をはっきりする意味においても、給付として支給するんだというように明記すべきではないか、こういうように私は思いますが、どうですか。これは、局長は原案を書かれたので固執されるかもしれませんが、大臣はどういうふうに率直にお考えですか。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 まあ、日本はいろいろ複雑多岐でして、午前中のお話にもあったように、士と者の問題、ゴルフの場合には何ヤードとかいうし、普通使っているのはメートルだというふうな、いろいろ複雑なものがあります。ただいまのお話のやつは、今度は百万円差し上げることになったので、いままであったものをのけたとか、こういうことじゃありませんが、しかし、それは法律事項にするかしないかというふうな問題等々は、非常にいい参考意見として、将来の問題として考えてみたい、こう思っております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 給付をするわけですから、その給付の性格もはっきりして、保険施設という、保険施設の概念なら概念でいいのですけれども、ひとつ、はっきり明記してもらいたい、こういうように思います。  そこで、従来から問題になっておりました打ち切り補償を長期傷病年金に切りかえたときに、四十日ずつ毎年引いておりました。すなわち、千二百日一時金で、けい肺患者であるとか外傷性脊髄の人はもらっておったのです。それを年金にしていただいたわけですが、その際に、四十日分ずつ毎年引くことになっております。しかし、現実にずっと納めてきておるのですが、金額からいいますと、まあいろいろな人がおりますけれども、発病したのが三十年の十一月二十七日、療養開始が三十二年の二月十五日、それから打ち切り補償が三十五年の二月十四日、そのときの平均賃金が九百六十七円八十四銭である。そうして千二百日分ですから百十六万一千六百円もらったわけです。ところが三十五年からずっと四十日分ずつ払っていきまして、そうして御存じのようにスライドしていただいておりますから、同じ四十日でも、三十五年から四十八年になりますと四・八四倍ぐらいになるのです。   〔委員長退席、大野一明一委員長代理着席〕 そうして、すでに百二十五万一千四百二十五円払っている。ですから本人が打ち切り補償としてもらったのは百十六万一千六百円です。本人が四十八年までに払ったのが百二十五万一千四百二十五円。これはずいぶん例がありますが、みな同じような例ですから省略しますけれども、そういうように金額からいきますと、もらったときの金額よりオーバーして払っておるわけですね。ですからこの程度払っていますと、どうでしょうかね、もう過去の四十日分はずっと納めないで、この程度でひとつ相殺をしてやったらどうかと思うのですが、どうでしょう。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 昭和三十五年以前に打ち切り補償を受けた者は、昭和三十五年以後、療養開始後三年を経過して新たに長期傷病者補償を受けることになった者と比較しますと、少なくとも打ち切り補償分だけ余分に給付を受けていることになりますので、打ち切り補償を受けていない長期傷病者補償患者との均衡上、ある程度の年金の減額及び遺族補償及び葬祭料の不支給はやむを得ない面があるものと考えますけれども、この問題につきましては労災保険審議会においても今後検討されるものと考えておりますので、その結果をもって対処したい、こう思います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 大臣何か御商売をなすったり、あるいはその金を投資する能力のある人なら、そのもらった千二百日分を投資しておれば、物価があるいは賃金がスライドするぐらいの収入を得ておったかもしれません。しかし、そういうほとんど能力のない、要するに外傷性脊髄であるとかけい肺患者ですから、そういう能力はないわけです。まああるとするならば貯金をした利子ぐらいのものですね。ですから、そういう点を考えていただきますと、もう少し考慮の余地があるのじゃないか、こういうように思うのです。ひとつこれは前向きに検討していただけると思いますが、どうでしょうか。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 事情を聞けば気の毒なことでもありますから、前向きに検討していきたい こう思います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 もう一点、午前中に質問をいたしましたコークス炉工場の健康管理手帳の発給の問題でございます。すでにコークス炉工場において肺ガンの職業病の認定を六名していただいたわけですから、これは当然、少なくともこのコークス炉に働いておる人あるいはかっておった人、これが離職をして健康管理手帳の発給の申請をしておるわけですから、この方については、どうですか、もう交付をされたらどうかと思う。全体的に調べられておると時間がかかりますね。しかし、その職場から六人肺ガンの職業病の認定をしたことは事実なんですから、いままで患者が出た職場は、少なくともぼくは健康管理手帳の交付をすべきではないか、こういうように思うのですが、どうですか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 午前中もお答え申し上げましたように、新日鉄の八幡工場におきまして、コークス炉からタールによる数人の職業ガンの方が出られて、それについては業務上の認定をいたしましたことは午前中お答え申し上げたとおりでございます。そういうことから見ますると、製鉄所のコークス炉につきましてはそういう危険性が確かにあると思われるのでございますが、そういう点につきましては、必ずしも問題が出ました八幡だけの特殊な問題なのか、あるいは製鉄所全般におけるコークス炉の業務に従事する方は同じようなそういう職業病の危険にさらされておられるのか、それらをある程度見きわめまして、同様な方については同様に取り扱うのが行政としては公平の処置でございますので、去年から引き続き専門家に御検討いただいておりまして、この問題につきましては結論が出るのもそう遠くない、今年じゅうには、そういうコークス炉の業務に従事される方のタールによる肺ガンの危険性という問題について結論が出ると思いますので、それの結果によりまして、大体私ども先生御指摘のような方向で結論が出るものと現在期待いたしておりますので、それによって、おっしゃるように健康管理手帳の問題も考えたいと存じております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 大臣、健康管理手帳の交付ですからね。そこの職場から肺ガンが六名出たということを労働省が認定したら、その職場におった人が離職をして交付の申請をしておったら、それは発給すべきじゃないかと私は思うのですがね。それを、いろいろの工場を調べて、そして研究しましょうというのでは、ちょっとおそきに失する。現在、すでに御存じのように、定年も間近な人で肺ガンの認定を受けた人があるわけでしょう。ですから、どうもそういう点、ぼくは役所仕事だと思うのですよ。現実にこのコークス工場から肺ガンが六名出たということを認定しているのですから、それで規則の改正があるならば規則の改正を早くして、少なくとも当該コークス工場に従事しておった者については健康管理手帳を出すということは当然じゃないかと思います。どうです、そう普遍的に、学術的に研究しなくとも——むずかしいことを言っているんじゃないですよ。そして金をいますぐくれと言っているんじゃないですよ。健康管理手帳をくださいと言っているんですからね。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 健康管理手帳は、個別の事業場ごとに申請して出すという仕組みになっておりませんで、一定の業務に従事してその危険にさらされた人に出すようになっておりますので、製鉄のコークス炉の関係の従事者の共通の問題としていま検討してもらっておりますが、そう遠くない機会に結論が出ると思います。その結果によりまして、政令の改正等によりまして、おっしゃるような方向で措置するよう現在考えておるところでございます。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 大体いま局長が言いましたけれども、政令の関係もありますけれども、そういう具体的な前からの懸案ですから、私のほうでも先生のお話を機会に前向きにいろいろ検討してまいります。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 例の自動スライドの二〇%の問題ですが、ことしは四十九年、ですからもう少し前をいいますと、四十六年に給付を受けた人は、この四十九年四月一日からは一体アップがありますかどうか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 四十六年に給付を受けた方は、ことしの四月では三七%になっておりますので、スライドを受けております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 四十七年に給付を受けた人は……。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 今年の場合はまだ二〇%になっておりませんので、今年は受けておられません。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 そうすると、四十七年に給付を受けた人は五十年の四月からしかスライドを受けないということになりますね。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 そうなると存じます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 だからやっぱり二〇%というのは幅が広過ぎるんですよ。相当おくれるわけですよね。ことしの春闘があっても全然乗っからない。ですから、四十六年の人がようやく乗っかるという状態でしょう。四十七年の人もまだアップを受けない、こういうことですよ。ですから、私はやはり賃金二〇%というのはかなり幅が広過ぎる。ですから、今度審議会のほうもこのスライドの幅について検討してもらいたい。そして、どうしても調査から給付の時期がおくれるわけですから、タイムラグがあるわけですから、これはひとつ少なくとも一〇%ぐらいで考えていただきたい、このことを要望して質問を終わります。

大野明自由民主党

○大野(明)委員長代理 石母田達君。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 私は、いま提案されている労働者災害補償保険法案の一部改正案について質問いたします。  御承知のように現在全国で毎年三十二万件以上の労働災害がありまして、死亡者は昭和四十七年、五千六百三十一人となっております。しかも、こういう中で近年職業病は非常に増加しているわけであります。こうした状況の中で、たとえば、この間開きました関東労災病院のリハビリの訓練中に不幸にも脊損で一級の障害になった方が、当時  の給料が七万円ということでありまして、四万何千円かの補償ではとても家族四人含めて暮らして一いけない、こういう問題がありました。こういう実態の中でこの補償について大幅の改善を願う要求が非常に強まっているわけです。この状況の中で、今回の改正案はきわめて不十分ではありますけれども、現行法に比べて障害者の年金あるいは  一時金あるいはそれに関連しての船員保険法の労災部分の改善というのは、私は一定の改善だと思うわけです。しかし、いまの実態から見れば、もっと抜本的な改善をしなければならない状況にあると思います。  そこで、最近私の党のところに全国じん肺患者同盟の方から要請書が来ているわけであります。このじん肺の方々は御承知のように金属、鉱山、鉄鋼、造船、石材、いろいろな産業の中で長い間大量の粉じんを吸収してじん肺を発病しているわけですが、現在の近代的な医療の発展の中でも不治の病といわれるくらいきわめて困難な状況にあるわけです。  そうした方から要請事項として、休業補償給付一〇〇%の支給とか、あるいは長期傷病補償給付年金を三百六十五日分支給してくれとか、あるいはまた給付基礎日額の最低保障額は三千円以上としてくれとか、遺族補償給付は一時金と年金を併給してください、それから葬祭料の一律三十万ですか、それから各種年金との調整をしないでくれとか、いろいろ要請事項が来ております。これをあとでおあげいたしますから、こうした問題で、今度の改善の中で一定の部分解決している部分はありますけれども、今後ともこうした問題について、ぜひとも真剣にこたえるような改善の方向をとっていただきたいということをまず初めに労働大臣からお伺いしたいと思います。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 いま石母田さんから、この労災の今度の法案について、いささかでもいいところがあるとおほめいただいたことはありがたいことで、そういうふうにやることについての正しい評価は、私のほうもやりやすうございます。しかし、いまおっしゃったいろいろな問題については、あらためて書類をいただいた上で私のほうでも研究してみたい、こう思います。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 この中にもあるのですけれども、職業病とか労災で、ここでも再三鉛中毒や何かの問題で質問いたしましたが、現在の日本の認定制度ですと実際に長期になりまして、大体平均というのはあるのかどうか知りませんけれども、私の知っている限りでは一年から一年半。この間日本航空の問題でやったけれども、これは平均というのは何か出ていますか。出ていなければいいのだけれども。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 労災保険は年間に百四十万件も支給をいたしておるわけでございまして、それが全部そんなに日にちがかかっているわけではございません。たとえば業務上の負傷などは、非常に因果関係が明確でありますものは非常に早く給付決定をいたしておりまして、いま聞きますと平均の給付決定までの日数は十九日でございます。ただ、中には業務上外の認定が非常にむずかしい問題がございます。そういうものの中に長くかかるものがあるわけでございますが、こういうものにつきましては、できるだけ早く迅速な決定をするように今後とも努力してまいりたいと存じます。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 私は十九日なんというのはたいへんな数字だと思う。実際私どもやっている特に職業病関係、そういう問題についてはかなりやはり長いのが多いのじゃないか、それが普通じゃないかというふうに私は思っているわけです。そういう中で、これは実際に労災法の第一条の目的からいっても、そういう労災の対象者については迅速に措置をするということが法の目的になっておりますので、ぜひこれを早めてもらいたい。  同時に、私は、日本の認定制度の挙証責任が企業側にないということがやはり一つの大きな欠陥じゃないかというふうに考えて、私どもは挙証責任の問題について再三この点の改善を要求しているわけです。そういう中で最近、ILOの業務災害の場合における給付に関する勧告、百二十一号ですね、これが出ておりますけれども、この中で第6項目の(2)項といいますか、「反証がない限り、次の場合には、当該疾病は、職業に起因するものと推定すべきである。」たとえば「被用者が少なくとも特定の期間危険にさらされた場合」というような場合。   〔大野(明)委員長代理退席、山口(敏)委員長代理着席〕 この間横浜の古河電池で二十年近くつとめてそして鉛中毒になった。あなたたちはそれは認定で認められないということでやりましたけれども、ああいう問題についても、こうしたILOの勧告からいうと、いわゆる国やあるいは企業側が、そうではないのだ、業務上ではないのだという反証がない限り、そうしたものを推定して労災の補償の対象にすべきじゃないか、こういう挙証責任制をきちんとやれば、いまの認定問題についても非常に労災法の目的にかなったことができるのじゃないか、こういうふうに私は考えておりますけれども、この点についてはどういう見解でおられるか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 労災保険は業務上の負傷疾病に対して補償することになっておるのでございまして、そういう意味におきまして、業務と負傷疾病との間に相当因果関係が必要である、こういうことで、実際の請求につきましては、請求をされる労働者の方が立証し、それに基づいて監督署長が認定をすることになっておりますが、しかし、この立証につきましては、労働者の必要以上の負担とならないように、労働者が災害をこうむりまた疾病にかかった場合の事情を疎明いたしますれば、それを基礎として、必要ならば監督署のほうで所要の調査を行ないまして、その上で業務上外の決定をする、かようにしておるのでございます。したがいまして、別に挙証責任の転換をしなくても私どもは十分必要な補償を労働者に与えることができるものだ、かように考えておりますが、先生先ほど時間がかかるとおっしゃいました職業性疾病などについては、事柄の性質上、医学的、専門的な問題がございまして、認定がむずかしい問題もございます。認定基準等を整備することによりまして、できるだけ迅速、円滑に補償が行なわれるようにしたいと存じます。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 先ほど労働省の方にお伺いしたときに、この勧告の中に、そうした国や資本家のいわゆる挙証責任といいますか、そういう問題については該当事項がないというお話でしたけれども、私の理解では、この「反証がない限り、」という反証という問題は、いま言ったように、国や企業側の反証というふうに理解しているんですけれども、日本のやっている認定制度がどうであれ、このことばの意味は私のように理解していいのかどうかということです。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 これは勧告でありまして、条約のように適合、不適合という問題がございませんので、あまり厳密な解釈をいたしておりませんけれども、これは職業性疾病についてのことでございます。職業性疾病というのは、なかなかこれはむずかしい。したがいまして、多くの国では、職業病の列挙主義をとりまして、そういうものは一応原則として職業病とみなすという制度をとっております。日本でも、御承知のように、基準法の施行規則三十五条で三十八の職業病を列記いたしておりまして、そういうものは原則としてみなされるわけでございますが、その中で、なかなかそれに明確に当たらない問題がございます。日本の場合でいいますと、そういうものは、三十八号のいわゆる「その他業務に起因することの明かな疾病」こういうようなものに当たる場合が問題であるわけでございまして、これは一般の災害等も含めて、反証の有無で推定する規定というよりは、私どもは、そういう職業性疾病、いわゆる職業病についての取り扱いのやり方を記載したものだというふうに理解しております。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 その職業性の場合だとしても、この反証という場合——普通の解釈です。それに対してどう適用するかはこれは別問題として、解釈の問題として、国や企業側というふうに理解していいんですか、それとも、これは労働者も含むとかなんとか、そういうことですか。この反証というのは、私の読んだ範囲では、国や資本家の反証がない限りというふうに理解していいかどうか、そのことだけきちっと……。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 これは国とか使用者とか限定せずに、たとえば医学的にも反証があったというような場合には別だがという、こういう趣旨ではないかというふうに理解しております。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 この点については、私たちもまた研究を深めますけれども、どう考えても、特に日本のような場合は、反証という場合は、企業や国というふうに私どもは理解せざるを得ないわけなんです。  そういう点で、被用者が少なくとも特定の期間危険にさらされた場合、職業性などについてはそうしたものはいい。——これをどうあなたたちがとらえるかどうかということはいろいろ見解があるようですけれども、私どもは、そうしたいまの認定制度の実態から、こうした勧告の内容を日本でも取り入れて、そうしてこれに従ってその認定制度の抜本的な改善をして、労災法の目的がかなうようにしていただきたいということを要望しておきたいと思います。  さて、次に、最近ミツミ電機というところで解雇問題がありました。これは朝日新聞やその他に載っておりますので、あるいは御承知かもしれません。これは電機部品の大手メーカーで、本社は東京にありますけれども、調布やあるいは私ども神奈川の厚木にもございます。ここで、メーデーの翌日に、かなりの大量の人々が経営の悪化ということで、突然指名解雇を通告されたわけです。この中の内訳を見ますと、組合幹部、活動家、職業病患者、産休者というものも含まれているわけです。特に私はこのこと自体が労組の、いつもここで論議されているように、いわゆる第一組合員という人々が多く含まれているということで、いわゆる組合つぶしの不当な解雇であるということは言えるわけですが、私は、この労災の中で質問したいというのは、この中に先ほど申しましたように、頸肩腕症候群、この認定患者が八名いるということなんです。十六名おったそうですけれども、八名の方は退職されたわけですから、残った八名に対して解雇の通告がなされた。こうなりますと、これは明らかに労働基準法十九条の解雇制限に違反する問題ではないか。さらに、産休中の問題は、いま私の調べでは、妊娠産休中が三人ですが、厳密にあの十九条でいう産休中というものについては、確かな人数が残念ながらわかりません。しかし、こういう人を含めて不当な解雇が行なわれている。それで、あの十九条でいう天災とかやむを得ない事情で経営がやっていけないということであれば別ですけれども、これによりますと、七三年には七億三千万円、七四年には十三億円余の利益をあげて、最近一月から六%の復配もやっている。こういう事情から見ますと、あの十九条のあとの条項にも当てはまるとも思えない。このような経営で、このような職業病患者、産休者に対して解雇の通告がなされているということについて、明らかに十九条違反だと思いますけれども、この点について政府の見解をお聞きしたいと思います。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 先生が具体的にあげられました実例につきましては、私初めて伺いまして、詳しい事情をちょっといま把握いたしておりませんので、至急調べてみますが、もしそれら頸肩腕症候群の疾病にかかっておられる方が、行政機関でも業務上の疾病であると認定されておられるといたしますと、基準法十九条との関係では、その方々がそのために休業をしておられる、そういう場合にもし解雇をしようとしたとすれば、これは十九条違反になります。業務上の疾病にはかかったけれども休業をしていない、通院で働いておられるような場合でありますと、形式的にいいますと十九条違反ではない。それから、妊娠中の方につきましても、単に妊娠しているというだけでは十九条違反になりませんが、妊娠しておられて、産前産後の、基準法六十五条による休業をしておられて、その休業中に解雇しようとしたとすれば、十九条違反になるわけでございますが、いずれにいたしましても、よく事情を調査し、あるいは基準法違反あるいはその他基準法違反に至らないまでも、好ましくない事態があれば、十分に行政指導をしたいと存じます。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 同じミツミ電機の人事部長の通達ということで、四十九年三月二十七日付で出ている通達があります。それによりますと、監督署が労災で認定した者に対していろいろの条件をつける。たとえばその認定をしたところが民主的な医療機関——たとえば御承知の、この名前もありますけれども、そうした特定の医療機関であるということが理由にもなっているわけです。その認定扱いをしない、一時留保するというのです。会社では、監督署がやったものを。それで、休業補償に対する補償の取りやめをやっている。ここは一〇〇%をやっているのですが、六〇%に対して四〇%加給ですからその四〇%部分をやらないということなんですけれども、とにかくそういうことをやると言っていたことを認定扱いにしないというような内容の通達がここにあるわけなんです。こういうことも私は、日本航空の問題でやりまして、その後改善されるということできょうも報告を受けまして、非常にいいことだと思っていますけれども、このような企業が、いわゆる行政機関がはっきり認定した患者を、自分たちのいろいろな労務管理その他の理由から、一方的に認定扱いにしないで不当な差別を行なうということは、これは明らかに私は不当なものだと思っておりますので、この点についても、事実を調べて適切な行政指導によって是正していただきたい、こういうふうに考えますが、この点について……。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 十分に事情を調査いたしまして、善処したいと思います。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 その両者について、これはなるべく早く調査して私のほうに報告していただきたい、こういうふうに思いますけれども、よろしゅうございますか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 調査いたしました結果についてはお知らせ申し上げたいと思います。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 障害等級による年金がいま七級までですか、それから一時金が八級から十四級という区分ですが、私はもっと年金部分をふやす必要があるのじゃないかというふうに思いますけれども、こういう点について、いま審議会やその他で検討されるのかどうか、これをお伺いしたいと思います。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 現在七級までが年金、八級以下が一時金に相なっております。八級以下といいますと、障害といっても比較的軽度な方でございます。したがいまして、これを年金にいたしますと、年金といっても非常に少額なものになることも考えられるので、年金にしたがいいかどうかは今後研究してみたいと存ずるわけでございます。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 最後に、これはすでに先ほどの討議の中でお答えがあったかと思いますけれども、私聞いておりませんでしたので、きょうの中で、いわゆる給付基礎日額の算定の問題の中で、ボーナス部分を所得の中に含めるかどうかという問題で再三いろいろ論議されていることであります。特にフランス、イタリア、西ドイツやアメリカというような内容を見ましても、ボーナスを含めた年間所得の平均賃金ということになっておるようでございますので、日本でもボーナスを含めて、被災前の三カ月間の平均賃金というような方向での検討をぜひしていただきたい。この点についての政府側の見解をお聞かせ願いたいと思います。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 先ほど多賀谷委員の御質疑の中でもこの問題、詳細な質疑がなされておるわけでございますが、その際もお答え申し上げましたように、昨年十二月の審議会の答申でも、この問題、いまにわかに結論を出すことが困難であるので、引き続き検討することが適当である旨述べられておりまして、現在同審議会で検討が行なわれておりますので、その結果を待って私どもとしては研究したいと存じます。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 それは検討を待つのだけれども、それに対する労働省というか、政府としての受けとめ方ですね、そういう方向を期待する、あるいはそういう審議会の中で皆さん方の意思を反映するということで、あなたたちのこういう問題に対する態度を、政府側として聞いておきたい。どういう方向で解決されようとしているか。  それからもう一つ、スライドの問題に対しまして多賀谷委員にやはりお答えがあったようですけれども、二〇%をもっと、幅が大き過ぎるという問題でよく五%とか一〇%という点が出ていますけれども、大体五%とか一〇%ということで検討をされるという内容のものであるかどうか、あわせてお答え願いたいと思います。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 給付基礎日額の算定方式の問題は、先ほど多賀谷委員との質疑の中でも、長期の給付と短期の給付と分けて給付基礎日額の取り扱いをしたらどうだといったような御意見もございまして、審議会の中でもいろいろな御意見がございます。したがいまして、それの結果を待って考えたいと思いますので、いまどういう方向でというのは、ちょっとまだ申し上げる段階ではないと存じます。  それからスライドの問題でございますが、これも先ほど多賀谷委員にお答えいたしましたように、審議会で引き続き検討ということにスライドの幅についてはなっております。これも何%を考えておるのだということでございますが、たとえて申しますと、四十八年のような大幅な賃金上昇が年間にあるところですと、大体二〇%でも年に一回の改定におそらくなるような——四十八年、九年のような場合でございます。今後それがどのようになるかという見通しの問題もございまして、いま検討中でございまして、まだスライドの幅はどのくらいの見込みかということをちょっとお答え申し上げる段階ではございません。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 いろいろ要望申しましたけれども、そういうことを含めまして、現在の労災の抜本的な改善をぜひやっていただきたい。ここに労働省婦人少年局の、労災被災家庭調査の四十七年版という、調査の結果が出ていますけれども、その中で、やはりこの労災補償の改善を望むという意見が六〇%で、要望事項中第一位になっておりますので、こうした被災者の方々の家庭の意見を十分考慮されて、引き続き今後とも労災補償法の改正について努力をしていただきたいということの、最後に大臣の決意を伺って、私の質問を終わりたいと思います。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 労災もさることながら、やはり、けがしないということが最初だと私は思っております。その上に、こういう災害のあった場合には、早く職場復帰できるように、お互いのほうで努力してまいりたい。それにつきましては、皆さん方の御意見などもお伺いいたしますので、そういう態度で進みたい、そう考えます。

石母田達日本共産党・革新共同

○石母田委員 質問を終わります。

山口敏夫自由民主党

○山口(敏)委員長代理 大橋敏雄君。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 すでに各委員からもう指摘があっておるわけでございますが、労災事故の続発といいますか、あるいは職業病の多発等から、そういう実態の中から、労働者はもちろんでございますが、関係者から、労災法の抜本的な改正をしてほしいという各所から強い要望がなされておりました。しかし、今回提案されておりますこの改正案は、失礼ではございますが、一歩前進ではございますけれども、決して抜本的な改正とは言えない、こう思うのであります。やはり一たん法改正すれば十年、二十年と、もうほとんどさわらなくてもいいほどにきめこまかく改正をやるべきである、これがいわゆる抜本的改正であると私は思うのでございますが、労働大臣はおそらく心のうちでは、このような改正ではならぬ、本格的ないわゆる大改善を近い将来にやるとお心におきめになっていると思いますが、その点についての御見解を承りたいということ。  時間がございませんので、ずっと個条的にいきますから、忘れないで答えてくださいよ、答弁漏れのないように。  それから、その問題点の一つとしまして、先ほど答弁なされていたように思いますけれども、労災保険法のいわゆる全面適用について、どのようなお考えでおられるのか。長谷川労働大臣は非常に積極的な性格の方であるということも聞いておりますし、きのう成立しました雇用保険法はすでに全面適用を打ち出しております。これと比べまして、同じ労働行政の担当をなさる大臣の立場から、均衡の上からもおかしいのではないかと思うのでございますが、まずこの二つの点についてお伺いしたいと思います。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 こういうものは前向きにやって労働者を守らなければならぬ。いわんや、先ほどもお答えしましたように、まず災害を受けないことが一つ。そして、受けたあとでは、早く職場に復帰できるように手当てをすべきもので、このたびの改正法案におきましても、大体二二%アップという戦後最大のアップをしているわけでありまして、それらのことが御審議の間にだんだんと解明されていくというふうに思います。  それから、全面適用の問題につきまして、あらためて、大事なことですから、申し上げますと、適用範囲は四十四年の改正によりまして、たてまえとしては全産業に適用することとしておりますけれども、暫定的に任意適用業種として、残るものを政令で定めることになっており、これら任意適用業種も、その後逐次政令改正で強制適用事業に繰り入れて、現在は商業、サービス業、農業等の五人未満の事業所で任意適用等が残っているところがありますが、政府といたしましては、五十年四月までに政令改正によってこれらについても適用拡大をはかり、農業等の一部を除き、全面適用を実現したいという前向きの姿勢であることを御報告申し上げます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 全面適用の点についてはよくわかりましたが、今回の改正は、現行からいきますと大改善である、これは私も認めますけれども、これは水準の置き方によってお互いに見方が変わってくるわけです。われわれは、やはり現在の日本の経済社会の実態の上から見た場合に、この程度の改善ではまだまだ足りないというような立場から、先ほどから抜本改正の要望をしたわけでございます。  実は、もう一つ問題になるのは労災法施行前のいわゆる労災事故者、つまり被災者ですね、この対策についてでございますけれども、昨年の五月、私は鹿児島県の旧山ケ野鉱山のけい肺病問題を実態調査いたしましてその救済方を要求いたしました。当時はたしか加藤労働大臣であったと思いますが、その内容について現局長が、さっそく作業に取りかかって、四十八年八月でしたか、労災特別援護措置要綱というものを作成して、事実地元において精密検査等を実施なさったわけでございます。関係者からたいへん喜ばれた手紙等が参ったわけでございますが、その精密検査等を行なった結果どのような実態になったか、まず御報告していただきたいと思います。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 戦争中の労災法施行前にじん肺等になられました方につきましては、法施行前の方でありますために、従来労災保険による保険給付を受けることができず保護の外に置かれておったのでございますが、大橋先生の山ケ野鉱山の実情調査及びそれに基づくいろいろな御要望もございまして、私どもいまお話がございましたように、労災援護特別措置要綱という実行上の措置によって、こういう方にも必要な療養とある程度の手当を出すことにいたしたのでございますが、そのとき、先生からお話のございました山ケ野鉱山の元従業員につきましては、昨年の六月に元従業員二百二十一名を対象といたしまして検診を実施し、さらにその結果によって二次検診を必要とする人につきましては、同年の八月に二次検診を実施いたしております。その結果、療養を要すると診断されました者が二十一名ございました。そのうち労災法施行後労災法の適用を受けたことがある方は六名おられまして、これは当然労災保険法からの所定の保険給付を支給をいたしております。残り十五名の方につきましては、これは先ほど申し上げました労災特別援護措置要綱に基づいて、昨年十月より援護措置を適用いたしておるところでございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 これは大臣にお尋ねしたいのですけれども、この労災特別援護措置というものは、じん肺、脊損者のみに限定されていると思うのです。私はこれは当然ワクを拡大すべきだと思うのですね。たとえば病院で業務上等の明確な裏づけがとれた場合は、これは直ちにその対象として救済していくべきだ、いわゆるワクの拡大を考える必要があるのではないかと思うのですけれども、この点について御見解をいただきたいと思います。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 大橋さん御指摘のように、労働省はそういう事件が起こって諸先生方から御指摘をいただきますと、直ちにこのとおり発動して実情調査し、さらにはまた適用されるようなものはばたばたとそちらのほうに向かっていくわけであります。ただいまのお話は労災法適用前の問題でありまして、その他のそういう問題につきましては、予算の措置で善処しているということを御理解いただきたいと思います。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 これは予算の中で善処しているということでございますが、私がいま言いたいことは、じん肺そして脊損患者以外にもそういう点についてはお願いしたい。それはよろしいでしょうか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 先生おっしゃるように、この措置要綱はじん肺、脊損が主でございますが、これに準ずるような人、たとえば背骨ではないが頭部外傷といったような人も同じように取り扱うことにいたしておるわけでございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 では次に移りますが、休業補償給付、長期傷病補償給付についてでございますけれども、これは先ほどからも質疑がなされておりまして、大体すべてこういう改善については審議会のほうにということでみんな逃げられているようでございます。現行は六〇%の給付でございますけれども、これを一〇〇%、三百六十五日分とすべきであるという主張も先ほどからなされておりました。事実労働省の四十七年度調査の結果を見ましても明らかなように、経済、社会情勢の変化に伴いまして大中小企業中七、八割以上の企業がいわゆる上積み給付、付加給付を行なっている。その七ないし八割以上の企業の中でもさらに七、八割が一〇〇%の給付を行なっているということがはっきりしているわけでございます。この点について単に審議会の意見を聞いて云々じゃなくて、もっと具体的に大臣の見解を示してもらいたい。これが一つです。  もう一つ大事な問題は、この実社会の大勢というものは、もうすでに二年前から休業補償給付についてはこのように一〇〇%支給の実情にあるということですね。しかし私が問題にしていることは、将来も十割給付の対象になり得ない、いわゆる零細企業の労働者でありますけれども、これこそ保険制度によって救済されねばならない方々と思うのでございます。要するに零細企業というのは資力が微弱でございまして、とてもそういうものを背負い切れないという実態がございますので、この点について手厚い政府のいわゆる援助措置がほしいと思うわけでございますが、この点についてはいかがでございましょうか。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 休業補償給付の水準につきましては、先進諸国の水準に比較しまして私は遜色ないものと考えておりまして、現在のところこれをすぐに引き上げるということは考えておりません。  このたびの法案によりましても、保険給付ではありませんけれども、休業八日以上の重度の療養労働者に対しましては、保険施設として給付基礎日額の二〇%に相当する特別支給金を支給することにいたしておりまして、実質的にはこれらの療養労働者に対する保護は約八割ぐらいまでに相当程度引き上がっている、こういうふうに理解しているところであります。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 時間が非常に限られておりますので次に移ります。  長期傷病補償給付の件ですけれども、これを撤廃しろという意見があるわけですよ。それはなぜかと申しますと、療養補償給付はその期間はいまのところ三年間ですね、今度どうなるかですけれども。要するに完全治癒もしくは職場復帰までということにこの期間を改めるべきである。これは労働基準法の第十九条の解雇制限を存続させるという意味にも通じていくわけでございますが、いずれにいたしましても、長期傷病者補償給付については、休業補償給付と同じような意味合いもありますので、これを撤廃をして三百六十五日分の支給をすべきであるという強い意見があるのですけれども、これについての御意見をお伺いいたしたいと思います。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 長期傷病者補償給付といいますのは、負傷または疾病をいたしまして三年間療養を続けてもなおらない場合にそちらに移るわけでございまして、そういう長期間の療養を必要とされるような方は、やはりそれに応じた補償の体制が必要だと思います。療養給付でございますと、たとえば一定規模以上の場合には、休業補償なども自分の事業場の賃金にスライドいたすわけでございますが、もう三年以上になりますと、やはりこれは年金システムでやっていく、こういう形が当然ではないか、こういうことで長期傷病者補償制度があるわけでございます。しかし、補償の内容は、年金ではございますが、休業補償中と同じく大体収入の六割の支給と、療養に要する費用を引き続き支給する形になっておりますので、そういう制度があることによって、労働者の保護に欠けるということはないと存じております。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 しかし、これは関係者の強い要望でございますので、今後の検討の中に真剣に取り上げてもらいたいということを強く要望しておきます。  給付基礎日額の算定の問題でございますが、従前の三十日の給与、また一年間のボーナス、臨時給与あるいは諸手当その他を算定基礎に組み込むべきであるという意見が先ほども出ていたと思うのですけれども、私もそのように思います。きのうの失業保険法の改正の中では——改正の中でなくても、失業保険法の中では、もうすでにそういう立場で考えられていることからも、そう思うわけでございますが、これについての御回答をお願いいたします。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 先ほども何人かの委員の御質問でその問題が審議されておりますが、労災保険審議会の昨年十二月の答申でも、この問題はいろいろな問題があって、にわかに結論を出すことができないので、引き続き検討すべきであると述べられておりまして、現在労災保険審議会の基本問題懇談会で引き続き検討がなされておりますので、私どもとしては、その結果を待ちまして、十分研究してみたいと存じております。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 最低補償額の問題でございますが、現行千円ですけれども、これが近く千三百八十円に改定されるやに聞いておりますが、それが事実かどうかということ。と同時に、関係者の希望は、千三百八十円程度では話にならない。千七百円程度にはすべきであるという意見がきわめて強いのでございますが、これを含めて御回答いただきたいと思います。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 最低給付基礎日額につきましては、四十八年度までは千円でございましたが、この四月一日からすでに千三百八十円を適用をいたしておるわけでございます。もちろん高い額を御希望になる御趣旨はよくわかりますけれども、最低賃金の動向、その他各般の事情を勘案いたしまして、四十八年度に比べまして三割八分という大幅なアップをいたしましたわけでございますので、今回はこの千三百八十円で行なっていくつもりでおるわけでございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 三割八分の大幅アップだとおっしゃいますけれども、現在の社会経済情勢下では、いまの狂乱物価時代といわれるような立場から見ます場合、当然千七百円にすべきであるという意見は、私は理解できると思うのですね。これも強く要求しておきます。  それから通勤途上災害の問題でございますが、これが前回制度としてでき上がったわけでございますけれども、業務上災害とはまだまだかなりの開きがあるわけですね。これも実質的には同等の扱いとすべきであるという気持ちで一ぱいなんでございますが、これについてはどのような検討が進められているか、お尋ねいたします。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 通勤災害は、昨年労災法の改正をしていただきまして、十一月から実施をいたしたわけでございます。昨年の御審議の際にも申し上げましたように、業務上そのものではございませんけれども、給付の内容は業務上と全く同じでございまして、二百円の初診料を労働者が負担することを除きますと、ほとんど業務上と同じように取り扱うことにいたしておる次第でございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 つぶさに内容を見てまいりますと、二百円の負担のみでなくて、まだ幾らも不備な点が見られます。これは御承知と思いますけれども、こういう点を埋めるために、いわゆる実質的な一本化をすべきであるということを強くこれも要望しておきます。  時間がないので次に移ります。  障害補償給付の問題でございますけれども、労災法による障害等級一級から三級の障害者は労働能力を一〇〇%喪失しているということが認められているわけですね。裁判所等の司法関係も全く同じような判断を下しているわけでございますが、そういう立場から考えます場合に、三級障害者に休業補償給付と同等に一〇〇%の障害年金を支給すべきであるという強い意見があるわけでございますが、これについての御見解と、それから三級障害者を基本として、等級に応じた逓減逓増のいわゆる配慮をすべきである、こういうふうに考えるのでございますが、この点についての御意見を伺います。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 障害補償につきましては、完全能力喪失の三級者、従来これが収入の六〇%でございましたのを今回六七%にいたしたわけでございまして、これはILOの百二十一号勧告でも収入の三分の二とするようにということを述べられております。それに適合するようにいたしたのでございまして、国際水準から見ましても私どもこれで遜色がないものと考えております。なお、三級を中心に、一、二級はそれよりも高く、四級以下はそれぞれに応じて低くという逓増逓減、これは今回の改正においてもそれぞれに応じて逓増逓減の改善をいたしておるわけでございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 次の問題も要求にとどめておきますが、遺族補償給付の問題でございますけれども、一時金を四千日分にすべきである、最低一千万円とすべきである。昨年改正されました自賠法には、その補償も一千万円となっているということですね。そういう立場からも当然最低一千万円とすべきだという意見、それから年金の基本給を八〇%とすべきである、そうして併給すべし、加算は一人につき五%である。また現行十八歳の年齢制限は、大学生は卒業まで、また成人までとすべきであるということが強く要望されていることをお伝えしておきます。  次に、特別支給金についてでございますけれども、先ほど局長からいろいろとあいまいな答弁が出ていたようでありますが、社会保障制度審議会の答申にも、この特別支給金制度はその性格が必ずしも明確ではない、研究の余地があろう、こういって指摘しておりますが、局長は先ほど、これは弔慰金あるいは見舞い金と見るべきであろうというような話がありましたが、私は支給範囲と金額について、これも強く要望しておきたいわけですけれども、この改正案の施行の十一月一日以降に障害補償給付に移行した者のみが対象とされているわけですね。すでに障害年金受給者についてはどうなるのかということです。全く対象外ということになるのかどうか。これではあまりにも画一的な措置ではなかろうか、こう思うわけでございます。この点について、いかがでございましょうか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 こういう今回のような法律改正が行なわれました場合には、新しく改善された支給金というようなものは、施行後に支給事由が生じたものについて適用になるというのが通例でございまして、過去の労災法の改正もそういうことでやってまいったわけでございます。したがいまして、障害補償者に対する特別支給金につきましても、この法律施行の日以後に障害補償が支給されることになった者に対して支給する、こういうことにいたす所存でございます。  なお、障害年金をすでに受けておられる方につきましてその年金の増額は、すでに障害補償の支給決定がされている方についても施行日以後適用になるわけでございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 長期傷病者についても障害年金受給者と全く同じ障害を持ちながらかつ他の合併症に苦しみ、一生涯障害補償給付に移行できない。この長期傷病者が全く対象外とされていることについても不合理であるという非常なる意見があることを伝えておきます。要するに、特別支給金が改正案施行以前に障害年金に切りかえられた者が受給できない理由というものは全くないということだと思うのでございます。この支給範囲の制限については慎重に再検討をしていただきたい。  それからこれは参考的に申し上げておきますけれども、四十五年十一月より支給開始されました介護料でございますね。これについては施行以前の人にも支給されたという事実がございます。したがいましてこの特別支給金は障害に対する、いわゆる先ほど言われた弔慰金あるいは見舞い金、私は慰謝料的なものであろうと思われますので、長期傷病者中、三級障害以上と同じ障害者を持っている者については三級障害者と同額の特別支給金を支給すべきではないか、こういう考えを持っているのでございますが、この点についてはいかがでございましょうか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 長期傷病者補償を受けておられる方はまだ療養を継続しておられるわけでございます。したがいまして、今回の改正で、そういう方につきましては年金は従来どおりでございますが一特別支給金は、二割ということで上積みになるわけでございまして、そういう意味で保護は非常に厚くなるわけでございます。障害の特別支給金というのは、これは症状が固定した場合に残った障害に対して出すわけでございますから、長期傷病者の方が今後症状が固定されて障害が残った場合には、その時点で障害補償者に対する特別支給金が支給されることに相なるわけでございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 葬祭料につきましても、その額を少なくとも三十万円に引き上げるべきであるという意見がございます。私も、いまの物価上昇のこういう状態の中からはこの程度までは当然引き上げていくべきではないか、こう思うのでございますが、この点についてはいかがですか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 葬祭料につきましても、従来は七万円プラス給付基礎日額の三十日分、こうなっておりましたのをこの四月から引き上げまして、九万円プラス給付基礎日額の三十日分ということに引き上げをいたしたわけでございます。平均でいいますと大体十八、九万になるわけでございまして、もちろんより多額であることが望ましいというお気持ちはわかりますけれども、私どもが調査いたしました通常の平均の葬祭に要する費用にこれが大体該当するということで、こういう改善をいたした次第でございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 もう時間が迫って参りましたので、いまおたくのほうからいただいた資料の中の労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案新旧対照条文の一ぺ−ジの二十三条です。現行は「政府は、この保険の適用を受ける事業に係る業務災害及び通勤災害に関して、次の保険施設を行なう。」とありますね。ところが改正案のほうになりますと、ずっと読んで最後に「施設その他必要な施設を行うことができる。」こういうふうに表現が全く変わっているわけですね。ずいぶん弱くなっていると思うのです。これは大事な保険施設の問題でございまして、こういう弱い表現に変えるということはまずいと私は思うのです。これが一つ。  同時に実際問題として労災リハビリテーション等に対する施設、この拡充強化が非常に叫ばれているところでございますが、具体的な計画があるのかどうか。たとえば私がいま居住しております北九州は鉄の町といわれた労働者の町でございます。そこには労災事故あるいは職業病等で悩んでいる方が非常に多いわけでございますが、こういうところにこうしたリハビリテーション施設を設ける考えがあるのかどうかも含めてお尋ねします。   〔山口(敏)委員長代理退席、委員長着席〕

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 今回の改正で二十三条を改正いたしましたのは、従来の二十三条はそこに書いてございますように、外科後処置だとか、義肢だとか云々と非常に限定的でございました。これをもっと包括的に規定することにいたしまして、「この保険の適用を受ける事業に係る労働者の福祉の増進を図るため、保険施設として、業務災害及び通勤災害に係る療養に関する施設、業務災害又は通勤災害を被った労働者の社会復帰に関する施設、業務災害の予防に関する施設その他必要な施設行うことができる。」と非常に包括的に書いたわけでございます。したがいまして、そういう意味では弱くなったというのではなくて、範囲が拡大をされた。したがいまして、そういう広範なものを行なうという政府の権能を規定した意味で「行うことができる。」といたしたわけでございます。むしろ私どもは積極的な気持ちをあらわしたつもりでございます。  なお、北九州市等は確かに労働者が非常に多数おられるところでございまして、業務災害にかかられる方も多いので、現に保険施設といたしましては小倉に北九州の労災病院がございますし、そこにリハビリテーション大学校なども付設してございます。さらに現在北九州にリハビリテーション作業所を建設中でございまして、そういうことによりまして、北九州市等につきましては特にその実情に応じましてこれら労災保険施設の充実をはかっているところでございます。

大橋敏雄公明党

○大橋(敏)委員 権能を広げたということであっても、「行なう。」ということと「行うことができる。」ということは、確かに内容からいって弱くなるわけですよ。したがいまして幾ら対象を広げてみても、実質的な実行の力が弱まれば、結果的にはマイナスということになりますので、いま局長がおっしゃったようなことであるならば問題はないと思いますが、そういう点について十分気をつけられて、しっかりした行政をなさるように強く要望いたしまして私の質問を終わります。

野原正勝自由民主党

○野原委員長 小宮武喜君。

小宮武喜民社党

○小宮委員 最初に労災保険の全面適用の問題についてお伺いします。  この問題はこれまで国会でもたびたび取り上げられておる問題でありまして、また昨年の一月十七日の労災保険審議会の答申においても、また社会保障制度審議会からも労災保険の早期完全適用の必要性が指摘をされているわけでございますが、今回の改正案ではこの法的措置が全然なされておりませんけれども、これはいかなる理由によるものかお尋ねいたします。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 五十年四月までに政令改正によってこれらについても適用拡大をはかりますとともに、農業等の一部を除いて全面適用を実現したい、こういうふうに意図的に私たちは考えております。

小宮武喜民社党

○小宮委員 確認しますが、現在労働省で全面適用の問題については準備が進められているということは審議会の答申の中にも一項目うたわれているわけですが、昭和何年までですか、その時期を明確にしてください。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 今回の改正法で書いてございませんのは、すでに四十四年の改正で全面適用というたてまえを明確にして、暫定的に改令で任意適用に残せる、こういうことにいたしておりまして、政令改正で暫定適用をどんどんはずしていきますれば全面適用ができる法制になっておるからでございます。  全面適用につきましては、ただいま大臣もお答えになりましたように、農業等の一部を除いて五十年四月に全面適用を実現したいと考えております。

小宮武喜民社党

○小宮委員 それを確認したいと思います。  それから通勤途上災害の問題ですが、これは昨年の法改正の際も、労働省は通勤途上災害を業務上災害に加えることについて、次回の法改正の際検討したいという答弁がなされているわけですが、今回、これはどうなったのか、この点についてもひとつお伺いします。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 昨年の労災法改正で通勤災害保護制度を設けましたとき、これを業務上とするかしないかというたいへんな議論がございまして、昨年は審議会答申に基づきまして、業務上ではないが、業務上に準ずるものとして実際の給付はそれとほぼ同等にする、こういう制度になっておりまして、業務上そのものにするかどうか引き続き検討せい、こういう点については当委員会でも御議論があったわけでございます。ただ、今回の改正は、昨年の暮れの審議会の答申に基づいてやったわけでございますが、通勤途上災害は昨年の十一月施行になりましたばかりでございまして、昨年の十二月、今回の改正の答申が出ました際は、まだその運用の実情等もつかめていない、どういう問題があるかもつかめていない段階でございましたので、今後現行の通勤災害保護制度の運用の状況を見ながら検討するということで、今回はその点には触れてないわけであります。ただ、今回のいろいろな給付改善は通勤途上災害の労働者にも適用があるわけでございまして、そういう意味ではそれらの方々の保護は非常に厚くなるわけでございます。

小宮武喜民社党

○小宮委員 昨年この労災法の改正で通勤途上災害が加えられたわけですが、最近、通勤途上災害が労災法の適用を受けるということになってから企業の中でいろんな問題が出てまいっております。というのは入場、退場の際、やはり一応会社を出るまでの間にいろんな交通事故がいままであった場合に、これは業務上災害として取り扱っておったのが、この通勤途上災害が法改正によって適用されたということで、その事業所内におけるいわゆる作業が終わって帰宅する場合のこの事故も労災法に切りかえていこう、労災法の通勤途上災害として認定しようという動きがあちらこちらに出てまいっております。その点について、いまの通勤途上災害というのを、われわれは一応会社から出門をして自宅まで帰る間における通勤途上災害だというように理解しておったところが、そういった工場の中における問題まで通勤途上災害だということで認定しようという動きが出てきておりますから、その点について、この際労働省の見解をひとつ明らかにしてもらいたいと思います。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 通勤と申しますのは、昨年の当委員会の質疑でも申し上げましたとおり、労働者が就業に関して、住居と就業の場所との間を合理的な経路及び方法で往復することをいうわけでございます。したがいまして、一般に事業主の支配下にあると認められる事業所の構内に入ってしまった場合、これはもう通勤ではございませんで、構内においてこうむった災害につきましては、それが業務に関するものであれば、これはむしろ業務上の災害になるわけでございます。

小宮武喜民社党

○小宮委員 それで一つはっきりしました。  それから、これも昨年法改正の際、中小企業の事業主及び労働組合の委員長等の特別加入者にも労災の適用をすべきだというのが、特に通勤途上の問題もあって、いろんな強い意見が出されていたのですが、特にこの問題についてやはり特別加入者に対してもぜひ早く適用を実現してもらいたい、そうしなければ、特に現在労働組合の委員長に対して労災が適用されないということで、あるいは通勤途上けがした場合でも何らの保障もないわけですから、各組合において二千万とか三千万とかの保険に加入して、それで労災適用がされていない面をカバーしようということが現在いろいろやられておるわけですが、そういうような意味においても、これは先ほど言われましたように、完全適用も含めて、こういうような特別加入者に対して労災の適用をひとつぜひ実施してもらいたいと思いますが、どうですか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 昨年の通勤途上災害制度の際も御議論があったところでございますが、家内労働者だとかあるいは自営農民であるとかあるいは中小企業主あるいは一人親方、こういう方の特別加入者につきましては、どうも普通の労働者のような通勤といったような問題に該当するかどうか疑わしい場合もございますし、それから業務上であるかどうかということで判定がむずかしい問題などもございまして、昨年の際には、特別加入者には通勤災害保護制度を適用しないことにいたしました。その結果は、労組の委員長なども中小企業者というような形で特別加入されておりますために適用されておらないわけでございます。これについては、特別加入者についても通勤災害保護制度を適用するかどうかを検討するようにという御意見もございまして、私ども検討する旨をお答えしたのでありますが、今回の場合は、何せ、先ほども申しましたように、通勤災害保護制度が適用になりました十一月、その直後に今回の改正を審議会できめましたので、まだその実情等も十分把握されてないということで、今回の場合には取り上げなかったわけでございますが、この問題は昨年も引き続き検討する旨を申し上げておるわけでありまして、今後検討してまいりたい、かように存じております。

小宮武喜民社党

○小宮委員 労働省は、口をすっぱくして機会あるごとに質問しておかぬと、やはり一回言ったからといって信用しておっても実現するまでかなりの時間がかかるので、あらためてそういうような意味で質問したわけです。  次は法案の内容について質問します。  この改正案では、遺族補償年金額について改正前に比べて五%から七%引き上げられておりますけれども、この業務上災害の補償給付については、昭和四十五年以降改善されていないわけです。それは賃金スライドの問題があるかもしれませんが、正式にはやはり法的には改正されていないわけです。それを考えると引き上げ率があまりにも少ないのではないかというふうに考えますけれども、今回の引き上げの幅について何か根拠があるのか、その点ひとつ御説明を願いたいと思います。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 今回の給付改善の考え方は、従来、労災保険はILO百二十一号条約に適合する水準になっておりましたのを、条約よりも高い水準をきめておりますILO百二十一号勧告に規定している線まで引き上げよう、こういうことで給付内容の改善をはかったわけでございます。なお、そのほかに先生も御承知のように、法律上ではございませんが保険施設という形で特別支給金を出すことになっておりまして、それを合わせますと、全体として労災保険給付は二二%ぐらい改善されることになっておるわけでございまして、そういう意味では、私どもこれまで戦後最高の改善を今回実現したもの、かように理解しております。

小宮武喜民社党

○小宮委員 先ほどから局長はILO百二十一号の所得の三分の二を下らない額とするという勧告に基づいてやられた、こういうことを答弁されておりますけれども、この勧告は最低限を示したものだというようにわれわれは理解しておるのです。だからその意味では、いま労働省がこれで世界的水準に達したということで自画自賛をしておられるようでありますけれども、御承知のように、わが国は経済大国になったわけですから、そういうような意味でようやく世界の水準のILO条約、ILOの勧告の最低線にいま追いついたというところなんです。その意味では、わが国が経済大国になったというその裏には、やはりこういった勤勉な労働者の犠牲の上に立ってこの経済大国が成り立ったと言っても過言ではないと私は思うのです。そういうような意味で、これは西ドイツとかフランス並みに、年間所得の八五%ぐらいまで引き上げるべきではないかというように考えますが、所見はどうですか。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 局長から御答弁がありましたように、ILOの勧告というもので二二%も引き上げたわけではありますが、まだこれでも足りないというお互いの前向きの姿勢に対しての指摘、これは私もそういう気持ちで将来対処してまいりたいと思います。  しかしながら、一方振り返って考えますと、西ドイツやらフランスの例がありますけれども、このたびの遺族補償年金についてもこういう両国と比較いたしますと、今回の制度改善による給付改善等、あるいは保険施設といたしましても、遺族に対して見舞い金という形になりましょうけれども、百万円の特別支給金が支給されることなどを考えますと、やはり日本的なものとして諸外国の水準に比較して劣らない、こういうところを御理解いただきながら、いまから先の問題もまた対処してまいりたい、こう思っております。

小宮武喜民社党

○小宮委員 今回の改正案における上げ幅というのはわれわれも努力は認めますけれども、しかし、四十五年以来改正されていない、その間の物価上昇、賃金上昇、いろんなものを考えた場合に、どうしても今回の上げ幅が五%か七%というのは非常に低過ぎるのではないかというように考えます。したがって、私としてはこれは物価とか賃金上昇に見合って、やはり遺族補償年金については、妻については基礎年額の五〇%、子供一人について一〇%増しにすべきじゃないか。いわゆる妻については基礎年額の五〇%、それに子供一人に対しては一〇%ということで改正をすべきじゃないのかというような考え方を持っているのですけれども、時間がないから基礎的なものは説明しませんけれども。だからそういうような意味で、今後もこれはひとつ十二分に改正については毎年積極的に取り組んでもらいたい。  それからまた、障害年金についても、この政府案では遺族年金の最高六七%を日数に換算した二百四十五日分を障害三級の給付日数に当てはめて、この三級の改正以前の二百十九日に対する上昇率をそれぞれに乗じて出た額を定めているわけです。それではこの障害年金についての根拠が薄弱ではないかというふうに考えますけれども、その根拠と、それから遺族年金の引き上げ自体がやはり低いのではないかということを考えますけれども、これは各遺族年金のそれぞれの引き上げ幅の根拠、その点をひとつ簡単でいいですから……。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 これもILO百二十一号勧告でございます。勧告におきましては、完全労働不能の場合には遺族に対する年金の最高限度を下回らないで、かつ三分の二以上となっております。遺族の年金が今度六七%、三分の二にいたしましたので、それに合わせまして完全労働不能の三級を六〇から六七に引き上げて、それに応じて今度は一、二級あるいは四級以下を引き上げたというのが根拠でございます。

小宮武喜民社党

○小宮委員 特別支給金の問題ですが、この特別支給金の性格はどういうようなものですか。たとえば、われわれが考えるのは、被災労働者に対する逸失利益の補償だというふうに考えているわけですが、労働省はこの特別支給金の性格についてはどう考えますか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 労災保険では、逸失利益の点は年金である保険給付によってやっておる、こういう考えでございます。したがいまして、特別支給金はそういう逸失利益以外の面にわたる処置、すなわち弔慰金や見舞い金に当たる性格のものである、こういう考え方に立っておるわけでございます。

小宮武喜民社党

○小宮委員 われわれはやはり年金が低いからそれを補完するものだというような理解もしているわけですが、いまの労働省の答弁では、やはり見舞い金とかその精神的慰謝料とかいうものに性格づけをしておるようですけれども、それでは百万円というその根拠はどこから出てきましたか。見舞い金だとかなんとか言うならば、その百万円の根拠を……。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 そういう逸失利益以外の面にわたる処置ということになりますと、ケース・バイ・ケースで非常に違ってくるわけでございます。したがって、保険でそういうものを制度化するとすると、やはりいかなる場合にも当てはまる最低限を保険で給付する、こういう考え方になるわけでありまして、そういう考え方の上に立ちながら、実際に企業でそういう考え方で行なわれているもの等を見ますると、もちろん高額のものもございますけれども、百万円台ぐらいのものが一番多く、中には百万円以下のもの、あるいはそういう上積み補償を全然やっていない企業などもあるわけでございまして、そういうような事情、それから一番死亡者が多い建設業におけるこういう業務上災害の上積みについての共済制度などは一口百万円になっておりまして、それらのことを勘案いたしまして死亡の場合に百万円としたわけでございます。

小宮武喜民社党

○小宮委員 今回、その特別支給金制度を設けたというのは高く評価しておるのです。しかし、それにしてもこの百万円という根拠がどうもあいまいである。むしろそういうような意味では、これはもう今日の交通事故の補償の問題、たとえば自動車事故の自賠の問題、いろいろ考えると、公害補償だってもう千数百万出ておるわけですから、そういうような点から見ればやはり百万円というのは低過ぎるじゃないか、やはりもっともっと上げるべきではないのかというような考え方を持っているわけです。しかしながら、きょうこの問題でここで論議しても、予算のほうは決定しておるのでどうにもなりませんけれども、この問題についても来年引き上げるたてまえで努力をしてもらいたい。  それからもう一つ聞いておきたいのは、業務上、外の認定基準の問題です。私は去年も質問しましたけれども、現在は業務起因、それから業務遂行の二つの要因がなければ業務上と認定されぬような現行法制になっていますね。  この問題について昨年の七十一国会において、七月六日、私は加藤前労働大臣に質問をいたしました。業務遂行中、直接の原因はたとえば心臓麻痺だとかあるいは脳溢血だとか、このような形でなくなられる方がやはりかなりいるのです。その場合、そのような人たちが大体一年間にどれくらいいるのかという質問に対しては、そういった数字の持ち合わせがないというような答弁をいただいたわけですが、その数字の問題は別として、その際加藤労働大臣は、私がこれはやはりいろいろ原因はあるけれども、それは業務上の災害として認定すべきではないのか、労災の適用をすべきではないのかという質問に対して、このような答弁をしているのです。「ただころっと死んだからといって、全部それが業務災害でない、こうは現状でもしておらぬそうでございます。よく内容を調査して——本人の持病という場合にはいたしかたないけれども、よく調査いたしておりますが、なお一そうこれを広義に解釈して、実態を調査して、どちらになるかということを、これは専門的な医学的な問題もありますので、さっそくあした審議会にこちらから通達いたしまして、これも添えていい案を出せ——やはり世の中が変転しており、最近は人命尊重、人命尊重でありますから、当然さような方向に進ませたいと思います。」という答弁を加藤労働大臣やっているのです。これは労災審議会が開催されておるときですから、加藤労働大臣はこの答弁を忠実に実行して審議会に諮問したのかどうか、まずその点をひとつお聞きします。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 御指摘のような御質疑がありましたことは事実でございまして、業務上、外の認定の問題、労災審議会でも当時議論されておりまして、そういう御議論があったことはお伝えしてございます。  しかし、何せこれは医学的な問題でございますので、私どもさっそくその後脳出血等と業務との起因、因果関係等につきまして専門家に研究委託をいたしております。その研究の結果を得まして十分に検討してみたい、かように考えております。

小宮武喜民社党

○小宮委員 それではその研究結果というのはいつごろ出ますか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 これは専門家の方に、「中枢神経及び循環器系疾患(脳卒中、急性心臓死)の認定基準について」という研究課題で研究を委託しておりまして、これは医学的な学問的な研究でございますので、いつといま直ちに時期を申し上げるまだ段階ではございませんけれども、そういう研究結果を得ました上で検討してみたいと考えます。

小宮武喜民社党

○小宮委員 まあ二年も三年もかかるということじゃないでしょうね。どうですか。

渡邊健二労働省労働基準局長

○渡邊(健)政府委員 できるだけ急いでいただくようにしたいと存じます。

小宮武喜民社党

○小宮委員 きょうは時間がございませんので、これくらいで質問を終わります。

野原正勝自由民主党

○野原委員長 これにて労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案についての質疑は終了いたしました。     —————————————

野原正勝自由民主党

○野原委員長 これより作業環境測定法案及び労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案を討論に付するのでありますが、申し出もありませんので、両案の採決に入ります。  まず、作業環境測定法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

野原正勝自由民主党

○野原委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

野原正勝自由民主党

○野原委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————

野原正勝自由民主党

○野原委員長 この際、大野明君、枝村要作君、大橋敏雄君、小宮武喜君より、本案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  その趣旨の説明を聴取いたします。枝村要作君。

枝村要作日本社会党

○枝村委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。  案文を朗読して説明にかえさせていただきます。   労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議  政府は、次の事項に関し速やかに所要の措置を講ずべきである。 一 労災保険の給付水準、給付基礎日額の算定方法、スライド制等については、今後ともその改善を図るよう検討すること。 二 労災保険の全面適用を早急に実現すること。 三 労災保険給付と他の社会保険給付との関係については、災害補償の趣旨からみて適切な調整のあり方を検討すること。 四 被災労働者の社会復帰のためのリハビリテーシヨンに関する措置を一層充実すること。 五 特別支給金の額は、社会経済の動向に即応し、今後ともその引上げを検討すること。 六 業務災害の発生防止を図る等のため、関係職員を大幅に増員すること。 以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)

野原正勝自由民主党

○野原委員長 本動議について採決いたします。  本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

野原正勝自由民主党

○野原委員長 起立総員。よって、本案については、大野明君外三名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  この際、労働大臣から発言を求められております。労働大臣長谷川峻君。

長谷川峻自由民主党労働大臣

○長谷川国務大臣 ただいま御決議をいただきました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、関係各省とも協議の上善処してまいる所存であります。     —————————————

野原正勝自由民主党

○野原委員長 なお、両案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野原正勝自由民主党

○野原委員長 御異議なしと認め、さように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————

野原正勝自由民主党

○野原委員長 次回は、明後十六日木曜日午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後六時四十七分散会

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