社会労働委員会 第18号
- 発言数
- 263 件
- 登壇者
- 20 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1974/04/12
会議録
○野原委員長 これより会議を開きます。 作業環境測定法案、労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案の両案を議題とし、順次提案理由の説明を聴取いたします。労働大臣長谷川峻君。 —————————————
○長谷川国務大臣 ただいま議題となりました作業環境測定法案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 作業環境の測定は、有害な業務を行なう作業場につきその空気環境その他の状態を正確に把握し、労働者の健康にとって適正な作業環境を確保するために行なうものでありまして、労働衛生対策の基礎となる重要なものであります。このため、労働安全衛生法では、一定の有害作業場について定期に作業環境の測定を行なうことを事業者に義務づけているところであります。 ところで、作業環境の測定は、作業環境中の微量の有害物について行なうものでありますので、そのための十分な知識と技術を持った者が行なう必要がありますが、現在のところは、作業環境測定を行なう者の資格等について、公的な担保がなされておりません。 このような状況にかんがみ、労働省では、適正な作業環境測定を確保するための法制の整備が必要であると考え、それに関する構想を、本年二月中央労働基準審議会に諮問しましたところ、同審議会から適当である旨の答申をいただきました。 その結果に基づいて、作業環境測定法案を作成し、ここに提案した次第であります。 次に、その内容の概略を御説明申し上げます。 第一は、この法律の目的であります。 この法律は、労働安全衛生法と相まって、作業環境の測定に関し必要な事項を定めることにより、適正な作業環境を確保し、もって職場における労働者の健康を保持することを目的といたしております。 第二は、作業環境測定士及び作業環境測定機関についてであります。 作業環境測定士とは、労働大臣の登録を受け、事業場における作業環境測定の業務を行なう者をいうものとしておりますが、この登録を受けるには、作業環境測定士試験に合格し、かつ、所定の講習を修了することを必要とすることにより、作業環境測定の能力の公的な担保をはかることとしております。また、作業環境測定機関とは、登録を受け、他人の求めに応じて事業場における作業環境測定を行なうことを業とする者をいうものとしておりますが、この登録を受けるには一定の基準に適合していることを必要とするとともに、登録を受けた作業環境測定機関について所要の監督、指導を行なうことにより、その業務の適正化をはかることとしております。 第三は、作業環境測定士等による作業環境測定の実施についてであります。 事業者が、労働安全衛生法の規定により作業環境測定を行なうことを業務づけられている作業場のうち一定のものの作業環境測定を、みずから行なうときはその使用する作業環境測定士に、他の者に委託して行なうときは作業環境測定機関に、これを実施させなければならないことといたしております。 以上のほか、指定試験機関、指定講習機関等につきまして所要の規定を設けることといたしております。なお、施行期日につきましては、公布の日から起算して三月を経過した日から施行することといたしておりますが、作業環境測定士または作業環境測定機関による作業環境測定の実施の義務づけその他につきましては公布後二年または一年以内で政令で定める日から施行することといたしております。 以上この法律案の提案理由及びその概略につきまして御説明申し上げました。 何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。 次に、ただいま議題となりました労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 現在のわが国の労災保険の給付は、これまでの数次の改正により、ILO百二十一号条約の水準に達しているところでありますが、最近の経済社会の諸情勢を背景に、給付の改善等につき各方面からいろいろの意見や要望が出されているのであります。 このような状況にかんがみ、昨年一月、労働大臣より、労働者災害補償保険審議会に対し、労災保険制度の改善について諮問いたしましたところ、同審議会においては、慎重審議の結果、昨年十二月、この際早急に経済社会の情勢に応ずるところまで制度の改善をはかることが、労災保険の社会的機能を確保するために必要である旨の答申を、労使公益各側委員全員一致によって提出されたのであります。 政府におきましては、この答申の趣旨を全面的に尊重して検討を行ない、答申中法律改正を要する部分について成案を得ましたので、その改正案について労働者災害補償保険審議会及び社会保障制度審議会に諮問し、それぞれおおむね了承する旨の答申をいただきました。また、船員保険につきましても労災保険制度の改正に準じた改善措置を講ずることとし、社会保険審議会及び社会保障制度審議会に諮問し、それぞれ、御了承をいただいたところであります。 これらの結果に基づいて、労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案を作成し、ここに提案いたした次第であります。 次に、この法律案の内容の概要を御説明申し上げます。 まず、労働者災害補償保険法関係の改正についてであります。その第一は、完全労働不能に相当する障害等級第三級に該当する者の障害補償年金の額を、現行の給付基礎日額の二百十九日分から二百四十五日分へ引き上げることとし、その引き上げ率により、その他の等級に該当する者の障害補償給付の額も引き上げることとしたことであります。 第二は、障害補償年金の額の引き上げに見合って、現在、給付基礎年額の百分の三十から百分の六十までに相当する額となっている遺族補償年金の額を、給付基礎年額の百分の三十五から百分の六十七までに相当する額に引き上げることとしたことであります。 第三は、労災保険の年金たる保険給付と同様に、障害補償一時金、遺族補償一時金及び遺族補償年金の前払い一時金についても、賃金水準の変動に応じてその額を改定することとしたことであります。 なお、これらの改正措置は、通勤災害に関する保険給付についても同様に行なわれるものであります。 次に、船員保険法関係の改正について申し上げますと、この改正は、船員保険の職務上の事由による保険給付の内容について、労働者災害補償保険法関係の改正に準じた改善措置を講ずることとしたものであります。 以上のほか、労災保険の遺族補償年金または遺族年金の前払い一時金制度の拡充、中央労働災害防止協会が国から委託を受けて行なう業務に労災保険の保険施設として設けられる施設における化学物質等の有害性の検査の業務を加えること等の改正を行なうこととしたことであります。 なお、施行期日につきましては、本年十一月一日といたしております。 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。 ————◇—————
○野原委員長 次に、勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本政弘君。
○山本(政)委員 まず第一点にお伺いしたいことは、勤労者財産形成審議会の四十八年の十一月二日の中間答申で、当面措置を急ぐべき事項についてその意見を取りまとめて、建議に及ぶべく小委員会を設けて数次にわたる審議検討を行なっていたところ、本年八月二十三日労働省は、独自の構想を大綱にまとめて発表した。まことに遺憾である、こう言っております。もう一つは、同じ中間答申で、「労働省政策案大綱には明らかに不満とせざるを得ない点がある。」こう指摘しております。 それから、四十九年の二月の二十三日の答申では、なお、当審議会が従来数次にわたり答申、建議を行なってきた経緯を案ずるに、諮問の時期の適正を欠くなどの事情により、審議会の意見は政策にあまり反映されていない。今後は、ちゃんと審議会の意見を尊重しろというようなことで、不満を表明しております。 そこで、まず具体的にお伺いする前に、政府は審議会を一体どのようにお考えになっておるのか。あるいは財形制度というものをどういうふうに位置づけようとされておるのか。まずお伺いしたいと思います。
○渡邊(健)政府委員 先生がいまおあげになりましたような御意見を審議会からいただいておりますことは、そのとおりでございます。私ども、財産形政審議会は財産形成法に基づいて設けられました審議会でございまして、関係委員はいずれも財形問題につきましての学識経験者であられまして、私どもといたしましては、その審議会の御意見を十分に尊重して、財形制度の運営あるいは問題の処理に当たっていく考え方でございます。 いま御指摘になりましたような財形審議会からの御答申が出ました点につきましては、財形制度というのは非常に広範な問題に触れておりまして、審議会の中でもいろいろ御審議をいただいておったわけでございますが、やはり何といいましても、政府のこういう諸般の制度につきましては、毎年八月末日までに予算案を大蔵省に提案しなければならない、こういう問題がございまして、そういう時期的な問題がございましたために、まだ審議会の御答申をいただきませんでしたけれども、一応労働省の考え方に基づきまして予算を組みまして、財産形成審議会にはもちろん御意見を伺う意味で御諮問を申し上げましたけれども、その一つのたたき台として、予算の編成の基礎になりました案を提出いたしまして、御意見を承ることといたしたのでございますが、その点につきまして、審議会として研究中に一つの案を出したという点が、審議会の立場を必ずしも十分に考えていないではないかという御指摘があったわけでございますが、予算を八月三十一日までに大蔵省に提出しなければならないという時間的な問題があったために、そういう方法をとりましたけれども、なお予算を提出した後におきましても、ただいま御指摘になりましたような審議会からの中間答申その他が出ましたので、予算編成までの間におきましては、その審議会の答申を極力尊重いたしまして、その案によって、十二月の予算決定の際等も財産形成制度の新しい拡充についていろいろ努力をいたしましたようなわけで、私ども、決して財産形成審議会を軽視したといったような気持ちがあったわけではないのでございます。
○山本(政)委員 予算編成上時期的な問題があるというようなお話がありましたけれども、同時に、答申の中についてもかなり取り入れられておるという話でありますけれども、しかし少なくとも私は、中間答申、それから二月の答申を見る範囲では、あなたのおっしゃるように答申の趣旨がそんなにいれられておらぬというふうに感ずるわけであります。 と申しますのは、「財産所有の民主化」あるいは「勤労者財産形成政策とインフレ対策について」あるいは「勤労者財産形成政策と住宅政策」というふうに見てみましても、あるいは「財政・税制について」というふうに見てみましても、少なくとも答申が尊重されておるというふうに私は思わないわけであります。 と申しますのは、今度の法案の提案理由の中に「勤労者生活の現状をみますと、賃金水準は近年における経済成長に伴って年々大幅に改善されてきているものの、貯蓄や住宅等の資産の保有の面ではなおいまだ相当の立遅れがみられるところであります。」こういっているわけです。そうすると、貯蓄や住宅等の資産の保有の面で一体どういうことをやっておられるのか、具体的に私はあとでお伺いいたしますけれども、四十六年に創設をされてから二年間に、二百七十万、貯蓄額として千六百億という、ただ数字だけをあげつらって自画自賛しても始まらぬと思うのです。たとえば財形審が答申をしたものの中の一つに、割り増し金の給付があると思いますね。ところが、これは今次改正案から除外されております。その除外された理由は一体どういうわけなのか。審議会の意向は尊重する、そういう御意思があるのにかかわらず、一番大切だと思う割り増し金給付については、何ら改正されておらぬ。その理由をひとつお伺いしたい。
○渡邊(健)政府委員 私ども、先ほど申しましたように、審議会の答申はできる限り尊重する立場で原案の作成に努力をいたしたわけでございまして、確かに先生御指摘のように、割り増し金等、今回の案に盛られなかったものもございますけれども、たとえば十一月二日の審議会で述べられておる非課税限度額の百万円から五百万円への引き上げであるとか、あるいはその他、その後のいろいろな答申でも、尊重すべきものはできる限りこれを尊重して、原案の作成に当たったわけでございます。 先生御指摘の割り増し金の問題でございますが、これにつきましては、審議会から数度にわたりまして、財形貯蓄に対して割り増し金を支給すべきであるとの御指摘をいただいております。私どもも、この審議会の御答申の趣旨にかんがみまして、昭和四十九年度予算編成の過程におきましては、この問題を真剣に検討し、各省とも折衝をいたし、努力をいたしてまいったところでありますが、何ぶんにもこの制度は、わが国では類例のない、全く新しい制度でございまして、これが他の施策に及ぼす影響、あるいは将来の財政負担の増加の程度など、さらに検討すべき問題が非常に多うございましたので、政府全体といたしまして、これについて四十九年度予算編成の際にはこれを採用すべきであるというところの意見まで至りませんで、見送ることにいたしたところでございます。しかしながら、これら審議会で示されました財形制度の今後のあり方などにつきましては、今後も引き続きこれを尊重して、十分検討してまいりたい、かように考えておるところでございます。
○山本(政)委員 たいへんおかしいんですよ。いま局長は類例のない制度である、そういうふうにおっしゃったのですけれども、西ドイツにおける財産形成法というのができたのは、実はこれは、私が、この法案が初めて原案として出されたときに質問をしたこともありますけれども、西独に範をとった、こういうふうに言われておるのですね。それじゃ西独において貯蓄の意欲刺激施策にまず取り上げたのは一体何かということです。それは住宅建設割り増し金法というものが最初にでき上がったのじゃないですか、そうして貯蓄性割り増し金法ではなかっただろうか。この二つが西ドイツにおける財形法の一番素地になったわけです。そして第一次財形法、第二次財形法、第三次財形法となってきたはずです。ですから、西ドイツにおいても、これは類例のない制度であるといわざるを得ないのです。すでにもう私が申し上げる必要もないと存じますけれども、要するに住宅建設の割り増し金法にしろ、あるいは貯蓄性の割り増し金法にしろ、前者は連邦及び州の折半で費用を負担するということでしょう、後者の貯蓄性の割り増し金法は、これは連邦の費用で負担をするということになっておる。西ドイツは、すでにそれだけのことをやって、第一次財形法、第二次財形法、第三次財形法としたわけです。そうすると、あなた方は、西ドイツの要するに先例にならったのだと言って、一番、西ドイツが基本にした、いま申し上げた二つの法案については、何ら考えることはない。そして数次にわたって審議会が答申をしたいまの割り増し金については、何らこたえるところがないのだ。そうしてあと付加給付ですか、その他いろいろなものがあるのだといってお逃げになっておるけれども、基本的なものが何もないということはおかしいじゃありませんか。一番基本的なものがない、しかもあなた方は、西独の先例にならった、こう言われておる。これは一体どういうわけなんですか。
○渡邊(健)政府委員 先生おっしゃいましたように、確かに西ドイツにおける財産形成政策は、建築割り増し金制度を嚆矢といたしましてスタートをいたしたわけでございまして、私どもも、そういう西ドイツの先例等は十分にやはり参考にすべきものと考えて、これらの点も考えまして、割り増し金の問題を真剣に検討をいたしたわけでございます。ただ、これは外国にはそういう先例がございますけれども、先ほど申し上げましたのは、わが国では類例のない全く新しい制度だということを申し上げましたわけで、その制度自身の問題もさることながら、これがいろいろな日本の他の制度にどういう影響を及ぼしてくるだろうか、それに割り増し金をつけるなら、これにもこれにもといったような問題が出てこないだろうかといったような問題、それから将来の財政負担がどうなるであろうか。これは西ドイツの例などもございますけれども、やはりそれはそれぞれの国の貯蓄性向なり何なりによって違ってまいるわけでございまして、財政の事情等も国によって異なるわけでございますので、それらがわが国の場合に、将来の財政負担にどういう程度の影響を与えるだろうかというふうな問題につきまして、政府部内で真剣に検討をいたしたわけでございますけれども、昨年の年末の予算編成の段階では、いま日本で直ちにこれを採用すべきだという点について、政府内全体としての一致した意見というものが得られるところまでいかなかったわけでございまして、そういう点を先ほど申し上げまして、そういうことで、昨年の年末の予算決定の際にはこれを見送ったのであるということを申し上げたわけでございます。
○山本(政)委員 わが国では初めてだというのですが、西ドイツでも初めてであると私は思うのですけれども、西ドイツでは、それじゃ割り増し金法、要するに建設割り増し金法あるいは貯蓄性割り増し金法というようなものについて、そのほかの先例があるわけですか。西ドイツではどうなんですか、西ドイツは、初めてこれをやったようにぼくは理解するのですけれどもね。
○大坪政府委員 西ドイツの先例についてお話し申し上げますと、西ドイツで場合は、御承知のように、戦後旧ドイツ領が三分されまして、一部がポーランド領に編入され、まん中が東独になりまして、残りが西ドイツということで、東独とポーランド領に編入されたところから、一千万人以上の方々がいまの西ドイツに避難民として帰ってまいったわけでございます。そこで、住宅政策を立てるということが緊急の大問題になっておるということがございまして、特別の税法をとりまして財産税を非常にきつく取り、その財源で住宅建設を強行いたしたという歴史的経過がございます。その過程で、住宅に関しまして住宅建設割り増し金法というものが出てまいっておりまして、一九五二年の制定になっております。このような特殊な、非常にきびしい社会的な条件というものは、わが国の事情とはまた若干事情を異にしておったのではないか。したがいまして、政策をとります場合のその緊急度と申しますか、あるいは政策を採用する場合の決定の前後と申しますか、そういう点につきまして若干の事情の違いがあったということは当然ではなかろうかと思います。
○山本(政)委員 大坪さん、一九五二年に住宅建設割り増し金法ができた、特殊な事情、よろしい。それは私は一応横におきましょう。 それじゃ、一九五九年の貯蓄割り増し金法というのはどうなんですか。そしてその翌年にたしか第一次財形法ができたのですけれどもね。そうしたら、それはそのことについての回答にならぬわけですよ。住宅は特殊だ。日本だって、いま住宅問題は特殊問題に数えていいぐらいだとぼくは思うのですけれども、そういうことに対する政策はあまりおとりになっておらぬと思うのです、皮肉でなしに。しかし、それはさておいて、それなら貯蓄割り増し金法というのは一体どうなんだ、五九年ですからね。 それからもう一つお話をいたしますが、戦争が終わったのは四五年なんですよ。住宅建設割り増し金法ができたのは五二年ですよ。かなりたっているはずです。
○大坪政府委員 いま先生の御説のとおり、戦争が終わりまして七年たちまして初めてこのような住宅に対する特別の法律がとられた。それからまた七年たちまして次の貯蓄奨励法がとられているというように、政策的には非常にすぐれた政策として早目に手がつけられておりますものの、問題が起こりましてから七年なり十四年という時期がたっております。このような問題は、やはりそれだけの時期をかけて検討しなければならないという問題であろうかと思いますが、御承知のように、わが国の財産形成法が制定されましたのは一昨年でございますので、いま私どもの局長が申し上げましたように、時間的になお検討の余地とそれから内容があるのではないかという趣旨でございます。
○山本(政)委員 七年たって、そしてさらに七年たってやったというのであれば、日本の財形は二年前にやって、もうすでに、二年たったら今度あらためて改正するのですか。西ドイツは、一九六〇年にたしか第一次をやって、五年たった六五年にやって、そしてその次、第三次は一九七〇年にやった。五年おきにやっているわけで、そうすると日本のほうがたいへん早いですね。ある場合には早く、長いときには長いだけの理屈をつけるということになるのですか。それじゃ、何でもっと慎重にやらないのですか。たいへん皮肉な質問になりますがね。
○渡邊(健)政府委員 だたいま賃金部長が申しましたとおり、わが国の財形法は、第一回の財形法ができましてから二年目で改正に入ったわけでございますが、第一回の財形法につきましても、内容的に、財形法としてはきわめて不十分ではないかというような御意見、御批判は、当時の国会審議の中でも御指摘がございまして、衆参両院の社会労働委員会では、積極的な拡充をはかれという附帯決議もいただいておるわけでございます。 他方、内容はいろいろ不十分であるといわれながら、これに加入いたしました勤労者の数は、四十七年一月から財産形成貯蓄が施行されまして、ことしの二月まで二年強くらいの期間に二百八十万人の勤労者が加入するということで、西ドイツの例などよりもはるかに急速な伸びを示しておる。このことは、財産形成制度に対する勤労者の方々の御期待もきわめて大きいのではないか。これらの諸点を考えまして、附帯決議等でも御指摘がありましたように、期待にこたえるためには積極的な拡充をやはり行なうことが適当である、私どもかように考えまして、拡充という意味で今回法案の改正を提案いたしたわけでございます。ただその中に、拡充いたしますにつきましても、問題によりましてはなお時間をかけて検討すべきものもいろいろございますので、それについては、今回のあれも一〇〇%われわれが考えておるものが全部盛り込まれたということではなく、なお時間をかけて検討すべきものはそういうことであとに残した問題もあるということでございます。
○山本(政)委員 いま、さっきの住宅建設割り増し金法というのは別にしますよ。一九五九年の貯蓄割り増し金法というのができたのは戦後十四年たったあとなんですね。そしてそれが、繰り返し申し上げますけれども、第一次、第二次、第三次の西ドイツにおける財形法の前提になっておるということでしょう。そしてそのほかに、西ドイツの所得税法の第十条による保険、貯蓄、住宅建設貯蓄の課税上の優遇措置というものもあるし、自己資金による増資及び自己株式の勤労者への譲渡に関する特別措置に関する法律というものもあるわけですよ。つまりそれだけのことをきちんとやっておって、それからスタートした西ドイツの財形法と、日本のそういう前段抜きの財形法というものは、あなたが言われたように確かに二百八十万、千六百億ですか、それだけの人があったにしろ、そういうやり方というものは、いわば羊頭を掲げて狗肉を売るようなやり方ではないか、私はこう言いたいのです。 それで、第一次財形法が西ドイツにできた、そのときの中身と、いまの日本の財形法、あなた方が改正しようとする中身と、どっちがすぐれているとお思いになりますか。
○大坪政府委員 社会的な条件が非常に異なる二つの国の法律でございますから、直ちに比較するのはむずかしいと存じますけれども、今回御提案を申し上げております財産形成法による各種の優遇措置は、第一次の西ドイツの財産形成法よりは私はすぐれておると存じます。
○山本(政)委員 それでは、第三次の西ドイツの財形法に比べてどうなんです。
○大坪政府委員 第三次の西ドイツの財産形成法はたしか一九七〇年に改正されたものと思われますが、これは御承知のように西ドイツのたび重なる大きな政変のあとに生まれた法律でございまして、社会的な条件が相当食い違っておるので、現時点の私どもの法律と比較するのはなかなかむずかしいのではないかと考えております。
○山本(政)委員 政変と社会情勢、経済情勢とは違うのですよ。問題は法案の中身、内容なんです。そんなことを言って逃げたらしようがないよ。中身がどうだということなんですよ。政変があったからどうだということじゃないのです。日本だって政変はたくさんありましたよ。
○大坪政府委員 一九七〇年に制定されました第三次の勤労者財産形成促進法、つまり財産形成促進法の三度目の改正案でございますが、これはちょうど一九六七年から西ドイツにリセッションが参りまして、社会政策その他について相当の再検討がなされたあとに、再度財産形成のあり方について検討し直そうということで、法案の手直しがなされたものでございます。それで法案の手直しの内容は、たとえば財産形成給付として優遇を受けます限度額が、従来の年間三百十二マルクを倍額にするとかあるいは所得制限を新たに導入するとか、そういった制度でございます。したがいまして、これは現在の私どもが御提案申し上げております法律の内容と、部分的には西ドイツのほうがすぐれておりますし、日本の場合がたとえば住宅融資等においてなおすぐれておる点があるという点もございます。
○山本(政)委員 私はあなた方のほうから発行されたやつも拝見したのですよ。この中では西ドイツのほうがすぐれているということを書いているじゃありませんか。われわれは西ドイツのやつに学ばなければならぬということを書いているじゃありませんか。それなら学ぶ必要ないじゃありませんか。その点どうなんです。
○大坪政府委員 たとえば西ドイツの場合は、国が相当の財政資金を出しまして財産形成給付を援助するというようなことをやっております。こういう点は私どもとしてもやはり非常に参考にしなければならない点ではないかと存じます。
○山本(政)委員 だから、四十億マルクですから、日本の場合には大体四千億円になるのですか、それだけ国が出しているわけでしょう。それだけから見てはるかにすぐれているということになりませんか。いま国は幾ら出しているのです。ぼくは部分的とかなんとかいうことじゃなくて、総体としてみて一体どうなのかということをお伺いしているのですよ。もう一ぺんそれを聞かしてください。
○渡邊(健)政府委員 財産形成制度につきましては、ドイツは何といいましても先進国でございまして、スタート自身が日本はドイツを模範といたしまして研究し、スタートしたわけでございます。それだけやはりドイツは経験も豊かであるし、国の力の入れ方も、この十数年にわたりまして非常に力を入れて自信を持ってやっております。そういう意味でわれわれはドイツの現在の制度は、日本として大いに範とすべき非常にりっぱな内容を持ったものである、かように考えております。
○山本(政)委員 ですから、その西ドイツが一体何と言っているかというのですよ。一九七〇年四月の十五日、西独の労働及び社会秩序相のアルントという人は、第二次財産形成の修正法案の提案理由にこう言っておるのです。「国民各層特に労働者の財産形成を積極的に促進しなければならない理由として、」第一は、「公正な財産分配の達成と労働者の経済的基盤の強化」の動機から出発をしている、こう言って、ことばを続けて、「西ドイツにおける資産の集中は、野党の政治家ブルグバッハー教授の指摘するまでもなく、奇怪千万である。特に生産的資産の約七〇%が全世帯のうち一・七%の家族によって掌握されている。現在一・七%か三%の世帯に生産的資産が集積されていることよりも、今後とも全く一方的に、生産的資産が集中されていくという一般的な批判と不満のあることの方が、決定的に重大な問題である。」こう言っているじゃありませんか。「労働者有産化の目的は、労働者によって財産を形成させ、脅威的な財産の集中を均衡化することである。」こう言っている。つまりあなた方が参考にしている西ドイツの財産形成法がりっぱだといいながら、なおかつこういうものがあるのですよ。それに対応して、それじゃあなた方の要するに財産形成法が、幾らかでも前進している形をとっているかどうかということなんです。とっていないじゃありませんか。とっていない証拠に、いまさっき言った割り増し金法というのが全然ネグレクトされておるということがあるのじゃないかというのですよ。その点いかがです。
○渡邊(健)政府委員 ドイツで十何年にわたって財産形成の政策を進めてきて、三次にわたる大幅な改正をやって今日まで来まして、そういう高い目標を一つ掲げておるということは非常に参考にしなければならないと思うわけでございますが、私ども現在、まだ発足後三年目にしかなっていない日本の財産形成法につきましては、そこまでの高い目標というよりは、もっと私どもは手近ないわゆる資産の公正な所有への接近といったようなことが当面の目標ではないか。日本で申してみますると、勤労者は賃金といったフローの面では、かなり国民階層の中で改善されてまいっておりますけれども、総理府の貯蓄動向調査その他によって見ましても、貯金であるとかあるいはその他住宅事情の調査などにおきましても、住宅所有のあり方などにつきましては、勤労者は、国民の中の他の階層に比較いたしましても非常にまだ格差がある、こういう現状でございまして、こういう点をさしあたりどうやって直していくかという、もっと手近なことが日本の当面の問題ではなかろうか、かように考えておるわけでございます。 そういうような手段といたしまして、確かに、先生が先ほどからおっしゃっております割り増し金ということは、これは研究すべき問題だと思っております。われわれも、先ほど申しましたように、審議会からもそういう観点から何回かの御答申をいただいておるわけでございますが、先ほど申しましたような事情で、日本ではまだまだ検討すべき問題がございますので、今回の改正の場合はそれを見送りたわけでございますが、しかし、そういうやはり資産保有の公正さに近づきますために、たとえば今回の改正法では事業主が拠出する、そういう——従来の財形貯蓄で申しますと、労働者が自分の貯蓄をする、それに国なり事業主が若干の援助をすることにしておりますが、今回は労働者が出さないで使用主がまるまる元本を拠出する、そういう形の財形基金制度あるいは財産形成受益金契約制度あるいは財産形成貯蓄付加金制度といったような制度も導入いたしましたのでございまして、それは事業主が全く元本まで持って、そして勤労者に資産の保有を促進する、こういうことでございますので、これなどはやはりそういう方向に向かっての前進の一つの方途ではないか、かように私は考えておるところでございます。
○山本(政)委員 基準局長、割り増し金制度というのは、やりたいわけでしょう。やりたくないの。ちょっとそれだけ聞かしてください。
○渡邊(健)政府委員 理想といたしましては、日本の財産形成制度もそういう方向にまで高めていきたい、かように存じます。
○山本(政)委員 それでは大蔵省にちょっとお伺いいたしますが、大蔵省は、やりたいといっているのをなぜやらさないのか、理由を聞かしてもらいたいのです。割り増し金制度が、なぜやっちゃいかぬのかという、理由を聞かしてください。
○伊豫田説明員 お答えいたします。 われわれといたしましても、基本的に、ただいま労働省のほうから御答弁がございましたように、財産形成制度をそこまで高めてまいるということにつきまして、理想的な意味ではけっこうなことだと考えておりますが、実際の問題といたしまして、わが国の現在の財政にとりまして相当負担も大きい、あるいは後年度の負担もさらに増すことも考えられる状態におきまして、現在の社会保障の状況等を考えさせていただきますと、ただいまの段階で勤労者の貯蓄に対して多額の支出を行なうということについて、なおいろいろの問題もあるということで、本年は、それを、そういうふうなプレミアム制度あるいはプレミアム制度の変形でございます税額控除というものを、行なわないということにいたした次第でございます。
○山本(政)委員 議論が割り増し金までいって大蔵省の方にはたいへん申しわけないのですが、経済白書にこういっているのですね。わが国の勤労者は——これは差しさわりがあるかもわかりませんが、農民や自営業者等の他の階層に比して格差が存在する、しかも最近の地価や株価の急上昇に象徴される物価の上昇の中で、すでに資産を持っている者とこれから資産を持とうとする者との間の格差はますます拡大する傾向にあるだろう、こういっているのです。あるいはこれは土地政策の面で考えなければならぬ問題だろうと思いますが、勤労者の税制というものは、中小企業とかそういうあれと——大きな企業はなおさらのことでありますけれども、ばっちり取られるわけですね、頭からもう、遠慮会釈なく。 〔委員長退席、山下(徳)委員長代理着席〕 あるいは一兆円減税というのがあるのです。そうしたら、そういうものを回すことができるじゃありませんか。あるいはいま言ったような理由からいって、たいへん格差が生ずるじゃありませんか。農地の改善事業だって、ぼくは財産形成の一種だと思うのですよ。そしてそれはたいへんけっこうなことなんです。これからますますやらなければならないのです。しかしながら勤労者に対してはそういうことをおやりにならぬということは、格差をますます増大させることになりはしませんか。農民ももっともっと大切にしなければいかぬ。しかし同時に、それと並行して、勤労者に対してもそういう施策というものを考えるべきでしょう。あなたは後代の負担が増すというけれども、後代の負担が増したときに別途に考えればいいはずだし、財政の負担ということは、いまさっき申し上げたように一兆円減税というものなんかがあるんだったら、そういうことによって処理できるじゃありませんか。なぜそういうことをなさらない。これは決して援護射撃じゃありませんよ。しかし局長はやりたいといっているんだから、やりたいといっているんだったらそのことに対して即応する体制を、要するに財政当局としてはそれをやるのがあたりまえじゃありませんか。どういうことなんですか、それは。
○伊豫田説明員 ただいま農民や零細自営業者とのバランスという問題をおっしゃいました。その中には税制の執行上の問題あるいはからだ一つしかない労働者に対して、財さんを持っている農業あるいは零細自営業者のインフレに対する強さということをおっしゃいました。私もその点では確かにそういう事実があると思います。そういう意味におきましてはやはり労働者の収入という面でお考えいただくべき問題ではなかろうか。われわれといたしましては、プレミアムあるいは税額控除という面では、これを考えることはただいまの段階ではほかのバランス上見送らせていただいたということでございます。
○山本(政)委員 だからバランスというのは、どこにバランスを置いているのかというのですよ。バランスのものさしですよ。バランスのものさしはどこに置かれているのです。たいへん抽象的な質問になるかもわかりませんがね。
○伊豫田説明員 ただいま私が申し上げましたような自営業者あるいは農林漁業者と給与所得者との問題につきましては、税といたしましても本年度におきましては給与所得控除を大幅に軽減する、給与所得控除によって課税負担を非常に大幅に軽減しております。特に零細のものにつきましては課税最低限五十万円という給与所得控除等を認めることにいたしまして、税制としてはできるだけの配意をしているつもりでございます。
○山本(政)委員 いや、だからそれはたいへんけっこうだというのですよ。自営業者や零細業者に大幅な控除をするということはたいへんけっこうなことなんですけれども、先ほど言ったように自営業者という人たちはそれなりの資産を持っているんじゃないかというのですよ。そして持っている人たちと、要するに持たざる勤労者との間ではいまのようなインフレなりあるいは物価上昇の中では格差がますます広がる傾向にあるのではないか。とするならば、要するに勤労者に対してもっと厚い保護といいますか。そういう政策というものがあっていいはずだ。それが実は財産形成の一つの施策になるんじゃないのか。とするならば、いま提案されている財産形成の施策ではきわめて不十分でしかないのではないか。特に西ドイツが当初財産形成をやるときに、その前提として創設をした割り増し金制度というものについて、それをプレミアムをつけることについては問題があるということだけでは話にならぬのではないか。あなた方は、今度は預金を集めるときにプレミアムをつけてから集めるわけでしょう。一千万円、賞金としてですね。そんなことを片一方でおやりになるんだったらば、なぜこちらのほうにそういうことをやはり考えていかないのかということを私はお伺いしているのですよ。
○伊豫田説明員 それはやはりただいまのわが国の経済情勢あるいは社会情勢というものを見まして、どこに当面の歳出を充てていくかという支出のバランスの問題ではないか、このように考えております。で、現段階におきましては、先生のおっしゃいますように将来の形としては勤労者財産形成制度というものはそこまで進んでいくことが好ましいことであることには違いないかと考えますけれども、ただいまの社会情勢、経済情勢を勘案いたしますと、やはり年金制度、医療制度、生活保護費、その他とのバランスというものも考慮いたしまして、ただいまの段階で勤労者の貯蓄に対してプレミアム、あるいは税額控除をもって報いるということは現段階ではできないかと考えております。
○山本(政)委員 建設省お見えになっていますか。住宅政策というのは一つの社会福祉政策じゃないのですか。それどうお考えになっていますか。
○大富政府委員 私、宅地部長で住宅専管ではございませんけれども、いまお述べになりました趣旨では住宅というのは勤労者の、ことに勤労者の重要な福祉政策だろうと思います。
○山本(政)委員 年金制度と同じように、いま声を強めて「ことに」とおっしゃった。住宅政策はいまや福祉政策の大きな一環を占めているはずですよ、年金と同じように。そしてぼくの知っている実例でつい最近同じようなことがあるのですよ。狭い部屋で、寝たきり老人がおって、そして家族は親子三人とも働いているのですよ。そういう人たちに対して、寝たきりですからもう空気は悪いし、異様なにおいがするのですよ。これは重大な福祉政策になるはずなんですよ。しかも経済白書にいっているじゃありませんか。まだまだ借家が多いということ、特に民間の借家が多いということ。そういったのは福祉政策でありませんか。それだけでいいのですよ。福祉政策か福祉政策でないかでいいのですよ。
○伊豫田説明員 持ち家促進政策と申しますのは、一種の福祉政策かと考えております。
○山本(政)委員 そうすると、その福祉政策はやはり年金と同じように重要ではないかというのですよ。財政上考えるべきことではないか、こう言っているのです。いかがでしょう。
○伊豫田説明員 何をもって最重要と考えるか、その見方につきましてはいろいろ判断もあると思いますが、やはり現段階において持ち家促進につきましては財政上あるいは税制上の措置というものを考えてもいいのではなかろうか、また税制の面においてもその点につきましては制度を設けております。
○山本(政)委員 そうすると、先ほどの話じゃないけれども、この財形法というのは要するに勤労者の生活を考えているように見えるけれども、現実はそうではないという結論にならざるを得ないということですね。少しばかり貯蓄を奨励をする。それに少しばかりの、まあ優遇措置をといいますか、そういうものをやるけれども、結局はこういう経済情勢の中で少しでも、しかも春闘もあることだし、賃上げもあることだから、そういう金を吸い上げようということでしかないわけになりませんか。その点はいかがです。大蔵省にお聞きします。
○伊豫田説明員 現在の財形制度の目的につきましては、私のほうよりもむしろ労働省のほうからお願いしたいと思います。
○山本(政)委員 それでは労働省、ひとつ聞かしてください。
○渡邊(健)政府委員 勤労者の福祉のためには長期にわたる生活の安定をはかるということが基本である、私はかように思うわけでございます。もちろんそのためには賃金所得といったフローの所得が充実してまいるということもきわめて重要でございますが、それと並んで社会保障の充実等もございますけれども、同時にみずから一定の財産を持ちまして、そして生活の基盤が確立するということが長期的な生活の安定、福祉の向上につながる、かように考えるわけでございます。そういう意味で私どもは、勤労者がそういう努力をされる、それに国と事業主が援助をいたしまして勤労者がいろいろな形の財産、資産を保有し、それによって長期の生活安定を確保されるようにお手伝いをしてまいりたい、こういうのが財産形成制度のねらいでございまして、その手段として貯蓄につきましていろいろな御援助をする、あるいは事業主から拠出金を出しまして付加金制度なりあるいは基金制度なりをつくる、あるいは勤労者がそういうものをもとにいたしまして家を、土地を持とうというのに対しまして融資の上で特別の、一般の方よりも手厚い援助をする、そういうさまざまな手段によってそういう資産の保有を御援助申し上げよう、こういうことでございまして、決していま賃上げを吸い上げるとかいうような短期的な当面の目標で私ども財産形成制度を考えているわけではないわけでございます。
○山本(政)委員 いまの局長の御答弁はあとでお伺いするとして、もう一ぺん大蔵省の方にお伺いしたいのですけれども、それではもうこれから割り増し金をおつけになりませんか。おやりになる意思があるのかどうかということです。
○伊豫田説明員 いろいろ検討さしていただきました結果、昭和四十九年度の予算においてはそのような措置を行なわないことにいたしました。
○山本(政)委員 ぼくは四十九年度はもう既成の事実だと思っていて、五十年度は一体どうなるのかということなんですよ。というのは、ドイツは初めからこれをやっているのですよ。貯蓄の割り増し金ですよ。ぼくは、大坪さんのほうから住宅事情というのが云々と、これについては反論があるのですけれども、あえて申し上げませんが、しかし貯蓄についてはこれはやっているわけです。そして、大まかな経済の情勢からいえば、そんなに西ドイツは変わったことはないとぼくは思うのですよ。とすれば、ぼちぼちそういうことを考えていいんじゃないかと思うのですけれども、四十九年度はいいのですよ、五十年度を一体どうお考えになっているのかと言うのですよ。
○伊豫田説明員 ドイツの状態というものはもちろんいろいろ参考にさしていただいております。やはりその国の風俗習慣もございましょうし、その国の経済社会情勢、あるいはその国の社会保障あるいは福祉政策の水準というふうなものとの全体のバランスでものを考えるべきものか、このように考えております。
○山本(政)委員 そうすると、全体のバランスからいえば日本の社会保障というのはやはりおくれているという考えでいいわけですね。これはたいへんなことですから、将来の問題として、たいへんにおくれているというふうに考えていいのですね、年金とかいろいろな問題は。これは大蔵省、ぼくは将来の問題として年金の額とかなんとかということについてきちんとしておきたいからそう申し上げるのですよ。つまり、こっちのほうはできないけれどもこっちのほうはできるということであるならば、それでは年金とかなんとかということについて大幅な改善というものを期待できるわけですね、いままでのあなたの御論旨からするならば。それならばそれでぼくは一つの見方だろうと思います。
○伊豫田説明員 ドイツという問題と同時に、やはり世界各国の全体のバランスというものも考えてまいらなければならない、そういう意味で私は申し上げましたので、それが現段階においてわが国の社会保障というものはさらに進めてまいるということは絶対必要かと考えております。その段階で絶対水準で比較いたしました場合にこれがどうこう言うことは、特に私、税の立場でもございまして、ただいまの段階でここでお答えするだけの自信を持っておりません。
○山本(政)委員 国際的な問題を何も考える必要はないのですよ。要するに日本の置かれている社会情勢あるいは経済情勢の中で考えなければならぬ問題であって、よその国がどうだからわが国はこうやりなさい、それより追いついていかなくたっていいという議論は何もないのであって、よその国よりか早く幾らかでもよくするということはあたりまえのことでしょう。そうですね。その点いかがでしょう。
○伊豫田説明員 理想的に申せば、世界のあらゆる国よりも高い水準で社会保障あるいは福祉制度というものが完成されていくことが私としては望ましいと考えております。
○山本(政)委員 ですから、その一環として考えるべきではないかと、こう思うのですがね。 基準局長にちょっとお伺いしたいのですけれども、その前に、いまの勤労者の生活というものはこのインフレの中で楽だとお思いになるか、あるいは苦しいとお思いになっているかどうか、その見解をちょっと聞かしてください。
○渡邊(健)政府委員 勤労者と申しましても、日本の場合に賃金あるいはその他の所得等につきましてかなりの差がございますので一がいには申せない、かように思いますけれども、総体的に平均して見てみますると、フローの賃金はここ数年はかなり改善をされてきている。そういう意味では全般的にはやはり楽になってきておる。しかしながら、率直に申しましてここ一、二年特に急激な物価上昇がございますので、せっかく上昇したと思っていた賃金がそういうものにどんどん食われるという意味におきまして、生活実質の内容を維持するということ、さらにはそれを引き上げるということが非常に困難な状態に現在はなりつつある。したがいまして、早くこの物価上昇が安定いたしますれば、フローとしての賃金の改善がそのまま労働者の生活の充実につながり得るようになるものかと思っております。
○山本(政)委員 総体としてここ一、二年はというお話がありましたけれども、四月の九日でしたか、日本経済新聞に出ておる、労働省が貯蓄奨励策で対処をするということで社内預金の利上げを認める、こういっていますね。この点について、私は労働省がなぜそういうことをお考えになっているのかわからないのですよ。と申しますのは、これによりますと、造船、鉄鋼各社などが賃上げの一部を社内預金や貯蓄に回すように各労組に要請している、つまり企業が要請しているということが一つある。それから日経連のほうで賃上げの吸収策の導入を決議している。先ほどのお話じゃないですけれども、これは貯蓄を奨励をするということの本旨というのを間違えているのじゃないか。総体として要するにインフレで生活がきつくなっているところにもっていって、社内の預金を上げるのではなくて、本来ならば財産形成の貯蓄を上げるべきだとぼくは思うのです。これは何か筋違いじゃないでしょうか、その点どうですか。
○渡邊(健)政府委員 私も先生の御指摘の日経の新聞を見ましたけれども、あの中には労働省が何か社内預金の利率についてゆるめる方針であるとか、そういう方針をきめたとか、いろいろ書いてございますが、労働省が最近社内預金について特に新しく方針を出したことはございません。それからあの中に書いてありますことは、私どもそういうようなことを申したことも全くございませんので、あの記事につきましては、あの記事が書かれました由来等は別の機会に申し上げたいと存じますが、あの記事につきましては、労働省としては全く関知をしないということでございます。
○山本(政)委員 そうすると社内預金の利上げを労働省で奨励するということは言っておりませんというふうに理解してよろしゅうございますね。 そうすると、労働省の考え方としては、財産形成の貯蓄についてむしろ優遇措置をはかるのだというふうな考えとして理解してよろしゅうございますでしょうか。
○渡邊(健)政府委員 社内預金につきましては、基準法の十八条の規定によって運営されておりますが、あれは昭和四十一年でしたか二年ですかの不況の際に、会社で社内預金を返せなくなった会社がございまして、私どもは、労働者のために社内預金の保全ということをやはり考えるべきだということで、たしか四十一、二年か、ちょっと年数は一、二年ずれておるかもわかりません、はっきりしておりませんが、そのころ社内預金の保全についてのいろいろな規則改正をいたしましたり、それからあまりに高利で社内預金をかき集めるというようなことに伴う弊害の是正措置を講じて、社内預金の保全ということをはかったわけでございます。その四十一、二年当時立てました方針はその後変わっておりませんし、そういうことで、四十一、二年当時きめました方針によって労使で運営されております限りは、私どもはいまのところ特に行政の方針を変える気持ちは持っておらないわけでございまして、労働省としては勤労者の資産形成、財産形成については財産形成促進法、これによって勤労者の財産形成をはかっていただく、こういうのが基本的な考え方でございます。
○山本(政)委員 山陽特殊鋼の倒産を契機に昭和四十一年にたしか通達として出されたと思いますが、それは変わっていないということですね。ただ、一番心配なのは、何か同省で、同省というのはつまり労働省でありますが、労働省が行政指導を緩和するというふうに書いておりますけれども、これは間違いですね。−はい、わかりました。 そうしますと、勤労者の財産形成の貯蓄の実施状況を私労働省からいただいたんですけれども、もう一ぺん確認をしたいわけですけれども、都市銀行から以下ずっとありますけれども、もう一ぺん貯蓄の残高だけ聞かしてほしいと思います。
○渡邊(健)政府委員 金融機関別の数字でございましょうか。
○山本(政)委員 はい。
○渡邊(健)政府委員 それではお答え申し上げます。 昭和四十九年二月末の、これは正確な統計ではございませんが、私どもが取り扱い金融機関に問い合わせ等によって把握した数字でございます。 都市銀行十二行で残高は百六十九億九百万円、それから信託銀行が八行で五百七十四億八千七百万円、長期信用銀行が三行で三十九億九千六百万円、地方銀行が十一行で七十六億二千二百万円、証券会社が十九社で七百七十億七千四百万円、労働金庫が四十七金庫で百十二億四千万円でございます。
○山本(政)委員 そうしますと、一人当たりの残高というのは財形でいけばいまお話の数字によって計算してみますと、都銀の場合六万八千八百八十六円になるのです。信託が八万四千二十八円、長銀が八万四百九十三円、地銀が五万九千六百六十六円、証券が五万一千六百二十円、労金が四万五千四百十一円、一人当たりの残高がたいへん少ないような気がするのですが、これは間違いでしょうか。
○渡邊(健)政府委員 ちょっといま早急な計算はできませんが、大体先生がおっしゃったようなことであると思います。ただ、一人当たりと申しますのは、これは一人が証券と都市銀行両方に財形貯蓄を持っているというような場合がございますので、これは一人一金融機関当たりの数字でございまして、ちょっと実一人当たりまではこれからは出てまいらないと思います。
○山本(政)委員 そうしますと、財形貯蓄契約の勤労者数というのは二百八十万人ないではないかというんです。もっと少ない実数ではありませんか。
○渡邊(健)政府委員 おっしゃるとおりこれだけの金融機関だけからいいますと、二つないしそれ以上の金融機関に財形貯蓄契約をしております者がおりますので、実人員は二百八十万人より減ると思います。ただし、ここにあげましたのは、おもな金融機関でございまして、これ以外の小さな金融機関にも財形貯蓄契約をしておる人がございまして、それまではちょっとこの調査は把握いたしておりませんので、そういう人を加えますと、大体この辺かあるいは若干これを下回る程度ではないかと思っております。
○山本(政)委員 たいへんずさんな、そういうことをおっしゃると私は信用をしなくなってしまうので困るのですがね。そういう預金の中で毎月一万円の積み立てをしますと、金銭の信託で年利八・三三%の場合は七年後の元利合計額というのが利回りでいけば一二・一一%になる。これは間違いないですね。
○渡邊(健)政府委員 大体そのとおりだと思います。
○山本(政)委員 森さん、一二・一一%じゃありませんか。
○森説明員 一二・一%であります。
○山本(政)委員 そうしますと、とにかく物価がこれだけ上がっておる、土地はこれだけ上がっておるという中で、一体一二・一一%で実際に財形の貯蓄になるのだろうかどうだろうか。要するに貯蓄するということは、将来貯蓄の中から結局土地を買うなり、家を買うなりということを究極の目的としてやっておると思うのです。そうすると高利回りだといって自賛をされておる労働省の自賛というのは、自賛をするには少し早いのじゃないか。この物価上昇あるいは土地の値上がり——物価の上昇というのは材料費もあるわけですから、そうすると、一体それは財産を形成するということに値するものなのかどうなのか。ないよりましというのだったら、これは話にならぬと思うのですが、その点、いかがでしょう。
○渡邊(健)政府委員 いま先生が御指摘になりました利回りは、日本の現行のいろいろな貯蓄制度等の中では相対的には私ども最も有利な部類に属する利回りだろうと考えております。しかしながら、先生もおっしゃいましたように、最近の非常な物価の上昇のもとでは、そういう利回りでありましてもさらに物価上昇によって貯蓄が減価するということも考えられることでございまして、こういうことは、財産形成政策の観点からいたしますと、まことに遺憾なことであると同時に、きわめてゆゆしい問題であるとわれわれ考えておりまして、これに対しましては、やはり強力な物価政策が緊急に実施されなければならないところであると考えております。政府といたしましても、現在、御承知のようにこれが対策に全力を傾注いたしまして、こういう物価上昇を早く鎮静化させたいというふうに努力をいたしておるところでございます。
○山本(政)委員 大蔵省の方にお伺いいたしますが、経済白書の四十八年度版に平均世帯の貯蓄のうち、確定利付流動資産として保有しなければならない部分は約四割だ、四十七年は平均の貯蓄金額二百十五万円、そのうち株式、土地の取得に向け得るのは百三十七万円、土地については、取引最小単位の増大に追いついていない、特に四十七年、東京や大阪の通勤圏で土地を取得するには、取りくずし可能な貯蓄額の五倍から九・五倍に土地ははね上がっている、こう書いているのですが、そうすると、大蔵省の方にお伺いいたしたいのですけれども、こういう状況の中で一体家屋なり土地が購入できるでしょうか、どうでしょうか。そういう見通しはあるのでしょうか。大蔵省は経済の専門でしょうからお伺いしたいのですけれども……。
○米山説明員 ただいまの御質問、非常にむずかしい質問でございまして、私あまり確定的な御返事はできません。それから全体の貯蓄の中で保有資産として向け得るもの四〇%というふうな数字も、これはどのくらい流動的な金融資産を持っていたらいいかという確定的なそうしたものはないのじゃないかと思います。それはおそらく現実にそういう数字になっているという統計だろうと思います。確かに現在のように土地の上昇あるいは建築単価の上昇という点から見ますと、現在の貯蓄で向け得るのは非常にむずかしい状態にあるということは、私ども感覚的にも事実じゃないかと思いますが、あまり確定的な御返事を申し上げるだけのデータを私は持っておりません。
○山本(政)委員 そうしますと、これは経済白書のあれですから、四十七年度は要するに首都圏、東京を中心とした通勤圏で九・六五倍になっているという状況の中で、常識的な大蔵省の答弁でいいのですか。もう一ぺん重ねてお伺いいたしますけれども、一二・一一%という高利率であるけれども、それでもって運用していって、もちろん融資ということがあるにしても、そういうことで一般の勤労者が土地を買えるでしょうか、どうでしょうか。どういうふうにお思いになりますか。
○米山説明員 もし土地が今後も九・六五倍というふうなことで毎年上がるとすれば、金利が一二・一一%ですと、これはそういうことはできない話ではないかと思います。
○山本(政)委員 そうすると、労働省はいかなる考えのもとに、一二・一一%は確かにいまの預金利率からいえば高額ですけれども、それでもってなおかつ一体持ち家ということが可能であるものなのかどうなのか、いかなる根拠からそういうものが出てくるのか、ちょっと私は合点がいかないのですけれども、その点、ひとつ説明していただけますか。
○渡邊(健)政府委員 私ども、今回の改正案でも、勤労者で持ち家を持ちたいという御希望の方には現実に持ち家を可能ならしめたいということで、持ち家取得についていろいろな援助を大幅に拡充をいたしておるところでございますが、ただいま大蔵省の方からもお話がございましたように、実際にそれが具体化するかどうかという点につきましては、今後の土地、建築費の上昇の動向がどうなるか、それと貯蓄等の原資になる賃金上昇、それがどういうことになるか、その両者の関連の問題があると考えております。しかしながら、一応そういうことを捨象して、現在だけの時点で私どもいろいろ考えてみますると、たとえば月々二万円ずつの住宅目的貯蓄を十年間貯蓄するといたしますと、三百五十万円ぐらいになる計算になります。もし月々三万円貯蓄されるとすれば、十年間で五百万円ぐらいの頭金ができる計算になります。これに加えまして、住宅金融公庫からは通常の融資額、すなわち現時点で申しますと、木造ですと三百五十万、中高層でございますと五百万が通常融資として出ますけれども、そのほかに今回の改正によりまして上のせの融資といたしまして、住宅金融公庫から貯蓄額の倍額の融資がされることになっておりますので、三百五十万の貯蓄をした方でございますと七百万、あるいは五百万の貯蓄をした方でございますと一千万の上積みがされることになりまして、それらを合計いたしますと、千四百万から二千万ぐらいの資金が準備できる、こういうことに相なるのでございまして、現時点でいえば、一応それで通常の住宅は東京周辺でも可能ではないか。ただ、その場合に、先生土地の問題をおっしゃいましたけれども、庭つき一戸建てというようなことになりますと、土地の値上がりで非常にあれでございますけれども、私どもいろいろ調査いたしましたところによりましても、いわゆる中高層の分譲のアパート、そういうものでございますと、大体そのくらいで通常の勤労者が住む程度のものは取得できる、かように考えております。 〔山下(徳)委員長代理退席、委員長着席〕 今後の問題でございますが、賃金水準の上昇と、土地を含みます建築費の上昇が同じ速度でいきますれば、大体いま言ったような計算が成り立ち得るわけでございますが、もし賃金の上昇よりも土地や建築費の上昇が高くなりますと、その計算が成り立たなくなるわけでございまして、問題は、やはり土地や建築費の上昇が賃金水準の上昇を上回って上がるというようなことがないようになることが、その現実化のためにはぜひとも必要なことだ、そういうことで、政府といたしましても、いま土地の価格上昇の抑制その他物価の抑制ということに全力をあげておるわけでございまして、そういう努力によりまして、それらの上昇が押えられますことを私ども期待をいたしておるところでございます。
○山本(政)委員 経済白書の中に「新設住宅着工戸数の動向」というのがあるのですよ。これを見ますと、分譲住宅が七六・七%を占めております、パーセンテージからいけば。貸し家が三八・九%を占めております。そして持ち家はわずかに一五・二%なんです。つまり自分の家をつくるということがいかに困難であるかということのぼくは一つの数字的な例示だと思うのですね。 もう一つは、同じ白書の中に「地価上昇は借家、借間に住む人々の持家取得を著しく困難にしていることである。近年借間に住む世帯の構成は低くなっているが、借家に住む世帯の比率は高まっており、四十六年には「家計調査」対象世帯のうち約三五%が借家・借間に住んでいる。年齢構成の相違を調整したうえで住宅保有状況別の所得と支出の格差をみると、民営借家・借間世帯の収入は給与住宅や持家の世帯に比べて低く、最近その格差がやや広がっている。」こういっているのです。そうすると、借間やあるいは借家に住んでおる人たちは、これが私は一般的な勤労者ではないかと思うのですけれども、そういう人たちはますます家を建てることが困難になっているのではないだろうか。そしてそれはもはや一二・一一という高率の、労働省のいう高率の利率をもってしても手に負えない状況に来ているのではないかと思うのですね。とすると、財産形成法というのはどう見てもぼくは企業のための貯蓄奨励策でしかないような感じがするのです。そうじゃないでしょうか。
○渡邊(健)政府委員 まず財産形成制度全般の問題について申し上げますと、これは先ほども申しましたように、持ち家だけが目的ではございませんで、勤労者のそれぞれの好み、希望に応じましていろいろな条件がございますから、預貯金や有価証券などの資産を望まれる方もございます。それはそれで財産形成としての意味を持ちますし、また持ち家を希望される方につきましては、これは持ち家を持てるようにして差し上げるということが財産形成のねらいでございます。 先生おっしゃいましたように、持ち家を希望される方についてそれが持ちにくくなっておるのではないかという点につきましては、最近の地価あるいは建築費の非常な高騰によりまして、そういうような傾向が出ておりますことはもう率直にいっておっしゃるとおりだと思うのでございますが、最近の、ここ数年の地価、建築費の上昇は非常に、日本の過去、戦後二十何年の中でも異常な高騰ぶりを示しておるわけでございまして、もしこういうような状態が長く続くとすれば、おっしゃるようなことが非常に懸念されるわけでございます。 そういうことで、政府といたしましても、やはり地価の抑制あるいは建築費その他の物価の抑制等が現下の最大の急務であるということで、いろいろな努力をいたしておるところでございまして、私どもといたしましては、こういう異常な状態の地価その他の物価上昇が早く鎮静化をして、また若干の上昇はあるにいたしましてもノーマルなものになってくれることを期待いたしておりますわけで、もしそのような期待どおりに地価や一般の物価上昇がもっと鎮静してまいりますれば、私は現在提案申し上げましたような諸制度によって、先ほどの例でも申し上げましたように、勤労者が持ち家を持つことは通常勤労者、もちろん勤労者にも収入の多い人、少ない人ございますけれども、平均的な勤労者にとって必ずしも無理なことではない、かように考えておるわけでございます。
○山本(政)委員 あまり時間がありませんから……。地価が上昇するということは、家賃とか地代の上昇がこれに伴うことですわね。そうしますと、さっき申し上げたような借家あるいは借間の世帯の人たちの、要するに、何というのかな、消費性向といいますか、そういうものは持ち家に住む人たちよりも高くなってくる、これは事実でしょう。あるいは給与住宅に住んでいる人よりそれだけ実は貯蓄がしにくくなるという現状があるのだと思うのですよ。だから、要するにない金を無理に貯蓄をさせるのだということになりはしないだろうか。つまり飢餓的な貯蓄、ことばとしては非常に悪いのですけれどもね。それからもう一つは、賃金が上がったとおっしゃいましたけれども、三十年代というのは非常に高度成長をした年ですわね、ところが、三十年代の終わりごろには借家世帯の黒字ということは持ち家世帯の黒字とほとんど同じ水準であった。これは私が申し上げるのじゃなくて白書に出ているのですよ。そうしますと、それが四十年代に入るとずっと低下をしていっている。ということになると、地価の上昇というのは要するに土地やそれから住宅を手に入れる価格ですね、これをつり上げる。それだけでなくて、いま申し上げましたように、買い入れる資金の蓄積をやはり妨げるのじゃないだろうか。しかも地価の上昇というものは土地を持っている者にとって非常に有利であるし、土地を持たない者にとってはいま申し上げたような形になってくるとすれば、つまりそこにまた不平等が出てくるのじゃないか。持っている者はますます富んでいき、そうして持たない人たちは資金の蓄積を妨げられるというようなことで、どうにもならないような状況になってくるのじゃないだろうかと思うのですがね。そうすると、それに対して一体見通しがあるんだろうかという疑問が出てくるのですよ。つまりこれ以上上げぬ、上がらないという、一体宅地部長、そういう自信おありになるのですか。
○大富政府委員 お述べになりましたとおり、三十年代後半からの地価上昇、非常に異常な上昇でございまして、消費者物価指数あるいは卸売り物価指数をはるかに上回る上昇になっているわけでございますが、この原因といいますのは、基本的にはやはり地価だけがひとり歩きしているわけじゃございませんで、周辺の経済情勢の反映でございます。基本的にはやはり経済成長に伴いますところの人口、産業の都市集中に伴うところの宅地の需給のアンバランスが基本でございまして、さらにこれに拍車をかけましたのは、近時の過剰流動性というところの、金融緩和を背景といたしますところの投機的な土地投資、これがこの地価上昇の原因になっておるというぐあいに私ども考えている次第でございます。 したがいまして、地価対策といたしましては総合的な土地対策というものがぜひとも必要でございまして、昨年の地価対策閣僚協の決定に基づきまして投機的な投資を抑制するような金融引き締め、さらには仮需要を抑制するための法人の重課分離譲渡所得税あるいは土地特別保有税といった税制面からの締めつけ、その他土地取引の規制なり、あるいは利用面の規制なりというものの立法面での強化なり、あるいは宅地供給の新機関の創出なりという施策をやっているわけでございまして、御承知のとおり、地価もようやく昨年の年末ごろから鎮静化を始めているわけでございます。私どもこういう施策をさらに強めていくことによりまして、基本はやはり投機的な仮需要を極力抑制していくとともに、真に宅地をほしがっている人々のために宅地供給を促進する、拡大する、こういう施策を続けていきますれば地価も安定していく、このように考えておる次第でございます。
○山本(政)委員 最後にお伺いしたいのですけれども、よしあしは別としまして、西ドイツ連邦政府は一九七一年の六月の閣議で、一九七四年以降に労働者有産化の基金として、企業のほうから、先ほども言ったように四十億マルクを出させる、こういうふうにいっておるわけですね。だからその考え方というのは、労働者が資本参加していいとか悪いとかいう議論を越えていると私は思うのですね。つまり資本参加をどのような方式でさせるかということにもう来ているのだろうと思うのです。是非論はもう越えてしまっていると思うのです。これは大蔵省、労働省両方の方にお伺いしたいのですけれども、それくらいな大胆な構想というものがとれないものか、あるいはとる御意思はないかあるか、その辺を最後にお伺いしたいのです。
○渡邊(健)政府委員 私ども、ドイツ政府のそういう計画等のことは伺っております。こういう政策が出ました根拠には、一方には長年にわたり積み上げてきた財産形成制度の発展というものがバックにあってそこまで出てきたということ、もう一つは、やはりいろいろな面における勤労者の参加という問題が向こうでは非常に進んでおる、そういう面と両々相まってこういう問題が出てきたと思うのでございます。確かに日本におきましても、そういう二つの問題は、いずれも日本の労働関係のあるべき姿の一つの方向を示すものとして大いに参考にして、勉強しなければならない問題だ、かように考えております。ただ現実の問題といたしますと、この二つの問題とも日本の現実から見ますと、まだ相当大きくかけ離れておりまして、日本としては現実に即してまずどういう具体的な改善、前進をするかということから考えていかなければならない、かように感じております。
○山本(政)委員 最後ですから私、意見だけ申し述べさしていただきますが、貯蓄率からいいますと、フランスが一〇・一%、西ドイツが一三・八%、スウェーデンが四・七%、イギリスが五%、アメリカが六・八%でしょう。日本だけが一九・二%と異常に高いわけですね。その上にまだ貯蓄の奨励策をとるわけですよ。そういう貯蓄奨励をさしておいて、そして先ほどの話から申し上げてもわかるように、要するに現実には地価の値上がりで土地も買えない、あるいは家も買えない。しかも地価の値上がりによって、要するに蓄積の能力といいますか、そういうものが落ちてくるという実態があれば、少なくとももっと抜本的に割り増し金とかあるいは先ほど申し上げたような企業のほうから出すというようなこと、あるいは金利をもっと上げるということを大胆に考えていかないと、この有産化というものは、金額だけは多少ふえるでしょうが、しかしふえても、それが内容を伴った有産化にはならないと私は思うのですね。したがって、いまのままの法案であれば、私は反対せざるを得ないんですよ。もう少し政府として検討して、大幅な改善ということを考えていただかないと、それはやはり収奪でしかないと私は思います。ですから、その点ひとつぜひお考えをいただきたい、こう思います。 終わります。
○野原委員長 枝村要作君。
○枝村委員 政務次官がおいでになっておりますので、あなたに労働大臣の代理としてお伺いいたします。 四十九年度の予算編成期に急に財産形成の政策がマスコミを通じてはなばなしく報道されて、世間一般の注目を浴びてきたわけであります。私どもは当時その報道の内容を見まして、なかなか労働省はやるなという気持ちでおったわけです。しかもこの問題は単に一労働省の問題だけではありませんでして、いわば今日の田中内閣の目玉商品だ、こういうふうに見ておったのです。ですから労働者をはじめ多くの関係者は、報道に関する限りこれに大きな期待を持ったことは事実なんです。ところが実際には、先ほどからの質疑応答の中でも明らかにされたように、現実にこの改正された法案の内容を見ましても、全くその要求、目的が修正の中からは姿を消していくという結果になっておるということであります。 これに対していまから質問していくわけでありますけれども、仄聞すれば、ただ要求を出して、大蔵省と簡単な折衝で、はいさようならといって終わったのではないように聞いてはおりますが、われわれからすれば、先ほども言いましたように田中内閣の目玉商品としての財形政策であるだけに、全力をあげるというよりは、内閣がその気持ちになってこの実現のためにやるべきであるにもかかわらず、単に一省と大蔵省との折衝だけにまかして、いろいろな理由がありましたけれども、そういうことでこれを退けるというようなことがあっていいのかどうか。これはたいへんな国民に対する裏切り的な行為に結果的になっておるのではないかというふうに考えるが、これに対してどう思うかという質問であります。
○菅波政府委員 枝村先生の御質問でございますけれども、先生のお話の中で、やはりプレミアム制度、割り増し金制度というものが消えてしまったということじゃないかと思うわけです。労働省としては初めから、やはり審議会の答申にも税額控除とプレミアム制度というのはあるわけでございます。したがって、その趣旨に沿うて、実は労働大臣があの予算の最後のどたんばで七時間半も大蔵省との折衝もいたしたわけでございます。また、党のサイドの中でもいろいろと努力をしたつもりでございますが、残念ながら実は四十九年度の予算の中では見送られておるわけでございます。その点については、力なさをひとつ大臣とともにわびる次第でございますが、しかしこの制度は、やはりどうしてもそういうふうな、いまの経済変動の中で当然勤労者の財産を形成するという場合においては、やはり割り増し金制度というものは前向きで今後検討していかなければならぬし、そのように労働省としては協力してまいりたいと考えておる次第でございます。
○枝村委員 労働省が大蔵省と折衝するいわゆる要求の骨子は、一体何でしたか。いま割り増し金ということを言いましたけれども、それは一体審議会の提唱されておるとおりに二〇%という額を要求してやったか。それから税額控除の問題でも、何%の税額控除をするとかいろいろあったはずですね。それを具体的に示してもらいたい。
○渡邊(健)政府委員 当初要求におきましては、中心になりましたものが税額控除につきましては最高一五%、これは貯蓄年限によって何段階かに分かれておりましたけれども、最高一五%までの税額控除を中心に要求をいたしました。その後、財産形成審議会からも、先ほど申しましたように税額控除だけではなしに、課税対象外の人たちの財産形成貯蓄のためにも割り増し金をやるべきであるという御意見をいただきましたので、税額控除だけではなしに、割り増し金をも追加要求の形であとから要求を出したわけでございます。その段階におきましては、全体的な予算規模等々のことも考えまして、最高一〇%の割り増し金を要求をいたしておったわけでございます。
○枝村委員 先ほど山本委員からも追及されておったようですが、審議会からいわれてまあようよう腰を上げて、二〇%でなくて一〇%ですか、一〇%の割り増しを全部に適用させるという、そういう措置をあなた方は要求の中でとられたわけなんです。それをちょっと客観的に見てみますと、いわゆる所得の再配分ですか、という形による割り増し金、こういうことに対して、どうも熱意が最初からなかったような気がする、そういう意味では。税額控除最高一五%は、労働省の要求として一生懸命やった。しかし、これも労働省がけられてしまった。それから、最もわれわれが要求しておる割り増し金の問題については、何回も言うようですけれども、審議会からいわれて、しかも一〇%に下げて大蔵省と交渉を始めた。ですから、そこには向こうも、あなた方の態度そのものが見え透いておりますから、本気になって話し合いに乗ってくるはずはないわけなんです。しかも、単に労働省としてやる。しかも一〇%とかいう、そういう額の問題に入る前に、そういう制度そのもので行き詰まってぐらついてしまったということなんでしょう。だから、山本議員も言ったように、ほんとうに本気になって労働省が、あるいは私から言わせれば田中内閣が、勤労者の財産形成の政策に本気に取り組んでおるかどうかというのが疑われるということになるわけです。しかしまあ四十九年度の問題として済んだのですから、先ほどから局長や政務次官が言っておりますように、来年度は必ずこれを実現させるために内閣の問題として、もう大きな意味で政治的にいやおうなしに実現させる方向に持っていくようにしてもらいたい、このように思っているわけです。その点について政務次官の御答弁をお願いいたします。
○菅波政府委員 先ほど申し上げましたように、審議会の答申を尊重せなければならぬ、当然でありますし、労働省としても当初から割り増し金制度については構想を持っておったわけでございます。したがいまして、四十九年度では入ることができなかったわけでありますけれども、来年度はぜひともそうしたいという最大の努力をいたすつもりでございます。
○枝村委員 そこで、四十八年十一月二日に、勤労者財産形成審議会が中間答申をしておるのですが、その中に財形政策の理念が五つにわたって述べられております。基準局長もその中の一、二を先ほどの山本君の質問に対して答弁されておりますが、この理念を十分に尊重して、いまからの財形政策に生かしていくということでありましょうね。その点をもう一度尋ねておきたい。
○渡邊(健)政府委員 先生御指摘のように、昨年十一月二日の財産形成審議会の中間答申におきましては、勤労者財産形成の理念といたしまして、財産所有の民主化あるいは財産形成政策というのは積極的な社会保障である、あるいは財産形成政策とインフレとの関係等々、幾つかの理念を明示されておりまして、私はこれらの中間答申で示されました財産形成の理念というのはまことにそのとおりである、かように考えておるところでございますので、私ども、この理念にのっとりまして今後財産形成制度の内容の充実、推進をはかってまいりたいと考えております。
○枝村委員 ここで一言言っておきたいのは、この理念に基づいて今回の法改正が実はあまりやられていないということは、これはあなた方も認めておられると思いますし、それから理念全般の問題についても、今日の社会情勢の中では実現はされておらぬはおろか、真剣に取り組もうとする姿勢すら見えない部面もあるようであります、あなた方は否定するかもしれませんが。しかし、いま局長も答えたように、この理念は当然であるし、ですから、これに基づいていまから財形政策をどんどん進めていって、この財形促進の法案をより発展させていって、勤労者の福祉あるいは生活向上に資するためにやると言われましたので、私どもはそういう意味から非常に期待をするものですから、ひとつがんばっていただきたいということを申し上げておきたいと思います。 そこで、具体的な質問をしていきたいと思うのですが、先ほど山本君もちょっと触れたのですけれども、この基金、付加金制度は企業間の賃金格差、企業間のいろいろな格差を増大させる危険があると思われるのです。とりわけ中小企業や弱小企業の労働者は、この部面からも大きく取り残されていくおそれが十分にあるような私は気がいたすのです。それは一つには、現在企業の中におる労働者が社内預金として九九%ぐらいですか、納めておるというように知っておるのですが、本質的な質問に入る前に、まずそれをお伺いしたいと思います。
○渡邊(健)政府委員 社内預金制度は日本のかなり多くの企業で採用されて、ある程度定着化いたしておりますが、最近では社内預金をやっております者の数は、毎年三月末に調査をして発表いたしておりますが、いま正確な数字は調べておりませんが、約五百五、六十万で、あまり増も減もなしにほぼ横ばいの状態を続けておるわけでございまして、勤労者の九十何%といったような高率ではございません。
○枝村委員 そうですか。この法律によりますと、付加金あるいは基金の制度によって、恩恵といったらおかしいのですが、受ける人が、私の見方からすれば、ほとんどの基金を設けた企業の労働者は、自分が好むと好まざるとにかかわらず、全部恩恵を受けるために入っていくという結果になるように仕向けられておるわけなんですね。それは現に財形貯蓄を実施しておる者に限って上のせして給付していくというふうになっておりますけれども、現に貯蓄しておる者の貯蓄額というのは大体千円だというように聞いておるのですけれども、それは違いますか。
○渡邊(健)政府委員 基金制度は、この提案申し上げました法律案では、それぞれの企業ごとに、事業場ごとにつくられることになっておりまして、労使が合意した場合につくられるわけでございます。しかし、基金制度ができました事業場におきましては、財形貯蓄をしている人が加入資格があって、しかも加入者になりますと、労使の合意できまりました一定額が事業主からの拠出金としてもらえる。それが七年の運用の後に各人にこれが所得になるわけでございますから、それは事業主からの拠出金によって自分の所得がふえるということでございますから、先生おっしゃるように、大部分の労働者がそういう企業においては加入するようになるだろうと私も考えております。 現在までの財形貯蓄の状況でございますが、私どもが調査をいたしておりますところにおいては、これは規模にかかわりなく、一人月平均大体五千円前後でございまして、企業の規模によってあまり大きな違いはございません。ちょっと申し上げてみますと、五千人以上が月五千三百円、千人から四千九百九十九人が六千八百八十四円、三百人から九百九十九人が四千百五十六円、百人から二百九十九人が五千六百九十五円、三十人未満でも四千四百七十円ということでございます。もちろんこれは不規則な上下がございますけれども、規模に大きな関係なしに、おおむね月五千円前後という数字に相なっております。
○枝村委員 五千円前後の貯蓄をしておる者にこれが適用されるということになるわけでございますね。まあそれでもいいです。そうなると、七年後に何がしの金が、これはたいへんなものであるかないかは別にいたしまして、とにかくそういう一時金が支払われるのであるからということで、いま社内預金をほとんどの者がしておるというような大きな企業の中の労働者は、この財形の貯蓄のほうに一人残らず全部いく可能性があるわけですね。そうなると、そういう企業はある程度、裕福とかそうでないとかいう表現はよくないのですけれども、景気のいい企業になるわけだろうと思いますね。そう見てくると、そういう景気のいい大企業のところはどんどん、ますますそういう意味で発展していく。それから、そういう能力のない、あまりもうけのない中小企業などは、こういう制度がありましても、全くそれから見放されていくということになるわけですね。ですから、先ほど言いましたように、この制度は、そういうことがありますだけに、企業間の格差はどんどん広げていくという結果になりはしないか。それを防ぐためには、いま西ドイツが考えておるような、企業の利益を何%か吸い上げて、そしてプールするという方法しかないわけです。それはあなた方いま一つも考えておらぬようです。いまの制度をこのまま推進していくと、いま私が言ったような結果になってくる、こういうことは認められませんか。
○渡邊(健)政府委員 確かに先生御指摘のように、企業間では負担能力の格差があるために、この制度を採用いたしました企業によって拠出金の額等にある程度差が生ずることは考えられるわけでございますが、私ども、そういうことによって企業間の格差が不当に大きなものとならないよう、いろいろ考えておるわけでございまして、たとえて申しますと、この法律によりましても、財形基金制度の企業からの拠出額は、一定の法令上の限度を設けたい、かように考えております。いま大体考えておりますのは、勤労者一人当たり一年につき十万円というぐらいの限度を設けることによりまして、大企業だからといって、それ以上の二倍も三倍もの額にならないように、ひとつ限度を設けたい、かように考えております。 それから、一番私どもが懸念いたしますのは、比較的負担能力の低い小規模の企業におきまして、この制度が採用されましても、拠出金等が非常にほかに比べて低額になる、こういうことが考えられますので、これは私どもいま政府の各省内部で検討いたしておりますが、小規模企業におきまして基金制度あるいは基金制度と同じ機能をいたします勤労者財産形成受益金契約制度を採用する場合に対しましては、昭和五十年四月を目途に、二十人未満の小規模企業につきましては、国が助成金を交付する、こういう制度を発足させたいということで、目下関係省庁と検討を進めておるところでございまして、そういうことによりまして、企業によって拠出金等に差ができる、それが格差の不適当な拡大にならないようにしてまいりたい、こういう努力をいたしておるわけでございます。
○枝村委員 一年ごとに十万ですか。七年なら七十万。その七十万が、それにさらに利がつきますから、一時所得金として労働者の加入者に支払われるということになるでしょう。これはやっぱり一種の賃金のようなものですから、その意味からも、いまの弱小のそういうところの労働者と大企業の労働者の賃金格差そのものもまた大きく開いてくるという可能性があります。それから助成金を出して受益金制度をその目的どおり運用していくという、りっぱなものにしていくということをいわれておりますけれども、その助成金は何ぼかいまはわかりませんが、おそらく国が出すのですから微々たるものだと思いますが、そういうことを考えますと、いま言ったような心配が非常に出てくる危険性があるのです。それを補うためにはどうしても全部に割り増し金を出すというような制度を採用していく以外に、そういうところの人々を救うといったらおかしいのですけれども、やはりこの財形制度に魅力を持たせて、そして全体の福祉向上、生活向上には役立たぬような気がするのですよ。 それで問題は、今回の法改正に対して、これは全部事業主負担ですから、大きな企業も小さい企業もこういう制度を採用すれば自分の損金になるですよ、税制上の優遇措置はするかもしれませんけれどもね。だとすると、いまの企業はわれわれからすれば、信用するところもあるが、しないところも、できぬようなところもありますが、自分が損までしてそういう制度を採用して、受け入れてやるものはおりませんよ。だったら何がねらいかということです。そこにやはり労働者的な感覚から一つのこれに対する危惧を持つ。もちろん三つの会社を指定して、そしてそれ以外のものにはいわゆる基金も、それからもう一つの付加金も預託できぬ、預け入れできぬというようになっておりますから、そうなるとその企業と三つの会社、信託やら生保やら、そういう金融機関と企業との何らかの関係がやはりそこにはいろいろな形で推測されてくる。それから企業そのものの考え方をわれわれから推測すれば、損のあるようなところに銭を出すばか者はおりませんから、やはりこういう政策を受け入れることによって、労働者に対するいろいろの賃金政策その他を通じて懐柔策をするとか、あるいは職場に定着させるというようなこと、勤労意欲を盛り立てる、それはいいことなんですけれども、いろいろな意味で悪い方向にこの政策が利用される可能性もあるのではないか。先ほど言った賃金格差の増大と同時に、そういう懸念を労働者の人々は持つわけなんです。ですから、私どもは先ほどから言っておるように、そういうふうに格差が出たり、それから会社が損してまでこういう制度をとるには何かの考え方があるなど考えていく場合には、そうでないという形をとる以外にないとすれば、割り増し金制度やあるいは税額控除を大幅にするという、こういうことを国としてやれるものですからやるべきだ。それで、国からも大きく援助費ですか補助費でも出す、こういう形にして、そういう考え方を持っている人たちの不満や不安を解消していくようにせねばならぬ、こういうことも審議会の理念の中には、そうは言っていないけれども、大体それに似通ったようなことが答申されているのですよ。そういうように思うのです。いかがですか。
○渡邊(健)政府委員 もちろん先生御指摘になりましたように、財産形成制度の内容を充実いたしますために、一般貯蓄に対する税額控除や割り増し金、こういうことが国の制度としてできますことは、先ほど来申し上げておりますとおりきわめて望ましいことでございます。私どもも将来そういう方向に向かって努力をいたしたいと考えております。ただ、しかしその場合でも、財産形成貯蓄、勤労者の貯蓄だけを中心に考えますと、労働者はいろいろな事情によりまして、決して浪費癖だとかいうことでなくても、たとえば家族数が多いとか、あるいは中途採用その他のために年齢やその他のわりに賃金が低いとか、いろいろな事情によって貯蓄ができにくい方もあるわけでございます。プレミアム等によりますと、たくさん貯蓄をした人はたくさん国の援助が受けられるけれども、貯蓄のできにくい人はそういう国の援助もあまり受けられない、こういうことになるわけでございます。そこで、そういう貯蓄のできにくい人にはやはり、自分の賃金からの貯蓄にあまり大きく期待しなくても、最低限、ある程度の限度の財産形成をなし得るチャンスは与えるべきであろう、こういうことから、元本は事業主が拠出するという形での財産形成基金、こういうものはやはりそれなりの財産形成目的から見た必要性というものはある、かように私は考えるわけでございます。これが、使用者は自分の単なる持ち出しになるものを好んでやるはずがないという御意見もございました。確かにそういう面がないとは申しませんけれども、日本の企業は諸外国と比べていろいろな形のフリンジベネフィット、福祉の措置というものは非常に多くの企業で、中小企業にまで数多く行なわれていることが一つの特色でございまして、日本の場合で申しますと、こういう経営者、事業主が拠出金を出して何年か後にある程度まとまった勤労者の資産になる、こういうものも勤労者にとっての非常に大きな福祉でございますから、経営者の方々の中には、国の制度としてこういうものができれば、単に持ち出しになるから損だという観念ではなしに、御採用になる企業はかなり多いのではないか、かように私は考えておるわけでございます。 しかしながら、それに伴ったいろいろな弊害が予想されるという先生の御指摘につきましては、これは十分私どもも傾聴に値する御意見でございまして、そういう弊害が起きないようにこれは配慮していかなければならない。そこで、企業間格差の問題については、先ほども申しましたように限度額を設けるとか、零細企業についてだけは助成金を考えていくとかいうようなことを考える等、いろいろなことをしておるわけでございますが、特に私ども弊害を防止する一つのあれといたしましては、財産形成基金制度等を設けるかどうかは過半数の労働者との合意によってやるんだ、合意がなくしてはやらないんだということで、やはり労働者の意思はこういう制度を導入するについて反映するようにしているということが一つ。それから特に基金につきましては、これの運営に当たります理事会、代議員会、いずれもこれは全く労使同数で構成することにいたしておりまして、労使の意見が対等に反映する、それによって運営されるというような方法も考えまして、それらによって弊害が起きないような運営のルールを考えているわけでございます。
○枝村委員 それと関連してもう一つ心配があるのは、やはりこの制度は信託や証券、それから生命保険会社というような特定な金融機関に全部集中されるのですから、いまの財形貯蓄そのものも、いろいろ事務的な手続の面から、すでに入れておるその他一般の金融機関からはずして、いまの三つの特定の金融機関にみな預けかえるというようなことが行なわれていくのではないかという心配があるわけです。しかし、いまあなたが言われたように、労使の合意がなければそのこともきめられぬ、そういう歯どめの制度があるようですから、そんなことはないと言われるかもしれませんけれども、しかし労働者がしゃんとしておるところならそれはいいでしょうけれども、そうでないところもたくさんあるとするならば、そういうことが必ずしもないと否定はできぬというふうに思っております。こういうのに対して心配はありませんか。 それから、先ほど、いまの財形貯蓄を預け入れておる金融機関の額が発表されましたけれども、大体ここに今度指定される証券、信託、生保が多いようですけれども、それだけに心配がある、こういうことなんですが、どうですか。
○渡邊(健)政府委員 財産形成基金等の運用の対象となる金融機関が、信託銀行、生命保険会社及び投資信託委託会社に限られることになりましたのは、これは全く減税制度との関係でございまして、この財形基金から七年たって勤労者が受け取る所得につきましては、一時所得という非常な課税の軽減がされることになっておるのでございますが、その一時所得という課税上の制度、これは詳しくは大蔵の主税当局から御説明するのが妥当かと存じますが、現在はたとえば適格年金制度あるいは企業年金制度、いずれも給与所得ということになっております。これは税の仕組みからいたしまして、やはり信託銀行、生命保険会社等に運用が限られております。それの仕組みを利用して、一時所得扱いという課税の軽減措置を今回設けることといたしましたために、そういう理由でこの三種の金融機関に限定されることになったわけでございます。 しかしながら、財産形成貯蓄を勤労者がする金融機関としてどういう金融機関を選ぶかということは、これは勤労者の、従来どおり自由に選択し得るところでございまして、財形基金をやっている金融機関にしなければならないということはございません。財形貯蓄さえしておれば、その当該企業の財形基金の運用金融機関と別個の金融機関でも何ら差しつかえないわけでございます。勤労者の方々は、利用の便利あるいは利回りその他の経済的計算等に基づいて、現在でもいろいろな金融機関を選択されておりますので、私ども、財形基金制度ができたために貯蓄までが特定の金融機関に集中するというようなことはないのではないか、かように考えております。
○枝村委員 基金それから付加金制度で、今度は企業が何%か出してまいりますが、一体これはこの一、二年とか三年とか期限は切りませんが、どれぐらいの額に吸収されるものかどうか、予想を立てておりますか。
○渡邊(健)政府委員 これは新しい制度でございますので、どのぐらいということはなかなか推計は困難でございますが、現在の財形貯蓄の実施状況などから推計をいたしますと、現在財形貯蓄制度を実施いたしております事業所数は十七万二千二十五という事業所にことしの二月でなっておりますが、これは財形法に基づきまして賃金からの天引き等の事務をしてやるだけでなしに、それらの企業の約一割は、いま法律上の制度がないのに、従業員の財形貯蓄に対して付加金などの援助を与えておる実情にございます。したがいまして、私どもこういうことから見ますると、法律によって財産形成基金あるいは財産形成受益金制度あるいは付加金制度、こういうものができますれば、いま法律がなくても自発的にやっているものが一割もあるということからすると、かなり多くの企業がこういう制度を採用することになるのではないかと考えております。
○枝村委員 ぼくらが推定したことがないのでわかりませんが、ばく大な基金が三つの機関に吸収されるということになると思うのです。その金は結局何に使われるかといったら、また別の企業に投資されると思うのですね。それでせっかくの、これは年金とはまた違って勤労者の財産形成、そのための金ですから、それがこういう金融機関に全部吸い上げられて、それが労働者にはね返らずに企業に投資されていくということは、これはどうしても納得できぬと思うのです。もう少しことばを強めていえば、今日のインフレの中で、そのインフレ状態をあおっていくという結果にしかならない。労働者福祉のためにはくそにもならぬということになるのではないですか。だから、この三つの金融機関を指定した理由はわかります。利回りがいいか悪いかはわかりませんが、そういう長年ものでいけばそうなるかもしれませんけれども、そのほかにやはり指定すべきところが一つもないのですか。 たとえば今日、農協が行なっております生命共済、これも一枚加えてくれという要求が関係者の筋からされておるのです。私どもよく調べてみると、この農協をはずしたということは、いわゆる三つのいまあげられました金融機関と別に劣るところはないほど、その能力も持っておるし機能もある。だとすれば、こういう要求が来たことに対して、当局がそれを拒否する理由は一つもなくなるというように思うわけなんです。そのほか、私はよく知りませんが、あるかもしれません。労働者の共済制度、生命共済なんかもありますが、これはどうもおかしいという話も聞いております。これはその力がないというようなことを聞いておりますが、それは別にして、いまの農協の生命共済などは、どこから見ても他の三つの金融機関と遜色のない力を備えておるとするならば、この要求に対してこれを除くという理由にはならぬような気がするのです。その点について質問いたします。
○渡邊(健)政府委員 先ほども申しましたように、財産形成基金等の運用対象金融機関が、御指摘になりました三つに限定されましたことにつきましては、それら基金から七年後に労働者が取得いたします所得に対しまして、一時所得扱いという税制上の優遇措置を講ずる。そういうことにつきまして、一時所得扱いという優遇措置が講ぜられておる従来の税制上の制度、先ほど申しましたような適格年金とか企業年金とかそういうものの制度が、これらの金融機関による運用のものに限られているという従来の一時所得扱いの課税上の仕組みを利用したということに基づくものでございまして、先生御指摘のように、それ以外にもいろいろな機関が考えられるではないかという点につきましては、いろいろそういう問題があろうと存じます。御指摘の農協等につきましても、課税当局で今回これを対象に加えなかったことにつきましては、従来一時所得扱い——一時所得扱いというものは、それらの金融機関で運用している間は一%の特別法人税の課税だけにとどめまして、一定の期間を経てそれが分配される場合には、四十万円を控除して、残りの二分の一についてだけ課税されるという制度でございますが、いままで適格年金や企業年金では対象にしていなかったために、従来一時所得扱いの例がないといったことのために、それらの点についてもう少し検討する必要があるというようなことで今回対象にならなかったわけでございますが、そういう問題につきましては、今後関係行政省庁と十分に連絡をいたします。私ども別に取り扱い金融機関を積極的に限定したいというような考えは持っておりませんので、適当な金融機関があればもちろん考えてしかるべきと存じますので、課税の一番の主管官庁であります大蔵省等とも十分研究、協議をいたしまして、今後検討してまいりたい、かように考えているわけでございます。
○枝村委員 今後の検討課題ではなくして本国会中に、この法案を可決するまでに、考えられるべきものであるならば考える。一般の市中銀行の中でも、大和銀行なんかも信託業務を扱っているのでしょう。この三つに限ることはないのですから、なるべく資格のあるところにはわれわれがどんどん預託できるように広めるべきだ。しぼるから、何かおかしいじゃないか、こういう話が出てくるわけなんでして、そんなみみっちい労働省じゃないでしょうけれども、できなかったらやはりちゃんと措置すべきだというように考えています。 それから、今度は労働金庫ですが、これは労働者の福祉、生活向上を目的とするために生まれてきておる金融機関ですから、財形貯蓄その他の制度でこれを大きく活用させないということはないはずだと思っておったのですけれども、今日の付加金や基金のこういうやり方では、労金に対してそういう役目を十分に果たさせる、利用させるということにならぬようになっておるようですね。信託の特定運用としていわゆる労金などに基金の意思によって預託できる、そういう運用を考えておるようでありますが、大蔵省ともいろいろ折衝されたと思うのですが、一体どうなっているか、それを質問します。
○渡邊(健)政府委員 専門的なことは金融関係の主管官庁である大蔵省に聞いていただくほうがあるいは適当かと存じますけれども、現在の金融制度におきましては、いろいろな種類の金融機関が金融のいろいろな業務を分担して、それぞれのシェアでやっておるという仕組みになっておるようでございます。労働金庫等は現在信託的な業務を行なっておりませんので、労働金庫がこれらの金融機関として適当かどうかといったような問題は、私ども大蔵省等とも今後十分に研究してまいりたい、かように考えますが、先生も御指摘のように、私どもも決して一定の種類の金融機関にだけ財形基金の資金等が集中することが適当だと思っておるわけではございません。そこで、先生も御指摘になりましたように、信託銀行等を利用した場合にも、基金そのものが信託銀行に対しまして運用についていろいろな指示をいたしまして特定運用するといったような方法で、信託に預けたものを基金そのものが指定をいたしまして、どこの金庫なりどこの銀行なりということで運用し、実際に資金が当事者の選択に応じていろいろな金融機関に流れる、そういうような仕組みも考えたいということで、ただいま具体的な問題につきまして大蔵省と鋭意協議をいたしておるところでございまして、そういうような幅広い運用の方法を考えてまいりたいと存じておるところでございます。
○枝村委員 まだ協議中ですか。いつごろそれは確定するのですか。
○大坪政府委員 ただいまの問題は、政令を定めまして、その政令で書き込むことになるので、法律を御可決いただきました暁に具体的に詰めるということになるわけでございます。ただ、いま申しましたような趣旨ですでに話し合いを相当程度進めておるということでございまして、あとは政令をきめる段階で文言として明確になってまいるということでございます。
○枝村委員 それは一つの、労金を大いに活用していくという窮余の策かもしれませんけれども、それはそれなりに早くいい効率で運用できるような方法で決定してもらいたいと思うのです。 それから、この際言っておくのですけれども、労金をほんとうにりっぱなものにしていくためには、労働省が積極的な施策をやるべきだと思うのです。いま労働金庫も全国統合の、話でなくして実行段階に来ておるようですから、そうすれば西ドイツのような、ことにDGBですか、これが設立する銀行みたいなものに発展するかどうか、それはわかりませんけれども、強力な労働金庫になれば、日本でも財形を取り扱う唯一の金融機関になるべきだと私どもは考えておるのです。それがほんとうに労働者のためになるんだ。いまの金融機関というものは企業とべったりで、もうけのためにやっているのですが、労働金庫はそれじゃないのですから。利子もあんまり高くはないですけれどもね。だから、そういうふうに発展さしていかなければなりませんだけに、担当の労働省は労金と協力してそういう方向になるように全力を尽くしてもらいたいものだというように考えておりますが、どうですか。
○渡邊(健)政府委員 御趣旨を含みまして関係行政機関と一緒に十分研究してみたい、かように存じます。
○枝村委員 私の質問はこれで終わります。
○野原委員長 この際、午後一時四十分まで休憩いたします。 午後一時十分休憩 ————◇————— 午後一時四十七分開議
○野原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 まず参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。 雇用保険法案、雇用保険法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案、国有林労働者の雇用の安定に関する法律案、及び失業保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律案の各案審査のため、参考人に御出席を願い、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○野原委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。 なお、日時及び人選等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○野原委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。 ————◇—————
○野原委員長 労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川俣健二郎君。
○川俣委員 春闘で労使、政府側ともに、国民あげてこの収拾に努力されておるわけですが、大臣も徹夜交渉をやりながら、労をねぎらうわけですけれども、午前中に、またこの一般質疑が終わると法案審議に入るのですが、勤労者財産形成貯蓄、この法案の審議に入りました。大臣は政務次官と交代されておりましたが、やはりあの法案を聞いておりましても、何ですか、支払うほうも労働者も、その能力のある会社、したがって、それに使われておる労働者、これは非常に財形貯蓄の恩典を受けるのですが、何かいつまでもその恩恵どころか、賃金すらベースアップのあれには全然ない人もいる。特にインフレ弱者の問題は厚生行政でかなり、きのうの年金採決の修正案に見るように、進展しておるのは御案内のとおりであります。 そこで、私はそういうベースを持たないというか、とても支払われない労働者のための最低賃金制、この最賃制はかなり各党の委員各位からいままで過去何回となく論議されておりましたが、との国民春闘のさなかで、かなりお互いに歩み寄る、進展ぶりが見えたように思いますので、私も当委員会で党を代表して、確認の意味もあって質問しておきたいと思います。 というのは、特に最賃の問題は、昭和四十五年の中央最低賃金審議会、この審議会の答申以来、もう三年以上経過しておるわけですが、この間の情勢の変化を踏まえて、最低賃金制度のあり方についてやはり見直すべきではないか、これを私たちが言うておるわけですから、大臣の御所見を伺いたいと思います。 それから時間がありませんので、まず最賃制の問題を項目を追って質問しますが、二つ目は、特にこの最低限の生活を保障するという意味もあって早急に、最賃制の人方というのはきのうのインフレ弱者にも救われないし、三万四、五千円も出るベースアップにも対象にならないという人方なんです。できればここ一年前後をめどに、地域それから業種別に、われわれの言ういわゆる全国全産業一律、この最低賃金制を行なう考えが一体あるのかどうなのか。 それから三つ目は、最近において賃金、物価の上昇、この賃金もかなり上がった人は上がるわけだが、物価もこのとおりなんだ。これに対応して現在の最低賃金制を、最低賃金というものを、もう春闘が収拾されて終わったあとに、やはり直ちに改定に入るという姿勢がなければ、私たちはどうしても承服しかねる問題だと思うのです。 あえてこの三つをまず確認したいと思います。
○長谷川国務大臣 お答え申し上げます。 今後の最低賃金制のあり方については、広域最賃の設定、その他制度、運用の改善について、中央最低賃金審議会の場でさらに検討を進めてまいる所存であります。 なお、全国全産業一律最低賃金制については、先生のただいまのお話もあり、労働省として今後検討したいと存じます。 最低賃金の改定の問題につきましては、当面する最低賃金行政として、賃金、物価事情の急激な変化に対応して、最低賃金の実効確保の立場から、中央最低賃金審議会の御意見を聞いて、現在決定されている最低賃金の効率的な改定をすみやかに行なってまいりたいと存じております。
○川俣委員 それで、特に私は、従来この委員会でぎくしゃくしておったのは、やはり全国的に制度として検討する時期なんだ、こういうことを私ら、要求して審議されておっただけに、特に大臣のいまの姿勢がそういう考え方であれば了解しますが、特にその点をつけ加えておきたいと思います。 それから、早急に、これはもうインフレ弱者で全然救われない人方ですから、早急にやらないといかぬのではないかと私は思います。 それから、二つ目の問題は時間短縮、週四十時間制の問題ですが、これもこの委員会において各党の委員から何回も質問が出されて、その回答が了とされるものが出てなかったので、ここで質問しておきたいのは、特にこのごろ職場における労働密度は非常に増大してまいりました。このような職場の実態に照らしても、あるいはまた、国際経済社会の公正基準という面から見ても、やはり労働時間の短縮というのはすみやかに実現すべきじゃないか、言わしてもらえば週四十時間、週休二日制の法制化を実現すべきではないか、こう私らは思うわけです。 そこで、特に私はここで念を押したいのは、もう基準法に手はつけたくない、こういう考え方でありましたら、もう一般社会のあれは、そういうものまで制度の問題として審議に入るという検討の態度を見せないと、やはり何回も言われるように、労働行政というのは先取り行政でなければだめなんだ、みんな各社が全部やってしまってから、あと追いして法律をつくるなんというのではなくて、やはりいまの基準法というものを検討しようじゃないかという姿勢があるかどうかを率直にお聞かせ願いたいと思います。
○長谷川国務大臣 時間短縮、週休二日制につきましては、これまで行政指導を進めてきたところでありますけれども、引き続きその推進につとめてまいりたいと存じております。 特に週休二日制につきましては、経済社会基本計画によりまして、計画期間中に一般化するという目標をできるだけ早期に実現するように努力したいと考えております。 なお、労働時間をめぐる法制上の問題については、中央労働基準審議会の場で検討していただくことを考えたいと存じます。
○川俣委員 それに関連して、総理府も大蔵省も呼んでおりませんが、当然労働行政の担当大臣ですから、公務員と金融、銀行関係ですね、その時短、週休二日制をちょっとここで聞いてみたいのですが、人事院勧告で五十年度をめどというのが出ました。それを受けて、この間、大臣がおられないときに政務次官が、もちろんそれによって努力するということをうちのほうの山本委員に答弁しておりました。それで、この公務員や金融部門については、昨年の労働大臣の回答とかその後の情勢の進展も考慮されて、さらに強力に進める意思があるかどうかということをまずここで聞いておきたいと思います。
○長谷川国務大臣 公務員及び金融部門については、昨年の春闘共闘委員会に対する労働大臣の回答及びその後の情勢の進展も考慮して、さらに努力してまいりたいと存じております。
○川俣委員 インフレ弱者の救済の問題はきのう、それから労働関係では最賃、時短、週休二日制、それからあと一つスト権、こういう問題で、非常にスト収拾に、政府も労働者側も、むしろ国民あげて向かっておる段階ですから、こういうみなが努力しているときに非常に残念なのは、解決の足を引っぱるというか、日教組の不当弾圧、手入れの問題ですが、それを、時間がそうありませんので一問だけちょっと聞いておきたいのは、この点については文教委員会でも午前中からかなりやっておるようでありますが、労働大臣は労働問題の所管でもありますから、大臣の考え方をまず聞いておきたいのは、諸外国のあれを私もだいぶ調べてみました。学校の先生方のスト権は、イギリスはOK、それから西ドイツは官吏ということで、一部を除いてOK、それからフランスOK、イタリアOK、こういう西欧諸国の先進国は全部認めておるように私の文献ではそう思えるのですが、ドイツに明るい大坪さんが首をひねっているのだけれども、私の調べではそういうように思えるのです。ドイツはある程度の制約もあるようですが、イギリス、フランス、イタリア、これだけは学校の教員には十割認められておる。日本の国は先進国だと思うのですけれども、こういう問題について労働大臣はどう思われますか。
○長谷川国務大臣 諸外国における公務員等のストライキ権の取り扱いというものは、それぞれの国の伝統や労使関係の実情などを反映して、国によってさまざまであります。いまおっしゃられたようなところもありますけれども、たとえばアメリカ合衆国においては公務員等のストライキは、わが国以上にきびしく禁止されていると聞いております。わが国といたしましては、わが国の実情に最も適した取り扱いをするということがよいのではないか、私はこう考えているわけであります。
○川俣委員 こっちはイギリスやフランスやイタリアの例をあげているので、何もアメリカのほうへ飛ぶ必要はないと思うのだ。先進欧州諸国と言っているんだ。しかもきのうのように、一挙に八百個所でしたか、家宅捜索を受けるなどというああいうものに対して、やはり労働大臣は、しかも自分が中心で、あるいは政府総ぐるみで苦労してやっているときに、しあわせだと思うのですがね、警察のほうは。力余ってしようがないんだろうけれども、ああいうことをするということは、やはり解決のプラスにはならない、むしろ足手まといというか、足を引っぱるということになるのだと思いますよ。やはりそういうもの全体を含めてやらないと、おそらく文教ではかなりやったと私は想像するのだが、教員の人たちだって子供の教育を思えばこそがんばっておるのであって、警察の人たちもみな子供がいるだろうから、そういうことを考えますと、やはり労働大臣は、まさか自分が収拾に苦労して、うしろのほうで家宅捜索やれなんていうことは言わない大臣だと思うのだけれども、こういうものに対して私は若干の怒りを込めながら、大臣の考え方を聞いてみたいのです。この問題は、いま政府総ぐるみで解決しなければならないのでしょう、労働者総ぐるみで解決しなければならぬのでしょう、春闘というのは。国民あげて生活をアップしなければならないという時期に、こういうようなことをやらせるということはいかぬと思いますよ。大臣どうですか、労働大臣の御所見を伺いたいと思います。それで終わります。
○長谷川国務大臣 日教組がきのう全国的規模で全一日のストライキを行なったことは周知の事実でありまして、私の直接所管するところではないが、はなはだ遺憾に思っております。なお、このストライキについては、警察当局が地方公務員法違反の疑いで捜査に着手したとのことでありますが、犯罪であると思量して捜査を行なうかどうかは、警察当局の判断にゆだねられている事柄でありまして、私がとかくの見解を述べることは差し控えたいと存じます。
○川俣委員 そうなるとちょっとやめられないのだけれども、この責任の一端はやはり労働行政にあるのだと思いますよ。だから、よかったか悪かったかという指図の権限はないかもしれないけれども、やはり労働大臣として一翼をになっておるという自覚があるのでしょうから、だからがんばっているわけだから、徹夜交渉も辞さないでやっているわけだから、そうだとすれば、やはり大臣個人の考え方があってしかるべきではないか。どうでしょう。押し問答してもあれだから、最後です。
○長谷川国務大臣 私としては直接所管するところではありませんけれども、こういう時期であるからという話もありますけれども、地方公務員法違反という疑いでやられるようなことを、こういうときにやっていただくことが非常に遺憾だ、こういう感じを持つのであります。ほんとうに学校の先生だけにあらず、私としますと、働く諸君というものを法の中に守り、あるいはまたそういうものに引っかかってけがしないようにということを常日ごろ念じ、またこういうところで申し上げている立場からいたしますと、ほんとうに残念なことだという感じ方を持っております。
○野原委員長 石母田達君。
○石母田委員 私は、昨日行なわれた日教組に対する強制捜査、この件に関して緊急に質問をしたいと思うのであります。 私の得ている調べによりますと、昨日から今日まで十二の県にわたって八百七十カ所、警察官の動員は六千八百六十名に至って、引き続き捜査を展開しているというふうに聞いておりますけれども、警察当局のこの事実についての確認をお願いしたいと思います。
○赤木説明員 日教組が昨十一日行ないましたストライキにつきましては、同日の午後五時過ぎから地方公務員法六十一条四号違反の容疑で、現在までに東京、北海道、岩手、山形、埼玉、山梨、愛知、三重、広島、福岡、長崎、大分の十二都道県において、それぞれ裁判官の捜索、差し押え令状により、関係の組合事務所など、合計八百七十カ所を捜索いたしております。これに従事した要員は、ただいまお話がありましたとおりの数でございます。
○石母田委員 しかもこの捜査は、私も昨日日教組の本部並びに都教組本部に参りましたが、夜間、かなりおそい時間にわたって行なわれております。そして中には個人の、たとえば都教組の副委員長宅には約十人、そして立ち会ったのは妻一人、その他私の得ている情報によると二十人、三十人が個人宅に捜査に向かっている、また夜間の令状の執行については、刑事訴訟法の百十六条によっても、明確にそのことができる旨の記載がなければこれは執行できないものです。こうした異例の夜間の捜査あるいはいま言われたような大量の警察官の動員による捜査、しかもいま労働大臣が言われているようなきわめて国民的な関心を持ち、その解決を期待しているさなかのストライキ最中にこうした強制捜査を行なったということは、事、公務員や地方公務員の問題に限っても、私は十数年間労働組合に携わっているけれども、今回が初めてだというふうに思っておりますけれども、こういうことはいままでにも前例があるのかどうか、お伺いしたいと思います。
○赤木説明員 昨日夜間にわたっての捜索を実施いたしましたが、これはいずれも夜間でも執行できる旨の記載のある、刑事訴訟法百十六条に基づいての記載のある令状に基づいて執行したものでございます。なお捜査にあたりましてはできる限り関係者の御迷惑にならないように配意しながら行なったわけでございます。なお非常に多数の警察官を出したというお話でございますが、先ほど私個所数を落としましたが、先生のおっしゃるとおり八百七十カ所に対しまして六千八百人の要員でこれに当たったわけでございまして、一件当たりは私宅につきましては二、三人からせいぜい多くても七、八人まで、もちろん事務所等につきましては、それよりややふえて二十人ほどの警察官がおもむいたところもございますけれども、これは直接証拠物の捜索に当たる者のほかに、やはり必要により記録係でありますとか、押収物の分類をする者でありますとか、いろいろな分担によって係を要しますので、そういった人数になったわけでございまして、決して不必要に大ぜいの人間を差し向けたというわけではございません。
○石母田委員 これは、いま答えなかったけれども、私は初めてであり、またきわめて異例な捜査であると思います。こういうことはいままでなかった。こういうことを教員——私の子供も学校に行っているけれども、特に先生というものは非常にやはり子供からいっても尊敬を得ている、そういう人たちに対するこのような捜査をストライキ最中に行なう、しかもこのストライキの問題については、これが違法であるかということについて、やった人たちは違法ではないという確信を持っている。もちろんこれに対しては意見の対立がある。そうした特殊な教員に対して、しかもそのスト権の問題をめぐって、いま政府でさえもその再検討をしなければならぬ、再検討をするんだということを言っている問題なんです。 特にこの問題については、あなた方も承知のように、都教組や中郵の最高裁の判決において、いわゆる地公法の第三十七条による刑事罰の免責、つまり「これらの規定が、文字どおりに、すべて地方公務員の一切の争議行為を禁示し、これらの争議行為の遂行を共謀し、そそのかし、あおる等の行為をすべて処罰する趣旨と解すべきものとすれば、」「これらの規定は、いずれも違憲の疑を免れないであろう。」こういう最高裁の判決、これが今度、あなた方が今度使っているいわゆる全農林の最高裁の判決によってくつがえされた。新聞報道によれば、これの最初の適用であるといっている。これに基づいてあなた方はやっているわけですね。
○赤木説明員 私どもも四十一年の十月二十六日の東京中郵事件に対する最高裁の判決並びに四十四年の四月二日の都教組、全司法仙台事件に対する最高裁の判決もよく存じております。ただ、公務員の争議権並びにこれに対するあおり行為などに対する罰則の適用につきましては、昨年の四月二十五日、全農林の本省事件に対する最高裁の大法廷判決で、はっきりと公務員法、地公法の関係条文並びにこれに対する罰則の適用について合憲であるという判断が示されております。したがいまして、私ども警察といたしましては、今回のようなかつて見ないようなたいへんに大きな規模の争議行為があえて行なわれ、それに対するあおりの行為等も濃厚な容疑が存在する場合には、警察の責務といたしまして、これに対する捜査を行なうことはきわめて当然であると考えております。
○石母田委員 この最高裁の判決、八対七の一票違いできまったことはあなたも知っているだろう、そして、しかもその直前までは、いま言ったような最高裁の判決が出されて、この社労の委員会で昨年二月六日、政府委員は、いわゆるこの判決によってこうした刑事罰は免責になる、これまで考えていた問題についても改めざるを得ない、これは一般の地方公務員法でございますけれども、この判決につきましては、これまでの刑事罰があるということについて改めざるを得ない、こういう発言をしておる。しかも公制審の答申が出て、いわゆる「公務員等の労働関係における刑罰規定についても、今後検討を加えることを適当と考える。」こうした公制審の答申に基づいて、政府はこれを踏まえて検討したい、そこにいる長谷川労働大臣、二階堂官房長官、小坂長官が私たちを呼んで今度の政府の回答を示したときに、はっきりとこの公制審を踏まえて検討するのだとあなた言ったはずなんです。一体、今回のそういう警察当局のこうした態度が——この公制審を踏まえてあなたたちがわれわれに検討すると言ったときに、二つの道があるのだ、弾圧的な形で検討するのか、前向きに検討するのかと言ったら、それは当然公制審を踏まえての検討だとあなたは言ったでしょう、二階堂官房長官は言ったでしょう。いまの警察当局のあり方は、あなたの言う検討の一体どっちなんだ、その立場から見て、あなたはどういう見解を持つのか、労働大臣に聞きたいと思います。
○長谷川国務大臣 公制審の答申を踏まえながら、新しい閣僚協議会をつくり、そしてまた、争議権の問題はいまから対処していくということを、先日の閣議のあときまった文書を官房長官がお手渡しするのに私も立ち会ったわけでございます。これと直接事件との関係ということになりますと、私はちょっと明快な御答弁ができないことを残念に思います。
○石母田委員 私はそういう警察当局の考え方を言っておるのです。八対七できまった最高裁が出たから、これですぐこういう刑事罰で強制捜査することが正しいのだ、当然なんだ、こういう態度がこの基本権の問題について先ほどの発言にあったように、先進国でこんな例はない、ましてや、ストライキをやったというだけですぐ刑事罰を適用する、これは、いまおそらく私の知っているところでは韓国以外にはないでしょう。こういう野蛮なことをやるのが当然なんだ、正しいのだ、これが警察のあり方だ、とんでもない。しかも今度の弾圧は明らかに政治的な弾圧であることは明白であります。最近の国会やあるいは東京都議会はじめ地方の各市の議会においても、自民党の議員やあるいは担当者によって、日教組やあるいはその所属の組合員に対するきわめて露骨な低劣な中傷と攻撃が行なわれております。この国会においても首相、奥野文部大臣、そうした最高責任者から、次から次へとそういう言動が出ている。日の丸、国歌の問題、あるいはまた靖国神社法の問題、あるいは軍国主義復活、教育勅語の問題というような形で、軍国主義の復活に対する国民の不安が非常に増されるような事件が相次いで起きている中に、こうした日教組に対する攻撃というのはきわめて私は重要な意義を持っておると思うのです。それは日教組自体が教え子を再び戦場に送るな、こういうことをモットーにしてつくられた組合なんです。現に今度の春闘にしましても、大幅賃上げをはじめノート代、学用品の引き下げであるとか、あるいは学校給食の問題であるとか、そうした教育上の問題も取り上げて、そうして国民的な課題ともなっている教育の問題の民主化に努力をしてきた民主的な組織であります。これにこのような一方での政治的な攻撃を背景にして今回の弾圧が行なわれておる。このことは、今回の攻撃がきわめて政治的な攻撃であることを明白にしているものだと考えております。 さて、私は労働大臣に今回のこの捜査が引き起こしている結果、こういう問題は、あなた自身が春闘の解決ということに対して真剣に努力をしておるというこの間の答弁の立場から見てどう考えるのか、答弁願いたいと思います。
○長谷川国務大臣 教育論になりますと、だれでも子供を持っておりますから、どの立場からでも議論ができると思います。私は、かつて教科書無償を提案して、この国会で御審議いただいて通過していただいたことがあります。そのときに石母田さんがおっしゃったように、子供たちを再び戦場にやるな、こういうスローガンであるから教科書無償は反対だ、こういう御議論もあったことも承知しております。私はあえて自民党だからとか、政府だという意味じゃなくして、日の丸の問題とかあるいは国歌の問題というものは、これこそは日本民族というものがやはり過去の伝統の中に将来を継ぐ、こういう形において保持すべきものだ。私も教育持論としてそれを持っているものであります。 このたびの問題については、これはそれぞれの責任の当局がやったことでありまして、私がとやかく申し上げることではございません。いずれにいたしましても、私自身もまたこういう大きなゼネストというふうなときに、法律にひっかかるようなことをしていただくということ自体が非常に残念だと思っているものであります。そして、かりに子供たちの信用を失うようなことがあったならば、ほんとうに日本の教育の上に対して非常に遺憾なことが出てくるのじゃなかろうかということを一人の親として、あるいはまた皆さんと一緒にいる政治家の一人として残念に思っているところであります。
○石母田委員 いまの質問のあとの部分に答えていないんですけれどもね。春闘の解決にとってこの事態が引き起こしている結果、先ほどそういう点で非常に遺憾であると言いましたけれども、もう一度、遺憾であるということは、どういう点について遺憾であると考えているかということについて答弁願いたいと思います。
○長谷川国務大臣 そういう問題の起こったことは私は遺憾だと思いますけれども、地方公務員法の違反のような容疑を受けるということは非常に残念だと思いますが、それとこれとは別にいたしまして、春闘のこういう問題の解決には、昨晩も組合の幹部の皆さん方とこういう事態はほんとうに収拾しようじゃないかということを誠心誠意努力するということを確認し合って、それぞれ持ち帰って、だんだんの協議をいただいている。これに私は期待をかけているものであります。
○石母田委員 そうすると、いまのそういう収拾の努力、それに期待をかけているということから見れば、今回引き起こされている事態、こういうものについては遺憾である、こういうことですね、先ほど言われたのは。
○長谷川国務大臣 私は、そういう容疑を受けて逮捕されるようなことが起こっていることは遺憾である、こういうふうに感じているものであります。
○石母田委員 明らかにうしろの連中の指図によって変わっている。それは、もうさっきの答弁とは違うからすぐ調べなさい。さっきはそういう捜査によって引き起としている警察当局の問題について遺憾である……(長谷川国務大臣「いやそんなことは言ってない」と呼ぶ)それじゃそれはあとで調べよう、きちんと。その点については、公務員がこういう事態を引き起こしているということについて、あなたはそうだけれども、いまの警察当局が強制捜査を全国的に行なっている、こういう事態について、春闘の事態収拾について好ましいことであるということが確認できるのかどうか、きちんと答弁してください。
○長谷川国務大臣 あなたはさっきの私の答弁を誤解しているようですが、私は地方公務員法違反というふうな事態を起こされていることが遺憾である、こう申し上げていることを御確認願いたいと思うのであります。
○石母田委員 だから私の質問は、それを理由に、警察当局が全国八百七十カ所も強制捜査をやる。今後も引き続きやる。そうした事態というのは春闘の収拾、あなたがさっき言ったストの収拾ということについて好ましい事態なのかどうかということについて、いまの警察当局の捜査の結果起きている事態についてどう思うのかということについてはっきり答弁願いたいと思います。
○長谷川国務大臣 私は、昨晩組合の幹部の皆さん方とお目にかかったときに、こういう国民に非常に迷惑のかかるゼネストというものを事態収拾しよう、そういうことで確認し合いながら努力する、こういうお話がありましたから、そちらのほうに信頼しながら私はこのゼネスト解決というものを待っているようなかっこうであります。
○野原委員長 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○野原委員長 速記を始めて。 長谷川労働大臣。
○長谷川国務大臣 私が先ほどから御答弁申し上げているのは、こういうときとは別にいたしましても、地方公務員法の違反の容疑で学校の先生方が捜査を受けるような事態が起こったことは残念だ、こう申し上げているわけです。そしてまた、それがいいことか悪いことかということを私の今日の立場においてとやかく申し上げる立場でないということも御理解いただきたいと思います。
○石母田委員 これで質問を終わりますけれども、私は聞けば聞くほど、労働運動並びにそういう教育問題の不当な国家権力の介入、こういう不当な弾圧を直ちに中止することを要求して、私の質問を終わります。
○野原委員長 大橋敏雄君。
○大橋(敏)委員 私も、ただいま行なわれております交通ゼネストにつきまして若干質問を申し上げたいと思います。 今回行なわれている交通ゼネストというものは史上空前の規模のものといわれております。このために国民生活に与える影響というものはきわめて大きいものでございます。種々さまざまにその影響は現実問題として出てきているわけでございますが、このストの収拾につきまして、いま全国民がひとしくこれを注目いたしております。大臣のスト収拾についてのまず決意、これをお伺いしたい。あわせまして、今後このストの収拾についてどんな見通しを持っていらっしゃるのか、最初にお伺いしたいと思います。
○長谷川国務大臣 政府といたしましては、今回のゼネストは国民生活やら国民経済に及ぼす影響の重大さにかんがみまして、労組側との再三にわたる会談等を通じてスト計画の中止を求め、問題の平和的解決をはかるように呼びかけてきたことは御承知のとおりであります。しかしそれが聞き入れるところとならなかったことは非常に遺憾としております。 労組側の要求の中には、本来国会の場において審議すべき問題も少なくありません。政府としては、こういう点についてはけじめをつけて対処しているつもりでありまして、もとより物価の高騰などきびしい経済情勢が、生活保護世帯や年金生活者等に与える影響については政府としても深く憂慮しており、これら社会的に弱い立場におられる方々への配慮は必要なことでもありますし、さきの生活保護世帯に対する特別一時金の支給措置に加えまして、また、昨日もこの委員会において、年金物価スライド制の実施時期の繰り上げ措置等を国会の御判断を待って実施してまいったところであります。 また、スト権問題については、昨年出された公制審の答申を尊重することを基本に、公企体等の経営形態のあり方をも含め、公務員問題連絡会議を中心に鋭意検討を進めてきたところでありますが、今般御承知のとおり、十日の閣議において、三公社五現業等の労働基本権問題に対処するため、内閣官房長官を長とする関係閣僚協議会を設置して、二年を目途に結論を出すことと決定した次第であります。 いずれにしましても、こうした問題はストを背景に政府に解決を迫るという性質のものではなくて、政府としては、現在行なわれている未曽有のゼネストが国民生活へゆゆしい影響があると考えまして、今後もさらに労組側と鋭意折衝を重ね、ストの早期収拾に全力をあげてまいるつもりであります。 もちろん私といたしましては、昨晩も労組の代表の方々にお目にかかり、先ほど以来申し上げたとおり、こういう事態であるから収拾しようじゃありませんか、国民の生活のためですということを確認し合ってお別れして、きょう午前中に私鉄のほうのストが中止になったという話なども聞きながら、さてその次の大きなゼネストはどうなるのかということを案じながら、午前中の委員会などでも皆さんのお許しを得まして、そちらのほうで模様なども拝見して、沈痛な気持ちでこの委員会に臨んでいる次第でございます。
○大橋(敏)委員 いまいろいろ御説明がありましたけれども、大臣のスト収拾についての御努力、私も認めないわけではございません。しかし私は、今回の交通ゼネストのみならず、従来とられてきたスト問題についていつも感じますことは、何といいますか、労使間の対立、不信感が非常に根強くあるということですね。したがいまして、いろいろ政策的な問題もこれはありますけれども、やはり根本的な問題は労使間の不信感を取り除く努力、これが最大のものじゃないかと思うのです。大臣としまして、そういう方面に今後どのような努力をなさろうとしておられるのか。もしお考えがあれば聞かしていただきたいと思います。
○長谷川国務大臣 私は労働省に参りましてから、労働組合の幹部の方々がいろいろな問題でお見えになりますが、率直にお目にかかりもし、また呼び出された会合には出席をいたします。その際には私も率直に申し上げます。申し上げておりますが、大きなストをかまえて、これを言うことを聞かなければどうしてもだめなんだぞということではどうしてもまずい。早い話が、皆さん方も国会において、弱者救済、社会保障の充実、これはどこの政党の独占でもありませんが、そういうことで論ぜられる、それをお取り上げいただくことも私はけっこうです。しかしながら、百三十億出した、三百億でなければ絶対だめだというて半年前から組まれたようなストライキというものでは話にならぬ。これは私たちのほうの長い間の慣行の中に信頼をあるいは得られないようなものがあったかもしらぬが、私はやはり常日ごろ、そういういまの日本の労働組合というのは、勤労者の三分の一以上の人々が働き、家族を入れると八割の人、そして組織率においても世界においてそれこそ三つのうちの一つでしょう。政治的に、文化的に、経済的に非常に私は勤労者のそういう組織というものは影響力がある。国際会議に行けば日本の勤労者の代表というものは、私はやはり指導者の一人だと思う。そういうことからしますと、ぜひひとつ常日ごろフランクにお話を聞きましょう、そしてまた、私のほうでもそういうものを取り入れるものがあれば日本の将来のためにがんばりましょう、こういう気持ちを持っております。私はいろいろな問題を一つのきっかけにいたしまして、信頼感を得ながら、この日本を大きくするお互いの立場において協力し合っていきたい、こう考えておるものであります。
○大橋(敏)委員 要するに労使間の不信感、また労働者側と政府間の不信感、こういうのを一日も早く取り除いてもらって、信頼を深めた立場での収拾がなされるように強く希望しておきます。 例年の春闘では、国鉄、郵政などでいつもストと処分の繰り返しが行なわれてまいりました。御承知のとおりでございます。今回も、もしこの収拾をなされたあとこのような繰り返しが行なわれたとするならば、ストの規模が史上空前のものであるだけに、またその影響もきわめて大きくなります。結果的には国民が多大の迷惑をこうむることになると私は思うのでござ、ますが、私はこのような国民が迷惑をこうむるようなストと処分の繰り返しはぜひとも避けていただきたい。大臣に絶大なる御協力をお願いしたいところでございますが、この点についての御見解をお願いいたします。
○長谷川国務大臣 法律の明文の禁止に違反して争議行為を行なった者に対して、処分を行なわないということはできないことであると思います。私としましては、関係組合及び組合員がその地位の特殊性と職務の公共性を自覚して、いやしくも違法行為を行ない、国民に迷惑をかけるようなことのないよう良識ある行動を強く求めているものであります。
○大橋(敏)委員 法的に、法的にと言えばそのような御答弁しか出ないと思いますけれども、つまりそのように法を犯さねばならない行動をとらなければならなくなった環境といいますか、社会情勢あるいは経済情勢、環境、こういうものが問題になってなされているわけです。やむを得ずとられている行動であろうと私は思いますので、先ほどから申し上げますように、例年ストと処分の繰り返し、結果的には国民が大きな迷惑をこうむっていっている、こういうことのないように努力していただきたいということを強く希望しておきます。 時間がございませんのでもう一つ聞きたいと思います。 今回の春闘では、高物価を背景にいたしまして結果的にはある意味では大幅な賃上げがかちとられる、私たちはこう確信いたしております。しかし、これを契機に再び所得政策をとるべしという意見が経営者を中心に再燃してくるのではないかという危惧を私は持つのであります。諸外国でこのような所得政策をとった国々がすべて失敗をしてきたという事実にかんがみまして、大臣はこの点についてどのような御見解をお持ちなのか、お伺いしたいと思います。
○長谷川国務大臣 諸外国の所得政策については私も先生と同じように拝見しております。やはり今後の賃上げの推移とかその影響について慎重に見守る必要があるのはもちろんでございますが、現状ではその所得政策の前提となる国民的合意が形成されていないこともあり、私は実施する考えは持っておりません。
○大橋(敏)委員 大臣のその決意が将来とも変わらないことを希望しておきます。必ず経営者側のほうから今後この所得政策の問題が強い姿で出てくるのではないかという心配を大いに持っている一人でございます。いまの大臣のことばを強く信じて、私は今後進みたいと思います。 時間が参りましたので、これで終わります。
○野原委員長 和田耕作君。
○和田(耕)委員 私どもは今回のゼネストに対しましては、いろいろ理由はありましても、一方的に国民に犠牲をしいるという結果を生むものでありますので、断じて容認することはできない、このような立場をとっております。これは党声明その他の形でいままで明らかにしてきたことでありますけれども、ここで大臣にお伺いしたいのは、違法のストである、確かにそうだと思う。これをあえて実行したということは、公判審の答申が出て、政府は誠意を持ってその対策を急がなければならなかったのに、その問題についてほとんど見るべき努力をしていない。これはストを容認してない同盟の諸君もそう見ているのです。この点について、今度閣議決定で政府の態度を明らかにしたようですけれども、この問題についての政府の御決意と申しますか、なぜこういうものを放置しておったのかということついての御答弁をいただきます。
○長谷川国務大臣 御案内のとおり、何さまこういう争議権の問題というのは、経営の問題とか予算の問題とか国会審議の問題とか、いろいろ関係がありまして、公務員制度審議会では労、使、公益、三者の権威者が集まって、これはむずかしいだけに八年間もかかって、それが昨年の九月に御答申いただいて、政府といたしましては連絡協議会をつくってやったのが六カ月間、その間あまり進まなかったじゃないかという御批判でございます。私も、お待ちされている方々のそういう気持ちはわかるのでございますが、そうしたことからいたしまして国会などでも御審議があり、また世間の非常なこういうふうな注目もありということでございまして、先日の十日に閣議を開いて閣議決定事項として、前進する、関係閣僚会議でこの問題に対処していく、こういうことになったので、その間のことを御理解いただきたいと思うのであります。
○和田(耕)委員 あの閣議決定の条項によりますと二年以内という期限がありますけれども、二年以内というのは——これは同盟の諸君もそのことを特に大臣にただしてくれということですけれども、いかにも長過ぎる、つまりできれば一年以内というような御決意でこの問題に当たるお気持ちはないのかどうか、そういう点をひとつお答え願いたい。
○長谷川国務大臣 十日の閣議決定の中におきましては、「右の閣僚協議会における結論は二年をメドとする。」こうなっているのであります。私はきのうの朝も官房長官にお目にかかりまして——この関係閣僚協議会は官房長官を長とするものでありますから、長になる二階堂官房長官に会って、こういう制度はストライキが終わるとみんな忘れてしまう、であるから、こういうときであるから官房長官ひとつしっかり長としての責任をとるようにやってくれ、私も関係閣僚の一人になるだろうと思う、そういう気持ちでやろうじゃないか、その結果が、二年は目途であって目標でありますから、一生懸命やれば一年半にもなるだろうし、という形でこういう基本の問題についてやろうじゃないか、私の決意はそうでもありますし、この決意に対しては官房長官も毎日でもやるぞというふうなことでございますので、目途としてでございますから、それに早くなるようにお互いまた御鞭撻をいただきながらがんばってまいりたい、こう思っております。
○和田(耕)委員 御案内のように、この問題の論点はもう十年にわたる公制審の審議ではっきりしているわけですね。そうしてまた、非常にむずかしいと思われる問題でも、いろいろな有力な新聞の社説等の意見を見ましても大体方向づけられている。つまり公務員でも同じ労働者であることは間違いない、労働基本権というものは当然与えらるべきものである、しかし公務員という特殊な立場があるので、当然国民に迷惑を及ぼすような、国の安全を脅かすようなことがあってはいけない、そういう制約のもとにあるから、基本的に認めた上でしっかりした歯どめを設けよという意見も公然と出されておる、公務員制度審議会の中でも有力な意見として出されておると聞いておる、つまり論点ははっきりしておるし、解決の方向も大体妥当な方向というものは出されておるわけです。したがって二年を目途といわないで、こういう政治的に大事な時期ですから、一年以内にこの問題について結論をつける、そういうようなお気持ちを労働大臣としては持っていただきたい、大臣個人でもけっこうですけれども、そういうお気持ちがあるかどうか、お答えいただきたい。
○長谷川国務大臣 そういう先生のお気持ち、あるいはまたほかの方々のそうした熱烈な願望というものを私もよく胸の中に刻み込みまして努力していきたい、こう思っております。
○和田(耕)委員 それから、昨夜来行なわれました日教組の捜査の問題ですけれども、これは先ほど労働大臣も警察当局もお話があるとおり、はっきりこれは違法行為であるので、調べるということは、これは私は間違っていないと思うのです。当然調べる義務もあるとすら私は思う。しかしけさ私、日教組に加盟しない、むしろ日教組とは違った見解を持っている教員の方から電話をいただいた。私は初めは、そういう方ですから、日教組をもっとひどくやれというふうな意見だと思っておった。ところがそうじゃないですね。ぜひとも聞いておっていただきたいと思いますのは、教員と政府の問題であるかもしれないけれども、生徒がおるんだ、子供がおるんだ。子供にとってみれば、自分が信頼しておる先生が——事務所が調べられるとかいうことなら別として、かりに検挙されるということが起こった場合に、どういうふうな心理状態になるか、これはいま注目されていないようだけれども、意外に大事な問題です。子供の立場というものを考えてもらいたいということなんですね。そこで、これは要望なんですけれども、私もそう思いますよ。したがって、いろいろ調べをするということはいいと思います、やるべきだと思います。しかし検挙をするというような方法は避けていただきたい、できるだけ避けていただきたい、このことを要望したいと思うのですけれども、いかがでしょう。
○赤木説明員 今回の事件につきましては、まだ捜査に取りかかったばかりでございまして、最終的にどの程度の被疑者になり、これに対する捜査のやり方がどうということをいま申し上げる段階ではございませんけれども、私どもも、強制捜査は必要最小限度にとどめまして、でき得る限り任意捜査で臨みたい。それからその範囲につきましても、やはり必要な限度に限りたいということは考えております。
○和田(耕)委員 念のために申し添えたいと思いますけれども、やはりこれは先ほど来同僚の委員が言っているような面もありまして、大きな政治問題であります。両方とも幾ばくかの言い分がある、こういうような問題ですから、取り調べは当然だと思いますけれども、調べ方は、子供の立場から見ればということをお考えになって、慎重に対処していただきたい。これを申し上げまして、質問を終わります。 ————◇—————
○野原委員長 勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続けます。田中美智子君。
○田中(美)委員 財形貯蓄について質問させていただきます。 まず最初に、労働大臣にお聞きしたいのですけれども、日本の国民は非常に世界でも勤勉だというふうにいわれまして、貯蓄が非常に多い国民だというふうに一般にいわれているわけです。どうして日本の国民がそんなに貯金好きといわれるのか、どうしてそういうふうになっているのかということ、これをどのようにお考えになりますか。
○長谷川国務大臣 これは、労働大臣としてでもなく、日本に生まれた一人の男として考えましても、やはり日本人というのは、昔からつつましいのじゃないですか。そういう意味では、やはり堅実といいますか、つましくやっていく、それは貧乏がそういうことにさしたのか、そういう原因結果は別としても、民族性としてやはり節約、つましい、そういうものが自然のうちに貯金といいますか、そういうことがずっと続いてきておる、こう私は思っておるものであります。
○田中(美)委員 日本人がつつましいとか堅実だというようなことを言われましたし、それが、貧乏かもしれないというふうに言われたわけですけれども、一般の庶民が貯金をするときに何を一番目的にして貯金をするのか、ばく然とただ貯金のための貯金という人も、それはわずかにはあるかもわかりませんけれども、何を目的に貯金をしているか、これは大体どういうふうにお考えになりますか。
○長谷川国務大臣 これはやはり、それぞれの方々のそれぞれのお気持ちのあらわれだと思うのですね。奥さんであれば、何かのときにいいドレスを買いたいということもあるだろうし、ある場合には、うちを将来建てるとかあるいは子供の教育の問題とか、私は、いろいろな気持ちが貯蓄にあらわれてきている、これはやはりそれぞれの人柄の考え、あるいは将来の設計の描き方、これによるのじゃなかろうかと思うのであります。
○田中(美)委員 労働大臣、庶民が貯金をするというのは、それはそのときそのとき、ドレスを買いたいからするということもあると思います、小さいことは。しかしそれをすべて同列にものを見るような考え方をしていただいていたんでは、労働大臣としてやはり、ちょっともの足らないというふうに私は思うのですね。一番何を目的にしているのかという、一番大きな観点をきちっととらえなければ、この財形貯蓄というものを考えるときに、国民が一体何を望んでいるのかということを考えなければできないんじゃないかと私は思うのです。特にこの財形からしますと、七年間というものは最低据え置くわけですからね、ドレスを買うのに七年間の家計をつけてという人もあるかもしれませんけれども、これは庶民の実際の感じではないわけですね。いま大体いろいろな庶民に、何を目的に一生懸命に——貯金に励んでいる人ですね、そういう人に聞きますと、ほとんどは老後と住宅というのが中心だといわれるように私は思います。老後の準備、そして住宅と。この住宅というのも、結局は老後のため。いま子供を育てるためのいますぐの家というのと、それからもう一つは、定年になってから年金生活者になったときに、あまりにも年金が貧しいから、せめて自分の持ち家を持っていれば家賃がただになる。そうすれば何とか年金で老後がやっていけるじゃないかとか、そういうことから、それこそつめに火をともすようにして、オーバーにいえば、ある時期においては食うや食わずでありながらも貯金に日本の国民が励んできたんだ、そういうところをはっきり見きわめていただきませんと、ただばく然と、まるでサロンで話しているように、スキーに行きたいために貯金をする。国民は、それもいるでしょう。いい洋服を買うために貯金をする。いるでしょう。しかし労働大臣としてこういうものを、勤労者の財形を考えるときには、そんな返答ではほんとにしろうとだというふうな感じがするわけです。私は、なぜこんなに家がほしいのかということをいろいろな人に聞いてみますと、やはり、いますぐ子供を育てるのに狭いところでは困るからなるたけ広い部屋がほしいとか、そういうことも一ぱいありますけれども、一番大きいのはやはり老後、安定した老後をするために、家さえあれば何とか食えるんじゃないかというようなこと、この二点があるというふうに思うのですね。 〔委員長退席、葉梨委員長代理着席〕 そうしますと、結局安い公営住宅がたくさんあれば、やはり持ち家は持ち家としての希望者もあるでしょうけれども、安い公営住宅があるならば、無理してこんなに苦しい思いをしてまで持ち家を持たなくても、公営住宅でやっていこうという人も出てくるだろうし、それから老後の年金というものが十分になされていれば、これで何とか年金だけで家賃も払いながら食っていかれるんだということもあると思うのですね。結局そういう住宅政策の不備、そういうものと、日本の社会保障の非常に貧困だというものが、日本のいまの国民に対して貯金をしなければならないところに気持ちの上で追い込めているんだというふうに思うのです。それをただ国民性として貯金が向いているんだとか、そういう考え方は、やはり人類が、特に日本人民がどのような歴史の中でいままでずっときているのか、われわれは過去の文化を全部引き受けてきて現在になっているわけですから、国民性として、ずっと貯金をする国民性が血の中に流れているんだというような考え方は、非常に政治家としては私は不満足であるし、国民としてはそういう大臣の発言に対しては非常に期待はずれだというふうに思うわけです。これは大臣、どのようにお思いになりますか。
○長谷川国務大臣 まあそれはそれぞれの解釈でございますけれども、日本人というのは一般論としてやはりつましく節約し、倹約していく、そういう民族だと私は思うんですよ。それはいままでそうですよ。その中に住宅もあれば、教育もあれば、老後もあれば、ある場合にはあなたのおっしゃったようにスキーもあればレジャーもあり、あるいは人とのつき合いのためにというふうな、いろんな問題が貯蓄になってくる。その中に私たちが、あなたのおっしゃるような住宅の問題、こういう問題を今度財産形成の中に入れて、そういう希望を持っている方に財形貯蓄でいささかでも御期待に沿いたいということで御審議をお願いしているわけであります。
○田中(美)委員 やはり考え方が、いかに日本の国民というものが、自分の病気にしても老後の保障にしても、すべて自己責任の原理の上からものが考えられているから、そういうところから、国民性ではなくて、そういう社会制度の中から貯金をせざるを得ない、不安でたまらない、不安から貯金にかり立てられているんだというふうに私は、思うわけです。大臣とはこめ点で多少見解の相違があるように思うのですけれども、今度の財形をずっと見てみますと、やはり私と大臣との見解の違いというものが非常に大きく出ている。この財形というものが決して国民のほんとうの希望を満たしているものではないんだというふうに私は思うのですけれども、その観点からこまかい点について質問をしていきたいというふうに思います。 まず、今度の改正ですか、改悪ですか、わかりませんけれども、付加金を出すとか基金をつくるとか、こういうことで全額を事業主が出すということがあるわけですね。事業主が現金で出すわけですね。これは賃金の一部分ではないかというふうに私は思うわけなんです。これについてはどういうふうにお考えになりますか。
○渡邊(健)政府委員 財産形成基金あるいは財産形成付加金、これらに対しては事業主が出します拠出金、これがもとになるわけでございますが、これにつきましては、確かに事業主が出すものであるわけではございますけれども、この法律によります財産形成基金のような場合、それから付加金のような場合、これはその労働者が財産形成貯蓄をしている者で初めてその基金の加入者になられる、あるいは付加金もその貯蓄に対して払われるわけでございます。したがいまして、私どもは、これは使用者に雇われているからといって、すべての人がもらうわけではございませんし、そういう意味から言って、これは労働対価、こういう性質のものよりは、やはり勤労者が資産を保有し、それによって、資産を持つことによって、みずからの努力に応じて生活の安定を築いていく、そういうために使用者が出すもので、私どもはこれは福利的な経営者の支出である、こういうふうに考えるわけでございます。
○田中(美)委員 しかし、福利的なものでしたら、それは資産の可変部分と不変部分というふうに分けた場合、保養所をつくるとかピンポン台をつくるとかいうことで、これを使うのは、労働者の好きな人が使ったらいいんだし、使いたくない人は、ピンポンをしたくない人はピンポン台を使わなくてもいいという形で福祉施設というものがあるわけですね。しかし、今度の場合は現金を労働者にくれてやるわけでしょう。それは七年間据え置くか何か知りませんけれども、置くわけですけれども、労働者に現金で出すわけでしょう。現金で出すということは、これは賃金ではないですか。
○渡邊(健)政府委員 労働基準法などにおきましても、賃金というのは労働の対価として出すものだ、こういうことに相なっておるわけでございます。ただいまも申しましたように、これは従業員であるからみんなに出すとか、あるいは非常に多くの労務を提供したから出すとか、こういう趣旨で出されるのじゃなくて、やはり法律の制度に応じまして、これは財産形成貯蓄をやっている人が加入できる、あるいは財産形成貯蓄をやっていることに対してそれに付加金を出す、こういう性質のものでございますから、私は、やはり支出の目的からいたしまして、これは労働者の福祉増進のために使用者が出すものだ、こういうふうに思います。
○田中(美)委員 それは非常にこじつけだと思うんですよ。そんなことを言えば、賃金だって、私たちはそれをためていって財産をつくるわけですからね。賃金は全部食って寝るだけで、あと別のもので財産をつくるわけじゃないんですからね。現金を出すということは、これはやはり労働者全体に渡すべきものを一部の人だけに現金で出すというふうにしか考えられないと思うんですね。それでは、財形に入っている人にはそれを出すと言いながら、なぜ公務員だけ除外したんですか。
○渡邊(健)政府委員 財産形成のうち基金等につきまして、公務員に対してこれをどういうふうにするかという問題はいろいろな問題がございます。公務員につきましてこの種の措置を採用するといたしましても、公務員の性格からいたしまして、今回提出いたしました改正法案にありますように、事業場ごとに労使の合意によってこれらの措置を設け、そして労使の合意によって出した金額について、特定の金融機関に運用するというようなことは、公務員のような場合に適当かどうか、これはいろいろ考える問題があるのでございまして、私ども、むしろこの種制度を公務員に設けるにいたしましても、この法案に基づくような制度そのままではなくて、別個の制度を検討する必要があるのじゃないか。それから公務員に対してそのように別個の制度を講ずるとした場合に、それにどの程度のものを出すかといったような問題も、公務員の福利的な問題といたしましても、やはり公務員というものにどの程度の福利をやることが適当かどうかというような問題につきましては、民間の一般の事業場におけるそういうものを考えてみて、そして公務員についてはどの程度のものをやったらいいかというような判断をすることが適当でないか、まあこういうことから、今回はこの法律の改正案によります基金等の制度につきましては、公務員は適用除外をすることにいたしまして、いま言いましたような諸点を十分に研究いたしまして、今後、公務員にふさわしいそういう制度を関係機関で検討を進めたい、こういうふうに現在考えておるところでございます。
○田中(美)委員 もうちょっと私の質問にきっちり答えていただきたいと思うのです。いい頭を逆のほうに逆のほうにそらすように使うという使い方をしないで、私は、なぜ公務員を除外しているのかと聞いているのです。公務員に幾ら出すかとか、どういうふうにするとかいうことは一つも聞いてないのです。なぜ公務員を除外しているのか、除外している理由、それを聞きたかったわけです。結局、答えられないからぐらぐらいい頭で横っちょにそらしていくけれども、こちらだって頭はいいんですからね。そんなおかしな答弁をしてもらったら、貴重な時間を——私は個人じゃないんですからね、国民の代表として言っている。貴重な時間というものをぐらぐらやらないでいただきたいと思うんです。いま私は、労働者に渡す現金というものを財形に入っている一部の人だけに出すということはやはり賃金の部分でないかと、こう聞いているんですね。そうでないとおっしゃるから、それじゃ何で公務員を除外するのかということは、公務員をもし入れれば——「事業主」ということばは、それは国を「事業主」ということばでいうのはおかしいかもしれません。第一そこのきめ方にも問題があるかもしれませんけれども、公務員は、結局雇い主というのは国なり県なり地方自治体になるわけです。そこで結局予算を組まなければならないわけでしょう。そうなってきたらこの予算部分が労働者に渡す賃金の一部分であると非常にはっきりしてくるから、そこのところはちょっとたな上げしておいて、企業の事業主が福祉として労働者に渡すようなふりをしているというふうにしか私には見えないわけです。だからそういう一番肝心なところできちっとお答えができないんだというふうに思うのです。できないものをそれ以上追及しても時間がむだだと思いますけれども、そういうところをやはりもうちょっとはっきり国民に明らかにしたいというふうに思ったわけです。 そういうところから見ますと、労働基準法の三条——第一、これが福祉ならば厚生省で考えたっていいわけですけれども、やはり労働基準局でやっているところにもいろいろ問題が、私はくさいというふうに思っているわけです。 この労働基準法の第三条に、均等待遇というのがあるわけです。これは差別的な取り扱いをしてはいけない、均等な待遇という原則がうたわれているわけです。そういうところから見ますと、やはり労働者がもらうべき現金というものを一部の人だけに渡していくという観点から見ますと、労働基準法三条に触れるのではないかというふうに私は考えるわけです。その点について簡潔に答えていただきたい、時間がもったいないですから。
○渡邊(健)政府委員 まず第一点、労働基準局でやるからこれは福祉であるのはおかしいということでございますが、基準局は一昨年来、設置法の改正がございまして、勤労者の福祉問題を取り扱うことに相なっております賃金福祉部というものもできておるのでございまして、基準局でやるのを福祉というのはおかしいということは、私はないと存じます。 それから基準法第三条の均等待遇ということでございますが、これは先生十分御承知のように「使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。」かようにあるわけでございまして、別に私は、これはもちろん賃金でございませんし、差別だとは思っておりませんけれども、特にこの三条にいうような国籍とか信条とか社会的身分、こういうものと関係のないことでございますので、別に三条の違反の問題は生じない、かように存じます。
○田中(美)委員 私は労働省がやっているのがおかしいと言っているわけじゃなくて、いろいろそちらのほうでは賃金の部分ではないという見解の相違があるわけですね。そういう中で非常にくさいというふうに考えると言っただけのことなんです。こういうやり方をするということは、いかにも見たところは、賃金を出した上にまたプラスアルファを、基金だとかそういうものを出すわけですね、付加金を出すとか。プラス出しているように見えますけれども、結局そこは、あなた方の考え方というものは非常にこじつけで、すりかえているというふうに思うわけですけれども、結局は労働者に渡すものを七年間というもの据え置いてしまうということは、考えてみれば賃金プラスアルファではなく、マイナスアルファの結果になっているという見方もできるということだと思うのです。こういうやり方をするということは、七年間というもの一つの企業に縛りつけておく。これはまた変わった場合にそれを、今度措置ができましたけれども、やはりその中で企業が非常に恩恵的に、家を建てようと一生懸命努力している人にはごほうびを上げますよというふうな形で、そういう形で恩恵を売って、そして企業側に対して忠誠心を求めるというような形で労働者を非常に企業に縛りつけていくというものだというふうに私はこの点を考えているわけです。そういう観点から、いろいろなところにそういうものが出ていると私は思うのですね。労働者が貯金をするかしないかということは、労働者の自由意思できめるものだというふうに思うのですね。そういうものをいろいろな形で、もちろんこれは強制しているものではないという形をとっておりますけれども、これは当然、もらうべき金というものをどこにやるかというのは自由意思なんです。自由意思でやるべきです。しかし、結局財形に入らなければそれはもらえないということですから、これは非常にマイナスアルファになるのだというふうに考えられるわけです。 それで、これはもちろん持ち家だけの問題ではありませんけれども、非常にこれでPRしているのは、家を建てるのにこれだけでできるじゃないかというようなことをいっているわけですね。最近のテレビなどを見ますと、全くもう私からすれば胸くそが悪いと思うのですね。大きな赤い字で財形、財形と出るわけですからね。私の知っている若いおとうさんが、子供が、おとうちゃん、うちもあの財形に入っているかと、こういうふうに、ちっちゃい子供までが、財形というものに入ってさえすれば家が建つとか、それから何しろ財産ができるから、あの財形に入っていれば金持ちになるのだという、子供は非常にすなおで感覚がいいですから、じょうずにコマーシャルができているわけですね。いろいろな証券会社とか信託会社が財形、財形とテレビに出す。そういう夢を国民に持たせるわけです。これがほんとうに夢が達成されるならまだ考えられる面があるわけですけれども、はたして持ち家ができるかどうかというようなことを、午前中からのお話を伺っていますと非常に自信なげに、物価がどうなるか、物価さえ下げればそうなるのだ、物価を下げることを前提にした上でこれが建つんだという非常にあいまいなお答えを朝からしていらっしゃいましたけれども、ほんとうに腹の中で物価を下げることができるか、ほんとうに思ってそういうふうに言っていらっしゃるのでしょうか、その点ちょっとお聞きしたい。
○渡邊(健)政府委員 私どもは、勤労者の方が賃金のほかに資産を持たれまして、そうして長期的な生活の安定を達成されるということが望ましい、そのためにそれぞれの自助努力によって資産形成の努力をされる、それに国や事業主がお手伝いをいたしまして、そういうことをお助けしてあげる、これが財産形成の本旨である、かように考えているわけでございます。ただその場合に、貯蓄にいたしましてもそうでございますし、持ち家の問題にいたしてもそうでございますが、やはり非常に物価上昇が続いておりますと、せっかく貯蓄いたしたものも減価いたしますし、それから持ち家等につきましても、それを目的としていろいろ努力しておられる、それが地価やあるいは建築費の高騰によってなかなか目的達成が困難になる、こういう問題があるわけでございますので、私はやはり物価のすみやかな安定ということが、財産形成が本来の目的を達成するためにこれはぜひとも必要なことだ。そういう意味では物価の上昇ということはまことに遺憾なことであって、すみやかにこれが安定してもらうことをこいねがっておるわけでございます。 現在の物価が落ちつくと思っているかどうかという問題でございます。これは非常にいろいろな要因でできておりますので、物価安定に至るまでにはなかなかむずかしい問題があると思いますが、しかし今日のようなこういう異常な物価高騰がそう長く続くということは、これは財産形成だけの問題ではない、国民経済全体の問題国民生活全体の問題でございまして、これはやはり何としてでもこれを落ちつかせる、そういうことがなければならない、かように考えるわけでございます。政府もそういうことで全力をあげて努力をいたしているわけでございまして、すみやかにやはり物価が安定されること、これをこいねがうと同時に、一緒になってやはりわれわれもその安定に努力をしたい、かように考えているわけでございます。
○田中(美)委員 いまのお答えも、私はやはりいい頭を横っちょのほうにやっているというふうに思うのですけれども、まさか物価は下がらないと思いますとはお答えできないから、そういうお答えにならざるを得ないのだと思いますけれども、いまの物価高というものは、諸悪の根源といわれたような石油業界がぼろもうけしたものさえ十分に取り返すということはできないような、それを押えることもできないようないまの政府の中で物価を下げられないのじゃないかと大多数の国民は思っているわけです。あなた自身もおそらく思っていると思います。いまだって、参議院選が終われば次々と、国鉄が上がる、それから電力が上がる、石油の再値上げということがどんどんやられているわけですね。そういうものが、こんな異常な物価というものはそう長く続かないというふうに言われますけれども、一体それを下げるめどがどこにあるのか。ただ希望的観測であるなら——一番これをこいねがっているのは、あなた以上に国民、特に社会的弱者といわれている人たちというのは、この物価高に一番苦しめられているわけなんです。そういう中で家を建てたい、何とか家を建てて、せめて老後は安心したいとか、子供は豊かに育てたい、こういう願いでもって財形に国民が、いまテレビでじゃんじゃん言われるし、飛びついていった、そういうことがもう千七百億円もの庶民の金というものがずっとたまってきているわけですね。そういう中で、じゃこれではたして家が建つのか、夢を持たされたような家が建つのかということですけれども、これは物価のことを考えなくても、午前中でも言っていらっしゃったように、七年後、十年後ぐらいに大体千五百万から二千万ぐらいの金が調達できる、こういうわけですね。いまの私たちの実感からすれば、二千万金があればこれは土地つきの家が建つ、こういうふうにふと思います。しかしこれは七年後、十年後なんですね。そしてこの物価はちょっと別にしておいて、あなたがおっしゃるように、これは早急に下げるんだ、こうおっしゃっておる。じゃ下げるよりも、このままで上がらなかったとしても、三十歳で月々大体十万ぐらいの賃金を取っている方ですね。そういう方が一体どれぐらいの家賃の家に住んでいるかということは、公団住宅を見ましてももう四万円が出ているわけですね。それは前の安いところに入っていたとしても、大体二万円以下ということは最近はほとんどないわけです。そうすると八万円しか残らない。そしてこの中から財形に一万なり二万なり入れていくわけでしょう、二〇%とすれば二万円とかという形で入れていくわけでしょう。そうすると、それを二万円取ってあと幾ら残りますか、六万円ぐらいしか残りません。これでどうして親子四人ぐらいが食っていけますか。それこそ栄養失調すれすれのところで、文化的なものも一切なくて、ただ生きて、食って寝るというだけで二万円ずつやっていったとしても、一応それで千五百万なり二千万の金が手に入った、これで家を建てたら、そのあとの今度は返済金ですよ、返済金というのは月七万にも八万にもなるのですよ。そういうことを考えたら、物価はこのまま上がらなくても、いまの数字で家が建つということは、土地を買って家を建てるということは不可能だ。そういうことで、実際にやってみた人の話が、これは二月十八日の毎日新聞に出ていたわけですけれども、これは四人家族の四十歳のサラリーマンです。この方が、結局家賃一万五千円の安い住宅に住んでいたわけですけれども、家を建てたわけですね。いろいろ金を借りて、そして自己資金をつくったり金融公庫から金を借りたりでやっと家を建てた。そうしたら、今度は、建ったらこれに対して、毎月十三万円の月給から月五万三千九百円を返済するという、これがもう二十年なり三十五年とかという形で返していくということになったわけです。とてもこれが返し切れないといって、これは東久留米市の方ですけれども、自殺したわけです。家を建てても結局返せない。これを見ますと、いまのままの物価で、下がらないどころか、このまま固定したままでも、実際に皆さんたち労働省から出された計算、あれを見ましても、今度はその返済に非常にたいへんだということを見ますと、家を建てるということは不可能だ。土地を親からもらうとか何か横からの援助がない限り、勤労者が自分の力だけで持ち家を持つということは、これから見ましても非常に不可能だというふうに思うわけです。その上に物価が七年後にどれぐらいになるかという推定というのは、これは推定ですけれども、建設省の建築研究所建設経済研究室試算、政府の部屋で試算したものですね。これは建設省でやられたものが毎日新聞に出ていたわけです。これは、ちょっと読み上げてみますけれども、いまは無理としても、では将来は希望が持てるか。いまからこの財形に金を入れていって持てるかということですけれども、これは経済白書などからのデータをもとに、事態がこのまま推移すると仮定して、首都圏三十——四十キロの範囲内の土地百六十五平方メートル、約五十坪、建物七十九・二平方メートル、二十四坪の家、五十坪に二十四坪の家を建てた、この一戸建てを想定した場合に、昭和五十五年、六年後には、その価格は何と五千五百万円にもなる、建設省の試算でそういうふうになっておるわけですね。ですから、いまから財形に入れていったら、七年後に五千万になるというならばまだ、上手にやりくりすれば家が建つかもしれないという夢を振りまくならまだしも、千五百万ぐらいにしかならない。実際には家は五千五百万かかる。政府の統計で出ているのですね。そういう上でこの財形を計画しているというところに、私は非常に国民を欺いているんじゃないか、国民が不安だから貯金をするという気持ちを上手に利用してこういう形をとっているじゃないかというふうに思うのです。 いまお答えいただきたいと思いますのは、この建設省の試算ですね、五千五百万、あまりにも財形でできる最後の家を建てるという十年後ぐらいの金額と比べまして、これは一体どうお考えになっていらっしゃるのですか。
○渡邊(健)政府委員 その新聞に出ましたそれは、私も拝見をいたしまして、そのとき建設省に問い合わせてみたのですが、これは建築研究所の別に公式な発表でも何でもない、記者の方が来ていろいろお聞きになったときに、たとえばいまの物価上昇を何年問続けたとすればということでお話しになったものがそういう形で出たんで、何も建設省の公式な統計とかそういうものでは毛頭ない、こういうことでございます。確かにいま異常な物価高騰、特に土地や建設費は異常な高騰期にございますので、それがそのまま続くとすればそういうことになるかもしれませんけれども、将来のいろいろな物価の動向、特に土地や建設費の動向などについてはいろいろな見方があるわけでございまして、いまこの段階でどういうような状況に七年後なら七年後になるだろうか、これは一がいには推定は、いかなる人といえどもなかなか明確には責任を持っては言えないのではないか、かように考えるわけでございます。要は物価が安定することが一番望ましいわけでございます。同時にまた物価はどこまで、安定といっても程度の問題もあると思います。それは物価とそれから賃金の上がり方、これの相関関係だと思うわけでございまして、物価と賃金がパラレルに上がれば、これは現在物価を捨象して考えたものでも同じ理屈が成り立つわけでございますけれども、それがどうなるか、ここの辺にやはり七年後なら七年後うちが建つ——いま想定しているようなことで建つかあるいは建たないか、そういうことが問題の焦点になってくるんだ、かように考えておるわけであります。
○田中(美)委員 これは建設省の正式なあれではないと言われましたけれども、これは建設省の研究室で一応試算されたものであることは事実なわけですね。何もこれは公式な見解であるかないかということではなくて、これは大体物価というものはこういくんではないか、そういう予測というものを見ながら財形というものを考えなければならないのに、現在でさえ建てられないようなものを、これを七年後に家が建つというような夢を持たせている。それではあなたは、土地も持っていない三十歳ぐらいの労働者が、いまから財形に入って実際に家が建つと思いますか。それは山の中の、水道も何もないところに建てる小屋みたいな家、これも家ですけれども、そういうことを言っていませんよ。やはりこういう都会のまん中でないにしても、近郊で、いわゆる庶民住宅で、そんなに高い住宅でない、それを大多数の人が建てられるか、ほんとうにあなた自身は建てられると思っていらっしゃいますか。
○渡邊(健)政府委員 午前中もたしか山本先生の御質問の際に申し上げたと思うのですが、たとえて申しますと、いま月二万ずつ住宅取得目的の財形貯蓄をされたという方がおられますと十年後には約三百五十万になる計算になります。月三万ずつやられますと約五百万になるわけでございます。これは現在価格でございますけれども。 そういう場合に、住宅金融公庫から通常の貸し付け融資、これは木造の場合は現在は三百五十万、鉄筋の場合は五百万が借りられるわけでございますが、今度の改正法によりまして、七年以上の長期住宅取得目的の貯蓄をやっておられる方には、住宅金融公庫ではその通常の貸し付け限度額のほかに、その方の財形貯蓄額の倍額の上積みの融資をできる制度が設けられておるわけでございまして、そういたしますと、その上積み分が、三百五十万貯蓄をされた方は七百万になる、五百万の貯蓄をされた方は千万になりまして、それらを合わせますと千四百万から二千万ぐらいの資金が用意できますわけでございます。 最近の住宅はどのくらいの価格か、いろいろございます。私どももいろいろ調べておりますが、住宅公団だとかあるいは府県の住宅供給公社などで申しますと、たとえば横浜あたりに建ちました三DKのもので、日本住宅公団のことしの三月分譲になりましたものが六百三十六万とかあるいは三LDKで七百九十万とか、あるいは埼玉県の供給公社が建てましたものが、ことしの二月に分譲いたしましたものが、これは三LDK、四LDKで千二百万から千三百万とか、そういうような価格でございます。 〔葉梨委員長代理退席、委員長着席〕 それから、私どもこういうことをやっておりますと新聞などでもそういうのが目につくわけでございますが、ごく最近の新聞に出ましたものに、二、三日前でございますが幾つか私もここにも持っておりますけれども、八王子だとかあるいは埼玉の一時間程度の通勤距離あたりにあります中高層の分譲アパートなどでございますと千三、四百万ぐらいの分譲アパートがございます。東京ないし大阪などの近郊に土地のついた庭つき一戸建て、こういうことになりますと、土地の値段が非常に高うございますのでなかなか容易ではございませんけれども、まあ三LDK前後の分譲アパートであれば、いま申しましたような価格ならば取得が可能であろう、かように考えております。
○田中(美)委員 それは先ほど私が言いましたように、いまの価格でいって、七年後の金額を財形に入ったらいますぐ千五百万円くれるというならそれは取得は可能だと思いますよ。しかし結局これは七年後でしょう。それに物価高がありますね。その上に、取得したからといって、これは借金でいくわけですから、貸してくれるというのは全部ただでくれるわけではありませんからね。五百万七年後にたまったからといって、あとその二倍の一千万というものはただでくれるわけではないわけですから、これは返していかなければならないわけですよね。この五百万ためるのにだって十年も十五年もかかっているのに、これを今度は何十年もの間、返していく。これは月に七万にも八万にもなる。そうすれば三十から四十の年代の人にはとてもこれは返済していくことも無理だということを言っている。 ということは、いまのあなたのお答えからすれば、結局、結論的には家は建たない、マンションも買えないということになるんではないかと思うのです。そういう中でこういうものを非常に大々的にPRするということは、なぜそんなふうに法律できめてまでこういうことをしなければならないのかということを私自身は非常に不満に思っているわけなんです。 それで、この一部分の人だけに恩恵があるというふうに皆さんたちはおっしゃるわけですが、私は決して恩恵にはなっていない、一部分の人にだって恩恵にはなっていないというふうに思うのです。特に日雇い労働者とか季節労働者とかパートの方たちですね、こういう不安定就労層といいますか、こういう方たちというのは、事業主がはっきりしておりませんし、しょっちゅう変わるというようなことで、実際にはこの財形に入ることもできない、非常に限られた人でなければ入れないというふうに思うわけですが、こういう方たちだって家を建てたいというのはやはり同じことなんですね。同じ勤労者であり労働者であっても、こういう人たちは除外されているわけです。これについてはどのようにお考えになりますか。時間がわずかですので簡潔にお答え願いたい。
○渡邊(健)政府委員 そういう非常に転職されることの多い労務者の方について、従来の財形でございますと、これは転職すると切れてしまうことになっておったわけでございますが、今回の改正におきましては、一定の条件のもとにそういう方も転職後も財形貯蓄が続けられるように相なっておりますので、転職の方でもそういうことが可能と思います。ただ、これは確かに貯蓄額などによっても、その方々の賃金によっても違うわけでございます。 それからまた、お昼前の御質疑でも申しましたように、私ども財形といっておりますのは住宅だけをねらいにしておるわけではございませんので、いろいろな形の資産の一つとして住宅をお望みの方、これについては自助の御努力をお手伝いして、できるだけ住宅の取得しやすいようにして差し上げる、そういうことでございますので、住宅が取得できない場合には財形はすべて無意味だというふうにも私どもは考えていないわけでございます。
○田中(美)委員 私はいま住宅が買えなければ財形は意味がないんだ、そんなことを言っているわけではなくて、確かに今度、事業主が変わってもそれができるという形をとっています。しかし私が聞いていますのは、これはある程度安定した職業についている方がまた別の会社に行った場合に、そこでそれが継続できるというだけであって、日雇い労働者、季節労働者だとか、こういうパートの方たちは、全然恩恵とは思いませんけれども、その財形には適用されないのじゃないか、これを言っているわけです。一言でお願いします。
○渡邊(健)政府委員 出かせぎのように、出かせぎをやめてお帰りになってしまうとしばらくは雇用が切れてしまう、こういうような方は、これはちょっと継続といっても無理でございますので、利用がおできにならないだろうということは事実でございますが、パートにつきましては、パートと申しましても時間が短いだけで、わりあいに長期間継続してやられる方でございます。私どもが聞いております例でも、パートの方でその会社で財形に入っておられるという方はあるということを聞いております。
○田中(美)委員 結局こうした不安定就労層の方たちというのはほとんど利用できないし、事実またそこへ貯金をしていくということをすればということですが、非常に低賃金なわけですから、これはもうますます、できても事実上はできない、そういうことになりますと、ほんの一部の人が何とか無理してやっていくという形、無理して貯金をしていく、そして集められた金があっという間に千七百億にもなるということを私は考えますと、ほんとうに涙ぐましいというふうに思うのです。いかに日本の国民がいま社会保障のない不安というもの、住宅政策の不足の中から必死になって何とかわが身を守ろう、自分の生活を守ろうということでやっている、そうした夢につけ込んでそういうやり方をして、そして実際にはそのお金に対して、夢を持っているけれども、その夢というものはほとんど達せられない。それは何がしかの貯金はできるかもしれませんけれども、結局、先ほど大臣が言われたように、ドレスを買うだとかスキーに行くだとかいう小さなものではなくて、国民が財産として考える家を買うとか土地を買うとか、そして大きなものを買うということはほとんど不可能だというようなことは、何を見ましても大体そういう結論になっているように私は思いますし、それに対するあなたの返答というものは、はっきりとそうではないんだ、こうなればちゃんとこうした家が買えるとかこうだとかというお返事は一度もなされていない。買えますかとお聞きすれば、いまならば横浜が千二百万であるとか、どことかに六百五十万の分譲があるとか、いまならばと言うけれども、財形というのはまだ始まって二年でしょう。これから入っていく、この改正は今度でしょう。これから七年後ですから、あなたのお答えというのはすべて、私ができないじゃないかということに対しては、はいできますという回答は一つもないということだというふうに思うわけです。 それで、最後の質問に入りますけれども、一体こういう制度をつくったことがだれにとって一番得になっているのか、だれにとって一番利益があるのか、そこのところを一言でお答えしていただきたいと思います。
○渡邊(健)政府委員 私どもは、勤労者の方が——これはもちろん現在の財形はまだまだ十分ではございませんけれども、勤労者の方のためにこういうことを考えておるわけでございますし、これが利用されれば、まだ十分ではないかもしれないけれども、それによって勤労者の方が利益を受けられる、かように考えております。
○田中(美)委員 さっき言いました物価——いまのお答えはそういうふうにお答えになると思いましたけれども、物価だっていま一六%か一七%上がってきたわけです。この二月を見ましても二六・三%という物価の上昇ですね。政府が出している生活保護の基準を上げるというのだって、約一五%(「一一%」と呼ぶ者あり)一一%ですけれども、去年の五%を含めてですから、ことしになってからは一五%、何しろそこら辺の物価は上がるというふうに考えて、その基準をつくっているわけですからね。ですからそういう中からすれば、七年も十年も自分の金を貯金して、そしてそれを据え置かれておいて、途中で取れば全部恩典はなくなるんだ、こうしておけば何とか家が建つのだという夢で預けておいて、むしろこれはマイナスですよ、勤労者にとっては。そういう観点からすれば、だれが一番利益をするかということ、これは金融機関だというふうに私は思うわけです。だからこそ、いまのテレビのコマーシャルというのは目ざましいじゃありませんか。ものすごくきれいな色で、まっかな字で財形、財形、財形と、まるでそれに入ってなければ恥ずかしいみたいな感じのようにテレビの画面からわれわれにばっとあちこちが呼びかけている。これはこの法律ができたからやっているわけですね。こういうふうに考えますと、結局、金融機関に、われわれのそうした金が七年なり十年なりというものはそこに全部くぎづけにされる。そして、結局それじゃやりたくなければやらなければいいじゃないか、こういうふうに言えば、それは一般の、資本主義ですから、商売としてなさる方がこうやっているのはいいですけれども、国がわざわざ法律までつくって、そして金融機関に金がいくように、国民がなるたけ夢を持てるようにするということは、これは私は、非常に勤労者に夢を抱かせながら、実際には、いまは賃金からむしろマイナスになっていっているということを考えますと、むしろ私は非常に残酷だというふうな感じさえするのです。それがアッという間に千七百億もたまったなんというのは、ほんとにつめに火をともしてたまった金が、これがいま毎月毎月、十万円ならば七万五千円ぐらいに減価していっているわけですから、ほんとにやるせない気持ちがするのではないかというふうに思うのです。そういうことが、この財形というものが、一般の庶民の中から出てきたことばとして、第二の財投ではないか、こういうふうにいわれているわけです。そうしたたまった金というものは、半分は置いておかれるかもしれませんけれども、半分というものは、これは金融機関が自由に使えるわけでしょう。これをどこに貸そうと何しようといいわけでしょう。そうすればこれがまた大企業に流れていく。この間の石油危機、いま現在もそうですけれども、そういう中ではっきりわかるのは、大企業に買い占めをする金までどんどん金融機関から出されたじゃないですか。だぶついた金を持っている上に、金融機関からどんどん金を借りて、そうして諸悪の根源である大企業がどんどん物を買い占めたり隠したりしたという形で大企業を肥やした、そういう中で国民はどうしてもこれに対して疑いを持つわけです。また、われわれのつめに火をともすようにしてためた金、これを金融機関を通して大企業が使うのではないか、そういうふうにされ、結局われわれは夢を持っただけで、実際には何にもならないのではないか。これは大臣がいらっしゃいませんけれども、私と大臣は大体同時代の人だと思いますけれども、私自身が娘時代の戦前、父や母が何とかしてと思って結婚資金などをためてもらったものが、戦後には全くそれを取りにいく自動車代のほうが高くつくというくらいの貯金になってしまったという経験を私たちはしているわけです。だからこそ私たちの年代というものは、その物価の上がるということと、このいまの財形を見まして、またこうやって家を建てられるのではないか、それともこの女の子がおとなになるときの結婚資金にと思ってこの財形をしていたものが、また私が経験したように、父や母がつめに火をともすようにしてためてくれた結婚資金というものが、取りにいく自動車代より少なくなったという経験をしているわけです。これと同じことがまたなされる、そういうふうに非常に大きな危惧を持つわけです。この危惧と、そしてこれが大企業のほうに回っていくのだというふうに考えると、むしろ怒りさえ覚えるような感じがするわけです。この点についてお答えをいただいて、私の質問を終わりにしたいと思います。
○渡邊(健)政府委員 財形によってつられていろいろな貯蓄が行なわれるというふうな観点からのお話のように承りますけれども、先ほどもお話が出ていましたように、日本の勤労者の貯蓄というものは、何も財形が始まってからでなくて、その前から貯蓄性向というのは非常に高いわけであります。その原因については、先ほどいろいろ大臣から議論がございましたけれども、原因はともかくといたしまして、実際としては前から一六、七%から一八、九%の貯蓄性向がございまして、これはここ数年、財形制度が始まる前からもあまり大きな変動はございません。しかもそれは所得の五分位階層で見ますと、高いところと低いところと、額によっては違いますけれども、率によってはあまり違わない、そういうことで、日本の勤労者はほとんどの人が、九十何%という率で貯蓄をしてやっているわけでございます。そういう方々の貯蓄、インフレで減価したり何かというのは、財形の貯蓄であろうが財形外の貯蓄であろうが、みな同じくそういう状況にあるわけでございますが、私どもは、そういう中で少しでもそういう方々の貯蓄なり何なりが有利になるように、何とか国なり使用主が援助して、少しでも勤労者の福祉になるようにということで財形をやっているわけでございまして、財形をやったから悪いのだということは私はどうも納得がいかない。特にそれが大企業に流れる云々というお話がございました。これは財形による貯蓄だけが流れて、ほかのものが流れないのかというと、そういうことではございません。むしろ財形の貯蓄は、先生もお話しになりましたように、現行法では三分の一、今度の改正法では二分の一まで持ち家促進のいろいろな融資の原資にするように金融機関に協力義務を課しているわけでございまして、財形以外のいろいろな貯蓄の流れよりははるかに私どもは勤労者に有利なように使われることになる、こういうことでございます。これがまだまだいろいろ不十分じゃないか、特に今日のインフレ下では期待が大きくは持てないじゃないか、これはおっしゃるとおりだと思いまして、インフレはわれわれにとっても、特に財形を進めようという者にとってははなはだ大きな障害でございまして、一日も早くインフレが終息してくれることをこいねがっておるわけでございますけれども、財形なるがゆえに、それ以外の勤労者のやっている貯蓄よりマイナスであるというふうに考えない。やはり不十分であるかもしれないけれども、それなりのプラスの面、福祉増進の機能を持つもの、かように考えておるわけでございます。
○田中(美)委員 最後に、締めくくりなんですけれども、私は、これはエビでタイを釣っているというふうに言いたいわけです。エビとまでいっていない、小さなエビだというふうに思うのですけれども、それでもって夢を持たせ、多少のそうした一部の人にだけそういうことをすることによって、結局金融機関の金集めに政府が力をかしてあげている。そして、そこで大きなタイを釣っているのだというふうに私は考えるわけです。これで終わります。
○野原委員長 大橋敏雄君。
○大橋(敏)委員 私は、数年前にたまたま西ドイツを視察する機会を得たわけでございます。日程的には非常に忙しい視察であったわけですけれども、その際に、現地でいわゆる財産形成政策の実施状況をお伺いしたわけです。初めて聞いた内容でございましたので、中身については鮮明な記憶がないのですけれども、印象的には、西ドイツにはすばらしい政策があるな、それは日本にも一日も早くつくるべきだ、こういう気持ちで帰ってきたわけです。そして、二年前でしたか、国会に勤労者財産形成法案が提案されました。いよいよやったな、政府も努力したな、こう思って見たわけですが、法案の内容は西ドイツのそれと比べますと、非常にざっぱくといいますか、劣っている内容でございました。しかしながら、後日これを充実強化していけばいいのだということで、不十分ながらもこれを承知して、制定にこぎつけたわけです。そして、今回の改善案といいますか、改正案が出されたということですけれども、結論から申し上げますと、確かに部分的には改善の内容は認められますけれども、根本的に見た場合は、これは改善の名に値しない内容である、私はこのように理解したわけでございます。 西ドイツでは、富の偏在を是正することが、自由経済体制を堅持する上から絶対に必要であるというような考え方から、与野党がその認識を一致させて、言うならば国をあげての政策になっているわけですね。すなわち、貯蓄割り増し金法、住宅建設割り増し金法、労働者財産形成法、所得税法、第一次及び第二次住宅建設法等がこれらをささえている柱となっているわけでございますが、言うならば、これらの法律を総称しまして、財産形成政策、このように呼ばれておりますね。つまり、西ドイツでは多角経営的な財産形成政策がとられている。ところが、わが国のこの法律を見てまいりますと、いわゆる単独経営的な内容になりまして、非常に見劣りがする思いでなりません。そこで、わが国の財産形成政策の理念ですね。財形審ではその考え方をるる説明しているわけでございますが、私もその内容を読ませていただきましたけれども、労働省ははたしてどのような考えでいられるのか、まず基本的なことからお尋ねしたいと思います。
○渡邊(健)政府委員 私どもも、財産形成の理念につきましては、財形審議会が昨年十一月二日に出されました中間答申の中で述べておりますように、社会的により公正な財産分配の実現を通じて働きがいのある社会をつくっていく。そのために、勤労者の財産形成のための自主的努力を踏まえながら、国や事業主がこれに強力な援助を加えることによって、経済成長を通じて増加する資産が社会的により公正に分配されるように誘導して、勤労者のストック面の充実をはかることによって、その生活の安定を実現すること、また、これによって社会における財産分配のあり方についての勤労者の不満を解消し、ひいては勤労者が働きがいを感じ得る社会の実現を期することにこの理念を求められるべきものだ。こういう考えに立ちまして、こういう理念が実現するように、こういう理念にふさわしい内容のものに一日も早く育てていきたい、こういうつもりでおるわけでございます。
○大橋(敏)委員 局長のおっしゃることは確かにりっぱなことです。財形審の内容そのものですからね。しかし、きょう午前中からずっとこの法案の審議が続けられているわけですけれども、やはり指摘されているのは、この政策が所得政策的なにおいが強い。いわゆる社会保障的な政策ではなくて、あくまでも労働者のお金を集めて、いわゆる経済成長への利用である、このような指摘がずいぶんとなされていたように思います。私もその点は同感でございます。もっとほんとうに勤労者を、そしてその生活、将来を守っていくような内容にすべきである、こう思うのです。その点はどう思われますか。
○渡邊(健)政府委員 私も先生が御指摘になりましたように、ほんとうに勤労者の資産の内容を豊かにするものになり、勤労者の生活が守られていくようにすべきものだと考えるのでございまして、私ども、もちろん内容はまだまだ不十分でございますけれども、所得政策的なといったような考えは毛頭ございません。これは、財産形成貯蓄にいたしましてももちろんのこと、今度新しく制度を設けました財産形成基金あるいは財産形成受益金制度、付加金制度、いずれもこれは労働者の自由意思によってやるものでございまして、強制するようなものではないのはもちろんのこと、勤労者の自助努力に対しまして国が減税などで御援助する、あるいは使用者が拠出金その他で御援助する、国と事業主が援助して、そして勤労者のそういう自助努力をお助けしよう、こういうことでございます。また、そういうふうにして集まりました財産形成貯蓄の金なども、先ほども田中委員の御質問に申し上げましたように、従来は住宅原資等に流すものは三分の一、これは抽象的な協力の規定に基づいてやっておったわけでございますが、今度の改正法ではそれを二分の一まで、しかも金融機関に協力義務という形で強制的に履行させる、こういうたてまえもとっておるわけでございまして、決して経済成長の資金動員といったようなことでない方向に私どもは考えておるわけでございます。
○大橋(敏)委員 社会的により公正な財産分配の実現を通じて、労働者の生きがいのある社会をつくっていこう、おっしゃることは確かにりっぱなことでございますが、先ほどから言っておりますように、西ドイツの財産形成政策とわが国のこれと相対してみますと、あまりにも開きがあり過ぎるという感じがしてなりません。まず、西ドイツは貯蓄割り増し金法によってその貯蓄額に対して政府が割り増し金を支給していく、これは広く一般国民を対象として行なわれております。また住宅建設割り増し金法では住宅建設のための貯蓄に対しましては割り増し金を行なう、これも広く一般国民を対象としてやっている、また財形法では財産形成のための資金いわゆる原資については、労働者の賃金からではなくて使用者いわゆる事業主と政府が負担して行なわれているわけですね。こういうところが大きな違いがあるわけです。わが国の財産形成法ではその原資は労働者の賃金の一部を天引きして貯蓄させていくということ、それから任意加入制であること、さらに財形貯蓄として貯蓄されたお金はそのほとんどが、今回改正されて二分の一ということになりますけれども、いままではそのほとんどが大企業への融資資金となったということは、わが国の財産形成法は中小企業にはほとんどメリットのない内容であった、あるいは財産の公正的配分ではなくて、すなわち労働者の福祉よりも大企業優先政策になっている、どうもそういうふうな感じを受けてならない、こういうわけでございます。すなわちわが国と西ドイツの財形法では根本的な相違がある、格差がある、こう私は思うのでございますが、この点についてはどうお考えになりますか。
○渡邊(健)政府委員 確かにドイツは、財産形成制度ができましてからもう十数年を経ております。財産形成につきましては日本よりも非常な大先輩、先進国でございまして、内容も先生御指摘のようにきわめて豊富なものに相なっておるわけでございます。日本の場合は従来は柱は二つ、一つは財形貯蓄、これらに対する国の援助というものはいわゆる利子の非課税だけ、それからもう一つは雇用促進事業団を通ずる持ち家分譲融資、この二本であったわけでございまして、内容はきわめて貧弱ではないかという御指摘、確かにそういうふうに言えると存じておるわけでございますが、今回は、もちろんまだまだドイツなどに比べれば非常に見劣りがするという御指摘もごもっともと存じますけれども、それでも内容的に見ますと、財形貯蓄自身にいたしましても利子の非課税を百万円から五百万円に引き上げる、それから住宅取得目的の貯蓄という限定はございますけれども、財形貯蓄のそういう種類で七年以上のものにつきましては八%までの税額控除、こういう制度も加わりまして、こういう財形貯蓄に対する国の援助もかなり厚くなったわけでございます。それから使用者側からの援助にいたしましても、従来は雇用促進事業団の持ち家分譲融資につきまして、経営者が一定の援助措置を講ずべきことが融資を行なう場合に義務づけられておっただけでございますが、今度は任意的ではございますけれども、財形貯蓄に対しては財形付加金制度というようなことで使用主が貯蓄に対して一定率の付加金を拠出する、こういう制度もできました。それからまた財産形成につきまして労働者の賃金からの天引きした貯蓄、これだけが従来の財形貯蓄の原資であったわけですが、なかなか貯蓄ができない労働者の方もおられるということで、そういう方々も財産形成の最低限度のチャンスと申しますか可能性を確保するようにしたいということで、使用主の、事業主の拠出金によって元本を与えます財産形成基金制度あるいは財産形成受益金制度、こういう制度も設けまして、そういう使用主の援助における財産形成基金なりあるいは受益金契約に基づく七年後の労働者の所得に対しましては、一時所得扱いということで大幅な減税処置という国からの援助処置もそれにあわせてつけ加えるというように、まあ従来の現行法から見ると、一応いろいろ多様性を持った、しかも国の援助も事業主の援助も厚くする方向で改正をしたわけでございます。ただドイツなどから見ますとまだまだ足りない、特に国の援助等がドイツなどから見ればもっともっとやっていいではないか、こういう御意見、御批判のあることは当然私どもも考えられておったところでございますが、これらの点につきましては私ども今後とも財産形成制度を改善いたしまして、内容の充実をはかり、ドイツがやっているような手厚い国及び事業主からの援助処置というものを今後逐次樹立してまいりたい、かように考えておるところでございます。
○大橋(敏)委員 局長はもう事情は全部わかった上でおっしゃているわけです。要するに、前回出した法案の内容から見ると、確かにおっしゃるとおり多様化しましたし、改善の部分は見られる、だけれども、西ドイツのそれと比べると、まだまだ話にならない、それはわかっているのです。今後一生懸命やっていきます、こう言われてみれば、ほんとうに言いようのないところですけれども、あなたがおっしゃるように、利子の非課税限度額の引き上げ、これは百万から五百万になった、もっとも財形審の答申の中にもそのことは指摘してありましたので、答申に忠実になさったことだろうと思うし、これは認めないわけではないのですけれども、西ドイツばかり持ち出して申しわけないのですが、西ドイツの場合は財形法においては費用負担は使用者と政府が負担しているわけですね。ですから、そういう立場からいきますと、非課税なんということはきわめて当然の措置であって、やはり一日も早く西ドイツが考えているような方向で改善されなければならない、私はこのように思うのです。だから先ほど言いましたように、根本的にまだまだ発想の違いがある、こう申し上げたいわけです。確かに財産形成制度は発足以来の歴史はまだまだ浅い、そしてこれに対する理解度もまだ薄い、これもよくわかるわけでございますけれども、やはり発想の基盤をもう一回基本に戻して、そして対策を進めていかなければならない、私はこう思うのでございます。同法の目的の中に、勤労者の財産形成を促進し、生活の安定と国民経済の健全な発展に寄与する、こううたっているわけですから、そのうたい文句と実態がイコールになるようにお願いしたい、このように強く要望するものでございます。 それから、これは総理府の調査によるまでもないわけでございますが、また先ほどからも指摘されておりますように、この一年間の勤労者世帯の預貯金の目減り、減価というものはきわめて著しいものがあるようでございます。このような状況の中にあっては財形の目的は達成できない。先ほどからも、このインフレこそ最大の障害である、こうおっしゃっておりました。政府全体でその対策に乗り出しているんだ、何も財形だけの問題ではないという御答弁がありましたけれども、確かにいまのような異常なインフレの中ではこの財形についての目的は達成できない、私はこう思うのです。この点についてはどうお考えになりますか。
○渡邊(健)政府委員 先生の御指摘のとおり、せっかく労働者の方が営々として行なわれました貯蓄がインフレによって減価するということは、財産形成推進を非常に危うくするようなゆゆしい問題でございまして、私ども一番心を痛めているところでございます。この点につきましては、やはり本来の物価抑制政策によりまして物価全体の上昇を抑制する、これが基本の対策であろうと存ずるわけでございまして、政府もいま全力を傾注して物価の安定をはかっておるところでございますので、何とかそれによって物価が安定してくれることをこいねがっておるところでございます。それと同時に、こういう時期に、勤労者の貯蓄努力に対しまして国が減税措置などを拡充したり、あるいは事業主が拠出金を出して、財産形成貯蓄を行なっている勤労者のために財形基金やあるいは財形付加金制度を設けるということ、そのこと自体が一方において減価する貯蓄を補うという機能もある意味ではあるわけでございまして、今回の法案もそういうような意味合いも今日の段階においては持っているものと考えるのでございまして、それら政府の全体としての物価安定政策、それと財形制度の改善措置が相まちまして、物価上昇に対して勤労者の資産を防衛して、そうして財産形成を促進する効果を持つことを私ども期待をいたしておるわけでございます。
○大橋(敏)委員 次に移りますが、昨年の十一月に財形審が答申しました割り増し金給付が、今回の改正案から除外されているわけでございますが、その理由についてお伺いしたいのです。審議会の意向を尊重なさる意思は十分おありだろうと思いますけれども、なぜ今回はずされたのか、その理由をお尋ねしたい。
○渡邊(健)政府委員 私ども、審議会から御答申でお述べになりました割り増し金制度を設けるべきであるという御意見、まことにごもっともと考えまして、昨年の暮れの予算編成期につきましては、そういう考え方に立って真剣に関係各省とこの問題を検討をいたしたわけでございます。ただ、何ぶんにもわが国で初めてのこういう制度でございますので、これが他のいろいろな施設にどういう影響を及ぼすか、あるいは割り増し金による財政負担というものが将来どうなるか、こういう点につきまして、政府部内全体といたしましていま直ちに割り増し金制度を採用すべきだというところまで意見一致を見るに至りませんで、そういう意味でこの問題は今後も引き続き検討するということで四十九年度予算については見送ることに相なったわけでございます。しかしながら、私ども先ほどから申しておりますとおり、将来の大きなロングランの方向としてはぜひこういうような割り増し金制度、これを日本の財形制度にも打ち立ててまいりたい、こういう考え方はいささかも捨てておらないわけでございまして、今後とも十分検討し、かつ努力をいたしまして、そういうような制度の実現を目ざしたい、かように考えておるところでございます。
○大橋(敏)委員 一生懸命努力したんだけれども、諸般の事情からこのようになったんだという御説明がるるあったと思いますけれども、一つ私は疑問があるわけですよ。というのは、答申がなされまして、そのあとに労働省の政府案大綱というのができましたね。これは御承知ですね。たしか四十八年の八月二十三日の日に公表をされております。それを見てみますと、割り増し金給付の問題はそこの中には載っていないわけですよ。だから初めからあきらめていたんじゃないですか。いまの説明では、いやそうじゃないんだ、やる気があってやったんだ、しかし諸般の事情でこうなったというような説明であるわけですけれども、答申の中にははっきりうたってあった。それを受けて政策案大綱をつくられた。その中には割り増し金の問題は取り上げられていない。もう初めから投げていたんじゃないですか。それはどうですか。
○渡邊(健)政府委員 政策案大綱は、あれは諮問の前、したがいまして、答申の前でございます。答申が出ましたのが十一月でございまして、政策案大綱は先生御指摘のように八月の末に出したわけでございます。 この経緯はこういうことでございます。私ども去年の春ごろから財形制度の拡充をいろいろ検討いたしておりまして、私ども当初におきましては、税額控除と同時に非課税対象者については割り増し金を支給するという二本立てでいろいろ検討をいたしておったわけでございますが、それまで折衝いたしました政府部内のいろいろな問題、それからいわゆる四十九年度予算の労働省案を八月三十一日まで大蔵省に提出するわけでございますが、それにつきましていろいろ予算要求のワク、ほかのいろいろな問題との関連、それから一挙に両方が、減税と税額控除と割り増し金が実現し得るかどうかといったような見通し等々から、予算要求案をつくる直前の段階において、予算要求の中には割り増し金をことしはあきらめて、まずその前提となる税額控除制度、これを実現して、そして段階的に割り増し金を将来考えたい、こういうことで八月末の予算要求には入れていなかったわけでございます。したがいまして、その予算要求をもとにいたしました財産形成の拡充案の大綱、これについては割り増し金を落としておりまして、そうして九月に財形審に御諮問をいたしまして、この大綱を労働省が出しました。一種のたたき台という意味で出して御審議を願ったわけでございますが、同審議会では、これは段階的といっても割り増し金というものは税額控除とワンセットのものであって、これは重要な意味を持つものであるから、困難性とかいうようなことにかかわらず、やはり基本的な方向というものを明確に打ち出すべきだということで、先生御指摘のような、割り増し金をぜひやるべきであるという強い御答申をいただいたわけでございます。そこで、私どもは審議会の御意見を尊重いたしまして、自後予算決定まで割り増し金を何とか実現したいということを努力し、十二月の予算の詰めの段階では、追加要求といたしましてあとから割り増し金の要求も大蔵省に提出をいたしまして、そして最終の予算の詰めの段階までこの問題は政府部内で関係省庁と非常に真剣に検討をいたしたのでございまして、決して最初からあきらめておったわけではないのであります。 一応そういう経過だけ申し上げておきたいのでございます。
○大橋(敏)委員 私の理解の誤りもあったようですが、いずれにいたしましても、割り増し金制度というのは非常に重要な問題です。いまの局長の答弁のように、今後熱意をもって推進してもらいたい。 それから付加金制度の問題でありますけれども、付加給付制度の住宅金融機関としまして、生命保険会社、信託会社、そして証券投資信託の委託会社、この三つに限定した、農協の生命共済をその対象から除外されたということについて、午前中も質問がありましたが、これは私もまことにけしからぬと思う。農協の共済事業というものは、日本生命保険にも迫るような契約量を有しております。御承知と思いますけれども、日本生命では四十八年十二月末現在で二十四兆円、農協共済は二十二兆円ですよ。もうほとんど変わらないほどの実力を持っています。その農協共済が付加給付制度の受託金融機関としての能力を十分に具備しているにもかかわらず、これを除外された、これは重大な片手落ちだと思います。当然対象とすべきだと思うのですけれども、いかがですか。
○大坪政府委員 先生がおっしゃいましたように、このたびの財形法の改正の中で新しく制度化されようといたしております付加金なり基金制度の運用の対象として、信託なり生命保険あるいは証券投資信託といったようなものがございますが、現在の法律制度でございますと、実はこのような事業主が拠出をいたしました拠出金が基金なり付加金として、七年間そのような信託会社なり生命保険会社で運用されまして、それが七年後に一時金として勤労者に帰属する。その場合に減税措置が行なわれ、その一時金として行なわれるまでの間、運用される間は特別法人税が一%かかるという制度になっております。このために法人税法の中の従来制度化されております適格年金あるいは調整年金と同様のシステムに乗せる必要がございまして、あのような形の金融機関運営ということになっているわけでございます。生命保険会社の行ないます生命保険の業務と非常に似ております農協の生命共済も、趣旨としては当然中に入れられるべきものだと存じます。今回それが入れられませんでしたのは、実際上手続的に若干の前後がございまして、税調等で検討する余地がございませんでした。しかしながらいま先生がおっしゃいましたように、この問題につきましてはやはり同じように制度化するということは、私どもとしても十分考えられることだと存じておりますので、次の機会にぜひひとつ実現するようにさしていただきたいと考えておるわけでございます。
○大橋(敏)委員 政務次官にお尋ねします。 いまるる説明がありましたけれども、要するにこれは当然入れるべきだった。しかし手続上時間的な問題があって今回はずれた、次回にはなんていう説明があったわけですけれども、これは次回では話になりません。こういう片手落ちの問題は今国会で当然修正して入れるべきだ、私はこう思いますが、どうですか。
○菅波政府委員 この問題は私も当局から承っておりまして、当然十二分に先生のおっしゃることの私も妥当性があると実は考えられるわけでございます。したがって十二分に検討する余地もまたあるようでございますので、急いで検討いたすようにしたいと思います。
○大橋(敏)委員 それでは、政務次官が急いでとおっしゃったことは今国会でと私は理解したい。まああなたは政務次官で、大臣そのものではないので、これ以上の答弁はおそらく出てこないと思いますが、いま首を振っていらっしゃいますので、私の言っている気持ちを十分読み取られたものと私は理解いたします。 いずれにいたしましても、農協系統の団体の勤労者はいま六十万人と見込まれております。この方々が財産形成貯蓄の対象者になるわけですから、これは重大な問題ですから真剣に今国会で検討してもらいたいということを強く要望して、次に移ります。 先ほど公務員が除外されているという話が出て、いろいろ説明がありましたけれども、西ドイツの制度を見てまいりますと、この付加金というのは政府が負担しているわけですね。そして財産形成分については事業主に、こういう姿をとっていると私は思うのです。ですから政府が負担するのが筋だというたてまえからまいりますと、これは公務員も対象とすべきである、こういうふうに考えるのでございますが、これについてはいかなるお考えをお持ちでございますか。
○渡邊(健)政府委員 財形法自身は公務員にも適用があるわけでございますが、今回新しく設けました財産形成基金、これは公務員を適用から除外をいたしております。これは、財産形成基金のような制度を公務員に設けるといたしましても、今回の法律改正で入れたような、労使が協定に基づいてこの制度をやるかどうかをきめる、しかも事業場ごとにそういうものをきめていく、それから労使同数の基金といった形で運用する、こういうようなやり方がそのまま公務員に適当かどうか。この問題についてはまだまだ大いに検討の余地がある問題でございまして、むしろわれわれは、公務員についてこの種制度を設けるにいたしましても、公務員に適した別個の措置とすることが適当ではないか、かように考えられるわけでございます。そこでそういうような問題につきまして今後関係各省で、公務員には公務員にふさわしい制度というものをどういうふうに考えていくかということを十分検討するということで考えておるわけでございます。そういう意味で今回の法律におきましては、基金制度は公務員は適用除外をすることにしたわけでございます。
○大橋(敏)委員 もう時間が迫ってきたのですけれども、先ほどからも今度の——今度のというよりも財形政策における持ち家問題は全く絵にかいたもちみたいなものだ、あるいはまぼろし的な内容じゃないかという意味の質問があったと思いますが、私もそれについては同じような考えを持つわけです。確かに持ち家だけの問題ではないわけですけれども、これも大きな柱ですから、そういう意味で私はこれも指摘したいと思います。 わが国の財形が実施されたのは、四十八年四月一日ですか、それから四十八年十二月八件十四戸、一月には六件八戸、二月には六件九戸、三月には十二件十九戸、それぞれそれなりの予算がついているわけですけれども、この程度の申し込みであったわけですね。そして決定されたものは十二月、一月分で九件十二戸四千二十万円ということであったわけです。それと同時に勤住協の一件、これは二百四十戸五億円、合計十件の決定を見ただけだ、こういう程度の内容であるわけですね。そして労働省の持ち家建設の試算の内容を見てまいりますと、いろいろとモデルが示されているのでございますが、確かに労働省の試算からいきますと、二十歳から勤労者になって五十五歳停年までにはできるみたいな内容になっておりますけれども、実態はそうはいかない。先ほどの勤住協の内容を見てみますと、江戸川の堀江に建てられるのは大体千八百万円かかる、こういう計算になっております。したがいまして、労働省の試算からいくと八百万円がどうしても足らぬということになるわけですが、この八百万円についてはどこからどう取りそろえてくるのかという問題も含めて、もう時間がございませんので、要領よくお答え願いたいと思います。
○渡邊(健)政府委員 確かに、勤住協が江戸川区の堀江につくっております分譲住宅が一戸千八百万円であるということは私ども聞いておるのでございますが、千八百万円という価格であるといたしますなれば、これは東京の区内という非常に条件のよいところのものであることによるのでございまして、一般的には労働者が通勤している東京周辺においても、それよりも下回る価格で住宅取得は現在でも可能ではないか、かように考えております。 〔委員長退席、山口(敏)委員長代理着席〕 先ほども一、二の例を申し上げましたが、住宅公団あるいは県の住宅供給公社でございますと、三月、二月ごろでも一千万円を下回る価格の分譲が三DK、三LDK程度で行なわれておりますし、それからいわゆる中高層の分譲アパート、これは民間のものでございましても、先ほどもほかの委員の方に例を申し上げましたが、最近八王子とか、あるいは埼玉の東京から一時間前後のところで、千三、四百万円ぐらいで三LDKぐらいの分譲があるわけでございまして、千八百万円、これはそういう東京の区内という非常に条件のいいところの価格ではないか、かように私は考えているわけでございます。
○大橋(敏)委員 どのように説明されようとも現実的に、江戸川の堀江は確かに地理的には便利な場所だからそういうふうに高くなっていったと言うかもしれませんけれども、要するに現在の賃金のベースアップと物価の上昇を見た場合、これは非常に問題だし、また地価も年間三〇%から四〇%もふえていくわけですね。ですから結局絵にかいたもちじゃないかといわれるわけです。また政府の地価対策、これについてはおそらく労働省も遺憾の思いで見ていると思いますけれども、ここにまた大きなネックがあるわけですね。 西ドイツでは住宅建設の割り増し金法というのがありますね。やはりわが国もこういうのを制度化していかないと、結論的には家はできないのじゃないか、こう私は思うのですけれども、この住宅建設割り増し金法なるものを近い将来に制度化される考えがあるかどうか、これについてお尋ねいたします。
○渡邊(健)政府委員 先ほども申しましたように、割り増し金という制度、これはドイツでやっておりまして、確かに勤労者が貯蓄いたします、これを効果的にし、かつそれによってまとまった——住宅につきましても、頭金取得等のためにはきわめて有効な方法であると存ずるのでございまして、日本でもこういう制度をとるかどうかという点については、これはやはり真剣に検討をしていくべき問題である、かように考えております。 なお住宅取得を可能にいたしますためには、そういう頭金取得、これを容易にするということ、もう一つは、先生が御指摘になりました地価や建設費の非常な高騰、これが非常にネックでございますので、やはり一日も早く地価や建築費の高騰を鎮静させる、これがきわめて重要な問題である、かように存ずる次第でございます。
○大橋(敏)委員 最後に。要するに高度成長の利益を勤労者に還元していく、金融機関の利息のほかに四五%なり二五%の割り増し金制度をとっているこの西ドイツの住宅建設割り増し金法に、私は非常に魅力を感じております。これを今後の検討の中に重要な課題として取り上げていただきたいことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
○山口(敏)委員長代理 和田耕作君。
○和田(耕)委員 最初に御質問いたしたいのは、政府はこの財形貯蓄の制度をつくった場合に、現在でも勤労者——その主力は労働者なわけですが、どの程度の財産を持たすというような——現在はちょっと情けない状態だと思うのですけれども、将来どの程度の財産を持たすというふうな見通しを持っておられるのか、そのことを最初にお伺いしたい。
○渡邊(健)政府委員 勤労者財産形成政策の目的は、先ほどから申し上げておりますように、勤労者の自助努力によりまして資産を保有させる、そして長期的な生活の安定をはかるということでございます。ただどのくらいの資産ということになりますと、これはその源泉になります賃金自身につきましても、勤労者によっても非常にいろいろな職種、学歴等々によりまして違いがございます。それから、個々の労働者の御希望にいたしましても、預貯金を主に考えられる方、あるいは有価証券等、あるいは住宅というように、それぞれの方によって選考される資産のあり方も違うわけでございまして、金額として幾らということは一律には申せない。ただ先ほど申しましたような、それによって勤労者の方が長期的な生活の安定が、賃金あるいは社会保障のほかに、これによって得られる、こういう目的に沿うようなだけの資産、こういうものが形成される、それに役立つようなものにいたしたい、かように考えるわけでございます。
○和田(耕)委員 自分の住まう住宅を持つ、その住宅も土地のついた住宅が持てる、そしてまた将来長期にわたって安定した生活ができるようにということが目標であるとすれば、ごく雑なことばで言うと、中産階級といわれるような範疇の勤労者の生活に引き上げていくというふうに考えていいのですか。
○渡邊(健)政府委員 一般的に申しますと、先生のおっしゃったようにお考えいただいていいと存じます。
○和田(耕)委員 その場合に、現在の日本の社会経済的な状態を前提にして見て、政府はそのような勤労者の財産形成ということについて、どのような役割りを持たなければならないか、あるいはどのような役割りを持つべきか、この問題はいかがでしょう。この案では税制上のいろいろな措置はしておりますけれども、直接の財政的な負担をもって勤労者の財形に寄与するというようなことはほとんどないようですけれども、その点いかがお考えですか。政府はもう圏外におって税金だけまけてあげるということでいいとお思いになっておられるのか、それは非常に不十分だというように思っておられるのか。 〔山口(敏)委員長代理退席、委員長着席〕
○渡邊(健)政府委員 政府が現在財形政策を推進いたしております基本的な考え方は、賃金のフローの面では勤労者はかなりよくなっておる、しかし資産、それに基づく長期的な生活の安定という面ではまだまだ国内の他の階層よりも劣っておるし、国際的に見ても劣っておる。したがって、勤労者の自助努力を基礎にいたしまして、それに使用者と国が援助することによって資産を保有させる、賃金所得や社会保障に加えまして、長期的な生活の安定を実現させるようにいたしたい、こういうことでございます。そういう目的を達成いたしますためにどの程度国が力をいたすべきかという点は、いろいろな考え方があろうと思うわけでございますが、西ドイツの例、それから日本の資産形成の困難性等から見ますと、現在の国の援助で私ども決して十分であるというふうには考えておらないわけでございまして、やはりほんとうに内容の充実した財産形成制度を樹立いたしますためには、国ももっともっと援助ということを今後研究、検討していってしかるべきではなかろうか、かように考えております。
○和田(耕)委員 国も当然、財政的な援助を含めて援助をすべきだというふうにお考えになっているわけですね。今回のこの法案をつくるのに大蔵省との交渉の経過を、その問題についてひとつ御答弁いただきたい。労働省はこういう要求をしたけれども、大蔵省はこういう理由でやってくれなかったという問題をひとつお答えいただきたい。
○梅澤説明員 まずお尋ねの付加金の問題につきまして、大蔵省と労働省でどういう協議なり折衝があったかということは、これは実は予算とか法案全般にかかわる問題でございますけれども、関係当省間の話というのは、いわば政府の勝手元と申しますか、台所の話でございまして、その間の経緯をいろいろ御説明するということは、いろいろ誤解を招くという点もございまして、従来とも法案あるいは予算案につきましては、閣議決定をいただきまして国会に提出したものをベースに御議論をいただく、こういうことでございますので、その辺の経緯の説明ということではなくて、およそ財形につきまして国が直接財政援助をすることについて財政当局としてはどう考えておるかという御質問として、お答えを申し上げたいと思います。 御承知のように、財形につきまして割り増し金を出している例は、ドイツ等々に例があるのでございますけれども、これは本質的に考えますと、やはり一種の所得保障になるかと思います。その意味では、かりにそういう割り増し金を採用いたしました場合に、それは広い意味での一つの新しい所得保障制度を導入する、こういうことになるかと思いますが、御承知のように、現在の日本の所得保障の体系のもとにおきましては、公的扶助、それから社会福祉、公衆衛生、社会保険、大体実質上こういう体系なり構造で成り立っておるわけでございますけれども、これに対しまして財政負担はどうあるべきかという、いわばプライオリティーでございますけれども、この点につきましては昭和三十七年の社会保障制度審議会の有名な御勧告があるわけでございますけれども、ただいま私が大ざっぱに申し上げました四つのカテゴリーでございますね、おおむねこの順序でもって財政負担というのは重点が置かれるべきじゃないか。現実にそういう方向で従来日本の社会保障財政というのは着実な前進を遂げてきておるわけでございます。いまの時点におきましてそういう割り増し金という新しい社会保障制度を導入することにつきましては、幾つかの問題点があろうかと思います。 まず第一点は、現在の四つの体系でいっております社会保障の体系の中にさらに一つ加える。これは、社会保障と申しますのは、一つの国民のニード、それにあてがうべき財源と申しますか、広い意味での国民の負担、この関係からものを論じていかなければならない。これは一例でございますけれども、なるほど西ドイツにそういう割り増し金の制度がございます。ございますけれども、それでは、西ドイツにあるから日本にどうしてできないのか、こういう疑問になるかと思いますけれども、一つの例で申し上げますと、たとえば日本の場合、医療保険に対するニードが非常に高まってきております。社会保障の体系の中でも、社会保険というのは一番財政的な優先度としては低いとされております分野でございますけれども、その中でもたとえば医療保険とかあるいは年金に対する国民の需要が非常に高いということで、四十八年度、四十九年度と、相当な財政資金をここに投入しておるわけでございます。ところが、たとえば西ドイツなんかの例で見ますと、医療保険に対する国庫負担というものは一銭もやってないというのが現状でございますね。だから、各国によりましてその制度の問題というものはいろいろバラエティがあるんじゃないか。それからそれに対する国民の、おそらく税金の負担になりますか保険料負担になりますか、どちらかでございますけれども、そういうコンセンサスと申しますか、そういうものも背景にないと、ある国にこういう制度があるからそれをすぐ日本に持ってきてやるべきであるという、そういう簡単なふうには問題はいかないんだろうという点が一つございますね。それからさらに考えられますのは、たとえば勤労者だけについてそういう制度をとった場合に、日本の場合とヨーロッパの場合、たとえば雇用労働者の構成比というものは日本の場合はまだ低うございます。そういたしますと、たとえば自営農民とか町の零細企業者とのバランスを一体どう考えるのか、そういう問題もございます。そういった経緯もございまして、かたがた国民のニードという点から見れば、冒頭に申し上げましたいろいろな社会福祉とか公的扶助とか、それから最近やかましく問題になってまいりました、たとえば難病に対する公衆衛生の問題とか、あるいは年金、医療保険に対する国庫負担の問題でございますね、そういう点から考えますると、この制度をかりに導入するといたしましても非常に問題が多いことと、もう一つ、財源の面で非常に困難である。先生の御提案と申しますか、問題の提起の所在とい小のは私ども痛いほどわかるわけでございますけれども、ここしばらくの間、しばらくの間というのは、私は、かなり長期の問題になると思いますが、ここでいま直ちに割り増し金というかっこうで政府が直接に財政援助をするということは非常にむずかしい、財政当局としては否定的な見解であると申し上げざるを得ないと思います。
○和田(耕)委員 それで大蔵省としては、つまり日本の財政当局としてはこの制度そのものに問題があるというふうにお考えになっておられるわけですか。いま財政的ないろいろなトータルのあれから見て、あるいは緊縮財政をつくらなければいかぬからというようなこと、というよりは、この制度そのもの、こういう制度に国が援助をするというところに問題があるというふうにお考えになっておられるのですか。
○梅澤説明員 制度そのものというのは、割り増し金というふうに解してよろしゅうございますか。そういう御指摘であるといたしますれば、現状のもとでは制度そのものに問題がある、同時に財政の負担にもたえられない、そういうふうに考えております。
○和田(耕)委員 そこで、現在は非常にむずかしくても、将来は政府も相当の援助をするという姿勢は期待できないわけですね。
○梅澤説明員 先ほどからるる申し上げておりますように、日本の社会保障制度全般の体系、これをどう考えるかと、それから国民のニードがほんとうに集中しているのはどの分野かということから、やはり相当長期な検討を要する問題でありまして、いまの時点でこの制度を取り入れるということについては非常に問題があると、そういうふうに考えております。
○和田(耕)委員 大蔵省の意見として承るわけですけれども、私はそういうような、つまり政府の一角で、労働省としては相当の決意をもって、そして田中総理も相当の力をもってこれをやっていくんだということを主張しておられるこの制度に対して、財政当局としては制度そのものに問題があるという判断であれば、これは私はちょっと問題じゃないかと思うんだけれども、そこで、いかがでしょうね、大臣いらっしゃらないので、政務次官いかがでしょう。
○菅波政府委員 和田先生の御質問でありますけれども、私ども、昨の暮れの予算の要求のときにも非常に大きな問題となったわけなんであります。いろいろ制度上に問題がたくさんありまして、なかなかそう簡単にできないというようなお話も承っておるわけでございますけれども、やはり労働省としては割り増し金というものを何らかの形で一体考えられないかというような方向で検討していきたいと考えております。
○和田(耕)委員 これはひとつ大蔵省もいろいろ理屈はつけておられるけれども、要するにそれくらいの余裕がないということでしょう。そうじゃないんですか。余裕はあっても出さないということですか。
○梅澤説明員 余裕があるかというのは財源上のもっぱらの問題であるかというお尋ねでございますけれども、それは先ほど私が申し上げましたように、その財源の問題も一つございます。それからもう一つは社会保障制度全般、日本の社会保障制度の構造全般、これとの斉合性と申しましょうか、その側面にも問題がございまして、単に銭金だけの問題じゃないと考えております。 それから、先ほど先生から御指摘ございましたけれども、財産形成制度全般について大蔵省は反対であるかという御指摘でございましたけれども、私どもは毛頭そういうことは考えておりません。私が先ほどからお答え申し上げております点は、割り増し金というような構想に対して直接一般租税財源から負担する問題いかがかということについて議論しておるわけでございまして、財形制度全般について大蔵省が反対であるとか、財政当局が反対であるとか、そういう問題じゃございませんので、誤解のないようにひとつお願いしたいと思います。
○和田(耕)委員 誤解をしているわけじゃありませんけれども、この一つのアイデアが出たときには組合の諸君なんか非常に喜んだんですよ。特に同盟の諸君なんか非常に積極的にこれに対処しようとしておったんですけれども、今度の場合に、政府が知らぬ顔をしているという印象を持っておるわけですね。おまけに、あとから申し上げますけれども、財形貯蓄のこの制度に対して労働者諸君が非常に幻滅感を感じておるのは物価の問題ですね。物価がこういうふうになったということは政府だけの責責任とは申しませんけれども、政府が一番大きな責任がある。こういうふうなこともあって、もしこの制度そのものを政府が単に財政的な負担なしに、あるいは割り増し金という制度だけじゃありません、直接財政の負担なしにこの制度をやっていこうという態度であれば、これは私は問題だと思うのです。先ほどから申し上げておるとおり、今度の財政をつくるときにはいろいろ問題があって、緊縮しなければならない、できるだけ財政支出を削減しようという立場からであれば、これが主たるものであれば、これはわからないことなんです。今年できなくても来年、来年できなくても再来年、だんだん積み増ししていくという考え方もあるわけですけれども、いまの話を聞いておりますと、割り増し金という一つの例が出ておるんですけれども、そういう形の、政府自身が財政的な援助をするということは問題があって考えてないということになれば、これは私は問題だと思うのですけれども、労働省の担当の局長さん、いかがですか。そういう大蔵省の考えに対して了承しておるわけですか。あるいは不満なわけですか。
○渡邊(健)政府委員 私ども、いろいろなそういう問題があることは承知いたしております。また、社会保障の重要性というようなことも十分に承知をいたしております。ただ、社会保障という場合につきましても、その考え方がいろいろあるんではないか。たとえば国から与えられるものによって生活の確保をはかる、そういうことだけが社会保障であろうか。それによってすべての人が生活の確保を十分にはかることを期待するということはなかなか困難なことであるし、また必ずしもそれだけが好ましいことかどうか、こういう点もあるのではないか。やはり社会保障という場合にも、国から与えられるものと同時に、個々の国民がみずから努力する。それに国も援助をして、そうして自助努力と相まってその生活の確保、向上をはかっていくというものも、広い意味の社会保障と見てもいいのではないか。私どもの財産形成審議会等におきましても、勤労者財産形成政策と社会保障との関係につきまして、勤労者財産形成政策は積極的社会保障ともいうべきものだ。そしてそういういわゆる国から与えられる社会保障と両者を並行して推進することが、真に望ましい社会保障の実現を期することができるのだ、かような審議会の御意見もいただいておりまして、私どもはこれは全く傾聴に値する御意見、かように考えておりまして、プライオリティーが社会保障にあるから、それが充実するまでは財産形成に回すべきかどうかといったような観点だけでない考え方もあるのではないかと思います。 いずれにいたしましても、非常に財産形成政策というのは新しい制度でございますし、またいろいろな面との関連を持つ政策でございまして、各方面にいろいろな御意見がある、これは当然考えられることでございまして、将来の大きな私ども勤労者福祉政策の柱としておりますだけに、それらの点については、十分各方面の御意見を出し合って、そうして議論をたたかわし、意見の調整をはかって、政府部内においても一つのやはり意見の調整というものをつくり上げていく、こういう努力が必要であろうと考えております。
○和田(耕)委員 この制度に私ども注目したのは、政府の言明によると、社会制度の全部の体系が一応形としてはでき上がったのだというふうな認識を幾たびかのこの法律案の質疑のときに話があったのですけれども、現在この医療保険制度にしても、あるいは生活保護のいろいろな形のものにしても、不十分なことは事実です。事実ですけれども、つまり困っているから、貧乏だから、病人だからこれを救うのだということから、冒頭私申し上げたとおり、つまり労働者の社会的な地位を上げるというのか安定さすというのか、中産階級的なものに持っていくという段階は、かつての社会保障制度の段階から一歩抜けてきたということですね。ちょうどこれは日本の高度経済成長と見合ったかなり適切な制度だというふうに私は理解をしておるわけです。したがって、大蔵当局のおっしゃるように、もっと急ぐ問題があるということはよく理解ができる。当然それはやらなければならないけれども、新しい段階に向かって、その重要な芽に対しては、国もやはりそれらしい援助をしなければならないというふうな考え方がまともな考え方じゃないだろうか。社会保障の問題にしても、確かに救貧法的な状態からずっと進んできておる。権利として国民が受け取るという状態になってきておる。その段階からもう一歩抜けて、国民の平等の状態をつくり出していくというのがこの法案の持っておる一つの重要な意味だとすれば、財政当局も税金でいろいろ減免してあげるということだけでなくて、必要な財政援助をすべきである、私はそう思うのです。特にこの法案を拝見して、大企業の労働者の諸君は、いまの保険でも同じことですが、自分たちの金でもって、政府の金をそうたいして期待しなくてやっていけるのですよ。ところが中小零細企業の場合は、この法案でも見られるように非常にくふうはしておられる。おられるとしても、大企業の労働者とは著しい一つの差別がある、そう私は思うのです。つまりまっ先にそういうふうな人たちを大企業の労働者にできるだけ近づけるようなことに対しての援助というものは、これは個々の企業の経営者ではできないことです。しかもそれをやらなければ平等の原則に反してくる、そういう問題ですから、この中小零細企業で働く労働者の諸君に対して、大企業の労働者が受けるような財形の利益というものも当然国が援助して、そしてできるだけ平等な状態をつくり上げていくというのはあたりまえじゃないですか。その点いかがでしょう。つまり全般的に援助の問題は非常に困難であっても、中小零細企業の人たちに対してもっと国が援助をする。ちょうど保険制度でもそうでしょう。大企業のほうでは組合保険がある。政管健保というのが中小企業にある。政管健保に対して国が大きな援助をしておるという問題があるでしょう。それと同じような問題がこの問題でもありはしませんか。そういう点をひとつ御検討いただきたいと思うんですね。いかがでしょうか。
○渡邊(健)政府委員 確かに財産形成政策と申しますのは、先ほど申しましたとおり、勤労者の自助努力に対しまして国と事業主が援助をしていく、そしてその自助努力が実を結んで資産を保有し、長期的な生活の安定を労働者が得られるようにしていきたい、こういうことでございます。したがいまして、もちろん国ばかりでなくて、事業主も応分の負担をすべきだと思うわけでございますが、そういう場合に、先生御指摘のように大企業と中小企業に格差が生じないかどうかという点は、十分われわれ考えていかなければならない問題だと思っております。今回の財産形成基金制度等につきましても、私ども、そのもとになる使用者の拠出金、こういうものが大企業と中小企業に違いが出てぐるということも考えまして、現在、五十年四月を目途に、小規模企業の、これは基金ではございません、基金と同じ機能をいたします財産形成受益金契約制度でございますけれども、そういう制度をやる、小規模企業に対しまして助成金制度を設けることなどもいま関係省庁の間で検討を進めておるところでございまして、それらのことによりまして財産形成政策の推進につきまして、格差、こういうものができるだけ生じないような、そういうようなことも十分頭に置いて進めていくようにすべきものだと考えております。
○和田(耕)委員 五十年にそういう制度の頭を出していくということは理解できる。現に大企業の労働者諸君と零細企業の諸君は不平等があるわけです。このギャップは企業家に言ってもなかなかできないという実情がある。とすれば、こういう制度を政府が提起する場合には、中小零細企業の人たちも大体似通った援助を受けるようなことを考えないと、それこそ大きな問題になってくる。とすれば、そういう場面にとりあえず国が援助をしていくというのはあたりまえのことじゃないですか。いかがでしょう、大蔵省の主計官。
○梅澤説明員 ただいま労働省のほうから御説明がございましたように、当面中小零細企業——まあ中小と申しますか、むしろ零細企業の問題をどうするかということにつきまして、五十年度以降、どういう仕組みで、どういうものの考え方で、どういう方法でやるかということにつきましては、私ども、労働省と共通の課題として、この部分につきましては問題を受けとめております。
○和田(耕)委員 ぜひひとつ積極的にその問題を検討いただきたいと思います。そうでないとたいへんな不平等を政府みずからがやるということなんですよね。それは、この労働者なり企業家の自助、みずからの努力によるということは大事なことです。大事なことだけれども、それによって、企業の種類によって著しく変化が起こるということは、これを許してはいけないわけです。しかもそれを即刻やれということを言っているわけじゃない。できるだけ早くこの問題は労働省も大蔵省も念頭に置いて打開していくべき問題である、こういうふうに私は思うのですけれども、その問題についてはひとつ今後とも積極的な姿勢でやっていただきたいと思います。 もう一つの問題は、先ほどもちょっと申し上げたのですけれども、労働者の諸君が、今年度、この財形制度の問題に非常に期待していると初めは私は思っておった。ところがだんだんやっているうちに、あんなものはどうでもいいんだということを言う組合の諸君が非常にふえてきた。なぜかというと、いま言った、政府が担当すべき責任を果たしていないということが一つ。もう一つはこの物価ですね、この物価の問題が出てきておって、いま貯金なんてことをしたってという感じが非常に広く広がっておるわけです。この問題については、これは労働省に言っても大蔵省に言っても、一つの省で解決できる問題ではない。今後、いろいろと物価政策の問題について考えておられるのですけれども、私の見るところ、先進国らしい国で物価の問題に一番熱心でないのは日本だ、そういう感じがする。その一番大きな理由は、こういう制度がないからじゃないかということです。年金制度は去年できた。年金制度とかこういう制度があると、物価が上がってくるとたいへんだという感じを政府みずから持つわけです。しかし日本の場合は、それが非常に貧困なものだから、物価は少々上がっても、賃金さえ上がればいいのだろう——田中角榮さん、代表的な考え方ですけれども、そういう考え方が日本の社会保障制度そのものを非常にスポイルしている。つまり大蔵省の皆さんにもぜひとも考えていただきたい点は、こういうものを政府の責任でつくり上げるということが、政府あるいは国民が物価の安定ということを自分のこととして考えるようになるわけですよ。そうじゃないでしょうか。
○有松政府委員 経済企画庁物価局の立場で申し上げますと、物価が上がると、特に先ほど来、狂乱物価と言われますように、非常に異常な速度で物価が上がっておる、こういう状態は社会的にいろいろなひずみをもたらすということがいわれておりますけれども、その中でも、先生おっしゃいましたように、貯金の目減りというようなものは非常に大きな問題であるというふうに考えております。それからその貯金の目減りの問題ばかりでなく、年金の生活者あるいは利子で生活しておられる方、そういうふうな方にとっては非常に打撃が大きい、そういうふうな問題がございまして、そういう意味で、いろいろな面で社会的に不公正な効果が出てくる、これが物価高騰の非常な弊害ではないかというふうに考えております。そういう意味で、何はさておいても物価を安定させるということが一番基本ではないかというふうに考えておりまして、昨年来、総需要の抑制をはじめといたしまして、特に最近ではこれを補うという意味もございますけれども、個別物資の価格を押えるということも含めまして、物価の安定につきましてはただいま全力をあげて取り組んでいるという次第でございます。
○和田(耕)委員 狂乱物価という、まともな日本になって初めての経験で、非常に貴重な経験でもあるわけですけれども、こういうふうな状態にすると、せっかくわれわれが苦労しておる社会保障諸制度というものの内容が全く空疎なものになってしまう。今度の場合の財形がいい例ですよ。去年まで同盟の諸君はこの問題に非常に熱心だった。今年は、あんなものは和田さん、どうでもいいんだ、賛成しても反対してもいいんだなんということで熱がないのです。熱がないのは、いまの物価がどんどん上がっていくということに対しての政府の思い切った姿勢というものが感ぜられないということですが、そういうことがあっても、私はとにかくこの制度は必要だと思います。こういう制度をどんどんと積み重ねることによって政府みずからがあるいは国民みずからが物価という問題を真剣に考えるようになる。労働組合も物価の問題についてはあまり大きなことを言えない。どんどんどんどん高度経済成長をしていく、物価が少々上がっても賃金さえ取ればいいんだという感じが事実あった。いまでもまだあるわけです。それは労働組合を攻撃するよりは、そういうふうな日本の社会経済状態がそうさせるわけです。ドイツの労働者はそうじゃないです。やはり物価が上がれば年金の額は減る、あるいはこういう制度の額が減ってしまう、そのことをみずからの体験として知るからじゃないですか。そういう意味でこの問題については、特に物価との関連で政府ももっとみずからこういうことに対して本腰になることが、政府みずからが物価の問題をもっと真剣に考えるようになるということでございますので、ひとつぜひともこういう問題も御検討をいただきたいと思います。 きょう私、半時間ぐらいの時間しかいただいておりませんので、個々の問題について申し上げたいことが多々あるのですけれども省きたいと思います。 ただ一つ、財産形成基金制度の新設の問題ですね。これについて、いろいろな金融機関が入っているわけですけれども、生命保険の部類に農協というものをどうしてはめなかったのか。これは非常に強い不満があるのです。先ほど同僚委員からの質問があってお答えがありましたのであまりしつこくは申しませんけれども、これを省いたのはどういうわけですか。
○渡邊(健)政府委員 先ほども他の委員の御質問に申し上げましたように、今回の財産形成基金につきましては、七年間の基金運用中及び七年間の基金での運用が終わりまして労働者がそれから支払いを受ける場合に、いろいろな減税措置ということを講じております。特に七年間の運用につきましては、その間は一%の特別法人税だけを課する、こういう仕組みになっておるわけでございますが、税制上のそういう仕組み、税制上の恩典を受ける仕組みといたしまして、従来、適格年金あるいは調整年金、こういうものも同様の税制上の優遇措置を受けているわけでございますが、これらの従来の制度というのは、やはり信託銀行あるいは生命保険等の運用のものに限ってそういう税制上の優遇措置を受ける制度に相なっておりまして、同じ一%の特別法人税という税制上の優遇措置を講ずるために、従来からございますそれらの制度と同じたてまえをとったのでございます。確かに農協共済の生命保険というようなものも生命保険事業を行なっておりますけれども、従来のそれらの一%特別法人税を受けておる適格年金等々の制度におきまして、農協のこの生命共済というものはその運用対象になっておらない。したがってそういう制度の金融機関として従来取り扱われた前例になっておらないので、今回従来と同じそれらの制度を利用したということで、農協の生命共済はそういう前例がないということではずれておるわけでございますが、先生御指摘のように、そういうものを入れるかどうかという点につきましては十分検討すべき問題である、かように考えておりますし、私どもといたしましても、今後とも税制の主管官庁であります大蔵省の主税局等々と十分に検討して研究してまいりたい、かように考える次第でございます。
○和田(耕)委員 きょう大蔵省の主税局関係の方、お見えになっておりませんか。——お見えになってないね。これは大蔵省のほうでいろいろ問題があるということを聞いたんですけれども、やはりそうですか。どなたかいらっしゃらないか、きょう。
○渡邊(健)政府委員 私どもも、そういう問題が出まして、大蔵省の主税局といろいろ御相談をいたしておりますけれども、主税局のほうも税制上なお検討すべき問題があるものであって、いま直ちにはなかなかこれは困難である、こういうふうに私どもは主税局から聞いております。
○和田(耕)委員 よくわかります。金融機関としてのいろいろの部類があり、格づけがあるという、従来の制度を運用する場合のあれがあるということはわかりますけれども、こういう制度をつくる場合はやはり実際にやっておるということを中心に考えていかないと、ほんとうに形が優先して実のあるものが出てこないということになると思いますので、この法案をそういうふうに直すとしても、単に一つの機関を一つの部類の中へ入れるだけのことですから、私どももひとつそういう考えでもって今後努力していきたいと思いますけれども、各関係省のほうもぜひともひとつ御協力を賜わりたいと思います。 もう私の時間が大体過ぎたんですけれども、きょうはそういうことで申し上げたい幾つかの問題を端的に申し上げましたので、あまり長く質問するのも能じゃないので、このあたりでひとつ私の質問を終わりたいと思います。どうぞよろしくひとつがんばっていただきたいと思います。ありがとうございました。
○野原委員長 次回は、来たる十六日火曜日、午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後五時十八分散会