社会労働委員会 第11号
- 発言数
- 258 件
- 登壇者
- 22 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1974/03/26
会議録
○野原委員長 これより会議を開きます。 内閣提出の雇用保険法案及び雇用保険法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案を議題とし、順次その提案理由の説明を聴取いたします。労働大臣長谷川峻君。
○長谷川国務大臣 ただいま議題となりました雇用保険法案及び雇用保険法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 現行失業保険法は、第二次大戦直後の経済混乱を背景に深刻な失業問題に対処するため昭和二十二年に公布、施行されて以来、わが国の雇用失業対策の柱として重要な役割りを果たしてまいりました。しかしながら、この間に、わが国の雇用失業情勢は、若年者を中心に急速に労働力不足の傾向が進むなど基本的変化を遂げるに至っております。今後におきましても、長期的に見て、若年労働力を中心に労働力の不足基調は続くものと予想され、このような状況を背景に質的な意味での完全雇用の実現が課題となっております。 他方、その中にあって、わが国の人口構造の高齢化が進み、いわゆる高齢者社会へと移行するものと考えられますが、高年齢者の再就職問題の改善は容易ではありません。その他の心身障害者等特別の配慮を必要とする人たちの就職難も依然として残されております。 また、昨年秋にはアラブ諸国の石油供給削減の問題が突発いたしましたが、このようなエネルギー問題その他国際経済上の諸問題に基因して経済面の急激な悪化を見るようなことがあれば、雇用面においても深刻な事態を招く場合が生じましょうし、また、このようなエネルギー問題を契機に産業構造は一段と資源節約化、知識集約化の方向への転換が促進され、この面からも雇用に少なからぬ影響が生じるものと考えられます。 また、昨今、現行失業保険制度をめぐって、とみに、各種の問題が顕在化し、国民各層から種々な批判と要望が寄せられるに至っております。 このような経済社会の動向に適切に対処するために、現行失業保険制度のあり方について抜本的に見直すことが必要であると考えられましたので、昨年五月、学識経験者を失業保険制度研究委員に委嘱し、客観的、かつ、専門的な立場からの調査研究を依頼いたしました。同年十二月その結果が報告されましたので、その趣旨を全面的に尊重して、雇用保険法案要綱をまとめ、中央職業安定審議会、中央職業訓練審議会及び社会保障制度審議会に、それぞれ諮問いたしました。 この雇用保険法案要綱におきましては、前述のような今後の経済社会の動向を前提として、社会的公平の見地に立脚し、真に対策を必要とする人たちに思い切って手厚い措置を講ずることが必要であるとの考えに立って、すべての雇用労働者を適用対象とし、高齢者等就職の困難な層や低所得者に対し、就職援護施策の充実、全国的不況時における失業保障機能の強化、給付面における不均衡の是正等給付内容の改善、整備を行なうとともに、雇用の状態の改善、能力開発の推進などにより、質量両面にわたる完全雇用の実現への要請に積極的にこたえることができるよう、失業保険制度を改善発展させ、雇用に関する総合的機能を持った雇用保険制度を創設することといたしております。 各審議会におきましては、この雇用保険法案要綱について慎重な審議が行なわれ、それぞれ答申をいただきましたので、政府といたしましては、その御意見を尊重しつつ成案を固め、ここに雇用保険法案及び雇用保険法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案を提案した次第であります。 まず、雇用保険法案の内容の概要を御説明申し上げます。 第一に、この法律は、労働者が失業した場合に必要な給付を行なうことにより、労働者の生活の安定をはかるとともに求職活動を容易にする等その就職を促進し、あわせて、労働者の職業の安定に資するため、雇用構造の改善、労働者の能力の開発及び向上その他労働者の福祉の増進をはかることを目的とするものであります。 第二に、雇用保険は、この目的を達成するため、失業給付を行なうほか、雇用改善事業、能力開発事業及び雇用福祉事業を行なうことといたしております。 第三に、この法律は、零細企業の労働者はもちろん、従来から課題とされていた農林水産業の労働者をも含めて、すべての労働者に適用することといたしております。 第四に、これからの高齢者社会への移行等に即応して中高年齢者や心身障害者等の就職困難な人たちに、より手厚く、きめこまかな対策をとることといたしております。このため、給付日数についても、従来、被保険者期間の長短によっていた点を改め、年齢等の事情による就職の難易度により定めることとしており、また、保険給付の額については、従来、一律に前職賃金の六割としていた点を改め、低所得者層に配慮して上薄下厚の給付率を採用することといたしております。さらに、女子受給者等が出産、育児その他のやむを得ない事情により求職活動ができない場合には、受給期間を延長することといたしております。 第五に、全国的に失業情勢が悪化した場合には、一律に給付日数を延長する等失業保障機能を強化することといたしております。 第六に、農林水産業の適用に伴って、従来、問題とされてきた季節、短期雇用労働者については、給付と負担の過度の不均衡を是正し、これらの労働者の実態に即した制度とするため、失業保険金を三十日分の一時金にするとともに、これらの労働者を多数雇用する業種については、特別の保険料率を適用することといたしております。 第七に、日雇い労働被保険者については、その賃金分布の実態を勘案して、その給付及び保険料について、現行の二段階制をやめ、三段階制とすることといたしております。 第八に、現行の就職支度金にかえて、一定の常用就職の困難な人の常用就職を促進するため、三十日分の常用就職支度金を支給する制度を設けることといたしております。 第九に、以上のほか、高年齢者の雇用の促進や不況の際の一時休業に対する援助によって失業を防止するなど、積極的に雇用の改善をはかるための事業、生涯教育訓練の推進、有給教育訓練休暇制度の援助などによる労働者の能力開発の事業及び労働者の福祉のための事業を行なうことといたしております。 第十に、保険料については、一般の保険料率は現行の千分の十三の率を据え置きとしつつ、千分の十の部分は労使が折半して負担して失業給付に充てるものとし、千分の三の部分は使用者の負担として雇用改善事業、能力開発事業、雇用福祉事業に充てることといたしております。また、高年齢者の就職の促進と福祉の増進のために、高年齢者に関し、労使の保険料負担を免除することといたしております。 次に、雇用保険法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の概要について御説明申し上げます。 この法律案は、ただいま御説明申し上げました雇用保険法案の成立、施行に伴って必要とされる労働保険の保険料の徴収等に関する法律、労働保険特別会計法、職業訓練法、船員保険法、国家公務員等退職手当法その他の関係法律の規定の整備及び経過措置を定めたものであります。 これらは、いずれも雇用保険法案の附則的事項でありますが、立法技術上一つの法律案として整理することといたした次第であります。 以上、二法律案の提案理由及びその概要につきまして御説明申し上げました。 何とぞ御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げるものであります。(拍手) —————————————
○野原委員長 村山富市君外九名提出の最低賃金法案を議題とし、その趣旨の説明を聴取いたします。村山富市君。 —————————————
○村山(富)議員 私は、提案者を代表いたしまして、ただいま議題となりました最低賃金法案につきまして、提案理由並びに内容について御説明申し上げます。 申すまでもなく、最低賃金制は、制度ができた初めのころは、欧米資本主義諸国で、極度に窮乏化した一部の極貧層の労働者救済のための社会政策として、また資本家の側からは、産業平和や社会緊張緩和のための手段として採用されてきたのであります。しかし第二次大戦後においては、最低賃金制は労働者の最低生活保障のための統一要求として掲げられるようになっております。 本来、最低賃金制の目的は労働者の最低生活水準を保障することであります。現在労働者の最低生活費はほぼ全国同水準となっております。また学卒労働者の初任給水準も労働市場の需給状況を反映して格差は縮小しつつあります。 また最低賃金水準については、産業別、規模別の格差も縮小しつつあり、このような現状のもとでは原則的には全国全産業一律の最低賃金が設定されなければなりません。 今日わが国の経済情勢を見ますとき、工業生産は躍進し、社会主義諸国を別として、国民総生産は実に世界第二位の地位を占めるに至っています。 しかるに、わが国の労働者一人当たりの所得は、世界の中で依然として低位であります。すなわち、今日なお月五万円以下の低賃金労働者が膨大に存在し、このほか低い工賃のまま放置されている家内労働者は二百万世帯にも及んでいるのであります。一方、インフレの激化、独占価格のつり上げによって、低賃金労働者の生活はきわめて不安定となり、危機に瀕しています。こうした著しい生産と所得の不均衡を是正し、インフレ下に健康で文化的な労働者の生活を維持するに足る賃金を法的に保障することこそ最低賃金法の使命でなければなりません。 すでに現行法実施以来十年余になりますが、現在、中小企業労働者千三百万人のうち、圧倒的多数は日額二千円以下、月額に換算すると六万円以下という賃金になっております。しかも、この膨大な低賃金労働者の存在が、他の労働者の賃金にも悪影響を与え、今日のわが国労働者の生活を常に不安におとしいれているのみならず、法的最低賃金は、さらに米価の生産費に含まれる労働力の費用の基礎ともなり、農民の所得水準をも規制しているのであります。さらに生活保護基準、失業保険の最低額、失対賃金、国民年金とも関連し、低い国民生活水準のおもしとなっているのであります。まさに国民総生産世界第二位を誇るわが国の見せかけの繁栄を物語っていると申せましょう。現行最賃法では最低賃金制度本来の役割りを十分果たし得ないのはここに明らかであろうかと思います。 世界にも類を見ないインフレの驚くべき高進という重大な局面を迎え、いまこそ真の最低賃金制を確立することこそ国家の急務であります。 以下、法案の内容について御説明申し上げます。 まず第一に、最低賃金の適用方式は全国一律制にいたしたのであります。このことは特にわが国のように、産業別、業種別、地域別の賃金格差がはなはだしく、低賃金労働者が多数存在する状態のもとでは、それぞれの最低賃金を定めることは最低賃金制度の効果を半減せしめ、賃上げの足を引っぱることにさえなるからであります。 なお全国一律の最低賃金制の上に、労使の団体協約に基づいた産業別あるいは地域別に拘束力を持つ最低賃金の拡張適用の制度も積み上げることといたしました。 第二は、最低賃金の決定については、労働者の生計費(原則的には標準家族の必要生計費)と一般賃金水準等を考慮してきめることといたしました。 第三に、最低賃金の決定及び改正は行政委員会の性格を持つ最低賃金委員会に権限を持たせることとし、同委員会は労使同数の委員とその三分の一の公益委員をもって構成することといたしました。 第四に、最低賃金委員会は六カ月に一回、必要生計費及び一般賃金水準に関する調査を行ない、その結果を公表し、必要生計費が三%以上増減したときには最低賃金の改正を決定することといたしました。 以上、この法律案の提案理由及びその概要につきまして御説明を申し上げました。 今日までのあってもなきにひとしい無意味な最低賃金法に対する汚名をそそぐために、何とぞ慎重に審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いして、提案説明を終わります。(拍手) —————————————
○野原委員長 田口一男君外九名提出の労働基準法の一部を改正する法律案を議題とし、その趣旨の説明を聴取いたします。田口一男君。
○田口議員 私は、提案者を代表いたしまして、ただいま議題となりました労働基準法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由と概要について説明いたします。 申し上げるまでもなく、労働基準法は、憲法二十七条に基づいて制定されたものであり、憲法二十五条の生存権を労使関係の場で実現することを目的としております。すなわち、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を満たすべき労働条件で働くことができるように、労働条件の最低基準を定立したものでありまして、その基準の順守を使用者に対し厳格に要求する労働者保護法であります。あわせて、労働基準法が定立する最低の労働基準は、広く国際的労働基準と密接な関係を持っていることも御承知のとおりであります。 今日、わが国の生産力は、世界各国に類のない高度成長をなし遂げ、量的にも質的にも国際経済の中で大きな力を持つようになりましたが、このような高度の成長をもたらした要因は、わが国労働者がきわめて高い労働強度で、長時間労働をしいられて来たことにあるのであります。 その事実をよく示す証拠の一つに、労働基準法の違反事項件数はきわめて多く、労働省が発表したここ数年の数字を見ても、年間定期監督実施二十余万事業所のうち七〇%に及ぶ事業所の違反が摘発されているのであります。ちなみにその違反内容は、安全衛生、健康管理、労働時間、割り増し賃金、休日労働の順であります。それとうらはらに、労働災害や職業病が高度成長を遂げ、労災保険の新規適用者数は毎年百五十万人を数え、官公労働者を除く領域だけでも、労災による死亡者は年間五千人をこえているのであります。このことはつまり、大部分の労働者が安全基準に達しない危険な職場で、低賃金と長時間労働をしいられ、命と健康をすり減らしながら働いていることを如実に示すものであります。 とりわけ労働時間については、その長さを欧米諸国と比較した場合、昭和四十六年の製造業生産労働者の年間平均で、週実労働時間がわが国は四十二・四時間であり、アメリカ、西ドイツとは週五時間余の差があり、その他主要西欧諸国に比して週一・五ないし三・五時間程度長いのであります。また欧米諸国ではすでに一般化している週休二日制や、年次有給休暇の長期連続活用は、実質的内容から見るならばその普及の一歩を踏み出したにすぎない現状であります。 さらに、全産業にわたって女子労働者の進出は著しいものがあります。全労働者中に占る比率も三十数%に達し、いまや女子労働力を抜きにして日本産業の運営は不可能といえる程度に至っているのであります。その中で特に注目しなければならないことは既婚者が多くなり、その結果、いわば家事、育児と、職場の勤務を両立させていかなければならないという、精神的、肉体的により過重な負担を要求される立場の女子労働者が急増し、母性保護と健全な育児制度の確立が緊急の課題になっているという事実であります。 こうした現実を直視するとき、これまでの経済成長の成果を、これに貢献してきた人々に還元することは当然の要請でありますし、労働面について見ても、賃金所得への還元はもちろんのこと、労働時間等への還元も十分考慮し、労働者生活全般の福祉の向上をはかるべき段階に来ていると考えるのであります。 このことを換言すれば、わが国の労働条件を国際水準に引き上げていくことは、国民福祉の向上という内的要請にこたえることであるとともに、国際的な労働条件の確保を通じて、日本経済の姿勢を正し、国際経済社会との調和に資することにもなるのであります。 こうした考え方に立ちまして、週休二日制の採用、労働時間の短縮、坑内労働者、乗務員労働者等、危険な労働時間の大幅短縮、深夜業の制限その他労働条件の基準の改善をはかるとともに、女子労働者の特色に対応して、出産に伴う産前産後休暇の期間の延長、妊娠中及び産後一カ年を経過しない女子の解雇の禁止、育児時間の延長その他女子労働者の労働条件の基準の改善をはかる等の必要性はきわめて大きく、かつ急を要するのであります。 以上がこの法律案の提案理由とその概要であります。 何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたしまして提案説明を終わります。(拍手) ————◇—————
○野原委員長 労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川俣健二郎君。
○川俣委員 ただいま社会党から提案された労働基準法の一部改正にもあるように、基準法違反の七〇%の王者は労働災害、安全衛生である、こういうように訴えております。もちろん、労働省の重大な業務分掌の一つは労働災害であることは、論をまたないわけです。 そこで、まず基準局長に聞くのですが、一昨年に労働基準法十五カ条に盛られておる労働災害関係を抜き取って——百二十二条でしたか、細則、附則を入れると膨大な規則に改正した。そこで与党、野党を問わず、何で基準法から抜き出して安全衛生にかえるのだ、これが当然ながら、矢つぎばやに質問が出た。そうしたら、基準局長はとうとうと答えた。その審議は実に五回の委員会で、最後は全会一致で可決になった。そこで、先ほどの基準法違反の七〇%の王者が労働災害であるというように、私らは、この安全衛生法ができ上がれば災害がなくなるんだという、それこそ大きな期待で若干の不満を超越して、全員一致で可決した。 そこで、事務局のほうから、一体災害が減っているのか、昨年一年間の死亡なり重傷の件数がどのぐらいなのか、これをひとつ用意してもらう前に、基準局長からもう一ぺんおさらいで、基準法を安全衛生法に切りかえた——あのときの局長は、かなり哲学めいた信念をもって、安全衛生法に切りかえなければならぬということをわれわれに口説いた。ところがわれわれは、この安全衛生法ができれば災害がなくなるものだと思っているんだが、これはだまされたんじゃないかなというような感じもするので、あのときの提案趣旨の文句をもう一度、局長がずっとしゃべったやつを議事録六冊ばかり持ってきておりますが、ひとつおさらいでどういう趣旨であったか、御説明願いたいと思います。
○渡邊(健)政府委員 四十七年に、先生方がただいまおっしゃいましたように、労働基準法の中から安全衛生関係の規定を抜き出し、それを大幅に拡充いたしまして、労働安全衛生法を制定していただいたわけでございますが、なぜ安全衛生関係を基準法から抜き出して単独法にしたかという点につきましては、その御審議の際にも申し上げましたように、一つは、労働基準法というのは、直接の雇用関係にある個々の労働者と使用者の間におきまして、その使用主を規制する法律であるわけでございますが、安全衛生関係の対策を十分に行ないますためには、直接の雇用関係の規制だけでは不十分である。たとえば下請の労働者は下請の企業と雇用関係にあるけれども、その労働者の安全衛生を確保するためには、やはり元請をひっくるめた総合的な安全対策が必要である。あるいは、たとえば直接の使用主以外にも、リース業者といったように機械を貸し出しをしている、そういうところにも安全衛生上の義務を課するとか、あるいはさらには有害な物質などについては、その製造、流通の過程から規制をする必要があるといったふうに、直接の雇用関係のみにとらわれず、より広い面から労働者の安全衛生のための規制をする必要がある。それは、直接の労使関係の規制の立場をとっております基準法だけでは十分にできないという点が第一点。 それからもう一つは、確かに安全衛生を確保いたしますためには、個々の危害防止基準ということを事業主に守らせることがきわめて重要であり、それが基本であることはもちろんでございますが、安全衛生というのは、そういうような危害防止基準を順守だけさせればそれで災害が少なくなるかというと、従来の災害の発生状況から見ると必ずしもそうでない。安全衛生基準を使用主に守らせると同時に、やはり基準違反以外のことによっても事故がいろいろ起きておりますので、そのための指導あるいは安全衛生教育あるいは零細企業などにつきましては、安全衛生措置が十分に使用主がとれるような行政的な指導、援助、そういう幅広い対策を行なうことによって初めて災害防止というのは十全の効果をあげ得る。基準法というのはどういたしましても、法の性格からいいまして直接的な最低基準の規制が中心になるのでございますが、それ以外に、ただいま申しましたような幅広い総合的な安全衛生対策を実施するためには、もう少し広い立場に立った立法の措置が必要である、法制の整備が必要である。こういうことで安全衛生法を基準法から抜き出しましてつくりまして、直接の雇用関係にとらわれないより広い立場に立った、使用者以外の者に対する義務づけも含めた規制を行なう。それから最低の危害防止基準はますます明確にいたしてまいりますが、それと同時に、安全衛生教育あるいは安全衛生に対する指導あるいは援助、こういった幅広い総合的な安全衛生対策を展開していく、こういう観点から、独立の安全衛生法という体系をつくったわけでございます。
○川俣委員 そのとおりだと思いました。結局基準法では、直接雇用しておるという関係だけをうたうのでは、簡単にいえば、いまの世の中は下請の下請の安手間で働く労働者をさがし求めるという状態、これが今度雇用保険法でいじめられる、出かせぎもそのとおりなんだ。 そこで、法の網の目から落ちる労働者はどうやって救うかというところから——労働安全衛生法というのは、法律をつくっただけじゃいかぬよ。問題は、行政指導監督を滞りなくしなければ、この法律のつくった意味がないよということで、お互いに、提案者も、受けるほうも、合意の上で全員一致で可決した。 そこで、それでは一体、一昨年でき上がって、昨年その効果が出たと思うのだが、全国で死者、重傷者、この二種類だけでもいいですから、それが安全衛生法ができて一年間、まるまる過ごしたわけだが、その前といまと、それからこれから先の傾向を、ちょっと数字を示してみてくれませんか。
○渡邊(健)政府委員 労働災害の発生の状況につきましては、昭和四十五年ごろまでは、年間に新規に発生します労働災害が百六、七十万件、それによって死亡される労働者は、過去ずっと六千人台を続けておったわけでございますが、四十七年には、労働災害の発生総件数は百四十万件、死亡者は五千六百人ということに相なっておるわけでございます。昨年、四十八年につきましては、まだ四十八年全部の集計が済んでおりませんけれども、死亡者はさらに若干減りまして、五千四百人ということに減ってまいっておりますし、労働災害発生総件数も、大体前年横ばいのほぼ百四十万件程度におさまっておるものと推計をいたしております。まだ最終結果は出ておりません。 四十八年は、前半は産業活動が非常な活発な状況にございまして、普通でございますと産業活動が活発なときには災害がふえるわけでございますが、そういう中で総件数は約横ばい、死亡労働者は若干減少しておるということは、災害の発生率等から見ますれば、やはり従前から見て改善が進んでおるものと私ども考えておるわけでございます。しかしながら、決してこれで十分だと考えておりませんで、今後とも一そう災害の大幅な減少を期してまいりたいということで、昨年、災害防止五カ年計画を立てまして、五カ年間に三割の災害の発生を減らそうということで、努力をいたしておるところでございます。
○川俣委員 災害の件数が減ったというのは私も認めるのですが、ただ非常にふえている段階と減っている段階とある。簡単にいうと、元請の業者の場合は減っておる、下請に行くほどふえている。 一つの例ですが、電電公社さん来ておりますか。まず、電電公社さんは、一体いま電電工事に従事しておる労働者の数と、それから昨年一年間の死亡者と重傷者、これをあげてみてくれませんか。
○中久保説明員 お答え申し上げます。 ただいま先生御質問の電電関係の建設工事で従事している職員数、これは私ども、御承知のとおり、請負業界で大部分の建設工事をやっておりますが、そこの従業員数は、四十七年度末のデータによりますと、元請——私たち認定業者と契約をやって工事を進めておりますが、その認定業者の技術者の数は三万六千人ということになっておりまして、それが一般建設業の慣例といいますか、それにならってやはり下請を使って仕事をやっておりますが、その下請の従業員の数が四万六千、合わせまして八万二千の職員というのですか、技術者が工事に従事しておるわけでございます。 そこで第二の御質問の事故の件数でございますが、はなはだ遺憾でございますが、昨年当委員今でいろいろ御指摘、御批判を受けましていろいろな対策を講じておりますにもかかわりませず、依然として事故が続いておりまして、四十八年度、これは暦年ではございませんで、四十八年の四月から現在に至ります死亡者の数でございますが、これが不可抗力の事故も含めまして、五十七人ということになっております。この中には、適切な保安設備をしておったにもかかわりませず、わき見運転あるいは酔っぱらい運転等で飛び込まれたという事故九件を含んで、五十七件という状態になっております。いろいろ先ほどお話もございましたように、災害は絶無を期さなければいけませんので、鋭意あらゆる手を用いて現在、安全対策を遂行中でございます。
○川俣委員 とり方ですが、ことしに入ってから、四十九年の正月以来四十九年の三月七日まで、正月も休みなんだから、まるまる二カ月間の間に不可抗力を除いて十三人の死亡というように、私、数字を持っておるのですが、これお認めですか。
○中久保説明員 お答え申し上げます。 私どものほうで報告を受け、調査いたしました数字は多少違っておりますが、不可抗力が二件ございまして、一月以来現在までの段階で発生いたしました死亡事故がそれを含めまして十四名ということになっておりまして、それを除きますと十二名ということになっております。私のほうでは警察等でこれは不可抗力と認めたものというものを一応除きますと、十二名というかっこうになっておるわけでございます。
○川俣委員 そうしますと、私の言ったその十三名の死亡者のあれを、非常に事こまかく資料をおたくが出してくれましたが、まず一番早い人は——ことしに入ってからですよ、四十九年の一月十一日に死亡、それからこのデータの一番最後は四十九年の三月七日死亡。ですから、ちょうど二カ月間の間に十三人死亡した。 そこで問題は、基準局長と私とのやりとり、この委員会で安全衛生法を通したときのやりとりは、問題は元請の災害というのは除外する方向にできるのだということなんです。この十三人を一つのサンプルにしてたいへん恐縮なんだが、十三人のうち天下の電電公社がつかんでいるという元請の死亡者は一体、何人か。元請の死亡者は十三人のうち四人ですか、あとは下請なんです。そうすると非常に問題を含んでおるのは、この元請は認定業者なんですな。下請は認定業者じゃないんだね。どうなんです。
○中久保説明員 お答え申し上げます。 先生いま御指摘のように、元請の死亡事故は約三分の一でございまして、元請業者と申しますのは、御指摘のように認定業者でございます。先生十分御承知かと思いますが、電気通信設備の建設工事というものは、ほかの工事と違いまして非常に複雑、高度な技術を要するわけでございます。したがいまして、工事中にちょっとした過誤がございましても通信がストップするというようなことになりまして、そのために業者の工事能力とかあるいは技術能力、経営能力あるいは業者の信頼性とか、そういったものを十分審査いたしまして認定をやっておるわけでございます。その認定を受けた業者が元請ということになります。先生御指摘のとおりでございます。
○川俣委員 私あまり知らないから教えてくださいね。 結局、八万二千人で電電工事を受け持っておる。そのうち三万六千は認定、四万六千は無認定。事故を見ると認定のほうは四分の一、それから認定されないほうの事故が四分の三、こうなんだ、基準局長。これは認可制なんだろうか登録制なんだろうか。業者の四万六千というのはどうなっているんでしょうか。
○中久保説明員 お答え申し上げます。 ただいま私、先生の御質問にお答えいたしました工事能力、技術能力等をいろいろ審査いたしまして認定をやっております会社が、これは現在六十九社ございますが、これが認定業者でございまして、それがいま先生御質問の技術者が三万六千、四十七年度末でかかえておるということでございまして、あと四万六千という業者は、その認定業者が下請として使っておるいわば協力会社とでもいう会社でございまして、これらに対しましては、私ども毎年一回認定業者から、自分たちが年間に使いますそういった下請業者の事前届け出をしてもらいまして、それで公社が承認するというようなことをやっております。またそれらの非認定の下請業者に対しましては、下請の管理を十分やるように、しかも継続的に、しかも永続的に使うというようなことで、管理をしっかりするというような措置を講じておるところでございます。
○川俣委員 そうすると基準局長、安全教育をやるとか財政的な援助をやるとか融資をやるとか非常に金がかかる。そこで災害に対しては共同体制でやる、これが目玉だった。いま公社のほうでは、下請というよりも協力体制だ、こういうのであります。だとすれば、安全体制は一本だと私らは思っていいんじゃないかな。八万二千人は安全体制から見ると一本だ、こういう考え方でいってどうだろうか。
○渡邊(健)政府委員 先生御指摘のように、労働安全衛生法では、元方事業者は、関係請負人及び関係請負人の労働者に対して、安全衛生法またはこの命令に基づく規定に違反しないように、必要な指導を行なう義務を二十九条で課しておりますし、さらに元方事業者は、下請業労働者と同一の場所で仕事が行なわれるような場合には、協議組織を設けてそれを運営する、あるいは作業間の連絡調整を行なう、あるいは作業場所を巡視する、あるいは安全衛生のための教育に対する指導及び援助を行なう、その他災害防止に必要な事項を行なうべき義務を三十条で課しておるというように、元方事業主に下請業者も含めました総合的な安全体制の責任を課しておるわけでございまして、先生おっしゃるように、そういう意味におきましては一本のものであるというふうにお考えいただいていいと思います。
○川俣委員 そうだとすれば、電電公社が八万二千人を災害から安全管理しているという体制でなければだめだ。それでなかったら仕事にならないですよ。認定されない業者が協力会社だと公社さんはおっしゃるが、この問題は建設業法との関係があるようだから、また日を改めて伺います。 それでは、まず安全対策の問題だけを取り上げると、八万二千人のほうに電通共闘という労働組合団体がある。この電通共闘という組織は公社はお認めになりますか。
○中久保説明員 ただいま先生の御質問の電通共闘でございますが、これは御承知かと思いますが、全電通労組を主体といたしまして、国際電電労組あるいは電済労とか通信建設関係の労組などで構成されている団体でございまして、主体が全電通労組でございまして、私たちも電通共闘という組織は認めております。
○川俣委員 これから積極的に労働省が安全管理、行政監督に入っていく、こういうことが附帯決議にも入っているんだが、そうしますと、労働省は、八万二千人の工事、特にさっき示したように二、三カ月で十三人死んでいるという、天下の電電公社の工事に対してどういう体制で入っているのか。一体どなたが行っているのですか。基準局長みずから行っているのですか。
○渡邊(健)政府委員 確かに先生御指摘のように、電電公社につきましては、下請を含めまして災害がいろいろ発生いたしております。まことに遺憾なことでございまして、私どもは労働安全衛生法に基づいて、先ほど申し上げましたような元請業者としての総合的な安全衛生管理体制の確立、安全衛生教育の実施等々について監督指導をいたしておりますとともに、電電公社につきましても密接な連絡をとりまして、適切な工期、工法の設定、安全な施工方法の開発その他の御指導をしておるわけでございますが、そういう下請も含めました総合的な安全衛生対策の推進という意味におきまして、電電公社では昨年、電気通信設備建設工事安全対策審議会というのをお設けになりまして、公社側からの委員、それから組合側からの推薦された委員、もちろんこの中には全電通だけではなしに、電気通信産業労働組合共闘会議からの方も出ておられるわけでございますが、それに業界あるいは労識経験者、こういう方も入られまして、元請、下請を含めた総合的な安全体制を推進しようということで検討をしておられるわけでございます。労働省のほうにおきましても、これと密接な連携をとるとともに、さらに電電公社の要請を受けまして、私どものほうの安全衛生部長を学識経験者の一人といたしましてその審議会に参加をさせまして、その中におきまして具体的な安全衛生対策の樹立、推進に側面からも積極的に協力しているわけでございます。
○川俣委員 昨年、マンホールのふたが飛んだ、酸欠だ、あれで大騒ぎをしてやった。隣にすわっている方が安全衛生部長だと思うのですけれども、八万二千人の安全を、労働安全衛生法をもって、単なる学識経験者じゃなくて、労働省が積極的に行政監督をするという約束の人なんです。その人がいまちょうど安全衛生部長なんです。ですから、せっかく電通共闘というものを労働者側の団体として認めて、中央に安全対策審議会をつくっておるとすれば、事故が起きるのは東京じゃなくて地方だから、工事現場だから、地方にもそういう組織をつくるようにこれから行政指導をやってほしい、このことを私はお願いしたいんだけれども、どう思います。
○中久保説明員 お答え申し上げます。 先ほども申し上げましたように、当委員会はじめ幾つかの委員会で、私ども昨年の建設工事の人身事故で御指摘を受けまして、いま基準局長さんおっしゃいましたように安全対策審議会を本社につくったわけでございます。その際、私ども、地方には支社的な存在として通信局というのがございますが、そういったところでも工事をたくさんやっております。そういった地方につきましては、地域の実情に応じて本社の審議会に準じたものをつくっていこうというような取りきめをいたしまして、すでに九州ではそういう組織ができておりまして、いろいろ会合を重ねて、安全対策について鋭意推進しておるところでございます。そのほかの地方におきましても、徐々にそういった連絡会等を設けてきておるという機運になっておる次第でございます。
○川俣委員 近く労働省のほうから労働者災害補償保険法が提案されるから、ひとつそれまでに八万二千人の労使統一の安全対策の委員会をつくって本腰でやるという体制を見せていただけませんかね。 それから、さっき公社のほうで、八万二千人のうち四万六千人は元請の協力団体だということですが、その協力団体は元請から直接、同じ立場でずっと一列横隊に並んだ下請協力団体なのか、それとも縦の状態になっておる下請組織なのか、その辺をぜひ公社にお願いしたい。いまは時間がありませんから。 それから、建設業法で禁止しておるいわゆるまる投げ方式、このまる投げ方式はかつては非常に多かったけれども、電電公社の近代化によっていまはなくなったものだろうかどうかということが一つ。 もう一つは、電電公社の一年間の電電工事は一体どのくらいで、元請と下請の利益配分、ピンはね、これがどういう状態になっておるか。 これをひとつ、この次の労働者災害補償保険法の提案までにぜひ資料としてお願いしたいと思います。 そこで、また労働基準局長に質問したいのですが、労働安全衛生法をつくるときの特徴の一つに、使用者ということばを事業者ということばにかえて、この論議がかなりやられた。事業者と使用者とどう違うか、こういう論議を思い出して、一体十三人の死亡というのは電電公社の総裁の責任だろうか、元請会社の社長の責任だろうか、末端の工事会社の社長の責任だろうかという論争とからんでこれから問題になると思うんだが、その際に、どうも基準局長の御説明は——どなたでしたかということを思い出していただいて、いまの場合はどなたが責任者なんですか。
○渡邊(健)政府委員 安全衛生法におきましてはいろいろ災害防止上の責任を事業者に課しておるわけでございまして、基準法では使用者といっています。この違いは、法案の御審議のときにも申し上げましたように、使用者というのは、その事業においてそれぞれ基準法上の義務について責任と権限を持っておる者ということで、何段階もあるわけでございます。会社の社長ももちろん使用者でございますが、同時に、一定の労働条件について決定の権限を工場長が持っておるとすれば、それも使用者ということになりますし、それぞれの権限に基づきまして何段階もあり得るわけでございます。事業者というのはその最終的な責任者ということで、責任の所在を明確にするという意味において事業者ということにしたということを申し上げたわけでございます。 なくなられました十三人の方については、個々の場合によると思いますけれども、それが元請業者の労働者であれば、その元請業者、そのものが株式会社であればその社長が事業者になりますし、下請会社の方であれば、その下請会社の社長が事業者になるわけでございます。
○川俣委員 これは、公明党さんの質問にもよく答えてくれておったようですが、かなり論争があるんだ。あのとき安全衛生法を通してもらいたいという苦しみから答弁をされたのかしらぬけれども、どうもこの労働安全というものに対する責任体制は——八万二千人で日本の国の電電工事をやっているんだ。その電電工事をやっている親方は電電公社の総裁である。だとすれば、あなたのずっと関連した答えからいうと、この死亡の責任は電電公社の総裁にあるやに思われる。これはこの次までに論争取っておきます。そういうようなあれがかなりあるのですが、これはきめつけるわけにはいかないんだけれども、検討は要する問題だと思うんだが、いかがですか。
○渡邊(健)政府委員 もちろん個々の場合をしさいに検討してみませんと最終的に申し上げられませんけれども、安全衛生法では発注者についてもいろいろな規則をいたしておるものがございます。もしそういう点について安全衛生法に違反することがあれば、その発注者としての責任もあるわけでございますが、先生御指摘の十三人の方々について、電電公社側にそういう発注者としての責任があるかどうか等につきましては、個々に詳細に事情を調べてみませんと、私もこの場で一がいにどうということは申し上げかねる次第でございます。
○川俣委員 時間がありませんから、これはこの次にしますけれども、この労働安全衛生法を労働基準法から抜き出してつくるという考え方は、直接仕事を請け負っている者の労働災害の行政監督はできるんだが、下請けの労働災害のあれはできないから労働安全衛生法にかえるんだという趣旨の一貫があった。それからいうと、個々の具体的な問題を取り上げなければ何とも言えないという基準局長のお話だが、労働安全衛生法をつくるときの思想からいうと、どうやら電電公社の総裁はこの責任の一端を免れないという思想が貫かれておる。これはこの次まで論争預かっておくからひとつ基準局長のほうも……。 そこで、問題は安全体制を確立するという問題だが、もし万が一に災害が起こった場合、死亡した場合、いま千日分プラス特別補償、この特別補償というのが、いま元請の人のほうは七百万取っているんだそうですが、千日分プラス七百万、それは認定業者。ところが、電電公社がいう協力してくれるという業者の労働者が死んだ場合はそれの二分の一だと、こういう。これはいいんだろうか。この考え方で災害補償保険法を提案するわけですか、どうです。
○渡邊(健)政府委員 電電公社は、元請と下請を問わず、これらの建設工事の方は労災保険は強制適用でございますから、皆さん労災保険に加入されておられるわけでありまして、労災保険のそういう災害補償というものは、法律に従いまして一様に行なわれるわけでございます。 先生がおっしゃいましたのは、その上の企業内の上積みの問題であろうかと思うわけでございまして、企業内の上積みをどうするかということば、労働条件の一環といたしまして、それぞれ使用者と労働者あるいは労働組合が、協約あるいは協定等によって取りきめがされておるわけでございます。したがいまして、その間に企業によって差が現実には生じておるかと思うわけでございます。私ども、そういうことのために、ある企業は非常にたくさん出るがある企業は全く出ないといったような現実のいろいろなアンバランス、それは好ましくないというふうに考えますし、また今日の社会情勢のもとでは、やはりできる限り手厚い災害補償ないしは保護をして差し上げるべきだという考えから、今国会に労災保険法の一部改正案を提案いたしまして、死亡をされた方についても遺族補償等の引き上げをはかりますとともに、さらに保険施設として、特別支給金等も死亡された場合には一律に百万円ということで保険から出すことにいたしたわけでございます。 そういうことによりまして、最低の必要なものにつきましては、労災保険に加入されている方については一定の基準に基づきまして同一の補償を行なうことになっているわけでございますが、それ以上の上積みになりますと、これは労働条件でございますから、労使の話し合いによって内容がきまってくる。場合によると、その取りきめによっては違いが出てくるという場合があり得るわけでございます。
○川俣委員 その金目のことは、企業の労使の問題に入るべきかどうかという疑問があると思うのだけれども、そうじゃなくて、労働災害というのは、起こさないほうに指導すべきだ。したがって、このような下請、下請を使うというのは八万二千人が打って一丸となって電電工事をやるんだという考え方に立てば、労働省はやはりそういう行政指導を強く打ち出して、同じ仕事をして元請の労働者がこっちのレールを持っている、下請の労働者がこっちのレールを持っている、同時に死んだ、こっちは七百万、こっちは三百万、これでいいのかどうかというところをきめこまかくやらなければ、労働対策というものはできないのだというところに、この前の労働安全衛生法を通過させた趣旨があったわけであります。ぜひその点を要望しておいて、私の質問を終わります。
○野原委員長 村山富市君。 〔委員長退席、斉藤(滋)委員長代理着席〕
○村山(富)委員 特に時間もありませんから、頸肩腕症候群の問題にしぼってお尋ねしたいと思うのですが、頸肩腕症候群という疾病はどういう職種あるいは職業に主として起こりやすいのか。なおまた、現在まで業務上疾病としての認定件数がどれくらいあるか、認定した数はどれくらいあるか、そういうことについておわかりであればお知らせいただきたいと思います。
○渡邊(健)政府委員 頸肩腕症候群は先生も御高承のように、主として手指を使います作業に従事いたします者に多く出るわけでございまして、従来、一番これが多く出ておりますのはキーパンチャー等でございますが、最近はいろいろ技術革新、労働態様の変化に伴いまして、それ以外のいろいろな方面にも出ております。たとえて申しますと、最近問題になりましたのはスーパーなどのレジを打っておりますチェッカーなどにおいてもやはり同じように手指を使いますために相当出ております。あるいは電話交換手の方等々にもそういう疾病にかかられる方が出ておるというふうに承知をいたしております。 どのくらいの人が出ておるかということでございますが、これは労災保険で支給いたしておりますもの、疾病別には悉皆の統計をとっておりませんけれども、本省でわかりますのは、休業八日以上の補償を行なった件数だけでございますが、そういう休業八日以上の補償を行なったような方、頸肩腕症候群でそういう補償の受けられました方は、四十七年度で新規にそういう補償を受けられました方が二百十七件と相なっております。四十八年度分につきましてはまだ最終的な結果が出ておらないわけでございます。
○村山(富)委員 頸肩腕症候群という疾病の起こりやすい職種というものは大体限定されるわけですね、手指なんかを使う職場と。そうしますと、そういう職場に対して、そういう疾病が発生しないような防止対策といいますか、そういう指導はどういうふうに現在までやっていますか。
○渡邊(健)政府委員 確かにこういう疾病につきましては、補償もさることながら、起きないようにすることが一番重要なことでございます。そこで私どもは、こういう頸肩腕症候群等が問題になりました当初から、その予防につとめておるわけでございまして、キーパンチャーにつきましては、三十九年に作業管理基準というものを出しまして、作業についての一定の基準を設けて、それが発生しないように指導をいたしております。さらに先ほど申しましたように、近年スーパーのレジスターを扱っておるチェッカー等にそういう者が多く出ておるという現象にかんがみまして、昨年の三月にはこの金銭登録機作業につきまして、指導要領というものを定めまして、防止対策の指導をいたしておるわけでございますが、これら作業管理基準や指導要領におきましては、作業時間を規制する。これは一日そういうキーなりあるいはレジスターなりを打つのは五時間以内にする、あるいは作業時間は六十分やれば十分ないし十五分の休憩を置くようにといったようなことで、作業時間の規制あるいは作業環境の改善あるいは健康診断の実施等をこれらの作業管理基準や指導要領によりまして定めまして、それを事業主に励行させることによって、こういう疾病が起きないようにつとめておるところでございます。
○村山(富)委員 いま労働省のほうから、主として頸肩腕症候群が発生しやすい職種、同時にそういう職場に対する管理基準とかあるいは時間の規制、環境の改善、健康診断といったような面で指導がなされておるという説明があったのですけれども、こういう労働省の指導を受けて郵政省は、郵政省の中には電話交換や窓口会計機なんかを扱う職種があるわけですけれども、具体的にそういう職場に対して、いま労働省から説明があったような時間の規制とか、あるいは環境の改善とか健康診断とかいったようなものについて、具体的にどういう指導をやっていますか。
○仲松説明員 ただいまお尋ねの件にお答え申し上げます。 郵政省としましては、せん孔作業に従事する職員につきましては定期健康診断をやっております。そのほかに年三回臨時の健康診断を行なっております。それから電話交換職につきましては、夜勤回数の一定数以上に達します者につきまして、臨時の健康診断を行なうことといたしております。その際問診等を行ない、罹患の疑いのある職員につきましては専門医の診察を受けるよう指導していくことといたしております。また、頸肩腕症候群は比較的新しい病気でございまして、昨年部内の医師の研究会を開催いたして勉強いたしているところでございます。今後とも関係の向きの御指導をいただきながら、郵政省としては研究を重ねていくという考えでございます。 また、具体的に職員に対しましては、特別な体操を奨励いたしますとか、あるいは健康管理医とキーパンチャーとの座談会、講習会等を開催しております。さらに作業方法でございますが、せん孔作業量を軽減したり、あるいは担務がえを実施したり、また混合服務等、服務形態の改善、窓口会計機でございますけれどもこれの新型の開発ということを検討いたしております。 それから郵政省におきましては、ただいままで主としてキーパンチャー、この方々が症候群にかかるケースが非常に多うございましたけれども、最近電話の交換手も若干出てまいりまして、そういったことと、それから窓口会計機を扱っている職員にもそういう声がございますので、今後の対策としまして、できるだけすみやかに、できれば四月からでも、こう思っておりますけれども、その窓口会計機取り扱い職員あるいは電話交換職を対象に部内の医師による実態把握をまずいたしたいと思います。これはまだはっきり構成がきまっておりませんけれども、あるいはプロジェクトチームになるかもしれませんけれども、いずれにしましても早急にこういった調査、これはきわめて学術的にこれを調査して対策を実施していきたいというふうに考えております。
○村山(富)委員 こういう問題は抽象的な一般論ではなかなか解明できませんから、私は具体的な事実に基づいて、郵政省がどういう姿勢で取り組んでおるかということについて若干お尋ねしたいと思うのです。 これはすでに地元の新聞なんかにも相当報道されておりましたし、現に郵政省からも中央医師団が派遣されておりますから、よく承知をしていると思うのですけれども、香川県の吉野郵便局に局長以下十二名の局員がおる。そのうち八名の人が頸肩腕症候群になっておるという事実は承知しておりますか。
○仲松説明員 ただいま御指摘の点でございますけれども、香川県の吉野局におきまして、これは御指摘のように十二名でございます、去る一月の五日に八名の職員から診断書が出てまいっております。それで、この診断の内容は頸肩腕症候群二名、もっともこれは診断された医師が二人おりますので若干違うところがありますけれども、頸肩腕症候群を一人の医師は二名と診断しております。もう一人の医師は四名と診断しております。 まず最初の医師のほうを申し上げますと、頸肩腕症候群二名……。
○村山(富)委員 あとまた中身のことは聞きますから知っているか知っていないか、それだけ言えばいいのです。知っていますね。——そうしますと、これは事実関係をしっかり踏まえておかぬと食い違いがあるといけませんから、事実の確認をしようと思うのです。 この局の定員は十二名で、共通庶務主事が一名、為替貯金主任が一名、郵便電信電話係が八名、電報配達要員が一名、こういう定員配置になっておったことについて間違いありませんか。
○仲松説明員 先生御質問のとおりでございます。
○村山(富)委員 そこでその職場の実態ですけれども、電話交換台が二台あると思うのです。これに加入者二百六十を詰め込んでいる。さらに現在まで十加入がふえて現在は二百七十となっておる。その上有線放送が千五百加入しておる。さらに多数二共同電話までがぶら下がっておる。したがって最繁時は一時間に二百回以上の交換作業が行なわれている。そして三時間から四時間ぶっ続けで交換がさばかれている。こうした職場の事実については認めますか。
○碓田説明員 お答えいたします。 先生御指摘の電話加入数等につきましては、私のほうでつかんでおります電話加入数は二百五加入でございます。これは四十八年十二月現在の加入数でございまして、これはただいま御指摘のように単独加入が百六加入でございます。それから二の共同加入が三十五、三以上の共同加入が五十四、それからただいま御指摘のありました有線放送の電話回線が十回線でございます。これが端末の加入者数は約千五百加入でございます。御指摘のとおりでございます。 それからコール数、呼び数でございますが、これは私どものほうで最近調査をいたしました結果によりますと、一時間平均当たり八十三コールというデータが出ております。それからなお最も忙しい時間帯におきますコール数を当たってみますと、これが一時間当たり百四十一コールという数字が出ております。この調査は四十九年の一月二十一日及び二十二日の両日実施をいたした結果でございます。
○村山(富)委員 これは農村のほうの局ですから、ですから使用する時間が集中するというようなこともあり得ると思うのです。したがって具体的に私が調査したのとあなたが調査したのと若干の食い違いがあるけれども、しかしそこらはともかくとして、いずれにいたしましてもこういう職場の実態の中から、これは局長も含めて交換台二台を増備してくれあるいは定員を四名ふやしてくれ、そうでなければ健康は保てぬ、こういう意味の要求が再三再四郵政局に出されておった事実は承知しておりますか。
○碓田説明員 ただいま御指摘のように交換台をふやしてほしいという要求が出ておった事実は承知いたしております。
○村山(富)委員 そうした職場からの局長まで含めて、現場の状況を認めてこれではいかぬというので切実に要求している。その要求になかなか郵政局はこたえてくれないというような事情から、職場にこういう現実が起こっています。たとえば肩こり、腕の痛み、しびれ、頭痛、立ちくらみ、吐き気などを訴え始め、交換作業中無意識にコードを落としたり家庭生活でも茶わんを重く感じる、タオルは十分にしほれない、子供はうまく抱けないなどの症状が出てくるようになった。聞くところによりますと、郵政省は交換業務などを扱う職員については年に一回の健康診断をこれは六月にしているわけですね。それから十月には特別健康診断を実施しておるようです。ところが吉野局の場合にはいろいろな手違いや事情があって、四十八年度には三回健康診断が行なわれた。職員は健康診断のたびに具体的に症状を訴えておるわけですね。だけれども診断に当たった高松逓信診療所長は、三回とも特別の異常は認めない、こう言ってビタミン剤や頭痛薬を与えただけだ。しかも、通常考えられる定期的な健康診断なんというものは、ややもすると事務的、機械的に流れ作業的になって、十分の問診も行なわれないというので、ほんとうのことがなかなかつかめないのではないかということが一つと、しかも頸肩腕症候群というような症状は、これは整形外科が専門ですね。ところが診療所の所長は内科である。内科である人が異常がないときめつけて、そして単にビタミン剤や頭痛薬だけを与えて、それで済ますといったような健康診断のやり方がいいのか悪いのかといったような問題についてどういうふうに思いますか。
○仲松説明員 先生御質問のとおり頸肩腕症候群という病気は新しい病気でございまして、あるいは診療所長が内科の先生では十分じゃないかもしれません。しかし私どもは全国的な規模におきまして毎年健康診断をやっているわけでございます。先生の御指摘になる趣旨もございまして、部内医師に研修会あるいは勉強会、頸肩腕症候群につきましての勉強会を目下やっておるところでございまして、新年度からなお強力に教育訓練していきたいと思います。
○村山(富)委員 私はいま具体的な事実に基づいて一般論を聞いているわけではない。具体的な事実を聞いているわけですから、それだけに答えてください。これはいま十分でないということは認められましたね。そこでこういう健康診断を受けて、しかも健康診断のたびに訴えるけれども、異常はないといって片づけられて聞いてもらえない、こういう事情からだんだんからだが悪くなっていく。しかも、職員はしかたがありませんから、町のはりやマッサージ等を受けて仕事を続けている。しかし、これは専門家が書いたいろいろな文献なんかを見ましても、マッサージをして一時よくなったような感じがしても、同じような仕事を連続してやっておれはだんだん悪化していって二期症状、三期症状と深みに入っていく、こういう種類の病気であるというふうにもいわれているわけです。そういうふうなことは十分承知の上で仕事が続けられておった、だんだん悪くなっていった。これはいろいろな病気を考えてみましても、早期発見をして早期に治療をするということはあたりまえのことなんで、そういう意味からしますと、そういう健康診断で片づけてきて、しかも職場要求が切実であるにもかかわらず、それに耳をかそうとしない。だんだん職員の健康は悪化している。そういう現状についての当局の責任はたいへん大きいと思うのです。そういう意味で、組合からは十二月の繁忙期も控えて何とかしなければならぬというので、局長とも交渉をやって、そして局長との間にこういう協約が結ばれましたね。読んでみますと、「一、交換台は四台を絶対必要とし増台をしないのであれば責任は持てないことを郵政局へ強く要求することとします。二、職員の健康状態 交換作業が繁忙のため、肩こり、腰痛、腕痛、頭痛、耳なり、目のくらみ等の病気が発生している、これについて一斉に健康診断を実施するとともに早急に対処します。三、要員は現在より四名は必要とします。四、上記要求が受け入れられないのであれば辞表を提出する。」こういう局長との約束ができているわけです。局長は自分の職を賭してまで職員の健康を守らなければならぬというので、要求を訴える、こういうところまできているわけです。このことは、職場の現状というものは局長が一番よく知っておる。局長の責任上これだけはしてもらわなければ職を賭してでもやる、こういう決議にまでなっておる職場の現状ですよ。こういう現状をまともに郵政局が受けて、正しく理解をして、早急に手を打てばこういう現象は起こらなかったかもしれぬと思います。そういう意味で私は先ほども申し上げましたけれども、郵政当局の責任は大きいと思うのですけれども、こういう扱いというものは郵政局の指導、郵政省の指導でやっているのか、あるいは郵政省の判断でやっておるのか、そこらについての責任の所在というものをちょっと明確にしてもらいたいと思います。
○仲松説明員 まず健康管理でございますけれども、こういう個別の郵便局でこの種の問題が起こった場合には、これは具体的には郵政局施策で実行できます。全体的にはもちろん本省の指導というものがございますけれども、具体的な個別の指導は郵政局でやっております。 それからもう一つ、交換台が少ないとかあるいはそれに伴う定員というのは、これは郵政局が配算しております。
○村山(富)委員 そうしますと、いま私が申し上げたようなことは、郵政局だけの判断と権限内でやっておるというふうに承知していいのですか。
○仲松説明員 一般的にはそういうことになりますけれども、たとえば今回の吉野局の場合でございますけれども、こういう電話交換手で集団的に発生したということにつきまして、本省としましてはこれを重要視しまして、医師を派遣したわけでございます。
○村山(富)委員 医師を派遣したとかいうことではなくて、いままで私が申し上げたような取り扱いについては、郵政局の判断と権限でやったというふうに承知していいですか。
○仲松説明員 郵政局の判断と施策でも実行できるということでございます。本省からもちろん指示する場合もあります。
○村山(富)委員 私は具体的な事実を聞いておるわけですよ。ここの場合には郵政局の単独の権限と判断でやったのか、あるいは郵政省の指導もあってやったのか、こう聞いておるわけですよ。
○仲松説明員 先生が御指摘されました以前の健康診断において、職員からの訴えがあったのにこれを取り上げなかったということにつきましては、本省に報告はございません。
○村山(富)委員 郵政省と郵政局との責任と権限の範囲なんというものについては若干あいまいな点もありますから、具体的な事実をこれからなおただしていきたいと私は思うのですけれども、この吉野局の場合には、いままで申し上げましたように、職員が、部内の診療所ではなかなか取り上げてもらえないというので、やむなく、局長の了解も得て、十二月の末に高松市内のある開業医の診断を受けておりますね。この診断書の内容については承知しておりますか。
○仲松説明員 八名の診断書の内容は承知しております。
○村山(富)委員 この診断書は人によって違いますけれども、大体一カ月間の加療、可及的安静を要する、こういうような診断書になっておりますね。しかし先ほど来申し上げておりますように、ちょうど十二月から年末年始の繁忙期を迎えますから、職員は痛いからだにむち打って仕事をやってきたわけですよ。そして年末年始の繁忙期を一段落つけて、こういう診断書もあるから、もう自分のからだは自分で守る以外にないというので、それぞれみんな病休に入っていったわけですね。そういう事実は知っておりますか。
○仲松説明員 御指摘の事実は承知しております。
○村山(富)委員 ところが、こういう経過で病休に入っておる職員に対して郵政局がとられた態度は、これは実に言語道断だと思うのですよ。 具体的に申し上げますが、第一に、診療所長はいま申し上げました開業医のうちを訪問して、どういう意図で訪問されたか知らぬけれども、その訪問をされたあとの開業医の態度がだんだん変わってきておるということは、診断を受けた患者全員が認めておるわけですね。たとえば可及的安静を要する、こういうふうに書いてある。その説明が、当初診断を受けたときと診療所長が開業医のうちを訪問したあととはだいぶ言い方も変わって、仕事まで休めとは言わなかった、あるいは仕事はどんどんしてもよろしいなどといったような表現に変わってきておる。これは明らかに何らかの意図があって、診療所長が開業医のところを訪問したのだというふうにとられるのだけれども、これは一体どういう意図で開業医のうちを訪問しているのですか。
○仲松説明員 高松診療所長と四国郵政局の保健課長が医師の医院ですか病院ですかを訪問しておりますけれども、これは主として、職員がお世話になっておるというお礼と、それから医師という立場でなおその職員の今後の健康管理の参考にするためということで意見の交換があったように聞いております。
○村山(富)委員 これはおそらくそういう説明をすると思います。しかし先ほど私が申し上げましたように、所長が開業医のうちを訪問して後は、その開業医さんの診断を受ける職員に対する態度が変わってきておるということはだれもが認めておるわけですから、このことは深く追及しませんけれども、そういう事実があったということだけはひとつ確認しておいてもらいたいと思います。 さらにその上、それだけではなくて、病休で休んでいる職員のうちを郵政局の橋田保健課長と診療所長が訪問しておる。これはおそらく病状を聞き、安心をして治療しなさいよといって、慰めと激励をするのではないかと思っておったところが、そうではなくて、訪問した意味は、可及的安静というのはなるべく安静にせよということであって、休んでまで治療しろということではない。もし就労する意思があるなら就労証明書を書いてもいい、こういうことを患者に言われているわけですよ、休んでおる職員のうちに行って。これは専門家のいろいろなものを見ましても、頸肩腕症候群なんというものは、職場環境やらあるいは精神的な理由というものがたいへん大きく作用するということはだれもが認めておることですね。そういう患者のうちに行って職制が圧力をかけて、精神的な圧迫をかける、こういうふうなことを、これは一体だれの指示でやるのですか。これはやはり橋田保健課長あるいは診療所長が単独でやったのか、あるいは四国郵政局の指示でやったのか、あるいは郵政省の指示でやっておるのか、そこらの点はひとつ明らかにしてください。
○仲松説明員 当時の実態は、十二名の職員中八名が病気になるという事態でございましたので、四国郵政局では事態を相当重く見たと思います。一つには職員の健康管理、もう一つには業務の運行という面から、いま御指摘の診療所長と保健課長を現地に派遣したというのは郵政局長でございます。 ただその内容でございますが、私どもの事後の報告を受けた内容は、職員からいろいろと事情を聞く必要がございましたので、事前に各職員の自宅に連絡し、家庭を訪問して、症状、職員の希望等を聴取して健康管理に役立てようとした、そういう意図だったという報告を受けております。
○村山(富)委員 これは、職員がそのときの訪問を受けたその実情について、詳しく記録した記録もありますから、私はここで紹介しませんけれども、しかしこういうことで患者の家を一軒一軒回ったという事実は、これはもう否定できない事実としてあるわけです。こういうことは私は実にけしからぬと思う。しかも、外科の先生が書いた診断書に対して、内科の先生が就労証明書を書くというようなことは医学上許されるのですか。医師法上どうですか。これはどう思いますか。
○仲松説明員 御質問が医師法上ということになりますと、私そこまではつまびらかにしません。
○村山(富)委員 これは私は絶対に許されぬことだと思うけれども、郵政部内ではこういうことが平気で通用しておるのかもしれませんけれども、そういう事実があったということだけはひとつ確認してください。 それからもう一つは、特定局の代表局長とかいわれる武田善通寺郵便局長ですか、この人がいろいろまたやっていますね。これは、病休で休んでいる中で特に弱いと思われる人に対して、おそらく電話か何かをかけたのだと思うのだけれども、あなたは就労が可能だと思ったら自分の意思で就労しても差しつかえない、ただし就労してもよいという医師の就労証明書をもらってきなさい、こうして比較的弱いという立場にある患者に対して電話で圧力かける。その人は精神的な動揺を来たして心配だから、やむを得ず行きつけのマッサージ師のところに行って、そして就労証明書をもらってきて出勤をする。そうしますと今度は、出勤した人に対して、あなた一人出勤したのでは、職場の中で、職員間で気まずくなるじゃないか、だからできればもう一人仲間をつくって、そして出勤しなさい、こういう働きかけをしているということは、これは不当労働行為になるんじゃありませんか。行き過ぎですよ、これは。 こういう局長のやり方というのは、これは武田善通寺郵便局長が単独で、自分の判断でやった行為なのか、あるいは郵政局の指導でやった行為なのか、あるいは郵政省として全国的にこういうことをやらしておるのか、これはどっちですか。
○仲松説明員 御指摘の事実の、特に善通寺局長が職員と接触したという御指摘については、私ども報告を受けておりませんけれども、私どもが理解しておりますのは、中支部制でございまして、吉野局を含めた支部の代表が善通寺郵便局長でございます。したがいまして、労働組合とのいわば窓口、パイプ役ということで、地区の役員だとかあるいは支部の役員と接触があったという報告を受けております。
○村山(富)委員 もう少しちゃんと事実を調査しなさいね。こういうことはたいへん大きな問題ですよ。人道上にも関するような問題ですから、こういう点はもっときびしくあなたのほうも調査をされて、悪ければ悪いというふうに姿勢を正す必要があると思うのです。 私はここで、ちょっと労働大臣が見えておりませんけれども……(「大臣よりも優秀な政務次官」と呼ぶ者あり)大臣よりも優秀な政務次官だそうですから、その政務次官にちょっと聞きたいのですが、いままで申し述べたような経過の事実があったような、こういう郵政省部内の姿勢ですね。こういう姿勢とやり方に対して、一体、政務次官はどう思うのですか。これはおそらく郵政省のほうは、吉野郵便局の分会なら分会が、労働問題を解決する手段として使っておるのではないか、こういう受けとめ方をしておったのではないかと思うのです。ですから、これからもまた申し上げますけれども、医学的に一貫をしてものを取り上げていくというんではなく、労務管理的な立場を堅持しながら、その立場だけからこの働きかけをしておる、こういう印象が非常に強いわけです。これはたいへんな誤りだと私は思うのです。 そういう郵政局の姿勢に対して全逓の組合のほうは、私ずっといろいろな経過を調査しましたけれども、これは職員の健康に関する問題だから、医学的に扱わなければいかぬというので、もっと慎重な配慮をして、自分自身の意思を尊重する、こういう立場に立った扱い方をしています。これはある意味では、組合のほうがもっと進んでいるし、りっぱです。その組合の態度に対して郵政省のとった態度は、先ほど来申し上げたとおりです。労働省は冒頭に聞きましたように、こういう業務上疾病の発生については、具体的にいろいろな指導もしているし、やっているわけです。これはおそらく民間、国の機関を問わずやられていると思うのです。しかし、幾ら民間に協調してみても、政府機関がこういう状態であるということになれば、足元を見透かされて、なかなかうまくいかぬのではないか、こういうふうにも思われるのですけれども、政務次官、どういう見解を持っていますか。
○菅波政府委員 ただいま村山先生のお話でありますが、郵政省のとった態度についてどう思うかというようなお話でございますけれども、私どものほうとしては、先ほど局長から申し上げましたように、作業管理の基準あるいは指導要領において、あるいはまた作業時間などいろいろな規制をいたしておるわけでございます。また、環境の改善などもはかっておりますし、健康診断なども実施しておるわけでありますが、一そうそういう点については徹底してまいりたい、そういうふうに考えておるのでございます。
○村山(富)委員 これはまあ、政務次官には郵政省けしからぬとは言えぬでしょうからね。しかしそういう実情にあるということは、労働省も十分含んでおいてもらいたいと思うのです。 そこで続いてお尋ねしますが、一月十六日に郵政省から、東京逓信病院渡辺整形外科部長外四名の係の人たちを吉野局に派遣していますね。これはどういう意図で派遣をされたのか、その結果はどういう報告がなされておるか、ひとつわかれば明らかにしてもらいたいのです。
○仲松説明員 先ほど申し上げましたように、郵政省では、従来キーパンチャーのこの種病気が多かったわけでございまして、交換手につきましては、東北方面で若干ぽつぽつと出てまいったわけでございます。したがいまして集団でこういう病気が発生したということにつきましては、私ども非常に重要視しまして、四国郵政局の報告を受けまして、やはり整形外科の専門家が行って実態を調査しなければならないということ、それに加えまして、この種公務災害関係の審査会のメンバーであります本省におります医師も含めまして、純粋に医学的な立場でひとつ実態を把握してもらうということで派遣いたしたわけでございます。
○村山(富)委員 その結果は……。
○仲松説明員 結果でございますけれども、総体的には職員が最初に受診いたしました医師の診断と大体同様である、比較的軽い症状であり通院治療すればよい程度である、こういった報告が来ております。
○村山(富)委員 そうすると、一応最初に医師が診断をした症状については認めたわけですね。これは純粋な医学的な立場から、たいへん問題を重要視して専門的な調査をやった、こういうふうに言われていますけれども、私が調査した範囲では、やはりいろいろ問題が出てきているわけです。おそらく職員の人たちは、専門的な医師から診断をしてもらえる、したがって、治療法等についても、教えてもらえるのではないか、こういう意味の期待も持っておったのではないかと思うんです。ところが、完全にその期待が裏切られたと、全部の患者が言っているわけですね。 具体的にその事実を列挙してみますと、十六日の十三時から十七日の正午まで診断が行なわれるというふうに聞いておったけれども、実際にやったのは十六日の十三時からわずか三時間ぐらいでもう終わっておる。それから十問ばかり尋ねられて、握力と血圧とかっけの検査をしたけれども、ほとんどの人が服を着たまま、服の上から触診をしておる、こういうことを言われております。それから一人に対して五分から十分ぐらいだ、こういう診断が行なわれて、そしてここに言われたことも記録してありますから、一、二紹介しますけれども、こういうことを言われておるわけです。 「みんなと同じように一〇項目位病状を早口で聞く。私はブレストをかけると頭が痛い。仕事を離れると痛みがうすらぐなど言ったが、回答は、貴女はなで肩で首と肩がはなれ過ぎているので、肩こりなどが起きる。最近はキイパンチャーなどもなで肩の人は採用していない、など身体の欠陥であるかのように言われた。低色素系貧血症については、日本女性のほとんどがそうである、心配することはない、診療所で薬をもらって二週間位でも飲めばなおるでしょう。」 こう言われたというんですね。なで肩で首の長い人はこういう病気にかかりやすいというようなことを、少なくとも大ぜいおる前で言うなんということは、これはたいへんなことだと思うんですよ。しかも専門家の話を聞きますと、体質的にはかかりやすい人と、かかりにくい人がある、だけれども、かかりやすい人はそれだけ早く発見できる、だからひどくならぬで済むんだ、かかりにくい人が発見されたときは相当重くなっておるというようなことを言われているわけですから、したがって、こういう人はもうキーパンチャーには採用しないんだといったようなことを言うのは、これはある意味では人権無視の問題ですよ。そんなことが言われておる。 それから、もう一つ紹介しますと、「貴方の場合、運動不足からこのような症状がおきているというので、私は毎朝犬を連れ、一時間位、四Kから四K半位運動していたのだが、これでも運動不足ですか、と聞くと、こんどは、高松逓信診療所長が、「それだったら運動のしすぎです。」というのです。」ということなんです。こういう問答が繰り返されたことは、さっきあなたが冒頭に言われましたように、重要視して、専門家の手によって調査する必要がある、純粋な医学的な立場から調査したんだ、こういうことが言えますか。 いま一、二の例を紹介しましたけれども、ほとんどの人が同じようなことを訴えていますよ。そして結果的には頸肩腕症候群という診断は認めたけれども、きわめて軽い、しかもこういう病気は体形や体質的な欠陥からきている症状で、絶対に職業からきたものではない、こういうことまで断言をして帰られた。これはずっといままでの動きを冷静に判断した場合、だれも思うと思うんだけれども、おそらく何らかの意図があって最初から用意されてやられたのではないか、こういう不信と不満を全部の職員が持っております。こういう結果になるということは、私はやはり問題だと思う。そういう意味のやり方についてどう思っているか、明確に答えてください。
○仲松説明員 実際私自身立ち会ったわけではございませんからわかりませんけれども、派遣いたしました医師は整形外科の相当な技術と知識を有する医師でございます。先ほど申しましたように、純粋に医学的見地からひとつ実態調査をしたいという御本人の意向もありました。また、本省からもそのように指示して派遣したわけでございます。したがいまして、私どもの受けている報告では、診察は一人につき六十から七十項目の検査をし、十分から二十分程度の時間がかかったと聞いております。また、すでに整形外科の医師の診察を受けていることでもありますし、それとのかね合いで非常に簡単に済ましたのではないかとも思います。御本人は、いままでの日ごろの行動、言動から見まして、いやしくも自分の所見を曲げてそういうふうに意図的に説明することはないと信じております。また本省としてもそういう意図は毛頭ございませんでした。
○村山(富)委員 それは権威のある専門的なお医者さんがやられたことだから、私もとやかく言いたくはありませんけれども、しかし結果的に職員にそういう不信と不満を残しているという事実は、否定し得ない事実ですから、そういう点は今後十分配慮してもらいたいと思います。 それからなお推移を追ってまいりますが、現在は治療を受けながら全員就業しているわけでしょう。
○仲松説明員 現在は、三月四日以降でございますが、八名全員出勤いたしております。
○村山(富)委員 しかし、からだが健康になって、病気が回復したから出勤をしているわけではない。したがって、高松の診療所の診断でも、あるいは中央から派遣された専門のお医者さんの診断でも、先ほど来申し上げておりますように、非常に不信と不満がある。そこでやむを得ずもう一軒の開業医に診断に行った。その診断書の内容については知っていますか。
○仲松説明員 一月二十八日に八名のうち七名から出ました診断書の内容は知っております。
○村山(富)委員 その診断書は、明らかに頸肩腕症候群ということが明確にされていますね。ちょっと診断書を読んでみます。ここに写しを持っていますから。 「頸肩腕症候群 上記疾患は業務起因性、業務遂行性、客観性より職業病と診断する。治療効果があった。経過良好で就業が可能と考えられる。ただし社会的平均的な作業量の二分の一以下にとどめる必要がある。約三ケ月間は夜勤、宿直は悪い。悪化の傾向が感じられたら、ただちに休業の必要がある。通院加療は必要である。適当なレクリエーションの必要がある。」こういう内容の診断書であるということは承知していますか。
○仲松説明員 先生いまお読みになったのは承知しています。
○村山(富)委員 こういう診断書を承知しておるとすれば、これはきわめて具体的に書いてあるわけですね。しかも労働条件にわたってまで、たとえば作業量は二分の一とか、あるいは夜勤はいかぬとかというようなことまで書いてあるわけです。この診断書を見て、どういう指導と措置をされましたか。
○仲松説明員 病気休暇ということで休んでもらいまして、療養に専念してもらいました。
○村山(富)委員 ところが実際は、私が調査したところによりますと、とんでもない指導をしていますね。どういう指導をしておるかと申しますと、先ほど申し上げました四国郵政局の橋田保健課長それから高松診療所長、この二人は診断書を書いた医師をまたたずねて、いろいろ話し合いをしておるわけであります。この話し合いの中身については医師が明確に証言していますから、間違いないと思います。どういうことをしておるかと申しますと、経過がよければ、その後就労は可能であるが、労働密度を半減する必要がある、こういう意味の診断内容がありますね。この診断内容に対して、仕事量を半減するという内容を、二時間くらいの勤務軽減にしてもらえないかと言って、その診断書の値切りに行っておるのですよ。橋田保健課長というのは、前にも職員の家をたずねて回ったり何かしておる人だけれども、橋田保健課長はこんな仕事をするためにおる人ですか。何か職員からいろいろ問題があったときに職員の家をたずねたり、あるいは医者が診断書を書いたら、その医者のところに行って診断書の中身についてけちをつけたり、値切ったりするような仕事をするためにこの橋田保健課長というのがおるのですか。郵政省の中にこういうことをするような業務規程か何かあるのですか。どういう判断でこんなことがなされるのか、私はそういうことを明確にしてもらいたいと思う。
○仲松説明員 保健課長は、管内の職員の健康管理が主たる任務でございます。そこで、そういう御指摘の報告を受けておりませんけれども、これは私の推量になるかもしれませんけれども、郵政省の健康管理規程の中に、半日いわゆる半減就労というケースがないわけでございまして、病気休暇で療養に専念してもらうか、あるいは軽労働と申しまして、二割程度一日の労働時間をカットするというのがありますので、あるいは単純にそれとの関連でそういう話が出たのじゃなかろうかというふうに思います。
○村山(富)委員 この保健課長さんはそんなことばかりが主たる仕事ではないと思います。ほんとうに職員の健康管理をする、あるいは職場環境の改善をする、こういうことを任務としておるのなら、こんなことはできないはずですよ。しかも、お医者さんから憤激を買っていますよ、郵政省はこんなことまでするのかと。私はこれは許されぬと思うのですよ。 〔斉藤(滋)委員長代理退席、山下(徳)委員長代理着席〕 第一、この開業医が自信をもって診断しておる、その診断書を値切りに行く。労働量を半減する必要があるというのと、二時間ぐらい軽減してもらいたいというのとは、だいぶ質的に違いますよ。かりに郵政省の職場の中で業務量を半減するなんという取り扱いがないとすれば、その診断書に基づいて、診断書に沿うような労働時間、勤務の設定というのはできませんか。
○仲松説明員 私どもの健康管理規程は全職員を対象にして一つの基準を引いているものでございまして、こういう診断書の場合には、やはり病気休暇で療養してもらわなければならないということになります。
○村山(富)委員 しかし、いままでの経過から明らかなように、せっかく開業医に行って診断書を書いてもらって、明らかに職業病であるということまで認定をされて、しかも、先ほど最後に申し上げました診断書なんかは、具体的に勤務、労働時間にわたってまでこまかに診断をして、規定をしておりますね。こういう診断書に対する扱い方はどういう扱いをするのですか。たとえばその診断書はそのとおりに受けて、そして、常にそのとおりに診断書に基づいて職員の健康管理をするために勤務労働条件を与えておるのか、あるいは必要があれば環境の改善もしておるのか、あるいはレクリエーションをするような時間帯を設けてやらせるようなことをしておるのか、全然こういう診断書は無視するのですか、どういう扱いをしておるのですか。
○仲松説明員 健康規程では、まず病気休暇という処理をしまして、療養に十分力を尽くしてもらうというのと、それから軽労働と申しまして、先ほど申しましたように二割がありますけれども、その他私どもが留意いたしておりますのは、職員の希望等を参考にいたしまして、大体出勤後一カ月程度の期間は、あるいは人によりまして労働を二割軽減しましたり、あるいは夜勤、宿直などをさせないようにいたすというようなことで、段階的に勤務になれさせるという方針はとっているつもりでおります。
○村山(富)委員 いままで具体的に吉野局で起こった問題について、経過を追って具体的な事実を指摘しながらお尋ねしたわけですけれども、この具体的な経過から判断をしてみて、もう少し郵政省があるいは郵政局がまともに問題を取り上げて、まともに対応して、そして具体的な環境の改善なりあるいは人員の増なりあるいは交換台の増設なりなんかをしておれば、こういう事態にはならなかったというふうに思われるわけですね。先ほど来あなたのほうから話をされておりますように、そういう気持ちでこの問題に取り組んでおったら、もっと事前に問題解決はできたのではないか。ところが先ほど来申し上げておりますように、郵政局のとった態度は、むしろ逆に職員に対して圧力をかけて、しかも精神的な不安を与えて、病状悪化をさせている。しかもお医者さんが書いた診断書を値切りまでしておる。こういう一連の態度、行動というものは、いかに説明をされようとも、私はちょっとまともには受け取れぬわけです。どうですか。
○仲松説明員 経過をだどって先ほどからお答え申し上げておりますけれども、先ほど申しました、たとえば整形外科部長の派遣、これが私どもとしましては、学術的に実態を把握してもらいたいという気持ちだったけれども、それが職員にむしろ逆の影響を与えたということ、また、いまさっき申しました保健課長が、先ほどの健康管理規程との関係で、開業医の方といろいろ話をされたことが逆にとられておる、誤解を招いておるということにつきまして、非常に遺憾に思っております。もう少し慎重にやらなければならなかったと思っております。
○村山(富)委員 いや、これは逆にとられて誤解されているという問題じゃないのです。逆にとられて誤解されておるといえば、せっかく職員の健康管理に責任を持っておる人だから、お医者さんの診断なり病状なりを詳しく聞いて、そしてその聞いた結果、職場の何らかの手当てをしなければいかぬ、こういう意味でやられた行為なら、これはだれも逆にとらぬし、誤解はしませんよ。そうじゃなくて、事実が逆のことをやっておるわけですから。そういう行為はどうなんですか。その橋田保健課長の単独の判断でやられる行為なのか、あるいはやっぱりこれは郵政局の指導でやっている行為なのか。そういうことを郵政局は全国的に郵政の職場の中では常時やられていることなのか。そこらはどうなんですか。
○仲松説明員 まず全国的な考え方でございますけれども、これは本省が主として全国に指導しております。事健康というもの、あるいは安全というような問題につきましては、私ども労使の問題を飛び越えて、むしろ純粋な意味で真剣に考えておるつもりでございます。そのために、いろいろ全国的に部内の診療網というものも設備いたしておりますし、また、できるだけ病気というものは少なくしていきたいというのが私どもの念願でございます。病休の全国的な計数につきましても、毎年毎年、毎月毎月比較しながら、少しでも早くなおってもらいたいというのが本省の姿勢でございます。 それから、四国郵政局の保健課長の行動についてでございますが、これは郵政局なのか個人なのかという御質問でございます。郵政局におきましては職員の保健衛生管理の責任者でございますから、これはそのまま郵政局でございます。
○村山(富)委員 なるほどね。それは保健課長がやったことは郵政局がやったことだ、そういう意味ですね。そうすると、あなたが前段に話がありましたように、全国的にそういう姿勢でもってやっておる。いままで私が申し上げたようなやり方が、あなたが前段でお話があったような郵政省の姿勢そのままと肯定されますか。
○仲松説明員 ですから、四国郵政局の保健課長のとった行動は、私が本省の指導をまっこうからさかさまにした形で行動をしたとは信じられませんけれども、とった行動が、善意でやったものがなかなかその意図が職員に通じなかったという点もあろうかと思うわけであります。
○村山(富)委員 善意でやったことが若干行き過ぎがあったということになるのですかね。私は、少なくとも善意でやったとは理解できませんけれどもね。これはやっぱり先ほど来申し上げておりますように、一貫して業務管理的な立場でもってものを取り扱う、こういう姿勢から抜け切っておらぬ。だからこういうことになるのではないか。もう少し、全くあなたが言われたように、純粋に医学的な立場から職員の健康を守ってやる、大事にしてやるというのであれば、もっとやり方があるというふうに思うのですけれどもね。しかし、いままで申し上げておりますような一連の行為については、そういうふうにしか理解できないということを私は明確に申し上げておきたいと思うのです。 同時に、この吉野局の前の局長の渡辺さんというのですか、この人は辞職をしていますね。この辞職の理由は何ですか。
○仲松説明員 吉野郵便局の前の局長渡辺秀雄でございますが、これはことしの早々から何か辞意を漏らしておったようでございます。これは正式なものではございませんが……。正式には二月十日に一身上の事情により辞表が提出されました。郵政局としては慰留につとめておりましたけれども、辞意がかたいということで、三月四日退職を承認しております。
○村山(富)委員 これは慰留につとめたという事実はあまりないですね。何か辞表を出したらすぐ電話で、受理されましたからといってやめられたそうですね。事実と違いますか。
○仲松説明員 私が報告を受けたものでは、二月の十日と三月の四日がだいぶ間がある、どういうことなのかということで、意見の交換をしたというふうに聞いております。通常こういうときには慰留するものでございますので、そう申し上げたわけでございます。
○村山(富)委員 これはいままで申し上げたようないろいろな具体的な問題が起こっておる郵便局ですね。そこで、その局長は、分会との話し合いで、さっきちょっと紹介しましたけれども、これだけの要求が通らぬ場合には私は辞職をしますといって、一身をなげうってやった。しかし郵政局は取り上げてくれない、要求を入れてくれない。そこで、もう困り果てて、本人はやむなく辞表を出してやめたということが経緯じゃないですか。ですから、あなたのほうから言わせれば、こういう問題が起こる局は局長に管理能力がないのだ、だからむしろ率先をして辞表を出したことを幸いにやめてもらったというようなことから推察をしていきますと、慰留なんていうものじゃないですよ、これは。しかし、局長は、こういう問題が起こって病休者も出ている職場ですから、いろいろ聞いてみますと、夜十時ごろまで自分は交換台にまですわって、そして一般の住民の苦情を聞いたりなんかしてつとめておった。むしろほんとに職場の実態を踏まえて、責任ある仕事をするためにはこれだけ聞いてもらわないといかぬという立場から決意をして努力された。そういう局長が、これは局長は権限がありますが、何ぼ自分が思ってもできぬことも多いわけですから、そのできないこと、権限以上のことは上からしてもらわなければいかぬというので一生懸命運動もした。そういう局長は管理能力がないということで判断していますかどうですか。
○仲松説明員 一般的に管理能力とこの問題と若干立場が違うだろうと思いますけれども、今回の場合は定員が足らない。あるいは交換台が少ないということが一つの具体的な問題になっていると思いますけれども、これについて郵政局とどれだけ局長が接触し、あるいはその実情を郵政局にあげているかということについては、私は具体的には知りません。そのことだけで一がいに管理能力がないとかあるとかいうことにはならぬと思いますけれども、この辞表の原因につきましては、正直言って、本人としては非常に辞意がかたかった。そしていろいろ聞きましたら、もうやる気をなくしたということまで言っておったということで、それではということで辞表をとったということでございます。
○村山(富)委員 もうやめられておるわけですから、だから、ここでいろいろ問題にしてもしようがないと思うけれども、やはりそういう扱い方というのは私は問題があると思うのですね。それは全部の職員が知っていますからね。これは単に吉野局だけの問題ではなくて、全部の郵政の職員が関心を持ちますからね。ですから、そういうものを通じて郵政省の姿勢というものが問われるわけですから、だから、やはりこういう点はもっと慎重にする必要があるのじゃないかと思うのです。ただ、局長がいま言ったような経緯から、もう自分がやろうと思ってもできぬから、みんなに申しわけないといっておそらくやめられたのだと思うのです。そういう経過と、局長が辞任までした現状で、まだ職場の本質的な問題は何ら解決をされておらぬわけです。あなたのほうでは、局長が責任をとってやめたのだから、もうこれで問題は片づいたというふうに思われておるかもしれぬけれども、しかしそうではなくて、現実の職場の中では問題が一つも解決していないわけです。こういう現場のもろもろの要求や、頸肩腕症候群の疾病が発生をしておるこうした現状に対して、この吉野局に対しては具体的にこれからどうするつもりですか。
○仲松説明員 まず頸肩腕症候群のことにつきましては、いまもう全員出勤した時点でございますので、先ほど申しましたように、段階的に勤務になれるような方策を施していきたい、あるいは勤務時間をカットしましたり、あるいは夜勤をやるのをやめてみたりということで、徐々に回復していってもらいたいというふうに思っております。 なお今後の措置でございますけれども、先ほど申しましたように、全国で集団的に電話交換手で出ましたのは初めてでございますので、できるだけ早急に事故対策というものを施したいと思っております。 なお職場に残る問題としまして、交換台というような問題、定員の問題があろうかと思いますけれども、そのことについては専門のほうから説明いたします。
○碓田説明員 交換台の問題につきましては、先ほど申し上げましたように一応実態調査もいたしております。いたしておりますが、先ほどの御説明でも御指摘いただきましたように、当時職員が全員休んでおったというような背景もございます。したがいまして、私どもは客観的なデータとしては一応とりましたが、全体としての作業の能率あるいは執務執行上のいろいろな問題を調査いたしますためには、ある程度の長期的視野で実態をつかんだほうがいいだろうという判断もございまして、現地といたしましてはその後継続的にいろいろなデータも集めておりますし、近くはまた定例のいろいろな業務量調査がございます。これは四月にございますが、それらも踏まえた上で検討さしていただくというかまえで取り組んでおる次第でございます。
○村山(富)委員 ところが、前の渡辺局長という人がやめられたあと就任をされた尾楠という人は、また実に元気のいいところをいろいろやっていますね。三月二十日にその罹病者を二時間にわたっておどしをかけているわけですね。具体的に言われたことを申し上げますと、これは三月二十日です。二十一日以降の勤務について、夜勤とか宿直ができない者は転勤をしてもらう以外にない。若い人をつかまえて、君は将来もあることだし、よく考えて発言してもらいたい、あまり夜勤ができないとか宿直ができないとか言わないほうがいいと思う。これは全くおどしですよね。健康を害しておる職員に対してそんなことを局長が言うということは、さっきから何度も言っておりますけれども、こういう病気というのは精神的な影響が非常に大きいのですよ。あなた方がどういうふうに弁解しようとも、具体的にこういうことがなされておる。しかもこの言われる席上に郵政局の業務課長補佐という人が同席しておるわけです。ですから局長と郵政局がぐるになって健康を害しておる弱い患者に対して圧力をかけている。こういうことはどういうふうに解釈してみてもまともに解釈できぬじゃないですか。ほんとうに郵政省があるいは郵政局が、職員の健康管理について責任を持っておる、真剣に取り組んでおるというようなことにはならぬのじゃないですか。これはやはり郵政省全体にまだまだマル生運動のしこりがあって、その一環としてこうした問題に対する取り扱いをされておるのか、こんなことは世間一般には通用しませんよ。実際に郵政の業務をやっているのは現場で働いている職員じゃないですか。ちょっと常識では考えられないでしょう。 私は、以上具体的な事例に基づいてこの種の問題に対する郵政省の姿勢、郵政局の姿勢についていろいろ問題を提起してみたわけですけれども、これは単に吉野局だけの問題ではない。現に香川県の高松局では、集配課や郵便課を中心に十三名の罹災者が出ている。こういう現状も報告されておる。香川県全体ではすでにもう三十五名になっておるということも報告されております。おそらく全国的には相当の数になるのではないか、これはやはり合理化を強行する、あるいは無理に機械化を推し進めていく、こういうことから起こってきている現象じゃないかと思うのですけれども、いま郵政省が、全国的にこういう傾向をどの程度把握されておるか、わかれば知らせてもらいたいと思います。
○仲松説明員 全国的には、頸肩腕症候群の障害者というふうに診断されておりますのは百五十六名でございます。そのうちキーパンチャーが七十四名、窓口会計機操者、これが四十一名、電話交換取り扱い者、これが三十三名でございます。
○村山(富)委員 おそらくこういう傾向はまた全国的にだんだんふえていくんではないかということが心配されます。したがって、もっと誠意を持って全体的に科学的な調査もやる必要があるし、同時に健康診断等についてももっと医学的な立場から実施をしていく必要があるんではないか。先ほど言っておりますように、単なる定期的な健康診断だけで済ますんではなくて、やる必要があるんではないかと思いますけれども、そういう今後の取り組みについて何かあれば知らせてください。
○仲松説明員 本日、先生から具体的な問題、いろいろ御指摘いただいたわけでございますけれども、私どもも従来も取り組んできたつもりでございますが、先ほど申し上げましたように、特に一つの研究班を編成しましてその原因と予防とそれから事後の対策、そういったものについては真剣に取り組んでいきたいと思います。先生、労務管理的角度からこういった健康管理というものを見ているんじゃないかという御指摘でありましたけれども、いろいろ私どもの労使には問題がありますけれども、しかし事、職員の健康管理につきましてはそれとはまた別個に、ほんとうに人力による事業運営ということの立場から職員の健康管理には十分意を尽くしていきたいと思っております。
○村山(富)委員 これは今後の推移を期待をして見たいと思いますけれども、局部的にやるんではなくて全国的にその職場に対して広くやる、やる方法は幾らでもあるわけですから、そういうことで取り組んでもらいたい。しかも先ほどから言っておりますように、ほんとうに職員の健康を守るという立場から、積極的に職場の環境改善もしていくというぐらいの姿勢で取り組んでもらいたいということを強く要望しておきます。 最後に労働大臣にちょっとお尋ねしたいのですが、先ほど来、基準局長やあるいは郵政省からも若干の報告がありましたけれども、この種の病気は、言うならば合理化、機械化によってどんどんどんどん職場自体が変わっていく。変わっていく中にからだが機械に適応されていくということから起こってくる。しかも生理的な問題やいろいろある。こういう頸肩腕症候群といったような疾病か今後——いまでも相当出ていますけれども、今後多くなる可能性がある。この際、労働基準法三十五条の業務上疾病の範囲の中にはっきりと規定をする必要があるのではないかと思うのですけれども、その点はどうですか。
○長谷川国務大臣 機械が変化をし、いろいろ技術が向上する間にお互いが対応するのにいろいろ人間のからだの上に変化のあることは御承知おきのとおりかと思います。ただいまの頸肩腕症候群の業務上の問題、業務病としての問題になりますというと、いまやすでに郵政省からお話しのように、認定されている方もありますけれども、何さま医学的に限定して指定することが可能かどうか、そういうふうな問題がありますので、研究を要していることもありますから、専門家の意見を聞いた上で検討してみたい、こういう姿勢をとつておりますことも御理解いただきたいと思います。
○村山(富)委員 以上で私の質問を終わりますけれども、これは私はやはり労働省ももっと積極的に、これは第一、やはり疾病が起こらないことが一番大事ですから、予防措置を積極的に講じていく。ですから、たとえば金銭登録機なんかの勤務、労働条件の規制なんかも通達でやっておりますけれども、それとやはり見合って、いままで規制をしたものではもう足らぬのではないか、不足をするのではないかというようなものもあると思いますから、そういうものはもっと積極的に検討を加えて、そして規制するものは規制していくというぐらいの積極的な措置をとる必要があるのではないかということを強く要望して、本会議も始まりますから、これで私の質問を終わります。
○山下(徳)委員長代理 この際、暫時休憩いたします。 午後零時五十五分休憩 ————◇————— 午後二時四十九分開議
○野原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 休憩前の質疑を続けます。山本政弘君。
○山本(政)委員 せんだって参議院で私どもの党の山崎議員がスト権の問題について質問いたしております。そのときのことに関連してちょっとお伺いしたいのですけれども、労働大臣、企業というものはあなたの立場で考えて自由であるべきか統制すべきかということについて、まず個人的な考えでいいから聞かしてもらいたい。
○長谷川国務大臣 そういう原則的な話でございますけれども、それぞれの国のそれぞれのやり方があろうか、こう思っております。
○山本(政)委員 政府のいままでの考え方からすれば、企業は自由であるべきだというふうな考え方が強いと私は思うのだけれども、その点はどうでしょう。
○長谷川国務大臣 わが国は自由体制でございますから、そういう意味では、民間が自由体制のもとにやっておる、こういうふうに理解しています。
○山本(政)委員 今度のスト権の問題で政府がいつも言っていることは、公共の福祉にとって云々というようなことをよく言われておりますね。そしてその前に言っていることは、十二条のことに関連してお話があったりなんかするわけですけれども、私は、少なくとも国民の権利というものは本来、自由であるべきだというふうに考えています。この点はどうです。
○長谷川国務大臣 私たちは憲法の中において日常の行動をしておりますから、その範囲でということで考えております。
○山本(政)委員 ですから、憲法からいえば、国民の権利というものは原則的には保障されるべきであるというふうに私は考えていいと思うのです。ところが、政府のこのスト権についての考え方については、私はいつも、そういう原則をはずれて、まずワクをかけていって、そして規制をしようという考えが先行しているように思うのですよ。これは間違いじゃないかと思うのですね。まずスト権を与えておいて、そして問題があるならば——私はそのことについては必ずしも賛成じゃありませんが、問題があるならばその中で考慮をしていくというのが、本来のあるべき姿だと思うのです。憲法ということばが出ましたから私は申し上げるのですけれども、憲法はそういうふうな立法趣旨でやられているだろうと思うのですけれども、その点どうです。
○道正政府委員 憲法二十八条の解決の問題ではなかろうかというふうに伺ったわけでございますから申し上げますと、憲法二十八条は、他の公共の福祉に関係する条文との関連におきまして解決されるべきものと思いますが、有権的な解決といたしましては、最高裁の判例に従って行政当局としては措置をするというのが妥当ではないかというふうに考えております。
○山本(政)委員 最高裁の判例というのは、大体いままで私が聞き及んでいる範囲内では、だんだんと私が主張する方向に向いているような気がするんです。局長のおっしゃるような方向ではないと思うのです。やはりILOの勧告とかあるいはその他のことによってもわかるように、だんだんと、なるべく権利というものを生かしておいて、制限をするということを少なくしようという方向に進んでおる。ですから、二十八条ということをおっしゃったけれども、まさにその二十八条について、私は、もっと本来の趣旨に沿って対処をすべきであるというふうに考えるのですが、どうもその点について政府のほうは、はっきりしないというか、むしろ後退といいますか、いろいろなことに藉口してのがれているような気がするのですが、公務員制度審議会が答申を出した、その答申以来、一体政府はどのように話が進んでおるのか、この辺についてひとつ、これも簡単でいいですけれども、聞かしていただきたい。
○長谷川国務大臣 昨年の九月に第三次の公務員制度審議会か終了して、その答申にいろいろな議論があることも踏まえながら、その後、公務員問題連絡会議を二回か開きまして、あるいはまた、関係課長会議等々開いて検討していると承知しております。
○山本(政)委員 公務員制度連絡会議ですか、これは、二回おやりになったというんですけれども、一体それから先どういうふうなスケジュールになっているのですか。つまり、どういうふうになさろうと思っておるのかですね。いつでも政府のほうは、審議会の答申が出る前とか、あるいはいまお話があったように、連絡会でやっておるとかいうことでずるずる延ばしてきている。そろそろ私はそういう点で、作業といいますか手続といいますか、そういうものが進めらるべきだと思うのですけれども、一向らちがあかない。いつそういうことをはっきりとしたスケジュールを立てて、そしてその結論といいますか作業にお入りになるのか、その辺の見通しはどうなんです。
○長谷川国務大臣 御承知おきのとおり、公制審は八年間も三者構成で御議論されまして、そして昨年の九月に一応答申が出たわけでありまして、その連絡会議というのは、これは各省の事務次官をもって充てる会合でございます。二月の二十五日に開き、三月の二十二日に開いたのですが、その二月の場合に協議しまして、一つのプリンシプルと申しますか、決定して、検討事項というのがございます。御承知おきでしょうけれども、あらためて申し上げますと、一つは、争議権の有無が労使関係及び国民生活に及ぼす影響、二つには、当事者能力の問題、特に予算等に対する議会の審議権との関係、三つには、経済原則による争議行為の抑制力の欠如、四つには、その他経営形態等事業全般のあり方等の諸問題を含めて検討を行なうということになっておりまして、その後ずっと会議を開いておりますが、何さま問題がむずかしいだけに、いますぐにいつどうというふうに私がこの場合において時期を申し上げるというほど有力でないということが残念だと思っております。
○山本(政)委員 八年間かかったんでしょう。ですから、今度は八年間かけて結論を出せばいいという問題ではないとぼくは思うのですね。少なくとも、もう数年ではなくて、とにかくもう一年ぐらいの間に具体的なものを出さないとおかしいと思うのですね。一体それをやる気があるのかどうかという問題ですよ。のんべんだらりと、政労協の当事者能力の話じゃないですけれども、このスト権についても、いつまでたっても前向きな具体的な方法というものが出てこないのですよ。ですから抽象的ではなくて、一体いつごろまでにという目安くらいは示すべきだと私は思うのですね。それでなかったらたいへん不親切だと思うのですよ。そういうことをおやりにならないから、実はきょうみたいなことが起こるのです、率直に言えば。ですからその点で、一体目安をいつごろまでに置くのか、大臣はやはり当面の——きょうは総理府総務長官おりませんけれども、あなたは責任者だと思うのですよ。いつまでに出したいと、それぐらいなことは私は聞かしていただいていいと思うのですよ。その点どうなんです。
○長谷川国務大臣 おっしゃるとおり、公制審が八年かかったからこっちが八年かかるというふうな考え方ではございません。しかしながら何さまむずかしい問題であり、私一人がどうこうということじゃございませんので、そういう時代の御要請と申しますかあるいは推移と申しますか、御研究いただいたものを整理しながら、ひとつできるものからやっていこうということで、だんだん最近、国会においても御議論の出ておることは御承知のとおり、またそういう意味で先生からも御質問があることをよく了承しながら、こういう問題に対して対処してまいりたい、こう思っております。
○山本(政)委員 きのうも官房長官が声明を出しているのです。その中でこういうことをおっしゃっているわけですよ。「とりわけスト権問題というような政治的要求を目的とするストライキは正常な労働組合運動を逸脱するもので全く法の保護に値しない。」この官房長官の声明について大臣は一体どういうふうにお考えになりますか。そのとおりなのか、あるいは別に異なった意見がおありになるのか。
○長谷川国務大臣 私も、きのう夕方ですか、春闘共闘の皆さんにお目にかかったときに、官房長官談話の話が出ました。これは、私たちは政府の連帯責任をとっておりますので、このとおりのことである、こうお答えしたことでありまして、先生にもそうお答えする以外の話はございません。
○山本(政)委員 もう一ぺん言いますよ。「とりわけスト権問題というような政治的要求を目的とするストライキは正常な労働組合運動を逸脱するもので全く法の保護に値しない。」いま経済的要求であれ、政治的な問題にかかわりのない問題というものはないと私は思うのですね。たとえば石油の問題一つとっても、たいへん政治的な問題とかかわりがあるわけですよ。公務員の労働者にとって経済的な問題はすべて、相手が政府である以上、 これは政治的な問題にならざるを得ないわけでしょう。そうじゃありませんか。その点をひとつ聞かしてください。重ねて申し上げますが、経済的な要求であれ、それが政治的な問題にならざるを得ないという現実があるでしょう。その点はどうなんです。
○道正政府委員 近代国家におきまして政治問題、経済問題あるいは社会問題が複雑にからみ合っているということはございますけれども、おのずから経済問題と政治問題の区別はあるわけでございまして、そういう前提に立ちまして、政治的な目的のストライキという区別がなされておるわけでございます。
○山本(政)委員 おのずからあるというのだったらば、そのあるという例をひとつ聞かしてほしいのです。
○道正政府委員 何をもって政治ストというかということにつきましては、これはしかく簡単な問題ではないと思います。私どももいろいろ勉強をしなければならない問題でございますけれども、三権分立の日本におきましては、行政当局としてはその判断は、最終的には最高裁の判断にゆだねるということが至当ではないかというふうに考えるわけでございます。
○山本(政)委員 それはたいへん抽象的なお答えであって、それでは、いろいろ問題があったときに、最高裁の、おっしゃるように大法廷の判例が決定するまでは、これが政治ストであるか経済ストであるかということは、わからぬことになるじゃありませんか。いま現実に出ておるこの問題が一体どういうふうになるのかという判断の基準にはならぬわけでしょう。 そうすると、国家公務員の経済ストというのは、たとえばどういう点が経済ストであるか、具体的に示してもらいたいと思いますね。三権分立だなんということで抽象的なものであったら、何でも政治ストになり得るだろうし、そしてある意味では何でも経済ストになり得るだろうと思うのですよ。ぼくはそう思います。基準があるはずでしょう。それは三権分立という基準じゃないはずです。具体的な要求によって、どれが政治ストであり、どれが経済ストであるかという判断をあなた方がなすべきであって、公務員のやっていることが全部政治ストであるとか、あるいは三公社五現業のやっていることが全部政治ストであるとかというきめつけ方は、私はできないと思うのですよ、あなたのおっしゃるような判断では。その点どうなんでしょう。
○道正政府委員 おっしゃるように、すべての事案につきまして最高裁が一々いっているわけではございません。もしお求めがあれば、また後ほど最高裁の判例は申し上げてもよろしゅうございますけれども、一番端的な例を申し上げますならば、今回春闘共闘委でいろいろの要求を出しておられます。非常に多岐にわたっておるわけでございますけれども、たとえばいわゆる谷間にあられるといいますか、社会的に弱い立場にあられる方々に対するインフレ手当三万円の要求というふうなものは、これは政治的な御要求ではないかというふうに思うわけでございます。
○山本(政)委員 三万円という金額がなければ食べていかれないから三万円をよこしなさいという要求は、政治ストですか。ぼくは経済ストだと思う。いまの内閣はやめなさいというのだったら話は別ですけれども、食っていけないから三万円というものをひとつ出しなさい、少なくも出すべきじゃないかということは、経済ストじゃないですか。大臣、どうなんです。
○長谷川国務大臣 私は、やはり政治的目的だと思っています。
○山本(政)委員 だから、その理由をひとつ聞かしてほしい。なぜ政治的ストなのか。大臣がそうおっしゃるなら、大臣、ひとつ、なぜ政治ストであるかということを聞かしてもらいたい。大臣です。大臣がお答えになったから、大臣に聞かしてほしい。
○道正政府委員 私から申し上げまして、後ほどまた大臣から補足してお答え願いますが、憲法二十八条の解釈の問題になってくると思うわけでございます。いろいろ判例はございますが、一、二申し上げますならば、二十八条で認めておりまするスト権というのは、使用者対被使用者との関係に立つものの間において、経済上の弱者である勤労者のための団結権ないし団体行動権を保障したものにほかならないというのが、一貫した最高裁の判例でございます。したがいまして、たとえば弱者に対するインフレ手当の要求を使用者にいたしましても、これはそれを受けた使用者はいかんともしがたいわけでございまして、憲法二十八条の保障する範囲のワク外だというふうにいわざるを得ないように思うわけでございます。
○山本(政)委員 それではお伺いしますが、憲法に保障していることは、何人も、「國民は、健康で文化的な最低限度の生活を營む権利を有する。」というのですから、憲法で保障しておるのじゃないですか。あなたの保障しているというのは、憲法二十五条に書いているんで、その二十五条に書いていることを実施してほしいということなんだから、そうすると、自分の生活が苦しいのに一体どうしてくれるのかということとかかわりないだろうか。 それなら具体的にもう一つ申しましょう。自分の家族の中に父親をかかえている、年金を多少もらっているけれども、その年金ではどうにもならぬ。ましてや、このインフレ物価高の中で本人が受け取る賃金でもっては生活がなかなかきついということになれば、相互関連があるわけです。これは経済的な要求ではないだろうか。よしや、もし一歩譲っても、それではインフレ手当をよこせということは経済的要求じゃないかしら、それが政治的な要求になるだろうか。
○道正政府委員 山本先生も御承知のことでございますので、蛇足かと思いまするけれども、私が申し上げておりますのは、労働組合が、一般の国民に認められているような形におきまして政治的な活動をすることを、いい悪いと言っているわけじゃないわけでございます。したがって、組合の方々がそういう弱者の方々の生活の問題について関心を持たれることを、それについて政治的に発言されることを一がいにすべていかぬというふうに言っているわけじゃないわけでございます。ただ、それを貫徹する手段として、憲法二十八条に保障された争議行為を行なうということは、これはやはり憲法の保障する範囲外のことではないかということを、るる申し上げているわけでございます。
○山本(政)委員 だから私が申し上げているのは、あなた方がおっしゃるときにはいつでも十三条をたてにとっておっしゃるのですよ。その十三条にしても、「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、」云々と書いてあるわけでしょう。保障されるのですよ。保障されるということが前提にあるならば、なぜスト権というものを先に与えておかないのか。そして、もし時間があるならば、ありとせば、その与えたスト権の中でかりに規制を必要とするなら規制をしていくということをなぜ考えないのか。逆だろうというのですよ。あなたの考え方は倒錯しているのじゃないかというのですよ。初めから締めておいて、そして要するに労働者の自由というものが拘束されているわけです、現実には。そうではなくて、自由を与えておいて、そしてもし必要ならばそれを規制するというのが、要するに為政者のあるべき形ではないのだろうかというのですよ。ぼくは転倒しているというのですよ、いまの政府の考え方というものは。そうじゃないかしら。その点だけを聞かしてほしいのですよ、大臣。
○長谷川国務大臣 公制審でもその議論が非常に論ぜられたことを、私は承知しております。その場合に、やはり三つ議論が分かれて、そのままに答申はなされている。それを今度の連絡会議で、どう調整しながら現実に合うようにしていくかというところに、苦心の存するところがあるのじゃなかろうか、こう思っております。
○山本(政)委員 だから、苦心の存するところがあるのじゃないかというのは人ごとの言い方で、大臣としては一体どういうふうにお考えになっているのか。そのことだけで私はこの質問を終わりたいのですよ。もしお話がそういう違った話になるなら、これは問題があると思うのですよ。とりわけ「スト権問題というような政治的要求を目的とするストは正常な労働組合運動を逸脱するもので全く法の保護に値しない。」というのだったら、経済的要求を目的とするストライキは正常な労働組合運動を逸脱するものではないはずになってくるわけですよ。官房長官のこれは非常に矛盾している文章があるのですよ、ほんとうに言わせれば。政治ストだから法の保護に値しないというのだったら、経済ストであったら法の保護に値するのかどうか。だから、政治ストとは何ぞや、経済ストとは何ぞやということを初めに聞いたのです。そうでしょう。だからそういうことになれば、また問題は発展いたしますよ。私は時間の都合があるから、そういうことについて大臣が一体どういうふうにお考えになるかということだけを、きょうお聞きしたいわけですよ。
○長谷川国務大臣 公制審の答申を尊重をしながら、連絡会議でその結論を待ちながらやっていこう、こう思っております。
○山本(政)委員 だから二十八条というもの、十三条というもの、それから十二条、こういうものを考えていくときには、まずスト権を与えるべきで、そして問題があったらその問題について考えていく。つまり必要ならば規制をするというのが本来の趣旨であると思うのですが、もう一ぺん確かめますが、その点についていかがお考えなんですかということです。それだけであります。
○長谷川国務大臣 こういう大事な問題について、各界の方々の御意見、しかもこういう国会において先生の有力な御意見として、われわれが将来の問題を検討する場合の参考にしたい、こう思います。
○山本(政)委員 たいへん不満なんだけれども、時間がありませんので次のほうに移ります。 その前にちょっと関連して、私もう一つ申し上げたいことは、総理の民営論ですよ。これなんか問題のすりかえなんですよ。スト権を与えておいて、それがほんとうなんだけれども、それを民営論とかなんとかということを考えているということは、これは答弁のすりかえというか問題のすりかえというか、そういうことでしかないと思うのですけれども、とにかく政府のほうがおっしゃるように、高度成長を遂げてきた、要するに大きな生産力を持つようになってきた。その中で日本の最低賃金というのは、いま月六万円ですか、つまり時間当たり三百円ぐらいです。三百円ということは一ドル。アメリカの時間当たりは二ドルです。私はそういう意味では経済大国云々といっていることに対して、非常につつましい要求だ、こう思うのですけれども、時間とかその他の労働条件というのは労働基準法で、要するに最低の基準をきめている。しかしながら肝心な最低賃金というのは、全国全産業にわたってきめられておらぬ、こういう問題がありますね。少なくともいまの日本経済から見て、時間当たり一ドルを最低とするような程度のことが何でできないのか、これが一つであります。 もう一つは、賃金は毎年改定されていく。ところが最低賃金は二年か三年に一度しか改定されない。これはいまの最低賃金が非常に不合理であるということを示しておると私は思うのでありますけれども、物価というのは非常に上がっているわけですから、賃金が上がると一緒に、最低賃金についても改定する必要がある。特に賃金スライド制とかあるいはそういうものを考慮に入れる余地が大いにあると思うのですけれども、その点をどうお考えになっているのか、お聞かせをいただきたいと思うのです。
○長谷川国務大臣 御承知おきのとおり、いま全国に最低賃金でカバーされているのが二千九百万とか承知しております。それは三者構成の審議会がありまして、地方あるいは産業別にそれぞれ精査しながらやられ、そしてまたおっしゃるとおり、一年半か二年ぐらいかかって作業がされるという話なども聞いております。成長が上がるに従って、そういうものが地方地方に、業種別に、また向上の方向に向かっているというふうに私は聞いているわけであります。
○山本(政)委員 いや私が危惧することは、最賃制の審議会もほかの審議会と同じで、労使対等の原則というのが貫徹されていないと思うのですよ。つまり、たいへん失礼な言い方になるかもわかりませんけれども、公益代表といったところで、いつもきまってくるのは、公益代表とそれから使用者側との代表というもので意見が一致するというケースがほとんどでしょう。つまり労働者側の代表の意見というのはほとんど通っていないというのが現実なんですよ。だから、そういう段階の中で政府としてやはりそういうことについてイニシアをとるべきではないのだろうか、私はそう思います。そして二千九百万人というお話があった。たいへんな数字じゃありませんか。そしてその人たちがもし一年も二年もおくれて賃金が上がるしかないということになればたいへん不合理だと私は思うから、あえて質問しているわけです。その点について、一体労働大臣としてはどうお考えになっているのか。必要によれば自動スライドというようなこともお考えになるべきだと私は思うのですけれども、そういうことをひとつ先頭を切って大臣はおやりになる気はないか、こう申し上げておるのですよ。どうなんです。
○渡邊(健)政府委員 最低賃金につきましては、ただいま大臣からもお答えがございましたように、それぞれの最低賃金審議会で調査、審議の上決定されておるわけでございますが、各最低賃金審議会におきましては、それぞれの地方の賃金の事情あるいは生計費あるいは企業の支払い能力等、十分調査されて、その上で労、使、公益三者が話し合いによって妥当な額をきめられておるわけでございまして、実際にもいまきまっております大部分は全会一致の形できまっておるわけでございます。 なお、一たん最低賃金がきまりましても、今日のような賃金や物価の上昇がある情勢のもとにおきましては、適時これを改正していかなければならないことは当然のことでございまして、そういう意味で、最低賃金の効果的な改正ということにつとめております。前には二年あるいはそれ以上というのもございましたけれども、最近におきましては、昨年来の異常な物価の上昇ということもございまして、中央最低賃金審議会で、前に決定された最低賃金についてはすみやかにその改定を行なうということで、ことしの一月、四十八年三月以前にきまった最低賃金については、できるだけ今年の三月までに改定をする。通常のやり方で改定の促進をして、それが間に合わないと思うものについては、最低賃金額決定以後における消費者物価の動向によって改定を促進しよう、こういう答申がございまして、一月以来、全国の各最低賃金審議会で、それによりまして改定を進めております。二、三の県がまだ残っておりますけれども、大部分はそういうことで、昨年三月までのものは改定が済んでおるわけでございまして、今後とも賃金や物価の動向を見ながら、効率的な最低賃金の改定、その実効確保につとめてまいるようにしてまいるつもりでございます。
○山本(政)委員 あと二分くらいしかないようですから、最後の質問に入ってまいります。 労働大臣は、財源があったらインフレ手当というものを出したいとお思いになりますか。あるいはインフレ手当などというものは不必要とお思いになりますか。どっちですか。たいへんな物価ですね。そして、この前の私の質問ではないですが、華麗な第二の人生を送っている人もおるのですけれども、しかし華麗でない人生を送っている人がたくさんおるということをお考えになった場合に、一体どうお考えになりますか。
○長谷川国務大臣 これはインフレ手当という名前をつけるかつけないかは別といたしまして、あなたが、弱者の方々といいますか、谷間の方々をお考えになるのと同じように、私たちも自分の地方を見ておりますから、そういう方々に対する施策というものは大事なことじゃなかろうか、こう思いまして、閣内において、あるいは労働省という中において、いまから先も懸命にどんな施策でもしてみたいという感じ方を持っておるということをお知らせいたします。
○山本(政)委員 これはどうなるのかわかりませんよ、仮定の問題ですね、会社臨時特別税というのがかけられるという話を聞いております。税収が二千億ということになると、かなりの金額になりますね。そうすると、そういうものがかりにあった場合に、その税収二千億というものをインフレ手当に回すということを閣内でひとつ大臣は強く主張していただけますか。財源がないというのでなく、財源があったらという話を仮定で言ったわけですから、仮定の問題としてそういうことができた場合には一体、気の毒なことはかねがね労働省内においても閣内においてもつとめてまいりたいという大臣の御答弁ですから、当然私は強く主張するということを期待できると思うのですけれども、その点いかがでしょう。
○長谷川国務大臣 そういう固有名詞についてやるというのは、ちょっといまのところお約束できませんが、いろいろな問題の場合に、いまのような熱意で前向きにやりたい、こういう気持ちを御理解いただきたいと思います。
○山本(政)委員 では終わります。
○野原委員長 石母田達君。
○石母田委員 私は、きょう七四年春闘を戦う上で、全国的なストライキが起きているこの日に対しまして、この労働者を中心としていま国民的な要求になっております諸要求あるいはこの要求を貫徹する上での、こうしたストライキを含む広範な統一行動、こういう重大な事態に対しまして、一体政府としてこれを解決するためにどのような手段を選ばれるのか。それは二月二十八日の官房長官の談話発表にあるように、民間ストも、三・一の場合は政治ストである、法に基づいて特別な措置をとる、こういうきわめて挑戦的な、弾圧的な態度を表明されているのであります。こうしたやり方でこのまま押し切ってしまうのか、それともいま掲げている諸要求について、政府として誠意をもって臨んで、この諸要求をできるだけ実現させる方向で、そうした話し合いの中でこの重大な問題を解決しようとしているのか、この問題はいまや国民的な関心の的になっていると私は思います。そういう点でどちらの道を選ばれるのか、私は初めに閣僚の一員としての労働大臣の見解を聞きたいと思います。
○長谷川国務大臣 私は、労働大臣としてということでございますけれども、日本をささえてきたものは、いろいろな問題がありますけれども、その中において勤労者の意欲というもの、これがささえてきたものだ、こう思っております。そうしてこの方々の福祉の向上のためには、いまやこういう石油危機、そして経済の非常な変革のときでありますから、そういう中からお守りし、あるいはお助けするという立場でいままで行動を、微力でありますけれどもやってきた次第であります。 また一方、お互いがせっかく築き上げたこの議会ということがございますので、その諸要求といいますか、そういうお話は承りながらも、国会の場でまた議論をしていただく。議会政治とそういう話というものはまた別だというふうな感じ方を持ちながら、弾圧する、そういう気持ちはございません。けさも私は、働く諸君がどういうふうにストライキをやっても、今度は働く諸君がきょうのストライキでだいぶ苦労をされる、そういうことで池袋とかあるいは東京駅なども歩いてきたようなわけでありまして、何とかこういう時代であるから平和のうちに国民的連帯感の中にやってもらいたいものだという気持ちが一ぱいでございます。
○石母田委員 三・一ストライキを政治ストだというふうに断定したのはどういう根拠かということでこの間質問したときには明確な答えが得られませんでしたが、きょう道正労政局長の答弁によってはっきりいたしました。それは、今回の三・一ストを含むいわゆる春闘の中での要求の大きな柱の一つが、障害者とかあるいは生活保護者とか、そうした低所得者あるいは弱者といわれる人たちが、物価値上げ、インフレの中でとりわけ困難な生活状態をしいられております。こういう人たちに対する福祉手当をほしい、これはもちろん労働者の中にも生保を受けている方がたくさんおりますから。また、年金受給者のためにいわゆる短期スライド、物価スライドを導入して、そうしてできるだけ早く年金の減価をなくしながら引き上げをしたお金を払ってほしい、あるいは労働者自身の大幅な賃上げ、あるいはまた未組織労働者を含む広範な労働者のために最低賃金制の根本的な改善、全国一律最低賃金制の確立あるいはスト権の回復、インフレ、物価値上げを何とか押えてほしい、こうした諸要求が掲げられておりますが、これらの諸要求は私はきわめて切実で、正当であり、当然のことだ。これらの諸要求が、いわゆる先ほどの見解でいえば、ほとんどが政治的な要求だ、したがって、これを貫徹する上でのストライキは政治ストだ、こういうふうな判断になると思うのですが、そうした点で三・一ストを政治ストと判断されたのかどうかお伺いしたいと思います。
○道正政府委員 憲法二十八条が保障しておりますのは、あくまで使用者と被使用者との関係におきまして、経済的弱者である被使用者の団結権あるいは団体行動権を保障するものでございまして、使用者に処分権のない要求を掲げてストライキをやるということは憲法二十八条の認めるところではないというふうに考えるわけでございます。
○石母田委員 そうしますと、こういう場合はどうなんですか。厚生年金を昨年のように一万数千円しか何年かけてももらえなかった、こういう人たちが改善してほしいということで、自分たちの老後の保障の要求もかねて厚生年金の改善を要求する、これは政治的な要求ですか。
○道正政府委員 そういう問題について労働組合が関心を持つ、これは当然でございましょうし、また、そのために政治的な運動をされるということも認められるべきだと思います。ただ、二十八条でいっておりまする争議権に訴える、これは二十八条の認めるところではないというふうに思うわけであります。
○石母田委員 ですから、質問にちゃんと正確に答えてください。あなたが言っているのは、インフレ手当も政治的な要求だと言ったからね。まだストライキまでいっていないのだ、私は。その要求が政治的な要求かというと、いまの話でも、こういうものは政治的な要求に類するものだ、これはいいですね、先ほどの答弁で。 じゃ、もう一度そういうのを聞きましょう。たとえば、失対賃金あるいは最低賃金が非常に低い。この間の質問では、もうそれだけの数字を取り上げてくれば、生活についてはたいへんな困難を持つ数字であるということは大臣も認めたととおり。これを生活できるように上げてほしい、これは国の労働大臣が最終的に決定するものだから、政府に対してそういうことを要求して、このためにストライキ行動を行なった場合には、これは政治ストですか。
○道正政府委員 労働組合といえども、一般の国民に認められている条件のもとに政治的な活動をすることは、これは組合法も認めておるわけでございます。しかしながら、使用者が処分権を持たない事項について労働組合が要求をするというのは、そのためにストライキをするということにつきましては、これは憲法二十八条のワク外であるということを繰り返し申し上げただけでございます。政治的な問題について適法な行動をすることまでいい悪いということを申し上げておるわけじゃございません。
○石母田委員 結局それは政治的な要求に基づくストライキだからでしょう。つまり使用者と労働者のワク外のものはみな政治的なものだ、こういうことであり、そのためのストライキは政治ストだ、こういうことに考えておられるわけですね。そういうことですね。イエスかノーか言ってください。
○道正政府委員 法律的に申し上げますならば、憲法二十八条が認めている基本権は、使用者対被用者との関係においてのみであるというふうに申し上げるのが正確だと思います。
○石母田委員 そうしますと、昭和二十七年の六月に労政局長の名前で出しているんですけれども、東京都知事あてに問答形式をとりなから、政治ストとは何かという点に答えてます。その中で「国会における立法に反対するストライキは、一般に所謂政治ストに該当するものであって、憲法第二十八条で保障する団体行動権の範囲を逸脱した行為である。かかる政治ストには労働法上の不当労働行為、刑事上民事上の免責等の保護はない。」こういう見解が示されておりますけれども、あなたがいま答えられたこと、この間の私の質問に答えられたことは、この方向と基本的に一致しているわけですね。
○道正政府委員 そのとおりでございます。
○石母田委員 なるほどこういう見解でいうならば、おそらくきょう行なわれたストライキあるいは三・一ストライキ、こういう問題が処分の対象になる。つまりあなたの言う、憲法や労働組合法、その他の労調法などの保護を受けない。つまりここに書いてある「労働法上の不当労働行為、刑事上民事上の免責等の保護はない。」ということは、逆にそういうこうむった損害に対して、その損害賠償を請求することができる、あるいは刑事上も、こういう問題については、いわゆる正常じゃないストライキだから、これについてもこれの免責条項はないんだ、こういうことになるわけですが、そうですか。
○道正政府委員 民事上、刑事上の免責を受けない結果、損害を与えれば民事上の損害賠償責任が生じまするし、刑事上の構成要件に該当する事案があれば、これは刑事的な制裁を受けるということになるわけであります。
○石母田委員 この民間ストの違法であるということは、この間の質問で明らかになったように、今回初めてこれを公然と政府の統一見解で談話の形で発表したものであります。その内容がいままでと同じような解釈で、そして内容は同じだ、表現の違いだということを言われましたけれども、確かにあなたたちはこうやって、一十数年前に出したことと同じようなことを依然として持っておられる。しかも、これを公然と声明の形で政府の統一見解で出したのは今回が初めてなんです。そういうことによって一体どういう事態が起きるか。いまインフレや物価値上げを押えてくれ、少々賃上げしたって、インフレや物価値上げがどんどん進めば、働く者はどうなるのか。少々の貯金をしたって、貯金なんというのはみんな召し上げられてしまう、どうにもすることができない、これを何とか源で押えてくれ。それはもう自分たちの雇用関係では解決できない問題なんです。あるいはいまの日本の制度からいうと、社会保障にしても、たとえば労災にしても、失業保険にしても、生活保護基準にしましても、そういう制度というものがあってそれに準じていろんなものがきめられている。したがって、自分たちが生活を少しでもよくしようと思えば、その制度の問題あるいは法律の問題に対して改善をするということは、当然労働者の要求の中に出てくるわけであります。そういうものが政治的な要求なんだ。それは要求してもかまわないのだ。しかし、それを貫徹する上でのストライキをやった場合には、これは政治ストだから憲法や労働組合法上の適用を受けないのだといって、あなたのいま言うようにそういう処罰の対象にもなるのだということになれば、いまの事態の中でどれだけ大量の人たちが処分の対象になるか。実際やるかどうかは別ですよ。あなたの見解をそのまま政府の権力行為としてやってごらんなさい、一体どういうことになるか。官公労働者の基本的な権利であるストライキを認めないことによって、すでに百七十万人の人たちをあなたたちは不当に処分しておる。それを毎回繰り返すようにして、いままで解決できないできたわけです。さらにその上に、民間の労働者をこのような見解でもって、憲法でも保護されないのだ、労働組合法でも保護されない。そして、刑事罰もできるのだ、損害賠償も請求できるのだ。これは、全く労働者を敵視して、あのように物価をつり上げて不当なもうけをしている連中がもうけだけをそのままにして、労働者の賃金を押えよう、こういう財界、大資本か言っていることと全く同じことなんです。日経連は最近こういうことを言っている。「春闘に対する心がまえ」を読んでごらんなさい。こういうことを政府が、一労政局長の答えでなくて、政府の統一見解として持っているならば、これはストライキが起きている事態について真に解決するという立場じゃない。先ほど労働大臣が言ったような立場と全く逆行して、ますます労働者を敵視し、この諸要求を貫徹させるどころか、むしろこれを弾圧するという道に通ずる。こういうことを彼はいま平気で述べておる。そういう点について労働大臣、もう一度先ほどの質問に立ち返って、今回のこういう見解がどんなに重大な事態を引き起こすか。これをこの委員会というだけではなくて、やはり全労働者、全国民の中で春闘を解決する態度として、もう一度述べていただきたいと思います。
○道正政府委員 繰り返しになりまして恐縮に存じますけれども、労働組合の皆さんがいわゆる低所得層の方々のことを配慮して、これを政治的な活動の対象として取り上げ、動かれることを一がいにいけないと申し上げておるわけでは毛頭ないわけでございます。ただその手段として、使用者と被使用者との関係においてのみ認められるスト権を行使することは憲法上許されないのだということでございます。繰り返しになりまして恐縮でございますけれども、その点だけ申し上げます。
○石母田委員 私は労働大臣に聞いているのです。あなたがさっき言ったように、今度掲げられている諸要求については、できるだけ誠意をもってこたえようとしているのだ、そういう話し合いも何べんも持っているのだ。ただ、それを貫徹する上で、労働者にはストライキが一つの大きな武器だから、それをやっているわけでしょう。だから、そのストライキだけがいけない、いけないではなくて、まずこの諸要求に耳を傾けて、これで解決するというのが一番早道なのだから、そういうことをあなたがやるというのだったら、私が先ほどから言うような、あるいは二・二八の談話なんていうのは、要求については一体何をやっておるか。私ども四党で出したものに対する厚生大臣からの回答を二十二日もらいました。前と同じですよ。全然前進がない。きのうの春闘共闘委との話でも、ほとんど前進がない。これじゃ、諸要求を前進させるというほうはほっぽり出して、ただストライキはいけないんだといって、いまから何百万の犠牲者が出ますよ、ほんとうにやろうとすれば。ただ、いまやらないからああなっているだけの話で、実際あのたてまえで権力行為をやってごらんなさい。たいへんなことになります。そのことについて労働大臣としてどちらの道を選ばれるのか、もう一度はっきりお答え願いたいと思います。
○長谷川国務大臣 いろいろの組合側のお話というものは聞いてみる、私は耳をかしているわけであります。そして、私たちが常日ごろ感じているものを強調されるものもあります。しかし日本は法治国家でございます。そういうことからしますと、労政局長が申し上げた一つの線がはっきり出ている。一方、使用者が解決できないものを直接何か大ぜいで、何百万とおっしゃったのですが、そういう方々が、これをやらなければストライキだという形では、やはり問題は解決しないのではないか。そういう政治的な要求というものは、こういう国会の場でまたあらためてお出しいただく。そういう場所がここにある。だから、厚生大臣にお会いになったとおっしゃいますけれども、かりに百三十億出しても、三百億とるまではストライキをやるんだというふうな形ではまずいのではないかと私は感ずるものであります。
○石母田委員 答えになっていない。私はこれ以上この面での質問は避けますけれども、私はあなたに要望したいと思うのです。 この要求をどうするかということにまず真剣にこたえるということが、解決の道ですよ。そしてストライキの問題については、この民主主義の世の中で、たとえば労働者がどういうことで政府の施策に対して意思表示するかということは、表現の自由として入っているわけだから、デモンストレーションもあるし、あるいはそれらによって職場を放棄してストライキということもある。そういう点で、ストライキ権というのは民主主義の背骨なんです。それを、ボタンのかけ違いでそこのところをはずして、そこから出てくる処置をどんどん処分をやる、これが今日の事態を招いた最大の原因なんです。そういう点についても、私は、財界、大資本と全く一緒になった、そういうあなたたちの反動的な見解、体質というものを根本的に改めるよう、心から要求したいと思います。 さて、次の質問に移ります。いま春闘共闘委の人たちあるいはまた労働者が要求している中に、社会保障の要求、つまり先ほど申しました福祉手当とかあるいは年金受給者についてのスライドによる収入の増ということを要求されているわけであります。この問題については、いま厚生大臣のほうからの答弁の内容についてあなたから言われましたように、一人三万円の福祉手当を要求しているけれども、わずかに二千円、一部には二千五百円という程度にとどまっているわけです。この点について、年度内については確かにこれしか出せないんだと言っておりますけれども、暫定予算あるいは新たに昭和四十九年度の予算に入るということになれば、こうした政府のこれまでの態度を一歩前進させる、つまり解決する方向に政府が話し合う用意があるのかどうか。全然これはないんだ、どんなことをやっても、もうこれきりなんだという態度なのかどうか。これは労働大臣としては非常にむずかしいことかもしれぬけれども、厚生大臣がいないので関係者からお答え願いたいと思います。
○大和田説明員 ただいま先生のおっしゃられましたことは非常に政策的な問題でございますので、たいへんお答えしにくいわけでございますけれども、今回の百三十億の予備費によって実施いたしました低所得者に対する緊急生活資金給付金、この措置は、最近の物価の動向その他の経済情勢が老人、身障者、母子世帯等の言うなれば社会的弱者に対して特に大きい影響を与えているというところから実施いたしました、非常に特例的な措置であるということでございまして、現在のところ、私どもといたしましても、あくまで臨時特例的な措置であるという考え方から、再びこれを実施するという考え方は持っていないというふうにお答えせざるを得ないわけでございます。
○石母田委員 これは、あなたのような立場の人はそれしか言えないのだろうと思いますけれども、そういう特例的な立場というのは、いま異常な事態なのだから、これは日本の歴史でも米騒動と日本の戦後と、この前には二度しかないというような異常な事態なのですよ。あなたのほうの大臣が所信表明の中でもはっきり言ったじゃありませんか。この事態というのは異常な事態なんだ。そういうことだからこそ、こうした措置が必要になってくるわけですよ。それが、一切やる必要はないんだ、やらないんだ、もう労働者がどんなに要求しようが何をしようがやらないのだということになれば、もういまの問題を解決する意思はないんだ、そういうことになるのですけれども、労働大臣、これは人の所管のことだけれども、とにかくあなた閣僚としていろいろ労働者が要求していることに対して当たるわけですからね、そういう態度では絶対解決しない。それで、さっきのストライキを弾圧するほうは明快にまたどんどん先行してくる、そのほうだけは明快に言うのに、ところが要求になってくるともうあの調子なんだ、これではとてもいまの問題は解決できないですよ。どうですか、さっきの精神からいって、労働大臣、いまのような回答でいいですか。
○長谷川国務大臣 百三十億といっても、これは団交の場所で出したものではございません。これは、この委員会あるいは予算委員会あるいはいろいろなところでこういう問題が論ぜられ、そしてまた、ああいう方々がさらにそういう意見を述べられたということでございまして、いまから先いろいろな行動をやる場合に、ストライキに反対の団体もございます。私は、だから労働四団体という方々と総理大臣にお会いいただいたことも、やはり労働団体全体のにおいというものをお聞かせいただき、そこにまた政府とのコミュニケーションという気持ちでやったことでございまして、厚生省並びにお互いが、やはりこういう三月末までの異常なときには、とにかく何とか予備費のあるだけでもお出ししてお手伝いをすることが大事じゃなかろうか、こういう政治的判断で発表したことでございまして、いまから先どんなことを考えるといっても、これはその方々に対してお返事するとか、団交だから材料として出すのだ、それではもう国会というもの、議会民主主義はなくなるのじゃないか、ここが大事なけじめのところじゃないか。話は幾らでも聞きます、そして事情もよくわかるようにいたします。その辺は先生のほうからもぜひひとつ啓蒙のほどを私はお願い申し上げたいと思います。
○石母田委員 そういうなかなか政治的な答弁ですけれども、この間厚生大臣は、二〇%以上もし物価が上がったという場合には政府のほうも考えていいのだというようなことを言っていましたが、そういうふうに今後論議の中でそういうことが前進的になって、そして、そういう措置が必要であるというときには、大胆にこの要求にやはりこたえていくということはぜひやっていただきたいというふうに思います。 さて、私は、特に年金の問題のスライドの問題なのです。特に年金受給者は、いま言われた福祉手当の拠出のほうの場合でありますけれども、対象から除かれているわけですね。そういうことで、インフレ、物価上昇で非常にこの方たちも大きな犠牲をこうむっているわけであります。ですから、私たちは、この年一回の賃金スライドを、三ないし四カ月の短期の物価上昇によるスライドを導入して——これを現行のままでいくと、ことしの十一月に実施になって、それを支給されるのは二月でしょう。それも四十七年と四十八年度の物価上昇率のやつが来年二月になるわけですから、これでは非常に気の毒なわけなんで、これを早めるということについて、この短期のスライド制の導入というような問題について、厚生省のほうではどう考えておられるのか、検討されたのかどうか、そういうものについて質問をしたいと思います。
○出原政府委員 お答えいたします。 厚生年金と船員保険それから国民年金、これらの三制度の受給者の方々に対する給付の事務を社会保険庁が担当しておるわけでございますが、年金の受給者の数は昭和四十八年度末で約二百八十万人に達する見込みでございます。なお、この数は四十九年度末には大体三百五十万人というように、月々かなりな増加を見ておるわけでございます。 これらの人々に対します年金額の改定作業、こういうことになるわけでございますので、実はなかなか小回りのきかないものなのでございます。私どものほうでは電子計算機によりましてこれを処理をするというようにいたしておるわけでございますけれども、昨年の法律の改正によります結果にいたしましても、電子計算機が、約二百五十万件でございましたが、この金額の改定を打ち込み、そしてその通知を郵便局に届けるというところまでの作業で、約四カ月を要しておるわけでございます。したがいまして、その点に一つ、電子計算機を使っても、具体的に電子計算機が印刷にかかってから約四カ月を見ていただきたいということが、事務的に一つあるわけでございます。 それからもう一つは、電子計算機は計算にかかりますと非常に早いのでございますけれども、これが、その前にプログラムを作成しなければならないわけでございます。年金のプログラムは、私どもの厚生年金で申し上げますと、昭和四十年度の改正からその後四回にわたっての改正につきまして、すべて電子計算機がその歴史を覚えておる、こういうことでございます。したがいまして、改定をいたします場合におきましても、すでに裁定をいたしましたものにつきましては、それに対してたとえばスライドするという場合に、これまたスライドの方式がいろいろあるのでございますけれども、それを別にいたしまして、方式がきまったといたしまして、やるのに、既裁定の人々とそれから新たに裁定を受けられる方々、その方々も実は権利の発生の時期は通常ではございません。そういったことで、プログラムの作業を組みますのに、実は昭和四十六年の非常に簡単な例で約六カ月かかっております。こういうことをあわせますと、私どもは、プログラムの作業と実際の改定作業に十カ月の余裕をいただきたいということを申しておるわけでございます。これが急速に、おっしゃるような形ででき得ない事務上の理由でございます。
○石母田委員 そうしますと、検討はしたけれども、いま言ったようなことでできないということですね。これは横田年金局長も、三つの方式を出していろいろ検討したけれどもむずかしい、こういうことですね。イエスかノーかを……。
○出原政府委員 そのとおりでございます。
○石母田委員 そうすると、厚生省のほうも、いまのような異常なインフレのもとで、年金生活者に一日も早くより多くの年金を支給させたいという点をいろいろ検討されたけれども、いまのような状況でできない。そういう点で、私一つの新しい提案をしたいと思うのです。ぜひこの点を検討していただきたいと思いますが、それは一つは当月払い制の問題なんです。いま御承知のように二月、五月、八月、十一月という四回に支給されているわけですね。二月には十一月、十二月、一月分と、こういうふうに三カ月になっているわけですが、これをいわゆる五月か八月に、その月に当月を含めてやりますと、ことしだけに限ってみれば一カ月分よけいにもらえることになるわけですね。この点はいま制度はそうなっていませんけれども、そうした場合にはそうなるわけですね。
○出原政府委員 私どものほうは事務上のことだけを申し上げたいと思います、制度的には法律できまっておりますので。 で、いまの一カ月早めるということにつきましては、いまのプログラムから申し上げますと、三カ月ごとに切っておるものを一カ月早めることは比較的容易でございます。しかし一カ月継ぎ足す、四カ月分を臨時的に支払うということのためには、そのためのプログラムが実は必要なんでございます。そのためにはやはりかなりの期間をプログラム作成のために見ていただくという必要がございます。
○石母田委員 その場合に、六月にもう一つ設けて、六月に五、六月分、それから八月に七、八月分と、こういうように分ければ、いま言ったような問題は少しは解消しますね。
○出原政府委員 問題は、プログラムの作成の手数でございますので、いま三カ月分ごとに切っておりますので、それを二カ月に縮めるとかあるいは四カ月に延ばすということが実はたいへんなことなんでございます。
○石母田委員 もう一つの提案は、いわゆることしの年金改善に限って物価スライドを凍結するというか、というのは、いまあなたが言われたように、三月末に四十七年度と八年との比較の上昇率が出て、それでスライド率をきめて実施すると、どうしても何カ月間かかかるというわけでしょう。だからことしに限って政策改定率をきめて、二五%なら二五%というふうにきめて、そうしてそれでいまから作業するとすれば、五月はちょっと無理かもしれぬけれども、八月からは実施できる。その改定率ですよ。これはもちろん法改定して、そしてやれば、あとはいろいろ審議会とかそういうのじゃなくて、改定率をきめて、これでやりなさいということになれば、大馬力をかければ八月には実施できるというふうに思いますけれども、どうでしょう。
○出原政府委員 現行の法律に基づきますスライドにつきましては、社会保険審議会で御審議をいただいている最中なんでございますが、その案に基づいて私どもプログラムを作成するわけでございますが、その中で考えられるのも、おっしゃるような一番単純な案が一つあると思います。それを含めまして、先ほども申し上げましたように、新しく裁定を受ける方あるいは途中で失権される方、そういった方々、それから在職老齢年金から本番の老齢年金に移る方、こういう方々がずっと進行しておるわけでございますので、それらを含めてのプログラムというものに非常に時間がかかるわけでございますので、そういった意味では時間的な要素は同様なんでございます。
○石母田委員 そういうわけで、当月払いというものと、それからいま言った政策改定率をきめて、そしてその実施を早めるということで、もし八月から実施したというときには、三万六千円の平均ということで計算いたしますと、現行のままでいった場合と、それからこの案でいった場合には七万五百六十円の多くの収入が入るわけです。そういうことは先ほどあなたたちが検討された中にまだ含まれていないというふうに私はきよう厚生省に聞きましたけれども、こういう問題についてぜひその検討をして、そうしてそういうことの提案で大体いけるというようなことなのかどうか。この点をぜひ検討していただきたい。そして先ほどから言いますように、この年金受給者に一日も早くより多くの収入ができるようにする。もちろんこれはことしだけでありまして、来年からは、先ほど私どもが要求するような短期スライドあるいは年間の賃金スライドと併用したものをやっていくというような問題については、それぞれの党が要求していますから、この点はまた別の問題になりますけれども、ことしは特別に、昨年の法のきまったのが十一月というような状況でございますので、こうした特別の処置を検討されるようにお願いしたい、こういう点について答弁願いたいと思います。
○出原政府委員 私どもといたしましてはさらに検討をいたしたいというように考えておりますが、実は原則的なお話を申し上げますと、スライド方式が確立をいたしますと前から準備がしやすいのでございますが、それが方針が確立しない、ゆえにことしが一番むずかしいのでございます。
○石母田委員 ですから、特別そういうむずかしい時期だからこそ特別の措置をとる。これは、あなたたち行政の機関だから、国会がそういうものを早くきめなければできないことですから、この問題は別な問題として、これがいいということになれば、そういうことで他党にも話して、そしてそういうことが一日も早くきまればそれだけあなたたちの仕事は楽になるわけですから、厚生省としてはそういうことが出たあとの問題で、あとは国会の問題ですから、法改正の問題ですから、それ以上のお答えはできないと思いますけれども、ぜひともこの点について検討願いたい、こういうふうに思います。 この点について、所管が違うけれども、労働大臣、いま言ったように、一つの大きな要求の柱になっておりますので、これを解決するという立場で十分検討しながら、厚生大臣とも協議をしていただきたい、こういうふうに思いますが、どうですか。
○長谷川国務大臣 齋藤厚生大臣からもだんだん話も聞いております。なかなかむずかしい問題であるというふうにも聞いておりますが、先生の御意見のあるところをきょうはよく理解をしましたので、参考にしていきたい、こういうように思います。
○石母田委員 次に、私は、日本赤十字病院とか労災病院あるいは共済組合立の病院などのいわゆる公的な病院、そういうふうに呼ばれるところの賃金の決定方式について質問したいと思うのです。 御承知のように、こういうところは一応は労働組合法その他で自主的に賃金が決定できる仕組みになっているのです。ところが一方で、政府職員であるとかあるいは公的なものに準ずるということで、実際の賃金は人事院の勧告が出てからこれをきめるというしきたりみたいなものがずっと長く続いている。結局当事者もそういうことが一つの慣例的なものに考えて、春に要求を出して、それが解決するのは九月、十月あるいはひどいのになると来年になってしまう。そういう回答さえも出さないということになれば、これは労働組合をつくったって、そういう要求を出して、それによる回答さえも、何か人事院勧告が出なければとか公務員に準ずるんだというような理由で引き延ばすというようなやり方は、実際の、これらの労働組合を保護するという立場の労働組合法その他の諸法規の保護という立場からいうときわめて不当じゃないかというふうに私は思いますけれども、その点についての見解をお願いしたいと思います。
○道正政府委員 いろいろ例示的に病院をおあげになりましたけれども、いわゆる政府関係特殊法人で病院の事業を行なっておりますのは、労働福祉事業団と簡易保険郵便年金福祉事業団でございます。本間のほうでございますけれども、一般的に申しまして、給与等の労働条件は労使が自主的に話し合いを行なって解決するのが望ましいことは言うまでもございません。しかしながら、政府関係の特殊法人は、その事業の公共性にかんがみまして、政府または地方公共団体の出資等によって設立され、またその運営につきましても政府の交付金であるとかあるいは補助金等に負うところが大きく、したがって予算その他についても種々の制約がございます。そういうことから従来より、これらの職員の給与改定は国家公務員の給与改定に関する人事院の勧告に準じて行なわれておりますが、これも事情やむを得ないものがあるというふうに考えております。 〔委員長退席、葉梨委員長代理着席〕 ただ、御指摘のような当事者能力の拡大の問題につきましては、当社労をはじめ国会でも御指摘がございました。一昨年来、労働省と大蔵省両省が中心になりまして、関係省庁の協力もいただきまして、政府関係の特殊法人の労使双方にアンケートの調査をする、あるいはヒヤリングを行なう等のことをやっておりまして、政府関係の特殊法人の給与改定に関する基本問題について慎重に検討を進めておるところでございます。
○石母田委員 ですから、自主交渉で自主的な解決が望ましいということが前提ですね。だけれども、いま言ったように政府関係でいろいろ予算が出ておるとかなんとかということの制約もあるのだ。しかし、実際がどうなっているか、そのたてまえが貫かれているかどうかということが問題だと思うのですね。しかも、この労災病院の場合は労働協約があって、現在期限が若干切れているらしいけれども、そういうもとに基づいて、第三者が入らないで対等、平等に賃金を決定するのだ、こういうものがあるわけですね。ですから、いろいろそういう点での政府からの制約があったとしても、やはり自主的な交渉によって決定するというのがたてまえなんだ、また、そのほうに移らなければならぬのだということではどうなんですか。
○道正政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、労使の間におきまして、政府関係特殊法人の事業の特殊性と申しますか、公共性を十分踏まえながら、良識をもって自主的な話し合いを行なわれて円満に解決されることを心から期待しておるわけでございます。また、労働省といたしましては、政府内部の関係当局と協議をいたしまして、そういう方向に沿った努力を今後も続けてまいりたいというふうに思います。
○石母田委員 そうしますと、人事院のあとでなければならぬとか公務員に準じなければならぬということは、特別に法的な根拠があるとか、そうしなければならぬというようなことについてあなたのほうから、あるいは政府筋から強力に指示するというのじゃなくて、指導としては、自主的な交渉に移るようにしなさいと言っているわけですね。
○道正政府委員 その点は、最初に申し上げましたような、事業の公共性であるとかあるいは政府なり地方公共団体の資金が出されておる、運営も交付金、補助金でまかなわれておるのが多いということから申しまして、制約があるのもやむを得ないというふうに思います。その際、職員の給与につきまして国家公務員の給与改定に関する人事院の勧告に準拠するといういままでの方式、これもまたやむを得ないのじゃないかというふうに思っております。
○石母田委員 そこで事実上のたてまえをくずしちゃうわけだ。事業団というのは結局自立採算制度で、当事者も言っているように政府のほうから一定の、たとえば事業団本部の職員とか看護学院の職員とか作業所の職員については来ていますけれども、それ以外は事業団の収入でやっているわけだから、そこで当事者能力というのは十分特っているわけなんだ。そういう点で政府のいろいろ予算について、それは勉強されるのも参考にされるのもいいけれども、しかしながら、そのきめるというたてまえはやはり自主的な交渉によって解決すべきだということになれば、人事院のあとでなければならぬとかなんとかいうのは、これは当事者が考えるのは別ですよ。あなたたちがそういう指導をしているということになったら重大な問題だと思うのですけれども、そういう点の指導は、あなたたちはそういうふうに人事院のあとでなければならぬとか準拠しなければならぬということを指導しているのですか。
○道正政府委員 労使間の自主性は十分尊重しなければならないというふうに思いますが、同時に、先ほど来るる申し上げております理由によりまして、国家公務員の給与改定に関する人事院の勧告に準拠して行なわれているといういままでのたてまえ、これは今後も維持すベきものというふうに思っているわけでございます。
○石母田委員 その準拠するというようなことが、ここで一九七二年九月二十日に大蔵省の内示がこの労災病院の問題について出ているのだね。この中で、ベースは七万五千三百二十八円ですか、というような公務員のをずっと出して、そしていろいろ初任給はどのくらいだとかなんだとかいうような、実施時期のことについてもいろいろ書いてあるわけですね。こういうふうになってくると、自主的ななんというものは全然ないわけだよ。内示までして、こういうふうにきめなさいというわけだから。あなたの言うのはいつもたてまえだけはりっぱなことを言うけれども、実際やっていることは全く逆なことをやっている。逆なことをやっていてもかまわないのだということによってどこかの政策をどんどん貫いているというような、そういうきわめてこそくな手段をとっていられるけれども、このような自主的なことが望ましい、そしていろいろ努力しているときに、大蔵省がこういう内示を出すというのはどういうことなんですか。そしてその内示に拘束されなければならぬというのはどういうところにあるのか。
○道正政府委員 特殊法人は百十三ございますが、内容に若干ニュアンスの違いがございます。しかしながら、問題になります、特殊法人におきまして縛りがかかっているというのは、これは給与その他につきまして主務大臣の認可を必要とするという規定を置いているのが多いわけでございます。その際に、各省いろいろ特殊法人をかかえておるわけでございます。給与は自主的にきめるわけではございますけれども、やはりその間の均衡ということも実際問題として考えざるを得ないわけでございます。また、国家公務員との給与のバランスを考えるということも、ある意味では当然ではないかというふうに思うわけでございます。したがいまして、国家公務員の給与に関する人事院勧告に準拠するというこのたてまえだけは、これはやむを得ないと申しますか、今後も維持すべきではないかというふうに考えているわけでございます。
○石母田委員 それはあなたの主観でしょう。そうしたいというだけの話で、これは何も法的な根拠はないのだよ。法的な根拠というのは労働組合法やその他で保護されているものがたてまえなんだということをあなたはさっきも言っているのだ。そのほうが望ましいのだ。望ましい方向にどうやってこれを近づけていくかということが行政指導であり、あなたたちの役目なんだ。しかも、きょうのテレビでもあるように、日赤病院からみなストライキをやっているでしょう。やっているのですよ。医労協関係やっていられるのですよ。社会的な問題なんです、病院ですから。その中での一つの要求になっているわけなんだ。私がさっきから言っているように、この要求を真剣に解決するということになれば、どういう事態になっているか、どの方向でいけばその歩み寄りができるのか、望ましい方向に解決できるかということに真剣に努力するのがあたりまえなんだ。ところがそれを踏みにじってこういう内示まで出している。こんなことは不当な干渉だと私は思うのだ。当事者がこういうことについて人事院にいろいろのことを参考にしたり何かする、これはかってですよ。普通の民間だってあたりの賃金をいろいろ準拠したり参考にしたことはあるわけですから。しかし、それを理由にして、法的な根拠もないものを理由にして、かってに回答を引き延ばしたり、おまえたちの賃金は来年でもいいのだ、ことしの末でもいいのだというようなことは、たてまえに反することなのだ。そんなことは法的な根拠はないのだから。そういうことで、実際に法で保護されているものを法的に根拠のない、法で保障されていないものでぐいぐい押しまくってしまう、踏みにじってしまう、こういうことが問題の解決を非常にこじらして、今日のストライキだとかその他の問題が起きてきたわけなんです。ですから、このストライキだけをいけないいけないというのではなくて、それが何で起きたのかという原因についてもっと真剣に、どちらの言い分が正しいのか、そういうあなたたちの認めているたてまえのことをそういう人たちは要求しているわけですから、そういう点で、いろいろ内示だとかなんとかあるけれども、それを理由にして労働者に対して、労働組合に対して、内示があるからこうだというようなことを言うのは、私は当事者としてもきわめて問題だと思うのです。それでこれは労働大臣に、そういう意味でほんとうに春闘を解決し、そうした社会的に大きな問題になっている病院のストライキを解決する上で一つの大きな柱となっているそうした問題について、先ほど局長が言ったように、そういうものが望ましくてそれに近づけということならば、そういうものに関係なく、自主交渉でやっぱりきめていくべきなんだというたてまえを、あたりまえのことだけれども、もう一度あなたから確認したい、こういうふうに思います。
○長谷川国務大臣 労政局長の答弁の中にもありますように、やっぱり多少は前進していることも御理解いただきたいと思うのです。大蔵省と労働省の間において政府関係特殊法人の労使双方についてのアンケート調査あるいはヒヤリングを行なうなどをやって給与改定の根本問題について検討をやっているわけでありまして、私も実はこの政府関係特殊法人労働組合協議会からの陳情書をいただいて読んでおったところでありまして、いまここで議論の出ましたことをあらためて研究の材料にしたい、こう思っております。
○石母田委員 以上でもって私の質問を終わりますけれども、そうしたいま言った関連の日本赤十字とかあとは共済病院なんかありますから——日本赤十字はまた別な問題だな。問題だけれども、これもまた実際には公務員に準ずるといってそういうようになっているから、そういうこともよく検討してもらって、そしてぜひ問題の解決に早く乗り出してもらって、そしてそのために不必要な——これは解決すればいいことを、引き延ばしているために無用な摩擦というものが起きかねないのですから、そういう点についてぜひ私は労働大臣の努力を心から要望して、またこれのみならず、先ほど申し上げたような労働者の春闘の要求の解決あるいは国民的な解決というものを十分に真剣に努力を払って、りっぱな解決をされるよう心から希望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○葉梨委員長代理 大橋敏雄君。
○大橋(敏)委員 私もまず最初に春闘問題に関連して若干お尋ねしてみたいと思います。そのあとで地下労働問題についてお尋ねしたいと思います。 〔葉梨委員長代理退席、斉藤(滋)委員長代理着 席〕 これまで社会党さんないし共産党さんの委員のほうからきわめて熱心に春闘問題が問われていたわけでございますが、私はできるだけ重複を避けまして、労働大臣の気持ちをお尋ねしてみたいと思います。 昨日、政府側代表と春闘共闘委の代表とのいわゆるきょうの三・二六ストについての会談がなされた、しかしながら結果的にはもの別れで終わったというようなことが、きょう各紙に大きく取り上げられていました。私はこれを見まして非常に残念に思い、遺憾に思った一人でございます。と申しますのは、春闘の要望というものは決して横車でもなければ不当なものでもない、いわゆる常識的な、いまの情勢に即した真剣な要求である。御承知のように狂乱物価といわれ、あるいは異常インフレといわれておりますこういう事態に即しまして、何としても一人前の生活をしたい、こういう切実な、素朴な気持ちからの諸要求になっているわけです。しかもいまのこのインフレあるいは狂乱物価の影響というものは、決して一労働者のみが受けている問題ではなくて、国民全体の問題であるとして、このような国民春闘という、いままでにない戦いが展開されようとしているわけですね。それにつきまして次々と行動がとられ、いわゆるスト等が実行されてきたわけですが、いままでのストとは違いまして、国民の皆さんのこれに対する支持率というのは非常に高い。これも各紙が一斉に取り上げていて御承知と思いますけれども、今回のストに対する国民の支持というものはきわめて高いわけですね。そういう中にありまして、政府側の回答というものはきわめて一辺倒的なものであり誠意が感じられない。一労働大臣としてこの問題についてものが言える立場ではないとは思いますけれども、何といいましても労働行政を担当なさる大臣でありますし、また労働者のサイドに立つならば、当然この程度までの気持ちは披瀝すべきであるというものが私はあろうかと思います。きのうの会談等を通じまして労働大臣の考えられていたこと、そして新聞等にも出ていないものがあるとするならば、ここで披瀝してもらいたいと思います。
○長谷川国務大臣 私は先ほども申し上げましたけれども、労働者の勤勉というものは日本の宝だと思っているのです。そして何べんとなく、いやな顔もしないで、どういうことがあってもパイプの役割りをしようということでお目にかかっております。そしてまた、おっしゃることなどもほかの方々にもお伝えなどもしているわけであります。ただ、このたびの国民春闘、大橋さんたいへん御礼賛のようでございますけれども、各社の新聞社説は、ほんとうにこれは違法スト、政治スト、こういう困難なときにやるべきじゃないのじゃないかというふうによく書いているのです。ちょっと私は最近ないというふうに感じているのです。こういう場面も御理解いただきたいし、一方では、やはりこういう場合に政治ストはやるべきではないというて、強力な労働団体の方々は違法スト反対もやっているわけであります。それにもかかわらず私がなぜお目にかかるかというと、やはり重要な参考意見として耳をかしてやるべきだという気持ちから、きのうもお目にかかったわけでございますが、御承知のとおり税制から財政から制度から、一切のものをあげて、十二ぐらいの項目をあげられて、これをやらなければストライキだと言われても、どんな名人でも、これにはまず受け答えできないと思う。いわんや国会というものがあります。そういうことからしまして、いまのこの民主主義の今日、それをやらなければストライキだぞというふうな形では、やはりこれは困る。いわんや、物価抑制を皆さんこうして強力に熱心にやっているときでありまして、これは自画自賛じゃありませんが、皆さん方の御努力によって卸売り物価も横ばいしつつあるじゃないか、総需要もがまんしつつやっているじゃないか、あるいはよその国は石油を一万何千円上げたけれども、こちらのほうは企業の皆さん方のいろいろな分析等がありまして八千九百四十六円に押えたじゃないか。こういう連帯感でやっているときに、ほんとうにおやりいただくと、まさに物価が上がりゃせぬか、人心がいらいらせぬか、不測なことが起こったらどうするか、こういう感じ方を持っているものでありまして、それは大ぜいの方々がいまも持っている問題についてそれぞれ御注目いただき、われわれが気がつかないところをときには進言してもらうということは認めますけれども、いまの日本といたしますと、連帯感の中に、何とか騒がないで、お互い相寄り相助けてやっていくというところに基本が——国民春闘というものをおそれている農業者、中小企業、ほかの方々、こういう方々が非常にあるということもお互いが認識して、これは対処していかなければならぬのじゃないかというふうな感じ方を持って——といって、私はそういう気持ちを持ちながらでも、耳を傾けていくことが、将来の日本の労働運動の健全発展のためにいささかでもお役に立つんじゃなかろうかという気持ちで接触しているということをお伝え申し上げます。
○大橋(敏)委員 労働大臣のお話を伺っておりますと、春闘共闘委の要求してくる態度そのものに妥協の余地がなさそうな言い方をなさるわけでございますが、私はそうではないと思うのです。やはり長い間の政府に対する国民の不信感その他が重なり合いまして、少なくともこれだけのものは要求しなくてはという切実な気持ちからの要求でありまして、それがいまおっしゃいましたように、十二の問題が全部受け入れられなければ絶対にだめなんだという、そういうかたくななものではないと私は思うのです。これは姿勢としては示したかもしれません。問題はそれを受け入れようとする政府側のほんとうの気持ちなんですね。いま私が、労働大臣はどうかと聞いたのはそこなんですが、たとえば公務員のスト権の問題にいたしましても、八年間も議論され続けてきた。これまでは政府は、公制審の答申があるまでは、あるまではということでその場をのがれられてきたわけですね。しかし、公制審の答申も一応は出た。簡単に言えば、やれるものから先にやったらどうだというような中身まで示唆をしている。そういうときにもかかわらず、相も変わらず以前の姿勢をくずしていない。こういう立場からいきますと、労働者側の不信というものは薄れることはないと思うのです。ですから、あくまでもその十二なら十二の項目を一挙にというわけにはいきませんけれども、これについてはこの程度の考えを持っております、これについてはこの程度の考えを持っておりますと言って、もっと具体的な中身の回答が示されるならば、もう少し前進ある会談がなされたのではないか、私はこう思うのですけれども、もう一度それについての大臣のお考えをお聞きしたい。
○長谷川国務大臣 まさにおっしゃるとおりでありまして、こちらのほうも国会あるいは政府の皆さんでお考えいただき、またああいう労働団体の方々が反インフレというところで谷間の方々の問題にまで触れてこられる。事実私たちもそれだけ痛感していることですから、たとえば百三十億を出す、御承知のとおり六百八十五万人、労働省関係ですと十二万八千人の失対就労者、こういうことをやるわけですね。しかしそれが三百億でなくちゃいかぬと言うてずっといるわけですよ。だから、私は冗談にもきのう言ったのですけれども、一週間か十日たったらたまには、政府の苦心もわかっていただいて、よくやったぐらいの話をしていただくとなおありがたいがな、こういう感じもいたしますし、一方、いろいろお目にかかっている間に、おっしゃるとおり、事務的に片づけられるようなもの、いままでコミュニケーションのないようなもの、そういう問題については、私の役所などは、同盟さんであろうと新産別であろうと中立労連であろうと総評の皆さんであろうと、話をひとつ事務的に詰めてくださいと言うて、下のほうにおろして詰めた話をまた上のほうに上げてくるというふうな形にしているわけであります。いずれにいたしましても、いままでの立場の違いもあるでしょう。あるいはまた思想の違いもあるでしょう。あるいは問題の認識の相違もあるでしょう。しかしながら、私はよく第二の国難と申しますけれども、ほんとうに先ほどどなたかおっしゃったように、敗戦のあとの大インフレ、大失業時代、それが今日イギリスの上をいくという賃金をとったあとで、石油危機から、いまから二カ月前の新聞は、一体日本はどうなるかと毎日毎日暗いイメージだった。それが国会の御審議やら施策も多少やったことによってようやく明るいものが出てきたときに、大きなストライキというか、そういうものによって社会不安が出てきたら、これはますます物価高騰になりはせぬか。人心のイライラで上尾事件のようなことがあったらどうなるだろうか。私もけさ歩いたのは実はそういう意味でありまして、やはりみんなが忍耐して三十分以上早く出てくる。あるいはまた、よその国ではトラックに乗って労働者が工場に行きますこれども、きょうあたりはトラックに乗って勤務先に出ていくという諸君の姿を見、そしてまた午後には役所からあるいは事業所から帰るときに、家へ帰るのを急ぐためにイライラすることによって何か不測の事件でも起こったらたいへんだという感じ方を持って、いまのストライキの模様をフォローしていたわけですが、ちょうど十二時前後には国労の諸君その他もストライキを中止したという情報をとりながら、いまのところほっとしながらそういうふうに推移を見守りつつ、何とかひとつ日本全体の平和のためにやってみたい。それは皆さん方の御協力、しかもそれぞれ組合の方々、働く皆さん方に影響力のある方々が、議会人として高い次元から説得をお願いしなければならぬのじゃないかという気持ちを持っておるわけであります。いまから先でも話し合いを私はし、また話を聞きもし、といって、これは先ほどから申し上げておるように、いまの時代に団交でありませんで、これはやはり議会というもの、こういうところで話をする。そしてあの方々からも私たちが教わる面がある、こういう立場をとっていることを御理解いただきたいと思います。
○大橋(敏)委員 要するに、低所得者層対策のための春闘共闘委の具体的な要求に対する政府側の回答がなかった。あるいは政府側からの、ストはやめてほしいという要求に対する春闘共闘委のほうの態度とのかみ合いがないばかりにきのうもの別れになったけれども、しかしこれはもっと具体的に話を煮詰めて、一日も早くこの問題を解決したいという気持ちは十分お持ちである、このように理解しておってよろしいですね。もう一ぺん……。
○長谷川国務大臣 問題が平和のうちに、国民的視野に立って、そしてお互いが相寄り相助ける姿において解決できることを心から願っているものであります。
○大橋(敏)委員 目前の利害にとらわれて遠大なる利害を忘失するのは愚かであるということわざがありますように、あまり目先の問題にだけこだわることなく、いま大臣がおっしゃったように、日本全体の大きな立場に立って、一日も早くこの問題を解決されんことを強く要望いたします。 それでは時間の関係もございますので、次の地下労働問題に移りたいと思います。 地下労働対策の問題ですけれども、地下鉄の普及あるいは地下街、地下駐車場など、その増加ぶりを見てまいりますと、もう目をみはらせるものがございます。当然そこで働くいわゆる地下労働者の数も驚異的な増加を示していると考えられるのでございますが、労働省としてこの掌握をなさっているかどうか、まずお尋ねをいたします。
○渡邊(健)政府委員 地下労働の問題は、安全衛生上も非常に重要な問題でございまして、私ども昭和四十六年には地下の駐車場の問題をいろいろ調べまして、対策要綱を定め、さらに四十七年には地下労働全般につきましていろいろな調査をやりまして、それに対する地下街労働対策要綱を定めて指導しておるところでありますが、四十七年に調べましたところによりますと、いわゆる地下街、一般の公衆が通行できる地下道に面した店舗その他、そういうところに働いておる人は約五万人、それから地下街ではないが、たとえばデパートの地下部分といったような単独のビルの地下に働いておる人も約同数くらいおりまして、そういう地下の店舗または事務所に働いておる人は、当時の調査では約十万人というふうに把握をいたしております。
○大橋(敏)委員 いまの御答弁では、地下街で働いている者は、駐車場等で働いている者等が五万人で、それから百貨店の地下街等で働いておる者を合わせると十万人である、こういうことですね。私も労働省の調査なさった資料を一応自分なりに見てみたわけでございますが、地下街の実態というものは、全国で百四十六カ所、東京五十四、大阪三十三、愛知で十六、地下街の七〇%がこの三大都市に集中しているということも知りました。またこれら地下街の延べ総床面積といいますか、これは約百二十万平方メートルである、店舗数は六千四百四十四ある、このような実態調査の結果が出ていたやに伺いましたけれども、大臣、私これを見たときに非常に不安を感じたことは、この事実は単なる地下労働問題としてのみではなくて、現代都市社会の全体の安全問題安全にかかわる深刻かつ重要問題だ、私はこのように率直に感じました。実際、このような具体的な調査がなされているわけでございますけれども、それじゃそれに対する総合的な対策の手は打たれているのかどうかということに疑問を感じたわけでございますが、その点についてはどうか、お尋ねいたします。
○長谷川国務大臣 日本はほんとうに何でも新しいものをどんどんやろうとしておる。私も二、三日前に朝トレーニングに行ったときに、大手町の地下街に入った。ところが、中を自転車で飛ばしているのですね。びっくりしました。しかも、役所のほうで聞いてみますと、日本全体でこういう地下街に一日に千二百万人の人間が出入りする。まさにこれは、せんだって熊本のデパートの火事のときにも閣議で出ましたけれども、デパートの火事でもあれだけ、もし地下街にあんなことがあったらどうなるか、こういう話があらためて出たことでございまして、私のほうは労働省ですから、直接建築を許可したり何かするところじゃありませんけれども、労働者を守るという立場からいまのようなデータをとって研究しておるわけでありまして、おっしゃるように、こういう場所で警告されたのをきっかけにいたしまして、あらためて関係官庁との総合行政というものが必要ではなかろうか、こういうことを感じておるものでございます。
○大橋(敏)委員 私も、いま言うように総合行政、これを一日も早く具体的な内容を取りまとめて手を打たなければ、それこそいま大臣が心配なさっていたような大惨事が起こるのではないか、また行政の怠慢をののしられ、あるいは政治の手落ちがあらためて批判されることになるのではないか、そういう心配の上から私はこの問題を取り上げているわけですけれども、いま労働省の基準局で調べているいろいろなデータを見ましても、地下街を利用する人あるいは地下鉄を利用する人、そういう数を見てまいりますと、どえらいものですね。全国で一日当たり千二百万人だそうです。国民八人中一人は何らかの形で地下を利用している。しかも、地下街の中には地下六階に達するものもあるそうですね。商店部分のみをとっても地下三階にわたるところも相当見当たるということでございますが、地下利用というものが日常の国民生活の中に深く組み込まれてしまった、こういうことを考えてまいりますと、いま労働省がその資料はきちっとそろえた、そろえたその資料がさっぱり機能的に作動していない、宝の持ちぐされだ、こういう考えで一ぱいなんです。 そこで、いま大臣は総合行政の手を打っていくとおっしゃいましたけれども、具体的にはどのような手を打たれるのか、もう少し掘り下げて答えていただきたいと思います。
○渡邊(健)政府委員 一昨年、私ども地下労働の現況につきまして調査をいたしましたとき、ただいま先生が御指摘になりましたような、われわれも非常な感を強くいたしましたわけでございます。そのときも建設省あるいは消防庁等ともいろいろ連絡をとりまして、建設省も今後どんどん地下街をつくっていくということには非常な問題があるということで、すべて地下街の新設は建設省の許可制になっておるそうでございますが、その許可も最近では非常にきびしくしておる。しかも地下街の設計等につきましても、前はいわゆる出入り口と次の出入り口の間隔が相当離れたものも古い地下街にはございましたけれども、最近はできるだけそういう距離も短くするというようなことで、地下街の建設そのものについて、ただいま御指摘になりましたような観点から、建設省もそういうことを考慮して抑制的な、しかも安全な方法をとっておるようでございます。 さらに、万一事故が起きましたときの問題等につきましても、私ども、消防庁等ともいろいろ連絡をとっておりますが、ともかく労働者の安全衛生を確保すべき労働省といたしまして早急にこれを措置する必要があると考えまして、それら調査及び関係省庁と協議しました結果に基づきまして、四十七年の六月に「地下街労働対策要綱」というものを定めまして全国の基準局に通達をし、それによって地下街の安全衛生あるいは労働条件等につきましての指導をいたさせておるわけでございます。 その要点を申し上げますと、一つは、地下街ごとにそれらの店舗を単位とするところの協議組織を設けさせまして、そこで安全衛生あるいは労働条件等についての同一歩調をとった対策を実施させる。 その対策のおもな点について申し上げますと、まず一つは、災害防止上の措置といたしまして避難訓練を実施させる。それから避難の通路を明示させる。あるいはその避難口にはものを置いたりすることがなく、常時有効に保持させるようにするということ。あるいは地下の深いところにある電気室、機械室その他避難に時間を要するようなところには、労働者の数に応じた空気呼吸器の備えつけをさせる。あるいは、そういうところにおける酸素欠乏症の防止措置をとらせる。さらに、地下街は環境が非常に悪い場所が非常に多うございますので、一応一酸化炭素とかあるいは炭酸ガス等々につきましての環境基準を定めさせまして、その基準が維持できるような換気装置、こういうものをつけさせ、それを正常に運行させる。さらには、地下街における労働者等はそういう意味で健康をそこなうおそれがございますので、健康診断の実施につきましても一定の基準を設けて励行させる。さらに休養所等の福利厚生施設の設備、あるいは地下街を清潔に保持するための指示、あるいは日光浴等を休憩時間にさせるような指導、あるいは労働時間、休日等についてもできるだけ健康を保持し得るような労働条件を確保するといったような内容の対策要綱を設けまして、各地下街にそれを励行させるよう指導いたしておるところでございます。
○大橋(敏)委員 御承知のように、地下街というものは飲食店あるいは衣料品店、ずらっと並んでいますね。そうしていわゆる火種といいますか、可燃物は一ぱいだし、一たん火災が起こりますと有毒ガスが発生するような材料ばかりなんですね。 実は去る二月の十六日に、福岡市の博多駅の地下街で飲食店のぼやがあったわけですよ。これは早期発見で大事に至らなかったんですけれども、手おくれになったら完全にガスが充満して大惨事になったであろう、こういわれております。ここは三千三百平方メートルのところに飲食店や商店が三十六軒ありました。福岡市の消防局の調べでわかったことは、排煙装置がなかったのですね。煙を排出する装置が全然設備されていなかった。四十四年から義務づけられているにもかかわらず、このような実態であった。これは私は氷山の一角だというふうに見たわけです。労働省の基準局の調査でも、建築基準法で定められている排煉設備のない地下街が六十九件中十三件あったということがもうすでに調査済みでございますように、地下街の実態というものはもう想像以上に危険な状態にさらされているというわけです。いま、いろいろと指導要綱をまとめられて今後手を打っていくという話ではありますけれども、どうもこれだけでは心もとないという感じでならないのですよ。たとえば従業員のための休憩室、更衣室、便所等のない例もたくさんあった、あるいは労働者の休日、休暇などの労働条件等もきわめて不十分である。こういうことで地下で働いている労働者自身の労働条件の問題も重要な問題ですし、またその設備も不十分なものばかりである。ましてや建築基準法の立場からいっても手落ちなところが幾らもあるという現実なんですね。それに対して、ただ要綱をつくって幾らやろうとしてみても、設備を改善しようとすれば金がかかる、さまざま経費もかかってくることでありますので、私は、もっと積極的な、しかも行政的な力強い何かをやっていかないと手おくれになるんじゃないかという感じでいっぱいなんですがね。この点について労働大臣の考えをお尋ねしたいのですが、すでに四十五年にはビル管理法というのもできているわけですね。あるいは四十七年には事務所衛生規則もできているわけですよ。いま局長が言いましたようなことは、もうすでに法律としてはできているのですよ。しかしながら現実問題としてそれが作動していない、機能していないという、ここにいわゆる行政の欠陥があるわけですね。こういうものに対して大臣の思い切った手がほしいわけです。これについていかがでしょうか。
○長谷川国務大臣 やはり私は国会というものはありがたいと思うのです。こういう問題をあなたからお取り上げいただく、私のほうが労働者を守るという立場からいろいろ作業しておった、そういうことと、今度はほかの役所が一体どういうふうになっているかというふうなことがここで指摘されるわけでありまして、まさにおっしゃるとおり千二百万の方々が出入りするということであり、しかもこれが三大都市にほとんど集中しているということでありまして、いずれまた中都市、福岡とか名古屋とかそういうところにも地下鉄などができれば同じような施設が生まれるというときに、あらためて私は総合行政の必要性を感じ、あるいはときには関係閣僚にあらためてこういう問題に注目してもらって、自分の所管、所管で少し指示をいままで以上にフォローしてもらうというような対策も必要じゃなかろうかということを感じているわけでありまして、全く議会においての発言、建策こういうものが国の行政の上に、あるいは労働者の安全保護の上に、災害防止の上に非常に役に立つ一つの例だろう、こう思っていまから先私も役所の諸君と相談の上にそれぞれの手配をとって御期待に沿うていきたい、こう思っております。
○大橋(敏)委員 確かに建設省は建設省なりに、あるいは消防庁は消防庁なりに概括的に地下問題は掌握していると思うのです。しかしながら労働省は労働者を守ろうという立場から四十七年に大々的な調査を展開した。私はこれは非常に評価したいわけですけれども、せっかく調査されたものがまだ生かされていないということなんですよ。また一部の有識者は確かに地下問題を深刻に受けとめておりますけれども、一般的にはまだ認識は非常に浅い。というのは、いままでに大事件が起こっていないから何とかここまでこれているのじゃないかと思うのですけれども、ビルのあの大火災が起こったり、あるいは空の大事故が起こってみたりすると同様に、いまにして今度は地下の大惨事が起こるのではないかという不安で一ぱいです。これは先ほどから何回も申し上げておりましたように、これから総合対策を立てるためには、やはり建設省あるいは消防庁そして労働省、あくまでも労働省がむしろイニシアをとって具体的な内容をまとめてもらって、そのまとめられた線に沿って手が打たれていくように重ねて要望する次第でございます。いつというわけにはいかぬでしょうけれども、もし具体的な今後のこれについての打ち合わせをこうやるのだああやるのだというものがあれば御答弁願いたいと思いますが、いかがでしょうか。
○渡邊(健)政府委員 確かに先生おっしゃいますとおり、地下問題につきましては総合的な対策、緊急な実施がわれわれも必要と考えておるわけでございまして、個々の事業主や何かだけでは処置できない。したがいまして私どもの対策におきましても、地下街ごとに管理センターみたいなものが中心になりまして協議組織をつくって、それ全体でたとえば換気装置が足りなければ換気装置を設備するようにする、あるいは避難訓練等にいたしましても個々の店でやっても意味がないわけでございまして、地下街全体が一緒になってやらなければならぬ。そういうときには同時にまた、消防庁なり警察なり関係省と協力をしてそういう訓練なり何なりの措置をする必要もあると思います。そういうことなど、すべてやはり関係官庁がお互いに協力をいたしまして総合的な対策をする必要があると考えておりますので、私ども、先生の御指摘に従いましてさらに関係省庁と密接な連絡をとりまして、全国の地下街につきまして十分な総合的な対策がそれぞれ打てますように努力してまいりたいと考えております。
○大橋(敏)委員 きょうは私の持ち時間がきたようでございますのでこれでやめたいと思いますが、この地下街労働者対策は、先ほど言いましたように、単なる労働対策だけではなくて日本全体の安全の立場から、大きな立場から早急に具体的な安全対策の手を打っていただきたいということ。これはいつの新聞でしたか、三月十五日にも「ビル地下炭酸ガス攻め、消火装置漏れ三人中毒」という、やはり地下問題のこうした事故があちらこちらに相当発生いたしております。大惨事が起こる前に具体的な手が打たれてほしい、こういう気持ちで申し上げたわけです。私は、地下問題のきょうの質問を単なる質問と受けとめられないで、警鐘的な内容を含んだ質問であった、こう深刻に受けとめていただきたいことをお願いして私の質問を終わりたいと思いますが、労働大臣の見解を最後に承わりまして終わりたいと思います。
○長谷川国務大臣 大橋さんはアイデア賞をすぐにもらうという話がありますが、まさにこれはすばらしいアイデアだろうと思います。私も皆さん方の国会の御議論はむだにいたしません。そしてまた私もそういう立場にありました。でありますから、さっそくこれは何かの機会に関係閣僚に話をし、そしてまた関係の局長諸君があらためてこういう会合をもって問題を見詰めていって総合的な対策をとるようなきっかけをつくりたい。そういう意味で、ほんとうにすばらしいアイデアに対して敬意を払って、決意のほどを申し上げておきます。
○斉藤(滋)委員長代理 小宮君。
○小宮委員 私は高年齢者の雇用対策について質問したいと思いますが、高年齢者というのは、大体何歳以上を高年齢者といいますか。われわれも一般に簡単に高年齢者とか中高年齢者とかいろいろ言っておるわけです。厳密にいって高年齢者というのは、大体何歳ぐらいから以上を高齢者といいますか。
○遠藤(政)政府委員 中高年齢と俗に申しておりますが、これは中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法というのが三年前に制定されまして、その法律の中で中高年齢とは四十五歳以上ということに規定されておるわけでございます。
○小宮委員 私は、中高年齢のほうはあとで聞くつもりだったのですが、高年齢者は何歳以上をさしますか。
○遠藤(政)政府委員 高年齢者が何歳以上であるかということにつきましては、法律上の定義はございません。しかしながら、通常中高年と申します場合に、ただいま申し上げましたように四十五歳以上を中高年と総称いたしておりますが、その中で、一般的に五十五歳定年が社会的慣行として従来行なわれておりまして、私どもはこの定年延長という点につきましていろいろな措置を講じておりますが、その中で、中高年齢者の中で一般労働市場におきまして就職の点でいろいろと問題がございますが、求人求職のバランスから申しまして、特に就職が非常に困難な階層というものを数字の上で見ますと、大体一般的な定年の五十五歳をこえますと求人倍率が極端に落ちてまいります。そこで、一般的に中高年の中で五十五歳を一応高齢者という考え方で、もろもろの行政措置、援護措置の対象として考えてまいっておるのであります。
○小宮委員 高年齢者というのは、五十五歳以上の人を高年齢者というのですな。高年齢者対策というのは五十五歳以上の人たち、たとえば六十五、七十も、これはまた老人の問題との関係もあるわけですが、老人という定義をどこに置くかという問題もありますが、一応は老人と呼ばれる人たちも含めて高年齢者であることは間違いない。そうすると、高年齢者の雇用対策というのは何歳までぐらいを対象にして考えておるのかということです。
○遠藤(政)政府委員 ただいま申し上げました中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法の中では、労働市場におきまして職業適応能力を持った労働力としての考え方におきましては、いろいろな考え方がございますが、諸外国の例等におきましても、年金との関係あるいは労働能力との関係、そういったことから一応六十五歳までを労働行政におけるいわゆる雇用政策、職業対策の対象として考える、こういうことに規定されておるわけでございます。
○小宮委員 それではこういうふうに理解していいですか。定年退職は五十五歳、六十五歳までは高年齢者としての雇用対策を政府としてはやる、六十五歳以上は年金、いわゆる社会保障でこれを見ていく。それから、定年が大体五十五歳ですが、結局いまの厚生年金にしたって六十歳から始まるわけでしょう。そうした場合に、六十歳から六十五歳までは雇用対策と社会保障の二本立てでいく、六十五歳以上は社会保障で生活をやっていく、したがって高年齢者の雇用対策というのは六十五歳までを対象にして考えておるんだというように理解していいですな。
○遠藤(政)政府委員 労働力としての適応能力と申しますか、労働市場性と申しますか、こういう点につきましては、年齢できっぱりと区切りをつけることはなかなかむずかしい問題でございます。同じ六十五歳をこえた人におきましてもそれぞれ個人差がございまして、六十五歳をこえた人でもなお六十歳以下の人と同じような意思あるいは適応能力を持った人もございます。これを一がいに区別するわけにはまいりませんけれども、一応法律上は、ただいま先生の御指摘になりましたような考え方で四十五歳以上を中高年齢と総称いたしまして、六十五歳まではこの法律によります特別な雇用対策の対象として手厚い援護措置をする、こういうたてまえになっております。ただ、その中で六十歳から六十五歳までにつきましては、六十歳をこえた人で六十五歳までは何が何でも働かなければならぬ、働かせるんだということがいえるかどうか、この点は確かに問題がございます。そこで、同じ高年齢層の中でも六十歳をこえ六十五歳までの人につきましては、ただいま先生御指摘のように、雇用政策の対象として法律によります援護措置の対象になりますと同時に、社会保障における年金の対象でもございます。いわば雇用政策の対象となる高年齢者であると同時に、社会保障、年金の対象者でもございます。両方の接点として、両方の施策が相まってこういう人たちの社会活動を援助していくということに相なるべきではなかろうか、こういう考え方を持っておるわけでございます。
○小宮委員 それでは、高年齢者で、六十五歳までと押えていいですが、働きたくても働く職場がないために失業しておられる方がどれくらいおりますか。
○遠藤(政)政府委員 高年齢者、ただいま申し上げました五十五歳以上の人で、働きたくても働く職場がなくて現に失業しておられる方がどれくらいあるか、これは全体として数字をここで申し上げるのには私どもいささか資料不足でございますけれども、安定所で求職の申し込みをされた人たちに対する求人倍率から見ますと、五十五歳以上になりますと、確かにいまのような労働力の需給が逼迫しておるような状況の中でも非常に就職が困難でございまして、御承知のとおりなかなか就職できない。五人の求職者に対して求人は一人というような状態が六十歳をこしますと出てまいります。その点で、今後の雇用政策の重点事項として私どもは考えておるわけでございます。 具体的な数字につきましては、また後ほど調べまして御報告申し上げたいと思います。
○小宮委員 高年齢者対策をやる以上、高年齢者がいまどれくらいおるのか、失業者がどれくらいおるのか、そういう資料を把握せずにどうして雇用対策がやれるのですか。それはあとで調べてください。 特に東京都が高年齢者の雇用状況を調べてみたところ、六十歳以上の方で、再就職しても一年未満でやめる人が半分いるのです。そういう意味で、全国的に高年齢者の定着率というのはどれくらいになっておるか、その点いかがですか。
○遠藤(政)政府委員 先ほど御質問の、高年齢者で失業している者はどれくらいいるか、これは労働力調査によりますいわゆる完全失業者の中で、五十五歳以上、六十五歳以上の人はどれくらいいるか、この数字は私ども承知いたしております。その数字を申し上げますと、昭和四十七年の調査で、五十五歳から六十五歳未満の人が十万、六十五歳以上の人が二万というのが、一応完全失業者の中の高年齢層という数字になっております。ただ、この中で、具体的に安定所に求職申し込みをし、なおかつ就職できない人がどれくらいいるかということにつきましては、別途の数字でございますので、いまここに数字を持ち合わせておりませんということを先ほど申し上げたわけでございます。 それから、東京都の一部で調査が行なわれたようでございますが、私どものほうでは、実ははなはだ申しわけないことでございますが、高年齢者につきましては、一般の公共職業安定所、高齢者コーナー、人材銀行あるいは高齢者の職業相談室、こういった機関を設けまして就職のあっせんをいたしておりますけれども、就職なさった方々のあとの追跡調査を実はまだ実施いたしておりません。その追跡調査を現在計画中でございます。したがいまして、一部東京で行なわれました、一年未満で再離職の人が多いという結果も聞いておりますけれども、現実にどうなっておりますかは、今後の調査の結果にまちたい、かように考えております。
○小宮委員 定年退職されて再就職された方の賃金は、定年前の賃金と比べて大体幾らぐらいになっておりますか。
○遠藤(政)政府委員 大体、定年退職後再就職された方々の賃金分布を調べてみますと、前職賃金より上回った人ないしは前職賃金にほぼ横ばいというのが約半数でございます。それから前職賃金を下回って再就職した人というのが残りの約半数というような状況になっておるようでございます。
○小宮委員 定着率が非常に悪いというのは、原因を調査してみたところ、これは東京都内の例でもそうですが、仕事がやはりきついということ、賃金が安いということ、こういうようなのが一番大きな原因になっておるのです。だから、退職前と比べて賃金が上回った人がおるとか、大体同じだという人が半数以上おるというのは、ちょっと私には解せかねますけれども、それはやむを得ないとして、やはり定年退職されてから再就職する場合に賃金のダウンが非常に激しいのです。これは東京都ではどうか知らぬけれども、われわれやはりいなかの中小都市では非常に安いですよ。それはもう大きな企業に働いておられる方々が再就職した場合は当然やはり中小企業ですから、賃金はもう三分の一以下に下がる人もかなり多いのです。だから問題は、高年齢者の雇用対策を考える場合に、そういった賃金の問題、それから実際その人の職種に類似職種であるかどうか、いろいろな要素を解明していかないと、ただ口で高年齢者の雇用対策だと言ってみても、これはなかなかうまくいくはずがないのですよ。だから今度の雇用保険法案にも、雇用奨励金として年間五万円企業に支払うとか、いろいろなことが書いてあるけれども、ああいった対策は、問題の本質をほんとうに掘り下げて考えられてのことかどうかということを私は疑問を持ちます。そういうような意味で、この中高年齢者の雇用対策あるいは高年齢者の雇用対策、非常にむずかしい問題ですが、これにしても、まあ大臣が行かれるようですから、その前にひとつお聞きしておきますが、こういうような問題にしても、やはり労働組合の協力を求めて——もちろん定年延長をやらなければいけません。だが、定年延長にしても、ただ労働省が幾ら行政指導やってみたって、なかなか定年延長が実際六十歳までいくかどうかということになると、なかなかほど遠いのですよ。その意味では、企業に協力を求めると同時に、やはり労働組合に対して協力を求めなければならぬと私は思うのです。その意味では、前回の委員会で、心身障害者の雇用対策の問題について私が労働組合の協力を求めるような呼びかけをしたことがあるのかという質問をしたことに対して、大臣も、その点、いままでやったことございません、しかし、それは今後ひとつぜひやっていきたいということを言われておりましたけれども、さっそくその問題については実行されましたかどうか。
○長谷川国務大臣 前の社労の委員会で、先生から身体障害者の雇用問題が出まして、私と局長が答弁に立ったわけでございますけれども、あの際に、ことに五百人以上の事業所が非常に成績が悪い、こう私たちのほうで御答弁申し上げましたが、ぜひともひとつ労働組合のほうの御協力を求めるべきだという御意見が出されまして、私はすばらしい御意見だと思いまして、直ちにアクションを起こします、こう実は御答弁いたしました。ちょうど幸いと言うてはあれですけれども、ちょうどいま労働関係の団体の皆さん方が、弱者救済でよく私の部屋へ参られます。実情などをお伺いする間に私は先生の御意見を申し上げまして、ぜひひとつ労働組合の大幹部としてもそれぞれの組合に対して、こういうふうに組合のほうからも雇用率の達成のために御協力願いたいということをぜひ申し上げてくださいと言うて一々お願いを申し上げまして、来る団体、来る団体みな申し上げておきました。中には、そう言うても、途中から入る人の給与は一体どうなるかなどということをその場で言う人もありますが、とにかくだれも反対できないことでございますから、書類を持ち帰り、また御検討いただくということでございました。ほんとうにいいアイデアをお出しいただき、それをまた実行し、一方また政務次官会議で私のほうの政務次官が、各官庁がこの達成率をぜひやってもらいたいということを申し上げて、了承をいただきました。そして、それが新聞に一部載っておりますが、そういうことに、やはり総合行政といいますか、積極的に皆さん方の御意見の取り上げられるものをやるところに私たちのやはりつとめがあるんじゃなかろうか。それが皆さん方のまた地位の向上なり福祉につながる、こう思っております。 このたびの雇用保険法案の中に、実は特に先生御指摘の高年齢者の問題は入れておるわけであります。何といいましても、私たちの子供のときは人生わずか五十年といいましたが、五十過ぎた人はほんとうにお年寄りと思っておりましたが、今日は平均寿命が男が七十歳、御婦人が七十五歳でございます。でありますというと、働く期間というものは非常に長いわけでございまして、今日労働の需給が非常に逼迫しておりましても、地域によっては全く高年齢者の方々の失業、働く意思があり、健康でありながらまだそういうものがないということでございますので、何とかこの雇用保険の中において訓練をしていただきながら一生、これは生涯教育でございますから、訓練していただきながら、そういう職種の入るような場合に私のほうがごあっせん申し上げるところにこのたびの雇用保険法案がございまして、それをまた実施するにあたりまして、この委員会であるいは先生のような方の御意見などもよく参酌しながら、実効あるものにせっかくの法案の肉づけをしてみたい、こう思っている次第であります。
○小宮委員 ちょっと、大臣は時間がないですから……。労働大臣の私的諮問機関であります雇用政策調査研究会というのがありますね。この研究会で、高年齢者雇用についてというような報告書がまとめられているわけですが、この中に厚生年金の支給制限の緩和ないし撤廃を含む年金制度の改善というのが出されているわけです。これは直接は厚生大臣の所管でしょうけれども、これはわれわれが一番このことをいままでも熱望しておるわけですが、大臣が時間がございませんから、まず大臣のほうから、せっかく大臣の私的諮問機関であるこの調査研究会からこういった報告が出ているわけですから、大臣としてこの報告に基づいて、その実現のためにいかような努力を払われるのか、その点を、ひとつ大臣が退席する前に聞いておきたいと思うのです。
○長谷川国務大臣 私のほうでお願いして、長いことかかってできた調査研究会の結論でございます。そしてまた、権威者の方々が長いレンジでものを見てのことでございますので、その意見を尊重しながら、それを私たちが実施していくのに努力するというところに私たちの使命があるのじゃなかろうかと思います。先ほどから申し上げましたように、いまからは高年齢者の社会でありますから、ぜひともそういうところを実現に邁進したいと思っております。
○小宮委員 大臣、もういいです。 厚生省来ておりますか。——この問題について厚生省としてもどのように考えられておるのか、その点いかがですか。
○坂本説明員 厚生年金の老齢年金につきましては、老齢退職者の老後保障の制度であるということでございまして、原則といたしましては、六十歳以上で退職した人に対して老齢年金を支給するという仕組みになっておるわけでございます。そういう本来の目的でございますので、現在の段階におきまして、六十歳をこえても在職をして所得のある方につきましては、退職をされて所得のない方との均衡上、ある程度の制限をとっておるわけでございます。しかしながら現実には、六十歳をこえましていろいろな理由によってかなり報酬が低い方もおられる、これは事実でございまして、そういう方々につきまして、所得保障制度としての年金についても何らかの手当てをいたしたいということで、六十をこえまして六十四歳までの間は、在職中であっても所得が低い方について、その所得に応じて老齢年金を支給する、こういう仕組みにしておるわけでございます。この支給範囲につきまして、実は昨年の年金改正におきまして、従来は報酬の月額といたしますと大体一万九千円未満の方に支給しておったわけでございますけれども、これを五万円未満の方に支給するというように範囲を相当広げたわけでございます。昨年の改正で年金の標準的な水準が大体五万円となりましたので、年金と報酬と合わせて少なくとも五万円ぐらいの額にはなるようにしたい、こういうことで改正をいたしたわけでございます。 なお、在職者につきましてはいろいろ事情があるわけでございますけれども、退職者との均衡がございますので、こういった支給につきましての制限を完全に撤廃するということにつきましては、年金制度上問題はあると思っておりますけれども、ただいま申し上げましたような趣旨で、六十歳をこえた在職の方にも年金を支給する、こういう仕組みをとっておるわけでございます。
○小宮委員 いま説明のあったように、結局六十歳以上になっても収入が五万円以下ならば、五万円との差額を年金として支給する。五万円以上の場合は、年金は一つも支給されない。それがいま言うように、結局高年齢者の雇用促進の障害になっておるとすれば、その問題についても、撤廃ということが一挙にいかないにしても、制限の緩和ぐらいは考えるべきだと私は思う。だから、その意味では厚生省と労働省の立場、労働省としては高年齢者の雇用促進をやっていこうとしておる。それがいまの厚生年金の問題でひっかかって支障になるということであれば、同じ政府部内で十分協議をされて、撤廃とまではいかぬでも、その制限を緩和するぐらいの前向きの姿勢で厚生省は取り組んでもらいたい。こう思うのですが、いかがですか。
○坂本説明員 確かに御指摘のように、高年齢者の問題につきましては私どもも相当考慮いたしておりまして、今後とも年金が所得保障として果たすべき役割りを十分考えながら、この目的の達成のための努力をいたしていきたいと考えております。
○小宮委員 それでは労働省のほうですが、一番問題になっておるのは——いま定年到達か大体五十五歳として、五十六歳でもかまいませんけれども、五十五歳定年の中でこの人たちは年齢的にも、家庭的に子供さんが高校に行かれる人もおります、大学に行かれる人もおります。ちょうどそのころの年齢になると、娘さんとかむすこさんの結婚問題があります。そうすると、家計的には出費が一番高くなる年齢なんです。これは皆さん方がそのころの年代になってみれば、私が申し上げるまでもなく一番わかるはずだと思う。だから、その意味で定年退職者の雇用対策を真剣に考えていただかぬと、五十五歳まで働く、五十六歳まで働いたにしても、将来余生を安楽に暮らせるような金をもらうわけではないし、年金があるわけではない。そのためには今度の雇用保険法案の中にも、そういった長年つとめた人たちに対して、六十歳以上の方には、雇用された労使に対して失業保険料を免除するという制度を設けておりますね。私に言わせれば、こういうような制度にしても、いま定年は五十五歳、五十六歳、五十七歳のところもありますけれども、そこまで高年齢対策として考えていただくならば、定年後再就職する場合は失業保険料は免除するというぐらいの思い切った施策を考えていただかぬと、五十五歳でやめて六十歳までは間が空白になるわけですから、何も六十歳からといわぬでも、定年退職後再就職する場合は、事業主にも雇用される人に対しても失業保険料は免除するというぐらいの姿勢があっていいのではないかと考えますが、どうですか。
○遠藤(政)政府委員 先生の御意見たいへんごもっともでございますが、先ほど来お話に出ております六十歳から六十五歳までの高年齢者の問題でございます。これは、先ほど御指摘いただきました雇用政策調査研究会の意見書の中にも「高年齢者の雇用問題が、雇用賃金慣行や生計維持の必要性などを背景とした賃金問題にあることを考慮し、年金の受給開始年齢によって年金額の段階制をとるいわゆる年金の選択制を含め在職老齢年金の支給制限の緩和ないしは撤廃等について、今後早急に検討する必要があろう。」、こういう趣旨に基づきまして、私ども、厚生省とも御相談をしながら、なかなかむずかしい問題ではございますけれども、雇用政策を積極的に進めると同時に、年金の面でもこういう積極的な配慮をしていただくように御相談をしておるわけでございます。 なおまた同時に「また年金のみならず各種社会保険においても、高年齢者に対する特別の配慮が望まれる。」、こういう指摘がございます。そこで私どもは、こういう六十歳から六十五歳の階層の方々につきましては、在職労働者としての長年にわたっての御労苦に報いるということと同時に、こういう人たちにつきましては、再就職をされましても必ずしも六十五歳までおつとめになるわけじゃございません。いわゆるリタイアされる方もその中には相当含まれております。こういう方々について保険料を徴収するということは、言ってみればやらずぶったくりになるというような考え方もございます。同時にまた、こういった六十歳をこえた方々の雇用の促進、再就職を積極的に進めていくという意味から申しまして、単に定年延長奨励金とか高年齢者に対する雇用奨励金というものだけでなくて、逆の面から雇用奨励策につながるということで、異例な免除措置を実は制度化することにいたしたわけでございます。 その際、一般的な定年の五十五歳まで引き下げるべきじゃないかという御意見でございますけれども、労働省といたしましては、定年の五十五歳が現在の労働力人口の中で占めます高齢者の位置、こういったものを考えますと、いまの五十五歳定年はさしあたり六十歳までは延長すべきである、こういうことで積極的にいろいろな施策を講じておるわけでございます。そこで、定年は六十歳まで延ばす。その上で、六十歳をこえた人につきましては、いま申し上げましたような考え方で措置を考えていく、こういうことでございますので、さしあたりまず制度としては六十歳以上の人について免除措置を考えていく、こういうことにいたしたわけでございます。今後事態の推移を見ながら、この問題を具体的にどう進めるべきか、さらに検討を続けていきたい、かように考えております。
○小宮委員 いまの問題については、雇用保険法の審議の際、十分掘り下げていきたいと思いますが、最後に一点だけお聞きしたいのは、失対事業に働いておられる方々の賃金、いわゆる失対賃金ですが、大体これはいつごろきまるのか。 それからいまの失対賃金でも非常に地域格差がつけられているわけですが、これは総理府の発表を見ても、いま、東京とか大阪とかの大都市よりは、地方の中都市、小都市の物価が非常に高くなっておるということが総理府の統計にも出ているわけです。したがって、失対賃金をきめる場合に、従来のように地域格差をつけるということについても私は問題があると思うのですが、今回の失対賃金の決定にあたって、そういうような地域格差の問題をどのように考えられて決定されようとしておるのか。その点と、いま言った、いつごろきまるのかという二点を最後に質問して、私の質問を終わりたいと思います。
○遠藤(政)政府委員 たいへんごもっともな御意見で、私どもといたしましては、たいへん感謝を申し上げる次第でございます。 失対賃金は、目下参議院の予算委員会の段階で検討が進められております予算案の中で、来年度一九・二%のアップを計上いたしております。その一九・二%の増額の分を具体的に各県、各地域ごとに確定をいたすわけでございますが、大体ここ数日中に、賃金審議会の御意見を伺った上で決定をいたす段取りになっておるわけでございます。 その際——実は地域格差の問題でございますが、私、三年前に、当時この責任者でありました当時から、この地域格差をできるだけ縮小していこうということで、従来比較的低く定められておりました周辺地域の事業主体の賃金を極力、標準の上昇率を上回って引き上げるように努力をいたしてきたわけでございます。今回もそのような方針に基づきまして、大都市に比べて比較的低く定められております賃金を一般的な標準上昇率よりも上回って引き上げる方針で、いま賃金の確定を急いでいるわけでございます。必ずしも先生の御意向に沿うように十分にはいかないかと思いますけれども、今後そういう方向で、極力、大都市と周辺中小都市、農村との賃金格差を縮小していく方向で努力をいたしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○小宮委員 これで質問を終わります。
○斉藤(滋)委員長代理 次回は、明後二十八日木曜日、午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後五時三十三分散会