公害対策並びに環境保全特別委員会 第15号
- 発言数
- 221 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1974/04/02
会議録
○角屋委員長 これより会議を開きます。 内閣提出の富士地域環境保全整備特別措置法案を議題とし、審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。土井たか子君。
○土井委員 この法案の審議に関係のあることでありますが、まず本題に入る前に、ひとつ確認をしたいことがございますので、それからお伺いすることにいたします。 それは憲法の第七十三条、内閣の職権について規定をしているわけでありますが、この七十三条の一項に「法律を誠實に執行し、」と、こうございます。この場合、法律という認識はどういうふうにすべきかという問題。この場合、法律というのは法案が作成された段階をさしていっているのか、法案が国会に提案された段階をさしているのか、その法案が審議される委員会で可決成立した段階をさしているのか、本会議で可決成立した段階をさしているのか、それともその法律が施行されるという段階をさしているのか、いずれでありますか。
○味村政府委員 憲法の五十九条に「法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、爾議院で可決したとき法律となる。」とございます。したがいまして、両議院の本会議で可決されたときに法律となるものと考えます。
○土井委員 ある特定の法律案が問題にされるかどうかということが、まだ未知数である段階において、その法律案の中におそらく含まれるであろうということを予想し、関係の担当の内閣の方が、またその予想される法案の中に関係をする当事者と、やがて制定されるであろう法律ということを問題にしながら、覚書を事前に取りかわすということが、いままで例としてあったかどうかということを、ひとつお聞かせいただきたいのです。
○味村政府委員 これは行政の実際に関することでございますので、私としては御答弁を申し上げかねますので、御了承をお願いいたしたいと存じます。
○土井委員 行政の実際からいたしましても、憲法の七十三条にある内閣の職権の中身は、「法律を誠實に執行し、」とあるわけでございますね。まだ法律になっていないのです、いま先ほどの御答弁からすると。まだ法律になっていない段階で、あたかも法律になっているがごとくに認識をして、そして関係当事者と、その中にかかわる事項について覚書をかわすということが、事実あったかなかったかという例について御存じなら、ひとつお答えいただきたいわけです。
○味村政府委員 ただいま申し上げましたとおり、行政の実際について私ども存じないものでございますから、法律案の段階におきまして、当事者との間でそういう法律の成立を前提として話し合いをしたかどうかということについては、どうもお答えをいたしかねますので、御了承いただきたいと思います。
○土井委員 そのことは、それじゃ了承しましょう。 さて、そういうふうな事例があった場合、これを好ましいとお考えになりますか、好ましくないとお考えになりますか。率直にひとつお答えいただきたいと思います。それなら答えられると思うのです。
○味村政府委員 仮定論の問題でございまして、好ましいか好ましくないかということは、法律上適法かどうかということと別の問題であろうと存じますので、そのようなことはやはり私、法制局といたしましてはお答えいたしかねますので、御了承願いたいと存じます。
○土井委員 法制局の立場からすると、合憲か違憲か、合法か違法かというふうな問題に対しての認識はお答えいただけると思うのです。そういう点からしますと、まだ七十三条にいう法律じゃない段階ですよ。法律になっていない段階ですよ。あたかも法律になっているがごとくに認識をして、内閣がそれに対して種々対策を講ずるということは、いかがでございましょう。 これは憲法の立場から考えて、行き過ぎというふうにお考えになりませんか。違憲といえないかもしれない。しかし行き過ぎということになるかもしれないです。いわゆる好ましい、好ましくないというのにも範囲はいろいろございますが、しかし、行き過ぎではないかという側面は出てくるというふうにお考えになるかどうかを、それではお伺いしましよう。
○味村政府委員 行政権の行使は内閣に属するもけでございますから、そのような行政権の行使の範囲内に当たるかどうかという問題であろうか〉存じます。 法律を誠実に執行するということは、当然の内閣の職務でございますが、法律案が成立する前の段階で、また法律案として提出します前の段階におきましても、いろいろな準備的な行為をする〉いうこともあるわけでございまして、それが内閣の権限の範囲内かどうかということは、これは個々的な問題につきましてでないと、お答え申し上げかねると存じます。
○土井委員 準備といえるかどうかというのは——それでは具体的に申し上げましょう。 これはいまここで問題にされている富士地域借覧保全整備特別措置法案に関する問題であります。いま私はあくまで法案と言っている。まだ法律じゃない。当委員会において可決成立しているわけではございません。ましてや本会議において可決成立しているわけじゃない。ましてや両議院において可決成立しているわけじゃないわけですね。したがいまして、いま段階的に申しますと、あくまで富士地域環境保全整備特別措置法案であります。 ところが、もうすでに昨年の四月三日に「富士地域環境保全整備特別措置法に関する覚書」というのがあるのです。表題がそうなっているのです。そうして文面を見ますと、「第七十一特別国会に提案する富士地域環境保全整備特別措置法について、その円滑確実な施行をはかるため、」云々という覚書であります。一体この覚書を結んだ当事者はだれかというと、片やは山梨県の知事、片やは内閣官房長官となっている。この覚書の表題からして、先ほど申し上げた意味が初めておわかりになっただろうと思います。 こういうふうな覚書について、一体いまの憲法上から考えて、はたしてこれは許される覚書でありますか、どうですか。この辺の御答弁なら伺えるだろうと思います。いかがでございます。言ってくださいよ、はっきり。
○味村政府委員 そのような覚書のあることを、ただいま初めて知りましたので、確定的なお答えは申し上げかねるわけでございます。 先ほど申し上げましたように、内閣が行政権の行使をつかさどるわけでございますので、行政権の行使の範囲内におきまして、この覚書が作成されたものでございますれば、それはもう当然に違法とかなんとかいう問題は生じないわけでございます。この覚書は、ただいま拝見いたしましたばかりでございますので、現段階におきまして確定的なお答えを申し上げかねますので、御了解いただきたいと存じます。
○土井委員 先ほどの御答弁では、行政的な観点からする問題については答弁できないとおっしゃった。法制局というのは現行法に対して厳密、的確に解釈をして、それに対しての見解を明らかになさるということが私は大事だと思うのです。したがいまして、先ほど行政的な観点からお答えはできないとおっしゃったことに対して、そういう意味で私は了承したのです。いまこの文面を初めて見たとおっしゃいますが、初めてごらんになったことからしたって一目りょう然、はっきりわかるじゃありませんか。 表題は「富士地域環境保全整備特別措置法」と書いてある。現在こんな法律はありませんよ。行政の範囲というのも、憲法にきめられているとおり、法律を誠実に執行するとなっているのです。現にこの法律があるならば、私はこんなことを言わない。この法律はないんですよ、現に。厳密にいうと、いままだ法案の段階で、可決成立されるかどうかもわからないのです。審議の途上なのです。しかもここにあるのは、もうすでに「七十一特別国会に提案する」で始まっておりますけれども、あたかも法律があるがごとくにこれを思量して、そうしてそれを執行する場合には「円滑確実な施行をはかるため、」云々と書いてあるのだから、これは文面からしたって、法制局となすって責任あるお答えがはっきりこの場でできるはずであります。その点は、はっきりお答えいただきたい。これは行政的な観点から云々の問題じゃないですよ。いかがでございますか。
○味村政府委員 ただいま一読いたしましただけでございますので、この段階での答弁として、お聞き取りいただきたいのでございますが、ただいま拝見いたしましたところでは、確かにこの覚書の表題は「富士地域環境保全整備特別措置法に関する覚書」、こうなっております。その点は御指摘のとおりでございます。しかし、このような覚書の内容というものは、これはそのつくられた当時のいきさつとか環境とか両当事者の意思とか、そういうものによって判断すべきであると存じます。 この覚書を拝見いたしますと、これはこのような保全整備特別措置法ができた場合の円滑、確実な施行をはかるためという趣旨ではないかというふうに考えます。特別措置法が現在法律としての効力を持っておるということを前提としてでは決してなくて、できた場合の円滑、確実な施行をはかるためということではなかろうかと存ずるわけでございます。これも一種の契約かとも思いますが、契約というのは条件づきであっても差しつかえがないわけでございまして、法律の施行を条件といたしまして、そのような覚書をつくるということは、決して許されないことではないと存じます。
○土井委員 いまの御答弁は、まことに政治的な判断を加味なさった御答弁だと思います。法制局というのは、少なくとも法について厳密、的確に解釈なさるというのがお仕事じゃないかと、私は、いままで考えていた。そういうふうに思っておりました。そういう点から言いますと、憲法四十一条では、国会は唯一の立法機関と書いてある。内閣に法律制定権ございません。ましてや地方自治体の知事に法律制定権ございませんよ。法律を制定する権限を持たない当事者が寄りまして、ない法律について法と書いてある。これは的確じゃないですよ、表現からすると。あげ足取りでも決してない。私は、一国の法治国家として法制局のなさっているお仕事は非常に大事だと思うから、申し上げるわけであります。 日本というのは、日本国憲法を基本に置いた法制度のもとに立法、司法、行政が行なわれる法治国家でしょう。そういう点から考えますと、こういう問題、これは小さなことじゃないと私は思う。措置法案と書いてあるのなら、またそのあとの「に関する覚書」というあたりが措置法案について要望するとか希望するとかいうことになってくるなら、私は何も申しません。表現は、見ていただいたら、書いてあるとおりですよ。どこをどう押しても、もうすでにこういう法律があると、だれでも思うような表現になっているのです。それからすると、好ましいか好ましくないかという問題を通り越していると私は思う。内閣においては越権行為をなさっているとすら私は言えるのであります。国会に対する冒涜ですよ、はっきり言って。憲法違反の行為、憲法違反の行政行為とすら言えると思うのです。 この点、ひとつしっかりとはっきり御答弁をしていただきたいと思うのです。いかがですか。法制局というのは大事ですよ、そういう点から言うと。
○味村政府委員 先ほど申し上げましたように、覚書なり、こういう意思表示というものは、表現、それからいろいろな事情、当事者の意思、それを結びました、意思表示をいたしました場合のいきさつとか、いろいろものを総合的に勘案して解釈するものでございます。 繰り返すようでありますが、これは「特別措置法に関する覚書」となっておりますが、この覚書が締結されました当時において、特別措置法はまだ法案の段階であったといたしますれば、山梨県知事にしても内閣にいたしましても、そのような特別措置法ができているということを前提にしてつくっているとは考えられないわけでございまして、できた場合のことを考えてつくられたものだというふうに解釈するのが自然であろうかと存じます。
○土井委員 それは山梨県知事に私がお伺いするべき問題であります、いまの御答弁は。山梨県知事はどういうふうにお考えになっておりましたかと聞いたときに、そういう答弁が出てくるのなら、私はお伺いしましょう。また官房長官どういうふうなお気持ちでございましたかと聞いて同様の御答弁であったら、お伺いしましょう。私は、いまはこのお二人に聞いておるわけじゃないのです。法制局のほうにお伺いしておるのです。そのときの事情がどうであったか、どういうふうな考えが奥にあって、どういう状況からして、こういうふうなことになったのかというような事情説明を私は聞いておるわけじゃない。この覚書自身について、こういうふうな表現で書かれておる覚書について、この表現からしたら、あたかも法律があるがごとくにしか思えないじゃないですか。 これは法制局でいらっしゃいますから、お伺いいたしますけれども、法律なり法文なり、その背後にどういう状況が当時あって、それが制定される経過について、どういうふうな経過があって、しかる後にこういう法律ができたかということを一々国民は知りません。知らなくとも、その結果そこにできている法律について、客観的事実としてこれを認識するわけです。客観的事実として認識するときには、そこに書いてある法文に対して、まず法文を事実として認めて、これに対する解釈をするのじゃないですか。そして、この法律はこういうものだということを認識するわけでしょう。 そういう点からいたしますと、これは釈迦に説法のようなことを繰り返して言うことは私は避けますが、この表現からするといかがです。これは的確な表現だと言えますか。その点について法制局としてお答えいただきたい。私は、知事の立場であるとか官房長官の立場を代弁なすっていただきたい覚えはどこにもございません。法制局として、ひとつ御答弁願いたいと思います。
○味村政府委員 法律の解釈というものは法文の表現、これがまず基本でございまして、法制局といたしましても、法文が正確に立法者の意思を表現するように努力をいたしているわけでございます。しかしながら、法律が一たんできてしまいますと、法律の解釈というものは法文の表現だけではございませんで、法律の趣旨とか、あるいは法律が制定されましたいきさつ、国会でのいろいろな議論といったようなものも参考にして、いろいろな事情を総合いたしまして解釈されるということになるわけでございます。 この覚書の解釈につきましても同様でございまして、これは私が当事者の立場をどうこう申し上げる、当事者の意思をどうこう申し上げるというつもりは全然ございませんで、当然そういうことも考慮されるということを申し上げたわけでございまして、法律の解釈も覚書の解釈も似たようなものではなかろうかと存じます。
○土井委員 いまの御答弁はすれ違い答弁です。表題に書いてあるのを、もう一度繰り返して申しますが、「富士地域環境保全整備特別措置法に関する覚書」という表現は間違っているんじゃないかということを私はお伺いしています。法律があれば、こんなことを私は言うわけじゃないです。ないでしょう。現実ございませんのですよ。法律ができたときに、いま法制局のほうから御説明になったような経過なり、当事者の気持ちなり、この法律案が審議される途上でいろいろあった審議過程での問題なりを勘案しながら、参考資料として法律解釈をすることは可能でしょう。それは法律ができてからです。その法文に従って解釈する際には、いま御答弁になったようなことは現実私はあると思うし、しなければならないと思う。だけれども、いま法律がまだないのです。あるのは法案なんですよ。現にいまそれを審議しているわけであります。そうですね。 したがいまして、そういうことからすると、これは覚書は覚書でありますけれども、ここに書いてあるのは、措置法という法についての覚書なんで、そういう法はないわけですから、この覚書というのは、おかしいですねということを私は御質問させていただいておるわけです。おわかりでしょうね。いかがですか。
○味村政府委員 どうもできましたあとの段階でございますので、結局この覚書の解釈という問題になろうかと存じまして申し上げたわけでございます。まあ覚書をつくる当事者の立場になりますと、できるだけ覚書を正確につくるということは、当事者として望ましいわけでございます。 ただ、当事者といたしまして、その当事者の意思が合致いたしまして、このような覚書で当事者の合致した意思の内容の表示として十分だというふうに両方が考えますれば、これは正確性を若干欠く、あるいはそのときにおきましては正確ではないというような表現もあるいはあり得るかと存じますが、(「何が正確だ。」と呼ぶ者あり)いや、申し上げ方が悪かったと思いますが、両当事者の合致した意思をはっきりと表示するのに十分だと認めれば、それでよろしいということで覚書が作成されるということは、あり得ることだと存じます。
○土井委員 それでは県知事と官房長官の意思が合致すれば法律ができるのですか。当事者の意見が合致すれば、何をやってもいいということですか。覚書というのは公式文書ですよ。公的にある場合には客観的な証拠として意味をなすのです。意味をなさない覚書なんというものは、それこそ覚書として意味がない。そういう点からいうと、表現には的確を期することが望ましいが、とおっしゃるけれども、表現の上で間違った覚書というのは、覚書としても欠陥がある覚書だということをいわざるを得ないと私は思う。ある場合には、覚書自身が無効とすらいえるような場合だってあるでしょう。 そういうことからいうと、いま私が問題にしている措置法という法律はないのです。富士地域環境保全整備特別措置法という法律はないのです。あくまで措置法ということに関する覚書ですよ、これは。この法律は、県知事と官房長官の合意によってできる法律じゃない。国会で審議をして、憲法上のちゃんとした規定どおりに両院でもって可決成立されなければ法律案は法律にならないわけですね。この点、この覚書というのは不適正どころじゃない、欠陥がある覚書と私はいえると思うのですが、法制局のほうのお考えを再度お尋ねいたします。
○味村政府委員 私は、当事者が合意いたしますれば、法律でないものが法律になるということを申し上げておるわけではございません。この覚書全体を解釈いたしますれば、これは特別措置法という法律が成立した場合のお互いの取りきめというものを書面に表示したものであるというふうに解釈されるということでございまして、したがいまして、この書面自体として、そのような法律でないものが——法律としてまだ成立してないものが法律として表示されているということは、これは要するに当事者の間で法律として成立した場合には、こうしようという取りきめを意味しているんだ、このように考えるべきではなかろうかと存ずるわけでございます。
○土井委員 国会で審議をする以前に、まだ提案をされていない段階で、法案を通り越して法律ができたがごとくに考えて問題にする覚書というものは、実際問題好ましいことでしょうか、どうなんでございますか。
○味村政府委員 先ほども申し上げましたように法律案ができます前の段階におきまして、やはり法律が施行になりました場合には、その実施のためにしなければならないいろいろなことがある。それを準備するということはあり得るわけでございまして、そういうことが行政の必要上あり得るということは十分御理解をいただけることではないかと存じます。当該の問題につきまして、好ましいか好ましくないかということは、私どもとして申し上げかねますので、その点は御理解をいただきたいと存じます。
○土井委員 そういうことについては陳情なり請願なり要望なり上申なり、いろいろな方式で問題にできるのですよ。そういうことでなくて、事、直接関係当事者が、法案になっていない、ましてや、まだ法律にもなっていない段階に、もうすでに法律があるがごとくにそれを前提にした上で、いろいろ覚書を取りかわすということは、一体いかがかと私は聞いているのです。私は、どこまでもこだわるようですけれども、この覚書自身が措置法案に関する意見なり措置法案に関する確認とかいうふうなことになったら、私は、まだこういう問題を提起する条件はないと思います。けれども、いまこの表題を見れば、あくまでこれは、もうまごうかたなく、だれが見ても「富士地域環境保全整備特別措置法」と書いてあるのだから、その点について私はたいへんこだわるようですけれども、軽く看過するわけにはいかないのです。 そこで、わざわざ法制局においでをいただいた。したがいまして、私は政治論を聞こうとは思いません。法制局として、こういう覚書について、あとそれはおっしゃるとおりですよ。その当時の状況からすれば、法案になって審議を経て可決成立して法律になったときは、お互いこうしようじゃないかというのが覚書でしょう。それはそのときの状況がそうなんです。状況がそうなら、その状況を的確に表現しているなら私は文句は言いません。けれども、その状況からしてそうじゃないんだから、この表現は。法制局というのは、やはり的確にこういう問題に対しては理解をひとつしていただきたい、こういう問題については厳密に理解をしていただきたいというふうな、またしていただけると私は考えているわけでありますから、もう一度この表題について、またこの覚書について、ひとつ御意見を承りたいのです。こればっかりに私は時間をかけるわけにはいきませんけれども、もう一度御答弁をお願いいたします。
○味村政府委員 たびたび繰り返すようで恐縮なんでございますが、この覚書の内容は富士地域環境保全整備特別措置法が成立した場合にはこうするということで、そういった条件が的確に記載されてないではないかという先生御指摘かと存じますが、そのような条件は当然この文章から読めるということであれば、そのことを記載する必要は当事者にとってはなかったのであろうというふうに考えられるわけでございまして、そのような条件が記載されていないから、このような覚書を締結することが法律違反であるとか、そういう問題は出てまいらないというふうに考えるわけでございます。
○土井委員 おっしゃるとおり、国民私人間でこういう覚書を取りかわす場合には、私は問題にならないと思いますよ。けれども、この関係当事者というのは、片やは内閣を代表する人であります。片やは地方自治体の知事であります。その立場において取りかわしている覚書なんです。そうですね。一私人間で取りかわされている覚書なら、いま御答弁のとおりだと思う。そうじゃない。公的立場において片やは内閣を代表して、この覚書を取りかわしていらっしゃるわけです。そういう立場からすれば、この中身をよく読めばわかるじゃないかとか、そのときの状況を少し考えてみれば、おのずと理解できるだろうとか、そんな問題じゃないのですよ。それならそうで中身を的確に表現する覚書の表題というものは考えられて、またそこにはっきり明記されていいんじゃないですか。表題はそうなっておりませんね。ない法律をあるがごとくに、この表題は書いていますよ。 そこで私は、たいへんにこだわるのです。おかしいんじゃないか。先ほどの御答弁は、私人間の問題ならば、そのとおりでしょうと申し上げます。けれども、この覚書を取りかわした当事者はそうじゃないのですよ。その点もう一度御答弁願えますか。
○味村政府委員 この覚書は両当事者の取りきめということでございまして、両当事者の約束でございます。したがいまして、覚書を作成いたしました当事者が、その覚書の内容に沿った行為をお互いにするということを、お互いの間で了解し合ったところが書面に表現されておれば、そこでよろしいわけでございまして、その点は当事者が公的機関であるということとは関係がないことであろうかと存じます。
○土井委員 それでは法制局のほうに覚書についての原案を持ってこられて、こういうことで覚書を結びたいけれども、これでよいかというふうなお尋ねがあった場合に、このとおりでけっこうでございますとおっしゃいますか。どうもこの表題というのは思わしくありませんね、この表題を見れば、こういう法律、現にございませんよ、したがって誤解も生ずる向きございます。いかがでございましょう、この点は少し訂正なすったほうがようございます、むしろ訂正なさらなければならないと存じますと、おそらく法制局おっしゃるだろうと思いますが、いかがですか。
○味村政府委員 法制局は法律、政令の審査をやっておりまして、法律、政令の審査の際には、これは表現が内容を十分に、形式といいますか、言語が内容を的確に表現するように審査をいたしております。ただ契約のほうは、これは私ども所管外でございますし、契約について私どもの意見を求められるということもございませんので、この点については、答弁を申し上げかねるので御了解いただきたいと思います。
○土井委員 契約と、いまおっしゃいましたから、それでは契約について言いましょう。ない法律についてあるがごとくに認識して、それに基づく契約というのは無効ですね。いかがでございますか。そういうことからすれば、わざわざこれを持ってこられて、どうでしょう、これでいいでしょうかというふうなお尋ねのあったときに、それは契約でございますし、覚書なんですから、私のほうは関知いたしません、私のほうにお聞きになっても、それはお答えの限りにあらずというので全部拒否なさるわけですか。
○味村政府委員 現在ない法律をあるものと誤信いたしまして、そして契約したという場合には、それが契約の要素の錯誤ということになりますと、民法によりまして無効ということになるわけでございます。しかし当事者が、法律が現在はない、しかし将来は成立するだろう、成立した場合にはこうしようというふうなことで契約を結びますれば、要するに錯誤はあるわけではございませんので、効力には関係はない、つまり有効ということになるわけでございます。 契約につきまして、私どものほうにかりに持ってこられまして意見を求められますと、これは私どもといたしましては、やはり個人的な見解ということでお答えせざるを得ないことになるわけでございまして、法制局としての立場というよりは個人的な見解ということになるかと思いますので、その点で御了解をいただきたいと存じます。
○土井委員 それでは最後に——これ最後の一問にしましょう、個人的な見解をお伺いしたいのです。 この覚書の表題というのは、個人的な見解からお考えになりまして、どのようにお思いになりますか。
○味村政府委員 個人的な見解、まあこれは一種の弁護士的なことになるわけでございます。かりにこういう覚書をつくりたいが、これでだいじょうぶだろうかというふうに持ってまいられました場合に、弁護士的な見解からいたしますれば、要するに中身が正確か、当事者の意思が十分あらわれていて、そして普通の私契約でございますれば、契約違反の場合に、強制執行するに十分な明確性を備えているかということを見なければならないわけでございます。 ただその場合も、これは当事者の意思というものを、弁護士的な立場から決して無視するわけにまいりませんので、当事者がこういうふうにしたい、ああいうふうにしたい、こういうふうに書きたいというときに、それがそんなふうに書いては絶対だめだ、そんなふうに書くと法的効果が生じないという場合でなければ、まあこう書いたほうがよろしいんじゃないですかというぐらいのことでございまして、契約の際には、やはり当事者の意思というものが一番大事でございますので、その際に、せいぜい助言をするという程度のことであろうかと存じます。 この表題につきまして、私が個人的に聞かれればどうかということでございますが、これはほんとうにその場になってみませんと、わからないわけでございますが、表題は正確であることも必要でございますが、同時にまた表題でございますから、できるだけ簡単にわかる、簡明だということも必要なわけでございまして、そういう見地からいたしますと、両当事者がこれでけっこうだとおっしゃっている場合に、これを変えろとまでは、必ずしも言う必要もなかろうかと思います。
○土井委員 まあこれは幾ら申し上げても、水かけ論のようなものであります。 それで、あくまでひとつ認識を持っていただきたいのは、これは私人間の覚書じゃないということです。当事者は、片やは内閣、片やは県知事です。その当事者間において取りかわされた覚書です。しかもこの表題は簡単をもってよしとする、そのために表現がこうなったという中身じゃないのですよ。ありもしない法律をあるがごとくに読ませられる、これは表題じゃありませんか。したがいまして、簡単にするということと的確を期するということ、この両者が相まって、いまおっしゃっている簡明にするということは生きてくると私は思うのでございます。簡単にせんがために、中身に対して誤解を生ずるような不十分な表現、さらにもう一つ言うと、不的確な表現というものは、これは認められてよいはずはないわけであります。 そういう点からすると、両者の意見が合致すれば、表題はこのとおりでいいじゃないかというふうなお答えは、あまりにもずさんにすぎる。ほんとうにずさんだと思います、いまの御答弁からすれば。官房長官と県知事がこれでいいだろうとおきめになったことだから、これでいいのでしょうとおっしゃるものなら、私は法制局は要らないと思う。そしてしかも、これからすると国会は要らないということにもなるのですよ、はっきり申し上げて。まだない法律についてあるがごとくに表現されているわけですから、先ほど私が申し上げたとおり国会に対する冒涜だともいえる、それこそ簡単にいえば。したがいまして、これは軽い問題じゃないのです。 何度も繰り返しのようになりますけれども、その点についてのお考えもあわせた上で、ひとつもう一回御答弁をいただいておきたいと思います。
○味村政府委員 あくまで個人的な見解であることをお断わり申し上げておきます。 覚書なり取りきめをいたします場合には、先ほど申し上げましたように、その当事者の意思内容を正確に表現するということが必要なわけでございます。しかし先ほど申し上げましたように、当事者がこういうふうに書いてくれというときに、それを絶対にこうでなければならぬ、法律的にそういうふうに書くと、これは覚書なり何なりの効果がなくなるという場合は、これはもう絶対に適法に書くようにしなければなりません。しかし、あとになりまして、その覚書の解釈上別に差しつかえがない、そのようなことが書かれておらなくても、覚書を解釈する上で、そのような誤解を生ずるということはないというようなものは、別に省いても差しつかえはないわけでございます。 この覚書について申し上げますれば、これはまだ提案もされていない段階だということでございますが、まだ提案もされていないということは、ここに「第七十一特別国会に提案する」こういうふうに書いてございますから、提案する予定である富士地域環境保全整備特別措置法が成立した場合には、こういうふうにするんだという趣旨であることは、この覚書の解釈上明らかでありますので、それを当事者が書く必要がないと考えれば、法律的な立場からも、それを絶対に書けということを申す必要はないわけでございます。 表題にいたしましても、これが富士地域環境保全整備特別措置法が可決された場合に、その実施に関する覚書とでも書けば、あるいは正確であるかもしれませんが、しかし先ほど申し上げましたように、表題は簡明であるということがやはり大切でございますし、そのように書かなくとも誤解を招くおそれがないということでございますれば、簡明なほうがよろしいわけでございまして、このような覚書をつくったということが違法とか、そういうような問題は生じないというように思うわけでございます。
○土井委員 まあこれは違法合法の問題になって、これは争いが生ずると、おのずとそういうふうな論法も出てこようと思いますが、ただ、この文面についていうと、簡明をもってよしとするとか、そのときの状況からして当事者間で合意があったから、こういう表現になったのであろうという問題じゃないということを最後に申し上げたいのです。 事実ありもしないことを、あったがごとくに書くというのはうそですよ。そういう点からすると、これは覚書として、やはり事実を事実として書いて、誤解がしかも生じないような表現に書いて、そうして覚書として確かめておくということが、何としても私は必須条件だろうと思う。特に当事者が先ほど申し上げたように、私人間じゃないわけでありますから。そういう点からすると、公の立場において、この覚書というのは意味をなすのですよ。 そういうことからすれば、文面についてもおっしゃいましたけれども、これは富士地域環境保全整備特別措置法案と書かなきゃいかぬのでしょう、正確を期したら。第七十一特別国会に提案する法案というふうに書かなきゃいけないわけでしょう。表題についても、法案と書かなきゃいけないわけでしょう。事実そういう法案があったらよいがなという意思がある、法案になったという段階、さらにそれが審議されて可決成立して法律になったという段階、全然これは違うんじゃないですか。事実において違うんじゃないですか。そういうことからいえば、この覚書を取りかわされた時点というのは、こういう法律は事実としてなかった。そういう事実を事実として認識した覚書でなければならぬということを私は言っているのです。 私人間の覚書なら、こんなことを私は言いませんよ。片やは内閣であり、片やは県知事だから、私は問題にしている。そこで、わざわざ法制局に御足労いただいて、たいへんに先ほどから御答弁をわずらわせているわけであります。 だから、そういうことからすると、このほうが適当だろうとか、このほうが簡単だろうとか、合意によってお互いがよろしかろうと言ったのだから、いいじゃないかという問題じゃないことを、ひとつはっきり確認したいのです。 国会というのは一体何のためにあるのか、国会で法律を審議するときに、どういう手続を踏まなければならないのか、これがれっきとして、いま日本国憲法の中に規定されているという意味もひとつ忘れてもらっては困るのです。 そういうことからしまして、この覚書というのは、まことに思わしくない覚書の表現だということを私は申し上げたい。うそっぱちのこれは覚書だということになりますよ、端的にいうと。事実ない法律を法律と書いているのだもの。だから幾ら状況説明をなさろうと、当事者間で意思の合意があったから、文面からいろいろと考えていくと、こういうふうに受け取れますというふうな御説明をいただいても、事実ここにばっちり書いている表現そのものについていうと、そうなんですから、その点を私は最初から申し上げているわけであります。 もう一度そういうことについて——先ほど来初めて文書を見たとおっしゃる。そしてそれ以来、個人的な意見についてまで私はお伺いをしてみたわけですけれども、なおかつ私の言っている意味がおわかりいただけているかどうか心もとない次第です。私の質問申し上げていることが、わかっていただけているでしょうか。最後に、そのことについてお伺いをして、次に、私は進みます。
○味村政府委員 法律が法律案の段階である、あるいは委員会で可決された段階である、本会議で可決されて成立した段階である、これらのことにつきましては、先生のおっしゃるとおりでございます。 ただ、私の申し上げましたことは、この覚書は別に法律案としてまだ国会に出していない、法律案の案の段階であるかも存じませんが、そういう段階にあるものを法律として認めたのだ、法律にする意思を、あの覚書の当事者が持っていたのだというふうには、とうてい受け取れないわけでございまして、いまの案が法律として成立した場合にはということを、当事者は当然の前提にしていたと考えられるということを申し上げたわけでございまして、決して覚書の当事者が国会の審議を無視するとか、そんなようなつもりは全くなかったというふうに考えられるということを申し上げたわけでございます。
○土井委員 そういう意思があるのなら、そのとおりに書けばいいのです。そのとおりになってないから、私は問題にしている。こういう法律をつくってくださいというふうにいろいろな要望がある段階と、法律案になった段階と、法律になってしまった段階とでは、行政的に取り扱いが違うのでしょう、全然取り扱いが違うのでしょう。法律案と法律を同じに取り扱うわけにはいかない。ましてや法律案という姿、形で国会にも出ていないものに対して、法律として行政上取り扱うわけにはいかないはずであります。これはABCなんですよ、問題は。 この表現からすれば、そのことが、むちゃくちゃじゃないかということを私は言っている。覚書の中身は行政的にこういうふうにやっていこうじゃないかという覚書なんです。行政上こういうふうな措置を講ずることを、お互いで確認し合おうという覚書なんですよ。その行政は何に基づくかというと、あくまで法律に基づく。法律がなければ、そういう行政は行なえない。その法律というものは現にあるかというと、ないのです。法律案としても、国会にまだ上程されていないのですよ。その段階において法という表現で、法律があるがごとき表現で覚書というものの表題をつくっているということは、間違っていやせぬかということを私は言っているのです。 もう何べんも同じことを言うのを繰り返しません。けれども、事実こういうことがあるということを、ひとつ法制局初めてきょう文章ごらんになったはずでありますから、もう少し御検討賜わりたいと思います。 先ほどからの御答弁というのは堂々めぐりでありまして、私の真意に対してほんとうにかみ合った御答弁は私はいただけてない。このことについては再度私は機会をあらためましてお伺いしたいつもりでおりますから、ひとつその機会までに、この中身について御検討賜わりたいと思います。 さて、環境庁長官、いま私たちが審議をいたしておりますこの富士地域環境保全整備特別措置法案について、すでに法律として存在しているがごとき誤解を生むような覚書がここにあるということで、私は先ほどからお尋ねをしているわけでありますが、先ほど来そこでお聞きになっていて、長官はこういう事例についてどういうふうにお思いになりますか。これは当委員会へかかっている法案であり、担当省は環境庁でありますから、そういう立場でひとつ御答弁を願います。
○三木国務大臣 いよいよ率法案が成立したときの準備というものがあり得るでしょうが、そういう場合には、やはりこの法案が可決した場合ということをちゃんと頭に描いておかなければならぬ。法律がまだ施行されていないときに、いかにも施行されておるように言うことはよくない。もしもという、もしこの法案が可決した場合というそういう字句が脱落をしておると思います。
○土井委員 憲法からいうと、よほど法制局よりは環境庁長官のほうがはっきりしておられると思う。そのとおりだと思いますよ。私は、環境庁長官の言われるとおりだと思いますよ。これは、単に表現が不十分だったという問題ではないと思いますよ。欠陥覚書だと思います。そういう点からいうと、国会に対して一体どう考えていらっしゃるかということを問いただしたいような気持ちであります。こういうことになれば、もういまこの法案審議をする必要なしなんですよ、こういう認識でいろいろ覚書を取りかわされるんなら。 したがいまして法制局、もう一度この問題考え直してみてください。それは、技術屋さんの頭からすると、適法であるか適法でないか、法に合致していさえすればよいという法万能論というのが知らず知らずのうちに根をはやしまして頭の中に一ぱいになっている。そういうことからすると、非常にこの覚書自身が憲法に合致するか合致しないか、法に照らし合わせて違法であるか合法であるかという側面に足をすくわれまして、最も大事な、この覚書というものを取りかわす際に、一体何を基本に、何をどう考えて覚書というものはつくるかということに対して思いをいたさないというふうなことが間々あるわけであります。これはいまの法制局にあるとは私はあえて申しませんが、ひとつそういうふうな側面からもこの覚書に対して検討をお願いしたいのです。はたしてこういうふうなことが許されてよいかどうかという問題ですね。いつまでもこういうことについて時間を費やすことをこの節切りまして、これは再度別の機会にあらためて申し上げるということにしたいと思います。 いま問題になっている富士地域環境保全整備特別措置法案について見てまいりますと、第二条で「この法律において「富士地域とは、」」云々と書いてあるわけですが、富士地域という中に北富士演習場というものは入りますか入りませんか、この点についての御答弁をお伺いしたいと思います。
○江間政府委員 入ります。
○土井委員 この法案にいう富士地域の中に演習場が入るという御答弁でありましたが、この法案に従って考えていきますと、この演習場に関する取り扱いは、どのようになるわけでありますか。
○江間政府委員 演習場でございましても、この法案との関連におきましては、この法案に規定されました規制がかかるということになります。
○土井委員 それではこの法案に従って考えてまいりますと、演習場の中についてまで環境庁が所轄をするということになるわけですか。 〔委員長退席、坂本(三)委員長代理着席〕
○江間政府委員 おっしゃるとおりでございます。
○土井委員 ところが、この演習場については、別にそれに対して特別に規制をしていく、特別に対策を講ずるという法律がありはしませんか。演習場については防衛庁の施設であるがゆえに、特別にこれを取り扱う別の法律がありはしませんかということを言っているのです。
○藤井説明員 防衛施設周辺の整備等に関する法律というのがございます。この法律は、自衛隊等の特定の行為によりまして生ずる障害を防止または軽減する、そのための工事についての助成または当該防衛施設の運用による障害の緩和に資するため、生活環境施設または事業経営の安定に寄与する施設について助成等を行なうことによりまして、演習場関係の住民の生活の安定、あるいはその福祉の向上に寄与することを目的とした法律でございます。
○土井委員 そうしますと、この富士地域における北富士演習場というのも、いまおっしゃった防衛施設周辺の整備等に関する法律からすると、その法律の適用対象になっているというわけでありますね。いかがです。
○藤井説明員 ただいま申し上げました周辺整備法の適用範囲は、演習場内外ということでございます。
○土井委員 したがいまして、北富士演習場についても、この法律が適用されるということになるわけですね。それについて聞いているわけですから、それに対して的確な御答弁がいただければ、それでいいのです。
○江間政府委員 先生がこの法律とおっしゃいましたのが、いまここの案件にかかっております富士保全法との関連でございましたならば、演習場もこの範囲に入るわけでございます。
○土井委員 これは質問を聞いていらっしゃらなかったとしか私は考えようがないのですが、先ほどから申し上げているのは、北富士演習場も防衛施設周辺の整備等に関する法律の適用を受けますねと聞いているのです。
○藤井説明員 そのとおりでございます。
○土井委員 そうしますと、本法案と防衛施設周辺の整備等に関する法律との関係はどういうことになるわけでありますか。北富士演習場については、どういう取り扱いに本法案と防衛施設周辺の整備等に関する法律とのかね合いを考えていくのでありますか。
○江間政府委員 本法案は富士地域の環境についての法律でございまして、その限りにおいては本法案の適用を受けるわけでございます。
○土井委員 環境保全というふうな点からしますと、これは周辺の整備に関する法律の中でも、保安とか保全とかいうふうな観点から考えて十分に競合する点がありはしませんか、環境保全というふうなことから考えていくと。いかがです。
○江間政府委員 両方の法律が適用されるわけでございまして、競合する面があるかないかはケース・バイ・ケースで判断するということになろうかと思います。
○土井委員 競合する点が出てくるわけですね。そしていまの御答弁からすると、しかもケース・バイ・ケースで考えていかなければならないという実際問題が、それに付随して出てくるわけでありますね。そうしますと、いま私、手元に持ってまいりましたのは、環境庁から出されている第七十一回国会に提案をされた「富士地域環境保全整備特別措置法案関係資料」というのでありますが、との中には防衛施設周辺の整備等に関する法律は言うまでもなく、いまの北富士演習場、防衛庁の施設等に関しての関係の法律は何一つ入ってないのです。どこにも書かれてないのですよ。なぜそれが、ここのこの資料には記載をされていないかという点、ひとつ御説明賜わりましょうか。
○江間政府委員 お尋ねのようなこともございますが、そのほか富士地域に関連しております法律は非常にたくさんございまして、そこら辺は割愛させていただいたわけでございます。
○土井委員 たくさんあるから割愛したとおっしゃるけれども、そんな便宜主義的な問題じゃないと私は思うのです。少なくとも事前に、こういう法案を用意なさる段階で、すでにこの法案にいう富士地域の中に防衛施設、演習地があり、演習地をめぐって賛否両論しのぎを削る、競合しているということ御承知でしょう。そうしておそらくこの法案を審議する途次、その点は一つの争点になる、大きな問題点になるということは先刻御承知のはずなんですよ。この法案をめぐって関係法律、法令というものは非常に数多いから、ほかも割愛した、これも割愛して何が悪かろうという問題じゃないと思う。この防衛施設周辺の整備等に関する法律をはじめとして、この演習場に関する取り扱いをめぐる法令が割愛されたという積極的理由をひとつお伺いしましょう。
○江間政府委員 この法案と演習場との関係におきましては、いわゆる演習場は公園地域外でございまして、実体的にこの法案の中に関係してきます部分は、いわゆる施設をつくる場合に規制を受けるという面だけでございますので、特にこの中には入れなかったというわけでございます。
○土井委員 その場面だけとおっしゃっても、ひっかかっているじゃありませんか。全然関係なしとしない。しかも、その施設をつくる場合というのにも、そこら辺の場所を借りて施設をつくっていいわけじゃないので、やっぱり演習地内におつくりになる施設のことでありましょう。演習地であるがゆえに必要な施設でありましょう。したがいまして、その施設をつくるかつくらないかという問題にかかわる基礎的な問題としては、やっぱりここにある演習地をめぐる基本問題というものが、一つはこの法案をめぐる大きな側面からの問題としてあるはずであります。したがいまして、いま御答弁の、施設をそこにつくるかつくらないか、設備をそこに設置するかしないかというふうな問題じゃない。この富士地域という中に演習地が現にあり、演習地をさらに継続し、そして演習地があるがゆえに必要な施設として、そこに施設を設置するときに、この法案にひっかかるわけでありますから、演習地というものを継続する前提に立ってひっかかってくる問題として、演習地というものを認識し、演習地を認めている現防衛庁の関係法令というものは、ここの中に組み入れられることが私は至当だと思うのです。 そういう点からすると、この「関係資料」というものは不十分というそしりを免れません。いかがでございます。私は、これは演習地をめぐるいろいろな関係資料というのはどの程度入っているかということをひとつ見たいと思って、ひっくり返してみたのだけれども、どこにもないのですよ。
○江間政府委員 演習場の点について御指摘でございますけれども、この法案に関連します施設というものは、演習地であろうと一般私人の土地であろうと、規制の内容が全く同じであるという点で、あえて入れなかったわけでございます。
○土井委員 規制の中身が全く同じであっても、偶然にそれは同じなんでありまして、取り扱いの立場は違うでしょう。防衛庁はあくまで防衛庁なんです。環境庁はあくまで環境庁なんです。どういう側面でその問題を取り扱うかということは違うわけですよ。同じだからあえて入れなかった、これはもう私は意見にならないと思うのです。それならば、みずから責任を放棄なすっているにひとしいのでありまして、やっぱり責任ある立場でこの法案審議に対して臨まれるということであるならば、その辺は明記しておいてしかるべきじゃございませんか。
○江間政府委員 われわれの立場は富士地域の環境を保全するという立場でございまして、具体的にどういう施設ができるかということは、われわれの環境保全の立場において考える、その意味におきまして、私人の一般的な住宅であろうと演習地に関連する何らかの施設であろうと、その点については選ぶところがないわけでございます。
○土井委員 ただ、しかし、これは一般私人が建物を建てるという場合じゃないのでしょう。防衛庁の施設の中に、演習地であるがゆえに必要な施設を建てるときに問題になるのじゃないですか。したがいまして、なぜそこにそういう建物、施設あるいは設備を設けることが必要かという理由は、一般の私人がそこに建物を建てる、施設を設けるという場合と違いましょう。意味が違いましょう。いかがです。意味が同じなら、これは要りませんよ。意味が違いましょう。
○江間政府委員 私らの環境を保全するという立場は、その意味というよりも、むしろ具体的な施設の実体でございまして、それを判断します場合に、私人の設ける施設であろうとあるいは演習地に関連した施設であろうと、全く選ぶところがないということを申し上げているわけでございます。
○土井委員 それは、その物体そのものが形が同じであった場合には、どういう性格を持とうと同じ物体であることに変わりがないというふうな御答弁だと思うのですが、そういうことを私は申し上げているわけじゃないのです。これはいま私人間において国民がいろいろな建物を建てる場合と、それから防衛庁がいろいろな建物をお建てになる場合と条件が異なります。どういうふうに異なるかというと、これはいつも当委員会で問題になるところでありますが、その持っている社会的意味ということを非常に問題にされるわけですよ。そうして、これは環境保全という点からして、どの程度環境保全を心しなければならないかという度合いも、この社会性ということからしてお考えになっている場合いささか違いがあるようであります。 ことばをつくり変えて言うと、公共性なんという表現で、よくこれについては問題にされる。卑近な例をあげると、新幹線であるとか航空機であるとか高速道路を走る自動車であるとか、この騒音ははなはだしいものがあるけれども、環境を破壊して騒音をまき散らして、たいへん痛ましい健康被害までも引き起こしている事例について問題にされる場合は、この受忍限度と公共性という問題がよく引き合いに出されるわけですね。どの程度公共性ということが問題にされなければならないか。これはいま防衛庁の方がいらしているから私は申し上げますけれども、防衛庁の施設については、一般の私人、国民の建てる家屋や施設と同様にお考えになっていらっしゃるかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
○小谷説明員 防衛庁の施設であるからといって、特に差別するような考え方は持っておりません。
○土井委員 特に差別をするような考え方は持っていないとおっしゃるのなら、あの北富士にある演習場について、ここに演習場を設けて実弾射撃等々をおやりになることは、環境保全の上からは好ましくないという声が大きくなれば、それをお聞きになって、ここから演習場というものは撤去すべきである。演習場というのは、ここに設けることは好ましくないとお考えになって当然だと思うのです。そういう点からしますと、いま北富士演習場が問題になっているのは、やはり環境保全という点からだって非常に問題になっていることをお考えおきを願いたいのです。 差別してないとおっしゃる。これは表現からいうと、特別してないとおっしゃったほうが私は妥当だと思うのです。だから、そういうふうな観点からすると、いまある防衛施設周辺の整備等に関する法律というものが何のためにわざわざ設けられたかという意味合いからしましても、防衛施設というふうなものが周辺に及ぼす影響あるいはここに設けられている意味というものを考えて、周辺に対して特に整備をする必要があるとお考えになったから、この法律があるのでしょう。幾ら防衛庁の施設だからといって、特にそのものを重視して特別取り扱いはいたしませんとおっしゃっても、こういう法律がつくられてきた由来というものは、やはり防衛施設に対して、防衛施設の存在意味というものが一般の家屋とは違うんですよというところを考えていらっしゃるからじゃありませんか。違いますか。だから、先ほどの御答弁はおかしいと思うのです。
○小谷説明員 先ほどのお答えがやや舌足らずであったかもしれませんので、もう少し丁寧に申し上げますと、たとえば一般の家屋というお話がございましたので、防衛庁の公務員住宅のような、外観が公団住宅なんかと似ておるような施設について、これは防衛庁の施設であるからというような差別というようには考えておらない、そういうような意味合いで申し上げたつもりで、ちょっと誤解を招くような発言でございました。 しかし、演習場とか飛行場とか施設としての通常一般人が持っておらないような施設につきましては、その特別な性格がございます。面積が大きいとか、航空機が騒音を立てて離発着するとか、そういう特別な性格のあるものにつきましては、御指摘のように周辺整備法といったようなものが十分役割りを果たさねばならないと考えております。
○土井委員 という御答弁なんですよ。それからしますと、やはりこの関係資料の中には、いま防衛施設周辺の整備等に関する法律というものがあるのですから、それによって防衛施設、つまりこの際は、この演習場についての取り扱いというものがなされているわけでありますから、ここの中に織り込まれるということが私は必要だと思うのです。それは欠けていますよ。全部脱落している。全部そのことは入れられてない。作為的であるとは思いたくないのですが、それは欠けているのです。これを不十分とお考えになりませんか。私はさきに必要だということを言っていますから、不十分というのは、もう一つやわらかい表現でありますけれども、ここにそういう資料が載っかってないということは、資料として不十分な資料だというふうにはお考えになりませんか。
○江間政府委員 先ほど来から問題になっております具体的にどういう施設を設けるか、おそらく、その施設は一般と違う特別な施設があるんではないかという設例のようでございますが、こういうふうな問題は、おそらく具体的な行政判断の事項によりましてケース・バイ・ケースで判断されるべきことだとは思います。しかしながら、資料として非常に不十分であるということでございますならば、追加して資料は提出して、つくってもよろしゅうございます。
○土井委員 つくってもよろしゅうございますというのは、おかしな御答弁ですね。これは追加してつくるというなら、きっぱりおっしゃいよ、そういうふうに。しかも、これについて不十分じゃないかということを私が聞いていることに対して、不十分という認識があるからこそ追加をしてもよろしいというふうな表現になったのではないかと思うのですが、追加をなさるのなら、しますとおっしゃい。追加をしてもよろしゅうございますという表現はいただけません。いかがです。
○江間政府委員 必要な資料を追加いたします。
○土井委員 さて、現にこの北富士演習場をめぐって、自衛隊並びに米軍が使用されることについての取りきめがいろいろあるようでございますが、これは経過からすると、いきさつがいろいろございまして、四十七年の七月二十八日に北富士演習場の六〇%、これは県有地が返還をされて、そして八月に入って二十八日に、三カ月の暫定使用協定が防衛庁と県知事の間に結ばれて、十一月になって、この三カ月の暫定使用協定を四十八年の三月三十一日まで延長することになって、そうしてさらにあけて四十八年四月三日になって、本協定を締結するという段取りになったわけです。そして、いま現にございますのは、昨年四月三日に防衛庁と県知事との間で締結をされました本協定でございます。 本協定の中を見てまいりますと、使用条件を別紙で定めてあるわけでありますが、「自衛隊は、演習場内に不発弾又はその他の危険物を残置しないように注意する。また、射撃終了の都度、すべての危険物を処理するため、適切な措置を講ずるものとする。」こうなっていますね。 ところで、御承知のとおりに、昨年の五月にたいへんに痛ましい死者が、この不発弾のために出ました。さらに一名重傷というふうな方もあるわけです。そこで勢いこの使用条件からいたしまして、不発弾処理ということがたいへん問題になってくるわけでありますが、現にこの不発弾の処理については、自衛隊の場合はどういうふうな処理をされているのかをお伺いしたいわけであります。
○小谷説明員 不発弾の処理につきましては、射撃実施部隊におきましていわゆる不発弾監視係というものをまず置きまして、弾着点というものを記録いたします。推定位置を記録する場合もございますが、これらを射撃指揮官に報告をする。それで射撃が終了後、その部隊でこれを捜索、発見いたしまして処理をするというのを一つの原則にしております。この直後の捜索で発見されませんでした場合には、実施の週の最終日、またはその翌日の週の点検によって、捜索、発見をする。それでもまだ見つかりません場合には、定期に年度当初及び連続の立ち入り日がございますが、その前日に捜索をいたします。それから雨がたくさん降りましたときの直後などは発見しやすい場合もありますので、そういうことで捜索、発見につとめております。発見しました不発弾は処理をいたします。
○土井委員 いまのお答えを聞いておりますと、たいへんスムーズにこの不発弾の処理なんかできそうに思うのですがね。スムーズに処理ができるということになってくると、あのような痛ましい事故なんというものは起こらないようにも思われるのですが、現に、事故は事実起こってしまっているわけでありますし、また不発弾というものがあって、日曜日など入ってよい日にも、そうそう安心して入れないという事情が現地においてはあります。 そこで、もう一つお伺いしたいのは、これは自衛隊に移管されたというふうな表現がよく使われるのですが、実は的確にいうと、これは移管ということには、私はならないのじゃないかと思っています。昨年の四月の三日に、当委員会で小林信一議員の御質問がございまして、それにお答えになって福田大臣が「これから自衛隊が使用する、その演習場を米軍にもお貸しをする、そういうことに相なる、かように考えます。」とおっしゃっているのだけれども、これは表現からいうと、私は正確じゃないと思います。 それはどういうことかと言いますと、いま米軍に対しての使用を認めているのは、御承知のとおり、安保条約に基づく地位協定の二条四項(b)号によって問題にされているわけでしょう。この地位協定の二条四項(b)号というのは言うまでもございません、さらにこの地位協定の第三条にある「合衆国は、施設及び区域内において、それらの設定、運営、警護及び管理のため必要なすべての措置を執ることができる。」となっております。したがいまして、北富士演習場も米軍が使用している限りにおいては、米軍が万事について管理をする、必要な措置を講ずるということになるわけですね。自衛隊に管理権もなければ、それに対して必要な措置を講ずる権限も何も自衛隊にないのです。米軍に万事あるわけでしょう。米軍が、しかも北富士演習場を使用している限りにおいては、そこに適用される国内法は刑特法ですね。 そういう関係からいたしますと、この使用条件の中にある不発弾の処理について、自衛隊が行なうと同様の処理を本協定においては認められているようであります。しかし現実、米軍がこの北富士演習場で実弾射撃をやる、この演習場を使用する。それに対して自衛隊には管理権がない、管轄権がない。どういうふうにあと処理に対して責任をおとりになっているわけでありますか。
○藤井説明員 米軍との間にいろいろ話し合いをやりました結果、先生先ほど御質問の中にありましたように、四月十一日をもって、いわゆる私ども言っておりますが使用転換、すなわち従来の二条の一項による米軍の施設区域から自衛隊の管轄、管理する演習場にした上で、米軍には地位協定の二条四項(b)に基づく演習場として形が変わったわけでございます。この協議の際に、米軍との間にいろいろ話し合いが進められまして、演習の実施にあたりましては、すべて自衛隊において演習の調整をとる。それから射撃の際の不発弾を生じた場合の処理等につきましても、すべて米軍みずから実施する。なお実際の問題として、米軍が実施し得なかった分がございましたときには、これを自衛隊の管理部隊のほうへ通報いたしまして、自衛隊がこれを処分する。そのような内容の取りきめができておるわけでございます。
○土井委員 そうしますと、いまある地位協定の二条四項(b)号からいたします、さらにこの地位協定の第三条からいたしますアメリカの管理権に対して、日本側は事後処理というものを十分に要求すると同時に、なお十全を期して自衛隊がそれに対してあと処理をやる、こういう関係になっているわけですか。
○藤井説明員 そのとおりでございます。
○土井委員 さらにお伺いしたいのは、この地位協定の二条四項の(b)号によって、いま北富士演習場を米軍使用に供しているわけでありますが、この四項(b)号の条文の中に「一定の期間を限って」とあります。この「一定の期間を限って」の「一定の期間」は、この節どういうふうに理解すればいいのでしょう。
○藤井説明員 米軍が演習を実施するつどでございます。
○土井委員 そうしますと、いまこの協定書というのは五年の有効期間がございますね。五年の間、この北富士演習場というものは使用協定が結ばれていて、そしていまこの演習場を実際自衛隊と米軍が使用するということになっている。しかし米軍が使用する際には、いまの地位協定の二条四項(b)号に従って考えられるわけであるから、この二条四項(b)号にいうところの「一定の期間」というものは、そのつど米軍が使用するというふうに理解されるがゆえに、五年というこの協定の有効期間というものは、米軍の場合には拘束性がないというふうに考えていいわけですね。
○藤井説明員 五年の使用協定の期間でございますが、現代の社会情勢の非常に変転の目まぐるしき時代におきましては、一応五年間をめどの使用の基本的な取りきめをするというのが適当であろうかということで協定を結んだわけでございますが、期間終了後につきましては、あらためて地元関係者の皆さま方と協議の上、さらに当庁といたしましては演習場の使用を継続していきたい、かように考えております。 なお、米軍につきましては演習を実施するつど——これがいわゆる二条四項(b)に基づく米軍の使用でございまして、五年の協定云々に拘束される筋のものではございません。
○土井委員 しかし、この使用協定は、一応五年の有効期間というものを問題にしながら、自衛隊と米軍に対して使用のときの中身に対しての取りきめをやっている協定です。そうして、先ほど来お伺いをしておりますと、米軍のほうは、いまの地位協定の二条四項(b)号に従って使用しながら、全面的な管理権を持っているにもかかわらず、最終的にはやはり自衛隊が最終処理に対しての責任を果たさなければならない、そういう関係にもあるわけですね。 そこで、いまは不発弾の問題についてお伺いをしたわけですが、もう一つ、特に今回の法案から考えてまいりますと、たいへん気になる事情がございます。 それは、実弾射撃をやるためにいろいろ原野を焼かれ、向こうの原林野というものが非常に荒廃をしていくという事情があることであります。昨年一年間の演習実施状況などを見てまいりましても、米軍の場合は八十五回、自衛隊の場合は三十四回、比較にならないぐらい米軍のほうが演習を多く重ねているわけです。私は現地での調査結果に基づいていま回数を申し上げたわけですが、その中で特に米軍が実弾射撃をやったために林野が焼けたという例は、小さいものを含めますと非常に多いわけでありますが、大きいところをあげても、昨年の三月七日、米軍の演習のために着弾地で四百ヘクタール焼けた。次いで三月二十八日、米軍が演習をしていた実弾射撃のおかげで原野が八百ヘクタール焼けた。ところが、この日はたいへんに風が強い日でありまして、山中湖畔の別荘地帯にまで延焼する気配すらあったというのです。 こういう問題は放置しておくわけにいかないわけでありますが、実弾射撃、こういう実際の演習によってもたらされる火災をはじめとした環境破壊、原林野に対しての荒廃というものについて、やはり措置を講じていらっしゃるに違いないと思うのですが、どういう措置をいま防衛庁のほうとしては講じていらっしゃるか、また、それで不十分とお考えになるならば、どういう措置を講じることを考えていらっしゃるか、お尋ねいたします。
○藤井説明員 米軍、自衛隊の演習回数につきましては、私どもの手持ちの資料によりますと若干違いがあろうかと思いますが、それは別にいたしましても、昨年発生いたしました演習場内における火災、この火災の発生状況等をいろいろ考えまして、枯れ草等が繁茂している時期、これは火災が非常に発生しやすいわけでございます。したがいまして、その場合は火災の発生しやすいような弾種を制限するとか、そのような措置をとらしております。また現在まで射撃演習その他により荒廃を生ずるおそれのある場合には、すでに昭和二十八年以来実施いたしておりますが、砂防堰堤を構築するとか、あるいは河川の護岸を改修するとか、そのような工事を演習場内外にわたって実施いたしております。金額的に申し上げますと、昭和四十七年度まで約十八億、四十八年度において約三億八千万、いわゆる防災工事と申しますか、このような事業を実施いたしております。 なお、将来につきましては、地元の関係者の方々ともよく協議いたしまして、防火帯を設置する等の措置を講じたい。また、演習場周辺の市、村につきましては、万一の場合を考慮いたしまして、消防自動車等の補助を別途実施いたしておるわけでございます。
○土井委員 たいへん具体的にきめこまかな御答弁をいただいたわけでありますけれども、基本的な姿勢として、そこまでいろいろと措置を講じ、特に枯れ草に火が燃え移りやすいときには、ひとつ枯れ草を刈り取って演習を続行しようじゃないかというふうに、演習の方向に重点を置いて、環境整備のほうはあと回し、演習のほうが何よりも先立つ問題、ここに自衛隊の演習場を存続させて、演習を何よりもまずやらなければならないという姿勢はいかがかと思うのですね。今回の法案も、基本的にはやはり環境保全、国土防衛なんということを考えていくと、環境保全というのがまず第一歩だと私は思うのですが、国土防衛ということから考えていっても第一歩である環境保全ということからして、いまある自衛隊、それから米軍、そういう一連の軍隊が使用するところの演習場というものをここに認めて、そして演習場における演習が何よりも先んずる問題であって、その問題に対してあたりの環境対策というものを合わしていくという方向では、私は主客転倒もはなはだしいと思うのです。 だから、そういう基本的な問題に立ち戻って、私は再度質問の機会を持ちたいと思います。特に先ほど政府委員のほうからも、必要な資料をさらに添付するということでありますから、それをいただいた上で、この問題については再度私は質問をするということをここに申し上げて、きょうはこれで終わりにしたいのですが、最初に申し上げた覚書の問題ですね。この法案審議に際して、これは基本的な問題だから申し上げるのですが、三木長官、これは覚書として体をなさないと思うのですよ。「富士地域環境保全整備特別措置法」と書いてあるんだから、いま法案を審議しておるわれわれの立場からしても、この覚書の存在というものは無視できないものでありますし、正確にいいますと、この覚書自身は無効とならなければならない覚書だと私は思うのです。三木長官の、この覚書に対する取り扱いですね。これは何といいましても内閣官房長官が当事者の一人として取りかわされておる覚書でございますから、環境庁長官である、また副総理である三木大臣のほうから、これに対しての取り扱いの御答弁をお伺いして、きょうの質問はこれで打ち切りたいと思います。
○三木国務大臣 先ほどお答えしたように、これは、この法律が実施された場合ということが前提に書かるべきものであった。法案は通ってないのですからね。通ってないのに、まともに保全法というものを覚書の中に書くことは、やはり少し思慮の足りない点があったと思います。
○土井委員 それで、この取り扱いは、長官、どういうふうになさいますか。思慮が足りないという御答弁はわかります。そういうお考えのもとに、それならば、この覚書についてはどういうふうにお取り扱いなさるか。
○三木国務大臣 政府として再びこういうことのないように十分注意をいたします。
○土井委員 それはこれから起こるかもしれない未知の問題に対しての御答弁であります。すでに起こってしまっておるこの覚書自身に対しての取り扱いはどうなさいますか。
○三木国務大臣 それは思慮の足りないといいますかそういう点があって、遺憾の意を表します。以後は慎みます。
○土井委員 遺憾の意を表して相変わらずこの覚書はまかり通るというのは、どうも私としては許しがたい問題だと思うのですよ。そこまで遺憾の意を表明して、この覚書に思慮が足りないということを確認なさっておる長官なんですから、もう一つ——それはここの場所では遺憾の意を表されましたが、覚書自身に対しての取り扱いはどうなさるかを再度お尋ねしたいのです。
○三木国務大臣 これは官房長官がやったことですから、官房長官ともこの取り扱いは相談をいたします。
○土井委員 それでは早急にその御相談をいただいた結果をまた受けて再度質問のときに、私は質問させていただくことにいたしましょう。 それでは、きょうはこれで終わります。
○坂本(三)委員長代理 この際、島本虎三君の関連質疑を許します。島本虎三君。
○島本委員 ただいまの土井委員の質問に関連して、ただ一点だけ伺っておきたいと思います。本題は後ほどにいたします。関連ですから一点。 それは東富士有料道路。日本道路公団が国道百三十八号線の第二次開設としてすでに路線が指定されているいわゆる東富士有料道路が、建設大臣に工事の認可と実施の計画の認可、こういうようなものを申請したということでありますが、これはどういうようになっておりますか。建設関係から、この点を伺います。
○高橋説明員 東富士道路の事業の認可申請は、まだ道路公団から出てきておりません。
○島本委員 では、その百三十八号線、いわゆる東富士の有料道路建設についてのいままでの経過について発表してください。
○高橋説明員 この道路は、国道百三十八号線のバイパスといたしまして計画されたものでございまして、四十八年度から五十三年度の工事を予定いたしております。全長二十五・三キロメートルでございまして、設計速度は毎時八十キロメートルを予想いたしております。車線数は四車線でございます。これに要する総事業費三百三十億円でございます。 この道路は、日本道路公団が道路整備特別措置法に基づきまして、一般有料道路として施行するのでございますが、当地域は国立公園地域内でもございます。また演習場を一部通るという問題がございまして、現在まだ関係方面とルート、構造等につきまして協議中でございます。したがいまして、道路公団のほうからは、まだ正式な申請書が出てきていないような状況でございます。
○島本委員 そうすると、所定の手続の一端として、現在各省庁との間で相談をしておられるようであります。防衛庁との間に相談がなされましたか。
○高橋説明員 日本道路公団が技術的な調査をいたしまして、それに基づいてルート、構造等を想定いたしまして、防衛施設庁の関係当局の御意見は承っております。目下調整中でございます。
○島本委員 第一次あるいは第二次の意見調整の期間中に、この路線の延長がどのように変化になりましたか。
○高橋説明員 現在約二十五キロメートルの延長でございますが、このルートでお願い申し上げております。
○島本委員 そうすると、北富士の演習場を通りますか、通りませんか。
○高橋説明員 この道路が計画されております地域は溶岩台地を含む非常に地形の悪いところでございます。特に篭坂峠につきましては、おおむね標高千百メートル付近にトンネルの位置を予想いたしております。また地質的に詳細な調査はいたしておりませんが、いままでのデータによりますと、どうもトンネルの位置がこの位置しかないというふうに私ども判断いたしております。したがいまして、ルートにつきましては、道路公団において計画いたしておる線でお願い申し上げている次第でございます。
○島本委員 その道路公団で計画した路線、第一次並びに第二次の案に対して、防衛庁と協議の結果、変更がありましたか、ありませんでしたか、あったとすれば何キロくらいですかと、これを聞いているのです。なければないでいいのです。あればあったで、そこをはっきり言えばいいのです。
○高橋説明員 ございません。
○島本委員 では、初めからこの道路をつける場合には、払い下げになる予定地、これを通して、演習場を避けて通った、この理由を聞かしてください。これは技術的になお至難なことになります。演習場の中をまっすぐ行ったら最も近く、これは一番可能性のあるコースなんです。なぜこれを避けて合理的なのか、その意味をはっきりさしてください。
○高橋説明員 先ほどお答えいたしましたように、篭坂峠のトンネルの位置が技術的に限定されてくるわけでございます。それともう一つ、冬季間の交通等を考えまして、千メートル以下の付近に道路をつくるということも道路管理上必要な問題でございます。また北富士の演習場等ございまして、その演習場機能をそこなうとか、また演習場の影響を道路が受けるということがあってはいけないという観点から、現在お願いしておる位置に決定した次第でございます。
○島本委員 土井委員が質問したこととまた同じような状態で、うらはらじゃありませんか。演習場を特別扱いにして、建物は同じだ、演習場といえども治外法権じゃないのだ。なぜまっすぐに通さぬのですか。なぜこれを避けて通すのですか。 ことに環境庁、ここには相当または一部分が、特別名勝指定地域である諏訪ノ森という国有林に隣接するこの地域を無理に通しているわけです。富士保全法を出しながら、こういうようなことをやって、一体どういうことなんですか。人の顔をさかなでするようなやり方です。それも最短距離を行くバイ。ハスが最長距離を通るようなこういう構想、こういうようなやり方、ありますか。言語道断です。ましてこれは、もっぱら特定の観光資本に奉仕する路線であるとしか思われない、これは住民の声です。国立公園内にマイカー規制を打ち出しているのが、いまの環境庁ではありませんか。また富士保全法、この富士地域を保全するために旧自然公園、演習場以外をも含めて半径二十キロにわたる環境保全に必要な事業計画を立てるのが法律の趣旨じゃありませんか。これを出していながら、全部これと相もとるような計画をまた建設省で考えている。この中でことに重要なのは、特別名勝指定地域諏訪ノ森の国有林に最も隣接した地を通る、こういう計画にして出してきた、考えておるということ、環境庁、これでいいのですか。
○江間政府委員 先生がいま御指摘になりました道路は、御指摘のように公園の相当重要な部分を通過する予定になっているかと聞いておりますが、現在のところ、まだわれわれのほうには正式 な申請が参っておりません。
○島本委員 これは長官も聞いておいてください。まことに重要なんです。というのは、本年の二月二十日、建設省並びに道路公団の関係者に来てもらって意見を聞いた。ところが、昭和四十八年七月十九日からこの計画を進めて、環境庁の自然保護局と予備調査の段階で、正式ではないが口頭で了解を得ているというじゃありませんか。これは正式の建設省並びに公団のその人の話です。全然言っていることと違いますよ。この事実はどうなさいます。
○江間政府委員 私のほうが調査いたしましたところ、確かに係官が来られまして、私のほうのある係官のところへ相談に来られたということは事実のようでございますが、環境庁のほいといたしましては、これはけっこうであるというようなことは一切申しておらぬということでございます。
○島本委員 建設省では、正式ではないが口頭で了解を得た、予備調査の段階で。これは私だけじゃございません、衆参両院の関係者含めて五人。そのあとで、私はあえてこのことを書いたまま読んで、こうですか、そのとおりですと答えているのです。そうすると、こういうようなことで進められたら、これはたいへんなんです。実際、計画、環境庁に来ない。来ないうちに、もう自衛隊の演習場の中を通す、これが第一次案のはずです、それを防衛庁と相談して、それでは困る、払い下げ予定地のその方面を今度通される。通されることになったそれだけじゃない。今度は最も風光明媚だといわれている特別名勝指定地域である諏訪ノ森国有林に隣接するはうへわざわざ通してきている。富士保全法を出す前にならいい——いや、よくはないですけれども、考える余地は若干ぐらいあるかもしれない。しかし出してきながら、環境保全するといいながら、こういうようなことはとうてい認められない。 したがって、これがまだ正式ではないとしても、予備調査をしたということ、正式ではないが口頭で了解を得たということ、これはそうじゃないということを、はっきりここで言えますか。
○江間政府委員 先生の御指摘の道路は、国立公園の特別地域を大体三キロほど通る予定になっておるかと聞いております。その意味で事は非常に重要だとわれわれは考えております。先生がおっしゃった環境庁がいいと言ったとか言わないとかいう話は、私が否定するのでございますから、ひとつ御信用願いまして、ここで四十八年の十月十九日に自然環境保全審議会の自然公園部会長が、これからの道路問題について談話を発表いたしております。 それの一部を読み上げまして、これからの方針を申し上げようと思うのでありますが、「国立公園等における道路の新設については、原則として公園利用の観点とか経済的、社会的観点などから、その道路が是非必要であり、他にこれに代る適切な手段が見出せないことが前提とされなければならない。さらにその場合においても、事前に当該地域の自然環境について、地形、地質、気象、動植物等の観点から十分な科学的調査をおこない、原始的自然環境を保持している地域」云々と、そういうものを並べられておりまして、「など道路建設に伴う人為的要因が、大きな自然環境の破壊の誘因となるおそれのある地域は、あらかじめ慎重に避けるよう配慮されるべきである。」というふうに部会長が述べております。 われわれといたしましては、もしこのような申請が出てきましたならば、この審議会にも当然相談をしなければなりませんし、現在のわれわれの行政方針あるいは審議会の審議方針から考えまして、このような問題がもし申請として出されてまいりましても、慎重なるが上にも慎重を期したいと思っておるわけでございます。
○島本委員 承認することがあり得ますか。
○江間政府委員 私は非常に困難であろうかと思っております。
○島本委員 長官、いまお聞きのとおりでございますが、まさに土井委員が先ほど言ったように、国民とそれから自衛隊を同じように見ていない。治外法権的に自衛隊の演習地、米軍の演習地、こういうようなものを見ているのです。そしてわざわざ道路一本建てるにも、はっきりしたことが言えないのは、私は心情はわかります。上の人に言われているのでしょう。しかし一回、二回自衛隊と相談しているのです。そして直線的に一番近い距離がぐっと迂回させられて、いまのような大体構想に変わり、これが最善だとあなたおっしゃるようになったのです。その事情は私のほうで調べてあります。 しかし、それにしても、いま江間局長のほうから承認は非常に困難である。おそらくしないと言いたいのでしょう。しかしながら、これは少しも気をゆるめてはならないということとあわせて、この法律の中に重要な点が、長官、富士地域を保全するために半径二十キロにわたるこの地域に環境保全に必要な事業計画を立てる。このほかに二つ目に大事なのは、全体計画として自然公園法に基づく公園計画と適合しなければならないことを、二つ目の問題として重要にうたっているでしょう。この演習地をそのままにしておくということ、それでも問題があるのです。ところが、ほんとうにその中を道路が通る、こういうようなことであるならば、何の意図かわかりませんが、一応は検討してもいいのです。そこを避けて自然環境を破壊するような道路を建設省で考えているとするならば、まさにそのことは重要です。この法を無視されるような行為が、もうすでに他官庁で行なわれている、計画されておる。しかし、いまこのことばを江間局長から聞いて、私は一応の歯どめになった、こう考えます。 しかしながら、こういうような問題が総体的に、資料の中に載ってこないけれども、数多くあるはずです。それぞれ独特の動きをする場合には環境は完全に破壊されてしまうものである。ここに、すでにこの富士保全法というもの、これさえも、いまやおかされようとしているわけですから、これはまことに重要なんであります。私はいま関連質問ですから、この道路一つ聞けば、それでいいのです。今度これがおかされつつあるというこの実態に対して、ひとつ長官の高邁なる御高見を拝聴しておきたい。
○三木国務大臣 高邁も何も必要ないわけでありまして、環境保全の見地からきわめて慎重な取り扱いをいたします。
○島本委員 長官はこのごろどうにもとれるような政治的な発言がよけいになってきた。アラブから帰ってきたら、ことにそうなった。あなたの場合は、副総理であるということもあるかもしれませんが、環境庁の長官として、いま日本が世界から注目されている、その焦点にあるのです。あまりアラブ寄りの副総理としてのそういうような考え方は、もう一回原点に返って、環境庁長官として大をなすように、ひとつ思い切ったことを言わないとだめです。長官が思い切ったことを言っても、行政はそれよりおくれる。おわかりでしょう。先取りですよ。あなたがすべてこれを調和の点で考えたら、また環境行政があとずさりするのです。 いまこの際ですから、大いに天の声として申し上げておきますが、何の遠慮も要らない。悪いものは悪いとしてストップをかければいいのです。こういうようなものはだめならだめだと規制すればいいのです。防衛庁であろうとも他の官庁であろうとも、その調整権こそあなたの身上じゃありませんか。この調整権を無視されるようなやり方は、まことに困ることであります。 富士保全法審議に先立って一つの事例をあげました。これがすべてに通ずることにならないようにしなければならないし、長官自身のこれに対する考え方は優柔不断であります。もう少しがっしりして、環境保全、公害防止の原点に返って、もう一回日本を立て直すためにがんばってください。心からこれを要請して、私の関連質問を終わるわけであります。
○坂本(三)委員長代理 この際、暫時休憩いたします。 午後零時五十三分休憩 ————◇————— 午後二時十分開議
○角屋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。米原昶君。
○米原委員 午前中の質疑で、土井たか子委員から、この法案が国会に提出されもしない昨年の四月という時期に、この法案ではなくて、法律に関する覚書を、少なくとも官房長官が結んでおられるということは、これは全く国会を無視したといっていいと思うのですね。全く許されないやり方だと私は思うのです。この点については、どうしても長官からひとつすっきりした措置をとってもらいたい。 一言で言いますと、覚書撤回しなければ、法案通せないということです。そうでないと、これは国会を無視することになりますから、この点についてはいろいろ議論もあるでしょうが、とにかくこの問題については二階堂官房長官及び山梨県知事、これはぜひ本委員会に出席して、この点について明確な見解を述べてもらいたいという点がありますから、この点についてはいま保留します。しかし、長官からも内閣のほうに、その点明確な態度をとるように要望していただきたいんです。 私、この法律を読みまして、一体これどうして必要なのかということに疑惑を感じたんです。自然保護に関する法律としては、自然公園法、自然環境保全法、鳥獣保護法などの法律があります。不十分ではありますが、とにかく自然保護の分野では一定の役割りをいままでも果たしてきているわけであります。そうした中で、富士山の周辺について特別に新しくこの法律がつくられた、しかも自然保護のためにです。どういう点で、いままでの法律とは違ってこれをつくらなければならなかったか、なぜ必要なのかという点が、実は率直に言って、あまり明確でない。その点を第一に聞きたいのです。
○三木国務大臣 富士山というのは日本を代表するものでありますし、また東京から百キロぐらいの距離にあるわけであります。そういう点で、もうレジャーとか別荘地とか、こういうことで非常に乱開発が行なわれる危険がある。したがって単に富士山の山ろくまでというのではなくて、相当広い距離において、この地域を保護整備していくことが環境の保全のために必要であるということで、前からそういう声はあったわけであります。今回、北富士演習場というものの取り扱いに関して促進したことは事実でありますが、しかし、そういうものがなくても、何か特別の立法が必要であるという必要性は前から存在したものでございます。
○米原委員 そうしますと、午前中の質問とも関連してくるんですが、この法律が昨年の七十一国会に提出された当時の新聞を読みますと、米軍の北富士演習場の自衛隊への移管、これと引きかえに出された、これは覚書を読んでも、そういう印象が強いわけであります。こういうことが新聞にも報道されました。そうしたことが、むしろこの法律のほんとうの目的ではないのか。言われるような点ならば、いままでの自然公園法にしましても、自然環境保全法、鳥獣保護法にしても、これを富士山の場合特に厳重に文字どおり実行するということが第一だと思う。それでできない点があるならば、そういう意味で新しい法律をつくるということなら、私は了解できるのです。 しかしおそらく、世論の中にそう言う人がありますし、おっしゃったような動機はあるのでしょうが、いまこの引きかえが促進したとおっしゃいましたが、実際には自衛隊への基地の移管、これと引きかえにやったことじゃないか、むしろそれをやらせるために、その目的でこの法律を出したのじゃないか。これはいろいろな点で私は証明できると思うのですが、その点どうでしょうか。
○三木国務大臣 それは少し邪推に過ぎると思います。これはただ単にその地域の環境保全というばかりでなしに、いろいろ整備もしようというわけですから、その周辺のたとえば下水であるとかその他の公共的な施設というものも整備して、そして特に富士周辺というような日本を代表するような自然環境というものを特別に保護整備していこうというわけでありますから、やはり従来の法律だけでカバーできない面がある、特別の立法を必要とするという必要性は前からあったものでございます。 ただ、動機はいま言ったようなことであることは否定できないのですけれども、しかし、そのことが目的であって、富士の環境保全というものがつけたりであるということは、少し邪推に過ぎると思います。
○米原委員 それでは聞きますが、米軍の北富士演習場内の県有地について、民法上の規定によって使用協定の期限が一昨年切れた。このときに山梨県側は、全面返還を当時要求したのは事実でありますが、この点については、そういう事実がなかったと言われるのでございましょうか。初めは全面返還を要求した、こう思いますが、どうですか。
○藤井説明員 山梨県知事は、県知事として立候補されましたときの公約といたしまして、富士地域を国民休養の場、国民全体の観光の場として一般に開放したい、これが県民全体の強い希望である、この希望をかなえるように自分としても努力したい、かように申されておったことは事実でございます。
○米原委員 それが事実だったと思うのですが、それが暫定使用協定の後、昨年の春に、この米軍北富士演習場を自衛隊に移管するということで話し合いがついて、国と県は、そこでこの協定を結んだ。なぜ、では山梨県は態度を変えたかということは、それまでの態度とはっきり変わっているわけですから、それがこの協定なんじゃないかそういうふうに理解していいかどうか。
○三木国務大臣 これは前から地元に強い要望があったのですよ。環境保全のためのいわゆる特別立法をつくってほしいという要求があったわけですけれども、それがなかなか特別立法として提案のところまでいかなかった。その北富士演習場の取り扱いにあたって、従来強く希望しておったことを、ぜひこの機会にやってもらいたいというので、促進になったということは、先ほど申し上げたとおりでございます。
○米原委員 全国各地で、米軍や自衛隊を問わず、基地撤去の住民の声が強い場合には、その声に押されて自治体側も返還要求を行なう、こういう例は無数にあります。その際に、国のやり方はいつでも金で解決しよう、この北富士の場合も、この法律、そして百三十億円出る、こういうことでやられたのではないかということなんです。その点はもう事実じゃないですか。
○三木国務大臣 金で解決と申しましても、守ろうとするものは環境でありますから、そう直接金で買えないものであるわけです。事実上、特別立法として特別保護整備を加えるというときには、経費がかかることは事実です。金で引きかえにということではないわけで、守ろうとするものは環境であって、その環境を守るために経費もかかるということで、金を直接もらうということが目的ではございません。
○米原委員 この協定が結ばれた昨年四月三日ごろに、協定と引きかえに百三十億円ににのぼる基地周辺整備事業、環境保全法制定その他の約束が国側と山梨県との間で行なわれたと報道されておるし、覚書もそのとおりだと思うのですが、この報道については、それだけではないといわれるのでしょうか。
○藤井説明員 北富士演習場周辺の民生安定対策事業と申しますか、周辺整備事業と申しますかにつきましては、もともと山梨県当局あるいは関係の市、村、組合等から、従前から非常に強い要望がございました。しかしながら、地元の関係諸団体の意見が必ずしも一致しておったわけでないわけでございます。そこで事業を実施するにつきましても、いろいろお互いに牽制し合ったり、あるいは意見の食い違いがございまして、国としても、なかなか事業の実施ができなかったわけでございます。時、使用転換のときにあたりまして、県、地元関係市、村その他諸団体から相当巨額の要望が提出されまして、国といたしましても、これをいろいろ検討いたしました。 しかしながら、基準というものとしてとりましたのは、隣の東富士演習場におきまして、私ども従来種々対策事業を講じてきているわけであります。これとの対比におきまして、すなわち関係住民の数とか、あるいは地形だとか地勢、天候その他もろもろの要素を比較勘案いたしまして、大体百三十億程度が適当であろうということで額を一応示したわけでございます。毎年あるいは今後実施する事業につきましては、そのつど各年度ごとに地元関係者と十分に協議をいたしまして実施していく所存でございます。
○米原委員 基地周辺でなくても、自然環境保全という要求は全国各地にありますし、ことに富士山のような地帯では、あの自然を保全したいという要求は非常に熱烈なものがあると思うのです。そういう立場から、むしろあの基地を撤去してもらいたいという要求も自然の破壊を食いとめたいからだ、こういう要素が明らかにあります。ですから住民の要求の、基地撤去という要求には、もちろん日本の平和の問題、安全の問題という見地もありますが、同時にあの地帯の自然を保持したいという、だから基地撤去要求そのものが、実は自然保護の要求でもあるわけです。 ところが、経過を見ましても、そういうところから出てきている要求なのに、実際に出てきたこの法律を見ますと、基地を確保するためにつくられた法律じゃないかという感じがするのですよ。富士山の保全じゃなくて基地保全法じゃないか。たまたま基地のそばに富士山があったから富士山を利用したにすぎないという印象さえ受けるのです。提案理由の説明では「富士山は、わが国の最高峰として、その雄大典雅な山容の美しさは古くから国民にとうとばれ、」などと美辞麗句が並べられております。 ところが実態は、富士そのものが基地保全のために利用されたにすぎない。こうしたことは、国民をばかにするのもはなはだしいではないかという感じがいたします。この北富士演習場は日本の平和と安全にとって危険なだけではなくて、自然保護とも両立しない、あの広大な富士のすそ野で演習を行なって富士の自然が一体守れるのか、この問題に考え方が及ばないと、これはもう、形は富士の保全だといいながら、実際は基地を保全することを前提にしたやり方であって、ほんとうの自然保護とは違うと思う。この点について考え方を聞きたいのです。
○三木国務大臣 それは、この法案をごらんになっても、基地保全法というような性質のものでは断じてありませんので、環境の保護整備、そういう見地から立法化されておるものであります。ただ基地があることは、自然環境として好ましいものではないと私は思います。しかし、それは日本の安全保障の見地から、基地というものは必要であるというのが政府としての考え方でございますから、したがって、そのことは政府の基本方針に関係するわけでございますので、演習地も確保しなければならぬということで、そういう北富士の演習場というものは、ある期間存続していこうということでございますが、この法案の全体を流れておる考え方は、あくまでも環境保全のものであることでございます。
○米原委員 それでは聞きますが、たとえば自然公園法では、国立公園の指定がありますし、その中で特別地域という地域指定もあります。また鳥獣保護法で鳥獣保護地区という地域指定があります。こういうような指定された地域では一体どのような規制があるかということを環境庁に聞きたいのです。
○江間政府委員 お答えいたします。 自然公園の区域におきましては、地種区分に応じまして、その利用について規制が加えられるということでございますし、鳥獣保護の関係につきましては、鳥獣を捕獲したり、その他の行為についての規制があるということでございます。
○米原委員 そうすると、この自衛隊の北富士演習場の中に、いまの国立公園の特別地域、鳥獣保護区と重なる部分があるのではないか。あるとすれば、どのくらいの面積かということを聞きたい。
○江間政府委員 お答えいたします。 北富士演習場と国立公園区域との重複関係は従来約二千七百ヘクタールに及んでおったわけでございますが、今回の一部返還に伴いまして、演習場の西側と東側の外延の一部、現在大体千四百ヘクタールに減少いたしております。 また北富士演習場約四千七百ヘクタールのうち、約二千四百ヘクタールが鳥獣保護区と重複いたしております。
○米原委員 そうした国立公園の特別地域、鳥獣保護区内で自衛隊が演習を行なっておる、これは明確にこれらの法律に違反するじゃないか、この点であります。
○江間政府委員 環境庁といたしましては富士地域における自然環境を適正に保護するとともに、これにふさわしい利用環境を確保しまして、後代の国民に継承することが現下の国民的な要請であるという基本的な認識に立って、この法律案を提出しておるわけでございます。富士地域に演習場が存在する、また現に使用されているという事実は、現実の問題として受けとめているわけでございます。 現状におきましては、自然保護行政との関連で具体的な事項につきまして特別な問題は生じておりません。今後自然保護等の観点から、具体的な問題につきましてはケース・バイ・ケースで対処してまいりたいと思っておるわけでございます。
○米原委員 自然公園法の第二十四条第一項第二号には、特別地域内において著しく騒音を発し、公園の利用者に著しく迷惑をかけることを禁じております。自衛隊が演習を行なうなどということは、著しく騒音を発し、公園の利用者に迷惑をかけないなどとはいえないと思うのです。明らかに法律違反だと思うのです。鳥獣保護区で演習などというのは何をかいわんやです。明確な法律違反じゃないか、この点については、長官からも見解を聞きたいと思います。
○江間政府委員 著しい騒音ということが演習行為に該当するかどうかという問題でございますけれども、基本的に当該地域は国立公園と重複いたしておりましても、一般公衆が立ち入らない地域でございますので、そういうふうな問題は、起きないかというふうに思うわけでございます。
○米原委員 一体これはたいへんな問題だと思うのですよ。自然公園法の特別地域とか鳥獣保護区とかこういうところで演習やっておって、これで差しつかえないんだなんていうのは、とんでもないことだ、よく厳密にこれ検討してもらいたいのですが、明らかにこれは法律に違反しています。この点について環境庁長官に聞きたいのです。
○三木国務大臣 まあ好ましいものではない、しかし違反しておるという考え方ではないわけでございます。
○米原委員 ちょっと別の問題ですが、アメリカ軍の新聞のスターズ・アンド・ストライプス、在日米軍の機関紙です、これを読みますと、太平洋地域で二百三ミリの原子砲、これが置いてあるのは沖繩に二門あるだけだということは前から報道されております。ところが、この原子砲が演習可能なのは、日本では東富士と北富士の演習場だけです。また実際に、この富士で原子砲の演習が行なわれている。 私は沖繩へ行ったときに、演習地に入りまして、そこへ来ているアメリカ軍と、いろいろ事情を聞いてしゃべったことがありますが、そうすると彼らは、この前まで北富士の演習場に行って原子砲の演習をやって帰ってきたのだとわれわれに、私を共産党の議員だと知らないものだからかもしれませんが、幾らでも話してくれました。こういうことが行なわれているのですよ。この原子砲の実験なんかやっているんですよ。こういう行為が自然公園法で特別に環境保護をしている地域でやられているわけです。こういうことが一体法律に違反したといえないかどうか。こういう点なんです。
○藤井説明員 当庁でお答え申し上げるのが適当かどうか問題がございますけれども、当庁といたしましては、そのような演習が行なわれておるということは、全然承知いたしておりません。
○米原委員 承知していられないなら、ないということなんですか。あっても、承知していなければ、よろしいというのですか。
○藤井説明員 米軍の演習内容につきましては、そのつど詳細な連絡がございます。その中には全然入っておりません。
○米原委員 それなら、この問題はさらに別の機会にでも、幾らでも証拠がありますから、特別に引用してやってもよろしいです。 ただ、外務省や防衛庁が、アメリカ軍の問題で答弁されるときは、向こうが言ったことだけしか言えない、日本で自主的に判断する能力はゼロだ。驚くべきことを何回も経験している。この石油危機に際してアメリカ軍は石油の削減をやった、一四%削減したと聞いておりますと、聞いているだけで、実際はちっとも削減してなかった。こういうようなことは一ぱいあります。アメリカ軍自身の機関紙が麗々しく書いているのです。このことすら——ただ向こうが言っている中に入っていないからということで済ませるような問題と違うと思う。 ことに富士山の場合、富士山の自然を保護するという観点からいっても——そうして富士山はわが国の自然の象徴だなどと提案理由にもいわれているわけです。そこで原子砲の実験が行なわれている。そういうことを押えるような措置が、この法律では全然とれないでいて、これで富士山の保全といったら、全く国民を愚弄するもはなはだしいといわなくちゃならぬ。そういう見地で聞いているのです。この点について何らコントロールができないようでは、富士山の保全とはいえない。この点について長官の見解を聞きたい。
○三木国務大臣 演習地として利用するわけですから、射撃をやめろということは、これは演習の機能に触れる問題ですから、そのことはできないにしても、われわれは富士山の環境保全に関するこの法律は、基地といえども厳重に履行していきたいと考えております。
○米原委員 鳥獣保護区という観点からいいましても、保護区の中でなくても、その近所で演習しても、鳥は一羽残らず逃げてしまいます。逃げてしまうから、その意味では確かに保護されるかもしれませんが、鳥獣保護及狩猟二関スル法律を見れば、第八条ノニに「鳥獣ノ保護蕃殖ヲ図ル為必要アリト認ムルトキ」「鳥獣保護区ヲ設定スル」こうあるわけです。ところが、この演習場の中に鳥獣保護区がある。全くこれは矛盾している。そういうところは演習させないということにするのが当然であって、法律に違反していることは明白だ。だから私は、午前中の議論の中で、これがきまらないうちに、この法律がまるできまったかのような覚書というものができているのでびっくりしました。 その点では全く憲法違反のやり方ですが、この法案自体がほかの法律と全く矛盾しているじゃないか。だから私は、富士山の保全じゃなくて、基地を保全するためにつくったようなものじゃないか、そういうふうに思わざるを得ないのです。 次に聞きますが、この法律の中にある富士地域保護利用整備計画、これは何年間ぐらいの計画でおやりになって、どのような内容でありますか。
○江間政府委員 お尋ねの富士地域保護利用整備計画でございますが、これは期間は一応十年と考えております。 その具体的な内容は第五条に書いてあるわけでございますが、第一号では、富士地域の自然環境の保護及びその自然環境にふさわしい利用環境の確保並びにこれらに必要な施設整備の基本的な方針を明らかにすることになっております。たとえば富士五湖は富士地域を形成している重要な要素でありまして、その水質の達成目標を定めることにより、第三号に定めております下水道施設についての指針を与えるというようなことと、各種の行為の許認可の審査に際しましての指針を与える、また望ましい利用人口の目標を定めること、そうすることによりまして、公園施設の整備計画の指針とすること、あるいは過度な利用開発を防止すること、そういうふうな富士地域の特質に応じた基本的な事項を定めるものでございます。 第二号関係では、利用環境を確保するために、イ、ロ、ハ、ニと四つに区分した各利用地域の具体的な位置であるとか規模を定めております。それぞれの利用地域区分ごとに、その環境を確保するために必要な利用の規制、たとえて言いますと、徒歩利用地域につきまして車道の新設を認めないというようなこと、そういう考え方を明らかにするものでございます。 第三号の関係では、イ、ロ、ハ、ニ、ホというふうな区分に掲げてございます事業、具体的な整備計画の概要を明らかにして、事業実施の確保をはかろうとする、そういうふうな内容でございます。
○米原委員 おっしゃっているのは、第五条のところに出ていることそのままお読みになった程度でありますが、全くそれだけでは抽象的だと思うのです。富士の自然が破壊される。だから、それを保全するために、この法律を出すというなら、いまおっしゃった程度の抽象的な観念だけでつくったのかと聞きたくなるのです。 昨年の瀬戸内海保全法では、これは理由も明確であったし、法律も実体のあるものでした。この富士保全法の場合は、いわば手続をきめているだけで、実体が何らこれだけでは明確になっておりません。いままでどこがどのように破壊されて、どこを保全しなければならないのか、どのように整備する必要があるか、この点は明確にひとつ資料を出してもらいたい。どういうことをやらなければならないのか、この点委員長においても、この委員会にその資料を出してほしい、ぜひ取り計らってもらいたいと思います。 さらに聞きますが、現在ある自然環境保全法、自然公園法などによって、この富士の自然を守る上で、どこが不十分で、この法律を特に提案したか、一体おっしゃるようなことは、いままでの法律でもできるじゃないかという気もする。なぜいままでの法律だけでは不十分で、富士山の場合、特にこういうことをやらなくてはならぬか、この点が必ずしも明確でないです。いまおっしゃっておるようなことなら、いままでの法律だけでもできるのじゃないか、そういう感じがします。この点をひとつ明確にしてもらいたい。
○角屋委員長 先ほど米原委員から委員長に要請の問題については、環境庁、ひとつ、できるだけの資料を整備していただきたいと思います。
○江間政府委員 本法案が何ゆえに必要であるかという趣旨につきましては、冒頭において大臣から申し上げたことでございますが、要するに富士地域はその象徴的な性格と、それから非常に人に近い、過密な地域に近いところにあって乱開発の対象になり得る、そういうふうなことのために、一元的にこの地域を規制してまいりたい、そういうふうな考え方によるものでございます。 具体的に先生、自然公園法とかあるいは保全法というものがあるから、この法律は要らないではないかという点でございますが、実際にこの半径二十キロメートルの地域内には、いろいろな地域がございまして、国立公園地域以外の地域がたくさんあるわけでございます。 こういう富士地域につきましては、これから、この法律ができましたならば、一定規模以上の工作物の設置については届け出を要するようにする、あるいは利用地域の指定や富士地域保護利用整備計画を達成するために、必要な限度において必要な規制を行なうという根拠ができるわけでございまして、このようにしまして、国立公園等の地域を含めまして、富士地域を一体として保護していくために、富士地域の保護についての一元的な計画のもとに各種の観点から進めていく必要がある。こういう点につきまして、現在の自然公園法だけでは目的を達成することができないということでございます。
○米原委員 この法律を見ますと、確かに従来よりこまかい地域指定があります。しかし自然公園法だけでも、実際は相当規制ができるはずです。ただ問題は、いままでの自然公園法、規制できるのにあんまり規制してないのじゃないかということを感ずるのです。従来の法体系ではこういう欠陥がある、できないのだ、だからこれをつくる、というなら意味がありますが、問題は従来の法体系でやれることすらやってなかったという上に立って新しい法律をつくりましても、規制をやるやるといっても、できてみると、ちっともその規制がやられなかったというのでは意味がないのです。たとえば自然公園法でも、特別地域ではいろいろなことについて許可を受けなければやれないことになっております。 そこで、たとえば四十七年度、富士箱根伊豆国立公園で何件のそういう申請があって、そのうち何件を許可したか、この点についてお聞きしたい。
○江間政府委員 お答えいたします。 昭和四十七年度におきまして、富士箱根伊豆国立公園の地域に関する許可状況でございますが、百八件申請がございまして、百八件許可をしたことになっております。
○米原委員 つまり申請があっただけ全部許可したということなんです。だから、それでは何ら規制したことにはならない。そうした姿勢でいままできておられるから、この法律ができたら規制できるんだといっても、私は信用できないのです。そして法律の条文を見ましても特別強化になっているとは見えないのです。いままでの法律でも厳正に実行すれば、私は規制できると思うし、さらに地域の点でも公園地域を拡充すれば問題解決するじゃないか、こう思いますが、どうでしょうか。
○江間政府委員 先ほど百八件の申請に対して百八件の許可を与えた、それにつきまして、先生からたいへん甘いではないかという御指摘があったわけでございますけれども、過去においては若干問題があったかというふうに反省はいたしておりますが、最近の許可、そういうものにつきましての態度は、きわめて厳正な態度で臨んでおるというふうに思っております。 ここでも申し上げました申請に対して全部許可がなされたということの内容でございますが、われわれ現実にはきわめて厳正な事前の点検審査をやっておりまして、間違いなしに、これは許可し得るというものについてのみ申請が出てくるというような仕組みになっておりますので、そのようなことになっておるわけでございまして、現在自然公園法の適用状況が甘いというふうには、われわれは考えておりません。 なお、それならばこの地域を全部自然公園にしてしまえばいいじゃないかという御指摘でございますが、この地域はかなり人口の多い地域もございますし、いろいろな特殊な条件を備えている地域でもございますので、むしろやはり現在提案いたしておりますような法律によりまして、富士地域を一元的にとらえ、それぞれの地域の特性に応じた規制をしてまいるのが、よりよいのではないかというふうに考えておる次第でございます。
○米原委員 人口がかなりあるという点で自然公園法が適用できない部面もあるということはわかりますが、しかし適用する部面を広げることは可能じゃないか。それから規制を文字どおり強化するということがあれば、特別にこういう法律をつくるいわれがないように私は法案を見て感じました。 要するに、この法律で実質上違う点がどこかあるとすれば、費用負担について第二十条で、国の負担または補助を他の法令の規定にかかわらずきめることができる、つまり地元に金を落とすことができる、こうなっている点が一点違うので、むしろ私が最初から質問しましたように、基地の問題と引きかえに金を落とすことで解決されようとされたという点が、この法案に文字どおり出ているように感ずるのです。その点どうでしょう。
○江間政府委員 先生が御指摘になった点のほか、今度の法律で特別に違いますことは、富士地域におきましては自然公園の区域外でございましても、一定規模以上の工作物の設置にあたっては届け出を必要とする、そのほか利用地域の指定であるとか、きめこまかな土地の規制が行なえるようになるという点が非常に大きな違いではないかと思います。
○米原委員 いろいろおっしゃいますが、従来の自然公園法その他を厳正に実施するということが、私は第一条件だと思うのです。ですから、特別立法を行なわなくちゃならない点については具体的な事例をもっと知りたいのです。先ほど申し上げました資料を要求するものであります。まだたくさんの問題点が、この法案についてはありますが、・今日はこれで終わりにします。
○角屋委員長 坂口力君。
○坂口委員 本法案に対する基本的なことから、まず長官にお伺いをしたいと思います。 この法案を拝見しますと、富士山はわが国の自然の象徴であり、世界に誇る国民的資産であり、後代の国民に継承すべきものである云々、こういうふうな書き方がしてございまして、これの適正な保護、利用をはかることを目的としている、こういうことに第一条になっております。 本法案は保全が中心なのか、それとも利用に重点を置いているのかということを、たいへん大きな疑問に思うわけであります。自然環境保全法及び自然公園法などにありましては「自然環境の保全」あるいは「景観を保護」、こういうことばが用いられておりますが、本法案ではことさら「利用」ということばが使われているわけであります。条文の中から自然保護の規定は軽く用いられているようにうかがえるのであります。特に「自然環境」というようなことばも出てはおりますけれども、この「自然環境」というのは、何か形容詞的に使われておりまして、「利用環境の確保」というところが中心にすべて文字がなっておる。この法律の意図するところが、どういうところにあるのか、あえて自然環境保全法とは別に、これを出されたということについてはどういう点があるか、まずその辺からお伺いをしたいと思います。
○江間政府委員 この法律には開発を促進するという考え方は全くないわけでございまして、ことばとして「利用」ということばが非常にたくさん出てくることは事実でございますけれども、むしろここでいわれておりますことは、適正な利用を考える、むしろ利用の規制を行なうというような含みがございまして、決して開発を意図しておるというような法案ではないわけでございます。
○坂口委員 たとえば第二条に「自然環境の保護及びその自然環境にふさわしい利用環境の確保」云々、こういうことばがございます。「自然環境の保護」も、それから「自然環境にふさわしい」云々ということばも、結局は「利用環境の確保」ということばの形容詞的な意味に使われている、そういうとり方ができるわけです。ややもいたしますと、この法案が、先ほどからも指摘されておりますように、いわゆる自然環境を守るということよりも、むしろいかに利用をするかということに重きを置かれた法案である、そう私どもは感じざるを得ないわけです。そこに、この自衛隊等の演習場等の問題も出てくるわけであります。いま私が申し上げたのは、そういう意味でございます。そういうわれわれの懸念が取り越し苦労であれば、それに越したことがないわけでございますが、しかしこの法案を見せていただきます限りにおいては、そういうにおいが非常に強いわけであります。長官からも一言承っておきたいと思います。
○江間政府委員 私のお答えが十分でなかったかと思いますので重ねて申し上げますが、この法律における利用環境といいますのは、国立公園などの区域におきまして、その自然環境に最も適応した利用方法が確保されるための状況をいうものでございます。その利用が、他の要因によって妨げられることがないような所要の措置を講ずべき環境をさすものでございます。たとえて申し上げますと、登山、ハイキングなどの徒歩のみによる自然との接触を主たる内容とする利用を確保するための徒歩利用地域におきましては、登山、ハイキングなどの利用目的に支障を及ぼすおそれのある、たとえばホテルであるとか旅館などの建築物などの設置がなされないように措置するものでございます。 端的にいいますと、異質な目的のための建築物などが存在することがないように、その目的が完全に遂行し得るように環境をつくっていこうというものでございます。また、このような利用環境は、おのずからその自然環境と密接不可分なものでございまして、自然環境の特性に応じてそれに適応した利用方法がきめられる、これに従って確保すべき利用環境が考えられているというようなものでございます。
○坂口委員 長官、簡単に申しますと、この法案が自然環境ということよりも、利用環境の確保ということに非常に重きを置いてつくられたものではないかという疑いを持たざるを得ない、いま私はこう申し上げたところでございます。これに対して、長官から一言意見を賜わって、次にまいりたいと思います。
○三木国務大臣 環境を保全する場合に、今日各地においても利用というものに対しての規制、指導というものが、どこにおいても大事になってきているのですね。これは一番大事なものは富士周辺の環境ですからね。しかし、その環境というものを利用して、いろいろなことをやろうというところに開発が起こるものですから、われわれが守ろうとするものは、富士の自然環境であることは、もう明らかなんです。しかし、実際にそれを今後保全していこうというときに、保全というものに対して、われわれが目を光らさなければならぬのは開発という事態ですから、どうしても法案をつくったときには、そういう開発に対してのいろいろな規制というものが出てこざるを得ないのですが、しかし、この法案が一番の目的とするところは、富士の環境を保全するということであります。
○坂口委員 次に移りますが、本法案は山梨県が北富士演習場のいわゆる県有地継続使用と、米軍から自衛隊への肩がわりを認める条件として、この制定を要求したいきさつがあるというふうに聞いておりますが、この背景をお伺いしたいと思います。
○藤井説明員 先生の御質問につきましては、先ほど環境庁長官から御答弁がありましたとおり、従来山梨県の地元におきまして非常に強い要望がございました。たまたま四十七年の七月二十七日でございますか、民法六百四条によります契約期限の満了を迎えたわけでございますが、これを機会に山梨県知事といたしましては、富士山北ろくの問題を全体としてとらえまして、従来山梨県知事さんが自分の主張として、あるいは県民の要望としてお求めになっておりました問題を全部さらけ出しまして、その実現につきまして、国のほうでも配慮されたいというふうに要望してまいったものと承知しております。 この環境保全法の問題につきましては、当庁に対する要望ではございませんで、当庁の問題といたしましては、知事さんが従来主張しておられました演習場区域の縮小だとか、あるいは周辺整備事業の積極的な推進だとか、あるいはまた林野雑産物の補償をめぐりまして、従来地元間におきまして、非常な混乱をしておったこの問題を政府ともども早期に解決したい、このような要望を当庁のほうに知事さんが要望として提出されておったわけでございまして、この演習場の使用転換ということには、この保全法の要望は関係がない、かように私ども承知いたしております。
○坂口委員 先ほどの議論でも長官からお話がございましたので、続けてお聞きをしたいと思いますが、富士演習場とこの法案の第七条にいいます、いわゆる特別地域及び利用地域とは、どの程度重複するのか。線引きの構想等につきまして、ありましたら、お伺いしたい。
○江間政府委員 利用地域と演習場の関係でございますが、利用地域の指定は、富士地域保護利用整備計画に定められたところにより行なうということになりますが、当該地域の自然環境に照らしまして、これにふさわしい利用環境を確保するという観点から指定するものでございまして、具体的な指定は地域の自然環境の実態に即して、いかなる利用方法が最適であるかということを正しく把握しまして、その利用目的が十分達成されるように設定されるものでございます。そこで、演習場はすでに演習目的に使用する地域と定められておりまして、他の利用に供することは考えられませんので、これを利用地域として指定するということは、いまのところは考えておりません。
○坂口委員 そういたしますと、米軍の施設も、本法の適用との関係におきましては同じでございますね。
○江間政府委員 米軍の施設のお尋ねでございますが、新たにこの法律によりまして、施設をつくろうという場合には、当然この法律による規制がかかるということでございます。
○坂口委員 防衛庁にお伺いしますが、北、東演習場における実射演習は年間どれくらい行なわれているのか。それから過去における不発弾の爆発事故及び民間の被害、こういったことに対して資料がありましたら、ひとつ御答弁いただきたい。
○伊藤説明員 お答えします。 ただいま手元に四十八年の四月から十二月までの資料を持っておりますので、お尋ねの一年分になっておりませんが、北富士の演習場におきましては、この期間の実射訓練は十二日でございます。それから東富士演習場につきましては、二百日ほど実施しております。
○坂口委員 続いて爆発事故の被害。
○伊藤説明員 最近における不発弾の事故でございますが、北富士演習場におきましては、昨年の五月二十七日に不発弾事故がございまして、お一人がなくなられまして、お一人がけがされております。それから東富士演習場につきましては六月十日、これも、先ほども日曜日でございますが、六月十日の東富士演習場におきまして、やはり不発弾の事故がございまして、高校生の方が一人なくなられて、そのお父さんが、けがをされたという事例がございます。 以上でございます。
○坂口委員 長官、この法案が、富士山はわが国の自然の象徴である、こうする反面において、一方では大規模なこういう演習が行なわれて、そして、そこで不発弾による事故等が続いている。一方においては、自然の破壊にとどまらず人命にまでいろいろの影響が出ている。こういうふうにわが国の自然の象徴としての保護と、そして自然破壊というものがうらはらになっている。この事実を環境庁長官はどのようにお考えになりますか、お伺いしたいと思います。
○三木国務大臣 先ほどもお答え申したように、私も好ましいものではないと思うのです。自然環境の保全という点から、演習場がその中にあるということは好ましものでもないとは思いますが、現在のところは、日本の安全保障上の要請から演習場を必要とする。日本は国土も狭いわけですから、必ずしもほかに適当なところが、いますぐに見つかるという状態ではないわけですから、まあやむを得ざる措置として演習場を認めるということでございます。
○坂口委員 このいわゆる射爆による自然破壊の歯どめということを何ら規制することなしに、この富士地域の環境保全をうたうということは、これはやはり長官はそういうふうにおっしゃいますが、私は矛盾をしていると思う。 そこで演習場に対する実射訓練の歯どめを、ある程度どうしてもこれは考えなければならない。これに対して、どうお考えになりますか。
○三木国務大臣 歯どめといいますと、まあ演習場を認めるというわけですから、その演習場の機能というものが発揮できないというような歯どめをするわけにはいかぬわけでありますが、そういう日本の象徴的なすぐれた自然環境の中に演習場があるということから、これは防衛庁としても、もちろん米軍としても、なるべくその環境保全という見地から見て、演習の回数などに対しても、できる限り環境の保全という見地から配慮をされるということが適当であって、こちらから演習自体の機能に直接関係をするような歯どめということは、なかなかむずかしいと思うのであります。
○坂口委員 歯どめということばは、ちょっとことばが適当でなかったかと思いますが、これは長官とはおそらく意見が並行して一致しないところだと思いますけれども、先ほども申しましたとおり、一方において日本の国の象徴であるというところから、これを保護しようという法律であるにもかかわらず、しかも大規模な演習場をここに認めて、そうしてそこでこういう事故が再三起こるということは、これは全く不可解なことだと思うわけであります。こういうふうな状態で、この富士保全というものが進むのではなしに、一刻も早く、一日も早くほんとうの平和日本にふさわしい形の富士保全というものが成り立つように長官としての最大の努力を私は願いたいと思うのであります。 次に移りますが、幾つかのこの条文についてお伺いをしたいと思います。防衛庁けっこうでございます。 まず第二条と、それから第十一条の関係でありますけれども、第二条の富士地域は政令で定めることになっておりますが、第十一条によりますと、行為の届け出ということが義務づけられておりますし、さらに行為の禁止または制限が認められるわけであります。単に一方的に第二条での政令で定め得る性質のものではないと私は思うわけです。といいますのは、もっとはっきりと条文にうたうべきものだというふうに思うわけでありますが、その点いかがでございますか。
○江間政府委員 お答えいたします。 富士地域の指定は政令により行なわれることになっておりますが、その範囲をいかに定めるかということはもちろんのこと、本法を実施する上での重要事項などは富士地域保護利用整備審議会の意見を聞いて、慎重に処理していくつもりでございます。
○坂口委員 たとえば、富士地域を指定する政令を立案する段階で各界、各層の意見を聞いて、その上で立案をすべきだ、こう私思うわけです。具体的に申し上げれば、たとえば、国は第二条第一項の政令を立案し、または改正しようとするときには、富士地域保護利用整備審議会の意見を聞かなければならないというような内容の規定を設けるべきではないかと思いますが、この点御見解を伺いたいと思います。
○江間政府委員 この点は非常に重要な点でございますので、審議会の意見を聞いてやるということでございます。
○坂口委員 いま私お聞きしましたのは十一条についてでございますが、それでよろしゅうございますか。第二条とのからみでございますけれども、第二条でいわゆる「富士地域」というのは、政令で一応定めるということにしておりますですね。そして第十一条では、行為の届け出というものが先ほど申しましたとおり義務づけられて、行為の禁止ですとか、あるいは制限というものを認められる。これについては一方的に第二条での政令で定め得る性質のものではなしに、これは条文としてうたうべきものじゃないかということを、まず先ほど申し上げたわけです。そしてそれが、もしもできないのであれば、審議会というものをつくって、その意見を聞かなければならない、こういうふうにすべきじゃないかということを申し上げたのですが、これは審議会をおつくりになるということでよろしいのですね。
○江間政府委員 そのとおりでけっこうであります。
○坂口委員 はい、わかりました。 次に、第五条でございますが、保護利用整備計画においては、条文では利用地域の「位置及び規模並びに当該地域の利用の規制に関する事項」を定めることになっております。その利用区域の指定は具体的にどう指定し、どの段階で、それはその地域の住民と申しますか所有者等に示されるのか、その点をひとつお伺いをしたいと思います。
○江間政府委員 第六条に書いてありますとおり、「富士地域保護利用整備計画の案の作成については、関係県の知事は、あらかじめ、公聴会を開催してその住民の意見をきき、かつ、当該県の関係市町村の長の意見をきくとともに、当該県の議会の議を経なければならない」。ということになっておるわけでございます。
○坂口委員 そういたしますと、地域の住民に対して示されるのは、この六条にありますように、県議会の議を経た段階でこれは示されるということでございますか。そうじゃなしに、これは、この議を経てしまえば、もう最終段階に行くわけでございますから、それ以前に相談をしなければならぬと思いますが、それは大体どの時点で示されるのですか。
○江間政府委員 公聴会が先行することになるかと思います。
○坂口委員 この点につきましても、この条文の中には明確に示されてはいないと思うわけであります。つまり、この条文の内容を定めるときに、位置の表示は住民または土地所有者にとって重要な影響を持つものだと思うわけであります。したがって、公聴会の開催で決定されるということでございますが、そのときに明確にこれは示されなければならないと思うわけであります。したがいまして、いまの御意見どおり公聴会によって示される、こう理解していいわけですね。
○江間政府委員 そういうふうに考えております。
○坂口委員 第七条に移りますが、七条のいわゆる(利用地域の指定)というのがございますが、そこで、たとえば徒歩利用でございますとか、野外施設利用でございますとか、ここに四つの利用地域が出ております。具体的にこの四つの部類にどういうものを考えているのか、お伺いをしたいわけであります。 もう少し申しますと、たとえば自動車道路の建設というのは、この自然探勝利用地域、これに匹敵するのかどうか。たとえばゴルフ場の建設というのは、野外施設利用というのに匹敵するのかどうか。あるいは、また旅館、ホテルの建設というのは、休泊利用にかなうものであるとして、みなこれに当てはまるものなのか。これは考え方によりますと、当てはまるように思うわけでありますが、しかし、これを全部当てはめていきますと、全部これは認められることになりかねないと思うのであります。この点どうでございますか。
○江間政府委員 たとえていいますと、自動車道などというものが徒歩利用地域であるとか、自然探勝利用地域に認められるということはあり得ないと思われますし、ホテルなどは、たとえば休泊利用地域にしか認められないというふうなことになろうかと思います。ゴルフ場は当然のこととして野外施設利用地域に認められるということになってまいります。
○坂口委員 私が申し上げておりますのは、こうした建設、特に乱開発によって自然破壊が起こっているわけでありますので、こうした破壊行為をどういうふうに具体的に防止する考えなのかということをお聞きしたいわけです。
○江間政府委員 逆の表現になりますけれども、要するに、それぞれの地域の利用目的を明確化することによりまして、他の目的からする開発行為を防止する、そういうことになろうかと思います。
○坂口委員 利用目的というのをどこにポイントを置いて制限をするのかという、その辺をお聞きしたいわけです。
○江間政府委員 たとえて申しますと、徒歩利用地域には歩道と避難小屋以外は一切設けさせない、そういうことになります。したがいまして利用目的を明示し、そしてその利用目的に沿った最小限度のものしか許可をしない、そういうふうなことになります。
○坂口委員 その辺がたいへん重要なところでございまして、旅館でもホテルでも休泊利用地域として全部その建設が認められていくということになりましたら、これは何のためにこの法律があるのやら、その存在すら疑われることになるわけです。だから、その辺の明確な線というものが示されなければならぬと私は思う。その辺について、また後日この問題をあらためて取り上げたいと思いますけれども、その点のはっきりとした線をひとつお示しをいただきたいと思います。 それから十一条でございますが、先ほど十一条に少し触れましたけれども、十一条の「総理府令で定める基準」というのがございます。このカッコの中にございますが、この基準というのがはっきりしておりませんが、これは具体的にどういうふうな基準をお考えになっているのでございましょうか。
○江間政府委員 現在のところ、おおむね国立公園の普通地域に課せられておるのとほぼ同程度の規制を行なっていきたいというふうに考えております。
○坂口委員 それから十一条の二項の処分は、二十三条にあります損失補償規定と相まちまして、きわめてなまぬるいものに思えるわけでありますが、これはひとつ長官から御見解をお伺いしたいのですが、非常になるいという感じがいたしますけれども、いかがでございますか。
○江間政府委員 行為の規制が行なわれる、それに対して損失を受けた者が損失補償を受けるということでございまして、なまぬるいということは、われわれは現在考えておりません。
○坂口委員 しかし実際、この法案から見ますと、非常になまぬるい形になっておる。たとえば自然環境保全法等と比べまして、ここに出ております内容は、いささかなまぬるいというふうに思うわけです。 それから十一条では、国立公園等以外の富士地域における行為の届け出について、届け出の必要な規模などの程度をどの程度に考えておみえになりますか、承りたいと思います。
○江間政府委員 富士地域のうち、国立公園など以外の地域におきまして建築物などの設置等にかかる行為を規制することといたしました趣旨は、富士地域が、わが国のすぐれた自然の象徴であるということにかんがみまして、その自然環境の保護などにつきましては、国立公園などの区域外の地域を含めまして富士山及びその周辺地域の自然環境を一体的に保護する必要がある、そういう考え方に立つものでございますが、その具体的な規制措置としましては、国立公園の普通地域の規制措置に準ずるものとするのが適当である。また、届け出を要する工作物としては、総理府令で定める規模につきましても、大体国立公園の普通地域などの届け出対象の規模に準ずるのが適当であるというふうに考えております。
○坂口委員 次に、審議会についてお伺いをしたいと思いますが、審議会のメンバーは、具体的に選考をすでにされているのかどうか、あるいはまた、選考されるとするならば、どういうふうな人たちを対象にしておみえになるのかということをひとつ伺いたい。審議会委員のうちで、学識経験のある者の中には、自然保護団体の役員だとか、あるいは自然環境保全審議会の委員の職にある者を含むべきだと思いますが、その点についてどうかということです。
○江間政府委員 富士地域の保護利用整備審議会の構成は、関係行政機関の職員、関係県の知事、関係市町村の長及び学識経験者のうちから、内閣総理大臣が任命する委員二十二名以内で構成されることになっておりますが、この構成につきましては、この法律案による施策の実施に重要な関係を有する事業の主管行政庁の行政機関の職員、関係県の知事としまして静岡、山梨の両県の知事を任命します。さらに両県の関係市町村の長の中から若干名、そのほか自然環境の保護及び利用施設などの整備などにつきましての専門的な学識経験を有する方を加えて構成することということに考えております。 学識経験者として任命される委員の分野につきましては、自然環境についての専門的な知識を有する、生態学、植物学、地学、人文地理学などの各分野の専門家をはじめといたしまして、利用環境の観点から自然公園の維持、管理につきましての学識経験を持っておられる方、あるいは自然保護につきまして識見を持っておられる方、そういう方々を加えてまいりたいと思っておりまして、人員のワクの中で可能な限り広範囲で適正な分野からお選びいたしたいと思っておるわけでございます。
○坂口委員 審議会は、「重要事項を調査審議する。」としておりますが、常任の調査員の確保だとか、あるいは調査費の確保というものも考えておみえになるのかどうか、あわせてお聞きをしたいと思います。
○江間政府委員 この審議会の具体的な審議が始まってみませんと、常任の調査員が必要かどうかということが必ずしもわからないと思う関係もございまして、現在の段階では、もうしばらく様子を見てみたいと思っておるわけでございます。
○坂口委員 十九条についてでありますが、行政機関の長が総理に勧告の要請をすることになっております。この場合行政機関の長は、関係地方公共団体の長が要請した場合も行なえるのかどうかということですね。ことばをかえて申しますと、行政機関の長のみならず、直接関係者である関係地方公共団体の長がこういうふうにしたいというようなことを言いましても、行政機関の長に、それを受け入れられずに葬り去られるという可能性もかなりあるわけです。その点、関係地方公共団体の長の意見をどのように受け入れられ、それを反映されていくかということについて、どのようにお考えになっているか、お伺いしたいと思います。
○江間政府委員 十九条の規定だけで必ずしも十分読み切れない部分がございましたならば、審議会に出ておられます地方公共団体の関係の方を通じて、われわれが御意見をお聞きする機会もあろうかと思います。それでも不十分でございましたならば、事実上そういう方の意見をお伺いするということは、積極的にしなければならないと思っております。
○坂口委員 きょうはまあ、非常にこの条文にあります初歩的な疑問につきまして総合的にお伺いをしたわけでございますが、最初にも申しましたとおり、この法案は、富士地域の環境保全ということばが使われていながら、環境保全というよりも、むしろ利用環境というところに重きが置かれたものであると私たちは感ぜざるを得ないわけであります。それについて具体的な問題につきまして、いまお伺いをしたわけでありますけれども、しかし、こういうふうに自然環境というよりも利用環境の確保というほうに重きを置かれていきますと、いろいろのまた障害も出てくると思うわけであります。特に午前中からいろいろと議論になりました、この北富士あるいは東富士演習場とのかかわり合いの問題、こういった問題はやはり自然環境という点に力点を置いて考えれば、当然早期に決着のつくべき問題でありますけれども、やはり利用ということに重きを置かれますと、これが今後も長く永続をしていくということになろうかと思うわけであります。 この問題につきましては、また後日あらためましてお伺いをしたいと思いますし、また岡本議員も発言をするであろうと思います。きょうは一応全体的な初歩的な条文の疑問についてお伺いをしたわけであります。きょうは、これで終わります。
○角屋委員長 次回は、明後四月四日木曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後三時三十九分散会