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72回国会衆議院1973/12/19

建設委員会 第3号

発言数
33
登壇者
4
会派数
2
開催日
1973/12/19

会議録

木村武雄自由民主党

○木村委員長 これより会議を開きます。  去る十一月二十五日、総理府総務長官に就任されました小坂徳三郎君から発言を求められておりますので、これを許します。小坂総理府総務長官。

小坂徳三郎自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○小坂国務大臣 このたび総理府総務長官を拝命いたしました小坂徳三郎でございます。  この建設委員会には、何かといろいろな面でたいへんにお世話をお願い申し上げたり、あるいはまた御指導を賜わらなければならぬ点が多々あると存じますが、どうかひとつ今後よろしくお願いいたしたいと思います。また、私も非才な者でございますが、総務長官といたしまして、全力を傾けて問題に取り組んでまいりたいと考えております。今後よろしくお願い申し上げたいと存じます。  ありがとうございました。(拍手)      ————◇—————

木村武雄自由民主党

○木村委員長 この際、福岡義登君から発言を求められておりますので、これを許します。福岡義登君。

福岡義登日本社会党

○福岡委員 先日、建設大臣から就任のごあいさつをいただいたのでありますが、その前に予算委員会で憲法六十六条第二項をめぐりまして議論がなされました。まだ予算委員会として結論が出たわけではないわけであります。当委員会といたしましても、その問題を避けて通ることはできないと思いまして、実は建設大臣のごあいさつをいただく前に政府の見解をただしたいと思っておったんですが、総理の入院というようなこともありまして、とりあえずあいさつだけということで、まあ不本意ながら順序が逆転をしたんですが、建設大臣のごあいさつを受けた次第であります。もとより新建設大臣に対しまして個人的にあれこれという気持ちは毛頭ないのでありますが、事が憲法にかかわる問題でありますし、当委員会の所管大臣でもありますので、ただすべきはただしておきたいというのが真意であります。  きょうは官房長官に御出席がいただけるものと思っておったのでありますが、先ほどの理事会で、諸般の都合で副長官がかわって答弁するということなんでありますが、これも先般の約束とは違うことでありまして、本来ならば総理に御出席をいただいて見解をただしたいのでありますが、入院中であります。かわって官房長官の御出席を求めておったのですが、それも実現できなかった。まず冒頭に遺憾の意を表明せざるを得ないと思うのであります。  そこで、大村副長官にお尋ねをしたいのでありますが、予算委員会で政府の統一見解として、これは法制局が作文したと思うのでありますが、「憲法第六十六条第二項の文民とは、次に掲げる者以外の者をいう。一 旧陸海軍の職業軍人の経歴を有する者であって、軍国主義的思想に深く染まっていると考えられるもの 二 自衛官の職に在る者」、内容的には、また説明が加えられておる文書も出ておるのですが、御承知のように、この憲法六十六条第二項の解釈につきまして、学者の間でも多くの人々は、旧職業軍人の経歴を有する者は文民でないという解釈のほうが多いわけであります。であるのに、内閣としては、「軍国主義的思想に深く染まっていると考えられるもの」、これをつけ加えて統一見解とされたんですが、なぜ一般的に多くの学者の間で解釈されておるような、旧陸海軍の職業軍人の経歴があった者は文民でないという見解をおとりにならなかったのか、この点をまずお尋ねしたいと思うのであります。

大村襄治自由民主党内閣官房副長官

○大村政府委員 お答えいたします。  「学説には、「文民」を単に「旧職業軍人の経歴を有しない者」と解するものもあるが、旧職業軍人であったという一事をもって一律に「文民」でないとすることは、憲法第六十六条の趣旨に照らして正しくないばかりでなく、法の下の平等を定めた憲法第十四条の精神にも反するおそれがある」、こういった理由で、単に「職業軍人の経歴を有する者」ということだけではなく、「軍国主義的思想に深く染まっていると考えられるもの」というふうに判断いたしている次第でございます。

福岡義登日本社会党

○福岡委員 いまお読みになった資料は、私の手元にもあるわけであります。そういう学説を唱える人があることも承知いたしております。また、憲法が制定される当時の議事録などを見ましても、そういう意見があったことも承知をいたしております。しかし多くの学者は、私が先ほど申し上げました、旧職業軍人の経歴を有する者は文民でないといろ解釈をとっておる。あえて政府が、数がどのぐらいの比率になるかというのは別といたしましても、多くの学者がとっておる解釈をとらないで、こういう狭義の解釈をされたかということにつきましては、非常に疑義を持つわけであります。  この問題は、ここで大村副長官と私がやりとりをして解決をする問題ではありません。これ以上やると論争になると思うのですが、それはまた予算委員会などにゆだねることにいたしまして、次の問題についてお伺いしてみたいと思うのであります。  いまお読みになったように、「軍国主義的思想に深く染まっていると考えられるもの」と、こうあるのですが、反対にいえば、軍国主義的思想に深く染まっているものは文民でないということになるわけですね。ですから、この深く染まっておるかどうかというその判断の基準というものが私はあると思うのであります。どういう基準を持っておられるのか、それを説明していただきたいと思うのであります。

大村襄治自由民主党内閣官房副長官

○大村政府委員 お答えします。  国務大臣の任命につきましては、総理大臣がみずからきめることでありますので、官房長官もこれにあずかっていないのでございます。しかしながら、歴代の総理大臣が閣僚を任命するときは、文民に関する憲法上の解釈をわきまえた上、過去の経歴を十分調査し、慎重に対しており、今回の改造にあたりましても、総理大臣がその点を慎重に配慮した上で任命されたものと理解いたしております。したがいまして、亀岡建設大臣の任命にあたりましても、憲法第六十六条第二項に定める文民であるとの認定のもとに任用されたものと確信いたしておる次第でございます。

福岡義登日本社会党

○福岡委員 いまのような答弁になってまいりますと、総理に出てきてもらわなければいけないと、こうなるんですね。  経歴などを調べてと、こうおっしゃいましたね。それでは、経歴を調べてみて、たとえばどういうことがあれば文民でないという解釈が出てくるのか。いまのような抽象論でなくて、たとえばどういうものが経歴の中にあったとすれば文民としてみなせないという、その基準を具体的に言ってもらわぬと、全部総理大臣がかってに判断したのだということにいまのお話は聞こえるのですが、それではいかぬと思うのです。それはどうなんですか。

大村襄治自由民主党内閣官房副長官

○大村政府委員 先ほど申し上げましたとおり、政府といたしましては、憲法第六十六条第二項の文民につきましては、「旧陸海軍の職業軍人の経歴を有する者であって、軍国主義的思想に深く染まっていると考えられるもの」、それから「自衛官の職に在る者」、この二つを判断の基準にいたしているわけでございます。  その第一項の点につきましても、亀岡建設大臣の経歴を調査いたしまして、そしてその結果といたしまして、軍国主義的思想に深く染まっているとは考えられない、したがって文民であるというふうに判断いたした次第でございます。  なお、亀岡高夫君の場合、平和主義、民主主義を標榜して、過去五回の選挙において十分その思想を明らかにした上で、有権者の審判を受けて連続当選しているという事実も有力な参考に値するものと考えている次第でございます。

福岡義登日本社会党

○福岡委員 いま御説明がありました、何回か選挙の洗礼を受けてという、これは一つの基準であることは私も否定をいたしません。選挙のことは、一つの基準としてそれでわかりましたが、もう少し具体的に、たとえばどういうことがあったら深く染まっておると判断されるのか。いま私が取り上げておる問題は、亀岡高夫さんという個人が、こういう経歴があるじゃないか、ああいう経歴があるじゃないかということでやっておるわけじゃないですよ。憲法の解釈としてたとえばどういう基準を考えておるのか。人事の問題になってまいりますと、最終的に具体的な基準をきめ得られないものも私はあると思うのです。しかし、少なくとも憲法の解釈については、判断の基準というものが定められておらなければならないと思うのですが、選挙が一つ具体的な基準として出てまいりました。そのほかどういうものが考えられますか。

大村襄治自由民主党内閣官房副長官

○大村政府委員 個々のことにつきましては申し上げかねる次第でございますが、憲法との関係はどうかというお尋ねにつきましては、少なくとも、憲法の精神に反する、あるいは第六十六条が設けられた趣旨に反するような言動があってはならないわけでございますので、そういうことがあったかなかったか、そういうようなことは当然判断の基準として含まれておったものと理解いたしております。

福岡義登日本社会党

○福岡委員 あまり時間はとりたくないのですが、いまのような答弁だと、どうしてもそれで了解するわけにいかないのですね。少なくとも国務大臣は文民でなければならないという規定があるのですから、その判断の基準はこういうものを考えておりますという、そのよしあしの議論は別にしましても、何らかの基準がなければいかぬと思うのです。いまの答弁では答弁にならぬですよ。

大村襄治自由民主党内閣官房副長官

○大村政府委員 重ねて申し上げますが、憲法第六十六条第二項の趣旨は、国の政治が武断政治におちいることを防ぐということを目的にいたしておるのでございますので、先ほど来申し上げておりますように、憲法の趣旨、精神に反することのないように、そういった言動がなかったということを確認した上で文民であるという判断を下されたものと理解いたしておる次第でございます。

福岡義登日本社会党

○福岡委員 武断におちいることを避けなければならない、こうおっしゃいました。ここに書いてあります。ちょっと横道に入るかもしれませんが、それでは副長官にお伺いしてみたいのですが、軍国主義というのはどういう定義を下されておりますか。

大村襄治自由民主党内閣官房副長官

○大村政府委員 その辺の解釈になりますと、法制局長官をわずらわすほうがよろしいと思うのでございますが、私の理解するところによりますと、文字どおり軍事が政治に優先する、そういった状況をさすものと理解いたしておるわけでございます。

福岡義登日本社会党

○福岡委員 副長官が軍国主義の定義として、軍事が優先するというような程度の御理解しかなさっておらぬというのは、はなはだ残念です。もう少し正確な定義があるはずです。

大村襄治自由民主党内閣官房副長官

○大村政府委員 お尋ねでございますので、もう少し詳しく述べさせていただきます。  軍国主義思想とは、一国の政治、経済、法律、教育などの組織を戦争のために準備し、戦争をもって国家威力の発現と考え、そのため、政治、経済、外交、文化などの面を軍事に従属させる思想をいうものと考えられるのでございまして、この思想に深く染まっている人とは、そのような思想がその人の日常の行動、発言などから明らかにくみとれる程度に軍国主義思想に染まっている人、言いかえれば、単に内心に軍国主義思想を抱くだけではなく、これを鼓吹し普及をはかる等、外的な行為までその思想の発現が見られるような人をさすものと理解しております。

福岡義登日本社会党

○福岡委員 わかりました。大体正確な答弁だと思います。  それでは、その軍国主義と武断というのは、どういう関連で考えておられますか。先ほどおっしゃった武断と軍国主義は、どういうように解釈しておりますか。

大村襄治自由民主党内閣官房副長官

○大村政府委員 ことばは違いますが、大体同じようなことを考えているのではないかというふうに解釈いたします。

福岡義登日本社会党

○福岡委員 そこで、先ほどの判断の基準に返ってくるわけですが、憲法六十六条第二項の規定は、日本の政治が軍国主義の復活を防止するということのために設けられており、したがって国務大臣を任命するにあたっては慎重でなけらねばならぬ。表面上現在の憲法を尊重して軍国主義を否定するような言動をしておりましても、内心おりあらばという気持ちを持っておるかもしらぬですね。ですから国務大臣任命にあたっては、具体的な、武断政治におちいらないような、軍国主義復活にならないような、そういう基準というものを持っておらなければならぬと思うのです。先ほど来の御説明によりますと、それがないということなんですね。そういうことで国務大臣を総理が任命するというのは許されない。いかがですか。

大村襄治自由民主党内閣官房副長官

○大村政府委員 総理大臣といたしましては、そういった憲法の規定も踏まえた上で、慎重に配意した上、文民であるという判断を下されたものと理解いたしております。

福岡義登日本社会党

○福岡委員 それでは具体的にお伺いしてみますが、亀岡さんに限らずどなたでも同じなんですが、経歴を調べてみた、その人がたとえば右翼団体に関係しておる、選挙では何回か当選しておる、あるいは組織暴力団との関係があるというような事実がもしあったとすればどうなんですか。文民と見るかどうか。

大村襄治自由民主党内閣官房副長官

○大村政府委員 たとえばのお尋ねでございますが、ただそれだけの理由だとすれば、憲法六十六条二項の問題にはならないのではないか。先ほど申し上げましたように、憲法六十六条二項の文民といたしましては、職業軍人であって軍国主義的思想に深く染まっていると考えられる者、自衛官の職にある者、そういった二つを考えておるわけでございますので、いま申されただけではこの問題に当たらないのではないか、さように考えます。

福岡義登日本社会党

○福岡委員 いまのお話は重大ですよ。たとえば右翼団体に関係しておっても問題がないというお話なんでしょう。そうですか。

大村襄治自由民主党内閣官房副長官

○大村政府委員 お尋ねは、職業軍人の経歴を持っている人で、なお右翼団体に関連しておる、こういうあれでございますか。

福岡義登日本社会党

○福岡委員 職業軍人の経歴を持ち、しかも右翼——右翼というのは完全に軍国主義ですからね。それに現在関係していないにしましても、つい最近まで関係しておったとか、現に関係があるなどということになると、これは論外ですけれども、そういうものが具体的にあったならば文民でない、こういうように当然解釈されるべきである。あるいは組織暴力団も、右翼団体ほど思想がはっきりしないにいたしましても、軍国主義にそう距離のある団体ではない、こう思います。ですから、現在そういうものに関係しておれば、これはたいへんなことでしょう。しかしつい最近まである人が関係しておったというような場合はどうなりますか。

大村襄治自由民主党内閣官房副長官

○大村政府委員 その程度、内容によることでございますので、一がいにお答えいたすわけにはまいらないと思います。

福岡義登日本社会党

○福岡委員 たとえば愛国党に関係しておったらどうなりますか。

大村襄治自由民主党内閣官房副長官

○大村政府委員 関係のしかたにもよると思いますので、お答えいたしかねます。

福岡義登日本社会党

○福岡委員 そういう答弁なら、委員長、もうまじめな質疑として続行するわけにいかないですよ。どういう関係のしかた——では関係のしかたによっては認める、こういうことなんですよね。現在の憲法は軍国主義を否定している。そうでしょう。その憲法に違反するような団体にどういう形であれ関係しておれば、少なくとも国務大臣としてはふさわしくない、こう解釈するのが正しい六十六条二項の解釈だと私は思うのですね。いまの副長官のような答弁になってまいりますと、事は重大だと思うのです。関係のしかたによってはよろしいということですか、愛国党であっても、あるいは組織暴力団であっても。

大村襄治自由民主党内閣官房副長官

○大村政府委員 法律的な問題でございますので、私がお答え申し上げるのはいかがかと思うわけでございますが、ただいまのお尋ねについて私見として申し上げますと、やはりその団体の主義主張、綱領あるいはその団体の役員とかそういった組織の構成、そういったものを全部よく見た上で、憲法のいう規定に関係があれば、そういった場合には問題になり得る場合もあり得るのではないかといろ感じがいたしますが、もちろん私見でございますので、専門的な問題はひとつ法制局長官なり何なりにお願いしたいと思います。

福岡義登日本社会党

○福岡委員 私は副長官の私見を聞こうと思って質問しておるわけではないのですね。ですから、もういまのような御答弁では、とうてい了解するわけにいかない。したがって別の機会に、これはやはり総理もしくは官房長官に出てきてもらってこの問題の解明をしていただきたい、こう思います。  さらに、もう一つ関連して問題の指摘だけしておきますが、旧職業軍人については経歴を問題にしておるわけですね。旧職業軍人で、しかも軍国主義に深く染まっておる者、こうなっておるわけです。自衛官の場合は現職の者だけ、こうなっておるのですね。法理論として首尾一貫しないのです。武断政治におちいることを阻止するためには、やはり自衛官といえども経歴を問題にしなければならぬという問題点があると思うのです。これは答弁は要りませんが、あわせて今後の問題として政府の見解をただしていきたいと思います。  きょうはこれで終わりたいと思います。

木村武雄自由民主党

○木村委員長 暫時休憩いたします。    午前十一時四分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕

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