外務委員会 第26号
- 発言数
- 306 件
- 登壇者
- 26 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1974/05/17
会議録
○木村委員長 これより会議を開きます。 日本国とベルギー王国との間の文化協定の締結について承認を求めるの件及び航空業務に関する日本国とギリシャ王国との間の協定の締結について承認を求めるの件、以上両件を議題とし、審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河上民雄君。
○河上委員 私は、日本国とベルギー王国との間の文化協定の締結について承認を求めるの件で二、三質問をしたいと思います。 この文化協定を拝見しまして、特に大きな問題はないように思うのでありますが、これに関連して、非常に短い時間ですが、三つほど質問をいたしたいと思うのです。 ベルギーとの文化協定は、いわば西欧を含む先進諸国との文化協定の一つのサンプルのようなものだと思いますが、これとはやや違った問題をはらんでいると思いますのは、開発途上国との文化協力の問題だと思うのです。この協定の締結にあたりまして、まず反日感情の非常に強い東南アジア地域に対する文化協力についての方針、広くは開発途上国への文化協力についての政府の方針について伺いたいと思うのです。
○堀説明員 御指摘のとおり、ベルギーとの文化協定はフランス、イギリス、ドイツなど先進諸国との文化協定に内容はきわめて似ております。しかし他面、おっしゃいました開発途上国との文化協定、たとえばインド、パキスタン、タイなどとも大体内容は同じようなものであることを御理解いただきたいと思います。 そこで、開発途上国に対する文化交流政策でございますが、私たちといたしましてはむしろ開発途上国、特に近い東南アジア諸国に対する文化交流に重点を置きたいと考えておりまして、現に私たちの所管いたしております国際交流基金におきましても、四十八年度の実績を見ますと、アジア諸国に対しましては、アメリカ、ヨーロッパに比べてはるかに使用金額においての比重が高くなっております。こういう傾向は本年度の実際の活動におきましてもさらに拡大してまいりたいと考えております。
○河上委員 念のため伺いますが、アジア諸国に国際交流基金から振り向けた額は、四十八年度でお幾らですか。それとまた先進諸国に対するものはお幾らですか。
○堀説明員 いま御質問のとおり、国際交流基金だけの文化交流でございますが、四十八年度には、アジア諸国に対しましては三億五千九百万円を振り当てました。それを四十九年度は、まだ今後実施いたしますので多少の出入りはございますでしょうが、少なくとも六億円ぐらいにふやすということを考えております。 これと比べまして、先進諸国の中で特に大きいのは北米でございますが、四十八年度は二億六千万円、もちろん本年度は全体の事業費の伸びもございますので、実額ではこれを拡大いたしますが、全体の中に占めます比重ではさほど拡大したいようにというふうに考えております。それからヨーロッパでございますが、これは四十八年度の実績では一億六千二百万円となっております。
○河上委員 このベルギーとの文化協定につきましては、第七条を見ますと、文化交流のいろいろな項目があげられておりますが、d項によりますと「ラジオ及びテレビジョン」というところがございます。これは実際にはどういうものをさすのか。日本とアメリカの間では、かねてVOA、ボイス・オブ・アメリカという存在があるわけですけれども、これがこの文化協定にいうd項にあらるものなのかどうか。私は、沖繩協定では交換公文にうたっておるように、日本の電波法にのっとって、VOAはできるだけ早く、少なくとも五年以内に撤去すべきだと考えるのですけれども、そういう上で初めてほんとうの相互互恵の文化交流があり得ると思うのですが、こういう点について政府のお考えをこの機会にただしていきたいと思います。
○堀説明員 VOAにつきましては、私たちは、このベルギーとの文化協定にございますラジオに当たるものとは考えておりません。したがいまして、外務省の中の所管関係におきましても、文化事業部では扱っておりません。この協定に申しますラジオ、テレビジョンという項目は、ほかの国ともぼつぼつ始めておりますが、ラジオ番組、テレビジョンのカセットによる番組を交換しよう、そういったことを考えておる次第でございます。
○河上委員 政務次官に伺いますが、こういうVOAの問題についてのお考えをここでちょっと明らかにしていただいて私の質問を終わりたいと思います。
○山田(久)政府委員 御承知のように、VOAの処置につきましては、五年以内にこれを撤去するという了解でやっておりますので、いまそういうことについての協議が進行中、こういう状況でございます。
○河上委員 それでは私の質問を終わります。
○木村委員長 紺野与次郎君。
○紺野委員 私どもは日本とベルギー王国との間の文化協定については、二国間の文化交流をこのような形でやるということ、これは一般的、原則的にも賛成でありますし、そしてまたこの文化交流を通じて友好親善を促進するということについて、ベルギーとの間でこれが行なわれることはいいことであるというふうに考えております。 それで、これと関連して、このような文化協定ということを特にベトナム民主共和国との間で締結をするというふうな意思が外務省のほうにあるかどうかということについてお尋ねしたいと思います。
○堀説明員 私たち、文化協定をつくってまいりますときに、もちろん文化交流ということはいずれの国とも進めていきたいという基本方針がございますので、いずれの国とも逐次つくっていきたいと考えております。ただ、いままでのところ、すでに文化交流はかなり行なわれておりまして、かつ文化協定をつくろうではないかという提案が向こう側あるいはこちら側からございましたのがずいぶん数がたまっておりますので、ベトナム民主共和国との協定は、私ども現在のタイムテーブルと申しますかにはまだ上がってまいっておりません。
○紺野委員 ベトナム民主共和国とは、昨年九月交換公文で国交が樹立されたわけですね。最も新しく国交を回復したものであって、そういう点で、こういう新しい国との間の文化交流というふうなことはまた特別の友好促進になると思うのだけれども、単にタイムテーブルに上がってないというだけではなくて、このようなアジアの新情勢の展開に伴って、積極的に外務省としてそういうところを評価して、情勢の変化を見て、これに対応して、ひとつ文化協定でもやろうかというふうにならないものかどうか、そういう意向はどうですか。
○堀説明員 ベトナム民主共和国との間には現在までに文化交流の実績が御承知のとおりまだほとんどございません。それでございますので、私たちといたしましては、先方にわがほうの大使館が開設されまして、その大使館を通じまして、どういう文化交流をやっていけばいいかということをまず承知したい、その上で文化協定ということを考えていきたいと存じます。
○紺野委員 そうすると、そういう準備というかそのような調査、これを積極的にやって研究をするということですか。
○堀説明員 先ほど申し上げましたとおり、私たちはあらゆる国と文化協定を結び、文化交流を大いに盛んにしていきたいと考えております。したがいまして、ベトナム民主共和国につきましても同様に、文化交流のあり方は具体的に今後どうすればいいかということを検討していきたいと存じます。
○紺野委員 それから、これと関連して、東南アジア諸国に対する新しい外交の発展というふうな点から見て、きょうは大平外務大臣がおられないわけですが、基本的な態度として、この前の大東亜戦争で日本はこの地域にずいぶん軍事行動を展開して迷惑をかけたわけですが、そういう軍事行動、大東亜戦争というものは、これらのアジアの諸国、特に東南アジア諸国に対して侵略戦争をやったんだというふうに認識して、そしてそういうことの反省の上に立って、民族自決、平和友好という立場で外交を展開しておられるのかどうか、あの地域に対して行なわれた大東亜戦争に対して侵略戦争であったというふうなことについての認識及び反省、こういうものが日本外交の基礎の上に、いまの外務省の指導部の中に確立されているかどうか、どなたか代表して答弁していただきたいと思います。
○山田(久)政府委員 この前の戦争でいろいろ原因や理由というものがあったかもしれませんけれども、非常な御迷惑をおかけしておる、そういう認識に立って、しかしながらこの際は腹の中にはそれを持っているけれども、ただ戦争というものをいたずらにここで思い出すということよりも、もっと新たなほんとうの相互理解、平和的な関係の増進、友好関係の増進、そして新しいこれらの独立国あるいは古くからあっても、新しい東南アジアのいまの交流をみんなが助け合うという認識に立って、そしてわれわれがその自立自助と発展を助けなければいけないのだという気持ちになって日本の外交を進めておるような次第でございます。
○紺野委員 この間田中首相が東南アジアを回ったときに、非常に不評判であり、またこれに対する青年たちの反対のデモが行なわれたりしております。それはいま言ったような根本的な、日本外交の東南アジアに対する基本に、ほんとうにあの侵略戦争に対する反省があるのかどうかということに対して疑惑の目をもって見ておるという点があるから、ああいうことが起きたのじゃないのか。そこが明瞭じゃないのじゃないですか。そこはどうですか。
○山田(久)政府委員 戦後から長い間、わがほうはむしろそういうような過去の事実というものを考慮に入れて、どちらかといえば非常に受け身のようなかっこうでずっと過ごしてまいったことは御承知のとおりでございます。この間において、日本のいろいろな意味においての力が増大してきた。またそれとともに、日本としても東南アジア方面の発展、交流ということに責任を分担してやっていかなければいけないのだという客観的な要請にこたえて、漸次そういう方針で、自立自助というものを助ける行き方で、しかもそれは主として経済関係を中心にしてまいったことは御承知のとおりであります。 ただ、これについては、その進出が現地の時の政権の要請のラインにこたえていっておるというかっこうのものであっても、その速力というものが非常に急速である。あるいは向こうにおいての運営のしかたに、周到さというか慎重さというか、もっと相手の立場に立っての理解に欠くるような点があったというふうなことから問題を起こしておるというようなことで、一つは、いずれにしても、場合においては事柄が先方の政府の要請というものに基づいておって、ある程度そういう意味ではプラスの面を足しておるとしても、いろいろなマイナスというものを起こしておる点について、われわれの努力が足りなかったということが非常な問題を起こしておる一つの原因じゃないかと思います。 と同時に、わがほうの経済進出というのは、御承知のように政府主導型ということよりも民間主導型ということでいっておりますので、もっとこういう点を注意したいというような反省がなかったわけじゃないけれども、そういう点について、もっと積極的にいろいろ民間についての指導、アドバイスというようなもので欠けた点、そういう点は一つの反省に立って改めていかなければならぬような点があるのだ、そういう認識において進めていく必要があると考えているような次第でございます。
○紺野委員 やはり反省が必要であるということを言われていると思います。それは非常に歯切れが悪いですね。あれだけの大侵略戦争をやって、こういうものに対する反省という点から、経済侵略もいけないし、いわんや軍事的侵略もよろしくないし、そういう点で、特に東南アジア諸国については平和五原則というか、お互いに民族的な対等平等ということを認めた上でやっていかないと、田中首相が行ったときに大きな反対運動にぶつかったというふうなことをなくすことはできないというふうに私は思います。 そういう点で、重ねてそういう点の反省を一そう徹底して、新しい外交というものを展開しなければならぬのではないかというふうにわれわれは思いますが、もう一ぺんこの点について今後の外交に対する基本態度として明快に答弁していただきたいと思います。
○山田(久)政府委員 最近のいろいろな事態の進展ということにもかんがみまして十分反省し、また自戒すべき点、そういう点はよく自戒反省を加えて、そして相互理解の立場で所期の成果があがるようにやっていかなければいかぬ、こう考えている次第でございます。
○紺野委員 次に、航空業務に関する日本国とギリシャ王国との協定についてお聞きしますが、いわゆるギリシャにおけるギジキス政権ですね、これは昨年十一月軍事クーデターででき上がった軍事独裁政権であります。この政権が七十四年、ことしに予定されておりました国会選挙、こういうものも御破算にしてしまったし、改正憲法を廃止しました。民主運動にも弾圧をし言論にも弾圧しております。で、イスラエル・アラブ問題についてもイスラエル側を支持して、アメリカに軍事基地を提供するというふうなことをやっている、このようなギリシャのギジキス政権、こういうものの国を民主主義の国というふうに外務省は見ているのかどうか、この点をちょっとお聞きしたいと思います。
○大和田政府委員 ギリシャにおきましては、御高承のとおり昨年の六月に革命が起きまして、本質的には一九六七年以来軍事政権が続いておりますが、昨年の六月にいままでの王制から共和制へとかわったわけでございます。その共和制にかわったということについての人民投票というものは七月末行なわれまして、その結果革命及び新しい共和国憲法というものが国民によって承認されたわけでございますが、八〇%以上の国民の支持を受けてできている憲法、あるいはいまの内閣というようなことを考えますと、やはり国民の圧倒的多数の支持を受けているという意味で民主的な政権であろうと考えております。同時に、政権自身が他国に対する内政不干渉あるいは近隣諸国との善隣友好ということを外交政策の根本に置いておりますので、その意味からも民主的な政権であろう、こう考えております。
○紺野委員 国会選挙も実際やる約束や改正憲法を停止して、いまの前のパパドプロス政権とまた違って、それをまた転覆してそしてそういう新しい民主的な多少の芽ばえ、国民の要求をも弾圧しているわけですけれども、こういうものを見さかいなく、やはり民主的な国だというふうなことを考えて、そして政府間協定をこれと結ぶということについては私どもは反対であります。 それで一つお伺いしたいのは、一体民主主義国ということに対して外務省が考えている基準はどういうものか。たとえばチリの、軍事クーデターをやりまして世界じゅうから非難されている軍事政権あるいは金大中事件やあるいは日本の二人の学生を逮捕している、全くむちゃくちゃですね、こういう韓国の政権、こういうものについてはそういう基準から見てどう考えているのか、その基準及びこの二つの国について民主的な国であると考えているのかどうか、ちょっとお聞きしたいと思います。
○山田(久)政府委員 先生がむしろよく御承知かと思いますけれども、そういうものについての基準というようなものはこれはまあなかなかむずかしい問題であって、たとえば社会主義の国、人民民主主義、こういっておりますけれども、しかしながらいわゆる伝統的な議会制民主主義というものと一体どうなるかというようなこともいろいろ問題の点でございまして、そこら辺はごく大体の常識的な点で考えてやっていっておるというのが実情だと申し上げるほかないと思います。
○紺野委員 時間があとありませんから、これで私の質問を終わります。
○木村委員長 土井たか子君。
○土井委員 私は、航空業務に関する日本国とギリシャ王国との間の協定についてお尋ねをいたしますが、外務省は現在ギリシャ王国という国が存在しているというふうに認識していらっしゃいますか。
○伊達政府委員 お答えいたします。 ギリシャ王国という国は現在存在しておりません。
○土井委員 そうしますと、端的に申し上げて、存在していない国と日本政府は協定を結んだということになるわけでありますか。
○伊達政府委員 そうではございませんで、これは昨年の六月に革命がギリシャ王国で起こりまして共和制となった、それ以前に結ばれました協定でございますが、その後共和国政府との話し合いによりましてその王国時代に結ばれた協定というものをそのまま継承して、タイトルを改めることなく日本国政府との間で航空協定を結ぶことに異議ないという意思が明確となりましたので、このタイトルを改めることなくこの協定を結んだ次第でございます。
○土井委員 この問題は単にタイトルだけの問題じゃないと思うのです。王国であるか共和国であるか、これは国の政治政体そのものが基本的にかわることでありまして、表題が変わる、変わらないという問題じゃないと思うのですね。 そういう点からしますと、交換公文がございますが、この交換公文の中にも訳文で「日本国とギリシャ王国との間の協定に言及するとともに、」その次です、「両国政府がそれぞれの国において施行されている法令の範囲内でとるべき次の措置に関し、」云々とございます。王国である場合と共和国である場合とでは法令の中身もおのずと違うのです。基本的に違う。この点の詰めは王国から共和国に移行するその過程でどのような話し合いがあってこのギリシャ王国という表題をそのままに据え置きにして共和国である相手と締結するに至ったのか、この間の事情を少し御説明賜わりたいと思います。
○伊達政府委員 お答え申し上げます。 昨年一月にこの協定が署名されたわけでございますが、そのときはギリシャにおいてはギリシャ王国でございました。その後衆議院に御承認のために提出いたしましたのは三月でございまして、衆議院での実質の審議が始まらない前に六月一日にギリシャの王制が廃止されまして共和制移行が行なわれたわけでございます。その際に、私どもといたしましては御指摘のような点を懸念いたしまして、これはやはり新しく共和国政府との間の協定に変える交渉をすることが適当であろうと思いまして、衆議院での実質審議は願い下げということにして審議未了という形で前国会は終わったわけでございます。 その後、私どもはギリシャ共和国政府とこの点について改める改定交渉を申し入れたわけでございますが、ギリシャ共和国政府の側におきましては、それは困るということでございました。と申しますのは、実はギリシャ共和国政府のあれによりますと、まあ政体は変わったけれども国家の同一性というものは同じなのだ、したがって、まさに共和国政府は、王国政府が結んだ協定という本のを承継して、そのままその権利義務関係を受け継いで実行していくものであるということと、さらにはその王国時代に結んだ、たまたまこの日本との航空協定のみならず、その他の外国と結んだ同じような状況にある条約がたくさんある。それで、それを一々改める交渉をしていたのではとても応接にいとまがないから、共和国政府としては、王国政府の時代に署名されたこの協定を有効と認めてそのまま実行する、実施する意図を有するものであるということの返事がございましたので、その旨は文書において確認いたした上で、改定することなく今国会に御承認を仰ぐということになった次第でございます。
○土井委員 まず、いま言われたその文書で確認された文書を当委員会に委員長を通じて提出をしていただきたいと思うのですが、委員長お願いできますか。
○伊達政府委員 資料として提出することはできると思います。
○土井委員 委員長、それをお願いします。 いまるる御説明を賜わったわけですが、王制から共和制に移行して以後、共和制の国である間にまた政変があって政権交代もあるという事実がかの国においては存在するわけですね。いま政権が変わっても国家は一つだと言われる。なるほど、それは領土からするとそうでありましょう。国民の構成からするとそうでありましょう。しかし、国家を認識する標識の一つに、国家の権力がどういう性格を持ち、どういうふうにその政権を行使するかという問題があるわけであります。したがいまして、そういう点から考えると、このギリシャ王国というものとギリシャ共和国というものを同じ国家として同一視することにはかなりの疑問点があるといわざるを得ない。この点に対しての詰めというものはどういうふうに日本国の外務省としてはされたのであるか、さらにお伺いをいたします。
○伊達政府委員 ギリシャという国が存在しているということは、それが王国であっても、かつ共和政体をとる国でありましても、同一性は変わっていないのではないかというふうに考えられます。
○土井委員 そうしますと、共和制に移行して以後、先ほどはいろいろ交渉を重ねられたという経過説明があったわけでありますが、共和制になってからあと、政権が交代してから後にもそのことについての話し合いは続行されたということでありますか。
○伊達政府委員 先ほど資料として御提出することをお約束いたしました確認の交換書簡は昨年の十二月後半に行なわれております。したがいまして、つまり現在のギジキス政権のもとにおける意思を確認したと思います。
○土井委員 総じてこういう協定の取り扱いというものは、たいへんに変則的なものだということはお考えになっておるかどうか、いかがです。
○伊達政府委員 御指摘のとおり、私どもとしてもこれが万全の好ましい形であるとは考えておりません。
○土井委員 好ましい形でないということになれば、その好ましくない点についてどういうふうに是正されるかという善後策もやはりあわせて御用意なさる必要があろうかと思うのですが、そういうことについていまどういう用意があるのですか。
○伊達政府委員 でございますので、私どもとしては協定を再交渉ということを申し出たわけでございますが、先ほど御説明いたしましたような経過がございまして、共和国政府としてはそのまま承継してこれを実行するということでございましたので、現在のような形のまま御承認を仰ぐということになったわけでございます。
○土井委員 それじゃ具体的なことを少しお伺いしてみて、この点についてさらにはっきりさせたいと思うのですが、日本国における指定航空企業はどこであるか、それから日本の空港でこの路線について使用される空港はどこであるか、いずれでありますか。
○間説明員 日本とギリシャとの間におきましては、現在すでに日本航空が週に二便の運航をいたしておるわけでございます。したがいまして、日本側の指定航空企業は日本航空であり、日本の使用をいたしております空港は東京でございます。
○土井委員 すでに二便とおっしゃるのは、これは協定に基づいての航空路線に従って考えられ、しかも特定の航空企業として指定されているわけではないのでありまして、それはかの国の政府がそれに対して許可をしたということで認められている路線であり、しかもアテネに対して着陸するという許可であり、そして日本航空が指定航空企業として指定されているというかっこうですね。 私がお尋ねをしているのは、本協定によってということであります。
○間説明員 現状につきましてはただいま御指摘のとおりでございまして、本協定が締結されました後におきましても、日本側といたしましては日本航空を指定航空企業として指定いたすつもりでございます。
○土井委員 そして日本の空港はいずれでありますか。
○間説明員 東京になると思います。
○土井委員 東京になると思いますとおっしゃるのは、確定をしていないのですか。大阪になるという可能性もあるということでありますか。
○間説明員 協定上の権利といたしましては、日本側は日本の国内のいずれの地点からも出発することができるたてまえになっておるわけでございます。したがいまして、日本の国内の国際空港のいずれにつきましてもこれを出発地点とすることはできるわけでございますが、これをどこの空港から出すかということは、これは一つには指定航空企業として指定されました日本航空のまず事業計画によることでございますが、さしあたり現在私どもが聞いておりますのは、日本航空といたしましては羽田であるということを聞いておりますし、当然東京を起点とすることになるというふうに私どもは考えているわけでございます。
○土井委員 日本航空が指定航空企業となり、日本の国際空港のどの空港を使用するかということについては、運輸省が日本航空に対していろいろと指示をなさるという権限がおありになるのじゃないですか。日本航空が、大阪がけっこうである、大阪を使用したいというふうに考えれば、それはやはり日本航空自身の営業上の必要性の問題であるから、無条件にそれを認め、ざるを得ないということではないはずだと私は思うのです。運輸省側としては、この問題に対して、やはり日本航空に対しての管理運営という権限があるのじゃないですか。いかがです。
○間説明員 おっしゃるとおり、運輸省は航空企業に対する監督官庁でございます。日本航空がどういう路線に運行するかということにつきましては、航空法によりまして運輸大臣の認可を受けるということになっておりますので、そういう意味におきまして、当然これは運輸省といたしましても、どういう路線を運行させ、あるいはどういう地点に飛行させるかということについては、十分にこれを考えていかなければならないというふうに思います。
○土井委員 それでいまこのギリシャ王国との間に締結されて、国会で承認を受ける可能性の非常に強いこの協定に従って、ギリシャとの間で結ばれたこの協定に基づいて、日本の空港はいずれであるというふうに運輸省自身はお考えになっていらっしゃるか。これは非常にしつこいようでありますけれども、先ほどからの御答弁を承っていると、もう一つあいまいもこといたしておりますので、その点はひとつはっきりさせておきたいと私は思うわけであります。御答弁願います。
○間説明員 日本航空のアテネ経由の路線につきましては、私どもが日本航空から聞いております事業計画は、本年度は、日本の乗り入れ地点は東京でございます。したがいまして、この協定が締結されましても、認可される地点は東京であるというふうに申し上げてよろしいと思います。
○土井委員 本年度はという限定をつけておっしゃいましたけれども、乗り入れということは、発着陸ともにでありますね。着陸地点、それから離陸地点が違うという場合もなきにしもあらずでありますから、したがってこの点もまたはっきりさせていただきたいと思います。
○間説明員 発着、両方が同じ東京でございます。
○土井委員 さて、御承知のとおりに、大阪空港というのは、空港公害訴訟というものが地域の住民から国を相手どって起こされて、第一審の判決が二月二十七日に大阪地裁で出て以後、たいへんにこの中身について国側もいろいろと配慮をせざるを得ない空港であります。そうして現に国際線についても、国内線についても増便は絶対にしないというのが運輸省の基本姿勢のはずであります。むしろ増便しないどころか減便をしていかなければならないという至上命題がいま運輸省にあるといわなければならない。これが大阪空港の現状なんですね。 したがいまして、ギリシャとの間で取りかわされているこの協定に従って、大阪空港が一体どうなるか、これはひとつはっきりしておかなければならない、日本における問題だと私は思うのですよ。 と同時に、これに付随して少しお伺いしておきたいのは、これからやはり外国との間で航空協定というのが幾ばくか結ばれていく可能性がございます。この外国との間に結ばれていく航空協定に伴って、日本のいずれの国際空港を使用するかというのは、具体的な現実の問題としてあるのですね。その節大阪空港が使用されるということは全くないと、運輸省ははっきりここで断言をされることができるかどうか。どうですか。
○間説明員 大阪空港につきまして、今日非常に騒音問題が深刻でございます。それのために、この空港への新しい乗り入れあるいは増便というものにつきましては、現在のところ、運輸省といたしましては非常にきびしい方針でもって臨んでおることは御承知のとおりでございまして、この方針は、大阪空港の現状が続く限り、やはり継続すべき問題であろうかというふうに考えておるわけでございます。 したがいまして、今後もこういう外国からの新規の乗り入れあるいはその増便につきましても、全体の発着ワクをふやさない、そういう考え方のもとに進めてまいりたいというふうに考えております。
○土井委員 これはただいまの御答弁で、一つはっきり確認をさしておいていただきたいのですけれども、追い打ちをかけるようですが、具体的な条件というのは、まことにきびしいものがあるわけでありますから、いまおっしゃった御答弁というものを一つは確認しながら、さらにこういうきびしい条件の中でも、いま確認させていただいた答弁は曲げずに、運輸省としては、大阪空港の減便、それから音源対策というものに取り組むということを再度確認をお願いしたいのです。 これは御承知のとおりに、大阪空港からソウルへの飛行機が飛べないということで、日航シドニー線がイギリスの政府から通告を受けて、お断わりということになりました。つまり香港からの以遠権というものが、これによって拒否されたわけであります。こういうふうな外国からのいろいろな増便を希望しておる航空会社なども、同じような措置をとってくるという可能性は、今後あるだろうと私は思うのです。 こういうふうな事情を考えてみたり、はたまた二月二十七日の判決以後、これは国のほうが、いろいろ大阪空港に対しての音源対策というものに対して取り扱いが不十分であったという不法行為が裁判所において認められたことを不服として、いま国側も控訴されているわけであります。そういうふうな状況の中で、大阪に対しては、国際線の便数をいま以上は絶対ふやさない、新規のこれに対する乗り入れば絶対認めない。 これにはちゃんとした確約がありまして、「大阪国際空港における国際線航空機の就航については、大阪乗り入れの新しい権利を与えず、既存の国際線についても行政指導によって、大阪空港以外の空港に振り向けること」ということになっておるわけですね。こういうことを曲げずに、運輸省としては臨むということを再度確約していただきたいのです。
○間説明員 大阪につきまして、ただいま御指摘のございましたキャセイ航空のソウルへの延長が実現できないために、それに対する対抗措置という形におきまして、日本航空の香港−シドニー間の運送の権利がストップさせられておる。現在、そういう非常に深刻な事態にあることは事実でございまして、こういうことは、大阪の空港問題が、現状がこう続きますと、やはり他の航空乗り入れを希望しておる国からも起こるおそれが非常に大きいわけでございます。 そのために、われわれといたしましては、この大阪空港の問題につきましては、非常に憂慮いたしておるわけでございますが、しかし一方、大阪の騒音対策というものの重要性は、これまた非常に大きなものでございますので、ただいま先生の御指摘がございましたように、今後の新規の増便等につきましては、この発着のワクを越えることが絶対にないように、そういうことを、これからも従来と同じような方針によりまして進めてまいるということを申し上げたいと思います。
○土井委員 それともう一つ、これは便数の問題ではなくて、航空企業の問題でございますが、御承知のとおりに、日中航空協定交渉に関連して、これまで日航が運航していた日台路線というものは日本航空が就航しないことということが一応あの交渉過程の中では内定したいきさつがございます。この段階で、もはや国際的路線というのは、日航が一元的に就航するという、これまでの基本姿勢というものがくずれたというふうに考えなければならないと思うのですね。 今後、この国際定期便に対しては、日航以外の日本における航空企業がタッチする可能性がありやなしや、このことに対して運輸省はどういうふうなお考えで臨んでいらっしゃいますか。
○間説明員 現在の国の国際航空企業に対する考え方は、これは昭和四十五年の閣議了解に基づきますものでございますが、原則として日本航空一社、こういう形になっていることはこれは御承知のとおりでございます。したがいまして、今後、日台路線がいずれそのうちにこれは再開されるといたしまして、その場合に従来の考え方からまいりますと、日本航空はこれには就航しないということにおそらくなろうかと思うのでございます。したがいまして、その意味におきましては、国際線が二社、いわゆる複数の運航になるという事態を迎えるわけでございます。これにつきましては、もともとが運輸省の諮問機関でございますところの運輸政策審議会の御意見をいただいて、現在の航空政策をつくっておるわけでございますので、今後の国際線をどういうふうな企業の形において運営していくかということにつきましては、この運輸政策審議会にはかりまして、その意見を十分に伺った上で運輸省としての方針を固めていくというのが現在の運輸省の考え方でございます。
○土井委員 いまの問題は、それはお伺いしておりますと、日航一社という線がくずれる可能性もあるわけです、具体的に言えば。それはそれとしまして、ギリシャの問題について言うと、ギリシャのFIRというのは何によって認識され、それはどのように現在日本側は認識をされているか、これについて御答弁を願います。
○松本説明員 お答えいたします。 FIRと申しますものは、ICAO、つまり国際民間航空機構という国連の下部機関がございますが、ここにおきまして各国がそれぞれ安全かつ確実に航空機を飛ばせるためにそれぞれの、管理すると申しますかめんどうを見ると申しますか、これは非常にことばとしてはむずかしゅうございまして、法律的にどうなんだということがやや寿現しにくい問題でございます。しかし、もともとがICAOのきまりというものが英米法的な考えでございますので、非常に実務的な思想でいっておりますので、用語の不確か性の点は御容赦いただきたいと思いますが、めんどうを見る、世話かやくという意味におきまして世界じゅうほとんどのところに区画の線を引きまして、ここからここまでの範囲内は何々FIR、こういう名前をつけて、そのFIRの中のめんどうを見る機関はここである。これが、通常ACCと呼ばれておりますが、管制部と呼んでもよろしいかと思いますが、ここがめんどうを見る、こういうふうな形で存在をしているわけでございます。 現在ギリシャのFIRがどの区域にどのようになっているかは、私、いまはっきりとした資料を手元に持っておりませんが、ICAOがこのFIRのバウンダリー、境界線をきめます手続といたしましては、それぞれの地域会議というものがございます。日本で申しますならば東南アジア地域会議に属しておりますが、ギリシャの場合にはおそらくヨーロッパの地域会議であろうかと思いますが、その地域会議におきまして、関係各国及び関係企業、さらに関係者ということでパイロットの協会なども入っておりますが、こういうところがそれぞれ意見を出し合いまして、こういうふうな形でFIRの範囲をきめるのが飛行機を飛ばせる場合に一番便利であるという多数国の意見、多数者の意見によってきまります。そういたしますと、それが一つの計画書という形になりましてICAOの理事会に報告される。ICAOの理事会がこれを承認いたしますと、地域計画書というリージョナルプランの公刊物がございますが、その発行されております地図の中に何々FIRという名称を冠して載せられる、こういう手続になっております。 そのFIRの中で具体的にどこが作業をするのか、実務的な問題をどこの機関が扱うのかという点につきましては、そのプランに基づいた後に関係各国がそれぞれ技術的な準備を整えまして、何月何日からどこそこの機関がこれを運用するということをICAOに通告するという形で運用が開始されております。 先生、御質問のございましたギリシアのFIRにつきましては、かなりおそらく歴史の古いものであろうかと思います。したがいまして、ヨーロッパ地域の地域会議によってこれがきめられ、すでにICAOの理事会を経てこれは交換されておるはずでございますし、ギリシア政府がどこにその管制機関を持っておりますか、私、いま承知しておりませんが、ギリシア政府のいずれかの管制機関によってそのFIRの中の航空交通についてのめんどうが見られておるというふうに考えております。
○土井委員 たいへんに懇切御丁寧な御答弁でありますが、結局ギリシアFIRというのはギリシア領空と一致するというふうに考えていいわけでありますか。
○松本説明員 FIRというものをきめますためのICAOの原則というものが附属書十一というものに書いてございますが、これによりますと、FIRというものをきめる場合には、航空交通の流れとそれの効率的な運用ということを念頭に置いてその広がりと形とをきめる、必ずしも領土圏というものと直接的に関係を持たない、こういうふうに書いてございます。 現実に一例として申し上げまするならば、東京FIRというのは北太平洋にかなり広範な地域にわたって、東経百六十五度の線まで広がっております。日本国領土とは直接の関係がない、こういうふうなたぐいのものと御承知いただいてよろしいかと思います。
○土井委員 そこで、ちょっといま出てまいりましたその日本の領空、日本のFIRということに関係がある問題を、ちょっと関係をしますのでお尋ねしておきたいのですが、先日五月十五日に沖繩のFIRが日本に返還をされました。それまでこの管理権を持っておりました米軍から日本に返還をされるに及んで、米国と台湾との間にFIRについての取りきめがそれ以前にあったはずであります。実は日本と台湾との間での話し合いということになってまいりますと、これは先ほど来るる御説明を賜わったICAOによっての話し合いではないはずでありまして、当事者間ですね、民間での話し合いが進められて、これについてどうするか、ああするかというふうな話がこれはさまっていくはずであります。 したがいまして、そういう点からしましても、米台間に以前にあったFIRについての取りきめというものを、日台間で何らかの形において政府折衝の中で生かして問題にしていくということが私はなければならないはずだと思います。こういうことについては、日台間、特に与那国の問題であるとか等々、これは差し迫った問題として、先日来この外務委員会の場所でいろいろ質問の中にも出てまいっておりますから、ひとつあわせて、その点がどういうことになったか、それからどういうことになりつつあるかというふうなことについて御答弁を願いたいと思います。
○松本説明員 お答えいたします。 まず、去る五月十五日をもちまして、従来沖繩FIRと呼ばれておりました区域、この区域につきましては、去る四十七年の五月十五日沖繩返還の時点において、すでに権限としてはわが国運輸大臣の所管するところとなっておったわけでございますが、しかし、実務上、私どもが直接航空路管制ができない、施設的な整備ができていなかったということもございまして、御高承のとおり、二年以内にということで去る五月十五日にこれをわがほうが引き継いだわけでございます。その引き継ぎにあたりまして、従来の沖繩FIRと呼ばれておりましたものを那覇FIRと名称は変更いたしましたが、管轄空域の広がり等についてはそのまま引き継いだわけでございます。 そこで、従来このFIRとFIRの間に飛行機を飛ばすためにどういうことがなされていたかということでございますが、基本的な考え方といたしましては、先ほどの御答弁で申し上げましたように、ICAOの基本的な考え方がございます。で、台湾のFIR、これは台北FIRと呼ばれておりますが、台北FIRと当時の沖繩FIR、これは従前は台湾がICAOのメンバーでございましたので何ら支障なくICAO的な基本的考え方のもとに、嘉手納にございました米軍の管制所と台北にございます台湾の管制所と両管制所の間での取りきめという形で運用が行なわれておったわけでございます。 これはその他の例と全く同じでございまして、たとえば当時の沖繩FIRに隣接いたしますマニラのFIR、これは嘉手納の米軍管制所とマニラにございますフィリピンの管制機関との間での取りきめで細目を詰めていた、こういう形でございます。 そこで、これがわれわれに返還をされますしばらく前に、いま御指摘ございましたようにICA ○から台湾が出ていってしまった、こういう形になります。そこで、基本的にはICAOベースという形にはならなくなったわけでございますが、台湾側は一方的な宣言ではございましたけれども、自分のほうとしては従来どおりICAOの諸約束に従って技術的な取り扱いをするということを直接ではございませんで間接的でございますが、ICAOを通して宣言をしてきております。したがって、基本的な航空機を飛ばすための諸般の問題については、ICAO的な考え方を根っこに置いてもよろしいというふうに私どもは考えております。 次に、技術的な取りきめにつきましては、両管制機関間でと申しましても、那覇のわがほうの航空交通管制部と台北の管制機関というのは国同士の機関になってしまいますのでいささか問題が出てまいります。そこで、友好協会と亜東関係協会、この二つの民間団体を使いまして、この民間団体の間の民間の取りきめという形で細目協定をきめるという基本的な考え方が出されておるわけでございます。 ただし、実務上の管制技術上の問題になりますと、これらの民間機関というものは直接的にそういった技術に詳しいわけではございませんので、これら両機関の合意と申しますか、話し合いの結果といたしまして、実務的な点につきましては私どものほうの那覇の管制所と台湾側の台北の管制所との間で実質的な合意というものができたわけでございます。 したがいまして、表向きの形は民間協定である、技術的、実質的な部分についてはそれぞれの専門家が関与をいたしまして技術的に問題のないような形にしてある、内容的には詰めてある、こういう状態で去る五月十五日の引き継ぎ以来、先生御指摘のございました与那国フライトを含めましてすべての日台両FIR間の航空について支障なく運用が行なわれておる、こういう状況でございます。
○土井委員 事実問題はそのようでありましょうけれども、これはいろいろまだまだお伺いしたいのですが、時間がもうないわけでありますから、これはひとつ質問を保留という形にして、またいずれかの機会に私は質問を続行したいと思いますが、ただ一つここで確認をしておきたいのは、台湾との航空の再開のために大阪空港が使用されるということがありやなしや、これはまたひとつ確認しておきたいのです。
○間説明員 台湾との間の運航の再開問題には現在非常に不確定な要素があるわけでございますので、一つの仮定の問題でございますけれども、従来大阪には中華航空が乗り入れておった。これが今後どういう形で再開されることになるかわかりませんが、台湾の航空機が日本に乗り入れをするということになりました場合におきましても、大阪には乗り入れを認めないというのがこれまでの方針でございますし、今後もそういう方針で続けてまいることになると思います。
○土井委員 時間が参っておりますが、あと一問だけ詰めをしておきたいのです。 これは附属書を見ますと、「日本国の指定航空企業が両方向に運営する路線」というのがございまして、これに従って見ますと、中には、テヘラン、クウェート、ベイルート、テルアビブという地点が出てまいります。これは私、この地点を名ざしで申しますと、連想するのは何であるかというと、言うまでもなく十人が十人ともハイジャックを連想なさるのではないかと私は思う。 ハイジャックの問題については、予防にこういうような措置をするというようないろいろな取りきめがございましても、起こってしまってからあと、事後措置に対してどういうふうな救済があるかというふうな問題についてはもう一つ不確かであります。そんなことが起こってはかなわぬわけでありますけれども、この協定が締結されたあと、この路線に従ってどのルートを行かれるか、それはよくわかりませんけれども、もしハイジャックに遭遇したというふうな場合に、その事後処理はどういうふうな形でなされるわけでありますか。それを取りきめている何らかの国際協定なりそれからこれを基準に置いて考えるというふうな取りきめがございますか。
○間説明員 ただいまちょっと御質問の趣旨がはっきりいたしませんので確認させていただきたいのでございますが、事後処理と申しますのは、ハイジャックによってたとえば乗客が受けた損害を補償とかいうそういう問題でございましょうか。
○土井委員 そういう問題ですね。
○間説明員 現在のところ、航空機による運送によって生じましたところの損害の補てんにつきましては、国際的にはワルソー条約がございまして、このワルソー条約によりまして、この条約の加盟国でございますと、その運送中の事故あるいは航空機への乗りおりの際に起きましたところの事故、こういったものにつきましては、その運送企業が自分のほうでそういう損害の発生を防止する措置をとったということ、あるいはそういう損害の発生がやむを得ないものであったということの立証をしない限りはその損害の賠償に当たらなければならない、そういう責任をこの条約によって負っているわけでございまして、その場合の賠償金額の限度額につきましても一定の金額をきめておるわけでございます。したがいまして、ハイジャックの場合におきましても、現在の法律制度のもとにおきましては一応この条約に基づく損害賠償の制度が適用されることになるというふうに考えるのでございます。 ただ、ハイジャックの場合におきましては、航空会社の側におきますところの責任があったのか、責任と申しますか、航空会社の側においてそれを防止することができなかったかどうかという点についての立証その他は非常に困難であろうという事態が予想されるわけでございます。また実際には、これはやはり裁判によって最終的には決着をつけざるを得ない問題でございます。 確かに、いま御指摘のような点につきましては責任の所在の非常な困難さという問題はあるわけでございます。この点につきましては、直接の所管は法務省になるわけでございますので、法務省のほうにおきましてもいろいろと御検討はなさっておることと思いますが、現在のところにおきましては、ただいま私が申し上げたような制度のもとにおいて事後措置がなされておるというわけでございます。
○土井委員 いまおっしゃったのは国際航空運送についてのある規則の統一に関する条約だと思うのですが、これはわが国も法務、外務、運輸大臣の署名がございます。ところが、この条約についての署名の中身をずっと見ておりますと、ギリシャについてはギリシャ共和国大統領ということになっておるのです。しかもこの条約というものは有効だと思うのですよ。先ほど申し上げた万が一あってはならないハイジャック等々によって乗客に対してどういう補償を問題にしようかというといま御説明のとおりでございまして、この条約は生きておる。この条約によって考えるということなんです。 ところが、ここに署名しておるのはギリシャ共和国大統領ということです。今回結ぶのはギリシャ王国という名称で協定は結ばれるのです。この間のアンバランスというものは単に名称上の問題ではないということを私は一番最初に申し上げたわけでありますが、このつじつま合わせば外務省としてはどのようにされるわけでありますか。
○伊達政府委員 ただいま国際航空運送についてのある規則の統一に関する条約について御指摘がございましたが、ギリシャは批准いたしましたのが一九三八年でございまして、そのときからメンバーになっているわけでございます、これは当然のことでございますが。私どもといたしましては、その後の種々の政体の変化は経てまいりましたけれども、ギリシャ国というものについて承継関係が連綿と続いておりまして、現在におきましても、その当時の署名者のいかんにかかわらずギリシャについて有効であるというふうに考えます。
○土井委員 そういう御認識を現にお持ちになっていらっしゃるわけですけれども、かのギリシャにおいては政変絶え間がないんですね。 時間ですから、最後に一問、これは次官がせっかく御出席でございますから、御確認賜わりたいのですが、この承認を求める件の提案理由の説明の中に「この協定の締結により、両国の航空企業は、安定した法的基礎の上において相互に乗り入れを行なうことができることになるのみならず、」云々とございます。いま日航はギリシャのアテネに飛んでいるわけでありますね。それはギリシャ政府がそれを許可して乗り入れているわけでありますね。ところが、今度新たにこういう協定を結んで——協定を結ぶという意味は、ここにまさしく書いてある「安定した法的基礎の上において」この協定を結ぶということにおいて、協定の安定性はあるわけであります。 〔委員長退席、水野委員長代理着席〕 だから、そういう点からしますと、今回のこの協定というのはまことに安定した協定というふうに御認識になっていらっしゃるかどうかです。国際法規というものは一たん締結すると安定性がなければならないし、安定性の上にこれは締結されるものという確認があって締結されるということでありますし、この点についての確認をひとつ最後にさせていただいて、私は質問を終わりたいと思います。
○山田(久)政府委員 当然、そういう法的根拠が与えられるということによって、事柄自身は主管庁の行政許可ということでできるものではあるけれども、安定したものになる、こういう性格のものであるし、そういう認識のもとに行なっている次第でございます。
○土井委員 終わります。
○水野委員長代理 渡部一郎君。
○渡部(一)委員 私は、ただいま議題となっております航空業務に関する日本国とギリシャ王国との間の協定につき簡単に要点を御質問したいと存じます。 まず第一に、前の同僚委員に対する御答弁の中で三国のことに触れておられましたが、ギリシャはただいま共和国になっておると私も理解しているわけでありますけれども、この協定の名称で差しつかえない旨の意思表示はどうした形で行なわれたのか、もう一度お伺いしたいと思います。
○伊達政府委員 お答え申し上げます。 これは文書の形で双方の日本国政府代表とギリシャ現共和国政府代表との間で確認いたしております。
○渡部(一)委員 その文書というのは交換公文のような形式のものでありますか。それともどういう形のものでありますか。
○伊達政府委員 お答え申し上げます。 通常私どもが交換公文と申し上げる際には、公文の同時交換が行なわれますが、その意味では交換公文ではございません。書簡の往復という形で、わがほうから出しました書簡に対して、二、三日おくれまして先方からその返事がくるという形で書簡の交換をいたしております。
○渡部(一)委員 それに対しては当委員会に先ほど御提出になるという御意思があるように伺いましたが、そのとおりですか。
○伊達政府委員 そのとおりでございます。
○渡部(一)委員 じゃそれはよろしいとして、航空局の方おられますか。——今度ギリシャ王国との間の指定航空企業に関して、企業の問題でなくて、どういう飛行機を指定なさるおつもりなのか、わが国がこうした協定を結んだあと指定される航空機というものはどういう水準と選択で選んでおられるか、それを伺いたいと思います。
○間説明員 どういう航空機を就航させるかということは、第一に路線を運営いたしますところの航空企業がきめることでございます。その場合に、外国の航空企業の使用する航空機につきましては、これが国際的に、つまりICAOできめましたところの基準以上の水準に合致した航空機である場合には、これは相互に認め合うというICAO条約の規定がございます。 したがいまして、ギリシャがどういう航空機を使うことをきめてまいりますかわかりませんけれども、それはただいま申し上げましたような基準に合致しておるかどうかということによりまして判断されることになるわけでございます。
○渡部(一)委員 そうすると、そのICAOの水準でありますが、わが国の続発する航空機騒音問題というものは、ICAOで定められた騒音基準というものがわが国の空港設置条件と合致しないというふうに考えられると思うのですが、どうですか。 というのは、私が言うのは、いままで日本ではこの航空機騒音の問題は飛行場の問題としてのみ取り扱われてきた。私に言わせれば、むしろICAOにおいてわが国の代表が航空機騒音の多大なる飛行機群を日本国に入れることに合意しておるからであると思われますが、その辺はどうですか。 つまり逆に言うと、ICAOの航空機騒音に対する規定は、わが国としてはもう一回やり直すなり提案し直すなり修正するなり、そうした方向があるのかどうか、それを伺います。 〔水野委員長代理退席、委員長着席〕
○間説明員 ICAOの基準といたしましては、航空機の耐空性の問題それから乗員の免状、資格の問題等が主要な問題でございますが、そのほかに、確かに先生いま御指摘の騒音基準の問題が新しい問題として最近は起こっておるわけでございます。 ただ、このICAOの騒音基準につきましては、ICAOの規定によりまして、新しくつくられる航空機につきましてはそのICAOの騒音基準の適用がある。それから在来のものにつきましては一定の年限の基準がございますが、これはこのまま認めるというふうなのがいまのICAOの規定のたてまえでございまして、これを受けまして、わが国におきましても、ただいま今国会におきまして御提出申し上げております航空法の改正の中にそういう騒音証明制度を取り入れることにいたしております。この法律の規定ができますと、それに基づきまして、日本といたしましては外国からの乗り入れ航空機を認めるか認めないかということの判断がなされるわけでございます。
○渡部(一)委員 私は先年度アメリカの航空機製造業のマクダネル・ダグラス社を訪問した際、そこの副社長が言っていたことでありますが、日本政府は航空機騒音の問題については国際的な協定という場合についてはほとんど強い主張をしたことがない、われわれとしてはどういうタイプの騒音の飛行機をつくれといわれればその条件、基準というものに対しては寄せる用意がある。どれくらい寄せる用意があるのかと聞きましたら、現在の騒音の七分の一程度は当社の技術でつくることは可能である、ところがアメリカ国内における製造航空機に関する騒音基準というものが国際的に、特に日本を先頭とする先進諸国で積極的に承認されたので、それに基づいてつくったのである、まあそういった意味合いの御説明がありました。 もう少し詳しく議論する時間にそれを御議論したいと思っておるのでありますが、この航空機騒音問題というのが、要するに飛行機はできてしまって飛んでくる、航空機の発着飛行場の問題としてのみとらえられている、わが国はむしろ積極的に航空機騒音問題を国際的な協定の場においてもっと厳格に言うべきなのではなかろうか、その意味で全然努力を怠っているのではなかろうか、むしろ諸外国の航空機製造会社とぐるになって日 本国にうるさい飛行機を押しつけるために航空局は活躍されているのではないかとまで私は遺憾に思っておるわけであります。 したがって私は、御答弁いただくと同時に、関係資料の御提出を求めたい。それはなぜかというと、航空機騒音についてはどこまで国際的な協定で認めたのか、今後どうする用意があるのか、その点を明確にしていただきたいと思うのです。
○松本説明員 お答えいたします。 現在航空機の騒音問題につきましてはICAOの第十六附属書というのがございまして、これによって航空機の騒音のレベルというものがきめられていることは御承知のとおりでございます。このほかに米国におきましては米国連邦航空庁がきめましたFAR三十六というのがございまして、これにまた別の規定がございます。きめ方にややでこぼこがございますが、見ようによりましては米側の規定のほうがICAOのものよりもややきびしいという面もございますし、同じ部分もございます。 日本国におきましてはどうなっておるかという点でございますけれども、先ほど間審議官から御答弁申し上げましたように、航空法の改正の中に騒音証明制度ということを盛り込みまして、わが国が定める航空機の騒音証明というものに合格しない航空機についてはその運航を差しとめるという考え方が盛り込んであるわけでございます。この点につきましてはなお現在国会の御審議の段階にございますので、またその審議を通じていろいろと御意見を承ってまいりたいと思っております、けれども、いままでICAOで何回もこの騒音に関する会議がございました。これに対しては、私どものほうは相当の機会にわたって代表者を派遣いたしております。 派遣をいたしまして航空機騒音のレベルをどのようにきめるかというふうな点についての意見と いうものも申し述べてまいってきておるわけでございますが、ただ一つだけ非常に残念なことは、私どもは有効な、有用なジェットエンジンを現実につくる状態に立ち至っておりません。したがいまして、航空機の騒音というのはジェットエンジンから出る音でございますので、このエンジンを現実につくる技術を持っていないというふうなことから、こういうふうな音であるべきだという要求側としてはいろいろと意見を従来とも申し述べてまいってきておるわけでございますが、このようにすればそのようなエンジンができるのではないかという技術的な面については遺憾ながら先生おっしゃるようにあまり有効適切な活躍と申しますか、仕事ができていなかったという点は御指摘のとおりであろうかと思います。
○渡部(一)委員 これ以上言うのもどうかと思うのですが、私はICAOのこの附属書における騒音レベルの取りきめに対しては反対であります。このようなものを取りきめたがゆえに日本国の騒音証明制度も骨抜き的なものが出てくるし、世界の中で最も騒音で困っている日本の政府を代表する要求が少な過ぎる。アメリカの国内にある製造会社が七分の一までできますよと私に説明する、そういう状況であるのに、日本の担当官は要求側として非常にやわらかい要求を出して帰ってくる。私は、つくるのじゃなくてこっちは買う側なんですから、つくる技術がないから騒音レベルの問題に対して有効な議論ができないというのはおかしいと思う。 そうじゃなくて、われわれは買う側なんですから、着陸させる側なんですから、厳格な騒音基準を設けてそれに対して合致しない飛行機は全部着陸を許さぬというのが当然なことだと思うのですね。大阪プロブレムとして問題になった大阪空港に関するさまざまな住民運動の結果はそういう態度の基本的な変革を迫っています。つまりうるさい飛行機はおろすな、うるさい飛行機は買うなという立場に立つのか、それとも外交交渉でこういうふうになってしまったのだからそれにあわせてわが国もやるのだという立場でいくか。それは逆ではありませんか。だから私は、いままで外国ときめたのだからしようがないのだ、外国とこういうふうに騒音レベルをきめたのだからやむを得ないのだという形で騒音レベルの問題は全部住民にしわ寄せされている、それを言っているのです。だから発想が逆だと申し上げている。 だから私は、これについてはICAOの附属書の騒音レベルの問題については早急に改正の交渉をするべきだし、アメリカ政府と強烈な談判をすべきだし、世界で一番激烈な議論をするべきなのは日本政府だと思うのですが、どうですか。外務省はこの辺交渉の用意はありませんか。また日本の航空局はいまのままのものすごい、すさまじい音のする飛行機をこれからも日本国内へ持ち込んでこようというお気持ちなんですか。そしてアメリカの飛行機の製造会社の手先となってその膨大な飛行機を日本の国民の頭の上に飛ばす気なんですか。これは考える余地がないのですか。
○松本説明員 まず第一点のICAOの議論において日本側の主張のあり方が非常に弱かったではないかという御指摘につきましては、たとえば技術的な面についての主張が十分にできなかったうらみがあるということは私も申し上げたとおりでございますが、ただ、先生おっしゃいましたように、こういうふうにきまってしまったからもうそれまでだというふうには私ども決して考えておりません。ただ、この点はひとつ御了承いただきたいと思うのでございますが、現在飛んでおります航空機についてのICAOの騒音証明というものは、実は騒音証明制度ができます以前の航空機については適用にならないわけでございまして、現在最も問題を起こして・おります航空機は実はICAOでこの議論ができる前に世の中に売りさばかれてしまった、あるいは設計の基本がきまってしまった航空機というわけでございます。 ただ、これを放置しておきますといつまでたっても事態が改善されません。この点は先生おっしゃるとおりでございますので、いま主として米国でございますけれども、それ以外の国も現在ございますエンジンに付加的なものをつけまして騒音のレベルを下げる、レトロフィットと呼んでおりますが、こういうふうなものをいま開発をしております。私どものほうといたしましてもこういう有効適切なレトロフィットができた場合、あるいは新しく換装すべき音の低いエンジンができた場合にはこれを積極的に使用させるという方向で諸般の政策について検討をしておることは事実でございます。 次に、先ほど御指摘のございました七分の一音が小さくなるというふうなことを某メーカーが言ったということでございますが、この七分の一という数字がはたして技術的にどうであったかという点については私、音の専門家でございませんので差し控えますが、現在の騒音証明によりますと、従来の航空機よりも数デシベル——音の単位はデシベルではかっておりますが、数デシベルは低くなる、さらにそれから五、六デシベルまでは低くできよう、ですから現在の航空機から十デシベル程度までは低くする、これは確実に技術の範囲内でできるのではないか、こういうふうに私ども考えております。 七分の一という数字とデシベルという単位が必ずしも一致いたしませんので、ちょっと私何とも申し上げかねますけれども、ただメーカーの場合には一般的にそうでございますが、カタログバリューと申しますか、宣伝のための数字をいう場合も間々ございますので、七分の一下がればこれに越したことはございません、これは十何%下がるということになるかと思いますので非常に大きなダウンだろうと思います。ただ、そういうことができるのであれば、先ほども申し上、げましたように、エンジンの換装なりあるいは付加的装置をつけさせるというふうなことによってこの音を下げる方向へ持っていく努力を今後ともしてまいりたい。 それからICAOの現実の基準をどうするかという点については今後とも十分に議論を重ねてまいるつもりでございます。
○渡部(一)委員 外務省はこの問題をどうお考えですか。
○伊達政府委員 技術的な面に関しましては、私もつまびらかにいたしませんが、しかし、住民に被害を及ぼす騒音問題をできる限り国際場裏においても協力して軽減していくということは当然のことでございまして、運輸省のほうから技術的なアドバイスも得まして改善できるところは改善していきたいということでございます。
○渡部(一)委員 それで、いま私伺っていて、航空局の話はだいぶ前向きになっておられたので私はけっこうだと思うのですけれども、ここのところで気をつけなければならぬことがあるのです。それはICAOで結ばれた基準というものはもうきまったのだからこれは変えられないのだ、変えるのはめんどうなんだという姿勢が続いている限りは日本国における航空機騒音問題は片づかないということが一つです。 それからもう一つは、航空機の騒音というものは、現状程度においてはどのぐらい下がるという言い方は必ずしも正確ではない。つまり、騒音レベルの低下というものは、明確に一つのグラフを描いて騒音レベルというものはこう下がってきておる。しかもそれは航空機業界の政治的な圧力というものと対応されているということであります。つまり、技術的な水準からいえば、現状では幾らでも下げられる。そのレベルをもう一段下のカーブを描いて下げることは可能なんです。 ところが、このまま放置しておきますならば、ICAOのこの協定というものは逆に騒音レベルをある高い水準に押えてしまって、それ以下に下げないための協定というふうな意味合いを持ってしまう。つまり、公害防止協定が、大きな公害は防止したけれども、小さな公害の集積的な効果についてはたいへんな打撃を与えるという意味で、いま問題になっていると同じことがいえるわけですね。だから私は、ICAOのこの騒音協定というものは、この騒音レベルの問題というものについて、もういいかげんなやり方で委員会で審議が行なわれ、そしていまの現状から見るならば、とんでもない重大な問題を見のがしていたということがいえると思うのです。 騒音問題とか環境問題とかは、いつも常にいわれることですけれども、一ぺん結ばれたものというものが次の時代にすぐ間尺の合わない、現実を無視した、住民にしわ寄せする問題になるということはもう歴史的に明らかな問題なんですから、ICAOの問題については、ICAOの協定を守るのではなくて、このICAOの協定の中の騒音レベルの問題については、世界最大の騒音被害国である日本として強力な意思表示をするために直ちに検討にかかり、修正の意思表示をするのがまともではないか。大臣がいないので、私はやむなく政府委員である皆さん方に伺うわけですけれども、それについて早急に交渉をするべきじゃないか。 これを置いておいて航空機騒音の問題について多少やったというのは、小さな手直しにすぎないのじゃないですか。小さな小さなごまかしにすぎない。飛行機にちょっとしたマフラーをつけたとか、飛行機のエンジンにちょっとした小細工をしたというのは小細工の部類である。私は、日本国民が要求しておるのは、小細工ではなくて大幅な騒音レベルの変革です。それがわかってないならば、第一線の航空機業務担当者はえらいめんどうを受けるばかりである。そして、外務省はその犠牲の上にあぐらをかいて、ICAO協定の上にあぐらをかいて昼寝をしておる。そして騒音の被害者たちは住民運動を起こして、毎度むしろ旗を立てて衝突する。そういうことしか言えないと思う。 だから、公害問題に関係するこうした問題は、協定を結ばれたとたんから次の変革のための交渉が行なわれるべきだし、特にこの問題については直ちに再交渉するべき、検討を開始するべきだと思うのですが、どうでしょうか。
○松本説明員 お答えいたします。 ICAOの騒音委員会というのは現に活躍をいたしております。終わったわけではございません。その第一段階として現在の騒音のレベルというものがきまっておるだけでございます。まだこれからきめねばならないとしてスケジュールにのっておるものも数多いというふうに私聞いております。 したがいまして、いま先生御指摘のように、音源対策というものが騒音対策の中できわめて大きな役割りを持つということは私どもも十分認識しておるつもりでございますので、今後ともICAOの場において積極的に意見を開陳しつつ、今後できるものはもちろんのこと、すでにできたものについても、よりよい方向への改善の努力というものを重ねていく考えでございます。
○渡部(一)委員 くどいようですけれども、私はこのICAOにおける交渉の内容について深い疑惑を持っている一人です。いまそう言われたけれども、じゃどのくらいまで音源を下げるようにわが国は主張なさるおつもりなのか、そしてどういうふうにいま主張しつつあるのか。私は何にも資料がなくてわかりません。私はそうした意味では明確な御説明は本委員会にも運輸委員会にもなかったと伺っておりますので伺うわけでありますが、じゃその音源対策にわが国はどこまでしょうとしているのか、いまの時点で。それを伺わしてください。
○松本説明員 申しわけございませんが、いま私、具体的な数字を手元に持っておりませんのでその点は御容赦いただきたいのでございますが、何といいましても、まず第一の目標は、現在のICAOできめたレベルまで持っていかなければならないわけでございます。これをこえているものが現にあるわけでございます。それから次に、これから入ってくる航空機は当然ICAOのレベルを下回っていなければならないというふうに考えております。 そこで、どこまで下げるということを言うかということでございますが、現にたとえばロッキードのエアバスでございますとかあるいはボーイングのジャンボでございますとか、こういうものにつきましては、現在のICAOのレベルを二、三デシベル下回っております。これをどこまで下げられるかという点については、先ほど先生おっしゃたように、七分の一下がるのだというふうな説もございましょうが、しかし先ほど私、御答弁申し上げました十デシベル程度が限度ではないか、とりあえずの限度としての目標はそこに置くべきではないか、なるべく早くそこへ持っていくべきではないかというふうなのが一般的な議論であると私は承知をしております。 したがって、たとえばサイドの騒音が幾ら、あるいは直下の騒音が何デシベルというふうな数字はいま私手元に持っておりませんけれども、現在技術的に考えられるぎりぎりの線にまで下げていくというふうな考え方を今後とも一貫して貫いてまいりたい、こういうふうに思っております。
○渡部(一)委員 恐縮ですが、そのいま言われた資料等を御提出をいただけませんか。そして、いま言われた十デシベルまでとりあえず下げるという意向は今後明確に主張なさるということが約束できますか、それをまず伺います。
○松本説明員 資料の点につきまして、現在の基準がどうなっておるか、現在の航空機がどうなっておるか、それからどれだけの音を下げられるというふうな議論がいままでなされてきたか、こういう点につきましては具体的な資料があろうかと思いますので、それらは整理して御提出できると思います。 次に、十デシベル云々の問題は、私の十デシベルと申し上げておりますのは、現用航空機の騒音レベル、たとえば百十幾つというふうなところから十引いて百まで下げる、百幾つから十引いて九十幾つまで下げる、こういうふうな数字で申し上げておるわけでございますが、こういう数字であるならば、いままで私どもが聞いておる範囲におきまして当面の目標としてそういうところをねらってすみやかにそこに到達するということは技術的に可能なはずであるというふうに考えて、そこに目標をしぼりたい、こういう趣旨で申し上げておるわけでございます。 今後のICAOの会議、これは年に何回か騒音会議というのが開かれておりますので、そういう会議に出席いたします場合には、先生の御指摘の点も十分に服膺いたしまして、十分な議論ができるように今後とも努力を重ねていきたい、こういうふうに思っております。
○渡部(一)委員 いまだそのお話では明確でない。というのは、どの辺まで騒音デシベルを下げるよう主張するかの日本政府の考え方をいまこの場できめてお話をしていただくことを私は求めているわけじゃない。少なくともそれを早急に検討していただいて、とりあえず十デシベルなんというこんなみみっちい数字は、要求側、お客側の言うべき数字ではないと私は思うのです。これは現行でほっておいたってできる数字なんですから、私はこれはわがほうの飛行場の立場からいけば、民衆を守る立場からいえば、住民の生活を守る立場からいったら、どれぐらいまで下げなければいけないというのをまずはじくべきである、まずその検討をすべきである。そして、それまでやる前にまず第一段階としてどこまでというなら私はわかる。 だけれども、飛行機の騒音がこのくらいなら、まあちょっと下げられるでしょう、マフラーを細工すればこのくらいまで下がるでしょうというような議論から来るのだったらこれはおかしいというのです。だから現在の日本の持っているような飛行場、羽田空港であるとかあるいは伊丹空港であるとか、ともかくもう住民がヒステリー状態にならざるを得ないような飛行場群というものが現に存在しておる。また、いなかの小さな空港、ちっとやそっとでは広げられないようないなかの空港を維持せざるを得ない地域がたくさんある。それを考えるならば、この飛行機の音源対策のほうに重点を置くのが、それこそ担当局の責務ではないかと思うのですね。ところが、担当局の仕事は、ともかく住民運動をいかに黙らせるか、飛行場をいかに広げるかという二点にしぼられている。それで音源対策のほうは、ICAOでパイプでもくゆらせながら優雅なる会話を楽しんでおる。それでわが国へ帰ってくれば、かっこうのいいことを議論をする。そういうごまかしには私はあきあきしておる。 なぜICAOでもっと厳格な議論をしないのか。もしICAOがだめだというなら、ICAOから脱退すればいいじゃないですか。それだけの強腰でなぜやらぬのか。その意味では、音源対策は本気でない、音源対策は本気でないどころか、にせものである。そして外務省はまた例によって、これは航空局の所管であるからといって何にも検討しない。聞いたって、わからない。そんなことでは航空問題を当委員会で議論できないじゃないですか。だから私は、これについて全部再検討をお願いしたい。少なくとも、日本の現在の飛行場だったら何デシベル下げることを要求されているかという確認から始めていただきたい。その上でどういう交渉をするかをきめていただきたい。そしてきまった意見を整合された上で当委員会で御説明、あるいは資料として御提出を願いたい、こう言っているわけです。
○松本説明員 騒音対策のうち、音源対策が占める重要性についてる御指摘がありました点は、私も全く同意見でございます。ただ、現在どのような形で空港周辺の騒音対策をきめようとしていくかという点につきましては、先生御承知と思いますが、昨年の十二月に環境庁が告示を出しました。この中で使っております数字はWECPNLという単位でございます。 これはもちろん一機一機の航空機の騒音がもとになっておりますが、その航空機が何機どういう時間帯に飛んだかということを計算の中に全部入れまして、現在、住宅地域においては七十WECPNLをこえないということが一つの基準として示されております。したがいまして、私どもの当面の目標は七十WECPNLという騒音範囲、これを可能な限り縮小するとともに、その騒音範囲の中に入ります部分については、あるいは住宅を防音にするなりあるいは住宅を移転するなりというふうな措置をする。 これを七十に下げるためには、航空機の個々の騒音を下げますことと、飛行機の運航回数を下げますことと、飛行機の飛ばせ方、たとえば着陸の場合に二段着陸をするとか、こういったほかの技術的な問題もたくさんからんでおります。 したがいまして、航空機騒音の対策として、音源対策がきわめて重要であるという御指摘は、先ほど来御答弁申し上げておりますように、私も十分承知をしておるつもりでございますので、ICAOの議論においては、今後ともその方向に向かって努力をいたしますとともに、七十WECPNLという環境庁の定めました騒音基準というものがすみやかに達成されるように、それ以外の面についてもあわせて努力をしていきたい、こういうふうに考えております。
○渡部(一)委員 私、はっきり申し上げておきますけれども、そういういいかげんな答弁が続くのだったら、大阪空港については全機発着を阻止するためにわれわれは全力をあげるしかない。また大阪だけではない、その他地域についても私はやろうとしている考えです。それは、そんな言い方をなさるのだったら、宣戦布告として申し上げる。何という言い方だろうか。 音源対策が必要なことについていま述べられた。それなら音源対策で何をしているかですか。ろくろく何にもやっていないじゃないですか。特に国際会議の席上では、何にも言ってないじゃないですか、何にも。欧米諸国のうしろにくっついて、賛成と言っているだけじゃないですか。そんなことを言っておいて、ここへ帰ってくると、さも音源対策をやったような顔をする。アメリカの飛行機会社があきれるくらいやわらかく言っておる。だから言っているんじゃないですか。しかも、これは外務省の担当者が知らないわけないじゃないですか。外務省の担当は知らぬ顔だ。それで、運輸省の航空関係のお方はひたすら音源対策については何にもしない。国際会議に行ったら、しゃれた会話をかわして乾杯をして終わりになっているじゃないですか。だから言っているんじゃないですか。 それなら、外国へ行って音源対策で何を主張したのですか。言えないのですか。もし私の言うように七分の一なんて提案していたら、データを見なくたって、あなただって知っているはずですよ。あなたがデータを見なければわからないくらい、何にも言っていないということを示しているじゃないですか。だから、私言っているんじゃないですか。 当委員会においては国際的な諸問題を扱いますけれども、日本の悪い癖で、国際的にはゆるいことをやってきて、国内的にはそれによって縛り上げるという悪癖がある。そのあしき例の、これは最高の例の一つですよ。そして、こんなやり方をすれば、今度の環境保全外交というのは全部それでいってしまうから、私は言っている。いま御答弁いただいている部長にはお気の毒だと私は思う、あなたがやられただけの話じゃないのですから。前々からの引き続きであるのは、私もおぼろげながら了承しております。いままでのわがほうのICAOに出かけた委員は、何にも言っていない。言っているというなら、何を主張したのだか、書類を出しなさいよ。何にも言っていないじゃないですか。騒音レベルを下げるなんて、どこで言ったか。だから、いつ、どこで、だれが言ったか、資料として出せと私は言っているのです。 そうして当委員会では、さもさも音源対策をやったような顔をする。そんなでたらめなやり方がありますか。私は、住民運動の諸君がこういう意見を聞いたら、毛をさか立てておこるだろうと思う、こんないいかげんなことをして。ここに原因がある。飛行場に原因があるのではない。飛行場立地が狭いのはわが国特有の現象です。特有の現象に合わせるように、諸外国に飛行機をつくらせたらいいじゃないですか。なぜそれを言わぬのですか。なぜ議論させないのですか。私はあきれ返って言うことばがない。やっているとおっしゃるなら資料を出しなさいよ、見てあげますから。どうです、これは。
○松本説明員 従来たびたび開かれておりますICAOの騒音会議で、これに出席いたしました日本側の代表がどのような主張をしたかについては、私、実はよく承知をしておりません。しかし、何回かの会議の中においてわれわれの主張というものは述べてきておるというふうに考えております。 ただ、先ほども冒頭の点で私御答弁申し上げましたように、音を小さくするということは、経済的な面を除きましても、技術的に見て非常にむずかしいものであるというのが、私どもの認識でございます。非常に簡単に音が下がると先生の御主張もございますので、その点私、あらためてまたそういうふうな考え方から十分に研究をさせるようにいたしたいと思いますけれども、少なくとも、音を下げていくということは、ある限度に近づくに従って、一デシベル、二デシベル下げるのにも非常な技術的な努力が必要になってくるということであると思います。 ただ、そういうことを申しておりましただけでは音が下がらないわけでございますから、先ほど来お約束申し上げておりますように、今後のこういったICAOの議論等におきましては、われわれとしてはこういうふうな音のところまで下げてほしいのだというふうなことを積極的に主張、力説できるような形でICAOの会議にわれわれが参加をしていくというふうな態度、姿勢努力というものを続けてまいりたい、こういうふうに考えております。
○渡部(一)委員 これはICAOの議論を御提出いただかなければならぬと私は思います。ICAOにおいてわが国の代表が何を主張してきたか、また例によって公文書だとかへったくれだとか言って出さないことも大いにあり得るけれども、これを当委員会に対し資料として提出されることを、委員長、お願いします。
○木村委員長 そのように取り計らいます。
○渡部(一)委員 技術の進歩は、進歩するに従って大きな努力を生ずることは明らかであります。したがって、当初十デシベル下げるのと、十年後に十デシベル下げるのとでは、努力の程度が違うということは科学的に見て明らかです。私はそんなことをあらためてあなたから言われる必要はないと存じます。しかし、私が言っているのは、目標を示せば科学はそれに追いつくことは確かであります。しかも購買者によって要求された場合は、それに急速に追いつくのは、いまのコマーシャリズムのいたす結論としては明瞭なる事実であります。ですから私は、日本政府が日本の全住民を代表して、この航空機を利用する者の代表として、最もきびしい水準で利用する者としてこれを要求することが必要だと申し上げたのです。 私は、大阪のあの裁判を取材に来られた外国企業の連中とも会いました。彼らがびっくりしておったのは、大阪の裁判において、あの騒音公害の問題についてもしも裁判所が圧倒的な形で結論を下したならばすぐそれに対応しなければならないというので、副社長級をずらりと並べてあの裁判を傍聴に来ておりました。彼らは何で来ていたかということを考えなければならない。それがきまったら最後、大阪に着陸できる飛行機をつくれというのがアメリカ航空企業の最大のテーマになったからです。しかし、あの裁判はいいかげんな裁判で、私は裁判の結果にも異議がありますけれども、ああした形になりまして、彼らはこれで仕事がなくなりましたと言って帰りました。大阪に着陸できない飛行機は飛ばすことができない。彼らはそれだけの認識を持っております。それを大阪の一裁判所にゆだねるのではなくて、なぜ日本の航空局がそれをいわないのか。私の言いたいのはそれであります。 つまり、逆にいえば、日本の航空局も、運輸省もあるいは外務省も、こうした問題では主張したためしがないからこそ、彼らは大阪プロブレムだけを問題にしている。もしあなた方がしっかり問題にしておったら、運輸省プロブレムであり、またジャパンプロブレムであると私は思っております。そうなっていないところに問題がある。したがって、今後こんななまぬるいことをやっているのだったら、私は承知することができない。この問題に対してかくも対応がのろいという、ここに大きな重大問題があるということを御認識をいただきたい。特に外務省におかれては、この問題を担当局の問題であるというようなやり方でないように十分の御判断をいただきたい、こう思うのですが、いかがですか。
○伊達政府委員 お答え申し上げます。 先生の御指摘のとおり、この問題は外務省が安閑としていられる問題でないことは国民の利益を守るという意味からの外務省の任務からいたしまして当然のことでございます。今後ともこの点を留意いたしまして、せっかく努力いたしたいと思います。
○渡部(一)委員 申しわけないのですが、文化政策のことについてもたくさん申し上げることがございましたのですが、私は時間がありませんので、ベルギーとの文化協定にあたり一言だけちょっと申し上げておきたいと存じます。 いままでのわが国の文化協定を結ばれた諸国との間の海外広報予算並びに文化交流関係予算というものをはじいてみますと、おそるべき僅少でありまして、私はこのベルギーとの文化協定については、その内容については特に間然するところはないのでありますが、金額的にいって、これは広報事業などということばに該当しないような数字なのではないかという疑いを持っております。したがって、これを大幅に増加されないと、当協定は、サインはしたけれども、実質的に死んでいくという効果を持つ。 たとえていえば、今年度海外広報予算などというものはたった十五億である。一九%増しだなどというふうに御説明をこの前いただいたのですけれども、ビラ、パンフレットについても数百万部程度である。映画といえども数十本である。また国際交流のさまざまの催しといっても、それこそ一国、一カ所もない。人物招聘というのもわずか百人ぐらいである。アメリカ、ヨーロッパ等の予算と比べても極少である。ぎょうは一々資料を引いて申し上げる時間がありませんから、かためて一括して申し上げますが、こういう情けない事態を好んでおられるのかどうかお伺いしたい。 ベルギーとの文化協定というものは、ベルギー政府の切なる御要求があって交渉を開始されたということもありますが、四十四年に向こうから申し入れがあって、四十五年に交渉を開始して、四十八年五月ブラッセルで署名した旨の説明がございますが、四年間かかって交渉しておる。四年間かかって交渉して、こんなお粗末なものができた。というのはこの内容ではない。この中身のお金の問題がもうお粗末をきわめておる。 端的に伺いますが、ベルギー王国との間の文化交流事業その他に対して幾ら今年予算を使うつもりですか。百万円ですか、五十万円ですか、三十万円ですか。ですからこれは、私は実際笑い話だと言うのです。ものものしい協定で、中身が全然ない。これは私は審議する意欲を失うから申し上げておるのです。幾ら出しますか。まるでそこら辺にある中小企業がやっている広報予算より少ないのじゃないでしょうか。それをまず伺いたい。
○堀説明員 ただいま先生御指摘の十五億と申します予算額は、外務省の情報文化局海外広報課だけの予算でございます。そのほかに、外務省におきましても、私の文化事業部で所管しております国際交流基金の予算、それから外務省文化事業部が直轄しておる予算、これが本年度予算額では百七億二千五百万円となっております。ただし、この百七億というのは、御承知のとおり百億は出資金でございまして、その利子だけしか年間に使えませんから、それを省かなければいけないわけでございますので、実質的には二十九億三千八百万円でございます。 そのほかに、各国の文化交流の予算を比較いたします場合に、国によって予算の立て方が違いますので、日本の場合には、たとえば国費留学生の予算は文部省の予算になっております。それから科学技術者の交流に関しましては、やはり文部省の予算で学術振興会というのにやらしておるとかいろいろございます。それから科学技術庁もございますし、総理府の青少年交流の予算もございますので、これを全部ひっくるめますと、本年度の予算で百八十三億ぐらいになっております。 そこで、ベルギーとの文化交流に幾ら使っておるか、あるいはことし幾ら使う予定であるかという点に関しましては、私たちのこの文化交流事業は、一つの国とだけの金額を出すのは不可能といってもいいぐらいでございます。と申しますのは、たとえばベルギーに対しまして何かの絵画の展覧会を送るあるいは芸術舞踊団体を送るという場合にも必ず近所の数カ国を同時に訪問するというふうにいたしておりますので、一つの国だけを取り出すのは不可能であるので、その点御了承いただきたいと思います。
○渡部(一)委員 そんなことはないですよ。大まかには出ますよ。
○堀説明員 大まかにと申しましても、たとえば文楽だとかある展覧会を送ると数カ国でやりますので、それをどのように一カ国あたりに計算するか。旅費などでございますね。(渡部(一)委員「その分全部省いて幾らですか」と呼ぶ)省いてまいりますと、一カ国だけにはっきりとありますのは、これはきわめて少ないことになります。たとえば留学生ですと、ベルギーから何人国費留学生を呼んでおるか、これだけならばすぐ出ますけれども、それは文化交流の事業のほんの一部になるわけでございますから、その数字だけでもって非常に少ないとおっしゃっても実は困るわけでございます。 ただ、御指摘のとおり、文化交流予算が一般的にまだまだ拡充すべきであるということは私たちもそう考えておりますので、予算の要求にあたりましても今後とも御支援をお願いいたしたいと存じます。
○渡部(一)委員 それはもう説明するのも恥ずかしい数字ですから、それはそう言われるのもわかるけれども、その恥ずかしいところをちゃんとしゃべらなければふえないですよ。 じゃあ一つだけ聞きますよ。ベルギーで出した昨年度のパンフレットは何部ですか。これだけなら返事できるでしょう。どうぞ。
○堀説明員 パンフレットを出しますほうは、実は申しわけないのでございますが、私の所管ではなく情報文化局長の所管でございますが、ただいま課長が参っておりますけれども、その数字をいま持ち合わせていないということでございます。
○渡部(一)委員 ベルギーに昨年から何人留学生をとり、こっちから何人行きましたか。
○堀説明員 留学生の点につきましては、まず国費の留学生でございますが、ベルギーから四十七年、四十八年、それぞれ三名ずつ招聘いたしております。それからベルギー政府による留学生招聘は、年によりまして非常にばらつきがございまして、四十五年には六名というのもございますけれども、四十八年では一名になっております。
○渡部(一)委員 映画は何本向こうに出しましたか。
○堀説明員 映画につきましても、先ほど申しましたように、近隣諸国の巡回をいたしますので、ベルギーに関しましては、フランス語のフィルムはパリの大使館で劇映画のほうは預かっておりまして、ベルギーの大使館で使いたいというときにすぐ回すという仕組みになっております。それから劇映画でないいわゆる広報映画でございますが、これは大使館に配付いたしますので、ベルギーにございますわがほうの大使館には、昨年度四本配付いたしました。
○渡部(一)委員 いま言われている数字は、大日本政府の、少なくとも幹部の言われるべき数字とは思えないわけでありまして、兵庫県何とか郡何とか町役場助役の返事とひとしい。私はその意味で、文化協定、文化問題に対して、わが国の政府の態度というものは徹底的にだめだということは、いままで前後五年間にわたって指摘し通したとおりであります。ところが一向に直る気配がないのですね。この協定を結ぶのはけっこうですけれども、こうした形で羊頭狗肉というか、こけおどかしの協定が結ばれて、実体的には全然進まない、こうした事情について十分の御反省を仰ぎたい。 日本国とベルギー王国との間の協定でなくて、私とあなたの協定ぐらいの内容ですね。そんな二本とか三本とか映画をやって文化協定とは、とてもじゃないけれども納得できがたい。むだなんですね、こういう大きなものをものものしく結ぶ費用が。これを結ぶために五年間交渉した費用のほうが、おそらく今後数年間のベルギーとの間の交流の数字よりも多くなってしまう。そういう恥ずかしさをいまや十分お考えをいただきたい、こう思いますね。 ですから、おっしゃりにくいでしょうけれども、ひとつ今後は協定の本文とふさわしい内容になるように、全力をあげて取り組む旨意思表示をしていただきたいし、またそういう関係の方面に対してもそのように大いにがんばって、来年の予算期にはこんなみっともない答弁をしないで済むようにひとつがんばっていただきたいと思いますが、いかがですか。
○堀説明員 日本政府の文化交流に使います予算が非常に少ないということでございますが、なるほど過去におきましては非常に少のうございまして、最近文化交流の重要性が朝野の認識を得まして、逐次増加をしていただいておるわけでございます。ことしにつきましては、国際交流基金だけで申しますと、実質的に四五%の増額になっておりますので、このような率で伸びていけば、そのうちにそう恥ずかしくない文化交流もできるかと存じます。来年度以降の予算要求におきましても、できる限り全体の財源のワクの中におきまして、文化交流の予算が増加するように私たちとしても努力をいたしたいと存じますので、先ほど申し上げましたが、どうぞ御支援をお願い申し上げます。
○渡部(一)委員 この調子でいけば、百年ぐらいたてばずいぶんりっぱな予算になると私も思います。この割合でいけばですね。これは外務省として、文化関係予算の増強に関し情文局長もお考えのようでありますが、長期計画を立てられまして、たとえばここ五年なら五年のうちにアメリカ並みにするとか、三年以内にドイツ並みにするとか、二年以内にイギリス並みにするとか、せめてそういうような大きな目安でも立てられて、計画をつくり直されるおつもりはありませんか。
○堀説明員 ただいま情報文化局と文化事業部で広報と文化関係の予算を非常に増大するように、五年計画、十年計画というものを試算いたしております。ただ、まだ試算の結果は出ておりませんけれども、おっしゃいましたように数年計画を立てて、予算の増額に努力したいとただいま実際に検討を始めております。
○木村委員長 これにて両件に対する質疑は終了いたしました。 この際、暫時休憩いたします。 午後零時四十六分休憩 ————◇————— 午後一時二十七分開議
○木村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 日本国とベルギー王国との間の文化協定の締結について承認を求めるの件及び航空業務に関する日本国とギリシャ王国との間の協定の締結について承認を求めるの件、以上両件を議題といたします。 両件に対する質疑は先ほど終了いたしております。 これより両件について討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、順次採決いたします。 まず、日本国とベルギー王国との間の文化協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○木村委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。 次に、航空業務に関する日本国とギリシャ王国との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○木村委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。 おはかりいたします。 ただいま議決いたしました両件に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○木村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 ————◇—————
○木村委員長 国際情勢に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河上民雄君。
○河上委員 きょうは時間が参議院の関係あるいはその他の関係で短くなりましたので、手短に二つの問題についてお尋ねをしたいと思います。 韓国において逮捕せられました日本人留学生お二人の問題につきましては、先般当委員会におきまして同僚の土井たか子議員とともに私も質問いたしました。その後一向に進展を見ていないのでありますが、政府としてはどういう態度で臨んでおられるのか。もう静観のほか何の方法もないのでしょうか。さしあたり大使館員が二人に面会できるように強硬に申し入れをされたのか。また本人の御意向を何らかの方法でキャッチされたのか。いままでの経過につきまして少なくとも新聞紙面を通じて見るところ、どうも一向に進展してないし、また政府も何か静観する。前外務次官も行かれましたが、しかしまあどうしようもないという感じで帰ってこられたようでございますけれども、その点いかがでございますか。
○中江説明員 韓国で逮捕されております太刀川、早川の二人の取り調べその他についてのその後の進捗状況でございますけれども、先生のおっしゃいますように、すべてが理想的に進展しているというほどのことはございませんけれども、しかし最近顕著な動きといいますか、新しい局面がありましたと御報告できますことは、すでに一部新聞にも報道されておりますけれども、両人に対する弁護士の選任が終わりまして、太刀川さんにつきましては十五日に東京に残っておられます太刀川さんの御両親の意向をくんでソウルにおられます太刀川夫人が太倫基という弁護士と契約されまして、十六日、昨日その弁護士選任の手続を済まされまして、さっそく太刀川さんとの面会を申し入れておられます。これが一つ新しい事態かと思います。 他方、早川さんにつきましては、それに先立ちまして、九日に早川夫人が咸正鎬という名前の弁護士を選任されて、十日に同弁護士がソウルの拘置所に選任届けを提出されて早川氏との面会を申し入れられまして、十五日、一昨日約一時間面会された。 この弁護士の選任にあたりましては、申すまでもないことですけれども、東京の外務省も現地の大使館も側面からいろいろ御協力申し上げておったわけですが、大使館員が直接面会するということはまだ実現しない段階でございますが、これはもうおりに触れて申し入れておりましたけれども、韓国側の意向としてはまず弁護士の選任が終われば弁護士の面会ができるということでございますので、この弁護士の方たちを通じてのいろいろの直接本人からの話というものを踏まえながら、さらにできることは進めていきたい、こういう考え方でございます。
○河上委員 二人の韓国人弁護士が選任の手続が済んだことは一つの進展だと思いますけれども、しかし、いま外務省はその選任について側面から協力されたということでございますけれども、外務省プロパーとしての努力としてはまだ、先般私も指摘いたしましたウィーンの領事関係条約にもうたわれておるような、自国民が逮捕された場合に直ちに面会をするという、これは一般的な通則だと思いますけれども、それについてまだ実現をしていないようですけれども、一体これはどういう意味で韓国側はそれを拒否しておるというふうにお考えでございますか。
○中江説明員 その点につきましては、累次在韓わがほう大使館から面会の申し入れをして、その回答の督促を重ねておるわけですが、現在までのところ韓国側からの説明といたしましては、まず外務部、つまり外務省に当たります外務部のほうでは当然わがほうからの正式のルートによる申し入れでございますので、もちろん関係当局に働きかけているということはございますが、ただ韓国では、今回の事件のような保安関係の事件については、裁判が始まるまではなかなか面会がむずかしい、面会が許されないのが通例だ、こういう説明を受けております。他方先生御指摘のように、自国民に対する関心を持つべき在外公館といたしましては、引き続き直接早く面会が許されて、まず事実を明らかにしていきたい、こういうことで臨んでおります。
○河上委員 そのような御答弁でございますけれども、私はやはり裁判が始まる前に、当然面会すべきだと思うのですが、そういう方向でさらに一段の努力をしていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
○中江説明員 これは先生の御指摘を待つまでもなく、私どもとしては東京でもソウルでも重ねておりに触れて申し入れを続けていって、早く実現するように、こう期待しております。
○河上委員 外務大臣にまた重ねて伺って恐縮ですけれども、この前もできるだけ面会、弁護士の選任については努力するという明確なお答えがあったのでございますが、一日も早くこういうお二人の逮捕という問題についていま外務当局からお話がありましたけれども、もう少し高いレベルで韓国政府と交渉するというお考えはございませんですか。いまのところ、事務レベルで折衝しておられるようですけれども、もう少し高いレベルで接触されるおつもりはございませんか。
○中江説明員 ただいままで大使館員との面会について申し入れたレベルといたしましては、訓令に基づいて申し入れましたものももちろんでございますが、後宮大使から外務部長官に四月二十六日、四月二十九日と二度にわたって大使から外務大臣というレベルで申し入れております。そのほかはもちろん前田公使その他館員がおりに触れて申し入れている、こういうのがいままでのレベルの実情でございます。
○河上委員 大臣に一言でけっこうですが、もし非常にこじれたような場合は、やはりそういう手続を踏んでということも大事でございますけれども、もう少し大臣として直接こういう問題について要請をされるというようなお考えはいまのところございませんか。
○大平国務大臣 容疑事実を詳細に承知いたしたいということで、照会をいたしておるところでございまするし、いまお話がありましたように、弁護士をつけまして、本人との面会もお願いできておる段階でございまして、私といたしましては今後の推移を見ながら、なすべきことはしていかなければならぬと思っております。けれどもいまどういうことをやる予定であるかということを申し上げるには至っていないわけでございます。当初申し上げましたように、早期の解決という方針はくずしておりませんし、本人に対する人道的な取り扱いにつきましての配慮につきましては、周到な配慮を先方に要請いたしておるわけでございまするし、本件がこじれるというようなことがまずないようにしてまいることが当面の仕事でないかと考えております。
○河上委員 大臣、いま容疑事実を確かめてというようなおことばがちょっとあったのですが、これは最近出ております週刊現代の五月二十三日号でありますけれども、それによりますと、公安調査庁が太刀川さんの周辺を洗っているというように報道しているわけでございます。洗っているという表現が外務省、法務省、警察庁あたりからいえばあるいは不満かもしれませんけれども、要するにその記事によりますと、法務省の関東公安調査局第二部の安田一郎第一課長と公安調査庁の大野義雄調査官の二人が朝鮮総連との関連を確かめるために太刀川氏の周辺を調査したということになっておりますが、はたしてこういうような事実が実際にあったのかどうか、いかがでございますか。それぞれ関係の方から伺いたい。
○渡邊(次)政府委員 韓国で逮捕された太刀川君の問題につきまして、朝鮮総連に関係があるという報道がございましたので、その間の事情を明らかにするために一応の調査をいたしました。
○河上委員 そういたしますと、日本の機関というのは先方の通報に従って調査をするという作業を行なったわけですが、そうなりますと、かつての金大中事件がそうであったように、本来被害者であるはずの人が何かいろいろ調べられる。韓国側のいっておる容疑事実を確認する意味で調べられる。結果としてこういうようなことになってしまうのですね。つまり被害者がいつの間にか被疑者としての取り調べを受けるという事態を引き起こす。韓国の言い分をまるのみにいたしますと、そういうことになってしまう。これでは間接的にKCIAの仕事に協力するおそれがありはしないですか。こういうことはよほど慎重にすべきこしじゃないかと私は思うのです。 そうでなくても、いま異国の空に逮捕せられて、しかももう一月以上も消息がわからない。こういうような御家族あるいは友人のまわりにそういう公安関係の方があらわれるということ自体、これは非常に追い打ちをするようなかっこうになりはしないか。私はそういう意味でこういう行動は慎むべきではないかと思うのですが、いかがですか。
○渡邊(次)政府委員 KCIAの依頼によって調査したのではないかというようなお尋ねでございますが、そういうような事実は全然ございません。今回の調査は当庁独自でやった調査でございます。朝鮮総連は当庁の調査対象団体に指定されておりますので、その朝鮮総連の活動を調査するための一環として調査する必要があると考えて調査したわけでございます。
○河上委員 あなたのほうは何か当然の仕事をやるような顔をして御答弁なすっておられますけれども、今度逮捕せられたお二人あるいはその家族や友人にとってはたいへんな仕打ちになるのであります。 この前も私、本委員会において手島書記官が四月十二日に会見をしておるそのときの模様についてお尋ねいたしましたところ、政府のほうからいろいろ御報告がありました。しかし、その接触の内容というのは、御答弁を通じて伺う限りは、韓国側のいう容疑事実が実際にあったかなかったかということを一々聞いているのであって、御本人の健康状態がどうであったとかあるいは御本人はどうしてほしいといま考えているかとか、そういう御希望みたいなものは全く御報告がなかったのです。 韓国がこういっていることは、確かに本人に聞いてみたらそのとおりだったというような御報告でして、手島さんが警察庁出向の大使館員であるからということにそう強くこだわるつもりはないのですけれども、どうもただ仕事熱心で、いま本来何が大事かということを見落としていらっしゃるような気がして非常に残念なんでございますが、こういうことは当然やるのだからということでは、決してKCIAの依頼でやったのではないといいますけれども、間接的に向こうとしては、KCIAが調べていることを日本に調べてもらったという感じになりはしないか。そういう意味で、もっと本人二人の安全とかそういうことに熱意がいくべきじゃないか、私はその点を強く申し上げたいのです。 ここをあまり押し問答しても時間がなくなるばかりですからあれでございますが、ただ、いまはっきりしたことは、確かに朝鮮総連は公安調査庁の調査団体に指定されているので、それに関連した事件が起こった限りはちゃんと調査するのだ、こういうことだけは、私いまの御答弁ではっきりしたと思うのです。ただ、それはおたくのほうの仕事のワク組みでなさっていることかもしれませんけれども、日韓関係全体から見ますると、あるいはおたくの望んでいることとは違って、何か連係動作をしているような感じになりはしないか、私はその点を強く皆さんに御注意申し上げたいと思うのです。 最後に、この問題についてもう一度お伺いしたいのでございますが、お二人の健康状態あるいはお二人が御家族についてあるいはその他この問題について日本政府あるいは日本側の方にどういうことを希望しておられるか、関係者にどういう希望を伝達してこられておるか、非常に乏しいチャンネルしかないわけですけれども、いままで政府でおわかりになっていることを本委員会に御報告いただきたいと思うのです。
○中江説明員 太刀川、早川の二人が正式に逮捕に至る以前の段階で手島書記官が現地で面会しましたときには、いま先生がお示しになりましたような本人の健康とか本人の希望というようなことにも当然話があったわけでございまして、健康については特に異状は認められないというか元気そうであったということと、当時における御本人の希望としては、日本に残っております両親にあまり心配をかけたくないので、留守家族への連絡は見合わせてもらいたいという希望があった。在韓日本大使館としてはその希望に沿って措置をしておる途中で、例の発表があって逮捕というふうに段階が進んだ、こういう経韓がまずございます。その後、最近は、先ほど来の御説明で申し上げましたように、館員との直接の面会は実現しておりませんけれども、早川さんとの間では、選任されました弁護士の方が面会されまして、その面会の結果として、その弁護士の話しておられるところでは、まず弁護士のほうから早川さんをごらんになったところでは健康そうだ。他方御本人も、自分は健康状態はいい、こういうふうに言っておられた。 それから近くおめでたを待っておられると伝えられております御夫人の近況についても非常に関心を持っておられた。その御夫人に対しては自分は健康にやっているから心配しないように伝えてもらいたいという話があって、これを伝えたということもございます。 それからその面会の状態は、これは全く自由に、拘束された状態でなくて、肉体的に自由な状態で、拘置所の職員は立ち会ってはいたのですけれども、本人は自由な状態で面会を続けることができた。それから御本人は、拷問を受けたようなことはない、こういうふうに言っておられたということでございまして、太刀川さんのほうも、近く弁護士との面会が実現するのを期待しているわけでございます。
○河上委員 あまり時間がないようでございますので、最後に、いまお二人がおられる場所をもう一度ここで正確に報告していただきたい。
○中江説明員 両人ともソウル拘置所におられるということでございます。
○河上委員 もう時間があまりないようでございまして、本日ベルギーとの文化協定の承認について質疑がございましたのですが、私はそれに関連して、日本の将来にとって非常に重要だと思います留学生の問題を、少し時間をいただいて、大平外務大臣あるいは文部省の関係の方と論議さしていただきたいと思ったのですが、質問を留保して、この次の機会をいただいて少しじっくりやりたいと思います。しかし、せっかく大臣来ておられますので、一言だけそれについて大臣のお考えを承って、終わりにいたしたいと思います。 いまわが国に来ております留学生は、国費留学生と私費留学生があるわけです。それは御承知と思うのでございますけれども、先般、東京YWCA留学生問題を考える会というのが「留学生は訴える」と題して報告書を発表いたしました。新聞にもその要旨が報道されておりまして、本来政府がやるべき仕事を、留学生の心の中まで分け入って取り上げて調査したものだということで高く評価されておりますが、私、それを拝見いたしまして、国費留学生と私費留学生の問題が留学生全体の問題の中で一つの大きなポイントになっているということを感ずるわけです。 非常につまんないことでありますけれども、国費留学生にはシーツの洗濯代まで国費で支給されております。しかし同じ場所にいる私費留学生についてはそういうものがない。そこまで国費留学生についてやることがいいのかどうかいろいろ問題もありますし、また国費と私費との差別待遇というものも非常に問題になるわけです。 私はここで、国費、私費の区別をそういうような形でするのがよいのか、それとも、育英会というものがあって日本の学生のアプライした人に学資を与える奨学金制度がございますけれども、国費、私費という区別ではなくて、国費留学生には、いまのようにまるがかえで受け入れるかわりに拘束も非常にきびしくするというのではなくて、むしろいまのような形で奨学金を与えて、あとは自由にする。むしろ宿舎の問題、健康保険の問題、厚生関係の問題そういうようなのは留学生全体として考えてやるというような、何かいままでとは違った形をやらないと、留学生問題そのものとして、日本に楽しい思い出を持たずに恨みを持って帰る、あるいは国費と私費の間に一種の差別感、対立感が起こるという将来非常に憂うべき事態になると思うのでございます。 ほかにいろいろ伺いたいことがあるのでございますけれども、大臣にこういうことをお尋ねするのはどうかと思いますが、非常に基本的なことですので、一言だけ伺って、あとのことは次回に留保して、私は質問を終わりたいと思うのです。
○大平国務大臣 いま、国費留学生と私費留学生に対する待遇の問題についての御指摘でございましたが、私もそういう問題意識は前々から持っておりまして、わが国に国立大学と私立大学がある。いずれも有為な人材を養成するわけでございますけれども、国立大学の場合には、国費の投入の度合いが比べものにならぬほど多い。私立の場合はそうじゃない。しかし福澤先生、大隈先生のように、教育は権力から独立した形でやるほうがいいんだということで、慶応とか早稲田とかいうような名門をつくられた。それはそれなりに日本の歴史の形成に大きな役割りを果たされたと思うのであります。公平というような観点から考えますと、教育予算全体を公平に分けたほうがいいわけでございますが、そういう経過をたどってきたものを一体どのように直していくかということでございます。 政府においても逐次、私学補助金というようなものをつくりまして、また、いまあなたの御指摘の育英会制度というようなものを通じまして、補完的に、公私の別を問わず援助するということもやっておるわけでございます。限られた財源を公平に分配するとなりますと、いままで厚くもらっておったものがいわば既得権を侵害されることになりますので、それ自体容易でないことと思うのでございますけれども、といって、いまのままの状態でよろしいのだということで割り切っていいかというと、それにはやはり河上さんが言われるような問題意識を私も同様に持つわけでございます。 したがって、現実の留学生対策といたしましても、いままで国費でお預かりをいたしておった者とボランタリーな私費留学生との間がこういうままでいいと私は考えませんので、これをどのように補完的に漸次私費留学生につきましても配慮していくか、国費留学生につきまして正すべきものはどういう点を正したらいいか、そういう点につきまして絶えず検討を加えていかなければならぬのではないかと考えております。 しかし、具体的にどうするのだという答えをいま私は用意しておるわけじゃございませんけれども、申し上げたいことは、われわれは過去を背負っておるということを忘れてはならない。しかし、過去から引き続きました制度をそのまま踏襲していいとも考えていないわけでございます。過去を背負いながら漸次改善の方途を探求していかなければならぬと考えておるわけでございまして、いま御提起になりました問題につきましては、私どもそういう観点から将来とも鋭意検討をさせていただきたいと思います。
○木村委員長 この際、暫時休憩いたします。 午後二時休憩 ————◇————— 午後四時二分開議
○木村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。土井たか子君。
○土井委員 実は午前中、航空業務に関する日本国とギリシャ王国との間の協定について質問をいたします節、御出席予定でございました航空局長が、ただいまここに御出席でございますので、特にその節聞かなければならなかったことがありますので、ただいま一問でございますけれども、質問させていただきたいと私は思うのです。 実は、これはギリシャ王国との間の国際線についてだけ問題になるのではなしに、国際線に就航いたしております航空企業並びに路線、それについても関係があるわけでございますが、現在国際線を利用する旅行者から航空機の燃料税は徴収をされておりません。したがいまして、いま国際線についていうならば、特に私なんかは伊丹空港というのを非常に意識するわけでありますけれども、大型機である、ジェット機であるということで騒音対策という点からいうと、やはり国際線に就航している飛行機というのは、ないがしろにできない存在なんですね。 そういう点からすると、航空燃料税というものを徴収できないことから、何らかの形において騒音対策のための費用というのを捻出することができないかとあれこれ考えられているわけでございまして、たとえばアメリカなんかでは、出国する人に対して一人当たり三ドル、空港税というふうに一般的に呼ばれているわけでありますが、それを徴収しているようであります。 そこで、いろいろ運輸省とされましても、こういう出国税となるかどうかわかりませんけれども、何らか御検討中であるというふうに私、考えますものですから、この点、今後国際線についてどういうふうな態度で臨まれる御用意がおありになるか、その辺を実は聞かせていただきたかったわけです。いかがですか。
○寺井政府委員 先生御指摘のように、航空燃料税というものを徴収いたしまして、これを騒音対策に充てておるわけでございますが、国際線につきましては、協定上こういった種類の税を相互に免除するというたてまえになっておりまして、国際線の航空機から燃料税を実は取っておらない。 そこで同じ音を出す飛行機でありながらそういう負担をしないのは少し不公平ではないかという御意見が、特に成田周辺あるいは伊丹周辺から出ておるわけでございまして、私どもといたしましては、この騒音対策という観点から、何らかこうしたものを——騒音料と申しますか、そういったものを負担していただくのが筋であるという考え方を持っておりまして、この騒音対策の経費を、騒音という観点からエアラインなり何なりに負担していただこうということで、目下いろいろ検討いたしております。 ただいま先生御指摘の出国税というような考え方もあるわけでございますが、こういう形でそれが取れるのかどうか、まだこれは目下検討中で結論は出ておりません。しかしながら、来年度予算を目ざしまして、何らかこういう手当てをする必要があるということで、現在部内で検討の段階でございます。ある程度成案ができましたら、財政当局とも打ち合わせまして、そういうものの実現をはかりたいと考えております。
○土井委員 成案ができた段階で、それじゃ当委員会の委員長を通じて、ひとつその具体的な中身についての資料ですね、いただけますでしょうか。いかがです。
○寺井政府委員 当委員会が適当であるのかどうか、私、よくわかりませんけれども、むしろ運輸委員会あるいは公害対策等いろいろございますので、そのほうとも十分御相談をさしていただきますが、当委員会にもしかるべく御連絡申し上げたいと思います。
○土井委員 それは当委員会については、航空業務に関する協定を結ぶのが当外務委員会でのやはり問題になってまいりますから、したがいまして、一つ一つのこの協定の中において、いまの航空燃料税の問題については、これを免除するというようなことは問題になるわけですので、したがいまして、当委員会が適当であるかどうかということをおっしゃらずに、ひとつ当委員会に対して提示を賜わりますようにお願いいたします。いかがですか。
○寺井政府委員 本件につきましては、当委員会の御判断におまかせしたいと思います。
○土井委員 いまの件、お願いします。
○木村委員長 後刻理事会で……。
○土井委員 それでは以上、一問です。
○木村委員長 紺野与次郎君。
○紺野委員 沖繩のVOAの問題ですね、これについてお聞きしたいと思います。 VOAは、沖繩協定で五年間の存続を一応認めたけれども、二年後に協議をする、そして五年以内にこれを撤去するように具体的な協議を行なうということになっておりましたけれども、ちょうどいま二年目であります。いっこの日米協議が行なわれたかということと、仄聞するに、どうも食い違いがあったのではないかということが言われておりますので、この点について説明をしていただきたいと思います。
○大河原(良)政府委員 沖繩にありますVOAの運営の問題につきましては、沖繩返還協定第八条の規定によりまして処理されることになっております。第八条の中に、沖繩返還協定が効力を発生して後、二年後に将来の沖繩におけるVOAの運営について協議に入るという規定がございますので、この五月の七日及び八日、この二日、外務省におきまして、米側との間に協議を行ないました。 この協議におきまして、日本側は返還協定の規定に従ってなるべくすみやかに、おそくとも五年以内にはVOAが沖繩から撤去されるべきものである、こういう立場を述べたわけであります。これに対しまして、米側は、VOAの放送そのものはニュース等を主体とした教育的あるいは文化的な内容なものであって、挑発的な要素は持っておらない。したがって、米側の考えとしては、VOAの放送というものはきわめて意義のあるものである、こういうふうに考えている。またVOAの放送が向けられております地域あるいは諸国からは米側として特別の異議に接したことはない。こういう事情をるる説明し、述べたところがあったわけでございますが、日本側といたしましては、ただいま申し上げましたような基本的な立場を述べまして、米側として日本側の立場を十分本国政府に報告するということを約して、今回の協議を終わったわけであります。
○紺野委員 日本の電波法では、外国の放送を許しておりませんね。沖繩協定当時にも佐藤元首相が、VOAの内容のいかんにかかわらず、それは許せないものである。したがって、特例中の特例として期限を切って五年間存続は認めるけれども ということでこれを延ばしたと思いますけれども、二年後にそれを具体的に五年以内に撤去できるように話を詰めるということで協議を設定したと思います。大体、この五年間が、そういう意味では延ばしたということ自体がやはり日本の主権を曲げに曲げて、できないものを曲げて、そうしてやったという点では、私は屈辱的なものだと思うのですね。 そういうことで、当局としてはあくまでもこの五年後の居直りは許せないという立場で強い態度でやはり今後とも交渉するのかどうか、この点についてまずお聞きしたいと思います。
○大河原(良)政府委員 沖繩返還交渉の中の一つの大きな、またむずかしい交渉の問題がVOAであったわけでございますが、種々折衝の結果、協定第八条に規定されておりますような措置が日米間で合意を見たわけでございます。したがいまして、日本側といたしましては、この規定に従った措置が適正にとられるべきであるという基本的な考え方をもってこの問題に対処してまいりましたし、五月七日、八日の協議におきましても、その基本的な立場を米側に説明し主張したわけでございます。したがいまして、今後ともその基本的立場に立ってこの問題の折衝に当たっていく考えであります。
○紺野委員 アメリカはどう言ったのですか、それに対して。これはいいものであるということをただ言ったわけじゃないでしょう。五年後にどうするか、その点についてどう言いましたか。
○大河原(良)政府委員 VOAの放送に関する米側の考え方は先ほど御説明申し上げたとおりであります。しかし、米側といたしましては、日本側の基本的な立場に対する説明を本国政府に十分報告するということを約したわけであるわけでございます。 ただ、日本側といたしましては、この協議におきまして米側が今後どういうふうな具体的な方法なりやり方でVOAの将来の運営を返還協定の規定に従って措置していくか、その具体的な点をもう少し知りたいと思ったわけでありますけれども、いまの段階で米側はまだそれを日本側に説明する用意ができておらないということであったわけであります。
○紺野委員 七一年のこの第八条に関する合意議事録によりますと、いわゆる五年後になってもまだ返らないというふうなことが起こり得る点については、いゆわる予想されない事情に基づいてということを言っていると思いますけれども、その予想されない事情ということで五年以後も−予想されないことがどういうことかといえば、結局地震とか火事とかそういう天災地変というか、これによって代替施設が五年の期日に間に合わないというふうな場合には、これを例外的にその間、回復するまで継続するということを言われていると思うのですが、これはどうですか。この合意議事録というものはそういうふうに、いわゆる予見されない事情に基づいてということがどういう内容を持っているのか、それをちょっと聞きたいと思います。
○大河原(良)政府委員 返還協定第八条に関する合意議事録がございますが、その合意議事録の内容といたしまして、「ヴォイス・オヴ・アメリカの日本国外への移転の場合において、予見されない事情により代替施設が同条にいう五年の期間内に完成されないことが明らかとなったときは、」ということがございまして、そういう場合には日本政府は五年の後にも代替施設の完成までの間、VOAの運営継続の必要性に関して十分の認識を払う用意があるということを記録してございます。 ここの「予見されない事情」ということにつきまして、沖繩国会当時以来、政府が国会で御答弁申し上げておりますのは、まさにどういう事態、事情が起きるか予見されないので、こういう場合が予見されない事情であるということを明確に規定することはむずかしいけれども、一般的に申すならば、ただいま御指摘がございましたように、地震であるとか大火であるとかそういう天災地変等、いまの状況においては予見されない事情が発生した場合に考慮する、こういう趣旨のものであるというふうに御説明いたしております。政府といたしましては、「予見されない事情」というものはそういうふうに解釈しているわけでございます。
○紺野委員 その場合に、たとえば土地がめっからないとか土地が買えないとか、そういうことはこれは意味しておらないということをはっきり、その当時の井川条約局長は言っていると思います。したがって、米軍がいまさら土地がないとか代替地がないとか、ここしか天涯孤独、実はないんだというふうなことは言わせない、つまりそういうはっきりした態度で米軍のほうにも、アメリカ当局に対しても、そのことを今度の場合はっきり言ったのですか。それ以外には、やはりこの合意協定に基づいて五年後には撤退してもらわなければいけないということですね、こういうことも含めて言っているかどうか。
○大河原(良)政府委員 合意議事録にございます「予見されない事情」というのは天災地変等であるということは、日本側が国会で明らかにしているだけでなくして、米側に対してもそのことを言ってきているわけでございますし、また今回の協議におきましても、日本側といたしましては「予見されない事情」というのは天災地変等、こういうものをさしているのであるという解釈を米側にはっきり伝えてございます。いずれにいたしましても、日本側といたしましては、先ほど御答弁申し上げましたような基本的な立場に立ってこの問題に対処していくという考えでございます。
○紺野委員 そういう点からいえば、米軍がもし、にもかかわらずあくまでも五年後も居残るという態度をとるならば、それはやはり居残りの論理でありまして、強盗の論理と同じで居残りの論理、無期限に日本でそういうところを確保してやっていこうということになると思うのです。 ですから、それについては私たちは絶対反対でありまして、現に沖繩のほうでもVOAについてはもう即刻退去させなければならぬ、基地公害ということがいわれておりますね。現にこの桃原部落等々では金属制の物干しざおが火花を突然出すとか、あるいは突然外国の歌が日本のテレビでうなりだすというふうなこともあるといわれております。こういうふうな基地公害がVOAを中心として起きているということ、こういうことをよく知っているかどうかということ。それからVOAは一体どれくらいの出力を持っているのか。非常に強力な出力を持ってやっているのではないかということをお聞きしたいと思うのです。
○大河原(良)政府委員 いま御指摘ありましたような地元民に対する電波障害の問題につきましては、かつてそういう話があったのを私ども承知しております。しかし、その後これに対する措置がとられまして、いまのような地元の方々がVOAの運営に関連いたしまして危険を感じる、あるいは電波の著しい障害を感じているということはなくなっているというふうに承知いたしております。 それから出力の問題でございますが、千百七十八キロサイクルの中波を使っているということは私記憶してございますが、具体的な出力についてはただいま資料を持ち合わせておりませんので調べさせていただきたいと思います。
○紺野委員 この強力な出力は、結局アジアにおける電波の強力な妨害をやはりやっているのじゃないか。放送するだけじゃなくていろいろの地方から来る平和的な通常の放送とか電波を妨害しているということ。そして実際VOAは、先ほど内容がいいとかなんとか言っているけれども、一般の認めるところはソ連、中国、朝鮮民主主義人民共和国等々の社会主義諸国に対する謀略的な反共的な強力な放送基地である。そしてまたアジアの電波を妨害しているというようなもので、やはりわれわれは五年以内に絶対に撤退させなければいけない内容を持っていると思うのです。こういう内容についてのお考えはどうですか。
○大河原(良)政府委員 放送内容につきましては、沖繩返還当時以来の経緯にかんがみまして、郵政省のほうでこれを傍受し、その傍受記録を外務省のほうで内容を調べております。内容を調べております限りにおきまして、放送内容は主としてニュースであり、それに音楽が伴っているというものであるわけでございます。
○紺野委員 それから、この経営者はニクソン大統領のおじさんだか何か親戚ですね、そういう方が経営者に参加しているというふうなことはどうですか。
○大河原(良)政府委員 その点は事実関係で若干混乱がおありのように見受けられます。VOAはアメリカの広報庁の主管する政府の中継局でございまして、ニクソン大統領の親戚云々というのは、これは全く別の放送機関でございます。
○紺野委員 それはどういう放送です。
○大河原(良)政府委員 沖繩の復帰前に極東放送というものがございまして、これがただいま御指摘のあったような人によって運営されておった、こういうことがあります。
○紺野委員 だから、そういうものと一体となってやはり沖繩のVOAは大きな電波システムというかそういうアメリカの世界戦略の一貫としてやられていると思うのです。そういう点で外務省のつかみ方はやはり非常に実務的で、政治的ないろいろの危険な内容というものを捨象して、そして実際上ことさらに美化していると思うのですね。こんな電波法で禁止されておるものは、やはりもっときびしく追及して、そうして五年以内には撤退させるという強力な交渉をやっぱりしなければならないと思います。 もう一つお聞きしたいのは、VOAがかりに移転する場合の予算、お金ですね、これは日本がそういうものを分担するというふうなことをそういう場合にアメリカが言うかもしれませんね。そういうことについては、国内では基地のいろんな移転の問題について金を出しているという実例がありますけれども、VOAについては金のほうも日本が負担せよというふうなことを言ってくる危険がないかということと、そういう場合に金を出すというふうなそういう態度を絶対とるべきでないと思いますが、どうですか。
○大河原(良)政府委員 沖繩返還協定において日本政府がアメリカ政府に対して約束いたしましたのは、五年間に限って暫定的にVOAの運営を許可するということでございまして、そのあとやめるのか移すのかということはこれは米側の問題でございます。したがいまして、日本側は米側がVOAをよその場所に移転する場合の費用については何のかかわり合いもありません。
○紺野委員 結局アメリカは今後五年、つまりあと三年ですけれども、その間にいろいろの口実を設けて延ばそうというふうにしてくる感触が明らかに出ていると思います。新聞でもすでにそういうことは報道されております。したがって、これについてはあくまでも日本の主権を守るという立場で、特に電波法は外国の放送を認めておらないわけですから、そういう点で強力にその点での交渉を重ねてやっていただきたいということと、いっこの次にそういう協議が行なわれるのか、これを聞かしていただきたいと思います。
○大河原(良)政府委員 先ほど来御答弁申し上げておりますように、交渉に臨むにあたっての日本側の基本的態度は全く変わりないところでございます。ただ、今後いつどういう形で次の協議をやるかということにつきましては、まだ具体的なことを米側と詰めておりませんので、御説明できる状況に至っておりません。
○紺野委員 それでは私はだめだと思うのですね。向こうに言われてそして何にも具体的な話が進まないままに無期延期で次の協議もしないということでは、全くこれはていさいのいいアメリカべったりだと私思います。そういう点で具体的にいつアメリカに対して交渉を持つということをやはりやるべきだと思いますけれども、これはどうします。やりませんか。やってもらいたいと思うのです。そうしなければ、やっぱりいまのままでは、やる意思がない、非常に弱腰であるというふうに判断せざるを得ないと思います。
○大河原(良)政府委員 返還協定によって五年間を限ってVOAの運営を認めたものである、したがって、五年の期間なるべくすみやかに、おそくとも規定に従って五年以内には撤去すべきであるというのが日本側の基本的態度でございますから、この立場を変えることはございません。ただ、具体的な協議の進め方につきましては米側とも調整を要する点でございますので、この次にいつどういうかっこうでやるかということはまだきまっておらないということでございます。 しかしながら、交渉にあたっての基本的な立場を変えるという考えは毛頭ございません。
○紺野委員 では最後に、やはり交渉を引き続いてやるということを強く要望して、私の質問を終わります。
○木村委員長 大久保直彦君。
○大久保(直)委員 早川、太刀川両君の韓国におきます逮捕問題について、大臣に二、三お伺いをいたしたいと思います。 初めに、この問題は、事の経過並びに性質上、国民が納得できる解決を、しかも可及的すみやかな解決を求めておるわけでございますが、問題が発生いたしましてから今日までかなり時間も経過をいたしてまいりましたし、また新しい事態の進展等もございます。そういう経過を踏まえて、現時点でどのようにごらんになっておられるか、まず大臣の所見を伺っておきたいと思います。
○中江説明員 早川、太刀川両氏の逮捕事件につきましては、先生もおっしゃいましたように、この事件が公正に迅速に解決されることを期待いたしまして、外交上のルートを通じましていろいろの折衝を行なってきていることは、累次御報告しているとおりでございますけれども、現在までのところ、完全にいろいろのものが解明されたというところまではまだ至っておりませんけれども、最近、太刀川、早川両氏に弁護士の選任が行なわれまして、弁護士については本人との面会が許されるというふうに事態が進んでおります。 政府といたしましては、容疑事実の内容についてさらに詳細な報告を受けたいという要請、さらに大使館員が、自国民の保護という見地から、当該二人の日本人に面会することのできるようにという申し入れ、これを繰り返し強く申し入れて、迅速な解決に側面的に尽力していきたい、こう思っておる次第でございます。
○大久保(直)委員 ただいま御答弁にもありましたように、現時点におきます国民の最大の関心といいますか問題意識は、両君が不当な取り扱いを受けているのではないか、または健康状態はどうなんだろうかということだと思います。また、ただいま御答弁がありましたように、政府の側面的な応援によって、担当弁護士が選任されまして、その弁護士が両君に直接面会をすることができたということでございますが、その直接両君に面会をした結果の何か報告が、また連絡が来ているかと思いますが、その選任された弁護士の方が両君に直接会った様子等を、もし発表できるものがあれば伺っておきたいと思います。
○中江説明員 当該お二人の方の弁護人の選任は、時期的には同時でございませんで、最初にまず早川さんについての弁護士は、咸正鎬という方が九日の夕方選任されまして、十日にソウル拘置所に選任届けをお出しになりまして、面会を即刻申し入れられましたところ、一昨日十五日、約一時間、咸正鎬弁護士が早川さんと面会した、こういうことでございます。 その面会の際の内容につきましては、現地でこの弁護士の方が記者会見をしてある程度報告しておられますが、まずいま先生の御心配になっておりました健康状態につきましては、弁護士が見かけたところ元気そうに見えたし、また早川さん自身も、健康状態は良好だ、こういうふうに言っておったそうでございます。それから家族関係のことでいろいろお話をした中で、早川夫人から、最近の状況をメモにしたものを渡してくれと弁護士は頼まれておられて、そのメモを渡しまして、早川氏は非常に夫人のメモを読んで喜んで、ぜひ自分は元気にやっているので心配しないように夫人に伝えてくれ、こういうふうに弁護士に依頼した、こういうふうになっております。 面会が行なわれましたのは拘置所の中でありますけれども、拘置所の職員が立ち会ってはいましたものの、本人は何の拘束もなく自由な姿で面会に応じていた。その間、いままでの取り調べで拷問を受けたというようなことは全くなかったということでございます。弁護士といたしましては、また再び早い機会に面会ができるようにということを申し入れております。 この早川さんと弁護士との面会の中で、半分以上は家族のことでいろいろお話し合いがあったわけですが、したがいまして、容疑事実について深い話をする時間はあまりなかったし、またその中でも、弁護活動に支障のあるようなことはいまからなかなか言いにくいということで、具体的内容は弁護士も話しておられませんけれども、ただ、容疑事実として韓国側が発表しております中の韓国の学生指導者といわれている人たちとは太刀川さんと二人で昨年の末から数回会って話をしたという程度のことは話をしておられたようだ、こういうことでございます。 他方、太刀川さんのほうは、弁護人の選定が、東京におられます御両親との連絡その他で手間どっておりまして、ソウルの日本大使館も中に入っていろいろ御協力申し上げておったのですが、多少おくれまして十五日に太倫基という弁護士と太刀川夫人が契約されまして、昨日十六日に選任手続を済ませられまして、即刻太刀川さんとの面会を申し入れられました。 その後入りました情報によりますと、早川さんのときは、十日に面会を申し入れられて十五日に面会されたのですが、太刀川さんの場合は、昨日選任手続を済ませられまして面会を申し入れられましたところ、きょうの午後五時にさっそく太刀川さんと面会ができるということになりました。したがいまして、私どもは、この太弁護士がきょうの五時に予定どおり太刀川さんと面会ができて、健康状態その他いままで私どもが知りたかったことについてある程度最近の情報が聞かせられるのではないかと期待している、こういうことで ございます。
○大久保(直)委員 先ほどの容疑事項の中に、日本の朝鮮総連の秘密組織員であり、そこからまた指示を受けて云々という一項目がございますのですが、この件については、関東公安調査局が独自の立場でいろいろ調査を進められたやに伺っておりますが、その調査の結果につきましても、外務省当局にも当然結果の報告があったと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。
○中江説明員 いろいろ伝えられております容疑事実の詳細について追加説明を要求しております次第ですが、残念ながらいままでのところ、この前の中間報告以上のものはないわけでございます。 ただ、朝鮮総連との関係あるいは日本共産党員であったのではないかというような点につきましては、これは初期の段階でございますけれども、二十五日の韓国中央情報部の発表の中に言及されておりました次第で、これについて韓国側から日本にこれはどうかという捜査協力のようなものは全くございませんでしたわけですけれども、私どもといたしましては、そういうことの事実はどういうことであろうかということで、韓国側の発表を見まして、すぐに独自に日本側で捜査当局のほうに二十五日に照会して記録を調べていただいたわけでございますが、そういう事実はないという返事をいただきましたものですから、二十六日には韓国側にその旨通報しております。早川さんと日本共産党との関係につきましては、別途日本共産党本部に照会いたしまして、これは二十五日に金子満広委員が御発表になったとおりの経緯がございます。
○大久保(直)委員 邦人の人権を擁護する意味におきましても、わが国政府が積極的な役割りを果たすことは当然でございますけれども、一番この問題で何とも残念でならないことは、もっと早期に日本の大使館の方が直接早川、太刀川両氏に面会を申し入れ、それが実現できないことであると思います。私は、観光ビザで韓国に行かれた両氏に対して、いろいろ韓国側の一方的な発言を待っているだけではなくて、日本国政府としましても、責任のある大使館の書記官なりまたは参事官なりまた大使が直接両君に会って、事の真相を一日も早く明らかにすることが、わが国政府が外交上とる最も確実な、そして問題を解決する方法ではないか、このように思っておるわけでございます。 この点については再三督促をしておられるというように先ほど御答弁もございましたけれども、重ねて、この督促がなかなか実現しないことについて、もし御意見があれば伺っておきたいと思います。
○中江説明員 これはすでに初期の段階で御報告があったと思うのでございますけれども、最初にこの二人の日本人が連行されました事実を知りましてから、数日後の四月十二日に大使館員が両名と直接面会したことが一回ございます。その時点ではまだ逮捕に踏み切らない前の状態でございまして、そのときに、大体当時における被疑事実の大筋をお二人とも肯定されて、同時に、そのころは早期釈放が期待されておる段階でございまして、特にいますぐに日本の留守宅に連絡をしたりして無用の心配をかけないでほしいという希望がございまして、その線で現地の大使館は早期釈放を期待しながら、韓国側の処置を見守っておった。そして早期釈放を強く要求しておりましたその間に、新しい容疑事実が判明したということで逮捕に踏み切って現状に至ったわけでございます。 韓国側の説明によりますと、こういった治安案件につきましては、裁判に入るまでは通常面会を認めないことになっているということでございますけれども、これは韓国から見まして外国人で賜る日本人にかかわる事件でございますので、われわれ外務当局といたしましては、それにもかかわらず、できるだけ直接面会して確めて、間違いのない取り扱いと迅速な解決を期待したい、こう思っておるわけでございます。 特に四月二十六日には後宮大使が金東作外務大臣に対しまして、この二人の日本人が拘禁されているものとして適正な保護を受け、かつ正当な件利が与えられるようにということを、正式に外交チャネルでの最高レベルで申し入れまして、これに対しまして金外務大臣は、国際慣行に基づいた配慮を与えなければならぬということはよく了承しているという返事をし、その後、いま先生も御心配になっておられました日常生活についての衣食住の問題ですが、四月二十七日以降、つまりソウルの拘置所に身柄が移されましてから以降ひんぱんに、二、三日おきくらいに食べものと着がえの差し入れが行なわれております。
○大久保(直)委員 弁護士が選任されたということは当然のことではありますけれども、しかるに、重ねて申し上げれば、やはり自国民の人権を真に保護するという立場からは、何としても早急な大使館員の直接的な両氏に対する面接が実現してしかるべきではないか、このように思います。 ウィーン条約によれば当然そのような権利規定もあるわけでございますから、わが国、韓国、両国ともウィーン条約には加盟していないとはいえ、御承知のようにウィーン条約そのものは従来の国際慣例を整理して条文化したものでございますから、日韓両国の友好関係を考えれば、加盟、非加盟にかかわらず、当然そのような主張はなされてしかるべきであり、また当然そのような措置が実現してしかるべき筋合いのものだと思いますので、この件につきましては重ねて強く要請され、また両君に対する日本大使館の直接の接触が実現できるように御努力願いたいことを強く要請しておきたいと思います。 それから、この問題に関連してかどうかはさだかでございませんが、過日、新聞報道によりますと、朝鮮民主主義人民共和国のスパイが在留邦人に対しテロ活動が活発になっておるというようなことの通告がわが国にあったというような報道がございましたが、こういう通告を正式に外務省としては受けておられるのでしょうか。
○中江説明員 これは去る八日の日に、在韓日本大使館が韓国政府筋から内報としてこの情報を受けております。
○大久保(直)委員 それが事実であるならば、正式な通告内容というものを明らかにしていただきたいと思いますが、どうですか。大体私が申し上げたような趣旨ですか。
○中江説明員 内報でございまして、必ずしもきちんと文書になって、これがすべてであるというわけでございませんけれども、詳しく新聞報道に、も出ておりますことでございますが、一口で申し上げますと、北朝鮮のスパイが日韓の間の離間をはかるために、在韓日本公館、商社、企業及び日本人に対してテロ行為を計画している、こういう情報が寄せられた、こういうことでございます。
○大久保(直)委員 大臣、この問題はいろいろな受け取り方があると思うのですけれども、こういったことがかりにも内報であっても連絡があった以上、これを日本政府としてはどのように受けとめておられるのか、それについて大臣の御見解を伺えませんでしょうか。
○大平国務大臣 私どもフォースハンドの情報を持っておりませんので、そういう内報の評価を正確にいたすことはむずかしゅうございます。ただ、そういう内容が寄せられたことでもございまするし、在留邦人間の安危に関連したことでもございますので、一応は大使館を通じまして、在留邦人にそれぞれ注意をするようにという措置は講じておるわけでございます。それ以上、この情報自体について論評するということは、ちょっと私も自信がないわけです。
○大久保(直)委員 けっこうだと思いますが、現在とっておられる措置ではそれが限界かと思いますけれども、しかし、あわせて今後旅行者に対する注意その他の問題もこれは関係のあることでございますから、善処方を精力的にお願いしたいと思います。 最後に、時間もありませんので要請でございますが、私の仄聞をいたしますところによりますと、早川、太刀川両君のうち太刀川さんにつきましては、三年前に呼吸器系統の病気でかなりの日数入院されたという事実がございます。平生も健康状態があまり芳しくない様子でございますので、この健康管理の面につきましては、重ねて外務省当局としましても配慮すべきであると思いますし、先ほどから申し上げておりますとおりに、日本大使館のしかるべき方が直接両君に面接しますことがこの問題の解決への大きな糸口になるかと思いますので、あわせてそれの実現のために全力をあげられますことを要請いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○木村委員長 永末英一君。
○永末委員 防衛庁長官はおられませんが、防衛庁から人がお見えになっておると思いますから、お伺いしたいのですが、過般の委員会で、防空識別圏を沖繩の与那国島の西方へ広げるということを防衛庁長官が申しておりましたが、その後どういう措置をされましたか。
○久保政府委員 事務的にはADIZをどの線に引くかということについていろいろ検討いたしておりますが、やはり台湾側との関係もありますので、どういう範囲にどういう時期にそれを決定するかということはきわめて慎重に考慮しなければならないという長官の御方針で、長官が適当な時期を定める、こういうことでお預けになっております。
○永末委員 そうしますと、与那国島の真上から西は、もしその辺のわがほうの領海内にわけのわからぬ飛行機があるということを那覇のレーダーがつかまえても何もせぬ、こういうことですな。
○久保政府委員 ADIZの性格から申しますると、それはたとえば台湾側について言えば台湾本島、沖繩諸島について言えば沖繩本島周辺を防空するため便宜上設定されているわけでありますから、個々の島の防衛はまたおのずから別であります。 そこで、与那国の島あるいは与那国の領海、領空というものをわれわれが防衛する任務というものは当然ございます。したがいまして、不明機がその領空上におれば、必要であれば何らかの措置を講ずる。ただし、事実上で申せば、現在那覇にありまするF104の戦闘機が行って帰ってくるのが精一ぱいということでありますから、仮定の話として申せば、与那国の領空上を、言うならば相手の航空機がパトロールしているというようなときには、那覇から行っても問に合うだろうと思います。
○永末委員 これは異なことを承るのでございまして、いままではアメリカとの間の関係があったために、言うならばそういうわが国の領土であるにかかわらずぼんやりしておった状態が続いておったと思うのです。いまお話を承りますと、那覇におります104を飛ばしてみても、行って帰るのが精一ぱいであって、その上空やその近辺における対空戦闘には用をなさない、こういう旨の答弁でございました。そんな飛行機、何で持っておるのですか。
○久保政府委員 たとえば小笠原諸島はわが国の領土でありますが、F104は小笠原を守るだけの能力は持っておりません。
○永末委員 小笠原島にもわが日本国民が住んでおるのでございますが、それがもし脅威だということがわかっても何もせぬでよろしい、わが国の防衛庁の防衛方針は国民や国民の財産がめちゃめちゃになってもかまわぬのである、これが四次防の精神でございますか。
○久保政府委員 わが国の自衛隊は領土のいかなるところが侵されようとも、それに対処せざるを得ません。しかし、今日の状況で、たとえば小笠原諸島の適当なところに飛行場を設けて飛行機を常時配備しなければならないというふうに判断しておらないというだけであります。
○永末委員 そういう判断ができたら何日ぐらいでそういうことができるという見積もりになっておるのですか。
○久保政府委員 現在のところ小笠原についての具体的な計画は持っておりません。
○永末委員 与那国の場合に、長官がそう判断したというのでございますが、どういう手続で西方へ広げ得ると考えておられるのですか。
○久保政府委員 手続といたしましては、ADIZのラインは長官が発せられます訓令、法形式で申せば訓令でありますが、長官の訓令でもってきめられます。ただ、そういう結果であることは米側にも通報するようになると思いますが、それが必要な手続のすべてであります。
○永末委員 台湾との関係と先ほど申されましたが、関係あるのですか。
○久保政府委員 これは私どもだけで判断するのが必ずしも適当ではないかもしれませんけれども、ADIZというものの性格上から申せば、本来必ずしも領土と関係はないわけであります。しかし、この時期に、たとえば大きくADIZを台湾側に引いたということになれば、台湾側のADIZと重複することになりますけれども、台湾側が何らかのことを考えるかもしれないということを私どもが慎重に配慮しなければいけないという事柄の対象であります。
○永末委員 防衛庁には中国がADIZなるものをつくっておるという事実は確認されておられますか、おられませんか。
○久保政府委員 ソ連の場合にどうもADIzがなくて、たとえば五十マイルか百マイルか適当な距離に近づいたときにソ連側に通報しなければならないというふうに私ども聞いておりますが、中国については何らのことを承知いたしておりません。
○永末委員 台湾の話でございますが、中国は、台湾というものは地方、民間だ、そういう性格を付与して台湾の当局を考えているようでございますが、さてその台湾を顧慮するということは、ストレートに北京を顧慮しなければ台湾を顧慮することができないのがわれわれ日本政府の立場だろうと思うのですね。しかも中国のほうはADIZみたいなものがあるかないかわからぬ。台湾についてはいままで知らされておったものがあって、その線の東西に防空識別圏なるものを分けて、わがほうはわがほうかつてに、台湾が引いたのかわがほうが引いたか知りませんが、与那国島の上空以東をわが国の那覇の防空識別圏の中に入れておる、こういう状況だろうと思うのですね。何を顧慮してゆっくりしておるのか。わが国は自主的にわが国の国民を守ろうというために防空識別圏をつくり、それが防衛庁長官の訓令でできるのなら、さっさとおやりになっていいことではないのでしょうか。どうなんでしょう。
○久保政府委員 ADIZの性格はいま申し上げたとおりでありますが、それにしましても与那国の上空を通っているということは、観念的に申しますと必ずしも適当ではないという発想が長官にあったわけであります。しかし、沖繩の防空という見地から見ますと、必ずしも今日直ちに手をつけなければならないという必要性を認めてはおらないわけでありまして、したがって、台湾側でどう考えるか、これは私ども情報を持っておりませんけれども、こういった時期にすぐに手をつけることが適当であろうかどうだろうかということを大臣として政治的に判断をしたい、こういうことのようであります。
○永末委員 あなた方の発想は、いまある状態から日本国民が住んでおるすべての地域に対する防衛の責任をとるその時点との間に相当離れがあるようでございまして、いまこの地域の防衛のために防空識別圏というたった一本の線を防衛庁長官が引けばいいような問題でももたもたしておる。そういう形からいいますと、与那国島に住んでおるわが沖繩県民が、日本政府なんというものはわれわれの命も守ってくれぬのかと思ったときにあなたどう言うのでしょうか。いやいや安心せい、それだけですか。
○久保政府委員 もちろん与那国島についてそういった具体的な脅威があれば、これは石垣島その他にも飛行場があるわけでありますから、前進することも可能であります。やはり総体的な周辺の状況を考えながら防衛的な措置を講ずるであろうと思います。 ただし、今日の時点ではそういった具体的な脅威というよりも、いまの問題は領空侵犯に対する措置というのが平常の任務でありますので、それに支障のないことはやはりやらざるを得ないというふうに思っております。
○永末委員 石垣島には104のメンテナンス、後方支援がちゃんとできておりますか。
○久保政府委員 現在のところでは沖繩本島以外に直ちに104を配備するだけの準備はないというふうに見ております。
○永末委員 過般ソ連の航空機らしいものがあちこち出てきて、特に日本海方面に出てきたので、何かわがほうの緊急発進、スクランブルが回数をしげく行なわれたと聞いております。いまあなたがおっしゃった防空識別圏に関する問題はスクランブルみたいなものだとおっしゃったが、それならばそういう状況が与那国島の周辺に起こっても、これは防空識別圏以外だからやらぬでいい、こういう態度で臨んでおられる、こういうことですか。
○久保政府委員 領土、領空に関しましては、いかなる場合も領空侵犯の措置から排除されるものではございません。そこで、いま私は那覇から川を飛ばした場合に行って帰ってくるだけだと申しましたが、ただ領空侵犯措置を与那国島の上で講じようと思えば、やはり往路復路の、特に帰りということになるかもしれませんけれども、スピードを低減させることによって何分かの活動時間、運動時間というものを確保することは可能であろうと思います。
○永末委員 だんだんあやしくなってきましたな。私はやはり小笠原であれ与那国であれ、どんな遠いところでもこれだけを守るためにはこういう施設が必要だということを政府としては堂々と国民に訴えて、そしてその予算をいただいてその準備をするのはあたりまえである。予算が足りないからやるべきことをやらぬでおいて、ことばでごまかそうとしたって、そういう状態である防衛力を一体国民が、それなら税金をたくさん出しても持ちましょうという気持ちには私はならぬと思う。 その心がまえのところが少し狂っていると思うのでありますが、昨年度予算、四次防のまん中の年でございますけれども、全部執行されましたか、もう会計年度は終わりましたけれども。
○久保政府委員 四十八年度予算の中では契約上問題がございまして、護衛艦二隻、これはDDG一隻とDE一隻、それと潜水艦一隻につきましては四十八年度内に契約ができませんで、本年度に繰り越しておるようであります。 それから四十八年度に計画をいたしました艦艇の中で、輸送艦、小型千五百トンのものでありますが、これが全体の予算不足のために契約を断念した、調達を断念したということであります。 したがいまして大きなもので申せば、この輸送艦一隻を断念したことと、それから護衛艦、潜水艦、これは四十九年度への繰り延べということであります。
○永末委員 四十八年度はそうやって船等が繰り延べになった。四十九年度予算はできておりますけれども、物価はめちゃめちゃに上がって、最初の見積もりではとうていこの執行は不可能である、こういうことが伝えられ、内閣委員会でも似たようなことの答弁があったと伝えられておりますが、いまのところ四十九年度の最初の見積もわがこの四十九年度に全部執行できるとお見通しですか。
○久保政府委員 執行の面につきましては、装備局長が担当いたしておりますけれども、装備局員の見通しでは、現在の人件費の装備品費へのはね返りがどの程度になるかという見通しが立たないそうでありまして、したがいまして四十九年度に計画したものがすべて四十九年度内に調達できるかどうかという見通しはいまのところまだ立って おらないということでありました。
○永末委員 いまのところ立たぬものはますます立たぬようになりますね。物価はこれでおさまりそうにございません。 さて、そういうぐあいに四次防ができます場合には、総計これぐらいの金額で、ということで内容を設定をして、これは国会の報告事項でも何でもございませんけれども、大騒ぎをしてきめた、そして物価が上がってくると、平気で一応見積もったものの船を次年度に繰り越す。そしてまた予算は成立したが、予算の執行がその年度の当初にあたって完全執行はどうか疑わしい。こういう状態でやられるということになると、四次防というのは実行せぬでいい計画だと承知してよろしいか。
○久保政府委員 四十八年度で四次防は二年目でありますが、二年目までの経過の中であきらめざるを得なかったのはいまのところ小型の輸送艦一隻ということであります。他のものにつきましては、四十九年度以降で一応私どもの見通しとしては主要装備については四次防の計画どおりに実施をしたい。しかし、そういう私どもの腹づもりではありますが、それの全体の計画実施が可能であるかどうかということは最終年度の五十一年度をまってみないとわからないというふうな見通しを持っております。
○永末委員 その五十一年度になって、いわゆるあなたのほうの四次防計画の最終年度が終わって、そして明らかに計算をしてみたところ、船がこれだけできなかった、飛行機がこれだけできなかったという、装備のどうしても実現できない分が残った、こういうことになった場合に、一体、大騒ぎをして四次防なるものをつくった人の責任というのはどこへいくのでしょうな。
○久保政府委員 長期の計画はやはり長期の計画でありまして、閣議の決定を見ておりますが、当時の今後の五カ年の期間の中でこれこれのものを調達をする、しかしその当時の情勢の変化によっては修正することがあるということは、これは四次防の計画大綱の中にも触れられておりますとおりでありまして、防衛庁側としては完全な実施を希望いたしますけれども、全体的な財政の事情その他である程度最終の時点になりまして若干の修正を見ることは、これはやむを得ないことだというふうに考えております。
○永末委員 大平外務大臣はアメリカへ参られますが、アメリカとの間で、いまお聞きのとおり、四次防と称するものはいまのところ完全に執行することはきわめて困難であるということは客観的判断であろうと思いますが、そういうわが国の防衛力の行く末と日米関係とを関連させつつお話をされる意図はございますか。
○大平国務大臣 特に四次防に触れるというつもりはございません。
○永末委員 先ほど防衛庁側は防衛識別圏みたいな問題もやはりアメリカと相談しなければならぬというようなことを言っておりましたが、これは外務大臣というトップクラスの話ではございませんでしょうが、防空という全体の問題の中で日本の果たすべきことについてはアメリカがいろいろ要求をしていることは事実でございまして、それを受けつつわれわれは日本国内にアメリカの航空基地を貸与しているわけでございまして、そういう意味合いでは特にまた台湾との関係ということで防衛庁側は明確な答えをしておりませんけれども、あなたは台湾との関係を、日本国が良好な状態を維持するためにこういう問題をアメリカ側と話す御意思はございますか。
○大平国務大臣 日台間の問題は、あなたが先ほどお触れになりましたように、日本が日台間の問題の処理をどうするかということにつきましては中国政府に理解を求めておく必要は私はあると思います。けれども、アメリカに同じ調子で話を前もってしておかなければならぬとは考えておりませんし、日台間の問題をアメリカにお願いするというような局面はいま考えておりません。
○永末委員 局長は、アメリカがインド洋のジエゴ・ガルシアに基地をつくった場合に日本の彼らに貸与している基地との関係で変化が起こると考えますか。
○久保政府委員 ジエゴ・ガルシアは主として通信、補給の基地になりますし、若干の航空機の配備が予想されますが、艦艇としましては寄港地ということになりましょうから、日本にあります米海軍の基地との関係は直接にはないというふうに見ております。
○永末委員 ジエゴ・ガルシアに基地ができて艦船の基地になるといえば、この辺の守備機能を受け持っておるのは第七艦隊でございまして、したがって寄港地ができてそれが使えるということになると、日本の寄港地もまたよけいに使われる、頻度が多くなると考えるのは当然だと思いますが、あなた方のお見込みは何ですか。
○久保政府委員 使われる頻度という点から申しますと、観念的にはむしろ七艦隊の一部がインド洋のほうによけいに回るということで、理論的には減るかと思いますけれども、それは具体的な艦艇の行動いかんにかかわりますので、実際にどうなるかということはちょっとわかりません。
○永末委員 日本とアメリカとの間を往復しておる、言うならば最後の母港としてアメリカに帰っていくそういう艦隊と、あまり設備の整っておらぬ前進寄港地ができた場合の中継、修理機能を持っておる基地である日本の関係とを考えたら、頻度が増すと考えるのは私は当然だと思いますがね。アメリカに帰るのは遠くなるから日本で果たそうとしてくる、そういうことになると思うのです。 その意味で私は、だんだんと日本の軍事基地をアメリカが使用している頻度が少なくなり、アメリカの軍と日本国民との接触が少なくなるほうが日米関係の友好のためにはいいと考えておりますが、それが逆の方向に行くことをおそれておりますのでこの質問をしたのですが、もう一ぺん答えていただきたい。
○久保政府委員 われわれが米側と接触いたしておる範囲から申しますと、七艦隊の艦艇は漸減をいたしております。そこでその漸減をしておる艦艇の中からインド洋にさくということでありますから、活動の日数の面から見ますと、西太平洋にいる艦艇の活動日数がインド洋にさかれた分だけやはり将来は減ってまいる、その相関関係から申せば、日本の基地の利用される頻度というものは理論的には減るのではないかというふうに思うわけでありますが、具体的な活動はまた米側の具体的な計画によりましょうから、ちょっと見当がつかないということを申し上げたわけであります。
○永末委員 ガルシアを寄港地としてインド洋を行動範囲におさめた場合には、いままでより以上にアメリカの第七艦隊は西へ西へとその主力を移してくるわけであって、そうなれば日本を使う頻度は多くなる、こう考えるのは至当ではございませんか。いままではわが国並びにフィリピンにも基地はございましょうが、主たる寄港地はわが国でございますから、インド洋に出る範囲は少なかった。ところが今度はそこに寄港地が持たれれば、それを利用して行動する艦船の頻度が多くなるというのは当然のことでしょう。それに引きずられて、わが国も頻度が上がる、このことは日米関係に関係がある、私はこう結論するのですが、もう一ぺん答えてください。
○久保政府委員 あるいはそういう見方も成り立つのかもしれませんが、私の理屈から申せば、たとえば西太平洋に活動している艦艇がインド洋に出るだけ、その分だけ減るのではないかというふうに単純に思うわけであります。
○永末委員 大平外務大臣、この前もこの件でちょっと伺ったら、それはアメリカがやることであって日本は関係ない、こういうお話でございましたが、日米関係、特に第七艦隊の評価、さらにまた第七艦隊がわが国の軍港——あちらでいえば軍港、旧軍港の基地を使用している態様についてはいろんな反応が日本国民の中にあるのである。 したがって、これが濃密化するよりは希釈化したほうが望ましいと私は思っておりますが、これらの点について——もしまたアメリカがジエゴ・ガルシアに基地を進めることが進んでいけば、ソ連の艦隊もこれに対応するということで、望まない緊張がインド洋に起きてくる。それよりか基地を希釈化するほうが日本として望ましいと考えるならば、そのことはやはり大平さんが今度行かれる場合に主張していただきたいことだと思いますが、この辺に対するお考えはございますか。
○大平国務大臣 基地を希釈化するということがどういう意味か、正確にわかりませんけれども、アメリカの軍事的プレゼンスと日本国民とのかかわり合いが薄くなることが望ましいということを言われておるのだと思いますけれども、しかし私はそういう発想をしないわけです。第七艦隊に関連して申しますと、西太平洋が静かな海である、平和な海である、安全な海であるということが望ましい状態でございまして、そういうことを保障してまいらなければならない、そういうことを保障する上におきまして第七艦隊のプレゼンスというものは、いろいろな評価がありましょうけれども、私は非常にエッセンシャルなものだというように見ているわけです。 したがってあなたが言われるような方向で、希釈化する方向で、しかも西太平洋が安全で平和であるということが一番望ましいわけですけれども、ただ何もかも頭から希釈化することがいいことだという発想に私、同意できないわけです。 ただしかし、これは理屈でございまして、今日までの状態を見ておりますと、日本の周辺は、先ほど久保君からもお話がございましたように、第七艦隊が実勢力がだんだん漸減しながらもなお平和が安全が維持できておるという状態は、私はたいへん望ましい方向に行っておると考えるわけでございまして、私が関心を持っておりますのはこの地域の世界でございまして、インド洋ではないのであります。ただインド洋は、あの周辺の国々がそれぞれ、平和な海であってほしいと念願しておる気持ちもよくわかりますし、またそうあってほしいと願っておりますけれども、日本の外交的な力でもってそれをどうすることもできないわけでございまして、そういう願望を持っておるということには変わりはございませんけれども、一番関心を持って日夜苦心いたしておりますのはこの地域の安全と平和だということでございます。
○永末委員 これで終わりますが、アメリカへ行かれましたら、われわれ遠くアジアに住んでいるものとしては、インド洋が、いずれスエズ運河の再開が行なわれますと、ソ連艦隊の通航を阻止するものはだれもないのでございまして、したがって黒海、地中海におりますソ連艦隊がインド洋に出てくる頻度が多くなれば、それに見合ってアメリカ艦隊がこの辺へ行くということになりますと、西太平洋、遠くアジアにおりますわれわれはそのインド洋の隣でございまして、いわばその大きな力のかもし出す緊張の余波をもろに受けるのでございますから、この辺は、賢明な世界政治のやり得る実力を持つ人に会われたときには、そういう緊張が激化しないように、日本の外務大臣としては、せっかくひとつおつとめを願いたい。 終わります。
○木村委員長 石井一君。
○石井委員 大臣、出発前のたいへん御多忙な時間のようでありますが、私、簡潔に数点、大臣からの御答弁を求めたいと思います。 海洋法会議か目前に迫ってきておりますが、これはわが国の国益、権益ということを考えると非常に重要な問題だというふうに考えるわけでございます。当委員会におきましても、過日条約局長から御答弁がございました。いわゆる領海の幅については、わが国は従来三海里を主張してまいったけれども、最近の国際的情勢の中で十二海里説というものが非常に主張されるようになってきた。したがって、会議の動勢いかんによってはそういう十二海里説というものにわが国も従わなければならないのではなかろうか、こういう趨勢である。 この点大臣から、そういうふうな政府の意向なのかどうか、この海洋法会議に臨まれる日本政府としてのお考えはどうなのか、この点をまずお答えいただきたいと思います。
○大平国務大臣 日本政府の基本的考え方は、領海というものは一方的に宣言するというものでなくて、国際的合意に基づいて設定するということでございますので、海洋法会議におきまして、大かたが十二海里説でまとまるということでございますれば、それに同意するという行き方で進めてまいりたいと思います。 ただ、この十二海里というものだけが独立して問題になるわけでなくて、これに関連いたしまして、十二海里の海域の安全通航の問題でございますとか、その海域の資源の利用の問題とか、いろいろ出てまいりましょうし、それよりさらに広げて、経済水域を、特別な排他的な管轄権を持つ水域を拡張するというような問題がいろいろからみ合って討議されるのではないかと思うのでございまして、そういうものとのからみ合いの中で、十二海里が一つのコンセンサスの方向を持ってくるというようなことを見きわめながら、私どもといたしましては、それが大勢になってまいりますならば、同調をするという形で進みたいと思っております。
○石井委員 十二海里ということにかりになるといたしますと、大体世界的な趨勢もそういう方向に行っておるということは確かなようでありますし、経済水域などというと、もっと広い権益を認めるということでありますが、わが国の防衛上の問題、あるいは漁業その他の水産というふうな観点から、水域を広げるということは、私、しろうと考えですけれども、どちらの面から見ても不利になるのじゃないか、こういうふうに考えるわけでございますけれども、この点はいかがですか。
○大平国務大臣 仰せのとおりです。日本といたしましては、各沿岸国の領海が狭くて、経済水域なんかないほうが、わが国のような水産国、わが国のような海洋国にとりましては一番いい、望ましい世界の姿だと思うのです。けれども、それは自分かっての、身がってな言い方でございまして、沿岸国の経済水域の主張なんということも、もはや阻止できない勢いになってきておることも事実でございまするし、そういうことにいつまでも背を向けておるなんということも許されない事態でございますから、問題は、それがいいか悪い・かなんという議論でなくて、そういう水域に、特別な沿岸国の特定の水域に対する管轄権の中身がどうなるかということがわれわれの具体的な問題になってくるのでなかろうか。そういうものの討議を通じて日本の国益を守っていくということが、われわれの具体的な戦略目標にならざるを得ないのではないかと私は思います。
○石井委員 防衛局長、日米安保ということを考えましたときに、十二海里にいま変更になった、そういう見解を政府がとらざるを得ないということになった場合に、どういう不利が出てきます一か。
○久保政府委員 全般的に申しました場合に、日本の安全保障に対して、大筋で大きな影響を与えるというふうには考えておりません。たとえば海上で申しますると、海上艦艇の行動区域は千マイルの範囲でわれわれは検討いたしておりまするし、航空機も二、三百マイルの範囲、それから防空の場合には、領空にまで来てから防空するのでは間に合わないわけでありますから、レーダーでつかまえて、こちらが対応する範囲でありますから、やはり本来ならば、間に合う範囲におきましては、本土から数十マイル離れたところで戦闘が行なわれるのが望ましいということでありますので、直接の防衛には関係がないように思いますが、ただ、たとえば海峡の防衛あるいは港湾防備という点から見ると、むしろ有利であるという面も、あるいはあるかもしれません。 問題なのは、これはアメリカその他の国にとってもそうでありまするが、たとえば津軽海峡あるいは対馬海峡のようなところで、特に津軽の場合には、十二マイルをとりますと、全部領海になる。そこでその津軽海峡については、国際海峡として自由航行を認めるかということになりますると、現在、たとえばソ連の航空機は上空を遠慮して通っておりません。たぶん潜水艦も、あの海峡は通っておらないと思いますが、もし自由航行を認められますると、いままでよりも航空機が通り、あるいは潜水したままの潜水艦が通るというようなことがもし認められますると、これは私どもにとっては、ありがたくない問題であるということで、特に海峡問題が日本の防衛にとっては大きな問題であろうというふうに思います。
○石井委員 いま御指摘のありました問題に開通しまして、条約局長は、過日の外務委員会で、いわゆる無害航行になる可能性があるというような御答弁があったと思いますけれども、いまの防衛局長の答弁と結び合わせて考えますと、そうなると、日米安保があるにかかわらず、日本海という領域は、アメリカが非常に支配しにくくなってくる、そういうふうにも関連して考えられるのですが、この点はいかがですか。
○松永政府委員 かりに領海が十二海里となりますと、日本の周辺において影響を受けます海峡といたしましては、津軽海峡のほかに朝鮮海峡、それから宗谷海峡、大隅海峡、そういったところが、全部幅員が二十四マイル以下でございますので、領海で埋まるという形になってくるわけでございます。 これに対しまして、大きな海運国でありますアメリカ、ソ連といった国は、領海の幅員が広がることによって、国際海峡になる水域については、船舶及び航空機が公海におけると同じように、自由な航行を確保されるべきであるという趣旨の主張をしているわけでございます。これに対しまして、沿岸国側の主張としましては、航行の安全でありますとか、あるいは海洋汚染の防止、さらに国防、安全上の見地から、沿岸国の強い管轄権の行使を認められるべきであるという主張が他方において行なわれておるわけでございます。 そこで、来たる海洋法会議におきましては、こういう国際海峡の国際的な地位をめぐって、おそらくいろいろな論議が展開されるだろうと私ども予想いたしております。 したがいまして、結論といたしまして、こういった国際海峡についてどういう法的な地位が認められるのか。その認められる地位のいかんによって、実はそこにおきます通航の問題が出てくるわけでございます。 仮定の問題といたしまして、そこが普通現在一般的に認められております領海と全く同じ地位が認められるということになりますると、そこはいまの例で、津軽海峡ということで考えますと、津軽海峡では船舶の無害通航は認められるということになります。そうしますと、潜水艦の場合は、たとえば浮上して航行しなければならないとか、あるいは途中で停止してはならないとか、いろいろなそういった日本側の国際法上の領海を通過する際の条件が課せられるということになるわけでございますけれども、しかし、先ほど私が申し上げましたように、国際海峡がどういうふうな地位を認められるのか、これはまだ実は、これから論議されるわけでございまして、結論が何も出ていない。 したがいまして、政府といたしましては、海洋法会議における論議の帰趨を十分に見きわめながら慎重に検討していくほかない、こういうふうに考えておるわけでございます。
○石井委員 わが国としては、無害航行を主張する、こういうことは確認してよろしいですか、この海洋法会議で。
○松永政府委員 先日も私が申し上げたかと思いますけれども、わが国といたしましては、海洋国の立場から、こういった国際海峡ではできる限り自由な航行を認められるべきであるという立場と、それからもう一つ、いま申し上げました沿岸国としての立場と二つあるわけでございます。領海の幅員が十二海里に広がることによりまして、いわゆる国際海峡になるものとしまして、たとえばマラッカ海峡でありますとか、ホルムズ海峡といったようなところが国際海峡になるわけでございます。こういった海峡は日本の船舶が非常にたくさん通行しているところでございまして、そこでは日本の海運国としての立場からいいますならば、できるだけ自由な通航が認められるべきである、認めてもらいたいという立場がございます。したがって、一がいに国際海峡については無害通航のみを主張するというわけにはまいらないわけでございます。 その点を含めまして、今度の海洋法会議ではいろいろな関係国の論議を十分に聞き、また意見交換も行ないながら、政府としての立場を検討していきたい、こう考えているわけでございます。
○石井委員 自分のかってなところは通航せしめたいということで自由航行を主張して、自分の沿岸のほうはそうでないものを主張するということもなかなかやりにくいことだということで、これ以上お伺いをいたしませんが、いまのいわゆるこの海洋法会議の趨勢ということを現時点において推察いたしますと、十二海里に広がってきた場合には、何か防衛上の体制において、いわゆる日本海はソ連のみが支配する、南のほうは、広く回ってきますと、ソ連も入ってこられるかもわかりませんけれども、アメリカ側である。そういうことになってくると、これは単なる海里の幅であるという問題でなくて、日米安保というものに対してたいへん関連の深い問題のように私は思うのですけれども、防衛局長、簡潔にその点はいかがですか。
○久保政府委員 日本海はやはり日本海でありまするし、日米安保体制があります以上は、かりに領海が十二海里になりましても、米艦艇は通航の権限はおそらくあるし、そういった体制をつくることは容易に可能だと思いますので、必ずしも日米の関係ではその点は御心配ないのではなかろうかというふうに思います。
○石井委員 水産庁関係から一言だけお答えいただきたいのですけれども、十二海里になったら、わが国の漁業という面ではたいへんな被害をこうむる、こういうふうに受けとめてもいいのですか。
○米澤説明員 十二海里につきましては、日本は遠洋漁業国としての立場とそれから同時に日本としては非常に大きな沿岸漁業というものを持っておるわけでございますけれども、したがいまして、得るものと失うものというこの二つの側面があるわけでございます。しかしながら、遠洋漁業の立場でいいますと、日本の主たる漁場である北太平洋あるいはその他の水域では、すでに沿岸国が十二海里の領海を設定しておったり、あるいは漁民感情をいたずらに刺激することは好ましくない、いろいろな立場からすでにほとんどその中では漁獲を日本の漁業は行なっておりません。したがいまして、多少失うことはありましても、それは十分にほかの水域でカバーされるということになるかと思います。 それから日本の沿岸では三海里と十二海里の間が日本の完全な主権のもとに属するということになるわけでございますけれども、これも日本の近海では、たとえばソ連の操業も大体は現在でも十二海里の内側で行なわれるということはむしろ全体としては非常にわずかな量でありまして、したがいまして、実態的には三海里から十二海里に広げるということで、日本の漁業に非常に大きな影響があるということはないというぐあいに考えております。
○石井委員 農水の委員会でありませんから、これ以上申しませんが、そこで大臣、経済水域という問題でございますけれども、これは新しい概念で、もともと公海の自由の原則というものがあったところにこういう新しい概念が出てきて、これは非常に大きな今度の会議の焦点になると思うのでありますが、最近聞くところによりますと、ソ連であるとかアメリカであるとかというふうな、これまで反対しておった国までが、経済水域というものを発展途上国その他にも与えるべきであるというような主張をいたしておるように伺って去りますけれども、わが国の海洋法会議に臨む経済水域に対する見解はどういうことになるのですか。
○杉原説明員 いま御指摘ございましたように、最近六月二十日から行なわれますカラカス会議に向けて、各国がいろいろなグループをつくって北公式な協議をやっております。わが国もその中の幾つかグループに属しておるわけでございますが、そういう非公式な協議を通じましてソ連やアメリカ等が、従来は二百海里の経済水域に対しイはかなり強い留保的な態度をとっておりましたのを、今度はある種の条件が認められるならばこのような主張を認めざるを得ないという立場に変更していることが明らかになってまいったわけでございます。 わが国といたしましても、世界の大勢にさおをさすということもできませんし、したがいましてこれからヨーロッパの諸国あるいは内陸国その他、地理的に二百海里の経済水域ができると不利になるような諸国の動向等も見きわめまして、わが国自身の立場をこれから定めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○石井委員 いまの答弁も、いまの段階ではその程度しか言えないのかもしれませんけれども、世界的趨勢としてはこの辺もやはり拡大解釈といいますか、だんだんと広がっていく方向にいっておるというふうに受けとめ得る面もあろうかと思うのでありますけれども、たとえば発展途上国に対してその水域でわが国が漁業協力というふうなものをやるとすると、わが国はこれまで経済水域を認めてないという立場を片一方に堅持しているのですけれども、そういう協力をやるということは結局経済水域を認めていくという方向に、現実の問題としてだんだんと変わってきておるのではないか。漁業協力というものが、今後経済水域という問題に関連をして、ここで新しく検討されなければいかぬ時期がきておる、こう思うのですが、この点はいかがですか。
○杉原説明員 従来の伝統的な国際法では、一方的に領海とかあるいは漁業専管水域を広げるということは許されないという立場を、わが国その他アメリカ等の先進国はとってまいったのでございますが、世界の現実は、開発途上国をはじめといたしまして、それぞれ十二海里あるいは五十海里あるいは二百海里という領海あるいは漁業専管水域を設定しておるわけでございます。 したがって、法的立場は、わがほうはもちろんそのようなものは認めないという以上、そこに入ってまいりますと、やはり拿捕されたりするという事態が起こりますので、事実上の解決方法として、各漁業会社はそれぞれの国の政府あるいは関係の漁業会社と話し合いをいたしまして、権利として向こうに入漁料を払うとかそういうふうな形ではないのですが、いろいろな経済協力を申し出て、そのかわりにそこにおける漁業を認めさせるというような方式をとっておるわけでございます。これはわが国だけではなくて、ソ連をはじめアメリカその他世界のほとんどすべての先進漁業国はそういう方法を講じておるわけでございます。 したがいまして、法的には今度の海洋法会議で初めてきまる問題でございますが、現実の問題としては、開発途上国側の強い要求とそれに基づく措置に対抗するために、経済協力というものを手段として使って、わが国の漁業利益の維持をはかっていくという手をとっているのが現状かと考える次第でございます。
○石井委員 議論はまだまだありますが、この問題はもう終わります。 最後に、大臣に一問だけお伺いしますが、参議院でも日中航空協定が通りまして、いよいよ肩の荷をおろされた、こういうお感じだろうと思いますが、私も本会議で賛成討論をいたしましたときに、日台路線の問題について強くその再開を求めておいたはずでございますけれども、台湾側に対してこれから少し積極的にアプローチをされなければいかぬと思うのです。亜東協会の立て直しだとか何か具体的にお始めになりましたか、考えておられますか。これは非常に大きな問題ですけれども、その後日中航空協定ができたということを踏まえて、何かお考えになっておること、御指示なさったことがありましたら、当委員会に御報告をいただきたいと思います。 私はその御答弁をお聞きして、質問を終わりたいと思います。
○大平国務大臣 四月二十日に台湾側のほうで日台路線の停止措置がとられたわけでございまして、そういう状況の中で、いま、それではということでこちら側からいろいろ再開についての腹案を提示するというような政治的な雰囲気でございません。したがって、そういうようなことを早急に考えておるわけではございません。ただ、日台間には旺盛な航空往来がありまするし、日本や台湾の航空機によってサービスが提供されないというような事態は、まあいわば不自然な状態でございまして、私どもは民間取りきめというような形で、いずれの日か再開されることがきわめて自然な道行きでなかろうかと考えておりますが、当面どういう具体的なアクションを日本側のイニシアチブでとるかということのお尋ねでございますならば、いまのところはまだそういうことは考える雰囲気ではないと答えざるを得ません。
○木村委員長 紺野与次郎君。
○紺野委員 私は、外務省、大蔵省、文部省の三者に対しまして、留学生の問題、特に東南アジアの留学生の問題について質問したいと思います。 最初に、東南アジアの留学生はどれだけいるのかということと、これが国費留学生と私費留学生とからなっているようでありますが、その内訳、それから行政官庁の所管、どこが分担しているかということについて聞きます。
○堀説明員 ただいま日本に外国人留学生は約五千人おりますが、それを国費留学生と私費留学生に分けますと、これは去年の十一月一日現在の数字でございますが、国費留学生が合計で八百六十人、そのうちアジア諸国からの留学生は五百五十人、私費留学生につきましては合計で四千八十四人、そのうちアジアからの留学生は三千三百十三人となっております。 それから、私、ちょっと耳が遠くて聞き落としたのでございますが、最後の御質問は……。(紺野委員「行政官庁」と呼ぶ)行政官庁の所管につきましては文部省と外務省でございますが、外務省は留学生が日本へ参ります前の段階、それから留学生が国に帰ってからの段階を主として所管しております。 と申します意味は、国費の留学生につきまして、文部省が主管でございまして、予算も文部省についておるわけでございますけれども、それを海外で選考する場合に、在外公館を通じて文部省の仕事をお手伝いする、私費留学生につきましては、選考のような問題はございませんけれども、日本の大学に関する資料、情報を差し上げるというようなことが外務省の仕事でございます。それから、留学生が帰国いたしましてから、いわゆるアフターケアと申しておりますが、同窓会誌を渡すようなこと、あるいはときどきパーティーをやったりというようなことは、在外公館を通じて外務省がやっております。 なお、国内におきまして外務省が直接タッチしておることが一つございます。それは財団法人国際学友会、これは外務省の所管法人となっておりまして、補助金が外務省を通じて出ております。 そのほかに、外務省が留学生問題につき国内でタッチいたしますのは、留学生問題一般について文部省からの協議を受ければこれに応じ、あるいは外交政策上の留学生問題として文部省に意見を申し上げるということでございまして、その他の点につきましては、一応全部文部省の所管と考えていただいてもけっこうかと存じます。
○紺野委員 留学生問題について最近マスコミのほうでも非常に注目し、問題にもし、NHKのテレビも追跡しました。それから最近YWCAのおかあさんたちもこれを調べたというふうなことで、その一致するところは、やはり日本に来て非常に悪い感じを持って、大部分が反日的な気持ちを持って東南アジアに帰っているということを一斉に言っております。そして国がもしこのままに放置しておけば多くの留学生が反日になって帰るのけやむを得ない、これはYWCAのおかあさんたちの結論ですね。こういうふうな状態になっております。 でありますから、ここで根本的に留学生政策を転換することをどうしても必要としているのじゃないかということなんです。私は二月の初旬、八日に、先ほど話がありました国際学友会ですね、これは昭和十年に創設された最も歴史の古い留学生を受け入れる組織でありますが、ここに行ってみて実際にあ然としました。その具体的なあれはわれわれ写真にもとってきておりますけれども、寮が全く荒れ果てている。 天井を見ましても、洗面所あるいは浴室等々のところでは天井が腐って大きくはがれております。そしてまた廊下もいたんでおるところがあるというふうな状態です。また冬は暖房がきかないのですね。これは第一別館のほうが特にひどい状態でありますけれども、第二、第三別館のほうを見ても同じように鉄の窓ワクがもう腐っておる。そして雨漏りもするし、湿気が立ち込めるというふうな状態で、全くたいへんな寮であります。 そして食堂を見ると、一食のおかずが六十五円なんですね。全部六十五円です。そして飯は五円、十円、十五円というふうな状態で、メニューはあまり変わらない、ほとんど同じようなメニューでやられているそうです。 そして寮の廊下を通ってみますと、昔よくありましたトンネル長屋ですね。廊下のわきにいろいろな品物を積んであって、暗い。全くそういう点で、昔のトンネル長屋、こういう状態だ。そして特に第一別館の場合は危険なんですね。地震ですぐおっこちる危険もあるのじゃないかというふうな状態です。 でありますから、留学生はこう言っております。初め非常に期待を持って日本に来たんだ。ところが、このひどい施設と待遇に全く幻滅を感じた、こういうふうに言っております。これは、ここに写真をたくさんとってきてありますから、これをちょっと見ていただきたいと思います。 こういうことは外務省の文化事業部の監督でしょう。一体こういう状態が、施設と待遇というものが、文化事業の名に値するのかどうか。私はそういうふうに、実際疑問に思うということですね。こういうことについて知っておられるかどうか、こんな状態を続けていいと思うかどうか、これを最初お聞きしたいと思います。
○堀説明員 御指摘の国際学友会、東京の第一別館が非常に老朽化しておることは事実でございます。これは、昭和二十九年に建設いたしました木造建物でございまして、また火災の場合の危険もあり得べしということで、私たちは国際学友会に指示をいたしまして、ことしの三月の理事会でこの第一号別館を閉鎖するという方針を決定いたしました。ただし、現在学生が入っておるわけでございますので、直ちに閉鎖というわけにもまいりませんので、一号別館の学生が出ていったら、その部屋へはもう入れない。あるいは二号、三号別館であいた場合に、一号別館の学生を移ってもらう。それで、学生がいなくなったところで完全閉鎖をし、これを再建する方途をこれから検討する、そういうふうな方針を樹立いたしております。なお、留学生が反日であるというふうなことでございますけれども、留学生は申すまでもなく前途有為にして多感なる青年でございまして、これらの人々が特に私費の場合は、日本からの奨学金もないことを覚悟して、自分の意思で日本で勉強しようということで参ったわけでございますので、私たちはできるだけあたたかく待遇をいたしたいと考えております。また、これらの学生は、国へ帰りましてから、それぞれの分野で将来指導者になる人々でもあるわけでございますので、広く文化交流といいます場合にも、一番重要な一翼であると考えております。
○紺野委員 それで、そういうことに対して、学友会の方々が要求書をことしの一月にまとめて、理事者に対して出しているわけなんですね。いろいろ希望を言ったのに対して、こういうことを理事者は言っているのですね。おまえの国はもっと悪い状態なんだ、だからここが不満ならば、ここから出てくれ、こういうことを理事者が言っているのですね。 こういう理事者のことばというのは、全く留学生に対する昔のべつ視政策ですね。植民地主義というのか、差別した態度だと思うのです。そういった理事者の態度というものを外務省は知っているのかどうか、外務省自身がそういう考え方におかされているんじゃないかどうか、この点について聞きたいと思います。
○堀説明員 いまお話しのような、理事者と学生との間で話があったというようなことを私も承知いたしまして確かめましたところ、それは何らかの誤解であって、理事者のほうでは、そういう東南アジアの留学生を侮辱ないし少なくとも重要視しないようなことばづかいはしなかったと申しております。
○紺野委員 やはりそれはごまかしていると思います、学生からわれわれは聞いているわけですから。で、一月に出された要求書の内容ですね、これは日本語学校の資材類をもっとよくして、学校の先生もよく教えられるようにしてくれとか、LL教室を充実させ、図書館と同じようにせよとか、図書館の蔵書、雑誌類を充実させ貸し出しをせよとか、留学生の談話室の改善あるいは入学生に対するパーティーをやること、それから特に運動場の施設や寮の修理や再建、それから食堂の施設の改善、栄養を高める、衛生をよくするというふうなことを言っているのですね。 こういうことに対して改善をしなければ、われわれ学友会の留学生は留学の目的を達成することができない、みな失望して帰国せざるを得ません、この留学生の要望書は、国際学友会全留学生の共通の重要な意見であるということを言っております。 こういうことに対して理事者のほうは、じゃ具体的にちゃんとどんどん採用してやっているかというと、前向きにやります、前向きにやりますと言うだけで、実際には具体的に何の改善もしてないという状態なんです。こういう実態を知っておられますか。
○堀説明員 ただいまお話の学生の要望については、私たちも承知しております。それで理事者のほうにおきましては、まずできるものから手をつけようということでございまして、図書、さしあたり百冊ぐらいを備えつけよう、それにはどういう図書がいいか、学生の意見も聞いておるということでございます。また雑誌、新聞の類も備えつけよう、さしあたりそういうことから始めまして、できるだけ学生の希望に応じ、また勉学達成の役に立つようにしたいと、努力をしようとしております。
○紺野委員 この国際学友会に対しては、いま言ったような、いまそこで写真もあげて、見ていただいていると思いますけれども、全くこれはそういうことがつまり幻滅を感じさせ、また理事者の態度が差別的な、そういうおまえの国はもっと悪いじゃないかというふうな言い方をするというようなところから、やはり反日的になっていく大きな原因があると思うのです。 そういう点で、やはり衣食住の最大の保障は、私は寮だと思うのです。なかなか下宿をさがしても——ほとんど下宿をしなければいけないという状態で苦労しているわけですけれども、そういう点からいっても、やはり寮を直ちにりっぱな、とにかくそういう幻滅を与えるようなものではないものを、この際国際学友会に対して、全額国庫補助によって大至急に寮を、一つだけじゃありません、一号も二号も三号館も、全部そういう不完全な危険な古ぼけたものになっておりますのですから、まず寮を国費で至急に建てるというふうにやるべきではないかと思いますけれども、この点についてどうでしょうか。そしてまた、いままで子のような計画を立て、大蔵省や何かに出したこ〉があるのかどうか、このことについてもお聞きしたいと思います。
○堀説明員 先ほど申しました第一号館をはじめといたしまして、寮は逐次改築していきたいと存じます。ただその場合に、費用全額国庫負担であるべきであるかどうか、これはさらに検討を要するかと存じます。 なお、従来予算上建てかえの要求をしたことはまだございません。
○紺野委員 予算はいままでそういうことを要求したことがないのですか、大蔵省に。
○堀説明員 建てかえの予算を要求したことはございません。二年ほど前でございますか、仙台に新しく支部はつくりましたが、これは予算でつけていただいて建てたことはございますが、東京の建物の建てかえを予算上要求したことはまだございません。
○紺野委員 これは実際を聞いてみますというと、自分の土地を切り売りして、そうしてその土地を売って校舎を建てるとか、そういうことをしているのですね。ですから、やはり事は外務省のほうの予算のつけ方が、補助金のつけ方が非常に少ない。ほとんどそれは人件費だけだ。しかも人件費も労働組合のほうのお話を聞くというと、決して満足いくような状態ではない。そういう人件費、こういうものにほとんど補助金はなっておりまして、施設の改善というところに手が回らないという状態ですね。そういうことをしておいたのでは、これは切り売りしてどんどん細っていって、しかも施設が悪くなるという状態なんです。 ですから、ここをやはり根本的に変えて、そうして大至急大幅の予算を五十年度にはつけて、そうして施設をつくれるように補助金を増額するということをしてもらいたいと思うのですよ。人件費だけではそれはやれないですね。その点はどうですか。
○堀説明員 国際学友会の経費につきまして、国庫補助金は、むしろ従来は施設費のほうには非常に重く見る、一〇〇%近く見る。仙台の場合それから東京の場合にも、いままで補修の費用でございます、補修の費用などはほとんど一〇〇%見ていただいておったわけでございます。ただ、人件費は何しろ経費の中で占める比率が非常に高いものでございますので、実際上人件費に回っております補助金の絶対額は非常に大きいようになっております。
○紺野委員 そこのあれを見てください、こわれているところを。幾らそれを直してくれといっても金がないから直せないと言っているのですよ。あなた方が施設費をちゃんと出しているなんてうそですよ、それは。そういううそを言うのじゃいけないです。施設費をほとんど出さない。そこのところは全く植民地風景です。東京の中の植民地風景だ、あそこへ行けば。 そういうことで、五千人も来ている留学生たちは、何だ日本は、こういうことで差別しているのじゃないか、蔑視しているのじゃないか、それは待遇でよくわかる、こう言っているのです。そこをあなた方は思い切って転換しなければ、みんな反日的になっていく。こういうことをせざるを得ない。私一人がそういう気持ちで国へ帰ったら、何千人の人が自分のまわりにいるけれどもそういうふうになるのはやむを得ないのだということを私にも言っておりましたよ。あなた方、それを反省しませんか。あの状態でそういうふうになるのは当然です。 だから、ここでやはり国費でもって寮をつくるということを思い切ってやるべきだと思うのです。そうしてこれはいまどうでしょうか、留学生のうちのどれだけが寮に入っているのですか、ちょっと聞きますけれども。
○堀説明員 留学生は先ほど国費、私費を合計いたしまして約五千人いると申しましたが、日本全国に国際学友会の寮、そのほか大学の寮それから日本国際教育協会の寮などなど、施設といたしましては十六ございまして、その収容人員は千百六十五人でございます。
○紺野委員 だから五分の一ですよ。それで、そのほかの人はどうかといえば、YMCAの調査によっても、新聞のあれによっても、毎日のように下宿探しだ。ところが、なかなか下宿に入れてもらえないということで、ほとほとその苦労でへとへとになっておるということを言っております。 だから、留学生のまず第一条件である居住ですね、住宅というものを保障するということ。まず人間の第一番は、私はやはり住宅を完備して、そうして留学生に心配がないようにするということですね。これをやるべきだと思うのです。 ですから、この点については重ねて文部省と大蔵省と外務省のそれぞれの方から、その寮をもつと思い切ってつくって、その人たちの不安の第一番を解消するということにするかどうか、この点を聞かしていただきたいと思う。
○植木説明員 留学生の宿舎問題は御指摘のようにたいへん重要な問題でございます。文部省といたしましても従来から宿舎の対策の推進につきましては、かねてからいろいろと努力をしてまいったわけでございますが、やはり何といいましても留学生が集中いたします大都市におきましては、宿舎の状況というものが次第に逼迫しつつあることでございますので、私どもといたしましては、今後とも宿舎対策というものについて十分検討してまいる所存でございます。 なお、先ほど来、私費留学生の宿舎の問題がいろいろと先生から御指摘がございましたが、私ども国費留学生の宿舎の確保ということをまず考えてはおりますが、余裕のあるところでは私費留学生につきましても、国費留学生と並びまして留学生宿舎に私どもとしても収容しておるという現状でございまして、及ばずながら努力はいたしておるわけでございますが、何ぶんにもそういう状況で次第に逼迫してまいっておりますので、今後さらに宿舎対策を検討してまいりたいと思っております。
○紺野委員 大蔵省のほうはどうでしょうか。
○禿河説明員 留学生の宿舎の問題につきましては、基本的にはただいま文部省のほうからお答えしたとおりであると思いますが、これは私から蛇足みたいなことでたいへん恐縮でございますが、私費留学生に対します国の措置というものをどういうふうに持っていくべきかという問題、今後さらに検討を続けるべきことであろうかと思います。 国費留学生あるいは国が制度上義務として持つべきもの、そういうものでは現在の体制はなっておりません。あくまでもこの国際学友会は民間団体が行ないます事業でございまして、それに対します国の補助金、こういうたてまえになってございます。 なお、こういう問題につきまして今後どういうふうにやっていきますか、私ども外務、文部省とも十分今後相談してまいりたいと思いますけれども、国際学友会につきましては、私どもも東京の柏木の寮があまりよくない、特に第一号館が悪いということは聞いておりますが、本年度の予算におきましても、それの維持修繕費というふうな形で一千万円近い補助金を予算の上では考えてございます。それを今後建てかえる場合どうするかということでございますが、これは確かに、いままで仙台の寮あるいは関西支部、京都の寮というふうなもので鉄筋のかなりりっぱなものがございますが、それにつきましても単に国の全額補助ということでなしに、地方公共団体も協力をし、あるいは民間の寄付を募るとかいうふうなこともあったようでございます。そういう他の部門の御協力がどの程度得られるのか、あるいは学友会自体が自助努力でどういうふうに持っていくのか、そういうふうな問題を総合的に勘案いたしまして十分検討してまいりたい、かように考えております。
○紺野委員 それで、特に外務省のほうは文化事業部でしょう。その名前にふさわしいように文化性をうんと発揮してくださいよ。あんなところは文化の名に値しませんよ。だから、そういう点で、もっとりっぱなプランを立てて、そうして、もちろん学友会の幹部たちとあるいは学友会の留学生の諸君と十分に協議していただいて、そうして不満のない、人権が保障されたような、そういうりっぱなプランを立てて、不満が出るのじゃだめなんですから、満足できるようなものをできるだけ早く予算化して、実現できるようにしてもらいたいと思いますけれども、大蔵省その他文部省のほうも協力するのにやぶさかでないという態度をとっていると思います。根本は外務省のほうの態度が消極的であるということが一番私はまずいと思うのですね。その点重ねて、どういう態度でやるかということを言っていただきたいと思います。
○堀説明員 私、実は個人的に、わが文化事業部は本年度は留学生の年であると部下に、キャッチフレーズみたいになって恐縮ですが、申しまして、さしあたり有識者からなります委員会を四月から発足いたしまして、御意見を伺い、それからただいま東京本部のございます土地に建てかえていく場合にはどういうふうに建てかえていったらいいかということを設計の専門家に委嘱して具体案をつくってもらっております。その委員会の答申、それから設計案の出てくるのを待ちまして、必要な予算も要求いたしたいと考えております。 外務省は消極的であったというおことばには直ちに返すことばもないわけでございますが、少なくとも今後は積極的にやっていきたいと考えておりますので、御支援をお願いしたいと存じます。
○紺野委員 それからもう一件、教科書の問題をちょっと。 国際学友会は日本語学校をやっておりますから、一番日常問題なのは、もう一つの不満は教科書なんです。これが一九五五年と五七年、昭和三十年と三十二年に編さんされてあるものなんです。ですから、留学生たちが、これでは生きたいまの日本の状態がわからないということを言っています。ことばだけ知ればいいんじゃないかという態度があるのじゃないか。やはり日本を知り、日本の地理と歴史を特に知りたい、それで現代の日本の生きた姿を知りたいということを考えているのですね。 ところが、ここに来ているものは、これを見るとわかりますけれども、現在日本にはテレビがありませんと書いてある。いまの日本にはテレビがまだない、これがいまの日本ですか。そしてラジオだけだというふうなことになっている。 それから為替レートも例の三百六十円ですべてやっております。そして日常の生活では、電気洗たく機とか電気冷蔵庫、電気掃除機というようなものはまだ価格が高いので、どの家庭でも使えるというものではありません、こういうふうになっておる。こういうふうな内容なんですね。 そして国会のほうでも、参議院は二百五十名ですというふうなことをいっているし、農業統計その他の点も一九五三年当時の数字なんですね。そして国際的なニュースが聞こえますということをいって出てくるのはだれか。ダレスさん、マクミラン、イーデン、こういう人が活躍していることを報道している。ダレスのかばん——有名でありますけれども、ダレスのかばんをぶら下げて、ダレスさんはいま天国と地獄の間をさまよっているのじゃないかと私は思うのだけれども、この教科書ではりっぱにいろいろやっているように書いてある。東南アジアの人たちは、政治的にはだんだん高くなっているのです。こういう教科書をあてがわれて、そうしてこれが生きた現代世界及び日本なのかどうか。全くこの教科書に対して失望しております。 こういう教科書に対して編さんをどうしたらいいかということを学校当局に聞くと、お金がないのですね。全然お金がないのです。そういうことで、こういう教科書がいいのかどうか。これは文部省の方にもお聞きしまして、どういうふうにしてこういう教科書をつくるようになるのか、どういう仕組みにすれば早くこれができるようになるのかという点について、お聞きしたいと思うのです。
○堀説明員 国際学友会の日本語教科書は、戦後日本が外国人に日本語を教えます場合の草分けのようになりまして、従来は高い評価を得ておったわけでございますが、御指摘のように、昭和三十二年以来改定をしておらないものも二、三ございます。中には二つ、三つは、去年つくった耳で聞く新しいのもできておりますけれども、御指摘のとおりのものが残っております。 そこで、今後どうするかでございますが、文部省では、ことしの予算で一部分認められまして、国語研究所に日本語研究部というものをつくりまして、日本語を外国人に教える場合には、どういうふうに教えたらいいか、教科書はどうあるべきであるか、かつ、それを母語別に、インドネシア人にはどう、フィリピン人にはどうという研究を開始することになっております。 それからさらに、私たちのほうで主管しております国際交流基金でも、その文部省のほうの研究の成果に基づいて教材をつくり、これを必要な方面へ配布するということを考えております。それができ上がりますまでは、国際学友会の教科書は、新しいものが数点できておりますので、それを重点的に使う。古いものは講義中に古い点を口頭で直して補足していくというふうにやっております。
○紺野委員 それについて、予算的な措置ですね、これは教科書補助として十分に補助を出せるのですか。教科書のそういう新しい編さんや出版についてですね。その点どうでしょうか、そういうしかけだけじゃなくて。
○堀説明員 ただいま申しました文部省のほうの予算額、ノートをひっくり返せばわかるのでございますけれども、ちょっといま記憶いたしておりません。それから国際交流基金のほうにも教科書をつくって配布していくための準備の予算がついております。一般的に日本語教育の教材を配布するということで、予算がついております。
○紺野委員 特に第四巻にこういうことを書いてあるのですね。これは編集者の今後の点についても注文をつけることになるわけですけれども、第四巻の七というところに、私どもはよくわかります、共産主義ですからね。「共産主義になると、生産財だけでなく、消費財の私有も認められなくなり、すべてが共有となる」この規定は、最も古い古典的な共産主義に対する誤った宣伝なんです。消費財までみんな、すべて共有になります、こういうふうにおどかしているわけですけれども、こういう教科書にこういった間違った宣伝みたいなものをやるということは、当然これは間違いであって、直ちにこれはやめなければいけないものだと私は思います。 ですから、当然編さん者の場合、民主的な学者がたくさんおります。むしろ古い考えの人よりも、進歩的な、民主的な人のほうが比重が大きい。いまの場合は、文化界はもうそうだ。だから、そういう人たちの中から適当な人たちを教科書編さんにも参加してもらって、こういう初歩的な誤りをしないようにしてもらいたいと思うのです。 そういう点を最後にお聞きしまして、それに対する答弁をお願いしたいことと、それから学生さんたちの希望は図書館ですね、図書館にもっと日本を知る一番いい地理と歴史の本をたくさん置いてくれ、こういうことを言っているのです。ところがそういうものは非常に少ないのですね。談話室、そういうところにもそういうものをたくさん置いてもらいたい、こういうことを言っている。ですから、日本についての地理や歴史の本をもっともっとたくさん直ちに図書館や何かにふやしていただきたいということと、抜本的には、東南アジアの人たちの水準から見て、何だこんなばか、げたと思われないようなりっぱな教科書をできるだけ早くつくっていただくようにお願いいたしまして、最後の答弁をお願いして終わりたいと思います。
○堀説明員 ただいま御指摘の、日本語読本巻四の共産主義経済に関する叙述につきましては、この読本は日本語を教える教科書でございますので、このように議論の余地のあるようなことを書くのは適当であるかどうか、私もきわめて疑問に存じます。 それから図書館に地理と歴史の本をたくさん置くようにという御意見は、きわめてけっこうなことと存じますので、学友会の理事者にもその旨を伝えるようにいたします。
○紺野委員 大体時間が非常に少ないので、多少長くなりましたけれども、これをもって終わりといたします。
○木村委員長 次回は、来たる二十一日火曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時二十二分散会