外務委員会 第15号
- 発言数
- 117 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1974/03/28
会議録
○木村委員長 これより会議を開きます。日本国と中華人民共和国との間の貿易に関する協定の締結について承認を求めるの件を議題とし、審査を進めます。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堂森芳夫君。
○堂森委員 ただいま提案されております日本国と中華人民共和国との間の貿易に関する協定の審議にあたりまして、二、三の点を承っておきたい、こう思います。第一の点は、一昨年の十月北京で発表されました日本国政府と中華人民共和国政府の共同声明に関連をいたしまして、外務大臣の所見を承っておきたい、こう思うのであります。この共同声明の前文に「日本側は、過去において日本国が戦争を通じて中国国民に重大な損害を与えたことについての責任を痛感し、深く反省する。」以下云々とあるわけであります。この前文に書かれておりますところの深く反省をしたというこのわが国の態度によって初めて両国の国交が正常化する、こういうことになったのでありますが、そこでわが国の政府として、その戦争責任を深く痛感した、そして深く反省する、こう言っておるのでありますが、一昨年の日中国交の回復以来の実務協定の第一号として、この貿易協定が結ばれたわけでございます。 この戦争責任を痛感し、反省をするということは、ことばはそのとおりでありますが、政府としては具体的にどういうような行動に今後出ていこうとしておるのか、どういう態度で日中国交回復後の両国関係について臨んでいくのか、この点についての外務大臣の御所見を承っておきたい、こう思います。
○大平国務大臣 日中共同声明は、一つには日中間にありました暗い過去を清算することが第一の任務でございます。第二には、これから将来にわたって真の友好関係を樹立していくという二つの任務を持っておるものと私は了解いたしておるわけでございます。 いま堂森さんが触れられましたわが国の反省は、その暗い過去の上に加えられた反省でございます。われわれはその上に立ちまして、これから長きにわたって両国の友好親善の関係をわれわれの努力で築いていかなければならぬと考えておるわけでございまして、過去一年半にわたりまして、われわれはまずこの精神を体しまして両国の間に十分の理解を持って永続的な信頼関係を築いていく努力を積み重ねてきたわけでございまして、いま御審議をいただいておる貿易協定は、はしなくもその第一号になる光栄をになったものと考えておるわけでございまして、共同声明にもうたわれておりますとおり、今後の日中関係は互恵平等の立場に立って繰り広げなければならない、そういう精神にのっとってこの協定はつくりあげられたものでございます。
○堂森委員 外務大臣の御答弁は、共同声明発表以来一年半たった今日においても、将来誠意を持った国交の正常化といいますか、よい国際関係を建設していくために一そう努力をする、こういう御答弁だと思うのであります。これは当然でございましょう。 そこで、この日中共同声明の五項には「中華人民共和国政府は、中日両国国民の友好のために、日本国に対する戦争賠償の請求を放棄することを宣言する。」と、こう書いておるのであります。そして、かつて中国の周恩来総理は、日中戦争中において中国側がこうむった経済的な損害は五百億ドル以上に達するであろう、そうして一千万人以上の人が命を失っておる、こういうことを発言したことを私は記憶しておるのでありますが、中国のそうした態度に対してどのような態度でわが国の政府は対処していくということでございましょうか。これもまた具体的に、政府の今後の対処のしかたというものについても伺っておきたい、こう思います。
○大平国務大臣 共同声明五項の賠償放棄の宣言は、中国政府の英断として私ども尊敬し、かつ高く評価いたしておるところでございます。
○堂森委員 たとえば先般小野田元少尉が帰ってきた。これに対して政府は何がしかの金額を感謝のしるしとしてフィリピンに贈った。ところがこれに対して、善意でやったことに対してお金としてこれをもらうわけにいかぬといってフィリピン政府はこれを拒否したということがあったわけでありまして、かつて戦争中に迷惑をかけたいろいろな国に対して、賠償ではないが、カンボジアに十五億円、ラオス十億円、オランダ三十六億円、マレーシアにも同じです。シンガポールにもというふうに無償経済協力を行なってきたことは御承知のとおりでありますが、もちろん中国は賠償はこれを要求しない、賠償の請求権を放棄する、こういうことを言っておるのでございますが、先刻も、今後どういう態度で、どういう具体的な行動でそうした向こう側の誠意ある態度に対して対処していくのかということをお尋ねしたのでありますが、具体的には何も御答弁がなかったのでありまして、もう一度重ねてこの辺の政府の、外務大臣の考え方について御答弁を願いたい、こう思います。
○大平国務大臣 共同声明の精神を体して今後末長きにわたって友好信頼の関係を築いてまいる、親善関係を増進してまいるということがわれわれの基本的姿勢でなければならぬと考えております。
○堂森委員 どうもあまり具体性がありませんけれども、従来わが国と国交が回復するまでに中国側は、平和五原則であるとか、あるいは政治三原則であるとか、あるいは貿易三原則でるとか、対中国貿易禁止の四条件であるとか、あるいは日中国交への五条件であるとか、いろいろな条件を明示しまして、そしてわが国に対してのみならず、いろいろな他の国に対しての関係においても原則を明示して、そして具体的にいろいろな点について折衝を重ねて、そして原則は絶対に譲らぬ、こういうような態度で臨んできておると思うのであります。先般田中総理が東南アジアの諸国を訪問されましたときにいろいろな問題が起きたのでありますが、こうした問題が起きたことについては、わが国の貿易、経済、そうした外国との関係においてある意味では無原則といいますか、そういうような態度に原因があったということは否定し得ないと私は思うのであります。 今後、対中国の経済関係についてわが国の政府はどういう態度で臨んでいくのか、そういう原則的な態度というものが私はあるべきであると思うのでありますが、この点について外務大臣の御答弁を願っておきたい、こう思います。
○大平国務大臣 その点は共同声明六項にございますように「平等及び互恵並びに平和共存の諸原則の基礎の上に両国間の恒久的な平和友好関係を確立することに合意する。」ということでございまして、平等互恵を基調といたしまして鋭意進めてまいる方針でございます。
○堂森委員 もう一つ、共同声明にうたっておる最も重要な点でありますところの第八項の「日本国政府及び中華人民共和国政府は、両国間の平和友好関係を強固にし、発展させるため、平和友好条約の締結を目的として、交渉を行なうことに合意した。」こう書いてあるのです。これは重要な点でありますが、一昨年の秋以来、この共同声明が発表されて一年半でありますが、その後平和友好条約の締結のためにどのような努力をわが国の政府はしてきたのであるかということも、今後の見通し等についても答弁を願っておきたい、こう思います。
○高島政府委員 私どもは原則的に第九項にございます貿易、海運、航空、漁業等の実務取りきめの締結を先にして、それが全部終わってからということでは必ずしもございませんけれども、適当な時期に平和友好条約の締結ということに進みたいという方針で臨んでおりまして、中国側との間におきましては平和友好条約の締結につきましての基本的な考え方について瀬踏み的な話し合いをしたことはございますが、まだ平和友好条約の案というようなものの交換という段階にまでは至っておりません。ただ、全体といたしまして先ほど申し上げましたとおり、単にまだ貿易協定の締結という程度のことでは平和友好条約の締結にちょっと進み得ないというふうに感じております。
○堂森委員 昨日の外務委員会でも、同僚の委員からの質問に対して、日中両国の航空協定はでき得る限り早くこれを締結したいのだ、こういうような意味の大臣からの答弁があったと思うのでありますが、もう一度あらためて貿易協定の審議に際しまして、航空協定は今国会中に批准を求められるような、もちろん相手のあることではありましょうが、そういう見通しでありますかどうか、重ねて承っておきたい、こう思います。
○大平国務大臣 日中航空協定につきまして交渉を仕上げまして、本国会で御承認を求めたいということでいませっかく準備を急いでいるわけでございまして、このわれわれの希望には変化はございません。
○堂森委員 時間がございませんので、条約について一、二の点を承っておきたいと思います。 戦後わが国の政府は二十数カ国との間に通商関係の条約を締結しておるのでありますが、その名前について調べますると、通商協定というのがフランスその他十一カ国との間に結ばれておりまして一番多いのであります。次が友好通商航海条約というのがアメリカほか四カ国であります。それから通商条約というのがソ連ほか三カ国、通商航海条約というのがノルウェーほか三カ国との間に結ばれております。 今回中国との間に結ばれましたこの条約は、通商という名前を使わずに貿易協定としておるのでありまして、貿易協定という条約はいままでないのでありますが、貿易協定という名称を使われた理由はどういうところにあるのでございましょうか、承っておきたいと思います。
○高島政府委員 従来政府が締結しておりますいわゆる貿易協定というのは、国会の御承認を得ない範囲で行政府の権限の範囲内で処理できるようなもの、しかも期間も一年というようなそういう取りきめでございましたので、今回中国との間にこの協定を締結するにあたりましては、わがほうの方針といたしましてはいま先生が御指摘のとおり、戦後日本政府が締結しております通商協定という形にしたいということでそういう名前を先方に提案いたしました。しかし先方は、中国側が従来各国と締結している取りきめの線で、その他また共同声明第九項の文字等に準拠いたしまして、やはり貿易という字をかえるわけにはいかないという非常に強い立場でございました。 そこでやむを得ず貿易に関する協定ということで、単に貿易協定という場合と多少表現を違えまして、そして従来政府が締結しております行政取りきめとしての貿易協定との区別をつけることによって国会承認条約の形を整えたというのが実情でございます。
○堂森委員 そういう事情であるようでありますが、この日中間の貿易協定を見ますると、十条からなっておって非常に簡潔なものになっておるのであります。通常の場合、通商関係の条約には入国であるとか国家貿易、適用地域などの項目が条文上規定されておるのでありますが、今回の日中間の協定にはそういうような条項は何もないのであります。非常に簡潔なものであります。これで日中間の貿易関連事項が全部律し切れるというふうに考えられるのでございましょうか、このような簡潔な内容にした理由はどこにあるのでありましょうか、他の国との条約とは非常に形式が違うということはどういう理由であるのか、この点を承っておきたい、こう思います。
○高島政府委員 わが国が締結しております通商協定等と比べますと、確かに内容はきわめて簡素でございますが、しかし、中国側がほかの国と締結しておる協定等と比べまして、特に簡素であるというわけではございません。ただしかし、ただいま先生御指摘のような居住、滞在等に関する規定がないではないかというお話でございまして、この点は確かに貿易に携わる人たちの入国、居住、滞在等に関する何らかの規定があったほうがいいことは当然でございまして、こういう問題につきましては、今後、混合委員会等を通じまして、中国との間に十分に話をしていきたい。さらに将来必要があれば、この協定の修正ということも将来の問題としては可能でございますので、そういう点を考えていきたいというふうに思っております。
○堂森委員 もうこれで終わりますが、このような簡潔な条文で、入国その他については何も不都合なことは起きてこないということでございますか。もう一ぺん承っておきたい。
○高島政府委員 その点は、日本及び中国双方の国内法に従いまし七、不便のないように十分話し合いをしながら進めていきたいというふうに考えております。
○木村委員長 河上民雄君。
○河上委員 今回、日中間の貿易に関する協定が締結されましたことは、日中友好の精神から見ても、また共同声明の趣旨から見ても非常に好ましいことかと思うのでありますが、その円滑な運用を期するという角度から二、三の点をお尋ねしたいと思います。基本的な点につきましては、いま堂森委員からお話がありましたので、私は、やや技術的な点にわたってお尋ねしたいと思います。 まず第一に、従来、共産主義諸国に対する貿易については、ココムという制限があったわけでございますが、今回の交渉の過程で、中国側からココムについて何らかの意思表示がございましたでしようか。
○西田説明員 ただいま御質問のココムについての問題が中国側から持ち出されたかということでございますが、交渉の過程におきましては、中国からは、この問題は一切持ち出されておりません。
○河上委員 実は、昨年でございますか、六月に北京で自動化機器展が行なわれまして、そこで出展の品目の中にココム規制対象品目が五十三品目も含まれておったという事実がございます。これは約一千点、総額十三億円にのぼる展示会でござ いましたけれども、そのうち五十三品目もココムに抵触する、こういう問題が事実起こっておるわけであります。それに対しましては、一応行政措置で、二十五品目については政府裁量品目として許可を得たけれども、なお二十八品目については特認品目となったというようなことが当時報道さ れておりました。特認品目になりますと、展示をした結果、いよいよ成約がなって、売却ということになりますと、パリのココム委員会の承認を必 要とするということでございましたが、こういう ような事実が現にあるわけですけれども、今後、 こういうような問題についてどうされるおつもりか。 その前に、この特認品目につきましては、成約が成立したのかどうか、その点についてお伺いし たいと思います。
○西田説明員 ただいま河上先生御質問の五十二品目についてでございますが、この中で申請の出ました四十八品目につきましては、すでに売却済みであるというふうに了解しております。ただ残りの四品目につきましては持ち帰った、こういう事実があったと私どもは承知しております。
○河上委員 そういたしますと、昨年からすでにココムというものは事実上かなり大幅に緩和されて、内容的にはやや空洞化する傾向にあるわけでありますけれども、今度結ばれましたこの協定と申しますか、条約を運営していくためには、ココム品目のさらに大幅な緩和あるいはココムそのものの解体を国際的に主張すべき段階に来たのではないかと思われるわけであります。 その点、外務大臣いかがお考えでございますか。従来どおり行政的な措置で処理したままでいかれるおつもりか、さらに一歩進んで、この協定の締結を契機に、ココム問題について国際的にも一つの立場を主張されるお考えはないか、その点をお尋ねしたいのであります。
○西田説明員 先生御指摘のように、最近の国際情勢は、非常に緊張緩和の方向に向かっておる次第でございますし、私どもといたしましても、大いにこういった緊張緩和の現象を歓迎しておる次第でございます。ただ、やはり東西の間の差異、イデオロギー問題は別といたしまして、東西間の差異というものは、依然として存在するわけでございますし、この東西間の差異というものを激化するおそれのあるいわゆる戦略的な物資、あるいは戦略物資に転用されるおそれのある物資につきましては、自由主義諸国との協調を維持しつつ規制をやっていきたいというふうに考えておる次第でございます。 ただ、私どもといたしましては、こういったココムの規制というものが一刻も早く緩和されるなり、廃止されることが望ましいと従来から考えておる次第でございますし、ココムの協議におきましては、従来からこういった日本の主張を繰り返し申し述べておる次第でございます。
○河上委員 今後も従来とあまり質的には変わらずにやるということになりますが、もし将来、去年の六月の自動化機器展の場合のように特認品目というものが出て、そしてパリのココム委員会の承認を得られないような事態が起こった場合は、どうされるおつもりですか。
○尾島説明員 特認品目の輸出にあたりましては、条件を付しておりまして、持ち帰りの条件を付して輸出を承認いたしております。したがいまして、もしもパリのココム委員会におきまして承認を得られない場合は、その条件に基づきまして、持ち帰りをするようにいたしております。
○河上委員 そういたしますと、今度の協定といいますか、条約の円滑な運用を期する上からいいますと、理論上は、まだそういうトラブルが起こる可能性を残しておるということになるのではないかと思うのでありますが、そういうことは今後起きないように、先ほどのお答えがありましたように、もっとココムの問題につきましては積極的にといいますか、前向きの姿勢で解決の方向に努力する必要があるのじゃないかと思うのですが、この点につきまして大平外務大臣、ひとつ心がまえでけっこうですけれどもお答えをいただけたら幸いに思います。
○大平国務大臣 先ほど政府委員からもお答えを申し上げましたように、わが国はココムの緩和ということにつきましては率先して今日までも終始努力をしてまいりましたつもりでございます。ココムが発足いたしまして二十年余りになりますけれども、その間、指定品目も三分の一くらいにもうなっておるはずだと思います。したがって、この努力は今後とも続けてまいるつもりでございます。ココムにおける協力というのもまあ国際協力の一翼でございまして、われわれはそういう国際協力に参加するワク組みの中で極力わがほうの主張は精力的に推進してまいりたいと考えております。
○河上委員 事務当局でけっこうなんですけれども、このココムの問題は今度のこの協定の運営の上であまり大きな支障を来たさないというふうにある程度の自信を持っておられるのかどうか。その意味ではココムは死んだも同然だというふうにお考えになっておられるのかどうか、その点だけ重ねて伺いたいと思います。
○西田説明員 私どもといたしましてはやはり国際協調、自由陣営の一員といたしまして、その申し合わせの趣旨に従っていわゆる戦略的な物資の輸出を規制していくということは続けていかざるを得ないと思う次第でございますけれども、この問題が日中貿易の大きな障害になるかという点につきましては、従来の貿易の比率と申しますか非常に少ないということもございますし、こういったココムの存在というものがはなはだしく日中貿易を阻害する要因になるとは考えていない次第でございます。
○河上委員 それではもう一つ私伺いたいことがあるのでありますが、それは開発途上国に対する特恵制度というものがあるわけですけれども、その特恵制度の適用につきまして台湾が含まれているようでありますが、今度の通商協定で政府はこの問題をどう扱っていかれるおつもりですか、伺いたいと思います。
○西田説明員 ただいまの台湾特恵に関する御質問でございますけれども、わが国の特恵関税制度は、国際的な了解に基づきまして開発途上の国及び地域に対しまして、その輸出収益の増大、工業化の促進及び経済成長の促進のため先進国は特恵関税を供与すべきである、こういう了解に基づきまして世界の開発途上国、地域を対象として発足したものでございます。 わが国の特恵を与えますその根拠の法規といたしましては、関税暫定措置法第八条があるわけでございますけれども、台湾に対します特恵は関税暫定措置法第八条の二の第二項で申します地域としての台湾を対象として供与しておるわけでございます。中国に対しては、ただいまのところ特恵を与えておりません。
○河上委員 この問題は航空協定の場合と同じように、中国側からこの問題について特に意思表示があったかどうかわかりませんけれども、台湾を中国の一部と認める共同声明の精神からいった場合に、こういう措置がいつまでも続けられるものであるかどうか疑念なしとしないわけでございますけれども、そういう点について、政府は今後どういうように考えていかれるか、またいまどういうようにお考えになっておられるか。
○西田説明員 日中貿易交渉の過程におきまして、特に中国側からこの問題について問題が持ち出されたという経緯はございませんでしたが、ただわが国の特恵制度を与えるに至りました経緯その他につきましては、先方からの依頼によりまして説明したという経緯がございます。
○河上委員 それでは向こうのほうから特に正式の意思表示はないけれども説明を求めた、こういうことでございますね。
○西田説明員 そのとおりでございます。
○河上委員 これは将来また大きな問題になる可能性をはらんでいるのじゃないかと思うのでありますが、もう一つ、やや技術的なことになりますけれども、今度の協定で工業所有権やノーハウの取り扱いはどうなったのか、その点について伺いたいと思うのです。 いま中国はパリ条約、今度この委員会におきましても付託されている問題の一つでありますけれども、このパリ条約には未加盟でございます。工業所有権保護に関する条約については未加盟でございますが、こういうような点について交渉の過程でどういうような詰めをされたのか。また、いままでそういうことについて問題が若干あったようにも聞いておるのですけれども、この協定でそのような問題、トラブルの起こることが除去せられるのかどうか、その点について伺いたい。
○伊達政府委員 ただいま御指摘の工業所有権の問題につきましては、協定中には規定がございませんが、私どももこのことは念頭にございまして、中国側とできればこの問題についても話し合いたいと思っていたわけでございますが、しかし中国側ではいまだ工業所有権につきまして国内法制が整備されていないということでございましたので、この問題は後日の問題として残してきたということでございます。ただ商標権につきましては、現在日中間で話し合いを行なっているという状況でございます。
○河上委員 いままでもときにトラブルがあったようなことも聞いておるのでありますけれども、今後そういうことがないようにするために、特に何か打ち合わせ、話し合いのルートというものは確立をされたのですかどうですか。
○伊達政府委員 この協定によりまして混合委員会を設立いたしまして、そこで両国間の通商問題、それらに関係ある問題について両国政府間で協議をすることになっておりますので、将来時期至りますればこの問題もその場で取り上げて話し合うことができるのではないかと思います。
○河上委員 中国といいますとよく問題になりますのは食肉。わが国のほうでは食肉の輸入が関心を示されるわけでありますけれども、中国側はいま鉄鋼とか肥料、農業機械、大豆、生糸等々の関心品目というものを示しているわけでありますけれども、それとの引きかえといいますか、日本側として庶民が非常に期待を持っておりますのは食肉の輸入だと思うのでありますが、こういうような問題について、日本側の関心品目というか、そういうような点についてどの程度——これは条約の話でありますから直接交渉の過程で話題にならなかったかもしれませんけれども、実際にいま食肉の輸入の見通しなどについてはいかがでございますか。
○内田説明員 通産省でございます。お答え申し上げます。 現在わが国は家畜伝染病予防法によりまして偶蹄類の肉等の輸入を禁止している地域がございます。御承知のように現在中国大陸もこの禁止地域に入っておるわけでございます。この点につきましては今回の貿易協定が締結されましたことと直接に関係はないことでございまして、わがほうといたしましては、中国大陸からの食肉の輸入というものが、口蹄疫の予防という観点から十分安全だということが確認されれば、将来その輸入は行なえるだろうと思っております。この点につきましては、なお農林省のほうにおきまして技術的な観点から専門的に中国側との話し合いも行なう予定もあるようでございますので、その結果にまちたいと思っております。
○河上委員 そういたしますと、今後その問題については口蹄疫の予防という一点を解決するために努力する、こういうふうに伺っていいわけだと思いますが、いずれにせよ、この貿易協定でこれまでの長い日中貿易に伴ういろいろな障害が除去されて、大きく伸長するということをわれわれは期待するわけでありますけれども、この協定が結ばれた後の日中貿易の展望というものはどうなっていくだろうか、日中貿易はどのように広がっていくという展望を持っておられるかどうか、展望について伺いたいと思うのです。 単に量的なだけではなくて、質的にも、この前から新聞その他に伝えられます中国側の、日中貿易だけではなく一般的な国際貿易に対する態度でありますけれども、非常に積極的な色彩が強くなってきております。特に人民日報などの論説などを見ましても、わが国の経済と科学技術を世界の先進的レベルにまで追いつき追い越せるように持っていくためにもわれわれの建設は高速度でなければならないというようなことを非常に強調しております。この高速度というようなことばが半ばキャンペーンのように使われておるわけでありますが、そういうような点から見ましても、単に量的に多くなるというだけではなく質的にもいままでとは違った姿勢というものがうかがわれるように感ずるわけであります。そういう中国側は高速度ということを要請しておるのに対しまして、日本側としてはどういう姿勢でこれに応じていくかということが非常に重要だと思います。 そこで、協定後開かれていく日中貿易の展望、またそのような状況の中で日本側としては日中貿易についてどういうような姿勢で臨むか、そういうことについて最後にお伺いしたいと思います。大臣並びに事務当局からのお答えをいただきたいと思います。
○大平国務大臣 日中貿易は事実の問題といたしまして今日まで着実に増進してまいっております。私どもこの記録は今後も続けていきたいし、また続けていけるのではないかと考えておるわけでございます。しかし、非常に広大なラウムを持って巨大な人口を擁しておるわけでございますので、非常に大きな貿易が短時日の間に期待できるという展望を持つことは私はたいへん危険なことではないかと思っております。社会主義国家というのは本来スウェイドマインデッドではないわけでございまして、国民所得に対しまして五%内外の貿易額を持っておるということは決して私は少ない比率ではないと思うのでございます。したがって、急速に拡大するというようなことは考えていけないと思いまするけれども、われわれの着実な努力を通じまして前進を記録していきたいものと考えますし、それはまた可能ではなかろうかと思っております。
○内田説明員 ただいま外務大臣から全般のお話がございましたけれども、先生も御承知のように、最近の日中貿易は非常に大きく伸びておるわけでございます。まだ協定締結の効果が出たというわけではございませんけれども、この一月、二月につきましても、たとえば輸出は前年に比べまして三〇%から四〇%の伸び、それから輸入は九二%程度の伸びということで、引き続き好調裏に推移しておるわけでございます。もちろん長期的に見まして、外務大臣のお答えがございましたように今後とも着実な伸びを期待しておりますし、また私どもといたしましても当然そのためにいろいろ打つべき手は打ってまいりたいと思っておるわけでございます。今回の貿易協定の締結によりまして、やはり両国の貿易が非常に安定的な基礎の上に立って着実に拡大していけるということになったかと思うわけでございます。 貿易の内容につきましてはもう御存じかと思いますけれども、先ほど先生も御指摘ございましたように、中国側でも国家建設がこれからかなりのテンポで進められていくと思います。それに応じた日本の工業製品に対する需要も、プラント類、機械類、鉄鋼類等いろいろ需要が増大していくものと思っておりますし、それから一方日本の側におきましても、中国からのいろいろ製品あるいはその他の一次産品の輸入といったようなものにつきましても輸入需要は着実に拡大していくものと思うわけでございます。そういうことで、今後日中貿易は質的にもいろいろお互いに新しいバラエティーを持ちながら拡大していくということで、私どももその方向にできるだけの努力をしてまいりたいと考えております。
○河上委員 いま大臣並びに事務当局からお答えがあったところでございまするが、その場合、石油の問題がどうなりますか。去年たしか百万トンですか初めて中国から石油が入ったわけですけれども、将来の日中貿易の中で石油の輸入というものがどの程度の比重を占めるかという点は国民も非常に関心のあるところだと思いますが、いかがでございましょうか。
○内田説明員 お答え申し上げます。 ただいま先生御指摘のように、昨年初めて中国から原油の輸入が実現いたしまして、百万トン入ったわけでございます。本年はすでに昨年いたしました日本側の企業が百五十万トンの輸入の契約を結んでおるようでございますし、また最近私ども聞くところによりますと、さらに別の商社等がやはり同じく百万トンあるいはそれ以上の輸入契約を結ぶべく、現在北京に参りまして商談を行なっている途中と聞いております。 そういうように、石油の輸入につきましては徐々に増大していくものと考えておりますけれども、やはりこれはあくまでも中国側の石油の開発の進め方、あるいはそういう石油というような非常に重要な資源をどういう形で外国に輸出していくかということについての中国側の貿易政策上の考え方といったようなものとのからみもございますので、私どもそう急速に何倍にもなるものというふうには考えておりませんけれども、やはり着実な輸入の増加というものは期待できるものではないかというふうに考えております。
○河上委員 それでは私の質問はこれで終わりますけれども、せっかく貿易協定が結ばれたのでありますから、着実な発展の中にもこれが貴重な一里づかになることを希望して、私の質問を終わりたいと思います。
○木村委員長 松本善明君。
○松本(善)委員 日中貿易協定について、若干質問をしたいと思います。 中国との国交回復が行なわれて以来の実務的な諸協定、貿易協定のみならず、全体が大体どういうふうに進んでおり、それから見通しとしてはどうなっていくのか、この点についてまず御説明をいただきたいと思います。
○高島政府委員 共同声明第九項にございますとおり、日中間では今後貿易、海運、航空、漁業等の取りきめを締結するべく交渉に入るという約束をしております。御承知のとおり、いま日中航空協定につきましては鋭意締結のための努力を続けております。それから貿易協定以外に、第九項にございます取りきめの中では海運協定と漁業協定があるわけでございますが、海運協定につきましては、すでに日中双方間で案文を交換いたしておりまして、その案文の中の若干の問題について質疑応答等も繰り返しております。したがって、現在すでに両国間で交渉できる段階にきておるわけでございまして、去る一月、大平大臣が訪中の際に早急に締結のための交渉に入りたいという申し出をいたしまして、先方もそのことには同意いたしております。ただ、航空協定等との関連もございましょうか、いずれにしても、まだいつ始めるかというところまで具体的には詰まっておりません。しかし、私どもの見込みとしましては、航空協定がめどがつけば、この海運協定のほうの話もすぐに交渉に入れるというふうに思っております。 それから、漁業協定でございますけれども、これは現在民間取りきめがございまして、昨年六月一十二日に一年間単純延長をいたしております。わがほうの希望といたしましては、この延長期間中に政府間の協定ができれば一番望ましいわけでございまして、そのための交渉を持ちたいというふうに考えておりますが、現在のところでは、四月の中旬に中国におきまして、まず専門家レベルでの漁業協定に関する話し合いを行ないたいという向こうの提案を受けまして、そのように合意いたしております。したがいまして、その結果を見た上でなければ具体的に政府間の協定がいつできるかという見通しを述べることはできませんが、われわれといたしましては、この民間取りきめ延長期間中にもしできれば政府間協定の締結にこぎつけたいというふうに希望いたしております。
○松本(善)委員 海運協定、漁業協定それ自身での問題点があれば御説明をいただきたい、こういう点が問題になるんじゃないかというようなことがあれば。といいますのは、航空協定が結ばれればとんとんといくという見通しであるのかということです。
○高島政府委員 いま私どもとして、海運協定あるいは漁業協定の内容についてこういう点が具体的に問題になろうかというような点の御披露はちょっといたしかねますけれども、一般的に申しまして、海運協定のほうは、海運協定の交渉に入ればさしたる問題なく締結できるというふうに思っております。
○松本(善)委員 海運協定、漁業協定以外で、いままでやった取りきめあるいはこれからやるという予定のものはありますか。
○高島政府委員 いま当面、第九項に掲げてあります協定以外に特別に結ぶことを考えている取りきめというのはございません。もちろん、第八項にございます平和友好条約がその後に来るべき問題として非常に重要視いたしておりますけれども、実務取りきめといたしましては、この四つの取りきめ以外に考えておりません。
○松本(善)委員 先ほどココムについての質疑がかわされましたけれども、いま言われたような実務諸協定が締結をされ、そして平和条約を締結するというような段階になっていけば、ココムの制限については何らかの変化をもたらすということになるかどうか、その辺の外務大臣のお考えを伺いたいと思います。
○大平国務大臣 これは直接には関係ございません。
○松本(善)委員 そうすると、平和条約を結んでもずっとココムは維持をしていくという考え方で日本政府はいく、こういうことでありますか。
○大平国務大臣 先ほども河上さんにお答え申し上げましたように、ココム委員会に日本が参加いたしておりますゆえんのものも、自由圏諸国との協力の一環でございますので、私どもそのワク組みから日本が抜け出るということはいま考えておりません。ただ、このワク組みの中で、わが国といたしましてはできるだけココム制限の緩和の方向には今日までも努力をしてまいったわけでございますし、今後も努力してまいりたいと考えております。
○松本(善)委員 私どもは、いつまでもそういうことであってはならぬというふうに思うわけです。ココムの制限がなくなった場合の日中貿易の展望といいますか、それはいままでとは考えられないような大きなものになるのではないかというふうに思いますが、そういう点については外務省はどういうふうにお考えになっておりましょうか。
○内田説明員 お答え申し上げます。 現実に、ココム品目につきましての輸出規制というのを行なっておりますけれども、実際問題といたしましては、現在でも輸出貿管令によりまして輸出承認を必要とする品目につきましても特認というような制度もございまして、実際には貿易にそれほど大きな障害になっているとは私どもは考えておらないわけでございます。特にココム規制がかりにはずれた場合にどうかということは計算いたしておりませんけれども、現在実質的に先方の需要がある品目につきまして、現在の規制の中でも極力輸出ができるような措置をとっておりますので、特にそれがはずれた場合に非常にそれが貿易に大きく響くかどうかということにつきましては、さほど大きなものではないのではないかというふうに私ども考えております。
○松本(善)委員 外務大臣に伺いたいのですが、これはやはり政治的な問題でして、いまの実際にやられていることの範囲で、ココムのある中で考えている実務担当者の考えでは、いま以上のことは起こり得ないと思うのです。先ほど石油の問題についての答弁もありましたけれども、そういう制限が取っ払われるということになった政治的な意義というものは非常に大きいのじゃないだろうか、そういう方向にやはりこの際踏み切るときじゃないだろうか、そういうことを私は考えるわけです。 そういう点で、外務大臣の政治家としての見解を伺いたいわけですけれども、そういうココムから脱退するとかあるいはココムを解消するとかいうようなことが起こった場合に、日中貿易というものはやはり大きく発展をするのじゃないだろうか。この点については外務大臣はどうお考えになっておるかということが伺いたいわけであります。
○大平国務大臣 いまもお話がございましたように、ココム規制そのものが今日現実の貿易取引に大きな支障になっておるものという判断は持っていないわけでございます。それからココム規制があることは望ましいかというと、私どもそう考えていないわけでございまして、できるだけこういう規制が除去されて、自由が回復されることが望ましいと考えておるわけでございます。しかしながら、そういうことをやってまいる上におきましては、やはりココムの中におりまして、その緩和に努力してまいることが現実的な道である。脱退するばかりが芸じゃないわけでございますし、私どもココムに参加しておる国々との間の信頼関係というものも大事でございますので、いまの姿勢が政治的に見まして間違っておるとは考えておりませんし、むしろこういう姿勢でまいることのほうが堅実な歩みであり、成果があがるのではないかと私は考えております。
○松本(善)委員 現在の外務大臣のお考えはわかりましたけれども、私の申しますのは、日本の国全体の方向として、ココムのようなものがなくなれば、社会主義国との貿易関係というものはやはり大きく発展をするのじゃないだろうか、少なくともこの点についての認識は外務大臣もお持ちではないだろうかということで伺っているのですが、その点についてはお答えいただけませんか。
○大平国務大臣 一般論といたしまして、先ほど申しましたように、貿易上の規制というものは本来望ましくないことでございまして、できるだけ規制がない状態において貿易の自由な拡大がグローバリ−に行なわれてまいる状態が私は望ましいと考えております。しかし、現実にはいろいろな規制が国際的にも国内的にもあるわけでございまして、丹念にその一つ一つにつきまして除去してまいる努力を重ねながら前進してまいることのほうが実際は実効があがっていくのではないかと思います。 考え方として、できるだけ自由な貿易の拡大が望ましいし、また、そういう環境になりますと貿易がまた増大することになるではないかという御指摘は、それは仰せのとおりだと私は思っています。
○松本(善)委員 まだ答弁について若干不満な点はありますけれども、これで質問を終わります。
○木村委員長 渡部一郎君。
○渡部(一)委員 日本国と中華人民共和国との間の貿易に関する協定の審議にあたり、当外務委員会においては、従来提出されたたくさんの条約あるいは協定等が今国会におきましては存在しているにもかかわらず、本協定をそれらの協定に先立って審議しようという各委員相互における了解が成立したことは、本協定に対する当外務委員会の意向を最も的確に示すものであると思います。すなわち、日中国交正常化にかけるわが国国民の一致した要望がこの委員会における審議に対する態度にもあらわれているわけでありまして、そのことをまず了解していただかなければならぬと思うのであります。自民党を代表される委員のほうが本協定を早く審議されることについてむしろ戸惑われたようないきさつすらあったのでありまして、今後日中航空協定あるいは海運、漁業等日中共同声明に特記された協定、あるいはそれ以外にも友好親善のために必要な諸協定を結びつつ平和友好条約の締結のために強力な前進を来たしていただきたいと思うわけでありますが、その点に対する基本的な御見解をまず示していただきたいと存じます。
○大平国務大臣 日中正常化後の日中関係の具体的な前進についての配慮と御理解をいただいたことを感謝いたします。と同時に、それに国会が特に力点を置いて審議の御都合をつけていただいたことについて感謝申し上げます。政府といたしましても、仰せの御趣旨はごもっともと考えておるわけでございまして、そういうラインに沿いまして、本協定ばかりでなく、他の日程にのぼっておりまする実務協定並びに平和友好条約の締結につきましても、精力的に取り組んで、御期待にこたえなければならぬと考えております。
○渡部(一)委員 共同声明にあげられている海運あるいは航空、漁業等の協定に関しての締結の見通しはいかがなものであるか、また、平和友好条約に至る見通しはどういうものであるか、この際明らかにしていただきたい。また、御決意を明らかにしていただきたいと存じます。
○高島政府委員 先ほど松本先生の御質問に対しましてお答えしましたとおり、現在その妥結のために最大限の努力をしております航空協定は当然でございますけれども、この航空協定の締結の次のステップといたしましては、海運協定、それからこれと並行しまして漁業協定等をなるべく近いうちに妥結に持っていきたいと考えております。さらにまた、第八項にございます平和友好条約の締結もできるだけ早い機会に、この実務取りきめをめどをつけた段階で取り組みたいというふうに考えております。
○渡部(一)委員 外務大臣にこの際御注意を喚起したいと思うのでありますが、これら諸協定は、いずれも貿易、海運、航空、漁業等わが国及びかの国との関係の産業に関するものであります。しかし、外交が心と心の結びつきというか、相互の人間的な利害の上に成り立たなければ成立しがたいものであることは言うまでもないわけでありまして、むしろこれまでわが国の外交は、戦前は軍事外交が優先した、戦後は産業外交が優先したのであります。ところが、そうしたやり方が破綻をしていることは、この間から指摘をされたとおりでありまして、この人間と人間との相互理解を深めるため、留学生交換問題をはじめとする文化協定の早期締結こそ非常に急ぐべきものではないかと私は思っておるわけであります。この点はいかがでございますか。
○大平国務大臣 先生のおっしゃることはよく理解できます。その前提といたしまして日中間の文化的な交流というものを深めてまいり、その過程におきまして、それを円滑に保証をいたす意味におきまして、協定の問題も考えなければならぬ段階がくるのではないかと考えておるわけでございまして、いま当面、文化交流を精力的に進めてまいる方向で考えておるわけでございます。
○渡部(一)委員 文化交流を精力的、実質的に進める、それはわかるわけなんですけれども、留学生の交換などという青年の交流等のこと一つ考えましても、無協定状態の中では決してスピーディーに、スムーズに進むものではない。したがって、そういうものを加速するための文化協定の必要性というものは大きいものじゃないか。しかも、その文化協定というものは、他国との間に存在しないものではなくて、日ソ共同宣言の場合にはあげられておるものである。中国のほうではそういうものを落とされたのは、そのときにはたくさんの協定を書き込む必要がなかったためとも言えると思いますけれども、私は文化交流を進めるというだけでなくて、こういう協定の必要性も大臣としてはお考えいただいていいのじゃないか、当然、こうした特記された協定のほかに一番先に結ぶべきものではないか、こう思っているわけですが、いかがですか。
○大平国務大臣 よくよく考えていかなければならぬ大切な課題であると考えます。
○渡部(一)委員 この問題は、今後この協定を審議されておる途中でも、ひとつ十分御配慮をいただきたいとお願いをいたしておきます。 それから、対共産圏輸出調整委員会、いわゆるココムに対する問題につき、先ほどから委員各位からお話が出ているわけであります。共産圏に対する輸出調整をするこうした委員会については、今日に至るまでずいぶん長い歴史的な経過をたどっているわけであります。こうしたものの存在が、一体はたして必要なものであるかどうか。 私の調べたところでは、一九四九年十一月、アメリカの提唱で北大西洋条約機構、NATO諸国の対共産圏戦略物資禁輸の歩調を合わせるために設立をされ、五〇年一月に活動を開始したと記されております。これは共産圏向け戦略物資の禁輸ないし輸出統制を行なう秘密機関であって、加盟国は十五カ国。日本は一九五二年、昭和二十七年九月に加盟したとあります。 昭和二十七年のときと今日とはもう話が全く違っているというべきだろうと思うのです。それをいまは堅持していくことが必要であるというふうにあっさり言われましたけれども、これはちょっと問題を呼ぶ議論ではなかろうか、いま松本委員に対するお答えは、何らの修正もしないようなニュアンスが非常に濃いものでありました。 私はまず、それではこの問題を少し議論しなければならぬと思っておるわけであります。というのは、この問題点の中で、まず現在ココムにおいて、認識を一にするために伺うのですが、制限されている品目の名前と、そしてわが国に課せられている数量的制限はどんなものであるか、御担当の方から述べていただきたい。
○尾島説明員 お答えいたします。 ココムの禁輸品目につきましてはリストをつくってございまして、このリストは公表しないことになっております。しかしそのリストに基づきまして、輸出貿易管理令に基づきまして規制いたしております品目は約百六十品目にのぼっております。
○渡部(一)委員 量的な制限を課しているものはどういうものであり、どういう制限があるか、お答えいただきたい。
○尾島説明員 いま申しましたのは品目の輸出の規制でございまして、量的な規制を課しているものはございません。
○渡部(一)委員 それではその百六十種類の品目のリストにつき当委員会に御提出をお願いしたいと思います。
○尾島説明員 貿易管理令の別表から摘出いたしまして御提出いたしたいと思います。
○渡部(一)委員 いまあなたそのリストの表をそこにお持ちですか。
○尾島説明員 いま持ってきておりません。
○渡部(一)委員 いらっしゃらなくても、リストのことは大体頭に入っておられますね。
○尾島説明員 はい。
○渡部(一)委員 そうしたら伺うのですが、その中で軍事物資であると思われるものはどれとどれでしょうか。どんなものがありますか。
○尾島説明員 大体武器関係とそれから原子力関係、これがおのおのたしか二十品目くらいずつございます。そのほかに戦略物資といたしまして百二十品目くらいあったと思います。
○渡部(一)委員 そうすると、武器関係についてわが国が輸出することになっていないのは、これはココムとは関係ない。そうしたことは日本国の憲法のたてまえからいってもわが国政府の方針としてはしないことになっております。ですからこれは当面関係ないとすれば、あとの戦略物資の百二十種類などというものは戦略という名前に該当するのかどうか、はなはだ不鮮明な感じがするのです。つまりNATO諸国と歩調をそろえることにのみ意義があるのであって、あるいはアメリカのごきげんをうかがうことにのみ意義があるのであって、何もココムなどというシステムの中にわが国が入ることによってわが国が安定を受けるという感じのものではないはずではないかと思うのです。これはどうしてそんなにこんなものに入らなければいけないといままで理解してこられたのか、いままでの方針はどうだったのか伺います。内田さんでも尾島さんでもけっこうです。
○西田説明員 先ほど河上先生の御質問の際にお答えいたしたわけでございますが、日本といたしましては、同じく自由主義諸国と協調しながらいわゆる戦略物資の輸出を規制していくということが、わが国の外国貿易及び国民経済の健全な発展に資するところであるというふうに考えまして一九五二年以来実施しておるわけでございます。ただ、先ほど大臣からもお答えがございましたように、その調整委員会が発足しました当時約数百ございましたいわゆる規制品目が現在約三分の一ほどに減っておりますし、わが国といたしましてはその規制品目の撤廃ないしその制限緩和という点につきましては、従来からも、また今後とも引き続き努力してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○渡部(一)委員 いまあなたは撤廃と緩和に努力するようなニュアンスで一生懸命おっしゃいましたね。さっき外務大臣は、もうそんなことはけんもほろろみたいなニュアンスでおっしゃった。私が聞きそこなったのかもしれませんのでもう一回申し上げますが、大臣はココムから直ちに日本が撤退することについてどう思っておられるのか、ココムにおるとするならば、そのココムの品目が多いと思っているのか、少ないと思っておられるのか、これから先どういうふうになさるという方針でおられるのか、それをひとつ明確にお示しいただきたい。
○大平国務大臣 私は先ほど松本さんにもお答え申し上げましたように、本来貿易はできるだけ自由な姿において行なわれることが望ましいと考えるわけでございまして、これは国際的であれ国内的であれ、規制があるということよりはない場合のほうが私は総体的に望ましい事態だと考えておるわけでございます。しかし、現実にココム規制というものが一九四九年以来あるわけでございまして、そういうものは一つの国際協力の仕組みといたしまして調整委員会がございまして、足並みをそろえてやろうじゃないかという申し合わせでいたしておるわけでございまして、日本がもしそれから脱退するということになりますと、その面におけるインフォーメーションから全然暗くなってしまうわけでございまするし、またそのフォーラムにおいて日本が努力する機会もなくなってしまうわけでございますので、現在のように調整委員会の中におきまして日本が大貿易国の一員といたしましてこれに参加して、いま西田君からも言われましたように緩和の方向に努力してまいることが現実的であり効果的であると思っております。
○渡部(一)委員 そうすると、大臣はこのリストの削減ないしは緩和の方向に向かって努力されることを現実的処置としてつとめられていく、こういうお話でございますね。 そうすると、今度はもっと現実的な話をしまして、ここのところでココムリストを守ることがわが国の国益に合うのかどうかということであります。これについては非常に問題があろうかと思います。御承知のように、EC諸国の中でも西ドイツ、イギリス、フランス等は、ココムリストの中にあるものを平然と対共産圏に向け輸出をしておる。ココムリストを無視することがいまや流行中である。西ドイツは精密機械を、イギリス、フランスは飛行機や機械類を中国に売り込む。またはソ連等に経由して売り込む。こうした行為がこの間から国際的に問題になっております。そしてある国は中国の核開発も手伝ったではないかとまでいわれております。 こうしたことを考えれば、わが国がココムリストを貿易管理令において厳格に取り締まっていく。そしてココムの優等生などという皮肉ともほめことばともつかぬようなことばで言われているのだそうでありますが、こうした吉田書簡以来の伝統的な中国敵視政策のしっぽというものを残存させていくことは、共同声明の精神に沿わないのではないかと感ずるわけであります。こういう諸外国のココムリストの実質的な踏み破り行為に対して、どうお考えになっておられるのか。
○西田説明員 ただいま先生からココムリスト破りというおことばがございましたけれども、先ほど通産の担当課長から御説明がございました百六十品目、これがすべて輸出禁止ということではございませんで、その百六十品目につきましては通産大臣の輸出承認が要るということになっておるわけでございます。したがいまして、貿管令の別表に掲げてございます品目につきましても、一定の性能以下のものにつきましては輸出が許可されるわけでございまして、ドイツあるいはイギリス、こういった国におきましても、調整委員会の申し合わせを忠実に守った上で輸出を行なっておるというふうに私どもは了解しておるわけでございます。
○渡部(一)委員 先日、中国において日本の貿易の展覧会が行なわれた際、包みのなわの品種からくぎの個数に至るまで、機関銃の材料になるからなどという下等な理由で貿管令対象品目として包み直しを命ぜられたという事実があるではありませんか。こういうでたらめかついいかげんなことが今日一方では続いていると思えば、一方では先日日本から中国に行かれた貿易あるいは商売人の代表の人々が、日本に現存している米国から提供された戦闘機の一部を売却する対象として選び、カタログを中国側へ渡したという話も報道されております。 こういう無制限かつ無軌道的なやり方で、そしてココムという名のもとに行なわれているということは、いずれにせよ冷戦外交時代のきわめておくれた外交の形骸が今日も残っているものではないか。この際通産省と外務省との間でよく御検討いただいて、これらの問題について新たなる方針を策定されるべきではなかろうかと思うのですが、いかがですか。
○西田説明員 ただいま先生が御指摘されました具体的な話は私ども承知しておりませんが、調整委員会におきます制限の撤廃ないしはその制限の緩和という点につきましては、私ども常時通産事務当局と協議しつつ、先ほど外務大臣からお答えありました方向でその緩和に努力しているというのは事実でございますし、今後とも引き続きこういった努力を続けてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○渡部(一)委員 本条約の中で幾つかの問題があるわけでありますが、たとえば第六条では「両締約国は、両国間の経済貿易関係を一層発展させるため、平等互恵の原則に従い、産業に関する技術交流を積極的に促進する。」となっております。「産業に関する技術交流を積極的に促進する。」と大まかになっておりますが、日ソ共同声明の場合には産業に関する技術交流の文面はなく、技術については学術交流にとどめたといういきさつがあります。それはソビエトに対しては産業スパイを極度に警戒したという日本政府のあらわれであるとわれわれは承っておったわけであります。中国に対しては産業に関する技術交流という点を正面から出された。 これはいい点と悪い点が両面介在するだろうと私は思います。これは少なくとも技術というものに対し、特許法を中心として日本政府が守り抜いてきた産業に関する日本側の資産というものを、どこまで技術交流という形で無制約に開放するのか、その限界が明示されておりませんし、また逆に「産業に関する技術交流」ということばが入っているのは、学術に関する交流の部分とどういうふうに差をつけられているのか、はなはだ明快を欠いているわけであります。中国に対するものとソ連に対するものとは、きわめて大きな態度の差があるのはわかるわけでありますが、ここのところは、あまりそういうのを考えられていなかったのか、あるいは深く考えられてこういう文面にされたのか、その辺のところを明示していただきたいと存じます。
○内田説明員 お答え申し上げます。 ただいま先生御指摘のように、日中貿易協定の中で「産業に関する技術交流を積極的に促進する。」という文言があるわけでございます。ここで「産業に関する」ということばを入れましたのは、これは技術交流ということになりますと、いま先生お話しのように、学術的なものもあるわけでございます。これは本来貿易協定とは別個の分野で、もしそういうことをやるのであれば取りきめるべきものかと存じますので、貿易協定の中では、やはり直に関係のある技術交流ということになりますと、産業に関するということになろうかと思います。 それから、産業に関する技術交流を無制限にやるのかどうかという御質問でございますが、これは現実にわが国におきましては自由主義経済体制でございますので、産業技術に関しまして、特許、ノーハウ等につきましては、これは現実に企業がそれを所有しておるわけでございます。それをどこまで相手国に対して、その特許、ノーハウにかかる技術を向こう側に教えて交流をしていくかということは、これは個々の企業の判断にかかわることでございますので、政府といたしましては、特にそれを制限をしたり、あるいはその企業が望まないことをやれというようなポジションにはないわけでございます。ただ、企業が企業の責任においてそういう技術交流を進めたいという場合に、政府としても、それが円滑に行なわれるような環境は整えてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○渡部(一)委員 そんなことを言っているからだめなんですよ。そういうとんちんかんなことを言っているからだめなんだ。あきれたな、ぼくは。それはなぜだめかというと、もう話すのもめんどうくさいけれども、企業と企業の間で、特許をわがほうが持っているから、企業の利益に応じてそれを出すというような言い方をしておりますと、一面では日本から特許やノーハウというのは無制限に持ち出されてしまう。これはソビエトとアメリカとの関係で、あるいはソビエトと日本との関係でたくさん起こったことじゃないですか。そうでしょう。そしてそれがあなたの不快な思い出につながり、不快な折衝につながったことは事実じゃないですか。 そんなことを知らぬことはありますまい。そんないいかげんなことを言って、外務委員会をだまそうというのですか。特許というものは日本の貴重な財産なんです。それに対して、制限も何も書いてないじゃないですか。それについては別個に交渉するとかなんとかいうならともかくとして、何たる言いぐさですか、あなたは。こっちは商工委員会の議事録を一行も読んでいないとでも思っているのですか。全くひどいものだ。
○内田説明員 ただいまの御説明は、技術交流のところについての御説明でございまして、ことば足らずのところがあったかと思いますので、その点はおわび申し上げます。 工業所有権に関しましては、これが重要であることは、申すまでもございません。私どもは、かねがねその点につきまして、工業所有権の相互保護につきまして、中国側とも何らかの協定を結びたいという希望を非常に強く持っておるわけでございます。今回の貿易協定の交渉におきましても、この問題を日本側から提起いたしましたけれども、先ほど外務省のほうからお答えがございましたように、現在中国側では、その特許等についての国内法制が十分整備されていない、現在の段階では、その取りきめの交渉はまだ応じられないということでございました。 ただ、その際、中国側の説明によりますと、これは現実に——私ども民間企業の方からも聞いておりますけれども、現実の個別の契約の交渉の際に、たとえばプラントの輸出の場合に、そのプラントにかかわる特許の部分あるいはノーハウの部分につきましては、個々の契約でそれを保護をするというような形で現実に商談が行なわれ、そういう契約が結ばれておるようであります。もちろんこれは個々の契約上の問題でございますので、先生おっしゃいますように、十分な保護とは申しかねる面があるわけでございます。私どもといたしましては、当然これを全体といたしまして法的に保護ができるように、中国側との取りきめを早急に締結したいと考えておるわけでございますが、これは何ぶん相手との話し合いでございますので、今後とも私どものほうは、引き続きそれを早期締結ということを目ざしまして、中国側とも話し合いをしてまいりたいと考えておるわけでございます。
○渡部(一)委員 いま、この貿易協定に関しては、工業所有権のものに関しては非常に不満足、不十分なものであったということをいま通産省の代表は申されたわけであります。外務省は、こういういいかげんな条約を結ばれたことについて何とも思っておられないのでしょうか。
○高島政府委員 工業所有権の保護に関しましては、交渉の過程におきまして、数回にわたりまして中国側に対して、何らかの規定を設けることを要求いたしました。しかし、先ほど担当の者から説明がありましたとおり、現在中国には工業所有権の保護に関する法体制ができておらないので、もう少し待っていただきたいということでございましたので、これは先方の法制の整備を待った上で、別途日中間で取りきめを締結しなければならないと考えております。
○渡部(一)委員 そうすると、それについては、今後交渉し、締結をする決意であると理解してよろしいのですか。
○高島政府委員 現に、商標権につきましては、交渉いたしておりますし、工業所有権の保護につきましては、先方の法体制の整備を待って交渉したいと考えております。
○渡部(一)委員 大体そういうような大事なことを一つ聞いてさえ、こういうふうにすぐ穴が出てくるというのは、私は、非常に遺憾なんですね。なるべく当委員会には知らせないように、黙って賛成させるように、もうこの間からそういう態度が続いているわけだな。外務大臣、こういう態度はひとつお改めをいただかなければいかぬと私は思います。 次のことをちょっと申し上げるのですが、この共同声明の扱いでありますが、この協定の冒頭の三行目に「千九百七十二年九月二十九日に北京で発出された両国政府の共同声明に基づいて、」と、この共同声明の精神が再度この貿易協定ではうたわれ直しているわけであります。これはどういうことかというと、今日まで共同声明に関しては、直接的あるいは法的な拘束力がないものとして批准なども要しないものとして、われわれは考えてきたわけでありますが、共同声明の内容が両国政府の政治責任において履行されることを要求された、この日中共同声明のような場合は、これは私は、明らかに日ソ共同宣言のように、条約として批准される性質のものと似た重みのあるものである、こう理解するのが妥当ではないかとまず思うわけでありますが、その点をどうお考えでありますか。
○高島政府委員 日中共同声明は、政治的にきわめて重要な文書であることは、先生御指摘のとおりでございまして、これに基づまして、日中の国交正常化を完成したわけでございまして、そういう意味では、きわめて重要な文書であるということでございます。しかし、いわゆる憲法に言います条約という範疇に入るかどうかという点に関しましては、私どもは、そういう種類の法的な文書ではないということでございまして、その点につきましては、過去しばしば大臣等から、国会におきまして御説明してきたとおりでございます。 ただいま先生御指摘の、貿易協定の前文に引用いたしております日中共同声明に基づいてという文言につきましては、この共同声明第九項に日中間の貿易協定の交渉をするという約束をいたしておりまして、この約束自体は政府間で約束できる内容のものでございまして、そういうことについて、それを再びこの前文の中にリファーしたというのが実情でございまして、特にそこにリファーしたからそれが非常に法的な意味を持つというようなものとは私ども考えておりません。
○渡部(一)委員 共同声明の第八項では、平和友好条約の締結を明示してあるし、第九項においては、ただいま問題になりました「貿易、海運、航空、漁業等の事項に関する協定の締結を目的として、交渉を行なうことに合意した。」旨しるしてございます。そうしますと、明らかにこの八項及び九項は、わが国に対して条約の締結の責務を負荷したものでありますし、その意味では、これをもし破った場合、わが国としては共同声明によって責任を追及されるという局面もある、こういうふうに考えるわけなんですね。
○高島政府委員 この点は、共同声明起草の段階で、日中間で幾らか議論になったところでございまして、条約ないし協定の締結を約束するという表現と締結のための交渉を約束するということでは非常に差がございまして、共同声明ではそこを用心深く、締結のための交渉に入ることを約束する、交渉に入ることは政府として約束できることでございまして、締結についての約束はできないということで先方の要求をけりましてそういう表現に直したわけでございます。
○渡部(一)委員 わが国では、そうするとこの締結を拒否することができる、それは国際法上も両国間の関係も、そういう事態に立ち至ってもそういう妙なことにはならないように配慮したのだ、こういう立場をとられるわけですね。
○高島政府委員 法的に申しますと、要するに厳密に法的にだけ申しますと、日本政府としては交渉に入ることだけを約束している、その締結については何ら約束しておらないということでございます。しかし、これはあくまでも法的な解釈でございまして、実態的には日中間で締結しましょうということを政治的に合意しているというふうにお考えいただいてけっこうだと思います。
○渡部(一)委員 その政治的な合意の点から考えますと、私はこの共同声明の持つ持ち味というものはきわめて重大なものであろうと思うわけでありまして、このようなものの今後の取り扱いについては、さきに条約に関する取り扱いの本委員会におけるさまざまのお話し合いの中でも出たことでありますが、国会に対する報告あるいは審議等において、もう少し一歩前進が行なわれなければならない。そうでないと、こうした問題が次から次への問題の基本的な不合意の原因になるだろう、こういう感じを持っているわけでありまして、今後こういう点について御配慮を賜わりたいと考えるわけであります。 それではこれで終わります。
○木村委員長 これにて本件に対する質疑は終了いたしました。 —————————————
○木村委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。 日本国と中華人民共和国との間の貿易に関する協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○木村委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。 おはかりいたします。 ただいま議決いたしました本件に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○木村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○木村委員長 次回は、来たる四月四日木曜日、午前十一時三十分理事会、正午委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時二十五分散会