外務委員会 第8号
- 発言数
- 212 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1974/03/04
会議録
○木村委員長 これより会議を開きます。 国際情勢に関する件について調査を進めます。 条約に関する問題調査のため、本日は、参考人として明治大学教授宮崎繁樹君が御出席になっております。また上智大学教授佐藤功君は御都合により後ほど御出席になります。 この際、参考人に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は御多用のところ本委員会に御出席くださいまして、まことにありがとうございます。どうか忌憚のない御意見をお述べくださいますようお願い申し上げます。 なお、議事の進め方につきましては、最初に十分程度御意見の開陳を願い、そのあと各委員から質疑が行なわれることになっておりますので、よろしくお願いいたしたいと存じます。 それでは宮崎参考人にお願いいたします。宮崎参考人。
○宮崎参考人 ただいま御紹介いただきました宮崎でございます。御指名によりまして、意見を申し述べさせていただきます。 交換公文、エクスチェンジ・オブ・ノーツと申しますのは、国際法上簡略化された形式の条約ないし略式の条約と呼ばれるものの一種でございます。 通常の条約の場合は、条約締結権者、すなわち通常の場合は元首、わが国におきましては内閣から全権委任状を付与された参加国の全権委員が、条約本文を作成の上、そろって署名し、それを本国に持ち帰って、条約締結権者の批准を得、批准書を交換または寄託することによって、所定日に発効させるのが通例でございます。 ところが、交換公文の場合は、全権委任状も、連名の署名も、批准ということもなく、一走内容の合意をしたためた文書を相互に交換することによって発効させる、したがって通例は二国間のバイラテラルな条約でございます。 この交換公文の方式は、かなり以前から、十九世紀の末ぐらいと思いますけれども、国際慣習としてとられてまいりましたが、一九六九年の条約法に関するウイーン条約第十三条でも公式に認められております。同条は、「条約によって拘束されることに対する同意の、条約の意味をもつ文書の交換による表明」と題し、「次の場合には、国家間に交換される文書で設けられる条約によって拘束されるという国の同意は、次のような交換によって表明される。(a) 当該文書自体、それらの文書の交換が前記の効果をもつものと定めている場合、又は(b) それらの文書の交換が前記の効果をもつべきであると当該国が合意したことが、他の方法で証明される場合」としております。 もっとも、この条約の基礎となりました国際連合の国際法委員会の一九六六年の最終草案におきましては、この条項はございませんで、条約によって拘束されることへの国の同意は、署名かあるいは批准によって表明されるとしておりました。 しかし、条約法条約を審議いたしました一九六八年のウイーン条約法会議で、アメリカとポーランドの代表の提案によりまして、第十一条の「条約による拘束されることに関する国の同意は、署名、条約の意味をもつ文書の交換、批准、承認、受諾あるいは加入により、又は合意によるなんらかの他の方法によって、表明される」という条項が挿入され、その論理的結果として、さきに申し述べました第十三条の規定が、ポーランドの提案で追加されたのでございます。 つまり、現在の国際情勢下におきましては、アメリカのような資本主義国にとっても、ポーランドのような社会主義国にとっても、この交換公文という簡略化された条約の方式を明定しておく必要があったということを、この経緯は示していると存じます。 ワインシュタインという学者が調査したところによりますと、一九二〇年に発足をした国際連盟のころには、連盟事務局に登録された条約のうち二五%ぐらいが交換公文であったのが、第二次大戦後、一九四五年に発足をしました国際連合では、その比率は、一九五〇年まで四四%、一九五一年四七%、一九五二年には七七%に増加したとしております。これは国連に登録されたものだけでございますから、その他のものを加え、また、その後の比率を調べてみますと、おそらく交換公文の占める比率は、さらに大きくなるものと思われます。 私も、わが国の官報を通読しておりまして、最近、外務省告示として登載される交換公文の数がとみに増加し、感じとして、三日か四日に一つずつぐらいの割合で掲載されているように思ったのでございます。 それで、実際に調査いたしましたところ、わが国が外国と締結した正式の条約が、一昨年一九七二年、九件、昨年一九七三年、十三件であるのに対しまして、交換公文は、一昨年九十一件、昨年も九十一件でございました。したがって、統計上、最近では、わが国が取り結ぶ十の条約のうち、正式の条約は一つ、残りの九つはすべて交換公文の形式をとっていることになります。 それでは、最近になって、なぜこのように簡略化された形式の条約である交換公文が激増してきたかということでございますが、それは、巨視的に見れば、国際社会が緊密化し、国際交流が多角化多様化してきた結果であると申すことができると思います。外交事務量の増大に伴い、その事務処理の迅速化、円滑化の要請が、交換公文方式の活用も必然のものとしたと申せます。 ただ、交換公文という簡略化された方式が許されるということになりますと、数の上だけでなく、内容的にかなり重要な内容を含む国際合意であっても、行政府としては、国会の審議を回避するために、交換公文の方式を選びたくなるというのが自然の勢いかと思います。 しかし、このような傾向を無制限に、無原則に放任し、それが慣行化いたしますと、憲法第七十三条三号に定める、国民の代表機関である国会による条約締結の民主的コントロールの規定が形骸化され、国会の知らぬ間に、わが国が外国に対して義務を負い、その結果国民が負担を負うということにもなりかねないと存じます。 ただ、それかといって、すべての条約、正式の条約も交換公文もすべて事前に国会の承認を必要とするということにいたしますと、外交は、ほとんどすべて何らかの外国との合意によって進められるものでございますから、国会がほとんどすべての外交事項に関与せざるを得なくなり、外交事務処理の能率は低下し、また、外交関係の処理を内閣の任務と定めております憲法七十三条二号の規定が無意味となると思います。 したがって、条約締結についての事務処理の能率化と民主的コントロールの間に、何らかの調節をはかることが必要であるわけでございます。 政府が、去る二月二十日の当委員会におきます外務大臣発言として、一、法律事項を含む国際約束、二、財政事項を含む国際約束、三、政治的に重要な国際約束で批准を要するものについて、その名称のいかんを問わず国会の承認を求め、外交関係の処理の一環として締結する交換公文についても、重要なものについては締結後できる限りすみやかに外務委員会に報告する旨を明らかにされたことは、この意味で一歩前進であると思います。 もっとも、まだそれだけでは、この問題を抜本的に解決したことにはならないように思うのでございます。したがって、その解決のため、私は、次の三つのことを申し述べさせていただきたいと存じます。 第一は、交換公文方式が多くとられるようになった真の理由にメスを加える必要があるということでございます。 これは、日本のことだけを申しているのではございませんが、一般に国会における条約審議にあまり時間を要するということであります。国会における御審議が慎重であること自体は責められるべきではございませんが、条約数の増加に対して、国会の審議が非能率であっては困るのでございます。 現在でも、国際人権規約、人種差別撤廃条約、亡命者の地位に関する条約、議定書、条約法条約、特派使節団条約など、長期的に見まして、わが国の批准、加入が望まれ、国民の間にも批准を希望する条約はかなり多数にのぼっていると存じますが、現在の国会における条約審議状況、審議速度からは、特に当面急を要する条約の審議承認で手一ぱいであるということで、その他のものは、重要ではあってもあと回しにするということで、審議対象のリストにさえ載らないという状況のようでございます。 このような状況でございますと、行政府といたしましては、何とか国会の審議、承認を要せずに発効に持っていける方式、簡易な方式として交換公文によりたいという考え方に傾きかねません。どうしても国会の条約審議をスピードアップする必要があります。 第二に、しかし条約の審議をスピードアップしても、審議が粗略になってよいはずはございません。それでは、スピードアップしても粗略にならないためにはどうするかということであります。 そのためには、なるべく早く、国会提出前でも、休会中でも、各政党に条約についての情報、資料を政府側で提供し、あらかじめ各党はその検討を行ない、意見を調整できるものは調整しておき、国会では最重点的に審議するという方式の採用であります。また、国連などが主催するあまり政治的意見対立のない条約の締結の場合などは、条約締結の段階から、必要に応じて野党代表にも参加を求め、超党派的に条約案件の処理を進めるということも一策だと思います。また、外務委員会の審議度数などにつきましても御考慮を願いたいのであります。 第三に、しかしそれにしても将来も交換公文のような方式は避けられぬと存じます。議院内閣制をとる以上、憲法に反せぬ限り、内閣が外交事務処理を行なうのはむしろ当然であり、民主的コントロールこそが問題であります。そのために、交換公文により得る場合の基本原則、基準というものを国会で明確に定めておくことが必要かと存じます。去る二月二十日の政府見解は、一応の基準ではありますが、そこで示されました三番目の、政治的に重要であるかいなか、どのようなものについて批准を必要とするかいなかの判断の基準が必ずしも明確ではございません。 この基準の確定はむずかしいようでもございますが、従来の交換公文の実例、先例を参考とされ、その取り扱いについての法的基準をきめておく、そうして疑点のある場合は、その内容の討議は別といたしまして、条約の形式をとるか、交換公文の方式によるかなどの点について、外務委員会の理事会にかけて処理するというようなことも一つの方式かと存じます。 御清聴ありがとうございました。以上で意見の陳述を終わります。
○木村委員長 ありがとうございました。 ただいま佐藤参考人が御出席になりました。 それでは佐藤参考人に御意見の開陳をお願いいたします。佐藤参考人。
○佐藤参考人 初めにちょっと前置き的に、少しく教科書的なことになるかと思いまして恐縮でございますが、前提を申し述べさせていただきたいと思います。 それは国会に条約承認権を与えるという制度の根拠と申しますか、ねらいということでございますが、これはいまさら述べるまでもないかとも思いますけれども、その以前、行政権のもっぱらの権限に属していました条約締結権、これが権力分立原理を基礎とします近代の立憲主義国家におきまして、立法府、議会の参加を求めるという考え方からきているわけでございます。 そして、それはもう少し分けて考えますと、まず第一には、議会のほうから申しましますと、その立法権を確保するという必要、つまり、行政権の締結いたします条約によって立法事項が侵されるということを防衛しようということが第一でございます。 それから第二には、議会の持っております予算議決権を確保するということ、これも議会の議決を経ました予算、これが条約によって侵される、財政的負担を課せられるということを防止しようということでございましょう。 それから三番目には、法律や財政、予算に限らず、広く外交に対する民主的統制の確保ということであることは言うまでもございません。 それからなお、最近に至りましては、国際社会の組織化ということが進みまして、主権の委譲とか主権の制限とかいう傾向が出てまいります。するとそういう国際的傾向によって、ややもすると国家の独立あるいは国民主権というようなものが侵されるということにもなりかねない、それを警戒する、防衛するというのも最近の一つの動きであろうかと思います。 そのように権力分立主義ということを基礎といたしますわけでありますから、議会制民主主義の体制をとっております現代諸国家におきまして、条約の締結というものは、むしろ行政部と立法部との協力関係あるいは共同関係を示すものだというようなふうにもとらえられているわけでございます。それは条約の締結の民主化といってもいいかと思います。しかし、それにもかかわらず、実際には行政協定が増大をする、あるいは条約を議会が承認いたします場合の手続におきましても、簡易的な承認手続がとられるというようなこともありまして、その議会の条約承認権に対する制約が、事実上なお強く残っているというのが現状でございましょう。 日本国憲法の場合もその例外ではございませんので、それをいかになすべきかということが非常にむずかしい問題であろうと思います。その根本にありますのは、いま宮崎参考人も言っておられましたけれども、外交に対する民主的統制の必要ということと、他方、外交関係処理、あるいは外交一般の機動性、能率性、あるいは相手方との国際的友好関係の維持の必要というようなものをどこで調整するかというところに求められるべきだと存じます。 で、法律的な措置といたしましては、承認を要する条約を憲法の規定の上で明らかに定めておくという試みもございますし、逆に承認を要しない条約を——この場合、条約と申しますのは広い意味で言っておるわけでございますが、承認を要しない国際約束を憲法上明記する、そういう試みも各国の憲法に見られるわけでございます。しかしその場合でも、なお解釈、運用の余地を避けることはできませんので、そこで慣行の樹立ということが要求されていると思います。日本の場合もその例外ではございませんので、このたびの御議論がその慣行の樹立に役立つということを期待したいと存じます。 それが前置きでございますが、あとはこの二月二十日の外務大臣の発言ということでプリントをいただいておりますので、これはいわば政府の統一見解であろうかと思いますが、この見解につきまして、私の意見を述べさしていただきたいと思います。 結論的に申しますと、この見解は妥当であると思います。基本的には賛成でございますが、ただし若干問題があるように思われます。その問題については、私はこういうようなふうに理解する、その理解した限りにおいて賛成だということを述べさしていただきたいと思います。 第一の「国会の承認を経るべき条約」という、これは積極的にこういう条約は国会承認条約であるということを打ち出しておられるわけでございますが、これの三つのカテゴリーということで述べておられます。 その第一のカテゴリーに属するものとして法律事項を含むものがあげられる。 それから第二のカテゴリー、これは財政事項を含むものというのでありますが、これはまさに先ほど私が条約承認権の根拠といたしまして述べました第一、立法権の防衛、第二、予算議決権の防衛という点に一致するわけで、これは妥当であろうと思います。また現に、たとえばフランスの一九五八年の現行憲法などには、国家の財政に負担を及ぼす条約、それから法律の性格を持つ規定に抵触する条約等々は法律によるのでなければ批准または承認することはできないというのがございまして、この法律によるのでなければというのは議会の議決を経なければということと同じ意味を示すわけでありますが、そこでも財政に負担を及ぼす条約、それから既存の法律の規定に抵触する条約ということを憲法上あげております。それに一致すると思います。 第三のカテゴリーのいま宮崎参考人が述べられました点ですが、この「政治的に重要な国際約束」というのでありますけれども、この点は先ほど私が申しました三番目の、広く外交に関する民主的統制というのに該当するものであろうかと思います。ただ、ここで「政治的に重要な国際約束」と書いてございますが、これには説明がついておりまして、「わが国と相手国との間あるいは国家間一般の基本的な関係を法的に規定するという意味において政治的に重要な国際約束」というふうに慎重に書いてあるわけでございます。つまり、これは国内的な政治的、社会的な影響を持つそういう意味での「政治的」ということではございませんで、むしろ西ドイツの基本法に似たようなことばがございますが、これは、連邦の政治的関係を規律する条約は連邦議会の同意を必要とするとありまして、この連邦の法律的関係を規律するということの意味につきまして、これは国家の存立とか国家の領域あるいは国家の独立、国際社会における国家の地位あるいは重要性に触れるような条約、そういうふうに解釈せられているようでございます。ここではそういう意味だというお考えであろうかと思います。そういたしますと、むしろ第一のカテゴリーとされました中の一番最後に、「領土あるいは施政権の移転のごとく、立法権を含む国の主権全体に直接影響を及ぼすような国際約束もこのカテゴリーに入ると考えられます。」と述べられておりますが、これなどはむしろこの第三のカテゴリーに属すると考えたほうが適切ではないだろうかと思います。 ただ、この第三のカテゴリーにつきまして、この統一見解では、批准を発効要件とするものというふうにもう一つのしぼりをかけておられます。これは先ほど害いましたような政治的に重要な条約は国際慣行上批准を発効要件とする条約として取り扱われておるということで、したがって、そのように書かれているのであろうかと思いますが、この批准を要するということは、これはむしろ手続的、形式的な基準でございまして、初めの「政治的に重要な」というのは実質的な基準でございます。そこに形式的な基準をつけ加えたところに何か問題があるのではないかということを感じます。 と申しますのは、御承知のように、調印あるいは署名のみで発効する条約というものも多いわけでありますし、また、緊急を要する条約は批准を要しないという扱いをされることもあるように伺っております。そういたしますと、そういう性質の条約についてこれは批准を発効要件としないのだということで、そこからこの承認からはずすということが可能になるおそれがあるのではないかということを感じました。 それからもう一つは、この統一見解の「その他の国際約束」というところでございますが、これは承認の例外、つまり承認を要しない、行政部限りで締結し得るものを限定しようということであげられているものでございます。 これは三つあるわけでございまして、すでに国会の承認を経た条約の範囲内で実施し得る国際約束、二番目は国内法の範囲内で実施し得る国際約束、それから三番は国会の議決を経た予算の範囲内で実施し得る国際約束、こういう三つをあげておられるわけです。これも一つ注目すべき比較的新しい各国の憲法の規定としてオランダの一九五三年の憲法がございますが、これも日本国憲法と同じように、原則としてはすべての条約は承認を要するというたてまえをとり、ただし次のようなものは承認を要しないということで、むしろ例外を積極的に規定をした、こういう規定のしかたによるものでございます。 そのオランダ憲法の中に、第一に、国会が法律によってあらかじめ内閣、すなわち行政府に一定の条約の締結を承認している場合、二番目には、条約がすでに承認を与えられた別の条約の実施にもっぱら関する場合、それから三番目に、条約が王国に何ら著しい金銭上の債務を課すのではなく、かつ一年をこえない期間で締結し得る場合、もう一つ第四がございますが、この一、二、三、これがこの統一見解の第一、第二、第三にそのまま当てはまる。このオランダ憲法というのは新しい憲法として、この点につきましていわばできのいい憲法だといわれておるわけでございますが、それの傾向に合致しているというふうに思われます。 ただし、私がいささか問題だと思いましたのは、「範囲内」ということばが使われておるということでございまして、「範囲内」というのではいささか広過ぎるのではないか。つまり、たとえばいまの中の第一の、すでに国会の承認を経た条約の範囲内で実施し得るというのですけれども、「範囲内」というのではいささか広過ぎる。これはむしろもっとはっきりと限定的に文字を使うべきではないかという気がいたします。 で、はなはだ恐縮でございますが、憲法で条例と法律との関係のところで「法律の範圍内で條例を制定する」ということが九十四条にございますが、この「範圍内」ということばが非常に議論を呼んでいるのと同じでございまして、この「範囲内」というのは私はそれをさらに三つに分けまして、第一は条約の委任あるいは授権のある場合、これは一定の事項をその既存の条約自身で行政府に授権をするという趣旨を明らかにしている場合、二番目にはその条約の実施に関する事項を定める場合、これがいわば実施細目を定める行政取りきめということになろうかと思います。それから三番目には純然たる行政的あるいは専門的、技術的事項を定める行政取りきめ、まあ、こういうふうにはっきりとさせる必要があるのではないかと存じます。 そういういわば私の理解をつけ加えまして、その限りにおいてはこの統一見解というのは賛成である、妥当であるというふうに考える次第でございます。
○木村委員長 ありがとうございました。 —————————————
○木村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石井一君。
○石井委員 いまお話を伺っておりまして、最近の国際情勢その他、交換公文、行政取りきめの数というものが急激に増加しておる。しかしそれのメリット、デメリットというふうなものもお話をいただいたわけでございますが、わが国においては特にそういう傾向が顕著でございますし、特に今回の当委員会における審議の際にも、日米原子力協定に関しましてとかく大きな議論を呼んでまいったわけであります。 そこで、私がお伺いしたいのは、こういう原則的な、いわゆる憲法七十三条三号による問題点というのは、日本だけでなく、ほとんどの立法議会制をとっておる世界の最近の共通の問題点となっておるのかどうか、この点をひとつ簡単にお答えいただきたいと思います。
○宮崎参考人 結論から申しますと、そうなっておると思います。 先ほども申し述べましたように、条約法条約を定めます場合に、その基礎になった国際法委員会の草案では、署名または批准ということで考えておりましたけれども、実際の国際社会の趨勢といたしまして、それだけでは足らないということが認識されているわけでございます。これは先ほども申し述べましたけれども、アメリカのような資本主義国におきましても、ポーランドのような社会主義国におきましても、実際上累積いたします外交案件を処理するために、どうしても国会までかけて処理するわけにいかない。そこで行政府が何といいますかまかされた範囲内において処理するという行政府の権限の増大と申しますか、そういう傾向もございましょうけれども、その行政府限りで処理したいという傾向になってきているわけでございます。日本の場合も、御説のように日本においてその傾向が顕著というわけでございますが、日本の場合も相手国があるわけでございまして、必ず交換公文を結べば相手国も交換公文方式をとっているという相対的な関係でございますので、これは各国ともそういう悩みを持っているわけでございます。
○石井委員 先ほど感触を参考人は申されたわけでありますが、十のうち一つぐらいしか条約がないというふうな意見の陳述がございました。世界の各国の例と比べて、そういう行政取りきめとかなんとかというのが日本の場合には少し多過ぎるというそういうお感じはお持ちになりませんか。
○宮崎参考人 私も国連の条約集など詳しく調べているわけではございませんけれども、先ほどのワインシュタインの調査とかその後のものを見てみますと、やはりさっき申し上げましたように一九五二年で七七%というわけでございますが、七七%といいますと十のうちの七つないし八つということでございますね。実際からいいまして、国連の条約集などの状況から見ますと日本のほうがやや多いかなというふうに思うのでございますけれども、各国ともすべてを国連条約集に登録していない、むしろ軽微なものはしていないというふうにも考えられるわけでございまして、日本の場合に、各国と比べて格段と多いということではないと思います。
○石井委員 ただいまの議論に対しまして、佐藤参考人、何か御意見がありましたらどうぞ……。
○佐藤参考人 私はあまり国際法の詳しい知識もないわけでございますけれども、大体におきましては石井委員御指摘のとおりで、これは世界各国共通の現象であろうかと思います。それで日本の場合は、特に最近におきましては例の国際経済協力関係などの取りきめが非常に数が多くなっておりますので、そういうようなものが一々承認案件とはされていない。最近その部分のものがいままでよりもさらにふえたということはいえるのではないかと存じております。
○石井委員 それじゃもう一つ別の問題でございますが、行政協定取りきめでなく条約そのものの問題でありますけれども、条約の締結権は憲法第七十三条三号で内閣にありますけれども、事前、事後に国会の承認を得なければならぬ、こういうことでございますけれども、この文面から感じますと、憲法は要するに条約に対して国会は内閣と共同責任をとれということを期待しておるのではないか、そうして国会の承認というのが条約の効力を発生せしめるのには条約に関して最も重要な要件になるのではないか、そういうふうに理解ができるわけであります。私の質問は、もしそうであるとすれば、一般に国会の承認を経られない条約、不承認の条約、これは有効に成立した条約といえないのではないか、こういうふうに思えるのですが、この点はいかがですか、宮崎さん。
○宮崎参考人 お答えいたします。 従来の考え方から申しますと、条約の締結というのはこれは行政権の範囲に属する、つまり、内政を行なうのは内閣である。しかしその内政を行なうについて、それが非常にかってなことをしてはいけないので、国会が国正とか行政機関にワクをはめるということで議会制度が出てきたわけでございますけれども、それと同じように、外政につきましても、本来それは行政機関が行なうわけだけれども、それを民主的にコントロールをするという考え方で条約の国会による承認という問題が制度化されてきたように思われます。ごく最近までは、そういう意味におきまして、条約の締結権というのは国王とか、日本の場合には内閣というものが持っていて、批准もそういう条約締結権者が行なうのだ、対外的には国会の承認というのは表に出てこない、条約締結権者が批准すればそれでファイナルに有効なんだというふうに考えられておりました。 それで承認が得られなかった場合どうするかということでございますけれども、事前に承認をかからしている場合にはこれは国内的に批准ができないという制約がございますけれども、事後の承認ということで条約締結権者が締結をしてしまった場合にどうなるかというのにつきまして、従来はそれは有効である、国際的には条約締結権者が批准すれば有効である、ただ国内的にその責任をどうするかという問題になりまして、その場合には発効した条約をどのように改定するか、廃棄するかという義務を条約締結権者が負うのだというふうに了解されておりました。 しかし、先ほど申し述べました一九六九年の条約法条約によりますと、もう少しそれを表に出しまして、第二十七条に「当事国は国内法の規定を理由として条約の履行を怠ることはできない。」というふうにしておりますけれども、条約の無効原因といたしまして「いずれの国も、条約によって拘束されることに対する自国の同意が条約締結の権限に関する国内法の規定に違反して表明されたという事実を、その国内法の違反が明白であり、かつ、基本的な重要性をもつ国内法の規定に関するものであるのでない限り、その同意を無効にするものとして援用することはできない。」という四十六条を置きまして、明白な国内法の違反であり、それが条約締結の権限に関する問題であるという場合には、国内法の違反も条約の無効原因になるというふうにしたわけでございます。 ですから、条約において国会の承認が必要であるということが明らかである、そうして憲法上も明らかであるという場合に、その国会の承認を経ずに条約を締結したということになりますと、この規定を援用して、日本はまだこの条約を批准しておりませんし、またこの条約は発効しておりませんけれども、これが発効いたしますれば当然、あるいは発効いたしませんでも条理上その条約の有効性が争われるということはあり得るというふうに思います。
○石井委員 お許しをいただいてもう一問だけお伺いしますが、その事後承認の場合に、条約は憲法の定める手続に従って締結されるべきなんでありますけれども、必要とする国会の承認を欠いた条約は、憲法で定める条約締結手続に従わなかったとして、これを相手国に主張するだけでこの問題がすべて解決する、こういうふうに考えられるわけですか。
○宮崎参考人 従来はそのように理解されておりました。しかし、この条約法に関するウィーン条約におきましては、その国会における承認が得られていないということを理由にして条約の無効というものを主張するということがあり得るというわけでございます。
○木村委員長 石野久男君。
○石野委員 条約を国会が承認しなかったときに、政府としてはどういう態度をとるかということでいま石井委員からのお話もありましたが、昭和二十八年六月二十三日の予算委員会で、当時佐藤法制局長官が、その場合、政府はこういうふうに言っております。事後の承認という場合には、条約が成立してしまったあとで国会で不承認となさいましても、外との関係その他の関係においては条約の効力には影響はない。国会が不承認の意思を表明されたという場合には、国会の意思を体して、条約の改定を申し入れるなりあるいは廃棄の努力をする処置をとる責任が出てくる、こういうふうに言っておりますが、その処置をとる責任ということについて、この責任というのは絶対的なものなんだろうかどうだろうかということについて疑義がありますが、ただ責任をとるという意思表示をすればいいのか、それを具体的に国会が不承認をした場合にとことん責任をとらなければならぬのかということについての解明がちょっとわかりにくいのですけれども、その点について両先生から御意見をひとつ……。
○佐藤参考人 いまの佐藤元法制局長官が述べられましたのが従来政府がとっていた見解であろうかと思います。つまり、国内的な効力の問題と対外的な効力の問題を一応区別をいたしまして、つまり事後の承認の場合ですから、条約はすでに批准を終わって対外的、国際法的な意味では効力を発生しておる。そのあとの、事後の承認が得られなかったというわけですから、その場合にはすでに条約の効力が発生しているのだから、それを一国の意思だけでその効力を失わしめるということはできない。なぜなら条約というのは、成立の場合も効力を失わせる場合も相手国との合意が必要であるからということであろうかと思います。 ですから、いまの責任ということばは、おそらくは努力をする、つまり相手国に対してその条約の改定なり廃棄なりを主張する、そして国会の意思に一致せしめるように努力をするという責任ということであろうかと思います。それが不十分である場合には国会からその責任を追及される、こういう考え方であろうかと存じます。
○宮崎参考人 基本的にはいま佐藤参考人が申し述べられたことと同じでございます。条約というのは対外的な約束でございますから、それが条約締結権者の批准によって発効してしまっているという場合には、原則としてそれを無効にすることはできません。それで本来国会の承認を得べきものを得なかったということで問題になりました場合には、その責任のとり方といいますのは、外国に対してその条約の改定あるいは廃棄ということにつきまして交渉をするということの行政的な責任と、国内的には議院内閣制に基づく国会からまかされた事項に対して、どういう責任をとるかという政治責任、そういうものが残るというふうに思うわけでございます。 ただ、先ほど申し述べました条約法条約の関係から申しますと、それが明白な違反であるかどうかということが問題でございまして、「違反が明白であるとは、問題に関して通常の慣行に従い、かつ、誠実に行動するすべての国にとって、その違反が客観的に明らかであるような場合をいう。」ということでございまして、国会の承認を得なかったことがそういう明白な違反であるということになれば、この条約が発効しました場合に、政府としては相手国に対する無効通告、あるいはそれに基づいて争いがあれば国際的な仲裁機関を利用するとか、そういうことの実行も責任の範囲に含まれてまいると思います。
○石野委員 その明白な違反を認定するのは、結局は国際的な裁判に付するということでなければ最終的には結論が出ないのであろうか、それとも国内的にその明白な違反をどこかでけじめをつけるということができるのかどうか、そういう点についてはどのようなふうに考えたらいいのでしょうか。
○宮崎参考人 これはまだ条約が発効しておりませんので、発効したらという前提づきでございますけれども、手続といたしましては、通告をいたしまして最低限三カ月以内に相手方がそれに異議を唱えなければ無効となるわけでございますけれども、相手方が有効だということを申しました場合には、それにつきまして国際連合が規定をしております紛争の平和的な解決手続というのがございます。これは「交渉、審査、仲介、調停、仲裁裁判、司法的解決、」というふうに書いてございますけれども、その手続、それをとります。憲章の三十三条によるわけでございますが、それでもなお解決がつかなかった場合には、これは条約法条約のうしろのほうに附属書がございまして そこに調停に関する条項がございます。それによって解決をするということになるわけでございます。
○石野委員 いままだ条約は成立していないからというお話でございましたが、三カ月以内に異議の申し立てをしなければ、その条約の規範の中に入ってこないのだろうと思いますけれども、もし三カ月以内に、たとえば条約の調印をして、あるいは行政協定をしたことが、国内的に国会の審議に三カ月以内に付せられなかったということになった場合、それはやはり明白な国内における手続上の違反だというようなことは言えるのであろうかどうか、そういう点はどういうふうに考えたらいいのでしょうか。
○宮崎参考人 それは三カ月以内に国会の承認に付せということは憲法上も規定がございませんし、日本の国内法上も規定がございませんので、これは外国に対する関係において条約締結手続に関する国内法の明白な違反があったということにはならないと思います。
○石野委員 佐藤参考人、やはりその点についてはどういうふうに……。
○佐藤参考人 いまの三カ月の点につきましては、いま宮崎参考人が言われたと同じように思います。
○石野委員 政府の立場からして、もしいまのようなお話としますと、国会で承認ができなかった場合の一方的廃棄の手続というのは、そうすると結局政治責任として内閣を辞職するとかなんとかという、そういうこと以外には諸外国に対する手だての方法というのはない、政治責任上はそういうところにしかないということになるわけですね。
○宮崎参考人 はい。これは相手国がございますから、そういう改定とか廃棄の交渉をしなければならないというところまでは出ると思いますけれども、その結果、その主張が受け入れられるかどうかということは相手国があることでございますので、これは特に条約上それが可能であるというふうに、ない限りでございますね、一方的にはできないというふうに思います。
○石野委員 もう一回だけお聞きしますが、この交渉をしたときに、相手方が不同意の場合においては、当事国としてのわがほうは一方的廃棄ということはできないというふうにそれではこちらは考えるべきなのでしょうか。
○宮崎参考人 それは従来の国際法上の考え方から申しますとできないのでございます。ただ、今度の条約法条約の考え方では、それでは困るから、その重大な条約締結手続上の違反があって、それは明白な違反であるというような場合には無効というふうに主張し、そして争いがある場合にはそういう平和的な紛争解決、ですから最終的には調停という方法によろう、そういうことが出てきたわけでございます。
○石野委員 もう一問お聞きしますが、条約と法律の問題では、従来条約が優先するということは一応定説のようになっているのでございますが、条約と憲法の問題とではどういうふうに理解したらよろしいのでしょうか。これ佐藤参考人にちょっとお願いします。
○佐藤参考人 その憲法と条約の効力の上下という問題につきましては、いろいろ学説にも議論があるところでございますが、しかし、私をも含めましておそらく多数の見解というのは、憲法のほうが優越するということであろうかと思います。それの論拠としてはいろいろございますけれども、たとえば国会の御関心の点で申し上げますと、憲法のほうは国民投票が必要でございますが、条約のほうは行政部が締結して国会が承認をする、いわばそういう軽い手続になっておるわけでございますが、その軽い手続で結ばれる条約によって憲法が変更されるということは認められないのではないかというようなことも一つの論拠とされているわけでございます。
○石野委員 二十日の外務大臣の見解の中で、特にこの行政取りきめとかあるいは行政協定なり交換公文というようないろいろな外国との間に行政的に取り扱う問題が多いのですが、その中に国家の承認とかあるいはそれに類するようなことで行政的に処置したようなもの、それを国会にはどういうふうにするかということになると、いままでは国家承認などということは国会にはあまりかけてない、まあほとんどそういうようになっていると思いますが、この国家承認というようなものは少なくとも国会にかけるべき、まあ外務委員会ぐらいはこれは当然かけなければならぬことじゃなかろうかと思いますけれども、これは国際慣行上いろいろありましょうけれども、少なくとも外務委員会などにはそれをかけるべきじゃないかというように思いますが、これ宮崎参考人どのようにお考えになっておりましょうか。
○宮崎参考人 お答えいたします。 それはかけたほうがベターかもしれませんけれども、かけなければならないということではないと思います。その理由は、これは意見が分かれることかと思いますけれども、法律行為というものの中には一方的法律行為、それから双方的行為がございまして、国際法上も条約というのは双方的な法律行為である、承認のような行為、国家承認、政府承認のような行為は一方的な法律行為であるということになると思います。一般の考え方から申しますと、国家承認、政府承認は一方的法律行為であるというものでございます。そういたしますと、一方的法律行為でもそれに基づくところの権利義務というものは生ずるわけになりますので、これは石野先生が御指摘のように、この外務委員会にかける、あるいはその方向にするべきだということになるかと思うのでございますが、私個人の考え方といたしましては、この国家承認の場合に、官報には掲載になるのでございますけれども、どうも具体的な権利義務は発生しないのじゃないかというふうに思うのでございます。これは従来の、戦前などの国際法におきましては承認というものは当事国間に権利義務を設定するのみでなく、その国家を国際法上の主体として創設するという効力があるというような説もあったのでございますけれども 戦後分裂国家などが出てまいりまして、そのような大きな意味を持つものではないということになってきたのでございます。 具体的には外交関係の設定などにつきましても、外交関係に関するウィーン条約などにおきまして承認し合っている国家同士でも当然に外交関係が生ずるものではない。外交関係を持つためにはあらためて当事国の合意が必要であるというふうにいっております。また条約の締結などにつきましても、承認をしているからといって当然に条約関係が生ずるわけではないことは明らかであります。そういたしますと、承認というものはほとんど権利義務関係を生じないのではないかと私は現在の時点では思っているのでございます。 そうしますと、むしろこれは政治的な意思表明ということになるわけでございます。ただ、政治的意思表明と申し上げましても、政治的には大きな影響を持つわけでございますから、石野先生御指摘のように、かけたほうがベターであろう、しかしかけなければならないかということになりますと、そうは申せないというふうに思うわけでございます。
○石野委員 国と国との間の行政取りきめで、外交上の取りきめでいろいろなものがあるようですけれども、特にわが国で私ども痛感しておりますことは、日米安保条約の中でよく日米合同委員会がある。合同委員会で、あそこで合意書というものができるわけです。この合意書の中ではいろいろとやはり国内的にもずいぶんそれによって制約を受けたり何かしてくることが多いし、それから直接私ども、私の場合でいいますと、たとえば水戸の射爆場の問題がございまして、この合意書の問題がずいぶんわれわれの日常の生活面にも影響がございました。そこで、合意書のようなものは、どうしてもやはり政府と政府との間の話し合いだけじゃなくて、当然のこととして議会にかけて公表されるべきじゃなかろうか、こういうような感じを持つのでありますが、これが、合意書などが非公開のままでいくということの理由、それから私どもの心配ではこのこと自体秘密外交のもとになっていくような気もするので、こういう合意書のようなものは当然国会にかけて公表されるべきじゃないだろうかと思いますが、この件について両参考人の御意見をひとつ伺わせていただきたいと思います。
○佐藤参考人 合意書といいますのは、合同委員会に限らずいろいろの場合にあると思いますけれども、これはおそらく交渉なりその後の協議なりの記録を確認しておくというそういう性質のものではないかと存じます。ですから、それがおそらく条約や協定などの解釈や運用についてのその両当事者の解釈などを確認しておくという意味でその後の解釈や運用の際の材料になる、そういう性質のものだとして扱われているのではないかと思います。ですから、条約、承認案件とするというものとして扱う必要はないでございましょう。ただ、このたびの外務大臣の見解にもあります一番最後のところの、つまり承認を求めることはしないけれども、参考として送付し、御理解を求めるというそちらの扱いにすべきものだという御意見には私も賛成でございます。
○宮崎参考人 いま佐藤参考人が申されたことと同じでございます。日米地位協定の二十五条によりますと「この協定の実施に関して相互間の協議を必要とするすべての事項に関する日本国政府と合衆国政府との間の協議機関として、」合同委員会が設置されているわけでございますので、この協定の実施ということに関する限りその合同委員会が行なうことができると思います。しかし、その範囲を越えて新たな権利義務関係を日米両国に設定するというような問題につきましては、本来その合意によってきめることができないというふうに思います。この二十五条の三項に「合同委員会は、問題を解決することができないときは、適当な経路を通じて、その問題をそれぞれの政府にさらに考慮されるように移すものとする。」といっておりますのは、事実上できないだけではなくて、法的にできない問題もそうすべきであるというふうに考えるわけでございます。本来この合同委員会においてきまったことは、いわば一種のインター・デパートメンタル・アグリーメントというふうに考えられるべきものだと思いますけれども、この行政機関が取りきめを行ない得るというのは、そのもとになるところの基本的な協定の範囲を出ることはできないというふうに思いますので、その点についてはやはり厳格に守られるべきだというように了解いたします。
○石野委員 ありがとうございました。
○木村委員長 松本善明君。
○松本(善)委員 両参考人に簡単に、若干お伺いしたいと思うのでありますが、この外交案件につきましては、一般論よりも一つ一つの案件が国会にかけられるかどうか、そのときに妥当であるかどうかということがかなり論じられるものではないかというふうに思いますが、私は外交の基本路線が一致をしておる場合には、そういう案件の場合には外交上の、外交事務の機動性というようなことを理由にある程度国会にかけることが省かれるということもあり得ると思うのですけれども、外交の基本路線に基本的な対立が国内にあるような性質のもの、そういうものは原則としてやはり国会にかけていくというふうにするのが外交の民主化のために必要ではないか。そして国民が国の基本方向について理解できるようにすることが必要だろうと思いますが、その点についての両参考人の御意見を伺いたいと思います。
○宮崎参考人 基本的にはお説のとおりだというふうに思います。ただ、参考に申し上げたいと思うのでございますけれども、第一次大戦後、ベルサイユ平和条約という非常に重要な条約が締結されました。しかもその主導権を握ったのはウィルソンの率いるアメリカの政府だったのでございますけれども、それがきまりましてから国内に持ち帰りましたところ、孤立主義が台頭いたしまして、ついにアメリカはそれに参加できなかった、批准できなかったという例があるのでございます。非常に国内に対立のあるという場合に、国会に持ってきてそれが否決される。これは御承知のEDC条約、ヨーロッパ防衛共同体条約につきましてもフランスはそういうことになったのでございますけれども、そういうことを考えますと、むしろ条約を締結するという段階から、先ほども申し上げましたように与野党間の調節をしていく、そして締結した以上はそれをなるべく早く発効させるということのほうが、場合によっては国際的な信義を全うし得るのではないかというふうにも思うのでございます。ですから、国内兄弟かきに相せめげども外のあなどりを受けずというようなことばもございますけれども、確かに国内において政治的な対立がございましても、対外的には意見を一致して当たっていくということも必要ではないかということも参考までに申し述べさせていただきます。
○佐藤参考人 一般的な議論よりも、個々の条約案件につきまして問題を考えるべきではないかという御意見には私も賛成でございます。 ただ、その与野党間の対立云々の問題は、先ほど宮崎参考人が、行政取りきめが横行して増大しているその根源こそが問題だということを最初に申されました。そのときに、締結の段階においていわば超党派的な方法がとれないであろうかというようなことを申されました。いまの点もそのような考えとして論ずべき問題ではないかと存じます。
○松本(善)委員 たとえば日中国交回復などというのは各党一致をして進めたものですから、そういうことと、たとえば日米安保条約のような場合、これはやはり違ったやり方が行なわれるべきだろう、私はそういうことを言っているわけです。 引き続いて両参考人に伺いたいのですが、軍事的な取りきめ、たとえば久保・カーチス協定とか松前・バーンズ協定とか、そういうものが国会でたびたび問題になります。そういう軍事的な取りきめといいますものは、わが国の憲法上のたてまえから申しましても、それから国民の生命、安全にかかわるという点からいたしましても、やはり原則として国会にかけられるべきだというふうに私どもは考えておりますが、この点についての両参考人の御意見を伺いたいと思います。
○宮崎参考人 いま松本議員がおっしゃったとおりだと思います。軍事的な協定、日本としては、憲法九条がございますけれども、日本の安全、防衛などに関する問題につきましても、これは重要な影響を持つものでございますから、国会の承認を得べきものだというふうに思います。
○佐藤参考人 私もそのとおり思いますが、ただ、いわゆる機密的な問題がそこにからんでくるので、当局としてはなかなか公にしない、そういう面もあるのではないかと存じます。それはまた別の論点から考えなければならないのではないかと思います。
○松本(善)委員 軍事上の機密ということで非常に危険な方向に持っていかれる場合もありますので、この点もなかなか実際問題としては非常に重要な問題になるかと思いますが、もう一つ両参考人にお聞きしておきたいと思いますのは、海外援助の問題であります。これはいまでは予算のワク内のものはかけないということになっておるわけですけれども、これも基本方向が海外援助についての内容的な論議というものの必要でないような場合は、予算が通っていればそれでいいということになるかもしれませんけれども、現在の海外援助のあり方については、日本の国内でも非常にいろいろな議論があるわけです。どこへどれだけの援助をするか、その援助の性質はどういうものであるかというようなことが国会で十分に論議される必要があるかと私どもは思います。こういう海外援助協定について、国会にかけるこの問題についての両参考人の御意見を伺いたいと思います。
○佐藤参考人 現在の扱いでは、予算で項といたしまして、経済協力とか対外援助という項がありまして、そしてそれに内訳が一応出ている。するとそれの範囲内で取りきめる協定、行政取りきめは承認を必要とはしないという扱いでなされているようでございます。これは先ほど申しました「予算の範囲内で」ということなのですけれども、一般論としては、その予算そのものが審議をされて、その際にいまお示しになりました対外援助のあり方というようなものをも含めて、予算審議の際に、それが議決されたということだから、したがって、それの範囲内における経済援助の取りきめは、一々国会の承認を要しない、こういうことであろうかと思うのです。ただ、一般論としてはそうでありますけれども、先ほどの統一見解にも出ておりますように、さればといって、承認案件とする必要がないものであっても、それを承認案件とすることをも排斥するわけではないわけでございましょうから、したがって、そういう一連の経済援助取りきめでありましても、特に問題になりそうな、あるいは新しい経済援助のあり方を切り開くような、そういうような意味を持つそういったような取りきめにつきましては、私は、これを広く国会の御承認と御審議にゆだねるという、これは何も排斥するべきものだとは考えません。むしろそのほうが望ましいのではないかと思います。 ただ、先ほどちょっと申し上げましたオランダの場合なんですけれども、条約が王国に何ら著しい金銭上の債務を課するものでなく、かつ、一年をこえない期間で締結される場合というのをあげておるわけで、これは主として貿易協定あるいは最近でいえば経済援助関係の協定なんかも一年限りということで、かつ「予算の範囲内で」ということで考えられているのではないかと思います。ですから、やはり経済援助といいましても、過度の財政上の負担をもということと、それからやはり期限におきましても一年限りといったような式のそういうやはり縛りをつける、そういう必要があると思っております。
○宮崎参考人 従来の政府の方針といたしましては、単年度で処理し得るような対外援助の協定については国会にかけないというような取り扱いをされているようでございます。その根拠は、いま佐藤参考人が述べられましたように、予算審議においてすでにその件はまかせられているという考え方ではないかと思うのでございますが、この件につきましてもやはり基本原則といいますか、対外援助のあり方というものについては、やはり十分に国会で御方針をおきめいただくということが、特に最近東南アジアあるいは韓国などの対外援助につきまして、日本国民あるいは相手国民の間にも批判のあるところから、ぜひお尽くしいただきたいと思うわけでございます。しかし、その方針に従った単年度内の対外援助というものは、原則としてやはり行政機関にまかせらるべきであろうかというふうに思います。しかし、その範囲におきましても、予算の大部分を使ってしまうというような非常に大きな問題が起こったとか、あるいはそれは形の上で単年度の予算のワク内で処理し得るようではあるけれども、それを行なうことによって実際上次年度以降についても日本の方策、あるいは財政に影響を持つというようなものにつきましては、やはり国会にはかられるのが妥当であろうというふうに考える次第でございます。
○松本(善)委員 終わります。
○木村委員長 渡部一郎君。
○渡部(一)委員 ただいまお二人から非常に傾聴すべき御意見を拝聴させていただくことができまして、私も数点にわたりちょっとお伺いをしたいと思うわけであります。 まずは、これはちょっと意見を異にいたしますので、宮崎参考人に私は申し上げたいのでありますが、交換公文が増加した理由は、外務委員会において能率的に条約審議があがらないからであるとおっしゃったようでありますが、そういうふうにごらんになるような状況がときどき生まれることは事実でありますが、現在のところでは政府が条約案を出さないというほうがむしろ適切なのであります。どれまでサインされておって本委員会に出てこない条約案件、特にあなたがおっしゃいました難民の保護に関する問題点等につきましては、むしろこっち側にいる野党側は全部出せと言っているので、向こう側にいる与党側こそが出さないわけであります。こういう状況はどうして生まれたのかという政治的配慮というものが存在せざるを得ない状況というものがあるわけですね。ですから私は、交換公文が多くなる、あるいは行政取りきめが多くなるということは、現実的な国際情勢の背景の中でもうちょっと変わった理由というものがもう少し主題的にあるのではないか、こういう感じがいたしているわけであります。宮崎参考人からその辺のところは、先ほどは簡単におっしゃいましたからお時間もなかったのだろうと思いますが、お答えをいただければと思います。
○宮崎参考人 先ほど申し述べました点について足らない点があった点はお許しをいただきたいと思いますけれども、私も、形式的に見れば、外交的な案件というものが国際社会の緊密化、多様化というものによって生じてきたということが大きな原因であるということはいま申し述べたつもりでございます。 ただ、その点につきまして、国会の承認を要しない、すでに国会からまかされているとか、予算の範囲内であるとか、そういうことで問題のない重要性の少ない問題が交換公文として処理されるということにつきましては、数が多くなりましてもそれほど問題がないのでございますけれども、その流れというものに便乗いたしまして、実際には重要な内容のものが交換公文という形で国会の御審議を経ずにすり通ってしまうということがあってはならないということを強調したかったのでございます。実際上そういう傾向がないとは申せないと思います。 外務委員会の審議が実際には十分と申しますか、それほど心配がないということの御指摘でございましたら非常に安心なのでございますが、漏れ承りますと、やはり国会におけるところの審議の状況から見て、年に十とか十五とか、そういうことしか通らないということを一つの理由といたしまして、何か政府のほうにおかれましても、かなり重要ではあるけれども、当面差し迫っていないという条約はあとずさりにして国会にまでのぼってこないという傾向もあるやにお聞きいたしましたので、そういうことのないようにしていただきたいということもあわせて申し述べたのでございますけれども、私として懸念いたしますのは、そういうような口実にならないようにぜひ進めていただきたいということであります。 また、交換公文につきましても、交換公文の方式で能率的に処理できる、またそうして差しつかえないものはどんどんそれを活用していって、国会におけるところの御審議の重点は、やはり十分に御審議いただくべき問題をそこで尽くしていただきたいというふうに思うわけでございます。
○渡部(一)委員 ありがとうございました。 それじゃ今度は、国会における条約を扱います場合に、条約の修正権問題というのが前から問題になっているわけであります。それは条約案を審議いたします場合に、何々条約を審議するにあたり承認を求める件という一枚の紙が条約案件の上についてまいりまして、そうして提出されてくる。このやり方について、安保条約の承認の問題が提起された際、一体承認を求められているのはこの条約本体なのであるか、それともこの上側にのっている紙なのであるかという、一見形式的ではありますが、実際は条約の修正権を含んだ問題点というものが非常に大きな問題として提起され、その後その問題についてはかなり政治的な決着のみがつけられておって、論争としては消化していないわけであります。条約の専門家でいらっしゃる両先生からその点の御見解を披瀝していただくとたいへん後の審議によろしいかと私は思っているわけです。 私の個人的見解を申しますならば、条約の内容が多岐をきわめると同時に、条約の民主的な国民の取り扱いというものを持つ以上は、条約に関する修正権云々は別としても、実質的な修正が行なわれるよう議会を運行することはわれわれの大きな義務ではなかろうかと存じております。実は「条約の国会提出に関する外務大臣発言」となっておりますこの問題が、先七十一国会において問題になりました際、濃縮ウランの対日供給ワクの保証がありませんでした。私どもさんざん議論をいたしまして、ここにいらっしゃる石野先生と私とで特に取り上げたわけでありますが、徹底的に議論したあげくの果てに、この法案は法案としても、条約は条約としても不備である、濃縮ウランの対日供給ワクの安定供給に関して問題点があることは明らかになりました。そして問題の中では、特に融通の原則であるとかあるいは公正なる取り扱いの原則といわれているものがいいかげんであることがわかり、いわゆるフリードマン書簡というものをもって、この改正議定書の審議に対しそれが補強されたいきさつがあるわけであります。 私どもとしてはそのいきさつを非常に喜んでおるわけであります。といいますのは、実質的な国会の審議によってそうしたことが補強されていく、つまり条約というものの性格がイエスかノーか式のものから国民の意見を反映するものに変わっていくという意味では私はプラスではなかったか、こう思ったわけであります。 その間に条約の国会提出に関する範囲内の問題が問題になり、このあれが出てきたわけでありますけれども、私どもがここで特に問題としたいその基本的な問題は、要するに条約の修正権に対してどの程度のものであるか、それは憲法上どの程度のものであるのか、そして最大限度現憲法に対する解釈というものを運用しながら国民の民主的意見を反映するのにどの程度までのものが許されるべきものなのであるか、それから条約として審議される内容というものは条約本体なのであるか、それは参考文献なのであるか、それとも条約の上側にのっている案文という紙なのであるか、両方とも極端な意見をいま述べまして、両方とも実体的ではないのでありますが、そうした面につき、両先生の御意見を承りたいと存じます。
○宮崎参考人 二つの点がございますけれども、条約の審議についての問題につきましては、条約の承認という上書きがつきまして、条約の本文がついているわけでございますけれども、もちろんその審議の対象になりますのは一枚の紙ではなくて条約の内容を含むというふうに了解します。ドイツなどにおきましては何々条約に関する法律というのをつけまして、法律審議と同じように国会にかけられておりますけれども、その場合にも法律は非常に形式的なものでございまして、その附属書として条約がつくという形でございます。私は日本の国会における審議もそれと同様にお考えいただいていいのではないかというふうに思います。 従来の国際法上の考え方から申しますと、条約の締結の場合には行政府にまかされている。条約は、締結をする、署名の段階では留保ができるけれども、署名してしまったら内容は固まってしまって、それを国内に持ち帰った場合に、批准する場合はイエスかノーかということだけなのだ、批准の段階で、あの点は悪かった、この点は悪かったという留保はつけられないのだというふうに考えられておりました。したがいまして、その批准の前提になります国会の承認も、まとめてイエスかノーかということだけだという考え方が強かったように思うのでございます。 しかし、最近におきます国際法における傾向といたしましては、それが変わってまいりまして、先ほども申し述べました一九六九年の条約におきましても、留保というのは署名の段階だけではなくて批准の場合にも、ですから批准書の交換、寄託の場合にも、それから加入の場合にもできるというふうになってまいりました。したがいまして、国会においてその条約を審議した結果、この点はよくないというふうにきめまして、条件つきで承認といいますか、そういうことが行なわれました場合には、政府といたしましてはその点を留保いたしまして、その条約の批准をする、あるいは加入をするということができるわけであります。そういう点から申しましても、国会におけるところの承認というのは、内容に十分立ち入って審議する、場合によっては条件つきでこれを承認することも可能であるというふうに思うわけであります。 ただ、二国間条約の場合に、通常留保というのはないのではないかというふうにも説かれておりますけれども、御案内のように、日米通商航海条約におきましては、アメリカのほうが上院で問題になりまして、二国間条約における留保というのをつけてきております。そういう点から申しまして、国会で審議されますのは条約そのものの内容であるというふうに私は了解いたします。
○佐藤参考人 その問題は、旧安保条約の承認の際にずいぶん論ぜられた点でございました。あのときもいろいろ議論がございましたけれども、私などは当然に、承認の対象は一枚の紙ではなくて条約の本文であるというふうに思います。 それから、修正権の有無あるいは範囲ということでありますが、これも私は修正権はあるというふうに考えております。これはおそらく国会法なんかでも、両院協議会の制度、規定などにも、法律に限らず条約についての両院協議会ということを予定しているのではないか。そうだといたしますと、一院において前の院と異なった議決をするという場合をも含んでいるのではないかと思います。
○渡部(一)委員 たいへん明快なお話をありがとうございました。 次に私がお伺いしたいと思いますのは、ただいま松本先生がおっしゃった件に関するわけでありますが、財政負担を負う場合の処理のしかたなのであります。これは事実上、外務大臣の発言としてこういうふうに出てきておりますものの中で、憲法八十五条の文言を引き、これに基づいて、すでに予算または法律で認められている以上に財政支出義務を負う国際約束の締結には国会の承認がえられなくてはならぬ旨の規定を行なっておるわけであります。ところがこれは、考え方と運用によっては全くしり抜けになってしまう規定になりかねないわけであります。 というのは、たとえばある大臣がアラビアに行って経済援助の約束をしてくる。その経済援助の約束は、実際的にその大臣の個人的約束ですから、別に発効しているものではないし、国際的な約束ではあるけれども、国内を制約するものにはなっていない。したがって、それに基づいて外交官が出かけていって行政取りきめなり何なりをする、交換公文なり何なりを結ぶ。そうしたらその交換公文を国会に上げてくる。そうして国会で、あるものは審議をし、あるものは審議をしないで通っていくという形になる。というふうにいたしますと、事実上、諸外国における大臣の、放言といっては悪いのでありますが、さまざまな国際的な財政援助の約束というものは、もうフリーパスで全部通るという形になるわけであります。 それが今回問題になりましたのは、前回の当委員会で、四人の大臣で五千三百十億円の約束が行なわれたということが報告をされまして、ちょっとした問題になったわけでありますが、そうするとどういうことなんですか。先ほど佐藤先生がおっしゃってくださいましたように、単年度であるならばという制約をつけなければならぬとおっしゃいました。たしかこの中には数年にわたる借款が含まれておりますから、ほんとうはそのあれでひっかかるはずなのですが、実際の経済援助の確実的な約束になっていないのだから、これは来年度の予算委員会に出すとかあるいは交換公文が出てから御報告するとかいうことばのもとにそれが抜けてしまうという危険を私たちは感ずるわけなのであります。 したがって、先ほどおっしゃいました多年度にわたらぬとかあまり過度にわたらぬというようなブレーキだけではブレーキがききかねるのを感ずるわけでありまして、この財政事項が国会の予算あるいは法律で認められるというだけではブレーキがきかなくなってしまうのではないかという感じがしてならないわけであります。私の言い方では適切な表現を欠いておるわけでありまして、どういうふうにすれば国民の安心するようなやり方ができるか、また、国際的な経済的な外交をやるにあたっては、そうあまり一円、十円のはした金に至るまでぎゅうぎゅう締め上げることによって行政能率を落とすというのもどうかと思うわけでありまして、前半と同じ形になるわけでありますが、こうした問題に対してどういうブレーキあるいはどういうしぼりを加えることが適確であるか、その辺、御意見を伺わしていただければ幸いでございます。
○佐藤参考人 私もそういう実態につきましてはつまびらかにいたしませんのではっきり意見を述べる能力もないことをおそれますが、ただ、一般的にいえば、やはり予算で海外協力とか経済協力とかいう項が費目としてある、それでその範囲内ということであれば筋は通ることでございましょう。それでいまお示しの、いろいろ政治的な意図でもって援助がなされることになる場合が多いということですが、これは、それが具体化して、そして正式のルートに乗って明年度の予算で計上されるというのであれば問題はないと思います。明年度の予算でなしに今年度の場合であれば、それは予算の例の流用の問題の制約がございましょうが、もしその予算額が足らないということであれば、予備費の範囲内でまかなうとか、あるいはやむを得ない場合は補正予算、追加予算の形をとるとかいうことであれば筋は通るのではないかと存じます。ただ、政治的にそういうやり方がいいか悪いかということになりますと、これはむしろ政治的な論議でございますので、私としては特別意見を申し上げる能力がございません。
○宮崎参考人 この問題につきましては先ほども申し述べましたけれども、やはり対外援助のあり方に関する基本的な方針ということについて国会で十分御審議、御決定になる必要があると思います。そしてその方針に従って各大臣が外国に行かれた場合にもその援助ということの約束というものを考えるべきではないか。またその場合に、具体的な金額というものについて確定するような、日本の国家を拘束するようなあり方というのはやはり非常に問題であろう。国会でそれが授権されている、大ワクにおいてまかせられているということならばよろしゅうございますけれども、それでないのに将来にわたって日本の国家を対外的に拘束するようなことは問題であるというふうに思います。また、もちろん国会におけるところの予算とかあるいは援助協定の審議というのは、技術的な面を持っておりますけれども、それをこまかくぶつ切りにしたのでは国家の政策というものが死んでしまうわけでございますから、それをつないでどのように有効に進めていくかということは当然必要になるわけでございますから、その大ワクになる、個々のぶつ切りにされたものではなくて、そのもとになるところの対外援助の方針ということがやはり個々の協定に先んじて必要になるというふうに思うわけでございます。
○渡部(一)委員 それでは、あまり時間もありませんので、もう一つお伺いしたいのでありますが、具体的な協定で、日本と中国に関する共同声明であるとか共同コミュニケ、こうしたたぐいのものが最近ふえているわけであります。いわゆる佐藤・ニクソン共同コミュニケというものが今後の日米間の大きな大ワクづけになったことは、日米安保締結以来の大事件であったとも思うわけであります。これらのものは共同声明という形になっており、批准を要しないものでもありますし、こうしたものの取り扱いというのもまた大きな問題点になると思うわけであります。特に最近両国の首脳外交が盛んとなったあげくに、首脳間で合憲された事項の中に、第一、第二、第三のカテゴリーに属するような問題をきめることを約束したものというものが入ってくるという感じがするわけであります。 たとえば日ソ共同声明の場合には、漁業協定の締結を約束しておりますし、渡り鳥条約の締結もきめてはおる。また佐藤・ニクソン共同コミュニケの中を見れば、米軍基地の縮小というものが明示されており、そしてそれには米軍基地の実質的な機能を落とさぬという言い方で代替施設の提供というものを認めておるというようなことが中に入ってくるわけであります。つまり、共同声明の範囲というものが、これらのいわゆる条約あるいは条約に類するもの、あるいはそれ以外の国際的な諸取りきめのもう一つ上側に大きくかぶってきて、国政の大きな方向に影響を与える。そういう観点から、公明党としてはこうしたものはこういう委員会に提出して審議の対象にせよと何回か主張したわけであり、また私どもだけではなく、各野党の中でも同様の意見というのが提示されたことがあるわけであります。 私がいま言わんとするところは、そういう状況と前段の背景がありまして、じゃどうこの条約の扱いをしたらいいか、そうした共同声明の、非常に影響性の濃い共同声明のたぐいはどういうふうに扱うのを妥当と考えられるか、ここにはあまり明示されてないわけでありますが、御意見を、もしこういうものを政府が出すとすれば、それに伴ってかかる共同声明のたぐいはどう扱うのが妥当かということをお話をしていただきたいと思うわけであります。
○宮崎参考人 共同声明、ジョイントデクラレーションということばは、いろいろな場合に用いられております。御承知のように、日ソ共同声明などは条約の取り扱いをされたというふうに思いますが、そうではない共同声明ももちろんあるわけでございます。国際法的に申しますと、両国家を法的に将来にわたって拘束するような内容を含んでいる文書は、名称のいかんを問わず条約と考えられるわけでございます。したがいまして、御指摘の共同声明につきましてそういう内容を含んでいれば、これは名前は共同声明であっても、あるいは共同宣言であっても、国会の御審議にかけられるべきものだというふうに考えます。しかしながら、そういうような具体的に国家を法的に拘束をしない、つまり将来政府がかわるとかあるいは政策が変わった場合に、日本の意思でその方針を変えることができる つまり日本の国家はそれに法的には拘束をされていないというような問題につきましては、これは政策の問題でございますから、国会において政府からそういう御説明があり、その当否について御議論があることはもちろん差しつかえないわけでございますけれども、必ず国会にかけて承認を要するというふうにはならないと思うのでございます。その当否はおのずと政治的な判断あるいは最終的には選挙などを通じて国民の政治的判断にゆだねらるべきものであるというふうに考えるわけでございます。
○佐藤参考人 いまの点で、法的にということを宮崎参考人が申されましたが、この統一見解の第三のカテゴリーのところにも「一般の基本的な関係を法的に規定するという意味において政治的な重要な国際約束」、この「法的に」というのは、やはりいま言われたようなことを意図して書かれてあるのであろうと思います。ですから、いわゆる共同声明というのは、そういう意味での法的な拘束力を持つものではないという考え方がとられているのであろうと思います。それはむしろ政策に関する合意を明らかにするもので、そしてその合意に基づいて今度は条約——日ソ共同声明でありますれば今度は日ソ条約、佐藤・ニクソン共同声明でありますれば沖繩返還条約というものが生まれて締結され、そのときにはそれが承認の対象となるということであろうかと思います。 ただ、先ほどお示しの御意見で、その共同声明を国会の審議にかける、そしてそれの承認をするしないを決するというところまで仰せられたのかどうかちょっとわかりませんけれども、その国会の審議という場合、これは最初の施政方針演説でありますとかいろいろの機会に、そういう外交の基本政策のようなことは十分ここで御審議になっていると私も存じますし、またそうあるべきであろうと思います。ただ、それを承認条件として否決するとか承認を与えるとか、あるいは修正するとかいうことになりますと、これは先ほどの条約との違いということで、承認の案件とするということはいかがなものであろうかと私も思います。
○木村委員長 永末英一君。
○永末委員 いままでの話は、要するに政府が外国と何か約束ごとをして、それが一体国会の審議にかかるかかからぬかというお話でございました。私はそういう観点ではなくて、政府はすでに外国との間に、国会の審議事項として、条約なり何なりを結んで、それで一応国会を通っておる。その内容について、重大な変更をするようなことをやった場合に、知らん顔でいいのかどうかということについて、両参考人の意見を求めておきたいと思います。 一つの問題は、いま問題になりましたが、共同声明、これはあらゆる共同声明が国会にかけなくちゃならぬということはないと思うのです。過般の日ソ共同声明のように領土問題は継続だし、安全操業も継続だし、渡り鳥条約は結んできましたというのは、渡り鳥条約が国会にかかればいいのですから問題はございませんが、たとえばいまお話のございました佐藤・ニクソン両首脳の共同宣言というのは、いままでの安保条約、これは批准事項でございます、批准されましたが、それについて、朝鮮と台湾との取り扱いについて新しい行動をいたしますということを日本国政府がアメリカ国政府に約束をした形になっている。だといたしますと、いままで国会を通して説明してきたことと違うのでございますから、これはやはり国会の審議を要さなくてはならぬ問題だと思います。 また同時に、この台湾条項につきましては、田中・周恩来両首脳間の日中共同声明の中で触れられておるのでございまして、その触れられ方はマイナス的表現であったかもしれませんが、その触れられ方につきまして、つまり台湾の地位についての中国側の見解と日本側の見解が述べられ、それによって中国側の責任者は、この日中共同声明によって佐藤・ニクソン共同声明で触れられたいわゆる台湾条項は無効になったという表現を使っているわけでございまして、だといたしますと、これもまた共同宣言ではございますが、わが国会が批准をいたしました日米安保条約の部分について、これは重要なる変更を及ぼしておるということになるわけでございますので、そういうものは一体この外務委員会の参考文献ぐらいで出てくるものではないのではなかろうか。やはりそれは政府の態度を明確にして国会の審議を求めるべき、承認を求めるべき部分ではなかろうかと思いますが、いかがでございましょうか。
○宮崎参考人 微妙な点はあるのでございますけれども、原則的に申しますと、その佐藤・ニクソン共同声明の中で表明されました朝鮮、台湾に対するところの政策の一致ということがたとえば佐藤総理大臣がかわって田中総理大臣になる、あるいは別の総理大臣になる、あるいは選挙の結果政権を担当しております政党が変更するという場合に、それを変えられないものかどうかということでございます。変えられないものまで総理大臣が約束をしたということになりますと、これは重要なことでございますから当然に国会に審議をかけて承認を得なければならないということになります。しかし、総理大臣がかわって、自分としてはそういう政策は変えるということで変更することができるものでありますと、これは国際信義の点からいいまして変更するのが適当かどうかという批判はあるかもしれませんけれども、法的には、国会にまでかけて承認を求める必要はない。ただ説明をして、その適否について将来の参考に意見を政府としては承るという程度でもさしつかえがないのではないかというふうに思うわけであります。したがいまして、先ほどお答え申し上げましたように、将来にわたって日本国家を拘束するような約束であるかどうか、御判断で佐藤・ニクソン共同声明の中にそういうものがあるということでございますれば、私はやはり国会にかけるべきだというふうに思いますが、私の読み方といたしましては、その程度に至る、日本国家を拘束をしているものではないのではないかというふうに読んでおります。
○佐藤参考人 佐藤・ニクソン共同声明の中の事項についてのお尋ねでございましたが、十分準備がございませんけれども、私があの際に大事な点だと思いましたのは、例の事前協議の問題との関連でございました。それで事前協議のあの取りきめは、これは現在の安保のときに別の取りきめとして国会の承認を求められておるわけでございます。それで、その際にいろいろ事前協議の制度につきまして御議論があり、例の日本側がノーといえるのかとか、ノーといった場合にはどうであるのかという、そういうことが議論をされて成立をしたわけでございます。それで、あの佐藤・ニクソン共同声明の場合に、朝鮮や台湾におけるその事態が日本の重大な関心事であるというようなことがございまして、そしてそれがいわゆる事前協議を求められた際に日本がそういう際にはイエスということをいわば包括的に予約をしたものではないかという、そういう点がたしかあの一つの論点であったかと存じます。しかし、これは本来安保条約六条、それからそれの実施に関する事前協議の取りきめというようなもののそれの一つの解釈についての問題でございまして、第六条やこの事前協議の取りきめの解釈につきましてはいろいろの見解があり、その解釈についての争いといいますか対立もあるわけでありますけれども、それはそれらの規定の解釈の問題でございまして、そしてその解釈についてあの共同声明では一つのいわば一方の解釈を積極的にさらに進展させた、そういう意味を持つということは認めますけれども、それはその条約そのものの修正、変更ということではないのではないかと思います。
○永末委員 二月二十日に発表されました「条約の国会提出に関する外務大臣発言」なるものの中に引用されております、昨年の国会における日米原子力協定改正議定書の審議に際して起こりました問題点も、いま申し上げましたいわゆるすでに批准を了し国会の審議を了したものの内容変更に関する問題でございまして、この辺の説明が十分に両参考人に外務省側からあったかどうか知りませんが、ちょっとこの点について伺っておきたいのでございます。 つまりこの内容は、要するにある年限を区切って濃縮ウランの供給をアメリカ側から日本側にする、それに対する附表として、十数カ所であったかと思いますが、日本側の地名を付して原子力発電所をつくるという附表が設けられてあったわけでございます。これを交換公文によって供給ワクを拡大する。このことはその条約の正文に関係あるわけです。ところが、問題はその附表もたくさんにしているわけでございまして、そうしますと、なるほどこの大胆発言の中には、法律事項とか財政事項とかございますが、これはいわば行政事項でございまして、原子力発電所を何カ所にするかというようなことは国会が審議をする権限のないものでございますね。行政上起こってくる問題である。だからといって、外国との約束の内容にそれをふくらませますと、この条約は査察を受ける義務をわが国が負うべきことを規定しておるのでございまして、あらかじめそういう義務をふくらめた形で負っておる。しかも、なるほど附表には違いございまんが、原子力協定という供給協定の性格上、供給ワクだけではなくて、その中身もまた重要な不可分一体の内容をなしているものだ、こういう観点に立ちますと、その部分だけかってに変えて、それはもう国会に対する参考資料でいいんだということになるのだろうか。つまり、その条約の重要な部分、その扱いは国会の法律事項でもなく財政事項でもない、そういうものについて国会にはもう本条約について審議を求めたと同じ形式の審議を求めなくていいのだろろかということについて私は深い疑義を持ちました。したがってこの問題の推移を見つめておったのでございますが、いまのような点からひとつ両参考人の御意見を伺っておきたい。
○宮崎参考人 議事録などをお届けいただきまして大体そのいきさつを了承しておりますけれども、これにつきましては、日米原子力協定を御審議のときにどのような範囲内においてこの原則を国会が認めるかということの判断にかかるわけでございます。この濃縮ウランをアメリカから日本が買い受けるということ、それは非常に重要な決定であるわけでございますけれども、そのときに、将来にわたって必要な濃縮ウランというものについてアメリカから購入するということを包括的に認める、そういうような意味であったといたしますと、この供給についてのワクがふえるということは、国会において承認を与えられました日米原子力協定の実施ということにほとんど含まれる、技術的にそのワクが広がったというふうに解釈することもできるかと思います。 しかしながら、それに対して、そのワクということが非常に重要だ、供給は受けるけれどもこれこれのワクである。もっとも書き方といたしましては「必要量を」というふうに書いてございまして、その「必要量」というものは、はたしてそこに掲げられました原子炉の数が特定されてそのワクということで非常に重要な意味があるというふうに考えるかどうかということでございますけれども、そういう意味において重要なんだということになりますと、今度あらためてそのワクを変更するということは、確かに条約の変更ということになるわけでございますから、あらためて国会にはかって承認を得、その上でそのワクを広げるということが必要になるというふうに思うのでございます。これは解釈の問題ということになるわけでございます。 そういう点からいいますと、慎重論をとれば、そういう疑点がある場合には、そのワクを広げるという問題につきましても、国会の御審議を経て政府が協定を結ぶということが望ましいと思います。 しかし逆の考え方で、これはすでに原則というものは日米原子力協定においてまかされているという判断に立てば、その点について事後報告といいますか、こういうふうになっているという報告で足りるということになると思うのでございます。
○佐藤参考人 私も昨年来の当委員会の議事録を送っていただきまして、それにつきましては勉強してまいりましたのですけれども、しかしあまり技術的なことは私どうも不案内でございますので、非常に大ざっぱなことでございますが私が感じましたことは、例の原子力協定の第九条のA項で、供給ワクをふやすことができるということがあるわけですが、あの条文の規定のしかたというのは、理由があるわけなんでしょうけれども、非常に変わった規定のしかたであると感じました。つまり「十六万一千キログラム又は両当事国政府の間でそれぞれの法律上及び憲法上の手続に従って合意される量をこえてはならない。」という、その「又は」というところでいろいろ御議論があったようでございますけれども、これはまさに十六万一千キログラムという数字を示しておきながらあとのほうの合意によって三十三万キログラムにもふやしていけるという、そういう規定のしかた自体に私は問題があるように思いました。 それから、いまの附表のことですが、これは第七条のA項で「附表は、」先ほどの「第九条に定める量の制限に従うことを条件として、両当事国政府の同意により、この協定を改正することなく、随時修正することができる。」というので、これもまた非常に変わった規定であるように思いました。 しかし、これはやはりこの協定自身で、原子力協定自身で両当事国政府に授権をするという、それで七条A項のほうは、その授権に基づいて決定された量を機械的に附表に掲げる、それは協定自身の改正を必要としない、そういう関係でございますので、もとは九条A項のほうにある。それはやはり両当事国政府に授権をするという趣旨が出ている。これは私が先ほど、条約の範囲内というのでは不十分で、授権あるいは委任という場合に限るべきだということを申しましたが、これがその例になる、つまり形の上では例になると思います。つまり両当事国政府——行政府、政府にそれを委任する、国から政府に委任をする、行政府に委任をする、こういうことでございますので、そこに委任の趣旨があらわれている。したがって、この条文自身に問題があるのではないかというふうに思います。
○永末委員 どうもありがとうございました。
○木村委員長 これにて参考人に対する質疑は終わりました。 両参考人には長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。 ちょっと速記をとめてください。 〔速記中止〕
○木村委員長 速記を始めてください。 引き続き質疑を行ないます。石井一君。
○石井委員 いま参考人の出席を得まして、行政取りきめに関する諸種の問題についていろいろと意見を伺ってまいったわけでありますが、ここで政府の見解を数点ただしておきたいと思います。 まず、従来政府は、国会承認条約に該当するものとして、法律事項を含む条約、それから財政事項を含むもの、それから第三に政治的に重要な意味のあるもの、こういう三種類をあげてまいっておりますけれども、今回の政府の御見解というものは、右の三つのうちで第三のカテゴリーに属する、そういう条約であるということによって変更されたのかどうか、この点からお伺いしたいと思います。
○松永政府委員 申しわけありません。いま一番最後の点、ちょっと聞きそこねましたので……。
○石井委員 政治的な重要なという、そういう意味から今回のこの交換公文の取りきめに関しての見解をきめられたのかどうかということです。
○松永政府委員 この大臣の発言にもございますように、交換公文であるから行政取りきめとして取り扱う、あるいは国会に提出いたしまして御承認をお願いするというふうには考えていないわけでございます。その内容いかんによりまして、もしその交換公文の内容が法律的な事項を含んでいる場合、あるいは財政的な事項を含んでいる場合、これも含めまして、国会にはその場合には御提出させていただかなければならない。したがいまして、交換公文であるからその第三のカテゴリーに該当するものとして提出いたしますということではございません。
○石井委員 憲法七十三条三号にいう条約との関係について、これはちょっと言語上の問題でありますけれども、交換公文であっても、内容いかんによっては憲法のその同条の条約に該当するのかどうか。それからその次に、第二に条約という名称を有するものはすべて同条による条約というのか。それからもう一つ、協定というのは条約というのかあるいは交換公文というのか、協定というものの意味する意味、この三つについて少し御説明をいただきたいと思います。
○松永政府委員 第一の交換公文を国会に提出いたします場合には、憲法七十三条三号にいう条約に該当するのかという御質問でございますが、私どもは国会にその締結について承認をお願いいたしますために提出いたします場合には、それがすなわち第七十三条三号にいう条約に該当すると考えているわけでございます。 第二点の、条約という名称でございますけれども、第七十三条に掲げます条約というものを考えます場合には、形式的に条約という名称に限るものではございませんで、議定書、協定、憲章その他いろいろな名称が付されておりますことは過去にたくさんの実例があるわけでございます。他方、現在までの諸先例から見ますると、条約という名称を使ったものはすべてこの第七十三条にいう条約として国会に提出してきております。 〔委員長退席、水野委員長代理着席〕 それが現在までの実例でございます。 第三点の、協定ということでございましたけれども、先生がいま御質問になりました協定という定義につきましては、たぶん御質問の趣旨は、協定と普通よく広く使われます場合には、その中には条約という名称のものも、協定という名称のものも、議定書という名称のものも、あるいは交換公文というようなものも含まれている。ですから、非常に広く国際約束という趣旨で使われます場合の国際的な協定、それは名称のいかんにかかわるものではないということでございます。
○石井委員 Aという国とBという国があって、国際協定なり条約なりを結ぶ場合に、一国にとっては条約であり、一国にとっては行政取りきめである、それは国内法によってそういうふうにとれるというふうなものは存在するのですか。
○松永政府委員 それぞれの国によりまして、条約ないし協定を締結します国内の法体制が異なっておりますから、ある一つの条約について、ある国はそれを憲法第七十三条三号に該当するような条約として取り扱い、また他の国においてはそうでない協定として取り扱うということは間々あることであると存じております。
○石井委員 それじゃ国会承認を求める条約を——一番最初の私の質問に返るわけですが、必ずしも御回答を私十分に理解しませんでしたのでもう一ぺん別の角度から聞きますけれども、要するに法律条項によるもの、財政条項によるもの、政治的な関連のあるもの、この三つのカテゴリーの条約というのを具体的にひとつ、ちょっと簡単でけっこうですから、こういう形のものはこれなんだ、これはこうだというのを示していただけませんか。
○松永政府委員 申し上げております三つのカテゴリーにつきまして、それぞれ若干の事例を申し上げますと、第一のカテゴリーでございます法律事項を含む条約と申しますのは、たとえば日米安保条約第六条に基づきます地位協定、これが典型的なものであろうと思います。 〔水野委員長代理退席、委員長着席〕 そのほかにも、いわゆる条約という名称を付されておるものが非常にたくさんあるわけでございますけれども、通商航海条約でありますとか租税条約等もそういうものの典型的な例としてあげることができるだろうと思います。 第二に、予算または法律で認められている以上に国の財政に負担をもたらすような事項を含む条約、いわゆる財政事項を含む条約でございますけれども、これはたとえば戦後幾つかの国と結んでまいりました賠償協定でありますとかあるいは韓国との請求権・経済協力協定、アメリカとの間に締結いたしました戦後経済援助処理協定、そういった多数の条約、協定がこれに該当すると考えております。 それから第三のカテゴリーにあります政治的に重要性があると認められるものの具体的な例といたしましては、たとえばカンボジアやエチオピアとの間に締結いたしました友好条約、あるいは非常にたくさんの国と結んでおります文化協定といったものがあげられるかと存じます。
○石井委員 それじゃいま御説明のあった三つのカテゴリーのいずれにも該当しない、それ以外の国際的な約束、これは非常に膨大な数になっておるということでありますけれども、これはもうすべて行政取りきめとして政府の権限の限りで締結するのだ、こういう考え方ですか。
○松永政府委員 私どもといたしましては、三つのカテゴリーのいずれかに該当するものにつきましては、それを国会に提出して承認を仰ぐということにいたしております。したがいまして、ではそれ以外のものはということになりますけれども、それ以外のものについて考えますと、それは法律あるいは予算によって行政府の権限にゆだねられている事項、あるいは単なる外交事務の処理というような事項を内容といたしますもので、そういうものは行政取りきめとして締結することができるということを申し上げているわけでございます。その数が非常に膨大な数にのぼるという御指摘がございましたけれども、数の上におきましては、そういった行政取りきめの数が、外交関係の処理が非常に多様化してきております現在の段階においてかなり多数にのぼっているということはそのとおりであろうかと存じます。
○石井委員 先ほどの参考人に対する質疑の中にも出ておりましたけれども、政府は、経済協力に関する国際約束、これはたいへんな数にのぼると思うのですけれども、国会の承認を求めるものはどの部分であって、それからそれが必要でない取りきめとして行なわれるものはどういうところに一つのラインを設定されておられるのですか。この点はどうですか。
○松永政府委員 一般的に申しますと、先ほど来申し上げております三つのカテゴリーの、経済協力、経済関係でございますから予算の支出を伴いますので、第二のカテゴリー、すなわち国会の議決を経て成立いたしました予算によって政府または政府機関にその支出の権限を認められている範囲内でございますれば、これを行政取りきめとして締結するということで処理してきております。 具体的に申し上げますと、いわゆる経済協力協定というものの内容は無償の援助と有償の援助というふうに分かれるわけでございますが、無償の援助につきましては外務省所管の予算に計上され、その範囲内において支出をされている。それから有償の援助の場合には、これがいわゆる借款の供与という形をとるわけでございますけれども、経済協力基金あるいは輸出入銀行のそれぞれの所定の法律及び予算の範囲内において実行されている、こういうことであろうと存じます。
○石井委員 それがたいへん膨大なものになるのが、やはり国会との関係においていつも問題になっておるようでございますが、ちょっと角度を変えてもう一度いまの件をお伺いしますが、たとえばすでに予算案が国会に出されて審議中であるとか、またはそれが成立後、その範囲を越える経済援助は追加予算を要するのか、次年度の予算を制約するものになるのか、いろいろこういう問題が出てくるわけですから、そういう協定は国会の承認の対象になるのかどうか、この点はいかがですか。
○松永政府委員 いま御指摘になりました問題は、私ども国際約束の締結という観点からこれを考えるわけでございますけれども、通常経済協力については交換公文の交換によって協定が成立するわけでございます。その交換公文、これは必ずしも交換公文とは限りませんで、協定あるいは取りきめという名称が付される場合もあり得るとは存じますが、通常は交換公文で処理されております。その交換公文を締結いたします時点において、その内容がすでに予算が成立しているものの範囲内であるかどうか、あるいは輸銀法あるいは基金法との関係において、法律及び予算の範囲内で処理し得るものであるかどうかということを検討いたすわけでございます。したがいまして、すでに成立しております予算のワクをその時点において越えて約束をするという事態が出てまいりますれば、それは国会に提出して御承認を仰がなければ締結できないというふうに考えております。
○石井委員 その第三の政治的な条約というのが、これは解釈によって非常に拡大され得るものである。そこでたとえば軍事とか防衛とかに関するものはすべて第三のものに入るのか、それともそうでなく、行政取りきめとして行なわれる範疇のものもかなりあるのか、この点はどうですか。
○松永政府委員 軍事とかあるいは防衛とかいう問題の視点から見まして、それが政治的に重要であるかどうかというふうには私どもは見ておりませんで、それはやはりそのときに行なわれます取りきめなり協定の内容いかんによるのではないか。でございますから、かりに軍事的なあるいは防衛上の協定が結ばれる、その内容について第一のカテゴリーあるいは第二のカテゴリーあるいは第三のカテゴリーに属するというものでございますれば、それは国会に提出して御承認を得た上で締結をするということになると存じます。
○石井委員 その決定の判断を具体的にはだれがするわけですか。外務大臣に一々それの処理を持っていかれるかどうか。何百件もあるものを、私、疑問に思うのですけれども、その辺の、これは第一に属するのだ、これは第三に属するのだ、これは国会に出すのだ、これは国会に出さないのだ、この判断はどういう処置でやられますか。
○松永政府委員 私ども国際約束を締結いたします場合には、閣議の議を経て締結いたすわけでございます。したがいまして、その締結についての責任は最終的には内閣に属するということであろうと思います。他方外交関係の処理、これは条約の締結を含めまして外交関係の外交事務の処理という観点から、国際約束の締結は外務大臣の所管とされておるわけでございますから、外務省におきまして、国際約束を締結いたします場合に、諸般の観点からの検討を進めて、それがいわゆる条約に該当するものであるか、あるいは行政取りきめに該当するものであるかということを決定いたすわけでございます。(「だれがやるのか。」と呼ぶ者あり)
○松永政府委員 それは外務大臣でございます。
○石井委員 問題がまだすべて解明されておるとは言い得ませんが、そういうお答えしかこの時点ではやはりできにくいだろうと私は思います。 当委員会で問題になった原子力協定の問題で、濃縮ウランの供給ワクの附表の問題がございましたけれども、こういうものに限らず、こういう比較的内容を変えてしまうというふうな感じのある重要な問題をも含めて、行政取りきめの告示のやり方、その後その処理を何らかの形で公表しておるのかどうか、それはどうなんですか。かりにあなたのほうで行政的にやられてもそれをどういう告示の方法をとっておられるのか。
○松永政府委員 国際約束を告示しますかどうかというお尋ねでございますが、私どもは国際約束として締結いたします諸協定——交換公文も含むわけでございますけれども、それは原則としてすべて告示いたしております。ただいま御指摘がありました日米原子力協定に基づく交換公文、これも告示いたしております。
○石井委員 ちょっと時間が残っておりますので、国際情勢の点について二、三点、カレントの問題をお伺いさしていただきたいと思いますが、外務大臣、日韓大陸棚条約ですね、これは国際法上から見ましても、国内事情というようなことから見ましても、かなりの問題があるようですが、やはり今国会に提出されるというお気持ちに変わりはございませんか。
○大平国務大臣 政府としてはそういう方針で目下与党との間の調整を急いでおるわけでございます。
○石井委員 この問題が署名されました直後、いち早く中国側はきびしい抗議の声明を発表しておるわけでございますけれども、大臣は政治的に考えて、これを推進することによって日中関係は悪化に向かわない、こういう判断をされておるわけでございますか。
○大平国務大臣 大陸だなの境界の問題につきましては、各国それぞれの考え方がございまして、たとえ友好国の間におきましても見解の相違というものはあり得ると思うわけでございまして、そういう見解の相違がありましても、それが直ちに友好関係をそこなうというようには私は考えていないわけでございます。しかしながら問題は、内容につきまして関係国、関心を持っておる向きに十分説明をいたしまして、わがほうの考えておるところについて十分な理解を得ておく努力は精一ぱいやらなければならぬわけでございまして、そういうことにつきましては鋭意やってまいっておるつもりでございます。
○石井委員 もう一つ指摘されておりますところは、いわゆる韓国との関係において、残念ながら金大中事件などというふうなものが、わが国の要請にかかわらずいまだに十分な解決を見ておらない。そういうことを考えると、このいまの朴政権との五十年にもわたろうとする長期の計画をわが国がここで積極的に推進していいのかどうか、こういう議論もありますけれども、これに対しては別に差しつかえはない、こういうお考えでございますか。
○大平国務大臣 五十年という期限は長いようでございますけれども、こういう開発の問題でございまして、相当長期にわたる仕事でございます性質上そうなってまいるわけでございまして、相手国のいかんによって伸縮を考えるなんというような性質の仕事ではないわけでございます。
○石井委員 ちょうどわが外務委員会にとってもまことに重要な日中航空協定、それから日韓大陸棚条約というふうなものを、今国会われわれは処理しなければいかぬ、こういうことでありますから、きょうはいわゆる法理論の委員会でありますけれども、非常にカレントであるというので、条約局長とばかり議論をやっておりますのもかえっていかぬと思いましてこの問題に入ったわけで、もう少しでやめさしていただきますが、私は、この日中航空協定というものがいま非常に山場にきておるというときに、この大陸棚条約というふうなものが微妙にからんで、外交問題としては二つがともにデッドロックにのぼっていくのではないか、こういう状態を非常に憂えておるわけでございますけれども、この辺の関連なり何なり、外務大臣、何か率直なお考えをお持ちでございましたら、この際ひとつお伺いしておきたいと思います。
○大平国務大臣 政府といたしましては、その責任においてやらなければならぬ仕事はやらなければならぬわけでございます。日中航空協定は急がなければならぬわけでございますし、大陸だなの開発という問題も放置しておくことができない問題でございます。したがって、われわれとしては一つ一つの問題につきまして誠心誠意当たってまいることが政府の正しい態度であると考えております。
○石井委員 以上で終わります。
○木村委員長 石野久男君。
○石野委員 外務大臣の条約の国会提出に対する発言についてきょうは参考人にも来ていただいていろいろお聞きしたところですが、本件についての質問をするにあたりまして、いま、政府が国会の承認を求めないで外交取りきめをしているようなものはどういうものがあるのでしょうか。たとえば交換公文だとか共同声明だとか議定書とかいろいろありますが、現在そういうものはどのくらいありますか。
○松永政府委員 昨年、昭和四十八年でございますけれども、について申し上げますと、わが国が締結いたしました条約、これはいわゆる七十三条三号にいうところの条約でございますが、として締結いたしましたのが十一件ございます。それから行政取りきめとして処理いたしたものが九十件ございます。なお、いまの先生の御質問の中で共同声明というのがございましたけれども、共同声明は国際約束ではございませんので、この行政取りきめの件数の中には含まれておりません。
○石野委員 局長、私の質問がちょっと悪かったのかもしれませんけれども、ぼくの聞きたかったのは、現在、政府が条約といわないで、いわゆる国会の承認を求めない外交取りきめといわれるような種類のものは幾つかあるはずなんですね。たとえば交換公文だとか議定書だとか合意書だとか覚書だとか、いろいろあるでしょう。そういうものは一体どういう種類のものがあるのかということをまず最初に聞きたかったのです。
○松永政府委員 行政取りきめにつきましては、一定の形式的な基準があるわけではございませんけれども、通常締結されておりますものの各称といたしましては、協定、取りきめ、交換公文、合意議事録、それから覚書といったようなものがございます。
○石野委員 いま協定とか交換公文とか合意議事録とかいろいろあると言われましたが、そのほかにまぎらわしいもので幾つかあるように思われるのです。私もよくわからないのだけれども、私がいま調べただけで、そういうふうなもの、たとえば交換公文とか、取りきめだとか、議定書、合意書、覚書、あるいは宣言とか、共同声明、通告、書簡、議事録、こういうようなものが幾つか、二国間取りきめのもので国会の承認を求めないで両国間で取りきめしている外交的な取りきめというものがあるわけでしょう、こまかいものがたくさん。それが行政的にやはりいろいろと両国間を制約しているものがたくさんあるわけでしょう。そういうものが幾つあるかということなんです。 実は、この前の交換公文が出たのは、国会の承認を得べきものであるということでわれわれが追及したわけですよ。両国間の外交取りきめをやるということになれば、当然国がそれだけの責任を持たなくちゃならない事項がたくさん出てくるわけですよ。そういうことから、われわれは行政取りきめとして外交的にいろいろやったものを追及したわけですから、外務省が現在二国間でもあるいは多数国間でも、国会の承認を経ないで、いわゆる外交取りきめとしてやっているようなものの名称がどういうものがあるかということをもう一度尋ねます。
○松永政府委員 あるいは私、先生の御質問を若干取り違えているかもしれません。もし取り違えているとしますとたいへん恐縮でございますけれども、私のほうでは、国際約束の締結という観点からものを見ているわけでございます。共同声明でありますとか、あるいは単なる会談録と申しますか、会談をしたときの記録とか、それから口上書でありますとか、あるいはメモランダムでありますとか、そういったものは広い意味での、いわゆる外交文書にはいろいろな形態がございますけれども、私どもが国際約束の締結ということで処理しておりますものは、先ほど申し上げましたようなものがそのほとんど主たるものでございます。
○石野委員 私がこれを聞くのは、国会承認を経ないで政府が相手国政府との間にいろいろな話し合いをして、たとえばメモランダムが出たとか、あるいは口上書がこうなっているとかというようなことがあっても、実はわれわれわからないわけなんですよ。われわれのわからない間に両国の間でいろいろな取りきめができることの中に重要なものがあるだろうという予測があるから、私たちはこれをお聞きするわけなんですよ。 いますぐ政府の思いつきができなければあとでよろしい、いろいろ両国間でやっているものが、口上書にしてもあるいは通告にしても、書簡とかいろいろなものがあるはずですから、両国の間の外交取りきめとして制約を生み出してくるようなものがあるはずですから、それを一応書き出して提示してください。
○松永政府委員 ただいまの御質問は、さっき私が申し上げましたように、外交文書のすべての形式という御質問でございますれば、こういうものがございますということを申し上げられるわけでございます。ただ、国際約束の締結という観点から申し上げますと、先ほど申し上げたような協定、議定書、交換公文、合意議事録あるいは覚書といったような形式のものに限られるというふうに御了解いただきたいと存じます。
○石野委員 一応その外交文書というものと国際約束というものと、いろいろ分類がありましたようですが、そういうもので現在外務省が相手国との間にいろいろやっている、もうこまかい一切のものを一覧表にして出していただくようにひとつお願いしておきます。 そこで、先ほども参考人がおいでになったときにお尋ねしたのですが、外交的な取りきめをして、特に七十三条三号に基づくところの事前、事後の扱いの問題、特に事後承認を経なくちゃならないような問題で、政府が行なったものに対して国会が承認をしなかったときの扱いというのが非常にむずかしいと思うのです。とにかく国会が承認をしなかったときの政府の責任という問題について、先ほど佐藤参考人もあるいは宮崎参考人も、その責任ということについての意見がございました。昭和二十八年六月の衆議院の予算委員会で、当時の佐藤法制局長官は、国会が承認をしなかったときには政府としてはそれに対して一定の責任をとる立場をとらなければいけないという答弁をしておりますけれども、政府としてはそのときの責任をどの程度までとるようにいま考えていられるかどうか、政府の考え方をひとつ聞かしてください。
○松永政府委員 先ほど参考人の御意見にもございましたけれども、ただいまの事後承認を求めた場合に、その承認を得られなかったときの条約の取り扱いにつきましては、私どももこれは国際法上有効に成立した国際約束といたしまして対外的な効力は発生する、したがって権利義務関係というものが出てくるわけでございます。それによって日本国というものが拘束を受けるわけでございますが、対外的に拘束を受ける日本の国を代表するのは日本の政府でございます。したがいまして、その場合に国際法上発生いたしました条約の実施を政府としては義務づけられるわけでございますけれども、他方、国会の承認を得られなかったためにその義務を履行できないという状態がそこに現出されてくるのではないか、こう考えております。 その場合に、政府が負います責任と申しますのは、対外的にはすでに効力が発生しております条約でございますから、その条約を廃棄するなりあるいは国会の議論において表明されました改変の御指摘を受けて、その条約を改変するような交渉を行なうということになろうかと思いますが、他方、国内的には行政府として立法府に対する責任、これはやはり先ほどの参考人の御意見にもありましたように、政治的な責任、それをいかに処理するかということで、きめられるべき問題であろうかと存じます。
○石野委員 国内的には政治責任がありますが、国際的な観点からしますと、すでに政府の問で調印したものについて国会が承認をやらないということになりますと、当然のこととして国際的に廃棄するかあるいは改定するかの行為を具体的にやらなければいけませんが、これについて、もしその交渉の過程で政府のとらなければならない責任というものが、具体的に政府として痛感している場合、責任をとるという場合には、単なる政治的責任ということだけのところでとまるのか、相手国との間ではどういうふうに具体的に、最終的にはどういうようになるのか、そこのところを政府はどういうふうに考えておられるか。
○松永政府委員 さっき申しましたように、国際法上、外国に対する関係におきましては、政府が国を代表するわけでございます。その政府が締結いたしました条約が効力を発生しているわけでございますから、万一相手方がその条約の廃棄なりあるいは改正というものに応じてこなかった場合は、その条約の法律的な拘束力がそのまま継続する。したがいまして、もしその義務不履行ということがそこにございますれば、義務不履行の状態がずっと続くということであろうかと思います。 他方、こういうような状態、問題がございますから、私どもといたしましては、条約の締結について国会の承認をお願いします場合には、すべからく、極力と申しますか、原則としてはよほどの事態がない限りは事前に提出いたしまして承認をお願いすべきものであろうというふうに心得ているわけでございます。
○石野委員 これは大臣にお尋ねしますが、いま条約局長も言われたように、一たん条約が調印されてしまいまして取りきめが行なわれていくと、国会でかりに批准に反対という状態が出ても、具体的には、国際間ではそれは有効に持続するというようなことになる。したがって、やはりそういうことにならないために事前にという——この事前にという行為というものは非常にむずかしかろうと思うのです。将来こういうようなことの出ないための政府の事前の行動というものについては、一定の、やはり国会に対しても責任をとった約束ごとといいますか、行動の上でのはっきりしたそういうものがないと、きめちゃったものはもう批准に反対しても具体的には国際間で有効に効力を発生するということになれば、これは国の立場、国民の立場からすれば、政府のやったことについてはどうにも手の出しようがなくなってくる。そういうことのないようにするために、あらかじめ政府はどういう決意を、そういうことにならないための決意をなさるか、具体的にひとつ決意を示してほしい。
○松永政府委員 一つ手続的な問題がございますので申し上げますと、事前にと申しますのは、私どもは国際約束がその効力を発生いたしますために必要な手続、行為が完結する時点、その前であるか、あるいはあとであるかということをもって事前または事後と考えている次第でございます。したがいまして、いまお話がございました批准条約の場合に、批准について必要な国会の承認が得られないという状態の場合には、その条約についての批准を行なうことができませんから、したがいまして、その条約の効力は発生しないということでございます。
○石野委員 批准が行なわれないで、特に条約の場合は批准の問題が出てきますが、たとえば行政協定だとかなんか、国会にかけないで、そして両国間に国際的な、特に外交上の責任が出てくるようなものがある。それがたまたま問題になって、しかし国会ではそれを承認することはできないというような場合には、国際的取りきめということについての効力は依然として残るし、それから片方では、国内的には政府のやったことに対して国会は反対あるいは廃棄または改定を要請するというような状態が出るわけです。それで、そういうようなことを防ぐためにはどういうふうにしたらいいかということについての政府の決意をお伺いしたい。
○松永政府委員 行政取りきめの場合には、再三御説明申し上げておりますように、政府が与えられております、認められております権限の範囲内において処理するということを本旨としておるわけでございます。したがいまして、国会の御承認を得るとかあるいは得られなかったということとは直接関係がないわけでございます。すなわち、政府の権限の範囲内において処理いたします事項を内容といたします国際約束でございますから、その国際約束が効力を発生いたしまして政府の履行義務が生じた場合に、その義務を履行できないという状態は起こってこないと思います。 ただ、それにつきまして、つまり政治的な論議がいろいろ行なわれまして、非常な反対の御意見が表明される、あるいは国会全体としてもそういうものについてはきわめて望ましくないというふうな御議論が出てきますれば、それはそういう政治的な論議に従っての処理というものがそのあとで出てくる問題かと思いますけれども、法律的な側面について申し上げますと、いま申し上げたように、行政取りきめの締結につきましては、政府はその権限の範囲内においてこれを実行してまいりますから、義務不履行あるいは義務違反という問題は発生しないと考えております。
○石野委員 行政取りきめ等によって政府が与えられた権限内でいろいろな国際的な取りきめ等のことをやる、その範囲では問題は起きてこないということですが、政府がその権限内と思って話をしたことが権限を逸脱しているような場合が出てくる、そういうことがあり得るわけですね。 たとえば、これはそれにすぐ当てはまるかどうかわかりませんけれども、今度の日米原子力協定の中の問題について、政府としてはウラン燃料の、濃縮ウランの量目について、これはもう権限内だと思っていろいろやっていたことが国会で問題になって、きょうのこういう審議、論議になってきているわけですね。しかもそういうふうにその権限内だと思ってやったことが、権限を逸脱していると国会が見る、そうしてそのことが問題になった場合には、国会の中ではいろいろ論議があっても、国際的にはその権限外のものを権限内として誤認して行なった取りきめが有効に働くわけですね。それが問題になるわけですよ。だからそういうことを防ぐということがわれわれにとって非常に重要な問題になってくるわけです。 そうなりますと、この権限内であるか外であるかという問題の認識の問題が非常に重要になってくる。それをチェックするものとして政府はどういうふうにしたらいいかということについての考え方を聞かしてもらいたい。
○松永政府委員 政府の権限の範囲を逸脱した協定、取りきめを締結したときにどうするかという実は御質問でございますが、私どもの立場からいたしますと、そういう場合を想定いたしますことが非常に困難であるということをまず御了承をお願い申し上げたいと思うのでございます。もちろん国際約束を締結いたします場合に、私ども条約局所管の見地から申しますと、それがはたして法律なり条約なりあるいは予算によって政府の権限に属する問題の処理として処理し得るかどうかということについては非常に厳密に検討いたすわけでございます。その結果、これは政府の権限の範囲内において処理し得るものであるというものについてのみ行政取りきめとしての締結手続を進めるわけでございます。 先ほど御指摘がございました日米原子力協定の濃縮ウランの供給ワクの拡大に関する交換公文、これはその当時にも御説明申し上げましたが、私ども政府の立場といたしましては、これは日米原子力協定第九条の規定によって、政府の締結します行政取りきめにゆだねられているという解釈、立場に立ってこれを処理いたしております。すなわち、それは行政府の権限の範囲内において、行政府の責任において処理されるものとして、取りきめを締結したということでございます。 ただ、そのときいろいろな委員会において論議が行なわれまして、私どものほうといたしましても、濃縮ウランの供給ワクの拡大ということが、協定の内容、あるいは実体にかかわる非常に大きな問題であるという点につきましては、御指摘のとおりでございますので、今後このような交換公文を締結いたします場合には、すみやかに理事会でございましたか、御報告を申し上げるということをお約束いたしたわけでございます。
○石野委員 したがって、権限内であるかどうかということの判定は、なかなか努力はしておっても、ときに権限を逸脱するようなものが出てくるから、本院、特に外務委員会にはそういう問題を事前に協議に付すべきだということの意味は、ただ日米原子力協定における交換公文だけの問題ではないと思うのです。そこで、たとえば行政協定の中で、いろいろな行政協定がありましょうが、特に日米安保条約などでいいますと、地位協定の問題がある。その地位協定の中から合同委員会が出てきます。合同委員会で論議されるものは、その協定に基づいて委任された事項について論議をしておるはずなんだけれども、われわれは合同委員会でどういうことが論議されているかわかりませんが、しかし少なくとも、日米安保条約の一環の関連性の中で、この合同委員会なるものが論議する内容というのは、防衛上の問題であるとか、あるいはそれに伴って予算を伴うものなどが数多くあると思うのです。 したがって、合同委員会におけるところの合意書というもの、これは先ほど参考人にも意見を聞いたところなんですけれども、やはりこういう合意書というものは、一応国会なり国民に対してわかるようにしてもらいませんと、われわれはわからないままに、権限を逸脱したような内容がどんどん進んでいくというようなことがあったのでは、これはたいへんなことになる。これをチェックするのは、やはりこれを公開をしてもらうよりほかにないのではないかという考え方を私は持っておるのですが、政府はそれについてはどういうようにお考えですか。
○松永政府委員 地位協定に基づきます日米合同委員会は、地位協定第二十五条に定められておりますように、協定の実施に関します協議機関ということになっているわけでございます。この合同委員会におきまして、両政府の代表者の間で行なわれますいろいろな話し合い、調整というものが政府の権限、すなわち安保条約、地位協定によって定められている事項を越えるということは、そもそも認められていないわけでございます。したがいまして、この合同委員会において行なわれます協議と申しますのは、この地位協定の実施の事項に限定されるということが、おのずからそこから出てまいるわけでございます。
○石野委員 政府の考え方としては、もう権限を委譲されているその範囲内でやっておることだから、それを逸脱することはないはずだと、こういう答弁ですね、いまのは。政府がそういうふうに言うのはあたりまえなんだが、われわれからすると、そういうことについて疑義を持つ。だから、こういう合同委員会で出てくる合意書というものがはたして権限を逸脱していないかいるかという問題のチェックは、いまはわれわれはできないわけですよ。これは別に公表しても一向に差しつかえないものだろうとわれわれは思うのですよ。いまのお話ではそれほど重要なものではない。だから、それだけにそれを公表することによって、われわれが疑義を持たないようにするということを外交上の扱いとしてやるべきじゃないだろうか。 だから、私はやはり地位協定におけるところの二十五条によって設けられた合同委員会というもので出てくる合意書というものについては、私たちは内容が全然わかりませんから、しかし私も自分の経験で、たとえば私どもの近くで、水戸の射爆場の返還問題で、この合同委員会が何べんも出てきたわけですよ。何べんも出てきて、その合同委員会の合慰書に基づいて新島に射爆場を移転するとか、やれどうだこうだというようなことがたびたび出てまいりました。そのときなどの感じからいたしましても、それは当然やはり予算の伴うものにもなってくるし、それからそれだけではない、自治省との関係も出てくる、いろいろ国内的には関係する部門も非常に多いし、単に権限内の問題ということではおさまらないような内容のものがあの合同委員会で論議されていたように思われるのです。 そうすると、いま局長が言うように、権限内でやっているのだから問題はありませんというふうには理解されないわけですよ。やはり私はこういうような問題は、一応合意書なるものを国会に公開するというようなことがあってしかるべきじゃないかというふうに思うのですが、それはどうですか。
○松永政府委員 合同委員会におきます合意書については、これを公表しないということがアメリカ側との申し合わせになっております。他方、合同委員会の協議を通じまして決定されましたもろもろの事項の実施につきましては、さきに申しましたように、地位協定なりあるいは地位協定を実施するためのいろいろな国内法がそれぞれたくさんございます。そして、その内容によりましては、所管の省庁が非常に多岐にわたる場合がございますが、それぞれの省庁の所管事項の事務として処理されているというのが実際であろうと私は考えておるわけでございます。したがいまして、そういう問題が協定のワクを越える、あるいは国内法のワクを越えて行なわれるということは、そもそもあり得ないという点は、御理解をいただきたいと存じます。
○石野委員 これはいろいろ見解の相違もありましょうけれども、範囲を越えるはずはないということですが、実はそれは当然のこととして国内法にも触れてくるし、それから具体的な自治体の行政にも触れてくるようなことであって、局長が言うようにそんなに簡単なものじゃないと思うのですよ。特に私は、射爆場返還の運動の中で痛感したことを言いますと、そこではもう当然のこととして、やはり厚生省にも関係はしてくるし、自治省には関係してくる、大蔵省の予算の問題にも関係してくる、国家予算にももちろん関係してくるわけですね。そう簡単なものじゃないと思うのですよ。 ですから、こういうような問題は権限を逸脱するものでないというような政府の見解だけではとてもわれわれは疑義を解明することはできないのです。特に原子力協定で出てきたあの濃縮ウランの問題など一つ見ましても、政府としてはそれは権限内のことだと思っていたことが、国会で追及されればあなた方の考え方が間違っていて、従来のやり方を改めて外務委員会に少なくともこれを事前に提示しなくちゃいけないというようなことになったわけですよ。審議を経なければならぬということになった。 だからこれは、こういう問題についての疑義を解明するということは、国際間の取りきめについて、国民が当然のこととしてやはり責任をとらなくちゃならない内容をその取りきめとしては持ってくるわけですから、そのときに私たちはそのことと、国が憲法の規定に従って条約の審議あるいはまた法律に対する立法権限の問題等、そういうことから政府のそういう考え方をそのまま容認できない内容が数多く出てきているから、したがって、そういうものについての国会に対して、特に外務委員会等に対しての事前に審議にかけるということは、単なる交換公文だけの問題じゃなくて、行政協定問題にしても、あるいはあとで明確にしてもらいますが、たとえば私の調べておるだけで皆さんが国会に承認を求めないで外交取りきめをするようなものの中には、交換公文のほかに議定書があり、合意書があり、取りきめ、覚書あるいは直言もありますね。先ほど来問題になっておる共同声明、通告、それから両国間の書簡の問題、議事録がある。あるいは両国間における文書、附属文書あるいは改定文書、暫定協定などというようないろいろなものが数多くあるわけですね。まだこのほかにもあると思うのです。こういう問題一切、これは国会は知らないのですよ。だからこういう問題をもう少し国会にわからすような方法を講ずるべきじゃないかということなんです。それについての所見をもう一度聞きたい。
○松永政府委員 先ほども申し上げましたごとく、外交文書というものは非常に多岐にわたるわけでございますし、またその数も非常に膨大なものになるわけでございます。たとえば在外公館に館員が着任いたしますと、着任をしたということを相手国政府に通告する、通知する文書、これはその所在国の慣例に従いましてある場合には大使から発出する書簡という形式をとりますし、またある場合には上書という形で通報するという場合もございます。そういうものも非常にたくさんあるわけでございますから、これをすべて説明せよと仰せられても、実は事実上非常に困難であろうかと思うのでございます。私どもは国際約束の締結という観点から申し上げて御説明をさせていただくということで先ほど来申し上げているわけでございます。 なお、日米原子力協定の濃縮ウランの供給ワクの増大に関する交換公文につきましては、確かに委員会におきましていろいろな論議が行なわれまして、私どももそれを十分踏まえまして今後この種の交換公文を取りかわしましたときにはすみやかに御報告するというお約束をいたしたわけでございます。
○石野委員 それならば、いままで数多くの外交文書があるのだが、政府が国会の承認なり国会に提示したものはどういうような文書がいままでありますか。
○松永政府委員 その締結につきまして国会に承認をお願いしますために提出してきております国際約束、すなわち憲法七十三条三号に掲げるところの条約に該当するものの形式的な名称といたしましては、憲章、条約、議定書、宣言あるいは共同宣言、それから協定、場合により交換公文というような種類のものがございます。
○石野委員 たとえば政府がいままで国際的に取りきめたものについて、いまのように交換公文だとか議定書などがありますけれども、たとえば改定文書だとかあるいは暫定協定のようなものなどについては、従来ずっとやってきたものを政府だけの意向で取りきめを改定するとかあるいは何とかいうような場合に、従来は政府が国会に全然承認を求めるようなことをしないでやっておるわけですね。こういうような改定をすべきものなどについて政府が必要と認めるようなときには当然国会に対してそういうようなことをわかるようにすべきだというふうに私は思います。いずれにしてもこういう国会の承認を求めないで数多くの外交文書が出ている。それらのものが国会では全然わからないということについては、やはりいろいろな従来の例から見て疑義が残るだけであって、安心感なり了解が得られるということにはならないので、私は、これは一応外務大臣にひとつ意見を聞いておきたいのですが、できるだけこういうような文書は外務委員会だけにでも提示するような方向で処理してもらいたい、こういうふうに思いますけれども、大臣の所見を聞かしてもらいたい。
○大平国務大臣 国会の御審議は充実したものでなければならぬことは仰せのとおりでございまして、私ども国会の批准、または承認を求める案件はもとよりでございますけれども、その他の案件につきましても、国会における御審議の資料といたしまして、委員会から御要請がございましたならば、できるだけその資料を御提出申し上げて、審議の便宜に供することは、政府の当然の責任だと考えております。ただ、先ほど申しました外国との約束で公表しないという約束があるものにつきましては、そういう制約を受けるわけでございますけれども、それとてもその国との合意によりまして、その要旨につきましては、従来とも国会に提出いたしておりますことは石野さん御案内のとおりでございます。 きょう御審議をいただいておる問題は、国会の承認を得べきものかどうかの限界は何かということが主たる問題でございまして、それはそれなりに憲法論といたしまして御審議をいただかなければならぬ問題で、政府は政府なりの長い経験から申しまして一つの見解を持っておりまして、そのことについては、私の説明としてお手元に差し上げてあるとおりでございます。しかしながら、国会の御審議というものはできるだけ広範な資料を駆使されて、広く深く御検討いただかなければならぬものでございますから、そういう資料の御提出につきましては、われわれとしては鋭意国会の要請に応じなければならぬと考えております。
○石野委員 合意によっていろいろ発表のできないものがあるからということの一つに、先ほどちょっと私がお聞きしております日米合同委員会の合意書の問題なんですが、この合意書の問題については、私はどうも合意書の内容というのはわかりませんけれども、防衛上の問題やなんかで、われわれにとって問題になるべきものが非常にたくさんあると思うのです。したがって、そういう問題についてはいま一度日米の間で相談などをして、発表されるべきものなら発表するようにできないものだろうかということについてひとつ……。
○大平国務大臣 だから、いま御答弁申し上げましたように、日米合同委員会の会議録はどうだという御質疑がたびたびございまして、それについて、これは日米間の約束でございますから、そのままの姿で御提出することは遠慮さしてもらいたいという態度で終始してまいりましたが、しかし、その要旨につきましてはこのようなものでございますということは、これまでも国会に御報告を申し上げてあるわけでございます。きょう石野さんのお話を伺いながら私感じるのでございますが、日米合同委員会ばかりでなく、われわれの外交の交渉の結果は公表するわけでございまして、みじんも秘密があってはいけないわけでございます。しかしながら、交渉の過程というものは、公開の場で、いつだれがどういう状況のもとでどう言ったかというようなことを一々公表しておったのでは交渉になりませんので、交渉自体は公表いたしませんけれども、そこで生み落とされた結果というものはあますところなく公表してまいるということが、これまでのたてまえでございます。日米合同委員会の会議録というのは、一つの交渉の経過でございまして、そこで第何回の合同委員会ではこういうことをきめたという場合には、それはあますところなく公表するわけでございますので、そこはまず御理解いただきたいと思うのでございます。 しかしながら、民主主義の社会におきまして、外交文書というものが国会ばかりでなく国民が手にして読むことができる、学者がこれを利用することができるという状態にあることは、民主主義の根本的な要件の一つだろうと私は思うわけでございます。したがって、先進諸国におきましても、外交文書というものは二十五年とか三十年たてば公開するというようなことをやっておると聞いております。また、私はそうあるべきだと思うのであります。 したがって、わが国におきましても、この問題につきまして私は事務当局に検討を命じておるわけでございまして、わが国の状況におきまして、どのくらいたてばわれわれの倉の中にある外交文書というものは公表してしかるべきかというようなことを検討すべきであると存じて、検討させておるわけでございます。われわれはやみからやみに秘密で事をなすなどということであってはいけないわけでございまして、いつかはだれかがこれを検証するであろうということで、公明な精神で事に当たらなければならぬことは公人として当然のつとめだと考えております。
○石野委員 七十三条二号の外交関係の処理の一環としての問題の中ですが、たとえば今度のアラブ外交のような場合で、政府の要人が数多くアラブを訪問される。その間いろいろ経済協力の問題等で話し合いをしてくる。その経済協力で話し合いをしてきたことが予算の範囲内を逸脱していたり、それを越えていたりなどしました場合の国際的な約束の効果の問題については、これをどのように見るべきかということが国際間の問題として非常に大きいと思うのですが、今度のアラブ外交の中で政府要人がいろいろやってきたことの約束事というものは、国際約束の中ではどのような位置づけとして考えるべきか、これについてひとつ政府の見解を聞いておきたい。
○松永政府委員 手続的な問題を申し上げまして恐縮でございますが、先般、三木副総理あるいは中曽根通産大臣その他の方々が回られまして、いろいろ経済協力に関する話し合いをされて帰ってきておられます。しかしながら、これはまだ私どものほうでいわゆる国際約束の締結という段階での処理は全然行なわれておりません。その問題は、今後政府間でさらに外交ルートを通じていろいろ話し合いが行なわれ、交渉されました結果、協定取りきめ、あるいは交換公文といったような国際約束の形をとることになるのだろうというふうに推定いたしております。ですから、いろいろな問題につきましてはその時点において検討するということでございます。
○石野委員 そのような問題について、外務省としては、たとえば外務省の管掌の外におります各省の大臣なり、あるいは外務省が包括するかどうか知りませんが、政府特使というような形で行く方々、そういうような方々の話し合いをしてきたことが、全体としてもう予算どころの問題じゃない、予算の範囲内ではないのだというようなことについて、外務省は対外的なそういう折衝をするときに全然関知しないのだろうか、それとも外務省はそれについて何がしかの関与をして、それらの折衝をさせているのかどうか、その点大臣はどういうふうにお考えですか。
○大平国務大臣 国際信用というのは約束を守ることが根本だと思うのでございます。したがいまして、約束したことを果たさなければいかぬと思うのであります。石野さんの御心配なのは、おそらく大ぜいの方が参っていろいろ約束を乱発されて、一体それが日本の援助供与能力を越えやしないか、あるいは国際収支の状況から見てはみ出やしないか、あるいは予算上そんなルームがはたしてあるのかどうか、そういうような点についてあなたが御心配だろうと思うのでございます。 政府も、当然のこととしてそういうことは心配しなければならぬわけでございますので、どなたが参るにいたしましても、事前に関係各省集まりまして、Aという国に対して、いまどういう問題が政府レベルで問題になっているか、民間レベルで問題になっておるかを一応調べまして、そこで政府の力をもってしてどの程度おつき合いができるか、またおつき合いすべきであるかというような点につきましても、事前の打ち合わせを遂げて、御出発いただいておるわけでございます。 なるほど、金額は相当な金額にのぼっておるわけでございますけれども、これは単年度の話じゃございませんので、二年のものもあれば五年のものもある、十年のものもあるわけでございまして、私ども、日本の援助供与能力といたしまして、この程度のものでございますれば大体消化可能であろうという見当をつけまして、その範囲の中でやっていただいておるわけでございます。外務省は経済協力行政の調整役を承っておるわしでございまして、各省がばらばらでやっておるわけじゃございませんで、われわれが調整役になりまして、政府部内の思想の統一は遂げていたしておるわけでございますので、御心配になるような点のないように心がけておるつもりでございます。
○石野委員 外交問題は約束を実行することが非常に大事だということ、それは言うまでもないことですが、いまのような非常に膨大な約束事が、単にほらを吹いたというようなことにならないように、信用を失墜しないように、最終的には結局外務省の責任になっていくのだろうと思いますから、これは大臣はひとつ注意していただかなければいけないだろう、こう思います。 約束をしたことは守らなければならぬという問題に触れて、きょうは実はなるべく交換公文を中心としたことの質問の範囲に限定することでしたが、石井さんからちょっと質問があったりしますので、私もそれに関連して一問だけひとつお聞きしておきたいと思います。 日中航空協定の問題は、日中共同声明の中で可能な限り早くやらなければならないのだということ、これはしばしば議題になっていることでありますし、政府も当然それに関心を深めていることだと思うのですが、私はこの前の委員会でも、今国会に日中航空協定の問題が議にのせられるやいなやということを大臣に聞きました。航空協定は日中両国間の友好親善のためにも、また平和条約締結への前進のためにも、一日も早いほうがいいと思っております。たまたまそのときに、やはり日韓の大陸棚協定というものが一方で出てくるわけです。先ほど石井委員からもお話があったように、この大陸棚協定については中国からクレームがついてきた。正式に政府へ来ているかどうかわかりませんが、情報では声明としてクレームがついているわけです。 大臣に私はお尋ねしておきたいのですが、日中共同声明の線に沿うて航空協定を一方では実施しようとするし、片方では日韓の大陸棚協定の早急な取りきめを、特に国会に対してその批准の要請をしようとしている。これは非常に矛盾した内容を持っておりますし、これの取りさばきというものは非常にむずかしいと私は思うのです。大臣は先ほど石井委員に対しても答弁をなさっておりますが、どうも私はまだ理解が十分ではありませんので、それを両方ともうまくやっていく妙策というものを大平外務大臣はどのようにお持ちなのか、ひとついま一度所信を聞かしていただきたいと思います。
○大平国務大臣 先ほども石井さんにお答え申し上げましたように、大陸だなの境界というものをどう引くべきかというのは国際的にまだ定着した状態になっていないわけでございまして、それぞれの国によってそれぞれの主張があるわけでございまして、日本の主張と中国の主張とは違っております。その主張が違っておるからというて日中間の友好関係がそこなわれるなんというものでは私はないと思うのでありまして、違いは違いとしてはっきりしておくことが大事だと思うのであります。したがって、出てきた問題につきまして公明な態度でもちまして、違いは違いとして、同意しなくても理解はし合っておくということは、国際関係ばかりでなく、われわれ日常生活においてもそういうことは大事なことのように、国際関係におきましてもそういうことは大事でございますので、中国と見解は異にいたしておりますけれども、日本はこういう考え方でこのことをやり遂げようと思っておるということは調印の前からもお話をしてありますし、調印後詳しく先方に内容の説明はいたしてあるわけでございますし、また日中間で大陸だなについての話し合いをしようというお気持ちがございますならばわれわれはいつでも応じますという態度も、また先方に御通報申し上げておるわけでございます。 したがって、この問題が日中友好関係をそこなう問題であるとは私は毛頭考えていないわけでございまして、先ほど石井さんにもお答えいたしましたように、どういう案件におきましても誠心誠意事に当たるという以外に私には方便はないわけでございます。
○石野委員 それじゃあと一問だけお伺いしますが、大臣の大陸だな問題についての中国に対する考え方はよくわかりました。 いま一つお聞きしておきたいのは、この大陸棚協定の問題について朝鮮の三十八度線の北にある朝鮮民主主義人民共和国の側からも意見が出ております。私たちは朝鮮の平和的統一を推進するということが非常に大事であるというふうに考えておるし、また政府もそういう考え方で対処してきたというふうに思っております。大陸棚協定の問題は、韓国だけの問題でなく、朝鮮と日本との関係にもこれはなってくるだろう、こう思うのです。したがって、やはり北の朝鮮民主主義人民共和国の側で大陸棚協定に対する考え方、ここでは時間がありませんから多く申しませんが、これはいろいろな意味において反対の意見が出ておりますが、そういうことに対してどういうようなお考えであるかということが一つ。 それからいま一つは、この大陸棚協定の問題は日中航空協定の問題にはたいして差しさわりはないというお考えであるようですから、それならばその日中航空協定の問題については当面、先般の本委員会での私に対する大臣の考え方は、出すめどがつくやらつかないやらわからないということであったが、いまの時点において今国会ではどうしてもこの航空協定というものは出したほうがいいというふうに私は思っておりますけれども、大臣の所信はどういうことであるか。この二点についてひとつ……。
○大平国務大臣 朝鮮半島の延長、大陸だなの延長が九州の海溝にまで延長してきているわけでございまして、韓国側の主張も中国の主張と同じように自然延長説をとっておるわけでございます。われわれが韓国と主張が違うところにつきまして、オーバーラップするところを共同開発区域として両方の権利をそこねることなくひとつ共同開発しようじゃないかということを考えたわけでございますが、かりにいま御指摘のように朝鮮半島に統一政府ができるということになれば、われわれと韓国との約束がそちらのほうに移っていくわけでございますから、そこで何ら支障はないと私は考えておるわけでございまして、いま現にわれわれが外交関係を持って処理できる相手として韓国を選んでおるわけでございまして、将来統一政府ができるというようなことになりますと、その約束がそのまま統一政府に移ると私は考えております。 それから、航空協定でございますが、仰せのとおり今国会に出すべく御提出申し上げて、御審議を得たいと存じまして、いま鋭意努力をいたしておるところでございます。
○木村委員長 河上民雄君。
○河上委員 私は、先ほど来審議をいたしております交換公文あるいは行政取りきめの効力の問題について、一問だけ大胆にお尋ねしたいと思います。 先般、東京地裁で、本年一月三十一日であったかと思いますが、沖繩密約漏洩事件判決が出ました。その中で、本日の審議の対象となっておりますテーマに触れた部分があるわけでありますが、その判決の理由について、政府はどういう受けとめ方をしておるかということを伺いたいと思うのです。 判決の理由の中で、二の中に「外交交渉の結果は、わが国の国際的立場を規定するとともに、国民の権利義務に直接間接に影響を及ぼすので、当該交渉の基本方針とその結果(条約、協定及び細目的取り決め)は、すべて国民に公開されなければならない」というふうに申しまして、また「当該交渉の具体的過程も」「交渉結果の意義やその当否を判定する上で極めて重要なものであるから、民主的コントロールを受けつつ進行していくことが望ましい。」こういうふうに述べているわけであります。 もちろん一方では、国際的な取りきめであり、相手国があるので、調印前には原則として会談の内容は秘匿するという国際的慣行、それにつきましても、「(外交の民主的コントロールという観点からは望ましいものでないにしても)現存していることは否定できないところであり、」こういうようなことを一方では申しながら、この問題については、今後政府あるいは国会において、この問題をどう議論するか、少なくとも外交当局と国会との関係についても一つの道しるべみたいなものを提供して、投げ出しているところで一応終わっているわけでございます。 これはきょうのテーマにとって非常に重要な一つの示唆を投げかけているわけでございますけれども、この一月三十一日における判決理由を政府はどのように受けとめておられるか、政府のお考えを承りたいと思うのです。
○松永政府委員 現代の民主主義立憲体制と申しますか、立憲民主政体のもとにおきまして、外交が民主的コントロールのもとにおいて展開されるべきであるという基本的な考え方は、私どももそのとおりと考えているわけでございます。したがいまして、国会に提出いたします条約あるいは国会におけるいろいろな御論議というものに必要な資料を、私どものほうも積極的に提出をいたしまして、御参考に供すべきであろうというふうに考えているわけでございます。ただ、ただいま御指摘になられましたその判決の中で、交渉の結果、作成される一切の条約、協定、附属文書、細目取りきめは公開されなけばならないとあります点につきましては、いまの外交の民主的コントロールの基本原則という観点から見まして、原則的にはまことにそのとおりでございます。ただ、それがすべてであるかと申しますと、若干の例外はあるわけでございます。この例外と申しますのは、相手国との話し合いとか、慣行とかというようなことによって、その場で直ちに公表できないという場合もあるわけでございます。 例を申し上げますと、最近はあまりございませんけれども、貿易取りきめを締結いたしますときに、輸入割り当てというものが、その附属書に普通は掲げられておりますが、これを直ちに公表しますと、過当競争その他を招来するということで、相手国との話し合いによりまして、これを公表しないでおくということがございますし、また経済協力に関する交換公文の場合におきましても、それが直ちに発表されますと、他の国に与える影響と申しますか、これは主として相手国とほかの国との関係によって、わがほうにおける事情、原因によるわけではございませんけれども、直ちに公表しないという場合もございます。したがいまして、その判決に出てきますそういう考え方は、原則としては、私どもも異存がないということでございます。
○河上委員 これは従来とも非常にむずかしい問題でありますけれども、いま局長も認められたように、民主的コントロールを受けつつ、外交交渉が行なわるべきであるというのは、一方においては世界の一つの流れでもあろうかと思うのです。しかし一方では、非常にむずかしい問題がある、こういうことでありますけれども、大臣、いろいろこういう問題できょうこういう議論が一日かけて行なわれておるというこの事実そのものが、従来のように、外交は秘密でなければならぬということでは済まない時代に来たんだという実感をお持ちになっていると思うのですが、大平外務大臣として、そういう対外経済協力をはじめ、いろいろのむずかしい国民生活全般にわたるようなことが外交交渉の中に入ってきているだけに、こういう問題について、やはりいままでとは違った、新しい何か覚悟のようなものをお持ちになっているのじゃないかと思うのですが、そういう心境について、ここで漏らしていただけませんでしょうか。
○大平国務大臣 まあ外交の民主的コントロールという中には、国会によるコントロール、制肘というようなものが中心に、きょう議論があったわけでございますけれども、今日のような非常に敏感な国際社会にございまして、またたいへん充実した、そして非常に有力な武器を持った取材活動の自由が保障されている中におきまして、実際外交交渉をやるというようなことは、これは軽わざみたいなものでございまして、とてもむずかしいわけでございます。民主的コントロールは、もういやというほど受けているわけでございます。 ただ、しかしこれは一面においてはありがたいことでございまして、それあるがゆえに私どもといたしましては、外交は公明でなければならぬとわれわれの信念はますますかたく持して、究極においてやはり民主的な、支持を受けるに値するようなものにしなければならぬということをひしひしと感じておるわけでございまして、何か外務省の片隅でわれわれがごそごそ集まって、世の中をちょろまかすなどということは、とてもできる相談ではございません。
○河上委員 いまの大臣の率直な御答弁である程度のことはわかりましたのですが、きょうは私の時間がもう参りましたので、これで質問を終わりたいと思いますが、その終わる前にひとつ資料を要求させていただきたいと思います。 先ほど石野委員からの、国会の承認を要しないで結ばれた行政取りきめの数ですね、そのカテゴリーについては先ほど来いろいろあったようでございますけれども、まあ、あとう限りリストとして発表していただきたいと思うのです。先ほど宮崎教授も外国に例をとってかなり詳細な数字をあげておられましたので、日本でできないはずはないと思いますので、よろしくお願いしたいと思うのです。 なお、私は石野委員の御要求につけ加えまして、こういう行政取りきめの相手国別のリストを同時につけ加えていただけたら非常にありがたいと思いますので、それを追加して望みたいと思います。 以上で私の質問を終わります。
○松永政府委員 ただいま御要望のございました資料は、私どものほうで取り扱っております国際約束の締結という観点から見ましたりストということに了解させていただきたいと存じます。また、既往全部にさかのぼってということになりますと、これは非常に膨大な作業量ということになってまいりますので、できる限り最近の数字をということで了解させていただきたいと思います。
○木村委員長 松本善明君。
○松本(善)委員 条約の国会提出に関する問題について、外務大臣に、時間の関係でまとめて伺いたいと思います。 私がお聞きしたい点は、いわゆるいままで論議をされていました外交についての民主的なコントロールという問題についての具体的な問題三つばかり。一つは、国際約束の中で外交路線について国内で対立のあるような問題、これはやはり原則として国会へかけるということにして、論議を国会の中で十分にすべきだというふうに私は考えますし、第二に、軍事的な取りきめ、これはわが国の憲法上のたてまえもありますし、国民の生命の安全に関するものでもあります。これもやはり国会にかけるというのを原則とすべきであると思います。また第三に、経済援助について、いま日本の経済援助の問題については非常に国内外で論議をされております。この内容、やり方について論議を呼びますもの、これはやはり国会にかけるということが必要だろうと思います。 先ほど外務大臣が出席されない状況で、二人の参考人に私はやはり同じ問題についてお聞きしたわけですけれども、一、二の問題については原則としてそのとおり同意見だ、三の経済援助の問題については、単年度のものには予算が通っていればいいだろう、単年度のものであっても、そのときの予算を全部使ってしまうような大きいものとか、それから重要なものはやはり国会へかけて論議をすべきだろう。これがお二人の参考人の共通した意見でございました。 私は、この点について、やはり外交を民主的に行なうという点から考えますならば、私が申しましたような点を政府も考えて、できるだけ国会にかけて、民主的な論議にさらすべきである、こう考えますが、外務大臣のお考えを伺いたいと思います。
○松永政府委員 私どもが国会に提出いたします条約と行政取りきめとの基準につきましては、先般の外務大臣の発言、それから本日ここの委員会でいろいろ御説明申し上げております基準ないしカテゴリーというものに従って検討をいたしまして、その上でこれは承認条約として取り扱うか、あるいは行政取りきめとして処理するかということをやっているわけでございます。 いま先生御指摘になられました外交路線に関するものというお話でございましたけれども、それはいろいろな外交ないし政治的な国会における論議が行なわれるということ自体につきましては、私どものほうとしまして、それがどうこうということは全くないわけでございますけれども、国際約束の締結という観点から、私どもとしましては、やはり法律的な基準なり手続に従ってものごとを考えていかざるを得ないという点を御了承いただきたいと思います。 それから第二点の、軍事的あるいは防衛上の取りきめというものにつきましても同じことが申せるわけでございまして、それはその取りきめの内容のいかんによって、それが条約として処理されなければならない、あるいは行政取りきめとして締結し得るということであろうと思います。 経済協力の問題につきましても、先ほど来申し上げておりますように、経済協力の供与に関する取りきめあるいは協定が締結されます時点において、私どもはその内容が法律なり予算なりに基づく政府の権限の範囲内で実施し得るかどうかということによって処理していかざるを得ないと存じております。
○松本(善)委員 外務大臣、その点の考えを……。
○大平国務大臣 いま条約局長からお答え申し上げたことが、いわば国会の御承認を事前に求めるべきかどうかという判断の基準といたしましては、まあああいうお答えにならざるを得ないと思います。ただ、問題は、局長もちょっと触れましたけれども、国会の論議自体でございますが、これは国会の御判断でいろいろな論議が多彩に展開されるわけでございまして、いま松本先生御指摘の外交路線の問題、とりわけ軍事的な問題、それから経済援助問題、確かにその論議の一つのハイライトであろうと思うのでありまして、そういう御論議をいただくにあたりまして、われわれは政府の持っておる情報あるいは資料等につきましては十分御提供申し上げて、御論議の資にしなければならぬと考えておりまするし、また、われわれがそれについて意見を求められるならば、政府は政府として率直に国会に御意見を申し上げるということであってしかるべきだと思います。 ただ、事前に国会の御承認を得なければ政府としてアクションをとってはいけないというきびしい一つのワクを入れるということになるのでございましたならば、これはやはり条約局長が言われたような法律的な判断を基として対処しなければなるまいと私は思います。
○松本(善)委員 外務大臣の前回の発言ときょうの条約局長と外務大臣の見解を聞きますと、これではやはり私どもは不満だ、もっとやはり国会に国際約束というものをかけるべきである、それが民主的な外交のあり方だというふうに思うので、とうてい承服することはできないのですけれども、こういう性質の問題というのは、やはり一つ一つの具体的な案件についてそれがいかに国民に被害を及ぼすかということを明確にして論議をする必要もあると思いますし、時間の関係もありますので、きょうはこの問題についての質問はこの程度にしておきたいと思います。
○木村委員長 津金佑近君。
○津金委員 私は、ただいまの松本議員の質問に関連し、また現在の国際情勢との関連においていわゆる核防条約、核拡散防止条約の問題について若干御質問をいたしたいと思います。 この核防条約の取り扱いの問題につきましては、田中総理も今国会で批准の承認を求めるということを言われたわけでありますが、その後伝えられるところによると、今国会での批准承認は無理であり、また見送りになるといったようなことも伝えられておるわけでありますが、これは政府としてはこの問題は今国会に予定どおり批准承認を求められるおつもりかいなか、まずその辺、ひとつ大臣の基本的お考えをお伺いしたいと思います。
○大平国務大臣 政府としてはNPT条約に署名いたした立場でございまして、可及的すみやかに国会の御承認を仰ぎたいという気持ちに変わりはないわけでございます。ただその署名の際に政府が声明いたしましたように三つの問題点が指摘されておりまして、とりわけ第三の原子力の平和利用について締約国と実質的な公平を確保するという点は実効ある措置を踏まえていたさなければならぬと考えておるのでありまして、まずIAEAとの間の予備交渉を精力的にやりまして、保障協定なるものを通じてわが国の原子力平和利用についての実質的な公平を確保するということをまず第一にやり遂げねばならないと存じまして、せっかく準備をいたしておるところでございます。したがって、そういう仕事の運びぐあいから申しまして、今国会で御批准を仰ぐことが非常に望ましいことはやまやまでございますけれども、いまの段取りから申しまして、今国会ではたして御批准を願えるかどうかということにつきましては、確たる自信をまだ持ち得ない状況でおります。
○津金委員 ただいまの大臣のお答えでもその見通しが確たる状況にないということでありますが、いずれにせよ当初の準備がたいへんおくれておるということは事実のように思います。そこでこのおくれているいろいろな理由について、それが国民の前にまだ明らかにされておらぬわけでありますが、伝えられるところによれば、これらの問題に関して外務省側と科学技術庁との間にいろいろ意見の違いがあり、また国内査察体制の整備その他についても予定どおり事が進んでいない。それらの問題も重要な条件の一つになっているやに聞いておりますが、その辺の事情はどうなっておるのでございましょう、お伺いいたしたいと思います。
○鈴木(文)政府委員 大臣がお答えになりました中の保障措置協定、これをまず満足のいくかっこうでつくる必要があるということは、四年前の政府が署名しましたときに重視した点の一つでございます。保障措置の協定、これは実はほかの国が結びました協定を見ましても、大体百カ条近い長い条文がございます。それからその条文のほかに準備の過程でわれわれがいろいろ科学技術庁との間に寄り寄り集まって検討しておりますのは、日本がこの保障措置協定を結びます場合に、ユーラトムとの平等性確保ということを常に言っておりますが、ユーラトムと同じようなシステムを持つことによって平等性が確保できるという前提から、われわれとしてはまず自主的に査察する一つのシステムをつくる、そのシステムが査察した結果を国際原子力機関が検証するというかっこうで査察の任務を達成するという二重の仕組みを考えているわけでございます。端的に申しますと、わが国でやる査察と国際原子力機関の査察との間のコオーディネーションと申しますか、調整の方式、これが実はいろいろむずかしい問題をそれ自身持っておりますので、その辺の詰めをいま科学技術庁とやっておりまして、それが若干時間がかかっているということでございます。
○津金委員 時間の制約がありますので、あまりこまかく立ち入る余地がないわけでありますが、国内査察の整備というものが、いま言った国際的な関係もあると思いますが、国内としての独自の国内査察体制の整備というものが非常に予定どおり進んでいないということを伝え聞くわけでありますが、この国内査察体制の確立ということの中で、そうした問題に関する調査の依頼を、たとえば日本分析化学研究所、こうしたところに依頼をするというふうな計画、その他との関連において、こうしたもののいろいろな準備を再検討しなければならないというふうな条件というものがあるのではないかというふうに予想される点もありますが、そういう点はいかがですか。
○鈴木(文)政府委員 保障措置協定に関連します査察につきましては、いまお話のありました分析化学研究所あるいは何らかの国内機関における分析ということとは全然関係はございません。
○津金委員 このいわゆる核防条約の問題にあたりまして、政府は一九七〇年の二月にこの調印にあたって日本国政府の声明をお出しになりましたね。その声明の中でいろいろな条件を論じておられますが、基本的にこの条約というものは世界の平和維持に貢献し、また世界の核軍縮の第一歩になり得るものと基本的に判断をされ、この条約に署名されたということを強調しておられるわけでありますが、私はやはりこの条約というものがはたして世界の平和維持に役立ち得るものであるか、真に世界の核軍縮の第一歩となり得るかいなか、この点について重要な問題点が含まれているように考えるわけであります。 御承知のように、今日世界における核保有国の核開発、核軍拡競争というものは、年を追って激しくなり、その悪循環というものが、今日人類の未来に対して非常に大きな脅威となっておることは、ひとしく指摘されていることであります。一々具体的な数字をあげる余地はありませんが、たとえば、今日の核保有国が持っている核爆発物の総量というものは、今日広島型原爆の二百五十万発分に達しておるということが指摘されておるところであります。こうした状況の中で、今日のこの核の脅威というものから人類の生存と安全を守るという上で最も重要な問題は、このような核保有国による核開発、核軍拡競争そのものにやはりメスを入れていく、こういう点が基本的に重要な問題になると思うわけであります。 ところが、御承知のように、この核防条約は核の拡散についてこれを禁止するものでありまして、これは言いかえれば、現在の核保有国にのみ核兵器の保有を認める、こういうことに結果としてなる。すなわち、現在の核保有国による核保有というものをいわば結果的には合法化するという側面を持っておるわけであります。かつて部分核停条約というものが結果的に核保有国による地下核実験というものを合法化する、この結果、部分核停条約が締結されてから七二年末までに世界で四百二十五回の地下実験が行なわれておるということは、あなた方も御承知のとおりであるわけであります。 そういう点において、この核防条約は、こうした今日の核開発、核軍拡競争及びそれによってもたらされるところの悪循環そのものを実質的に規制する、そういう保証がない、むしろ結果的にはこれを合法化する、こういう重要な内容を持ったものだというふうに考えざるを得ないのでありますが、こうした問題に関する政府の基本的な判断といいますか、それをちょっとお伺いいたしたいというふうに思います。
○鈴木(文)政府委員 核不拡散条約ができましたときに、核兵器を持つ国とそうでない国とが一応ここで仕分けができたというかっこうになっているのが条約の基本的な性格でございますが、この条約を作成する過程におきまして、そのような二つの種類の国ができるということ、つまり核を持たない国にとっての安全保障、あるいは核軍備競争というものをできるだけなくして、究極的には核のない世界にしようという悲願から、核を持たない国がこの条約作成の会議におきまして主張しましたことは、核兵器を持っている国が核軍縮を誠実に履行することであるということであったわけでございます。現実に、種々議論はございましたが、この条約の第六条に、核を持っている国は、一般的な軍縮のほかに核軍縮についても重点を置いてその交渉を誠実に行なうのだという約束をする一項が設けられたわけでございます。特に、日本の立場から申しますと、核兵器の性能の向上を阻止する一番有効な方法は核実験の全面的禁止であるという基本的な考えから、この条約の中で六条という規定を設けたほかに、ジュネーブの軍縮委員会の場におきまして、討議の最重点事項として、核実験の全面的禁止という点について終始わが国の強い立場を表明し、場合により、それを進めるための具体的な提案をいままで何回となくやってきた次第でございます。
○津金委員 いまそういうお答えでありますけれども、問題は、この条約それ自体に、そういう核保有国による核軍拡、核開発そのものを規制する条項なり規定というものがないということは、これは明白な問題だと思います。 そしてそのことと関連してもう一つ重要な問題点は、この条約は、核兵器その他の核爆発装置またはその管理の取得のみを禁止する条項であります。これはあなた方の声明の中にも指摘されていることばでありますが、そういう点からすると、いわゆる核保有国によるところの核持ち込み、それからいわゆる核のかさと呼ばれているような政策、こういうものに対してこれを規制する処置というものがない。 この核持ち込みの問題については、きょうはその議論をする時間はありませんので省略しますが、わが国の国会においても、すでに日本共産党国会議員団の調査によって、一九七二年の段階において沖繩に四種類の核がすでに持ち込まれておる、さらにはまた、米元空軍曹長アル・ハバト氏の証言、こうした問題が起こって、国会論戦の重大な焦点になったことは御記憶だと思いますが、この核防条約それ自体に、いま申し上げた核保有国の核開発、核軍拡を規制する条項というものが全くないということ、そしていわゆる核保有国による核持ち込みを規制する条項が条約それ自体の中に明記されていないということ、この事実はお認めになりますか。
○鈴木(文)政府委員 核持ち込みそのものを禁止する規定はこの条約にはございません。この条約の基本的な考え方は、核の引き金を引く国の数をこれ以上ふやさないことによって核戦争の危険の増大を防止するということでございます。 それから、いまの問題に関連しましてちょっと補足させていただきますが、核軍縮について、核軍縮をするのだという義務的な規定は必ずしもそういうかっこうにはなっておりませんけれども、条約発効後五年後にこの条約の再検討会議というのが予定されております。これは現実に来年の五月に開かれることになると思います。その会議のための準備会議がこの四月から開かれるということになっておりますが、この再検討会議の一番大きな目的は、核を持たない国であってこの条約の当事国が、この条約の運営について、特に核兵器国が核兵器国のなすべきこととして掲げられている事項を誠実に行なっているかどうかということをこの会議において大いに議論するというところにあるわけでございます。特にその議論の一番大きいのは、繰り返しになりますが、核兵器国が核軍縮を誠実に行なっているかどうか、それから保障措置協定の運用においてほかの国との差別がないかどうか、あるいは原子力平和利用の面について、核兵器国は核を持たない国に積極的に協力しているかどうかという点をこの会議で討議する予定になっておるわけでございます。
○津金委員 私は、そういう意味において、いまあなたも言われていましたように、特に核保有国の責任というものは非常に重要なものがあると思う。それは日本政府の声明の中でも、核保有国の特別な地位と責任の問題、それからそういう立場から、特に核兵器保有国が具体的な核軍縮処置をとることがこの条約の目的実現のためにきわめて必要であるということを強調されておるわけですね。 ところが現実はどうか。あなたのほうではいろいろいま言われましたけれども、現実に今日の世界の情勢の中で進んでいる事態というものは、そういう方向とは逆に、むしろ事実上の核軍拡は促進をされている。 たとえばこの核防条約が最初に発表されたその年のニクソンの年頭教書の中でも、アメリカの核軍拡に関する膨大な予算を含む軍事予算というものが提起されておりますし、それからまた、ことし出されましたニクソンの年頭教書は、御承知のように八百七十七億という史上最高のものでありまして、この中に核弾頭の大型化、あるいはMaRV、空中発射巡航ミサイル等々の実質的に核兵器の質量ともにこれを強化する、そういう予算を中心としたものが提出されておるということは疑いない事実だというふうに思うのですね。そしてこういうものが一つの起動力となって、さらに核保有国による核開発の悪循環が進められておる。フランス政府は依然として南太平洋における核実験を強行するということを言明しておる。 こういう事実を見ると、あなたのほうでそういう努力をしなければならないということがいわれておるというふうにいかに強調されておっても、今日における国際情勢の事実というものは、むしろ核軍拡、核開発というものがますます増大していってきわめて憂慮すべき事態をいまや迎えつつある、こういうふうに見るべきだと私は思いますが、今日のこうした現状について、日本政府としてはそういう認識というものをはっきり持っておられるかどうか、その辺についてお伺いをいたしたいと思います。
○鈴木(文)政府委員 核を中心とする軍縮の問題でございますが、いま御指摘のような点について、いろいろ御意見があり得るかと思いますが、基本的には核大国である米ソの間の均衡をやはりとりながら核軍縮に進んでいくというのが一番実際的な方法ではないかと私は考えます。米ソの間の核軍縮は、SALTの第一次交渉が終わりまして、暫定協定というのができましたことは御承知のとおりでございますが、昨年に米ソの首脳会談で第二のSALT交渉を始める、第二のSALT交渉は今年中に完結するということが両首脳間で一応合意ができたと私も了解しております。先月の十九日から本格的な交渉がジュネーブで始まったようでございますが、この交渉は従来の暫定協定の、量の制限プラス質的な改善をできるだけ押えるという方向に進んでいると了解しております。もちろん簡単な交渉ではないと思いますが、基本的には米ソとも均衡を維持しながら核軍縮に進んでいくという方向、これは私として別に疑問は持っておりません。ただ、現実の形態として、現象形態としていろいろな面でこれに反するようなことがあちらこちらでいわれ、起こっているということがいわれておりますけれども、米ソ間の一応の約束というものをいま履行する方向で事態が動いているというふうに考えております。
○津金委員 時間が来ましたからこれで最後にいたしますが、大臣にお伺いしたいと思います。 率直に申し上げて、いまの認識と私たちの認識及び世界の現実というものにはかなりずれがあるように私は思います。こうした状況の中で、わが国が世界唯一の被爆国として核兵器を完全になくしていくという方向で果たすべき責任というものは非常に大きなものがある、私はこういうふうに考えるわけであります。そういう意味で昨年の七月の参議院本会議におきましても、すべての国の核兵器の製造、実験、貯蔵、使用に反対して、全面的な禁止協定が締結されるよう関係国に対し政府は適切な措置を講ずるよう要求する、こういう決議が参議院で採択されたことは御承知のとおりであります。これはわが党も含む満場一致の決議であります。 そういう意味で、今日の事態、それから部分核停条約の歴史的な経過、そして先ほど局長も言われましたように、今日の核の脅威の一番根源に対して、十分これを規制することができないという弱点を持ったこの核防条約、こうしたものの経過に立って見たときに、この参議院決議の方向はいまこそ強力に促進することこそが今日核問題に関する基本的な方向であり、特にわが国のとるべき責任であるというふうに私は考えるわけでありますが、そういう意味において政府は、この参議院決議の立場に立った核兵器完全禁止国際協定の締結実現のためにその後どのような努力を行なわれたのか、またそのために今後どのような努力を続ける決意をお持ちか、この点を私最後にお伺いしておきたいと思います。基本的な問題ですから大平外務大臣からお答えいただきたい。
○鈴木(文)政府委員 先ほどちょっと触れましたように、核実験の全面禁止の問題につきましては、主要国の間に若干意見の違いがございますけれども、日本としましては、核実験の全面禁止が核軍縮の一番有効な第一歩であるという確信のもとに、従来からジュネーブの軍縮委員会の場におきまして具体的な提案をもって日本の考え方を各国にぶつけているわけでございます。特に、核実験の問題につきましては検証の問題が一番重要である。ところが検証についての意見が違うために話がデッドロックになるということは、これは日本としてははなはだ困るのであって、したがって、このデッドロックを除くための一つの具体的な提案を年毎の軍縮委員会の場に出しまして、各国ともこれは非常に建設的な提案だと、米ソを含む主要な国から一応好感をもって迎えられております。これから春の軍縮委員会の会議が始まりますが、この会議の場で取り上げられるかどうか別としまして、日本側の強い考え方、かつその提案が非常に合理的であるということから、日本としてもできるだけこのラインで、まず主要な関係国の同意を取りつけて、できるだけ進めてみたいというふうに考えております。
○津金委員 大臣、いま主として全面的な実験禁止の問題について局長から答弁がありましたが、いろいろ技術上の問題、その他についての問題は多々あると思いますが、参議院決議が主張している完全禁止の国際協定締結ということに関する基本的なお考えを最後に一言だけお伺いしておきたいと思います。
○大平国務大臣 御指摘の参議院決議を踏まえて、あらゆる機会、あらゆるフォーラムをとらえて努力しなければならない立場にあることは御指摘のとおりでございます。問題は、究極の目標と、そして段階的に何から手を染めてまいるかという現実の問題があるわけでございますけれども、究極の目標を見失うことなく、また御指摘のように、わが国の特異な立場という自覚の上に立ちまして、今後とも努力を重ねてまいりたいと思います。
○津金委員 じゃ、時間が参りましたので、一応終わります。
○木村委員長 渡部一郎君。
○渡部(一)委員 時間があまりあるとは思えませんから、かいつまんで数点にわたりお伺いしたいと存じます。 まず、条約の国会提出に関する大平外務大臣の御発言は、日本政府が従来条約並びに国際的諸取りきめに対する基本的態度を明確にしていなかった問題点に対し、少なくとも過去と現在における態度を明快にこれを整理されたという点では大いに評価すべきものであると考えております。しかしながら、従来も問題になっておりました外交的諸問題、これら条約、その他国際的取りきめの取り扱いに関し問題点になった個所に関しさらに一歩前進を試みる点では数多くの問題点を指摘せざるを得ないわけであります。したがいまして、私は、この問題点の中で具体的な諸問題から、今後どういうふうに扱うかという問題に触れまして議論をしてみたいと考えております。 まず私は、先ほど外務委員会に参考人の方がお二人見えられたわけでありますが、旧安保条約の承認の問題が起こりました際、国会におきまして条約の修正権があるかどうかにつき問題が起こったことを記憶いたしておるわけであります。先ほどの参考人の御意見で明らかになりましたとおり、条約の承認の場合、政府は従来、何々条約に関する案件として当委員会に対して議案を提出されており、それに付属されている条約は、ある面では承認案件のごとくであり、ある面では附属参考文書のごとくであり、従来その取り扱い、内容等につき明快ではないのであります。特に安保条約の締結の激しい論戦の際に極端なる態度をとられた日本政府としては、これは承認案件の部分の一枚の紙こそが国会提出されたのであり、条約本体は、これは案件ではなく、参考文献であるとして参考の文字を付せられて提出されたこともあるように聞いております。したがいまして、この問題についてとかく紛争の種は巻き起こっているわけでありますが、そしてその経緯がさらに一歩進みまして 当委員会においては条約の修正権がなし議論にまで波及いたすわけであります。 先ほど参考人として参られました明治大学の教授宮崎先生と上智大学の教授の佐藤先生は、ともにこの問題に関し、案件は単なるペーパーのみを提出されたものではなく、その条約もまた提出されたものと考えるべきであり、審査の対象に条約はなるべきである、あるいはその国際取りきめも審査の対象となるべきであるとの立場をとられたわけであります。私は、いままでここのところは、問題提起のために解説をしたわけであります。 さて、これからでありますが、大臣はいま日本の外務大臣として、現在どういう立場をこれからとろうとしておられるのか、これからまずお伺いをしたいと存じます。
○松永政府委員 先ほどの参考人の御意見はただいま御指摘がありましたとおりであると存じます。ただ、政府といたしましては、国会に提出いたします条約については、何々条約の締結について承認を求めるの件という形の紙、いま一枚の紙と仰せられましたけれども、それを議案として国会に提出をし、国会によるその議案がその対象となっているというふうに考えているわけでございます。その際その何々条約というその条約の条約文は、その議案に付属いたします文書であって、それはこれこれの内容の条約を締結するということについての承認をお願いするということであろうと思います。 で、いまその参考のために云々というふうに仰せられましたけれども、私どもは国会に提出いたします条約の文書には、参考という字を印刷いたしまして提出配付するものとそうでないものがあるわけでございます。いま申し上げましたその条約は、何々条約という条約文は、その議案の附属文書でございまして、それと別個にその審議の御参考に資するためにいろいろな関連資料を参考として配付するということがあるわけでございます。
○渡部(一)委員 米国の憲法の第二条の第二節には、「大統領は、元老院の助言によりその同意を得て、条約を締結する権を有する。」という規定があり、元老院は条約に同意を与える際助言を与えるのであるが、その際、政府はあらためて元老院の助言を体して相手国と交渉を行なう旨明示されております。 日米間において日米友好通商航海条約締結において米上院が「批准書の交換前に他方の締結国によって同意されるべき次の留保を条件として、助言及び承認を与える旨を出席した上院議員の三分の二の賛成を得て決議する。」旨の決議が採択されたため、自由職業の権限について日米両国間に交渉が行なわれ、別個に交換公文が取り行なわれたといういきさつがございました。これは要するに具体的な留保という形になっておるわけでありまして、先ほども参考人からその旨の御指摘があったようであります。 わが国におきましては、これらの規定らしい規定はないのでありますが、国会が国権の最高機関であり、国の唯一の立法機関であるたてまえがあるわけでありますから、条約について行政府に対し修正または留保の国会意思を明示し、政府がそれに対して相手国とあらためて交渉するという指示を与える権利は当然国会が持ち合わせていると見てよいのではないかと思うわけであります。 つまり、先ほどの濃縮ウランの対日供給ワク変更に関する交換公文における交渉に際して、私どもはこの協定の内容が一部不十分であり、不完全である旨を指摘し、政府はそれを聞き入れた形で再交渉を行ない、フリードマン書簡を出したといういきさつがあります。ということは、事実上においてはアメリカ型のやり方をあの場合には採用した、むしろ前進的な姿勢をとったといえるのではないかと私は思うわけであります。この点は御見解いかがですか。
○松永政府委員 ただいまの御質問は、条約に対する修正権が国会にあるのじゃないかという御質問かと存じまするが、先ほど申しましたように、国会にその締結について承認を求めるの件という議案を国会に提出いたしまして議決の対象にしていただくわけでございますが、それに対する国会の御意思はそれを否決するか、あるいは採択賛成していただくかということによって行なわれるというふうに解釈いたしておるわけでございます。国会御自身におかれて条約の修正権があるというふうには政府としては考えていないわけでございます。 先ほど御指摘ありました昨年の日米原子力協定の国会における論議に際しましていろいろと御意見が開陳表明されましたということはそのとおりでございまして私どももその御意見を踏まえ、かつ十分参考にもし、アメリカ側とも話をしたわけでございます。その場合に、いま御指摘がありましたフリードマン書簡云々というのは、私どもといたしましては、日米原子力協定を改正する、あるいは修正するというものではないというふうに考えているわけでございます。
○渡部(一)委員 私はここで非常にめんどうくさい議論をしなければならぬわけでありますが、要するに、私はいま国会に修正権があるかどうかについて議論しようとしていません。それは議論しようとしていない。私は、日本の国会の修正権の規定が憲法上はない、明示はされていないというのはわかっております。ところが、事実上国権の最高機関である国会が議論の過程を通して事実上の形において条約に対して留保を加え、あるいは補足的な条約の締結を政府側に迫った例として、私はフリードマン書簡を評価しているわけであります。つまり、政府がやっている行政に対し、国会の審議を通してそれを補強するだけの仕事というものは国会はああいう形ならでき得る。そうしてそれは国会の審議を厚みのあるものにし、民主的な日本政府の外交に関する態度を貫く限り、こうしたことはより尊重されてしかるべきではないかという前向きな方向に対する政府委員の見解を伺っておるわけです。
○松永政府委員 国会におきまして条約の修正あるいは補足につきましていろいろな御論議が行なわれるということ自体、これは全く国会のほうの御意思にかかる問題であろうと思います。そういう意思表示と申しますか、国会として御意見を表明されるということ自体はいままでもたびたびあったと思いますし、また、私ども政府の立場といたしましては、国会において表明されましたいろいろな御意見なり御希望なりというものも、できる限りこれを尊重し、しんしゃくして事の処理に当たるべきであろうと考えているわけでございます。
○渡部(一)委員 そこで、国会におけるさまざまな議論をしんしゃくしつつ外交交渉に当たるという形で、いま国会に実質上の修正権があるような形というものをつくりあげていくことが現実に適応した姿であるというのが私の主張です。そしてそのために、一九六六年国際連合の国際法委員会が採択した条約法の審議のうち、第四部第三十九条ですか、「条約中に特段の取りきめがない限り、条約は当事国の合意によって修正することができる」旨を規定しておりますね。そうですね。また、第十九条でしょうか、第十九条は、「留保はその条項の修正である」ことを規定しております。この意味で、国会が条約の修正あるいは留保を行政府に指示した際、政府はこの意を体して当該国政府と修正について交渉するということは当然であるというのが私の主張であります。それについて、政府は、全くはねてきたという態度でもなかろうとは私は思います。また、それをそのとおり認めたという態度でもなかろうとは私は思います。ですから、ここの場合に大事なことは、いまここで、外務大臣発言がこうできてはおりますが、これをさらに一歩前進させる形で、そうしたことも今後は配慮をなさっていくべきではなかろうか、こう申し上げておるわけであります。
○松永政府委員 一般国際法上の原則によりまして作成あるいは締結されました条約が、当事国間の合意によって修正される、あるいは補足されるということがあり得ますことは、条約法に関する条約の規定をまたないでも当然なことであろう。すなわち、一般国際法上の原則であろうかと存じます。そのことと、国内におきまする条約締結の衝に当たるべき行政府と、その条約を審査するお立場にある立法府との関係は、これは国内的な問題であろうかと存じます。 先ほど申し上げましたように、国会における論議あるいは御意見というものは私どもできる限り尊重もし、しんしゃくもして、相手国政府あるいは外国との関係処理に当たらなければならないというふうに考えているわけでございます。
○渡部(一)委員 そこで、外務大臣にそろそろ御答弁をいただかなければなりませんが、いままでゆっくり私がお話し合いをしておりました件につき、外務大臣の御見解を伺うわけであります。 外務大臣に私が伺おうとしておるのは条約に関しての扱いでありますが、条約の審議にあたって国会の意見が反映するようなやり方をしなければならない。それは国会における審議の過程を見つつ、ある場合には再交渉、ある場合には実質的修正、ある場合には実質的な補完等を条約に対して加えるということは、外務省としての責務ではある。そういう形が貫かれない限り、条約に関する条約あるいは一般国際法の原則に基づく条約の取り扱いにおいて、外務省は妙なことになる。つまり、機械的なこうした条約に関する取り扱いでなく、国会審議を反映するような条約に関する取り扱いというものが要求されておるということを私は議論してきたわけでありますが、それに対しての外務大臣の今後の御見解を承りたい。
○大平国務大臣 この問題は、外交に対する民主的コントロール、先ほど河上先生が提起された問題の一面だと思うのでございます。政府はなるほど条約締結権を持っておるわけでございますし、政府の責任において条約を締結する責任を持っておるわけでございますが、しかし、この政府は常に国会とともにあるわけでございまして、国会における外交論議、国会の中に流れておる外交思想という問題につきましては十分心得ておるはずでございますし、すでにでき上がって御審議をいただく条約を締結するにあたりまして、そういうことを十分心得た上でやっておるはずでございます。しかし、あとでその締結された条約が国会に上程されて御審議を願うという場合に、国会からいろいろな御意見が現実に出てまいりまして、それをどう処理するかということが渡部さんのいまの問題であろうと思いますが、そういう御意見があったからといって、直ちに政府がアクションをとって相手国との間に修正の話し合いをするということにつきましては、私として直ちに賛成いたしかねるのであります。何となれば、政府といたしましては十分な責任を持って締結いたしましたことでございますし、私、憲法学者じゃございませんけれども、国際関係の安定の上から申しましても、そういうことは望ましい姿ではないと思うのでありまして、国会を通じての外交の民主的コントロールという問題は、そういうことでなく、もっと広く、深く浸透いたしておらなければならないし、またおるはずである、私は一政治家としてそう感じます。
○渡部(一)委員 あまりいい答えじゃないですね、それは。大臣、もう少し俗っぽく言いますからね。 ギリシャ王国との航空協定をこの間つくられましたね。そして協定にサインして国会へ出そうとした。出す直前にクーデターが起こって、王国でなくなってしまった。あなたはそれを国会のほうへそのまま出そうか出すまいか相談されたあげくの果てに、理事会へ提出されて、どうしましょうかと御相談になりました、覚えていらっしゃるとおり。それでその結果としては、クーデターのある間だから、向こうさんの御意向もあれだから、少し待ちましょうということで、審議をうしろへ引き延ばしたといういきさつがありますわね。これは実際のアクションですよ。あなたが、現実国会の意向を体した形で、条約をつくったとしても、それが国会全体の意向に沿わない場合というのがあり得る、そのときにアクションを起こす可能性は当然ありますと答えたら、あなたは非常に前向きな日本の政治家として評価されるところだったのです。ところがあなたは、それを好ましくないと言うだけでうしろへ下がってしまうのだったら、それこそまさに機械的な、初めにきまったものは何が何でも押し通す、当外務委員会で強行採決でも何でもして押し通すという、旧式かつクラシックな旧安保型の政治家として評価されるだけなんです、そんな言い方をなさると。私はいまあなたに歴史的発言をさせようとしておるのです。よろしゅうございますか、非常にいいかっこうをつけてあげようとしておるのに、あなたはよく聞いておられないので、私はもうさっきからやりきれない思いなんです。こんなにていねいな質問というのはないのですから、よく聞いていてもらいたい。 せっかく法案はつくった、与党も賛成すると思った、内閣でもうんと言った、それでここへ出してきたときに実際に議論してみたら欠陥のあることがわかった。望ましくないかもしれないけれどもそういうことが起こった場合、外務省はそれに対して別の反応を起こして、再交渉するなり何をするなり、あとへ留保するなり、修正の文章をうしろへくっつけるなり、何かをなさるでしょう、フリードマン書簡のように何かなさるおつもりが今後もあるのでしょうねと私は聞いておるのです。あなたははいと言わればいいのです。そうすれば日本のこの外務委員会における審議というものは一段前向きになることが可能なんです。そんなことは今後永久に考えません、フリードマン書簡のごときものをやったのは私の重大失敗ですというのだったら、それはそれでけっこうです。
○松永政府委員 国会におきますいろいろな御論議あるいは御指摘があり、その結果政府もそのとおりだと認識する場合におきまして、条約の交渉なり締結自体は政府が内閣の事務として処理いたすわけでございますから、相手方との間で話し合いを行なうということは理論的にも十分あり得ることでございますし、また実際上も、もしも私どもが作成いたしました条約が非常に大きな欠陥があったということが国会の論議を通じて判明いたしますれば、そのように処置いたさなければならないということはもう当然であろうと思います。 他方、私どもは条約を作成、締結いたしますときには、不備がないように、欠陥がないようにということについては十分細心な注意を払って作成しておりますので、作成いたします条約について、すぐ一般論として修正いたしますということは申し上げかねますものですから、その点は御了承いただきたいと思います。
○渡部(一)委員 大臣、いまの御答弁でよろしいですね。
○大平国務大臣 欠陥商品をそうつくられてはかなわぬのでございまして、国会で御指摘されるような欠陥のないように、まず外務省としては全力をあげなければならぬと思いますが、人間のやることでございますから、万々が一そういうことがかりにあったといたしますならば、政府の責任におきましていま条約局長が申したような手順を踏むことはあり得ると考えます。
○渡部(一)委員 ただいまの答弁を総括して、国会における審議の過程を通し——条約を締結する権利は政府にあることに関し私は別に異議をはさんでおりません。そのとおりであってよろしいと思っております。しかしその審議の過程を通しまして、その条約に対し国民の意向というものを国会の場で明らかにする、その条約の内容を審査すること、そして内容を審査するだけでなくて、内容が不的確であると国会側が見た場合、それに対して再交渉を指示すること、あるいはある意味でのその条約の実質的な修正を指示することは国会側にあり得るものであると私は思います。そういう形でこそ国会の条約に関する審議権は明瞭になると思うからであります。 私は今度はそこでもう一つそれにつけ加えて申し上げるわけでありますが、先ほどから議論をいたしておりますものの中で、第二のカテゴリーに入っている財政事項を含む国際条約に関し大臣の御見解を承っておきたい。ということは、これから諸外国と経済的な援助あるいは技術的援助、海外協力、こうした形でのコミットメントが非常に多くなりつつある。その量が量的に多くなり過ぎたりあるいは多年度にわたり過ぎたりする場合は当然問題が起きてくると思われるわけであります。前委員会でも、この点については私は多少指摘をいたしました。先ほどの参考人の御意見は、多年度にわたらぬもの、あるいは財政支出というものがある限界を越えない、ある大ワクというものが国会で承認されているということが当然必要だという旨の発言がございました。外務大臣はこの点につきどういう御見解をお持ちか、それを明示していただきたいと存じます。
○松永政府委員 経済協力につきましての御質問だと存じますので申し上げますが、先ほどちょっと御説明いたしましたごとく、予算または法律で認められておる以上に国の財政負担を約束する内容の条約については国会に提出しなければならない。しかしながら、そういうものによって政府あるいは政府関係機関に支出の権限を認められております場合には、その範囲内において取りきめを行ないます借款その他の経済協力に関する取りきめは、政府の責任において、行政権の権限、憲法第七十三条第二号に掲げます外交関係の処理として締結するという立場を政府はとっているわけでございます。 先ほど単年度という御指摘がございましたけれども、経済協力は大きく分けますと有償と無償援助というふうになるかと存じます。無償援助の場合は、通常外務省予算にその援助費という形で計上されておりますから、この場合にはもちろんその当該年度内で政府として支出し得る範囲においてのみ取りきめを締結することができるということであろうと存じます。それから有償援助の場合は、通常は経済協力基金あるいは輸銀、そういう政府関係機関の供与します借款ということが内容になってまいりますので、必ずしもこれは単年度であるとは限らないと存じます。しかしそれは、その関係の法律によってそのことが認められ、また必要な予算が手当てされていなければならない。したがって、手当てされております、すでに成立している予算の範囲でなければならないことは申すまでもないところでございます。
○渡部(一)委員 時間がそろそろなくなってきましたから、議論がまだたくさんありますし、後の機会に少し譲らなければならぬと思います。ですから、この間から問題になっていることを少し一緒に関連してお伺いしようと思っています。 それは在沖繩米軍施設区域整理統合計画についてです。一月三十日外務省において行なわれた日米安全保障協議委員会第十五回会合において、日米両政府は、その整理統合に関し協議をいたしました。その際に、これは防衛施設庁から出されたデータでありますが、この二段目の項のところに何が書いてあるかといいますと、一番初めのところに「移設なしに返還される施設」つまり、そのまますらっとこっちに戻ってくるもの、二番目のところには「移設措置とその実施に係る合意の後返還される施設」つまり、移転先をこっちがつくってあげて移動するということを約束した施設というのが二番目に書いてあるわけであります。この二番目の施設は、全部返還の地域十二、平方メートルにしまして四百五十四万一千平方メートル、一部返還で六、平方メートルにしまして千百七十八万五千平方メートルであります。このようなものは、国費を支出し、または国が債務を負担するという部分で、財政事項を含む国際的な約束であろうかと思うわけであります。ということは、明らかにその移設を約束しているわけですし、その移設というものは膨大な設備費を要することは明らかでありますし、またP3のように那覇空軍基地から嘉手納空軍基地へ向かって移動することを条件にし、その移動の条件が交渉のつど過大になり、要求度が高くなっているような施設すらこの中には含まれています。 そうすると、先ほど申し上げました話の中で、われわれはこの部分については非常にけしからぬ第二のカテゴリーを発見するわけであります。つまりアメリカ政府の要求というものによってわれわれはかくまで大きな義務を背負わなければならないかという問題であります。そうすると、こういうものをしょい込むということは何によって行なわれたのか。これは当然こうしたものについては十分の審議が必要であろうというふうに考えてくるわけであります。こういう問題に対する基礎的な考え方をお示しを願いたいと存じます。
○松永政府委員 ただいま御指摘がありました問題は、施設区域の返還あるいは変更についてこれからこうこういうことをしていこうというような、いわばその方針を明らかにしたものだろうと存じます。施設、区域に関する日米間の決定は、御承知のごとく日米合同委員会を通じて行なうということになっております。実際問題といたしましては、合同委員会において両政府間で協議をして決定をし実施をしていくということになると存じますが、その段階におきましては、それぞれの施設、区域の変更等について必要とされます予算は、もちろんそのときには予算が成立しておらなければ実行できないわけでございまして、その時点においては成立しております予算に基づいて所要の経費を支出していくということになるかと存じております。
○渡部(一)委員 そうしますと、ここのところで私はこういう感じがするわけですね。外国へ行って大臣がお金をばらまいてくる。そしてまた国内においてアメリカ政府とこういう形の日米安保協議委員会みたいなものが行なわれる。そしてそこでどんな約束をしようとも全部予算措置がつけられた段階において予算案としてそれが審議の対象になる。こういうことになりますと、外務大臣が発言された内容のものは、国際的諸取りきめに対する条約の国会提出に関する外務大臣の発言は、実際的には何も国会に提出しない、予算になったときに見てくれというだけのものになってしまいかねないと私は思うのです。 よろしゅうございますか、つまり、どういう約束、どういう取りきめをしたとしても、その取りきめの段階において協議が行なわれるのでなければ——私は、実際的には条約あるいはそれに伴うもののようにわが国の基本的な国民の権利義務に関し重大な変更を与えるようなものに関してはこれを提出するという基本的な立場、この大臣発言の一番初めの一ページ目に書いてある精神こそがまさに大事であろう、こう思うわけであります。そうでないと、来年度の予算を見てくれ、来年度の予算には入っていますよ、今年度の予算の端っこのどこかに入っていましたよ、それだけだったら、私は外務委員会は不要になってしまうと思うからであります。 特に私が思わしくないと思うのは、日米安保協議委員会第何回会合についてという外務省の情報文化局が発表なさっておるこの文書というものは、一体どういう性質のものであるかということです。つまり情報文化局作成の発表文であるにすぎない。外交文書ですらない。日米間で合意された文書ですらない。日米間で合意された文書であるとするならば合意された内容のチェックがあるわけでありますが、全部ですらない。しかもその内容については、全部これを報道することはお互いに控えている旨の合意があるというような御説明さえいままで伺っているわけであります。 そうすると、日米安全保障協議委員会の合意というものは、国際法上いかなる効力を有するものであるか。それにどうしてわが国政府はそんなに縛られなければならないものであるか。先ほどの参考人の意見でいうならば、もしこれが単なる合意で、条約でもなければ協定でもないというならば、政府がかわった際にそれを破棄して一向に差しつかえない性質ものであるかどうか。また、これによってリロケーションを大量に約束しておる、この約束をする権限があったのかどうか、そこまで私は問題になろうかと思うわけであります。 つまり外交交渉でない外交交渉、外交文書でない外交文書、そして多くの日本政府に対する約束、国際的な義務づけというものが命ぜられる文書というものがここに存在しているわけですね。だから、この安保協議委員会に関するこういう説明文書、ここにも明らかに出ているわけであり、今度沖繩特別委員会でまた御丁寧に御説明があるわけでありますが、この文書に関してはまさに妙な形になっているわけですね。これは一体どういう性質のものになり、これはどういう形のものと考えるべきものなのか、私は理解しがたいのであります。こうしたものをひとつ許容するようなやり方であるならばきわめて変なことになる。このせっかくつくられたこれは穴だらけになってしまう。ちょっとこれは扱いが妙ではなかったか。いままでのようなこうしたものに対する扱いは、もう少し格上げした形にして、そうして政府としては委員会に対する早急な報告になり審議案件として提出するなり何らかの措置が必要ではなかったか、こう思うわけでありますが、いかがですか。
○松永政府委員 ただいま問題になっております日米安保協議委員会におきます協議なり、あるいはそこで作成されます文書というものがいわゆる広義の外交交渉の一つであり、またその外交文書の一つであるという点は御指摘のとおりだろうと思います。ただ、これを国際約束締結という観点から見ましたときは、それはまだ国際約束を締結するという確定的な段階には至っていないものでございます。先ほど申しましたように施設、区域につきましては日米合同委員会を通じて決定をし実施をするということになっておりまして、したがいまして、その段階においてもしも予算上認められていないような支出をしなければ実行できないようなことを合同委員会において決定をし実施をするということになればまさしく実は重大問題になるわけでございます。財政事項を含むものという一つのカテゴリーを御説明申し上げておりますのは、協定、国際約束を締結することによって国会の予算審議権というものに何らか制約を与えるあるいは拘束をするというようなことになる場合には、それを事前に国会に提出して承認をいただかなければならないということでございまして、いまの御指摘の日米安保協議委員会ということにつきましては、これは仮定の問題でございますけれども、国会においてその関係の予算が審議され、その結果削減を受けるあるいは修正を受けるというような事態が生じますれば、それはその削減なり修正された範囲内においてのみ日米合同委員会において決定をし実行できるということになるのではないか、そういう関係であろうと存じます。
○渡部(一)委員 私に与えられた持ち時間が過ぎておりますので、あとの質問はこの次にさしていただくことにいたしまして、私の本日の質問はこれで終わります。
○木村委員長 永末英一君。
○永末委員 大平外務大臣に伺いますが、あなたは外務大臣として諸外国へ行かれましたときに他国政府との間に共同声明あるいは共同コミュニケというようないろいろなものを出されます。その場合に、その国との間に過去の条約関係があるわけでございますが、その条約の重大な内容の変更を及ぼすとあなたが思われるようなものについては、議会政治家としてこれはやっぱり議会にはからねばならぬとお考えになることがあろうかと思いますけれども、そんな御経験ございますか。
○大平国務大臣 大体私ども外国へ参りまして、相手方と会談をいたしまして、その会談で合意を見たこと、あるいは意見が別々でございましたら併記するというような形で共同の発表をいたすことを例といたしております。もとよりそれらの国との間に基本的な関係を持っておるわが国といたしまして、そういう基本関係に触れるというようなことについては十分留意するつもりでございますけれども、大体そういうことにわたらない性質のものが多いわけでございまして、共同の発表をするにつけて、既応の条約を全部一ぺん見直してみるというようなことは通常いたしておりません。
○永末委員 いま基本的なお考えを伺ったのですが、日米安保条約というのは、わが国の平和と安全、安全保障について非常に重要な意味を持っております。したがって、この日米安保条約が極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ軍の行動についてわれわれがかかわり合いを持っているというので、その極東とは何かということで、この条約がきめられたとき、あるいはまた改定せられたときにいろいろな問題があったことは御承知のとおりでございます。これに関連をして、佐藤・ニクソン会談のときに、いわゆる台湾条項なるものが共同声明で出ました。この台湾条項なるものが出たことが既存の日米安保条約の内容を変えたのか、変えないのかという問題がございましたが、そういう一つの事件があったあとで、あなたがこの前中国へ行かれましたときに、その共同声明の第三項で、「中華人民共和国政府は台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重」する、こういうことになりまして、台湾の位置というものについての見方が、佐藤・ニクソン会談のときと、それからあなたがやってこられましたこの日中共同声明のときとは違っておるとわれわれは見ておりますが、あなたはどうお感じですか。
○大平国務大臣 私は別に変わっておるとは思いません。
○永末委員 ことばでございますから、変わっておると思わぬとおっしゃったのでしょうが、この日中共同声明は第六項で、両国間、つまり「日本国政府及び中華人民共和国政府は、」「両国間の恒久的な平和友好関係を確立することに合意する。」ということになっておって、平和でいきましょうということになっておりますね。しかしその前の佐藤、ニクソン両首脳間における共同声明では、何か台湾の安全というものに対して、わが国もまた何らかの責任を持っておるというぐあいに解せられる発言でございました。ところがそういうことでございますからこそ、それ以後日中間の関係についてはいろいろなぎくしゃくとした関係がございましたが、この文句をあなた方が日中共同声明の形で承認せられたことによって、日米安保条約の中国に持っている意義は変わったということを中国側が認めているように私は思いますが、あなたはそう思われませんか。
○大平国務大臣 日米安保条約並びにその関連取りきめというのは、全然不変なんでございます。この日米安保条約をめぐる情勢は変化いたしておりますけれども、安保条約と関連取りきめは昔のままでございます。
○永末委員 書かれている文字は不変ですよ。変わらない。変えるといえば文字を変えなくちゃなりません。文字が変わってないことは私もあなたと同じ意見でございます。しかし、その条約の持っている意味は、その条約を乗せている国際情勢が変われば、その意味合いも変わっていると見るのが当然ではないでしょうか。いかがですか。
○大平国務大臣 その後の国際情勢を見ておりますと、台湾をめぐって武力解放が行なわれるという状況ではないことは御案内のとおりでございます。したがって、台湾をめぐる状況というのは緊張した状況ではないというようになっておりますけれども、安保条約そのものは全然変わってないと承知いたしております。
○永末委員 大平さん、条約そのものは変わらない。文言が変わらないことは私も同意見だと申し上げた。ただわれわれ国会、すなわち国会を通して国民が知りたいのは、一体日米安保条約というのはどういう機能を持っているのだろう、現在どういう機能をしておるか。それは十数年前と現在とは変わっているはずだし、その変わっているということは、意味が変わっている。そのキャラクター、英語ではどうかと思いますが、その性格が変わってきておる、機能の方向も変わってきておる、こう見ざるを得ないと思うのです。 その手がかりに私はこの前の佐藤・ニクソン会談といまの日中共同声明とを出して、その中での台湾という地点についての日本と中国とアメリカとその他の国々とのシチュエーションといいますか、そういうものが変わってきているから、日米安保条約はこの地点を中心に持ち合ってきた状況は変わった、それはすなわち日米安保条約の意味が変わった、こう見ておるのですが、あなたはそれでもなお変わっていないとおっしゃいますか。
○大平国務大臣 日米安保条約のためにアジアの情勢があるわけじゃないのであって、アジア情勢の中で日米安保条約というものが機能いたしておるわけでございます。ときには緊張し、ときには緩和して、状況そのものは変化いたしておるわけでございまして、これは安保条約の文言が変わらぬから国際情勢が変わってはいけないなんということでは決してないと思うのでありまして、一向変わって差しつかえはないと思います。
○永末委員 いまあなたが、国際情勢が変わればこの日米安保条約の持つ意味合いも変わるということをお認めになった。私、そうお認めになるのがほんとうだと思うのです。ただ田中・ニクソン共同声明では、なおかつ日米安保条約を堅持する、こういっているから、われわれは一体何を堅持しておられるのか、それがよくわからなかったから、これに関連して伺ったわけでございます。 そこで本日の質問は、そういう内容が変わったという場合には、積極的に政府側から国会に対してその共同声明、全部の共同声明ではございませんよ、既存の条約の部分に重要な変化が認められるものについては、やはり積極的に国会に御報告をされ、その承認を求められるのが至当ではないか、こう思うのですが、いかがですか。
○大平国務大臣 したがって、国会におきましても国際情勢に相当の時間を割愛になられて、御論議の時間を持たれておるはずでございまして、政府もそれに応じまして、刻々変化いたしておりまする状況について御報告を申し上げておるわけでございます。
○永末委員 審議のやり方ではございませんで、このごろ共同声明とか共同コミュニケという形式の首脳外交の結果の出し方がはやっておるわけでございまして、したがって、そういうものの中で、既存の条約というものは国民は全部知っておることになっておりますから、その既存の条約の中で政府が態度を表明してきた政府の考え方の内容に重要な変更があったと思われるものについては、政府のほうから積極的にその承認をお求めになるのが筋ではないか。国際情勢の審議のときに質問に応じて答えるというような問題じゃないんじゃないでしょうか。もう一度お答え願いたい。
○大平国務大臣 安保条約は、日本の安全を保障すること、極東の安全を保障すること、二つの任務を持っておるわけでございまして、その任務は不変なものでございます。私どもは、この安保条約が緊張した中にあって火を吹くというようなことは決して望んでいないわけでございまして、安保条約のほんとうの目的は、平和と安全がこの地域において確保されればよろしいわけなんでございまして、今日もし緊張を呼ぶような事態が、たとえばベトナムの問題でございますとか朝鮮事変であるとかいうようなことが起こった場合には、それは安保条約との関連においての問題がきびしくいろいろ問われたことは御案内のとおりでございまして、ことさら提示しなくても当然これは国会の論議の対象になるわけでございます。私は刻々に変化しておる国際情勢と安保条約との関連におきまして、問題がないことを欲するわけでございまして、あなたが言われるように問題になりましたらば、国会も黙っていないでございましょうし、私どももまたそれについて国会で意見を申し上げる機会を持つことは当然だと思います。
○永末委員 私の申し上げているのは、おそらく野党側から問題にするだろうからとあなたがおっしゃったが、そうではなくて、やはり政府としては、いままで国民に明らかにしてきた既存の条約に対する政府の態度、取り扱い、方針が変わるならば、積極的に国会を通して国民に説明するのが筋である、このことを申し上げておるのでございまして、時間がございませんからいずれ機を改めましてまた伺います。
○木村委員長 石野君及び河上君からの先ほどの資料要求につきましては、政府において提出できるものはなるべくすみやかに提出願います。 次回は、来たる六日水曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時十三分散