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72回国会衆議院1974/02/22

外務委員会 第6号

発言数
136
登壇者
11
会派数
3
開催日
1974/02/22

会議録

木村俊夫自由民主党

○木村委員長 これより会議を開きます。  渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並びにその生息環境の保護に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の条約の締結について承認を求めるの件及び渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並びにその環境の保護に関する日本国政府とオーストラリア政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、以上両件を議題とし、順次政府から提案理由の説明を聴取いたします。外務大臣大平正芳君。     —————————————  渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並びにその  生息環境の保護に関する日本政府とソヴィエト  社会主義共和国連邦政府との間の条約の締結に  ついて承認を求めるの件  渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並びにその  環境の保護に関する日本国政府とオーストラリ  ア政府との間の協定の締結について承認を求め  るの件     〔本号末尾に掲載〕     —————————————

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 ただいま議題となりました渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並びにその生息環境の保護に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案の理由を御説明いたします。  政府は、ソ連との間に渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並びにその生息環境の保護に関する条約を締結するため、かねてソ連側と話し合いを進めてきました結果、昨年十月十日にモスクワにおいて、日本側本大臣とソ連側グロムイコ外務大臣との間でこの条約に署名を行なった次第であります。  この条約は、前文、本文九カ条及び附表からなっており、そのおもなる内容は、次のとおりであります。  まず、日ソ間の渡り鳥につきましては、その捕獲及びその卵の採取は、禁止されるものとしており、生死の別を問わず、不法に捕獲されもしくは採取された渡り鳥もしくは渡り鳥の卵またはそれらの加工品等の販売及び購入等も禁止されることとなっております。もっとも、科学的目的等のためのまたは狩猟期間中の捕獲及び採取等一定の場合には、それぞれの国の法令により、捕獲及び採取の禁止に対する例外が認められることとなっております。  次に、絶滅のおそれのある鳥類につきましては、その保存のために特別の保護措置が望ましいことに同意し、これらの鳥類及びその加工品の輸出または輸入を両国が規制することとしております。  以上のほか、両国は、渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類の研究に関する資料及び刊行物を交換することとし、また、渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類の環境を保全する等のため適当な措置をとるようにつとめることとしております。  なお、この条約の附表は、日ソ間の渡り鳥として二百八十七の鳥類の種を掲げております。  鳥類及びその生息環境の保護に関する国際的協力の機運は、近年とみに高まりつつありますが、この条約の締結は、日ソ両国における鳥類保護に対する関心を深めるのみならず、右の国際的協力の機運をさらに高めることになるものと期待されます。  よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。  次に、渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並びにその環境の保護に関する日本国政府とオーストラリア政府との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、豪州との間に渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並びにその環境の保護に関する協定を締結するため、かねて豪側と話し合いを進めてきました結果、本年二月六日に東京において、日本側本大臣と豪側ホーン臨時代理大使との間でこの協定に署名を行なった次第であります。  この協定は、前文、本文九カ条及び附表からなっており、さらに、パプア・ニューギニアへの適用に関する交換公文が付属しておりますが、そのおもなる内容は、次のとおりであります。  まず、日豪間の渡り鳥につきましては、日豪各政府がその捕獲及びその卵の採取を禁止するものとしております。もっとも、科学的目的等のためのまたは狩猟期間中の捕獲及び採取等一定の場合には、それぞれの国の法令により、捕獲及び採取の禁止に対する例外が認められることとなっております。また、各政府が、生死の別を問わず、不法に捕獲されもしくは採取された渡り鳥もしくは渡り鳥の卵またはそれらの加工品等の販売及び購入等も禁止するものとしております。  次に、絶滅のおそれのある鳥類につきましては、各政府がその保存のため、適当な場合には、特別の保護措置をとることとし、これらの鳥類及びその加工品の輸出または輸入を各政府が規制することとしております。  以上のほか、両政府は、渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類の研究に関する資料及び刊行物を交換することとし、また、渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類の環境を保全する等のため適当な措置をとるようにつとめることとしております。  また、この協定の附表は、日豪間の渡り鳥として六十六の鳥類の種を掲げております。  なお、付属する交換公文におきましては、この協定のパプア・ニューギニアへの適用につきまして、この協定が効力を生じた後、パプア・ニューギニア政府の同意が得られた旨の豪州政府の通告を日本国政府が受領した日から、この協定がパプア・ニューギニアに適用されることとしております。  鳥類及びその環境の保護に関する国際的協力の機運は、近年とみに高まりつつありますが、この協定の締結は、日豪両国における鳥類保護に対する関心を深めるのみならず、右の国際的協力の機運をさらに高めることになるものと期待されます。  よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。  以上二件につきまして、何とぞ御審議の上、すみやかに御承認あらんことを希望いたします。

木村俊夫自由民主党

○木村委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。  両件に対する質疑は、後日行なうことといたします。      ————◇—————

木村俊夫自由民主党

○木村委員長 国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河上民雄君。

河上民雄日本社会党

○河上委員 きょう私は、まず日韓大陸棚協定につきまして、政府の、特に大平外務大臣のお考え、態度を伺いたいと思います。  政府は、去る一月三十日に調印した東シナ海の天然ガス、石油開発のための日韓大陸棚協定を今国会に提出するというふうに伝えられておりますけれども、その御方針には変わりはないわけでございますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 仰せのとおりでございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 この大陸だな問題につきましては、私は非常に多くの問題がからまっておると思いますので、この協定を今国会に提出することにつきましては、批准につきましては慎重にしなければならぬという考え方で御質問をしたいと思うのです。  まず第一に、この協定調印に対しましていち早く朝鮮民主主義人民共和国が抗議をいたしました。また中国政府も絶対容認できないという声明を発表しておるのを見てもわかると思うのであります。  それからもう一つは、この共同開発の区域が、わが国の、特に九州の水域に非常に近く入っておりますけれども、この共同開発に伴って海水の汚濁あるいは漁場への影響というものも一考えられます。そういう意味で、非常に経済的にも重要な意味を持っておると思うのです。  さらに三番目には、国際法的な問題も、近く開かれます海洋法会議の開催とのにらみ合いの中で生じてくると思うのでありますが、大別しますとこういう三つの問題がこれにはあると思うのであります。  したがって、この日韓大陸棚協定の批准についてはよほど慎重にしないと、悔いを千載に残すことになるのじゃないか、私はこう思うのであります。そこで、そのような観点から幾つかの点について大臣にお尋ねしたいと思います。  まず第一に、日韓大陸棚共同開発協定を調印されたわけでありますけれども、その前提になるべきものだと思いますが、わが国がなぜ大陸棚条約そのものに加入していないのか、その理由をまず初めに伺いたいと思います。

松永信雄外務省条約局長

○松永政府委員 お答えいたします。  国際法上、大陸だなに関します国際法そのものが、現時点においてはまだ確立されておらない状況でございますが、この大陸棚条約に日本がなぜ加盟しておらないかという事情につきましては、大陸だなについての国際法がまだ確立されていないということと、それからこの大陸棚条約の中に必ずしも分明でない、たとえば大陸だなの範囲につきまして、水深二百メートルまたはさらにその資源の開発が可能である限度までというような不明確な概念が入っているということで、実施上いろいろ問題があるということで、この条約に加盟しておらないわけでございます。     〔委員長退席、水野委員長代理着席〕

河上民雄日本社会党

○河上委員 いま政府の事務当局の御答弁では、大陸だなの権利義務というものにつきまして、その概念すらまだ確立していない、またこの条約につきましては必ずしも明らかでない、不明確な点が非常に多いから、わが国はこれに加入してないんだという御答弁でございました。そうなりますと、たいへんおかしなことが起こると思うのであります。大陸棚条約に加入しないし、また大陸棚に関する条約上の権利義務も確立していない。それなのになぜ日韓大陸棚協定を締結調印したのか。これは順序が逆ではないかという気がいたすのでありますけれども、大平さんいかがでございますか。

松永信雄外務省条約局長

○松永政府委員 先ほど私が御説明申しました中でちょっと一点補足させていただきます。  大陸棚条約では、その対象としております資源につきまして、海洋資源のみならず定着種族に属する生物についての沿岸国の主権的権利というものを認めております。この定着種族に属する生物についていろいろ問題があるということがもう一つの理由になっております。  そこで、ただいま大陸棚条約に加入していないのに日韓間で大陸棚の境界を画定する協定あるいは共同開発区域を結ぶのはおかしいではないかという御質問でございますけれども、私ども、大陸だなというもの自体については国際慣習法上の慣習が確立しているとは考えております。ただ問題は、境界をどうやって画定するかというような問題について現在国際法上の原則が確立されていないというだけの話でございまして、したがって大陸棚条約に加入していないから大陸だなについての協定を結ぶことができないというふうには考えていないわけであります。

河上民雄日本社会党

○河上委員 いま条約局長は、大陸棚条約は非常に不明確な点が多いけれども、大陸だなについては慣習上一つの考え方が確立しているのだ、こういうふうに言われたのですね。それが日韓大陸棚協定を調印した一つの根拠である、こういうふうに言われたのですけれども、一体その慣習というのはどこでできたのですか。

松永信雄外務省条約局長

○松永政府委員 御承知のごとく大陸だなにつきましては一九四五年のトルーマン宣言がありまして、大陸だなという考え方が国際的に議論されるようになり、その後、個々の大陸だなについて諸外国の間でいろいろな条約、協定が締結されてきているわけでございます。そういう一九四五年以来のいろいろな論議あるいは条約の先例、慣行というようなものに照らして考えますと、現時点において国際慣習法上の問題として大陸だなの問題がいろいろな国の間で協定されてきているというのが事実でございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 それにも一かかわらず幾つかの国際的な紛争が起きているという前例があるわけです。たとえば北海の大陸だなの区割りの論争、紛争があったことは御承知のとおりだと思いますが、こういうのも一つの慣習をつくったものであるというふうに局長お考えですか。

松永信雄外務省条約局長

○松永政府委員 御指摘のごとく、大陸だなにつきましてはいろいろな紛争が数多くございます。そのこと自体が、実は大陸だなについて各国がいまいろいろな異なった主張をいたします現象から考えまして現在定着したと申しますか確立された国際法というものがないということをあらわしているのだろうと思います。いま御指摘のございました北海の大陸だなに関する協定というものも、現在行なわれております国際的な事例、先例の一つとして私どもとしては十分参考にしている次第でございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 この問題については、国際司法裁判所で結論が出たように記憶するのですけれども、それには間違いありませんか。

松永信雄外務省条約局長

○松永政府委員 御質問がありましたケース、その北海の大陸だなに関する紛争については、国際司法裁判所に付託されまして結論が出されたわけでございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 そういう国際司法裁判所で出た結論というもの、これが一つの先例となり、一つのその後に起こる紛争を解決する基準になるとお考えですか。

松永信雄外務省条約局長

○松永政府委員 御承知のごとく、国際司法裁判所は付託されました事案、ケースについて、その結論を示したわけでございます。したがいまして、それはそのときに付託されました問題の内容に対しての答えが出されているわけでございますが、御承知のように、大陸だなの状況というのは世界各地にわたりまして非常に違ういろいろな状態、条件があるわけでございます。したがいまして、国際司法裁判所の考え方あるいは見解というものは一つの例に対する国際司法裁判所の見解である、こう考えておるわけでございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 いま局長が言われたのは、国際紛争の処理に関する、国際司法裁判所規程に述べられたことを言われたのだと思いますが、第五十九条、決定の拘束力というこの点じゃないかと思うのですが、「裁判所の裁判は、当事者間において且つその特定の事件に関してのみ拘束力を有する。」となっております。  そうなりますと、こういう国際司法裁判所に提訴して、イギリス、オランダ、西ドイツなどが北海の大陸だな区割り紛争については一応の結論が出てそれに服したということになりますけれども、これはあくまでこの件に関してのみ拘束力を有するのであって、それ以外の国、それ以外の問題については拘束力がない、したがって今後別な国で、別な事件で、別な状況の中で同じような紛争が起こることを防止することにはならない、こういうふうに理解してよいわけですか。

松永信雄外務省条約局長

○松永政府委員 御指摘のとおりであろうと存じます。ただ、国際司法裁判所の判決あるいは見解というものは国際的にも権威のあるものでございますし、私どもといたしましては、そういう判例、見解というものを十分に参考にしてまいらなければならないと考えているわけでございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 それでは局長は、日韓大陸棚協定を日本と韓国だけで結んだ場合に、この東シナ海の大陸だな問題についてその他の関係国から異議が出て国際的な紛争を起こす可能性は国際法上十分にその余地があるというふうにお考えですか。

松永信雄外務省条約局長

○松永政府委員 今回調印いたしました韓国との協定は、日本と韓国との間にまたがる大陸だなについての境界あるいは共同開発区域を定める協定でございまして、政府といたしましては、それは日本と韓国との間で取りきめ得る範囲のものに限るということで処理をいたしているわけでございます。したがいまして、いまの御質問の場合と申しますと、おそらく中国から抗議あるいは異議の申し立てがあった場合に、私どもといたしましては、当然中国に対しましては十分な詳細な説明をしてその理解を求めるという努力はいたさなければならないと考えておりますけれども、そのためにこの協定が影響を受けるということはないと考えております。

河上民雄日本社会党

○河上委員 「東洋経済」で見ますと、中国政府の刊行の英文雑誌で「チャイナ・リコンストラクツ」というのがあるようです。それを私も国会図書館で借りて拝見をしたわけでありますけれども、一九七一年の九月号によりますと、それには中国の領域と中国の資源の問題について触れているわけですが、それによりますと、東シナ海のほぼ全域が中国の領海であるというふうに主張しているかのごとくに読めるわけであります。現実に今回問題になりました西沙群島あるいは南沙群島も中国の主張に入るかのごとくに読めるわけであります。こういうようなことにつきまして、中国の大陸だなに対する主張について、外務省ではどの程度承知しておるのか。

松永信雄外務省条約局長

○松永政府委員 私ども承知しておりますのは、中国は大陸だなにつきましては陸地領域からの自然延長の原則に基づく立場をとっているということでございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 それでいった場合に、東シナ海ではどこまでというふうに——日本の立場じゃありませんよ、中国側はどこまでを主張しているというふうに理解しておるのか。特に東シナ海の大陸だなについては、非常に深くなっている海溝が非常に日本に近く寄っているわけでございます。これは自然条件ですからやむを得ないのですけれども、その意味では中国の主張のほうが強くなる可能性は多いと思うのですがね。その点一体どういうふうに外務省では理解しておられますか。

松永信雄外務省条約局長

○松永政府委員 中国が自然延長の理論の立場をとっているということは先ほど申し上げましたが、それでは具体的に東シナ海の大陸だなについてどこまでが中国の大陸だなであるという立場をとっているかということにつきましては、私ども明確な資料、情報を持っておりません。したがいまして、具体的には私どもは中国の立場は承知していないわけでございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 そういたしますと、いまの条約局長のお話でおわかりのように、政府は日韓大陸棚協定について、これで問題にしている地域は日本と韓国だけできめられるという前提で調印までこぎつけた、しかし中国側が大陸だなについてどのような主張をしているかは具体的には承知してない、その基本的な理論については自然延長という理論をとっておる、しかし、具体的には東シナ海の大陸だなの範囲というものはどこまで延びてくるのかということについて、今回の設定した区域と中国の主張する範囲とが抵触するかしないかもまだわからないということになりやしないですか。いかがでございますか。

松永信雄外務省条約局長

○松永政府委員 確かに中国は自分の大陸だながどこまで及ぶのかというその大陸だなの外縁について具体的な見解をまだ示していないわけでございます。おそらく中国としまして、その具体的な問題としての見解はまだ確定と申しますか決定していないのではないかと思うわけでございます。  その場合に、日韓間で今回協定いたしました区域にまで中国の主張が及ぶかもしれないじゃないかという御指摘であろうかと思いますが、その点につきましては、私どもは現在までのいろいろな大陸だなに関する国際間の論議あるいは慣行、先例その他に徴しまして、中国が主張することができるかもしれないというような範囲に及んでこの日韓間の協定を結ぶことはしないという立場に立って今回の協定を調印したわけでございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 局長にもう一度お尋ねいたしますけれども、大陸棚に関する条約、これは日本が参加してないから拘束されないといえばそれまででございますけれども、しかしそれによりますと、第六条、相対する沿岸を有する国、隣接する国の間の大陸だなについて述べたところがあります。それにいろいろ——これは日中間が相対するということになるかどうか、これはまた一つ議論があるかもしれませんが、大きな意味では相対する国だと思いますけれども、相対する沿岸を有する二つ以上の国の領域に同一の大陸だなが隣接している場合には、これらの国に属するその大陸だなの境界はそれらの国の間の合意によって決定される、合意がない場合には境界は特別の事情により他の境界線が正当と認められない限り、いずれの点をとってもそれぞれの国の領海の幅員測定の基点となる基線上の最も近い点から等しい距離にある中間線とする、こうなっているのでありますけれども、この場合、局長は、合意を得ることが先決なのかそれとも合意を取りつける努力なしにも、合意が成立しそうもないと思ったら中間線を選んでもいいというおつもりなのか、合意を取りつけることが第一前提であって、それが失敗した場合に中間線をとるということなのか、この条文の解釈をどういうようにお考えですか。

松永信雄外務省条約局長

○松永政府委員 大陸棚条約第六条にありますように、大陸だなの境界は関係国の合意によって決定されるべき問題であろうと私どもも考えております。今回の日韓の協定、二つございますが、北部地域については両国間の大陸だなの境界を確定する協定でございます。もう一つの協定は共同開発区域についての協定でございまして、これによって日韓の間の大陸だなの境界を確定する条約ではございません。それはまさしく両国の、韓国の大陸だなについての主張とわがほうの主張とが折り合わない、意見の一致を見ないという実態がそこにあるからでございます。私どもとしましては、大陸だなの境界を設定いたします場合には、両国間、関係国間の合意によってでなければその境界を確定すべきではないと考えているわけでございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 また繰り返して言うようですけれども、局長のお話では、関係国の合意ということでありますけれども、その場合に日本と韓国だけがこの領域について関係国であって、その他の国は、つまり朝鮮民主主義人民共和国及び中華人民共和国はこれに全く関係がない、合意を必要とする相手とは考えないというふうにお考えでいらっしゃいますか。

松永信雄外務省条約局長

○松永政府委員 今回調印いたしました協定に関しましてはそのとおりでございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 そこで、大平さんにお尋ねいたしますけれども、いま現実に朝鮮民主主義人民共和国のほうから抗議がきておりますし、また中国もこれについて不同意といいますか、不満を表明しているわけであります。局長はいま言ったようなことをおっしゃいますけれども、現実に政治問題としてはそうなっているわけですね。大平外務大臣は中国にこの正月に行かれたわけですけれども、この問題について中国の了解を取りつけるような努力をされたのかどうか、そのことを伺いたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 その際私は、日韓の間におきまして共同開発に関して近く条約に署名をするつもりであるということを先方に通報をいたしました。署名後直ちに詳しく内容は御説明申し上げますということをお約束をいたしまして、署名後直ちに詳しい内容につきまして先方政府に説明をいたしたわけでございますが、その後御指摘のように、中国側が抗議してまいりましたことも事実でございます。しかし、この大陸だなの境界線の設定というのは、友好国の間におきましても間々あることでありまして、そのことがあるがゆえに両国の友好関係がそこなわれるということではなくて、これはよく努力をいたしまして、お互いに了解し合うようにつとめてまいる必要が私はあると考えております。

河上民雄日本社会党

○河上委員 いま大平外務大臣は中国へことし初頭においでになりましたときに了解を取りつけるべく説明をした。その御努力は多といたしますけれども、しかしその後に中国から抗議が寄せられておるのです。しかも日中国交回復以後、中国政府が日本政府に対して正式の抗議をしたのは実は今回が初めてであります。そのこと一つを考えましても、いままでいろいろ日中航空協定その他実務協定の段階でいろいろ折衝が行なわれており、論議もありましたけれども、中国側としてはそういうことについて態度の表明を差し控えてきた。しかしこの問題に関してはさっそく正式の抗議をしてきているということは、中国側がやはり相当の自分の主張について自信を持ち、国際法的にも正当な理由がある、そういう観点に立って非常に真剣にこの問題を考えているということを示すのじゃないかと思います。  そういうことを考えますときに、これはやはり中国側の十分な了解を取りつけてからやるべきものではないか、そういうものは国際法上口出しができないのだ、そういう先ほどの条約局長のお話のような形で進めていってよいものかどうか、日中国交回復のために非常に尽力された大平外務大臣として、その点どういうふうにお考えになりますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 ちょっと私のことばが不正確でございまして、恐縮でございますが、ちょっと訂正さしていただきますが、中国政府がわが国に対して抗議をしてきていることも事実であると申し上げたのは正確ではないのでありまして、中国政府のスポークスマンが世界に対してみずからの立場を声明されたということでございます。  私は、先ほども申し上げましたように、この大陸だなの境界が、世界的に確立した原則が定着をいたしまして、もんちゃくなくこれがきまるということが非常に望ましいことでございますけれども、それぞれの国にそれぞれの主張がございますことは現実でありまするし、そういう主張の相違が直ちにそれぞれの国の友好関係をそこなうものとは私は考えていないわけでございます。したがって、こういう現状におきましてわれわれのやらなければならない大事なことは、主張は主張といたしまして、現実に当面している問題をこういう不安定な法的状態のもとにおきましてどのように処理していくかといことについて、賛成でなくても、それは了解し得るものであるかどうかという点につきまして、十分の努力をしていくということがわれわれの任務ではないかということで、中国側にも非常に詳細に説明をいたしておることを御了承いただきたいと思います。  もう一つは、中国政府が韓国を認めていないわけでございます。朝鮮半島に対する政策がこれまた日本と基本的に違っておるわけでございまして、その違っておるということもお互いに了解し合っているわけでございまして、したがってこういう問題につきまして、日本政府と中国政府との間に一致することが望ましいわけでございますけれども、お互いの立場でまだそういうところに至っていません事情も、現実の問題としてあることは隠れもない事実でございます。そういう中において、現実にいま問題になっている日韓間の共同開発地域というものについて、すでに鉱業権というのですか、開発が進められるというような状態を目の前にいたしまして、日本政府は一体どうしたらいいかという現実の問題にぶつかった場合に、それぞれの国の権利は留保しながらも、共同開発は現実にやらなければならない、秩序ある姿において処理しなければならぬという問題に当面しておるという事情、これは百も河上さんも御承知だと思うのでございますけれども、そういう立場において私どもがいまこういう姿においてこの問題を取り上げておるというように御了解いただきたいと思います。

河上民雄日本社会党

○河上委員 いま大臣はいわゆる抗議ではなく、中国政府スポークスマンの宣言である、こういうふうに言われました。ということであればあるほど、それは中国の一般的な態度の表明ということになりまして、日韓大陸棚協定に対する異論であるばかりでなく、当然これは尖閣列島周辺の海洋開発についての意見の表明にもつながってくると思うのです。そうなってくればくるほど、日本の国益を守るためにも、この際また日中の永遠の友好のためにも、これはいわゆる拙速ではなく中国の大体の同意を得られるようにそれを先にすべきではないか、そういうように思うのでありますが、いま大臣はせっかく中国に行かれて説明してきた、またその後も詳細な資料を送り、絶えず連絡をとっておる、こういうことでございますが、それはその後もずっと続けるおつもりでいらっしゃいますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 ただいままで詳細に説明いたしてまいりましたけれども、なお先方の要請がございますならば、引き続き私どもその労をいとわないつもりでおります。

河上民雄日本社会党

○河上委員 それでは、まあ一回折衝したけれども同意が得られなかったから強行するというようなことは避けたいというふうにお考えでいらっしゃいますね。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 先ほども申しましたように、中国の同意を得るということはいま世界に対しまして中国の立場を声明されておるわけでございますから、これはたいへん容易なことではないと考えております。ただ、日本はこういう立場をとるに至りました経緯、そして日本の配慮というものにつきましては理解を十分持っておいていただかなければならない。これは両国の友好関係から申しまして当然のことと思うわけでございまして、私どもはそういうことについて最善の努力をしながら、今回近く国会で御審議をいただこうと存じておりまするこの条約につきまして、そういうことができるまで断念するというつもりはないのであります。

河上民雄日本社会党

○河上委員 私はこの委員会でしばしば予測に立って大臣との間に意見を交換し、論争してきたのでありますけれども、この問題はへたをすると東シナ海を囲む四カ国の間の紛争の種になるおそれが非常にあると思うのです。そういうものが絶対にないということは、おそらく大臣も断言はできないと思うのですね。私はこの大陸棚条約につきましては、そう急いで批准を求めるべきではないのじゃないかという考え方に立っておりますが、もう一つの理由として、海洋法会議がことし行なわれるわけです。これを待ってから、大体世界の世論の推移を見きわめてからやってもいいのではないかという気がいたすのでありますけれども、この海洋法会議の見通しはどういうものですか。外務省はどういうように把握しておられますか。

松永信雄外務省条約局長

○松永政府委員 本年の海洋法会議は六月二十日から約十週間にわたってカラカスで開かれる予定になっておりますが、海洋法会議におきましては、この大陸だなに関する問題のほかに海底資源の利用の問題あるいは経済水域の問題あるいは海峡における国際通航の問題その他いろいろ非常に多くの議題が論議されることになっております。  現在これらの問題につきまして国際的に見ますといろいろな国がいろいろな異なった主張をしておりまして、これが今度の会議で議論されるわけでございますが、一般的な予想といたしましては、来たる海洋法会議においてこれらの問題について統一した国際的な考え方あるいは条約というようなものが取りまとめられるということは現実には現在の各国の主張にかんがみ、おそらくきわめて困難であろう、こう考えているわけでございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 この日韓大陸棚協定の内容については、私どもまだ十分承知しておらない。承知しておらない段階でこういうことを論議しなければならぬという、非常に残念なことなのでありますけれども、しかし、この日韓大陸棚協定は有効期間が五十年であるというように伝えられておる。いま大陸だなの概念について、それに伴う権利義務について国際法的にまだまだ煮詰まっていないとはいえ、これはおそらくこの一、二年ないしは二、三年のうちにかなり煮詰まってくるのではないかと思うのです。しかし、そういうような状況を前にしながら、五十年拘束するような協定をここで結んでしまうことがはたしていいのかどうか、いまから五十年前の海洋法に関する考え方と現在とはずいぶん違ってきていると思うのです。たとえば排他的な経済水域の問題についても、いままでは領海三海里というようなことであったけれども、もはや十二海里あるいは二百海里というようなことがいわれておるし、特に海洋法会議で結論は出ないにしても、二百海里説が多数を占めるというような、開発途上国の多くはそういうことを主張しているわけですけれども、そういうような状況ができた場合に、考えてみますと、五十年前の海洋法の概念と今日とは非常に違っておるように、これから先五十年の間にどれほど大きな変転があるかわからない。そのこれから五十年先の海洋法の一応の概念をきめるのはこの二、三年のときじゃないかと思うのです。そういう重要なときに五十年の有効期間を有すると伝えられるこういうような協定をここで急いで結ぶことがいいのかどうか、私は非常に疑問に思うのです。これは大臣、その点はどういうようにお考えになりますか、あるいは局長でもけっこうですが。

松永信雄外務省条約局長

○松永政府委員 五十年の期間は、資源の探査、開発という観点から見て相当な長い期間が必要であるということからきめられた問題でございます。  他方、海洋法の会議についていまここ数年内にはだんだんと考え方が煮詰まっていくのではないか、だからそれまで待ってから考えるべきじゃないかという御指摘がございましたが、今回の共同開発協定は、その協定の中に出てまいりますけれども、いろいろな大陸だなにつきましての法律的な立場をこれによって影響させるというものではないということを明示してございます。将来海洋法の問題といたしまして大陸だなについての国際的な制度あるいはその法律的なきめ方というものがきまってまいりますれば、当然それによって大陸だなといものの境界というものはまたその原則に従ってきめられていくべきであろうと思うのでございます。  ただ、先ほど申しましたように、海洋法の会議が、ことしはもちろんでございますけれども、     〔水野委員長代理退席、委員長着席〕  比較的最近のうちにまとまった結論に達するということはなかなかないであろうという一つの見通しがございます。またジュネーブの条約のときの先例から見ましても、ああいう条約ができてもそれに非常に多数の国が参加するとは必ずしも限りませんし、またいろいろな留保をする国も出てくるであろうと思います。したがいまして、数年内にある考え方がまとまりましても、それが国際法上確立されるというためには、なお相当の期間が必要なのではないだろうかというふうに私どもは考えておるわけでございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 この問題は、これ以上論議してもと思いますけれども、いまのお話でもわかりましたように、国際法上一つの公理が確定するのはだいぶ先だということであればあるほど、大陸棚条約でうたわれているように、関係国間のそのたびごとの合意というものが一そう重要になってくる、こういうことになるのじゃないかと思いますが、いかがですか。

松永信雄外務省条約局長

○松永政府委員 先ほど来申し上げておりますように、私どもも大陸だなの境界を確定いたします場合には、関係国間の合意によってでなければきめてはならないと考えているわけでございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 それでは、中国側の大陸だなに関する主張というものはあまりよく承知していないという先ほどの御答弁でしたが、しかし、そうなってまいりますと、この問題はなるべく早い時期に、中国側が東シナ海の大陸だなについてどういう態度を持っているか、そういうことがたとえば尖閣列島周辺の海洋開発にどういう影響を与えるか、あるいは今回の日韓大陸棚協定による共同開発区域についてどういう抵触が起こってくるかということをいち早く確認する義務があると思うのですけれども、いかがでございますか。

松永信雄外務省条約局長

○松永政府委員 中国の大陸だなに関する立場、主張が具体的な問題についてはまだ確定的な段階に来ていないと思っております点につきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。ただ一般的な考え方として、自然延長の理論をとっているということは承知しておりますが、その場合に中国との間で大陸だなの境界を早急に確定すべき必要があるかどうかということが問題であろうと存じます。現時点において、そういう中国との間で境界を確定しなければならない現実的な必要性というものが、いまこの時点におきましてあるということではないのじゃないかというふうに考えているわけでございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 しかし、先ほど局長も、また大平外務大臣は特に言われましたけれども、日韓の問題については、ぼやぼやしておると向こうがどんどんやるかもしらぬ、したがって、とりあえずこの共同開発に関する協定を結ばざるを得なかった、こう言っておるじゃありませんか。ですから、そんなのんびりしていいということにはならぬでしょう、おたくのほうの立場からいっても。いかがでございますか。こういう問題はすぐにいまからでも始めることがやはり国民に対する義務だと思いますが、いかがですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 かねて政府も申し上げておりますとおり、中国側から御要請がございますならば、お話し合いに応ずる用意は日本政府にございます。それからまた、御指摘のように、いま条約局長が言われたように、早くこういう問題について話し合いをしなければならないような現実的必要が出てきた場合は、仰せのとおり両国間で話し合う必要は出てくると思います。

河上民雄日本社会党

○河上委員 大平さんに申し上げますけれども、大体現実的な必要ができて日本政府が対応した場合は、相撲でいうともう土俵ぎわまで押し詰められているときの話でして、今回の大陸棚協定の共同開発の区域を私は外務省からの資料で拝見しましたけれども、えらい九州のそばまできてしまっておるわけです。どう考えても、これは相撲でいうと立ちおくれのために土俵ぎわまで押し詰められて、やっと組みとめたというような感じです。こういうことがいつでも繰り返される。  ことに私申し上げたいのですけれども、今回の大陸棚日韓共同開発について韓国側の会社が申し出ているわけですけれども、それを全部明らかにしておりませんが、見てみますと、大体いわゆるメジャーとの合弁会社が多いように思うのです。いま韓国側で共同開発に名乗り出ておる会社の名前とメジャーとの関係をここでおっしゃっていただきたいと思います。

高島益郎外務省アジア局長

○高島政府委員 私ども承知しております韓国側の鉱区設定につきましては、昭和四十四年からそういう申請が出ておりまして、四十四年にはガルフオイル、それから四十五年になりまして一月にシェル、二月にテキサコ、それから四十五年九月でございますが、ウインデル・フィリップスという会社が権利を取得しております。

河上民雄日本社会党

○河上委員 いまアジア局長が言われた会社は、世界で泣く子も黙るようなメジャーの名前がたくさん出ておるわけですね。こういうような状況で、非常に九州に近い海域で共同開発が行なわれる、こういうような状況を事実上生み出しておるわけです。すべて現実的な必要が起きてから対処するというその外交の姿勢にやはり非常に問題があると思うのです。最近の一連のいろいろな連続するエラーとかいわれるような問題もそこにあると思うのです。  水産庁の方来ておられますか。——今回の共同開発地域の日本の漁業に対する影響をどのように把握しておられますか。

金田禎之水産庁海洋漁業部沖合漁業課長

○金田説明員 今回の共同開発区域にかかります九州西方海域におきましては、昨年の統計から見ましたところ、漁業種類といたしましては大中型まき網漁、以西底びき網漁、アマダイのはえなわ漁等、そういう漁業がございまして、これらは漁労体の数にいたしますとおおむね二千百漁労体ございます。年間の漁獲高は約二十一万トン、金額にいたしますと百八十億の水揚げをしておるというところでございます。  こういうことでございますので、この協定に基づきます開発事業につきましては、探査その他実施の時期、地点、方法の選択にあたりましては関係業者と事前に十分の調整を行なうこと、あるいは海洋汚染の未然防止をはかることはもちろんでございますけれども、万一の不慮の事態に対処するための十分な救済措置が必要であろうというふうに考えておるわけでございますが、このための南部の開発に関します協定に関しましては、この点が勘案されておるわけでございます。  さらに、この協定の国内実施法令につきましては、漁業との具体的な調整措置を規定するために現在通産省と緊密な連絡をとって協議いたしておるというところでございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 もしそれに伴って漁獲が減った場合の補償、それから石油の開発などをした場合に海水汚濁が当然に起こるわけですけれども、そういうような問題についての補償はだれがどういう方法でするか、そういうことはまだ全然考えておられませんか。

高島益郎外務省アジア局長

○高島政府委員 共同開発に関する協定の中に規定がございまして、共同開発権者がまず事業計画を立てる前に契約を締結します。その締結する契約の中に漁業問題に関する取りきめを締結しなければならないという規定がございます。さらにまた別な規定がございまして、そういう損害が起きた場合に、共同開発権者がこれに対して損害の補償に当たるということを規定してございますので、そういう点の手当てはこの協定の中に全部あるということに御承知いただきたいと思います。

河上民雄日本社会党

○河上委員 大平さん、いまの事務当局の答弁でもおわかりかと思いますけれども、今回の共同開発地区の設定に伴って、国際法上それから国際政治の上で紛争が起こる可能性が十分にあるのみならず、経済的に日本の漁業にかなりの打撃を与えるおそれがあるということは明らかになったと思うのです。  そういうようなことを考えてみますと、いまこの大陸棚協定の批准を、そういうような十分な配慮なしに推し進めることは、はなはだ賢明ではないという結論にならざるを得ないと思うのですが、大臣もその点、もうこれは調印しちゃった以上はメンツにかけても早くやるというようなことではなく、十分に配慮していただかなければいかぬ。また、批准もそうどうしても急いで期限を切ってやるというようなことでなくやっていただかないと、これはたいへんな問題になる。これは単に与野党間の問題ではなくて、日本の国民にとって非常に重大な問題になるということを強く申し上げたいと思いますが、大臣、いかがでございますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 今朝来あなたが御指摘になりました点、私どもも全く同感でございまして、そういう問題があるということはよく承知いたしておるわけでございます。しかし現実に、またあなたからの御指摘をまって政府が御答弁申し上げましたように、開発に手を染める直前に来ておるという現実の事態も考えなければならぬわけでございまするし、また、あなたが御指摘になったように、大陸だなの東シナ海におけるあり方というものが、日本に近いところに海溝があるというような自然条件もございます中で、私どもは、いろいろな点を総合的に十分配慮しながら現実の問題を解決してまいる、しかも、それによって各国との間の友好関係をそこなわないように配慮していくためにはどうしたらいいかということについて、細心な配慮を加えながらやってまいるつもりでございまするし、その点は政府を御信頼いただきたいと思いますが、もし、なお私どもの配慮が足らないところがございましたならば、御指摘をいただきたいと思います。

河上民雄日本社会党

○河上委員 それでは、時間がなくなりますので、この問題はなお今後追及させていただくことにしまして、テーマを変えたいと思います。  大平さん、消費国会議の調整グループにフランスは不参加である、今朝の新聞によりますとそういうことであります。また、いま日本に来ておられるEC委の事務局長は、フランスが不参加であればEC委もこれに同調せざるを得ない、こういうような意見をすでに表明しておられるのであります。そういう場合に、消費国会議調整グループの機能が果たせるとお考えになっておられますか、いかがでございましょうか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 いわゆる調整グループというものは、今度のエネルギー国際会議が生み落とした機関でございまして、エネルギー国際会議自体が御案内のように全参加国のユーナニマスなコンセンサスと祝福のもとで会議を完結するということができなかったことからいたしまして、いま御指摘のように、フランスあるいはフランスをかかえたEC委員会というものが参加しがたい状況にあるということは、私どもも想像いたしております。しかしながら、今日のエネルギー問題の解決というものは焦眉の急でございまするし、それが国際的協力にまたなければならぬこともまた当然のことでございます。すべて完結した、完全無欠なかまえができて、そうして関係者全体の祝福のもとに行なわれることが望ましいことは申すまでもございませんけれども、しかしながら、一部の不参加がございましても、調整グループといたしまして、消費国会議、国際会議から与えられた任務というものを果たすことによって、建設的な解決への方途を探っていかれることが望ましいと考えております。EC委員会並びにフランスが参加しなくても、EC主要国の参加は私は必要であろうと思います。

河上民雄日本社会党

○河上委員 この調整グループの会議と、それからアルジェリアが提唱して国連でも承認されました石油問題に関する国連の特別総会の開催とどちらが先になるか。これは一つの見通しでありますが、どちらが先になるか、また、日本政府としてはどちらを重要視していくつもりであるか、その点について伺いたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 アルジェリアの提唱にかかる国連会議というものは、石油ばかりじゃございませんで、食糧を除く第一次産品全体を取り扱う国際会議でございまして、もうすでに七十カ国以上の賛成をかち得ておるわけでございますから、これは開かれることに間違いございません。わが国も四十九番目に参加する意思を表明いたしたわけでございます。  それで、これがいつ開催になるかということにつきましては、提唱いたしましたアルジェリア自体におきまして、必ずしもはっきり、早急に開催されるような見通しでないようでございますけれども、私どもといたしまして、調整グループは最近アメリカのワシントン政府からの通報によりますと、本月の二十五日、二十六日ワシントンで第一回の会合を開くという通報を受けております。したがって、この調整グループで産油国、消費国の会議をいつごろ、どこで、どういう機関の主宰でやるかというようなことにつきまして協議が行なわれると思うのでございまして、それがいつごろになるのか、これまたわからないわけでございます。  日本政府の態度といたしましては、どちらが先にならなければいかぬか、どちらがあとにならなければいかぬかとは考えていないのでありまして、第一に、産油国、消費国の間が同じテーブルについて建設的な、実体的な問題の討議を始めるということが一番大事だと思っておるわけでございまして、それが調整グループの提唱にかかる会議で行なわれようと、国連の会議で行なわれようと、それは私は問わないと思うのであります。それからまた両方で同時というか、並行して行なわれたって一向差しつかえないわけでございまして、目的は産油国、消費国の間が同じテーブルに着いて行なわれることが必要である。その点を軸にいたしまして、そういう会議にわが国としては臨みたいと思っております。

河上民雄日本社会党

○河上委員 わかりました。  大平外務大臣は、ことし正月中国へおいでになったときに、周恩来首相との会談の中で、周恩来首相は中国の石油生産量は五千万トンになっているというようなことを言明したというふうに伝えられておるのでございますけれども、どういう雰囲気の中でこれが言われたのか。大臣、これは半ば秘話みたいなことになるかもしれませんが、報告願いたいと思うのです。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 中国首脳との会談におきまして、石油問題というものを議題にしてお話し合いを申し上げたことはございません。雑談の中でお食事の席なんかで、日本の石油危機なんかについて間々触れたことはございましたけれども、中国の石油生産量の御計画につきまして、はっきり中国側から御説明を伺った記憶は私にはございません。

河上民雄日本社会党

○河上委員 中国が将来、この石油問題について国際会議に出席するというような熱意のようなものを感じられましたですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 いま申し上げましたように、そういう問題について特に話し合う機会を持たなかったわけでございますので、そういうことに対して私は何らの感触を得ておりません。

河上民雄日本社会党

○河上委員 わかりました。  通産省の方にちょっと伺いたいのですが、中国の石油は大体どのくらい生産量になっておりますか。そしてまた海底、海の石油——陸でとれる石油についてはすでに伝えられておるのですけれども、海からとれる、つまりいま問題になっております大陸だなとの関係がありますけれども、海で石油がどのくらいとれているのか、また今後そういうことに意欲を持っておるのか、それについて伺いたいと思います。

内田禎夫通商産業省通商政策局北アジア課長

○内田説明員 お答えいたします。  中国の場合に、国内のいろいろ生産量の統計等は一切発表いたしておりませんので、私ども正確な中国の公式統計によりましてどの程度の石油の生産量があるかということは、一切わかっておらないわけでございます。ただ、いま先生の御質問にございましたように、いろいろ新聞等では伝えられておりますし、またいろいろ海外の専門家が、中国の石油の生産量等をいろいろ推定しております。それによりますと、最近の生産量というのは、推定によれば三千数百万トンという説から五千万トンぐらいの説までございまして、その程度であろうというふうに私ども了解いたしております。  それから、陸上と海上がどうなっているかということにつきましては、これまた中国は周辺の海底の石油開発について、はっきりとそれを現在生産をしているということを公表しておりませんので、どの程度海底石油をとっておりますかということはわかりません。最近中国の公表した内容によりますと、新しい油田が各所で発見され、掘さくをしているというようなことはいっておりますが、それがどこにあるか、それからそれが陸上であるか海底であるかということにつきましては、公表しておりませんので、承知いたしておりません。

河上民雄日本社会党

○河上委員 それでは、金大中事件のその後の展開につきまして、外務当局並びにその最後に外務大臣の御意見を承りたいのでありますが、その後、金東雲元一等書記官の容疑はどうなっているか、韓国当局の捜査状況について、またその件について日本政府はどのように外交交渉を行なってきているか、また、いつ、どういう形で、どういう交渉があったかということについて、外務省並びに警察庁の御報告をいただきたいと思います。

高島益郎外務省アジア局長

○高島政府委員 昨年十一月二日のいわゆる外交的決着のあと、特に日韓定期閣僚会議の前でございまするが、金大中氏の出国につきましては、再三あらゆるレベルを通じまして、日本政府から韓国に対して希望を申し出ております。その後、本年に入りましてからもさらに一月十七日及び十八日、さらに最近はニューヨーク・タイムズのハローラン記者の記事に関連いたしまして二月十三日、この各日におきまして、日本政府から大使館を通じまして金大中氏の出国についての日本政府の希望をさらにまた申し出ております。  金東雲氏の捜査につきましては、昨年十一月二日の総理大臣及び先方の総理との話し合いにおきまして、捜査を今後継続して、その捜査の結果を日本政府に必ず通報するということになっておりまして、その結果につきましても、私ども、先ほど申しましたとおり、一月の十七日及び十八日に、この点について確認をいたしておりまするけれども、先方の態度は、現状において引き続き捜査を継続しているということでございまして、その経過につきましては、昨年十一月の打ち合わせのとおり、途中において報告はしない、最終的に捜査が終わった段階において必ず日本政府に通告するということになっておりまして、その捜査はまだ終わっておらないというふうに伺っております。

河上民雄日本社会党

○河上委員 日本の捜査当局はこの金東雲氏の指紋を検出しておるというように聞いておりますし、その犯罪容疑についてはもう確定的だというようにお考えだと思うのでありますが、その点については韓国政府はどういうふうにお考えになっておりますか。日本の捜査当局は、指紋も出てきたことでありますし、金東雲氏が黒であるという認識に立っていると思うのでありますが、その黒であるという認識に対して韓国政府はどういうような反応を示したかということ。

高島益郎外務省アジア局長

○高島政府委員 昨年十一月一日におきます先方の金溶植外務長官の記者会見で、金東雲の金大中事件関与の嫌疑に関し、政府はすでに同人の職を免じ、捜査を継続することとしたという声明を出しておりまして、これを受けまして、わがほうで官房長官の談話に書かれておりますとおり、先方は金東雲氏の容疑を認めて、その容疑について捜査を継続するということになっております。

河上民雄日本社会党

○河上委員 先ほどのお話ですと、こまかいことは全部捜査が完了したあとで報告するというようなことでありましたけれども、日本政府がさらに最終的な結論を提出するように強く求めておられますか。

高島益郎外務省アジア局長

○高島政府委員 仰せのとおりでございまして、随時韓国政府に対しまして、捜査の最終的な終了がいつごろになるのかという点のめども含めまして、先方のこれに対する反応を要請し続けております。

河上民雄日本社会党

○河上委員 韓国政府は金大中氏の自由と出国の問題と金東雲の容疑とは切り離して考えておるのですか。それに対して日本の政府は、捜査の関連もあり、金大中氏の出国、再来日とこの捜査とに関係があるというふうに考えて交渉しておられるのですか、その点だけ明らかにしていただきたい。

高島益郎外務省アジア局長

○高島政府委員 金大中氏の出国に関する問題と、それから金東雲の捜査に関する問題とは全然別個の問題で、関連はないというふうに了解しております。

河上民雄日本社会党

○河上委員 日本政府は、この問題をからませて考えるべきだというふうにお考えでいらっしゃいますか。

高島益郎外務省アジア局長

○高島政府委員 両者をからませないで、先方にできるだけ早い機会に金大中氏を出国させるように要請するという態度で一貫しております。

河上民雄日本社会党

○河上委員 金大中氏の自由と生命の問題につきまして、最近ある週刊誌が取り上げた記事の中で、金大中氏がことしの春ぐらいにあぶないのではないかというような予測も出ているのであります。ここ半年以上、事件発生以来この委員会でもあるいはその他の委員会におきましてもしばしば論議されまして、大平さんはじめ外務当局の答弁はいつも同じでありますけれども、事態はだんだん悪くなってきているのです。日本に合法的に滞在を許可された外国人の生命の保護に対して、日本政府は責任を負うているのだという立場を確立する意味で、金大中氏の問題は非常に象徴的な意味も持っておる。金大中氏個人の人権の問題もありますけれども、それのみならず、日本に滞在する外国人全体の問題でもあるという意味から、こういうような情報が乱れ飛んでおる事態について、外務大臣としては、どういうふうにお考えになっておられますか。こういうようなうわさが出ないように、そういううわさの出る余地がないように、断固たる態度でこの問題の対処、そういう不安を生じないように日韓の交渉にさらに強く当たっていただきたいと思いますが、大平外務大臣の御意見を承りたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 断固たる態度で臨めというのですけれども、どういうことをやればいいのでございましょうか。私どもやるだけのことをやっておるつもりなんでございます。つまり日本政府といたしまして、被害者たる金大中氏が不幸にいたしまして韓国の管轄のもとに移ってしまっているわけでございますけれども、この方の自由と安全の問題というのは、日韓両国の国民が異常な関心を持っておる事実がございまするし、これを等閑に付することはできないわけでございまするので、私ども去年の秋以来の日韓間の外交交渉におきまして、焦点の一つをそこに当てまして、そのために最善の努力をいたしまして、韓国政府からは、金大中氏は市民としての出国を含めての自由を保障いたします、別件の逮捕はいたしませんというお約束を取りつけたわけなんでございまして、その状態が保障されておるかどうか、出国が保障されるかどうかということは、今後その実行をウォッチする以外にないわけでございまして、外国でございますから、私どもが韓国に入り込んで一々毎日監視するわけにいきません。いつも断固たる態度でやれとおしかりを受けるのでございますが、外交権の及ぶ限界までは最善を尽くしておるということは御了解をいただきたいと思います。

河上民雄日本社会党

○河上委員 この問題につきましては、時がたつにつれて世論が忘れるのを期待しているような感じさえするのでありますが、そういうことのないように、いまおっしゃったような点については一そうの御努力を願いたいと思うのです。  最後に、開発途上国の経済援助に関連しまして、先般の外務委員会におきましても議論がいろいろありましたけれども、いま日本に来ておられるエジプトの副首相から十億ドルに及ぶ新規の借款の要請がありましたのに対して、大平外務大臣は難色を示したというふうに新聞では伝えられておりますが、真相はいかがなものでございましょうか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 ハテム副首相と私との会談におきまして、先方が、EC各国その他対エジプトへの投資というようなものもいろいろの引き合いがあります、それからわが国の商社等もエジプトで仕事についていろいろの相談がございます、しかしエジプトといたしましては、経済協力の形で五年間に十億ドルぐらいのワクが設定されたならば、年間二億ドルぐらいの範囲内におきましていろいろプロジェクトをもくろんでいくということになりますれば、エジプトのためにも利益であるし、また両国の親善関係にも寄与するし、アラブ政策の前進にも役立つのではないかという意味のいわば一つの考え方を示されたのでございまして、固まったプロジェクトをもちまして、条件をそろえて日本政府に要請されたという性質のものではございません。で、私は初めてお伺いしたことでございまするし、一応スタディーはしてみますということで応酬しておきました。

河上民雄日本社会党

○河上委員 この前三木副総理あるいは小坂代議士が特使としてアラブ諸国を歴訪されましたその御報告をここで承ったわけでございますけれども、皆さん異口同音に心と心のつながりがいかに大事かということを言われるのでございますが、その点については私ども全く異論のないところでございます。ただ、柔道の先生を送ったり、名刀正宗一振りを向こうの指導者に贈ったり、あるいはカイロで大相撲でもやれば、これで心と心がわかったというようなやり方ではたいへんな間違いを起こすのではないかと思うのです。開発途上国への経済援助といっても、ちょっと片手間にやったり、アラブ諸国からの石油の供給が逼迫してきたときにはぱんぱんやるけれども、一段落ついたらちょっと渋くなるということになってもいけないんじゃないかと思うのです。  したがって、開発途上国への経済援助については、ここで一つ新しい原則を立てる必要があるのではないでしょうか。Aという国からも言ってくる、Bという国からも言ってくる、そのたびごとに必要に応じてやるということでは結果的には非常に不公平になることがありますし、アラブといっても油のあるアラブと油のないアラブとあるわけですし、あるいは東南アジア、ラテンアメリカその他いろいろあるわけですね。その場合に、経済援助については相当基本的な態度を日本政府として一応確立した上で交渉に応じないと、かえって不信を招く要因になりはしないかと思うのでございますが、この際、開発途上国への経済援助について、日本政府は、借款の条件ではこういうふうにする、援助の対象についてはこういうふうにする、あるいは援助の方法については輸銀を使うとか民間ベースでいくとか、いろいろ問題はありましょうけれども、そういうことについて原則を立てた上で、それぞれに交渉に当たるということが必要ではないかと思いますけれども、外務大臣、その点いかがでございますか。特に日本政府の借款の条件が非常にきびしいというのは開発途上国一様の不満でありますけれども、こういうような点について、開発途上国は、たとえば金利年二%以下を希望しておるわけですけれども、そういうようなことについてかなり踏み切った態度を示す御用意があってのいまのいろいろな交渉であるのかどうか、その点を伺いたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 開発途上国に対する援助原則という問題の御提起でございます。  まず一つの問題は、援助の条件につきまして、開発途上国に対しては、こういう有利な条件でいずれの開発途上国に対しましても適用してまいる。たとえば現にドイツがやっておりますように、開発途上国というクラシフィケーション、カテゴリーに入るものにつきましては無差別にどこに対しても同じ条件を適用するということは、一つの行き方だと私は思うのでございます。行政の実際から申しましても、そういう原則ができておりませんと、個々のケースにあたりまして各省が協議いたしまして、この場合はどういう条件にするかということを一々そのたびごとに打ち合わせをしなければならぬということにも相なりますし、そういう原則ができることは望ましいと私は思っております。  しかしながら、たびたび申し上げておりますように、敗戦の結果わが国の資本蓄積が壊滅して、その上に多くの対外賠償、負担をしなければならぬという中でわが国は復興しなければならぬということでございますので、わが国の資本のコストというのは非常に高くなってきたわけです。諸外国と非常に事情が違いまして、いままでたびたび OECD等からも指摘されたように、先進工業国に比べて若干高くなっておるわけでございますが、それはできるだけ、少しずつ改善していっているわけでございます。つまり、わが国の財政能力といたしまして、ドイツその他先進国並みの条件を直ちに原則的にここでコミットしてしまうというところまでまだ十分踏み切れない事情がございますが、仰せのように一つの条件についての統一的な原則というようなものは私望ましいと考えておりまして、そういうことができる条件をできるだけ早くつくっていかなければいけないんじゃないか、またそのことが援助を進める場合においてベターじゃないか、そういう考えにつきましては、私は河上さんに同意いたします。  第二に、その他の一般的な原則でございますが、一般的原則がないかといえば、これはあるわけでございまして、まずその国の国づくりに対する主体性を尊重せにゃいかぬ、向こうの意向をよく考えにゃいかぬ、わがほうの都合を言っておれないという態度で臨むべきである。それから、よく御指摘を受けますように、特定の政権を助けたり、軍事援助にかわるものをやったりするようなことはいけないとか、あるいは軍需品を提供するようなことはいけないとか、いろいろ原則はあるわけでございますが、開発途上国の態様が非常に多種多様でございまして、また要求も非常に多彩なものがあるわけでございますから、それについてわが国の援助方針に統一した幾つかの原則を打ち立てるということにつきまして、これはできないわけじゃないわけでございますけれども、いままでの経験から申しまして、自信のあるデータが十分そろっておるかというと、まだそこまでまいりませんし、開発途上国自体もそういうデータをそろえるだけの能力もまだないようでございます。したがって、今後の研究課題であることは間違いないと思いますけれども、いま直ちにちゃんとしたものをつくり上げて提示せよと言われましても、すぐお引き受けするだけの勇気がまだないというのが心境でございます。

河上民雄日本社会党

○河上委員 大臣のお考えは大体わかりましたが、最初のエジプトの新規の借款の要請については、大臣というか政府としてはやはり積極的に取り組んでいくというお考えですか、その点だけ伺っておきます。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 最近政府との間で、二年間の商品借款、プロジェクト借款を含めまして一億ドルのコミットメントをいたしたわけでございまして、わが国の援助能力から申しましても、また外貨事情から申しましてもこれは容易ならぬテーマだと思いますので、研究はいたしますけれども、政府がそれに応諾の方向で検討するという段階にはまだとても至らないものと思います。

河上民雄日本社会党

○河上委員 わかりました。  最後にほんとうに一問、二間だけ伺いたいと思いますが、駐日アメリカ大使が前任者が帰られてからその後空席のままかなりの時日がたっております。日本にとってアメリカという国が大使がいてもいなくてもたいして関係ないのだということであるのか、それとも日米間が非常に険悪で大使を召還したままもう空白になって——そういうことの象徴として、そういう意思表示として空白のままなのか、いろいろ考え方はあろうと思うのですけれども、こういうことは過去にあまり例がなかったことですが、外務大臣はこの点についてどういうようにお考えですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 世上、米国駐日大使が任命されていない事態は日米関係が冷えておる証左ではないかというような批判もあるわけでございますが、私はそう考えていないのであります。たいへん駐日大使というものを重視して選考に苦心されておると承知いたしておりますが、まずアメリカの国内事情から申しまして、駐日大使はキャリアの場合もございますけれども、またポリティカル・アポインティーの場合もございまして、キャリアの場合におきましては適任者がいまいないと申しますか、ほかに転出したといいますか、そういう事情もあるようでございますし、ポリティカル・アポインティーの場合はなかなか人選難であるということではないかと思います。  それから、米ソ関係におきまして、一年間もなかなか人選難で駐ソ大使がきまらなかった事例がありますけれども、それは決してアメリカが対ソ外交を軽視しておるというようなものではないと私は思うのであります。日本の場合におきましても、ライシャワー大使のあとジョンソン大使が着任するまで六カ月かかった経緯もあるわけでございまして、今日三カ月の曠欠という事態をとらえて直ちに日米関係が険悪であるとか冷却しておるとか軽視しておるとかいうようなことは私は全然当たらないと承知いたしております。

河上民雄日本社会党

○河上委員 それではもう時間が参りましたので、最後に一つだけですが、ある意味では事務的なことであるかもしれませんけれども、いま東京にある各国大使館で、大使館のないところもあるのだと思いますが、いわゆるホテルの仮住まいのところもあると思うのです。一時中国大使館がホテルニューオータニにおられたわけでございますけれども、ほかにもいろいろあろうかと思いますけれども、外モンゴル大使館がいま第一ホテルにあるという。外務省からいただいた資料によりますとそうなっております。外モンゴルにおける日本大使館は向こうの政府の非常な好意で非常にきれいな大使館に入っておるわけです。それとの見合いにおいて、第一ホテルがどうこうというわけじゃございませんけれども、ああいう非常に出入りの多いホテルに大使館がいつまでもあるということはあまりよくないことじゃないか。これはいわゆる大国については気をつかうけれどもというようなことがかりにあってはならないと思いますし、これはやはりもう少し——それは向こうのお国の事情でお選びになるのかもしれませんけれども、土地のあっせんとか建物のあっせんについてはもう少し努力すべきだと思いますが、この点について外務省はどういうようにお考えでいらっしゃいますか。

高島益郎外務省アジア局長

○高島政府委員 モンゴル大使館の建物につきまして、河上先生の仰せのとおり、ああいうホテルの仮住まいというのは非常に不便でございまして、できるだけ早い機会にちゃんとした建物に入っていただくというためにわれわれ一生懸命努力しております。いままでビル及び建物につきましては三十八件、それから土地につきましては十件の仲介あっせんをいたしました。ただこれについては話がまとまりませんできておりますけれども、昨日私、モンゴル大使にお会いしましたときにいろいろお話を伺いましたところによりますと、現在交渉中の物件がございまして、ほぼこれにまとまりかかっているというお話でございましたので、近い将来にそこにちゃんとした大使館の建物ができるということになりますことを、私ども強く希望しております。

河上民雄日本社会党

○河上委員 ではこれで私の質問を終わります。

木村俊夫自由民主党

○木村委員長 石井一君。

石井一自由民主党

○石井委員 私は石油消費国会議その他日中問題などについてきょうは大臣の御意見をお伺いいたします。一昨日の委員会にちょっと所用で出ておりませんでしたので、もし重複する点がございましたら簡潔にお答えをいただければけっこうでございます。  そこで一番最初に、資源問題緊急国連総会、先ほどわが国が四十九番目に参加を申し込んだというお話もございましたが、先進国、発展途上国、資源の大国、小国、これが百三十五も集まりまして会議をするという場合に、なかなか有効な話し合いというものができにくいということもありますが、資源を中心に話し合う場合に、わが国として何か特別な主張なり新しい提案をなされるわけですか。これに対する大臣の御決意と申しますか、この点をまずお伺いしたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 いわゆる資源は有限でございますし、資源の需給関係は世界的にたいへん緊張を呼んでおりますし、将来これが大きく緩和されるという展望もなかなか持てない状況であることは石井委員も御承知のとおりであります。したがって、この問題につきましては世界的な大きな問題であるということが第一であります。第二に、日本といたしましては、重要な資源はもとよりでございますけれども、食糧さえも大きく海外に依存しておるいわゆる資源小国でございますので、わが国といたしましては、世界の理解と協力を得まして必要な資源の安定確保をどうしてもはからなければならない、しかもそれは安定価格で確保しなければならない立場にあるわけでございますことももう申し上げるまでもないことでございます。  したがって、わが国といたしましてこういう国際的な資源会議に臨む場合におきましては、そういうわが国の足場を踏まえまして、どの国よりも切実な課題であるという認識に立ちまして、わが国の必要とする資源、食糧の安定確保、安定的な数量並びに価格における確保ということに焦点を置いて最大限の努力を傾けていかなければならぬと考えておるわけでございます。仰せのように、国連等という場におきまして多くの国が集まりましてその会議が能率的に運営せられるかどうかという点に若干の危惧を持ちますことはあなたと共通でございますけれども、われわれはあらゆる機会、あらゆるフォーラムを最大限に活用していかなければいけませんので、好ききらい言っておれないと思うのでございまして、あらゆるところに顔を出してわが国の必要を充足していくということに努力してまいりたいと思います。

石井一自由民主党

○石井委員 基本的なお考えはよく理解できるのですけれども、わが国の資源外交をどういうふうに持っていくかということ、これはこの間の消費国会議を見ておりましても、国際協力かあるいは二国間取引かということで、この点はその共同声明などでも非常にあいまいな表現にならざるを得ない、そういうふうな面があるわけでございます。私は、大臣がたびたびおっしゃっておりますように、産油国との国際協力ということもありますけれども、国際協力ということをナローなセンスで申しますと、やはり消費国側に立ってその協力のもとに産油国との交渉をするということになるし、あるいはそうでなく、二国間交渉に切りかえていくんだ、昨今特使をお出しになったりなんかして、バイラテラルのケースをもっと推進していくのか、そこにやはり、どちらかにある程度ウエートを置きながら資源外交には取り組んでいかなければいかぬ。日本的なフォーラムを見出すということもございますけれども、最近中近東諸国に特使を出し、いろいろと日本に対するいいムードが出てきておる。ところが、この間消費国会議をやりまして、アメリカ方式と申しますか、そういう形に従っていくということになれば、また基本姿勢がぐらぐらしてきておる、こういうふうなことにも中近東側から見るとなるわけでございます。  私はこの辺でわが国の資源外交方針というふうなものがどちらのほうにウエートを置いていくべきかどうか、これは非常に大きな問題だと思うのでございますし、世界情勢、とりわけ資源の状態というのは昨年の十月から大きく転換をしてきておる。アメリカのように資源のある国であれば、われわれの地歩ももう少しその点を鮮明にできるけれども、そこができない。私はそういう矛盾にやはり日本外交は直面しておるのじゃないかと考えるのでございますけれども、この点について何か多少なりとも外交姿勢の転換ということをお考えになっておるのかどうか、いかがでありますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 外交姿勢を転換することはやさしいのでございますけれども、外交姿勢を転換して国がつぶれてしまっては困るのでございます。私ども、一昨日も石野委員等からも御指摘がございまして、主体的に二国間取引を主にするのか、メジャーを切るのかという問題で二者択一的に問われますならば、そんなきっぱりした勇断をふるえるような日本ではないと思います。あなたが御指摘のように、足場がしっかりしてないわけですし、この足場は日本の外交政策で直すわけにはいかないわけでございます。日本はそういう条件のもとに置かれておるわけでございますから、日本のこの条件を踏まえた上で、現在並びに将来にわたって一番日本に有利な地歩を探求して、薄氷を踏む思いでやってまいらなければいかぬのがわれわれの外交であろうと思うのでございます。  原則的に見て、たいへんお気に召さぬところもいろいろあるかもしれませんけれども、実際日本の条件を踏まえて、日本に最も有利な道をどうして発見するかということでやってまいるわけでございますから、あなたの言われる資源外交ということばを、ぼくはあまり好かないのでございますけれども、世界のうちで資源外交は最も困難な道であると考えております。

石井一自由民主党

○石井委員 いや、私はいまの御答弁、別にお気に召さぬことはありませんが、そういうむずかしい面をやはり模索の中にひとつ前進を続けるということしか道はないと思うのですが、それでは具体的に数点。  まず二国間協定、二国間での外交の推進ということでまずお伺いしますのは、先日サウジアラビアのヤマニ石油大臣がやってまいりまして、両国で経済合同委員会の設置をやり、それの協定の締結をしたい、こういうふうなことが報道されておりましたが、向こうの外務大臣が二月中にやってくるというふうな報道もございますけれども、この協定に対する進捗の状況、交渉の内容、これはいかがでございますか。

宮崎弘道外務省経済局長

○宮崎(弘)政府委員 サウジアラビアとの間におきましては、技術協力のやり方なりあるいは合同委員会の設立なり、そういったような大綱につきましてすでに合意が成立しておりまして、現在その成文化その他詰めを急いでいる段階と承知いたしております。

石井一自由民主党

○石井委員 だから、二月中に外務大臣が先方からやってきてこれの締結ができる、こういう見通しですか。

宮崎弘道外務省経済局長

○宮崎(弘)政府委員 現在、サウジアラビアの外務大臣は回教国の会議に列席中でございまして、その後日本に見えるかどうか、はたして二月中になるかどうかということを目下確認中でございまして、まだ最終的な予定はきまっておらないと承知いたしております。

石井一自由民主党

○石井委員 そうすると、協定は既定の方針であり、あとは向こうの都合だ、まあこういうふうに解釈できるわけだと思いますが、サウジアラビア以外に、二国間取引を主にしたバイラテラルの交渉がイラクとも進んでおる、こういうふうに聞いております。それ以外にも、中近東アフリカのこういう産油国とこういう形でのバイラテラルの取引を進められておるのか、またあるいはそういう計画があるのか、この点はいかがですか。

宮崎弘道外務省経済局長

○宮崎(弘)政府委員 先ほど御指摘のございましたサウジアラビアとの協定も、これは技術協力あるいは日サ友好関係の促進ということに主眼を置いたものでございます。したがいまして、これと石油の買いつけ等との間には一応関係がない形に相なっております。  アラブの関係諸国との間には、このように友好関係の促進なりあるいはまた技術経済協力その他の促進のために、いろいろな話し合いが行なわれておりますが、いわゆる石油消費国会議で問題になりましたバイラテラルの石油取引とは直接には結びつかないかっこうになっておると承知しております。

石井一自由民主党

○石井委員 御答弁がちょっと間接的なんで、私の質問も悪かったと思いますが、直接の石油の取引のためのバイラテラルなアグリーメントでなくても、間接的にこれらの二国間の友好関係を増進することによって、やはりそういうわれわれの乏しい資源というものを確保するということになるわけですから、私が聞いておりますのは、サウジアラビア、イラク——イラクはどのような進捗状態になっておるのか、またそれ以外に、文化協定でもけっこうですけれども、そういう形ででのバイラテラルなアプローチが進んでおる国があるのかどうか、こういうことですが……。

宮崎弘道外務省経済局長

○宮崎(弘)政府委員 イラクとの間には、中曽根通産大臣訪欧の際に、協定の骨子が一応合意されまして、それの最後の詰めを急いでおるという段階でございます。そのほかの国との間にも種々懸案があるかと存じますが、実はこれは、中近東アフリカ局長がもうじき参ると思いますので、同局長の主管でございますので、そちらから確答を申し上げたいと存じます。

石井一自由民主党

○石井委員 それでは大臣にお伺いしますが、この消費国会議の内容なりそこで討議されたこと、またわが国の主張というふうなものを踏まえて産油国に特使を派遣される、こういうふうな構想はいまお持ちではございませんか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 消費国会議に臨むわが国の基本的な方針の第一は、やはりなるべく早い機会に産油国と消費国とが同じテーブルに着きまして、石油危機の打開ということについて実のある成果を生み出すということでございますから、そういうことで臨んで、それが多少フランス等の抵抗がございましたけれども、曲がりなりにこの会議は調整グループというものを生み落として、これから調整グループがいま仰せられましたような問題につきまして仕事を始めるわけでございますので、わが国独自の立場で特使を派遣するとかなんとかいうことは私は考えておりません。

石井一自由民主党

○石井委員 私は、基本的にいまの御意見に別に反対をするものでもございませんけれども、やはりわが国の薄氷を踏む思いで外交を進められる立場において、ようやく昨年の暮れに特使を出し友好国扱いになり、またいま二国間のいろいろの交渉が進んでおるこういうときに、私も最近中近東を回って参りましたけれども、日本に対する感じというものは非常にいいものがある、この時期にもう少し日本とこれらの国々との理解を深めていくべきである。また消費国会議に対して産油国というのは非常に神経質になっておるということ、そういうことも感じてまいったわけでございますから、この点に関しても全然考えておらないという御答弁でなく、一つの検討材料として、私はいまのむずかしい資源外交を乗り切る意味で当然お考えをいただいていい提案だと思いますので、そういうふうにお考えをいただきたいと思いますが、何か特に御見解がありましたらお伺いいたします。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 ワシントンのエネルギー会議につきましての産油国側の反応でございますが、目下のところ、産油国側の各政府からの公式の反応はございません。それから外務省といたしましては、在京のアラブ関係の大使においでをいただきまして、ワシントン会議の状況を詳しく御説明を申し上げてあります。わが国の立場、主張、そしてエネルギー会議でわが国が果たしました役割り等につきましては、各国とも十分理解をいただいておると承知いたしております。

石井一自由民主党

○石井委員 それでは次に、石油の緊急時の融通という問題で、ワシントン会議の冒頭キッシンジャー国務長官は、緊急時には米国内の石油を融通することも考えておる、こういうふうな表明もあったようでございます。しかし、昨年十一月に同長官が日本へやってきましたときに大臣みずからがこの問題について触れたときには、キッシンジャーの反応というのはそう好意的なものでなかった、こういうふうなことを、私記憶いたしておるわけでございますけれども、米国の緊急時における石油の融通というふうなことについて、そういうキャパシティーがあるのだろうか、そういうことについてお二人の間でかなり詰めたお話をされたことがあるのかどうか、この点についてお考えはいかがですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 まあマクロ的に見まして、アメリカは、石井さんも御承知のように、大きな産油国でありますけれども、世界最大の消費国でございますし、世界最大の輸入国でもあるわけでございます。したがいまして、アメリカが現段階におきまして、みずから必要があって最大の輸入国になっておるわけでございますから、融通をするキャパシティーは私は持っておるとは思いません。ただ、去年の十一月にキッシンジャー長官が来日いたしまして私と会談をいたしたときに、在日米軍が百万キロリットルの石油を日本で調達しておるというようなことは、石油危機におきまして考えていただかなければならぬ問題ではないかと、これについての検討を求めたわけでございますが、さっそくその点につきましては反応がございまして、一月半ばからアメリカは事実上対日調弁を中止いたしました。事実上という意味は、このパイプラインがいろいろ複雑にできておりまして、端的にもうアメリカ軍が使う油は全部アメリカから別途持ってくるということは不便でございますので、日本で融通したものはこちらでカバーするという意味でございまして、そういう意味で事実上それは中止していただいたわけでございます。  それから、しかし将来の問題として、アメリカはプロジェクトインデペンデンスという壮大な計画を立てて、みずからの通常エネルギー資源の開発、新規エネルギー資源の開発に取り組むことになりまして、それでこれによりましてみずからの需給をまず達成する、そうして世界の石油の需給の緩和をはかる。これは大きな世界の石油政策に対する、石油需給に対する大きな貢献ですが、みずから輸入しなくなると、四億トン以上のものを輸入しておった国がもう輸入しなくなるということは世界をたいへん助けることになるわけであります。そこでまた新しい資源が開発されてくるということになりまして、積極的に外国を助けるような余力をアメリカ側が持つようになるのではないか、これは将来の問題として考えられると思います。  それから第二に、この緊急な場合の融通でございますが、その点は私まだはっきりしないのでございますが、今度調整グループが集まりまして、これからそういう問題とか、価格問題でございますとか、メジャーの役割りでございますとかいろいろ実体問題を、どういう機関で検討するかということの段取りを相談するのでございましょうが、そういうときに、すでにOECDでもそういう緊急時の融通の問題は検討しておるようでございますが、そういう機関を通じて、それぞれの国がそれぞれのストックをある程度持っておるわけでございますから、そういうようなものを現実にどのように融通し合うのかというメカニズムがはっきりしないと、あなたの御質問にいま的確に答えるということは私はできないのでございますが、全体の事情は私はそのように理解をいたしております。

石井一自由民主党

○石井委員 わが国の石油はもうほとんどメジャーの手を通してこれまで入ってきておるわけでございますが、メジャーが国際的に見て完全にジュニアパートナーに陥落しておる、こういうことでございます。今後の見通しを考える場合に、大臣は、そのメジャーは今後どういう経路をたどっていくのか、メジャーに関する見通しはどういうふうにお持ちでございますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 これもまだだれもわかっていないし、メジャー自身もわかっていないのじゃないかと思うのですよ。問題は、リヤド協定によって産油国側がだんだんとみずからのシェアを多くしていくということになっていますが、それをうんと繰り上げられるという傾向にあることはまず認めなければならぬ。言いかえれば、本来、メジャーが処理いたしておりました分量が減って、パーティシペーションオイルというものの分量がふえてくるという傾向はまず歴然とあることはまず認めなければならぬと思うのでございますが、そういうパーティシペーションオイルというようなものの処理はどのような処理をなされるのかというようなことを、これからいま申しました調整グループがメジャーの役割りというような姿でいろいろ検討されていくことでございましょうし、メジャー自身のポリシーもあるでございましょうし、産油国自体がまず第一に、主体的にみずからの処分ができる石油をみずから販売するのか、何かエージェンシーを使うのか、そのあたりは産油国自身がきめる問題でございますので、そのあたりは私はっきりいたしません。いずれにせよ今後大きく役割りが変わるのでないかという大まかな見当はつきますけれども、どういう姿においていつ変わるかということにつきましては、私はさだかでございません。

石井一自由民主党

○石井委員 調整グループの件に関しまして、来日中のオルトリEC委員長がこれに参加することは非常にむずかしいというふうな発言をしておるようでありますが、大臣の御見解は記者会見でもそうではなくて、そうしてこの会議自体は今後のキッシンジャー構想を推進することにとって大きなマイナスになるとも思わない、こういうような発言もされておりますが、私は、ECの昨今の動き、この発言などを考えますと、今回の会議の結果、キッシンジャー構想、新大西洋憲章の構想というものは非常にむずかしい局面にきておるというふうに考えるのですけれども、そういうふうにこの点はお考えになりませんか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 オルトリ委員長と私との会談におきまして、いま石井さんが御指摘になりましたように、調整グループにはEC委員会として参加することはおそらくできないであろうという発言があったことは事実です。しかしECメンバー、英、独、仏その他——フランスはああいう経緯からいいまして参加しないであろうと見当がつけられておりますが、英、独その他の主要国についての言及はございませんでした。しかし日本といたしましては、先ほど申しましたように、あらゆる機会をとらえて、この資源小国たる日本が生存しなければいかぬわけでございますので、政府としては参加すべきである。参加してどのようにふるまってまいるかということにつきましては、目下政府部内でこまかく打ち合わせをいたしておる最中でございますので、まだ国会を通じて御発表申し上げるまでには至っていないわけでございますが、先ほどあなたに御説明申し上げましたような基本的な心がまえで検討をいたしておるわけでございます。  それから第二に、キッシンジャー構想との関係でございますが、キッシンジャー構想というものは一体どういうものなのかというのがまず第一問題なんでございまして、つまり安全保障ということになりますと、すでにNATO条約機構というものがございますので、米欧間でそういうものを踏まえて、新しい局面に対してどういう構想をお出しになるのか。それはまた一応石油問題とは別だと思うのでございます。しかし、経済社会の領域におきまして米欧がどう対処するか、日、欧米が何かマルチの約束をするか、宣言をするかというような問題になりますと、確かに石油問題というのは一つの大きな座を占めることになると思いますし、石油問題につきまして、すでにECの中でもアプローチのしかたにおきまして英、独とフランスとの態度が必ずしも帰一していないというような事情、各国が完全に一致していないという事情は、一つの条件として十分考えておかなければならぬ課題であると思いますが、キッシンジャー構想自体がまだそういう星雲の状態にあるわけでございまして、これがすでに設定されてしまって、それとの関係はどうだということになると問題ははっきりしますけれども、まだ星雲状態にあるものとの関係を議論するといっても、まだ議論するのは少し早いのじゃないかという感じです。

石井一自由民主党

○石井委員 時間が参りましたので、ほかに二、三のものを準備しておりましたが次回に譲ります。  そこで、もう問題は終わっておりますのであえて申し上げる必要もないかと思うのでございますが、例の天皇の訪米の問題でございます。私は個人的な見解でございますが、今回の場合、私は外務大臣が最大の被害者じゃないか、こういう感じがするのです。というのは、記者会見に臨まれて、まあ大臣御自身そのことを御存じないということに対しての非難はあろうかと思いますけれども、当然補佐役が十分しっかりして、そういう問題については自分が当事者でそれを締結し、また会見の前には一度それを読み直すぐらいのことは当然すべきなんであって、大臣自身があまり責任をかぶり過ぎるきらいがある。この間の日ソの共同声明の欠落の問題にしたって、大臣が全く御存じのない最後の寸時にこの問題がああいう形になった、これもまた大臣がかぶる。  かぶられることも非常に大ものとしてけっこうですけれども、外務省の中の機構を、もう少し綱紀を粛正するということも、いろいろといわれておることですけれども私は必要だろうと思うのです。私はあるときは開き直って、このことに対しては非常に職務怠慢であるということを、大きい声で言われるべきときには言われるべきだ。この問題がなぜこれだけ大きな政治問題になるのか、自民党内の派閥次元の問題になるのか、私は憤慨にたえないわけであります。  私はこの間も中近東を回り、昨年の暮れにはヨーロッパも回ってきたわけですが、あまり大使と話などするのをいたしません。もっと若い書記官なり理事官と特に話をし、その現地の事情を調べたりするのですけれども、あまりにも外務官僚の上のほうにはエリート意識が強過ぎる。そうしてキャリアとノンキャリアの差が大き過ぎる。外務省に入ったって、ノンキャリアというものは全然問題にならぬ。上のほうの人は上のほうのところだけ歩いておる。国民一般の感情というものも理解しておらなければ、その国の国情というものに対しても、どれだけその国の人々の心をつかみ、その国の人と汗を流す努力をしておるかというと、そういうものはない。したがって、こういう問題が起こっても、もう上を飛んでおるものですから、今回のような思い上がった発言になるのではなかろうか。私は、やはりノンキャリアであっても思い切った抜てきをする、あるいは民間人を起用する、そういう形の中から、閉鎖された一つの外務省の機構というものに対して——大臣は、何か下が不始末をするとそれを自分の責任にとられて大いに非難を受けられるということでなく、もう少しこの際、大ものの大臣なんですから、そういう点において、これは長年積み重なってきた一つの外務省の美風でもあるかもわかりませんけれども、私のような野人から見ればそれは美風に見えません。そうして日本の外交官が、ほんとうにいま非常に難局に当たっておる資源小国の日本として、どれだけの積極的な、果敢な外交ができておるかというと、これもやはり一つ問題だろうと思う。下のほうは非常に絶望感に耐えておる、上のほうはエリート意識に思い上がっておる、こういう形の中で、私はやはり、外交自体の問題に対して、もう少ししかられる、おこられる、責任を追及される、そういう大臣であっていただきたい、そう思うのでございますが、御意見がありましたらお伺いいたしましてきょうの質問を終わりたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 先ほどのエネルギー消費国会議に関連いたしました御質問に関連いたしまして、新しい事実がわかりましたので、一言申し上げます。  アメリカから連絡がございまして、本月二十五日、二十六日、十二カ国の参加を得まして、調整グループをワシントンで開くことになったということでございます。  それから、私並びに外務省に対する御意見を伺いまして感謝いたします。外務省といたしまして、十分各方面の批判を念頭に置きまして、仕事をしてまいらなければならぬと思っております。世間を騒がしておりますことに対し遺憾に存じますとともに、今後一そう慎んでまいりたいと思います。

木村俊夫自由民主党

○木村委員長 松本善明君。

松本善明日本共産党・革新共同

○松本(善)委員 外務大臣に若干伺いたいのでありますが、天然資源に関する国連総会の問題でいまも議論がありましたが、私は前回の議論からずっと聞いておりまして、外務省の態度が非常に場当たりといいますか、しっかりした考え方が出ていないのじゃないかということを感ずるわけです。私は、前々回ですか、国連資源総会について見通しを、三木外務大臣代理が出られましたときに聞きましたときには、はっきり見通しを言われなかった。にもかかわらずその日に日本政府は、これに賛成をするということをそのあとで発表しておる。ここで議論になっているときには何も言えなくて、そのあとできまったのか、あるいはそのときどきでここで問題になったからきめたのかわかりませんけれども、そういう事態もありますし、いまの質疑を聞いておりますと、これはただ、資源の確保のためにできるだけ有利になるように、どこへでも好ききらいを問わず出ていかなければならぬというようなことが答えられているだけで、私はこの資源総会について一体日本政府は何を考えているのだろうか。中東外交というものは、日本の外交にとって非常に重要であるということは、いまいろいろな人からいわれておりますが、それに対する答弁としては、まことに私は情けない気がするのであります。  それで私は、外務大臣にしっかりした答弁をお聞きしたいのですが、この国連資源総会では、天然資源に対する恒久主権の問題、あるいは国有化の問題、あるいは事業参加率のいわゆるシェアの拡大の問題、こういうことが出てくることは当然だと思うのです。天然資源恒久主権決議に対する現在の日本政府の態度、方針を明確にお答えいただきたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 基本的な立場につきまして私から説明いたしまして、詳細につきましては政府委員から説明させます。  わが国は、開発途上国を含むすべての国が自国の管轄領域内の天然資源に対して有する恒久主権を十分尊重してまいります。  第二は、資源保有国がその経済発展と国民の福祉向上のために、かかる天然の富を活用し処分することはあたりまえのことと考えております。  第三は、特に開発途上国につきましては、資源開発による外貨収入の増大と経済開発の促進を通じて南北問題を解決するため、その主権を十分尊重しつつ、これら諸国と資金、技術を持つ先進国が互恵主義に基づきまして、有機的な補完関係を確保するという見地から経済協力を行なってまいりたい。詰めていえば、そういう三つの基本的立場に立っておるわけでございます。  それからもう一つは、こまかいこと、詳細なことは政府委員からお願いしますけれども、アラブ外交につきまして世上往々にして資源外交として展開しておるようにいわれておることに対して、一言私弁明しておかなければいかぬと思うのでございます。  私どもアラブ外交を展開するにつきまして、三木副総理をわずらわしておいでいただいておりますゆえんのものは、もともとヨーロッパ諸国等に比べまして、アラブとの関係が希薄でありましたことはいなめないのでございますので、わが国として本格的に経済、技術、文化等の領域におきまして、できるだけ濃密な関係を日ごろからつくり上げておかないといけない。それはもうきわめてあたりまえのことなんでございまして、そういうことが主眼でございまして、油外交に三木さんにお出かけいただいたわけではないわけでございまして、基本的にそういう気持ちでまずわれわれはアラブ外交に取り組んでおるのだということ。しかし現実に資源問題がございますので、それについても周到な配慮をしてまいらなければならぬことは当然でございますけれども、前段のほうが往往にして理解されないので、その点一言私から弁明させていただきたいと思います。

鈴木文彦外務省国際連合局長

○鈴木(文)政府委員 いま大臣が答弁で言われました基本的な考え方に立ちまして、国連における資源総会に臨むつもりでおりますが、実はその会議の開催自身は手続規則上きまりましたが、この提案をしました非同盟側で実は準備にまだ十分時間がないということから、会議の開催を若干おくらしてほしいということと、それからどういう問題をどういうかっこうで討議したいかということをおそらくいま内部で検討しておると思いますが、それが出てまいりました段階で、先ほどの基本的な立場を頭に置きながら、これに対する対処方針を考えてみたいと思っております。

松本善明日本共産党・革新共同

○松本(善)委員 いまの基本的立場でいきますと、こういう場合は当然に、いわゆる国有化の問題とかあるいは企業の経営に対するシェアの確保の問題ということについては、これはその国の主権の問題である。国有化は、その国が必要と考えればすることができる。それから企業の経営に対するシェアの拡大ということもこれはできるという、こういう立場で明確にこの資源総会に臨むということでありましょうか。いまの基本的立場からするならば、私はそうならざるを得ないというふうに思いますけれども、その点についての明確なお答えをいただきたいと思います。

鈴木文彦外務省国際連合局長

○鈴木(文)政府委員 国有化の点でございますが、基本的な考え方は先ほど大臣が申されたように、資源をその所在国が経済開発なりあるいは自国民の福祉の向上のために使用し処分する権利を持っておるという意味で、国有化の権利も当然入るというふうに考えていいかと思いますが、ただ国有化します場合に、それに対する補償の問題あるいはそれに対する争いが起こった場合にどういうふうに解決するかという問題につきましては、従来国際慣行といたしまして一応の考え方もございますので、その辺の点も頭に置きながら、できるだけ協力関係をつくるという方向で対処していく必要があろうかと思います。  それから第二の点でございますが、私、ちょっとあるいは十分第二の質問の点明確にしておりませんかもわかりませんが、御質問は、資源に対する主権の適用範囲の問題であったかと思いますが、これはこの前……(松本(善)委員「シェア」と呼ぶ)シェアですか。失礼いたしました。シェアの問題は、当然資源保有国に投資されます外国企業の経営あるいはその利潤に対するシェアと申しますか分担の問題でございますが、これは資源保有国において当然にそのシェアを増大する権利があるということでありますと、すでに投資されております既存の契約の安定を害するとかそういう問題、あるいは具体的な投資の案件につきましては、それぞれの投資の内容と申しますか、どういう対象に投資されているのか、あるいはそれに対する資源保有国の関与の態様はどうであるかというような具体的な事案に即して判断しなければならない面もあろうかと思いますので、一がいにシェアを増大する権利があるということで、必ずしも投資国とそれから受け入れ国との調和ある協力関係ができるかどうか、そういう観点からの考慮も必要かと思います。  要するに、二つ御質問の点につきましては、できるだけ調和ある協力関係をつくるという観点から、積極的に協力していきたいというふうに考えております。

松本善明日本共産党・革新共同

○松本(善)委員 私は三木副総理が出られたときにもお聞きしたのですけれども、この国有化というのは基本的に主権の問題である、こういうふうに答えられました。いまの大臣とそれから国連局長の答弁からすれば、国有化が基本的にその国の主権の問題であるということはお認めになったように思います。そうだとするならば、その事業参加率の問題、シェアの問題、これについても当然に増大をする権利があるということは、これは認めざるを得ないことではないか。いま、クウェートでも事業参加率は六〇%になりましたし、それからカタールでもそうなりました。その傾向がますます大きくなることは、もう明らかなんです。この点は明確にして、シェアの拡大の問題については、はっきりこれは当事国の主権の問題であるということを言うのが、私は必要だと思います。いま大平外務大臣は、先ほど来油外交ではないんだということを言われました。もしほんとうにそうであるならば、産油国、アラブ諸国の主権を尊重する、その国の資源についてはその国が処分をする権利があるのだ、外国からはそれをとやかく言われることはないということについての基本的な権利は、これは認めなければならないと思う。私は、そういう確固たる立場をもってこの資源総会にも出ていくということが必要だろうと思うのです。  この点について、国連局長のあとのほうのシェアの拡大の問題についての説明は、やや明確を欠いているように思います。私は、国有化問題についてはっきりした立場をとれるならば、シェアの拡大についても同様の問題でありますから、これは明確にお答えをされる必要があろうと思います。大臣の見解を伺いたいと思います。

鈴木文彦外務省国際連合局長

○鈴木(文)政府委員 先ほど説明が十分クリアでなかったかもわかりませんが、シェアの問題につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたように、当然に資源保有国においてその経営なりあるいは得られる利益についてシェアを増大する権利があるということが、はたしてこの開発途上国とそれからこの開発に協力する国との調和ある協力関係をつくる上においていいか悪いかという判断も、また別途しなければならないと思います。  それと同時に、すでに進出している外国の企業、これは一つの民間の約束、契約というものに成り立っていると思いますが、そういうシェア増大の権利を認めることによって、すでにいままで進出しておる企業あるいはその既契約の安定に対して害があるのではなかろうか。つまり、シェアの増大という後進国の願望はわかりますが、それが実態的に関係当事者の了承を得て満足なかっこうで伸びるような協力関係をどうやってつくっていくかというのがわれわれとして一番関心を置き、またむずかしい問題だとは思いますが、これに対する解決の方法を探求しなければならないというふうに考えております。

松本善明日本共産党・革新共同

○松本(善)委員 これはたいへん大事な問題でありますが、大臣お聞きいただきたいのですが、私は中東に投下をされている資本というのは、これはメジャーのものであろうと思う。それについての配慮をするということはメジャーの利益を守るということ。いま非常に突き詰めていけば、メジャーの利益を守るのか、それとも産油国の利益を守るのかという問題がいまの問題であります。そういうメジャーの利益を守って一体どういう利益が日本にありますか。なぜアメリカのメジャーの利益を守らなければならないのか。産油国がシェアを拡大をして、そうして日本とも直接取引をしていくという方向に進めていくならば、大局的に見るならば、私は石油の供給について日本にも有利になっていくというふうに思います。なぜシェアの拡大についてメジャーの利益を守らなければならないのか、どうして産油国の主権を守るという立場に立てないのかという点が一つと、それから、メジャー側が反対をすれば、そのシェアの拡大というのは違法になるのか、主権の行使ではなくなるのか、その辺は突き詰めて伺いたいと思います。二点について外務大臣とそれから国連局長の説明を聞きたいと思います。

鈴木文彦外務省国際連合局長

○鈴木(文)政府委員 いまメジャーとの問題が出ましたが、恒久主権の問題、考え方については、わが方賛成しておりますが、その具体的な適用の方法あるいは範囲につきましては、先ほど大臣から申し上げました三つの基本原則に従って対処するということでございますが、いまのメジャーの問題に対しましては、それぞれの具体的な案件に即してこれをどうするのが一番適当な対処のしかたであるかということを考えなければならないと私は思います。  それから、ちょっとこれに関連しまして一言申し上げたいのは、昨年の暮れの国連総会におきまして、イスラエルが占領しております地域に対するアラブ諸国の主権の回復の要求が一つの決議案となりまして総会に出ましたときに、日本はいち早くこれに賛成をいたしました。ということは、特に中東地域、アラブ諸国の願望に対して、日本は支持を与えたということを一言申し上げておきたいと思います。

松本善明日本共産党・革新共同

○松本(善)委員 内容の違うことなんですね、それは。それで、私は結論的に伺いますが、そうすると、二十一回の国連総会で、企業の経営に対するシェアの確保ないし増大する当然の権利があるのだという点については、日本政府は反対投票をした。その基本的立場は変わらないで今度の国連総会に臨むということであるか、簡明にそのことだけお答えいただきたい。

鈴木文彦外務省国際連合局長

○鈴木(文)政府委員 今度の資源総会でどういう形での内容の決議案が出されるか、その中身を見た上で対処したいと思います。

松本善明日本共産党・革新共同

○松本(善)委員 いや、私の言うのは、このシェアの拡大の問題については、この二十一回総会のときの立場と同じかということです。変わっているなら変わっている、同じなら同じだと答えてください。

鈴木文彦外務省国際連合局長

○鈴木(文)政府委員 基本的に同じ立場で対処するつもりでおります。

松本善明日本共産党・革新共同

○松本(善)委員 外務大臣に最後にお聞きしておきますが、三木副総理がアラブへ行かれてアラブ諸国から言われたことは、今後の日本の態度を見たい、それについて友好的な態度が期待されるということが言われています。私は日本の国連総会の恒久主権決議などについての態度の問題というのは、これは中東諸国が従来から歴史的に主張してきたことでありますが、それについて私はまっ正面から反対することになると思う。そういう態度をとっていくということが、一体日本外交にとっていいのだというふうに考えておられるのかどうか、これは大臣の判断として最後に伺っておきたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 論理の問題といたしまして、松本先生の言われることは私たいへん筋が通った立論だと思うのです。ただ、国連局長が御説明申し上げましたのは、そういう場合に既存の権利との調整をどうやるか、ケース・バイ・ケース、うまく片づけないと、投資国と産油国との間の協力関係がうまくいかないおそれもあるのではないかという懸念を表明したわけでございますが、日本の態度はどうもすっきりしないじゃないかということでございますが、これでもまだヨーロッパ各国よりは進んでおるのです。私は今日の状態、そして将来世界はどうしても協力関係を打ち立てながら一つの世界の中でやっていかなければいかぬわけでございますので、そこにやはりおのずからルールが探求されて、樹立されて、順守されていかなければならぬということでございますので、そういうものを打ち立てていく場合におきまして、その協力関係をどう求めていくかということについていろいろ苦心することも決して徒事でないと考えておるわけでございます。したがって、仰せのような御趣旨はよくわかりますけれども、現実の問題の処理にあたりましては、そういう観点からも事案の処理について慎重に配慮しながら前進してまいりたいものと思います。

松本善明日本共産党・革新共同

○松本(善)委員 確かめておきたいのですが、ヨーロッパ諸国でもいろいろありまして、フランスなどは日本よりも進んでおります。私は外務大臣にいまの発言について確かめたいのですが、大臣の発言は、基本的にシェアを拡大するなどということについては当事国の権利であるけれども、その実現についていろいろ配慮しなければならぬ、こういうことであるのかどうか。もしそうであるとするならば、私はこの二十一回の国連総会でのわが政府の態度を再検討しなければならないと思うのです。そのことを含めて検討をお約束いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

鈴木文彦外務省国際連合局長

○鈴木(文)政府委員 いまの御指摘の点につきましては、二十一回総会で日本のとりました態度と基本的には同じ考え方で対処したいと思いますが、ただ今度の資源総会におけるこの問題に対する取り上げ方、特に後進国側がどういうかっこうでこの問題を取り上げてくるかということをよく見定めた上で最終的な判断をしたいと思っております。

松本善明日本共産党・革新共同

○松本(善)委員 これで終わりますが、そういう態度ではメジャーの利益を守っているだけだ、日本政府はアメリカ追随外交をやっているだけだということの非難は、国内だけでなくて、国際的にも私はまた出てくると思います。そして決して中東外交は成功しないだろう、そのことをはっきり指摘を申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。

木村俊夫自由民主党

○木村委員長 次回は、来たる二十七日水曜日、午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時五十五分散会      ————◇—————

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