外務委員会 第5号
- 発言数
- 214 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1974/02/20
会議録
○木村委員長 これより会議を開きます。 この際、大平外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。外務大臣大平正芳君。
○大平国務大臣 天皇陛下の御訪米とニクソン大統領の訪日問題に関するワシントンにおける私の記者会見の経緯と、これに対して政府のとりました措置につきまして御報告を申し上げます。 数年来おりに触れてニクソン大統領より希望が伝えられておりました天皇、皇后両陛下の御訪米につきましては、昨年夏、田中総理訪米の際のニクソン大統領との会談におきまして、日米共同声明第十七項にありますように、ニクソン大統領より、両陛下の御訪米に対する以前よりの招待を再確認し、御訪米が近い将来日米双方にとって都合のよい時期に実現するようにとの希望が表明されました。 また、田中総理より、ニクソン大統領御夫妻の訪日に対する日本国政府の招待を伝え、大統領は右招待を受諾され、大統領の訪日は一九七四年の年末以前の日米双方の都合のよい時期に実現するようにとの希望が表明されました。 なお、首脳会談後の総理の記者会見、私の記者懇談、駐米大使のブリーフィングにおきましては、両陛下の御訪米が一九七四年中にも実現できればというわれわれ関係者の気持ちが表明されております。 二月十三日ワシントンにおける私とキッシンジャー国務長官との会談におきましては、本件に関し、昨年の共同声明の線を確認し合いましたが、それ以上のことは話し合っておりません。 私とキッシンジャー長官との会談後、私と邦人記者団との会見の席で、私から、キッシンジャー長官と私との会談におきましては、本件につき共同声明の内容を再確認した旨述べました。しかるところ記者団から両陛下の御訪米の時期について質問があり、私から、本年中に実現の運びになるのではないかと答えました。 このことにつき安川大使が、共同声明の中に一九七四年中と書いてあるはずだと発言したことは事実であります。これは昨年の首脳会談後の記者会見の際のことが頭に残っていたのではないかと想像されます。 しかし私は、会見後日米共同声明を取り寄せて確かめましたところ、その表現には時期的な限定がないことが確認されましたので、直ちに記者団に対し、本年中と言ったのを共同声明どおりに訂正方を申し入れた次第であります。 右は、私及び安川大使と記者団の間に起こった問題であり、キッシンジャー国務長官等米国政府とわがほう政府の間には本件に関し何らの食い違いはございません。二月十四日の国務省報道官の発言中、キッシンジャー長官より陛下の御訪米が今年中に実現することを希望するとの発言があったように受け取られるニュアンスの部分がありましたが、これは誤りであり、二月十五日に同報道官は、陛下の御訪米について具体的時期は何ら話し合われなかったと訂正いたしました。 いずれにいたしましても、前記記者会見のため諸方面に御迷惑をかける結果となりましたことは遺憾であります。安川大使よりは、本人の進退を含めて措置を政府に一任してまいりました。同時に私自身にも不用意のかどがありましたことはいなめない次第でございます。そこで十六日、田中総理に対して、安川大使の処分につき指示を仰ぐとともに、私自身についての措置を求めたのであります。その結果、安川大使が対米外交上重要な任務をよく果たし、米国朝野の信任も厚いことをも勘案しつつ、田中総理より、同大使の発言中軽率と見られる部分があり、そのため国家公務員に対する国民の信用をそこなうこととなったのは遺憾であり、今後十分戒めるよう訓戒を行なわれました。また私については、事の経緯を各方面に十分説明し理解を求めるとともに、自戒の上職務に精励されたいとの注意がございました。 本件につき政府として今後どのように事を運ぶべきかについて——本件と申しますのは両陛下の御訪米の問題でございますが、につき政府として今後どのように事を運ぶべきかについては、まず部内で十分検討の上慎重に対処いたしたいと考えております。いずれにいたしましても現時点におきまして、具体的な御訪米時期は白紙であり、米国との間でも、近い将来日米双方にとって都合のよい時期に実現することを希望するという以外に何ら具体的な申し合わせはございませんし、外交上の折衝もまだ行なっておりません。 右、御報告申し上げます。 ————◇—————
○木村委員長 次に、第七十一回国会において、交換公文等の取り扱い問題につき、外務省に対して、これを検討の上、当委員会に対しなるべく早い機会に報告するよう要請しておきましたところ、大平外務大臣から、本件に関し報告したいとの申し出がありますので、これを許します。外務大臣大平正芳君。
○大平国務大臣 議会制民主主義制度のもとにおいて国会の条約審議権を十分に尊重することは政府の当然の責務であり、なかんずく国民の権利義務に対し重大な影響を与えるような条約につきましては、国会の審議を十分に尽くしていただかなければならないことは言うまでもありません。このため、条約の国会提出の問題については、政府としては、このような基本的態度に立ち、日本国憲法の精神と規定に従い、十全の措置を講じていくべきものと心得ております。 昨年の第七十一回国会における日米原子力協定改正議定書の審議に際し、今後同協定第九条に定める濃縮ウランの対日供給ワクを変更する交換公文を取りかわした場合には、外務委員会理事会に御報告することをお約束し、また、国際ココア協定の審議に際し、同協定のごとき国際商品協定締結につき国会の承認を求めている場合に、やむを得ざる事情により国会の承認に先立ち政府がとった暫定的適用措置に関しては、これをすみやかに外務委員会に御報告する所存であることを申し上げたのも同じ趣旨によるものであります。 このほかに、先国会においては、より一般的な問題として、交換公文等の取り扱いぶりにつき外務省に対して検討方御要望があり、政府としての結論を得次第御報告することといたしました。本件については、政府は、その後も鋭意検討を進めてまいりましたが、本日は、本件に関する政府の見解を御報告申し上げます。 本件に関し外務委員会において提起された問題は、具体的には、憲法第七十三条三号に基づき、その締結につき国会の承認を経るべき条約の範囲は何か、及びその他の国際約束のうち、一定のものについては国会に報告すべきではないかとの二点に集約されると考えます。 第一の国会の承認を経るべき条約についてでございますが、憲法第七十三条三号にいう条約は、単に何々条約という名称を有するものに限られませんが、他方、政府が締結するすべての国際約束をさすものではありません。この点については、わが国の憲法学説も一致して認めるところであり、また、わが国と同じく議会制民主主義制度を採用している諸外国の憲法及び慣行においても、一定範囲の国際約束は行政府限りで締結し得ることとされております。わが国の憲法上、いかなる国際約束が国会承認条約に該当するかについての政府の見解は、次のとおりであります。 国会承認条約の第一のカテゴリーとしては、いわゆる法律事項を含む国際約束があげられます。憲法第四十一条は、国会は国の唯一の立法機関である旨定めております。したがって、右の憲法の規定に基づく国会の立法権にかかわるような約束を内容として含む国際約束の締結には当然国会の承認が必要であります。ここでいう国会の立法権にかかわるような約束を内容として含む国際約束とは、具体的には、当該国際約束の締結によって、新たな立法措置の必要があるか、あるいは既存の国内法の維持の必要があるという意味において、国会の審議をお願いし承認を得ておく必要があるものをさすものであり、領土あるいは施政権の移転のごとく、立法権を含む国の主権全体に直接影響を及ぼすような国際約束もこのカテゴリーに入ると考えられます。 次に、いわゆる財政事項を含む国際約束も国会承認条約に該当いたします。憲法第八十五条は、「國費を支出し、又は國が債務を負擔するには、國會の議決に基づくことを必要とする。」旨定めております。したがって右の憲法の規定に基づき、すでに予算または法律で認められている以上に財政支出義務を負う国際約束の締結には国会の承認が得られなくてはなりません。 第三のカテゴリーとして、ただいま申し上げたような法律事項または財政事項を含まなくとも、わが国と相手国との間あるいは国家間一般の基本的な関係を法的に規定するという意味において政治的に重要な国際約束であって、それゆえに、発効のために批准が要件とされているものも国会承認条約として取り扱われるべきものであります。特定の国際約束に拘束される旨の国家の意思表示の形式としては、批准、受諾、承認、署名等がありますが、これらの諸形式のうち、批准は最も重い形式とされており、一般に、締結国相互間あるいは国家間一般の基本的な関係を法的に規定するという意味において、当事国により政治的重要性を有すると認められた国際約束は、批准を発効要件とすることが国際的な慣行になっております。このように批准条約は、国際的に条約として典型的なものでありますので、わが国の憲法上も、かかる国際約束の締結については国会の承認を経るべきものと考えます。 次に、その他の国際約束について申し上げます。 国会承認条約に該当するかどうかの基準は、以上申し上げたとおりでありますが、他方、すでに国会の承認を経た条約や国内法あるいは国会の議決を経た予算の範囲内で実施し得る国際約束につきましては、行政取りきめとして、憲法第七十三条二号にいう外交関係の処理の一環として行政府限りで締結し得るものであります。なお、多くの行政取りきめは、交換公文という形式をとっておりますが、行政取りきめであるかいなかは、かかる形式いかんによるのではなく、あくまでも、その内容が前述のような国会の承認を要する国際約束に該当するかいなかによることは、申すまでもありません。 ところで、行政取りきめであっても、国会承認条約を締結するに際して補足的に合意された当該条約の実施、運用あるいは細目に関する取りきめについては、政府は、国会の条約審議権尊重のたてまえから、当該条約の国会審議にあたっては、従来から、国会に参考としてこれを提出してきております。政府としては、今後は、この趣旨を一そう徹底させ、条約自体について国会の承認が得られた後に結ばれた同種の行政取りきめについても、当該条約を承認した国会として、その条約がどのように実施あるいは運用されているかを把握しておく上で必要と思われる重要なものは、締結後できる限りすみやかに外務委員会に資料を提出することといたしたいと存じます。 ————◇—————
○木村委員長 国際情勢に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石原慎太郎君。
○石原委員 昨今日本の外交に非常にいろいろな問題が続いてございました。これに対して外務省の対処の不備が云々されておりますし、また、それについていろいろな憶測、批判もございます。私は、非常に誤解と毀誉褻貶の多い青嵐会の一員でございますが、これを単に党内の政治的な抗争の次元でとらえたりすることは、非常に慎重を欠き、事の本質を見のがすおそれがあると思います。そしてまた、一連の日本の外交の不備としか言いようのない問題も、一人の次官の更迭では片がつかないと存じます。 そこで外務大臣に、今後の日本の外交の基本的な、本質的な問題についてまずお聞きしたいと思いますが、日本に限らず、各国の内政あるいはそういった国々をたばねた国際情勢を形づくるいろいろな要件というものは、非常に本質的に、歴史的に変化してまいりました。この状況の中で、どの国にとっても、外交が単に外交だけでは外交になり得ないという状況ができ上がっていると思います。日本に関しましても、たとえば大蔵、通産あるいは農林、日銀といった他の部門とのもっと強く厚い合理的なコオーディネーションがなくては外交が外交として成り立たないという気がいたしますし、そのためにも非常に強いリーダーシップというものが必要になっているという気がいたします。早い話が石油でありますけれども、当然外交に関係がございますが、昨年のありさまを見ましても、大蔵省の通関統計では石油が入っているという資料が通産省に回されているのに、何の思惑でか、通産省がそれを握りつぶしてあのパニックが起こり、個人タクシーの運転手が自殺をし、結果残ったものは個人の死であり、あるいは値上がりであった。そしてまたそれがある人々にとっては、どうも拙速としか言いようのないアラブ外交の非常に大きな転換にインパクトをかけたという事実も残っているという気がいたします。 そこで私はまずお聞きしたいのは、こういった各部門をたばねた外交のための強いリーダーシップ、そのためにまた政府が、一体日本がこれからどういう国になるべきなのか、どういう社会を標榜するのか、何を国家として指向するのかという、その基本線というものをここら辺で新しい歴史意識にのっとってはっきりと打ち出されないと、実は外交が外交として進まず、そういった各部門のコオーディネーションも合理的に行なわれないという気がいたしますが、この問題について外務大臣の基本的なお考えをまずお伺いしたいと思います。
○大平国務大臣 日本の国がどういう国であるべきかという問題はたいへんむずかしい問題でございまして、にわかに御答弁ができる用意はないのでございますが、外交のことについてのお尋ねでございますので、日本の外交の任務はどういうことかということでごかんべんをいただきたいと思いますが、日本の国の名誉、生存、安全を外に向かって守ってまいることが日本の外交の基本的な任務であると私は思います。 そのためには、石原さんもおっしゃるように、まずそういう重大な任務にこたえるためには、国内がまとまった姿においてあることが一番望ましいと考えるのであります。しかし、国内にはいろいろの考え方もございますし、いろいろの機関もありまするし、国内のコンセンサスを求めるということは容易ならぬことだと思うのでありますけれども、外交の衝に当たる者といたしまして、最大限の努力をもちまして日本の名誉と生存と安全を守っていくために国内的なまとまりを最大限につくり上げて、それを踏まえた上で事に当たるようつとめなければならないと考えております。
○石原委員 次に幾つか具体的な問題についてお伺いしたいと思いますが、この二、三日非常に物議をかもしております例の天皇御訪米の錯覚の問題について一問だけちょっと触れてお聞きしたいと思います。 これは後にいろいろな方がいろいろな御質問をされると思いますので、私、一点だけお聞きしたいのですが、この問題についての外交当事者の基本的な理解についてややちょっと疑問といいますか疑念を持ちますので、それを伺いたいのですが、天皇の国事行為というのは憲法の七条に規定されておりまして、内閣の助言と承認によって行なうとございます。この内閣の助言と承認というのは、あくまでも内閣の連帯ということでございまして、一人の国務大臣の責任ということではないと思いますが、国事行為に関してはいろいろな解釈がございますけれども、通説の中に幾つかカテゴリーがありまして、いずれにしても、たとえ私的な行為であろうと、それが政治的な意味を強く持つときには内閣の承認、助言の必要を要するというのが通説でございます。もちろん天皇の外国御訪問が国事行為であるという認識でさきのヨーロッパ御訪問にも外務大臣が同道されたのだと思いますが、今回のこの問題で、日米共同声明で、その解釈に錯覚があったにしろ、それを再確認するというお話し合いの前提に、内閣の承認なり助言という形での事前の手続が必要であったのかなかったのかという点についてお伺いしたいのです。 それは昨年天皇の御訪米が、御案内のようにウオーターゲート事件その他いろいろな問題がアメリカの社会にあるということで延期になりました、そしてウオーターゲート事件自身がいまだに解決しないまま、ますます混乱をきわめ、新しい要素も加わって、いつ解決のめどがつくかどうもわからぬという感じでございます。この内外の諸情勢に新しい要件が加わった時点で、共同声明を、ある錯覚があったにしろ、そのまま再確認されるというためには、宮内庁のお話なり閣議での話し合いが必要でなかったのか、必要がないという御判断であったのか、それとも必要が実際にないのか、その点についてお伺いしたいと思います。
○大平国務大臣 私の理解するところでは、天皇につきまして三つのお立場があられると思うのであります。一つは、石原さんが御指摘になりました国事行為をされる立場、これはまさに内閣の助言のもとで憲法の規定に従って遂行される仕事でございます。もう一つは全く私的なお立場でございまして、それから第三のお立場は、国家の象徴としてのお立場における公的な御行為であるという三つのカテゴリーが考えられるのではないかと考えております。いわゆる外国御訪問あるいは国体への御出席等そういうものはこの第三のカテゴリーに属する、国事行為ではないという解釈を政府はとっておるわけでございます。しかし、国家の象徴としての公の行為につきましては、従来内閣が所掌いたしておりまして、宮内庁の御都合等を聞きまして内閣がその仕事に当たるということになっておるわけでございます。したがって、これに内閣の助言と承認という憲法上の要件というものは、直ちにこの第三のカテゴリーの御行為には結びつかない性質のものでないかと私は解釈いたしております。 それから外交との関連でございますが、実はいま問題になっておりますことは外交問題ではないのです。世間では錯覚外交といっておりますけれども錯覚外交ではないのでございまして、つまり日本政府とアメリカ政府との間には何ら食い違いがないわけでございまして、いま私が御報告申し上げたとおり、邦人の記者会見で私に対して両陛下の御訪米はいつになるのですかという、これは全く国内の内政問題だと私は思いますが、それに対しまして私が、本年中という時限を画して実現するのではなかろうかということをお答えいたしましたが、しかしそのことは確かに私の行き過ぎでございまして、先ほどずっと御報告も申し上げましたとおり、政府はいまその問題について白紙でおるわけでございまして、宮内庁とも折衝を始めておるわけじゃございませんし、またそのことについてアメリカと具体的な日取り等につきまして外交折衝も始めておるわけじゃないわけでございます。ありとすれば、去年の夏の日米共同声明にうたわれておることが、時期は限定してございませんけれども、近い将来両国に都合のよい時期ということがうたわれてあるわけでございます。したがって私は、あとで直ちにそれを訂正を求めたわけでございまして、私が発育してから訂正するまで私の行き過ぎた発言があった、生きておったということでございます。しかし訂正をいたしたわけでございますので、そのことは事実として残っておるわけでございます。そういう経緯でございますので、事は外交問題ではなく国内の問題であるというように私は考えております。
○石原委員 私の質問の意味をちょっとずれておとりになったような気がいたしますのですが、あるいは私の質問は外務委員会というよりむしろ内閣の委員会でなさるべき問題かもしれませんが、私がお伺いしたいのは、その共同声明の内容について錯覚をされた云々のことではなくて、つまりキッシンジャー国務長官とのお話し合いの中に、もともと今度の御訪米はワシントンの会議が主な用件だったと思いますけれども、いずれにしても日本の元首の去就に関する、しかもそれがさきに出させた共同声明の中にうたわれたものであるにしろ、それの再確認をこの内外情勢の中でされるということに政治的な意味があるのではないか。その政治的な意味を持つ再確認について、つまり単独でなされてよろしいものか、それとも一応内閣なり宮内庁とのお話し合いが前提にあるべきものではないかという形でお伺いしたわけでございます。ちょっと時間がございませんので先へ急ぎますが、そう私の質問を御理解いただきたいと思います。 外務省の国際問題に関する予見性のなさとあえて申し上げますが、いろいろな点で指摘されておりますけれども、私、いろいろな被害を国民にもたらしましたさきの例の石油パニックに関しましても、何か打つべき手が打たれず、考えられるべきことが考えられずに非常にラジカルな形で外交の転換がなされたという気がしてならない。昨年のあの一連の石油危機といわれた事件の中で、外務省が中近東に特使を送られる前に、アメリカ側とどういう話し合いをされたかということが私よくわかるようでわからないのです。 ここに十月三十日に発動されました、これは六七年の動乱とさらにその前スエズ危機がありましたときに発令されまして今度で三度目でございますけれども、ディフェンス・プロダクション・アクトという緊急発令が行なわれました。これについて外務省はどのように評価され、これについてどういう折衝をされたかを伺いたいと思います。私、あるいはこれは防衛庁の問題ではないかと思って防衛庁に聞きましたが、防衛庁はそのような法律がアメリカにあるということも知りませんでした。
○大河原(良)政府委員 一番最後の御質問のアメリカのディフェンス・プロダクション・アクトについて御答弁いたしたいと思います。 この法律は、一九五二年に制定されました法律でございまして、昨年の秋に国防省はこの法律に基づきまして、アメリカの民間会社から千九百七十万バーレルの石油を国防のために供出を命ずという措置をとったわけでございます。
○石原委員 そういう法律の内容については私のほうがいささか詳しいかもしれませんが、もっともっと多角的な措置が可能な法律なんです。たとえば、日米安保というものの重要性をこれをきっかけにキャンペーンするということばはなにかもしれませんが、そういうものの認識、日米安保の重要性の認識の一つのてこになり得るような法律でありますし、また今回のオランダに対しては非常に多角的な要するに石油の供給の体制をしいた。軍事だけでなしに民間の使用量までアメリカはこれを供給してもいい。オランダはこれを断わって、ECにまずたよってみる、ECがたよりにならなかったらアメリカにたよると返答したわけであります。これは六七年の例のスエズ動乱のときにも、NATOに対して非常に多角的な要するに援助体制というものをとる準備をした。またそれだけのポテンシャルを持っていた。アメリカ自身が非常に大きな産油国でありまして、いま実際に油を掘っていない海軍関係の非常に大きな油田というものを、この法律が発令されて場合によっては動かすというものもその条項の一つに入っているわけであります。 しかし、日本はオランダと比べて非常にたくさんの石油を消費する国でありますから、このディフェンス・プロダクション・アクトにのっとって、アメリカの防衛の上でのバイタル・インタレストである日本が、軍事的だけではなしに民需の上でも石油が断たれると混乱を起こす、それがアメリカにとって不利であるということで、日本側は民間、軍需で使っている石油を全部この法律で供給しろということはできないにしても、私がお聞きしたいのは、こういう法律というものをどのように認識され、それが日本のために役立たせられるという可能性について何らか的確な打診というものをワシントンとされたのでしょうか。
○大河原(良)政府委員 十一月の中旬にキッシンジャー国務長官が訪日をいたしました際に、大平外務大臣からは在日米軍の使用いたしております石油の調達の問題について問題を提起してございます。これに対しましてキッシンジャー長官は、この問題を帰国の上とくと検討したいということを言って帰ったわけでございますけれども、その後国防省はただいま御答弁申し上げました国防生産法を発動いたしまして、国防用に千九百七十万バーレルの石油の調達を命じたわけでございます。これとの関連におきまして、米政府は在日米軍の使用いたします石油製品の調達につきまして、日本の国内からは事実上調達を中止するという措置をとりまして、一月の十八日にその旨を日本側に通告いたしてきております。したがいまして、私どもの了解いたしておりますのは、国防省がこのような国内措置をとり得たことによりまして、在日米軍は事実上日本から、日本の国内において石油製品の調達を行なう必要がなくなった、こういう事情にあるというふうに考えているわけであります。
○石原委員 そうしますと、間接的には日本に対する援助になったわけでしょうが、さらに日本自身の軍需なり、場合によっては民需の、そういう石油に対するアメリカの国防策にのっとった供給というものの、その法律のアローアンスというものはあるのですかないのですか。また日本の場合にはその可能性が考えられたのでしょうか考えられなかったのでしょうか。
○大河原(良)政府委員 問題は二つあるかと存じますが、一つはアメリカ政府がメジャー、石油会社に対していかなる指導力を及ぼし得るかという問題と、もう一つはいまの国防生産法に基づきましてとられた措置が日本に対してどういうふうな影響を及ぼし得るかということであろうと思います。 まず第一のメジャーとの関係におきましては、キッシンジャー長官は日本から帰りました後、十一月の十九日にメジャーの代表をワシントンに呼びまして、石油問題の話し合いを行なっております。しかしながら、メジャーが政府の指導によりましてどういう措置をとり得るかということにつきましては、いろいろな制約があろうかと思います。したがいまして、直接的には在日米軍が日本での石油製品の調達を事実上中止したということが一番大きな意味を持ってきているというふうに考えるわけであります。
○石原委員 外務大臣にお伺いいたしますが、先般のワシントン会議で、日本はいままでの外交、ああいう国際会議の中で珍しくある一つの役割りを果たしたという評価がされているようであります。私もそういう気がいたしますが、ちょっと時間がございませんので私の質問を羅列いたしますから、ひとつ御記憶の限りお答え願いたいと思います。 結局、二国間取引についてある部分認めるという形になったようでございます。それも国際秩序を乱さぬ範囲でということでございますが、この国際秩序、ルール・オブ・コンダクトですか一これはそも一体何を意味するのか。これについて大臣はどのように御認識かということが一つ。そしてこれに関連することでございますけれども、この会議が持たれたあと、日本の二国間取引というものがどのように行なわれるべきかということです。産油国のパーティシペーション・オイルというものが認められているわけでありますが、この売り方が一体このワシントン会議のあとで産油国に対してどのように求められるのか。たとえば、新聞で読みますと、三菱商事がナイジェリアの原油をバーレル当たり二十二ドルで契約をしたけれども、日本に持ってきて売ろうと思ったら高くて買い手がなかった、こういうケースがこれからも多々起きてくるのではないかという気がいたしますけれども、こういう問題に対して、政府が国際秩序を乱さないという指針の上で現実に一つの姿勢を示す責任があると思います。こういう問題について、大臣はどのようにお考えかということをお聞きしたい。 それから、今後の対策としまして、直接取引というものを認めてある程度行なうならば、輸入公団のようなものをおつくりになる構想、これはもちろん通産省なりとのコオーディネーションの上でのことでございましょうが、その問題についてどのようにお考えでしょうか。
○大平国務大臣 今度のワシントンにおけるエネルギー会議というのは、エネルギー危機について意見の交換をいたし、今後これに対してどう対処するかのアレンジメントを考えるのが主たる任務でございまして、いま御指摘の石油問題の実態につきまして解決の方途をそこで求めるというものではなかったのであります。今後この実態問題につきましては、各国際機関がOECDその他で手を染めておることでもございまするし、今度この会議の結果できましたコオーディネーショングループというものがそれをモニターし、そういう仕事をアナライズいたしまして、その間でだんだんと実態問題についての解決の方途を探っていこうということになっておるのでありまして、二国間取引をどうするか、それからパーティシペーション・オイルの幅がだんだん大きくなっていった場合にこれをどう受けとめていくかというような問題について、具体的に答えを出した会議ではないのです。 ただ共同声明に二国間取引と国際秩序に触れたアイテムがございます。これは各国代表の演説の中でも、やはり二国間取引について自主性を主張する向きもございまするし、またそれに対して、そのためにせっかく築き上げた国際秩序というものが乱れていくということになりますといけないという反省もあります。したがって、演説等にあらわれました思想というものをああいう姿であらわしたものでございまして、それをどのように具体的な政策の体系にしてまいるかという作業は、これから先のことになると思います。 それから、たとえば輸入公団のような機構が日本に要るのではないかということでございます。これにつきましては、政府の中でもいろいろ寄り寄り検討はしておるのでございますけれども、まだ考え方は固まっておりません。ただ、何か公的な機関が要るのではないか、さてそれはどういうものであるべきかというような点が、いま主管省をはじめといたしまして検討されておるという状況でございます。
○石原委員 どうも時間がないので飛び飛びになって申しわけないのですけれども、今後のスケジュールを見ますと、核拡散防止条約という非常な大ものがスケジュールに入っております。私は、私の知る限りでこれほど重要な意味を持つ条約でありながら、これほど国民的な論議の対象にならなかった条約もないと思う。これがこつ然と今度の国会にタイムスケジュールに乗ってあらわれたわけでありますけれども、そのためにこれから審議も尽くされるでしょうが、しかし今度の国会の態様を見ましても、時間的に非常に問題があるような気がいたします。大臣、たとえば自民党の中でもこのための特別小委員会が設けられて実は一回も開催されていないという現状でございます。それは別にしましても——それを含んでもけっこうですが、この条約について、はたしてこの国会で批准するに足るだけの国民的な討論がいままで十分に行なわれたとお考えでしょうか、それともまだまだ足りないとお考えでしょうか、それだけお伺いして質問を終わります。
○大平国務大臣 私も、仰せのとおり論議が十分熟したものだなどとは毛頭考えておりませんで、署名の際政府が声明いたしました三つの項目につきまして十分論議が進むこと、とりわけ平和利用につきまして実質的な平等が確保されること等が十分得心がいくまで措置がとられまして、そして国会の御審議を求める段取りにすべきだと考えております。
○石原委員 終わります。
○木村委員長 石野久男君。
○石野委員 私は、きょうはアラブ外交の問題でお聞きしたいと思っておりますが、その前に幾つか問題もございまして、二、三先にお聞きしておきたいと思いますことは、日韓協定として調印されたといわれる大陸だなのことをお聞きしたいのでありますけれども、これは後日また同僚の河上委員からお聞きすることになりますので、日中航空協定についてお聞きしておきたいと思うのです。 外務大臣は田中首相から、本件については自民党四役と今後の進め方について相談してほしいと指示を受けた、こういうふうに伝えられておりますが、報道のいかんにかかわらず、このことは一日も早く解決が期待される問題であります。ところが、伝えられるところによりますと、自民党内のお家の事情もこれあり、日中航空協定を本国会で批准することの可能性は非常に乏しいともいわれておりますが、大臣は今国会へこの日中航空協定を提出される御意思があるか、またあるいは見通しはどのようにお持ちになっておられるか、先にお聞きしておきます。
○大平国務大臣 私といたしましては、できるだけ早く成案を得まして、国会に提出して御審議を仰ぎたいと考えておりますが、日中航空協定自体の問題でございませんけれども、それに関連いたしました日台航空路線を正常化後の条件の中でどのように維持してまいるかという問題がまず解決されなければならぬわけでございまして、その件につきまして政府部内、また与党の間で御相談が行なわれておったわけでございます。そして今後の道行きといたしましては、いままで得られた了解の上に立ちまして、まず手順といたしまして、日台路線の維持は民間協定でやるということでございますので、民間協定の瀬踏みをいたさなければならないのではないかと考えておりまして、その模様を見ながら、今度は日中航空協定の本体についての外交折衝というものがその次に待っておるわけでございます。それに手を染めなければならぬと考えております。 今国会との関連でございますが、これは成案を得て御審議をいただかなければなりませんので、いま私が答えられることは、一日も早く成案を得るように努力いたしたいということでございます。いつまでに成案が得られるかというめどは、いま私には自信を持って答えられませんが、できるだけ急いで成案を得たいと思っております。
○石野委員 本件については昨年の国会、特にこの委員会で、大臣は年内にそれを済ませたいということを答弁しておると思います、いま議事録を持っておりませんが。その当時の考え方といまの御答弁とはやはりたいへんなズレもありますし、それから日中共同声明の趣旨からしましても、そのことは国民の期待にも反すると思います。大臣が見通しを、ないという事情は那辺にあるかわかりませんけれども、しかしいまの大臣の御答弁からしますと、今国会には日中航空協定というものは提案する見通しが立たないのだというふうに判断しましてもよろしゅうございますか。
○大平国務大臣 去年の発言といまの発言と違っていないのでして、いつも私は一貫した希望を持ち、鋭意努力いたしておるわけでございます。 それから、今国会云々の問題につきまして、今国会に出せるように努力するのは当然なことでございまして、その成案を一日も早く得るように努力しておる、努力していきたいと考えておるわけでございます。
○石野委員 いろいろと党内事情等もあるようですし、その点について私たちは、まあ自民党内の事情というものはどのようにあろうとも、航空協定というのは日中の国交回復が行なわれた後にまず最初にやらなければならぬものだという常識をみな持っておったわけです。それが今日までおくれているということについて、今後の問題、いわゆる両国間の友好増進の上からいってもやはりたいへん問題を残しておると思います。 私はこれはもう一度お尋ねしておきますが、私の希望としては、またわれわれの希望としては、これはもう共同声明発表後一年以内には何とかしたいという政府のかねてからの方針もあり、それがもうやがて二年になってしまうというようなことでは、国際信義の上からいってもこれにこたえることはできないと思う。大臣の努力が足りないのかどうかわかりませんけれども、私はやはり大臣としては、中国に対する約束または国民の期待にこたえるためにも、今国会には提出される努力をすべきだと思います。いま一度大臣の御所信をひとつお聞きしておきたい。
○大平国務大臣 仰せのとおりでございまして、国際信義の上から申しましても、急いで仕上げなければならぬ仕事であると心得て鋭意努力をいたしておるわけでございまして、できるだけ早く成案を得るように最大限の努力をしてまいります。
○石野委員 日中の問題について時間をとっておるときょうお聞きしたいことが聞けませんから、努力を期待します。 今回の主要石油消費国会議で共同声明を出しました。いま石原委員からの質問に対しても若干の大臣の考え方は出ておりますが、大平外務大臣は、この会議についてどういうところが成功し、どういうところが問題を残したというふうにお考えになっておりますか。
○大平国務大臣 今日の石油をはじめエネルギー資源の問題というのは、世界の経済にとって最も先鋭な、最も深刻、広範な問題であるばかりでなく、世界の政治にとりましても、また人類の生活にとりましても至大の関係がある大問題でございまして、一回の会議でちゃんとした答えが出るというように期待するのはそもそも無理じゃないかと私は考えます。けれども、今度の会議が少なくとも建設的な第一歩にならなければならないのではないかと考えておったのでございますが、そういう意味ではある成果は得られたのではないかと思います。しかし、フランスのように共同声明の重要な部分につきまして同意できないと主張いたしました参加国もございますので、今後この会議が生み落としました調整グループなるものが世界エネルギー問題の国際的協力の問題につきましていろいろな仕事をやっていく上におきまして、御指摘のように問題が残っておることは私も率直に認めるわけでございます。したがって、完全な成功であったとはいえませんけれども、しかし失敗であったと見ることもできない、ある成果をおさめ得たのではないか、そういう感想を持っております。
○石野委員 中東問題で米ソが覇権を争っているが、アメリカはイスラエルに対する影響力を利用して、サダトエジプト大統領をゆさぶりながら中東和平の道を強要する姿勢でこの会議は招集された、こういうふうにも私どもは見ております。共同声明に盛られておる内容は、資本主義社会の制度的な危機をもう恥も外聞もなくさらけ出しているものだというふうに私たちは見るのですが、いま大臣の御答弁がありましたように、フランスが共同声明の最も重要な取りきめのすべてに同意を与えていないということも、これもまた資本主義社会におけるところの帝国主義諸国間の矛盾をあらわしているものだ、こういうふうに私は思います。 フランスがこの共同声明の九項、十項、十六項、十七項に同意しなかったということは、この会議の引き継ぎ機関であるいわゆる調整グループの責務をおそらく達成できない状態に追い込んでいくのではないだろうか、こういうふうに私どもは見るのですが、外務大臣のいまの答弁であれば、何か期待が持てるようでありますけれども、そのような点について、われわれはおそらくこの調整グループというものに対する任務達成というものはできないだろうと見ますけれども、もしそれに期待が持てるとするならば、どういうような方途を大臣はお考えになっておられますか。大臣の所見を聞かしていただきたいと思います。
○大平国務大臣 あの会議は、いま御指摘の共同声明のあとのほうで会議のフォローアップとして調整グループなるものが生み落とされたわけでございまして、その任務は、できるだけ早い機会に産油国を含めた会議を持つことにする、その準備をするということが任務でございまして、そのことのための準備をいまから鋭意やってまいるわけでございます。そういう準備機関ができたということでございます。しかし、仰せのように、フランスはそれに反対をいたしておりまするけれども、しかしフランスを除くほかのECを構成する八つの国は賛成いたしておるわけでございまして、この調整グループが設立されて、それは機能するに違いないと思うのでありまして、私どもといたしましてはそれが成功するように、産油国との対話につながるように日本も努力をしていかなければならないと考えておるわけでございます。
○石野委員 おそらく努力はされても、フランスの態度等から見ましてなかなかそれの可能性の問題はむずかしかろうと私は思います。特に今度の会議が、私どもから見ますと、どうもやはりアメリカが中東における既得権を守るために特に主要消費国に動員をかけて会議が持たれたというふうに思われるし、共同声明を見ても、メジャーが石油の危機感をあおり立てて膨大なもうけをした、そして資本主義の世界経済に対して大混乱におとしいれたということについての反省というのは一言も出ていないわけですね。 それで、共同声明の中で特に現状分析の項をずっと見ますと、過去三十年にわたるエネルギー供給の増大が安易に行なわれたことを留意しても、その産油国の犠牲がどのように行なわれたか、という反省がこの中には一つも出ていないのです。それどころか、世界経済のエネルギー供給の増大の必要性は積極的な長期的解決を要請することを認めて、産油国に対し石油価格の引き上げや生産制限をなじっているようにしか見えない、そういう共同声明だと思います。これではとても産油国側が好意的な協力をこの会議に対してするということもなかろうと思います。調整グループの作業がどのように進むかは知らないけれども、こういう態度に対する反省というものが見受けられない共同声明について、その産油国側の好意的な協力を期待できる見通し、そういうものについて大臣は自信をお持ちになっておられますか。
○大平国務大臣 日本の基本的な方針といたしまして、まずなるべく早く産油国との対話の場を持つべきであるということ、それが一貫した、われわれの参加した目的であったわけでございまして、そして共同声明におきましてもそういうラインが鮮明にうたわれておるわけでございます。石野さんはそれはむずかしいではないかとおっしゃいますけれども、産油国をどうして対話のテーブルにすわってもらうかというために最善の努力をせよと御激励をいただかなければ、これはだめじゃないか、だめじゃないかと初めからおっしゃらないで、これを御鞭撻をいただきたいものと思うのです。今後、それじゃこれはちゃんと実効をあげる自信があるかと問われるならば、私は予言者じゃございませんから、そんなこと、よくわかりません。わかりませんが、そのために全力をあげて努力をしなければならぬと考えております。
○石野委員 だめだだめだということを言わないで、とこうおっしゃいますけれども、しかしあの会議が終わったあとでOPECのクバハ広報局長代理は、石油消費国会議が調整グループを形成したことは産油国と石油消費国との間の不快な緊張を生ずるおそれがあるというふうに言っているわけですよ。同時にまたケネ事務局長も、米政府の路線に何の変化も見られない、こういうふうに言って、これに対する興味をほとんど持っていない。私は産油国側が調整グループを受け入れる用意があるかどうか、実は非常に疑問に思うのですよ。 外務大臣の、どういうふうにするかということについてあなた方も協力してほしい、こういう意向はよくわかりますけれども、しかし先ほども申しましたように、産油国側に対する長い間にわたるところの犠牲の中で消費国側がずいぶんと得をしてきた、あるいは増産の方途も見出すことができたということはあっても、産油国の犠牲についての思いやりがほとんど出ていないのですよ。これではとても産油国側が好意的に対処する道は出てこないと私は思うのですよ。この共同声明のどこに、そういう点で思いやりのあるような、産油国側に対してほんとに申しわけなかったというようなことが出ているか。一つも出ていないですよ。どれもこれもみな消費国は、この状態では、高い石油ではどうにも困ります、生産制限されたのでは困りますということだけしか書いてない。そういう産油国側の犠牲に対して会議の中で何か論議になったことはございますか。
○宮崎(弘)政府委員 この共同声明におきましては、現在直面しております石油危機が世界経済にどういう影響を及ぼしているかということにつきまして、たとえばすでにIMFであるとか世銀であるとか、そういったようなところの資料も参考にして、できる限り客観的に記述されているわけでございます。特に産油国を非難するような、あるいは批判するような字句は入っておりません。それからまた、将来産油国との間で討議されなければならない、たとえば石油価格の問題であるとか、あるいは産油国に集中します外貨の問題であるとか、こういったような問題につきましては、この会議で方針を明らかにすることなしに、この問題は至急産油国と同じテーブルについて話をしたいという希望をあらわしているわけでございます。 それからまたもう一つ、この共同声明におきまして、産油国の一つでございますアルジェリア提案にかかります国連での資源を含めました一次産品問題の討議の提案につきまして歓迎の意を表しておるわけでございます。そこで、先ほど大臣から申し上げましたように、この石油問題は非常に複雑な多岐にわたる問題でございまして、このような少数の国の間で、いろいろと各国際機関で扱っております作業も勘案しまして、じみちな調査を行ない、かつまた意思疎通をはかる一つの場をつくると同時に、国連その他の場でも並行しましてこういうものの討議を行なって、どうしても一カ国あるいはあるグループの国では解決できない石油問題について、早く妥当な解決を見出すという多面的な努力をする、その一つのあらわれとしてこの会議のコミュニケは作成されたものと了解をいたしております。
○石野委員 この会議が石油問題について世界的に起きている問題をどのように解明していくかということと兼ね合わせて、日本自身がこの会議を片方でやりながら、いま局長から話がありましたように、国連の資源総会の呼びかけに応ずるということをいち早く表明した。それで、いまそのアルジェリアが提起した国連資源総会に日本が入り込んでいき、そしてそこで当然また二国間取引の問題等も出てくると思うのですね。これらについて、大臣はそこではどういうことをしようという考え方をお持ちになっておられるか、ひとつお聞かせ願いたい。
○大平国務大臣 石野さんの御質問の御趣旨がどういうところをねらわれておるのか、私にはちょっと了解がつかないのでございますけれども、日本の立場におきましては、世界のどの国よりも足場が弱いと申しますか、立場が弱いわけでございまして、あらゆる努力を結集していかなければならぬ立場にあるわけでございまして、産油国に対しまして産油国との関係調整ということも非常に大事でございますけれども、同時に石油の輸送、配給、流通に当たっておるメジャーその他の関係も看過できない問題でございまして、どういう条件をつくり上げていけば、弱い立場に置かれたわが国として相対的に一番有利な条件がつくれるか、そういうことをもう最大限に神経を緊張させて考えていかなければいかぬ問題でございまして、何がねらいかという、どこなんだというと、もうどこにも問題があると申し上げるよりほかに私はないのじゃないかと考えております。
○石野委員 大臣が言われるように、日本は石油については非常に弱い立場にある。石油だけじゃなく、エネルギー資源それ自体非常に弱い立場にある。したがって、アメリカとはだいぶ趣を異にしておるわけですが、私はいまこの石油問題について、日本が特に中東政策を含めてきわめて重要な岐路に立たされていると思うのです。まさにわが国がメジャーの立場に立つのか、あるいはまた産油国を相手にする原油直接取引の立場に立つか、そういうきわめて重大な岐路に立たされておるのではないか。このことについて、大臣はどういうふうな方向で日本の石油問題について、また資源問題についての方向を出そうとしておるか。特に昨年の官房長官談話で、アラブ産油国との調和ある関係の樹立のためのいろいろな談話が出ておりますが、その問題も含めて、メジャーの立場に立つかあるいは産油国の側との直接取引というような問題に踏み切って外交路線を展開するか、このきわめて重要な問題を外務大臣はどのようにお考えになっておられますか。
○大平国務大臣 一つの立場に立って自主的に石油政策を考えられるというような、私はそういう恵まれた立場でないと思うのでございまして、日本といたしましては、答えにならないかもしれませんけれども、日本に一番有利な立場をとらなければいかぬと思うわけでございます。メジャーと産油国の立場が対立いたしておるというように見る見方もありますけれども、石油について支配権を持つということとそれから流通の実権を持つということ、これまた一つの分業体制がそこにあるわけでございまして、共同声明にもありまするように、今後の課題としてメジャーのロール、役割りの検討という問題も、新しい事態に即して、つまり先ほど御指摘のリヤド協定の実施が繰り上げられてどんどん進められていくということになってまいりました場合に、メジャーがどういう役割りをするのがいいのかというような問題は、確かに大問題になると思うのでございます。したがって、こういう条件の中で日本といたしまして一番有利な足場をとらなければならぬのじゃないか。日本の方針はこういう方針で、損でも得でもこういう方針でいくのだというほどきっぱりと割り切るというまで勇気が私にはないのであります。
○石野委員 これは国の外交政策の問題の基本になることでもありますし、いま大臣は、どちらもとることはできない、いわゆる等距離外交の路線を守るんだというような御意向に聞きましたけれども、私の考えでは、石油問題等に関連する日本のなにはもうあいまいな等距離路線にとどまっているような時期でない、それをどちらかへはっきりしなければならない時期であろう、こういうように私は思っておる。特にアラブ問題、中東問題について昨年十一月の二十二日に官房長官談話が出ておりますが、いまの大臣のそういう考え方がその後この中東問題についていろいろな形で、たとえば三木副総理あるいは中曽根氏やその他多くの人たちが政府の代表として出ておりますけれども、基本的にはやはりアラブについてどういう立場に立つかということを中心にした政府の姿勢が出てこなければいけないと思います。官房長官の談話が出たあと、ほんとうにパレスチナの自決権を支持し、国連憲章に基づく正当な権利を承認され尊重されることのために、当面政府がどういうことをやってきたのかということが問われているときだと私は思うのです。これらの問題について政府がいままでどういうことをやってきたか、ひとつ簡単でいいですからおもだったことについて説明してもらいたい。
○鈴木(文)政府委員 パレスチナ問題は、一つは決議の二四二の中に含まれておりますが、これは難民問題の公正な解決ということで、自決権の問題に触れておりませんが、自決権は国連総会におきまして過去、昨年まで含めまして五回ほど、総会のたびにパレスチナ人民の自決権を尊重するという決議が出ております。これに対しまして日本は終始賛成の態度をとっております。ちなみにアメリカはいつも反対の立場、それから西欧諸国は棄権の立場をとっております。 それからこれも昨年、ことしにかけましてですが、パレスチナの難民が現在百五十万ほどございますが、これらに対する人道的な援助あるいは教育訓練、その他のために必要な資金の一助としまして、昨年はわが国から五百万ドル、そのうちの三百万ドルは現金でございますが、その拠出を表明し、実際にその支払いの手続が近く完了することになっております。
○石野委員 国連におけるいろいろな問題について、態度表明は決して悪いとはいえないし、また非常にいいことです。しかし、それよりもまだもっと国がやらなければならぬことなどはいろいろあるのじゃないかと思うのです。 私は、もう時間もあまりありませんのでかためて質問しますけれども、まず最初に、この段階で特に国連二四二の決議に即応するものとして、パレスチナの独立を確保するために、いまPLOは世界ではもう五十カ国くらい代表部を駐在させておりますが、日本ではこういう問題についてどういうようにお考えになっておられるか。代表部の駐在ということについて積極的に考える意思があるかどうかということをまず第一番に聞きたい。 パレスチナのPLO関係の日本に対する見方というのは、三木副総理やその他の方々が行かれて、いろいろな面でアラブ外交は前進したといいながらも、PLOは日本政府のとっている態度については必ずしもよく受けとめていないと思われます。 昨年の三月に、パレスチナ革命勢力の代表者としてかつて日本に来ておりましたPLOのWAFAという機関紙の編集長をしておりますが、同時にまたPLOの外交部長、外務大臣ですね、その役割りをしていろアンワル・アブデル・ラーマンという人のビザ、入国を日本は押えておる、拒否しておるように思いますが、そういう事実があったかどうか、これをひとつ、入国管理局の諸君が来ておると思いますから、お尋ねしたい。 それから、そういうような問題を含めて、何よりもまずPLOに対する政府の姿勢というものが積極的に出てくることがいま一番大事だと私は思うのです。それで、大臣がそういう問題についてどういうように考えており、またどういうように今後対処するかということについて、ひとつ明確な所見を承りたい。
○田中(秀)政府委員 御質問の第一のPLOの日本代表部という問題でございますが、御承知のとおり、各地に散らばっております。パレスチナ人のうち、パレスチナの解放をめざして組織されましたいわゆるコマンドの団体が幾つかございます。これに一つのワクをはめて糾合するという意味で、一九六四年にPLOができ上がっております。したがいまして、純粋に構成ということになるかどうかわかりませんが、いずれにしてもPLOの傘下にございます各団体、これはそれぞれ主義主張におそらく相違があるのではないかと思っております。それはそれといたしまして、そうしたものを代表するPLOの事務所というものがアラブの各国にはございますし、あるいはアラブ以外の東欧その他にもあるということは私も承知しておりますが、ただ正式に代表部とかあるいは支部とかいうようなかっこうに必ずしも全部がなっていないのではないか。ある場合にはアラブ連盟のアンブレラの下で活躍する、あるいはそれなりの事実上のオフィスを持ちまして活動、運動を続ける。しかも大体その運動の内容と申しますのが、広報宣伝活動であるというふうに私は承知しておるのでありますが、日本においてこの問題をどう扱うかという問題は、実は正式にPLOがオフィスを持ちたいというようなアプローチを受けたことはまだないわけでございまして、今後そのような事態が生じますれば、その時点においてそれを取り上げて検討いたしたい、かように考えております。 それから第二のアブデル・ラーマン氏の問題。このアブデル・ラーマンという人が日本におったということは承知しておりますが、これは入国管理局長のほうからあるいは御説明いただいたほうが正確であるかと思いますが、入国を拒否しているとかあるいは追放したとか、そういう事実は私どもとしては全くないというふうに了解しておりますが、この点は入国管理局長から補足説明をお願いしたいと思います。
○影井政府委員 ただいま御指摘のアブデル・ラーマン氏につきまして、私どもの記録で調べましたところでは、これは一昨年の十一月の二十二日に在日アルジェリア大使館の館員、たしか参事官であったかと思いますが、参事官として家族同伴入国、それから昨年の三月二十一日に日本から出国という記録があるだけでございまして、その後申請があってこれを拒否したというふうな事実は私ども承知しておりません。
○石野委員 時間がありませんので申しませんが、しかしPLOの機関紙であるWAFAの中にもこのことについてはこまかく出ております。そしてそこでは非常に日本の態度がけしからぬということが書かれておりますし、ことにこれの再入国の問題について、それを拒否したのは在東京のイスラエル大使館からの要請に基づくものであるとまで書かれております。これはあとでひとつもう一度調べて御回答いただきたいと思いますが、いずれにしましてもPLOの情報外交部長として、またWAFAの編集長をしている方であって、PLOはいわゆる一応の陰の政府といわれるところで、そこの外務大臣格をやっている者ですから、これに対する入国拒否ということになれば、昨年十一月二十二日の官房長官の談話の趣旨とも反することになるので、これはひとつあとで調べてもらいたいと思います。 私、大臣にもう一度お伺いしておきますけれども、PLOから日本に対して、日本にその代表機関のようなものを設置する、オフィスの設置の要請があった場合には、政府としてはそれに対処して考える、できるだけそのような処置をすると答えるというような腹がまえがあるかどうか、もう一度ひとつ大臣の所見を聞いておきたい。
○大平国務大臣 その問題でございますが、どういう人物がどういうことで入ってこられるのか、問題が提起された場合にその時点で検討してみたいと思います。
○木村委員長 松本善明君。
○松本(善)委員 最初に、天皇訪米問題について、先ほど外務大臣が言われた点について少しお聞きしておきたいと思います。 天皇訪米問題については部内で検討して慎重に処理したい、この訪米時期は白紙である、希望するという以外には具体的な申し合わせばないという趣旨のことは答えられましたけれども、私はここではっきりお聞きしておきたいのは、天皇訪米問題についてはアメリカのほうから訪問をしてほしいという希望が表明されたという段階ですか、それとも訪米計画というものはすでにあるのか、受諾をしているのか、その点をはっきりしておいていただきたい。
○大平国務大臣 先ほどの御報告で申し上げたとおり、かねてからアメリカのほうからそういう希望が伝えられてまいりまして、その後去年の夏の田中総理の訪米の際の首悩会談におきまして、共同声明第十七項にうたわれておるような双方の了解になっておると承知いたしております。
○松本(善)委員 私の問いに明確にお答えいただきたいのですが、天皇の訪米というのはもう受諾をしている、共同声明では受諾をしているということになるのかどうか、このことであります。共同声明のことばは御存じのとおり「総理大臣は、右の招待に対して深じんの謝意を表するとともに、」というだけです。きょうの外務大臣の御説明は、ここの部分は意識的か無意識かわかりませんが、読まれなかった。訪米の招待は受諾をしたということなのかどうか。
○大平国務大臣 そういう希望の表明がございます状態でございます。したがって、政府の部内で相談いたしまして、それをお受けして、いつ実行するかというようなことは今後政府部内で十分検討を重ねなければならぬわけでございまして、先ほど申しましたように、いま白紙の状態におるわけでございます。
○松本(善)委員 もう一回はっきり確かめておきますが、時期のみならず、訪米するということ自身も白紙、こういうことでいいですか。一言でけっこうです。
○大平国務大臣 さようでございます。
○松本(善)委員 それからニクソン大統領の訪日については、これはさまっておるのでありますか。
○大平国務大臣 この点につきましては、こちらの招待に向こうが応ぜられまして、七四年の末までに行きたいという意思が表明されております。しかし。七四年末までのいつにおいでになるかどうかということにつきましての外交折衝はまだございません。
○松本(善)委員 もう一つお聞きしておきます。先ほど外務大臣は質問に答えて、この天皇の訪米問題というのは象徴としての行為だ、したがって助言と承認についての憲法上の問題は起こらない、こう答えられました。そうすると、訪米というのは天皇の責任において行なわれるのかどうか、この点についての外務大臣の見解を伺います。
○大平国務大臣 御訪米のことは、両陛下の私的な御行為ではないわけでございまして、象徴としてのお立場における公の行為であるというように政府は考えておりまして、いままでも閣議で取り上げて閣議決定をもちまして事を運んでおるわけでございます。それから御推測いただきたいと思います。
○松本(善)委員 いや、問題は、私の聞いているのは、閣議決定がなされるかいなかにかかわらず、これは法律的に見て天皇の責任で行なわれることなのかどうかということです。
○大平国務大臣 国事行為ではございませんから、内閣の助言と承認は行なわれませんけれども、象徴としての立場における重要な公的行為でございますので、閣議決定が行なわれることになる。したがって、かりに何かこれに問題が起こるとすれば、それは当然内閣がその責めに任じなければならない。そういう問題が起こらないように十分配慮しなければなりませんけれども、そういう筋道の問題であろうと考えます。
○松本(善)委員 いま外務大臣は、重要な公的行為とも言われましたし、問題が起これば内閣が責任を負わなければならぬ。ということは、この天皇の訪米問題というものは明白な政治行為だと思うのです。いまそれに関する安川大使の発言がきっかけになってこれだけの政治的問題が起こっています。共産党もそれから社会党も反対、それから公明党も批判的見解を出しております。もう明白な政治的行為だと私は思うのです。天皇は政治的な行為に利用すべきでないということは憲法上の明白な原則です。この点について、大平外務大臣はこの経過にかんがみて、これは重大な政治的な事件、政治的な行為だというふうには考えないかどうか、あらためて伺いたいと思います。
○大平国務大臣 私はそう考えないのでありまして、いやしくもこの行事を政治的に利用するなどということは、みじんも政府としては考えておりません。
○松本(善)委員 私はここで押し問答しようとは思いませんけれども、まことに国民に対しては説得力のない答弁だと思います。これだけの事件になっておる天皇の訪米は、明白な政治的行為であるし、私たちは、共産党は反対であります。訪米反対でありますし、またニクソン大統領、あのウォーターゲート事件を起こして、アメリカの国民のみならず全世界にあの失態を、醜態をさらしているわけですが、そのニクソン大統領の訪日を実現しようというようなことは全く意味のない、有害きわまることだ。この点も私は反対だということをはっきり述べて、次の質問をしたいと思います。 消費国会議の問題について伺いたいのでありますが、その前に、前回の外務委員会において、三木副総理が外務大臣代理として出席をされて、若干私は石油の国有化の問題とかあるいは二国間取引の問題についてお聞きをいたしました。それについては外務大臣は報告を受けておられると思いますけれども、私はその点について若干お聞きしたいのです。 二月十一日にリビアがアメリカ系三社の国有化をし、一月三十一日にクウェートが資本参加六〇%の協定に調印をした。このことをあげて三木外務大臣代理にお聞きしましたときに、国有化の傾向というのはやはり進んでいくだろうという答弁がありました。私もそう思います。さらに二国間取引が、外務大臣も御存じと思いますけれども、どんどん拡大をしております。フランスがサウジアラビア、イラク、西ドイツがイラン、アルジェリア、イギリスがイラン、イタリアがアルジェリア、サウジアラビア、スウェーデンがリビア、イラク、デンマークがサウジアラビア等と、これはまとまっているのもあるし、それから接触中のもありますけれども、そういう二国間取引がどんどん拡大しているということは広く報道されていることであります。この点についても三木外務大臣代理は、二国間取引というのはやはり進んでいくだろう、日本もそれを進めなくちゃならぬ、特にサウジアラビアのヤマニ石油相が、日本はそういう条件があるということに対して積極的に受けとめるべきだ、そういう発言もされました。 そういうことに基づいて、大平外務大臣にお聞きしたいのでありますけれども、石油の国有化傾向が進んでいくというのはだれも認めざるを得ない点だと思います。この傾向が進むということについて外務大臣はどう考えておられるか、また二国間取引、これも拡大の傾向にあるということについて外務大臣どう考えておるか。この二点についての外務大臣の見解を伺いたいと思います。
○大平国務大臣 国連におきましても、御案内のように資源保有国の資源に対する主権の問題が問題になっておる時代でございまして、資源保有国として資源に対する支配権を主張されること、そしてその処分を通じましてみずからの国の国づくりを仕上げていこうというアスピレーションを持たれるということ、これは私は十分理解しなければならぬことであると思うのでございますし、事実そういう既存の協定が繰り上げられて資源保有国側のシェアが拡大されている傾向は歴然としておるわけである事実は認めざるを得ないと考えております。したがって、そうなればいわゆるメジャーオイルというもののほかのいわゆる。パーティシペーションオイルあるいはDDオイルというものの幅が、相対的な割合が多くなっていくということもまた当然のことだと考えます。したがって、それを産油国側がどういう方法で処分されるか、その中で二国間取引というものも一つの有力な手段に違いない、そう私も思います。
○松本(善)委員 二国間取引でありますが、政府はこれを拡大する、日本もやっていくという方向でいるのかどうか。特にサウジアラビアは、先ほど申しましたように、ヤマニ石油相が積極的な発言をしておりますし、クウェートにつきましても九ドルで日本の入札があるということの報道もあります。こういう傾向、二国間取引を進めていくという考え方であるかどうか、この点についての見解を聞きたいと思います。
○大平国務大臣 原則といたしまして、二国間取引を日本がする権利は留保しておかなければならぬことは当然だと思いますが、しかしながら、現在のところ直接取引による原油の価格がメジャーを通じた原油価格より相当割り高となっている例が相当ございます。今後産油国との直接取引による原油輸入を進めるにあたりましては、やはり前提としてその価格がどうなるかというこの価格問題の解決が必要であろうと思います。
○松本(善)委員 価格問題は重要でありますが、この価格の見通しにつきまして、DDオイルの取引の見通しについて、いま外務省でわかっている範囲でお答えいただきたいと思います。
○宮崎(弘)政府委員 直接取引の価格でございますが、直接取引が、これは国際入札に出されました場合の価格は、従来は非常に高うございまして、いわゆる公示価格をはるかに上回っていたわけでございます。たとえばバーレル当たり十七ドルとかあるいは場合によっては二十ドル前後になっていた例がございます。二国間取引の場合は、原則といたしまして、産油国側は公示価格の九三%程度の価格を希望しているようでございます。ただこれは条件いかんによってはさらに安い価格で引き渡すことも排除しないように見受けられます。この点は二国間取引に伴います、輸入国側の提供いたしますいろいろの便益、これにもかかっているわけでございますし、そのような価格の問題、それからそれの見返りと申しますか、直接間接に見返りとなるべき、具体的に申しますと日本側の提供すべき条件、こういったようなものを勘案いたしまして二国間の話し合いも継続しているものもございますし、それからまた先ほど大臣から申し上げましたように、この二国間取引が非常に極端な形でのバーター取引のようなものになって、それが国際経済秩序の維持にそぐわないようなことになる場合には、これはまたその面からも考慮しなくてはいけないということで、本件は非常に複雑ないろんな要素がございますので、政府部内におきましてももちろん通産省その他と密接な協議を行ないながら鋭意検討中でございます。
○松本(善)委員 外務大臣に伺いたいのですけれども、この石油会議ではキッシンジャー国務長官は、二国間取引の行動を、正確に言いますと、二国間取引はあらかじめ合意された行動基準に従うことが不可欠であるという趣旨の演説を消費国会議でしたということが報道をされております。これについて三木外務大臣代理にお聞きしたときには、真意はわからないけれども、もしそういうことがあればこれはできることではないという趣旨の答弁をされました。大平外務大臣はこのキッシンジャー発言には賛成をされたのですかどうか、この点について伺いたいと思います。
○大平国務大臣 わが国としては、先ほど申しましたように、二国間取引の権利は留保しておかなければならぬと考えて会議に臨んだわけでございますが、コミュニケの七号でございますが、二国間取引につきましては「閣僚は、貿易、通貨、あるいはエネルギーのいずれの分野にせよ、国家政策の推進に際しては、一方において各国の利益と、他方において世界経済制度の維持との調和を図る努力がなされるべきであることを確認した。」というのがフランスも含めての全参加国の合意でございます。したがって、あなたがいまお読み上げになられたのは、アメリカの国務長官としてのアメリカを代表しての演説であったわけで、アメリカの意見でございまして、会議の結論は二国間取引についてはいま私が申し上げましたコミュニケの七号にその精神が盛り込まれておると私は解釈をいたしております。
○松本(善)委員 私もそれは承知の上でお聞きしているわけですが、もっと正確にお聞きしましよう。キッシンジャーの意見には反対だということですか。反対だということかどうか。
○大平国務大臣 つまりこの会議で、その実体問題を議論する場がそこまでいきませんでして、全体のアレンジメントをやった会議であったことは、先ほど石原さんの御質問に答えたとおりでございます。しかし、いろいろな代表の演説もございますし、危機の認識それから国際協力を進めなければならぬという共通の問題意識もあったわけでございますので、共同声明におきましては、そういう中でみんなで合意できる事項につきましてコミュニケに盛り込んだわけでございまして、二国間取引について詳しい討議の場を持ちましてそういう意見は賛成だ、そういう意見は反対だとかいう場面を持ったことはないのでございます。
○松本(善)委員 私のお聞きしておりますのは、消費国会議の経過はわかりました、いま外務大臣は、このキッシンジャーの意見に反対なのかどうかということをいまお聞きしているわけです。おわかりですか、質問の意味が。
○大平国務大臣 その演説の文言だけから一体どういうことを言っておるのか、実体を踏まえないと賛成とか反対とかいうことは言えないわけでございますが、少なくとも日本の態度といたしましては、いまあなたにお答え申し上げましたとおり、二国間取引につきましては、それをやり得る自主的な権利というものはちゃんと留保しておかなければならぬと思っておりますが、一方におきまして国際的な節度というものもわれわれは心得ていかなければならぬという心がまえでいまおるわけでございまして、二国間取引ができないようなそういう窮屈なことでは困ると考えております。
○松本(善)委員 外務大臣、私は直接出席をしてキッシンジャー演説を聞かれた外務大臣にお聞きしているわけなんです。これはキッシンジャーも、「米国は個別取引をする主権国家の権利に異議をさしはさむものではないが、こうした取引はあらかじめ合意された行動基準に従うことが不可欠であると考える。」こういっているわけですよ。この報道が違っているなら違っている、キッシンジャーはこういうことを言ったのだというならはっきりここで言う、国民に対して報告する義務があるでしょう。その報道が間違っているのか、間違っていなくてそのとおりであるならば、それに反対なのか賛成なのかということをいまお聞きしているわけですよ。明確にお答えいただきたい。
○大平国務大臣 その文言だけからは賛成、反対は出てこないと思うのです。その行動基準というものが一体何なのかという内容の説明がないわけでございまして、それから直ちに明快な評価は私はできないと思います。
○松本(善)委員 そうすると、この行動基準の内容いかんによってこのキッシンジャーの意見にも賛同できる、こういう意味ですね。
○大平国務大臣 さようでございます。
○松本(善)委員 もう一つお聞きいたしますが、この行動基準については、キッシンジャー国務長官は、この共同声明でいわれております調整グループで検討すべきだというふうに言っている。日本はこの調整グループでこの行動基準の内容について討議をする考えなんですか。
○宮崎(弘)政府委員 調整グループがいずれ開かれることになると存じますが、その際に、私どもといたしましては、まず第一に産油国との対話、同じテーブルについて産油国と石油問題全体の話をするということにプライオリティーを置いて調整グループで対処したいと思っております。この調整グループでそのほかの問題もあるいは議論されることかと存じます。 しかし、いま御指摘の二国間取引の問題につきましては、先ほども御説明申し上げましたように、非常に複雑な多面的な要素がございまして、アメリカもあるいはまたヨーロッパもここのコミュニケに書いております原則については合意いたしましたけれども、それをしからばどういう基準で具体的に原則を打ち立てていくべきか、あるいはそういう原則を打ち立てないでこの抽象的な一般的な原則に基づいて各国が独自に行動するか等々につきましては、意見が煮詰まっておりません。したがいまして、さらにそういうような具体的な提案がいずれかの国から出てまいりました段階におきまして、十分これを検討いたしまして、方針を立てたいと存じております。 かつ、日本側におきましては、そういったような具体的な準則をどうすべきやについては、内々にはいろいろ考えておりますが、そういう場で持ち出したことはございません。
○松本(善)委員 そうすると、外務大臣に確かめておきますが、この調整グループで行動基準についてどこかから提案されれば、それについて討議をする用意がある、考えでいる、こういう趣旨で伺っていいですか。外務大臣から御答弁をいただきたい。
○大平国務大臣 内容をよく吟味して考えてみたいと思います。
○松本(善)委員 行動基準について検討するという考え方でいるのかという点です。消費国会議に出て、そこでそういうことを討議をするという了解で、そういう考え方でいるのかどうか。
○大平国務大臣 はっきりと行動基準というようなものが持ち出されるかどうかもわかりませんが、いずれにいたしましても二国間取引問題につきましては、調整グループで問題になった場合十分検討いたしてみたい。そしてわれわれといたしましても、日本の立場を考えまして、十分腹を固めていかなければいかぬと思いますけれども、まだそういう点につきましては部内で十分検討いたしてみたいと思います。
○松本(善)委員 行動基準というものが持ち出されない可能性もあるのかどうか。それからわが国としては、二国間取引というのは当然の権利として、そういうワクをはめられないというかまえでいるのかどうか。私はそうすべきであるというふうに思いますけれども、その二点についてお答えいただきたいと思います。
○大平国務大臣 行動基準という姿で持ち出されるかどうかわかりません。 それから第二点の問題は、私どもも参加いたしましてコミュニケに合意いたしたわけでございますから、そこのコミュニケにうたわれておることに責任を持たなければいかぬと思います。
○松本(善)委員 時間がありませんので、最後に一つお聞きしておきたいのは、韓国の問題であります。これは、金大中氏の出国がほとんど可能性がないということを韓国の外務大臣が言った。そうしますと、これは、金大中事件についてはもう何ら解決されていないということになるのじゃないかというふうに思うのですが、この点についての見解を一つと、それからもう一つ伺いたいのは、この二月四日に朝日新聞が韓国内で配布を禁止をされました。私どもは、これは言論の自由に対する弾圧であるというふうに思います。この前に読売新聞の支局が閉鎖をされた件もあります。この双方について、その後外務省が何らかの折衝を韓国に対してしたかどうか、抗議的な申し入れをしたかどうか、この点について伺ってみたいと思います。この二点です。
○大平国務大臣 金大中氏の問題でございますが、ニューヨークタイムズに記事が出まして、松本先生がいま指摘されたようなニュアンスの記事が出ましたので、先方の外務省に照会をいたしましたところ、日韓閣僚会議後、金外相と私とがお目にかかった際に申し上げたとおりでございますということで、そしてその考えに変わりがないという答えでございました。私と金さんとの話の間では、同氏は韓国市民としての出国を含めての自由を享受いたしておる、出国問題につきまして一般市民と比べ金大中氏なるがゆえに特におくらすつもりもないという答えでございまして、そのとおりの態度であるということでございました。 第二の点につきましては、政府委員から答弁いたします。
○高島政府委員 松本先生の第二の御質問は、昨年の読売新聞社のソウルにおける支社の閉鎖の問題と、最近におきます朝日新聞の輸入停止の問題かと思いますが、第一点につきましては、昨年読売新聞支社の閉鎖の問題があった当時、言論自由の立場からきわめて遺憾なことであるということでもって、韓国政府に対して日本の政府の意見を申し入れてございますが、その後特別にこの読売支社の問題につきまして具体的な話は進んでおりません。 それから、第二の朝日の問題につきましては、向こうのとった措置につきまして、内容のクラリフィケーションを求めたことはございますけれども、これに対しまして特に日本政府のほうから抗議というようなことを申し述べたことはございません。
○松本(善)委員 時間がないので、最後にお聞きしておきますが、外務大臣にお答えいただきたいのですが、その朝日新聞の問題について抗議ないし申し入れをする考えがないかどうかということが一つ。いままではやってないようですが、その考えはないかどうか。 それから、この読売新聞や朝日新聞の問題、金大中事件ということを含めて、私は前に総理大臣にもお聞きいたしましたけれども、韓国が一体自由と民主主義の国なのか、こんな自由と民主主義の国はないんじゃないかということをお聞きしましたけれども、この点についての外務大臣の見解を聞きたいと思うのです。二つ、お願いします。
○大平国務大臣 朝日新聞の問題につきまして、ただいま政府といたしまして、特に先方の政府に措置をとる考えはございません。 それから、韓国の国柄につきましての、どう判断するかということでございますが、外国のことでございまして、私からそういうようなコメントをいたしますことはあまり適当でないと思います。総理大臣が申し上げておる以上に申し上げることは差し控えたいと思います。
○松本(善)委員 終わります。
○木村委員長 渡部一郎君。
○渡部(一)委員 私は、最近の外務省の数々の外交上の失態があまりに重なっておりますので、きょうは、あと始末をするためにも、その重要な部分についてはちょっとお話をしなければならぬと存じております。 おず、天皇陛下の訪米の問題で錯誤を来たした件、また日ソ共同声明の脱落の問題、日中航空協定の自民党内における騒動、また沖繩における米軍基地の返還にあたり、これを国会に報告せずに審議を強行しようとした沖繩特別委員会におけるエラー、金大中事件のあと始末のできなかったこと、また韓国における金烏工高の援助に関し交換公文を秘密に結びながらこれを当委員会に報告しなかった件、またアラブ方面に対し千数百億という巨額なお金をばらまきながら、油を得るためとはいいながら無制約、放らつなる行動を行なった件、並びに東南アジアにおいて暴動を激発するような外交をやった件、並びにこれら諸問題に関し、信賞必罰が明らかでない上、いきなり事務次官の交代をするというような妙なやり方の人事収拾案をつくった件、どれをとってみても、日本の外交が混乱をしておるという感じを受けないものはないと私は思うわけであります。 いま私が述べた九つのエラーに対し、まず外務大臣はどう思っておるか、基本的にその思っておられる見解を述べていただきたいと存じます。
○大平国務大臣 一つ一つの案件、御指摘になりました案件はそれぞれ重大な問題であると存じまして、私といたしましては、私の力量におきまして最大の注意を払って実行してまいったつもりでございますが、いろいろな御批判を受けておりますることにつきましては、私の不明、不徳のいたすところと考えております。
○渡部(一)委員 私は、外務大臣が個人的には火災にあわれたり、あるいはかぜを引かれたり、この時期災難が続いておられたことに対しては、深い同情を寄せておる一人であります。しかしながら、この間のたるみは少しひど過ぎたのではないかと私は思っております。そこでまず私は、一つずつ問題をあげまして、話を少しずつ整理をいたしてまいりたいと存じております。 まず、私が申し上げたいのは、どうも解しかねますのは、この間から諸外国に対しお金をばらまく外交を強行されていることであります。どれくらいの金額が約束され、検討されたか、また政府間ベースの経済協力、あるいは有償の資金協力、技術協力等、その項目リストは膨大なものであります。 まず事実関係からお伺いするわけでありますが、政府の協力だけでなく民間のも含めるわけでありますが、この間、田中総理、三木副総理、中曽根通産大臣、小坂特使等が約束されたものは、私のリストのところでは五千四百十億円であります。マレーシア三百六十億、インドネシア千百六十億、エジプト六百八十億、イラクは実に三千億。中曽根さんは一体どういう権限でこういう巨額な取りきめをなさる権限を得て行かれたか、はなはだ疑問であります。またモロッコ三十億、アルジェリア百二十億、ジョルダン三十億、スーダン三十億、合計五千四百十億、まずこの数字には間違いがないかどうかお伺いします。そして事実関係につきどういう約束をされたか、御説明をいただきたいと存じます。
○御巫政府委員 お答え申し上げます。 田中総理が東南アジアの中で、いわゆるASEAN五カ国を御訪問になりました際に、いわゆる正式の約束ではございませんが、こういうことを今後御相談した上できめましょうという約束の前の約束と申しますか、そういうような形で先方に明らかにされました金額は、マレーシアに対しまして三百六十億円。これは現在マレーシアに対しまして進行しております第二次円借款と申しますものの追加というかっこうでございます。それからインドネシアに対しましては、天然ガスの液化装置の開発、これに要しますものを五百六十億円。そのほかにインドネシア援助諸国会議というものが十二月に開かれまして、そこでインドネシア側から八億五千万ドルという援助の要請がございましたが、その中から食糧援助並びに多数国機関の行ないます援助を取り除いたものの約三分の一を負担するということをお話しになりましたので、その金額は約二億ドルに及びますので、これをどういう円の換算率をもって換算しますか、いろいろあると思いますが、約六百億円ということになると思います。これが田中総理のASEAN諸国の御旅行中の分でございます。 それから、三木副総理が御旅行になりましたときのものも、やはり正式のお約束は今後両国外交当局を通じてお約束をなさるということでございますが、大体のあらかじめのお話としてお話しになりましたのが、スエズ運河の拡張工事に対します日本の援助として三百八十億円。それから、その当時はまだはっきり金額等についてお話し合いができませんでしたが、先般、今日もまだ滞在しておられますが、エジプトのハテム副総理という方がお見えになりました際に、三木副総理から提案という形でなされました商品援助並びにプロジェクト援助を足しましたものが三百億円ございます。そのほかに三木副総理がシリアにおいでになりましたおりに若干の先方の希望がございましたが、これにつきましてはまだ金額等がはっきりきまっておりません。 それから、中曽根大臣につきましては、渡部先生ただいま三千億ということをおっしゃいましたが、これは政府借款と民間ベースによりますいわゆる信用供与というもの全体を取りまぜて十億ドルというようなことが話し合いの対象になったということでございまして、その全部がお約束ということではないと存じます。 それから、小坂特使がお出かけになりました際に、アルジェリアに対しましては、従来からいろいろプロジェクトの話がございましたので、これも今後外交的なお話し合いで正式にきめるという前提のもとに百二十億円。それからジョルダン、スーダン、モロッコにつきまして、それぞれ同じような状況で三十億円ずつ、お話し合いをなさいました。 こういうのが実情でございます。
○渡部(一)委員 そうしますと、いまあなたの御説明では、私の申し上げた分に数字のわからないシリアの分を加えられ、イラクの十億ドルの部分についてはこれは全部ではないという表現をなさいました。 〔委員長退席、水野委員長代理着席〕 イラクについては四分の一を政府円借款において行ない、民間信用と合わせて十億ドルという御説明を先日受けましたので、これは七百五十億円を政府が出資するということでございましょう。そうすると政府が関係するものは三千百六十億であり、民間出資を含めれば五千百十億になる、こう理解してよろしゅうございますか。
○御巫政府委員 いま私の申し上げましたようなかっこうでの、いわばお約束の前のお約束というようなことでお話し合いになったものとして、そういう数字が計算されることには間違いございません。
○渡部(一)委員 外務大臣、ここでお伺いいたしますけれども、油は足りない足りないという大騒ぎが起こりまして、その後、油は実際的には足りないということがわかりました。また、一バーレル二ドル、三ドルの油が、一バーレル十ドルあるいは二十ドルというランクになって、アメリカやソ連が大量に持っているオイルシェールやタールサンドのような、現在の原油埋蔵量にほぼ匹敵するような巨大なものが、アメリカ、ソ連あるいはアフリカの一部等にあらわれてまいりまして、アメリカとソ連をいたずらに資源強国にしたというのがこの間の油外交の結末であります。その上に、驚いて回ってこれだけのお金をばらまいたことがよかったかどうなのか、私はそれもまた重大な問題であると思います。うろたえたと言うしかない。 ところがそのうろたえるにしても、一体政府は予算案の範囲内でこうした巨額の、五千億にものぼる金をばらまきながら東南アジアを走る権利を国会からいつ与えられているのか、私は問題だと思う。一体いつの予算からこれを組み、何の権限でこれほどの大幅な、しかも中には十年というような長期借款がある、予算委員会に報告もしない、何にもしない、自民党の総務会には報告したかもしれない、それは私はわかりませんが、国会という場で一つも報告しないで、おそらく正確な数字はいま初めて述べられたのでありましょうが、こういうことをすることが妥当なのかどうなのか、こんなやり方をしていいのかどうか、私は伺いたい。こういうことは一体どうなんですか。
○大平国務大臣 わが国は、世界の中で生きていかなければいけないわけでございまして、世界の各国との友好関係を保っていかなければならぬことは当然でございまするし、また後進国に対しまして援助をしてまいるという基本の国是につきましては、渡部委員も御反対はないと思います。 〔水野委員長代理退席、委員長着席〕 問題はやり方の問題だと思いますが、援助をやるにいたしましても、いま御指摘のように、わが国の政府または政府機関の資金の範囲内におきまして的確に実施していかなければならぬものでございまして、政府の援助にかかるものといたしまして、政府といたしましてはいままで経済協力基金とか、あるいは輸銀を使用いたしてまいったことは御案内のとおりでございまして、輸銀という政府機関あるいは経済協力基金という政府機関の中におきまして、その年度必要とする歳入歳出を組みましてバランスのとれるようにやりくりをいたしておるわけでございます。したがって、いま御指摘のように十年のものもあれば二年のものもある、単年度のものもございますが、全体としてわが国の財政力がたえ得るパイプの口径はどのくらいのものかという見当は政府として十分心得て、いわゆる約束をいたすにいたしましても、それを見当はつけていたしておるつもりでございまして、そのことをまずひとつ御了解いただきたいと思うのでございます。 それから第二に、しかし約束をした以上はやはり実行をしなければ国際信用にかかわるものでございますので、約束をするについては相当慎重でなければならぬわけでございます。したがいまして、閣僚がお出かけになるにあたりましても、関係各省で事前に協議いたしまして、どの程度までどういうプロジェクトにつきましてはどういう表現でお答え願っていいかというような点も打ち合わせの上御出発をいただいておるわけでございまして、たいへん乱雑にやっておるように一見ごらんになられるかもしれませんけれども、そのあたりは政府は政府として一応十分検討の上やっておるつもりでございます。 それから、わが国の経済がしかしながら今日までのように毎年毎年成長を見ていく、財政規模もしたがって拡大するという状況のもとにおきましては、そういうやり方において大きな狂いがなかったことは今日までの実績が示しておると思うのでございますけれども、非常に大きな経済の変動期が参りましたような場合、また外貨が去年あたりはずいぶん外貨準備も減るというようなことでございますので、そういう状況に照らして私どもが経済協力を考える場合におきましても、そういう客観情勢の変化というものに対しましては十分慎重にやらなければならないと各省戒めてかかっておる次第でございます。詳しい資料、技術的なこと、資料的なことは政府委員から答弁させます。 それからもう一つ、そういうプレッジをいたしまして、それからずいぶん、プロジェクトがまだきまっていない、たとえば農業開発なら農業開発だけそれではそれにひとつお手伝いしましょうときまりましても、どういうプロジェクトが適当かという点につきましては、後進国の中にはまだ十分そういうりっぱなプロジェクトを発掘し、計画する用意のないところもありましたりいたしまして、いよいよ交換公文で確定するまでにはずいぶん時間がかかるわけでございます。交換公文の段階になりますと、はっきりとした約束がいたされるわけでございまして、それから支出の段階に入るという過程をとっておることもあわせて御報告をいたします。
○渡部(一)委員 私が申し上げることはないのですけれども、外務大臣、これは各大臣が相談をされて諸国においでになった際、明らかに中曽根さんのイラクの三千億とマレーシアの三百六十億、総理のおやりになった三百六十億は当初これほど使う見積もりではなかった。だから、マレーシアでは夜を徹しての協議が続いて決裂をするところまで行っているし、イラクのほうは中曽根さんが全く初めの打ち合わせと違った巨額な援助をしたことは明らかじゃないですか。あなたは全部みごとに打ち合わせをされたようにほかをかばわれましたけれども、実際にはこの二つについては当初よりも見込み違いがあったと私は思うのですが、どうですか。
○御巫政府委員 まず、マレーシアにつきましては、必ずしも事前にこういう金額であるということははっきりわかっておりませんでしたことは確かでございますが、首脳会談が行なわれますに先立ちまして、事務レベルの会合では、先方からこれよりもはるかに大きな金額が出てまいりましたので、それは暫脳会談でおきめ願うようにしようじゃないかということで、首脳会談に移ったという経緯はございます。したがいまして、この三百六十億という金額が、最初から金額そのものが予想されておったということはなかったかと存じます。 また、イラクにつきましては、その間の事情、私、お供いたしませんでしたので、つまびらかにいたしませんが、やはり当初予想しましたよりはやや多い金額になりましたというふうに報告は受けております。そういったような若干のそごはございましたが、全く打ち合わせなしにそういうふうにきまったというようなことではないというふうに存じております。
○渡部(一)委員 そういうふうにおっしゃるしかないと思うのですね、これほどもうばらまいたあとですから軒私はこういうことで答弁させられる政府委員の非劇というのをよくわかっていただかなければいかぬと思う。大臣が次から次へ出かけていって金をばらまくのを競い合う。そういうことでやったら、今後の日本外交は示しがつかなくなる。特に所定の金額で話がまとまらぬなら帰ってくればよいのに、そこで大げさに金をばらまいてしまう。 私の言っているのは一九七一年政府の開発援助で支出されたお金は四億三千二百万ドル、一九七二年では四億七千八百万ドル、たかだか一ドル三百円としても、千二百億くらいの限度です。それが一挙に五千億などというランクに引き上がる。それは経済の成長などという問題では解決できない。しかも大臣が言われているように、もうドルが百億ドルくらいしか残っていないときにこんなやり方をする。私はこのやり方はどうかしていると思うのです。 ですから、先ほど外務大臣がおっしゃいましたように、慎重な検討をして行なうとおっしゃいましたけれども、また交換公文になれば金額は明快になると言われましたけれども、私は大臣に二つお願いをしたい。 一つはこれらのプロジェクトすべてに対し交換公文がつくられなければならぬものであると私は思いますが、その交換公文は全部国会へ持ち出して承認を求めるかどうかについて一つ。 第二番目は、私はこの巨大なプロジェクト、交換公文のきまるまでは、長い時間かかるから報告しないというのじゃあまりにも恣意的だと思うのですね。したがって、私は先ほどの御説明にもありましたように、憲法八十五条は「國費を支出し、又は國が債務を負擔するには、國會の議決に基くことを必要とする。」という項目がございますが、この精神に基づけば、当然すみやかに予算委員会に報告をするなり、当外務委員会に報告をするなりすることが必要であると私は思います。そういうふうに憲法の条項を生かして活用するようなやり方が必要だと思いますが、どうでしょうか、この二点。
○大平国務大臣 先ほど五千億にも飛び上がったということでございますが、それは渡部さんも御指摘のとおり十年分もあれば——これは単年度に、一年度に割りますとあれなんで、五億一千万ドルと五千億とを御比較にならないようにしていただきたいということでございます。 それからもう一つは、これはちょっと御質問にないことでございますけれども、あわせて御理解いただきたいのでございますが、日本の開発援助というのは、あなたが御指摘のように一九七一年五億一千万ドル、一九七二年六億一千万ドルという数字になっておるわけでございますが、七一年におきましてはGNPに対しまして〇・二三%、七二年になりますとそれが下がりまして〇・二一%になっておるのです。このパーセンテージがどうも先進国に比べて、ずっと低いのです。それで国際的にずいぶん日本は政府援助が少ないじゃないかという指摘がございまして、われわれとしても政府開発援助というものをもう少しふやしていただきたいというので、毎年予算編成時にがんばっておるわけでございます。それと正確に、慎重にやるということとはまた別の問題でございますけれども、そういう問題もあるということをあわせてひとつ御理解はいただいておきたいと思います。
○松永政府委員 交換公文を取りかわします際に国会に提出してその承認を求めるかという御質問でございましたけれども、これは国際約束を締結いたします段階におきまして、その内容を検討いたします。その結果、その交換公文に盛られております内容が、すでに成立しております予算によりまして政府に支出の権限が認められております場合は、これはいわゆる外交関係の処理として取り扱い、その支出の権限が認められておりません場合は、締結について国会の承認をお願いする、こういうことになると存じます。
○渡部(一)委員 原則は承知しております。この場合について伺います。この五千億の分についてどうだと伺っておるのです。
○松永政府委員 それはやはり国際約束が締結されます時点において検討せざるを得ないと存じます。
○渡部(一)委員 大臣、私は伺いますが、これは今回の予算案の中に盛り込まれましたか、盛り込まれませんでしたか、これを伺います。
○御巫政府委員 先ほど来大臣からも御説明がありましたように、この金額全体が一カ年間に支出されるものでもなし、またいま直ちに交換公文の段階に入るということもございませんので、来年度の予算の中にこれの全部が盛り込まれているということにはならないと思います。
○渡部(一)委員 そうすると、先ほどの条約に関するこういう文書をいただきました。そして大臣は御説明されました。このような財政事項を含む国際約束については、あるものについては、今期の場合でいうならば、予算に含まれない分についてはこれを委員会に提出すると、こういう意味と理解してよろしゅうございますか。
○御巫政府委員 もしかりに、昭和四十九年度予算の執行されております間に交換公文になりましたものは、それはその年度の基金あるいは輸銀の予算の中に含まれているというふうなことになると思います。
○渡部(一)委員 それに含まれないようなものが出てくる可能性はないのですか。
○御巫政府委員 海外経済協力基金並びに輸出入銀行は、それぞれ政府の貸し出しのための機関でございますから、それに与えられましたその予算のワクをはみ出るような支出が行なわれることはないと存じます。
○渡部(一)委員 しからば私は資料要求をいたします。 先ほどコンニャクのような問答をしておりますが、このような膨大な約束をしながら、これについて、一体幾らどこへ出してどういう形でするかというものがないのでは、討議は不可能であります。したがって、私の言うのは、もし今年こうした交換公文ができるとするならば、予算案のどこの款項目からどの程度を見込んで、どの程度を支出することの用意がある旨、予算書の中から指摘をしたリストを提出していただきたい。お願いいたします。
○御巫政府委員 基金及び輸銀にそれぞれ、いわゆる直接借款のためのワクがございますが、それらのワクはあらかじめどの国にどれだけというようなことが予定されているものではなくて、もちろん計算をするために積み上げる根拠はその前にはございますか、実際にワクとして予算化されると雪には、それから以後にその約束ができるそのときに、ワクと約束とを考え合わせまして約束をつくっていくということでございますので、ただいま御要求のような形の資料を作成することは困難でございます。
○渡部(一)委員 それなら前に金烏工高の問題が起こったときに、金烏工高に関する交換公文があとから出されて、これは秘密交換公文だと騒がれた問題ですが、この際にあなたは、予算書の中に金烏工高という名前が入っている、款項目の中にある、金烏工高ほか十四項目がある、そう言って昨年度の予算案について弁解をされました。当委員会において弁明されたじゃないですか。あのときは金鳥工高の分は予算案に入っているとおっしゃったじゃないですか。今度は入るかどうかわからないから、そんなものはあらかじめ言うことはできないとはどういう言い方でしょうか。前は入っていた、今回は入ってない。前は名前があると必死になって弁解された。岡田春夫議員の質問です。それに対して答えられた。今度はどれがあるかわからないから項目がわからない。それなら、これだけのものを予算案のどこに隠すというのですか。そんなことを言わないで、どの部分にどれぐらい入っていると説明するぐらい当然じゃないですか。国民の金ですよ、政府の金じゃないのですよ、もとは。
○御巫政府委員 金烏工高に対します援助は、いわゆる無償協力という部分に入るものでございまして、これは当委員会等でもたびたび御説明申し上げておりますが、昭和四十八年度外務省所管の予算を例にとりますと、経済協力費というものがございまして、その中に事項といたしまして経済開発等の援助に必要な経費というのがあがっております。これまでが予算書の中に入っているわけでございますが、その説明のための資料として、さらにそれを目に分けまして、三つの目に分かれておりますが、そのうちの一つに経済開発等援助費という目がございまして、それの中に例として韓国工業高等学校設立援助費等というふうにあがっておりますので、その十四件という件数は必ずしもはっきりしませんが、無償援助につきましてはそういうふうなかっこうです。 かりに来年度の予算の場合には、いま一応計算のもとになる資料はございますけれども、それを各国にまだ約束したわけでございませんし、それから途中で約束している間にいろいろ変わるというようなことも予想されますので、そういうものは、一般的な原則といたしましては、大きな、たとえば五十億の無償援助とかそういうようなワクがきまって、その中身についてははっきりその時点では、予算の成立の時点ではどこへ幾らというところまではきまり得ないというのが実態でございます。
○渡部(一)委員 この質疑応答はばかげていますよ。無償の分なら出すというのだ。有償協力の分については出さないというのです。借款については説明しない。そんなことあるのでしょうか。そんなことだったら審議は不能じゃないですか。いま予算委員会が開かれているまつ最中ですよ。それだったら、有償資金協力の分については政府は一体どれだけの上限のワクを持っているかわからないじゃないか。そのワクすら出せないのですか。それなら予想される事態はどうなのかもわからないじゃないですか。メモはあるけれども出せないというのだったら、あなたは国政の審議権を何だと思っているのですか。そんなに秘密外交でやりたいのですか。それでまたどこかの政府につかみ金でやりたいのですか、見えないところでこっそりと。何だ、このやり方は。
○御巫政府委員 無償につきましても有償につきましても同じ原則でございまして、有償の場合は経済協力基金もしくは輸出入銀行の持っておりますワクの問題で、必ずしも外務省の所管ではございませんが、無償につきましては、ただいまも御説明申し上げましたように、予算の成立の後に被援助の対象となります国の政府との折衝の過程を経てだんだんにきまっていく。きまった段階で交換公文ができ上がるということでございまして、これと同じ原則が有償についても適用されるものと存じております。
○渡部(一)委員 そんなことは聞いていないんだよ、ぼくは。そんなのは答弁にならないよ。
○大平国務大臣 言いかえれば、昭和四十九年度に交換公文ができましてそれが有償経済協力であるというものにつきましては、基金で支出するものと輸銀で支出するものがございますが、基金とか輸銀でそういうものに充てられる資金の計画が年度当初に立てられておりまして、その中で支出するという手順になるわけでございます。先ほど政府委員が申し上げましたとおり、千億なら千億の有償協力費がございましても、その内訳が全部きまっていないわけです。何となれば、まだ交換公文もできていないが、ことしは千億なら千億、千二百億なら千二百億を予算として基金に提供しておこうということできめるわけでございまして、そのファンドの中から交換公文ができて、支出の条件がそろったものから支出していくという手順になるわけでございますから、あなたがおっしゃるように、あらかじめこの予算の中にこのプロジェクトはどこに書いてあるんだと言われても、そういう仕組みにはなっていないのだということを御説明申し上げておるわけでございます。
○渡部(一)委員 ですから大臣、そこなんですよ。輸銀なら輸銀、政府借款のワクならワクというものがあるでしょうと言っているのですよ。それをまず出しなさいと言っているのです。そして、予想されるプロジェクトがあるでしょうと言っているのです。これだけじゃわからないのです。これは一部じゃありませんか。だから、予想されるプロジェクトは大体こういう見積りでこういうことになったのですという説明を出せと言っているのです。これぐらいどうしてできないのですか。
○御巫政府委員 渡部先生御承知のように、海外経済協力基金及び日本輸出入銀行は外務省の所管でございませんものですから、金額等を申し上げると誤解を招きますので御遠慮申し上げておりましたのですが、私の承知いたします限りでは、海外経済協力基金に、昭和四十九年度の予算としてただいま御審議願っております中には約一千七百億円くらいが政府借款分として用意されておるというふうに承知しておりますし、輸出入銀行につきましては八百億円くらいがそういうものとして用意されておるというふうに承知しております。
○渡部(一)委員 ですから、そこまでおっしゃったのですから、それを資料として提出していただきたいと申し上げております。
○大平国務大臣 大蔵省と相談いたしまして、御要求に応じたいと思います。
○渡部(一)委員 かくのごとく秘密外交のベールはこの委員会にも濃いんだな。ほんとうにこんな調子で押し問答しておって、時間がなくなったじゃないですか。九つもエラーがあるから隠したくなるのもわかるし、この問題を引き延ばして何とかごまかしてきょうは逃げたいという気持ちもわからないではない。その辺の武士の情けは私だって持っておる。何でそんなめちゃくちゃに隠すのか。国民は、要するに政府がじょうろで水まくように海外へ行くたびにじゃらじゃらお金をばらまいて歩く、そういう恐怖を感じておるんですよ。日本国内は物価が暴騰しているというのにそういうやり方をする。だから問題が起こると私は申し上げておきたい。 時間がありませんからあと一つ伺っておきたいのは、天皇の訪米の問題についてであります。 今回の問題は非常に不明朗な人事問題にまで発展した妙な問題でありますが、憲法に規定されております天皇の国事行為の中に訪米問題は入るのか入らぬのか、それを明確にしていただきたい。まず、国事行為に入るか入らぬか、言っていただきたい。
○大平国務大臣 入らないと考えております。
○渡部(一)委員 入らない問題に対してどうしてそのような約束をアメリカ政府としたのか、天皇にどうしてそういうことをさせるのか、そんな権限が閣議にあったのか、聞かしていただきたい。
○大平国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたように、憲法上の国事行為ではございませんけれども、象徴としての天皇の公的な御行為だというように政府として解釈いたしておりますので、内閣の責任においてそのことに当たるという態度に終始いたしておるわけでございまして、内閣という立場におきまして、その能力の中で処理させていただいておるわけでございます。
○渡部(一)委員 象徴天皇の公的行為といえば国事行為ではありませんか。国の重大な事態に関係するじゃありませんか。そういう議論は私はおかしいと思います。それなら天皇の私的行為というのがあるのですか。私的旅行というのがあるのでしょうか。私的旅行に海外へ行かれた例があるのですか、いままで。
○宇佐美説明員 私からお答えいたしますが、天皇の国事行為は憲法によってはっきりと限定されておるとおりでございますが、そのほかに、やはり象徴としての公的な行為あるいは私的な行為というものがあり得るという解釈で従前御説明もしてきておるわけでございます。したがって、たとえば内廷費を使うというようなことは、すでに私的な問題という扱い方でございます。その他象徴としてのお立場で、公式というか公的な行為というものはいろいろあるというのが従来の解釈でございます。
○渡部(一)委員 しからばこういう公的な行為は宮内庁がきめるのか閣議がきめるのか、その限界はどこに置いておるのですか。
○宇佐美説明員 いままで天皇陛下が外国においでになりましたのは、二年半前のヨーロッパの御訪問が初めてでございます。そのときはもちろん政府としても重要なことでございますし、それから外務省と宮内庁との関係、それから内閣のほうの関係というものは、当然これは一体になって相談しなければなりませんので、そういうような緊密なる連絡をとっていたしたわけでございます。やはり内閣が最終的に責任をとられるわけでございますが、われわれも内閣の一つの部局としてもちろん責任はございますが、また同時に、陛下御自身がお動きになることですから、陛下のお考えということもございまして、これは宮内庁がよくそれを考えなければならない、そういう問題があろうかと思います。
○渡部(一)委員 そうすると長官、大事なことを言われましたが、そうすると今回の訪米に関しては、宮内庁は了解しておられ、かつ天皇陛下も行きたい、こういうことですか。
○宇佐美説明員 お話しのとおりでございまして、田中総理大臣がアメリカにおいて共同声明をせられましたことにつきましては、私のほうにも十分のお話がありまして、要するにいつかは御訪問になる。天皇陛下につきましては、日時のことは触れておりませんけれども、行くということは了解済みで総理も外務大臣もお出かけになっているはずでございます。
○渡部(一)委員 時間がほとんどありませんが、長官またまずいことを一つおっしゃっていますね。というのは、天皇陛下が行く意思を持っておられるということに関しては、天皇はかくのごとき政治的なタイミングに、かくのごときウオーターゲート事件をはじめとする非難ごうごうを浴びているニクソン、まるでニクソンの応援のためにわざわざアメリカに行くことを自分の意思できめられたというのですか。
○宇佐美説明員 もちろんお出かけになることにつきましては、内外の情勢ということを十分考える必要があると私どもは思います。したがって、いつということは申しておりません。いつかは伺うといってあるだけでございます。陛下は、五十数年前に、皇太子のときに行かれたときから、その後行きたいというお気持ちは、いまでもときどき思い出しておっしゃっておることでございまして、政治的な意味は何にもございません。
○渡部(一)委員 天皇は、国事行為をする場合に、あるいは国事行為に準ずる、あなた方の御説明によれば公的行為を行なう場合は、自分の意思があってはいけないのです。そうじゃないですか。内閣の助言と承認がなければだめなんだ、何やるにしても。そうでなければ天皇は、また人に利用され、あっちに移動され、こっちに移動されるということになるじゃありませんか。天皇は公的な立場でなければならないということは、いまの時期にアメリカに行きたいなどと天皇が言うこと自体が重大な問題になるじゃありませんか。そんなことを宮内庁長官が言われたら、まずくないのですか。
○宇佐美説明員 それは昔の話を申し上げただけのことでございますが、やはり、できればということでございます。できればというお気持ちはあると私は思います。
○渡部(一)委員 だから、宮内庁長官がいま昔話なんかをこんなところで言うて、みんなに衝撃を与えたのは、あなたは憲法をあまり御存じないということですよ。天皇はそんな変な意思を持って行動してはいけないのです、いまは。内閣が勲章を授けてくださいといったら勲章を授ける、こういう形の国事行為しか認められてない。そうでしょう。外国へ行くのでも、内閣が行っていただきたいという国事行為が許されるかどうかは私は大いに疑問だが、そういう場合にはまだ何とかなるかもしれない。だけれども、そんなことをあなたは軽々におっしゃっておる、軽々に。天皇はまた日本国政の先頭に立っておかしなことをなさる道を開きますよ、そんなことすると。象徴天皇制を破壊するのはあなたですよ。 私は、だから先ほどから申し上げているのは、天皇を妙なことに利用すれば、また昔に政治が逆戻りするようなことになるから、私は申し上げている。天皇というものは、いまの日本において政治的に非常に利用されやすい条件というものはそろいつつある。少なくとも事務次官の首をはねるために利用されたとまでいわれている。そういう時期にあたって、そうした行為にどういう態度をとるか。私は少なくとも国事行為に準じてへたなことをするべきでないという見解を持つのがあたりまえだと思う。長官、少なくともただいまの天皇自身が行きたいんだ、天皇自身が行く意思がある、田中さんからもそれを聞いているからよくわかったんだ、行くよなんということを言われたら、めんどうなことになりますよ、あなた。天皇と私人は違うんです。
○宇佐美説明員 先ほど申し上げましたとおりに、天皇の国事行為は憲法にきまったとおりでございますが、それ以外に公的な行為がある。その場合に、もちろん重大なことでございますし、影響もあることでございますから、政府が最終的に責任をもってお考えいただくのはけっこうでございますが、おいでになるのは天皇陛下でございますから、それがもうどんなぐあいが悪くても行かなきゃならぬということにはならないはずでございます。私は、そういう意味で申しておるわけでございます。
○渡部(一)委員 私の質問はこれでやめますが、天皇は行きたくないのに行かせられるという場合ではないのです、今度の場合は。あなたはそういう言い方で言われたのじゃない。天皇が行きたいような口ぶりで自分たちの判断を弁護なさろうとしたから私は問題だと申し上げたんです。それはいけません、そんな言い方をするのは。それはすなわち、次の道を開くからです。もう少し憲法について御勉強いただきたいと私申し上げて、私のきょうの質問は終わります。
○木村委員長 永末英一君。
○永末委員 天皇訪米問題についてお伺いいたします。 法制局長官、あなたは天皇の外国訪問というのは、憲法上どういう行為だとお考えになりますか。
○吉國政府委員 天皇御訪米は、天皇の公的行為とも申すべき御行為であろうと思います。
○永末委員 憲法は、天皇のなし得る行為の中で、国事行為というものについては、明らかに第四条できめてございますが、その公的行為なるものは、憲法はどこかで何か触れておりますか。
○吉國政府委員 ただいま御指摘のように、憲法上、天皇の国家機関としての御行為は、憲法の定める国事行為に限るということでございまして、憲法第四条第二項、第六条及び第七条に定める国事行為を行なわせられるだけであるということは、御指摘のとおりでございます。ところが、天皇は自然人としていろいろ御行動になるわけでございます。その天皇が自然人として御行動になる場合に、天皇は、申すまでもなく憲法第一条によって、日本国の象徴であり、日本国民統合の象徴であるという地位を持っておられます。したがって、天皇が自然人として御行動になる場合に、その象徴としての立場で御行動になる場合と、全くそれを離れて私人として御行動になる場合とございます。したがって、天皇の御行為としては、憲法上の国事行為、それから象徴としての地位を反映しての公的な行為、それから全く純然たる私的な行為、この三種類があげられると思います。 ただ、公的な行為と私的な行為との差別というものは、おのずからそこに公的な色彩が強いか、あるいは純然たる私的なものにとどまるかということで、そこにはいろいろ濃淡の差異がございますから、画然と分けられるものではないと思いますが、理論的に分ければその三つの御行為があるということでございます。
○永末委員 私が伺っておるのは、この日本国憲法というのは、天皇のなされる行為のうちで、法制局長官が公的行為だと考えているものについて何らか触れておるかどうかということを聞いておる。天皇が人間としての生理的な御要求に基づいてやられる私的行為など一つも聞いておりません。
○吉國政府委員 その御行為自体については憲法は触れておりませんけれども、憲法第一条は「天皇は、日本園の象徴であり日本國民統合の象徴」であるということを規定しているところから、おのずからそういうような理論が生まれるわけでございます。
○永末委員 まだ質問の趣旨がよくおわかりいただいていないのじゃないかと思いますが、ともかく公的行為、天皇の公的行為でございますから、だといたしますと、国の機関はその天皇の公的行為について何らかのやはりかかわりがあればこそその公的性が出てくると思いますね。国の機関の関係のないものは、これは私的行為でございましょう。天皇の自由意思でよろしい。しかし、私が伺いたいのは、国の機関、いろいろな機関がございますが、それが天皇の公的行為と憲法上判定せられるものについてかかわり合いを持っておるはずであると思いますが、あなたはどう思われますか。
○吉國政府委員 宮内庁は、宮内庁法第一条の規定によりまして、皇室関係の国家事務及び政令で定める一定範囲の天皇の国事に関する行為等をつかさどることになっております。したがって、天皇の御行為については、まあ宮内庁長官が統轄をいたします宮内庁においてすべて処理をいたすということに相なっております。
○永末委員 いまの御答弁によりますと、天皇の公的行為は、憲法のもとにおける宮内庁法によって、宮内庁長官のもと宮内庁がこれに関与しておるというお話ですが、外務省は関与しますか。
○吉國政府委員 先ほど宮内庁について申し上げましたが、宮内庁は内閣総理大臣の管理に属する総理府の外局でございます。すべて行政事務は内閣が統轄するものでございまして、総理府の事務についても行政権の主体としてこの内閣が最終的には責任を負うものでございます。 天皇の御外遊につきましては、これが外国とのかかわり合いのあるということにおいて外務省もそれについて関係を持つということでございまして、その外務省が関係を持つということについては、内閣として最終の責任を負うために、内閣のもとに、また一つの分担管理大臣としての外務大臣がその内閣の行政権を補佐する意味において関与されるということでございます。
○永末委員 重ねて法制局長官に伺いますが、あなたはいま内閣の職務について触れられた。すなわち、天皇の行なう公的な行為について内閣のかかわり合いは行政事務だと言われた。憲法第七十三条の第一項「内閣は、他の一般行政事務の外、」と書いてございますから、その「他の一般行政事務」の中に天皇の公的行為にかかわる事務がある、こういうことですか。
○吉國政府委員 そのとおりでございます。
○永末委員 それでは、再び天皇の外国訪問に関する行為に立ち戻りますが、天皇の外国訪問という行為を、内閣の機関、国の機関が関係を持つ場合に、その事務所掌というものははっきりいたしておるのでしょうか。
○吉國政府委員 先ほど申し上げましたように、宮内庁法第一条の規定によりまして、「皇室関係の国家事務」ということで宮内庁が当然関与いたすことは申すまでもございません。また、外国とのかかわり合いがあるという意味において、外務省も関与いたすことに相なると思います。
○永末委員 法制局長官にもう一度伺いますが、この一般行政事務というものの中に、憲法第七条で含まれる天皇の国事行為に関する事務も含まれますね。
○吉國政府委員 第七条に関する事務は、その一般の行政事務には入らないというのが通常の憲法上の通説であろうと思います。
○永末委員 天皇のされる行為の上で、国事行為は厳格に第七条で制限列記がしてございます。その他の天皇の行為にかかわって第七十三条の内閣の職務というものはかかわり合いを持つわけでございまして、この第七十三条で書かれておるものは天皇の国事行為以外のものでございますから、これは国政事項ですな。いかがですか。
○吉國政府委員 私は、あるいは御質問の趣旨を取り違えてお答え申し上げるかもしれませんが、憲法第七十三条で申しております一般行政事務の中に、天皇の国事に関する行為についての内閣の助言と承認が含まれるかどうか。これは先ほど申し上げましたように、この関係は一般行政事務ではないというのが大かたの憲法学者の考え方であろうと思いますが、第七十三条で、ここで内閣が一般的には行政権の主体であるということを規定いたしましたのは、そういうような事務が内閣の処理するところであるということを憲法上明らかにする意味であると思います。ところが、第七条の助言と承認に関する事務は、明らかに第七条自体において内閣の、ということを明示されておりますので、特に第七十三条で内閣の事務であるということを憲法がはっきり示さなければならないという必要もないではないかということで、大かたの憲法学者の説もそこでは除いているのではないかと思います。
○永末委員 私の伺いたいのは、あなたは先ほど第七十三条で天皇の公的行為に関して、内閣はそれを一般行政事務の一つとして関与するということを申された。しかし、この第七十三条が一号から七号まで列記してあるものとを含めて、その他の一般行政事務というのは普通に国政事項と称せられるものではないかと聞いておるわけです。
○吉國政府委員 ただいま永末委員がお使いになりました国政事項ということばの意味が私判然といたしませんので、これは非常にお答えにくいことであると思いますが、要するに、憲法第七十三条の行政事務であると申し上げましたのは、宮内庁の所掌事務として宮内庁法第一条で書かれてございます皇室関係の国家事務というものがございます。その国家事務を処理する宮内庁を統轄するのは総理府の長としての内閣総理大臣でございまして、総理府も内閣のもとにおいて行政権をいわば分担管理している内閣総理大臣の役所でございますから、その意味で全体としての行政事務に入るということを申したつもりでございます。
○永末委員 第四条で天皇が「國政に関する権能を有しない。」と書いてあるのは、天皇の発意によって国政を左右することを憲法は認めない、こういう趣旨であるはずでございます。私が七十三条に関してお伺いしておるのは、今回の一連のできごとは天皇の自発的な意思ではなくて、むしろ天皇が政府のやっておる行為の客体になっておる。そういうことに関連して起きた事柄だと思うのですね。したがって私は、政府がやっていることはこれは国政事項をやっているのだ、天皇がその間自分の自由意思によって国政に関与したとは思いません。しかし、ここに書いてある第四条の「國政に閲する権能を有しない。」という、いわば天皇の積極的な行為を前提にしつつ、それを封じたその規定の全くうらはらのことが政府の行動によって、いわば天皇を客体として扱いながらも天皇が国政に巻き込まれておる、そういうことが起こっておると思うのですね。 だから、この辺をもう一ぺんきっちりしておく必要があると思って伺っておるわけでございまして、したがって、天皇の公的行為という一つの法律上のジャンルをつくられたが、そのことを扱っておるのは、一般行政事務と申しても国政の一事項であることは間違いございませんね。
○吉國政府委員 通常国政ということばは、これは国のまつりごとと書きますものでございますから、政治的な色彩がどうも出てまいると思います。先ほど来申しております宮内庁が所掌しております事務は、いわば純然たる行政事務でございますから、これを国政事項であるというような定義づけをすることは、これはもちろん国政というものについての定義づけのいかんの問題でございますから、差しつかえございませんけれども、私が申し上げますのは、要するに天皇の公的行為について宮内庁で所掌しておりますのは、これは行政の範囲であるということを申したいわけであります。 なお、先ほど天皇は国事に関する行為のみを行ない、国政に関する権能を有しないということについて触れられましたので申し上げますが、国事に関する行為に関しておよそ国政に影響を及ぼすようなことがあってはならないことはもちろんでございますけれども、その精神から申しまして、先ほど申し上げました天皇が公的行為を行なわれるにつきましても、いやしくも国政に影響を及ぼすようなことがあってはならないということは、これまた当然のことでございます。
○永末委員 ちょっと方角を変えて伺いますが、外務大臣、天皇訪米のことに関して最近の日本国政府とアメリカ国政府との間の交渉をひとつ明らかにしていただきたい。
○大平国務大臣 本日の委員会の冒頭で御説明申し上げたことを繰り返すことになりますが、数年来おりに触れてニクソン大統領より希望が伝えられておりました天皇、皇后両陛下の御訪米につきまして、昨年夏、田中総理訪米の際のニクソン大統領との会談において、日米共同声明第十七項にありますように、ニクソン大統領より、両陛下の御訪米に対する以前よりの招待を再確認し、御訪米が近い将来日米双方にとって都合のよい時期に実現するようにとの希望が表明されました。このことを本年の二月十三日の私とキッシンジャー長官との会談において再確認したというのが経過でございます。
○永末委員 大平さん、私がお願いいたしましたには、その前からもあったわけですね。つまり、先ほどの質問の中でまだ残してありますのは、天皇の外国訪問という公的行為に関する行政機関側の事務分担と申しますか、事務分掌と申しますか、政府部内のことでございますが、外国のことでございますから、内閣総理大臣、宮内庁長官、外務大臣というものが責任者でございましょうね。この辺のところは一体どうなっておるのか、よくわからぬものでございますから、さてそのことを解明するためには、外務省、外務大臣とアメリカ政府、大統領との間で、日本国政府とアメリカ国政府との間で、いつからこの天皇訪米という問題が起こり、どういう経過をたどったか、この際明らかにしていただきたい。先ほどあなたが読み上げられたものはその前がない。
○大平国務大臣 昭和四十六年の九月、両陛下御訪欧の途次アンカレッジにお立ち寄りになりまして、それ以来陛下御訪米を希望するとの米国の意向も数次にわたりわがほうに伝えられてあるのでございます。 昭和四十七年の九月一日、ハワイにおける日米首脳会談の際の記者会見で、陛下が来年中、つまり昭和四十八年中に訪米される可能性いかんとの質問に対して、田中総理より、佐藤内閣時代から御訪米の話は伺っているが、このたび米側の希望は新内閣としてあらためて皇室にお伝えしたい、御訪米の時期については何とも言えないと述べておる経緯がございます。 昭和四十八年の四月二十四日、私とインガソル大使の会談がございまして、同日の記者会見、その翌日の内外記者会見で次のような経緯がございます。ニクソン大統領はかねてから天皇陛下に対して、来年中、つまり昭和四十八年中に米国を訪問されるよう招待していた旨を明らかにしていたが、宮中行事等の関係で御都合がつかず、来年、つまり昭和四十八年の御訪米は見合わせることになった。そこでその旨を米側に通報した。陛下の御訪米については、政府としては終始国民的な祝福のもとで実現したいという念願を持っている。今後もこの問題についてはそういう態度で対処いたしたいと考える、そういうことでございまして、それ以後は……。
○永末委員 あとは伺いました。いま大平外務大臣から明らかにされましたように、一九七一年以来のことであって、そしてアメリカ側の強い要請があって、日本政府はこれに対処をせられたが、時はこれに対して中止すると申し入れをした、行かれないということの答弁をされ、それからまた蒸し返して問題が起こっておる。アメリカ側は非常に政治的な問題だとして考えておるように見受けられますね。しかも足かけ四年の月日をけみしておる。 宮内庁長官に伺いたいのですが、日本とアメリカの関係は、非常に関係の深い国と国との間柄でございますが、天皇がヨーロッパに行かれる途次、米国領土にお立ち寄りになった。そのときに、遠いところでございますが、わざわざアメリカの大統領がやってきて、そして天皇の訪米を大統領みずから望んだと伝えられておるわけでございます。いま大平さんそうおっしゃった。 そうしますと、これは宮内庁としても日程をつくるのにたいへんな問題ですね。だといたしますと、これにどうこたえるかということは内閣全体が考えましょうが、特に宮内庁としても、担当渉外省でございます外務省と非常に密接に御相談があったと思うのですが、一九七一年九月以降どういうことをしたのですか。
○宇佐美説明員 ただいま外務大臣が仰せになりましたとおりに、両陛下がヨーロッパ御訪問の際に、アンカレッジに給油のためにお立ち寄りになるということになりました。ところが、ニクソン大統領御夫妻がはるばる来られまして、給油の時間を、御歓迎をしたいから延ばしてほしいというようなことまでありました。ぜひ将来わが国にもおいでいただきたいということが事のきっかけであることは間違いございません。その後、宮内庁といたしましては、外務省を通じて、キッシンジャー現在の国務長官がニクソン大統領の伝言として、どうぞおいでいただきたいというのが一、二度ございました。そういうような関係で、これは一切政治的を抜きにしておいでいただきたいということもあったように記憶いたします。そういうことで、いつまでも黙っているわけにもいきませんので、政府のほうからそういう御発言もあって、いずれ時期はまた御相談だが伺うことにしたい、ニクソン大統領もおいでいただきたいということになったのがわれわれの知っておる経過でございます。それで昨年総理大臣が行かれますときに、その点を共同声明に出されるということを伺って、それはそのとおりでございますので、当方としても異議はないということで今日に至ったわけでございます。
○永末委員 昨年の四月二十四日、大平外務大臣が、いま天皇が訪米するいとまもない旨をアメリカ大使に言われたという話でございますが、どうも七一年に申し入れを受けてそこまでいかなければ返答ができぬというような、一体両省は密接に相談があったのですか、全然別に効いておったのですか、どっちなんです。
○宇佐美説明員 長い日時が多少かかったと思いますけれども、必要なときには常にお話し合いをしていたつもりでございます。
○永末委員 ことし大平さんが油の消費国会議に行かれるという前には相談がございましたか。
○宇佐美説明員 私どもは、私直接ではございませんけれども、外務省のほうから今度行って話が出ても従前のとおりというような意味のことがあったことは聞いております。
○永末委員 大平さん、あなたは田中首相の親書か何か持って行かれましたか、今度。
○大平国務大臣 携行いたしていません。
○永末委員 そうしますと、今回のいわゆる天皇訪米問題というのは、文書で見たことはございませんか。要するに共同声明に書いてあったということを間違って一度発表されたのでございますけれども、今回のアメリカとの話し合いがあった一連の時間の中で、字に書いたものを見たことございませんか。
○大平国務大臣 見たことありません。
○永末委員 字に書いたものは見たことがないのにどうしてああいうことが起るのでしょうね。書いてあったということを確認するというのは、ちょっとその辺がよくわからぬのでございますが、あなたは責任者でございますが、あなた自身もそう思われたと新聞は伝えておるわけです。なぜ字に書いたものを一ぺんも今回は見ないのに、確かに共同声明に書いてありたということを、一たんはそう思われたのでしょうか。ちょっと国民に対して御説明を願いたい。
○大平国務大臣 共同声明に書いてあったとは私言わなかったわけでございますが、私は本年中ではなかろうかということを言ったことは事実でございますが、しかし、その後共同声明を取り寄せまして、時期の限定はないということを確認いたしましたので、直ちに取り消したわけでございます。私も人間でございまして、そういう記憶の確かでないところがありましたことはお許しをいただきたいと思います。
○永末委員 アメリカ側の発表も二段になりまして、あなた方の発表になった次、アメリカ側はあたかもその時期の約束は今度の会談でやったがごとく発表され、次いで取り消されたということですね。われわれ新聞報道しかわかりませんから……。そういうことを考えますと、一体あなたとキッシンジャーとの話の中で、ことしというような話が出たのか出なかったのか、その辺がよくわからぬ。このことももう一度明らかにしていただきたい。
○大平国務大臣 共同声明を確認いたしましょうということだけでございまして、時期的な話は全然出ませんでした。
○永末委員 大平さん、安川大使というのは首相訓戒にされたというのですが、理由は何ですか、第一の理由は。
○大平国務大臣 つまり、時期につきまして確かに共同声明にそう書いてあるはずだ、かけてもいいというようなことを言ったこと、それはまああとで取り消したにいたしましても、そういうことは軽率であるということでございます。
○永末委員 それを確認した人は責任がないわけですか。確かにそうだということをその場で言うた人があると伝えられておりますがね。同じことを確認した。だからかけてもいいと言った人は、ますます自信を持ったので、そう言ったのかもしれませんね。だれかが、いや、そうじゃない、共同声明に時期が書いてあるのはアメリカ大統領であって、日本の天皇ではないのだということを明確に大きな声で言えば、安川大使は、かけてもいいというほどのことを言わなかったと思うのですが、何か報道によりますと、その他の人も、そうだ、確かに共同声明に書いてあるというような旨のことを言われたと伝えられておりますが、その人々は訓戒の対象にはならぬのですか。
○大平国務大臣 そこに居合わせた公使は、共同声明はそういう時期的限定はないということを正しく指摘したわけでございまして、誤りは大使にありました。
○永末委員 公使は確かにそう言われたと新聞は報道されておりますが、その他の人ですよ。その他の人で、最初の安川大使の発言をエンドースした人がおると伝えられておりますが、その人は責任はないのかと聞いておる。
○大平国務大臣 発着した人はございませんから……。
○永末委員 公的な場所でございますから、私は大平外務大臣の御発言を信用する以外に方法はございません。 さて、もう一つの問題は、これらの問題が自民党の総務会で問題になりそうだといわれておるその朝に、突然、法眼事務次官が依願免職になったというのは、どうも国民としてふに落ちないのでございまして、大平さんは、法眼事務次官が前々から、やめたい、やめたいと言っておったと伝えられておりますが、あなたは法眼事務次官の大臣として、普通でございますと事務次官をやめますと駐米大使に行くわけでございますが、安川大使は前の大使が急にやめられた関係上、急遽大使になられたので、大使のそれぞれの平均勤続年限というのがございましょう。そういたしますと、それらを勘案しましても、法眼事務次官が前々からやめたいと言われるような次官としての勤務年限であったとお考えになりますか、それともまたこの事務次官をつとめ上げればどこかの大使にでも転出するという予定でおられたとでも思われますか、お答え願いたい。
○大平国務大臣 外務省部内の人事のことでございまして、法眼君と私との間の問題でございますので、二人を信頼していただく以外に道はないと思うのでございますが、これだけのことは申し上げられると思います。 大臣と次官というのは、いわば夫婦みたいなものでございまして、契りを結んだ以上苦楽をともにしていかなければならぬ、万事相談をしてまいった仲でございます。その間私も彼の補佐について十分満足をいたしてまいりました。彼は、私がよしと思うときまではお仕えしたいということでございまして、外務次官を終着点として退官したい、海外に転出の意思はないということでございまして、こういう時期を選んでこのような措置をとりましたことは、これは私の判断で、私の責任においてやったことでございまして、今度のワシントンにおける記者会見の事件などは全然関係がないことでございます。
○永末委員 時間が参りましたので、あとは質問をいたす余裕はございませんが、大平さん、先ほどから天皇の外国訪問に関しての見解を伺ってまいりました。天皇御自身は御存じのないことでございますが、そのことに関する外務省内のものの考え方、ものの受け取り方というものが間違っておったために、駐米大使という、言うならば外務省の関係者の中で最も高い地位の一人である人が訓戒を受ける、こういうことが起こりました。そうしてそのことが政治問題になりかけてきた。とたんに事務次官が依願免職という措置をとられました。あなたは関係がないと言われましたけれども、法眼事務次官の在職年限は一年十カ月、ここ七代にわたる印限から比べますと長いほうではございません。長い人は三年以上もある。しかし、法眼次官を除く前六人のうちの五人は全部が全部あと大使に転出をしておられるわけでございまして、だから、いまあなたが言われたように、法眼事務次官があと外国に転出する意思はないということですが、契りをかたく結んでやっておるとするならば、普通ならば平均値よりも長くつとめられるだろうということはみんなが思っておるところです。それをとたんにやめたということは、きわめて政治的なにおいがする。われわれ国民は、日本の外務省はやはり日本の国のために外交の衝に当たってもらっていると思っておりますけれども、もしその省における人の人事について、これは仮定でございますからね、与党の中の事情によってそれが行なわれるとしたならば、われわれ国民は、あなたのもとで行なわれている、いや、田中首相のもとで行なわれているそういう外交についてきわめて強い不信の感を持たざるを得ないと思うのでありまして、あなたは二人のことでございますからといま言われましたけれども、いかにも唐突な更迭というものは、国民に対してもあるいは諸外国に対しても決して信を得るゆえんではございません。これらの問題について、最高の責任者は田中首相でございますから、適当な機会に田中首相にはっきりと彼のやっておる外交上の責任の所在を明らかにする問題だとして聞きたいと思います。こういうような政治的行為が天皇を政治に巻き込むもとでございまして、これらについてはあなたではございません、田中首相にたださねばならぬ問題だということを申し上げまして、時間切れでございますから、質問を終わります。
○木村委員長 渡部君の質疑に関連して質疑の申し出がありますので、これを許します。松本善明君。
○松本(善)委員 渡部委員の質問に対して、またいまの永末委員の質問に対しても、宮内庁長官は、天皇の訪米について、時期は別としていずれ伺うことにしたいということを発言をされましたけれども、これは天皇の意思も入っているんですか。
○宇佐美説明員 それは政府といろいろ話し合いました結果、もちろん陛下のお耳に達しております。
○松本(善)委員 私の聞いておるのは、天皇の訪米をしたいという意思が入っているのかということです。
○宇佐美説明員 このたびのことにつきまして積極的に御発言になったことはございませんが、先ほど申しましたように、海外にお出になる場合に、アメリカにも行きたいということはおっしゃったことはございますが、この問題にからんで特にそれを仰せになったことはございません。
○松本(善)委員 大平外務大臣、先ほど私の質疑に対しては、時期もそれから訪米そのものが白紙である、何度も確かめましたところが、そういうふうにはっきりお答えになりました。内閣を代表して外務大臣がそういうふうにお答えになっておるのに、宮内庁長官は、これはもう伺うことにしたのだ、天皇の意思も入っているのだ、こういう答弁であります。一体これはどういうことでありますか。
○大平国務大臣 共同声明にもありますように、アメリカは陛下の御訪米を希望する旨表明いたしておりまして、われわれ関係者といたしましてもそれを希望いたしておるわけでございます。しかし時期は、共同声明にうたわれているように近い将来両国の都合のいい時期ということになって、まだ限定がされていないわけでございまして、この問題につきましては、政府部内でよく慎重に検討の上、最終的に政府が決定しなければならぬ問題だと思うのでありまして、そういう意味におきましてただいま白紙であると申し上げたわけでございます。
○松本(善)委員 先ほどは時期のみならず計画そのものが白紙だというふうに言われましたが、それはそのとおりなんですか。訪米するということはさまっていないということなのかどうか、そこを先ほどは私、何度も確かめた。訪米するということはきまっていない。それはどうなんですか。
○大平国務大臣 いま御答弁申し上げましたように、希望が表明されておるし、われわれもそれを希望いたしておりまするけれども、具体的な決定というところには至っていないということでございます。
○松本(善)委員 そうすると、宮内庁長官が言われたのはどういう意味ですか。今回のことについては伺うことにしたというふうに言われましたね。
○宇佐美説明員 私の申し上げましたことは、政府がアメリカと共同声明を出したということについて申し上げてあるということです。
○松本(善)委員 非常にあいまいな答え方をしていますけれども、天皇の意思とそれから政府の意思が違う場合かあり得るかもしれません。具体的に外務大臣、お聞きしますが、外国から招待があったら天皇は自由にそれについて応ずるとか応じないとか、きめられますか。日本と国交がある国もあります。ない国もあります。それから社会体制が違う国もあります。天皇は単独でそれについて判断をすることができますか。外務大臣、お答えいただきたい。それについて意思を表明することができる立場にあるのかどうか。
○大平国務大臣 天皇の御意思もよく体さなければならぬことは当然でございまして、政府部内で慎重に検討して具体的な決定に持っていかなければならぬ、そういう性質のものであると考えております。
○松本(善)委員 そうすると、私のお聞きしたことについては、天皇は単独で意思を表明することはできない、こういう意味ですか。
○宇佐美説明員 私から申し上げますけれども、外国からいろいろお招きがありましたときは、直接に来るよりも政府に来るのが普通でございます。政府としましてはそれが適当であると全然いわゆる外交上考えられない場合は、こちらにはおそらく申されてこないと思いますが、可能性があれば一応の見解を聞かれますが、最終的には政府が責任をもってきめられることであろうと考えております。
○松本(善)委員 外務大臣、お聞きしますが、いまの宮内庁長官の話では、適当であるかどうか政府が判断をして天皇の意思を聞かれるという話です。その適当かどうかという判断は、明白な政治的な判断ではありませんか。どの国の招待を受けるかどうかということは外交案件ではありませんか。政治的な判断を必要とすることではないか。この点を外務大臣にお聞きしたいと思います。
○大平国務大臣 政治的に陛下の外国御旅行という問題をかりそめにも利用するというような意思が毛頭ないことはたびたび申し上げておるとおりでございまして、そういう精神でこの問題は処理すべきものと考えております。
○松本(善)委員 私のお聞きしたことは、どの国の招待を受けるかどうかということは政治的判断を要することではないかということなんです。そのことをお答えいただきたいのです。もし政治的判断を要することでなければ、天皇は単独で返事してもいいと思うのですよ。だから、政治的な判断を要することではないかということを聞いているのです。
○大平国務大臣 問題は、政治的判断ということばの問題でございますが、何事にも判断は要るわけでございますが、問題は、そういう天皇の御外遊という問題を政治的に利用することがいけないことなんでございまして、政治的に判断するということが政治的利用に結びつかないということでなければならぬと考えています。
○木村委員長 松本君、関連質問ですから、簡単に願います。
○松本(善)委員 これで終わりにしますが、外務大臣、私はこの質問をしましたのは、多少つじつまを合わせましたけれども、明白に外務大臣の言われたことと宮内庁長官の言われたことは違ったんです。外務大臣は、計画そのものは、まだ訪米はきめてない、白紙だと言われた。宮内庁長官は伺うことにしましたと答えた。これは偶然出てきたことですけれども、内閣の判断と天皇の意思が違うということがあり得るということを現に証明したのですよ。だから、これは政治的な判断を要することではないか、天皇は単独で判断できないのじゃないかと言ったら、外務大臣は、それは内閣がきめるのだという趣旨を言いました。それは、これが政治的なことだからだと思うのですよ。 私はこのやりとりの経過から、この天皇の訪米というのは、非常に高い政治的な性質を持っている、これは明白だと思うのです。国交のある国、国交のない国、あるいは社会体制の違う国、どの国の招待を受けるかというのは、非常に高い政治的判断だと思う。これはまさに政治的な事件ですよ。だからこれだけ大問題になるのですよ。私はそのことが政治的利用だと思う。このような天皇の訪米というものはやめるべきだ、もし計画があるならば中止すべきであるということをはっきり言って、関連質問ですから、この程度で終わりたいと思います。
○木村委員長 次回は、来たる二十二日金曜日午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後七時十三分散会