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72回国会衆議院1974/05/08

科学技術振興対策特別委員会 第13号

発言数
130
登壇者
12
会派数
5
開催日
1974/05/08

会議録

安井吉典日本社会党

○安井委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  原子力潜水艦の放射能調査に関する問題調査のため、本日、日本原子力研究所理事山崎文男君、筑波大学副学長福田信之君、日本学術会議原子力問題特別委員会幹事中島篤之助君、東北大学教授塩川孝信君及び国立公衆衛生院放射線衛生学部長山県登君、以上五名の方々に参考人として御出席願っております。  なお、福田参考人は、所用のため若干おくれて御出席になります。  この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多用のところ本委員会に御出席くださいまして、ありがとうございます。どうか、それぞれの立場から、忌憚のない御意見をお述べくださるようお願いいたします。  なお、参考人の御意見の開陳は、お一人十五分程度にお願いすることとし、後刻、各委員からの質疑の際、十分お答えくださるようお願いいたします。  それでは、最初に山崎参考人よりお願いいたします。

山崎文男日本原子力研究所理事

○山崎参考人 ただいま御紹介いただきました山崎でございます。  原子力潜水艦の放射能調査に関する問題ということで、きょう出席を求められました。本日御出席のほかの方々は、化学関係の方が大部分のように伺っております。私は六年前の佐世保の異常放射能がありましたときに、当時放射線審議会の測定部会の部会長をしていたせいかと思いますが、何か測定の結果が科学技術庁に届いたから来てくれというので、参りまして、それからあと、原因調査ということに行かされました。そのあと、原子力軍艦の放射能調査指針の大綱というのをつくるときに、山田原子力委員から呼ばれまして、これは懇談会という形式で、いまで申しますと、たしか放射線審議会の測定部会のメンバーが大部分と、そのほかの方がいらっしゃったと思いますが、そういう方々と一緒に、懇談という形式でその検討をいたしました。それ以来、私はもうこの潜水艦の問題にはほとんどタッチしておりませんので、現在どういうようにその指針が変わってやっているかということは、不勉強でどうもよく存じません。  そのときの指針によりますと、海水の放射能、それから空間線量、海底土の放射能、海産生物の放射能など、いろいろの項目についての測定が入っておりまして、これらを適当に組み合わせていけば、少なくとも住民の健康を保つという点から、これは実行できるものということで、ただ、そのときにはずいぶんいろいろな意見もたくさん出まして、必ずしも全部それを取り入れたというわけではございませんが、それでその後行なわれていることと思っております。  そういうわけで、私は現在どういうように行なわれているか存じませんので、長年、放射能の測定あるいは放射線の測定ということに携わってまいりましたので、その方面のお話をいたしたいと思います。  放射能の測定、放射能、つまり放射性物質がどのくらいの数の崩壊を毎秒行なっているか、これが放射能の定義ですが、それをどういうようにしてはかるかということは、それだけをとっても、なかなかいろいろむずかしい問題でございます。今度の指針にもありましたように、よくトータルベータ、全ベータ線測定というのがありますが、これは一般に言いますと、ガイガー・ミュラー・カウンターを使っているのが通常であります。そのガイガー・ミュラー・カウンターにベータ線が入るように、非常に薄い膜の窓をつくりまして、その近くに試料を置いて、これをはかるわけであります。そう言えば簡単でありますが、これをそこにある物質の絶対の放射能に直すといったときには、かなりやっかいな問題がございます。その窓から試料までの距離とか、途中の吸収、それから試料自身の中の吸収とか、あるいは後方散乱とか、いろいろな問題を全部補正した上で初めてできる。ことに弱い放射線ですと、通常ガイガーカウンターは、バックグラウンドの放射線をたくさん受けておりますので、それを取り除くということが必要になります。このためにはいろいろなくふうがなされておるわけです。  一番簡単なのは、まわりを鉛でもって遮蔽して、その ハックグラウンドを減らす。もっとこったものになりますと、そのまわりに、宇宙線を取り消すために逆同時回路というのをつけまして、それで宇宙線の影響をとる。そういうようなことで、弱い放射線をはかるということはきわめてむずかしく、一般にいまこの放射能調査で行なっておるのも、同じような帯しみを持っておるのじゃないかと思います。そのほか、いまのガイガーカウンターを二つ合わせたような形の幾何学的条件を持たした、フォアパイのカウンターというのがありまして、これですとだいぶ楽な測定になるのですけれども、ただ試料が厚みを持っておると、これもまためんどうなことになります。  それから、最近の――最近といいましてもだいぶたちますが、液体のシンチレーションカウンターというのも、ベータ線の全放射能をはかるのに使える場合がございますし、それから極端なことを言いますと、非常に弱いトリチウムとかあるいは炭素の放射能ということになりますと、それをガス状態にして、ガイガーカウンターの中に詰めてはかる、こんなのが一般に行なわれておる。  これらはみんな放射線の数を勘定しているものでありますけれども、放医研の田中さんたちがはかりましたのは、数と同時にそのエネルギーもはかろうという新しい方法で、これは非常に高く評価されていいと私は考えております。プラスチックのシンチレーターを巧みに使いまして、そして宇宙線の影響もとり、そしてそれ自身ベータ線をはかるのはガイガー・ミュラー・カウンターというような組み合わせでございますが、これは非常に新しいアイデアで、役に立つ方法だと思います。  それから、ガンマ線の測定でありますが、放射線を体外から被曝する、それの線量をはかるというためには、たしかいまの原子力軍艦に対してはよくシンチレーションカウンターを使っておりますが、初めのころはいろいろのシンチレーターが出てきたのですけれども、今日ではほとんどがNal、沃化ナトリウムにタリウムをちょっと入れたものです。それを使っておりまして、大体その大きさでその機械を示します。直径と高さ三インチといえば、大体三インチの直径で三インチの高さを持ったものを、通称三インチのクリスタルというように言っておりますが、これは御承知のように、夜光時計と同じように、放射線が当たると、ぴかぴかっと光を出す。その光に対して非常に感度のいい真空管を使って、これをはかる。そうすると、中でどのくらいのエネルギーが消費されたかというのは、光に比例しますので、どのくらいのエネルギーの放射線をはかったか、つまりエネルギーも一緒にはかれる。先ほどの放医研の田中さんなんかがはかったのも、ベータ線のエネルギーも一緒にはかれるというのと同じように、これもそういう特徴を持っております。しかもガンマ線は、一般に単一の線の線スペクトルを持った放射線ですから、そのエネルギーをきめるということによって、相手がどういう核種から出ているかということもきめられるというので、非常に重宝に使われたわけであります。  最近は、こういうようにエネルギーも一緒にきめるという方法としましては、半導体の検出器が使われております。非常に筒価ではありますが、その分解能からいいますと、前のシンチレーターに比べますと十分の一。そうなりますと、かなりの部分が、化学分析にたよらなくても、その放射性の核種がきめられるという特徴がございます。これもたしか、潜水艦の放射能には使っているというように聞いております。  それから、あと、空間線量でございますけれども、外部からの被曝の空間線量をはかるには、一般に電離箱が使われるわけでございます。電離箱というのは、ある一つの箱の中に入ってきて、どのくらいのイオンをつくったかという量をはかる機械でありますが、これは昔から使っておりまして、今日医療でお医者さまがガンの治療などで放射線を当てるというときも、レントゲンという単位を使っていることは、皆さん御承知のことと存じますが、その電離箱を使いまして、それでどのくらいの放射線を外から受けているか。――私が、最初にこういう外に出ましたのは、広島の原爆のあとで、あそこでは人が住めないというようにいわれて、非常に不安に思っているので、それを調べに行ってくれと、いま放医研の所長をしておられる御園生さんに頼まれまして参りましたときも、小型のローリッツェンの検電器という電離箱を持ってまいりまして、測定したというような経験がございます。  それから、それが進みまして、今度はいわゆる真空管を使ってこれを増幅する。これで今日でも使っているサーべーメーターというような電離箱が使われております。これは、その後の一つのまた事件でありました第五福竜丸がたくさんの放射能の灰をかぶって焼津へ帰ってきたときには、船員がどのくらいの放射線をその中で受けたかというエスティメートをするために、このサーべーメーターを使ってはかりました。  なお、これをもっと精密にはかろうとしますと、五ミリぐらいの厚さの鉄の容器の中にアルゴンを四十気圧ぐらい詰めまして、これをはかる。そうすると、気体がそこに大きく圧縮されますので、非常に能率よく測定ができるわけでございます。ただしこの方法は、日本ですと、何か高圧容器取締規則にひっかかるので、普通、実験室で簡単につくってというわけにいきませんので、あまり普及しておりません。諸外国では、かなりこれが役に立っております。  それからあとは、ガイガー・ミュラー・カウンターを、こういう外からの放射線、空間線量をはかるのに使っておりますが、これは来る放射線のエネルギーが非常に異なりますと、それによっての応答が変わりますので、その意味では、かなり精密さを欠くと申すことができると思います。  それからあとは、シンチレーションのカウンターをこの空間線量の測定に使いますが、これもやはりエネルギーによってかなり感度は変わりますので、これを適当にくふうしまして、真空のシールドをつくりまして、それに適当な穴をあけて、ドーズすなわち線量とそこのカウンティングの数が比例するようにくふうされた、そういうものもございます。  それからまた、シンチレーションカウンターを使って波高分析器にかけますと、エネルギーもはかれますので、これによって線量をはかるということができる。ただ、これは人体を構成している物質はだいぶ組成が変わりますので、その間の換算というものも必要になってまいります。  それから指針の中に、集積線量をはかるというのがありまして、これについては、フィルムバッジが一般に使われておりまして、いろいろ感度の異なるフィルムの組み合わせをいたしますと、大体十ミリレントゲンから千ミリレントゲンくらいまでの間は、このフィルムによってはかることができます。  それから、その後に日本で非常によく開発されましたのは、ガラス線量計でありますが、これは取り扱いがいささかやっかいなので、今日ではTLDという、熱ルミネッセンスの検出器が使われております。そうすると非常に低い線量まで、どのくらいその場所において線量を受けたかというのがわかります。  このように、放射線、放射能をはかる機械というのは多種多様でございますので、それぞれの機械の持っている特徴それからまた欠点、それから、それには、やはり機械ですから、くせを持っております。そういうようなものをよく心得て、最もその目的にかなったものを選ぶというのが非常に大切なことと存じます。かなり熟練を要するものもある。ことに、微弱の放射能においては、そのとおりでありまして、何の目的でこれをはかっているか、そのためには何をはかるかというようなことが、非常に大事なことだろうと私は思います。  たとえば広島に参りましたときに、爆心地の下では、非常に――非常にといいましても、その当時一月近く後ですけれども、バックグラウンドの二倍くらいの放射能が残っておりましたが、これより西のほう四キロぐらい離れたところに、また別の放射能の強いところがありまして、これは何であるかとだいぶ疑問に思いまして、どうもそこの辺は雨が降ったというので、それならば、何をとれば代表的にこれをきめられるか、やはりああいう野外でやりますのは、臨機の何か考えを使わなければいけない。そのときにたまたま思いつきまして、家の雨どいの中には、一般にどろが相当詰まっておりますね。そのどろをたくさんとつて、そして帰ってきて分析しましたが非常にそれによって、どういうものがあるかということを助けた。ですから、試料を選択採集するというのは、よほどその目的に合って、何が大事だということを見きわめるというのが、少ない経験でありますけれども、私のこういう放射能調査に関する結論であります。どうも、少し超過いたしました。

安井吉典日本社会党

○安井委員長 ありがとうございました。  次に、中島参考人よりお願いいたします。

中島篤之助日本学術会議原子力問題特別委員会幹事

○中島参考人 中島でございます。  私はきょう、学術会議の原子力問題特別委員会の幹事という立場から、この委員会で審議されますことについての意見を申したいと思います。実は、私どもの学術会議の中に原子力問題特別委員会というのがございまして、委員長は三宅泰雄でございますが、きょう出席の予定をしておりましたのですけれども、金沢の大学のほうで、環境放射能研究所の非常に重要な会議があるために、やむを得ず失礼さしていただくことになりましたので、その辺もあわせて、皆さんに意見を申したいと思うわけであります。  今度、分析化研の問題が一月に起こりまして、これは国民の重要な関心の的になってきているということで、私どもの立場としましては、いまごくわずかでありますが、先月の総会において採択されました「環境放射能調査・評価体制のあり方について」という資料をお手元に差し上げてございますので、ちょっとそれをごらんになっていただきたいと思うのでありますが、それに書いてありますとおりに、ずっと以前からいわゆる放射線影響の問題についてたいへん深い関心を払って、いろいろな勧告をやってきたわけであります。と申しますのは、たとえば原子力軍艦のことに限らず、原子力開発におきましても、放射線影響関係の研究というのは、本来は車の両輪のように進められるべきものであるというふうに学術会議は考えているのでありますけれども、たいへんじみな学問でありますために、開発といったような仕事の陰に隠れまして、どうも正当な評価が払われていないのではないかという考え方を持っております。そういうところに、実は今回の問題が起こったというわけで、これはたいへん残念な事件であった。それで、私どものほうでは、二月に、特にこの問題を扱うために環境放射能の検討小委員会というのを臨時に設けまして、そして一カ月余りでありますが、学術会議としては異例の早さで審議をいたしまして、その結果を四月の総会に提案したわけであります。  実は、その環境放射能検討小委員会でまとめた資料は三つございます。一つは、現在の日本の環境放射能の調査体制の現状というものをあらためて検討してみた、その報告が一つあります。それから、その報告に基づきまして、どういうことをしなければいけないかという、私どものこの委員会でまとめました見解を出しました。しかし、これは直ちに勧告という形にいたしませんで、もっと広い科学者の討議を待つべきであるということで、これを秋の総会までの間、各方面の科学者の検討を経て、あらためて政府に勧告をしたい、さように考えているわけであります。それで、いまお手元にありますのは、さしあたってとりあえず、こういうことを政府のほうで考えていただきたいということで出したものであります。  それで、簡単に御説明いたしますと、まず私どもが調べてみた結果、この分析化研事件の結果として、「国民の安全を守り、環境を保全するための環境放射能の調査・評価体制を早急に確立すること」というふうに書いてございますのは、残念ながらそういう体制がないということであります。ですから、それを早急につくらなければいけない。  その第一に私どもが政府に申し上げたいのは、その環境放射能の調査・評価体制というものをつくり上げる基礎になる問題として、学術会議が六八年の五十一回総会において、いまからすでに六年前でありますけれども、「放射線影響研究の推進について」という勧告を出しております。これは内容といたしましては、環境放射能研究所と放射線障害基礎研究所の二つの研究所、これは額からいいましても決して大きなものではございませんけれども、全国のこういう方面の研究者の共同利用の研究所となり、つまり日本のそういう方面の科学的能力を十分に利用することができるための基礎になる研究所である、もう一つは人材の養成ができる研究所である、その二つの点から、これを私どもは非常に重視しているわけでありまして、それと、大学における関連講座の増強というようなことを言いましたこの二つ、「放射線影響研究の推進について」の勧告を、この際、たいへんおそまきではあるけれども、直ちに実施していただきたいというのがその第一点でございます。  それから次に、今度は、そうは言いましても、現在大きな穴があいているではないか、その問題をどうするかということにつきまして、やはりその基本に返って考えますと、われわれここで、あとで申しますが、調査・評価体制ということばを使いまして、わざわざ分析ということばを避けております。このことはあとで御説明いたしますが、とにかく調査・評価体制をつくるためには、まず第一に、失われた国民の信頼を取り戻すことが第一である。それで、そういう国民の信頼を確保できるような手順を踏んで、それから従来起こった経緯を十分検討していただいて、そして再びあやまちが繰り返されないようにしなければならない。とにかくつくればよいというようなことは、たいへん間違いであるというふうに考えておるわけであります。  しかし、その環境放射能の調査・評価体制のあり方については、ここに述べてありますように、四つの点をとりあえず申し上げておきたい。  第一は、公開の問題であります。  それから第二に、「行政従属におち入ることのないよう」という表現が使ってあります。これは総会でもいろいろ議論がございまして、特に誤解を招かないために、私、申し上げておきますが、こういう国立の研究機関をかりにつくるというような場合でありますと、それは行政目的に対応してそういうものをつくるわけでありますから、その行政目的を否定するという意味で、こういうことを申しているのではなくて、ほんとうに行政目的が達成されるためには、各機関の自主性というものを尊重しなければ――要するに、それが科学技術に関する仕事をするものである以上、そういうことがどうしても必要であるというのが、学術会議の考え方であります。そうして公正性、中立性というものを保証しなければいけない。これは国民の信頼を得るための第一の基本要件ではないかというふうに考えているわけであります。  それから次に、同じようなことでありますが、関係するその機関に従事する人々の民主的な諸権利並びに十分な待遇を保証するという問題がございます。  それから次に、これは申すまでもないことでありますが、定員あるいは必要な予算を確保する。これは具体的には、現在、御存じのように総定員法というようなことがありまして、新しい機関をつくることがたいへん困難になっておる。われわれといたしましては、研究機関については、総定員法の適用をはずすというような措置をおとりくださることが、科学技術の振興ということであれば、たいへん必要なのではないかというふうに考えているわけでありますが、そういう問題をこういう形で表現しているわけであります。  それから三番目に、これはいま山崎先生もおっしゃったことでありますけれども、環境放射能というようなものを、ただ試料をとってきて分析すればいいというようないままでの体制は、やはり間違いであって、目的をまず明らかにしなければいけない。何をしなければならないかということが第一に必要である。それから、そのためにどういうプランニングをしなければならないか。それからサンプリングをしなければいけない。これはいまおっしゃったように、試料をどうとるかということが非常に大事なことである。それからいわゆる分析をしなければいけない。それから評価をする。これが一貫して科学者によって行なわれなければいけない。現在までの体制は、たとえば設計、サンプリングは科学技術庁がおやりになり、分析は分析化学研究所に行き、評価はまた科学技術庁というようなことで、ばらばらにやられておりますと、どうしても無責任さが発生するというふうに考えるわけであります。  それから最後に、この勧告で非常に大事な点は、広く科学者、技術者の意見を問うべきであり、日本学術会議に対しても十分連絡をとっていただきたい。われわれとしましては、実はこの環境放射能検討小委員会を発足させると同時に、科学技術庁の原子力局の、ここにいらっしゃいますが、伊原次長に連絡をいたしまして、科学技術庁のほうでもいろいろ分析機関等御検討になっているようだけれども、ぜひ話し合いをしたいということを申し上げたのでありますが、たいへん残念なことに、そういうことはできないという話でありました。そこで、あらためて三月の運営審議会にかけまして、再度、学術会議としては政府と協議したいからということを申し入れたのでありますが、それも残念ながらいまだに実現いたしておりません。  それから、なおこの際申し上げますと、この問題に関しては、学術会議会長であります越智会長が異例の談話を発表されております。そしてその中で、必要があれば私はどこへでも行って、各政党の方ともお会いするし、政府の関係者ともお話しするということを申しておられるのでありますが、残念ながら、まだそういうことは実現しておらないのですが、私どもとしては、このことが実現していないということはたいへん残念なことであるというふうに考えております。実は私どもの学術会議の委員会はすべて公開されておりまして、政府の科学技術庁のほうの評価委員会のメンバーになっておられる方あるいは専門委員になっている方も、私どもの委員会のメンバーとして参加をしていただいて、いろいろ議論をしているわけであります。ですが、向こうのほうの話は実は全くわからぬというような状態で、この審議をやらなかったことはたいへん心残りであるということを申し上げておきたいと思います。  それでは、最後にあと三十秒で、もう一枚の資料のほうに、これはもっと科学者の方々に御審議をいただくために出した中間報告の中に、原子力軍艦の問題がございます。このことはあとであらためて御説明いたしたいと思いますが、私どもは、現在のいわゆる原子力潜水艦の監視体制というものはたいへん形式的なものであって、ほんとうのことばの意味で発生源の情報がわからない、その汚染源の情報もわからない監視体制というのはできないのではないかというふうに考えております。ですけれども、国民の安全を守るということはどうしても必要であるということであれば、むしろそこの中間報告には、いわゆる環境の蓄積放射能を測定するための特別なプロジェクトをつくる必要がある――これは実はたいへんむだなことであると思います。たいへんなお金がかかる、たいへんやっかいなことをしなければならないというふうに思いますが、これはしかしやむを得ないだろうという意味で、その第二番目の項目だけをお手元に差し上げておきました。これは、時間が参りましたので、後刻、機会があれば御説明させていただきたい、さよう考えます。  どうもありがとうございました。

安井吉典日本社会党

○安井委員長 ありがとうございました。  次に、塩川参考人よりお願いいたします。

塩川孝信東北大学教授

○塩川参考人 塩川でございます。私は東北大学に現在籍がありますが、ちょうど二十年前、一九五四年、ビキニの事件を静岡大学で経験いたしまして、その調査に当たった者の一人として、先日、この三月の「日本原子力学会誌」の巻頭言を頼まれましたものですから、思い出すままに当時のことを考え、そして二十年を振り返って現在の問題を考えたのを、別刷りで、御参考までにお手元にお届けしております。  それの中で述べておりますことは、やはり分析法自身の問題もさることながら、二十年前、私どもビキニの事件のあと、国連の科学委員会というのが組織されて、日本にはまだ科学技術庁その他原子力法も制定されなかった時代のことですが、やはりいろんな汚染調査をして、そして世界的な規模でのサーべーをして、結果的にはりっぱないろんな評論が出て、われわれの指針になっておりました。  それに携わった者の一人として、当時を振り返ってみますと、当時では、そういった分析をするあるいは試料をとるということは、各個の研究室のいわば努力によってまかなわれていたことで、国立の機関どこでもやるところがないものですから、われわれの大学でもそれを担当して、東南アジア、中共を含めた各種のお茶を取り寄せて、その葉を分析して、というような努力をしたわけであります。  二十年たって現在の問題にぶつかってみまして、学会誌の巻頭言にも書いておきましたが、二つの理由から、非常に大きな戦慄を覚えたわけです。というのは、原子力発電が実用化される段階になりつつある現在、その放射能汚染ということが、日常のわれわれの環境の問題として、われわれの日常的な問題になりつつあるにもかかわらず、そういった分析体制あるいはそれを評価する体制というものが一向にでき上がっていないということが、まず第一の私の戦慄の理由であります。  それと同時に、何年計画かで、そういう原子力発電その他が実用化される段階になっても、そういう見通しがなしに現在まで過ごしてきた国の体制ということに、やはり戦慄を覚える。これはまあたいへん無責任なようなことを私申し上げますが、静岡を離れるとともに、そういった放射能汚染の問題から一応離れまして、別の観点の研究を現在進めております。実は四、五年前から、また放射能汚染の問題、方法論的にいろいろ新しい方法を取り入れなければならないと考えまして、セシウムの分析法であるとかストロンチウムの分析法であるとかいうようなものを最近また研究しだしておりますので、また、その方法論的にも、実は二十年前とさして変わっていない、日進月歩のこの科学の進む世の中に、やはり試料をとってきて分析するということが、二十年前われわれ一週間かかって、そして苦労してやったと同じような、と申し上げると、御関係の方々にはたいへん失礼かもしれませんが、あらゆる方法が、先ほど山崎先生のお話のように、測定方法が非常に完備しつつある。それをただ持ってきて、それを溶かして分析するというルーチンの仕事に、ただそれは一件幾らというような問題で、いわゆる雇用関係というか支払い関係という、そういった経済的な問題だけで片づけている、そこに私やはり一番の大きな問題があるのじゃなかろうか。要するにデータをとる、そのデータをどう評価するか、そのデータをどう科学技術に生かして反映させていくかという、要するに分析のデータというものは、決してコンピューターに入れて出てくる結果とは違う。やはりなま身の人間が骨を折って、いわばそれに化活をかけて仕事をして、その結果として出てくる結果なんで、コンピューターから出てきたデータと同一の論で、ここで論じていただくわけにはいかないと思います。そういう期待を持ったデータであればこそ、それを大事に使い、そしてその期待を持ったデータを期待する上には、やはり試料を十分精選してやっていかなければならない。そういうような意味で、現在の問題点というのを、こういうきょうのお話し申し上げる――実は私、明日立って、ウイーンのIAEAのパネルへ出かけますものですから、きょう出席できるかどうかむずかしかったものですから、こんなのを書いて、御参考までにお届けしたわけですが、今日までの問題点ということをちょっと考えますと、いま申し上げたような分析結果に対する考え方が、どだい少しおかしいのではないか。高踏的な技術あるいはその評価にあまりにも時間をとられて、そのデータのよって来たる、データをだれが出し、どういうふうにして出しているかという、データに対する価値の評価が少し欠けているのではないか、要するに化学分析を安易に考えてはいないかということがまず第一。  それから、必要欠くべからざる試料のみを分析していたかどうか。先ほどの空間線量その他、やはり測定器で直接物理的にはかれる方法を代用して、十分その分析結果を補うこともできるであろう。あらゆる分析、そういった測定方法を駆使した上に、そして最後にとるべき試料だけをとってきて、実際に分析しているのかどうか。  それから、データの評価を真剣に行ない、それに基づく措置がどうとられたか。これは不幸にしてつまびらかにその辺の事情はよく存じておりませんけれども……。  それから(二)として、データの評価とそれに基づく処置、これがやはり分析者にとっては一番の関心の的であります。ただ作業的に毎日試料を溶かし、毎日データをとっても、それがどう使われているかということが、やはりコンピューターと違って人間がやることですから、自分たちの出したデータがどう使われているかという、そのフィートバックがなければ――これは私、東北大学の金属材料研究所、あの現在世界最大といっていいほどの規模の研究所で、文化勲章を何人かの人が受章しております中のあの分析室というものを、終戦後しばらくまかされていたことがありましたけれども、あの本多光太郎先生にしても、あるいは増本量先生にしても、みな、おかげでこういう結果が出ましたということを、電話なりあるいは文書でいつもよこせといって、寄せていただきまして、分析者を激励するということにいつも心がけてくだすったおかげで、あの金属研究所が今日ある状況が、非常に私どもの誇りでありますが、ああいう分析者へのフィードバックということがなかったら、分析者はただ作業的に追われて、自分たちがただ金をもらうために働くということのために、安易な道をたどらざるを得なくなる可能性がある。まあこれは人間のことですから、そうしたって、それは個人の問題ということに還元されるかもしれませんが、処置としては、やはり分析者へのフィードバックということを十分考えていかなければならないのじゃないか。  それから二番目として、分析体制の問題。責任あるデータを期待する上に、体制が十分であったかどうか。先ほど申し上げたように、二十年前でしたら、おまえ、金のことをやってみないかと言われますと、大学の研究室でも、それをいさぎよしとしてやりました。ほかにやるところはないわけですから、学生の協力を得て、私ども、日夜それに努力いたしましたのですが、いまこういう体制になって、それが委託仕事でいままで行なわれていたような仕事で、責任ある分析結果を期待することができるかどうか。また、一件幾らというような委託料ということから、たとえばその研究分析者の給料も払われるというようなことになると、そこに何か間違いが起きないかという、経済的な問題が分析結果に影響を与えることがなかったかどうかという問題が一つあります。  それから、分析担当者の作業意欲を高めることに配慮が欠けてはいなかったかどうか。先ほどの木多光太郎先生のお話を申し上げるまでもなく、そういったフィードバックという点。それが、自分たちが出した結果がどう役に立って、どこへどう使われているかということの、分析者にフィードバックがあったかなかったかという点。  それから、分析結果の評価に、それが会議とか、あるいは嘱託というような人たちのただその場限りの評価だけで、真剣な討議のもとにこれが行なわれていたかどうか。また、それに基づく行政的な措置が十分はかられていたかどうか。  いま申し上げるような問題は、私、その個々の問題すべてをつまびらかにしておりませんので、ただ疑問という点で、それを御関係の方々に御反省願いたいと思います。  分析方法でありますが、先ほど申し上げましたように、二十年前と大差のないと申し上げると失礼ですが、私どもから見ますと、現在の発達した分析化学全体から見ますと、やや取り残された感がなきにしもあらずであります。  ところが、分析方法をきめるについては、その作業をだれがするかということを念頭に置きませんと、ある程度その作業指針も立たなかったでありましょう。そればあるりっぱな方法を立てて、そして、それに作業者をなれさせるということもありますが、作業者というものには、それぞれのレベルというものがあります。それの理解能力に応じた方法というものをやはり立案していかなければならない。たとえば、やはり方法として疑問にぶつかれば、その原典あるいは参考文献を引いて読もうというような意欲のある人間と、あるいは作業的に、ただ機械的に手足を動かして作業しようという人間とでは、おのずとそういった分析方法も、指針も、あらわし方も変わらなければならないので、そういう点、分析方法の設定にあたって、それが実際に作業をする者の立場に立って分析方法を立案してきたかどうかということも、一つの疑問として残ります。  それから試料を、普通基礎分析、ラフの分析をずっと広く網を広げまして、引っかかったらそれを精密分析にかける。そして、ラフな分析でしたら、一時間、二時間あればできる、あるいは物理的な測定でも用が足りるというような、そうして、引っかかったら精密分析するというような精粗の区分、あるいは精密とか急いで分析したいというような場合に、精密分析、迅速分析――迅速というと、たとえば鉄鋼などですと、炉が溶けてその組成をきめるのに一分間とか二分間とか余裕を持って分析をする。ですから、精度はプラスマイナス一〇%で、時間が問題になる。そして、次の試料を添加してはいいはがねをつくっているということは、実際作業でやっておるわけですから、そういう必要がなかったかどうか。  それで、以上のような反省をいたしますと、いろいろこれから考えられる方法が立とうかと思いますが、これまでの多くの反省の上に立って、責任ある分析結果を期待し、それを十分に評価して適切な措置をとっていく上に望まれることとして、運営上の問題、先ほど、経済的な問題が分析結果に影響を受けることはなかったかどうかということに対して、分析の機関の維持というものは、やはりこれはある程度その人件費及び基礎的な設備費というようなものは、もちろん先ほど申し上げた東北大学の金研の場合でも、一件幾らという公費差し引きの研究費はもらっておりますが、それは試薬代とか何かということで、それに携わっている人たちや、恵まれないけれども、みな国家公務員の、助手なりあるいは技官の身分で甘んじてやっておるわけですが、それの手当が問題としても、そういった経費、人件費などに関しては、十分国がめんどうを見られるような、よくわかりませんけれども、特殊法人であるとか、あるいはそれに類する方式が望まれる。  それから、分析担当技術者の処遇に関して十分な措置をとる。現在の公務員のワクの中では、それがとりにくい点ということもあって、金研などでは、分析者の処遇が一番問題でありますが、しかし現在三十年、四十年勤続の、当時の専門学校を出たような人たちが、喜んで働いて、そうしてみな定年までその職を全うしていっているというところに、やはり先ほど申し上げた働きがいの問題がそこにあるのではなかろうかと考えております。  それから組織の問題ですが、かりに放射化学分析センターというようなのがあったといたしますと、それは現在、過渡的に原子力研究所あるいは理化学研究所などをいろいろわずらわしているようですが、ああいう敷地というものは、放射能がいわば環境放射能として、いろいろ人工のものがまざり込んでいる可能性があります。ましてや実験室にとっては、どの器、どの空気、どのドア、どのノッブから、どうして人工の放射能の汚染が入らないことを期待できましょうか。われわれいま放射能を扱っておりますが、ですから、先ほど申し上げたように、そのセシウムの分析、ストロンチウムの分析をやろうといたしますと、その人を全く隔離して、われわれとおつき合いしないで、ある程度独立な立場で、かなり神経を使って、そういったことをやらなければならない。そういう意味で、現在ある原子力関係施設とは一応別な、異なる地域に、別な配慮で、たとえばエアコンその他、環境からは十分このための汚染が防がれるような状況の中で、こういうことは、いまレベルとしてはかられているものは、世の中に汚染として、あるいは核爆発実験その他が、二十年前からずっとはなやかに一時行なわれました。その汚染物などが一ぱいあるわけであります。それをわずか上回る、あるいはそれとおっつかっつのようなところの汚染をいま問題にしているわけですから、その辺の問題がやはり配慮として必要であります。  それで、分析の組織の中の分析部というのは、やはり試料班と分析班――試料班というのは、試料を、先ほど申したようなラフな分析をするのに、これはどうしたらいいかとか、どういうような方法とか、あるいはサンプルをとるところの、試料をとる分析方法をいろいろと考案しながら、しさいにとってきて、そうして分析部のほうで分析した結果を、いろいろ方法と照らして、それがいいかどうかということをまず技術的に部内でチェックするということが必要ではなかろうかと思っております。それから、分析班が実際の作業を行ない、試料班に報告するというような内部的な扱いになっております。  それからもう一つ必要なのは研究部、これが大学の研究にまかせておいたのでは、好きかってに、私が二十年ぶりにまた放射能の研究をするというようなところでは、その用は足りませんので、これはこれからの日本の恒久的な問題として、その方法自身を分析して、そうして場合によっては、それを方法論として学会に問うくらいに、学会をリードしていく、その分野ではリードしていくほどの意欲的な人たちがいなければ、やはり分析する人たちも浮かばれませんし、また方法自身の確立もはかられない。同時にまた、分析部と研究部とは、分析で、ある新しいテーマが出て、その方法を確立したら、それを実地作業に移すには、次には分析部のほうに移っていただいて、またそれになれるまでやっていただく、そういった人事交流とか、かつまた、これから国にそういうものができましても、地方公共団体といえども、この問題からはフリーであるはずはありませんで、やはり敦賀であるとか、その他仙台などでも話題になっておりますが、あるいは雨水の分析であるとか、あるいは青森県であるとかというようなところでは、やはり地方的な立場で、いろいろ公共団体の分析所あるいは公害研究所というようなものがいろいろできようかと思います。そういうところへ技術者の供給、あるいはそういうところからの委託仕事というようなものを含めて、いろいろ考えていかなければならない問題があろうかと思います。そういうような意味で、人員の養成というものは一つの大事な目的ではないかと考えております。あとは評価、地方センターの拡充というような問題もありますが、またあとのことは、時間の許す限り、その機会にお話ししたいと思います。

安井吉典日本社会党

○安井委員長 ありがとうございました。  次に、山県参考人にお願いいたします。

山県登国立公衆衛生院放射線衛生学部長

○山県参考人 山県でございます。  最初に、私の立場を御説明したいと思うのです。所属が公衆衛生院と申しまして、これは厚生省の所属の教育機関でございます。私が原子力潜水艦の問題と関係いたしましたのは、そもそもば昭和三十九年からでございますが、受け入れをするということになりまして、さっそく私のところに飛んでまいりましたのが佐世保市の御生部の方でございます。私のところに来ます前に、衛生部の方はどこへ行ったかと申しますと、まず厚生省に行ったわけです。厚生省でどこへ行ったかといいますと、放射能の係がございませんので、科学参事官室というところに行きまして、佐世保の問題を相談したところが、それはうちの問題じゃない、科学技術庁の放射能課に行きなさいということで、放射能課に行ったところが、当時の放射能課の方が、何を思ったか、私のところへ行け、こういうことになったわけでございます。私は行政をやっておる立場ではございませんので、行政上の問題には助言ができませんでしたけれども、技術的な問題では、このようなことで、地方自治体の現場で放射能関係をやっている方々は、この方方は、困った問題がありますと、まず私どものところに参ります。  そういうことで、私は地方の状況をよく知っておりますが、潜水艦の放射能問題に関して申しますと、これのもとになっておるのが「原子力軍艦放射能調査指針大綱」というものだそうでございますが、これによりますと、放射能調査の基本目的というのは、「寄港地周辺住民の安全を確保する」こと、こう書いてございます。そこで問題は、この安全ということばの中身でございますが、寄港地の周辺住民が、それではどういうふうに考えているかということを、私なりにいろいろ調べてみますと、寄港地の住民の方々が安全だというのはどういうことかと申しますと、心配をしないで毎日暮らしていく、これがその方々の安全というものでございます。それでは何が心配かというと、これには三つ種類がございまして、第一は、潜水艦の原子炉がいつ爆発するかわからない、事故を起こすかもしれない、これが一つの心配でございます。それから第二の心配は、放射能を漏らして、それが魚に入って、それを食べると病気になるのじゃないか、あるいはそういうことが新聞に出て、魚が売れなくなるのじゃないか、これが第二の心配でございます。それから第三の心配は、潜水艦による核兵器の持ち込みとかあるいは安全保障の問題とか、いわゆる防衛問題でございます。これがやはり心配の種で、これも安全ということばの中に、安全保障というようなことで入っております。この三つになりますが、私の専門は、第一の原子炉のほうは専門ではございません。それから第三の防御問題、これも専門ではございません。したがって、私が意見を述べられるのは、第二の、放射能が漏れて、これによって病気になる心配はないかどうかという点が私の専門で、その範囲で意見を申したいと思います。  そこで、私が申しました二番目の、安全を確保するために、放射能調査が行なわれておるということでございますから、その放射能調査によって、はたして住民の安全が――私がいまから申します安全というのは、先ほど申しました三つの中の第二のことに限ってでありますが、守られるかどうかという点について、意見を述べたいと思います。  この放射能調査を大きく二つに分けますと、一つは、何かの事故が起こった場合に、それを早期に検出すること、その検出によって次の対策を発動する、これが一つの分野でございまして、これを緊急時のためのモニタリングと申します。それから平常時のモニタリングというのがもう一つの大きな部分でございますが、原子力潜水艦というものを考えてみますと、これは移動できる原子炉、つまり原子力発電所と同じようなものが移動できるものだというふうに考えられます。したがって、モニタリングという立場から申しますと、原子力発電所と同じように考えて、モニタリングをすればよろしい。ただし違う点はどこかといいますと、一つは、原子力発電所の場合は、毎月どれだけ放射能を捨てたかということを科学技術庁に報告するのに対して、潜水艦の場合には、どれだけ流したということは報告はない。それからもう一つ違う点は、原子力発電所は一年じゅういつ流すかわからない。それに対して、潜水艦は寄港する時間がきまっておりますから、寄港しないときには出てこない、こういう違いがあります。それ以外のモニタリングのやり方としては、全く原子力発電所と同じように考えていけばよろしいということになります。出すもの、つまり放射能の中身から申しましても、おもなものはコバルト60でございまして、これは当然平和利用の原子力発電所からも出てまいりまして、敦賀等ではすでに海底土の中に検出されておりますから、モニタリングの相手とする放射能は全く同じでございます。ということで、指針大綱に示されておりますようなやり方でモニタリングをしておけば、住民の健康に影響がないということは、まず間違いなく言えると思います。ただしこれは、正しくモニタリングすれば、という条件つきでございまして、分析研のような例は問題外の話であります。ところが、原潜の場合に、とかく、出したか出さないかということが論議の的になります。出したか出さないかということば、モニタリングによってこれをきめることはまず不可能といっていいことだと思いますが、それでは、出したか出さないかということが住民の健康とどのような関連を持つかといいますと、たとえ出しても、出したという中身は、異常値ということばで申しますと、異常値が検出されたということは、決して直ちに住民の健康に害が生ずるということとはつながりません。このような異常値というのは、平和利用の原子力発電所の周辺でも、しょっちゅう検出されることでございまして、だからといって、住民の安全が脅かされるということにはならないわけであります。しかし、住民の間には放射能について非常な不安がございますが、そういった不安がなぜ起こるかということについて、ちょっと申し上げたいと思います。  住民が放射能というものに非常に不安を持っておって、放射能が検出されたというだけで、直ちに病気になるんじゃないかという心配をする原因が一つございます。その原因の一つは、私が最初に申し上げましたように、住民の心配の中身を三つに分けて申し上げましたが、その三つを混同するというところに原因があると思います。たとえば、第三の、安全問題、つまり防衛問題、これを議論する場合に、人間の知性というものに訴えないで、感性に訴えようとするために、第二の問題の、放射能の健康に対する不安というものをまぎれ込ませてしまう、こういうこと。あるいは住民側からいえば、その三つの安全というものを混同してしまって、放射能の危険というものにしてしまって、非常に不安が起こる、こういう点が一つの原因になるかと思います。  こういったことは、科学の問題と行政の問題のつながりのことになりますが、科学的な知識というものには限界があります。その限界と行政との間には大きなギャップがありまして、そのギャップを埋めるためには、行政をやる方々が科学の勉強をしていただくか、あるいは科学者が内分の持っている知識の上に、さらに科学でなく、一人の人間として、そのギャップのところに踏み出していって、自分の意見を述べるということが非常に必要になってきていると思うのですが、残念ながら、科学から踏み出して意見を述べるということになりますと、そこに価値観というものが入り込んでまいりますので、問題が非常にやっかいなものになる、こういう非常にむずかしい点がございます。  最後に申し上げたいのは、いささか行政的な問題になりますけれども、原子力開発ということを本務とする一つの役所が、同時にこれによって生ずるかもしれない住民の健康、公衆防護という問題とかあるいは環境保全、これまでひっくるめてやるというのは少しおかしいんじゃないか。住民の健康とか環境の問題には、それぞれの立場の役所が別にございます。一つの役所でその三つともやるというのは、予算のことに関して言っても、国会のような正規の場所で、お互いにかたき同士で戦うことができない。役所が違っておればできますけれども、一つの役所の中で、開発ということと公衆防護とそれから環境保全と、三つともやるというのは、幾ら考えてもおかしいんじゃないか。まあ、しろうとなりに、私の考えでございます。  以上でございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員長 ありがとうございました。  それでは、最後に福田参考人よりお願いいたします。

福田信之筑波大学副学長

○福田参考人 福田でございます。  私は放射能そのものを直接扱っておる専門家ではございませんけれども、自分の専門が物理学でございますし、原子力研究に携わっていた時期もございまして、この問題にはたいへん関心を持っておりますので、おそらくいままでとは違った観点から、私の意見を述べてみたいと思います。  原潜の寄港反対の中身を見ますと、先ほどの御意見でも、幾つかの観点があると申されましたけれども、また別な面から申しますと、大別して二つあるんじゃないかという気がするのでございます。  一つは、安保に反対だから、したがって原潜寄港反対であるという立場と、それから、安保には必ずしも反対ではないんだけれども、放射能の問題が危険だからというようなアングル。しかし、安保に反対だから原潜寄港反対という人も、表面上はいつも放射能問題を出してくる。よく読んでおりますと、そうじゃなくて、実は反安保だというようなことを、実際に書いたりしゃべったりしておりまして、そっちのほうが本音らしい。そういう、反安保だから原潜寄港反対という場合には、安保論議が優先すべきなんでございまして、放射能の安全性という技術問題を幾ら議論してみたって、満足するといいますか、とにかくあまり意味があるとは考えられません。安保条約が国際協定として国会で承認されている以上は、原潜そのものの寄港の議論というのは、やはり国民の安全という見地から考えるべきではないかと思います。それは、たとえば騒音公害を議論しようという場合に、騒音公害という観点に立つならば、七十ホンだとか八十ホンだとか、どっちがいいんだという議論がございますが、そういう場合に、その大きな騒音の原因、たとえばジェットだとか新幹線だとか、こういうことを問題にするのが筋道なんでございまして、一ホン程度の原因を幾らつついてみたって、これはあまり意味がないわけです。しかし、もしそんなささいなことでも、別な理由でそのことが反対だ、かりにパチンコみたいなものはいやだという人がいたとしたら、そういうのがかりに一ホンか二ホン出す場合でも、そういう立場の人は、どうしても、騒音公害の際にもそれを出したがるという傾向がございますけれども、騒音公害の防止という観点からは、あまり問題になるはずはないわけでございます。原潜可否の議論の場合を見ていましても、同じような事情が出ているので、十分注意していただきたい、そう思います。私は別に、反安保の議論をしちやいかぬ、そんなことを言っているのじゃございませんで、原潜寄港の反対論が、つまり反安保だから反対であるのか、あるいは二の立場、つまり安保に原則的に反対とか賛成とかを越えて、科学技術の問題として議論しておるのか、この点は、ぜひはっきりしていただきたいと思います。もし第一の立場に立って安全性の議論をしているなら、幾ら議論したってこれは納得するわけはございません。つまり、国民の健康に安全であるかどうか、あるいは国民の健康には無関係な程度の微量な放射能でも、そういう人たちにはこれは問題になります。それで、アメリカ側の約束では、その環境放射能に対して、メジャラブルクォンティティーということばを使っておりますが、そういうものは一般には出さない、そういう変化を起こさないということをいっておりますので、それが実施されるなら、そしてまた、現在までのすべてのデータは、それを保証しております。ですから、原潜の寄港は住民の健康に何ら影響を与えるわけはございませんし、現在までも、一度も影響を与えておりません。よく騒ぐことは――大山鳴動ネズ、二匹ということばがございますけれども、いままでのこういうことに関する議論は、大山鳴動しておりますが、ネズミ一匹じゃなくて、一匹も出たことがない、そう思います。ただし、アメリカはそういうことを約束しておっても、日本政府といたしましても、また国会といたしましても、国民の健康には十分の注意を払う必要がございますので、現在のモニタリングの体制を続けるということは非常に必要ではないか、そういう観点は持っております。  ただ、一方では、俗なことばで言いますと、ばか丁寧な面もあり過ぎはしないか。一つは、たとえば放射能のある程度以上の異常がないのに、核種分析を幾ら続けていたって、これは非常に問題だと思います。これは学問上の問題はまた別でございます。われわれ、精度を非常に高めるとか、非常に微量の放射能、そういうものを測定するということは、学問上は非常に興味のある問題ですが、いま、原潜問題は別に学問をやっているわけじゃございませんで、住民の健康や安全に害を及ぼすかどうか、こういう観点なんでございまして、放射能の場合、たとえば一時の異常放射能とかいって、十倍とか百倍とか急に出たからといったって、それが短時間で、しかも住民から一定距離離れておれば、これは何ら影響を与えないのは常識でございますが、しかし、わりと少ない量でも、長期間それを照射されると、これは影響が出てくるというわけで、そういうことはございますので、現在のモニタリングシステムは、むしろきわめて、ばか丁寧なぐらいですが、日本の特殊事情も考えて、けっこうだとは思いますけれども、どんな場合でも核種分析するとか、そういうようなことは問題ではないか。ただし、新しい機器を入れながら、もっと合理化していくという方向は、非常にけっこうなことだと思います。  くれぐれも注意したいのは、学問的興味とそれから住民の安全、つまり、われわれの原潜に対するモニタリングンステムというものの目的をはっきりしていただく、これはあくまでも住民の健康と安全を目標にしているのだ、その点ははっきりしていただきたいと思います。  最後に、私は、原子炉の技術の問題というのは、現代の科学技術のうちの最高峰であるという確信を持っている一人でございます。ごく簡単に、放射能の歴史で申し上げます。  現代の科学技術というのは、ある意味では放射能の歴史でもあるわけなんで、今世紀の初めにべックレルという人がウランの放射能を見つけまして、やがてキュリーがラジウムを発見する。私は、一九三〇年ごろまでは自然放射能の一つの時期だと思うのです。それからさらにエックス線とか電子線とかが誕生いたしますが、そういう自然放射能及び弱い放射能に関する物理、化学的な諸性質、生物学への影響等がかなり議論されまして、そしてそういう放射能を直接扱う人たちの安全について、鉛で遮蔽するとか、そういうことがすでに、やられております。  それから一九三〇年代になりますと、中性子とか加速器とか呼ばれるかなり大量の、これはそのときに比べておそらく何万倍ぐらい強度な放射能を取り扱うようになりまして、日本でもあるいはアメリカでも、ヨーロッパ大陸ももちろんそういう時期に入っておりまして、それが一九四〇年ごろまで続くわけでございます。これは中性子物理学、それから加速器等を中心にした時代でございまして、そのときには、たとえば加速器周辺の遮蔽とか、施設のごく周辺の安全性の問題はかなり確立いたします。  一九四〇年代になりまして、つまり核分裂が見つかりまして、原子炉とかあるいはいろいろな核兵器の問題、これまた何万倍か何十方倍か、非常に大雄の放射能を扱う時代に入るわけでございます。そのときはむしろ原子炉もあるいは軍事的利用というかっこうで、原子炉の周辺の――加速器とは違いますけれども、ある程度大きな規模で、しかし、そのときには健康物理学とか保健管理とか、そういうシステムは全部つくり上げまして、今日の大量放射能時代への安全システムが確立する時代でございます。  一九五五年の時期に、原子力がいわゆる世界に公開されまして、それから新しい時代、つまり広範な原子炉建設ということで、研究用あるいは実用炉がどんどん誕生する時代でございます。一九五五年には、それまでの長い間の歴史を背景に、大量放射能の制御ということに成功した時代でございます。  それから、あるいはわれわれ、その時期を過ぎたかもしれませんが、一九七〇年代になりますと、いわゆる大型の実用炉が大量に出回ろうという時期になりまして、これまた新しい時期だと思います。他方では核兵器の非常に大きな発展がございまして、戦略兵器体系という大きな問題、たとえば原子力潜水艦も、日本海にもうようよしているらしいとか、日本近海にも、アメリカのでない原子力潜水艦もしばしば近づいておる、こういう時代になりまして、また新しい時代を迎えつつあると私は思います。しかし、先ほどの大量放射能の制御に成功したのはもちろんアメリカでございまして、その技術開発に自信を持っているだけあって、先ほど私が途中で申しましたけれども、大山鳴動ネズ、二匹も出ないじゃないかということで、私は今後も心配ない、そういう確信を持っております。その意味で、放射能問題は確かに非常に十分な注意を払うことは、万国共通に理解されていることですが、約百年近い放射能制御の歴史は、ついに大山鳴動ネズミ一匹も出ないような時期にまでそれを高めたのだという確信は持っていただきたいと思います。ですから、原潜問題についても、安保との関係は、私のきょう議論する問題ではございませんので、触れませんけれども、原潜が安全かどうかという観点は、そういう面からひとつぜひ理解していただきたい、そう思います。

安井吉典日本社会党

○安井委員長 ありがとうございました。  以上で、参考人からの意見聴取は終わりました。     ―――――――――――――

安井吉典日本社会党

○安井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小官山重四郎君。

小宮山重四郎自由民主党

○小宮山委員 本日はお忙しいところ、参考人の先生方には、おいでくださいまして、ありがとうございました。  私、原子力についてはあまりよく存じ上げませんので、たいへん初歩的な質問を申し上げますけれども、お許しをいただきたいと思います。  まず第一に、最近の電力事情という問題は、たいへん逼迫してまいりました。かつ油が四・四倍という値上がりをしている。しかし、今後とも相当の需要数を見るであろうということを考えますと、通産省が出しました「日本のエネルギー問題」という木の中に、通産省は、五十二年の八月に電力の供給予備率というのがマイナス三・二になるということでございます。現在おもに火力でございます。水力あるいは原子力がございますけれども、皆さま方、少なくとも原子力問題に関連しているので、今後とも電源をどこに求めればいいかということを、簡単に皆さま方からお聞きいたしたいのでございます。

山崎文男日本原子力研究所理事

○山崎参考人 現在の状態では、日本の立場では、やはり原子力にたよらざるを得ないのじゃないかと思います。そのためには、いま問題になっております安全性の研究というものを、十分に徹底的にやりまして、進めるのは原子力でございます。その次、これも広い意味で原子力になりますが、核融合、その間に違った型の、軽水炉以外の炉が入る時代があると思いますが、結局核エネルギーにたよるということよりほかにないのじゃないかという気がいたします。

福田信之筑波大学副学長

○福田参考人 先ほどの化石燃料の限界については、一九五〇年ごろから盛んにいわれておりまして、その後いろいろ新しい油田も見つかったので、日本あるいは――日本だけじゃございませんけれども、世界的にある意味ではスローダウンしまして、一九五〇年ごろには、やはり二十年か三十年ぐらいで化石燃料は底をつくぞという議論だった。その後技術の進歩もございまして、大量の石油が出回りだしたものだから、核開発の問題は非常にスローダウンしたことは事実です。私は、先ほど私の意見を申し上げましたけれども、当面、少なくとも今世紀以内の問題に関しては、日本だけじゃございませんで、各国とも、原子力発電のほうにかなりの程度転換せざるを得ないと、そういう気がいたします。それから、将来に備えて、核融合だとかあるいはその他の大最エネルギーの利用とか、そういうものはもちろん同時に始めなければいけませんけれども、経済性を考えたときには、現在、原子力発電以外にはたよる道はないのじゃないか、こう思います。

中島篤之助日本学術会議原子力問題特別委員会幹事

○中島参考人 きょうそういう問題が審議されるとは思っておりませんでしたので、あまり十分な用意はございませんけれども、学術会議のほうでは、今度の四月の総会で、原子力研究の推進について、という中間報告を勧告で出しております。十分な時間があれば、これを御説明いたしたいと思いますけれども、(小宮山委員「私見でけっこうです」と呼ぶ)いや、私見でなくて、私がきょう出てきた立場がございますから……。そういう勧告が出ておりますので、ぜひ参考にしていただきたいと思います。ただ、一言で申し上げれば、私どもは資源エネルギー全体の勧告という形で出しておりまして、その中で、原子力は、研究として大いにこれを推進すべきであるということになっておる。その前提としては、エネルギーが足りないからといって、環境を破壊し、国民の健康を脅かしてエネルギー開発をやるということは、もちろんあり得ないわけでありますから、むしろいま何がおくれているかということを十分に考えれば、そういうことを重視していただきたいということを、学術会議としては申しておる、ということを申し上げておきたいと思います。

塩川孝信東北大学教授

○塩川参考人 実は、私の学問的な立場は、理学部に所属しておりまして、原子力の発電のほうのことは皆さまと同じ程度しか存じ上げないと言ったほうがいいかもしれませんが、ただ日ごろ感じておりますことを、私一番自由なものですから、率直に申し上げますと、原子力発電というのは、たとえば発端のころは、離れ小島でも発電ができるというような利点があって、それをつくる土木工事とか資材運搬とかいうことの難易さを考えなければ、ある程度人里離れたところでも、独立してあとの経営はやっていけるはずなんです。そういうところをもし選んでないとすれば、土木工事の安易さその他を考えて、資材の運搬ということの制約からくる住民への、いろいろな、なくてもいいような、漁業補償その他の問題を引き起こす可能性は、もしなければ幸いだと思います。そういう観点と、それから最近の新聞でしか知らないのですけれども、地下壕で、排気口もコントロールできるような発電形式が考えられるということが伝えられましたが、ああいうような方法も一つの方法で、現に西ドイツなどでは、岩塩の廃坑に放射性物質をたくわえて、ほとんど廃棄物処理はそれでやっているというようなところもありますような状態で、そういった自然の環境を使って、遮蔽とそしてコントロールをより容易にするということで、やはり私自身、油の問題を人ごとながら心配しておりまして、原子力発電、何とかスムーズにうまく発電所ができるようになってほしい。ただ伝えられるような、現在アメリカなり外国から買う発電形式が、やはりメーカー製品ですと、目一ぱい経済性ということから、安全性というものをある程度犠牲にしていきはせぬかという点が心配になるので、それはやはり国の技術でつくられた、国の環境保全に適したような、十分な発電機械でなければならないのではなかろうかということを、率直な気持ちとして現在持ち続けております。ですから、安易に外国のものを輸入して、それが経済ベースに乗るからということが、日本の発電、日本の環境にマッチするかどうかという点では、私、詳しいデータは持ち合わせておりませんが、巷間伝えられるところでは、いろいろ問題がありはせぬかという気がしております。  いま思い浮かぶところは、その程度でございます。

山県登国立公衆衛生院放射線衛生学部長

○山県参考人 専門ではございませんが、一人の人間としてお答えしたいと思います。  私ども、生活が、少なくとも現在よりも逼迫といいますか、物質的な話ですけれども、逼迫するんじゃとてもかなわぬと思っております。現在のような生活状態を将来続けていけるのに、電力がいまのままでいいかどうかという問題がございます。ですから、国民全体がいまのままでいいということであれば、そんなに電力、電力と騒がなくてもいいんじゃないかと思いますけれども、その辺はやはり国民の皆さんがどういうふうに考えていくかということできまってくる問題だと思います。どうしてもある程度ふやしていかなければいけないんだとしますと、よくいわれておりますように、やはり原子力にたよるしかないんじゃないかと思います。  最近、実は安全性の問題について、アメリカのある文献を翻訳したことがございまして、その知識で申し上げますと、その文献では、火力発電と原子力発電の安全性の問題、つまり事故の確率の問題と、それから環境の問題と両方解析しておりますが、その比較で見ますと、原子力発電のほうが火力発電よりもはるかに安全だという結論になっております。ですから発電所はいいのですが、原子力発電所がたくさん出てきますと、これに付随して再処理の問題が一つございますし、それから廃棄物をどう捨てるかという問題がございますので、その辺の研究開発を十分にやった上で、発電を進めていけばいいのではないかと考えております。

小宮山重四郎自由民主党

○小宮山委員 ありがとうございました。  中島参考人にはお答えができない。ただ、これはおたくがお出しになった本の中で――私、先ほど申しましたように、よく知りませんので、お聞きいたしたいのです。これは昨年のちょうどいまごろでございますが、本委員会で参考人としてお話しになった、それを収録されておる。自民党の議員さんは全部はずされているようでございますけれども、「放射能放出をゼロにするということが原子力問題の安全環境問題に対する試金石ではないか。このゼロにすることは、技術的には完全に可能でありまして、このことはあとで少し触れますが、それを放置したままで原子力発電所を建設していくということは間違っている。」――ここで、ゼロにするということは技術的に可能であるということをお書きになっておりますけれども、意味がよくわからないのですが、ちょっと御説明をいただきたい。

中島篤之助日本学術会議原子力問題特別委員会幹事

○中島参考人 これはたしか昨年の五月九日であったかと思いますが、この科技特で私が申しましたことは、その全体を読んでいただきたいと思いますけれども、再処理工場の問題について、原子力発電所のほうは、なるほどずいぶん電力会社等で努力されて、減らしているけれども、トータルシステムとして見た場合に、再処理のところで穴があいていては環境問題にとっては何にもならないから、その穴を埋めるようになさるのが至当ではないかということを申し上げたわけです。そしてそのことは、技術的に努力すればできます。(小宮山委員「ゼロになるという意味ですか」と呼ぶ)そういうことです。ゼロという意味は、これは前に、たとえばいまの水準でいえば非常に出ている時代でも、それはゼロに近いというふうに考える人がいた。ですからゼロというのはアブソルートなゼロではなくて、これはゼロに向かって技術的な技術開発の努力がされている状態をさすというふうに私は考えております。そしてそのことは、十分な研究のための体制をとるならば、いまよりもずっと安全にすることができるということを私は申し上げたわけであります。ゼロ放出ということば自身は、私が使ったといいますよりは、前長官の前田氏もそういうことをおっしゃっておりまして、われわれはそういうふうにやりたいというふうにたいへん希望しておる。そのことは、私そこで幾つかの事例をあげまして、こういう研究をずっと以前からやっておってくださればよかったであろう。  それから、この際申し上げておきますが、ただ私は、放出源からの放射能放出のゼロを申し上げただけであって、そのほかに、それが国民の安全とどうつながるかということについていえば、たいへんむずかしい問題がございます。それは、たとえば放出された放射能は環境の中でどういうふるまいをし、結局人類に対してどういう機構、経路をたどって影響していくかということについては、たいへん複雑な、わからないことが多い。その問題が、現在原子力発電を推進するということであれば、非常に重視して考えなければならないことだというふうに私は考えておる、そういうことを申し上げておきたいと思うのです。

小宮山重四郎自由民主党

○小宮山委員 アブソルートなゼロではないということは――私もわからないのです。私、それを読んでみまして、確率ゼロか一〇〇%かと読んだのです。そういう技術があり得るのならたいへんなことだ、さっそく中島先生にいろいろ教授していただいて、科学技術庁の安全体制をしゃんとしなければいかぬ。その絶対的なゼロあるいは絶対的に近いゼロということはどういう意味なのか、ちょっと御説明いただきたい。

中島篤之助日本学術会議原子力問題特別委員会幹事

○中島参考人 私、そういう抽象的なお話を申し上げるよりも、私がそこで申し上げましたのは、具体的に、たとえば再処理工場から、放射性廃液であれば、安全審査会のお認めになった安全審査によりますと、現在一日当たり〇・七キュリーを三百トンの低レベル廃液として海中に出すということになっておるわけですね。それをたとえば多段蒸発かんを使えば、少なくともまず十分の一に切り下げることは可能である。もう一段つければ、もう十分の一は無理かもしれませんが、さらに七分の一くらいには下げることができる。これは非常に小さい量になって、前よりはよほど安全になる。これが一つです。  それからクリプトンについては、それを回収する装置を設けることは可能である。むずかしいのは、御存じかと思いますが、むしろ保存の問題であろうと私は思っておりまして、これは考えなければいけない。しかしそれが単に技術的な問題であるならば、一定の時間と、それから一定の研究者がそれに従事する時間が与えられて、それが保障されるならば、私はそういう問題はだんだん解決していくというふうに考えております。そういう立場で去年かなり具体的に申し上げたわけであります。ですから、私はゼロを目ざす方向への努力をしていただきたいということで、国会でそのことを申し上げたわけであります。  それでもう一つ申しますと、トリチウムの問題が、現在、たとえば再処理工場のことについていえば、残念ながら一番困難であろう。これがたいへんむずかしい。これは将来にとっても一番大きな環境問題として残るので、われわれがほんとうに原子力エネルギーを使い切るかどうかということは、むしろその問題についてどういう対策をいまから立て、どういうふうにやるかということにかかっている、というのが私の考えであります。

小宮山重四郎自由民主党

○小宮山委員 ということは、まあそういう努力をすれば、少なくとも安全問題は少しずつ減るであろうと解釈してよろしゅうございますか。しろうとですから、むずかしいことはわかりません。

中島篤之助日本学術会議原子力問題特別委員会幹事

○中島参考人 今度の分析化学研究所のようなことが起きないような科学技術行政をやっていただければ、私はそうなると思っております。

小宮山重四郎自由民主党

○小宮山委員 分析化学研究所のようなことが起こらなければということでなくて、ここに、原子力問題の安全環境に関する試金石であるということと、もう一つは、放射能をゼロにするということができるということは、その分析研とは別に、原子力発電の中で、こういういろいろな努力をすれば、ゼロにはならないけれども、ゼロに近づくという努力をするということが必要であるということを述べていらっしゃいますね。

中島篤之助日本学術会議原子力問題特別委員会幹事

○中島参考人 その辺については、実はわれわれのいま置かれている状態ということを御説明しなければならぬ。われわれというのは私だけではなくて、いま科学者が一般にどう考えておるか。これは第一は、微量放射線の影響というものがどうかということについては、現在ではかなり高い放射線についての知識から外挿されて、いろいろなことがいわれているわけです。いまのところは、いかに微量であっても、それは害があるんだという立場をとっております。これはICRPもそうでありますし、おそらく全世界の放射線生物学者は、私はそちらの専門ではございませんが、そういうふうに考えておる。ですから、各国が具体的に原子力開発をやれば、放射線の影響が出てきて、これは必ず一定の害が起こるということは前提としなければならない。しかし、それをどういうふうにがまんしていくかについては各国がきめるという考え方が、ICRPのたしか五十九号の勧告であります。ですから、私、科学者の立場から申し上げれば、そういう問題について、日本はまだ、たとえば特に微量放射線の影響について十分な研究する、どういうことがわかっていないかもわかっていないというような状況にある。であるからこそ、さっき御説明しましたように、そういう研究所を早くつくっていただきたい。これはむしろそういうものをつくることが原子力研究を推進する、二つの両輪で動かなければならない、片っ方の車がない状態だということを、私どもは学術会議で再三申し上げております。ですから、それをつくっていただきたいということが第一の点であります。  それから、そのことは、私がそう思っているだけではなくて、原子力委員会も、最近安全会議というものをたしか設けられていることを聞いております。そこで、微量放射線の影響ということをやっと何人かの方が最近お取り上げになっている。これは決しておそまきだから悪いとは申しませんけれども、やはりそういう問題はもっと早くから、開発計画が確立する前から、当然そういうことをお考えになるべきではなかったかというふうに私は考えております。  ほかにも二、三言いたいことはありますが、一応そういうことで…・-。

小宮山重四郎自由民主党

○小宮山委員 原子力委員会の話まで出ましたけれども、いま害という問題、どんな微量でも害であるというお話がありました。ちょっとこれは山県先生にお聞きいたしたいのでございますけれども、先ほど山崎先生あるいは塩川先生のお話を聞いておりますと、ビキニの死の灰あたりからスタートしてきた、放射能の分析がたいへん進んできた。山崎先生からは、原爆の問題もありました。害という問題、私はこれはたいへん重要な問題だろうと思うのです。害というのは、どの辺まで害があって害がないんだということ。じゃ、山崎先生にちょっとお聞きしますけれども、ビキニの灰を飲んでどうだったのですか、死の灰……。

山崎文男日本原子力研究所理事

○山崎参考人 ちょっと答えがむずかしいのですけれども、先ほどから言っておりますように、現在一般に低レベルのところの放射能というのは、人体に与える影響はなかなかわかりませんので、高いところのものを外挿してゼロに持っていく。要するに、線量と障害の間には直線関係があるとコンサーバティブに考えているわけでございます。これはあるいはあるところで、ここから以下はだいじょうぶだというのがあるかもしれないのですけれども、ともかくICRPの精神としては、いまコンサーバティブに直線関係にある。それから、今度はビキニのときのたくさんの降ってきたものを、どういうものをどういうような形で口に入れたかというような形は、ちょっと推測がつきにくいですけれども、少なくともあそこの中に生活していた人がどのくらい外部から線壁を受けたかというのは見当がつくと思います。あの間に一番多い人で百レムくらい受けていた。そうすると、現在の知識で、短い期間にどのくらいの放射線を受けたらどのくらいの確率でその人は障害が起こるというのはわかっておりますから、その程度のものでいいんではないか。そんなにこまかいことはとってもわかりません。

小宮山重四郎自由民主党

○小宮山委員 塩川先生……。

塩川孝信東北大学教授

○塩川参考人 実はビキニのことを、いろいろ二十年前の勉強をあらためてしておりましたのですが、当時山崎先生に三月一日からずっと御協力して、私どもの手に入ったのは十六日の午前中以後の放射能ということで、いま、飲み込んだというよりも、むしろあの場合は、たとえば船員の頭の毛からもガイガーカウンターの結果、出ております。それから耳のうしろ、あるいは当時船の上で働いていた船員ですから、裸で仕事をしていたので、ふんどしのまわりとか、その辺が、十六日現在、彼らは入浴後ですけれども、まだ放射能として残っております。それから、御存じのように、頭がほとんど全部ぺろっと落ちてしまいました。しかし、当時減衰の強さ、それから、船の上を歩けば足あとがつくほどに降った灰、それらの量から換算して――当時の都築先生、いまはなくなられましたけれども、推定して、あるいはどこかの乗り組み員の証言であったか、一〇%以上はひょっとするとやはり死ぬかもしれないというような点で二十人のうちの一人の久保山さんという方がなくなられたのですが、あの当時の死亡原因というものも、アメリカ側は輸血のために起きた肝炎である、日本側は放射能症であるといった論争が、その後どう決着がついたかは存じませんけれども、そういう原因をつくったことは確かでございまして、放射能の汚染が原因をつくって、それが肝炎になってなくなられたということは事実でございます。

小宮山重四郎自由民主党

○小宮山委員 その後の死の灰の問題は……。

塩川孝信東北大学教授

○塩川参考人 その後の死の灰に関しては、空からいわゆる超ウラン元素が雨として落ちてくるというので、私どもいろいろなものを広げて、現在でもその試料などを測定したりしておりますが、そういうような程度で、別にからだの害だとは考えておりません。しかし、当時の蓄積量というものを現在の規模に直しますと、かなりの量、核実験が行なわれております。いわゆる放射能に関する生物的な、たとえば環境放射能生物研究所の問題などからわかりますように、国連の科学委員会の報告が出ましてから、ひるがえって、いままで大線量にしかデータがないものを、大体微弱線量にまで補外して、そしてその効果を論ずるということで、やはりその結果がすぐ出ないので、微弱放射能というのは、今後とも十分に研究を要する問題、やはり一代、二代の間にすぐ結果が出てくればよろしいのですが、なかなか時間がかかるというので、研究が進まないという問題があろうかと思います。  ただ、一九五四年、五年ごろまでは、たとえばヨーロッパあたりですと、みんなくつ屋の店先にレントゲンの撮影機がありまして、われわれくつ屋へ行きますと、くつが自分の足にフィットするかどうか、足を踏みますと、螢光板があって、自分の足とくつの踊りぐあいがよくわかるというような方法で、くつの適否をどこのくつ屋でも調べておったわけであります。そういうことも、特に妊娠しているような人たちは、腹部に放射能をエックス線として受けるというようなことから、取りやめになりつつある。ですから、それをやっていた当時では、別に、胸のレントゲン写真を受けると同じように、われわれと違って何回かくつを買いにいく人たちの健康も、それでそこなわれていたとは思われないのですけれども、それがだんだん世の中の学問的な知識の普及から、そういうことはやめようということで、現在は取りやめになっております。ですから、放射能に関するわれわれの知識が進むにつれて、非常に微弱放射能でも、われわれ生物学的な意味でいろいろな影響があるという点で、昔の――私自身アイソトープの取り扱い試験を認定でもらいましたのですが、当時必要に迫られて講習会などを受けたり、あるいはいろいろやっておりますと、われわれ化学以外のいろいろな生物学的な知識というもので、ある程度人間には回復力というものがあるということ、ある線量以上からは影響があらわれてくるというようなものが幾つかあったのですが、それがやはり日を追ってだんだん許容線量以降に直線的に影響があらわれてくるというもののほうに、だんだん変わりつつある。これらのことは、白血病とかいう、いろいろのことに多くなってきつつあるので、まだまだやはり微弱放射能の生物学的な作用というものは研究を要する段階ではないか。しかし、先ほど来申し上げているように、発電というものが、われわれそれにたよらざるを得ないということになれば、ある程度の環境の汚染はできるだけゼロにするということの前提に立って、かね合いで発電というものを進めていかなければならないのではないか。私、基本的にはそう考えております。

小宮山重四郎自由民主党

○小宮山委員 たいへん長い答弁であれでしたけれでも、害があるのか。山崎さんはあまりないということですが、山県先生どうですか、専門家でいらっしゃいますが。

山県登国立公衆衛生院放射線衛生学部長

○山県参考人 御質問の趣旨は、ビキニでたとえば久保山さんがなくなった。その場合百レムぐらい受けたとされております。それと微量放射線のかね合いという問題だと思いますが、一番よくわかっておりますのが白血病の発生ということであります。もちろんこの数字は、五十レム浴びたとか、そういった高いところのデータをもとにして、ゼロから直線的にふえる、こういう仮定のもとで計算したわけです。それによりますと、百万人の人が一レムずつ受けますと、一年間に一人ないし二人白血病になるというのが計算の結果出ております。一レムと申しましたが、これは言い直しますと千ミリレムということでございます。いま原子力発電所境界線上で一年間に五ミリレム以下にしようというような話が出ておりますが、では五ミリレムだったらどのくらいの計算になるかというと、先ほどの千ミリレムの二百分の一ですから、百万人を二百倍いたしまして、二億人に一人ないし二人ぐらい白血病になる計算になります、一年間五ミリレムかけるということですから。これは計算の結果ですが、それでは一体、白血病になる人が自然の状態でどのくらいあるかと申しますと、日本の場合は、百万人について毎年三十人ないし四十人の人が白血病でなくなっております。アメリカでは七十人ぐらいです。これは国によって違うのです。日本では三十人ないし四十人と申しましたのは、年によって、三十人のこともあるし四十人のこともある。こういうものに対して、計算上五ミリレムよけいに被曝すれば、毎年二億人に一人ないし二人の割合で、それにプラスされるという計算になるわけです。これはあくまでもゼロから出発する直線だという仮定の上での計算の結果、そういうことになっております。

小宮山重四郎自由民主党

○小宮山委員 死の灰が微量なものならば、生命には大差があまりないと理解いたしますし、塩川先生も、先ほど二代、三代とおっしゃいましたけれども、私は遺伝はないだろうと思うのですけれども、どうなんですか、山県先生。

塩川孝信東北大学教授

○塩川参考人 まだいま健康だからといって、別に将来危倶する必要はないと思うのですが、それはいいとも悪いともわかりません。まだ世代を経ておりませんから、そういう意味でわからないということで、別に危倶は持っておりません。

山県登国立公衆衛生院放射線衛生学部長

○山県参考人 遺伝の問題ですが、生殖腺の被曝があれば、当然遺伝のことを考えなければなりません。いま数字を覚えておりませんけれども、計算上は、先ほど申しました白血病と同じように、数字が出てまいります。しかし、遺伝上の影響というのは、一番大きいのは死産、赤ん坊が死んで生まれるという結果が一番大きいわけです。生きてかたわとか、そういうことはありますけれども、これは数からいって比較した場合には、死産が一番大きい。死産の原因というのは、天然の放射線ももちろんございますし、そのほかさまざまのわかっておらない原因がございまして、百人出産した場合に大体三人ぐらいは死産というのが自然の数字でございます。先ほどと同じように計算してみますと、確かなことはちょっと申し上げられませんけれども、ここに数字がございますが、五レムよけいに放射線に被曝しますと、一年当たりどのくらい死産がふえるかというと、日本じゅうで三千五百人。自然の数字は八万六千七百三十六人となっておりますが、それに対して三千五百人。五レムでございます。ですから、その割合で計算していただけばわかると思います。

小宮山重四郎自由民主党

○小宮山委員 もう時間がなくなってまいりましたので、あとは、先ほど中島さんの科学技術会議の決議と会長談話のお話等々がございました。その中に、定員、予算という科学技術振興の問題が出ております。これは大臣ひとつ聞いておいていただきたいのですけれども、私、昭和四十四年に科学技術振興法というのを出しました。議員立法でございます。小宮山私案というやつでございます。この内容は、大体柱が八本ございまして、原子力とか、ガンとか等々ございまして、この八本の下に三十二本だったと思いますが、各基本の科学がくっついております。これは大型なナショナルプロジェクトを推進するということではなくて、学術振興、基礎科学の振興に、政府予算の二〇%だと思いましたが、出すような法律でございます。これは相当長い期間をかけまして、自由民主党内をまとめてまいりました。たぶん森山長官も存じていらっしゃるだろうと思うのですけれども、この法律が、残念なことに学術会議で否決されております。三度にわたって否決されている。たいへん残念です。科学に対しては、特に科学の基本という問題が重要でございます。そういう問題をやっていかないといけないということで、本委員会で与野党とも相当の話し合いをして、ある程度のところへまいりましたけれども、学術会議の否決にあったということで、何人かの方々から、ぜひ強行してやってくれという話がございました。また、学術会議の関係者の方々大ぜいに会いましたけれども、福島要委員以外は全員賛成をしていただきましたけれども、本会議で否決されたという事実がございます。私は毎回、学術会議の委員長、会長からそういう話を聞きますと、その当時のことを思い出してたいへん残念だ、しかし、いまからでもおそくない、ぜひそういう基本の科学を振興するために大いに政府も努力しなければいけない、またそういうことが安全陶題にもつながるのだということでございます。かつ、先ほど山崎先生のお話のとおり、機器がまだ伸びていない、発達してこない、いわゆる新しい分析機器が。そういうようなことでは困るのであって、これをもっともっと機器をよくして、モニタリングが完全にできて、国民が安全に生活できる、また、たいへん私たちの生活の中に核アレルギーというものがございます。先ほど申しましたように、死の灰が降ってきたということだけで、魚が売れなくなったり、あるいはわれわれの生命が脅かされるというような心配した生活、これは山県先生のおっしゃったように、三つの心配、そういうようなことが出てくるわけでございます。たいへん技術的な問題は、私はサンプリングの問題については、なかなか申し上げられませんけれども、そういうようなことが十分行なわれることが、やはり今後の科学技術、特に原子力の発展に大きく寄与するであろうし、ほとんどのきょうの参考人の方々は、やはり原子力発電というものが次の発電の中心であるということで、国家的課題であろうとも存じますので、大臣、ぜひ今後とも、安全問題について全力をあげていただきたい。  時間が四十分ということで、たいへん限られておりますので、あと、いろいろな先生方にお聞きしたい問題が相当ございましたけれども、割愛せざるを得ないので、たいへんまとまらない質問でございましたけれども、この辺で終わらせていただきます。

森山欽司自由民主党科学技術庁長官

○森山国務大臣 小宮山委員から、安全性の問題には特に力を入れて進むようにというお話でございます。まことにそのとおりであると考えております。私は、科学技術庁長官就任面後より今日まで、この安全性の推進のためには特に留意いたしまして、御案内のとおり、昭和四十九年度の予算につきましては、従来の予算要求に加うるに、年末に新たなる追加要求を行なって、昭和四十八年度における安全性に関しての予算は、債務負担行為をまぜまして七十億円ございましたが、四十九年度は百五十億円、総需要抑制で、公共事業費のごときは、金額面で四十九年度は四十八年度並み、内容は四十七年度並みというときに、安全性の予算は実に倍額に増加をいたしております。これは、昭和四十九年度にとどまらず、五十年度、五十一年度、少なくとも三カ年間はこの調子でやるという考えでおったわけでございますが、小宮山委員から御質問の線に沿いまして、さらにこれらの問題については再検討いたし、先ほど御言及になりました安全会議について、さらにこの安全性の確保について再検討を加えていって、一そうこの方面に力を注ぎたい、そういう所存でございますので、今後とも一そうの御指導をお願いいたしたいと思います。  それから、先ほど御質問の、原子力施設からの放射性物質の放出はゼロにすべきだという意見についての私の考え方を、ちょっとコメント申し上げたいと思いますが、ゼロ放出は、近いか遠いかという問題はございますが、将来における理想であると思います。しかしながら、現状においても、周辺の住民の安全は十分保たれていると私は考えます。ただ、将来の研究の方向として、放出を減少させるように努力することは必要でありましょうが、その基本的な考え方は、国際的にICRPで、アズ・ロー・アズ・レディリー・アチーバブル、容易に達成できる限り低くというふうになっておるわけでありまして、この線に沿って今後とも努力をいたすつもりでございます。ただその例として、いわゆる死の灰問題というのが出ましたが、ビキニの場合は、先ほどどなたかからお話しがございましたが、百レム以上の被曝であったと思いますが、いま、たとえば原子力発電所周辺において五ミリレムということは、百レムに比べまして十万分の一くらいの単位になりましょうが。ミリレムというのは、どういうのですか、とにかく千ミリレムが一レムですから、その百倍のような、そういう大きな放射線を受けた場合に、ビキニのような事故があったわけでございますが、世にいわゆる死の灰なるものが、一種の核アレルギーの一つの表現になりまして、いつもそういうことで、私どもは趣旨として原爆実験なんというのは反対でございます。これはどこの国でも反対でございますことは、御案内のとおりでございますけれども、その出てくる死の灰を、すべてまたビキニの二の舞いのように取り上げていくことについては、私はどうかなというふうに思っております。  それで、私の聞いたところで、ちょっと聞き違いかもしれませんけれども、フォールアウトでもって測定する放射能は、一ミリ、二ミリレムぐらいじゃないですか。あとで事務局のほうから説明していただいてもけっこうですが。ビキニのときは百レムを受けておるわけです。御案内のとおり、普通の常人で限度が大体五百ミリレム、それから職業人で五レムということであり、身体に障害を与える限界は二十五レムということになりますと、非常な放射線を受けたものと同じようにすべて議論されるということには、いろいろ問題があるのじゃないか。そういう意味で、たとえば最近の原子力発電所周辺における放射能物質の放出だとか、それから再処理工場でいろいろ問題がありますが、実際のところ三十二ミリレムくらいの勘定ですね。そうすると、自然放射能で百ミリレムですからね。それから普通の人の限度というのですか、五百ミリレムというのに比べますと問題にならないほど、一けた以上も低い。それでもまだ、いかにも安全性に疑念があるような御論議を聞きますと、私どもはアズ・ロー・アズ・レディリー・アチーバブルで、できるだけ低くするのは賛成ですよ。だけれども、現状がいかにも何か安全に不安があるような表現をやられるということについては、私は行政の責任者として、いささかオーバーじゃないか。もう少しそういう点を歯切れよく、そういう問題に対して措置をしていかなければならないのじゃないか。一体どういうことで、そういうことをオーバーに論議されるのか、その点は実は私理解に苦しむのであります。基本的には、もう一回申し上げますと、ゼロ放出は遠い将来における理想であるが、現状でも周辺の住民の安全は十分保たれている。将来、研究の方向として、放出を減少させるように努力することはもちろんであり、必要であると思いますが、基本的な考え方はICRPで、ここにもありますように、アズ・ロー・アズ・レディリー・アチーバブル、容易に達成できる限り低くということを目標にして今後進めていく、そういう考えであります。

安井吉典日本社会党

○安井委員長 小宮山君、時間が超過しておりますが……。

小宮山重四郎自由民主党

○小宮山委員 あと一問だけお願いします。  いま放射能の話が出ましたけれども、これは答弁要りませんが、前田長官も、ゼロということに対して、当委員会で訂正しているわけです。それは将来の目標であるということですね。私の住んでおります埼玉県では、大宮の三菱の原子力研究所で、どぶから放射能が出たということで大騒ぎしました。探ってみましたら、同然放射能らしい、そういうことで、私たちの自然放射能との関係と、原子力発電あるいは潜水艦から出る放射能というような問題について、やはり何といってもモニタリングがしっかりされていなければならない。それから、原子炉のないところでも、自然放射能というのはどのくらい出るのだということを周知しなければならない。それからビキニの事件は別として、その後使っていることばの中に、死の灰というようなことばがある。これはやはりノイローゼぎみにさせます。そういうようなことの政府のPRという問題は非常に重要であろうし、学者先生方にもぜひお願いしたいことは、われわれが使う通常のことばと学術的なことばとの区別をはっきりしていただきたい。そうしませんと、ゼロになるのだと思っていると、現在ゼロではないのであって、そんな原子炉はどこにもないのであって、そういうようなことを認識の上でおしゃべりになるのとは違うと思います。そういう点、大臣にも今後とも大いにPRしていただくことをお願いして、時間をオーバーしましたので、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。

安井吉典日本社会党

○安井委員長 次に、石野久男君。

石野久男日本社会党

○石野委員 参考人の皆さんにはたいへん御苦労さまでございます。  限られた時間でございますが、いま小宮山さんからいろいろ質問もございましたし、参考人の各位から御意見がございましたが、私もしろうと質問をひとつさせていただきますけれども、放射能の問題について、実は私ども非常に神経質に考えておる面があるかもしれません。その神経質に考えておる面があるかもしれないのだけれども、放射能は、自然放射能の上に人工放射能が加わった場合――自然放射能の場合では、私たちは案外に通常の生活をしておりますが、それに人工放射能が加わっていく場合は、自然放射能との関係では全然別個なものとして人体に影響するのだろうかどうだろうかということが、ちょっと疑問になってきちゃうのですよ。そういう点について、ひとつ皆さんの御所見を最初に聞かせていただきたいと思います。福田先生からひとつ……。

福田信之筑波大学副学長

○福田参考人 実は、自然放射能、先ほどから百ミリと言っておりますが、これは地域差がかなりございまして、強いところでは数百――二、三百も出るところもあるようでございます、たとえばウラン鉱をとっているところとか。そこで何万年も、何十万年か知りませんが、人類は生きておるわけです。それからまた、同じ場所でも時間的に変動しております。数ミリとかあるいは数十ミリとかという、そういう変化というものは至るところに見られるようでございます。そういう中で、人類は長い間、何百万年も生きているわけですから、これは何百万年前から下げられません。さらに人工的な意味で加わってまいりますと、その場合二通りございまして、絶えずふえる場合と、それからときどきふえる場合ということがございますが、少量の場合には、やはりそれをならしたものが一番影響があります。たとえば五ミリレムという場合でも、それがずっと一生五ミリレム受ける場合と、ときどき治療のときに受ける場合と、これはだいぶ影響が違います。ならされたものでございます。それからなお、影響があるとすればトータルでございますから、その自然放射能と人工放射能とを全く区別することは意味がないわけでございまして、そのトータルがどうかということで、私はそういう意味で、一つの、まあ先ほどゼロという話が出ておりましたけれども、一つの当面目標にしなければいかぬのは、そういう自然放射能のばらつきの範囲内、先ほど何か、測定したら自然放射能だった、きょう百で、あくる日はかったら百五だから、百五は人工じゃないか、そういうわけにはいかないわけです。これはちょっとやそっとでは、容易なことで区別できない。全く同じでございます、よほど特殊な場合は別ですが。ですから、大体ゼロ放射能という場合には、日本でいいますと、いろいろな平均のばらつきが、大体日本人が生きておりまして、御存じのように、どこそこが放射能が強いから病気がたくさん出るというのはあまりないようでございます。ですから、大体自然放射能を背景にして、そのばらつきの範囲なら、ほぼゼロと考えていいんじゃないか、そういう気がいたします。

山崎文男日本原子力研究所理事

○山崎参考人 自然の放射能というか、あるいは放射線であろうが、人工の放射線であろうが、現在のICRPの考えでは、ともかく放射線の影響としては効果は同じだと思います。ただ、それはもういままで人類が長い間住んできた環境ですから、それに加わるものについて、ICRPはどのくらいにしようということをいっておるのであります。  先ほど福田さんが言われましたけれども、有名な、いまはザイール国になりますか、一年に千五百ミリレム、あるいはブラジル、そういう何万人という人が住んでいるところでも、なかなか影響が見えないというように聞いております。  それから、日本でいいますと、私たちかなり広い範囲にこれを調べたんですけれども、一般にいいまして、日本の構造線、糸魚川と静岡の間ですが、あれの西のほうは一般に高い。ことに中国山脈のように花こう岩地帯は高い。それから関東地方は、これはローム層が、場所によって大体十メートルくらい積んでおりまして、非常に少ないところがある。これをどう解釈したらいいか。ところが東京なんかは非常に――だからその意味では自然放射能によるものは、宇宙線を除きまして、大体二十から三十ミリレム・パー・イヤー。ところがこの建物なんかは最も豪壮なもので、おそらく骨材、コンクリートあるいはみかげ石みたいなものがずいぶん張ってありますが、この中では、おそらく自然放射線を五十ミリレムぐらい受けておると思います。関東地方で戦後にアパートがたくさんできて、そしてみんなそれなりにいい生活ができるようになったと思いますが、放射線についていえば、もとの木造の家屋に関棄地方で住んでいた場合よりも、一年に二十ミリレムぐらいは多く受ける。けれどもこのことはちっとも問題にならない。おそらくみんな、ベネフィットとそれから損害ですかね、火事にあうとか、そういうことと、暗に引き比べている方もいるかもしれませんが、とにかくそのくらい強くて、いま申しましたように、大臣からお話がありましたように、原子力の施設の周辺では五ミリレムで押えようとしているわけでございます。そうすると、たとえば東海村の村役場はりっぱになりましたけれども、あのために、あの中においては、おそらく一年に五ミリレム以上ふえた線量を受けると思いますが、それはやはりベネフィットとそれからリスクとのバランスということを考えれば、もしもそんなに五ミリ、十ミリがあぶないなら、こういう建築をするときに、放射性物質の少ない材料をもってつくるということも当然考えなければいけない量じゃないか。ただ自然放射能でございますと、これはもう別のように考えているのですが、しかしウランをとってきて、実際精錬してやるというと、これはもう加工したということになるのか。その技術的に加えられたものというようにICRP基準をきめる。建物についてどういうように考えるかは書っていませんが、こう五ミリ、十ミリになってくると、相当神経質にいろいろな放射線について影響を考えなければいけないんじゃないか。一向にそういうことがない、アンバランスを感ずるわけです。

中島篤之助日本学術会議原子力問題特別委員会幹事

○中島参考人 いま私、山崎先生がおっしゃったと同じようなことを別な表現で申しますと、まず天然の放射能は、これがあるからといったって、われわれ地球から逃げ出すわけにまいりませんし、私が原子力研究所におれば、関東地方から関西に住宅を移して住まうというわけにいかないんで、これはしかたがないのであります。人工放射能のほうは、私がゼロとかいろいろなことを言うのは、これは制御できるからであります。これは自然科学的な手段もあり、それから社会科学的な方法もあり、これは手段があるからということで、その点をまずはっきりしないと、議論がたいへん混乱いたします。  それからもう一つは、影響について、これはさっきビキニの灰なんかも出ておりまして、私、意見を申すあれがありませんでしたが、傷害ということばがあります。それからもう一つ、これは学術会議が勧告しました研究所の、仮称でありますが、これは放射線障害、これは障害です。この傷害というのはビキニの久保山さんのようなケースで、明らかに身体的傷害が出てくるケースであります。それから障害というのは、そういうふうには見えないけれども、やはり医学的に見れば、放射線の影響だということが顕著なケースであります。実は世界各国でいま原子力発電の環境安全問題で議論しているのは、その国の危険度、かりに危険度ということばを、たとえば菅原先生は使っておられるわけで、それを私も使いたいと思いますが、その危険度、特にその遺伝的危険度について、非常にわからないことが多いというのが現状であるということであります。ですから、その辺の議論を全部ごっちゃにしているのはたいへん危険なんでありまして、むしろ原子炉をつくれば、これはまた明らかに、自然科学的に何億キュリーという放射能がつくり出されるわけです。それをやはり発生源であとう限りとどめて、環境に出さないようにする、あるいはその廃棄物の始末をきちんとやる。環境には出さないようにして、それで初めて、天然放射線の何%とか、バックグラウンド以内という話ができるようになるのであって、そこら辺をいいかげんにやっておったら、これは将来おそるべきものがある。これは現在でも、私、申しますと、この空気の中にも、五二年以来の原子力発電の影響の結果として、クリプトンが北半球では大体現在十五ピコキュリー・パー立米ぐらいになっているというふうにいっております。これをそのままふやしていくか、それともわれわれが懸命にそれを制御するか、というような問題が現実にあるわけでありまして、そのために、われわれがもっといろいろなことを研究しなければならないし、国民の安全ということを言うならば、もっともっと科学者に指示をしていただいて、検討すべきことが多いのだということを申し上げているということを、誤解のないようにしていただきたいというふうに思います。また、いまでも安全なんだというような考え方だと、これはともすると、もうやらなくていいんじゃないかというような話にどうもなりますから、たいへん私はその点を心配いたします。

塩川孝信東北大学教授

○塩川参考人 私も、基本的には山崎さんのお考えに賛成でございまして、私ども、毎日実は放射性物質を扱って仕事をしております。指先とかあるいは胸とかいうところにフィルムバッジをつけて、一年間五ミリレム以内でやっておりますが、さらにそれを、影響の点を詳細に考えますと、たとえば宇宙線その他による自然放射能というのは、清水トンネルの下でも計測できるように、貫通してわれわれの内臓にまで及んでおります。多くの放射性物質というのは、たとえばいろいろな体内の半減期というのは、成分によっていろいろ違いますけれども、たとえばいまわれわれ取り扱っているような放射性物質というのは、表面的に出てくる放射性物質ですから、指は受けても、からだ全体に、あるいは造血機能とか生殖細胞などには影響ない。しかし数字としては五ミリレムというようなのが、ある程度の計数が出てまいりますけれども、それでさえも押えておるという環境で、それからなおかつビキニの事件がたびたび話題に出ますが、あの当時、実は汚染したマグロというのの処置に困って、われわれのところに持ってきて、解剖してほしいというようなことでやっておりましたのですが、肉はみな食べられる。こっそり冷蔵庫にしまっておいて、われわれ実験に疲れて夜食に食べたもので、しまいにはうんざりするほどだった記憶がありますけれども、捨てるところもない。結局、冷蔵庫にたまると食べておりまして、あの当時の汚染されたマグロでも、肉は安全であった。われわれ、放射性物質を飲みましても、それぞれ半減期というものがあって、ストロンチウムのようなのは骨に行くけれども、そうでないものは行かない。それによって危険度というものが設定されていると思います。そういう個々のニュークライドというもの、核種というものの分析結果に立って考えていきますと、たとえば放射性物質を使うという点では、ここにたばこのホープがありますが、そのホープに使われているスリーエーの紙の厚さを測定するというのは、ほとんどいまどこの紙屋さんでも、自動測定の放射能測定をやっております。プロメチウム147という非常に弱い放射線を出すのが非常に適合しているので、一平方メートル当たり二十グラムぐらいの紙をつくるのに、どこの会社でも使っております。それをいまやめたら、紙屋さんのもうかるというその利益の度合いを抜きにして、やはりわれわれはおいしいたばこを吸えなくなるのじゃなかろうか。そういう点では、やはり紙屋さんがそういうのを使うのは、私の立場では大いに奨励して、大いに安全をはかって使ってごらんなさいと言ってすすめておりますが、そういうような危険なものと危険でないものというのを十分区別して、それからさらに先ほど来クリプトンの話が出まして、クリプトンのようなのはいわば安全だからといって放出しておったのが、いつの間にか蓄積してきた。そういうふうに、技術的に可能な範囲では、やはり集中的にそれを研究して、それを大気の中から除去するというような方向も考えられると思う。それは不可能ではないと思うのです。そういうような、核種によってやはり適切な処置を科学的にとるということの、そういう配慮が大裏ではなかろうか。一がいにおそれるのみならず――おそれたら、われわれ研究など成り立たないわけで、そういう点を基本的に考えております。

山県登国立公衆衛生院放射線衛生学部長

○山県参考人 御質問は、自然放射能と人工放射能の違いということだと思いますので、その点についてお答えいたします。  同じところと違うところとございまして、放射線による影響を判断するのは、放射線にどれだけ当たったかというミリレムで判断いたします。その場合には、自然も人工も全く同じで、ミリレムという数字が出てまいりますので、足し算をして判断をいたします。違う点は、放射能と申しましても種類がいろいろございまして、種類が違うために、環境での動き方、それから人間のからだに入ったときの動き方が違います。たとえばセシウム137ですが、これは天然のカリウムと同じような動き方をします。それからストロンチウム90は天然のカルシウムと同じような動き方をします、というふうに、それぞれ違います。ですから、環境を汚染した場合に、その汚染の程度を判断するのに違いが出てまいりますけれども、結論としてはミリレムで出てまいりますから、足し算をすればいいということになります。  それから天然の放射能で、先ほどちょっとお話が出ましたので、ちょっと詳しいことをお話しいたしますと、たとえば東京では七十ミリレムぐらい一年間に受ける。神戸に行きますと百二十ミリレム、つまり東京より五十ミリレム多い。インドのケララというところでは、天然の放射性の鉱物がたくさんあるものですから、われわれの十倍以上一年間に被曝する。ブラジルのミナスというところも、やはり同じように天然の放射能が高いところでございます。インドのケララでは疫学調査をいたしまして、人間に影響があるかどうかという調査をWHOでやりましたけれども、人間は数が少ないのでどうもできない。しかたがないので、小さな動物を、現地に住んでおる動物を使って疫学調査をしたけれども、その結論としては、どうも影響はない、見られないという結論になっております。これは私どもの受けている十倍、つまり一年間に一レム程度あるいはそれ以上被曝しても、実際に影響は見られないという結果が出ております。  以上でございます。

石野久男日本社会党

○石野委員 自然放射能と人工放射能とは、線量の点でいえば全然変わりはしないのだし、そしてまたそれがずっと加わっていけば、それがどういうふうに人体に障害を受けるか、影響するかという問題が、われわれにとって非常に重要な問題だ、こう思います。  そこで、私たちがいま原潜の問題でいろいろやかましく言うのは、あの福田さんのことばでいいますと、大山鳴動してネズミ一匹、何ということないじゃないか、こういうお話でございましたが、私どもからすると、これは学問的な研究であろうと、あるいはわれわれの環境保全の問題あるいは健康保全の問題であろうとにかかわらず、やはり原潜が入る、あるいはまた原子力施設がある周辺において、放射能が人工的に加わってくるということは当然警戒しなければならないことでないだろうかというように、私は思っておりますけれども、その点について、これは福田さんにお尋ねしますが、ひとつ福田さんのお考えと、中島さんと、両方にお伺いしたい。

福田信之筑波大学副学長

○福田参考人 私、最初申し上げましたけれども、大山鳴動の話は事実を申し上げたのです。つまりいまにも――新聞だのあるいはある一部の学者が書いたのを見ると、来年にでもたいへんなことが起こるのじゃないかというような、一般の人に影響を与えているけれども、そういうことはあり得ない。それはおまえ言っておったが、千年後に、実は起こるかもしれぬ、そういうことはあるかもしれません。しかし、私が申し上げているのは、国民にそういう間違えた印象を与えているので、大山鳴動ネズミ一匹はないんだということを申し上げたのでございます。だから、私は現在のモニタリングシステム、基本的に賛成であり、アメリカの言っているようなことが実際に今後も実施されるなら、やらなくてもだいじょうぶだと思いますけれども、しかし、なお国民の安全のために、日本政府としてもぜひやっていただきたい、そういうことは申し上げてあるのでございます。  それから、放射能問題、先ほど私の話は非常に抽象論で申し上げましたけれども、みな先生方もおわかりいただいたと思うのですが、私ももう三十年以上物理学をやっておりますけれども、山崎先生なんかも同じ研究室で戦争中やっていた仲間でございますが、ずいぶん進歩した。私はコントロールしたと申し上げたのは、おそらく一九三〇年前の自然放射能の時代から、べらぼうな大量な放射能を扱うのに、ほとんど自然放射能のばらつき以内にとめてしまったということは、私は、太陽放射能のコントロールに成功したのだということを申し上げたのです。  それから、途中幾つかの話がございましたけれども、われわれの現代の生活に放射能はなくてはならない存在になっておる。これはあまりにも広範なんで、例は申し上げませんけれども、日常のいろいろな生活にまで入ってくるほどの、そういう時代に入っている。それは一面非常にプラスになりますけれども、一方では非常に危険なので、その危険の問題は、百年近い歴史の中で、人類はこの英知を発揮したのだということをわかっていただけるのじゃないかという気がいたします。それから、今後ともそういうことは起こりますので、七〇年代にはさらに大量の放射能がありますが、いままでの英知と今後の開発によって、それはコントロールできるであろうし、科学者としては、それに立ち向かわなければ、国民に対するあるいは人類に対する責任を果たせない、私はそういうふうに考えております。  それからもう一つ、ついでながら申し上げますと、ばい菌なんかの場合に、皆さんゼロばい菌がけっこうだというのは、これは当然なんです。食品の衛生問題で、大腸菌はないほうがいいとか、いろいろなばい菌がないかといって、朝から晩まで毎日毎日はかっていたら、一体人間、生活できるだろうか。やはりある程度、環境衛生の問題で、この程度まではよろしい――しかし、それだってわからないわけです。ときどきは何人か病気になるかもしれぬ。しかし、それをもっと押えて、われわれの技術以上の問題で押えたとしたら、私はそこからくる被害がものすごく大きいと思う。先ほど、現在の技術で可能だと申し上げましたけれども――先ほど山崎先生が、この議員の会館は二十ミリレムぐらいよけいだろうというのを聞いて、私は科学者としてもかなりショッキングな感じを持ったのです。それで、これが可能かといったら可能なんです。鉛でどうぞ全部中を張ってください。しかるべき遮蔽をすれば、二十ミリレムはうんと減ります。では、われわれの住む家を遮蔽できるのかといったら、全部――宇宙線はもっとたいへんなことで、容易なことでは除けませんけれども、人工放射能程度は相当制御できます。しかし、そういうことをやれば、べらぼうな金がかかって、そこから、その金をかけるために、われわれのほかの衛生上のことを犠牲にしなければいかぬ。だから、先ほど大いに金をかけたら幾らでも減るということは、ゼロになるかどうかは別にして、幾らでも減ります。自然放射能も同様でございます。しかし、それはわれわれが現代の生活を、あるいは国民が安全と考えている――たとえば百人死ぬのが、原子力発電のメリットの代償として、一人か二人ふえるかもしらぬ。それを具体的に減らすことによって、かえって、一人じゃなく、百人に対して三十人も五十人も死者をつくるかもしれない。だから、その点、総合的に国民の健康を判断していただかないと、金さえかければ幾らでも減るんだというだけではいけません。この建物の放射能を、二十ミリレムだけ減少させるのではなく、三十ミリレムも減少させる案なら、私でも立ててやれます。そのかわりに、べらぼうな金をかけていただきたいということを申し上げたいと思います。

中島篤之助日本学術会議原子力問題特別委員会幹事

○中島参考人 私、率直に申し上げまして、少し問題の混同があるように思うのです。実は、この原子力軍艦の放射能の問題というもの、これは確かに環境汚染の問題がありますけれども、これはむしろはっきり外交上の問題でありまして、要するにアメリカ政府が、日本に寄港するときに、ゼネラルバックグラウンドに測定できるような放射能の増加をもたらすことはしないという約束をした。もしこの約束を信ずるということであれば――実は先ほど福田先生もおっしゃりたかったのだろうと思うのですが、結局、はかる必要はないわけですね、信ずるというだけならば。  さっき、安保のことで、混同したような話が出ましたけれども、決してそうではなくて、これは出さないと言ったから、日本政府がやるべきことは、もし出したということがわかったら、それをアメリカに通報して、減らせ一これはモニタリングということばの意味、たとえば原子力発電所の場合であれば、明らかにこれは発生源でまず情報を押えて、どのぐらい放出したかを押える。ただし、それを住民が信用しないという場合には、やはり測定もやり、もし何かの原因で出た場合には、当事者である発生者のほうへ通知をして、それを減らして、環境を保全していくというやり方をとります。これを当事者モニタリングというふうにわれわれは言いたいと思うのでありますが、学術会議が申しておりましたのは、こういうことであります。最初に原子力潜水艦の寄港がきまりましたときに、やはり発生源の情報を得るためにも――これはいまになって、この問題に即して申し上げれば、発生源の情報を得るためにも、安全審査をするべきである。つまり原子炉が設置されたと同じように――三十九回総会で申しておりますことは、わが国の責任ある機関が自主的にその安全性を審査する必要がある。これは横須賀というのは、日本でも人口の一番稠密なところでありまして、そこへもし原子力発露所を置くということは、おそらく政府といえども、原子力委員会といえども、許可にならない。しかし一方、原子力船が入る場合であれば、これは当然審査をなさる。原子力潜水艦は、しかし軍艦であるからという理由だと思いますけれども、この発生源情報は、もっぱらそれが出さないということを信ずるというだけで、入ってきておる。ですから、私どもは、お手元にありますものに書きましたように、かつて学術会議が申しましたこの意味も、つまり科学的な、ただしほんとうに国民が安心できるかどうかというのは、放射能が出ているかどうか、あるいは環境が汚染されていないかどうかということについていえば、根本は、実は安保を承認するとかしないとかいうことは別にして、これは要求してすることはできないものだろうかという意見を、学術会議としては持っておるわけであります。そうすれば、もっと合理的なモニタリングができるであろう。しかしそれがだめだというならば、今度は蓄積放射能についての調査計画ぐらいをおやりになったらどうかという、一つの提案をしているわけでありまして、これはなぜかと申しますと、パールハーバーでありますとか、アメリカの諸軍港が現実に汚染されているという事実がございます。その問題について、そういうことがありますから――もちろんアメリカの政府なり海軍のほうは、実は放出量を出していないのだという約束をしておられるのですけれども、この約束だけでそれが済むというならば、日本の原子力発電所の安全審査は、全部そういうふうにおやりにな撮るのかということを逆に申し上げたい。まさかそうはなさらないだろう。やはり国民の立場に立つという原子力会議である以上、当事者だけの意見を聞いておきめになるということはなかろうと思う。当然なるべく中立的公平な立場で審査をなさっておるはずである。それがそういう問題があるので、そこら辺、混同が起きないようにしないといけない。第一、私が非常に遺憾だと思うのは、日本の原子力委員会というのは、平和利用に限っての事柄だけを取り扱うように、たしか法律できめられておると思います。原子力軍艦が核兵器を積んでいなければ軍事利用でないとおっしゃるのかどうか知りませんけれども、そういう点についても、学術会議はたいへん疑義を持っておりまして、これにタッチされたことはたいへん残念なことであったというふうに、むしろ思っておるわけです。  それから、しばしばこの量はたいしたことはないということを言うときの根拠というのは、日本で法律的な立場でいえば、放射線障害防止法というのがございますけれども、御存じのように、国会へ来てこんなことを申し上げるのは釈迦に説法でありますが、これは原子力基本法に基づいてつくられておるわけでありまして、その基本法では、ICRPに書いてあるような基本的な数値、行政をやっていく上で必要な数値、それについての値がどうかというようなことは別といたしまして、それはとにかく、立場としては基本法から出てきておるものでありまして、この点にも、原子力軍艦というのは、それとは違った角度ではっきり外交問題として取り扱うべきものではないかというふうに私は考えておるということを申し上げたいと思います。混同があると思います。

石野久男日本社会党

○石野委員 塩川先生にお尋ねしますが、先生は、分析の問題で、分析の二十年前と今日との間には、いろいろと原子力問題、放射能問題についての問題点がたくさん出てきておる、にもかかわらず、分析の方法等についてはまだ十分の体制にはないというようなお考えの御意見がございました。いま放射能分析の問題について、先生が、今日の段階でやはりこうなければならぬじゃないかというようなお考えがございましたら、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。

塩川孝信東北大学教授

○塩川参考人 こうなければならぬというのかどういう方向か、ちょっとはっきりしないのですが、御質問の趣旨は、技術的な方向でしょうか、それとも体制の……。

石野久男日本社会党

○石野委員 体制の問題です。

塩川孝信東北大学教授

○塩川参考人 体制の問題といいますと、やはり現在日本に分析化学をいろいろ研究しておる人は大ぜいおりますけれども、このことを業務としてあるいは責任を持って研究しておるという人は少ない。やはり学問的な興味から、あるいはときにより、私も二十年ぶりにこの問題の研究にタッチしておりますけれども、そういうように国の作業として、あるいは国の行政の一環として、こういうものを実施していこうといったら、やはりそれに応じた研究体制というものがてきる――いま科学技術庁でいろいろ考えられておると思います、か、そういうところでまず責任を持って研究する。それ以外に学者が興味をもってやるのは大いにけっこうだと思いますが、どこか中心になってやらなければいけないという、そういう必要性は、まずわれわれそのセンターに大いに期待しているわけでございます。そういう意味で、やはり二十年前から、方法論的には世界各国で分析法がいろいろ進歩しておりますから、それを取り入れて、それをまた山崎さんが言われるようないろいろな試料別の測定法というものをアプライして、広範な方法、そして化学分析というような手間ひまかかる方法は、なるべくここぞと思うサンプルだけに当てはめるというようなこと、やはりそういう分析全体の問題を研究し、そして分析法も研究するということの必要性を痛感しております。そういう体制が現在欠けているという点は、二十年前とやはりちっとも変わりがないというふうに考えております。

石野久男日本社会党

○石野委員 中島参考人にお尋ねしますけれども、学術会議がいろいろと所見を持たれておって、特にいわゆる環境放射能調査とか評価体制のあり方等についての勧告がこのようになされたという資料はいただきました。こういうようなことについて、特にこの報告書の中にも、提案の中の一番最後に、「上記の諸課題を正しく遂行するためにはひろく科学技術者の意見を問うべきであり、日本学術会議に対しても絶えず十分の連絡をとられたい。」という要望を科学技術庁にされておるわけです。先ほどの所見の中にも、いろいろそういうことをやったけれども、伊原次長からも断われらたとかいうような御所見もありました。これらの点について、率直なところ、学術会議が期待しております安全性の問題について、特に政府、科学技術庁に対して要望点がありましたら、端的にひとつここでお話しいただければと思います。

中島篤之助日本学術会議原子力問題特別委員会幹事

○中島参考人 そういういまの非常に具体的な問題につきましては、環境放射能小委員会でつくりましたあり方についての見解というこの一部だけ、原子力軍艦のところだけが皆さんの手元に行っておりますが、それが十一項目ございます。実は私どもの中には、学術会議の中の各種の委員会の方、それからそのほかに科学技術庁傘下で申しますと、放医研、それから東海区水研、気象研とか、いままでフォールアウトの分析で実際に経験を持っておられる機関の方々にも委員になっていただきましたし、それから放射線影響学会、分析化学会、もう一つは保健物理学会というような専門の学会からも代表を推薦していただきまして、それで審議をいたしました。実にいろいろな議論が出ましたけれども、何ぶん短時間でまとめたものでありますから、こういうものは、私どもとしてはもっと科学者の意見を聞きたいということから、あくまで中間報告であります。  しかし、そこでいっておりますことは、現在科学技術庁がお進めになっておる分析機関は、どうもたいへんまずいというように考えております。と申しますのは、いま私が申し上げたことからもおわかりのように、環境放射能にタッチしておられるところは、実は科学技術庁だけがやっておられたのじゃなくて、地方自治体の研究所も含めて、非常に広範な各省庁の方々が、いままでフォールアウトということでタッチしてこられた。その体制そのものが、実は原子力発電を大いにやるということになってくれば、逆に吟味し直さるべき状況にあるわけです。それで、肝心なことがなされていないということを、われわれが検討してみてすぐ気がつくことが一つ。  それから、原子力軍艦等々の問題で、国民の不安にこたえるためにも、実はいまむしろ即効性のある方法は、いきなり何か研究所を、いわゆる分析化研のかわりに分析センターをつくるというふうなことは、これは前と同じことを別の名前にするだけみたいな話ですから、また同じことが起こると考えるほうが普通でありまして、これでは困る。委員のある方なんかですと、科学技術庁でなくて、文部省につけたらどうかとかいうようなことがありました。それについては、学術会議では何も申し上げておりませんが、たとえば地方自治体に権限を移して、それから関係の原子力研究所や放射線医学研究所、これは塩川先生がおっしゃったようないろいろな危惧はありますけれども、とりあえず能力を持っておる研究所の環境放射能研究の能力を充実させていくというようなことでやっていくほうが、むしろ非常に具体的な充実方策ではないかということをいっております。もちろん国立の研究機関をつくるけれども、それは単に国立研に全部集中するというような考え方ではなくて、地方のセンターと国立センターとのあり方を総合的に考えていくというような具体的な提案も実はしております。そういうようなことはぜひ一度御検討いただきたい。こういうことについて、実はわれわれは科学技術庁なりあるいは政府とじっくりとお話し合いをして、そして少しでも国民の不安を解消するようなことを考えたいというのが学術会議の趣旨であります。  そういうことが要望でありまして、まず科学技術庁に何を要望したいかといえば、私どもの会長が言っておりますように、まずわれわれの意見を聞いてほしいということです。それをまず申し上げたい。そういう態度さえとっていただければ、おのずからわれわれは協力し、いろいろ具体的な成果はあがるだろうというふうに考えております。

石野久男日本社会党

○石野委員 各参考人の御意見はいろいろございました。放射能の問題についてとにかく安全性に対する警戒、それを確立するということの必要性は、皆さんそれぞれ意見の出し方は別としましても、同じような御意見であったと思います。そして最終的にはそれをどの程度にやるかという問題、これは経済の問題もかかってくるし、いろいろあって、見解に若干の違いはあったとしても、人類の環境保全の上からいって、安全性の問題は非常に大串だ、そういうことになってくると、大臣、原子力行政の問題に非常に関係するわけですね。  先ほど中島参考人も言われたように、原子力の問題を原子力委員会がその軸になってやっておりますし、それを動かす基準をなすのは基本法ですが、この機会に、原子力委員会の安全性問題についての考え方等をこまかく聞く時間もありませんけれども、たまたま原子力委員の田島委員が辞表を提出されました。聞くところによりますと、森山長官に対する、民主的な原子力委員会に対する運営問題について意見があるというようなことも聞き及んでおりますし、特に田島委員は、原子力委員会における安全性問題の取り組み方についていろいろな御意見を持っておられたようです。そのことについて、森山長官は、安全性こそ大事だ大事だ、こう言っておるのだけれども、委員会の中で、むしろ田島委員などは、そういうことについて問題があるというようなことが、辞表提出の大きな理由でもあるというように聞き及んでおりますが、真実はどうなのかという点について、この際、長官からこのいきさつをお聞かせいただきたい、こう思っております。

森山欽司自由民主党科学技術庁長官

○森山国務大臣 田島原子力委員が辞表を井上委員長代理のもとまで出されたことは事実でございました。実はお出しになったのは、私は存じませんでしたけれども、そういうことでございました。どういう御趣旨でお考えになっておられるかについては、まだ私は直接御本人にもお会いしていないので、よくわかりません。ただ、私は田島さんとは同じ委員会で一緒にお仕事をしておりまして、非常に気持ちよく仕事をさせていただいたように思っておりますし、また、したがって、個人的に、田島委員と私の間で意思の疎通を欠いていろいろ論議したというようなことなどかつて一回もございません。また、私自身も、田島さんは非常によく仕事をされたと思っております。私がこういう男ですから、あまり遠慮しないでどんどん言いますから、不徳のいたすところ、私の本旨を十分御理解願えなかった点があるのかもしれませんし、また、私がやろうとしていることについて、十分意思の疎通を欠いておった面があるのかもしれませんが、しかし私は、いずれにしろ御本人にお会いして、私がどういう考え方を持っておるのだということにつきまして、一回よくお話しをしてみなければ、今回の問題についてコメントするわけにいかぬ。その直後も申し上げたわけでございますし、今回も、私は同じような考えでございます。思ったことをずけずけ言う性分ではございますけれども、しかし、そうかってなことを言ったりしたりするというようなつもりはいささかもございませんし、それからまた、安全性の問題につきましては、私も先ほど小宮山委員にもお答えいたしましたとおりに、現にこれだけの実績を、安全性の確保のために、予算面ではございますが、予算をやったからといって、なかなか一挙にこれを充実するというのは相当時間がかかるわけではございますが、国の仕事として、やはり予算の充実ということがなければ、口先だけで幾らうまいことを言ったって、実際、実が伴わなければだめなのでございますから、そういう意味では、森山国務大臣というものは、戦後の科学技術庁長官で最も安全性に力こぶを入れ、かつ実績もあげている大臣であるということは、先生もその若干はお認め願えるのではないかと、いささか自負をいたしておるわけでございます。しかし、田島先生個人のことにつきましては、いまのようなことでございますから、御本人とよくお話ししまして、そしてその結果に基づいて、コメントをいたしたい、そういうふうにひとつ御理解を願いたいと思っておる次第でございます。(石野委員「まだ会っていないのかな。」と呼ぶ)ええ、まだ会っていないのです。近いうちにぜひお会いして、意見交換をいたしたいと思っておる次第でございます。  この機会に、米国原子力潜水艦の瀞港問題の考え方について申し上げたいと思いますが、まず、原子力軍艦の放射能調査というのはどういう目的でやるかと申しますと、これは昭和四十三年九月五日に制定いたしましてから今日まで、基本方針は同じでございまして、「原子力軍艦審港地周辺住民の安全を確保するために、必要な措置をとらなければならない」ということから、放射能調査をやっておるのでございまして、昭和四十三年十月二十二日の日米両国間の会談の覚え書きにありますように、アメリカ大使が「寄港中における一次冷却水の放出は例外の場合であり、従って今後日本の港においては通常一次冷却水が放出されることはなく、これが現在の実施方式に即したものである」ということを述べておりますし、「日本の港においては米国原子力軍艦により、すべての放射性廃棄物の取扱いにつき従来に引き続き今後とも厳重な管理が行なわれる旨を述べた。」、そういうことについて、原子力委員会は、十月二十二日に原子力委員会の見解にほぼ近いものであるということを了承して、この問題はケリがついておるわけでございます。そして原子力軍艦の放射能調査の指針は、付近の、「寄港地周辺住民の安全を確保するために」放射能調査をやるのでございまして、その原子力軍艦から第一次冷却水が出たか出ないかなんというようなことを一々やるために放射能調査をやるわけじゃないのでございますから、その点は明らかにしていただかなければならないと私は思っております。厳格に言えば、第一次冷却水が一滴でも出たかどうかというようなことを調べようと思ったら、たいへん――必ずしも品のある表現とは申し上げがたいのでございますが、アメリカの原子力潜水艦のおしりにおしめでもつけなければ、そういうことは――一滴も出ぬかどうかと開き直られれば、それはもうそういうことでもしなければ、これはむずかしいわけでございまして、原子力軍艦放射能の調査というものは、本旨は「寄港地周辺住民の安全を確保するために」やるという、この本旨を十分ひとつ御理解を願って、やっていただきたいと思う。  先ほど、きょうの参考人の中島さんとかおっしゃる方が、こういうことをよく調べなければいかぬというのでありますが、これは日米安全保障条約に基づく協定の一環でございまして、日米安全保障条約というのは、日米両国の相互の信頼関係の上に立っておるのでありまして、そういうことを調べるのが原子力委員会の任務であるとかなんとかということは、技術論でなく政治論であります。技術者の集まりである者が政治論を展開して、あたかも技術論のごとく言っているということは、私は了承できません。たいへんな大間違い、こういうことをいかにも技術者らしく技術論のような顔をしてやるということは、これは最も好ましからざる事態である、そういうふうに考える次第でございます。  それから、学術会議のことで、これはしばしば聞かれますが、「日本学術会議に対しても絶えず十分な連絡をとられたい」ということでございます。私は、本来ならば、御意見としてお伺いしておくということで、さらりとかわしたいのでございますが、あんまりしかし、技術論のような顔をして政治論をお述べになって、しかも学術会議に対して十分連絡をとられたいというようなことでありますから、私どもは、御案内のとおり、学術会議は内外にいろいろな批判があります。内外ですよ。ですから、それ以上申し上げませんが、御意見としては承っておきますけれども、こちらのほうから日本学術会議に対して絶えず十分な連絡をとるなんという意向は全くないことを、この際明らかにいたしたいと思います。

石野久男日本社会党

○石野委員 私は、答弁は要りませんけれども、原潜のけつにおしめをつけるかどうかという問題は、政治論というよりもむしろ技術論になるだろうと思っておりますから、この点は時間がありませんので、あとでまたひとつ論議をさせていただきたいと思います。周辺地住民に対する危害が原潜によって出てくるとすれば、おしめをつけなければとても探索できませんから、その点だけはひとつ答弁を保留しまして、質問を終わらしていただきます。

森山欽司自由民主党科学技術庁長官

○森山国務大臣 周辺作品に対して放射能の安全を確保するためには、そういう必要はないという考え方でございますことを、一言申し添えます。

安井吉典日本社会党

○安井委員長 次に、瀬崎博義君。

瀬崎博義日本共産党・革新共同

○瀬崎委員 きょうは話題が各方面に広がりましたので、いろいろお聞きしたいわけでありますけれども、もともとが、現在の放射能監視体制はばか丁寧過ぎるという森山長官の発言が出てきたために、専門科学者の方々からも、ばか丁寧かどうか御意見を賜わろうという必要から、きょうの御足労を願ったといういきさつがあります。したがいまして、本論から入って、現在の原潜の放射能監視体制が科学的に見てどういうものであるのか、こういう点をお尋ねしたいと思うのです。そういうわけですから、できるだけ広く多く質問させていただきたいので、簡略にひとつお答えをいただきたい、こうお願いをしておきたいと思います。  現在の放射能の監視体制は、国民の安全を守るものであって、一次冷却水が出たかどうかを調べるものではない、こういう森山発言がございました。しかし、せんだって、政府側が御推薦されました岡野参考人はこうおっしゃっているのですね。モニタリングポストというのは、ゼネラルバックグラウンドの把握のほか、もしも潜水艦からある特定の量、これはある程度想定される量がありまして、それ以上放出されたときには、その情報も把握できる性質を持っている、こういう御説明があるわけなんですね。ですから、そういう役割りをポストが持っておるという説明は、政府側の専門家からあったわけですね。それに対しまして、きょうここで中島参考人のほうからは、学術会議の中間報告ということで、発生源についての情報の全く得られない汚染源についての監視は事実上不可能であることを指摘しなければならない、こういう御説明がありましたし、それから、山県参考人のほうからも、原子力発電所と違って、発生源の情報がない原潜については、放射性物質を出したか出さないかをモニタリングで検知することは困難だ、こういう御発言もあったわけです。そもそもモニタリングポストなるものはどういう目的のものなのか、こうなってくると、いよいよもってあいまいになるわけなんですね。これは長官の発言があったために、ますますわれわれはこんがらがってまいったわけでありますが、実際にこれは科学者の立場から見たら、どういうふうな目的のものだと解釈されているのか、まずそういう点について、中嶋さん、それから山県さんにお答えをいただきたいと思います。

中島篤之助日本学術会議原子力問題特別委員会幹事

○中島参考人 お答えいたします。  現在、横須賀とか佐世保等に置かれておりますモニタリングポストというのは、いま瀬崎さんが指摘されましたように、岡野さんの御説明のように、これは原子力潜水艦から出る何かを直接はかるものではないのだ。つまり環境のゼネラルバックグラウンドをはかる。たとえば空間に置いてあるものは空間線量をはかるものであり、海の中につけてあるものはその辺の海水のバックグラウンドをはかっているものなのだということですね。私は、岡野さんが言われた、ある重出たらばそれは検知できるだろうというのは、そのある量というのはどういう意味でおっしゃったのか、実はよくわからないのですけれども、それはよほどのことがない限り検知しない。原子力潜水艦から、いまあるモニタリングポストが何かを検知するというのは、おそらく相当な放射能が放出され、あるいは事故の場合に、海水のレベルが非常に上がるというようなことがなければ、おそらく検知し得ないのではないかというふうに思います。  ですから、私どもがここで学術会議の中間報告で申し上げましたのは、専門家の討議に付するために、モニタリングという考え方の基本を申し上げたわけでありまして、発生源の情報がちゃんとわかっているときのモニタリングでさえ、微量の放射能については実はたいへんむずかしいのだということを申し上げておるわけです。ですから、それをやろうとすれば、よほどそういうことができるようにしなければいかぬ。だからたいへんむずかしいということをここで言っておる。逆に、しかし、そのゼネラルバックグラウンドということばの中に誤解があるようでありまして、たとえば、海水は一般的にバックグラウンドだとか空気は一般的にバックグラウンドだということで、ゼネラルバックグラウンドというふうに科学者は言わないのでありまして、たとえば海底土なら海底土のバックグラウンドレベルがあり、そこに住んでいる生物なら生物のバックグラウンドというものがあり、そのバックグラウンドというのは、潜水艦が入ってこないときのいわゆるゼネラルバックグラウンドがあるというのが常識でありまして、そういうものについて全体として評価をした上で、ふえたかどうかということを吟味していくというのが当然なのでありまして、だからモニタリングポストは全く有効でないということでなくて、それはそこら辺の放射能をはかっているだけだ。はっきり申し上げれば、フォールアウトをはかっていると申し上げてもいいのじゃないでしょうか、現状は。潜水艦のほうに向いているわけではないというふうに思います。そういうことで、よろしゅうございましょうか。

山県登国立公衆衛生院放射線衛生学部長

○山県参考人 モニタリングのやり方でございますが、いまおっしゃられましたモニタリングポストですがモニタリングポストは、空間線量と、それから一本は海の中に沈めて水中線量と、この二種類を常時はかっておると思います。空間の場合は宇宙線もはかりますし、普通は天然のバックグラウンドをはかっております。したがって、この場合は、住民の安全を確保するという目的に対して、潜水艦が何か事故のようなものを起こした場合には、空気中に放出された放射能によって、このモニタリングポストの空間線量計の針が振れますから、直ちにこれを検知することができる。検知すれば直ちに対策の発動につながる。こういう目的を持っているものだと私は思います。私は、そっちのほうを自分でやっておるわけではございませんから、データに基づいて判断しておるわけです。それから海の中に沈めておりますのは、海面から一メートルぐらい下になっておりますから、宇宙線は非常に少なくなってしまいまして、そのかわりに、海水中に含まれておりますカリウム40の天然放射能が相当高いので、普通のときはそれをはかっておる。潜水艦が何か流して、それか海中に出たとしますと、相当たくさん流さなければ針が振れるようなことはございませんから、検知できませんが、ともかく、そういうことがあれば検知ができる、こういう目的を持っているものであります。

瀬崎博義日本共産党・革新共同

○瀬崎委員 両参考人のお話でいけば、結局モニタリングポストで感知できるのはよほどのこと、という表現を中島先生はお使いになり、山県先生は、事故のような場合とかあるいは相当たくさん流された場合、という表現をお使いになりましたが、そういう場合だと、これは人間の安全にとってはどういう状態になっていると考えるべきなんでしょうか。これは中島先生ひとつ……。

中島篤之助日本学術会議原子力問題特別委員会幹事

○中島参考人 私、場所によって、具体的な状況で違うと思います。ですけれども、私が現実に見たのは、佐世保の第二ポストを現に見たことがある。あれは昭和四十三年のときでしたか、ソードフィッシュが入ったときに私は見ておりますが、あれですと、たしか五百メートルぐらい沖に原潜が泊まります。だから、もしあそこで原潜からの大童の放射能を検知するということであれば、たいへんな汚染源があるということを申し上げたい。少なくとも口上書で言っているような、とにかく環境に対してメジャラブルでないようなレベルという話とは全然違うのでありまして、これはおそらく、どう申したらいいか、その振れ方にもよりますけれども、これはたいへんな量でしょう。だから、非常に近くのところで検知できた場合と、距離が非常に遠くなった場合にそれが検知された場合とでは、事態の質といいますか、被害の大きさというのは決定的に違うと思いますので、一がいには申せません。それから、横須賀の場合でも、モニタリングポストはたいへん遠いところにある。(瀬崎委員「近いところで三百メートル、遠いところで千五百メートル」と呼ぶ)それも、放射能のかたまりが一様に分布すると考えるか。もしかたまりのまま来れば、ひっかかるケースもないわけではないとは思いますけれども、そういうことはまず、やみ夜に鉄砲を撃つようなもので、まあめったにないと思います。ですから、そういう意味では、それが検知されるときにはおそらく相当……(瀬崎委員「いわゆる安全と言える状態ではない」と呼ぶ)安全という状態では決してない。市民を立ちのかせるとかいうようなことを考えざるを得ないようなことが起こるのではないか、ということを私は心配いたします。

瀬崎博義日本共産党・革新共同

○瀬崎委員 結局、国民の安全を守るためという目的が設定されました制度上の基準としては、私どもはやはりこういうふうに考える以外に根拠がないと思うのです。それは、三十九年に、原子力委員会の見解として、アメリカとの合意のもとに、「わが国の港において、周辺の一般的なバックグラウンド放射能に測定し得る程度の増加をもたらすこととなるような放出水その他の廃棄物は、原子力潜水艦から排出されることはなく、」こういうことですから、少なくともこのバックグラウンドに影響を与えるような放出はないというぐらいのことは、きちっと測定できるようなモニタリングシステムになっていなかったら、政府としては、制度上国民に安全ですと言えるような一貫性を保てないと思うのですね。なお言うなら、それでも不十分だということがソードフィッシュ号事件で起こってきて、結局一次冷却水は放出しない、こういうことを原子力委員会が政府に申し入れ、政府がアメリカに申し入れて合意した。こうなってくると、国民の側からいえば、一応安全かどうかの確認は、一次冷却水が出ているか出ていないかを確認してもらわないと判断できないではないか、論理上はそういうことになってくるのですね。ですから、四十三年の場合をとらないにしても、少なくとも、バックグラウンドに影響を与えるような原潜からの一次冷却水等の放出はないということがはかれる体制であってしかるべきだと思う。そういう見地から見て、御承知と思いますが、現在の横須賀、佐世保あるいはホワイトビーチ等の監視体制、こういうことを科学的に見て、どのようにお考えになっていらっしゃるのですか。これは中島先生にお伺いします。

中島篤之助日本学術会議原子力問題特別委員会幹事

○中島参考人 ですから、そういう意味で、いま言ったようなことであれば、そういう目的に一番有効なのは、要するにカウンターを船に積んで、できる限り接近するモニタリングボートと申しますか、そういうシステムをとっておられるわけですけれども、これが原理的には一番有効なわけです。と申しますのは、アメリカが公表したデータによりましても、世界の世論が――最初は相当な量を原子力潜水艦から出しておったわけなんですけれども、六八年ごろから特に減らしているというような状況を考えますと、それを監視するという目的を考えれば、当然相当接近しなければならないと思います。いま使っておりますのは、海中に沈めておるようなものは沃化ナトリウムのシンチレーションカウンターを装備しているようですけれども、そういうもののかなりよいものを使ったといたしまして、やはり、五十メートルぐらいに接近しなければ、おそらく実用上効果はないんではないか。ですから、学術会議が申しました、ここに書いてある趣旨は、軍艦であるから接近できないとおっしゃるならば、という意味で申しておるので、接近できるならば、そこら辺以上接近してはかる必要があるのではないかというふうに思っているわけであります。  ただ、いまの目的は、ラフにそういうものをはかって、異常が出たら今度は海底土をとるんだというふうにおっしゃるんだと思いますが、実は接近しましても、軍艦というのは相当大きいですから、こっち側に接近していって、こっち側から出されたら、これは処置なしであります。ソードフィッシュ号というのは、私ども科学者からいいましても、やみ夜の鉄砲が当たった事件でありまして、いつでもああいうことがあると期待されて、だからいいといわれたらたいへん困るのでありまして、ああいう偶然にたよらないで、もし出した場合には見つかるというシステムを考えておくべきだということしか、私ども科学者の立場としては申し上げられないわけです。たまには見つかりますよ、ということを国民の前に言うわけにまいりませんから。まず接近させることが基本ではないかと思います。  それからもう一つは、ここに述べましたように、われわれの環境放射能小委員会で、実はいま先生があげられた岡野委員を入れてだいぶ激論をいたしました。と申しますのは、たとえばパールハーバーの調査をアメリカがやっておった。けれども、これはアメリカ海軍がアメリカの環境庁に対してある程度の情報を提供しているからサーベイはできるんだと、岡野氏はおっしゃる。いやしかし、そうだとすれば、われわれはもっと、森山長官のことばをかりれば超ばか丁寧な方法になるけれども、やらざるを得ないのじゃないかということで、いろいろ議論をしまして、やはりある程度の情報がないと、サーベイもかなり困難であるということは、お互いに一致したというふうに申し上げてよろしいかと思います。ですから、現在、そういう意味で、エードメモワールのいっている約束をほんとうに実行させるには、いまの体制を、もう一度専門家同士の間で議論をさせていただきたい。そうすれば、これは必ず改善されるであろうというふうに考えます。  ただ、一番効率的とか合理的とかということを申せば、学術会議でいっているように、安全審査といいますか、発生源情報が少しでも何とか得られるならば、それは非常に合理的にされるのでありまして、このことは、長官が言われるように政治論ではないと私は思います。それが政治論だという理由は、私には理解しかねます。

瀬崎博義日本共産党・革新共同

○瀬崎委員 わかりました。では、もう一つ。一般的なバックグラウンドに影響を与えない程度というのですが、その一般的なバックグラウンドとはどの程度かということなんですね。これもこの間、四月十日の本委員会で、各港湾における通常検出されるであろうコバルト60の値は、大体最高十ピコキュリー・パー・キログラム程度のものであるというのが、今日岡野さんなど専門家のとっていらっしゃる見解と見てよろしいでしょうかという私の質問に対して、岡野参考人は、一応そういうことだとお答えになっているわけです。フォールアウト等の影響も含めて、日本の各港湾で通常検出されるコバルト60の放射能値というものは、大体その程度のものなんでしょうか。

中島篤之助日本学術会議原子力問題特別委員会幹事

○中島参考人 岡野氏がおっしゃった十ピコキュリーという値は、おそらく、ゲルマニウムの半導体検出器なんかを使った一番よい機器分析と申しますか、そういう方法ではかったときの感度であろうと思います。ですから、海低土なんかの場合、化学分析を併用してやれば、もっとずっと下まで測定は可能です。たいへんではありますけれども、それは不可能ではないと思います。

瀬崎博義日本共産党・革新共同

○瀬崎委員 ちょっと注釈を忘れましたが、まあそういうことなんです。したがって、たとえば沖繩で海産物からコバルト60が六十ピコキュリー検出されるおるというふうなことになってくると、こういう一般的なバックグラウンド値と比較して、どうでしょうか。やはりこういうものは原潜の影響であるというふうに考えられるのが、化学的な推測ではないかと思うのですが、これを政府側は、伊原次長がそこにおられますが、一たん認め、またあとで否定されているという事実もあるのですね。この点は、科学者の立場で見られたら、どちらと考えるのが妥当でしょうか。

中島篤之助日本学術会議原子力問題特別委員会幹事

○中島参考人 これはほかに原因がなくて、それから原子力潜水艦からのいわゆる指標核種といいますか、目標にして押えなければならぬものはコバルト60であるというのは、大体世界共通に認められていることでありますから、原子力潜水艦によるものだろうと疑うのは当然であろうと私は思います。一つ申し上げますと、六十ピコキュリー・パー・キログラムという値は、サンプリングのしかたによって非常に変わりますので、どういうサンプリングをされてどういうふうにやったかということは、実は値そのものよりも非常に重要だ。現在までの、分析化研あるいは科学技術庁がおやりになっている問題について、むしろその辺に、逆に改善すべき点が多々あるのではないかというふうに私は考えております。  以上です。

瀬崎博義日本共産党・革新共同

○瀬崎委員 そういうふうに、各港湾で通常検出されるコバルト60の放射能の値が十ピコキュリー・パー・キログラム程度だと、政府側の参考人もおっしゃっているときに、森山長官は、一挙に三千ピコキュリーと言われた。   〔委員長退席、石野委員長代理着席〕 これはいろいろな、いまおっしゃっているサンプルのとり方等々ありましょうけれども、とにかく、片やバックグラウンドの標準値が十ピコキュリーとおっしゃり、片や森山長官は三千ピコキュリーとおっしゃったわけなんですが、森山長官のことばを引用すれば、「その分け方が、三千ピコキュリー以下とか以上とか、きわめて大まかであるわけであります。私はもうそれでいいのじゃないかと思っている。」こうおっしゃって、いま日本でやっていることはばか丁寧だ、こういう発言になったわけですね。私たちは、これははなはだ暴論のように思うわけなんですが、実はきょう福田先生も、やっておることはどうもばか丁寧だということばをお使いになりましたのですね。どうなんでしょう。普通は十ピコキュリーぐらいなんで、だからバックグラウンドに変化があるかどうかということを考えようとするならば、いきなり三千ピコキュリーに基準を上げること自身が、私どもは、しろうと考えで、暴論のように思うのですが、いかがでしょう。

福田信之筑波大学副学長

○福田参考人 たとえば、アメリカの発表を幾つか、最近の、先ほども出ましたパールハーバーや何かのを見ましても、たしか、かなり高いと思います。三万ぐらいじゃなかったでしょうか。それ以下、というような発表をしております。普通の人は、ピコキュリーというと、何だかよくわからぬけれども、これはたぶん一兆分の一くらいじゃないか。十のマイナス十二乗ですか。ですから、三千と申しましても、何億分の一というような非常に微量なんです。キュリー単位というのがもともとあるわけですから。私は放射能の専門ではございませんけれども、われわれの知っている学者にそういうことをいろいろ聞いておりますと、こういうものを連続的に一生食べたら一体どの程度の影響が出るかということは、大体わかっておるわけです。ですから、これは、私は専門じゃございませんから、私の知っている放射能の関係の専門家がたくさんおりますので、そういう連中にいろいろ聞いております。すぐ何ピコキュリーとか何十ピコキュリーとかいっているが、それが実際にわれわれの健康に与える影響という観点で見ますと、全く問題にならない程度である。一般にそれを抽象論で議論しますと、何かすぐに、十倍になったんだからこれはたいへんだというけれども、そういう程度ではないというふうに、私は確信を持って言えると思います。  なお、このピコキュリーの測定、これは中島さんも認めておりましたけれども、サンプリングだけじゃなく、その人の技術、機器そのものにもよりますし、かなり大きな、ある場合には五十ピコキュリーぐらいは全然わからない。へたなやつがやりますと、三百キュリーの三が何だか当てにならないというように、非常に測定の誤差、測定技術の問題もございまして、すぐ正確に六十五ピコキュリーであるなどというのはどこまで信用していいのか、私はたいへん疑わしいと思っております。

瀬崎博義日本共産党・革新共同

○瀬崎委員 再度お尋ねしますけれども、私がお尋ねしているのは、三千ピコキュリーとか三万キュリーとかいうふうな単位が安全なのかどうかというふうなことではないのです。日本の場合、指針大綱では、国民の安全を守るために測定することになっておりますが、その基準といたしましては、先ほど申し上げましたように、バックグラウンドで測定されるような放射能物質の放出はしない、こうアメリカ側との合意が成り立っているので、だからバックグラウンドで変化があるかないかということが測定できるような体制になっていなければいけない、論理土、当然こうなってくると私は思うのです。では、そのふだんのバックグラウンド価はどうかということについて、政府側の推薦された岡野参考人が、これは政府側の発表している資料に基づいて、技術的な差とかサンプリングとかあるだろうけれども、たくさんの港湾をはかった結果の平均として――正確に読みますと、こう書いてある。「資料に基づいて事務局から各機関が分析した測定結果をもとに検討すれば、造船所、製鉄所の所在する各港湾及びフォールアウトの影響の大きな湖では、精密にコバルト60を分析すれば、最高十ピコキューリー・パー・キログラム程度のものは存在するが、それ以上特に高い値は検出されなかったと説明した。」、ですから、これ以上検出されてくるということになれば、何らか異常な原因、たとえば原潜などが入った原因、こういうことになりますから、こういうことを検出しなければならないと言うているときに、基準を一挙に三千ピコキュリーに引き上げることは少し暴論じゃないかしら、やはりそういう十ピコキュリーをどうこえているのかということが測定できるような体制でないといけないのではないか、こういうふうにお尋ねしているわけなんです。

福田信之筑波大学副学長

○福田参考人 最初の、バックグラウンドに対して云々という問題でございますが、そのこまかい問題については、最初に申し上げておりますように、私は専門ではございません。ただ、国民の安全ということが一番ポイントなんでございまして、バックグラウンドといっても、いろいろなバックグラウンドがございます。たとえば、いま問題になっておるようなコバルト60のバックグラウンドの問題と、それからわれわれが普通空中あるいは水中で測定するようなバックグラウンドの問題、いろいろあるので、どれもバックグラウンド、イコールそれが、つまり重要度の問題がございます。つまり国民の安全を考える場合に、この問題はここまではいいとか……。これはぜひ今後原子力委員会あるいはその他でも十分検討していただきたい。むしろ国民の一人として期待いたします。  あるものをばか丁寧にやったって、われわれの税金をむだづかいするだけなんで、総合的でないといかぬということを、私の参考意見の中でも申し上げております。ですから、いま問題になっているバックグラウンドは、コバルトが非常に少ない。それを別に三千にしたって、私の判断では――私の判断というのは、私が知っている放射能関係の専門家に聞いても、一向差しつかえない程度である、そういうことを言っております。ですから、バックグラウンドが低いものがあったから、そのバックグラウンドはぜひ守らなくちゃいかぬということにはならない。  それからもう一つ、そういう原因が、先ほどもしばしば出ておりましたけれども、フォールアウトの問題がございます。それともう一つの問題は、(瀬崎委員「フォールアウトを含めてですよ、十ピコキュリーというのは。」と呼ぶ)いや、それはフォールアウトを含めて、日本の港ではそうですけれども、将来どういう実験――、空中の実験もやっておりますから、ですからその時点で、たとえば短期間ふえるということもあるかもしれませんし、それからなお、私の話でも申し上げましたように、むしろ日本の政治レベルでぜひ考えていただきたいのは、アメリカの原子力潜水艦に対しては、われわれはいろいろ要求を出せるわけです。それから信頼関係を持って、安保条約というのを一応基本にやっているわけだけれども、その原子力潜水艦も、非常に大量に日本の近海に近づいているわけです。これは十二マイルでございますかあるいは三マイルか知りませんが、領海の近くに来て、そしてイオン交換樹脂を流されても、われわれが何もできないという状態では困るのでございまして、むしろ一九七〇年代の大量戦略兵器の時代における放射能問題というのは、かなり次元の違ったものがある。われわれはそういうことには全く目をつむって……。(瀬崎委員「私の問うていることだけに答えてください」と呼ぶ)だから私が申し上げているのは、背景の問題で申し上げましたら、ある背景は非常にきびしく見なければいけない。ある背景はほとんど問題にならない、そういう問題がございます。  それからいま言いましたように、コバルト60の海底土の問題に関するような問題はほとんど問題にならない、そういうことを私は専門家から聞いております。

瀬崎博義日本共産党・革新共同

○瀬崎委員 結局、三千ピコキュリーぐらいを基準にしてはかればよいというお説のように承るわけですね。森山長官のお説の裏づけをされているように思うのですが、いまの同じ問題について、ただ昭和三十九年の日本政府とアメリカ政府との合意が、バックグラウンド値に影響を与えるようなことはしない、そういう放出はしないといっており、それをもとにして、国民の安全を守るためのモニタリングシステムをつくられたという経緯から考えれば、やはり原潜が来たためにバックグラウンドに放射能の影響が出たかどうか、こういうことがはかれるような体制になっていなくてはいけないとわれわれは考えるわけです、一国民としてみれば。そういう必要はないというお話なんですが。  塩川先生と中島先生に、簡単にいまの点についての御見解、一挙に基準を、三千ピコキュリー以上はかれればいいのだということにしていいのか、それとももっと厳重でなければならないということになるのか、御意見を聞いて、次に移りたいと思います。

塩川孝信東北大学教授

○塩川参考人 私は、汚染の問題からは、不幸にして遠ざかっておりますので、よくわかりませんですが、われわれ実際こまかいものを扱っている立場で、十ピコキュリーというのは十のマイナス十二乗ですね。その辺のところの問題というのは、やはりバックグラウンドに全く隠れてしまって、その上に放射能としてあらわれてくるかこないかということで、多くの技術的な方法によっても違いますけれども、それが十であるか、二十であるか、三十であるか、十のけたというのは十から始まって九十までありますから、その辺のところでしたら、われわれの常識では、プラス、マイナスというような符号をつけて、わからないということで終わってしまいます。ただ指数函数的に百になり千倍になると、有意の差というふうなこは一応言えるのではなかろうか。それが一サンプルであればひょっとして間違いかもしれないというようなことにもなりますけれども、それが数サンプル出たような場合については、やはり精密分析にかけるとか、そういう必要は認めております。ですから、私の最初の発言で申しましたように、精粗の区別ということははっきりしている。それは簡単な機械分析でもいいし、そういうものではかってみて、はたしてそれでプラス、マイナスの、あるいはそういう結果が幾つか出た場合に、精密分析にかける。やはり化学分析すれば、十でも六十でも、ある程度の指針が得られる。それこそ一けたくらいの差でしたら、十分はっきり区別がつくと思うのです。そうでない限り、普通の方法では、二けた程度の範囲の誤差というものは、測定誤差として十分あり得ると思います。そういう経験を申し上げて、お答えにかえたいと思います。

中島篤之助日本学術会議原子力問題特別委員会幹事

○中島参考人 原子力潜水艦については、アメリカ海軍の公式の報告ですね、これは信用するかしないかという問題がありますが、ラジエーション・データ・アンド・リポーツという雑誌がございまして、それに毎年海軍から発表されております。それによりますと、非常に――偶然の一致かどうか知りませんが、日本に寄港する問題の直後、六四年ごろを境に、放出量が減っております。それから六八年のソードフィッシュ号のあとでまた、〇・〇二ミリキュリー以下、たとえば百四隻の潜水艦があって、トータルが二ミリキュリー以下である、そういうふうな発表を一応しております。ということは、これはさっき申し上げたように、三千にすればいいというような態度ではなくて、やはりもっと減らさなければいかぬという世論が反映した結果であるというふうにむしろ私は考えているのでございまして、そういう意味からいいましても、もう一つは日本国民の立場からいいましても、いままでの、コバルト60というのは、フォールアウトでごく微量が出てくるほかは、原子力潜水艦からの放出物としては一番よい核種でありますから、それが有意の差であるということは問題なのであって、やはり口上書違反であるというふうに私は考えます。ですから、ただ軍機だということで発生源情報が非常に困難であるために、いろいろ、ある意味ではむだに見えるようなことをしなければならないけれども、これはやはり国民の生命、環境放射能がふえることは困るという国民の世論がある以上、これは私はやむを得ないのではないかというふうに考えます。

瀬崎博義日本共産党・革新共同

○瀬崎委員 現地の監視体制の問題はそういうことにして、次に、すでに新分析センターが財団法人方式で発足をされているわけです。いずれ核種分析はこういうところへ持ち込まれるわけなんで、この点について参考人の方々にお伺いしておきたいのです。  森山長官のお話ですと、法律の改正や新しい法律を必要とするやり方では間に合わない。また公務員並みの給料では分析技術者の待遇に十分ではないというふうな理由で、財団法人に踏み切られた由であります。また準備段階では浜口先生の御指導を受けられるとか、あるいは理事長には宗像さんをきめておられるわけです。学術会議のほうでは、国民の信頼を確保し得るような手順を踏むべきだというふうな立場を、きょう御説明なさったわけなんです。また塩川さんは、新しい分析機関の維持経費は国費でというふうなお話だったと思います。そういうふうな立場から見ると、やはりちょっと方向が違うような感じを受けるので、専門家の立場から見られまして、こういう新しい、政府のやろうとしておる分析センターづくりに、何か分析化研の二の舞いになるのじゃないかという危倶をお持ちだったら、ひとつそういう点をお話しいただきたいし、それでよかろうということになればまた別でありますが、中島先生、塩川先生に……。

中島篤之助日本学術会議原子力問題特別委員会幹事

○中島参考人 実はたいへん申し上げにくいことでありますが、前の分析化学研究所の理事長であった木村健二郎氏も私の恩師でありますし、きょうここにおられます山県先生も、私の先輩でありまして、実はあの問題では、木村門下としてたいへん困っておるわけであります。それから、きょう欠席いたしました三宅委員長も実はそうでありまして、それがこの間、学術会議で、中間報告を多くの方々に聞いていただくためにシンポジウムを開いたときに申し上げたことを、まず御紹介したいと思うのですが、三宅氏は、それは木村門下がたいへん不始末をしたのであるから、新しい分析センターには、木村研の関係者は携わらないようにしよう。それで、聞くところによりますと、森山さんは、木村健二郎門下でなければ人がいないという、たいへんな過大評価をしてくださったことは、それはそれとしてけっこうでありますけれども、実はここにおられる塩川先生のようなりっぱな方が幾らでもおられるのでありまして、やはりそういうことは、道義的に言っても、まず考えていただかなければいけない。  それから、私どもの理事長が分析センターの理事長になったということで、実は私ぎょうてんしておるわけでありますが、原研の理事長で、宗像さんは有名な工業化学の大先達でありまして、この点はたいへんりっぱな方だと思っておりますが、分析については、私、原研におりますからよく知っておりますが、たいへん理解のある方だとはとうてい思えないのでありまして、分析センターを、いつでもつぶせ、つぶせというお話ばかりされるわけでありますから、残念ながら、どういうわけで分析センターの理事長をお引き受けになったのか、私にはよく理解できない。  これは少しむずかしいことを申しましたけれども、やはりこういうものをつくるときには、できれば、学術会議とは申しません、学術会議を中継として、もっと分析の関係の方々の御意見をいろいろ聞いていただくということをぜひやっていただきたい。そうしませんと、科学技術庁が幾つも分析の研究所をつくるということは、私は困難であろうかと思います。それで、私が聞いておるところだけでも、このほかにも、たとえば核防条約のための同位体の分析でありますとか、幾つか分析に関して重要な研究所をつくらなければいけないことになっていたと思います。そういうものが、今度環境放射能だけで急いでつくってしまいますと、もう一つまたそういうものをつくるということは、日本の行政の中ではたいへん困難になる。ですから、そういう点から考えましても、もっと手順を踏んで――と申しますのは、各方面の意見を十分聞いて、進めていただきたかったというふうに考えておることだけを、私は申し上げておきます。

塩川孝信東北大学教授

○塩川参考人 最初に冗談話を申し上げますが、先ほど中島先生、同門の問題であって、というのですが、私どもは、やはり、客観的に見ておりますと、多少その気配があります。やはり自家中毒を起こしておる問題が発端だと思うのです。まあこれはオフレコードにお願いしたいのですが……。だから、きょう参考人として出ていくのも、周辺いろいろ、保元の乱があれば平治の乱がある、平治の乱があってから出かけていってもよろしいのじゃなかろうかというふうなことで、足どめを期待しておる向きもありました。やはり分析化学というものに対する日本のいままでの考え方というものは、東大流ではやっていけないのじゃないかと思う。東大の人たちは、浜口先生たいへんごりっぱで、木村健二郎さんもたいへんごりっぱですけれども、核化学なり地球化学なり、やはりそれぞれの大家として、分析方法は手段として使われる。ところが京都大学、東北大学は、分析法自身の問題ということを念頭に置いて講座が成り立ってきておる。そういう研究体制から、やはり東大の自家中毒ではなかろうかという見方も一面成り立つのではなかろうか。そういう面で、今後やはり人材を集める、衆知を集めるという点では、より広く人材を募って、そして自家中毒を起こさないように、そして切磋琢磨し合う環境をつくっていただきたい。これが私どもの悲願であります。それが学問的な背景があり、学問的なバックアップがあって、初めて得られる道ではなかろうかと思います。

瀬崎博義日本共産党・革新共同

○瀬崎委員 非常に傾聴に値する有意義なお話を私はいただけたと思うのですね。  ここで、ひとつ森山長官に出番をお願いしたいと思うのです。三月二十八日の本委員会で、森山長官が、先ほど中島参考人の指摘されたことばを述べられた。「分析関係で、もし木村先生傘下の者が一切だめだということになりますと、当面そういうことをやれる人が大体いなくなってしまう。」――原文どおりであります。実際はそうではない。むしろ、いままで自家中毒を起こしたのではないかという御指摘ですね。ですから、いま森山長官が非常な努力をして、せっかく新分析センターづくりに励んでおられるのをとやかく言わないといたしましても、もう少しやはり視野を広く、学術会議も含めて、意見を聞くべきであるというのが、まあまあ百歩譲っての常識ではないかと思うのですね。こういう点で、ひとつ森山長官の、いまお聞きになりましたお話の感想を承りたいと思うのです。

森山欽司自由民主党科学技術庁長官

○森山国務大臣 先ほど来、私の名前が各所に引用されております。つきましては、私の本意を、できるだけ間違いがないようにお伝えいたしたいと思います。  第一番に、ばか丁寧論でございますが、これは近江委員から御質問がございました。それは現在の分析システムに加うるにアメリカ海軍がパールハーバーでやっておる碁盤の目型のものをやったらどうかという御質問がございました。そこで私が申し上げましたことは、いまのアメリカ、西ドイツ、イタリア、フランス、イギリス等の国々の実情を見ますと、現地の放射能調査として、モニタリングポスト、ポイント、ボート等による空間、海中の放射能測定というものをやっておるのは、これらの国々の中で日本だけであります。それに加うるに、わが国は試料採取による放射能調査をやっておりまして、それは従来、年四回の定期調査ばかりでなく、入港のつどそれをやっておるわけでございます。ところがアメリカなんかは、年に四回の定期調査のみ、それに原子力委員会の年一回が加わる。西ドイツは入港のつど、イタリアは入港前後及び出港後、それからフランスは一、二カ月に一回程度、イギリスは三カ月か六カ月の間に一回、これは農漁食糧省ですか、国防省では年に一回というぐらいのところでございまして、日本のように、定期検査に加うるに入港のつどやっておるというようなところはないわけであります。でありますから、日本の現在のアメリカ軍艦の入港による放射能の測定というのは、非常に丁重に行なわれておると言って、私は差しつかえないと思います。これを基本的にいけない、私はこう言っておるのではないのであります。これに加うるに、アメリカ流の碁盤の目型のものをやってみたらどうかというふうに、近江先生からお話がありましたから、それ以上のことを加える必要がありましょうかと申し上げたわけであります。その点は、どうか御理解を願いたいと思います。その際の私のことばが、ばか丁寧と言ったのが、いささか表現として適切を欠きましたから、丁寧過ぎるというふうに言い直したわけであります。しかしこれが非常にスローガン的に御利用になられるわけでございますが、これは瀬崎委員ばかりでなく、各委員の方々も、日本のやっている放射能調査体制というものは、各国に比べて相当、たてまえとしては、しっかりした体制でやっておるというふうに考えなければならないと思います。対象試料にいたしましても、海水、海底土、海産物、五核種にわたって、しかも機器分析、化学分析、検出限界というものも、よその国に比べて一けたさらに低いというような形になっておるわけでございますから、近江委員のサゼスチョンはサゼスチョンといたしまして、これ以上加える必要がございましょうかというのが、私の趣旨でございまして、近江委員もおられますが、どうかひとつその点、私の言わんとするところを御理解願いたいというふうに考えております。  そこで、先ほど申し上げましたように、原子力軍艦放射能調査指針大綱にもありますように、基本方針は、「寄港地周辺住民の安全を確保するため」という目的で、これはやられておるわけでございまして、昭和四十三年の日米両国間におけるいろいろな話し合いによって、通例第一次冷却水は出さないというような基本的な問題につきましては、基本的には、私は日米安全保障条約及びこれに関連するいろいろな話し合い、約束というものの、いわば信頼関係の上に立ってやるべきものであるというふうに考えております。しかしながら、放射能の測定は、現在のようなやり方で、器港地周辺住民の安全をはかるためにやりますれば、ということは、単にバックグラウンドだけの調査をやるわけではございません。これは岡野専門委員からもお話があったということでございますが、要するに、ある一定量以上の、それはどのくらいのものかわかりませんが、比較的私はそう大きな量ではないと思いますが、そういうような第一次冷却水が出されるというようなことになりますと、そういうものが大体つかめるというふうに私は考えております。岡野発言の要旨について、あなたが御引用になられたのは、ちょっと違うと思います。モニタリングボートの海中検出器の感度は、十のマイナス七乗マイクロキュリー立方センチであります。もし一ミリキュリーの放出がありだとすると、これは海水一万トンに薄められても、十分いまのモニタリングボートの海中検出器は検出できる感度を持っておるわけです。これで検出できないほどの放出であれば、住民の安全に影響がないというふうに私どもは考えておるわけでございますし、そのことは岡野専門委員も言っておられるわけでございます。また、岡野専門委員は、たとえば一ミリキュリーのコバルト60が放出され、これが一キロメートル四方に広がると仮定すると、これは横須賀港の広さにほぼ相当いたしますが、海底のどろ一キログラム当たり五十ピコキュリー程度となって、現在の機器分析で十分検知ができるということでございまして、アメリカの原子力軍艦が第一次冷却水をある程度出すということになれば、もうこの程度のことでも、いまのやり方でわかるわけでございますから、それ以上出たかどうかということを調べる必要がどうしてあるんだ。第一番目には、日米の信頼関係の上に立って、もう一つは技術的な点について。ところが、これを、一滴でも出たものを調べることがなければというようなことで、もし日本学術会議が議論するとすれば、これは技術論ではなくて政治論ではないですかということを、私は申し上げたいわけでございまして、元来が原子力軍艦放射能調査指針大綱は、昭和四十三年にできたものでございまして、それにちゃんと趣旨が書いてあるわけでございます。そういうことを度外視して、わが田に水を引くような御論議をされるように、私どもは考えられてならないのであります。  なお、この際、このソードフィッシュの事態につきまして、「米側からはソードフィッシュ号からの放射性物質の放出は全くない旨の確信は与えられたが、そのことを実証するデータは提供されなかったので、同検討会においても、本件の原因を科学的に解明することができず、疑を残したまま報告書が提出されるに至ったことははなはだ遺憾である。」すなわち、ただいまの瀬崎委員のお話でございますと、ソードフィッシュから出されて、異常放射能が出たようなお話でございましたが、それは疑問点として残っておる。そうであるという断定は、原子力委員会では出されていないという点も、どうかひとつ御理解をお願いいたしたいと思っております。したがって、現在の放射能の調査は、単にバックグラウンドの調査のみならず、もしアメリカの原子力潜水艦が入ってきて、第一次冷却水を一定量以上出すというようなことが万が一あった場合においては、それはわかるようなシステムになっておるわけでございますから、全く御心配の必要がないと思うのでございます。その点を一つ申し上げておきたいと思います。  それから学術会議のお話がございましたが、学術会議の学者の中にもいろいろな、よく勉強されている方もおいでになるわけでございますから、私どもも学術会議に所属しておられる学者の方々からは、いろいろ御意見もお伺いをいたしておるわけでございます。しかし今回、私どものほうに伝わってきたのは、日本学術会議に対しても絶えず十分な連絡をとられたい――一々やったことを学術会議に知らせてこい、というお話でございますから、ちょっとそこまで、私どものほうは科学技術庁のやった仕事を一々学術会議に御連絡申し上げる筋合いはないわけでございますから、そこまでのことはいたしかねる、ということを私は申し上げておるわけであって、学術会議については、内外にいろいろ批判はございます。しかしりっぱな学者もおられ、それらの学者の方々からは、私どもも十分いろいろ知恵を拝借いたしておりますが、今回のように、日本学術会議に対して絶えず十分な連絡をとれ、こうおっしゃっても、私のほうはとるわけにいきませんね。その点だけは、この際はっきり申し上げておきます。そういう問題について、いろいろ瀬崎委員からもお話がありましたから、私どもは御意見として拝聴して、これからもよく御趣旨に沿うようにとは考えておりますけれども、こういう言い方でこられますと、一々やったことを知らせろと言われても困りますから、やはりその点はどうか御理解を願います。  それから、分析化研の問題についてお話を申し上げたいと思います。一月の二十九日に、おたくの書記局長から御指摘がございました。私どもはその御指摘というものにつきまして、十分これを受けて、その御指摘の線に沿って、事態の改善をはからなければならぬと思いますが、やり方につきましては、やはり私どものやり方でひとつまかしていただきたいと思っておるわけでございます。国立の研究所を含めて、やり方を検討するということでございますが、現在科学技術庁にある付置研のように、公務員という形でやっていくことがいいのか、これは設置法の改正が要りますし、原子力研究所あるいはまた理化学研究所というようなやり方でやりますれば、これもやはり新しい法律をつくる必要もあるわけでございますから、やはり国が責任を持つ体制の研究所をつくるという意味においては、当面とりあえずは暫定措置である理研、放射研の業務を引き続き引き継ぐものといたしましては、財団法人という形でとりあえず発足をさせていただいて、そして科学技術庁関係の団体が中心になってこれに当たるということでございます。浜口先生のお名前が出ました。私はりっぱな学者であると尊敬を申し上げておるわけでございますが、いやそれは存じませんでした。東大系ということで、そういう学校系統的なものがあるということは、私は不幸にしてよく存じませんでしたが、それ以外の学校の系統で、またいろいろ有力な方がありますれば、そういう方々のお知恵も拝借したいと思います。学閥にとらわれることなく、また研究者、現場技術者の別にとらわれることなく、ここで働く人たちの今後の処遇というものを十分に考えて、要するに、お役所や関係団体のようなところは、わりあいに一つのシステムができていますから、したがって、もう少し弾力性のある措置でやっていくのには、財団法人でやっていくのが一番いいのではないかというふうに考えております。しかし将来それでいいだろうかという意味では、今後の推移を見まして、たとえば法律等でやられる認可法人というシステムも将来は考えられると思います。しかし、やっとこれで最初の金平糖の粒ができたところでございまして、これからいろいろなことをやらなければならないわけです。確かにいろいろ御批判はございましょう。しかし私ども科学技術庁に今日職を奉ずる者たちは、誠心誠意このわが国の放射能分析体制の再建のために、身を粉にして一生懸命やっておるわけでございますから、いろいろ国会で御意見をいただくことは、これは一向差しつかえございません。ありがたくいろいろな御批判はちょうだいいたします。しかし同時に、なるほどあなたのおっしゃるのはごもっともだというような、ひとつそういうありがたい御示唆をなお一そう賜わりますように、切にお願いをいたしまして、私の当面のお答えにいたしたいと思います。

瀬崎博義日本共産党・革新共同

○瀬崎委員 実は、あまりにも長官の演説が長かったので、もう一つ質問したいことがあったのですが、私のお尋ねしたかったことだけ申し上げて、せっかくおいでいただきました参考人の皆さんに含んでいただきたい。  それは、先ほど石野委員も指摘されました原子力委員会の運営の問題、人選の問題であります。森山長官が何と言われましても、これに対する、特に新聞を中心とした世論は冷たいのですね。私の持っておるこの新聞の社説を見ましても「原子力委の民主的運営を望む」というタイトルのもとに、田島委員の辞表提出の問題は「極言すれば、原子力委員会が民主的運営を放棄したことにもなる。」こういうことなんですよ。私はきょう、同じく専門家、学者の立場にある皆さん方からも、この問題をどう見ていらしゃるかお聞きした上、長官の見解をあらためて聞きたいと思ったのですが、あとの方々の御迷惑になりますから、また後ほどそういう質問が出ることを期待しながら、一応私の見解だけを申し上げて、終わらしていただきます。

石野久男日本社会党

○石野委員長代理 近江委員。

近江巳記夫公明党

○近江委員 きょうは、参考人の先生方、御苦労さまでございます。  先ほどから、長官からもお話が何回も出ておったわけでございますが、私がこの委員会で、原子力潜水艦の放射能監視体制の問題で質問しておりましたときに、長官のああいう発言が飛び出したわけです。長官は丁寧過ぎるという訂正をされ、その後、政府側の岡野参考人ですか、この方も、ばか丁寧というのはちょっと言い過ぎだ、しかし、たしか丁寧過ぎるという感じではないか、というようなお話であったと思うのです。そこで、この丁寧過ぎるということは、考えてみますと、完全に網を張って一切のがれるところがない。しかも、過ぎるということばは、二重三重に網が張ってあるという感じじゃないかと思うのです。そこで、先生方にごらんになっていただいて、一切の小魚も逃がさないだけの完全な網なのか、小さな穴でもあるのか、その穴を、ひとつきょうは教えていただきたいと思うのです。  そこで、中島先生、塩川先生、山県先生、まず三人の先生方から、ひとつ御意見をお伺いしたいと思います。

中島篤之助日本学術会議原子力問題特別委員会幹事

○中島参考人 私どもは、丁寧過ぎるかどうかということを議論する前に、先ほどお手元に配りましたものに書きましたように、目的を明らかにして、設計、サンプリング、分析評価を一貫してやらなければならないということを、学術会議は、たいへん抽象的ですけれども、そういうことをいっております。それと同じことが、やはり原子力軍艦の問題についてもいえるわけでありまして、これは現在の監視体制が何を目的にするかということで実はきまってくる問題である。先ほどから森山長官は、これは国民の安全を守るためだ、これは当然のことでありまして、国民の安全を守るという内容は何かというと、調査指針大綱の中に書いてありますといいますか、原子力委員会が原子力軍艦を受け入れるにあたって出した声明の中に、具体的な内容が書いてあるわけで、それは環境に、ゼネラルバックグラウンドにメジャラブルな増加をしないとかなんとかと書いてあるわけですが、これは何をやっておられるのか、私はおかしいと思うのですね。これが一点です。  それからもう一つ非常に気をつけていただきたいのは、アメリカの原子力法というのはアメリカが原子力開発をする目的は、アメリカの国家の安全保障のためにやるのだということを、法律に掲げてやっておる国であります。日本ではそうではなく、平和利用に限ってやるのだということがきめてある国でありまして、ですから、それについてどう考えるかということは、アメリカと日本では、どのような信頼関係があるにせよ、それはおのずから違ってきて、日本としてはやはり独自にそれを考えなければならない問題だと思います。(森山国務大臣「それは政治論じゃないか、技術論をやりたまえ」と呼ぶ)

石野久男日本社会党

○石野委員長代理 大臣は、発言をひとつなにしておいてください。

中島篤之助日本学術会議原子力問題特別委員会幹事

○中島参考人 それは政治論だというふうにおっしゃるらしいのですが、私が申し上げたいのは、大臣はたいへん学術会議に対して誤解をしておられると思います。学術会議というのは、残念ながら総理府の政府機関でありまして、われわれは学術会議法というものに縛られて仕事をしておるわけでございます。それはどういうことかといいますと、政治をしろとは書いてございませんが、科学を、行政、産業、国民生活に反映させるということを目的にして、政府に勧告をするという役割りを持っているわけです。それは法律上はっきりしておる。  それから、たとえば今度学術会議がいいたいことは、今度のような問題については、学術会議法のたしか第四条だったと思いますが、政府は次のようなことを「諮問することができる。」というふうにうたっている。ただ「することができる。」でありますから、しなければならないと書いてないのがたいへん残念だと思うのですが、しなければならないと書いておいてくだされば、おそらく諮問されたろうというような性格のものであります。ですから、もっと活用して、いろいろな意見を聞いていただきたい。そうすれば科学者の間で――私は、いまの直接御質問であるような、原子力潜水艦の監視体制が有効かどうかについては、これは専門の科学者を集めて綿密に議論をすることが、まず学術会議としても何としても必要である、たいへん現在の体制は穴があきっぱなしだと思っております。ここにも書いてありますように、指針大綱は、この問題が起きたときに、根本的に見直しをすべきであるということを一応きめているわけでありまして、それは近江先生のおっしゃった意味からいいますと、穴があいていると考えているからこそ、こういうふうに申し上げたわけでありまして、このままでいいという話を聞くとはまさか思わなかったということでありますので、それでよろしゅうございましょうか。具体的にはまたあとで……。

塩川孝信東北大学教授

○塩川参考人 私は直接現場も見ておりませんし、情報も詳しくありませんので、ばか丁寧過ぎるのかあるいは十分であるのか、その辺の批判は差し控えたいと思いますが、ただこういうことはいえるのじゃなかろうかと思います。やはり海ですから、潮流もあり、魚もある方向へ移動性があります。そういうような科学的なデータに基づいて、十分吟味された試料を取っているかどうか。ただ行政的にたくさん取ってきて、精密分析にすべてをかけるというのでは、ばか丁寧のそしりを免れない。ばかということがつく以上、それは無意味というそしりを免れないと思いますが、それは先ほど最初に申し上げたように、精粗の分析を十分やった上で、そうしてひっかかるところには精密分析を適用するというような、やはりきめのこまかい施策がとられなければ……。ですからそれは、十分な学問的な背景に立って、潮流その他を考え、海流の、海産生物の移動なども考えて適切な措置をとるという、限定されたサンプリングについては精密に分析し、そうしてその外側はラフに分析して、時間を非常に迅速にして、それを出てひっかかったら、その部分を精密に分析する、そういう十分な配慮のもとに、はたして取られているかどうかという点、実情をよく知りませんので、批判がましいことはこれ以上差し控えますが、そういう点の配慮が欠けていたら困るのではなかろうか、そういう点を指摘したいと思います。

山県登国立公衆衛生院放射線衛生学部長

○山県参考人 モニタリングの現在の網が、穴があいているかどうかという御質問でありますが、私、最初の意見陳述で申しましたように、モニタリングの目的は、住民の安全を確保するということだと思います。その住民の安全を確保するために、四つのことがされていいと思いますが、第一は、先ほどお話が出ましたモニタリングポスト、それから第二のことは、住民が現実にどれだけ被曝したか、一年間にどれだけ被曝しているかという集積被曝線量の測定、これはモニタリングポイントでやっておると思います。それから三番目は、現実に住民の口に入る海産物がもしその港で取れるならば、それの分析をして確かめるという仕事だと思います。それから四番目の仕事は、長い間に環境に放射能が蓄積していく傾向がないかどうかということを確かめるために、海底土あるいは生物を使って、これの核種分析をする。この四つの仕事が十分にされておれば、安全は十分に確保できると思います。現在やられている詳しい内容は私存じませんけれども、それにはサンプリングの場所の選定、時期の選定あるいは相手の生物の選定、そういったものを十分なデータに基づいてしっかりとやっておいて、しかもそのあとの分析も信頼のある結果を出すということをやれば十分に安全は守れる、つまり、網に穴はあいていない、そう考えます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 ずっとこの委員会を通じまして、微量であるからそう問題にしなくてもいいじゃないか、政府としても力を入れておるじゃないかというような、非常に、どういうのか、国民が感じておることと逆行するような、そういう雰囲気の中で、私は行政が進んでいるように思うのです。  私は国会へ出していただいてもう七年ちょっとになるわけですが、初めて出していただいた四十二年当時に、ぼくはこの委員会において、初めて食品公害の問題等を取り上げたわけです。あの当時の塚田気としては、何を小さいことをやっているんだ――化学品の農薬の問題なんかもやったわけですが、そういう雰囲気があったわけです。しかしその後、イタイイタイ病、水俣病あるいは農薬のそういうようなおそるべきいろいろな公害問題とかPCB問題とか、たいへんな問題にもなってきているわけですね。  ですから、今日これだけ、エネルギー危機であるということで、原発もどんどん今後推進していくような雰囲気にあるわけですし、やはりそうなってきますと、環境汚染の問題であるとか、安全性という、これはある人から見れば小さいようなことかもしらぬけれども、これが蓄積し、またさらにそういう万が一の事故というようなことになってきますと、これはもう取り返しのつかないことになるわけです。ですから、もう最善の、神経質になるくらいの力を入れてこそ、私は、国民から支持されるし、また理解も得られると思うのですね。これを、根本の、中心者の政府自体が、そういう、あまりこまかいことを言うなというような感覚で進んでいくということは、私はたいへんな問題だと思うのです。そういう点におきまして、政府から見れば小さいことかもしらぬけれども、そういうことをおっしゃる人ほど、これは宝なんです。私はほんとうに勇気ある人だと思うのです。私はそういう人がたくさん出てほしいと思う。そういうことに対して金をつぎ込むことであれば、幾らでも国民は支持すると思うのですよ。  そういう点におきまして、中局先生、いま時間のことがあるからということで、途中で終わられたんですが、その穴の問題につきまして、私らはしろうとですから、あまりむずかしいことを言われてもわからないわけですけれども、何点かありましたら、お教えいただきたいと思うわけです。

中島篤之助日本学術会議原子力問題特別委員会幹事

○中島参考人 まず、これはモニタリングポストの問題であります。これは、大臣はさっき、私が政治論をやるようなことをおっしゃったけれども、私は、行政を改善するという立場で申し上げれば、ポストを何とか接近させる方法を考えていただきたい。これはボートで接近はしておりますけれども、かりにポストから非常に遠いところへいつも入るというのであれば、これはしかし、私は、逆に政治の問題になるかもしれませんが、ちゃんとアメリカと交渉していただいて、すぐそばにそういうものを感ずるようなカウンターを置かなければ、これはおかしいというふうに思います。それがポストの目的であるはずですから、それをやっていただきたい。それが第一点。  それから、海底土の分析についてですけれども、これは塩川先生も述べられましたように、それから、われわれの勧告もいっておりますように、どういうふうに――つまり、確かに微量の放射能でありますから、その化学分析の場合は、十ピコキュリー以下のもので環境がどう変化していくかということを調べるわけでありますから、これは実は、そのコバルトがどういうふうに環境で動くかということも、十分わかっているわけではないわけであります。ですから、非常に困難がありますけれども、ないしは、最初は非常に困難があるから、かなりめんどうなサーベーといいますか、調査の計画を立てなければならない。それで、この点について、私さっき申したことを繰り返しますが、われわれの委員会の中でも、学者の中でも、どういうふうにしたらいいかということについては、いろいろな議論があるくらい困難な問題であるというふうにむしろ考えていただきたい。しかし、これは専門の方々、なるべく多くの方々を集めて議論して、やはり国民の安全を守るための具体的な計画というものは立てられるというふうに考えておるから、そういう意味で、学術会議にもぜひそういう世話をしろというなら、われわれもそういうことはできるということを申し上げているというようなことです。  それから、モニタリングポイントの問題ですけれども、これは確かに蓄積線量ということでは、岸壁にずっと並んでいるようですから、それはそれなりの効果はあるでしょうが、これは原子力潜水艦そのものというよりも、もし事故を起こして非常に大きな被曝が生じるとか、あるいは蓄積線量がだんだん上がってきて、たとえばそのポイントがはっきり感じて、メジャラブルになってきたときというのは、これは相当汚染が進んだときでありますから、私が申しているのは、そういう汚染が起こらないようにどうするかということを、むしろ学術会議としては政府に考えていただきたいと申しているんだということです。  以上です。

近江巳記夫公明党

○近江委員 いま非常にいい参考意見を聞かしていただいたわけですが、こうした点におきまして、長官も科学技術庁も、丁寧過ぎるとおっしゃっておられたそういう網も、いろいろと改善しなければならないほころびがあるということは、おわかりになったと思うのです。   〔石野委員長代理退席、委員長着席〕 ですから、こういう点につきましては、意地じゃなくして、やはり直すべき点は直していただく、これは、私たち国民の代表として、要求いたします。これは考えていただけますか、長官。

森山欽司自由民主党科学技術庁長官

○森山国務大臣 近江委員に申し上げたいのでございますが、先般の例のばか丁寧論は、そういう趣旨であったということを、どうかあらためて御理解を願うようお願いいたしたいと思います。私はある程度御同感を願えるだろうと思います。実は私も、こういう制度自体について、こういう委員各位の御質疑を通じて、私自身もあらためて検討し、あらためて勉強して、そして、それこそお役所の人の書いた原稿ではなくて、自分で考えて御答弁を申し上げているわけです。しかし、かってなことじゃなくて、ちゃんと書いてある文革その他を引用しながら、こういうふうに申し上げておるわけでございますから、どうかひとつ、言い方について不適当な点はお許しを願いまして、言わんと欲するところにつきましては、御理解を願えればと思います。  それから、少しぐらいの放射能を気にしなくていいじゃないかというお話でございますが、とんでもない話でございまして、そんなことはいささかも考えておりません。国際放射線防護委員会の勧告に、一番新しいやつは、アズ・ロー・アズ・レディリー・アチーバブルということばを使っております。一番前のはアズ・ロー・アズ・ポシブルからアズ・ロー・アズ・プラクチカブル、そして現在はアズ・ロー・アズ・レディリー・アチーバブルという表現になっておるわけでございますし、私はこの国際放射線防護委員会、ICRPの勧告も読みました。国務大臣で、変なことでありますが、そういうことを読んで、そして全部が全部、非常に専門的なことでございますから、理解できたかどうかは別といたしまして、それを理解すべく努力し、また、重要な面につきましては、先輩の教えを受けながら、そういう点に取り組んでおるわけでございますから、少しぐらいのことはかまわなくていいだなんて、もう夢にも思っておりません。おそらく歴代の科学技術庁長官で、あるいは原子力委員長で、ICRPの勧告のこういう点を引用して話をした人は、そうたんとないの、じゃないかと私は思っておりますよ。ですから、そんな、少なければ少ないほどいいだなんて、そんな考え方ではございません。  ただ、やり方については、より合理的にやっていかなければならぬ面は、私はいろいろ感ずるわけでございます。それで、たとえばいまの原子力軍艦放射能調査指針大綱、まあとにかく、中身によりましては、確かに字で書くにはりっぱなことを書いてあるけれども、結果においてこの間みたいな事件を起こすようなことでは、それはどうかと思いますね。そんなことを二度と繰り返しちゃいかぬと私は思うのです。きらきらしたことばっかりかっこうだけつけて、実際に実行できないようなことは、二度と繰り返してはならないというふうに、私は一つは考えておるわけでございます。そういう観点から、やはり私は見直す必要もあるのではないかと思いますし、また、いまお話がございましたようなポスト、ポイント、ボート等の問題につきましては、とにかくいままでの点で、どうなっているか、見にやったわけです。そうすると、中に故障しておるのがあるんですからね。そんなことじゃ困りますよ。だから、これからは、つくりっぱなしじゃなくて、相当責任ある者がときどき見て回って、間違いないように運用をはかっていかなければならぬ。これはいままでより手はかかりますよ。けれども、そういうことを気にしていかなければならぬのじゃないかと思いますし、それから、いまのお話の点について、中島さんはいろいろな思惑でおっしゃるが、おっしゃる点等は、瀬崎さんのほうから大体伺ってはおります。だから、そういうものの中で、私どもは、取り上げるべき点は、技術論としても取り上げていく必要があろうと思いますけれども、それは全部が全部、そういう方向で努力したいと私は思っておるのです。そしてやはりそういうものをつくってから、ときどき責任者が見て回っていく。入港したときだけ、わっとかけつけて、あとはそのままというのじゃなくて、もう少しそういう点に注意をしたようなシステム運用を考えてまいりたい。より合理的な運用をはかるべく努力をするということにつとめたいと思います。いままでの大臣というのは、適当に、御趣旨ごもっともというようなことで、返事ばかりが多かったのかもしれません。私は自分なりに考えて、真剣にお一人お一人と取り組んで、自分で言うものですから、あるいはお気にさわる点があるかもしれませんけれども、そういう面につきましては、私どももその方向で改善すべき点があれば改善したいと思います。どういう方向になるかにつきましては、さしあたりおまかせ願って――ただ、ほおかぶりして、去年の九月二十日にここで議論になったことを、一月二十九日に不破さんに二番せんじでやられて、どうにもこうにもならぬようなことは、もう二度と起こさないようにがんばるつもりですから、どうかひとつよろしく。

近江巳記夫公明党

○近江委員 学者のおっしゃることにつきましては、これは政府はほんとうに謙虚に耳を傾けて、そして検討し、ひとつ大いに取り入れていただきたいと思うのです。それを特に要望しておきます。  それで、長官も、自分の本意でなかった、自分は一生懸命やるんだ、ということを何回もおっしゃっておられるわけですね。そうしますと、おっしゃっておられるそういう姿勢と行動なり、あるいはまた体制なり、そういうものが一貫しなければいかぬと思うのですね。この放射能の体制にしましても、分析研の報告によりましても、四十八年度においても三十八件ですか、でっち上げのでたらめがあった。こんなことでは、幾らこまかいことをやっておる、日本はほかよりもやっておるんだと言っても、こういうことは全然信用できません。ですから、これは単なる分析研の問題ではなくして、これは政府、科学技術庁のほんとうに不見識のしからしむるところであると、私は思うのです。いま長官おっしゃったように、モニタリングポストであるとか、そういうものはどんどん現場も回って調べるんだ、それは当然のことでありまして、体制だけしいておけばそれで進むんだという行き方、これは全くほんとうに官僚的な行き方なんです。今後は運用という点につきまして、もっと真剣に政府はやってもらいたいと思うのです。そうしないと、二度、三度こういうことはしないとおっしゃるけれども、また出ますよ。しかし長官は、今後は運用については真剣にやるとおっしゃっておりますから、今後をひとつ見守っていきたいと思うのです。  それで、先ほど私は、そういう決意に立たれた以上は、すべてが一貫しなければいかぬということを申し上げたわけです。そうしますと、原子力委員の田島さんが辞任された。それは、従来の原子力委員就任については、原子力委員会で相談をしてきめる。ところが、相談がなかった。あるいは安全性についての取り組みも足らなかった。これは報道されておることで、私直接聞いたわけじゃありませんけれども、そういうようなことになっておるわけですよ。そういう点につきまして、長官は全然相談されなかったわけですか。その点どうなんでしょうか。

森山欽司自由民主党科学技術庁長官

○森山国務大臣 実は田島さんには近くお目にかかって、田島さんの真意もお伺いし、私も意のあるところを申し上げたい、こういうふうに思っておりますので、あまり申し上げたくはないのでありますが、御案内のとおり、原子力委員というのは内閣総理大臣が任命をするわけでありますが、これは科学技術庁長官が代行することになっています。そして国会の承認を得るというようなことになっておるわけであります。いろいろ各方面の御検討を経て、国会の承認を得て、内閣で、新しい委員につきましては発令をいたすわけでございますが、本件についての委員の任命は、やはり内閣の責任において任命し、手続をとって、国会の承認を受けてやることが本筋でございまして、それ以上に、そういうことをどの方面に相談するかというのは、一つの常識の範囲内に属することでございますね。たとえば、私が任命するにいたしましても、田中総理大臣の名前で任命するのでありますから、総理にはもちろんお話ししますし、また若干の方々と御相談をするという必要も、重要人事であるからございます。要するに、独断専行はいたさぬつもりでございますし、また委員長代理にも、そういうことについてお耳には入れておくわけでございますが、率直に言って、たくさんある委員さんの常勤あるいは非常勤の方々全部に、そういうことをお話しする余裕もないし、またそういう筋合いのものではないと私は思っておるわけでございます。また、平素そういうような慣行がいままであったとは、私は聞いておりませんでしたし、それは原子力委員会筋からも、また役所の筋からも、聞いておりませんでした。ですから、ほんとうに率直に言って私はびっくりしました。そしていわゆる従来の慣行なるものにつきましても、有沢先生にもお目にかかりまして、新聞にあることはどういうことなんでしょうか、一部の新聞の、委員の皆さん方に御相談になられて、一人でも反対があったら任命ができないのだというようなことはほんとうなんですかとお聞きしたら、いや、もちろん任命権は内閣にあるし、また国会承認人事であるから、国会の意見を尊重しなければならないという性質のものであるが、実際の運用上、私たちには一応お話しをしておった、しかし一人でも反対すればどうだというようなことではありません、こういうふうに言っておられた。それなら、私は常識的にわからぬことはない。ただ慣行とかなんとかということは、何をやるにいたしましても、やはり事と次第によりましては、たとえば国会でも、御賛成を得られなくとも、こういうことですからというふうにお耳に入れる場合も、政府の立場であるわけです。おこられることもございますけれども、そういうこともあるような意味で、私は筋論として、そういう意味で、常識的に、いろいろ御連絡をするということについては――しかし、いままでそんなようなことがあろうとは夢にも存じませんでね。それはさっきも言ったように、役所の事務次官から、人事はこうなっていますということも聞いていなければ、原子力委員会からもそう聞いておりませんでしたから、率直に言って、繰り返しますが、びっくりぎょうてんしたということでございます。ですから、御本人にはお会いしていないので、御本人がどういうふうにお考えになっておるかは私も存じません。また、私が考えておることも十分御理解願っているか、それも私はわかりません。ですから、一回よくお話ししてからでないと、この問題についてはコメントできない。ただ言えることは、非常に気持ちよく何カ月間か一緒に仕事をさせていただいたように私は記憶しておるし、またお仕事についても、私は高く評価しておるものでございますからね。とにかく極力お考え直し願えないかという姿勢については、新聞報道のあとにおいても今日も、全く同じでございます。  それから学術会議の要望に、学者の意見をお聞きになれということで、「環境放射能調査・評価体制のあり方について」勧告というのがあります。この一番末尾に、「上記の諸課題を正しく遂行するためにはひろく科学技術者の意見を問うべきであり、」というところまでは、広く科学技術者の意見を聞くことについては異存ございませんが、それは私どもにまかせていただく。ただ、「日本学術会議に対しても絶えず十分の連絡をとられたい。」、とにかく科学技術庁でいろいろきめたことを一々学術会議に連絡してこいというのはどういうつもりなんだというのが、私の率直な気持ちで、先ほど申し上げたわけでございますから、その点もどうかひとつ――広く学者の意見を聞くというのは私も賛成です。学術会議所属の先生方からも、いろいろな毎度で意見をお聞きしておるようでございますが、学術会議に、一々やったことをお届けに行くわけにまいりませんので、この点ははっきり申し上げておきたいと思います。ただ、そういう学術会議の意見を聞いたらどうだということについては、私はいつも御意見として拝聴いたします、こう申し上げておる。どうかひとつこの辺の考え方につきまして、格別御理解を願えればと思います。一般的におっしゃられる面については、私も努力いたすつもりでございます。

近江巳記夫公明党

○近江委員 こういう人事の問題、原子力委員の方も、何名かで、数十名じゃないわけですね。そういう中におきましても、こういう問題が出るわけです。ですから、やはり年配のいろいろな経験を積まれた長官に、こういうことを、私のような若造が申し上げるのはどうかと思いますけれども、やはり筋論だけではいかぬということなんですよ。ましてや、こういう技術上の問題になってきますと、やはり多くの常者の意見を聞き、そしてそこでまたもんでもらって、そして最高のものをまた模索していく、こういうことが一番大事だと思うのです。私は決して、原子力は全然だめだとか、そんな立場に立っておりません。安全性なり、そういう環境汚染の問題なり、もっと政府が本腰を入れて取っ組み、国民の理解を得ながら進んでほしい、こう思っておるのです。そういう点におきまして、あらゆるすぐれた学者を結集して、そしてそのために力をかしてもらう、これは私は大事なことだと思うのですよ。それをただ筋論で、政府は行かないのだ――やはりそれはまずいと思うのですよ。方法は幾らでもあるじゃないですか。長官が直接行かなくたって、官房長なり局長なりもいるわけだし、連係は定期的にやるとか、いろいろな方法もあるわけですよ。ですから、そういう点はもっとスムーズに柔軟にやっていただきたいと私は思うのです。そして日本のために、もっと学者、そういう宝の人を結集していただきたい、これはイデオロギーとか、そんな問題ではないわけですよ。それを私は特に強く要望します。  それから、私に与えられた時間も非常にありませんので……。絶えず私たちも言ってきた問題ですけれども、環境放射能研究所あるいは放射線障害基礎研究所、これなんかも、いわゆる文部省令に基づく研究所ですか、そういうことで、科学技術庁と文部省の間で一致しないということも聞いておるわけでありますが、やはりこれは文部省の管轄であろうが科学技術庁の管轄であろうが、どこになるか知りませんけれども、これは国として、国民としてみな要望しておるわけですよ。センターがないのです。だからああいう分析研のような問題とか、そういうものが起きるわけですね。この点、権威あるものをつくってもらいたいと私は思うのです。ですから、これは内閣全体で、どういう形にしていくかということは、ぜひ一つの大きなテーマとしてあげてもらって、つくってもらいたいと思うのです。そういうやるべきことをやらないで、エネルギー危機だ、そういう状況がわからないんだ、こういう時期に原発の推進に反対するのはおかしいじゃないかというような、そういうムードすらも若干あるわけですよ。原発の推進よりも何よりも、こういうことを先にやるべきですよ。そういうところで、国民の理解を得ることができないのです。この問題について推進していただけますか。

森山欽司自由民主党科学技術庁長官

○森山国務大臣 率直に言って、いままでなかなかそこまで手が回りませんでしてね。しかしせっかくいまお話しでございますから、よく検討させていただきましょう。具体的にどうやるかは、政府のやり方でございますから、またいろいろ相談して進めたいと思いますが、私自身検討さしていただいて、どういうふうにしてやるか、考えたいと思います。それ以上のことは、ちょっと私の立場からいま申し上げられないと思いますから、お許し願いたい。

近江巳記夫公明党

○近江委員 時間がありませんから、終わります。

安井吉典日本社会党

○安井委員長 次に、内海清君。

内海清民社党

○内海(清)委員 きょうは、参考人の皆さんには長時間たいへん御苦労さまでございます。予定の時間がほとんど迫っております。なかなか議論が沸騰して、時間を食うたようでございまして、その議論によって、いささかでも問題が解決の方向に向かえばたいへんけっこうだと思いますが、時間の関係がございますので、私は原子力潜水艦の放射能調査の問題について、端的にお伺いしたい。その他の問題は、いままでの質疑の中で明らかにされた問題もございますし、省きたいと思いますので、できるだけ簡単にお尋ね申し上げたいと思います。  山県先生に、ひとつお尋ねしたいと思うのですが、沖繩のホワイトビーチとかあるいは那覇あたりでいわゆるコバルト60が検出されたという、いままでの問題は御承知だと思うのです。端的にお伺いいたしたいと思いますが、それは人体にどういう影響を及ぼすかということであります。そのことを、まずひとつお伺いいたしたい。

山県登国立公衆衛生院放射線衛生学部長

○山県参考人 先ほどもお話がございましたように、バックグラウンドと申しますか、フォールアウトによるコバルト60が、日本の港では、大体五ピコキュリーとか多くて十ピコキュリーぐらいございます。先ほどの話では、ホワイトビーチの近所で六十というふうなお話がございましたが、この程度のコバルト60を人間が食べたときにどのような影響があるか、こういう御質問だと思います。正確な数字は、計算のデータがございますれば計算できますけれども、おそらくその場合に、人の被曝は、コバルト60の場合には、最も重要な人体の器官というのは消化管です。消化管から吸収されて体内に入る割合は非常に小さいものですから、コバルト60の場合は消化管の被曝で評価いたします。したがって、その場合に消化管がどのくらい被曝を受けるかといいますと、数学は出よせんけれども、非常にわずかなもので、一ミリレム以下、それの何分の一か何百分の一かちょっとわかりませんが、非常にわずかなものでございまして、それによる人体の障害、つまり消化管の障害というものは、まず起こらないといって差しつかえないと思います。

内海清民社党

○内海(清)委員 あの程度では、別に人体に障害はないだろう、こういう御意見です。しかし現実の問題としては、日本の国民にはやはりいろいろな不安を与えたということは事実だと思う。これは御承知のとおり、日本は世界における唯一の被爆経験国であるという、これが非常に大きな原因をなしておると思うのであります。したがって、原子力軍艦が入ってまいります場合、さっき長官がたびたびお話しになりました原子力軍艦放射能調査指針大綱、これは四十三年九月にできて、その後、現在のものは五回ほど改正されたものであります。これによりますと「樹海地周辺作品の安全を確保するため」、長官は、そのためであって、原子力潜水艦が放射能を出すか出さぬかということじゃない、というような意味のお話もあったと思うのですが、ところが、そのために「必要な措置をとらなければならないが、軍艦のもつ特殊な性格にかんがみ、」ということがあるわけです。これは軍艦は、各国とも、いわゆる平和利用の原子力商船と違いまして、大体第一次冷却水を出すようになっておるわけです。日本における「むつ」は、これに対しては非常に慎重であって、第一次冷却水は、炉の火を落とした後も別にちゃんと貯蔵して、そしてこれをあとから処置するということになる。ところが軍艦は、それは非常に軍艦の性能に支障を来たすといいますか、そういうりふうなことをしていないのが大体軍艦の特殊性、これは常識、だとわれわれとしては思うのです。ただ日本とアメリカの間においては、さっきもお話しになったように、これは港の中では出さぬ、こういうことになっておるわけです。だから、軍艦から出るということは、これはあとで参考人にお尋ねしようと思うのでありますけれども、公海へ、日本の外へ出たらみなどんどん出しておるわけです。日本周辺というものは、アメリカやソ連の原子力軍艦によって、かなり汚染されていると見てもいいんじゃないかと思います。ところが、港に入った時分には出さぬということになっておるわけで、これは原子炉として冷態起動の場合には出るのが常識であります。だからアメリカは、あの佐世保事件の場合にも、ほかの船を隣につけて電気を送って、冷態状態にならぬようにした、こういうことをいっておるわけであります。これは御承知のとおりだと思うのです。そういう状態でありますから、したがって、そういうことにかんがみて、「特別な放射能調査その他の措置をとる」ということが書いてあるわけです。一応、大臣のいわれるように、日米の信頼関係によって、まずこれはやるよりしようがないでしょう。軍艦ですから、日本が向こうの船の安全審査をやるわけにいかない。条約によると、これはどうもならぬでしょう。したがって、われわれとしては、やはりもしそこに異常な放射能が出てきた場合には、これをどう見るかということが問題になる。それをキャッチするための放射能調査でなければならぬ、そのことが国民の安全を確保するゆえんである、私はこういうふうに解釈いたしておるのであります。  そこで、これはこの前の答弁にもあるわけでありますけれども、日本の「むつ」であるならば、直接、設計から何から全部わかっておりますから、そういう心配は一つもない。そこでモニタリングボートあたりで、軍艦のほとりの水を取って調査したり、いわゆる間接的な調査しかできぬわけであります。このことなんですね。そういうことを考えるときに、私は、この原子力軍艦の入港時における環境モニタリング、監視、目的と趣旨というものは、それを調査することによって、国民の安全を確保していくということにならなければならぬ、こう思うのであります。ところが、実際問題としては、これは日本のいままでのあれからいたしまして、原潜が入ったおりにとにかく出すのではないかという一つの心配があるわけですね。ところが、これは先ほどから参考人の方のお話にも出てきましたし、長官のお話にもありましたけれども、国民の安全問題と原潜の寄港町の条件というものは一応次元の違う問題であって、原潜の器港晴の条件というのは、むしろ政治、外交の問題である。しかしながら、国民の安全を守るためには、信頼関係でアメリカは出さぬのだと言うても、日本の国民にはなかなか理解できない。だからこの環境モニタリングをやって、国民に安心感を与えなければならぬということであると思う。ところが実際の議論は、原潜から出るのか出ぬのかという議論のほうがむしろ強いわけでありまして、このことはあまり焦点がそれに片寄り過ぎておるのじゃないか、だからこれは、モニタリングをやって、そういう異常値が出た場合には、これを十分検討して、そしてそれを改めるのは政治、外交の問題でやらなければならぬ、私はこういうふうに考えるわけです。この問題について、こういう考え方が間違いかどうか、私は全くしろうとでありますから、これはひとつ山県先生と中島先生にお伺いいたしましょう。

山県登国立公衆衛生院放射線衛生学部長

○山県参考人 ただいまおっしゃいました国民の安全と申しますか、私が最初に申しました二番目の問題、健康の問題のためのモニタリングとそれから約束の問題ですね。アメリカと日本の約束の問題は次元の違う問題だとおっしゃいましたことに、私同感でございます。したがって、全く分けて考えなければならぬ。しかし指針大綱を拝見いたしますと、国民の安全ということが目的になっておりますので、もし指針大綱に従ってモニタリングをやるのであれば、私はあのとおりで国民の安全は守れる、しかし、出したか出さないかということは、それとは別の問題だと考えております。

中島篤之助日本学術会議原子力問題特別委員会幹事

○中島参考人 指針大綱そのものについては、いま山県先生がおっしゃったようなことかと思うのです。しかしそうではなくて、この指針大綱がきまるもとになっている原子力委員会がとった基本方針があると私は思います。それに基づいて、本来は指針大綱がつくられておったわけであります。ですから、この指針大綱は、最初つくられておったものが、四十三年のソードフィッシュ号の事件のときにあらためて強化され云々ということになっている。それを全体としてやはり考えなければいけないので、確かに先生のおっしゃるように、次元の異なっている問題が入っていることは入っておりまして、ですから、私は、いろいろなすりかえがどうも行なわれるのではないか、はっきり申し上げて。たとえば先ほどしきりにICRPということをおっしゃいましたけれども、これは軍事利用の問題についてICRPを適用するのは、私は正しくないというふうに考えております、日本の立場では。日本の基本法ということで制約を受けている立場では、それは正しくないというふうに、私どもは考えておるということを申し上げておきたいと思います。

内海清民社党

○内海(清)委員 いま中島先生からああいう御意見がございましたが、やはり相手の国があることでございまして、これはやはりその点は、問題があればその問題を、順序を追って、外交手段によって改めるよりほかに手がないと思うのであります。だからこれがさっき申しましたように、各国の原子力軍艦も、日本に入港したときには、日本で安全審査ができるようになれば、これは問題がない。しかし、これは国際条約で、軍艦というものはできぬというのが常識であります。だから、現実を十分見ながら、その点は議論をしていかなければならぬと思いますし、同時に、可能な範囲において、日本はそういう国民性、非常に原子力に対するアレルギーを持っておる国民性でありますから、そのことを相手国にも十分理解させながら、やはりこの問題は政治、外交の問題で措置しなければならぬことじゃないか、こう思うのであります。その点、長官の御意見はいかがですか。

森山欽司自由民主党科学技術庁長官

○森山国務大臣 原子力軍艦放射能調査指針大綱の中にある「軍艦のもつ特殊な性格」という面について、当初先生は、冷却水を出すというような特殊性がある、後におあげになられました、原子炉規制法に基づいて一々それを検査するとか、あるいはまた、どういうふうにそれを動かしていくかということについては、外国の軍艦は治外法権になっていますから、それはわからないわけです。日本の「むつ」なんかの場合は、その点、原子炉規制法に基づく規制もありますし、またどういうようにやっていくかということもわかっておる。その点の差を言っているのだと私は思います。  第一次冷却水を出すか出さないかの問題は、原子力潜水艦の当初の時期はいざ知らず、最近においては、そういうものを原則的に出さないという方向に少なくともなっておると思います。このソードフィッシュ事件の前後からかどうか、その辺のところまで私は研究しておりませんが、最近の資料というのは、そういう心配は、私はないと思っておるわけでございます。その際に、寄港地周辺住民の安全を確保するということは、もしそういうことで、ある一定量以上の第一次冷却水を万が一にも出せば、いまのモニタリングポスト、ポイント、ボート並びに海水、海底土、海産物の分析をやりますれば、そういうことはわかるようになっておるわけでございます。  ただ問題は、極端な議論でございまして、一滴でも出たらわかるか、こういうふうな言い方をされてまいりますと、そういうことはいまの制度ではわかりませんし、また、原子力軍艦放射能調査指針大綱に基づいて、寄港地周辺任国の安全を確保するという目的のもとに、必要にして十分ならいいのであって、そこまでのことは必要ではありませんというふうに考えておるので、その点は先生のおっしゃられたとおりであるだろうと私は思っております。  それから、第一次冷却水を出す問題について、何かえらいすりかえが行なわれておる。ここに書いてあるとおり、第一次冷却水を出したかどうかなんということを調べるなんて書いてないのですから。それをやはり政治論で、そういうものまで――要するにいろいろ政治的お考えがありましょうね。アメリカと仲よくしていこうというのもあれば、反米というのもありますし、そうなれば、安保条約に賛成もあれば反対もございましょう。また、反対ということになりますれば、安保条約に基づくアメリカ軍艦の日本寄港というのは好ましくないというふうなお考えもございましょう。そうなる際に、その一次冷却水を出したか出さないかというソードフィッシュ事件のときに、通例出さないのだということについて、あれはほんとうかどうかわからぬぞ、調べてみなければ、と言ってけちをつけたがる感情も、私どもはそういうお立場の方のこともわからぬことはございません。しかしそれは政治論でございまして、まさに技術論をすりかえて政治論をやっていることでございまして、私はそういう意見を、まあ政党でいろいろ考え方がございまして、そういうことをおっしゃるのはいいですけれども、ここで学者の名前において発言する人がいるということは、まことに意外千万、そういう点の非常なすりかえがある、その点は私は遺憾しごくに存じておる次第でございます。  それからもう一つ、何かICRP、国際放射線防護委員会のは軍事利用に関係ないんだ、そういうこともまた、知らない人が聞いているといかにも本気にするようなことを言われては困るのであって、それは軍事利用でも平和利用でも、放射線による人体への影響は差がないわけでありまして、軍事利用について、日本ではICRPは適用すべきでないとかいうような発言は、いわゆるこれは政治論であります。国民の健康と安全を守るという観点からは、ICRPが当然基準になり、私が先ほど申し上げましたように、アズ・ロー・アズ・レディリー・アチーバブルという考え方にいくのが正攻法でございまして、どうも学者のような顔をしてそういう政治論をここでもってやる人がおるのは、はなはだ遺憾しごくでございます。  これは私、所感として、この際一言申し上げておきたいと思いますが、どうかひとつ、ICRPは放射線の人体に対する影響についての基本的な考え方を示しておるのであって、それが軍事利用であろうと何の利用であろうと、私は変わりはないと思っております。ですから、アメリカの原子力潜水艦、原子力航空母艦なんかがいろいろ入ってきたときに、それについて少しでも少なければいいという考え方でわれわれは臨んでいくべきだと思うのです。それは軍事利用だから云々というような御意見は――日本は平和利用でございます。ただ日米安保条約に基づいてアメリカ軍艦が入ってきた際において、放射線の人体に及ぼす影響、そういうものはやはりICRPの適用の範囲内でございまして、どうも何かその辺がふかしぎ千万なんです。

内海清民社党

○内海(清)委員 もうわかりました。いま長官からいろいろございましたが、ただ、いまの長官のお話の中で、いろいろ学者の方の御批判、このことは、私は聞くつもりはなかったのであります。われわれは少なくとも、科学者の意見がどうあろうと、われわれはしろうとでありますから、尊重しなければならぬ。それがどうかということは、また違う次元でこれは検討されなければならぬと思うのであります。だから、そういうことは私は聞くつもりはなかったのであります。その点はひとつ十分今後もお考えいただきたい、こう思います。  いずれにしても、現実に国際条約があり、日米の間の取りきめがある。その現実を見ながら、これは実際に原子力潜水艦がいま来るのでありますから、それで、この原子力潜水艦の問題、軍艦の問題は話し合わぬと、議論が飛躍する、私はこう思いますから、いま原子力軍艦のこの放射能調査のみについて御質問申し上げると言うたのは、そういう意味であります。  そこで、私は、この環境モニタリングのしかたですね。これについては十分考えなければならぬ。さっきいろいろお話もございましたが、いずれにしても、いまアメリカのいうことを聞けば、これは一次冷却水が出ていないということであります。しかし日本の国民には、そうはいうてもというような不安がある。出ておらぬのだということを、国民に十分理解させなければならぬ。そのためには、日本の現実の問題として、自衛手段としては、これはどうしてもモニタリングを厳重にやって、出ていないんだ、こういうことを国民に理解させなければ、これは政治にならぬと思うのであります。そういう意味からいたしまして、どうしても日本としては、自衛手段としては、環境モニタリングにたよるほかにない。アメリカの言うことだけ、これを信用しなさいといっても、なかなか日本の国民は信用しないのが現実です。それをさせるためには、日本はどうしても十分な環境モニタリングをやって、こうやったがこれは出ていないんだということを、国民に理解させなければならぬと思うのであります。そこで、いま申しました環境モニタリングのしかたであります。これはこの前の委員会でもちょっと申し上げましたが、さっきも大臣からも出ましたいわゆるICRP、これでいろいろ勧告が出ておるわけであります。このモニタリングのしかたをシステム化するということですね。これについては、このICRPの勧告の具体化ができればきわめて有効である、いいことだと私は思うのでありますが、日本でこれができるかできぬか、参考人の皆さんにお伺いしたいと思いますが、これはひとつお一人ずつ、日本の現在のそういう点をよく御存じの皆さんでありますから、日本ではICRPの勧告は具体化できるかできぬか、こういう点の御意見をお伺いしてみたいと思います。

中島篤之助日本学術会議原子力問題特別委員会幹事

○中島参考人 いまの点でありますけれども、私が先ほどICRPのことについて申し上げた点は、長官がたいへん誤解されて、政治論だとおっしゃったので、実は驚いているんです。それで、私は、放射能調査指針に、一滴も水を出さないなんて書いてあると言った覚えはないのですが、同じそのときに、四十三年十月二十二日に、米軍原子力軍艦の寄港に伴う放射能問題についてということで、これは外務省の情報文化局で、ちゃんと政府の公式見解が公表されている。その中に、当寺の原子力委員会の立場をこういうふうにしてくれという話があって、放出水を出さない云々というようなことばがちゃんと入っているわけであります。ですから、これはまさに政治論ですから、私、遠慮して申し上げなかったのでありまして、それで、これに書いてないことを、習えば政治論だというようなことをおやりになるというのは、私は国会に参考人としてお呼びになって、たいへんけしからぬ話だと思うのですよ。私、はっきり抗議しておきたいと思います。釈明を求めたいと思います。その点が第一点です。  それから、ICRPの問題について端的にお答えいたしますと、私、先ほど申しましたように、ICRPの勧告の五十九項というのがございます。この中に、ICRPをどのように適用するかは、それぞれの国の責任できめるということが明記されてあるわけでございます。それは、放射線というものが必ず有害なものであり、そして、しかしそれを使用することによって起こる利益に見合って、生ずべき障害や害をがまんするという関係になっている以上、それはその国の社会的な条件、経済的な条件というものできめられるということで、各国政府にまかされている。その点で、私は、日本では原子力基本法というものがあって、ICRPを準用した放射線障害防止法という法律がちゃんとございまして、その中に原子力基本法に準じてこういうふうにやるから、日本ではICRPの精神とかなんとかという場合には、私は当然基本法があって、そしてこうなっているというふうに理解しておりましたから、先ほどああいうことを申し上げたのです。それを、軍艦であろうが軍事利用であろうがみんな同じだという言い方をされるのは、少し話が違うのではないか。私の申し上げていることをたいへん誤解しておられるということを申し上げないと、いまの内海先生のことにもお答えにならぬと思いますから。私はむしろ先生の御質問になった意味で、これは確かに、現実に原子力軍艦が来ており、それに国民が不安を持っておることについて、学者としてどう思うかということについて申し上げるなら、まさに調査指針大綱でいっておることは、たとえば先ほどの沖繩のように、コバルトが出た場合には、原子力局長は直ちにそれを向こうへ通報して、適当な処置をとるように書いてある、そういうことをまずおやりになったらどうか。それを外交ルートを通じてやる。それを言えば政治論だとおっしゃると、私は言いにくいから言いたくないけれども、そういうふうに書いてありますことをやっておられれば、国民はもう少し安心されるんじゃないだろうかというふうに思います。われわれは、ちゃんとはかって出たということは、やはり環境の変化が起こったということしか申し上げられないですね。

山県登国立公衆衛生院放射線衛生学部長

○山県参考人 いまおっしゃられましたICRPの勧告ですが、実はICRPの勧告は何種類もございまして、おっしゃるのがどの勧告か存じませんけれども、環境モニタリングのための諸原則という勧告が一つあると思います。これはまさに環境モニタリングのことを取り扱ったものでございまして、その中に盛られていることで、日本で守れないようなことは何もない。環境モニタリングのための諸原則という勧告がございますので、これを守るということはできると、私は考えております。

内海清民社党

○内海(清)委員 これは、私が申し上げましたのはNAS試案と言われておりますけれども、アメリカの国立科学アカデミーでつくっております。これはいろいろなファクターをとりましてやっておるわけですから、これはみな専門家だから御存じだと思います。  それでは、あとの皆さんに……。

山崎文男日本原子力研究所理事

○山崎参考人 私も山県参考人と同意見で、さっき言われましたICRPのパブリケーション七、これに放射性物質の取り扱いに関連する環境モニタリングの諸原則、これは私ども訳して出しております。これに基づいてやったとすれば、いまのあれで十分間に合う。先ほど私が、たくさんのいろいろのシステムがありまして、あれを組み合わせていけば、それができると言うたのは、そのことであります。

福田信之筑波大学副学長

○福田参考人 この件に関しましては、私は言うことはないのですが、先生の前の質問と関連いたしまして、私がばか丁寧論――私はちょうとその時期に日本におりませんで、中国へ行っていたものですから、きょう初めて知ったような事情でございます。実は、私がばか丁寧論と言ったのは、われわれ健康管理するときに、たとえば胃の検査だったら、胃の細胞からレントゲンから胃カメラから何から全部やれということよりも、やはり段階があると思うのです。たとえばレントゲンとこれとやって、そしてどこか疑わしかったらもっと徹底してやれ。健康管理だったら、しょっちゅうドックに入れて一週間もやっておったのではたいへんだ。ですから、そういう段階を追って、そしてもしこういうものが出たら、そこでこういう次の第二段、第三段という、そういうシステムが必要だろう。それで、私の受けた印象は、このシステムとしてはけっこうなんだけれども、もうどんな場合でも核種分析をなぜ一々やらなければいかぬのか。たとえば、この程度のものが出たときはこういうふうにやるというふうにしていいんじゃなかろうか、そういうことを申し上げたかったのです。

塩川孝信東北大学教授

○塩川参考人 私もいままで申し上げた背景には、やはりICRPを現実に準用して、われわれの実験室もそれに基づいて作業しております。ですから、それができないということはない。ただ先ほど、国家の事情によってまかされた、そこのところは、いろいろ利用とのかね合いできめられるところだと思います。  それから、いまの福田参考人のお話、まことに私、申し上げたとおり、やはり健康診断にたとえれば、ラフにやるべきところを、ただそのやり方に関して、十分科学的な根拠を持ちたいということを申し上げたいと思います。

内海清民社党

○内海(清)委員 大体、皆さん、これはできるであろう。ただし、お話にありましたように、日本のそういう原子力に対するアレルギーの解消、あるいは世界で一番海産物、魚とか海藻とかを食べるのは日本人であります。そういう日本の国民の生活の特殊性というものを考えながらこれをきめなければならぬ、こう思うのであります。したがって、これが早くできて、国民に理解されるならば、今後問題の解決は早い、私はかように思うのであります。これはひとつ長官、原子力委員長も兼ねておられるので、はたしてそういうことをどうお考えになりますか。

森山欽司自由民主党科学技術庁長官

○森山国務大臣 もう少し具体的に言いますとどういうことでございましょうか。

内海清民社党

○内海(清)委員 これをごらんになればわかりますが、事務局のほうは御存じだと思いますから、これは一々説明すると、数字があって、たいへんなものです。だから、こういうものが一応できて、また国民の間に理解されておる――PRしてこれが理解されておるならば、今後の日本のそういう問題については、そのつどモニタリングをやって数値が出れば、これはよく国民が理解できていくだろうというふうに私は考えるのであります。これは事務当局でお聞きいただけばわかると思いますが、時間がありませんので……。

森山欽司自由民主党科学技術庁長官

○森山国務大臣 放射線による人体への影響について、ICRPは一つの考え方、基本線を示しております。その線に沿ってやっておりますことは、大部分の参考人の皆さまがお話しになられたとおりでございまして、ただ、そういうことについて国民の間に徹底しているかどうかという点についての努力というような面について、いまだしという点がございますれば、まさにそういう点でいろいろこれから気を使ってやっていかなければならぬと思っております。  ただ、もう一つ私、申し上げたいのでございますが、中島参考人は学者のお立場でいろいろやられると申しましても、政治論でやられて、国務大臣が黙っているわけにいかないわけですからね、そういう点、申し上げるのですが、国務大臣と申しましても国会議員でございますから、国会外の者が来てかってなことを言って、これはまことに私は遺憾しごくに存じますので、委員長において善処を賜わりたい。

安井吉典日本社会党

○安井委員長 ちょっと大臣に申し上げますが、きょうは、参考人の皆さんは当委員会がお招きしたわけです。大臣のほうのお招きではありませんので、その点誤解のないように……。

森山欽司自由民主党科学技術庁長官

○森山国務大臣 私が意見を述べることについて、自分の気にさわったからといって居直るような態度というのは、私は、はなはだよろしくないと思いますので、私も国会議員でございますから、委員長にひとつ、一言私も異議を申し上げておきたいと思います。

安井吉典日本社会党

○安井委員長 どうも、その筋だけははっきり、きょうは国会のほうのお客さまですから、それはひとつお間違いのないようにお願いしたいと思います。

内海清民社党

○内海(清)委員 いまのような問題は、ひとつ委員長で十分御処置を願いたいと思いますから、われわれはそういうことには意見は差しはさみません。  それで、もう時間がございませんから、最後にひとつ皆さんの御意見を聞きたいと思いますことは、さっきちょっと申しました、日本の外洋におきましては、領海外におきましては、アメリカの原子力軍艦あるいはソ連の原子力軍艦が常に一次冷却水を出しておると考えなければならぬ。そこで、ただ原潜の寄港地だけをこういうふうにモニタリングをやるということ以外に寄港地以外のサンプリングについてもシステム化する必要があるだろう、私はかように考えるのでありますが、この点につきまして、これはもちろん参考人の皆さんも、それができることには御異論ないと思いますが、ひとつ長官の御意見を聞いておきたいと思います。

森山欽司自由民主党科学技術庁長官

○森山国務大臣 たいへん難問題でございまして、確かに軍事情勢などを書いた本によりますと、日本近海に遊よくする原子力潜水艦は、アメリカの原子力潜水艦以外に、ソ連等の原子力潜水艦があり、かつその数もアメリカの艦以上に多いというような情報も、私どもは聞くことがございます。実は事実はそうつまびらかにいたしておりませんが、もしそういうことでございますれば、第一次冷却水を、領海とはあえて申しませんが、公海において出しておる可能性は、原子力潜水艦を持っておる国、アメリカ及びソ連等のいずれにおきましても、その可能性は私は否定できないと思います。そういうことがどの程度の影響があるかということにつきまして、私もよく勉強しておりませんので、この機会にひとつ勉強させていただいて、それからお答えをいたしたいというふうに思います。しかし大事なことだと思います。あまり当面の、いままでの成り行きだけでものを見ていくということは、いろいろ問題もあろうかと思いますので、御教示に従いまして、勉強させていただきたいと思います。

内海清民社党

○内海(清)委員 御承知のように、いま日本の領海は三海里ということでやっておりますが、これはいずれ十二海里に広げざるを得ぬ。国際の海洋会議がまた近くございます。この前にもありましたが、なかなかきまらない。これは漁業権とのいろいろの問題もありまして、簡単にいかぬと思いますが、これが十二海里になれば、いまより確かに影響を受けることは多少少なくなるということでありますが、しかし現実はいま三海里であります。そういう意味で、やはりこれは十分わが国としては考えなければならぬ問題である、私はかように考えますので、いまの監視あるいはモニタリングをやるということがなかなか容易なことでないと思いますから、それらの点を十分お考えになって御検討の上、ひとつ善処願いたい。これはしかし一度調査してみることが――現状においてどのくらいなものがあるかということを調査してみる必要があると思うのであります。ことに横須賀とか佐世保とか、その近くの公海、よく出入りする器港地の近い公海は、やはりこれが特に必要であると私は思いますので、この点はひとつ十分御研究の上、また御意見をお伺いいたしたい。

森山欽司自由民主党科学技術庁長官

○森山国務大臣 フォールアウトにつきましては、寄港地以外でも、海洋放射能の調査、検出を一部実施しておるそうであります、海上保安庁の水路部で。しかし、いまのお話のような御趣旨の調査はいままで全くいたしておりません。どういうふうにして調査をしていくか、いろいろこれから実情などを勉強させていただきまして、その進行の過程において、また御連絡申し上げたいと思います。そういうことでよろしゅうございますか。

内海清民社党

○内海(清)委員 ほかにまだ質問事項がございましたが、いままでのと重複する面もありますし、以上で終わります。

安井吉典日本社会党

○安井委員長 この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、本問題調査のため、たいへん参考になりました。委員会を代表いたしまして、厚くお礼申し上げます。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後六時十七分散会

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